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1974-03-28 第72回国会 参議院 地方行政委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)    午前十時四十五分開会     —————————————    委員異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      山内 一郎君     小山邦太郎君      桧垣徳太郎君     安井  謙君      斎藤 十朗君     増田  盛君     久次米健太郎君     片山 正英君      宮之原貞光君     加瀬  完君      柏原 ヤス君     上林繁次郎君  三月二十八日     辞任         補欠選任      斎藤 寿夫君     竹内 藤男君      安井  謙君     中村 登美君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         久保田藤麿君     理 事                 高橋 邦雄君                 原 文兵衛君                 占部 秀男君                 河田 賢治君     委 員                 片山 正英君                 小山邦太郎君                 柴立 芳文君                 竹内 藤男君                 中村 登美君                 鍋島 直紹君                 増田  盛君                 若林 正武君                 秋山 長造君                 松永 忠二君                 上林繁次郎君                 村尾 重雄君    国務大臣        自 治 大 臣  町村 金五君    政府委員        自治大臣官房審        議官       山下  稔君        自治省税務局長  首藤  堯君    事務局側        常任委員会専門        員        伊藤  保君    説明員        建設省都市局都        市計画課長    野呂田芳成君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○地方税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨三月二十七日、久次米健太郎君、山内一郎君、桧垣徳太郎君、斎藤十朗君、宮之原貞光君及び柏原ヤス君が委員辞任され、その補欠として片山正英君、小山邦太郎君、安井謙君、増田盛君、加瀬完君及び上林繁次郎君が選任されました。     —————————————
  3. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 地方税法の一部を改正する法律案を議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 原文兵衛

    原文兵衛君 時間の関係もございますので、私は今度の改正案のうちの固定資産税の一部についてだけ御質問いたします。  昨年の地方税法改正の際に、宅地に対する固定資産税評価がえによって非常に高くなるんじゃないかということが問題となりました。そのために、住宅用地等改正について手直しをすることが必要じゃないかということが約束されておったのでございます。私どものところにも、小規模ないし零細商工業者からたびたびこの問題について陳情がございました。そこでその後、政府でもいろいろ御検討された結果、今回の二百平方メートル以下の住宅用地については、評価額の二分の一であったのを、四分の一の額を課税標準とする特別措置となったのだろうと思うのでございますが、これにつきまして、まずその面積を二百平方メートル以下としたことについて、これは総理府の住宅統計調査あるいは建設省住宅供給計画または不動産協会需給調査等、いろいろな資料をもとに決定されたことだろうとは思いますけれども、その理由について一応御説明いただきたいと思います。
  5. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 固定資産税、特に土地、その中の小規模住宅用地に対します今回の改正は、ただいま先生から御指摘をいただきましたとおりの理由に出るものでございますが、そのような観点から、小規模住宅地負担軽減いたします場合に、住民にとりまして住居を構えまするに一応最低限度必要な土地と、こういう考え方基準を洗ってみたわけでございます。その結果、住宅調査住宅統計調査等によります都市部住宅平均敷地面積でございますか、これが一応百九十九平米と、こういう数字が出ましたし、そのほか、建設省宅地供給計画におきます最低限の一戸当たり所要面積が約二百平米と、こういうことでもございますし、かつまた不動産協会等調査によりまして、首都圏とかそういうところの平均分譲面積というものを調べてみましたのですが、これもほぼその見当でございます。二百平米と申しますと六十坪でございますので、大体そんなところが妥当な線ではないかということで二百平米を定めたものでございます。
  6. 原文兵衛

    原文兵衛君 二百平方メートルの問題についてはまた後ほどちょっとお尋ねしたいと思いますけれども、次に、その宅地に対する固定資産税課税標準というものは、売買実例価額に基づいて自治大臣が定める基準によって市町村長が決定するということになっていると思います。したがって、土地売買価額上昇しますとどうしても評価額が上がる、税負担上昇するという仕組みになっていると思うのです。  そこで問題となるのは、ここ二、三年来に見られるように、地価の異常な高騰、こういうようなことでまいりますと、地価高騰による税の増額をそのまま住民負担さしていいのであるかどうかという点を考えなければならないと思うのです。  で、昨年、住宅用地固定資産税について、先ほど申しましたように、価格の二分の一で課税する特例をつくったのを、今回さらに小規模住宅用地について価格の四分の一で課税するという特例をつけたのも、こういう点を考慮したものと思うのでございます。ただ、私は、これらの措置住民軽減をはかるためにきわめて適切なものであるとは思いますけれども、同時に、これらの措置が税の負担能力が非常に低い者に対して、異常な地価高騰に伴う税負担のゆがみを、ひずみを是正するという趣旨であるとするならば、実はその住宅用地だけに限るというのでは、減税対象となる範囲が非常に狭過ぎるのではないだろうかと思うのでございます。  ことに、東京のような非常に密集したところで、あるいは東京の下町辺にはいろんな例があるのでございますが、たとえば町中の、駅前通りであるとかいうような非常に人通りの多いところにわずかな土地を持って、そこに小さな店舗をかまえている、そういう零細業者は、とても自分は住むほど面積もない、そこで自分はその近くのアパートの一部屋に住むというようなかっこう零細事業者というようなものもかなりあるのでございます。で、そういう人たち立場を考えますと、自分の家で店を出し、そしてまた営業をし、住んでいるというような人たちと、いま私が申し上げたように、自分は小さなアパート、借りアパートで、借家で住んでいる。その店はわずかな面積であるけれども、人出の多いところに土地を買ってそこにかまえているというような者と同じような立場にあるわけなんですけれども、ところが、一方の、自分の家で営業をしている人の土地の、いわゆる併用住宅の人の土地固定資産税は、住宅用地ということで非常に軽減されるけれども自分はまあ借り家に住む、アパートなりに住んでいる。町中人通りの多いところに小さな土地を持って店舗を出しているというような場合には、その土地は非住宅用地ということで、高い価格課税されるのではないか、こういうようなことになりますと、税負担の公平という点から考えてどういうものであろうか、非常に疑問に思うわけでございます。  私はそういう意味で、零細な、きわめて零細事業主さんに対する事業用土地というものについては、特別に軽減する何か方法がないものかということについて、私はまあこういう方法がいいという、自分でもって特別な案を持っているわけじゃないんですが、その点についての御見解を承りたいと思います。
  7. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま御指摘をいただきました問題は、固定資産税土地に関します問題で根本的に伏在をいたします非常ににむずかしい問題でございます。  最初に御指摘のございましたように、根本的に最近の地価が非常な値上がりを示しておりまして、それに伴いまして評価額増加をしてくる、それにまた伴って固定資産税負担増加をするという事態が生ずるわけでございますが、この土地価格増加評価額増加等が、通常におきます所得の増、あるいは物価増等状況をうんと上回ってはね上がっているというところに基本的な問題があるわけでございまして、本来、固定資産税は、土地所有するというその所有の事実に担税力を見出してかける税でございますから、適正な価格に対して税率をかけて負担を求めるというのが適当でございますけれども、非常に異常な土地値上がりという面で、ただいま御指摘のような困難な問題が出てくるわけでございます。  そこで、住宅面におきましては、御承知のように全般的に課税標準額を二分の一にする、さらに小規模住宅については四分の一にする、こういうことで負担軽減をはかったわけでございますが、ただいま御指摘の非住宅用地の中で、非常に小規模な店舗用地等につきましては、やはり先ほど申し上げましたようなことについて考慮をしなければならぬ問題があると、私どもも考えておる次第でございます。  そこで、これに対応いたしましてことしとっております措置は、個人有の非住宅用地につきましては、評価増加によりまして税負担激変がくるということは非常に望ましくないと、このように考えましたものですから、前年度の税額の一・五倍を上限といたしまして、その範囲内で負担調整をしていくという措置をとりながら、五十一年の再評価の時期に伴います根本的な再検討の時期まで、そういった状況でつないでいこうと、こう考えたわけでございます。なお、まあ御指摘のような小店舗でございましても、いまお話しがございましたが、一部分住居に使っておりますような場合には、もし、その建物の中の二分の一以上を住居に使っておれば全部住宅用地である、こういう見方をすることにいたしておりますし、もし四分の一以上住居に使っておれば、当該敷地の半分は住宅用用地である、こういうように見るかっこうをとりまして、その間の調整もいたしておるような次第でございます。
  8. 原文兵衛

    原文兵衛君 いま言ったような、非常に苦心されていることはよくわかるんですけれども、しかし、それでもなおかつ、ことに自分零細土地でもって、それを何も売ってもうけようというのではない、そこでもって商売をしていくというような人にとっては、やっぱり土地評価額に伴う税負担上昇の率は、自分の販売している商品をそれに同じような比率で値上げするわけにもいかないというようなことで、非常に困っているんだという訴えが非常に多いわけでございます。将来またお考えいただきたいと思いますが、そこで、先ほどの二百平方メートルという点でございますが、都市部は二百平方メートルということでもいいのかもしれませんが、住宅統計調査全国平均では、一戸当たりたしか二百九十平方メートルというような数字が出ているように伺っております。また都市部におきましても、まあ都市といいましても都心部ということだと、二百平方メートルというのは、商店といたしましても相当な面積が考えられるんですけれども周辺部に参りますと——周辺部といっても、ほんとうは最近はもう非常に地価が上がっているんですが、その周辺部に参りますと、小企業といいましても、たとえば町工場ですね、自動車の修理工場であるとか、あるいは小さな部品メーカーといったような町工場でそこに自分も一緒に住んでいるというような場合、そういう場合には二百平方メートルというのでは少し狭過ぎて、そういう人たちを救済できないんじゃないかと思うのでございます。まあ、私はそういうような意味で、その当時、東京国会議員たちもみんな、せめて三百平方メートル、約百坪以上とすべきではないかということを、いろいろと申し上げたのでございますが、これはいろいろ地方団体の税収というような問題も考えてのことだと思いますけれども、将来検討してみる必要があるんじゃないかと思います。局長のお考えを伺いたいと思います。
  9. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま御指摘をいただきましたように、住宅統計調査によって、持ち家敷地についての一住宅当たり敷地面積全国平均約二百九十、こういう数字は確かにあるわけでございまして、こういった点から、三百平米程度はせめて最低限度必要な面積としたらどうかという議論もあったわけでございます。この点につきましても、私どももいろいろ検討をしてみたわけでございますが、ただいま申し上げました約三百平米のものは、いわゆる持ち家平均面積でございまして、いわゆる借家等を含めました平均値面積最低限度必要な面積という面から考えますと、そちらのほうが適当ではないかというようなことも考えたわけでございます。  それから、都市部と郡部の御指摘でございます。これも非常にごもっともでございますが、実は、このような地価の大幅な騰貴がございまして、土地にかかわる固定資産負担通常所得ではなかなか払いにくくなっておるという事態は、地価の非常に高騰いたしております都市部、これにおきまして現象として目立つものであることは御案内のとおりでございますので、そういった点からも、六十坪というところでいいのではないかと考えた次第でございます。  それから第三点は、先ほども御指摘がございましたが、地方団体税収入実額にも響く問題でございますので、住宅用地として最低限度必要なものについて減税をするという線からは、二百が適当かと、このように考えた次第でございますが、なお、住宅状況等の推移に応じましては、当然検討すべき問題だろうと考えております。
  10. 原文兵衛

    原文兵衛君 土地に対する課税適正化という問題につきましては、この法案の附則の第二十二条におきましても、さらに検討することが義務づけられております。そうして、五十一年度の固定資産税都市計画税から適用されるような必要な措置を講ずべきものであるとされていると思うのでございます。このような規定が政府提出法案の中に置かれているということ自体土地課税が非常にむずかしい問題であるということを示していると思うのでございます。税負担の公平というものは、形式的な公平ということではなくて、やっぱり実態に応じた公平でなくちゃならないと思うのです。先ほども申し上げましたように、土地を、何といいますか、土地自体を投機の対象にしたり、土地自体を売買することによって大もうけをするというような者に対しては、やっぱり高額の税を課するというのは当然だろうと思います。しかし、その土地は結局売る目的じゃない、あるいは親の代、その前から受け継いでいるとか、あるいはまた苦心してつくった金でもって買う、それは、結局それが高くなるのを願っているというのじゃない、ほんとう自分が住むとか、あるいはそこでもって商売をする、あるいは小さな町工場を営む、それがそういう、何といいますか、土地騰貴あるいはその他の原因もありますが、土地の異常な高騰のあおりを食って、自分事業のほうの実収にはそんなにならないのに税金負担だけはどんどんふえていくという、そういう実例はずいぶんあると思うのですね。そういうようなことで、私は、税負担の公平ということ、実質的な公平ということについては、もっといろいろと検討をしておかなければならないと思いますが、そういうようなことで、最後に、こういう実質上の土地負担の公平を期するために、いま私が御質問し御指摘した点も含めまして、ぜひひとつ実態に合ったような、そして庶民が納得するような地方税負担ということにぜひ努力をしていただきたいし、またいろいろと、そのときどきに検討をしながらやっていっていただきたいと思いますが、これにつきまして、最後大臣から御所見を承って私の質問を終わりたいと思います。
  11. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 最近における異常な地価暴騰というものが、いま御指摘になりましたようないろいろな問題を引き起こしておることは、私ども重々承知をいたしておるところでございまして、御承知のような事情で地価高騰——三年ごとに固定資産税評価の場合にはこれを課税標準とするということになっておりましたので、したがって、非常に固定資産税が急激に上昇をする、所得がそれに伴わない、固定資産税だけが異常に上がるということによって重大な脅威を受けるというような問題が起こりましたので、御承知のように、零細な二百坪の個人住宅については、いま申し上げたような若干の低減措置をはかるということが行なわれたわけでもあり、また、いま原委員から御指摘がございましたような、個人所有の非住宅用地につきましても税負担の緩和をするということをいたしたわけでございますけれども、しかし、最近における土地価格の向上というものを考えてみますると、なおこの程度ではとうてい負担にたえかねるという、比較的狭い土地を持っておる住宅用地、あるいはそこで営業なぞをいたしておられる方が非常に難渋をしておられるということは、私どもも実は重々承知をいたしておるところであります。そこで、いま御指摘もございましたように、固定資産税につきましては、今度は五十一年に評価がえをするということになっておるんでありまして、いまのように、一体評価額を下げるということは、これはどうも実情に合わないんじゃないか。税率をそのままにしておいて、しかも評価にかげんを加えるといういまのようなやり方がはたしていいんであろうかどうであろうか。むしろ評価は、やっぱり地価がおのずから上昇するんでありますから、それに伴って評価を上げていく、しかし、税負担激変を緩和するために税率はむしろ下げるというようなやり方も私はあるんじゃないかという感じがいたすのでございますが、いずれにいたしましても、税というもの——ことに小規模の土地を持っておられる方は、大体においてそれほど大きな収入増加を見込み得ない人も相当にあるわけでありまするので、それらの方々が、いままで住んでおる土地あるいは家に住むことができなくなってしまうというような事態もかなり起きておるということを耳にいたしておりますので、いずれにいたしましても、この激しい地価暴騰を何とかしてひとつ鎮静をさせるということが、国の私は政策としてはきわめて重要なことだと考えておりますけれども、しかし、なかなかこれはそう簡単にもまいらぬというふうに考えてまいりますると、どうしても固定資産税のあまり急激な上昇が、零細土地所有者なり、あるいは零細企業をやっていらっしゃる方々に重大な脅威を与えるということは、これはぜひ避けるようにしていかなければならぬと、こう考えておりまするので、この五十一年度の評価がえの際、そういったことを全体含めまして、ひとつ十分検討をいたし、実情に合うようにしていかなければなるまいと、かように考えておるところでございます。
  12. 占部秀男

    占部秀男君 この法案性格からいって、年度末でありますから、各都道府県、市町村の現場で処理する場合の困難というものを考えなければなりませんので、短時間に問題を処理していかなければならない。こういうところから、私も簡潔に質問いたしますから、御答弁のほうも、ひとつ急所の点だけ簡潔にお願いをしたいと思います。  そこで、最初に、道府県民税及び市町村民税改正の問題についてお伺いしたいんですが、最初にお伺いしたいことは、今度の減税になる改正についての考え方にもひとつ関連するんでありますが、狂乱物価と言われるような物価上昇の中で、ここに各控除引き上げ、こういう問題があるわけでありますが、特に個人府県民税あるいは市町村民税の場合には、一番今度の物価騰貴で目の前で困っているのは、何といっても課税最低限ぎりぎりからちょっと上の人たち家庭が一番困っておるわけです。そこで、この各種の控除をむしろ一応控えて、そして一律の控除を、まあ早くいえば標準課税幾ら標準家庭幾ら、たとえば標準家族四万というような形で税額控除をすることによって、当面そうした人たちを救うということを考えることが、これは緊急に必要なんじゃないかと思うんですが、そういう点はいかがでございますか。
  13. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 低所得者層負担軽減をはかるために、課税最低限引き上げてやっていく方法、それからいま御指摘がございましたように、新たに税額控除方法を取り入れていく方法、まあいろいろ方法があるわけでございまして、それはお説のとおりでございます。しかし、私ども住民税という場合に当てはめてこれを考えてみました場合に、税額控除方法を取り入れますと、一つには減税額と申しますか、減収額が非常に大きくなります。それからもう一つには、納税義務者数が非常に大きな激変をするというふうなことがございまして、住民税の場合は、国の所得税と異なりまして、それほど所得配分と申しますよりも一の機能を果たすと申しますよりも、住民会費としてなるたけできるだけ多くの人が負担を分かち合いながら地方自治に発言をしていくと、こういう性格を重んじたいという気持ちもあるものでございますので、私どもとしてはできる限り課税最低限引き上げていくという、まあ現在の方法でいくほうが適当ではないかと、こう考えておる次第でございます。
  14. 占部秀男

    占部秀男君 応益応能の問題もあるわけでありまして、国の税金と即そのまま同じだとは私ども考えておりませんが、問題は、物価上昇というこの波は、これはもう地方自治の部分的な応能応益問題を越えた問題なんですね。したがって、この際は一そう、たとえば臨時の方法でもいいんでありますが、やはり物価上昇に見合って、地方税の問題も、非常に微少ではあるけれども所得配分のそうした点も考えながらひとつやっていくというところに踏み切るべき私は時代ではないかと。これは永久に続けろということは言いませんけれども、少なくとも緊急のこの狂乱物価の当面しておる時期は、そうした何といいますか、思い切ったやり方をしなければ、税のほんとうの公平なといいますか、そういうような課税というものはできないんじゃないかと私は思うんですが、その点はいかがなもんですか。
  15. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) インフレに対応します所得税ないしは住民税のあり方として、御指摘のような方法があり得、かつまた、臨時的にしろ、そういう方法をとるべきではないかといういま御指摘もあり得ると思うわけでございますが、私どもといたしましては、この住民税市町村におきます一番まあ基本的な財源、税源の一つになっておりますことにもかんがみ、それから、かつまた住民税性格ということにもかんがみ、できる限り課税最低限引き上げていくという従来の方法で、納税義務者の数とか、あるいは地方財政状況等も勘案しながら対処していくというのが地方税としては望ましいのではないかと、こう考えている次第でございます。
  16. 占部秀男

    占部秀男君 これは大臣にお伺いしたいんですが、いまの点なんですが、課税最低限引き上げというんですけれども、きょうはその問題には私は触れないつもりですが、依然として国と地方との間の課税最低限は差がひど過ぎるんですね。そういうようなことで問題が処理できるいまの狂乱物価の影響の問題では私はないんじゃないかというふうに考えるんです。まあ、きょう直ちに云々ということはできなくても、また今度の——こういうことはもうそうはないと思うんですが、どうもいまのような経済情勢の見通しでは、案外たびたびあるんじゃないかという感じもしてくるんですから、この次にあるときの用意なんというのは、そういうようなことは言いませんけれども、少なくとも臨時の物価が急騰した場合には、それに即応するような、いま言った形の、従来の形を越えたところのやはり課税の方式というものを検討すべきではないかと、検討しておくべきではないかと、こういうふうに思うんですが、大臣はどうお考えになりますか。
  17. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 最近のこの異常とも言うべき激しい物価高騰が、国民生活に重大な脅威を与えていることは申し上げるまでもございませんので、そういった角度から、所得税なりあるいは住民税なり、こういう所得課税に対しましてできるだけの軽減措置を講じなければならぬということは、これはもう言うまでもございません。そういった意味で、本年は、御承知のように、かなり大幅の所得税減税が国税において行なわれたわけでございますし、住民税におきましても、御承知のように、本年の課税最低限引き上げは、まあ従来にないかなりの大幅のものになっておることだけは間違いがないんでございます。ただ、最近における物価高騰というものと対比して、はたしてこれで十分かどうかという問題は、もとよりいろいろ私は御意見の存するところであろうと、こう考えておるんでありますが、いずれにいたしましても、いま御提案のございましたような、何か臨時のそういう措置ということを将来のために考えておいてはどうかという御提案につきましては、いまここで私どもはどういうふうにするというお答えをいたすことはでき得ないわけでございますけれども、まあ将来の問題としてはなおひとつ十分検討をさせていただくべきことであろうと、かように考えている次第でございます。
  18. 占部秀男

    占部秀男君 というのは、課税最低限が国の場合よりはまた格差があるということの原因も、一つには、各控除引き上げ率というか、あるいは引き上げが足りない、不足しておる、みみっちいというところに大きな原因があるんじゃないかと私は思うんですよ。  そこで、各控除の問題についてお伺いしますが、法の三十四条の障害者の控除、あるいは老年者の控除、寡婦もしくは勤労学生に対する控除です。これが、今度の法律案によりますと十二万円から十三万円に一万円だけ引き上がっているんですね。これは税額控除じゃないわけでしょう。こんな、まあ幾ら何でも少な過ぎるんじゃないかと私は思うんですよ。少なくともまあまあ——これはどういうところに基準を置くかというと、基準のとり方によってはいろいろ理論的な問題が出てくると思うんですが、現在の物価の関係からいって、十五万円以下の控除というのはちょっとみみっちくっておかしいんじゃないかと、私はこれは常識的に考えても思うんですが、その点はいかがですか。
  19. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 各種控除についての額が少な過ぎるんではないかという御指摘でございまして、この各種控除をどの程度の額に持っていって課税最低限をどれだけに設定するかという点については、現在の状況ではできるだけこれを引き上げていくというのが望ましいと私どもも考えるわけでございます。ただ、御案内のように、二つ、制約と申しますか、考えなければならぬ点があると思うわけでございます。  一つは、やはり地方財政の財政の状況から考えまして、現在の財政の状況、自然増の中等で、どの程度までの減税額市町村として持ちこたえ得るかと、こういったような考え方も配慮をしなければなるまいと思います。それからもう一点は、金額的には非常にみみっちく見えるわけでございますが、税の仕組みで、御案内のように住民税が現年課税になっておりませんで、前年の所得に対する課税でございますから、どういたしましても前年あがりました所得のうちからどれだけ控除するかという金額になりますので、いわば所得税における四十八年の課税最低限や各種控除と比較対比をしていただかないと感じが出てこない、こういう点と二つございまして、お目にははなはだみみっちいんじゃないかと、このように響くのではなかろうかと考えておる次第でございます。  私どもといたしましては、今回は特に、基礎控除、扶養控除それから配偶者控除、いわゆる三控除でございますが、この三控除にかなり力点を置きまして課税最低限引き上げる、標準家庭で百一万円ほどの課税最低限に持ち込むということによりまして、年間千七百億をこします減税額と、こういうことになるわけでございますので、限度一ぱいがんばってやったつもりで実はおるわけでございます。
  20. 占部秀男

    占部秀男君 特に、控除に並んで、障害者や寡婦などの非課税限度の問題ですね。これは法の二十四条の五の問題になると思うんですが、これが今度は「四十三万円をこえる」やつが「五十万円」ということになっているわけですね。これはもう少し上がらないんですか。特に寡婦のような場合は、これはもう子供をかかえている者なんぞも相当あって、五十万円というと、月割りにするとどうかということはこれは明瞭ですがね。そういう点は、五十万円に今度したということについては、どういうふうな考え方でやったんですか。
  21. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 今回、御指摘をいただきましたように、非課税限度額を四十八年の四十三万円から五十万円に引き上げたわけでございますが、この五十万円は、御案内のように、給与所得の全部に換算をいたしますと七十七万八千円ほどの金額になるのは御承知のとおりでございます。まあ約八十万見当でございますが、四十八年の場合にあがりました所得に対します非課税限度額としてはこの程度のものではなかろうかと、このように考えた次第でございます。
  22. 占部秀男

    占部秀男君 次に、三十二条ですか、県民税の所得割りの課税標準の中の白色申告の事業専従者控除の問題ですがね。これは今度「十七万円」を「二十万円」に引き上げたんですね。これ、この三万円だけ引き上げたというその根拠はどういうことですか。
  23. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 白色申告者の事業専従者控除額につきましての御指摘でございますが、これは大体、いままで国税のほうの専従者控除額、これがあるわけでございますけれども、それを勘案をしながらという行き方をとってまいっておるわけでございます。御案内のように、今回二十万円にいたしましたのは、四十八年の国税のほうにおきまして、白色申告者の事業専従者控除が二十万円と、このように引き上げられておりますので、それを踏襲をして二十万、こういう額を設定いたしたわけでございます。  なお、これも御承知のとおりでございますけれども、国の所得税におきまして、四十九年分につきましてはこの二十万が三十万に引き上がっております。それで、私どもといたしましては、四十九年の所得税に対応する五十年の住民税、これにおいては、その三十万を基準にしながら、幾らにするかと、それをきめていかなければならないと、このように考えておる次第でございます。
  24. 占部秀男

    占部秀男君 どうも、控除の問題あるいは非課税限度の問題が、国の国税の問題といわば一連の問題として、あまりにも一連し過ぎるんじゃないかと私は思うんですよ。というのは、国税の場合と地方税の場合の、税金の使われる内容あるいは性格の問題からいって、税金そのものはそれは税金ですがね、課税です、税金ですけれども、しかし実際、白色申告をしているような小さな事業ですね、これはまあ事業といえないような事業まであるわけですよ。そういうものに対する地方団体としての特別の、何というか、いわゆる住民に対するサービスというものが、税金の中に、私は、特に中小企業あるいは零細企業の場合にはあらわれていいんじゃないかと。で、必ずしも国の方向をそのままたどるばかりが能じゃないんじゃないかと、こう思うんですが、その点いかがですか。
  25. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、所得税住民税との関連におきまして、何も国のやり方そのものを踏襲するばかりが能ではないという御指摘は、もう全くそのとおりだと思います。地方税においても、独自の分野を発揮すべき点は大いに発揮してしかるべきだと考えておる次第でございます。まあしかし、何ぶんにも、住民税所得割りを考えますときの課税標準としての所得を計算をいたしますときに、たとえば給与所得控除でございますとか、それからこういう——まあそれに対応すると申しますとちょっと言い過ぎかもしれませんが、個人事業における事業専従者控除であるとか、こういった所得計算の基礎的なものにつきましては、所得税との関連においても、できるだけ同じ額のほうが取り扱いも便利でございますし、また、大方のお納得も得られるのではなかろうか。そのほかの各種控除につきましては、もちろん別にすべき分野も多いと思いますけれども、そういう考え方で、それぞれの各種控除性格に応じまして、その付近の仕分けを私どもとしては考えておるつもりでございます。
  26. 占部秀男

    占部秀男君 そこがどうも納得できないんですよ。まあ確かにね、国税と地方税とがいわば一つのレベルのようなところにこう並んでいるということで、取り扱いはいいんですがね。これを出す住民の側から考えてもらうと、何も取り扱いが、レベルが一つだからそれでいいんだというわけじゃないわけなんです。特に、市町村民税あるいは府県民税性格からいっても、住民に直結した問題点をやろう、十分やろうという、住民本位の仕事をするための税金がおもなわけですね。で、そういう場合に、住民の経済的な実態あるいは生活の実態、これから勘案をして、逆に国の税金との間のレベルがいわばアンバラの形に幾らかなってくる、これは当然じゃないかと私は思うんです。どうもそういう点が少し——まあこういうことばを使うとあなた方はかちんとくるんだけれども、どうも少し官僚的な、いわゆる官僚的な考え方に堕し過ぎているんじゃないかというふうに考えるんですが、その点はいかがですか。
  27. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 各種控除の国税との関係におきまして御指摘がございまして、その控除のそれぞれの性格に応じて、必ずしも一緒である必要は御指摘のようにございませんので、いろいろ検討すべき問題であると私どもも考えております。しかし、この場合に、先ほど申し上げましたように、たとえば給与所得控除でございますとか、それから事業専従者控除のようなものは、必要経費そのものではございませんけれども、そういった性格所得から控除をするという原則が立てられておる控除性格を持つものでございますので、先ほど申し上げましたように、こういった点については、取り扱い上、それから負担感の関係から考えても、国税と大体同一歩調をとっていくほうが望ましいんじゃないかと、このように考えております控除の種目である、こういうことを申し上げた次第でございます。
  28. 占部秀男

    占部秀男君 次に、個人分の道府県民税所得割りの税率の問題ですが、これは今度はどうなっておりますか。
  29. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 住民税所得割りの税率につきましては、今回はいじらずに四十八年度のままにいたしております。
  30. 占部秀男

    占部秀男君 どうもそこが私は問題だと思うんですよ。それはこの問題は、市町村民税個人所得割りの問題と対比して、長年この委員会でも問題のあったことはこれは首藤さんよく御存じのところです。現在のやつは二段階の方式ですわね。しかし、市町村民税の場合にはたしか十三段階だと思いましたが、十三段階方式になると、やはり市町村、府県で、道府県民税の場合でも、それこそ同じ地方税なんだから、レベルを並べて市町村民税と同じように、まあ十三段階には一挙にならずとも、もう少し段階をふやして、いわゆる累進課税方式をとるべきじゃないかと思う。しかもそのとる時期が、こういうような狂乱物価のときで、しかもあとで触れますけれども、府県市町村の財源というものが窮屈になってきておる、こういうときにこそとって、それを福祉の方向に回せるようにすべきじゃないか、それが自治省としての税対策の基本じゃないかと私は思うんですが、その点は局長はどうお考えになっていますか。
  31. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 道府県民税所得割りが二段階、二%と四%という二段階になっておりますことにつきまして、いろいろ問題がありますことはよく承知をいたしております。この道府県民税所得割りの段階をどうするかという問題につきましては、過去のことでございますが、先生も御案内のように、昭和三十七年度でございましたか、税制改正が行なわれまして、市町村民税道府県民税に移譲いたしました場合に、どういう分け方をするかというのがずいぶん議論に相なりまして、まあ当時の考え方としては、結論的に、市町村民税道府県民税税率を両方合わせた一つの累進体系として地方住民税というものを考えて、それを市町村と県に分けるときには、なるたけ県のほうは簡単にフラットな税率で分けたほうがいいだろう、こういう結論に相なりまして、市町村のほうは二%から一四%までの十三段階、府県は二と四という非常に簡単な二段階、このようになったように承っておるわけでございます。もちろん、こういう経済界の非常に変動いたしております状況下にあって、所得課税そのものが、かなり強い累進課税の税構造をとるということが望ましいということは私も同感に考えるわけでございますが、そういった場合、所得税それから地方住民税、この二つの総合的な関連において、住民税がどの程度までの段階税率を持つか、それからその構造をきめたあとで、府県と市町村にどう分けるかと、こういう問題に相なろうかと思うわけでございまして、これはまた今後十分慎重に検討をすべき問題ではなかろうかと、こう考えておる次第でございます。
  32. 占部秀男

    占部秀男君 どうもそれが納得できないのですがね。納得できない理由は二つあるんですね。一つは、配分の問題から、あの当時そういう総合的な全体ワクというものをつくってという、あの当時の事情はわかります。私もいたわけですから、あの当時その問題でここでやったこともありますからわかります。わかりますけれども、あの当時の客観的な条件といまの条件と——いわゆる情勢と言ってもいいですが、情勢はこれは違っているのじゃないですか。特に今度の地方税改正の問題は、物価問題にも関連をして、減税をして物価上昇に悩む国民の生活を少しでも楽にしようと、こういうところにも問題があるわけですね。と同時に、インフレで名目価格は上がっている、その中で実質価格を、つまり国民の生活の面からいえば、実質価格を少しでも保たせるためにもこういう問題が出ているわけでしょう。だから、そのときの情勢と今日とは情勢が違ってきているわけですよ。そこで、決して、県のほうと市のほうとの税率のあり方を切り離すのは形式的におかしいから同じような累進課税の段階にしろと、こういう機械的なことを言っているのじゃなくて、そういう経済的な実態、市民生活、住民生活の実態からして、これを少しでもカバーするためにはどうしたらいいかと、こういうところに、やはり地方税といえども目を向けなければならない条件といいますかね、情勢の現在ではないか。そういう点になると、これは切り離すあるいは一連にするということは別にしても、いまここのところで累進課税の問題が府県民税でも起こっておるのですから、したがって、この個人割りの累進の方法をこの際実行して、さっきも言ったように、あとで触れますけれども、いま府県市町村の予算を見たと思うのですよ。地方財政計画以下なんですからね。そういう収入の数え方と支出の数え方をしているのですから、そういうふうに萎縮している地方財政を少しでも潤してやると、そういうところに政策的な大きな目を向けなければ、自治省は一体何しているんだということに私は言われるのじゃないかと思うのですよ。これは局長の才能は私はよく信じておりますけれどもね。これはやはり速急に直す機会を得なければならぬじゃないかと私は思うのですが、そういう点はいかがですか。かりにきょうここで直せと言ったって、ここまでくれば無理なことはもう百も承知だから、そんな子供っぽいことは私言いませんけれども、少なくとも経済情勢の変化というものは、石油ショック以来の変化というものはこれから続くのですからね。石油ショック以前の経済的な情勢とは違うのですから、したがって、その下で生活をしている市民生活、住民生活の条件も違ってきておるのですから、そういう点を考え合わせて、この府県民税個人割りの税率の分は再検討してもらいたいと私は思うんですが、この点はいかがですか。きょうやれというんじゃないんだから、再検討は少なくてもしなければならぬ時期になってきていると思うんですが、その点どうですか。
  33. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 最近の経済情勢の変動のもとで、税率の段階、区分等についても再検討すべき時期がきているのではないかという御指摘でございまして、その点につきましては私もそう思います。やはり税率の問題につきましても、なるたけ早い機会に再検討をすべき事態になっておるだろうと思うわけでございます。  ちなみに、今回の四十九年度の税制改正を行ないますときに、こういった問題が税制調査会等においても議論をされたわけでございますが、いろいろ議論が出ました末、現在の事態においては、何ぶんにも物価騰貴ということで、課税最低限引き上げということについて主力を払うべきだろうと。所得税のほうも、かなりことし、来年にかけて大幅な課税最低限引き上げが行なわれますので、それに地方税ができる限り追随をしていく、課税最低限引き上げていくということにまず第一に精力を払うべきだと。これにかなりの減税金額が所要になりますので、そういったことが第一義だと。税率の問題についてはそういったこともかね合わせながら慎重に検討していくべきだと、このような結論に相なったと思っておる次第でございまして、私どもといたしましても、決して検討しないとか、そういう意味で申し上げておるわけではないわけでございます。
  34. 占部秀男

    占部秀男君 はい、わかりました。  次に、法人割りの問題なんですが、道府県民税の法人税割りの税率は、今度何か少なくなるような感じなんですが、これはどういうことですか。五十一条でしたかね。
  35. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 法人税割りについての御指摘でございますが、今回、御承知のように法人に関する課税のシェアを地方団体に、特に市町村に高めようという企図から、法人税割りにつきまして税率引き上げを行なったわけでございますが、法人税割りの増収は、御案内のように、一つは、国が法人税を引き上げますことに伴って自動的に従来の法人税割りでも地方が増収になると。この分と、特にまたその上に、地方が法人税割りの税率引き上げて増収になるという分と、二つ生ずるわけでございまして、これを入れまして平年度に約二千億という増収を地方にもたらしたわけでございます。私どもといたしましては、現在の地方税制の中で府県と市町村の税構造を考えてみました場合に、最近市町村税制が非常に弱くなってきておるのは、やっぱり何といっても法人課税のシェアが少ないという点に一番大きな原因があるだろうと、こう考えまして、今回増収になりました二千億をもうほとんどこれをあげて市町村に回すというようなことで市町村税源の充実をしたらどうかと、実はこう考えたわけでございます。そこで、今回道府県の税割りにおきまして〇・四%、従前の表面税率五・六から五・二に〇・四落としたわけでございますが、これはいま申し上げました二千億を全部市町村に回すという操作のために行なったものでございまして、府県は法人税の増強による増収分がございますので、この税率をこれだけ落としましても、実際は減収にならないわけでございます。約二十億見当の税収が残るわけでございます。
  36. 占部秀男

    占部秀男君 絶対額は……。
  37. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ええ、絶対額としては。だから、府県は実額的には減らしたわけではなく、増収を全部市町村に回すと、こういう操作をした結果でございます。
  38. 占部秀男

    占部秀男君 時間の関係がありますから、この問題、道府県民税市町村民税の問題は、聞きたいこともあるのだけれども、ここら辺で切り上げて、事業税の問題を簡単にお聞きしたいと思うのです。  端的に言って、今度のこの引き上げは、特に個人事業税の問題あるいは個人事業税の事業主の問題あるいは白色申告の専従者控除の問題ですね。これ、いずれも引き上げはされているのですが、これはやはり少な過ぎるのじゃないですか、率直に言って。どうも、特にこの個人事業主なんというような場合には、それは相当大きなのがあるけれども、これは局長御存じのように、零細企業までこれはもう網が打たれているのですね。零細企業まで網が打たれていますよ。その場合に、今度の法改正では、十三ページにたしか八十万円を——事業主控除ですよ、八十万円を百五十万円にしておるわけですね。それから白色申告の場合の専従者控除は十七万円から五十万円でしたかな、これ幾らでした……。
  39. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 二十万円です。
  40. 占部秀男

    占部秀男君 二十万円でしたね。それでいま、さっき言ったように、インフレで名目価格というものが上がっているわけですね。収入はあなた——ぼくはここのところで実は統計も出し、物価上昇の率もやり、そうした数字的な操作をしながら実は質問をしたかったのですが、時間が制限されているから、そういう点、一切省いて、大ざっぱにどんぶり勘定のような形で質問しているので、まことにやりにくいのですけれども、現在の物価上昇率の上から言ってもこれは少し少な過ぎるのじゃないですか、率直に言えば。この点はどう考えていますか。
  41. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 個人事業税におきます事業主控除の額と、白色申告者の専従者控除限度額についての御質問でございます。  白色申告者の専従者控除の二十万円は、先ほど住民税の場合にお話しを申し上げましたのと全く同じ事情でこのようになっておるわけでございます。  それから個人事業税の事業主控除の額でございますが、実はこれ、私どもといたしましては非常に思い切って引き上げたつもりになっておるわけでございまして、と申しますのは、この引き上げによりまして、現在納税義務者数が、現行法によりますと大体百六十万人余りと思っておるのでございますが、これが改正後は五十万人余りに減る。五十一万人程度になる。実に六七%でございますから、約七割近く納税義務者が落ちる、こういう程度のものでございます。これも御案内のように、個人事業税の場合、いずれも前年度の所得に対します課税でございますので、ことしの賃金なり物価なりで御対比をいただきますと少し様子が違っているわけでございまして、いま申し上げましたように、納税義務者が約七割落ちる、それから税額にいたしましては三百十八億減税になりますので、比率としては四〇%余り落ちる、こういう状況でございまして、これによりまして、実質的に所得税の失格者が事業税を払うというような実態はほとんど起こらない、そういう限度まで引き上げたというつもりで実はおるつもりでございます。
  42. 占部秀男

    占部秀男君 念のために念を入れておきますが、事業主控除でしょう。そうすると、各零細企業——まあこれはぼくは零細企業の場合をとりますけれども零細企業の前年度の所得に対する今度はこれの率がかかるわけですね。そういうことになりますね。——そうですか、わかりました。  次に固定資産税の問題ですがね。固定資産税の問題について、今度のこの課税標準特例の例の三百四十九条の三の二の中の問題なんですが、これは一つは、まことに小学生のような言い方だけれども、念を入れておきたいと思うのですよ。というのは、地方へ行って二百平米の切り方の問題で、相当何といいますか、納税者が混乱をしているんですね。それじゃはっきり聞いておきたいんですが、特にこれは事務をやっている人たちの中にも混乱があるんですよ。こういう点を明確にしておいてもらいたいんですが、結局、二百平米までは四分の一でしたかね。かりに八十坪持っているとしますね。そうすると、その中の二百平米は四分の一で、あとは——言い方がおかしいな——四百平米持っておると二百平米はその四分の一で、あとの二百平米は二分の一ですか、二分の一になるとね。千平米持っていれば、二百平米までは四分の一で、あとの八百平米ですか、これは二分の一に上がると、こういうことになるわけですか。それをひとつ教えてもらいたいんです。
  43. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま御指摘のとおりでございまして、四百平米ある場合は、そのうちの二百平米は四分の一、残りの二百平米は二分の一、こういうことに相なるわけでございます。  ただ、つけ足しでございますが、建物面積の十倍以上をこえる大きな敷地がございますと、十倍まで宅地として認める、十倍以上こしたところはもう住宅用地として認めない、こういうとり方になっておるのは別の基準でございますが、そのようでございます。
  44. 占部秀男

    占部秀男君 その場合の宅地の大きさといいますか、それは別に制限はないわけですね。基準はあるんですか、ないんですか。
  45. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) それは制限はございません。
  46. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、二百平米までのやつですよ。ぼくも二百平米で切ることはちょっと異論はあるけれども、まあまあいいと思っているんですが、二百平米の税額を四十七年度分に据え置くわけにはいかないんですか。というのは、二百平米までの、六十坪ぐらいまでの人たちはみんなサラリーマン、工員ですわな。それで土地を買って建てるにしても、ローンを使うとか、あるいは会社の金を借りるとか、おそらくあり余った金で建てる人はもっと大きなやつを建てますよ。いわゆる持ち家住宅の政策もあって、これは政府の政策だが、そういう点も影響して、各会社、銀行あるいは官庁等でも持ち家を奨励したという中で生まれたのが私は大部分だと思うんですよ。そこで、やはりそれ以上のものはこれはしようがないとしても、その範囲のものは据え置くべきじゃないかと、今度は。特に物価問題の関連の中で据え置くべきではないかというふうに私は考えるんですが、その点はどうなんですか。
  47. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 小規模住宅税負担でございますが、ただいま御指摘がございましたように、六十坪未満でございますと、評価額の四分の一までを限度にいたしまして課税をいたしますが、その四分の一まで達していないものについては四十八年度の税額で据え置くと、こういう措置をとっておるわけでございます。ただいま御指摘の点は、四十八年度の税額で据え置くのをもう一年前の四十七年度で据え置いたらどうか、こういう御指摘であろうかと思う次第でございますが、私どもといたしましては、せめて四十八年度の据え置きという点にいたしたいと考えました理由が二つ三つございまして、一つは、現在の宅地評価額に対します課税標準、いま、御案内のように、調整をいたしておりますが、これが平均的に見ました場合に、約二七%のところまで平均課税標準になっておるわけでございます。評価額の二七%のところまでは現在四十八年の状況課税がなされておる……。
  48. 占部秀男

    占部秀男君 四十八年……。
  49. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) はい。  それで、今度二五%にとどめるということは、通常平均的にまで税負担をなさっていらっしゃる方は税実額が落ちるわけでございます。二五%までに落ちます。ただ、上がります——まだ評価額目一ぱいまで達していませんものにつきましては、現在評価額の一五%までしか課税をされていないという階層も、これはごく少数でございますが、大都市周辺等にあるわけでございます。そこで、われわれとしては、せめて二五%のところまでは比較均衡としては到達すべきであるけれども、その税負担の激増等の問題がございますから、現在、四十八年度にやっと一五%に達しておる人、その人は四十八年度の据え置きと、こういうことで、一五%の据え置きで推移をする、これが精一ぱいの措置であって、これを四十七年度の前まで戻すということは、その間のアンバランスがなおひどくなりまして、非常に不公平である、こう考えたわけでございます。  それからもう一点は、四十八年度にすでに市町村固定資産税としてその実額は収納いたしておるわけでございますから、四十九年になってその実額が四十八年度の額よりまだ減ってしまうというんでは、財政運営がどうにも立っていかないだろうと、こういう配慮もございまして、四十八年度の額に据え置くと、こういう措置をとった次第でございます。
  50. 占部秀男

    占部秀男君 それから、こまかい点を二つだけ伺いますが、地方税性格だからしようがないと思うのだけれども、料理飲食等の消費税ですね。これは今度基礎控除を千円から千五百円に上げたわけですね。これは上げたことで減収が相当あるんですか。というのは、いま旅館へ泊まると、どんな旅館でも四千円以下、三千五百円以下というのはほとんどないんですよね。だから、最低の線ぐらいは基礎控除にすべきじゃないかと思うんですが、そんなに減収になりますか。どのぐらい減収になりますか。
  51. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 今回の料理飲食等消費税の基礎控除引き上げに伴います減収は、初年度で——これは十月からやるからでございますが、三十三億、平年度で八十五億と、こういった金額に相なります。
  52. 占部秀男

    占部秀男君 で、収入総額はどのぐらい。
  53. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 二千二百四十五億ほどに相なっております。
  54. 占部秀男

    占部秀男君 どうなんですか、この問題。三十三億なんていうと、これはまあ昔で言えば大きな額だけれども、いまで言えばそう大きな額ではないと思うんですがね。むしろこういうものこそ、実態をそっくりそのまま最低のところまでは基礎控除にする考えはないんですか。  同じようなことは、電気ガス税の問題もそうなんです。もう時間がありませんから一緒にやっちゃいますけれども、これも、今度免税点の引き上げを電気ガス税もしておりますね。電気ガス税幾らでしたか。
  55. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 千二百円と二千七百円。
  56. 占部秀男

    占部秀男君 ずいぶん小刻みにやっているから、苦心のところはわかるけれども、あまり小刻み過ぎはしませんかね。せめてガスのほうは三千円ぐらい、電気のほうが二千円ぐらいというふうにぴっちりしてやったって、大した額じゃないだろうと思うんですよ。受ける家庭の持つ気持ちというものは、これは非常に大きいんですよ。局長、これ、心理的な影響というものも考えて税金の問題も扱わなきゃならぬような私は時代になってきていると思うんですが、特に物価問題がこういう中で、たとえ幾らでも——ガス料金が今度はこれは引き上げになるでしょうが、それが税金の上では下がったということになると、その与える影響というものは非常に大きいんですよ、心理的に。いわゆるインフレマインドに対するブレーキとしても、これは決して見のがせない問題じゃないかと私は思うんです。この旅館といまの電気ガス税の問題について、最後にお答えをいただきたいと思います。
  57. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) まず料飲のほうにつきましてお答えを申し上げますと、現在千五百円にただいま御指摘のように基礎控除引き上げたわけでございますが、旅館の場合は、通常泊まります場合の非常に零細と申しますか、安いところに泊まるという点はこれは免税点で配慮をいたしておりまして、御案内のように、二千四百円までは、旅館に泊まりましても、それ以下であれば頭から税金がかからないわけでございます。それをこしまして、税金負担をいしますときに基礎控除として幾ら引くか。つまり、基礎控除というのは、人間として最低限度、どっかでちょっとごろ寝をしても、そのくらいは生活の基本権として必要な額として差し引くべきだ、こういう考え方から基礎控除の額を設定をいたしておりますので、二千四百円以上の旅館に泊まった場合に根っことして幾ら引かれるか、こういう金額であろうと思うわけでございます。したがいまして、通常の旅館に泊まった場合に宿泊料がいま三千円だ、四千円だとしておるから、そこまで引き上げるという程度までには必要がないんじゃなかろうか、こう実は考えておる次第でございます。  それから電ガスのほうでございますが、電ガスは、ただいま御指摘のように、電気はことし千二百円に免税点を引き上げ、ガスは二千七百円に引き上げたわけでございますが、これは、現在の時点におきます家庭の電気及びガスの消費量、それから電気及びガスの料金、こういったようなものとの関連から、生活の最低限必要な電気、ガスの消費に対して税金をかけないという線を格守しよう、こういう線で実はこまかく算定をしてみたわけでございます。  電気で千二百円にいたしましたことによりまして、免税対象になります世帯数が現在の状況では約二七%ぐらい、三割弱のところが免税対象になりまして、この対象戸数は昨年の二〇%程度より若干増加をする、こう実は考えておる次第でございます。  それからガスのほうは、これはプロパンとの関係もございますので、もう少し免税点該当の世帯数の比率を高くする必要がございますので、二千七百円に設定をした結果、六二%が税金がかからない、こういう状況でございます。  ただ、ただいま御指摘のように、これは現在の電気料金及びガス料金でございますから、今後もし、電気料金、ガス料金等の値上げがどういうかっこうでいつどう出てくるのか、私どもわかりかねるわけでございますけれども、そういう事態が発生をしてくれば、またそれも勘案をしながら、同じように生活最低限には課税をしないという線で再検討を行なうべきであろう、こう考えておる次第でございます。
  58. 占部秀男

    占部秀男君 これで質問の最後にしますが、なぜぼくはこういうこまかい点を言ったかというと、いま言った今度の措置税率の問題ならばこれは私は言わないんですよ。免税点だから言うんですよ。いま免税点を少しぐらい上げたって料金がもう高くなることはわかっているんだから、それをうたうんだったら、電気では二七%、ガスは六二%が無税になるなんたって、これはうそっぱちになるじゃありませんか。税率を下げるというんなら私は話がわかるんだ。免税点だから私はあなたに食いついているわけだよ。それはまやかしだというふうに——まあまやかしだという言い方は悪いけれども、率直に言って、国民の目から見ればまやかしだというようにあなたに質問しているわけです。答弁は要りません。局長のあなたのほうから答弁は要らぬけれども、しかし、これはやはりもう一ぺん真剣に検討してください。  それは電気だとかガスだとかいう問題はもう生活に密着した問題で、これが少し少なくなっただけでも、ああ政府はいいことをしてくれたということになるんですから、全国的に、これはあなた一番いい武器なんですよ、政府としては。インフレマインドにブレーキをかけるんですからね。額は小さいけれども、及ぼされる影響はこれは大きいんですよ。もう一ぺんひとつ検討をしてもらいたい。まあこれを修正しろということは言いませんから、検討してもらいたいと思う。
  59. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、電気料金、ガス料金、どう変わってくるか、私ども現在ではわかりかねますが、そういう事態になれば当然再検討をすべき問題であろう、こう考えております。
  60. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 本案に対する午前中の質疑はこの程度とし、午後一時半まで休憩いたします。    午後零時六分休憩      —————・—————    午後一時四十三分開会
  61. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいまから地方行政委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  62. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 今回提案された昭和四十九年度地方税制の内容は、九税目にわたって改正がなされているわけでありますけれども、その中で特筆すべきものも何点かございます。まあしかし、一番の問題は、何といっても、毎年地方税制の改正が行なわれているわけでありますけれども、結局それが市町村財政を十分に潤すというところまでいかないというところが一番大きな問題なんで、それについて、こういう点もああいう点も改正していかなきゃならぬじゃないかという、まあこういう議論が毎年行なわれてきておるわけです。そういうものを踏まえながら、何点か私もお尋ねをしてみたいと思います。  まず、住民税関係についてお伺いしますけれども、今回の減税規模の問題でありますけれども個人住民税の自然増収に対する減税割合は、昭和四十九年度においてはどのようなことになるのか、この点ひとつお聞かせ願いたいと思います。
  63. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 住民税減税額は、御案内のように、今回の改正で初年度千七百七十三億になるわけでございますが、住民税だけに限って申し上げますと、自然増収が六千二百二十七億程度であろうかと考えておりますので、それに対します減税額は二八・五%、まあ約三割というところでございます。
  64. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 今回の減税割合といいますか、率といいますか、いまおっしゃったように二八・五%、こういうことになりますね。そこで、ここ数年の減税規模を見ますと、昭和四十六年度の二七・九%、これに次いで今回は低いものであると、こういうことが言えるわけですけれども、この現下の物価騰貴の状態、こういう問題を考えた場合に、このいわゆる減税額というものは、あまりにも少額にすぎないか、こういうような感じが強くするわけですけれども、この点、大臣どういうふうにお考えになるでしょうか。
  65. 町村金五

    国務大臣町村金五君) いま、上林委員としては、今日の物価騰貴の現状から考えて、今回の減税率はきわめて低いというお感じをお持ちになったようでございます。まあ物価騰貴ということを私どもも念頭に置きます場合には、確かにそういう見方も当然できることだと思うわけでございますけれども先ほど税務局長からもお答えを申し上げましたとおり、このたびの減税額そのものは、おそらく私はいままでにない大きな減税額になっておるのでございまして、なるほど、減税率そのものは必ずしも最高ではないかもしれませんけれども、相当な減税額になっておるということだけは間違いがないのでございまして、ただ、物価騰貴と対比いたしましたときに、必ずしも御満足をいただけるようなことに相なっていないかと思いますけれども、今日の地方財政の現状からかんがみまして、できる限りの実は減税はやったというふうに私どもは考えておるところでございます。
  66. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこで、住民税のいわゆる物価調整減税といわれる額ですね、これはどのくらいなのか。それからまた、これに見合う今回の減税額、これはどのくらいなのか、これひとつお聞かせを願いたいと思うんです。
  67. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 物価調整減税調整所要額、これははじき方がいろいろあろうかと思いますが、従来とってきました方式で、物価の名目的な上昇率だけの分を調整減税に回す、こういう積算をしますと、四十九年度の場合千百六十億見当に相なろうかと思います。それで、ただいまの減税が千七百七十億でございますので、物価調整所要額はもうオーバーをしておる、このように考えておる次第でございます。
  68. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 そこでいまの試算といいますかね、これは昭和四十七年に対する昭和四十八年の物価上昇率一一・七%、これがいわゆるいまおっしゃった千百六十三億円程度になった、それに何といいますか、上のせといいますか、したものが千七百七十三億円、そう見ますと、どう考えましても、現在の物価高、これ、あえて。パーセンテージはいまこの段階で申し上げませんけれども、大体六百億程度ですね。こういうことなんですけれども、二月の卸売り物価を見ますと三七%、これ、当然やがて消費者物価にはね返ってくることはもう火を見るより明らかですね。そういうことを考えますと、この程度減税ではかえって地域住民に、国民に税の負担感を抱かせるもとになりはしないか、これでは減税効果というのはないと、私は思う。いわゆる国のほうでは、いま大臣がおっしゃったように、相当な大幅な減税をやったつもりであるという、これはつもりですからね。国民の実感としては、いわゆるこれは減税されたんだという、一つのその中から喜びなんというものは生まれてこない。かえってこの負担感のほうが大きく出てくるというような、私は感じがしてならないわけなんです。それではかえって減税効果というものはマイナスになる、こういうふうに私は考えますがね。この点どういうふうにとらえておるのか、お答え願いたい。
  69. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 最近特に物価値上がり等が激しゅうございますので、御指摘のような国民の租税負担感についての御批判もあろうかと実は考えておる次第でございます。しかしながら、これも先生御承知のように、住民税は前年の所得課税をするという制度上の宿命を持っておりますものですから、減税額を想定をいたします場合に、ただいま御指摘のように、物価調整減税は、四十八年度における、四十七年と四十八年度における物価上昇率、こういったものに食い込んではならぬといったようなことで調整減税額をきめ、それを上回る額ということで減税幅を想定いたしたわけでございます。その点、最近の物価が特に変動いたしております現状に比べて、いろいろの御批判はあろうかと思いますが、制度上、減税額を想定をする場合にはこういう方法によらざるを得ない、また、その範囲では精一ぱいやったということでございます。なおまた、御案内のように、地方財政の中で、特に市町村税源の中で、この住民税が一番大宗を占める税金でございますので、こういった財政上の必要性の勘案も必要でございますし、また、納税義務者のあり方等につきましても勘案する必要がございましたので、その付近を勘案しながら精一ぱいのところを想定をする、こういう方法をとったと思っておる次第でございます。
  70. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 いまのお答えなんですけれども、ルールどおりから言えばそのとおりだと思うんですね。それで私の言っているのは、御承知のように社会経済情勢というものが大きく変化をしておるということ、そういう中で国民がたいへんいろいろな意味で苦しみを持っているわけですが、いわゆる住民税については、いまおっしゃったように、前年の所得対象にしてやります、こういうことです。それはもう確かにルールどおりです。ところがいわゆるいま申し上げたように、いまの社会経済情勢というものが大きく変わってきているんだということですね、現時点においては。そういったものを踏まえた場合には、いわゆる国民に何らかの形でもってもう一歩積極的な姿勢というか措置というか、こういうものがとられて私はしかるべきではないか、こういうふうに考えるから聞いているわけでしてね。その点、大臣いかがでしょうか。前年の所得、これを対象にしているんだからこれよりどうにもならないんだという考え方を、あらゆる社会経済情勢が変化している中で、やはり同じようにそういう考え方でいかざるを得ないんだという、こういうことになるのかどうかですね。
  71. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 先ほどもお答えをちょっと申し上げたわけでありますが、確かに上林委員が御指摘になりますように、こういう物価が著しく高騰をいたしておるときでございますので、自治省といたしましては、先ほど申し上げましたとおり、ルールとしては前年の所得額を対象として課税をするというたてまえではございますけれども、かなり本年度の場合には大幅の減税をやるという基本的な態度で臨んだことは明らかなのでございます。ただしかし、いまお話しがございましたように、何と申しましても物価が相当に激しく上がっておるというような現状でございますので、やはり納税者の立場から考えてみると、あるいは住民税は前よりも負担が重くなったというような実感を持たれる方があるいはあるのではないかというように私も考えるところでございますけれども、まあこういった点も、実は今度の減税幅をきめるに際しましては、自治省当局としてはかなりまあ気ばって考えたつもりでございますけれども、ただ、先ほどもお答えを申し上げておりまするように、何と申しましても、この住民税というものは地方団体にとりましては一番大きな税源と申しましょうか、財源になっおりますので、そういったことも一方においてはどうしても念頭に置かざるを得ないというようなところで、こういうところに大体落ちつかざるを得なかったというように考えておるのでございます。今後の問題につきましては、いま御指摘になりましたようなことはさらに十分ひとつ検討をいたすべき重大な問題であろう、かように考える次第でございます。
  72. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大蔵大臣が、所得税について、物価の動向によっては四十九年度内にもう一度減税の必要性もあり得るというようなことを言っているわけですね。そこで、そういういわゆる大蔵大臣考え方、まあこれをもとに、この住民税においても、政府は夏までに物価上昇をストップすると、こういうふうに言われているわけですけれども、もし夏までにこの物価上昇を押えることができないとするならば、当然その時点で、やはり住民税についても、いわゆる所得税と同じような考え方減税をまた再度行なうという、こういう考え方も私はあると思いますね。そこで、そういったことについてのこれからの大臣のお考えについてお尋ねをしたいと思います。
  73. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 所得税のことについて、福田大蔵大臣がそういう御発言をなさっておるということも、私も承知をいたしておるのであります。  ただ、申し上げるまでもなく、いま政府といたしましては、できるだけ速急に物価の安定をはかりたい、今日のような騰貴状況を何としても早く鎮静をさせなければならぬということに全力を注いでおるところでございまして、そういうような成果があがるということになりますれば、おそらく大蔵大臣の言われましたことも実際には行なわないで済むということに相なるのではないかと思うのであります。  かりに、もし将来所得税についてそういうようなことを年度内において行なわなければならぬというようなことになりました場合に、一体住民税についてはどうするかということでございますが、御承知のように、住民税というのは、先ほども申し上げましたように、前年の所得額を対象として課税をするという一種のルールがあるものでございますので、ちょっと所得税と同じようなぐあいにこの問題を処理をしていくということは私たいへん至難ではなかろうかというように、いまのところ私はそう考えておるのでございまして、国民といたしましては、所得税がもしそういう場合に相当に減額になるということになりますれば、所得全体に対する課税というものは、一番所得課税の大宗である所得税が相当に減るということに相なるわけでございますので、そこらは全体をながめてやっぱり私は措置をするという現在のたてまえから申しまして、所得税が相当のこと減税が行なわれるということに相なりますれば、住民税はいまのようなたてまえから申しまして私は非常にむずかしいということに相なりましても、国民負担は、少なくともそれに関する限りにおきましては、ある程度減税が行なわれるということに相なるわけでございまして、総体としてやっぱり国民の負担感というものの緩和をはかるという私は考え方政府としては対処すべきではなかろうかと、こう考えておるところでございます。
  74. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣のおっしゃること、理屈としてはわからないわけじゃありませんけれども地方税と国税ということではっきり分離されておる、そういう体制、そういう中でいま大臣の発言を聞きますと、いわゆる大蔵大臣がそういった発言をして、よしんばそういったことが行なわれるという事態、これが生じた場合には、これは全体観からいって国民の税負担というものは軽減されるということなんだから、それで目的は達せられるのではないかという、こういうような御発言のように伺えるわけですが、私はいま申し上げたように、立場が、いわゆる立場が違う。税体制もそういうことで分かれておる。そういう中で、今回の法律が、この法案が出された目的も、これは私がとやかく言うまでもなく、御承知のとおりでありまして、一方で所得税減税になっているんだから、もう地方税は足並みをそろえる必要はないんだということであるならば、これはちょっと立場上おかしいのじゃないか、そういう考え方は、やはり地方税地方税立場で考えていくという姿勢、こういう姿勢が私は大事ではないかと思うんです。それでなければ、いわゆる国民の地方税に対する負担感といいますか、こういったものはいつまでたっても解消できない、いまの大臣のようなお考えであるならば。ですから、そういう意味で私はお尋ねをしたわけでございますけれども、まあ、あえてこれについてはまた再度お答え願わなくてもけっこうでございますが、私はそういう感じがします。  そこでね、次にいきますけれども、この住民税に対するいままでの自治省の考え方、各大臣やはり口をそろえて同じことを毎年毎年繰り返してまいりました。その考え方というのはどういうことかといいますと、いわゆる住民税についてはいわゆる一人でも多く負担をさせるという考え方。いわゆるその納税者が減少するということは、それはかえっておもしろくない。どっちかといえばふえてこなければならぬ。そういうような言い方、また考え方を毎年大臣は繰り返してきております。で、これはいま申し上げたように、そういうことを毎年いままで繰り返してきた、そういった考え方を、そういう時点の情勢といまの情勢は大きく変化してきているわけですけれども、そういう変化してきたこの時点において、現大臣は、やはりこの住民税に対する考え方、これはいままでの大臣が考えてこられたような考え方とやはり同じような考え方を今後も持っていかれるのかどうか、この点ひとつお聞かせを願いたい。
  75. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 住民税というものは一体どういう性格であるかという、住民税のいわば性格に関するような問題についてのお尋ねだと思うのでありますが、御承知のように、住民税というのは、現在のたてまえから申しますると、地方方々がみずからの所属しておりまする団体のために納税をするという点では、一番大宗をなす税であるということはあらためて申し上げるまでもないのでございます。で、私どもやはり住民税というものは、地方の公共団体を構成しておられる地域住民方々が、それぞれの能力に応じてその地域の費用を分担をしていただくというたてまえのこれは税ではなかろうか。さように考えてまいりますると、やはり私はいまのあの住民税に、御承知のように、たいへん金額はわずかでございますけれども、均等割りという制度ができております。まあ、見ようによりますると、貨幣価値がこれだけ変動いたしましたときに、ああいった少額の、場合によりますると経費をまかなうことさえもできないのではないかというような均等割りがなお存続をいたしておるということは、やっぱりこの住民税というものの性格から、これを、この存在理由を肯定することができるのではないかというように考えるのでありまして、やはりこういったたぐいの税というものは、地方団体の税といたしましては、こういうものが大きな税の柱の一つとして存在をするということがきわめて必要なことではないかというように考えておるのでありまして、おそらく前の大臣もそれと同じようなことを申し上げておるんじゃないかと思うのでありますが、まあ私も大体その点については全く同様の考えを持っておるというふうにお答えを申し上げておきます。
  76. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 まあ、そういう考え方でありますとですね、現在まあ所得の地域格差という問題、これは非常に大きく出てきている時代ということが言えると思いますね。そういうことで、そうなりますと、いわゆる低所得者層負担軽減、特に、いま申し上げているように低所得者層のいわゆる負担軽減という問題、これが対象になる者が非常に少なくなってしまう、こういうようなことが考えられるわけですけれども、いわゆる低所得者の税の負担軽減ということについて、やっぱり十分な配慮をしていかなきゃならない、こういう時代は特に。そういういま大臣がお述べになったようなお考えですと、そういった面がどうしてもいわゆる行き届かなくなるんではないかという、こんな感じがいたしますけれども、この点どうでしょうか。
  77. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 先ほども、低所得者の住民税負担軽減をはかるために課税最低限引き上げ方について御指摘があり、今回の措置は必ずしも十分でないではないかという意味の御指摘があったわけでございますが、私ども住民税というものが一面所得に対する課税であるということから考えてまいりますと、やはり所得の低い者と所得の多い者とを対比いたしまして、できるだけ課税の公正を期するというために、相当に所得割りというものを重視していかなければならないということはこれはもう申し上げるまでもございません。が、しかし、先ほども申し上げましたように、住民税一つ性格は、地域住民方々がその属しておる団体の費用の一半を分担するという考え方は、やはりできるだけこれは貫いていくべきではないか。そういう意味におきまして、金額はきわめて僅少ではございますけれども、均等割りという制度によって、住民税というものの性格をここに明らかにしていくというところに住民税の意義というものがございますが、ただ、そういったことで全体に高く重課するということはこれは適当でございませんので、やっぱり所得割りについては、時勢の進展に伴いまして適正な状況にするというために、いま申し上げた課税最低限引き上げというようなことも重要な一つの課題として、これの引き上げを今後とも私は進めてまいるべきだと、こう考えておるところでございます。
  78. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 政府の昨年二月決定の経済社会基本計画によりますと、福祉社会建設を目ざす、こういうふうに述べているわけですね。そこで、社会資本の整備あるいはまた社会保障の充実とともに、税制についても福祉型の税制、こういう方向にやっぱり改める必要があるんではないか、こういうふうに考えるわけですが、住民税をいま生で議論してきたわけですけれども住民税においても、低所得者の税負担軽減、これとともに障害者、それから老年者等、こういう恵まれない人たちの非課税限度額、控除額、これを大幅に引き上げる必要があるんではないかということなんですが、この点どういうふうにお考えになっておりますか。
  79. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、税制においても福祉型のかっこうをとっていくということは望ましいことだと存じております。もっとも、国税におきます使命と地方税におきます使命との分野の違いは若干あろうかと思いますけれども、大綱としてそういう方向をとっていくことは望ましいことだと考えております。  なお、非課税限度の問題でございますが、昨年度は四十三万円。これは、所得全部のベースに置きかえますと、六十六万八千円まで無税と、非課税と、こういうことでございましたのを、ことしは五十万に引き上げましたので、所得の限度といたしましては七十七万八千円までが非課税範囲になる、こういうことでございまして、四十八年度の所得におけるベースとしては、ほぼこういったところではなかろうかというつもりでおるわけでございます。
  80. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 住民税事業所得者の税負担が、給与所得者との比較をしますと少し重いように思われるわけなんですけれども事業税の事業主控除のように、白色申告者の専従者控除を大幅に引き上げるべきじゃないか、こういうふうに思うんですが、これも、やっぱりいまのようないろいろな情勢から言って——前にも私は何回も何回も言っているんですけれども、理屈の上でこうなんだということではなくって、もう理屈の上ではこうなるんだと、だからこうしかできないんだと、こういうことでなくって、現実というものを十分に踏まえた上で、それで、この今回とられる措置がそれによって十分効果をあげることができるのかどうかという点、こういった点を十分に踏まえてお答えを願わなければ、私は、一つの流れで終わってしまうというような感じを受けるんですが、もう一歩、そういう現実を踏まえて、いまのお尋ねしている問題についてもお答え願いたい、こう思います。
  81. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 白色申告者の場合の事業専従者控除の問題についてでございますが、先ほども御指摘があったわけでございますが、今回は二十万円に三万円引き上げ。先年十七万でございましたので、三万円の引き上げをいたしたわけでございます。この金額を幾らにするかにつきましてはいろいろ論議があるわけでございますが、まあ、いわば、そのものではございませんけれども、一応の所要経費といったような考え方所得計算をする性質のものにも相なっておりますので、この点の金額は、国税の所得税におきます金額にスライドをして、ことしは二十万円にきめたと、こういう経過を実はたどっておるわけでございます。  なお、所得税につきましては、ことしの経済状況そのほかの状況を勘案いたしまして、四十九年から、四十九年所得の分の所得税からは三十万円にこれが引き上げられるというかっこうに相なりますので、この金額を参考にいたしながら、明年度の住民税においては、おそらくこれを踏襲すると申しますか、そういったかっこう引き上げる方向をたどっていくだろうと、そのように検討いたしたいと、こう考えておる次第でございます。
  82. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 税調の答申では、基礎、配偶、扶養の各控除額を所得税同様一致させると。これを目途に控除額の差を逐次縮小していくことが適当であるという、こういうことが言われているわけですね。で、この三控除を一致させるということについて、これはどうですか。これについてはいつごろそういったことになるのか、その見通しについてお答えいただきたい。
  83. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 三控除の額がどうあるべきかについて、ずいぶん税調等でも議論があったわけでございますが、この三控除の額が国税において一致をすることに相なり、地方においてもなるたけ早くこれが一致するということが望ましいと、私どももそのように考えておりまして、今後これの一致については努力をしていきたいと思っておるわけでございます。  ことしは、御案内のように、基礎控除と配偶者控除につきましては額を一致をさしたわけでございますが、扶養控除につきましてまだ四万ほどの差があるわけでございます。ただ、この金額をいつ一致をさせるかという御質問でございますが、この点につきましては、扶養控除引き上げは、御案内のようにかなりの減税財源を必要といたしますので、地方財政状況等を勘案をいたしながら、なるべく早い時期に一致をさせるという方向で進めさせていただきたいと思っておる次第でございます。
  84. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 二つの控除については一致をしたのだ、こういうことで、あと一つ残っているということなんですが、しかし、いま申し上げましたように、税調の答申では、これはいつでもいいということではない。やっぱり早い機会にそうすべき、そういう方向をたどるべきである、こういったことであって、かいもく見当がつかないということでは私はこれはちょっとまずいのじゃないかと思うのですね。  そこで大臣にお尋ねをいたすわけでございますけれども、その点、あとの扶養控除の問題ですけれども、これは当然いままで何回も何回も、社会情勢、経済情勢と言いますけれども、全くそのとおりなんであって、これはやはり二つまで控除が一致した。あと残るのは一つなんだ、これは当然来年度においてそうすべきである、こう私思うのです、税調の答申もあることなんですから。ですから、それがまた最も好ましいことであるということなんですから、これは急ぐべきである、そういう意味で、私は少なくとも、ことし間に合わないとするならば来年これはやるべきではないか、こう思いますが、いかがでしょう。
  85. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 税調の答申も、逐次これを縮小して解決をするというふうなことになっておると私も承知をいたしておるわけでございまして、そういった方向で、ひとつ極力、なるべく早い機会にその線に到達するように自治省としては努力をいたすべきものだと、こう考えておる次第でございます。
  86. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 大臣からお答えをいただこうということで大臣にお尋ねしたわけですが、大臣のお立場ですから、大体その辺の見通しが、早い機会に、そういう言い方でなくて、大体来年度にはというようなお答えが返ってくるかと思ったのですけれども、そうしますと、早い機会ということは非常に抽象的でありまして、これはいつのことかわからぬ、こう申し上げることができるのじゃないかと思うのですが、まあそれ以上私も申し上げませんけれども、まあ、つとめて全く早い機会に——早い機会というと、一番早い機会というのは来年ということだと私は思いますので、ひとつそれを目途に御努力願いたい、こういうふうに思います。  最後に、市町村財源の確保についてでありますが、これは一番重要な問題でありますが、先ほど大臣からも、住民税に対する考え方の中で、この住民税というものは市町村財政の中でも比重が非常に大きい、こういうお話しがあったわけでございますけれども、この財源をどう確保していくかという問題が今後の大きな課題としてあるわけでございますけれども、そこでいままでの状態を振り返ってみますと、市町村財政は年々苦しくなっているということは、これはもう私が言うまでもない、御承知のとおりであります。たとえば昭和四十六年の決算によりますと、市町村の歳入に占める税収入の割合は三七%である。昭和三十一年の五四%に比べますと、一七%も減少しているという状況になるわけでございます。そのほか、また富が集中をしているとこう見られている六大市、こういう六大市も、いままでは交付税の対象ではなかった、いわゆる不交付団体であったという、それがいつの間にか交付団体に変わっているという、こういうような状態になってきている。そういう姿は、やっぱり市町村財政の苦しさというものを、ますます逼迫してきておるのだという、そういうものを如実にあらわした現象である、こう申し上げていいのじゃないか、こう思います。そこで、そういう現状から、私は先ほど大臣がおっしゃったように、住民税というのは一人でも多くにいわゆる負担をしてもらう。それは一つは、市町村財政の税収面で大きな比重を持っているのだという、こういう問題もある。そういう点からいいますと、御承知のように、現在の住民税あるいはまた法人所得課税の国と地方配分ですね、いわゆる住民税の国との配分の問題、こういった問題は、私は当然大臣先ほどの御答弁、お考え方からいうならば、当然こういった問題をもっと正しくいわゆる是正をしていくと、こういう姿勢が必要であると、こういうふうに思うのですね。そういう是正をするということによって、いわゆる地方財源をそのことによってまたどれだけかは充足することができるのだと、こういう考え方が成り立つわけでありまして、その点を大臣は、住民税は非常に重要な比重を占めているというこのお考えの中で、やはりいま申し上げたように、そうならばいわゆる国と地方とのその辺の配分の問題を当然是正さしていくべきである、こう私は考えるわけでありますけれども、その点、大臣のお答えをいただきたいと思う。もしそれがちょっと変わった答弁でありますと、大臣先ほど言った答弁と今回の答弁と非常に食い違いを生じてくるということにも相なりますので、十分ひとつその点お考えをいただいてお答えを願いたい、こういうふうに思います。
  87. 町村金五

    国務大臣町村金五君) この地方公共団体の自主財源と申しましょうか、あるいは特にその中でも地方税の占める割合というものを、私どもは常に深く重視をいたしておるところでございますが、御承知のように、最近人口の都市集中あるいは産業の特に大都市方面への集中がはなはだしくなってまいってきておるというようなことから、どうしても税源というものがそういう大都市あるいはそれに準ずるようなところに非常に多くなってきておるのでありまして、このことは、国税においても、あるいは所得税、法人税ともに、そういう地帯は非常に税額が大きくなっておるのに対比いたしまして、御承知のように、一般の県は、必ずしもその伸びが、それに対比いたしてみまするときわめて低いという状況にあるわけでございます。したがって、私どもが考えてみますると、本来ならばそれぞれの自治団体は、地方団体は、みずからの税源によってその財政がまかなわれるようになることが本来非常に望ましいわけであり、また、私どももそういう点を特に配慮をいたさなければならぬのでありますけれども、何と申しましても、いま申し上げたようなぐあいに、税源が非常に偏在をしておるというような状態でございますので、その点を考えてみますれば、いわゆる地方の行政水準というものをできるだけ平準化していかなければならぬということになりますると、どうして交付税というものに私どもは大きな機能というものを発揮してもらわなければならぬということに相なっておるわけでございまして、そういった点から考えてみますると、今日、私どもといたしましては、地方の財源を確保していくというためには、国とあるいは地方公共団体の間における税源配分の問題が、はたして今日の現状でいいのかどうかという一つの大きな問題を考えていかなければならぬことは申し上げるまでもございません。御承知のように、このたびの地方税制の改正におきましても、特に法人税に、たとえば住民税の法人税割りを約一割程度これを引き上げるという措置を講ずることに相なりましたのも、これは申し上げるまでもなく地方の自主財源をできるだけふやしていきたい、ことに最近の情勢から考えてみまして、府県と市町村とを対比いたしますると、どうも市町村の税の伸びが必ずしも府県に比べてみて十分でないというようなことから、今回の法人税割りの増収分の大部分というものを、これを市町村の財源にするというふうな措置を講ずることにいたしましたのも、特に財源の点で、府県よりはかなり窮屈な状態にあるという市町村の財政状態を特に配慮した結果であるわけでございまして、基本的にはいろんな問題がございますけれども、当面、われわれといたしましては、まず、市町村の財源の充実の一助にすべきだということで、今回は法人税関係の課税を、いま申し上げたように、二千億円程度のものを増徴をするということにいたしたようなわけなのでございます。
  88. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 ほんとに最後にお尋ねしておきたいわけでございますけれども、どう考えましても、地方財政というのは、いままでのこういうような——毎年こうやって地方税制が改正されされているわけでありますけれども、われわれから言わせれば、その場限りの小手先の措置というふうにしか考えられない。  そこで、やはりいわゆる地方行政に当たって、地方の行政、そしてその行政を高めていくためには、どうしても財政の充実というものが必要になってくるのだということ。それは、ますますその要求が強くなってきているわけですね。ですから、どうしてもやはり、抜本的な考え方といいますか、対策というものをこれから打ち立てていかなければならない、特にそういう時代に突入していると私は思うのです。だから、そういうものを踏まえて、大臣として、遠い将来のいわゆる地方行政というものに対する展望、構想、こういうことについて特にお考えになっていることがあるならば、お聞かせをいただきまして、質問を終わりたいと思います。
  89. 町村金五

    国務大臣町村金五君) いま私直ちに、そういったきわめて重要な問題について、お答えをするだけの用意をいたしていないわけでございますけれども、私が申し上げるまでもなく、今後の地方行政というものは、私は、質的にも、量的にも、次第にもっともっと拡充されていく傾向にあるというふうに見ておるのでございます。すなわち、これをたとえば事務的に考えてみまするならば、国で行なうことと、地方で行なうこととの区分といったようなことも、おそらく私はだんだん再編成をされて、事柄によりましては、かなり地方自治体に次第にこれを譲っていくというようなことも、私は当然行なわれることになるのではないか。そうなりました場合に、仕事がまいりましても財源がそれに伴わないということになったのでは、地方としてはとうていたえ得るものではございません。したがって、今後の地方行政の展望からいたしまするならば、地方に次第にこういうものを分担をさせるようなことに相なりまするならば、それに伴う財源措置というものも当然伴って行なっていかなければならぬ。  ただその場合に、一体どういうふうにして、それでは財源措置を行なっていくかということになりますれば、先ほどもお答えを申し上げましたが、結局税源の配分を現状とどういうふうに変革をしていくかという問題に当然ならざるを得ないわけでございまして、そういった点を考えてみますると、なかなかこれは私はむずかしい問題だと思います。けれども、しかし、大局的には現在とそういった場合とを対比いたしまして、必要な財源はやはり地方にこれを回すということが、これは当然並行して行なわれていかなければ、目的を達成することはできませんので、おそらく私はそういう方向にだんだんと進んでいくように、国の行政のあり方というものが、そういう方向を私はだんだんとっていくことになるのではないか。先ほども御指摘がございましたが、たとえばいわゆる福祉行政といったようなことは、どうしてもこれは地方できめこまかくやらなければならぬというようなことが私は次第にふえてくる。しかし、それには今日ではまた財源がきわめて不足であるといううらみがございますので、そういったことともかね合わせて考えてまいりますときには、やはり基本的には税源の配分をどういうふうにいろいろの角度から検討するかという、きわめて複雑で重要な問題を解決をいたしてまいらなければ、ただ仕事だけを出すということも、これは私はできないのじゃないか。いずれにいたしましても、そういった基本的な問題を今後さらに検討してまいらなければなるまいと、こう考えておる次第でございます。
  90. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は簡潔に数点お尋ねいたします。  まず、住民税に関連してお伺いするのですが、四十八年十二月の政府税制調査会の答申で、税率について、「住民税課税最低限引き上げが終了する時期を目途に税率のあり方について検討する必要があろう」と述べておりますが、その時期はいつと考えておられるかということ。  いま一点、税率検討の際は、都道府県民税税率の段階、しばしば当関係委員会での議論となっている問題です。御承知の、現行の道府県民税所得割りの税率が二段階になっております。これは大体低所得者層負担の均衡をはかるという議論のたてまえから、数段階にすべきではないかというような議論も出ておりましたが、そうした段階についても検討さるべきであろうと考えるのですが、どうお考えか、お伺いしたいと思います。
  91. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま御指摘をいただきましたように、十二月の税調で、住民税課税最低限引き上げが終了するときを目途に税率を考えろと、こういう答申をいただいておりまして、私どもも全くそういうことであろうというように考えておる次第でございます。具体的には、御案内のように、所得税の、給与所得控除等を主体にいたします課税最低限引き上げ措置が、四十九年度で百五十万円、五十年度で百七十万円、現在このようなテンポで進むわけでございますが、これに対応いたしまして、住民税課税最低限引き上げも、四十九年度所得税に対応するものを来年度、それから五十年度の所得税に対応するものを五十一年度と、こういったように対応するわけでございますが、措置をとっていかなければならないと思っておる次第でございます。したがいまして、現在の情勢であります以上、そういった措置をとったときにということになりますと、五十二年税制からということに相なろうかと思いますが、いろいろ財政状況、そのほかの事態の変化もあると思いますけれども、そのような考え方税率のあり方等についても鋭意いろいろ御検討をいただき、また、私ども検討を続けていきたいと、こう思っておる次第でございます。  それから、その際に、住民税の中で道府県民税の二段階税率、これもいままで申し上げましたように、いろいろ論議がありました結果こうなっておるものでございますが、なお論議もございますので、当然その中の一環として検討すると、こういうように考えておる次第でございます。
  92. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 そこで、話がもとへ戻りますが、住民税減税の規模についで、今回の改正では課税最低限引き上げ等の処置が行なわれております。また、占部委員、またただいまの上林委員住民税についての御意見等もありましたので、私は多く述べようとは思いませんが、たとえば基礎控除額の引き上げによって、住民税課税最低限が夫婦、子二人、給与所得者の場合、現行の八十六万五千円から百一万六千円に引き上げられております。が、しかし、たとえば今年度の人事院の最近の標準生計費、これにおきましても、たしか百四万円となっていると私は思うんですが、これから考えましても三万円弱低いことになっていると思います。まあ局長のお話しでは、四十八年度の住民税なんだから云々という、これは答弁のあやだったと思いますが、そういうお答えがございましたが、現行から見ましても、せめて人事院が標準生計費を指摘しているその額と私は並んでいいのではないかと——これは百歩譲りまして、いいんじゃないかと思うんですが、お考えがあればお伺いしたいと思うんです。
  93. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 住民税課税最低限をどの程度に持っていくかということで、たとえばいま御指摘がございましたように、人事院の標準生計費あるいは基準生計費と申します問題ですが、それとか、あるいはこれはちょっと極端でございますが、生活保護の基準額とか、こういったものがよく引き合いに出されるわけでございまして、人事院の標準生計費が百四万円になっておりますのは御指摘のとおりでございます。ただ、四十八年分の基準生計費といわれておりますものは大体八十万弱、七十七万九千円程度でございますが、それから、これは比較にならぬとおっしゃるかもしれませんが、生活保護基準が六十九万八千円、約七十万、こういったようなところでございまして、こういう数字も私どもいろいろ念頭に置いて考えもいたしたのでございます。ただ、標準生計費の場合は、公務員の給与をきめるにあたって、御承知のように、総理府の家計調査を基礎にして算定された一応の理論値ということに相なりますので、ここでいう住民税の場合の課税最低限ということと必ずしも一致するのか、しないのか、これについては論議があるものでございまして、私ども住民税の場合、若干これを下回るケースがあっても、これはやむを得ないのじゃなかろうかというように考えた次第でございます。
  94. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 附則二十二条の「検討」という項についてお尋ねしたいのですが、土地固定資産税について、附則二十二条で、課税適正化をはかるため、検討すると記せられております。私は、いつごろまでにどのように検討するのか、その方法はどうなのか、審議会でも設けて検討されるお考えなのか。また、この法によりますと、五十一年のどうしても二−三月にまとめることになると思いますが、国会のみでなく、各界、また関係者においてもそれを十分検討することができないので、できるだけ早く自治省案なるものをまとめていく必要があるのではないかと考えるのですが、いかがでしょう。
  95. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 土地固定資産について、五十一年の再評価の機会に抜本的改正をすべきで、それについての検討を重ねるということにいたしておるわけでございますが、御指摘のように、これがいつまでもかかりまして、五十一年ごろにということになれば、なかなか困難であるというのは御指摘のとおりでございまして、私どももなるたけ早く基本的な検討を重ねたい。本年ないし明年度の半ばごろまでにも、そういった自治省の考え方等をいろいろ示しながら御検討をいただきたいと、こう考えておる次第でございます。  なお、この検討やり方につきましては、基本的には、政府の税制調査会で各界の代表者の方がお集まりでございますので、そういった機関を通じましてよく御審議をいただくということが一番適当であろうと考えておりますが、事務的には、私どもとしては、各地方団体実情等も十分に聞きながら、早急に案をつくり上げていきたい、こう考えておる次第でございます。
  96. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 土地にかかわる固定資産税だけを見ましても、昭和三十八年以降、暫定的な処置の繰り返しです。関係者だけでなく、納税者にもわかりにくい不明確なものになっている、複雑なものになっていると、私はこう思うのです。こういう点で、その機会に、ひとつ土地に関する地方税といいますか、自治省関係の土地に関する法をもっと明確なものに根本的にひとつ検討さるべきではないかと、こう思うのです。と申しますのは、私たちが見ましても、たとえば土地税制いろいろあります。特別土地保有税、宅地並み課税都市計画に関連してのそれぞれ土地に対する最近の税のあり方というものは相当複雑なものになっていると思います。これはたとえば、きょうではなしに、衆議院の附帯決議の中にも、土地問題について明確な線を出せという意見が、こういうことばで出ておりますが、「土地にかかる固定資産税課税について、昭和五十一年度までに根本的な再検討を加える」ようにということになっております。また、去年のたしか地方税、私も審議に参加したのでありますが、そのときの附帯決議の中にも、最後に、地方公共団体による公用地取得の拡大をはかるために、当面問題であります宅地の供給を促進するためにも、総合的な土地対策を一そう強化せよという決議になっております。こういう点から考えまして、土地に関連しての税のあり方も、納税者に対しもっと親切なというのか、不明確でないようなすっきりしたものを——もちろん国の立場からもそうでしょうけれども、その際、私は根本的な検討をさるべきでないかとこう思うのですが、自治省としてどうお考えになりますか、お聞きしたいんです。
  97. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 現在、土地に対します課税のあり方が、御指摘のように非常にむずかしくなっておりまして、複雑であるということは御指摘のとおりでございます。なるたけ私どもとしてもこれをすっきりしたわかりやすい体系にいたしたい。もちろん、そのことを抜本的検討の大きな要素の一つに考えたいと、こう考えておる次第でございます。  御案内のように、現在非常に複雑になっておりますのは、やはり基本的な原因は、土地の非常に異常な値上がり、これに伴います評価額の改定等に伴って税負担が非常に激変をするというものをどう調整をするかというような問題、それからもう一つは、いわゆる土地政策上の政策税制でございますが、これがからんでまいりまして、現在の土地税制が非常に複雑になっておりますのは御承知のとおりでございます。幸い、国のほうの土地税制も五十年で一応期限切れになりまして、これも土地税制についての見返しをその時点で行なうと、こういうようなことになっておりますので、あわせまして両方の目的をできるだけすっきりとさして、単純な明快な税制にすると、これも考え方一つに入れて検討を進めてまいりたいと、こう考えております。
  98. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 次いで、住民税法人税割りの市町村への配分を強化するため、今回三%の引き上げをされておりますが、さらに市町村財源を拡充しないと、道府県の税収の伸びに追いついていかないのでないかと思います。さらに検討して配分を高めるようにすべきであると、こう思います。もうすでに上林さんから御質問がございました。また、あなたなり大臣からも相当熱意のある御答弁がございましたので、私はこれ以上この問題について触れようと思いません。しかし、大臣がおられなかったかしりませんが、自治省の方おられましたけさ、指定都市の方たちから切なる陳情がありましたように、こういう陳情がなくとも、今日の市町村の自主財源の確立ということについてはかねがね御心配はいただいてはおるのでありましょうが、しかし、今日ほど急なものはございません。そういう点で、強く私も、上林氏のことばをそのままかりまして、ひとつ地方市町村の自主財源の確保のために、いま一段の御努力をいただきたいと思うのです。  それで、私のことばは、まあ一応この問題については終わりますが、その熱意のほどをひとつお聞かせいただければけっこうと思います。
  99. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 地方財源が貧弱である、その中で特に都市財源、市町村財源が貧弱である、これをどうしても増強しなければならぬ、その増強をする方法として一番適当なのは、法人関係の税収のウエートを高めていくことだと、こういう考え方を持っておったわけでございまして、御指摘のとおり、都市財源の充実にわれわれとしても十分なお今後とも力を尽くさなければならぬと考えておる次第でございます。御案内のように、ことしは住民税法人税割りの増徴によりまして、大体二千億程度の平年度増徴というものがあげて市町村にいく税制をとったわけでございますが、今後なお、まあたとえて申しますれば、事業所・事務所税等の創設、こういったような問題をも鋭意検討をいたしまして、都市財源の充実に尽くしてまいりたいと、このように考えておる次第でございます。
  100. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 今回、料理飲食等消費税の基礎控除を千五百円に引き上げられておりますが、私、簡単なことばですが、この物価上昇では、いまの状態では少な過ぎるんでないかと思うんですが、これはいかがですか。
  101. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 今回、料理飲食等消費税の基礎控除額を千五百円にしたわけでございますが、御案内のように、別途料理飲食等消費税につきましては免税点の設定がございまして、旅館宿泊の場合は、現在二千四百円までは税金がかからない、免税と、こういうことに相なっておる次第でございます。したがいまして、それ以上のところに宿泊をされました方の基礎控除でございますので、いわば最低の睡眠をとるという程度のものの控除控除すべきものである、こういう考え方に立ったわけでございまして、いままでの千円を千五百円に引き上げたことによって、いろいろ御批判はあるかとも思いますが、私どもとしてはこれで十分その趣旨を達し得るのではないかと、こう考えた次第でございます。
  102. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私はレジャーブーム云々というようなことは申し上げませんが、観光地における市町村の行政負担は、押し寄せられるこれらの人々のために非常な負担増になっております。今日の傾向から見て、ますますこれは市町村負担はふえていくんだとこう思うんです。  こういうような点からいま考えましても、料理飲食等の消費税につきましても、たしか、国には重く、府県、特に市町村に至っては実に低い状態だというこの状態から考えましても、これは相当なお考えていただかなければならないと、こう思うんです。  このたびの地方税制の改正のもととなりました政府税制調査会の答申、これはたびたびきょうもお話しが出ましたように、去年の暮れからことしにかけての物価高騰というものは、今日ほど異常な物価高になるということは予想をせず、また考えておらないままの答申だと、こう私は思うんです。その点、全体的に見まして、減税規模が、非常に失礼なことばかしりませんが、小さ過ぎるのでないかと、こう思います。料理飲食等消費税は二年に一度改正されるのが通例のようでありますが、この物価動向を考えますと、明年度すなわち昭和五十年度にも改正して、控除額等をば引き上げるように計らっていただけないものかどうかということをひとつお尋ねしたいと思います。
  103. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 物価上昇そのほかに伴いまして、宿泊料のあり方、飲食料の平均的なあり方等も、いろいろ変動があろうかと思うわけでございます。特に免税点につきましては、そういったこととの関連が非常に多かろうかと思いますので、明年度はそういった状況を十分勘案をしながら検討さしていただきたいと、このように考えておる次第でございます。
  104. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 次いで、昭和四十四年に宅地開発税が創設されたんでありますが、この税を設けて実施している市町村がどのくらいあるのか。もしあまり課税されていないようでしたら、課税されておらない理由はどこにあるのか。まあ実施されていないものなら廃止されるべきでないかと、こう思うんですが、どうお考えか。
  105. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘宅地開発税でございますが、現在その課税市町村の任意にまかされておりますけれども、残念ながらまだ一市町村も実施をいたしておりません。この宅地開発税は、御承知のように、宅地開発に伴って必要となる公共施設の整備に要する費用に充てると、こういう目的のために創設をしたものでございますけれども、いずれの市町村もまだ実際にこれを実施をいたしておりませんのは、正直に申しまして、一番おもな理由は、この税率が、標準的な考え方が一平米当たり五百円程度でどうだと、こういうことになっておりますものですから、当該市町村においては、この金額がまあいわば少な過ぎると、こういう税を設けるよりは、直接宅地開発を行ないます事業主と折衝をいたしまして、土地の譲渡でありますとか、そのほか施設の整備であるとか、こういうことを直接にやらしたほうがむしろ実情に合うと、こういう考え方で実施をされていないものと実は考えておる次第でございます。  しかし、今後におきましても、制度的に考えてみますと、宅地開発に伴って必要となります公共施設の整備、これに要する財源を何らか規則正しくルールによって徴収をしていく、こういう制度のそのもののあり方はやはりどうしても必要なものではなかろうかと私ども考えておる次第でございまして、今後この一平米当たり五百円といったような標準税率のあり方が非常に現実に即さないかとも思いますので、こういうものの検討も含めながら市町村その他とも十分よく相談をした上、所要の措置を講じたい、こう考えておる次第でございます。
  106. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 沖縄国際海洋博覧会の開催に伴う特例措置が規定されております。万国博、私は地元大阪なんですが、またオリンピックのときも、外人客といいますか、料理飲食消費税等についても非課税にされたことと思っています。沖縄海洋博の場合、この点どうお考えか、ひとつお伺いいたしたいと思います。
  107. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 沖縄国際海洋博の開催に伴います外客誘致のための料飲の非課税の問題でございますが、開催期間とその前後数カ月ぐらいの期間になろうかと思いますが、従前の例によりまして、やはり非課税にしてしかるべきかと実は考えております。今回の税法に載せませんでしたのは、御案内のように五十年の七月からでございますか、開催が。それでございますので、五十年度の税制改正で時期的に十分間に合う、こういうつもりで今回手を触れなかったわけでございまして、来年度の税制ではひとつ実現をするように検討さしていただきたいと思っております。
  108. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 終わります。
  109. 河田賢治

    ○河田賢治君 かなり他の委員から問題が出された問題で、あまり何度も繰り返してもらうのは気の毒なような感じがしますが、個人住民税について、いろいろ先ほどから生計費の問題が一方ではあり、それからまたいろんな経済の変化等々があった。ところが、この住民税基準を大体自治省としてはどういうところに置いておられるんですか、住民税最低限ですな。これはできるだけやっぱり厚生省やあるいは総理府等々の一致点がないと、自治省だけでこれはどういう基準を持っておられるか、その辺も、統一したやっぱり見解が要るんじゃないかと思うんです。だから、自治省としては大体年々これは改正があったりするわけですが、大蔵省のほうは、所得税で、所得の再分配だということをあなたのほうはおっしゃっておる。しかし、住民のほうは、できるだけ地方住民がその自治体に参加もし、また地方自治体の全体の責任の一部でも負うという形でできるだけ広く税金をかける、こうおっしゃっておるんですけれども、それはそれとして、基準がなくちゃならぬと思うんですね。その辺はどういうようになっていますか、生活保護費とかその他のいろんな関連で。
  110. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 住民税最低限につきましての基準的な考え方でございますが、ただいま先生から御指摘をいただきましたようなもろもろの問題がございまして、それを総合的に勘案をいたさなければならぬと思っておりますが、もちろん、課税最低限のあり方について、生活保護費、基準生計費、こういったようなものを下回るといったようなことはあってはならぬ、このように考えておる次第でございます。現実的には、前年の国の所得税におきます標準家族課税最低限、これの——いろんなあれがございますけれども、まあ八割見当と申しますか、そういったものは下らないように措置をしていくというようなことを、従前からも自治省としては考えておったわけでございますが、今後ともそういった線は下らないような額にぜひ設定をしていきたい、こう考えておる次第でございます。
  111. 河田賢治

    ○河田賢治君 所得税の八割とおっしゃるんですけれども所得税というのは、あなたもさっき言われたように、いわゆるいろいろな政策減税もあるわけですね。必ずしも国は生活の最低限をとったわけではないんで、むしろ住民税のほうがたくさんの人にかかるんですから、これが生活の何といいますか、最低限を、たとえば生活保護を受けているとか、あるいはまあ総理府の独身者、あるいは家族の最低生活費というようなものを出しているわけですから、そうすると、ここを基準にすると、所得税のほうで課税を上げたり下げたりするのとはちょっと違うと思うんです。だから、それの八〇%ということになりますと、政府が盛んに所得政策で、かりに個人所得を下げても法人のほうで上げるとか、いろいろここはかなり大きな操作ができるわけですね、国のほうは。しかし、住民税になりますとそういうあまり操作ができませんでしょう。だから、どうもこの八〇%というのは、上ばかり見ないで、下の要するに住民の生活、これでどれだけの担税能力があるかとか、こういうところから出発をすべきじゃないかと私は思うのですが、その点はいかがでしょう。
  112. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のとおりでございまして、ただいま一つの例を申し上げましたが、それだけでということを考えておるわけではもちろんないわけでございます。一方では生活最低限というものを見ますために、御指摘がございましたように、生活保護基準額とか基準生計費とか、こういうものも見ながら、それからまた他方では、御案内のように納税義務者数のあり方でございますとか、地方財政状況とか、こういうものを見ながら検討をしていくべきものでありまして、必ずしもその八〇%にとらわれるわけではございませんけれども、まあしいて申し上げますれば、どのくらいの見当かと、こういう御質問でございますれば、国税における課税最低限の八割見当というところ、そういったところを下回らないように努力してまいりたいと、このように申し上げたわけでございます。
  113. 河田賢治

    ○河田賢治君 たとえば、いまの問題を続けますと、国税のほうは、大体ことしのあれで見ましても、給与所得者が約二百九十三万ですか、それだけ減るわけですね、課税最低限が上がりますから、所得税の。ところが、住民税のほうは大体五十万人ぐらいふえるんでしょう、ことしは。だから、こういう点からも、大体税金があれなら、課税される人間は少なくともそう大きな変わりはなくいくだろうと思うのですけれども。だから、よほど所得税——さっきあなたが言われたように、八〇%ばかりにこだわっているわけじゃないとおっしゃいますけれども、国のほうでは相当ことしは大減税をやるというので、給与所得者なんかの納税人員も、また給与所得者全体も相当減るわけですね、課税人員が。ところが、こっちはどんどん上がっていくんですから、ことしあたり五十万ほどふえるんじゃないですか、前の年より。それから、その前の年よりもことしはうんとふえているんですよね、人員が。だからその辺にも、やはり今日の経済情勢の中である程度収入が上がってきた。そこで今度は課税しますと、相当な人間が急にふえるというようなことになりまして、この辺から見ましても、住民税が、人数の面から見るだけですけれども、相当多くなっていく。だから、こういう点で私はもうちょっと自治省が、最低の課税限度というものをはっきり持って、それでこれは自治省だけですぐおきめになるわけじゃないでしょうけれども、しかし、そういう材料はやっぱり厚生省や総理府、いろんなところにあるわけですから、これを基準にして何とか割り出していくというふうにしませんと、かなりアンバランスができるんじゃないかと思うのですよ。ことしの生活費保護なんかは、これはことし、四十九年度ですけれども東京の夫婦子供二人で一級地ですと大体百六万なんですね。そうしますと、そう変わらぬですね、去年のあれにかけるにしましても。だからもう最低生活、生活保護なんですから、これはもうほんの命だけが長らえているというようなもので。こういう面を見ましても、住民税が相当今日の事態では私は過当な負担になってきていると、こういうふうに思うわけです。この点で少し——まあことしこれをきめたんですから、これは反対するのはするんですけれども、一応きまるでしょうけれども、今後やっぱりそういう点の基準を少々自治省でも考えていただきたいと思うのです。これが一つです。
  114. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘をいただきましたように、各種の基準、各種の方面から総合的に勘案をすべきものであると私どもも考えておりまして、生活保護基準額等を下回ることのないように十分努力をしてまいりたいと思っておるわけでございます。  なお、納税義務者数でございますが、御案内のように、大体、四十八年度三千三百万ほどの所得割りの納税義務者でございますが、四十九年度は、御指摘のように、これより約五十万程度増加をすることに相なるわけでございます。しかしながら、個別の市町村別に考えてみました場合に、最近は非常に、小さい町村では納税義務者が一〇%もいないといったような町村もふえてまいっておりますので、そこら近所のことも勘案をいたしながら、納税義務者数に非常に大きな変動がこないようにというようなこともあわせ考えなければならないと、このように思っている次第でございます。
  115. 河田賢治

    ○河田賢治君 次に、また、これは小さな問題になりますけれども、法人住民税の均等割りですね、これは御承知のように一千万円超と、それから一千万円以下と、これが年千円と六百円ですか、道府県民税。それから市町村民税の場合は、一千万円超が年四千円と、片一方、以下は年二千四百円、こういうふうになっているわけですね。どうも、今日、法人というものは、ずいぶん下は小さなものからもう百億をこすような大企業になっているわけです。確かに、均等割りだから均等にかけなきゃならぬという趣旨もわかりますけれども、これはあんまり大ざっぱじゃないでしょうか。この辺、ひとつ、どうです。
  116. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 法人の均等割りにつきましての御指摘でございますが、この金額が非常に少額であり、かつまた、改定をされましてかなり期間がたっておるという意味において、非常に、現在、問題であるという意識は私どもも持っておるわけでございます。なお、均等割りにつきまして、個人の均等割りにつきましても時代が非常に長くけみしておりまして、このあり方についても、やはりいろいろ議論がされておるわけでございます。両方あわせまして、ぜひ早い機会にこれの再検討ということをさしていただきたいと思っておる次第でございます。
  117. 河田賢治

    ○河田賢治君 もう一つ言おうと思っているのに、あなたのほうが先に答えられたのですけれども、たとえば市町村民税、これなんかは、道府県民税は均等で百円。市町村民になると、これは人口によりまして、最低が二百円で、それから次が四百、六百と、こう三段階に分かれていますね。そうすると、この二百円から六百円と、三倍の相違があるんですね、個人の高いところは、同じ個人でありましても。ところが法人住民税になりますと、さっき申しましたように、六百円と千円、これは道府県民税、これは一・五くらいですわな。片一方は二千四百円の四千円ですね。倍も取っていないんですよ。あなたのほうではよく、何といいますか、応益の原則だとか何とかおっしゃる。あるいは能力に応じてともおっしゃっておる。しかし、法人住民税なんかは個人よりもさらに変化が少ないわけですね。この辺は、それは、所得税やその他で補うということもありましょうけれども、しかし、こういう税は比較的取りやすいわけですよ。ほかの、ずいぶんたくさんの人間にかけて徴税費がうんと要っているというのは——あとでまた申し述べますけれども、これを見ましても、私はもうちょっと、相当の、十億、百億といってあるんですから、あらまし、そうたくさんな段階に分けぬでも、しかし、やはり住民税というものは、これはずいぶん住民には迷惑かける会社や事務所、事業所があるわけですから、こんなのを、同じ均等割りだといってこんなあんまり安っぽいのはどうかと思うわけですよ。この辺もあわせ、さっきおっしゃいましたように、均等割りについてもある程度累進的な要素を入れていくというふうにお考え願いたいと思うわけです。  それから、さっきも固定資産税の例の個人住宅ですね、あれが出ました。これは原さんがお聞きになったので、これは内容については申しませんけれども、とにかく税額が今度の評価がえによってべらぼうに上がって、ことし若干手直ししたとということになっておりますけれども、やはり東京あたりでは、二十三区の住宅地平均の固定資産税額というものが、坪当たりですけれども、四十七年が二百七十九円、四十八年が三百九十円、四十九年が五百十八円、だから四十七年に比べて一八六の上がり方になっているわけです。京都あたりでもこれは同様の状況になっておりますが、このように上がりますと、特に住宅というのは、先ほども話があったように、営利的な目的の事業ではないわけなんです。住家というのは、住んでいる人は、人によればもう親子何代がその家に住んでいるというところが多いわけですわな。ですから、そういう点も勘案してこれからやらにゃならぬと思いますが、今度五十一年に評価がえが行なわれるわけですね。そうしますと、最近の地価の異常な高騰を見ても、これは地価がどの程度に落ちつくのか、さらにまだもう少し上がるか、この点は経済の発展と見合わせなくてはわかりませんけれども、相当評価がえで評価額が大幅に引き上げられる、こういうふうに大体推察されるわけですね。ところが、四十八年の評価額地価公示価格に比較してどの程度になっているんでしょうか。これも一応地価公示額とそれから評価額ですね、これは地域によって若干違うと思いますけれども評価額、そういうものとの関連ですね、どういうふうな基準になるものか、ちょっと一応御説明願いたと思います。
  118. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま、地価公示額と固定資産評価額との割合はどうなっておるかという御質問でございますが、御指摘のように、地域によって若干のアンバランスがあろうかと思いますが、全般的に申し上げますと、地価公示額の四割程度評価額になっておるというのが平均的状況であろうと思います。
  119. 河田賢治

    ○河田賢治君 大体、これは五十一年ということになりますとだいぶ先ですから、いまからお約束はできぬかもしれませんけれども、大体そういう公示価格とそれから評価額というものはある程度こういうふうに差がある。また、公示価格自身も大体時価の七〇%だといわれておりますが、大体、こういう方向で将来も進むものでしょうか。これはあまり先のことですけれども、しかし、みんなが心配することですからね、上がったり下がったりすることは。
  120. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 固定資産評価のあり方でございますが、課税標準としての評価額という場合を考えました場合に、別に公示価格とか固定資産における評価額とか、こういう政府または地方自治体のやっておりますそういうものが大体似ておる、一体化しておるというのが望ましいことは間違いないわけでございますけれども、御指摘がございましたように、そのもの自身を課税標準としての評価額として使うことの可否、こういう点につきましては、非常に地価が上がっておりますから、税負担の激増を来たすという面で非常に問題があるわけでございます。その付近をも含めまして、評価をどの程度にとどめるか、あるいは課税標準としての評価をどう考えていくのか、その激変調整をどう考えていくのか、こういう基本問題を五十一年の再評価のときにあわせて検討する必要がある問題だと、このように考えておるわけでございます。
  121. 河田賢治

    ○河田賢治君 これは、このとおりどんどん進みますと、相当固定資産税というものは上がっていくわけですね。現に上がったわけですが、もう少しほかの税源、財源の問題もありますけれども、ある一定の住宅用地ですね、たとえば私たちは二百平米以下は基礎控除をする、そうして自治体の財政力に応じて、さらに百三十平米までは上のせして基礎控除ができるとか、かなり融通のあるやり方をする、あるいはまたずっと大きな土地を持っている方には累進的な課税もする、こういうふうにして、もう少し弾力のある、地方自治体でもとられるような、全国一律とかということではなくて、できるだけそういうような方策はお考えになりませんか。
  122. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 土地課税につきまして、評価のあり方、それから課税のあり方、こらいった点につきましては、御指摘がありましたような、所得状況をはるかに凌駕するような激増を来たすことのないように、今後いろいろの方策を検討してまいりたいと思っておるわけでございます。ただ、住宅用地等におきまして、二百平米以下のものを基礎控除をするとかあるいは非課税にするとかあるいは累進課税の制度をとっていく、こういう問題は固定資産税本来のかっこうから非常に実は問題がございまして、と申しますのは、固定資産税はその財産を所有をしているというところに担税力を見出すというような一つの物税でございますものですから、累進課税といったような制度をとりますことは、御案内のように、累進課税は、所得税的な、自然人の所得に課する課税、こういったような場合に非常になじむ方策でございますので、このような物税では基本的に問題があるということ、それから技術的にもまた、個人があちらの町村やこちらの市町村にばらばらに土地を持ったりいろいろいたしますものですから、そういう面の名寄せの扱い方等の具体的な問題についても問題がございますけれども、累進課税のあり方ないしは基礎控除の見方等につきましては、現在この制度になじみがたいものがあると、このように考えておる次第でございます。
  123. 河田賢治

    ○河田賢治君 なじみがなくても、新しいことをやってなじませれば、それは一つの進歩ですね。あまりいつまでも同じことにこだわっちゃっていつまでもやっているようでは、これはもう何の発展もないし、そしてまた生活も生き生きしてきませんし、納税者にとってもちっとも興味がわかぬわけですな。納税にも協力しようという気も起こらぬと思うのです。だから、新しい試みは、特に自治省は財政的にも非常にみんな困難なところばかりを受け持っておるわけですから、できるだけやはり住民の意思を体して、ときたま新しいことはこれからやっていただきたい、こう思うわけです。  それから、もう次に入りますが、ちょっとこれは建設省の方にもお聞きしたいのですが、生産緑地の問題ですね。これは、法案は出ていますか——私はまだ知らぬのですが。これについての構想を、大まかでけっこうですが、ちょっとお聞かせ願いたいと思います。
  124. 野呂田芳成

    説明員野呂田芳成君) 法案は衆議院の建設委員会のほうにきのう付託になりまして、参議院のほうはまだでございますが、概要について御説明申し上げますと、非常に都市の環境悪化ということが叫ばれておるものですから、公園とか、緑地のように公共空地をつくることとあわせまして、民有緑地で、条件のいいものを都市計画制度にのせまして、都市の環境保全に寄与させたいということで、この法律を構成しております。それを生産緑地地区といっておりますけれども、二種類ございまして、第一の第一種生産緑地と申しますのは、市街化区域内にある農地等で——農地等と申しますのは農地と一体となる山林とか湖沼を含んでいるものでございますから、そういう農地等で幾つかの条件に該当するものを第一種生産緑地といっております。一つの条件は、公害や災害の防止等良好な生活環境の確保に相当の効用があり、かつ、公共施設、これは公園とか緑地とかでございますが、そういう敷地の用に供する土地として適しているということが第一の要件でございます。  それから面積要件といたしましては、おおむね一ヘクタール以上あるということが条件でございますが、これには特例がございまして、一つは、森林とか果樹とか茶畑のような永年作物といわれるものにつきましては、おおむね〇・三ヘクタールあればよい。それから、こういう永年作物でなくても、都市公園等が現に介在しまして、その周囲にあります農地等であれば、やはりおおむね〇・三ヘクタール以上あればいいということになっております。  あとは、用排水等の状況を勘案いたしまして、農林漁業の継続が可能な条件を持っているというような条件になっております。  第二種生産緑地は、いま申し上げましたのと同じでございますけれども、違います点は面積要件でございまして、面積要件はおおむね〇・三ヘクタール以上ということになっております。しかも、この第二種生産緑地は、市街化区域内で土地区画整理事業等の事業が完了し、または継続中である、そういう開発行為がすでに行なわれたところで、七割以上宅地供給が進みました場合に、三割を限度といたしまして二種の生産緑地地区として指定できるという制度にしてございます。もちろんこれは関係権利者の全員の同意を得た上で市町村長が知事の承認を得て定めるということにしてあります。市町村でございます。市町村が定めるということにしてございます。  第一種生産緑地は、都市計画制度としてはずっとかかりますが、二種につきましては、十年間で失効するということにしてございます。それから一回に限り十年間延長できるというふうにしてございます。この趣旨は、市街化区域内でございますから、御案内のとおり、市街化区域というものは、今後おおむね十年間の間に段階的計画的に市街化をしなければならない区域でございますから、しかも、そこで二種のように、せっかく市街地開発事業が完了いたしまして、七割以上宅地供給がなされた地区につきましては、一応十年間制度としてありますれば、その間、もう使い道が確定いたしまして、都市計画としてもはっきりしてくるということで、一応十年間の失効にしたわけでございます。  それからこの生産地区に指定されますと、「行為の制限」が働きまして、非常災害等の応急措置とか、公共施設の設置、管理にかかる行為とか、それから、この制度ができまする前にすでに着手していた行為とか、そういうものを除きまして、建築物の増改築とか宅地の造成とか水面の埋め立て、干拓のような行為が禁止される。それに違反しますと、原状回復命令が発生するということにしてございます。  この両方の生産緑地とも、買い取り請求権というものを認めておりまして、一種につきましては十年、二種につきましては五年たちますと、市町村に対しまして買い取り請求ができるということにしております。この五年、十年たたなくても、農業に従事していた主たる者が死亡したり、あるいは死亡までは至らなくても、事実上農業を継続することがきわめて困難になった場合におきましては、買い取り請求ができる。買い取り請求がありますと、市町村長は適正価額、これは公示価格でございますが、それで買い取らなければならないということにしてあります。特別な事情がない限り買い取るということにしてございます。もちろん、市町村長自分だけではすべてのものは消化できませんから、住宅公団とか県とか住宅供給公社とか、そういうものも含めまして、買い取りの相手方を定めて受けるということにしてございます。価額につきましては公示価格をとりますけれども、公示価格は一平方キロメッシュでとっておりますから、具体の価額につきましてはやはり当事者間の協議にまかしておりますが、価額が合わない場合には第三者協議ができるということにしてございます。それから、死亡とか重大な事故とかということじゃなくて、比較的軽い疾病によりまして農業を継続することがつらいという場合にも、買い取り請求を認めておるということにしてございます。  それから、先買い制度を適用するということにしてございます。まあ大きな問題といたしまして、こういう生産緑地地区に指定されますと、宅地並み課税の適用が除外されるということにしてございますし、それからこの法案には入っておりませんけれども、買い取り請求で農地を手放した場合には、譲渡所得が五百万円基礎控除になる。それから先買い制度が適用されますと、やはり五百万控除が働くというふうに税法の改正が進められ、すでにまた先買い制度については、制度がございますから、これに乗れるということになります。  非常に簡単ではございますが、趣旨はそういうことでございます。
  125. 河田賢治

    ○河田賢治君 どうも、おおよそわかりましたです。ところが、いまこうしてある程度都市計画を兼ね、緑地をふやしたりあるいは将来公共用地になるというようなものをすることも確かに必要なんですけど、私はもうちょっと実態を知ってもらう必要があると思うんです。たとえばこれは宇治なんですけどね、お茶の名産地です。ここでは御承知のとおり、宇治は茶をつくっておるところでございますが、宇治では四十八年度における茶園の面積というのは、全体で九十七・九ヘクタール、うち市街化区域内に五十ヘクタールあるわけです。ところが、一種の生産緑地に指定される見込みがあるという農地は、宇治市宇治池森というところで、〇・三ヘクタールです。一カ所だけだというんですよ、ちょっと大きくまとまったところは。非常にもう個人個人所有というのは小さくなって、茶は大体〇・一ヘクタールあれば十分ないま生産をしているということを言われているんですね。ですから、生産緑地をつくるにしても、まあ、それはある程度集団にやりましても、非常にそこで耕作しているたんぼというものはもう小さいんですね。そして御承知のとおり、良質の茶をつくりますにはずいぶん手間がかかる、おおいをしたり、はずしたりしてやりますわね。だから、そんなにたくさんの大きな面積は持てないわけなんですけれども、こういうところは、こうなりますと、一ヘクタールの——たんぼのほうは別としましても、茶園なんかを何とかしてあれするということになりますと、なかなか生産緑地としてもやっていけないわけですね。そういう面積の大きさがないという問題が出てくるわけです。  それから、御承知のとおり、こういうところにはまだやはり大きな大会社、商社ですね、こういうのが土地をやはり持っているんですね。私の資料によりますと、宇治市の市街化区域内で、こういうような四十九年の一月の法人の土地所有ですね、これを調べてみますと、京都綜合食品センターというのは五・九ヘクタール、渋谷木材KKが五・二ヘクタール、住生不動産が三・六ヘクタール、大協産業が十・五ヘクタール、大洋建設が三・四ヘクタール、その他五十七ヘクタールで、八十五・六ヘクタールが市街化区域にあるわけなんです。で、市街化区域内の茶園がどれだけあるかというと、これが五十ヘクタールなんですね。だから、それ以上のものを、茶園以上のものをこういう市街化区域に大体法人が土地所有をしておる。こういう例はここだけじゃありません。それから市街化区域外でも、住友商事が八十ヘクタール、これは大きいですわね。東海建設が二十三・四ヘクタール、その他十五・五ヘクタール、計百十八・九ヘクタールというのが、市街化区域外、あるいは調整区域、無指定区域というようなところも含んであるわけなんですね。ですから、ほんとう住宅が必要だとか、都市計画が必要だというときになれば、まあ、わりあいに集団的にこれはあるわけですから、こういうところを何とかしてやはり早く手放さして、そして住宅もつくらす。また必要なところは、そういうところには公共施設も必要になるわけですから、だから、いま茶園なんかでこういう非常に零細な業者の集まっているような、茶とか、あるいはその他非常に手間のかかるような農業はやっておるところは、なかなかそれ一つ、一ヘクタール集めるとか三ヘクタール集めるいいましても、これはなかなかそれ自体も困難なわけなんです。ですから、こういう点で、法案ができたわけですけれども、どうもやはり政府のほうでおつくりになる場合、あんまり規模が——必要なものもあります、大きな規模が。高等学校とか中学とかね。けれども、小さいところで保育所ぐらいですから——しかし、まあ保育所ぐらいはできるでしょうけれども、ちょっと学校用地を買おういうてもそれは買えぬわけですね。だから、こういう点で、もう少し土地政策というものが、まあこの法案に出ておりますから、これに対していずれ審議はあるでしょうけれども、この辺がやはり実情とちょっと合っていないんじゃないか。非常に米の生産地ですとわりあいに楽ですけれどもね、土地が広いんですから。そうでなくて、非常に野菜あるいは何とかですね、こういう比較的高級な農産物をつくっているところは、みな小面積でやっていますからな、まあこういう点をひとつどのようにお考えになるか、それだけ聞いて、おたくのほうはけっこうですから……。
  126. 野呂田芳成

    説明員野呂田芳成君) 確かに御指摘いただいたような面があると思うんでございますが、生産緑地地区の制度は、実は、地方税法とか、それから都市緑地保全法を先国会で御制定いただくときに、都市計画制度として構築しろという国会の附帯決議がそれぞれ衆参両院からございまして、そこで都市計画制度として構築します以上、やはりどうしても主として環境機能の面から面積規模をしぼっていかなければいかぬという制約がございます。で、私どもも実はこの制度を構築する際に、農民側の代表も入れなければということで、都市計画中央審議会で半年以上審議を重ねて法案まで持ってきたわけですが、農協の代表者とか、それから農政調査会の代表者とか、農業会議所の代表者とか、農林省の構造改善局長とか、たくさん入っていただきまして、なるべく農業サイドの意見を組み入れて構築してきたという経緯がございまして、その審議会でいま先生から御指摘賜わったような問題があったわけです。が、しかし、これはやはり都市計画として構成する以上、環境機能という面をどうしても維持しなければいかぬ。そうすれば、面積要件ということが基準になる。それから漏れるような問題は、むしろ農家経営の安定とか、生鮮食料基地の確保とか、農政サイドの問題じゃないかという議論が起こったりしまして、まあいろいろ調整した結果、ただいま御説明したようなところに落ちついてきたという経過を持っております。  で、その都市計画制度として構築します以上、やはり同じ都市計画制度として構成されておるのは近隣公園でございますけれども、これが大体一ヘクタール程度でございまして、原則はそれに合わさしていただいたということになっております。しかし、いま先生から御指摘いただいたように、宇治の茶畑等のような問題は、私も先ほども触れましたけれども、非常に比較的環境機能が高いわけでございますから、これはおおむね〇・三ヘクタールでいいんじゃないか。この〇・三ヘクタールといいますのは、都市計画制度としては最小の規模でございますので、児童公園が大体そんなものでございまして、児童公園に合わせているということでございます。ただ、ここで、おおむね〇・三ヘクタールでございますから、私どもはそのおおむねというものは、現実にはまだ通達になっておりませんけれども、〇・二ヘクタール強あればいいんじゃないかというふうに考えて運営してもらいたいというふうに思っております。しかも、この〇・三ヘクタールというのは、一人で所有する必要はございませんで、何人で所有しても一団として〇・三ヘクタールそこにあればいいということになりますから、かなり運用上は弾力的に運用できるのじゃないかと。しかも、法案にもありますけれども、どうしてもそこで希望しない者がありますと入れかえができると、そのためのあっせんの規定を置いた。それからあっせんした場合のいろいろ税制上の面につきましても配慮していきたいというふうにしてございますので、入れかえによって、〇・三ヘクタールまで何人かの人を集められることが可能じゃないだろうかというふうに考えておりますので、なるべくそういうことで実態に合いますように運営してまいりたい。  で、先ほど先生から御指摘いただいたように、まだ市街化区域内等で非常に法人の土地保有があるじゃないかという御指摘でございますが、この点につきましては確かでございますので、私どもも別途、また国会のほうに法案が出てまいるわけでございますが、大都市地域における住宅地の確保に関する特別措置法というものをこの国会に御提案申し上げたい。そこでは、市街化区域内でそういうふうに法人等が持っております土地等につきまして、かなり新しい強制的な制度をつくりまして、緊迫した住宅地の確保に役立たせたいということで、近く法案をまた国会に出す予定になっております。しかも、まあ都市環境の確保ということでいきますと、生産緑地ばかりでございませんので、公園緑地の問題とか、あるいは先国会に通りました都市緑地保全法の問題とか、あるいは風致地区の問題とかいろいろございますので、そういう地区でかりに法人等が保有しておるようなところがありますと、厳重に土地利用を規制いたしまして、都市の環境保全に寄与させるように運営してまいりたいというふうに考えております。
  127. 河田賢治

    ○河田賢治君 いま生産緑地の問題で聞いたのは、御承知のとおり、この前の宅地並み課税に対する相当農民諸君の反対が起こり、各地でもいまその影響が若干出ているわけですね。自治省のほうで、四十八年度に宅地並み課税対象農地が存在している市町村が百七十九市町村ですかな。この中にですね、いろんな——名目は還付というのは、まあ自治省としてもまあいいことばじゃないんじゃないかと思うんですが、税金還付するということはね。誤って返すというのは、これはありますけれど、計算上。しかし、目的からいえば徴収しなくちゃならぬと、それを何らかの形で還付したようなケースがだいぶ出ておるわけですね。この市町村が四十九年一月現在で七十四市町村ぐらいあると聞いておるんですが、このくらいあるんですか。それから還付を検討している市町村が二十一市町村。これは農業会議所の調べだそうです。自治省のほうは、これつかんでおられますか。
  128. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のように、市街化区域内の農地に対しまして、補助金とか、そういったものを交付しておる市町村がございます。私どもが把握をいたしております数字では、該当の市町村数、つまり、市街化区域内の農地のそれを持っておりますものが百八十二市町村ございます中で、交付の確定をいたしております市町村が、市が六十二、それから交付の内定をしております市が十二でございますから、ただいま御指摘のように、七十四の市がこういうふうに交付しておるか、あるいは交付をしようときめておるか、まあそういう状況にあると思います。
  129. 河田賢治

    ○河田賢治君 いま御承知のように、宅地並み課税を課される市街化区域というのは、農林省あたりからの農業のいろんな助成対象、補助政策、こういうものの対象になっていないわけですね。しかし、宇治市あたりでは、四十八年度で宅地並みの税額が百二十万一千円、純農地の税額とすればこれは三万二千円なんですね。だから増収分は百十六万九千円ということになっているらしいです。純農地の税額が二十三万円ですか——いや、これはB農地ですね。Aだけは、こういうように四十九年度の宅地並み税額が二百四十万三千円、農地税額、同じですね。そうすると増収分が二百三十七万一千円。五十年度で宅地並み税額が三百九十二万六千円で、そして増収分がこのうち三百八十九万四千円と。五十一年まで計算しますと、御承知のとおり、これは五百六十万九千円、これで増収分が五百五十七万七千円。今度はB農地が変わりますから、四十九年から。これが宅地並み税額で三百八十一万六千円で、純農地の税額はこれが二十三万円、増収分が三百五十八万六千円。同様に、五十年の宅地並み税額が七百六十三万三千円、そして増収分が七百四十万三千円。五十一年になりまして、宅地並み税額が千三百三十五万七千円、これに増収分が千三百十二万七千円。こういうふうに今後なるということを計算しているわけです。いましかしこれを、還付ということばではありませんけれども、こういう農地に対して現在適切な肥培管理が行なわれ、今後とも充分な生産管理が施され、営農が継続される農地であるので、実際には増収分の約五〇%をそのほうに使っていると、まあ返していることになるわけですね。ただし、五十一年度の税額評価がえをしないものとして算出しておって、実際には評価がえによって税額、増収分ともこの数字よりずっと高くなると。こういうふうにして、ある程度まだ農業を継続する意思があり、現にやっておる、そういうところには若干これらの金をおろして、そして農民のいわゆる農業の補助政策をやっておると。これは生産緑地法案の中にも、「市町村長は、当該生産緑地において農林漁業を営むために必要となる農林水産物の生産、集荷施設又は農林漁業の生産資材の貯蔵、保管施設(生産物の処理又は貯蔵に必要な共同利用施設を含む。)の設置又は管理に係る前項各号に掲げる行為で、生活環境の悪化をもたらすおそれがないものに限り、同項の許可をすることができる」というので、ある程度農業に対する若干の助成もいいということを言っているわけですね。まあこれ五年、十年で必ずしもそういうふうな緑地がすぐ片がつくとか、あるいは新しく何かの公共用地に使用されるときまってもおりませんから、その間においてはこうした支出も、十分の営農的な観点からいわば還付しておると。まあ五〇%ですね、こういう場合があるんですね。そうしますとね、ここで一つ問題になりますのは、宅地並み課税が、市街化区域ではもう一般的に全部取るということになっておりますね。それとまたB農地にもかかると。そうしますと、これは地方自治体のほうでそういう条例なんかでやっているんですけれども、今度は自治省のほうから見ますと、ここはそれだけの増収があったものとして、固定資産税ですかな。そうすると、そういう計算で財政基準額なんかも見られるわけですな。どういうふうになりますか、この辺は。
  130. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 基準財政収入額の算定は御指摘のとおりだと思います。
  131. 河田賢治

    ○河田賢治君 そうしますとね、その地域で、これは農業にある程度必要だと。まあ何年間先はわかりませんけれども、五年とか十年ね。そうすると、農業施設なんかに対して、いわば営農を支援する形で出しておるとすれば、これはやはり普通の市街化区域というああいう制度がありますけれども、一般の農業の補助事業としてやるべきものなんですから、この辺はちょっと考えるべきじゃないでしょうかな。まあその法律がああなっておりますから、だからそれならまたそれを改めて、こういう場合はどうするという、市街化区域を全部ぱっとA、B、Cとこうやらずに、何らかの形で、たとえA農地であっても現に農業が行なわれる——これ、今度は一ヘクタール以上ですか、あるいは〇・三ヘクタール以上で一種、二種ときめられるわけですけどね。これが全部うまくいくかどうかということも、これ疑問なんですね。相当土地の、何と言いますか、それぞれの分かれた人が一緒に話をして、それじゃこうしようとかいう、これはずいぶん手間のかかることなんですよね、土地の分配、廃合というようなことになりますと。その辺で、ちょっとお尋ねします。
  132. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 市街化区域農地と生産緑地との関連についての基本的なお尋ねでございます。  御案内のように、市街化区域農地を設定をしました考え方は、市街化区域におきまして、できるだけ土地政策上宅地をたくさん供給をしていただいて、宅地の供給に資するとともに、土地値上がり等も防止していく、こういう考え方宅地政策上とられた問題でございますが、一方、それに対応いたしまして、市街化区域内においても緑地を保全をすべきではないか、また、そのほうが都市計画上の観点からも正しいんではないか、こういった議論もございまして、そのいわば一つ調整点というかっこうで生産緑地制度が設定をされたものと、このように考えておる次第でございます。したがいまして、生産緑地が一種二種の区別がございますが、これの運用がよろしきを得まして、生産緑地ということで設定をされてまいりますれば、これに対する宅地並み課税をやめまして農地並みの課税にするということで、その間の制度は両方の調整点として成立をするものと、このように考えておるわけでございます。ところが、従前の市街化区域農地の課税の点におきまして、先ほど申し上げましたような問題が、それぞれ各地域ごとに特殊の事情で起こりました。その市町村市町村の独自の施策として、自分で緑地として保全をしたほうがいいというように判断いたしたものに対し補助金等交付をする、こういう体制がいままでは御指摘のようにとられておったわけでございます。これは現状における当該都市の独自の考え方として、そのような補助金が交付されることは、これは地域の実情によるわけでございましょうから、私どもとしてはとめだてをするといったようなことはいたさなかったわけでございます。  今後の問題でございますが、先ほど申し上げましたように、根本的な宅地供給の必要性といった土地政策の問題それから緑地政策の問題、農業政策もからみますが、そういった接点として生産緑地が設定をされたわけでございますから、この適正な運用が行なわれる限り、これにおいては農地課税をやっていく。したがってそれを前提にいたします限り、この制度が完備をした時点においては、市街化区域内の農地に対する税の還付とか、あるいは補助金の交付、こういったものの必要性は起こらないものと、したがって、そういったものを実施をすることは制度上は適当でないと私どもとしては実は考えておる次第でございます。  ただ、御指摘のように、生産緑地を設定するにつきましても、一、二の三でいますぐでき上がるというものではないと思います。その間、経過措置が、経過的な期間が必ずかかろうと思いますので、その経過期間の中において、生産緑地に準ずるようなものだという判定のもとで若干の補助金等の交付が行なわれる、こういった事態もこれはあり得てもやむを得ない、このように私どもとしては考えておる次第でございます。
  133. 河田賢治

    ○河田賢治君 私の心配しますのは、これは全部生産緑地にしちまえ、そうすれば固定資産税はかからぬ、税金の面から見れば。それから、なかなか小面積ですね、さっき言いましたように。ほんの一ヘクタール——コンマ〇——つまり一反歩ぐらいですね、あるいは、それ以下のところがたくさんあるわけですね。これがやはりどんなところでも、一反歩以下でもどんどんやれるというなら、みなそこへ今後五年、十年といって、先を見てそれはやるかもしれませんけれども、そういうなかなか——何といいますか、緑地だ何だということになりますと、なかなか農民の方々はおいそれとはすぐいかぬと思うんですね、こまかいんですから。だから、生産緑地の関係がどの程度まで——水田とか、そういうところならわりあいにまとまりいいと思いますけれどもね。菜園とか、ああいう非常にこまかいところはなかなかまとまりにくいと私は思うわけです。だから、この法律ができましても、非常に最低限がいわば実際の事情に合わぬ場合もしばしば起こりますし、そういう場合に、やはり地方自治体としてはそこのいろんな農民の——しかも比較的宇治茶の中でいい茶をあそこはつくっておりますから、だからそういうところにはある程度の農民に対して補助政策をとっている。宅地並み課税額の半分くらいを返すほど仕事もしておる。こういう場合には、宅地並み課税だからこうだというふうな問題はちょっとまた不公平が出てくるんじゃないかと私は思うわけですよ。この辺で、あとまた大臣にも聞きますけれども、将来ですね。そういう問題を含めて、やっぱり宅地並み課税というものは再考に値する問題じゃないかと。先ほど建設省の方に言いましたけれども東京だけでもずいぶんいま大商社、大会社が、御承知のとおりたくさんの土地をまだ持っているわけですね、市街化区域内で。そうしてまた市街化区域外にも相当ある。建設省あたりはそれで宅地開発公団やろうと言っているんですからね。まだまだ市街化区域内でも非常に宅地に合ったものがずいぶん残されていると——さっき宇治でも話しましたとおり、こういうものに先に手をつけて、まあ多少でも緑のところは残しながら、徐々に年が進むにしたがってこれは個人個人でその土地計画に従って売る人もできるでしょうけれどもね。あまりこれを無理やりますと、相当地方自治体の段階では混乱が起こるだろうというふうにも考えるわけですね。この点について、何といいますか、法案の成り行きと実際を見ながら、やっぱり宅地並み課税なんかの問題は再考に値するんじゃないかというふうに私たちは思うわけですよ。その点、ちょっと考えを言っといてください。
  134. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 先ほども申し上げましたように、この生産緑地制度が、一方では宅地の大幅供給という土地政策の問題の要求、それから他方では緑地の保全ないしは農業の保全といったような問題との接点として一応でき上がった制度でございますので、この運用の妙が期せられるという事態において初めてその目的が達成される。その間において、いろいろ問題点があるというようなことが考えられるわけでございます。先ほど建設省のほうからお答えがございましたように、茶園でございますとか、あるいは果樹園でございますとか、こういったところについては、面積要件等についてもかなり弾力的な運用をすると、こういうことも申しておるようでございまして、私どもといたしましては、建設省のほうにもなるたけこの生産緑地の指定に対して弾力的な指定運用をやってもらって、できるだけ残すべきものは残すと、しかし、その残るべきものは、やはり制度としては一定のこういう生産緑地という資格を得たもの、これについて残すことにして、それの分についてもこれは税の優遇策を講じると、制度的にはそうあってしかるべきかと思うわけでございます。  なお、先ほど申し上げましたように、経過的には生産緑地の指定が了しますまでにかなりの期間がかかると思いますので、その期間内においては、まあ地方団体が独自の措置をいろいろお考えになるということもあり得ようかと、こう考えておるわけでございます。
  135. 河田賢治

    ○河田賢治君 あと、もう二つばかり問題があるんですが、この市町村道路ですね、目的財源、これは、今度も若干都道府県や市町村のあれも変わりますけれども、とにかく道路五カ年計画では、国の財源が大体国では八二・二%ですか、もう数字は要りませんが、道府県では七三・一%、市町村ではわずかに二四・四%と。いまどこでも自動車のラッシュで、地方道もバイ。ハスをつくったり、あるいは普通の大きな商店街を通っているような主要道路、ここを通り抜けるため、海岸やら山のトンネルを掘ったりして地方道もどんどんつくっているわけですね。それから町村に行きますと、ずいぶんまだまだひどい道路もあるわけですね。だから、何としても交通もある程度便利にしなきゃならぬので、モータリゼーションいかぬいかぬと言いながらも、一面そういう問題もあるようですが、道路目的財源の配分を国からもりと市町村に大幅にどんどん移す。もう国はかなり、御承知のとおり、何ですか、舗装率あるいは改修率ですね、こういうものがかなり進んでいるわけですね。地方道もやっと半分ちょっとこえている。市町村道がもう非常にいまおくれておるので、これらをやはり相当力を入れてある程度早くやりませんと、なかなか過疎の地域やあるいは農村のおくれを経済的にも取り戻すことは困難のところがずいぶんあるわけですね。こういう点で、少し自治省もこの問題について、市町村道の整備を、道路整備のほうの財源なんかについてもう少し努力される考えはないかどうか、ちょっと聞いておきたいと思います。
  136. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) ただいま御指摘をいただきました道路財源、特に市町村道の道路財源の充実につきましては、全く御主張の、御説のとおりでございまして、私どももそういう考え方市町村道の目的財源の充実を考えたわけでございます。御承知のように、ことしの税制改正で盛り込んでおりますものは、地方税といたしましては自動車取得税の税率引き上げ、三%を五%に引き上げる。この取得税は七割が市町村道にまいりますので、市町村道の目的財源の充実ということをねらってこれを行ないます。それから、さらに国税の増加に伴いまして、ガソリン税の値上げに伴います地方道路譲与税の増、それから自動車重量税の増税に伴います譲与税の増、これを合わせまして約千億弱でございますが、これだけの財源の増加をはかったわけでございます。  この結果、市町村道の目的財源の充当率でございますが、四十八年度は二二%程度でございましたものが、四十九年度の事業費ペースでは約四〇%、三九%余り、こういうことに充当率としては増加をいたすわけでございます。しかし、四〇%程度の充当率では、私どもとしてはまだ決して十分だとは考えておりませんので、今後とも市町村道の目的財源の充実には努力をしてまいりたいと、こう考えておるわけでございます。
  137. 河田賢治

    ○河田賢治君 それから、もう一つは軽自動車の税金ですね。これはいま、御承知のとおり、四月一日現在に軽自動車を所有している者にその年度分の税金を課すということになっていますね。そうして年度の途中で軽自動車の購入とかまたは廃車した場合は、月割り計算して課すことになっていると。ところが、新車の購入とか廃車する者が非常に多いんで、市町村の徴収事務というものが膨大なものになって、軽自動車税の税収の三分の一にも相当する金額が徴収に費やされている。京都市なんかそう言っておりました。大体三〇%ちょっとこえると言っているんですね。ですから、ここで経費最少の原則、これは自治省あたりでもよく言われているのですけれども、税をきめる場合、できるだけ徴税費を少なくするように税制をやらなきゃならぬというような原則ですね。そこで、経費最少の原則の立場から、月割り課税をやめたらどうだと、こういう意見が京都市のほうからも言われておったわけです。なるほど、その四月一日以後に購入したり廃車したりしますと、確かに年割りでは、若干の不公平はありますけども、総体として一台分がたいしたものじゃないですわな、軽自動車の税額というものは。で、徴税費がそんなにかかるのじゃたいへんじゃないかということで、年度途中の購入は納税しなくてもいいことになるが、また一方、廃車も年々年度途中にするのが圧倒的に多い。その場合はやっぱり年額の全部を課されることになるから税収に大きく響くことはないと。税収の面から見ますとね。徴税費が非常にいま——人もだいぶ簡略になるわけですね、そういう点で。こういう点はどうですか。多少不公平な原則のようには思いますけども、額がたいしたことじゃないんですからな、いまは。
  138. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 軽自動車税、これは自動車税におきましても同様でございますが、月割り課税という制度がございまして、これは徴収を非常にめんどうくさくしておるということはもう全く御指摘のとおりの事実でございます。それで、軽及び自動車税の双方とも、この月割り課税をむしろ廃止をしたらいいんではないかという説、主張もあるわけでございまして、私どもも現在いろいろ検討しておるところでございます。この点につきましては、ただいま先生も御指摘いただきましたように、まあ還付を受けるケースが、年税にしてしまいますと受けられなくなるという若干の不公平が出てまいります。これが納税者サイドとしてどう受けとめられるか、そこのメリットとデメリットの両方の調整をどう考えるか。こういう問題が最終的な問題点の所在でございまして、これが大方の了解を得られるならば、すっきりした年税にしてしまうということが非常に望ましいものと考えておるわけでございます。  なお、まあ軽自動車税も自動車税も全く同じような構成、構造でやっておりますので、でき得べくんば両方やはり同じ立場で今後検討を続けてみたいと、こう考えておるわけでございます。
  139. 河田賢治

    ○河田賢治君 これでもう済みですけれどもね、全国町村長大会では、やはりこの問題をとらえて、道路整備あるいは徴税費の増高等の財政需要に対処するため、これは軽自動車税の税率引き上げをはかってもらいたいと、これは一方は上げてもらいたいという意見ですね。まあ私の言っているのは、むしろ月割りをなくして、購入あるいは廃車を四月一日だけでしてしまえという意見なんです。  この論拠としましてね、このほうでは、固定資産税ね、これはやはり一月一日現在で固定資産所有している者に納税義務があると。これは年の途中や、固定資産を失ってもまた取得しても、月割りにはなっていないじゃないか。こういう一つの、立論でなくて、実際のあれがあるわけですね。だから、固定資産税がそうならば、まあ軽自動車ぐらいはそんなこともできるんじゃないかという考えを述べられておるわけなんですよ。ですからね、この点も、やはりそういう実例があるんですから、強く——大蔵なんて聞かんでも、これは自治省だけぐらいでやれる問題じゃないかと思いますがな。ひとっこれは御検討願いたいと思うのです。
  140. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 御指摘のとおり、固定資産税においては年税になっておるわけでございますが、まあ理屈を申し上げますと、固定資産の場合には移動が他の者に取得をされますので、そこの売買なり何なりの間に、実際の負担の転嫁その他の話し合いが行なわれる余地があるわけでございますが、自動車及び軽自動車の場合は、廃車をしてしまいますと、その分だけ返ってくべきものが返ってこないという状況が起こり得るわけでございます。まあこれは理屈でございまして、実際問題として、いずれにしろ大した金額ではないわけでございますから、そういった還付金が返らないというデメリットと、それから徴税が非常に楽になるというメリットと、そこの考え方調整をどう了解をするかと、こういう問題であろうかと思います。税制調査会等の大方の御意見を承りながら、両税あわせて今後検討さしていただきたいと思います。     —————————————
  141. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 委員異動について御報告いたします。  本日、斎藤寿夫君及び安井謙君が委員辞任され、その補欠として竹内藤男君及び中村登美君が選任されました。     —————————————
  142. 占部秀男

    占部秀男君 午前中に大臣のおられないときに、首藤局長にこまかい内容点について質問したんですが、さらに大臣に、三つの点だけ今度の改正についてお伺いしておきたいんです。簡単にお伺いいたします。  その前に、局長に伺いたいんですが、地方税特別措置の問題ですね、租税特別措置。国の分と並んだやっと地方税独自のやっと、この総額で四十九年度はどの程度になる見通しでありますか。また見通しがわからなければ、四十八年度のある程度の事実でけっこうです。
  143. 首藤堯

    政府委員首藤堯君) 租税特別措置等によります減収額でございますが、御案内のように国税の租特法に伴います減収と、地方税独自のものと、両方あるわけでございますが、四十九年度の見込みは、国の租税特別措置による減収額が約千四百億円、それから地方税の非課税措置によります減収見込みが二千九十億円でございまして、合計合わせまして三千四百九十億ほどに相なります。
  144. 占部秀男

    占部秀男君 大臣にお伺いをしたいんですが、いままでずっと質疑をしてきまして感じたことは、今回の地方減税の趣旨というか、なぜ減税しなければならなかったか、こういう中には、石油ショック以来の日本経済の変化、それがもたらすところの地域住民の生活への影響、こういう問題が相当大きなファクトとしてあることはいなめないと思うんです。そういうような点を基本に考えますと、今度の改正案は、まことに不十分で中途はんぱな点が多い。たとえば各種控除の問題にしても、あるいは道府県民税個人所得割りの税率調整の問題にしても、あるいは固定資産の問題にしても、どうも中途はんぱなきらいが多いのでありますが、その原因はどこにあるかということを私なりに考えてみますと、結局、総需要を抑制するという政策と、それから片一方ではあまり減税をしてしまって地方財政に影響してはならないということ、こうした、何といいますか、考え方から、減税問題が中途はんぱに私はなっているんじゃないかと思うんです。少なくとも石油ショック前の条件と今日の条件では、社会的な経済的な条件が大きく変化しておる。この中で、先ほど私が言いましたような目的を達成するためには、この際思い切って租税特別措置を、国のほうのいろんな関係もあるとは思いますけれども、独自の問題あるいは国からの連関の問題等もこれになたを加えて、ここから増収をさして、そして地方税収の減をできるだけ防ぐことによって、いま言った地方税減税問題が、もっとふくらませるような方向にいくべきではなかったかと私は思うんでありますが、そういう点についての大臣の見解をお伺いしたい。
  145. 町村金五

    国務大臣町村金五君) このたびの地方税減税の問題について、どうもきわめて中途はんぱで不十分だという御指摘で、これに対しまするために、現在の租税特別措置に関するものをもっと思い切って整理をするということによって、相当の地方税額を確保することができるではないか、こういう御指摘のようにいま伺ったのであります。この点については、すでに事務当局からもお答えを申し上げておることかと思うんでありますが、地方税立場としては、国税が特別措置をしておる、いわゆる非課税措置をしておるということは、それは私はそれなりに相当の理由のあるものが存在しておる、こう思うのでございますけれども、しかし、地方税の場合には、必ずしもそういう目的を私は地方税の中に加味することは、国税の場合と違ってそれほど重要度は高くないのではないか。むしろ、そういった国税の非課税措置の影響をできるだけ遮断をしたいということで今日まで努力をいたしておるところでございまして、現に今回の措置におきましても、発電施設の固定資産税特例措置の廃止をするというようなことを特に踏み切ることにいたしましたのも、そういった配慮の一端であるということは申し上げるまでもございません。しかし、いずれにいたしましても、地方税そのものが最近における地方財政需要の増加に十分対処しきれないのではないかという御指摘がございました。私どもも、その点についてはいろいろの角度から心配をいたしておるのでございますが、御承知のように、総需要抑制の見地から、本年度の、昭和四十九年度の予算におきましては、御承知のように、公共事業等が相当に制約を受けるということになりますので、彼此あれこれ勘案をいたしてみますると、何とか昭和四十九年度の地方財政も私はつじつまが合っていくのではないかというように一応考えておりますけれども、しかし、いずれにいたしましても、現在地方財政必ずしも財源が潤沢だというわけにはもとよりまいりません。したがって、いま御指摘になりましたようなことは、本年も若干配慮はいたしたつもりでございますけれども、さらに今後、これらの問題につきましては十分ひとつ検討を加え、でき得るだけ非課税措置の可能なものにつきましてはこれを取り上げていくということにいたしていきたいと、こう感じて考えておる次第でございます。
  146. 占部秀男

    占部秀男君 もう皆さんがおそろいですから、時間もあれですから、これ以上は申し上げません。  それからもう一つは、第二は、今度の地方税の問題のあり方についてもそうですが、地方財政計画の策定の方針、その他自治省のいわゆる地方自治体政策の基本の中には、大臣がこの前述べられたように、総需要抑制という柱があるわけです。この総需要抑制ということは、結局いまになってみると、われわれの予想した以上に都道府県市町村の事務事業を萎縮させているのじゃないか、こういう心配を持つわけであります。実は私、そういう心配もありましたので、まあ私なりに、全国の、市町村までは及びませんけれども、四十七の都道府県だけは一応予算を全部取らしてみました。で、その総計が十兆七千五百八十五億六百万円、こういうことになっておりますが、この内容が非常に問題なんであります。というのは、この財政規模の伸びが、地方財政計画では御案内のように一九・四%だったと思いますが、この四十七都道府県の財政規模の伸びを平均しますと、実に一五・八%という、非常に低いのであります。特に地方財政計画の一九・四%を上回っておると思われるのは、わずかに東京の二四・三%、そのほか四つばかりでありまして、その上回り方も一九・四%、前後ということで、あとはほとんどが一六、一五というところ、ひどいのに至っては、一二ぐらいの伸びのところがあるわけであります。これはまあ数字の上ですから、これを機械的にこれでいいとか悪いとかは言えませんけれども、ここから予想されますことは、何かこう都道府県市町村の持つ住民サービスの点、特に福祉関係の事務事業にやはり大きな影響が来るのじゃないかと、こういう点を心配するわけでありますが、その点についての見通しが一つ。  それからもう一つは、たとえこれを押えたとしても、本年度、四十九年度は押えたとしても、次年度以降は、必要なものはやはり必要なんですからやらざるを得ない、そのときに反動的にどーっと出てきて、地方財政のあり方に相当な私は混乱を引き起こすようなときが来るのじゃないかというような心配があるのですが、それに対する見通し、この二つの点をお伺いしたい。
  147. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 私どももまだ十分そういった点の統計と申しましょうか、計数を十分承知しておるわけじゃございませんけれども、しかし、いま占部委員が御指摘になりましたような情勢にあると、私も大体の大まかの判断をそういうふうに見ておるのでございます。で、これはもう御承知のとおり、先ほど申し上げましたように、なぜ都道府県のそういった予算が、地方財政計画全体で私どもが一応めどをつけましたものよりはかなり減っておるのはどこにあるか、これは申し上げるまでもなく、やっぱり建設事業というものをかなり押えたということが一つ理由のようでございます。さらに、地方といたしましては、今後におけるわが国の経済情勢というものが一体どうなるのかというようなことについて、将来の見通しが必ずしもつけがたいというようなことから、例年でございますれば当初予算に全部計上したものを、あるいは第二定例会に延ばすというような計画のもとに、今度はこの程度にとどめたというようなところも実際にはあるようでございます。でございますからして、そのよって来たる原因というものはいろいろあると思いますけれども、いずれにいたしましても、当該府県の当局の考えで、いま御指摘になりましたように、かなり地方財政計画を下回るような予算編成になったということは私どもも見ておるところでございます。しかし、このたびの地方財政計画におきましては、占部議員も御承知をいただいておるように、かなり私どもとしては福祉関係の予算あるいは公立文教関係の予算というようなものはこれをできるだけ拡充しなきゃいかぬ。いわゆる生活関連の予算というものは、これは地方財政計画におきましてもかなり伸ばしておることは御承知のとおりでございます。したがって、私は今回の都道府県の予算というものの内容を一々検討いたしたわけではございませんけれども、大体において、いままでは建設事業というものに非常な力が入っておったというものを、若干今度は少し歩度を弱めて、そして福祉関係あるいは教育予算あるいは生活関連予算にはかなりの力が入っておるというのが今度の私は都道府県予算の特色ではあるまいか、こう見ておるわけでございますが、御指摘になりましたように、いまぐっと縮めておいて、今度来たるべき機会にはさらに大きくこれを逆に反動的に伸ばさなきゃならぬというようなことで、地方財政に非常な混乱が起きやしないかという御懸念も、私ごもっともだと思いますけれども、私どもといたしましては、やはり今日の場合物価の安定をはかるということがわが国としては最大の課題でございますので、地方団体におきましても、そういった物価抑制の目的を達成するための大方針というものに協力をしていただいたものと、かように私どものほうは見ておるところでございまして、今後の問題につきましては、わが国の今後の経済情勢の推移いかんによりまして、自治省といたしましても、そういった特にやるべきことを押さえておるというようなことにつきましては、今後十分われわれとしても配慮を加えてまいらなければならない、かように考えておるところでございます。
  148. 占部秀男

    占部秀男君 そこで、大臣にお願いといいますか、注文をしておきたいことがあるのですが、それは、いまの財政規模の縮んだという問題の中には、税収見積もりを相当縮めて見ていると、危ないから。つまり、何といいますか、地方財政計画で一応三〇%の伸びを見ているわけですが、それを各都道府県に聞いてみますと、どこでも一様に二〇から悪いところは一九ぐらいの伸び、多いところでも二二、三の伸びしか見てないんです。ところが、私はこれはやはり自治省の計算はいつの場合でも正しいんであって、三〇ぐらいまで伸びるんじゃないかと思うのですよ、近いところまで。そうなると、その間の金の問題について、使い方の問題について、やはり一番いま大事な福祉面の方向にこうした点が使われるように今後指導をしてもらいたい。それは四十八年度ですから、もう将来の問題じゃなくて、この一年間の問題ですから、指導してもらいたい、こういう点をひとつ注文をしておきたいと思うのですが、いかがですか。
  149. 町村金五

    国務大臣町村金五君) 地方団体が税収の伸びをやや控え目に見ておるのではないかという御指摘でございます。まあおそらく私どもも、地方団体としては、ことしの一体経済情勢というものはどんなふうに今後推移していくのであろうかということについては、私は多大の不安を持っておると思うのであります。したがって、税収の伸びのごときものも、あまりこれを多額に見積もるということは決して健全な財政をつくるゆえんでないというような配慮も、私は税収の伸びをやや控え目に見積もるということになった大きな原因の一つではあるまいかと、こう判断をいたしておるのでございます。  そこで、いま社会福祉の問題について、もっと地方財政は力を注がなければならぬという御指摘でございますが、まあ私どももその点はまことに同様に感じておるのでございますが、先ほどもちょっと触れて申し上げましたが、最近の地方財政は、やや建設事業といったようなものに少し私は力が入り過ぎておった一面が、どうも——これは見方によります。見方によってはまだ足りないんだという御判断の方もたくさんあるわけでございますけれども、また一方から申しますると、やや地方財政の構造というものが、どうも公共事業といいましょうか、建設事業に少し傾き過ぎているのではないかといったような見方もあるわけでございます。今回のこの府県の予算編成にあたりましては、少なくともその点については、ある程度公共事業と申しましょうか、建設事業というものは押えられたということだけは間違いはございません。そこで、そういうふうに押えられたかっこうの、そして福祉行政には必ずしも私はそうは控えてはいないと思いますけれども、そういった情勢における現在のことしの地方財政構造というものがはたして適当なのかどうかという問題は、おのずからいろいろな角度から判断をしてまいらなければならないと思いますけれども、まあ私個人の見方としては、ややいままでそういった建設事業に傾き過ぎたところの地方財政構造というものが、むしろ正常な姿に戻るようなかっこうになってきているという一面も、私は十分評価してしかるべきではないかというように考えてもおるところでございます。いずれにいたしましましても、本年の財政、府県の財政というものは、こういった一種の非常時のような形において編成をされた予算でございますので、これが今後の地方財政のあるべき姿として適当かどうかというようなことについては、にわかにかれこれと判断をすることは早計に過ぎるかと存じますけれども、しかし、いずれにいたしましても、私はやっぱり地方財政の構造には、かなり最近の情勢ではやや私はこういびつになっておったようなところがあるような感じがいたしますので、むしろこういう機会にあるべき姿にむしろだんだんと発展をさせていくというのには、たいへんいい機会に、私どもとしてはすべきではないか、こう考えておるところでございます。
  150. 占部秀男

    占部秀男君 最後に、いま大臣の言われたような考え方、これに合わせたようなことなんですが、きょう指定都市の方が来られまして、多年の懸案になっていました事務所・事業所税の創設、これはもうちょうど私はいまが一番いい時期じゃないかと思うのですが、これをひとつ創設して、この問題を決着をつけてもらいたいと思うんですけれども大臣のそれに対する御意見を伺いたいと思います。
  151. 町村金五

    国務大臣町村金五君) まあ、事務所・事業所税の創設をすべきだということは、これは特に大都市をかかえておりまする地方団体のかねてからのたいへん強い御要望であるということは、私どもも十分承知をいたしておるところでございます。本年の予算編成に際しましても、自治省としては、この問題をかなり強く推進したことは、占部議員も御知のとおりのところでございますけれども、御承知のように、ちょうど本年の予算編成を前にいたしまして、石油ショックの問題があり、いろいろのむずかしい問題があり、日本の経済界も一体今後どういうふうに推移していくかわからないというような、たいへん不安な状況にございましたので、この場合、さらに法人に対して——承知のとおり、法人税の相当大幅の引き上げをことしはやったわけでございますから、さらにその上に法人に事務所・事業所税をつくりあげるということは、日本の経済界にあまりにも大きな衝撃を与え、負担を与えることになりはしないかといったようなことで、これをこの際としては見送ろうということに相なったものであることは御承知のとおりでございます。  今後の問題といたしましては、地方財源の充実をはかるという角度から、この問題につきましては、自治省としては、できるだけ早期の実現を目ざして努力をしたいと考えておる次第でございます。
  152. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ほかに御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  153. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それではこれより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  154. 占部秀男

    占部秀男君 日本社会党を代表して、反対の討論をいたします。  もちろん、減税する方向についてはわれわれは賛成でありますが、その減税やり方について納得できないからであります。第一に、今回の改正の基本的な考え方といいますか、発想のしかたというか、そうした点について、われわれはどうしても自治省の考え方、発想のしかたに賛成できないのであります。というのは、今度の改正は非常にこまかい、ある程度は気を使った、苦心した点も相当あるように見受けます、率直に言って。見受けますが、依然として国の減税に右へならえというワクを一歩も出てないんじゃないかという感じがするわけであります。先ほどもこの委員会でこまかい点についての質疑もしたわけでありますが、今回の減税が、石油ショック以来の経済的な変化と、この変化のもとにおける国民生活の逼迫、こうした状況の中での減税でありますから、従来のこの石油ショック以前の考え方はある程度踏み出してもらわなくちゃならぬ、ある程度ワクは踏み出してもらわなくちゃならぬ、こういうところが、私はこの地方減税についての発想の急所の基本の問題じゃないかと思うんでありますが、この内容は、依然として従来の応益的な性格をまつ正面から打ち出している。こういうところにわれわれはどうしても納得のできない問題があるわけでありまして、この際、もう少し応能的な性格を、いまの経済情勢の変化に対応して、これにもつと前進的に含めていくべきじゃないか。それが一つ一つ道府県民税、あるいは市町村民税の問題、事業税の問題、固定資産税の問題、いろいろの問題にはね返ってくると思うのでありますけれども、そういう点についての考えが足りなさ過ぎる。率直に言えば、田中内閣が政治の流れを変えるんだということを言ったわけですけれども、この発想の経済的な基礎が私の言ったような方向にいけば、この地方自治の上に実現できるんでありますが、それが依然として実現していない。こういうようなところに、私どもは旧態依然たる発想にまず反対をしなければならない。  それから二つ目には、したがって、この改正室の個々の面を、内容を見ますと、たとえばこの各種控除引き上げの問題なども地方財政の限度というものから逆算するだけ、ただそれだけでつくり上げられているというような不十分さがあるということ。また、道府県民税個人所得割りの問題にしても、多年の懸案であったいわゆる累進税率の問題が依然として見送りになっておる。市町村民税では十三段階があるのに、県民税では二段階でそれをしているというような点。  さらにまた、各種の零細企業関係の各種控除引き上げも中途はんぱになっておりますし、特に最後大臣に私も質問しました事務所・事業所税の創設問題などは、今回が一番いい時期なんです。大企業が国民の世論の前にさらされておる、こういうときじゃなければ、こういう問題はできやしませんよ。それを依然として見送っておるというというようなこのあり方、こういうことについては賛成できません。  したがって、日本社会党としては、減税する方向については、これは大賛成でありますが、そのやり方について納得できませんので、この改正案には反対であります。
  155. 原文兵衛

    原文兵衛君 私は自由民主党を代表して、地方税法の一部を改正する法律案に対して賛成の意を表します。  昨年十月の石油危機を契機に、日本の経済情勢はきわめて起伏の激しい様相を呈してまいりました。特に物価高騰は著しく、このため、国の財政政策の目標としては、総需要を抑制し、短期に物価を鎮静し、国民の不安を一日も早く取り除くことが、最優先的課題として取り上げられることとなったことは周知のところでございます。  今回の地方税法改正案は、個人住民税課税最低限引き上げ事業税における個人事業主控除額の大幅引き上げ、中小法人に対する軽減税率の適用所得範囲の拡大、小規模住宅用地に対する固定資産税負担軽減、ガス税率の引き下げ等、各税目にわたって減税を実施するとともに、市町村民税の法人税割りの税率引き上げ市町村税源の充実をはかり、また特例措置として自動車取得税率引き上げて現下の情勢に対処するなど、多彩な措置を内容といたしております。  地方税制は、社会、経済情勢の変化に対応し、常に合理化が進められなくてはなりません。またその改正は、国の経済財政政策を考慮しつつ、他面、地方団体の個別財政、住民負担状況等を十分配慮して決定する必要があります。  以上のような観点に立って政府提出案を検討しますとき、その改正内容は、地方財政状況住民負担の現況にかんがみ、当面の措置として妥当なものと言わなくてはなりません。  簡単でありますが、賛成の理由を申し述べまして私の討論を終わります。
  156. 上林繁次郎

    上林繁次郎君 私は、公明党を代表して、議題となっております内閣提出地方税法の一部を改正する法律案に対して反対の討論を行ないます。  反対理由の第一は、地方の自主財源の充実が不十分であるということであります。今回の改正では国税収入七、地方税収入三の比率を改め、自主財源の充実をはかるための手だてがなされていないことであります。地方自治の確立は地方自治体の自主財源の確保により保障されるものであって、富が集中していると目される大都市までが地方交付税の交付団体に転落している実態は、地方自治にとって誠に憂慮すべきことであります。  反対の第二は、住民税負担軽減についてであります。  住民税課税最低限は、夫婦子供二人の標準世帯で百一万円に引き上げられたのでありますが、本年一月の消費者物価上昇率が前年同月比で二三・一%となっている現在、今回の減税程度では物価調整のための減税にも達していません。また、所得控除引き上げとともに低所得者層税率の緩和を行なうべきでありますが、今回の住民税改正はこれにもこたえておらず、はなはだ不満とするものであります。  反対の第三は、固定資産税についてであります。  最近の地価高騰を反映して、固定資産税額は大幅な負担増となっております。生活の根拠となる小規模な個人住宅零細企業事業用土地にとってはまことに苛酷な税となっております。改正案では、小規模住宅用地については昭和四十八年度税額に据え置くとか、個人の非住宅用地は前年度の税額の一、五倍を限度とするとかの特例措置をしておりますが、昭和四十八年度の固定資産税負担自体がもはや過重となっており、一定規模の個人住宅零細企業土地に対する固定資産税は、減免するとともに、昭和四十七年度の税額に据え置くべきであります。  反対の第四は、国民健康保険税についてであります。  国民健康保険税は、保険の名のもとにきわめて低所得者においても多額の保険税を納めなければならなくなっております。これは福祉の推進が国民的最大の課題となっている現在、その趣旨に反するものであり、福祉の貧困を物語る象徴的なものであります。福祉政策を確保するためには、国民健康保険特別会計に抜本的な財政再建の施策を講じ、住民税負担軽減をはかるべきでありますが、これに対して十分な措置がなされておりません。  反対の第五は、電気税の免税点の引き上げ、非課税措置の整理、料理飲食等消費税の基礎控除の大幅な引き上げ、国税の租税特別措置地方税への影響の遮断措置が行なわれていないことであります。  電気料金の値上げ、物価高騰を考えますと、免税点、基礎控除額の引き上げは不十分であります。また非課税措置の整理、租税特別措置地方税への遮断については、江崎前自治大臣はその洗い直しを全面的に約束していたのでありますが、固定資産税において多少の洗い直しがなされたのみで、全く洗い直しが行なわれておらず、福祉社会建設を目ざす税制にほど遠い大企業優先の税制は改められておりません。  以上おもなる反対理由を述べ、討論を終わります。
  157. 村尾重雄

    ○村尾重雄君 私は、民社党を代表して、本法律案に対して反対討論をするものであります。  以下おもなる理由を簡単に述べます。  まず第一は、住民税減税規模についてであります。  今回の改正では、課税最低限引き上げ等の措置により、千七百七十三億円の減税となっておりますが、最近の物価高騰、生活水準等を考えますと、あまりにも少額と言わざるを得ません。また、人事院の標準生計費と比較しても、課税最低限引き上げはまだまだ不十分であります。  第二は土地にかかる固定資産税についてであります。  土地にかかる固定資産税は、昭和三十八年以降暫定的な措置の繰り返しで、納税者にとってわかりにくく、不明確なものとなっております。今回は、税負担上昇を少しでも押えたことについては評価できるものの、税制度はますます不明確なものとなっており、納税者の納得する税制度、税負担軽減とはなっておりません。  第三は、地方財源拡充のための税源確保についてであります。  法人税率引き上げに伴って、地方税の法人所得課税も増収となるのでありまするが、国、地方の税収比率を抜本的に改め、地方の自主財源拡充のための措置をすべきであります。また、大都市税源確保のための事務所・事業所税の創設も早急にすべきでありますが、これらの課題に改正案はこたえておりません。  第四は、電気税、ガス税の全廃についてであります。  この税は好ましくない税として毎年毎年廃止するよう要請してきているところであります。今回の改正は、電気税とガス税に分離して、ガス税の税率を引き下げたことは一応昨年要請してきたことに一部こたえているものではありますが、全廃にはほど遠いものであります。  最後に、昨年、本年と、戦後最高の物価の狂乱に見舞われ、国民の生活は著しく苦しくなっておりますので、この際、地方税全般について、従来の機械的な、規則的な改正ばかりでなく、住民の生活状況に合った税制にするよう検討されることを要請して、私の反対討論といたします。
  158. 河田賢治

    ○河田賢治君 私は、日本共産党を代表して、地方税法一部改正案に反対の討論を行ないます。  第一の反対理由は、改正案が税の重課と大衆課税の強化をはかるものとなっている点であります。  個人住民税は、今回、人的控除など十七・四%引き上げをはかっています。しかし、これは前年度名目賃金の上昇率二一・七九%にはるかに及ばない引き上げ幅であります。  しかも、課税最低限百一万六千円は、所得税課税最低限百五十万七千円に比べ、実に四十九万一千円低く、その格差は去年の約二倍に拡大されているのであります。特に、この課税最低限が一級地の生活保護基準にも達していない事実は、この税が最低生活費にまで食い込んだ大衆課税性格を一そう強めていることを示しているのであります。  第二の反対理由は、大資本に対する税の特別措置や優遇課税が依然として持続、強化され、税負担の公平と租税の中立性を著しくそこなっている点であります。  まず、法人事業税についてであります。  本来、事業税は、道路、港湾、上下水道をはじめ、各種の公共サービスを受益して行なっている事業活動に対して、その経費を分担せしめるものとして課する物税であります。ところが実際には、大都市の集積の利益の最大の受益者であり、かつ、集積の不利益の最大の発生源である大企業の法人事業税が軒並み非課税となっているのであります。四七年度決算では、資本金一億円以上の法人の三〇%、十億円以上の法人の二二%が非課税であります。こうした不公正かつ不当な課税実態は絶対に放置し得ないものであります。  わが党は、この原因となっている事業税の収益金課税方式をやめ、収入課税など、事業活動の規模をより適確にあらわす課税標準に改めること、同時に高度累進税率を適用することを強く主張するものであります。また、改正案は、石油備蓄タンク、合成ゴム、合成繊維などの減免措置を新たに強化しており、地方税における特権的減免税額は約二千億円に及んでいるのであります。これでは、国税の租税特別措置による地方税の減収と、地方税の特権減免の廃止を強く求めている自治体の要求を踏みにじるものであり、また、大企業優遇税制を依然として持続させるものであります。わが党は、その廃止をあらためて要求するものです。  第三の理由は、市町村民税法人税割りの標準税率引き上げを、道府県民税法人税割りの標準税率引き下げによって行なっている点であります。  この措置は自治体が強く求めている国と地方の財源配分については何ら手をつけず、地方自治体内部のコップの争いを激化させるものであり、政府地方自治体に対する支配を一そう強めるものと言わねばなりません。事務所・事業所税など、都市税制の確立、所得税市町村移譲強化など、抜本的措置によって不交付団体を縮小し、政府の財政措置をてことする地方自治体への支配と干渉を排除することこそ、今日の緊急課題であるにもかかわらず、改正案は、むしろこの方向に逆行するものとなっているのであります。  以上、本改正案に反対するおもな理由を述べて私の反対討論といたします。
  159. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ほかに御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  160. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  地方税法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  161. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案通り可決すべきものと決定いたしました。
  162. 高橋邦雄

    ○高橋邦雄君 私は、ただいま可決されました地方税法の一部を改正する法律案に対して、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。    地方税法の一部を改正する法律案に対する附帯決議案   政府は、地方財政の現状にかんがみ、地方の税源拡充のため、国・地方を通ずる税源配分について抜本的に検討するとともに、当面、次の諸点について善処すべきである。  一、住民負担軽減をはかるため、住民税所得控除等の額の引上げ等の措置を引き続き講ずること。  二、中小企業者に対する税負担軽減について引き続き検討すること。  三、都市税源の拡充のため事務所・事業所税を創設し、法人所得課税地方への配分の強化をはかるとともに、法人事業税の課税標準の合理化等についても、検討すること。  四、地方道路財源とくに市町村の道路財源の充実をはかるため、必要な措置を講ずるよう努めること。  五、産業用電気税の非課税措置の整理等地方税にかかる租税特別措置を縮減するとともに、国税の租税特別措置地方税に及ぼす影響をしや断するよう努めること。  六、国民健康保険事業にかかる国庫補助割合を大幅に引き上げることにより、国民健康保険税(料)の負担軽減するよう努めること。   右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
  163. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) ただいま高橋邦雄君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  164. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 全会一致と認めます。よって、高橋邦雄君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、町村自治大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。町村自治大臣
  165. 町村金五

    国務大臣町村金五君) ただいまの附帯決議につきましては、御趣旨を十分尊重し、その実現に努力をいたしたいと存じます。
  166. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  167. 久保田藤麿

    委員長久保田藤麿君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十五分散会