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政府委員(
松川道哉君) 第一にIDAと世銀の具体的な
関係でございます。IDAが設けられましたのは、この協定の一条にございますように、世銀の活動を補足するために設立されたものでございまして、いわば姉妹機関でございます。したがいまして、この補足することを実効あらしめるために、この両機関は非常に密接な連絡を保ちながらやる必要がございます。この上で、たとえば
融資を選定するにあたりましても、十分な連絡が必要でございますし、その他、種々の面で連絡を密にする必要があると、そのような
考え方が基本にございまして、人的な面では、たとえば世銀に対して総務として出ておる人または理事は、職権上IDAの総務または理事となる、さらに世銀の総裁以下のスタッフは、IDAの総裁以下のスタッフを兼務するということで、人的にも、その緊密な連絡が保てるような立場を貫きながら、そして
融資関係におきましては、ただいま御
指摘のように、世銀においては、経済効果、収益性、返済可能性等を
考えたコマーシャルベースのローンができるように、IDAのほうでは、その
受け入れ国の貧窮度であるとか、外資
調達能力であるとか、そういったことを
考えて、非常にゆるやかな
条件の借り入れができるように、そういったふうな調整をいたしながら、緊密に協調してやっておる次第でございます。
次に、インド、パキスタンについての問題でございますが、
一つ初めに
指摘いたしたいのは、IDAの
加盟国数は、最近では百十二ヵ国になっておりますが、たとえば六一年には五十六ヵ国であり、六六年には九十六ヵ国であり、七一年に百七ヵ国というように、特に六〇年代において急増してまいりました。ただいま
先生の御
指摘のございましたインド、パキスタンというのは、非常に古くからのメンバーでございます。アフリカ
諸国は、どちらかというと新しいメンバーでございます。その上、インド、パキスタンは、御
案内のとおり、人口の面でも極端に大きい国でございまして、IDAのいろいろな
融資活動も、人口の一人頭にいたしますと、必ずしも、インド、パキスタンが極端に大きいわけではございませんで、一人頭で一番高いのは、ボツワナであり、その次はコンゴであるというように、たとえばアフリカのセネガルであるとか、そういった国も、一人頭で見ると非常に大きな
援助を第二世銀から受け取っております。そういったことで、インドとか。パキスタンとかにIDAの
融資が集中いたしますのは、ある
程度歴史的にも避けられないところではございましたが、しかしながら、御
指摘のように、ほぼ三分の二のものがアジア地域に集まり、特にインドとかパキスタンに集中するということに対する批判は、最近ございまして、そこで一九七二年、おととしの十一月のIDA一部国
会議におきまして、この点が問題として
議論されまして、七三年度、七四年度のIDAの
資金の配分にあたっては、非常に大きい国であるインド、
インドネシア、パキスタン、バングラデシュ、この四ヵ国に対してはシーリングを置こうではないか、そうして全体に対する比率が、ただいま申し上げました四ヵ国について、それぞれ四〇%、一一%、六%、五%、その範囲内でやるようにしようということで、現実の運営がなされております。その結果、七一年度におきまするこの四ヵ国に対します
融資の比率は、全体の六六・三%でございましたが、七二年度には五六・八%、七三年度には五六・七%、このように、この四ヵ国に対するシェアは最近若干下がってきております。
なお、御
指摘のように、このIDAのような機関が、さらに、より多くの国々に
融資されるべきであるというお
考えは全く同感でございます。
ちなみに、IDAの
融資を受けておる国々を拾ってみますと、一九六七年の六月末には三十八ヵ国でございましたが、三年後の一九七〇年六月末には五十五ヵ国、さらに三年後の昨年の六月末には六十六カ国にのぼっておりまして、IDAの
融資を受ける資格のあるような非常に貧しい国々の中では、たとえば
国内の治安が維持できないとか、その他特別の
事情のある国を除きましては、大体IDAからの
融資を受けておる実情でございます。