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1974-05-28 第72回国会 参議院 大蔵委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十八日(火曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      柴田  栄君     矢野  登君      小谷  守君     村田 秀三君  五月十七日     辞任         補欠選任      矢野  登君     柴田  栄君      村田 秀三君     小谷  守君  五月二十日     辞任         補欠選任      辻  一彦君     杉原 一雄君     茜ケ久保重光君     小柳  勇君      戸田 菊雄君     上田  哲君  五月二十一日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     渡辺一太郎君      藤田 正明君     松平 勇雄君      嶋崎  均君     安田 隆明君  五月二十二日     辞任         補欠選任      渡辺一太郎君     桧垣徳太郎君      松平 勇雄君     藤田 正明君      安田 隆明君     嶋崎  均君      杉原 一雄君     辻  一彦君      小柳  勇君    茜ケ久保重光君      上田  哲君     戸田 菊雄君  五月二十八日     辞任         補欠選任      辻  一彦君     田中  一君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 河本嘉久蔵君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 嶋崎  均君                 桧垣徳太郎君                茜ケ久保重光君                 小谷  守君                 辻  一彦君                 戸田 菊雄君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    政府委員        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房審        議官       岩瀬 義郎君        大蔵省主計局次        長        辻  敬一君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省国際金融        局長       松川 道哉君        通商産業政務次        官        楠  正俊君    事務局側        常任委告会専門        員        杉本 金馬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○電源開発促進税法案内閣提出衆議院送付) ○電源開発促進対策特別会計法案内閣提出、衆  議院送付) ○参考人出席要求に関する件     —————————————
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  理事補欠選任についておはかりいたします。  委員異動に伴い、現在理事が一名欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じます。御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事藤田正明君を指名いたします。     —————————————
  4. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案。  以上二法案を便宜一括して議題といたします。政府から趣旨説明を聴取いたします。福田大蔵大臣
  5. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま議題となりました電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案につきまして、提案理由及びその概要を御説明申し上げます。  電気安定的供給の確保が国民生活経済活動にとつできわめて重要であることは申すまでもないところであります。  政府は、最近における電力需給の逼迫の状況に早急に対処するため、発電所等周辺地域における公共用施設整備をはかること等を通じてその設置を積極的に進めたいと考えております。  今回、この施策費用に充てるため、新たに一般電気事業者販売電気に対して電源開発促進税を課税するとともに、これを財源として行なう電源開発促進対策一般会計と区分して経理するため、特別会計設置することとし、ここに、これらの法律案提出することといたした次第であります。  まず、電源開発促進税法案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、課税範囲等につきましては、一般電気事業者納税義務者とし、その供給した電気及びみずから使用した電気課税物件とし、これらの販売電気に対して電源開発促進税を課することといたしております。  第二に、税率につきましては、販売電気千キロワット時にっき八十五円とすることといたしております。  第三に、その納付につきましては、毎月、その月中における販売電気電力量電源開発促進税額等を、その翌月末日までに申告し、申告期限内にその税額を納付することといたしております。  また、納税地は、一般電気事業者本店所在地とするほか、開廃業届け出等所要規定を設けることにいたしております。  この法律施行期日は、昭和四十九年十月一日とし、供給した電気につきましては、十一月一日以後に料金の支払いを受ける権利が確保されるものから、みずから使用した電気につきましては、同日以後に計量されるものから、それぞれ適用することにいたしております。     —————————————  次に、電源開発促進対策特別会計法案につきまして、その概要を御説明申し上げます。  第一に、電源開発促進税収入財源として行のう電源開発促進対策経理につきましては、これを明確にするため、特別会計設置して一般会計と区分することとしております。  第二に、この特別会計において経理する対象を・明確にするため、電源開発促進対策として、発電用施設周辺地域整備法に基づく地方公共団体に対する交付金交付及び発電所等周辺地域における安全対策その他の発電所等設置円滑化に資するための財政上の措置を定めるとともに、この特別会計は、内閣総理大臣大蔵大臣及び通商産業大臣が管理することといたしております。  第三に、この特別会計の歳入は、電源開発促進税収入その他の収入とし、歳出は、地方公共団体に対する交付金及び安全対策等のための財政上の措置に要する費用事務取り扱い費等とすることといたしております。  また、その他この特別会計予算及び決算の作成及び提出並びに一時借入金の借り入れ等この会計経理に関し必要な事項を定めるとともに、国税収納金整理資金に関する法律その他につきまして所要規定整備を行のうことといたしております。  以上が、電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案提案理由及び概要であります。  何とぞ、御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  6. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  7. 辻一彦

    辻一彦君 電源関係税法二法について若干の質問を行ないたいと思います。私は、きょう予定としては、大蔵大臣基本的な考えを幾つか伺って、あと発電所問題の具体的な問題を科学技術庁を呼んで伺おうと、こう思ったんでありますが、日程がいろいろ組まれましたので、それはまた別の機会にして、ここでは若干大蔵当局に二、三の質問を行ないたいと思います。あと時間が残ると思いますから、これはうちの成瀬委員のほうから質問したいと思います。  まず第一に、大蔵大臣にお伺いいたしたいと思います。それは、この税法につきまして、国民税調税制調査会の代表の方も、いろいろ意見を述べられた機会がありますが、非常に消極的であると思いますが、不満の中身を持っておられた、こういうように私発言を伺っておるんであります。なぜ消極的なのか、その理由というものについてまずお伺いいたしたいと思います。
  8. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 御指摘のように、本法につきましては、税制調査会に付議しておりません。それは、予算編成は、御承知のように、もう秋口から始められておる。そしてもう大体のかっこうは十一月ごろには固まってくるわけでございます。そういうかっこうの中で、政府部内のいわゆる予算折衝というのが、暮れに押し迫りましてから行なわれる、こういうことになるわけであります。その間、十一月の末に、あの石油ショックというものが起こっておるわけであります。それで、ずうっと前から進められた作業の時点におきましては、石油ショックというものを予想しなかった。そこで、電源開発必要性というものにつきましては、まあ必要であることは認めながらも、その緊要性についての認識はさほどではなかったわけでありますが、石油ショックが起きた、それ以後におきましては、これはもうたいへんだと、特に原子力発電整備に、これは重点を早急に置いた施策を進めなきゃならぬ。こういうことになりまして、十二月の下旬、政府間の予算折衝過程におきまして、そういう考え方を具現するために、電源開発促進税構想というものが打ち出されたわけであります。とにかく毎晩、毎晩徹夜をしてやっていると、そういうさなかの動きでございますので、税制調査会にはかるいとまがなかった。これはまことに私は遺憾なことと思いまして、こういうようなことは今後なからしめるように配慮したいと思いますが、さようないきさつのもとに発想され立案された、そういうものであると、したがって、常でありますれば、税制調査会に御意見を聞かなければならないというたてまえのものありまするが、そのいとまがなく、政府独自で決定した。これは前例といたしませんから、何とぞひとつ御理解のほどをお願い申し上げます。
  9. 辻一彦

    辻一彦君 いとまがなかったと、忙しいときであったと、こういう御答弁ですが、この二法は、この税法としては国会会期末に田中内閣の重要な法案一つになっておりますね。総理本法の成立に強い指示を行なったと、こういうことも私は聞いております。それほどの大事な税法であるならば、やはり私は国民税調に正式にかけて審議をはかられるべき性格のものでなかったかと、忙しいからそこを省略したというようなことは、前例にしないとは言いながらも、ちょっと私は筋が通りにくい話ではないか、こう思いますが、重ねてこの二法の作成過程に問題がないのか、こういう点についていま一度お伺いいたしたい。
  10. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 税調にはかりませんでしたことにつきましておとがめを受けますと、これは何とも申しわけないんです。いきさつはただいま申し上げたような次第でございますが、しかし、政府の方針がきまったときには、税調の幹部の方にも御連絡はとるというような措置はとっておりまするけれども、いずれにいたしましても、正式の税調にこれを付議しなかったということにつきましては、これは異例中の異例であります。そう心得まして今後は慎みたい、かように考えております。
  11. 辻一彦

    辻一彦君 間例としないということを再度確約されたわけでありますから、これはこれから守っていただけると思います。会期末にこれだけ大事だと言われるならば、私は、そういう筋をずっと通すことが大事じゃないかと思います。  そこで、税法の体系からいって、大蔵当局はかねがねこういう目的税はなるべく避けるようにすると、こういうことをしばしば言明されておるはずでありますが、この中身は、私はやはりそういう意味の、いままでなるべく避けたいと言われる中身でなかろうかと、こう思うわけでありますが、その点についての御見解をちょっと詳しくお願いいたします。
  12. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 財政は、これはその財源を総合的に管理し、また歳出は総合的にこれが配分を行なう。こういうことが基本でありまして、またそうなければならないと私自身も考えております。ただ、それだけでやっていけるかどうか、そういう基本的な考え方だけでやっていけるかというと、そういうわけにもまいらぬ事情もあるわけであります。たとえば非常に取り急いでやらなけりゃならぬ事業、それにつきましては、総合的に見て、この財源を配分するというたてまえによらないで、特定財源として、その目的のために特定財源を充当すると、こういうような考え方、たとえば過去におきましては、道路整備は緊急の課題である。そのためには一般財源ということでなくって、特別の財源を設定し、それを特別にその目的のために留保するという考え方がとられ、現に、道路整備、強力に進行されておる、こういうことになっておりますが、私は、この電源開発という問題は、これはあるいは辻さんと多少意見が違うかもしれませんけれども、非常に緊迫した問題である。ことに、これからのわが国石油需要また産油国わが国に対する石油供給ということについての展望をしてみるときに、わが国といたしましては、主として石油に依存するというエネルギー体制、これが転換をはからなければならない。その転換先としての代替エネルギー源というものは、これは多種多様なことが考えられまするけれども、ここ十年、二十年、今世紀ぐらいの間はこれはどうしても原子力発電にこれを依存しなけりゃならぬ、こういう緊急な課題に当面しておるわけであります。私どもは、今回の石油ショックによりまして、その感を非常に深うするというような状態でございまするが、そういう緊急な事態に対処するため、一般財政原則総合管理という、そういう一般財政原則では、機動的にこの問題に対処できない、こういうふうに考えまして、これも財政的には異例なことでありまするけれども、あえて御審議をお願いするということにいたしたと、かような次第でございます。
  13. 辻一彦

    辻一彦君 どうも財政的にもいろんな面で異例ずくめが続くようでありますが、もう一つ、この特別会計という形ですね、これのあり方についてはどうお考えか、これも関連しますからひとつ伺っておきたいと思います。
  14. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ただいま申し上げましたように、国の財政は、これは総合的にこれを管理する、これが原則である。しかし、そういう原則ばかりでいき得ませんので、ただいま四十一の特別会計が設けられておるわけでありまするが、そのほうが、国家財政管理の上から合理的であるというようなものにつきまして、特別に経理を分離、処理する、こういうことをいたさなければならぬようなこともあるわけであります。今回の電源開発促進税、これを目的税とし、そして一方においてこれを財源として発電周辺市町村地方団体等に対しまして交付金等支出を行なう。これは密着不可分関係もあり、つまり財源支出の間に密着不可分関係もあり、原子力発電をはじめ電源開発を強力に推進するというためには、これは一般会計から分離してこれを経理するということが、この電源開発促進税というものを目的税としたその趣旨に合致するゆえんのものである、かように考えまして、これも一般原則に対する例外ということでありまするけれども特別会計設置するということにいたした次第であります。
  15. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、大体この目的税それから特別会計あるいは税調問題等一つ異例対策であると、こういう御答弁でありますね。そこで私は、ちょっと違った側面からこの税のあり方ということについて、大臣の御所見を伺いたいと、こう思うんです。それは私も、今後のエネルギー電力の必要なこと、そのためには電源開発が大事だということを否定するわけではございません。しかし、本法において、この電源開発をはかるというのは、私は、政策として少しゆがみがあるんじゃないかというように思うわけです。  と申しますのは、若干私の体験といいますか、こういうことを申し上げておきたいと思うんですが、それは、昭和四十六年に福井県——大臣も先ごろ若狭湾に行かれたということでありますが、この若狭湾大飯という町があります。人口もそう多くない小さな町ですが、ここに関西電力原子力発電所誘致するかいなかで町がまつ二つに四十六年に割れました。そうして当時の町長リコールを受けて、八割の署名が集まってリコールされたわけなんですね。そういうことが四十六年にあって、そうして当時は、誘致反対町長が立候補して当選をした。しかし、企業側、県からの働きかけ、それから貧弱な地方自治体財政といいますか、あるいは僻地住民が、道路や橋がどうしてもほしいという、こういう声によって、はしなくもリコールをやった結果が、逆に誘致へと変化をしてきたと、こういう歴史があります。そこで私は、このときこういう声を聞いたのですね。それは、大飯町の端に大島という半島があります。この大島地区というのは、いま関西電力大飯発電所が建設中でありますが、その住民の声として、これは役場があります本郷という町から十キロ弱くらい離れております。これは険しい山を越えなくちゃそこに行けない。それから小浜という町がありますが、これも海路−船を利用しなくては行けない。そういう意味で、この地区住民というものが、交通的にも文化的にも、いわゆる地方文化から遮断されていると、こういう状況にあったわけですね。そこで、その僻地で、ある年とった老人がこういうことを言ったということを私は聞いたんです。それは、原子力発電というのは、安全についても問題があるようだ、ほんとう心配ないならば、都市の近くにつくればいいんだが、こういうところに持ってくるということは、万が一ということを考えれば、やはり問題があるということでないかと、しかし、その年寄りは、たとえ放射能が幾らか出て、それによって自分の寿命が十年、二十年縮まったとしても、りっぱな道や橋ができるならば、そこほうがいいと。というのは、役場のある町に、何十年山を越えて腰をかがめて出ると、十年や二十年寿命はそれだけでも縮まると、こういうわけですね。だから、同じ寿命が縮まるならば、この発電所がくることによって、いい道と大きな橋ができれば、そのほうかいいと、こういう声が実際としてあった声なんですね。私は、僻地に住んでいる人々の切実な声というのは、実は地方文化から遮断されている実態というのは、これがそのままの姿ではないかと思うわけです。  そこで、これを拡大したのが、人口がある程度横ばいか、減っていくというおころの貧弱な地方自治体町村のやはり考え方といいますか、市町村の姿は、やはりこういうことでないだろうかと、こういうふうに思うんですね。というのは、確かに安全の点、環境の点で問題があると、しかし、国が安全というなら、責任は国が持ってくれるだろうと、そこで、問題があって、貧弱な地方財政に何らか救いになり、プラスになるならば、そういうことはおいても誘致をしたいと、これが非常に貧弱な町村の、自治体の偽らざる声でないかと、こういうように私は思うんですね。  そこで、今度の電源三法、あるいは税法の二法というものは、こういう住民弱みといいますか、あるいは地方自治体の非常に貧弱な財政をさか手にとった税法ではないだろうか、こういう感じが私はするんですね。この貧弱な市町村財政ということは、もっとほかの政策によって国が解決すべきものでないのか。それを非常に不十分にしておいて、こういう住民や、あるいは貧弱な町村弱みをさか手にとったようなやり方というものは、政策としてやはりゆがんだものでないだろうかと、こういうように私は思うんですね。  そこで、福田大蔵大臣にお伺いいたしたいんだが、貧弱な地方自治体財政をどうするかと、こういうことを踏まえて、日本を動かされる大蔵大臣として、こういう僻地のこういう声、こういう問題をどうするかということを踏まえて、私は、今度の税法についての考え方、それから地方自治の貧弱な状況に対する考え方、これを大蔵大臣からお伺いいたしたい、こう思うわけであります。
  16. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 辻さんからお話がありましたように、こういう問題の処理は、一般会計でこれは絶対にできないというわけでもないんです。ですから私どもは、昭和四十九年度の予算編成過程におきましても、この構想を取り上げるという前におきましては、この発電所周辺市町村環境整備、それにつきまして、一般財源からのある種の支出ということも考えたわけであります。しかし、石油ショックが起こってくる、これはなかなかたいへんなことだ、これは一般財源で、他の地方市町村にも気がねをしながら、特定市町村だけに配慮するというようなことではこれはいかぬ。そこで、発電所周辺整備、これを一方においてはやる、それを有効に働かせるという意味におきまして、目的税を創設して、これを特別に経理する、こういう構想をとったわけなんです。そういうことで、これはある程度のことは一般財源で、一般会計でもできまするけれども、これをほんとうに強力に推進するということになると、やはり機動的な仕組みをつくったほうがいいだろう、こういうふん切りをいたしたわけなんです。で、申し上げるまでもございませんけれども、いま原子力発電所その他電源開発ということが国  の焦眉の大問題になっておる。にもかかわらず、それが立地問題のゆえんに進まない、そういうゆえんのものは何だと、こういうと、安全性の問題と、また発電所受け入れ地域社会抵抗と、こういうことにある。安全性の問題は、これは国の受け持つ基本の問題でありまするから、政府責任を持ってこれを担当いたしますが、しかし、発電所受け入れ自治団体、そういうもの、そういうところでなぜ発電所設置抵抗を感ずるかということにつきましては、これはやはりいろいろあります。環境を乱すとか、いろいろある。そういうことにつきまして政府十分おこたえをしなけりゃならぬ、そういうふうに考えるわけであります。なお進んでは、環境整備のみならず、さらに地域社会を、発電所が来てよかったなと言われるくらいな地域社会整備、これにも貢献するという姿勢をとったならば、私は、発電所整備を阻害する二つ要因の中の一つ要因である地域社会抵抗の問題、この問題は大きく改善されるであろう、こういうふうに考えておるのです。いま札でほっぺたをひっぱたくようなやり方だというような意味お話でございますが、そういうことは考えておるわけじゃないのです。とにかく発電所焦眉の急である。ですから、その受け入れ地域団体で、その受け入れについて地域社会としての心配があるならば、それは解消いたしましょう、なお進んで、地域社会が、発電所ができてこんなによくなってよかったなという感触まで持っていただけるようにいたしたい、こういう考えでございます。
  17. 辻一彦

    辻一彦君 こういう問題は、先輩の委員が専門的にいろいろ御論議があると思いますから、私はこれ以上は深くは入りませんが、どうもいろんな動き感じが、いま申し上げたような実感がしてならないので、この点はひとつ頭に十分入れておいて、ほんとう意味地方自治体、貧弱な町村をどうやっていくのか、こういうことをぜひ真剣に考えていただきたい、こう思います。  で、いま大臣も、第一が安全、第二が地域の問題こういうお話でありましたが、昨年以来、石油危機といまお話のいわれる中で、それに端を発して、原子力発電というものが非常にクローズアップされてきた。ある面では、ちょっと便乗的な、業界の中には、便乗と員われてもいいんだからこの際に、こういう声を率直に私は新聞紙上等でも見ることもありますが、便乗的なそういう空気の中で、ある面では私は、暴走的に進められる懸念があると思うのです。そこで、金を出せば、原子力についての国民や住民のコンセンサス、こういうものが得られるのではないということ、これはいま御答弁の中にもありましたから、十分御認識であろうと思いますが、何か金を出すことによってコンセンサスが得られるのだというような考え方が広範にあるのではないかという気がいたします。で、国民の原子力に対するコンセンサス、合意というものをつくっていくには、何といっても安全と環境に対する対策をきっちりと、しっかりやるということが私は第一だと思うのですが、ともすると、いまのような便乗的空気の中で、開発暴走のきらいが私はあるのではないか、こういう点で、安全や環境を軽視しているようなことが、かりそめにもあってはならないと、こう思いますが、この点についてもう一度ひとつ大臣の御見解を確認しておきたいと思います。
  18. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 政府におきましては、エネルギーの需給につきましては非常に厚い配慮というか、慎重を期しておるわけであります。そこで、いまでも地域によりましては、渇水といいますか、そういう時期になりますと、あるいは節電までしなければならぬかなという危険のあるところもあるわけであります。そういう現在の状態に重ねまして、何と申しましても将来は、これは国民経済の規模も大きくなる、それにつれまして、エネルギーの需要量というものも拡大されていくわけでございます。で、需給にギャップができましたというその際に、発電所をつくるというのが、これはもうつくりかけですぐ間に合うというものでありますれば、それはそう何もあわてる必要はないのでございますけれども、とにかく発電所建設にかかってから数年を要する、そういうものでありますので、よほど先の需給状態というものを見通し、その上に立って、早目に計画を進めなければならぬ、こういう状態にあるわけであります。エネルギーの需給につきましては、慎重の上にも慎重にこれを見通し、専門家等の御意見、こういうものも聞き、そうして発電所整備計画、こういうものをきめるわけであります。各企業が自分の立場で発電所を設けるというようなことにつきましては、これは私はそういう心配はない。政府で全体の国の需給の中から、どのにどの電力会社がどういう発電所設置すべきかということを、総合的に精細に調査いたしまして、そして結論を出す、そういう仕組みになっておりますので、この際便乗してということにつきましては、私は、御心配をわずらわすようなことはないのじゃあるまいか、さように考えております。
  19. 辻一彦

    辻一彦君 最後にもう一つお伺いします。  これはちょっと具体的な内容になりますが、これは電気事業会が置いていった説明書でありますが、この中に、電源開発促進対策特別会計法案というものが出されて、その中身が説明してありますが、一つは、電源立地促進対策交付金と、これはまあわかります。それから第二に、原子力発電安全対策等交付金と、こういうものが出ております。これはいま配付された特別会計の中にも出ております。ところが、その第三として、原子炉安全性研究費補助金と、こう出ておるんですね。これはカッコして、四十九年度はゼロ円となっているんです。だから四十九年度は、この特別会計案の中にもないということは事実ですが、しかし私は、この項目があるのじゃないか。その中にこう書いてあるんですね。「動燃事業団等が行う原子炉の安全性の研究に要する費用の一部または全部を補助する。」と、こうありますね。これは私は、要綱等を見ても、ちょっと中身がこれはわからないんでありますが、もしこういう要綱が、ことばがあるのかどうか、なければそれでいいし、あればひとつお伺いしたいと思います。
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) そのお示しの書類私見ておりませんけれども、これは何か作成者のほうで誤解があるんじゃないかと思います。国のほうで安全問題の基本的なことにつきましては、これは責任を持ってやるわけです。  ただ、当該発電所に直接連なる周辺の問題というようなものにつきましては、これはこの特別会計または促進法、こういうものが関与すると、こういうことでございます。
  21. 辻一彦

    辻一彦君 その答弁ならばいいと思うんですね。これは間違いかもわかりませんが、もしこういうものが何か残っているとすれば、これはもういま御答弁のとおり、性格が全く私は違うと思うんです。動燃等でこの安全性の研究に使う経費は、当然国の一般会計から、あるいはしかるべきところからちゃんと支出をして、安全対策はしっかりやるべきでありますから、これはもしもあるとすれば、間違いだと思いますが、いまの御答弁を聞いて、それを確認すれば問題はないと思いますが、これはこれとして、政府における本格的な安全対策ということは、これはもう当然大きく取り上げてやっていただく、これはもう当然であろうと思いますから、この点は確認できればいいと思います。  私は、いろんなお伺いしたいことがありますが、きょう税法だけに限られておりますから、これで終わることにします。
  22. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大きく問題点を整理をしますと、目的税というものが、今回初めて名実ともに出てきたという点が一点。こういう大問題が税調にもはかられずに提案をされたということも、異例中の異例の処置だと思います。それから三つ目は、特別会計というものと、予算との関係で、予算総則その他の関係上どうだということについては、しばしば議論が繰り返されたことでございますから、特別会計の問題については、私はきょうここで短い時間でございますから、議論は重複したくない。ずいぶんいままでやっておりますから、やりたいとは思いませんが、一体大蔵省は、目的税を設けるというふうに方針を変えたのか。いままでは、目的税というものはやらなかった、否定的なのが私は大蔵省の態度だと思う。なぜここで目的税を創設するということに方針を転換してきたのか。これは、いやそうじゃないよ、特別とん税を見てください、あるいは道路税なり地方道路譲与税等があって、形式的なものがいまでもあるじやないか、こうおっしゃるかもしれないが、これとそれは違います。御案内のとおり今度のものは、税でいただいた金は、そのものずばり交付税とは別に切り離して、周辺の市町村に配分されるわけですから。特別とん税は、御案内のとおり、交付税に繰り入れて配分されております。道路税は地方道路譲与税に基づいて配分されるわけです。したがって、従来ある税とは全く違って、初めて実質的な目的税というものがここに顔を出した。だから大蔵省は、全く新しい方針を出してきたという認識で、この法律案を見ているわけです。その点に関しての所見をいただきたい。
  23. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 大蔵省は一貫いたしまして、財政は歳入歳出とも総合的にこれを管理する。これを基本方針といたしましております。ただ基本方針ばかりで対処できないというものについて、例外的に目的税だとか、あるいは特別会計だとか、そういう処理をするというふうに考えて・おるわけでございますが、今回、発電所整備につきまして目的税を設定する、なおその経理特別会計をもって行なうと、こういうふうにいたしましたわけでございます。これは大蔵省の長くとっております財政総合管理主義、これをいささかも変える考えで出たのじゃないんです。例外中の例外と、こういうことでございます。
  24. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大体、出てくるときは、大臣異例中の異例とか、例外中の例外というのが速記録にしばしば出てくるわけです。ところがいつぞや知らぬうちに、その異例中の異例がそうでなくなってみたり、そういうところが非常に問題になるんですから、私は目的税、それは他国で目的税やっていますところもあるんですからね、ですが、なぜこれだけは目的税で「ねばならない」か、目的税で「ねばならない」という、それじゃ逆に言えば、理屈がございましょうか。ただ火力、エネルギーというものは非常に大事なもので、これはもうだれでも必要だということはわかるわけです。不可欠なものです、国民生活に。ところが、それをやっていくときに、公害等の問題が出てきて、地域住民からどうにもならぬという反対等が出てくるから、地域住民のそういうものに対して、何かこう一つの説得材料にしようじゃないかという考え方のように受け取れるわけであります。なるほどみんなが恩典を受けておる、電力という一つエネルギーの恩典を受けておるとすれば、みんながこういう、何というんですか、利益を受けておるんだから、そこで地域の人たちにそれを見てあげようという、そういう考え方というものは私どもわからぬわけじゃない。ところが、そういうテクニックのことで、私は言うんじゃなくて、目的税ということなんですね、税、抽象的に目的税がいいか悪いかという議論なんです、ここで一へんやっておかなくちゃならぬ議論は。ですから、目的税にせねばならないという、そのことはどうだと。このものを目的税にせなければならないという、その理由と、それからもう一つは、一般目的税と、その他の税の問題とあると思うのです、これは。  そこで、まあちょっと特定をして、電源開発と申しますか電源開発だけに限って目的税にせなければならないという理由はどういうところにありますか。
  25. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お話のように、これは財政一般原則から申しまして電源開発促進税を設定する、その収入一般会計にこれを受け入れる、そしてその歳出の処理におきましては一般会計の中で、その一般支出の配分の一つの問題としてこれを処理すると、こういう行き方もあり得ると思います。これが財政総合管理原則である、こういうふうに思いますが、ただ、この税を設定するというのは、どういう目的で設定するんだと、こういいますと、まあ石油問題以来、発電所整備が緊急の課題になってきておる、こういうことから発想されたものなんです。でありますので、一般財源としてこれを受け入れ、そして一般支出の中の配分としてこれを支出をするという形をとりまするときには、この発電所周辺の諸問題を適実に処理するというための財源としては、これは安定した財源というふうにならない。やっぱり特定の安定した財源をそういう目的のために使う、こういうことからその税自体が発想されたと。したがって、これをそういう仕組みにする。つまり税、収入となるところの税は、これはこの目的をきめる、また同時に、これを使って支出する。その支出は、発電所周辺整備と、こういうふうに目的をきめる。こういうことによって、いま非常にエネルギーの重要な段階でありますので、それに対処し得るのじゃないか、そういうことでございますが、まあ一般の方式でやってやれないことは実はないんです。ないけれどもほんとうにこの時局の要請にこたえるためにどういうふうに機動的、弾力的に措置できるかというと、この仕組み、これが最善であると、こういうふうな考え方をとったわけであります。
  26. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 主税局長に伺いますが、技術的なことですから、技術的というか、要するに諸外国で何かこういうような例はございましょうか。
  27. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) アメリカでは、空港、それから航空路の整備計画に充てるために、空港及び航空路信託基金というものをつくりまして、それに繰り入れるものとして、アメリカに一般的にございます小売り業者消費税のうちの、商業として航空機をやっている、いわゆる航空会社でない、非商業航空機用の燃料にかかる航空機燃料税的なもの、それを信託基金に繰り入れるという制度がございます。それから通行税、出国税、航空便貨物税、航空機利用税といういろいろな名前の税を設けまして、これをいまの信託基金に繰り入れるということをやっております。それから製造者消費税のうちの、航空機に使用されたガソリン及びタイヤ、チューブに該当するものについて、同じようにこの基金に入れるということをやっております。  それから西ドイツでは、道路整備資金を調達する方法といたしまして、日本のガソリン税に非常に近いものでございますが、鉱油税という税がございますが、これが道路建設資金に充てるための目的税としてつくられております。  これはまたちょっと変わった形でございますが、フランスでは、従業員訓練のための財源、これは文献その他では必ずしも明確でございませんが、従業員訓練のための財源ということで、ことばは、これも訳語があまり適当ではございませんが、いわば徒弟税というようなことで私も訳しておりますが、そういう制度がございます。  いま申し上げましたようなことで、必ずしも各国にないわけではございませんが、そう一般的に各国ともやっているわけではない。やはり諸外国の場合でもかなり特例的であるということがいえるかと思います。
  28. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 大臣のお答えと申しますか、御意見伺っておりますと、石油危機に発して非常に異常なんだから、異常な措置をとったよというようなところへ、何かこう石油危機のほうへ持っていかれる。それはそういうこともわからぬわけじゃないわけです。ところが、税体系自体からいったときに、目的税の是非というものの議論も考えなくちゃならぬ。それから今後のこの電源開発に関しての促進税をつくらねばならぬという理屈は、何か石油危機の異常事態だったから異常でやった。非常に過渡的と申しましょうか、一時的と申しましょうか、石油危機が去っていけば、またそれはなくしてもいいような、そういう応急手当て的な一時的現象でしたというものなら、一時的な時限立法にしたって、私は差しつかえないものだろうというふうにも受け取れるわけです。ですから、どうも話を、私のほうも時間がなくて、いろいろと整理してやるといいのですが、何かこう一時現象と申しますか、突発事態に対しての臨時的な応急措置というのが一番大きな理由になっておるようにうかがえるわけです。しかし、税体系自体からいえば、そういうことは許されぬ問題だと私は思う。もしそういうことがあるとするなら、やむにやまれず、ほんとう目的税はいけないんだ、やらないんだ、しかし一どうにもならぬからやるというんなら、時限立法ということも私は考えられてしかるべきじゃなかったかと思いますが、その辺についてはどういうふうな御見解をお持ちですか。
  29. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは非常に石油問題以来、原子力発電の重要性というものがクローズアップされてきた。これに緊急に対処しなければならぬというための、まあ端的に言ってこれは異例措置でございます。ただ、この異例措置が、時限的な性格のものであってしかるべきかというと、そうでないと思うんです。つまり、これからのエネルギーわが国エネルギー需給を展望いたしますと、これはやはり原子力発電を、代替エネルギー源として求めなきゃならぬ、こういうことになる。しかも、これを急速に整備しませんと、わが国エネルギー需給の安全を期し得ない、こういう状態にあるわけなんです。まあ、大体今世紀中は、展望といたしまして、今日の石油エネルギー、次いでこれに代替する原子力エネルギー、その両者にかわるところの強力なエネルギー源というものは想像できません。そういうような中で、わが国がどういう措置をとらなきゃならぬかというと、おのずから明らかになってくると思うんです。やはりエネルギー、この原子力発電を急速に整備しなきゃならぬ、こういうことになるだろうと思います。そういう意味におきまして、これは性格的には時限的な性格であってしかるべきだと思うんです。しかしながら、その時限というものは、通例の時限じゃない。二年、三年で、あるいは四年、五年でその期限が到来する、任務が到達されましたという性格なものじゃなくて、大体今世紀中ぐらいは、これはとにかく精力的に原子力発電を中心とした電源開発というものを進めなきゃならぬ、これが実情かと思うのであります。
  30. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これは、エネルギー源を、エネルギーを確保するということは非常に必要だという、大事なことだとおっしゃったのはよくわかりますし、とするなら、国策としてどうだという国の一つの大方針というものが出てきて、その中での予算と申しましょうか、そういうもののやり方というものが考えられる。おっしゃるようにエネルギーは非常に大切で、二十一世紀への展望で言えば、どうなるかというようなことについては、若干大臣とも意見を同じくするようなところがあるわけなんですが、しかし、だからといって、目的税だというふうには少し飛躍しておられる。  それからもう一つは、確かにそういう危険をこ・うむるような地域の人たちに——他は受益者がおるわけですね。その受益したものが、被害をこうむると申しましょうか、たとえば道路ができまして、新幹線ができて騒音だということになると、高架下の人たちは非常にお気の毒なんです。これは運賃でそういうものをカバーするというやり方もありましょうが、全くみんなが利益を得ておるわけであります。そうすると、被害をこうむる人と、全く利益を受ける人と、そのものに対してはこれからこういうようなことをやるぞよということになってくると、たとえば飛行機の問題もございましょう。いろんな問題があると思います、これから新しい問題として。そういう考え方が発想としてあると、そういうものがすべて目的税で解決されていくというようなことになりやしないかどうか。いろんなことがちょっとでも考えられるわけなんです。ですから私は、イージーにどうも、エネルギー危機だったんだから、電源開発を促進するためには地元の協力を得なくちゃならぬから、まあこれでひとつどうだというような、非常にイージーな考え方でこの税法が出てこやしなかったのか。他への波及度だとか、それから今後こういうものがどういうふうに位置づけられて、そして関連をしてくるかというようなことについて、いま少しく私は一まあそれは、大蔵省としては十分検討されたと思いますけれども、こういうような問題については、ある程度時間をかけて税調等で十分議論をされて、そしてここに提案をされてくるというのが順序じゃなかったかと思うわけでありますけれども、そこで重ねて、くどいようですが、目的税を新しくつくったぞと、その顔出しはこれでやったんだというだけじゃ、どうも大臣、私たちは納得できないんですよ。もっと、  「ねはならぬ」という、心を打つものか——新しい税をつくるんですから。私は、会社特別税は、これは与野党が一致してやった法律なんですから、これはいいと思いますよ、いろいろなことで。ところが、合意を得ずに目的税が初めて創設されるということは、どうも納得のできないことなんです。しかも、それは税調にはからずに出てきた、重ねて御答弁をいただくことになると思いますけれども、あまり私も時間がございませんので、この問題についてはまた三十日にもう少し明確な御答弁をいただくことにいたします。  若干、他の問題に触れて恐縮でございますけれども、過般の、これは大蔵委員会でフリートーキングのときに出ました問題について、ちょっと大臣に申し上げて御答弁を伺っておきたい。  その第一は、預金の目減り対策というものがございます。そこで、一世帯について百万円くらいをひとつ特別な、ボーナス預金みたようなああいう特別預金をやってみたらどうだと。もう一つは、退職金の一部でございますが、一部を、目減りしないためにある一定の限度まで退職金を預金させてみたらどうだろう、これも目減り対策の特別金利にしたらどうだというのが一つ。  それから二つ目は、消費者金融というものを、民間都市銀行等が進めておりますけれども、いま少しあっていいじゃないか、その柱は住宅ローンじゃないだろうか。その住宅ローンも各行がいろいろやっておりますが、そうでなくて、一定額というものを各行が出しあって、そうして窓口を一本にして住宅ローンのワクをいろいろとふやしていったらどうだ、いま大体住宅ローンを聞いてみますと、総需要抑制の中でございますから、そうふやすということはいけないかもしれませんけれども、返してもらった額を銀行が精一ぱい貸しておるというのが大体実態のようでございますから、それをいま少しくふやすためにそういうことが考えられないだろうかという意見がございます。  それから三つめは、これはあまり議論がございませんでしたけれども、実は、銀行の持ち株でございます。大臣も、私、新聞か何かでちらっと見た記憶がございますが、五%か一〇%になっておりますが、この一〇%はアメリカ等では禁止しておりますが、これをある程度減らさなくてはならないというような意見ですか何かを大臣は出しておられたのを聞いておったんですが、特に非常に銀行が一〇%を、企業であろうと、銀行が銀行の株を持つということですが、特に銀行が地方銀行なり相銀その他の株を持つことがいいか悪いかと言えば、私はそういうことはよくないと思いますから、特に銀行の持み株の中で、銀行が銀行の株を持つというようなことはやめたらいいじゃないかと思いますが、この三つの点について簡単でけっこうでございますからお答え願いたいと思います。
  31. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 目減り対策、これは第一の御質問でございますが、これに対する一般的見解は、しばしば申し上げておりますとおり、心情的には私も目減り対策の論者の言うことはよくわかります。わかりますけれども、この考え方を具体化するということになりますと、これはたいへんいろんなバランス上の問題がありましてなかなかふん切りができません。やっぱり私は最善の対策は何だといえば、インフレを一日も早く断ち切ること、それ以外に有効適切な対策というものはない、これまで思っております。  そこで、退職金の一部だけについて特別な考え方はできないか、こういうわけでありますが、これは突然のお話なんで、私も整理した考えじゃございませんけれども、退職金といえども、それに手厚い利子処遇をすると、こういうことになりますれば、その一体財源をどうする、こういう問題があると思うんです。これは普通銀行が負担すると、こういうことになるのじゃないか。これを国の一般財源でという考え方はなかなかむずかしかろう。そこで、金融機関が負担するということになる。そうすると、それは回り回って一般の預金者並びに一般の貸し出しを受ける、そういう人の負担となってつながっていくと、こういうことになり、特に、退職金の一部といえばそう多額のものじゃないと思いまするけれども、理論的には貸し出し金利の引き上げと、こういうことになってくる、実際問題とするとそういうふうになってくるだろうと思うんです。ですから、理論的に見ましても、なかなかこれはいろいろ議論のあるところでありますが、なお、成瀬委員お話でありますので考えさせていただくと、かように考えます。  それから消費者金融の中で、住宅ローンを重視すべしという考えを出されておりますが、私はこれは同感なんです。しかし、いま総需要抑制政策をとっておる。この住宅の建設が非常に盛んになる、こういうことになりますと、これは景気一般にかなりの刺激になってくる。そこで住宅ローンにつきましては控え目にやっております。しかし、これは特別のものであるというので、特別な配慮をなしながらも控え目にやっていると、こういうことでありますが、当面総需要抑制政策、したがって、金融引き締め政策を緩和するという考え方は私は持っておりませんけれども、しかし、いずれの日にか、今日のような厳重な引き締め体制ということをとることが必要でない、そういう時期がくるであろうと、こういうふうに考えておるのですが、そういう段階におきましては、私は、住宅ローン、これなんかはまず第一段階に緩和を配慮すべき問題であると、そういうふうに考えておるんです。その住宅ローンを各銀行で出し合って一括してやるかどうか。これは銀行間でそっちのほうが便利であるのかないのか、その銀行間の話し合いにまかしておけばいい問題と思いますが、いずれにいたしましても、住宅という対策、これは非常に重要視を私としてはしておるんです。それで、緩和の時期、そういう方向が出されるという際には、とにかく初発列車、そういうような考えで対処したいと、かように考えます。
  32. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 持ち株はどうですか、銀行の。
  33. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) なお、銀行の持ち株についての私の所見が何か報ぜられたというお話でございますが、これはそういうことはないんです。何か新聞で私もちらっと見ましたが、田中首相が一〇%を五%に下げたらどうだというような話をしたというのが載っておった、そういう記憶はありますが、私はこれについて所見も述べたことはございません。これは銀行、金融機関がいかにあるべきかという、その広範な問題があるわけなんです。そういう問題の一環としてこれはよく考えてみたいと、かように考えます。
  34. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 資料を若干要求しておきたいと思うんですが、委員長、あとでこれは、ぜひあさっての日に間に合うように出してもらいたいと思うんですが、一つは、四十年度以降の電力の需給見通しですね。これをいろいろ内容を検討しますと、五十二年までの見通しもあるようですから、五十年、五十一年、五十二年の三年間はこれはまさに見通しでけっこうです。それから今日までのやつは実績で出ると思いますから、これをひとつ出していただきたい。  もう一つは、電源開発調整審議会答申内容。これはおそらく原発設置は全国的に二十一ヵ所申請になっておると私は記憶しておるのですが、その内容等も含まっておると思いますが、答申の内容を見ればおおむねわかると思いますから、その内容をひとつ提示を願いたい。  それからもう一つは、課税物件の中で、ことに販売電気電力量等の問題についてどの程度あるのですか、とれも内容をこまかくひとつ提示を願いたいと思います。  それからもう一つは、定額電灯について平均使用量等については政令決定、こうなっておりますね。その政令の内容をひとつ御提示願いたい。  それからもう一つは、この促進税の取り立てた税金を使うことは、これは目的ではっきりしているわけですが、その中に、立地対策を積極的にする財源とする、こういう一項があるのです。その具体的な内容についてひとつ資料を御提示願いたい。これが一つ。  もう一つは、電源立地促進対策交付金及び原子力発電安全対策等交付金等々に分かれて地方公共団体にいく、こういうことになっているのですが、その内容について、個所的に、額的に、全部予想されるものがあるのでしょうから、その資料を御提示を願いたい。  それからもう一つは、「発電用施設の設置円滑化に資するための財政上の措置」、これは政令決定となっていますね、これは特別会計法のほうですけれども、その政令をひとつ御提示願いたいと思うのです。  それからもう一つは、「安全対策のための財政上の措置」に関する費用、これも政令事項になっているのですね、これもひとつ御提示願いたい。  それからもう一つは、国の補助の割合の特例及び発電用施設設置、これはいままでの規定なんですが、この規定内容をひとつ御提示願いたい。  それからもう一つは、電源立地促進対策交付金、これは前にお話したやつですけれども、一定の資料は出ているのですけれども、ばくたるものでは困るのですね。だから、電源立地促進対策交付金の中で八十一億八千八百万、こういうことのトータルが出ておりますが、この内訳がほしいのです。そういう意味で前段の資料をひとつ御提示願いたい。以上です。  以上の資料をひとつ、委員長はかっていただきたい。
  35. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 戸田委員の御提出要求の資料についてよろしいですか。
  36. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 御趣旨に沿うようにできるだけすみやかに作成いたします。
  37. 戸田菊雄

    戸田菊雄君 できればあしたの午前中ぐらいまでに。
  38. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 全部あしたぢゅうにできるかどうかわかりませんが、整っているものもございますし、すみやかに出すようにいたしたいと思います。
  39. 多田省吾

    ○多田省吾君 大蔵大臣に、電源開発促進税についての質問の前に、一つ二つ税制についてお尋ねしたいのです。  一つは、六月からいよいよ四十九年度税調が始まるわけでございますが、当委員会におきましても、たびたび大蔵大臣や東畑税調会長は、勤労性所得と資産性所得のアンバランス、不公正をなくするために、分離課税を廃止して総合課税にしたい、利子所得についても、あるいは土地の譲渡所得についても、このようにおっしゃっておられますけれども、ただ田中総理は、結局土地の譲渡所得の分離課税を廃止すると、土地を売らなくなるとか、土地の値段が加算されて上がるとか、そういうことをおっしゃって、非常に消極的な態度のように見受けられるわけでございます。  また、この前、「税務弘報」六月号というところに、主税局長が対談されておりますけれども、土地のほうは早くやらなければいけないけれども、利子・配当の源泉選択制をやめるということは、現実的に無記名預金なんかもあるんで、非常に技術的に困難だというような意見を述べられておるわけです。  また、最近の報道を見ますと、何となく問題が、昭和五十年度からではなしに、五十一年度あたりから分離課税をなくするような後退した報道がなされているわけでございまして、私は、やはり政府も、税調というものがあるのですから、税調が主体的になって、こういった非常にアンバランスな分離課税の問題は早く、利子・配当についても、土地の譲渡所得についても分離課税を廃止して、やはり総合課税に向かうべきである、このように思いますけれども大蔵大臣はこの問題をどのようにお考えになりますか。
  40. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 土地や利子・配当の分離課税、これが税法一般原則から見て非常に大きな例外規定である、これは私もよく承知しております。そこで、しかしながら現実問題として、これをどういうふうに処理するかというと、これを直ちにもう一般の総合原則に戻るのかというと、これはまあいろいろ問題があるだろうと思うんです。土地につきましては、これは今度成立いたしました国土利用法、この運用が一体どうなるか、その運用とあわせて土地政策がどういうふうに合理的に遂行されるかというようなこととも微妙にからみ合う、そういう性格のものだろうと思うんです。土地利用計画がどういうふうに動くか、そういうような点もよく踏まえながら税調でも検討いたしていただきたい、かように考えます。  それからこの利子・配当の問題でございますが、これも一般原則に対する重大な例外でありますが、他方において自己資本の充実を急がなければならぬ、いま先進諸国では見られないような自己資本比率というわが国の状態、それから依然として蓄積、預金が大事であると、こういうような国家的要請、そういうものとの調整、それを十分考えなきゃならぬ問題であります。これはやや技術的な問題をいろいろ含みますが、そういう諸点を踏まえまして、一般原則の例外であるこの分離課税、これをどうするか、これも慎重に税制調査会で御検討願いたい、かように考えております。
  41. 多田省吾

    ○多田省吾君 大臣お話を聞いておりますと、土地の譲渡所得の問題につきましては、国土利用法案も通ったので、その運用とにらみ合わせて税調で検討してもらいたいというお話でございますが、具体的に時期ですね、このままいきますと、もし間に合わなくなると、結局五十年度一ぱいこのままでいって、そして五十一年度から分離課税をなくするようにもとられますけれどもほんとうに積極的にやれば、あの制度は四十九年度でやめてしまって、五十年度初めから一年早めて分離課税をなくするということも可能なわけでございますが、大臣はどっちのほうをお考えになっておられますか。
  42. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) いまのこの分離課税いずれも五十年末まで続くと、こういうことになっておるわけです。その五十年末まで続く税法を、時限が切れたその後をどうするかということに相なる、こういうふうに考えておるわけであります。いずれにいたしましても、もうそういう時限が迫っておるわけでありまするから、早急に検討を始めなければならぬ、御趣旨はよくわかりまするけれども、そういう段取りにいたしたい、かように考えます。
  43. 多田省吾

    ○多田省吾君 当委員会でも、東畑会長なんかもそうですけれども大蔵大臣も、私の聞いたことが間違いであれば申しわけありませんが、一年早めて、できれば五十一年から土地の譲渡所得の分離課税なんかは廃止したいというような御答弁を承ったように聞いておりますけれども、そういうことはないんですか。
  44. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) ですから、鋭意検討を急ぎまして、そして次の通常国会、これで御審議をわずらわす、こういうふうにいたしたい、かような考えであります。
  45. 多田省吾

    ○多田省吾君 だと、来年の通常国会、まあことしの十二月から始まり通常国会に審議できるように案を出すというんですが、その場合あれですか、昭和五十年四月からもうその新しい税法でやるということですか、それとも一年おいて昭和五十一年の四月から新しい税法でやるという意味ですか。
  46. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 現行制度は五十年十二月三十一日までの制度になっております。で、所得税は暦年課税でございますので、やはり四月に切るということは非常にぐあいが悪いと思われますから、私どものただいまの作業予定では、作業を本年中に終わりまして、大臣答弁のとおり、次の国会に法案をお願いをいたしまして、その適用は、現実的には五十一年の一月一日からというようなことで考えることになろうかというふうにいま考えております。
  47. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうすると、一年早まるのじゃなくて、いまの税法が終わってからという意味ですから、私は非常に残念ですけれども昭和五十年一月からというと、これは通常国会に間に合わないわけでございますから、非常に残念なような気がするのですが、分離課税のほうは利子・配当のいわゆる源泉選択制の、すなわち分離課税を含んだ源泉選択制のほうはどのようにお考えですか。
  48. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 土地の分離課税のほうも、それから利子・配当の分離課税のほうも、現行の制度では五十年十二月三十一日まで、こういうことになっておりまして、先ほどちょっと触れましたように、いずれも所得税の問題というのは暦年課税でございますので、やはり切れ目は十二月三十一日と一月一日のところを切れ目にいたしませんと、なかなかうまく動かないということになりますので、利子・配当についても同様五十年・十二月三十一日を一つの切れ見とするという考え方で現在準備を考えております。
  49. 多田省吾

    ○多田省吾君 主税局長にお尋ねしますけれども、先ほども申しましたように、主税局長が「税務弘報」の六月号で座談会やっている中で、この利子・配当の源泉選択制をやめるという問題は、現実問題としては非常にむずかしいと、無記名預金とか、あるいは仮名預金なんかが実在していて、この預金制度の仕組みにかかわる問題であるということで、簡単にはいかないというようなことをおっしゃっておりますけれども、これはあれですか、いろいろそういう実務的なことを研究整備して、昭和五十一年の一月からこれはやめていくという方向で、はっきりできる見通しはあるのですか。
  50. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 利子配当の分離課税というのは、これをやめまして総合課税に持っていくという場合の前提としては、名寄せが完全に行なわれるということでなければならないわけでございます。預金にいたしましても、個人の方々がAの銀行、Bの銀行、Cの銀行に預けておられるわけでございますので、総合というのであれば、それを全部合計してどうなるかということについて、必ずしも全部申告でそれが期待できるという状態ではございませんために、何らかの形で名寄せの方式が確立しなければならないわけでございます。そこで、その名寄せをどういうふうにやっていくかということについての技術的な検討をいたしませんと、制度上分離課税を廃止するというだけでは、そうして源泉選択を廃止するということになりますと、極端に申しますと、非常に多くの場合に無税になる危険があるということがあるわけでございまして、税制調査会に検討をお願いするにあたっては、やはりそういう名寄せ問題との関連が一つの大きなポイントになろうかというふうに考えております。
  51. 多田省吾

    ○多田省吾君 大蔵大臣にお尋ねしますけれども、この問題の最後として、もう一回お尋ねしますけれども、この土地の分離課税の問題ですね、これは五十一年の一月からしかやりようがないと主税局長おっしゃっているわけでございますが、どうしてもこれはもう少し早めて、五十年の一月とか、五十年の四月から、一年ないし九ヵ月早めてやるという、そういうお考えはございませんか。  それからもう一つは、利子・配当の分離課税の問題も、いろいろなこういった問題を整理して、五十一年の一月から分離課税をなくしていくという、こういうお考えはございませんか。
  52. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この分離課税の修正ないし廃止の問題は、これは非常に重大な問題です。そこで、税制調査会にも、これはほんとうに真剣にかっ慎重に検討してもらわなきゃならぬと、こういうふうに考えておりますが、とにかく時限がきまっておる、そのきまっておるその時限切れ、それを置きかえる、この具体的構想ということにするのが自然じゃないか、そういうふうに考えておりまして、これを、時限が来るその前に繰り上げてこの修正をするんだ、そういう考え方はいまのところ持っておりません。
  53. 多田省吾

    ○多田省吾君 次に、先ほども電源開発促進税というものが、目的税である、あるいは税調に諮問されなかったというようなことで、答申もなかったというようなことで問題になっておりますけれども、衆議院の大蔵委員会参考人として出席した友末税調会長代理ですかが、はっきりと、新しい目的税を創設するという重大な案件を、税調に一度も相談しなかったことは政府の独走であり、きわめて遺憾であるという趣旨発言をしておるわけです。この問題を大蔵大臣としてどういう理解をされているのか。また、この新税というのは、一名、田中新税ということも巷間言われておりまして、これは総理が、税調が間に合わないのを承知の上でしたんじゃないかと、こういうことも言われておるわけであります。この税調の問題は、昭和四十七年ごろから、総理や一部の人の非常に強い圧力がかかって、大体そのとおりになっているというような非常に好ましくない傾向があるんじゃないかと、私はこのように考えるわけです。というのは、四十八年度の税制改正のときにも、記者会見の席上、東畑税調会長が、税制の具体的な問題について選挙で公約し、また公約したがゆえに無理に実現をはかることは、税制の基本を誤るおそれがある。というような声明を読み上げた、あるいは税について具体的にくちばしをいれられるのなら、税調なんて要らぬと言われたとも伝えられておりますし、これは事業主報酬の問題でこうなったんでございますが、これは答申が一応出たわけでございます。また、今回はこのように、電源開発促進税は、新しい目的税にもかかわらず、答申が出ないのにこのように出てきているという問題もあるわけでございますね。  それから、このたびの二兆円減税のときも、昭和四十八年の十二月ですか、大蔵省の記者クラブで、これは私も報道で読んだんですけれども税調会長が、正直言って、角帽の指示やら横やりに引っぱられ、かき回されたというようなことを、感想を漏らしたというような記事があるわけですけれども、とにかくあの二兆円減税のときも、総理や橋本幹事長あたりは、ここでも三割の必要経費を一律に認めるべきだというようなことを言いまして、税調会長もこれはひど過ぎるというような感想を漏らしておりましたけれども、結局は、青天井にして、必要経費を一割まで認めたようなかっこうになりまして、総理や橋本幹事長の意見というものがついには半分通ったような形になっておりますし、最近のそういう政府税調というものが、結局総理とかあるいは自民党税調とか、そういう一方的な圧力で押し切られる、そして税調の方たちは非常に不満を持っているというような姿が見られるわけでございまして、今回もこういう姿になっている。これは私は非常に好ましくないと思いますけれども、一体大蔵大臣はどのように思われますか。
  54. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私は、税制調査会という存在は、これは非常に貴重な役割りを果たして来、またそういうふうに評価されると、こういうふうに見ておるわけですが、この上とも税制調査会の機能が、所期の目的のように発揮されるように、その自主的な御論議、自主的な結論というものに深く期待し、また答申が出た上は、これを尊重するという基本姿勢を貫いてまいりたい、かように存じます。  今回の問題は、これは先ほどもるるお答え申し上げたんですが、石油ショックという異常な事態があった、それに対処いたしまして、原子力を中心とする電源開発をどういうふうに促進するかということがほんとうに緊要な課題となったわけであります。そういう時期に、予算編成が行なわれる、昼夜兼行だと、こういうことで、ただいま御審議をいただいておるような発想がその間浮かんだわけでございまするけれども、とにかくそういう早々の間でございまして、これを税制調査会におはかりする時間的いとまもなかった、こういうことで、非常にごれは私は遺憾なことだったと、こういうふうに思いまするけれども税制調査会に、はからずして政府案を決定し、そして国会に御審議を願う、かようなことになったのであります。しかし今後は、再びこういうことのないように心してまいりたいということをはっきり申し上げさせていただきます。
  55. 多田省吾

    ○多田省吾君 もう一つは、これは衆議院の大蔵委員会で、わが党の広沢委員質問しているわけでございますけれども、これは森下通産政務次官に質問しているようでございますが、五月の二十一日の夜に物価関係閣僚協議会で、電力九社から申請が出ている電力料金の値上げを決定したわけでございますが、その電力料金の中に、電源開発促進税百七十二億円をコスト計算に入れて値上げ申請したという問題がある。全然まだ成立していない電源開発促進税を査定に組み込むということは、非常に国会軽視であり、不見識じゃないか、こういう質問を広沢委員がやっているわけですが、私もそのように思います。大蔵大臣はこれはどのように考えておられますか。
  56. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは多田さんのおっしゃるとおり、成立もしておりません税を、これをコストの中に織り込むということは妥当でない、こういうふうに考えます。でありますので、そういう御指摘を受けましたあとで、政府で相談をいたしまして、是正をいたしております。
  57. 多田省吾

    ○多田省吾君 是正をしたということは、その査定を少し減らしたその中に是正が入っているという意味でございますか。それともはっきりこの百七十二億円なりを削って、そして計算し直して、それにまた査定をしたと、こういう意味ですか。
  58. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 計算をし直して、その分だけ差し引いて決定した、こういういきさつであります。
  59. 多田省吾

    ○多田省吾君 次にお尋ねしたいのは、大蔵大臣は、衆議院の決算委員会等・で、政治献金は、だんだん会社、法人の政治献金をなくして、個人の献金にだんだん切りかえていくべきだという非常に前向きの御答弁をされておりまして、その限りにおいては非常にこれはけっこうなことだとは思いますけれども、具体的な問題となると、なかなかむずかしい問題だと思います。最近の選挙に金がかかるということは、これはたいへんなことでございまして、今度の参議院選でも、五当四落とか十当七落なんという話も出ておるわけです。五月二十六日の毎日新聞を見ましたら「選挙屋は行く」と、こう出ておるわけです。そしてその記事の中に、「官僚出身のDさんね、あそこではもう二十億は使ってますな」「青年実業家のEさんは三十億は固いでしょう」「Eさんは六十億ですよ。これは信頼できるスジの情報です」なんてね。一つの国会議員の選挙に六十億も使うなんて取りざたされるようでは、もう政治も選挙も私はおしまいだと思います。この政治献金の問題が、私はその根底に横たわっていると思うんです。今度電力料金の値上げにからんで公聴会が各地で開かれました。そのときも、公益事業である電力会社が、特定政党に政治献金をするのはけしからぬじゃないかというような意見がだいぶ出たわけです。  それから五月二十七日の朝日新聞によりますと、独協大学の助教授の宮川さんという方が、これは千葉県の市川市に住んでいるんですけれども、政治献金のおつき合いはごめんだということで、東電の電気代のうち一円を不払いにしたいと、これは政治献金の分としてですが、こういう運動をこれから起こすんだというようなことでやろうとしているわけでございますが、こういった問題にからんで、私は、特に公益事業である電力会社の政治献金なんかは当然やめてもらうべきでありますし、これからは電力会社だけではなしに、やっぱり政治の姿勢を正すためには、そういう会社法人の政治献金をやめていく方向であらねばならないということを強く思うわけでございますが、大臣はどのようにお考えですか。
  60. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私も最近、まあ非常に政治に金がかかる、政治の中で特に選挙に金がかかるということを心から憂慮しておるんです。どういうふうにしたらいいだろうかというと、これはまあ制度の面ももちろんあるわけでありまして、制度といいますれば、これはまあ選挙制度、それから選挙資金、さらに選挙方法、こういう三つの問題があると思うんです。  まあ選挙制度につきましては、私は衆参両院とも政党本位の選挙制度に、政党対政党の選挙制度にこれを改革すべしというふうに強く考え、また主張しておるんです。  それから選挙資金の問題につきましては、これはやはり企業、団体、そういうものに依存するという政党の姿勢を、これはもう国民一人一人に依存する体制に改革すべしと、こういうふうに考えておるわけでありまして、ただ、これを一挙にというわけにもいきませんから、ある程度の経過期間を必要とする。こういうふうに考え、そういうための、まあ税なんかもからまってくると思いますけれども、いろんなくふうをこらさなきゃならぬ。  それから選挙運動が、いま金のかかることを容認するような仕組みになっておるわけであります。そういう点につきましては、これはもう数限りなく問題があるわけでありまするが、これはもう是正を要すると、こういうふうに考えております。しかし、基本的にはやっぱり政治道義の問題に帰するのじゃあるまいか、そういうふうに考えるのです。政治倫理と申しますか、そういうものにつきまして、これはあらためてえりを正さなけりゃならぬと、こういうときにきておるんじゃないか。制度を幾ら変えてみましても、なかなか制度どおりに動くもんじゃない。また制度の目的が達成されるもんじゃない。やはり制度を運営する政治家が特に中心になってえりを正すという政治道義の刷新、これを実現しなければならないのではないかと、さように考えております。
  61. 多田省吾

    ○多田省吾君 原油価格が昨年一ヵ年で四倍にはね上がっておりますけれども、今度四十七年度並みの輸入量の確保が可能かどうか、非常に問題だろうと思います。で、また、特に同じ数量の輸入原油でも、今年一月以降の価格が続くものとしますと、すでに上がっておりますけれども、百億ドルから百五十億ドルを上回る余分の外貨を支払わなければならない。百億ドルといっても、三百円換算をしてみても三兆円であります。わが国のGNPの三%に近い金額になるわけです。この点をどのように考えておられますか。  それから特に手持ち外貨なんかを考えますと、わが国の国際収支の今後の見通し、従来型の輸出ドライブ等、無限の輸出拡大は、世界の国際環境も許さないであろうし、このバランスを一体どのように維持されようとしているのか、この三点。
  62. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) けさ私は、閣議に昭和四十八年度の国際収支並びに国際貸借の状況を報告をいたしたわけであります。その報告でも、四十八年中は国際収支の赤字が実に百億ドルに及んだ、これはたいへん重大な問題であるという点を特に強調いたしておるわけであります。百億ドルの赤字が出る。その上にさらに、四十九年度を展望いたしますと、石油価格の高騰という問題があるわけであります。その影響は、昭和四十八年度石油輸入額が八十七億ドルであります。八十七億ドルの石油を輸入しておる。それが四十九年度になりますると、百五十億ドルと、こういうふうにふえてくる。あるいは多少それが上回ることになるかもしらぬ。石油問題が今日ほどきびしい状態でない四十八年度において百億ドルの赤字の出たわが国の国際収支、これに対しまして石油の輸入価格がそういうふうにふえてくるということは、きわめて重大な事態であります。しかしながら、国際収支というものは、これはきちんと安定した基調に置きませんと、これはわが国の経済に対する国際信用の問題につながる。また円の価値に対する信頼度につながってくる問題でありまして、このような状態に対しましては、これはもう非常に真撃な態度をもって取り組まなけりゃならぬし、それによって内外の信頼を博しなければならぬと、かように考えておるわけであります。そういう見地から、百億ドルの赤字を出しましたという昭和四十八年度のこの為替政策、こういうものを根本的に改正いたしまして、そしてそれまでは外資の流出促進、外資の流入阻止と、そういう考え方政策でございましたが、これを根本的に改めまして、外資の流出はなるべく抑制する、健全なる外資の流入、これは歓迎すると、こういう態度に改めたわけであります。そうしますと、まあいい結果がだんだんだんだんとあらわれてきておるのでありまして、一月には基礎収支におきまして二十億ドルの赤字でございました。ところが、二月にはそれが十七億ドルの赤字に減る、三月にはこれが十二億ドルの赤字に減る、四月には十億ドルの赤字に減る、こういう改善の歩調をずっとたどってきておるのであります。なお、これらの施策を今後も堅持いたしまして、そして国際収支を逐次改善していきたい。ただ、一挙に改善するということは、これはもう非常にむずかしいです。とにかく百億ドルの赤字が出たというその事態を、一年間で解決するというようなわけにはまいりませんので、大体私は、昭和四十八年度赤字、これの半分以下に昭和四十九年度赤字を減らしていきたいと、こういうふうに考えております。そしてまあさらに一、二年はかかりましょうが、国際社会において日本は着実に国際収支均衡政策に踏み出し、かつその実効をあげつつあるという認識をかちえたいと、こういうふうに考えておるのであります。そういう間におきまして、二億七千万キロリッター本年度予定しております石油の輸入、これはわが国経済を運営する上において必要最小限のものである。これは四十七年度水準のものでありますが、この輸入にこと欠けるということはございませんです。
  63. 多田省吾

    ○多田省吾君 政府がさきに発表した経済社会基本計画でも、昭和五十二年度の電力総需要量を六千億キロワットアワー以上としている。四十六年度の火力、水力、原子力の合計は五千八百二十二万キロワットで、五年間でその倍以上の一億二千百五万キロワットという数字に達するようでございますけれども大蔵大臣は昨年の国会でも、経済社会基本計画の中で示した電力需要量は、非常に押え目の数字であるから、基本計画そのものも変更する意思はないと、このようにおっしゃっておられますけれども、この御答弁は、このままそのとおり変更なしと、このように解釈してよろしいのかどうかお尋ねしたいと思います。
  64. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 多田さんのいまのお話、つまり私が何かしゃべったという話ですが、それはお間違いだろうと思うんです。私は、経済社会発展計画は、これは成長率九・四%という非常に高い成長率を前提としてつくった計画であり、これからの日本経済の運営を展望してみますと、そういう高い成長率はとうてい考えられません。したがって、そういう前提に立ちまして、社会経済基本計画全般の再検討を必要とすると、そういうふうに考えておるのであります。したがって、エネルギーの需要、その中における電力需要というものにつきましても、掲げてある数字につきましては修正されることに相なるであろうと、かように考えます。
  65. 多田省吾

    ○多田省吾君 そうしますと、経済社会基本計画の中の昭和五十二年度の電力総需要量を六千億キロワットアワー以上としているのも、大蔵大臣のお考えでは、これももう少し低目に練り直さなければならない、こういうことでございますか。
  66. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 当然そういうことに相なるであろうと、そういうふうにしなければならないと、かように考えます。
  67. 多田省吾

    ○多田省吾君 まあしかし、最近通産省が発表した昭和六十年までの原子力発電の長期計画では、当初の六千万キロワットにさらに一千万キロワットを増強して七千万キロワット達成を目標にすると、こう通産省でいっているのは、これはあれですか、火力や水力を減らして、原子力だけをふやしていこうということで、全体はふやしていこうということなのか。
  68. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 私、そのことを、詳しいことを承知いたしません。感じとしては、全体の需要量は経済社会発展計画で見ておるものよりは減るだろうと思うんですが、原子力への依存度は、その間において高くなってくるであろうという感じはいたします。詳細は私存じませんです。
  69. 多田省吾

    ○多田省吾君 最後に、先ほど、問題違いますけれども成瀬委員質問されましたけれども、預貯金の利子の目減りの問題に関連した引き上げの問題でございますが、この前も参考人の中央大学の川口弘教授が、やはり一戸当たり百万円ぐらいまでは一〇%から一五%ぐらいの特別利子をつけて、預貯金の目減りを防ぐべきだというような意見を述べておりました。そうなると、どうしても公定歩合が一一%とか、あるいは貸し出し金利は一三%ぐらいになるだろうというような、金利体系のことまで具体的に述べておりましたけれども、まあ私もずっと前に大臣にお尋ねしましたときも、これは敗北思想だとか、物価安定が先決だとか、まあこういうことをおっしゃったわけです。そのほかに、各戸百万円までをほんとうに抜けがけなしにぴしっと統制とってやれるかどうかというような、やり方にも非常に問題があろうと思いますけれども、そういったことは、私は一戸百万円までという何らかの方法で押えることは可能だと、このように思いますし、やはり最近、大臣の物価安定が先決だとおっしゃることも意味はわかりますけれども、やはり先進諸国が一〇%からせいぜい一%あるいは一五%で消費者物価が押えられているのに、やはりわが国だけが二六%とか、そういう消費者物価の上昇がまだとまらないわけでございます。選挙後もいろいろな公共料金の値上げも予定されているような姿もございますし、私は、もちろん物価安定に全力を注いでいくべきことは当然でありますけれども、その間、庶民ががまんをしなければならないというようなことも非常にこれはたいへんな問題です。やっぱりここでいろいろな問題がありましょうとも、一戸当たり百万円ぐらいまでの特別利子つきの新制度を私は考えるべきじゃないがと、このように思いますけれども、再び大蔵大臣の御所見を承りたい。
  70. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これは国会の内外において非常にそういう御要請が強いということは、私も承知しております。そこで、まああれこれ深く幅広く検討してみれんでありまするが、どうもこの名案ができない。特に預金の利子を引き上げるということは、貸し出しの金利の引き上げというところに現実の問題としてずっとつながっていくわけであります。いまコストアップー——公共料金の引き上げ、 、るいはサラリーの引き上げというようなコスト要因の問題のお話がありましたが、いまこれに一体どういうふうに対処するか、これは非常にむずかしい問題なんです。まあ全力をあげて努力をしておるところでございますが、そこへもう一つ、まあ企業活動とすると、これはその経理の中で非常に大きな要因を占める利子負担がまたかさばると、こういうことにもなる。なかなかこれは、理論的には、かりに考えられましても、現実の問題とすると、なかなかこれを取り上げるということはむずかしい。そこで、私は一刻も早くインフレを断ち切る、これ以外にいい方法はない、こういうふうに考えておるわけです。  しかし、貯蓄は、何といたしましても、特にこういうインフレ下におきましては心しなければならぬ問題であります。そこで、まあ貯蓄をどういうふうに全体の金融政策の中で刺激していくかということにつきましては、いろいろとくふうをこらしておる。いま割増金付定期を売り出し中でございますが、これなんか非常に好評でございます。それからまた暮れに行ないました六カ月定期、これなんかも好評であったわけであります。これを期限切れになる六月の時点においてどうするか、こういう問題がありますが、もう一度ひとつやってみたらどうかな、こういうふうにも考えておるわけです。どうもある一部のものに対しまして利子のかさ上げをする、こういう行き方、これはなかなかむずかしい問題である。ただいまそういう問題につきまして前向きのお答えはいたしがたい、そういう段階でございます。
  71. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 大臣、かねがね金さえあればいい、自分さえよければいいというやり方は、もう清算しなければいかぬということを強調されていたと思います。私も全く同感なんですけれども、そういった目で今回の法案を見てみますと、ことばは悪いんですが、ごね得を認めた法案という印象がしてならない。この点についてまず大臣の御所見を承りたいと思います。
  72. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) この法案が、地域社会のごね得に対して、これに迎合するといいますか、そういうようなにおいがすると、こういう御指摘でございますが、ごね得を緩和するという趣旨じゃなくて、発電施設ができてああよかったなあ、環境もよくなる、またその他の施設も整備される、発電所ができて、これはいいことだったと言って喜んでいただけるような状態をつくろうというものでありまして、ごね得がまずありまして、それにおこたえすると、こういう趣旨じゃないんでございます。
  73. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 電源立地をする場合の周辺地域の不満というものをかりに三つに分けて考えてみますと、一つは、環境保全にからまる不満、これはとにかく極力保全にっとめなければいけませんし、なおかっ実害がある部分については補償するということで結着をつけていく問題だと思います。また、安全対策については、これはもう安全対策に万全を期すというのが対策の根幹になる。この二つは、今回の提案からもはずれるわけです。三番目は何かというと、地域の社会経済の発展、向上に結びつかない、こういう不満が強いので、それが裏返しますと、実はおっしゃったように、発電所ができてよかったという環境をつくりたい。問題は、もともと火力発電所というのは、直接、隣接周辺地域にメリットをもたらすような建物ではないんです、元来。ところが、できたから、やっぱりメリットはほしい、というその不満なり主張に対して、それはもっともだというように政府として認めた、こう考えてよろしいですか。
  74. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 発電所周辺地域住民の間に、発電所設置についての拒否傾向があるわけです。それを考えてみますと、二つ私は問題がある。つまり安全性に対する危惧の問題と、それから発電所ができて、はたして地域社会の発展に貢献したかと、こういうことだろうと思います。いまごね得というお話でございますが、ごねるという現象がまずあって、そしてそれにこたえるというよりは、積極的に、発電所ができたがゆえに地域社会環境整備されたと、ああよかったなあというふうに感じ取っていただけるような、そういうふうな仕組みをどうするか、こういうことから考えついたのがこの仕組みである、こういうふうに御理解願います。
  75. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 ですから、繰り返しますと、発電所というのは、国全体の利益という面ではメリットはっかみやすいのですけれども、それが設置されたことによって、周辺地域住民に直接のメリットはどうかということになると、実は本来そういう建物ではない。とは言うものの、それに対して発電所ができたんだから、地域の公共施設も含めて充実をしたいものだという住民感情、これはあるでしょう。それはもっともなんだというように認めたということですねと言っているんです。
  76. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それはそのとおりでございます。
  77. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、これは発電所だけじゃなくて、類似のケースというのはずいぶん考えられると思います。それについても、いまの発想で政府として、今度はごねなくても前向きに取り組んでおいでになりますか。
  78. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) それはその施設の緊要度によるものだろうと思います。わが国としては、何としてもここでエネルギーをととのえなきゃならぬ。その中で原子力発電、こういうものはもう非常に切迫した問題であるというので、非常に完備した体制をとるわけであります。それから、あるいは発電所でなく、あるいは水源涵養でありますとか、治山治水というような立場から、ダムをつくりますということにつきまして特別の立法をいたし、その助成をいたしますとか、いろいろそういうことを考えておりますが、要するに、よってもって促進されるところのそういう施設の緊要性といいますか、そういうものを考慮して、それ相応の処置を講ずるということになろうかと、かように考えます。
  79. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 一つ例を出しながら、くどいようですが、伺いたいのですけれども緊要性ということになると、たとえば新幹線を走らせる、これも国民全体の利益ということからいうと緊要性が非常に高い。あるいは貨物線を新設する、これも物流の確保というのは、都市環境並びに物価対策の面で急がなければいけない、緊要度が高い。ところが、周辺住民からしますと、ひょっと通るだけで、騒音をもたらすだけで、直接そこにメリットを及ぼさないという意味では火力発電所と似ているわけです。したがって、そういったところも同じ発想で、それぞれ目的税をつくり、特別会計をつくり、そのことによって公共用施設の充実をするということにならないと、話の筋道が合わない。たまたま火力発電所だけがそうなんだけれども、それじゃ新幹線はどうなんだ、あるいは貨物線はどうなんだ云々ということになると、いま伺っているのは、直接の被害、あるいは安全対策、騒音対策、これはやるわけでしょう、火力発電所と同じなわけですから。そうでなくて、たまたまある建物に対して、周辺住民が直接のメリットを期待する、これはもっともなんだということになったら、ほかの類似のケースに全部及ぶとしていかないと不公平なのではないでしょうか。
  80. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) でありまするから、私は、よってもって促進されるところの施設の緊要性、これによるのだと、こういうことを申し上げているのです。でありまするから、発電所につきましては、今回は目的税を設定する。そうしてその目的税を使って、交付金等地域社会交付するということになります。それを特別会計経理をしょう、こういうふうに手厚い対策になるわけでございます。これは要するに、いま原子力発電が今日のような状態で停滞しておるということになったら、これは数年後になったらどうするか、また十年、二十年先、一体日本の国の状態はどうなるのかということを考えると、一刻も放置することが許されない。こういう緊要性があるから、そこでそういうことになるわけでありますが、いま御指摘のように、国家経済なり国家社会としては利益になるが、一部の方々にはデメリットを生ずるというような問題は他にたくさんあると思います。たくさんある諸問題につきましては、その緊要性に応じまして、それぞれ処置をする、こういうことでありまして、同じような性質のものだから、全部これを目的税として特別に経理するという性格の議論、そういうことにつきましては、私は賛同しがたい、こういうことであります。
  81. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 緊要性がたいへん高いのは電力だけだとは私には思えないのですけれども、その場合に、緊要性をだれが判断をして優先度をきめるのかということも、話のあげ足をとって議論をすると、あるかもしれませんが、かりに百歩譲って、電力は大切なんだということにしますと、既設発電所の順調な稼働並びに保全も、発電所の新設とあわせて緊要度が高い、そうなりますと、既設のところも同じように、あれは十年前につくったのだけれども、おれたちもよくなりたいのだということも、もっともだというふうにお考えになりますか。
  82. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) 御指摘の既設の発電所の問題も十分配慮しなければならないわけでございますが、今回の措置といたしましては、この三法案とは別に、地方税法のほうの扱いといたしまして、固定資産税の配分問題ということを通じて、既存の発電所のあります市町村の、直接的には財源対策を講ずるということを通じて、福祉の向上を考えることにいたしております。
  83. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 固定資産税というお話なんですけれども発電所をつくる場合、建設期間にはそこで工事が行なわれますが、何がしかの形でお金が落ちていく。いろいろにぎわうという状況があります。建設期間が完了すると、今度は工事が終わりますけれども発電所が稼働しますから固定資産税が入ってくる。まあこれが従来の例なんです。今回の御提案というのは、固定資産税とは全く別に、額としてたまたま見合っているということがあっても、その前に五年分あるいは三年分あるいは二年分ということで交付金がっくわけです。それはおれたちもらってないんだ。それがあれば、保育所、幼稚園あるいは学校、公民館ができるんだという主張に対しては、それもやっぱりもっともなんだ、ということになりませんでしょうか。年々見てましても、四十七年が約三十数%しか計画に比べてできない。四十八年が四十数%。ところがその前を見ると、当時はまだ社会の連帯感が今日ほど失われていなかったせいかどうかわかりませんけれども、計画に沿ってできていく。その人たちに対して、同じようなものを考えないで不公平ではございませんか。固定資産税をもっていったということだけでは、私は同じにならないと思うんですが、いかがですか。
  84. 高木文雄

    政府委員(高木文雄君) これは発電所その他の諸施設を設けるということに対して、従来からの考え方とだんだんこの地域住民考え方が変わってきたというところに問題があるんではないかと思います。従来は、いずれかというと、もちろん反対運動はございましたが、固定資産税も入ってくることでもあるしということで、ある程度誘致というようなこともありました。逆にかえって特定市町村発電所についての固定資産税が集中的に、まあ固定資産税収入があるということから、極端な場合には、大規模施設の固定資産については、一部を逆に都道府県のほうへ吸い上げるというようなことが行なわれておったわけでございますが、だんだん事情が変わってまいりましたので、そういう考え方を漸次廃しまして、所在市町村に固定資産税が入るようなことを考えませんと、既存施設においても、まあいわばそのような施設がきらわれるという傾向が強くなってまいったわけでございます。  で、今回の措置は、固定資産税については、既存のものにつきましても、新規のものにつきましても、今後の方向としては、従来よりは、所在市町村にそういう収入があるように考えると同時に、施設ができますまでの間においての福祉のことを考えるための交付交付金というような制度になったわけでございまして、従来の考え方からは、たいへん変わってきておりますが、今度の考え方は今度の考え方として、既設のものと新設のものとの間である種のバランスがとれているのではないかというふうに考えております。
  85. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 だんだん状況が変わってきたのでということは、おっしゃる意味よくわかるんですけれども、だんだん状況が変わってきたんで取り組み方も変えていかなきゃいけない。これを一言で私はごね得に近いんじゃないかというぐあいに申し上げているんです。ただ見方を変えて、これは大臣に伺いたいんですけれども、今回の税を取る特別会計公共用施設をつくっていくんだと、まあそれはそれとしまして、例示されている港湾、道路あるいは公民館、診療所。まあ書いてないものでもあると思うのですけれども、こういうものというのは、火力発電所建設との見合いでっくるべき本来は因果関係はないはずなんです。道路、港湾あるいは保育所にしても公民館にしても何にしても、それはそれで充実をさしていくべき筋合いの公共用施設ではないのだろうか。それがたまたま発電所ができるということのその因果関係でつくるというのは、全国的にこういう施設を充実しなきゃいかぬという問題意識を少したな上げして、現象をこうやったらよろしいという印象が非常に強く受けるのですけれどもいかがですか。
  86. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) これを実行する上におきましては、この周辺整備計画というものができるわけです。栗林さんの御指摘は、その周辺整備計画の中に、発電所と直接関係のあるものだけなのか、あるいは直接関係のない、まあ公共土木事業等も含めるのかと、こういうお話でございますが、そういうお尋ねでございますと、発電所自体と直接関係がないものにおきましても、周辺整備、そういう計画の中に含まれるものにつきましてはこれを採用すると、こういうことになろうかと思うのです。直接関係のあるもの、ないもの、それが総合されまして、そうしてその地域社会環境が改善された、そういうことになって、地域社会の人が喜んでくれると、こういうことになることを期待しておる、かように御理解願います。
  87. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私が申し上げておりますのは、公民館りっぱなのがほしい、保育所もほしい。ところがここの地域はいまの周辺整備計画でできるのだ、こっちは発電所がないからこれはなかなかできないのだ、このアンバランスについて、いま申し上げた公民館とか学校、保育所云々というのは、地域住民の要求からすると、基本的にもうそろえていかなければいけない公共用施設ではないか。これがたまたま火力発電所あるいは原子力発電所ができるからできるのだというぐあいに扱ってしまう扱い方、ここはいいかもしれませんよ こっちのほうはとてもだめだという、この問題についてどうお考えになりますか。というのは、もう少し申し上げますと、この保育所にしても、あるいは幼稚園にしても、何でもそうですけれども、全国的にやっぱり水準を高めていかなきゃいけない。たまたまここにこれができるから、その因果関係ないのだけれども、周辺整備計画に組み込んでやるのだということでなくて、いかなる地域もやはり引き上げていかなければいけない、そういう筋合いの公共用施設ではないのか。したがって、それの建設というのは、部分的な目的税なり、部分的に色合いの濃い特別会計なり、そういったものには本来なじまない公共用施設ではないのだろうかということをお尋ねしておるわけです。
  88. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 発電所ができる、その周辺の地域社会が、他の地域に比べて先行してよくなる、こういうことは私は、まあいまお話しのような他との感触の問題はありまするけれども、そういう発電所ができてたいへんいいことになったなという感触が出ること自体を、まあこの法律は期待をしておるわけなんです。まあ発電所が来てたいへんよくなった。これが他の地域一般の水準でよくなったと、こういうのではこれはきき目はない。やっぱりある程度色がついたというところにこそ、この発電所整備促進する効果が出てくるのじゃないか、そういうふうに考えております。したがいまして、まあそういう施設をするのは、これはまあ一般財源でやればいいんじゃないか、特別会計とし、目的税とするのになじまないじゃないかというお話でございますが、さような特別な意図をもって行なう国家の仕事でございますので、これは特別の仕組みを必要とする、こういうふうに考えておる次第であります。
  89. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 時間ですから、最後に一つだけお伺いしますけれども、その色をつける、色をつける背景は、先ほど御説明があったように、だんだんと変化が出てきた、住民感情の中に。ということなんですね。で、私が心配するのは、なるほど色をつけた、さあおれのところは色をつける材料がないと、こうならない約束はないんですよ。しかも、緊要性とおっしゃいましたけれども緊要性の優先度だれがきめるのか。きめてみょうがない。たとえばごみ処理場の、ごみ処理焼却場の設置問題一つとったって、緊要性きわめて高くて、周辺地域住民には何のメリットもない。というのが、続々と至るところに出てきたときに、平たく言うと、おれたちにも色をつけろ、つけなきやそんな建設認めるものかというぐあいになってきたときに、どうやってこの緊要性を説明されるのですか。これは私の意見も交えて申し上げますと、いま反対運動の中で、それぞれ発電所の立地ができない、たいへんなんだと、よくわかるのですけれども、そのときの政府として取り組む取り組み方というのは、やっぱりじゃあ色をつける、金を出せば解決ができるというやり方なのか、そういうこそくな手段で、これからのきびしい日本が前に行くんだと考えますと、たいへん危惧の念を感ずるのですが、長くなりましたが、最後の質問は、これがいろいろこう波及していったとき、たとえば貨物線の建設、ごみ処理場の建設、たとえば電気でも送電線を引っ張った場合の送電塔の関係市町村をどうするかという問題を含めて、どうやって説明をし、対応しますか。そこだけ伺って質問終わりたいと思います。
  90. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 公共の施設が国家的な目的でつくられる、それがある特定地域社会にデメリットを及ぼすと、その及ぼすデメリットに対しましてどういうふうに対処するか、こういう問題であろうと思います。これは、その施設の緊要度によって対処のしかたがいろいろ変わってくるであろうと、こういうふうに思うわけであります。発電所、特に原子力発電所のごときは非常に取り急いでやらなけりゃならない問題だ。しかも、それが今日行き詰まりの状態にある、これは何としても打開しなけりゃならない、そういうためには、非常に異例ではありまするけれども、非常の措置をとらなきゃならないということで、今回の御提案ということになったわけなんです。それから治山治水の対策だとか、そこでダムをつくる、その周辺地域をどうするか、こういう問題がありますが、それは特別会計まではっくりません。つくりませんけれども政府は、あるいは地方公共団体はこれこれのことをしなきゃならぬ。また、地方公共団体がこういうことをするという場合には、政府はこういう補助をしなけりゃならぬとか、いろいろの規定をしておるわけでございます。これはその緊要度の強さ、性格等によって対処のしかたはいろいろあると思いますけれども、それぞれその緊要度を考えながら適正な対処というものは考うべきであるし、また考えられておると、かように御理解願います。     —————————————
  91. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  電源開発促進税法案及び電源開発促進対策特別会計法案の審査のため、参考人の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  92. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  94. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 速記をとめてください。   〔速記中止〕
  95. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 速記を起こしてください。  本案に対する本日の質疑はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時三十五分散会      —————・—————