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1974-05-30 第72回国会 参議院 大蔵委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月三十日(木曜日)    午前十時十分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      河本嘉久蔵君     矢野  登君      嶋崎  均君     林田悠紀夫君      田中  一君     辻  一彦君  五月三十日     辞任         補欠選任      矢野  登君     河本嘉久蔵君      林田悠紀夫君     嶋崎  均君      辻  一彦君     村田 秀三君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 河本嘉久蔵君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 青木 一男君                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 西田 信一君                 桧垣徳太郎君                 辻  一彦君                 戸田 菊雄君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        科学技術庁原子        力局次長     伊原 義徳君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房審        議官       岩瀬 義郎君        大蔵省主計局次        長        辻  敬一君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        環境庁企画調整        局企画調整課長  青木 英世君        環境庁水質保全        局水質規制課長  太田 耕二君        資源エネルギー        庁臨時石油需給        対策室長     渡辺 全侊君        自治省行政局行        政課長      砂子田 隆君        自治省税務局市        町村税課長    中野  晟君    参考人        東洋大学教授   御園生 等君        税制調査会委員        (第一部会長)  木下 和夫君        双相地方原発反        対同盟議長    岩本 忠夫君        日本原子力発電        株式会社技術部        次長       板倉 哲郎君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○電源開発促進税法案内閣提出衆議院送付) ○電源開発促進対策特別会計法案内閣提出、  衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事河本嘉久蔵君を指名いたします。     ―――――――――――――
  4. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案。  以上二法案を便宜一括して議題といたします。  この際、参考人の方に一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、御多忙中にもかかわらず、本委員会に御出席をいただきまして、厚く御礼を申し上げます。ひとつ忌憚のない御意見をお聞かせ願えればまことに幸甚に存じます。  これからの会議の進め方につきまして申し上げます。  参考人方々には、お一人十分程度の御意見をお述べいただきまして、その後、委員方々からの質疑にお答えをいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。御園生参考人
  5. 御園生等

    参考人(御園生等君) 御園生でございます。本日は、電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案につきまして、私の若干の意見を申し上げまして御参考に供したいと思います。  まず、初めに申し上げたいのは、いま、御承知のとおり、従来のいわゆる民間設備投資主導型の高度成長が、大きな転換期に差しかかっているという点について、皆さんの御注意をいま一応喚起したいという点でございます。  昭和三十年以来、日本経済平均年率一〇%をこえる高い成長率のもとに拡大発展逐げてまいったことは、いまさら私から申し上げるまでもないことだと思います。しかし、その内容を見ますと、いわゆる民間設備投資主導型といわれておりますとおり、主として大企業設備投資及び設備投資に基づく誘発効果が、各産業における需要増大効果を及ぼすことによって、このような高い成長率を維持し得たものだというふうにわれわれは考えているわけであります。しかし、その反面、国民生活は一体どうなっているのか。これもいまさら申し上げるまでもなく、高物価あるいは公害の全国的な蔓延、その他過密、過疎等々の、いわゆる政府側ことばをかりれば高度成長のひずみ、われわれのことばをもってすれば、国民生活を苦しめるさまざまな矛盾が増大したということもまた否定することができない事実だと考えられます。したがって、政府あるいは財界有識者等においてさえ、今日発想の転換が叫ばれているわけであります。つまり、従来の高度成長が、いわゆる民間設備投資を主導するものであり、そこに重点がかかってきたという点から転換し、真に国民福祉増進のための経済政策転換すべき時期にいまきているということであります。  特に、たとえば資源問題をとりましても、昨年十月のOAPEC諸国原油供給削減措置によって、日本経済が大きくゆり動かされたわけでありまして、その辺からも資源問題を一つの契機にして、いままでの、資源はあり余っている、エネルギーを含めた工業にとっての資源はあり余っているというばく然たる前提が、大きくくずれたわけでございます。したがって、通産省の、たとえば産業構造審議会中間答申にありますように、従来の資源消費型の産業構造から、資源節約型の産業構造転換することが急務であるというふうに叫ばれておりますし、また財界その他におきましても、たとえば産業計画懇談会等においては、今後発展を抑制すべきいわゆるネガティブリスト及び今後国民経済発展が望ましいと考えるポジティブリストに記載されております産業は、いわゆる知識集約型へ転換することが主眼点となっていわれている。こういう点を考えましても、いまや政府財界ですら、従来の資源乱用型のあるいは民間設備投資中心を置いた高度成長から、国民福祉重点を置きかえなければならないという必要が経済上もあるということだと判断されます。  ひるがえって、産業にとりまして、あるいは国民生活にとりまして、きわめて重要な資源であるエネルギー問題を考えますと、電力がこの間どの程度必要とされるか、いわゆる需給計画想定なるものを見ますと、私の手元にはいま日本電力調査委員会需給想定しかございませんが、これによりますと、昭和四十七年から五十三年までの電力需要増大想定を九・一%というふうに見積もっております。これはもちろん複利増加率ですから、年平均増加率とは違います。このような高い需給想定前提となりまして、電源開発計画が各電力会社によって推進されているわけでございます。一体これがはたして正しいエネルギー資源開発あり方であるのかどうか、この点に私は根本的に疑問を持つわけでございます。むしろエネルギー資源、その他をなるべく節約する。それによって産業構造転換をはかり、あるいは公害その他の発生を未然に防止するということが可能になるならば、やはり計画はもっと精密に総合的な立場から今後のあるべき産業構造、あるべき国民生活の状態を前提とし、一口に言いますれば、国民福祉中心を置いた計画のもとに、電力がどの程度必要とされるかということを考えるべきものだと思いますが、しかし、現実に各電力会社電源開発を進めておりますその計画を見ますと、決して従来の高度成長、いわゆる公害多発資源消費型の高度成長から大きく転換しているという様子は、私の知っている限り見えないわけでございます。それにもかかわらず、電源開発促進税並びに電源開発促進対策特別会計をもって、今後の電源開発について特別の措置を講じようとすることが、はたして真に国民生活向上安定のために考えられているのか、あるいは従来のように、産業重点的な、産業発展重点的な方向で、依然として電源開発について考えられているのではないかという疑問を、私は根本的に持たざるを得ないわけでございます。  こういう点から考えますと、私は、現在特に、電源開発について特別の措置を講じ、いわば一定の利益誘導をもって、周辺住民反対を抑圧しようという目的を、この両法案は持つものだと考えざるを得ないわけでございます。もし周辺住民納得を十分に得る道があるとすれば、それは安全性並びに電源開発について、国民生活上ぜひ必要であるという総合的な立場からの説明によって、あくまでも納得ずく住民との合意が成立するはずであって、それを特定利益誘導をもって、これを無理やりに納得せしめようということは、私として、はなはだ理解に苦しむと、こう言わざるを得ないところでございます。  またもう一つ問題になりますのは、今後の電源開発につきまして、特に原子力発電が長期的な計画の中でかなり比重を増大するというふうに考えられているわけでございますが、この点につきましても、はたして原子力発電なるものの安全性並びにその資源を一体どこから輸入することになるのか、その辺の資源外国依存型の高度成長を依然として続けるものではないかという点につきまして、私は大きな疑問を持たざるを得ないわけでございます。  なるほど原子力発電は、今後のエネルギー資源の上でかなり大きな比重を持つべきものだということは、抽象的には一応は納得できないものでもございません。しかし、それはあくまでも、その安全性が十分に保障され、またその資源の獲得についても、長期的な見通しが十分あり得るという前提のもとに行なうべきものであって、いたずらに将来を先取りすると称して、安全性に問題があり、また事実いままでの原子力発電を行なうについて幾つかの事故が多発している、そういう状況とか、あるいは一応関東大震災程度地震にもだいじょうぶなように設計されているというふうに伺っておりますけれども、たとえばそれを上回るような地震、あるいは局地的な地震災害等があった場合に、この安全性が十分に保障できるものであるのかどうか、そういう点につきまして、私はしろうとながら十分ではないのではないかという点に大きな疑問を持たざるを得ないわけでございます。  また資源を効率的に使用するという、今後のわれわれの資源利用についての基本的な立場からいいましても、原子力発電なるものが、はたして資源を一〇〇%利用し得る技術的な開発が十分になされているのかどうかという点につきましても、私は、十分な納得を得るような説明をいまだに受けておりません。そういう点から見ますと、私は、技術的に十分な基礎がいまだに置かれていない原子力発電並びに将来のエネルギー問題についての計画は、慎重に行なうべきものだと、こういうふうに考えられるわけでございます。ことにインドが原爆の実験をいたしまして、それが国際的な波紋を呼んでいることは御承知のとおりでございます。技術的には私詳しいことは存じませんけれども、しかし、原子力発電所が、その技術的な関連性において、核兵器を持つ可能性を開くものであるということも否定することはできないだろうと思います。  そういうきわめて危険な可能性を持っている原子力発電に際して、たとえば現在まで企業機密あるいは国家機密という名のもとに、その公開がしばしば問題になっている、また法制審議会から昨日刑法の改正案なるものが答申されました、これが国会上程になるまでは多少の時日がおかれるものだと思いますけれども、この中に、御承知のとおり、国家機密並びに企業機密漏示罪なるものが新設されております。このような企業機密国家機密をきわめて重く尊重するというようないまの方向から考えましても、原子力発電なるものが、核兵器への技術的な展開を切り開く可能性を十分にわれわれ国民の側において阻止し得るものであるかどうか、その可能性を一体どの程度持つものであるかどうかという点においても、きわめて私は危慎の念を持たざるを得ないわけでございます。  以上総合いたしまして、私は、本日問題になっております電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案について反対立場を表明するものでございます。
  6. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 続きまして木下参考人にお願いいたします。
  7. 木下和夫

    参考人木下和夫君) 御紹介あずかりました木下和夫でございます。  電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案につきまして、若干私見を述べさせていただきます。  第一に申し上げたいことは、昨年の十一月以来の原油価格の高騰あるいは供給不足に基づきまして、急速わが国エネルギー政策全般の変更が必要であるという事態に立ち入りましたことは、どなたも御承知のところであろうかと思います。で、どのような代替のエネルギーを使うかという問題につきましては、技術的あるいは経済的な問題もさることながら、とりわけて安全性を第一にした新しい切りかえが必要であることは申すまでもございません。そのために、発電の原料としての基礎エネルギー原子力に求められるか、あるいは火力をどの程度使うか、あるいは水力をどの程度それに加えていくかということにつきましては、おそらく別途にさまざまの見地からその最も望ましい組み合わせが必要であろうかと思います。  それと同時に、エネルギー節約ということが、やはり経済的に問題でございますが、従来とられましたエネルギー価格については、基礎的な国民生活に必要な部分、いわゆるナショナルミニマム部分についてはなるべく価格を押えて、それをこえる部分について、価格機構をうまく働かせて節約方向へ持っていこうという着想も、電力料金の改定については出ておる事態でございます。そういう事態に最も現実的に問題を考えますれば、これからの日本経済が、確かに重化学工業中心の非常な高成長というパターンから、国民生活充実方向へ進むべきことは当然でございますけれども、その中でやはり供給義務を持つ電力会社が、その需要増加に応じて適切に十分な電力を供給するという要請もまたこれは認めなければならないと思います。そういう意味で、おそらく急速この税法の案あるいは特別会計の設置に関する案ができたものと解釈をいたしております。  で、そのような安全性とか、あるいは世界の各国がエネルギー転換に伴って払っておる努力とか、方針というものを踏まえながら、わが国技術的な研究というものにおそらく国費の多くの部分を投入して推進をしなければならないと同時に、各発電の責任を持っておる電力会社は、それらの膨大な設備投資の資金は、当然それぞれの企業において負担をしなければならないと思います。ところが、申すまでもないことでございますが、発電に伴いましてはさまざまの環境に対する悪影響というものがございます。この問題は、本来電力会社環境整備あるいは環境破壊の防止のために負担をしなければならないという筋書きになっておりますが、しかし、そのような公共的な施設整備ということは、やはり国あるいは地方公共団体の責務であるのが本来の筋であろうと思います。そのような破壊によって、一方において害を与え、他方電力需要家のほうは、おそらく発電施設の所在地よりも遠隔の地に住んでおる。そこでは利益を受けておるけれども他方においては発電施設所在市町村住民はかなりの被害を受けておる、この対応関係というのはかなり明白でございます。御承知のように、いま市町村税といたしまして電気税というものがございますが、この電気税収入は、その発電施設所在市町村に還元されるという仕組みになっておりません。確かに電気税を利用して、発電施設の所在する市町村住民にさまざまの施設を提供するということが必要であろうかと思いますが、現状では市町村電気税は、その当該消費者が住んでおる市町村一般財源として、これは重要な税源になっておるわけであります。したがいまして、今回の新税法の案に基づきます新税創設は、いわば目的税として、一方において受益があり、他方においてコスト費用負担するという関係に着目いたしまして、課税の技術上は電力会社が支払うことになりますが、しかし、その負担受益者に還元されると、いわば転嫁されると、そしてその費用を、発電所所在市町村住民のために、さまざまの公共用施設財源にプラスして加えると、上積みをするというアイデアだと思うわけであります。もちろん国庫補助事業でございますれば、国庫負担金がございますし、それから地方交付税一般財源でございますので、これを使う。その上にこの収入でもって地元の住民利益になるようなさまざまの施設をつくるという基本的な考え方については、私は説得的であるというふうに判断をいたします。  もちろん、第二に申し上げたいのは、目的税という問題について、私、所属しております税制調査会においては、かつて目的税の採用についてはかなり消極的な意見が述べられております。その消極的と申しますのは、一般に租税のあり方というのは、国民全体あるいは住民全体にさまざまな利益を与えるそのコストを、国民ないし市民が共通に負担しようということから出てきておりますので、特定利益というものに対して、税というものはなじみにくいというのが基本的な考え方であろうと思います。特定利益とその費用負担という関係ならば、これ、市場経済にまかしておけばいいというのが、私どもの基本的な考え方でございます。ところが最近のように、国民生活あるいは社会経済活動に伴ないまして、そのようにはっきり一般的な利益を与える、あるいは一般的な費用負担を求めるという形以外のものが出てきておるわけであります。たとえば自動車を走らすことによって道路需要がふえる、それでは道路費の一部を自動車に関する諸税によって捻出するという考え方がまさにこれでございますし、また航空機の騒音その他のさまざまの外部不経済の予防のための費用を、航空機燃料に対する税を課することによって負担をしてもらう、これはおそらく航空機の旅客がその費用負担して、そして空港所在空港近辺市町村住民のためにさまざまの施設その他の財源を調達するのに用いるという考え方でございます。  こういう考え方が実は最近はさまざまの公的な施設について必要性が出てまいりました。これは社会経済生活のからみ合いが非常に複雑になったということを背景に置いて出てきたのでありまして、政府あるいは地方公共団体が、きわめて単純なミニマム行政をしておる場合にはほとんど出てまいりませんが、多様な問題について、多様な公共的な行動が必要になればなるほど、こういう目的税の導入ということも当然考えられてしかるべき問題として出てきておるわけであります。そういう意味を込めまして、実は昭和三十九年十二月の税制改正に関する長期答申のうち、目的税のところは、これは主として専門家意見をもととしてとりまとめられたものでございますが、私どもは、一般原則としては望ましくないけれども特定利益と、コスト負担について明確な対応関係がある場合には、こういう目的税を採用することも考えられるという結論になっておるわけであります。  今回の法案につきましては、私は、目的税に合致する一つのケースでございます。そのような判断から、この税の趣旨、目的税というものについて、目的税であるから、この税が好ましくないという議論は私はとらないわけでありまして、さらには、目的税はさまざまなものが現在ございますが、地方税にはなじむけれども国税になじまないという議論もあろうかと思います。これは理由といたしましては、おそらく地方行政サービス利益というものがかなり明確にとらえられやすい。で、国全体の財政を通ずるところの国民利益というものと比較いたしますと、相対的に利益がとらえられやすい、あるいはそれに要するコストとの対応関係が相対的に明確であるということから、おそらく地方税にはなじむというような議論が出てくるのではないかと思います。しかし、この新税の場合には、行政サービスをいたしますのは市町村でございまして、国のレベル財源調整をする、言いかえれば、税を徴収して、それを特別会計に入れて市町村に交付するという形でございますので、これを国税地方税レベルで、目的税的確性があるかないかという議論をいたしますのは、やや問題の実際的な意味とは離れておるのではないかと思います。  それから最後に一点つけ加えたいと思いますが、これは、この法案並びに特別会計法の案につきまして、税制調査会諮問されたこともないし、またこれに対して論議したこともないという点について若干の問題があろうかと思います。もちろん私ども毎年総理大臣から一般的な問題につきまして諮問を受けまして、その細目につきましては通常は触れてございません。したがって、概括的な議論をするのが主でございまして、とりわけ年度末になりますと、翌年度税制改正について非常に密度の高い論議をいたしておるのが実情でございます。実はこの税の構想に若干類似した新しい税の創設ということにつきましては、地方税改正の一環といたしまして、きわめてばく然とした形で発電税あるいは電力会社負担するところの府県税という形で提案が行なわれたように私は記憶いたしております。幾つかの項目の中にはっきりとした形であげておるのじゃなくて、話題になったことはあったように私は記憶いたしております。もちろんその内容は、ずいぶん今回の場合と変わっておりますけれども、私どもといたしましては、すべての税についてあらかじめ税制調査会論議対象として、それに対するイエスあるいはノーという結論を本来は取りつけるべきものが、その後急速年度末に近づくにつれまして、この税が創設されてきたという問題につきましては、実はこれは残念なことであった、言いかえれば、早くかけてくれればより望ましかったという感じを持っております。ただしかし、このような例は、たとえば会社の非常に膨大化いたしました利潤に対して課税されました問題にいたしましても、これは私ども税制調査会には論議対象となっておりません。これはしかし、議員立法という形でございますので、比較的問題が、私どもとしては問題を見過ごしておりますが、この電源開発促進税法案につきましては、その法案ができた段階あるいはそれの中身について各委員に対してそれぞれ詳細な報告をいただいております。で、これについては、おそらく新年度に行なわれますところの税制調査会において、若干の釈明あるいはその説明というものが行なわれることを私期待しておりますが、しかし、どの範囲まで私ども諮問があって、どの範囲まで諮問しなけりやならないという点につきましては、一種のモラルな義務といいますか、あるいは慣行といいますか、そういうものがあるだけであって、きちんとした制度というものの樹立あるいは設定にまで至っていないのが現状ではないかと思うわけであります。この点につきましては、委員の一人といたしましては、また繰り返しますが、まことに論議対象にならなかった問題が、突如として出てきたのは不満であるという表明をせざるを得ませんけれども、緊急の対策であるならば、これはいたしかたないという感じで受け取っておるのが、私の率直な感想でございます。  以上で終わります。
  8. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ありがとうございました。  続いて岩本参考人お願いします。
  9. 岩本忠夫

    参考人(岩本忠夫君) 福島県双葉町の岩本忠夫であります。  私の住んでいる地点から約二キロほど離れたところに福島原子力発電所がございます。私は、今回の電源開発促進法ほか関係法案反対をする立場で若干意見を申し上げたいと思います。  今回出されている電源開発促進法案、私はこの法案については、つまりいま全国的に各地で原発反対運動が展開をされている。つまり、地域の住民が、危険な原発に対して拒否権を行なっている。これに対する対策が、電源開発促進税という形で出されたものだというふうに実は理解をしているわけでありまして、きわめて意図的な住民抑圧の、そして危険な原発を金で押しつける。言うならば、そういう内容を持った法案ではなかろうかというふうに解せざるを得ないのであります。  私たちの双葉郡の状況を簡単に申し上げますと、六町二ヵ村の、言うならば、福島県ではきわめて後進的な地域だと古くからいわれておりました。しかし、貧しくとも、農業や漁業を中心にしまして、平和でしあわせな、言うならば生活を今日まで続けてきたわけでありますが、今日、原発促進派といわれている一部の人たちは、双葉郡の後進性は、今日まで農業や漁業に依存をしていたから、だからチベット地帯といわれるようなそういう状況を生んでいるのだ、こういう指摘をされております。しかし私は、今日の農業や漁業を非常に、たとえば農政不在、さらにまた漁民の生活を非常に苦しめている、さらにまた一般住民生活を極度に抑圧をしている。こういう状況をつくり出したのは、何といっても政府みずからの政策のまずさ、たとえば農業問題で申し上げますならば、生産調整や減反によって農民を重化学工業に吸収をして、そういう中から農業を破壊していった、こういう経過がそれを示しているのじゃないかというふうに実は考えるわけであります。そういう点から、私たちのほうに原子力発電所が建設をされて、そういう中から地域の一部の人たちは、特にこれは自治体の長でありますが、原子力発電所をもって地域の開発を行ないたい、そういうことを盛んに宣伝をしております。そしてまたその中に、原子力発電所の設置によっての地域のメリットというものを非常に期待をし、さらにまた、それを誇張して宣伝をしております。その裏にはどういうものがあるかと申し上げますと、やっぱり原子力発電所は危険である、危険な原子力発電所が設置をされた以上、それに対する見返りの条件があってしかるべきだというものが、自治体の中にあるんじゃないかというふうに実は考えているわけであります。しかし地域の住民は、幾ら自治体の長が地域メリットを期待しても、今日の原発の安全性が確保されない限り、いま出されているような電源開発促進法案、これをもって金を与えて原発を促進する、こういうものには徹底的に反対をしていくという立場が、地域住民の中には強く根ざしていることも確かであります。私はそういう立場から、今日まで福島一号炉が運転をされてきたその中におけるさまざまな問題点、これをまず指摘をしたいというふうに思います。  まず、福島原発一号炉の事故の問題でありますが、すでにこれは公表をされているように、制御装置の故障で、五月の三日から、現在もまだ運転が中止をされております。さらに、かなり営業運転が延々と延びている二号炉、これは七十八万四千キロワットでありますが、これもまた最近運転が停止をされております。中身が具体的に発表はされておりませんが、二号炉についてもかなりの問題があるゆえに、現在停止をされているのだろうというふうに理解をしているわけであります。  さらにまた昨年の六月二十五日に、放射性廃液漏れの事故がありました。この事故発生とともに、直ちに東京電力は、県や関係町村にすぐさま連絡をすべきところを、県には四時間半も、また隣接の関係町村には、約二日近くもその連絡を怠っていたという、こういうことがありました。そして、科学技術庁や県の調査官が現場の調査に行ったときには、すでに廃液が漏れた地点は整理をされて、その証拠はあとかたもなく整理をされていた、こういうことがはたして、地域住民の安全を確保するという立場に立って、ほんとうに企業が本気になって考えているのかどうか、きわめて疑問な点であります。  同時にまた、これまで、たとえば四十六年の八月に福島一号炉の中で働いていた作業員の五名が、二・五レム以上の被曝を受けるなど、こういう事故もございましたし、日常的に作業員の被曝が継続をされております。許容量以上の被曝をして、ある作業員は二カ月も仕事を休んでいる、こういう実態もございます。  さらにまた、廃棄物の問題でありますが、現在、ドラムかんに詰められた廃棄物が六千本以上は格納されているということであります。同時にまた、さらに危険なのは、放射性を含んだあの廃液がたくさん貯蔵されております。これらの処理の問題についても、まだ具体的にどう処理されるのか明らかにされておりません。こういうことについても、かなり私たちは不安を持っているわけであります。  同時にまた、ことしの三月の十一日に、福島の県議会の中で明らかにされた問題でありますが、一号炉のスチーム管の蒸気漏れの問題であります。これは三月の十一日に県議会で質問いたしました際に、蒸気漏れがあるから直ちに運転を停止をして、すみやかに修理をしなさい、こういう要請をしたわけでありますが、県当局は、福島一号炉はきわめて安全に運転をされております、こういう答弁をいたしました。しかし、そのときはすでに福島一号炉は運転を停止をされておりました。運転を停止をした理由を東京電力はこう述べております。送電線の工事のために運転を停止をした、こういうことを言っているのでありますが、実際にその工事事務所の所長からあとで聞きましたが、送電線の工事などは一切やっておりません、こういうことを所長が申しております。したがって、送電線の工事で一号炉をとめたということはまっかな偽りでありまして、実は、実際にスチーム管から蒸気が漏れていたという事故があったということの、後日かなり確証があがりました。それは、問題のスチーム管をあとで交換をいたしまして、その交換をいたしました危険な放射能が付着をしているスチーム管を、ブルで約二メートル土を掘りまして、その中にスチーム管をいけたという、埋めてしまったという、こういう疑いがあります。目下、私たちのほうでその問題についても調査中でありますが、そういう問題がある限り、私たちは原子力安全性というものを信じることはできないのであります。  同時にまた、今回、福島第二原子力発電所の百十万キロワット――一号炉か安全審査会が通ったようでありますが、その前に、昨年九月の十八、十九日に福島で公聴会が開かれました。しかし、その公聴会が開かれるまでに、三十五億の漁業補償が決定し、さらに事前着工ともいわれる進入道路や排水口や、さらに一号炉の敷地を造成をしているわけであります。こういう点についても、あの福島で行なわれた公聴会のごまかしが具体的にはっきりできるんじゃないかというふうに実は考えるわけであります。  私は、そのような危険な原子力発電所を、電源開発促進税法などというもので、あめをもって反対住民を押しつける、なだめる、こういう意図的な法案には私は反対であります。いまこそ私は、原子力基本法にある自主、民主、公開という、その平和三原則を守りつつ、原子力発電所安全性をさらに大きく見直していく必要があるだろうというふうに考えます。  以上をもちまして私の意見にかえさせていただきます。
  10. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ありがとうございました。  続きまして板倉参考人お願いいたします。
  11. 板倉哲郎

    参考人(板倉哲郎君) 板倉でございます。電源開発促進対策特別会計法案と、それから電源開発促進税法案の件に関しまして、私の意見を述べさせていただきます。  世界的に見ましてエネルギー増加というものは、特に高度の産業政策ということ等は抜きにしましても、人口の増大あるいは産業からフィードバックされます民生の向上ということについて、これは世界の全人類がすでに合意を得ている一つ考え方であると私は考えます。このエネルギー源としましての電力の需給ということにつきまして、需給の想定につきましては、数値的にかなり大きな数値が出る場合もありますし、あるいは産業構造そのものについての修正その他ということについて見直しがしばしば行なわれているわけでございます。かつての十年ぐらいにつきましては、皆さん御承知のように、わが国におきます電力の伸びというのは、十数%という大きな伸びを示していることもございましたが、つい最近二、三の見直しが行なわれておりまして、現在ほぼ八・数%あるいは九%ぐらいに、産業構造そのものの見直し、民生に対する重点ということによってすでになされているわけでございます。この見直されました八・数%あるいはほぼ九%というような電力必要性ということから考えまして、現在進められています発電計画というものが、実質的には近い将来電力の不足を来たすことは、見通し上指摘がされているわけでございます。そういう点につきまして、一つの、何といいますか、重工業の推進ということを抜きにいたしまして、日本につきましては、日本国民の福祉生活を、現在の状態を維持する上においても、さらに電力需要というものは増加しているわけでございます。これを広く世界的に見ますれば、まだ開発途上国、そういう国々ということを、世界人類を平均して考えますときには、さらに世界的にも電力あるいはエネルギーというものの需要というものは、ますます増大せざるを得ないわけでございます。  で、この電力を何によってまかなうかということにつきましては、現在は火力、水力、ごく一部分原子力が行なわれているわけでございますが、きれいなエネルギーを得るということについての技術開発は大いに進められております。私は、原子力発電というものは、きれいなエネルギーを得る一つのきわめて有望なものと考えております。もちろん、遠き将来に核融合、さらには太陽エネルギーの直接利用という点の技術開発を大いに進める必要はあり、それを期待するものではありますが、現在のところ、核融合にいたしましても、あるいは太陽エネルギーのかなり直接的な利用にいたしましても、一つの実験室的な小規模の実験段階であり、あるいは技術者の望む一つの将来の姿でありますが、これらのものがここ数十年間に実用的になる見通しは全く立っておりません。しからば、私たちがこの国民生活を保つために、ここ五十年間ぐらいの電力というものを何にたよらざるを得ないかといいますことは、何もわが国日本だけではなくて、世界各国とも、原子力発電にたよらざるを得ないという考えが固着しております。よくアメリカの例にならって日本原子力発電を推進しているんだというお話を端的に話される方がございますけれども、世界におきまして、自由経済の国もあり、あるいはそれと違った経済機構を持っている国々もあるわけでございます。ソビエトにつきましても、すべに百十万クラスの発電所が昨年から稼働しております。あるいは北欧圏の国々についても、原子力発電の推進は行なわれておるわけでございます。スウェーデンについては、原子力発電を禁止するという話がきめられたかのごとく話もされることがございますが、確かに議会で、原子力発電に対して、これを禁止すべきかどうかという案が上程されたことはありますが、スウェーデン自身につきましても、この案は否決され、国の方針として原子力発電の推進が行なわれております。これは何も単に原子力発電を推進するということだけが目的ではございません。この目的と申しますのは、どこまでも国民の豊かな生活を保つためにエネルギーが必要であると、この必要なエネルギーを何によって得るかという点をいろいろ模索、さがした上において、世界的に、ここ数十年間は原子力にたよらなければ、われわれのエネルギーは得られないという点で行なわれているものでございます。ところが、原子力発電と申しますと、これは皆さん御承知のように、原子力自身は、潜在的には危険性を持ったものでございます。もしエネルギーが全く潜在的の危険もないものによって十分得られ、われわれの生活が行なわれ得るならば、原子力にたよらなくてはならないという話はないわけでございます。しかし、ここできわめて重大なことは、潜在的に危険であるから、すなわちそれが危険であるという、非常に短絡した、単純な考え方が行なわれるのが、きわめてものの誤った考えと私は考えます。  たとえば、非常に卑近な例で恐縮でございますけれども、青酸カリというものはきわめて危険なものでございます。しかし、その青酸カリがきわめて厳重な管理のもとに、たとえば厚い鉄の溶接された容器の中に入って置かれているといった場合に、潜在的に危険であるかどうかということは、中に青酸カリが入っているという意味においては、潜在的に危険でございます。しかし、厚い鉄の容器で、しかも溶接され、そういう状態で置かれ、しかもそれを十分国の管理のもと、あるいは国際的の管理のもとにおいて、言いかえますと、それに番人もつけ、人がそれに近づくこともできないという十分な管理のもとに置かれているというときを考えますと、はたしてこれを危険と直結して考える人はないと私は考えます。  原子力発電安全性につきましては、技術的にきわめてこまかい、あるいは技術的に難解な点がございますので、いろいろ安全性について疑義がもたらされていることはいなめない事実であります。こういうものについて、国民あるいは世界の全人類に対して、これらの同意を得てこれを開発するという必要は、十分われわれも認識しているものでございます。  で、私自身が原子力の安全の専門家でございます。そういう意味で、この法案に関連しまして、皆さんがこの原子力を推進するためにこれが出、しかも、その原子力の安全を、たとえば地域に対する金でもって解決するのではないかというようなことを考え、あるいはそういう意見が出るということも事実だと思います。したがいまして私は、ここで少し原子力安全性のことについて時間を拝借して述べたいと思います。  根本的に申しますと、潜在的に危険であると申しますのは、原子炉の内部に多量の放射能を内蔵しているということでございます。で、これを二つに考えますと、一つは、日ごろの運転中にわずかながら放射能が発電所から環境に放出されるかどうか。第二は、大量にたまっています放射能が、原子炉の事故によって環境に放出されるかどうかという二点によると思います。  まず第一に、平常の日ごろの運転のときに、放射能が環境に放出されるかどうかという点につきましては、量的なことを除きまして、絶対論で申しますと、放出はゼロであるかということに対しまして、私は、放出はわずかながら行なわれておりますと。そこで、きわめて大事なことは、量というものの解釈ということが必要だと思います。世の中に絶対というものはないわけでございます。その量によってわれわれはそれが安全であるかどうかを判断するのが当然のことでございます。  発電所から環境に放出されます放射能というものにつきましては、実質的あるいは一般常識的にいいますと、これは放出されていないと申す表現もあるかと思います。と申しますのは、私たちが住んでいます自然環境あるいはこの部屋におきましても、非常に多くの放射線があるわけでございます。人間、われわれ、ここに立っております私自身あるいはここにいらっしゃいます先生方のからだ自身の中にも放射能は入っております。それによって皆さんは放射能を受け続けているわけでございます。放射能の一部は空からまいります。一部は土からまいります。あるいは建物の構築物からもまいります。そういう点で、世界各国のほぼ平均の値といたしますと、ある単位で申しますと、約百という単位の放射能をわれわれは受け続けているわけでございます。約百という単位の放射能を受け続けながら、われわれ人類は進化し生活をし続けているわけでございます。いま申しました百という値は、ところによってはこの値が七十ぐらいのところもあり、ところによっては百五、六十というところもあり、日本国内でもかなりの違いがあるわけでございます。一般に関西地方は多く、百五十ぐらいのところも多く、関東地方は土質の関係で少ない。一年間に七十ぐらいというところが多いわけでございます。そういたしますと、その差が八十ないし七十というのが、わが国においても十分あるわけでございます。これをさらに広く世界的に見ますと、いまの違いどころではなくて、自然についても、百に対してその十倍以上のところもあり得るわけでございます。で、そういう地域に住んでいた人々、たとえばわが国におきまして関西地方に住んでいた人と、あるいは放射能の少なかった関東に住んでいた人において、はたして現実的に放射能の害が出ているかどうかという点かち御判断いただけるのが一番よいと思います。で、一方、発電所から放出されます放射能というものを学問的に申しますと、ゼロではありませんと申しておりますけれども、敷地の境界で一番高いところにおきましても、自然であります値の約百分の一、百分の幾らという点でございます。自然自身が、同じ場所にいましても一年間に一割あるいは一割五分の違いがございます。そういう自然の変動よりもさらに低いということが原子力発電所ではすでに達成できているわけでございます。  で、第二番目に、原子炉の大きな事故によって放射能が外に出るかどうかという点につきましての安全性ということと、よく一般にいわれます事故というもの、同じ事故ということばでございますけれども、原子炉事故ということで私たちが気をつけなければならないのは、大量の放射能が環境に出るものに関連する事故であるかどうか。発電所もいろいろ小さな機械をたくさん使っております。そのために当然いろいろな小さな故障、あるいはそれを事故と呼んでも、ことばの用語でございますけれども、そういうものはこれはどうしても避けられないものでございます。できるだけそういう小さな故障もなくするように努力はすべきでございますけれども、これまで原子力発電所で大量の放射能が環境に出る原因になったような事故は、世界各国一つも起こっておりません。軍事用の特別のものとか、そういうもの以外、いわゆる原子力発電所というものについてはそれが起こってないということが何よりのそれが実証でございます。  で、時間もございませんので、あまり詳しいことは省略いたしますが、以上の点から、原子力発電所を置きましても、それによってその周辺に危険を及ぼすということは全くないと私は考えております。しかし、起こしました電気というものは、その地元だけではなくて、わが国におきますと、日本国民の福祉のために使われるエネルギー源となるわけであります。そういう点につきまして、置かせていただく地元に対して、その地元を税制面その他、地元の整備面ということで、これを優遇していくということは当然行なわれてしかるべきものと考えます。私から考えますと、このような法案が現在出ましたことがすでにおそきに失している感を持つものでございます。  で、以上のような点から、私はこの法案に賛成の意見を持っているものでございます。
  12. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ありがとうございました。  先ほど来、参考人方々がお述べになりました御意見に対し、質疑のある方は順次御発言を願います。
  13. 辻一彦

    ○辻一彦君 私、四人の方にそれぞれお伺いいたしたいんですが、まず第一に税制の問題がありますので、木下参考人にお伺いしたいと思います。  これを目的税として妥当であるというような見解は、税調における多数意見であるのかどうかですね。内部には、私いろんな意見があったと思うんですが、多数意見がこれを妥当とお認めになっておるのかどうか、その点が一つ。  それから単年度でいいますと、ことしは百一億でありますか、百億ですが、平年度の場合には三百億になるわけですが、まあかなりな税額になりますから、これはやはり年度末に急だといういろいろな事情があるにしましても、当然税調に諮問とか、はかられるべきものではないか、なるほど、会社利得税の問題がありますが、これは国会内部で国民の声を代表してあれだけ論議をされて、その上に一応積み上げていったと、そういう御理解のようでありまして、私どもはそれはそれでいいと思うのですが、この発電税については、税調において十分論議をさるべき性格のものでなかろうかと、こう思うんですが、それが第二点。  それからどこまで諮問をすべきかということは、まあモラルやあるいは慣行の問題であるということで、あとにこの結果を新しい年度において税調に政府が報告すればそれでやむを得ないと、こういうふうな御見解のように聞き取れたんですが、これはあとで報告すればいいんだというような税調全体の受けとめなのか、この三点ひとつお伺いしたい。
  14. 木下和夫

    参考人木下和夫君) 第一の問題でございますが、先ほども申し上げましたように、税調で、この法案に盛られておるような内容新税論議されたことはございません。したがいまして、本日申し上げました見解は私個人の見解とおぼしめしくださるようお願いいたします。  なお、多数意見がどうであるか少数意見がどうであるかの判断につきましても、ここではどういう意見が多数であるというふうなことを申し上げる予測も想像もつかないというのが率直なお答えでございます。  それから第二番目は、平年度になると税収も高くなる、いわば交付額が多額になるということで、当然これは税調の総会に審議事項として提出すべきである、あるいは今後論議すべきであるという御意見でございますが、これは先ほど申しましたのが若干の誤解を招いたかもしれませんけれども、ただ、こういう法律案を提出して国会を通過したとか、あるいは国会でこういう議論があったという報告は詳細に税調の席上で行なわれると思います。で、それを受けまして委員の中から必ずさまざまの議論があると私は想像しています。  それから税調の本来のあり方について、第三番目に仰せでございますが、問題が非常に緊急であったというような理解を私しておりますので、税調の昭和四十九年度税制改正に関する大きな目玉と申しますか、それは法人税の税率アップと所得税の減税でございました。で、私どもほとんど全部のエネルギーをその点につぎ込みまして、金額は先ほども御指摘のように、平年度になりますと多額になりますけれども、その直接税に中心を置きましたために、勢いその他の諸税につきましては手を抜くと言っては悪うございますけれども、時間の制約その他論議の時間の関係上、それほど詰めたと言ってここで胸を張ってお答えする自信はございません。したがいまして、大体所得、法人につきましては私ども相当のまあ深い詰めをやったわけでございますけれども、このような緊急事態で出されたものについてやむを得ないと言うことは、言いかえれば、本来は当然出すべきであったと、税調の席上当然出すべきであったけれども、ここまで進んだ以上はやむを得ないということでございまして、決して免責とかあるいはもうすっかり忘れましょうという意味で申し上げたつもりではございません。  以上でございます。
  15. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあ個人の見解と、こういうお話ですが、衆議院に税調の参考で出られた方は、この法案についてはきわめて消極的、しかも、不満の意を述べておられるわけですが、同じ税調のメンバーとして、しかも木下先生その第一部会の会長さんですが、衆議院のほうにおいてそういうきわめて消極的、御不満が税調として述べられながら、あなたのほうの御意見では、個人の見解とはお答えでありますが、これは妥当であるというような御見解を――私ちょっと税調を代表されてといいますか、この第一部会の会長さんとしてはそういう意見を含めての御意見があってしかるべきと思いますが、いかがですか。
  16. 木下和夫

    参考人木下和夫君) お答えいたします。  私、衆議院に友末会長代理がお出になったということは存じておりますが、新聞紙上で見ます限りは、この税に対する反対論をお述べになったと理解しておりませんでした。で、しかし、友末さんがいかに反対論をお述べになろうと、私は私の意見を申し上げる権利があると思いますが、友末さんの議論というのは、おそらく税調における取り扱い方で不満だということをおっしゃったんではなかろうか、この税に対して積極的な反対論をおっしゃったのであろうか、その辺は私ただいま存じません。しかし、税調の中には意見が不一致のことがたくさんございまして、不一致であるからこそ論議をいたすわけでございまして、しかも、税調で正面から論議されていないこの税について、友末さんと私の間で意見が一致しないということがもしあるといたしましても、これは当然のことで、それのほうが望ましいとさえ私は思っております。
  17. 辻一彦

    ○辻一彦君 意思統一された上の御見解じゃないですから、だから、意思が統一された上の税調としての御見解ではないんですから、それはそれぞれの意見があると思います。しかし、第一部会の会長さんということになれば、私はその内部、一部会における意見の多数の意見というものをある程度掌握されて、御見解をいただくということがいいのではないかと、こう思うんですが。  もう一つは、年度末にまあぎりぎりに出されたというこの内容ですが、会期末のいま国会の法案の審議を見ますと、この電源三法、まあ税法二法ですね、これは内閣の重要な最終段階における法案になっておるわけですね、問題は私はあると思いますが。だからそういう重要な法案になるものであれば、これは年度末忙しいから早急にやってしまうというのじゃなくして、税調にかけるべきではないかと、こういう御要求を税調としてされるべきじゃないかと思うんですが、これはいかがでしょう。
  18. 木下和夫

    参考人木下和夫君) 第一番目の問題は、私がたまたま第一部会長をしておるから、意見調整をすべきだという点だと思いますが、昭和四十九年度税制改正の全体につきましては、第一部会、第二部会というような部会をはずしまして、全部総会で議論をいたしました。その過程におきまして、議論が百出いたしました過程におきまして、私は私なりに調整の役を若干ながら演じたと思っております。ただ、先ほどからたびたび申し上げておりますように、この法案については税調に直接、案は提出されなかったものでございますから、調整のしようも何もございませんので、その点はひとつ御了承願いたいと思います。  それから事前にそれでは会長代理と私との間で、本日の参考意見を申し述べる機会を前にして、何らかの調整をすべきであったかどうかというふうな問題に触れていま御発言があったのかもしれぬと思いますけれども、私は、そのような調整の必要はないというふうに考えておりますので、御了承願いたいと思います。  それから第二番目の問題でございますが、特別会計法案並びにこの商工委員会関係の案とともに審議さるべき重要な税制改正案でございますので、それは国会におきましてはきわめて重要な法案、一括した法案、一連の法案だということはもう御指摘のとおりでございます。ただしかし、私どものところにはそういう問題、特に税に関する改正案はさまざまの書類をいただいておりますけれども特別会計法案その他につきましては、私どもは直接タッチする分野ではないというところから、実は税制調査会あり方が、歳出のほうは全く無視して、収入、特に税だけを議論するというのはおかしいということはしばしばいわれておることでございますけれども、国債につきましても私どもはほとんど議論いたしません。で、非常に技術的なという御印象を与えるかもしれませんけれども、税の側面だけに限定をしておりますので、財政全般についての見通しというような広い立場から議論が行なわれることは非常に少ないわけでございます。したがって、私ども委員として申しますと、新しい税に関する案だけが切り離されて関心を呼び起こされるような書類をいただいておるわけでございまして、全体を通じての法律案の趣旨というようなものは、今回参考人に呼ばれまして、やっと急拠勉強したような状態でございます。その辺もひとつ御了承賜わりたいと思います。
  19. 辻一彦

    ○辻一彦君 おととい、ここで大蔵大臣の見解を一応ただしたんですが、そのとき、これは全く異例のことなんだと、税制についても、あるいはその特別会計あり方についても異例だ、まあ異例が三つぐらい続いたんですよね、これについて。ということは、私は本来のあり方からすれば問題があるということでありますから、税調としては、政府がこれについての自後のいろんな報告があったときに、きびしい注文をきちっとつけられる用意がおありですか。
  20. 木下和夫

    参考人木下和夫君) この点は、東畑会長並びに会長代理とさっそく相談をいたしまして、近々開かれます税調におきまして何らかの釈明ないし説明というようなものを事務当局から承りたい、あるいはそれ以上のことを会長が考えておられますならば、その点について御相談を申し上げたいと思っております。
  21. 辻一彦

    ○辻一彦君 まあこの問題は、皆さんからもいろいろあとで御質問あると思いますが、私この程度に、時間の点もありますからとどめます。  それから御園生参考人にひとつお伺いしたい。これは、私も先生のいま述べられた幾つかの意見には共鳴する点があるんです。おととい、私、午後商工委員会においてこのウランの全般的な資源と、それから価格が将来どうなるかということをある程度論議をしたわけです。なるほどいま原油と、それから濃縮ウランの価格を比べれば、この値段が非常に違います。しかし、もう濃縮ウランは、アメリカだけじゃなしに、フランスで買う場合は、政府答弁でも、三割か四割濃縮ウランの契約は高くなっていると、こういうことであります。しかも、その原料であるウラン鉱は、カナダや豪州等にも出ますが、多くは開発途上国いわゆるアフリカ等に産出される。ニジェールなんかの動きを見ますと、これは値上げしなきゃならぬという動きが強く出ております。おそらく原油の値段に合わせて、あらゆる燃料というものが国際的に将来平準化されていくのじゃなかろうかと、このように私は考えるんですが、そうなりますと、非常に安いというウランは、将来、じゃいつまでも安く手に入るかどうか、こういうことが、資源ナショナリズムの今日の動きから押してなかなか言えないんじゃないかというように私は感じますが、こういう点についてまずどういうようにお考えになっていられるか、お伺いいたしたい。
  22. 御園生等

    参考人(御園生等君) お答えいたします。  特にウランの資源が、現在世界でどの程度埋蔵され、またその価格がどのような動向を示しているかという点につきまして、こまかい問題に立ち入ることは避けたいと思いますが、基本的に言いまして、いまの御質問にあるとおり、現在資源は世界的にこれをどのように効率的に使用するかということが、単に経済的なベースだけではなくて、人類全体の福祉の増進、そういう点から考え直されていることは御承知のとおりだと思います。そういう際に、現在の価格が、エネルギー源として一応原子力あるいはウラン等において、原油等に比べて有利であるという観点からのみ原子力発電を将来の発電中心的な部分に考えていくという考え方は、きわめて近視眼的であると言わなければならないと思います。御指摘のとおり、資源ナショナリズムと申しますか、未開発諸国において、その持っているいわば経済的な武器として、その資源をいかに国民経済全体のために、端的に申しますと高く売るかという問題は、今後も一そう強まりこそすれ、弱まることはないというふうに判断されるわけでございますから、現在の段階において、経済的に有利であるということにのみ着目して、資源問題を処理することはきわめて問題があり、また間違っていると言わなければならないと思います。われわれは、かつて石炭がエネルギー源として経済的に有利ではないという、これも近視眼的な観点から、石油資源エネルギー源の重点を移してきた、その誤りをいま反省すべき時期にきていると私は思います。そういう点から考えまして、いたずらに現在の時点において、コスト上多少有利であるという観点は、今後の資源問題についての未開発諸国の動向を見ますと、決して長期的な見通しでも有利であるという結論は出し得ないというふうに私は考えます。  以上でございます。
  23. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、あとの方もおられますから、大至急ひとつ二、三伺いたいと思います。  いま御園生先生、地震の問題にも触れられましたですが、これは御専門ではないと思いますから、問題指摘をされたということを受けて、あと安全性の問題でひとつ各参考人からお伺いいたしたいと思います。  そこで、板倉参考人にひとつお伺いしたいんですが、おととい、まあ私は、日本原電の敦賀発電所における燃料体の放射能漏れといいますか、このピンホールですね、この問題について質問通告をしておいたんですが、まあいろいろな問題がありまして、審議が商工委員会ストップになって、その問題を聞くことができなかった。しかし、私の要求した資料は直ちに県においては発表になって、きのう大きく、くにのほうの新聞には出されております。そこで、安全性について非常な確信をお持ちのようでありますが、二十六体という、ピンホールといいますか、燃料棒ですね。これが一体定検の中間報告として出されておりますが、どういう状況であるか、ごく簡単にちょっと御報告をいただきたい。
  24. 板倉哲郎

    参考人(板倉哲郎君) お答えいたします。  原子力発電所の中には、御承知のように燃料が入っております。で、この燃料と申しますのが、運転中におきましても、燃料がきわめて大きく破損するとか、こわれるとかということがございますと、原子炉のまわりに回っております水の中の放射能が異常に増加するわけでございます。その異常の増加がございませんでも、一年に一度定期検査ということは、中のものの健全性を確認するということとともに、定期検査をかねて、もともと燃料体というのは、たとえば敦賀原電の場合でございますと、約一年間に、中に入っています燃料の四分の一ないし五分の一というものをもともと取りかえる計画になっております。したがいまして、同じく取りかえるならば、取りかえる燃料のうちで、多少なりとも疑いがある、といいますとピンホールでございますね。燃料のまわりはちょうどかん詰めのように薄い金属のかんでおおわれておりますが、これに小さなピンホールがあるものが見つかりますと、これを燃料を取りかえる際に取り出しておこうというような、その事前の安全を講じております。もちろん燃料体からは放射能が、できるだけ燃料体から――外部と申しまして、環境でございませんが、原子炉内の水の中にも出ないようなことをねらっているわけでございますけれども、もともと燃料体から、わずかながらのピンホールによって、中の放射能がわずか外に出るということはもともと考慮されていることでございます。言いかえますと、燃料体から外に出ました放射能は、まわりを回っています原子炉の中の閉ざされたパイプの中を回っています水に含まれます。その水を、放射能を取り除く装置によって常に回しているわけでございます。そういう意味で、ピンホールがあるから、あって安全であるという意味じゃございませんけれども、ピンホールがあっても安全は十分に保てるものでございます。今回の五月の日本原電の敦賀発電所で定期検査、燃料取りかえという作業におきまして、燃料の、全燃料の完全性についてシッピングという方法で調べておりますけれども、これは燃料体の上にふたをかぶせまして、それから空気を引きまして、そしてもし小さかピンホールがあれば、それに信号がわずか出るわけでございます。そういう信号が、普通のものよりも多かったものを、私たちはその疑いありと、サスペクトと呼んでいますが、そういうものが敦賀原電では二十六体今回出ております。で、これをもともと取りかえる燃料が約八十体ございます。八十体の中にすべて二十六体を入れて、疑わしいものがあったものを、今回全部取り出したということでございます。  ちなみに、先ほど申されましたその安全性との関連でございますけれども、原子炉の中の水は運転中にある値、こまかい数値は除きますが、ある値までは運転をしてもよろしいということを、原子炉の保安規定というものの上で定めております。政府の許可をいただいた運転の基準と申しますか、条項があるわけです。そういうものに比べまして、今回の運転中の実績を見ますと、すべてその値の百分の一くらいでございます。そういう点におきまして、二十六体のピンホールのものが出たということは、当然常に燃料を取りかえます毎年ピンホールの疑いのあるものは出るわけでございます。これは世界各国どの原子炉においても出るわけでございます。そういう意味において二十六体出まして、これを事前の措置として、どうせ取りかえる燃料を八十本考えていましたので、その中に含み込ませたということでございます。もちろん燃料体自身の異常の曲がりがあるかどうかという点も、通産省の立ち会い検査のもとに抜き取り検査的にも調べていただいております。これについても異常がなかったという報告を受けております。  以上でございます。
  25. 辻一彦

    ○辻一彦君 ちょっと私、具体的に伺いたいんですが、ピンホールの疑いがあったものが二十六体、そのうち一つは特にひどかったのは何体あったか。半数ぐらいはかなり私は問題が出る可能性があると思うんですが、それはどうかということ。  それから八十体の中の二十六体だと、こういう計算をされておりますが、大体これは燃焼度から推して、どこの燃料を取りかえるかということはきめられているんであって、八十は当然かえるんだから、二十六悪いのがあったから、その中に含めるという性格では私はないと思うのです。かえるべきものはもうそれは第一段、幾らかの領域によってきまっているはずですから、その二十六体は初めから予想された領域ですね、かえるべき領域のものであったのかどうか、それが第二。  もう一つは、百分の一というのはどういうあれですか。許容されている値の百分の一ということなのかどうか。  それから四つ目に、問題を起こした二十六体の燃料体の燃焼度等はどの程度になっておるか。その四点お伺いしたい。
  26. 板倉哲郎

    参考人(板倉哲郎君) まことに申しわけございませんが、いまおっしゃいましたこまかい点について、その数量的なことで私存じてないものもございますので、御了解いただきたいと思います。  まず、お答えしやすいものから申しますと、原子炉の水の中の放射能の濃度が百分の一であった、と申しますのは、敦賀発電所の保安規定の中には、運転中の原子炉の中の水の濃度の、ある核種で申しておりますけれども、〇・四マイクロキュリー・パー・ミリリットル、一c.c.当たり〇・四マイクロキュリーまでは運転をするということになっております。これは何に使うかといいますと、もし万一原子炉が、大きなパイプでも破断して、そのときに環境に出ますときの災害評価といいますか、安全評価をいたしますときに、もともと水の中には、たとえば〇・四入っていたという計算の前提にする値、これを原子炉の保安規定の中に書き込んでおりまして、そういう値に比べて百分の一であると申したわけでございます。これが言いかえますと、保安規定で、原子炉の運転中は、原子炉の中の水の放射能の濃度と申しますか、濃度はこれこれ以下で運転いたしますということが、行政官庁との約束事項と申しますか、行政官庁といいますか、政府との保安規定というものになっているわけです。その値との比較でございます。  それから燃料を取り出すときに、初めからどれとどれとどれを取り出すかということがきまっていて、それと二十六体との関係はどうかということで、具体的なことを申せなくてまことに、申せないというのは、私こまかいことを知っておりませんのであれでございますが、現時点で知っておりませんのでございますけれども、八十体出しますときでも、燃焼度によってこれとこれとこれを出すということが、初めから明確にきまっているわけではございません。もちろんなるたけ古いものから取り出していくということは事実でございます。いま辻先生からおっしゃいましたように、ほぼこの辺とこの辺は出そうという計画はございますが、その時点において、まだ入れて、たとえば一年目のものであっても、疑わしかったら出そうということは、もともとの計画に組み込んでいるわけでございます。初めから八十本はこれとこれとこれを出すという計画はどこも持っていないわけでございます。当然よく、燃焼度から、燃えたものから出すんだということは事実でございますが、それにさらに余裕を入れまして、出すものはどこのものを出してもかまわない、全体が、入れたてのものを出すというわけには、炉の設計上あとの運転がむずかしくなりますから、そういうことは避けたいわけでございますけれども、本数、しかも二十六体というのは、燃焼度がどうであるかということは、申しわけございませんが、本日データ持っておりませんので、これは本日お答えできません。それでよろしゅうございましょうか、いろいろ御質問があって少し忘れたかもしれませんが。
  27. 辻一彦

    ○辻一彦君 安全性専門家だと先ほどおっしゃられて、これだけ大きく新聞に記事が出ている問題について、ちょっとデータきょうお持ちにならずにおいでになったのは、ちょっとどうかと私は残念に思うんですが、それはひとつあとでデータをぜひ出していただきたいと思うんです。  そこで、科学技術庁がけさ報告をした資料によりますと、ヨード一三一の増加量は、総量五百二十キュリーとこう出ておりますが、これはあれですか、先ほど言われた保安規定の百分の一ということになりますか、これが第一です。  それから第二に、疑いがあったのを出すのはこれは当然でしよう、ピンホールの疑いがあれば。だから、それはあけてみて問題があるのは調べて出すのはあたりまえです。しかし、大体これは三分の一とか四分の一は一年ごとに交換するということになっておるんですから、どこの領域の燃料体をかえるかということは計画があってしかるべきであって、あけてみてその都合によってどれを出すかをきめるというふうなものではないと私は思うんです。だから、これはどの燃料体をほぼ出すかということは計画があるはずですから、その計画と、今度出されたピンホールの疑いがあった上十六体がどういう関係になるか、これはひとつ資料として、いまここでおわかりにならなければ、あとでひとつお知らせをいただきたい。資料を御提出をお願いしたいと思うんです。  それからもう一つ、水が循環をして除染装置があるから心配がないんだそうですが、先ほど岩本参考人のお話しでは、そのきれいになるべき水が、B型でありますから、タービンでありますから、どこかのスチーム管を、かなりヨードが汚染をしているという事実が福島であった。福島はB型でありますから、敦賀原電と同じ型の発電所ですね。そうしますと、一体、もし除染装置が完全にそれで心配がないと言われるならば、蒸気管といいますか、スチーム管等の汚染は普通起こらないように私は思うんですが、それは位置は岩本さんに聞かなくちゃわからないですが、これはどうお考えになられるか、その点三点。
  28. 板倉哲郎

    参考人(板倉哲郎君) 第一点は、五百二十キュリーと百分の一との関係はどうかというお話ですが、百分の一と申しましたのは、日ごろ運転していますときの水の中の放射能の話でございます。さっきの五百二十というのとはまた別の面がございます。  もう一つは、五百二十キュリーということはどういう状態で出るかと申しますと、原子炉を停止いたしまして、そうしますと、日ごろ原子炉の中の水の圧力は高いわけでございます。したがいまして、小さなピンホール的なものがありましても、外からの圧力が強いために、燃料体から外に出にくいわけでございます、放射能が。ところが、原子炉を停止いたしますと、とめただけでなく、とめて、しかも、原子炉の圧力を下げまして燃料の交換をするというわけでございますので、原子炉の圧力が、日ごろは千ポンド――ポンドて失礼でございますが、七十五キロと思います、ほぼ。七十五キロ、七十五気圧。その千ポンドのものを一気圧まで、七十五キロのものを一気圧まで下げるわけでございます。そうしますと、小さなピンホールがあいてますと、外側のほうの圧力が減りますので、小さな穴から放射能が燃料体の外に――環境でございません、燃料体の外に出てまいります。こういう現象というものが当然ございますので、保安規定の中に、原子炉をとめたときに、といいますか、そういう圧力が下がった状態で、というのは、まともに原子炉をとめていますときには、圧力が下がってそういうものが出ましても、浄化装置がついているので、先ほどのお話しで、これで浄化してしまいますが、もしも大きな原子炉の事故――ほんとうの事故でございますね、放射能が環境に出るような、太いパイプがこわれたときには、当然先ほど申しましたもともと水の中に入っていた値――先ほどの百分の一に相当する値ですね、それが出るのとともに、パイプがこわれましたので外側の圧力が下がります。そうすると新しく燃料から放射能が飛び出すであろう。その量を、事故の解析の条件としましては、敦賀発電所の場合には四千キュリーのものが追加されるであろうということで計算をしていますので、その四千キュリーに安全率を入れまして二千――二千キュリーは、原子炉を何かのときにとめた場合、日ごろの運転でとめて、圧力を下げたときに、二千キュリー以上の放射能が出るようであれば、その値を二千以下にしなければならないと、こうきまっております。それに比べますと、今度は百分の一じゃございませんが、二千に比べまして約五百――先生五百二十とおっしゃいましたですか、どうも私どもが数字をちょっとはっきり覚えておりませんが、たぶん五百二十ぐらいと……。
  29. 辻一彦

    ○辻一彦君 五百二十。
  30. 板倉哲郎

    参考人(板倉哲郎君) 五百二十ぐらいと聞いておりますが、その四分の一ぐらい出ております。そういう意味で、規定の上では、二千に達していないのでピンホールの燃料を取り出さなくてもよいことになっております。しかし、もともと八十体出すんであり、その中で余裕があるから、この疑いあるものを出したというのが、敦賀発電所の現状だと思います。  それから第二番目でしたか、三番目の御質問で、浄化装置がついているから、パイプのほうに放射能がいくのはおかしいんではないかというお話でございますけれども、温度を上げて気体の状態になるものは、沸騰水型でございますので、原子炉の水から離れてタービン側のほうに回ってまいります。どういうものが回るかといいますと、沃素の一部分、沃素は水にもよく溶けますけれども、温度を上げると気体状にもなりますので沃素の一部分と、それからもともと燃料体に入っている放射能の中でガス状のものがございます、クリプトン、クセノンと、こういうものがございます。こういうものはタービン系統のほうに回ってまいります。沃素の場合、福島の発電所の話私もいま初めてというか、ただいまお聞きしたような詳しいデータも聞いておりませんけれども、沃素のようなものは、温度を上げると気体状になっていますが、温度の低いところにいきますと、これはまた液体状になって付着する、あるいは小さなごみ状のものに付着する、表面吸着で付着する。そういうために、BWR型でございますと、さほど放射能が強くないにしましても、タービン側に放射能は十分検出されるわけでございます。辻先生おっしゃったと同じように、タービン側に放射能はまいるわけでございます。これが先生の第三番目の御質問だったと思います。  申しわけございません、二番目の御質問何でございましたでしょうか。恐縮でございます。三つあるとおっしゃいましたが、私二つしかちょっと……。
  31. 辻一彦

    ○辻一彦君 もう一度申し上げます。  二つ目のほうは、それは先ほどの資料を出していただけばわかりますから。皆さん御質問の時間もあると思いますから。
  32. 板倉哲郎

    参考人(板倉哲郎君) 事務局を通じまして……。
  33. 辻一彦

    ○辻一彦君 それは八十体と、それから二十六体、燃料番号等、その実態のわかるのを出してもらえばいいと思います。  岩本さんに私ちょっと関連してお伺いしたいのですけれども、敦賀の発電所と同じ型の発電所が、これは福島にずっとありますね。あなたがいま言われた蒸気が漏れてスチーム管に付着をしている云々、そのスチーム管は急拠土の中に埋めてしまった、こういうおそれがあるということなので、その実態をどのように調査されているのか。  それからそのスチーム管の場所といいますか、位置は一体どこあたりなのか、この二点お伺いいたします。
  34. 岩本忠夫

    参考人(岩本忠夫君) お答えします。  このスチーム管の蒸気漏れの問題でありますが、これは私の調査によりますと、昨年の四月十七日から福島一号炉が定期検査に入ったわけでありますが、その間に、さっき申し上げました放射性廃液漏れの事故などもございました。その定検中に、東京動力という下請会社が、そのスチーム管の工事をやったそうであります。その際に、つまりこのパイプとパイプのつなぎ合わせですか、これが工事上かなり問題があったということから、そこから蒸気が漏れまして、厚み二十五ミリくらいのパッキングがそのことによって摩耗をしていた。かなり長期にわたって蒸気漏れがあったわけでありまして、その間に、作業員がかなり危険をおかして応急手当てをしていたという実態も知らされております。その個所は、タービンに近いほうのスチーム管ということであります。さらに、その取りかえ作業は、ある下請会社の作業員約三十人くらいが、ことしの三月十日の真夜中に一号炉をとめまして、それから直ちにそれらの修理に当たったと、こういうことなんです。三月十日の真夜中から三月二十五日まで、つまり福島の二月県議会が終了したのが二十三日でありますが、それから二日ほどたって運転を再開をした。その間に、そこを修理したということなんです。これはそのスチーム管を――その建設会社は、まあ名前は明らかに申し上げられませんが、某建設会社のブルドーザーで土壌を大体深さ二メーターくらい掘って、そのスチーム管をいけまして――たまたまその間に、その建設会社の方が、ある古物商の方に、そういうスチーム管があるんだけれども、たいへん高価なものであるから、どうだあんたひとつ買ってみないかという話があったそうでありますが、その古物商の方も、いやそんな危険なものとても買えないと、こういうことでお断わりをしたそうであります。そういう疑いがあります。  ただ私どもの調査というのは、実際その現場に行って、東京電力にその現場を公開しろと言っても、なかなかこれは無理なことでございまして、現場確証というのは、私自身のこの目で確かめてみることは、なかなかそういう点では困難であります。それからまた、それらの情報源を明らかにするということについても、これまたいろいろその情報源、情報提供者に対する迷惑が具体的にかかりますから、その辺も明らかにされません。  で、私がそれらの問題を県議会の中で明らかにし、まあいろいろ県議会の中でも、特別委員会ども設けまして、議論をされたところでありますが、その間に、それが終わりましてから、東京電力が――これまた聞くところによりますと、下請業者を集めまして、今回、岩本県会議員が議会の中で発言をしたような、そういう問題は、やっぱり内部から漏れているから、そういう問題については絶対これは漏らしてもらっては困ると、そういうことを下請業者に指示をされて、ある下請業者は、直ちに作業員を集めて、おもだった作業員にそういうお話をしたと、こういう経過も実は承っているわけであります。そういう点でも、私は企業の秘密というものがある限り、ほんとうの意味で、この原子力発電所の安全確保は、そういう点でもやっぱり不可能じゃないかと、こんなふうにも実は判断をされるわけであります。
  35. 辻一彦

    ○辻一彦君 これで終わりたいと思いますが、その実態は、われわれもひとつ国政調査権を通して詳細に調べてみたいと思いますが、参考人も、ひとつそれをもう少し具体的に確かめてほしいと思います。  それに関連――これは敦賀と福島の原電は同じタイプでありますから、私はいろいろ同じような問題があると思うんですが、時間の点からこれ以上の詳細はとめます。  板倉さんにもう一つお伺いしたいのは、さっきはちょっと落としたんですが、四千キュリーで、安全の範囲は二千キュリーというお話ですが、これはあれでしょう、さっきのお話を聞くと、仮想事故か重大事故というか、いわゆるパイプ破断というような、これが起きたらどうなるか、実際わからないというような、事故の場合の数字なんでしょう、それのときに、二千以上になっては云々というのは。しかし、これは今度の場合は、そういう重大事故や仮想事故ではなしに、平常運転している中で、このピンホールがずっと出てきて、あるものはかなりぼろぼろになって、これから漏れていくものが出てくると、こういうことで問題になったんですね。  そこで、五百二十キュリーということは、その数字を比較する場合に、仮想事故や重大事故におけるところの二千キュリーという基準と、今日のようなそういう平常運転の中で発見された、定検で発見された、そういう条件における五百二十キュリーを、同じような基準に比較していいのかどうか、その点だけお伺いして、詳細はまた別の機会に、これについてのいろんな問題を、国会の審議を通してひとつ明らかにいたしたいと思います。
  36. 板倉哲郎

    参考人(板倉哲郎君) その四千キュリーというものか、重大事故のとき――重大事故になるととうなるかわからぬとおっしゃいましたことに対しては、私は重大事故というものを非常に多目に放射能が出ると仮定しまして、明確な評価をしておりまして、どうなるかわからないということはございません。重大事故の場合の評価というものは明確にしております。その点が一点。  それからその四千キュリーというのは、確かに重大事故のときに、環境に出る値の計算でございます。今回とか――これはもうとめるたびに、圧力下げますと、こういう値は出てまいります、ピンホールがありますと。それを平常にとめた場合に、とめて圧力を下げた場合に――環境の問題関係ございません。重大事故の場合には、パイプがこわれるから、そのものが環境に出る可能性がある。現在のような場合には、パイプがこわれているわけじゃございませんで、原子炉を停止すると圧力が下がって、ピンホールがあれば、放射能が水の中に出てくるだけでございます。水といいますか、パイプの中の水の中に出てくるだけでございます。これはその数字は――その四千キュリーというのは環境に出る数字。ところが、もしもパイプがこわれれば、圧力は下がるから、燃料体にあったものの一部分が外に出るだろうということを入れて計算をしているわけでございまして、平常比較する数字とは違うとおっしゃいましたが、そうじゃございませんで、平常から、とめるたびにこういう値をはかって、もしか事故になったときに、事故のときの放射能の源を算出するためにやっているものでございまして、その四千キュリーに安全率半分とりまして、二千キュリーといいますのは、平常運転のときに原子炉をとめた場合に出る数字でございます。とめるというか、圧力を下げた場合に。平常時の値でございます。  以上でございます。
  37. 辻一彦

    ○辻一彦君 じゃ、終わります。
  38. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 辻委員に申し上げますが、参考人に対する資料要求は、後刻理事会で相談さしていただきます。
  39. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間が限られてまいりましたので、簡潔にお伺いをいたします。  私も、この法案反対なんですけれども、ただ、反対の理由というのは、必ずしも御園生参考人あるいは岩本参考人と同じではない。そこでお伺いしたいんですけれども、まず、御園生参考人、岩本参考人にお伺いして、あと、別な角度から木下参考人にお伺いいたします。  これまで――たいへん大きなことを言うようですけれども、人類の歴史をふり返ってみて、危険と全く無縁であった日というのは一日もなかった、まず、これは現実として覚悟せざるを得ません。とは言うものの、危険をどうやって回避をするかということに努力が傾けられてきた。そこで危険をじゃどう見ていくのか、どう評価するのか、これがそれぞれ立場の違いはありながら、議論の出発点だと思うのです。きょうも参考人方々の御意見を承りながらたいへん私ども困りますのは、板倉参考人が、専門家立場からだいじょうぶだとおっしゃる。御園生参考人は、しろうとながら危険だと思うとおっしゃる。岩本参考人は、不安だとおっしゃる。その不安感というのは、核にからまる私どものいろんなことを考えてみますとわかる気がするのですけれども、こうやって諸説全部並べ立ててしまいますと、いつまでたってもどこに歩いていいかわからない。  そこで、御園生参考人にお願いしたいのは、やはり専門家にゆだねなければいかぬ部分というのは、これだけ社会が高度化してまいりますと出てくるのではないか。ただ専門家に対する不信感というのがなぜこう育ってしまったか、また育ってしまってよろしいのだろうか、この点ひとつお伺いしたいのです。そこで、先ほど来の御主張でも、公開性ということがよく言われるのですけれども、核にからまる技術開発というのは、各国死にもの狂いでやっているわけですから、そのノーハウが全面的に公開というのは、これはまず不可能であることは認めざるを得ません。そういった意味でも、専門家に対する信頼感をどうやって育てるのか、まかせるべきはまかせるべきではないかということは、考えていくべきではないかと思いますが、まず御園生参考人の御所見を承ります。  関連してですけれども、いろいろ問題があるから、エネルギー開発については慎重であってもらいたい、私もよくわかる気がするのです。ただ慎重であってもらいたいと言いながら、これは事実の問題として、エネルギー供給量、消費量と、国民の福祉水準というものがからまっていることは、これは否定できません。そこで、慎重であれということが、具体的に国民の福祉水準というものについてどういう展望をお持ちになっているのか。私は、よく資源消費型から資源節約型というのですけれども、この議論の一番いけないのは、量的な具体性を欠いていることだと思います。何となく感じて、節約が必要だということを議論するのですが、じゃ、どこまで節約できるのかという話になると、みんなわからない。その意味で、慎重であれという御主張は私は、わかるのですが、そう主張される前提として、どういう国民生活水準というものを、具体的に想定されておいででしょうか。これを二番目にお伺いしたいと思うのです。  また岩本参考人にお伺いしたいのは、六町二カ村、貧しいとはいいながら、わがうるわしの郷土なんだというお話、よくわかる気がするのです。農業がある漁業がある。そこで、ひとつこれは御意見として承りたいのですけれども、農業ということになると、では、米価政策をどうするのか、価格支持政策をどうするのかということに必ずなります。そこで、自民党農政の問題で、御指摘の点は、私も同感いたします。ただそこで、それを高めていくということになると、その高い価格支持水準を消化できるだけの経済力というものを日本全体が持っていないとこれは不可能だ。その意味で、六町二カ村の問題と、日本全体の経済水準というのは、いま断ちがたく結びついているのではないだろうか。その意味で、その点でどういう問題意識をお持ちなのか。また平たくそこの財政ということを考えますと、たまたま私は福島の例を持ち合わしませんけれども、たとえば同じ原発のいまやろうとしております新潟県柏崎をとってみますと、そこであがる税金よりも多い金額が交付税でいっているわけです。交付税でいっているということは、それだけでこぼこがあるのだという問題をはらみながら、片方ではそれだけの経済力が日本全体としてある。しかも、原発あるいは火力開発、手段としていいかどうかという議論は抜きにして、エネルギー供給というものが確保されないと、地方交付税の問題あるいは平たくいえば米価の問題も含めて六町二カ村も立ちいかないのじゃないかという問題を――いま安全性のことを伺っているのじゃないですよ、という問題についてどうお取り組みでございますか、それだけまずお伺いしたい。
  40. 御園生等

    参考人(御園生等君) お答えいたします。  私は、将来の産業構造あり方あるいはエネルギー資源開発あり方等につきましては、繰り返し申しますように、あくまでも長期的な展望に立って慎重でなければならないということをまず申し上げたいと思うのです。いささかでも危険性に問題があるという場合には、むしろこれを使用せずという立場を貫くことが必要である。いままでわれわれは、高度成長のもとに国民生活が豊かになるという政府の誘導のもとに暮らしてまいりましたが、その結果一体どういう事態が起こったか、日本全国の河川は工業用水によって汚染され、大気が同じく汚染されている、いわゆる公害の複合の問題等についても、私は専門家なるものに根本的に不信を持つわけであります。これはいわゆる専門家でありまして、必ずしも板倉さんをさすものではないということを念のためにお断わりしておきますが、やはり専門家というのは、一種の専門ばかでございまして、経済的な関連性あるいは政治的な関連性住民生活に及ぼすさまざまな諸問題について、長期的な展望に立つのではなくて、その時点における一応の技術的な成果を、あたかも一〇〇%正しいものであるかのごとく前提を置きながら、いろいろなデータその他を公表なさるわけですが、しかし、今日一体公害の問題は、このような状態になるということを、専門家の中でかつて何びとが言ったか、どのくらいの人たちにそれを指摘していただいたかという点を考えますと、この問題をただ専門家が安全であるということだけではなくて、広く一般の関与のもとに、いまお話にありましたある程度の公開ですね、今日企業のノーハウが、パテントと同じような比重で扱われるような方向にいっておりますが、これは私は、ノーハウとパテントは同列に扱うべきではないという考えを持っておりますが、それはさておいて、企業機密はある程度保護さるべきものかもしれませんが、それよりもっと重大な国民の福祉、国民の健康に関する問題については、私は、企業機密よりも優先すべきものである、こういうふうに思うわけでございます。繰り返し申しますように、この問題につきましては、あくまでも疑わしきは使用せずという前提が必要なのでありまして、いろいろなデータを仄聞いたしますと、国内において、いま岩本さんが言われましたように、さまざまな疑わしき事実が出ているわけでございますから、そういう点を勘案する必要があるというふうに思うわけでございます。  今後のいろいろなエネルギー問題、産業構造の問題につきましても、あくまでも長期的な視点に立って考えることが必要であって、たとえば先ほど私が引用いたしましたデータによりますと一五十三年において大口電力の全電気事業用の電力に占める比率は五二・六%という数字になっております。もちろん、民生用の電力が今後とも漸増していくということは否定することはできませんが、しかし、最終年次の想定においてさえ五〇%をこす大口電力消費ということを前提にした電源開発計画なるものは、根本的に私は考え直すべきであると、こういうふうに考えております。
  41. 岩本忠夫

    参考人(岩本忠夫君) それじゃ、簡単に申し上げたいと思います。  まず、御指摘のありました点についてでありますが、私たちのほうの双葉郡というのは、先ほども申し上げましたが、人口が大体七万弱でございまして、これはほんとうに、何といいますか、福島県でも特に県政の谷間などといわれたそういう地域で、南には三十五万のいわき市がございます。また北方を見ますと、隣に原町市とか相馬市とか、そういうつまり地方都市が点在をしているわけでありますが、その中間の双葉郡というのは、つまり、純農村的なそういう地帯であります。しかし、三十七、八年ごろまでは、たとえば一町五反くらいの米作農民が、それだけで十二分食える条件がもちろんあったわけであります。ただ近年の生活様式がかなり、何といいますか、いろいろな意味で高度化されたといいますか、変わってきたことも確かであります。それによって出費もかなり多くなったことも確かであります。ですから、その当時の生活と、今日の生活を比較して、全く同一だという形にはまいらないとは思いますが、しかしいずれにしましても、そういう私たちが歩んできた生活要件があったということなんです。そういうことで、つまり、この双葉郡がなぜこれまでおくれてきたかということを、二、三例をあげますと、たとえば漁民の問題でありますが、浪江町というところに請戸という漁港がございます。これは漁民が、その漁港の築港を早期完成をかなり望んでいたわけでありますが、二十年この方ほんとうにスズメの涙程度の予算配置で、その漁民の願いである築港の完成というものがまだある部分残っているわけですね。つまりそういう過疎地域に対する、また後進地域だといわれている地域に対する予算の支出というものが非常に、何といいますか、けちっているといいますかね、つまりそういうものがあるわけです。それからまた農業については、やっぱり米が中心でございますし、葉たばことか果樹、それから養蚕、酪農、大体こういうものが中心になっておりますが、私はやっぱり農業政策に対して、基本的には食糧の自由化とか、もちろん葉たばことか、それから酪農者を何かほんとうに育て得ない、言うならば乳製品すらやっぱりほかから持ってくるという、こういう状況がございますから、その根底にあるのは、やっぱり農民を農村の中で生活し得る、そういう政策が決定的に欠けている、こういうものがその根幹をなすものじゃないかというふうに実は考えるわけであります。そこで、最近双葉郡にも農村工業導入地域という指定がなされました。しかし、それは、いま原子力発電所が立地をされているそのすぐ隣が、その農村工業導入地域と指定をされまして、そこに幾つかの企業配置がなされるという、そういう状況になっているわけです。住民感情としては、原子力発電所というものがある、そのそばに工業が配置をされる、そのことに対して何か非常にとまどいを感じている状況があります。  それから一番願っていることは、やっぱり阿武隈山系の開発ですね。これはやっぱり酪農するにしても、つまり採草地が足りない、また畑が足りないとか、つまり、農用地そのものが非常に不足をしている。したがって、阿武隈山系開発によって、何とかそのような農業用地を拡大をしていただきたい、こういう要望があります。しかし、それとても遅々として進まないという状況にございます。そういう点から私はこの際特に望むことは、やっぱりそこで働く農民が農業だけで食っていける、そういう状況を基本的な政策の中で保障していく、たとえば価格を保障するとか、そういうものが基本的にない限り、今日の農民は救えないのではないかというふうに思います。  特に、原発の安全性とは関係なくというお話でございますから、それだけ申し上げておきます。
  42. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 御園生参考人に重ねて簡単に二点伺うのですけれども、疑わしいものは使わないほうがいい、その疑わしさを晴らすのは一体だれであることを期待しておいでになりますか、これは先ほどの専門家論議を踏まえながら重ねてお尋ねをいたします。  二番目は、大口電力が半分以上おかしい、しかし、大口電力というのは、そこで国民が使う消費財が生産され、大多数の雇用がそれを中心にして確保されている事実もあるわけです。といって、大口使うのはおかしい、これも一つのお立場議論であることは認めます。したがって、それを縮めて言いますと、物質的にもっと貧しくなっていいんだし、そうなるべきなんだと、やっぱりそこまでおっしゃらないとなかなかわかりかねる気がするのですが、そういうことを想定されているのですか。
  43. 御園生等

    参考人(御園生等君) お答えします。  簡単にお答えいたしますと、第一点につきましては、私はやはり専門家の分析に信頼する以外に方法はないというふうに思います。けれども、問題は、その専門家なるものがどちらの側に立っているかということだと思います。企業側に立っているのか、あるいは国民全体の側に立っているのか、その問題を問題にしたいと思うわけです。  それから第二点でございますが、私は国民生活が物質的にも豊富になることを望んでおります。ただし、いままでのような、資源消費型、公害発生型、こういった産業日本の将来の産業構造の中に依然として大きな位置を占めることになるのかどうか。この点につきましては、時間がありませんけれども、私は根本的に疑問に思っております。おそらく需給計画想定の中には、たとえばアルミニウム工業であるとか、あるいは鉄鋼業であるとか、その他電力を非常に多く消費する従来型の重化学工業発展がかなり多く想定されているという点において、多少アナクロニズム的な計画であるというふうに考えざるを得ません。
  44. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それでは木下参考人にお伺いいたしますけれども、先ほどの目的税にからんで、受益者コストとして負担をしていく仕組みなり妥当性という角度で御説明いただいたと思いますけれども、今回の電源開発促進対策関係法案が予定している公共用施設の建設費用、これが電力受益者コストとして負担すべき内容なのか。お伺いしておりますのは、安全対策あるいは環境保全対策、これは当然コストとしておっしゃるように、いわゆる外部不経済の内部化をはかっていかなければいけませんし、それが電力料金の中に入ってよろしいということは、電力事業法でも想定しているわけですから、これは一応列外にはずします。今回の問題というのは、火力発電所の設置と直接因果関係はないんだけれども、諸般の情勢下においてそういった対策が必要であるということを踏まえながら、港湾をつくる、道路をつくる、学校をつくる、診療所をつくる、保育所をつくる云々と、こうなるわけです。これが御説明コストの中に入るのでしょうか。ここだけ抜き出しますと、実はこれはもう一般財源、本来はやらなければいかぬことであるわけですけれども、それを全部目的税なんだと、いわば大きな意味での外部不経済なんだということになりますと、あらゆるものが同じ発想で消費税化していくことが可能になる。という意味で、コストであるのかないのか、因果関係をどう見るかというのが、実は今回の法案の眼目ではないのかと、因果関係があまりはっきりしないものですから、これは岩本参考人がいみじくも言われたんですけれども、こんなことをやるぐらいなんだからよっぽど危険なんだろうと、私はこの発想もよくわかる気がするのですよ。ですから、ここでコストに入るか入らないかについて御所見を伺いたいと思います。
  45. 木下和夫

    参考人木下和夫君) 電力需要家は、個人、法人を問わず受益者であることは間違いございません。その受益者負担しますコストの中に、発電の純粋なコスト、及びこれに付帯するいまの九電力企業会計の中で負担するコストは、当然料金の中に反映されておると見ることができます。しかし、民間企業である以上は、九電力道路をつくるとか、港湾を整備するとか、あるいは漁港を整備する、あるいはもっと生活に直結いたしました水道、公園等を整備するということは、いわば守備範囲の中に入っておりませんから、地方公共団体が本来やるべき仕事でございます。  第二番目の問題は、今回の受益と申しますのは、限界的な部分受益負担から、限界的な部分コスト負担しよう、させようというのでありまして、本来、地方公共団体行政の遂行に伴って行ないます分の費用というのは、これは一般財源で、先ほど申し上げましたように、税収あるいは国庫補助負担金及び交付税でまかなうのがたてまえでございます。しかし、それにプラスして、発電所所在市町村及び隣接市町村については、ただに原子力発電所に限らず、火力にいたしましても、水力にいたしましても、さまざまの公共施設が、いわば一種の電力供給のために協力をして犠牲になっておるという面があるわけでございます。それは、たとえば電力の供給事業によって、確かに地元には、大規模な償却資産であれば、県の段階で大規模償却資産に対する固定資産税をとって配分を受けますでしょう。ところが、発電所というのは、普通はそこに勤労しておる人の数は非常に少ない、したがって、そこからあがるところの住民税がそれほどふえるわけではない、等々の税収が伴わないという面が地元にはおそらく生じておる。これは共通のことだと思います。そうしますと、特殊の財政需要があるのに、一般財源だけではどうしてもできないというものに、追加的に財源を獲得してもらおうとするならば、このような形――これはいろいろな形が考えられると思いますが、このような形の財源調達の方法が十分説得的である、こう思います。  で、かわりの方法と申しますのは、先ほども意見として申し上げましたが、かりに電気税というものを回すという形のものもあり得ると思います。しかし、電気税というのは、本来そういう目的をねらって創設されたものではございませんので、現在の状況では、市町村一般財源として有力な財源になっておるという事情がございますから、電気税をこれに利用するということはあきらめなきゃならない。そうすると、この種の税を徴収する以外に、そのような特殊の上積みの分の財政需要をまかなうのにはほかに方法があるまいということでございます。もっと違った発想をいたしますと、こういうものに対しても、民間企業である電力会社負担しろという議論もあり得るわけでございますが、そうなりますと、現行の電力料金の計算の中にこれは当然入ってまいりまして、一定の電力料金については上げ幅を極力縮めようとか、電力一般の料金についてある程度国民生活の確保という配意を加えようとする情勢のもとでは、これもだめだと、しかも、そういう仕事を本来電力会社がやるということは、これは電力会社の納める税でもってやるのが本来のたてまえである、こうなりますと、いまは消去法でずっとまいりましたが、残るところはこういう税ではあるまいかというのが私の議論でありまして、イエスかノーかということになれば、イエスと言わざるを得ないということでございます。
  46. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 おそく来ましたから、あるいは複合する点があるかもしれませんが、その点はあらかじめひとつ御了承いただきたいと思います。  まず、いま質問がありまして、関連がありますから、木下参考人に質問してまいりたいと思います。  目的税創設ですね。これはいままでの税徴収としてはこういう角度でやられたのは初めてですね、初めてだと思います。確かに石油ガス譲与税なり、地方道路税なり、自動車重量税等がありますけれども、それは一たん国が取って、それを地方公共団体に譲与して、そのあと使用制限して目的に沿わしておるという状況でしたが、今回はストレートで国が取って、そして地方公共団体にストレートに譲与して使用制限してやっておる、こういう違いがあると思います。ですから、税体系全体としても、私は非常にまずい結果を生ずるのじゃないか。この点の見解が一つです。  それからもう一つは、結果的に初年度でもって百一億程度、平年度でもって三百億円程度を徴収していくわけです。これは結果的に電気利用者の料金にはね返っていく。いわば、いまそうじゃなくても、一般国民の重税感というものは払拭できないという状況になっておるわけですから、さらに重税体制というものが乗しかかる、こういうことに結果的にはなっていると思う。そういう方法がはたして国民に歓迎されると思っているのかどうか、これが第二点。  それからもう一つは、これは一つの間接税ですからね。ことしの四十九年度の予算を見ましても、税収見込み総額は十四兆ちょっと、専売益金を含めまして。このくらい国民から多額の税金を取っておる。そういう税金を取っておるのですから、百歩譲って、もしそういう電源開発上どうしても一定の補助ないしそういうものが必要だということであれば、一般会計予算から出してはどうか。たとえば防衛庁の基地周辺整備法というものがありまして、これは大体年間四百億程度、五百億になりますか、その程度そこから出しているわけですね。だから、そういういわば一般財源のもとからこれらの問題について充当さしてはどうかという見解が第三点。  それからもう一つは、さっき私が言いましたように、間接税ですから、これは終着駅を売り上げ税等まで拡大をしていく。たとえば政府でいままでわれわれ論議してきたのは、直間比率が現行七対三だ、ですから、これがバランスのとれるような状況にしていかなければいけないというのが歴代大蔵大臣の主張であった。しかし、いま現にこれはそういうものができておる。これは税調等でもそういう点についてはいろいろ検討して、物品税その他総洗いしなければいけない、水田さんなんかも主張しておったのですね。しかし、行なわれないままに今日まで来たのですから、こういう角度で間接税増徴体制でいくとするなら、私は終着駅なしの売り上げ税あたりまで当然突っ込まざるを得ないのじゃないか、そういういわば全般の間接税増徴体制につながるのじゃないか。ですからそこで、私はひとつ、こういう目的税を今回つくるとすれば、この基準案なるものをつくる安全弁の必要があるのじゃないか、こういうふうに考えます。最終的には、いま電力会社等に対しては、たとえば石炭が年間五千万トンぐらいかあって、いま生産をしておらない、国内で。それでもう石炭をたいてもらう火力発電所に対しては一定の補助金を出しておるわけです。公害防止のために脱硫装置その他が必要であれば、これも一定の補助金を出しておる。いろいろな開発銀行を通じて融資をしたり、あるいはまた特別措置法に基づいて減価償却その他でも多分に保護政策をとっておる。過保護と思われるくらい保護政策をとっておる。そういう現状からいって、さらにこの目的税創設をして国がめんどうを見てやっているという、こういうことは、いま公害が問題になっている、これは原則は、どういう公害でも企業防止が原則だ、企業でやりなさいという状況に大体なってきているわけでしょう。自前産業について、すべて国からそういう問題で税金を含めてやってもらわなければいけないということは、財政上運営上はたして国家から見て妥当かどうか、こういうことが第四点。  そういう問題についてひとつ木下参考人の御見解をまず承りたいと思います。  それから板倉参考人にちょっとお伺いをいたしますが、先ほどいろいろ論争があったようでありますが、いま主として原子力発電に用いられている日本の型というのは軽水炉型ですね。これからガス冷却炉あるいは重水炉等々世界的にいくと思いますが、だいぶ世界的に見ても原発の設置その他実用化されたものは相当あると思うのです。日本の場合、技術的に十余年にしかなっておらないんですね。ですから世界的水準からいって、技術水準で現在で十分だと思っているのか、その辺の見解ひとつ。  それからもう一つは、いろいろ現地原発でもって住民反対運動が起きていることはまさにそのとおり、これはやっぱり会社として私は欠陥を持ってるんじゃないかと、いわゆるわれわれの立場でいけば、民主、公開、安全、これをすべて三原則としてそういうものを地域住民に示すべきなんです。ですから、さっきもいろいろと論争があったようですけれども、どうも地域住民の皆さんが危険意識を何かこう持っている。そういうものに対して納得のいく回答を与えていない、この辺が企業内における秘密、そういうものを含めて、どうも不明朗なものを持っている、そういう気がするんですが、これはやっぱり原則的に、公開の原則でもって洗いざらい出して、そして当面この技術開発の問題については今後どうするか、こういうやっぱり公開方式でいくのが私は至当だと思うんですが、そういう現状を守られていると思うかどうなのか、その辺の見解をひとつ。  それからもう一つは、技術開発電力会社自体としてどういう角度でやっておられるか、先ほど科学技術庁の見解もちょっと聞いたんですけれども、必ずしも完ぺきだとは私は思いません。ましてや一電力会社が、そういう中で限られた研究というものは、私はまさに限界があると思うんですね。そういう面について一体今後どういう考えを持っておられるか、この行政指導の国家機関と、そういうものとの間に、何か明確なあなたのほうの見解とか、方向づけというものがあるのかどうか、その辺についてひとつ御見解をいただきたいと思います。この三点について。
  47. 木下和夫

    参考人木下和夫君) 第一の問題は、国税として徴収して特別会計に入れまして、それからその全額を市町村に交付するというのが前例にはないと、譲与税方式で一部を地方公共団体に譲与するというケースはあるけれども、全額を譲ることはおかしい、あるいは税体系に問題がないかという点の御指摘だと思います。もしそういう点を考慮されれば、かわりに市町村税としてお考えになっておるのか、あるいは府県税としてお考えになっておるのかという感じもするわけでございますが、そういうかわりの方法をお考えになっていないといたしますれば、全額を特別会計に入れることによって、税体系が基本的にゆがんでくるというような解釈は私はとっておりません。で、かりに府県税として採用するといたしましても、複数の県にわたる場合が十分考えられますし、市町村税として徴収するということになりますと、税務行政国税の場合よりも非常に多く問題がございます。したがって、私は、現在のように一応国税としてナショナルレベルで徴収をして、府県知事の承認するところの事業計画整備計画に基づく交付のしかたのほうが、地方税として創設いたします場合よりもよりよく、かつ税体系の問題ということには御心配は要らないというふうに考えます。  第二番目の問題は、この税が結果的に料金にはね返る可能性があるということで、諸物価高騰のおりに国民一般に対する負担を累増するという御指摘でございますが、これは立法の趣旨がどのようであるか、御議論を伺っておりませんので、さだかではございませんが、私自身は、この税は本来料金にはね返るということを前提にしておると、率直に認めなければならないと思います。そうしますと、料金にはね返る率あるいは金額という問題でございますけれども、モデルをつくって計算をいたしました結果では、一キロワットアワーについて四銭二厘余りの負担ということになる状況でございますので、この程度負担、言いかえれば受益というものを議論するならば、受益に対するコスト負担がこの程度であるならば、許容限度内にあるというふうに解釈をいたしております。もちろんこのような料金が、一定の限度内におきましては、はね上がることを防止して、そしておそらく累増するような料金システムをつくることが、エネルギーあるいは資源節約上望ましいという考え方をとります場合でも、この程度負担というのは、私は一般国民生活の、日常の国民生活負担としては相対的に許し得ると、ワク内にあると解釈をいたしております。  それから第三番目の御指摘は、むしろこの費用一般財源あるいは一般会計の予算の中から支出すべきであるという御指摘でございます。ここの考え方は、いまの与えられた一般会計の予算プラスの、先ほど申しましたことばを使いますれば、限界的な増分、言いかえれば上乗せ分を議論をしておるのではないかと思います。したがいまして、御指摘のように、防衛庁予算のある分を削ってそこへ回すという考え方は最初からとられていないので、これに上乗せして、言いかえれば、地方公共団体が受けるところの財源は現在のような構造で与えられるということを前提にして、それに上乗せして、この資金を国のレベルから市町村レベルに移すんだという考え方ではないかと解釈をいたしております。その考え方をとりますならば、先ほど先生御指摘の一般会計予算の上積みというふうに私は理解をしておるわけでございます。  それから第四番目の御指摘は、電力会社についてはさまざまの優遇をしておるではないか。で、補助金の実態ということにつきまして、私、御指摘の点確証を持ちませんので何とも申せませんが、従来は、固定資産に関する減価償却について特別の優遇を税制上した例がございます。しかし、今回の地方税法の改正で、電力会社発電所の家屋及び償却資産についての固定資産税の課税標準の特例が廃止されておりますが、この点は御承知のことと思います。そういう従来実は電力会社に限らず、日本経済の運営の上で、かなり特定の業種とか、あるいは特定利益集団とかいうものに対する恩恵的措置が続いておったことは事実でございまして、私自身も、こういう恩恵的措置はできる限り早く撤廃をすることが必要だということはお説のとおりでございます。ただ問題は、ここで問題になっておりますのは、これを財源として整備いたしますものが、一定の公共的施設であるという点を考えますと、民間の企業が公共的施設にみずから出ていくと、そういう公共的施設整備を民間の企業が行なうということは、これは実は私は好ましくないと思います。で、こういう問題は政府レベルで、地方・中央を問わず政府レベルで本来やることであって、最近もよくよく御承知のように、社会的責任という問題が起こりますと、やたらに企業が、本来市町村がやるべき仕事の一部をみずから進んでやるというようなおかしな現象が出てきておりまして、まるでみずから犯したさまざまの不行跡をそれで許してもらうと言わぬばかりの態度というのが露骨になっておりますが、これは決して望ましいことではなくって、本来民間で受け持つ仕事の分野と、公共の手で受け持つ仕事の分野ははっきりさせておくということが必要ではないかと思います。したがいまして、第四点につきましては、お説の点は十分わかりますけれども、やはりこれは地方・中央を問わず政府レベルで適切な財源でもってこれをまかなっていくというのが望ましいのではないかと思っております。
  48. 板倉哲郎

    参考人(板倉哲郎君) 第一の御質問は、原子力の安全技術の水準が、わが国で十分であろうかと、こういう御質問でございましたですか。――お答えいたしますが、こういう技術水準というものについてはどこで十分であるかということでなく、よりよいものをつくっていくということが当然の態度でございます。が、事安全に関しまして、いま行なっています安全の設備あるいは安全の原子炉に対する考え方というものが十分であるかということに対しては、私は十分であると思っております。しかし、わが国技術水準だけで十分かという御質問です。ちょっと答えがあれでございますけれども、こういう原子力開発あるいは宇宙産業もそうでございますが、こういうものは、国際的に技術交流によって、より技術が固められていくものでございます。その一つのナショナリズムみたいに、よその国の情報は取らずに、日本の国独自でやっていくというような世の中ではないと私は考えております。そういう意味で、いまの、現在、軽水炉ということにつきましては、日本国民とすると、どうしてアメリカの開発したものをし、自分だけの力でやらないのかというお話をなさる向きもあるかと思いますが、私は、これに対してはまっこうから反対するものでございます。アメリカで開発された技術であれば技術導入をし、ただ技術を金で買うというだけでは足らなくて、たとえば持参金を持ってアメリカの施設に行き、そこで共同の研究をするという体制に順次なりつつありますし、単にアメリカだけではなく、ドイツとの技術交流も行なわれておりますし、さらにスウェーデンとの技術交流にも日本は参加しております。そういう意味において、技術というものがどこで十分かということについては、よりよいものをつくっていくと、しかし、安全の問題につきましては非常に慎重な態度で進んでおりますので、私ただ技術的にもっと詰めたらよいと考えていますのは、安全なものについては、普通のことばで恐縮でございますけれども、二重、三重という一般の用語でまことに恐縮でございますけれども、しておると、それに対して電気を出すだけのものについて、たとえばあるポンプがとまったら、これは安全上問題になるという場合ですと、  一台でよいポンプを二台、三台、場合においては四台持つというような安全の対策を行なっておりますけれども、ただ単に電気を出すだけのものであれば、一台のポンプがとまれば、電気がとまってしまうというような施設はあるわけでございます。こうなりますと、全く経済的な考え方になってくるわけです。安全も経済抜きの安全はないわけでございますけれども、安全に対しては経済をある程度経済ということを考えずに十分な施設を行なうわけですけれども、現在の原子力発電所について電気を出すだけのことにつきますと、ポンプ一台あればいいところは一台しかないと、したがって、そのポンプが故障すると電気がとまるという方向が現在あるわけでございます。こういう点のものは、純技術的といいますか、純経済的なベースで、より安定した電気を出すという方向に今後技術の水準をあげていくべきだろう。これは世界的な動向だと思います。  それから第二の御質問は、専門家の中で安全という声が多い、一方、もちろん専門家といいますか、そういう学者の中でも不安全を唱える方もございますけれども、大多数の意見は安全であるというのが国際的な立場で認められているわけですが、それに対して住民方々が非常に信頼してないんじゃないかと、これは御指摘のとおりでございます。この点はやはり、こういう安全の問題が技術的にかなりむずかしいことばを含んでおる。それを技術屋というのは平気で、その英語なり何なり、むずかしいことばをつくって、だから安全だと、それをよく説明できないと、最後は安全だから安全だという極端な論議になってしまう。こういう点は、企業といいますか、企業といいますより、原子力技術開発しているところの者が、もう少しわかりやすいことばでよく例をたとえ、そしてよく御説明をするということは確かに欠けていると思います。非常にみなが忙しがっているものですから、気になりながらやってないんだなんという話がありますけれども、これはやはりこういう一つの公共事業であり、しかも、先ほど申しましたように、原子炉は潜在的には危険性を持ったものであるというものを、国民の同意の上に進めていくためには、広報と申しますか、こういう面に十分配慮を払うことを十分やっていくべきだと私は思っております。  資料の公表がなされてないんではないかというお話でございますけれども、私自身考えておりますことは、まだ不足におとりになっておられるかもしれませんけれども、各発電所、たとえば私、関連していますところにつきましても、元来、環境住民の安全に関係ないことも、たとえば原子炉というのは、どっかのポンプがとまりますと、安全に関係なくともとまるようになっています。原子炉がとまっても、すべてそれを公表し、どういうわけでとまりましたということも御説明していますし、たとえば新しい燃料の輸送、使用済みの燃料であれば、放射能を持っておりますけれども、新しい燃料――天然にも放射能がありますから、わずかございますけれども、こういうものが、たとえば発電所に入るとき、あるいは岸壁に荷物がきて、大きなものを掲げますよというような場合についても、十分公表し、公開をし、発電所も公開し、皆さんに見ていただくという体制にはなってはおりますけれども、この点さらに足らない点は努力をしていくべきものだと思います。そういうことによって国民のコンセンサスを得て、そうして皆さんが安心された、こういうエネルギーにより豊かな生活を保っていくべきであると考えています。  それから第三番目は、電力会社技術開発に対してどういう取り組みの姿勢をしておるかというお話でございます。この点に対しましては、原子力技術ということで、いわゆる技術のうちでハードの面とソフトの面がございます。電力会社自身が工場を持っているわけじゃございませんので、電力会社自身は、どちらかといいますと、ソフトの面の技術といいますか、ものを十分に、ごれまで昔からやってきております。ことに安全のフィロソフィーの考え方、たとえばどういうところにはポンプが何台要るか、どこのパイプがこわれたら、どこをどうすべきかという点については、十分電力会社の中で専門にこういうことをやっているグループがございます。一つは、電力会社幾つか分かれておりますが、初期の段階のころには、各電力会社方々が、日本原子力発電にみな集合されて、そこでそういうことをなさったのが、また皆さん散らばっておるという点で、数年前からそういう原子炉の安全関係技術を担当しておられる方というのを――電力の中に電気事業連合会というのがございますが、その中に安全の委員会というものを設け、たまたま私はその主査をやっておりますが、各社から専門担当の方が集まり、常に情報を交換し、その情報というのは、何も国内情報ではなく、世界の情報も交換し、安全というものについて取り組んでおります。  それからもう一つ、ハードの面につきましては、原子炉製作メーカーさんたちと、その単一の物件ずつにつきましては、そことの共同研究というような形で進めております。たとえば敦賀の発電所に、環境に放出します気体用の放射能を低減する装置というものを、発電開始後、二年後に、新しいそういう目安がつきましたので、取りつけるということにつきましては、たとえば日立製作所との共同研究ということで、ソフトの面につきましては、自分のことであれでございますが、私、ドイツに二、三度行きまして、いろいろ情報も得てくる。それをもとにして、日立製作所において実際にやっていただく、ある点は、政府のほうでやっていらっしゃいます動力炉事業団というものと、日立の共同研究をやる。そういうもので見通しをうけたものを取りつけさしていただき、環境の放射能というものを、従来よりもさらにけた的に下げたという例も一例でございますが、さらに最近、電力会社の中で持っております中央電力研究所というのがございます。これは従来は、どちらかといいますと、水力中心技術開発が進んでおりますが、順次原子力に対する技術ということをここに集結し、そこでいろいろ実験もしていただこうという点で、その開発も進めております。  たとえば現在すでに十分やっておられますことは、気象の解析、大きな風洞実験を持ちまして、原子力発電所の立地に対しての模型ですか、風洞実験によりそういうことをやっていらっしゃるという点で、電力会社としましても、これは十分まじめに取り組んでいく問題でございますが、先ほど先生御指摘のように、工場を持ってのハードというものについては、おのずから限度のあるものでございます。そういう意味で、ソフトの面というものを十分行なっているつもりでございます。  以上です。
  49. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 最後に木下参考人に伺います。  税調の一員でもあるわけですけれども、従来慣行としては、法的に別に責任を問われるとかなんとかということじゃないですけれども、慣行としては、新税創設や、あるいは改善やいろんな意見政府から諮問されて税調が答申をしてというのが慣行ですね。そういった手続上の欠陥が今回あるんじゃないかと思うんですが、これはまさに税調委員の皆さんに対してたいへん政府は侮辱の態度をとってるんじゃないかと思うんですが、そういう点についてはどうお考えですか。それが一つであります。  それから先ほど質問した中で、間接税の歯どめの問題そういう基準というものをつくる必要がないのか。どこまで拡張されていくかわからぬ、こういうことです。  それから先ほどの質問の第一点の問題、創設については一応肯定されたような御答弁でしたけれども、そういう考え方に立ちますと、たとえば瀬戸内海の海がたいへん汚染をされている、地域住民がたいへん困る、じゃこの海水の汚濁を浄化しようということで、そういう税をひとつ設けてくれと、もう多種多様にそういう問題がどんどん出てきたら、これは一面財政運用上の硬直化で、大蔵省は一貫して今日まで反対をしてきたことはすでに御承知だろうと思う。そういう財政部面を含めまして、税体系というものは私はたいへんな混乱を引き起こしているんじゃないかと、どうしてもそう考えるんです。ですから、その辺の問題についてこれはぜひ御見解を示していただきたいと思うんです。  二点の問題で、これは結局料金にはね返るということは率直にお認めになる、私もそう思う。ですから、今後経済動向いかんによっては、この部面の増徴体制というのはもっともっとやられると思うんです。これはもう自動車重量税、これは一昨年田中さんのお声がかりでつくったんですけれども、ことしすでに増徴体制とったですからね、一年もたたないうちに。そういうものなんです。だから、もっともっとこれは上がっていくだろうと思う。おそらく今回電力料金も約六〇%近い値上げをされているわけでしょう。そういうものも含めて、今後の原発開発状況を見ますと、相当私は膨大な資金投入をやらなければいけない見通しになってまいりますから、それを全部受益者負担で料金体制でまかなっていくということになれば、結果的に国民が全部背負いきらなければいけない、こういう結果に私はなってくると思うんです。ですから、そういう面を考えて、その辺の見解をひとつお述べ願いたいと思うんです。  それから双相地方原発反対同盟の議員さんの岩本参考人一つお伺いするんですが、地域でもってたいへんな住民反対運動というものが続いている。一番の反対の不安感といいますか、そういうものが充満しているんだろうと思うんですが、その内容はどういうところにあるのか。それから、現地としては法廷闘争その他に持ち込んでいろいろ進められておると思うんですが、その法廷闘争の内容等についてできればちょっと御説明願いたい。現地の状況についてちょっとお知らせを願いたいと思うんです。  それから御園生参考人に一点だけお伺いいたしますが、今回の開発促進法、聞きますと、科学技術庁の審議会答申によると、この原発、全国で二十一カ所つくられるようです。ことに東北関係は九カ所配置になっているという状況、私の記憶に間違いなければそういう状況になっているわけです。そういうことになると、たとえば東北六県、新潟を含めて、ここに九カ所の原発がどう配置されるかわかりませんけれども、そういうことになって、もし一たん事故などが発生して、強大な爆発なんか起こった場合には、私は東北全滅だろうと思うんですね。ですから、危険の問題についてはことさら配慮しなくちゃいけないわけですけれども、アメリカあたりはそういう立地条件とっておりませんね。  ですから、これは単なる公害などと結びつける問題じゃなくて、人命そのものにストレートでいきますから、そういう一体開発方式というものか――いいということはないんですけど、構想として打ち出されているということについて、私は、まさに危険な状態ではないかというように考えるんですけれども、そういう一つ開発問題について、どういう御見解をお持ちになっているか、その一点だけひとつお聞かせいただいて私は終わりたいと思います。
  50. 木下和夫

    参考人木下和夫君) 第一点は、税調で全く審議をしていない新税法案として提出したことに関する税調の委員としての感想あるいは考え方を述べよという御趣旨だと思いますが、本来、先ほども御指摘のように、制度として、審議事項が詳細にきまって、それについてきまったことだけしか立法化しないという約束はいままでなかったわけでございます。ただ、御指摘のとおり、慣行上そうなっておったということでございまして、私自身といたしましては、税調としてこの法律の立案をした事務当局に対して、何らかの説明あるいは釈明と申しますか、そういうものを求めることは、近々再開されます税制調査会の総会において、会長並びに会長代理と御相談を申し上げたいと思います。  ただしかし、先ほどもちょっと触れましたけれども、これは税法の問題だけにとどまりませんで、財政の制度全般に関係する問題でございます。それから通産省関係の法律にも関連する問題だと思いますので、そういう全体的な取り扱いの中での一環としての新税創設という意味で、しかも、非常な緊急事態でやむを得なかったという弁解をいままでしばしば事務当局から聞いておりますので、おまえは寛容過ぎるではないかという御批判もあるかもしれませんが、私はやむを得ないものと認めておきたいということを申し上げたわけでございます。  それから第二点に関しましては、先ほどの御質問で、私がお答えを忘れておりました問題でございまして、この税をきっかけとして、間接税のウェートが高まる可能性がある。本来間接税というのは好ましくないので、これはおことばにはございませんでしたけれども、大体直接税中心に税体系をつくっていくのがより望ましいのではないかという御議論をうしろにお置きになっての御発言だと思います。  私は、長い間租税の理論を中心にして勉強してまいりましたので、全く理論的にはお説のとおりでございます。しかし、現実の税務行政の問題を検討いたしますにつれて、実はその理屈というのは、非常に理想的な場合のあり方でございまして、現実にはさまざまの直間比率の組み合わせというものが必要であろうかと思います。たとえば一般には個人所得税を減税して、その肩がわりを法人税に求めるという理屈は、まことに妥当な選択的な政策のように思われますけれども、実はかなり長期で考えてみますと、法人税もこれは価格に転嫁をされる可能性がございます。その姿ははっきりいたしておりませんけれども、結局税というのは、個人のレベルで払うというのに帰着するのではないか。そうしますと、法人税というのは、一応便宜上法人のレベルで徴収しておるとさえ、いわばいわれるような問題もございます。  そのような諸点を考えますと、直間比率というのが、一体問題を正確にとらえる基準であるのかどうかもまことに疑問がございますし、法人税もそういう意味で転嫁されるとすれば、間接税だとさえ言えることになりますので、私は、この問題に関する税の組み合わせというのは、理論をまず前提として、そうしてその上に立って、それぞれの国の納税者意識あるいは財政の全体の仕組みというようなものを考慮しながらきめていくのが妥当ではないかと思っております。  したがって、いまのまま放置いたしますれば、直接税の比重が非常に大きくなるような仕組みになっておりますから、将来はある程度直接税の比重を減らすかわりに、適切な間接税というものをくふうする余地があるのではないかと考えております。その場合には、一〇〇%文句の言えないような間接税というのはなかなかくふうすることがむずかしいわけでございますから、一応、先ほどのおことばにございましたような売り上げ税、それも個別売り上げ税ではなくて、一般売り上げ税あるいは一般消費税のようなタイプの税を検討してみて、そしてそれで低所得層に負担がかからないような措置をあわせて講じて、たとえばいま私自身検討しておりますけれども、負の所得税――マイナスの所得税というようなものをそれにあわせて実施するということを条件にして、間接税のウエートをいまより若干高めるということも、数ある租税の組み合わせの中の一つの案ではなかろうかと思っております。  しかし、今回の新税の構想は、私はこれにつながるものではあるまい、また私自身つながらせる気持ちは全くございません。で、したがいまして、今回の新税が売り上げ税的な性格を持っておる、あるいは間接税的な性格を持っておると言われますことは、これは税の性質としてはそうでございますけれども、たとえば同じような議論は、印紙税の増徴についても売り上げ税への布石だというふうな解釈も行なわれております。しかし私は、これは切り離して考える立場をとっておるわけでございます。  それからそのときに、例として自動車重量税の増税のことにお触れになりましたが、私自身は、自動車を別に目のかたきにするわけではございませんけれども自動車道路利用あるいは自動車による公害その他、さまざまの点を考慮いたしますと、自動車諸税というのは、かなり負担をかけても社会的承認を得る、得やすいものであろうと。これが耐えられぬものであるかどうか、その辺はこれは検討を要しますけれども自動車関係の諸税、幾つもございますが、そういう税は、本来負担を高くしてもそれほどの大きな社会的反対はないのではないかという感覚でおります。  以上でございます。
  51. 岩本忠夫

    参考人(岩本忠夫君) 端的にお答えをしたいと思います。  私は、原発の全国的な情勢については詳しくわかっておりませんから、私たちの地域の中で、なぜ不安に思っているかということについて申し上げたいと思います。  まず、私たちの双葉郡の海岸に配置をされる原子力発電所の設置状況でありますが、東京電力第一原子力発電所の地点は約四百五十万キロワット、これは六基であります。それから第二原子力発電所、これは百十万キロワット四基配置をされることになっております。東京電力関係で、締めて九百万キロワットちょっとになるわけでありますが、さらに東北電力関係では、これはまた四百万キロワットをちょっと上回る。で合計で千三百万キロワット、さらにそれに加えて広野町というところに火力発電所一基六十万キロワット、二基。つまりこの双葉郡海岸の三十キロ足らずのその行程の中に、火力発電所も含めまして千四百万キロワットの原子力発電所ないしは火力発電所が設置をされると、こういうことであります。  で、現在の、四十六年の三月から営業運転を開始をされました四十六万キロワットの福島一号炉、これ、これまでの状況を見ますと、先ほども申し上げましたが、今日までも、公表された事故だけで十数回に及んでおりますし、そのために七回ほど運転を停止しております。いろんな問題がもちろんあるわけでありますが、そういう状況からいって、もしこの東京電力関係だけでも、九百万キロワットという巨大な原子力発電所が一斉に稼働をした際に、一体今日四十六万キロワットでさえああいう危険性があるのにかかわらず、九百万キロワットが全稼働した場合にどういう事態が起こるだろうか。こういうものも、ほんとうに大きな不安として私たちは考えているわけであります。  同時にまた、廃棄物処理の問題があります。これも、どう処理されるのかはまだきまっておらないようでありますし、東京電力なんかのお話を聞きますと、処理については政府のほうでおきめになるんでしょうからなどという無責任な企業の発言もあるようであります。私は、そういう点でも非常に問題だというふうに考えておりますし、さらにまた、原発行政に対する、つまり行政に対する不信があります。これは、現地の中では連絡会議などが設置をされております。県の段階でも技術連絡会などが設置をされておりますが、しかし、たとえば最近、せんだっての日本分析化学研究所のデータ捏造に関連をいたしまして、福島県の中でもデータの転記ミスなどがかなりありました。こういうことについても、非常に無責任な行政、それから原子力発電所は安全だと、つまり原子力委員会が安全だと言うから原子力発電所は安全である、むずかしいことは専門家にまかしておきなさいと、原発の反対運動というものは、イデオロギーでやっているんだろうと、こういう県当局の答弁。そういう状況を見る限り、これまた行政に対する不信ないしまたそれからの不安というものがわいてくるわけであります。  さらにまた、企業に対する不信もございます。必要以上に原子力発電所安全性というものを宣伝をしております。何かこの、たとえば富岡地区なんかでも、いろいろ、なぜそこまでやるんだというお話が実はあったわけであります。懐中電灯を配ったり、子供には鉛筆とか下敷きとかいろんなものを配って、そういうものを通じてこの安全性を訴えている。何か、そういう企業の動き一つ一つを見て、逆に非常に企業に対する不信、先ほどもいろいろお話がございましたが、たとえばこれまで数回となく事故や故障があっても、それが具体的に住民に直ちに知らされない。事故はあっても、こういうことでこう措置をいたしました、ですから、安全ですという、つまり、かなり住民を説得し得る、また安全確保が十二分になし得る、そういう論理を住民の前に明らかにしていく、こういうことがなされない限り、やっぱり企業に対する不信というものはますます深まるだろうというふうに実は考えるわけてあります。  そういう点で私は、現在運転をされている原子力発電所は直ちに停止をすべきだろうし、現在建設をされている原子力発電所の建設も中止をすべきだろうし、安全審査会の中でもう一度ほんとうに、ほんとうの意味でやっぱり安全審査をやり直す、そういう中から原子力発電所安全性を根本から見直していく、そういう立場が今日特に要求をされているんじゃないかというふうに考えるわけであります。  さらに二番目のこの訴訟の問題でありますが、これは基本的には、この双葉地方に住んでいる人たちの環境権の問題だというふうに思います。これは東京電力第二原子力発電所の一号炉の公有水面埋め立てに対する免許取り消しの訴訟が一つのきっかけであります。で、この免許状の交付等についてもいろいろ私は疑問を持っております。たとえばこの知事あてに東京電力が、その公有水面埋め立ての免許状の交付を申請をした際に、海面を埋め立てることによって、たとえば潮流の変化とか、それから環境の変化とか、さまざまな状況の変化があると思うんです。現にこの東京電力の第一原子力発電所の防波堤とか、海面埋め立てによって、双葉町の郡山海岸とか、浪江町の中浜海岸などの海岸侵食が最近著しくひどいと、こういう状況もあります。したがって、今回の第二原子力発電所の一号炉の海面埋め立て等についても、それらの事前調査を十二分、県みずからがやる必要があるというふうに思うんです。ところが、東京電力が調査をいたしました資料をただチェックをする程度。つまり、県みずからが独自の調査をしていない。こういうところにも非常に問題があるだろうというふうに指摘をせざるを得ないのであります。そういう点から、いまこの人間の環境権、同時にまた原発の安全性という基本的な問題に突っ込みまして、訴訟の戦いがいま展開をされている状況であります。  以上であります。
  52. 御園生等

    参考人(御園生等君) 時間がないようですので簡単にお答えいたします。  御承知のとおり、日本は国土が狭く、またその大部分工業立地に適当でない山地ですから、その過密の程度からいいますと、おそらく世界第一ということになろうかと思います。アメリカ、ソ連その他においても、原子力発電所の設置は進められているということは事実だと思いますけれども、このような広大な地域を国土の中に利用し得る国々と、過密世界第一の日本との場合では、同列にこれを論じることはできないと思いますし、またそれだけに、日本原子力発電所、その他の工業立地については、十分な配慮が必要であるというふうに思います。したがって、むしろアメリカ等で行なわれているよりも、周辺の地域をより多くとるというような安全措置が、一そう配慮さるべきだろうというふうに思います。特に東北地方において計画中の原子炉、原子力発電所のうち、五〇%に近い発電所が想定、予定されているという点につきましても、結論から先に言いますと、私は、東北地方という、日本経済発展の中で取り残されてまいりましたそういう地区に対して、いわば原子力発電という形での犠牲を再び押しつけるものだというふうに考えざるを得ないわけであります。もちろん立地条件その他の点から考えまして、今後の発電所の設置につきましては、慎重であるべきだろうと思いますけれども、これはやはり民間企業にゆだねるだけではなくて、より総合的な立場から、国民の参加を得て、安全性その他の配慮も十分に行ない、措置も十分にとった上で、納得ずくでこれを行なうということが、いま必要ではないかというふうに思います。いろいろお話を承ってまいりますと、非常にこの二法につきまして急がれているということがうかがえるわけでございますけれども、あくまでも私は、先取りをするということによって、いままで日本はいろいろなあやまちをおかしてまいりました。かつての固体燃料、石炭から流体燃料への転換を急ぎ過ぎたために、国内資源である石炭について今日の事態を招いた。ヨーロッパ諸国のほうが、むしろその点につきましては、国内資源について十分な措置をとっているわけであります。そういう点につきましても、高度成長もこれも一種の先取りだと思います。ですから、ほかの国がやっているから、日本も早くやらなければいけないというような態度は、非常にこの際改めるべき問題であって、問題があるというふうに思う次第でございます。  以上でございます。
  53. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 参考人方々には、本日御多忙中、本委員会に御出席願い、貴重な御意見をいただきまして、まことにありがとうございました。委員会を代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  ただいま拝聴いたしました御意見は、今後の本案審査に十分役立たせたいと思います。  午前の質疑はこの程度とし、暫時休憩いたします。    午後一時十七分休憩      ―――――・―――――    午後三時四十九分開会
  54. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) これより大蔵委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案。  以上二法案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  55. 多田省吾

    ○多田省吾君 電源開発促進税に入る前に、一問だけ大蔵大臣にお尋ねをいたします。  この前、石油連盟と石油元売り十二社、さらに石連前会長等業界幹部十七名が、やみカルテルの独禁法違反で東京高裁に起訴されましたけれども、まあ有罪と確定すれば、当然反社会的企業の最たるものとしてその範疇に入りましょうし、また政府関係金融機関の融資規制対象業種となりますけれども、これらは、また石油危機に便乗してもうけをはかったということで、国民生活を非常に混乱におとしいれて暴利をむさぼったということになるわけでございます。したがって、その社会的責任の上からも、私は、そういった融資を停止すべき範疇に入ると思いますが、ただし、大蔵大臣がこの前おっしゃったように、去年の暮れからの問題として扱うんだと、これは昭和四十七年から四十八年にかけてだと思いますけれども、そういう関係もありますけれども、大蔵大臣としてはどういうお考えでございますか。
  56. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) お尋ねの件は、まだ判決が出たわけではないのでありまして、起訴が行なわれたという段階でございます。それにいたしましても、まあ反社会的行為を行なったという疑いがあるからこそ起訴されたわけなんであります。そこで起訴された会社の中で三社が日本開発銀行に対し、融資の申請をしておるんです。それをどういうふうに扱うかと、こういうことを問題とすべきであると、こういうふうにまあ考えております。先般これらの問題の取り扱いにつきましては、ルールがきまっておるわけでありまして、主務官庁である通産省の意見を徴して、その上その融資案件をどうするかをきめる、きまればそれを銀行に通知をする、こういうことを考えております。
  57. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから政府は、このたび石油、電力等の法的規制を、今度は行政指導に切りかえることに決定されたようでございますけれども、これは通産省が、非常に行政指導に切りかえを主張されて、むしろ大蔵省のほうはそれでは困るというようなお考えのようであったらしいのでございますけれども、とにかく行政指導に切りかえることに決定されたらしいわけでございますが、私もしまあ非常に時期が早いと思いますし、これからそういう規制を徐々に緩和するようなことがありますと、やはり今後の長期安定供給の見通しとか、あるいは国際収支の安定のめどが確実になっていない現在、非常に危険だと、このように思うわけでございます。で、もし単なる原油備蓄量が若干好転したからというような理由で、これからこの行政指導で緩和されていくというようなことがありますと、非常にこれは困ると思いますけれども、私はこういった問題はやはりきびしくすべきであり、具体的なエネルギー節約政策を、国の経済政策の最重点政策として、逆に需要の伸びをきびしく押えるような方向でいくべきではないかと、このように思いますが、大臣はどのようにお考えですか。
  58. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) その点につきましては、私は多田さんと見解が同じでございます。通産省は、最近の石油需給がゆるんできたと、そういう状況を踏まえまして、石油使用についての法的規制を行政指導に移す、かつこの規制を緩和すると、こういうことを考え、それを進めようとしたのでありますが、私のほうではそれは少し尚早ではないかと。そこで通産省でも、規制を緩和するということにつきましては、いままでどおりの規制を厳重に取り行なうということとし、ただ、まあ法律の運用上の面から見まして、法的規制よりは、行政指導のほうがよかろうということで、その点は通産省のいうとおりにいたしたわけでございます。非常に重大な時期でございますので、石油、電力その使用につきましては、なお国民の合意を得つつ、これが使用につきましては、まあ資源を大事にするという趣旨でやっていかなければならないと、かように考えております。
  59. 多田省吾

    ○多田省吾君 午前中も参考人の御意見にもあったのでございますが、特にこの電源開発税法反対立場参考人方々は、私もそのような立場でございますが、このような電源立地など最大原因というものが、経済的要因だけではなしに、それよりもむしろ公害問題にからむ環境破壊とか、あるいは原子力発電安全性の問題これが最大のネックになっているわけです。ですから、単に若干のお金をもらったとしても、これは結局あめを与えて、その原発の危険性を圧服させるだけにすぎないのではないかと、こういう反対が非常に強いわけでございます。ですから、こういう公害問題とか、あるいは原子力発電安全性という環境権の基本問題の対策が最優先をして考えられなければ、今回の法案で促進税を創設したり、あるいは財源を調達して発電所周辺地域の住民方々に金をばらまいても、決してそういう電源立地などを根本的に解決することには絶対にならない、こういう観点から、私はやはりいまのこの二法案というものが本末転倒の考え方におちいるおそれがあるという点で、大臣のお考えをお尋ねしておきたい。
  60. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いま電力施設がなかなか進まない。ところが、この石油ショック以来、特に原子力発電整備しなければならぬ、こういう非常に緊要な緊急な必要に迫られておるわけであります。それで、しかし、といってなかなかこれも進まない。なぜかと申しますと、私は二つ原因があると思うのです。一つ安全性に対する国民の理解の問題、それからもう一つは、発電所周辺における公害その他の環境整備の問題、そういう問題がある。この二つが、まず、発電所を設置しようという際に、その発電所周辺の地域社会がこれを迎え入れないと、こういうことだろうと思うのです。そこでこの二つの問題を解決しなければならぬわけでございますが、安全性の問題につきましては、これは国の基本的な問題でありますので、これはもう別途鋭意科学技術庁を中心といたしましてこれが検討を進めておる。同時に、地域社会に対する環境整備の問題、これはまた別個の問題としてこれを進めなければならぬ、こういうふうな考え方から、ただいま申し上げました第二の隘路といいますか、障害、地域社会の環境整備、この問題に取り組もうというのが、いま御審議をお願いしておる法律案でございます。  お話しのように、ですから、この法律案で全部の問題が解決するというわけじゃないんです。しかし、そのうちの第二の隘路と申しますか、障害事項と申しますか、その問題は大きく解決をする、こういうふうに考えまして御審議をお願いしておるわけでございますが、何とぞ御理解の上、すみやかに御賛同あらんことをお願い申し上げます。
  61. 多田省吾

    ○多田省吾君 電源開発特会法第一条第二項のうち、「周辺地域整備法第七条の規定に基づく交付金の交付及び同法第二条に規定する発電施設の周辺の地域における安全対策のための財政上の措置その他の発電施設の設置の円滑化に資するための財政上の措置で政令で定めるもの」、このようにありますけれども、この政令で定める中に、通産省資源エネルギー庁が主張する原子力発電の安全確保に関する研究事業費が含まれるのかどうか、また安全確保に関する研究事業の範囲はどこまでをさすのか、これをお尋ねします。
  62. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま御指摘の問題につきましては、原子力発電の安全に関します一般的な基礎研究は、この特別会計対象にいたさないことにしております。ただし、原子力発電施設等の設置の円滑化に直接結びつくような調査研究事業であります場合には、この特別会計の経理の対象となし得ると考えているわけでございます。四十九年度予算には計上いたしておりませんけれども、将来の問題としては、そういうものがあれば、この特別会計で経理をすることができるというふうに考えております。
  63. 多田省吾

    ○多田省吾君 それからもう一つ、特会法第一条の条文は、目的税の設置を明確に規定しまして、「電源開発促進税収入財源として行う電源開発促進対策に関する政府の経理を明確にするため、特別会計を設置し、一般会計と区分して経理する。」このようにうたってありますけれども、周辺地域整備法による公共事業の整備について、本来一般会計で負担するもの、企業独自で負担すべきもの、また本法案目的税負担するものと、実施執行面において明確に一線が画されているのかどうか、またこれが混乱するおそれがないかどうかお尋ねします。
  64. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 電源開発促進対策の考え方でございますが、負担区分につきましては次のように考えておるわけでございます。  まず発電施設そのもの、あるいは工事用の道路についてでございますとか、それから発電施設の設置に伴います損失の補償、こういうようなものは、申すまでもございませんけれども、もっぱら電力会社負担をすべき性質のものである、かように考えております。  第二に、電源施設の周辺地域におきましても、一般の公共事業、これが行なわれるわけでございますので、この一般の公共事業につきましては、通常の財源によりまして、それぞれの法律に基づきまして、かつ基本計画あるいは採択基準、優先順位等に基づいて実施されること、これまた当然であるわけでございます。今回の目的税財源といたします電源立地促進対策交付金の対象となります事業は、もっぱら電源開発を促進することを目的といたしまして、電源周辺地域の福祉の向上をはかるために、特に必要があると認められる公共用施設というふうに考えておるわけでございます。いわゆる地方の単独事業を対象といたす考え方でございます。
  65. 多田省吾

    ○多田省吾君 電源開発促進税の税収は、初年度百一億円、平年度で三百三億円を見込んでいるようでありますけれども発電量の伸びと、税収の伸び率を今後どの程度と試算をしているのか。  この目的税は、一定の発電量に対する従量税になっておりますけれども、この法案をつくる過程において、従価税にすべきか、従量税にすべきかという論議が行なわれたのかどうか。この点をひとつお伺いしたい。
  66. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 今後の税収の伸びをどのぐらい見るかということでございますけれども、これはまあ最近のように、いろいろ資源節約という見地から申しますと、将来におきます電気の消費ということにつきましても、ある程度抑制的であることが望ましいというふうに考えられるわけでございますから、したがって、従来のような形でのスピードで電気の消費量がふえるというふうに見ることができるかどうか、ひとつ問題でございます。で、まあそこらの点は将来の経済社会基本計画考え方なり、それから電気の今後の需給見通しなりにも密接に関連するわけでございます。したがいまして、現在の段階であんまり明確に何%ということは申し上げにくいわけでございますが、まあこの案をつくりましたときに、大体私どもの頭の中にありました伸び率は、まあ九%前後ではなかろうかというぐらいの感じでおるわけでございます。したがって、そのぐらいの割合で従量税の税収もふえることになるのではなかろうかなというふうに考えておるわけでございます。  それから、従価税にするか従量税にするかということは十分検討いたしました。そしてかなり積極的な意味で、この場合には従量税のほうがよさそうであるということに判断をいたしております。その理由はなぜかと申しますと、現在の電気料金の体系は、家庭で使用される電灯の料金と、産業で使用される電力の料金とで異なっておりますし、また大口需要と小口需要で異なっておるということはよく御承知のとおりでございます。で、一方この税が、発電所の立地を促進して、電力の供給量を増加させる対策の費用に充てるためという趣旨から考えますならば、電気使用の便益との関連において、販売電気に課税するということでもありますところから考えましても、料金を基準とするよりは、電力量を基準として課税するほうが、この制度の趣旨に合うのではないかというふうに判断をしておるところでございます。
  67. 多田省吾

    ○多田省吾君 で、もう一点大蔵省にお尋ねしたいのですが、この前、通産省工業技術院で、昭和四十一年から排煙脱硫装置の大型プロジェクトが取り上げられました。まあ昭和四十六年度まで約十四億円の費用が投ぜられたわけでございます。ところが、まだこれが実用化されていない。一部の電力会社に採用されただけで、業界にも見放されて失敗に終わって放置されたままになっておりますけれども、こういうものは非常に血税のはなはだしい浪費だと、このように思われますし、また大蔵省として、この公害対策関係費用の予算査定審査についてどの程度のチェックをされたのかどうか、この問題をひとつお尋ねいたします。
  68. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) ただいま御指摘の排煙脱硫技術につきましては、大型工業技術研究開発制度、いわゆる大型プロジェクトの対象として取り上げたわけでございまして、四十一年度から四十四年度までの間に約十四億円の費用を投下をいたしたところでございますが、私どもといたしましては、おおむね所期の開発目標を達成したというふうに承知をいたしております。  その成果といたしまして、現在電力業界で設置をされた排煙脱硫装置はこれは二基でございますけれども、今後とも開発技術が直接的、間接的に各方面において活用されてまいるということを期待している次第でございます。  なお、全般の環境保全対策につきましては、その重要性にかんがみまして、財政当局といたしましても、従来から公害対策基本法等の趣旨に沿いまして推進をはかることにいたしているわけでございます。予算面でもいろいろな基準の設定でございますとか、公害監視取り締まりでございますとか、あるいはまた公害防止事業の助成でございますとか、公害防止関係の公共事業の推進でございますとか、調査研究などにつきましていろいろときめこまかい配慮をしてまいっておるところでございます。これらの費用につきましても、予算査定あるいはまた執行の段階におきまして、常に必要性、有効性について検討を行なっているつもりでございますが、ただいま御指摘もございましたので、今後とも最善の努力を払ってまいりたい、かように考えておるところでございます。
  69. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、環境庁と科学技術庁にお尋ねしたいと思います。  で、従来電源立地の開発については、地域の住民に対して何のメリットもなかったということから、今後は住民生活の向上、福祉向上のために、生活環境施設整備を行なって、地元住民方々にメリットを還元すると、こういうのが今回の新税構想の本意のようでありますけれども、一番肝心な公害防止また環境保全という基本的な問題に触れないで、地域住民の福祉向上がほんとうに可能かどうか、この点をお伺いします。
  70. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいま先生御指摘の点でございますが、原子力発電あるいは原子力施設一般が、いわゆる公害というふうな問題を引き起こすおそれがあるのではないかという御質問かと思いますが、この点につきましては、科学技術庁、通産省その他関係省庁で原子力施設の特に安全問題につきまして十分連絡をとって、絶対そういう問題の起こらないように対処をしているわけでございまして、法律の規制から申しましても、他の産業に見られないような非常にきびしい規制が行なわれておるということを申し上げてよろしいかと存じます。  たとえば原子力発電所の安全規制につきましては、原子炉等規制法を初めといたします関係法令あるいは通産省の電気事業法、こういうものによりまして非常に厳正な運営を行なっておるわけでございます。で、この厳正な運営ということは、施設を建設する前の許可の段階で十分な専門家によります安全審査というものを行なうだけではございませんで、実際の設計がその安全審査のときの判断の線に沿っておるかどうか、あるいは十分その設計どおりのものがつくられておるかの検査、あるいは平常運転時の検査、そういったものを入念にやっております。したがいまして、基本的に申しますと、原子力発電施設環境に与える影響はゼロであるか、ほぼそれに近いぐらいにまで現在の技術は到達しており、かつその規制関係の法体系の整備も行なわれておると、こう考えておる次第でございます。
  71. 多田省吾

    ○多田省吾君 そのように次長はおっしゃいますけれども、四十九年度予算では、すでに電源開発促進税の税収を百一億円と見込んでおるわけです。そのうち公害対策に見合うとおぼしき支出というものを見ますと、税収の一割にも満たない原子力発電安全対策等交付金と銘打った八億八千五百万円だけでありまして、しかも、その中身を見ますと、環境放射線監視ボックスの設置、それから温排水の温度測定調査、それから原発の安全PR用の啓蒙宣伝費、このようになっておりまして、これを原発立地の府県に交付することになっておりますけれども、一体この程度の作業で環境保全とか原発の安全性というものが完全に保障されるものかどうか、非常に疑わしいと思うのです。これはどう考えますか。
  72. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 説明が不足で申しわけございませんでした。  その安全関係の研究につきましては、別途一般会計予算のほうで四十九年度には百一億円という研究費をいただいておりまして、これは原子炉の安全性中心といたしまして、さらに廃棄物の処理とか、低線量の放射線の影響とか、そういうものまでも含めまして、安全研究は安全研究といたしまして、今後ともさらに鋭意この拡充をはかっていくということになっておる次第でございます。
  73. 多田省吾

    ○多田省吾君 もう一点、原子力発電の温排水について質問したいんですけれども、水質汚濁防止法で排水基準の設定が義務づけられておりますけれども、すでに四十五年十二月のこの法律制定の際には、排水基準をすみやかに定めるべきだという旨の附帯決議もついておるわけでございますけれども、今日に至るまでまだ設定されていない。これは公害行政の非常に大きな怠慢ではないか、このように思いますけれども、いかがですか。
  74. 太田耕二

    説明員(太田耕二君) ただいまの先生の御質問でございますが、水質汚濁防止法によりまして、環境庁が各省庁と連絡をとりまして排水基準を定めることになっておりますけれども、この温排水について研究が始まりましたのが実は昭和四十六年度からでございます。で、現在その調査研究を継続中でございますけれども、残念ながらまだ基準設定のための知見を得るに十分なデータがそろっておりません。具体的には水産生物への影響につきまして計量的にまだその影響が把握されておられないというふうなこととか、季節によりまた温排水が変動いたしますので、基準設定上技術的な問題がある、そういった問題がございます。で、水産生物につきましては水産庁、それからいろいろな拡散範囲の予測等につきましては環境庁と通産省と協力してというふうに、おのおの持ち分持ち分に応じまして現在そのデータの取りまとめ中でございまして、その結果を待ちまして、できるだけ早くその基準を設定したいと、こういうふうに考えておる次第でございます。
  75. 多田省吾

    ○多田省吾君 特に原子力発電の、いわゆる危険性の問題は、非常にこれは今後も大きな問題になろうかと思います。で、この前も放射能データの捏造事件があったり、あるいは原子力委員の田島立教大学教授の辞任問題があったりして、非常に政府原子力行政の本質に重大な欠陥があることがさらけ出されましたけれども、今回の電源開発三法がもし成立したとしましても、いま四国電力でも、原発の設置許可取り消し訴訟、あるいは東京電力の福島第二原発等の訴訟準備、このような問題が起こされておりますし、また安全性問題についても非常に地域住民が強い反発を示しているわけです。先ほど午前中も福島原発関係参考人からいろいろな問題が提起されております。たとえば二年ぐらい前に参議院でも審議されましたけれども、いわゆる廃棄物ドラムかんが福島にも六千本ばかりあるそうですが、この前は海洋投棄の安全性の問題等が論議されました。またその廃棄物を今後どうするかというような問題ですね。それから具体的な問題として制御装置の故障、運転中止の問題とか、あるいは放射性廃液漏れの連絡おくれの問題とか、あるいはスチーム管の蒸気漏れの問題とか、そういった問題が起こっているにもかかわらず、なかなかそれが内部だけで処理しようとして、きちっとした処理がなされていないようにも思われる。こういった問題がますます地域住民方々にも危険性を感じさせる原因になっております。  私も四、五年前にもずいぶん東海村の原子力研究所あるいは原子力発電所にも二回、三回と現地に参りましたけれども、その当時も被曝男が町の中をうろうろ歩いたとか、また特に下請業者の方々が何の訓練も施されずにいろいろな作業をしている、中には夏の暑い日、非常に危険な作業中に、暑いので裸になってもう作業をしているというような状態も現実に起こっているわけです。こういったいろいろな問題があるわけでございますが、ほんとうに真剣にこういった問題を科学技術庁においても解決しようという姿勢が私はまだまだ足りないんじゃないかと、このように思いますけれども、いかがでございましょう。
  76. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) ただいま先生御指摘の点につきましては、実は私どももいろいろ反省をしておるわけでございますが、実は私ども技術的にいろいろものを考えますと、まあこれは特に安全上問題はない、あるいは放射能の汚染があってもこれは許容量よりずっと低いから問題はないと、とかく考えがちでいままでございました。そういうふうなことで、したがいまして、これは発表しなくてもいいのではないか、あるいは発表がとかくおくれるとか、こういうふうな問題がございましたが、しかし、特に地域住民方々が、ある意味では数字でもって安全とか安全でないとかいう以前の御不安、不安の念がおありになるという事実、これも十分踏まえなければいけないと思います。そういうふうなことでございますので、今後原子炉設置者に対する指導といたしましては、たとえ基準よりも下であるから問題でないようなことであっても、進んで地域の方々にこういうことがあったということを御連絡をいたしまして、その実態を十分御説明する、こういうふうにむしろ方針を切りかえるべきではないか、こういう考え方で今後指導してまいりたいと思っております。
  77. 多田省吾

    ○多田省吾君 じゃ具体的な問題でお尋ねしますからはっきりお答え願いたいんですけれども、この前、動力炉・核燃料開発事業団が、茨城県の東海村に建設している使用済み核燃料再処理工場が、日立港を使って再処理用の燃料を陸陽げする予定でおりましたところ、市議会の委員会で、日立港の使用を拒否する決議を行なっております。また、福島県議会においても、県内に再処理工場をつくることを拒否する決議を行なっているわけです。これはやはり非常にまだ危険性が高いということから、こういう地元で拒否するような姿が出ているわけでございますが、この問題は一体、この二つの問題は具体的にどのように解決されるのですか。
  78. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 日立港の問題につきましては、科学技術庁といたしましては、従来から日立港を永久使用をするという考え方ではございませんで、将来は使用済み燃料の輸送のための専用の港を設けるべきである、そういう方向で検討をいまいたしておるわけでございますが、しかし、東海村の再処理工場はいま工事が九〇%ぐらいできておりまして、そろそろ試験運転に入る段階にもなっておりますので、暫定的に日立港の使用をお認めいただきたいということで、日立市にお願い申し上げまして、昨年の秋には一応暫定使用ということで考えてもよい、こういう日立市の御方針であったと承知しております。本年になりましていろいろ関係者の連絡の手違いから、その辺にやや日立の、特に核燃料問題の特別委員会のほうで、まだ政府の体制が十分整っておらぬのではないかという御疑念から発しまして、先ほど申しました一時使用、暫定使用ということについても、いま少し政府の方針がはっきりするまでは控えたい、こういう御意向があったと聞いております。私どもといたしましては、関係者間の連絡会議を目下持っておりまして、これには地元の日立市の職員の方、あるいは東海村の方、県の御担当の方その他も含めました連絡会でもちまして、いろいろ今後の具体的な方針を御相談してまいる、こういうことになっておりますので、その方向でいずれ問題が解決されるのではないか、こう考えております。  それからいま一つ、再処理工場の安全性全般につきましての御疑念でございますが、確かに先生御指摘のとおり、再処理工場から放出されます、これはごく低いレベルの放射性物質でありますが、原子力発電所一基当たりに比べますと、再処理施設一基から出るものが、現在の技術ではやや多いというのは、これは事実でございます。そういうことでございまして、原子力発電所はいいけれども、再処理はごめんだというふうな御意見の向きもあるかと存じますが、私どもといたしましては、この再処理工場から放出される廃棄物、放射性物質の量をさらに減らしたいということで、これは相当今後とも研究費をかけまして、この放出量の低減化をはかっていくことを考えております。したがいまして、現時点におきましても、再処理工場の安全性は確立されておると考えますけれども、将来においてはさらにその放出の低減化をはかっていきたい、こういうことでございます。
  79. 多田省吾

    ○多田省吾君 それからもう一つ、東京電力の福島第二原発一号炉の問題でございますけれども原子力委員会で四月二十七日に、安全性は十分確保できるということで建設許可を答申しまして、わが国で初めての公聴会陳述意見に対する検討結果の説明書をまとめて発表したわけでございますけれども、これは私は、地元反対住民方々の疑惑、不信感に非常に十分にこたえられる説得力のあるものではない、このように思うわけでございます。で、特に最近アメリカの実験で、欠陥があるとの結論が出た非常用炉心冷却設備の問題とか、あるいは温排水の拡散水域の漁場問題、こういった問題について、地元住民方々納得してないわけです。単なる公聴会というのは、形式的なかざりものだとする意見が非常に強いわけです。特に現地の住民方々が最も不安としている点は、第一には、大型原子炉が狭い地域に何基も集中している、第二には、原子炉が海岸線地帯にあって、温排水の、漁業に与える影響がきわめて大きい、第三番目には、放射能に対する国民的な不安が強い、第四には、原発地帯の住民方々が、いざというときに簡単に避難できない、こういった非常に多くの理由があるわけです。ですから、地域が広大なアメリカとかヨーロッパでは比較的避けやすい問題でも、日本では非常にきわめて重要な意味を持っているわけです。こういう問題について、こういう地元住民方々が最も聞きたいような問題について、説明書は実質的にほとんど回答してないじゃないか、このように思うわけです。それから公聴会が単なるかざりものだという証拠として、安全性とか、公害問題に対する疑点について再質問する機会が全然与えられていない。で、与えられたとしても、そのときにはすでに原子力発電所の設置許可がもうおりてしまっている、こういうことでは、住民方々の不安が解消されるどころか、ますます公聴会はかざりものであり、無意味である、こういう感情がもう先に立ってしまう。また事実、科学技術庁の原子力局の原子炉規制課長が、公聴会での意見を直接安全審査に反映させた点はないと、このように語ったそうでありますけれども、もしこういうことをほんとうにおっしゃったとすれば、これはたいへんな暴言だ、このように思うわけです。またそういう事実があったとしたら、これはまたたいへんな問題だと思うのです。こういう点は一体どのように考えておられるか。
  80. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) いろいろ御指摘ございましたが、まず、公聴会そのものがかざりものではないかという御指摘でございますが、この点につきましては、原子力委員会では、その公聴会をどういうふうに運営するかにつきまして、いろいろ事前によく検討もいたしまして、またその御意見をどういうふうに安全審査に反映させるかということも十分検討いたしました結果、先ほど御指摘ございました検討結果説明書というふうなものを、かなり膨大な資料でございますが、こういうものも作成いたしまして、地元の皆さま方と申しますか、その公聴会のときにいろいろ御疑念を御発表になった皆さま方の御疑問に十分答えたいと、こういうふうに考えた次第でございます。で、先ほどの御指摘で、集中化の問題あるいは温排水の問題あるいは放射能に対する国民的な不安あるいは避難がどうか、こういうふうな御指摘ございましたが、私どもといたしましては、公聴会で出ましたこういうふうな各種の疑問点につきまして、十分検討をしそれにお答えする、しかも、なるたけ御理解をいただけるような表現でということで、表現にもいろいろ努力をいたしまして、一般の皆さま方の御理解をいただきたいということで、この資料を作成して笑覧に供しておる次第でございます。  それから、先ほどの規制課長の発言というのは、私ちょっと直接見ておりませんが、この公聴会の趣旨が、そもそも原子炉の安全審査に際しまして、地元の方々のなまの声を聞いて、これを安全審査に反映させるというのが趣旨でございます。そういうことからいたしまして、この公聴会の御意見は、十分安全審査には反映しておる。いろいろ安全専門審査会にも御報告いたしまして、こういう御意見がある、こういう御意見があるということで、十分これも御検討いただいた結果、安全専門審査会の最終的な御意見をいただいておるということでございます。
  81. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから先ほどお尋ねした、いわゆるもう一つ非常に問題になっております廃棄物の処理ですね、この前も廃棄物ドラムかんの海洋投棄の問題でたいへん問題がありましたけれども、その後それがどうなっているのか。それから使用済みの核燃料の再処理、廃棄物の処理、処分、こういう核燃料サイクルの確立がほんとうになされているのかどうか、この二点を具体的にお聞きしたいと思います。
  82. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 廃棄物、特に先生御指摘のドラムかんと申しますのは、低いレベルの固体廃棄物が、各発電所でドラムかんにコンクリート詰めで入っておる、これの処理をどうするかという御質問かと思います。この低いレベルの放射性物質につきましては、まず第一段階として、発電所に貯蔵しておく、その貯蔵するための施設もつくっておりまして、その貯蔵することが周辺の方々に絶対御迷惑をかけない、こういう形の貯蔵をまずいたしております。  なお、長期的にどうするかという問題につきましては、放射性廃棄物の処理、処分を集中的に行なう機関を設けたいということで、これは四十九年度の予算をいただきまして、その機関設立のための調査を目下行なっておる段階でございます。また国際的に申しますと、この低いレベルの放射性固体廃棄物につきましては、海洋投棄という道も一応開かれておりますが、これはまだ技術上の基準が国際的に確立をしておりませんので、国際原子力機関で、この技術基準が目下検討されておりまして、私の承知いたしておりますところでは、本年六月の理事会におきましてこの最終案が確定する、こういうふうに聞いております。したがいまして、いずれはそういう国際的に認められた技術基準のもとでの海洋投棄、こういうことにもなるかと思います。  それからさらに全般的な核燃料サイクル全体についてどうかという御質問かと思いますが、この点につきまして、たとえば再処理施設から、かなり放射性の廃棄物で、レベルの高いものが出てまいります。それをどうするかというふうな御質問も含めてかと思いますが、これにつきましては、目下動力炉・核燃料開発事業団あるいは原子力研究所等で研究も行なっておりますし、それから諸外国におきまして数十年の経験もございますので、国際交流の場を通じまして、こういう諸外国の経験も生かしまして、そういうような高いレベルの廃棄物についても、絶対に環境に影響を与えないように、その安全性については、確実にこれを将来実行してまいりたい、またそのめどが十分ある、こういうふうに考えております。
  83. 多田省吾

    ○多田省吾君 私のほうでももっと詳しく調べたいと思いますけれども、先ほど、原子炉規制課長が、公聴会での意見を直接安全審査に反映させた点はないとおっしゃったのは聞いていないということを、いま次長おっしゃっておりますけれども、こういう発言がもし事実だとすれば、これはたいへんだと思いますけれども、こういったことを事実言っているとすればどう思いますか。
  84. 伊原義徳

    政府委員(伊原義徳君) 先ほども説明申し上げましたように、公聴会の趣旨が、この安全審査に地元の方の御意見を反映するという趣旨でございますので、担当課長がそういう趣旨に対して誤解を与えるような発言をすることは万ないと思いますが、私も十分調べました上で、さらにそういうふうなことがあったかどうかを検討いたしたいと思っております。
  85. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、通産省にお尋ねしたいと思います。  この電源開発促進税の受けざらといわれております――いま商工委員会で審議されていると思いますが、発電施設周辺地域整備法による整備計画、これが本来発電所の立地による地元への恩恵が少ないために、公共用施設整備しようというものでありますけれども計画は、発電所が立地する地点のみを対象として整備計画を達成すれば事足りるということでございます。しかしながら、発電所の立地に対する反対運動が起きているのが、周辺の市町村にも非常に多いということです。現実問題として、隣接市町村をもその対象に含めようとするならば、当然そこに明確な基準がなければならないはずでございます。  ところが法案では、いかなる要件に適合していれば、整備計画対象となるのか全く明らかにされていない。たとえば、発電所からの公害などによる影響が及ぶ範囲対象とするというのならば、環境調査をあらかじめやっておいて、明確な基準をつくって、公平な線引きをしなくちゃいけないという、こういう問題が起こるわけでございますが、こういった点は一体どうなっているのか、お伺いしたいと思います。
  86. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 周辺地域の整備法は、公共用施設整備を行なうことによりまして、住民の福祉の向上をはかり、それを通じまして発電施設の設置の円滑化をはかろうということがおもなねらいでございます。こういった目的に即しまして、公共用施設整備を行なうことが、適当な地域の広がりをどう考えるかということにつきましては、発電施設と、社会的、経済的な関連が密接でありまして、発電施設の受け入れによりまして、発電施設またはそれの関連施設等とあわせて整備をはかるというような、こういった意味合いで結びついている地域、こう考えているわけでございます。その意味から申しますと、発電所所在市町村だけでなくて、その所在市町村に隣接する市町村も含めまして、一体的な計画をつくってまいりたい、こう考えておるところでございます。  いまお話の中に、公害等の広がりというものも頭の中に入れる必要があるのではないかという御指摘でございますが、私どもは、公害公害自体としていかにこれを少なくする努力をするかということは、いわば電力事業者の基本的な課題でございまして、その意味におきまして、従来からも低硫黄化の推進であるとか、あるいは排煙脱硫施設整備であるとか、あるいは燃焼方法のくふうであるとか、こういったことを進めてまいっておりますし、また電力会社設備投資内容を見ましても、火力関係設備投資の非常に多くの部分を最近は公害防止投資に充てておる、こういった努力を積み重ねることによって、住民方々の不安の念を少なくしていくということが、先ほどの整備計画とは離れまして、基本的な課題として重要である、こう認識をいたしておるところでございます。   〔委員長退席、理事河本嘉久蔵君着席〕
  87. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから水源地域周辺の生活環境整備する目的で、水源地域対策特別措置法というものが昨年提出されまして、こっちのほうは前国会で成立したわけでございますけれども発電施設周辺地域整備法は継続審議になっております。それで、この前の水源地域対策特別措置法の例にかんがみまして、今回の発電施設周辺地域整備法のほうは、今国会でどのように修正されたのか、それから去年成立した水源地域対策特別措置法の趣旨というものは、この法律によって、いま難航しているところのダム建設に対して、周辺の地域住民生活環境整備して、話し合いの糸口ができるようにという趣旨でありましたけれども、こういう当初の思惑というものがはずれまして、最近でも各地のダム建設反対の動きというものがやまないどころか、ますます強まっていく傾向にあるわけです。全然好転していない。ですから、今回のこの発電施設周辺地域整備法ができたとしても、同じ轍を踏むおそれが多分にあるわけです。このように財政援助さえすれば、水資源開発あるいはこういった電源開発の問題もスムーズにいくんじゃないかと、こういう考え方が基本になっているようでありますけれども、これは私は大きな間違いだと思うんです。こういう前車の轍にかんがみまして、いまこの問題はどのように考えておられるのか。
  88. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) いまお話にございましたように、発電施設周辺地域整備法案は、昨年の国会に提出いたしましたが、継続審議に相なったわけでございます。これは、このような構想が、関係各省にまたがりますものでございますし、また新しい構想でございましたので、事前の調整に時間を要しまして提案がおくれましたことと、当時商工委員会で十五本程度法案をかかえておりました関係で、時間切れになりまして継続審議になったわけでございます。ただ、その後去年の秋以降、御承知のとおり石油危機が到来いたしまして、他方電力の使用制限をするというような事態を迎えたわけでございます。こういった事態を踏まえまして、今後の電力の供給をいかにして安定させるかということが、私どもとしても非常な急務になってまいりましたわけでございます。いま申し上げましたような経過を経まして、前回国会に提案いたしました法案を、次のような点で修正することにいたしたわけでございます。  おもなる修正点といたしましては、対象施設として、水力発電施設を追加したこと、それから特別の場合には、隣接市町村のさらに隣接する市町村についても、整備計画を作成することができる道を開いたこと、また今回の特に新しい点、また重点を置いた点といたしまして、交付金制度を創設をいたしました。これらの点がおもな点でございます。  お話の中に、水源地域整備法、できてもなかなか効果があがっていないのではないかという点でございますが、私ども承知しておりますところでは、昨年十一月十六日公布、本年四月十一日施行ということでございまして、目下、ダムの政令指定について総理府を中心に準備中と伺っております。したがいまして、この法律の効果自体まだ十分に把握できる段階ではないと思いますが、ただ私どもの電気に関連をしましたダム地帯の動きを見ておりますと、それぞれ地元におきまして新しい構想をどう用意するかというような点で、積極的な意見交換が行なわれております。この法律に期待するところが大きいのではないか、こういった印象を受けております。
  89. 多田省吾

    ○多田省吾君 ここで通産政務次官にお尋ねしたいんですが、こういった電源開発を地域住民方々にお願いする場合に、当然、政府は、現在までのエネルギー電力の多消費産業から、エネルギーあるいは電力のいわゆる省資源産業にどのように転換する努力をやっているんだ、こういう基本方針も定めているんだ、ですから、日本の将来のために御協力いただきたいということがなければ、いままでのような多消費産業のままで、しかも、高度経済成長を突っ走るような姿勢を示している田中内閣のもとでは、私はなかなか理解が得られないのじゃないかと、このように思いますけれども、そういう努力をどの程度になさっているんですか。
  90. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) これからももちろん需要がどんどんふえてまいりますので、エネルギーの供給ということに対しましては、重要な問題がございますが、省資源型の産業に構造を切りかえていくというような方針で、エネルギー節約していくというように指導していきたいと思っております。
  91. 多田省吾

    ○多田省吾君 政策の基本方針はきめてないのかどうか。聞くところによりますと、通産省では、電力消費産業の高効率の設備建設とか、節電商品の生産指導とか、国際的な省エネルギー技術開発協力の問題とか、あるいは多消費産業の海外立地促進とか、このような省資源型、省エネルギー型政策を推進するための政策の基本方針をまとめるために具体的な検討を行なっているというようなことをお聞きしているわけでございますが、その作業がどの程度進んでいるのか。
  92. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) ただいま政務次官からお答え申し上げましたとおり、これからの国民生活の向上あるいはそれに必要な産業活動の発展、こういったものを考えますと、やはり、それに相応したようなエネルギー供給の確保ということが必要になってまいります。ただ一方で供給面を考えてみますと、石油をとってみても、あるいは水力をとってみても、それぞれいろいろな問題を持っておりまして、供給の安定性という点について、やはり従来とは違った勉強が必要になっております。さらにまた、先ほど来いろいろお話に出ておりますような、環境面への配慮というようなことも、当然私ども考えていかなければならない要素と思っておるところでございます。こういった意味合いから、これからのエネルギー政策の中で、いかにして省資源、省エネルギーの形へ持っていくかということは、私どもエネルギー政策をいま検討しておる過程で、非常に大きな課題として浮かび上がっておるところでございます。  具体的には、省内でいろいろ研究会をつくって勉強いたしておりますが、方向として考えられておりますことを少し申し上げさしていただきますと、たとえば、省エネルギーのための産業構造転換方向はどうであるか、またエネルギー消費の効率化ないしは使用の合理化、こういった面でのくふうはないか、さらにまた、資源の再利用といったくふうをもっとすべきではないか、こういったことがおもな方向として浮かび上がっております。したがいまして、いま申し上げましたような方向に即して、具体的に技術開発をどう進めていくか、あるいはエネルギー利用の多目的化、あるいは一度使用したエネルギーの再使用の問題、こういったことにつきまして、目下、いろいろの具体策を部内で検討を重ねておる段階でございます。私どもといたしましては、大体いま申し上げましたような諸般の検討をことしの夏ぐらいまでに一とおりまとめるということを目途として、作業を進めておるところでございます。
  93. 多田省吾

    ○多田省吾君 通産省では、昭和六十年の原発の開発規模を、いままで計画してきた六千万キロワットから七千万キロワットに増強する方針を決定したように聞いておりますけれども、従来の六千万キロワットの稲葉試案というものが御破算になるのかどうか、この問題をおととい大蔵大臣にお尋ねしましたところ、まだそういうことは聞いてないと、こういうお話もございました。こういう増強計画はほんとうだとすれば、核燃料の入手見通しのめどが立っているのかどうか。それから温排水の安全性の問題もございますし、こういう狭い日本列島の上に、従来型の臨海地で大容量の発電所の建設可能な平たん地があるのかどうか、あるいは原料搬入の最適地を確保することができるのかどうか、こういった問題がますますこれはたいへんな問題として浮かび上がってくるわけでございますが、この点はどうなんですか。
  94. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 将来の原子力発電計画につきましては、現在総合エネルギー調査会と、それから電気事業審議会におきまして、総合エネルギー政策の観点から、どの程度原子力に期待すべきか、またどの程度立地が可能であるかということを、総合的な角度から検討をいたしておりますので、この結論を得次第、通産省の考え方を明らかにしたいと思っております。
  95. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、六千キロワットから七千万キロワットに増強する方針をきめたということは、まだそういうことはないと、きめてないと、これからの問題であるということですか。
  96. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) その点はまさに御指摘のとおりでございます。私どもは、これからの原子力発電につきまして、一体立地の可能性はどうであるか、またコストはどう動いていくであろうか、燃料の手当てはどうであろうか、各般の面からいろいろの可能性なり、制約要因を詰めておる段階でございます。これらの個々の要素についての検討を終えた段階で、将来の原子力発電の規模なり構想なりというものがまとまりましょうし、それに応じて全体のエネルギー対策における位置づけというものも明らかになってくるだろう、こう考えておるところでございます。まだ七千万というような数字が固まっている事実はございません。
  97. 多田省吾

    ○多田省吾君 それから資源エネルギー庁で、ウラン燃料の自主探鉱とか、あるいは日本型原子炉の日本技術による開発とか、あるいは原発を地下に建設する方向の打診とか、こういった問題を研究されているようですが、その見通しはどうですか。
  98. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) これからの原子力発電に必要なウラン燃料、これをいかにして安定的に確保するかということは、御指摘のとおり、原子力発電にとって非常に大きな課題でございます。全般的な傾向といたしまして、今後の予想いたしています当面近い期間においては、必要な燃料は確保されておるわけでございます。そのさらに後の段階になりますと、やはりある程度逼迫ということは頭の中に置いておかなければならないと思います。その意味におきまして、日本として自主的な開発をいかにして進めていくかということを、私ども一つの課題として取り上げ、また勉強もいたしておるところでございます。すでに幾つかの調査団も派遣をいたしておりますし、また具体的な探鉱開発についても幾つかのプロジェクトについて手がけておるという段階でございまして、でき得ることならば、将来必要とする燃料の三分の一ぐらいは自主開発でまかなうような姿にもっていきたい、こういった願いを持っておるところでございます。
  99. 多田省吾

    ○多田省吾君 次、石油の問題、最後に通産省にお尋ねしますけれども、通産省の見通しによりますと、六月末の石油備蓄量が五十七日分だ。このうち原油備蓄は二千三百四十万キロリットル、二十七・九日分ですか。それから、そうなりますと、石油危機以前の昨年十月末の水準を上回る過去最高の備蓄量となる予定だということで、このまま順調な輸入が続くならば、四十九年度の原油輸入量というものが、政府経済見通しの基礎であるところの二億七千万キロリットルを大幅に上回って、二億九千万キロリットルから三億キロリットルに達するような見通しも立つわけでございますけれども、こういう流動的な国際石油情勢から見て、このような順調な輸入の見通しがほんとうに立つのかどうか、これが第一点。  それからもし三億キロリットルもの輸入が可能とすれば、その外貨支払いの額をどの程度と計算しているのか。  それから第三点は、わが国の適正な石油備蓄量はどの程度とすべきと考えているのか。  この三点をお尋ねしておきたい。
  100. 渡辺全侊

    説明員(渡辺全侊君) まずお尋ねの最初の原油輸入動向の問題でございますが、先生御指摘のとおり、この四月、二千三百八十万キロリッターほど入っております。また五月が二千四百五十、六月もそれとほぼ同数に達するものと見込んでおります。いま御指摘がございましたように、二千四百五十万キロリッターといたしますと、これに十二を掛けますというと、二億九千万強という数字に年間でなるわけでございます。しかしながら、最近までのこの輸入の順調に見えます点につきましては、当面世界の原油の需給がやや緩和傾向であります。また最近までのタンカーフレートが下落傾向にあった。また御承知のように、為替レートにつきましても、最近まで円高で推移をしておるといったような事情があるものと考えられるわけでございますが、これらの点はいずれもきわめて流動的な要素があるわけでございます。七月以降の原油の輸入につきましてはそのような事情で、このまま順調な推移が今後も見込めますかどうですか、私どもとしましては、現在のところはっきり確信を持っては申し上げられない、なお流動的な要素が多々ある、かように考えておるところでございます。  次に、このような原油の輸入量に関連しての、いわば全体としての将来の問題でございますが、いま御説明申し上げましたように、当面この輸入量がかなり流動的でございます。また価格面につきましても、いわゆるメジャーの産油国からの買い戻しの価格、バイバック価格といっておりますが、これがまだ未定であるなど、きわめて変動要因が多うございます。そうした点から、本年間を通じまして、輸入原油に対します外貨の支払いがどの程度になるか、現在のところ的確な予測を立てるといった点につきましては困難であろう、このように考えておるわけでございます。  それから備蓄につきましてのお尋ねでございますが、六月につきましては、いま先生御指摘のとおりでございます。六月末で五七・〇日分になろうかと一応の予測を立てておるわけでございます。この四月末では五二・六日分ということで、いわゆる原油並びに製品、半製品を合わせまして四千三百万キロリッター程度のものが組まれておる、このようなことでございます。  今後わが国といたしまして、どの程度これらの原油あるいは製品、半製品の形で備蓄を保有すべきかどうかといった点につきましては、最近の流動的な諸事情にかんがみまして、検討すべき点が多々ございますが、同時にまた、御承知のように、元来OECD等海外におきましても諸種の考え方がございます。こうした各般の情勢を踏まえまして、目下総合エネルギー調査会におきまして検討を進めておるところでございます。
  101. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすると、現在まだ適正な石油備蓄量はどの程度にすべきかということはきまっていないということですか。きまっていないままに六月末は五十七日分だと、この分でいくと七月末、八月末はもっとふえるだろう、こういうふうな成り行きまかせの考え方で石油備蓄量を考えておられるのですか。
  102. 渡辺全侊

    説明員(渡辺全侊君) 七月以降の原油につきましては、先ほど御説明申し上げましたとおり、まだ確たる見通しが持てないでおる状況でございます。  輸入に伴います原油等の備蓄につきましては、さしあたり、先ほど先生御指摘のとおり、昨年の十月末の水準、絶対量でございますが、これ程度の備蓄になるかと、六月末で予測しておるところでございますが、その後についてはなお予断を許さない状況でございます。  なお、根本的なあり方等につきましては、諸種の変動要因がございますので、今後総合エネルギー調査会等におきまして検討を鋭意早急にいたしたい、このように考えておるわけでございます。
  103. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、自治省と環境庁にお尋ねしたいと思うのですけれども、最近のいわゆる地域住民運動というものが、従来のいわゆる電力会社や地方自治体への反対陳情というワクを乗り越えて、最近では、環境権というものを背景にして、伊達とか豊前の両発電所に対する建設差しとめ請求の訴訟とか、あるいは四国電力における行政不服審査法に基づく異議申し立て、あるいは地元市町村長に対するリコール請求を行なうとか、こういった事態になっており、新しい局面を迎えているわけでございますけれども、こういう非常にきびしい現実、深刻な現実を、環境庁や自治省ではどのように考えておられるのか。
  104. 青木英世

    説明員青木英世君) いま先生からお話がございましたように、工場立地あるいは火力発電その他公共事業の実施等をめぐりまして、住民との間に意見の対立を生じておるということは御指摘のとおりであります。環境庁といたしましては、これらの開発によりまして、人の健康とか、あるいは生活環境に対して悪い影響が出ないように、事前に環境についての影響の評価を十分徹底してやっていただく、こういうようなことで、こういうことを未然に防止していきたい、このように考えておる次第でございます。
  105. 砂子田隆

    説明員(砂子田隆君) ただいまのお話でございますが、福祉優先の考え方が進んでまいりまして、さらに環境問題が深刻化してまいります。それと同時に、国民の権利意識というものがたいへん強くなってまいります昨今におきましては、お話のように住民運動が非常に強力なものになってくるということは、疑いのない事実であろうと思います。これに対しまして行政の側では、その受けとめ方といたしましては、そういう住民運動の根底にあります参加意識というものに着目をし、さらに行政の参加のあり方を解明していくことが非常に重要なことであろうと思います。もちろんその前に、住民生活環境に影響を及ぼすような事業主体というものは、自分たちが生活環境の維持に関して十分に理解が得られるように、常に住民に対する対策をとる必要があろうと思います。ただ従来、市町村なり府県なりにおきましては、広報活動なり、さらには市町村の地区ごとに懇談会等開きまして、公聴につとめておるところではありますが、これらにもなお十分研究をする余地が残されているように思います。ただ、住民参加というものが、単に地域エゴの発言にとどまるということのないようにするためには、さらに学校教育なり社会教育なりの中で、地域における話し合いを進める、住民参加の質の向上につとめるということがたいへん大事であろうと思っております。  最後に、やはり基本的には、環境整備に関します行政というものを強力に進めていって、住民の不安を解消していくということがきわめて大事なことであろうと存じております。
  106. 多田省吾

    ○多田省吾君 自治省にお尋ねしたいのですけれども、今回の電力料金の大幅値上げに伴う一般消費家庭の負担緩和策としまして、一つには、免税点を現行の月額千二百円から二千円に引き上げる、あるいは税率を現行の六%から一%下げて五%とするということに決定されたようで、本年九月から実施されるようでありますけれども、新料金の実施は六月一日で、六月一日より八月末までの三カ月間の免税点と税率はどうなるのか。また現行どおりの税制とすれば、その間の税収、増収見込みはどのくらいか。また、税率を一%引き下げる根拠というものをどう考えた上でなされたのか、この点をお尋ねしておきます。
  107. 中野晟

    説明員(中野晟君) いまお話がございましたように、今回の電気料金の改定に伴いまして、電気税負担の軽減をはかるということから、自治省といたしまして、いまお話がございましたように、免税点を千二百円から二千円に引き上げますとともに、税率を六%から五%に引き下げる、そういう方向で今後政府部内におきまして調査をいたしまして、できるだけ早い機会に法案を提案したいと考えておるわけであります。  そこで、それまでの間の税率と免税点はどうなるかという御質問でございます。これは、税率につきましてはそれまでの六%、免税点につきましては、今国会においてすでに改正されたわけでございまして、千二百円ということになるわけでございます。  それまでの間、かりに免税点の引き上げ、税率の引き下げを九月一日から実施するといたしました場合におきまして、それまでの間電気料金が上がりましたなら、どれだけ増収になるかということでございますが、約百億ぐらいというふうに実は考えておるわけでございます。ただ一般家庭用の電灯分について考えますと、自治省の案のとおりに、免税点の引き上げ、税率の引き下げを実施した場合におきまして、平年度ベースでは、電灯分につきましてはむしろ持ち出し減税というかっこうに実はなるわけでございます。したがいまして、かりに九月実施の場合でございましても、本年度の増収分のほとんどは消費者に還元されることになるのではなかろうかというように考えておるわけでございます。  それからもう一点、税率の引き下げの問題でございますが、免税点の引き上げだけでなくて、税率につきましても一%引き下げる方針といたしましたのは、今回の電気料金の値上げが非常に大幅でございますし、かつ九電力会社一斉の値上げでございます。そういうようなことから、免税点以上の世帯につきましても、税負担を緩和する必要があるというふうに考えたことによるものでございます。
  108. 多田省吾

    ○多田省吾君 もう一点、自治省にお尋ねしたいのですけれども、もしガス料金なんかが値上げされた場合は、電気税同様ガス税も大幅な減税が必要と考えますけれども、これはどのように予定されておりますか。今後、電気ガス税は全部撤廃していくという方向で考えておられるのか、あるいは免税点は大幅に引き上げるけれども撤廃はしない、こういう考え方に立っているのか。私は、やはり一般標準消費家庭なんかはもう全部免税にすべきだと、このように思いますけれども、これはどのようにお考えですか。
  109. 中野晟

    説明員(中野晟君) ガス税の問題でございますが、近く、ガス事業者の大半を占めます大手のガスでございますが、値上げを申請するやに聞いておるわけでございます。その値上げが実施されまして、また値上げ幅が大幅な場合には、税負担の軽減、合理化につきまして検討いたしたいというふうに考えておるわけでございます。  それからあとの問題でございますが、電気税、ガス税は、電気とガスの消費に担税力を見出しまして課税しようとするものでございます。所得課税の補完税としての役割りを持っておりまして、普遍性に富んで、市町村の有力な税源に実はなっておるわけでございます。こういうことから、これを廃止することは困難だと実は考えておるわけでございます。ただ大衆負担とならないように、免税点制度によりましてできるだけ零細負担を排除する、そういう方向で考えてまいりたいと思います。
  110. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、大蔵大臣にお尋ねをして終わりたいと思いますけれども、いろいろいま聞いておりますと、こういう電源開発三法ということを考えますと、まず第一に、こういう田中内閣のもとでは、田中総理自体が、これからの経済成長につきましても、欧米諸国を上回るプラスアルファの成長を見込まなければならないとか、あるいは口では省資源産業構造転換するんだと言っておりますけれども、通産省の御説明聞いても、なかなかはっきりした基本方針というものがまだきまっていないようにも思いますし、またもう一点、結局この電源開発促進二法というものが、財源を調達して、地域住民方々に若干のメリットを与えるとはいっても、結局、公害とか、あるいは原発の安全性というものを考えた場合に、まだまだ監督権の基本政策というものが確立していないような、こういうことから、ますますこういう電源開発促進二法に対する反対運動というものが強く巻き起こるわけです。   〔理事河本嘉久蔵君退席、委員長着席〕 こういった公害安全性ということを最重点に考えない電源開発促進二法というものが、かえって害毒を地域住民に与えるような気すらするわけです。大臣としてこのような点、いま申し上げたような三点について、前向きにほんとうに考えておられるのかどうか、この点をひとつ最後にお伺いしておきたいと思います。
  111. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほども申し上げましたが、いま地域社会で電源、発電所をつくることに対しまして拒否反応を示す、それはなぜかと申しますと、一つ安全性の問題がある。それから一つは、いま御指摘の公害その他環境との調和、そういうものについて不満を持つ、こういうことなんであります。そこで、そういう険路を打開いたしまして、緊切な要望となっておる発電所、特に原子力発電所を急速に進めたい、こういう考えをとっておるわけであります。  そこで、安全性の問題につきましては、これは国の基本にかかわる問題でありますので別途強力に進めますが、地域社会との調和融合という問題につきましては、これはただいま御提案をいたしております法律によって、これは全部がこれで処置できるとは考えませんけれども、まあかなりの部分が処理できる、こういうふうに考えておるわけであります。なお経済政策全体として環境公害、そういう問題にこれから特に配意しなきゃならぬと、この点につきましては私も同感でございます。  これからの経済の運営というものは、まず何といっても資源がどういうふうに入ってくるかということについて的確な見当をつけなきゃならぬ、それからなお、こういう狂乱といわれるような物価の状態、これを再びかもし出すようなことがあっては断じて相ならぬ、また国際収支、これについて内外の信用を博するという状態を確保しておかなければならない。そういう問題と同時に、いま御指摘の公害だとか、自然環境との調整とか、そういう問題、そういうことを広範に考えての経済政策ということになると、いままでの成長一本やりの考え方、こういうことにつきましては、これはもう根本的な転換を必要とする、そういうふうに考えており、田中首相も、これからの経済は安定成長じゃなけりゃならぬと、こういうふうに言っておる、こういうふうに御理解願います。
  112. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いま大臣が、問題点として、安全性と、それから環境との調和という二つの点を大きく取り上げられたわけですけれども安全性に対する費用、あるいは環境との調和を確保するための費用、これは考え方として整理をしてまいりますと、それぞれ原因者である企業が一義的に負担をすべきものというふうに普通考えてきたと、いま、税の議論をするわけですけれども、この安全対策に関する費用あるいは環境との調和にかかわる費用というのは、実は税に求めるんではなくて、それ以前の問題として、それぞれ発電所を設置する者が負担をし、そのコストの中に妥当な限り入っていくという筋合いのものではないんだろうかと思いますけれども
  113. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 安全性の基本的原理とか、そういうような非常な基礎的な問題につきましては、これは国が調査し、またこれを開発していくと、こういうことになるわけでありまして、費用負担は国であります。それからそういう国の研究開発と並行いたしまして、企業発電所を設置する、その企業発電所に直接つながる部門は、これは企業負担でとり行なう、こういうことになるわけであります。この二つは、今回提案を申し上げている税並びに特別会計による支出とは関係はありません。それで関係がありますのは、そういう発電所を設置いたした結果、環境破壊するとか、そういうものに対する施策でありますとかあるいは温水について、これは会社が対処するということが大部分でありましょうが、あるいは地域社会そのものが何らかのことをしなけりゃならぬというような部面があるいは出てくるかもしらぬと、そういうようなものに対処するとか、そういうようなことでありまして、直接の公害対策、これはまあ会社負担をする、それから非常に基本的な問題の研究開発、これは国が負担する、それからそれらに関連いたしまして、発電所の設置とつながりを持ちながら、何らかの形で公害問題が発生するという際に、この税による収入財源として、その対策を講ずるということもまたあり得ると、こういうことであります。
  114. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 何となくよくわからないんでございますけれども、ただ奥歯にはさまった言い方になる背景もわかる気がします。実は環境との調和ではなくて、環境に対するかさ上げなんです。前回大臣にお伺いしたことばをそのままおかりをすれば、色をつけた、それはそれでわかる気がします、一つの当面の対処としては。ただ色をつけたことによってはみ出す部分をどうしておいでになるのかを実はこれからお伺いしたいと思うのですけれども、いろいろ公共用施設を周辺につくっていきたい、整備計画は都道府県知事がおつくりなさい、こうなるわけですけれども、これが一般財源でやる場合には、主としてこれを管掌するのは自治省であり、もちろん大蔵省であるということになるんでしょう。ところが、これは目的税で入ってくるものですから、主たる官庁は、大蔵はもちろんとして通産省という組み立て方に変わってくるわけです。このことのよしあし、たくさんあちらこちらにつくって、それぞれ色をつけていく、かさ上げをしていくということになると、そういった形での地方自治への介入――介入ということばの適否は別にしまして、それを通産が主務官庁として入ってくるということがいいんだろうか悪いんだろうかという不安を片方に持ちながら、しかし考えてみると、地方自治体が計画するいろんな地域整備計画について、通産がこう入りながら、そのかかる費用というのは企業負担させる、税で。税でかかるもんですから、これは価格転嫁についてたいへん説明がしやすい。この仕組みがころがり始めますと、便利ですから、今後活用されていきはすまいか、その意味で、この手の、これは税調にもかけないような異例な取り組みであることはさいぜん大臣がおっしゃるとおりでございますけれども、この手のやり方というのは今後広げて活用するおつもりはございませんか。
  115. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これは前回もるる申し上げたんですが、とにかく目的税を設置すること、また特別会計をつくること、こういうことは、これは非常に異例のことでございまして、これを前例とするというようなことは考えませんです。
  116. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで、重ねて大臣に承りたいのですけれども、前例とはしないことわかります。そのときに、前例としない歯どめをどこに求めておいでになりますか。
  117. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) それは政府、特に大蔵省が中心になって考えているもう長い財政原則です。つまり財政は総合的にこれを管理しなきゃならぬ、したがって、目的税というものは、これは排除しなきゃならぬ、また特別会計をみだりに設置すべからず、こういうこと、これはもう歯どめも何も、そう要る問題じゃないんです。財政の大原則である。そういうことで、政府がその姿勢さえくずすことがなければそのまま実行されていく、こういうふうに御理解願います。
  118. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 その大原則は重々承知しているのですけれども、大原則を踏まえながら、こういう案が出てまいりますと、これはたいへんことばが適切でないかもしれませんけれども、こうなったら断固として反対運動を起こさせなければ損をするじゃないかという気が、実は中を見ながら、してしかたがないのです。そのときの歯どめを一体どこに置かれますかということになると、なかなかむずかしいのじゃないか。ただ、いまおっしゃった総合的にということに関連して、その色をつけたことによってはみ出した問題の一つとして、別な角度からお聞きしたいのは、午前中にも、きょう参考人の御意見を伺ったのですが、片方でそういう立地対策を打たなきゃいかぬ、といって特定地域に対する特定対策というのは、従来の税制あるいは税の配分ということからいってなかなかなじまない、これもだめ、あれもだめ、これもだめという消去法で考えていくと、結局これもまた新しい仕組みとして考えざるを得ないのではないでしょうか。たいへん苦しい角度から説明をされておられました。その意味で、実は今回こういったものができてきたというのも、税制の仕組みなり、税の配分なりというものが、特定地域に対して重点施策がなかなか行なえない政治諸環境があるんじゃないか。したがって、そこを含めて今後直していく、もっと平たく言いますと、たとえば地方交付税なら交付税でけっこうですけれども、そういったものを画一的でなくて、重点的にこの地方には交付税を配分する、他の地方には、あなたのほうと違うんだと納得を求めるというような仕組みを中に織り込んでいくことも必要なんではないのか。そういったものがもし可能になれば、今回のものは例外として、これからは一般財源の配分の中で十分消化ができるんだということが言えるし、大臣が言われた、大蔵省は総合的に見てまいりましたということばも、ことばどおりに受けとめられるのではないでしょうか。その意味で、地方交付税の各地方に対する交付のしかたについても、見直しを同時に始めていかないと歯どめがきかないと思うのですが、いかがでしょうか。
  119. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 交付税には、一般交付税と特別交付税とありまして、一般のほうは、一般的な基準がありまして、これは平均的にやる、それから特別交付税のほうは、それで救い切れない、たとえば災害でありますとか、そういう事情を考慮して各市町村に配分する、こういう仕組みになっておるわけです。それで、ある程度地域社会でのいろんな特別の案件の処理というものが進むんです。しかし、それも程度問題でありまして、やはりこのごろ非常に緊切な、いま国家的要求になっておる原子力発電所の設置、しかも、それには相当手厚い対策が必要である、こういうことになりますると、どうも地方交付税の領域だけでは解決されない、そういうところから特別交付税の機能、そういうものを乗り越えた何かの施策を必要とする、そういうことから今回の発想になったと、こういうふうに御理解願います。
  120. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまの御説明で少しわかりかねましたので、もう一度お伺いするんですけれども、その特別交付税の機能の中で、実は電源立地するところについて特別対策を講ずるということもやってできないことではなかったんじゃないのか。おそらくいま御指摘の点というのは、特別交付税といってもまるまる見るわけじゃない、今回の御提案はまるがかえ、全部交付金でまかなう、こういう基本的な違いがあるんですけれども、おそらくそこのところでなかなか交付税じゃいかないんだという御説明なのかもしれません。しかし、思い切って言えば、まるまる見たってかまわないんではないんでしょうか、そういう幅を特別交付税の運用の中につくっていけば。今回の法案について、電力のようにストックもきかない、輸入もできない、しかも、その確保が、国家的大事であるものについては特別の措置が必要だという御説明ですが、別にそのようなことをしなくても、特別交付税の運用の中で機動的に消化ができるんじゃないか、重ねてお尋ねしたいと思います。
  121. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まず、特別交付税と申しましても、その財源、原資をどうするかと、こういう問題があるわけです。ところが、特別交付税は、交付税の中の一部をさいて、そうして一般と別除して運用をすると、こういうことであります。そこで、財源としては限られたものである。ところが、いまは非常に国家的に緊要な目的になっておる発電所の設置、特に原子力発電所の設置を進めようという際には、やはり特別の財源を用意しておいたほうがいい、こういう考え方から今回の税を創設し、そうしてそれを目的税とする、こういうことにいたしたわけであります。そういう一つ財源をひとつ確保しておく、安定的な財源をととのえておくと、こういう目的一つあるわけであります。  それから、今度は支出の面になりますと、これは交付税でありますれば、何としてもこれは地方自治体の自主的な財源、そういうものでありまするから、これはいかようにも使用し得る。そういうことになりますが、これは今回の税を使用する。これはどこまでも国家的目的ですね。つまり緊切な発電所の設置、これにまつわる対策として使用するわけで、いわば交付金とはいうものの、実際上は補助金的な使命を持っておる、そういう性格のものであるということです。この両面から見て、どうも交付税の機能の中ではこれをこなし切れないんじゃないか、こういうことから特別の措置を発想するということになったと、かように御了承願います。
  122. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いろいろむずかしい状況になっておるということは言外ににじんでまいりますので、よくわかるんですけれども、ただ私、気になりますのは、きょう参考人としておいでいただいたこれは福島県の人でした。本来、因果関係がない公共施設の建設にこんな予算つけるくらいだから、よっぽど原子力発電は危険なんだと。これは皮肉な見方じゃなくて、そうと見られるわけです。だから、国家的目的よくわかるんですけれども、今回の法案についてたいへん遺憾であることだけは申し上げておきたいと思います。  最後に、二点だけ確認の意味で伺います。  最初の一点ですけれども、これは今回キロワットアワー当たり八十五円たったと思います――をきめた算出過程というのは、いろいろ――多少の出入りはあったとしても、経済社会基本計画を下敷きにして計算をされたというように伺っております。今日まで権威のある閣議決定の将来計画はこれしかないわけですから、それもまた事務方の仕事としてはやむを得ないであろうという気がします。片方では、前回も大臣がここでお答えになりましたように、経済社会基本計画が想定している九・四%という伸び率は、それはとても無理である、特に昨年末の石油危機以来とても無理であろうと言うのは、われわれの胸に食い込むわけですけれども、そうであればあるほど、事務方の作業はとにかく前の下敷きに従ってどんどん進んでいく。片方大きな政策になると、それはそれでまた見直すということになると、じゃ一体どちらを見、どちらを足がかりにして考えて議論していったらいいんだろうか、実はこんな混迷も、将来の電力需給にからんでなかなかコンセンサスが出てこない理由なんではないかと思うわけです。そういった意味でも、この将来計画の見直しというのは、急ぐ必要があるんじゃないか。再々いろんなところでお伺いしていることではございますけれども、あらためてこの点だけ伺いながら質問を終わります。
  123. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 今回の税率の決定は、経済社会基本計画、これと関係はございませんです。なお、いかにしてああいう税率をつくったかということは、主税局長のほうからお答え申し上げます。
  124. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 税率は、実はこの場合には、むしろ逆算的にきまってきたということを申し上げたほうが正確であると思います。いま通産省で考えておられる電源開発の全体の計画を頭に置きまして、そしてその中で、火力、水力、原子力というものにどう振り分けていくかという点については、今後若干こういう燃料事情との関連で変わっていく、それからまた全体の量も変わっていくことがあり得ると思います。思いますが、それは一面におきましては、むしろこの種の交付金をより必要とするところの――総体は減りましても、この種の交付金を必要とするところの原子力発電、火力発電のほうにウエートが置かれていくことになりますから、非常にいまのところ流動的でございますので、正確な見通しは立てがたいわけでございますけれども、ほぼ平年度現行ベースで三百億ぐらいなところでいけば、まずまずいけるであろうという見通しから出ておるわけでございまして、それを現行の販売電気量との関係で、むしろ八十五円という金額を算定したものでございます。  そこで、三百億という額が、これが適当かどうかということになりますと、今度は交付金の所要額の算定見込み額ということで御説明をしなければならぬわけでございますので、その点につきましては、主計局のほうから説明をいたします。
  125. 辻敬一

    政府委員(辻敬一君) 平年度で約三百億と見込んだわけでございますが、これは電源開発計画の見通しなり、公共施設の建設に要する経費の見積もりなどを想定いたしまして算定いたしたものでございます。内訳といたしましては、電源立地の促進対策の交付金を約二百四十億円、原子力発電安全対策等の交付金を約十億円と見込みまして、そのほかに予備費等を約五十億円を加えまして、合計いたしまして約三百億円を見込んだわけでございます。
  126. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 本論については別途質問することにいたしまして、関係のない問題で申しわけないですが、米価問題について大臣の見解をひとつお聞かせ願いたいと思います。  自民党の米価対策本部等を通じまして、最近、大幅に引き上げなくちゃいけない、こういうことを盛んに宣伝をされておりますが、今回の国民春闘といわれた労働者の賃上げは、おおむね三〇%見当をいっておるわけですね。それで、大体要求額とその実行額、これを比較をいたしますと、割合でもって私の理解では八五%見当いっているわけですね。ですから、大体米価につきましても、大幅引き上げというのは、その辺を土台にして大臣のほうもお考えになっておられるのか、どの辺を一体めどにしてやるのか、明確なものをいま数字すぐに回答するということにはならぬでしょうが、いろいろと財政当局として検討されておるでしょうから、その辺の見解もしございましたら、まずお伺いしておきます。
  127. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) もう米価シーズンになりますので、大蔵省といたしましても、米価についても勉強は始めております。まだ農林省と接触はいたしておりませんです。これは何%アップになるかという点につきましては申し上げかねるのでありますが、結局これは、米価の算定にはその方式がある、生産費所得補償方式であります。これによりますれば、物材の価格の高騰要因というものも取り入れられる、また都市賃金の上昇、これも取り入れられる、こういうことになるのですが、やっぱり基本的な考え方といたしましては、その方式を堅持する。そうしてそれに当てはめる諸資料ですね、これはとにかく最も米価決定に近い時期までの資料を見きわめて、これを適用する、こういうことにすべきである、そういう基本的考え方であります。その数値につきましてまだ結果をつかんでおりませんので、それがいかなる数値になるかということにつきましてはお答えいたしかねます。さような段階でございます。
  128. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 まあ各種検討中ということですが、確かに米価の試算方式は、生産費所得補償方式、その土台になる、たとえば農用資材、農機具、あるいは労賃、こういったものはやっぱり軒並み上がっておるわけですね。だから、資料を整備すればするほど私は、当然――農協の場合には一万六千七百四円、こういうことをいっているわけですから、その満額までいかなくても、相当やはり物価の各種の資材値上がりその他を勘案いたしますと、ことに生産費所得補償方式ですから、それに見合う一つの米価を確定していくということになると思います。ですから、いまかりに国民春闘で各労働者が取った割合でいけば、その八五%としても、額そのもので一万三千円見当、私の試算でいうと、いくというかっこうになりますね。従来のものが一万円ちょっとですから、大体六十キロ当たり二万何がしと、そういうことになっていくでしょう。そうしますと、大体国際輸入品の農産物その他と比較いたしますと、これはコストとしては、それでも私はいまのところは安いのではないか。だから、国際的に見ても、あるいは国内における農用資材、農機具その他労賃一切含めて、そうして計算をしましても、全く八五%以上見当の要求額に対する回答を与えなければ、いまの農民も理解はしないでしょうし、政府方向としましても、大幅とは言えないのではないか、この辺の詰め作業が、私は非常に段階としては大事なところではないだろうか、こういうふうに考えますが、大体時期的に、いろいろ資料検討が財政当局として、まあ総理等は何か衆議院の農林水産委員会で一定の回答を出しておるようでありますが、非常に農民としては、いまの経済動向からいって、早期にという希望が実はあるわけですね。ですから、そういう問題についても加味をして政府は検討すべきではないかと思うのですけれども、その辺の見解はどうでしょうか。
  129. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) まだ農林省と打ち合わせてはおりませんけれども、大蔵省の見るところでは、生産費所得補償方式に当てはめるいろいろな資料、これが七月の上旬でしょうかね、その辺にならぬと捕捉しがたいのではないか、そんなような感じがいたしておるのであります。その捕捉ができ次第検討を始める、こういうことが妥当じゃないか、そうしてなるべく早目に決定する、こういうふうにいたしたいものだというふうに考えております。
  130. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 あと二点ぐらいで終わりますから。  一つは、追加払いの問題ですけれども、当初農協では二百九十四円ということできめたようですけれども、大会等で修正されまして二千円、そういうことですが、これは春闘の中で同様に、社会的弱者といいますか、経済的弱者といいますか、そういう人たちに対して政府自体が当面のインフレ手当といいますか、そういう底上げのために一人当たり二千円見当総額百三十億、こういうことで支出を当初確定した時期があったんです。その後いろいろな情勢変化に伴って国会等を通じましておおむね、私も積算しておりませんが年金のスライドその他総体として見ますと五百億をこえるんじゃないかと思うんですね。いま農村の生活実態というものは、大臣も御存じのように農外収入がもう五〇%をオーバーしているんですね。本来の農業収入そのものというものはもう五〇%を割っている。だから、農家の家計をささえている台所というものは農外収入、出かせぎその他ですね。しかし、それも家計に回るのはごく、割合にして三%程度である。あとは機械購入、月賦販売、飼料、その他全部そっちへ行っちゃうんですね。そういうことですから、まさに私は、この五百四十万の全国の農家の、専業農家等を除いた以外の兼業農家、これは第一種第二種を含めまして、八五%見当あるわけでありますけれども、このやっぱり層というものは、まさに社会的には経済的弱者と私は言えるんじゃないだろうか、そうだとするならば、やはり同じようにそういうインフレ手当的なそれに見合う追加払い、あるいは年金のスライド、こういうものに該当する、そういうものを考慮してもいいのではないかと思うんですけれども、これは大臣の見解はどうでしょうか。
  131. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 農家であろうとあるいは中小企業の方でありましょうと、つとめ人の方でありましようと、いわゆる社会弱者、これに相当するものに対しましては、これは社会保障的な考え方のもとに弱者対策の対象とする、こういうことでありまして、その中で農家だけ引き出して特別に処置をしなけりゃならぬという理由はないのじゃあるまいか、そういうふうに考えております。いずれにいたしましてもまあ昨年も米価は相当上げておる、その上げた生産者米価によりまして、米の収買はすでにもう完了しておるわけであります。それに対しまして追加払いを行なうという考え方はとるべからざるものである、かように考えております。
  132. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 この生産者米価を上げれば、必然的に消費者米価引き上げになる等々のうわさがあるわけですね。これはいまの食管法からいって、二重価格制度をとってるわけですから、法律的にはそういうことは考えられないんじゃないだろうか。しかし財政上、まあかりに一億三千万俵くらいでしょう、政府が今回の買い上げをする俵数は。かりにそれが私の見積もり試算等で引き上がっていくとすれば七千億ちょっとこえる総額、食管繰り入れと、こういうことになってくるわけですけれども、そういった面の財政上、金はどうでしょうか、財政上ですね。大臣考えてその辺あまり無理ではないというようなお考えでしょうか、いやそれは無理だよという、その辺ひとつ聞かしてください。
  133. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 消費者米価、生産者米価は、これはもう独立して考うべきものじゃないと思うのです。基本的にはこれは相関連して考うべきものである。それは一つは、この財政、いま戸田さん御指摘の財政上の問題があるわけです。いまどのくらいの財政が許容できるかというお話でございますが、これは財政全体の中で一体どのくらいの補給ができるかと、こういう問題でありますので、米価の問題だけの立場から、幾らまでは許容できるんだと、こういうことはただいまお答えいたしがたいわけであります。  もう一つ、しかし問題はあるのです。かりに財政上許容されるような生産者米価、消費者米価の乖離が出たと、こういう場合におきまして、一体それでその食管制度がはたして維持できるのかどうかと、こういう問題がその乖離現象から起こってくるわけであります。その場合のことを考えなきゃならぬ。つまり、政府が売り渡したその米がまた政府に逆流してくる、こういう現象が顕著に起こってくるという事態になると、これは食管制度そのものが持ち切れないです。そういう二つのことを考えながら、どうしても生産者米価と消費者米価、これは相関連して考えなきゃならぬ、そういうふうに見ておるわけです。ただ消費者米価の考え方をどうするかということは、なお一般経済状態、つまりその消費者米価をどうするかということによって、いま非常に重要な問題であるこのインフレ問題とどういうふうに調整されるかと、こういうふうな角度のことも考えて、そのときどきの処置をきめなけりゃならぬ、こういうふうに思います。
  134. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  135. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 速記起こして。  辻委員に申し上げますが、先ほど理事会の協議の結果、参考人に対する資料要求ですが、当委員会としてはとりませんので、辻委員個人の立場からひとつお願いします。  本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時四十九分散会