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1974-03-29 第72回国会 参議院 大蔵委員会 第15号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十九日(金曜日)    午前十一時十六分開会     —————————————    委員異動  三月二十九日     辞任         補欠選任      青木 一男君     寺下 岩蔵君      佐藤  隆君     高橋 邦雄君      増原 恵吉君     岡本  悟君      桧垣徳太郎君     古賀雷四郎君      船田  譲君     中村 禎二君      山崎 五郎君     川野辺 静君     茜ケ久保重光君     前川  旦君      鈴木 一弘君     沢田  実君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 河本嘉久蔵君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 岡本  悟君                 川野辺 静君                 古賀雷四郎君                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 高橋 邦雄君                 寺下 岩蔵君                 中西 一郎君                 中村 禎二君                 西田 信一君                茜ケ久保重光君                 竹田 四郎君                 田中寿美子君                 辻  一彦君                 戸田 菊雄君                 前川  旦君                 沢田  実君                 星野  力君                 野末 和彦君    衆議院議員        発  議  者  村山 達雄君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房審        議官       大倉 眞隆君        大蔵省主計局次        長        長岡  實君        大蔵省主税局長  高木 文雄君        大蔵省関税局長  大蔵 公雄君        国税庁次長    吉田冨士雄君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正す  る法律案内閣提出衆議院送付) ○所得税法及び災害被害者に対する租税減免、  徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律  案(内閣提出衆議院送付) ○法人税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付) ○租税特別措置法の一部を改正する法律案内閣  提出衆議院送付) ○会社臨時特別税法案衆議院提出)     —————————————
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について報告いたします。  本日、佐藤隆君、青木一男君、船田譲君、山崎五郎君が委員を辞任され、その補欠として、高橋邦雄君、寺下岩蔵君、中村禎二君、川野辺静君が選任されました。     —————————————
  3. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案。  以上四法案を便宜一括して議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 働いておる人に対する通勤手当の問題が一つございます。現行法実情とがマッチしないというふうにわれわれは考えておりますが、当局のこれに対する見解を承りたいと思います。対策というものを考えておみえになるのかどうか。ですから、あなたのほうにお聞きしたい点は、現状と、それから——われわれは現状にそれが合っていないんじゃないか、こう判断をするわけですが、それに対する見解、二点をお尋ねいたします。
  5. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) 通勤手当につきましては、それが現実に支給をされているものに限りまして、通常必要と認められる部分までは非課税とするというたてまえになっております。その通常必要と認められる部分というのは、現在のところ月額七千円ということになっております。自転車自動車等通勤する場合は、ややそれとは別の基準がきまっておりますが、通常の電車とかバスとかを利用して通勤をする場合には、月額七千円ということになっております。  この七千円というのはどうしてきまっておるかと申しますと、便宜、人事院が、国家公務員給与について勧告をいたします際に、通勤手当についても勧告をいたしておりますので、そしてそれが政府給与にそのとおり実行されておりますので、その基準をそのままいわば借用をいたしまして、税法の上でもその基準によっているわけでございます。  人事院はどのようにしてその基準をきめておるかと申しますと、これは申すまでもなく、民間事業所における通勤手当支給状況を参考として、いわばそれの平均のような形のものを頭に置いて基準を出しているわけでございます。で、税法上のたてまえとしては、人事院のほうで政府の役人については七千円限度支給されるわけでございますけれども民間では七千円以上の支給がある場合が当然予想されますが、七千円をこえて支給される場合には、そのこえる部分非課税にはしないということにしておるわけでございます。  で、今後の問題といたしましては、一つは、そういうふうに人事院勧告を中心とする給与のきめ方を、そっくりそのまま拝借をしてまいりまして、税法上の課税非課税の線にすることがいいかどうかというのが一つの問題でございます。しかし、いずれにいたしましても、通勤手当というものであれば、無制限に非課税にするというわけにもまいらぬというふうに考えます。そうなりますと、現実問題としてはなかなか、私ども人事院がいたしております調査以上に精密な調査をやって、ある基準を見つけ出すということもなか々かむずかしいわけでございまして、問題があることは承知をいたしてはおりますけども、やはり今後におきましても、現状では、人事院勧告ないしその前提となっておりますところの調査というものを基準とする以外に方法がないんではないかという感じを持っておるわけでございます。だんだん通勤圏が伸びてまいりますと、それは何らかの意味において民間支給実態に反映してまいりましょうから、そして民間支給状態が、また人事院勧告に反映してくるということであれば、実情に少しずつ——おくれながらということになるかもしれませんが、ある程度追いついていけるのではないかというふうに思っております。
  6. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 まあ汽車で通勤すると申しましょうか、そういうのが柱になり、そして自転車で通ったり、自動車で通ったり、あるいは近くで通われるというような人もございますけれども、そういうのを込みにして、人事院勧告等があってやっておるわけですが、おっしゃるように、住宅事情や、それから会社自体が工場を公害その他の関係上大きく移転していくとか、いろんな問題が出てきておりますから、人事院のほうも考慮するであろうし、それから税法上も、私は、実費支弁的なものに課税をするというのはおかしいと思うわけですよ。ところが、あなたが言われるように、個々によって違うじゃないかというんで、非課税限度大蔵省としてこれが妥当だというふうに定めるということは容易なことじゃないと、だから、人事院勧告した数字でやるんだよという見解のようですが、私も、そのやり方というのがイージーで、非常にそういうままでいいということじゃないと思うんです。ですから、一体通勤手当というものは、原則的に言えば、実費支弁的なものでなされていくという、そういう原則に立って、それで近いほうの人があるから、実費支弁なんだから、徒歩で通える五分間ぐらいの人はやらぬでいいじゃないかという、そういう解釈にせずに、ある程度こういう問題については考えてもらいたいと思っております。ですから、これはあなたのいまお話を聞きましたから、大体わかりましたから、けっこうですが、要望としてはそういうふうに考えております。   それからあなたのほうでいただきました資料の第二表のほうで、自然増の問題をちょっとお尋ねしておきたいと思いますが、四十九年度は、三兆六千八百五十四億の自然増、それに対して減税が一兆二十億と出ております。で、自然増に対して減税をどのぐらいやってくるかというのは、非常に政策的な問題が優先をしていろんなことになると思いますが、自然増がこういうふうにあるなら、減税規模というものは、どういうふうにこれを考えていくのか。相当思い切った減税というものもやれてもいいじゃないかと思っております。そういう中で、今回会社臨時税法案がおそらく通過するということになるならば、そこでまた千八百億から二千二百億ぐらいの幅を持った——どのぐらいになるのか、これちょっと、三月決算なり九月決算を見なけりゃ、特に三月決算を見なけりゃわからぬと思いますが、あるいはもっと言えば、あなたのほうで言うなら、五十年に入ったときにこれは落ち込みがあるから、そのときにこれ取りくずしもできるから、三カ年間を通して見なきゃ、最終的な結論は言えないと言うかもしれないけれども、相当な増税があると思います。しかも補正も、今年度じゆうに組まれるじゃないかということも予想されますが、少なくとも会社臨時税法でペナルティ的に取られるところのお金の使い方というものは、一般会計の中にぶち込んでしまって、そしていろんなことに使われるということもきることながら、われわれとしては、気持ちの上において、この異常な物価の中で、その被害をもろにかぶる人はどういうことかといえば、いわゆる社会保障関係の対象になるような人たちが多いわけでございますから、ぜひそういうところに使ってもらいたいと思うんですよ。これはなぜそういうことを言うかと申しますと、昨日、田中総理大臣はここで、まだ法律案が通っておりませんから、先走ったことを申すのはいかがでしょうというようなことで、答弁を多田委員質問に対してにごしておられますが、前日のテレビでは、景気調整に使うというようなことを言っておるんです。それから新聞の報道でございますから、どこでどういうふうに出たのか知りませんけれども、これを景気調整に使っていきたいというようなことがいわれております。それを受けて田中総理がそういうことを言ったのじゃないかと思いますが、ぜひこの問題については、これはまあ野党全体が、そろって要望しておることに間違いないというふうに把握をし、野党要望というものは、こういうものですよということをこの際記録にとどめ、そして補正予算編成等の場合には、十分尊重をしていただかなけりゃならないと思っておりますから、このことは強く要望として申し上げておきます。これに対する、政治的な問題でございますから、政務次官のほうからお答えがいただきたいと思います。
  7. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 会社臨時特別税法が成立を見まするようになりましたならば、この新税はあくまで国の一般財源でありまして、その税収の使途につきましては、今後いかにするかということは、十分各党の御意見しんしゃくをして、しかるべき機会補正手続がとられると予定をいたしておりますが、われわれといたしましては、一般財源でございますから、直ちには、歳入の補正は要しないと思いますので、しかるべき機会補正予算が組まれるときに、国民の要望あるいは各党意見も十分にしんしゃくをして、これの使途を決定いたしたいと考えております。
  8. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 国税庁お見えになっておりますか。——ここで申し上げるのは二度目でございますが、財産形成の例の税の減額措置なんですが、それを三月にあなたのほうからお返しになるわけです。もらうのは非常に楽しいことでございますが、手続のためには、税務署へ逐一伺わなくちゃならぬということです。しかも、源泉徴収を受ける人たちで、いままで税務署へなんか行ったことのない人がほとんどなんです。ふなれな人が行く。そしてそれに対してあなたのほうは、証明書が三つぐらい必要のようでございますが、それがなかなかいいぐあいにいかない。したがって、税務署へ出かけると、一ぺん行って説明を聞いてきて、また帰って、大体二度ぐらい、一万五千円平均ぐらいのものを受け取るために足を運ばれる。しかも御主人は、大体勤めておみえになるのが原則でございます。日曜日にやっておみえになるわけじゃございませんから、奥さんが行かなくちゃならない。子供がおる。全くもらうほうの側でいえばたいへんなことなんです。恩典であっても、この恩典にあずかるためには、相当な努力をせなくちゃならぬということです。今度は税務署のほうの側でいえば、ちょうど三月期のときで、いろんな人たちがやっておみえになる。税務署も全く混雑でたいへんだと思います。したがって——過疎地なんかにはそういう問題はないだろうと思います、税務署では。しかし煩瑣なところには相当な件数だと思っております。ですから、平均件数を聞いたってこれは意味がないわけです。税務職員の大体中間的な、非常に多いところなんて言わなくても、中間的なところでけっこうですから、税務職員に対してこのぐらいの件数があるという点で、何か少し事務簡素化と申しましょうか、何かというものをやっていただいたらどんなものであろうか。過般、高木主税局長の話を聞きますと、二年目、三年目はやってしまうからまあいいのだと、しかし初年度は、いま言ったように証明書等を設けて認定をせなくちゃならない。そのことを源泉徴収者に依頼することはいかがなものであろうと、非常に問題があるということを、また異議があれば非常に問題にもなるという点を非常  に心配しておられるようでございますが、私は、事務的な問題から見て、両方が迷惑することですから、しかも、取りに行くのに、十分や二十分で行けるところならいいですよ。遠いところになると一時間も行かなきゃならないと、管内のところには税務署一つですからね。ですから、あなたのほうも、こういう人に対しては近くに来て——税を取るほうに対しては、私のほうは何月幾日にどこどこへ出かけますから来てくださいよという通知は出しますけれども恩典にあずかる人のほうには、そういうことをやらないわけですから、全く距離の問題、そういうような点から何かひとついい方法というものを考えていただくわけにはまいらないだろうか。
  9. 吉田冨士雄

    政府委員吉田冨士雄君) おっしゃいますような問題はいろいろ税務署のほうにございます。まず件数でございますけれども、全国的には、これは統計はないのですが、推定いたしますと、住宅取得控除が四十七年に初めて新設されまして、おそらく三十万件ぐらいだろう。申告書が出てまいりますのが。全体で約七百万件ぐらい税務署に出てまいりますので、その率からいくと三%ぐらいでございます。これはやっぱり住宅取得控除は、都市の周辺が多うございまして、そういうところの税務署ではかなり集中しております。いまお話がございましたのでちょっと調べてみましたら、たとえば四十七年度分ですが、千葉は大体全体の申告書が、六万件出るところに約七千件、一〇%以上の件数が出ている。ほかも大体同じくらいの率でかなり集中しております。しかも、いま先生の御指摘のように、税務署でなかなか、一つは、去年から始まりましたものですから、こちらのPRも盛んにやったわけですけれども、いろんな点がふなれな点がございまして、昨年はかなりごたごたいたしました。一番問題なのは、いまおっしゃいました建築確認通知書写しを持ってこなければならない。これは違法建築を防ぐために入っているわけですが、その本文を持ってこられて、また写しを取り直してくださいとかいうことでごたごたしているとか、あるいは違法建築を知らなくて——建て売りが三軒並んでいまして、二軒が適法で、一軒だけ違法建築がありまして、両隣は認められて二万円ずつもらえるのに、自分のところだけは違法建築とはいっても、同じ建て売りなのにもらえないとかということで、税務署の窓口でごたごたして、あなた確認しなかったからいけないと言うんですけれども、そういう気の毒なケースもあるわけです。そういうようなことで、書類の面もごたごたがございまして、非常に混雑したわけでございます。われわれもPR、特におっしゃいますように、PRがこちらなかなかいままではいろいろやっても届きませんでしたので、年末にサラリーマンの源泉徴収がございますが、その裏に全部刷り込みまして、ことしから、税務署へ行けばこうやって返りますということでPRをやったわけです。これは去年たしかこの委員会でいろいろ御指示受けまして実施したわけですが、そういうことで、ことしはまただいぶ件数がふえてきております。この調子でいきますと、一〇%といたしますと、たとえば千葉でしたら七千件が三年間これが続きましたら三倍になるわけでございます。これはたいへんだということで、主税局にお願いいたしまして、できたら年末調整にしてほしいとお願いしたわけですが、いま御指摘のように、初年度はやはり建築確認のチェックはとても源泉徴収者にはまかせられない、向こうもたいへんなので、初年度だけはとにかく税務署でやって、次年度からそれじゃそちらで証明書を出せば源泉徴収でやりましょうということで、考えましたら、これでも三年間事務が三分の一に減るということで非常に喜んでいるわけでございます。あと建築確認をチェックするかどうかという、これは立法論になりますので、私どもといたしましても、そこまではお願いしにくいので、さしあたり初年度だけは全部チェックして、それからあと二年間は年末調整でやっていただくということでお願いしているわけでございます。
  10. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 これも宿題として十分主税局長のほうでひとつ考えてください。  それと関連して、過般商社脱税査察が入れるか入れないか。なかなか特別調査が入れない、普通調査で終わっておるというようないろんな問題がございます。たとえば大阪に例をとりますと、一体人員はどのぐらいおられるわけですか、いわゆる査察官というのは。大阪国税局で。
  11. 吉田冨士雄

    政府委員吉田冨士雄君) 査察官は全国で七百六十人ございまして、大阪は二百人前後だと思います。
  12. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 この間、木材その他の関係で丸紅があがったんですが、商社の名前言うことはなりませんが。それへもしあなたのほうがほんとうに査察を入れたとすると、どのぐらいの人員を動員するというのが常識なんですか、その二百のうちから。ああいう外国法人まで、現地法人までかかえておる。
  13. 吉田冨士雄

    政府委員吉田冨士雄君) これはなかなかむずかしい御質問でございまして、しかも、あれでございますんですが、かつてかなり大きな会社をやりましたときには、大阪国税局二百人くらい査察官がおったわけですが、ほとんど一年ぐらいそれにかかりきりだったということでございます。ですから、延べでいいますと二百六十人の、二百人がやはり年間稼働日数掛けたぐらいの人がかかっていたことがございますので、その点は無理じゃないかという感じがいたします。その調査の内容なり、むずかしさの程度によって、もちろんできるだけこちらは手を省くつもりでございますけれども、それにいたしましても、相当なやはり傍証固めなり証拠を集めるという点で時間がかかるという経験がかつてございました。
  14. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 小さなところへ査察に行くのは五人か十人で済むと思うんです。大きいところは、たくさん人が行って、なかなか複雑で、しかも、外国法人その他があると、なかなかあなたのほうも——これは最後は告発の問題がありますからね。初めから検察庁の捜査令状等を持っておやりになるわけですから、結論がたいへんなことになったら、たいへんな問題だと思う。これはあなたのほうとの攻防戦になるわけです。相手には弁護士もついておる。隠そうとする。あなたのほうはそれを出そうとする。そうするとなかなかその結論が、自信が国税庁には出てこないんです。だから、大きいところは結局やらずに、ほどほどのところしかおやりにならないという不公平な問題ができやしないかということを、一度議論をする必要があるだろうと思って、問題提起という形で私は指摘しておるわけです。しかも、今度商法改正で直結になってまいります、いわゆる小会社に。そうすると、ますますいろんな問題が手広くなってまいります。ですから、こういう問題に対して今度どういうふうにしたらいいのか。いままでのような形では、なかなか容易じゃないんじゃないか。  御案内のとおり、今度相当海外投資がふえていますね、資源関係で。ですから、なおむずかしくなるんじゃないか。  ですから、私はきょうこの場でいますぐどうこうとは申しませんが、少なくとも、みんなから見たときに、納税者の側から見たときに、どうも一番こわいのは税務署だと、そのうちでも、しかも、査察でやられたらたいへんだということはだれも思っておられる。ところがそれが、大規模な、しかも、業種もいろんなふうにこう総合的な商社なんかになると入りにくい。そうすると、弱い者いじめの一つのものじゃないかという刻印を押されると思いますから、そういう問題について十分ひとつ御考慮を願いたいと思います。
  15. 吉田冨士雄

    政府委員吉田冨士雄君) おっしゃいますように、いろいろむずかしい問題、特に海外法人が、あるいは海外投資がふえてまいりますと、やはり国境を越えまして、ほかの国の主権にもまたがる問題になりますので、いろいろむずかしい問題があるわけですが、しかしわれわれとしては、いろんな点で現在努力し、あるいは勉強しているわけでございます。  一つは、できるだけ部内の研修によりまして、海外投資資料調査に熟練するように、あるいは手法を開発するように、現在いろいろ勉強しております。これは職員研修が第一でございます。  それからもう一つは、これは査察に行く前のまだ調査段階調査官の段階でも、最近は出張旅費をいただきまして、海外の支店あるいは現地法人に直接参りまして、いろいろ事実確認、もちろんその現地の国の主権がございますので、そちらの国税当局と相談いたしまして、あるいは場合によれば、その承諾を得ましていろいろ調査をやっております。  それから三番目には、やはりいろいろお互い海外情報交換ということで、租税条約、これはいま二十三カ国と情報交換規定がございますが、この規定をさらにだんだん、どういうものであっても、情報交換規定を実際にやっていくということです。  何と申しましても、やはり国際間の協力が必要でございまして、それぞれの国が主権を持って、それぞれの税金を取っているわけでございますから、現在OECD租税委員会がございまして、これはかっては租税条約のモデルだけ研究していたわけですが、最近はこういう問題、国際企業お互い脱税をどうやってチェックするかという問題で、OECD租税委員会でかなり研究が進んでおりますので、そういうところへもわれわれ出席いたしましていろいろお願いする。あるいは、東南アジアの国税庁長官会議、SGATARといっておりますが、こういうものでさらに連絡する。あるいは米州機構中南北米長官会議がございまして、そういうところにもこちらからオブザーバーで出席して、いろいろそういうときにもお願いするということで、いろいろ国際協力を税の面でもやっていかないと、なかなか一国だけではたいへんだ。そういう意味では、ヨーロッパあたりは、御案内のようにいろいろ多国籍企業で、この問題では各政府が悩んでおります。同じ悩みを日本もだんだん持ってくるようになってまいりましたので、そういう問題も国際協力をだんだん持っていき、具体的には租税条約にそういう情報交換規定をやるというような努力を積み重ねていかないといけないと考えて、また現にそのようにつとめております。
  16. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 最後に主税局長、物品税ですね、いわゆる直間の問題ですね。少し問題は出ましたですけれども、一体物品税どうするのかという問題があるわけです。細見主税局長時代に、家具が、たとえばここでいうと、これがスチールになると、机が非課税になる。木だというと課税される。それからもう一つは、これが同じものでも、使途別によって、用途別で、本人が何々に使うというと非課税、何々に使うと同じものが課税されるというようなそういう問題。あるいは応接セットには一つ一つ買えば非課税、一緒に買うと課税あれる。全く悪いことが一ぱいある。ですから納税者のほうも困りますが、国税庁もたいへん困られて、図を持って、これは課税になるやつだと、こう言って追っかけられる。全く混乱した形がずっと続いておると思う。で、物品税、間接税との関係ですから、直間比率の問題がからんで、何か物品税の問題についてある程度税調と相談をしてはかって改正その他が早急に行なわれるというような答弁が繰り返されてきたわけですね。ところが、まあ二、三年何ともならぬという状態なんです。ですから物品税、いわゆる直間比率とも関連しながら、物品税というものについてどうするかということについては、いわゆる今度税調にはかられようとしておるのか、そういう意思が全然ないのか、方針だけ承っておきたい。
  17. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) その問題は、絶えず研究をいたしております。で、具体的に、四十九年度の税制改正に関連いたしましても、細目について税制調査会におはかりするという段階までは至りませんでしたが、内部的にはいろいろ論議をいたしました。  実は、一昨年の秋ぐらいから昨年の春にかけまして、たとえば絵画が非常に売れるというようなことがありました。それから比較的高級品が、いわゆるこの過剰流動性とかといわれた時代に、高級品が飛ぶように売れるというようなことがございました。そういうものの中には、むしろ非課税物品が多いというようなことがございました。いまお尋ねの家具のように、現在一部課税、一部非課税になっている物品の問題もございますが、全体として非課税になっている物品の中で、やはりどこから見ても奢侈的といいますか、担税力が、現に課税になっているものよりもあると認められるものが、非課税になっているのはおかしいではないかという議論がありましたことと関連をいたしまして、何かの方法で、そういうものを課税する方式が考えられないか。そうなってまいりますと、やはり小売り段階での課税ということを現実の問題として研究する必要がある。現在御存じのように物品税は、大部分が製造段階課税でございまして、小売り段階課税というのは、宝石等に見られますように、ごく一部の商品についてだけ行なわれているわけでございます。そこで、いわゆる高級品といいますか、高価格物品についての小売り段階課税をしてはどうかということを部内でいろいろ検討いたしたわけでございますが、検討の結果では、戦争以来物品税制度ができまして、戦後だんだん物品税をやめて減らしていったわけでございます。いまあらためて課税をすべきではないかといわれている品物というものは、ほとんど過去において課税されておったものでございまして、それを、その後の経過において、長年の間に漸次やめていったわけでございます。で、やめていったのはなぜかといいますと、やはりそれなりに理由があってやめていったわけでございまして、たとえば絵画とか骨とうとかいうものは、現在の日本の、何といいますか、販売の経路の関係とか、またそういう品物を扱っておられる方々の商慣習の実態とかいうものからいって、何が真の売り上げ価格であるかというようなことがなかなか正確にわからない。言ってみれば、また脱税といいますか、私どものことばでいいますと把握率が非常に悪い、それがためにかえって不公平を生ずるというような理由がございましたり、また何らかの意味において、高級品の中には、伝統技術というものとつながりの多いものが多い。繊維製品、高級織物なんかにつきましても、それぞれやはりきわめて特殊な技術がそこに結合しているような品物が非常に多い。で、そういうことから、一つ一つの品物についてそれぞれの理由があってやめたという経緯がございますので、どうもやはりそう軽々にいきにくいということで、具体案を税制調査会にお示しいたします前の段階で、私どもの手元ではかなり研究をいたしましたけれども、その前の段階で断念をいたしたわけでございます。  そこで、場合によりましたならば、現在製造段階での課税ということを中心に考えております方式を、小売り段階での課税ということに切りかえることをいろいろ考えてみてはどうか、同時に、課税対象品目をあまり特掲をいたしませんで、一般的に課税をするというようなことにしてはどうかということも検討いたしておるわけでございます。それが四十六年の八月の税制調査会の答申における個別消費税体系を改めて、一般消費税体系へ移行するということの考え方ともつながるものでございますので、研究をしておるわけでございますが、これはまた一般消費税ということになりますと、必ずしも付加価値税に限らず、相当、何と申しますか、国民の間に拒絶反応のようなものがあるということもありまして、なかなか、よほど財源が不足をして、あるいは特に社会保障財源等が非常に必要になるというような緊要度が高い時期にでもなれば別でございますけれども、まあ現在程度の財政事情の場合に、そういう急転回をはかるということもなかなかむずかしいかというようなことで、とつおいつ考えているというところでございます。しかし、間接税の問題は、そういったいろいろな問題がありますにせよ、何かくふうをいたしませんと、現状のままではいかないということでございます。
  18. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 自動車関係諸税の問題について要望を含めながら一点お尋ねしたいと思います。  自動車関係諸税について税目があまりに多いものですから整理をしたらどうかという議論は、従来から何回となく行なわれてきたと思います。ころが残念ながら、税目の整理ということはこれまでは実現しませんでしたし、近々数年間を見るとかえって税目がふえてきた、逆な傾向が目立っているように思います。現在自動車関係諸税の税目というものは、いまさら申し上げるまでもありませんけれども、揮発油税、地方道路税、石油ガス税、物品税、自動車重量税、軽油引取税、自動車税、自動車取得税、軽自動車税と、九税目にわかっているわけです。で、問題これだれが納める税かということになりますと、最終的に国民が納める税であることは間違いありませんけれども、ごく大まかにだれが納めるかという通常の言い方をしますと、揮発油税、地方道路税、石油ガス税、軽油引取税は、石油の販売関係が納める形になり、物品税は、自動車メーカーが納める、自動車重量税、自動車税、自動車取得税、そして軽自動車税は、それぞれ自動車の利用者が直接払う感覚としてこれまで運用されてまいりました。これを、この九税目について何とか整理統合できないか。これはよく思うんですけれども、徴税対象としての自動車の特色というのは二つあると思います。  一つは、そのものがなくなるまでほとんど完全に管理されている品物だということ。したがって、そのものを買ったときだけではなくて、利用する過程を通じて把握することができる。しかも、この自動車については、全国的に相当こまかな販売網がありますから、どういうぐあいにこれが取引されているかということをつかむことも、そうむずかしくはない。それを考えますと、税を取る対象としては非常に取りやすい、徴税コストとしてはあまりかからない、こういったことが、税目を次々にふやしてきた原因ではなかろうかという気がします。しかし、徴税対象から見て、コストは割り安につくとは言いながら、その部分は、先ほど申し上げた石油業界なり、自動車メーカーなり、あるいは販売店なりに、事実上の徴税コストとしてそこに発生していることは事実だと思う。それを考えても、何とかこれを整理できないか。整理できないかということは、議論としてなるほどそのとおりかもしれませんということになるかもしれませんが、むずかしいのは、この九税目の中で、国税が五税目あって、地方税が四つあります。したがって、国税と地方税の分担という問題を整理しないと、なかなかこの自動車関係諸税の整理統合にも取り組めない。しかも今日では、反対と言っておりますうちに、地方税に占める、税収に占める自動車関係税の割合というのは非常に大きくなりました。それだけを考えても、国税、地方税の割り振りを考えて、この税目をどう整理するかということは、非常にむずかしい問題であることは否定いたしません。あわせて今度この税目を別な見方をして、一般財源と目的財源と分けますと、これがまた入り組んでおります。その多くは道路財源と直結しているわけですけれども、いずれにせよ、目的財源ということになると、それぞれの財源処置との関係を考えないとこの税目も整理できない。まあそこで、それがこれまで九税目にも及んでなかなか改善の手が加えられなかった原因ではないだろうかと思うんです。しかし、これから先々のことを考えますと、先ほど質問にも出ておりました直間比率の問題を考える。今回の自動車関係諸税の増税というのは、将来の展望として、所得税の減税と、間接税の増収ということも一つ考えにあるんですと、これは主税局長のほうからお答えがありました。どこの間接税をふやすかという議論は別にして、方向としてはよく理解できる。  その次に、ではこれからの間接税のあり方ということを考えると、そこの中の相当部分がやっぱり自動車関係の税になることは予想できるんではあるまいか。そう考えれば考えるほど、今日まで何となくできてしまったこの九税目について、国税、地方税の割り振り、一般財源、目的財源の割り振り、そしてまた今後の間接税のあり方ということも含めて、私は、抜本的に検討していただきたいと思いますし、そこにいく最初のステップとして、この九税目を何とか整理ができないか。幸い、幸か不幸かと言わなければなりませんけれども、今回御提案の自動車関係諸税の増税案というのは、二年間の暫定措置ということで、いずれにしても見直さざるを得ないし、諸般の関係があるということですから、ぜひこの整理統合について御検討いただきたい。なぜこうくどく申し上げるかといいますと、これは国なり地方の側から言うとちっとも困ってないんです。九税目あろうと十税目あろうと、税が入ればよろしい、困っているのは、納める側が、あまりに多過ぎて困っているということですから、これは大蔵省のほうで積極的に取り組んでいただかないと、行政の中からこれを直そうという機運は、私はとても出てこないと思う。その意味でも、整理統合について、二年間の暫定ということで自動車関係諸税の増税が御提案されるということにもかんがみ、取り組んでいただきたいと思いますし、早急にその実をあげていただきたい。  以上、要望も含めて申し上げます。
  19. 高木文雄

    政府委員高木文雄君) まきに御指摘のような問題がございます。もともと自動車重量税が創設されました際にも、非常にその点が問題になったことは御承知のとおりでございますので、私どもも、ただいまの御指摘をひとつよく胸におさめて取り組んでいきたいと思います。いまお触れになりましたように、それぞれ理由がありますので、なかなかむずかしいことは事実でございますけれども、そう申しておりますと、事が解決をいたしません。何らかの方法で、たとえ一項目でも二項目でも、何とか方法がないかということを研究してまいりたいと思います。
  20. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  21. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。     —————————————
  22. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) この際、委員異動について報告いたします。  本日、鈴木一弘君、桧垣徳太郎君が委員を辞任され、その補欠として沢田実君、古賀雷四郎君が選任されました。     —————————————
  23. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、会社臨時特別税法案を議題といたします。  まず発議者から趣旨説明を聴取いたします。衆議院議員村山達雄君。
  24. 村山達雄

    衆議院議員(村山達雄君) ただいま議題となりました会社臨時特別税法案につきまして、提案者を代表して、提案の理由及びその内容を御説明申し上げます。  わが国の経済は、一昨年秋以降における国際的要因等に基づく根強い物価上昇基調に加え、昨年十一月に表面化いたしました国際石油問題の影響を受けて、石油製品をはじめ原材料から最終消費財に至るまで数多くの物資が異常な値上がりを示しました。この中には、原材料等の供給不足や先行きの値上がりを見越した、いわゆる先取り値上げや便乗値上げともいうべき事態も見受けられたのであります。このような情勢のもとにおきまして、企業が便乗値上げを行なっても決して得をすることがないように、かりに異常な利益をあげてもこれを税金の形で吸収するため、税制上何らかの措置を講ずべきではないかという世論が盛り上がってまいったのであります。また、このような税制上の措置によって便乗値上げ等をあらかじめ抑制するよう警告する必要も唱えられてまいりました。  このような考え方のもとに、与野党ともそれぞれの立場から構想をまとめ、これを試案として提示されました。各党の構想のうちには、異常な利得を吸収するために、何らかの方式によっていわば正常と認められる基準所得を算定し、この基準所得を上回る超過利得に対して新税を課税すべきであるという考え方があり、熱心な検討が加えられました。  しかし、企業の利益のうちどの部分がいわば正常利益であり、どの部分が超過利得であるかを正確に算定することはきわめて困難であり、しいてそのような基準を設ければ、それは恣意的なものとなって、かえって新しい社会的な不公平を招くおそれさえあることが憂えられたのであります。  一方、正常利益と超過利得との区分をやめて、広く企業利益全体に対して超過累進税率により課税し、巨額の利得に対してはもうけを少なくすることとしてはどうか、こういう考え方も見受けられたのであります。  このように、各党の考え方にはかなり基本的な差違がありました。しかし、本件が現在のようにいわば経済の異常事態に対処して、臨時の緊急措置を早急に講ずるというきわめて重要かつ異例の問題であることから、その基本線についての各党間の協調が不可欠であるという判断に立って、積極的な意見調整が進められてきたことは御承知のとおりでございますが、時間的制約もあって、残念ながら各党共同提案についての成案を得るには至らなかったのであります。しかしながら、この種の特別税をぜひとも本三月期から適用すべしとする社会一般の要請にこたえるためには、どうしても、各党の考え方に共通する部分をさぐりながら早期に法案提出し、その成立を期さなければなりません。そのような見地から、あえてここに会社臨時特別税法案を緊急に提出することといたした次第であります。この会社臨時特別税は、以上申し述べたとおり各党の構想に盛られた基本的な考え方を参照しつつ、いわばその共通する部分を集約して制度化することにつとめた結果のものであります。つまり、この特別税は、企業の正常利益と超過利得との区別という議論をこの際避けて、最近における異常な経済状態によりもたらされた企業利得の一部を吸収すると同時に、現に行なわれております総需要抑制政策を補完するという観点から、大企業の利得の一部に対して特別の追加負担を臨時に求める形のものといたしているのであります。  以下、会社臨時特別税の概要について御説明申し上げます。  第一に、納税義務者は、この特別税創設の趣旨から、これを株式会社その他の会社及び相互会社に限ることとし、臨時の措置として会社利益の一部について課税することにいたしております。  第二に、課税標準は、法人の各事業年度の所得に対する算出法人税額のうち、所得年五億円または払込資本金の年二〇%に相当する金額のいずれか高い金額をこえる部分に対応する金額によることとし、これに一〇%の税率を乗じて税額を算出することにいたしております。  なお、法人税の基本税率の引き上げが、本年五月一日以降に終了する事業年度から適用になることを勘案し、本年四月三十日以前に終了する事業年度につきましては、その税率について所要の調整を行なうこととしております。  第三に、この特別税は、通常の法人税と同様に事業年度終了後二カ月以内に申告し、納付することといたしておりますが、その性格上、法人税と異なり、この特別税については延納を認めないこととしております。  第四に、この法律が昭和四十九年三月末日に施行されることを予定しつつ、施行日以後二年以内に終了する各事業年度について、限時的にこの特別税を適用することといたしております。なお、経済の異常な事態が解消したときは、一年以内に終了する各事業年度に限り適用することとし、その際は別途所要の措置を講じてこの法律を廃止することとしております。  以上、会社臨時特別税法案の提案の理由及びその概要につきまして、御説明いたしました。  この特別税は、その提案の趣旨からいたしまして、本年三月末に終了する事業年度から適用が開始されることがぜひとも必要であると考えられます。何とぞすみやかに御審議の上御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  25. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 本案に対する審査は午後に譲ることといたします。  午後零時四十分まで休憩いたします。    午後零時十四分休憩      —————・—————    午後一時六分開会
  26. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) これより大蔵委員会を再開いたします。  まず、委員異動について報告いたします。  本日、増原恵吉君、茜ケ久保重光君が委員を辞任され、その補欠として岡本悟君、前川旦君が選任されました。     —————————————
  27. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑は終局しておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べを願います。——別に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  28. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それではこれより採決に入ります。  関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  29. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  河本君から発言を求められておりますのでこれを許します。河本君。
  30. 河本嘉久蔵

    河本嘉久蔵君 私は、ただいま可決されました関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。まず、案文を朗読いたします。    関税定率法及び関税暫定措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行にあたり、次の事項について配慮すべきである。  一、弾力関税制度の実施にあたつては、物品の輸入の急増等により当該物品の国内生産者に悪影響を及ぼすことのないよう慎重な運用を図ること。  二、生活関連物資の関税引下げの効果が消費者価格に反映されるよう監視の強化等について特段の努力をなすこと。   右決議する。
  31. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいま河本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  32. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 全会一致と認めます。よって、河本君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福田大蔵大臣。
  33. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨を尊重して善処いたしたいと存じます。
  34. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  35. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  36. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案。  以上、三法案を便宜一括して議題といたします。  質疑は終局しておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  37. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法法人税法租税特別措置法の三改正法案に対し反対の立場で討論を行なうものであります。  初めに、所得税法についてであります。田中総理は昨年、ことしの参議院選挙を意識して、その目玉商品として二兆円減税構想をはなばなしく打ち上げました。結果的には、二兆円減税の名のもとで、実際減税になるのは、初年度で一兆四千五百億円にダウンいたしてしまいました。理由は、石油危機等による経済混乱により、自然増収当初見込み四兆円が、三兆六千八百五十億円に減少したからといわれております。だが、そのことは理由になりません。過去、昭和四十一年度では、自然増収の七割を減税に振り向けた例もあるからであります。政府指摘されておりますように、今日の狂乱物価の経済パニック状況のもとで、国民の負担を真に軽減する考えならば、自然増収の何割という制限があるわけではないのでありますから、初年度に二兆円でも減税実施は可能であったはずであります。しかも、大幅減税の中身を検討いたしますと、標準世帯夫婦子供二人の課税最低限は、四十八年度の百十二万円から百五十万円に、かりに今次春闘で二〇%の賃上げ名目が実行され、百八十万になった場合の減税額は、住民税を含めますと、七千八百二十円の減税で、月額わずかに六百五十円の減税にすぎません。独身者も前述同様計算でいきますると、減税額は五千六百六十円で、月額四百七十円にすぎません。片や一千万円の方は、九十四万九千二百五十円で、月額約八万円の減税大蔵省の認定となります。しかも、年間所得三千万円までの税率の緩和、給与所得の拡大による上限の撤廃、すなわち青天井などの優遇措置が行なわれております。この一例でも明らかなように、低額所得者にはきわめて少額減税であり、高額所得者優遇の減税と言わなければなりません。加えて、配当・利子所得の分離課税方式の優遇措置もそのままで、税の不公平の是正も何ら手つけられずじまいです。このように一貫して上厚下薄の今次改正案には反対するものであります。  第二は、法人税法についてであります。現行の三六・七五%の基本税率を、四〇%に引き上げることになりましたが、配当軽課税率は、当初大蔵省の意向が三〇%まで引き上げる予定のものが、二八%にとどまり、今回の改正も中途はんぱなものとなっております。現在の法人税負担率は、過去の税率水準から比べてみましても、また国際比較でも、相当な引き上げの余裕があるはずであります。たとえば資本金別法人税負担率調査や利潤率調査、三菱総合研究所並びに大蔵省証券局の四十六年調査資料によっても明らかなように、法人税負担率が、資本金十億円から五十億円までの会社一千五十二社が二五・九五%、百億円以上の会社百五十九社、二〇・九%と、法人税負担率はきわめて低いのであります。また年次別税負担率を見ましても、昭和三十五年が一九・五%が、四十六年には一〇・三%まで下がり、年次下降の方向をたどっているのであります。この一事をもってしても、法人税率は抜本的に検討し、その引き上げを実行すべきであります。  租税特別措置についてであります。現在の租税構造の特徴は、所得税では勤労所得重課税、資産所得優遇のシステムを強め、法人課税においては、中小企業軽視、大企業優遇のシステムにあります。この大企業優遇のてこは、まさに租税特別措置にあります。  四十九年度における租税特別措置による減収額は、総額で五千二百億円であり、大幅減税といわれる三分の一強の減収となっております。ことに、課税特例の態様分類でも明らかなように、特別償却、準備金等による減収額は二千三百三十億円となっており、大企業に対する優遇、過保護政策が明らかであります。  また貸倒引当金の金融関係の銀行貸し倒れ率は〇・二%ないし〇・三%、四十六年度貸倒引当金の僅少にもかかわらず、期末残高は一兆八千四百三十七億円、そのうち約四七%を占めております。繰り入れ率の引き下げを断行し改革すべきであります。ほかにも受け取り配当の益金不算入措置は手をつけられないままだし、公害防止準備金制度の適用業種の拡大と、適用期限延長など、租税特別措置によります特権的減免税については、ほとんど改善されず、合法脱税措置は温存されたままとなっております。わが党の主張どおり、廃止に向け十分検討するということを要望いたし、私の反対討論を終わります。
  38. 河本嘉久蔵

    河本嘉久蔵君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりました所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案法人税法の一部を改正する法律案並びに租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し賛成の意向を表明するものであります。  今回の所得税法等改正案におきまして、まず第一にあげるべきは、給与所得控除の大幅な引き上げ及び税率の緩和により、初年度実に一兆四千五百億円という通常の年の五倍にも達する大規模減税を実施することにしているのであります。  その内容を見ると、まず、各種の人的控除及び給与所得控除の大幅な引き上げにより改正法による課税最低限は、夫婦子二人の給与所得者の場合、平年分で現行の百十四万九千円から百七十万七千円へと飛躍的に引き上げられることとなっております。これは、西欧諸国はもちろん、米国のそれをはるかに越える高い水準であり、したがって改正案は、サラリーマン減税についての強い世論に積極的にこたえたものと言えるのであります。  次に、人的控除についても例年に比し大幅の引き上げを行ない、特に扶養控除については教育費のかかることを考慮し、一挙に八万円引き上げ、基礎、配偶、扶養の三控除いずれも二十四万円の同額として、制度の簡素化をはかっております。また、給与所得控除で五十万円の最低控除額を定めたことは、未成年者に税金がかからないようにするための努力のあらわれであって、いずれも適切な措置と認められるのであります。なお、給与所得控除について、控除限度額の頭打ちをはずしていることは、この控除を必要経費の概算控除と認識する以上、給与所得と他の所得とのバランスをとる意味において必要な措置であると考える次第であります。  次に、現行の課税所得二千万円以下の部分につきまして、税率の緩和をはかっていることは、毎年の所得増と、それに伴う所得控除の引き上げで、累進構造がいびつになっているところを是正するものであって、この大幅減税機会にそれを実施するのは、まことに時宜に適した改正であると考えるものであります。その他退職所得の特別控除額の引き上げ及び白色専従者控除の引き上げ等いずれも妥当な措置であります。  次に、法人税法改正案でありますが、法人税の基本税率四〇%への引き上げは、法人の税負担の適正化をはかる見地から、時代の要請にこたえたきわめて適切な措置と考えます。しかも、中小法人につきましては、一般的な増税にもかかわらず、軽減税率は特にこれを据え置くとともに、その適用所得の限度を三百万円から七百万円に引き上げることとしており、中小企業に対する配慮が十分に尽くされている点は高く評価できるのであります。  また、昨年度及び一昨年度に引き続き同族会社の留保金課税について、その定額控除額を一千万円に倍増させていることは、中小法人の内部留保の充実をはかるものとして重要な改正であります。  そのほか、中間申告書提出不要限度を十万円に引き上げる等、実情に即した改正が行なわれることになっているのであります。  次に、租税特別措置法改正案におきましては、まず、法人税の配当軽課税率について引き上げを行なっておりますが、これは基本税率の引き上げに応じた改正であります。  また、自動車関係諸税、すなわち、揮発油税、地方道路税及び自動車重量税の引き上げは、現今の石油情勢のもとにおいて、資源の節約と消費の抑制をはかるとともに、道路財源を充実するものとして、当を得た措置であると考えます。  さらに交際費課税について、損金算入の資本金基準の引き下げを行なっておりますことは、大企業の社用支出を抑制するものとして世論の強い要請にこたえるものであります。  また、勤労者財産形成貯蓄について、その非課税限度額を大幅に引き上げ、また住宅貯蓄控除の限度額を引き上げておりますことは、当今の課題である勤労者財産形成政策を推進する意味において、時宜に適したものであります。  そのほか、公害対策、中小企業対策、農林漁業対策、宅地対策等のための所要の改正は、いずれも妥当なものと認められます。  以上申し述べました理由により、私は、三法律案に賛成するものであります。  以上。
  39. 多田省吾

    多田省吾君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました租税三法について、次のような理由をあげ反対の討論を行なうものであります。  まず、所得税法等の一部を改正する法律案について反対理由を申し上げます。  第一の理由は、四十九年度の所得税減税については、給与所得控除を中心として、給与所得者の税負担感を緩和することに最重点を置いた史上最大の減税であると政府は自画自賛しておりますが、その中身たるや、従来からの上厚下薄の減税に上のせして、年間所得三千万前後の高額所得者までに累進税率を手厚く緩和し、さらに現行の給与所得控除の天井をぶち抜いて青天井とするいわゆる重役減税であり、高額所得優遇の金持ち減税となっていることであります。しかも、このような事業所得や資産所得のアンバランス是正のための理由とするならば、まきに本末転倒もはなはだしく、不均衡是正のためならば、むしろ、租税特別措置による利子・配当の特例や、土地譲渡の特例、交際費の特例などをまず一番先に手直しすべきであって、給与所得控除や、税率緩和でこのような措置を行なうことは、所得減税の本意に対しはなはだ汚点を残すことであります。  第二の理由は、生計費に重点を置く人的控除についてであります。  総理府統計局の四十八年度の全国勤労世帯の家計調査結果によれば、一世帯の消費支出は月に十一万七千円であり、年間では百四十万円となっております。この数字自体も低目でありますが、いま四十九年度の物価上昇に伴う支出増を三〇%と単純試算しても百八十二万円となり、月平均の消費支出は約十五万となります。今回の改正では基礎、配偶者、扶養の三控除を二十四万まで引き上げておりますが、これを四人家族に当てればわずかに九十六万円であり、この額が生計費に見合う額とすれば、月平均八万円の生計費であります。狂乱物価の中で、石油関連製品値上げの追い打ち、さらに今後の電力料金、私鉄運賃、米価、国鉄運賃と、夏から秋に向かって公共料金値上げのメジロ押しであり、この程度の人的控除が、高額所得者は別として、はたして生活実態として妥当かどうかはなはだ疑問であります。  第三の理由は、利子・配当所得の特例や、土地のキャピタルゲインに対する分離課税の特例が依然として温存され、改廃されず、勤労性所得と資産性所得の格差をますます拡大させ、所得配分の不公正を逆累進構造という、税制の基本原則が著しく減殺されて、納税者の不満感と納税意欲を著しく減退させていることであります。  その他、株式のキャピタルゲイン非課税等の不合理も手を触れておりませんが、史上最大の画期的減税の中身とは、政府の宣伝とはうらはらに、依然として上厚下薄となっており、税制の根幹に触れる総合累進課税や所得再配分の著しい弊害は全く是正されず放置されているのは、全く納得がいかないのであります。  次に、法人税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案について反対の理由を申し上げます。  まず第一の理由は、いまさら指摘をするまでもなく、わが国の法人税及び租税特別措置法には、大企業優遇のための数々の恩典規定され、なかんずく租税特別措置は、世界の主要国にその類例を見ない数多くの恩典、特例を規定して、わが国税制上に多大な弊害と汚点を残しているのであります。  第二の理由は、法人税についてでありますが、わが国の法人税率は従来から諸外国と比べてきわめて低く、今回の改正では、基本税率を四〇%まで引き上げて、その実効税率は四九・五%と、国際水準に達したと政府は主張しております。しかし、これは単なる数字の上のマジックにすぎず、現実には、数々の特別措置によって、大企業になるほど、この数字とはかけ離れた逆累進のはなはだ軽いものとなっているという事実であります。また、大企業、大法人は、数々の引当金、準備金、特別償却等の措置によって、大幅な課税の軽減がなされており、さらに支払い配当の軽課、受け取り配当の益金不算入制度等、中小零細法人企業には全く縁遠い数々の優遇措置がなされており、今回の基本税率の引き上げもはなはだ不十分であります。  第三の理由は、租税特別措置についてでありますが、数多くの特別措置の中で、税の総合累進課税を形骸化させ、税の不公平を助長拡大するその元凶は、利子・配当所得の特別措置と土地譲渡所得にかかる分離課税の特例であります。特に利子・配当所得にかかる特例は、勤労所得と資産性所得の格差を拡大し、負担公平の原則を著しく歪曲し、一方の土地譲渡所得は土地成金を続出させて、持てる者と持たざる者との格差をますます拡大し、放出された土地は、究極には庶民大衆の手には届かず、不動産業者や土地ブローカーの手によって転売されるか、法人大企業に買い占められ、結果は税制の不公平と地価の値上がりが残っただけで、著しい弊害だけが残ったのであります。しかるに今回の改正においても、期限の未到来を理由に廃止せず見送ったのであります。  このほか、総需要抑制に逆行する社用消費を助長する交際費、公害対策を名目とする特定設備の特別償却の拡大、大企業の利益隠しを助長する価格変動準備金の大幅増額、さらに物価対策に逆行する揮発油税の引き上げ等、改悪が多く、一向に改廃整理は進まず、慢性化、既得権化する傾向が強く、租税構造を複雑にして、政策目的の効果は不明確で、逆に弊害のみ多く残るものであります。  以上のような理由をあげ、政府に対するきびしい反省と、すみやかな改善を強く求めて、租税三法に対する反対の討論を終わります。
  40. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は民社党を代表して、ただいま議題となっております所得税法法人税法及び租税特別措置法等の一部改正案について、反対の討論を行ないます。  現在、われわれは、経済社会の大きな転機に直面しております。しかも、将来の展望は明確なものではありません。試行錯誤の積み重ね以外に、困難を克服する道はないと覚悟する必要があると思います。  このときにおいて、税制の好ましい姿は、当面の要請に左右される弊害を極力押えながら、可能な限り長期的展望に立って、税の構造を組み立て直していくことだと思います。  この意味で、今回の税制改正にあたって、積年の課題であった法人税率の引き上げ、所得税の累進構造の修正を行なったことは、これが税の抜本的見直しに着手したあらわれとすれば、評価し得ることだと思います。  しかし、一方、内容を見ると、配当軽課措置が依然温存され、利子・配当の分離課税が今回もそのままに放置され、医師の七二%控除も何ら改正を見ておりません。またこれまでの日本の重化学工業化に貢献してきた特別措置の数々も、多くがいまもなお廃止されておりません。またいわゆる二兆円減税構想も、税の論議の前に、政治的スローガンとして先行し、内容は高額所得者に対して配意した改正内容となっております。  以上を通じて感ずることは、今回の税制改正案は、長期的展望に立って将来に向かうというよりも、むしろ党利党略型であり、転換期に処する税の改正となり得なかったと言わざるを得ません。中でも最大の問題は、物価問題に対する政策が織り込まれていないことだと思います。今日の物価問題は、短期的な問題ではありません。中期的、長期的な課題であり、経済構造の仕組みにもかかわる問題だと思います。二兆円減税によって、不要な需要を刺激することも、特別措置を温存して不公平な税負担を放置することも、許すべきではないと思います。  一方、今回の改正では、物価上昇によって国民生活が圧迫される中で、低額所得層に対しては、みずからの努力に基づく賃金引き上げに期待するにとどまっております。また税が財源調達の手段という観点から見れば、その意味で、貯蓄の目減りに対する対策も織り込まれておりません。加えて、国民大衆が負担する自動車関係諸税については、保有の状況、利用している実情、大量公共輸送機関の実情と、住宅政策貧困の現状の中で、自動車交通の私的利用が比重を高めている状況等について、何の中身のある調査もなく資料もなしに大幅増税が行なわれました。ここでまたあらためて今回増税する自動車関係諸税は、国民の家計から支出するものであり、物価上昇の家計の圧迫にさらに上積みされたものであることを強調しておきたいと思います。  以上をもって反対の討論とします。
  41. 星野力

    ○星野力君 私は、日本共産党を代表して、所得税法法人税法及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に反対の討論を行ないます。  まず、所得税法の一部改正案についてであります。政府は、昭和四十九年の所得減税は一兆四千五百億円で、史上空前の減税規模であると称しておりますが、これはかえって政府の過去の減税が、実は国民にとって増税であったこと、いまや中堅層はもちろん、一部上層にまで及ぶ重税に対して、政府も一定の調整を加えざるを得なくなったことをみずから告白したものと言わなければなりません。それだけでなく、政府案は、今回の減税の結果を基礎として、今後新たな増税を行なう意図を有していると考えざるを得ないのであります。このことは、昭和四十九年度の税制調査会の答申が、今後国民所得に対する税負担の割合が増大せざるを得ないと指摘していることからも明らかであります。  また、今回の所得税減税は、一般勤労者や事業所得者にとっては、依然として生計費に食い込む重税となる一方、重役、社長など高額所得者には大幅減税となるものであります。すなわち政府案による夫婦子供二人の課税最低限、白色申告者百万円、給与所得者百五十万円では、最近の勤労者の平均賃金や家計調査の実態から見ても、またすきまじいインフレの進行から見ても、生計費に食い込む重税になることは明らかであります。さらに今度の改正案は、給与所得控除の限度額をなくし、給与所得者と白色、青色事業所得者との間、給与所得者の間、高額所得者と低額所得者との間の課税の不公平を拡大するものであり、その点からも反対であります。  次に、法人税法及び租税特別措置法の一部改正案であります。政府は、法人税の税率を三六・七五%から四〇%に引き上げましたが、同時に、租税特別措置など大企業の特権的減免税を拡大しているのであります。たとえば現在全く企業の利益隠しの道具となっておる価格変動準備金、貸倒引当金を存続したほか、旧重要合理化機械の特別償却の対象設備を、無公害化生産設備の特別対象に加えるほか、為替差損救済措置の強化など、むしろ特権的減免税を強めているのであります。  最後に、自動車関係税の増税は中小業者、地方の勤労者など、自動車を必要としている人々に対する大衆課税であり、また今回の石油製品価格の値上げの上に、自動車関係税を引き上げることは、物価安定を願う国民の意向に反するものであります。  以上の理由により、本三案に反対するものであります。
  42. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  43. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  44. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  次に、法人税法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  45. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  次に、租税特別措置法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  46. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  戸田君から発言を求められておりますので、これを許します。戸田君。
  47. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は、ただいま可決されました所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案租税特別措置法の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。まず、案文を朗読いたします。    所得税法及び災害被害者に対する租税減免徴収猶予等に関する法律の一部を改正する法律案及び租税特別措置法の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、左記事項につき、十分配慮すべきである。  一、医療費負担の軽減を図るため、昭和五十年度の税制改正において医療費控除のいわゆる足切り限度額の引き下げを行うべきである。  一、通勤手当非課税限度額については、通勤実情の推移に応じ、適宜見直しを行うべきである。  一、利子所得、配当所得及び土地譲渡所得の分離課税その他各種の租税特別措置による所得税負担の逆進性については、その是正措置につき検討すべきである。  一、各種準備金等の租税特別措置については、その実績の把握に努め、政策目的を達成したもの及びその政策効果がみられないものについては、速かに整理合理化を行うべきである。  一、社会保険診療報酬の課税の特例については、社会保険診療報酬のあり方との関連をも含めて早急に税制調査会の答申を求め、適正な解決を図るべきである。  一、自動車関係諸税の簡素化につき引続き検討すべきである。   右決議する。
  48. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいま戸田君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  49. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 全会一致と認めます。よって、戸田君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定をいたしました。  ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福田大蔵大臣。
  50. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
  51. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) なお、ただいま可決されました三法案についての審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  52. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  53. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、会社臨時特別税法案を議題といたします。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  54. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました法人臨時付加税法案に対しまして反対の立場で討論を行なうものであります。  初めに、異常インフレと物価上昇、つくられた物不足の中で、大手商社、メーカーの利益はばく大なものとなっております。この不当利潤を吸収し、インフレ物価を抑制し、課税の公正をはかるかが今日の政治緊急課題であります。  国税庁調査でも明らかなように、昨年の九月期決算で、繊維工業七・三倍をはじめ石油精製業四・四倍、鉄鋼業三・五倍、製紙。パルプ工業と鉱業が三・四倍と、大企業は軒並みばく大な超過利潤を上げ、笑いがとまらないという状況であります。ことに三月期決算では、それらの利潤が大幅に上積みされることは明らかであります。こうした超過利潤は、物不足、石油危機という宣伝の背後で大企業がぬれ手にアワのぼろもうけをしていたことを証明するものであり、まさに反社会的行為によるものであります。ゆえに本法案の措置はしごく妥当な措置と言わざるを得ません。  すなわち、わが党案は、第一に、改正法人税率(四〇%、配当二八%)を基準として、所得階級と資本階級の区分に応じて臨時に、段階別付加税を課す。(単純累進と同じ構造となる。なお、四十八年三月決算分は、税率を調整する)  二、段階区分に応じて付加税率は五%、一〇%、一五%、二〇%の四段階とし、適用区分は、別表のとおりとする。この場合、現行実効税率四五・〇四%に対し、臨時付加税を加算した実効税率は、五%で五二・五〇%、一〇%で五六・一七%、一五%で五九・八四%、二〇%で六三・五〇%となる。  三、中小零細法人については臨時付加税をかけないようにするため、資本金一億円以下の法人で年所得五千万円以下の場合は、臨時付加税は適用しないものとする。  四、この付加税は、臨時税(二年程度の臨時法)とし、経過措置を設けて法人利潤税(累進税率の適用)に移行、吸収するものとする。  五、別途、交際費課税の強化、寄付金限度額引き下げ措置などをとる。  法人所有土地再評価益課税について  一、法人所有の土地のインフレ利得を吸収するため、大法人の所有地につき、固定資産評価額に基づき再評価を行ない、その評価益に対し、臨時に再評価税を課する。(ただし、大法人のみを対象とする)  二、税率は二〇%程度とし、三年間の分割納付を認める。  三、税収の半分は社会福祉財源に充て、残りは国債減額に充てることを検討する。  と、しごく当然の本法案に対しまして、自民党は、特別税が年間所得が五億円をこえる部分に見合う法人税額の一〇%としておりましたが、五億円の基準につきまして、払い込み資本金の二〇%という基準を加え、二つの基準のうちいずれか高いほうをとり、それをこえる所得分に見合う法人税額の一〇%を課税することになりました。このことは、まさに本法案の骨抜きを策し、企業を有利にするものであります。これらはあくまでも企業優先、偏向の自民党体質のあらわれであります。物価狂乱という経済パニックによる生活破壊に追いやられております国民の憤激は当然のことであり、自民党と政府の猛反省を促し、反対討論を終わります。(拍手)
  55. 藤田正明

    ○藤田正明君 私は、自由民主党を代表いたしまして、ただいま議題となりましたわが党提案の会社臨時特別税法案に賛成の意向を表明するものであります。  最近におけるわが国の経済は、国際石油問題の影響その他の事情により、物価の異常な高騰に見舞われたのでありますが、その間一部に、企業の先取り値上げや、便乗値上げともいうべき事態が見られたのであります。  このような異常事態に対処して、何らかの措置を臨時かつ緊急に講じなければならないという点において各党の認識は一致したのでありますが、措置の具体的内容については、関係者の精力的な努力にもかかわらず、各党共同提案についての成案を得るに至らず、わが党の単独提案になったのはまことに残念であります。しかしながら、この法案には、各党の考え方に共通する部分を集約して、制度化しようとする努力がきわめて色濃く反映されており、その点が、私が本法案に賛成する基本的な理由なのであります。  次に、具体的な内容について見ますと、まず、企業の正常な利益と、異常な超過利得との区別の困難性に着目して、当初考えられた超過利得税方式をやめ、年所得五億円をこえるところの大会社について、一律に特別税を課税することとしておりますことは、公平かつ簡明な税制という見地から適切な措置だと考えられます。  また資本金の二〇%をこえるという基準が設けられておりますが、これは、大規模な企業であっても、資本収益率が低く、通常程度の配当すらできないものに課税することはかえって不公平であるとの配慮に出るものであって、適切な措置であると考えます。  最後に、この特別税を本年三月期決算から課税することとし、また、適用期間を二年、場合によっては一年と限定しているのは、この特別税が現下の特殊事情に対処して、緊急かつ臨時に設けられるものであることからして、まことに当然な措置であります。  以上申し述べました理由から、私は、この特別税法案に賛成をいたすものであります。(拍手)
  56. 多田省吾

    多田省吾君 私は、公明党を代表して、ただいま議題となりました自民党提出会社臨時特別税法案に対し、反対の討論を行なうものであります。  すでに、衆参両院の国会審議を通じて明らかにされておりますように、昨今の狂乱状態ともいわれる物価高騰は、昨年来の石油危機や、インフレに便乗した悪徳企業によるやみカルテル、買い占め、売り惜しみ、価格操作等の不当行為によって、物価高に一そうの拍車がかけられ、その意図的につくられた便乗、先取りの物価つり上げによる超過利得を吸収し、社会に公平に還元するため、税制面からこれら企業法人に対し課税強化をはかろうとすることは、社会正義、経済的公正を貫くためにも当面の緊急課題であり、与野党ともこの点については全く意見を同じくするものでありました。したがって、本来は、政府提出法案として上程されるべきものでありますが、政府としては、一、税を制裁の手段として使うことは税制の本質から問題がある。二、不当利益と正常な利益とどう区分するか。三、不当利益の基準をどこに置くか。という立法措置の段階で問題があり、政府提出法案としてはなじまないという理由のもとに、立法府へげたを預ける形となったのであります。  また、議員立法として提案をするについても、各党の議論がなかなかまとまらず、わが党はこのような経済混乱に悪乗りして、過大な利潤をあげた大企業法人に対して、重課税の措置を講じ、所得の適正な再配分に資することを目的として、資本金一億円以上の大企業を対象とし、四十六年、四十七年度の二年間の所得の平均基準所得として、その一〇%をこえる部分を超過利潤とみなし、特別税率を課し、さらに業種間の好不況の調整を考慮して、平均基準所得に二〇%以内の加減を認める等の内容を骨子とした大法人の超過利得に対して重課税の措置を定める臨時特例法案要綱を発表し、その実現に努力してきたのであります。  しかし、各党、各層のその趣旨は是としながらも、種々意見を異にし、具体的な方策について一致した意見を見るに至りませんでした。  こうした経済の異常事態に対処する緊急立法は、その背景から見て、時期を失せず早急に成立をはかることが立法の趣旨に沿うものであり、加えて与野党合意を見て、超党派で提案すべきであるとの自民党の強い主張と、各党各様の論議を重ねていたのでは、年度内成立と、三月期決算に間に合わず、その結果は、企業のインフレ利得を放置することになるおそれがあるとの判断から、合意を得るべく与野党で最終検討をしていましたが、自民党は、みずから示した法人所得五億円以上の企業に対し、年間五億円をこえる所得につき、法人税率一〇%の付加税を課することを骨子とする提案から、一夜にして豹変して、資本金二〇%以上のどちらか高いほうを課税所得の基準とする二本立ての課税方式に手直しし、大きく後退修正して、資本金の大きい大法人ほど有利となる、まきに大企業べったり型の手直しを行なったのであります。  以上の経緯と骨抜きの内容から見て、主税局の発表によっても、当初予想された税収見込み額約二千二百億円ないし二千百五十億円から、千七百億円ないし千七百五十億円と、その差は約四百五十億円前後大幅にダウンしたのであります。  このような結果となったことは、大企業のインフレ利益を社会に公平に還元しようとする当初の立法趣旨とはほど遠く、また著しく反するものであり、また基本的にはわが党の超過利得に課税するという本来の考え方から見ても異なっており、本法案に賛成することはできません。  さらに、今回の自民党案では、その税収を社会に還元する措置をとらず、これを凍結して、景気調整の用に立てる構想のようでもあり、またこれら企業が表向き減配、裏では経理をふくらませたり、各種償却を水増しして利益を隠す等の点も考えられ、適正利潤を資本金の二〇%と明文化する等、今後に大きく問題を残す等、種々の問題があるのであります。  以上、反対の理由を述べて反対の討論を終わります。
  57. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、会社臨時特別税法案に対して反対の討論を行ないます。  反対の理由の第一は、与党の議員の責任は何かという問題であります。今日の狂乱物価を生むに至った政治的責任を考えるとき、野党の議員もまた免責されるとは思いません。狂乱物価の原因として、よく政治不信ということが指摘されます。この点について、私もまた政治責任を痛感せざるを得ません。しかしながら、与党の議員のほうが、責任がより大きいことは指摘してよい問題だと思います。その与党議員が、あまり責任の自覚もなく、野党との合意に身を削って努力をすることもなく、自民党単独の議員提案である会社臨時特別税法案を提案されたことに対して、私は強い疑問を感じないわけにはいきません。問題は、狂乱物価そのものであり、これをいかに一日も早く終息きせるかであります。そのためには、狂乱物価に対する与党議員としての責任を明らかにすることが、法案提出に先立つ基本的条件だと思います。事が起こったあと法案を幾らつくっても何の役にも立たない。その意味で、端的に申し上げて、自民党にはこの種法案をお出しになる資格はない。野党が出しているものを賛成するのが精一ぱいの誠意の示し方だと、私には思えてなりません。しかしながら、今回この法案提出に関連して与党議員としての責任の自覚は何ら明らかにされておりません。しかも、これだけの税を取るとしながら、何に使うのかということも御提案の中で明らかにされておりません。まことに前代未聞であり、理解に苦しむ点と言わざるを得ません。  次に、企業モラルの点について一言この際申し上げたいと思います。  これまで日本の企業というのは、それぞれが労働者を含むたくさんの人たちの努力によって、今日の大きな社会的影響力を得たにもかかわらず、また自分たちの意思決定というものは、地域社会を含めてたいへん大きな影響力を持っているということにもかかわらず、そのための識見もなければ、責任の自覚も乏しいといわなければなりません。日本の産業を評して、よく企業あって産業なしということがいわれます。自分の企業さえ残ればよろしいのです。これはまた昨年末来の狂乱物価の大きな要因であったことはいなめない事実であります。今回の法律案が、内容の是非は別として、全企業経営者の猛省を促す機会として活用することをまずもって要請しておきたいと思います。  また今回の増税に関して、その使途については、従前からの議論にあるように、インフレ利得というのはすでに国民のふところからお金は払われてしまっているわけです。いかにどうやって救済するかといっても名案はないとは言いながら、本来これは社会保障に向けられるべきものだと思います。強く主張しておきたいと思います。  また法案の内容を見ますと、いかにも無理な内容だと言わざるを得ません。もともとはインフレ利得をどうやってつかむかということ自体が、技術的にたいへん困難な問題である。にもかかわらず、諸般の社会的環境の中で迎合しながらそれをつくってきた気配があまりにも強い。むしろ私は、昨年来の狂乱物価の姿、企業のあり方というものを見ながら、企業というものはそもいかなる立場で今後行動すべきなのか、そこの中に政府、行政というのはいかに介入をしていくのか、そこまでおりながらの煮詰めた議論をすべきではなかったんだろうか。その意味で、私は最後に二点申し上げたいと思います。  企業のあり方という面で、今日、先ほど来の議論の中で行なわれました租税特別措置の中で、さんさんに残っている大企業有利の諸特別措置に対して、一日も早くこれを是正しながら、そういうもののない税制をつくるための努力を与党議員みずからが起こすべきではございませんか。さらにまた企業のあり方という問題について、与党議員みずからが、内容に立ち入った検討をすべきではありませんか。環境はこうなっている。したがって、画一的に何でもよろしい、月末までに間に合えばよいという態度そのものが、実は政治不信を生んできたんで、狂乱物価をささえてきたほんとうの原因ではなかったんだろうか。私は、今回法案の御提案を受けながら、まことに情けない気がいたします。  以上をもって反対の討論といたします。
  58. 星野力

    ○星野力君 私は、日本共産党を代表して、自由民主党提出会社臨時特別税法案に反対の討論を行ないます。  現在異常なインフレ、物価高騰の原因が、石油危機に便乗した大企業の買い占め、売り惜しみにあることは、国会の審議でもすでに明らかにされたところであります。大企業の超過利得に対する課税を強化し、不当な便乗値上げを押えるとともに、社会的公正の確保をはかることこそ国民の強い要望であります。  しかるに、この自由民主党案は、第一に、大企業の超過利得に目をふさぎ、一律に一定の限度で若干の課税を行なうものであり、また超過利得の糾弾というよりは、景気調整を目的とするものであり、国民の強い要望に背を向けるものと言わなければなりません。  第二に、自由民主党案は、資本金の二割を控除することとしており、これは資本金の大きい企業ほど有利となるばかりか、巨大企業や荒かせぎ企業に対して十分課税の効果をあげることができないのであります。たとえば新日本製鉄は資本金二千三百億円で、控除額は半期で二百三十億円となりますが、本年三月期決算の予想利益四百五十億円に適用すると、税額はわずか七億円で、負担率は一・六%にすぎないのであります。これでは大企業の荒かせぎを押えることができないのは言うまでもありません。法人の資本金別負担率については、東京都の調査で、資本金一千万円以上が四五・六九%、資本金百億円以上が三二・二四%というように、逆累進性になっていることが明らかにされております。自由民主党案は、この法人の逆累進性をさらに拡大するものであり、その点からも反対であります。  第三に、自由民主党案は、大企業の租税回避行為の禁止規定を欠いており、その税額は、当初の税収見積もり額よりもさらに減少するおそれがあることは明らかであります。たとえば新日本製鉄の昭和四十八年九月期決算は、前年同期に比べて、経常利益の増加が六百七十億円に対し、引当金、準備金の積み増しを一千八十二億円も行なっているのであります。このことからも、租税回避行為の禁止規定を欠いていることは全くのしり抜けと言わなければなりません。  以上のように、自由民主党案は、大企業の超過利潤に徹底的に課税する意思はなく、またその手段もしり抜けであり、大企業と癒着する自由民主党の本質を暴露したものであり、その効果もないこの案には反対するものであります。
  59. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  60. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  会社臨時特別税法を問題に供します。  本案に算成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  61. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定をいたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  62. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定をいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時五十八分散会      —————・—————