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1974-05-31 第72回国会 参議院 商工委員会 第20号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月三十一日(金曜日)    午前十一時二十六分開会     —————————————    委員異動  五月三十一日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     片山 正英君      原 文兵衛君     佐田 一郎君      川上 為治君     熊谷太三郎君      植木 光教君     吉武 恵市君      工藤 良平君     林  虎雄君      辻  一彦君     宮之原貞光君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 佐田 一郎君                 竹内 藤男君                 細川 護熙君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 小笠 公韶君                 片山 正英君                 熊谷太三郎君                 古賀雷四郎君                 佐藤  隆君                 西村 尚治君                 吉武 恵市君                 阿具根 登君                 竹田 現照君                 辻  一彦君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    政府委員        科学技術庁原子        力局次長     伊原 義徳君        科学技術庁原子        力局次長     生田 豊朗君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業大臣官        房長       増田  実君        通商産業省産業        政策局長     小松勇五郎君        通商産業省立地        公害局長     林 信太郎君        通商産業省基礎        産業局長     飯塚 史郎君        通商産業省機械        情報産業局長   齋藤 太一君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        工業技術院長   松本 敬信君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君        資源エネルギー        庁次長      北村 昌敏君        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        井上  力君        資源エネルギー        庁公益事業部原        子力発電課長   児玉 勝臣君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○発電用施設周辺地域整備法案(第七十一回国会  内閣提出、第七十二回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、大谷藤之助君が委員を辞任され、その補欠として片山正英君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 発電用施設周辺地域整備法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  4. 辻一彦

    辻一彦君 この間に続いて二、三点ただしたいと思います。前回中断しましたので問題が残っておりますので、引き続いて伺いたいと思います。  ちょっと私、まず最初に確認をしたいんですが、村回の質問を通して通産省原子力発電技術顧問三島東大教授参考人として出ていただきました。大体その御意見といいますか、証言によって、関西電力美浜号炉燃料棒の曲がりは、同じ程度の曲がりと言われたアメリカロビンソンポイントビーチ原子炉燃料棒の曲がりに比べて、一つははるかに大きいということ。それから、接触もしくは接触に近い曲がりがあったということ。第三には、このような異常な現象は、世界の原子炉で公にされたものではほかにないということ。第四に、接触したものをそのまま使用すれば、燃料棒に穴があく等破損燃料棒となるおそれがあると、こういうことが私は一応明らかにされたと思うんですね。  そこで、単に念のために取りかえということではなくて、通産省はこの具体的な科学的事実に基づいて燃料体の取りかえを行なわした、こういうことを私は一応明らかにされたと思いますが、前回質疑まとめとして、一応私のこのまとめについて通産省として確認できるかどうか、お伺いいたしたい。
  5. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘美浜発電所の第二号機の燃料棒の曲がりの問題でございますが、通産省といたしましては、本件に対しまして原子力発電技術顧問会意見も参酌いたしまして、燃料棒が曲がりまして接触することによる熱影響についての公表されている十分な実験等がないということ、及び曲がり燃料棒照射試験等に関するデータも報告されておらないということで、接触するおそれのある燃料を炉内にとどめておくことは安全上好ましくないというふうに考えまして、今回、十六体の燃料体を取りかえさしたということでございます。
  6. 辻一彦

    辻一彦君 私のいままとめたことについて特別な意見があるわけですか。それをちょっと聞かしていただきたい。
  7. 井上力

    説明員井上力君) 特にございません。
  8. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、ないということは確認されたということであると受けとめます。  そこで、長官見えておりませんから、科学技術庁として、いま通産省確認をされたわけだが、科学技術庁としてはどうか。
  9. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 本件につきましては、通産省とも十分連絡をとりまして、科学技術庁としてもただいま井上審議官の御答弁にありましたように、同じ考え方で処理をさしていただいたわけでございます。そういう点で辻先生の御質疑のとおりであると思います。
  10. 辻一彦

    辻一彦君 まあ、長官お見えになっていませんから、あとでお伺いしますが、科学的判断というものの確認を、私はやはりこれは前回予算委員会以来の論議の問題でありますから、一応あとでいたしたいと思います。通産科学技術庁の公の確認を通して、科学的な具体的事実に基づいて燃料体を取りかえたということは、私は確認されたと思います。  そこで、加圧型原子炉、いわゆる関西電力のP型ですが、この異常な曲がりというものは、あるいはこの接触もしくはそれに近い現象というものは、原子炉安全性という点からいうと、どうしてもその原因をこれは私は徹底的に明らかに解明すべきものである、こう思っておりますが、どうお考えになっておるかお伺いしたい。
  11. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘のように、原子炉内に起こりますいろいろな現象につきましては、極力いろいろな手段をもちまして解明すべきであろうと思います。本件燃料棒の曲がりにつきましては、原子力発電技術顧問会におきましてその原因につきましていろいろ検討したわけでございまして、新しく入れました燃料あるいは残存いたしました燃料につきましては、おそらく安全上支障がないであろうという検討は行なったわけでございますが、さらに万全を期するため照射燃料等につきまして今後試験を行ないたいと、かように考えております。
  12. 辻一彦

    辻一彦君 科学技術庁に、まあ長官見えぬが、伺いますが、この解明のために燃料体燃料棒の解体、実験、こういうことを私は必要とすると思いますが、これをやれる施設と言いますか、そういう実験あるいは試験をやる、これをわが国でやれる場所があるかどうか、いかがですか。
  13. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 辻先生指摘のように、こういう燃料棒のこわれに対しまして試験をすべきであるというのはまさに御指摘のとおりでございます。ただいま残念ながらわが国におきましては実寸大燃料棒を解体する施設、これはホットラボラトリーと称しておりますが、実寸大のものを扱える施設がまだございません。したがいまして、昭和四十九年度の予算におきまして、実寸大燃料体を解体し試験ができるようにということで、日本原子力研究所に新しく大型のホットラボラトリーを設置するということになりまして、いまその設計を鋭意進めておる段階でございます。
  14. 辻一彦

    辻一彦君 それはいつできる予定ですか。
  15. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 四十九年度から三カ年計画の予定でございます。
  16. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、一体その美浜燃料棒は三年間あのプールにつけて待つのか、それまでどうする考えですか。
  17. 井上力

    説明員井上力君) 国内におきます試験施設につきましては、科学技術庁から御説明のとおりでございますので、外国に持っていって試験をするというような点につきましても検討したいというふうに考えております。
  18. 辻一彦

    辻一彦君 すでに一昨日、明らかになったように、美浜原子炉の場合には、その曲がりの燃料棒の間隔はゼロに近いところ、接触もしくは接触に近いと、こういうことが確認をされて、これはポイントビーチロビンソンというアメリカ原子炉先行炉に比べてアメリカの場合は一・一ミリのこれが一番狭いところ、そうすれば国際的にも例がないということが明らかになったんですが、これを私は一刻も早く解明すべきであると思いますが、国内でできないとすれば一体外国でということですが、具体的にどうする考えなのか。これはやはりこういう原因を明らかにするということが、原子力施設の国際的な安全性を確保するために非常に大事だと思いますが、どうする考えか具体的に伺いたい。
  19. 井上力

    説明員井上力君) 海外にはいろいろ施設があろうかと思いますが、具体的に現在考えられておりますのは、イギリスのBNFLのホットラボにおきまして試験をしてもらうというようなことでございます。
  20. 辻一彦

    辻一彦君 通産大臣にお伺いしますが、おとつい私は燃料棒の収縮、燃料棒の曲がり、それから制御棒緊急冷却装置等々を取り上げて、問題が起これば残念ながらやはりアメリカ調査団を派遣せざるを得ない、こういうところに自前技術の積み上げが非常に不十分であると、こういうことを指摘をしたわけでありますが、これを見ても、いまこの問題を解明するにも、残念ながらわが国施設の中ではそれができない、こういうことが私は明らかになったと思うんですが、自前でこういう実験試験等ができない、そういう不備をどうお考えになっておられるか、また、どうすべきであるとお考えになるか、大臣からお伺いしたい。
  21. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 辻先生指摘のような事態があることははなはだ残念でございます。そこで、できるだけ早期に自前でそれらの実験試験ができるような設備、装置というものを整備するようにいたしたいと思います。ピンホール問題等にいたしましても、私はこれはしろうと考えでございますが、事前検査が徹底していないのかと、あるいはオペレーションをやっている最中に熱の力によって水素還元等ピンホールが発生するとするならば、そういう燃料棒について、実験原子炉に入れてみて、抜き取り検査みたいにあらかじめやってみたらどうか、それによって水素がどういうふうに変化しているかということも事前にチェックできるではないか、そういうふうな変化を見て、今度実際入れてみて、実際の現場がどういう反応を示したか、そういう研究もやるべきだと、実は問答を聞いておりながら感じたわけであります。そういう方向に進めていきたいと思います。
  22. 辻一彦

    辻一彦君 科学技術庁長官まだ見えませんが、代理でひとつ次長のほうから見解を伺いたい。
  23. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいまの中曽根通産大臣の御発言のとおりと考えております。
  24. 辻一彦

    辻一彦君 自前でこういう問題がよそへ行かなくても、わが国で一日も早く処理することができるように、これはひとつ通産科学技術庁通して努力を願いたいと思います。  そこで、第二として、日本原電敦賀発電所における燃料棒問題について関連をしてお伺いしたい。  原子炉心臓部ともいう燃料棒事故は、ウエスチングハウスの、いわゆる関電系統加圧型原子炉のみではなくて、GE、いわゆるゼネナル・エレクトリックの東電、日本原電の沸騰水型のB型原子炉についても私は出ておると思います。GEのB型の燃料棒に問題があるということは、国際的にもいろいろな点から定評になっているところである、私はそう思っております。そこで、福島原子力発電日本原電敦賀原発にしばしば問題が出ておりましたが、最近において日本原電敦賀発電所では、燃料体ピンホール等が出てたいへん大きな問題になっている、こういうことを聞いておりますが、定期検査中間報告通産からしていただきたい。
  25. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘原子力発電株主会社敦賀発電所燃料体の問題でございますが、昭和四十九年の四月二十一日に原子炉を停止いたしまして、四月二十七日から定期検査を行なったわけでございますが、その際に、炉心に装荷されておりました燃料体全数三百八体あるわけでございますが、これにつきましてシッピング検査等を実施いたしました結果、漏洩の疑いのある燃料体が二十六体検出されましたので、これらを全数取りかえることにいたしております。
  26. 辻一彦

    辻一彦君 私は過日、京都大学に伺って、若井教授実態をかなりな時間いろいろと尋ねてまいりましたが、御存じのように、若林さんは福井県の原子力安全協議会技術顧問をされておる。話によると、二十六体の中にかなりひどい実態があるということもいろいろ私懇談をしておったんでありますが、その事実を明らかにしてほしいと思います。
  27. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) ただいま審議官から申し上げましたように、四月二十七日から五月三日にわたりまして燃料定期検査を行なったわけでございますが、それについてシッピング——燃料集合体が漏洩しているかどうかにつきましてシッピングという検査を行ないますが、そのシッピング検査を行ないました結果、バックグラウンドよりも五倍以上の沃素が出ておるものにつきまして二十六体発見したわけでございます。さらに三体につきまして内部燃料棒そのものを見るためにさやを抜きまして、中の外観を検査いたしました。これは全く異常ございませんでした。
  28. 辻一彦

    辻一彦君 一体その二十六体の燃焼度はどのぐらいになっていますか。
  29. 井上力

    説明員井上力君) 燃焼度燃料体によりましてかなり幅があるわけでございますが、一番大きいものが一万七千メガワットデーパー・本、それから一番小さいものが約四千四百メガワットデーパー・本ということでございます。
  30. 辻一彦

    辻一彦君 わりと燃焼度の新しいところから出ておりますか、実態は。
  31. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 燃焼度の一万二千二百メガワットデーパー・本以上のところが十六体でございます。あと十体が約六千メガワットデー以下というところでございます。
  32. 辻一彦

    辻一彦君 その詳細を私は資料として本委員会提出をしてもらいたい。できますか。
  33. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) ただいまの燃焼度につきまして御提出いたします。
  34. 辻一彦

    辻一彦君 それは燃焼度に限らない。燃料体番号からシッピングの結果、それからテレスコープの外観検査等具体的に検査をしている内容を資料として出してもらいたい。いいですか。
  35. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 仰せのとおりお出しいたします。
  36. 辻一彦

    辻一彦君 二十六体というと、いままで敦賀発電所で十四体出たことがある、あるいは数体が出たことがありますが、二十六体というのはかなり大量の数と考えなくちゃならないのですが、これは私はかなり大きな問題じゃないかと思いますが、どうお考えになっておるのか。
  37. 井上力

    説明員井上力君) この点につきましては、いろいろ検討を今後も続けたいと思っておりますが、さしあたって考えられますのは、先ほど申し上げましたように、初装荷の燃料に非常に多い、これはかなり燃焼度が進んでおる燃料でございます。その後入れました燃料、特に昨年入れました燃料につきましては、この二十六体の中に一体も含まれておらないということでございます。この辺が燃焼度の進行によってそういうことになるということは当然考えられますが、さらに、昨年入れましたものはこういったピンホールに対するいろいろな対策を設計考えてとっておりますので、その辺の成果もある程度あらわれてきておるのではないかというふうに考えております。
  38. 辻一彦

    辻一彦君 これは資料提出を待って、別の機会に論議をするということにいたしたいと思います。  福島の例を見ても、二十六体というとかなりな数になっております。この問題はかなり私は大事な問題じゃないか、こう思っておりますので、資料提出を待っていずれ実態を明らかにしたい。  そこで、これに関連して福島原発号炉蒸気漏れ事故ですが、きのう大蔵委員会において、福島から住民の代表の方が見えて、いろいろ参考意見を述べておられたのです。それを聞きますと、ことしの三月の十日、福島原発号炉蒸気漏れがあり、夜半に原子炉をとめて修理を行なった、第二に、事故タービン近くのスチーム管で、厚み二十五ミリのパッキングが摩耗して長期に蒸気が漏れておったおそれがある。この事故について科学技術庁通産省はどう把握をしておるか、お伺いしたい。
  39. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 私どもがただいままでに受けております報告では、三月十日から二十五日まで、一号炉を停止したというのは事実でございますが、タービンまで配管の取りかえ工事を行なったという事実はないというふうに報告を受けております。
  40. 辻一彦

    辻一彦君 ないというわけですね。きのう大蔵委員会において公述された中身によると、その取りかえたスチーム管を、ある建設会社が直ちにブルドーザーを出して土を掘り、二メーターの地下スチーム管をいけたと、こう公述されている。たまたまある古物商にこの話が持ち込まれて、このスチーム管を買わないかという話が出たが、古物商は、そういう危いものは買えないといって断わったという。私は、もしこれが買っているとすれば、この放射能汚染物質が市販をされて市中に流れるということになるとこう思う。第三に、この話が流れて、福島原発では東京電力が下請業者を全部集めて、こういう話は内部から漏れるから絶対こういうことを漏らしてはいけないということを言った、そのことを直ちに下請業者が、この下請の働く方を集めてこれに話をしたと、こういうことがずっと伝わってきたということがきのうの委員会で話されておるのです。こういう事実があったのか、あるいは先ほどは、そのスチーム管をかえることもないというのでありますが、この地下に埋めた云々は、私が現場を見たわけではないから立証はいまできないけれども、取りかえた事実がないというのとはあまりにも違いが大きいが、科学技術庁はどう把握しておるのか、お伺いしたい。
  41. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 本件につきましては、福島県議会におきまして質疑がなされたということがございまして、そのために科学技術庁といたしましては、事が重大でございますので、保安規定順守状況調査するということで、科学技術庁職員二名を三月十八日から二十日まで派遣いたしまして調査を行なわせました。特に蒸気漏れについても十分調査をさせたわけでございますが、ただいま先生指摘のようなそういう事実はなかったということで、その結果の報告を受けておる次第でございます。
  42. 辻一彦

    辻一彦君 これはきのう、大蔵委員会参考人等が見えての御発言ですから、しかも県議会の議員であれば、私は、根も葉もないことを国会の場で言われるはずはないと思う。しかし、科学技術庁がそういう調査をされたとすれば、これはまたそういう立場で調べておられると思うから、その調査報告書の詳細を私に出していただきたい。われわれもまた別個の立場からその事実については実態を調べてみたいと思います。詳しい報告書を出せますか。
  43. 井上力

    説明員井上力君) 報告書は後ほどお出しいたしたいと思います。
  44. 辻一彦

    辻一彦君 これは事実を確認しなければなかなか申し上げられないことであるけれども、やはり企業の中にこういうような一つ秘密主義があるということは、これは私はいなめないと思うのです。敦賀原発においても、われわれの聞くところではかなりひどく被曝をした人がほかの地域にいろいろいるということを聞いておりますが、この放射性物質あるいは汚染物質管理のずさんさということがいま非常に私は問題になっておると思いますが、企業のこういう秘密主義ではなかなかほんとうの意味の施設に働く人たち、あるいは周辺住民安全性ということが十分に守り切れないと、こう思いますがこれについてどうお考えになりますか。
  45. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 企業がそのような秘密を持ちまして、ただいま先生が御指摘になりましたような事故がかりにあったといたしますと、それをやみからやみへ葬り去ってしまうというようなことがあってはたいへん重大なことでございますし、そういうことは絶対あってはならないと考えております。私どもはかねがね電力会社に対しまして、発電所の中で起こったことはささいなことであっても必ず報告するようにということを言っておりますし、森山大臣からも各電力会社の社長の方に厳重に注意をされているところでございますので、今後ともそういう方向努力してまいりたいと考えております。
  46. 辻一彦

    辻一彦君 長官にちょっとお伺いしますが、いま御答弁のとおり、管理のずさんさがしばしば指摘をされ、いろいろと科学技術庁として努力をされていると思いますが、これについていま電力企業等にも強く通達をされておるということでありますが、これはきびしく私はやってもらわなくちゃならない。隠せばいいというものでなくして、実態を明らかにして、真相を解明することが安全性につながると、こう思いますが、これについて長官のお考えをお伺いしたい。
  47. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 御説のとおりでありまして、この原子炉管理上、労働安全上の措置というものは科学技術庁としても当然十分注意してかからなきゃならないことでございまして、先ほど事務方からありましたように、この問題につきましては、電力会社最高幹部に、特に私のほうからも注意を喚起して体制を整備しておりますし、また、今後の問題といたしましては、アイソトープ管理等の問題もあわせまして、労働省のほうと労働者安全衛生の確保という見地から、万全の体制を確立してまいりたい、そういう考えでございます。
  48. 辻一彦

    辻一彦君 重ねてもう一つ伺いますが、これは五月十七日に科技特において、長官からこの非破壊、日本核燃料ですね、これらについての多数の事業所に詳しい通達あるいは文書による調査等を行なうという言明でしたが、具体的にいま進んでおりますか、どうなっておりますか。
  49. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) アイソトープ管理につきましていろいろ問題があるわけでございます。これはごく簡単に申し上げますれば、現にこれに関連する事業所は三千三百程度ございます。それから年間、許可あるいは届出等文書が六、七千通来るわけでありますが、十数人の係員でこれに従来のやり方で対処しておるということではもう問題解決にならないわけでございますから、この際、まず自主点検措置をとるために私の名前をもちまして、全国の業者にすでにこういう問題について注意を喚起し、こういう問題が起きないようにするために、自分のところの事業所を再点検して報告してもらいたいと。これにつきましては、先般行政管理庁のほうから百五、六十件の事業所を抽出調査いたしましたところ、実に七十八件が一これはまあ大きい件もありますし、ささいな件もございまするけれども、何らかの意味で法律に違反しているという指摘がございましたので、この際これについての報告を徴して、すでに先週の土曜日に発送を終了いたしまして、六月末日までにこれについての返事等を求める、返事がこないところにつきましては労働省その他厚生省、文部省等と相談いたしまして、立ち入り調査をするということにいたしている次第であります。
  50. 辻一彦

    辻一彦君 これはぜひいまの方針で徹底してやっていただきたいと思います。報告等につきましては、まとめられたらまたひとつ拝見したいと思います。  そこで四つ目に、この間、自動車でいいますとエンジンの動力を車輪に伝えるのが回転軸と、こう例をとって申し上げましたが、原子炉におけるそれに該当するものが蒸気発生器でありますが、これについて若干お伺いしたい。  去年の六月に、私たちは美浜蒸気発生器の減肉現象調査に参りましたが、そのときに実にたくさんのウエスチングから派遣をされたアメリカの技術者が働いておりましたが、ウエスチングハウスから最高何名くらい来ておったか、おわかりになりますか。
  51. 井上力

    説明員井上力君) 何名くらい来ておったか聞いておりません。
  52. 辻一彦

    辻一彦君 ちょっともう一度。何名。
  53. 井上力

    説明員井上力君) 来ておったことは聞いておりますが、何名来ておったかは承知しておりません。
  54. 辻一彦

    辻一彦君 しかし、通産省から立ち入りには何回も行って、この専門の人が行っているはずだから、アメリカの技術者が何名くらいおったかということは見当がつきそうなものですが、ちょっと調べてわかりませんか。
  55. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 検査に参りまして、ウエスチングハウスの作業について直接立ち会うわけじゃございませんので、そのウエスチングハウスのメンバーがどのくらい来ているかはちょっと把握できかねますが、しかし、相当数のウエスチングハウスの従業員が来ているという話は聞いております。
  56. 辻一彦

    辻一彦君 私が調査に行ったときにも、技術者は背の高いアメリカの技術者がほとんどいた。だから数はわれわれも正確には確認しておりませんが、かなり多数のウエスチングの技術者が来ておったということは事実であると思います。  そこで、昨年以来問題になったこの蒸気発生器のパイプ腐食の解明はどこで一体やっておるのか、いかがですか。
  57. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 細管の減肉の現象につきましての再現実験は、三菱重工において行なっております。
  58. 辻一彦

    辻一彦君 三菱重工の金属研究所ですね。当時、ここから日本原子力研究所にいろいろ問い合わせがあって、電話でどうもわからなくて困る、原研で何かわからないか、こういう電話等の問い合わせがあったと聞いておりますが、具体的にその三菱重工でこの原因の解明、分析は進んでおりますか。
  59. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 三菱重工の高砂製作所の中でやっているわけでございますけれども、減肉が起こりますいわゆる高温点、ホットスポットと申しておりますが、ホットスポットがどういうふうに生ずるか、それがCE型とウエスチングタイプ型とがどういうふうな相違があるかという点につきまして実験をやっております。
  60. 辻一彦

    辻一彦君 その実験は、やっているということはそれはやっているのでしょうが、具体的にかなり解明されてきたのですか。
  61. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) だいぶはっきり解明がされてまいりまして、CEタイプでは振れどめ、ストラップとわれわれは申しておりますが、その振れどめのところでの細管の曲管部分におきまして、直下から四十五度方向にホットスポットが非常に発生する確率が多いということが出ております。
  62. 辻一彦

    辻一彦君 この間中間報告がありましたが、新しく出ておる細管四本のいわゆる減肉の位置は一体どこになっていますか。
  63. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) ストラップの曲管部分に一カ所、それからストラップの直管部分に三カ所出ております。
  64. 辻一彦

    辻一彦君 それは前に発生した場所とどうなりますか。
  65. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 曲管部分のところは、前の発生と同じメカニズムであろうと思います。それから、直管部分におきましても、大体似たものではないかというふうに類推しておりますが、前と全く同じだというわけではないと思います。
  66. 辻一彦

    辻一彦君 その四本のうちの三本とかいうことですが、昨年の減肉発生部分には九九%はもう出ないとも言われておったんですが、新しい場所に出るということは、これからもまた出る可能性があると考えないか、その点どうでしょうか。
  67. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 減肉が三〇%から四〇%というものが発見されたわけでございますけれども定期検査のたびにこの程度のものはこれからも、多数が出るとは考えられませんが、少数出る可能性はあると思います。
  68. 辻一彦

    辻一彦君 これからある程度出るとすると、二千九本に四本といえば、二千十三本めくらせんをつけますね。そうすれば、一体この蒸気発生器をこのまま使っていくのか、出力はおそらくいろいろ考えなければならぬと思いますが、まず出力をどうするのか、あるいはこれをこのまま継続して使っていくつもりなのか、この点どうなんですか。
  69. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) このたびいま御指摘のように、二千九本に加えまして四本せんをさせるということにいたしましたので、二千十三本せんをいたしまして、機能上落ちるというかっこうになります。したがいまして、八千八百五十二本のうち、二千十三本が使用不能ということで、熱交換の能力は非常に落ちるということになります。したがいまして、従来も六〇%出力ということで押えてまいりましたけれども、今後定検が終わりまして運転に入りましても、この条件はその六〇%で運転させたいと思っております。
  70. 辻一彦

    辻一彦君 一昨日私は、原子力発電の経済性、単価についてここでいろいろな論議をしたわけですが、関西電力の伊藤専務も参考人に見えて、いろいろ伺いましたですが、さきに通産省を通して関電から出されたこの資料を見ると、出力一〇〇%のときの単価に対して、出力が六〇%に落ちれば大体一・五倍に単価が上がっているわけですね。そうしますと、今後長い間六〇%の出力でこの発電所を動かすということは、かなり経済性において問題があると、こう考えますが、その経済性等はどう把握しておりますか。
  71. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘のように、六〇%出力での運転でございますので、発電原価は五割程度は上がるかと思います。ただ、現時点において考えますと、油火力が約八円近いというふうに考えられておりますので、それに対しますとまだかなり安いということでございます。
  72. 辻一彦

    辻一彦君 単純な計算をして、火力は七円八十銭、原子力は六円幾らだから、それで四円六十銭が五割上がれば六、七円になりますか、それよりもちょっと安い、こういう計算ですが、かなりの固定資本を投じて二十万程度の出力、六〇%では、これはなかなか私はたいへんだと思うのです。  それから、これからあともこの減肉現象が出る可能性があると、じり貧になっていく懸念があります。そこで、定検は普通は一年であるが、この美浜の一号炉の場合に、こういう蒸気発生器の問題から推して、今後一年にするのかあるいは半年に時間を短縮してやるのか、この方針はいかがですか。
  73. 井上力

    説明員井上力君) 熱交換器のチューブの減肉問題に関連いたしまして、なるべくひんぱんに定検を行ないたいということで、このあと半年後に定検をする予定になっております。
  74. 辻一彦

    辻一彦君 美浜発電所がこの間全部の期間を通して四割程度の稼働、こういう確認でありましたが、いままで一年で定検をやった場合も含めてですが、これから半年ごとに発電所をとめてかなりな長期間検査をするとすれば、ますますこの利用率というものは落ちていく、こういうように思いますが、その場合の単価は依然として変わらないと考えていますか。
  75. 井上力

    説明員井上力君) 減肉現象がどの程度発生するかということは、半年後の定検において判明するわけでございますので、その様子を見ながら、その辺の経済性の問題についても検討してまいりたい、かように考えております。
  76. 辻一彦

    辻一彦君 京都大学の若林教授といろいろ意見を交換してみると、美浜原子炉は、一号炉は十本以上細管が腐食する場合にはとりかえるべきである、こういう意見を持っておられたんですが、四本というのでどうだろうかといって頭をかしげておったわけですね。しかしこれからの可能性を考えると、まだ出るという可能性を認められておるとすれば、私は十本以上に達する可能性はこれは残念ながらあるのではないか。そこで若林教授も、動かすとすれば、出力は二十万以下であるべきだし、半年ごとの定検は絶対やらなければいけない、これが守られないならば、これはとめてもらうしかないと、こう言っておりましたが、通産としては、最小限度この確認だけはいまされておるわけですね。
  77. 井上力

    説明員井上力君) 当面六〇%の出力で運転をするということ、それから半年ごとに定検を行なって、減肉現象の進展があるかないかというような点につきまして技術的に検討するということは間違いございません。
  78. 辻一彦

    辻一彦君 この蒸気発生器の寿命は、国際的に大体何年ですか。
  79. 井上力

    説明員井上力君) 通常原子炉の寿命の間、熱交換器は使用するということになっております。
  80. 辻一彦

    辻一彦君 その原子炉の寿命は何年ですか。
  81. 井上力

    説明員井上力君) 国によって耐用年数の見方は違います。物理的な耐用年数、それから経済的な耐用年数があるわけでございますが、日本の場合には、機械的な耐用年数は大体三十年と考えられておりますが、法定耐用年数としては十六年でございます。
  82. 辻一彦

    辻一彦君 大体その寿命期間中あるいは耐用年数中に蒸気発生器の細管は何本ぐらい減肉、だめになるというのが国際的な水準ですか。
  83. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) この美浜一号機の蒸気発生器の設計におきましては、一応フル出力が維持できるとして、二〇%をめくらにしてもだいじょうぶであるというふうに当初設計はされております。
  84. 辻一彦

    辻一彦君 いや、そういう答弁じゃないのだ。世界に幾つか蒸気発生器がありますね。そういうものが、大体十六年とか二十年の間に何本ぐらいその細管がだめになるのが普通なのか。
  85. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) いま舌足らずで申しわけなかったと思いますが、私が申し上げましたその二〇%の裕度というのは、ちょうど三十年間機械的にその能力を発揮する間、細管をだんだんぜんをしていって、二〇%全部せんをしたときにちょうど寿命がくるというふうに、当初設計上は考えていたということでございます。
  86. 辻一彦

    辻一彦君 それは非常におかしいじゃないですか。若林教授がいろいろこの問題についてデータを最近調べておられるのですね。それを見ると、二十年近い寿命の中で百本ぐらいがだめになるのが国際的水準、こうはっきり言っておられるのですね。あなたの話だと、二千何百本がだめになるのが国際的水準だ、こうなりますが、これはあまりに違いが大きいが、どうなんですか。
  87. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 私、その国際的水準の百何本というのはよく存じませんが、この美浜一号機の当初設計考え方としましては、フル出力で維持できるとしての約二〇%増しで細管の設計ができておると、こう聞いておりましたので、そう申し上げたわけでございます。
  88. 辻一彦

    辻一彦君 それは、設計をする場合にどんな機械だって余裕をとるのですから、余裕を二〇%見ておったということですよ。その問題ではなしに、各国の蒸気発生器は大体十五、六年、二十年の間にどのぐらい減肉でだめになるのが普通なのか。この美浜の場合も国際的にはごく普通のものなのか。これは、その数字を見れば私ははっきりすると思うのですが、国際的な数字について御存じならばひとつ伺いたい。
  89. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) まだこの蒸気発生器についての例が非常に少ないので、おそらく統計的にはっきりした数字がまだ出てないのではないかと私は思いますが、この美浜一号機と同じ蒸気発生器を使っておりますアメリカのパリセーデスという発電所がございますが、そこでも千四百本近くせんをしております。そういうことで、このC型の蒸気発生器については若干問題がありまして、通念的に考えております蒸気発生器の細管減肉の問題とはちょっと異なった問題があろうかと思います。一方また、同じPWRでウエスチング型のSGをやっておりますところにおきましては、大体年間一本から二本せんをしておるという例を聞いておりますので、確かに若林先生のおっしゃるように、百本以内というのが通例かとちょっと推測されます。
  90. 辻一彦

    辻一彦君 そうすれば、二千十四本めくらせんを打っていますが、そのうち減肉現象を起こしたのは何本ぐらいになりますか。これは大まかな数でけっこうです。
  91. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 減肉現象を起こしまして、せんをいたしましたのは、二千九本のうち約千本でございます。
  92. 辻一彦

    辻一彦君 いまの事実から明らかなように、これはひとつ通産大臣にお伺いしますが、二千十三本めくらせんを打って細管の漏れを防いでいますが、このうち大体千本は減肉によってパイプが細くなってだめになったので、めくらせんをした。国際的にいうならば、一年に一、二本で、大体二十年ぐらいか十五、六年で百本ぐらいだと、こういう答弁なんですね。そうすれば、この型の蒸気発生器はもう明らかに欠陥品と言わざるを得ない。これは去年も、通産省自体が欠陥と言わざるを得ぬと、そういう表現をされておりますが、どうしてこういう欠陥品を無理にかかえているのか。福井県では、知事の名前で関西電力並びに政府に対して取りかえを要請していると聞いておりますが、私は、これが事実なのかどうなのか、この点まずお伺いして、これに対してどうするか、考えを聞きたい。
  93. 井上力

    説明員井上力君) 細管の減肉現象につきましては、実際に、先ほど申し上げましたように、半年に一ぺん定期検査をやりまして、この減肉現象の進行をチェックする、その間におきましては、実際にリーク等がわずかでもございますれば、自動的に放射性物質を検出する装置をつけておく、したがって、安全性上支障のない処置がとれるということでございます。先生指摘のように、出力が六〇%に下がりますと、経済性の点についてはいろいろ問題が生じますが、安全性の点につきましては従来、実際に減肉がある細管、あるいは今後減肉が予想されるような健全細管につきましてもせんをいたしまして、これを使用できない状態で使用しておるという処置もとっておりますので、先ほど申し上げました処置と合わせまして、安全性上は支障がない。経済性上の問題につきましては、今後の進行を見ながら検討したい、かようなことでございます。
  94. 辻一彦

    辻一彦君 福井県の知事から公式に要請が来ておりますか、どうですか。
  95. 井上力

    説明員井上力君) 現在のところ参っておりません。
  96. 辻一彦

    辻一彦君 いない。
  97. 井上力

    説明員井上力君) はい。
  98. 辻一彦

    辻一彦君 関西電力に対して、福井県のほうが要請しているということも聞いておりますが、これはどうなんですか。
  99. 井上力

    説明員井上力君) 報告を聞いておりません。
  100. 辻一彦

    辻一彦君 聞くところでは、すでに取りかえ用の蒸気発生器の設計を発注するとか、あるいはそういう話し合いがなされておるということも聞いておりますが、そういうことはすべてありませんか。
  101. 井上力

    説明員井上力君) メーカーあるいは電力の間におきまして、予備的な検討が行なわれておるようなことは聞いております。
  102. 辻一彦

    辻一彦君 予備的検討が行なわれているということを聞いているのですか。
  103. 井上力

    説明員井上力君) 聞いております。
  104. 辻一彦

    辻一彦君 発注した場合に、蒸気発生器が日本へ着くまでどのぐらい日数かかりますか。
  105. 児玉勝臣

    説明員児玉勝臣君) 蒸気発生器を新たに製作、据えつけをするまでの期間といたしまして、私たちのほうで一応想定いたしますと、設計、製作、輸送には約二年半かかろうかと思います。さらに、現場におきまして据えつけるための作業といたしまして約一年かかろうかと思います。
  106. 辻一彦

    辻一彦君 それじゃ、いまからでも申し込んでいない限り、あとで申し入れたって一年半かかる、そのときに減肉が起こってだんだんだめになってじり貧になればもう間に合わない、こういうことが起こりますね。そうすれば、これは早急に交渉をやって発注をし、しかるべき時期に取りかえるというのが私は大事じゃないかと、こう思うのですが、この点福井県の公式要請が入っていないということはいま聞きましたが、そういう要請をしたいということは、県議会で知事もしばしば私は発言をしていると思うんですね。通産大臣、もし福井県から正式に要請がありましたらどうされますか。
  107. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 検討いたします。そうして、ともかくそういう故障が持続しておることはわれわれとしては重大な関心を持って対処しなければならぬと思っております。
  108. 辻一彦

    辻一彦君 このじり貧になるのを避けるために、安全という点は、ぐあいが悪くなったのをぜんをして、通らないようにするんだから、そういう意味では通らなければいいということが言えるでしょうが、だんだん出力が落ちていくということが言えます。じり貧状態になって、どうもこうもならない前にこれは取りかえるような行政指導を私はされたほうがいいのじゃないかと思いますが、重ねていかがでしょうか。
  109. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま御答弁申し上げましたように、検討いたしまして善処いたしたいと思います。
  110. 辻一彦

    辻一彦君 この問題は、また福井県の議会でもいろいろ論議があろうと思いますから、県の正式な態度があれば、ひとついまの発言どおり善処を願いたいと思います。  第五に、私は、高速増殖炉の問題についてお伺いいたしたい。  最近問題になっております高速増殖炉についてでありますが、この高速増殖炉は普通の発電所、いわゆる軽水型の発電所に比べて本質的に危険な点が幾つかあると思いますが、これはどういう点があるのか、まずこれをお伺いしたい。
  111. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいま先生指摘の点でございますが、これは専門家の間でもいろいろ意見が分かれるところかと思いますが、本質的に危険と申しますのは、先生のお考えもまたございましょうが、私がただいま承知いたしておりますところでは、一つには、大量のプルトニウムが燃料として使われるということで、そのプルトニウム自身が非常に人体に対しての影響が微量でもあるという、そういう問題が世界的に一つ指摘されておると思います。  それからいま一つ、制御の問題でございますが、熱中性子炉に比べて制御するのが、これはもちろんいろいろくふうをいたしまして十分制御はできるわけでございますけれども、ある見方からすれば、熱中性子炉よりやや制御が複雑と申しますか、結果的にはちゃんと制御はできるけれども、少し技術的にくふうをこらさなければいけない、こういう点が一つあるかと思います。  いま一つは、非常に何と申しますか、小さな炉心、炉心自身の体積が小さくて、そこで大きな熱を発生いたします。その熱を取り出すために熱除去のくふうがやはりいろいろある、こういうふうな点が一般的に言われておると思います。  ただこれは、先生指摘のように、本質的ということであるかどうか、この辺につきましては、専門家の間ではこういう問題はあるけれども、十分技術的には解決できるということで、いま国際的に原型炉の運転が幾つか行なわれておるわけでございますので、この辺はさらに専門家の意見も十分私どもとしても聞いてまいりたいと思っております。
  112. 辻一彦

    辻一彦君 もう一つ、ナトリウムを冷却材に使うということで水と反応するおそれが十分にあるということも、私はこれは本質的にというか、言い方はいろいろあると思いますが、特徴的な点だと思います。これはどうですか。
  113. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 御指摘のとおりでございまして、ナトリウム・水反応、これは学校の実験などでも、よく私ども子供のときに見た記憶がございます。非常に激しい反応をいたします。したがいまして、先生指摘のように、軽水、重水あるいはガスを冷却材に使う場合と違いましていろいろ用心しなければいけない。したがいまして、たとえばわが国におきましても、高速炉の開発に伴いまして、ナトリウムと水との反応、それについての実験もいたしまして、実際に穴があいてナトリウムと水が接触したときにどういう反応が起きるか、非常に悪い条件を想定しても全体のシステムに大きな影響がないように、そういうふうな設計をするための基礎的な実験もいま進めておるところでございます。
  114. 辻一彦

    辻一彦君 最近、フランスの高速増殖炉の原型炉についてトラブルがあったとも聞いておりますが、これは事実ですか。
  115. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) まだその点は聞いておりません。一般的にフランスの原型炉はわりにうまく動いておると聞いておりますので、さらに調べたいと思っております。
  116. 辻一彦

    辻一彦君 第二に、ソビエトの増殖炉の事故ですね。これはこの間出ておりましたが、本体ではない火災でありますが、この実態を簡単に報告いただきたい。
  117. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) この件はことしの三月ごろでございますか、わが国の新聞にも報道されたわけでございますが、いろいろ調査をいたしました結果、その事実があったのは昨年のことだそうでございます。昨年のたしか十月ごろでございます。熱交換器の事故があって水とナトリウムが反応をした、それで非常に煙が出たということのようでございます。ただ、原子炉の核的部分と申しますか、一番の中心になる部分には関係のない事故であったというふうに承知いたしております。
  118. 辻一彦

    辻一彦君 高速増殖炉は、冷却材に液体ナトリウムを使っているから、第一次の場合それにプルトニウムその他がやはり溶けているといいますか、この中に含まれて出る、これをもう一つ第二次冷却材のナトリウムで熱交換をやって、三回目に水で熱交換をしていると、こういう段階になっておりますね。そこで、ソ連のこれはおそらく海水との熱交換の過程であろうと思いますが、水とナトリウムが接触する可能性というものは、パイプの裂け目あるいは破断とか、こういうことで火災が爆発的に起こる可能性というものが非常に強いと。だから火災が起こることを、爆発が起こることを想定していろいろな対策をやっている。しかし、本体と離して、何とか本体に、原子炉に及ばないようにする対策をやっている。しかし、爆発的な火災が出るということは可能性としてはかなりある、これが安全対策の一つのポイントになっているというように私は聞いていますが、これは事実ですか。
  119. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 御指摘のとおりかと思います。
  120. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、水と液体ナトリウムの接触がいろんな点からやはりパイプの裂け目等から避けがたいものである、こうするならば、私は高速増殖炉は、研究所とかそういう中の敷地ならば別として、独立した場所にこれをつくっていくということは、まだ日本の段階ではきわめて問題があるんじゃないか。そこで、最近五月七日ある新聞の報ずるところでは、アメリカの環境保護局が高速増殖炉の安全性について、プルトニウムの毒性からして、また事故を起こす可能性からして、十分明らかにされていない、こういうことで、安全性に問題ありとして、アメリカ原子力委員会を批判する見解を出している。この詳細について科学技術庁は承知しておりますか。
  121. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) まだその詳細については資料が入っておりませんので、できるだけ早くその資料は入手して検討いたしたいと思っております。
  122. 辻一彦

    辻一彦君 その原文を取り寄せて、私に提出をしていただきたい。できますか。
  123. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) その報告につきまして、入手した上で先生に御報告申し上げたいと思います。
  124. 辻一彦

    辻一彦君 そこで、こういう段階からして、私は研究所等の敷地と、そういう完備された場所であるならば一応別として、地方や小都市の近辺等には高速増殖炉はまだ設けるべき段階でない、こういうように思います。たとえば福井県で敦賀市にこれを設置しようとする動燃事業団の動きがあって、ひそかに用地買収を契約して、一戸平均一千万円の協力金を出している。この事実を科学技術庁はつかんでいるかどうか。
  125. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 動燃事業団が敦賀市に高速増殖炉の原型炉の設置の計画を持っているということは承知しております。また、ただいま御指摘の用地買収の点でございますけれども、その計画しておりますサイトの用地の地主に対しまして契約金と申しますか、内金と申しますか、そういうものを若干支払ったという報告は受けております。
  126. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、もう時間がだんだんきているようですから、しばらく、もう二、三点だけ伺っておきたいと思います。  福井県の知事は県議会においてしばしば、これ以上の原子力発電の増設は認められないということを言明しております。また政府のほうは、三木環境庁長官が昨年七月四日、参議院の公害特別委員会において、若狭湾に、この国定公園に九基も原発が集中している、これ以上の増設は認むべきでないという趣旨の言明をしている。この二つから推して、動燃のこの土地買収の動きは、福井県並びに福井県のこれ以上の増設には反対するという住民の意思を無視をしているし、また、政府の三木環境庁長官の言明にも相反すると、こういうふうに私は思いますが、これについてどう考えるか科学技術庁にお伺いいたしたい。
  127. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) まず、福井県の御意向でございますけれども、私も昨年福井県に参りまして、知事をはじめ県の幹部の方と懇談をいたしまして、この高速増殖炉の原型炉の設置の計画につきまして御意見を伺ったわけでございますけれども、まあ慎重に検討したいということでございました。  環境庁につきましては、環境庁から現在までのところ、ただいま先生指摘のような点につきまして特段の協議は受けておりませんが、今後とも環境庁と密接に連絡をとりまして協議してまいりたいと、こういうように考えております。
  128. 辻一彦

    辻一彦君 三木副総理が環境庁長官として国会で言明しているこの事実があるわけですが、私は、これはひとつ守ってもらわなきゃならないと、こう思いますが、長官いかがですか。
  129. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 三木副総理の真意もよく伺いまして、ただいまお話のありましたような事情も調べまして当面の処置に当たりたいと思います。
  130. 辻一彦

    辻一彦君 これはひとつ長官予算委員会でも安全基準について総理の真意を確かめるという御発言がありましたが、もう確かめていただけましたか、いかがですか。
  131. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) その問題につきましては、すでに事務当局のほうにも話をおろしておりますので、事務当局のほうから説明いたさせます。
  132. 辻一彦

    辻一彦君 いや、私は、真意を確かめるということを答弁されるが、これは確実にひとつやっていただきたい。事務当局の話じゃなしに、少なくとも——まあ事務の段階で私は積み上げることは大事だと思いますが、予算委員会論議は総理を含めて論議をして、総理の方針が出、若干長官答弁がそれに食い違った、そこで、あとで十分相談をして確認をしたい、こういうことでありましたから、これはひとつ長官、総理に直接この話をして確認をしてもらいたいと私は思うんです。同様に、三木長官に私はひとつこの事実を確認をしていただきたい。本来ならば、三木長官にここに出席をいただいてその見解を伺うべきでありますが、若干の時間も迫っておりますから、これは直接森山長官から確認を願いたいと思います。いかがですか。
  133. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 承知しました。
  134. 辻一彦

    辻一彦君 京大熊取原子炉等の問題についていろいろ問題点がありますが、きょうは退任される議員の送別があるということでありますから、私は十二時半で一応終わりたいと思います。どうも……。
  135. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前の質疑はこの程度上し、午後二時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十四分休憩      —————・—————    午後二時五十八分開会
  136. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、原文兵衛君及び川上為治君が委員を辞任され、その補欠として佐田一郎君及び熊谷太三郎君が選任されました。     —————————————
  137. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前に引き続き、発電用施設周辺地域整備法案を議題とし、質疑を行ないます。質疑のある方は順次御発言願います。
  138. 辻一彦

    辻一彦君 私ちょっと角度を変えて、京都大学の熊取原子炉実験所の原子炉の問題について二、三点伺いたいと思います。  これは過日十七日に科技特でも取り上げた問題でありますが、京都大学の熊取原子炉の治療についての報告について簡単に報告していただきたい。
  139. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 御報告申し上げます。  京都大学の研究用の原子炉が大阪府の熊取にございますが、ここで過去十年ばかり研究用に原子炉が動いておったわけでございますが、このたびと申しますか、四月二十二日に、京都大学より非公式の申し入れがございまして、従来、この原子炉の設置の目的として研究用その他となっておるのに追加をいたしまして、医療照射という目的を追加してほしい、こういう申し入れがございました。この申し入れを原子力委員会検討をいたしまして、その結果、使用目的の追加をするということは適当であるという結論を二十七日に出しまして、内閣総理大臣に答申をいたしまして、その結果、内閣総理大臣が目的変更の許可をいたしました。  この目的の変更に伴いまして、医療照射ができるということになったわけでございますが、この医療照射は、御高承のとおり、ガン、特に悪性の脳腫瘍について中性子照射をする、こういう医療法が最近開発されておりますので、それが、五月四日に、この京都大学でもちまして最初の例として行なわれたわけでございます。  治療の責任者は帝京大学の畠中教授でございまして、従来からこの中性子照射による脳腫瘍の治療についての権威者でございます。五月三日に帝京大学でいわゆるボロン一〇の化合物を注射いたしまして、これを患部に集めるという予備行為を行ないました上、京都大学の炉に運びまして、そこで照射をいたしました。照射時間は約三時間半と聞いております。その後、炉室から取り出しまして数時間後に寝台自動車でもって帝京大学へ戻り、帝京大学におきまして自後の医療上の措置を講じた。で結論的に申しますと、この照射は成功であって、患部の脳腫瘍は非常に小さくなった、しかしながら数日後に患者の方が残念ながら別の御病気で死亡された、こういうことでございます。
  140. 辻一彦

    辻一彦君 内閣総理大臣がこの認可をおろしているその許可書を見ると、四月二十七日に飛びますが、これに下記の条件を付してとありますね。それの第二項に、「当該使用にあたっては、あらかじめ科学技術庁原子力局長の了承を得ること。」こうなっておりますが、いつ原子力局長の了承を得たか、この点どうですか。
  141. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 原子力局長の了承は二十七日付で同時に行なわれております。  なお、この条件の趣旨を補足させていただきますと、包括的に医療照射というのが許可されるわけでございますが、一件ごとに原子力局長の承認を得るという条件を別途付した。最初の患者はすでにわかっておりましたので、同日付で原子力局長の了承を得た、こういうことでございます。
  142. 辻一彦

    辻一彦君 同日付ということは四月二十七日ということですね。
  143. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) そのとおりでございます。
  144. 辻一彦

    辻一彦君 結果についての報告はいつ行なわれていますか。
  145. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 報告書は主治医から京大に対しまして五月九日付で行なわれまして、さらに京都大学から科学技術庁あてに五月十七日付で報告が出ております。
  146. 辻一彦

    辻一彦君 四月二十七日に了承を得た事実、了解をした事実はあるんですか。
  147. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいま説明が少し十分でなかったかと思いますが、原子力局長の了承と申しますのは、文書上の行為ではございませんで、京都大学の担当者が参りまして実質的な説明の後実質的な了承を得た、こういうことでございます。
  148. 辻一彦

    辻一彦君 それが四月二十七日ですか。
  149. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 四月二十七日と承知いたしております。
  150. 辻一彦

    辻一彦君 私が先週の土曜日に熊取に行って、半日、所長に直接会っていろいろ事実を聞いてきました。それによると、四月三十日に主治医を含む所内の会議をやって、五月一日にその文書を持って東京に行っておる、こう言っておりますが、四月二十七日に間違いないですか。
  151. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 四月二十七日に実質的な了解をした、こう承知いたしております。
  152. 辻一彦

    辻一彦君 文書は正式に、四月三十日の検討会を終えて、五月一日に持って上京した、こう言っておりますが、四月二十七日に実質的了解というのは一体どういう中身ですか。
  153. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいま先生指摘文書と申しますのは、実際の照射計画の詳細な説明書すなわち補足資料的なものであると承知いたしております。
  154. 辻一彦

    辻一彦君 その詳細な計画書を持っていくことによって了承を得るということじゃないんですか。
  155. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 包括的な計画、全体計画をお聞きいたしまして、その段階で了承いたしたということでございます。  なお、この設置許可の変更の審査をいたします場合に、特に安全性については十分な審査もいたされておる次第でございます。
  156. 辻一彦

    辻一彦君 どうもわからないね。この間は安全審査はやらなかったと答弁して、きょうは十分な安全審査をやっておるということではつじつまがさっぱり合わない。
  157. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 私が安全審査と申し上げましたのは、正式に安全専門審査会にかけての審査ということではございませんで、御専門の方方の御意見をお伺いし、かつ事務局で十分安全性の審査をいたした、こういうことでございます。
  158. 辻一彦

    辻一彦君 どうも安全審査というものを安易にお使いになっておりますが、私の理解する限りでは、安全審査といえば少なくも原子力委員会における安全審査専門部会にかけて安全審査をやった、こういうんですが、行政の場で専門家の意見を幾らか聞いてやる、それで安全審査といえるんですか。
  159. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 事柄が非常に重大と申しますか、重要であり、かつ非常に検討内容の多い場合、こういうときには当然安全専門審査会の議を経まして、その報告を正式にいただきました上で原子力委員会で設置についての条件に適合しておるかどうかを検討するというわけでございますが、事柄がそれほど重要でないと申しますか、今回の場合も使用目的に一つ医療照射という目的をつけ加える、そういうことでございますので、従来とも、軽微のものにつきましては、安全専門審査会の議を経ないで原子力委員会において判断をいたしまして内閣総理大臣に答申をいたしておるわけでございます。
  160. 辻一彦

    辻一彦君 前に、三月十七日の答弁では東京原子力産業研究所、この原子炉を前に認めたから、今度は問題なしにパスをしたんだ、こういう御答弁だったですね、それでいいんですか。
  161. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) それが一つの例としてあるということは御答弁申し上げたかと思いますが、それがあるから自動的ということではございませんで、京都大学の例につきましても十分内容を検討いたしまして、安全上支障がないということを確認いたした上で変更の許可をいたした次第でございます。
  162. 辻一彦

    辻一彦君 前の例として前回引用された東京原子力産業研究所の原子炉、この出力は幾らですか。
  163. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 熱出力で百キロワットでございます。
  164. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ京大の熊取原子炉は何キロですか。
  165. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 熱出力で五千キロワットでございます。
  166. 辻一彦

    辻一彦君 この五千キロワットというのは、なるほど商業炉に比べれば出力は小さいけれども、これが当時できたときには日本ではもちろん一番大きかったし、国際的にもかなり有数の研究炉であったわけですね。だから、そういう意味においては、何十万という商業用原子炉に比べれば小さいけれども、医療やあるいはいろんな実験に使う場合の研究炉としては百キロと五千キロの差というのはかなり大きいはずですね。こういうものが前に例があったからもうこの安全審査部会にかけなくたって検討すればいいんだ、こういうように私は言えないと思うんですが、その点どうですか。
  167. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 先生指摘のように京大の炉が日立の炉より出力が大きいというのは事実でございます。出力が大きいということによりまして照射時間が短くて済むという利点がございますので、そういう意味では治療のためにはむしろ出力の大きいものが適当であるということが一般的に言えると思います。  なお出力が大きいということが直ちに安全上により問題が大きくなるというふうな直接の関係ということではございませんで、出力が大きければ大きいなりにそれだけの安全の対策も講じられておるわけでございますので、確かに先生指摘のようにその百キロでいいから五千でもいいということで安易に許可したのではございませんで、十分安全性検討はいたしておるということでございます。  なお前の例といたしまして、日本原子力研究所のJRR3、これは熱出力一万キロワットでございますが、これにおきまして昭和四十四年に一度照射をした、こういう例もございます。
  168. 辻一彦

    辻一彦君 しかし、その照射十四人のうち残念ながら十名がなくなっていますね。だから出力によって私はそういうものが大きいとか小さいというものではないと思います。しかし、少なくも五千キロの研究炉を用途変更であっても十分に安全審査をしたと言われるならば、安全審査専門部会にかけられるのが私は当然じゃないか、こう思いますが、長官にお伺いしたいんだが、こういうのは当然私は専門部会にかけて検討すべき内容のものであると思いますが、どうお考えになりますか。
  169. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ちょっと補足させていただきますが、原子炉安全性という観点でございますけれども、今回の医療照射のためには原子炉そのものは全然変更いたしておりません。炉の構造を変更する、そういうことではございませんので、原子炉そのものの安全性については従来どおりである。医療照射ということをつけ加え、そのために一部設備が臨時的につけ加わる。そこのところで十分安全性検討いたしまして、安全上支障がない、こういう結論に達した次第でございます。
  170. 辻一彦

    辻一彦君 長官にはあとで伺いましょう。  この熊取の京大の原子炉実験所長が四月二十二日上京して、そして科学技術庁接触したときに、四月の二十六日ごろに安全審査専門部会があるから検討できるだろう、こういうことを聞いて帰った。そこで安全審査専門部会にはかけられていませんよと言うと、所長は非常にけげんな意外な感じがしておったようですが、当然かかるべきものであったというように所長は理解しておったようですね。私は、この性格から推して、あとでいろいろな問題がありますが、少なくも五千キロの人体治療等に用途を転用するとするならば、安全審査専門部会でも検討の必要があったのでないか、こう思います。  もう一つ具体的な例で伺ってから質問いたしたいと思いますが、それはあの原子炉を私は上に行って全部上から見て、それから炉室の照射をし手術をした場所にも行ってみました。周辺には雑然とたくさんの機械が、ずっと一ぱい並べられてある。そこで先ほど御報告のように帝京大学病院で頭蓋骨をはずす手術をされておりますね、硼素を注射したんでしょうが、手術をやって寝台車で運ばれておる。そして京都大学の熊取原子炉のこの機械の中で応急のベッドと手術台をつくって、ここでもう一度頭部の骨をはずして、短い時間であったようですが、これをあと照射されておる。こういう実態ですが、その周辺をずっと見ると、私は医療に適当な施設であるかどうか、場所であるかどうか、こういうことについて非常に疑問に思いました。もちろん主治医がついておられるはずですから、医学的な点では検討されておると思いますが、こういうことについての判断というようなことは私は炉の安全審査とあわせて当然なされるべきであると思いますが、二つあわせていかがですか。
  171. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 最初の点でございますが、二十六日に安全専門審査会がございました。そこで安全専門審査会での議事が終わりましたあとで、本件につきまして審査会の先生の方々に十分御相談をいたしまして、実質的な安全性検討の御意見をお伺いした。これは一つには事柄がやや軽微である。いま一つは医療照射と申しますものは人命にかかわる問題であり、かつ主治医の御意見というふうなものもございます。したがいまして必ずしも形式にとらわれずに実質的な審査をするということで、その手続を進めさせていただいたわけでございます。  それからいま一つの御指摘の点の日立と申しますか、東京原子力の炉とそれから京大の炉との比較でございますが、主治医とも十分相談をいたしまして、いろいろ付属施設などの準備もしたわけでございますが、主治医の意見といたしましては、京大炉は非常に東京原子力の炉よりも周辺は整理されておる、それから細菌学的に見ましても、炉内は手術室と同様に十分衛生上も問題がない、こういうことでございます。
  172. 辻一彦

    辻一彦君 まあ細菌学上問題はないというのは空気を一方から送っているというようなことをいうのでしょうが、あれだけたくさんの実験機械をずらっとところ狭しと並べているところを全然心配がないというような判断はちょっと私は簡単過ぎるのじゃないかと思います。  しかも四月の二十六日にわざわざ安全審査専門部会が開かれているのですよ。そのあとに詳しく報告をして実質的に十分審査したと。なぜせっかく開いている安全審査専門部会にその報告をして論議をしないのか。  たとえば、この最初の原子力局長の了承を得るのも、どうもこの二十七日に了解を与えたと言うけれども、現地では五月一日にちゃんとした計画書を持っていっている。四月三十日にわざわざそのために所内の会議を開いて、どうするかという論議をして、その文書を持って東京へ来ている。少なくもそのときが私は一番の問題。それから安全審査専門部会が開かれて、そこでも終わってからの報告にすぎないという。それは終わったあとで詳細に報告をして審議をしたと言われますが、詳細に報告をして審議をするならば、なぜせっかく開かれている安全専門部会にかけないのか、私はそのことが理解しがたいんですが、これは森山長官どうお考えになりますか。
  173. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 用途変更でございまして、安全性そのものについてはすでに審査を受けておるものでございますから、従来の慣例で、この程度のものは安全審査会にかけなくてもよろしいという例があるというふうに私は聞いております。なお、そういう用途変更をする必要があるくらいに人命を何とかして助けたいということから、そういうような措置をとったというふうに聞いておるような次第であります。
  174. 辻一彦

    辻一彦君 その前例がたくさんあるというようなお話ですが、大体、百キロの東京原子力産業研究所、これと一万キロの原研か何かでしょう、二つしか例はないんですね。その程度をもってもう先例として、これはそういう審査は要らぬ、こういうことは私は言い得ないと思うのだけれども、この点どうなんですか。
  175. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 先生指摘のとおり、いままでの実績といたしましては日本原子力研究所のJRR3で一件、それから東京原子力原子炉で十三件でございますか、合計十四例がございます。  私どもがこの用途変更を医療照射検討いたしますのは、先ほども説明申し上げましたように原子炉そのものを改造するということはございませんので、原子炉そのものの安全性検討する必要はないと申しますか、それよりもむしろ医療照射のためにどういうふうなたとえば付属装置が設けられるか、そういうふうな点、あるいはその患者なり医師団に不必要な被曝がないかどうか、そういう観点を検討するわけでございます。
  176. 辻一彦

    辻一彦君 私は、せっかく開かれている審査会があるのだから、その機会にかけて十分な論議をすれば慎重を期せられたんではないか、そういうふうに思います。  もう一つ、五月十七日に報告がされている。許可の条件には、「当該使用後は、速かにその結果を報告すること。」、こうなっていますね。先ほどの報告では、四日に照射をして十日に残念ながら死亡をされておる。そして五月十七日は国会でこの問題が取り上げられた日とたまたま一致しておりますが、これはどうなんですか偶然の一致なんですか。
  177. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 特に国会の審議と関係があったとは聞いておりません。すみやかにということで五月十七日に報告がなされたものと承知いたしております。
  178. 辻一彦

    辻一彦君 五月の四日に照射をやって、そしてその日に、ここに私はいただいておりますが、この主治医によるところの詳細な報告書が出されておりますね。そして十日に死亡されて、十七日にこの報告が出される、これは一体すみやかと言えますか。
  179. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 主治医から京都大学実験所長あてに五月九日付でもって報告書が出ておるようでございます。この中身をさらに京都大学検討いたしました結果、五月十七日付をもって科学技術庁あてに報告がなされたものと承知いたしております。
  180. 辻一彦

    辻一彦君 もう一つ伺いたいんですが、五月の十七日に科技特で伺ったときの御答弁では、この用途変更を認めるまでがわれわれ当局の仕事で、あとは先方まかせだから、それは関知していない、こういう答弁がなされておったですね。しかし、この許可の条件は明確に、事前原子力局長に報告して了承を得ること、事後においてすみやかに報告をする、それを受け取る、こういうふうになっておるんですね。これは事前に熊取の原子炉は四月三十日前後にいろいろな意見があって、どうするかずいぶん論議がされたはずでありますから、承知をされてないはずは私はないと思うのですが、そのときに事前においても何らの了承を得ていないようなそういう私は御答弁ととれたんですが、もしそれが事実としたら怠慢じゃないですか。
  181. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 前回と申しますか、十七日の先生の御質問に対する答弁の内容でございますが、炉の安全性につきましては科学技術庁が責任を持つわけでございますが、医療そのものの、どういう手術をし、どういう照射をするか、またそのあとの手当てをどうするか、こういうことにつきましては、これはもっぱら主治医をはじめといたします医師団の判断にゆだねられるべきものであると存じます。その医師団として、その技術的能力と申しますか、それが十分であるかどうか、そういう一般的なことにつきましては科学技術庁も承知をいたしておるわけでございますし、全般的な計画は承知いたしておりますけれども、個々の医療行為につきましては、これは主治医の責任のもとに行なわれる、こういう筋かと存じております。
  182. 辻一彦

    辻一彦君 それは医療の内容まで全部科学技術庁が把握しなくちゃならぬというようには私は申していませんが、前回答弁の内容では、少なくも京都大学から五月一日にかなり詳しい内容の報告事前になされておるわけですね、そういうものを御存じないような私は答弁のように受け取れたのですが、十分あれを御存じの上の御答弁ならば、きわめて不親切な説明であったと私は思うのですが、どうなんです。
  183. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) あるいは前回の御答弁におきまして、十分先生の御質問の趣旨を理解いたしませんで、やや不十分な御答弁を申し上げたかもしれないと思いますので、その点は本日いろいろさらに御質問に答えさせていただきまして、前回の不備を補わさせていただきたいと思います。
  184. 辻一彦

    辻一彦君 もう一つ伺いたいのは、先ほどの報告では、京大からたびたび申し出があったので許可した、こういうようなお話ですが、われわれが聞いているのでは、これは四月の半ばごろから、いろいろなところから京都大学のほうに用途変更をやってくれという申し出が再三あって、どうするかということでいろいろ考えた結果、それだけやかましく言われるならばということになったと、こういうように私は理解しておりますが、ずいぶんこれは食い違いがあるようなんですが、どういうようにこの用途変更についての申し出等が行なわれたのか、その点いかがなんですか。
  185. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 京都大学におきまして医療用照射をやりたいという御意見は、今回お話をお伺いする前に、一度事務的な意向打診があったそうでございます。しかし、そのときにはまだ具体化せず、一応お話をお伺いしたということであったそうでありますが、今回四月二十二日に申し入れがございまして、事務手続上どういう問題があるかというふうな御質問も含めまして、いろいろ私どもが御説明を申し上げた。それでなお京都大学といたしましては従来からこの医療照射ということにつきましていろいろ興味、御関心を持っておられる。一つは研究ということで興味を持っておられまして、いろいろ動物実験ども実施しておられたと承知いたしております。
  186. 辻一彦

    辻一彦君 動物実験は生物の実験をやっているんだから、それは幾らもやっておるんですよ。しかし動物と人間とは違うんだから、動物をやっておったからもう心配ない、こういうように私は考えてもらっちゃ困ると思うんですよ。これについては一体原子力委員会で四月二十七日どういう審議がされたか、また安全専門審査会にどういう報告がなされて、どう論議がされたか、その詳細をあとで私のほうへ提出していただきたい。それを拝見して、また論議をしたいと思います。できますか。
  187. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) その間の経緯につきまして、後ほど御報告いたしたいと思います。
  188. 辻一彦

    辻一彦君 次に、私午前中ちょっと終わりぎわに触れたんですが、原子力発電所の安全基準の問題ですね、これは予算委員会以来論議をしておりますので、これについて具体的にお伺いいたしたい、こう思うんです。  長官は、三月十九日の参議院予算委員会において、原発の平常運転時における許容基準をすみやかに決定をして文書化する、こういう答弁をされましたが、具体的にいまどう検討されておるのか、それをひとつはっきりおっしゃっていただきたい。
  189. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 原子力施設の安全基準につきましては、いろいろな問題がございますが、まず原子力発電所の平常運転時、この際放出されます放射能の問題、いわゆる平常運転時の問題でございますが、これにつきましては、現在、原子力委員会の環境・安全専門部会でその目標値を検討中でございます。近く成案を得る予定でございます。その結果を受けまして原子力発電所の設計の基準あるいは管理の目安、こういうことで採用をする、こういう考え方で検討をいたしたいと思っております。
  190. 辻一彦

    辻一彦君 近く成案を得るというのは、これはよく聞くいつもの答弁なんだが、一体具体的にいつそういう論議が行なわれて、いつ成案ができるのか、この点いかがなんですか。
  191. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) この点につきましては、環境・安全専門部会で先日も検討が行なわれまして、あと数回で成案が得られる。なお先生御高承のように、米国におきましてもこの関係の検討がいろいろ行なわれております。その情報もある程度参考にいたしまして検討を進めておる段階でございます。米国の案が近く発効と申しますか、効力を持つようになると聞いておりますので、その時期も参考にいたしまして、わが国といたしましても、その実施と申しますか、効力を与えるというふうなことを考えたいと思っております。
  192. 辻一彦

    辻一彦君 近く発表になるという米国の案というものは、内容的にはどういう基準なんですか。
  193. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいま私どもで承知いたしておりますところでは、軽水型の発電炉につきましては全身線量につきまして年間に周辺公衆の最大値が五ミリレム、これを設計の目標値とする。それから沃素につきましては十五ミリレムということでございます。  なお、この五ミリレムと申しますのは、御高承のとおり、実施可能な限りできるだけ被曝線量を低くする、この考え方に基づいておりますことと、それからわが国の場合と少し違いまして、空間からの影響で五ミリ、それから水のほうからの食物連鎖での影響を五ミリそれぞれ考えまして、その両方で五ミリをとるということを考えておるようでございます。これは運転の管理目標という考え方でございまして、そこにある程度の余裕度と申しますかフレキシビリティーを与えるというふうなことも米国では考えておるようでございます。
  194. 辻一彦

    辻一彦君 設計基準に五ミリというのはいままでもアメリカで言われておったはずなんですが、一体、いままで言われておったのと同じなんですか、それと違うんですか。
  195. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 従来は、五ミリということを一つ設計基準ということで、法律に定めるということではなくて、一つのガイドラインということで実質的に考慮されておったと承知いたしております。このたび、それをやや詳細に規則の附則でもって文書化する運びに至った、こう承知いたしております。
  196. 辻一彦

    辻一彦君 じゃ、わが国のほうも、そのアメリカの案が発表されてから、それ以上のきびしい内容について検討するつもりですか、どうなんですか。向こうのを待たなければならぬというのは私は問題ではないと思うんですが。
  197. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 向こうのを待たなければこちらが出せないということではございません。ちょっと私の先ほどの説明があるいは十分でなかったかと思います。米国の案も参考にはいたしておりますが、日本側の独自の考え方できめてよろしいという筋のものでございます。  なお、いままでの検討結果では、たとえば米国は空中五ミリ、それから水のほうでも五ミリというふうに両方考えておるようでございますが、わが国の専門家の御意見では、日本はそこは少しきびしくして、両方足して五ミリということにしたほうがいいのではないか、こういうふうな御検討をいただいております。
  198. 辻一彦

    辻一彦君 私は当然それくらいのきびしさがあってしかるべきだと思いますが、長官、世界一きびしい基準をとるというのが予算委員会の総理の答弁であったわけですね。それに基づいて平常運転時におきましてもきびしい基準をとって、そうしてこれを成文化する、こういう確約を予算委員会でやられておりますが、近くそれをされるかどうか、もう一度確認をしたいと思います。
  199. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 予算委員会におけるやりとりを反映いたしまして、事務当局で検討の線を先ほど次長のほうから御報告いたしました。そういう線で進んでおるというふうに御了承願いたいと思います。
  200. 辻一彦

    辻一彦君 もう一つ事故時における原子力発電のいわゆる基準の問題、あるいは立地にあたっての基準の問題がありますが、これについても田中総理は世界一きびしい基準をとらなきゃいかぬ、国際基準プラスアルファでいく、こういう答弁をされている。長官のほうは三十九年に立地基準をつくったので、これについて云々という御意見がありましたが、その間の意見の若干の相違については総理と十分相談をして、その線で努力をしたい、こういうことでありましたが、具体的に、先ほどちょっと伺いましたが、まずどういう話し合いになっておるのか、事務的にどうこれを詰めているのか、このことをお伺いいたしたい。
  201. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいま先生指摘の点は非常に重要な点でございますので、事務当局といたしましても鋭意先生の御発言の御趣旨に沿うよう努力中でございまして、特に事故時の評価につきまして、原子力委員会のもとにこの技術基準を定める専門の部会を設け、あるいは、そもそも安全とは何かという基本的なところまでさかのぼっての検討原子力委員会の安全会議で検討する、こういうふうないろいろの検討をいま進めておるわけでございまして、将来米国の基準よりもきびしい方向検討してまいりたい、こう考えております。
  202. 辻一彦

    辻一彦君 これは私は米国の基準だけじゃなしに、少なくも西ドイツにおいてこの問題はたとえば原子炉をゲリラが襲撃をした場合にいろいろ問題がある、そのときに一体どうするか、こういうことも、これは日本ではそうないかもわからないけれども、欧州等、中近東等になれば十分考えられる問題ですね。西ドイツ等は独自の、軽水炉をいまアメリカから導入はしましたが、開発をして、かなり高い防護対策といいますか安全対策をとっている。こういうものも当然検討して基準をよりきびしくするのか。あるいはまたカナダや西ドイツでは被曝線量、事故時における国民総線量、遺伝の因子に及ぼす影響がありますが、これらも万人レムでいえば百万人レムという単位がとられている。国土の狭小や人口の密度やいろいろな点がありますから一がいには言えませんが、カナダがとり、あるいは西ドイツがとっている国民線量ですね、これよりもきびしくするのか。  そういう点、国際的に全部洗い直して、どこの国の基準よりも私はきびしくするということが国際基準プラスアルファという総理答弁の中身に該当すると思いますが、そういう洗い直しをやってこの安全基準について検討していく考えなのかどうか、この点いかがですか。
  203. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 先生指摘のように、この安全性につきましては、いろいろ国情によりましてその考え方などが多少違うというのは事実でございます。そういう実態を踏まえまして十分外国の例も参考にいたしまして、全体的に考えましてわが国の基準が世界でも最もきびしいものの一つである、こういうことにいたしたいと考えております。
  204. 辻一彦

    辻一彦君 どうも遠い先のような感じがするんですが、具体的にいつ検討されて、およそいつごろそういう結論を出す考えか、この点いかがですか。
  205. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 現在、検討中でございまして、先ほどの平常時の措置に比べますと、ややまだ検討不十分でございますので、具体的にいつごろということはちょっとただいまの段階ではまだ申し上げにくいわけでございますが、先生の御趣旨を体しまして、できるだけ早くちゃんとしたものを整備いたしたいと考えております。
  206. 辻一彦

    辻一彦君 そうすると森山長官が総理の真意を聞いて相談するというのは、事務当局の成案を待っているといつのことになるか私はわからないと思うんですが、どういうふうにしてできますか、それは。
  207. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 総理、森山長官の御趣旨も体しまして、事務方といたしましては、できるだけ早くということで目下成案を得るようつとめておるところでございます。
  208. 辻一彦

    辻一彦君 長官、お伺いしますが、これは予算委員会における御答弁でもあるし、事務当局も鋭意努力するということですが、私はやはり安全の一つの基準というものは非常に大事だと思うんですよ。  アメリカと比べたときに、これは多くを申し上げませんが、アメリカは当初は安全は距離であるという概念をずっととってまいったんですね。この間来たソ連の代表団の意見を聞いても、やはり原子炉はたとえば人口三万以上のところから三十キロ離すようにしている、日本がそんなに近いんならソ連のほうもまねをしようか、こういったことも聞いておりますが、とにかく出発点においてはそれだけの安全は距離であるという考え方をかなり強くとってきたんですね。そういう中で私は洗い直してみるといろいろ問題があると思う。  だから、これはここだけの答弁じゃなしに、具体的に十分検討される作業が進むようにして、国会における予算委員会発言の具体化をぜひしていただきたい、これについて長官のひとつ決意を伺いたい。
  209. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 参議院の予算委員会三月十九日の速記録をいまあらためて見ておりますが、あのころに比べますれば、きょうの事務方答弁は若干前進していることはお認め願えるであろうと思います。  なお、これらの問題につきまして、原子力委員会のもとに安全会議を目下つくりまして、この種問題も含めて安全問題についてさらに検討を深めておるところでございますから、この国会答弁しっぱなしという態勢で臨んでいるのではございません。こういう問題は慎重にやらなければいけませんから、真剣にこの問題に取り組みまして、できるだけ早く御答弁を申し上げたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  210. 辻一彦

    辻一彦君 これはひとつ食言にならないようにしっかりやってもらいたいと思います。  最後に、私は原子力行政の問題について二、三点お伺いしたい。  まず、わが国一つ原子力発電所を建設していく場合に、どこまでが科学技術庁の分担で、どこからどこまでが通産省の分担になるのか、このことをひとつ御報告いただきたい。
  211. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 非常に詳細な御説明を申し上げなければいけないわけでございますが、ごく大づかみに御説明させていただきますと、電力会社がある原子力発電所の建設の計画を立てましてそれを実行してまいります場合に、政府との関係におきましては、最初の関門と申しますか、それは電調審——電源開発調整審議会の議を経ること、そこで承認されますことが第一でございます。で電源開発調整審議会は、先生御高承のとおり、経済企画庁が所管している審議会でございます。電源開発調整審議会を通りましたあと、二通りの申請が科学技術庁通産省に出てまいります。科学技術庁に対しましては原子炉等規制法に基づきます原子炉の設置許可の申請でございます。通産省に対しましては電気事業法に基づきます認可の申請でございます。で二つの申請が出てまいりまして両省庁におきまして慎重に検討をいたしまして許認可を与えるということでございますが、原子力発電所の構造につきまして主として原子炉に関しまする部分が科学技術庁、その他の原子力発電所あるいは発電所総体としてとらえます場合は通産省というふうに御理解いただいて、ほぼ間違いなかろうというふうに考えております。
  212. 辻一彦

    辻一彦君 いや私の伺いたいのは、むしろ安全審査は大体科学技術庁といいますか原子力委員会がやってこの書類の審査は終わる、それから試運転をやって、あと営業運転になれば通産省管理をしている、そういう点である意味において私は二元化の印象を持つのですよ。  たとえばアメリカにおいては、アメリカ原子力委員会原子力発電所の安全審査はもちろんですが、同時に営業運転後におけるいろんな問題についてもこれの規制に当たっている、いわゆる審査前と審査後の規制指導というものがある程度一元化されているのではないか、こういう点でわが国の場合と私はかなり違うと思うのですが、この点について原子力行政の一元化といいますか、こういう観点からいうと一つの問題点でないか、こういうように私は思いますが、これについてまず通産大臣から、この二つに分かれているやり方がどうか、こういうことをお伺いいたしたい。
  213. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり科学的な基礎的な部面というものは科学技術庁原子力委員会等を中心にして、応用面、実用面という部分は通産省という形が安全な体系ではないかと思います。  これを一本でやるということになりますと、何と申しますか安易にものが流れるという危険性が出てきやしないか。やっぱり一番大事なところは安全性というもので、安全性の基本には科学性ということが要るわけでございますから、その辺は科学技術庁が科学や技術を中心にあくまで基本的に研究願って、その背景にあるものはやはり理論物理とか基礎科学であります。そういう点は通産省から見ると、実務をやっている役所でありますから、ややもすればないがしろにされる危険性がありはしないかとおそれます。そういう意味で、原子力研究所を持ち、基礎科学から出発している科学技術庁がその基礎部門を担当になり、実用部門をわれわれがやるというほうが安定性があるのではないかと思います。
  214. 辻一彦

    辻一彦君 森山長官、この二元化の件、どうお考えになりますか。
  215. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) たいへんむずかしい問題点について指摘されたと思いますが、この問題でまとまった意見をお答えするところまでまだ私の考えが固まっておりません。いま中曽根大臣のコメントされた点も大きな問題点の一つでございましょうし、それから最近アメリカ資源エネルギー庁というものができましたが、そういうような形において原子力委員会の機能も従前のものとだいぶ変わってまいりました。これらの事情等もよく勘案いたしまして、すなわちわが国の事情とか、こういう原子力開発という面では先輩の立場にあるアメリカの事情等を勘案いたしまして、しかるべき時期に、また考えが固まりました節にお答えをいたしたいと思っておる次第であります。
  216. 辻一彦

    辻一彦君 通産大臣の御見解はダブルチェックができるから、そのほうが万全を期せられる、こういう御見解のようにも受け取ったんですが、この安全審査会の委員とそれから通産省原子力発電技術顧問会のメンバーがかなり重複しているように私感ずるんですが、全員何名技術顧問会はおられて、そのうち何人審査委員と重複しているか、この点いかがですか。
  217. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 政府委員から御答弁申し上げますが、私が申し上げました趣旨は、やっぱり安全性というようなものを考えるという点を見ると、基礎科学が非常に大事であって、理論物理とかそういうような深いところの部門は科学技術庁が中心になって確保をしていただき、また通産省は実務面において技術的な部分、たとえば炉の構造のチェックであるとか運転の実績のトレースであるとか、そういう面については通産省がいいのではないか、そういう意味で、何といいますか、分担区域の領域の差が多少あるんではないか。そういうことで必ずしもダブルチェックという意味で申し上げたんではございません。
  218. 井上力

    説明員井上力君) 御質問の何名ダブっておるか、こういう御質問でございますが、三十名中二十三名がダブっております。このような組織にして運営いたしておりますのは、先ほど来御説明がございましたように、許可段階におきまして安全審査をやりました先生方のうち、こまかい設計あるいは検査等に関しましていろいろな面からする専門的な知識を持っておられる方を継続して顧問としてお願いいたしまして、許可と認可の継続性を保つということを考えまして、かような人員構成にしておるという次第でございます。
  219. 辻一彦

    辻一彦君 もう一度伺いますが、通産省技術顧問会のメンバーは三十名で、そのうち二十四名が委員とダブっている、こういうことですか。
  220. 井上力

    説明員井上力君) 通産省原子力発電技術顧問は現在二十三名でございます。
  221. 辻一彦

    辻一彦君 ダブっている人は。
  222. 井上力

    説明員井上力君) 安全審査会の委員は三十名でございまして、そのうちの二十三名を技術顧問としてお願いしておる、こういうことでございます。
  223. 辻一彦

    辻一彦君 ということは、安全審査会の委員三十名のうち二十三人を技術顧問会の委員に頼んでいるということですね。全部安全審査委員であるということですか、裏返しすれば。
  224. 井上力

    説明員井上力君) そのとおりでございます。
  225. 辻一彦

    辻一彦君 通産大臣の先ほどの御見解は、基礎科学と応用科学をそれぞれ分担するのだから、科学技術庁通産もそういう分担がいいと、まあ私は一応それもわかりますが、それならば基礎科学や基礎的な点をやられる安全審査会のメンバーがそっくりそのまま技術顧問会のメンバーであるということは私はちょっと理解しがたいのですが、この点はどうお考えになっておりますか。
  226. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その辺の事情は私よく存じませんが、御指摘のとおりのような感じがいたします。おそらく技術面あるいは応用面の人も科学技術庁のほうに入っているだろうと思いますけれども通産省側からするとやはり通産省側の安全運転とかという理論面よりも技術面という面がかなりあるわけでございますから、エンジニアリングの面がかなり重要視されるだろうと思うのです。そういう点でエンジニアリングのほうをもう少し考えたらどうか、そういう気がいたします。
  227. 辻一彦

    辻一彦君 このメンバーが全く重なっているということは、本来ならばアメリカ等では当然安全審査の再審査というか専門部会がいろいろ検討しなくちゃならない問題があったとしても、通産省において技術顧問会の中でメンバーがもう同じなんだからと、こういうことで私は処理される可能性があるのじゃないかと思うのですが、その点どうお考えになりますか。——いや、これはひとつ大臣に伺いたいと思います。
  228. 井上力

    説明員井上力君) 安全審査会におきまして、許可段階におきます安全の考え方につきましていろいろ御検討をいただき結論が出されるわけでございますが、その考え方に従いまして通産省におきまして行ないます工事計画の認可というものが電気事業法に基づきましてあるわけでございます。この段階におきまして、許可段階におきます安全審査の際にいろいろこまかい注文がつくわけでございますが、それらの点が十分設計上実現されておるかどうかというような点について検討を行ないますためには、いまのような構成が適当なんではないか、かように考えておる次第でございます。
  229. 辻一彦

    辻一彦君 いや、それは事務的にはそのほうが都合がいいですよ、それは同じ人がやるのだから。便利には違いないけれども、そういうものでは私はないと思う。  やはり安全審査会のメンバー、それから通産技術顧問会のメンバーというものが、これは一人もダブるべきではないとは申し上げませんが、全員重なって一緒だということは、基礎科学といわゆる応用科学という分担の面においても、また通産大臣予算委員会で私の質問に答弁されてダブルチェックに意味があるということも述べられておるですね、ダブルチェックという点からいっても、メンバーが私は専門的に変わるのがその役割りを果たし得ると思いますが、これは十分検討すべき問題であると思いますが、事務的な判断じゃなしに、大臣の行政についての判断をお伺いしたい。
  230. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 検討いたします。  ただいま申し上げましたように、わりあいにエンジニアリングの面というのを通産省は重要視しなきゃならぬと思います。たとえばポンプの問題であるとかあるいはコンプレッサーの問題であるとか、そういうようないろいろなエンジニアリングの面があるだろうと思います。したがって科学技術庁の部分と通産省の部分が一致していて、通産省の部分に余分な面を見ておるということがないというのは必ずしも合理的でないというあなたの御議論に私は賛成であります。したがいまして、これは構成について検討いたします。
  231. 辻一彦

    辻一彦君 最後に森山長官にお伺いしますが、田島原子力委員が辞表を提出されたいきさつについてお伺いしたい。
  232. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 昨日もこのことが議題になりましたが、新聞ではいろいろ伝えておりますが、田島委員が真に意図するところが何であるかにつきましては、一回お目にかかってよく真意を伺いたいと思っております。また私の気持ちもよく理解していただきたい。そこで私の見解を述べたいと思っておりますので、この問題につきまして私がコメントしておりますのは、田島さんと私とは仕事を一緒にやって格別意見が違ったこともございませんし、また感情的に反発したこともございません。またなかなかよく仕事をやっていただいてきたと思いますので、私としては引き続きやっていただきたい、極力慰留をしたいという基本的な気持ちである。それ以上の点はやはり御本人にお目にかかってお考えになっている点をよく確かめてからということで今日に至っておるわけでございます。  御案内のとおり、近来こういうようないろんな状況でお互いにかけ違いましてまだゆっくりお話をする機会を持っておりませんが、できるだけ早い時期にお目にかかって、御本人がお考えになっていることとそれから私自身が考えていることとよく隔意ない一回懇談を遂げましてから、私の意見を申し述べたいと思っているわけでございます。
  233. 辻一彦

    辻一彦君 有沢前委員長代行が新聞等に発表されている御意見を見ますと、二点を指摘されておるんですね。一つ原子力委員会の民主的慣行が破られたという点ですね。これは原子力委員を選ぶ場合に原子力委員会のメンバーにはかってそして選んでいく、推薦していくというこういう慣行が、有沢さんが初め以来長い間にわたってつくり上げられたこういうものが一つ破られたということ。それからもう一つは、安全環境問題について最近における政府のやり方に御不満があるんじゃないか。こういう二つの点から、有沢前委員長代行の記事による言をかりれば、辞表を出すのはもっともだと、こういうふうに私は読み取っておるんですが、この二点についてどうお考えになっていますか。
  234. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 有沢委員の話と伝えられていることは、有沢委員ともお会いをいたしましたが、新聞紙上伝えられておりますのは、その中で新聞記者がお好みの点だけを特にお書きになったようでございまして、有沢委員の真意全体が新聞によって伝えられているというふうに私は考えておりません。  有沢委員と私とはよくこの問題についてお話もいたしました。ですから、これがはたしてどういうことなのかはやっぱり御本人に会ってよくお話をすべきであると思っておりますし、それによりまして私も田島さんのお考えを十分くみ取ることができると思いますし、私の考え方につきましても田島さんの御理解を得られるものと確信をいたしておるわけでございますが、今日の段階においてはこの問題はこれ以上お話をすることをお許し願いたい、極力慰留したいという立場で事に臨んでおるわけでございますので、そのようにお願いできればと思っております。  それから安全の問題につきましては、先ほども申し上げましたように、私も、常時ではございませんが、ときどき原子力委員会に出席をいたしまして、意見を申すこともあり、また田島委員のお話も承ったこともございます。また今回の福島の問題につきましても実質審議には全部御参加になられて、結論的にも私は御異議なきものであるというふうに理解をいたしておりますので、田島委員がそういうふうに言われる真意につきまして、私自身が知らない面もありましょうが、私が考えている面についてまた御理解を得られない面もあるのかもしれません。いずれにいたしましても新聞に伝えられておる面と田島委員のお考えと——よく私どもの言行につきましても新聞に出るわけでございまして、それが必ずしも私の言わんと欲するところ、考えていることが伝わっているわけじゃございませんから、そういう点から申しまして一回お会いして隔意なき御懇談を遂げて、万事はその上でと、そしてコメント申し上げまするのは、先ほど来申し上げましたように、いままで気持ちよく一緒に仕事をしたことでもあるし、またよく仕事をやっていただいたことでもあるから、ぜひひとつ引き続きこの仕事をやっていただきたい、そういう考えでございます。そういうことで御了承願いたいと思います。
  235. 辻一彦

    辻一彦君 人事のことですからなかなかむずかしい面が私はあると思いますが、もう一言申し上げると、いわゆるこの原子力委員の推薦にあたっての民主的な一つの慣行というものが私はつくられているというように聞いておるんです。今度の措置はこの民主的な慣行が破られたというように受けとめる者が多いと思うんですが、長官どうお考えになっていますか。
  236. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 何をもって民主的なルールとするか存じませんが、申すまでもなく、これは内閣総理大臣、実際には科学技術庁長官がこの人選の責任者でございますし、内閣の名においてこれを御相談いたしました上は国会の承認を得て最終的にはきまるということでございます。もちろん、そういう法律上のたてまえが中心になるわけでございます。  しかし何事もやっぱり人事は円滑にいくにこしたことはございませんから、いろんな方面に御相談は科学技術庁立場ですることは当然であろうと思います。しかし一つだけ言い得ることは、原子力委員の全員に科学技術庁長官が常勤、非常勤を問わず一人一人御相談を申し上げて、そして一人でも反対があったらきめることができないなどということはいままで慣行としてございません。そのことだけは申し上げておきたいと思いますし、また私自身は、そういう慣行であるということを、事務方からも、また原子力委員長代理からも聞いていません。少なくも私の立場からは原子力委員長代理まではそのことについて御相談も申し上げておるわけでございまして、おそらく歴代の科学技術庁長官委員の常勤、非常勤を問わず一人一人全部に御相談になったという方はまずないのではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  237. 辻一彦

    辻一彦君 有沢委員長代行等のいろんなことばから推察しますと、法律では私は長官の言われるようにこれは総理の承認を得るんですから手続はきちっときめられておると思うんですね。しかし原子力委員の全員に相談をして、それは一人でも反対があれば絶対最後まで推薦できないかというと、そういうものであるかどうかは私はわかりませんが、少なくも全員の皆さんに相談をして了承を得た上で新しい原子力委員を推薦していくというのがいままでの慣行になっていると、これは法律にはきまっておりません、しかるがゆえに私は民主的慣行といわれると思うんですが、そういう慣行があったと聞いているんですが、そういうものはなかったのでしょうか。
  238. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) そういう意味で大臣が一人一人の委員に対し常勤、非常勤を問わず意見を聞き、かつ一人でも反対すれば任命できないなどということは全くございません、そういう慣行はございません。
  239. 辻一彦

    辻一彦君 まあそれは法律的には私はそうじゃないと思うんですが、そういう慣行もなかったわけですね。
  240. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 一人でも反対したらきめられないという慣行はございません。
  241. 辻一彦

    辻一彦君 それでは全員に相談をするという慣行はあったんですか。
  242. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 大臣が直接一人一人の委員にお話するということは私はあったかどうか存じません。まあ委員長代理のほうでしかるべくその点はお話をされたことはあろうかと思いますけれども、それは一つの慣行というべきものかどうか。私の場合は原子力委員の常勤の方、非常勤の方たくさんございますから、その方々に全部が全部お会いするというわけになかなかいかぬわけでございますから、委員長代理の方にまでお話すれば万事そういうことをやられる方もありましょうし、やられない方もございましょうし、その辺はそのときそのときの事情によるのではないかと思います。大臣立場でそれを全部やるということはございません。
  243. 辻一彦

    辻一彦君 大臣が直接じゃなければ、委員長代行を通して全員に相談するとか、そういうことが私はあったように聞いておるんですが、なおこれはまた別の機会に確認をし伺って、また論議をいたしたいと思います。  そこで田島委員は、われわれがいろいろの御意見をいろんな方面を通して聞いてみますと、この安全性について常勤の原子力委員がもっと必要だ、現在の体制では十分でないというような御意見を持っておられたというように聞いておるんですが、現在の安全性専門の原子力委員はだれで、それで十分な体制であるかどうか、この点をどうお考えになっていますか。
  244. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 先生御承知のとおり、原子力委員会委員の諸先生につきましては、それぞれ担当、分担を明確にきめているわけではございませんので、ある意味ではすべてのことに原子力委員の方全員が担当し、分担しておられるということも言えるかと思いますが、それぞれの御専門の立場からまいりますと、主として工学的な安全性の問題につきましては山田原子力委員が見ておられる。それから環境放射能の問題につきましては主として田島委員が見ておられるというような形で従来は仕事が進められてきております。
  245. 辻一彦

    辻一彦君 山田原子力委員も一人では十分でないという見解をかねがね持っておられたと伺っておりますが、もちろん明確に分担がきめられているというように文章化されているものじゃないと思いますが、実質的に常勤をされておれば、安全問題についてはどなたが大体中心になられるかということは私はおのずとできてくるんじゃないか。一人でいまのところ不十分だというふうに聞いておるんですが、その点はいかがですか。
  246. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 原子力委員会の業務でございますけれども先生御承知のように非常に多岐にわたっております。国際問題もございます、それからエネルギー関係の問題もございますし、もちろん安全問題もあるわけでございます、あるいは研究開発の問題もございます。したがいまして現在原子力委員会の定数が限られている面もございますので、現在のままで常勤の安全担当の委員を大幅に増員するということはなかなか困難かと思いますけれども、将来、原子力委員会の定数の改定その他も検討してまいりたいと思っておりますし、そういう方向との関連におきまして、ただいま御指摘のような問題も検討してまいりたい、このように考えております。
  247. 辻一彦

    辻一彦君 長官、お伺いしますが、かねがね田島委員は安全と環境の問題が何といっても大事だということを強調されておったようですが、安全についての常勤の委員をぜひ新しく選ぶときにふやしてほしいといいますか、置いてほしいという希望をいままで強く持っておられたというように聞いておるんですが、それは前の井上原子力委員長代行も次の機会に何とかそういうことを考えたい、こういうことでその希望が入れられないままになっておった、こういうふうに私はいろいろ、直接のお話ではありませんが、伺っていますが、こういう私は安全問題の常勤の原子力委員を置いてほしいという声は強かったと思うのですが、この点今度どうお考えになっておられたのか、いかがですか。
  248. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 人事に関連のあることでございますから、私としてその段階をいろいろ申し上げたくはございませんことを前置きして申し上げますれば、私自身はそういう話は全く聞いておりませんでした。御本人に直接にも間接にも聞いておりませんでした。そういうお考えがあったということをこういう事態が起きてから初めて承ったわけでございます。そういうことでございますので、私自身から言えば、そういうお考えがあるならば遠慮なくお話を願えたならばなあと思っておるわけでございます。そのことが意見としてそのまま実現するかどうかは別にいたしまして、きわめて有力な御意見でございますから、それはそれなりに考えていかなきゃならぬことでございます。私自身は先ほど申し上げましたように、全くそういうことを聞いておりませんでした。  ひとつそういうことで、もう少し事態が、御本人も——私自身もいま何回もこういうところで話が出るので、率直に言うと気にいたしますけれども、しかし終始一貫いたしまして先ほど来申し上げたような気持ちでございますので、できるだけ極力引き続きやっていただくように努力をいたしたい、そういう基本的姿勢でこの問題に取り組んでまいりたいと思います。どうかひとつその点を御了承願いたいと思うわけであります。
  249. 辻一彦

    辻一彦君 私も人事の問題ですからあまり深く入るのはどうかと思いますから、これでおきますが、そういういろいろな声が長官の耳に十分入るような体制をやっぱりつくってもらわぬといかないのじゃないか。いわゆるいろんな意見が十分入っていかない私はルート、パイプの詰まりがあったのじゃいかないと思いますから、この点ひとつよく民主的にやって、いろいろな声を十分吸い上げるようにしてもらいたいと思います。  田島さんは先ほどの報告によりますと安全環境の問題の御専門だということですが、やはり産業界や官界の代表が原子力委員の中にわりと多い、そういう中でこういう中道的な立場をとられる良心的な学者というのは私はそうはないと思うのですが、そういう点からこの問題がいつまでもこういう形で置かれるということはやはり国民の原子力行政に対する不信感を増すことにつながるのじゃないか。そういう意味で国会開会中御遠慮になっておるのかもわかりませんが、すみやかに真意を聞かれて、しかるべき努力をされるように強く要望いたしたい、願いたいと思いますが、この点についての森山長官の御見解を最後に伺って質問を終わりたいと思います。
  250. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 全く同感でございます。国会の審議等に追われまして、なかなか手があるいは頭が回りかねているわけでございますけれども、その点はどうか御了解願いたい、そういう御趣旨で努力をいたしたいと思います。     —————————————
  251. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、植木光教君が委員を辞任され、その補欠として吉武恵市君が選任されました。     —————————————
  252. 阿具根登

    ○阿具根登君 技術的な問題は相当質問があったようですから、私は政策的な面を中心にして御質問申し上げたいと思います。   〔委員長退席、理事竹内藤男君着席〕  総合エネルギーに対してどういう計画を持っておられるのか、まずそれからひとつお伺いいたします。  私は、先般、中曽根通産大臣に、アメリカは短期、中期、長期と三つに分けてエネルギー対策を考えておる、日本では一体どういう考えを持っておるかという質問をしたことがございますが、的確な答弁もいただけませんでしたので、この機会に日本の総合エネルギーに対してどういうお考えなのか、短期、中期、長期に分けてひとつ詳細に御説明願いたいと思います。
  253. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昨年秋以来の石油危機に見られますように、エネルギーをめぐる環境はこれまでに比べ激変しております。かつて昭和四十五年七月に総合エネルギー調査会需給部会が予測しました昭和六十年度において石油換算九ないし十億リッターのエネルギー需給見通しについては改定する必要があると考えております。このため通産省といたしましては総合エネルギー調査会に新情勢のもとにおける昭和五十五年度及び六十年度のエネルギー供給見通し及び総合エネルギー政策のあり方について検討を依頼しているところであり、現在、同調査会におきましては一年以内に結論を得ることを目途に作業を行なっておりますが、必要な事項については六月を目途に中間報告を取りまとめるべく検討しておるところでございます。  したがって現段階では供給見通しを明らかにすることは困難ではございますが、基本的にはエネルギー供給面の事情、環境立地面における制約等を考慮いたしますと、従来のようにわが国が世界全体のエネルギー消費の平均の伸び率の二倍以上の消費を続けていくことは困難になるものと考えております。このため国民福祉の向上、国民経済の健全な発展をはかるために必要なエネルギーは確保しなければなりませんが、昭和六十年度において九ないし十億キロリッター程度というような大量な供給は困難であると考えられます。また政策的にも引き下げる努力をすべきものと考えられます。  なお、西暦二〇〇〇年を展望する超長期の見通しを正確に行なうことはきわめてむずかしいことでございますが、昭和四十八年十二月の産業技術審議会エネルギー特別部会答申において、わが国一人当たりのエネルギー消費量がアメリカ並みになった場合に相当する十六・五億キロリッターのエネルギー需要を試算しております。
  254. 阿具根登

    ○阿具根登君 そういう統計をこの前お聞きしましたので、きょうあらためてまたお聞きいたしておるわけなんです。  四十八年の三月末現在で、水力が大体二千万キロワット、火力が六千二百万キロワット、原子力が百八十万、総計で八千五百三十万キロワット、こうなっておるわけです。だから、こういう原子力関係の問題を出される場合でも、それじゃ五年後はこれが一体どう変わるんだ——それはまだ総合部会から答申がありません、こうおっしゃるかもしれませんけれども、これはこの国会中には出ないんです。   〔理事竹内藤男君退席、委員長着席〕 そのたたき台は皆さんのところにあるはずなんです。何にも持たずにどうしましょうかといって投げ出して審議会にやられるわけはないはずなんです。現実はこうで、こう考えておるが、これが適切であるか適切でないかと。  たとえば私ども口がすっぱくなるほど、石炭は国内資源であるからこれは大切にしなければならぬ、油が入ってくれば油に日本のエネルギーが全部依存してしまう、そうすると日本のエネルギーは外国の手に握られてしまうじゃないか、こういうことをわれわれやってきたわけです。率直に申し上げますと、そのときも電力会社等は何と言ったか、石炭は一トンも要らぬと言ったんです、電力会社は。もう高いから使わないと言ったんです。そのころ油は確かに安かった。しかし私は国の経済の動脈であるエネルギーはそういう問題じゃないんだという反論をしてきたはずです。それが油が高くなってくると今度は石炭が要るとこうおっしゃる。  また、その当時は原子力も採算が合わないからということで非常に少なく押えられたわけなんです。ところが油が高くなったから今度は原子力でも間に合います、先ほどの答弁を聞いておりますと、大体油で八円ぐらいかかる、原子力じゃ七円何がしだ、そういうような計算だけでやっておられるから、私に言わせると、それじゃ日本にウランがどのくらい出てくるのか、これまた全部外国依存じゃないか、いよいよ油のように日本がこれに依存してくるようになってくると、このウランの産出国というものはまた結束してこれはこういう安いものじゃできませんよといろんな面で圧力をかけてくるわけです。  だから、一つの長期展望を持たずに、そのときそのときの場当たりでやっておられるような気がしてしようがないから、五年後には原子力でどのくらいふやしたい、石炭をどのくらいふやしたい、油はどのくらいになるんだ、十年後にはそれがどうなるんだ、二十年後にはどういうような展望を持っておるんだ、こういうことが一つの素案として審議会に出されておって、それが審議会で審議されて、いやこれはこうしたほうがいい、これはもうちょっとこうだというやつが出てくるなら私はわかる。だから、その素案を持っておられるはずなんです。それをやってもらわなければ、国会済んでしまってから、私が審議してしまってからこれは出てくるわけなんです、それじゃおかしいじゃないか、いま持っておられる通産省のその素案を出してもらいたい、こういうことを言っておるわけなんです。
  255. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 現在、総合エネルギー調査会で御審議願っておるわけでございますけれども、これはいま先生のお話しのとおり単純なる経済問題でつかまえるのはおかしい、むしろ今後のセキュリティー、環境問題それから産業構造問題、そういう非常に新しい局面にいま日本がぶつかっておりますので、そういう観点で経済性問題だけでなく広い観点でこれを検討しようということでございます。  それからもう一つ非常に大事なことは、従来の総合エネルギーにつきましては、どちらかといいますとまず需要をはじきまして、その需要に即応して供給をはめ込む、大体供給は何とか確保できるという前提で行なわれておりましたのが従来の総合エネルギー政策的なものであったわけでございますが、現時点の情勢は、むしろ供給側に非常に問題がございますので、これを石油依存からなるたけ脱却しつつ、国内の国産エネルギーの開発等も含めまして、まず供給側を固めて、それに即応して日本の成長その他も考えようということでございます。  いま御質問の、何らかエネルギー別の一つ検討のたたき台があるのではないかということでございますが、これは全くいまたたき台でございますが、水力で申しますと現在約二千万キロワットのものを緊急に五百万キロワットぐらいは着工をしよう、できるのではないかということでございますが、なお昭和五十五年度ぐらいまでに二千八百九十万キロワット、六十年度までに三千二百六十万キロワット、これは揚水式を除いておりますけれども、このぐらいの着工地点及び開発可能性があるんではないかということで、これはそういうふうに検討いたしております。  それから地熱につきましては、現在わずかに三万三千キロワット分でございまして、建設中のものが十五カ所、十八万五千キロワットでございますが、これにつきましては、今後いろんな環境問題の点も十分に配慮しつつ五十五年ごろで三百万キロワット相当分、六十年度におきましてはこれが六百万ぐらいに引き上げられないかどうかということがいまの中間的な検討の目標でございます。  それから原子力につきましては、これは御存じのとおり現在二百二十八万キロワットでございますが、これを六十年度で一応六千万という数字がございますが、この辺につきましては現在稲葉私案等も出ておりまして、この辺を中心に検討を進めたいということでございます。  それから石炭につきましては、第五次答申で二千万トンを下らざる範囲内ということの御答申があったわけでございますが、昨年、これを中間的に二千二百五十万トンにいま改定いたしたわけでございますが、今後、一般炭の六十年度の相当分を三千万トンぐらいにできるのかどうか、その場合における労働条件の問題をどうするのか等をからめて考えておるわけでございますが、なお、これも石炭につきましては輸入炭の問題もございますので、国内炭の活用、それと輸入炭との相互の関係、この辺をどうするかというのが検討の主たる点でございます。  なお、電力におきます石炭専焼または混焼火力の推進の問題も一つの大きな問題点だと思うわけでございますが、大まかにいいまして、それぞれのエネルギー種別に部会をつくりまして、供給サイドからその問題点、対策の必要性等につきましていま詰めておる段階でございまして、六月中にできますれば中間報告をいただきたいという段取りでございます。
  256. 阿具根登

    ○阿具根登君 油はどのくらいですか。いまのやつ油が抜けておりましたが、油はどのくらいですか。
  257. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 油につきましては、先ほど大臣からのお話で、四十五年の七月の総合エネルギー調査会、これは古い時点の見通しでございますが、この場合には、六十年度で申し上げますと、これは輸入原油で六億五千万ないし七億二千三百万ぐらいという想定が一回なされておったわけでございますけれども、この場合、GNPの非常に高い成長を想定いたしておりまして、五十一年から六十年度間で八・五ないし九・五という非常に高い成長率を考えておったわけでございます。  これは最近の時点のわれわれの考え方といたしましては、そういう高い成長でこれから日本がいくということはエネルギーの供給確保の面からいいましても非常に問題があるし、また環境問題その他物価問題等も含めまして、もう少し成長を低くすべきではないかということで、その前提で考えるわけでございますが、この辺は成長率と非常に関係があるわけでございますけれども、先ほど申し上げました水力、地熱、原子力、石炭等と見合った一応の中間的な見当といたしましては、六十年度で四ないし六億キロリットル前後ぐらいの原油の輸入というのが一応の規模ではないのかというようなことで、これまた輸入のしかた、その場合の日本の輸入体制のあり方等も含めまして、検討を進めておるわけでございます。
  258. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、ただいま言われました四十五年七月段階に昭和六十年を目標として通産省で試算された水力が大体二〇%、火力が五四%から五六%、原子力が大体二六%、こういうことがやはりいまも基礎になっておる、こう考えていいんですね。
  259. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 四十五年七月の総合エネルギー調査会見通しの場合におきましては、電源構成は水力が二〇、火力が五六%ぐらい、原子力が二四から二六ぐらいということであったわけでございますけれども、特に火力のあり方の問題でございますが、これからの油の入手の問題それから原油価格のあり方の問題等を含めまして、現在これが一番の検討すべき問題だと思うわけでございます。当然に、先ほども触れましたように、水力の見直し、地熱の再検討、それから火力といいましても油だきでない石炭火力のあり方、この辺がこれからの大きなエネルギー問題の検討事項だと思いますので、そういう点での検討を踏まえまして、この比率が相当程度変わるんではないかと私は考えておるわけでございます。
  260. 阿具根登

    ○阿具根登君 このエネルギー問題につきまして、いままでたくさんの方が質問しましたし、国民が一番心配しておるような危険がないとするならば、原子力が一番いいと私は思うんです。しかしこれは危険がないということは言い得ない、非常な危険が伴っておるということはいつも考えなければならぬ、こう思うんです。  そうすると、一番危険がないというのは一体何だろうということになってきます。公害がないというようになってくれば、これは水力といま言われました地熱だ、こう思うんです。しかし地熱は環境衛生の問題が相当私は問題になるとは思いますけれども、地熱について六十年度に六百万キロワットと、こう言っておられるけれども、実際、地熱は日本が火山国であって一番可能性があり、しかもよそから輸入しないでいい。これはエネルギーの基礎でございますから、だからこれについて相当な研究をしなきゃならぬ、これについて相当力を入れていいんだ、私はこう思うんですが、これに対してどういう対策を立てておられるのか、いま日本でどこどこを調査されておるのか。三万三千キロワット出ておるのは知っております、それからそのほかに十八万キロワット調査中のやつも知っております。これがいわゆる環境をそこなわない、極端にいって一つもどうもならぬぞというようなことはあり得ぬと思うんですけれども、日本の経済の将来から考えてみる場合に、一体、どのくらいの地熱が日本で可能性があるのか。  それからもう一つ申し上げたいと思いますのは、こういうものを電力会社だけがやっておるような気がするわけなんです。独占の電力会社だけがやっているから、営業がまず先に立っている、利益がまず先に立っておる。そういうことじゃなくて、国がこのエネルギー対策に対しては一体どういう考えを持つべきであるか、これを電力会社にまかしておいていいのか。電力会社にまかしておれば安易なほうに、安いほうに走る。先ほども言いましたように、油が安いときは石炭なんか一トンも要らぬと言ったじゃないですか。そういうことを言った会社の社長連中がおるんです、ほんとうならここに来てもらいたい、ぼくは。先も何も見えなくて、そして私が言ったことに対してしろうとが何言うかというような顔をして、石炭なんか一トンも使いませんと言って石炭をつぶした元凶です。これと一緒になったのが政府です。  それで、いまから石炭を出せと言われても、どこを掘るかはまたあとで御質問申し上げますが、そういう利益を追求し、しかも独占企業でやっておる、しかも公益という大きな使命を持って保護されておるその人たちにまかしておっていいのかどうか、私はここを非常に強く訴えたいと思うわけなんです。そうしませんと、利益だけを先行さしていくから今日のような状態になってくる。原子力でもそうだと思うんです。だから、その点詳しく御説明願います。
  261. 井上力

    説明員井上力君) 地熱開発の問題でございますが、地熱開発につきましては、先ほど御答弁申し上げましたように、現在、二カ所、三万三千キロ運転中でございますし、また五カ所十八万五千キロ建設中でございます。これが開発促進は、先生指摘のように国内のエネルギー源でございますので、極力これを強力に推進してまいりたいということで現在いろいろな方策を講じております。  具体的に御説明申し上げますと、通産省におきましては、全国の地熱の基礎調査といたしまして、地質調査所におきまして、四十九年度約二億五千万の予算をもちまして放熱量それから地質、地下構造等のかなり広範な調査をいたす予定になっております。さらに、これらの調査を行ないました中で有望と考えられる地点につきまして、これは資源エネルギー庁のほうで精密調査あるいは構造試掘調査というような調査を行なうことになっております。予算といたしましては四十九年度約二億八千万円を予定しておるわけでございます。さらに開発段階に入りました場合におきましては、日本開発銀行からの融資あるいは北海道東北開発公庫からの融資あるいは電源開発株式会社に対します財政資金の投入等によりまして、開発の促進をはかるという対策を講じておるところでございます。  地熱開発の問題につきましては、確かに御指摘のように従来あまり進んでおりませんで、わずかに二カ所、三万三千キロが運転中であるということでございますが、いま申し上げましたような具体的な計画を推し進めるための施策と、さらに工業技術院におきましてサンシャイン計画の中に地熱開発の計画を入れておるわけでございますが、これは全体を合わせまして約五億六千万程度予算になっております。この中には先ほどの地質調査所の調査予算も含まれるわけでございますが、そのほかに、全国的ないろいろな調査あるいは深く掘り進むための技術の調査、その他地熱発電に使います材料の開発あるいは環境技術との調和の問題等々の研究開発をやる。さらに進みましては火山を利用いたします発電も行なうというようなことで、四十九年度以降、鋭意地熱の開発の促進をはかっていく、こういうことで計画を立てておるところでございます。  将来の地熱開発の見通しは一体どれくらいあるか、こういうことでございますが、現在の技術レベルで経済的に開発可能な量は約二千万キロというふうに称されております。先ほど来申し上げました具体的な概要調査あるいは精密調査等によりまして具体的にどの地点においてどれだけのものが可能かということはさらに詳しくわかってまいるというふうに思いますし、それらの調査によりましてリスクをかなり減少させ得るというふうに考えられますので、今後、基礎調査、精密調査あるいは低利融資等を通じまして、電力会社、あるいは具体的に地熱の開発をいたしますのは電力会社以外にもございまして、そういう会社が電力会社と一緒に開発するというような計画もあちこちで進められておりますので、地熱開発に参加し得る会社を総動員いたしまして、大いに地熱開発を促進してまいりたい、このように考えておるわけでございます。
  262. 阿具根登

    ○阿具根登君 私のところに陳情が参っておりますのを見てみましても、これは九州だけの問題ですけれども、これには通産省からも確かに一人特別委員として入っておられるようです。そこで九州だけで、包蔵量というのですか、包蔵量一千四十万キロワット、これだけあるんだ、全国的にこれを調査すれば五十一億何がしの金が要る、それで、それに四十数本のボーリングを打っていくんだ、こういう陳情書もきておるわけなんです。そうすると、いま聞いてみますと、今度の四十九年度で五億一千万、十分の一——陳情どおりが正しいかどうかということも疑問はありますけれども、もっとほんとうに力を入れるとするなら、これでほんとうに全国の地熱の調査、研究ができるだろうか、私はそう思うんです。  逆に、皆さんのいままでの答弁やら質問やらを聞いておると、原子力のほうに力がうんと入っていって地熱のほうには力が抜けておる。将来これは地熱をやらなければいかぬという考えのあることはわかります。しかし当初から私が申しておりますように、いまならば原子力が安くつくといっておられるけれども、私は決してこれは安くつかないと思うのです。ひとつ世界の原子力の状況とウランの状況、日本がそれでは六十年に六千万キロワットを原子力で出すとするならば、一体、ウランはどのくらい要るのか、どこからそれを買うのか、将来の見通しとしていまのままで買えるのかどうか、そういう点少し御説明願いたいと思います。
  263. 井上力

    説明員井上力君) 地熱につきましては、先ほど来御説明いたしました予算は、昨年秋の石油危機以前に要求いたしました予算に基づきましていただきました予算でございます。御指摘のように、来年以降、さらに強力に地熱開発を進めるべくわれわれも努力してまいりたいというふうに考えております。  原子力の問題でございますが、大体現在世界的に動いております発電所は約五千万キロでございます。日本におきましてそのうち約二百二十八万キロが動いております。建設中のものは約三億五千万キロワット程度というふうに聞いております。日本の場合、建設中のものは約千四百万キロワットでございます。  先ほど御説明いたしました昭和六十年度六千万キロの原子力発電に対しましてウランがどれくらい要るかということでございますが、約十万ショートトンというふうにお考えいただきたいと思います。これは炉型によりまして、あるいは使い方によりまして若干変動がありますが、約十万ショートトンでございます。  これの手当てでございますが、現在、この手当てにつきましては海外の調査探鉱、それから国内調査探鉱をやっておりますが、国内的にはかなり品位の悪いものが中心でございますが、約一万トン程度埋蔵がある、かようにいわれております。それから海外でございますが、海外におきます自主開発もかなりあちこちで進めておるわけでございますが、かなり成功率も低いということで、現在、成功しておりますのがアフリカのニジェールという国におきまして日本の海外ウラン探鉱株式会社と、それからフランスの原子力委員会、CEAと申しますが、それとニジェール政府三者が合弁でやっております計画が探鉱段階で成功いたしまして、これから開発にかかる、これが一件あるだけでございます。したがいまして大部分のウランの手当ては海外のウラン鉱山会社との長期契約によって長期的にこれを確保するということになっているわけでございます。  現在、長期契約で確保されておりますウランは約十万六千トン程度になろうかと思います。したがいまして先ほどの六千万キロの出力に対しまして昭和六十年度までに必要なウラン量に匹敵するウラン量は長期契約によって確保されておるというふうに言えるかと思います。どういうような国が長期契約の相手国になっているかということでございますが、それはカナダとかあるいはオーストラリアとか、その他アフリカの諸国が入ろうかと思います。
  264. 阿具根登

    ○阿具根登君 その長期契約ということはわかりますけれども、私が新聞で見た範囲内によっても、もうカナダ、オーストラリア等のウランの産出国は一定の手を結んで、そうして今日のような状態ではいかぬというような対策を立てられておるということを聞いておるんです。油にしてもそのとおりでしょう。後進国で砂漠の中から油が出るんだから、これは安いんだということで長期契約結んだけれども、どんどん上がってくるでしょう。そういう甘い考え方が私はいけないと思うのですよ。ほんとうに日本で六千万キロワットも出力がなってくれば、これは世界じゅうも相当進むと思わなければならない。そのときに六十年度にいまのままの値段でウランが長期契約だからそのまま入ってくるというような甘い考えはとても政治としては考えられないと私は思うのです。  だから、私はそういうような甘い考えでやるから安いほうに安いほうに——油のときもそのとおりだった、石炭は高いからだめだと言った。そうして油が安いから安いからと言った油が今度三倍にも四倍にもなってきて日本の経済はめちゃめちゃになったでしょう。今度またウランでその二の舞いをやるのかと思うから、私はこういうみんなが危険視しておる、非常に心配しておる原子力に力を入れるならば、なぜ地熱にもっと力を入れなさらぬか。それはよそから買うんじゃない、日本のです、そうして石炭にももっと力を入れる、そうして日本の国内でエネルギーの主要部分はできるだけのものは日本でまかなうのだ。そうしなければ日本の経済は外国に握られてしまって、外国の動向一つで日本の経済が上がったり下がったりびくびくしなきゃならぬでしょう。それはあまりに私は安易に考えられていると思うのですよ。そういう点どうですか。ウランはそれじゃ六十年まで十万トンお約束になったならば、このままでいけますか。
  265. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 確かにおっしゃるように、日本の国内にあるエネルギー総数にたよるということが本則であるだろうと思います。そういう点につきましては、ただいま御指摘のような地熱あるいは石炭あるいは日本にあるガスあるいはいわゆるソーラーエナジー——太陽熱というような、あらゆるものを動員して、総合的に日本の自給率をできるだけ高めるように考えて推進してまいります。
  266. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、石炭部長もおられますし、石炭部長でけっこうですけれども、石炭二千二百万トンは一体これからどうして出そうと思っておられるか。北海道に発電所はどこへつくられるか、九州で発電所はどこへつくられるか、その点をひとつお伺いしたいと思います。
  267. 高木俊介

    政府委員(高木俊介君) 現在の生産をまず堅持するということが第一ではなかろうかと思いますけれども、すでに四十八年度の生産は約二千百万トン台まで落ちてきております。このまま推移いたしますと、労働問題あるいはその他の問題ございまして、二千百万トンを維持することも困難ではなかろうか。なお各企業に格差が相当出ておりますので、ただ単なる平均的な助成をもってしては現有鉱の維持すらも困難であるというようなことがはっきりわかっておりますので、いま審議会の場をかりまして現有鉱を維持するための格差助成のあり方ということを検討しておるような状態でございます。そういう格差助成なりいろいろな強力な手を打ちまして、まず現有鉱を維持するということが第一でございます。  それに、なおいままでに合理化事業団のほうで買い上げた鉱区と消滅鉱区がございます。この鉱区につきましても一応事業団を中心にいたしまして、少ない炭量のところは別といたしましても、一応ユニットを一千万トンにとりまして、一千万トン以上の炭量があるところで、公害問題あるいは保安問題、そういうことを除外し、掘れる可能性があるというところをいま作業をし、この前の審議会にも一応御披露したような次第でございます。こういう消滅鉱区なり、あるいは事業団の保有鉱区も再開発するということもひとつ将来については考えていかなくちゃならぬのじゃないか。  なお、新区域といたしましては、これは炭質が少し落ちて問題があろうかと思いますけれども、天北地域はバージンフィールドとしての相当な炭量を持っておりますので、もしこれが電気なり何なりと結びつくような需要というものがつきますならば、当然これも開発の対象に入れていいものではなかろうかというふうに考えております。  そういうことで、五十五年あるいは六十年度の先ほど長官から御説明いたしました将来の石炭の供給というものにつきましては、少なくとも現状以上の数量を確保すべきであるということで、いま検討しておる最中でございます。  なお、将来火力発電ということで石炭専焼火力を建設していただけるならば、これはおそらくいまのような政策をとりましても国内炭だけで供給できないという点もございますので、将来オーストラリアあるいはカナダ等からの輸入炭というものも考えなくちゃならぬのではなかろうかというふうに考えておりまして、その輸入炭が入ってくる場合、むしろ国内炭に悪影響を及ぼすようなことがあってもこれは問題でございますので、その点も十分悪影響を与えないような輸入形式あるいは開発形式というものも考えなくてはならぬのではなかろうかということで、現在、検討しておる最中でございます。  なお、火力発電所の建設につきましては、直接私のほうの担当ではございませんけれども、北海道のほうで道が一応苫小牧の東部のほうを候補地として発表されたことを聞いておりますし、なお九州の地区につきましては電発のほうで松島のほうに建設したいということで、現在たしか調査をしておいでになるのではなかろうかというふうに思っております。
  268. 阿具根登

    ○阿具根登君 そこで、一千万トン以上の可能性のあるところ、公害その他も十分考えて、そして閉山したところも一応再考慮してみたいというお話でしたが、そういうところがどこどこにあるかという問題と、それでも足らないから外国から輸入しなければならないだろう、こうおっしゃいました、それも私はわかります。  しかし原料炭を輸入した場合に、これは商社が輸入したと私は思うのです。商社に輸入させれば、商社は甘い汁だけしか吸わないのです。高く入れてくれば、高いやつに手数料をかけてくるから損はしない。安く入れてくれば、国内炭との差額があるからということでよりもうかる。こういう商社なんかに外国からの輸入をまかせるから日本の経済がこういうふうになってきた一因があると私は思うのです。だから、たとえ一般炭を輸入する場合でも——そういう石炭と関係のない商社、商売人、高かろうが安かろうが自分は手数料でもうかる、その高いのに手数料をまたかけて日本の国内炭と一緒にしなければならない、これじゃ私はほんとうに石炭の魅力というのはなくなると思うのです。だから、そういうものはやっぱり商社からはずして、そうして責任を持たせる。ただ商売で向こうから持ってきて自分がもうかるだけでやる、それじゃいけない。向こうから安い石炭が入ってきたならば日本の高い石炭に幾らプラスになってくるか、それを石炭会社に入れさせて石炭会社が自分の石炭と同じ値段でこれを売ることになるなら、これは石炭会社をもうけさすだけになってくる。  だから、そういう点を十分注意しておいてもらわぬと、国民は非常にひどい目にあっているけれども、だれかは笑いのとまらぬほどにもうかるわけなんですよ。これはどういうふうにお考えになっておるか、商社にやっぱり商売させるようになるのかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  269. 高木俊介

    政府委員(高木俊介君) 輸入炭の問題についての先生の御指摘の点でございますけれども、実は、四十九年度、本年度緊急輸入ということで八十万トンを許可したいというふうに考えておりますけれども、これはこの前の審議会ではかっていただきまして、実は本年度の需要が二千三百五十万トンぐらいございます。それに対しまして供給面で二千百万トン強、目標としましては二千二百万トンという数字を出しておりますけれども、実績としてはおそらく二千百万強という数字になるのじゃなかろうかと思います。需要のほうがいま申し上げましたように相当数字が上回っておりますし、貯炭を食いつぶしましてもなお供給が足らぬというような現状にございますので、せっかく電気のほうでたいてくれるというような要望もございますので、できるならば輸入炭でまかなえばどうかということで、審議会で許可をとりまして一応八十万トンの輸入をさしたいというふうに考えておりまして、ことしは電力用炭株式会社を通じて緊急輸入をするということにいたしております。  なお、将来の輸入につきましては、さっき先生指摘のとおりの一元化されたもとでの輸入を実施することが必要でございまして、先ほども説明いたしましたように国内炭の保護ということを第一に考えなくてはなりませんので、単なる商社ベースによる輸入だけを目的とした輸入はやらす気持ちもございませんし、そのためには当然需要というものとのからみ合いも出てまいりますので、需要に見合いつつ、需要に見合ってなお国内炭で供給して不足の分を輸入するということで、それも、これは今後いろいろ審議会の場その他で御検討いただかなくてはなりませんけれども、いまの電力用炭株式会社というものをできるならば改組強化し、その場において輸入さすようにしたらどうかというふうに現在は考えております。ただし、これも審議会の場でいろいろ御検討いただいて、問題のないような、国内炭に影響を与えぬというような一つのめどが立った上でなければ輸入をさす気持ちは現在のところは持っておりません。
  270. 阿具根登

    ○阿具根登君 それからもう一つ、輸入もけっこうだけれども、日本で掘れば鉱区が非常に少ない、あるいは金がかかる、労賃が高い。輸入といえば非常にまた心配がある、確実に約束どおりいつ入ってくるか、幾らで入るかという問題にも懸念がある。それよりもそういうところに日本の技術と資金を持っていって掘るのがいいのじゃないか、こういうような意見が出ておる。先ほどウランでも一つできてそれが約束された、こうおっしゃっておりますけれども、それも確かに一つの道ではあると思うのです。しかし日本人が向こうへ行って向こうの労賃が安いからということでやるから、向こうへ行った企業は全部非常な悪評を買っておるわけなんですね。それでそういうことをやっておったら、必ず今度は逆にせっかく資本も投下し技術も入れたやつがふいになってくるという心配が私はあると思うのです。  何かしらん、もうからぬかなもうからぬかなということで、今度は外国に出かけていって資本も投下する技術も入れます、人だけはください、そのかわり利益は折半なら折半というような都合のいいようなことをやっておられるけれども、私は長い目で見る場合、これも失敗するのじゃなかろうか。先ほどウランの問題も一つだけ成功したとおっしゃったから、そのとき言いたかったのですけれども、これは石炭問題とも一緒、これはタイ国なんかの問題に出ているのも一緒、そういうことなんです。確かに向こうへ行ってやれば向こうの労賃は安いかもしれません。しかし、その利潤というものは向こうから見れば、何だ、われわれを安い労賃で使って、そうして利潤を全部持ち帰るのかという空気のあることは私ももう外国を回って百も知っているのです。そういう安易な道にのみ走ろうとする企業が私は日本を誤らせるのじゃなかろうか、こう思うわけなんです。そういう点についてはどういうふうにお考えになっておるかをお聞きをいたします。
  271. 高木俊介

    政府委員(高木俊介君) 将来、石炭の需要が増大しまして国内炭だけでまかない切れない場合、当然、エネルギーの供給源の多様化という点から、石炭としては輸入炭も含んで需要が拡大することは望ましいことではないかと思います。  その場合、輸入炭を入れることにつきまして、いま先生指摘のようないろいろな問題が発生してくると思いますけれども、現在オーストラリアあるいはカナダ等で可能であろうと思われるのが、先ほど長官からもお話ございましたように二千万トンから三千万トンぐらいの一般炭の輸入が可能ではなかろうかということでございます。ただし、これを単なる商社まかせの輸入ということでは問題がございますので、先ほども申し上げましたように一元化されたもとでの輸入、しかもできるならば国内の手で、輸入商社の手による開発された炭を持ってくるほうがより長期的に安定供給ができるのではなかろうかということも一つの話題として今後研究しなくてはならぬ問題ではなかろうかと考えております。
  272. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に、いままでの総括として、大臣から先ほども答弁願いましたけれども、くどいようですけれども、もう十年前石炭が斜陽だといわれた当時、私たちは国会でも、あるいは国会外でも、組合の諸君は、日本の資源をつぶしてくれるな、日本の経済の源を外国に握られて、そうして向こうの鼻息で日本の経済が動揺するようなことをしてくれるなという闘争までやったことがあるのです。そして残念ながら炭鉱の労働者三十万おったのがわずか三万五千になってしまった、その結果が今日のような状態になってきた、こう言っても過言じゃないと思うんです、そればかりじゃない、しかしそれが大きな一つ原因になっていると思うんです。  ところが油に依存してしまってそういう結果を持ってきておりながら、今度はまた原子力、しかも油の場合はその当時は非常に安いということだった、石炭の半分だということだった、やむを得なかったと私は思う、その当時から考えれば。しかし、このウランの問題については、いままでウランは高いからと言っておった。油が高くなったからウランが急にふえてきたんじゃないか、力を入れだしたんじゃないか、こういうふうになってくると、これもまた私はいつの日にか必ず今度はウランで日本が参るようなことになってくる。そうするなら、まず日本の資源をどう利用するかということに最大の努力をすべきだ、私はこう思うんです。  私はエネルギーと食糧というものは日本にある限りのやつは日本で守る、そうして足らないやつをしかたないからよそから買う、こういうことにしなければ、エネルギーと食糧を日本で自給できない、ちょっととまったら日本の経済がひっくり返る、麦がとまったら日本の米が一つもなくなったというような状態をつくったら一体どうなるか。そういう中で調子のいいときは浮いていきますよ、しかし一つ何かあったならばたいへんな問題になる。私は政策的に政治的に考えるなら、技術論よりもそのほうがこわいです。その点、大臣のひとつ決意をお聞きして、私の質問をやめたいと思います。
  273. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私も同感に存じます。  私ら、そういうようなことをばく然と、あるいは認識をしておりましても、ややもすると日常のことに忙殺されて、いろんな新しいものが出てくるというとそちらに目を奪われがちでありますが、いまお話を伺いまして、いまさらながらやはり国産のエネルギーなり国産の食糧というものが非常に重要であって、それが一朝有事の際に一番大事なものであるということを気づかせられる、こういうことをいまさら痛感した次第でございます。  そういう点から考えると、ことしの予算や政策におきましてそういう配慮も私らはいたしていろいろなプロジェクトなんかをやりますが、まだまだ足らぬという気がいたします。いまおっしゃるようなことをわれわれは体しまして、特にいまの国産、なかんずく石炭とか、あるいは太陽エネルギーとか、あるいは地熱発電であるとか、あるいは大陸だなのエネルギー資源であるとか、そういう面に思い切った金を投じて安全性を増すように努力いたします。
  274. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕   〔委員長退席、理事竹内藤男君着席〕
  275. 竹内藤男

    ○理事(竹内藤男君) 速記をつけて。
  276. 竹田現照

    ○竹田現照君 いろいろと質問が続いていますので、私がこれからお伺いする点もすでにお答えがあった点もたくさんあろうかと思いますが、私は初めてですから、ひとつお答えをいただきたいのです。  この法律が出されました直接の原因というのは、発電所の立地が難航して、今後数年後には需要に対する供給余力の比率がマイナスになり、電力不足が深刻になるというところに問題があるということであります。  そこでお伺いしますが、民間の日本電力調査委員会が昨年の末いわゆる石油危機のあとに出しました電力需給見通し、これによりますと、石油危機前とそのあとを比較して、供給予備率のマイナスというのは石油危機以前は五十二年八月、危機が起きましてからは五十三年の八月と、その差は一年しかありませんけれども、この点についてひとつ政府はどのように電力需給の見通しを持っておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  277. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 日本電力調査委員会の第四十四回の会合が三月に開かれまして、そこで昭和四十七年から五十三年までの需要の想定を行なったわけでございます。  その場合に、前提といたしますGNPの伸び率は七・六という想定をいたしまして、鉱工業生産も七・五という低い形をとったわけでございます。ちなみに昭和四十一年から四十七年までのGNPの年平均伸び率が一一%でございましたし、鉱工業生産に至りましては一二・二%であったわけでございます。その四十一年と四十七年の間の電力の需要の伸びは一一・二であったわけでございますが、今回、先ほど申し上げましたGNPの成長率の伸びの鈍化等を織り込みまして、総需要の電力量の年平均の伸びを八・八と見込んだわけでございます。  一年間の違いではないかというお話でございますが、いま申し上げましたのは需要面の推計でございまして、供給力の推移を申し上げますと、これは既設の電力設備及び電調審の決定分のみによりましてはじいておるわけでございますが、最近におきます五カ所、三百五十万キロワットの結局電調審決定がされましても、なおかつ着手することができないというような地点も出ておりますので、その辺を差し引き計算をいたしまして供給力をはじいたわけでございます。その結果、四十九年度で供給予備率が八・四と想定されておりますが、五十年も大体八・七ぐらいで推移する想定でございますが、五十一年以降、五十一年が四・九、五十二年が〇・七、五十三年がマイナスの二・八の供給予備率という計算が出たわけでございます。
  278. 竹田現照

    ○竹田現照君 いま長官がお答えになったのは通産省のはじいた数字ですか。私が持っているこの電力調査委員会の予備率とちょっと違っているようなんですけれども
  279. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) いまの供給力は既設及び電調審決定分ということでございまして、これは九電力分でございます。九電力の分の合計の供給力とその需要との関係で申し上げますと、いまのような供給予備率に相なるわけでございます。
  280. 竹田現照

    ○竹田現照君 そうすると、いずれにしてもこの調査委員会のと通産省のとはあまり大きな差はありませんけれども、五十二年八月と五十三年八月で一年ぐらいの差しかないということだけは事実なわけですね。  そこで全国の九電力の需給の状況を見ますと、中部あるいは関電、北陸というようなところ、あるいはまたそれ以外の電力会社との間に供給力に差がだいぶ出てくるんではないか。たとえば去年の関電のように夏季のときには節電あるいは休電日というような問題が出てくる、あるいは電力料金等についても格差がある。こういうようなことで、この需給のピンチによっては地域によるサービスのばらつきあるいは料金の格差、こういうような問題が出てくる。それから、いま政府のほうでお考えになっているこの原子力開発ということを進められる場合に、いまの九電力のそれぞれの技術力、資金力、こういうものを考えますと、たとえ政府がお考えになっているようなことを推進するとしても、九電力それぞれにはかなりのアンバランスが出てくるんじゃないかというような気がするんです。  そうすると、いまの九電力体制ということをはたして維持することがいいのか悪いのか、将来の展望の上に立ったとき電力業界の再編成というような問題が当然必然的に出てくるように私は思うんですけれども、これはきょうあすの問題でないにいたしましても、私はそんなに遠い問題ではないような気がいたしますが、こういう見通しについて、ひとつ大臣から所見を伺っておきたいと思うんです。
  281. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 九電力体制が発足して自来かなりの長年月がたちまして、その間において会社側の落差あるいは立地点、そのほかいろんな問題点が出てきております。それは御指摘のとおりでございます。それを調整によっていま電力の融通その他もやり、開発地点の調整等もやって、調整で切り抜けておるわけでございますが、確かに問題点は問題点としてわれわれも認識しなければならぬと思います。  ただ、これをどういうふうな処理をするかということは大問題でありまして、一面において国営とかあるいは公営という公社形態みたいなものにするということも考えられますけれども、しかし、われわれの考えからいたしますと、やはり自由主義経済を基本にして公正競争によって競争させながら料金を落下させていく、またサービスも向上さしていく、そういう基本的な考え方を支持しておるものでありますから、にわかにいまの体制を変えようとは考えておりません。しかし、いろいろなこの十数年以上に及ぶ経験にかんがみまして、御指摘の不符合の点は何らかの方法によってこれを改善していきたい、そのように考えます。
  282. 竹田現照

    ○竹田現照君 そこで、私があらためて申し上げるまでもありませんけれども、電力がすべての産業活動の基盤である、あるいはまた私どもが生活していく上に不可欠なものであるということ、そういう意味で電力の公共性が言われるわけでありますが、しかしそうかといって、この発電所の操業によって私たちの健康がそこなわれたり、あるいは環境が著しく破壊されたりするということが許されるということには通じないと思うのです。とすれば、国民の健康あるいは環境破壊、こういうようなことを前提にして電力供給力の上限とする、その範囲内の需給にとどめるという考えが私は必要になってくるんではないかと思うんですけれども、そういう点はどうお考えになっていますか。
  283. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、最近、環境ないし公害問題等が強く叫ばれまして、そういう面からミナス原油を使うとか総量規制とか、そういう規制措置を励行しておるわけでございます。NOxの問題も出てきて、それに対する規制も加えられつつある状態でございます。したがって、そういう国民の健康というものの許容量の範囲内において発電ということは行なわるべきである、そう考えております。
  284. 竹田現照

    ○竹田現照君 そこで電力需要の実態を洗い直すと供給のギャップを生ずるということであれば、産業構造を省電力化の方向に持っていくということが必要でありますが、去年の二月に決定した経済社会基本計画では五十二年度の需要量は約六千億キロワット、三月の産業計画懇談会の産業構造改革では昭和六十年度でわずか六千五百億キロワットということで、それぞれ見通しが立っていますけれども、これは省資源型への構造転換によって五十二年度で六千億、六十年度で六千五百億というように八年間にわずか五百億キロワット程度の増加にすぎないわけでありまして、そういう面では省資源、省エネルギー政策の実態を分析し直して、最低限に必要な電力量というものをこの際算出し直す必要があるのではないかと思いますけれども、この点はいかがですか。
  285. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 先ほどもちょっと申し上げましたように、これからの経済の運営といいますのは、いろいろな外部条件、たとえばいまお話に出ております環境、安全問題、その他国際収支の問題等いろいろと複雑な情勢があるわけでございます。  したがいまして供給サイドの情勢をよく考えて、まず日本でそういう諸条件のもとでどのぐらいのエネルギーの供給ができるかということを、現在、総合エネルギー調査会で詰めてもらっておるわけでございますけれども、半面、いまお話のとおり、需要サイドにおきましても産業構造をできる限り省エネルギーにするということが非常に重要な問題であるわけでございます。これはまた半面エネルギー多消費産業がどちらかといいますと環境との関係で非常にむずかしい問題を起こす産業群である点から考えましても、できる限りそういうエネルギーを使わないで、かつ公害を出さないで、かつ付加価値の高い産業構造をどうつくるかということにつながる問題だと思うわけでございまして、この辺につきましては、現在、産業構造審議会の総力をあげまして、これからの日本の産業構造のあり方を検討している段階でございまして、これも六月ごろには、たたき台といいますか構図のスケルトンが一応でき上がる予定になっております。  そういう面で、いま通産省といたしましては、エネルギーの供給サイドそれから需要サイド、両方からあるべき姿を詰めておる段階でございます。考えといたしましては、当然に省エネルギーの方向で産業構造を考えるべきだと思うわけでございます。
  286. 竹田現照

    ○竹田現照君 通産省の省資源省エネルギー政策研究会がこの五月に出しました中間報告で、鉄鋼、アルミ、ソーダ、石油化学などの電力多消費型の産業について高効率な大型設備への転換ということを提言していますけれども、これによって電力需要量というのはどれぐらい減少する見通しがあるんですか、この中間報告で。
  287. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) これは部内におきます研究会でございまして、先ほど申し上げました産業構造審議会の事務的な下部機構でございますので、まだ成案は得ておりませんが、一応の試算によりますと、いま先生の御指摘の大型の設備への転換等によりまして五ないし一〇%程度のエネルギー及び資源の節約を目途にいろいろと計算をしたり検討している段階でございます。
  288. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは試算というのは数字出てないんですか。五%ないし一〇%の目途を置いてやっているという、この中間報告の段階では試算というものがないんですか、試算数字というのは。
  289. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 現在まだ具体的な数字が試算されている段階でございませんで、近くそういうことも出ることだと思うわけでございます。
  290. 竹田現照

    ○竹田現照君 中間報告を出すんですからね、これだけやりゃこれぐらい減るだろうというようなことが、大体おたくのほうは専門家なんだから、出ないというのはおかしいんですね。そういうものが出るからこういうふうにしなさいという提言が成り立つわけですからね、ちょっといまのはおかしいです。  そこで今度の電力料金、電灯料金の値上げ認可ですけれども、これは九社平均で三三・八六%、電力料金で八〇・五二%ですが、アメリカでは電力料金が一%上がれば電力需要量は一・五%下がるという数字が出ているんだそうですけれども、今度の値上げ認可で今後の電力需要見通しというのはどんなことになるのか、エネルギー庁ではじき出したことありますか。アメリカでそういう数字が出ているんですから、日本でも出ないわけがないと思うんですけれどもね。   〔理事竹内藤男君退席、委員長着席〕
  291. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) ちょっと私手元にいま数字を持っておらないんでございますけれども、私の記憶によりますれば、従来、過去十年ぐらいの間におきます鉱工業生産と電力との弾性値がたしか一・六一ぐらいであったと思うんでございますけれども、これからの推定によりますと、これが、今回の電気料金に際しまして試算しました前提でございますと、たしか一・三ぐらいで考えておりますので、われわれといたしましても、節約も含めた省エネルギーの傾向でものを考えておるわけでございます。当然に今回の料金の一つの大きな柱が料金の逓増制というのを採用いたしたのもそういうところに根拠があるわけでございまして、弾性値は下がるというかっこうでつかまえておるわけでございます。
  292. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは国鉄の運賃にしても何にしても、これだけ上がれば利用者がこれぐらい減るだろう、したがって会社の収入なり公共企業体の収入はこれぐらい減るだろう、こういうものは料金値上げをするときには常識的にみんなはじき出しますし、ここで論議をされる国鉄や郵便、電信電話あるいはその他の公共料金の値上げの際も、質問には必ずこういうことが出てきますわね。ですから電力料金の場合も当然に各社別にそういうことがはじき出され、特に逓増料金制度をとりますと、これはかなり節約をしなくちゃ家計に直接響いてくるわけですから、かなりダウンするんじゃないか、こう思うんですよ。  だから、大体そういうことを考えた場合に、全体的に需要見通しというのはどれぐらい減るのか。先ほど私がアメリカの例を言ったように一%上げれば一・五%下がる、こういうことになりますと、電灯料金で三三・八六%ですから、かなりの数字が出てこなくちゃおかしいと思うんですけれども、この一・三という長官のお答えは、アメリカで一%上がって一・五%下がるというのに、三三・八六%も上げておいて一・三%ぐらいしか電力需要が下がらないというのは私にはちょっと理解できないんですけれども、数字が間違っていませんか。日本の場合、一%なら一・三と、こういう意味に理解していいですか。
  293. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) ちょっと正確に数字をお答えできないので恐縮でございますけれども、先ほど先生の一番最初の御質問にございましたように、日本電力調査委員会がこの三月に需要を想定いたしましたときに、大体相当程度の値上げがあるという前提で需要も想定いたしておるわけでございまして、四十九年度は対前年の電力需要の伸びは五・一%と計算いたしておるわけでございます。ちなみに四十八年が一〇・九、四十七年が一〇・二と見込んでおるわけでございまして、この同じ委員会におきましても五十年につきましては九・八という見方をいたしておるわけでございます。お答えになっておらないかもしれませんけれども、四十九年度の伸び率を非常に低く、経済成長との関係もございますが、一応見込んでおるわけでございまして、その辺に料金の大幅値上げの影響も織り込んでおると御理解願いたいと存ずるわけでございます。
  294. 竹田現照

    ○竹田現照君 私、むずかしいことをお聞きしているのではないんです、私もしろうとですからね。単純に、アメリカが一%上がれば電力需要が一・五%下がるという統計がほんとうだとすれば、今度のかなり大幅な電気料金の値上げでは、いま長官お話しになりました電力調査委員会による電力需給見通しを見ましても、これは確かに四十九年と五十年はそんなに変わっていませんよ、この予備率から見ましても。先ほどお答えになったのもあまり変わっていない。五十一年になると、これが——それにしてもそんなに変わっていませんね、この数字では。ですから、それほどこれは影響がないのかどうか。私はそれをそんなに影響がないとは思っていませんので、これはやっぱり将来の需給見通しを立てる上においてもぜひ必要なことだと思うし、一説によれば、また来年電気料金を値上げせざるを得ないのじゃないかというような話もありますから、そういう面でちょっとお尋ねをしておったわけです。  しかし、料金は認可されたわけだから、認可されるときにその審査をしているわけですから、それぐらいのことはもう数字をはじき出してないとおかしいんです。これいまお答えできませんか。もしできなければ、あとでも電気料金を審査をしたときのそういういろいろと数字をはじき出したあれがあると思うんですが、あとでも出していただけますか。
  295. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 電力料金の値上げによりましてどの程度弾性値が動くのかというような問題につきましては、現在まあ経済全体の動向も非常に流動的な点もございまして、一応見通しが明らかでない点もあるわけでございますが、ちょっと手元に資料ございませんが、先生の御指摘のとおり、料金やりましたときにそういう検討は部内でやっておりますと思いますので、それは後刻御提出申し上げたいと存ずるわけでございます。
  296. 竹田現照

    ○竹田現照君 ちょっと科学技術庁長官にもお伺いいたしますが、これはけさの新聞ですけれども、科学技術会議のエネルギー科学技術部会がきのう、省エネルギーを急げということで中間報告を出されたという記事が出ています。この中に、ちょっと私がいま質問していることに関連をするんですけれども、いまわが国のエネルギーの利用というのは一いろいろと書いてありますけれども、半分ぐらいはむだ使いされているというようなことを追っていろんなことを書いています。私のあとからの質問にも関連をいたしますけれども、このきのうの中間報告に基づく省エネルギーの問題について、この中間報告を受けられて科学技術庁としてはどういうふうにお考えになっていますか。あるいはまた、これで審議をされた経過等についてもお聞きしたい。
  297. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま先生お示しの中間報告が出まして、これは今後のエネルギーの開発の方向、あるいは利用の方向につきましてごく長期的な展望を含めましてつくったものでございます。ただいま御指摘の省エネルギーの問題につきましては、先ほど来先生の御指摘のようなことでございまして、通産省とも協力いたしまして省エネルギーの具体的な技術化の問題、あるいはそれの産業構造へのはね返しのしかた等につきまして、今後も検討を進めてまいりたいと考えております。
  298. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでは、まあこの法案について質問の中心になってきたと思いますが、この原子力の安全問題について私からもちょっとお尋ねしたいと思うんですけれども、昨年末以来のこの石油騒ぎで原子力発電というものが考えられるとすれば、最もこれを推進する上においては千載一遇のチャンスだとも言えるんです。しかし、依然としてこの原子力発電というものはきらわれ者になっています。これのやっぱり最大の原因というものは、安全性に対する信頼感というものが持てないところに大きな原因があると思うんです。何かこの間、森山長官は、私のほうの辻君の発言に、二時間も質問しているということがこれは安全性を保証しているんだというようなことの御発言があったようですけれども、二時間質問しようと百時間質問しようと、この安全性に対する信頼感というのはなかなか得られないというのが実情だと思うんです。まあそれは、現実にもう各都道府県の火力を含めます発電所の設置の状況を見たり、あるいはすでにできているこの原発のいろんな事故、こういうようなものを照らし合わせても、それぞれの住民に対してこの安全性について十分説得をする根拠というものが見つけられないというのが現状ではないかと思うんですけれども、いままでも質問があったと思いますが、この安全性問題をどう見ているのか、この際、あらためて私は森山長官通産大臣にお尋ねをしておきたいと思うんであります。
  299. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 原子力は新しい科学技術でありますから、未知の分野がまだかなり残されておると思います。そういう面においてわれわれはあくまで謙虚に、そして安全を確かめながら一歩一歩着実に前進していかなけりゃならぬ分野であると思います。いままで開発されました軽水型の原子炉等は、科学的には安全であるといわれますが、絶対に安全であるということではございません。その差をよくわれわれ自体が認識する必要があるし、また、住民に対して啓蒙する場合にも、そういう前提を置いての安全性であるということは、もちろんわれわれとしても意識してやる必要があると思います。非常に大事なことは、そういうように未知の新しい分野に挑戦しているんであるということを明確に認識しながら、一歩一歩その安全度を確かめつつ前進していくと、そういう謙虚な態度が非常に重要であり、安全問題につきましては、念には念を入れてこれを着実に確保していくという態度が必要であると考えて、そのようにいたす考えでございます。
  300. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 原子力につきましては、先ほど中曽根大臣からお話がありましたように、軍事利用から発足をいたしまして平和利用に戦後転じ、これが実用化の段階に入って二十年足らずということでございます。したがって最も新しいし、歴史も短いということでございますが、それだけにまた新しい技術の手法も用いておるわけであります。同じ発電でございましても、石油発電、火力発電の場合につきましては、御案内のとおり、石油の中には硫黄等が含まれておりますから、したがって、表にこれが亜硫酸ガス等になり、いわゆる大気汚染の公害問題となって取り上げられるわけでございます。したがって、火力発電の場合につきましては、大気汚染という硫黄の総量規制というような観点から、油の中から硫黄を抜くとか、煙になってから硫黄を抜くとか、あるいはわが国独得かもしれませんが、重油でやらないで原油のなまだきをやるというような形でやっておるわけでございます。いわば公害に対して、前はとにかく電気が出ればいいという観点でやっておった産業でございます。  ところが原子力につきましては、これは御承知のとおりでありますが、長い間、戦前からエックス光線等で放射線という知識が非常に積み重なっておりまして、国際的にもICRPというような団体もできており、これらの知識の集積を踏まえまして、この新しい原子力平和利用という問題について、いわば、放射能という一種の公害を先取りするような形で多重防護の組織ができておるわけでございます。したがって、そういう放射能の問題を考えまして、人間のつくる機械でありますから故障もありますし、人間のやることでございますからミス操作もあるわけでございますから、もしそういう事態が起きました際にはかわりの装置が動くとか、あるいはとまるとかいうような仕組みになっておりまして、その意味においてテクノロジーアセスメントという一つ考え方がほんとうに地について、一つの技術論としてその中に採用されている方式になっておる点は、同じ発電で火力発電、原子力発電と並べますけれども、全くそういう意味では違うわけでございます。  ですから、一般の自動車をもし火力発電といたしますと、原子力発電みたいな装置になりますと、どんなに運転のうまい人でも、百メーター続けてとまらないでいるのは困難なくらいな状況になっておるわけでございます。その意味で、私が申し上げましたことは、原子炉がとまるという結果から非常に問題があるというよりは、とまったということが安全のしるしではないかということを申し上げたわけでございます。また一年十二カ月のうち一カ月半から二カ月半、定期点検が行なわれまして、その定期点検が行なわれました結果、普通ではわからないような燃料棒のはな曲がりの問題とか、あるいは蒸気発生器の穴の問題とがわかるわけでございまして、これ自身はほっとくわけにはいきません。これはこの間も問題に、辻委員指摘されたとおりでございますが、それ自身一つ一つ手当てをやっていくと、アメリカはこういう手当てあり、日本は必ずしも今日の技術段階ではアメリカの言うとおりやるわけではございませんし、そういう措置を要することはもとよりでございますが、そういうシステムになっておりますので、安全につきましては、火力発電なんかの場合に比べまして技術の種類が違うという点を私は申し上げたわけでございます。その意味において、そういうことがわかるのはある意味においては安全のしるしではないかと。  しかし、私が申し上げたいのは、同時にそのことによって指摘されました燃料棒の曲がりとか、あるいはまた蒸気発生器の問題をそのままほっといていいというわけでは決してございません。これらについてもちろん対処していかなければならないことは今朝来、この委員会におきましても辻委員をはじめ、関係委員の方々からお話がございまして、私の所見も申し述べた次第でございまして、私のことばが足りませんで、先般、野党の理事各位にたいへん御迷惑をおかけいたしましたが、趣旨はそういう点で申し上げたわけでございます。しかしなお、新しい科学技術産業の分野でございますから、日進月歩でございます。その意味において国内ばかりじゃなく、国際的規模においてこれらの日進月歩の知識の累積をはかっていく必要がある。その意味で特に安全性の問題については念には念を入れていかなければならないというふうに考えておりますから、昨年、私が科学技術庁長官に十一月の終わりに就任いたしましたが、すぐこの通常国会が開かれました。そこで、この安全問題をあらためて検討いたしまして、安全性の確保のために予算の追加要求を行ないました結果、昭和四十八年度の安全性に関する予算は債務負担行為をまぜて約七十億でございますが、この昭和四十九年度の安全性に関する予算は実に百五十億に、約倍以上にふえたわけでございます。  御案内のとおり、公共事業費、総需要抑制ということでなかなかやかましいので、公共事業費は四十九年度は四十八年の額、中身は四十七年ということでございますが、そういう点に比べますれば、私どもといたしましては、この昨年来の事態に対しまして、決意を新たにして安全性の確保のために取り組み、特に予算編成上、非常に例の少ない予算の追加要求を行なって、他にあまり例のないような予算の大幅増額を、御案内のとおり、ことし非常にむずかしい時期でございましたが、やっておるわけでございます。こういう問題につきましては、特に留意をいたしておるつもりでございます。ただ、先ほど来申しましたような点で、私の言い方につきまして遺憾の点がありましたことは、この機会にどうか御了解願いたいと思う次第でございます。
  301. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは長官、お金がふえて、安全性の確保に努力するということはいろいろ言われましたけれども、金がふえたから即安全性が信頼性の持てるものになるとは直結しないわけですね。ですから、この間出された稲葉さんの「これからのエネルギー需給とその政策のあり方」稲葉第一次私案なるものでも、安全性の技術は世界的に十分立証されている、簡単に片づけてありますが、これに対してもいろいろと専門家の間では論議のあるところですね。これは何か委員会の、まあ言うならば酷評する人もいますが、単純に考えて、問題になった分析化研等の問題、あそこには各電力会社が放射能汚染調査を全部依頼していたわけですね。そしてああいう始末になった。ああいうことがありますから、何とおっしゃっても、ほんとうに安全なのかということについて信頼しないわけです。ちょうどこの委員会で計量法審議のときも、ちょっと私、お尋ねしたけれども長官は御出席ならなかったのですけれども、何か分析化研にかわる違うものを近く発足させると、こういうことになっている。違うものを発足したから、それじゃそこの機関が分析化研のようなことは絶対になく、直ちに信頼性の置けるものを出し得るのかどうか、この点もやはり問題だと思うんです。ですから、そういう点が、ああいう分析化研のような問題が起きないような万全の体制というものをほんとうに政府がやるのかやらないのか、ここがやっぱりポイントになってくるのじゃないかと思いますが、どうですか。いまのところないわけでしょう、これを実証でき得る機関というのは。あるのですか。
  302. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいまの先生の御質問にお答えいたしますために、原子力発電安全性がどういうふうにして確保されているかという点を少々御説明させていただきたいと思います。  私どもは、原子力発電安全性の確保が三段がまえで確保されておるというふうに説明しております。  これはどういうことかと申しますと、第一段は、原子炉の設置を許可するにあたりましての安全審査でございます。これは原子炉の設置者、つまり電力会社でございますが、その申請に基づきまして、その設計をもとにしまして、工学的な安全、それからさらに立地条件に関連しましての安全の問題、これを専門家の手によりまして詳細に検討いたしまして、十分安全であることを確めまして許可しているわけでございます。これが第一段階でございます。  それから第二段階は、原子炉等規制法に基づきます法令体系によりまして、原子力発電所から外に排出されます放射能の値を一定の安全な基準以下に押えるように規制しております。それから同時に定期点検、あるいは保安規定その他につきまして、全体の原子力発電所の運転につきましても十分監督をしております。この点が第二の安全の問題でございます。  ただいま先生の御指摘の分析化学研究所の関連の問題でございますけれども、分析化学研究所の不祥事はまことに申しわけないことでございますけれども、あの事件が起きましたのは、アメリカ原子力潜水艦の入港に伴います放射能測定につきましての不祥事件でございまして、電力会社の一部が分析を委託したこともございます。これは通産省と協力いたしまして総点検をしたわけでございますが、特段の問題点は出てまいっておりません。電力会社が分析化学研究所にどういうものを委託したかと申しますと、これが第三段目の安全の問題でございまして、主としまして地方自治体、これは県でございますが、県が電力会社との間に安全協定を締結しております。その安全協定を締結しまして、たとえば環境モニタリングと申しますような、発電所の外側の地域の放射能の測定分析をやっておるわけでございますが、それの基礎になります、バックグラウンド調査といっておりますが、原子力発電所が稼働いたします前の状態の自然放射能を測定するということを委託したものがございます。  ほかのものにつきましても、各電力会社の社内で行ないます分析を補完しますものを若干委託したものもございます。それにつきましては、先ほど申しましたように総点検をいたしまして、特段の問題がないという結論に達しておりますが、かりにその点に問題があったといたしましても、先ほどの三段がまえの、第一段と第二段で十分安全は確保されているというように私ども確信しております。もちろん、第三段目が確実であることにこしたことはないわけでございますけれども、その点も問題はないと思っておりますし、それに先立ちまして、ただいま申しましたように、第一段、第二段の措置によりまして十分安全が確保されているというふうに考えておりますので、原子力発電所の運転に伴います安全問題につきましては、私どもは安全であるという確信を持っている次第でございます。
  303. 竹田現照

    ○竹田現照君 これは先進国のアメリカでもいろいろとその点については論議のあるところですが、それは別として、そこで福井県だとか福島県に今度原子力発電所が集中するかっこうにいまなってますね。そうすると、一地域にかなり大がかりな原子力発電所が集中することによってその地域の放射能の絶対量というようなものは当然に増大してくるわけですけれども、環境保全その他を考えた場合に、こういうところに集中をさせることがいいのか、あるいは分散させることがいいのか、これはどういうふうにお考えになっていますか。
  304. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 発電所のそれぞれの立地の条件あるいはその電力会社の計画によりまして、地点によりましては、ただいま先生指摘のように、六基あるいは八基というようなかなり数多くの原子炉一つのサイトに集中するところもございます。あるいは一つ、二つの原子炉だけしか建設されないような地点もございます。それぞれ立地の条件その他によるわけでございますが、先ほど申しました、原子力委員会におきまして安全審査を行ないます場合に、集中地区でございますと、それぞれ一つ一つ原子炉の安全審査、立地審査をいたしまして、それぞれ個別に、その放射能がどのくらい出てくるか、どういう影響を与えるかということをやるだけではございませんで、その集中の状況を前提にいたしまして、集中しましてもこれだけの影響しかないというように十分検討して結果を得ておりますので、集中の問題はございましても、環境に対する安全という観点では十分検討し、確信を持って許可をしている次第でございます。
  305. 竹田現照

    ○竹田現照君 この原子力委員会原子力開発利用長期計画によりますと、昭和六十年度は六千万キロワット、六十五年度は一億キロワットですね。そうすると、この発電所建設ペースがいまのままで進むとすれば、使用済み核燃料というのは相当膨大な量になってくる。ところがこれの再処理工場というのは、私が聞くところによると、現在東海村に建設中の処理能力年間二百十トンだけで、第二、第三の処理工場の建設というのは全くいまのところ目安がついてないと。こういうことになりますと、建設中のこの東海村の処理工場の処理できるのは昭和五十二年までで、五十三年以降は手当てがされてないと、こういうことを言われていますけれども、これはほんとうですか。もしほんとうだとすれば、この再処理体制の見通しというものが全く立たないままで原発建設を進めるということになると、いろいろと御説明はありますけれども、これはちょっと本末転倒のような気もいたしますが、この点はどうなんですか。
  306. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 原子力発電安全性が問題になりますきわめて重要な方面は、この方面に今後なろうと思います。原子力発電自身は、先ほど来事務方からも話がありましたが、もちろん日進月歩でございますから、その方面も力こぶを入れていかなければなりませんが、やはりこの使用済み燃料の再処理の問題とか、あるいは廃棄物の処理ということにこれからの重点としてやっていかなきゃならぬと思います。現在、ことし完成をいたして、来年から動き出します再処理工場は、これは原子力発電所の発電容量にいたしますと約八百万キロワット程度の分をまかなう容量でございます。現在のわが国原子力発電は六基、二百三十万キロワットでございますので、あと五百七十万キロワット分ぐらいゆとりがあるわけでございますが、これからも原子力発電所で建造中のものがどんどん完成してまいります。そういたしますと、まあ八百万キロワットぐらいにわが国原子力発電が伸びる時期が、三年ぐらい後に予想をされると私ども考えるわけでございます。  それからあとどうするかということが問題になろうと思うんであります。で、従来、昭和四十六年原子力委員会において内定し、四十七年の原子力委員会の長期計画のもとにおきましてはこれについて、民間で第二の次の再処理工場をつくったらどうか、それが望ましいというサゼスチョンといいますか、勧告がなされておるわけでございまして、その勧告の線に沿って二、三日前に電力業界におきましてはこの問題と真剣に取り組んで体制を整備しようという動きがようやくまあ表面化いたしたわけでございます。これからできる再処理工場の規模は、いままでの、現在日本でことし完成する再処理工場のおよそ一けた違うぐらい大きな規模でないと採算に合わないわけでございます。現にことしできて完成してこれから——来年から動き出します再処理工場の費用は、各電力会社原子力発電所から出てまいりますこの使用済み燃料ですね、そこへ持っていって再処理頼むわけでありますが、その費用がどうも国際水準からいえば割り高につくというのは、現在の日本の新しい再処理工場は小規模であるからでありまして、やはり規模を一けた大きく拡大しなきゃならぬ、それを民間のほうで真剣にこれを考え始めたということでございますが、これができますのに相当期間がかかると思います。  そこで、三、四年あとからと、その第二処理工場ができるまでの間はどうするかという問題が一つあるわけでございますが、その件につきましては英国とかフランスとかアメリカの、いま国際的にいいましての再処理工場はキャパシティーが非常にゆとりがあるわけでございまして、それらのところに委託することによってその間をまかなうことは可能であるという見通しであるわけであります。ただ私どもは、何しろこれ、英国とかフランスとかアメリカとかにそういうものを頼んでいくことが適当かどうか、やっぱりわが国でそれだけのものをやる体制を一日も早くつくらなきゃなりませんし、それから、あるいは日本の近いところにできれば考えていきたいというふうに考えておるわけであります。人によりましては、ウラン鉱を買う豪州とかあるいは南アフリカあたりに考えたらどうだという、そういう御意見もありますが、もし海外に立地するにいたしましても、日本の近辺にしかるべき場所があるならば、これまた一つのアジア地区における拠点としてそういう再処理工場を考えたらどうか。まあアイデアとしてはそういういろんなアイデアがあるわけでございますが、大局的に申しまして、原子力発電がどんどん進んでまいりました際における使用済み燃料の再処理につきましては、ただいま申し上げましたようなことで先行きの見通しは腰だめ的にはついておるわけでございます。そういうことでひとつ御了解を願いたいと思います。     —————————————
  307. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 委員異動について御報告いたします。  本日、工藤良平君、辻一彦君が委員を辞任され、その補欠として林虎雄君、宮之原貞光君が選任されました。     —————————————
  308. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  309. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めてください。   〔委員長退席、理事竹内藤男君着席〕
  310. 竹田現照

    ○竹田現照君 いま長官お答えになりましたが、私が先ほどお尋ねしたように、五十二年、いま建設中のものは年間二百十トンしか処理できないと、五十三年には三百八十九トン、約三百九十トンにも達すると、使用済み核燃料が。これはほんとうかということをお尋ねしたわけです。もう大体倍近いものになるわけですが、これをいまお話しのように、アメリカだ、どこだ、イギリスだということをおっしゃっていましたけれども、一応六十年ないし六十五年度までの長期計画というものがあるわけですから、これに見合う処理能力を持つ再処理工場等の建設というものも当然並行して行なわなければならない。しかし、その見通しは立っていないということですからお尋ねしているわけです。ですから、いまお話があったように、一つの見通しがあるんだと、こういうことであればその見通しをひとつ、何年にはこうこうこういうふうになるんだということを一応御説明できるのならしてもらいたい。
  311. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 昭和四十七年に原子力委員会原子力の開発利用長期計画をつくりましたときに、その中にございます原子力発電の目標が、ただいま先生指摘昭和六十年度六千万キロワットでございますが、それに対応いたしまして、先ほど大臣から御説明申し上げました第二再処理工場の建設を民間に期待して進めるということを計画の中に織り込んでございます。その線に沿いまして、通産省とも協力いたしまして、電力業界を中心にいたしまして早急にその母体となります事業体を設立いたしまして、いわゆる第二再処理工場の建設を進めるという体制を推進している次第でございまして、電力業界といたしましても、その方向委員会を設立いたしまして具体化の計画に取りかかっております。  先ほど大臣からも申し上げましたように、実現には若干の年数がかかるかと思いますけれども、本年の一月に、原子力産業会議の主催で海外の再処理事業の実態調査のために調査団を派遣いたしました。その調査団の結論を見ましても、海外の再処理事業の受注余力が相当ございます。したがいまして、昭和五十二年度あるいは五十三年度当初ごろに、計画どおりにまいりますと現在建設中の動燃の第一再処理工場の能力が一ぱいになる見込みでございますが、そのあと第二再処理工場ができますそのつなぎといたしましては海外に委託するということでやっていけるという見通しを持っておりますので、もちろん第二再処理工場の建設は大至急急ぎたいと思っておりますけれども、そういうつなぎを海外に委託するということで再処理には支障がないという見通しでございます。
  312. 竹田現照

    ○竹田現照君 放射性廃棄物の処理、処分の問題も先ほど長官お話しになりましたけれども、これも原発建設とは必ずしも見合ってないんじゃないですか。ですから、両方相まちまして、原子力発電所建設のぺースと、いま私がお尋ねしているようなもののいわゆる建設ぺースというものとがやっぱり見合った形でやられるほうが一番いいんじゃないかと思うんですけれども、どうも建設を促進するというペースのほうが進んで、いま私がお尋ねしているようなことがずっとおくれているような感じ——感じというよりは、実際がそのように思うんですけれども。ですから、それを見合わせる必要があるんじゃないか、それはどうですか。
  313. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま御指摘のとおりでございます。で、それを見合わせるような計画で対策を進めておりまして、廃棄物の処理、処分につきましては、本年度の予算で廃棄物の処理処分センターという廃棄物の処理、処分の技術の開発あるいは処理、処分の施設の建設その他をいたしますセンターの設立の調査費を一千万円ちょうだいしておりますので、ただいまその具体化について検討中でございまして、明年度予算を要求いたします段階までに具体案を詰めてまいりたい、かように考えております。
  314. 竹田現照

    ○竹田現照君 次に、原子力委員会の機構についてちょっとお尋ねしますが、これは最高政策ですから、総理にお尋ねすべきことかもしれませんが、この原子力委員会は、アメリカと日本を比べてみましても、アメリカでは政策の決定から研究、開発、生産に至るまで、原子力に関する一切の権限を握っている。スタッフも七千人もいる。工場、研究所も六十三カ所もある。従業員は九万人もおって、年間予算は二十九億ドルにも達するということです。ところが日本は、これは総理大臣の単なる諮問機関で、科学技術庁長官——これは率直に申し上げて、原子力に関してはしろうとですね——を長として六人の委員がいる。個々の委員の方々がそれぞれの専門家だということになっていますけれども、必ずしもそうではないようですが。そういうようなことで非常に原子力委員会というものをもう少しはっきりと独立をさせ、強化をさせ、国民が信頼をするような行政が行なわれるような機構にしなければいけないのではないか、私はそう思うんです。その点はどうですか。通産大臣科学技術庁長官をおやりになっていらっしゃるし、そういう経験から照らしていまの日本のこの原子力委員会の機構というものがこれでいいのかどうか、お尋ねしておきたいと思います。
  315. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) いろいろ原子力委員会について御批判も含めての御意見を伺いました。アメリカ原子力委員会わが国原子力委員会が違う大きな点は、アメリカは軍事利用の面もあわせ持っておるわけでございますし、わが国は平和利用に徹しておりますので、その辺は原子力委員会の規模を論ずる際に十分御留意を願いたいところであるわけでございます。  それから、原子力委員会につきましては、国務大臣がしろうとであるということでございまして、私は格別自分のことを強力だとは申しませんけれども原子力委員会として仕事をするためには、今日の場合閣僚が入っておることがやはり一番仕事がやりやすいことであるというふうに考えておるわけでございます。しかし、日本の原子力基本法に民主、自主、公開という原則がございまして、その中の民主という一つの表現になっておりますのは、原子力委員につきましては合議制の機関としておるわけでございますし、また、委員の任命は内閣総理大臣の任命ということでございますが、国会の承認にかからしめているという意味において、いろいろ改善すべき点はないとは私は申し上げませんが、しかしながら、これが一つわが国原子力行政推進の大きな力になっていく、母体になっていく、いままでも大きな役割りを果たしてきたし、これからも果たさなければいけない、こういうふうに考えています。
  316. 竹田現照

    ○竹田現照君 アメリカは軍事力利用もあります、日本は平和利用だから同じ規模のものが必要ないと言えばそれまでですけれども、それにしてもいまの機構というのは少しちゃちでないか。いま長官は、いまの場合閣僚が原子力委員会に入っているということは必要だというようなことをおっしゃったんですが、いろいろと行政上そうなんでしょうけれども。  そこで私も、国会承認の人事案件を担当する者として感じているんですけれども、例の原子力委員の任命の問題ですよ。今日の場合、閣僚が入っているということが必要であるかもしれませんけれども、入っていることによって、原子力委員会の運営が閣僚の考え方でどうでも左右されるということがもしあるとすれば、これはたいへん遺憾なことでありまして、特に最近、田島先生の辞表提出問題等が起きまして、その経緯は新聞等でも伝えられているとおりであります。しかし、田島先生安全性に関する専門家として委員に選ばれた方ですね。その専門家が伝えられるようなことで辞表を提出をされるというようなことになりますと、これはもう原子力委員会に対する私どもの受けとめ方がたいへん問題になってまいります。ですからこの際、伝えられているような原子力委員会の運営のあり方というものは一体どうなっているのか、あらためて科学技術庁長官にひとつ御説明をいただきたいと思います。
  317. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 原子力委員会の運営は、きわめて民主的に運営をいたしておるつもりであります。
  318. 竹田現照

    ○竹田現照君 民主的に運営されているとすれば、田島さんのような辞表提出問題というものが起きないと思うんです。あれはやっぱり真実でないということなんですか。あなたが専断でやったなんということを認めるということになるとなかなかたいへんだから認めないのかもしれませんけれども、しかし、現実に起きているわけでしょう。だから、この点はやっぱりはっきりされておいたほうがいいと思うんです。
  319. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 竹田委員は、いろいろまたこの問題で御心配いただきまして、この機会に感謝申し上げます。   〔理事竹内藤男君退席、委員長着席〕 しかし、先ほど来各委員からこの問題お話しになっておられるわけでございますが、また、各委員の御質疑の際にも私がお答え申したことでございますが、実は私は、田島さんと特別意見が違ったこともございませんし、それからまた、感情的におもしろくないということもございませんしいたしておりましたところへ、宮島委員の選任をめぐりまして御意見があるやに伝えられてびっくりしたわけでございます。しかし、そういう関係でございますから、田島委員がお考えになっていることもよくひとつ聞いてみなきゃいかぬと。新聞にいろいろ出ておりますが、新聞はまた御案内のとおり、ほんとうに考えているとおりのことが必ずしも出ているかどうかはいろいろ問題もございますから、私どもは、やっぱり御本人のなまの声をよくお伺いをいたしたいと思いましたし、また、私の考えていることについても御理解は願っておると思うのでございますが、こういうことになってみると、いろいろ意思の疎隔はあったのではなかろうかと思います。そこで、一回ゆっくり会ってそれからということで、それ以上のコメントは、事は人事に関することでございますから御遠慮申し上げようということで、きょうは各委員にお許しを得ているわけでございます。  ただ、できるだけ早い機会に、こういうことで隔意のない意見交換をやりたいと、そういうふうに考えておりますので、どうか事は人事にわたることでございますし、私もこういう事態でございますから、いろいろ申し上げたいこともございますが、ひとつこの程度にとどめることをお許しを願いたいと思う次第であります。
  320. 竹田現照

    ○竹田現照君 人事ですから、おっしゃるとおり、あまりこういう公開の場でやるということも当を得ていないと思いますから、これ以上言いませんけれども、ただしかし、あまりこういうようなことが流布されることは好ましくないことですから、原子力委員長として十分の御配慮があってしかるべきだと思うわけです。  そこで、やはりいろいろなことをお尋ねしてきましたけれども安全性に対する住民の判断というものは、それを裏づける機関がどこまで信頼されるかということにかかっているわけですから、原子力委員会あるいはまた原子炉安全専門審査会等々もありますが、こういうものの判断が、あるいは審査会等の資料検討結果等々というものをもしさしつかえないということになれば公表してでも、そして住民の信頼を得るようにつとめるべきではないかと私は思うのですけれども、こういう点、安全性の問題について最後にお尋ねしておきます。いかがですか。
  321. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 原子力基本法のあれにもございますように、成果の公開という原則が掲げられておるわけでございまして、私ども立場といたしましては、極力その方向で処置してまいりたいと思っております。ただ、いろいろ困りますことは、全資料を出せというようなお話がありますとときどき閉口することもあるわけでございますので、その方向に沿いまして考えてまいりたい。成果の公開というたてまえで考えてまいりたいと思っております。
  322. 竹田現照

    ○竹田現照君 理事会のいろいろのお話もあったようですから、私もそれを踏まえて、温排水等の問題についても実はお尋ねをしたかったのです。公害国会の際に、私からもこの温排水の問題について質問をしておりました。しかしその後、水質汚濁防止法制定にあたっての附帯決議、こういうものにも明記をされておりましたけれども、公害国会以来三年たっていますけれども、この基準もまだ設けられていないというようなこともありますが、こういう問題についても十分に対処していただきたいと思いますし、先ほどお尋ねしたきのうの科学技術会議の中間報告でも、温排水などの二次的利用を促進すべきだというような御意見も出ておるようですから、この問題についてひとつ十分な配慮をしていただきたいと思います。  それで最後に、火力あるいは原子力発電いろいろと言われておりますが、水力発電の問題についてちょっとお尋ねしておきますが、政府は水力開発対策をどういうふうにお考えになっているのか。一ぺんに全部お聞きします。  それから、これも全く私はしろうとですが、いろいろ聞くのですが、いまのダムには、何ですか、標準堆砂率というようなものがあるそうですね。ところがこれが、それをまだこえているダムがかなりあって、それによる発電ロスというのか、発電量というものがかなり減っている、だから、このことをもう少し対策を打つことによって水力発電による発電量というものはかなりの量がふえるのではないかということを私に言った者がいるんです。ところが、いろいろと資料をいただいて見ましたけれども、全国的にたくさんあるダムのことですから、どういうことになるのかちょっと私もわかりませんけれども、そういう点はどういうふうになっておられるのか、水力の見直しとあわせましてひとつ御質問をしておきたいと思うんです。かためてお答えいただいてけっこうです。
  323. 井上力

    説明員井上力君) 水力発電につきましては、国内循環資源でございますので、これの開発は大いに促進してまいりたい、かように考えております。水力発電につきましては、現在約二千二百万キロあるわけでございますが、さらに未開発の包蔵水力が二千五百万キロワット程度あるというふうに考えられております。これの開発につきましては低利資金の投入、あるいは多目的ダムヘの発電参加の促進その他電発公営等の活用等々の対策によりまして、水力の開発は大いに促進してまいりたいというふうに考えております。  それから堆砂の問題でございますが、堆砂の問題につきましては、各ダムにつきまして年々資料をとっておりまして、これを排除し、ダムの有効貯水量を活用すべくいろいろな対策を考えておるわけでございますが、特に先生のおっしゃいましたような標準堆砂量というようなものは考えておりませんで、個々のダムによりましてケース・バイ・ケースに排砂の対策をやっておるというのが実情でございます。
  324. 大矢正

    ○大矢正君 先日来、この法案が審議に入りましてから主として問題にされましたのは、御存じのとおり原子力発電安全性に関することであります。私は原子力問題の専門家ではありませんので、先般来御質問いたしましたわが党の辻君のように、具体的な事例をもって詳細に大臣その他関係政府委員に質問をするほどの見識は持ち合わせありませんが、ただ、この法律案それ自身は必ずしも内容的に反対なものでは私自身ないと思います。が、しかし、この法律案が特定の目的を持つということと、不確定要素の多い原子力発電所を完全に安全だという認め方をして、その上でその立地問題をきめようとする法律であるがゆえに先般来疑問が投げかけられており、また、質疑が行なわれておるのだと思うのであります。  そこで通産省は、安全だから建設をしなさいという科学技術庁の安全審査の結論に基づいて設置をする側でありますから、ですから、安全に関する結論というものはもっぱら科学技術庁においてこれを判断をするということになることは言うまでもないところであります。  そこで、森山長官にお尋ねをしますが、私は、抽象論であり原則論でありますけれども、地方自治体や地域住民に対してその地域に病院をつくる、道路をつくる、学校をつくる、あるいは港をつくるということを条件にして発電所をつくることを認めさせるというようなことよりももっと先にやらなければならないことは、原子力発電所というものがいかに安全なものであるかということを政府みずからが明確に示し、そして国民的な合意の上に立って了承を得られるということが問題の解決であって、この法律というものはあくまでも補助的なものにすぎない。その原則がどうも忘れられているような気がしてなりませんが、長官いかがでしょう、お答えをいただきたいと思います。
  325. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) この法律の趣旨につきましてただいま御意見を承りまして、まことに感激をいたしております。それは何と申しましても、発電所の開発利益は電力の送られる先の町場の工場や住民に限られるべきではなくて、やはり地元の人たちに対してその開発利益を還元する、そういう趣旨でこの法律がつくられておるわけでございまして、世にいわゆる安全性問題等はこの法律の前段と相なるものであって、これは決して、そういう点に問題があるから地元に対して何らかの利益を掲げて、その問題をこの法律によって解消しようというような趣旨では全くございません。その問題につきましては、先ほど竹田委員からも御質問ございましたから、私どもといたしましては、これは金だけですぐ解決するわけではございませんけれども昭和四十九年度の安全性の確保、安全性に関する予算は四十八年度の倍以上にふやすという努力もいたしましたし、また、これはことし一年に限らず、おおむねいまの予定では三年計画程度でこの方面の充実をはかろうというふうにいたしておるわけでございますから、どうか、この法律をもって世にいわゆる安全問題についてのいろいろな疑念にこたえる、この法律はそういう法律ではなくて、開発利益の還元であるということでございます。  そして、前段になります安全性の確保の問題につきましては、ただいまお話がありました点をよく考えまして全力を傾倒し、政府の責任をもって対処をするつもりでございます。
  326. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 関連。
  327. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 須藤君、関連を許しますが、ひとつ一問だけにお願いします。
  328. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 問題は一つですけれども、三つぐらいに分けて聞いたほうがわかりよくていいと思いますので、私は三つぐらいに分けて聞きたいと思います。  一つは濃縮ウランの輸入先の問題ですが、現在どこの国どこの国から輸入しておるかということが一つ。それで、その輸入量、その輸入に対する価格、トンどのくらいについておるか。まずその点をひとつ。
  329. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 現在、原子力発電燃料になっております濃縮ウランでございますが、これは、天然ウランをアメリカの濃縮工場に持ってまいりまして、アメリカで濃縮ウランに加工して輸入しております。  値段でございますけれども、三十六ドルないし三十八・五ドルぐらいでございます。これは普通、俗称トンと言っておりますが、SWU当たり三十六ドルないし三十八ドル五十セントということでございます。
  330. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 アメリカだけですか、いま輸入しているのは。
  331. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 現在は濃縮ウランはアメリカだけでございますが、そのもとになります天然ウランは数カ国から輸入しております。アメリカ、カナダ、豪州、フランス、アフリカ等でございます。
  332. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、この間、田中総理がフランスへ行って千トンの契約をしてきたというのは、濃縮ウランでございましょう。
  333. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) そうです。
  334. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その価格はどのぐらいの価格で約束されておりますか、トン当たり。
  335. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 四十七ドル程度といわれておりますが、まだ最終的にはきまっておりません。
  336. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 買い入れにつきまして条件がついているだろうと思うんです。アメリカから買う場合、アメリカ政府が日本に輸出するについては条件をつけてきておると思うんです。また、フランスも同じように条件をつけてきておるだろうと思うんですが、アメリカはどういう条件をつけてきておるかやフランスはどういう条件をつけておるのか、そういうこと。
  337. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) アメリカからの濃縮ウランの買い付けにつきましては、日米原子力協定という協定がございまして、それに基づいて供給されるわけでございますが、条件のうちの最も重要なものは平和利用に限定するということでございます。  フランスにつきましては、まだ確定しておりませんが、アメリカと同様の条件になろうかと考えております。
  338. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その使途は平和利用という点に限っておるわけだと私も思います。そのとおりだと思いますが、アメリカから買う場合、何年間保証するとか、そしてアメリカが保証している間によその国からは輸入してはならないとか輸入してもよいとか、そういう拘束は受けてないわけですね。
  339. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) さような拘束は受けておりませんが、先ほど申し上げました日米原子力協定によりまして、六千万キロワットの原子力発電に相当する濃縮ウランをアメリカが供給するという約束になっております。
  340. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一つです。将来よその国から輸入するというような計画はお持ちではございませんですか、どうでございましょう。
  341. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいまはっきりしておりますのは、アメリカを中心にいたしまして、昨年、田中総理がフランスを訪問されましたときに合意されましたフランスからの先生指摘の千トンでございます。で、そのほかの計画は具体化しておりませんが、今後ヨーロッパでの濃縮計画にわが国が参加することも予定されますので、今後の見通しといたしましては、多少供給先がふえてまいるということも考えられると思っております。
  342. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 昨年私、ソビエトへ旅行しましたときに、日本の同僚議員から向こうに対して濃縮ウランの輸入について話が出たわけなんです。そうしたら向こうは、もしも日本が要求するならば、希望するならばそのことは考えていいというような意味の答えをしておるわけでございますが、日本政府として将来、ソビエトからも濃縮ウランを輸入しようという考えがあるのか、その場合の量並びに価格、条件、こういうことまで政府として検討しておるのかどうか、そういう点をこの際ちょっと伺っておきたいと思います。
  343. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) ソビエトと原子力の関係につきましては、昨年、科学技術協定を締結いたしました。その中に原子力を含めてやろうということで、先般、昨年でございましたか、日本の業界の関係者が向こうへ渡りました。それからまた、ことしに入りまして原子力委員会の副委員長ですか、モロコフさんはじめの一行がこちらに来られました。やっと交流が始まったところでございます。  先ほど須藤委員がお話しのようなお話も、前に出たようなことも私は耳にいたしておりますし、モロコフ氏が来られて日本の業界とのお話し合いのときに、そういうことに触れられたようにも思いますが、何分両国の原子力関係の交流がようやく緒についたというようなところでございますから、そういう問題につきましてはもう少し事態の推移を見ていく必要があるんじゃないか。私自身もモロコフ氏にお会いをいたしましたが、私のほうからは格別は申し上げませんでした。何かお話があるかなというふうには思いましたが、格別お話はありませんでした。やっと科学技術協定が結ばれ、その中に原子力を含めて考えられ、ようやく両国の関係者の交流が始まったところでございますから、これは将来の問題として考える、現在はそういうような状態で、一応御報告申し上げておきます。
  344. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私はソビエトへ行ったときも、ソビエトにおける原子力発電所の状況についていろいろ質問しました。あなたたちは原子力発電というものは絶対安全なものと考えておるのかという質問もしました。やはり向こうでも危険はあるということを意識しておるように私は聞きました。それで、原子力発電所をつくるときに、まず第一にソビエトで考えるのは地理的な問題ですね。あまり民家に接近したところではない。しかし、それはソビエトは土地が広いですから、そういうことは十分に私はできることだと思うんですが、日本は何といっても土地の小さいところですね。そこで、原子力発電所をつくるとなれば非常な困難があると思うんです。だから私は、日本のようなところで原子力発電所をつくるのは非常な困難があるし、無理をすべきでない、こういう意見を持っております。それと安全性というものが、まだ国際的にも確認されてない時期でございますから、原子力発電所をつくるのにはよほど警戒をしていかなきゃならぬ、こういうことです。  それから、ソビエトにおきましても、やはりつくる周辺の住民の同意というものを非常に重視しておるようです。住民の反対意見というものがあれば、そういう無理をしない。住民が納得した上で建設するということもソビエトでは言っておったように私は聞いて帰りました。  だから、私たちが反対しても、皆さんは原子力発電所をつくろうという熱意が非常に大きいようですから、それを強行されるかわかりませんが、その場合はやはり発電所周辺の住民の納得というもの、話し合い、それをぜひ尊重していく必要があると思っておりますが、通産大臣、その点は政府としてよく考えてやっていかれる方針なんですか、どうでございましょう。
  345. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点につきましては、前に御答弁申し上げましたように、地元の住民の皆さまの御意見をよくそんたくして、意見の疎通を行なって、そして調整の上でこれを建設する、そういう方針を推進してまいりたいと思っております。
  346. 大矢正

    ○大矢正君 先ほども私申し上げましたとおり、原子力発電安全性とそれから一般火力発電の環境汚染問題ということがなければ、この法律案は私どもももろ手をあげてこれはむしろ賛成をするというものだと思います。  問題は、皮肉な言い方をするようで恐縮でございますけれども安全性が完ぺきなものではないというその弱さを、むしろこの法律で補強して原子力発電所や一般火力発電所を建設しようという、あるいは環境汚染に対する十分な対策や配慮ができないから、発電所の立地が困難であるためにこういう法律をつくらなければならない、こういう理屈になるわけです。しかし、まあこれは水かけ論ですから、幾ら私が申し上げてみてもせんかたないと思います。  そこで、原子炉原子力発電所の耐震性について森山長官にお尋ねをいたしたいと思うのですが、よく引き合いに出されるのは関東大震災であります。関東大震災よりも三倍強い地震が来ても現在の原子炉安全性というものは、安全維持は保たれることになっておるというような御発言も本日——一昨日でございますか、あったようでありますが、今日、この世界最大の地震というのは一体加速度としてどの程度のものがあるのか。それから、それはわが国最大と言われる関東大震災の加速度、これと比べてみまする際にどういう数字になってあらわれてくるか、資料がありましたらお答えを願いたいと思います。
  347. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) ただいまのお話はきわめて重要でございます。わが国のように地震の多発国におきましては、原子力発電所の建設に他国に類のないようなやっぱり対震構造というものを考えてやっていかなきゃならない、まさにそのとおりでございまして、常識的に関東大震災の三倍ぐらいの強度のものであるというふうに御説明を申し上げており、また、そういうことであるから、地震が起きれば原子力発電所のそばが安全だというような笑い話さえ内部でする人もあるということをこの間申し上げましたが、厳格に申しますれば必ずも正確な表現ではございませんので、この問題について前々から事務方のほうに検討もさしてございますので、事務方のほうから答弁いたさせます。
  348. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいま大矢先生の御質問につきまして、まず原子炉施設の対震設計、その安全審査につきましては二つの手法をとるわけでございます。  一つは静的解析と申しておりまして、重力の加速度、これが静的に加わった場合にどういうことになるかということで、これは一般の建築基準法におきましてもこれは基準が定められております。大体のところが二百ガル——ガルと申しますのは重力の加速度の約千分の一でございますか、二百ガルというのが建築基準法でとられておりますが、その建築基準法でとられております水平震動、これの三倍を原子炉施設の中で特に重要な施設、たとえば原子炉、あるいは原子炉建屋等についてはとっておるわけでございます。  それからいま一つ、さらに念を入れまして動的解析というものを行なっております。この動的解析と申しますものは、原子炉施設を立地いたしますその場所の付近におきます過去の地震、最大の地震歴、そういったものを全部十分調査をいたしまして、さらに近くに断層がないかとか、そういうふうなことまでも十分に調査をいたしました上で、その基盤の受けるであろう最大の加速度を取りまして、それにさらにやや余裕を持ちましたものをもとといたしまして、これをもって基盤がその加速度で動くときに上の方の建屋の各部分がどういうふうな応力を受けるかと、そういうところまで詳細に解析をいたすわけでございます。そういうふうなことをいたしますので、私どもといたしましては、まず原子力施設につきましての耐震性は十分検討されておると考えておるわけでございます。  なお、先生の御質問の中にございました外国での非常に最大の地震で、どの程度の重力加速度を得ておるかということでございますが、普通は相当大きいところで五、六百ガル程度と聞いております。中にはごくまれな例として千ガル程度のものは一、二あったように記録もあるようでございますが、大体相当大きいもので五、六百ガル、なお、先ほどの動的解析は地盤のところでの加速度で考えておりますので、地表面なり上のほうではやはりこの二、三倍程度のものがある、それでも十分耐えられる、こういう設計になっておる次第でございます。
  349. 大矢正

    ○大矢正君 科学技術庁が衆議院の商工委員会で、関東大震災における加速度は二百ガルであるという答弁をされておりますが、それは間違いございませんか。
  350. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘の点は私が答弁を申し上げたわけでございますが、関東大震災におきます加速度でございますが、大体本郷付近におきまして二百ガルというふうに推定されております。実際にこれは先ほど科学技術庁説明にもございましたように、地盤の悪いところではもっと大きい加速度があるわけでございまして、鎌倉付近では三百ガルというようなものも出ておるケースがございます。
  351. 大矢正

    ○大矢正君 私が聞いたところによりますと、かってのロサンゼルス地震は千ガルをこえて千二百ガルもあったというようにいわれておりまするし、それから、これだけではなくて世界の大きな地震を見ますると、その程度の地震は起こらないという保証は何もない、現に起きておる。そういたしますと、関東大震災が二百ガルであり、その三倍の耐震性というと六百ガルですが、六百ガルというものを基調にして、それで耐震性は十分備わったという考え方というものは世界的なこの地震の実際からまいりますと、私は、まことにその基準が違ってきておるんじゃないかと。日本には関東大震災しか過去においては大きなものはなかった、だからこれの三倍でいいという論理は成り立たないのであって、日本の国は関東大震災よりもっと強い地震がないという保証はないわけでしょう。しかも私が申し上げましたとおりに、世界的には千二百ガルというような地震だって起きているわけですからね。そうすると二百ガルの六倍ということになりますよ。三倍の耐震構造しかないけれども、現実には六倍の加速度のある地震が現に起こっている。とすれば、わが国原子炉というものは完全にその段階において重大な災害を発生する、こういう結果になるんでないでしょうか、その点はいかがでしょうか。
  352. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 先生指摘の、たとえばロサンゼルス地震、確かに千二百という数値が観測されたようでございますが、これは先生御高承のとおり、ロサンゼルス地震と申しますものは、その被害が局所的でございまして、非常に地盤の悪い特殊なところでたまたまそういう数値があった、こういうふうに地震の専門家からの御説明を受けております。で、原子炉安全専門審査会は、地震の専門家、地質の専門家、各方面の専門家の御意見を受けまして検討いたしておるわけでございますが、たとえば先ほどの動的解析を行ないます場合には、特に原子炉の格納容器とかあるいは制御棒の駆動機構とか、そういうものにつきましては先ほどの基準の値、つまり、過去の地震歴の最大なものに多少余裕を加えた基盤の震動に対して、さらに五割増しというふうな計算もいたして、その安全性確認いたしておるわけでございます。地盤が非常に強固であるところを選びまして、その地盤の上に直接建設をし、過去の地震歴の最大に余裕を持ち、重要な部分はさらに五割増しというふうな、非常にある意味では万全の検討もいたしておるわけでございますので、そういう点からいたしまして、先生の御指摘の点もあろうかと思いますけれども、耐震性ということについては十分なる検討が行なわれて……。
  353. 大矢正

    ○大矢正君 どうかと思いますがというのはおかしいじゃないか。  森山さんはたいへん博識なようですから、あなたから御答弁いただいたほうがいいと思うので、事務方事務方と言わないで、あなたからひとつ御答弁をいただきたいと思うんですが、いまの話を聞いていていかがですか。日本の国には関東大震災の三倍より以上の地震というのは絶対あり得ないということの保証はどこかにあるんですか。こういうところが言ってみればコンセンサスを得られないところなんですよ。ですから、むしろそういうむずかしい理屈を並べるんじゃなくて、これだけ耐震構造になっておるから、皆さん心配ありませんよという話でなけりゃ地域住民は納得しないわけです。それは、安い二次エネルギーの供給という立場から見て原子力が絶対必要であり、そのことはわかっておるんですよ。わかっておるが、しかしながら、みずからの生命、財産が危険におかされるということがあるから反対をしているんであって、それに対して明確な答弁がないということは、私は非常に残念ですよ。私の言うことがもっともだというんだったら、もっともなような答弁をしてもらわないとね。これはもう日本の国には関東大震災の三倍以上の地震は絶対あり得ないというならば、ロサンゼルスの千二百ガルというような大きな地震は、日本の国には絶対起こらないんですという保証は何によってできているのか、お答えをいただきたいと思う。
  354. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 通例わが国は地震国でありますから、原子力発電の場合には設計上、この地震に対する対策については非常に力こぶを入れている。常識的に関東大震災の三倍、そこで専門分野のことばを使っていま御説明願ったように、それはもう少し正確に言えば関東大震災の三倍以上の構造。もう少し詳しく言うならば、各地区地区で考えられる最大限の規模をこえるものを含めての耐震構造になっているということでございますが、そういうふうに言うとなかなか長くなりますし、私ども専門家ではございませんから、先ほど原子力局の技術次長からお答えしたような専門用語になると、なかなか私どもも理解できないようなむずかしい理屈になるわけでございますが、心配ない体制をつくっておると私は理解をいたしておるわけでございます。
  355. 大矢正

    ○大矢正君 次長、あなたもう一回答弁してくださいよ。日本の国に三倍以上の地震がないというこの根拠をはっきりしてください。
  356. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 先ほどの御説明があるいは足りなかったかもしれませんが、具体的にやっておりますのは、ある地点におきまして原子力施設を設置しょうといたしますときに、過去千年以上にわたりますその周辺地域の地震歴を調べまして、その最大規模、それを越えるものを想定いたします。そういうことでございますので、それで先ほどの静的解析の場合の三倍というものよりも、したがいましてその過去の地震歴によりますものが動的解析の場合それをこえるという場合に、動的解析のほうをとるわけですから、単に三倍ということではなくて、その地点地点における最大の想定される地震の、さらに余裕をとったもので解析をする、こういうことでございます。
  357. 大矢正

    ○大矢正君 先般、非常に悲惨な伊豆沖地震、これで地域住民がとうとい生命を多数失うという結果になり、遺憾なことに生命、財産がそこなわれるということになったわけでありますが、あの伊豆沖地震というものが発生をしてみて、ああ、こういう大きな地震というものがこの地帯にも発生するんだということが初めてわかったわけですね。でありますから、あらゆるものが未知数ですよ、はっきり申し上げて。たとえば、どの地域はどの程度の地震、どの程度の加速度の地震しか起きないという断定的なことは言えないわけですからね。しかも、日本全国くまなく、これは別に地震計、その他科学的なデータを集めて、その上でやられているわけではない。大まかに、大体この辺一体はまあ過去にはどの程度の強度の地震、どの程度の加速度の地震しか起きていないからまずはだいじょうぶであろうと、まあ言ってみればこういうものにすぎないのであって、絶対に強い地震がないということは言えないわけです。  そこで科学技術庁は、この耐震性の問題についてどういうような調べ方をしたのか。過去における地震の記録ですね、それはどういう形で調べたのか、お答えを願いたいと思います。
  358. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 原子炉安全専門審査会には地震の関係の御専門の方がたしか三名おられまして、さらに地質の御専門の方が調査員として二名御協力をいただいております。先生御高承のとおり、日本の地震学というのは世界でもトップクラスと申しますか、第一番だというほど地震学そのものは発達しておるということでございますが、そういう先生方が、過去の地震歴につきまして、特にある原子力施設の場所がきまりますと、その周辺につきまして、従来の地震、過去の地震歴を詳細に調査をいたしまして、さらに地質構造その他についても十分な検討をいたしまして、解析を進めるわけでございます。たとえば、先ほどの伊豆沖地震の先生の御指摘でございますが、浜岡発電所というのが中部電力にございますが、そこでの解析の例を申し上げますと、過去の地震歴で、遠州灘沖合いで生じますものがマグニチュードで申しまして八という程度のもの、これが最大だそうでございます。その場合に、基盤における加速度が二百八十五ガルというふうな推定をされるわけでございますが、それに余裕を見込みまして、三百ガルという加速度を想定し、さらに、先ほど申し上げましたように、重要なものについては四百五十ガルというふうな想定をいたすわけでございます。で、これは基盤での加速度でございますので、地表におきましてはこの二、三倍程度の加速度になるということでございます。そういうことでございますので、過去の地震歴から見まして、さらに余裕をとって十分安全性の配慮は行なわれておる、こういうふうに私どもとしては考えておりますが、さらに地震学の発展に伴いまして、将来ともこの点についての安全解析については万全を期したいと思っております。
  359. 大矢正

    ○大矢正君 最近ある会議で述べられていることでありますが、原子炉とそれから発電所との間に地質的に断層があり、地震の際には当然そこに段差ができて、そのことのために重大災害が発生をするおそれあるという説を述べておるところがございますが、そういうような地帯というものはございませんか。
  360. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) いままで安全審査をいたしまして、設置を許可いたしましたものにつきましては、そういう例はないと承知いたしております。
  361. 大矢正

    ○大矢正君 原子力発電所の地点設定の際に、岩盤その他水の問題いろいろあるでしょうが、極力地震の常襲地帯であるとか、あるいは地震の強さ等を勘案して地震の弱い地点を選んで、もちろん、それはそれだけじゃない、岩盤その他地質等もございますが、そういうものを十分調査された上で自信を持って、現状では二十六地点ですか、さらに将来五十、六十というふうにふえていくでしょうが、地点設定をされておられるんですか。  それは、と申しますることは、非常に子供っぽい質問をするようでありますが、ずいぶんといまの地点の中には、地震の多発地帯と思われるところに地点を設定をしている向きがあるように言われております。そういうこともまた地域住民の合意を得られない理由にもなっているわけでありますが、科学技術庁としては、そういう面についての専門的な調査は十分に行なわれておるのかどうか。
  362. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ある地点が原子力施設の設置地点として適当であるかどうかということにつきましては、いろいろな観点から調査をするわけでございますが、特に地震につきましては、専門家の御意見でも、地震のときの加速度と申しますのはある地点で幾らということではなくて、そこの地盤、地質状況が非常にこれを大きく左右する。たとえば関東大震災の場合でも、非常に地盤のいいところと地盤の悪いところでは相当加速度が違うというふうなことも実証されておるわけでございます。したがいまして、その過去の地雷歴を十分その周辺について調べますと同時に、基礎岩盤の一番よいところを選びまして破砕帯などがない、あるいは断層が近くない、そういうふうな条件を満たしているかどうか、地質と岩盤の面に十分注意をいたしまして場所を選ぶ、こういうことでサイトを選んでおる、こう承知いたしております。
  363. 大矢正

    ○大矢正君 最後に通産大臣、それから科学技術庁長官のお二方にお尋ねをいたしますが、先般来、原子力発電所の安全性の問題が盛んに議論されておるわけでありますが、われわれが非常に心配をしますことは、この法律ができることによって住民の中に賛成派と反対派を明確にしてしまう、言ってみれば良識ある、何というのですか、中間的な、十分安全性があるかどうか、あるいは環境が保てるかどうかというようなことを冷静に判断をしてやろうというような人たちが少なくなって、賛成か反対かということにして、もう地域をまっ二つに割るというようなおそれを十分に感ぜさせる点があることと、いま一つは、不信感から申し上げるわけではありませんけれども、やはりこの法律ができたからもうこれで反対運動は下火になるであろうなどという判断のもとに、安全性の問題についての取り組む姿勢がおろそかになってきたのでは、あるいは弱くなってきたのではまことに残念な結果をもたらすわけであります。私は、いま申し上げました二点がこの法律の実施にあたっては非常に懸念されるところなんでありますが、所信のほどを承っておきたいと思います。
  364. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま御指摘がありました、この法律を実施することによって住民の間に分裂を来たすとか、あるいは特に冷静に批判する第三者的な住民たちが巻き込まれるとか、圧迫を受けるとか、そういうことは厳に戒めなければならないと思っております。われわれは、あくまで住民の心からなる納得、知的協力と申しますか、科学的理解の上に立って冷静な批判の上にこの試みに御協力を願うという態度でいかなければなりませんし、またわれわれが啓蒙する際にも、十分な点は十分に、不十分な点は不十分に、やはりありのままに事態を解明して説明申し上げなければならぬと思います。新しい科学技術でございますから、いろいろ万全の対策は講じておっても、それでもまだはからざるところがないとは限りません。そういう点につきましては、やはり謙虚に反省しながら改良を加えつつ、また、この法の運用もそういう精神に沿ってやっていきたいと思います。  それから、安全性の確保の点は、これは当委員会におきまして、もう終始御指摘いただいた点でございまして、法案が通ったら安全性の問題が解決した問題であるとは絶対に思いません。原子力委員会のあり方、あるいは通産省原子力発電の推進のしかた等についても、いろいろ御批判のあることを私はよく承知しております。私も科学技術庁長官を在職したことがございますが、やはり原子力委員会をさらに充実強化する、そしていわゆる第三者的な冷静な判断をする機関にできるだけ近づけていくということは、非常に重要な点であると思っております。田島委員がおっしゃったといわれるような専門の常勤の安全審査の委員を充実せよという考えは、私は外で聞いておりましてもっともな御議論であるというふうに思います。おそらく森山長官におかれても、原子力委員におかれても同じようなお考えでいるのではないかと私は思います。それは、いままで原子力委員会でかねてから課題であって、指摘せられてきた問題で、まだずっとそういう点は今後ともわれわれが戒心していかなければならぬ。ポイントであると考えておったからであります。そういう点につきましては、通産省のいろいろな検査やあるいは審査、点検等についてもいわれることでございまして、われわれのほうも負けずに充実してまいりたいと思います。
  365. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) 大矢委員が先ほど来御質問されました、特にこの法律の趣旨についてきわめてクリアーに御理解を賜わりまして、まことに感激にたえません。それだけに安全性の確保という問題については万遺憾なきを期するために、全力を傾倒いたすつもりでございます。どうかひとつ今後の成り行きを御注視を願いたいと思います。
  366. 大矢正

    ○大矢正君 私は最後に剱木委員長に一言申し上げ、この場で答弁をいただけるならば、ぜひ御答弁をいただきたいと思うのでありますが、それはこの法律案が審議され始めましたのは二十八日でございまして、まだ四日しかたっていないわけであります。先ほども申し上げましたとおり、この法律それ自身はそれほど重大なものではありません。ただ、この法律が及ぼす結果なり効果なりというものを考えますると、それはあまりにも重大であるということで、私どもとしては慎重な審議がぜひ必要である、こういう立場を強く主張してまいりました。ところが、いま言ったような結果で、どうしてもきょう採決に応じてもらいたい、こういうことであります。私は、長い間この商工委員会の運営をみずからもし、また、皆さんとともにやってまいりまして、この商工委員会が不規則な形で収拾をされるということは非常に遺憾なことだということを痛感し、私自身重大な決意をもってこの採決に参加をすることになったわけであります。したがって、私といたしましては、このように短期間のうちに、いかに政府の強い要望があったからとはいえ、無理押しをして法律を通過させるということは、これはぜひ避けなければならぬことであり、十分な参考人の招致あるいはまた連合審査等を重ねた上で、野党も納得の上法律案の採決をすることが正しいと考えておりまするし、特に今後の運営にあたりましては、二度とこういうことのないように剱木委員長みずからが衆議院に対して強く要請をし、そしてまたみずからの決断に基づいて、私がただいま申し上げましたような正常な運営を今後していただけるかどうかをお尋ねをいたしたい、こう思うところであります。
  367. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 大矢君の質疑に対しましてお答えいたします。  実は、重要法案が衆議院において相当日数を審議されまして、参議院に参りますときは、ほんとうに押し迫ってから参議院に送付されてまいりまして、参議院では慎重に十分審議をする時間がなくて、ついに御無理を申して採決をお願いするという状況になりますことは、まことに大矢君同様私どもも遺憾に存じておる次第でございます。  特に本法案につきましては、参りましてからまだわずかに四日、しかも定例日は二十八、三十の二日間だけでございまして、定例日以外におきましても二十九日、なお本日までも長時間にわたりまして無理に御審議をいただきまして、こういう最後のところまで持ってきていただきましたことは、委員各位の御協力に対しまして心からお礼を申し上げます。  私、申し上げるまでもなく、大矢君は多年にわたりまして参議院全体だけでなしに、商工委員会におきましても多年に運営について御協力をいただき、まさにこれを最後に去られるわけでございますが、最後の御忠告を身にしみて承ったわけでございます。  今後の運営につきましては、仰せられるとおり、私どもも参議院の自主性を重んじつつ衆議院に対しまして強く今後要望し、今後とも重要法案につきましては十分な審議期間を持っていけますように、私自身も強く要望してまいる所存でございます。ここに、御協力いただきましたことを厚くお礼を申し上げます。(拍手)  他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  368. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は、賛否を明らかにしてお述べ願います。
  369. 大矢正

    ○大矢正君 私は、日本社会党を代表いたしまして、発電用施設周辺地域整備法案に対し反対の意見を表明するものであります。  本案の反対理由を述べます前に、本案の審議のあり方について剱木委員長に強く不満の意を表明いたしたいと思います。  御存じのとおり、本案は、与野党が激しく対立するきわめて重要な法案であります。ところが、この法案が本委員会に付託されましたのは、会期末の迫った五月二十七日でありまして、審議期間わずか一週間にも満たないという非常に短期間であり、河野参議院議長が衆議院議長に要請した審議期間最低二週間に比べましても、その半分にも満たない審議期間しかなく、十分な審議が尽くされなかったことはまことに遺憾であります。私は、剱木委員長にかかる委員会の運営が重ねて行なわれることがないよう、抗議を含めて要望いたしておきたいと存じます。  最近におきます電力需給は極度に逼迫をしておりますが、これは地元住民のきわめて根強い反対に各地であい、発電所が建設できないことにも原因があるとはいいますものの、地元住民が十分に納得するだけの対策を今日まで講じてこなかった政府並びに電力会社にその責任があることは言うまでもありません。政府はこのことを忘れて、発電用施設周辺地域整備法案によってわずかに発電所の周辺地域に公共用施設を整備し、これをもって発電所の立地を進めようとしておりますが、この考え方は現実を無視した非常に甘い考えであり、これによってかえって電源立地の反対、賛成の両者を両極端に分け、話し合いによる解決の道を閉ざしてしまうものになりかねません。  そもそも電源立地難の本質は、これまでの質疑の際にしばしば指摘しましたように、むしろ公害問題や原子力安全性の問題などにあります。これらの点につきましては、質疑で明らかにしたように、原子力安全性一つの例にとりましても、いまだ解決されていない問題が非常に多く存在をしております。しかるに政府は、今後原子力発電の開発規模を昭和六十年度には六千万キロワット、六十五年度には一億キロワットになると見ているようでありますが、もし原子力発電所の建設がこのまま進められまするならば、たとえば運転に伴って生ずる低レベルの放射性廃棄物量を一つとりましても、昭和六十年度にはドラムかんの本数にして年間三十一万本にも達すると、驚くほど大量の廃棄物が見込まれております。しかも、その放射性廃棄物の処理処分の方法もいまだに確立していない状態であり、このような状態で原子力発電所の建設を無理に推し進めることは、いわば下水処理場を持たない都市計画にも似たもので、はなはだ人間性を無視したものであると言わざるを得ません。  また、これまでにわが国においてすでに稼働している原子力発電所を見ましても、関西電力美浜発電所、東京電力福島発電所、中国電力の島根発電所などで幾たびか事故が連続して発生をしており、これに対する対策も必ずしも十分にとられているとは言えません。これでもわかりまするように、原子力発電所の技術はわが国においても十二分に安全性、信頼性が実証されていないものであります。さらに、原子力安全性を審査する原子力委員会で、最近の田島英三委員の問題にも見られますように、原子力基本法にうたわれている民主的な運営に反するような運営方法がとられているような現状では、原子力安全性について地元住民の納得を完全に得ることはとうていできません。  いま指摘しましたように、原子力発電所の安全性などについて、多くの問題が残されたままで発電所の立地を進めるために発電所の周辺地域に公共用施設を整備するための交付金を交付しようとするのは本末転倒であります。原子力安全性のほか、委員会審議を通じましてわが国資源エネルギー政策のあり方、温排水などの公害問題、原子力行政などにつきまして数々の問題を指摘してきましたが、いずれも政府答弁によって少しも解明されるに至っておらず、このまま本法案を実施した場合、電源立地の解決の道はますます閉ざされてしまうものであると考え、私は本法案に強く反対を表明して、討論を終わります。
  370. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、公明党を代表して、発電用施設周辺地域整備法案に対しまして反対をいたします。  この法案は、将来の電力確保のため既定された発電用施設の周辺の地方公共団体に対して整備計画に基づく事業の経費に充てるため、交付金の交付など、財政上の援助を与えることにしておるのであります。私は、発電施設の過疎地域等に環境整備のため財政援助するそのものには異存はありませんが、今後のわが国の経済は、今日まで高度経済成長の行き過ぎの反省から安定経済へとその速度が落とされることは国民の要望でもあり、必然といわなければなりません。しかも、産業界に対して公害や資源難等を考慮し、省エネルギー産業の国民的要請もあります。  一方、今日の発電施設は環境破壊も著しく、特に原子力発電においてはその安全性はいまだ明確でなく、現実に各所の原電は事故続発して住民に大きな不安を与えているのが現状であります。発電所の立地にあたっては、常に生命と健康と安全を守る立場から科学的判断に基づき、住民の協力を得て発電所の設置をはかるべきで、わずかの財政援助で立地のための取引をしては相ならないと思います。もちろんこのような意図がこの法案にはないにいたしましても、その波及的影響が多分にあることを懸念せざるを得ないのであります。  以上の立場から、私はこの法案に反対をいたします。
  371. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、日本共産党を代表して、発電用施設周辺整備法案に対して反対の討論を行ないます。  本法案は、発電用施設の設置が困難になっている現状を打開するため、主として二つの原因のうち、発電所の建設に伴う公害や安全性の問題は現行の対策や規制法規で十分対処できるとして、もう一つ原因である地元への波及効果が少ないという問題について、公共用の施設の整備ということで解決をはかろうとするものであります。  反対の理由の第一は、発電用施設を設置する場合、その地域住民の生命、健康、安全を守ることは最も基本的な問題であり、何よりも優先されなければならないものであります。しかるに、本法案は、安全性に対する対策を何らとらないで、異質の問題である公共施設の整備に置きかえて、安全性の問題を実質上不問に付すものであり、このことは安全性の問題の根本的な解決をおくらせることにもなる危険性を含んだものであります。  第二の理由は、住民の福祉の向上は住民にとって基本的な権利であり、取引材料に使うことは許されない問題であります。従来発電所が設置された地域の自治体から公共施設の整備の要求が強いのは、このような地域は、これまでの政府の地方自治体軽視の政策の中で地方財政が行き詰まり、公共施設の整備が進んでいないからであります。本法案は、政府の大企業中心の高度成長をささえるための電源開発に協力する地方自治体には若干の交付金を出し、設置できないような地方自治体は切り捨ててはばからない、まさに地方自治破壊、住民無視の法案であります。  第三の理由は、地域開発は住民自治が基本であります。本法案は、地域の環境に重大な影響のある発電所の設置そのものには権限はなく、法に基づいた整備計画も従来の新全総など既存の開発計画によってワクをはめられ、主務大臣の承認がなければ交付金の対象とならないなど、地方自治体の権限を大きく圧迫し、自治体の住民本位の開発計画をゆがめる危険性をはらんだものであります。  最後に、この法案が日本列島を大企業の高度成長のために利用しやすいように開発するため一つのテコとなるものであり、きわめて反動的な法案であり、反対であることを申し上げて、私の反対討論を終わります。
  372. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、討論は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  373. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  これより採決に入ります。  発電用施設周辺地域整備法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  374. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  375. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後七時二十分散会      —————・—————