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1974-05-29 第72回国会 参議院 商工委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十九日(水曜日)    午前十時十一分開会     —————————————    委員異動  五月二十九日     辞任         補欠選任      矢野  登君     河本嘉久蔵君      林田悠紀夫君     嶋崎  均君     —————————————   出席者は左のとおり     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 植木 光教君                 小笠 公韶君                 河本嘉久蔵君                 熊谷太三郎君                 嶋崎  均君                 西村 尚治君                 細川 護熙君                 阿具根 登君                 竹田 現照君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君    政府委員        通商産業大臣官        房長       増田  実君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        資源エネルギー        庁長官官房鉱業        課長       斎藤  顕君        資源エネルギー        庁長官官房海洋        開発室長     豊島  格君    参考人        東京大学教授   都甲 泰正君        京都大学名誉教        授        西山 卯三君        敦 賀 市 長  矢部知恵夫君        茨城那珂郡東        海村長      川崎 義彦君        全日本電力労働        組合協議会事務        局長       森   茂君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○発電用施設周辺地域整備法案(第七十一回国会  内閣提出、第七十二回国会衆議院送付) ○金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、林田悠紀夫君及び矢野登君が委員を辞任され、その補欠として嶋崎均君及び河本嘉久蔵君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 発電用施設周辺地域整備法案議題といたします。  本日は、本案について参考人方々から御意見を聴取することといたします。  参考人として、東京大学教授都甲泰正君、京都大学名誉教授西山卯三君、敦賀市長矢部知恵夫君茨城那珂東海村長川崎義彦君、全電力労働組合協議会事務局長森茂君、以上五名の方々に御出席を願っております。  この際、参考人方々一言ごあいさつ申し上げます。  本日は、皆さまには御多用中のところ、本委員会に御出席いただきまして、まことにありがとうございます。本日は、ただいま議題といたしました法案につきまして、それぞれのお立場から忌憚のない御意見を承りまして、本委員会における審査の参考にいたしたいと存じておりますので、どうぞよろじくお願いいたします。  なお、参考人方々には、まず順次それぞれ十五分程度陳述をお願いし、その後、委員からの質疑にお答えいただきたいと存じますので、どうぞよろしくお願いいたします。  それでは、まず都甲参考人からお願いいたします。
  4. 都甲泰正

    参考人都甲泰正君) ただいま御紹介いただきました東京大学工学部原子力工学科教授をいたしております都甲泰正でございます。  原子力立地問題と、それから安全問題につきまして意見陳述させていただこうと思います。  原子力発電所の安全を確保するというのはどういうことかと申しますと、まあ一言で申しますと、いろいろな設計上の努力を積み重ねることによりまして、原子力発電所建設することに伴うリスク——リスクとは危険度でございますが、リスクの増加が、もうすでに存在しております個人または社会リスクに比べまして十分無視できる程度に低く押えるということ、一言で申しますとそういうことでございます。もうちょっとこまかく申しますと、実は原子力発電所の安全問題というのは、通常運転時の安全問題、これはほかの産業でいいます環境問題あるいは公害問題に相当するものでございます。それから第二番目が万一の事故時、万一大きな事故が起こったらどうなるかという問題でございまして、ほかの産業産業災害に相当するものでございます。  前者の通常運転時の安全問題につきましては、放射能環境基準その他を定めておきまして、それを十分満足しながら運転しているということを確認しながら運転する、こういう立場でございます。専門的な用語で申しますと、放射能のコントロールドリリースと呼んでおりますが、放射能を外に出す量を完全にゼロにすることはできませんが、十分低い値、環境基準を十分満足する低い値であるということを確認しながら制御しながら放出する、こういう考えでございます。  それからもう一つの、万一の事故の安全問題でございますが、これは原子力発電所の万一の事故時の事故の大きさ、まあ理論的な最大値というのは確かにかなり大きいものでございます。そのために機器の信頼度でございますとか、あるいは系統を何重にも設けるとか、あるいは適当な立地を選定する、そのほかいろいろなくふうによりまして、技術的な努力によりましてその事故の発生する確率、めったに事故が起こらないようにするという努力をしておるのが第一でございますし、それから、万々一事故が起こりました場合にも、その立地基準を満足するような敷地を選んでおく、こういう考えに尽きるわけでございます。  さて、いずれにいたしましても、人間のつくるものでございますから、完全に事故というのを理論的にゼロにすることはできないわけでございまして、そこにどのぐらい安全ならば社会として受け入れてもらえるか、どのぐらい安全ならば社会として安全と認めていただけるかというパブリックアクセプタンスの問題、あるいは原子力の安全に関する社会コンセンサスの問題が起こってくるわけでございます。  現在、御承知のように、原子力発電発電所立地問題というのは非常に難航いたしておりまして、昨年は、立地許可申請が一件も出てこなかったということを見ても明らかでございますが、これは、まさにいま申し上げました原子力の安全に対するパブリックアクセプタンスの問題、社会コンセンサスの問題に基因していると考えてよろしいだろうと思います。  私の考えは、申すまでもなく、原子力の安全の問題を議論いたしますには、まず第一にその出発点といたしまして、発電所建設することがどうしても社会のために必要なんだと、このコンセンサスはぜひ必要でございます。もちろん一部には、発電所をこれ以上つくることはもう必要がないという御意見もあるように伺っておりますが、発電所をつくることが必要なんだということ、これはぜひその社会コンセンサスとして最初にはっきりさせておく必要があると思います。そこで、社会の将来のために、国民福祉のために発電所をつくるとすればどういう形の発電所がいいだろうか、そういうふうに議論を進める必要があろうかと思います。  さて、次にむずかしいのが、発電所をつくることが社会のために必要であるというコンセンサスが得られたといたしましても、次に残りますのが地域エゴの問題でございます。最近の東京都のゴミ戦争でございますとか、あるいは空港建設鉄道建設道路建設、そういった公共施設建設の場合に常に起こってくる問題でございます。つまり、発電所をつくることは社会のためにどうしても必要だということは納得したといたしましても、しかし、自分のところ、自分の町につくってもらっては困る、こういう地域エゴと言っては申しわけないかもしれませんが、そういった感情でございます。空港の場合とか道路の場合、あるいは鉄道の場合には御理解いただくように努力はいたしますが、最終的には土地収用法といったような形、権力で問題を解決するのが実情でございます。  発電所の場合には、電力が私企業の形態をとっておりますために、そういった解決法というのは実際的でないわけでございまして、残る方法はただ一つでございます。地元にあくまでもお願いする、原子力発電所必要性を御理解いただき、かつ原子力発電所、これは火力でも当てはまると思いますが、それが安全設計安全確保に十分努力しているということを御納得いただきまして、あくまでも地元にお願いする、こういう態度以外とれないわけでございます。このためにはぜひ地元の利益がふえる方法をいろいろな面で講ずる必要があるというふうに考えておる次第でございまして、今回提出されております法案電源立地促進対策交付金といったようなものは、非常に将来の立地問題にとって有益ではなかろうかと考えておる次第でございます。  さて、立地問題につきましてもう少し意見を述べさせていただきますと、実は、原子力発電所立地条件といたしましてはいろいろな条件が必要でございます。たとえば、人口密度があまり高くないところでございますとか、それから冷却用の水が得られやすいところとか、あるいは地盤が強固であるところ、これは耐震設計上、地盤のゆるやかなところには建設しないというのが現在のやり方でございますので、地盤条件かなり厳格なことが要求されます。それから、建設に伴いましていろいろ重量物を運搬いたしますので、そう  いった重量物の運搬に便利である、いろいろ、あれやこれやで十ぐらいの条件を満足する敷地を選ぶ必要がございますので、こういった条件を満足する敷地日本国内探してみましても、実は残念なことに非常に限られてくるわけでございます。  これが現在の立地難を招いている直接の原因であろう、一つ原因であろうと思っておる次第でございます。  さて、このような立地問題を解決するにはどうしたらいいかといいますと、これはぜひとも国家的規模で適地の拡大の努力というのが必要になつてくると考えております。つまり、従来の考え方にとらわれずに、新しい方式立地開発していくということでございます。たとえば例をあげて申しますと、地下式立地でございますとか、あるいは人工島の立地、これは海の中に人工島をつくりまして、そこに原子力発電所をつくろうという考えでございます。それから三番目に、最近話題になっておりますが、海上浮揚式、海の上に非常に大きなドックをつくりまして、その上に原子力発電所建設しよう、こういうアイデアでございます。特に、たとえば地下式発電所にいたしましても、たぶんパブリックアクセプタンスという観点からながめますと、環境問題ももちろん有利でございますし、それから、万一の事故時の場合の周辺方々被曝線量というのも下がってまいります。それから、一般の人に与える不安感といいますか、地下に隠れているわけでございますから、たぶんパブリックアクセプタンスの面からも非常に有利な面があるんではないかと考えております。  従来は、実は検討されてはいるんでございますが、経済上の理由からあまり顧みられなかったのでございますが、最近、エネルギー危機を境といたしまして、電力コストも高くなってくる、高エネルギー時代に入ってまいりまして、コスト優先主義というのがだんだん修正される傾向にあると思いますので、将来はまた検討してみる必要があるんではないかと考えております。これらの新しい立地方式研究開発のためにも、ぜひこういった国家資金として交付金の一部を活用するということ、これが将来の電源立地問題に非常にプラスになるんではないかと考えておる次第でございます。  以上で陳述を終わらせていただきます。
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) どうもありがとうございました。  次に、西山参考人にお願いいたします。
  6. 西山卯三

    参考人西山卯三君) 私は、地域計画都市計画というふうなものをやっておる者でございますが、その立場から若干この法律についての意見を申し上げたいと思います。  この法律の性格は、発電所立地を容易にするために立地困難な原因を排除したい、その立地困難の理由として、説明によりますと二つをあげているようです。一つは、公害、大気の汚染、あるいは熱公害、それから環境汚染、あるいは原子力発電所放射能汚染放射能に対する安全性、こういったものに対して国民かなりの層に疑いを持たれておって反対運動が起こっておる、これが一つの、困難にしておる第一の理由であります。第二の理由は、他の産業と違いまして、発電所というものは地元に対する雇用が少ない、もちろん下請産業に対する波及もないというふうなことで、地域開発波及効果が非常に少ない。したがって、メリットがあまりないから、そこで、あまり得にならぬことだからというので反対する、この二つ理由をあげております。そしてそれに対して、第一の環境問題といいますか、大きくいいますと環境問題だと思いますが、これに対する疑いに対してはそのままにしておいて、第二のほうを対処していくというふうに受け取れます。それによって立地円滑化というものをはかろうとする、そういう法律のように思われるわけです。  そこで、幾つかの問題点があるわけなのですが、まず第一の問題なんですが、住民生命、健康、安全を守るということは、立地関係のやはり基本的な問題であるということだと思います。一と二、つまり環境汚染に対する疑念と、それから三、波及効果が少ないというこの二つのことは全く異質の問題でございまして、あとの波及効果が少ないということについて、公共施設整備によって何とか納得してもらおうというようなことなんですが、これは同列に置けない問題であるわけです。住民の健康と安全、これは最も重視すべきことでありまして、これに対する根本的な解決が必要なわけです。ところが安全対策というのは、先ほど非常に技術的な説明がございましたですが、基本的に、科学的に取り組まれておるのかどうかというと、未知の領域がたくさんございまして、まことに不十分だと言わざるを得ないわけです。そこからいろいろな疑念が起こっているわけなのですが、その点を徹底的に明らかにするということがなされないままに、ただ、公共施設充実整備するのだというようなことで問題をすりかえておるというふうに受け取れなくはありません。  大体、電源開発というのは過疎地帯で実施するわけなのですが、これはいろいろな関係もあります、用地費が非常に高いとか、そういうことがございますけれども、都市のような人口の密集しているところでは、これはどうも環境の問題からいけない、あるいは安全の問題から疑念があるというふうなことでそういうことになっているわけです。ということは、そういう問題が完全に解決されていないということなのです。現在、都市においていろいろな環境汚染の問題がございまして、公害の問題がございまして、それに対して、公害基本法とかいろいろな法律によりましてその規制が行なわれておりますけれども、あまり実績をあげておるとは言えません。そして、それらのいろいろな基準になっているものは、まあまあこの辺しかできないだろうというふうなところが一つ基準になっておりまして、決してそれで日本民族未来永却安全だというふうな立証があって行なわれているものではありません。そのような科学的な根拠は何もないといってもいいわけです。  現在の汚染対策といいますか、これは言ってみれば、都市並み汚染を認めるのだということだと思います。これは、都市でみんな平気で生きているのだからだいじょうぶだろうというようなことかもしれませんが、実はそうではありませんので、処女地をそういうふうによごしていくということは一体どういうことなのか、日本の狭い国土の中でわずかに残っているいいところをどんどん都市並みによごしていくというようなことにつながりますので、非常に問題の多いことでございます。特に原子力の場合はまた特別の問題がございまして、一つ一つ原子力発電所立地の問題、それからそれが一つではなしに、たくさん立地する場合の広域的な問題という、この二つの面でこれをチェックしなければいけないわけです。現在、原子力発電は、エネルギー問題からどうしてもやらなければいけない問題だというふうに言われております。  確かに、エネルギー問題は非常に深刻な問題でございまして、石油がだめだ、非常に先が見えておる、ですから原子力開発によらなきゃならない、これはそうなんですけれども、しかし、その電力需要予測というものにつきましては、ここではそれについてはあまり深く触れませんけれども、やはり需要の伸びというものが与えられた一つ条件だとふうに見てしまう、そして、そのためにいかに対処するか、急激にエネルギー供給をふやさなければいけない、そういう立場に立っておるわけです。これは言ってみれば、非常に経済論理といいますか、成長論理というものが先行しておりまして、それに基づいてどういうふうに発電電源開発していったらいいか、どういうふうに発電所をつくっていったらいいかというふうなことになっております。  しかし現在、日本国じゆうに十幾つかの原子力発電所というものがつくられることになりまして、それらが非常に集まっておるところは日本海地域でございますが、この日本海地域連檐的にたくさんの原発基地ができるというふうになっております。これは一つ一つの問題というよりも、そういうふうに非常にかたまって日本海地域にそういうものができるということは、原子力発電周辺に及ぼすいろんな影響というものに対して、完全に人類は経験を積んでいないわけなので、そういうものが日本海地域に集まってできるということについては、非常に大きな問題があるわけです。現在過疎地  過疎地ということばはあまりょくありませんけれども、人の少ないところにそういうものをつくるといっておりますけれども、しかし、日本過疎地というのはアメリカやそのほかの国の過疎地と違いまして人里に非常に近いところ、すぐそこに人里があるわけです。だから、外国ではもう都会のまん中と同じような条件のところなんです、過疎地といわれているところでも。そういうところに密接してつくられるということになっておるわけです。  それは私が考えますのに、石炭産業がだめになって石油に転換しまして、エネルギー石油に大幅に転換しました。そうしてやれやれということでどんどんふやしていったところが、各地のコンビナートの公害問題、これは日本国土全体を汚染するような規模になっております。瀬戸内海などはもうめちゃめちゃになりまして、お魚も食えなくなっておる、タイがとれなくなった、タイは死滅したのではないかというふうなことが言われておりますが、このような状態にしているそういう非常に思い切ったというか、向こう見ずな産業の転換といいますか、こういうものはエネルギー開発ですね、電源開発においても、今度は原子力という形で大幅にやっていこうということになりますと、二の舞いを起こすおそれがあるわけです。  これはやはりよくよく見ますと、経済成長電気エネルギーの大幅な需要の増大ということが一つの前提になっておって、そうしてそれをやっていこう、そういうことははたしていいのか、やるべきことなのかどうなのかという、そのチェックのほうとやはりこれは兼ね合わせて考えなければいけないのであって、いまや環境問題というのが、人類あるいは民族の将来に投げかけておる問題はそういうものであります。そういう点について私は、この危険の予測ということを抜きにして、そうして科学的な追及なしに、ただそれを地元民が十分納得していないんだ、だからPRをやればいいんだというふうな、PR問題にすりかえられておるというふうに思うわけです。  第一点は、先ほど一番初めに申しましたように、住民生命、健康、安全を守るということがやはり基本的な問題であるということです。  第二点は、住民福祉の向上は、国民にとって基本的な権利であるということです。したがって、これを立地促進取引材料にしてはならない、さるべきではないということです。現在過疎化によって生活破壊が行なわれておりますが、これはどうしても防がなきゃならないという問題があります。しかし、その問題を基本的に解決するということを抜きにして、部分的な公共施設——公共施設というのは道路とか、港湾とか、公園とか、あるいは生活施設であるところの公民館とか、託児所とか、いろんなものがあげられておりますけれども、そういうものの充実だけでは、実はその過疎化による生活破壊というものは防げるものではございません。わらをもっかみたいような気持ちの地方にとって、交付税によってそういう公共施設充実するんだというふうなことを言っておりますが、この開発関連産業基盤道路港湾、水道、公園といったようなもの、それから生活基盤若干ございますが、こういう設備だけでは実はどうにもならないわけです。  もちろん、ないよりもあるほうがましなんですけれども、たとえば診療所をつくっても、お医者さんが来てくれるかどうかという問題があります。器ができてもそうはいきません。ほんとうはやはり、過疎地生活が成り立っていくような基本的な対策が必要だということです。その点、これは公共施設充実だけであって、過疎ほんとうの救いにはなっていない。そのことは同時に次の問題にかかわるわけなんですが、電源開発地にはこういう方法過疎を防ぐような処置をする。それならば、電源開発されないところは、そういうものがやってこないところはどうなのか、それは切り捨てられるわけなんです。これはまあそういう過疎地は切り捨てるのがいいという、そういう考え方だと思います。このことは、地域間の対立とか競争というふうなものを呼び起こして、ほんとう基本的な権利であるところの住民福祉という問題を、そういうふうなものにすり変えてしまうということがあると思われます。  第三は、地域開発というものは一体どういうふうに進められるべきかということなんですが、地域環境というものは、私たちは住民共有のものだと考えておるわけです。住民が一番そのことをよく知っておりまして、最終的にそこがよくなる、悪くなるという責任をとらなければならないのは住民であります。それがどういうふうに変わっていくかという変化について、一番よく知っているのも住民であります。ですから、住民がその変化開発というものについてチェックする、いつもよく見ている、これが基本的な地域開発の原則だとわれわれは考えているわけなんですが、このことはいままでの環境汚染、いろいろな公害の問題を振り返りましても、たとえばイタイタイ病にしましても何にしましても、そういう環境汚染が初めて発見されたのは住民の側からであります。決して科学者が見つけ出したのではございません。科学者はそれを助けたにすぎません。住民はそういうものを発見する、つまり、人類危機民族危機というものを救うところの触覚だと言えるわけです。  ですから、その地域開発というものは、住民が主体で行なうということが基本になるものだと思いますが、やはりこの法案は、そういうものを根本的に無視しているものではない。交付税というわずかなあめでもって、貧乏になって過疎化で苦しんでいるところの地方自治体のこの理性的な意思形成というものを、これは疎外していくというような作用を持っております。立地を認める代償としまして交付金をやるということは、自治体を国と電力企業に従属させ、その癒着を進めるということにもなります。また、事業の安全性のPRというふうなことを自治体が責任を負わされるということによって、自治体がほんとう住民の代表として動かなければならない、そういう自治体の機能というもの、そのものをひん曲げてしまうというようなことも自治体は負わされるわけです。これは地方自治の破壊であると言わなければなりません。住民疑念を押えるような道具にこの交付税というものが使われるということになりますと、これはたいへんなことだと思うわけです。  それから、この地域の地点の指定は国が行ないます。そうして整備計画は知事がやりますが、国がそれを承認するということで、国が大きくこれを指導するということになっております。その間、市町村の意見を聞くということになっておりますが、住民意見をビビドに反映させるというようなことについては、何のこともうたわれておりません。いままでの実例に見るとおり、これはきわめておろそかにされるのではないか、そういうことになりますと、先ほど私が申し上げましたようなことがネグられていく。大体発電所などというのは非常に一国的な規模の問題で、エネルギー政策にかかわるのだから、大所高所の判断が必要である、だから達観のできる正しい方向を打ち出せる、そういうところがきめるべきだというふうな考えが一般であります。しかしながら、これは権力者、支配者の論理でございまして、実はそういうことがこの高度経済成長国土の取り返しのつかない荒廃、あるいは民族危機と言われるような状態を生み出してきたわけであります。住民のなまなチェックこそが大切でありまして、それと結び合わせるという努力をしなければ、ほんとう地域開発というものはあり得ないわけです。その点がこの法律に欠けておる点であるというふうに考えます。  まだ少しございますが、時間が来ましたので、これでやめます。
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) どうもありがとうございました。  次に、矢部参考人にお願いいたします。
  8. 矢部知恵夫

    参考人矢部知恵夫君) ただいま御紹介いただきました、福井県の敦賀市長の矢部でございます。  私は、現在すでに動いておる、あるいはまた計画をしておる立地市町村の立場から、この地帯整備法案について意見を述べさしていただきたいと存じます。  実は、全国原子力発電所所在市町村協議会というのがございまして、加盟市町村が二十五市町村に及んでおります。これはもうすでに運転しておるところ、あるいはまた計画中のどころ、建設中のところも含めまして二七五市町村ございますが、私はその協議会の会長もつとめさしていただいております。私ども加盟しております市町村の立場からいきますと、国のエネルギー政策には、やはり適地である私ども市町村については全面的に協力をし、そして住民福祉につないでいこうという精神のもとに今日まできております。したがいまして、協議会が発足以来、もうすでに五年にわたりましてこの地帯整備法案、さらにまた財政に対する処置につきましても、五年間にわたりまして強力に国会に陳情もし、先生方の協力を仰いでおるわけでございますが、ようやく今日この大詰めを迎えまして、私どもがこういうふうに参議院の商工委員会意見を述べる機会を得まして、私、ほんとうにうれしく存じております。  端的に申し上げまして、先ほど来参考人の方がいろいろ専門的な立場で御発言があるようでございますが、私ども立地しております市町村は、やはり原子力発電所となりますれば、いろいろな立地条件が必要でございます。地盤の問題、あるいはまた大量の冷却水を必要とするためにやっぱり海岸線に持ってくる、あるいはまた人口密度の薄いところ、こういうところになりますと、必然的に立地条件がどこかということはしぼられてくるわけでございます。そういうところはほとんど過疎地でございまして、陸の孤島といわれるところがほとんどでございます。  そういうところに対して地方自治体として一体どういうふうに開発していくのか、あるいはまた過疎を防ぐのか、こういうことで日夜私どもは苦労しておるところでございまして、いま政府は、おそらく過密解消ということで、いろいろ田中総理言われる国土開発、こういうところは、やはり過疎地域の先行投資をしてこそ過密が防がれ、過疎を防ぐのではなかろうか。そういう点を考えますと、この原子力発電所が  私は決して安全性を無視してこれを立地する気はございません。少なくとも安全性は国の立場においてこれを完全に立証し、そして、国民コンセンサスを得て立地するのが当然でございます。これは当然であると思います。しかし、私どもは、そういう過疎地のところに福祉を与える、政治の光を与えるということになりますと、やはりこれらの国のエネルギー産業に協力をしながら、私どもは地域開発を進めていかなければならないということで今日まできております。  しかし、今日までの税体制になりますと、固定資産税につきましても、私どもは地方交付税交付団体でございますので、余分なものは国に引き揚げられる、決してぜいたくなことはさしていただけません。たとえば、いま不健全な競輪につきましても、あるいは競艇につきましても、これからあがる収益はすべて特別会計において、特別交付税関係なしに団有の市町村の財源として使途されております。そういうような市町村は非常に裕福でございますし、公共施設も非常にりっぱに完成されつつあります。あるいはまた、福祉の面についても非常に前進をいたしております。そういう立場からいきますと、私どもは、国のエネルギー政策に協力する立場からいきますと、これらからあがるところの固定資産税その他につきましては、できるだけ固有の市町村の単独の財源として使わしてもらいたい、こういうのが私どもの願いでございまして、今回の地帯整備法案につきましても、内容につきましては私ども一〇〇%満足とは言えません、いろいろな問題はあると思いますけれども、五年間かかってここまで私どもは積み上げてまいりました法案が、どうかひとつ今度は成立をさしてもらいたいという念願で一ぱいでございます。  私どもは、そういうことで安全性を全然無視してということじゃございませんし、当然、これは国において、あるいはまた高度な科学技術の専門的なお立場ではっきりとひとつ明確にしてもらいたいというふうに思います。非常に安全であるという科学者も現地へ来られましていろいろ講演会を開く、また、危険であるという科学者が来られて、これがまた講演をされいろいろ説明される。一番迷うのは現地でございます。現地の住民でございます。私どもは決してそんな専門的な知識を持っておるものではございません。したがいまして、動揺するのはそういうところにあるわけでございまして、国会において、あるいはまた政府において、この原子力は安全であるというものを明確にしてもらいたい。これは私は望むところでございます。  しかし、立地されるところは、そういう経済性にも非常に乏しい、財源の非常に苦しい市町村ばかりに立地されるわけでございます。したがって、そこから生産される電力はすべて大都市に送られ、そしてなおかつ、それに付加されます電気ガス消費税によってその電力を受ける大きな都市がさらに大きなメリットをもらえる。生産される土地については、死なさず殺さずといったような交付税のワクにはめられて、何にも余分なものは与えてもらえない。ここに私は問題があると思うんです。  私どもの敦賀市におきましては、かつて陸の孤島であったといったようなところで、ほとんど自転車も行けないようなところに十何キロの道路がつき、いまでは非常にりっぱな道路もついて、そして、もう自動車で十分ぐらい行きますと敦賀市内に入れるように便利になりました。これも、やはり原子力建設するための産業道路で、あるいはまた、これがいまでは観光道路に変わってきております。そういうことで、この建設にあたりましては、県と市と企業者とがつくった道路であり、国は一切これに出していただいてない。それは全然出していただいてない。こういうことでは、国の大きなエネルギー政策の上に立ちましては、ここまでまいりますと、ぜひとも国の立法措置によってその地域開発を進めてもらいたいというのが、私ども五年間かかって念願しておる立場でございます。  地方議会におきましてもこの安全性の問題は必ず論議をされますけれども、全然メリットがないじゃないかと。これは、社会党の議員さんにしましても共産党の議員さんにしても、今日まで言われてきたところです。市長は先頭に立ってこの問題を解決しろと言う。私どもは一生懸命やってきたわけです。しかし、安全性を無視してまでやれという問題ではございません。あくまでも安全性は別の立場でやるべきであるというふうに存じております。  こまかい点については、御質問等についてお答えいたしますが、今回はどうかひとつ……、この成立いかんによっては、全国の所在市町村の立場からいきますと、私は重大な決意をせざるを得ないと思います。このエネルギーの将来に対する大きな禍根を残るのじゃないかというふうに私は思いますので、よろしくひとつお願いしたいと思います。  以上でございます。
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) どうもありがとうございました。  次に、川崎参考人にお願いいたします。
  10. 川崎義彦

    参考人川崎義彦君) 私は、東海村長川崎でございます。  私は、この原子力三法について賛成の立場から意見を述べさしていただきます。しかし、その前に、私並びに東海村と原子力のかかわり合いがどういうふうに持たれてきたかということ、そして、それがどう今度の三法に反映していったかということを申し上げ、皆さんの御理解をちょうだいいたしたいと思います。  私の村は、村松という村と石神という村が昭和三十年の四月に合併いたしまして東海村になったわけでございます。私は、昭和二十六年の四月、旧村松村長に当選いたしまして、現在まで二十三年間、その間に二期八年間野におりましたけれども、この間にももちろん原子力とのかかわり合いを持っておりましたので、三十一年に原子力研究所が本村に決定いたしまして以来二十数年間、原子力開発のためにいささか微力を尽くしてきたつもりでございます。したがいまして、ここまでまいります過程での私どもの苦しみと悩みというものを申し上げ、そして、今回の法案をぜひ成立さしていただきたいということを強くお願いをするわけでございます。  合併をいたしました翌年、三十一年の二月一日に、原子力研究所の駒形土地選定委員長が本村に足を寄せられました。ここから東海村と原子力関係が生じたわけでございます。この二月一日という日は、前日に合併特例法による議員の選挙が行なわれた日であります。そういう記念すべき日でございました。直ちに二月八日、私は臨時議会を開きまして、そしてこの問題を提案いたし、さらに、私自身が各方面に勉強してきたこと、今後の構想等についておはかりを申し上げました。議会は、その後二カ月間非常な勉強をいたしました。ただ私どもは、工学的な問題等についてはもう全然知識はございませんし、そういうことをまた勉強しているいとまもございませんので、問題は、放射能に対する安全性をどうするか、この一点に研究の対象をしぼったのであります。  ことに、この前の前の年には例の福竜丸事件が起きまして、いわゆる被曝によるああいう事故が起きた直後でございましたので、われわれは非常に熱心に放射能の問題については、反対派の学者、賛成派の学者  当時私は、日本の国に反対派の学者とか賛成派の学者という二つに分かれるとは思わなかったのであります。各方面の学者の意見を聞きまして、そして部落座談会等もやりまして、四月の十八日に、議会は六条件を付して誘致に踏み切ったわけでございます。同時に、原子力研究施設設置対策協議会というものを常置いたしまして、今後の建設計画その他についてはこの機関を通して——これは六十人ほどでございます、議員以外にも。それを通して推進していくということにいたしたのであります。その六条件の中に二つ——いま思いますると四つのことは地域の問題でございますけれども、まず第一に、特別都市法を制定せよ、ここに原子力施設を設置する以上、特別都市法を制定せよということでございます。それから、当時付帯してつくられるという予定がありました放射線総合医療研究所を併置せよ、原子力大学をつくれ、こういうことがその条件の中に入っておりました。  三十二年の九月十八日に第一号炉の火入れ式が終わり、その前に三十二年の八月には、いまの動燃の前身であります原子燃料公社の火入れ式が行なわれました。  なお、三十三年の八月には、原子力発電株式会社のコールダーホール型の発電所設置計画が発表されました。この問題につきましても、約一年間議会は検討いたしまして、三十四年の十一月二十六日に、議会の議決をもちまして設置を容認したわけでございます。そのときの議会の決議の中にこういうことが書いてあります。「安全性については、権威ある科学者、技術者の結論を尊重し、事故に対する完全な補償がなされるべきである。」という前提が入っておるわけであります。  当初、私どもが原研の設置のときに部落座談会をやりまして一番困りましたことは、いわゆる原子力というものが非常に難解であると。放射能という問題につきましても、私二十何年たっておりますけど、まだ完全にマスターしていない、それほど困難な問題を住民に納得がいく説明をするということはとうてい不可能でございます。それで、いろんな学者のこんな意見も聞いておるけれども、結局われわれは日本科学者の英知と良心に信頼するほかない、私はそう考えるんだ、こういう発言でいっでも結んでいたわけであります。私は、その信念をいまでも曲げておりません。私は、日本科学者が、あるいは研究者がほんとうに真撃に原子力開発のために取り組んでいるという姿を眼のあたり見ております。そういう意味で、私は、そういう信念から原子力とかかわりを持ったわけでございます。  しかし、先ほどから参考人方々陳述されておりますように、だからといって地元に対するメリットがあまりにも少ない、こういうことで県と相携えまして、原子力委員会と何回か折衝を重ね、昭和三十九年の十二月二十三日、原子力委員会の決定による原子力施設地帯整備事業というものを決定を見たわけでございます。これは原子力地帯の住民の安全の確保、それと福祉の増進のために、現行法のワク内で都市計画に反映さしてこの仕事をやっていく、こういうことでございました。四十年の八月二十六日閣議決定がなされ、さらに各省庁、特に建設省の都市局長と原子力局長の覚え書きによって、四十一年度初めて一億円の事業費がついたわけであります。しかし、これはあくまでも都市計画法のワク内でございますので、街路につきましては三分の二の国庫補助、三分の一は地元負担、何らいわゆる財源の措置はなかったわけでございます。  続いて動燃の再処理工場の問題が持ち上がってまいりました。もちろんあとで申しますけれども、原子力発電のときには何ら条件をつけておりません。いわゆる安全性の確保という問題だけでございましたが、再処理工場の新設になって、非常にそのときの空気といたしましては、確かに都市計画の中で他町村と比べると都市計画事業は進んでいるけれども、そのためにむしろ一般財源が食われるおそれがあると、これを何とか国でカバーしてもらうということで、再処理工場の設置のときに、四十六年の七月でございますが、補正計画をつくっていただくと同時に、特に自治省の財政局、大蔵省の理財局、科学技術庁長官との間で、起債を、一般補助事業については五五%まで引き上げるという措置がとられたわけでございます。四十七年度以降五年間五五%に引き上げるという覚え書きが出たわけでございます。実に私どもはここまでに十年近い歳月を伴ってまいりました。  このときに、再処理工場の設置に対する七条件を付して賛成したわけでございます。今度の第二発電所の問題につきましても、これに対して六条件をつけ加えておりますけれども、その大きな問題点は、原子力周辺地帯整備法をつくれ、最初の特別都市法をつくれというその要件を、原子力周辺地帯整備法の制定、それから税制を改善して地元にメリットを与えてくれというようなことを含む再処理工場のときには七条件、第二発電所のときには六条件を付して設置を認めたわけでございます。本村では非常に長い原子力に対する歴史を持っておりますけれども、この再処理工場の設置、あるいは第二発電所建設等にあたりましては、非常に組織的な執拗な反対も実は繰り返されておりました。しかし、わりあいに一般住民が冷静に受けとめて、比較的に混乱がなしに設置が容認できたということは、この原子力周辺地帯整備を非常にわずかではございますけれども、こういう過去六、七年にわたる地帯整備の実績の積み重ねが住民のよく理解を得たものと私は信じているのであります。  それ以後、敦賀の市長さんを中心として原子力所在市町村協議会の一員としての運動を続けてまいったわけでございます。今回の原子力三法こそ私どもがまさに待ち望んだものでございまして、原子力開発がナショナルプロジェクトだということがいわれてからずいぶん久しゅうございますが、われわれに与えられておったのは一方的な国家規制であり、住民に対する福祉が必ずしも全うされていなかったといううらみをつくづく感じておるのでございます。どうぞ今後は、地域住民安全性を確保することはもちろんでございますけれども、福祉の増進のためにこういう法案を一日も早く通していただきたい。また、原子力の正しい知識の普及をして、地域の理解と協力のもとに初めて私は原子力開発ができるものである、こういうふうに確信を持っておるもめでございます。どうぞひとつ、この法案がスムーズに参議院を通りますように御理解をちょうだいいたしたいと思います。  以上で終わります。
  11. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) どうもありがとうございました。  次に、森参考人にお願いします。
  12. 森茂

    参考人(森茂君) 私は、電力産業に働く労働者で結成しております全日本電力労働組合協議会の事務局長をしています。実はこの原子力問題ないしはそれにからむ発電用施設周辺地域整備法案と非常に深い関連を持っておるわけなんで、これは私ども自身の問題と、それから電力産業がいわゆる原子力公害をまわりに振りまいていくその問題をどうするかということで、国民に対する責任を私たち電力労働者は負っておると思うのです。そういう意味で、過去にも、またこれからも原子力問題について海外の文献をはじめ、国内でいろいろな議論があります、そういうものには常に検討を加えてきているのですが、そういう立場から、結論的に申し上げれば、発電周辺整備法案については、反対の立場から意見を若干申し上げてみたい、こういうふうに思います。  第一点は、この周辺整備法が出された背景というのは、先ほど参考人の方からも申されましたが、最近発電所立地条件がたいへん住民運動やあるいは労働組合等の反対で計画が推進しにくくなっている。そういうことで、火力にしても、あるいは原子力もそうでありますが、発電所をつくろうとすると必ず住民や労働組合の抵抗にあっている。一昨年あるいは昨年、計画の着工ができないというのが実情になっていると思うのです。昨年で着工したところでいいますと、たとえば北海道の伊達火力、これは機動隊を導入して着工するというような非常に暴力的なやり方での着工になっている、こういうふうに思うわけです。特に原子力発電所につきましては、これは私どもはいままでにない新しい公害が今後起きてくる。  御承知のとおりに、発電所公害というのは歴史がございます。たとえば、発電様式が時代とともに変化をしてきました。最初の石炭火力の場合は、これはまつ黒な煙が最初は出ていたわけです。最近の技術でいきますと、電気集じん機等々で集じんをいたしますれば、目に見えないものになってきますけれども、しかし、とにかく当初の段階では、まつ黒な煙を出しておった。非常にわかりやす、わけです。その次は、石炭火力の発電所になって、この石炭火力の発電所というのは、これは黒い煙を出しません。煙突はありますけれども、ほぼ煙は白い煙がときたま見えるという程度でしかありません。しかし、これは亜硫酸ガスやその他のバナジュームなど重金属までも振りまいているわけで、たいへんいま問題になっているところなんですね。  ところが、原子力発電所になりますと、いよいよそういう測定すら普通の人にはむつかしいというような状況のものになってくるわけです。いわゆる放射性物質が、煙突とは言えない排気塔から出てくるわけなんですが、全くこれは測定も非常に科学的にやらなければ、機器を使ってやらなければできないという状況のものになってきている。しかも、それにちょっと触れたからといっても、大量の放射能なら別として、少量の放射能に触れたからといって、いま直ちに被害が出てくるというものではありません。しかし、それが十年や十五年そういうあとの世代に非常におそるべき遺伝障害となってあらわれてくる。こういうところに大きな原子力公害の問題があるだろうと思います。  いま政府筋でも、あるいは電力会社でも、石油発電原子力発電に大きく切りかえていこうという政策が推進されているようです。いわば石炭から石油発電様式を変えた、それ以上の第二次のエネルギー革命といってもいい状態が展開されていると思うのです。ところが、先ほど申し上げましたように、そういう状況の中で火力発電、あるいは原子力発電、こういうところが立地に関してはものすごい抵抗を受けている。そういうところから、その関係住民にこういう周辺地域整備法でもって見せかけの住民福祉をやって、そうして、いわば非常な危険性を金で買おうというような法案ではなかろうかと私は思うのです。  なるほど過疎化が進んでおります。もちろん過疎といっても、日本のような狭いところの過疎でありますから、原子力規模原子力公害という観点から考えますと決して過疎ではないんですが、  一般的に見る目でいう過疎というのは確かに進んでおります。そこにたとえば一年間に五億円の金を投入する、三年間投入すれば十五億円であります。そういうものでりっぱな学校ができたり、あるいは保育所ができたり、いろいろ公園ができたりするということは、それは住民にとっては非常にだまされやすい。特に原子力公害が、目の前というよりか、むしろ遺伝にからむ重要な問題をはらんでおりますので、将来のことになるものですから、非常にだまされやすい性質を持っているのじゃないか。そういう意味では、まずはやはりこの原子力公害の問題をこの商工委員会でも十分検討していただきたい、こういうふうに私は思うわけです。  現在、電力会社の安全なんだという論理の中ではどういうことが柱になっているかと申しますと、たとえばバックグラウンドの天然放射線量は、大体世界的に見て年間百ミリレムから百五十ミリレムぐらいだと、こういうことを言われております。平均すれば、大体百十ミリレム前後ではないかと、こう言われています。ところが、それも年度によって違う。プラス・マイナス大体一〇%ぐらい年度によって違いがある。一〇%の違いといえば、大体十ミリレムから十五ミリレムということになります。もうこのバックグラウンドのプラス・マイナスの範囲内ぐらいに放出される放射能を押えるならば安全なのではないか、安全なんだと、これが電力会社の論理になっている。  しかし、ここで考えなければならないことは、こういうことが言えると思います。それは、このバックグラウンドの放射能自体が無害であるという前提にこれは立っているんじゃないんだろうかと思います。ところが、今日われわれが受けている自然放射線量によって、白血病だとか、あるいはガンだとか遺伝障害を受けております。これは学者はだれでも異論のないところです。したがって、かりに非常に微量な放射線であっても、明らかにこの自然放射能の上に上積みされることになります。当然にも、白血病だとかガンだとか、あるいはさまざまな遺伝障害だとかいうものが上積みされるということになるわけです。そういう意味では、全くごまかしの論理だと私どもは思うわけです。  それから、さらに申し上げてみますと、上積みされる分というのは、これは原発だけではありません。原発だけを自然放射能に加えておるということになるかと思うのですが、それだけではありません。今日、レントゲンその他で医療用の放射線が使われております。この放射線量は、世界の学者の話によると、大体年間三十五ミリレムぐらい医療用の放射線を人体は平均的に浴びていると、こういわれております。これは東大の秋田先生あたりも明らかにされているところです。ところが、この医療用放射線の問題が、アメリカをはじめ世界でいま問題になっております、これはかけ過ぎなのではないか、これはたいへんなことなんだと。で、合衆国の遺伝委員会の六人メンバーが計算したところによりますと、現に使っている医療用の放射線で、大体一世代について、次の時代に五十万人の具体的にあらわれる欠陥児、これを生み出しているのではないか、こういう計算をアメリカ合衆国の遺伝委員会の六人メンバーが計算をしております。  この合衆国の遺伝委員会のメンバーの話によりますと、大体次の時代に子供が一億人生まれてくるというのですね。その一億人生まれてくるうちに、生まれた直後か、もしくは成人するまでに明らかに欠陥と認められる、たとえば精神障害だとか先天性奇形だとか、あるいはつんぼだとかめくらだとか、さまざまな障害が一億人生まれてくる次の世代の子供のうちに二百万人いるといわれます。そうすると、その中には医学用のレントゲンによって、医学用の放射線によって出てくるのが約五十万人含まれているということになる。非常に微量な今日の医学用の放射線すらいま問題になっている。なるべくレントゲンにはかからないようにしよう、しなきゃならぬということが盛んに言われるようになってきているというふうなことであります。そういうふうに考えてみますと、わずかな量の放射線が環境に放出される——一つ一つ発電所をとって見ればあるいはわずかかもしれませんが、たいへんなことになるのじゃないかというふうに考えます。  それからさらに、三番目に申し上げてみますと、この相乗効果が考えられるわけです。たとえばこの放射線が、単に自然放射能、あるいは医療用、その上に積み重ねられるだけではなくて、放射能環境に排出されることによって、かなりな相乗効果を生むという研究がアメリカでやられております。これは、ウラン鉱で働く鉱夫の死亡の原因と、それから放射性物質との関係を十数年にわたって研究した結果として、最近の科学雑誌の道家さんの論文に載っております。それによりますと、たとえばウラン鉱で働く鉱夫の死亡率をとってみると、これは、たばこをのみますと一定程度呼吸器ガンの発生率が見られる。たばこによる呼吸器ガンの発生率は、たばこをのまない人の場合は一万人に一・一人だと、ところが、たばこをのむ場合には一万人に四・四人だといわれております。そういう統計があるそうです。ところが、ウラン鉱に働く人々がたばこをのみ、かつ、そういう放射線を沿びることによって非常に呼吸器ガンの発生率が高まってきております。  たとえば、たばこをのまない人がウラン鉱で働いている場合は、先ほどの一・一人の発生率が七・一人にはね上がります。いわば六人だけウラン鉱に働いて、ウランの放射能によってそれだけのものが倍加されたのです。ところが、たばこをのむ場合はどういうことになるかといいますと、たばこをのんでいる人の場合は四・四人、先ほどのウラン鉱に働かない場合はそういうことですが、ウラン鉱による放射能による呼吸器ガンの発生率がいま申し上げたように認められるとすれば、この四・四人に六人を足せばよい。大体十・四人呼吸器ガンが出るはずなんです。ところが、それが四二・二人という膨大な量にあがっている。いわば四倍近くの発生率が生まれてきている。これは放射能の害というのは、いろいろなものに相乗効果を及ぼしていくということを示しているのではないかと考えられるわけです。  それから、特に私どもの問題ですが、電力会社やあるいは原子力機器製造メーカー、これは補修なんかも受け持ちますから、こういったものは請負と電力会社のほうでは言っておりますが、請負業者とか、請負労働者とか呼べると思いますが、電力会社の正社員や、あるいは原子力機器製造メーカーの維持補修に当たる労働者、これの被曝はたいへんな問題だと思います。国際放射線防護委員会の規制、これはどういう数値になっているかといいますと、御承知のとおり、公衆の中の個人の場合は、年間五百ミリレムとなっている、職業人の場合は五千ミリレムと、こうなります。で、わが国の公衆の規制は、大体国際放射線防護委員会の年間五百ミリレムで規制しているようです。  ところが、アメリカにおきましては、ゴフマン、タンブリンの公衆に対する線量の限度がおかしいではないかという論争の中から、最近に至り、公衆の中の個人については年間五ミリレムと、一挙に百分の一に下げざるを得なかった。で、公衆の、中の集団に至っては、これは遺伝因子と関係があるわけですが、一ミリレムと、その五分の一になっている、こういうところに規制値を落としたわけです。ところが、われわれ労働者の場合、先ほどの国際放射線防護委員会の場合は十倍の規制値を設けている。ところが、電力労働者にしろ、あるいはそういう機器メーカーの労働者にしても人間にかわりはないわけなんです。何も十倍の被曝量を受けて安全だということは絶対にないのです。まあ、そういう意味ではたいへん問題があるところだろうと思うのです。  現実に、たとえば労働者の被曝を見てみますと、敦賀の発電所の場合、年間平均七百ミリレム受けているわけです。これはアメリカ原子力委員会の公衆に対する個人の規制値からいきますと、いま申し上げた年間五ミリからいきますと、百八十倍に相当するものを現実に受けております。美浜の場合が六百ミリレムです、百二十倍です。福島の場合も出ておりますが、非常に多くの被曝が出ております。そして、たとえば東京電力の火力発電所の職場で、原子力発電所に配置がえだという話が出てきますと、子供をもちあげていかなければたいへんだという話が出ます。本人はそれでいいかもしれませんが、今度は子供を連れていくわけですから、子供だって将来大きな被害を受けるというふうに考えていいと思います。これは社員の場合です。それから実際に地元から雇う、たとえば燃料冷却槽の掃除をやったり、いろいろする雑役夫を地元から雇ったりします。この被害はもっと大きな放射能を浴びるという傾向にあるというふうに申し上げておきたいと思います。ともあれ、平常運転時にそういったような被害を受けるわけです。  事故時の場合はもっと大きな被害を受けるということは明らかです。事故は何重にも安全にしてあるのだからないのだと、こうおっしゃるのですが、化学工場がそうです。最近爆発が相次いておりますが、これは何重にもやはり装置がしてあるのです。してあって、なおかつ爆発が起こるわけです。それから、われわれが現場で働いている場合にいろいろ事故を、たとえば労働災害が起きます。死亡事故が年々数十人にのぼっているわけです、電力産業で。その死亡事故を起こったやつを見ますと、絶対に考えられないような事故原因幾つも一時に重なっておる。そんなふしぎなことがあるだろうかと思えるような偶然の事故が五つも六つも重なって、そしてああいう死亡事故になっている。その死亡事故は年間相当な数にのぼっているわけです。そういう事故の実態です。  したがって、そういうところから類推をいたしましても、原子力発電所は必ず危険な事故が起こる、その徴候はすでに関西の美浜一号機では蒸気発生器に起こり得べからざる事故が起こっておる。あるいは、同じ美浜の二号機にしても燃料棒が曲がる、そして、その原因を追究することなく単に燃料棒をかえればいいと、こう言っているんですね。ところが、また同じ事故が起こって燃料棒が曲がって、その力で炉心を破壊したらたいへんなことになります。これはもうものすごいものになりますし、それから、そういう曲がりが出てきますと、かりに接触しなくても制御装置が動かなくなる、もうそうなれば緊急冷却装置も何もあったものではない、こう思うんです。そういう意味では、すでに事故の徴候は、各発電所で大小さまざまな形で今日事故の状況が、まあ大事故を予言するような非常に重要な事故が今日起こってきている。  しかも、今後の開発計画ですが、六十年に六千万キロワット稲葉試案が出されております。これはたいへんなことだと思うんですね。そして、単に原子力発電所やその周辺に働く、あるいは周辺住民公害だけではなくて、これは周辺の野菜だとか、動植物だとか、魚介類を汚染していきます。複雑な食物連鎖を通じて日本国民の中に原子力公害を次第次第に広げていく、こういう性格を持っているものであり、まだいまなら私はおそくないと思うんです。いま原子力発電所というのは、まだまだ実験研究の域を出ていないと思うんです。安全性は決して立証されておりません。そういう意味では私は、原子力発電所に対して将来とも建設してはならぬなんと言うつもりはありません。やはり将来は、もっと進んだ形の原子力を使う発電様式が出てくるだろうと思います。しかしながら、現時点では非常に危険なんですから、これはぜひもうやめていただいて、実験研究をさらに積み重ねる、そのためには、どうしても営利会社である電力会社にこういうような原子力開発をまかせるということ自体が、たいへん問題があるというふうに考えるわけであります。  そういう意味では、やはり国家がもう少しほんとうに責任を持たなければならない、そういう意味では、いま審議なさっていらっしゃいますこの発電用施設周辺整備法案というのは、非常に重要な問題を含んでいるんじゃないだろうか。特に田中総理は、道徳教育の高揚論者であり、道徳教育の立場から考えても、非常に危険だということで直感している住民の反対を札たばでほっぺたをたたいて、そしてそういう危険を金で買うような、そういう法案じゃないかと私は思うんです。その他、たとえば発電の今後の発電力の増強の問題や、あるいは温排水の問題等々、いろいろ問題あります。しかし、時間もやや超過いたしましたので、以上のような点で陳述を一応終わりたいと思います。
  13. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) どうもありがとうございました。  以上で参考人方々の御意見陳述は終わりました。  これから参考人方々に対する質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  14. 大矢正

    ○大矢正君 参考人の皆さん、どうもありがとうございました。時間もかなり経過いたしておりますし、私以外にも質問があることと思いますので、三点ほどお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、都甲先生にお尋ねをいたしたいと思うんでありますが、先ほど先生のお話の中にもありましたように、原子力発電の際における事故の発生防止にあらゆる措置を講ずる努力をするということは、まあ一点強調されました。それから同時にまた、世の中に絶対ということはないんであって、その意味においては、万一の場合のことも考えなきゃならぬということも第二点としておっしゃっておられたんですね。そこで、私もそのとおりだと思うので、産業災害として他の一般産業と同様にとらえてみましても、絶対はないわけでありまするから、万一ということも考慮しなきゃならぬ。その際に、いろいろな条件があるだろうとは存じますが、私も実は原子力、そしてその安全性という問題についての専門的な知識というのはそれほど持ち合わしておりません。過去におきまして、科学技術委員会に在籍しておりました当時若干の勉強をしたのと、当商工委員会にはもう十年以上もおりますから、この委員会におきましてしばしば参考意見をお聞かせいただいているという程度でございまして、非常にその意味では未熟者でありますが、それだけに、ある程度質問が幼稚な質問かもわかりませんが、私、いろいろありますが一つだけにしぼってお尋ねをします。  原子力発電の元祖である、たとえばアメリカと比較をしてみた場合にどうかということなんでありますが、アメリカの原子力発電所の設置というものは、まあ人間が住んでおる地帯、地域、住んでおると言いましても、いろいろこれはございまして、一人住んでるところもあるし、何万人と住んでる地帯もありましようけれども、そういう両極端なことを言うことではなくて、概念的に考え人口がある程度集中している地域というものとの関係考えてみた場合に、アメリカあたりは大体どの程度の距離が保たれておるのか。それに対してわが国の既存の原子力発電所、それからこれから建設しようとしている計画あるいはその予定地等から見た場合に、アメリカとの関係においてはどのような結果が出てくるだろうかという点についてお答えをいただきたい。まず第一点であります。  それから矢部市長さん、お尋ねしますが、先ほど市長さんから、地方の財源不足のおりから、過疎対策としての先行投資としてもこれは非常に必要である、私も全くそう思います。ただ、法律の中身になるとちょっと問題があるのでありまして、過疎地帯に対して先行投資をするとか、いろんな国の財政措置を講ずるということは当然のことであって、やらなきゃならぬと思うのですが、ただ、この法律によってやることが是か非かという問題だけについて異論があるだけであります。  そこで、私がいまさら申すまでもないと思うのでありますが、この法律というのは、この整備計画を作成する際において市町村長の意見を聞くということが載っておるだけでありまして、あとはもう国の権限ということになるわけですね。もちろん、直接的には都道府県知事が作成はするというかっこうになりますが、最終的には国の承認を得なきゃならぬというものもあります。先ほど市長さんがおっしゃっておられたのには、自治体として自分たちは自由な財源がほしい、とにかく仕事はたくさんあるが金がない、そういう意味では自由な財源がほしいという御説を強調されておられたのですが、私もそのとおりだと思いますが、問題は、この法律では、自由な財源ではなくて整備計画に載ったことはできるかもしらぬけれども、載らないことはできないと。  それでこの内容が、たとえば地方自治体の長が述べる意見をそのまま受け入れるというかっこうが法律の中にありとすれば、その地方自治体、自治体においての必要度に応じた、もしこの法律が成立した場合ですよ、何と言いましょうか、投資ができますけれども、これはあくまでも最終的には国の責任においてやるということで、事業主体は市町村にありましても、計画の主体はあくまでも国である。市町村長からは単に意見を聞かなければならないという、聞くことの義務づけがされているだけだ、こういう点では、どうも自由な財源という先ほどの市長さんの御説には合わない結果になりはしないだろうか。たとえば市町村はこういうもの、AならAというものをつくりたい、つくってほしい、こういう希望を、整備計画案を出す。ところが、国はそれを認めないということもあり得るだろう。そうすると、折り合いがつかないという場合だってなきにしもあらずだと。この法律の内容が、先ほど申し上げたとおりに市町村長に一任する、金の範囲はこれだけだと。しかし、一任するというんなら話は別だけれども、そうではないというところに、御希望に沿えないような内容がこの法律の中にあるんではないだろうかという問題がある。  それから、森参考人にお尋ねしますが、森さん、先ほどこの法律は、まあ言ってみれば地域住民の賛成運動、反対運動と申しましょうか、そういうものをさらにはっきりさせるものであって、非常に危険なものであるという御説であり、私も全く実はそう考えておるわけで、現状においてもこういうことを申し上げることはいいかどうかわかりませんが、固定資産税が入ってくる。その固定資産税が入ることによって地方自治体の財政が潤う、だからこの際ということがかなり大きなウエートになって——私は北海道ですから、御存じの伊達火力問題でいまだに問題が起きておるわけですが、しかし伊達だけに限らず、近く苫小牧にというようなことで、石炭火力もこれまた難航しているというようなことで、原子力どころじゃない。重油あるいは石炭の専焼火力ですら問題が起きて、いまだに進捗してないというような状態でありますが、どうもいままでは固定資産税という問題だけに限定された。今度はさらにふくらんで、あれもこれも、学校とか、あるいは病院とか、道路とかというようなことになってきますと、ますますそこに利害だけで問題を解決しよう、判断しようとする傾向があらわれはしないか。そして、それがますます、残念なことではあるが、地方自治体の住民の世論をそれこそまつ二つにして、中間的な意識の層の人がいなくて、まつ二つにいいか悪いかという方向にこの法律はどうも持っていきそうな懸念を私は感ずるわけです。その点についてどういうようにお感じになっておられるか。  以上、お三方にお尋ねしたいと思います。
  15. 都甲泰正

    参考人都甲泰正君) それでは、アメリカと比較した場合の日本原子力発電所敷地の状況がどうかということの御質問に対しましてお答えをいたしたいと思います。  一言に申しますと一日本原子力発電所の現在の敷地の広さでございますが、人の住んでおりますところまで大体五、六百メーターから千メーターぐらいというのが、すべての場合に当てはまるだろうと思います。これはアメリカの場合と比較してみますと、ほぼアメリカの平均ぐらいのところにきている。これぐらいの敷地のところがアメリカでも非常に多うございます。全部調べてみますと、中には五キロとか十キロ、非常に離れているところもございますが、これはむしろ例外。非常に初期につくった原子力発電所ですとか、あるいは非常にへんぴなところにつくった原子力発電所ということでございまして現在アメリカは、もう二百をこえる原子力発電所建設しておりますが、それらの全部を調べましても非常に例外でございます。また、アメリカには逆のほうの例外もございまして、敷地までの距離が二百メーターとか四百メーターとかいう逆のほうの例外もアメリカにはございますが、これらの場合には特別な安全装置を付加する、安全装置を強化するということ、安全設計上のくふうをいたしまして、それで設置が認められているというのが現状であろうかと思います。
  16. 矢部知恵夫

    参考人矢部知恵夫君) 現在の地帯整備法案の内容について、満足すべきものでないんじゃないか、これは先ほど申し上げましたように、決して私は一〇〇%満足した法案とは考えておりません。しかし、私ども市町村だけで計画策定をいたしましても、これまでのいろいろ県、国との関連性において独自ですべてをやっていくということについても、いまの状態ではなかなかむずかしゅうございます。したがいまして、いわゆる広域市町村圏という、広域的に進める、そういう計画の中にもこの法律を適用いたしまして、市町村と県とともに推進していこう、それにはいろいろなかさ上げの問題があるわけでございまして、多少でもそれにプラスアルファされているということになりますと、非常に私どもは潤うということであります。そういうことで、できるだけ起債の増額をしていただくとか、あるいは補助率の単価をアップしていただくとか、これ法律の中にありますが、それだけでも私どもは非常に助かるのじゃないか、できれば特別に固有の独自の財源として、市町村長も思うように過疎地帯に使えるという財源が与えられれば、これは一番いいことでございますけれども、なかなかそうはいけないのが現状でございます。  したがいまして、とにかくここまで、法律をいま成立させるというところまできたということが、私ども大きな一つの前進でございまして、内容については、若干いろいろ問題があると思うのです。たとえば、私どもの既設の炉の、もうすでに動いている炉、すでに建設の完成された炉につきましても、固定資産税の特例廃止の問題については非常に不満の点もあるわけですけれども、これらもいろいろあるわけでございますけれども、一応この三法案を成立さすというところに私どもは大きな期待をかけております。内容については、これから漸次やはり改正もしていただかなければいかぬと思います。そういうことで、ひとつ御了承いただきたいと思います。
  17. 森茂

    参考人(森茂君) いままでの趨勢からいきますと、原子力発電に関する労働者やあるいは一般市民の認識が少しずつ深まれば深まるほど、原子力発電所をめぐる対立は激化してきているというのが現状なんです。ただし、おっしゃっていらっしゃいますように、いままでの金のからみ方は小さかったわけですから、それなりにコンセンサスがまだ容易な面もあっただろうと思う。しかし、今回みたいな形で出されると、それぞれ利害が深くからんできまずから、質的にいえば非常に対立は先鋭化してくるだろうというふうに思います。ただ量的に考えてみますと、関係住民のところで、かなりこれにだまされて、いわば不安全だと思いながらも、何かこちらに走っていくという層もかなり出るんではないだろうか、そういう意味で、私どもは非常に危険性を感じているわけなんですが、同時に、そういう状況になってきますと、質的には非常に激化いたしますから、今度は関係するまわりからさらに反対運動が起こって、その町村の中に入り込んで、そうして反対運動が激しく展開されるというような側面も私は持っているんではないだろうか、こういうふうに思われてしかたありません。
  18. 大矢正

    ○大矢正君 都甲先生、先ほどの話、もうちょっと実はお尋ねしたいと思うのですが、私もだいぶ以前だったのですが、アメリカの原子力発電所と、それからその周辺人口密集地帯との距離等について勉強したことがあるのですが、敷地をどの程度とるのか、それからその敷地のはずれから人口密集地帯まで幾らくらいあるのかと、そういう議論と、そうではなくて、炉心なら炉心から人口密集地帯、人口といいましても三人、五人という意味ではなしに、ある程度のまとまった人口、それとの距離ということになると、アメリカと日本とを比較した場合には、かなり日本の場合には、その面ではルーズだといいましようか、あるいは距離的には近いというように私自身は記憶しておるのですが、その点は私の間違いでしょうか。
  19. 都甲泰正

    参考人都甲泰正君) それではお答えいたしますが、私、半年ほど前でございましたか、原子力学会誌に立地問題を書きましたときに調査したんでございますが、たとえばアメリカの立地基準で、低人口地帯の距離というようなものもございますし、それから敷地の距離というものもきまっているわけでざいますが、それと関連いたしまして、現在のアメリカの百万キロワットクラス、たとえばオイスタークリークでございますとか、そのほかの大型の発電所敷地状況を調べたわけでございますが、特に日本と比べて非常に周辺人口が少ないとか、都市までの距離が長い、逆に言いますと、日本のほうが過密地帯に置いているという印象は得られませんでした。原子力学界誌におおよそのグラフも書いてございますし、それから、いまちょっと手元に持ち合わせございませんので、具体的な数字を申し上げられないのが申しわけないんでございますけれども、ほぼ日本と同じ程度考えていただいて間違ってないだろうと思います。
  20. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、西山先生にお伺いいたします。  結局この法律は、原子力発電安全性ということに対して焦点がしぼられてくるわけですが、施設周辺に対する財源の交付、これはいまも話がありましたが、別といたしまして、将来の計画も相当ございますし、昭和六十年度は六千万キロワットですか、六十五年度は一億キロワットの設備をしなければならない。しかし、現実においては事故がいろんな形において、大かた毎日のように新聞記事をにぎわすような事故が出ているわけです。ですから、いまお伺いするのはどうか知れませんが、これからの見通しといたしましても、専門家の先生方の御意見というのはどうなんですか。大体安全性というものがほんとうに確立できるのかどうか、その辺の見通し、ちょっとむずかしいか知りませんが、参考にお伺いしたいと思います。それが一つ。  それから敦賀の市長さんに。これは敦賀の発電所は、現在では原発の先輩格に東海村とともになっているので、事故も美浜なんかも数回出ているんです。  それで、いろいろございますが、温排水の魚介類に対する影響はどういうふうに掌握していらっしゃるのか、それだけお伺いします。
  21. 西山卯三

    参考人西山卯三君) この安全性の問題は、私は安全性の問題は特別に研究したわけではありませんが、地域計画とかそういうほうから言いますと、マクロの問題とミクロの問題とあると思うんです。  いま都甲先生からいろいろ説明ございましたが、これは大体ミクロの問題でして、一つの施設が絶対安全であるかどうかとかいろいろな問題ございましたですが、こういうものが非常に地域的に日本海に並んで、ことに北陸地帯にずっと並ぶとかいうようなことになりますと、それはまたそれで別の問題が生ずるわけです。  それで、現在こういうものが最終的に環境をどのように変えて、そしてわれわれ人間にとってどういう影響を与えるかということについては、これは研究はないといってもいいわけです。たとえば、いまエネルギーはどんどん使用量ふえておりますが、エネルギーの使用量は大体人口の増加よりも早いといわれております。同じでありましても、人口は二十一世紀の初めには七十億になるといわれております。そういうふえ方をした場合に、エネルギーを使うということは結局熱を発散するわけなんですが、それは地球の環境を変えるわけなんです。そういう化石燃料を放出するとか、そういうことで地球上の環境を変えるわけなんです。この環境変化が一体われわれの生態なりそういうものにどういう変化を及ぼしている、それが人類の生存にどういう影響を与えるかということははっきりわからないわけです。  最近、そういう科学研究がいろんなことをやっと行なわれ出した、そのほんとの緒についたという程度なんです。いろいろな予測をしている人はたくさんあります、それぞれの専門家から、専門的な立場から。しかし、それらの予測は非常にあやふやなものでして、きちんとやるような科学的な研究は行なわれていないわけです。いないと言ってもいいわけです。今度でもこの温排水の調査をやるとか、何かいまごろからやっとこういうことをやるわけなんですね。これはやらなければいけないんですけれども、しかし、いまやって、その結果がどうなるのかということは、直接的にそれは、熱い湯が出てくるんだからそれでウナギを養殖したらいいとか、そういう小さいことはわかりますけれども、たとえば全体の環境がどう変わっていって、それが日本海なら日本海の生態系をどう変えるか、実際魚の問題にどう影響するか、それは終局的に漁業生産にどういう影響を与えるか、あるいは漁業だけじゃなしに、おかの環境にもどういう影響を与えるかといったようなことについては、ほとんど科学的な予見はできないわけです。できない中でやろうとしているわけです。  そうしますと、そういう暴走的な産業開発といいますか、成長というものが、いままでやってきたあとをつらつら考えてみますと、この高度経済成長の中で日本国土はもうほとんどめちゃめちゃになってきた。瀬戸内海はその一例ですが、いま直そうと思っても急に直りません。それはたいへんな費用をかけて、ヘドロを全部取り上げてしまうのであれば少しはもとに返るかもしれませんが、返らないわけですね。そういう問題をいまチェックしなければならない時点に来ているというのは、これは国民全体の自覚だと思うんです。それが環境問題に対して非常に先鋭な反対を引き起こしたり、いろんな運動を起こしているわけです。  そういうことになると、それは電力需要がこうこうふえるというのは、産業のほうから割り出されたそういう需要そのものがチェックされるといいますか、それと比べ合わせて考えなければいけない、そういう時点に来ているわけです。ですから、片一方のは予見である与えられた条件である、したがって電力はこうふやさなければならない、したがって原子力だという、そういう単純な立て方ではいけない。その立て方をそれじゃどこでチェックするか。それはもちろん国の政治の問題ですから、大いにチェックしなければいけないですけれども、そのチェックの場は地域にもあるということです。そういうものを立てられる地域住民がそういうものを判断しなければいけない。判断できるようなことが基本になっていなければいけないわけです。ところが、いまのこの法律を見ましても、いまの地方自治のやり方を見ましても、住民ほんとうにそういうもののチェックにかかわり得るようになっているかというと、実はそうなっていないわけです。  重油問題で言いますと、最近非常に電力ピークがどんどん夏場にふえますですね。それは電力が必要だといわれておりますけれども、その夏場にふえるのは冷房をやるからなんです。冷房というのは、何か人間の生活が進歩したから必要だと考えられますけれども、実はそうじゃなしに日本の過密化ですね。冷房しなければ生活できないような都市をつくり出しているという、つまりこの過密が今度は過疎のほうに、電力をつくるときには電源開発しなければいけないと、こういう形ではね返っているわけです。ですから、国の開発過疎、過密を進行しているこういう国土のつくり方自体もチェックされなければいけない。そういうことが全部からんでいる問題であって、それはいろんな場でチェックされなければならないけれども、チェックする場が一つ住民の場である、住民生活の場である。ところが、この法律はそういうことをちゃんと組み入れていません。ですから、私はこれはまずいと思います。
  22. 矢部知恵夫

    参考人矢部知恵夫君) お尋ねの魚介類の影響、温排水の影響についてどうかということなんですが、私どもは、現在動いておるのは日本原電の炉でございますが、位置するところは、御存じのように敦賀湾の中にさらに浦底湾というのがございまして、そこへ温排水が排水されているわけであります。そこで、まず私どもはこれを十分研究したいということで、いままで町の周辺にありました県の水産試験場をその原子力発電所の温排水の流れる突端に持っていきまして、常に観測し、  いろんな動態を調べておるわけでございますが、まず、一秒間に何十トンという温排水が流れ込んでくるために、いままでの内海のようなかっこうがいわゆる外洋性を帯びてきておる。それによって、いままで内海のようなところで発生してきたいろんなものが、外洋性の海になってきたために少しとれるようになったとか、いろいろそういう問題がまた起きているわけでありますが、極端に魚介類に影響があるというようなことはいまのところございません。  それから、いま特にやっているのは、その温排水の温度を利用してハマチの養殖をやっている。しかも、私ども積寒地帯のこういう北陸地帯では、なかなかハマチの養殖を越冬するということはむずかしいだろうけれども、温排水を利用してということでやって、非常にこれは一応成功して、第二年目でございますから、一応企業として持てるかどうかということについて、ことしはいまやっていますが、成長率もよろしゅうございますし、非常に好成績をおさめています。  ただ、温排水の中に塩素がたくさんの量が入りますと、その付近の魚介類に影響を与えて、ハマチの養殖が全滅したとかといろいろございます。これは塩素の問題だということでございます。そういうことで、相当長年実直に水産試験場も、温排水の温度の調査とか、魚介類の調査とか、ずうっと時間をかけて調査をやっております。だけれども、現実に現時点で特殊な変わったということはございません。そういうことでございます。
  23. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 時間がありませんから、二つだけ質問いたします。  矢部参考人とそれから川崎参考人にお伺いしますが、私も美浜は一昨年見学に行って実地に見てきたわけです。  矢部参考人にお伺いしたいことは、先ほどの陳述の中で、地帯整備、要するに地域開発などがこれまで県、市、それから企業によって行なわれてきたと。本来、この種のエネルギーの根幹をなす原発等においては、国が正面から取り組んでやるべきが望ましい、本法にはまだそれがないけれども、ワンステップとして評価する、こういうような御発言だったと思うわけです。今後の問題としても、直接的に国が手を染めるとした場合に、地方自治体としてどういったものが最も必要であるか。本来なら、いま国としてこれをやってもらいたいんだというものを具体的に二、三あげてもらえばけっこうなんですけど、どうでしょう。
  24. 矢部知恵夫

    参考人矢部知恵夫君) まず、最初に申し上げたいのは、先ほども陳述の中にありましたように、やはり海岸地帯、しかも非常に未開発の地帯に、それぞれ全国的にそういうところに設置されると思うのです。条件がそうなっているわけです。したがって、まず道路、これをひとつやってもらいたいと思います。それから上水道の完備、それから港湾、漁港の整備、こういうことが当面する私は大きな問題だと思っております。
  25. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 それと、いまの地帯整備の問題だけど、法律による、たとえば固定資産の問題、あるいは交付金、今度の場合交付金という形になるわけだけど、自由財源というようなことになると、全部これは法がつかなければならないわけですね。そういう面で、財源的なもの、いまはこれ直接的な整備の問題だけど、財源的なものとして、要するに法律上の問題としてどんなものがありますか。
  26. 矢部知恵夫

    参考人矢部知恵夫君) 財源的な問題については、固定資産税が特例の廃止で増額されてきたことは事実なんですが、これは何と申しましても地方交付税という、いわゆる地方自治体の固有の財源でございますけれども、これはやはり財政基準に応じて来るものであって、いわば最低の生活は保障するという交付税でございますが、これは固定資産税がたくさん入ってまいりましても、全部それに相殺される。したがって、残るのは大体二五%程度しか残らない、こういうのが現状でございます。したがいまして、私どもは、できればこういう固定資産税は地方交付税との関係なく、相殺されることなく、自治体の固有の財源として使えるような法制化が一番望ましい、こういうふうに考えております。  たとえば、競輪とか競艇なんかであげた収益を、地方自治体は非常に恵まれておりまして、これを特別会計でちゃんと処理して、固有の財源として使われておるわけですね。そういう面があるかと思いますれば、私どもエネルギーで、非常に国民の必要なエネルギー生産のために協力しておる、しかも過疎地帯にある市町村が、そういう基準財政需要額と支出額によって相殺されるということじゃなくして、時限的にでもいいですから、何年間でもいいですから、それは自由にひとつ使えるような税体系が望ましいと、私はこう思うんです。なかなかそう簡単にこれはしていただけませんけれども、漸次そういう方向に私は持っていっていただきたいと考えております。
  27. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 わかりました。  川崎参考人にお伺いいたしますが、東海の場合ですね、四十年の八月二十六日に原子力委員会が、四十五年度内に完了を目途とする地帯整備についての決定をなしておるわけで、これを四十一年の一月十四日の閣議が決定している。整備事業が行なわれておると私は承知しておるんです。その後さらに四十六年七月十五日の原子力委員会で、さきの決定のあとを受けて、四十六年度以降も引き続き東海地域における原子力施設地帯整備事業を実施すべきであるという決定を見ております。これらの決定と、現在までの地帯整備の進捗の状況がどうなっておるかという問題。  それから、先ほども陳述の中でお話がありましたように、東海の議会で、この東海第二発電所の設置に対して、国に六条件、県に三条件、会社に一つ条件を付して賛成と、あるいはこの再処理工場に対しても七つの条件を付しておるわけですが、これらの条件と新しくこの審議されておるところの法律との関連性などについてどのようにお考えであるか、この辺のところを聞かしてもらいたいと思います。
  28. 川崎義彦

    参考人川崎義彦君) 第一番目の、私どもで行なってまいりました地帯整備事業につきましては、いま御指摘のように、四十年の八月二十六日、原子力委員会が決定いたしました。その総額は県関係、国、国道整備の問題も入っております。村関係だけで十二億約六千万でございます。これは先ほども申しましたように、四十一年度から一億円でスタートいたしまして、その後、これは五カ年間にやると言ったんですけれども、五カ年間ではとうていできなかった。完成できなかったことにはいろいろ理由がございます。もちろん物価の高騰もありますが、一番何といいましても、国の補助率は、たとえば街路の場合は三分の二国庫補助、それから補助残の約四〇%程度が村債、残る六〇%は村の一般財源を持ち出さなければならぬと。  ところが、そういう膨大な計画を立てましても、いわゆる自主財源がないために思うような進捗ができなかった、こういうことで補正計画ができまして、そのときには——補正計画というのは約一億七千百万円です、追加をいたしましたのが。しかし、これも同様なことで、このままでは百年河清を待つようなものだというので、先ほど申しましたように、非常に大蔵省あるいは自治省、科学技術庁等に足を運びまして、ようやくいわゆる自治省の財政局と大蔵の理財の間にこの事業に限って五五%の起債を認める、こういうことに相なったわけでございます。従来まで、去年までに実績八年間ございますが、十二億五千万でございます。本年度約三億七千五百万を計上しております。それで現在の進行率はそれだけやりましても現在四〇%、事業の面からいうと五〇%までまだいっていない程度でございまして、金額にすると相当消化したことになっておるんですが、事実は五〇%、せいぜい見ましても五〇%程度しか完成していない、こういう現状でございます。  それから、再処理工場の七条件の問題それから第二号発電炉の国に対する六条件の問題、これは両方ダブっている問題もございます。実は昨日、私、科学技術庁へ参りまして、知事も一緒に参りまして、再処理工場が間もなく稼働になりますので、その前に残っております条件について、いままだ未確定な条件においてそれをどうするかということで陳情申し上げ、回答をちょうだいしたわけであります。それによって私どもが出した七条件というものはおおむね達せられるんじゃなかろうか、こういうふうな希望を持っております。  その中の一番大きな問題は、やはり先ほど来からある参考人からも出ておりますが、原子力問題については地方自治体が何ら管理をする権限がないんじゃないかということ、これがわれわれやはり大きな問題にとっております。これにつきましては法体系全般についての見直しをする、しなけりゃならぬ、それでいわゆる国の責任と地方自治体の責任を明確にしておく、これは監視体制あるいは安全確保の問題、操業の問題等も含みますけれども、そういう態度で今後法体系を見直していくんだと。これは早々にはできないから、少なくともいまから二年ないし三年かかるであろう、その間については、いわゆる事業所と地方自治体との協定を結ぶということでございます。  ただ、私のところはほかの電源地帯と違いまして、研究所あり、民間の施設あり、発電所あり、再処理工場ありと、原子力に関する事業所が十三ほどございます。そういう個々の企業の体質が違っております。株式会社あり、特殊法人あり、たとえば都甲先生の東大の工学部の原子炉もございます。こういうふうに国立の研究機関あり、純粋な民間機関あり、公社ありと、そういうところを一定の協定で結ぶということは非常に困難性がございます。これは目下、県と各事業所で私どもも入りまして、個々の問題について協定をつくろうとしておりまして、これは少なくとも再処理工場のホットテストの前までには明確に成文化して交換をする、こういうことで科学技術庁の態度をはっきり確認いたしております。  それから次に、放射線の監視の問題でございまして、いま東海地区には東海、大洗を含みまして東海地区環境放射線監視委員会というのがございます。副知事を委員長といたしまして、私が副委員長になりておりまして、関係機関の方が委員になっております。もちろん連続モニターもございますし、あるいはサンプルの分析等もやっておりまして、年に四回定期会議を開きまして、過去三カ月間のいろんな観測データを公表し、評価をいたしております。これはいま科学技術庁の実は御了解事項ということでやっておるわけですけれども、これに対して何らか法的な裏づけがほしい、しかもそれを中央には中央の監視機構をつくってほしい、いわゆる評価機構をつくってほしい、それとのパイプをどうするかということでございまして、これも少なくともいま現在作業中であるので、少なくとも再処理工場の稼働前までにははっきりした中央機構、評価機構もつくり、その東海地区環境放射線監視委員会とのパイプをどうするかということについても検討をその際に明確にする、こういうことで、従来も何回かこの問題につきましては足を運んでいたのですが、昨日そういう御回答をいただきましたので、一応今度の定例会ではこれを発表し、議会にはかりたい、こういう考えでおります。  それからなお、二号炉についての六条件につきましては、いろんな問題ございます。県に対する、あるいは企業に対するのが一件ございますが、原則的にこれはまだ実際には私ども、企業に対しましても県に対しましても、単なる申し入れに対しては善処するという御回答しかいただいておりません。これはいま実は企業に対しましても、具体的な問題を提起している最中でございます。それから、国に対する六条件につきましては、その第一の問題点は、やはり先ほど申しました原子力施設周辺地帯整備法をつくって、制定してくださいということ、これは今回の電源地帯の整備法、これで一〇〇%満足じゃないと申しましたけれども、まず私は非常な大きな進歩だ、われわれが多年要望していたことが現実に法制化の一歩手前まできているということで満足をいたしております。  それから二番目に、税制を改正して、電源所在市町村及び都道府県に対する財政優遇措置を講ずることということで具体的に三つを掲げております。  一つは、固定資産税の課税特例の適用除外または減免分について国が補償せよということ、これは今回の固定資産税の改正によりまして、あとで申し上げますが、一部問題点ございますけれども、解決いたしました。  それから、大規模償却資産税の課税限度額を大幅に引き上げろ、こういうことでございますが、これは御承知のように、課税大規模償却資産税が来ますと、一定限度以上は県に吸い上げられてしまいます。私のところも、一号炉の場合にも三年ほど県に吸い上げられたことがございます。これを大幅に引き上げよということでございまして、これは私どもの村では関係ございませんが、今後柏崎とか、あるいは福島の大熊とか双葉とか、富・岡、楢葉というような大規模発電所ができる場合、当然こういう問題が起きてまいります。これも従来は二倍だったのが二・二倍、一〇%伸びた。この辺のところも私どもとすればもう少し優遇してもらってもいいんじゃないかということはございます。  それから三番目は、発電税または核燃料税の創設ということをいっております。これは先ほどから何回も発言がありますけれども、電源の立地地帯と消費地帯の、消費地帯のみ電気ガス税というものがあるが、地元には何らメリットがない、この不均衡を是正せよということで、これは数年前、現総理が通産大臣時代に参りまして、電気消費税を逐次下げていく、その中である一定の限度が来た場合に、そういう操作をすることも可能だろうというような御答弁をいただいております。先般の国会での御答弁を聞きますと、中曽根通産大臣が、電気料金の大幅引き上げによって電気ガス税が非常に大きくふくれるので、何かこれを減税するというような御方針を出されたような御答弁をなされているようでございます。そういう際にこの問題については十分御配慮をいただきたい、こういうふうに私は考えております。  その他の問題では医療機関の問題、これが私のところは非常に大きな問題でございます。動燃や原研やあるいは発電会社等は小規模診療所を持っております。村も小さいながら診療所を持っております。これらを村すべてその機能が小さいために非常に不便を感じておりまして、日立とか水戸とかへ行ってしまう。何といたしましてもこれは医療機関の整備をぜひはかっていただきたい。これは国の責任においてどういう形の  もちろん設立は村立病院とか、あるいはそういうふうな病院でもいいんですが、整備の問題をどうするかということ、これは私どもも考えますけれども、今後この点は十分ひとつお願いをいたしたい。  それから……。
  29. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 時間も来ましたから……。
  30. 川崎義彦

    参考人川崎義彦君) それじゃけっこうです。
  31. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、きょう西山参考人と、それから矢部、川崎参考人に、あとで森参考人に一問だけ質問したいと思っております。  まず最初、西山参考人に御質問申し上げたいと思います。先生は地域計画都市計画の権威だということを私は伺っております。先ほども住民生命、健康、安全を守るという件、それから住民福祉向上は住民基本権利だという件、それから地域開発住民自治が原則だと、こういう三点について先ほどからお話を伺ったんでございますが、いま問題になっております自治体の代表からいろいろ話を伺っておったわけですが、自治体の財政の強化という点、それから過疎問題の基本解決という点、こういう中で発電所をつくっていくという問題ですね、この三点について解決の方向をここでひとつ示していただきたい、こう思います。
  32. 西山卯三

    参考人西山卯三君) 地方自治体の財政強化ということにつきましては、これはいま各市長さん方も言われているとおり、実際自分の思うままになっていない、やれないという点があるわけですね。これはやはり地方自治の精神からいきましても問題だと思うわけです。その点は私、財政学の権威では、専門ではございませんので、それだけにしておきます。  それから過疎問題ですが、過疎問題は、現在過疎生活の、過疎地帯住民が十分都市におけるように生活がうまく行なわれないということについて注目されておりますけれども、この過疎地というものをどうするのかということは、国土の保全の面から見ましても、また、資源を有効利用するという面から見ましても、非常に大きな問題を含んでいるわけです。ですから、これは大都市地域における過密とともにやはり大きな問題として解決していかなきゃならない。それが田中首相の日本列島改造論というような形になりますと、これは過疎、過密の同時解決と言っておりますけれども、実際は、過疎地都市産業が高度成長のために食い荒らしていくというような、そういうたてまえになっているわけなんです。そうじゃなしに、過疎地住民、大都市住民それぞれが人間らしい生活ができるようなふうに過疎、過密を解決していくということが基本だと思うんです。  そうしますと、産業をどう配置するかということから、そこの地域をどう使い回すかというようなことじゃなしに、むしろ住んでいる人間の立場から産業考えていく。産主人従じゃなしに、人主産従でなければいけないというようなことを最近地域計画でいわれておりますが、そういう考え方から考え直していく必要があるだろう。そうしますと、過疎地といってもやはり従来は地場産業があったわけなんで、まあこれは農林水産業というような第一次産業が多いわけなんですけれども、その農林水産業を荒廃させてきたというような、そういう政策が一番根本の間違いを来たしているわけだと思うわけです。そういう農林水産業を基盤として国土を保全しつつ、この日本の狭い国土の資源を利用しつつ、地場産業を中、心としてその地域住民生活が向上していくという道で産業もいろいろな産業の多様化をはかる。  これは、単純な産業を受け入れるということは、どうしてもその地域にとっては非常に不安定要素をつくり出すものでありまして、やはり地域住民考えてその産業の多様化を行なっていく。それは農業地帯ですと、農業を基盤にした加工をするとかいうふうに、自分たちの産業、いままでの産業を伸ばしながらだんだん生活の基盤を拡大していくというような考え方でやるべきであって、その場合に、中央の方向といいますか、全体の関係からエネルギー産業はここに立地する必要があるのだと言ってきた場合に、それとの関係住民がよく考えて処理できるどいうような形で処理されるべきだと思うのです。  ところが、現在のはどうしてもまず上のほうでこうきまったと、それをどう受け付けるのか、それを受け付けるのにいろいろな故障があるから、そうすれば、少しお金をやるからこうしなさいというような形で、何か札束でひっぱたくようなやり方になっておるわけです。そうしますと、これはやはり住民の間に、ほんとうにこの地域をどうやっていくかという考え方を十分練り上げていくというようなことができなくなって、住民自分地域考える、あるいは地方自治体が自治を推進していくということに対し、非常に大きなひずみを与えるということになるわけです。こういう解決では、地域問題はやはり根本的に解決できないのじゃないかというように思うわけです。  以上です。
  33. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 次に、矢部さんと川崎参考人、両参考人に同じ内容の質問でお答えを願いたいと思うのですが、先ほどからお二人のお話を伺っておりますと、結局、自分たちの土地は経済的に非常に弱体だ、弱いのだ、だから原子力発電所が来てくれればいろいろな付随した利益が、メリットがそこに生まれるということを基本にしていろいろ御意見を述べていらっしゃると思うのです。それで、私が聞いた限りではこういうふうに私は聞こえたのですが、危険をおかして原子力発電所の設立を認めておるのだから、だからこれこれの条件をいれてほしい、こういうふうにも受け取れるわけですね。そうなりますと、何か条件次第ではという、そういう条体闘争のような感じもせざるを得ないわけなんですね。そこで私は伺いたいのですが、皆さんの土地が、いま前段に述べましたように、経済的に弱体な自治体でなければ原子力発電所の設立を認めないのか、また、これこれの条件をいれられなくても原子力発電所を積極的に支持して、そして設立を認めるのか、この二点について皆さんの態度をここで伺っておきたいと思うのです。
  34. 矢部知恵夫

    参考人矢部知恵夫君) お答えをいたします。  問題は、原子力発電所立地するための諸条件というものは、先ほど来申し上げておりますように温排水の問題、冷却水の問題とか、あるいはまた地盤の問題とかいろいろあって、やはり集約されてくるということなんです。しかもこれは国において安全は確保されておる、私どもはそういう立場に立って地域開発を進めていきたい、こういうことなんでございまして、条件次第によっては安全性を無視してもかまわぬというような能度じゃございません。これは今後ともこれがいよいよ大きな事故とつながったり、いろいろ問題になりますれば、私どもはやっぱり住民立場に立って、からだを張ってでもこれは阻止せなければいかぬと思うのです、はっきり言って。しかし、先ほど申し上げておるように、安全でありますという科学者もおれば、非常にあぶないのだという科学者もおれば、これは私、現地へ行きまして、ことさらに何かエキサイトして、考えられることは、どうもイデオロギーが中へ入ってきてわあわあやって、——真にほんとうにとうなるかということをやっぱり国においてはっきりきめてもらいたいと思う。それがほんとうに危険ならやめてもらいたいと私は思う。そこまでは論議を尽くしてきめていただきたいと思う。私どもは、国の安全ということに対して絶体の信頼を持ってきょうまで進めてきております。しかし、内容は、やはり過疎地域ということを考えますと、これだけエネルギー政策に協力しているならば、少なくとも財政的なメリットも少し与えてもいいんではないか、こういうことを私は申し上げておるんで、条件でどうこうということではございません、はっきり申し上げまして。そうでしょう、日本の国が、エネルギーが必要だということは当然考えられると思うのです。私のところは、幸いにしてそういう適地がここにしぼられているということで私どもは協力しておるわけであって、金がほしいから何でもかんでも危険なものまで持ってくるという姿勢ではございません。そういうことでございますのでひとつ……。
  35. 川崎義彦

    参考人川崎義彦君) さっきから過疎とか弱体とかいうことが出ておりますけれども、私のところはそういう面では非常に特殊でございまして、本村は決して過疎でも何でもございません。面積約三十五平方キロ、ほとんど平たん地でございまして、合併当時人口一万一千、現在二万三千になっております。平均的な町村です。したがいまして、財政的にも当時から決して苦しいとは……。世間並みの仕事はできたわけでございます。ただ、原子力施設地帯整備事業というものは非常に大きな膨大な、その当時の金で言いますと、いまでこそ十二億、十三億というのは大した金じゃございませんけれども、これが成立した当時の村財政というのは一億程度でございます。そこへ十二億程度の事業ということになりますと、やはり一般財源では負担ができない、こういうことを申し上げておるんでございます。決して一般的に弱体財政ということではございません。  それから、いまの設置の条件の問題でございますが、私どもは、ただきょうは時間の関係がありまして、その六条件とか七条件を全部言っておりませんけれども、その中には、もちろん安全性の問題をまつ先に掲げております。したがいまして、私どもは、いわゆる財源分をたっぷりくれるならば安全性を無視してもいいんだというようなことは全然考えておりません。先ほども言いましたように、本村のスタートというのはむしろ原子力発電じゃありませんで、原子力研究所だったわけです。あそこに百万坪の国有林がほとんど何にも利用されずに残っていた。これを何とか活用しようということからスタートしたんであります。それを、そこから金を取ろうとかなんとかということは一つもございません。先ほど申しましたように、私は科学者の英知と良心に期待をすると、こういうことでやったわけでありまして、決して私はそのために安全性を無視するとか……。したがいまして、いわゆる監視体制等につきましても非常に強硬に言っております。幸い県が非常に熱心でございまして、昨年度四十八年度に、単県でいわゆるテレメーター方式で放射線を目で見られる、数値を目で確かめられる、こういう装置も実際つくっております。
  36. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 重ねて川崎さん、矢部さんにお伺いしますが、私は何も金をくれるから認めたんだと、そこまで言っているわけじゃないんですよ。しかし、置くということについて、過疎地帯だからとか、自治体の経費や財源がないとか、いろいろなことをあげていろいろなことを要求していらっしゃるから、だから、その要求がいれられなければ原子力発電所の設置は認めないのか、それとも安全ということが、皆さんはもうえらく確認していらっしゃるようだから、安全ならばこういう財政的な条件がいれられなくても原子力発電所をつくることに御賛成なのか、そこの基本的な態度を私は伺ったんです。一言でお答え願ったらいいんです。
  37. 矢部知恵夫

    参考人矢部知恵夫君) これは、そういう適地であるということから私どもは受け入れたわけでございますが、こういう法律がなくても、私はも、りすでに五年前に受け入れて誘地をしておるわけであります。したがって、先ほども申し上げましたように、陸の孤島と言われたところに、もう船でしか連絡がつけなかったところに、企業側と県と市と一致協力して、十一キロ半−十二キロからの道路、ハイウエーをつくった。これは事実です。これはもう道路をつけてもらいたいというので、何十年間の念願でございますけれども、こんな経済メリットのないところには道は、私どもの地方財源ではっけられないというところに道ができたということも、現実にあるわけであります。これは、まず安全を前提としてつくっておるわけなんです。そういうことで私どもは協力した。したがって、私どもはこの法律が通らないと、もう受け入れるとかどうかということではございませんけれども……。
  38. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 同じようなことですから、どうでしょうか、もう時間ないから……御同感でしょう。
  39. 川崎義彦

    参考人川崎義彦君) 私どもの条件の中には、確かに差し上げている条件には、これが受け入れられない限り認めませんと書いてあります。ですが、これは議会の決議でございまして、議会の中には百人百様というか、ありまして、いわゆるそういう強硬な分子、いや、絶対認めないという反対者もいたわけでございまして、そういうののまあ最大公約数としてこうではどうだということで、この条件がいれられなければ認めませんよというふうになっておりますが……。
  40. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私、皆さんと議論するつもりは毛頭ないんです。というのは、私は質問するわけですからね。実は東海村へ私は三度参りました。いわゆる東海村の実験所が事故を起こした場合に、その視察に行ったわけです。そうして、その村民の声もよく聞いてきております。で、いま政府が出している中には、そういう村民の反対意見を何とかして押えようということでいろいろな条件を出しているわけなんですよ。これはもう私はうそを言っているわけじゃない。条件は、やはり住民の反対闘争を押えるということが目的で、道路もよくする、公園もつくる、いろいろな施設をつくるということをこの法案の中でずっときめてきておるわけです。だからこの法案というものは、住民反対運動を押えるための法案だということを申して、私はこの法案に反対なんです。反対の立場をとっていますから、いまのような御質問を申し上げたんです。  それから、最後の森さんですね、森さんに一言、労働者の立場で私は質問をいたしたいと思うのは、私は原子力発電所事故のときに、そこへ行って労働者に会いました。労働者は、そこで働いていることに対して大きな不安を日々持っているわけですね。そうして、いつ事故が起こるか、事故が起こったらいつわれわれはその事故の中に、危険の中に飛び出していかなきゃならぬかということも言っておりました。そうして事故の起こったときには、その漁民との間で海水汚染という問題でいろいろな問題が起こりました。それで原研の労働者諸君が、自分の手で実際に海水の汚染を調査したいということを原研当局に要求しました。ところが原研は、その海水の調査——その海域に入ることすらも拒否して入れなかったということも、労働組合の代表から聞いておるんです。そういう点を考えまして、私は、皆さんも同じ発電所で働いている労働者の一員として、原子力発電所で働く人たちは、この原電の安全性についてどういうふうに考えていらっしゃるのかですね。それで、かりに危険があるというふうに考えていらっしゃるならば、その代償としてどういう待遇を受けていらっしゃるのか、その点を伺っておきたいと思うのです。
  41. 森茂

    参考人(森茂君) 原子力発電所に勤務している勤務員は、やはり一般的に言って危険だという認識は前提にあると思うのです。それは先ほど申し上げましたが、実は原子力発電所に勤務するならば、子供をもちあげていかなければ危険だよと、それから子供も置いていったほうがいいよというのが常識になっているというのですか、こういうことでも立証されるのですが、同時に私どもに対する危険は、そういう技術的な放射能公害の危険だけではなくて、今度はさらに変なことがあるんです。  それは、たとえば福島原子力発電所の例でありますが、ここではかって、かなり前ですが、運開したあとしばらくたってからでありますが、燃料棒の破損事故があった。ところが、その燃料棒の破損事故を外部に漏らしたというかどでいろいろ  いやがらせをやられて、そこにおった社会党系の組合員が二人、これはみずから辞職届けを出さざるを得なくなって、ついにやめていくという事態があった。このことはやはり、どう思っているかということもさることながら、客観的に見て、この原子力発電所内で起こるいろんな事故について完全に企業秘密にしているというようなことからも、実は原子力発電所の企業の危険性が疑われる。  同時に、もう一つだけ例をあげますと、たとえば島根の発電所で、建設段階で原子力関係の技術者が建設に携わっております。ところが、その技術者が言うには、おれは会社のほうに条件を出したと。おれは行くけれども、原子力発電建設が終わって運転段階になったら必ずかえてくれ、そういう条件ならば私は行きますという条件で、実はおれは行ったんだという話も私、直接聞いております。そういうことから類推いただく以外にないであろうというふうに思います。
  42. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言がなければ、参考人方々に対する質疑はこれにて終了いたします。  参考人方々には、御多用中、長時間にわたり御出席をいただき、また、貴重なる御意見を拝聴させていただきまして、まことにありがとうございました。委員一同代表いたしまして厚く御礼を申し上げます。  午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時三十一分休憩      —————・—————    午後一時四十一分開会
  43. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は御発言願います。
  44. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 欧米の国際資本の支配に抵抗しまして、最近、資源ナショナリズムというのが非常に高揚してきた。これは大臣も御存じのとおりでございますが、国有化などの要求はもちろん、OPECやそれからCIPEC、木材輸出機構の形成などが見られ、資源産出国は結束を固めて資源の主権を打ち立てようとしておるのが現状だと思いますが、日本政府としましては、このような傾向を歓迎するのか、支持するのか、また、反対するのか、日本政府の態度を明らかにしておいていただきたいと思います。
  45. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 資源ナショナリズムの傾向というものは歴史の必然の流れとして、われわれはこれに対して十分の理解を持ち、同情も持ち、そういう流れに順応した対策を立てていきたいと思っております。ただ、個々具体的な問題になりますと、いろいろその局面局面で相手国と話し合いをしながら、その立場を尊重しつつ、具体的な詰めを行なう、そういう形になっていくと思います。
  46. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 天然資源の恒久主権の原則や、それに基づく国有化の権利などの問題を見てもわかりますように、巨大国際資本が世界の資源の大部分を押えるというようなことは次第に過去のものになりつつあると思います。政府がおっしゃる自主開発なるものは資源の開発に経営参加、資本参加していくということだろうと思いますが、そういうことでございましょうか。
  47. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) これはいろいろな態様があると思います。相手国の国家、または関係会社等の要望に応じて、それらの要望並びに国情をよく踏まえつつその場所その場所において、さっき申し上げた原則に最も適合する形で協力関係を打ち立てていくということがいいと思います。大部分の形は、共同開発という形になるのではないかと思います。
  48. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 共同開発というのが問題だと思うんですが、そのときに資本参加をする、その資本参加をする場合の資本参加の率ですね、それはどういうふうに考えていらっしゃるのか。それから、資本参加した場合の経営権についてはどういうふうに考えていらっしゃるのか。
  49. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いま申し上げましたように、その国々その国々によってみんな政策を異にしておりますから、一律に何%とか、あるいは経営権をどうするかということを申し上げることはなかなかむずかしいと思います。しかし、やはり相手国の主権並びに相手国の要望というものを十分尊重し、踏まえながら相手国の発展と国民福祉の向上に役立つと、そういう観点に立ってそういう問題も考うべきであろうと思います。
  50. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 従来、経営参加——経営権の問題で資本参加をやり、それでまた経営権を握っているところは相当あると思っているんですが、これまでの実績で、資本参加の率で一番高いのはどれだけか、そしてどこか、また、経営権を握っているところはどこかという点をお答え願いたいと思います。
  51. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 一番高いので申し上げますと、ペルーのワンサラ鉱山でございますが、これは現在一〇〇%日本の出資ということでございます。当然のことでございますが、経営権もそれに即応して充足といいますか、確保されておるわけでございます。
  52. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま政府のお答えは、一例だけお答、えになりましたが、まだほかにもいろいろな例があると思うので、私の参考のために、資本参加の率の大きいところ、それから経営権を握っているところ、そういうところをちょっとお知らせ願いたいと思います。
  53. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) ただいま海外で日本の企業が鉱山部門に進出しておるケースにつきましては、大半が探鉱段階にございます。いわゆる稼働しておる、鉱石を出しておるという山はまだごくわずかであります。そのうち大きなものといたしまして代表的なものはペルーのワンサラ鉱山、それからザイールのムソシ鉱山でございますが、ワンサラにつきましては、ただいま長官が答弁したとおりでございまして、ムソシ鉱山につきましては、これはただいまの持ち株比率は日本のほうが多いわけでございますけれども、これは銅山でございますが、将来これが本格操業に入った場合、予定操業に入った場合は、先方がそのときに要求する、おそらくこれは契約できまっておるわけでございますけれども、その過半数を譲渡するというようなケースもございます。またマレーにおける、これは来年の春から鉱石が入ってまいりますけれども、実際の操業に入りますけれども、こういうケースでございますと、現在のところは非常にまだ開発リスクが高いわけでございまして、日本側がたくさんの出資比率を持つということになっておりますが、これにつきましても、なお株式譲渡の条項がついておるというようなものもございまして、内容につきましては、今後、日本が現地におきまして、現地側がマジョリティーをとるというケースは原則になるかと思いますけれども、それはやはりその鉱山のリスクの問題であるとか、その他の国際的な要件が大きく働きましてケース・バイ・ケースということになってくるかと思います。
  54. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま一、二の例をあげられましたが、こういう例はこれからどんどんと私はふえてくる問題だと思っております。そのための法案だとも考えることができるわけですが、この金探法はですね。そういうふうに考えてまいりますと、これは他国の資源に対しまして、一定の支配権を打ち立て、安定供給しようということだと、そういうように考えられます。そういう考えと、現在の資源ナショナリズムの方向とはこれ一致しない、逆行するのではないだろうか、将来必ず問題を起こすのではないだろうか、こういう懸念を私は持ちます。その点を大臣はどういうようにお考えになっていますか。大臣の考えとして、先ほどから資源ナショナリズムは尊重していくという立場を述べられておられるようでございますが、その点矛盾を来たさないかどうかという点でございます。
  55. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 私は矛盾なくやっていけるものと思います。われわれのほうの希望や要望もございますが、先方の国家の要望や希望もございまして、そういうところの合意が成立して経済協力という形が進行するわけでございます。発展途上国におきましては、やはり外国の技術なり資本を導入して国民生活水準を上げよう、あるいはインフラストラクチェアの発展を期そう、そういう考えでやっておりまして、そういう意味においては先進工業国であるわが国の協力を求めてきてる点もございます。そういう先方の要望をわれわれとして満たし、協力申し上げるという形と、それからわが国が資源を護得したいというわが国側の要望とを調和させて、共存共栄のもとに進むということは不可能ではないと思います。それで、おそらく契約の中身というものはいろいろ時代とともに変遷していくものであると思いますから、相手国の要望、主張というものについては常に謙虚に耳を傾けながら、こういう国際的環境や国内情勢を勘案しつつ弾力的にそれらは措置して、ともに両方が利益を受けるという形で継続していけば十分調和し得るものと思います。
  56. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 中曽根通産大臣は通産大臣なりに理念を述べられたことだと思うんですが、そういうふうにこれが問題なしに進んでいくならば問題は起こらないんだろうと思うんですが、しかし東南アジア方面でこの間総理が行ったときにいろいろな問題が起こって、反日運動が起こって暴動化したというような例を見ましても、中曽根通産大臣の思うようにはやはりいってない面がたくさんあると思うんですね。それは過去のことだ、今後はそんなことはないとおっしゃるかもわかりませんけれども、やはり過去にあったことは今後も起こり得ることだと考えていたほうが確かなような感じも私はするわけなんですね。  それで、アメリカ政府は資源ナショナリズムに対抗してそれを押えようとしておるように私には受け取れます。しかし、それは間違いである、日本はそのようなやり方をすべきでない、こういうふうに私は考えておるわけです。だから石油の二の舞いにならないうちに、このような資源ナショナリズムを正しく理解し、平等互恵の経済、貿易関係を打ち立て、メジャーなどによらない直接取引をふやさなければならない、こういうふうに私は思っております。ところが政府の認識を「経済協力の現状と問題点」 ここにありますが、この本を私は拝見をしました。この一九七三年、通産省通商政策局で出した、いま申しました「経済協力の現状と問題点」ですね、この本を見ますると、その九三ページで次のようなことを述べていらっしゃるわけです。「資源ナショナリズムの高揚は資源をめぐる先進国と発展途上国との深い関係に暗影を投げかけているといえよう。」、こういうふうに「暗影」ということばが使われておるわけですね。このように資源ナショナリズムの高揚を暗影などと言っていては発展途上国と正しい経済交流ができるわけがないと私は思うんです。国際資本の支配に抵抗する資源ナショナリズムの立場基本的に支持してこそ初めて私は資源産出国との真の経済協力も成り立つのであり、それなくしては欧米の帝国主義的植民地主義と変わるところがないではないか、こういうふうに私は考えるものでございます。それでは結局資源産出国や発展途上国の反発を受けることになるではないか。この点政府の認識を証正すべきである、こういうふうに私は考えるものでございますが、この「経済協力の現状と問題点」にあるこの「暗影を投げかけている」というようなことばを適切なことばだと、こういうふうに通産当局はお考えになっていらっしゃるのか、こういうことばは使うべきでない、どういうふうにお考えになっておりますか。
  57. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) われわれの基本立場は、資源ナショナリズムに対しては十分な理解と同情をもって調和していくという考えでございます。まあ「暗影」ということばの脈絡がどういうふうな形で出てるか存じませんが、少なくとも石油の問題やそのほかの問題にいたしましても、若干のトラブルがそのときに起こると、そのために世界経済がショックを受けたり、あるいは貿易が停滞したり、そのこと自体が資源保有国並びに輸入国両方に若干の障害を暫定的にもたらすと、そういうことで短期的に見た、どっちかといえば視野の狭い考えでそういう表現になってるんじゃないかと私は思いますが、わが政府の基本立場はいま申し上げましたように、理解と同情をもって調和していくと、そういう考えで、その点では私は若干いままで植民地を持ってきた欧米諸国と違う立場を私たちはやっていきたいと実は思っておるわけでございます。私はかつて別の場所で共同経営ということばを使いましたが、これからの資源保有国との経済協力関係というものは、かつて欧米先進国が植民地主義とかあるいは新植民地主義とか非難されるような形でやったことをわれわれが踏襲したのでは、日本国が存立してる意味がない、やはり日本独特の、相手の国に奉仕するという考えに立って、もうけることということよりも協力するということに喜びを持つと、そして損しなけりゃいいと、あるいは資源が日本に順調に入れてもらえばいいと、そういう考え基本的には立脚してやるのが正しい、そう思っております。
  58. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 中曽根さんのおっしゃるのとこれに書いてあるのとはいささか違うわけなんです。私ちょっと読んでみますから聞いてみてください。この本の「暗影」ということはこういう立場で言ってますね、「いうまでもなく、順調な経済発展を続ける先進諸国の多くは、それに必要な資源を発展途上国を中心とする資源保有国に求めており、上記のような資源ナショナリズムの高揚は資源をめぐる先進国と発展途上国との深い関係に暗影を投げかけているといえよう」と、こうなっておるわけです。いわゆる資源ナショナリズムというものはこれまでの先進国との間に暗影を投げかけるというのは、これまでどおり先進国が資源をわがものにできなくなってきてるんだと、そういう意味で「暗影」ということばが使われておると私はこれを読んで理解するわけです。それならば私は問題があるということをいま指摘しておりますので、中曽根大臣の「暗影」に対する理解と、ここに書いてある「暗影」というものとはいささか違う、こういうことだと思います。こういうふうに書かれておるということでございます。どうでしょう。
  59. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) おそらく書いた者の考えをそんたくしますと、国際法あるいは国際私法を一方的に破るような形で混乱が非常に起こるという場合を頭に置いてそういう表現にしたんではないかと思います。まあ私いま拝聴いたしまして、「資源ナショナリズムの極端な高揚」と「極端」というようなことばを入れるほうがより適切ではないかと思います。資源ナショナリズムの高揚というのは歴史の流れであって、それに対して同情を持つという立場からしますと、「暗影」ということばにはストレートに入るべきではなくして、やはり極端なナショナリズムというような場合には、いままでの既存の契約とか、国際法、国際司法、そういうものを一切無視してやるという場合には国際経済に停滞をもたらすから「暗影」ということばがいえると思いますけれども、そういうことに十分注意をして行なわれるものについては「暗影」ということばは適当ではない、こう思います。
  60. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 だから私は一番最初に、資源ナショナリズムに通産大臣は賛成の立場か反対の立場かということをまず伺っておきました。通産大臣は、資源ナショナリズムには賛成の立場をとっていらっしゃるというふうに私は理解しておるんです。もし間違っておったら、そうでないとおっしゃっていただけたらいいと思うんですが、私はそういうように理解しているわけです。その立場に立つならば、この「暗影」ということばはどうも不穏当だ、使うべきことばじゃないというふうに私は読んでおるわけです。  それで、あらためてこういうようなことばを使われるような性質で、態度で、はたして通産大臣が言っていらっしゃるような方向にいけるかどうかということに大きな疑念を持つわけで、通産行政の責任者としての中曽根通産大臣に私はお尋ねしておるわけなんで、こういうことばを使うことが適当でないというならば、こういうことばは私は削除したほうがよい、こういうことでございますが、どうでしょうか。
  61. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 次回は、資源ナショナリズムの極端な高揚は暗影を投げかける、そういう「極端な」ということばを入れたらいい、そういうふうに訂正したいと思います。
  62. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 資源ナショナリズムに極端とか安易とか平凡だとか、そういうことがあり得るかどうかですね。資源ナショナリズムというのは先方さんがきめることで、われわれが、それはおまえのところは極端だぞとか何とかいちゃもんをつけるべき立場じゃないと思うんです。やはりその民族の独自の立場で、自主的な立場でやることですから、それはいかぬとかいいとか、そういうことを言うべき立場じゃないと思うんです。それを言えば、アメリカと同じような立場に立ってしまって、いわゆるその資源ナショナリズムを抑圧しよう、押えていこうというような方向にもいくわけでございますから、それは先方の自主判断にまかしていくべきで、われわれとしては資源ナショナリズムは尊重する、そういう立場を明快にしていくほうがよいと思いますが、「極端な」ということばはお使いにならないほうがいいと思いますが、どうでございましょうか。
  63. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) アメリカの例なんかを見ますと、リビアの石油の例なんかで、ナショナリズムやあるいはいわゆる一方的国有化を認めない、そういうような立場でトラブルがずいぶん起きておりました。イラクにおいてもそういう現象がありました。私は、相手国が主権的権限の範囲内においてそういうことを言われる場合には国有化を認めるという立場をとっておるわけです。  ただその場合に、やはり補償とかいろんな問題があります。そういうやり方について国際的秩序をやはり守ってもらうことが正しいし、わが国の国あるいは会社の利益を守るということは、またわが国政府の責任でもございますから、そういう面において秩序立って行なわれるということが望ましい。したがって、その資源ナショナリズムというものは十分理解と同情を持つけれども、それが過激に、あるいは極端に高揚するという場合には、それについてわれわれとしてももっと穏当な立場をとっておやり願いたい、そういう立場もまた残しておかなければ、わが国の国益やわが国の会社の利益も守らなければならぬ、そういうこともあり得ると思いましていまのような表現を用いたわけであります。
  64. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 資源ナショナリズムの立場に立って国有化が進むということに対して、われわれはそれを尊重していくということは、それは当然のことですね。いまずっと世界の資源国、保有国はそういう方向にいきつつあるということも、これも事実ですね。だが、それは先方さんの言うことであって、それを国有化しようとどうしようと、それは先方の自由だと思うんです。  ただ、われわれとして資源をもらわなければならぬ立場に立つならば、向こうさんの自主的な立場を尊重して、そうして平等な立場に立って貿易で向こうの資源をこちらに譲ってもらう——譲ってもらうという、これは私は話し合いで納得ずくで解決していったらいいことだと思うんですよ。そうあるべき問題だと私は思っているんですよ。ところが、ここに書いてあるのは、そういうふうに資源ナショナリズムでどんどんいくということはやはり「暗影を投げかけている」と、こういうことばを使っておるから、このことばは私は不穏当七やないか、もしこのことばが表現するような気持ちで今後通産省がいくならば大きな間違いをおかす、間違いであるということを私は指摘しているのでございます。
  65. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまの文章が、いま先生がお持ちのような誤解をもし与えるとするならば、私がいままで申し上げたような考えをもとにして訂正いたしましてけっこうでございます。
  66. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 事務当局としてこれは私は適切なことばじゃないと思いますから、訂正すべきだと私は思います。向こうの人がこれを読んだときにどういうふうに理解するかという点ですね、その点考えて訂正したほうがいいと思いますよ。この問題はこれだけにしましょう。  それから次の質問に移りますが、資本参加、経営参加をして開発しても、国有化の問題が起きたら一体どうするか、最近はアジアでもいわゆるフェードアウト方式が広がりつつあり、インドネシアでは七二年八月、独立記念日の大統領演説の中で、当初から少なくとも一〇%の自国資本の参加を必要とし、今後三十年のうちに外国企業はその持ち株を現地側に逐次譲渡するという方針が表明されております。タイにおきましても、七二年十一月の外国企業規制法によりまして、農業部門、土木建設など一部業種については、既存外資企業は二年以内にタイ人所有に移すべきことを規定しております。それはここにある本にちゃんと書いてあります。このように資本参加しても、国有化の問題や民族化の問題は必ず起きてくると考えます。大事なことは、メジャーなどを介せずに、資源産出国と平等互恵の直接取引関係をつくり上げ、安定供給の道を確保しておくことだと思いますが、大臣、これをどういうふうにお考えになりますか。
  67. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) できるだけそういう方向に私も持っていきたいと思いますが、過渡的にはやはり急激な変化国民経済に非常な混乱を起こします危険性がありますから、その模様を見ながら段階的に適当に段取りをしながら行なうのがいいと思います。
  68. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 段階的にいく場合でも、やはり相当決意を持ってこの方向に進んでいくということが私は必要だと思っております。だから、やはりその方向に進むために、万難を排してそういう方向に強力に進めていくということをお約束願いたいと思います。どうでしょうか。
  69. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 国民経済にあまりショックを与えないやり方で、いまおっしゃった方向に進んでいきたいと思います。
  70. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まだたくさん問題がありますので、その次に移ることにいたします。  衆議院商工委員会での米原議員の質問によりますと、新井元日本鉱業協会会長は、鉱山など労働集約型の産業は海外の工賃の低いところでやるべきだと、こういうふうに言っているそうでございますが、政府の認識もそのとおりでございましょうか、どうでしょうか。
  71. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) この点につきましては、先生の先ほど来の御質問及び大臣の答弁にありましたように、資源ナショナリズムの起こっております現在の現状から考えてみますと、日本は、やはり必要な資源をどうしても確保しなきゃいかぬわけでございますが、これはただ金を出し安い労賃を利用する、そういうようなもう時期は完全に過ぎ去っておると私は思うわけでございます。むしろこれからは、その国との有機的なつながりをつけて、その国全体またはその国の鉱山地域、その地域社会開発をはかるというような観点も入れまして、周辺のインフラストラクチュアの増強及び福祉施設、教育施設の増強等も含めた非常に密接な両国の関係がなければこれは当然に達成できない命題だと思うわけでございまして、そのいまのお示しのことばにありましたような、単純に相手国が労賃が安いからそこで鉱山を起こして、それで鉱物を持ってくると、そういう考え方は私は絶対間違いな考え方だと思うわけでございます。
  72. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この点は十分注意していってもらいたいと思うのです。  五月二十四日のNHKの「スタジオ102」で、日本人と、タイ婦人だったかマレー婦人だったか、二人が出て放送しているのを私は聞きましたが、こう言っていますね。日本は、企業はもうけ第一主義だ、大体労働組合に対する理解がない、搾取をやめることが第一だと。で、人使いが荒い、悪い、管理職になる機会が全く現地人にはないんだ、こういうことを指摘しておりました。また、その婦人は、現地人に敬意を持ってほしいということも申しました。それから、日本人は民族的な儀式を認めない、われわれは旧暦でやっているのに日本人は新暦でやってきて、それでわれわれが旧暦で休むというようなことすらも認めようとしないんだと。それから民族的感情、習慣、こういうものを無視しておると。第一、現地でもうかった金を現地に還元をすべきである、ところが還元をしないで、全部日本へ、本土へ持って帰ってしまう、これでは日本の企業は反発を受けるのは当然でないかと。こういう意見をNHKで述べておりましたけれども、私もこれを聞いて全くそうだなと思いました。こういうことはうそを言っているんじゃないし、どうもこれが事実らしいです。方々で聞くと、みなこういうことらしい。  だから、安い労働賃金で向こうの人を搾取するというんじゃなしに、やはり日本人が働くと同じような条件の労働ならば同じような労働条件で働いてもらうということも、それを主に考えていくべきだと思うのです。  もう一つ例をあげますと、いま対韓投資が七三年の三月末で四百三十八件で、金額にしますと二億五千六百二十五万ドル。件数、金額ともにアメリカを上回っておるという記事があります。これは一体なぜかといえば、やはり労賃が日本の五分の一近い低賃金で、あそこで収益をあげることができる。いわゆる日本資本の韓国労働者搾取ということにはまるわけでございますが、こういうことなんですね。こんなことをいつまでもやっておれば、韓国から反発食いますよ、韓国の労働者から反発を受けます。韓国のみならず、こういう条件日本がおるならば、あらゆる面で反発を受けて、そして全くたいへんなことが私は起こってくると思うのですね。だからこういうことを注意して、やはり同一仕事同一条件というような、そういう明朗な態度で私はいかなきゃいかぬと、こういうふうに思いますが、どうですか、資源庁長官なり大臣も……。
  73. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 最初に御指摘になりましたタイ国人のお話は まさにわれわれの企業の欠陥を指摘しておると思います。私もタイへ参りまして、いろいろタイ国民の皆さんから御意見を承りましたが、そういうようなことを言っていらっしゃいました。ほかの国でも同様であると思います。したがいまして、帰ってきてからその点も大いに注意をいたしまして、経済団体がつくりました「海外における投資行動の指針」というのもそういう点に非常な注意をして是正方がはかられております。たとえば日本へ金を持って帰るなとか、そのお金をそこで使ってタイの輸出を増進するために使えとか、あるいは人材を抜てきせよとか、そのほかそういうようないろんな点を注意をして改めつつあるところでございます。  また、低廉な労働力を使うということは、これは事実として安いのでありますから、資本の論理に従って高いところよりも安いところで使う、経済的にそれがうまくいけばそちらへ伸びるということはこれは否定できないところであると思います。問題は、ほかの賃金と比べて、その国における同業同類の賃金と比べて不当に安くくぎづけにしているかどうかというポイントが問題であるだろうと思います。みんな、その国その国の為替レートあるいは国情、社会水準というものがございますから、それらに対して背馳しないように、適正利潤を得るような企業形態が長続きをするし、また望ましいと思いますから、そういう点を注意して進めるようにいたしたいと思います。
  74. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 山形長官、先ほど私の意見に御賛成のような答弁をなさいましたが、私の聞くところによりますと、衆議院の商工委員会であなた、こういうことをおっしゃったというんです。低賃金は発展途上国の有利な点だと、こういうふうに答弁していらっしゃるんですね。低賃金や、何といいますか、電力費が安い、日本の五分の一だ、三分の一だなどという形で行なわれる海外投資が、発展途上国との正しい経済協力になるとは私は考えられないと思うんです。そのような条件を求めて行なわれるところの自主開発では、欧米の植民地主義と何ら変わらない。そのような姿勢では、資源保有国、発展途上国の反発を食らうだろう。現に、エチオピアのエチオ日本鉱業会社などは、エリトリア解放戦線によりまして襲撃を受けております。東南アジアでも、タイ、インドネシアをはじめ各国で日本の企業進出は現地住民の反発を受けております。  結局、企業進出の動機が利益第一主義で、低賃金や安い資源などを求めたものとなっているからであると私は考えます。そのようなことで正しい経済協力は成り立たないんではないだろうか。平等互恵の経済交流にならない限り、政府が出資しても逆効果になるばかりだと思いますし、資源の安定供給にはならないではないか、こういうふうに私は考えるのでございますが、その点どういうふうにお考えになりますか。どうですか。
  75. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 資源、特に銅、鉛、亜鉛等の地下資源につきましては、いわゆる世界の非鉄メジャーといいますか、そういう国が非常に従来からその資源の獲得の網を世界じゅうに張っておるわけでございますが、日本も相当前からじみちな努力をいたしておりまして、日本の非鉄業界も非常に誠実な努力を私はしておると思うわけでございます。そういう観点からも、今回それぞれの開発途上国から、日本にぜひ一緒にやりたいと、特にその形態としては、日本から出資というかっこうをして責任をちゃんと明確にいたしましてそれで共同で相協力してその開発をいたしたいという申し出が非常に多いわけでございます。  で、むしろ、今回の法律の改正で出資機能を認めようとしておりますのは、そういういま申し上げましたような声にこたえるというための法改正でございまして、決して相手がいやがっているところべ無理やりに出資をして、それでトラブルを起こすというようなことはわれわれは考えておらないわけでございます。よく現地の政府なり、現地の政府関係機関と緊密な連絡をとりながら出資等は進めていきたいと思うわけでございます。  なお、先ほど来出ておりました現地人の採用とか、現地の商慣習または慣習、まあ儀式等の尊重、そういう問題は当然これからも十分に配慮しなければいかぬ問題だと思うわけでございます。  なお、衆議院の商工委員会で、低賃金は非常に有利だということ、私、ちょっと記憶ないんでございますが、これはおそらく、先ほど大臣がお述べになったと同じ趣旨で私は述べたんではないかと。要するに、現地でやはり有利な点が開発途上国にあります、それから日本に有利な点もあります。その有利な条件同士を話し合いのもとで相互に出し合って、それで一番いい形の協力関係をつくるのがやはり大事だと、そういう意味で現地の有利な要因ということで、そういうことを申し述べたんではないかと。ちょっと記憶がさだかでございませんけれども、一応そう申し上げておきます。
  76. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ議事録を持ってくればよろしゅうございましたが、何でしたら取り寄せてもよろしゅうございますけれども、私は議事録をもとにして……。低賃金は発展途上国の有利な点であって、低賃金だからおれたちは資本持っていってやるんじゃないか、それでおまえのところも日本が持っていく資本で発展するんじゃないか、だから君の国からいえば低賃金であることが君のところの有利な点じゃないか、こういうふうにお考えのように私はいま受け取ったわけでございますが、そうなるとちょっとひっかかってきますね、やはり。そこの労働者は一体どうなんだと。それは労働者抜きのものの考え方だと思うんですね。やはり低賃金で働かせるということは、そこの国の労働者の立場に立つなら最も迷惑千万な話だと思うんですね。その国のいわゆる帝国主義と手を結んだ、資本家と手を結んだような、資本家ならばけっこうだと言うかもわかりません。しかし、労働者はそうは言いませんよ。だから問題が起こるんじゃないでしょうか。だから山形長官の、低賃金は発展途上国の有利な点だなんということばは、私は不用意なことばだと思いますので、何でしたらこの際お取り消しになったほうがいいと思います。
  77. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 先ほど大臣からもお話ございましたけれども、それぞれの国にはそれぞれの賃金の体系といいますか、一つの水準もあるわけでございます。これはその国が経済成長を遂げて、それに関連して賃金水準が上がることは、これは世界全体のためにも非常に望ましいことだと思うわけでございますが、日本の企業と提携してやりますときに、その国の中で非常に低位にこれを押え込むというようなことは、それは非常におかしなことでございますが、おのずからその国の中におけるバランスの問題もございますので、その辺は十分に配慮する必要があろうかと思います。ただ、くどいようでございますけれども、それぞれの国ごとに、いろんな条件の違いがございますので、われわれといたしまして今後の進め方といたしましては、それぞれの国の持っております有利な点をそれぞれ補完しながら、国際的に一番いいかっこうをつくるのが最も望ましい、最も現実的な形ではないかと思うわけでございまして、決して労働のいわゆる搾取といいますか、そういうことは資源ナショナリズムのこの時代において、現実論としても行ない得ないことでもあるし、そういうことはしないように心がけるべきである。そういう点につきましては、基本的にそういう考えを持っておりますことを申し述べたいと思います。
  78. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これから国際的な問題がたくさん起こってくるときですから、国際的に誤解を招くような、そういうことばは私はお使いにならぬほうがいいと思うんですよ。やはりどこからも非難を受けないような発言というものが私は必要だと思っております。これを逆の立場で向こうの人が、山形長官こんな発言をしているということになったら、何だと’おれたちの国が貧乏している、そこへ資本が入ってくると、それがおれたちの国の有利な点だと、何ごとだと、労働者の立場に立ったらそう言いますよ。だからこんなことばは不穏当だと私は思うんです。だから私はいい機会をあなたにつくっているんですよ。ああいうことばを使うべきでなかったというふうにおっしゃったほうが、私は今後の立場上よいと、こういうふうに考えるんですが、取り消す意思は毛頭ない、こうおっしゃるんですか、どうですか。
  79. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) もし、非常に何というのですか、使い方が短兵急で、そういう誤解が生じましたら、これは先生の御指摘のとおり非常に問題でございます。そういう点を含めまして今後表現のしかた、また、そめもとにございます考え方等につきましては慎重に行動いたしたい、こう思うわけでございます。
  80. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ次へ移ります。  昨年の秋の第四回非同盟首脳会議の経済宣言によりますると、資源を持つ発展途上国は外国投資による資源開発が、発展途上国に対する新植民地主義的搾取を進めるだけで、受け入れ側の工業開発にはほとんど役に立たないという点で既成の開発方式に対しまして強い不信感を抱き、この転換の必要を痛感しておるとのことでございます。政府は口を開けば産業基盤整備とか、関連産業の育成とか言っておりますが、たとえば現地製錬一つとってみましても、まだまだ鉱石輸入が圧倒的に多く現地加工度は低いんです。そして、工業製品の値上がりに比べて原材料価格は不当に低いです。輸出でかせいだドルも通貨危機以来減価する一方であります。このままでは工業開発を達成する前に資源を枯渇させてしまうという、こういう危機感を現地では持っておるわけです。一体後進国から輸入する原料と輸出する製品との価格のバランスはどういうふうになっておるか。鉄鉱石なら鉄鉱石、鉄鉱石でなくてもいいですが、それを何トンなら何トン買うと。その鉄鉱石何トンでつくった製品は、鉄鉱石は幾らで買って、そしてそれで精製した製品は幾らで売っておるのかと。価格のバランスは原料と製品との比重はどういうふうになっておるのかという点も伺っておきたいと思います。  このように外資依存の開発方式が発展途上国により疑念を持たれておる時期であります。政府の進める自主開発も、新植民地主義的搾取におちいらないようにしなければならないと思います。私はこの際政府の見解を、もう一度通産大臣にはっきりと伺っておきたいと思います。
  81. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いままで先生のお話を承りまして、私も非常に同感のところが多いと思います。  基本的には最初申し上げましたように植民地主義とか、あるいは帝国主義的な誤解を寸毫だにも起こさせないように、われわれとしては慎重に、いわば薄氷を踏むような思いで臨んでいかなければならぬ時代であると思います。それもやはり相手国のためを思っての行動に終始しなければならない。そういう意味において、資源主権という考え方について十分な理解と同情を持って諸般の問題に対処すると。いやしくも相手国の低賃金を利用するとか、あるいは相手国の経済社会条件の劣勢なことに乗ずるとか、そういうようなことのないように終始誠実な態度で日は経済協力をしなければならぬ、このように思います。
  82. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 輸入する原料と輸出する製品との価格の比率について伺いますが、石油国から原油を買ってこっちがいろいろ石油製品をつくりますね、それを向こうに出すときの値段なんかでも非常に高いんでしょう。だから向こうから買う石油の値段と製品との間には非常な幅があると私は思うんです。そこらに問題が起こる原因があって、だから向こうはこんなことしていたら自分のところの原料がなくなった場合にどうするか、安い原料を売って高い品物を買わされているんじゃないか、そういう懸念が起こってくる。そこらをちゃんとしていかないといかぬという点で私は質問しているんで、その点ちょっと答えておいてください。原料と製品のバランスです。
  83. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) 先生御指摘の石油あるいは鉄等につきましては、私、専門外でございますのでお答、え申し上げる資料を持ち合わせておりませんが、私の仕事のうちのたとえば銅について申し上げますと、銅は鉱石を外国から買う場合に、すべてLMEといいますかロンドンで成り立ちますところの相場で買ってまいります。日本の港に着くときにLMEが幾らであったということで仕切るわけでございます。それは今月の例で申し上げますと、大体銅トン当たり八十万円以上しておりまして、そのうち、それを加工いたしまして、それでは日本の工場が幾ら加工料をかせぐかということになりますと、これは通常T/C、R/Cというふうな表現で呼んでおりますけれども、平均いたしまして五万円ないし六万円でございます。したがいまして銅が八十万円で市販されているうち、いわゆる日本のスメルターといいますか製練所に落ちた加工賃は五ないし六万円であるということでございます。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたがいま例にとられた銅というのは、これはもう最も比率の狭いものだと思います、そういうのを例にとられたんだろうと思いますが、材料国、原料国がそういう不満を持っておるという点は皆さんもお認めになっている点だろうと思うわけです。こういうことをなくしていかないと、いわゆる原料の安定供給をなかなか保証していくことができないということを私は指摘しているのでございますから、現地で働く労働者の立場もよく理解し、安い賃金だからといって安い賃金でこき使うというようなそういう不道徳なことはしないように気をつけて、やはり日本人の労働者と同じような条件で働いてもらうということが必要だと思いますね。だから、あらゆる面で現地を搾取する、そういう態度は私は慎んでいくべきだ、こういうふうに思います。これは私の意見でございますが、皆さんもよくのみ込んでおいて、その方向でやっていっていただきたい、こういうことでございます。  それで次に申しますのは、これは私たちの党の意見でございますから、一応述べて、それに対する大臣の御見解を述べておいていただきたいと思うんですが、わが党は発展途上国への経済技術協力といたしまして、次の五つの原則を掲げております。  第一は民主的公開の原則です。すべての経済技術協力計画と予算実施状態を国会で審議するというのが一つです。  第二は自主性の原則です。アメリカの侵略政策への協力、下請をやめるということです。  第三は新植民地主義反対の原則です。日本の大企業、多国籍企業による経済的侵略、対外援助を利用した内政干渉と介入をやめるということです。  第四は平和、中立の原則です。社会経済体制の違いを問わず、平和五原則に基づく経済技術協力を広げていくということです。  第五は人類の進歩を目ざす国際的連帯の原則。発達した工業国として、世界の平和と諸民族の独立、全人類の進歩のために経済技術協力を積極的に進める。  この五つを私たちは低開発国に対する経済援助の守るべき原則として確認をいたしておりますが、これに対しまして自民党・政府を代表していらっしゃる中曽根通産大臣はどういうふうに受け取られますか、どうでございましょうか。
  85. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) いまお述べになりました諸原則は私は正しいと思います。  ただ、その中で、その国の国家の方向、外交政策、内政政策等にわたる部分はその国の主権にまかすべきで、集団保障体制をとるか中立政策をとるかというようなことはその国自体がきめるべきものである、そういう留保条件をつけまして、あとの原則は私は賛成であります。
  86. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最後に、新しい問題、これとも深い関係のある問題でございますが、最近新聞紙上にもちょいちょいと出てまいりました太平洋のマンガン海域の開発の問題でございます。  私は、この間、白嶺丸という海底資源の開発のためにつくられた船の進水式に参りました。そうしてその船もつぶさに見てまいりました。日本も海洋開発に参加するということはけっこうなことだと思うのでございますが、しかしマンガンノジュールですね、これがいま太平洋を中心にして世界の各海に四千メーターから五千メーターという深いところに大量にあるということ、それをどうして開発していくかということがいま問題になってきていることだと思うのです。通産省から出された資料を私昨日いただきまして、ゆうべずっとこれを読みました。しかし、この問題は非常に大きい問題で、ここで二十分や三十分で論議するようなそんな幼稚な問題じゃないと思うんです。この問題は、わが党でもこの問題についてしっかりと取り組んで、わが党の見解をつくりたいと思っております。しかし、それはこれからやることでございますから、私がきょう述べるのは党の見解というわけにはまいらないことでございますけれども、あまり問題が大きいので私たちの今後の検討の参考にしたいと思いますので、その点で少し質問をしておきたいと思うのです。  この太平洋の中でも、ハワイ東南沖が最も有望だ、こういうふうにここには出ております。一体、この太平洋地域にどれだけのマンガンノジュールがあるのかという点をまず最初にお答えを願っておきたいと思うのです。
  87. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) いわゆるマンガンノジュールは世界的に分布いたしておるわけでございますが、一番有望だと見られておりますのが北太平洋でございます。その次に南太平洋というようなところがいま非常に有望地点といわれておるわけでございます。  太平洋地域を例に申し上げますと、これも御存じのとおりマンガンノジュールといいますのは、マンガン、それから鉄鉱、コバルト、ニッケル、銅、鉛等が全部含有されておりますまるいかっこうのものでございますけれども、これを一番大事でございます銅を例にとりまして申し上げますと、太平洋の埋蔵量といいますのは推定で五十億トンの銅量といわれております。ちなみに、いま世界の土地の鉱山で銅を掘っておるわけでございますが、地上の埋蔵量が一億トンといわれておるわけでございますので、実に太平洋だけで地上埋蔵量の五十倍という非常に大きな埋蔵量に相なるわけでございますが、ただこれはいま先生のお話のとおり四千メートル以下という非常な深海にあるわけでございまして、今後、これの採取技術、それから国際的にどうやってこれを掘り出すか、その場合の主体をどうするかというような問題、いろいろな問題がございますけれども、埋蔵量でいいますと膨大なる埋蔵量ということが言えると思います。
  88. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 銅も五十二億トンという数字が出ていますね。マンガンに至りましては三千五百八十億トンとたいへんな量がここにある。一々申しませんけれども、政府のほうではわかっていることだと思いますが、今後世界じゅうが使っても長い期間使えるだけのものがここにはあるということが実証されておるわけですね。そこで問題になるのは、これを一体どういうふうに開発して、どういうふうにこれを使っていくか、こういうことですね。それが今後の私は問題だと思うんです。  そこでもう一つ問題になってきましたのは、最近、第三回海洋法会議が六月二十日から十週間ベネズエラで開かれるということが新聞記事になっていますが、そこで経済水域というものが二百海里、こういうことになりますと、一海里は一・八キロでございますから、それを掛けると三百六十キロですね。海岸から三百六十キロまでが経済水域になる、こういうことになろうかと思うんです。  そうすると、かりにいまの話でマンガンノジュールがハワイ周辺が一番多いということが政府資料にも載っておるわけですが、ハワイにコンパスを立てて三百六十キロの円をずって描くと、マンガン塊の一番いいようなところはアメリカの経済水域の中に入ってしまって、アメリカだけがそこの権利を持つということにもなりかねない。そういう極端なことにはならぬかもわかりませんけれども、極端に言えばそうだ。ハワイのみならず、また離れた島の沿岸からずっと相当の距離になっていくと思うわけですね。そういうこともこれから起こってくる問題だと思うんです。そういうふうにして経済水域のものはみんなその国に権利があるんだということにしていくのか。そうすると世界の宝庫ともいわれる海底のマンガンノジュールがある国の独占にもなりかねないということも起こってきやしないかということです。  だから、この問題は一体どういうふうにこれを開発して、どういうふうにこれを使っていくかということが私はこれからの大きな問題だ、こういうふうに思っておるわけなんですが、政府はこれに対してどういうふうに考えていらっしゃるか、どういう方針でこの海洋法会議に出席をなさるお考えか、ひとつ責任ある答弁をしておいていただきたいと思うんです。
  89. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) マンガンノジュールが将来非常に重要であります点につきましては、私もそう思っておるわけでございます。  いま海洋法会議というのが六月二十日からカラカスで第三次の会議を開くわけでございますが、いま先生のお話にありましたように領海問題というのが一つまだきまっておらないわけでございます。この辺につきましては、このマンガンノジュールだけの問題でございませんで、また資源だけの問題でもございませんで、領海を現在の三海里というのをどういう考え方で広げるか、どういう考え方にするかというのが一つの問題でございますが、その領海問題はさておきまして、その領海外の膨大なマンガンノジュールにつきましては、一九七〇年の国連総会で深海海底に関する法原則宣言という宣言がなされたわけでございます。この意味は、深海の領海外のこういう資源は人類の共同財産であるということが宣言されまして、その点につきましては各国共通のコンセンサスができ上がっておるわけでございますが、今後の問題といたしましては、その人類の共通財産をどういうかっこうで開発するかというのが一つの海洋法会議の重要な議題であるわけでございます。  ちょっとくどいわけでございますが、開発途上国は、これの特別の国際機関をつくりまして、そこに全部開発を独占させるべきだという意見を述べておるわけでございます。それから先進国といいますか、そのグループは、国際機関をつくることはいいけれども、その国際機関になかなか開発能力がなかろうから、したがって、それぞれの国またはそれぞれの企業がこの国際機関に申し出まして、その国際機関からライセンスをもらって現実の開発をしたほうが現実性があるんじゃないか、またその利益は国際機関に還元する、そのほうがいいじゃないかということで、現在、両側の主張が対立したままになっておるわけでございます。  わが国といたしましては、資源の非常に少ない国でございますので、このマンガンノジュールの開発促進に非常に大きな関心を持っておりまして、その点におきまして、この資源が主体的に日本に有利に確保できますように、それを基本的な原則といたしましてこの国際会議に臨みたいというふうに考えておるわけでございます。
  90. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたもいまおっしゃったように、後進国は、アメリカを中心とした先進国が、何というんですか、開発のレジームをつくって、そこでライセンスを出してやっていくというやり方、これに後進国というか開発途上国は反対をしていますね。というのは、そんなやり方でやったら、結局、世界の共有の富である海底のそういう資源が先進国に独占されてしまう、そういうことを懸念して反対をしておるわけですね。だから開発途上国は、そういうものは全部世界の共有の富である、平和に役立つように、これを世界じゅうで使っていくべき性質のものだという立場をとって、国連でもそういう意見を述べておるということを私は聞いております。  だから、いまアメリカがやろうといておるやり方、それから日本がそのアメリカのしり馬に乗ってそれに協力していこうというやり方というものは、これは私はやるべきでないと思うんです。やはり世界共有の富としてそれを平和のために使っていく、そういう理念を持って、それを原則としていくべきで、先進国が独占するとか、有利な立場でそれを使うとか、そういう態度は私はとるべきでないんではないか、こういうふうに思っております。これをどうするかということはこれから論議をされる問題でございまして、まだきまってないようでございますから、私は意見を述べるにとどめますが、私たちの感じ方は、少なくも私の考え方はそうだということを申し述べておきたいと思うんです。  ところが、問題になるのは、いまや日本のある一部の商社、三社ぐらいだと思ってますが、三菱商事も参加しておるようですし、新日本製鉄なども関係しておる、日綿実業、そういういろいろな企業が積極的に乗り出してきて、そしてアメリカの企業と手を組んでこの開発にとにかく乗り出そう、こういうふうにしておるんですね。  私は、こういう国際的な共有ともいうべき資源を、こういういわゆる営利企業にまかしておくべき性質のものではない、こういうふうに思います。そういうことになっていくならば、必ず将来問題が起こってくると思いますので、この点も政府としては私は十分注意をしていくべき点じゃないかと思いますが、政府はどういうふうに考えていらっしゃいますか、そこの点通産大臣ひとつお考えを述べておいていただきたいと思うんです。
  91. 中曽根康弘

    ○国務大臣(中曽根康弘君) 近く六月に第三回国連海洋法会議が行なわれる様子でございまして、当然、この会議にも問題に出てくるやに承っております。やはり国際的調和のもとに国際連帯という考えに立ってこの問題は解決をすべきものである。早目に先に手を出したほうが勝ちだ、そういう性質のものではないように思われます。そういう点は慎重にやりたいと思います。
  92. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この問題ば非常に大きな問題でありますが、この政府資料にもこういうところがあるんです。「多くの発展途上国は国際機構が国際海底の管理権を持つ以上、機構それ自身が直接資源の開発を行うべきであるとして強力な国際管理の方法を主張している。これに対し多くの先進国は国際機構が直接開発に乗り出すことは深海の海底開発が極めてリスクが高いことからいって妥当でないので、国際海底に鉱区を設定し、当該鉱区に対する申請者にライセンスを発行し、利権料を以って、国際社会に還元する方法を主張している。」こういう条項があるのですが、一体、日本はどちらの立場をとるんですか。
  93. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 日本は資源の保有国、先ほど来出ておりましたナショナリズムには当然に理解を示すわけでございますが、この領海外の四千メートルより深い底は人類の共有財産でございまして、これをできる限りワーカブルといいますか、効率的に採取しまして、これを人類全体のために利用するというのが基本的な原則だと思うわけです。特に日本のように資源に不足しておる国としましては、そういう態度であるべきだと思うわけでございます。  その観点から言いますと、前者の発展途上国の主張のごとく、国際機関をつくりまして、そこが世界じゅうの深海をみずからの手で開発するということは、これは理論的に成り立ちましても、現実性が非常に乏しいんではないかということでございます。そうかといいまして、それでは全部ライセンスを力のあるところまた力のある会社にどんどんと与えるということを行ないますと、これはアメリカがいま一番有利な立場にございまして、アメリカの企業またはアメリカの国が独占する弊害も出ると思いますので一国際機関をつくりましてライセンスを与えますときに、既存の、何というのでしょうか、行動を優先するということでなく、公平に各国がこれに参加し、公平にその効果を受け得るという形でいくべきである、こういうふうにわれわれは考えておるわけでございます。大きな形としましては後者の案でございますが、後者の中の運営において公正を期し、全体がその利益を均てんできる、こういう形をとるべきである、こう考えておるわけでございます。
  94. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ライセンスがものをいうということになると、現在財政的にも力を持った、あらゆる面で力を持っておるものがこういう世界共有の富と見るべき海底資源をやはり独占してしまう、そういう結果が起こると思うのですよ。だから、それに対しては私は開発途上国がみな懸念を持つのは当然だと思うのです。  また、そういうふうに海底四千メーター、五千メーターの深いところにある世界共有の富を現在財政的に力を持っているものが独占してしまうという方向では何ら改善されていかない、従来どおりじゃないかということになるわけでございまして、私はそういうやり方には大きな反対の気持ちを持っております。そういうことに対してはよほど慎重に考えて対処していかなければならぬ問題で、この六月に始まる海洋法会議におきましてもその点をよく腹に入れて、決してそういう一部の国の利益に追従していくというような態度は私はとるべきでないと思っております。その点もよく注意してやっていってもらいたい、こういうふうに私は申しておきます。まだきまらぬことだからそれ以上私も言うことができないと思いますが、そうあるべきだという意見を私はここで述べておきたい。  それから、もう十分ほど時間がありますが、私もう一点伺っておきますが、経済水域三百六十キロメーターとなるというと、世界の公海というものが非常に狭められていくような感じがするわけですね。一体、現在の公海がそういう状態になった場合にどれだけ狭まるのか、どのくらいになってしまうのか。  早い話が、日本海なんか秋田の海岸、新潟の海岸から三百六十キロずっといく、ここはおれのところの経済水域だ、そうすると向こうのほうはまた向こうのほうからこれだけだ、こういうふうに線を引くと重なってしまうというようなことも起こりかねないんじゃないかと私は思うんですね。もちろん韓国と日本の間の海域なんというのは、これはもう三百六十キロどころじゃなしに、何重にも重なってしまう。また東シナ海におきましても、すべてそういう問題がこれからずっと起こってくると思うのです。これはこれからの海底開発にしましても、また水産物資、水産業にも大きな関係がある問題だし、それをどういうふうにやっていくのか、むずかしい問題がたくさん付随してくると私は思うんです。  で、ほんとうの公海というものは経済水域が三百六十キロになったらどういうふうな比重になってしまうのか、ほとんど公海というものはなくなってしまうんじゃないか、まあ太平洋にはあるだろうと思いますけれども、そういうことすらも考えられるのですが、そこをどういうふうに計算していらっしゃるか。
  95. 豊島格

    説明員(豊島格君) いま御指摘の経済水域が二百海里ということになりますと、大体海の四割は経済水域になるということですから、たとえば日韓の間その他はお互いの経済水域が重なるということで、話し合ってまたその中間になるとか、そういうことで分け合うことになると思います。  ただ経済水域と公海との関係について申しますと、これは経済上の問題でございまして、船舶の通行等といういわゆる航行の自由等につきましては、これは領海の議論が依然として残るわけでございまして、これは現在三海里というのが十二海里ぐらいになるということで、公海は依然として大きいということでございます。  なお経済水域の中で問題になりますのは、海底の鉱物資源の問題、これは従来から大陸だなの問題として議論されておったわけでございますが、一般的に言いますと、大陸だなを地形学上深さとかいろいろな点で定義いたしますには非常に問題でございまして、むしろ距岸距離でやるという、まあ二百海里がいいかどうかというのは別としまして、距岸距離でやることは一つのメリットではあると思いますが、上部水域についてはいままで公海の自由ということになっておったわけでございますが、この辺水産業に与える影響も大きいということでございますので、日本立場としては、その両方を考えて、最も合理的なといいますか国益に沿った線で会議に臨むということになると思います。
  96. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まだ問題はたくさんありますけれども、きょうは時間がありませんから、これで私は打ち切ります。また次の機会にいろいろ質問しようと思います。
  97. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  98. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  99. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  100. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時二分散会