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1974-05-30 第72回国会 参議院 商工委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月三十日(木曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      熊谷太三郎君     川上 為治君      辻  一彦君     村田 秀三君  五月三十日     辞任         補欠選任      河本嘉久蔵君     佐藤  隆君      嶋崎  均君     古賀雷四郎君      佐田 一郎君     原 文兵衛君      林  虎雄君     工藤 良平君      村田 秀三君     辻  一彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 竹内 藤男君                 細川 護熙君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 植木 光教君                 小笠 公韶君                 古賀雷四郎君                 佐藤  隆君                 西村 尚治君                 原 文兵衛君                 阿具根 登君                 工藤 良平君                 竹田 現照君                 村田 秀三君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    政府委員        科学技術庁原子        力局次長     生田 豊朗君        通商産業大臣官        房長       増田  実君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        科学技術庁原子        力局原子炉規制        課長       中村 守孝君        資源エネルギー        庁長官官房審議        官        井上  力君        資源エネルギー        庁公益事業部開        発課長      小野 雅文君        資源エネルギー        庁公益事業部水        力課長      吉田 方明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事辞任及び補欠選任の件 ○発電用施設周辺地域整備法案(第七十一回国会  内閣提出、第七十二回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十九日、熊谷太三郎君及び辻一彦君が委員辞任され、その補欠として川上為治君及び村田秀三君が選任されました。  また、本日、河本嘉久蔵君が委員辞任され、その補欠として佐藤隆君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) おはかりいたします。  佐田一郎君から、文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事細川護熙君を指名いたします。     —————————————
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 発電用施設周辺地域整備法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  7. 中尾辰義

    中尾辰義君 この法案は、趣旨説明にもありましたように、電源開発が非常に住民等の反対でおくれておる、したがって、将来の電力の需要にこたえるためには、これは何とかしなければならない、そういうことで財政援助ということを表面に出しながら、電源開発を促進しようというような法案でありますが、問題は、きのうも参考人の御意見等もありましたけれども、原子炉安全性ということがまだ明確になっておりません。そういう点につきまして、われわれも非常にいろいろな疑問点も出てくるわけですので、最初に、この原子炉安全性につきましてお伺いをしたいと思います。  今日までいろいろと原子炉事故が出ておりますが、関西電力の美浜原子力発電所一号の蒸気発生器細管漏れ、あるいは燃料棒破損東北電力福島一号の廃液の漏水、中国電力島根一号の制御棒をさかさまに取りつける、そういったようなこともありまして次々と出ておるわけですが、こういった事件ですね、これはその後どういうふうに処理なさったのか。なお、被害状況等はどうなったのか。まず最初に、そういう点からお伺いします。
  8. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘美浜原子力発電所号炉熱交換器事故でございますが、この事故につきましては、定期検査の際に、熱交換器チューブ約八千八百本ほどございますが、これにつきまして調査をいたしましたところ、一本につきましては小さいピンホールがありまして漏れておった。それから、その他減肉現象と申しまして厚さが薄くなっておるものがございまして、これらにつきましてはすべて両端にせんをいたしまして、そのチューブを使えないようにするという処置をいたしまして運転をしているわけでございます。さらに、だいぶ使えるチューブを減らしましたので、その分に応じまして熱的な負荷がかからないように、出力を約六〇%に落としまして運転をしている、かような状況でございます。  それから次の、燃料棒破損の問題でございますが、これにつきましては、破損した燃料につきましてはすべて取りかえまして、新燃料にかえて運転をしておるわけでございます。  それから、福島発電所廃液漏れの問題でございますが、これにつきましては、廃液を取り扱う施設におきまして施設の不備があり、かつ施設に対する監視について不十分な点があったということでございまして、施設については改善をいたしまして、人間のミスがあってもこういった事故が再び起こらないというふうに改善をさせております。さらに、人間教育訓練につきましては、十分万全を期するように会社を指導をしております。  それから最後の、島根原子力発電所制御棒をさかさまに入れた問題でございますが、これにつきましては、発見後、直ちに新しい正規の制御棒に取りかえております。また、今後再びかようなことが起こらないよう、検査にあたりましては、さかさまであるかいなかということを渦流探傷という方法検査をする、さらに新しい設計にあたりましては、どちらからでも使えるというような新しい設計を採用するようにしているところでございます。
  9. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから被害状態はどうなんですか。
  10. 井上力

    説明員井上力君) いずれの事故にあたりましても、人身に対する被害はございません。
  11. 中尾辰義

    中尾辰義君 それでは美浜原子力発電所、これもずいぶん事故が起こっているんですが、これ一号機と二号機をあなたのほうで事故発生年月日事故原因、それから運転停止をした期間、れをずっとひとつ年次別にあげてみてください。
  12. 井上力

    説明員井上力君) 浜一号機につきましては、四十七年に蒸気発生器細管損傷による発電支障事故発生年月日は四十七年六月十三日でございますが、復旧は四十七年の十二月四日にしております。さらに、四十八年には格納容器内弁漏洩による発電支障事故、これは四十八年九月八日に発生いたしまして、四十八年九月十一日に復旧しております。それから、続きまして四十八年、給水制御装置故障による発電支障事故、これは四十九年一月三十一日に発生いたしまして、四十九年二月五日に復旧しております。  それから美浜二号機でございますが、四十七年でございますが、冷却材ポンプ潤滑油漏れによる発電支障事故、これは四十七年七月二十六日に発生いたしまして、復旧は四十七年七月二十九日に行なわれております。  それから、これは原子炉そのものではございませんが、四十七年、さらに主変圧器損壊事故がございましたが、これは四十七年八月十一日に事故が発生いたしまして、四十七年八月二十七日に復旧しております。それから、四十八年には給水制御装置故障による発電支障事故、これは四十八年の七月十一日に発生いたしまして、同じ日に復旧しております。それから、同じく格納容器ケーブル貫通部端子破損による発電支障事故、これは四十八年八月二十八日に発生いたしまして、四十八年八月三十日に復旧しております。  以上申し上げましたように、過去三年間におきましての事故があったわけでありますが、先ほど申し上げましたように、いずれも人身に対する事故はないというような状況復旧を完了し、運転に入っておるという次第でございます。
  13. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから新聞情報ですけれども、敦賀日本原発敦賀発電所出力三十五万七千キロ、四月の二十一日から原子炉運転を休止して、約六十日間の予定で五回目の定期検査を行なっているが、二十八日、三百八体の燃料棒のうち、二十六体にピンホール疑いがあることがわかった、これは実情はどうなんですか。
  14. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘のように、現在、敦賀発電所定期検査に入っております。定期検査と申しますのは、電気事業法によりまして、原子炉につきましては年に一回、できる限り内部の点検をいたしまして、その後の一年間の運転に備える、こういうことでございますが、その所定の定期検査をやりました際に、燃料を点検いたしましたところ、御指摘のように、二十六体の破損、あるいは破損と疑わしき燃料がございましたので、これはすべて新燃料に取りかえまして運転をするようになろうかと思います。
  15. 中尾辰義

    中尾辰義君 あなたの話を聞いていると、燃料棒に穴があいたとか、曲がったとか、そんなものはかえましたからというように簡単に言っているけれども、この辺が非常に問題になっているんじゃないですか。ですから、私はしろうとで詳しくわかりませんが、この燃料棒の中には、これ、まあ構造はどうなっているのか。それからここにピンホールがあくのは、これはどういう現象によってあくのか、その辺をひとつ詳しく説明してくださいよ。
  16. 井上力

    説明員井上力君) 軽水炉に使います燃料は、ウランを濃縮いたしまして、三%程度にするわけでありますが、三%程度濃縮ウラン二酸化ウランという形にいたしまして、これは粉状でございますが、その粉状二酸化ウランを焼結いたしまして小型のペレットという小さい、ちょうど弾丸みたいな形にするわけであります。これをたくさん、ジルカロイという合金さやに入れまして密封するわけでございます。  御指摘ピンホールでございますが、これのおもな原因は、燃料製作時に被覆管内に混入いたしましたわずかな湿分によりまして、ジルカロイが水素化するということによりまして、被覆材損傷が生じたものというふうに考えられております。したがいまして、これが対策といたしましては、燃料の中に——燃料製作時に湿分の管理を十分にする。大体一〇PPM以下程度に押えるということにするわけでありますが、そのほかに、中に入りました湿分を完成後にも吸収するような物質、これはまあジルカロイの削ずりかすみたいなものでございますが、これをゲッターといっておりますけれども、これを中に入れまして湿分の吸収をはかるというような対策を講じているところでございます。
  17. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、この燃料棒の中というのは、濃縮ウランがものすごい高熱であるわけですが、燃料棒ジルカロイという合金によって被覆されている、その中と外側、水があるというように聞いていますが、この中と外はどのぐらいの温度の差があるのですか。
  18. 井上力

    説明員井上力君) 水の温度は、御指摘のように、燃料棒ジルカロイ被覆があるわけでありますが、その外は水が冷却材として通っているわけであります。水は約三百度余りでございますが、被覆材はそれより約百度程度は高いのではないかというふうに考えられます。
  19. 中尾辰義

    中尾辰義君 被覆材を聞いているのじゃないのですよ。その被覆材の中に濃縮ウランがあるわけでしょう。それが核分裂しているのですからね。ですから、その中は一体どのぐらいの高温になっているのかです。
  20. 井上力

    説明員井上力君) ウラン燃料中心部は、ちょっといま正確に数字を持っておりませんが、記憶では千五、六百度であったかと思います。
  21. 中尾辰義

    中尾辰義君 ですから、あなた方はそういうことは常識でわかっておらなければならない。一々聞かなければわからぬというようなこと、その程度の認識だからピンホールぐらいあいたって、たいしたことないとはおっしゃらぬが、あなたの答弁聞いていると、じゃまくさそうにさささっと言っているような、どうもよくないですよ。ここが問題になっているのですからね。一番問題はここじゃないですか。  濃縮ウランが何というのですか、ジルカロイという合金によって被覆されておる。この濃縮ウラン核分裂によって、いまあなたがおっしゃったような千五、六百度の熱を出して、それがジルカロイという合金が侵食されて穴があいて外に出ちゃう、これは非常に問題ですよ。こういうピンホール事件がいままで何回か起こっておるわけですからね。それが第一次冷却水、第二次冷却水というように流れていって外に出る。その辺に問題があるわけですから私は聞いているので、私は学者じゃありませんから、少なくともここでこれを審議する以上は、まあまあ常識程度原子炉の理論ぐらい知っておらなくちゃ審議できないから聞いておるので、専門家のあなたがそんな調子じゃ困る。ですから、ピンホールがちょこちょこあいているのだが、こういうのをとめられないのですかね、いまの技術で。今回の敦賀日本原発の場合は、三百八体の燃料棒のうち二十六体にピンホールがあった、この疑いがあるというのですからたいへんなことですよ。あっちゃこっちゃから穴があいて漏れていくというのですからね。こんなものをあなた方原発長期計画でこれからたくさんつくるというのですから、これはあぶなくてしょうがない。だから、その点はどうですか。そういうジルカロイという合金被覆材に穴があく、そういうものはとめられないのですか、技術的には。その辺のところいかがですか。
  22. 井上力

    説明員井上力君) 現在の技術におきましては軽水炉燃料ピンホールは、諸外国におきましても何がしかはやはり出ておるわけでございます。しかしながら、御指摘のように、このようなピンホールは出ないほうが望ましいわけでございまして、先ほど申し上げましたように原因としては、製造時におきます湿分の管理、あるいは使用中におきます内部の湿分の吸収の問題ということでございますので、湿分の管理並びに内部に湿分の吸収剤を充てんするというような対策を講じるというようなことを現在検討しているわけでございます。  それから、ピンホールがあります燃料使用状態におきまして安全上どうかという問題でございますが、一次冷却材におきます放射能レベルのチェックは自動的にやっているわけでございまして、具体的には放射能レベルを常時、運転時どの程度に押えるかということがきめられておりまして、現実にはこの敦賀発電所の場合も、運転中におきましては基準値の二けたぐらい低い値ということでございますので、事前に放射能レベルをチェックし、必要な処置をとれば安全上は十分懸念のないような運転ができるというふうに考えております。
  23. 中尾辰義

    中尾辰義君 あなたはピンホールが出ないほうが望ましいと、それは望ましいというような表現じゃとてもだめですよ、そういう大事な原発をこれからつくるというのですからね。  それじゃもう一ぺん聞きますが、核燃料ジルカロイという合金によって被覆される。その中で約千五、六百度の熱を出して燃えておるわけですね。その燃えかすというのが、私はいろんなものを読んでみると、電気出力三十万キロワットの原子炉では一日三十キロのウラニウム二三五が死の灰に変わって蓄積される、こういうふうに新聞やら本やら見ていますと出ていますが、これは広島原爆一個のまいた死の灰に当たると出ております。こういうものを読んでみますと、こういう事故が出ることは非常に住民等に対して与える影響が大きいわけで聞いているのですが、これは事実はどうなんですか、核燃料がどんどん燃えておるわけですね。そうすると、三十万キロワットで  一日に約広島原爆一個ぐらいの死の灰がたまっていく、この辺いかがですか。
  24. 井上力

    説明員井上力君) ウラン核分裂をいたしますと、分裂いたしまして新しい物質ができるわけでありますが、その中には御指摘のように、かなり放射性の高いものが含まれております。これにつきましてはかなりの量になりまして、これがそのまま外に出ますと非常に危険でありますので、先ほど御説明申し上げましたように、まず、ウラン燃料を包んでおりますジルカロイさやで第一次的には外に出ないようにする。さらに、その外側には非常に厚い圧力容器という容器がございまして、それによりまして放射性物質が外に出るのを防ぐ。さらにそれから漏れた場合にこれを防ぐということで、その外側格納容器という容器があるわけでございますが、これも十分気密性を保つように設計並びに検査をいたしまして、これでもって放射性物質を防ぐ。さらに、その外側には相当広いあき地をとりまして、一般公衆とは隔絶するというような方法を講じておるわけでございます。  そのほか、放射性物質がわずかなりとも出てまいりました場合には、自動的に計器によって測定をいたしまして所要の措置がとれる、あるいは自動的に炉をとめるような装置になっているわけでございます。
  25. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、これからこういったような被覆材ジルカロイが侵食されてピンホールがあくというようなことも完全にシャットアウトはまだできない、将来も起こる可能性がある、そういうふうに考えていいんですか、いまの技術では。
  26. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘の点につきましては、先ほど御説明申し上げましたように、こういったことがなくなりますように、製造上あるいは設計上種々の努力をしているところでございますが、現状におきます技術の水準からいきますと、皆無にするということはなかなかまだむずかしいのではないかというふうに考えられます。しかしながら、先ほど申し上げましたように、ピンホールがありましても、出てまいりました放射性物質は、計器によりまして自動的に検出されまして、必要な場合には炉を停止する、あるいは燃料を取りかえるというような措置をとるわけでございまして、放射性レベルにつきましては、一番中側の冷却水におきまして基準以下十分低くなるように管理しておりますので、安全上の支障はまずないというふうに考えております。
  27. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ次にまいりまして、この原子力発電所集中的に立地をしている。それは特に若狭湾のあの辺には相当かたまっているわけです。今後は福島県の大熊町、双葉町にも原発立地計画集中しているように聞いておるわけですが、原発集中しますと、そういったような事故が多発した場合にいろいろと汚染も集約されるでしょうし、あるいは温排水の問題でも温度がやはりかなり高くなるんじゃないか。またそれが海の底部に与える影響、そういうものを考えてみますと、今後原発集中化集中化ということばがいいかどうかわかりませんが、そういうふうに事実上なっておるもんで言っておるわけですが、これをどうお考えになりますか。
  28. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 集中化の問題につきましては安全審査、特にその立地審査に際しまして集中状況前提にいたしまして、環境放射能その他、温排水も含めまして審査をいたしております。したがいまして、たとえば百万キロワットの原子力発電施設が一基できます場合と数基できます場合と、これを一律にやるのではございませんで、数基、先生のおっしゃいました集中立地でございますけれども、そのときもその数基建つということを前提にいたしまして、その場合の放射能がどうであるか、温排水がどうであるかということで審査をしている次第でございます。  温排水につきましても、この排水口の出口で大体七度ぐらいの温度差がございます。それが海のほうに流れてまいりますと数百メートルで温度差が二度、一度ということになってまいります。大体問題がございますのは二度まででございまして、温度差が一度になってまいりますと、この一度の温度差と申しますのは、たとえば太陽の照りぐあいでございますとか、そのほか風のぐあいでございますとか、そういう問題で変化いたしますので、問題は二度までの範囲内であろうかということに考えておりますが、これも放射能の場合と同じように集中前提といたしまして、その影響考えまして安全審査をいたしまして許可をしております。
  29. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃそれはわかりました。ですから、やっぱりこれからは集中——集中ということばがいいかどうか知りませんが、まあ立地条件が整っておるところになりますと、えてして経費等も考慮してそういうことになろうかと思いますけれども、今後はやはりこういうことは認めていくんですか、それとも多少その辺はいろんな、いま申し上げたようなことも考慮して何とか修正するとか分散するとか、その辺はどうお考えになっていらっしゃいますか。
  30. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま先生指摘の点は二つ問題があろうかと思いますが、第一の点といたしましては、先ほどもお答え申し上げましたように、集中いたします場合も、その集中前提といたしまして安全審査をいたしますので、もちろんその安全審査で十分安全だということが確かめられた範囲内でしか集中は認めないという基本的な考え方がございます。  それからもう一点は、立地条件の問題であろうかと思いますが、これもただいま御指摘がございましたように、それぞれの発電所立地条件によりまして、一基だけしか設置しないという場合もございますし、多い場合は六基あるいは八基というような原子炉がそこに並ぶというような集中の問題もございます。その両面から考えるわけでございまして、私どもは現在の考え方といたしまして、集中がいけないというような基本的な考え方は持っておりません。安全審査で認められる範囲内で、立地条件からいいまして集中するほうが適当であれば、その安全の範囲内で集中を認めてまいりたいという考え方でございます。
  31. 中尾辰義

    中尾辰義君 まあ、それは安全の範囲でと言えばそれまでのことでしょうが、実情は予想されないいろんな事故が起こる。あるいは自然災害、特に強烈なるものすごい台風だとか地震だとか、そういうものがもし起こればこれはたいへんなことになる。原子炉も何もみな吹っ飛んでこわされてしまって、いかに原子炉が、さっきの話で言いますというと安全にしてやっても、こわれるという可能性もあるわけですからね。そういうことを心配しながら私は聞いているんで、あなたがおっしゃるような安全性範囲というのは、そういうものを考慮しての安全性なんですか、どうなんですか。
  32. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) いろいろな条件を考ました上の安全でございますので、具体的に御説明申し上げますと、台風につきましては、これは送電線その他について問題がございますけれども、原子炉そのものにつきまして台風影響というのは私どもはそれほど考えておりません。  むしろ問題になりますのは、先生指摘の地震の問題であろうかと思いますが、この地震につきましても、一般に関東大震災の三倍程度の地震までだいじょうぶだということをPR資料でいっております。これがばく然としました抽象的な表現でございますので、いろいろ御疑問があるわけでございますけれども、関東大震災の三倍程度と申しますのは、いわば私どもが安全審査をします場合の地震に対する何と申しますか、防護措置安全性の最低限として考えているわけでございまして、一律にそういうことでやっているわけではございません。それぞれの立地の地点につきまして、その立地の地点によりましていろいろその地殻の状態あるいは岩盤の状態、地質の状態その他が違うわけでございますので、その点も調査いたしまして、原子炉は岩盤まで掘り下げましてその上に据えつけるという形をとっております。それからその各地点での過去の地震歴、それを詳細に調べまして、専門家の知識をお借りいたしまして、想定し得る最大限の地震が起きてもだいじょうぶだということを確認いたしましてそれぞれ安全性審査をやっておりますので、一律にある基準でやっているわけではございません。したがいまして、考え得る最大限の地震が起きましても、原子炉につきましては安全だということを確認いたしまして、安全審査の結論を出している次第でございます。
  33. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから、いまの温排水の問題ですが、これは通産省が何か調査をしておるように聞いておりますが、現状はどの程度進んでいるんですか。
  34. 井上力

    説明員井上力君) 温排水の問題につきましては、電気事業法によりまして許可をいたします際に、環境に与える影響の問題の一つとして審査を従来からしておったところでございますが、昨年来、特にこれに力を入れるべきだということで、環境審査顧問と申します、たとえば漁業関係の先生、あるいは温排水の拡散の問題の専門家、あるいはその他自然環境あるいは大気汚染問題等の専門家先生方を二十数名お願いいたしまして、環境問題の検討をお願いしているところでございます。特に温排水問題につきましては原子力、火力を通じまして非常に重大な問題でございますので、この中でも重点的に取り上げまして温排水の拡散状況の予測、あるいはその地域における漁業の状況、あるいは魚介類に対します温排水影響の評価等につきましてこれらの先生方の御意見を伺いまして環境の評価をやっておる、こういうのが現状でございます。
  35. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうすると、まだ中間報告的なものも何もできていないわけですか。
  36. 井上力

    説明員井上力君) ただいま御説明申し上げましたのは、申請がありますたびに個々の発電所を取り上げまして具体的に審査をしておる、こういうことでございます。環境の状況、あるいはそこにおります魚介類につきましては、地点地点で相当違っておるわけでございまして、それぞれのケースにつきまして詳細に専門家の御意見をお伺いしながら審査を進めておる、こういうことでございます。
  37. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから、いまやかましい使用済みの核燃料の再処理の体制の問題ですが、これも原発がこれからどんどんできますと、相当その燃えかすも出てくるわけでして、これを今後どういうふうにおやりになるのか、これもやはり住民の反対運動が相当あるようでありますし、というてこれをこのまま放置してもどうしようもないですね。ちょうど屎尿処理の処理場をつくらないでどんどん屎尿を捨てるような、あるいは屎尿を一カ所にかためて捨てる場所に困っていると、そういうような表現等も使っていろんなものにも出ておりますが、これは通産省としては将来どういうような方針でおやりになるのですか。
  38. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 使用済み燃料の再処理の問題でございますが、これは先生御承知のように、原子力発電はほかの発電と違った特徴を持っておりまして、一度使いました燃料を再処理いたしますともう一ぺん使えるということで、ぐるぐる循環しまして燃料が使えるという特殊性を持っております。したがいまして、燃え切りました燃料をもう一度再処理工場に運びまして再処理いたしまして、使えるものはまた使うということにするわけでございますが、現在は国内に再処理工場を持っておりませんので、海外、これは主として英国でございますが、に持ってまいりまして、そこに委託しまして再処理をしております。ただ、ただいま御指摘もございましたように、国内にそういう設備を当然持つべきであるという考え方をかねがね持っておりまして、現在、茨城県の東海村に動燃事業団が再処理工場を建設、施設中でございます。計画といたしまして本年じゅうに試運転、明年から本格運転に入る予定でございます。  これが現在、日産〇・七トン、年間で二百十トンの再処理能力を持っておりますが、原子力発電の能力に置きかえてみますと、大体八百万キロワット分ぐらいの原子力発電所から出てまいります使用済み燃料は、その動燃事業団の再処理工場で処理することが可能でございます。ただ、現在でも建設中の原子力発電所を含めますと、千六百万キロワット程度のものがございますし、今後もふえていくと思われますので、さらに二番目の再処理工場を国内で建設するということが当然必要でございます。原子力委員会といたしまして、昭和四十七年につくりました原子力の長期計画におきましても、その第二再処理工場を民間の手によって早急につくる必要があるということを計画の中に盛り込んでおりますし、民間におきましても電力業界が中心になりまして、この再処理のための委員会が最近設立されまして、今後具体的に現実化してまいるかと思います。第一工場が完成いたしまして、第二工場ができ上がりますまで、その間に多少ギャップがございます。そのギャップの期間につきましては、現在と同じように海外に委託しまして再処理をするという計画でございまして、ただ、その際、海外に引き受ける能力がないと非常に問題であるというように思われますので、本年の初めに調査団を派遣いたしまして、海外の能力を調べたわけでございますけれども、相当余力があるということが確認されておりますので、そのつなぎの期間を海外に委託することは十分可能であろうというように考えております。
  39. 中尾辰義

    中尾辰義君 いま現状は、使用済みの核燃料はどういうような措置をなさっていらっしゃるのですか。
  40. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 現状は使用済みの燃料は、各発電所にございます埠頭から船に積みまして海外の再処理工場に持ってまいりまして、主として英国でございますが、そこで再処理を委託しているわけでございます。
  41. 中尾辰義

    中尾辰義君 ですから、いま海外で再処理をお願いするまでに、国内においてそれをどっかに貯蔵してあるでしょう。その状態はどうなんですかね。
  42. 中村守孝

    説明員(中村守孝君) ただいままで原子力発電所で排出しました使用済みの燃料は、発電所にございます使用済み燃料のプールというものがございます。その使用済み燃料のプールにつきましては、燃料を取り出して検査するためにある程度の広さが必要でございますが、その広さに加えまして、さらに使用済み燃料燃料再処理工場に運び出すまでの期間そこに置いておけるように余裕を持ってつくってございまして、現在のところ、発電所の中の使用済み燃料のプールの中に納めてございます。
  43. 中尾辰義

    中尾辰義君 ですから、プールはちゃんと安全性を保たれておるわけですか。
  44. 中村守孝

    説明員(中村守孝君) 使用済み燃料のプールにつきましても、原子炉の建屋等々と同様に、耐震設計におきましても厳重な審査を行ないまして建造されておりますので、地震に対してももちろんだいじょうぶでございますし、それから漏洩等についてもないように、周辺の漏洩防止についても配慮してございます。そういう意味で、安全上問題はないと考えております。
  45. 中尾辰義

    中尾辰義君 私もまだ現地を見ていないものだからお伺いしたのですが、それから、今後動力炉核燃料開発事業団で再処理場を建設中、こういうことですが、再処理の過程に放射性気体のクリプトン八五及びトリチウムというのですか、三重水素が大量に放出される、このように聞いておりますが、こういうものはどういうふうに処理されるのか。それともこれはやむを得ないのか、その辺いかがですか。
  46. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 再処理工場から大気中に放出されます気体廃棄物でございますけれども、これはただいま御指摘のようにクリプトン八五、トリチウムその他ございます。できるだけ少なくするように処置してございますけれども、現在の動燃の建設しております工場の場合でございますが、クリプトン五八が一日当たり八千キュリー出ることになってまいります。これが問題でございますが、一応、クリプトン八五が出てまいりました場合に、周辺の住民にどれだけの放射能影響があるかというのを被曝評価と言っておりますが、これを安全審査の際にいたしまして、全身に対しまして年間三十二ミリレムの放射能影響があるというように審査いたしております。この三十二ミリレムという数字は、一般の原子力発電所から出てまいります数字よりは多いわけでございますが、国際放射線防護委員会が定めました年間五百ミリレム以下にすべきであるという基準と比べますと非常に低いものでございますので、このままでも十分安全であるというように考えております。
  47. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから、放射性の廃棄物の処理ですが、これも相当ドラムかんに入れて積んであるようです。そこに敦賀の市長さんもいらっしゃるようですが、これは私も見てきました。今後これがどんどんふえるわけですけれども、いまだにどうするのかきまっていないようですが、これの処理方法とか投棄の基準、監督方法、これはいまどういうふうに進んでおるのですか。あるいはまた、そういうものを国が責任を持って処分するのか、民間の発電会社にまかせるのか、その辺いかがですか。
  48. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 原子力発電所あるいは発電所の関連施設から出てまいります廃棄物でございますが、これは各種ございまして、低レベル、つまり非常に微量の放射性廃棄物につきましては、先ほど来御説明申し上げましたように、気体のものは空中に逃がし一液体のものは海に、まあ主として海でございますが、この中へ流すということで、これは流してもだいじょうぶだという基準量を十分確認いたしまして処理しております。そのほかでいわゆる固体廃棄物というものを扱いますが、これは拾てるわけにはまいりませんので、発電所の中に保管しております。それからもう少し程度の高い中レベルあるいは高レベル、これは主として再処理工場から出てまいるものでございますが、それの処理も、これもいたずらに空気中あるいは水中に流すわけにはまいりませんので、別の処理、処分の方法考えなければいけないわけでございます。  その中レベル、高レベルのものにつきましては、国際的にもいろいろ技術開発がいま進んでいる段階でございまして、たとえば高レベルのものにつきまして、それをガラスのような形に固めてしまうとか、あるいはアスファルトその他で固めてしまうとか、そういう固めてしまう、これは固化といっておりますが、そういう方法も研究されておりますし、わが国でも研究いたしております。で、固体廃棄物につきまして、これはドラムかんに入れまして、いま発電所の中に積んでいるわけでございますが、現在でも十分安全には留意いたしまして問題ないと考えておりますけれども、今後、量もふえてまいることでございますので、この放射性廃棄物の最終的な処理、処分を行ないますための技術の開発、それから必要に応じましてその施設の建設その他につきまして、国といたしましても相当の努力をしなければならないという考え方でございまして、放射性廃棄物の処理処分センターという機関を設けまして、それで技術の開発、あるいは必要な施設の建造その他につきましての事業を行なうという計画を昨年から持っております。四十九年度予算におきまして一千万円の調査費をいただいておりますので、その調査費を使いましてその具体化の案をいまつくっているところでございまして、できますならば、昭和五十年度の予算要求におきまして具体的なその事業計画をきめていきたいというように考えております。
  49. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、この処分の方法ですね、これはいまちょっとちらっとおっしゃいましたが、国としてはどうの程度責任を持ってやるのですか。それとも全部国のほうでおやりになるのか。いまのところどうなっていますか。
  50. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) この放射性廃棄物の処理、処分を全部国でやるという考え方は現在のところ持っておりません。当然これは電力会社がその放射性廃棄物の発生源でございますので、相当の負担をすべきであるというふうに考えておりますが、やはり非常に基本的な部分でございますとか、あるいは技術開発の部分でございますとか、国といたしましても相当努力をすべき部分があると考えますので、国と電力業者と相まちまして、協力して全体の放射性廃棄物の処理、処分を行なっていくという考え方でございます。
  51. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから、大体これは質問すると切りがありませんので、原子力の長期計画ですが、これはいま私がいろいろと質問したように、この原発安全性というものがまだまだ明確でないし、今後またわが国の経済成長も鈍化していくでしょうし、さらにはまたいろんな公害等の関係もあって、石油の輸入の見通しもそれほど楽でありませんので、省エネルギーの要望等、こういうようなこともあるようですが、現在の原子力の長期計画は、いま私が承っているのは、五十五年に三千二百万キロワット、六十年に六千万キロワット、六十五年一億キロワットの原子力開発と、ですからいまの大体三十倍ぐらいの規模で将来できるわけですね。そうしますと、相当なこれは、この狭い国土の海岸線にずっと原発が林立するようなかっこうになるんじゃないかと思うのですが、こういうものをそんなに急いでやらなきゃならないんでしょうか。改定してはどうかという意見もあるようですが、その辺いかがですか。
  52. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま御指摘の問題点でございますが、昨年の年末の石油危機の当時にいろいろ御意見がございました。たとえば、ただいま先生がおっしゃいましたような、今後エネルギー不足によって日本経済の成長率が鈍化していくであろうから、昭和四十七年につくりました先ほど御指摘の原子力の長期計画でございますが、その目標をもっと下げても十分やっていけるのではないかというような御批判もずいぶんあったわけでございます。私ども特に原子力委員会といたしまして、その四十七年の計画の妥当性につきまして、至急再検討する必要があるというように考えまして、とりあえず原子力委員会の委員でございます稲葉先生にお願いいたしまして御検討をいただきまして、本年の三月に稲葉私案という形で、一応稲葉先生の私案ができ上がったわけでございます。  この案は、御承知かと思いますけれども、日本経済の成長率につきまして三つの想定をいたしまして、従来のようなかなり高度の成長が続く場合、それから非常に低い三%ないし一%ぐらいの低成長の場合、それからその中間の五、六%程度の成長率の場合と三つ想定いたしまして、一方、石油を中心にいたしましてエネルギーの供給面での限界がどの辺にあるかということを価格面、数量面で一応のめどをつけまして、それら総合的に考えました場合に原子力発電がどの程度最小限必要であるかという、いわば従来と逆のアプローチの方法によって検討していただいたわけでございますが、その結果、三案のうちまん中のほぼ妥当であろうと稲葉先生考えておられます案につきましては、実質成長率を当面五、六%、それから将来は三、四%ということで想定いたしましても、石油、石炭、水力その他のほかのエネルギーソースの供給面からの制約を考えました場合に、原子力発電といたしまして昭和五十五年度に二千八百万キロワット、昭和六十年度には計画どおり六千万キロワットが最小限必要であるという結論になっております。  一方、通産省でも総合エネルギー調査会がただいま開かれておりまして、各部会におきまして総合的に検討が進められておりますし、稲葉先生もその原子力部会あるいは総合部会のメンバーで入っていただいておりますので、ただいま申し上げました稲葉私案が一つのたたき台になりまして、総合エネルギー調査会の結論でさらにこまかい具体的な見通し計画が近々できることになると思いますので、その結果を待ちまして、さらに経済審議会の長期経済計画の再検討もございましたならば、その結果も踏まえまして原子力委員会の長期計画の見直しを本格的にやってまいりたい、かように考えております。     —————————————
  53. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、嶋崎均君が委員辞任され、その補欠として古賀雷四郎君が選任されました。     —————————————
  54. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 大臣、最初にちょっと大臣にお伺いしますが、昨日、本法案の審議の便に供するため参考人からの陳述をいただいたわけです。その中で、私自身もいろいろ勉強させてもらったわけですが、ざっくばらんなものの言い方で述べておられたことの一つに、原子力発電というものはこれからの日本のエネルギーとしてきわめて重要なものである、しかるに、その原発を持つ地域において、まあこれは学問は自由であるということではございますが、原発に賛成のたとえば学者、反対の学者がそれぞれ講演会を開いてその所信を述べておられる、地域住民としては一体何が正しいのか非常に戸惑いを受ける、この種の原子力発電そのものについてもっと国自体が責任を持って真正面から取り組んで、国としてのき然とした姿勢というものがあってしかるべきじゃないか、原発を持つ地域住民並びに地方自治体は非常に困惑しておるというような声がありました。私も原発を置いている地域にも足を入れたこともありますし、このことはよくわかるわけなんです。この種の現実的な動き、あるいは今後さらに原発が必要という国の姿勢の中にあって、この面についてまず大臣はどのように考えるか、お聞きしておきたい。
  55. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 原子力発電の安全性に関する所見について、日本国民は、憲法の条章に従いまして表現の自由を持ち、意見発表の自由を持ちますから、各自がいかなる地点においても法律の範囲内において演説会をやり、啓蒙運動をやるということは自由であり、また、そういう啓蒙運動が盛んに行なわれることは、ある意味においては住民の啓蒙のための刺激剤にもなるだろうと思います。ですから、そういうことをわれわれは否定することはできないと思います。  しかしながら、やはり国の政策として考えます場合に、中央において各政党間にコンセンサスをつくり上げて、そして、そのコンセンサスの範囲内において原子力政策が円滑に進められるということはより望ましいことであるだろう思います。かつて原子力基本法がつくられますときには、超党派的な協力によって各党の意見が盛り込まれてつくられたわけでございますが、その後、いろいろ実施の過程において、運転の経験とか実績とかというものによって次第に各政党間に間隔が生じ、あるいは疑惑が生じてきているということは非常に残念なことであります。  やはり、原子力政策を強力に進めようとわれわれが考えるならば、そのコンセンサスを回復するためにどうしたらいいか、それには安全問題、環境問題等いま問題になっているポイントにつきまして、われわれのほうで反省すべき点は反省し、また主張すべきところは主張し、そして、もう一回ゆるやかなものでもいいからコンセンサスをつくり上げて、直すべきものは直して再出発するということが望ましいのではないかと思います。まあ急がば回れということで、そういう忍耐強い、たゆまない努力を中央においてやることがわれわれ政治家の責任ではないかと思っております。そういう点についてわれわれのほうでまだ努力の足らざるところも多々あると思いますが、そういう方面に向かって努力してまいりたいと思います。
  56. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 なお、この原発で一番先行した東海、大洗地区においては、四十年にこの原子力委員会によって原発を設置するにあたって、この施設地帯の整備についての方針をきめ、閣議もこれを了承して、予算をつけて六カ年計画でこの地帯整備に当たってきておるわけです。さらに今後この東海においては新たな問題として、今回この東海の第二発電所の設置あるいは再処理の工場を設置するにあたって、国、それから県、企業に対してそれぞれの条件を村議会において付しておるわけです。  お話によると、おおむねこの十項目からなる条件は満たされるであろうということを私は仄聞しておるのですが、現在二十五あるこの原発を持っておる市町村が、さらに今後何十カ所かこういったことが指定されていくことであろうと思いますが、それぞれの地方自治体においてそれぞれのこの種の形が出てくるということになったとき、それをどのように調整していくのか。市町村ごとに置かれている立地条件も違うし、住民感情も違うと思うのです。結果して、ある市町村にはきわめて有利な条件が付される、あるいはある市町村においては他の市町村に比べて不利な条件しか得られないというようなアンバランスも出てくるように私は思うわけなんです。それぞれの原発を持っておるところの市町村では、協議会を設置して横のコンセンサスを持っておる模様ですが、中央として通産省、科学技術庁、建設省、それぞれあろうと思いますが、それらの調整機能というものをどのようにとっておるのか、その辺のところを聞いておきたい。
  57. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) いまの先生の御指摘のとおり、各原子力発電所の建設の地域は、それぞれ非常に歴史的にも、それから現地の意識の違い等も含めまして、いろいろと違いがあるわけでございます。したがいまして、それぞれの市町村の協議会をつくって、できる限りこれを調整する努力をお互いにいたしておるわけでございますが、中央におきましても、関係省庁間の連絡機構はわれわれの中でつくっておりまして、この相互の横の連絡を緊密にとっておるわけでございます。また、中央とそのそれぞれの市町村の協議会との定期連絡等もはかっておるわけでございまして、今後ともできる限り各地の特殊性はそのまま尊重しながら、その相互間のバランスの保持ということにつきましては進めてまいりたいと考えておるわけでございます。
  58. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 それから、これまでもかなりの額の地帯整備のための助成が行なわれておるし、本法によってもある程度の交付金がこれは出ることになるわけです。こうした場合に、本法によって交付金が出たとしても、公共施設等を建設するにあたって、やはり本来の地方自治体における財源を原発を誘致するがゆえに圧迫する結果が出るわけなんです。そのような意味から、地方自治体においてはこの自由な財源があってしかるべきだ。だから原発を置くことにおける圧迫、地方財政を圧迫する分をカバーするに見合うような自由財源をその地域に設定するというような措置は、当然私考えられるべきだろうと思うのです。本法によって交付金が出ても、これはそのことにはなりませんからね。交付金が出たってまる持ちというわけじゃないのだから、その分だけこれは減らされるわけだから。その辺のところをどう考えるか。  それから具体的な問題として、たとえば道路整備、あるいは公共施設の整備などの計画がなされるわけだけど、村段階、町段階あるいは市段階などにおいてそれを消化する能力があるだろうか。それはボリュームとしての意味じゃなくて、技術的な意味においてです。それらについて、たとえば県に技術的な指導を仰ぐとすれば、県はそれだけのリスク負担をするわけです。だから、それらに対してもきめのこまかい措置を講じなければ、交付金を渡したぞ、計画があるだろうというだけでは、ボリュームじゃなく、技術的な意味において私はそごを来たすと思うんです。現に、いままでも自治体にはかなりな額の助成が行なわれておるけど、私は必ずしもそれが円滑に処理されておるとは思っていない。その辺をどう考えるか。  あるいは東海、大洗あたりにおいては、たとえば関電美浜というようなことじゃなくて、公共的な原子力関係の施設がある、研究機関がある、あるいは私企業がある、こういうような錯綜した状態になっておる。そうすると、医療機関それ自体においても、それぞれの自分の持ち分の医療機関を閉鎖的に持っていく、村も医療機関を当然持つと、それが全体、かりにプールするとするなら、その地域における確立した総合医療体制というものができるわけなんだけど、そのかきねがとれない。そのために病院は幾つかあるんだけど、てんでばらばらにやっておるということにおいてロスも多いし、地域住民、あるいはそこで働く人たちの健康管理などにもむしろそごを来たしておる。これらについてはもっと私は、国として親切な行政指導なり、あるいはそのための助成というものがあってしかるべきだと思うんだけど、この辺についてもお聞きしておきたい。
  59. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 今回この法律で考えおります交付金は、一応、知事に整備計画をつくっていただきまして、その整備計画に基づいて交付金が交付されるわけでございますが、この整備計画の作成の前段階といたしましては、当然のことでございますけれども、関係市町村の意見を十分に聞くのがたてまえに相なっております。これが市町村の意見及び住民の意見を反映いたしまして整備計画がつくられるわけでございまして、これを中央の道路計画、港湾計画等のすり合わせを中央でもいたすわけでございます。そのため、本法におきましては、道路におきました場合の建設大臣、港湾についての運輸大臣等がそれぞれ主務大臣といたしまして、これを全体の計画の中に組み入れて考えていくというたてまえをとっております。これはむしろ全体との調整ということでございますが、その趣旨は、一般的な公共施設の整備の計画とこの本法の整備計画の計画と両方とを込みにいたしまして、一番いい効果が達成できるようにいかにしたらいいかということを考えるわけでございます。先生の御指摘の、各公共施設をばらばらにつくらないで、これをプールして大きなりっぱなものをつくるというのは当然の考え方でございまして、本法の運用につきましても、この交付金と一般財源、それから極端に言いますと、電力会社の協力措置、その辺を全部込みにいたしまして、できる限り効率のいい、いいものをつくる、そういう点におきましては交付金の交付先、交付金の使い方、それについてリキッドに考えることなく、これを全部込みにして弾力的に使いたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  60. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 あとのあれは。医療施設その他の、これからの分じゃなく、既往のものもあるんだから。
  61. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 既設のものは、なかなか私、現実問題としてむずかしいと思うのでございますが、考え方といたしましては、既設のものを改増築いたしまして、これをりっぱなものにするというような場合にも、当然交付金は使える、そういう意味で、そういう使い方につきます弾力性につきましては、できる限りそういう効率的な使い方をいたしたい。それから、先ほど港湾と道路だけ申し上げましたけれども、当然のことでございますが、その他本法で対象としております福祉施設等につきましても当然に同じ考え方で進みたいと思います。
  62. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これはいますぐにということにはなるまいと私も思いますけれども、画一的な運用じゃなくて、既設のものについても、あるいはこれからのものについても弾力的な運用によって相乗効果が出るような施策を講じていくべきであろうというふうに思いますので、その辺のところを要望しておきたいと思います。  それから、法的措置が当然必要になるけれども、先ほど言ったような自由財源のための措置などについても、今後やっぱり研究すべき課題であろうというふうに思いますので、この辺については、またあらためて御論議申し上げたいと思います。  それから、大臣にお伺いしますが、一般的な問題として、今後の電力の需給の見通し、新聞紙上などでは、たいへんこれから先の電力状況ということについて不安材料を並べておるわけです。まあ当面は糊塗するとしても、通産省それ自体から出ている数値によっても適正な供給予備率が八ないし一〇%ということだけど、五十一年では四・九%、五十二年では〇・五%、五十三年ではマイナス三・一%、こういうような計画が見られるわけです。結局、この需要の増大、そして供給不足という状況の中で、今後三年ないし五年の間にどのようなことで推移されるのか。けさの新聞によると、通産省はこれらのことを踏まえて、受電事前認可制というものを採用することに踏み切るということでございます。一般的な産業投資ということがこれからもどんどん進んでいくわけですが、この受電の事前認可制というものが取り上げられていくということになると、この電力供給それ自体がわが国の生産ということに直結してくることになる。きわめてこれな重要な問題だと思うわけだけど、この辺の、きょう新聞に出ておるところの構想なども踏まえて、これから中期的な展望に立っての電力需給関係についてのお考えを聞かしてもらいたい。
  63. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) わが国の需要電力量は、国民生活の向上と経済の発展に伴いまして、昭和四十一年度以降、年平均一〇%をこえる伸び率で増加してきておりましたが、石油ショック等による一時的鈍化はあるとしても、今後ともかなりの伸び率で増加していくことが予想されております。その結果、最大需要電力が八月において四十七年度には五千七百八十四万キロワットでありましたものが、五十三年度には約一・八倍に相当する一億六百五十九万キロワットに増大すると予想されます一方、供給力につきましては、四十八年度の供給予備率は三・七%で、四十九年度は八・四%と推移する見込みでありますが、近時、電気事業者が計画した電源立地について地元住民の同意が得られないため、大幅な遅延を来たしており、現在、稼働中の電源と電源開発調整審議会で決定を見ている電源のみによって将来の供給力を想定いたしますと、予備率は五十二年度に〇・七%、適正予備率は八%ないし一〇%といわれております。が、五十三年度にはマイナス二・八%と、大幅な供給力不足が起こることが懸念されております。  ことしの夏の分につきましては、大体冷房需要等を加味した最大需要に対して約八%の供給予備力を保有することができると見通されておりますが、光化学スモッグの発生等によって火力発電所出力抑制という事態がなければ、十分需要に対応するだけの供給力はあり得ると見込んでおります。しかし、御指摘のとおり、ことしも現に四月末に光化学スモッグが発生しており、昨年の例から考えても盛夏には光化学スモッグの発生が考えられますので、昨年と同様火力発電所出力抑制を行なう必要が生ずるものと考えられますが、需要調整のための各種の対策を行なうことにより、今夏のピーク時を乗り切ることはできると考えております。  いまの受電認可制という話は、私、まだ事務当局から聞いておりませんから、その点につきましては長官から御答弁申し上げます。
  64. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 受電認可制につきましては現在電気事業審議会の需給部会で、これは受電認可制だけじゃございませんけれども、今後の電力の需給についていろいろなことを考えておかなければならぬということで御審議願っておる項目の一つであることは確かでございます。しかしながら、いま大臣から答弁もございましたように、この夏は多施策よろしきを得ますと、供給予備率も八%ぐらいで推移できるのではないかということでございまして、現時点において受電認可制をわれわれは考えておりません。これは供給サイドだけで受電認可制を強引に割り切りましても、いわゆる需要サイドの対策もからめませんと経済の大混乱におちいるわけでございますので、よほど慎重にこれは対応するべき事項であろうと、こう考えておるわけでございます。  いずれにしましてもこの夏は、去年の夏に比較しまして若干供給予備力においても有利な面がございまして、光化学スモッグのこれからの推移にも関係するわけでございますけれども、大体いまから手当てをいろいろとしておりますれば、何とか切り抜けるのではないか。したがいまして、その意味において受電認可制をわれわれのほうで採用するというようなことは、現時点では考えておらないわけでございます。新聞に非常に大きく報道されておるそうでございますけれども、そういうことは私どもでまだ決定とかそういうことでございませんので、御了承願いたいと思います。
  65. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 そうすると、今朝の「通産省は二十九日、五十二年以降急速に悪化するわが国の電力需給に対処するため、新規の大口需要の電力使用量を規制する「受電事前認可制」の採用に踏み切り、来年度から実施する方針を決めた。」、この記事は誤りですね。
  66. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 誤りでございます。
  67. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 じゃ、その次の質問に移りますが、先ほども御答弁があったわけですけど、放射性の固体の廃棄物の最終処理の問題ですが、年間ドラムかんで二千本ないし三千本ぐらい出ているわけで、現に美浜あたりでもこのドラムかんの置き場所が問題になってくるということを私聞いておるし、見てきたわけです。一方、海洋投棄あるいは——陸上投棄は問題あるわけだけれど、海洋投棄それ自体にしてもいろいろ国際的な問題がロンドン条約というようなもので取りざたされておるわけですが、そういったこれからの最終処理が非常に問題になっておるおり、四十九年度から発足を予定していた放射性固体廃棄物処理センターの創設というのが見送られたというのはどういうわけか。また、わずか一千万円の調査費しかつけておられないということはどういうわけか。これは今日的な喫緊の問題であろうというふうに思うわけだけど、どんどん敷地を集めて、コンクリートで固めたトーチカみたいなところに、ドラムかんにコンクリートで固めたものを積み上げておるという状況でございますが、それらをどのように見るか、御答弁いただきたい。
  68. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘の廃棄物の処理処分の件でございますが、発電所から出ますものは気体廃棄物、あるいは液体廃棄物、あるいは固体廃棄物といろいろ種類があるわけでございます。気体廃棄物等につきましてはいろいろな減衰タンク、あるいはフィルター等を通しまして放射性物質の濃度を極力押えまして、基準をはるかに下回る、四十七年度実績でいきますと、年間約二ミリレム以下に押えまして放出しているわけでございますが、さらに液体廃棄物につきましては、いろいろ廃液の処理をいたしまして、原則的にはその液は再使用するということにしております。  それから、御指摘の固体廃棄物でございますが、これは気体とかあるいは液体廃棄物の処理に使用されましたフィルターとか、イオン交換樹脂とか、こういったものが主体でございますが、これは御指摘のように、ドラムかんに入れましてセメント等による固化等の処理のあと、発電所の固体廃棄物置き場に保管されておるということでございます。現在出てまいりますドラムかんの本数は、かなり指摘のように多いわけでございますが、これらの保管管理に要するスペースは、各発電所とも相当な敷地がございますので、固体物置き場の拡張によって当面対処し得るというふうに考えております。  なお、御指摘の海洋投棄その他の永久処分の問題でございますが、これにつきましては、公海上におきまして深海に投棄するという問題でございますので、技術的にかつ国際的にいろいろ問題がございまして、現在それらの問題は国際的に、たとえば国際連合の国際原子力の機関等におきまして検討されておる段階でございまして、いますぐには海洋投棄等の処分はまだ可能ではないという現状でございます。しかしながら、われわれといたしましても、これらの国際的な検討には積極的に参加する。さらに、国内的には先生指摘のセンターでございますが、これは科学技術庁のほうから昨年度予算要求をしておったわけでありますけれども、先ほど科学技術庁から御説明もございましたが、四十九年度一千万円の調査費ということで、センターをどのようにしてつくっていくかというような問題を中心にいたしまして、われわれとしても科学技術庁と一緒になりまして検討している段階でございます。この永久処分の問題につきましては、センターが発足いたしましても、当面はこれの技術的並びに国際的諸問題につきましての検討を行なうということでございまして、センターができましても、直ちに永久処分の海洋投棄等ができるということではないというふうに承知しております。
  69. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 時間がありませんから先へ進みますが、立地審査のあり方についてお聞きしたいと思うのです。要するに、この電調審で立地についての審査を行なっておるわけですが、四十六年度では開発目標に対して八七%、四十七年度で三二%、四十八年度で四四%しか進んでいない。しかも、いまだに着工できない地点も幾つか残っておるということでございますが、私の聞くところによると、電力会社の場合、これは私企業でございますから、それぞれの送電の有利不利、あるいは各社における経営戦略などもからんで、電力会社それ自体の協調性が乏しいということを聞いておるのです。この電調審の中に、こういったことを踏まえてということでしょうか、開発政策部会というものを設置して、立地審査のあり方を再検討するということも聞いておるわけですが、通産省としてこの各社ばらばらの地点設定というものを行政指導などによって協調性を持たしていく、あるいはロスの少ない形で立地審査を行なうというような方向を持っておるのかどうか、現状とこれからの見通しなどについて聞かしてもらいたいと思います。
  70. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘立地の問題でございますが、各電力会社がばらばらに立地の計画をやる、あるいは発電の計画を立てる、あるいは送電線の計画を立てるということを防ぎますために各地域、北、それから東、中、西と四地域ございますが、これらの地域におきまして電力会社、これは電源開発会社も含むわけでございますが、集まりまして各地域の協議会をつくっております。さらにそれの上部機関といたしまして、中央に電源開発株式会社を含みます十社によります中央電力協議会という協議会をつくっております。これらの機関は各電力会社参加のもとに自主的に運営されているものでございますが、通産省といたしましても、これらの機関におきまして開発計画が調整される際には、積極的にいろいろな指導をするというようなことをやっているわけでございます。  また、電気事業法に基づきまして、各年度に先立ちまして、通産省に対しまして施設計画あるいは供給計画というようなものが出てくるわけでございますが、この施設計画の中には当面数年間の電源の計画、あるいは送電線の計画、あるいは配電の計画といったようなものが入ってございます。特に、発電の計画あるいは送電の計画、送電の計画の中でも各電力会社を結びます送電線があるわけでございますが、こういった送電線をつくりまして、いろいろな事態に対応いたしまして電力の融通をするわけでありますけれども、こういうものにつきましては、施設計画の際にも通産省も一緒になりまして、その内容についての調整をはかる、必要な場合にはこれを直すような命令も出せるようなことになっているわけでありまして、このようなシステムによりまして、現状におきましてもできる限りの調整をはかっているところでございます。将来におきましても、こういった既存のシステムを活用いたしまして、御指摘のようなばらばらな計画にならないように強力に指導してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  71. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 本法は、そういった意味において制定されておると思うわけだけど、本法を施行したらどれだけ立地条件が緩和され、効率があがるか、これは直ちに予測することはむずかしいと思うわけだけど、とにかく、各社が企業エゴというものを出さぬように調整することを十分考えていくべきであろうというふうに思いますので、その辺については要望しておきたいと思います。  それから、昨日の参考人の学者の意見などによっても、原子力発電所を建設するにあたって最も大切なことは、いかにしてリスクをなくすか、要するに、危険度をカバーして安全に処置するかということが最大の要諦であると。通常運転時の安全、すなわち放射能に対する対策、環境整備ということになるんでしょうが、この問題それから万一の事故時の安全対策、これは立地基準にも入っていくと思うんだけど、これが最も大切だということを力説しておられたし、私もそのとおりだと思うんです。  そのように考えてまいりますと、本法についての問題でございますが、電源立地難の問題をできるだけ解消しようというのが本法のねらいであることはもう論をまたないわけですが、最も大切な安全問題になぜ真正面から取り組まないのか。大臣の地帯整備法の趣旨説明の中にも、「住民の反対の根底には、一つには環境保全の問題及び原子力発電所に関する安全問題があることは御承知のとおりであり、発電所設置にあたり環境保全対策と安全対策に今後とも最大限の努力を払うべきことは言うまでもないところ」だというこのまくらことばがあるわけだけど、本法の具体的な内容、概要説明においては、このことじゃなく地帯整備ということにするっと変わっているわけですね。これはやっぱり私は、本法については賛成の立場をとっておるわけですが、これはベストじゃないわけです、そういう意味で。だから、安全問題を正面に取り上げてこそ私は本法の目的を兼ね備えることができると本来思うわけです。ベターであると、いまよりは一歩前進であろうというふうに思うから本法に賛成しておるわけだけど、この安全問題についてなぜそのように取り上げられないのか、そのことをまず聞いておきたいと思います。
  72. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 安全問題と環境問題というものは、原子力政策を進める上についてわれわれがいま一番強力に展開すべき分野であると思います。本法はそれを大前提とした上で、いままで地元でかなり御要望があった問題について、一部の解決を行なうという意味で、地帯整備という論点から法案というものが提出されておるわけでございますが、やはり安全問題と環境問題というものはむしろ政治の分野におきまして、先ほど申し上げましたような中央におけるコンセンサスの確立という面からわれわれのいままでの足跡を再検討し、反省しながら、もう一回深くきわめていかなきゃならぬ分野であると思います。  いままでもちろん原子炉規制法とか、あるいは核燃料の規制措置とか、あるいは廃棄物の処理であるとか、それぞれの法規がありまして、国際放射線防護委員会のきめられた基準のワクをさらに厳格に日本の場合では適用していろいろのことをやっておりますけれども、既存の体系があるからといってそれで安心していいという問題ではない。現在これだけ騒がれているということ自体には、何か既存の体系について反省すべきものがあるとわれわれは謙虚に考えなきゃならぬと思います。そういう意味で原子力委員会、それから通産省両方がこの法案の通過を機に、もう一回さらに深い分野からいままでの足跡を点検いたしまして、そして、さらに安全性と環境問題に対して充実した政策を展開していくように考えております。
  73. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 私はやっぱりこの原子力という問題については、食わずぎらいとか、ためにする反対というようなことでなく、真剣に国民的課題、国家的課題として取り組んでいかなければならない、逃げてはいけない問題であるというふうに思うわけなんです。そういう面で学問の自由、言論の自由ということは当然守らなきゃならないことだけど、国としてもう一つ責任ある体制、責任ある立場、態度というものが欠けておるというふうに私は思うんです。その責任をとらないということが不要に国民に疑惑を呼び起こし、そして現に電力が枯渇するという問題の中になおコンセンサスを求められない、右往左往した状態を呼び起こしておるというふうに思うんで、これは通産省は原局ですから、通産省だけの問題ではございませんけど、政府として私はもう少し責任のある態度をとるべきであろうというふうに思います。いま大臣の御答弁にありましたように、そういった中で現にこの原子力発電所においては事故も起きておるという現実に立って見れば、安全性あるいは安全基準というものを大胆に私はやっぱり再検討をするべきだというふうに思うわけです。  そういった意味において若干お聞きするわけですが、放射能に対する労働者の、そこで現に働いている労働者の安全確保ということについてどのように通産省としては対処しておるか、あるいは、安全確保のための国としての研究体制というものが現在どういう立場にあるか、あるいは安全審査体制はそれぞれ国によって、世界的に見てアメリカあるいはわが国、これは技術の長短もありましょうし、歴史の違いもあるし、国情もありましょうが、国際的なレベルにおいてわが国における安全審査体制というものを、先ほど言ったような意味において真摯な立場で洗い直してみる必要があるのではないか、こういった点まとめてお聞きしたいと思います。
  74. 井上力

    説明員井上力君) 第一の労働者の安全確保の点でございますが、この点に関しましては、労働者の安全に関しますいろいろな施設上の諸規制、あるいは労働者を管理いたします際の諸規制につきまして、原子炉等規制法あるいは電気事業法等におきまして基準がきめられております。さらに労働者安全という観点からいたしますと、労働安全——労働省におきまして労働関係法規によりまして規制をされておるというところがございます。  研究体制の問題でございますが、原子力に関しまする安全研究につきましては、主として科学技術庁が行なっておりますが、科学技術庁の所管いたします原子力研究所あるいは新しい炉型につきましては、動力炉核燃料事業団等におきましてそれぞれ担当する部面の安全研究が行なわれております。さらに、民間のメーカーあるいは電力会社等におきましても、それぞれの立場からする安全研究というものが行なわれておりまして、これらにつきましても、さらに強化して行ないますよう、われわれとしても指導しているところでございます。  それから、安全審査体制の問題でございますが、安全審査の問題につきましては、原子力委員会の原子炉等規制法に基づきます原子炉の設置許可というものがございますが、これを行ないます際には、原子力委員会の原子炉安全審査専門部会というものがございまして、安全審査専門部会の安全性に関しまする安全性専門家がたくさんおられるわけでございますが、ここでまず安全性の基本的な審査を行なっておるわけでございます。この審査を行ないます際に、この審査会を助けております事務当局があるわけでありますが、この辺の事務的な強化につきましては、四十九年度以降画期的な補強がはかられておるというのが現状でございます。さらに、安全審査を行ないましたものを電気事業法に基づきまして通産省におきまして、こまかい設計審査あるいは検査等を行なうわけでございますが、御指摘基準の強化というような点に十分留意しなくてはいけないということで、従前から通産省におきましては、原子炉の安全のこまかい設計基準等につきましては、内部委員会を設けまして検討しているところでございまして、その検討が済み次第、随時基準の改定を行なってきているというのが現状でございます。  運転に入りましたあとは、保安規定というものがございまして、これを原子炉等規制法に基づきまして認可されておるわけでございますが、その中に各種の保安上の守るべき諸規定が含まれておりまして、それが守られておるかどうかということを十分監視をしております。さらに年に一ぺん定期検査という検査がございまして、運転中のものは何も支障がなくても年に一ぺんは必ずとめて一ないし二カ月、場合によりますと、長い場合には五、六カ月になることもありますが、内容、機械の内部の点検まで十分行ないまして、機械、安全上支障がある点がないかどうか、運転上問題の点はないかというような点をチェックしているところでございます。その際にいろいろ、燃料ピンホールがあるとか、あるいは熱交換器減肉現象があるというようなことを発見しているわけでございまして、これらの安全審査から定期検査に至るまでのいろいろな各段階におきます規制を強化することによりまして、今後とも安全性の確保には万全を期してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  75. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 法案について少しお尋ねしますが、発電用施設周辺地域整備法案要綱第二に、「発電用施設範囲」、この中で、「原子力発電に使用される核熱料物質の再処理施設等の原子力発電と密接な関連を有する施設をいうものとする」、「密接な関連を有する施設」という範囲は、いまの時点で具体的にどのような範囲になるのか、お聞きいたします。
  76. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) これは一つには、動燃事業団が現在研究開発中の実験炉のようなものですとか、それからあと同じく動燃事業団でやっております事故実験装置等を一応いまのところは予定をしております。
  77. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 その次に、住民の福祉の向上に資するような公共施設範囲、これも役所から出ている説明資料の中では道路、港湾、漁港、水道、都市公園等の公共施設の整備計画を作成し云々ということになっているわけだけど、これ以外にどのようなものを想定されるか。
  78. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) これは現在各省と折衝中でございますが、かなり範囲に含めたいということで考えております。例示といたしましては、たとえば、温排水を使いました漁業の養殖施設ですとか、あるいは保育所、公民館、病院、学校、あるいは農道といったようなものを考えております。
  79. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 それから交付金の算出の算式、それから期間が出ておるわけだけど、算出するにあたって何を基準にしたか。答えというものは一応想定されるわけだけど、その答えとは何か、どうです。
  80. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 現在考えておりますのは、水力発電所の場合には一キロワット当たり百二十円を五年間、それから火力発電所の場合ですと二百円ないし三百円を三年間、それから原子力発電所の場合には一キロワット当たり三百円を五年間といったようなことで、発電所の種類に応じまして出すことを一応考えております。  これの算出方法でございますが、一応発電所ができましたときの稼働率ですとか、つまり一キロワット当たりでどのくらいの電力を一年間に発生するかといった稼働率の問題ですとか、それから、地元でどの程度きらわれているかといったような状況、そういうようなものを勘案した上でいまのような原案になっているわけでございます。
  81. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 水力の場合では百二十円掛ける五年間、火力の場合には一種、二種とありますが、原子力、それぞれ単価を出して、期間を出しておるわけだけど、私の聞いておるのはこれは何を根拠にしておるのか。たとえば、フル稼働したときの固定資産税というようなものを一応頭に描いて、そのキャパシティーに応じて割り返していっておるのか、一体これは何だと。たとえば、いやがる度合とは一体何だ、地域エゴが高いほどこれをもっと高くするのかということにもなっていくので、何ですかということを聞いておるのですよ。
  82. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 先生がおっしゃいましたように、発電所ができ上がりましたときの固定資産税といったようなことも一応頭には入っております。したがいまして、頭打ち制度というのがあるわけでございますが、その頭打ち制度は固定資産税の額をもって頭打ちにするというふうなことを考えております。それから、水力が百二十円、原子力が三百円ということで差があるんじゃないかというふうなこともあろうかと思いますが、水力発電所の場合ですと、ふもとから山の中まで工事用道路、これは電力会社がつくるわけでございますが、そういうふうなことで、かなり電力会社の設備によって地域開発がはかられるということもございますので、そういう点も考慮いたしまして金額的には少なくなっているわけでございます。
  83. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 地方債について配慮を払うということですが、具体的にどういうことになるのですか。
  84. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) これは自治省のほうとも現在いろいろ御相談しているところでございますが、整備計画に盛られました事業、これは実際には交付金で出される場合には一〇〇%交付金で使われますので、地方債の必要はないわけでございますが、別途交付金で足りないような分につきましては、国の通常の補助金を使うという場合も考えられようかと思います。その場合には都道府県、市町村が地方債を発行することになろうかと思います。裏負担分は地方債を発行することになろうかと思いますが、そういうふうなものについては優先的に地方債の発行を認めてもらいたいということで、自治省のほうといま交渉をしているわけでございます。
  85. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 最後に、時間になりましたからお尋ねしますが、まあ周辺整備のための概要、法案については御答弁によってわかりましたけど、その他発電所の設置そのものを助成していくというような必要はないのかどうかですね。まあ特別会計も設置されていくわけですから、電発なら電発出資などを対象にするというようなことも一つのアイデアではないだろうかというふうに思うわけだけど、地帯整備、それだけじゃなくて、発電所を設置するそのことについての助成ということについてお聞きして、質問を終わります。
  86. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 御存じのとおり、石油危機が起こりまして以来、わが国は非常にエネルギー問題につきましての意識が変革いたしたわけでございます。一番大事なことは、国内でやはり国産エネルギーといいますか、そういうものにつきましては、経済計算の上のみでなく国民のセキュリティーという概念に含めましてこれを伸ばすべきであるということでございまして、現在水力発電、それから地熱発電、それから石炭の活用等につきまして考慮中でございます。近く総合エネルギー調査会が六月中には結論を出していただくことになっておりますが、当然にいまの御指摘のとおり、それぞれこれを推進すべき財政上の問題、税制上の問題等も大いに発生すると思いますが、全般的な国全体の政策の体系の中でこれをどういうふうに強力に伸ばすかということにつきまして、政府全体として前向きに取り組んでまいる所存でございます。
  87. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時四分休憩      —————・—————    午後一時十二分開会
  88. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き発電用施設周辺地域整備法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最初に、この法案を提出に至りました経過と、この法案のねらいについて御説明を願いたいと存じます。
  90. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本のエネルギー供給の状態を俯瞰してみますと、石油危機の発生等によってもこの日本の脆弱性ということが増幅されて明らかになった次第でございますが、この際、一面において日本のエネルギー供給計画の大本について再検討を加え、そして大きな軌道を設定する必要があると同時に、また他面において、当面必要としている電力の供給というものを確保するという臨床的な措置も必要となってきておる状態でございます。そういう意味において、水力、火力、原子力におけるこれらの電力の供給を確保するために、さまざまな施策が要請されておるわけでございますが、何といっても原子力等の場合には公害問題、安全性問題、環境問題というものが非常に基本的な問題でございまして、これらの問題について住民や国民の理解と協力を得るということが、非常に重要な基本的条件となっていると思います。  政府としては、そういう面における政策をさらに検討を加え、そして推進すべきものは推進するという姿勢で臨んでおりますが、他面において、いままで関係住民の間で非常に強い要望がありました発電施設の周辺の市町村に対する福祉増進のために、諸般の措置を行なうべきであるという強い要望がございまして、関係市町村等においては議会の決議等もあり、県会のまた決議等もございました。そういう要望にこたえて、それらのいままで政策としては欠けた面を補強して、そして日本の電力確保という面について一歩前進する、そのような観点に立ちまして、今回、周辺整備法といわれる法案を若干修正し、かつ強化いたしまして再提出した次第でございます。
  91. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま、通産大臣の御答弁によりましても、また通産省からいただきました資料を拝見いたしましても、発電所立地が困難になっている理由といたしまして、二つの点をあげていらっしゃるように思います。  その一つは、公害問題や原子力の安全性に対する疑念から住民の反対運動が起こっていること、これが一つです。その二は、発電所等の立地が、他産業の立地に比べて、雇用機会の増加や地元の振興という点で得るところが少ない、こういうふうにいっております。そうしてこの法案では、通産省の資料でも述べておられますが、公害対策を実施しているし、原子力発電所にしても関係法規で規制しているので、この面で地元住民に迷惑をかけることはないものと思われます、こういうにも言っておられます。現に日本全国至るところで公害が発生し、原子力発電所事故もしばしば起こっていることも見ますならば、このような安易な考え方が間違っているのではないか、間違いであるということは明らかだと思います。この点での追及は同僚委員がこれまでやられておりますので、深く立ち入ることを私はやめたいと存じまして、法案そのものに対しましてまず質問をいたしたいと存じます。  まず初めに、法案の第三条で、「発電用施設の設置に関する計画が確実である」という規定がありますが、この確実かいなかの判断は何によって行なうのか、基準を明らかにしていただきたいと存じます。
  92. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 御存じのとおり、発電所を建設いたすに際しましては、一番最初に、いわゆる電調審といっておりますが、電源開発調整審議会、これは企画庁の諮問機関でございますが、この電調審にかけまして、そこの決定がなされることが前提に相なっております。この電調審にかけますに際しましては、当然のことでございますが、地元の意見を十分に反映するという観点から、関係都道府県知事からの御意見を十分に徴することが前提になっておりますが、いずれにしましても、そういう地元との調整も含めた結果、電調審がこれを決定するわけでございます。われわれといたしましては、この第三条一項一号の「設置に関する計画が確実であると認められること。」といいますのは、電調審の決定を前提といたしておりまして、そこで決定になりましたものは確実であるということに理解いたしたいと思うわけでございます。
  93. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまの御答弁によりまして、電調審の答申を得てということをおっしゃっていらっしゃいますが、もし電源開発調整審議会の決定を見たものという意味でございますならば、そのように規定すべきなのに、そうなっていないのはほかに理由があるからだろう、こういうように私は思うのでございますが、そこの点はどうでございましょうか。ここには電調審ということばが一つも出ていないわけですね。
  94. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 実は電調審で決定になりまして、現在まだ未着手の地点が五ヵ地点、三百五十万キロワットあるわけでございます。これにつきましては、相当前の決定でございますけれども、電調審の決定のあとで、そういうことが現実に起こっておりますので、われわれといたしましては大事をとりまして、ここに電調審の決定と書きませんで、念には念を入れまして、電調審の決定がまず第一条件でございますけれども、現地の調査等もよく行なって地元との調整をより確認いたしまして、それでその確実性を保証、確認するというような必要性もあろうかと思いましたので、表現としてはより十分を期するという意味でこういう表現にいたしたわけでございます。
  95. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それならば、いま長官がおっしゃったようなことを、ここへ書き込んでおいたほうがより確実なんではなかろうかと私は考えるわけですね。電調審ということばはここに一つも出てこないわけです。ところが、電調審の答申というのがまず最大の確実性を保証することになっておりますから、そういうふうに書かれて、なおあと補足することがあったら、いま局長がおっしゃったようなことを簡単に補足なさったらよかろうと、私はこういうふうに考えますが、その点はどうなんですか。
  96. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 私は、ちょっと不十分な答弁をいたしまして恐縮でございましたけれども、発電所そのものは電調審に付議しなければいかぬわけでございますが、原子力発電と密接の関連のある施設、たとえば再処理施設等につきましては、これは電調審に実はかからないわけでございます。その場合におきましては、原子炉規制法の許可ということが当然必要でございますが、その場合には、原子炉規制法の許可を経た段階で確実であるというふうにわれわれは運用いたしたいと思っております。非常に答弁が不十分で恐縮でございましたが、電調審の答申と、または原子炉規制法の許可というような両方含めて、この三条一項一号の「確実」というのはそういうふうに御理解願いたいと思います。
  97. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 電調審との関係でお尋ねいたしますが、都道府県知事なり市町村長は発電所立地にあたりまして意見を述べたり、決定に際して関与できるようになっておるんでございましょうか、どうでしょうか。
  98. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 電源開発調整審議会では地元の意見を聞くということになっておりまして、現在、運用によりまして都道府県知事の意見を聞くようになっております。
  99. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そこで、地方自治体の長は意見を述べたり関与することができるという御意見でございますね。
  100. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) はい。
  101. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 地方自治体の長は、相談にあずかることはあっても決定権はない、この法案でも発電所立地そのものについては決定権がない、こういうふうに私は読むわけですが、そのとおりでございましょうか。決定権もあるんですか、ないんですか。
  102. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) それは、市町村長に決定権があるということではございません。発電所の建設につきましては、先ほど来出ておりました電調審の御意見を聞いてこれをきめるということになっておりまして、ただ、その前提として関係市町村の意見は都道府県知事を通じまして、十分に反映できるような運営をはかっておるということでございます。
  103. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 くどいようでございますが、そうすると、市町村長は発電所立地にあたって意見を述べたり、決定に際して関与できるということは、そこまではそのとおりですね。しかし、決定権はない、ただ、聞かれたらそれに答えるだけで、あとは何ら権利がない、こういうことでございましょうか。
  104. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) そのとおりでございます。  ただ、最近におきます、やはり地元の意見を十分に反映するという意味では、従来にも増しまして市町村の御意見は、これを聴取して尊重するというのが当然のたてまえでございます。
  105. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 将来もこういう場合は往々そういうことだと思いますが、ただかっこうだけ、こうしたいと思うがどうお考えになりますかということを尋ねたりするだけで、やることはちゃんと最初からきめて、その地方自治体の意見などというものはもうほとんど取り上げられないで、無視されたままでものごとが進んでいくというのがどうもこれまでの例のようでございますが、どこまで尊重するのか。政府の意見と違った意見が地方自治体の長から出た場合、それをどういうふうに処理されようとするのか、そこを、処理のしかたですね。
  106. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 地方の御意見といいますのは、まず県知事が最終的にお取りまとめ願うわけでございます。県知事というのは一つの県の統括的なやはり責任者でございまして、各市町村間のバランス、その他県民の全体の福祉の向上等も考えて県知事がきめるわけでございます。もちろん一つの県の中に多数の市町村があるわけでございますが、当面の第一段階としましては、その当該市町村長と県知事との調整という問題でございます。これは私よくわかりませんが、各地方の実情がありましょうけれども、もし地元の市町村が絶対反対でありますれば、これは県知事が幾ら意見を反対のほうに述べましても、現実に建設はできないわけでございますので、おそらくそういう場合には県知事としましても、反対の御意向を固めざるを得ないと思うわけでございます。いずれにしましても、われわれといたしましては、市町村長と県知事とがよくお話し合いくださいまして、県全体の福祉の向上というものを前提に県知事に御意見を出してもらう、それを受けて電調審で御議論を願う、こういうたてまえでございます。
  107. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、いまの逆にいけば、地方自治体の市町村の意見が非常に反対意見が大きい。その場合は、知事がやはりそれを無視して賛成するということも困難になる、したがって、知事は反対するということになるだろう、こういうことでございますが、その場合、知事の意見は政府当局としては尊重し、その決定権を、知事の意見を守る、こういうことになるわけですか。
  108. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 県知事の出しました意見には、十分にこれを尊重するたてまえでございます。
  109. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 法案の第三条第一項第三号で、公共用施設の整備が発電用施設の設置上必要であると認められるとありますが、この認められるための基準は一体何か、お聞かせ願いたいと存じます。
  110. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 本法案は、発電所立地の円滑化に資しますために、発電所周辺の公共用施設を整備いたしまして、これによって地域住民の福祉の向上をはかっていくことを目的としておるわけでございます。どのような公共用施設を整備するかということにつきましては、都道府県知事が、道路、港湾、漁港、水道、公園、その他政令で定められた施設範囲内で、地元の意見を十分に聞いた上で、住民の福祉の向上に必要と認められるものを整備計画に織り込むことによりまして具体化する仕組みとなっております。したがいまして、どのような公共用施設が住民の福祉の向上に必要なものかどうかは、地元住民の意見を尊重してきめられるわけでございます。当省といたしましても、公共用施設の政令の指定にあたりましては、地元住民の意見を十分に聞いた上で、できるだけこれが広く適用できますように施設の指定をいたしたいと考えておるわけでございます。
  111. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、あくまでも「発電用施設の設置の円滑化に資するために必要」だと、こういうことが最大の目標だ、条件だ、こういうことになるんでございましょうか、この条文は。
  112. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 発電所施設の建設にとって重要だということでございませんで、むしろその地域地域にとりまして、最もその地域に要望せられております公共用施設というものを地元の意見、市町村の意見等を徴しまして都道府県知事が整備計画をきめるわけでございます。あくまでその地域の福祉の向上、地域経済の発展というのがこの「必要である」ということの根拠といいますか、基準でございます。
  113. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この法文を読みますと、ちょっと私ひっかかる点があるんですよ。三号ですね、「その地点の周辺の地域において住民の福祉の向上に必要な公共用の施設を整備することが」、ここでこのためにやるというならいいんですよ。「整備することがその地点における発電用施設の設置の円滑化に資するため必要であると」、だからそっちのほうに重点が移っているわけですね。そうすると、何か発電用施設のほうをやるために前書きがくっつけられておるような印象を受けるわけなんです。ここが私は問題だと思うんです。これがこの法案のねらいを露骨に示しているような感じが私はするわけです。そこの点はどういうふうに理解していったらいいんでしょうか。私だったら、前段に重点を置くべきだと思うんです。ところが、その前段にそういうことをうたいながら、それを否定して、後段に条件がちゃんと「発電用施設の設置の円滑化に資するために必要であると認められる」と、こういうふうにここがやられておるわけですね。そこが私、ちょっと疑惑を持つわけなんです。
  114. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) これはそういうことでございませんで、この第三条といいますのは見出しにも書いてございますように、地点の指定の規定でございます。「主務大臣は、発電用施設の設置が予定されている地点のうち、」全部を指定するんではございませんで、次のような条件に該当する地点を指定すると、地点設定の規定でございます。その地点に設定されましたところは結局交付金が交付される、こういうことに相なるわけでございます。それとの関連で、いまの先生の御指摘の一項三号を読みますと、「その地点の周辺の地域において住民の福祉の向上に必要な公共用の施設を整備することが」必要であるということが一つの要件で、その後段で「その地点における発電用施設の設置の円滑化に資するため必要である」と書いてございますのは、たとえばその地点が非常に道路、港湾、漁港、その他の公共用施設がすでに完備されておる場合も考えられますので、そういうところに重複して地点設定をして、交付金をまた上のせで交付するということは非常にむだで——むだというとあれでございますが、少しオーバーになる可能性もあるということで、この三号はあくまで限られた交付金の交付を有効適切に、最も効率的に使用するという効率性の要素も含めまして、もうすでに公共用施設が十分になされているところははずすという意味でこの三号の後段の規定がなされておりますので、さっきの先生のような意味でございません。あくまで地点及びその地点の指定におきましてその限定をしておると、こういうことでございますので、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  115. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一度確かめておきましょう、はっきりさすために。  そうすると、この文章をそのまま理解すると、「その地点における発電用施設の設置の円滑化に資するため必要である」、必要でなければならぬと、こうもなりかねないわけですね。だからこの文章は、あなたのおっしゃるようなそういう意味がすっきりと表現されてないような感じがするわけですね。この文章そのまま読むと、私はそう読んだんですよ、実はこれ読んだときに。それでは、施設の円滑化に資するために必要がないということになれば、前段の「住民の福祉の向上に必要な公共用の施設を整備する」ということもこれは否定されてしまうんだ、だめなんだと。そうすると、何だ、前段のこれは発電用施設の設置の円滑化に資するためにやるんじゃないかと、こういうことにもなってくるわけです。そうすると、何かすっきりしないものが残るような感じがするんですね、私は。そこを納得のできるような説明ができないですか、そうじゃないとおっしゃるならば。
  116. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 公共用の施設そのものは、あくまでも住民の福祉の向上に役立つように整備しなければならないと思います。ただし、地点を指定する際に、公共用施設がもうすでに十分整備されておりまして、住民がすでにそういう公共用施設の整備を望んでいないような地域については、公共用施設をさらに整備いたしましても決して発電所の建設促進には役立たないと思いますので、そういう点はまた別途の方法発電所立地促進というものは考えなければならないと思います。したがって、この法律ではそういう地域の発電所立地促進には役立て得ませんので、地点指定は行なわない、こういう意味でございます。
  117. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう一回確かめましょう。それじゃいまおっしゃったように、その地域は公共用施設が完備されてない、何もないという場合は、後段の「円滑化に資するため必要であると認められる」と、こういうことじゃなしに、それがかりになくてもやはり公共用施設を完備する、こういう方向でいく、こういうことでございましょうか。いまのあなたの答弁だと、ちゃんと公共用施設が完備しているんだ、だからそういうことはやらなくてもいいんだと、こういうことなんですね。   〔委員長退席、理事竹内藤男君着席〕 そうじゃなしに、そういうことがないところはこの公共用施設をまず第一に重点的に考えてやっていくか、そういうことなんですよ。
  118. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) そのとおりでございます。
  119. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ次の質問に移ります。  現在の地方自治体の公共施設の整備状況、特に発電用施設が設置されるようなところは、大体において過疎地と呼ばれるようなところが多いと思います。公共施設の整備はすべての地域に必要でありますが、この法案では政令で定める規模、第二条以下のものが立地される場合は対象外になりますが、これはすべての地域にするのが妥当だと私は思いますが、そうではないんですか。
  120. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 各地方の全国的な規模におきます公共施設の整備は、これからますます進められなければいかぬ問題だろうと思うわけでございます。これにつきましては、一般的な公共事業の推進というのは今後も重要な国家の課題であろうと思うわけでございますが、この法律では、先ほど大臣もちょっとお触れになりましたように、わが国の電源の促進、ひいては国民福祉の向上というような観点から電源立地を促進するというのが観点でございます。これの緊急性にかんがみまして、その地点指定をいたしまして、そこに重点的に交付金を出して促進しょうということをはかっておるわけでございます。もちろん、おのずからその場合にも限界があると思いまして、一応今回の交付金の頭打ち制度等もつくることによりまして、交付される市町村とその他の市町村とのバランスも、十分にバランスをとるような配慮もいたしておるわけでございます。なお、すでに発電所が設置されております市町村等につきましても、今回地方税法の改正を行ないまして、それぞれの地域につきまして従来よりも地方税、固定資産税がより多く収入が立つような法律の改正も行なうことにいたしまして、新設、既設のバランスもはかるようにいたしておるわけでございます。そういうふうに御理解願いたいと思います。
  121. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これも私の読み方があなたの意見と違うんじゃないかと思うのですが、これでは「政令で定める規模以上のもの及び原子力発電に使用される核燃料物質の再処理施設その他の原子力発電」云々となっているわけですね。そうすると、「政令で定める規模以上」、以下のものはこの対象にならないということになるわけですね。いま過疎地帯は、もうこういう場合が多いだろうと思うのです。だから、こういう「政令で定める規模以上のもの」というふうにしないで、すべての地域にという考えにするほうが私は正しいんじゃないかと思いますので質問しているわけです。
  122. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) お答え申し上げます。  この第二条の政令の規模でございますが、これはまだ決定しておるわけでございませんが、現時点の腹づもりにおきましては、一般的には三十五万キロワットというのを考えておるわけでございます。これは火力、原子力につきまして一応三十五万キロワット程度でございます。地熱と水力につきましては一万キロワットと、こう考えておるわけでございます。これの考え方は、やはり非常に日本の国土が狭い中でなるだけ効率のいい発電というのをはかるべきである。なお、現時点の経済水準も相当向上しておりますので、できる限り大きな形のものをつくりまして、それで効率のいい運営をはかるべきだということで、現在のところではそういう規模を考えておるわけでございますけれども、いま先生の御指摘のとおり、若干それより小さくても、その地域の事情によっていろんな事情があろうかと思うわけでございまして、この辺につきましてはケース・バイ・ケースで弾力的にこれを運用いたしたいと思います。ただ、たとえば火力について言いますと、これがどんなに小さくてもこの法律の対象にすべきだというのは、それは私どもはとるべきでないという考えでございまして、やはり一定規模以上の効率のいい経済性の高い、かつ技術水準の確立したものというところでこれを押えたいと、こう考えておるわけでございます。
  123. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 やっぱり考え方で、過疎地のために公共施設を整備していくんだ、こういうものの考え方が先に立たないで、ある規模以上の施設、そういうものをつくるところを中心にものを考えていくというんですね。ほんとうの過疎地のためにということよりも、発電をするためにこうしていくんだという、そういうところへやはり考えが私はいってしまうような感じがするんでございます。いま長官はケース・バイ・ケースで、そうでない場合も考えていかなくちゃならぬと、そういうふうなことをおっしゃいましたが、やはり過疎地における公共施設の整備ということを一番重点に考えていくというこの姿勢が必要なんじゃないかと私は思うのでございますが、その点をはっきり意見を聞かしておいてください。
  124. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 火力発電所を例に申し上げますと、従来は大都会、大消費地の中とか、その近くにつくられておりますのが例でございましたけれども、最近はいろいろな事情から、消費地から離れました遠隔地につくられる傾向にあるわけでございます。むしろこれからつくられます発電所の傾向といたしましては、いま先生の御指摘の過疎地等が一つの候補地に当然のぼってくると思うわけでございます。その場合には一過疎地にある程度大きなものをつくりまして、そこで高圧の送電線、それから超高圧の送電、電圧等も活用いたしまして、それで日本全体の電力の需給をはかる、こういうことにいくのがこれからの傾向で、私の感じでは、この法律によりまして、従来過疎地で、そのままでいくと過疎地になり切ってしまう地域に発電所ができることによりまして、その地域の公共施設が整備されて、その地域開発が進んでいくと、こういうむしろいいかっこうにこの法律なんかの活用によりまして持っていきたいというのも、この法律の一つの考え方でございます。御理解願いたいと思います。
  125. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、「政令で定める規模」以下のものでもやる、こういうふうに理解していいんですか、そうはならないんですか。
  126. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) これは先ほども申し上げましたように、まだ政令で出ておりませんが、現在は火力、原子力三十五万と考えておりますけれども、先ほども答弁いたしましたように、この三十五万が若干切れたら、ちょっとでも切れたらいけないというような運用はいたさないつもりでございます。そういう趣旨で政令を作成し、運用をはかりたい、こう思うわけでございます。
  127. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次に移りましょう。  この法律の第四条第一項に定める「整備計画」の対象となる公共用の施設につきまして、できるだけ詳細にひとつ説明をしておいていただきたいと思うのです。
  128. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 公共用施設につきましては、法文では道路、港湾、漁港、都市公園、水道というふうに限定されておりまして、その他は政令で定めることになっております。現在各省と折衝中でございまして、必ずしもまだセットされておりませんので、案ということで発表したいと思いますが、公民館、体育館、それから診療所ないしは病院、保育所、消防施設、それからゴミ焼却場等の一般廃棄物、そのほか蒸気ですとか、温排水を利用しましての農業、漁業関係の施設、あるいは環境の監視装置といったようなものを考えております。そのほかさらにまだ確定的ではございませんが、学校ですとか、農道ですとか、土地改良事業ですとかといったようなものについても検討しております。
  129. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 第四条第六項にいう「他の法律の規定」とは一体どんなようなものをさしているのか、具体的にひとつ列挙していただきたいと思います。
  130. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) これはたとえば都道府県ですと、各都道府県の発展計画といったようなものもあるところがございます。そのほか市町村につきましては市町村単位で整備計画、発展計画といったようなものをつくっているところもあるわけでございます。それから、他の法律できめるものとしまして、たとえば農業地域振興法といったようなものですとか、そういうふうなことで農業の振興がはかれるような地域なんかが集まっている場合もあるわけでございます。  いまのは地域開発的な内容でございますが、そのほか各整備を目的といたしておりますたとえば道路ですとか、港湾ですとか、そういう公共用施設につきましても、それぞれ道路整備五ヵ年計画あるいは港湾整備五ヵ年計画といったようなものがつくられている場合もあるわけでございまして、そういうふうなものとの調和もはからなければならないというふうに考えております。   〔理事竹内藤男君退席、委員長着席〕
  131. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その場合、この第八項ですね、「主務大臣は、前項の規定により整備計画を承認しようとするときは、関係行政機関の長に協議しなければならない。」という一項がありますが、この最初の他の法律の規定と知事の計画が矛盾した場合は、どちらを優先するのかということですね。
  132. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) この第八項の「主務大臣」でございますが、この「主務大臣」には、たとえば整備計画の中に道路が含まれます場合には、建設大臣というものは「主務大臣」の中に入ってきます。したがいまして道路ですとか、港湾ですとかというものは、それぞれ「主務大臣」そのものにそれら事業の所管大臣が入ってきますので、両方の計画が矛盾するということはまずあり得ないと思います。ここで「関係行政機関の長」といいますのは、たとえば自治大臣といったようなものを考えております。
  133. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃちょっと戻りますが、六項の「他の法律の規定による地域の振興又は整備に関する計画との調和及び地域の環境の保全について適切な配慮が払われたものでなければならない。」ということなんですが、ここでいう「他の法律の規定」と、それと知事の計画が矛盾するというようなことは起こり得ないんですか。起こった場合はどうするのか、どちらを優先するのか、こういうことです。
  134. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 私どもは、その整備計画をつくる際に、当然その地域を所管する都道府県知事がいろいろな計画と矛盾するようなものはつくってこないだろうというふうに思いますが、そういうふうな矛盾した計画がありましたときには、その両者の計画を調整をはかるわけでございまして、必ずしもこの本日御審議願っている地帯整備法の計画のほうを変えなければならないということではないと思います。場合によりましては、たとえば道路の計画のほうを変えなければならない場合もあろうかというふうに思います。したがいまして、その辺のどちらを変えたらいいかというような点につきましては、それぞれ、たとえば道路の場合でしたらば建設大臣がその地域の都道府県知事と話し合って調整をはかる、こういうふうに考えております。
  135. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そこの第六項に、いま読んだ後半でございますが、「地域の振興又は整備に関する計画との調和及び地域の環境の保全」というふうに「調和」ということばが使われておるわけでございますね。既存の計画との調和を定めてございますが、ここに使われておる「調和」とは一体具体的にどのようなことをさすのか、聞かせていただきたいと思います。
  136. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) たとえば、道路整備五ヵ年計画で道路の整備がきめられております場合には、その整備計画にのっております道路というのは、私どものこの地帯整備法の道路とはしませんで、それをはずしまして、それは道路計画のほうにおまかせする。それ以外の道路を、たとえば、その道路と支線的な道路をこの法律でつくるといったようなことを考えておりますので、そういうふうな際には基本的なものは道路整備五ヵ年計画、それから支線的なものはこの法律でつくるというふうなことで、両者の総合的な判断をしようといったような内容でございます。
  137. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 第四条の第七項で、「整備計画が適当なものであると認められるとき」と、こういうふうに書かれておりますが、この場合の要件は、前六項の規定の内容が整っておればよいということでしょうか。それともこのほかの要件が必要なのかどうかという点を……。
  138. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) これは必ずしも第六項だけではございませんで、そのほかその地域の公共の福祉の向上に役立っているかどうかとか、あるいは予算の範囲内であるかどうかとか、そういうふうな点についてもやはり見るようなかっこうになろうかと思います。
  139. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、そういう条件がそろわなければ許可しないということになるわけですね。
  140. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) そのとおりでございます。
  141. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあ当然のこととは私も思いますけれども、主務大臣の承認がなければ、あとで定める交付金が交付されないことになると思いますが、そこはどういうふうになりますか。
  142. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) そのとおりでございます。
  143. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 第六条に定めておりますところの発電用施設設置者の協力義務は、具体的にどの範囲までを考えていらっしゃるのか説明しておいていただきたい。
  144. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 「(発電用施設を設置する者の協力)」の内容といたしましては、一つは工事用道路でございますが、建設にかかりまして工事用道路をつくりますが、その工事用道路とか荷揚げ用の岸壁など、関連施設の計画、工事を行ないますときに、都道府県知事のつくります整備計画との調和をどうはかるかということで、事前に十分に都道府県知事に御協力申し上げるというのが一つの大きな点でございます。  それから二番目は、発電所の温水とか蒸気が出ますが、これを利用いたしまして養魚施設等を、電力会社が各地でいまやっておるわけでございますが、その辺につきまして、自分の保育しております技術的な蓄積を、その地域のために提供につきまして協力する、まあそういう技術的な協力が第二点でございます。  なお、従来電力会社が協力金とか寄付金の形で地元に街路灯をつくったり、いろいろとやっておりますけれども、そういう協力も当然にこの中に含むように理解していただきたいと思います。
  145. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 設置者が非協力的であったら一体どうなるのかということです。たとえば温排水を送り出すための施設を住民側がA地点につくってもらいたいと言うのに、B地点でないとだめだとか、こういうような場合は一体どうなのか、聞かしておいていただきたい。
  146. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) これは電力会社が地元とよく調整するのが前提でございます。絶対的な強い反対は、あくまでこれを円満に解決するように電力会社としても全力を傾けるべきだと思います。われわれといたしましても、その辺につきましては技術的な基準技術的な安全性等を含めまして所要の監督規定の活用等もはかって、その辺の円満な調整をはかりたいと思っておるわけでございます。
  147. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、やはり住民側の意見を第一に尊重していくという姿勢が必要だと思うんですが、どうしても住民側は自分たちの要求を譲らないと、そうしてまた施設者も自分たちの主張を譲らないと、お互いにぶつかってどうにもならないというような場合は、どういうふうにこれを処理していかれるのでございましょうか、だれが処理をするのでしょうか、そういう場合。
  148. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 地元の絶対的な反対を押し切りまして施設の設置というのは、なかなか現実問題としてこれはできないわけでございます。電力会社といたしましても、施設の設置につきましては、厳格な技術基準及び安全基準を守って、かつ地元との完全な調和をはかるような努力を根気強く続けるべきだと思います。絶対的な反対ということでございますれば、これは地元においていろんなトラブルが起こって、現実には建設が難航するというのが当然想見されるわけでございますので、その辺ば全員でその方向で協力をしつつ、じみちに気長く地元の調整をはかるべき問題だと私は考えるわけでございます。
  149. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 地元の意見を無視して強行すべきでない、こういう御意見だと思いますが、そういうふうに理解しておいていいですね。
  150. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) そのとおりでけっこうだと思います。しかし、その場合の地元という場合にいろんな考え方があると思いますので、われわれといたしましては、関係の市町村長または市議会、町村会等の御意見及びその市町村が属します都道府県知事及び当該県会等の意見を十分に参酌して配慮いたしたいと思っております。
  151. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ私、もっとわかりよいように、ひとつ私がぶつかった例をあげて御答弁を願いたいと思うんですが、かって和歌山の勝浦の周辺で関西電力が原子力発電所をつくろうという計画を立てました。ところが、住民の非常に反対が大きかったのです。たまたま町長選挙になりまして、一人は反対派の候補者、一人は賛成派の候補者と二人が立ったわけです。ところが、そのときに関西電力は——これは私が調べたのじゃない、その地元で聞いた話ですが、関西電力が選挙に際して、非常な力を賛成派の予定候補にかしたというわけですね。それで、反対派の町長は選挙で負けてしまったわけです。そうして賛成派の町長ができ上がってしばらく町長の席におったわけです。ところが、町民はあくまでも反対だという意見が強くなりまして、そうして反対運動がまた盛り上がってきたわけですね。それで賛成して、そうしてそれを自分の主張として町長選に臨んで、関西電力の応援を得て当選した町長は町長のいすにすわっておることができなくなって、辞表を出してやめてしまった、こういうことが勝浦町で起こっておるんです。そういうことを私は聞きました。そういう場合に、やはり私は町長とか町議会というそういう人の意見だけでものを——それが町民の意見を代表しているということにはならないわけなんです、ときには。そういうことでやるというと、いま申しましたような間違いが起こりがちになるわけです。だから、あくまでも意見を聞く対象というものはそこの住民であるべきだと、私はこう思うんです。だから、住民の意見を最も尊重していかなきゃならぬのである、こういうことを私はいま申し上げておるんでございますが、長官の話だと、住民の意見というものは住民を代表しているそこの議会とか、また市長とか町長とか村長とか、そういう人たちの意見で代表されるもんだと思うというような御意見でしたから、私は重ねていま申し上げたのですが、あくまでも住民の意見、多数の住民の意見というものをやはり尊重するというたてまえが私は正しいと思うのでございますが、長官どうでございますか。
  152. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 一番直接的な関係がございます住民の御意見、これはまず最初に尊重すべきことであると思います。われわれのところも現実の場合におきましては、いろいろと地元の方が直接に陳情にも参るわけでございますが、そういう場合には、われわれといたしましてその声をすぐ関係の市町村、それから県知事等にもお伝えいたしておりますし、それから会社にもこれをお伝えしておるわけでございます。要は直接的な地元住民、それからそれを全部包んでおります市町村、もっと大きく言いますとその当該都道府県、そういうところの意見が積み上がって全体で調和がとれることが必要でございまして、私は、地元の住民の声を全然聞かないで、市長ないし市議会だけの意見を聞いているというようなことを申し上げたつもりでございませんので、そういうふうに御理解願いたいと思います。
  153. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 時間がそうないようですから進めます。  この第七条で、「交付金を交付することができる。」と定めてありますが、この中には交付金を交付しない場合もあるのかという疑問が起こります。また、一度交付した交付金を返還させることがあるのか、あるとすればそれは一体どのような場合か、具体的に示していただきたい。
  154. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 一応「交付することができる。」という規定になっておりますが、ほとんどの場合には交付したいと思っております。したがって、交付しない場合といいますのは、たとえば地元のほうで交付金を使っての整備事業などを考えないような場合以外にはあまりないのではないかというふうに思います。それから、一度交付された交付金を返せというような場合、これは不正な支出等に充てられた場合以外は考えられないケースだろうと思います。
  155. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほど交付金の対象となる施設について説明していただきましたが、このうちの大部分は、別の法律等で一定の補助等のあるものでございますが、これらの補助と合わせてそれを利用するということが許されるのか、できるのか、その点をお聞きしたい。
  156. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 先生のおっしゃいましたのは、同じ道路に国の補助金が出ている、で、地元負担分についてこの交付金を使えるかと、いわゆる補助裏のお話かと思いますが、一応原則としては補助裏には使わないようにしたいというふうに思っております。
  157. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 きのうも参考人の意見でこういう点が少し出ておったように思うんです。敦賀市の市長さんの声でしたか、あったように思うんですが、地方自治体は超過負担などで困っておるわけでございますから、補助の足りない分をこれで埋め合わせることも積極的な活用法と私は思いますが、なぜいけないのか、聞かせていただきたいと思います。この点は、先ほど申しましたように参考人の方も、公共施設の整備のために自主的に使える財源がほしいということを強調しておりましたので、この点、重ねてお尋ねしておきたいと思います。
  158. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) ただいまの御質問のお答えは、むしろ財政当局のほうがよく御存じで、私、直接存じ上げませんですけれども、今回の措置というのは、特別会計から交付金が支出される仕組みになっておるわけでございます。特別会計の場合には、一般の経理と区別して計算されるということが原則になっておるようでございまして、一般予算から出されます補助金と、特別会計から出されます交付金とが同じ物件に対して出されるということは適当ではないというような判断が財政当局のほうにあるようでございます。ただし、これにつきましては国会でもいろいろ議論されまして、ケース・バイ・ケースで考えたいというような御答弁が財政当局のほうから出されているようでございます。
  159. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういう方向で検討して、財源の乏しい地方自治体を助けるようにしていってもらいたいと、こう思います。  それから次の質問。  第九条で、国の財政上、金融上の援助を定めておりますが、具体的な内容は何でございましょうか。この援助が受けられる具体的な要件は一体何か、伺いたいと思います。
  160. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) この国の財政上の援助といいますのは、一つには、いまお話しになっておりました一般の補助金、そういうふうなものでございます。これは、原則としましては、交付金の出ないそれ以外の施設について国の通常の補助金を出そう、こういうふうな内容でございます。それから金融上の援助といたしましては、その際に地方債を発行する場合には、その地方債の優先的な発行を認めるというようなことでございます。
  161. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうしますると、ここでいう援助というのは、大部分が融資ということで、いずれ利子をつけて返すべきものでございますから、この法律によって市町村が得られる利点は、大ざっぱな言い方をしますならば、固定資産税を施設の完成からではなく、工事着工の時点から取れることだと、こういうことになるんでございましょうか、どうでございましょうか。
  162. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 国の財政上の援助、まあ補助金のほうにつきましては返還という問題が起こらないかというふうに思います。金融上の援助につきましては、おっしゃるとおりだろうと思います。ただし、私どもは、この第九条で使われます財政上、金融上の援助といいますのは、交付金では足りない部分について行なわれるわけでございまして、今回は交付金でかなりの部分はカバーできるんではないかというふうに考えております。
  163. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあ、大体法案に対する質問は一応ここで終わっておるんでございますが、この法案は、第一に発電所立地に反対している地域住民の最も基本的な問題である公害の問題や安全性の問題について避けて通っておる感じがいたします。まともにこたえるどころか、公共施設の整備と引きかえにして安全問題を押し隠すものだ、こういうことが言えると思うのでございます。  第二は、住民の福祉の向上や地域の発展は、住民の基本的な権利でありますが、この法案にはその保証がございません。たとえば、地域の生活環境に重大な影響を与えるのにもかかわらず、大企業の高度成長に奉仕する発電所の設置そのものの可否について、住民も市町村も何ら権限が及ばない、こういうことになっておるわけでございます。また、整備計画は、あの悪名高い新全総計画や、経済社会基本計画などと調和が義務づけられ、最終的な決定権も知事にはなく、主務大臣の権限とされております。  第三に、現在の地方財政の危機的状況のもとでは、過疎地域では、交付金を目当てに発電所の誘致を余儀なくされ、国や電力産業との癒着が深まらざるを得なくなると私は考えます。  そこで、お伺いいたしますが、この法案は、公害問題や原子力発電所安全性の問題を公共施設の整備と引きかえにする、つまり安全性を金で買い取る考え方であると、こういうように思いますが、安全問題にまっこうから取り組む姿勢を回避して、安全性の解決それ自体もおくらせる結果になると思いますが、政府のこれに対する見解を伺っておきたいと思います。
  164. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 現在、発電所の建設が難航しておりますのは、先ほど来から出ておりますように、一つは安全及び環境問題でございます。これに対する住民の不安が非常に強いという点が一つでございます。それからもう一つは、この法案が期待しておりますように、従来、発電所建設のメリットが地元に還元されませんで非常にいわゆる地元といたしましては御不満が多かった点でございまして、この辺につきましては、関係の市町村及び市町村会からも強く要請が数年来されておったものでございます。この二つの要件は、両方とも実は関連がございまして、どちらか一つが十分であれば発電所の建設が促進されるというものでないわけでございまして、特に安全問題、環境問題というのはこれは最も大事な前提でございまして、これはむしろ、通産省というような、また科学技術庁というような政府の一部局の問題でなく、政府全体としてこれに真剣に取り組んで、これを掘り下げて、しかも早期にこの解決への道に歩むと、その意味におきまして地元の不満を、不安を解消するというのが一番問題であろうかと思うわけでございます。  決して、この法案がその安全問題のすりかえの法案であるということではございませんで、安全対策、環境保全対策はこの法案前提として、むしろこれよりもっと強くこれを推し進めるべき性格のものであると、こう考えるわけでございます。政府全体として、その方向で既存法令のより一そうの強化、場合によりますれば、基本法令全体の見直しも含めまして、基準の再検討も含めまして、この体制を強化していくというのがこれからの方向だと思うわけでございます。この法案は、あくまでそれを前提にいたしまして、地元への福祉の還元をどうやって行なうかということを目的にした法案でございますので、その辺は誤解のないようにひとつお願い申し上げたいと思います。
  165. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま質問いたしましたのは、できれば大臣から答えをしておいていただきたいと思う点でございます、政府の見解でございますから。
  166. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 安全問題、環境問題を重視せよ、こういう物質的な問題でそれにかえようとするのはけしからぬ、こういうおしかりでございますが、われわれのほうはそういう意図は毛頭持っておりません。冒頭に申し上げましたように、安全問題、環境問題というものはこれを進めるための前提の非常に重要な課題でございまして、それらの点が現在必ずしも満足すべき状態でいっているとは思いません。いろいろ故障が起こっておること自体を見ましても、これは必ずしも十全ならざる事態にあるということでありまして、それらの問題については当然事前にチェックして、そういうことが起こらないような状態で運営されるのが望ましい状態であるはずであります。そういう面から見まして、審査の問題及びこの審査を裏づける実験の実証、そういうことが非常に重要であると思います。先ほど来ピンホールの御質問がありましたが、ああいうピンホール故障が出てくるというのを事前になぜ点検できないか、こういう中尾先生の御質問もございました。これら考えてみますと、原子炉において実際実験してみて、そしてそういうピンホールが発生するかしないか、あるいはする過程をどうしてとめるか、初めからもう少し検査を厳重にするなり、実験してみるなりして改良すべき余地も出てきているだろうと思います。そういう点についてはわれわれも今後とも工学的にも研究を進めまして、諸般の面で対策の万全を期してまいるつもりであります。
  167. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 電源開発促進対策特別会計を見ますると、原子力発電所を設置する都道府県に対しまして、原子力の安全性を広報するための交付金が出されることになっております。きのうの森参考人、西山参考人その他の方も、安全性につきまして疑問を提起しておりますように、安全性に確証のないものについて、安全性を自治体にやらせることは地方自治体の本来の役割りをゆがめることになると私は考えるのでございますが、政府はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。大臣どうでございますか。
  168. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 原子力発電の設置及びこれが運営は、政府は、安全であると考えております。危険であると認定したものを政府としては国民にお示しするわけにはまいりません。ただ科学技術というものは日進月歩で、いま行なわれておる軽水炉の発電炉にいたしましても、今後改良してさらに十全な、安全性をさらに倍加した、そしてもっと軽便なものにしていくという課題を常にしょっておるわけでございます。そういう意味において科学的な安全性の許容量のワク内にある。しかし、さらにその安全性を高めていかなければならない、そういう課題をしょって進行中であると思うのです。そういう前提条件を持って国民にこれを啓蒙して協力をしていただくということは、政府としてなすべき当然のことであり、それに協力してくださる市町村がございますれば、政府としてはもとより歓迎して、そういう御協力に感謝して、政府としてもそれに対して科学技術庁その他を通じてお力添えをいたしたいと考えておる次第でございまして、これはもちろん市町村の自由な意思によってやっていただくということが前提であると思います。
  169. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ここは私は重大な問題があると思うのですが、地方自治体に、政府以上の安全性に対する確認なんかできる力はないはずなんですよ、そういうものは。それにもかかわらず地方自治体に、おまえ、金やるから、ひとつ政府の出先機関として大いに安全性を宣伝せいと、こういうことだろうと思うんですね。これは地方自治体の本来の目的から逸脱していくことにもなりますし、安全性に対する責任を地方自治体におおいかぶしていく、こういうことにもなりかねないと私は思うんです。ほんとうに政府が確信を持つならば、政府がやったらいいことで、地方自治体に金やって宣伝させる必要はないと思うのです。地方自治体まで巻き込んで、そして住民を押えていこうという、こういう気持ちがこの中には含まれておるように私は受け取れるわけでございますが、どうでございましょう。
  170. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 交付金の交付は、強制的にそれを受け取らして政府の前衛として使うという意味ではなくして、地方自治体が議会の決議なり、あるいは理事者の決定によって議会の了解等得ておやりになる。そうして、そういう要望がある場合には政府としては協力をして、もしそういう御要望があれば審査の上交付金も交付しましょう、そういうような地方自治体を主体的に見て、それに対して要望に応じて政府が協力していく、そういう姿勢であるというふうにお考え願いたいと思います。
  171. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、原子力の安全性につきましては、さきに衆議院の予算委員会で明らかになりましたような、政府が金を出して原子力の核の調査をさした。ところがそれがみなうそで、インチキだったということが衆議院の段階において暴露されておりますが、ああいうぶざまなことをするのじゃなしに、政府がほんとうに責任を持って国民の納得いけるような調査をして、そうして政府の責任において国民に納得してもらうのがいいので、そうじゃなしに、金を地方自治体にやって、おまえらでひとつ何とか説得してくれというような態度は私は正しくないと思うんです。そういうことをする前に、もっと政府がほんとに責任を持って、国民に納得してもらえるような調査をして明らかにしていくということが私は重要だと思うんですが、どうでございましょうか。
  172. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 安全性に対して政府が第一義的に責任をしようということは御指摘のとおりであります。また、政府が確信があるならば、責任を持ってそれを国民の間に啓蒙するということも御指摘のとおりであります。それを前提にいたしまして、その基礎の上に立って、関係の市町村において市町村のみずからの決定においてそういう点に協力したいとか、あるいはみずから原子力についてPRをしたいとか、そういうことを決定になって中央に対して協力を求めてくるという場合には、中央は交付金あるいは講師を派遣するとか、パンフレットを供給するとか、そういう形において市町村の要望にこたえる、そういうことは妥当な行為であると思っておるわけであります。
  173. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 地方自治体は非常に金に困っています。ですから、金が出るとなれば、やはり心にもないことにもなりかねないことが起こるような感じがするわけです。だから、地方自治体に金をやるから宣伝せいというのじゃなしに、全体的な国民が納得のできるような処理を政府自身の責任においてやっていくということのほうが私は正しいように思います。それを地方自治体に下請させるというようなことは私は考えものじゃないか、こういうふうに思っておるわけです。どうでございましょうか、地方自治体がやるほうが効果があるというお考え方でしょうか、どうなんでしょうか。
  174. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 政府は、そういうことを地方自治体に強制はいたしません。すべて地方自治体のイニシアチブにおいてやることであると考えております。地方自治体から御要望がある場合に政府が協力していく、その意味において向こうが要望すれば交付金も審査の上交付する、そういうふうにおとり願いたいと思います。
  175. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 えらいくどいようですが、政府がほんとうに国民に納得のできるようなことができるならば、こういうことを地方自治体がやる必要はないのですよ。それができないからこういうことになってくる。そのときに、地方自治体がやる気があるならば金を上げましょう、だからやりなさい、そうすれば、金をほしいからやりましょうということになりかねないわけなんです。何も政府がほんとうに国民を納得させるだけの調査ができるならば地方自治体にそんなことをさせる必要はない、私はこう考えるわけです。むしろ政府が責任を持ってやるというほうが重要じゃないですか。
  176. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) もとより政府が責任を持ってやるべきものであり、それが重要であると思いますが、地方自治体に自主的にそういう要望がある場合には、これを拒否することもまたどうかと思います。
  177. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 もう三つです。  都道府県知事がつくる整備計画は、既存の諸計画にワクをはめられ、決定権も大臣にあるばかりでなく、この整備計画を都道府県知事がつくれば、知事は、みずから安全性などから反対する地域住民をなだめる役割りを必然的に課せられる結果になると思います。自治体の権限と役割りを大きくゆがめる結果になるが、この点での政府の見解は一体どうか、伺いたい。
  178. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これも先ほど申し上げましたように、地方自治の本旨にかんがみまして地方公共団体がみずから決定する、それに対してその要望に基づいて政府も協力する、そういうかまえで進みたいと思います。
  179. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 政府がこれまでとってきました地方自治体軽視の政策の結果、各地方自治体の財政はまさに危機的状態にあるということは御存じのとおりです。こうした中で、過疎に悩む自治体はわらをもつかむ気持ちでこの法律に基づく交付金を希望し、結果的には発電所の誘致合戦になり、国や電力産業との癒着を強めることになり、他方、発電所の誘致ができなかった過疎地域はますます過疎化が進行し、いずれの場合も地方自治が破壊されていくことになると思いますが、政府はこの問題をどう考えておられるか、伺っておきたいと思います。
  180. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) この点は、非常にわれわれも戒心しなければならぬ問題が含まれていると思います。こういう政策を故意的に進めますと、ややもすれば住民の内部に亀裂が起きて、そして賛成派と反対派とに分かれて、平穏な村がさらに分裂していくという危険性も将来なきにしもあらずである、その点われわれも非常に深く戒心をしておりまして、いやしくも中央の政治がそういうことを促進することがないように、この実施にあたってはいろいろ慎重に周到な配慮をもって行なわなければならない、そのように考えます。
  181. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最後に、意見にもなるかと思いますが、政府が発電所立地難をほんとうに解決しようとするならば、まず第一に抜本的な公害対策の樹立はもとより、原子力発電所そのものの安全性や、原子力の、生態系まで含めた広い意味での環境に与える影響などの安全性について確実な保証をすることであると思います。  第二に、これまでの地方自治軽視の政策を改めて、地方自治体の財政を強化する、住民のための生活基盤を優先的に整備し、地場産業を大きく発展させるなどによりまして、過疎問題の基本的な解決をはかることであると思います。  第三に、これを前提にして、さまざまな形で住民の意思が反映した民主的な国土の総合的な開発計画や大企業の高度成長のためでなく、国民生活優先の総合エネルギー計画に基づいて、住民が納得の上で進めることであると私は考えます。この法案は、発電所安全性の問題をたな上げにし、政府みずからがつくった地方財政の困難につけ込み、政府の大企業中心の電力開発に協力する自治体のみを優遇し、それ以外は切り捨てていくという地方自治破壊、住民無視、列島改造計画の推進のてことなる反動的な結果であるといわなければならないと思います。このことを最後に申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。     —————————————
  182. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、佐田一郎君が委員辞任され、その補欠として原文兵衛君が選任されました。     —————————————
  183. 村田秀三

    村田秀三君 私は、実は福島県の出身でございまして、御存じのごとく、わが福島県は、これは水力も含めて電発県であるというふうにいわれております。水力については、猪苗代あるいは只見川水系、これはまあ御存じのとおりであります。同時に近時、浜通り、双葉郡、相馬郡、これにかけまして火力発電所、そうしてまた原子力発電所、稼働しているものも含めて将来の計画を見ますると、日本有数のこれは電発地帯に指名をされたといいますか、そういう状態であります。  この水力の問題もそうでございますが、その過程には、地域住民の賛否両論にまたがるところの葛藤があり、そうして地域住民の親子、親戚分かれて葛藤をした、地域住民のきわめて歴史的な何といいますか、交友関係であるとか、部落の問題であるとかいうものが破壊をされてきておるという事実があります。そうしてまたこの原発問題についても、悲しむべき葛藤が生じておる。これはまことに県民の一人といたしまして、また、国民の一人といたしまして残念なことである。そうして昨年来、これは私ども社会党が年来主張をいたしておりましたものではありますけれども、原子力委員会の福島第二原発の問題にかかわる公聴会が開催をされ、その公聴会をめぐってその開催のしかたに異議をはさむ者、そうして、これはいま刑事事件になろうかなるまいか、そういうゆゆしい問題も発生させておるわけでありまして、重大な関心を実は持っておるところであります。  そういう立場に立って私は質問をするわけでありますが、まず、この電発事業の実態、つまり今日までの現況、それからいま建設をしておるという現況、それから将来予測される計画といいますか、そういうものについて私は資料をちょうだいいたしました。この資料の概括について、御答弁をいただかなくてもわかるじゃないかと言われればそれまででございますが、一応記録に今日の時点でとどめておくという意味において、ひとつ詳しく御答弁をいただきたいと思います。
  184. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 四十八年度末におきますわが国の電気事業用発電設備については、運転中のものが二百九十六基、約六千万キロワットであります。建設中のものは二十一基、約千百六十万キロワットであります。  今後の火力発電の立地計画については、四十八年七月に開かれた第六十二回電源開発調整審議会の決定によりますと、四十八年から五十四年までに四千四百八十万キロワットの工事に着手することといたしております。  その中でわが国の原子力発電の現状は、現在運転中の原子力発電所は六基、二百二十八万キロワットでありまして、四十八年度末現在における総発電設備の二・七%を占めております。また、建設中の原子力発電所は十七基、千四百二十九万キロワットでありまして、運転中及び建設中の原子力発電所は合わせて二十三基、千六百五十七万キロワットとなります。  今後の開発規模については、六十年度六千万キロワット、これは総発電設備の二五%を開発目標としておりますが、近時のエネルギー事情を踏まえまして、現在、総合エネルギー調査会においてあらためて検討を進めておるところであります。  当面の原子力発電の立地計画については、四十八年七月に開催された六十二回電源開発調整審議会の決定によりますと、四十八年から五十四年までに四千五百十万キロワットの工事に着手することといたしております。  水力発電につきましては、四十八年度末現在における電気事業用水力発電設備は千四百十一地点、二千二百二万キロワット、うち揚水発電所が二十地点、五百二十万キロワットで、火力、原子力を含めた全発電設備の二六%を占めております。また建設中のものは五十三地点、千三十二万キロワットであり、そのうち揚水発電所は十一地点、八百四万キロワットであります。  四十八年七月の第六十二回電源開発調整審議会の議を経て決定した電源開発基本計画によれば、四十八年から五十四年までの七カ年に千九百四十万キロワット、うち揚水発電所千七百五十万キロワットの開発に着手することとしております。  なお、四十八年度末における未開発包蔵水力は、これは純揚水発電を除きまして、第四次包蔵水力調査の結果をもとに推計すると、約二千五百四十万キロワット、四百四十億キロワットアワーと推定されます。  また、純揚水式発電については、三十五年度以降、通産省において適地調査を実施しており、四十八年度末現在において約二百五十地点、一億六千万キロワットの立地調査を完了いたしております。
  185. 村田秀三

    村田秀三君 まあ、それはそれとして伺っておきます。  そこで、この法律の内容に触れるわけでありますが、この法律が成立をいたしまして適用をされる地帯といいますか、地域といいますか、それは既設のものは適用されない。すなわち具体的に申し上げますると、只見川水域に建設されました発電所群というのは相当あるわけでありますが、これは適用されないと理解するわけでありますが、それでよろしゅうございますか。
  186. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 本法の立法の趣旨は、電力のこれからの重要性と、それから発電施設の設置が円滑に進めるということの緊急性に着目いたしまして、この法律案にございますように交付金の交付等、特別の措置を講じようとするものでございます。このような趣旨からいたしまして、すでに完成いたしております発電所につきましては、交付金の交付対象からはずしておるのはいまお話しのとおりでございます。しかしながら、既設の発電所につきましても、これは新設のものとのバランスをとるべきであるという観点から、今回地方税法の改正をお願いいたしまして、発電所にかかわります固定資産税の課税標準の特例、すなわち、現在軽減措置がとられておるわけでございますが、それを廃止または縮小いたしますとともに、大規模償却資産にかかわる課税限度額の引き上げ、これも発電所はほとんどみんな該当いたすわけでございますが、そういう課税限度額の引き上げを行なうという二つの点の改正を行ないまして、当該市町村の固定資産税収入の増加をはかることとしておるわけでございます。そういう意味におきまして、新設と既設の実質的なバランスをできる限りとるようにいたしておるのが今回の措置でございます。
  187. 村田秀三

    村田秀三君 重ねて聞きますけれども、そうしますと、いますでに建設中、着工いたしまして完成間近いというものについてはどうでございましょうか。
  188. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) これは本法の付則によりまして、現在建設中のものは新設扱いということで本法の対象に相なるわけでございます。
  189. 村田秀三

    村田秀三君 いまお話聞きまして、まあバランスをとろうという努力をしておる点については承知をいたします。しかし、緊急必要があるから、そのために発電用周辺施設を調整するという条件で地域住民の反対の意思を緩和させてスムーズにこれを推進しなければならぬという政策目的である、こういうことでありますけれども、その条件というのは、これは過去においても何ら変わりなかったと私は理解いたします。とりわけ二十七、八年、三十年にかけてあの只見川流域の発電所建設当時のことを回顧するわけでありますけれども、それらの、この緊急性からいっても、あるいはまたその住民の反対感情からいっても、反対感情というものはまあ未知のものでありますから、今日ほど一つのものを経験して、そうして具体的に反対をするという、そういうことはなかったにせよ、私は同じものがあったと思うのです。だとすれば、具体的に地方税で、固定資産税で増収をはかる、それが具体的にどの程度の金額になるかということについては、いま私は計算もいたしませんし、承知もいたしませんけれども、どうもあまりにも見えすいているという感じを持つわけであります。  そこで、具体的にお伺いをいたしますけれども、この只見川水系では、単にこれは只見川だけの問題じゃありませんけれども、つまり台風期あるいは集中豪雨、そういうことによってダムの貯水調整、その関係で一挙に放流をするという状態、この状態によって人工水害が起きておる。こういう問題は、これはもう二、三年周期で実は起こっております。そのときに関係する住民がいわゆる県にもその対策を要求する、あるいは企業側に補償を要求する、こういうことがたび重なっておりまして、そして私が承知する限り、企業側が見舞い金として幾ばくかの金を出して、そして地域住民をなだめておるという、そういうことを見ておるわけであります。で、この見舞い金というのを通産省としてどの程度把握しているかわかりませんけれども、地域住民は補償をせよという、そういう要求であります。  しかし、企業側は、絶対これは人工ではないんだ、法規に基づいてダムの管理は万全であるから、決してこれは人災ではない、こういうことを主張いたしました。そしてこの決着というものはまだ完全についておらないように私は考えます。しかし、形はどういう名目かは別にいたしまして、金は現実に出しておるわけですね。そういう金というのは、つまりこの法律が制定をされた場合にどういうかかわりを持つのであろうか、国が介入して、あるいは行政が介入してこれを補償するとかしないとかという、そういう明確な方針というものがはたして出てくるのかどうかというのが質問の一つであります。  それからもう一つは、結果的に地域住民に被害を与えますと同時に、沿岸河川を破壊する。復旧費がかかるわけですね。これはつまり、災害復旧ということで国から金を出しておると私は思いますけれども、企業側ははたしてこれを一部負担しておったのかどうか、そういう点について承知をしておればひとつ御答弁をいただきたいと思います。
  190. 吉田方明

    説明員(吉田方明君) 福島県の只見川では、昭和四十四年の八月に只見川のはんらんによりまして、只見川流域に被害が生じたわけでございます。その際東北電力では、ダム操作のミスではないが、災害に対する見舞い金及び災害復旧協力金として、福島県当局に対しまして六千万円近い金を支払っております。他の電力会社におきましても、発電所周辺で洪水によって災害が起こりました際には、若干の見舞い金、あるいは地元の復旧協力金というような形で村当局あるいは県当局に金を支出している事例が幾つかございます。  なお、今回の法律とそういう見舞い金、復旧協力金といったものとは性質が異なっておりますので、今回法律が交付金を入れておりましても、それとは別に取り扱っていくものと考えております。
  191. 村田秀三

    村田秀三君 一つの事実に基づいて、これが人工であるか自然であるかという論議をいまはするつもりはありません。しかし、つまりは水力発電地帯に指定をされる際に、土地を売りたくないというそういう問題、あるいは土地をもっと高く買ってもらいたいという問題もあったでありましょう。しかしながら、そのダム建設によって、つまりはそういう人工災害があるであろうという観点に立って反対をしていたという、その事実はこれは看過できないわけですね。ダムなかりせばあり得なかったところの水害が、ダムができたために災害が定期的にやってくるというその事実は、これは認めざるを得ないわけです。  だとすれば、いまなかなか発電所の建設が進まないから、これからつくるものにはひとつ十分な施策をいたしますけれども、過去のものはもうできてしまって運転しているのですから、その地域の人々がその結果どのような苦しみがあってもかまいませんという、そういう行政態度というものが妥当かどうかと考えてみると、私はこれは問題だ。少なくとも過去にそういう事実がある。今後あるとするならば、むしろ行政がかかわり合いを持ってそれらの問題を解決するという積極的な姿勢がない限りは、私は、これは金幾らかくれますわ、それが福祉の増進につながりますわなどという、そういうものでは決してなかろうと思うのでありますが、そういう問題が今後発生をした場合に、行政として積極的にその解決のために乗り出す姿勢があるのかないのか、まずこれをひとつ伺っておきます。
  192. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 只見川の問題につきましては、ただいま御説明したとおりでございますが、当時通産省といたしましても、この原因の究明をいたしたわけでございます。一応当時といたしまして、ダムの操作にはミスがなかったということになっておりまして、どちらかというと記録的な豪雨のためである、こういうことになっておるわけでございます。しかしながら、これは今後の問題も含めますといろいろと問題があろうかと思いますが、いずれにいたしましても、発電用のダムは河川法によりまして、河川の機能を維持するということが義務づけられておるわけでございます。また、電気事業法によりまして、適正なダムの操作を行なうことも義務づけられておるわけでございます。  今後、このダムの技術上の操作ミスが起こるようなことがございますれば、これは大問題でございますので、われわれとしては、まずそういうことがないようなことを大前提にいたしまして、もし操作上のミス等が原因でございますれば、当然にこれは会社側の補償義務が生ずると思うわけでございます。しかし、いま先生の御指摘のとおりでございますけれども、既存のものにつきましては、一応そういう既存の現行の規制のより一そうの充実を期することによりまして、災害を未然に防止するということをはかってまいりたいと思いまして、新設のものにつきましては、限られた財源を使ってやはり適正に電源地帯の整備がはかられることをわれわれは期待しておるわけでございます。決して既存のものにおきますいろいろなトラブルの発生を放置しておるわけではございませんで、これは法規の運用及び実態の究明、その予防措置の完備等につきましては、今後とも努力する所存でございます。
  193. 村田秀三

    村田秀三君 この論議は、事実に基づいてこまかい資料を持っているわけでありませんから、この程度にしておきます。  もう一つ問題がありますが、それは、ことしは非常に雪が多かった。これまた雪害対策にかかわりを持ってくるわけでありますが、水力電源地帯というのは、一様にこれは豪雪地帯だと思うのですね、つまり水でありますから。台風で一挙に水が出ましたわ、さっと引きましたわでは、これは電力源である水を無意味に捨て去ってしまうということになりましょう。そうすると、大切な水を一年を通じて平均的に保持するということは、これは大きな貯水池をつくるなどということよりも、雪が降るということに、つまり自然現象にたよっておる面がたくさん私はあると思うのです。そうしますと、雪と電源——水力発電所というのはこれは重大なかかわりを持たざるを得ない。雪の降るところにおまえたち昔からかってに住んでいるんじゃないかと言われればそれまででございますが、この雪のために生活格差というものが非常に存在をする。しかもかてて加えて、水力発電所をつくるためにダム建設をした、そのために気象条件の変化であるとか、あるいは工事の態様によって災害が増加をしている。こういうことは科学的に一つ一つ立証されておるかといえばなかなかそうではないかもしれませんけれども、現実の問題としてありますね。  たとえば、水量が昔のままであるとするならば、そのときの道路はきわめて安定した安全な個所に存在をしておった、ところが、ダム建設のために峡谷を削切してそして断崖に道路をつくった、そのためになだれというものが多く発生するとかということになろうと思うんですね。その道路の建設がどうかというならば、これまたきょうはそういう場所じゃありませんから省略をいたしますけれども、きわめて、何といいますか、平地に道路をつくるぐらいの感覚でいわば設計をしておる。その設計ミスのために道路が崩壊をして、そして人身事故が発生をしたという事例はことしも実は出ておるのですね。そういうことを考えれば、少なくとも、これから必要だから、積極的に進めなくちゃならないから、これからのところは多くめんどうを見ようなどというようなことを考えておらないで、そして、地方交付税あるいは固定資産税を若干加減をいたしましたなどというようなことではなくて、私は、豪雪対策も含めてその地域の環境整備にもっともっと積極的に資金を投下すべきじゃないか、こう思っておるわけです。その点についてはいかがでしょうか。
  194. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 豪雪地帯に対します特別な配慮の必要性につきましては、当然な御指摘だと思うわけでございます。豪雪地帯につきましては、昭和三十七年にいわゆる豪雪地帯対策特別措置法という法律も制定されておるやに聞いておりますが、その法律の基本計画とか採択基準等でいろいろと特別な措置がなされておると思うわけでございます。われわれといたしましても、本法に基づきまして、たとえが豪雪地帯に水力発電を行なうような場合におきましては、一般道路とかそういうことだけでなく、たとえば雪を防ぐ防雪施設を道路につけるというような場合には、それは当然に本法の交付金の交付の対象に相なると思うわけでございます。要は、豪雪地帯の一般的な基本計画と本法で期待されております整備計画とを実質的に調和させまして、一番効率のいい地方の公共施設の整備をはかっていくのがこれからの問題だと思うわけでございます。そういう心がけで運営してまいりたいと思います。  なお、既存のものにつきましては、先ほど申し上げましたように、これを全部この本法の限られた財源で均てんさせるということは私は無理であろうかと思いまして、既存のものにつきましては、非常に乏しいかもしれませんけれども、今回の地方税法の改正その他既存の法規及びその他の措置を一貫して総合的に講ずることによりまして、新設のところとのバランスをできる限り配慮する、こういう方向で対処いたしたいと考えておるわけでございます。
  195. 村田秀三

    村田秀三君 こういう発言をいたしておりますと、何か積極的にこの法案に賛成をしておるように思われるといけませんが、決してそうではありません。まあとにかく電気使用する需用家から税金を取って、そしてこれから計画をされる地域の整備をはかって地域住民の反対意思を少し緩和しようなんて、幾らかあめをくれて頭なでておこうなんていうようなけちな考えは、どだい私は問題があると思います。だから、銭がどこからどう出るかは別にして、いま私が申し上げましたように、これは電源開発が必要であるということはだれしもが認めるとするならば、その電源開発によってこうむるところの被害なり、あるいは電源開発に必要な地域であるということであるならば、その地域に存在するところの特殊事情、そういうものを考慮していままでも積極的にこれは施策を進めるべきだったと実は私は思います。しかし、あらためてここでこういう法律が出てまいりますと、過去のものとこれからのものを区別いたしまして、過去にできてしまったものはもうできてしまったのだからしかたないのだ、いまから何もあめくれる必要はないのだ、つった魚にえさをくれるばかはいないと、こういうような感覚で区別して考えておるとするならば、これは私はたいへんな間違いである。こういう意味で指摘をして、そして同列に扱えという主張をするわけでありますが、通産大臣はいかがですか。
  196. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 既設のものと新しいものとの関係は、先ほどちょっと長官が御報告申し上げましたが、既設のものにつきましては固定資産税の面でいままでよりも優遇措置を講ずる、新しいものにつきましてはこの法案に盛ってあるような措置を講ずる、現在建設中の過渡的なものについては新しいものの部類に入る、一応そういう区分けをいたしましてともかく実施をしてみる。その後、私らは、既設のものについて固定資産の面においてまだ不十分であると思っております。それらの点につきましては次の段階において考慮してまいりたいと思っておるわけであります。
  197. 村田秀三

    村田秀三君 この法案があるかないかは別にして、とにかくやはり、いま長官が答弁をされましたが、具体的に固定資産税を増加させて——では具体的に幾ら増加されるかということについての数字がありませんから、私はその答弁をただ聞いておくにとどめざるを得ませんが、いずれにいたしましても、行政面で差別をすることはこれはけしからんということで、これは積極的に次の段階で措置をしていただきたい、こういうことでお願いを申し上げたいと思います。  それでは次の観点に移りますが、先ほどこの現況と将来の見通し等についてまさに概略お伺いをいたしました。いただきました資料を見る限りは、大まかに申し上げますと、水力も火力も地熱も原子力も同列にこの法案の中では扱われておりますけれども、では具体的にどうかといいますると、はたして水力が計画どおりに建設をされるのであろうか、あるいは火力が計画どおりに建設をされるのであろうかというようなことを考えてみますと、結果的にはどうもやはり原子力発電所に重点がかかっておるというような感じを持たざるを得ないのでありますが、その点はいかがでしょうか。
  198. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘の、今後の電源開発の種類別構成の点でございますが、水力発電につきましては、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、今後とも一般水力並びに揚水発電所両方とも含めまして国内の資源調査を強力に行ない、これに従いまして計画を立てまして、開発を促進していくということでございます。水力につきましては、当然のことながら、これは国内循環資源でありますので、極力その開発を促進するということで進めるべく計画しているところでございます。また、地熱発電につきましても、現在わずか二ヵ地点、三万三千キロしかないわけでありますが、これにつきましても国費を投じまして調査を鋭意進める、それに基づきまして開発を進めていく、こういうことで対処しているわけであります。  しかしながら、水力につきましては、先ほど数字が出ましたように、一般水力につきましてはかなり残っておる資源はさほど大きくはないと、こういうことでございまして、鋭意開発をいたしましても、おそらくここしばらくの間せいぜい五百万キロ程度であろうというふうに想定されます。また、揚水発電所につきましては、先ほど大臣の御答弁にもございましたように、一億六千万キロというような大きな地点があるわけでございますが、これは御承知のように、原資といたしまして火力発電なりあるいは原子力発電を必要とするわけでありまして、それらと組み合わせを行ないませんと開発ができない、こういうことでございます。したがいまして、新しくエネルギーを生み出すものではないというふうに御理解をいただきたいと思います。  それから地熱発電につきましては、先ほど申し上げましたように三万三千キロ、既設でございますが、工事中のものが約十八億五千キロございますが、現在の技術でまいりますと一ヵ地点あたりの出力かなり小さい、しかも国立公園等の中に立地を求めなければいけないというケースが非常に多いわけですので、なかなかその開発を量的に多くするということは困難な情勢でございます。これも国内資源でございますので、先ほど申し上げましたように、国の資金を投じまして鋭意調査をする、それによりまして開発を大いに促進するということで進めたいということでやってはおりますが、当面五十万キロないし百万キロという出力を目標にする程度でございまして、なかなか量的に多くを期待できないというのが現状でございます。  したがいまして、今後の電力の需要は、従前以上に大きな伸びは考えられないと思いますが、やはり国民生活の向上、あるいは産業の安定的な発展というものを前提といたします以上、ある程度の需要の増加を見込まざるを得ないと、それに対応するには、やはり相当程度原子力発電あるいは火力発電に依存せざるを得ないということでございます。今度の石油危機に際しまして、火力発電に対するいろいろな問題が出てきたわけでございますが、こういった状況を踏まえまして原子力発電の安全性、あるいは環境の保全をはかりつつこれが開発を大いに促進してまいりたいというのが大体の考え方でございます。  なお、通産省におきましては、これから全体の今後の電源開発の見通しにつきましては、ことしの二月以来総合エネルギー調査会におきます各部会を動員いたしまして、現在、鋭意今後の見通しについての検討を行なっているところでございまして、具体的にどういうことで今後進めていくかと、それに対する対応策、政策はどうかというような点はことしの中ごろ、六月末ないし七月初めくらいを目標に現在検討を進めておるわけでございます。
  199. 村田秀三

    村田秀三君 明確ではなかったようでありますが、いずれにしても答弁の端々に大きく原子力に頼らざるを得ないという、そういうことだろうと理解いたします。それは、私もこの資料をちょっと見ただけでも実は思いました。というのは、四十八年七月に決定をされました電源開発調整審議会長期計画、私の理解が間違っておればこれは御指摘をいただきますが、現在水力発電工事中は二百八十万キロワットですね。ところが原子力発電に至りますると建設中、これは、すでに許可をいたしまして建設中という意味であります。ただ、ここには福島第二原子力発電所は着工年月は空欄になっております。これはもっともことしの五月に許可されたばかりでありますからあるいはそうかもしれませんけれども、この数字を見ますと千四百二十九万三千キロワットになっておりますね。だから、長期計画と合わせてこれをどう見ればいいのか、それもひとつお答え願いたいと思います、私はわからないんですからね。ただ一つ、私の感覚といたしましては、水力は計画はあるけれども、実際にはこれは進まないんじゃないかという感じが一つあります。それから、原子力は計画よりももっとこれは積極的に進むんじゃないかという感じを持っております。そのどちらなんですか、これは。この関係を、現在建設中、工事中というものと、この四十八年度七月決定されました審議会の長期計画、これとどういうかかわりがあるのか、これをひとつ詳しく御説明を願いたいと思います。
  200. 井上力

    説明員井上力君) 水力及び原子力の計画でございますが、水力につきましては御指摘のように一般水力、これは揚水式以外のものでございますが、これは現在建設中のものは約二百万キロ、御指摘のとおりでございます。そのほかに揚水式発電所が十一ヵ地点、約八百万キロ、これも工事中でございます。それから原子力発電につきましては、これも御指摘のように現在建設中のものが千四百二十九万三千キロでございます。水力につきましては、先ほど御説明いたしましたように、この約二百万キロの水力は地点数にいたしますと四十二ヵ地点になるわけでございまして、一ヵ地点あたりの出力が大きいものはすでに相当数開発されておりまして、現在開発が行なわれているものあるいは今後開発が計画されるものは、一ヵ地点あたりの出力が非常に小さい地点しか残されておらないというのが現状でございます。もみろん揚水発電につきましては、一ヵ地点あたり百万キロあるいはそれ以上のものも建設可能でございまして、現にそういうものも工事中であるわけでございますけれども、揚水発電につきましては、先ほど御説明いたしましたように、原子力あるいは火力と組み合わせて発電を行なうというものでございますので、原子力、火力計画と合わせて考えなければいけない、かように考えております。  水力、原子力の計画の進みぐあいでございますが、水力発電につきましては、大体全体の発電設備の中の二十ないし二十数%、二二、三%程度を占めるのが全体の発電、電力系統の運営上適切であるということになっておりますので、現在の計画の進みぐあいは、大体計画どおりに進んでいるというふうに考えていいと思います。われわれといたしましては、先ほど御答弁申し上げましたように、これ以上できるだけ国内の水力地点の調査を進めまして、さらに計画を上回る実施を計っていきたいと、かように考えている次第でございます。  原子力発電につきましては千四百二十九万三千キロ、工事中でございますが、これは実際に計画されておりますものよりもおくれておるわけでございまして、たとえば四十八年度においては一基の着工も行なわれておらないという状況であるわけでございます。原子力発電所は工期がかなり長いという特徴がございまして、千四百二十九万三千キロ、すでに数年前から工事中であるわけですが、五十二年度末までにこれが全部入るというような計画になっておる次第でございます。  〇村田秀三君 これはそういう時間的な関係もあり、工期の関係もあり、計画と実際が数字が重複する、そういう点にていては私は理解いたします。だけども、いまも話がありましたように、水力部分というのは、計画はともかくとして、実際はなかなかこれは進まないんじゃないかという感じを実は持っております。いまの答弁でも、若干それに似たようなことも言われたようでありますが、現実の問題としてはどうですか。これは結局、この際私もお聞きしておきたいと思いますけれども、つまり、従来は水従であるとか、火従であるとか、今度は原従などというようなことになっておるのではないか、こう思います。水力であれば、賛否をここで私申し上げるわけじゃございませんけれども、この法案、スムーズに入っていくような感じがいたします。原子力云々というものが入りますから、当然これは抵抗があるのがあたりまえであろうと実は思うわけでありますが、通産行政として、電力問題を将来にわたってどう考えておるのか。すなわち、多少の問題はあるけれども、水資源を重要視し、これを涵養し、そして重点的にこれにかけようとするならば、はたしてどの程度、具体的に開発することができるのか。  言ってみれば、ここで資源論を申し上げるわけじゃありませんけれども、石油問題がこうなったから、おそらく計画どおりにはいかないであろうという、そういう言い方ですね。原子力をここでひとつ採用する。では、原子力というのは国内でどの程度生産されるのであろうか、輸入にたよらざるを得ない。では、世界的にこれを見て、何年ぐらいひとつこれを利用することができるのであろうかということを考えてみた場合に、水だったら、これは日本列島乱開発をして水のもたないような列島にしてしまったのでは、これまた問題でありましょうけれども、これは循環する資源でありますから、永久に利用することができるということになるんじゃないかと思うんです。  だとすれば、それを積極的に活用するという姿勢に立った場合に、はたしてこれはどの程度具体的にエネルギー問題の中で位置づけられるのかという問題も、私はしろうとなりに実は考えているわけなんです。このことを申し上げるのには、ほんとうに公害ではなくて、人命に影響を与える、まあ後ほど原発問題で触れたいと思いますけれども、国民全体のコンセンサスばかりじゃございません、その地域の中では部落が二つになって葛藤する、あるいは親戚がわかれて葛藤するということが現に存在しておるとするならば、むしろそういうところに手を染めるよりも、金をかけるよりも、しろうとなりに考えて、これは循環する資源にたよっていくということのほうが合理的な政策ではないか、私はこう実は考えるわけでございまして、そういう点についてひとつ今日の資源政策の中における電力、その電力問題の水という問題についてどの程度の認識を持っておるのか明確にひとつ将来の計画、展望等含めてお答えをいただきたいと思います。
  201. 井上力

    説明員井上力君) 水力に大いに重点を置いて開発すべきではないかという御意見でございまして、全くわれわれも同感な次第でございます。水力発電につきましては、今後どれぐらい一体やれるのか、どれぐらいやるつもりか、こういうお話でございますが、先ほど御答弁申し上げましたように、残されております水力地点につきましては、一カ所当たりの出力が非常に小さい。現在、先ほど申し上げましたように、工事中のものが揚水地点を含めまして五十三ヵ地点、一般水力で四十二ヵ地点あるわけでありますが、この四十二ヵ地点足しまして二百万キロ程度、こういうことでございます。原子力の場合には一カ所でその程度出力のあるものがあるわけであります。そういう実情でございます。  しかしながら、水力発電は御指摘のように、天然の循環資源でございまして、非常に貴重な国内資源であるということはそのとおりでございまして、われわれとしては残された資源を極力開発していきたい、こういうことで、電力会社、あるいはこれは県営の事業者もございますが、こういうところを指導しておるところでございます。どれぐらい可能かということでございますが、さしあたって先ほど申し上げましたように、約五百万キロ程度は可能ではないかというふうに考えております。ただ、水力の場合には、キロワットアワーエネルギーでございますが、これが比較的少ない。今後残されております水力につきましては、従来のものよりさらに少ない。これはそういう地点しかないと、こういうことでございますが、ということで、キロワットアワーといたしますと、約三百億キロワットアワー程度であろうというふうに想定されます。昭和六十年度程度まで考えまして、最近の油の価格上昇等にもかんがみ、地点を全部見直してみるというようなことをいまやっておるわけでございますが、およそ昭和六十年度ごろまでに、相当程度、ほかの形式の発電所よりも値段の高いものまで考えまして、およそ一千万キロ程度が可能なのではないかというふうに考えられます。  こういう実情でございますけれども、御指摘のように、非常にいい性格を水力発電所は持っているわけでありますので、われわれとしては御意見の線に沿いまして、本年度、来年度極力国内の調査を進めまして、計画を練り、開発の促進をはかると、あるいは開発にあたっては、非常に水力発電所は資本費が高い、結局、金利負担あるいは償却費というようなものが非常に高くなるわけですが、資本費に対する国の援助ということも大いに考えまして、水力発電の開発を大いに促進してまいりたいと、かように考えている次第でございます。
  202. 村田秀三

    村田秀三君 それでは、この法律の中身に入りましてお伺いをいたしたいと思います。  この「発電用施設周辺地域整備法案について」、エネルギー庁の作成をいたしましたこの資料に基づいてお伺いをいたしたいと思います。  その中の「(参考−2)原子力発電安全対策等交付金の概要」、この内容についてひとつ御説明をいただきたいと思います。ここに出ているものに関しては私見ておりますが。
  203. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 所在の府県に対します安全対策交付金でございますけれども、その内容は、県が行ないます環境モニタリングの施設に対します補助金、それから温排水の調査費、原子力の安全性につきましてのPR費に対する補助、その三種類でございます。
  204. 村田秀三

    村田秀三君 前の論議で特に答弁は求めておりませんでしたが、少なくとも水力を重要視しながら今後積極的にやるという説明はありましたけれども、それはそれで私はけっこうでございますからやっていただきますが、しかし、この一連の計画なり流れを見てみますと、これは原子力に重点がかかっておると、そうでございますという答弁は、私はないだろうと思いますから、特にそれは求めませんが、結果的にそうならざるを得ない。そうすると、この法案をわれわれが見る場合に、原子力発電所考えずに論ずることはできないと私は思います。でありますから、その原子力発電所原子炉安全性問題等について議論するのが私は筋道でなかろうかと思いますけれども、その問題はさておきます。  さておきますが、後ほど触れますけれども、では一、二、三項、意見もまじえて質問をいたしますが、モニタリングの設置、これは反対ではあったけれども設置された。しかも、運転をされておる原子力発電所についての安全性について、この上もない万全の施策を講ずるという要求は当然出てくるわけでありますから、それはそれなりに意味があるような気もいたさないわけじゃございません。ですが、その問題は何もこういう法律案を特につくって、そして措置をしなければならないほどの金額でもなければ、これは法律がなかろうとこんなことはできるわけですよ。実際に地方自治体でもやっている面がある。でありますから、この問題についてはこの際言及いたしませんが、二項の温排水調査、これを見ていまして私考えたのでありますが、「原子力発電用施設の設置に伴う温排水影響を調査しようとするための事業」、具体的にはどういうことを考えておられるわけですか。
  205. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 先生御承知のとおり、温排水は必ずしも原子力発電所からだけ出るものではございません。一般の火力発電所その他からも出るものでございますが、原子力発電所のほうが火力発電所と比べまして五割ないし六割増しの温排水が出る、つまりたくさん出るわけでございます。したがいまして、原子力発電所の設置建設に伴いまして、地元、特に漁民の関係の方から温排水に対するいろいろ懸念あるいは御意見が寄せられているわけでございますので、この温排水の問題につきまして、特にその影響につきまして、私どもも環境庁、通産省、農林省その他と連絡をとりまして調査を進めている次第でございますけれども、それぞれの地元の地方自治体におきましてもすでにいろいろな調査が進められております。私どもといたしましてもその影響の調査、特に地方自治体が行ないます調査に対してできるだけ御援助をしたいという考えでございまして、この交付金の一部として計上した次第でございます。
  206. 村田秀三

    村田秀三君 影響というのはどういうことなんですか、具体的に。
  207. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 原子力発電所から出ます温排水でございますが、排水口におきまして一般の水温より七度程度高い水が出てまいります。それが拡散されまして数百メートルの沖合いにまいりますと、二度ないしは一度という温度差に拡散されるわけでございますが、いずれにいたしましても一般の水温よりも多少高い排水が行なわれるということでございますので、付近の生態系、特に魚あるいは海藻、魚介類、貝類への影響があるわけでございますので、その辺の影響につきまして全般的に調査いたしたいということでございます。
  208. 村田秀三

    村田秀三君 わかりました。  そうすると、その海水が一般よりも高くなるというそういう影響を調査するというのではなくて、高くなったがために、結果して魚介類にどういう影響を与えるか、貝類にどういう影響を与えるか、魚礁がどうかるか、影響というのはよくなることも影響ですし、全然あたりまえだというのも影響ですし、悪くなるのも影響なわけですが、これはそのどれを予想しているわけですか。
  209. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) どれを予想と申しますよりも、全般的な影響を調査いたしたいということでございまして、現在のところ生態系への影響が必ずしも学問的にもはっきりしておりません。先生御承知のように、福島の公聴会におきましても、温排水影響につきまして二通りの御意見が出ました。これはワカメでございますけれども、温排水影響を受けてワカメの生育が非常に早くなったという御意見と、それから、反対に悪くなったという御意見と二通りございます。ほかのものにつきましては、たとえば魚の移動いたしますその範囲が変わった、あるいは魚礁の位置が変わったという御意見もございますし、またその反面、発育が非常によくなったという御意見もございます。さまざまな御意見、それから現実の実験その他調査いたしました結果もございますので、そういうものを総合的にさらに調査を進めてまいりたいということでございます。
  210. 村田秀三

    村田秀三君 そうすると、結論的にいうとわからないということですね。これは笑い話だと思って聞いてもけっこうでございますが、根拠があるのかどうか知りませんけれども、原子力発電所ができて温排水で海温が上がる、一定の区域を区切ってウナギを飼ったならば、ウナギは大きく育つのじゃないかというそんな話があってみたり、そういうことで養殖漁業に非常に裨益するなどというような話ももっともらしく言われたりするわけですが、そういうことは全然ございませんな。
  211. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) いろいろの影響があるわけでございまして、少なくとも申し上げられますことは、決定的な悪影響があるということもございません。また、たとえば敦賀湾におきまして福井県の水産試験所が成功いたしましたように、温排水を利用いたしましてハマチの養殖をいたしまして、非常にそのハマチの生育が早くなったということもございます。これは環境庁で現在調査しておりますけれども、全般的に生態系への影響でございますので相当長期間の観察が必要だということでございますが、温排水の悪影響が非常に大きいということはないと考えております。
  212. 村田秀三

    村田秀三君 すなわち、仮定の話が多いですね、やはり。森山長官、どうですか。
  213. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 温排水は、先ほど話がございましたように火力発電についてもあるわけでございますが、ただ、火力発電の場合は熱量が煙になって表に出るわけでございますが、原子力の場合にはそういうことはございませんので、したがって所要の海水量が五割方多いという問題があるわけであります。そして、その温度差がただいま七度程度ということでございますが、それは川の水が海水とまざりますためには、大体六・七十倍ぐらいの海水とでないとなかなか真水と海水でありますからまざりませんが、海水の場合につきましては温度の差だけでございますから、大体六、七倍ぐらいで、すなわち真水の十分の一ぐらいの量で温度差一度程度にまで下がるわけでございます。そして、それによるところの影響の問題につきましては、ただいまお話のように確かに放射能の問題は自然放射能の一%以下でございますから、たいしてこれは問題になりません。問題は温度差だけの問題でありますが、その最初の七度ぐらいの温度差温排水を利用いたしまして、先ほどちょっと話がございましたように敦賀発電所ではハマチとかアユの養殖に成功しているとか、あるいは原子力発電会社の東海発電所ではイシダイやアワビ、クルマエビの養殖に成功している。中部電力の浜岡原子力発電所ではアワビ、アユ、マダイの養殖に成功している。これは日本の例でございますが、文献によりますれば、英国のハンターストン原子力発電所ではカレイ、ヒラメの養殖に成功している。これもやはりそういうふうな温排水も使い道があるということは事実のようでございます。それからまた、大体の通説的なものといたしましては七度差ぐらいあります温排水排水される出口付近については、付近の海草等に若干の影響はある。しかしながら、すぐ先のほうから普通の海水とまざってくるわけでございますから、魚にはあまり影響ないというようなことが一般的な通説になっておるわけであります。  しかし、ひとつこれについてどこか基準をきめようじゃないかと、どの程度の変化ならば認めてもいい、どの程度のものならということで、水質についての問題は、温度もまた水質の中に入っているそうでございまして、環境庁のほうで一つの基準をつくろうと、そういう基準をつくる意味においては、何度ぐらいの温度差になるについてどのぐらいの何といいますか、排水口からの距離で、このぐらいならいいだろうというような一つの基準をつくるようにいま研究をしようといたしておるわけでございますが、それをつくるについては、もう少し水質基準法でございますか、の基準をつくるについては、なお研究の余地があるということでございまして、先ほど事務方から話がございましたように、環境庁におきましても、また水産庁におきましても、また科学技術庁におきましても、それぞれの立場で検討、研究を進めておるわけでございますが、まだどのぐらいの範囲温排水基準をきめていいかということについて、最終的な結論を得るに至っていないという段階であるわけであります。  しかし、この問題は原子力発電に始まった問題ではなくて、在来の発電である火力にはずっとその問題はついて回っておるわけでありますから、ある程度までわかっておって大きな心配はないというふうな一般的な考え方の上に立っておるわけでございまして、これに対して、ちょうど火力発電で油を燃しますと、中の硫黄分が燃えるわけでありまして、亜硫酸ガスについてどのぐらいのところで大気汚染対策をやろうかというのと同じように、水質保全の観点からどのぐらいのことで基準をつくっていこうかという意味において、まだ十分な調査が進んでいないというところに問題があるわけであります。常識的に見ますれば、私どもは、この問題について大きな問題はないというふうに考えておる次第であります。
  214. 村田秀三

    村田秀三君 この温排水それ自体は、いろいろ区分して議論しなくてはならないような気がいたします。いま温度の関係が主ですね。放射能が自然放射能の限度であるというような話もございましたが、まあそれがどういうことになるのかも、正直言ってこれは機械でありますから、その機械の故障状態であるとか何かによってまた別な影響も出てくると、こう思うのでございますけれども、それはのけましょう。いずれにいたしましても、冷水地帯に温水をまぜて、そこで温水帯の魚族が生息可能になるなどというようなことはこれはあたりまえの話です。ただしかし、その地域に生息する特殊な魚介、これがその影響によって生息不可能になるとかいうことになるとすれば、これは悪影響であることは間違いありませんね。そういう理解をしなくてはならぬじゃないかと思うのですね。  そこで、そういうやりとりをやってみるのも、私はいずれかの機会にやらざるを得ないと思いますが、きょう申し上げたいのは、どういう影響が出るか、つまり人体実験をやってみましょうということと同じじゃないかと思うのですが、どうですか。たとえば確定したものがないわけですね。影響があろう、悪い影響があろう、悪い影響があったらたいへんだ、だから調査を続けるということだろうと思うのです。そうすると、不確定要素というものが多分に存在するから、本来であれば大きな試験池でもつくって、その試験池でもって相当年月をかけてよい結果、あるいは状態であるという結論が出なければ、そこに大型施設を建設するということは見合わせるのが当然だと考えざるを得ない、これは常識的に申し上げまして。しかし、どういう影響が出るかよくわからぬから、まあ調査事業にも金をやる、これははっきり申し上げまして人体実験です。そのように私は理解をするんですが、この第二項はそういう意味ですか。
  215. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま先生が御指摘になりましたように、全くわからないものを、先生のおことばをかりますと、人体実験のような形で実験を続けていくということではございません。それぞれの原子力発電所の設置を許可いたしますにあたりましては、環境調査、温排水の調査を十分にいたすわけでございます。たとえば、今回許可いたしました福島の第二原子力発電所の一号炉の設置に際しましても、詳細な温排水の調査をしたわけでございまして、付近の魚類、海藻類、それからプランクトンその他に対する影響も調査いたしまして、影響はないものと認められるということを前提にいたしまして許可をした次第でございます。  ただ、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、水質汚濁防止法に基づきます温排水の規制の基準をどこに設けるべきか、その基準程度をどうするべきかということにつきましては、まだ今後そのときにその生態系への影響全般につきまして調査をする必要があるというように考えておりますので、そういう意味で今後とも調査研究を引き続き行なうことが必要だと思っておりますけれども、全くわからないままに踏み切っているということではございません。
  216. 村田秀三

    村田秀三君 これはあとで触れようかと思ったんですが、いま話が出ましたから申し上げますが、第二原発を許可するにあたって、調査をして影響がないから許可をしたと、こういうことですね。それは影響がないということは、実績、経験、実態、どの部分のそれに基づいてそれを判断をしたわけですか。
  217. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 御説明いたしますと非常に詳細にわたりますので、こまかい点は省略さしていただきますが、すでに発表しております「福島第二原子力発電所原子炉の設置に係る公聴会陳述意見に対する検討結果説明書」という大部なものがございます。これをごらんいただきますとそこに詳細な資料が出ておりますので、後ほどお届けしたいと思っておりますけれども、調査をいたしましたのは、この温排水の拡散の予測、つまりどの程度範囲にどの程度温度差温排水が拡散されるか、これを予測しまして、それに基づきまして海産生物、それからプランクトンヘの影響を検討したわけでございまして、従来の各種の研究、それから今般行ないました拡散の予測、あるいは現地におきます調査その他を総合的に勘案いたしまして、この原子炉から排出されます温排水による影響といたしましては、特段の悪影響はないというように判断した次第でございます。
  218. 村田秀三

    村田秀三君 なるほど不思議ですね。いま稼働しておるのは一号炉だけですね。二号炉は四十九年の六月に稼働ということになっておりますが、現実問題としてはこれはあまり稼働していないんじゃないかと思うんですが、二、三、四、五、六号、これを建設中なわけですね。これは稼働していないわけですから、計数的にあなた方がつくった一つの仮定に基づいてある程度の数字は、それははじき出せるかもしれませんけれども、実際問題として、一号炉だけの実績に基づいて二号炉が差しつかえないという結論になるのは、ずいぶんこれは飛躍し過ぎているように思うんですが、この点はどうなんですか。
  219. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) この温排水につきましては、先ほども御説明申し上げましたように、排水口では温度差が七度あるわけでございますが、そのあと海水の中で急速に拡散されまして、温度差が減少するわけでございます。たとえば、ただいま申し上げました福島の第二の一号につきまして計算いたしますと、温度差が二度ありますその面積でございますが、これが夏で一・三平方キロメートル、それから冬で二平方キロメートルでございます。これが海の表面付近でございまして、さらに海面下一メートルということになりますと、二度の温度差がございますのが夏で〇・八平方キロメートル、冬で一・二平方キロメートルということで、非常に狭い範囲でございます。したがいまして、そのあと温度差が一度ということになりますと、これはほとんど問題がないというように考えておりますし、二度でも大まかに申しますとそういうことでございますが、まあ一応二度で影響があると考えましても、こういう非常に狭い範囲内でしかその温度差があらわれない。その外に出ますと、これは拡散され温度差がなくなってしまうわけでございますので、その狭い範囲内におきます影響だけを検討すればよろしいわけでございます。  したがいまして、この福島の第二の一号につきましては、ただいま申し上げましたようなその狭い面積の中でどういう影響があらわれるかということを、先生の御指摘になりました福島の第一の一号の実績、それから福井県の美浜発電所の実績、あるいは敦賀発電所の実績その他のデータをもとにしまして、この狭い範囲内での影響を検討いたしました結果、先ほど申し上げましたように特段の影響がないという判断をした次第でございます。
  220. 村田秀三

    村田秀三君 どうもあなたのように頭がよくありませんから、なかなか理解できないですね。まあまあ海の水は動いておる。風のときには早くすぐに流れてしまうであろうなどというようなことでやっておるのかどうかわかりませんが、少なくともこの二、三、四、五、六、まだできないのに、計算上はこうなりますというようなことで第二原発を許可したというのは、了解のできないところであります。これはここで議論をしても果てしなく続くものと私は思いますからやめますが、いずれにいたしましても、どうもこの影響を調査するという問題、言ってみれば不確定要素のあるものについて、これは全く影響がない、安全であるというような立場に立つとすれば、何も私はこの影響を調査するなどというような措置というものは必要ないんじゃないか、逆説的にはこういう観点でものを申し上げているわけです。これは議論の分かれるところですから、これ以上は申し上げません。  次に申し上げますことは広報対策、「原子力の安全性に関する広報を行なうための事業であり、パンフレットの発行、講演会の開催等がその具体的内容となっています。」ということなんですね。これは具体的にどういうことですか。
  221. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 原子力の安全性の問題につきまして、まだ国民全般、特にその原子力発電所の地元の住民の方の中にいろいろ誤解をされていらっしゃる向きもございますし、あるいは安全性につきましての御認識をもう少し深めていただきたいという感じが非常に痛感されるわけでございます。で、安全性につきましては国が第一義的な責任を持つということは、先ほど中曽根大臣の御答弁もございましたし、ほかにも田中総理はじめ各大臣の御答弁もございます。これは国の方針でございますが、国といたしましても、今後ますますこの安全性につきましてのPRを進めてまいりたいということでございまして、原子力局のPR予算も四十九年度におきまして従来の七倍強に、非常にふやしていただきました。それを利用いたしまして、今後とも国といたしましても安全性についての広報PRにつとめてまいりたい、こういうふうに考えているわけでございますが、何と申しましても、特にその所在府県の住民の方にきめのこまかいPRを行ないまして御認識を深めていただくということになりますと、なかなか国が直接いたしますにいたしましても限界がございますので、各地方自治体に御協力をお願いいたしまして、各地方自治体の手によって、国が独自ではなかなかやりにくいようなきめのこまかいPRをお願いしたいと、それをやっていただきます場合にはそういう形で補助金をお出しするという考え方でございます。
  222. 村田秀三

    村田秀三君 これはずいぶんと問題じゃないでしょうかね。この安全性というのは、安全であるという意味ですか。
  223. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 原子力発電が安全であるということは、十分な安全審査をいたしまして許可したものでございますし、さらに運転開始後の安全性につきましても十分な監督を行なっておりますので、安全性につきましては、国といたしまして確信を持っております。したがいまして、その安全であるということにつきまして、認識を深めていただきますためのPRと考えております。
  224. 村田秀三

    村田秀三君 これは私は問題だと思うんです。つまり、地域の中で安全性を中心として議論されていると思うんです。まあ、これは学者じゃなくてしろうとの集まりじゃないかと。賛成派の学者から聞けばこれは安全であり、反対派の学者から聞けばこれは危険であり、そういう意味で、ひとつ反対派の学者の説明を真に受けているということは誤解なんだと、こう断定していいんでしょうかね。つまり、地域住民でそのような、おたくのほうで言えばそれは誤解だという、いろいろ議論があるというそれに対して地方自治体が、これはもう安全だから心配するなというような宣伝をするということは、地方自治という観点に立って考えてみた場合に、そういうことを国が押しつけていいのかどうかという問題ですね。一歩下がって、その県知事が推進派であるという場合は、これはやるかもしれませんね。観点を変えて、反対派の知事が登場したというような場合に、ではどういうことになるのか。やらなくてもいいんですよということにあるいはなるかもしれませんけれども、そういうことを考えれば、地方自治体に対して、私らはこれは安全性について積極的な疑問を持っておるということです。そういう疑問のあるものについて地方自治体が、それを安全でありますよという積極的なPRをする、させるなどということは、これは国の行政としてあってならないと私は思うんですよ。非常に問題です、これは。そう思いませんか。長官、どうですか。
  225. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) これらの項目、モニタリング施設の設置及び運営あるいは温排水の調査、放射能の問題についていろいろ地元でも心配する人もあるから、モニタリングの設備をつくる、あるいは温排水について漁民からどうだという心配を言う人があるから、それについて調べてみよう、あるいはまた、原子力発電の安全性の問題などについていろいろ疑念を呈する方々があるから、それらの面について、これは県がそれをやることについて賛成して原子力発電所ができておるわけでございますから、したがって、知事の承認を得てこのことを進めておるわけでございます。したがって、知事のほうとしてはこういう費用がなくても自分で現におやりになっておるところもあるわけでございますが、この周辺地域調整法案の成立にあたって、むしろ、これらの県のほうでやっておられた仕事についてお手伝いできれば、こういうことでこの条文をつくった、こういう交付金が作案されたものだと理解をいたしております。
  226. 村田秀三

    村田秀三君 どうも観念が違うわけでありますから、幾ら議論を進めてみても問題にならないと思いますが、いずれにしろ私は、そういう措置はとるべきじゃないという立場に立ってこれははっきりと申し上げておきたいと思います。  次に、安全性の問題と重大なかかわりあるわけでありますが、原子力行政、森山原子力委員長になってからずいぶん非科学的であるというような意見が聞かれるわけですね。そういう話もございます。そして現実問題として、これは四月でありますか、すでに科学技術特別委員会等でも議論されたかと思われますけれども、田島原子力委員が辞表を出しましたね。田島委員が辞表を出さざるを得なかったその動機、そういう問題についてどう聞いておりますか、また、理解をしておりますか、長官どうですか。
  227. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 宮島現在の原子力委員、前の教育大学の学長を原子力委員として任命することにつきまして、また、任免したことにつきまして、その経過において、田島委員のそれに関連して辞意の表明があったということを四月の下旬に承知をいたしたわけでございます。  それで、いろいろ田島委員がどういうことをお考えになっておられるかについてはっきりいたしませんでしたから、よく御本人のお考えを聞いてそれによって対処をいたしたいと、しかし、田島委員とは短期間ではございますが一緒に仕事をさしていただきまして、格別、従来田島委員と意見の違ったこともございませんし、また何といいますか、感情的にぶつかったこともございませんしいたしますし、また、よくやっていただいたと私は思っておりますから、極力ひとつこちらの考えていることについて御理解を願って引き続きやってもらいたいと慰留をしたいという考え方でありましたし、現在もそういうことでございます。今日までの段階でゆっくりお話ししようと思っておりますが、こういう状況でございますものですから、まだゆっくりお話しをする機会はございません。しかし、田島先生の周辺の方々もいろいろ心配されて、もう少し落ちついた時期にゆっくりひとつ御相談をしてまいりたい、そういう考え方でございます。私の行き方につきましてただいま御批判のおことばがございましたが、まあそれはそれぞれいろんな考え方がありますからあれでございますが、ただいまの田島委員の問題についてはそういう考え方でございます。
  228. 村田秀三

    村田秀三君 私が聞いておりますのは、非常に原子力委員任命の従来の慣行を無視をしておる、こういうことの問題もさることながら、安全性の問題について、はたして民主的、合理的に追及されているのかどうかという点についても、その委員会の運営が了解できない面もある、こういうような意味においてやめざるを得ない動機の一つであるというふうにもこれは仄聞をしておるわけでありますが、その点はどうですか。
  229. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 田島委員がどういうようにお考えかということにつきまして、いまお話しのような御趣旨であるかどうかについては、私はまだそのように思っておりません。また私が考え、またやってきたことについて、田島委員がどこまで御理解をしていただいておられるかについても、現在の段階においてさだかではございませんから、私は従来ずっとこの問題について、田島委員との関連においてはコメントをしないということで今日までまいっております。また、コメントをいたしましたのは、先ほどのように、まあいままで気持ちよくやってきたんだから、これからもひとつやってもらいたい、そういう基本的な考え方でこの問題に臨んでおるということでございまして、そのことはずっと終始一貫いたしておるわけでございます。いまお話しのありました点につきまして、田島委員との関連でお答えすることはこの際差し控えたいと思います。
  230. 村田秀三

    村田秀三君 私が解せないのは、この第二原発の許可、その許可をするにあたって、重要な今日までの審査に当たってきた田島委員がいないところで許可をされたというのは、一体どういう理由があるのだろうかと、こう思っておるわけでありますが、その辺のところはどうでございますか。
  231. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 私の承知しておる限りでは、原子力委員会における審査の中心的な、主要部分に参画をしておられましたし、また、原則的にこの結論については賛成をしておられたというふうに理解をいたしておるわけでございます。
  232. 村田秀三

    村田秀三君 やはり、何と言っても発電所安全性がこれからも議論されると思うんですが、福島第二原発、これは第二原発ばかりじゃありませんが、現在建設中のものもそうでございますけれども、私らが非常に不安に思う部分というのは、これは一つの仮想、仮定ということもありましょうが、しかしながら施設でありますから、これは地震とかあるいは津波であるとか、そういう不測の事態によって施設が破壊される、こういう問題を常に念頭から除去することはできないんです。究極安全であるという、そういう保証があるのかないのか、これはどうですか。
  233. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 原子力の安全性につきましては、確かにこれについて疑義を呈する向きがあることは事実でございますが、社会の通念といたしましては、この今日の軽水炉発電の原子炉安全性につきましては、私は問題がない、こういうふうに考えておるわけであります。  その理由を申し上げたいと思うわけでございますが、私も実はこの専門分野に入りましてから認識を新たにしたことでございますが、たとえば同じ発電でも、火力発電でたとえば石油を燃やしてやる火力発電があるわけでございますが、この石油発電をやります際には、ともかく石油を燃やすわけであります、御案内のとおり。そうして燃やした結果について、最初は、もうどうなろうとも、とにかく電気が起きればいいという考え方であります。石油の中には、御案内のとおり、硫黄分があるわけでございますし、これが燃えて亜硫酸ガスになるわけであります。そこで、そういうような亜硫酸ガスの問題が近来公害という形になって取り上げられまして、その公害に対処をいたしまして、先ほど中曽根大臣から話がありましたように——通産の事務当局ですか、石油のなまだきをやりましたり、あるいはまた、硫黄分を抜いたり、あるいは排煙脱硫をやったりという形でするわけでありまして、火力発電はいわばその公害のあと取りの産業であるわけであります。   〔委員長退席、理事竹内藤男君着席〕  ところが、原子力発電というのは、放射能が大きな問題でございますから、この放射能につきましてはいわば先取りの科学技術産業であります。この近来流行の、アセスメントというのを放射能についてやっておるわけでございまして、放射能は、昔からエックス光線等がございますから、十分国際的にも検討されておるわけでございまして、その放射能を事前にアセスメントを行ないまして、そうして二重、三重の防護をやっておりますから、したがって、人間がつくる機械でありますから故障は確かにあります。それから、人間がやることでありますからミス操作はあります。しかしながら、そういう際にかわりの機械が動くとか、最悪の場合には原子炉がとまるとか、そういう仕組みになっておるわけであります。自動車が、もし今日の軽水炉発電のような装置ができておりますれば、どんなに運転のうまい人でも百メーターとまらないで走ることは困難であります。そういう意味では、火力発電とは全然違った、要するに技術の発展段階におきましては新しいテクノロジーアセスメントの段階に入ったいわば唯一の科学技術産業であると言って差しつかえないと思うのであります。  ですから、いまの放射能の問題にいたしましても、発電所周辺の放射能は五ミリレムであります。自然放射能はおよそ百ミリレムと言われておりますから、自然放射能の二十分の一であり、通常人の許容限度であります五百ミリレムに比べますれば百分の一であります。まあそこまでいま軽水炉発電というのは進んできたと、こういうふうにお考えを願いたいと思うわけでございますし、それから年に、一年十二カ月のうちに二カ月半、定期検査をいたします。定期検査をいたしまして、いろいろな故障が発見されます。ですから、その故障は、一つ一つは取り上げて処置はいたさなければなりませんが、定期検査というものが政府の監督のもとで厳格にやられるということで、で、先ほど来申しました二重、三重の防護措置によりまして、分子力発電というものは社会通念としてはこれはもう心配ない。  先ほどお話がありました地震の問題にいたしましても、これはもし必要があればもう少し詳しく御説明をいたさしていただきますが、地震の問題ですが、いわば関東大震災の三倍ぐらいの強度のものがございましてもそれに耐え得るような構造になっている。日本における軽水炉発電における原子炉は、地震には最も頭を使っておるというような状況でございまして、まあ笑い話でございますが、日本列島が沈没でもすればやむを得ないが、相当な大地震ができても残るのは、ほかがみんなやられても原子炉付近だけが残るんじゃないかという笑い話さえ言う人があるわけでございまして、そういう問題につきましては相当気を使ってやっておりますから、私どもは社会通念としてはもう心配ない。  しかし学者の議論として、これは日進月歩でございますから、そういう意味において勉強はどんどん進めなきゃいけませんし、それから学者の立場から少しでもよくなるようにという努力は尽くしていかなきゃならない。また、国の政策もこの安全性の確保のためにあらゆる力を投じていかなきゃならぬということは申すまでもないことであります。しかし、社会の通念として今日軽水炉発電は心配ない、でありますればこそ、いま世界的にこういうエネルギー事情になってまいりましただけに、もうこれ一々長っ話になりますから省略さしていただきますが、軽水炉発電というのはこれだけ世界的にも伸びておる。ほんとうにそんなに心配あるもんだったら、今日たとえばアメリカでは四十三基、二千五百万キロワットがすでに動いております。日本の総発電量の三分の一が動いております。五十三基が目下建設中でありますし、フランスもこれからつくるのは全部原子力発電にする、いままでの火力発電の計画を切りかえようというような状況、ドイツも相当力こぶを入れていることは御案内のとおりであります。私はただいま申し上げましたような立場から、社会通念としては心配ない。しかし、それで何といいますか、何もやらぬとかいうのではございません。先ほど来念には念を入れて、日進月歩の時代でございますから、その確保のためにさらに努力を尽くしていく、そういうことの中に安全の保証がある、そういうふうに考えておるわけであります。
  234. 村田秀三

    村田秀三君 福島の場合、私は考えるわけでありますが、いま何ほど長官から安全性について強調されようとも、私は私なりの考えでこれを了解するわけにはいきません。もう一つは福島の場合ですが、第一原発、六号までこれは建設を進めましたですね。第二原発原発地帯です。これは一つ一つすべて安全であるから絶対心配ないんだと、いまはあなたはそう言うかもしれませんよ。しかし幾つも建設をされた、一つの事故が連鎖反応起こして、そしてすべてに影響が出てくるのではないか。まことにこれは常識的な心配かと思いますけれども、もっとも一つだめになれば、あれだけの地域ですから一つで全部だめだと、こういうことになるでしょうけれども、何もおれのところにばかり原発を持ってきてどうしてくれるんだという、そういうまことに素朴なこれは疑問というものもあるわけです。第二原発すでに許可をされまして、これをどうするかというのはわれわれこれからの問題でありますけれども、いずれにいたしましても、これは長官が何ほど口を尽くして話されても、いまここで了解するわけにはまいらぬ。また、それがために先ほど来申し上げておりました、つまり水力、こういう問題で積極的に施策を進めるならば、これはまあまあという考えもないわけじゃございませんけれども、事原発の問題、いかに環境整備する云々といっても、それは確かに乏しい地方財源でありますから、こんなことでもあって金をよけいにもらって道路でもよくなればいいというふうに単純に考えている方も、それは全くないわけじゃなかろうと思います。しかし、事原子力発電事業の安全性が完全に国民の合意を得られる状態にならない限り、このような法律をつくってもこれは無意味だと、こう実は思うわけでございまして、もう時間も来たようでありますから、私はそういう意見だけを申し上げまして質問を終わります。     —————————————
  235. 竹内藤男

    理事(竹内藤男君) 委員異動について御報告いたします。  本日、林虎雄君が委員辞任され、その補欠として工藤良平君が選任されました。     —————————————
  236. 工藤良平

    工藤良平君 私は、発電用施設周辺地域整備法案に関連をいたしまして、主として電力問題を中心にただいまから御質問をしてまいりたいと思います。  ただ、今日まで所属が違っておりましたので、本審議に途中から参りましたので、重複する面がずいぶんあるのではないかと思いますが、私なりに電力の問題についていろいろと今日まで持っております疑問や、これから開発をしなければならない幾多の問題についてこれから疑問を解いてまいりたいと思いますので、ぜひお願いをいたしたいと思います。  最初にお伺いをいたしたいわけでありますが、これは中曽根通産大臣にお伺いをいたしますが、特に昨年の石油パニックの問題以来、国内資源の活用という問題が大きな課題として提起をされてまいりました。もちろん、電力の問題につきましては当然国内資源の活用をどうするかということが基本的に検討をされ、その上で国際的に資源を求めていく、こういうことが当然考えられてしかるべきではないのか、このように実は考えるわけでございまして、そういう点からまず国内資源の活用を電力の関係について、すでに御説明はあったと思いますけれども、重ねて御質問をいたしたいと思います。
  237. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 日本の福祉水準を向上させ、また、国民経済を発展させていくという観点から、エネルギーの安定供給を行なうということは非常に重要な仕事でございます。その中でも電力は非常に重要な要素を占めるわけでございまして、現在の能力等を見ますと、四十八年度末における国の電気事業用の汽力設備については、運転中のものが二百九十六基、約六千キロワット、建設中のものが二十一基、約千百六十万キロワットでございます。  それで、火力発電について申し上げますと、今後の立地計画については四十八年七月に開かれた電源開発調整審議会の決定によりまして四十八年から五十四年までの間に四千四百八十万キロワットの工事に着手することになっております。  水力につきましては、現在、設備は千四百十一地点、二千二百二万キロワットでございます。そうして火力、原子力を含めた全発電設備の中の二六%水力は占めております。建設中のものは五十三地点、千三十二万キロワットでございます。  原子力につきましては、現在六基、二百二十八万キロワットでございまして、これは発電総設備の二・七%であります。建設中のものは十七基、千四百二十九万キロワットでございまして、いま建設中のものと運転中のものを合わせますと二十三基、千六百五十七万キロワット、こうなっています。開発の目標は、六十年度六千万キロワット、これは総発電設備の二五%を目標にしていま一応計画はできておるわけでございます。  こういうような情勢で電気のわが国エネルギーに占める位置というものはかなり大きい要素を占めております。しかし、この中でもこの間の石油危機にかんがみまして水力、それから火力、火力の中でも原子力、それから石炭火力、それから地熱発電所等が当面対象としてクローズアップされてきておるわけですが、われわれはそのおのおのにつきまして日本の安定成長に見合う必要な開発は持続して行なっていかなければならぬと思っております。そういう一つのよすがとして本法案も提出しておる次第でございます。
  238. 工藤良平

    工藤良平君 その中で、将来最も大きな開発の目標としてこの原子力発電の問題が、先ほどの五十年の計画を見ましても大きな目標として出されているわけでありますが、この問題については後ほど詳しくまたお聞きをいたしたいと思いますけれども、その前に私はコストの関係等からいたしまして、一体日本のような資源の乏しい国で発電を考える場合に、コスト的に見た場合に、一体どのような発電の方法というものが一番適しているのか、その点についてはどのようになっておりますか。
  239. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) コストの面で計算してみますと、最近の試算によりますと、原子力が四円六十銭、石炭火力が七円八十八銭、一般水力が七円九十三銭、一応こういう数字になっておりまして、石油が非常に上がってまいりまして、原子力の低コストというものはかなりクローズアップされてきたと思います。
  240. 工藤良平

    工藤良平君 いま私どものところでも地熱を利用しての発電がかなり出てきているわけであります。これについてはまだ一般化されておりませんが、しかし、日本のように非常に火山帯の多い地域ではこの地熱発電というものも、やはり将来の問題として十分に検討を要する事項ではないかと思いますが、これは出てまいります温水等の処理等につきましても、公害その他の問題はもちろん出てくるわけでありますけれども、これについて将来性等の問題はどうでありましょうか。
  241. 井上力

    説明員井上力君) お尋ねの地熱の問題でございますが、現在二カ所、三万三千キロが運転中でございます。また建設中及び計画中のものは五ヵ地点で十八万五千キロございます。地熱の開発につきましては、御指摘のようにやはり国内エネルギーでございますので、これの開発を大いに促進をしてまいりたいということでございまして、具体的には通産省におきましては、地質調査所におきまして概要調査、概査を全国的に行なっております。そのうち有望な地点につきましては、さらに精密調査をやるということで四十九年度から予算をちょうだいいたしておりまして、約二億八千万程度でございますが、地質調査所が概査いたしましたあとを受けまして精査をやるということを計画しております。大体三カ年計画で全国的に調査をする予定でございますが、この調査に基づきまして各調査地点のうち有望なものを拾い出しまして、具体的に地熱開発の促進をはかっていく、かようなふうに考えている次第でございます。  今後の地熱開発の促進につきましては、以上のようなことを現在やっておるわけでございまして、さらに具体的な開発にあたりましては、やはり資本費がかなりのウエートを占めますので、低利融資を行なっていくということを現在やっておるわけでございます。具体的な、今後どの程度の開発が可能かという問題につきましては、その調査をもとにして今後精密に詰めていくというふうに考えておりますが、いままでの概要調査におきましては、全国的に経済的に可能な地点は約二千万キロ程度であろうというふうに想定されております。しかしながら、御指摘のように、地熱開発を進めるにあたりましては、地熱地点が自然公園の中にあるという場合が非常に多いわけでございまして、自然環境との調和をはかるというような問題、それからやはり地中から出てまいります熱水の中にいろいろな有毒物質がある場合がありますので、これらに対する対策を十分行なっていくということが必要なわけでありまして、こういった技術につきましてもせっかく開発を進めておる、こういう段階でございます。
  242. 工藤良平

    工藤良平君 この地熱発電の問題につきましては、技術的にさらに検討、研究を加えることによっち、かなり有望なエネルギー資源として私どもがとらえていくと、こういうことはきわめて可能であるかどうかその点はどうでしょう。
  243. 井上力

    説明員井上力君) 地熱開発の技術を大いに促進するという点につきましては、通産省で四十九年度からスタートいたしますサンシャイン計画の中に、地熱の技術開発の問題が入っているわけでございまして、具体的には、現在ボーリングをやっております深さがある程度に限られるわけですけれども、これをさらに深いところまでボーリングをやるという技術の開発、その他探査技術あるいは火山を利用いたしまして行ないます火山発電の技術等の開発を進めることにしておるわけでございます。こういった技術開発がその成果を発揮してまいりますれば、さらに地熱開発の見通しというものは相当明るくなるものというふうに期待しているところでございます。
  244. 工藤良平

    工藤良平君 その点については、さっきもお話がありましたように、この温水に含まれている有毒物質等の関係からいたしまして、なお問題を将来に残すわけでありますけれども、日本の場合にやはりきわめて有力な地下資源ということにもなろうと思いますし、その温水に含まれている有毒物質の問題がある程度解決することができるならば、私はこの問題についてはかなり積極的な開発というものが行なわれてもいいのではないか、このように思うわけでありまして、そういう点については、ぜひ今後一そうの研究をしていただきたいと思うわけであります。  そこで日本の場合に、石炭といいましても、これはもちろん限界がありますし、先ほどお話しのようにかなり窮屈な状態であります。問題はこの水力発電ですね、水力発電の将来性について一体どういう考え方を持っておるか。これはかつて田中総理大臣が、思いつきかもわかりませんけれども、ダム一千カ所の建設というようなことも実は出されてきたようでありまして、ダムの建設そのものについては、地域によりましてはなお問題を残すのでありますけれども、降雨量のきわめて大きい、特に山の多い日本にとりましては、やはり水の開発、水力発電というものは、どう見ましても非常に有力な資源ということになろうと思うわけでありますが、この点についてどのように御検討が進められているか、お聞きをいたしたいと思います。
  245. 井上力

    説明員井上力君) 先ほど通産大臣から御答弁申し上げた中に、水力の今後の見通しがお述べになっておられるわけでございますが、水力発電につきましては、御指摘のようにこれは国内資源として、しかも循環資源として、きわめて安定供給に資する電源であるわけでございますので、われわれとしても極力この開発を促進してまいりたい、かように考えているわけでございます。  具体的には、現在工事中のものが五十三地点、約一千万キロ工事中でございます。そのうち約八割は揚水式の発電でございまして、揚水式発電は、原子力、火力等の電気がありませんと深夜に揚水ができないということでありますので、それらのものと組み合わせての開発ということで開発されるわけでありますが、そのほか一般水力といたしましては、工事中のもの約二百万キロございます。地点数としては四十二ヵ地点になるわけですが、こういったことで現在水力の開発も大体全電力設備のうち四分の一程度のシェアを持った開発が進められているわけでございまして、今後の開発につきましても一般水力の開発はもとより、揚水発電につきましても他の電源の整備とあわせて開発を促進してまいりたい、かように考えております。  具体的にどの程度あるかという問題でございますが、現在のところ、当面油の値上がりその他、あるいは具体的な立地調査等を極力進めまして開発を進めるわけでありますが、当面約五百万キロ程度と、まあ昭和六十年ごろまで考えましておよそ一千万キロ程度の開発が考えられるのではないかというふうに考えております。この点につきましては、さらにいろいろな調査、現地調査あるいは事情聴取等を緊急に行ないまして、さらにその精度を高めてまいりたいというふうに考えております。  水力の開発は、御承知のように発電の目的だけではございませんで、その他上水道あるいは農業用、あるいは洪水調節用いろいろな目的を持ってダムの建設というものは行なわれるわけでございますが、こういったものとあわせて行ないます多目的開発等につきましても、現在鋭意調査をしておりますし、今後とも積極的にこういう中に電力としても参加をいたしまして、水力発電の開発の促進ということをはかってまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  246. 工藤良平

    工藤良平君 この問題はさっきも私申し上げましたけれども、日本の今日までのこの状態を見ますときに、非常に有力なエネルギー資源に転化をすることができるわけでありまして、この点についてはすでに建設省等におきましてもかなりの調査が進んでおるようでありますが、もちろん経企庁もこの水資源の問題については所管でもありますし、特に発電という関係からいたしますと通産の所管にもなりますし、われわれとして現在日本で考えられている降雨量等からいたしまして、一体どの程度エネルギーとして転化できるかということを可能性の問題として把握できるか。その中から私どもがこの資源問題をかなりやはり詳細に分析してみる必要があるのではないかと思いますが、そういう点について三省それぞれ実施しておるようでございますが、おそらく総合的な検討というものも行なわれておると思いますので、その点を少し科学的な、非常にマクロ的な研究になると思いますけれども見通しがあればひとつ具体的に御説明いただきたいと思います。
  247. 井上力

    説明員井上力君) 水力につきましては、理論的な包蔵水力でございますけれども、約七千七百万キロとたしか称されておるわけでございますが、そのうち具体的に開発が可能かいなかということで、だいぶ長い間調査を通産省としてもいたしておるわけでございます。その調査によりますと、包蔵水力が約四千九百万キロというふうにいわれているわけでございますが、そのうち既開発のものが二千二百万キロ、さらに工事中のものは揚水を含めますと約一千万キロでございますが、一般水力は約二百万キロでございます。残りました未開発包蔵水力というものは約二千五百万キロ程度と、キロワットアワーにいたしますと四百四十億キロワットアワーという程度に想定されるわけでございますが、先ほど申し上げましたように、この中には一部混合揚水と申しまして、自然の流れとそれから揚水式発電と組み合わせた形式のものも含んでおりますし、それから、建設コストあるいはその他立地条件によりまして、たとえば人が住んでおる、貯水池にするのはちょっと無理だというような点いろいろございまして、そういう点を除いて考えますと、先ほど申し上げましたように、当面開発可能なものは、まあ昭和六十年度ごろまで考えまして約一千万キロワット程度ではないかというふうに推定いたしておるわけでございます。
  248. 工藤良平

    工藤良平君 それは私、先ほどちょっと触れましたけれども、田中総理が言ういわゆる一千カ所ダムの建設というものと科学的に結びつくのかどうか、その点はどうですか。
  249. 井上力

    説明員井上力君) 出力といたしましては当面先ほど申し上げた程度かと思いますが、地点数としては非常に多いわけでございまして、現実に建設をやっております水力発電所につきましても、約四十ヵ地点で二百万キロございますので、一カ所当たり約五万キロ、今後たとえば四十九年度に着工が計画されておりますものは約五十三万キロ、これは一般水力五十三万キロでございますが、地点数が約二十ヵ地点ということで、これが平均約二万五千キロ程度ということで、一カ所当たりの出力が非常に小さいのが今後残された水力の特徴かと思います。したがいまして、地点数といたしましては相当程度、いまの未開発包蔵水力の地点数でいきますと約八百二十ヵ地点というのがございますが、これをさらに調査を進めますれば、一千カ所程度立地も場合によれば可能かとも考えられます。
  250. 工藤良平

    工藤良平君 この水力の問題について私、先ほどからたびたび申し上げておりますように、きわめて安全なダムの建設が確認されるならば、きわめて公害がもうほとんど皆無に等しいような、しかもそれが治山治水という一つの大きな目的を持って運用されていくと、こういう面から非常に私は大事な点だということで先ほどから議論をしているわけですが、ただその中で、もちろんダムの安全性というのは後ほど質問いたします原子力だって同じことなんですけれども、そういう中で現在の既設のダムの中で堆砂量が非常に計画を上回って進んでいる。そのことがこのダムそのものの機能からいたしましても、その機能を喪失をしているということがかなり起こっているような気がいたすわけであります。これはもちろん治山治水の面からこの総合的な山の管理なりそういうことが非常に重要になってくるわけでありますが、そういう点については、通産省としてはいわゆる電力確保という意味合いからそれを把握をしていらっしゃるかどうかですね。
  251. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘のように、ダムは上流から流れてまいります、特に洪水時に流れてまいります土砂によって次第にその容量を減らしていくということがあるわけでございまして、非常に好ましくない問題でございます。これに対しましては、上流の結局治山治水というようなことが問題になるわけでございますが、この点につきましてちょっといま手持ちの資料がございませんですが、全国的にダムのそういった状況を調べた資料はあると思いますので、後ほど御報告申し上げたいと思います。
  252. 工藤良平

    工藤良平君 これは私もかつて建設委員会でもいろいろと議論をしてきたところでありますけれども、発電用の電力会社が保有をしておりますダムにいたしましても、実はかなり堆砂が進んで機能を喪失をしつつあるダムもあるわけでありまして、もちろんそれを計算に入れましてこれからの電力事情というものを水力の場合には計算をしなければならぬと思いますが、ただ、その堆砂量をどのようにして私どもが排除し、排除することによってさらにその能力を回復することもまた可能になるのではないか、このように思いますし、まあ、これについては非常に大量の金も要ることでありますけれども、全体的に日本の資源確保という意味において、あるいはダムの安全性や治山治水という意味合いからいたしましても、通産としても当然それは、もちろん経企庁やあるいは建設省、あるいは農林省等との関係も十分に配慮しながら検討を加え、手だてをしていくということが必要ではないのか、こういうような、私は従来からの考え方を持っておるわけでありますけれども、その点についてはぜひひとつ積極的な対策というものを、実態の調査と同時にそれを進めていただきたいと思うんですが、その点に対して御回答いただきたいと思います。
  253. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘の点はごもっともでございまして、新規の開発とあわせまして既設のダムの機能回復、既設の水力発電所の機能の回復という点につきましては、十分対策を講じてまいりたいというふうに考えております。
  254. 工藤良平

    工藤良平君 そこで、これは先般、水源地域の周辺における整備を行なう法律を私どもは設定いたしました。それと発電用施設周辺地域整備法案との関連がどういうことになるのかですね。その点ちょっとここで私触れておきたいと思いますので、御説明いただきたいと思います。   〔理事竹内藤男君退席、委員長着席〕
  255. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) 水源地域対策特別措置法と私どもの御審議願っております発電用施設周辺地域整備法との関係につきましては、発電用施設周辺地域整備法の中の第四条に、整備計画を定めた規定がございますが、その中で一応調整がはかられております。一応水源地域対策特別措置法の対象になりました整備事業等につきましては、私どもの整備計画からはずすということで調整をとることにしております。
  256. 工藤良平

    工藤良平君 それは、具体的には非常に微妙な問題が私は出てくると思うんですね。ですから発電用の施設をつくる、それはたとえば水力発電の場合にはダムをつくる、これもやっぱり一つの発電用施設として解釈をしていくとするならば、これは当然この法律の適用ということに当てはまる場合もあるだろうし、あるいは水源用地域ということで、一方大きな意味を含めてやるという場合もあるだろうし、そのいずれか有利なほうをとっていけばいいんだろうと思いますけれども、たとえばこういうことがあるわけです。ダムをつくります、そのダムをつくる際の直接的な買収の対象にもならない、しかし、ダムの周辺で目の前に水はあるけれども、水を目の前に見ながら、日常使う水ですね、そういうものがきわめて枯渇して、ないというような事例が生じているところもあるわけなんです。そういうものが、たとえば水道用施設をつくる、あるいは防火用施設をつくる、こういうような場合に、当然これは発電用施設周辺地域の整備のために拡大して、そういう適用が行なわれるかどうか。もちろん、それは水道なりあるいは学校施設なら学校施設、あるいは防火用水ということでやっていけばいいじゃないかということになれば、それはそれでもいいわけですけれども、そうではなくて、やはりできるだけ早く環境整備を行なうという意味からいたしますと、そういう適用が、直接的なダムの買収とかいうことではないけれども、たとえばいま五百戸ある村が二百戸沈む、三百戸残る。したがって三百戸残りますと、地方の一つの村としては、五百戸のときよりも三百戸のときのそうがいろいろな負担能力というものが小さくなってくる。したがって、それは全体的な負担として大きくなるから施設ができないというようなことも起こってくるわけで、そういう場合にいま言うように、発電用の施設、それはそういうものまでも含めて対象として考えられていくのかどうか。きわめて具体的でありますけれども、一つの事例として伺っておきたいと思います。
  257. 小野雅文

    説明員(小野雅文君) この水特法の対象になりますダムでありましても、そこに発電所が建設される場合には、当然私どものほうの法律の対象にもなるということでダブって適用になるわけでございます。ただし、事業が両方の法律から、同じたとえば道路、同じ水道事業というものに両方ともから助成がなされるということはありませんで、整備計画の事業そのものは対象を違える、こういうことになっているわけでございます。  それから、いま先生のおっしゃいました水は目の前にあるけれども、たとえば水道がないというふうな問題になりますと、その地域に水道をつくるということになろうかと思います。その水道事業そのものは私どもの公共事業の対象にすることはできますが、その際には当然水利権の問題が起こってくると思いますので、それの関係はまた別途調整する必要はあろうかと思います。
  258. 工藤良平

    工藤良平君 わかりました。じゃ水力問題はこういう程度にいたしまして、非常に重要な問題で具体的な問題になりますと、開発をするためにはそういうようなことが起こってまいりますから、かなりやはり神経をこまめに使って対策を講ずる必要があるのではないか、私はこういうように思います。特に水力の場合にはダムの安全性と同時に、やはりそういう問題が、地域の水は目の前にある、水は開発で取られてしまうけれども地域が潤わないということがありますから、そういう点についてはこれはまた具体的にいろいろと検討していきたいと思います。  そこで、火力発電のほうに目を向けてみたいと思うのですが、何といいましても、いま日本のこの電力事情の中で火力発電に対する割合というのはきわめて大きいわけでありまして、その火力発電、もちろんこれは非常に公害の元凶と言われますように、大気の汚染の主要な発生源ということになっておりますから、たいへん大きな問題なんですが、これは火力発電について、特に重油専焼のこの火力発電の将来の見通し、そういう点について、先ほどの大臣からもちょっとお話があったようですが、できれば詳しく御説明いただきたいと思います。
  259. 井上力

    説明員井上力君) 先ほど大臣から御答弁申し上げましたことでございますが、現在約六千万キロワットの火力が運転中でございます。建設中のものは二十一、約千百六十万キロでございます。昨年の七月に第六十二回電源開発調整審議会で今後の火力の計画がきめられておりますが、これによりますと、四十八年から五十四年までで約四千四百八十万キロワットの火力が計画されております。ただし、この長期的な計画につきましては、現在新しい情勢に対応いたしまして、通産省におきましては総合エネルギー調査会、あるいは経済企画庁におきましては電源開発調整審議会の下に開発政策部会というものを設けまして検討をしているところでございます。
  260. 工藤良平

    工藤良平君 重油専焼の火力発電ですけれども、これはもちろんいろいろな立地条件が必要になってくると思います。大量の重油を使うわけでありますから、原料の輸送、その他の関係からいたしまして、あるいはその公害の大気の汚染の関係からいたしまして、立地にきわめて制限が加わってくると思うのでありますが、この点について、さらに今後大幅に建設の計画を持っていられるのかどうか、お伺いをいたします。
  261. 井上力

    説明員井上力君) 各電源——水力、火力、地熱、原子力、あるいは火力の中でも石炭火力あるいは石油火力といったような種類別電源の今後の開発計画がどうなるかというような問題につきましては、先ほど昨年の電源開発調整審議会におきます計画については申し上げたわけでございますが、新しい事態に対応いたしましては、総合エネルギー調査会あるいは電源開発調整審議会の各部会で検討をしているところでありますので、新しい計画は六月末あるいは七月初めぐらいにはできるんではないかというふうに考えております。  ただ、しかしながら、各種電源が大体どんなことになっていくだろうかという大まかな見通しでございますが、簡単に申し上げますと、水力につきましては、全体の二割ないし二割五分程度が占められることになるのではないか。それから地熱につきましては、これは先ほど御説明申し上げましたように、量的にはここ四、五年あるいは七、八年程度の期間ではあまり足しになる程度の規模にはちょっとなり得ないのではないか、その先に技術開発とともに期待される電源ではないかというふうに考えております。  さらに原子力発電でございますが、原子力発電につきましては、現在のところ約千六百数十万キロ、既設とそれから工事中のものを足すとあるわけでございますが、現在のところの長期的な目標といたしましては、昭和六十年度六千万キロということで計画が進められております。これも新しい事態に対応いたしまして現在再検討中なわけでございます。  火力につきましても、これは電源の多様化ということからいきまして、従来何といいましても七割以上が火力でございますので、なるべくほかの電源を活用したいというのが基本的な考え方ではございますけれども、やはりここ当分の間は、火力発電についても電力のかなりの需要の増をまかなうためには、どうしても必要になるのではないかというふうに考えられます。現在、その占める比率が七割二分程度かと思いますが、今後ほかの電源の開発を促進することによりまして、その比重は漸次低下していくものと考えております。
  262. 工藤良平

    工藤良平君 この重油専焼の火力発電所の場合、先般環境庁がSO2の新しい基準を示しましたですね。これは三年計画でそれを達成していくということになっているわけでありますが、そういう点から考えてみますときに、新規の火力発電所の建設、あるいは現在許認可を受けて建設をされているもの、建設途中のもの、そういうものがさらに規模を拡大をしていくといういろいろなケースが出てくるわけでありますけれども、それは総合的に見て、現在ある既設の火力発電所をさらに大きく増設をしていく、たとえばいま五十万キロワットのものを八十万キロワットあるいは百万キロワットというふうに、現在の場所でそれを拡大をしていくということが全体的な許容量の中で可能であるかどうか、非常に大きな問題がこれは提起をされてくるわけであります。そうすると、火力発電を重油に求めようとすれば、新規の開発というものをやらざるを得ないという結果に追い込まれていくのではないか。それはやはり全体的には大気の汚染を拡散をしていくということになるわけでありますから、きわめて重要な問題が提起をされる。そうすると、おのずから重油専焼の火力発電については、そう遠くないうちにかなりきびしい規制と制限をしなければならないことになるのではないかという気がする。私は大気汚染の関係から、新しい環境基準が示された現在においては、相当きびしいものになってくるのではないかと思うんですが、そういう見通しについてはどのようにお考えでございますか。
  263. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘のように火力発電、まあ石油、御指摘の油火力発電でございますが、これにつきましては、今後の公害対策との関連で非常にきびしい問題をかかえていることは事実でございます。現在のところ火力発電のSO2対策につきましては、燃料の低硫黄化をはかる、もう一つは排煙脱硫装置を設置する、その二つの方法をもって対処しているわけでございますが、さらに燃料の低硫黄化を進める。たとえばLNGの導入をはかる、あるいは低硫黄の油を多く導入する、あるいは直脱、間脱というような製油所における脱硫を促進していくというようなことで低硫黄化をはかっていく。さらに排煙脱硫につきましては、現在百二十万キロ相当分程度の排煙脱硫装置がついているわけでございますが、これを昭和五十二年度末には約千三百万キロワット相当の排煙脱硫装置を設置するようにその設置を促進していくというようなことの計画が進められております。  御指摘のように、排出規制あるいは非常にきびしい環境基準の設定等に対応するためには、これらの計画を非常に強力に進めていく必要があるわけでございますが、従来の火力発電所は比較的負荷中心に近い過密地域のものもかなりありますので、こういった地点におきます増設問題は、先ほどの排出規制あるいは環境規制等とにらみ合わせて考えましても、かなりむずかしいのではないかというふうに考えられます。むしろ新しい立地を求めていくという場合が多くなってくるのではないか。その場合におきましても、排出基準あるいは環境基準を十分守れるような油の面の対策燃料の面の対策というものをやっていかなくちゃいけないというふうに考えております。
  264. 工藤良平

    工藤良平君 もちろんこのSO2対策は、低硫黄の原料を使うということあるいは脱硫装置をつけるということ、もちろんそのことによってある程度の公害防止のための措置はとれると思います。しかし、今回の示されたこの許容限度というものはきわめてきびしいものであるわけです。そういうことを考えてみると、当然やはりいま既設の発電所そのものについても、その周囲にあります化学工場をはじめとして幾つかの複合した状態の中で大きな問題を起こしているわけでありますから、私どもが考える場合に、いまある既設の設備をさらに大きく拡大をしていくということは、現在の排出されているこの排ガスについてのきびしい規制そのものもやらなきゃならぬという実情の中において非常にむずかしい問題が出てくるだろうと思うのです。  これはやっぱり、当然通産省としても全体的な電力における見直しというものを根本的にやっていかなければ、対策としてたいへん大きな問題が出てくるように私は思うのです。その点については、いまからぼちぼち腰を上げてやろうかということではこれはたいへんな問題なんで、これは三年間の間にきびしい規制をやってしまわなければならぬわけですから、それの見直しをきちんとやって、全体的なこの電力事情の中における重油専焼の火力発電部分をどう位置づけるのか、将来にわたってどういう対策を講ずるのかということが出てこなければならないと思うのですね。その見直しというものを具体的にいまやっているのか、これからやろう——やるとすればいつそれを具体化するものか。それに基づいて次の火力発電所等の建設等に対する方策というものを立てなきゃならぬと思うのですが、その点をひとつ明確にしていただきたいと思います。
  265. 井上力

    説明員井上力君) 御指摘の点、確かに重要な検討事項でございまして、われわれといたしましても、従前から電力会社の計画をとりましていろいろ検討しておるところでございますが、通産省といたしましては、現在、電気事業審議会需給部会というものを開催いたしておりまして、この委員会におきましてそのような問題につきましても検討をしているところでございます。結論が出ます見通しといたしましては、六月末ないし七月初めごろというふうに考えております。
  266. 工藤良平

    工藤良平君 この点については非常に重要な問題でありますから、ぜひ詳細な資料を早い機会に国会にも提示をしていただきまして私どもも検討してまいりたいと思いますし、そうしなければ、私は将来の電力問題につきましてもたいへん大きな問題が起きてくるように思いますので、この点についてはきょうはこれ以上は追及をいたしませんが、ぜひ早くこれを提示をしていただきたいということを申し上げておきたいと思いますし、委員長のほうからもその点は措置をしていただきたいと思います。  そこで次に入りますが、この火力発電の場合には、大気汚染という関係から、これからかなりきびしい制限をしなきゃならぬ。おのずからそれは限界も出てくるということになってまいりますと、一体残るものは何かというと、やはり原子力発電の問題だと私は思います。で、原子力の平和利用という問題につきましては、国際的にも非常に大きな問題でありますし、この安全性というものが全く完ぺきなものであるかどうかということによってこれは将来を左右していく問題であろうと私は思います。もちろん国際的にそういう方向にあるということを私は否定はいたしません。それを進めていくためにもまず私は、安全性というものがどう国民に納得をされ、それが具体的に科学的に証明されていくかどうか、裏づけがされていくかどうかということが非常に重要な問題だと思うわけでありまして、そういう点から、これから具体的に原子力発電の安全性の問題を詰めていきたいと思うんです。  現在、すでにこの安全性の問題が各地域やあるいはそれぞれのところで問題になっておりますが、この安全性の問題について通産省としてはどのような科学的なデータをもって一般に公表し、一般の住民の納得などを得ていらっしゃるのか。実はその具体的な方策等についてお聞きをいたしたいと思います。
  267. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま通産省という御指摘でございましたけれども、科学技術庁が安全性を担当しておりますので、私からお答えさしていただきます。  安全性の問題につきましては、いろいろな角度がございますが、一つは、原子炉の設置許可の申請が出ました際にまず安全審査を行なうということでございます。この安全審査専門家を動員いたしまして、設計の段階で詳細に検討いたしまして、立地条件その他もあわせ検討いたしまして、十分安全であるということを確かめました上で許可しております。これが第一でございます。  第二の点は、原子炉等規制法によりまして運転しております原子力発電所の排出口、つまり煙突あるいは放水口でございますけれども、そこから外に出てまいります放射能を測定いたしまして、それが一定の基準以下であるということを確認しております。それが第二でございます。その基準につきましては、国際放射線防護委員会の基準に基づきましてその基準を法令的に定めている次第でございます。  そのほかに、これは直接国がやっているものではございませんけれども、その発電所が所在しております地方自治体と電力会社との間で安全協定を締結している例が多うございます。安全協定によりまして、いわゆる環境モニタリングと申しますか、発電所の外の放射能を監視するような協定を結びまして、電力会社がその衝に当たっているということも行なっております。そのような各種の段階での安全対策を講じておりまして、その意味で安全を十分に監視しているということでございます。
  268. 工藤良平

    工藤良平君 私は、この原子力の問題についてはずぶのしろうとであります。ですから、地域の人たちと同じようにひとつ理解をしていただきたいと思うんです。したがって、私にわかるように説明をしていただきますことによって、この地域の人も大体わかっていくのじゃないかと思いますから、そういう意味でこれからぜひ説明していただきたいと思うんです。  で、原子力発電をやる場合に、その燃料となる濃縮ウランというのは日本にあるのかどうか、ないとすればどこから持ってくるのか、どこから購入しようとしていらっしゃるのか、その見通しは一体将来にわたってどうなのか、そこら辺をまずお聞きをいたしたいと思います。
  269. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 原子力発電所燃料として使いますのは、ただいま先生がおっしゃいましたような濃縮ウランでございます。この濃縮ウランと申しますのは、天然ウランを濃縮いたしまして、原子力発電所と申しますか、原子炉燃料にするものでございます。  まず一番初めの原料の天然ウランでございますが、これは日本にも多少はございますけれども、あまり豊富にはございません。ですから、大部分をこれは海外に依存しておりまして輸入しております。輸入いたしました天然ウランを濃縮工場で濃縮いたしまして濃縮ウランに加工するわけでございますが、現在国内には濃縮ウランがございませんので、現在はアメリカに委託しまして濃縮をしているわけでございます。これにつきましては日米原子力協定という協定がございまして、昨年の秋に改定されたわけでございますが、それによりまして六千万キロワットの原子力発電に相当する濃縮ウランはアメリカから供給されるということが一応約束されております。将来の問題につきましては、まず国内で濃縮を自主開発いたします技術によって行なうべきであるという考え方に立ちまして、現在動力炉・核燃料開発事業団という事業団がございますが、その事業団によりまして現在開発が進んでおります。一応のめどといたしまして、昭和六十年ごろまでに一応の規模の濃縮ができるようにいたしたいということで進めているわけでございます。そのほか、アメリカ以外の海外の国への依存でございますが、ヨーロッパでフランスを中心にいたしますグループ、それから英国、ドイツを中心にいたしますグループ、二つのグループが濃縮の計画を進めておりまして、それぞれかなり進展しております。わが国も、昨年、田中総理がフランスを訪問されましたときに約束をされまして、フランスから一九八〇年以降年間千トン程度濃縮ウランを買うという約束をしておられますので、その時期になってまいりますと、現在のアメリカのほかにフランスからも供給されるということになると考えております。
  270. 工藤良平

    工藤良平君 将来、発展途上国における開発というようなことは考えられているわけですか。
  271. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) これは、天然ウランにつきましては、現在はカナダ、オーストラリア、アメリカ、それからアフリカ諸国等から輸入しているわけでございますが、そのほかにも新しく、これは主として発展途上国でございますが、天然ウランの開発が進められております。ただ、ただいまの御質問は濃縮ウランのお話かと思いますけれども、濃縮につきましては非常に高度の技術を要しますので、わが国でもなかなかむずかしいという点があるほどでございますので、発展途上国で天然ウランが産出されましても、それをそのまま濃縮いたしますということは技術的には非常に困難であろうかと考えております。
  272. 工藤良平

    工藤良平君 先ほど通産大臣の御説明によりますと、現在、電力の中で一番コストの安いのが原子力だというようなお話がございました。四円六十銭だということでございますが、これはかなり長期的にそういう予測が立つわけでありますか、それとも全体的にいま原材料が非常に高騰しておりますから、それはやはり非常に変動のあるものと理解していいのか、その点はどういうことですか。
  273. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 石油を使います火力発電と原子力発電を比較いたしました場合に、その両方に非常に大きな差がございます。と申しますのは、原子力発電の場合は、コストの中に占める燃料費の比率が非常に小さいわけでございまして、設備費の比率が大きいわけでございます。火力発電の場合はその逆の傾向がございますので、石油の価格が上昇いたしますと、火力発電のコストが上昇するという傾向がございます。原子力発電の場合は、ただいま申し上げましたような特性を持っておりますので、ウランの価格、これは天然ウラン濃縮ウランの価格が上昇いたしましても、原子力発電のコストはあまり上昇いたしません。ただ、ただいま先生指摘の、今後の物価の上昇、特に建設費の上昇は相当な影響がございます。しかし、それらの点につきまして、ある程度のめどを立てまして、つまり石油の価格もある程度上昇し、それから建設費もある程度上昇していくということで予測いたしましても、原子力発電のほうが安いという形は当分変わらないというように考えております。
  274. 工藤良平

    工藤良平君 そこで、原子力発電の場合に、その安全性において最も気をつけなければならないというところはどういうところでございますか。
  275. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) いろいろな点があろうかと思いますけれども、原子炉の外に多量の放射能が漏れないようにするというのが一番大事なことであろうかと考えております。
  276. 工藤良平

    工藤良平君 よく新聞あたりで出ておりますけれども、使用済みの核燃料が問題になっておるようでありますけれども、この点について軽水型原子力発電所でたとえば百万キロワットの電力を発電をする場合に、毎年取り出されていく使用済みの核燃料というのは、一体平均どれくらいのものなんですか。
  277. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) これは原子炉の型式がいろいろ各種ございます。それからその中の燃え方、燃焼度によっても違うわけでございますが、一般的に申しまして三十トンから三十五トムぐらいの、何と申しますか、使用済み燃料が出てくるというようにお考えいただいてよろしいかと考えます。
  278. 工藤良平

    工藤良平君 その中にウラン二三五が燃えて発生する死の灰、私どもが一般に言う死の灰ですね、これは平均どの程度ぐらい含まれておるものですか。その危険性というものは、一体どのように私どもは理解すればいいのでしょうか。
  279. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) この死の灰と申しますか、結局、一番最後に残るもの、ある程度は放出されるわけでございまして、最後に残るものにつきましては、百万キロワット級の原子炉の場合でございますと、やはり先ほども御説明申し上げましたのと同じでございまして、炉の形式その他で異なってまいりますけれども、通常三百キロないし四百キロぐらい発生するというように考えております。
  280. 工藤良平

    工藤良平君 いま、お話によりますと、東海村に使用済み燃料再処理工場というのが建設されておるということを私ども新聞で知るわけでありますけれども、この工場では、年間一体どの程度燃料を再処理されていかれるのか、その点、具体的にお聞きしたいと思います。
  281. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 東海村に動燃事業団が建設しております再処理工場は、本年から試運転、明年から本格運転の予定でございますが、本格運転が始まりました暁には、年間二百十トンの処理能力で稼働する予定でございます。
  282. 工藤良平

    工藤良平君 二百十トンというと、再処理工場から発生する高レベル放射性廃液の量ですね、それはまた何トンぐらいで何キュリーか、その点をお伺いいたしたいと思います。
  283. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 東海の再処理工場から出てまいります放射性廃棄物の排出量でございますが、ただいま御質問の高レベル放射性廃液につきましては、一日当たり〇・三五立方メートル、年にいたしまして約百立方メートルが出てまいります。
  284. 工藤良平

    工藤良平君 この高レベル廃液かなり長期間の安全な保管を必要とするということが科学者によって証明されておるようでありますけれども、そういたしますと、この保管場所なり、保管をするための容器なり、そういうものに対する不安というのが非常に私は起こってくると思いますし、そういうものに対する対策安全性というものが具体的にそのまわりにいる皆さんの不安感というものを解消するような措置なり、そういうものが十分になされているかどうか、その点をお伺いしてみたいと思います。
  285. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいま御指摘のような問題がございますので、排出されます高レベル放射性廃液の貯蔵につきましては、十分な注意を払いまして、設備を整えているわけでございます。現在、これをためておきますタンクが四基つくられておりまして、その中に排出されます高レベル放射性廃液をためておるということで、その点の安全につきましては十分配慮をいたしております。
  286. 工藤良平

    工藤良平君 抽象的で、私、よくわからないんですけれども、この保管を要する年限というのは、  一説によると、千年ぐらいは保管をしていかなきゃいかぬのじゃないかというお話を私聞いているんですけれども、そういうことになると、千年ため得る容器というのは一体どういうものかということも出てくるわけなんです。普通、一般的な容器というのは三十年ぐらいしかもたないんじゃないかということですが、三十年ということになると、これは一千年サイクルにいたしましてもたいへんなこと、何代も何十代も先の話になるわけなんです。ですから、そういう点については具体的に絶対安全だという保証ができるわけでありますか、いまの現実の科学的な容器使用した場合。
  287. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 確かに、いま先生が御指摘になりましたような問題息がございます。とりあえず、四、五年間は完全な容器の内に密閉しまして、外に漏れないように貯蔵するという設備を持っております。ただ、それからあとが実は問題でございます。これは日本だけではございませんで、世界的にも再処理工場はたくさんございまして、同じような問題を持っておりますので、いま、特に高いレベル放射性廃液を最終的にどういうふうにして処分するかということについての技術開発が各国で進められております。わが国でもやっておりまして、現在の方向といたしましては、それをガラスのように固めてしまうとか、あるいはほかの方法で固めてしまうとか、つまり液体のまま貯蔵いたしませんで、固めてしまって、それを何らかの方法によって処分するということで研究を各国とも進めている段階でございます。
  288. 工藤良平

    工藤良平君 いまのはいわゆる高レベルのものなんですけれども、中レベル、低レベル放射性廃棄物もこれは出てくるわけですね。それの処理はどのようになさるわけですか。
  289. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 中レベルのものにつきましては、やはりこの東海の再処理工場の場合、年間百五十立方メートルほど出てまいります。これも高レベルと同じようにタンクの中に貯蔵するということで進めております。二、三年間は貯蔵できる能力を持っております。ただ、先ほど高レベルの問題につきまして御指摘がありましたと同じような問題が中レベルについて ございますので、これもやはり固めまして最終的に処分するということを進めております。この場合に、ガラスのようにすると申しますよりはアスファルトで固めてしまうという方法が現在考えられております。  低レベルにつきましては、これは廃液につきましては海の中に放出する予定でございます。これは特に拡散を十分にいたしませんと問題がございますので、海の中に千八百メートルほど放出管を敷設いたしまして、そこから放出いたしまして海の中に流す。その場合に人体に対する影響が問題でございますけれども、これも海産生物の摂取を通じましてあらわれてまいります影響が年間十二ミリミムぐらいでございます。これはこの単位がちょっとわかりにくいかと思いますけれども、国際的に認められております基準に比べまして数十分の一の水準でございます。
  290. 工藤良平

    工藤良平君 低レベルの問題については海に拡散をするということで、この点については私どももっと詰めていろいろいきたいと思うのですが、先ほどの中レベルあるいは高レベルのいわゆる液体から固形化するということなんですが、固められたものは一体それをどこにどう処分するのか、固めてどこに置いておくのかということなんです。これは国際的にはどのような措置をなさっているわけですか。
  291. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) これはいろいろの考え方がございます。たとえば地面の中に固めまして埋めてしまうという方法もございます。それから、たとえば岩塩を掘りましたような穴の中に入れてしまうというような方法もございます。いろいろな方法がございまして、まだ国際的に最終的に確立した方法はございませんが、どこにどうやって最後に捨てるかということにつきましては、各国とも研究を進めているという段階でございます。
  292. 工藤良平

    工藤良平君 そうしますと、この放射性廃棄物の完全な安全な処理というものが、まだどうも先ほどからのやり取りの中では私どもも確立されていないような気がするのです。そうすると、だから不安が残るわけですね。その不安が残る過程の中で、さっきのお話じゃありませんけれども、十年後には六千万キロワットの原子力発電をやるという計画が進められているわけです。そうすると、使用済みの核燃料廃棄物は一体毎年どの程度の量が排出され、処理され、それがどこにどうなるのかということは、これはたいへんな問題が出てくるように、私は先ほどから議論をする過程の中で疑問が出てくるのですが、これは皆さんにどのように説明したらよろしゅうございますか。たいへんなことになりそうだという気のほうが先に出るのですけれども、科学技術庁として、それを皆さんに納得できるように、なるほどこれは安全だ、六千万キロワットやっても大丈夫だという太鼓判が押せるようなひとつ安全性の確認ということを教えていただきたいと思うのです。
  293. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 昭和六十年に原子力発電の規模を六千万キロワットという計画を持っております。この六千万キロワットの原子力発電所が日本じゅうで稼動いたしました場合、年間に発生いたします使用済み燃料の量が大体千六百トンぐらい出てまいるかと思います。これを国内かあるいは海外のいずれにいたしましても再処理工場で再処理するわけでございまして、それに伴いまして、ただいま先生からも御指摘のありましたような放射性廃棄物が出てまいります。これは、先ほど来御説明申し上げております現在の各国の研究の進展状況考えますと、今後数年以内にかなり急速にその最終的な処理、処分の方法が進展するというように考えられておりますので、昭和六十年までにはかなりのめどが立っているというように考えているわけでございます。  その方法につきましては、まず密閉されました、安全が確保されております容器の中に貯蔵いたしまして、そのあとは先ほど来申し上げましたような形で処理をいたしまして、さらに最終的な処分を行なうということでございます。この点につきましては、確かに御指摘のように非常に問題のところでございますので、再処理工場の建設、特に低レベル放射性廃棄物の排出につきましても、早い時期に排出をなるべくゼロに近づける、いわゆるゼロリリースといっておりますが、ほとんど外に出さないような方法を検討いたしまして、これも研究の予算をいただきまして進めております。外へ出さないで中へたまりましたものは、先ほど来御説明申し上げましたような最終的な処理、処分の技術を確立いたしまして、安全に処分するということで検討しておりますので、昭和六十年と申しますとあと十年とちょっとございますが、それまでの間にはこのような技術は急速に進展いたしまして、相当に確立されてまいるというように考えております。
  294. 工藤良平

    工藤良平君 私は、先ほどからこの問題をじっと聞いているわけですけれども、どうも研究の段階ですね。しかし六千万キロワットは十二、三年先ですよ、だから大丈夫ですと、こう言うのですけれども、それは逐次ふやしていくわけでしょう。六十年にばんとこの六千万キロワットができるわけじゃないですね。逐次ふやしていくわけですから、研究も逐次進んでいくというのではなくて、安全性が確認をされた過程の中で、私は原子力発電というものが行なわれるならばいざ知らず、それが逐次ふやされていく、それは安全性はまだ疑問が残されているとするならば、これはたいへん大きな問題ではないかという実は気がするわけであります。  たとえば、それではいま地下に埋めるとか、あるいはここにほら穴があったからそこに入れる、それは地下水との関係は一体どうなるのか、いま地下水をほとんどくみ上げております。そういうようなことを考えてみると、どうも廃棄物の処分というものは確立されていない。いない過程の中で一方では発電がどんどん進んでいく、こういうことについては、これは通産省が電力の逼迫からこれを進めたいということを言うのならいざ知らず、科学技術庁がそういうことを言うということについては私は納得できませんね、これは。国民の一人として、もしも私の近くにそれがつくられるとするならば、私は東海村の処理工場の隣にいるとするならば、これはたいへん大きな問題が起こってくるような気がするのです。特に長崎や広島原爆や、あるいはビキニにおける被災を受けてきているだけに、私どもはそういう問題が身近に起こってまいりますと非常に神経質になります。そこまでなる必要はないのかもわかりませんけれども、しかしそうはいかない。  そうすると、いまいう東海村の処理工場の問題だって、これは通産省にもお聞きしますけれども、発電用施設周辺の整備の法律ができて補償しますよと、こう言ってみても、こっちに安全性が確認をされていないとするならば、私はこの法律というものは何にも意味をなさないのではないかという気がするのですが、審議官どうですか、おたくの隣にこれができたときに、はい、それはけっこうでございますということで了解いたしますか、いま東海村の話だから私はあまり関係がないということじゃなくて、自分の隣にできた場合に、ほんとうにそれが安全性というものが確認され、だいじょうぶだということでこの法の適用というもの、法律ができることにあなたは賛成いたしますか、その点どうでしょう。
  295. 井上力

    説明員井上力君) 先ほど来、科学技術庁から原子力発電所あるいは再処理工場の安全性の問題について御答弁があったわけでございますが、通産省といたしましても発電所の安全問題には強い関心を持っておりまして、発電所のこまかい設計の認可、あるいは検査等につきましては非常にきびしい基準の整備を行ないますとともに、その実施にきびしい態度をもって臨んでおるところでございます。  原子力発電所から出ます廃棄物の問題でございますが、先ほど来科学技術庁から御説明がありましたように、人間の健康という点を考えまして国際的にもいろいろ長い間の議論がございまして、それを十分取り入れたきびしい基準をつくっておるわけでありますが、それを下回る量の放射性物質の放出ということはあるわけでありますけれども、いろいろきびしい評価をいたしてみましても人体にとって安全である、こういうことが言われておるわけでございます。再処理工場につきましても同様でございまして、これはやはり科学技術庁のほうにおきまして安全審査が行なわれているわけでございますが、具体的につくります際にも、その安全審査のワク内におきましてきびしい設計審査あるいは検査が行なわれておるということでございますので、公衆に対します安全性の問題につきましては、私どものほうとしても十分だいじょうぶであるというふうに考えておる次第でございます。
  296. 工藤良平

    工藤良平君 いまお聞きのように私はしろうとですよ。しろうとであるがゆえにやはり納得するまでこれは聞かなければならぬわけです。先ほどの話ではまだ研究の途中なんですね。固めて、いわゆる固形化することについては大体可能だろうと、それがそれじゃどこにどういう形で保管をされて、次の段階で、被害を及ぼさないという保証がまだ完全に証明されていないと、こうなるわけですね。一方、この法案ができてまいりますと、発電用施設周辺の地域整備で、発電用の施設がありますから、その周辺のものについてはいろいろやりますよと。この法律ができたからといって、そこに全く安全性の確立していないものが来てやられたのじゃ、この法律をつくる意味というのは全くなくなるわけでしょう。その以前の問題が残されているということ、そこに私はたいへん大きな実は問題があるように思うのですよ。  そこで、さらにお聞きをいたしますが、原子力委員会がありますね。その委員の方で田島先生という方がいらっしゃるようですが、この田島先生は、このいままで御説明のありました処分の方法で十分に安全が保てると、こういうように述べていらっしゃいますか、どうですか。
  297. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) この問題につきましての田島先生の御意見をそのままストレートにお伺いしたことはございませんけれども、先生御承知と思いますが、田島先生環境放射能専門家と申しますか、大家でございます。で、原子力委員会におきましても、この放射性廃棄物の処理、処分の方法につきまして非常に何回も検討を続けてまいっておりますし、田島先生もその議論にもちろん参加しておいでになります。ということで、田島先生の御意見がどうであるかということはちょっと私御紹介いたしかねるわけでございますけれども、少なくとも現在の段階で危険であるということは言えないということは、田島先生も十分そういう御意見だろうと考えております。  なぜかと申しますと、先ほど来先生の御質問で、安全性が確保されていないのに再処理工場をつくるのは問題であるという御指摘がございましたけれども、これは安全性が確保されていないわけではございません。再処理工場が運転を開始いたしましても、先ほど御説明申し上げましたようなことで、十分安全なような対策を施しているわけでございます。  ただ、その出てまいります放射性廃棄物を最終的にどういう形で処分したらよろしいかというところで、各国がいろいろ研究をしているということでございまして、わが国の場合はこういう狭い国土でもございますので、非常に慎重に検討しております。外国の例を見ましても、わが国と比べますと非常に大ざっぱと申しますか、かなり大ざっぱ、乱暴な処理、処分を行なおうとしている国もございます。また、再処理工場と申しますのは、日本ではただいま建設中のものが一つでございますけれども、海外には工場がたくさんございます。すでに稼働しているわけでございますが、その稼働しております工場でも、そこから出てまいります高レベル、中レベル放射性廃棄物につきましては、これをすべて貯蔵しておりまして、貯蔵して安全性を十分確保して、貯蔵しながら運転し、しかもその最終的な処理、処分につきましては研究を急いでいるという段階、これが世界的な現状でございます。
  298. 工藤良平

    工藤良平君 いま長官もいらっつしゃいましたから聞いていただきたいと思うのですけれども、田島先生は危険であるということは言えないといまおっしゃいましたですね。私ども党のほうで確認しておりますことは、いままで説明のありましたような処理の方法では、十分に安全が保証できないと、こう言っております。私ども党で確認しているのはそういうことなんです。いままでそのような方法では十分に安全が保証できない。あなたはいま、危険であるということは言えないと、ちょっと微妙な違いがあるわけです。ということは、やはりこの問題についてはまだ完全に安全であるという証明はついていない、このように私は理解できるのではないかと思うのですが、もし私のいま言うようなことがそうでないとするならば、私は本委員会に田島先生を呼んでいただきまして、本人から直接見解を聞きたいと思うのですが、安全が保証できないと私どもは確認しておる。あなたは危険であるということは言えないといま言いましたね。ちょっと違いがあるのですよ、どうなんですか。
  299. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 先ほど申し上げましたように、この点につきまして私は田島先生の御意見をそのまま伺っておりませんので、田島先生が原子力委員会で、放射性廃棄物の処理、処分問題その技術開発あるいは再処理の問題その他につきましていろいろ発言されましたことから推測して申し上げたわけでございまして、その辺の表現のデリケートなところはまだ私の推測でございますので、そのように御承知いただきますようにお願いしたいと思います。ただ、危険である、安全が確保されないということを田島先生がおっしゃったとは私どもはどうも信じかねるわけでございます。これは非常に環境放射能専門家としまして、東海の再処理工場の建設、あるいはその放射性廃棄物の処理、処分の問題にも参画していらっしゃいますので、これはあるいは表現、言い回しの問題であろうかとも考えますけれども、現在のままでは安全が確保されない、危険であるというようなお考えを持っていらっしゃるとは、私どもは考えておりません。
  300. 工藤良平

    工藤良平君 いま田島先生ばかり引き出して、たいへん欠席裁判で申しわけないんですけれども、私どもは、やはり権威ある委員の一人でありますから、たとえ一人でもなおかつこの疑問が残るとするならば、それはやっぱり徹底的に追及されなければならない事項だと思います。  それじゃもう少し聞きますけれども、私はなぜそれではこのような疑問を持つかといいますと、東海村の再処理工場から精製されるプルトニウムは、一体年間どの程度生産をされるんですか。
  301. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 東海村での再処理工場が運転を開始いたしまして場合、そこで平均的な軽水炉燃料が再処理されますと仮定した場合でございますが、そこから分離精製されますプルトニウムの量は年間で六、七百キログラムと考えております。
  302. 工藤良平

    工藤良平君 私が聞いておるところによりますと、約その三倍ぐらいのプルトニウムの精製が行なわれるというように聞いているんですが、いまの報告をそのままとってみましても、それじゃ十年後には一体幾らになるのか。かなりの量になりますね。たとえば、じゃ長崎に落とされた原子爆弾に使われたプルトニウムというのはどの程度ぐらいになりますか。
  303. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 原子爆弾と申しますような軍事利用につきましては、私ども知識、資料をあまり持ち合わせていないのでございますけれども、アメリカの雑誌に出ておりました記事によりますと、最高度の技術を使いました場合に、約七キログラムのプルトニウムがあれば長崎の原爆と同じくらいの爆発威力を持つであろうという記事が出ております。私どもではこれ以上特別の調査あるいは資料の作成もいたしておりません。
  304. 工藤良平

    工藤良平君 長崎に落とされた原子爆弾程度のものでいまおっしゃるように七キログラム、そういたしますと、いまお話がありました六百から七百キログラムと仮定いたしましても、私の調査によりますと、もっと精製されるということは言われておるわけでありますけれども、かなり驚くべきやはりエネルギーを持った燃料が精製をされるというようなことになるわけであります。したがって、そこに幾らかの疑問が残るとするならば、これはたいへんな問題であろうと私は思います。そういう意味合いから、微妙な違いではありますけれども、もしこれが安全であるという保証にはならないとするならば私は大きな問題だと、このように思うんですが、これはまあ本人がいませんからわかりません。しかし、新聞によりますと、先般、先生は辞表を提出をされたということを聞いておりますけれども、その理由はどういうことでございますか。原子力委員会の運営についてやはり疑問を持つからこそそのようなことが起こってきたのではないかと思いますけれども、その点についてはどのように理解していらっしゃるわけですか。
  305. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) ただいまの御質問にお答えいたします前に、先ほどの御質問で補足して御説明さしていただきたいと思います。  プルトニウムという御質問でございましたので一括して御説明申し上げたわけでございますけれども、核兵器に使われますプルトニウムは非常に高純度、高品位のプルトニウムでございます。それに比べまして使用済み核燃料の再処理から出てまいりますプルトニウムは、その軍事用に利用いたしますプルトニウムに比べますとかなり低品位のプルトニウムでございまして、それがそのまま核兵器のプルトニウムとして使われるものではないということが一点でございます。  それからもう一点は、再処理の過程で出てまいりますプルトニウムは、現在軽水炉のほかに新しい型の動力炉を開発しております。一つは新型転換炉、もう一つは高速増殖炉でございます。新型転換炉につきましては、天然ウランをそのまま燃料として使うわけでございますが、それに若干のプルトニウムを加えまして使用いたします。高速増殖炉はプルトニウムそのものを使うわけでございます。ということで、平和利用の分野におきましては、この出てまいりますプルトニウムはその新型炉の燃料として使うということが、これは世界的な常識でございまして、それを軍事用に使うということは、この平和利用の範囲を非常に逸脱したものでもございますし、技術的にも先ほど申し上げましたような難点があるということであろうかと思います。  それから田島先生の問題につきましては、私ども事務当局はあまり関知しておりませんので、差し控えさしていただきます。国務大臣(森山欽司君) 田島委員の原子力委員辞任の問題につきましては、宮島前東京教育大学学長の原子力委員任命に端を発してそういう意味の意思表示あった旨、また、辞表が出た旨を後に承知をいたしました。  で、新聞等にはいろいろ取り上げられておりますが、まあ田島委員の真意がどういうところにあるのか、また、私どもが考えていることについてどういうふうにどう御理解されているのか、これは一回よくお話しをいたしてみたいと思っておるわけでございます。それに田島さんと私はそう長いおつき合いではございませんが、原子力委員長及び委員としておつき合いをいたしました。格別意見が違ったこともございませんし、論議をしたこともございません。まあ感情的に疎隔したということはございません。ですから、どういうお考えであられるのか、これは別にいたしまして、私はたいへんよく仕事もやっていただいたから引き続いてひとつやってもらいたいと極力慰留したいという気持ちでございます。それ以上のことをまだゆっくりやっぱり時間をかけていろいろお話ししなきゃいけませんから、いろいろまわりで心配しておられる方々もおいでになるようなんですが、私の気持ちは当時においてそうであったし、いまもそういう考えでございますから、きょうコメント申し上げるのはその程度にとどめていただきたい、そういう考えでおります。
  306. 工藤良平

    工藤良平君 その問題はあとで長官にもう少し聞きますけども、事務的な問題ですから……。  確かに原子爆弾に使うプルトニウムというのは非常に純度の高いものだということは、もちろん私どもも承知をいたしております。聞いております。しかし、この運転のしかたによってはかなり純度の高いものに転換できるというような話も聞いているわけでありますが、その点はどうですか。
  307. 生田豊朗

    政府委員生田豊朗君) 純度の問題でございますので、精製いたしますれば、これは純度を高めることは技術的には可能であろうかと思います。ただ、先ほど来御説明申し上げておりますように、わが国の原子力利用は平和利用に限られております。したがいまして、先ほど御説明申し上げましたような新型炉の燃料として発生したプルトニウムを使うという計画でございます。
  308. 工藤良平

    工藤良平君 まあ私が質問しないうちに、先ほどは軍事利用の問題をしきりに御答弁なさっておったようであります、私は黙って聞いておりましたけれどもね。だから、このプルトニウムを議論する場合にやっぱり出てくるのは、平和利用と同時に軍事利用というものの危険性、可能性、そういうものが私が聞かないうちにすでにあなたの答弁の中で出てきているわけですね、先回りをして。私はそんなものは何も聞かなかった。しかし、やっぱりそういうところにこの原子力発電に対する国民的な大きな不安というのが存在するわけなんです。先ほどから私が言いますように、この東海村の再処理工場に対する疑問もそういうところから起こってきている。安全性の確認が完全にできていない。しかも、一方ではそれがぐんぐん進んでいくという状況の中で、   〔委員長退席、理事竹内藤男君着席〕 これは長官にお聞きいたしますけれども、まあ長官が直接任命権者でありますけれども、田島委員の辞表の提出というものも、その安全性の問題なりあるいは軍事利用という問題について、あとで森山長官が任命をいたしました宮島さんが核武装論者であるというようなことも、かなりその中に含まれているというように私どもは聞いているわけです。これはきわめて重要な問題であります。これから十年後に六千万キロワットの発電を進めようとするならば、その全国的なプルトニウムの精製の過程から、いついかなる場合にそれが軍事用に向けられないという保証はない、私はこのように思うんですが、長官は先ほど田島先生との間に話を詰めたいということでありますけれども、今日まで長官として運営をしてまいりました委員会の中でそのようなことは感じられなかったのかどうか、この点についても私はお聞きをいたしたいと思います。
  309. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) まず第一番に、わが国の原子力開発は平和利用に限っておりまして、そういう平和利用を担保するために平和利用の三原則、民主、自主、公開の原則があるわけでございます。   〔理事竹内藤男君退席、委員長着席〕 軍事利用ということにならないということを確保するためにそういう原則のもとに立っておるということでございますから、決して軍事利用などということは考えているわけではございません。先ほど事務方がこの問題について言及いたしましたのは、長崎の原爆で使われたプルトニウムの量はというようなお問い、御質疑がございましたから、長崎の原爆は明らかに軍事利用でございますので、そういう意味で御関心をお持ちかということで事務方がお答えしたかと私は思いますが、事務方からもお話がありましたように、軍事利用についての検討は私どもは非常にしておりませんものですから、外国の資料等でというお答えをいたしたわけでございまして、くれぐれも今日のわが国の原子力の利用は名実ともに平和利用に徹しておるのでございますから、どうかひとつその点は御疑念のないようにお願いをいたしたいと思います。  それから、宮島原子力委員の問題につきまして、核武装論者ではないかというお話でございますが、これは私は宮島委員の名誉のために申し上げるわけでございますが、そしてまた、そういう人を推薦した私の立場から申しましても、核武装論者というようなことは全くございません。これはやはりこういう席で、公開の席でございますから、そういうことにいささかでも疑念のあるようなことがあってはならないと思いますから、私からこれははっきり申し上げたいと思います。私は、そういうふうに何か断定されるような資料をお持ちなのかどうかなということはよくわかりませんので——そういうことは全くありません また、ないと確信をいたしております。しかし、もしそういう点で何か御意見がございますれば、これはきわめて重大なことでございますから、ひとつぜひお聞かせを願いたいと、こういうふうに思っております。これは非常に重大な発言だと思います。
  310. 工藤良平

    工藤良平君 いま長官は確かに、日本の原子力発電をはじめといたしまして、原子力の問題については軍事利用は全くないと、もちろんそれは今日まで再三核の三原則、四つの政策として佐藤前総理も国会でも答弁してまいりました。私もその点は十分に承知をしております。しかし、現実に日本の中で、これはことしの二月七日の予算委員会で社会党の予算委員が追及をした、川崎重工が以前から原子力潜水艦の開発研究を行なっておるという事実、計画計算書の写しを提示をいたしまして、その追及をいたしたことがございます。日本の中においては、これが民間であろうと何であろうと現実にそのことが行なわれてきたという事実を見るときに——後ほどそれじゃ速記録を見てください。もちろん私は、長崎に落とされた原子爆弾の問題についてはお話をいたしましたよ。それ以外の問題について、軍事利用の問題がすでに係官のほうから提示をされている。常にそういうことが議論の対象として起こってくるわけであります、長官はそうおっしゃいますけれども。そのことをきわめて危険な問題として私たちがとらえて、この原子力発電の問題については慎重に慎重を期するために真剣に議論をしているわけです、あなたはさっきちょっと開き直ったようなかっこうでありますけれども。この点につきましては、この席で明らかにすることが問題であれば、私は、後ほど党を通じましてお話を申し上げていいと思うんです。私どもはそのように実はお聞きをしているわけで……。
  311. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 宮島さんの問題ですか。
  312. 工藤良平

    工藤良平君 宮島さんの問題です。これは確かに個人の問題でもありますから、公開の席でそういうことをきめつけること自身がもちろん問題でありましょう。したがって、後ほど長官が田島先生ともお話しをする機会を持ちたいということでありますから、そういう点については、私はさっきから——田島さんが安全性の問題に対する疑問も持っておられるということを私は党のほうからも報告として聞いているわけでありますから、後ほどお話を申し上げたいと思いますけれども、その点についてはなお安全性の問題、あるいは軍事力との関連がいつも引き合いに出てくる危険性を持っているということは十分私は考えてしかるべきじゃないかと思いますから、その点に対する長官の御見解を伺います。
  313. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 宮島さんの問題にそういう御疑念を出されることにつきましては、もしそうじゃなかった場合に非常に御本人に御迷惑がかかりますし、それから、私どもはそうじゃないと確信をしてやっております。そうじゃなければ私どもとしても原子力基本法にもとるわけでございますから、これはどうか個人の名誉にも関し、私どもの基本姿勢にも関することでございますから、率直に申し上げる点を開き直ったというふうにお考え願わないでひとつお聞き願いたいと思います。しかし、何かいろいろ御心配の向きがございますれば、どうか率直に私どもに聞かしていただきたいと思います。  しかし私は、宮島先生について核武装論者であるというようなことはいささかも考えておりません。御本人はそうでないのでありますし、また、そうでないと確信をいたしますし、そういう意味でやっておるということだけはどうかひとつ明らかにしておきませんと、基本的にこれは重大なことになりますから、その点ははっきり申し上げておきたいと思っております。  それから、田島委員のことについていろいろ新聞紙上伝えられるような面もございますけれども、日本の原子力利用が平和利用の域を逸脱するというような御疑念は、田島委員は全く持っておられないと私は確信をいたしております。ほかの面についていろいろのお考えがあるかもしれません。しかし、日本の原子力の利用が平和利用の域を逸脱するがゆえにというようなことはございませんので、それはもし違っておれば私の誤解であると思いますが、どうかその点……。  それから、もう一つだけこれは申し上げておきますが、川崎重工の原子力潜水艦の開発研究問題予算委員会で追及されました。そのとき私もその席におりまして科学技術庁長官として答弁をいたしましたのは、昭和四十年四月十四日に、原子力基本法第二条の解釈に関する統一見解ということでそのことを明確にいたしました。まず、ちょっと参考のために続み上げてみたいと思いますが、「原子力基本法第二条には、「原子力の研究、開発及び利用は、平和の目的に限り、」云々と規定されており、わが国における原子力の利用が平和の目的に限られていることは明らかであります。したがって、自衛隊が殺傷ないし破壊力として原子力を用いるいわゆる核兵器を保持することは、同法の認めないところであります。また、原子力が殺傷力ないし破壊力としてではなく、自衛艦の推進力として使用されることも、船舶の推進力としての原子力利用が一般化していない現状においては、同じく認められないと考えられます。」、ということで、軍事利用の原子力潜水艦に原子力を推進力として認めることも適当ではないというふうな解釈に、もうすでに十年来一致をいたしておるわけでございます。  それからこの件について、防衛庁のいろいろ御論議がございましたが、山口政府委員が「川崎重工よりは、会社としましては、これまで、過去から現在に至るまで、原子力潜水艦に関する研究、開発は行なってはいない」と申しております云々ということで、いろいろの件について御論議がございましたが、防衛庁がこの基本方針に反して原子力潜水自衛艦ですか、の開発をやろうとする意図のないことは明らかにいたしておるわけでございます。  日本の原子力の平和利用というのは非常にやかましくできておりまして、たとえば核爆発の問題にいたしましても、そのことが平和利用であっても、核爆発については、日本の法律では平和利用ということですが、平和的利用目的の核爆発は認められているようでありますが、核爆発自身の軍事利用と平和利用の境界線をつけることがむづかしいから、平和利用について核爆発を認めるということは好ましくないということで、やはりこれまた否定的な見解を明らかにいたしております。平和利用と申しましても、非常に日本の解釈はやかましくやっておるわけでございますから、どうか、日本の原子力の利用はまさに国際的に見ましても平和利用に徹底している、そういう方針でやっておるんだということについて、ひとつ御理解を願えればと思っておるわけでございます。
  314. 工藤良平

    工藤良平君 長官、ちょっと誤解しているようでありますが、私はさっき田島先生の問題を出しましたのは、東海村の再処理工場から精製されるプルトニウムの問題等をめぐりまして実は質問をいたしたわけで、いわゆる終末処理の方法がまだ確立されていない。その点について安全性はどうだと、こう私は聞いたわけです。その点については田島先生も、まだいまのような方法では十分に安全が保証されているとはいえない、このような考え方を持っていらっしゃるがどうかということを私は実はお聞きしたわけで、その点については全然解釈が違いますので、そういうように田島先生考えているんだ、安全性がまだ十分でないということを言っていらっしゃるがどうかということを私は聞いたわけでありまして、全然軍事利用がどうのこうのということではないわけですから、そういうように理解してもらいたいと思います。  それからさっきの、私は川崎重工の問題を引き合いに出したわけですけれども、これは二月七日の予算委員会でわが党から追及をいたしました。その際に政府は、「この潜水艦の関係の技術者が、技術者個人の勉強としまして、原子力潜水艦についていろいろと検討したことは確かにございます。」こういう議事録があるということを私は実は聞いているわけでありますが、もちろんその委員会には出ておりませんから、その点がもし間違いがあれば指摘をしていただきたいと思うんです。もちろん政府がそれを検討したということではないけれども、民間で、個人的に、技術者個人の勉強としてやったということは事実でございますということを実は報告なさっているわけで、日本の国内で絶対に、そういうことは全くありませんと、こう言いましても、民間ではそういうことがもし研究されているとするならば、それはちょっとした油断、ちょっとしたすき間を縫ってやっぱりそういうものが日本の中では出てくるんだ、その危険性をどう私たちが防止をし、とめていくのかということは、非常に重要な、緊急な問題だということを実は二月七日の予算委員会でも指摘をしてきているわけで、そのように理解をしなければいけないんではないかと私は思うわけですから、その点については長官のほうから再度御答弁をいただきたいと思います。
  315. 森山欽司

    ○国務大臣(森山欽司君) 私が先ほど引用いたしました二月七日の予算委員会の議事録のそのあとに、「ただ、この潜水艦の関係の技術者が、技術者個人の勉強としまして、原子力潜水艦についていろいろと検討したことは確かにございます。」と、こう言っております。その前にしかし、「会社としましては、これまで、過去から現在に至るまで、原子力潜水艦に関する研究、開発は行なってはいない」、こういうことを言ったわけでございますから、まあ個人としてそういうことはやったのかもしれませんし、そういう傾向は、国の原子力開発の基本方針としてはこれはよく注意していかなければならぬことでございますから、私どもも、こういう事態につきましては原子力基本法の精神にのっとりまして、疑惑を受けないようにこういう問題に対処していかなければならぬというふうに今後とも努力をしてまいりたいという考えでございます。  それから、先ほど田島委員についての問題が、軍事利用のおそれありというふうに理解されたのではないという点については、十分、よくわかりました。  なおまた、私もこういう性格ですから、いろいろなかってなことを言っているようにお聞き取りになるかもしれませんが、まあできるだけ誠心誠意やっておりますので、どうかいろいろお気づきの点は、遠慮なくひとつ、こういう席でもまたいろいろ御指導をお願いいたしたいと思っております。  ありがとうございました。     —————————————
  316. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、村田秀三君が委員辞任され、その補欠として辻一彦君が選任されました。     —————————————
  317. 工藤良平

    工藤良平君 たいへん長く時間をとりましたが、私はこの原子力の問題については全くのしろうとでありまして、まだまだたくさんの疑問が残るわけであります。したがって、このようなことをいろいろ議論をしてまいりますと、これは国民全体からして見ますと、特に日本のように、さっき係官がおっしゃったように、非常に国土の狭いところでは、汚染なり一つ問題が起ってまいりますとたいへんな事態になるわけでありますから、慎重の上にも慎重を要する事項でありますし、まだ安全性も確認をされていないという状態の中におきましては、私は、やはりこの原子力の問題については、一〇〇%安全を確認した過程の中において、初めて原子力発電の問題についてもこのような開発をこれこれするということがあってしかるべきではないかというような気がいたしますので、この点についとは先ほどから議論をしてまいりましたが、ぜひ長官におかれましても、十分にその安全性の問題については、口先だけでなくて、ほんとうに日本の今日までの経緯を踏まてた原子力に対する対処のしかたというものを厳然と進めていただくように特に要請を申し上げまして、一応私の質問を終わりたいと思います。
  318. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本案に対する本日の質疑はこの程度とし、これにて散会いたします。    午後六時十八分散会