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1974-04-04 第72回国会 参議院 逓信委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月四日(木曜日)    午後一時十七分開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      塩出 啓典君     山田 徹一君  四月一日     辞任         補欠選任      野坂 参三君     小笠原貞子君  四月二日     辞任         補欠選任      小笠原貞子君     岩間 正男君  四月三日     辞任         補欠選任      岩間 正男君     小笠原貞子君  四月四日     辞任         補欠選任      迫水 久常君     中村 登美君      長田 裕二君     高橋 邦雄君      小笠原貞子君     星野  力君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         川村 清一君     理 事                 今泉 正二君                 植竹 春彦君                 古池 信三君                 横川 正市君     委 員                 新谷寅三郎君                 高橋 邦雄君                 塚田十一郎君                 中村 登美君                 西村 尚治君                 森  勝治君                 山田 徹一君                 木島 則夫君                 星野  力君    国務大臣        郵 政 大 臣  原田  憲君    政府委員        郵政政務次官  三ッ林弥太郎君        郵政大臣官房長  神山 文男君        郵政大臣官房電        気通信監理官   浅見 喜作君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君        郵政省貯金局長  船津  茂君        郵政省人事局長  北 雄一郎君    事務局側        常任委員会専門        員        竹森 秋夫君    説明員        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君        日本電信電話公        社副総裁     秋草 篤二君        日本電信電話公        社総務理事    山本 正司君        日本電信電話公        社営業局長    玉野 義雄君        日本電信電話公        社計画局長    清水 通隆君        日本電信電話公        社経理局長    好本  巧君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○郵便貯金法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付) ○郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に  関する調査  (日本電信電話公社の第五次五カ年計画及び労  働問題に関する件)     —————————————
  2. 川村清一

    委員長川村清一君) ただいまから逓信委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨三日、岩間正男君が委員辞任され、その補欠として小笠原貞子君が選任されました。     —————————————
  3. 川村清一

    委員長川村清一君) 郵便貯金法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 横川正市

    横川正市君 中央銀行責任官庁通貨発行する場合に、通貨発行に二通りあるうち、大体日本の場合には銀行主義をとって通貨発行いたしておることは、これは一つ日本の戦後の特徴だと思うんです。その銀行主義をとって管理通貨発行しているということは、実は、必ずしもいい面ばかりではなくて、相当注意をしなけりゃならない大切な問題があると私どもは思うんです。ことに銀行主義通貨発行するいわゆる管理通貨の場合には、そこの国の物価上昇度というのが少なくとも二%ないし三%程度にとどめられるということが通貨発行の場合のいわば原則だと私どもは思うわけなんです。  そこで、最近の物価上昇率というのを見ておりますと、そういう原則がもう全く乱れてしまって、通貨という、これは非常に大切な個人の財産その他でありますけれども、そういったものが通貨価値下落という問題をかかえて、そしてそれに対して何らのきめ手になるようなことなしに日にちを送っているような昨今であります。  私は、まず第一に、金を預かる側に立っている郵政省貯金業務の上から、現在の通貨価値の問題についてどういうふうにとらえられているのか、これをお聞きしたいと思うのです。  二、三日前に、貯金局長から最近の郵便貯金増勢状況というやつを資料でいただきました。この資料現況からいきますと、決して悲観的な状況ではありませんで、予定よりやや上回った預金の確保をいたしておるわけです。その面では別に問題は私はないというふうに考えていいと思うのでありますけれども、ひとつこれをいまの物価上昇の問題と勘案して検討してみますと、必ずしも安易に現況を肯定するわけにはいかない、そういうものがあるわけでありまして、私としては、政府機関としての郵政省貯金業務、これをいまどういう考え方運営をされているのかという根本問題で、まず大臣意見をお伺いしておきたいと思うのです。
  5. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 通貨というものが一定の率をもって発行されることが一つの基準であるのではないかという横川さんの御意見でありますが、私もそのとおりだと思います。したがいまして通貨発行高というものが異常にふくれておるということは、これは物価という問題に及んでくるわけでございまして、通貨価値下落ということになるわけでございます。  したがいまして、いまの日銀券発行高が非常に高いということは、裏づけるものと勘案して、これがいわゆる物価高騰をもたらしておるという意味から、いわゆる総需要抑制という政策の中で値打ちのない通貨をますます増発させることは物価高騰になるのであるから、これを収縮するための手だてというものを講じなければならない。それは預金ということによって通貨の収縮をはかることになるわけでございますが、預金というものは預かり金と貸し金とによって成り立つものでございますから、預金というものをもってこの総需要抑制策をとるのは、いわゆる緊急ということの場合に大きな一つ手段になるというので、今次のこの物価対策のために総需要抑制策をとる、その中でわがほうの郵便貯金あるいは保険というような郵政事業において、私どもは、いま上程をいたしております諸方策をもちまして対応しよう、こういうことをいたしておる次第でございます。  ちょっとことば足らずかと思いますが、以上簡単でございますがお答え申し上げます。
  6. 横川正市

    横川正市君 私は、実は、私に対応策があるんではなくして、結局、対応策ということよりか、政府国会も、与党とか野党とかということでなしに、責任を負わなきゃいけないのは、やはりいまの通貸価値を著しく減殺している状況に対して、すみやかにその手を打って、物価の安定、いわば下降安定ぐらいな状態に持ち込んでいくという責任が私はあるのだと思うので、一応、どういう対応策をとるかは、きょうは私にも対案がありませんから、論議は置いておきたいと思うんです。  ただ、いま、たまたま一部の預金者から貯金目減り補償をせよという訴えが出されておりまして、これは国が相手ですから、国の立場から応訴することになると思うんです。それに対して三日の日の衆議院特別委員会出席をした金融界参考人伊部全銀協の副会長さんの意見を新聞で私のぞいたわけですけれども、この対応策としては、預金目減り防止策をまちまちな形でやらないで、何とかしてこれをまとめて全体の合意が得られるような方向で実行してもらいたいということを発言しておるわけです。これは政府機関であれば、貯金もこの考え方に私は違った意見を持っているものではないというふうに思うわけですけれども、この目減りの法廷に出された問題を郵政当局としてはどのようにとらえておるのか、まずお聞きしたいと思う。
  7. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 現在、具体的なことといたしまして、郵便貯金目減り国家補償という形で要求した訴訟がなされておるわけでございます。今日の物価上昇期にあって目減りがしておるということ、これを何とかしろというお気持ちは私はわかります。しかし、その要求のもとは、物価が上がって貯金利率が下がった形になって通貨価値下落したということから起きてきておりますから、まず、その物価問題を解決するということが何としても最大解決策である、こういう立場に立つわけであります。  なお、心情がわかるのに何もしないのかと、こういうことになりますと、もちろんそうではないんで、この物価問題は、すでに石油問題が起きます以前から物価高騰傾向というものに対処するための手段として、わがほうでもこの一年間に四回の利上げをし、また貯金限度額拡大あるいは高利の定期預金の開設等々、手段をもちまして国民皆さん方貯金者に対するところの損害を与えないための手段を講じてきておるところでございます。なお、今後とも何とか知恵をしぼって対応しなければならぬ、このように考えておる次第でございます。
  8. 横川正市

    横川正市君 貯金の問題ですから保険と対比できませんし、保険は別途法案がありますから、そのときにまた論議をいたしますが、たとえば保険の場合は、生命表によって、ある掛け金度合いに応じて保障する、あるいは弁償する形でとっているわけですから、一つの魅力というのは、必ずしも物価通貨との対比の中で一目これは損だというふうにはならぬわけですね。  ところ貯金の場合は、最近の貯蓄増強委員会という、これは大蔵省の外郭か何か、あるいは銀行関係の団体から構成されているんじゃないかと思うんですが、そこから出された本を見てみますと、貯金をする側に立っている人たち貯金をする目的ですね、これは一つは病気になったときの用意であるとか、二番目には教育貯蓄であるとか、三番目は老後の安定、四番目は住宅をつくるための貯金であるとか、大体項目としては、現在社会保障制度が漸進的にでも改善をされている中では、実は一つ政府施策として目的を持ったものに、個人政策待ちするわけにはいかないからというので貯蓄をするということがいまもって続けられておるし、その貯蓄度合いというのは先進国では日本が一番強い、裏をひっくり返せば社会保障制度がそれだけ弱いというふうな言われ方をしているわけなんですよ。  で私は、実は、それが政府施策でどういうふうに達成されているから個人貯蓄心というのはプラスアルファですと、こういうふうになっていくのが正常な状態じゃないかと思うんですね。ところが、いまそういうことからは全くかけ離れたところ貯金論議をしなければいけないという状態になっている。これは私どもとしても郵政省貯金業務そのものをとらえてみても、たいへん残念なことだと思うんですが、しかし貯金業務そのものにあるんではなくして、国の政策施策の中で物価を抑制することができないということから起こってきているわけですから、そういう点で私は必ずしも貯金業務を責めるわけにはいかぬと思うんですけれども、しかしくふうをして何らかの対応策をしなければいかぬということは、業務企業として行なっている以上、当然だと私は思うんです。  そこで、一体、いまのような状態のままで、たとえば三月末における貯金増強目標がある目標に達せられたからということだけで済まされるかどうかという問題について、貯金当局としてはどうお考えになっているか。そしてまた、このままでいった場合にはどうなるから、その場合にはどういうような対策を立てたいとかというような展望を持っているかどうか、それをひとつお聞かせいただきたいと思います。
  9. 船津茂

    政府委員船津茂君) おっしゃるとおり、郵便貯金の場合、ほとんど九九・二%が零細の個人貯蓄の集積でございまして、伸びておるということで簡単に安易に満足すべきではないという先生のお説は、私もっともだと思います。  おっしゃるように貯蓄増強委員会資料にもありますような次第でございまして、自己防衛的な色彩も相当強いんじゃなかろうか、こういう零細な預金者貯金を擁護していくといいますか、その利益を増進していくというのは法にも命ぜられておりますところ貯金事業使命でございますので、今後とも、物価上昇に追いつくだけの利率というのが望ましいんでございますが、そういうものを目ざしまして、預金者保護といいますか、努力したいと思っておりますが、一応そういうふうな預金者利益保護利益の増進、生活の安定が一つの命題でございますが、一般金融機関利率というものと考え合わせて私のほうの郵便貯金利率も策定していかなきゃいかんもんでございますので、そういうふうな大きな金利体系の中で預金者保護ができますような何かひとつ努力を払いたい、こういうふうに考えております。
  10. 横川正市

    横川正市君 私は、いまの局長論議に入る前に、大臣意見を一、二聞きたいわけなんですけれども一つは、銀行業の場合にはこれは必ずしも国が全部の責任を負うているわけじゃないわけで、監査という制度大蔵省の権限で行なわれますけれども、それは預金者保護の問題もありますし、今回のような大幅な調査が行なわれまして、百二十三業務ですか、これに対する特別調査というのが行なわれておりますから、それは一つの国の責任を果たすべき監督官庁としての役割りだと思うんですけれども銀行自体はやはり独自な運用をしているわけなんです。  ところ郵便貯金は、ここで法案審議をする場合に十万を二十万にするというようなメリットがもう大騒ぎをされて法定化される、そうして預かった大半の零細な金は財投資金として大蔵省一括これを運用する、こういうたてまえは、私は、預金者保護状態からすると、国が何らかの形で預金者に答えを出す、そういうものだというところにつなぎとめられるものだと思うんですよ。その一つの例が、終戦のときに銀行預金その他は封鎖で出せませんでしたけれども郵便貯金は全部一括支払いをし、引き掲げ者その他がやっぱり国の郵便貯金がいいんだということで一時は郵便貯金の評価がうんと高まったということがありますね。これはやっぱり国営の持っている一つの本分だと思うんですよ。  ところが、いまは逆なんですね。銀行のほうはある程度サービスも行き届いたりいろいろな手を尽くしてやっているわけだけれどもメリットのある投資のしかたのできない郵便貯金の場合には、実は預金者保護というのがうんとおくれているんだと思うんですよ。いわゆる国営という名に隠れて預金者保護というのがおくれてきている。そういうことにぶつかっている。  この点はどうなんですか、郵政大臣大蔵大臣との間に、財投資金がそれほど円滑に入手できない、郵便局はもっとしっかりしてくれということを大蔵大臣から郵政大臣が言われたようなことがあるんじゃないですか、この二、三カ月前、ちょっと目減りが著しいときには。そういうような時期は、私は郵政大臣として大蔵大臣に言うべきことを言う時期、そういう場所でないかと思うんですがね。郵政大臣としては、大蔵大臣にこの種の問題で何らかの意見を強く伝えたということがあるわけですか、その点はどうですか。
  11. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 最後の結論的なことを申す前に、大蔵大臣から何か話が目減りのことについてあったかということですが、これはございません。逆に私からは、何度か郵便貯金預金者立場に立って何か考えなきゃならぬじゃないかということについては再三申しております。  横川さんのお話のごとく、郵便貯金というのは法律によって定められておって、その特色としては、お話のように限度額がきめられておる、そうして先ほど局長が言いましたように、その大半は庶民というか個人預金であって、九〇%というより一〇〇%個人預金であるという特色を持っておる、そして国がこれに対するところ責任を負っておる、これを法律で明記してあるという預金でありますから、おっしゃるように、今日のような事態に対して当然財政当局大蔵当局とも話をして、そのことに対する対処をしなければならぬ立場ではないかということはごもっともな御意見でございまして、私もこのことについては頭を痛めながら大蔵大臣に対しましては話をいたしております。  ただ、話はいたしておりますけれども、残念ながらいまの段階では、先ほど申し上げましたところの御答弁をもってお答えをしなければならぬということになってきておるわけでございますけれども国会中を通じまして、また後ほどお尋ねがあるのかとも思いますけれども、ちょうど昨年私が就任いたしましてお願いをいたしました限度額拡大の問題、これはすでに私の就任いたす前から郵便貯金関係郵政省政策として四十九年度に実現すべき問題として取り上げられておった問題でありますが、これを総需要抑制という面から十二月、できるだけ早い機会にやるということで大蔵大臣から協力をしてくれと言われて、私も賛成でありますから、皆さま方の御理解によりまして十五日に成立をいたしたということが一件でございます。  その際、私ども郵便貯金が持っておりますところ使命を果たすために、きょうもあとからお尋ねがあろうと思いますが、十万、二十万のお話の出ましたこと等も、われわれの要求しておるところを必ず大蔵当局が実現してもらいたいということもその節話をいたしまして、法律化して御審議をわずらわしておるような点もございます。  なお、今日、その後とりました政策といたしまして特別金利定期半年ものを発行いたしておりますが、これがこの六月期をもってその期限がまいります。これをこのまま総需要抑制策のためにとった手段預金者利益のためにとった貯蓄増強策として放置してよいのかという問題に対応するための何らかの具体的な措置というものは、ちょうどボーナス時期にもなってまいりますので、考えなければならぬということを大蔵大臣答弁をいたしておりますのは、私は向こうから言われたのじゃなしに、私のほうから積極的に話しかけておることで、大蔵大臣答弁し私も答弁いたしておる、こういうふうに御理解を賜わりたいと存ずる次第でございます。     —————————————
  12. 川村清一

    委員長川村清一君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、迫水久常君が委員辞任され、その補欠として中村登美君が選任されました。     —————————————
  13. 横川正市

    横川正市君 銀行券発行のいわば国のとっている施策ですから、いまかりにこれを通貨主義をとって、金準備の裏づけをしない通貨というのはいかぬと、こういういわゆる思想的な意味を主張することだけならば、私はいまでもできるわけですよ。そうでなしに、国の施策はやっぱり銀行主義をとって、経済界やその他の必要に応じて通貨発行量発行するというたてまえをとって銀行券を出しているわけですから、その銀行券の持っているいわば通貨としてのたてまえというのは、これは厳密な意味一般国民、市民に対してそのことが通貨価値を失わしめるというような、あるいは信用を失墜するような、そういう形のものであってはならぬわけですね。これはもう確認できるわけですか、どうですか。
  14. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 原則としてそうであろうと思います。  ただ、いまお話のように、日本通貨だけでなしに世界の通貨がいわゆる金本位制というものから、今日はIMFの国連中心の体制まで影響を及ぼしておる、こういう状況下にありまして、国際的ないろいろなできごと日本の国のいわゆる通貨にまで影響してくる原因になっているということを考えますときに、最大責任を持ってこれを維持しなければならぬということは当然でございますが、先ほどお話がございました保険のほうでは保険料を下げるために剰余金をもって充てておる、こういうことからいうと、銀行預金の場合には金利というものがあるのであるから、その金利をもってその責任を果たすということにならなければロジックが合わない、こういうふうになっていくわけでございますが、これは心情としてはわかりますけれども預金だけがすべていまの物価上昇、まあインフレというものの波をかぶっておるわけでございませんので、この点について私どもが頭を痛めるというところがあるゆえんでございます。
  15. 横川正市

    横川正市君 私は原則はそういうものであるということをちゃんとやっぱり企業経営のたてまえに立って、しっかりしておかないとだめだということを申し上げたんですよ。そうしませんと、この前も、私、企業官庁とそれから政府との関係をここで質問をし、ただしながら、これでは現業官庁というのは成り立ちませんよという理由は、現業官庁立場政府にどんどん反映しなさいと、そうしないと現業官庁というのは、これは最終的なしわ寄せ国民しわ寄せするわけですね。現業官庁の行なった、いわば目減りの問題にしても、それから税金の増高の問題にしても全部国民ところしわ寄せになるわけですから、だから現業官庁はもっとほんとうに自分の企業から見たものを政府に反映せしめなさいと、これは郵政大臣一つの役目を果たしている、こういうことを申し上げました。  が、きょう、私は、大臣にしっかり考えていただきたいと思うのは、政府とそれから国民との約款ですね、約款というのはいわゆる契約事項ですね。これは諸般のいろいろな情勢というものを説明して、そうして貯金をしなさい、保険に入りなさい、これがいわば契約条項の内容になっているわけですね。だから、あなたの金は何ぼ預かりました、何ぼ利子をつけてあげますということがほんとう約款なんでなくて、国営事業の場合には、いわゆる一線の募集する人たちが周囲の状況を説明して貯金に入らせた、保険に入らせたということは、国とそれから国民との契約事項だと私は考えていいんではないかと思うのですけれども、その点は大臣どうお考えですか。
  16. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私はそのとおりだと思います。その約束が果たされないところに、いろいろな原因からくるものですから、これを果たすのにはどうしたらよいかという問題が中心になってくると思うのでございます。
  17. 横川正市

    横川正市君 果たせないからということで逃げられちゃ困るんで、たとえば子供大学までの資金をぜひこの貯金で積み立ててください、こういうことを言って、そうして生まれた子供年勘定から、どこへ進学させようかという希望まで入れて、そうして毎月何ぼの掛け金をする。ところ大学に行く年齢になって、おりてくるのを見れば、それは大学へ行けるどころか何の足しにもならない。必要経費のうちの一割か二割ぐらいしか負担ができないことになった。一体これはどういうことですかという問題にぶつかっているのがいまなんですよ。  それから住宅積立貯金というのがあるわけですが、三年前に大体平均でもって七百万円台ぐらいのマンションがいま千五、六百万、二千万ぐらいしているわけですよ。しかし郵便局住宅積立貯金はそのペースでいっているわけですね。これは池田総理大臣が私との予算委員会論議のときに私に答えたのは、結局通貨発行高増高されればされただけ個人の収入も多くなってるんだから、それは見合っているんだと、こういう論議をしていましたよ、所得政策を発表されたころに。それはまだ物価上昇が三%、五%ということで何とかなりそうだというたてまえで池田総理は答えたんだと私は思うんですね。いまはそういう状態ではないわけです。いまの住宅をとってみましても、二倍、三倍と、こうなるわけですから。  そうすると、あなたの給料は何%上がったんだから、この掛け金については何%ふやしてください、しかし最終的な契約金はいまの住宅を買うだけに背伸びをさせましょうと、七百万の契約は一千万にしましょうとか一千五百万にしましょうとかいうような、いわば思想的にスライド制というものが制度の中にあれば別問題ですわね、しかし事実はそう均衝のとれたかっこうにはなっておらぬわけですよ、物価上昇のほうがうんと高くて賃金とか支払い能力というのはそれほど高くないというんですから、それは無理な話なわけです。そうすると住宅のために積み立てたという市民と郵政省との約束事というのは有名無実になってしまっているんじゃないか。その点は、郵政省としては、これは物価が上がったんだからしょうがない、こういうことですか。それとも約束事に対して何らかの方策でもお持ちになっているんですか。その点をお聞かせいただきたいと思う。
  18. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先生の御意見は理想的にいけばそのとおりでございましょうが、事実私のほうは、現実の事態といたしましては、住宅積立郵便貯金の場合、おっしゃるような傾きが大いにあるわけでございまして、めどを立てて五十万まで積み立てるわけでございますが、現在の段階で住宅積立貯金をちょっとお話し申し上げますと、六万四千件ほど成立しておりますが、本年度二千件だと記憶しておりますが、実際に借り入れる状態になるわけでございます。お世話できる住宅金融公庫からの貸し付け金といいますか融資のワクは、最高の場合、一般貸し付けの五割増しということでございまして五百二十五万。おっしゃるように自己資金が相当程度ございませんと、五百二十五万円の金額でさしたるマンションも東京その他大都会では手に入らないという事態でございますので、二十七年の一月からこの制度は発足したと思いますが、当初目途としましたところからおっしゃるように少し色があせてきた。  しかたがないとあきらめておるかとおっしゃられますと、あきらめては利用者に対して相すまぬことでございますので、大蔵に対しまして今後とも折衝して融資のワクをふやすとか、その他別途の手段を講ずるとかいうようなことも頭をしぼって考えなきゃいかぬ。原則的にはおっしゃるような趨勢をたどっており、非常に遺憾に存じます。
  19. 横川正市

    横川正市君 私は、これは郵政大臣に最初に聞いたように、政府とそれから国民との契約事項というものはほんとうに大切なもので、政府国民を裏切らない、こういうことならば方法があると思うんですよ、いまの機関を通じてですね。これは私は対案を実は持っているわけなんです。申し上げますが、それは大臣にやる気があるかどうかです。  問題は、住宅とか教育とか老後とかいった一つ目的を持った貯蓄については、これは私はやはりスライド制をとるべきだと思うんですよ、実際上の掛け金とそれから支払い額の最終的な額について。そういう契約事項をやっていくべきじゃないかと思うんですね。  それからもう一つは、これはどうですか、積み立てされる最終的な目標目的を最初に与える。たとえば土地がほしい、いま金を借りたいというならば、何年契約でどれだけ金を毎月納めていきますから幾ら金を貸してくださいという、いわば逆の貸し方をやるという考え方があれば私は目的というのはある程度達せられると思うんですよ。そういう方法をとらないと、いまは約束事が全部ほごになってしまうんじゃないかと思うんですけれども、どうですか。
  20. 原田憲

    国務大臣原田憲君) たいへん貴重な御意見でございますけれども預金に対する金利のスライド制、それだけでなしに特別な目的貯蓄という制度をあわせて、そしてスライド制をもって考えるということは御意見として承りますが、いまここでどうだすぐやるかと言われても、ちょっと勉強さしていただきたいと思います。  なお、逆に先に金を貸したらどうだ、こういう考え方も、両者ともに郵便貯金の基本的な考え方というものに立って考えなければならぬ要素を含んでおると思います。こういうときには大胆にそういうことをやらなければ対処したことにならないぞ、こういう御意見はよくわかりますが、いま御提案を願った分につきましては、貯金局長からも答弁をさせますが、よく勉強をさしていただきたいと思います。
  21. 横川正市

    横川正市君 いま出されている法律案は、私どもは制定当時のいきさつ、それから今度二十万にした経過というのをよく承知しております。承知をしているたてまえで質問をしているわけですから、あるいは意地悪く聞こえるかもわかりませんけれども、財投計画の中の予算の六割近くは郵便貯金なわけですね。そしてそれは郵政省は零細な個人の積み立て金であるということをよく知っているわけですよ。その上に立って企業経営をしていることも、これもだれが見てもそのとおり納得するわけですね。ところがそういう金の使われ方は、それじゃ逆の意味で、個人貯蓄個人の奉仕だけで、国からの何らかの恩典にあずかる点になりますと、全部切れてしまってないわけですね。  実は、現業官庁郵政省の仕事の大半がいままでもずっと国に奉仕することだけで、あとはティーの字を頭にいただいてまじめに働くだけだというぐらいに言われてきて、それでずいぶんこの委員会でも論議しました。もう大臣の経験のある方はみな、大臣のときにはここで私ども意見に非常に賛成して、そして努力をしてくれるんですけれども、相手のほうの壁が厚くてなかなか破れない、こういう問題にぶつかっているわけなんですが、それは一つの平穏な事態のときはいいんですけれども、いまのような事態になれば何らかの、いわば政府側から、いわゆる国で経営している郵政省側から国民側への一つの道筋というもので預金者に対する保護、そういう精神を前向きで出す必要があると私は思っているわけです。それが企業の経営を健全に発展さすことだと思うわけなんですがね。  その点から考えてみて、十万を二十万にしたということはどれだけのメリットがあると考えているんでしょうか、それで折れたのは。折れないでこれは大蔵省ともう少し折衝する——最初の案は何か私どもは五十万ぐらいというふうに聞いておったわけですけれども、それを二十万でおりてしまったということは一体どういうことなのか、ちょっと私にはうなずけないわけですがね。
  22. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先生御指摘の、郵便貯金が集めました総量が財投の計画の中の半分以上——資金運用部資金の中の半分以上というのは事実でございますが、財投計画の全体の中から申しますとやや下回るのではないかと思いますが、それはさておきまして、せっかく営々として集めた個人の零細な資金が全然還元されないじゃないかという御意見でございますけれども、何も大蔵省の代弁をここで私やるつもりは一つもございませんが、大体財投の計画では、たとえば四十九年度の計画ではその六四%が生活福祉的な面に融資されるというようなことになっております。  それは弁解にすぎませんが、さて、いま御審議願っております十万を二十万にした理由でございますけれども、一応十万で発足いたしまして一年ちょっとたちますが、初め五十万という打ち出しをしておったのも事実でございます。で五十万という打ち出しは、大体一般の強い要望が十万で発足したあとでも五十万だという声が強うございましたし、また民間金融機関の個人的な融資のワクというものが総合口座の場合五十万というふうに現行なっておりますので、大体平仄を合わせるということでいっておりました。おりましたが、利用の実態その他はあとで御説明したいと思いますが、十万円で発足した一年間の実績を見てみますと、幅が小さかったせいか利用度合いが三万から五万円の貸し付け額が多うございまして、平均四万八千円というようなことで、それを何も目安にするわけじゃございません。ひとまず発足一年程度だから、対象は大蔵省及び農林省が一部関心を払っておりますが、おもに大蔵との交渉上、まだ発足一年、もう少し模様を見たらどうだという理論にも一応の理屈がございまして、ひとまず現経済情勢ないし郵便利用の実態等をにらみ合わせまして本年度は二十万でやらしていただこうかと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  23. 横川正市

    横川正市君 郵政省がその考え方ならば何をか言わんやですがね、私はやはりさっき言ったように、預金者保護というのは、預金者というのは大きな金を預けている預金者ではなしに、零細な金を先ほど言ったような目的のために積み立てた金ですから、そういう金を預かっている郵政省としては、実は逆な意味で言うと、これだけの金を積み立てるが、いまどうしてもこれだけ必要だから貸してくださいと言ったら、たとえば給料とか資産状態とかそういったものを一つの限度にして、一番底辺にはそれぐらいの金を融資してやるような庶民金融みたいなやつを考えてみてもいいんじゃないかと思うんですよ。  いま一番貧乏人が一割も二割もするような高い金を庶民金融で借りまして、そしてたまらぬから今度の十万円貸し出しに対しても飛びついたと、こういう事例があるわけで、十万円の貸し出しが三万円か五万円で、そういう件数でございますよというのはどういう理由かというと、一番困ったところがどうしても必要に迫られて借りているという実態があるわけですからね。それに郵政省は窓口を通じてたくさんあるわけですから、庶民金融ができるような方策をとれれば、私はもっと郵政省の存在価値というのはうんと高まってくるだろうと思うんですよ。ところがスズメの涙みたいな金を集めておいて、それをみんな大きなところへ持っていって使っちゃって、スズメの涙のほうへは無情にも金利物価に全然追いつかない、メリットとしては損をする、そういう状態だけに置いておいて一体庶民の郵便局というようなことが言えるか。私は郵政省は庶民の郵便局だというたてまえをどう貫くかということ、そしてその庶民の零細な人たち預金保護をどうするかということを忘れたら、郵便局は要らぬのじゃないかと思うんです。そういう貯金としてはあとはみな銀行にまかせればいいわけですよ。  決してこれは精神訓話するわけじゃありませんけれども、たてまえとしてそれを忘れたら私は郵政省貯金業務というものは成り立たないと思うんですね、理屈からいっても。そのことを申し上げているんですよ。だから三万か五万しか借りてない人に、十万円納めておいてそのうちからおまえに何ぼで貸してやるというような何か得させたようなことを言いながら、実際は得しておらぬですよね。そういう金の貸し方ということで満足すべきではないんじゃないかと私は思うわけですが、この点はどうでしょうか。
  24. 船津茂

    政府委員船津茂君) 大きなことを言うようでございますけれども、為替貯金事業が始まりまして来年で百年ということでございますが、先生おっしゃるように、いままで集めた零細な金は全部資金運用部に預託し続けてきたわけでございますが、四十八年の一月から先生方の御審議によるこの預金者貸し付け、貸せるようになった、これは一つの大きな発想の転換と申しますか、為替貯金事業史に一つのエポックを画すると思いますが、いま御示唆をいただきました貸し付けを先行さして庶民金融といいますか、こういうふうな発想、これは第二のステップ、大きな画期的なステップを示唆する御意見といたしまして、私十分感銘深く承っておきたいと思います。
  25. 横川正市

    横川正市君 それから貯金会館ですね、一つの社会生活の中で私どもは実は必ずしもそのことがいいことだと思っておらないものに貯金会館とか保険会館とかいうような方式があると思うんですよ。それは自分のうちの中は火の車であっても、おやじさんだけは料理屋に行って酒でも飲めばあとは気分よくして帰ってきて、家族の者は何をしていようと一向かまわないという社会制度日本に底流しているわけですよね。だから、どこかにりっぱなものができると、そこに行ってみようじゃないかという、そういう民心の動きというものはもういま日本じゅうに蔓延しているわけです。  そうでなしに、家族本位で楽しめるようなものをもう少し重点で考えたらどうだろうか。その点に私は実に財投に預けた金の一部を郵政省貯金会館というかっこうでなしに、あれは剰余金の一部を使っているわけでしょうが、そんなことでなしに、積み立て金の最初のうちは何%でもいいですが、それをいわゆる家族で楽しめるものへ転換させる。  この間、私、フランスに行きましたら、エベリーあたりの総合グランドというのは所得何百フラン以下の者が遊べるレジャーランドをつくっていましたよ。これは坪数にすると六十万坪といっていましたが、そういったものをパリの郊外に何カ所かつくっているわけですね、政府でやっているわけです。  私は、これは金を持っている貯金局が財投に入る金の幾らかを還元してもらいまして、そしてそういうものをつくって庶民に与えるという仕事も、これは家族団らんの場所としていいんじゃないかと思うんです。厚生省の分野かもわかりませんけれども郵政省の仕事の分野でも考えてみる気はないかどうかをお聞かせいただきたいと思います。
  26. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先生のおっしゃる意味はよくわかりますんですが、非常に図に乗って言うわけではございませんけれども、郵貯会館全国七カ所、もう間もなく十カ所を数えますが、これは大衆といいますか家族連れ、そういうふうな利用形態を頭の中に想定して実は運営もしますし設置もしてまいったわけでございまして、これまた石油危機のこの際おしかりを受けるかもしれませんけれども子供連れで遊べるといえば、たとえば長野の郵貯会館、間もなくオープンします札幌の郵貯会館あたりにはプールもありますし、それから四、五カ所の会館には大きなホール、これは家族連れ——おとなよりも子供さん方が多く集まる施設、それで子供のときから郵便貯金に対する親しみを持っていただこうというようなことでやっておりまして、先生のおっしゃる趣旨はよくわかりますので、これを拡充したい。またおっしゃるような方面にもっと近づけたいということは努力していきたいと思います。
  27. 横川正市

    横川正市君 いま私ども考えていることは何省かにまたがっていわばなわ張り争いになりかねないようなこともちょっと懸念はいたしますけれども、問題は、やっぱり金を持っているところ中心になってその金を動かすことは、預けた人の気持ちを一番よく知っている窓口が預けた人にこたえる施策を生むことだ。一つクッションを置いて大蔵省に持っていって、零細な人の気持ちに合ったものを大蔵省さん考えてくださいというのはやや私は飛躍すると思うのですよ。やはり金を集めているところがもう少し積極的に施策をして預金者にこたえていってやるということで、前向きの姿勢をとるべきだとこう私は思うんです。  十万が二十万になったことを、ここでいいとか悪いとかいう論議なんかは私はあまりしたくないわけですよ。そんなものは前の前の前でしょう、実際には。やはりこの制度考え出したときの考え方にもっと前向きに近寄るように、私ども賛成したのはそういう意味で賛成したわけですから、前向きにするように努力してもらいたい。これは郵政大臣はぼやんとしてないで、あなたは党の長老なんだから、大蔵大臣とも話しして、もう少し前向きに開拓してもらいたいとこう思いますが、どうですか。
  28. 原田憲

    国務大臣原田憲君) これを踏み切るには郵政関係の各与野党ともにたいへん積極的であったと承知をいたしております。ただ、それだけの熱意がありながらなかなか実現しなかったというのは、いろいろな立場に立って金の運営というものについての考え方というものがありまして、いま横川さんがおっしゃった庶民金融ということについても、郵便貯金で集まってきた金を、国民金融公庫とか中小企業金融公庫とかそういう面を通じて庶民に金融をする機関がある、あるいはその他社会福祉関係に流していくという方法をもってこれにこたえていくという制度というものの上に立っておったわけでございますから、また一方民間金融機関というものもございますから、これに対して相当な議論が尽くされてきておったわけでございます。  私は、横川さんにいま党のおまえさん役員だからぼんやりしていたらあかんぞというお話がございましたが、実はこのことにつきまして党の役員もいたしておりましたので、当時廣瀬大臣と記憶いたしますが、党の側におきましても私は推進する側に回りましたので、何だあんたは推進かと言われたほうでございますが、いま推進をいたします点につきましては、あなたがおっしゃっておるようなことも含んで全面的に考えておったとは私は申し上げませんが、考えもあってこれを推進した一員であります。  したがいまして新しい制度ができたということは画期的なことであろうと思っておりますが、その際に議論をされた一点がここにまだ解決をせずに分かれておるところがあると思いますのは、いま横川さんのお話によりますと金融ということにウエートを置いて議論がなされておりますが、このお金は金融というのにはほど遠いといいますか、生活一時金、サラリーマン金融にやや近いか、いまさしづめ金が要る、こういうときに預金の取りくずしということをせずに、それはそのままにしておいてやれるということであるから十万でいいじゃないかということで、まずその制度を開くということが大事であるからということで、この十万ということが最後にきまったという経緯があるというふうに私は承知をいたしておりましたので、そのときに五十万という御意見もあり、郵政当局でも五十万ということを言ったという話も就任して聞きましたが、私どもは正直に言いまして三十万という話をいたしておったのでございますから、私が就任いたしまして、それに近づけるためのまず努力を傾けてみよう。  それから今日の郵政省の負っておる貯金法の中の眼目といたしまして、これを私ども施策として取り上げておりますので、これはぜひ実現したい。大蔵当局のほうでは正直言いまして、去年はこの制度を開いたのであるから、この際はこれはどちらかというと締めておきたい。特に金を使いたくない時節でございますから、これは締めておきたいという考えもあったことはいなめないんでございますが、折衝の結果、これを実現した、こういうことでございまして、今後ともぼんやりはせずにひとつ取り組んでまいりたいと存じます。
  29. 横川正市

    横川正市君 私は、きのうの論議を聞いていたわけじゃありませんけれども、やっぱり貯金目減り防止策というのは、もう一部の人の感情論じゃなしに、施策にすべき状態になってきているんで、これはばらばらな施策でなしに、全体として合意の得られる調和のしたものにするということになろうと思いますが、たまたまこの目減りに対しての裁判が持ち上がって訴訟されているわけで、これは郵便貯金が主たる目標ですから、これがたとえば負けりゃたいへんだ、勝ったらほっと胸をなでおろすなんていうそういうことでなしに、何らかの対応策を、やはり対応策というのは庶民がこういう不平不満を持たないような、そういう方策を郵政省としては先手を打って出すべき問題じゃないか、こういうふうに思います。  そういう点で一そうひとつ検討していただきますように、私のほうからも提案をして、私の質問は終わりたいと思います。     —————————————
  30. 川村清一

    委員長川村清一君) 委員異動について御報告いたします。  本日、小笠原貞子君が委員辞任され、その補欠として星野力君が選任されました。     —————————————
  31. 森勝治

    ○森勝治君 私は最初に、貸し付け限度の引き上げの問題について質問をしてみたいと思うんです。  御承知のように先般の法案が実施のときには、当初十万円、こういうことでありました。これは何といっても国民生活の実態論からいたしまして低額過ぎる、こういうことがありまして、このことにつきましては、この法案創設の際にも私はもちろん申し上げたし、私ども立場に立つ者はみなすべて低きに失する、こういうことで主張をしたのであります。したがって、そういう意味では今回二十万ということですから、そのことについてはまあ歓迎ということでありますが、当時から比べますと、さらに狂乱物価でありますから、貨幣価値下落してきた現今におきましては、なるほど十万から二十万に一挙に上げて、あたかも倍額にしたかのごとき観を呈することにはなりますけれども、それでも国民の実態論からいたしますと、まだまだ額が少ないということで、そういう面からいたしますと非常に不満を私どもは隠し切れないんであります。  私はここでちょっと聞いておきたいんでありますが、この貸し付け制度というものがスタートいたしましてから今日まで、いろいろ扱ってきた実績と申しましょうか、そういうものについてひとつここで御報告をいただきたい、これは担当局長からでいいですから。
  32. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先生御承知のように、預金者貸し付け制度は去年の一月から発足したわけでございますが、ちょっと古うございますが、ことしの二月末の制度の利用状況を御報告いたしますけれども、件数にいたしまして三百七十二万件でございます。貸し付け金の総トータル額、累計額は一千七百七十四億円。二月末現在の貸し付け残高——これは返していただきますので、現在における貸し付け残高という点でとらまえますと、五百八十九億円となっております。先ほど御説明いたしましたが、一件当たりの貸し付け金額は三万から五万、平均四万八千円ということになっております。
  33. 森勝治

    ○森勝治君 最初、私どもがこの前本件についての審議をいたしますときの郵政省側の説明の需要予測によりますと、初年度の貸し付け原資が一千億円、これを一年間に四回回転するとすれば年間貸し付けはすなわち四千億円、平均貸し付け額が五万円と見込んでも年間貸し付けは約八百万件、こういうことでありましたが、いまお話がありましたように、三百七十二万件ですか、貸し付け額が一千七百七十四億円、貸し付け残高が五百八十九億円。こうなりますと一月の末現在では五百六十七億円ですから、二月の末ということになりますと、この一月から二月の一カ月では二十一億円と、こういう額になりますね。そうなりますと当初予測した数字をはるかに下回っておるわけです。  このことについては、実は皆さんの——皆さんというのはもちろん郵政省の担当の局長はじめ皆さん方の御説明によりますと、郵政省の新企画ということで、いまをもって顧みますと、誇大に過ぎるような、俗語でいう鬼の首でも取ったような発言をされておりまして、いまふたをあけてみれば期待はずれだという印象をぬぐい去ることができないんでありますが、どうしてこう目測と現実が違っておるのでしょうか。  やはり私はこの辺に、国民はこういう制度を期待しつつも先ほどちょっと指摘いたしましたように、貸し付け限度額があまりにも少額でありますから、その程度借りてもさっぱりらちもあかないし効果がないというところから、国民からそっぽ向かれたような姿になり果ててしまったのではないかと思うのですが、この点はどうですか。
  34. 船津茂

    政府委員船津茂君) おっしゃるように、制度の実績は当初の予測を下回っておりますが、私たちのPRもありまして制度の趣旨が浸透していきまするに従いまして、一応、借りる手続も非常に簡便でございます。保険で借りると同じぐらいの簡便さでございまして、また利率も低利でございますので、非常に好評といいますか、その後順調に伸びております。  先ほど先生御指摘の一月現在と二月末現在で二十一億、これは非常に計画を下回っておるんじゃないかと。やはり返される金もございますので、二十一億だけが貸し出された額ではもちろんございませんが、そういうふうな意味で今後とも順調な伸びがおそらく期待される。  それからもう一つの点でございますけれども、おっしゃるとおりに、あまりにも低きに失した十万円という貸し付け限度額が利用をためらわす——ためらわすということはおかしいんですが、らちあかぬとおっしゃいましたが、そういう面がおそらくあったんじゃなかろうかという気がいたします。倍額にいたしますと利用の層も相当変わってまいりまして、また私たちが見込んでおります線に近い需要の伸びが期待できるのじゃなかろうか、そういうふうに私のほうも預金者の方に周知浸透策をはかっていきたい、こういうふうに考えております。
  35. 森勝治

    ○森勝治君 あなた順調な伸びだとおっしゃるが、私はことしの一月と二月の差額だけを申し上げたんでありまして、なるほど二月分では二十一億よけいに貸したことにはなるでしょうが、当初われわれに年間四千億ということを言っておられたでしょう、それから比べたら昨年の一月からことしの二月までですか、さっきの説明では千七百七十四億というのは計画の半分にも満たないじゃないですか。何が順調ですか。あなた方は失望感を隠すこともできないでしょう、この点では。そうじゃないですか。われわれにそういう需要予測というのを説明したでしょう、かつて。その二分の一にも至っていないんですが、どこが順調なのですか。  ただ私は一月と二月の、あなたのは二月末と言っているから、だから貸し付けのわずかの差を私は申し上げただけの話で、一月末は五百六十七億円が貸し付けの残高だから、あなたの説明だと二月一ぱいで五百八十九億円ですからね、ですから二十二億だけ確かに貸し付け残がふえたわけですから、確かにふえたかしらぬが、いま言ったように順調な伸びと言って鼻の穴をふくらますようなしろものじゃないでしょう。
  36. 船津茂

    政府委員船津茂君) 制度発足のときに一千億円の貸し付けで、これが四回転して年度間四千億という御説明を私のほうから申し上げたということでございますが、実態はちょっと違いまして、四回転というならば、大体一件五万円の場合三カ月ごとにそれを返してもらってまた五万円貸すという形が四回転だと私は思いますんですが、実態はいままで一年間とりましたところ、四カ月半平均借りていただいておりますので、そういう意味では三カ月よりは五割増しの期間用立てていただいておるということで、必ずしも半分以下ということではございません。  順調と申し上げたのはちょっとてまえみそ過ぎましたんですが、おっしゃるとおりに、実績は予測をうんと下回ったということは事実でございますが、今後、おそらく順調に利用していただけるだろうという自分のほうの予測も入れまして申し上げた次第でございます。
  37. 森勝治

    ○森勝治君 いまあなたもおっしゃったように貸し付け金、私もちょっと触れましたが、貸し付け金額が一件五万円ということで、あなた方の需要予測は八百万件と言っているんですよ。いいですか、いまの説明でも三百七十二万件でしょう、貸し付け件数にしても十三カ月をもってしても、あなた方がわれわれにさももっともらしく説明した額から著しく隔たっておるじゃないですか、だから言うんですよ。そういう説明をしないほうがよろしいんですよ。  なるほどこの制度銀行筋等が反対をされたものですから、それを郵政省の努力で、額の高い低いはいずれとしても、こういう貸し付け制度を創設したことは画期的なことでありましょう、その点は評価いたしますが、胸を張って言えるしろものじゃないでしょう、このことは。これは皆さんすなおにお認め願わなきゃいかぬですよ。われわれに説明した当初の事業計画の半額に満たないんですから、半額以上だとあなた幾ら言ったって、なりゃせぬじゃないですか。  件数だってそうなんです。あなた方の説明は年間八百万件でという説明なんですから、たしか。くどいようですけれども八百万と言ったんですから。それをあんた一月末で三百四十六万件、二月末で三百七十二万件ですから、昨年の一月から創設して十三カ月で三百七十二万件なら八百万件にほど遠いじゃないですか。目標の六割達成したからまあまあということはありますけれども、半数を下回ってそんなに力むほどのしろものじゃないでしょう、これは率直にお認めなさいよ、そういうところを。確かに貸しているんだから、需要と供給の点は伸びておるんでしょう、それは当然でしょうけれども、しかし、あんた方がわれわれに鬼の首を取るように説明されたんですよ、当時は。そのときの予測の説明と現実はあまりにも違うではないかと申し上げたら、違わないとあなたは反論されているんですよ。しかし数字がそういうことだから、あなた方の努力は多としますよ、しかし現実に数字の隔たりがあるんですから、それは率直にお認め願わなければ、これは貯金ばかりじゃない、保険の問題だって郵便の問題だって経営ができないじゃないですか、そんなことで固執されておったら。
  38. 船津茂

    政府委員船津茂君) 何も反論して予測がほとんど間違わなかったと言っておるわけではございませんで、その当時説明申し上げた数値とデータの取り方、回転数その他につきましての予測が、言うなれば、先生御指摘のように、著しく違っておるということを認めないわけにはいかぬと思いますが、蛇足でございますが、今後の努力で、それに近いものに仕上げていきたい、こういうふうに考えております。
  39. 森勝治

    ○森勝治君 せっかくすなおになったところですから、私もすなおになって次の質問に移りたいと思うのです。  いまお話がありましたように、当初の予測をはるかに下回ったという原因を尋ねてみなきゃならぬのです。これは私がいまも発言をしましたし、本案創設のときにも申し上げたように、わずか十万ばかりでは何といってもいまの時点では魅力がない。だから、せめて三十万か五十万ならばというのが国民の声だろうと思うのでありまして、その点は、私どももこの創設にあたりましては、そういう主張をしたのであります。ところが最終的には十万となりましたから、いまや私どもがかつて懸念をしたそのとおりに残念ながらあらわれてきた、こう申し上げざるを得ないんであります。したがって今回提案の二十万円も、最近の経済情勢の中では、十万円とあたかも五十歩百歩の観を呈する、こんな気がしてなりませんので、私どもは、これは貸し付け制度がさらにまた画期的に改善されたというふうにはどうしても評価しがたいのであります。  私どもの仄聞をいたしますところによりますと、郵政省では、概算の要求をされる当初は五十万という貸し付け限度額を打ち出されて何か大蔵省と折衝をされた、そんなふうに承っておるんですけれども、もし五十万という線でいわゆる要求をされたとするならば、時代の趨勢にマッチするために五十万説をとられたのか、それでとどのつまり五十万説は主張したけれども二十万に値切られてしまったのかどうか、この辺のいきさつをひとつお聞かせをいただきたい。
  40. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先ほど横川先生にも御答弁申し上げた次第でございますけれども、私、発足以来、一年三カ月のこの貸し付け制度、実は五十万という線を打ち出しまして努力目標に掲げたわけでございます。  と申しますのは、五十万というのでなければ、先生おっしゃるように、らちがあかぬというのですか、国民に身近いというのですか、利用しようにも利用のしがいがないということが一つと、先ほど申し上げました民間金融機関の貸し付け限度額というのが個人預金の場合、まあ総合口座でございますけれども五十万、それで大いに努力したわけでございますが、何ぶん相手のある仕事でございまして、農林関係からも、まだ始まって一年ちょっとじゃないか、あれだけの反対を押し切って制度を発足さして、たった一年近くたったぐらいで、また五十万なんというのはそれは暴挙である、まあ二十万を打ち出しましても暴挙であるというような、関係方面の方の抗議文も私受け取りましたが、そういうことはともかくといたしまして、時勢がこういう時勢でございますので、五十歩百歩ないし十万が二十万になってもそうたいして見ばえがしないという御指摘はごもっともだと思いますけれども、ひとまずこの二十万円で利用の実態をまた見詰めさしていただきまして、おっしゃるような五十万の線に早く持っていきたいというような考えでおります。
  41. 森勝治

    ○森勝治君 いまの御説明の中で、あげ足をとるわけじゃありませんけれども、気をつけて発言をしてもらいたいのです。何か関係の皆さんの——関係の向きのと言ったんですか——反対を受けたと言うんですね、それは競合する相手のほうも関係だろうし、われわれも関係者なんですよ、われわれはもっとふやせという側ですが、ただ単に関係の向きに抗議を受けたとかなんとかという表現はまことに私ども立場では迷惑ですから、いいですか、こういう制度に反対をする方々の抗議を受けたというふうに言ってくれませんかな、何だか全部が反対したような印象をぬぐい切れませんから、ひとつその点はそういうふうにしてくれませんか。
  42. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先生のおっしゃるとおりに訂正いたします。
  43. 森勝治

    ○森勝治君 この貸し付け制度を創設する際にも、郵政省の説明によりますと、この制度はいわゆる世俗でいう金融ではなくして、この制度がなければ当然払い出されてしまう貯金を、貯金契約はそのままに継続をさしておいて、一時立てかえ払いをするにすぎない制度であるから、したがって政府の財投原資には何ら関係のないものである、こういう説明を当時るる述べられたわけでありますが、この際、このことを私は再確認しておきたいと思いますので、財投の原資には関係ないという理由をあらためてひとつお聞かせ願いたい。
  44. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先生のおっしゃるとおりでございまして、この制度郵便貯金の払い戻しにかわりまして、一時のつなぎ資金としまして、貯金は置いたまま、担保に貸し付けする、融通するという制度でございまして、これに要しますところの貸し付け資金、もともと資金運用部にいかない性質のもの、と申しますのは、従来払い戻されていた資金の一部がこれに充てられるという考え方をとっておりますので、財政投融資計画にはこの貸し付け金に回る額は直接何ら関係はないという従来の解釈を持っております。
  45. 森勝治

    ○森勝治君 大臣にお伺いをしたいんでありますが、いま私が指摘いたしましたように、国民はより大幅な貸し付け限度額の引き上げというのを期待しておるわけです。しかも、いまお話がありましたように政府財投資金には何ら影響がないということであるならば、この際、郵政省が当初力説されましたように、この限度額は五十万程度に引き上げて世論にこたえるのが、国民生活優先を標榜いたします田中内閣の使命一つであろうと思うのでありますが、二十万円ならけっこうだが五十万円ではだめだという理由はさっぱり合点がいかないんです。  あなたは田中内閣の有力閣僚でありますから、この点について内閣の方針を——このことについてどうして二十万円で手を打ったのか。どうも政府の看板はりっぱだけれども、二十万円で手を打ったのはちょっと私には合点がいかないものですから、大臣の口からもこの点についてはあらためてお話を承りたい。
  46. 原田憲

    国務大臣原田憲君) お話一々ごもっともでございますが、先ほども横川さんにお答えいたしたのでありますが、この画期的なことが初めてなされたというのが十万円で始まったわけであります。そのときに五十万円がいいか三十万円がいいかいろいろ議論があって、十万円という議論は一つもなかったと私は思っております。要するに金融というよりも生活資金といいますか、不時のお金を借りられるというふうにやろう、こういう議論で、反対をする人たちと対立しておりましたが、それが結局、郵政側の意見が通ってこの制度が踏み切られたということが一点あると思います。そのために十万円という金は決して満足ではないけれども制度を踏み切るということでまずがまんした、こういうことになっておったと思います。  それでやってみましたら、いま森さんから御指摘のあったように、初め言っていたこととだいぶ違うじゃないか、こういう点で、その伸びなかった理由の一点にも、十万円じゃいまの世の中でと、こういうこともあると思います。そこで、このたびは二十万円ということでお願いをいたしておりますが、二十万円が最高であるとは私は決して考えておりません。したがいまして、これを今後とももう少しふやしていくという点についてなお努力を続けたい、このように考えておりますことが一点でございます。  それから、いまもお話のありましたように、これは財投の原資に迷惑をかけないでやっていこうという中の制度でありますから、これに浴せる人たちの数はできるだけ多くしようとすると、金額の面で広く薄くということも考えないと、これが高額になりますと今度は厚く狭くということになりますから、この点を勘案して今後考えていかなければならぬ、このように考える次第でございまして、いずれにいたしましても二十万円でよいとは考えておりません。今後ともこれの改善策について努力をしてまいりたいと存じます。
  47. 森勝治

    ○森勝治君 大臣、いま二点の、広く、厚く、薄くとおっしゃったが、積んでおったうちの九〇%しか貸さないのですから、預金がなければ、口座がなければ貸さないのですから、いま二点で懸念されるようなことはないのじゃないですか、預金者に対して貸すのですから。そうじゃないですか。だから二点はちょっとどうなんでしょうか、私は必ずしもそれはいただくというわけにはいかないですね、二点のお答えについては。
  48. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は、金額が高額になってきますと、やはり返すということについても十万円が返しやすいか五十万円が返しやすいかという問題がございますので、少し申し上げたのでございますが、あえて固執はいたしません。
  49. 森勝治

    ○森勝治君 それでは担当局長にお伺いいたします。この制定が創設されてから郵便貯金の額は平年度よりふえましたか、これが質問の第一点。  もう一つは、貯金の解約の件数が減りましたか、どうですか。
  50. 船津茂

    政府委員船津茂君) この制度ができましてから郵便貯金がふえたかどうかという御質問、期間がこれは前年の一月からでございますので、一月から三月までの四十七年度がちょっと抜けますけれども、この三月末で終わりました四十八年度の郵便貯金の伸びを申し上げますと、現在高におきまして十五兆二千四百八十億円で、四十七年度末に比べまして現在高で二四・四%何がしふえております。総純増におきましても二兆三千億の総目標に対しまして三兆七百四十一億円ということでございまして一三四%の増になっておりまして、目標は対前年比におきましても一七%ふえております。  大体、貯金はそういうふうに伸びておりまして、第二点の御質問の解約の実績はどうかと、直接数字的に申し上げられませんか、郵便貯金——通常貯金、積立貯金、定額郵便貯金がおもに三つありまして、あと定期貯金住宅積立貯金がありますが、前三者について申し上げますと、通常貯金の解約と申しますか、この三月から四月初めにかけましては預入額も相当ございますけれども、それを上回る払い戻し額が顕著でございます。しかし積立貯金につきましては、この一、二年間、金額、件数とも増加傾向にございます。それから大宗をなす定額郵便貯金でございますが、これは郵便貯金全体の中に持つウエートがぐんぐんふえておりまして、いまたしか七八%ぐらいに伸びたと思っております。
  51. 森勝治

    ○森勝治君 この融資をした方々は契約を解除することなく金は返しておられるのですか、それとも契約を解除してこの融資額弁済に充てておられるのですか、どちらですか。
  52. 船津茂

    政府委員船津茂君) 数字を的確につかんでおりませんが、先ほど申し上げましたように、四カ月半という貸し付け期間の平均値が出ておりまして、大体六カ月までに大半返済を受けておりまして、返済を受けないで法定弁済といいますか、返していただけなかったということになろうと思いますけれども、そのパーセンテージは一〇%、一割を切る数字であったと記憶しております。
  53. 森勝治

    ○森勝治君 別の問題でお伺いしたいのですが、郵政省は、この国会に臨むにあたりまして、郵便貯金法の改正として貯金総額制限額の引き上げや、預金者貸し付け限度額の引き上げ、郵便貯金のいわゆる財形貯蓄制度への参加という、この三つの内容を考えておられた模様でありますが、このうちいわゆる財形貯蓄への参加が今回はなぜ提案を見送られるようになったのか。これは郵政省が自主的に見送ったのか、金融経済界との関係大蔵省との折衝の中からこう自然と消えていったものか、この辺ひとつお聞かせをいただきたい。
  54. 船津茂

    政府委員船津茂君) 御指摘のように、郵政省といたしましては、貯金事業といたしましては、当初、総額制限額の引き上げ及びいま御審議を願っておりますところの貸し付け限度額の引き上げ、それに並べまして三番目に財形貯蓄——勤労者財産形成促進制度の対象に郵便貯金国営機関である以上当然入るべきではないかという線を打ち出しまして関係の向きと折衝したのでございますけれども、先生おっしゃるように民間金融機関との競合をもたらすという点がまだ意見として残っておりまして、その点がふっ切れませんで結論を得るに至りませんでした。大臣の命令もございますので、今後の為替貯金事業の大きな課題といたしまして、こめ財形貯蓄への郵便貯金の参加というものを実現さしていきたいと考えております。
  55. 森勝治

    ○森勝治君 そうおっしゃいますから、あまりこれ以上本件について深入り追及は避けたいと思うのですが、これは一言言っておかなければならぬから、さらに次の質問に移るわけでありますが、四十九年度の郵便貯金の奨励推進施策の中でも資産形成の促進ということを郵政省は強く打ち出しておられるわけですね。大臣うなづいておられますが、これは従来の不時の出費に備えるための郵便貯金から住宅資金や老後資金など国民大衆の資産形成に役立つ郵便貯金へとその性格を転換させようと意図されておるわけだと私は理解するわけですが、部内誌に掲載されております貯金局長の年頭のあいさつを見ましても「勤労者の財産形成が国政の課題となっている現在、勤労者の利用が大宗を占めている郵便貯金をこの財産形成貯蓄の対象とする必要があります。」こう述べておられるわけでありまして、さらに予算要求にあたりましてもいま私が指摘いたしましたようにこの財形参加ということを高く掲げられておったのでありますが、したがって郵政省としてはすでにこの財形参加への問題点の検討というのは終わって、いわゆる部内ではこの問題についての体制の固めが終わって、いわゆる郵政省としての結論を持って対大蔵省に要求をされたものだと思うのでありますが、いま指摘いたしましたように、それがなぜ消えてしまったのか。  一体、大蔵省に問題があるのか、あるいはまた労働省に問題があったのか、この辺のところ郵政省はもう実現したいということを明確に言っておられるわけですから、この立ち消えになったのはどの辺が問題なのか。前のお答えでは若干触れられた模様でありますが、明確にどの辺に問題があったと——いわば折衝か固まらなかったということでお答えを意図して御答弁された模様でありますけれども、それだけではどうも私はお答えとして受け取るわけにまいりませんから、重ねて私のほうは大蔵省に問題があったのか、あるいは労働省に問題があったのか、こういうことで具体的に関係ある省の名をあげて重ねて質問をしたいと思うので、その点率直にひとつお答えをいただきたい。
  56. 船津茂

    政府委員船津茂君) 具体的に省の名前をあげるというのもちょっとはばかられるような気もいたさないではないですが、関係省は労働省と大蔵省だと思います。労働省が財形貯蓄の主務官庁でございますが、労働省の担当筋と私のほうの筋と交渉を重ねました結果は、やはり国営機関としての貯蓄機関である郵政省貯金事業が財形貯蓄に入るのは当然だという結論を折衝過程でいただいたわけでございます。  先ほど申し上げましたが、民間金融機関はこの財形貯蓄に関しましては——私のほうの定額貯金みたいな定額預金という制度を導入したいといいますくらいにいまのところ銀行方面は劣勢にございます。そういう意味で、またここに有力な定額貯金を持つ郵便貯金がすぐにでも参入といいますか、参加してくると民間金融機関と競合するというような意見が幾らかふっ切れませんで、それが残っておりましたので話が煮詰まりませんでしたが、今後は、そういうことでなしに、労働省と一致した見解と同じように、国の貯蓄機関として郵政省貯金事業は財形貯蓄に参加すべきであるという努力を十分尽くしたいと思っております。
  57. 森勝治

    ○森勝治君 人事局長にお伺いをしてみたいと思うんですが、これは私のほうではいまこれから質問することは人事局長の所管ではないかと思って質問をするわけですから、所管外でしたら担当の部署の長の方がお答えいただきたいんです。  部内職員すなわち郵政省職員を対象とした財形財蓄の問題でありますが、郵政職員を銀行もしくは証券会社などの財形貯蓄に加入させて給料から天引きをするという制度は、これは人事局長の所管ではないかと思うので聞くわけですが、そういうことに至ったいきさつ、まあ聞くところによりますと、昨年の二月から信越と中国郵政局管内に限定して実施をされておったところが、今年度は全国的な立場でこれを推奨されるやに聞いておりますので、この点ひとつ概要をお聞かせいただきたい。
  58. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 人事局で担務しておるところでございます。  今日までの経緯についてあらまし申し上げますと、郵政省といたしましても、勤労者財産形成制度に基づきまして郵政職員の財産形成を促進する、もって職員の生活の安定をはかる、そのために勤労者財産形成促進法が成立いたしまして以来、その制度の導入について鋭意検討を続けてきたところでございます。  その間におきまして、先生御指摘のように、昨年の二月から信越、中国の二郵政局管内の職員を対象に先行実施をいたしたのでございます。なぜそういうふうに一部のところだけから先行実施したかということにつきましては、御承知のように、多数の職員がございまして、事業所もまた全国に多数散在しておるという事情がございます。したがいまして、この制度をいきなり全国的に実施導入いたしました場合に、事務処理過程におきましてはたしてこれが円滑にいくかどうか、あるいは大体郵便局ではいわゆる庶務会計部門でこれを担当するわけでございますが、そちらのほうに過大な負担を与えることになりはしないか、いろいろな検討を要する事項がございましたので、そういうふうに昨年一部で先行実施ということをいたしました。  ところが、約一年を経過いたしまして、その間二郵政のただいま申しました状況を調べてみましたところが、特に事務上問題がないという結論を得ましたので、本年の四月一日から全国的に実施するということに踏み切った次第でございます。なお、いま全国的な分につきましては四月一日から一定の期間を申し込み期間といたしまして、申し込みがありましたものを集約いたしまして、六月から賃金控除をする、こういうふうになっておりますので、全国的な件数、金額というものは把握いたしておりません。ただ先行実施分につきましては数字がございまして、昨年の二月から本年の二月まで、先ほど申し上げた両郵政局管内の加入状況は約七千件でございまして、貯蓄の残額は約一億五千六百万円、こういう状況でございます。
  59. 森勝治

    ○森勝治君 そこで私はさらに突っ込んだ御質問をしたいのですが、いまお話がありましたように、ことしの四月一日から全国的に実施される、給料天引きは六月からと、こうおっしゃっておられますが、郵政職員は三十二万人だと聞いておりますが、この大口の新市場が開かれたということで、いま銀行や証券会社等は郵政職員をねらえという合いことばのもとに郵便局に財形貯蓄勧誘のセールスマンが殺到している、いわゆる勧誘合戦を展開しているというふうに聞いているわけです。  もちろん郵政職員も勤労者でありますから、国の施策である勤労者財形貯蓄制度メリットを享受する権利はありましょうから、今回の郵政省施策としてはそれは当然かもしれません、人事局の施策としては。  しかし、ここで考えてもらわなければならぬのは、一体、郵政省というのはそういうことを扱う機関ではないかということであります。さらに具体的に申し上げますと、庶民大衆貯蓄の本命として利用されておる郵便貯金というのがあるのですから、当然、この財形貯蓄の中の目玉としては郵便貯金に参加せよ——従業員の貯蓄を民間金融機関のじゅんりんにまかせるようなことは郵政省としては避けなければならぬのに、なぜ民間の証券会社などに郵政省の職員の金まで預けなければならぬほど、郵便局貯金制度というものは信用がおけないのですか。私はそういう邪推というものがほんとうに——国民はそういうふうに思っておらないのですね、信用のおけるのは郵政省だ、かたい郵政省だから、金融機関が何かの関連で取りつけになっても、国の機関であるから郵便局は心配ないというのが国民の世論であり、これが郵便貯金が信用されるところなのに、郵便貯金を扱っている郵政省がなぜ銀行や証券会社に貯金を——財形貯蓄の方法として窓口を扱わないでよそへ積み込むのですか。  この前も、これとは表現が違いますが申し上げたことがあるのです、たぶん保険のときだと思います。郵便局保険という制度があるんだから、よその民間の保険会社と契約しなくてもいいじゃないかという意味で言ったと思うのです、あるいはほかの問題かしれませんが。今度またこういうことが出てきて、財形貯蓄として郵政省の職員に貯金をさせる、政策でこれはいいでしょう。けれども自分のところ郵便貯金というのがあるんだから、財形貯蓄の一翼を郵便貯金にになわせるのが当然じゃないでしょうか、私はそう思うのですね。  どうですか、この点、どうしてよそさまに貯金をしちゃうんです。わが家には貯金という窓口がありながら、預金利率も引き上げて皆さんいらっしゃいいらっしゃいと言っているのに、国民は窓口に行く、郵便局の職員は隣の銀行の窓口へ貯金に行く、これはどういうことですか、この点お聞かせを願いたい。
  60. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先ほどお答え申し上げましたとおり、国の貯蓄機関が財形貯蓄に入っていないということはどうも理屈に合わないという観点から努力をしたところでございます。  郵便局員が銀行に行くわけじゃございませんで、まあ結果的には預金銀行、証券会社その他にまいりますですが、天引きするわけでございますけれども、おっしゃるような点が非常にございますので、大臣の強い御命令も受けまして、可及的すみやかに財形貯蓄制度郵便貯金が大宗をなして入るべきだという観点に立ちまして、入るような努力を積極的にやりたい、おっしゃるような状況があろうと思いますけれども、一日も早くこれを払拭したい、こう考えております。
  61. 森勝治

    ○森勝治君 あんまりのんびりしたこと言っちゃ困るよ。だからあなた貯金局長という立場でありながら、同じ郵政部内の郵便局貯金をしないでよそへ持っていかれてしまうのです、そんなことを言っているから。明確にこれは直しなさいよ。  そこで、私は、大臣お聞きのとおりで、今度はそのことに関して大臣の決意を促す意味で質問をしてみたいのです。  「郵便貯金」という雑誌に、いま私が指摘いたしました問題について、現場の第一線に立たれる職員の訴えが掲載されておりました。それにはこういうふうにいわれております。「郵便貯金も財形貯蓄を」と題して「郵便貯金の奨励にあたる局員が、証券会社などに勧められて加入しているのは〃さま〃にならない。この貯蓄政府が力を入れて優遇策を進めるようだし、必ず伸びると思われる。勤労者こそ郵便貯金の一番のお客さまではないか。」こう訴えておるのです。この「郵便貯金」という雑誌は部内の雑誌ですね、たぶん。  国民に対して郵便貯金を奨励しながら、従業員には給料から天引きをして隣の銀行や証券会社にというかっこうは、全くこれは指摘を待つまでもなくさまにならない。こんなばかげた郵政行政というのはどこにありますか。これは職員の士気にも重大な影響を与えるばかりでなくして、国民からの信頼が失墜するじゃありませんか、大臣。なぜこういうことをおやりになっているのですか。それで赤字だ赤字だと言って、次には郵便料金の値上げもしよう、あらゆるものを値上げしようたって、こんなばかげたことがありますか、大臣、どうです。おやめなさい、こんなべらぼうなことは。自分のところ郵便貯金を扱っているのに、部内の職員や郵便局員に貯金をするな、貯金をするならば証券会社や隣の銀行に行けって、どこの国でそういう奨励をしているところがありますか。どういうことですか、大臣、一体これは。
  62. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私まことに力足らず、四十九年度予算の際に、いまの財形貯蓄制度拡大をはかって、そこに加入するということができなかったことはまことに遺憾であります。  大臣は連帯して責任を持ちますから、どこがいかぬ、ここがいかぬということはごかんべんを願いたいと思いますが、労働大臣が主務官庁としてこれに当たるということで、わがほうも二重まるをつけ最重要事項としてこれに取り組みまして、森さん御指摘のように、限度額の引き上げ、貸し出しのワクの拡大、そして財形貯蓄という三つの政策を実現するために全力を傾けたのでございますが、残念ながら所期の目的をこの点につきましては果たすことができなかったことを重ねて遺憾と申し上げます。  横川委員も先ほどの御質問の中で言っておられる点がここらにも含まれておると思うのでございまして、私はこの制度郵便貯金が加わるということにつきまして、今後とも全力をあげたいと思っております。  また先ほど御指摘がありましたように、これは勤労者に与えられた権利でありますから、これを行使するにあたって民間の金融機関を利用するということになりまして、そうしたいという申し出がありましたときに事業主たる国のほうがそれはいけないということはできませんので、先ほど人事局長が答えたようなことになっておりますが、同じ金融機関である郵便局で行なえない、郵便貯金の中で行なえないということについて職員から声が聞かれるということはもっともでありまして、私はこの点の達成のために今後最大の努力を傾けたいと思いますので、どうぞ御理解を賜わりたいと存じます。
  63. 森勝治

    ○森勝治君 大臣貯金局長はそういう制度はいやだとおっしゃっておるのですよ。しかしこれを職員間で扱っているのは人事局長のほうで四月一日からさらに拡大して全国的な規模でやるとおっしゃるのですから、あなたは一体これをどうしようとされるのです。いまのお話では、さっぱりこの制度をやめるのかやめないのか——あなたは職員がとおっしゃるが、職員の希望じゃないんですよ、あなたの名で行なわれているのですよ、銀行に積みなさい、証券会社に積みなさいと、あなたの名で行なわれているのですよ。省が指導しているわけですから。  いいですか、これはおやめなさい、そういうこと。自分のところにあるんですから、国民に財形貯蓄しなさいとすすめている、その省が自分のところ貯金しないで、隣の銀行に持っていくなんというようなべらぼうな郵政事業がありますか。どこへ行っても全世界でこんな例がありますか。それで国民にはりっぱだからりっぱだから郵便貯金に積みなさいって宣伝していて、そんなふざけた話がありますか。従業員の個々の個人が自主的に任意で〇〇銀行と契約するなら何もこんなことを言いやしませんよ。いやしくも郵政省郵政大臣の名前で従業員の貯金郵便局に積まないでよろしい、郵政省の職員の貯金銀行や証券会社に積みなさいという、こういう指導は何事ですかと言ってんですよ。姿勢がなっとらぬじゃないですか。大臣、もう明快に言ってください、わかり切ったことじゃないですか、こんなことは。
  64. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 森さんの言われる趣旨はよくわかっておりますけれども、これは法律ででき上がっておる制度に私がいかぬと言うことはできないと思うんであります。私は気持ちの上では、実際何と表現してよいか、あなたのおっしゃってると同じようなことを申しておるのでございますけれども、私がいかぬと言うことはできないんじゃないかと思います。
  65. 森勝治

    ○森勝治君 法律ででき上がったってやらなくたっていいんでしょう、郵政省には貯金という制度があるんだから。郵政省の職員がせめて郵便貯金というこの制度を信用しないで、国民の金ばかりそこへ入れようたって、それはどだい間違っていますよ、そんなことは。やらなくたっていいんじゃないですか、法律があったって。郵政省の職員にそうしむけなくたっていいんじゃないですか。あなた方は郵便貯金の元締めなんだから、そういう金があったらどうぞひとつ郵便貯金に積んでくださいと、こういう指導をすべきではないかと言うんですよ。  担当局長はそうやると言ってるんですよ。いま言ってるじゃないですか、担当局長は。——言ってるでしょう、あなた。そういう制度は改めさせたいと言ってるでしょう。言ったじゃないか、そんなの、何言ってんだ。
  66. 船津茂

    政府委員船津茂君) 私が貯金局長として郵政省三十二万の職員に現行の財形貯蓄に参加してはいけないということを言った覚えはございません。ただ、先生のおっしゃるお気持ちはよく、大臣おっしゃるように、わかるわけでございまして、一日も早く郵便貯金が財形貯蓄制度の中に入っていくということが至上の命題だと、こういうように考えております。
  67. 森勝治

    ○森勝治君 そんな回りくどいことを言わなくて、あなたの真意は反対じゃないですか、それなら。自分のほうでそういう制度をつくって、そこで取りたいということでしょう。貯金をほしがっている担当の局長郵政省の職員の貯金はほしくないなんて言ってていいんですか、あなた。ほしいと言うのが正しいでしょう、それは。いいですか——いいですね、そういうふうに断定しちゃっていいですね。
  68. 船津茂

    政府委員船津茂君) いや、ちょっと。
  69. 森勝治

    ○森勝治君 そんなら明快に言いなさいよ、そんなごまかして答弁しないで。ほしいならほしいと言いなさい、それなら。
  70. 船津茂

    政府委員船津茂君) ほしくないとは少しも思っておりませんが、制度として勤労者に与えられた非常ないい制度——まだ少し足りないかと思いますけれども、この勤労者財産形成制度というものがあるのに、郵便貯金がそれにたまたま——たまたまというのはことばがあれしますが……
  71. 森勝治

    ○森勝治君 腕が悪いからだよ、腕が。
  72. 船津茂

    政府委員船津茂君) 参入していないから、それが活用できないというだけのために長きにわたってこの利用を郵政職員三十二万にだけ差しとめるというわけには法律上いくまい、こういうような考え方から一日も早く逆の立場で参加するということによってこの事態を解決したい、こういうように考えております。
  73. 森勝治

    ○森勝治君 郵政省の輝ける貯金局長が部内職員の貯金をよその金融機関に持っていかれてのほほんとするならおやめなさい。当然それらは自分がほしいと言うのがあたりまえでしょう。そのために財形貯蓄制度化したくて各省と折衝したんじゃないですか。あなた方の力が足りないから一敗地にまみれてしまったんじゃないですか。なぜそのおのれを省みないんですか。そうでしょう、あなた方がもっと熱心に折衝すれば、郵政省三十二万の職員の貯金までよそへ持っていかれずに済んだんじゃないですか。大臣、そうじゃないですか、そうでしょう。
  74. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほどから申し上げておりますが、私の気持ちの中にはもうあなたと同様な気持ちがありますけれども、財形貯蓄という特別措置によって優遇される制度があって、これを受ける権利を持っておるものをやめとけと言うことは私にはここで申し上げることははばかるところでございますが、気持ちといたしましては、三十二万の郵政職員が全員そろって郵政省の事業である郵便貯金制度の中でこの特別措置を受けることが最も望ましいことでございますから、それに対しまして今後全力を尽くしたいと存じます。
  75. 森勝治

    ○森勝治君 私は、きょう、きびしい表現を用いましたがね、しっかりしてくれなきゃ困りますよ。何でもかんでも大蔵省に押しまくられて、あげくのはてには経営ができませんから郵便料を値上げしてくださいと言うにきまってるじゃないですか。もっと皆さんがみずからの職場を守るために、国民郵便貯金たらんために努力してくれなきゃ困るでしょう。恥ずかしいと思いませんか、自分とこの従業員の貯金まで銀行に持っていかれてしまうなんて。それであんた国民大衆の総本山郵便貯金の元締めここにありなんて顔できますか、失敬ですが、大臣以下そうでしょう。最善の努力をしてくれなきゃ困るですよ。従来ともそうだ。みんなそういうふうにして何だかわけのわからぬようなことをしている。役所だから済むけれども民間会社ならどうなんですか、責任問題じゃないですか。自分とこの貯金をとれないでよそへみんな持ってかれてしまって、しかもお先棒かついで人事局長を先頭に立てて、郵政省の職員の給料は郵便貯金に積まないでよろしいから銀行に積みなさいって、親切にも天引き貯金でみんな役所が入れてあげているんだよ。郵便貯金にこそしかるべき手配をすべきじゃないですか。これが世間にわかったら、一般大衆はばかばかしくて、何だ郵政省の職員だって郵便貯金はしないんだ、大臣以下貯金局長もそうだ、人事局長もみんな隣の銀行へ積めと言ってるんだ、そんなら銀行のほうがよかんべと、みんな行っちゃうですよ。  あなた方は、私がこういう指摘をいたしますと、それは単に杞憂にすぎないということを言われるかもしれぬが、杞憂じゃないですよ、これは。だんだんだんだん郵便局の事業に対して国民の信頼の度が薄れてきているんですよ。いいですか、明確に申し上げておきますよ。保険の問題もそうだ。ペテンだと言われるほど、勧誘するときはああいういかがわしい勧誘をさせておいて、貯金のほうはどうぞ隣の銀行に持っていってください、大臣、これはどういうことですか。えげつない保険の勧誘をさしといて、国民資金を簡易保険で集めさしておいて、幾たびかここで指摘されたでしょう、民間業者だってそんなえげつない勧誘方法はしないんだと、それはおやめなさいと申し上げたでしょう。保険のほうはそういうふうに恥も外聞もない、みえもなくて金集めに狂奔して、片一方はよその銀行に積まれてのほほんとしてその片棒をかついでいる。一職員が銀行に積むなら私は言いませんよ、省として率先しておやりになっておるから私は言うのですよ。そうじゃないですか、制度があるからしようがない——あなた方その制度をつくろうとしたんじゃないですか。大蔵省との折衝で負けたんじゃないですか、負けたというのは失敬だが、あなた方の意見が通らないでつぶされてしまったんじゃないですか。あなた方はくやしい思いをしているんですよ。そうでしょう、あなた方が自分たちの窓口に郵便貯金という制度がなければ他の金融機関もいいでしょう、自分とこにあるんだから、そんな人のいいことばかり言ってたらつぶされますぞ。  どうしてこう保険の勧誘のときのど根性と郵便貯金の勧誘のときのど根性が同じ省でありながらこんな天と地の違いがあるんですか。保険の諸君は、なんてえげつないとか何とか言われても、簡易保険事業をもり立てようというので、執拗にわれわれが指摘しても、あたかもそれを隠れるごとく一生懸命やっている。よいとか悪いとか勧誘のしかたは是否論は別として、やっておる。貯金のほうはどうですか。いかに制度といいながら、よその窓口へ持っていくなんてこと、国民考えたらあきれ果てるじゃないですか、そう思いませんか。これは制度ができたんだからしようがないじゃ済まされないですよ。そういうところから、やがて郵便局の諸君だって郵便局貯金をしないならわれわれもといって、さっきも触れましたけれども、みんないかれてしまう。そういう風潮、そういう現実が生まれたら、一体あなた方はどうするんですか。それでも国の制度でございますからといって、せっせせっせと部内の職員の給料を天引きしながら銀行貯金をする、銀行通いをおやりなんですか。制度だからしようがないといって、そういうお答えでいいんでしょうか。この点は郵便貯金の将来というものを私は予見しながら、私の発言は警鐘の意味を込めて憎まれ口を私はきいたわけです。  だから、もう一度大臣と担当局長、このことについてひとつ見解を御披露いただきたい。私はここまで言いにくいことを申し上げたのですから、さしあたってもっと率直に、赤裸々に、勇敢に、堂々と考え方を述べてくださってもよいはずです。
  76. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先生御指摘の点は、まことに頂門の一針としまして、今後、われわれの努力を鞭撻していただく励ましのことばということでお聞きしたいと思います。
  77. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 冒頭に激励する意味も含めてというとことばがございましたが、そのとおり受け取りまして、足らざるところをむちうちまして、今後とも財形貯蓄問題と取り組んでまいりたいと存じます。
  78. 森勝治

    ○森勝治君 私は、最後に、割り増し金つき定額貯金問題について触れて質問を終わりたいと思うのですが、御承知のように、この制度は戦後一時実施されたが、その後国民の射幸心をそそるということでやめてしまったんですね。それを今度は六月一日にまた割り増し金つき定額貯金、いわゆる宝くじつき貯金なるものを始めるという話ですけれども、時間がありませんから、次の質問もしなければなりませんから、私は端的に申し上げますが、こういう制度をおやめになったらどうですか。おやめになることは大臣の決断でできるわけですから、おやめになったらどうですか。このことだけ私は申し上げて、お答えいただいて、この法案に関する質問を終わります。
  79. 原田憲

    国務大臣原田憲君) お話しのごとく、貯金に割り増しをつけて貯金をふやしていこう、こういうことは本流でないと私は思います。ただ、今時のような非常に狂乱といわれる物価を押えるための政策、これが第一の政策課題であるという意味で総需要を抑制しよう、そのためには一応通貨を吸収するという預金をふやそう、こういう一つの重要施策を講ずるにあたりましての一環としまして、民間の金融機関でもこれを行なう、こういうことでございますので、わがほうでもやはり同じような仕事をいたしております関係から、事業をやっておる前線では、銀行がやっておるならこちらもという要望もございまして、そういう意味で総需要抑制貯蓄の増強というために私どもがとった施策でございまして、やめようという御意見でございますが、やめるわけにはまいりませんが、今後の情勢を見まして運営をしていきたい、このように存ずる次第でございます。     —————————————
  80. 川村清一

    委員長川村清一君) 委員異動について御報告いたします。  本日、長田裕二君が委員辞任され、その補欠として高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  81. 山田徹一

    山田徹一君 先ほどの最後の大臣のことばの中に銀行がやる事業なら郵政省もあわせてやると、この宝くじ預金についても言われましたが、私は、まず、郵政省の行なう預金事業と民営の銀行の金融機関の行なう事業と根本的に違うところはどこか、そこをはっきり大臣答弁願います。
  82. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 郵便貯金の特性といたしましては、これがいわゆる郵便貯金法というもので法定をされておりまして、広く国民に便宜を与えて、そして国民生活を向上させ、福祉増進をするという目的を達成するということが法定をされておりまして、そのために国が預金に対するところ責任を持つ、こういうことも明らかにされております。その預金者はほとんど言っていいぐらい個人でありまして、個人預金を扱っておることも実際の特色であろうと思います。  もう一つは、これが限度額を設けてありまして、これにすべてその限度額において郵便貯金は無税である、こういうことが特色であろうかと存じます。
  83. 山田徹一

    山田徹一君 基本的に異なるところは、ただ無税であるとかどうとかいうことではなしに、民営の銀行等は株式会社であります。商法にきめられたところの営利を目的とした機関です。郵政省の行なう、貯金法にもありますが、「国民の経済生活の安定を図り、その福祉を増進することを目的とする。」根本的に営利を目的としていないわけです。その辺をはっきりと源をやっていかないと、先のほうでいろんなことが起きれば、道を迷えば出発点に返ることがまず大事な問題であるように、常にその点を留意して考えることだと思うわけです。この点いかがでしょう。
  84. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いまお尋ねの第一点のときに私が申し上げましたとおり、これは国が責任を持つ、いわゆる国営事業として国民の生活を安定し、福祉を増進するということであって、一般の商法によるところの、銀行法によるところ銀行等とは異なる、こういうことでございまして、そのことははっきりといたしておきたいと思います。
  85. 山田徹一

    山田徹一君 根本的に、基本的に異なるわけですね。それを認められたわけですね、そうですね。
  86. 原田憲

    国務大臣原田憲君) はい。
  87. 山田徹一

    山田徹一君 それでは郵便貯金の四十九年三月末の現在高は幾らか、また財投に対する郵貯からの融資額、これは幾らになっているか、お答え願います。
  88. 船津茂

    政府委員船津茂君) 御質問の第一点は、四十八年度三月末の郵便貯金の現在高でございますけれども、十五兆二千四百八十億円になっております。  また第二問目の、財政投融資資金計面及び資金運用部資金運用計面中に占める郵便貯金の割合でございますけれども、四十九年度の当初計画におきます財政投融資資金計画は八兆三千四百三十四億円、この中で郵便貯金は三兆五百億円と予定しておりますので、三六・六%の割合となります。また資金運用部資金運用計画は六兆八千七百四十三億円でございますので、このうち郵便貯金は三兆五百億円で四四・四%というパーセンテージでございます。
  89. 山田徹一

    山田徹一君 次に、貨し付け制度のいままでの貨し付け期間、それから貨し付け利率、それから貨し付け金額、その弁済方法、これについて今後変わるわけはないのですか。それについてちょっとお聞かせ願います。
  90. 船津茂

    政府委員船津茂君) 貸し付け期間は制度発足以来六カ月間ということでございまして、お尋ねは……
  91. 山田徹一

    山田徹一君 六カ月以内ということでございますね。
  92. 船津茂

    政府委員船津茂君) 六カ月以内でございます。大体、平均四カ月半の貸し付け期間のようでございます。  利率は、各種類の貯金の対応する利率にプラス〇・二五%ということで、たとえば定額貯金のちょうど一年目のときに借りますと、六%の利率でございますので、そのときに借りますと六・二五%ということに、おのおのの利率に、手数料といいますか、コストを〇・二五%上のせしたものが、利率でございます。  金額は、一件四万八千円で、一人当たりもっと借りれるわけでございまして、十万円が限度でございますが、大体一人当たり六万円ぐらいの貸し付けの金額になっておりまして、これは平均しますと、先ほどの一件当たりは四万八千円でございますが、十万円ぎりぎりまで借りられる方は、大体、三百七十何万件の中の一〇%程度になっております。  弁済方法でございますけれども、弁済方法は期間内借りればいつでも弁済していいわけでございますが、その弁済の期間は六カ月。先ほどの御質問にもございましたが、法定弁済と申しまして、弁済不能といいますか、証書で処理するという形のものは一割未満でございます。
  93. 山田徹一

    山田徹一君 いまおっしゃった貸し付け金額については十万円が限度と、これは総額においてですね。法によると、担保とする郵貯の貸し付け時における元利合計買の十分の九に相当する金額、こうなっておりますね、これ二本立てである。間違いありませんね。
  94. 船津茂

    政府委員船津茂君) はい。
  95. 山田徹一

    山田徹一君 今回この貸し付け限度額を二十万円に引き上げるということに対して、私は反対するものではありません。  そこで、いままでの貸し付け利用状況について貸し付け金額に構成比を段階別に税明していただきたい。
  96. 船津茂

    政府委員船津茂君) 段階別に御説明申し上げますが、一万円以下の貸し付け金額のものが件数の中で二〇・五%を占めております。それから一万円超三万円以下が二三・二%、三万円超五万円以下が二四・五%、五万円超七万円以下が六・一%、七万円超九万円以下が一〇・五%、九万円超十万円以下が一五・二%となっております。
  97. 山田徹一

    山田徹一君 それでは貸し付け限度額についてお尋ねしますが、この貸し付け限度額については、先ほど私からも言いました郵便貯金を担保とする貸し付け時の元利合計額の十分の九に相当する金額、こう規定しているんですから、先ほどからも二十万円では少ないという声もありましたように、この貸し付け限度総額について二十万円と限定しないで、一つ郵便貯金の担保総額の十分の九に相当する金額を限度とする、こういうふうにしてしまったらどうなのかと私は思うわけです。結局、自分の金を全部使えるわけじゃない、九割までしか使えないわけです。  先ほど金融という問題もあったけれども銀行の金融ならば、十万円預けてあれば十五万円貸してくれという交渉だってできるし、貸すこともある。郵便貯金の場合はそれはないわけですから、生活という問題を考え国民預金者の生活にたちまち必要だというところで与える以上、預金者を優先し預金者の有利を考えてはかられた制度である以上、無理に二十万と制限せんでもいいんじゃないか。このように、いますぐ変えろというんじゃありませんが、考えていいんじゃないか、こう思うんですが、大臣どうですか。
  98. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先生の御示唆は、私のほうとしましてははなはだけっこうな御示唆だと思いますが、努力してそういうふうな形に持っていければ利用者も非常に利用しやすいし、実態に見合う制度になろうかと思います。
  99. 山田徹一

    山田徹一君 大臣、どうですか。
  100. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほどからお答えを申し上げておりますように、金融という点に踏み切ってやっていくかどうかというところ一つの問題点があるということを申し上げておりましたが、ここに窓口を開いた以上、御意見を尊重いたしまして、今後も勉強さしていただきたいと存じます。
  101. 山田徹一

    山田徹一君 次に弁済方法についてでありますが、貸し付け金額の段階別構成比の先ほどおっしゃった資料に基づいても、大体五万円以下の貸し付けがトータルすると六八・二%、約七割です。郵政省の参考資料の第三表預金者貸し付けの利用状況によりますと、四十八年の十月を例として、貸し付け件数が三十一万六千件、貸し付け金額が百四十八億円とすると一件当たり約四万七千円、そうなります。また別の資料によりますと、四十九年の二月の地方郵便局別の貸し付け額一覧表があります。お持ちですか、きのうかおとついいただいた分ですが、二月の分です。この預金者貸し付けを見ますと、金額面からいいまして最も多い地域は九州、トータルで二百五十億、その次が関東二百三十二億、それから東海百九十六億、それから中国が百八十六億、東京はといいますと、九州の半分のわずか百二十五億、二月だけでいいまますと十二億であります。こう見てみますと、東京圏のほうが少なくて地方のほうがすごく多い。  このような面から見て、借り入れをなさった預金者の返済というものはもっと安易にすべきではなかろうか。すなわち一括返済というんでなしに、いわば分割でも返済してけっこうですよと、こういう親切な姿勢があってしかるべきだと思いますが、いかがですか。
  102. 船津茂

    政府委員船津茂君) ごもっともな御指摘だと思いますが、先ほど先生の質問にもお答えしなかった点がございますが、二十万円に上げた場合の利用の見通しでございますけれども、平均額が九万円、またあとで間違ってしかられるかもしれませんが、九万円で四百万件ぐらい、総額で三千六百億円ぐらい今年度あれしようかということでございまして、実態的に二十万円ぎりぎりまで借りられる方がまた一〇%程度出ておいでになるかもしれませんけれども、経済指標その他の指標調査を見ますと、勤労者、農家といろいろございましょうが、夏期及び年末のボーナス期あたりのもので充てますならば、大体一括弁済でいまの二十万円段階までは可能ではなかろうか、こういうように考えまして、分割弁済のことはひとまず——しかし諸先生方が御指摘になったように五十万円ないしは預金額の九〇%以下ということにしますならば、当然分割弁済を考えるべきでございますし、また貸し付け期間もあるいは一年というようにいまの半年の現行状態を更改する必要があろうか、こういうふうに考えます。
  103. 山田徹一

    山田徹一君 ここで議論をしようとは思いませんが、このわずかなという気持ちが間違いであって、局長はお金持ちだから五万や十万何でもないかもしれませんよ。ところが必要に迫られてというサイドから考えたときには、ただの一万円でもできたと、少しでも早く払っておこう、こういう気持ちになることのほうが大事じゃなかろうか。趣旨が営利を目的としてないんですから、国民サイドを考えたときには、そのように預金者の生活上の必要を満たすために行なわれる貸し付けでありますから、このように考えるべきだと思うんです。どうですか。
  104. 船津茂

    政府委員船津茂君) 考えるべきであるという点については私も同意を惜しみませんけれども、何百万という件数を年間扱います関係上、窓口ないしはこれを処理します現場所管庁であります地方貯金局その他のいわゆる手数と申しますか、これに見合うかどうかということも一応職員を預かる立場からは考え合わせなければいけませんので、先ほど申し上げましたように、ほんとうは先生おっしゃるように分割弁済の道を講ずべきであろうかと思いますけれども、この二十万円段階まではお許し願って、もう少し額がふえましたならば当然考えていかなくちゃいけない、こういうふうに思います。
  105. 山田徹一

    山田徹一君 大臣、いまの考え方を将来生かしてやっていく気がありますか。
  106. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 返しやすいということを先ほどちょっと私は申し上げたのでございますが、これらのことも検討させていただきたいと存じます。
  107. 山田徹一

    山田徹一君 次は、貸し付け期間の問題についてであります。この期間を六カ月とした根拠、それは何か、お答え願います。
  108. 船津茂

    政府委員船津茂君) 先ほどもお答え申し上げましたが、不時の用に立てる、不時の出費をまかなうというのがこの貸し付け制度一つの目安といいますか、目的といいますか、生活の必要を満たすためということを法律でうたっておりますが、そういう意味でございまして、そのぐらいの額ならば先ほど申し上げましたボーナスその他で返せるだろうという目安をいわゆるボーナスの支給期である半年ごとにとりまして、半年という期間設定をしたわけでございます。
  109. 山田徹一

    山田徹一君 あなたはボーナス、ボーナスと言われるけれども、あなたがいただいているほど多くのボーナスをもらってない人たちは、ボーナスがそのまま生活費の借金に充たっておるわけです。不時の用に供するところの貸し付けでありますから、不慮の災害等も考えてみたときにはもう少し検討をする必要があるんじゃなかろうかと、実はこう思いまして計算してみたんです。  まず、預金者が不利益をこうむらないということを前提にしなければならぬでしょう。してみると、一例を定額一年ものにします。年利が六%、かりに十万円を現行のまま当てはめますと、年間六千円の利子であります、十万円に対して六%ですから。そうしてかりにその十分の九の九万円を貸し付けていただいたとすると、六・二五%をかけますと五千六百二十五円、こうなります。六カ月ですとその半分の二千八百十二円五十銭、こういうことになりますが、十一カ月に仮定しますと五千百五十六円二十五銭になります。九万円を引き出した借りたほうの側からいいまして、引き出したんですからこの一万円はそのまま残るので六%の利率をかけると六百円の利子がつきます。そうすると、六百円が欠けるような支払い利子になるんでは困りますけれども、そうでなければ少しでも上回る利子がつくならば喜んでいただけるんじゃないかと思うわけです。  こう勘定してみますと、結局十一カ月までならば、十万円預けて九万円借りて十一カ月間でどうなるかというと、八百四十三円七十五銭ですか、こういう利子がつくようになるわけです。そうすると六百円より上回る、すなわち二百四十三円七十五銭、これだけは余分に利子がつくんですので、考えてみれば十一カ月ぐらいならば貸し付けをしてあげてもいいんじゃないか。それ以内にということでやるんですから、先ほども六カ月で四カ月ぐらいだ、こう言われているんですから、何も利子を払ってまで預金をしたいという人はいないわけなんで、最高限のワクを考えてあげるのがほんとう国民立場に立った国民福祉の策じゃないか、こう思うわけですが、どうでしょうか。
  110. 船津茂

    政府委員船津茂君) 貴重な御意見としてお伺いをさせていただきまして、今回の場合は、いろいろのデータ上、先生おっしゃるように、平均貸し付け期間は四カ月程度でございますし、ボーナス、ボーナスと言って耳ざわりかとも思いますけれども、そういうふうなもので設定しておりますが、繰り返して申し上げますけれども、これ以上に先生方の強い御支持によりまして三十万、四十万、五十万ないしは預金額の九〇%ということになりましたときには、当然、貨し付け期間の延長ということを考えなきゃいかぬ、こういうふうに考えております。
  111. 山田徹一

    山田徹一君 それでは結論といたしまして、この貸し付け限度額については将来においてもちろん引き上げるように努力をする、場合によれば公正を期して担保総額の十分の九を限度額にする、それが一つ。それから弁済方法についても分割返済ということに改善していく。もう一つは貸し付け期間の延長も考慮する。こういう点について大臣答弁を願います。
  112. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほどから局長が一々お答えを申し上げておりますから、私も責任者といたしまして、御意見は十分聞いております。今後とも検討さしていただきたいと思います。
  113. 山田徹一

    山田徹一君 もう少し時間をいただきまして、預金利率の問題について。  最初申し上げました国民の福祉の立場に立った、そういう郵便貯金でありますので、法的には銀行のことも考慮しなければならない、こういう法もできておりますが、銀行よりも低いのはまかりならぬ、こう考えるわけです。いろいろ理由はあろうかと思いますが——このデータを持っておられますか。
  114. 船津茂

    政府委員船津茂君) はい。
  115. 山田徹一

    山田徹一君 郵便貯金のほうが銀行預金利率よりもいいのは、通常郵便貯金が四・三二%、銀行は三%、それから積立郵便貯金が四・八〇%、銀行は四・六〇、これもよろしい。ところ銀行と見合って一年以上の定額郵便貯金、これは一年もの六%、銀行定期で預けますと七・二五%、一・二五%郵貯のほうが低いわけです。それから二年ものは七・二五、ところ銀行のほうは七・五〇。定期郵便貯金、この一年ものは七%、それと銀行定期預金の利子を比べると、銀行のほうが七・二五、〇・二五%多い。  この利率表によって、どう考えますか、郵便貯金のほうがすぐれていると言えますでしょうか。特に今日の目減りで云々されているときに、早急にこういう問題を解決すべきじゃないか、こう思いますが、どうですか。
  116. 船津茂

    政府委員船津茂君) 郵便貯金利率は、法にもうたわれておりますように、第十二条第二項でございますが、民間金融機関の利率等も考慮してきめるということで、先生御指摘のように事実はそのとおりでございまして、通常郵便貯金はしかしながら民間銀行の普通貯金よりもはるかに利率がよろしゅうございます。積立郵便貯金も幾らか有利である。定額の一年ものをお比べになりまして、これは一・二五%見劣りがする。一年六カ月といいますものは民間金融機関にはございません、廃止になりましたが、二年のところでも、そういう御指摘でございますと——
  117. 山田徹一

    山田徹一君 七・二五と七・五〇。
  118. 船津茂

    政府委員船津茂君) それでお答えいたしますけれども、仕組みといたしましてにらみ合わせた結果は、当産制の通常郵便貯金といういわゆる家庭の主婦の方あたりが一番お使いになる貯金は民間よりぐっと有利に取り扱ってある。それから定額郵便貯金と申しますものは、いまここでプロパガンダ、PR的に申しますのもいかがかと思いますけれども、半年複利というシステムをとっておりますので、一見一年六カ月未満は銀行よりはるかに劣勢といいますか、利率が低過ぎて利用がないだろうというような感じをお持ちかもしれませんけれども、これを銀行定期預金の一年もの、一年半もの——詰め合わせてふくらませた数値と私のほうの定額郵便貯金の半年複利の数値とを比べ合わせてみますならば、ちょうど一年七カ月程度のところ利率がバランスがとれるといいますか、合いまして、一年七カ月をこして——十年まで定額郵便貯金は預入できるわけでございますけれども、一年七カ月をこしますと私のほうがじわじわと有利になりまして、十年目あたりになりますと相当の——いや相当といってもそうたいした額というわけじゃございませんけれども、それにしましても相当の額の開き——十年で見ますならば、定額郵便貯金の場合が二十万八千八百十五円、銀行定期を積み重ねて預入したという想定のもとに計算しますと二十万一千百円でございまして、十年間で十万円預けた場合に七千七百十五円私のほうの仕組みが有利な利率がつくということになっておりまして、いろいろな点を考え合わせますと、大体、銀行利率の付与の方法、ないしは私のほうの利率の付与の方法が、大きな意味におきましてバランスがとれてくるのではなかろうか、こういうふうなことを感じております。  近ごろは、定額郵便貯金の伸びが非常に著しゅうございますので、利用者の方はそういうふうな利点をやはりよく御理解いただきまして利用をなさっていただいているというふうに考えております。
  119. 山田徹一

    山田徹一君 十年という長期にわたる預金をすれば、あなたがおっしゃるようになるでしょう。それでは、定期預金の一年ものと郵便貯金の一年ものと、定期ですよ、比較したらどうなんですか。これ十年も何もないですよ、一年ですよ、これは。七・〇〇と七・二五じゃありませんか。どこへやっても喜んでもらえるということを前提にしなければ、営利が目的じゃないのですから、そして使っているのは全部財投へ使っているんじゃありませんか。そういうふうにしなければ、この郵便貯金法目的にも多少差しさわりが出てきますよ。上げてあげるべきでしょう、早急に考えていただきたい。
  120. 船津茂

    政府委員船津茂君) 一年のわがほうの定期郵便貯金、一年ものしかございませんけれども銀行定期預金の一年と比べまして明らかに〇・二五%下回っておりまして御指摘のとおりでございます。これは私も銀行と総合的に見てバランスがとれておるとは申し上げましたものの、明らかに劣勢にあるこういう貯金というものに対しましては、先生がおっしゃるように早急に是正の道を講じなければいけない、こういうふうに考えております。
  121. 山田徹一

    山田徹一君 大臣大臣が一々目を通すわけにいかないでしょうけれども、こういうぐあいでありますので、もう専門的にやっている郵政省で、これ長いですよ、期間が。あらためて早急に改正していただきたい、こう思いますが、大臣どうですか。
  122. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 金利問題は非常に専門的に多様に分かれて組まれております。一般民間の金融機関では、いわゆる長期定期というものはございませんで、似通っている金融機関でありますが、郵便貯金は定額で十年というものを持っておるというのは一つの非常な……
  123. 山田徹一

    山田徹一君 ちょっと待って。いま申し上げているのは定額のことや十年という話でなくて定期預金です。同じ年数の定期預金で違うんですよ。
  124. 原田憲

    国務大臣原田憲君) よくわかっております。わかっておりますが、いま御答弁をそこへ持っていく……
  125. 山田徹一

    山田徹一君 何か変な話をしないで、そこだけ答えてください。
  126. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 金利問題につきましては多様に分かれておりますが、郵便貯金が不利にならないように懸命にやりたいと思います。
  127. 山田徹一

    山田徹一君 最後に一つ。  この六月から始められようとする割り増し金つきの定額郵便貯金については感心しないという意味の発言が先ほどありました。私も、これは銀行ならいざ知らず、郵政省がやることではないと思いますが、法律できまっておりますから、やることもやらぬこともあなたの御自由です、大臣の。だが、かりにこれを行なった場合、中途での解約、これはできるんですかどうですすか、局長
  128. 船津茂

    政府委員船津茂君) かりにと申しますが、まあ一応行なうことに思っておりますけれども、中途解約は、既往何十回か戦後から三十八年までですか、やった場合にもほとんど認めておりませんし、今後売り出す場合におきましても、天災地変か何かによって生活の窮迫度が高いものに限るというような規定に法文上なっておりますので、そういうふうな場合以外、それも厳格に郵政局長が局名とその地域を指定して公示しまして、その払い戻しに応ずる場合を限定するという仕組みになっておりますので、おそらくそういう異常事態がない限り払い戻しには応ずることはないということになります。
  129. 山田徹一

    山田徹一君 民間銀行で行なうくじつきの定期、これは中途で解約した場合にはちゃんと手数料を何がしかいただいて、そうして解約を認めるようになっております。この解約の問題もさりながら、民間のは、かりにはずれた場合でも年三%の、これは半年ですよ、三%のお利息をと、こう書いてあります。  郵政省の行なわんとするこの定額割り増し金つきはからくじがない、こういうことになっております、いいですね。実際は末等の割り増し金四百円、これがいわばからくじに当たるわけでしょう。末等——末等の以下がないんですから、末等というのが一番すそなんですから、からくじになると思いますが、この一千万円当たったとします。いいですね。一千万円当せんしたとします。すると郵便貯金の場合は一万円とそれから一千万円が預金者の手に入ります。銀行の場合は一万円と一千万円と三%の利子がつくんです、こまかいことを言うようだけれども。こういう仕組みになると思うんですが、どうですか。
  130. 船津茂

    政府委員船津茂君) 仕組みは、民間は半年定期預金の利息をもって割り増し金に充てるということで、一番最終の等は三%を利率として全部につけるということで、先生おっしゃるとおりでございます。  私のほうの場合は、据え置き期間一年の定額郵便貯金、その後一年過ぎましても定額郵便貯金として先ほど申し上げましたような十年まで預けていただくこともできるわけでございまして、一万円と、いわば末等の四百円というのがまあ利率四%ということに当たりますので、その四%と一千万円当たった場合に一千万円ということに——一千万当たった場合には末等はつかないと思います、つきません、いまちょっと失礼しました、そういうことになっております。
  131. 山田徹一

    山田徹一君 だから郵便貯金のほうのくじを置うのは損だということになる。銀行のほうが有利だ、こういうことにもなります。これは法律できまっておるからやむを得ないことでしょうが、かりにやるとしても。  それからもう一点。かりに解約の場合、さっきあなたが言われたように、預金者の生計困難等のため(割増金品をつける取扱いをする定額郵便貯金にあっては、天災その他非常に災害を受けた預金者の緊急な需要を充たすため)天災その他の非常の災害を受けたときだけ、それ以外は解約は認めない。すなわち、こういうばくちを教えるような貯金法ですから、なけなしの金をはたいてでもと思ってする人もないとは言えない。ところが生活は困窮している、あるいは病気をした、あるいはむすこが何かあって事故を起こした、こういうときに貯金をおろすことはできない。いわば生活困難等のためには解約は認められない、こういうことになりますね。
  132. 船津茂

    政府委員船津茂君) おっしゃるように、一般の定額郵便貯金と違いまして、一般の定額郵便貯金の場合は生計困難とか——近ごろは厳格にそれほど制約しておりませんが、この割り増し金つきのやつだけに限りましては、昔から、それをやっていたときから、先ほど申し上げましたように非常に厳格な規制をいたしまして、ほとんど払い戻しに応じていないという実態でございます。
  133. 山田徹一

    山田徹一君 銀行は、多少なりとも、手数料百円か、あるいは百六十何円になっておりますが、損をすれば、それが生活困窮に間に合う、不慮のときに。生活困窮に対して出してもらえる。郵貯の場合には出してもらえない。どっちが国民のための法ですか、そういう人たちを守ってやろうという姿勢はどっちのほうが正しい姿勢になっていますか、公正な姿勢になっていますか。法文律があるんだからどうしようもないというんでなしに、そこは、大臣考えてあげる必要があるんじゃないですか。悪意の云々はこれは別問題です。大臣からひとつ。
  134. 船津茂

    政府委員船津茂君) おっしゃることもわからぬではございませんけれども、私のほうはやはり一つのユニットをとりまして割り増し金というものをこまかい計算をして出しまして、これを付与するわけでございまして、その基礎になる構成口座数といいますか、一万円が単位ということになりましょうが、これが生活困窮のためだというので、その次には何とかのためにというので、どんどん——今度は銀行のほうをトライしてみよう、ためしてみようというようなことでおろされてルーズに扱われますと、この割り増し金つき定額郵便貯金そのものが成立しなくなる、計算の基礎がなくなるということがございますので、そういうふうな特別なきびしい規制になっております。  国民のためかどうかという御指摘はそうかと思いますけれども、これはやっぱり御納得づくで、こういうものの不安というものが昔もございまして、割定、割定と申しまして参加していただくという方々はこれをのみ込んで参加していただいておるわけでございます。
  135. 山田徹一

    山田徹一君 それではそういう懸念を考えほんとうに誠実があるならば、窓口に生活困窮の場合でも解約はできませんというポスターを張って発売してください。
  136. 船津茂

    政府委員船津茂君) そういうふうにいたしたいと思います。
  137. 山田徹一

    山田徹一君 大臣、いまのよろしいですね。
  138. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この割り増し金つき定額貯金につきましては、まあ私個人的には、あまり奨励をしてどんどんやれというものではないという御意見に対して、どちらかというと賛成というほうに近いんですが、しかしながら、先ほども申し上げましたように、物価問題と取り組んでおるときにあらゆる手段を講じてみようということで取り上げた政策でございます。やりました以上は、これは成績をあげるために全力をあげていかなければならないんでございまして、これは自分が考えておることを実施した限りは違っても全力をあげなければならぬ、こういうことでございます。  銀行のほうが売り出してみたら奥さん連中が案外これに飛びついてくるという、このよしあしは別にしまして、そういう現象も見えておるようでございますが、これによりまして山田さんおっしゃるように被害というか、これによって欠点が出るというようなことがないように十分の注意をいたしまして、発売をいたしたいと存じます。
  139. 山田徹一

    山田徹一君 最後に、いまのお話を承りまして、まず十分な注意のためにポスターを出す、これは大きくやってくださいよ、こんな小さいんじゃだめですよ、大きいポスターで。  それからもう一つつけ加えて申し上げますと、総需要抑制のためにはそれは大事なことでしょうが、いまどんどん奥さん方が買いに来ているというけれども銀行調査いたしますと七〇%は現在預けている金を動かしているだけです。あとは三〇%ぐらいです、いやそれ以下です。その人たちもいわば山気でやっておるわけですよ。そういうばくちのようなことを奨励してまでも抑制をやらにゃならないか、抑制のためならそういう思想を与えていってもいいのか、こういう点は、いま発言なさったことはマイナスですよ、とんでもないことだと思う。いまの郵便貯金法目的に反しますよ。そういうばくちを奨励するようなことをやってどこが福祉を優先しているんですか、それはちょっと言い過ぎだと思うんです。お考え直しいただきたい。以上。
  140. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 奨励をすると言ったんではなく、仕事としてこれを扱ったからにはほっとけないから、これは執務といたしましては忠実に行なわなければならぬ、こういうことでございます。
  141. 川村清一

    委員長川村清一君) 他に御発言もなければ、質疑は終了したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  142. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。——別に御意見もなければ、討論はないものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  郵便貯金法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  144. 川村清一

    委員長川村清一君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  145. 川村清一

    委員長川村清一君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  146. 川村清一

    委員長川村清一君) 郵政事業及び電気通信事業運営並びに電波に関する調査を議題といたします。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  147. 森勝治

    ○森勝治君 きょうは、主として電電公社の方々に御質問をしてみたいと思います。  まず第一点は、公社の第五次五カ年計画と国の政策についての関連性についてであります。   〔委員長退席、理事横川正市君着席〕  第五次五カ年計画は、新経済社会発展計画または新全総等が見直しの段階にあるときに策定されたものであります、すなわち経済社会基本計画策定前に決定を見たものであります。しかもその経済社会基本計画すらその後の社会情勢の急変によりまして全く意味をなさないものになってしまったのであります。政府もこの点を率直に認めまして、これを抜本的に見直しをする、こう言明をされておるところであります。したがって公社の五カ年計画につきましても、その作成の基礎となった要素が大幅に変動をしたものでありまするから、当然、根本的な改革をなさなければならぬと私は考えておりますが、この点、総裁の御意見を拝聴したいと思います。
  148. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  詳細につきましては別途計画局長から申し上げたいと思いますが、確かに時系列的に見ますと、電電公社のこの五カ年計画をつくりました時点におきまして国がつくった計画よりも電電公社がつくりました計画のほうが先であったというのはそのとおりでございます。  しかし中身につきまして考えてみますと、この第五次五カ年計画におきましては、住宅電話を中心にいたしまして昭和五十二年度末には加入電話の積滞を全国的規模において解消するということが最大の重点であります。この重点につきましては、私は国の長期計画が今後どういうふうになるか実はよくわからないのでございますけれども、この目標はぜひ達成したい、このように考えております。  ただ、最近の物価上昇等がございますので、これが今後どんなふうに影響するか。少なくとも昭和四十九年度、今年度におきましては、私は、いま参議院に回っております三百二十万の加入電話をつけるということはぜひ達成したいし、またできるというふうに考えておりますが、今後の物価、たとえば石油が上がってきて電力料金が上がり、それがまたいろいろ通信資材の上昇にどういうふうに影響するか、あるいはまたいろいろ公社職員のベースアップの問題等、まだ未知の要素もございます。そういうことを考えました場合、また今後の経済成長がどうなるかということも考えてみなければならないのでありますが、その際に、七兆円というこの資金で足りるか足らないかということは当然問題になってくるというふうに思います。  以上のように考えております。
  149. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘に対しまして総裁からお答え申し上げましたとおりでございますが、この第五次五カ年計画を策定いたしました時点におきまして、私どもが国の計画といたしまして参考にいたしもし、またよりどころにいたしましたものが新経済社会発展計画でございます。これは四十五年五月に閣議決定されたものでございまして、したがいまして昨年の二月に定められました経済社会基本計画、これはまだ設定されていない時点でございます。  ただ私どもといたしましては、ただいまも総裁から御答弁申し上げましたように、この第五次五カ年計画の期末におきまして電電公社としましてどのように電話及びそのほかの問題に対しまして対策を立てるかという基本方針につきましては、これは非常に明確なものでございます。すなわち簡単に申し上げますと、まず五十二年度末では、加入電話の積滞を全国的規模において解消するという非常に大きな目標を定めたわけでございますが、これに持っていきます場合に、この五次五カ年計画中にはたしてどの程度の電話をつけますれば、ただいまのような目標が達成できるだろうかということについていろいろと検討したわけでございます。その場合に、少しこまかくなりますが、国の経済計画といたしましての新経済社会発展計画、それの経済成長率というようなものが毎年一〇・六%という数字でございますが、こういったものを使いましてその需要数を算出いたします方法と、それからたとえばこの経済成長率等がかなり変化をしました場合にどのように需要数が変化するかということについても、われわれはこまかい作業をしたわけでございます。  その結果を簡単に申し上げますと、五次五カ年計画中につけます千五百三十万という増設数でございますが、この千五百三十万の大部分、すなわち八二%が住宅用電話でございます。この住宅用電話の場合には、GNPの成長率等がどの程度影響するかということにつきましていろいろ計算いたしてみますと、実は、それほど影響がないということがどうも言えそうである。これにはたとえばアメリカあるいはヨーロッパ、スウェーデンその他等のデータも参考にしたわけでございますが、結局、結論的にはGNPの成長率というものにそれほど影響されずに、むしろ毎年順調な新規需要数が出てくるということのほうが正しそうだというふうに考えたわけでございます。そういったことから千五百三十万というものをつくりまして、その後、国の計画をあらためて見直された場合におきましても、これは経済成長率が九・四%等に若干落ち込んでおりますけれども、この千五百三十万という数字にはほとんど影響がないというふうに判断いたしまして、その後も推移してきておるようなわけでございます。  ただ、ただいま総裁も申し上げましたように、このGNPの最も影響を受けます部分は収入の問題かと思います。この収入の問題につきましてはなかなかむずかしいわけでございますけれども、経済成長率等が変わってまいりますと、これはかなりの影響を受けるんではないかという想定もいたしておるわけでございます。  なお、最近のように、非常に物価高騰してまいりましたし、あるいは貿易の関係、そのほかいろいろな問題が出てまいっておりますので、それらにつきまして、現在、いろいろと資料を集めております状態でございますが、これらについてどのように今後対応していくかということは非常にむずかしいと思っておりますけれども、少なくもこの千五百三十万という需要数について、それほどの違いはまず出てきそうにないということだけは今日の時点で言えるというふうに考えておる次第でございます。
  150. 森勝治

    ○森勝治君 いまもちょっと触れましたが、現行のこの五カ年計画策定の当時の高度経済成長政策というものは全くもう破綻を来たしておるところでありまして、   〔理事横川正市君退席、委員長着席〕 経済優先から福祉優先へと国の政策の転換がもう余儀なくされておりますわけですから、このことは何もここであらためて指摘することもなく、皆さんも御承知のとおりであります。  したがって公社としても、この国の政策の転換や国民の要望に沿った新しい施策というものを早急に樹立していかなければ、新しい時代に対応する、打てば響く公社の計画となっていかないのではないか、私はこう思うのでありますが、したがって公社の基本的な姿勢はかくあるべし、あるいはまた、こうする、こういうように具体的にひとつお聞かせをいただきたい。
  151. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま森委員も御指摘ありましたように、国民福祉ということを考え計画を練り直せというお考えでございますが、基本的には私はその考えに全く賛成でございます。  ただ、先ほど言いましたように、五十二年度末で積滞をなくなすということ、しかもその中でいわゆる住宅電話が八〇%を占めておるというこの事実は、私、やはり国民福祉というものを十分考えたものだというふうに思います。公社の計画が、そういう意味において、それを盛り込んでおるんだというふうに考えていいんではないか。ただ、その千五百三十万という数字で足りるか足らないかという問題がございます。私はもしもこの千五百三十万という数字が足らなければ、私はこれは変更なり、ふやしてもいいんじゃないか。  しかし、いまの時点で考えますと、高度成長から安定成長に移るというふうな時点になったときに、たとえばビジネス電話あたりの需要というものはある程度減ってくる要素もございます。また住宅電話あたりはあるいはふえるかもしれない。五カ年計画の千五百三十万という数字を見ますと、四十八年が三百十万、四十九年度が三百十五万、五十年度も三百十五万で、五十一、五十二年はだんだん下がっていく計画になっております。四十九年度は、先般の大臣折衝でこの三百十五万が三百二十万と、だから五万だけふえた形になっておりますが、今後需要の出方を見まして五十一、五十二年が三百万、二百九十万というふうに下がっておるのが、むしろ三百万とかあるいは三百十万というふうにふやす必要があるならば、ただいま御指摘がありましたように、私は、たとえば五十年度の予算をつくる場合に、必要ならば改定しなければならないと思います。しかし、いまのところ、先ほど計画局長が言いましたように、あんまり大きな変化はないんじゃないかというふうに見るものでございます。  それから収入の面につきまして、これは私は相当問題があるというふうに考えますが、これもいまの時点でどんなふうになるのか、まだ非常に未知の要素がありますので、五十年度の概算要求をつくる時点で見直さなければならない。  それから物価の問題も、たとえば明年度あたり——いまの時点の物価というのはある程度非常に変動が大きいわけでありますが、今後、この五カ年計画の残る三年にどんなふうに物価がいくか、それは確かにこの七兆円に影響してくるというふうに考えます。  いずれにいたしましても、考え方の基本的な点につきましては、国民の福祉ということを入れていくべきであるというふうに思います。
  152. 森勝治

    ○森勝治君 時代に即応した施策をもって当たる、こういうことは、いまも公社の総裁のことばの裏にあるだろうと思うのです。  そこで、私はこの際ですから郵政大臣にお伺いをしてみたいと思うのですが、先般、郵政省が公表いたしました通信白書ですね、これを見ても、いわゆる加入電話というものが産業部門に奉仕をしておる。経済優先よりも福祉優先だと、私もそうなるのではないかと指摘をし、総裁もこれに答えて、私も同感だという意をおっしゃっておられるけれども、実態はいまの話でそう変化はないとおっしゃるんですから、従来の方針を踏襲するという筋書きをおっしゃったんだろうと思うのです。しかも、このことは、白書に指摘されるように、特に高額の設備投資を要するデータ通信関係などは一〇〇%大企業の利用となっていることが白書でも明らかになっているわけです。  しからば、いま言われた、かつては産業優先であったが、国の政策の転換に従って公社の施策というものも福祉優先だと言われておりながら、なおかつ白書に見るまでもなく産業優先というこの実態を所管の大臣としてどう理解をされているのか、この点を聞きたいと思うんです。  もちろん、これが国民の電話需要を満たし得ないところ最大の要因となっていないことは間違いないと、私はこの点を指摘しておきたいと思うのです。  なぜかと申しますと、最近の公社の営業政策等を見ましても、プッシュホンをはじめとしてビジネスホン、ホームテレホンなどというものを大量に販売しよう、こう計画をされております。すでにもう販売に入っているものももちろんあります。一方では加入電話の積滞があるというこうした現状の中でこれらの販売を積極的に進めるということは、何かこうメーカーの肩がわりをしているような、こんな気がするわけです。ですから、ある地方においては、たとえば何々電報電話局という名の入ったその下にある電話機のメーカーの名前を並べて、あたかも電電公社とタイアップしているかのごとく見せかけて、いまことあげしましたこの種の電話機を販売しているという実態も残念ながら見受けられるわけです。しかもそれを公社がメーカーと共同歩調をとったように印象づけ、そこはもう商売人でうまいですからね、そういう姿も見受けられる。したがって私どもは、いま私が指摘したように、メーカーの肩がわりを公社がしていはせぬか、こんな気がしてならぬわけであります。  総裁も率直に言われましたように、これからの電電公社の施策も産業優先から福祉優先へと、こういうふうに変わるならば、やはり国民の福祉の向上や国民本位の政策に転換をすべきではないかと思うのですが、郵政大臣は、この白書を通じて通信政策のあり方というものをどう把握しておられるのか、前段の質問とあわせて後段とお答えをいただきたい。
  153. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この通信白書は初めて出されたものでございますが、この内容は、将来ということよりも過去と現状ということを御報告を申し上げるという点に重点があるように思います。  したがいまして、森委員の指摘されるように、今日までの高度経済成長政策ということばに表現されておりますが、集中のメリットといいますか、千万以上の人口移動が都市化という現象で行なわれて、これが今日デメリット、環境の悪化というような問題を生じ、いわゆる福祉転換をしなければならない、こういうことに来ておるということはそのとおりでございまして、それに見合った電電公社の事業もその方向を向いていかなければならないということに関しまして、いま公社の総裁が申しておることは私ども考えと一致をいたしておるわけでございます。  たとえばデータ通信の問題をお取り上げになっておりますが、このデータ通信等も今後福祉優先ということを目ざす。たとえば医療問題につきましても、今日の広く僻地におけるところの無医村対策というようなことまで含んで、今日の電電事業の中で医療というものがデータ通信というものを使ってやるというような方向まで研究も進んでおるやに承っております。すなわち、データ通信というものに重点を置くということでなく、その中でも福祉優先という方向に進み、加入電話も、生活電話といいますか、産業優先よりも個人の加入電話に重点を置いてやっていくということにつきまして、私どもも指導してまいりたい、このように存ずる次第でございます。
  154. 森勝治

    ○森勝治君 大臣はいみじくもこの白書は過去のデータだ、記録だ、こうおっしゃいました。  そこで私はそれをすなおに受けて、さらにこの点で質問をしたいのですが、過去の記録が福祉優先より産業優先であったということはいま大臣もお認めになったし、総裁もお認めになり、しかも産業優先より福祉優先への道を国が政策転換として歩んでいるという現実も私が指摘し、私の発言を肯定されている趣ですから、当然、過去の遺物と申しましょうか、過去の姿から移り変わる、生まれ変わる、すなわち方策の転換、政策の転換ということになるだろうと思うのであります。過去は何と言ったってこの記録が産業優先なのですから。そうであれば、当然、私が当初質問をいたしました公社の第五次五カ年計画の修正ということになるだろうと思うのです。  もし第五次五カ年計画の修正が全く行なわれないとするならば、産業優先より福祉優先へということばは単なる絵そらごとに終わるわけですから、そういうことはおそらくなさらないだろうと思うので、いま私が申し上げたように、従来の産業優先から国民本位へというふうに重点を変えるとするならば、一体、公社はどういう角度からこれをとらまえ、そしてまた見直しをはかろうとされるのか、このこともひとつお聞かせをいただきたい。
  155. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 第五次五カ年計画を今後どのように修正するかということでございますが、先ほど私御答弁申し上げましたのは主として需要の面だけを申し上げたわけでございます。ただいま先生御指摘のような産業優先的なものであったんではないかという御指摘につきましては、実は、私どもこれを策定します場合に、そういう意識よりはむしろ国民福祉優先というような意識を非常に強く持って策定したというふうに申し上げていいかと思うわけでございます。  そのあらわれというのもなんでございますが、まず「基本方針」の第一番目に「経済の効率化と国民福祉の充実に資する。」ということばをまず掲げてありまして、その中に二つございますが、一つは先ほど御説明申し上げましたように、これからおつけする電話の八〇%以上が住宅用電話であるということがまず一つでございます。それとそれら電話に関連いたしまして、電話をもう少し便利に使っていただくためのサービスの改善ということをうたっておるつもりでございます。  それから二番目には、従来とかく大都市に中心が置かれておりました電話の拡充というものをもう少し広範囲にわたらせました計画にいたしまして、そのためにまず地方にまだ残っております手動局をこの五次期間中になるべく自動化するようにしたいということ及び地方におきまして加入区域が非常に狭いところもございますもんですから、これらにつきましての普通加入区域を拡大するというような問題、あるいはすでにいろいろと農山漁村対策として設置いたしておりました地域集団電話、これらについてもやはり話し中が多いとかサービスが悪いというような御苦情もございますもんですから、これらの一般電話化というようなこと、これらを柱にいたしました要するに地域開発計画あるいは過疎対策というものに即応する姿勢を実はかなり強く打ち出して計画を立てたわけでございます。  そういうように、私どもといたしましては、第五次五カ年計画の基本的な考え方といたしまして、福祉優先ということを相当強く織り込んだつもりでございます。  ただ、先生が御指摘ございましたような、たとえばデータ通信につきまして、あるいはそのほかのもろもろの問題につきまして若干考え方の差があるかとも思うんでございますけれども、私どもといたしましてはそのデータ通信につきましては、まず一般の民間の方々が要望される場合には、これに対して回線を提供しようということが一つと、それからもう一つは公社が実施いたします場合には、かなり公共的の性格の強いもの、あるいは全国的なネットワークを構成するシステム、このようないわゆるナショナルプロジェクトといっておりますが、これらのものに重点を置くということを考えておりますので、これらもやはり国民福祉の充実ということにかなり重点を置いたつもりでございます。なおそのほかに画像通信等についても計画いたしたわけでございますが、これらも先ほど大臣からもお話ございましたようなデータ通信、画像通信を通じまして医療あるいは教育あるいは流通、こういったふうなことに焦点を合わせましたいろいろなシステムについて公社は関係していきたいというように実は考えたつもりであります。  その後、いろいろと先生も御指摘になりましたように、世の中が変わってまいっております。これらにつきまして確かにわれわれが今後いろいろと修正をしなくちゃいけないということもあるかと思っておりますが、それらにつきましてはそれぞれの年度計画の中に織り込んでいくことで処理ができるんではないか。すなわち四十九年度、ただいま御審議いただいております予算の中にもそういうことを織り込んだつもりでございますし、今後もまずはそういった形で処理していけばいいんではないかというようなことを考えておる次第でございます。
  156. 森勝治

    ○森勝治君 私が電電公社の施策というものは産業優先ではないかと指摘したのが若干御不満の模様でありますが、私の言わんとするところ、申し上げた点は、四十八年度に郵政省が出された通信白書に見る限り、あなたは福祉優先とおっしゃるが、産業優先だということが明らかに数字として指摘され、いま所管の大臣もこれを認めておられるのですよ。ただ公社の総裁は過去のそういう姿を遠回しだけれども認めておられるのです。そしてこれから福祉優先をやりたい、こういうことばをあわせてつけられておられるんです。  なるほど、あなたがおっしゃるように「基本方針」の第一項に「経済の効率化と国民福祉の充実に資する。」というきれいなことばはあります。ありますけれども、いままでやられてきたものは私が若干指摘したような問題があるし、あなたが先ほどの答弁の中でも、これからそう変わりませんということばが気になるものですから、私は白書の指摘するようなことを取り上げて、あわせてその時代に対応する公社の政策の転換と申しましょうか、それを喚起したということであります。もちろん、あなたのいま年次計画に合わせておやりになるというその中で、産業優先から福祉優先に変わろうとするあなたの苦心のおことばというのはうかがい知ることができますけれども、ただ従来のやり方、それからこの白書に見られるようなこと、経済界の著しい変動というもの、狂乱物価というものの背景というもの、いわば現実というものを認識しないと、企業優先ということを言うとお気に召さぬかもしらぬ、だからことばをかえますと、よほど気をつけてくださらなければ、新時代に対応する施策をもってしなければ、企業優先という汚名はぬぐい切れませんぞと、こういう意味も含めて私は申し上げたつもりであります。  もちろん、私の立場は、かねてから大企業依存の政策ではなくして、国民本位の福祉優先の電信電話政策たるべきだというこの考え方は従来も変わりませんし主張してきたところでありますから、今後もまたこれを主張し続けていく、そう私は考えておるのです。  そういうことはさておきまして、総裁の年頭の所感、ごあいさつの中でもうかがい知れるように、確かに国民のための電信電話たらんとする意欲というものはうかがわれるわけでありますが、何といっても自民党内閣の範疇に属するといっては失礼でありますが、国の政策にどうしても制約を受けがちであります。ですから産業優先の姿を露呈してきたのでありましょう。ところがいま申し上げたように産業優先から福祉優先へと国の政策の転換、よいことばでいえば脱皮というのでしょう、政策の転換を来たしたのでありますから、近代文明の利器を駆使して国民の福祉に寄与しようとする意欲が、総裁がおっしゃったように、担当局長がおっしゃったように、そういう前向きの意欲がおありならば、もっともっと国の政策の先取りというものを公社は心がけてしかるべきではないか、こう私は申し上げておるのだが、先ほどの局長の御答弁だと、やってる仕事はさっぱり変わりませんと言われると、ことばの下からまたよろいがちらつくのではないか、福祉優先だと言いながら依然として利潤追求を旨とする姿、体質、体臭、少しも変わらないのではないかと指摘せざるを得ないのであります。  この点、総裁に重ねて質問して恐縮ですが、私があえてこの点についてしつこく質問をしておるわけですので、公社もまた新時代に対応する転換をはかるということを、ひとつ明快に発言をしてもらいたい、これは強要するわけじゃありませんから、総裁が自主的に御発言なさってけっこうであります。
  157. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま御指摘がありましたが、公社といたしましても福祉優先ということでいきたいと思います。  ただ、それが五カ年計画の中でどうなるかという点につきましては、先ほども申し上げましたように、今後の物価状態あるいは職員のベースアップの状況等を考え、収入あるいは需要というものを考えて五十年度の概算要求を出す時点で見直したい、こういうふうに考えております。
  158. 森勝治

    ○森勝治君 そのことばは先ほど私が指摘した際にうなずかれておられました。というのは、公社のこれからのあり方は産業優先でなくして、いわゆる企業優先でなくして福祉優先に転換すべきだという私の主張に対して、御賛同を与えられて、これからそういうことでやるということばを受け継いでのいまのお話だと私は理解をいたします。  しからば、この国民福祉の向上対策はいかにあるべきか、こういう問題についてお伺いしてみたいのです。  「公社総裁の職員に対する年頭のことば」これはことしの一月四日の仕事始めにあたり公社の職員に対する総裁のおことばであろうと思うのですが、この年頭の辞に、国民の要望に沿い国民福祉の実現に努力するということを力強く述べておられるわけであります。また、いまもいろいろ私が指摘いたしました問題につきまして、すなわち今年度の事業運営方策につきましても「人間尊重を経営に反映」させる、こう明快に言われております。そしてまた「人間主体の新しい福祉社会の建設に」貢献できるよう、事業の運営に当たらなければならない、こう言われております。  そこでお伺いしてみたいのでありますが、一体、人間尊重の経営とは何をさすのか、現在までの経営や事業運営をどのように変えていかれようとするのか、具体的にひとつお話をいただきたい。
  159. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。答えが不十分でございましたならばさらに質問していただきたいと思います。  私、電信電話というものはやはり国民のためにあるというのが一番の原則でございます。  その際に、じゃ電電公社の既存の電信電話を利用しておられる国民あるいは電話を利用しておられる加入者というものがよきサービスを現在得ておられるかどうかという問題につきまして、端的にこれは外国と比較してみるのが一つの方法じゃないか、国内にはちょっと比較するものがございませんので。その既存の電信電話を利用する方、電話加入者、こういう方へのサービスを比較いたしますと、私は少なくともヨーロッパの国あるいはアメリカの状態考えました場合に、電電公社は世界最高とはいいませんが、最高の水準にあるのではないかというふうに考えます。これは営業面、保全面、トラフィックの計画、運用面を考えた場合に出てまいります。  ただ一番問題になるのは、結局日本の場合に、これはずっと電話事業が発足して以来、電話の申し込みというものみがいつも積滞があったということでございます。幸い、たとえば東京の二十三区とかあるいは大阪のまん中、そのほか横浜等におきましても、そういう中心部はだんだん申し込んだらすぐつける、いわゆる積滞がなくなるという形になってまいりましたが、まだ全国的にそういう電話の申し込み積滞が約二百万ぐらいあるのではないかと思います。したがって、もし電話を申し込んだら平均一カ月程度、最大三カ月ぐらいのうちに全国的規模においてつけるようにする、全国的な規模で電話の申し込み積滞をなくなすという、これが私は現在当面している公社の一番重要な問題である。この点は先ほど来森委員のおっしゃるとおりであります。しかもその中で八〇%が住宅電話でありますから、この全国的規模で申し込み積滞をなくなすということ、これは結局国民福祉につながるものであるというふうに考えます。これはたとえば公社でいいますと、二次から始まりまして三次、四次五カ年計画をやりましたが、この住宅電話が八〇%を占めているという計画はいま進めておるわれわれの建設計画だけの特徴でございます。  その次に、地方で特にいろいろ自動化を早くやってほしい、あるいは自動即時化を早くやってほしいという要望が出ております。これにつきましては、特にこれから残っております局が非常にいなかのへんぴなところにあります。しかもその際に、これはマグネットの局でありまして郵政省に委託しておりますので、そういう職員のいろいろ配置転換というような問題もやはりあわせて考えなければならない。したがってこの速度につきましては、郵政省とも十分御相談をいたしましてやりたいというふうに考えます。国民のサイドから考えますと、そういう自動化を促進してくれという要望が出ております。  それからもう一つは、電話の加入区域を広げてほしいという要望がございます。大都市等に比べまして地方にいきますと加入区域の直径がたとえば二キロしかないというような場所もあります。この加入区域の直径を逐次広げていくというようなこともぜひやる必要があるというふうに思います。ですから、そういう国民のために尽くすという面におきまして、人間福祉を経営に反映する。  それからもう一つは、公社で働いている職員の福祉もやはり考えなければならない。これがいま考えている問題でございまして、たとえば公社職員のいろんな労働条件とかあるいは住宅、保健、レクリエーションあるいは職業病をなくなす問題とかそういうようなことがあると思います。それからもう一つは、職員に対しまして複合して仕事をさせる、あるいは女子の職域の拡大をするとかという、この二つの問題につきまして、今後検討していきたいというふうに考えております。
  160. 森勝治

    ○森勝治君 公社の内容、規模、事業、こういうものは世界に冠たるものであるという胸を張ってのお答えは、私もそれを率直に認めたいと思うのです。  ただししか、総裁にこの際特に御記憶を新たにしていただきたいのは、もちろん総裁の卓絶したる手腕、力量が今日の電電公社を仕上げたものだと私は認めてあげたいと思います。しかし、その裏には職員の涙ぐましい献身的な国民の電信電話たらんとする意欲が今日の電電公社をつくり上げた原動力であるというこの点もどうかひとつ記憶を新たに呼び起こしてもらいたいのです。いまも総裁から職員の福祉向上についてということをあわせて言われましたから、私はこういう発言になったわけでありますが、世界に冠たる電電公社を仕上げたのは、あなた方管理者の御努力もさることながら、当然、そこに働く三十万の労働者の力があずかって大であることを、この席上でひとつ総裁の口からお認めをいただきたい。
  161. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  もちろん管理者ばかりじゃなくて、公社で働いております三十万の職員の一致した努力というものが反映したというふうに考えます。われわれといたしましても、この人間福祉という場合に、国民のサイドと同時に、公社に働く職員の福祉問題につきましても十分考えたい、こういうふうに思います。
  162. 森勝治

    ○森勝治君 いま総裁がおっしゃったように、これを事業に反映するということになりますならば、当然、今年度の公社予算の中でそれらしきものが織り込まれてしかるべきだと思うのですが、たとえばいまも指摘しましたし、これから申し上げたいと思うのでありますが、人間主体の福祉社会の建設に貢献する、または国民福祉の実現に努力するということばは、これを具体的に公社の施策に盛り込むとするならば、四十九年度ではどういうものをさされるのか。いま総裁から詳細に言われたものはもちろんでありましょうけれども、あのことばで尽きるのか、あるいは別に四十九年度の予算案ではこういうものでありますということがあるならば、ひとつお聞かせをいただきたい。
  163. 好本巧

    説明員(好本巧君) 先ほど来御説明をしておりますように、四十九年度の電電公社の予算案におきましては、住宅用電話を中心として電話の一そうの普及をはかり、昭和五十二年度末までに積滞を全国的規模で解消するという第五次五カ年計画の大目的のために、先ほども総裁が申し上げましたように、約八〇%を上回る住宅用電話の三百二十万工程を計画していることは先ほど申し上げたとおりでございます。  それからなお三百二十億円の工事費をもちまして、過疎地帯といいますか僻地、地方のほうの加入区域の拡大をはかる。大体、半径五キロメートル程度に拡大をはかる区域を九百十区域を計上しております。  それからさらに五百二十五局にわたる手動式局の自動化も第五次五カ年計画の第二年度目としての計画を計上しております。  こういうことは先ほど総裁の申し上げました国民福祉の充実に資するということの具体的な計画であろうと思います。  それから、先ほども話が出ましたけれども、六百四十五億の計画でデータ通信の工事費を計上しておりますが、これも公共性の強いシステム、全国的なナショナルワイドのネットワークを構成するいわゆるナショナルプロジェクト関連の計画を強力に推進するということを計画しておりまして、特に気象庁の気象観測でありますとか、あるいは公害環境関係あるいは交通関係、こういうふうなもののデータ通信の分野におきましても、積極的に国民福祉の向上を推進することを計画しております。  それからいわゆる画像通信サービスにおきましても、この拡充、開発につきまして、遠隔地の道路交通監視、医療診断の充実あるいは教育効果の向上等の社会的要請にこたえてのサービスを計画しておるわけでございます。  さらに国民福祉充実の観点から、いわゆる福祉電話についても、その開発研究をも含めて積極的に取り組んでおりまして、盲人用ダイヤル板の無料取りつけでありますとか、福祉施設への公衆電話の設置あるいは難聴者用の電話機、緊急自動連絡装置の開発でありますとか、そういったこともその計画の内容の一部をなしております。  ただいまのは電気通信の役務提供のサイドから申し上げたわけでありますが、国民の側のみならず、先ほど申し上げました電電公社の職員の関係におきましても、その厚生福利関係におきまして、社宅の建設あるいは総合レクリエーションセンターの建設等、そういうことも本予算案の中に計画しております。
  164. 森勝治

    ○森勝治君 総裁は、やはりこの年頭のごあいさつの中で、公社の社会的責任という問題にも触れておられます。それはこういう表現を用いておられます。「今後とも、常にお客中心考えのもとに地域社会にとけこみ、地域の実情に応じて、サービス精神の自主的な高揚と実践をはかっていくよう要望いたします。」これは職員の皆さんに要望された年頭談話だろうと思うのであります。  そこで、私は、この公社の社会的責任という問題についてお伺いしてみたいと思うのでありますが、御承知のように公社事業は全国に二千余の事業所を持ちまして、三十万に余る人員をかかえて、資産はまさに五兆円、建設投資額は一兆円をこえるという、いわば世俗で言えば押しも押されもしないわが国の一大企業ということになります。したがってその社会的な責任というものはきわめて重いと私は思うのです。ことに地域社会に果たすべき任務は重大でありますし、この場合何よりも重要なことは、総裁も指摘されたように、地域に密着した立場でその地域の発展の動向や立地条件、特殊性などに精通をしていなければ、総裁が職員に要望された点を全うすることができないだろうと思うのです。  そこで私は申し上げるのでありますが、しからばさて公社の人事体制というものが年頭の辞で要望されたごとく体制が整っておるのかどうか、社会的責任を全うし得る万全の措置が講ぜられているのかどうかということにつきますと、若干私どもは異論と申しましょうか、公社にこの辺でじっくり腰を落ちつけてもらわなければならぬような問題が一、二指摘されるところであります。  たとえば第一線のいわゆる現場の管理機関を含めまして、これは表現がまずいですが俗に言う管理職ですね、最近は係長クラスまでも——まあ係長クラスは課長クラスよりも一年多いのでありますが、課長、局長等は一、二年で転勤をさせられる、係長でさえも二、三年で、表現がまずいと思うのですが、世俗で言ういわゆるたらい回しをされている、この現実がありますね。もちろん人心を一新して社会公共の福祉に寄与するというところは賛成でありますけれども、あまりにも人事を歌舞伎役者が舞台に出るように、私はげすですからそういうことばを言いますが、取りかえておっては十分な住民サービスができないような気がするわけです。何といたしましても地域社会に対するサービスというものを充実させるためには、管理職や係長等を一年や二年で動かすということは得策ではない、やっと地域の事情がのみ込めて、どうやらこれから仕事ができるというのにまた新しい任地におもむかなければならぬということになるならば、地域に密着したサービスの提供などというのは少なくとも管理者の諸君の中からこれを発見することはほど遠いと指摘せざるを得ないのであります。ですから私はきわめて画一的ないわゆる標準化されたサービスとなってしまって、いわゆるしゃくし定木なサービスに落ち込んでしまうのではないか。したがってもう手っとり早くプッシュホンでも売りつけちゃえばいいのだということになるとするならば、総裁の願いがあたら空に帰すことになりますので、私どもはこの辺を十分人事配置等につきましても皆さんに再考をお願いしたいところであります。  いま申し上げたように、運営方策等にいっておるところの地域に対応したサービス、総裁も談話で言われましたように、お客の要望にこたえたサービスなんということはどうもあり得ないと考えざるを得ないのでありますが、こういうところを公社はひとつ新たな角度で検討してもらってしかるべきではないか、私はこのように考えるのでありますが、この点ひとつお答えをいただきたい。
  165. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま御指摘ございましたが、確かに一年とかなんかで動くというのはよくないと思います。大体三年ぐらいやっぱり一カ所にいるということが望ましいと思いますが、本社の局長のような場合には、人によりまして五年も同じポストにいたという例もありまして、ただいま私最近人事をこの一月から二月にかけてやりましたが、実情をよく調べまして、なおあまり極端に早く動いているようなことがあれば、今後十分検討し改めたいと思います。  私が全部やっている人事と、それから通信局長にまかしているものと、いろいろ段階がございますので、私がやっているものにつきましては二年より短い——少なくとも二年はいるということにしてあるわけなんでございますけれども、そういう一年というようなものがありましたならば、確かにそれは不適切でございます。よく実情を調べまして、改めるものは改めたいと思います。
  166. 森勝治

    ○森勝治君 改めるものは改めるとおっしゃっているから、もうこれ以上ことばを継ぐことはできませんが、一言だけ触れておきます。  たとえば係長に最初に任命するなどのときは、従来は自局で大体係長にまで任命したのですね。課長になるときには、新任の課長のときは他局のほうへおもむくという、辞令がそう出るというわけですが、最近は、係長まで他居へ転勤しなければ任用をされないようなことになっているわけですね。ですから、そういうことも、私は、ここでそれがよい悪い、こうは申し上げませんが、しかし、じっくり腰を落ちつけるためには、管理者の諸君がまずちゃんとしておいてもらわないと困るのです。この点は総裁考えてみるとおっしゃるのですから、ひとつ御期待を申し上げておきたいと思うのです。  そこで次の問題に移りますが、公社として、地域社会への貢献を含めて、どういう形で社会的責任というものを果たされようとするのか。私は社会的責任を果たす一つの方法として管理者にじっくりその場で腰を落ちつけて地域の事情に精通してもらいたい。もちろん事業に通暁されることは当然でありますけれども、お客本位のサービス、電電公社ということになるならば、当然、管理者が自分の所管する役所の仕事のみならず、広く地域社会の中に浴け込んでもらわないと、電信電話のよきサービスをはかることができないのでありますから、この辺もひとつ——  この社会的責任を果たす一端として、たとえばかつて埼玉県で地域社会への貢献という意味で、いま老人電話などといって地方自治体が取り上げておりますが、ふるさと電話、こういうことで取り上げてみたらどうかと私が言いまして、埼玉電気通信部では埼玉県庁とタイアップいたしまして、東北、北海道等遠くふるさとを離れて埼玉の産業戦線の第一線に立っておられる青年諸君がなつかしいふるさとにたよりをする電話を無料で公開したという、試験的に関東電通局管内ではそういうのをやっておるわけです。  これは先ほども郵政省の財形貯蓄で中国等でやっていたこれを全国的にやる——これは貯金のことですから、この問題には直接の参考になりませんけれども、老人電話の無料化の問題ももちろんでありますけれども、そういうところにも手の届くような、そういう電信電話のサービスというものを、広く友情の手と申しましょうか、手を差し伸べていく必要があるのではないかと思うのです。  社会に貢献するという意味も含めて、いわゆる社会的責任をどうしたら果たすことができるか、こういう問題について、先ほども若干お答えをいただきましたが、今度は、むしろ福祉というものを中心とした公社の社会的責任を果たす立場お話をひとつしていただきたい。
  167. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  一言で言いますと、国民のために電信電話事業を運営していく、サービスをするということであります。その前提として、地域の実情によく精通しなければならない、これは森委員がおっしゃるとおりでございます。じゃサービスはどんなものがあるかといいますと、営業、保全あるいはトラフィック計画——計画というよりもトラフィック運用、こういう三つがまず出てまいります。  営業でいいますと、いろいろ電話の移転、架設、あるいは料金という場合に、その土地の人で窓口になれていない方が来たようなときに、一つの窓口でそれが済ませるようにするというのが一つ考え方じゃないか。それから最近地方の自治体の進んでいるところでは住民課というようなものがございます。したがって住民課に行けば、町設場なり市役所等の中を一々ぐるぐる何カ所も回らないで、そこに行けば仕事がやれる。そういうように公社の中でもある特定の場所に行けば、営業に行ってください、保全に行ってくださいということじゃなくて国民あるいは電話を利用している方が直ちにそこである程度の問題の解決が得られる。あるいは何日たったらもう一回おいでくださいということになるかもしれませんけれども、そういうふうに中の連絡といいますかコーディネーション、こういうものをよくしていく必要があるのではないか。  料金の苦情等につきましても、もしそういう苦情がありましたならば、直ちに加入者度数計監査装置を入れて料金の問題を調べるとか、そういういろいろの点があると思います。それは特に国民のサイドに立っていろいろのサービスをするということに一言で言えば尽きると思います。  それからもう一つは、たとえばいろいろ公社で電話番号帳を配るような場合とか、あるいはいろいろの品物を買うような場合におきましても、その地域で私は実情に合ったふうにやる必要があるのではないか。電話帳等におきましても県によって非常に大きな県もありますし、わりあい小さな県もある。そういう際に電話帳の分割というような問題もやはりその県の状態にマッチしたようにする必要があるのではないか。  そのために公社として公害を出さないという立場を昭和四十三年以来とりまして、たとえばリサイクル委員会というようなものをつくりましたし、これはだんだん現場段階に及んでいくものと考えます。資源ということもこれから大事でありますので、たとえば撤去された材料等をうまく活用する。銅、鉛の活用はすでにやっておりますが、さらにそれを広げて、紙であるとかプラスチック材料等につきましても、そういうようなリサイクルをやりまして、公害をなくなしていくというようなことも起こってくると思います。  具体例につきましては、また関係局長から説明させます。
  168. 山本正司

    説明員(山本正司君) ただいま総裁からお話がございました地域社会とのコミュニケーションをいかによくやっていくか、あるいは顧客指向の営業体制と申しますか、業務運営をどうやってさらに改善していくかといったようなことにつきましていろいろ検討いたしまして、顧客中心の、顧客指向を重点とした現場組織の改正とか、あるいは地域のいろいろの要望、あるいは急激に変動いたします電話の需要等を的確に把握いたしまして、そういった需要の変動に適宜適切に対応できるような公社の体制をつくるために、地域の住民、地域社会と十分な情報連絡、コミュニケーションをはかり得るような組織を現場段階に考えるとか、そういった具体的な施策あるいは組織改正とといったようなものを考えまして逐次実施をいたしていきたい。  また、もうすでに各電話局等でも実施をいたしておりますが、その地域地域の利用者との懇談会等を開催いたすとか、あるいは新聞等でも御案内だと思いますが、奥さまモニター制度といったようなものをつくるとか、そういったことでさらにきめのこまかな地域の要望等もキャッチをいたしまして、公社のいろんな施策にこれを反映していくような仕組みも考えてまいりたいというふうに考えておるわけであります。
  169. 森勝治

    ○森勝治君 次の問題に移ります。  いわゆる新時代の電話機と銘打ってプッシュホンを大々的に宣伝をしておるわけです。私の目から見れば、これは売り込みに夢中になっておる、こんな気がしてならぬのでありますが、公社が目の色を変えるようにこのプッシュホンを売り込むということは、何か相当なメリットが公社にあるのですか。この点ちょっとお聞かせを願いたい。
  170. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) プッシュホンにつきましては四十四年から売り出しておるわけでございますが、これにつきましては、プッシュホンの前の回転ダイヤル式の場合と比較いたしまして、度数料収入が約二割余りふえておりまして、かなり公社の増収になってまいりますので、これで増収をはかるといいますか、そういうことのために販売をいたしておるわけでございます。
  171. 森勝治

    ○森勝治君 なるほど二割よけいに収入が上がれば飛びつくのはあたりまえかもしれません。しかし私はこの点についてはもう少し深く質問をしてみたいと思うのです。  どうも販売にあたっては、電話機で計算サービスですか、が受けられる、こういうことを目玉商品として売り込んでいる模様ですが、いまの電話計算のサービスなどは、これは失敬でありますが、子供だましのような気がしてならぬのです。いわば中途はんぱではないか。あの程度の計算機なら市場に幾らでも優秀なものが普及、販売されているわけですから、いわば卓上計算機のほうがよっぽどいいんじゃないか。それをあたかも何でもかんでもみんなあれでちょいちょいボタンさえ押しゃ、はいイコール幾らと答えが即座に割り出せるように何か誇大にやっているような気がするんです、あるいはこれは私一人のせんさく好きがそういうことばをはかせているのかもしれません。しかしどうも私はそんな気がしてならぬのでありまして、いわば公社が宣伝するほどプッシュホンというものが現在の国民生活の中でいわゆる生活と切っても切れない一体化した不可分なものであるというしろものではないような気がするんです。  極言すれば、黒電話さえあればプッシュホンなんかなくたってよいのではないか。これはしかし、せっかく二〇%も増収だ、増収対策からいってもけっこうだと言っているのに、あまり必要ないじゃないかというような不粋な発言かもしらぬけれども、なければなくてもいいような私は気がするわけであります。むしろあれの販売に狂奔するということよりも、普通電話の充足に力を注ぐべきではないか。それが私は電電公社のいわゆる公衆電気通信法という法にのっとった姿ではないか、本来の姿ではないか、こう思うのですが、この点はどうですか。
  172. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 先ほどの説明が舌足らずでございまして非常に申しわけなかったわけでございますが、プッシュホンにつきましては、先生おっしゃいますように電話計算もできますが、むしろそれよりもプッシュでかけられるといいますか、そういう便利さがあるわけでございます。  といいますのは、ダイヤルの場合ですと、ダイヤルを回すとダイヤルが機械的に戻る速度があるわけでございますが、これに制約されるわけでございます。ところがプッシュですと、ダイヤルと違いまして、番号をやります場合に、せっかちの人は速くも押せますし、ゆっくり押したい人はゆっくりでも押せるというような点もあるわけでございます。  それからもう一つは、短縮ダイヤルがございまして、これは二十種類やれるようになっておりますが、最近のように市外がかなり自即化がもう進んでまいりまして、そうなってきますと、もう一つの現象といたしまして生活圏がかなり拡大をしておるという現象もございまして、従来よりも遠距離に電話をかけるという機会が多くなっておるわけでございますが、そうなりますと字数が多くなってまいるわけでございますが、そういうような場合にプッシュホンで短縮ダイヤルをいたしますと、三数字でこれがかけられるという便利さがあるわけでございます。そういう便利さがあるためにお客さんに使っていただいておるんだと、こういうふうに私たちも考えておるわけでございます。  が、もちろん先生がおっしゃいますように、先ほどから総裁が申し上げておりますように、加入電話につきまして五十二年度末に全国的規模において解消するという大前提があるわけでございまして、それをほっておいてこっちに熱中するというような気持ちでは毛頭ございませんので、そういう点は私の先ほどの御説明が非常に舌足らずでございましたので、補足さしていただきます。
  173. 森勝治

    ○森勝治君 俗に暫定ということばがありますね、しばらくということば。これを公社は試行ということばに置きかえていますね、ためしに行なうということで。いまお話がありましたように昭和四十四年以来今日まで五カ年間プッシュホンの試行サービスを行なっているわけですが、いわゆる試行というのはためしに行なうことでありますから、いま私がことあげいたしましたように、暫定ということであるならば、五年も長きにわたって試行というのは合点がいきかねるんでありますが、なぜこう五カ年間の長きにわたって試行を行なっておるのか、その理由をひとつお伺いしておきたい
  174. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) プッシュホンにつきましては、先生御指摘のように、四十四年から始めておるわけでございますが、これを試行サービスといたしましたのは、新しい従来にないプッシュでやるという関連、あるいは短縮ダイヤルというような関連もございまして、こういう機器をお客さまがお使いになる場合に、お使いいただいていろんな御意見も伺いながら、もしお客さんに便利なように改良するとかそういう点がございましたならば、それを直しにいくとか、そういう点がございますので、試行サービスにいたしておるわけでございます。  これにつきましては、プッシュホンを、一般の単独電話だけではございませんで、昨年の八月から、いわゆるホームテレホンといいますか直線一本で端末機が四台つけられる、これに導入いたしますとか、あるいはそういうような単独だけでなくて、ほかのそういうホームテレホン式のものにも適用をしてみるというようなことを昨年の八月にやったわけでございますが、そういう点もございましたので、かなり長くなっておるわけでございますが、先生おっしゃいますように、あまりいつまでもほっておくという点は私たちもいいことじゃないと思っておりますので、そのホームテレホン等の状況を見まして、できるだけ早く本実施に移したい、こういうふうに考えております。
  175. 森勝治

    ○森勝治君 ためしに行なうということならば、やっぱり試験期間中でしょうから、試験期間中が終わって実用が可能なりとするならば、当然、これは本実施に移すのが正しいんでありまして、いま本実施にできれば移したいという御意向ですから、重ねて私はこの点についてことばを加えることは省きたいと思うんでありますが、なぜ私がこういうことを申し上げるかといいますと、昨年の十二月末のプッシュホンの施設数でももう六十万九千個となっているわけですね。昨年の十二月末で一般加入電話は二千三百五十二万。ところがことしの販売計画を見ますと、プッシュホンだけで五十五万個、過去四十四年から五カ年間つけた分をことし一年間でつけてしまおうということになるならば、これは試行ではなくして、これはもう本実施に当然移すべきだ、こう考えるわけですから、いま担当局長が本実施に近く移したいという御意見ですから、それはもうよくひとつ検討して早くしかるべき措置をとってもらいたいのです。  そこで、さらに聞きたいんでありますが、このプッシュホン化というものは将来どこまでおやりになるのか。いまのつける姿からいけば、ことし五十五万個ですから十年たつと五百五十万ですから、プッシュ電話を全部つけかねまじき勢いのような気がするんでありますが、どこまでおやりになるのか、このこともひとつ聞かせてほしい。
  176. 清水通隆

    説明員(清水通隆君) 将来の問題はまださだかにきめておるわけじゃございませんが、第五次五カ年計画で想定いたしました五カ年間の販売数といたしましては三百六十五万という数字を考えております。したがいまして四十七年度末までのものも合わせまして三百八十万ほどになるかと思うんでございますが、この時点におきましての電話が三千五百万ございますから、大体そのうちの一割ぐらいはプッシュホンというようなことで計画をいたしたわけでございますが、こういったものは、今後の世の中の動き等に応じましてわれわれの体制も考えていくことになるかと思いますので、将来にわたってどのようになるかまだはっきりときめたものはございません。
  177. 森勝治

    ○森勝治君 このプッシュホンの料金の問題にちょっと触れてみたいのですが、法定ものの料金は安く、認可料金というのは割り高になっている。したがっていまおっしゃったように二〇%も増収を来たしているのかもしれません。  まあこれは少し一言多い発言をいたしますが、公社は認可料金を活用して増収対策の一助としているんではないか、こんな気がする。たとえば電話の架設、移設等の場合には、プッシュホンにすれば早くつけてやりますよというようなところがおありだというふうに風のたよりで聞いております。住民というものは弱いものですから、何でもとにかくちょっとぐらい高くついても早く便利になればよいということで、その料金を——プッシュホンのほうが高いんですから、高く払ってしまうというのが現状ではないか、こう思うのです、これはちょっと勘ぐった発言で恐縮でありますが、したがって業界紙などの論評等を見ますと、プッシュホンをつけ加入者からプッシュホンのほうが高いから黒電話にかえてほしい、こういう要求がどうもかなり出ている模様であります、これはすべてではないでありましょうが。そうなれば、公社もやはりこの辺をちょっと考えめぐらさなければならぬのではないかと思うので、こういう実態は早くやめてもらいたい。プッシュホンならば早くつける、優先ということはやめてもらいたい。このことをひとつお答えいただきたい。
  178. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 先生ただいま御指摘の点につきましては、私たちもそういう誤解を招くことは非常に申しわけないことでございますので、そういうことのないように十分注意してまいりたい、こういうふうに考えております。
  179. 森勝治

    ○森勝治君 そこで郵政大臣にお伺いしてみたいと思うのですが、大幅にプッシュホンを採用するということでありますならば、当然、そこには公共性の強いサービスというものが生まれてまいります。したがって、いまプッシュホンは一般よりも割り高だといわれておるわけですから、公共性が強くなれば当然これは一般の電話と同一料金にするのが正しいあり方だと、総裁も言われ大臣も言明されたように産業優先より福祉優先への道を国が開き、公社もそれに従っておやりになるというならば、当然、この辺もあわせて考えてもらわなければならぬわけです。  認可料金などという方法で、しかも販売は試行するということで試行サービスを五年間もやっている。こういうようなことはもうこの辺で処置をすべきではないか、こう思うのでありますが、郵政大臣としてはどう考えておられるか、この点お聞かせをいただきたい。
  180. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) ただいま御指摘ございましたように、プッシュホンの試行期間が確かにかなり長期にわたっておるわけでございますが、私どももこのプッシュホンにつきましては技術的な面でなお改良の余地がないか、先生先ほどおっしゃいましたダイヤル数の問題もございますし、いろいろ制度面からも検討をしながら本実施に進めるように指導してまいったところでございます。  いま一般の電話のように安くしてはどうかというお話がございましたが、実は、端的に申し上げましてこのプッシュホンは一般のいわゆる黒電話機よりも機能がかなり高いわけでございますので、言ってみれば商品で申しますとデラックス商品というふうな概念で扱ってしかるべきかと考えておる次第でございまして、したがいまして一般の電話よりも割り高になる。したがいまして、また先ほど先生御指摘のようなすすめ方はもってのほかでございまして、そういうことのないように、分けたセールスのあり方につきまして今後とも指導してまいりたいと思います。
  181. 森勝治

    ○森勝治君 セールスのあり方じゃなくして、郵政省のあり方が疑問になってまいりましたね。押しつけサービスはよくないのはあたりまえですよ。いまの話だと、デラックスだから、サービスが行き届いているから、プッシュホンは黒電話より高くてもよいという、それをあたかも肯定なさっての発言だとお見受けするわけです。ならば、大臣総裁が言われた、これからは福祉優先の道をとりますということばと違ってくるではないかと、私はこれを申し上げたい。  国民はデラックスなサービスを必ずしも喜びません。料金が安いほうを喜ぶんですから。あなたは料金問題には一つも触れておられない。サービスが行き届いて低料金になれば国民は喜びますよ、デラックス商品だから高いというのは理屈に合わない。第一、公衆電気通信法にはデラックス商品なら高く取ってもよいというのは一言も載っかってない、どこにもそんなことばは載っかってない。電信電話は公共性が鋭く要求されるものですから、サービスが行き届いているから高料金でよろしいなんていうのはそもそも公衆電気通信法の法の精神からはずれるんではないかと思うのです。  私の質問の趣旨は、電電公社に試行をさせておるなら、もう実施の段階ではないか、このことについては浅見さんも実施の段階にきたというふうにどうもお認めを願った模様だが、それならば何もデラックスだからといって高料金を取らずに、一般料金にしたらどうか、これが私のいまの質問の要旨なのですよ。それに一つも触れられないのはいけませんな。
  182. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 私のお答えがまずかったかもしれませんが、もちろん冒頭来大臣総裁からお答え申し上げておりますように、一般の電話の普及をあくまで最重点にいたしまして、五十二年度末を目ざしまして全国的規模において積滞を解消するというのが本旨でございます。で、これに対しましてプッシュホンというものでございますけれども、これは一般の通話機能に加えまして、より高度のものについてニーズがあるかないかということが問題であろうと思うのでございまして、もとよりニーズと申します場合に、新しい技術をおひろめいたしまして、なるほど便利だなと、多少金を張っても利用してみようかという層に対するセールスということに相なるわけでございます。そういう意味合いにおきまして、一般の電話の可及的な普及ということと私は相反しないというふうに考える次第でございます。
  183. 森勝治

    ○森勝治君 浅見さんはかつて郵政省で経理局長もおやりですから、そろばんのほうも目が高いと思うのです。しかし、いまのおことばは町の商人と一つも変わらないおことばなんですよ、失敬でありますが。公共性をどこに発見するか、少しもいまのおことばの中では公共性の片りんだにもない。サービスがよけりゃ高いものであたりまえだという精神。  町の商人がいま物価のつり上げで何をやっているか。これはサービス料金でこの品物は安いですよと言って、しかしこれは一個しかありませんというんで、こちらはちょっと高いですけれどたくさんありますというんで値段の高いほうを売りつける。いいですか、マイホーム時代といいながらマイホームの時代は遠ざかったといって労働者が嘆くのも、同じように、安いんで、これ売るつもりないんだけどあるんです、じゃこれと言うとこれは売れました、これは参考です、しかしこっちにいい土地ありますといって高いのを押しつけるんです。土地の問題もしかり商品もまたしかり、郵政省や電電公社よおまえもかと、言われるのはいやでしょう、皆さんは、そうでしょう。電信電話、郵便は社会公共性が著しく要求されるんですから、サービスがよければ高くてもいいというのはちょっと合点がいきません。しかもこれはためしでやっているわけですからな。ためしだっていま申し上げたようにことし一年で五十万個つけるんですから、過去五カ年間でさっき言ったように六十万九千個つけて、過去六年分が一ぺんにつくんだ。これは収入があるからっていうんでいくんでしょう。収入があるからというのではだめなのですよ。一般の電話がまだなかなか積滞が出てたいへんでしょう。いまのお話でも五十二年度末には積滞を完全に一掃したいと言っているけれども、五十二年に積滞が一掃できますか、そんなわけにはまいらぬでしょう。もちろんこれは公社だって採算はある面ではとらなきゃならぬでしょうから、経営もそういう面では苦心を要するところでありましょうけれども、性能がよければ高くてもよい、こういう理論は電信電話ではそういうことを言ってはいけないんじゃないですか。私はそう思うね、公共性を要求されるわけですから。浅見さん、そう思いませんか。  これからも、それじゃこのプッシュホンというのは高くてもいいということになるんですか、そうじゃないでしょう。山間僻地、利用度の少ないところでも、そう電話というのは高く取ってないでしょう。どんどんかけてくだされば効率もあがるというので、従来、公社は効率のあがるところをやってきたんでしょう、企業優先をやってきたんでしょう。会社、事業所はたくさん電話をかけてくれるからそちらへかけます、家庭用はだめです、三千円も四千円も使ってくれなければそろばんに合いませんというんで家庭用はあと回しにされたんでしょう。しかし、いまの社会はそれを許さなくなって、やはり公共優先、福祉優先という国の政策転換を来たしておるわけですから、国といえども企業べったりばかりそうやっちゃいられないでしょう。しかし郵政省の監理官がそういうふうに、いやプッシュホンは性能がいいから、サービスが高度だから高くてもいいと言われては、これは電信電話の社会公共に奉仕するという考え方からほど遠くなるんですよ。これは利潤追求をさらに一歩前進させたと、こういうふうにしか私は邪推をせざるを得ません。  これはくどいように食い下がって恐縮でありますが、あなたの考えだとプッシュホンは性能がいいんだから高くてもいいという考え方だと思う。そういうふうに受け取ってよいのですか。私は、もう本実施に移すと言っているんだから、期間の問題だけですから、時計の問題だけですから、一般黒電話同様の料金にすべきだという点に立って質問しているわけですから、私のほうが荒唐無稽なら荒唐無稽、あなたのほうが正しく、サービスがよいのならば当然あたりまえだとおっしゃるなら、もう少し明確に言ってくださいよ。その点を公衆電気通信法に照らしてひとつお答えをいただきたい。
  184. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) もとより電話の普及に関しまして、公社は公共性という立場に立ってこれに当たっておるわけでありまして、加入申し込みに即応し得るような基本的なあり方を妨げるような営業政策等は許されるものではございません。したがいまして、先ほども申しましたように、五十二年度末を目ざしての全国規模での積滞解消があくまで最高の任務であるというふうに私どもも公社も考えておるところでございます。  片や、企業性と申しますか、独立採算という立場からいたしまして、一種の刺激と申しますか、企業としてのあり方をプロモートする要素というものもなければならないようにも思うわけでございまして、その場合に新しい技術のものが開発されまして実用化されようという場合に、それに投じられました資本の回収でありますとか、現実に売る商品のコストの計算等からいたしまして、当然に割り高な商品なりサービスが出てまいることもまた許されるべきではなかろうかと思うわけであります。で繰り返しますが、そういうような営業政策が本来的な公共的な任務を妨げるようなことがあってはならない、そういう観点から今後とも指導してまいりたいと存じます。  また、ただいま問題になっておりますプッシュホンの本実施の際の料金につきましては、本実施の際に、あらためて今後の普及見込み、あるいは先ほど申しました投下資本の回収の態様等をあらゆる角度から検討いたしまして、あらためて考えてまいりたい、かように考えます。
  185. 森勝治

    ○森勝治君 大臣、失敬でありますが、郵政省は五カ年間試行を認めてきたんですよ、そのときになってあらためて考えるとおっしゃられたら困るんですよ。これは試行の時期ははるかに過ぎたんですから。いいですか、もうためしは終わったのですから。公社も本腰を入れて五十万個もことしつけようというんですから、当然これは本実施に踏み切るべきだし、本実施に踏み切るときになってから料金体系をいかにすべきかと考えるとおっしゃるが、これではいかぬですよ。これでは。  どうして、こういう問題になると郵政省は消極的なんです。電信電話のあり方について、郵政本省の中では直接タッチしない諸君だってそっちのほうがっていうんで研究会なんか開いてみたりしている。さてこういう問題になるといつやるかわからない。おそらくこれは取り組んでいないでしょう、本実施になったときにはたして高料金でよいものやら普通の料金に戻してよいものやら、そこまでいっていないでしょう。五カ年間公社から言われればやってみなさいと、それでは公共性というものから疑われてきて利潤追求ばかり目ざしていると言われざるを得ないんですよ。私どももそれじゃ指摘をせざるを得ない。  プッシュホンだって確かに従来の黒電話よりいわゆる多目的に多少なっています、しかし、そうめちゃくちゃに多目的ではないですからね、あの電話だってね。それほどめちゃくちゃに近代文明の利器だと、こういまの段階では言い得ないわけですから、多少便利かもしれませんが、それにしてもためしの時代はためしですから、料金がいささか高くつきますというのはやむを得ないとしても、本実施のときくらいは当然これは同じにしなければ、いまのようにプッシュホンならすぐつけます、黒電話ならなかなか間に合いませんという、そういうやり方をいつまでもされては困るわけです。  いまその機材に投下した何かコストのことを言っておられますが、だって機械は買うんでしょう、あれはみんな一々。プッシュホンだけは試行ですからね、違いますか、無料サービスですか。
  186. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) プッシュホンにつきましては公社が設備その他全部いたすわけでございまして、お客さんが自分で電話機を買ってきておつけになるというわけじゃございません。  それから、先ほどちょっと私の説明が不足で申しわけなかったわけでございますが、プッシュホンにつきましては、プッシュホンの電話機が一般の電話機より高うございますし、それから短縮装置等を局内にやりますので、その辺の関係で付加使用料として千三百円いただいておりますが、したがいまして、これはコスト見合いでいただいておるわけでございまして、それから先ほど二割ほど増収になっておると申し上げましたのは、この千三百円のことではございませんで、お使いになる度数料のことでございまして、便利なために一般の黒電話よりもよけい使う回数が多い、こういう意味で申し上げたわけでございます。
  187. 森勝治

    ○森勝治君 郵政省ひとつお答えいただきたい。
  188. 原田憲

    国務大臣原田憲君) いまだんだん聞いておりまして、プッシュホンという新しい機材というものを五年間臨時的にやって、それは別な料金を取っておったが、本実施というと臨時的なことをなくなるという制度の中で料金をいままでと同じように取っていくということはどうか、こういうことであろうと思います。  私は、まだこのことについて十分の理解ということが——結論としては、検討をさしていただきたいと思いますが、電話機もいろいろ形がございますけれども、その電話機が全部全国的に売られておって、それが全部本契約になっておって、そうして料金が違うというやり方がいいかどうかということについていま御指摘があったと思いますので、検討を真剣にいたしたいと存じます。
  189. 森勝治

    ○森勝治君 次の質問の問題が控えておりますから、心ならずも私はこの点についてはきょうはほこをおさめますけれども、いいですか、私は本実施の暁は黒電話と同等の料金にしなさいという主張をしたわけですから、そういう線にのっとってひとつ御検討を願いたい。  そこで次の問題に移ります。加入電話の優先設置基準についてであります。  何か三月二十二日に、電電公社は郵政省に対しまして加入電話の優先設置基準改正の認可申請をお出しになった模様でありますが、その内容をひとつ郵政省からお聞かせ願いたい。
  190. 浅見喜作

    政府委員(浅見喜作君) 日本電信電話公社から私のところに加入電話優先設置基準の改正に関しまして認可申請がまいりました中身は、基準を次のように改めようとするものであります。「(一)加入電話の加入申込等については、原則として電話取扱局で受け付けた順序に従って承諾する。」つまり受け付け順でございます。「(二)国の機関等が設置する加入電話、社会福祉用に設置する加入電話その他公共の利益のため必要な加入電話の加入申込等については、(一)にかかわらず、その加入申込等を優先的に承諾する。(三)加入申込の状況等からみて必要があると認められる事務用の加入電話の加入申込等については、他の加入電話の加入申込等」ただし先ほど申しました(二)の部分を除きますが、「より優先して承諾することができる。」以上でございます。
  191. 森勝治

    ○森勝治君 従来の設置基準から見れば少しは変わった模様でありますけれども、いま浅見監理官が読み上げましたように、事業用の加入電話が住宅用の加入電話の申し込みに優先するということならば、これはいままでのところと少しも変わらないわけですね、そうでしょう。変わらないということは企業優先であり福祉優先ではないということであります。  もし違うというならば、運用面でどうされるのか、この点お答えをいただきたい。どちらからでもいいです。
  192. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 先ほど監理官から御説明ございましたように、従来の申し込み優先設置基準といいますのは一順位から六順位までございまして、非常にこまかく分かれておるわけでございますが、しかも住宅電話につきましては五順位というような順位になっておったわけでございますが、現在、先ほどから御説明いたしておりますように、五十二年度末においては全国的規模で加入電話の積滞を解消するということで公社が加入電話の設置を進めておるわけでございますが、現在におきましてもすでに東京の中心とか大阪の中心、こういうところは申し込み順でどんどんつけておるわけでございます。それから設備がまだできておらないところ、こういうところについては予算の中でワクがございますので、ある程度優先設置基準を適用してやっておるというような、両方が混在しておるわけでございます。  しかし、いずれもう五十二年度末ということになりますと目の前に近づいておりますので、従来のように複雑なこまかい優先設置基準にしておくのは現状に合わないということで、もちろん完全充足になればこれらの優先設置基準は要らなくなると思いますが、現在はまだこういう予算の範囲内である程度優先する順位をきめなければならぬ地域等もございますので、一挙に廃止までいかないということで、従来のをできるだけ簡素化するというやり方で考えたわけでございます。  したがいまして先ほども監理官からお話がございましたように、原則は受け付けた順序でつけてまいります。しかし予算等の関係もございますので、そういう場合に国の機関とかあるいは福祉電話とか、そういうようなものにつきましては最優先でおつけいたします。したがいまして福祉用の電話とかあるいは公共のために必要なものはやはり依然としてまだ最優先でおつけするということできめたわけでございます。  最後の項で「事務用の加入電話の加入申込等については、他の加入電話の加入申込等より優先して承諾する」ということにいたしておりますが、これは福祉電話とか国の機関のように優先的に承諾するというのではございませんで、どうしてもそういうふうにしなければやむを得ないというような場合に「承諾することができる。」というふうにしておるわけでございまして、その辺のニュアンスが従来と違うわけでございます。  以上でございます。
  193. 森勝治

    ○森勝治君 いま原則という表現を用いられましたが、公社がいま郵政省に設置基準についての申請をされている内容というものは、優先順位というものはつけることなく原則として先着順であるということ、先の申し込み者を先につけるということの原則論で行なうという精神規定ですよと、こう言っているわけですね、その点は。ただ特定な場合に限りそういうことがあります、だからそれがにしきの御旗でありませんと、こういうことですね。  あなたが原則ということばでおっしゃっておられるから、私はたたみかけるわけじゃありませんが、それをお伺いしているんです。
  194. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) ここで原則と申し上げましたのは例外があるわけでございまして、その例外として(二)に書いてございます国とか地方公共団体とかあるいは福祉電話とか、こういうものは最優先でつけますというところ原則の例外になるわけでございますが、それから三番目のところもおっしゃるように原則は受け付け順でございますので、どうしても事業を優先しないと予算の範囲内でできないというような場合にするというわけでございまして、したがいまして(二)、(三)がこの原則の例外であるというふうに考えております。
  195. 森勝治

    ○森勝治君 大事なことですから、たたみかけて恐縮でありますが、三月の二十二日、郵政省に対して公社が出しました加入電話の優先設置基準改正の認可申請というものは、原則として申し込み順であるということ、そういうことですね。ただし五十二年までは充足に事欠いているときだから、多少そういうふうに公共性とか、そういうものによっては先につけることがありますけれども、これはただし書きであるから、あまりこれをにしきの御旗のように振りかざして利用しない、こういうことですね。
  196. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 先ほども申しましたように、多少二番目と三番目とめニュアンスが違うわけでございますが、二番目の国の機関、福祉電話、公共的なものにつきましては、これはいずれにしましても最優先的につけるということでございます。したがいまして先生がおっしゃいましたニュアンスが出てまいりますのは三番目のところでございます。
  197. 森勝治

    ○森勝治君 私が言ったのは事務用電話と言っているんですよね。事務用電話の場合には民間とお役所の場合あるでしょう、そうじゃないですか、事務用でもいろいろあるでしょう。事務用でも個人企業の場合もあるし会社の場合もあるし、会社でも合資会社、いわゆる有限会社や無限責任会社、たくさんあるでしょう。だから受け付け順にしなさいと、こう言っている、事務用というものを。  あなた方が言い、いま浅見監理官が言われた事務用電話を優先的に承諾し得る——今度は承諾し得るとなっているね。得るというんだから、やらなくてめいいわけだとおっしゃるから、原則としては受け付け順ですねと、これが原則なんですねと、しかし事情によっては、ただし書きだから、ただし書き条項ばかり発動されたのじゃたまったものじゃありませんから、そうめったやたらに使わないんですよと、それはいわゆる精神規定のようなものですねと、私の質問は舌足らずだったかもしれませんが、そういう意味で私は申し上げたんですよ。
  198. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 先生がおっしゃいますように(一)が原則でございますので、(二)につきまして事務用——おっしゃいますように国のも事務用でございますし、一般企業のも事務用でございますが、国のものは(二)で最優先的におつけいたしますので、それ以外のものということになってまいりますが、それにつきましては、原則は(一)でございますので、(三)をやたらと発動してこの原則をこわすというような考えは持っておらないわけでございます。
  199. 森勝治

    ○森勝治君 わかりました。それでは将来は、事務用電話を優先的に承諾し得るということばは、これはもう空文化するものである、こういう意味になりますね、推測すると。  ここは非常に大事ですから、これは窓口で市民との論争の種ですから。皆さんはここで通り一ぺんのお答えをされりゃけっこうだが、窓口ではそれでは解消しないのですよ。それで大事なことですから、事務的にはごく簡単なことですけれども大事なことで、これが営業窓口係の悩みの種なんですから、こういう条項がたくさんあるために市民からねじ込まれて悩みの種ですから、私もしつこくあなた方の明確性をいま求めようとして再三質問をしているわけです。
  200. 玉野義雄

    説明員(玉野義雄君) 先生おっしゃいましたように、五十二年度末に近づくに従いまして、何といいますか受け付けました順序でつけていくという地域がどんどんふえていくわけでございまして、完全充足した暁におきましてはこういうものは要らなくなる、こういうふうに私たちも考えております。
  201. 森勝治

    ○森勝治君 総裁大臣もいいですね。  いま申し上げたように暫定的に事務用電話は優先的に承諾し得るという条項があるけれども、完全充足というのは五十二年を指向しての話だろうと思いますが、完全充足すれば順番もヘチマもないんですからね、それからは条項なんか何あったって関係ない。完全充足というのは申し込めばだれでもつけるのだから優先もヘチマもないんですよ、完全充足というのは希望の向きに全部御期待にこたえるのですからね。ですからそれは問題ありませんけれども、今度郵政省に設置基準の改正を出した趣旨というものは、いま私が玉野局長質疑応答したそういう内容のものですと、ですからただし書きをあまりこうひけらかすことはないと、こういうことですね。これは大臣総裁もその点はお認めいただけるでしょうね。
  202. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 先ほど来営業局長が答えたとおりでございまして、原則として申し込み順によるということでございます。
  203. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私もそのとおりだと思っております。
  204. 森勝治

    ○森勝治君 それでは、その点は原則として申し込み順だという確認をいただきましたから、次の問題に移ります。  いわゆる福祉電話という問題について若干触れてみたいと思うのです。  福祉電話の中でいま一番世人の耳をそばだてているものは寝たきり老人に対するいわゆる老人電話と申しましょうか、寝たきり老人対策の福祉電話であります。この寝たきり老人の電話というものは優先的に便宜をはからうということで、いわゆる行政措置としておやりになっている模様でありますが、単に優先的に電話をつけてあげるという、これはあげるんじゃないです。これは使ってもらうわけですから、いわばお客さまになるわけです。しかしこれは優先的に電話をつけてあげる、ここにいわゆる架設の承諾をするだけでなくして、いわゆる債券の免除とか基本料、またその他の軽減措置をはかるべきではないかと私は考えます。  この点については、たとえ話が違いますが、NHKの場合には聴視料を免除または半減ということ、たとえば公害等、航空機騒音、こういう問題について、あるいは新幹線の障害等についてはNHKが自主的な立場で減免措置をいましておるわけですね。だから公社がもし企業優先というからをかなぐり捨てて福祉優先、すなわち国民の福祉の立場に立つというこの総裁の年頭のあいさつをそのとおりいただくとするならば、当然、そういう問題についても御配慮あってしかるべきものと私は考えながら総裁にこの点を質問いたします。
  205. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  現在の法律自体からまいりますと、料金の減免というのは非常に特殊な場合しかできないようになっております。したがって老人福祉の電話を架設する場合の措置といたしまして、料金減免はできない、現在の法律ではできないわけでございます。  ただ、私たちといたしまして、老人の方が、たとえばいろいろめんどうを見ておられる福祉事務所、そういうところ一つボタンを押せば直ちに連絡できるような、そういうワンタッチテレフォン、こういう福祉用の電話を開発するとか、そういう技術面におきまして、あるいは先ほど来経理局長が答えましたが、いろんな難聴者用の電話とかあるいは盲人用の電話とか、そういうものを十分開発する、そういう技術面におきまして最大のことをしたいと思います。  それからなお、現在、たとえば寝たきり老人等につけております電話は、実際問題といたしまして地方自治体の名前でつけておりますので、たとえば債券等は免除にもちろんなっております。ただ福祉問題については電話以外に私はいろんなものがあると思います。したがって国で電話に対するウエート、それからそのほかいろんな医療に対するウエート、そのウエートづけというのは公社としてはできないわけでございまして、そういう意味で、この福祉関係全般の政策というものはやはり国でおきめ願う必要があるんではないか、このように考えます。
  206. 森勝治

    ○森勝治君 大臣、いま国できめてもらいたいという意見が出されておるわけです。この点、どうですか。  これはNHK予算の場合にもややこれと相似た問題が提起されましたね。私も質問を申し上げたところですから、ついせんだってですから御記憶新たでしょうから、NHKの問題ともからませて、あの問題を思い起こしながら、いまの総裁のおことばにひとつこたえた御意見をいただきたい。
  207. 原田憲

    国務大臣原田憲君) NHKは、NHKの事業を始めましたときから、いわゆる福祉関係、教育関係等にNHKの聴視料を免除するということを行ない、これを郵政省で認めてきたわけでございます。  この電電公社の電話料金その他も、やはりそうみだりに何でも無料というわけにはまいりませんで、これはこちらのほうでよろしいということになる性格のものでございますが、いま総裁が言いますように、その順位ということになると、国のほうでと言われるのはもっともなことであると思います。また私どもといたしましては、そういう場合の行政となりますと、今度はこれが厚生省あるいは福祉関係ということでございますから問題が非常に大きくなってまいりますが、具体的な問題として取り上げられておるところの老人の電話であるとか、あるいは寝たきり老人の電話であるとか、こういうものに対しますところの技術的な開発は電電公社でいたします。あとのことについては国で順位をきめ、その他の施策について考えてもらいたいということにつきましては、私ども考えてこれを推進していくべきである、このように考えます。
  208. 森勝治

    ○森勝治君 いまのおことばは、NHKの予算案のときにも論争いたしましたが、NHKが減免措置をとるということは自主的にNHKがやっておりますが、これは本来国がやるべきものであって、NHKもだからこれは将来国がやってもらいたいという意見を出されているわけです。総裁のおことばもそうですね。  たとえば免除するのはけっこうだが、日本国じゅう免除ばかりしていたら公社はやっていけないということ、これは当然なことでございますけれども、そういうことになりますね。したがって、それならばやっぱり寝たきり老人の通話料等については国がこれを責任を持って公社に支払う。たとえば基地周辺の騒音等については、防衛庁がその加害原因者てあるならば防衛庁がNHKに——まあ名目はいろいろあります、助成金、補助金その他の名目がありますが、いずれにしても防衛庁がNHKに金を支払っていることは事実でありますから、やはり国がそういうふうに肩がわりしてやっていくのが福祉国家への一つの具体的なあらわれだと思いますから、当然これは閣議等でも問題になるでありましょうし、これは電電公社の料金ばかりじゃありません、その他の公共料金みんなそうでありますが、そういう問題についてはぜひとも将来国が全部、それはたとえいま現時点では電電公社が多少の肩がわりをいたしましても、本来あるべき姿は国が全部しょわなければならぬことですから、そういうふうに向かってひとつ御努力をいただきたい。
  209. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 努力をいたします。
  210. 森勝治

    ○森勝治君 だいぶ時間もたちましたから、私はほかにもまだあるんですが、いま春闘関係の問題について大臣と公社総裁の所見をただしてみたいと思うのです。  御承知のように、ことしの春闘は国民の生活のかかった春闘であります。したがって労働組合の諸君の実力行使については、国民は従来と違ってむしろがんばれという声が出ておる模様でありまして、いかに国民が生活苦にあえいでおるかという一つの証左になるだろうと思うのであります。  さて、今次春闘の中の組合側のスローガンの一つにスト権奪還ということばがあります。御承知のように、これは国の力でストライキ権を剥奪されておりますから、皆さんはもとの昔の姿に返せということで要求をしているわけであります。しかも、この春闘はもうすでに大詰めに差しかかっておりまして、しかも国民的ゼネストの時期が目前に迫っております。ことに全電通の場合には、国民要求ということもありますけれども、スト権の問題を掲げてかつてないストライキを設定をしております。この点はすでに総裁と幹部の皆さんも御承知のはずだと思うのでありますが、この事態というものを公社はどういう眼で見ておられるか、これは副総裁からお答えいただきたいと思います。
  211. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 御案内のように、ことしの春闘は例年と違いました単なる待遇改善のほかに大きな柱をセットにして要求しております。組合のスケジュール等を考えますと容易ならない事態を非常に憂慮しておりまして、日夜、政府なり組合と団交を重ねております。  この事態の推移をどう考えるかと言われれば、ただいまのところスト対策として全通信局を駆使しまして万全の措置をするという以外に対内的にはございません。対外的には、できるだけ早く回答を出して一刻も早く終息するように関係方面の大蔵省、労働省等に総裁も私も陳情しております。
  212. 森勝治

    ○森勝治君 かつてしばしばゼロ回答というものが賃上げ交渉の場合にはありましたけれども、狂乱物価、今日より過ぐるものなしといわれている昨今でありますから、まさかことしはゼロ回答というような愚を繰り返すことはないでしょうね。私はあえて愚という表現を用いて質問をしたいと思うのです。
  213. 秋草篤二

    説明員(秋草篤二君) 私もこうした問題にかれこれ十二、三年携わってまいりました。過去におきましてはゼロ回答というものが十年近く続きましたけれども、六、七年ほど前、総裁みずからやはり公社の自主能力というものをできるだけ発揮して有額回答というものに持っていかなければいけない、いやしくも組合の待遇に対してはできるだけまじめに対処しなければいけないという姿勢から、私どもは率先して、ほかの単産組合あるいは関連の局とは違っても、できるだけ早く有額回答をする、同時に調停決着をすることということに信念を貫きまして、ただいまから四年ほど前から有額回答が出てまいりました。昨年のような額もまた時期も、まず世間に受け入れられるような有額回答が出ておれば、これが十五年、二十年前から行なわれておれば、あるいはいままでの労使関係もかなり変わっていたのじゃないかというような実感すら持っております。したがいまして、ことしなどはゼロ回答なんということは、私はあり得ないと思っております。
  214. 森勝治

    ○森勝治君 郵政大臣にお伺いをしてみたいと思うのですが、私はスト権を持たせるべきだという立場で質問をしているわけであります。  そこで、お伺いしたいのでありますが、郵政大臣という重要な立場に立つあなたは、スト権を持たせようという私の主張について、どういうお考えがおありか、お聞かせを願いたい。
  215. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 森さんがスト権を持たせようという考えを持っておるのだということにつきましては、私がとやかく言う筋合いのものではない、このように思います。  ただ、私は、現在郵政大臣をつとめておりまして、法によって行政を進めていくという立場にあります関係からお答え申しますならば、電電公社の職員その他郵政事業に携わる職員の争議権というものにつきましては、これはいみじくも先生が先ほど言われましたように、スト権奪還ということばにありますように、現在ではストは禁止をされておる、こういうたてまえになっておりますので、これにつきまして、私が森先生の御意見についてとやかく言う筋合いのものでないと同時に、私といたしましては、法律を守るという立場に立たなければならないわけでございます。  なお公務員制度審議会の答申におきまして、この問題は長く論議されてまいりました。争議権の労使関係に与える影響、争議行為の国民生活に及ぼす影響、事業予算に関する国会審議権、経済原則による抑制力の不足等の問題があるということで、この審議会の中でも、スト権は与えるべきだという議論、あるいは条件つきの議論、あるいは全面禁止等の議論を総合して、こういう問題があるから総合的な見地に立って対処する必要があると考えておりますが、特に電信電話事業は国民生活にきわめて広くかつ密着したサービスを提供するものであることに考慮を払い、目下、答申を尊重しつつ関係連絡会議を中心に慎重に検討しているところでございます。これが私のお答えでございます。
  216. 森勝治

    ○森勝治君 大臣、私は重ねて申し上げますが、スト権を与えるべきだという立場に立って質問をしているわけです。このことについて論評を差しはさむことは控えると言われることは私としてまことに困るのです。  ただ法違反だというような意味のことを言われましたが、私は、その辺、いま迫りくる最高の春闘の山に差しかかっているところですから、私どものような立場の者とこういう公的な場でスト権是非論について御議論をかわしていただきたい。これがあるいは紛争を未然に防ぐ一つの導火線あるいは解決の一つの活路ともなれば私は幸いだと思うのです。そういう願いを込めて、私はあえて六時半にもなんなんとするこの時間に、迫りくる労使紛争を解決せんものと心から願いながら、大臣、時間がおくれて恐縮でありますが、そのことについての御意見を求めているわけです。  御承知のように、公労協をはじめ国公、地公などのいわゆるスト権のない組合がすべてストライキを打つ情勢になってきておるわけです。これは大臣お認めになると思うのです、まあ是非論はさておいて、その現実の姿というものは大臣のほうにも報告がいっておるでありましょうから御承知のはずであります。しかも、それはほとんどといってよいほど賃上げ要求に起因するものであります。この実態というものは公企体労働者をはじめ国家公務員、地方公務員の賃金が常に民間よりも低くずっと押えられてきているためでありまして、公労法そのものが全く賃金を低く押え、しかもストライキをやらせないという手かせ足かせとなったために、すべての労働者の賃金を低く押え込む役割りをむしろ果たしておる、こういうところから労働者の生活権というものを否定しておるのじゃないかという考え方が生まれてきまして、たとえ法定禁止であってもストライキをやらざるを得ないように労働者を追い込んできておるわけです。私はそう指摘せざるを得ないのであります。いわんやこの悪性インフレ、物価狂乱の中で国民の世論というものも、先ほどちょっと触れましたが、ストやむなしという、こういう方向に変わってきていると思うのです。  これを国際的な立場で見ましても、公企体なり政府関係労働者がストライキ権を持っている国はたくさんあります。西ドイツでもことしに入ってから官公労がストライキをやっておることは大臣御承知のとおりであります。こうした国内外の情勢からするならば、私が主張いたしましたように、当然スト権を与えるべきだと私は強く考え、強くこれを主張するものであります。  したがいまして政府閣僚の一員であるあなたに重ねて、森さんがそう主張するのはけっこうだが森さんの発言に論評を加えないと、そうおっしゃらないで、もう少し愛情のある、あたたかみのあるひとつお答えをいただきたい。反対なら反対でもいいです。あなたとここで議論やろうと宣戦布告されてもけっこうです。私のほうは喜んで大臣の宣戦布告に応じますから、ひとつ御意見をお聞かせいただきたい。
  217. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私の意見は、先ほど論評を加えたくないと言ったのは、森さんと私との間柄でありますからそういう表現を使ったのでありますが、しかし、あなたがお問いになります点に対しましては、やはり私の意見も言わなければならないと考えまして、あとの意見を申し上げたところでございます。  この微衷をくんでいただきたいと思うのでございますが、なおのお尋ねでございますからお答えいたしますならば、いまあなたがおっしゃいましたように、ILOにおきまして、この種の問題は長く討議をされ、簡単に結論的に申しますと、これは日本の国内でもう一度よく考えろと、国内で。再びILOに持ち出せない。日本国民の中で論議をして結論を出すということに立ち至っておることは森さんよく御承知のとおりでございます。その中にはストライキをやってそれが合法であるところもございます。しかしストライキを支持する意見もあればストライキを支持しないという意見もございます。これらのことを、先ほど申し上げましたように、公務員制度審議会におきまして長く議論をいたしました。その結果、答申が出まして、その答申において指摘されておりますように、現業職員の争議権の問題については、争議権の労使関係に与える影響、争議行為の国民生活に及ぼす影響、事業予算に対する国会審議権、経済原則による抑制力の不足というような問題点がある。この問題を総合的な見地に立って対処する必要があると考えております。特に電信電話事業は国民生活にきわめて広くかつ密着したサービスを提供しているものでございますから、そのことに考慮を払って、目下、答申を尊重しつつ関係連絡会議を中心に慎重に検討しているところでございます。これが私の意見でございます。  重ねて申し上げますが、森さんがこれは争議権を与えるべきである、こういう立場に立っておられることを私は万々承知しておりますが、私はまた今日行政の責任者といたしまして、この現在の法律の中で行動をしているというたてまえに立ちますと、法律に違反するということにつきましては、いかに同情的に考えましても一それがよろしいと言うことはできないのでございまして、先ほど申し上げましたことが私の意見でございます。
  218. 森勝治

    ○森勝治君 総裁、公社として、いまの私の主張並びに質問について、お答えがあらばお聞かせいただきたい。
  219. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  私自身、公務員制度審議会の答申をよく読みました。いまの御質問のスト権の問題につきましても公制審のそれに関連する意見が出ておりますが、公制審として明快に一つにまとまった意見というふうには理解いたしておりません。これに関連するいろんな問題があることも事実であります。  私といたしましては、この問題につきましては慎重に検討したい、これが私の答弁でございます。
  220. 森勝治

    ○森勝治君 大臣に重ねて御質問をいたしますが、大臣法律違反だと、こうおっしゃっておられるわけです。しかし労働者は法律違反だと言われようが何と言われようが、自分たちの権利を回復するんだと真剣になっております。そこで労働者側が法律違反を犯せば情け容赦なく罰則を適用し、政府が法を犯した場合にはほおかぶりで時を過ごすということであるならば、それは全く片手落ちこれに過ぎたるはなしと指摘せざるを得ないのであります。  そこで、私は申し上げたいのでありますが、法を守れという、たとえば現在の公労法を見ましても、労働条件については団体交渉できめることができる、こうなっております。ところがどうでしょうか、現実というものは。労働条件の中で最も重要と目される賃金の問題については全くこの団体交渉できめることができないのがいまの公労協、官公労の姿ではないでしょうか。だとするならば、公労法で団体交渉で賃金等をきめるとなっておるのですから、きめてくれなければ困るけれども、たとえば公社に例をとっても、当事者能力はないように政府はしておるわけです。ですから、大臣のおことばでありますが、組合は法違反を犯している、あるいは犯すおそれがあるという御指摘でありますが、むしろ当事者能力を与えないあなた方が、いま申し上げたように賃金の問題についても公労法では団交でできるといっておるけれども、それをさせない、むしろあなた方のほう、政府のほうが公労法違反ではないかと私はあらためてここで指摘せざるを得ないのであります。  したがって、この点大臣はどうお考えになりますか。あなた方は公労法違反をしてないとおっしゃるのですか。
  221. 原田憲

    国務大臣原田憲君) この問題につきましてはもう数次議論を重ねられておるところでございますが、お互いに話をしても結末がつかないというところから、順次次の段階に進んで決を求める、こういうふうに進んでまいっておりますから、これが公労法に違反しておる、こういうことは言えないと思います。
  222. 森勝治

    ○森勝治君 それならば、賃金のことについても労使対等の場で決定することができるという公労法のとおり、じゃやらしてくれますか、電電公社。やらしてくれますか、あなたがおっしゃるなら。させてくれないでしょう。議論の余地はないんですよ、議論の分かるるところもないんですよ、疑いを差しはさむ余地もないんですよ、公労法に明記されているわけですから。ただ大蔵省等で予算上、資金上ということで逃げの手を打っているだけの話でありますから、だからすみやかにそういう不備なところは改めてくれなければ困るのですよ。だから、ストをやったからけしからぬといって罰則ばかり適用することはよき為政者の行なう道ではないと先哲はわれわれに教えてくれているわけですね。  田中さんは、何かめんどうくさいから民営にしちゃうと、そしてスト権を与えようなんて、あまりにもぶっきらぼうで思いつきを言っておられますけれども、そういう思いつきで労働対策をやられているのでは全く迷惑です、これは。いまの話だと、だれか部下に耳打ちされて——私はいま大臣に見解を求めて論争をいどんだわけです、私情を殺して。大臣はだいぶ真剣の情を示されて、あなたとは議論をしないとおっしゃったが、私は私心を捨てて、この問題は大乗的見地に立ってわれわれも当面する紛争を解決しなきゃならぬ、懸案事項を解決しなければならぬと思えばこそ、こうして大臣の見解を求めているわけであります。  それで労働者がストライキをやるのを法違反だと言う。われわれは、ストライキを禁止していることがもう無理なことであって、よしんば皆さんに百歩譲って、皆さんのおっしゃるように法律違反だとおっしゃるならば、公労法を私のほうは逆にたてにとりますから——法律をたてにとって、そちらの見解をいま求めておるのですよ。当事者能力も与えないでおって団体交渉でおやりなさいなんていったって、解決を見たことがありますか、いつもいつもトップ会談できめていっているんでしょう。政府の官房長官やなんか出てきてきめているのでしょう。おかげでわれわれもときには夜も寝られないときもありますな、東奔西走しなければなりませんから。  ですから、あなたも有力な閣内大臣の一人でありますから、ひとつ政府の片手落ちな取り締まりというのはやめてもらいたいのです、公平無私にやってもらいたいのです。公労法できめなさい、団交で。これは三回言いますよ、大切なことです。  三度繰り返しますが、賃金の問題は、公労法の定めるところによりますと、団体交渉できめなさいといっているのです。きめなさいと政府はいっているけれども、労組側の一方の当事者、いわば全電通対電電公社ということばを引き合いに出しますと、電電公社に当事者能力を与えてないのですよ。おっしゃるとおりにするならば当事者能力と全部与えてくださらなきゃならぬのです。それを与えないで、しかも奪われたストライキ権というものを働く者が要求をすれば法違反だといって処罰をする。電電公社でも何人一体処罰されたのか、処罰された諸君の顔を一人一人思い浮かべて、両手で数えて一体何日何時間かかるだろうか。そういう弾圧を重ねられつつも労働者はスト権奪還に立ち上がっているのですよ。押えても押えてもなおかつスト権奪還の叫びというのはこの地上から消えないのですよ。この必死な労働者の叫びというのは、人道主義に立つ大臣のあなたの耳にも届いてないはずはない。失敬でありますが、個人としての大臣はスト権を与えてもいいと思っておられると思う、私は。ただ大臣ということで、いわば法を守るのだという立場から、それは法律を守ってくれなければならぬとおっしゃっておられるだけだと思う。いまの社会的趨勢でこれ以上スト権を押えておくなんということはよき政治家のすべきことではないと私は思うのです。私は、労働者の立場に立つ発言でない第三者的な立場の発言でも、識者はひとしくこれを認めるところではないかと思うのです。私はこの点を特に強く大臣に田中内閣として反省を促したいと思うのです。  さらにまた第三者機関等につきましても、先ほど第三者機関の名前を一、二あげられた模様でありますが、政府に屈服していると言わざるを得ないですね。最後にはどうもそのような気がする。  厳たる第三者機関であるならば、労働者もそれを信頼するでありましょう。しかし政府のように、そういう機関でやりなさいといっておりながら当事者能力を与えないでおるのですから、労働者ならずとも腹を立ててくるのは当然であります。ですから政府が法違反だ何だかんだ言ったって、政府みずからが守ってくれないのですから、いかに弾圧というものが頭上に襲いかかろうとも労働者はこのストライキ態勢を解くことはないだろうし、ストライキを進めるというこのまなじりはさらに私は強まってくると思うのです。だからいま大臣は法違反だからと、こういうことで言っておりますけれども、現状というものは、世界の流れというものは、もう皆さんが強権をもって臨むという段階ははるかかなたのものとなってしまったのじゃないかと思うのです。なるほど自民党は資本主義政権でありましょうから資本主義の立場を標榜されるのは当然でありましょう。だからといって自分たちだけが暖衣飽食して事足れりというのでは、これまた世界の大勢にもついていけないのではないかと思うのです。  したがって法違反だから処分をする、処分をするからまたストライキをやるというこの繰り返しということは、もうこの辺でやめていかなければならぬのです。人これを悪循環と、こう評しているわけですから、これでは幾ら大臣がきれいなことばでおっしゃっても、労使の安定などということは求めようといっても求め得るものではありません。特に公社の場合には、公社の運営方策を見ましても、ここにもありますけれども総裁の新年談話にも「労使の近代化」こういうことばで表現をされておりますけれども、公労法で団体交渉で賃金等をきめるということに定められておっても、公社から当事者能力を奪っておいては、これは労使の近代化といかに総裁が声を大にして三十万の従業員に叫んでも、従業員はそんなことでは近代化にはほど遠い、こう言わざるを得ないのであります。  したがって、この際でありますから、総裁に私は率直に聞きたいんですが、いわゆる労使の近代化をはかるためには、名実ともに公社が当事者能力を持たなければ、皆さんが団交のときに明確に組合とお約束もできないわけでありますから、皆さんとしても禁治産者のような発言ばかりしていたんじゃもの足りないだろうし、当然、当事者能力を持つ団体交渉というものをお求めだと思うのです。私はそういう面からも、当然、世界の歴史の流れからいたしましても、スト権を労働者に返すということ——労働者のストライキ権というのは権利でありますから、剥奪しておかないで返すべきだと思うのでありますが、若干私の愚見を交えての質問でありますから少し長くなりましたが、公社の態度をお聞かせいただきたい。
  223. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  当事者能力の拡大は私はぜひ必要である、これは国会でもこれまで質問がございましたときに、そういう答えをいたしております。  それからスト権につきましては、先ほど申し上げましたように、慎重に検討したい、これが答えでございます。
  224. 森勝治

    ○森勝治君 大臣、公社の総裁も、団交の一方の当事者として当事者能力をぜひ持ちたいと言っておられるのです。当事者能力を持たせるということに相なれば——これは私は世界の歴史のおもむくところだと申し上げているわけですから、その辺に政府みずからが新時代に活眼を開いてもらわなければならぬと思うのです。したがって当事者能力をたとえばこの電電公社の場合に持たせるということは、電電公社の労働者に他の民間の労働者のそれのごとくスト権を返してやることだと私は思うのです。この点については、それぞれの機関で進んだ発言もあるので慎重にこのことは対処したいと、含蓄のあることばで総裁は言われておるのです。これは非常に意味深長なことばであります。  そこで、全逓もお持ちの大臣でありますから、直接の関係ではないにしても、やはりこういう問題は全逓労組との関連性もあることでありますから、それらもあわせて大臣考え方を、活眼を開いた考え方をひとつお聞かせいただきたい。同じことを何べんおれに答弁させるんだという、そういう考えはやめなさってないと思うのでありますが、しつこいようですが、ひとつお答えをいただきたい。
  225. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 先ほどの当事者能力の問題に関しまして、公社の総裁がこれを拡大したいという御意見を持っておられることは私はもっともであろうと思います。  当事者能力の問題につきましては、これも公制審の答申にもありますように、経営形態の問題を含めて検討するということになっておるのでございますが、繰り返すようでございますが、争議行為の国民生活に及ぼす影響、それから事業予算に関する国会審議権の問題、経済原則による抑制力の不足というような問題を中心に、今日われわれが検討を重ねておるというところでございます。これをもちまして私どもは真剣に検討しておる、こういうことは御了解を賜わりたいのでございまして、ストを賛成かと言われると、賛成とは言いがたい、こういうことを冒頭に申しておりますけれども、それはお互いの立場で申しておることでございまして、これらの問題につきましてはなお慎重に検討していくべき性格のものであると思います。  なお、私の個人的な見解でストは賛成だと思っているんだろうという御発言がございましたが、私は、個人的には、ストのみか、人類というものが今後ほんとうに和して同ぜずというところへいかなければ、ほんとうのしあわせはこないというぐらいな考えを持っております。
  226. 森勝治

    ○森勝治君 大臣総裁も、今次春闘におけるスト権回復の要求というものは見のがすことができないという意味を込めてのいまの御発言だと私は思うのです。したがって、これは当然スト権を公労協にも与えて、しかもその中でそれを扱う機関等というものをしかるべく設置するならして、そこの機関で預かりおく間は、かりそめにも弾圧とか処分というようなことはしないというように運営をしていかなければならぬと思うのです。  まだスト権を認めるという段階までに至っておりませんのに、これ以上の先走った発言は私の立場といたしましても慎むべきだろうと思いますから、これ以上このことについては言及いたしませんが、世界の激しい歴史の移り変わりの中にありましても労働者にスト権を与えようというのが時の声であり、天の声であります。いかに田中内閣が、失敬でありますが、反動政権をまっしぐらに突き進もうとも、この地獄の底からほとばしるような労働者のスト権回復のことばを消すことはできないだろうと思うのであります。どんな弾圧やどんな迫害が彼らの上に襲いかかろうとも、彼らは執念としてこの戦いはスト権の回復のその日が来るまで続けるでありましょう。このことを私は特にこの委員会の審議を通じまして自民党の皆さん、さらに資本家の皆さんに申し上げておきたいと思うのです。  時間がありませんから、もう少しこのスト権についての明確な問題を引き出してみたいと思いましたが、それができません。それでやむなく次の問題に移ります。  これもスト権に間接的に関係があるわけでありますが、先般の予算関連法案のときに、わが党の山崎君の質問を受けて総理大臣は国鉄の民営論というものを口ばしりました。記者の皆さんにもその後言われたら、いやそれは思いつきでないのだ、おれは真剣に考えておるんだという田中総理の発言でありましたが、何かこれはスト権の問題と引きかえた形で公企体の民営論を国鉄という名をかりて打ち出しているような気がしてならぬのでありますが、この点について郵政大臣としてはどう考えておられるのかお伺いをしたい。
  227. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 電電公社の民営化と受け取ってよろしゅうございますか。
  228. 森勝治

    ○森勝治君 はい。
  229. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 電電公社の民営化の問題につきましては、これはいろいろと戦前から問題とされておりまして、戦後においても公共企業体に関する数次の審議会において民営移管の問題について審議されたことは森さんよく御存じのところでありまして、これらの審議会ではいずれも公共企業体としての制度を存続することとするが、ただし、できるだけ民営の長所を取り入れて合理化すべきである旨を答申しているのでございます。このように電電公社の民営の問題は広く衆知を集めて十分な論議をなされておりますが、要は企業性と公共性の調和の問題でもあり、ひとり電電公社に限らず三公社に共通する問題でもあると思います。  郵政省としましては、あくまで電気通信による国民の利便の向上をはかるため、より能率的合理的な公社経営体制の確立を目ざすということにおいて、現行制度においてもなお運用等において配慮すべきことがないかどうかということを考え、さらに慎重な検討が必要であると考えるものでございます。
  230. 森勝治

    ○森勝治君 総裁、どうでしょうか。
  231. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  これまで電電公社の経営形態につきましては、いろいろ臨時行政調査会等で答申がございます。私は、現在のところ、電電公社の民営論というものは考えておりません。
  232. 森勝治

    ○森勝治君 ただいまの大臣総裁のことばは、現在の日本電信電話公社というもののいわゆる経営形態というものを変えるべきではないという、こういう立場の御発言と承りましたが、そのとおり確認してよろしいですか。
  233. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 私は絶対に変えて云々ということを言えないと思いますので、最後に慎重な検討が必要であるとお答えを申し上げておるのでございますが、現行の制度においてもなお現在の電電公社の制度の中で国民に対するサービスということが十分できるかどうかということに重点を置いて考えていくべきだと、こういうことに重点があると思います。
  234. 森勝治

    ○森勝治君 電気通信事業の現状、さらには情報化時代という展望に立ちまして企業というものを考えた場合には、情報通信としての経済社会、国民福祉に果たす役割りというものは御承知のとおりますます大きくなってきたということができます。すなわち公共サービスを提供するというこの責務を考える場合、公社も民営とするような条件は何一つ考えられないのではないかと私は思います。したがって、いま大臣総裁からるるお話をいただきました中身というものも、いま私が指摘したような立場に立って、そういう現状認識の上に立っての御発言と思うのであります。  したがって万が一にも、私はあれは田中総理の放言のたぐいではないかと思うのでありますが、百歩これを譲りまして万が一民営というようになった場合には、いわゆる一社独占などということは夢にも考えられないわけであります。かつて電力九分割という例もあるわけですから、何社かの競合ということに相なるわけであります。そうなりますと大経済圏とそうでないところでは、経営上の問題からサービスや利用者負担に大きな格差が生ずることは明らかでありまして、いわゆる公共性などということは保持できず利潤追求をもって旨とするようなものに堕しかねないのであります。このような状態にもしなるとするならば、今日の政治経済の動向から照らしましてもとうてい容認できることではなくして、政府としてはこの民営論などということは打ち出すことのできない現状ではなかろうかと思うのでありまして、まあ大臣総裁が現状維持論でありますから、私はそれを信頼いたしましてこの問題についてはこれ以上強く発言はいたしませんが、この点ひとつ大臣総裁に申し上げておきたいと思うのでありますが、御両所現状維持ということでありますから、当然大臣は総理がああおっしゃっても閣内でそのことについてはやはりいまここで明快におっしゃったような主張を続けてもらいたいし、総裁もそういう点について政府に積極的にあなたのいま明言した点を反映させるべきではないかと思うのであります。この点はひとつお約束いただけますね。
  235. 原田憲

    国務大臣原田憲君) 同様の御質問をこの間横川さんからも受けまして、総理はひとつよく勉強してくれというお話が出ました。これは勉強することは私らの使命でございますから、今後もよく勉強して、先ほど申し上げましたように現在の電電公社の中で民営がよいところがあるならその長所も取り入れるという答申も出ておることでございますから、これらについて十分配慮しつつ対処してまいりたいと存じております。
  236. 森勝治

    ○森勝治君 これで質問は終ります。  終わりに臨みまして、大臣総裁に特にお願いを申し上げるという前提のもとで私の考え方を述べて善処方を要望したいと思うのであります。  以上、私からも申し上げたし、そちらからもお答えがありましたように、いずれにいたしましても最大のゼネストの山は切迫してきております。したがって、このような事態は国民生活にも大きな影響が出てくることは必至であります。こういう重大な事態を回避できるかどうかということは、何といたしましても政府、公社当局の姿勢のいかんにかかっておるわけであります。したがいまして、これらの問題の解決にあたりましては、誠意をもってひとつ最大限の努力を傾けていただきたいと思うのであります。  私は時間がありませんからこのことについては多くを語りませんが、私が各種の問題で断片的に申し上げた点は御理解いただけるものと思いまして、最後のことばが非常にむずかしい結びの質問になりましたが、私の舌足らずの点、ことば足らずの点はひとつ御了解いただいて、この空前といわれる今次春闘の混乱を未然に防いで国民福祉の増進に寄与できるようにひとつ誠意をもって郵政大臣総裁も当たっていただきたいと思うのであります。したがって決意のほどをいただきまして私のきょうの質問は終わります。
  237. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) 私も、その解決につきまして、私としてできる最大限をいたしたいと思います。
  238. 原田憲

    国務大臣原田憲君) お話にございましたように、たいへん今次の春闘問題は国民が憂慮してながめておるところでございまして、私ども最大の努力をいたしまして政府といたしましての責務を果たしたいと存じます。
  239. 川村清一

    委員長川村清一君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後七時四分散会      —————・—————