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1974-03-05 第72回国会 参議院 大蔵委員会 第8号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月五日(火曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員異動  三月一日     辞任         補欠選任      片山 正英君     高田 浩運君      濱田 幸雄君     玉置 猛夫君      高橋文五郎君     中西 一郎君      古賀雷四郎君     西田 信一君      西村 尚治君     船田  譲君      山本茂一郎君     山崎 五郎君      中村 登美君     桧垣徳太郎君      加藤  進君     渡辺  武君  三月五日     辞任         補欠選任      高田 浩運君     濱田 幸雄君      中西 一郎君     志村 愛子君      西田 信一君     古賀雷四郎君      青木 一男君     竹内 藤男君      山崎 五郎君     細川 護煕君      船田  譲君     木村 睦男君      玉置 猛夫君     黒住 忠行君      桧垣徳太郎君     稲嶺 一郎君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         土屋 義彦君     理 事                 河本嘉久蔵君                 藤田 正明君                 成瀬 幡治君                 多田 省吾君                 栗林 卓司君     委 員                 稲嶺 一郎君                 木村 睦男君                 黒住 忠行君                 古賀雷四郎君                 志村 愛子君                 柴田  栄君                 嶋崎  均君                 竹内 藤男君                 濱田 幸雄君                 細川 護煕君                茜ケ久保重光君                 竹田 四郎君                 田中寿美子君                 辻  一彦君                 戸田 菊雄君                 鈴木 一弘君                 渡辺  武君                 野末 和彦君    国務大臣        大 蔵 大 臣  福田 赳夫君    政府委員        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房審        議官       大倉 眞隆君        大蔵省銀行局長  吉田太郎一君        自治大臣官房審        議官       近藤 隆之君    事務局側        常任委員会専門        員        杉本 金馬君    説明員        国税庁間税部長  横井 正美君        建設省住宅局住        宅計画課長    京須  実君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○割増金付貯蓄に関する臨時措置法案内閣提  出、衆議院送付) ○印紙税法の一部を改正する法律案内閣提出、  衆議院送付)     —————————————
  2. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいまから大蔵委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る一日、片山正英君、濱田幸雄君、高橋文五郎君、中村登美君、西村尚治君、山本茂一郎君、古賀雷四郎君及び加藤進君が委員辞任され、その補欠として高田浩運君、玉置猛夫君、中西一郎君、檜垣徳太郎君、船田譲君、山崎五郎君、西田信一君及び渡辺武君が選任されました。  また、本日、高田浩運君、玉置猛夫君、中西一郎君、船田譲君、山崎五郎君、西田信一君、青木一男君が委員辞任され、その補欠として濱田幸雄君、黒住忠行君、志村愛子君、木村睦男君、細川譲煕君、古賀雷四郎君、竹内藤男君が選任されました。     —————————————
  3. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、印紙税法の一部を改正する法律案議題といたします。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 時間的な制約がございますですから、一問ということで少しまとめて伺いたいと思いますが、いま直間比率はどのぐらいになっているのか、四十八年それから四十九年の、まあ、まだ四十八年の決算は出ておりませんですけれども、四十八年の見通し、それから四十九年の見通し、そしてこういう直接税が非常に多くて、間接税が少ないということについて、政府は、何らかの対策というものをお考えになっておるのかどうか、もし対策というものを税制調査会等で検討されるとするならば、どういうようなことをお考えになっておるのか承っておきたいと思います。
  5. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) まず、御質問数字のほうからお答えいたしますが、四十八年度の補正後の予算におきますいわゆる直間比率は、直接税が七一・二、間接税等が二八・八ということになっております。四十九年度当初予算算におきます見込みにおきましては、直接税の比率が若干下がりまして六九・九、間接税等が三〇・一という見込みをいたしております。もっとも、今回の税制改正前の見込みにおきましては、四十九年度は直接税が七三・九、間接税等が二六・一になると見込まれております。なお、四十八年度の当初予算におきましては、直接税が六九・六、間接税が三〇・四見込まれておったわけでございまして、以上申し上げました四つの計数からいたしますと、四十九年度の当初予算見込み比率は、四十八年度の当初予算見込み比率に比べますと、なお、直接税が若干ふえておるという形になろうかと思います。  御質問の第二の、今後どのように考えるかということでございますが、この問題につきましては、かねてから税制調査会税体系の基本的な問題として御論議を願っております。従来の税制調査会での御議論を私なりに集約して申し上げますと、直間比率としてどの程度水準が適当かということについて絶対的なきめ手はない。たとえば、七、三ならいいとか、六、四でなくちゃいかぬとか、そういう絶対的なきめ手はない。ただ、日本税体系のいまの構造は、ほうっておくと、直接税の比率がかなり急速に高まっていく性格を持っておると認められるので、間接税については、適当な機会をとらえて、その地位が適切なものに維持されるように修正を行なうべきである。その場合の問題としては、一つは、御承知従量税体系によっておるものにつきまして、できるものがあれば従価税体系に移行してはどうか、また、従量税体系にとどまることが適当とするものについては、ある程度の期間を置いて、その負担水準の見直しをしてはどうかということが指摘されております。なお、これらの問題のほかに、わが国の間接税体系が、いずれも一個別物品あるいは個別サービス消費対象とした税目が中心的でございますので、将来の問題としては、やはり一般消費税導入の可否を引き続き検討しておくべきであろう、いますぐ導入しろという意味ではなくて、将来の問題として検討しておくべきであろうというような御論議が重ねられておると、かように了承いたしております。
  6. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 確かに直間比率、七対三がいいのか、あるいは六対四がいいのか、あるいは五対五がいいのか、なかなかきめ手的なも一のはないと思いますが、しかし、所得税が極端に重いとか、あるいは所得関係で申しましても、トーゴーサンとか、あるいはクロヨンということばがございます。ですから、公平であるべき所得税関係一本とってみただけでも、そういうような不公平な声が出ておる。ですから、税というも一のは、あくまでも公平が原則であって、負担の重い軽いということもu非常に大きな問題でしょうけれども、一番大切な点は、公平という点が大切だと思います。ですから、そういった意味から、一度直間の問題について、いろいろと早く結論を出していただかなくちゃならぬときがきておると思います。  また、物品税改正等も、当委員会等でも、しばしば議論され、この次は、近いうちにはというようなことばがしばしば繰り返されてまいりましたけれども、今回の改正等は、見送られてきておる。そういう中で——あと四、五分しか時間がございませんから、この印紙に関連してお尋ねするわけですが、今度は、階級定額税率になっているわけです。これは、全く新しい導入なんですが、これが何か新しい税体系というようなものを踏まえての提案なのか、全然そういうこととは無関係とおっしゃるかも一しれませんけれども、何か税調の中で議論をして、一つ方向を踏まえて提案したというふうに理解されぬこともないのですけれども、その辺のところはどうなっておるのか、お答え願いたいと思います。
  7. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 今回の御審議を願っております印紙税法改正一つの大きな軸が、ただいま御指摘になりました売り上げ代金領収書につきまして、従来の一律定額課税から、いわゆる階級定額課税に移行するという点にあることは御指摘のとおりでございます。  この改正案をお願いいたしております趣旨は、先ほど私が申し上げましたいわゆる間接税のおくれを調整したいという基本的な考え方に乗っておるも一のだと思います。そのおくれと申しますのは、先ほど申し上げましたように、従量税あるいは定額税であるために、経済規模の拡大、あるいは所得物価水準の上昇に追いつかないという面を調整してまいるという趣旨であると考えております。したがいまして、税収スケールその他におきましては、おくれを調整する程度のも一のでございまして、あるいは御質問趣旨が、直間比率というも一のを非常に大きく変えるための第一歩かという御質問であるといたしますれば、とうていそういうことにはならない、金額的に。現在国税総額で約十四兆でございますので、かりに一〇%動かすとすれば、一兆四千億の増減税がございませんと動かないわけでございますので、今回お願いしております程度スケールでは、とうてい直間比率を大きく変えていくというようなことにはなり得ない、くどくて恐縮でございますが、やはり御審議をお願いしております趣旨は、定額税従量税の中で、従価税あるいは階級定額課税のような、比例的な負担を求めるも一のに移行できる項目があれば、逐次それを実現していくという思想に沿った改正であるというふうに御了承願いたいと思います。
  8. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまの答弁から伺っていても、大体見当はつくんですけれども、さらにちょっと念を押して伺いたいんですが、間接税税率構想に対する考え方、これが印紙税だけに限らず、これから従量税、従来からの従量税ですね、それをいわゆる——今回の改正で見てもわかるんですけれども従価税へというふうにだんだんかえていくという方針、そういうものがおありなのかどうかという点を、これを見ているとそう思うわけであります。たとえば、階級定額課税の問題等ありますから、そういう点で御説明を願いたいと思うのですが。
  9. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) ただいまの鈴木委員の御質問に対しましては、方向としてそのとおりでございますとお答えすべきかと思っております。ただ一律にすべてについて直ちに実施するかというと、そうではない。具体的に課税対象をよくよく検討した上で、このような課税物件、あるいは課税対象については定額税従量税でないほうがよろしいし、また執行上も一それによる新しいトラブルがほとんど生じないというような個別の吟味を重ねました上で、逐次移行していってはどうかというのが現在の税制調査会の基本的な御方針一つだと思っております。その意味で、現在従量税にとどまっておりますものとしましては、税目として非常に大きなものとしてはガソリン税がございますし、酒税の中でも、圧倒的に大部分の酒はいまだに従量税制度のも一とにございます。酒類につきまして、従価税制度に切りかえることができるかどうか、これは実は四十七年度中からすでに研究を始めております。なお、成案を得るに至っておりませんが、将来の問題といたしましては、妥当な方向が見つかれば、これも一従価税体系に切りかえることを一般的に、いますでにウィスキーとか、あるいは非常に高い値段の日本酒とか、そういうものは従価税になっておりますが、一般的に従価税に切りかえることが適当かどうか、なお研究は続けてみたいと思います。  それから、ガソリン税につきましても一、従価税のほうがベターであるという判断がかなり多くなってきつつあると、私は思いますけれども一、ただ、四十九年度につきましては、何せ価格のほうがこのように激動しておりますので、こういう状況のもとでいきなり従価税というのは適当でないであろうという判断のほうがむしろ強かったので、したがって、ガソリン税は、四十九年度はとにかく従量税のまま、しかし、今後の研究課題ではある、そのように考えているわけでございます。
  10. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 今回の四十九年度の税制改正で、間接税の手直しは、この印紙税自動車関係のいわゆるガソリン税、そのほか従量税ですね。そういうものの二点にしぼられておりますけれども、そういう理由、これは徴収上の問題、そういう点がおもであって、説明されているような担税力とか、あるいは経済取引上の利益の問題、まあそういった推移のことよりも、税務執行上の簡便さのほうが優先されているのじゃないかという感じを持つわけなんですが、その点はいかがですか。
  11. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 間接税改正につきましては、先ほど来お答え申し上げておりますような、基本的な方針とも申すべきものが一つございまして、それを踏まえて、具体的に各年度の改正で何を行なうべきかということを吟味してまいるということになると思います。  四十九年度改正につきましても、現在ございますいろいろの間接税の中で、この機会改正すべきものは何かということで作業をいたしました。その結果、たとえば、酒税につきましては、先ほど申し上げたような、従価税の切りかえというのはなお時間的検討を要する。  砂糖消費税につきましては、むしろ減税というような御要望も一部にございましたけれども、これは現在の状況ではそのまま、まあ物品税は、四十八年度に改正をお願いしたばかりでございますので、四十九年度はもう少し負担状況推移を見守りたいというような、税目別にいろいろの考え方を詰めてまいりました結果、ここにお願いしておりますように、印紙税についてはおくれを取り戻すための改正をお願いしたい。  それから自動車関係諸税自動車従量税揮発油税地方道路税につきましては、これは一方で、道路計画におきます特定財源比率がかなり落ち込んでしまうという問題があり、他方昨年十一月、特に十月後半以降の石油の情勢の非常な変化に伴いまして、道路財源という角度に加えて、もう一つ資源節約消費抑制というような角度も入れて、暫定的な負担増加を求めたらどうかということで、やはりこの三種の税については、四十九年度で負担増加についての改正をお願いしたいと、以上のような作業過程を経て、御提案申したというのが事実でございまして、もちろん具体的な提案に際しましては、それが執行上どういう負担になり、あるいは納税者に無用の負担を及ぼさないというようなことは十分吟味いたしますけれども、その角度からの検討だけで具体的な御提案を申し上げたというわけではございません。
  12. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 国税収入の中に占める印紙収入割合が、四十九年当初のいまのところの予定では五千八百三十億円で、十四兆の中で四%程度という割合になっておりますが、四%というのも、いままでにない、戦前の昭和九年から十一年の六・八%というのに比べると少ないですけれども、戦後をとれば最高である。そういうことであり、それから、税収金額もぐっとふえてまいりまして、もう昭和四十年代の当初よりは五倍か六倍というふうになっております。これは経済成長伸びとともに取引、そのほか証書、株券、いろいろありますから、当然伸びてくるのはわかりますけれども、この国税収入の中に占める印紙収入割合というもの、これはどこら辺が適正であるというような、まあ、適正とか適当ということはないと思いますけれども、過去の統計や、今後の経済推移、こういうものから見ていって、この点までは何するべきであると、そうしなければ今度は物価にいろいろ反映するだろうと、商取引が複雑になるだろうとか、いろんな問題が出てくると思いますが、その点はどの程度いま勘案しているのかですね。
  13. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) これは、具体的な数字によりまして、何%ぐらいが適当か、あるいは限度かというようなところはなかなかきめ手のないところであろうかと思います。ただ、一般的に申し上げられますのは、この種の税に非常に大きなウエートを期待する税体系というものは、やはり必ずしも適当ではあるまい。やはり税体系の中で、直接の所得に対する課税であります所得税法人税が相当大きなウエートを持ち、それに対して、中核的な消費税が補完し、さらにそれらを補完するものとして流通税を位置づけるというようなあり方のほうが適当ではないかと、私どもとしては考えます。その意味では、今回の改正後予想されます四・〇%というウエートは、流通税としてはそれなりにかなりのものであると評価をしてもいいのではなかろうか。ただこれは、登録免許税のほうは、従価税のシステムのものが非常に多うございますのでそうおくれません。  それから、印紙税も今回の改正後では若干おくれを、今後のおくれを取り戻してくれるとは思いますけれども、やはり何年かたちますと、またじりじりとそのウエートが低下せざるを得ないという性格のものではあろうかと思います。その意味で、今回の改正をこのまま御賛同を得ますれば、四十九年度というのが一つの峠になって、そのあとしばらく改正しなければ、またじりじりと下がるという性格の税のようには思っております。
  14. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 時間がきたようですから、これで終わりたいと思いますが、これは、国税庁になるのかしれませんが、最近における印紙税脱税件数とか、脱税額とか、それから直税の——まあ一体どの程度その脱税件数やら脱税額があるか、その比率ですね、そういう点について、法人やらいろいろなのございますが、そういう点の比率についてありましたらいただきたい。  それから、取引の回数の多い業種、業態によっては、加工販売、いろんな過程で、いわゆる印紙税を出さなきゃならないということになってくるわけでございますが、その点についての考慮、取り扱い、その点はどうしていくか、この二点について。
  15. 横井正美

    説明員横井正美君) 第一点の脱税状況についての御質問でございますが、私どもといたしましては、税務調査の結果から、御説明申し上げるしかないわけでございますが、印紙税調査につきましては、比較的高い税率が適用される不動産売買契約書でありますとか、あるいは請負契約書あるいは手形、こういうものを作成したり、あるいは所持したりする機会の多い不動産業者とか、あるいは建設業者金融業者、こういう事業場を中心に調査をいたしております。  四十七年度について申し上げますと、約一万場につきまして調査を実施いたしたわけでございまして、その約四〇%におきまして印紙税の不納付文書が発見されております。その作成者に対しまして、過怠税を賦課しておるということでございますが、その不納付の税額は約二千七百万円でございます。したがいまして、一万場当たりで見ますと、二千七百円平均という不納付額が実績として出ておるわけでございます。  直税との比較ということになりますと、もともと税の仕組みとか、あるいは調査のしかたが異なっておりますので、単純に比較はできませんけれども法人税の場合について申しますと、実地調査をしたもののうちで、約五七%につきまして更正決定を行なっておるという状況でございます。
  16. 大倉眞隆

    政府委員大倉眞隆君) 鈴木委員の御質問の第二点の問題は、確かに取引高税でございますとか、あるいは受取書印紙税あるいは手形印紙税というような場合に、問題点一つでございます。ただ、かなり高い税率で、各段階取引負担を求めますときには、その問題は非常にシリアスになります。その問題を解決するために、取引高税がだんだんに発展して、御承知のEC型の付加価値税のようになって、累積的効果を避けたいというくふうがされてきたというふうに思います。ただ、印紙税の場合は、御承知のとおり、これは文書税でございますので、各取引について必ず負担を求めるという取引税とは、基本的に性格が違っておりますのが一点と、もう一つは、税率が非常に低うございまして、従来でございますれば、たとえば、受取書はもうとにかく金額いかんにかかわらず一段階に二十円、今回の改正後でも、五十万をこえるような場合に、やっと万分の一から万分の二ぐらいの税率でございますので、各段階における印紙税負担が、そのまますべて前転されるということは必ずしもなかろうと思います。さらに、かりに全部前転されるといたしましても、十段階まとまっても千分の一ぐらいにとまるということでございますので、いわば税率が非常に低い場合には、御指摘のような問題は、本質的にあるけれども、実際の経済上の効果としては、そう気にしないでも済むんではなかろうかというのが、私ども判断でございます。
  17. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 他に御発言もないようでございますから、質疑は終局したものと認めます。     —————————————
  18. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) この際、委員異動について御報告いたします。  桧垣徳太郎君が委員辞任され、その補欠として稲嶺一郎君が選任されました。     —————————————
  19. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、割増金付貯蓄に関する臨時措置法案議題といたします。  前回に引き続きこれより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  20. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは銀行局長に聞いたのがいいのか、政務次官に聞いたのがいいのか、よくわかりませんけれども、今日の日本経済の中における過剰流動性というものは、一体どんな状態になっているのか。一面では、最近の過剰流動性は〇・八二カ月ぐらいになっているという情報もありますけれども、現実には、今日の過剰流動性というのはどうなっているのか、説明いただきたい。
  21. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) いわゆる過剰流動性というものを考える場合の手がかりといたしまして、一つには、通貨量、特に、現金通貨のほかに、預金通貨を含めましたその推移でございます。これがGNPの大きさに対しましてどのようにあるかということで考えてまいりますと、確かに四十七年、四十八年の間は、GNPの大きさに対する通貨量ということは、非常に大きく出ております。それが最近になりまして、いわばGNPを長期的に見て、長期趨勢線と言っておりますが、そのGNP伸び方に比べまして、ほとんど同じになってきておるというのが、最近の通貨量推移でございます。  具体的に申しますと、特に通貨総量といたしましては、昨年の十月ぐらいまでは、その伸び率というのが二三、四%、ピークが二五、六%ということで通貨がふえ続けておりましたが、十一月、十二月に入りまして、それがようやく一割台になってまいりました。一九%ないし一七%という形で通貨量が減少しております。  それからもう一つは、いま御指摘のございましたように、企業の手元流動性という関係でございますが、これにつきましても、日本銀行の経済短期観測というものを三ヵ月ごとにやっておりますその計数によりますと、ほとんどいわゆる過剰流動性というものが問題になり始めた前の状況を落ち込む状況に最近はなってきておるということから、総体的に見ますれば、現在のところいわゆる流動性が多過ぎるという状況は脱しておるのではなかろうか、かように考えております。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは一般的に、全国的平均でいえば、確かに前よりは流動性は減っているし、日銀の発券率も確かにおっしゃるように下がっていると思いますが、しかし、昨年の秋からの石油危機の中で、各企業の手元流動性というのは、均一な、平均的な形じゃなしに、非常に企業によって大きな差異が出てきているんじゃないか、こういうふうに思うんですよ。そうしますと、ただ単にこれを金融の引き締めという措置だけでやって、はたしてそういう偏在している資金、こうしたものが吸収できるのかどうなのか、こういうことになると、一般的な金融引き締めの形、こういう形では、そうした個別の余っている流動性、こうしたものは吸収できないんじゃないか。結論的には、そうした金融引き締めという一般論だけで進めていけば、そういう企業の余っているところでは、これはいいでしょうけれども、しかし、余っている企業の過剰流動性は、やがてやっぱり同じような、大規模であろうか、小規模であるかは別として、やはりそれは商品投機の方向、あるいは売り惜しみの方向、そういう方向にそうした流動性が使われていく可能性が非常にあると思うんですよ。逆に、そうした一般的な金融引き締めでやっていけば、流動性——自分のところに資金のない、これは中小企業なんかまさにそういう種類のものになると思いますけれども、そういうところはかえって金が借りれない、こういうようなことになっていってしまうんじゃないか。そういう意味では、ただ単に一般的に流動性が非常に減ったということだけで問題はちっとも解決していない。むしろアンバランスになっている。その問題のほうが、今日非常に大きい、こういうふうに思うんですけれども、それについて一体、大蔵当局、あるいはきょうは日銀さんがお見えになる見込みで来ましたのですが、日銀さん来れないというのですけれども、その辺の考え方を明確にしてもらわないと、ただ金融引き締め、金融引き締めということだけで進んでいっても、これは弱い者をいじめて、強い者は助けるというふうな金融引き締めになってしまうのじゃないかと思うのですが、どうでしょうか。
  23. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) いまの先生の御指摘は、私ども全くそうだと思います。いわゆる破行的現象ということがいわれておりまして、特に、造船、自動車、鉄鋼、あるいは石油といったところは、比較的資金繰りが楽である反面、不動産業、建設業、繊維といったところは、非常に苦しいといったような状況が起こっております。そういうことからいたしまして、私どもも引き締めを総体的にさらにもう一段ここで追い打ちをかけるべきものであるというようなことは避けるべきである、かように考えております。実体の経済がむしろ鎮静、総体的には鎮静の動きを示しておるときに、さらに引き締めを一段強くしていくということは、むしろ問題である、かように考えております。したがいまして、むしろ問題は、いわばそういう破行現象に対応するために、できるだけ資金繰りをよく把握いたしまして、それに応じて貸し出しの調整を行なっていくべきであるということから、先月さらに私ども通達をいたしまして、いわゆる選別の中で、さらに資金繰り状況を把握する、在庫の資金について、もう一度再審査をするということ、それから、従来のクレジットラインと申しますか、すでに設定した手形のワク等をもう一度あらためて再審査すること、それから土地融資について、従来すでにもう貸してあるものについても、その利用状況を把握して、それに応じて貸し出しの回収をはかるというような措置をとるような通達をしたわけでございます。  で、それと並行いたしまして、全産業のうち公益事業を除きます二十五の業種につきまして、大体、それらの業種の全体の売り上げの半分ぐらいに当たるわけでございますが、百二十三の企業につきまして、特別調査を実施することにいたしたわけでございまして、それの実施とともに、実際に貸し出し指導も行ない、あるいは資金繰り状況についても把握していきたい、かように考えておるわけでございます。
  24. 竹田四郎

    竹田四郎君 選別融資のことについては、あとでまたお聞きしますが、一体、今度の割増金付定期預金ですね、この売り出し先、売り出す相手、これは一体どこをお考えなんですか。
  25. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 割増金付貯蓄につきましては、きわめて限られたことではございますが、アンケート調査などの結果を見ましても、比較的小口の需要が多い。一万円買いたいという方が、買いたい方の半分ぐらいであるというようなところから、いわば小口を拾っていくというようなことになるのではなかろうか、かように考えております。もちろん個人ということでございますが、個人の中でそういうような層が多くを占めるのではなかろうか、かように考えております。ただ、これにつきましては、この委員会でもいろいろ御批判もございましたし、衆議院でも御批判もございましたし、あまりこういうものを積極的に宣伝していくというようなことについては、私どももむしろ控え目に考えるべきであるというところから、これを特に、このために預金の獲得競争というようなことは、むしろ控えさせたいと考えております。店頭において、預金者の意向に応じて、預金をお願いするというような形で考えておりますが、大体小口の一万円から十万円までの方というのがおそらく大半であろう、かように考えております。
  26. 竹田四郎

    竹田四郎君 アンケート調査というのはどこでやったアンケート調査か知りませんが、三和銀行あたりでやったアンケート調査があるようでありますが、これなんか見ますと、ほとんど一口ということなんですが、これは法人には売らないんですね。個人だけですね。どうなんですか。
  27. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 法人——おそらく大企業ということはないと思います。ただ、事業をやっておられる方かどうかということは、これは非常につかみにくいわけでございますので、いわば法人というものには売ってはいけないという指導はいたしておりません。現在の段階でむしろ法人——大企業であるいわゆる株式会社何々といわれておるようなものが、こういうものを買うことはないと思いますし、また、そういう預金の取りくずしが進んでおる段階でもございますので、そういうことはないと思いますが、法人には一切売ってはならないというような指導はいたす予定ではございません。
  28. 竹田四郎

    竹田四郎君 宣伝はしてないというお話なんですが、新聞紙上でもその他の経済雑誌でも、割増金付定期預金という記事というのは非常に出ているわけですね。それで、そういう意味では、あなたがそういうことをおっしゃるけれども、積極的に銀行側が宣伝をしなくても、こういうものはざあっと広がっていくものだと思うんです。だから、昭和十九年ですか——戦時中につくられたこれと同じ制度でいきますと、割増金付定期預金の割合というのは、全預金の七五%までいったという記録があるそうですが、私確かめたわけじゃありませんけれども、そういう記録がある。ということにもなりますし、いま局長は、これはあんまり大きくしたくないと言うんですが、もう各銀行とも、これでいこうという体制というのは、ずっと進んでいるわけですね。これは私、事実だと思うんですよ。あなたのほうは宣伝したくないと言っても、宣伝されているわけですし、いまおっしゃるように、これ法人に売らないという規制はないわけです。そうすると、個人のは一万円ぐらいもの、まあ法人の場合は幾らになるかわかりませんが、規制がないというんですから、相当買うでしょう。そうすると、個人はくじはずれになれば、まあいいもので三分ぐらいの利子、悪いのになると、いま計画されているのでは利率ゼロ、こういうようなことも考えているようであります。そういたしますと、やっぱりたくさん買ったところには、大体平均的な利率でいく、あるいはうまくすれば大きなのが当たるかもしれない。しかし、一口買ったのでは、これはどうにもしようがないわけですよ。宝くじだってそうですね。大体一枚買わないで十枚以上買っているのが大多数ですよ。たくさん買ったほうが、平均的に見れば一まあ非常な高利率というわけには、一万円が一千万円に全部なるというわけじゃないですけれども、平均的な利率というものは得られるわけです。そうすると、これはやっぱり一つは、個人にギャンブルの夢を与えて、一千万円当たるんじゃないかというような夢を与えて、結局、一般の個人から無利子で金を取り上げる、こういう結果になると思うんですが、これは政務次官どうですか。
  29. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 御説の点も皆無とは言えませんけれども、少なくとも、法人あるいは企業経営の豊富な経験を持っておる者がこういう不安定なものに投資をするチャンスはかえって少なくて、いまわずかな預金をしておる者が、普通預金利子だけはいただいて、元金は保証されておる、そこで運がよければ一千万円当たるという、その零細な貯蓄が集まるチャンスが多かろうと思うのでありまして、しかも、これが新規の預金源になるかどうかということは、はなはだ疑問でございまして、少なくともいま予定しております一兆円から一兆五千億ぐらいの預金の予定額のうち、過半数はいまの普通預金が形を変えて割増金付預金に変わるのではないかと思います。  ただ、昭和二十七年ごろは、御承知のとおり、この「割増金附貯蓄」が全体の七五%ぐらいを占めた時代がございますが、その後経済が落ちついてまいりまして、そういう預金が集まらなくなってまいりました。で、実際には、もう四十五年にはこの法律は一度廃止になったものでございますが、ちょうど昭和二十七年ごろの経済情勢、社会情勢に似通った点がいまあるために、特に、こういう預金制度を設けて、消費抑制ということに御協力をいただきたいということから、もちろんこれは理想的な制度ではない、好ましい制度ではないと思いますけれども、やはり総需要抑制、インフレ抑制の一手段としてこれをやらしていただこうというので、この法案を提出しておるわけでございまして、御指摘のような点が皆無というわけではないということは申し上げておきます。
  30. 竹田四郎

    竹田四郎君 皆無でないといったって、これに対する歯どめというのは一切ないわけですよね。そうしたら、やっぱり金のある者は当然相当量買うと思うんです。歯どめがあれば別ですよ、これは記名じゃないんでしょう、売り出しですから、証書というんですか、券というのか、これは記名じゃおそらくないだろうと思うんですよ。記名であればかなり阻止できると思うんですが。  それからもう一つ、時間がありませんから聞いておきたいんですが、なぜ個人の一般消費者にこの対象を向けているのか。私は、この点が非常に不愉快なんですよ。いまインフレで三万円もくれといっている、それでなければ暮らしていけないという状態。一方では貯金の目減り。いま元金保証すると言うんですが、一カ年、二カ年ということになれば、これはいまの状態でいけば、半分ぐらいは元金は目減りしちゃうんですよ。元金を保証するどころじゃないんですよ。どろぼうしているんですよ、はっきり言うと。いままでの過去の貯金の目減りだって四兆七千億ですよ。これは目減りじゃないんですよ。借りたほうにその金が移っていくんですよ、はっきり言って。移転しているんですよ。  そういうことを考えてみると、どうもなぜ個人をそれほど対象にしているのか。もっと国民から、このギャンブルという変な夢をかき立てて、あわよくばおれも当たるかもしれないという変な夢をかき立たせて、国民からどろぼうをする、そういう手段を許すわけにいかぬと思うんです。それなら、もっと金利を上げたらどうですか。目減りのしないように金利をつけてやったらどうですか。まさにどろぼうの手段を政府がつくってやる、私は、こういうことしか考えられないわけですが、どうでしょう。
  31. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) これが預金の大宗を占めるというようなことにはしないように、私どもも募集計画書というものを事前に出させまして、その総量については規制をしていきたい、かように考えております。むしろ、現在たとえば、宝くじに行列ができておりますとか、あるいは馬券の売れ行きが非常にいいといった状況で、それらの方々のお金が、何がしかほども貯蓄という形でこちらに貯蓄をしていただければということで、一つの貯蓄手段のただ片すみにこういうものをつくっておきたい、こういうことでございまして、しかも、そういう意味から、いま御指摘のような、いろんな問題をはらんでおる貯蓄形態でございますので、これを限時的に、二年間の臨時の措置としていきたいというのも、そういう趣旨でございます。  なお、この預金につきましては、もちろん定期預金でございますので、記名式でございます。  それからまた、法律的には全部を割増金に充てるという制度を、郵便貯金の法律が現存しておる関係上それで同じ規定にしてございますが、実際の省令にあたりましては、これを普通預金利子は必ず出すようにというようなことを考えていく予定でございます。
  32. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあそれは記名式でもいいわけですけれども、一体なぜそれじゃ、法人のほうは、そういうことはやらないという、個人のほうに向けてなぜそういうことをやるのか。  それから、いまあなた計画を出すと言ったんですが、いまの事態で、一体その募集計画というのは具体的にどういうふうな、たとえば、都銀、地銀、相銀、信金、こういうことで、一体全体で——何か三月末にはこれを実施したい、おくれても四月の初めには実施したいというように、非常にあせっているわけですけれども、そういう意味であれば、もうそうした計画も、私は、できているだろうと思うのです。その計画をひとつ発表してもらいたいと思うんですよ。とにかく国民から収奪することを考えているような、こういう預金制度というのは私はもちろん反対ですよ。やるにしても、私は、これはきっと集中すると思うのですよ。いまのこのインフレのギャンブル社会ですから。とにかく競馬だって一日の売り上げが百億を突破するという時代ですよ。ですから、場合によれば、あるいはプレミアがつくかもしれない。そういう心配すらあると思うのです。一体そういうものを予防する歯どめがどうできているのか。また、大企業にいかないと言ったって、これはわかりませんよ、歯どめがないんですから。大企業に集中する可能性だってあると思う。その辺の歯どめ、あるいは計画があるならば、この計画というのは、はっきりとこれこれこのくらいだと、もう発表すべきですよ。
  33. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 現在までの各種金融機関の募集計画は、都市銀行が募集単位三十億円でございます。そして募集の累計は、一年間に五千億程度ということを予定しております。  それから、地方銀行は、合同でいたします。で、募集単位は三十億円でございます。これを一年間で三千億円程度でございます。  それから相互銀行が、これも相互銀行合同でいたします。これを募集単位同様三十億円で、一千億円強というのが年間の累計の計画でございます。  それから信用金庫は、これも合同でございまして、地区の協会単位を十ブロックに分けて募集いたします。一つの募集単位が十億から二十億、地区によって異なるわけでございますが、そういうことでございます。年間千四百億円程度でございます。  それから農協と県信連は、これも全国を八ブロック、二十三組に分けまして、合同で募集いたします。募集単位三十億円でございます。累計が千五百億円程度でございます。  それから信用組合が、これも全国一本合同でいたします。募集単位が二十億円で、募集の合計が三百六十億円。  それから労働金庫が、同様全国一本でいたしまして、これは募集の単位が三十億円でございまして、累計百五十億円でございます。  なお、このほかに信託銀行がございます。信託銀行につきましては、これも合同で行なうことと予定しておりますが、募集単位、募集累計ということについてはまだきまっておりません。  なお、以上の、現在までに具体的にきまっております計画につきましては、いずれも六カ月の定期預金でやる予定になっております。総計一兆二千四百億円というのが現在までの集計でございます。
  34. 竹田四郎

    竹田四郎君 少しも答えてくれないんですがね。初めから聞いているんですが。こういう割増金付預金というものを、金融的に個人対象にどうしてこうやらなくちゃならないのか。そのいまの全体の資金のだぶつきというのは、私はやっぱり企業側だと思うんですよ。個人の持っているのはごくわずかだと思うんです。そっちのほうはたいしてやらないで、個人のほうだけなぜこういじめにいじめるというのか、金をしぼり上げるということをやるのか。どうも私は、この点は、あえて消費者のほうのもっぱら、もっと勤倹貯蓄、消費節約、明治の初めのスローガンと同じようなやり方でやろう、あるいは戦時中のやり方と同じようなやり方でやろうと。もっと締めるべきところをちゃんと締めないで、一般消費者になぜこういう問題を転嫁さしていくんですか。その辺がよくわからないんです。一兆二千四百億ですか、こういうものを一般消費者の層から、なぜこんなに吸収しなくちゃならないのか。それをはっきりと、ただギャンブルで、取れるかもしれない取れるかもしれないという、そういう夢だけで、こういう割増金付定期預金というのを一般消費者に向けてやらなくちゃならないという、その根拠は何ですか。具体的に、ただ消費者のほうの消費需要が高いからということじゃだめですよ。私、もうさっき過剰流動性の話を出したゆえんのものはそこにあるわけですから。具体的に、いま消費者の持っている金が多過ぎると、幾ら多過ぎるか。その辺を明確にしてください。
  35. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) これはあくまで定期預金という形で、貯蓄形態でございます。したがいまして、これを何が何でも個人の方々から、いわば強制的に戦争中のような形でやろうということでないことはもう申すまでもないわけでございまして、そういう意味からも、宣伝についてもできるだけ控え目にしていって、あくまで、こういうものを一口買おうかという方々に対して用意しておくというのが趣旨でございます。法人預金をあえて私どもはこれを禁止するとかいうこともしておりませんが、もともと私どもは、こういういわば高額のたとえば所得の方、あるいは法人といったところは、資産運用について幾つかの、たとえば、有価証券その他の資産もございますので、おそらくこれを利用されることはなかろうということで、先ほど来申し上げておるわけでございまして、これをあくまで、現在の定期預金制度の一つとして、こういうものを用意しておくというのが趣旨でございます。
  36. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうも兆二千四百億、これをどうして消費対象——これは消費対象でしょう、いまおっしゃっているのは。大法人はやらないだろうと、こう言っているわけでしょう。どうしてこういうことをあえて消費者向けにやらなければならないか。あなたは、国民がこれを望んでいると言うけれども、一体どういう資料で国民がこういうことを望んでいると言えるんですか。それは、政府調査なさったんですか、ちゃんと。アンケート調査やったと言うんですが、政府がやったんですか。不特定多数に対してやったんですか。どうなんですか。その辺明確にしてください。
  37. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 先ほど申し上げましたアンケート調査というのは、おそらく調査と言うにはふさわしくないほどの、きわめて少ない、これはわずかのアンケートでございます。そういう意味では、総合的な調査ということについてはこれをいたしておりません。なぜこういうことをこの際やろうとしておるのかということにつきましては、戦後昭和二十五年から三十年の間にかけて、こういう形の貯蓄というものが非常に選ばれたという実績があるだけでございます。したがいまして、はたして今日のような時代に、これが所期のように、それほど国民の選好を得るかどうかについては、私どもとしても確信は持っておりません。そういう意味から、現在申し上げたような募集計画でやっていって、これがおそらく、現在申し上げた一兆という数字は、六カ月の定期預金残高の二割程度数字でございます。こういう貯蓄が一つあるということについて、しかも、これを時限的に、今日のような異常な事態における貯蓄として考えたわけでございます。
  38. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもわからんですな、どう考えてもわからんですよ。もつと、先ほどあなたは過剰流動性については破行性があると、そういうものがあるという、そういう業種もあなたは言われた。そういうところはちっとも何ら金融引き締めなり、あるいはだぶついた資金を引き揚げるという方途は何にも講じないで、何ら調査もなしに、あの戦後の非常なほんとうに異常な事態、そういう事態にたまたま成功したからやるんだと。しかも、私は、いまのこのインフレ下で、あなたがこれはごくわずかの部分だと言うけれども、これは雪だるま式にふえていきますよ、必ず。抜本策を講じないで、小手先細工で、思いつきか何か知りませんけれども、総理に言われたから大あわてでつくったというのかもしれませんけれども、そういう小手先細工で、この金融問題をやっていくということは、あとに必ず傷あとを残すと思うのですよ。だから、こういうことはおやめになったほうがいいわけですよ。そしてあなた方が一般的に言うには、私がいま聞いたから、アンケート調査はやってないと初めて言ったわけですけれども、アンケート調査も、一番最初の答弁では、調査もありと、こういう形でやっているわけですね。こういう形をやっていけばどうなるかというと、正直者がばかをみるという、いまの考え方をさらに拡大するにすぎないんじゃないですか。何も、まともに働いて、あるいはまともに企業をやって、そして生活していくんじゃなくて、こういうものを求めて一獲千金をという、そういうところに流れていくのはあたりまえですよ。宝くじだって、競馬、競輪だってそうでしょう。そうした競馬、競輪、そういうものに関連しての社会的な悲劇というのは幾つか起こっているわけですよ。だから、いまギャンブルをやめようといっている時代ですよ。その時代に、再びギャンブルを持ち出して、ギャンブルをあおるというやり方、これは政務次官、私は、非常に政府の姿勢として悪い姿勢だと思うのですが、そういう悪い姿勢は、やめていかなければ、政治不信というのは一そう高まるのですよ。いま自民党さんだって、あるいは政府各省にしたって、政治不信については、やっぱりひとつの危惧を持っていると思うのです。そういう中で、さらにギャンブルをあおるようなやり方、これは問題があると思う。もっとまじめに、総需要の抑制なら総需要の抑制の根源というものをしっかりつかんで、これだっておそらく政府はつかんでないと思うのですよ。そのほうをはっきりつかむ努力を、私は、先行すべきだと思うのです。こういうものは末の末ですよ、政務次官どうですか。
  39. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 流動性につきましては、銀行局長が前もって御説明を申し上げましたとおりに、各都銀について、あるいは地方銀行について、いま立ち入り調査をいたしておりまして、そういった流動性の根源を突きとめようといたしておりますとともに、手形の貸し付けワクを一般商社に、大商社についてはこれを引き締める。あるいは選別融資を強化して、大手のところから資金が流れることを極力正常化に戻すということでやっております。しかしながら、一般国民もこの事態に対しまして、やはり財政金融、一般消費者という面から、何らかの形で、やはり総需要抑制の面に参画していただきたい。そのことは、いま申し上げるように、非常に理想的な手段ではございませんが、昭和二十七年ごろこの割増金付の定期預金というものが、全体の七五%を占めたような、その時代的な社会相に、あるいは経済状態によく似ておりますので、こういう際に幾らかでも流動性の資金を預金として吸収する。しかし、それは、あのときには、全額を割増金として分配するような方法もあり、あるいは不足物資を景品としてつけるような制度もあったのでございますけれども、今度の場合は、普通預金利子だけはとにかく保証をして、その定期預金との差額を、皆さんに割増金として分けようという、多少、内容も改善をいたしまして、これをやろうといたしておりますが、前の場合もそうでございましたけれども、ここで社会相が落ちついてまいりますと、自然と、こういう割増金付預金というものは成功しないようになってまいりました。一時は七五%も占めたものが、資料によりますと、昭和三十九年ごろになりますと、もう全体の五%ぐらいしかないというように、自然とこれはもうなくなっていったのであります。いまかりに、これがあまり宣伝しないでも、竹田委員のおっしゃるとおりに、ある程度の人気を呼んで、こういうものが相当預金として集まるかもしれませんが、それはいま定期あるいは六カ月定期になっておるものか、普通預金になっておるものが、かなりこれに肩がわりをしてくるということは考えられますけれども、純増がどれだけ期待できるかということは、これは調べがはっきりつくものではございませんので、これが大きな社会の弊害としていくには、それほどの金額ではない。全体の六兆円ばかりの六カ月定期預金のうちの二割ぐらいが、そこにいくのじゃないかと考えておりますが、まあ理想的ではない、あまり好ましいことではないけれども、これをひとつやって、預金吸収をやろうと……。
  40. 竹田四郎

    竹田四郎君 好ましくないことならやめたらいいじゃないか。  あなたの言っているのは矛盾撞着ですな、まさに。いままでの預金をこっちへ移すというのなら、何もこんなものをやる必要はないじゃないですか、総需要抑制にならないじゃないですか、あなたの言い方は。それに、むしろ金利だけ損をさせるという方向をとらせると。ギャンブルをあおって、そういう形で国民にもっと損をさせるという方向しか出てこないじゃないですか。いま貯金の目減りで訴訟が起きています。そういうことを考えてみると、こういうことは、まさに貯金の目減りを一そう促進させる、そういう方向でしかないというふうに言わざるを得ないんですが、六兆円の昨年末のボーナスですな、これについて金利を若干上げることによって、一ヵ月間、六ヵ月定期ですか、何かをやりましたね、あれは一体どういう結果になりましたか。私の承知しているところでは、あまり効果はなかったということでありますが、どうでしたか。
  41. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) ボーナス貯蓄につきましては、これはまあいろいろ御意見ございますだろうと思いますが、私どもあるいは金融のふだんのまあ実務に従事している者から見ますと、意外に好調であったというように受け取られておるようでございます。全体といたしまして二兆五千億が、このボーナスの六カ月預金に入ったということでございます。従来、六ヵ月定期というのは、きわめて、いわばウエートというものは小さいものでございますが、それがこれだけの資金を吸収できたということは非常に予想外であった。これは、別にボーナス貯金が金利を優遇をしたからだけではなくて、やっぱりこういう時代に短い期間の預金に集まったということもあろうかと存じますが、私どもといたしましては、非常に好成績であったように考えております。
  42. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは主観の問題だろうと私は思うんですけれども、計画に比べてはたいへん下回ったということが、金融関係の雑誌なんかにも出ております。そういう意味では、インフレをおさめないで、貯金しろ貯金しろ、割増金をつけてまで貯金しろということをやっても、これは私は、そのときはわっと飛びつくかもしれませんが、やがて国民から離反をされていく、そういうもとをつくっていくようなものだと、こういうふうに思うわけで、どうも政務次官も、あんまり、感心した制度というふうに、全面的に賛成しているようでもないわけですから、私は、当然おやめになるべきだと思うんですよ。このことを強く勧告をしておきます。  それから、委員長、ちょっと問題ほかへそれますが、ひとつお許しをいただきたいと思いますが、銀行局長通達というのを十二月二十五日に昨年出されました。これは、先ほども若干御説明があったわけでありますけれども、この銀行局長通達に対する反響というのは、私は、たいへん大きい反響がいま出ていると思うんですね。地方公共団体を、この銀行局長の通達と同じようにやっているということについては、私は、たいへん問題があるんじゃないかと、こういうふうに思っているわけです。この局長通達についての折衝を、私、個人的に銀行局長ともやりましたし、地方自治体ともやったわけですが、この面については、自治省は一体いまどういう態度でいるんですか、局長達に対して。実情は一体どうなっているのか、この辺をひとつ御説明をいただきたいと思います。
  43. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 昨年の暮れの銀行局長通達によりまして、地方公共団体、特に、地方の土地開発公社等の公社関係が特にひどいというか、たいへんな金融の圧迫を受けておるような状況でございます。  土地開発公社は、御案内のように、一昨年法律ができまして、公共用地の先行取得ということを目的としておりますので、もろにこの銀行局長通達にぶつかるような形になっております。まあ、われわれ、地方公共団体の声を反映いたしまして、銀行局あるいは日銀当局に対しまして、全面的に国の方針でありますところの総需要抑制方策には協力せざるを得ないわけでございますけれども、土地公社等におきまして、すでに契約ができ上がっておるもの、三月末までに債務が発生しているもの、あるいは緊急にどうしても手配しなければならないもの、そういったものについては、極力融資ができるようにお願いするというようなことで、日銀及び大蔵当局にお願いしておるような次第でございます。
  44. 竹田四郎

    竹田四郎君 局長、この問題私聞いたとき、あなたは、自治省と相談して一定の基準をつくるんだと、こういうことを、もうおそらく一カ月ぐらい前に電話で私にそういう話しましたね。それは具体的にどうなっているんですか、その問題。あの基準というものはできたのか、できないのか。これは実際、四十九年度の用地取得でも、金が払えないということで困っているんですよ。これは先ほどの、特に、日銀の窓口指導、窓口規制というものが非常にきびしい、こういうことで、もういずれもけられている。ですから、四十九年度建設予定の小学校、中学校すらできないというのが実態ですよ。そういうものに対して、やはり銀行局長通達を一様に適用するということは、これは私間違いだと思うんです。そうすると、まあ個々に言って来いと、こういうわけですね。なかなかそう一々銀行局まで出てきて、個々に言えるということじゃないと思うんです。この辺を一体、具体的に基準をつくるというお話だったんですが、できたのか、できないのか。自治省これで来たんですか。
  45. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) われわれといたしましては、四十八年度中につきましては、三月までに債務の発生しているものについては、これは公社の信用問題にもなるわけでございますし、ぜひ融資していただきたい。  それから学校等で、どうしてもこの三月までに手配しなければならないようなものは、別途手配していただきたい、そういうことで、日銀及び大蔵省にお願いしておるような状況でございます。
  46. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは手配できましたか、全部。
  47. 近藤隆之

    政府委員(近藤隆之君) 一月及び二月に債務が発生しているものについては、それぞれの銀行から借り受けておるようでございますが、問題は、もう三月に非常に大きな金額が残っておりますので、これにつきまして、それぞれ地方公共団体、地方公社もそれぞれの銀行に対して折衝をしておる最中でございます。
  48. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、一カ月たっても基準はできないということですね。で、基準はできても、現実に銀行へ行って金貸してくれないですね。ここに一つの神奈川県の私、資料持ってきております。神奈川県石油関連緊急特別融資、これは学校ではないんです。だから、自治省に直接関係はない。これを見ますと、神奈川県が十億の金を出して、その四倍に回すということで、道路旅客運送業あるいは道路貨物運送業あるいは水運業あるいは建設業、公衆浴場業、製造業、こういうものに県が四十億の融資をやろう、こういうことで制度をつくったんです。私、この制度そのものはいいと思う。しかし、これで借りにいったって、全然貸してくれないですよね。三カ月も四カ月も、この県の制度融資をもっていったって金貸してくれないんですよ。銀行、金がないと、こう言っている。地方自治体の問題も同じですよ。折衝はしているけれども、金がないから貸せないと言っているんですよ。こういう事態が、金融引き締めという措置だけで、いまの状態を切り抜けようたって、一方では福祉を犠牲にしなくちゃどうにもならないというのが実態だと思うんですよ。そうして大企業だけは残っている。中小企業や地方自治体というのは、この金融引き締めの中で、もうどうにもしようがない。ことしは学校つくる予定だったのが、相変わらずプレハブの校舎で、寒いところで子供が勉強せざるを得ない、騒音の中で勉強せざるを得ない、こういう実態だと思うんですが、銀行局長、自治省と基準をつくると言ったんですが、その基準できたんですか、できないんですか。
  49. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 自治省には非常につらい立場を協力していただいておりますし、あるいは建設省、それと文部省と相談をしておるわけでございまして、私どもといたしましては、一月末に、金融機関に一応の緊要度の判断ということについての通達をしております。  それは資金使途が、地方公共団体の本来の業務に密着し、国民生活の基盤として不可欠なものであるかどうか。たとえば、義務教育施設用地は優先順位が高いと思われるが、道路、スポーツ施設等は、今回の緊急対策趣旨からみて緊要度が低いというようなところで、資金使途についての判断。  もう一つは、債権債務が差し迫ったものであるかどうか。対象となる土地が必要な、たとえば、学校の開設の時期からみて、融資が緊急に差し迫っておるかどうか、あるいは既契約の期日が確定しているかどうか、あるいは前に融資の承諾をしておるかどうかというようなことで判断をするように、それでなおかつどうしてもできないときには、銀行のほうから私のほうに、ひとつケースバイケースで相談してもらいたい、かようにやっておるわけでございまして、いまも自治省のほうからの御答弁のございましたように、一月、二月の問題については、非常に不自由ながらも御納得をいただいておるというように聞いております。  なお、三月分につきましては、これからの問題でございますが、全体の資金需要、大体地方公社の資金需要一−三月全体で二千億前後ではなかろうかと考えております。それに対しまして、これは別にそれの中でというわけではございませんが、地方銀行がその期間に、中小企業も含めまして融資できる総量が四千億というようなことから考えまして、まあ非常に、それについてはできるだけのことをやっていくということで、むしろ非常に協力しておるということが総体的には言えるのではなかろうかと。ただ、個々の自治体と金融機関という関係については、何ぶんいろんな事情もあり、むずかしい問題もあろうかと存じますが、大体九割程度のものについては御納得がいただけるように、現在のところ話は聞いております。
  50. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう実態を大蔵省、ひとつ出してくださいよ。そして、私は、それぞれの市町村へ行ってそれを聞いてみます。具体的に、大蔵省はこういう方針なんだけれども、銀行が貸してくれるかどうか。いままでのあなたの通達だってそういう趣旨のことが書いてありますよね。具体的にそれがどのくらいその市町村の要求についていれられているのか。これは自治省とひとつ相談してその実態を出してください。私は一向に、あなたの言っているほど銀行が金を貸してくれているというふうにはいっておりません。もうほんとうに来年度からのそうした学校とか保育所とか、あるいは下水道の整備だとか、福祉転換といっている、その最前線に立って仕事をしている一そういう部面がどうも金がなくて、銀行が金を貸してくれない。ほんとうに私どものところに泣きついてきています。そういう実態をもう少し自治省と相談して、どのくらいそれが買うことができるほど資金が回っているのか、その実態を明らかにしてください。
  51. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) できるだけそれでは御趣旨に沿うような、実態についてまとめてみたいと思います。  ただ、資金需要は膨大でございます。それ全部をお認めするというわけにはいかないというわけでございまして、もちろんその計画があるものを全部お認めするというようなことは、これは私どもとしてもお答えいたしかねるわけでございます。その中で、できるだけの、優先度に応じて御相談をさせていただくというのが実情でございます。具体的な計画があれば、全部これを民間の金融機関として御用立てできるという状況ではない。その資金需要というものは、地方公社がここ一年間で非常にたくさんできてまいりまして、非常に多いものである。その中で、できるだけ緊要度に応じて選ばしていただいておるということでございます。
  52. 竹田四郎

    竹田四郎君 自治省は最近、公有地拡大法というような法律をつくったでしょう。片っ方ではそういう法律をつくって公有地の拡大をやっている、片っ方じゃ、金融をぎゅっと締めて金を貸さないよと。これじゃ全然政府の施策として一貫性が実にないと思うのですがね。いま、何か言えば緊急なものだけというんですが、まあ小学校だって、プレハブでやっていれば確かに緊急性がないかもしれない。しかし、子供にいま給食は水増しの給食を食わしておいて、寒さのほうはプレハブですき間だらけの、ほこりが飛び込んでくるような、夏はものすごく暑くて耐えられないような、そういう学校というものはうんとあるわけですよ。それで緊急性がないと、こういうようなことで、たとえば、五十年度に建つものについてはだめだというようなことでは、公有地拡大法にも反するし、わざわざ地方交付税を土地開発基金としてやってばらまいた趣旨にも、私は非常に反すると思うのですよ。しかも、政府が言うのは、福祉元年だか——ことしは福祉二年になるのかしれませんけれども、そうした福祉はもうめちゃめちゃになっている。そういうところだけでも手当て表していく努力をしなくちゃいかぬと思うのだ。これは政務次官、どうですか。ただ、あなたは上のほうにおって、そういうこまかいことを知らぬかもしれぬけれども、そういう政府の姿勢では、それは市町村が納得するわけないですよ、いまの政治に対して。あるいは住民に対して納得するわけないですよ。
  53. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 私のところにも、地方団体あるいは開発公社から融資の問題について非常にたくさんの陳情が参っております。これは昨年の二月ごろは、御承知のとおりに、外貨も百九十五億ドルも持ち、しかも、金融は非常に緩慢になりまして、大いに銀行筋も金を使ってもらいたいというような情勢であったことは御承知のとおりであります。政府もまた、公有地拡大法などを設けて大いに先行投資を奨励するという形をとったこともこれは事実であります。ところが、が然石油の危機がまいりまして、しかも世界的なインフレ傾向が非常に高進して、わが国もまたその中に入り、もう外貨の事情は変わってくるし、経済情勢が非常に変わってまいりまして、何とかして総需要を抑制して、とにかく狂乱状態にある物価をある程度安定しなきゃならぬという強い決意のもとに、財政を引き締め、いま中央、地方の公共事業も、御承知のとおりに一兆四百億近くのものを繰り延べておる状態でありますが、そういうような非常措置をとりながら、この危機に——国民に大きな迷惑がかかりつつあるのでありますから、これを早く抑制しなきゃならぬということでございます。したがいまして、地方の開発公社も、また、その中には、いま御説のように、義務教育施設等があり、あるいは下水道その他公害防止のような事業もあり、中に緊急を要するものが多々あることも承知しております。それらにつきましては、その建設の時期と、支払い時期とを見て、できるだけの協力をするように、銀行筋にもこちらから指示をしております。したがいまして、要求するものが全部これが行なわれるという態勢ではないということは申し上げておきますけれども、義務教育施設ができないというようなところまで、金融を引き締める趣旨ではないということだけは申し上げておきたいと思います。
  54. 竹田四郎

    竹田四郎君 その趣旨はわかるのですよ、あなたのおっしゃる趣旨は。現実は違うんですよ。幾ら趣旨だけ言ったってだめですよ、現実が悪ければ。これ、実に困って泣きつかれているのですよ。そういうものに対しては、早急に私、措置してもらわなければ困ると思うんだ。保育所についてだって同じですよ。老人施設についてだって同じですよ。人の命がどうなるかわからないという、そういう事態だってあるのですよ。病院だって同じですよ。こういうものは、子供たちの責任じゃないでしょう、このインフレを起こしたのは。政府の施策が間違っていたから、こういうインフレになったんでしょう。石油危機だって、通産省と業界とが癒着をして、そしてうその石油危機をつくり上げたのでしょう。自分たちの責任をたなに上げておいて、子供たちよ、おまえたちがまんしろ、老人よ、おまえたちがまんしろ、これじゃ理屈が通らぬじゃないですか。一方ではべらぼうにもうけた連中がいる。それで手元の資金はうんとたっぷり持っている連中がいる。そしていま、三月決算期を迎えて利益を隠すのに一生懸命の連中がうんといるじゃないですか。なぜそういうふうな、子供や年寄りだけをいじめるような、金融政策をやるんですか。これはさっそく改めてもらいたいと思う。どうですか。
  55. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 御承知のとおりに、金融を引き締めて、土地の値上がりブームもある程度鎮静してまいりまして、いま価格は持ち合いか、あるいは下がりかかっておるのは御承知のとおりであります。したがいまして、それらのことも考えながら、学校の建設におくれないように、あるいは老人ホームの建設におくれないように、大蔵省としては善処します。事態は一々われわれのところにもたくさんの陳情が参っておりまして、内容を聞いておりますが、全部を三月ぎりで払わなければならぬというようなものもあり、あるいは五月、あるいは六月、七月に買えばいいというものもあるわけでありまして、その点は自治省のほうともよく打ち合わせながらやっておりまして、よく内容をお調べ願いますと、すでに契約をして払わなければならないようになっておるものもあり、これから買うというものもあり、もう少し将来を見て買っていいものもありまして、そこはひとつ、それぞれの各地方団体ごとに事情があるようでありますから、事情に即応して、それを実行していくことを、これは大蔵省としては、当然考えております。
  56. 竹田四郎

    竹田四郎君 そう言われても、これはお互いの主観が違えばまた違ってくるわけです。具体的にわかる基準というのを出してくださいよ。出すと言っているんだから、一カ月前に、銀行局長は。それでなければわかりゃしないですよ、われわれのところに陳情に来ても。こういうものには政府は融資をつけてあげますよとか、明確にしてくれなければ。陳情に来たって、あなたに会える人はいい。せいぜい課員ぐらいに会って追い返されているのが現状ですよ。だから、はっきりした基準出してくださいよ。われわれにもわかるような。
  57. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 基準につきましては、先ほど申し上げたような緊要度に対する基準というものが、これが最大限でございます。それ以上に具体的なものさしということは、非常にこれはつくることは困難でございます。むしろ、実際に御相談さしていただき、あるいは関係——文部省あるいは自治省と御相談さしていただくということが一番いいのではなかろうかと考えております。
  58. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたはこの前、自治省と相談して基準を出すと私に言ったんですからね。われわれにわかるように書類で、大蔵省の態度はこういう態度です、これは自治省も協議し、文部省も協議した基準でございますというのを国民にわかるように、私どもにもその基準というものを文書化したものを出してくれませんか。あなたはそう言ったんです。基準をつくると言ったんです。基準を出してください。
  59. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 先ほども申し上げましたように、基準というのはどうしても抽象的にならざるを得ない性質のものでございまして、先ほど申し上げたようなものが、先生にお答えしたものであるということでございます。
  60. 竹田四郎

    竹田四郎君 緊急度の高いものから出していくんだというのは、こんなことは基準にならないでしょう。あたりまえのことなんですよ。こんなもの基準になって、下のほうは受け取りますか。やっぱり明確なものを出してくれなければ、市町村はほんとうに困るんですよ。これは、自治省に折衝に行っていいものやら、文部省に折衝に行っていいものやら、これはわからぬですよ。これは自治省だって困ると思うんですよ、実際。これは政務次官、どうですか。そういうはっきりしたものを出さなければ、全国の市町村だって多いんですよ。ここの国会の論議を全部聞いているわけでもありません。いまの国会の論議聞いていたって、何だかわかりゃしませんよ、銀行局長の言っていることは。緊急度の高いものから出すというのは、それはあたりまえのことですよ。そんなものは基準じゃないですよ。政務次官、どうですか。
  61. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 全国の諸般の問題につきまして、具体的にこまかく基準を定めることは、非常に困難でございます。原則的には、もう何べんも繰り返しておりますとおりに、地方団体の行なう固有の業務、あるいは委任の業務のうちでも、延ばせるものは繰り延べてもらいたいというのが原則であります。その中で、緊急を要する、小学校とか中学校あるいは老人ホームであるとか下水というような問題については、支払いの時期が到来しておるとか、あるいは契約の趣旨から前払い金を要するとか、そういう具体的なものについては、金融の措置を講ずるようにいたしますということを答弁を申し上げておるのでありまして、事柄が小学校である、中学校であるから、それは全部お貸ししますというようなことは申し上げていないのでありまして、それならば、いつからその学校は着工なさるのですか、それによって土地代をそれでは融資させましょうというようなことを具体的にいまやっておるのであります。  出ております文書は非常に抽象的でありますから、それぞれの機関から持って参りますが、いま私が申し上げた趣旨から申しますと、この際早く土地を先行取得しておこう、いま土地の売り物も多いときでありますから。そういうような気持ちが、それぞれ開発公社ではあるようでございますけれども、それでは三月ぎりに幾ら、四月ぎりに幾らということになりますと、必ずしもそう急を要するものばかりではないわけであります。そういうわけで、全体の金融ワクを縮めて、資金の流動性を少しでも抑圧していこうという非常措置をやっておるのでございますので、その中においてどうすればいいかということを大蔵省としては判断をしておるのでありまして、決して、いま竹田先生がおっしゃるように、全体を非常に抑圧をしておるという意味ではなくて、必要なところには融資をさせますということを繰り返し、繰り返し申し上げておるのでございます。
  62. 竹田四郎

    竹田四郎君 私も、そろそろ質問終わろうかと思ったんですが、どうも答弁が明確ではないのですが、具体的にそういう問題はどこからどういうふうに相談をしていったらいいんですか。具体的に、いままで市町村段階では、銀行とその辺は相当詰めているんですよ、詰めているんだけれども、どうも銀行のほうで出しましょうと言ったって、銀行に金がないから出せないということですよ。銀行では出すとまで言っているんですよ。だから私は、同じ窓口規制にいたしましても、その他の選別融資にいたしましても、その辺はもう少し具体的に上から考えてもらわないと、市町村と銀行との詰めが詰まらないんですよ、具体的にそういう問題どうすればいいんですか。あなたのところに陳情に来ていると言うが、あなたは適当に解決してあげたでしょうけれども、どういうふうにすればいいんですか。
  63. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) それぞれの金融機関に、地方開発公社から融資の申し入れがございまして、そのワク内で処理できないものについては、これは緊急度がこちらの銀行局の指示の中のものであるというものについては、それぞれの金融機関から、大蔵省にも陳情がまいっております、ワクが足りません。したがって、大蔵省におきましては、その金融機関の段階においても判断をいたしております。  もう一つは、やはり厚生省あるいは文部省あるいは自治省を通じて、この融資はすべきではないかというような申し入れが大蔵省に来ております。したがいまして、そこから判断をいたしまして、やむを得ないものについては、期日を定めて融資をするように指導をいたしておりまして、事実問題として、それが地方公共団体の段階においてとどまっておるものは私は少ないと考えております。全部上がってきてはいると思います。
  64. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 具体的な話といたしまして、おそらく二つのタイプがあると思います。  一つは、金融機関として十分資金の関係からは何とか捻出できるかもしれないが、私のほうの選別融資のワクなどからどうしてもできないというものが一つのカテゴリーであります。  もう一つは、金融機関としてどうしても貸す資金がないという問題がございます。これは結局は、中小企業金融などに回す分等の競合になるという形から、問題が起こってきておる問題だろうと思います。初めの話でございますれば、私どもは、緊要度の中で、これの優先度としてできるだけのことをやっていただくようにあっせんをすることはもう当然だろうと思いますが、金融機関としてどうしても資金の運用の問題としてやりくりできないという問題については、これはやはり限界があり、地方公共団体のほうといたしましても、計画を差し繰りをお願いするよりしかたがないと、かように考えておるわけでございます。具体的に申しますと、地方銀行の場合の全体のそのときの総量以上の資金需要になっておるという県もあるわけでございまして、その辺のところは、やはり具体的なケースとして御相談をさせていただくということでやっていきたいと、かように考えております。
  65. 成瀬幡治

    成瀬幡治君 ちょっと関連。  竹田君は、地方自治体が、総需要抑制政策のために、具体的に、たとえば、給食設備だとか、あるいは学校だとか、そういうような、あるいは社会保障に関連しての問題、で、そういうものについてあなたのほうは具体的に相談に応ずると、こうおっしゃいますが、具体的に市町村があなたのほうに陳情者になって行って、そしていろいろと説明をして、そしてあなたのほうから、当該自治体に対して——ここの銀行、自治体のほうからあげると思います、関連銀行を。それに対してこうやりますよというような、個々具体的な指導をされようとしておるのかどうか、またやったようにもありますが、それは全く顔がきいた形になっちゃって、全く不公平なことになりはしないかと。だから、竹田君は、総体的なものとして、それじゃいかぬじゃないかと、もう目に見えておるんだから。それに対してどうやったらいいかという対策をお尋ねしておるわけです。それに対してあなたのほうは、いままでの答弁だもんで、いままでやれなかったことを、一歩も前へ出ぬじゃないかという立場で、再三竹田君が尋ねておると思うんです。ですから、あなたのほうのいままでの姿勢じゃ解決せなかったということなんです。だから、それをどういうふうにして解決するかというと、いままでのことじゃないわけです。新しい問題として、新しい提案を私はされるべきときにきておると思うんです。それがどうも前々はこうだこうだというようになるから、ぼくは新しい提案をされなければいかぬと、新しい何らかの通達なり、方途を出されなければ、そういうショートを来たしてしまってどうにもならぬということになっておる。いかがでしょうか。
  66. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 御趣旨非常によくわかっております。  まず最初に、簡単なほうからお答えいたしますが、私どもは、自治体の方が直接おいでいただかない限りは動かないということではなくて、大部分の問題は、むしろ、金融機関を通じて自治体はこうおっしゃっておるということで、それから私どもが、また自治省なり文部省なりに相談をして解決をしておるというもののほうが多いわけでございます。したがいまして、わざわざ自治体の方がおいでいただかない限りは動かないという扱いはしてないつもりでございます。もちろん熱心においでになる方もございますが、むしろそうでないもののほうが大部分であると申し上げたほうがいいと思います。  それから、できますれば、具体的な、たとえば資金使途、どういう資金なら優先順位があるかを具体的に順位をもってやるというのも、できますればそれは一つ考え方としてよくわかるわけでございますが、問題は、たとえば、東京、神奈川、埼玉とか、あるいは名古屋とか大阪といったところにおける地方銀行なりの銀行と、それから、秋田だとか、あるいはその他の比較的資金需要の小さい場合における銀行の場合では、おのずからそれによって拾われる対象が違ってくるという問題があるわけでございます。したがいまして、学校が優先順位として第一に入り、道路が第三に入るかというと、これも具体的な道路の問題あるいは学校の具体的な開設の時期等によって、おのずからその順序が変わってくることもあり得るというようなことで、どうしても原則として、先ほど申し上げたような原則論的な申し上げ方をせざるを得ないというのが一つでございます。  それから、債権債務が差し迫ったものということについても、やはり実情はいろいろ千差万別であるということから、むしろ一定のそれを原則をさらにこまかく割り切るということは、非常に実情に沿わないと私ども考えておるわけでございまして、はなはだ前に進まないお答えということでございますが、できますれば、具体的なお話を伺って、それについてあっせんなり、何なりをさせていただくということのほうがいいのではないか。ただそのときに、御意見の食い違いがあろうかと思います。これはどうしても認めるべきである、それはもう少しお待ち願いたいということがあろうかと思います。この辺のところはやはりケースバイケースでひとつ判断をさせていかざるを得ない性質のものだ、かように考えておるわけでございます。
  67. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣、いま見えられて、ここでの論議というのはお聞きになったかどうかわかりませんが……。
  68. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 聞きました。
  69. 竹田四郎

    竹田四郎君 要するに、いま地方公共団体で学校をつくらにゃいかぬ、保育園をつくらにゃいかぬ、約束された下水道の処理施設をつくらにゃいかぬ、こういうことで、首都圏の人口急増地域ではまさにたいへんです。群馬県でもおそらく前橋とか、あるいは高崎という都市周辺は同じだろうと思うのですが、こういうところで、四十八年中に土地を取得して、四十九年度予算に、学校建設をもう予算化しなくちゃならぬというところは幾らでもあるわけですよ。ところが、土地開発公社が先行取得をしようとしても、銀行へ行って話したって、資金量がないからだめだと言われているのです。それでほとんどまいっているのですよ。入ってくる子どもたちを収容し切れないでいるわけですよ、これは地方銀行へ行って——私は横浜ですから、横浜銀行へ行って話してみた、そうしたら、資金量がなくてどうにもなりません、こういう話だった。こういうものも様に銀行局長通達、これは福田大蔵大臣も御承知の上で出していると思うのです。こういうところには、私は、特別に手当てをしなければいかぬと、こう言っているのです。  それからもう一つ、これはたとえば——話がもうくどくなって、ほかの人は承知しているのですが、大蔵大臣にはもう一回言いますがね、神奈川県の津田知事が、石油関連緊急特別融資ということで十億を出して、中小企業の、石油関連関係の企業に緊急融資をやるといって、こういうビラまでずっと出しているのですよ。それでこの制度で申し込んでいくと、金貸してくれないのですよ。くれてもうんと時間が延びるのです。当座の間に合わないというのが実態なんですよ。だから、今日の金融引き締め措置というのは、私は、総需要抑制として全体的には認めますよ、そこまで否定するということを言っているわけじゃないのです。しかし、一番、学童や、あるいは保育の子供や老人ホームや、あるいは病院や、こういうものの、もうこれは銀行と話詰めているのですよ。銀行局長の話じゃ、もう一般論として解消しているのですがね。土地開発公社は、ちゃんと銀行と話詰めているのですよ、その上で困っていると言っているのです。延ばすべきものは、地方公共団体でもちゃんと知っていますから、ことしの公共事業というのはぐんと縮減されておりますよ、地方財政計画を見ても。だから余分なものをつくりたいということじゃないのです。住民から、緊急やむを得ない、ことしはどうしても学校がもう一ぱいになるから学校を建てたい、こういうものに対して、地方銀行の資金量が足りないというので切られているのです。私は、こういうものをそのままにしておくというのはいかぬと思うのですよ。何ら、今日の経済危機を招いた責任は子供にあるわけじゃないですよ。そういう金というものは、ぜひこれはいまの金融引き締めの中でも、優先的にどしどし出してやらなければ非常に困ると思う。この点は、いままで聞いていたんだけれども、はっきりした返事は、個々に相談しますぐらいで、いままで個々に銀行と相談しているのです。それで出ないから、私はここで問題にしている。そういうものに対して私は、政府の決断を求めたい、どうなんですか。
  70. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま国の経済の動きは、非常に重大な段階になってきているのです。総需要抑制政策を本格的にとり出しましてから三カ月、やっとその効果がいま出てきておる。こういうような状態で、三、四日前、二月の中旬までの卸売り物価の動きがわかってきたんですね。中旬はとにかく約一年ぶりで物価騰貴率ゼロ%ということになっております。全国の土地も、かなりこれは頭打ちの傾向になってきております。そこで、売り手がかなり出てくるわけでありますが、買い手のほうがつかぬ。いま総需要抑制政策が進められれば、私は、この土地をはじめ主要資材の値下がりという傾向が、これは非常な顕著な形で出てくると思います。こういうふうに見ておるわけなのです。  そういうさなかでどうするか、こういう問題でありますが、私は、自治省に対しましては、これはひとつ協力をしてくれ、こういう要請をしておるわけです。自治省のほうも協力をしますと、確かに大事な段階でありますので、全面的に御協力します、そう言っておるわけでございますが、いま各方面から、地方開発公社の資金需要、これがたいへんなものだ、こういう話を聞いております。  地方開発公社が、いま金をずいぶん出すわけなんですが、一般には、たとえば昨年の十−十二月期、これのごときは、三%ないし五%ぐらい貸し出しがふえておるわけでありますが、その中で、地方開発公社に対する貸し出し増加は、二二%ぐらいになる。ですから、ほかは非常に切り詰められておる、こういう状態です。そういう状態でありますので、その点につきましては、ひとつ大事な段階であるという点につきまして御理解を得たい、こういうふうに思いますが、しかし、お話の、学校が、特に、急増地帯における学校がいつまでに開校しなきゃならぬ、こういうような、緊急な施設をしなきゃならないとか、あるいは福祉施設で差し迫った問題がある、そういう問題でありますとか、あるいは住宅対策のために、これも差し迫った事情がある、こういうようなものにつきまして、これを一律にやっておったらたいへんまた国政として問題がある。その辺につきましては、これは弾力的に配慮しなきゃならない、そういうふうに考えておりまして、自治省に対しまして、そういう配慮をしてもらいたいということをお願いをしておるわけなんです。地方自治団体に大蔵省が一々接触する、こういうたてまえではございません。これは特に問題のある場合に、大蔵省等にやってくる、こういうことでございますので、とにかく自治省が、そういう総需要抑制政策に協力をする。しかし、協力をするその間におきましても、これは例外として処置をしなきゃならないというものにつきましては、自治省と大蔵省と相談いたしまして善処をしておるというのが現状でありまして、私は、神奈川のことにつきましては、具体的には聞きませんけれども、大かたのところで緊急な問題に対する手配はできておる、こういうふうに聞いておりますが、この上ともそういう考え方で対処していきたい。とにかくこの一、二カ月、三、四カ月というのは非常に重大な時期でありますので、ぜひひとつ御協力、御理解を得たいと、かように考えております。
  71. 竹田四郎

    竹田四郎君 この問題はずいぶん議論しましたから、まあ、大臣がいなかった点が非常に残念でしたけれども議論しましたから、あまり長くは続けたくないわけですが、神奈川だけがそういう事態で、ほかのほうはそういう問題は解決しているというふうにあなたはおっしゃったのですが、必ずしもそうではないのです、われわれの調査では。埼玉県の越谷市にしても、あるいは大阪府ですか、枚方市にしても、ここは一番悩んでいる。それについて神奈川県なんかも、川崎市あるいは藤沢市あるいは相模原市、こういうところは同じように悩んでいるのです。これは人口急増地域です、いずれも。こういうところには、ただ一般論的に、銀行の資金がないということだけではなしに、大蔵省、日銀として、そういうところに対する特別な手当てをこれはすべきだと思うのです。  まあ、あなたは自治省と十分相談をしていると言うのですが、私の得た感触では必ずしもそうでないようです。かなり自治省もその要求はしているようでありますけれども、それについてはいれられていない面がかなりあるようです。そういう面については、確かに私もいま非常に重要な時期だということはわかっていますよ、あなた同様にわかっています。しかし、そういうところには、子供に対して、老人に対して、ほったらかしておくというわけにいかぬでしょう、これは現実に。そういう住民を持っている市町村は。その辺には、確かに全体的には重要な状態にあるけれども、そういうところには何か措置しなければ、政策転換はできていくものではないと思うのです。何か、地方の土地開発公社に対する貸し付けは非常に多いと言うのですがね。多くなるのはあたりまえなんですよ。割合でいけば多くなっていくのはあたりまえなんです。それを私は、そういうことで、土地開発公社に対して、ぎゅっと締めていくというのは、これはたいへん問題だろうと思う。だから、いまあなたのお考え方ですと、だいぶその辺は、先ほどの政務次官あるいは銀行局長のお話より、まあ、一歩進んだような感じを私は受けたのですけれども、その点は、特別な措置をやはり考えてもらわなければ困ると思う。ひとつ再度答弁をお願いします。
  72. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 地方開発公社だからといって、これ、全体として特例というわけにはまいりません。しかし、学校でありますとか、あるいは福祉の施設でありますとか、そういう緊急を要するものにつきましては、これは大蔵省としては十分配慮する、さように御了承願います。
  73. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ一応、そういう点で、その点は地方公共団体に対する問題は終わりたいと思いますから、自治省、けっこうです、お帰りいただいて。  それと、結局そういう問題と、中小企業金融との摩擦がこれでまた起きているわけですね、地方銀行の場合。さっき言ったように、県がそういうものをつくっても、これはおそらく全然大蔵省と相談なしにやってはいないと思うのです。ある程度相談してやっていると思うのですよ。神奈川県の石油関連緊急特別融資なんていうのは、相談しながらやっていると思う。借りられないのです。県がこういう制度をつくっても。これはまさに神奈川県知事がから手形を出したのかどうかわかりませんけれども、しかし、県が出して、そうして中小企業、これも限定されております。全部の中小企業に出すということじゃないのです。石油関連ということでありますから、こういうものに対するやはり融資というものも、これは考えてもらわなければいかぬと思うのです。これでも銀行の資金量というものは、一つの限度がありますから、すでにここで摩擦をしている。片方をやれば片方がだめになっちゃう、こういうことになっているわけです。この点はどうです。
  74. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 私は、神奈川県のこと、そのいまの話は聞いておりませんけれども、国においては十分手配しておる。けさも私は、閣議で報告いたしましたけれども、年度末の中小資金が不足するかもしらぬと、こういうので——年度末と申しましても、今月一ぱいになりましたが、中小三機関に対しまして、五百五億円の貸し増しができるようなことにするということにしたし、それから、いま金融界が現在のこの金融情勢に対してたいへん憂慮し、また、その憂慮に基づきまして協力をしたいと、こういうふうに言っております。  そこで、都市銀行で二千億円、それから地方銀行が千億円、信託銀行が二百億円、総計三千二百億円の金を用意いたしまして、そうして中小企業に相当問題が起こったという際には、それを低利で出動させると、こういうようなことも考えておる。そういう体制ですが、四月になれば、新年度予算執行される。そうなると、この三機関の融資ワクはたいへんな拡大をしておるわけです。それから、いわゆる無担保無保証資金、これも拡大をされておるというので、中小金融問題に対しては、対処し得るという万全の体制でございます。  さて、神奈川県がどういう形で中小企業に金を出そうというのか、その辺を聞いてみないと、私も、是非の判断はできませんけれども、国が中心になって、政府機関、それから民間金融機関、そういうものを通じまして総合的にやっておる。そういうときに、各県がばらばらにそういう融資をするということになるのも、また、国でやっている総合政策との関係がどうなんだろうか、こういうふうにも思われます。よくこれは神奈川県のケースは聞いてみなければ私も判断できませんけれども、ばらばらに地方公共団体がそういう資金を設定するということになったら、またこれは、総需要抑制政策のしり抜けになってしまう、こういうふうにも思いますので、よくまた話を聞いてみたい、かように考えます。
  75. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣、私は、きょうこのいま神奈川県の問題は、ここで初めて言うのじゃないんですよ。私は、すでにこの問題は銀行課長にちゃんと話をしてあるのです。銀行課長から大蔵大臣に話がいってないということになりますね。いまのこの非常に金融情勢が緊迫している中で、こういう問題が大蔵大臣の耳に入らないということは、私が、ここで初めて出すなら、あなた知らないと言っていいですよ。こういう問題もありますよという話は、私は前にしているわけです、銀行課長に。それがあなたの耳に入らないというのは、これは、いまのこれだけ重要なときに、入らないというのはちょっとおかしいですな。大蔵省の機構というのはどうなっているのですか。議員から言っていっても、大蔵大臣の耳には入らないという機構になっているのですか。どうなんですか。そんなことはないと思うのですが。少なくとも、一つの県がこれだけのものを出して、それで金を借りに行って金が借りれないという、そうした事態というのは、これは大蔵省も承知していてもらわなければ困ると思うのですがね。これはおそらく、あなたは政府関係の中小金融機関に予算を出したからだいじょうぶだと言うけれども、この配置にしても、金融機関の人員にしたって、こなし切れるような配置じゃないですよね、いま。神奈川県の場合を見ても。ほかも同じだろうと思う。そうしたら、一般の地方銀行なり、県の金庫として指定されているようなそうした銀行がやはりそういう問題を中心にしてやらざるを得ないわけです。とても政府の金融公庫だけで処理できるものじゃないんです。その辺の認識を大蔵大臣、少し改めてもらわなければ困る。政府の金融機関に出せば、それで全部事が済む、あるいは地方銀行なり、あるいは相互銀行なり、そういうものは、それは政府機関の代行はやるでしょう。代行はやっても、その代行を引き受けるだけの、金融公庫に受け入れ態勢がないわけですよ、いま、そういう事態の中で。だから、金融公庫だけが中小企業の金融機関であるとは思わない。当然地方銀行なり、あるいは相互銀行なり、信用金庫というものは、当然そういう中小企業の金融を扱っておるところでありますから、支店だってたくさんあるわけです。ですから、地方銀行なり、そうした地域の金融機関にも、やはりそれほど考えるならば、何らかの形で利用できるような資金量というものをやっぱり与えるべきだ、あなたはしり抜けになることばかり考えておる。まあ、それも必要でしょう。しかし、必要なところには流してやらなければ、国民は生きていけませんから。だから、政府の金融機関だけではなくて、ほかの地方銀行についても、そういうことは考慮に入れてやってもらわなければいかぬと思うのですが、どうですか。
  76. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 中小金融というのは、これは主体はやはりあらゆる金融機関なんですから、都市銀行もずいぶん中小金融をやっております。地方銀行もやっております。また、相互銀行、金庫だ、組合だ、これは中小企業専門銀行である、そういうことでありますが、それに加えて、政府金融というものもあると、こういうことも申し上げておるわけなんです。  そこで、いま県が金融業務をやろうと、こういうお話なんですが、さあ、県が、しかも、特別の資金を調達して、そういうことをやるということになると、とにかく総需要抑制政策ですね、これに対して、ちょっと何ですね、大きなしり抜けというふうなことになりゃしないかというような感じがいまするのですがね。まあ、竹田さんにおしかりを受けているわけですが、私うかつで、まだ神奈川県のそういう計画の実態というものを承知いたしませんけれども、これは話をよく聞いてみましょう。そうして、これはどういうふうに処すべき問題であるかということを考えてみます。
  77. 竹田四郎

    竹田四郎君 聞いていないということで議論しても、これはしようがないです。これひとつあなたのところに回しておきますから。   〔資料を手渡す〕  それでは、その次に移りたいと思いますが、建設省お見えですか。建設省が、いまの国民の住宅関係ですね、これについては一体どういう考えでいらっしゃるのか。まあ、いろいろ住宅をつくる地方自治体、あるいは公団、あるいはデベロッパー、あるいは自力建設、こういろいろのものがあるのですが、建設省としては住宅をつくっていくという考えの中に、いまの金融情勢を反映して、一体どこに重点を置いているのか、この辺をちょっとお聞きしたいのです。
  78. 京須実

    説明員京須実君) 現存する住宅難を解消いたしまして、さらに人口の都市集中、あるいは世帯の分離によりまする新規の住宅需要を満たすために、建設省はただいま第二次住宅建記五カ年計画と申しまして、昭和五十年度までに九百五十万戸そのうち特に、公的資金によります住宅を三百八十万戸建設いたしております。
  79. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう計画は要らないですよ。当面どう考えているのかというそのことだけ。時間がありませんから。
  80. 京須実

    説明員京須実君) その中におきまして、一般的に総需要の抑制に協力いたしますが、国民の福祉に特に関係のございます住宅につきましては、特別の配慮を願いまして、積極的に住宅政策を進めたいと考えております。
  81. 竹田四郎

    竹田四郎君 個人が自分の住宅をつくるということで、住宅ローンという制度があるわけですが、この住宅ローンの制度については、建設省はどういうふうにお考えになっていますか。
  82. 京須実

    説明員京須実君) 積極的に拡充したいと考えております。
  83. 竹田四郎

    竹田四郎君 ところが、現実に住宅ローンの申し込みに行っても、現実には金を貸してくれない。いまの総需要抑制政策だということで金を貸してくれない。それはデベロッパーが利用するわけでなくて、自力建設で、自分で支払い能力があっても、金がないから貸すことができない、こういうのが現状です。だから、個人でも、自分で能力がありながら、返済能力もありながら、住宅建設ができないというのが今日の実情だと思うんです。こうした住宅ローンに対して大蔵省は一体どう考えていますか。どの程度まで、さっきの話では、まあ、同じような答弁をするかもしれませんけれども、住宅ローンについてはどう考えているんですか。
  84. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 住宅ローンは、基本的には、もう申し上げるまでもなく、今後できるだけこれを伸ばしていくべきことであることは申すまでもございません。まあ、従来企業金融に偏重しておりましたわが国の金融機関の融資のあり方として、できるだけ大衆の方々に密着する形でやっていくものとしては、何といってもこの住宅ローンであろうと思います。そういう形で、したがいまして、従来ともこれの育成と申しますか、発展には努力してまいったわけでございますが、御指摘のように、金融引き締めになりまして、一つには、いろいろ物的な関係もあろうかと思いますし、土地関係の高騰ということもあろうかと思います。資金需要が比較的一年前に比べまして寝てまいってきたということもあろうかと思いますが、何よりも大きなのは、やはり金融機関としての窓口が窮屈になってきたということで、その伸び率というものは思わしくございません。しかし、そうは申しましても、総体的には非常に伸び率は高いわけでございまして、従来でございますと何倍というような伸び方でございましたが、そこまではいきませんが、四十八年の十二月末で、前年、同月比七七%と、もとが小さいからと言えばそうでございますが、ほかの貸し出しに比べては、できるだけこれを伸ばしていこうという形にはなっておると思います。しかし、今日のような状況でございますので、申し込まれた方が、すべてこれで満足できるという状況ではなかろうと思いますが、何といっても、今日のこの総需要対策の間できるだけひとつごしんぼう願いたいと、かように考えておるわけでございます。
  85. 竹田四郎

    竹田四郎君 大蔵大臣、私は、デベロッパーあたりが、そういう形で土地の開発とか何かやる場合の金というのは、これは別だと思うんですが、個人が自分で自分のうちをつくりたい、これに対して返済能力もあると、こういうものについては、もう少し私は認めてもいいと思うんですよね。これもセカンドハウス、サードハウス、フォースハウスというような、そういうものをつくるというなら、これは話別だと思う。自分の常に居住するものをつくりたい、こういう場合に、そういうものの住宅ローンというのは、銀行も積極的に認めてやる、そのための資金量というものは、これはたいした問題じゃないと思うんです。実際には大企業や、あるいはさっき言った地方公共団体への貸し付け、まあ、こういうものと競合して、ほとんど借りれないというのが現状ですよ。こういうものについてまで総需要の抑制ということで締めていく必要はなかろうと思うんですが、どうですか。
  86. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これもまあ問題ないわけではないんです。つまり、総需要抑制政策が非常に重大な段階でありますので、これをいま非常に積極的に奨励すると、こういう姿勢はとれないと思うんです。私は、住宅政策の遂行には非常に熱心なんです。まあ、何とか早く住宅にみんなが夢を持てるようにと、こういうふうに念願をしておるんですが、いまのこのいまは、これはもう建設資材につきましても、一時はその一番大きな鉄につきましても、一時というか、私が、大蔵大臣に就任したころは十一万円鋼材はしておったわけです。いまはそれが七万円まできたと。その他の建設資材も、塩ビなんかはちょっといままだむずかしいですが、大体下落傾向にある。そういう際でありますので、私が、住宅政策に熱心である、その気持ちではありましても、これをいまここで積極的にローンの形で奨励し、刺激するというその気持ちには、いまはなれないのでございますが、しかし、これをあんまりこう押えるのもいかがであろうかと、こういうふうに思いまして、住宅ローンにつきましては、まあ、ほどほどというところでやっていただくのが妥当ではあるまいか、そういうふうに考え、金融機関に対しましても、これはあまり押えつけるというのはどうかと、しかし、これを奨励し、刺激し、勧誘して回るというような態度もいかがであろうかというような指導をしておるわけであります。
  87. 竹田四郎

    竹田四郎君 私なんかがこういうものにタッチするときに、延ばせるものなら延ばさしてますよ、いま時期が悪いですからね。もう少し材料が安くなってからとか、もう少し金融が楽になってからやりなさいと言ってそれは指導してますよ、個々には。しかし、そういうことがどうしても緊急やむを得ないという事態のときには、そういうときでも貸してくれないんですよ、資金量がないということで。この辺は何か一やっぱりそういうやむを得ないというよう問題については、これは銀行だって金貸してくれにゃいかぬと思うんですがね。返せない金ならこれは無理でしょう。返せるものがあったら、うちの銀行の資金量がないから貸せないなんというようなことでは、銀行の公共性にも私はかなっていない、こう思いますよ。ですから、何でもかんでもいまここで奨励しろということを言っているわけじゃないですよ。そういうことを言っているわけじゃない。やむを得ないものについては何とかしてやれ、そのくらいの資金は大蔵省も考えるというふうに、私は、各銀行あたりを指導すべきだ、こう思うんですが、どうですか。
  88. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど申し上げましたように、この住宅ローンはまあほどほどというか、まあ、奨励もせず、抑制もせずと、こういうところでいくのが今日この時点といたしましては妥当ではあるまいか、そういうふうに考えております。  そこで、大蔵省のそういういろんな方針が金融機関にはたして徹底しておるかどうかというところにも問題がありますので、まあ、今月の中旬ごろから、大蔵省銀行局の機能、また、日銀の考査機能、また財務局、日銀支店、こういうものを総動員いたしまして、これが常識的妥当にいっているかどうかを調査してみたい。調査の結果、これは改むべしと、こういうような点がありますれば十分改めてまいりたいと、かように考えます。
  89. 竹田四郎

    竹田四郎君 じゃ、まだあるんですが、終わります、これで。
  90. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 まず最初に、例の守秘義務の問題でお伺いしたいんですが、先日の衆議院の予算委員会で、わが党の矢野書記長が、商社の脱税追徴問題を取り上げて、政府にその確認を迫ったわけです。そのときに、政府が、法人税法第百六十三条の守秘義務というのをたてにとって、そうして明確な答弁を避けられた。これは国権の最高機関である国会が反社会的な行為である大口脱税の企業名すらも確認できないということになりますし、いまのような物が不足だとか、物価高だとか、つくられたインフレだとか、こういわれているときでありますから、そういうことが一部の悪質企業にあるのではないかとさえ、国民は疑惑を持っているわけです。そういう点からも、これははっきりしなければいけない。こういうことがなくても、悪質なものについてははっきりしなければならないことは、大臣言われるまでもないことですが、そこで、従来から国税庁は、悪質な事例については査察を行なっていますね。その査察のときには、国税犯則取締法という法律で行なって、そして告発をしているし、準司法手続で公開の公判廷では、犯意の立証のために洗いざらい全部ぶちまけなければなりません。そういうことをしているわけです。こういうことから考えると、憲法でいわれている国権の最高機関である国会が、立法権、条約承認権、予算審議だとかいうようないろんな本来の機能の実行的な行使というものをよりよくしていくには、またそれを可能にするためにも、やっぱり一つ調査権というか、こういったこともございますから、それをさらにさらに大きく優先させていかなければならないと思うんですけれども、そういう意味では国の機能、国会の機能というものをよくし、国民のためにしていくためにも、一定のワクをはめて、国会には優先して守秘義務を解除させて、そうして税法の守秘義務を解除して、そのときだけははっきりと出させるとか、こういう事案についてはやらせるとかというような、そういう解除をさせる必要があるんじゃないか、こういうふうに思うんですが、その点はいかがですか。
  91. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 税務を執行する上において知り得た秘密を漏らすということにつきましては、一般公務員と違いまして重い罰則というか、規制を受けておると、こういうことは御承知のとおりと思います。それはどういう趣旨かといいますと、納税というものは大事なことである。それに先立ちまして、調査、これが的確にいかなければならない。それには何の心配もなく、納税者が実情を税務当局に対して開陳をすると、こういう体制でなければならぬ、こういうことからきておるんだろうと思います。したがいまして、それは同時に、国会におきましても、当てはまるんではないか、そういうふうに思いまして、先般国税庁長官が衆議院の予算委員会で、公明党の書記長に対しましてそういうお答えをいたしておるわけなんでございます。私は、国政調査の必要上、どうしてもというような問題がありますれば、あるいはその法律に抵触しない方法で、あるいは秘密会でありますとか、秘密理事会でありますとか、そういうような方法もあろうかと思うんです。何かくふうもあろうかと、こういうふうに思いますが、原則論といたしまして、税務執行上知り得た秘密につきまして、非常にこれを順守しなければならないという制約が重く課せられておる、こういう現状は、私は、妥当なことである、こういうふうに思います。
  92. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 例の二十六億円の課徴金のような、ああいう問題があるということは、これは社会的な意味でぜひとも公開をという声が大きいわけなんです。ですから、私が申し上げているのは、何でもいいから守秘義務を取ってしまえと、こう言っているわけじゃありません。いま秘密会という話がございましたけれども、そこまでいかない場合だってあるだろうと思います。そこまでやらなくても、これだけ国民のいろんな声があるんだから、ぜひともここでははっきりさせる必要があるんじゃないかというような大きな、いわゆる何十億という脱税とか、こういったことについては、たとえ知り得たものであっても、これは社会的にも許されるべき問題じゃないと思うんです。国民全体が知っても一向に差しつかえない問題だ。こういうことは、私は一定のワクというものを置いておいて、それにワクの中であれば出してもよろしいというような税法上の改正を何か考えるべきじゃないか、こういうことなんですが、いかがでございますか。
  93. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) いまの制度を改正いたしまして、税務執行上知り得た秘密は公開していいんだと、こういうことになると、なかなかこれは各企業とも、あるいは各個人とも話がしにくくなるんじゃないか、ずいぶんきわどい話を税務当局としては聞いておるのです。そういうような話が、これが公開になるんだということになると、これはたいへん影響するところが大きいのじゃないか、そういうように思いますので、私は、現行の体制、制度は、これはこれで妥当なものではあるまいか、そういうふうに考えておるのですが、しかし、国政調査権、こういう問題がありますので、その間の調整をどうするかということにつきましては、私は、事案によりましては考えてしかるべき問題である、かように考えます。
  94. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 これはくどくは言いたくはありませんけれども、企業の社会的責任というのがあるわけですね。企業にしても、個人にしてもございます。そういうことがその会社としては意図したものか、意図しないのか知りませんけれども、巨額ないわゆる課徴金のような形や、あるいは追徴金を取られるいわゆる重加算税まで入ったようなものを取られるということになりますと、これは確かに、国税庁としてきちっとしていますよね、その点で取られているのですから、その辺の制裁はあったということになりますけれども、社会的責任のほうはどうなのだということが一つ残ってくると思うのです。いまのは、いわゆる税法上の問題としての責任はとられますけれども、社会的責任というものは全然わからなくなるんじゃないか、そういうことはいかがお考えですか。
  95. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 税務調査にあたりまして、悪質なものにつきましては、これは査察という制度があるわけであります。この査察制度に基づきまして、国税庁は告発を行なう、こういうこともあるわけです。そういう際には、可能な、許される範囲内の事案の発表というようなこともあるわけでございますので、そういうことについて、社会的制裁という問題は、これはある程度実行できるのじゃあるまいか、そういうふうに考えております。
  96. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 前回は、輸銀から大企業への貸し付けの問題で、そのことをこの前ここで伺ったわけですけれども、そのとき会社の名前が聞かれなかったわけでありますが、有価証券報告書そのほかで、貸し付け残高についてもはっきりわかってきておるのですが、この前のときは、ここで言ってもらえなかったのですが、いかがでございますか。
  97. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 私ども輸銀から直接取りました資料につきましては、はなはだ申しわけないことながら、符号をもって、できるだけ審議の御参考にもなるようにということで業種名、あるいはできるだけ御説明は加えますが、符号をもって出すことにいたしております。ただ輸銀をもってとりました数字が、たまたま公開されておるというような場合であるにかかわらず、それを符号でもって提出したというようなことが現実にございましたようでございまして、この点につきましては、私ども、はなはだ申しわけないことでございまして、いやしくも公開されて知り得る数字、多少の調整を加えればわかり得る数字である限りは、私どもはできるだけそういうことを伏せていくというようなことのないように今後やっていきたいと思います。御指摘のようなケースは、おそらく事務のいわば惰性でそういうようなことになった。今後資料を提出いたします場合には、ひとつ十分注意いたしまして、あくまで公開されてないものについては、従来の慣行に従いまして処理さしていただきますが、もしも何らかの形で公知し得る事実である場合には、あえてそれを、原資料を直接先方からとった場合においても、できるだけ御審議の参考になるように今後やっていきたいと、かように考えております。
  98. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 じゃ、わかっている例を言っていただきたいんですが。
  99. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 一つは、輸出入銀行から十大商社への貸し付け残高がいかが相なっておるかという数字でございますが、これは、大きいものから並べまして、三井物産千六百四十九億円、三菱商事千四百五十四億円、丸紅八百九十一億、伊藤忠商事六百二十七億、住友商事四百四十九億、日商岩井四百三十億、トーメン三百五十一億、兼松江商百二億、安宅産業百億円、日綿実業八十二億円、四十八年九月末現在の有価証券報告書によって調べたものでございます。
  100. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 いまのほかに、いまのこれは十大商社ですけれども、そのほかにも大口貸し付け先としては造船業、これは石川島播磨だろうといわれておるんですが、その点はいかがでございますか。それが千九百三十八億円とか大きいのがございます。そういう製造業関係でも造船業と、かなり大きく出ています。こういう点で、大蔵大臣、この前もこの問題で話が出たわけでありますけれども、一方これがこのような大量な貸し付け残高にのぼっていると。輸出するということになれば、当然のこと輸銀がいろいろ、輸銀並びに市中の機関からの融資を受けているということで、輸出を、プラント輸出そのほかでやっているんだということはこれはわかるんでありますけれども、こういう多額な金が出ていって、それがまた内地では日本の下請にこれは入ってくることも、一方では見えるんではないかと。そういう点のところは、過剰資金云々あるいは過剰流動性云々の問題と、この問題と非常にからみがむずかしいと思うんですけれども、いかがお考えでございますか。
  101. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) この輸銀は、これは企業のこの経営、経理のそのしり埋めをするというような、そういう融資はしておらないんです。長期延べ払いというような特定の問題あるいはこの開発計画がありまして、それに対する金融でありますとか、そういう特定のプロジェクトがありまして、そのプロジェクトの融資が、一般の金融機関でありますと、対外競争上不利な立場に立つというようなものに限ってやっておりますので、私は、この制度はこの上ともまだ必要度のあることではあるまいか、そういうふうに考えております。  いまお話のように、それじゃ国内金融との関係はどうかと、こういうことになりますが、輸出をするということになりますれば、自然この輸銀から金を借りておるその商社なり企業というものは、また、その輸出する品物を買うために関係のある相手方に注文を出さなけりゃならぬというようなことがありまして、これはもう回り回って、また国内金融にもつながってくるということでございますから、これはまあいま非常にそれは苦しい私ども立場にありますのは、一方においては物価問題がある。総需要抑制政策。そういうことでございますが、他方におきましては、これがまあえらい国際収支の、有史以来のゆゆしい事態に当面をしておる。輸出も伸ばさなきゃならぬ、物価もおさめなけりゃならぬ、こういう相矛盾するような二つの問題にいま取り組んでおる。非常に立場は、考え方の苦しいときでありますが、これもあまり輸出がここで行き過ぎというふうになっても困るわけでありますけれども、まあそういうこと、また、輸出が行き過ぎるということは、国内の景気動向にも関係する、そういうことを考えてからのことでございます。そういうことで、まあ、妥当なところで、この融資というものが行なわれなけりゃならぬ、こういうふうにいま考えております。
  102. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 確かにそれは、海外に延べ払いでプラント出したということになれば、これは全部債権にずっと、延べ払いでございますから債権になって残っておるわけですね。それに対して緊急に国内で支払わなきゃならないとなれば、これは輸出入銀行から借りたりしてくるのは当然だと思います。それは債務になって相殺することだと思いますけれどもね。問題は、そのために、いわゆる総需要抑制がしり抜けになったんでは話にならぬ。といって輸出が振興しなけりゃこれは日本が困る。両面ですね。これはいま言われたその適当なというか、ここのところがいい線であるというような、その点についてはこれは非常にむずかしい点だと思うんですけれども、大臣としたらば、一体そのいまの外貨の量がここら辺までいったら、今度はこういう点についてははっきりさせたいということはございますか。
  103. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 外貨事情は、非常にいま重大な段階なんです。去年一年で約百億ドルの赤字を出すと、一国が百億ドルの国際収支上の赤字を出すということは、もうゆゆしいことだろうと、こういうふうに思うわけです。まあことしは、その赤字をどうしても半分ぐらいに縮減したい、こういうふうに考えておるわけですが、私は、それに伴って、とにかく外貨にも変動がきますが、外貨の保有高というものをそうは重視しておらないのです。これは、海外への信用の状態、それから、商売が順調にできるような状態。で、そういうことを考えなきゃなりませんけれども、一番大事な問題は、これから先、日本の国際収支がどうなっていくか、こういうことに問題はあるだろう、こういうふうに思いまして、日本の国の経済のかじとりは、国際収支につきましては、着実に改善の方策をとっておると、こういうことを内外に示すということを、基本にして考えていきたい、かように考えておりますが、それが定着するという時期になりますれば、私は、いま鈴木さんもお話がありましたが、総需要抑制政策と、また輸出増強政策と、間に立って悩むというような事態がなくなってくる、こういうふうに考えます。
  104. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 ちょっと本法に入りたいんですが、このギャンブルのいわゆる預金でありますが、くじ引きで幸運の当せん、当てるというのは、法律によればくじの数の三分の一以下、一人何口という制限がないということでありますから、どうしても高額のいわゆる預金者、貯蓄を持っている人が何口にも分けて投資をするということにもなりかねない。確率は変わらないけれども、当たる本数は多くなるだろう。そうなると、実際には吸い上げたくないところよりも、吸い上げたいところのほうへ賞金が集中して、一般のいわゆる零細な国民というほうには、賞金の集中が少ないということになりかねないわけですね。これは率でいけば変わりないと言われれば、それまでのことでありますけれども、本数でいくとそういうことの計算ができてくる。そういう点で、大臣も、この現在の経済情勢は、射幸心云々を考慮しておれないほど深刻だと、手段に若干の問題が残っているということをはっきりとお認めになっていらっしゃいますけれども、そういう点についてどう思いますか。
  105. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 割増金付貯蓄は、これはいわゆる富くじとは本質的に違うわけでありまして、これは元金は残るわけでありますし、また通常金利程度の利息もこれを支払うようにいたしましょうと、こういうことであります。まあしかし、射幸心議論がありますが、そういう傾向が全然ないかというと、私は多少のことはあると思うんです。ありまするけれども、いまはとにかく経済は非常な段階にきておる。国の財政は押えます、また、金融引き締め政策を通じまして、設備投資は押えますという際に、総需要の中で、半分以上を占める国民の消費、これは野放しというような状態になっておるわけです。これに対して国民側から、多少とも御協力を願える道というのは一体何だというと、貯蓄以外ないんですよ。そこで、貯蓄についてはいろいろ貯蓄手段、これ考えておるわけでございまするけれども割増金付貯蓄、こういうものについて国民が選好を示すと、こういうことになりますれば、私は、これは総需要抑制政策の一翼となり得るのではあるまいか、そういうふうに考えまして、いろんな制限をつけておるわけです。二年間の時限である。また、発行の態様につきましても、ずいぶんきびしい制限をつけております。そして射幸心問題、こういう問題と両立し得るような仕組みにやっておりますので、ぜひこれはこの際やらしていただきたいと、お願いを申し上げます。
  106. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 先ほどの大臣の答弁伺ってまして、やはり物価についでもある程度、いま一番大事なときだけれども、多少の上昇率の問題等について出てきておる。そうなると、むしろこういう射幸心をあおるようなやり方というのは、政治不信をつくるのと、インフレというものがどうしても出てくるわけですよ、射幸心というものは。ですから、そういうものをやるよりも、むしろそういうやり方をやめて、むしろ貯蓄優遇策ということで、お金を吸収しようというのであれば、西ドイツが個人の三カ月定期預金に、年一五%の預金金利を出したり、安定国債の応募利回りが一〇%というような、そういうのを聞いておるんですけれども、そういうようなことから考えると、これはむしろそういう貯蓄優遇策を、インフレといいますか、射幸心をあおって政治不信をつくるというような、あまりにも幾らインフレ対策とは言ってもいい策じゃないとしか思えないわけですからね。そういう逆の——逆といいますか、ですから、宝くじ的な貯蓄、ギャンブル預金ということでなく、むしろ特別な金利のものを考えるというやり方のほうがいいんじゃないかと思うんですが、いかがでございますか。
  107. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 御説はよくわかるわけでありまして、したがって、昨年一年間でも預金の金利は二%これを引き上げるというふうにいたし、日本の諸預金金利、定期性預金金利の金利水準というものはいま七・二五%というところにまできておるわけです。この水準をさらに引き上げてみたらというお話しでございますが、これはいろいろ問題があるんです。一体その財源をそれじゃどうするんだということですね。これは、じゃ金融機関に持たせたらいいじゃないかというと、いま金融機関にはそれだけの余裕がない。そこで、金融機関は預金金利を引き上げるということになれば、貸し出し金利のほうへ持っていく。貸し出し金利のほうへ持っていくということになれば、これは国債にも波及します。あるいは社債にも波及します。一般金利水準の底上げということにもなり、いま総需要抑制政策、物価対策に取り組んでおる。コストアップという要因になってくるわけなんです。そういう考え方は非常にいまはむずかしいのです。そこで、一部にはその金利引き上げのその金利差を、これは国が支弁したらどうだとこう言う人もありますが、これも多額な金利差額を国が負担する、しかも、預金をしておる人だけに、一般納税者の資金を使うのは一体どうなんだと、こういうような、国民全体の見た感触というものもありまするし、なかなかどちらの道をとりましてもむずかしい問題なんです。  それから、いま諸外国でというお話がありますが、諸外国ではそう高い金利はつけておりませんです。いま西ドイツというお話でございますが、西ドイツでは、定期性小口預金の金利は七%、アメリカでは五%というのと六%というのがある。フランスでは四・五%、五・五%というのがある。それで高い金利のことを言う人がありますが、これは大口の法人預金の預金金利なんです。これは手間ひまかかりませんから、そういうことから、そういう高い金利をつけるのかと思いますが、そういうことをやっておるのであります。わが日本の七・二五%一年ものという金利は、必ずしも諸外国に比べて低いというわけでもないのであります。しかし、一番の大事なことは、もうこのインフレ、物価高に対して阻害要因になることは一切やらない。そこでほんとうにインフレを一刻も早く消滅させる、そこに主力を傾注していかなければならぬじゃないか、そういうふうに考えておるんです。ただ、金利水準を動かさないで、何か貯蓄手段の多様化というような意味合いにおきまして、何か金利政策上とる道はないかということにつきましては、私もいろいろ考えておるということは申し上げておきます。
  108. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 この宝くじ預金の場合、どうしてもこれは一般庶民ということになってくるわけです。ですが、この前からの大蔵大臣の答弁また銀行局長の答弁、全部聞いていますと、いわゆる片寄ってまだあるところの過剰流動資金というものを何とかしなければならぬ、過剰資金をということが言われているわけです。そういう答弁がずっとなされてきているわけですね。ところが、この宝くじの場合には、一般庶民的な最終需要を押えるというだけになってくるわけですね。ちょっとその辺が私はわからない。こういうものよりも、むしろへたをすれば、この預金の場合には、いままでの預金のほうから回してしまうということも考えられるわけですね。そうすると、実際の効果ははたしてあるかないかやってみなけりゃわからない。先のことでありますけれども、だんだんだんだん評判が悪くなって、自然に消滅をせざるを得ないというような前の経緯もあるわけでありますから、そういう点では、どうもこれじゃなくて、ほんとうに押えるべきものを押えないんじゃないかという感じがするわけです。そういう宝くじ預金などはやめてしまって、むしろ片寄っている云々という、片寄っている云々のところを強力に窓口規制で何とかするとか、あるいは吸い上げていくとか、そういうことはお考えにならないですか。
  109. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) その点も鈴木さんのおっしゃるとおりだと思うんです。  そこで、いま過剰流動性、これはもう大体整理できてきておる。こういうふうに思うんでありますが、まだ偏在という問題が幾らかある。こういうふうに見ておりまして、その偏在是正に乗り出そうと、こういうふうに考えております。  そこで、先ほども申し上げましたが、また日銀と相協力いたしまして、今月半ばごろから全国の銀行その他の金融機関で実地調査をいたします、こういうふうに考えております。そのときの調査要領といいますか、調査のほうから見ていくのは、土地なら土地あるいは商品なら商品、そういうものを買いだめておく、そして手形の切りかえの期限がくるというものを、また、その期限がきたら、そこで、それに従来のように切りかえをするというような態度を改める。回収し得ることはそこで回収すると、あるいはこれは在庫の状況を見て、買いだめ資金というようなものでありますれば、それに対して適当な措置を講ずると、そういうふうにいたしまして、総需要抑制政策がもう少しきめこまかにいくというところに配慮するわけです。もちろん自己資金がある、それがまた外貨の買いだめのために金融を仰ぐというようなことがあってはこれはならぬわけでありますから、その辺については十分配意していくと、かように御了承願います。
  110. 渡辺武

    渡辺武君 割増金付貯蓄の問題について二、三伺いたいのですが、このギャンブル預金制度を創設された理由ですけれども、これはいまのこの物価狂乱それから品不足ですね、これの原因が、大衆の手持ち預金もしくは消費支出あるいはさらに言えば、国民の買い急ぎというところにあるという点から出発して、大衆の手持ち現金を吸収しなきゃならぬという考えからやられたものだというふうに思いますが、どうですか。
  111. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 総需要といいますれば、とにかく五割が国民消費である、二割が政府需要である、また、二割が産業設備需要であると、まあ、大ざっぱに言うとそういうところになりますが、私は、その五割を占める国民需要、これは総需要抑制政策としては、重大な立場にあるわけでございまするけれども、これは私はいろいろ総合的に考えまして、これに対しまして法的なあるいは政府直接的な政策発動というものは、なすべきではないと、こういう考えなんです。つまりいま物価狂乱状態ということになってきたのは、一体何だというと、私は、国民消費が進んだという面もないとは言えませんけれども、これはもうその牽引力になった主力は財政であり、金融政策に基づくところの産業活動の行き過ぎという、そういうところにあると思うんです。ですから私は、ただいま申し上げましたように、財政と金融、これを通じて政府公共団体の需要を詰める、また産業設備投資活動を押えるというところに重点を置けば、これで大体いいんだというふうに思っておるんです。しかし、まあ、政策的ないろんな施策はとりません、あるいは法的な措置もとりませんけれども、国民が自発的に政府のそういう施策に協力してくださるということは、これは非常に好ましいことであるというふうに考えまして、そういうことを考えますと、貯蓄ということは、唯一じゃございませんけれども、国民の御協力くださる方法の主軸をなすものであるというふうに考えておりますので、国民が喜んで御協力をくださるその手段というもの、これを多様化しておかなきゃならぬと、こういうふうに思うわけであります。その多様化の一体系として、割増金付定期預金ということをお願いをいたしたいと、こういうことに結論づけたわけでございまして、私は、今回の狂乱物価の責任が国民にあるという考え方はとっておりません。
  112. 渡辺武

    渡辺武君 大蔵大臣、いまそうおっしゃいますけれどもね、しかし、総需要抑制ということで、私は、いま言った財政金融上の抑制措置というのは、これはあまり効果が実際出ていないで、むしろ国民の総がまん路線というもののほうが実質上強調されるというところに、政府の総需要抑制政策の本質があるんじゃないかと、そのあらわれとして、こういうようなギャンブル預金制度、こういうようなものが提起されてきているというふうに思わざるを得ないのです。たとえば、つい最近、大企業の責任者がたくさん国会に喚問されて、そうして売り惜しみや、それからまたやみカルテルその他による価格の大幅な引き上げ、これなどをきびしく追及されたわけですけれども、こういうことから考えてみてもわかりますように、まずそっちを押えなければ、国民のほうに幾ら買い急ぎをやるなとか、あるいはまたたくさんの手持ち資金があるんだから、だから、少し割増金つけるから預金やりなさいと言ったって、いまのひどい物価狂乱や物不足の問題は解決するはずはないと私は思うんですね。この大企業のものすごい荒かせぎ、そうしてまた売り惜しみや価格のつり上げ、これを押えることのほうが先決じゃないですかどうでしょう。
  113. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) でありまするから、国民の需要のほうにつきましては法的措置は使わない、また、政策的、積極的な手段も使わないと、こういう考え方をとっておるんですよ。ですから、一番端的に総需要抑制政策で響くのは、何といったって中央政府ですよ。この需要を抑制する、こういうので、それは御承知のとおりの予算案を抑制する、また、四十八年度につきましても抑制する、また地方公共団体について同調方を要請する、それから、金融引き締め政策、これはかなり徹底してきておるわけですが、さらにこれを質的に強化する。こういうことなんで、まさに渡辺さんの仰せのような方向で、総需要抑制政策には対処しておる、こういうふうに思います。
  114. 渡辺武

    渡辺武君 そうはいってないんですよ。だから、私問題にするんです。たとえば、ここに日本銀行の出したマネーサプライ統計の抜き書きを持ってまいりましたが、昭和四十八年に現金通貨がどのくらい流通しているかというと、九兆一千百三十三億円、ところが、預金通貨は三十一兆一千九百八十二億円も流通しているんですね。もう全くこれは格段の違いであって、つまりこれは何を意味するかといえば、現金通貨というのは、大体大衆の持っている消費資金、これは大体現金ですよ。ところが、預金通貨というのは、まさに資本として使われる通貨ですね。私は、大企業を中心とする企業が、資本として使うその通貨の大量な増発、これこそが現在の通貨金融面からする物価狂乱の一つの大きな原因だと思っております。この点を抑制することに主力を置かなければ、いまの問題解決できないですよ。  そいつをこの割増金付預金提案理由の説明を見ますと、「最近の経済情勢に即応し、国民の堅実な消費生活の実現をはかるためには、貯蓄の奨励をはかることが重要であります。」、まるっきり、いまの事態が、国民がまるで不健全な消費生活をやっているかのように、裏ではそうしか読めないんですよ。こういうことで、こんなことを提案するなんというのは、とんでもないことだと私は思うんです。  時間がないから先に進みますけれども、とにかくこうした預金通貨の増発にもあらわれておりますが、大企業が過剰流動性、過剰資金を持っておって、これを投機資金に使いながら、売り惜しみをやり、買い占めもやり、価格のつり上げもやるというのが、私は、事態の真相だと思いますけれども、その背後にある銀行のオーバーローン、民間銀行の。これは私は非常にものすごいものだと思いますけれども、オーバーローンについての最近の動きをちょっとおっしゃっていただきたい。
  115. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) こういう引き締めの状況に立ってまいりますと、オーバーローンという状況というのは、むしろ減少的にいま出てきておるように思います。むしろ計数的には悪化しておるようでございまして、これは常にこういう引き締めになってまいりますと、企業の預金が引き出され、いわゆる預金が減少していく形で、なかなか貸し出しが回収できないというものを、何らかの外部負債で補っていくという形で、現在資金ポジションは非常に悪化しているということ、すなわちそれをオーバーローンと申したほうがいいかとも思いますが、そういう状況になっております。
  116. 渡辺武

    渡辺武君 オーバーローンの一つの指標として、大蔵省はいつもこの預貸率を計算しておりますね。これはいまどのくらいになっておりますか。
  117. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 預貸率は、四十八年の十月から十二月の時期で申しますと——十二月末で九二・八でございます。四十八年の初めごろでございますと、大体八九%台であった、八九・八とか、あるいは八九・六といったものが、現在九二%になっております。
  118. 渡辺武

    渡辺武君 大体、従来より大蔵省が、この預貸率については平残、末残ともに八〇%以内というふうな通達も出しておりますし、私は、いまおっしゃったこの四十八年の初めのほうでも八九・八とか八九・六とか明らかにこれはオーバーローン。しかも、それが十二月になったら九二・八%、たいへんなオーバーローンだと見なきゃならない、こういうことを許しておいて、そうして先ほど大蔵大臣の言ったように、金融引き締め効果をあげていますなんていうことができますか。とうてい私はできないと思う。しかも、じゃこの銀行のものすごいオーバーローンで、一体銀行どういうところに金を貸していますか。この間、衆議院の大蔵委員会に大蔵省の提出した都市銀行の大口貸し出し状況というのがありますけれども、これらの要点をちょっとおっしゃっていただきたいと思います。
  119. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 都市銀行の大口貸し出しの状況を申し上げますと、銀行の自己資本の二〇%をこえる貸し出し件数は二十七件ございまして、うち商社関係二十四件、その他が三件でございます。これを法人別に申しますと、十二の企業ということになっておりまして、商社が九企業、鉄鋼が二、地方公共団体が一ということになっております。これらを、全体をひっくるめまして二〇%をこえる貸し出しは、銀行の総貸し出しに占める比率は約五%と、こういうことになっております。
  120. 渡辺武

    渡辺武君 その自己資本の三〇%以上をこえて貸しているのもありますね。それはどういう状況ですか。
  121. 吉田太郎一

    政府委員吉田太郎一君) 三〇%をこえる貸し出しは全部で十二件ございます。ちょっと企業別に分類することについては、いま多少ちょっと時間をいただきたいと思います。
  122. 渡辺武

    渡辺武君 それはあとからちょっと報告していただきたいと思います。  私が、この資料に基づいて若干簡単に計算してみますと、第一位の貸し出し先、これに貸しているこのものと、そして各銀行の自己資本との比率を出してみますと、三菱銀行の場合は四六%、三井銀行の場合は七四%、富士銀行の場合は三八%、東京銀行の場合は六八%、住友銀行の場合は三〇%など、もう大きな銀行ほど、自分の系列下にある大商社なり、大企業なりに対する集中的な融資というのが行なわれているということは非常にはっきりしている。金融制度調査会も、以前から繰り返しいっていることは、系列融資というのは改めるべきだということだったと思います。それが依然としてこのように野放しにされている、これは私は、政府の責任だと思う。いまこうしてこの割増金付の預金制度を創設して、大衆に対して射幸心をあおりながら預金を吸収しようとする。どのくらいの預金が集まるか知りませんよ。いまのような制度を野放しにしておけば、大衆から集めたこの資金も、結局のところは、諸悪の根源といわれる大商社その他、まさにいま売り惜しみや値段のつり上げをやって、この物価狂乱と物不足を起こしている、その連中のところへ投機資金として回らないという保証はどこにもないですよ。まず第一に、この銀行のオーバーローンを規制すべきだと思う。第二には、このような大企業中心の系列融資、大口融資、これを規制すべきだと思いますけれども、その点について大蔵大臣、どういうようなお考えを持っておられますか。
  123. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 先ほど来お話がありましたが、いわゆるマネーサプライというのは、総需要抑制政策の結果非常に落ちついてまいりまして、むしろ日銀の銀行券ですね、これの縮減よりも、はっきりと鎮静方向を示しておると、こういう状態であります。  それから、オーバーローンですね、これはもう日本銀行でも、貸し出しがだんだん減っていくと、こういう状態でありますので、これは輸出金融のほうは別でありまするが、一般国内金融の面では、逐次、着実にそういう方向に向かっていくと、こういうふうに見ておるのであります。  それから第三の、この企業に対する集中融資ですね。これは私は、とにかく、この一、二年間というもの、そういう傾向が非常に強く出てきておるということをよく承知しておりますので、これは是正の措置を講じたいと、こういうふうに考えております。いまどういうふうな是正をするか、それを検討中であります。
  124. 渡辺武

    渡辺武君 最後に、その是正のもう少し具体的に中身をおっしゃっていただきたいと思うのですね。論議対象にならぬですよ、それでは。  それからもう一つ伺いたいのは、いま日本銀行も引き締め政策をやっているというようなことをおっしゃいましたけれども、実際そうはなっていないですよ。昨年の四月から本格的な引き締め政策が始まっているということは、盛んに新聞などで宣伝される。国会でもそういうような答弁もやられている。ところが、日本銀行の、なるほど貸し出し金の残高は、四月から十二月までの間に四千六百五十億円の増加、これは従来の増加程度からすれば、若干少ないといっても差しつかえない。しかし、絶対額はふえているということははっきり私は申し上げておきたいです。特に、指摘しなけりゃならないのは、買い入れ手形、これがものすごいふえ方。従来の貸し出し金の、かわりをしているのじゃないかと思うほどにものすごいふえ方。四十八年の四月と十二月を比べてみますと、このわずか八カ月の間に、三兆四千二百六十三億円も日銀の買い入れ手形がふえている。一方で引き締めている、引き締めていると言いながら、このありさまは何ですか。しかも、ここで買い入れている手形、これはもう優遇手形、大企業中心にいっている。大体、大商社がほとんどだろうと、大きな割合を占めているだろうというふうに見ております。こういう状態ですよ。しかも、国債その他の債券の借り入れ残高、つまり買いオペ、これで資金を放出しているんです。四月と十二月を比べれば、一兆九千三十二億円も、日本銀行は積極的に資金の放出をやっている。こういうことで、引き締め政策が功を奏しているなんていうことできますか。  先ほど、ほかの委員から、輸出入銀行その他政府関係の金融機関の、大商社その他大企業に対する融資の問題が質問されましたので、私もその点伺いたいと思いましたが、時間がありませんので申しておきませんけれども、これもまた依然としてふえている。それに加えて、いま言ったように日本銀行、これが直接にか間接にか、一方で引き締めている引き締めていると言いながら、その引き締めはどこにいっているかというと、中小企業や地方自治体の民生用の融資、そこが引き締められている。そうして、まさに売り惜しみ、買い占めをやって、値段つり上げて暴利をむさぼっている。そういうところには、いろんな経路を通じてたっぷり融資が回っている、これが私は真相だと思う。この点についてどういう規制措置を講じますか。
  125. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) 引き締め体制下において、地方開発公社だとか、中小企業が、これが特別の被害者だと、こういうようなお話ですが、それはもう全く逆でございます。そういうほうにつきましては、特別の配慮をしながら引き締めをしており、こういうふうに御承知をお願いしたいと思うんです。とにかく、日本銀行は引き締め政策をとっておるわけです。しかし、経済が発展するから、資金の総供給、これはだんだん多少の増加はあります。しかも、物価も上がっておる。しかし、総合いたしまして、とにかく去年は前年に比べて二七%も日銀の発行銀行券がふえた。しかるに今日は一体どうだ、こう言いますれば、平残でいいましても二一%台の増加におさまってきた。まあ、今日のこの時点と、一年前のこの時点を比べると、こういうことになると、二〇%台まで下がってきちゃうんです。これは非常にきつい抑制政策を日本銀行はとっておるのだと、その証拠があらわれてきたんだと、これははっきりひとつ御認識を願いたいと思います。
  126. 渡辺武

    渡辺武君 さっきの銀行の集中融資の規制ですね、もう少し具体的におっしゃってください。
  127. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) これはいま検討中でありますが、検討の結果につきましては当委員会に御報告申し上げます。
  128. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  129. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 速記を起こして。  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。  御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
  131. 戸田菊雄

    ○戸田菊雄君 私は、日本社会党を代表いたしまして、ただいま議題となりました割増金付貯蓄に関する臨時措置法案に対し、反対の立場から討論を行なうものであります。  反対の第一の理由は、国民の射幸心をあおり、ギャンブル的風潮を醸成するからであります。現在、政府公認のギャンブルは、競馬、競輪、小型自動車競走、モーターボート等がございます。これへの入場者は、大蔵省統計でも明らかなとおり六千万人に及んでおります。そして、この六千万人の大部分は、国民の低額所得者であり、経済的弱者であります。このような国民の低所得者層の生活困窮者に目をつけ、一獲千金の幻想を与え、国民を異常心理に追いやり、社会不安を醸成し、結果的に二重三重の実質増税政策を招来する今回の政府の法案には断固反対をいたします。  第二は、割増金付貯蓄の販売割り当てが、上位都市銀行に偏在をしておるからであります。過日の審議でも明らかなように、発行総額一兆二千億円のうち、その半分の六千億円は上位都市銀行割り当てとなっております。このことは、今日までの上位都市銀行への優遇措置をさらに推し進めるものであり、上位銀行の寡占をもたらし、中小金融機関への圧迫的措置を招来するからであります。  第三は、金利についてであります。四十六年度大蔵省統計で、法人企業(金融、保険を除く)の資産分析では、自己資本(株、積立金)一五%、借金(他人資本、借入金、運転資金等を含む)八五%で、その計は百三十九兆円の多額にのぼっております。また設備投資長期借入金四十二兆円もあります。かりに物価一〇%の上昇といたしましても、設備投資長期借入金だけでも、四兆二千億円のもうけとなります。反面債権者は、郵便貯金、同積立金、年金積立金、生命保険契約高等を合わせまして百四十九兆六千億円もあります。この損害は一〇%で十五兆円にもなります。このような状況に加え、現在卸売り物価消費物価ともに二〇%をこえるというこの悪性インフレ状況の中におきまして、現行二年もの五・七五%という低利で、しかも、元本を二年間も据え置きとすることは、元本、利子を含めて、結果的には国民に多大の損害を与えることになります。これらの歯どめもなく、単に国民の財貨を吐き出させるという今回の措置は、全く承服できません。  以上のように、本案は、国民の犠牲をさらに強要するものであり、国民の射幸心をあおり、思わしくない社会風潮をつくられるものでありますので、反対をいたします。  以上、討論を終わります。
  132. 鈴木一弘

    鈴木一弘君 私は、公明党を代表して、ただいま議題になっております割増金付貯蓄に関する臨時措置法案に対し、若干の理由をあげ、反対の討論を行ないます。  その反対の理由の第一は、物価狂乱のインフレの中で、ただでさえ大幅に目減り減価していく預貯金に対して、何らの保証もせず放置しておいて、手段を選ばず、国民大衆の金を吸収しようとすることは、政府の財政金融政策上の失敗をたな上げにして、国民に責任を転嫁するものであるからであります。  第二の理由は、本来、いまこそ預金金利の引き上げをまっ先にしなければならぬその時期に、それは放置しておいて、賞金の財源に大多数の預金者の利息を削ってそれを充当し、はずれた大多数の者には、普通預金並みの金利しかつけぬという、預金者の大半を犠牲にするという不公正を助長する法案であるからであります。  第三の反対の理由は、競輪や競馬の車券や馬券が飛ぶように売れるからという発想で、宝くじ預金の別名がつくいわゆるギャンブル法案であり、国民の射幸心をあおるものであり、ギャンブルを政府自体が主導する法案であるからであります。  以上、はなはだ誤った発想のもとにつくられたこのような、まことにたちの悪い法案のすみやかな撤回を求めて、私の反対討論を終わります。
  133. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私は、民社党を代表して、ただいま議題となっております割増金付貯蓄に関する臨時措置法案について、反対の討論を行ないます。  今日の社会を見ると、エゴの過度な追求によって、社会全体の利益が著しくそこなわれる傾向が強いといわざるを得ません。現在、物価高がかくも異常な姿となった原因の一つもそこにあると思います。この事態は、健全な道徳意識をささえにしてきた日本の社会が、崩壊の危機にさらされていることを示すものであり、与党、野党の立場の相違をこえて憂慮すべきものと思います。  しかも、今日われわれが当面している経済的環境は、量から質への転換であり、規模の拡大によって、エゴの満足を求めてきた従来の道は、すでに閉ざされたと考えるべきであります。ここで大切なことは、個々のエゴをいかに全体の利益と調和させるかであり、そのための社会的な知恵をどのように育てていくかであります。この課題に率先して取り組むべきものが政府であることは申すまでもありません。そのためには、従来とは異なった指導力が確立されなければなりません。しかし、残念ながら政府にその自覚ありと認められません。かてて加えて、物価対策として提示されたものが、エゴをくすぐるようなギャンブル貯金であります。しかも、狂乱する物価上昇は、すでに預金金利を大きく上回り、国民が病気など万一の事態に備えて、家計のやりくりをしながら積み立ててきた貯金は目減りを続けております。だから、ギャンブル貯金をと言われるかもしれませんが、現在勤労者の多くは、たとえば、ある職場を例にとれば、一月は休日出勤手当ゼロ、二月はさらに残業手当ゼロ、三月は残業短縮、かくして実収入は大きく減り、貯金どころか、家計の赤字の対策に手一ぱいとなりつつあります。  先日、ある食料品店では、家庭の主婦の買いものががらっと変わったこと、特に売れるようになったものが、梅干し、納豆、切り干し大根だと言っておりました。もって察すべきであります。  一方、資金にゆとりのある人たちは、万に一つの幸運を期待して、ギャンブル貯金を享受するかもしれません。これはいま社会に満ちている不公平感をさらに助長するだけでありましょう。もちろん勤労者の中でギャンブル貯金に手を出す人がないとは言えないと思います。しかし、営々として働いてきた収入の中から、僥幸に期待して、ギャンブル貯金に手を出し、将来の生活設計を運のまにまにゆだねていこうという姿が、健全な国づくりに役立つとは絶対に言えないでありましょう。  私は、他の大臣は知らず、少なくも大蔵大臣は、貯蓄と健全な国民生活との結びつきについて強く意識されているものと思います。その大蔵大臣から、ギャンブル貯金が提案されたことに戸惑いを感じながら、この制度の撤回を強く要求するとともに、いまなすべきことはほかにあることを強調して討論を終わります。
  134. 渡辺武

    渡辺武君 私は、日本共産党を代表して、割増金付貯蓄に関する臨時措置法案に反対をいたします。  反対の理由の第一は、今日の物価狂乱、物不足の原因を、国民の消費支出や買い急ぎになすりつける立場から、この法案が提出されたからであります。  今日の事態の真の原因が、大企業の売り惜しみや、価格引き上げによる暴利にあることは、大企業の責任者が国会に多数喚問されているという一事をもってしても明らかであります。  また、通貨金融の面からするならば、これら大企業の投機資金を大銀行がオーバーローン、大口系列融資などによって供給し、さらにまた日本銀行、政府関係金融機関が、これら大企業優遇の融資制度を依然としてとり続けているからであります。  今日の事態を解決しようと思うならば、これらの大企業本位の金融財政政策を押えるべきであります。このような事態を放置する政府の政策のもとでは、この割増金付預金によって集められた資金が大企業に貸し出され、投機資金として流用されないという保証はどこにもありません。  第二に、割増金付預金は国民の射幸心をあおり、特定の人にのみ恩恵を与え、残りの多数は、通常支払われる利息の支払いさえ受けられないことも予想されるからであります。この制度は、現在の物価上昇率より預金金利が低く押えられている中で、預金者保護の問題について何一つ答えていないものであり、預金者には根本的に利益となるものではないからであります。  第三に、この預金の創設は、預金獲得競争を強め、全国に支店を持つ都市銀行と、その他銀行との格差をますます拡大させ、系列支配と再編成を促進させるものであり、また、この預金創設によって、金融関係労働者に対し、労働強化をしいるおそれさえあるからであります。  このように、本法案は、預金者にとっても、物価抑制のための金融政策にとっても、何らプラスとなるものでないので、反対するものであります。
  135. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 他に御意見もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  136. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより採決に入ります。  割増金付貯蓄に関する臨時措置法案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  137. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  河本君から発言を求められておりますので、これを許します。河本君。
  138. 河本嘉久蔵

    河本嘉久蔵君 私は、ただいま可決されました割増金付貯蓄に関する臨時措置法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党及び第二院クラブの各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。まず、案文を朗読いたします。    割増金付貯蓄に関する臨時措置法案に対する附帯決議(案)  一、政府は、割増金付貯蓄等一連の貯蓄増強策の実施により、銀行に吸収された資金が総需要抑制政策の効果を減殺することのないよう、窓口指導をはじめ金融政策の運営に万全を期すべきである。  二、政府は、最近の物価動向にかんがみ、預金者保護の立場から、預金金利のあり方について検討を加えるべきである。  三、政府は、割増金付貯蓄の募集について、いたずらに射幸心をあおることのないよう、誇大広告ならびに金融機関相互間の過当競争を排除するとともに、募集の個人割当等において労働強化を招来することのないよう指導に遺憾なきを期すべきである。   右決議する。  以上でございます。
  139. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) ただいま河本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  140. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 全会一致と認めます。よって、河本君提出の附帯決議案は、全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、福田大蔵大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。福田大蔵大臣。
  141. 福田赳夫

    ○国務大臣(福田赳夫君) ただいま御決議のありました事項につきましては、政府といたしましても、御趣旨に沿って十分配慮いたしたいと存じます。
  142. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  143. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  144. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 次に、印紙税法の一部を改正する法律案議題といたします。  先ほど質疑は終局いたしておりますので、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようでございますから、これより直ちに採決に入ります。  印紙税法の一部を改正する法律案を問題に供します。  本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  145. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  146. 土屋義彦

    委員長土屋義彦君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  お知らせをいたします。次回の委員会は三月七日午前十時から、日本銀行総裁並びにその他の役職員に対し、当面の内外の財政金融問題につき質疑を行なう予定でございますので御了承願います。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時三十九分散会     —————————————