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1974-06-03 第72回国会 参議院 商工委員会石炭対策に関する小委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年六月三日(月曜日)    午後一時四十五分開会     —————————————  昭和四十八年十二月十日商工委員長において本  小委員を左のとおり指名した。                 川上 為治君                 剱木 亨弘君                 細川 護煕君                 矢野  登君                 阿具根 登君                 小野  明君                 大矢  正君                 峯山 昭範君                 藤井 恒男君                 須藤 五郎君  同日商工委員長は左の者を小委員長に指名し  た。                 阿具根 登君     —————————————    小委員異動  十二月十四日     辞任          藤井 恒男君  十二月十八日     辞任          川上 為治君     辞任          矢野  登君  二月十四日     補欠選任        川上 為治君     補欠選任        矢野  登君     補欠選任        藤井 恒男君  二月二十一日     辞任          須藤 五郎君  三月五日     辞任          細川 護煕君  三月二十八日     辞任          川上 為治君  四月十一日     辞任          小野  明君  四月二十二日     辞任          藤井 恒男君  五月十四日     辞任          矢野  登君  六月一日     補欠選任        吉武 恵市君     補欠選任        細川 護煕君     補欠選任        竹内 藤男君     補欠選任        竹田 現照君     補欠選任        藤井 恒男君     補欠選任        須藤 五郎君     辞任         補欠選任      峯山 昭範君     中尾 辰義君     —————————————   出席者は左のとおり。     小委員長        阿具根 登君     小委員                 剱木 亨弘君                 竹内 藤男君                 細川 護煕君                 吉武 恵市君                 大矢  正君                 中尾 辰義君                 藤井 恒男君                 須藤 五郎君    政府委員        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君     ————————————— 本日の会議に付した案件 ○石炭政策に関する件     —————————————
  2. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) ただいまから石炭対策に関する小委員会を開会いたします。  小委員異動について御報告いたします。  一昨一日、欠員中の小委員補欠として竹内藤男君、細川護煕君、吉武恵市君、竹田現照君、藤井恒男君、須藤五郎君が選任されました。  また、同日、峯山昭範君が小委員辞任され、その補欠として中尾辰義君が選任されました。     —————————————
  3. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 石炭政策に関する件を議題といたします。  本件について御質疑のある方は順次発言を願います。
  4. 大矢正

    大矢正君 石炭部長お尋ねをいたしますが、御存じのとおり、本日をもって国会が終了し、あとは選挙後一月以内ということでありますから、早ければ七月中、おそくなれば八月に入らなければ国会が開かれないという状態になりますが、そこで、エネルギー調査会における石炭の位置づけ問題の論議が現在どういう状態で進められておるか。その途中でありまして、説明しづらい面もあろうかと存じますが、ここで述べられる限度においてひとつ御報告願いたい。  それから、そのエネ調石炭の位置づけが出ました以降は、どういうような、タイムテーブルと申しましょうか、日程表作業が進められていくのか。まあ、半年、一年先を含むことでありますから、あとから、あのときああ言ったじゃないかというようなことになって困るかもわかりませんけれども、しかし、われわれはこれからくにに帰りまして、石炭に関心のある多くの人々とも会わなきゃなりませんので、その際に、政府の計画は大体どういうような日程表に基づいてなされようとしているのかということが何らわからないままにくにへ帰るわけにもまいりませんので、まずその辺のところからお答えいただきたい。
  5. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) ただいまの御質問の点でございますけれども総合エネルギー調査会のほうは、六月末に中間報告を出すべく、いま鋭意審議を重ねている状態でございます。それと並行いたしまして、石炭関係は、総合部会の小委員会を現在二回開きまして、今月もあと十三日の日に開かさしていただき、その後引き続き、今月の末ないし来月、エネ調との関係もございますけれどもエネ調中間報告前に石炭鉱業審議会総合部会としての報告を出すべく努力している最中でございます。  総合部会のほうで、実は先月の十六日でございますけれども国内供給が将来どうなるのかというようなことでおはかりいたしております。そのときの——これは事務当局の試算でございますけれども、現在の山の生産を維持するということはもちろんでございますけれども、じゃ、五十五年、六十年が幾ら数字になるのかというようなことを各企業から資料をとり、いろいろ試算しましたところ、現在の既存炭鉱生産は約千八百八十万トンぐらいに落ちるのではなかろうかと思われます。これじゃ問題がございますので、このほかに、例の消滅鉱区の再開発の問題あるいは新鉱開発として今後開発できるところの生産量、そういうようなものを入れて幾らぐらいまで生産が可能かというようなことをいま小委員会のほうで御議論いただいている最中でございまして、そういう関係から、国内炭といたしましては二千万トン以上ということで一応エネ調のほうに連絡をしているような次第でございます。  エネ調のほうとしましては、国内石炭生産は二千万トン以上ということと、それから将来の需要との関係もございますので、今後、電発その他におきまして石炭を主力とします火力発電、そういうものをつくっていただけるということを前提にいたしますと、国内炭供給だけでは相当不足する分があるというようなこともございまして、輸入炭必要性というものも出てくるのではないかということで、実は前の審議会のときも、海外からの輸入というものが幾らぐらい可能性があるかというようなことも数字を出したような次第でございます。その数字は、六十年になりますと約二千から三千万トンの一般炭輸入が可能ではないかと、ただし、これは数字だけでございまして、今後輸入の形式なり、あるいはどういうような形で入れる、いわゆる国内炭生産に悪影響を及ぼさないような形で入れなくてはならぬという大前提がございますので、そういう制度的なことはまだ検討いたしておりませんけれども、量としては、いま申し上げましたような二千から三千万トンの輸入炭国内炭におきましては二千万トン以上ということをエネ調のほうに数字を出しているような次第でございます。  これをベースにいたしまして、エネ調のほうといたしましては、今後需要幾らこれと結びつくかというようなことをいま計算している最中でございまして、こういうことで、おそらく総合エネルギー調査会のほうでは、今月の末に、あるいは少々おくれるかもしれませんけれども中間報告を出すという段階になっておりまして、先ほども申し上げましたように、石炭鉱業審議会総合部会のほうでも、それ以前に、将来の石炭鉱業のいわゆる方向性という問題と当面対策としてのいろいろな諸問題を答申していただくという考えを持っております。そういたしまして、エネルギー調査会のほうで中間報告が出ましたあと通産大臣より鉱業審議会のほうに正式に今後の石炭鉱業あり方ということで、新政策としての諮問をいたしたいというふうに考えておりまして、その諮問を受けまして、正式に将来の日本の石炭鉱業あり方につきまして御審議いただき、答申をいただくということにいたしております。  もちろん大臣からの石炭鉱業審議会への諮問がございますと、当然考えられますことは、現在の合理化法でいいのかどうかというような問題もございますし、あるいは輸入炭の問題も必要になってくるとすれば、どういうような形での輸入形式をとるかというような問題、今後の国内石炭現有鉱の堅持あるいは再開発の問題につきましても、いろいろな法文上の問題も出てまいりますので、そういうもろもろの点を審議会で御審議いただきまして、できるならば、ことし末に御答申いただきたいというふうに考えております。しかし、いままでの合理化法が相当込み入った内容になっておりますので、今後新たに石炭鉱業の長期安定ということを主体にしました場合、法律の内容的にも問題があるんではなかろうかということで、時間的には相当かかるのではないかというふうには考えておりますけれども、できるだけ早く答申をいただき、それに基づきまして法律の整備、予算的な措置ということもいたしたいというふうに考えております。  ただし、来年度の予算につきましては、今度の総合部会中間報告をいただきましたのをベースにいたしまして、予算的には十分対処していきたいというふうに考えております。
  6. 大矢正

    大矢正君 いま部長が答弁されましたが、その中でちょっと私は聞き漏らしたんですが、エネ調が現在検討中でありますが、そのエネ調検討中ということばの中に二千三百万トンという数字の表明がありましたが、それは二千三百万トン程度を維持するという、これは原料炭一般炭含んでの国内炭ですね、生産を維持すると、もちろん消費も維持すると、そういう意味のことで言われたのか、そうではなくて、国内炭輸入炭を含めて二千三百万トン程度一般炭需要の開拓をはかると、こういう意味での御発言なのか、ちょっと聞き漏らしたものですから、重ねてお尋ねをさせていただきたいと思います。
  7. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) エネルギー調査会のほうの五十五年−六十年の石炭国内数字でございますけれども先ほど申し上げましたように、国内炭につきましては二千万トン以上ということで、一般炭につきましては一千万トン、それから原料炭について一千万トン、これは国内供給面数字でございますが、以上ということでいまエネルギー調査会のほうには資料を出しておりまして、そのほか、輸入炭一般炭輸入の可能な数字が二千ないし三千万トンということでございます。原料炭の現在輸入されておりますのが約五千五、六百万トンございますけれども、この数字は別途な数字でございまして、いま申し上げました二千ないし三千万トンの輸入が可能であるというのは一般炭だけでございます。国内炭供給面におきましては、一般炭が一千万トン、原料炭が一千万トンということで、両方合わせまして国内炭供給は二千万トン以上ということで五十五年−六十年をエネルギー調査会のほうには数字としては出しておるというのが実態でございます。
  8. 大矢正

    大矢正君 五十五年から六十年という意味ですから、これから五年からさらに十年先において輸入される一般炭として想定されるものは二千万トンから三千万トンの間というお説でありますが、エネルギーの総体的な需要量というものはどんどんふえていくわけでありまして、一般炭がたとえば輸入量一千万トンが二千万トンあるいは三千万トンになりましても、一次エネルギー全体の中における比率というものは、それは微々たるものではありましょうけれども、一千万トンしか国内炭一般炭が見込めないという前提で、三千万トンあるいは三千万トンを下ることになりましても、それに近い数字一般炭輸入をするということになりますと、市場価格というものに国内炭生産原価が反映されないで、外国炭によって市場価格がきまってしまうという結果になって、これはいい作用と悪い作用と両方起こすような結果になりはしないだろうかという気がするわけですがね。  現実には一千万トンしか一般炭が出ないとすれば、それはやむを得ないことだし、無尽蔵のものじゃなくて、ある程度現在のこのボーリングその他の結果によってつかんでおります埋蔵量の中で、これからどの程度掘っていくかということになりますれば、よけい掘ればおのずからその石炭を掘る年数が短くなりますから、ある意味でいえば、ここまでくれば細く長くということも考えられますけれども、ただ、その一千万トンの国内炭しか出ないのに、それの二倍ないし三倍の一般炭輸入するということがはたしてどうかなという感じがするんですが、その辺の私の危惧はいかがなものでございましょうか。
  9. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) ただいま先生の御指摘の点でございますけれども先ほどもちょっと触れましたように、国内現有鉱生産だけを見ますと、五十五年度、六十年度といたしましては、六十年度が千八百八十万トンしか出ないというのがもうこれは実態であろうと思います。これすらも相当な努力をしなくちゃ確保できぬのじゃなかろうかという反面の心配もございますけれども、これはまず確保さすということにしまして、千八百八十万トンというのが現有鉱でございます。  このほかに、消滅鉱区、新区域という二つの点がございますけれども消滅鉱区につきましては、一応事業団でいろいろ試算させましたところ、これはまず第一は、単位幾ら単位で見るかというのもございますので、一応一千万トン以上の炭量対象にいたしまして、まとまったところに、一千万トンあるというところを対象にいたしまして試算させました結果、一応消滅区域生産できるのは百五十万トンぐらいのもんではなかろうかと、これにはいろいろ鉱害問題あるいは保安問題というものもございますので、今後検討していかなくちゃならぬ点も多々あると思います。一応事業団のほうで試算させましたのは、現在の生産費一万五千円以内で掘れる炭量幾らかというような、炭量及び生産幾らかということで試算さした次第でございます。そのほか、新区域につきましては、これは特に考えられますのは、天北炭田等が考えられるんじゃなかろうかというふうに思いますけれども、この点も需要との結びつきがなくては、ただ単に炭だけを出したということでは、特に天北の炭はカロリーも低うございますので、地場消費ということを主体に考えなくてはならぬ問題ではなかろうかと思います。そういう点で、国内炭消滅鉱区あるいは新区域安全圏を見まして二千万トン強ということで国内炭はしたわけでございまして、そのほか、輸入炭の二千ないし三千という点についての御指摘でございますけれども、これは需要がなくては、みだらにこの数字輸入さすという気持ちは毛頭ございませんので、今後それだけの供給が可能とした場合、需要がどういうふうになるのかということを現在エネルギー調査会のほうで検討しておるというのが実態でございます。
  10. 大矢正

    大矢正君 石炭部長ね、私どもも、コストが五万円かかろうと十万円かかろうと、石炭としての価値がある限りは掘るべきだという、そこまで極論は申しません。しかしながら、やはりある程度高いものも、唯一国内資源でありますから、掘らざるを得ないし、掘るべきだと、ただ、その数字が全くその経済性というものを度外視してやれというまで極論は申しませんがね。そういう意味でいきますれば、いま部長がおっしゃっておりました、すでに閉鎖された、ないしは買い上げ鉱区等を今後やるとしても百五十万トン程度しか見込めないということは、ある程度うなずける面もありますが、しかし、やはりバルクラインの設定のしかた、たとえばコストもこの程度までならばやむを得ないんではないかというその線の引き方ですね。この辺は非常にむずかしいところでありまして、原料炭一般炭とでも違いがありまするし、一般炭でもカロリーの違いも出てまいりますし、北海道のように、いろんな炭がふくそうしている。たとえば天北のように、非常に低品位で一般炭であるというような場合に、はたして経済合理性に合うかどうかというような議論も出てくるかとも思われますが、いずれにしても、残り少ないわが国唯一エネルギー資源であることに間違いはないので、私は、極力やはり使うという、掘って使うということを原則にして今後とも努力をしてもらいたいと、こう思います。なおまた、二千万トン、三千万トンの問題は、これは審議会答申その他が出てからおそらく議論されることだろうと思いますから、これ以上深くは申しませんが、希望意見として申し上げておきます。  それからもう一つだけ、時間もありませんので、お尋ねというよりも、こういうことがやられたほうがよろしいのではないかという意味で申し上げておきたいと思うんですが、実は、大臣その他部長以下、いろいろと御協力をいただきまして、炭鉱労働者賃金がかなり大幅に上昇して、炭鉱に働く者はかつてない明るい表情を実はいたしております。しかし、ことしの春の賃上げが一般が三万円のところを四万円以上上回る賃金が上がったからといって、今後もそれが継続的にできるという保証は何もないわけですね。そこで、四月の賃金引き上げの際に問題になりましたのは、国会で、鉱山並み賃金に合わせるという、引き上げるというそれが問題になって、そのうちの何割かが現実に上積みされたという形になって解決をしておるわけですが、ただ、御了承のとおり、鉱山賃金炭鉱賃金とをどう比較をするのかということになりますと、これはお互いに非常に言い分があります、労使ともにですね。鉱山のように、坑外の一方当たりを基準にして計算をするというようなやり方と、炭鉱のように、坑内外平均でやるというやり方とか、いろいろもう賃金の決定をする段階において大きな相違があるという面もありますので、なかなかうまくいかない。  鉱山の場合には、比較的これは安全面におきましては不安は少ないんですが、炭鉱の場合には、御存じのとおり、爆発、落盤、さまざまな事故がありますから、それだけにやはり稼働率も低下する、実際には。したがって、鉱山並み稼働率をかけるというわけにも単純にはいかないということもありますし、せっかく大臣も、衆議院におきまして、全鉱並みにとりあえずの目標として炭鉱賃金は引き上げるべきだとおっしゃっておられるのでありますから、鉱山並み賃金とは大体今日の段階ではどの程度のものをさすのかというようなことを、通産省としても労働省十分話し合いをし、あるいはまた労使からも意見を聞きつつ、ある程度の目安を出してもらいたい。そうしないと、今後、来年の賃金の問題の際にこれがまた非常に大きな問題になるおそれもありますので、ぜひひとつそういう面についての配慮をお願いしたい。御存じのとおり、この四月には他の一般産業平均よりは上がっておりますが、これで全部全鉱との格差鉱山との格差が埋まったというわけではございませんので、その間の問題についての十分なひとつ配慮を願いたい。これは質問というよりも、要望意見として申し上げておきたいと思います。
  11. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) ただいまの先生の御指摘の点でございますけれども、本年度賃金、春闘のベースアップにつきましては、私どもの見ておりますところでは、大体現在のメタル石炭との差額の半分ぐらいは埋まったんではなかろうかというふうに考えてはおりますけれども、ただいま御指摘のとおり、坑内あるいは坑外、あるいはメタル関係につきましては製錬所と、いろいろな作業分野がございまして、なかなか統一的な見解というのはむずかしいんじゃなかろうかというふうにも考えております。しかし、まだ今後は期間もございますので、労使で十分お話し合いいただく点もございますし、なお役所としても研究する点があろうと思いますので、労働省のほうとも連絡をとりつつ、できるだけ炭鉱労働者の方々が他産業に比べ高賃金で従事できるような環境づくりをしたいというふうに考えております。
  12. 須藤五郎

    須藤五郎君 私も四、五点ちょっと質問しておきたいと思います。  最初は、五月二十三日の衆議院石炭対策特別委員会で、従来の石炭政策を抜本的に再検討し、長期的展望に立った新石炭政策を確立することを要求する決議がなされたと思います。これは全会一致で採択されましたが、これに対する政府の考え方をまず伺っておきたいと思います。
  13. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 先ほど大矢先生の御質問にもお答えしたような次第でございますけれども、いままで五次にわたるいろいろな石炭対策を立ててきたわけでございますけれども、昨年のいわゆる石油危機に直面した国内石炭の見直しというような問題も出てきておりますし、今後エネルギー供給源多様化という観点からいきましても、いままでみたいないわゆるスクラップ・アンド・ビルドというような合理化政策だけでは、国内の貴重な石炭政策として問題があるのではないかという認識に立っておりますし、今後国内の貴重な石炭を有効に使うためには、先ほどもお話しいたしましたように、現有鉱のできるだけ長期的な存続と申しますか、そういう現有鉱生産確保という点と、消滅鉱区あるいは新区域開発という点に力を入れて今後国内石炭供給しなくてはならぬのじゃなかろうかというふうに考えております。  そのためには、いままでの合理化法を見直す必要があるというふうに考えておりますので、先ほど御説明いたしましたように、総合エネルギー調査会中間報告を得ましたら、通産大臣から石炭鉱業審議会のほうに諮問いたしまして、新たな石炭政策を確立したいというふうに考えております。
  14. 須藤五郎

    須藤五郎君 この決議は、政府はもとより、総合エネルギー調査会石炭鉱業審議会に忠実に反映させる必要があると思いますが、政府は、この決議がされまして以降まだわずかな期間しかたっておりませんけども決議されて以降、どのような具体策をとったか、ここで明らかにしておいてほしいと思うんです。
  15. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 石炭のほうの審議会は、先ほども御説明いたしましたように、今月の十三日に開催いたすことにいたしておりますので、十三日には衆議院のほうでの御決議を当然御披露し、この方向に進むべく持っていかなくてはならぬというふうに考えておりますし、また、本日、参議院のほうでも御決議いただくということを承っておりますので、両者合わせまして審議会のほうには御報告し、その線に沿うべく努力するつもりでございます。
  16. 須藤五郎

    須藤五郎君 まだ具体的なことにはなっていないように思いますけれども、きょう、参議院でも同じような趣旨の決議案が通る、採択されるはずですが、そうしたら、一日も早くその決議案の精神の実現のためにひとつ努力をしてもらいたいということを申し添えておきたいと思います。  それから決議は、第一項で、国内炭供給力を高め、活用を積極的に推進するよう求めておりますが、エネルギーの需給という点から重要な点だと、この点は思います。第五次政策を若干手直ししたぐらいではこの決議にこたえられないと私は思うのでございますが、政府は、どういうふうに考えていらっしゃるのか。
  17. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 国内炭のいわゆる自給率を高めると申しますか、供給力を高めるという点はもっともなことでございまして、先ほど生産関係のほうで御説明もしたわけでございますけれども供給が無限に高められるかといいますと、その辺にも一つ問題があるのではなかろうかと思います。現在二千百万トン足らずの生産が四十八年度生産になっておりまして、本年度生産も一応目標は二千二百万トンということで掲げておりますけれども、実際は二千百万トン前後になるんではなかろうかというふうに考えられますので、これを三千万トンあるいは五千万トンというふうに無限に高めるということも、労働確保の問題あるいは資源の賦存状態からいきました保安上あるいは鉱害上の問題等もございまして、あるいは全然経済性ということを無視するわけにもまいりませんので、国内供給にも一応の限度があるんではなかろうかというふうに考えられます。しかし、ただいま先生指摘のとおり、もちろん国内石炭で掘れるものはできるだけ掘ろうという考えに立っておりますことは申すまでもございませんので、その点は十分御理解いただけるんではなかろうかというふうに考えます。  なお、抜本的な見直しといたしましては、先ほども答弁いたしましたように、いままでの合理化法だけによるわけにはいかぬのじゃないかということで、将来の石炭鉱業を長期安定という立場から、全面的に見直す必要があるんではなかろうかというふうに考えております。
  18. 須藤五郎

    須藤五郎君 前のこの小委員会の席でしたか、私は、石炭を外国から買う場合には、日本の石炭よりもトン当たり四千円ほど高く買っているという点を指摘しまして、それならば日本の石炭もトン当たり四千円ぐらい値を上げて、外国から買う値段と同じようにしたらどうだと。それじゃ、その場合には、一体トン当たり四千円値上げするとするならば、どれだけの石炭が掘れる見通しだ、採算のとれてですね、それでどれだけの石炭が掘れる見通しかといって尋ねましたとき、いま作業中だというような答弁があったように思うんです。今度トン三千円値上げをいたしました。新聞の報道によりますと、ある石炭会社は黒字に転換したというような記事も出ておったように思うんでございますが、こういう条件でどれだけの石炭の採掘が可能になるのかという点を答えておいていただきたいと思うんです。
  19. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) いま先生指摘の、輸入炭国内炭よりも四千円高く購入しているという点の問題でございますけれども、これはおそらく何かの違いではなかろうかと思います。  まず第一は、輸入しておりますのは原料炭のみでございまして、いままで一般炭輸入させておりません。原料炭国内炭が——これは四十八年度の実績でございますけれども平均いたしますと、日本の原料炭に見合います輸入原料炭、これは主体が豪州でございますけれども、豪州から入っております輸入原料炭は五千五百円が平均でございます。国内炭はそれに比しまして七千五百円という高い値段で国内原料炭は販売しておるわけでございます。四千円輸入炭のほうが高いという数字は間違いではなかろうかと思います。なお、一般炭につきましては、現在までは重油と国内一般炭ということでいろいろ対比しておりまして、カロリー当たりで見ますと、大体とんとんになっていたのが四十八年度の実績でございまして、その後、油の値段が相当高騰いたしまして、いわゆるC重油で二万円というようなことを前提にいたしまして、国内炭も四十九年度においては三千円アップしてもらうという線が出てきたわけでございまして、先ほど輸入炭国内炭よりも四千円高いという点は間違いではなかろうかというふうに思います。
  20. 須藤五郎

    須藤五郎君 あるいは私が読み違えているかわかりませんから、それは調べてみますけれども、私はそういうふうに考えておりましたがね。  それで、輸入炭原料炭に限ると、いまおっしゃいましたが、一般炭は今後も輸入はしないんですか、どうですか。
  21. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 一般炭につきましては、四十八年度までは輸入いたしておりません。ただし、二回ぐらいにわたりまして緊急輸入ということで認めたことはあったように承知いたしておりますけれども、正式な一般炭輸入という制度的のものは認めておりません。ただし、四十九年度におきまして国内生産が二千二百万トンということを目標にしておりますけれども、二千百前後ではなかろうかと思います。それに比べまして、需要のほうは二千三百五十万トン程度ございます。需要が目標供給量に対しましてなお百五十万トン増ということでございますので、貯炭を食いつぶしましても、この需要はまかないきれないというような現状になっておりますので、四十九年度につきましては、せっかく石炭をたいてくれるという公益の電力部門があるならば、輸入してでも入れてあげるべきではないかという考え方から八十万トンの輸入を認めたいということで、審議会で御承認いただいたような次第でございます。  なお、将来の輸入につきましては、大矢先生からの御質問のときにもお答えいたしましたように、将来の電力需要なりというもの、需要と結びついたときに初めて輸入さすべきでございまして、これも単なる一方的な輸入ではなくして、国内炭に悪影響を及ぼさないような輸入形態というものを考えなくてはならぬのじゃなかろうかというふうに考えております。
  22. 須藤五郎

    須藤五郎君 その八十万トン買う輸入炭ですね、一般炭の。それの値段も日本の一般炭よりは安いのですか、高いのですか。簡単に答えてください。
  23. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) ことしの八十万トンの輸入につきましては、これはスポットものでございますので、おそらく国内炭よりも高いのではなかろうかというふうに考えられます。  ただし、この八十万トンもいま全部手当てがついたということではございませんで、できるならば八十万トン輸入してもらいたいということでございまして、あまり値段が高ければ、これはスポットものでもございますので、おそらく輸入はできぬのではなかろうか。その場合は、おそらく電力部門においては重油にかわるのじゃなかろうかというふうに考えておりますけれども、せっかく石炭をたいてくれるということでございますので、できるだけ努力いたしまして、安い石炭ならば輸入さしたいというふうに考えております。
  24. 須藤五郎

    須藤五郎君 この決議の第四項で、「買上げ、封鎖鉱区及び未開発鉱区について調査を実施し、買上げ及び封鎖鉱区の再開発」は国の責任で行なうよう決議は求めておると思いますが、この点は、従来の考え方のように、企業にまかせていたのでは同じあやまちを繰り返すことになるので、この指摘された点は重要であると考えますが、政府の考えはどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  25. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 衆議院のほうの第四項の「買上げ、封鎖鉱区及び未開発鉱区について調査を実施し、買上げ及び封鎖鉱区の再開発に当っては、政府の責任において行なうこと。」というのが明記されております。調査するのはもちろん国でございます。これは現在買い上げ鉱区あるいは封鎖鉱区でございますけれども、買い上げ鉱区と封鎖鉱区につきましては、合理化事業団の買収制度あるいは消滅と、いわゆる閉山交付金の交付にあたりまして、事業団が買い上げた分と鉱業権を抹消した両方がございまして、これは現在、私企業には属していない眠り鉱区でございまして、単に私企業がこれを再開発したいということでもできないような状態になっております。これをもし先ほど申し上げますように、保安上あるいは鉱害上、経済上開発する価値のあるところがございますれば、当然、政府というものが鉱業権をどういう形で設定するかは、今後の審議会でいろいろ御審議をいただかなくてはなりませんけれども、国の責任においてやらなくてはならぬということは当然でございます。
  26. 須藤五郎

    須藤五郎君 この第五項で労働条件の向上と作業、生活環境の整備を求めておりますが、今後国内炭の増産にあたって最も重要な問題の一つだと思いますが、この点での政府の考え方を聞かしておいていただきたいと思います。
  27. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 賃金の問題につきましては、先ほども御説明いたしましたように、金属鉱山並みに持っていきたいということで努力しているわけでございます。  なお、作業環境及び生活環境につきましては、たとえば現在の近代化資金制度を利用いたしまして、住宅の改良あるいはレジャーセンターの増設というようなことも手をかけておりますし、そのほか保安上の問題もございます。いろいろな点につきまして、労働省あるいは立地公害局の保安部門とも相談しながら、この点は拡充いたして、今後労働者を確保するにあたりまして支障のないように実施していきたいというふうに考えております。
  28. 須藤五郎

    須藤五郎君 これは要望ですが、この点をはっきりしておかないと、幾ら政府が炭を掘ってほしいと思っても、必要とされても、やはり労働力がだんだん減っていくという、労働力の面で石炭産業というものが非常にむずかしくなってくると思うのです。やはり労働者の要望しているところの労働条件の向上、それから生活環境並びに保安状況ですね、この三つはゆるがせにできない重大な点だと思っておりますので、この点ひとつよく検討をして、そうして十分に労働者が満足して、喜んで働くことのできるようなことに持っていってもらいたい、これは私の強い要望です。これがなかったならば、石炭産業は労働力の面でだめになってしまうということがはっきり言えると思いますので、この点よく注意してもらいたい、こう思います。
  29. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑は本日はこの程度にとどめます。     —————————————
  30. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) この際、おはかりいたします。  ただいまの御質疑の趣旨に基づき、お手元に配付いたしました案文のとおりの決議を行なうよう商工委員会に提案することといたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  31. 阿具根登

    ○小委員長(阿具根登君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時二十七分散会      —————・—————