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1974-05-21 第72回国会 参議院 商工委員会 第16号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十一日(火曜日)    午前十時十八分開会     ―――――――――――――    委員異動  五月十七日     辞任         補欠選任      小山邦太郎君     安田 隆明君      柴田  栄君     矢野  登君      野坂 参三君     須藤 五郎君  五月二十一日     辞任         補欠選任      安田 隆明君     嶋崎  均君     ―――――――――――――   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 小笠 公韶君                 大谷藤之助君                 嶋崎  均君                 林田悠紀夫君                 細川 護熙君                 小野  明君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君    政府委員        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業大臣官        房長       増田  実君        通商産業大臣官        房審議官     矢野俊比古君        通商産業省貿易        局長       濃野  滋君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君     ―――――――――――――   本日の会議に付した案件輸出保険法の一部を改正する法律案内閣提  出、衆議院送付)     ―――――――――――――
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君)ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十七日、小山邦太郎君、柴田栄君及び野坂参三君が委員辞任され、その補欠として安田隆明君、矢野登君及び須藤五郎君が選任されました。     ―――――――――――――
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 輸出保険法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  4. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、提案理由及びその要旨を御説明申し上げます。  わが国経済が今後とも世界経済と調和のとれた発展を遂げていくためには、重要物資安定的供給確保をはかるとともに、輸出構造高度化を進めていかなければなりません。なかんずく、今後の輸出構造高度化中核をなすところのプラント類輸出につきましては、発展途上国発展に寄与し、国際的な摩擦を惹起しない輸出であると考えられますが、これらの輸出は、発展途上国資金不足等から代金回収長期間にわたるため、流動的な国際通貨情勢影響を全面的にこうむる状況にあります。したがって、これらの輸出取引安定化をはかるため、外国為替相場変動にかかる危険を担保する道を開く必要があります。  また、国内資源に乏しいわが国においては、原油等鉱物のほか、国民生活に不可欠な羊毛、綿花、木材その他の農林畜水産物長期かつ安定的な輸入確保が重要な問題となってきておりますが、そのため海外投融資推進が必要であると考えられます。  輸出保険制度は、輸出海外投資等対外取引に伴って生ずる種々危険負担を分散し、軽減することによってわが国対外取引の健全な発達をはかろうとするものでありますが、現行制度は、以上述べたような今日の国際環境下におけるわが国対外取引実態に十分対処し得ない面があり、かねてよりその拡充必要性が痛感されていたところであります。  このような実情にかんがみ、現行輸出保険制度に所要の改正を加えることとし、本改正案提案した次第であります。  次に、改正案内容を御説明いたします。  改正点の第一は、為替変動保険新設であります。  代金等回収長期にわたる貨物輸出または技術の提供もしくはこれに伴う労務の提供をした場合に、特定外国通貨建てのものについて、輸出取引等安定化をはかるため、西ドイツフランス等においてすでに実施を見ている為替変動保険新設することといたしました。これは、保険契約の締結の申し込み後決済期限までに外国為替相場が三%をこえて円高になった場合に、輸出貨物代金等について受ける損失を、一定の範囲内においててん補しようとすることを主たる内容とするものであります。  改正点の第二は、海外投資保険拡充であります。  現行におきまして、付保対象となる海外投資は、経営参加株式の取得、経営参加外国企業に対する融資等のほか、長期契約に基づき輸入される鉱物開発のための現地企業に対する融資等に限られておりますが、鉱物以外の重要物資につきましてもその開発のための融資等を新たに付保対象とすることといたしました。  以上がこの法律提案理由及びその内容の概要であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願いいたします。
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、補足説明を聴取いたします。濃野貿易局長
  6. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 輸出保険法の一部を改正する法律案につきまして、若干の補足説明を申し上げます。  輸出保険制度につきましては、昭和二十五年の制度創設以来、累次の改正を行ない、現在では、七種類の保険制度を有しております。  その利用状況を見ますと、昭和四十七年度におきましては、保険引き受け件数にいたしまして五十五万五千件、保険金額にいたしまして四兆七千六百億円と、輸出保険機関といたしましては世界第一位の引き受け規模となっております。  しかしながら、対外取引に伴う種々の危険をカバーし、対外取引を行なう者に対しまして取引安定性信用手段を供与するというこの輸出保険制度の機能も、国際通貨情勢流動化対外取引多様化等、内外諸事情の変化に対応して制度拡充をぜずには十分果たし得ないと考えられるところでございます。このような実情にかんがみ、政府といたしましては、今回、御審議いただきます改正法案提案した次第でございます。  まず、改正点の第一でございます為替変動保険新設につきまして御説明申し上げます。  プラント類、船舶、鉄道車両等輸出取引等につきましては、通常その代金等が巨額であること、返済の原動力となる生産活動等が軌道に乗るまでには長時間を要すること、多くの場合仕向け先発展途上国であるため、資金が不足していること等の理由によりまして、その支払いが中長期にわたる延べ払いの形で行なわれておりますが、一方国際通貨情勢は、ここ一両年激変をいたしまして、円とドルとの関係も一ドル・三百六十円時代は終了し、三百八円となり、さらに変動相場制に移行するに及んで二百六十五円から三百円、そして二百七十円台と大きくゆれてきたところでございます。  このように流動的な国際通貨情勢のもとで、プラント類輸出等今後の輸出構造高度化中核をなす輸出取引等安定化をはかるため、わが国といたしましても、西ドイツフランス等においてすでに実施を見ている為替変動保険新設することとした次第でございます。  次に、改正点の第二といたしまして、海外投資保険拡充につきまして御説明を申し上げます。  申すまでもなく、わが国経済の安定のためには、国民生活関連物資長期かつ安定的な確保が重要な課題でございます。わが国企業が経営参加できる開発参加方式及びいわゆる融資買鉱にかかわるリスクにつきましては、いままでの改正で十分なリスクカバーがはかられております。  しかしながら、鉱物以外の重要物資につきましても、資源ナショナリズム興隆等により、必ずしもわが国企業が経営参加できない場合もあり、また、発展途上国自主開発協力するという趣旨からも、今回、重要物資開発のための融資等を新たに付保対象とすることといたしたわけでございます。  以上、簡単ではございますが、若干の補足説明を申し上げました。何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上で説明の聴取を終わります。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 小野明

    小野明君 輸出保険法の一部改正について質問をいたしたいと思います。  第一に、五月十八日の日経によりますと、OECDにおいて、先進国企業海外投資につきまして行動基準を設ける、そうして、発展途上国において起こっておりますような企業接収を事前に防止しよう、こういう趣旨行動基準づくりが報ぜられておるわけであります。  そこで、その内容並びにOECDにおける基準づくりに対するわが国政府の方針というものはどういうものでありますのか、それを説明をいただきたいと思います。
  9. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま先生の御指摘のありました、五月十八日の日本新聞が報じております、OECDの場におきまして海外投資に関する行動基準をつくっておるという御質問でございますが、OECD関係委員会におきまして各国国際投資問題、それから多国籍企業の問題につきまして、いろいろな検討が行なわれておりますことは事実でございますけれども、ここに報道されておりますように、発展途上国において生ずるおそれのございます企業接収防止のための対策についての検討というのは、現在行なわれておりません。むしろ、現在いろいろ研究されておりますのは、主として先進国間の国際投資に関しまして現在行なっておる多国籍企業実態把握、どういう動きをしておるかという実態把握、これが一つでございます。  第二は、企業活動ルールづくり、こういう問題につきまして、委員会あるいは専門家の会合を開きまして、いろいろ検討行なっておるというのが事実でございます。まず、わが国といたしましては、現在、米国を中心とする多国籍企業受け入れ国であるという事実がございました。同時に、これから先を考えますと、日本企業海外活動が相当活発化することが予想されますが、それに伴いまして、むしろ日本自身がいわゆる多国籍企業の母国と申しますか、主体になることも予想されますので、私どもといたしましては、こういうOECD等の場を通じまして、国際的な協力のもとに多国籍企業問題の検討に参加していくべきである、こういう考え方で対処をいたしております。
  10. 小野明

    小野明君 従来は受け入れ国であったわけでありますけれどもわが国企業も国際的に見ますと、いまお話ありましたように、かなり企業行動について国際的な基準をむしろ積極的につくっていく、そうして守らなければならぬという方向にあることは確かであると思います。ただ、これによりますと、乗っ取り防止といいますか、接収防止重点が置かれたような対策といいますか、むしろ後進国対策といいますか、それにウエートがかかりまして、そういうことは結局また途上国に対するよりきびしい警戒心、あるいはこのテークオーバーのより積極的な推進と、逆にそういう役目を果たしていくのではないかという危惧が感じられるわけであります。で、わが国も、たしかあれ東洋工業でありますか、接収を受けたと思いますが、それらの事例をこの際御説明いただきながら、このOECD活動といいますか、この方向というものをどう見ていくべきかという点について、さらに御説明をいただきたいと思うのです。
  11. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま先生の御指摘のございましたように、発展途上国進出をし、その発展途上国におきましていわゆる接収問題が起こる、それに対処するんだというような検討は、先ほど申し上げましたように、OECDの場ではそういうことに主力をおきましての検討はいたしておりませんが、確かにそういう点に力を合わせれば、いま先生指摘のような問題が起こるということは、むしろ当然だと思います。現在までに日本海外進出、大体昭和二十六年に海外投資が開始をされましてから昨年暮れまでぐらいの間に、件数といたしましては、合計いたしまして八千八百件程度金額にいたしましては、合計をいたしまして九十五億ドル程度海外投資が行なわれておりますが、海外投資につきまして先方からいわゆる国有化、あるいはこの間ございましたような、ザイールで見られましたような特定部門につきましての現地現地人による企業所有、あるいは企業運営しか認めないというようないわゆる広い意味での国有化接収ということの事例は非常に少のうございまして、むしろこの間のザイール案件が初めてといって差しつかえないのではないかと思います。  私どもといたしましては、やはり特に発展途上国における海外投資にあたりましては、現地側考え方、それは政府政策もございましょうし、現地民間人の感情あるいは企業運営やり方等にマッチをいたしまして、相手方と十分協調した姿勢で、態度で、行動海外投資を進めていくということで、民間側に十分そういう行動期待すると同時に、私どもとしましても、いろいろな手段を通じまして、海外投資がスムーズにいくように政府としてバックアップをしていくということが必要だと、こういうふうに考えております。
  12. 小野明

    小野明君 最近、総理が東南アジア訪問の際も、日本企業に対するきびしい批判というものが行動になってあらわれましたことは、御承知のとおりであります。そうしますと、まあ東南アジアにおける日本企業のあり方というものが、今後海外投資を進めていこうとする、促進しようとするこの法律案趣旨から見ましても、非常に警戒をすべき点ではないかと思うんです。で、まあ関連してでありますが、東南アジアにおける日本企業で最も批判されている点ですね、今後、それをどのように修正するように指導をしてまいられるのであるか、その点をあわせてお尋ねをいたします。
  13. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 海外投資は、わが国におきましては、現在先生案内のように、いわゆる OECD自由化コードに従いまして逐次自由化をしてまいりまして、現在は特定部門を除きましては、いわゆる日本銀行による自動許可制という形をとっております。しかし、私どもといたしましては、やはり国際的に問題のある、あるいは問題を引き起こすおそれのあるケースにつきましては、これをいわゆる行政指導というかっこうでチェックをしていくという方向をとりたいと考えておりますし、基本的には、海外投資は現在のような日本のシステムのもとでございますと、企業の自主的な判断に期待をするという点が非常に多いわけでございまして、御案内のように、業界におきましても、海外投資における一つ行動基準というものをつくりまして、これをひとつ守っていこうという動きがございますし、現実にその実際の実施状況等チェックしますために、関係団体で新しい組織をつくってやっていこう、私どもはこういう方向は非常にけっこうなことだと思っておりますが、政府といたしましても、ただいま申し上げましたように、いろいろな手段を通じまして円滑な海外投資が行なわれるように指導していきたい。  具体的に申し上げますと、私どもの持っております輸出保険法の中に、いわゆる海外投資保険というのがございますが、この投資保険付保の申し出がありましたような場合に、向こう側政府海外投資受け入れに対するいろいろな考え方がございます。それに一体合っているものであるかどうか、あるいは、いわゆる公害輸出というような非難を受けるようなおそれがないかどうかというような技術的なチェック等保険制度の運用を通じましても、非常に円滑な、向こうと問題を起こさない海外投資が進められるように指導していきたいと、こういうふうに考えております。
  14. 小野明

    小野明君 次に、イタリア外貨事情の悪化のために最近とりました輸入制限内容、及びこれに伴うわが国への影響等について御説明をいただきたいと思います。
  15. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) イタリアは、今月の五月七日以降、いわゆる国際収支対策と申しますか、国際収支改善、それから国内流動制の引き締めということをねらいといたしまして、一次産品と一部の資本財を除きまして、大体イタリアの総輸入の中で七割程度になるのではないかと言われておりますけれども、   〔委員長退席理事竹内藤男着席品目数にいたしますと六百三十五品目、これにつきまして輸入価格の五〇%相当の預金を通関のときにいわゆる輸入保証金として積むと、こういう制度を導入をいたしました。  日本の対イタリア輸出というのがどのくらいになっているかということでございますが、日本イタリア輸出は、逐年増加をしてきておりますが、一九七三年、昨年の実績で申し上げますと、輸出が約三億でございます。輸入も同様に二億九千五百万、ほぼ三億でございまして、日本の総輸出の比率から申し上げますと、昨年で見ますと〇・八%と一%以下でございまして、輸出市場としての地位はかなり小さいわけでございます。それから、品目別に当たってみましても、特にイタリア市場だけに依存をしていると、イタリア市場に対する輸出依存度が高いというものがあまりございませんという理由から、一部の機械、機器類は若干の輸出の縮小のおそれはございますけれども、特に大きな打撃を受けるということはないのではないかと、こういう私ども見通しを持っております。したがいまして、イタリアのこの新しい輸入保証金と申しますか、この制度につきましては、EC内部等ではいろいろ議論ございましたけれども日本の立場といたしましては、二国間の問題として特別なアクションはとらないで、当面はガットでございますとかOECDの場、ここにおきましてこの本問題を非常に多角的な、二国間の問題としてではなくて、多角的な問題として解決をするという方向重点を置いていきたい、こういうふうに考えております。
  16. 小野明

    小野明君 イタリアだけではありませんで、まあ各国が昨年の石油危機以来石油支払い代金の高騰によりまして、国際収支が急激に悪化しておる、その対策経済運営の最大の課題になっていると思うのであります。このために、日本も例外ではございませんが、国際収支赤字急増に対処するために、諸外国とも貿易戦争といわれるような状態に走るのではないかという危惧がございます。このあたりの見通しについて御説明いただきたいと思います。
  17. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先生指摘のように、特に昨年以来の石油危機、そしてそのあとまいりました石油価格の非常に大幅な値上がりということは、先進諸国のうちほとんど全部でございますが、いわゆる石油消費国に非常に大きな影響を与えました。わが国で考えてみましても、ことしの四月の輸入価格というのは昨年の同期に比べまして、大ざっぱに申し上げますれば約四倍になっております。こういう状況石油消費国が、相対的に違いはございますけれども、すべて大体同様な影響を受けているわけでございまして、御指摘のように、これが各国国際収支、特に貿易収支に非常に大きな影響を与えることは事実でございます。しかしながら、こういう影響を受けます各国が、自分の国の貿易収支を何とか改善をしなければ、あるいは黒字を出したいというために貿易戦争に走る危険性はないことはございませんけれども、それほど大きくはないんじゃないかと考えております。  その理由といたしましては、第一は、最近におきましては、貿易を通じての各国間の相互依存関係というのは非常に高くなってきておりまして、自分の国の措置だけ、自分のことだけを考えて、自国に有利な自国本位制度をとりますと、相互依存関係が非常に大きゅうございますから、結局結果は、自国経済にはね返ってくるおそれというのは各国とも非常に認識いたしております。特に輸入制限措置をとるとか、あるいは輸出に非常に人為的に押し出し政策をとるというようなことをいたしますれば、結局、他国からも同じような報復を受けるということは十分認識をいたしております。それから、もしかりにどこかの国が、そういうおそれも顧みずに非常にドラスチックな貿易戦争に突入するということになれば、世界経済全体も貿易全体の規模が縮小し、混乱を起こすということの認識も、私は高まっているような気がいたしております。  こういったことから、石油危機の発生によりまして世界経済全体が混乱におちいることを防止しようじゃないかという動きは、現在、OECD、IMF、それから、アメリカのワシントンで始まりました石油消費国会議等におきましてはこういう空気がずっと出ておりまして、いかにして世界貿易混乱を回避をするか、   〔理事竹内藤男退席委員長着席〕 あるいは現在のこういう状態を招きましたいわゆる世界的な資金流れ、別なことばで申し上げれば、いわゆるオイルマネーというものをどうやって世界経済全体の中に還流をしていくかというような点におきまして、国際協力の努力が行なわれております。私ども日本といたしましては、特に主要物資海外依存をし、海外にまた輸出市場を求めて品物を出して、そして、それでかせいが外貨で物を入れる、こういう貿易依存度の高い日本といたしましては、こういう国際協調の成果を期待をする、それと同時に、国際協調に積極的に貢献をしていくということが必要ではないか、こういうふうに私ども考えております。
  18. 小野明

    小野明君 貿易戦争になる危険性というものは、現在のように相互依存度が高くなってくれ沖その危惧は少ないのではないかと、こういうお話であります。同時に、いわゆるオイルダラー層流対策等も講じられておるようであると、こういうお話でございます。確かに、急増いたしますこの中近東を中心とするオイルダラー還流対策というものが講じられておることを、二、三、私も新聞で読んだような記憶がいたしますが、これといって見るべき対策というものを見出せないような気がいたします。この還流対策というのはどういうものがあるのでしょうか、それをひとつ説明いただきたいと思います。
  19. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) いわゆるオイルダラー還流をどうしたらいいかというのは、現在世界的に非常に大きな問題になっておりますが、OECD事務局の計算によりますと、本年度はいわゆるオイルダラーオイルマネーとして六百億ドルあるいは六百五十億ドル、いろいろ言われておりますが、非常に大きな規模の金が産油国に集中をする、現在世界流動性が千八百億程度と言われておりますから、三分の一ぐらいが産油国に集中するということでございまして、この結果は、つまり、国際的に見ましたいわゆる国際通貨流動性を非常に阻害をいたしますし、石油の大きな消費国でございます先進諸国、これが経常収支がおしなべて赤字の傾向にある。特に問題は、発展途上国の中で石油を持っていないところ、これに対する影響は非常に大きいわけでございます。  そこで、オイルダラーをどうやって還流するかということがいろいろ議論されておりますが、率直に申し上げて、いま先生指摘のようになかなかむずかしい問題でございまして、いわばそのお金のない連中がお金を持った人に、どういう金の使い方をしろということを言いますことは、これはなかなかむずかしい問題でございます。現在いろいろな案が出ておりますが、一つは、やはりオイルダラーとして産油国に集中していましたものは、従来のつまりコマーシャルなルートを通じまして、いわゆるユーロダラーとして欧州の金融市場に戻り、あるいはアメリカ金融市場に戻るという通常流れで戻っておる部門が相当あるのではないか、いわば、そういうものを促進をしていくためにはどうしたらいいかというのが一つ政策ではないかと思います。  それから第二は、そういう通常コマーシャルな金の流れを離れまして、新しくオイルダラーを集める機構を国際的につくるということがもう一つ考え方であると思いまして、これに対しましてはいろいろな案が出ておりますが、何ぶんにもまだ検討段階のようでございまして、これからの検討の結果に待つことになるのではないか、かように考えます。
  20. 小野明

    小野明君 それから、次の問題でありますが、四十八年度の通関実績といいますか、三月が十億ドル超である、こういうことで、これは五十二億ドルの入超になっておるということが報じられております。まあ史上最高である。これは昭和四十二年度の十二億八千八百万ドルの入超以来六年ぶりである。四十二年度がいま申し上げた数字でありますし、四十八年度がそれに数倍をする五十二億ドルと、こういう実績になっておるわけであります。これに関連をしまして、日本輸入する主要一次産品の輸入依存度及び輸入先国を御説明いただきたいと思います。
  21. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先生指摘のように、四十八年度通関ベースで言いますと、五十二億ドルの赤字になっておりまして、特にここ数年の間は、たとえば四十六年度、四十七年度はいわば裏返しでございまして、四十六年度が四十八億ドル、四十七年度は四十六億ドルという、通関ベースでは黒字を出しておりましたので、差し引きいたしますと、この一年間で約百億ドルの上下があったわけでございます。  ただいま先生指摘の一次産品の輸入依存度でございますが、輸入依存度、若干基準年次が前後いたすかもしれませんが、主たる一次産品の中で、まず食糧関係で小麦でございますが、小麦は、輸入依存度が九五%になっておりまして、第一の輸入国はアメリカでございます。全体の六七%がアメリカから参っております。続いてカナダ、カナダが約二七%でございまして、以下オーストラリア、アルゼンチンいずれも二、三%になっております。  次に、最近非常に伸びております飼料の関係でございまして、トウモロコシとコウリャン、この二つをとって申し上げますが、トウモロコシ、コウリャンともほぼ輸入依存度は一〇〇%でございます。いずれも第一の輸入市場はアメリカでございまして、トウモロコシは九二%、それからコウリャンは七五%がアメリカ依存をいたしております。二位以下につきましては、トウモロコシについては第二位がタイ、三位が南アフリカ、それからコウリャンにつきましては、第二位がアルゼンチン、第三位がオーストラリアというかっこうになっております。  次に、繊維原料でございます羊毛と綿花について申し上げます。  羊毛は、これまた輸入依存度は一〇〇%でございまして、第一位はオーストラリア、約七七%でございます。それから第二位がニュージーランドで九%、以下南アフリカ、アルゼンチンという順番になっております。  綿花につきましては、これまた輸入依存度が一〇〇%でございまして、第一位はアメリカ、約三割でございます。二位がソ連、二二%程度でございまして、以下メキシコ、エルサルハドルという順になっております。  それから次は、木材でございますが、木材は、現在、輸入依存度は約六割でございまして、主要な輸入市場といたしましては、第一位がアメリカでございまして、二二、三%でございます。第二位がソ連でございまして、一七%、以下フィリピン、インドネシアと、いずれも一五%程度でございます。次に、鉄鉱原料の主たるものといたしまして鉄鉱石と原料炭を御説明いたしますが、鉄鉱石は、輸入依存度が九八%、第一位の輸入市場はオーストラリアでございまして、四八%程度でございます。続いてインド、ブラジル、チリと、こういう順番になっております。原料炭につきましては、輸入依存度が約八割でございまして、第一位の輸入市場はアメリカでございまして三八%、第二位がオーストラリア、これまた大体三八%程度でございまして、第三位がカナダ、こういう順番になっております。  以上、主要な産品についての輸入依存度を御説明申し上げました。
  22. 小野明

    小野明君 そうしますと、日本輸出の主要な相手国を御説明をいただきたいと思います。
  23. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 日本輸出の主要相手国でございますが、昨年度の例をとりますと、日本の総輸出の約半分が先進国に行っておりますが、それから発展途上地域に約四五%、残りの五%がいわゆる共産圏地域というのが日本輸出市場の構成でございます。先進国五〇%のうちの約半分がアメリカでございまして、二五%程度アメリカ輸出をされております。その次に、先進国市場で大きいのは、いずれもイギリス、西ドイツ、それからオーストラリア等が三%台でございまして、続いてカナダが二・五、六%と、こういうことになっております。発展途上地域は、先ほど申し上げましたように、全体で四四、五%でございますが、このうちで東南アジアが二五%、それから中近東が約五%、ラテンアメリカ、これが七、八%、アフリカが六%程度という構成になっております。
  24. 小野明

    小野明君 いまの御説明でもわかりますように、原料の輸入国が非常に片寄っておるといいますか、その輸入国から拒否を受けた場合には、全く日本はお手あげである、こういう状況がわかろわけでございます。そういたしますと、やはり特定の国から報復を受けるという危惧も、当然、心配しておかなきゃいかぬわけでしょうが、こういった輸出国は別としまして、資源の輸入国の多角化をはかっていくということがやはり重要な一つ課題ではないか、これはもう相手があること下すから、非常にむずかしい問題もあるかと思います。しかし、先進国が五〇%、途上国が四五、共産圏五%といったトータルからいきました場合に、やはり共産圏からの輸入の拡大といいますか、そういった問題も当然これははかられてしかるべきではないのかという気がいたすわけでございます。これらの点につきましてどういうふうな検討がなされ、対策をお持ちであるのか、こういつた輸入構造でよろしいとお考えであるのかどうか、その辺をひとつ、まあ政策課題であると思いますが、御説明をいただきたいと思います。
  25. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先生指摘の、日本は主要原材料あるいは食糧等の一次産品の輸入依存度が高く、かつ、それが特定の国に片寄っておるという事実は御指摘のとおりでございまして、私どもといたしましても、輸入を考えるにあたって、これをどうするかというのが非常に大きな問題と意識をいたしております。  まず第一には、御指摘のように、輸入の地域の多角化をはかっていく必要があるということが第一でございます。  それから第二は、やはりこれだけ海外依存をしておるわけでございますから、相手国がこれらの品物の輸出をとめる、つまり輸出制限をするというような事態を避けるように、先ほども答弁申し上げましたように、国際的な協調、あるいは国際的な場におきまして、やはりそういう意味での自由貿易確保ということに努力をしなければならないということが、第二のこれは政策方向ではないかと考えております。  第三には、主要な一次産品、原料、食糧等につきましては、単純なる売買ではございませんで、いわゆる開発輸入方式等によりまして、長期的な安定の確保をはかっていくということが必要ではないかというのが、第三の方向ではないかというふうに考えております。  それから第四には、共産圏のお話が出ましたが、共産圏地域との貿易は着実に伸びておりまして、四十八年度も前年度に対しまして四割以上、四二%程度の伸びを示しておりまして、着実な増加をしておりますが、私どもといたしましては、たとえば昨年、東欧地域に輸入の促進ミッションを送るというようなことで、こういう共産圏地域からの輸入につきましてもできるだけこれを拡大するような努力をしております。そういう努力も第四番目として必要ではないか、こういうふうに考えております。
  26. 小野明

    小野明君 それから、今回の為替変動保険新設が極端な輸出振興策であるという非難をしている向きも一部にございますし、まさにそのような心配もあるわけであります。その点の非難に対してはどのような御見解を持っておられるか、説明いただきたいと思います。
  27. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 為替変動保険につきましては、一昨昨年になりますか、いわゆるニクソン・ショックを契機として起こりました国際通貨の危機のあとに一九七二年、七三年とフランス、西ドイツをはじめ主要先進諸国がすべてこの制度の導入に踏み切っておりまして、日本が今回この制度を導入いたしますことが国際的な競争を激化さぜるということ、あるいはそういう非難があるとは私ども考えておりません。むしろ国際的に見まして、競争条件をそういう先に制度をとりました他国並みにするということと理解してもらえるのではないか、こういうふうに考えております。私ども今度のこの保険の運営あるいは制度の設置にあたりましても、あくまでもこの輸出保険法の中にございます、収支相償うような独立採算性で運用するたてまえでこの制度の仕組みを考えておりますので、決して政府輸出補助金を与えるというような、つまり、輸出振興策とは違うものだというふうに考えておりますし、またそういう運用、そういう制度の仕組みというものを組み立てております。
  28. 小野明

    小野明君 その保険の対象となる為替変動保険貨物とその保険料率はどのようになりますか。
  29. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 為替変動保険につきましては、いわゆる中長期の長い延べ払い債権、これを保険の対象にしたいと考えておりまして、今回の法案の中では、政令で定める期間以下の短い取引対象から除外をするというかっこうにいたしておりまして、私どもといたしましては、現在のところでは大体二年をこえる貨物でありまして、具体的に申し上げますれば、現在輸出代金保険の対象になっておりますようないわゆるプラント類あるいは船舶、鉄道車両等の二年超の延べ払い債権、それともう一つは、いわゆる技術提供契約、これに基づく債権、これを為替変動保険対象にしたい、かように考えております。  保険料率につきましては、現在いろいろな前提を立てて検討、計算をやっておりますが、諸外国の例を見ますと、大体〇・六、〇・七%というところが現在運用されている保険料率でございます。この水準につきましては、この輸出保険機構の世界的な国際的な組織でございますベルンユニオン、あるいはEC等の場におきまして、若干この保険料率では低いのではないかというような技術専門家の意見もあるやに聞いております。私ども日本の中長期の延べ払い債権の平均が大体六、七年のものでございますので、そういう六、七年の延べ払い債権というのを前提といたしまして、日本の円が今後どういうふうに動くかという前提をとりながらいろいろな計算をやっておりますが、現在のところでは、大体〇・八%程度の保険料率になるのではないか、かように考えております。
  30. 小野明

    小野明君 この際レートの見通しという点について、ながなかこれは困難な問題であろうと思います。長期はとてもむずかしいでありましょうが、ここ数年といった間のレートの見通しということが、当然、この保険を新設する場合には想定があると思うのですね。なければならぬと思うのですが、それらについてどのような予想を立てておられるのか、あわせてお尋ねをしておきたいと思います。
  31. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 外国為替相場がどういうふうに変動をする可能性があるかというのは、たいへんむずかしい問題でございまして、ここ一両年の間の動きを見ましても、いわゆるニクソン・ショック、スミソニアン体制後、従来の三百六十円が三百八円という円高のレートになりましたが、それが昨年フロート後は、二百六十円台のまた非常な高い円高相場が出てまいりました。しかし、その後の一年の動きを見ますと、徐々に円安になり、ことしの初めにはまた三百円近い二百九十円台の相場。そしてまた数カ月の動きのうちに、現在のように二百八十円を若干割りました二百七、八十円の相場ということで、わずかな間にも非常に上下の変動をいたしております。  私どもそういう意味で、具体的にここ何年かの間にレートがどう動くかという想定をいたしますのは、たいへんむずかしい問題でございますが、これには、レートというのは各国のそれぞれの通貨の相対的な関係、あるいはその国の国内経済情勢等非常ないろんな複雑な条件がからみまして、さらに、外国為替市場を通じましてのいわゆる心理的な要素も入りますので、なかなかここ近い間にどういうふうにどの程度の幅に動くだろうかということを申し上げるのはたいへんむずかしい問題でございます。  ただ、先生案内のように、この為替相場があまり大きく変わることは、それぞれ各国とも問題であるという点から、現在フロート下ではございますけれども、やっぱりフロート制度の運用に魅たって先進主要国は、このフロートの運用についての一つのルールをつくろうじゃないかというのが、現在通貨当局と申しますか、財政当局と申しますか、関係者の方たちの間に一つの大きな問題として取り上げられております。非常に大きな治替の変動があるとは私は考えません。通貨面での国際的な協調体制のもとに、その国の経済なり届貨の力を反映した範囲内での、いわば一つのフロートとは言いながら、秩序のある変動幅の中で上がったり下がったりしていくというのがこれかししばらくの間の動きではないか、こういうふう…考えております。
  32. 小野明

    小野明君 なかなかレートの相場がわからぬのでこの保険というものが考えられるわけでし芸が、いま国際的な場で、いまの変動相場、変動為替というものを固定為替のほうに移行していこうということに動いているのか、あるいは、当面はこのフロートをそのまま運用をしながら、どう、いまおっしゃるようにそう大きな変動幅を持たないような運用のしかたはないか、こういう検討をされておるのか、国際的な場ではどちらの方向検討されておるのか、また進もうとしておるのか、その辺もあわぜて見通しを伺いたいと思うのです。
  33. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 国際的な通貨体制と申しますか、通貨制度の改革につきましては、御案内のごとく、昨年ナイロビ総会におきまして今後の通貨改革のいわば基本的な方向というものが取り上げられました。本来でございますれば、ことしの七月を目標に新しい通貨制度を打ち立てようというのが主要各国の態度であったわけでございまして、その中では、従来のIMF体制のもとに取り上げられておりましたいわゆる固定相場制から、なまのことばを使いますとステイブル、つまり安定的ではあるけれども、しかしアジャスタブル、調整可能な平価制度を打ち立てようと、これは考え方としては固定相場でございます。しかし、情勢に合わせてアジャスタブルな制度をつくろうというのが基本的な考え方でございまして、また、特に必要のあるときはフロートも認めよう、こういう立て方になっておりました。  ただ、これが御案内のように、昨年のいわゆる石油問題、ことしに入っての大幅な石油価格の高騰によりまして、先進諸国すべて経常収支貿易収支面での大幅な赤字に当面するというようなことから、国際通貨改革のテンポというのは非常におくれてまいってきたというのもまた事実でございまして、当初の予定どおり、ことしの六月末あるいは七月に最終的な結論が出るとは私ども思っておりません。むしろ、いわばつなぎの措置としまして、現在のフロート制をいかにうまく運用して、将来あるべき国際的な新しい通貨体制、通貨秩序ができるまでの間、各国は国際的な協調のもとに国際的な秩序、取引を乱さないでやっていこうというのが現在の態度でありまして、先ほど申し上げましたように、したがって私は、しばらくの間現在のフロート制が続いていくと思います。しかし、このフロートと申しましても、各国自国本位で為替の切り下げをやっていくというようなことではなくて、主要各国の間で一つのルールのもとにフロートの運用がなされていくというのがここしばらくの体制ではないか、かように考えております。
  34. 小野明

    小野明君 次に進みますが、この為替変動保険の創設によりまして、御説明のように、プラントの輸出に伴う為替リスクの面では対策が講じられるようになりました。ところで、日本の産業構造についてはすでに方針も出されておりますが、省資源化あるいは知識集約化を進めるという基本的な方向が出ておるわけです。これらを進めると同時に、途上国との経済協力を進めてまいりますためには、やはりプラント産業の育成が必要だと思われるわけであります。で、これの今後の輸出の動向並びに対策を御説明をいただきたいと思います。
  35. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先生指摘のように、プラント輸出の振興と申しますか、これは将来の日本の産業構造あるいは輸出構造の問題、また、相手方から考えましても発展途上国の工業化の促進に寄与するという点から、私どもも非常に重要な問題であると考えております。一方、プラントの現実の輸出動きを見てみますと、昭和四十八年度におきましてプラント輸出はどのくらいかということでございますが、これは承認ベースで申し上げますが、五十万ドル以上の重機械類、しかも単体を除きました、いわゆるプラントとして集合されたものでございますが、これの輸出実績は四十八年度約二十二億ドルでございます。前年度が約十五億ドルでございますから、約七億ドル程度の伸びになっておりますが、全体の輸出金額の中では、四十八年度が三百九十七億ドルの輸出で、これは通関ベースの数字でございますので、全体の中では五・五%程度にしかすぎないというかっこうになっております。  それでは、そのプラント輸出をどうやって伸ばしていくかということでございますけれども、まず、プラント輸出の伸長をはかりますためには、一つは、日本といたしましては、ほかの先進諸国に比べましていわゆるコンサルティング機能と申しますか、あるいはエンジニアリング機能、こういう機能が若干弱体でございますし、特に企業といたしましても、そういう企業の存在が非常に微弱でございまして、そういう意味での専門的な企業を育てていくというのが一つ方向ではないかと思います。  それから第二に、プラント類は技術の集合であると同時に、やはり価格の面の問題もございます。特に昨年以来の国内の価格動向から、いわゆる先の価格の見通しがつかないということで、昨年暮れ以来現在に至るまでプラント輸出の契約実績というのは非常に落ちておりまして、したがって、価格が高い低いかの問題のほかに、やはり価格があまり動かない、安定をしているということが非常に必要ではないかという点が、第二の問題として考えられます。  それから第三は、私どもこの代金保険、今度の為替変動保険もまさにそうでございますけれども、将来長い中長期取引でございますので、将来の取引に対する不安を除去するという意味でのいろいろな環境の整備をはかっていくということが必要ではないか、かように考えております。
  36. 小野明

    小野明君 日本海外投資の伸びというのは、近年非常に目ざましいものがあるように見受けられます。海外投資が伸びてきておる理由というのは、外貨の余裕が一つはそのきっかけになってきたと思われますけれども、さらに根本的な問題は、過密あるいは公害問題等による国内立地の困難さ、あるいは資源の安定的な供給が得られないという問題、あるいは労働力不足という問題がその要因と考えられるわけであります。日本興業銀行の調査におきましても、八十年度末にわが国海外直接投資残高は四百二十五億ドルと予想をされておるわけであります。省資源、あるいは週休二日制等の高福祉社会化を進めてまいります日本経済発展にとりましても、長期的には海外投資による海外立地というのは不可欠なものだと思われるんです。  しかしながら、海外投資の急増によりまして、最初に質問をいたしましたように、総理の東南アジア訪問の際の事件に見られるような摩擦が生じてきておることも事実であります。同時に、国内では繊維産業あるいは中小企業が急激な逆輸入の増加のために困ってきておることも、また事実として受けとめなければならぬと思うんです。こういった事態に対処いたしてまいりますためには、従来のように一時的な国際収支面からの規制ということではありませんで、日本の将来に向かいまして長期的な展望に立っての政策が必要だと思われるわけでありますが、これらの点についてひとつ展望なりその方向づけというものを御説明をいただきたいと思います。
  37. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) ただいま小野先生指摘になられましたように、わが国海外に投資をいたします場合に、国際分業の推進、それから基礎資材の安定的確保といったような観点から、今後とも飛躍的な増大が見込まれることでございます。今後の経済運営におきまして、きわめてこれは重要な政策課題であると考えられます。しかし、この場合におきまして、海外事業活動が活発化することに伴って、先ほど言われました国際的な摩擦が生じやすくなったり、投資にかかる海外生産の増大による逆輸入によって国内の関連中小企業が圧迫を受ける、悪影響を受けるといったような事態が考えられますので、その点につきましては、極力回避するといった方向で、秩序ある海外事業活動が行なわれるように指導していきたいというように考えております。したがって、御指摘趣旨のように、通産省といたしましては、受け入れ国への経済協力わが国経済の健全な発展が両方両立いたしますように、長期的な観点から海外立地ビジョンの作成などを検討していくとともに、所要の指導をしてまいりたいと思っております。
  38. 小野明

    小野明君 ことばとしましては、なかなか言ちことはやすいように思われますが、実際にコマーシャルベースで行なわれることですから、私は、なかなかこれはむずかしい問題を含んでまいると思うんです。弱者切り捨てといいますか、そういったことになってはたいへんだと思うんです。そういうことから、この海外投資に関しまして通産政策の面から新たに法規制を行なうべきではないのか、こう思われるんでありますが、この点についてはいかがでしょうか。
  39. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 実は私、この間連休にオーストラリアへ行ってまいりまして、それでそこの総領事からの報告を受けたのでございますが、パプア・ニューギニアに行ってきたそうですよ、ずっと回って。帰ってきての報告なんですが、一番最初に彼が報告したのはやはりこの問題で、パプア・ニューギニアにどんどん日本企業進出してきて、投資をしたいという申し入れがある。どの企業がよくてどの企業が悪いのか全然判断がつかぬと言うんですね。何か日本政府のほうでそれを規制するようなことをやってもらえないかという強い要望があったと、こう言うんです。ただいま先生が何か法規制を行なうべきではないかということを言われましたが、私もそのときに、そういうことを、何か法規制でも行なわない限り、民間企業に対して日本政府がこれはよし、これは悪いというようなことの選択をするということは、これはどうも間違いであるし、やりようがない。何かこの法規制をやるのはいいのじゃないかと思いますが、そういった面からも必要がございましたら、もうすでに必要なんでございますが、検討していきたいというように私自身も考えておったところに、そういった御指摘を受けたわけでございます。
  40. 小野明

    小野明君 次に、海外投資保険付保率並びにこの運営の方針をお尋ねしたいと思います。
  41. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 海外投資保険付保率でございますが、昭和四十五年度から四十七年度までの三カ年をとりまして見てみますと、発展途上国向け、あるいは先進国向け全部を合わせました総合では、大体投資全体の一割程度がこの保険の対象になっております。発展途上国だけを取り上げてみますと、二三%程度というのが実績でございます。発展途上国の中を分けてみますと、国別に見ましてかなりの開きがございまして、中近東向けにつきましては四四、五%の付保率でございますし、東南アジアが約三割、こういうかっこうになっております。一方、先進国でございます北米等はほとんど、北米向けの投資については、この保険に付保している方は一つもないというようなのが実情でございます。  私ども海外投資保険の運用にあたりましては、一つは、投資先の経済情勢あるいは政治情勢について大きな問題があるかどうか。これはいわゆる保険会計、いわゆる保険屋としての立場でございます。  それから第二番目は、投資の受け入れ国、投資の相手方がいろいろな海外投資の受け入れについてのいろいろな規制あるいは助成策をやっておりますが、それに関係をいたします必要な許可でございますとか、承認とかというような手続を全部終わっているかどうかという点のチェックが第二でございます。  それから第三は、日本海外投資の健全な発展に一体資するかどうかというチェックもやっております。具体的に申し上げますれば、著しい娯楽だけを目的とするようなものであるとか、あるいは投機的な色彩を持っているようなものでございますとか、あるいは武器製造をやるようなもの、こういうものは投資保険の引き受けは当然引き受けない。そのほかに最近といたしましては、いわゆる公害問題等を向こうで起こすというようなおそれのあるものについては、こちらから持ってまいります投資計画、特に設備計画等についての必要な助言、指導をするというようなこともあわせて行なっております。
  42. 小野明

    小野明君 これで最後ですが、今回の海外投資保険拡充のモデルになりました融資買鉱にかかわる海外投資保険の実績及び今回の対象品目を御説明をいただきたいと思うんです。
  43. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 現在のいわゆる融資買鉱保険と申しますか、海外投資保険の中で融資買鉱対象にいたしました制度が現在の制度でございますが、これの実績は四十九年の四月現在で六つございます。六プロジェクトでございまして、保険契約といたしましては二十三件契約をしてございます。付保対象の投資総額は約四百八十億円になっております。ただ、これはすでに保険契約を締結したものでございまして、そのほかに申し込みを受けたものもございますので、これを含めますと全部で十四プロジェクト、三十三件でございまして、投資総額は約千四百億程度になっております。  それから今回、融資買鉱、つまり鉱物だけが従来対象でございましたが、鉱物以外に対象を拡大するということで今回の法律案の御審議をお願いしているわけでございますけれども、その対象といたしましては、第一条の二を改正の中で、「鉱物、木材その他の政令で定める貨物」といたしております。私どもが現在考えておりますのは、鉱物、木材のほかに、綿花、羊毛、といったような繊維原料、あるいは食肉、魚、大豆というような、一言で申し上げますれば国民生活あるいは日本経済にとって非常に重要なものを対象にしたいと考えておりますが、具体的には、この対象にすべきかどうかというような具体的なケースがはっきりいたしましたときに、主としてこれは農林物資でございますので、関係庁とも相談の上政令で指定をしていきたい、かように考えております。  なお、今回はそういう貨物の生産だけではございませんで、加工をも含むということに法律案の原案をつくってございますので、たとえば木材でございましても、木材の植林とか、あるいは伐採ということだけではございませんで、それを原料にいたしまして、たとえばパルプをつくるというようなものも今回の保険の対象にし得るという制度にいたしております。
  44. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまの小野君の質問で、今回の輸出保険法改正、これはまあ変動相場に伴ってこういう改正をすることになったんですが、この貿易振興対策はとらないという御答弁がありましたけれども、いままで日本は成長政策で、まあどんどん産業第一主義、輸出第一でやってきたんですね。その結果ドルが過剰になった。二百億ドルぐらい近くまでいって、国際的な外圧もあり、まあ円切り等も迫られたわけですけれども、それで今後この貿易をどういう方向へ持っていらっしゃるのか。  まあ先ほどもお話がありましたように、日本は資源がないし、品物をつくって外国に輸出して石油あるいは食糧等を輸入ずる、こういうことにたっておるわけですからね。で、石油輸入にいたしましても、原油が一バーレル十ドル前後になった。それで、今日までのような石油の消費量を値いますと、大体二億四千万キロリットルぐらいだと、こういうような通産大臣の答弁もありまし%が、大体石油だけで百五十億ドルぐらいのお金武要るんだと。ですから、またあなたが先ほどおっしゃったように、食糧等も相当買わなきゃならぬ。大豆も小麦もトウモロコシもほとんど九〇%は輸入にたよっている、こういう状態ですが、今後どういうような方向貿易を持っていくのか。また貿易の量は、経済見通しも出ておりますけれども、どうなるのか。さらに、外貨の保有高というのはどの程度が適切なのか。その辺のところを、総括的でいいですよ。これは質問、別に通止しなくてもいいでしょう。
  45. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) たいへん大きな問題でございますので、私からお答え申し上げるのはいかがかと思いますが、先生指摘のように、昭和四十八年度には、貿易収支も昨年の昭和四十七年度の八十億ドルをこえます黒字から一転いたしまして十分の一、八億ドルちょっとの黒字ということで、非常に黒字幅が縮小をいたしました。一方、長期資本収支も非常に大幅な赤字で、年間では総合収支で百三十億ドルをこす赤字になりました。昨年初めには、累積しました黒字をいかにして減らすかというのがむしろ政策目標でございましたのが、昨年の特に秋以降は、むしろ国際収支を別の面から考えなければならぬと、こういう事態になっていることは事実でございます。  一方、今後の貿易にからみまして、やや長期的な問題と短期の問題と二つあると思いますが、やや長期の問題といたしましては、先ほども申し上げましたように、日本は何といたしましても物を出して、それで必要な金をかせいで、非常に輸入依存度の高い原材料なり食糧等を輸入をしなければならぬということで、世界各国があるいは輸入を制限する、あるいは輸出を押えるというような非常に保護主義的な方向、あるいはそれが別の意味でブロック化をするというようなことは、日本の国益という観点から一番まずい事態でございますので、日本としては、第一には国際的な協調のもとに、現在あります自由貿易考え方というものをあくまでも守っていくということが日本の国益を守る第一の方策ではないか、その意味での国際協調ということに、従前以上に力を入れていく必要があるのではないかと私どもは考えます。  それから第二は、日本輸出の現状を見てみますと、総輸出額の中で非常に大きくお金をかせいでおりますのは、現在、鉄鋼と船と自動車と、この三品目で約三五%の輸出をかぜいでおりますが、将来の長い目で考えますと、日本輸出構造もやはり変わっていかないと、必要な外貨というのはなかなかかせげない。輸出構造を変えますためには産業構造の変化と申しますか、改革が必要なので、将来どういうかっこうに日本の産業を持っていくかということは、具体的に詰めていかなければならない事態ではないかと思います。  第三番目は、若干今度は短期的な問題になりますけれども、このような世界各国先進国も含めまして非常に国際収支問題に悩んでくることになります、当面をいたしております。そういたしますと、従来から日本輸出商品につきましては、いわゆる市場問題というのが各国いろいろなところで起こっておりますので、そういう問題を引き起こすことはこれはたいへんでございます。したがいまして、輸出のいわば秩序を保っていくということに、従来にも増しましてここしばらくの間非常にこまかい神経を使っていく必要があるのではないかと考えております。  それから次には、先ほども御答弁申し上げましたように、石油を持っていない発展途上国というものは、今回の石油問題を契機に非常に大きな影響を受けたわけでございまして、日本輸出の伸長ということにこれをからみ合わせまして、やはりいわゆる経済協力というものを従来以上にも増して考えていく必要がある。そしてこの経済協力と結びつけて、日本の必要なものを出し、輸出市場をそういう意味での確保をしていくという考え方をあらためて検討してみる必要があるのではないか、こういうふうにも考えております。  本年度の輸出は、御案内のように、最近非常に好調でございまして、前年対比約五割ぐらいの伸びを示しております。したがいまして、輸出自身の先行きは今年もかなり強いと思いますが、これはむしろ数量と申しますよりも国際的な価格の値上がりから、価格要素が非常に強いかっこうになっておりまして、現在のような高い水準が年間続くかどうかは別でございますが、当初政府が持っておりました四十九年の通関ベースで四百八十億ドルという輸出見通し、これを上回ることはほぼ確実であろうと思います。業界の関係団体、調査機関の見通し等によりますと、すべて五百億ドルはこえる。大きな見通しでは五百三、四十億ドルという説もございますし、いずれにいたしましても、今年は価格要素を中心輸出はかなり伸びると思います。  しかし、一方輸入のほうは、石油代金の値上がりを中心に原材料等は現在数量的には非常に落ちついておりますけれども、単価の値上がりはかなりございますし、ただいま御指摘のように、食糧その他はこれは景気いかんにかかわらず着実に伸びるものでございますし、昨年ほどの値上がりはないにせよ、これはかなり伸びまして、これまた政府見通しの約五百三十億ドル程度輸入規模をこえることは確実でございまして、現在私どもとしましては、来月、六月一ぱいぐらいにこの輸出入の見通しをはっきりさしたいと考えておりますが、数字は別といたしまして、今年は、やはり国際収支という面から見ますと、輸入があまり大きく伸びないように、モデレートな伸びをしていくことを期待をしたいと思いますし、輸出は、先ほど申し上げたような市場問題を起こさない範囲で、できるだけ輸出でかせいでいくということが必要ではないかと私は考えております。  なお、外貨保有高につきましては、現在百二十億ドルをこえる外貨保有がございますし、貿易収支の動向のみではなく、特に長期資本収支に対する本年度の政策運用が問題でございますが、私は、まだまだ日本外貨事情は、いわゆる問題点の点までは来ておらぬと。じゃ幾らがいいかということは、これはいろいろ議論がございますけれども、いろいろな見方がございまして、はたして何億ドルがその最低ラインか、あるいは必要なラインかということについては、ちょっとここで御答弁を申し上げるような具体的な数字を持ち合わせておりません。
  46. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、この為替変動保険の創設につきまして、すでにもうヨーロッパ諸国におきましては、七一年の十二月のスミソニアン体制の成立後、相次いで為替変動保険を創設をしているわけです。そしてそれなりの成果を上げているわけですが、わが国はいまごろ法案を出してこれからということですが、なぜ今日までおくれたのか、何か理由があったのか、その辺のところをお伺いしましよう。
  47. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 今回御審議をお願いしております為替変動保険制度、御指摘のように、フランスはたしか一九七二年の初め、それからオランダ等も少しおくれましたが、一九七三年のたしか暮れからこの制度を動かしておりまして、先進諸国七カ国ほどが日本よりも早い段階でこの保険制度を導入しておりまして、その意味では、ただいま御指摘のありましたようにたいへんおくれてしまったわけでございますが、この理由一つといたしましては、日本は、こういう保険制度を持っておりますほかの国に比べまして、いわゆる外貨取引をしておる比率が非常に高い国でございます。現在、全輸出で見ますと、いわゆる円建て、自国通貨建てというのは七、八%程度でございまして、なお、この変動保険の対象にないいわゆるプラント類、これは若干円建ての取引額が多うございまして、最近急激に伸びてまいりまして、たしか昨年は五割程度になっていると思いますが、それにいたしましても、諸外国に比べますと自国建ての取引が非常に少ないということでございまして、為替変動保険という制度を考えますにあたりましては、それだけ事故が起こりましたときに非常に大きなリスクが保険機関にかぶってくるということが一つございます。そういう点から、保険制度の仕組みなり料率をどう考えるかというようなことにつきまして、私ども通産当局としましてはかなり前からこの制度の研究はしてきておりましたが、こういう結論が出るまでには、政府部内の意見統一が出るまでの間には、ただいま申し上げましたような理由から若干時間を要したという経緯でございます。
  48. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、いま答弁に出ましたプラント輸出のことですが、これは小野君からも質問がありましたが、この輸出がだんだん非常に停滞をいたしまして国際競争に相次いで破れている、こういうような現象が出ておりますが、今後こういうプラント輸出見通しをどう考えているのか。  それから、このプラントの輸出において輸銀の使用は、金利が五・五%から八・五%と聞いておるわけですが、この範囲内で、プラントの種類や輸出されるプラントの国際競争力の強弱、あるいは各国の利率等とのバランス、国内金融の引き締め状況、その他いろいろな条件で金利が決定をされるわけですけれども、中小企業の場合多少配慮していただけるのか。最近は非常に金融も締まっておるわけですし、非常に苦しいようなときに、これからまた輸出も考えていかなければならぬ、こういうときに、その中小企業輸出対策としては多少配慮があるのかどうか、その辺いかがですか。
  49. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) プラント輸出は、先ほど御答弁申し上げましたように、昨年四十八年度では二十二億ドル程度ということで、全輸出の五・五%程度、まだ非常に比率も少のうございますし、金額としても少ないわけでございますが、私どもといたしましては、日本の将来の輸出構造というものを考えましても、あるいは受け入れ国、特に発展途上国の工業化の促進に役立つというような観点からも、ぜひこれは大幅に伸ばしていきたいという考え方を持っております。プラント輸出につきましては、いろいろな政府の助成というと語弊がございますが、この輸出をささえるいろんな制度がございますが、ただいま御指摘ございましたように、輸銀で金融的な裏打ちをする、これにつきましては、大企業、中小企業という規模別には別に、特別の小さい規模だからといって優遇はございません。  現在、プラント輸出に携わっておりますいわゆる大企業とその他の中堅中小企業の比率を見てみますと、件数ベースでは、件数では全体の二割程度まで中堅中小企業の方がこのプラント輸出に携わっておられるという実績が出ておりますが、金額で見ますと五%ちょっとということで、やはり結果的には、プラント輸出は大きな大企業が取り扱っておるというのが事実でございます。ただ、先生案内のように、プラント輸出で輸銀への融資申請をする、あるいは輸出の許可を政府に提出するその申請者は、かりに大きな企業でございましても、若干大きなプラントになりますと、このプラントの輸出にかなり多くの企業が参加をしておりまして、融資の申請者なりあるいは許可の申請者が大きいからといいまして、全部大企業が扱っておるというわけではございませんで、実質的には中堅中小企業の方のプラント輸出に携わっている率は、実際的にはかなり高いのではないかと私ども考えております。  プフント輸出の振興と申しますか、輸出には、金融問題のほかに、私どもが持っております代金保険による代金回収が不能であった場合の保険的なバックアップがございますし、今回の為替変動保険も、プラント輸出の振興には、いわゆる中長期取引の安定という観点からこれをバックアップをしていく制度である、私どもそういうふうに考えております。
  50. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ最後に、このザイール共和国のわが国企業国有化につきまして、新聞等の報道もあったわけです。それは去る五月の二日、中央アフリカのザイール共和国が、日産自動車と東洋工業がそれぞれ一〇〇%出資をしている現地販売会社「ザイール日産」と「ザイール・マツダ」を国有化接収したあと、全資産をザイール企業に譲渡するような通告をしてきた、まあこういうような新聞報道もあるわけですが、それが四日のザイール共和国の大統領声明で、そのようなことはない、昨年行なわれたザイール政策にはひっかかったものの、日本現地企業国有化すると主張されたのは誤りであると訂正をされた。ですからこの問題につきまして、通産当局としてはどの程度まで事実関係をつかんでらっしゃるのか、ザイール共和国の現状とあわせてお伺いしたいと思います。
  51. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ザイール日本との関係でございますが、ザイールとの間では、私ども、一九七〇年の十一月に貿易取りきめをもちまして、貿易は現在日本輸出が昨年で約二千七百万ドル、輸入が八千万ドルという関係になっておりまして、主要な輸出品は、ただいまお話ございましたように、自動車等も含めました機械、鉄鋼、繊維品等を出しまして、向こうからは銅の鉱石、それから銅の合金あるいはコバルトといったいわゆる鉱産物の輸入をするという関係でございますし、なお円借款も、一億一千万ドル程度の円借款を供与している間柄でございます。  今回のいわゆるザイール化の政策でございますが、これの経緯を若干申し上げますと、昨年の十一月の三十日にザイール共和国のモブツ大統領が、外国人の商業活動分野のザイール人化ということの布告を出しました。その内容といたしましては、政府の命令によりまして、現在外国人によって行なわれておる商活動ザイール人に譲渡をさせるというのがその内容でございまして、この布告によりまして、ただいま御指摘のような日本から自動車の輸入販売業、向こうでの輸入販売業として進出をしておりましたザイール日産と申します、これは日産と住友商事が一〇〇%の出資をしておる会社でございます。もう一つマツダ・ザイールと申しまして、東洋工業と伊藤忠が一〇〇%出資をしております。この二社に対しまして、この布告に該当するということで、いわゆるザイール化の方策がとられることになりました。  ただいま御指摘のように、これは決して国有化ではないんだというザイール側の意向が伝えられております。私どもといたしましては、ザイール政府に対しまして、この商業部門ザイール化ということの適用除外をぜひしてもらいたいという態度をとってまいりましたし、業界、関係の二社も商業活動ザイール化ということを避けますために、向こうでいわば生産活動もしたいという申請をいたしました。これは、もう向こうは一ぱいであるという理由で、向こう側政府から不許可になったという経緯もございます。いずれにいたしましても、現実にはこういう動きが受けられませんでしたので、現段階の立場といたしましては、いわゆる国際法の精神にのっとりまして、このザイール化に対し適正でかつ効果的な保障が得られるように、先方政府に要請をしておるというのが現段階でございます。  その後の経緯を見ますと、マツダ・ザイールのほうはこの商活動現地会社の譲渡先でございますアズダという、これはザイール政府が一〇〇持っておる会社でございます。ここと五月の初めにこの会社の譲渡、それから代理店契約、今後の日本からの供給に対します代理店契約、これについておおむね基本的な合意に達したというふうに私どもは聞いております。ただ、今後ともこらいったケースはだんだん空気として出てくる可能性も私ども考えて心配はしております。日本としては、そういう発展途上国と申しますか、側の政策、これをなるべく避けるようにいろいろな努力をしていく必要があると思いますけれども、やむを得ない場合には、先ほど申し上げましたように、譲渡にあたりまして、いわゆる国際法にのっとって譲渡が円滑に行い得るように進出企業をバックアップと申しますか、指導をしていぎたい、また、必要があれば先方政府とも意見の交換を進めていきたい、こういうふうに考えております。  なおそのほかに、日本はこのザイール化が、先ほども御答弁申し上げましたように、いわば海外投資の中で広い意味での国有化と申しますか、の初めてのケースと言って差しつかえないわけでございますが、先進投資諸国はいろいろないままで経験も持っておりますし、そういう意味での情報機能、情報網等も持っておりますので、先進国との情報交換というようなことにもっとめていかなければならないんじゃないか、かように考えております。
  52. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時五十四分休憩      ―――――・―――――    午後一時十六分開会
  53. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員今を再開いたします。  午前に引き続き輸出保険法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  54. 須藤五郎

    須藤五郎君 天然資源の恒久主権や国有化の権利などは、植民地主義的な経済支配に反対する盤展途上国、資源産出国などの譲れない原則であると私は考えます。もはや日本政府といえども、これを認めないわけにはいかなくなっておると私は考えます。ところが輸出保険法では、いわゆるカバーする対象としまして、国有化などの政治的危険をあげておるわけです。このような危険をカバーするということは、発展途上国などの植民地主義や経済支配に反対する動きに抵抗して、万一国有化や収用などがあっても、大企業などが損をすることなく安心して海外進出をやることができる、また、進出を促進することになると考えます。すでに日本企業海外進出は、東南アジアをはじめ各地で非難を浴びております。そのような企業の政治的危険を保険によってカバーしてやる必要は私はないと考えるのですが、そこはどういうふうに政府当局は考えていらっしゃるか。
  55. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先生指摘の、天然資源についての固有権と申しますか、権利というものについて、特に最近、天然資源保有国、主として発展途上国でございますが、で非常に強くなってまいりまして、今回開かれました国連の資源総会におきましても、これが非常に大きな論争、問題点の一つであったことは、私ども十分認識しております。ただ、まあこの天然資源をだれが持ち、だれが所有し、だれがこれを利用するかという問題、私も率直に申し上げまして専門家でないので、法律論としての問題点については十分お答えできませんが、それと、それからこの輸出保険法が、保険の対象といたしまして、海外投資保険の中で、海外投資にからむ政治危険、あるいは広く申せば非常危険でございますか、これを保険の対象にしていることとは若干私は違っておるのではないかと思います。もちろん、固有権と申しますか、資源に対しての権利の主張ということはあるにいたしましても、現実のいまの動きを見ますと、この資源を保有国の意思に反して、いわば資源収奪型に持ってくるということは、これはわれわれとしても大いに避けなければならぬことでございまして、むしろ資源国との協調、資源国との話し合いのもとに、資源国の持っておりますいろんな政策に合わせましてこの資源を開発し、日本の必要なものを提供してもらうということが必要だろうと思います。  いずれにいたしましても、現在のこの資源の獲得の方法としましては、海外に参りまして、ここでいわゆる合弁企業形態をとるとか、あるいは長期資金の供与をいたしまして、長期に安定してこれを持ってくるということは、また日本の立場から見ても必要なわけでございます。確かにこれをやっておりますのは、非常に多くが大きな企業でございますが、保険法が投資保険対象にしておりますのは、別にこの資源ばかりでございませんで、海外の製造事業等に関する投資もこれは対象でございまして、最近は特に中小中堅企業の製造業部門における進出と申しますか、海外立地というのが非常にふえておりまして、昨年などでは、数の上から申しますと三分の一ぐらいが中小企業海外投資動きだろうと思います。これは資源獲得という問題のほかに、最近の日本企業が民間ベースでも労働力の問題、あるいは市場と申しますか、輸出市場確保の問題等々いろんな動機から出てくると思います。出て行かれる方が、もしもの場合にございますいわゆる広い意味での国有化、あるいは戦争その他の非常危険に対して、最悪の場合に保険というもので担保をしてもらうということは、私、制度としては十分意義を持っていることではないか、こういうふうに考えております。
  56. 須藤五郎

    須藤五郎君 私がいま言ったことは、要するに、資源の恒久主権の方向にいま世界じゅうずっと動いているということを申したわけですが、そのときにいろいろな問題が、その問題が起こった場合に損失を受けるということをこの保険法でカバーしていくんだ、こういう意味の法案ですね。だれも、一国の主権を侵すような意味でわれわれは出かけるんだということは口にはしないと思うのです。そういうことは口にはしないと思うけれども、そういう危険があるということは、もうこれは世界の常識になってきていると思うのです。そのときに、そういう危険をカバーするためにこの法律をつくりました、こういうことになれば、業界は安心して出かけなさい、そういうことがあったら政府が補償しますよ、こういううしろだてになるわけですね、業界の進出の。うしろだてになるということは、やはり世界のそういう気持ちに反対の方向を示している、こういうことになるというのが私の論拠なんです。確かにそういうことになるんじゃないですか。危険がないと思えば、業界はもうけになるなら出て行け出て行けで出て行きますよ。ということは、向こうの気持ちをやはり認めないということになると私は思うんです。だから、もっとやり方はあると思うんです、こういうやり方にしなくてもね。そこを私はお尋ねしているんですが。
  57. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 先生のおっしゃいますことはわからぬではないんですが、ちょっと混同しておるような向きを感じるんでございます、たいへん失礼な言い分でございますが。進出する企業向こうで主権を侵すようなことをやるということと、進出企業に対してこの保険をつけるということとは一応別個の問題だと思うんですね。性質の違う問題だと思うんです。安心して企業進出できるということは、主権を侵すことにつながることではないわけでございまして、主権を侵す危険はそれはそれとして、われわれ通産省といたしましてもチェックしていかなくちゃいけない。しかし、進出する企業はすべて主権を侵すというように考えるのは飛躍があるわけでございますから、進出企業が安心して海外で働けるというようなことに対しては、政府としてこれまた何か保護政策をとる必要があるというように分けてわれわれは考えるのが当然ではないかと思うんでございます。同時に、こういった保険は先進国では日本だげではなくてたくさん、これはみなかかっておる。むしろ、日本はおくれてこういった法律がいま審議されておるわけでございますから、その点ひとつ誤解のないようにお願い申し上げたいと思います。
  58. 須藤五郎

    須藤五郎君 私は、だからちゃんと断わりがしてあると思うのですね。どの企業でも向こうの主権を侵害するのが目的で行っている、そこまでは私は言ってないわけです。しかし、いざというときにもう予定がされているわけです、この法案の中にね。政変が起こったり、いろいろして企業が損失を受ける場合にはこの保険で救済するぞということになっていますね。そういう心配をこの法律がカバーするということは、逆に回せば、お前ら心配ないぞ、だから、どんどん山て行ってやりなさい、こういうことになる。そうすると、企業というものは、心配がなければもうけるときはもうけてこようというので出かけていく。その結果が向こうの主権を侵しかねない。侵す結果になるんじゃないか、そういうことを私は言っているので、最初から主権を侵すのが目的でございますといって出かける企業はない。そこまでは私は言っていないわけです。しかし、結果的にそういうことになるんじゃないか。そうしてこういうことが、お前ら、損したらカバーしてやるという法律までつくって日本企業にうしろだてをしていくということは、相手国から見た場合、やはり私はいま言ったようなふうに理解するだろうと思うんです。日本企業はどんどん出てくるけれども日本政府法律でちゃんと保護されているのだ、われわれの主権を侵害して、そうしてわれわれから反発を受けたときでも、日本企業はちゃんと政府の機関によって守られているのだというふうに相手の国が理解するだろうと思うんです。私たちは相手の国の立場に立っていま申し上げているわけですね。そういうことは国際的におもしろくないのじゃないか、こういうことを言っているわけです。
  59. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 天然資源に対します恒次主権論というのは、先ほど申し上げましたように、最近非常に国際的にも問題になっておりまして、今後国際的に見て法律論としてどういう展開がされますか、私も実はこの点につきましては専門家じゃございませんのでわかりませんが、現実を見ますと、こういう天然資源に対する恒久主権論というのが考え方として強くなったと同時に、反面、具体的には、天然資源国と申しますものは開発お金はない。外国からやはりこれを開発するために必要な資金は導入し、あるいは技術は導入し、そうしてそれを開発するというのが現実の姿でございまして、そうなりますと、そこで国際的な合弁、あるいは海外投資ということが起こってくるわけでございます。そういう意味で、やはり非常の場合にそういう非常危険を担保するという制度を国として持っておるということは、私は十分意義があるのではないかということが一つでございます。  ひるがえりまして、日本の立場というものをとりましても、先刻も御説明申し上げましたように、一次産品、これは農産物あるいは鉱産物を問わず日本海外に大部分を依存しているわけでございまして、やはり、こういう資源の長期的な安定の確保ということは日本の立場としてぜひ必要なわけでございまして、もちろん、ただいま御質問にもございましたように、あるいは楠政務次官の御答弁にもございましたように、相手国の立場、資源保有国の立場、これを十分に尊重し、向こう側政策というものも十分に理解をし、十分な話し合いの上に両者納得のいくかっこうで、わがほらから見れば長期的な資源の確保、相手方から見れば、そういう持っております資源の開発というものを進めるということが起こってくると思いまして、その場合、やはり非常危険が出たときに、国がある程度制度としてこれをカバーをしてやるということは、そういう意味での意義はあるのではないか、私そういうふうに考えております。
  60. 須藤五郎

    須藤五郎君 そのものの考え方、それはやはり自民党的なものの考え方であり、私たちの言っている考え方、これは共産党的だと言えば共産党的であるかもわかりませんけれども、私たちは現在、この考えが実際に国際的だと思っているんです。そうして今後、こういう考え方がどんどんと世界じゅうに大きくなっていくものの考え方だと思っておるのですね。先ほど政務次官は、よその国でもどんどんやっておるのだ、日本はおそきに失しているのだというようなことをおっしゃいましたけれども、もうよその国はこれからそれをだんだん整理して、やはり天然資源の主権というものは、相手があるんだというところから、こういう行為はだんだんやめていこうという傾向に私はあると思うんです。やめざるを得ない傾向が今日起こっていると思うのですね。そのときに日本が、こういうことをおそきに失したと言う。まあやらなければいいものをあと追っかけてやっていくというところに、自民党的なものの考え方があるというふうに私は理解するわけです。これは皆さんの考えと私たちの考えとは平行線といいますか、どうもかみ合わないようです、いまのところ。だから、これは意見をたたかわしても時間がむだになるだけだから、この点はやめにしておきますけれども、私たちはそういうふうに考えておるということを申し上げておきたいと思います。  それで、少し例を述べてまいりたいと思うのですが、すでにザイールでは、外国人商活動ザイール化に関する法令ができまして、その法令によりましてマツダ・ザイールザイール日産はザイール化されたと聞いておりますが、この国に対しては銅の開発などでもかなりの日本の資本が投下されております。日本の会社が収用されたのはこれが初めてと聞きますが、石油の例をとるまでもなく、このような国有化、民族化の動きは今後広まっていくだろう、そういうふうに私は考えます。このような場合、輸出保険によってその損失を補償してやっていたのでは切りがなくなる、また、その点において安心を供与することは現地から非難を浴びている経済進出といいますか、経済侵略を促進させることになるではないか。ザイールの場合、東洋工業、伊藤忠、日産、住友商事など、日本の大手のメーカの出資だったようでございますが、このような大企業経済進出政府輸出保険という形でそのしりぬぐいをしてやる必要はないんではないだろうか、こういうふうに私は考えますが、政府はどういうふうにお考えになりますか。
  61. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいまザイールにおきますいわゆる広い意味での国有化――ザイール共和国政府は、これは国有化ではなくて、いわゆるザイール人による商業部門活動、所有と申しますか、というふうに言っておりますが、ただいま御指摘ございましたように二つの会社、ザイール日産とマツダ・ザイールというこの二社が今回この対象になったわけでございまして、まあそのほかにザイールに対しましては御指摘のように、銅の開発その他で若干の会社が日本から出ております。今回のこのザイール政府によってとられました措置に対しましては、これは、保険の対象になっておりますものは、輸出保険法の現在の事故事由に該当するのではないかと私どもは考えておりますが、もしそうでございますれば、われわれとしては保険でカバーをしてやるという方向をとっていきます。これはザイールということのみならず、先ほども御答弁申し上げましたように、海外投資を別にこれによりまして無理やりに押し出していく、私どもそういう考えはございません。  輸出保険法自身が、これは一国のそういういわゆる輸出の振興策というかっこうではもうございませんで、現在、主要輸出保険機構が、国際的にも御案内のように、ベルンユニオンという場をもちまして、二十四カ国、三十機関の輸出保険機構が一緒になりまして、国際的にいろいろな問題の検討をやっておりますし、OECDその他の国際的な舞台におきましても、まあいろんな面で、つまり、政府によるこういう輸出に関するいろいろな政策の調整をやっておるわけでございまして、私ども決してこれによって日本が、政府がしり押しをして海外投資を促進をさせておるというふうにはとっておりません。あくまでも保険という範囲の中で、事故が起こったときにこれをカバーしてやるという制度でございます。民間側の判断で保険の対象といたしまして付保いたしましたものに対しては、その事故が起こった場合には、これを法律に従っててん補してやる、こういうことで運営をしていきたい、かように考えております。
  62. 須藤五郎

    須藤五郎君 このザイールの場合、東洋工業と伊藤忠、日産、住友商事ですね、これが向こうザイール政府によって統合されちゃうわけです、収用されちゃうわけですよ、こういう会社ね。そういう場合に、日本の大手メーカーの出資によったそれは、この輸出保険でカバーされるということなんでしょう、そうでしょう。
  63. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先生のただいまの御質問につきましては、これが輸出保険の現在の海外投資保険の事故事由に該当いたしますれば、私どもといたしましては、必要な保険金の支払いを行なうことになります。  ただ問題は、現在このザイール化の措置がとられたことに伴いまして、ザイール日産及びマツダ・ザイールが、それぞれ政府の指定をいたしますザイール側のいわば事業の引き渡し先と民間べースの話をしております。これは引き渡しをいたしますいろいろな条件がございますから、これについての話し合いをやっておりまして、もしこれで適正な補償が、かつ時期的に見ましても適正な時期に支払われると、つまり正当な対価が、補償があって支払われるということになれば、これは保険事故になりませんから、その場合には保険の事故として保険金を支払うということはないと思いますので、現在その民間ベースでの譲渡についての話し合いを見守っておるというのが現状でございます。
  64. 須藤五郎

    須藤五郎君 ザイールはこれらの会社を接収しますね。そうすると、それを日本政府が補償するという法律をつくることに対して向こう側はどういう気持ちを持つかという点なんですね。そしてやはりそういう補償がされれば、これから日本の商社はどんどんと出かける。損があった場合は国が補償してくれるんだ、こういう安易な気持ちでどんどん出かけていくという結果をつくるだろうし、そしてそういうことがなされた場合は、相手の国はどういう気持ちを持ってこれを迎えるかということですね。やはり海外進出日本政府がどんどんとプッシュしているんだと、そういうふうに向こうの国は受け取るのではないかというのが私の言い分なんですね、どうですか、それ。
  65. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) まず第一のザイールの問題につきましては、実は今回の改正の問題でございませんで、現実に制度としてもうすでにございます海外投資保険制度の運用の問題でございますので、新しい制度改正の問題ではないというのが第一点でございます。  第二点は、先ほども申し上げましたように、保険が事故が起こりましたときに保険金を支払いますのは、それが事故として確定したときでございまして、もしザイールのこのザイール化の措置に伴いまして、現在持っておる日本の二社と相手方の事業の引き渡し先との間で適正な補償が適正な時期に行なわれるということになれば、これは保険事故にはなりませんので、私どもとしては保険金を支払うということはございません。問題は、こういういわゆる広い意味での国有化という措置がだんだん出てきた場合に、一体保険としてどういう態度をとるかという問題でございますが、これはまた別問題でございまして、非常にあぶない地域、保険という立場から見て非常に危険な地域というものには、あるいは投資保険の引き受けを停止をするというような措置も、これは別の問題として私どもとしては考えなければならぬ問題が一つございます。  それから第二は、保険の問題を離れまして、日本としては最初のいわば広い意味での国有化というものの事態に直面をしたわけでございます。これは先生指摘のように、今後資源ナショナリズムの高揚、あるいは先ほどの天然資源に対する恒久主権問題というようないまの空気からしまして、こういう傾向はだんだん出てくると思います。そういう意味で、私どもとしましては海外投資、特に資源問題に対する海外投資については、より従来以上に相手方との十分な話し合いを、必要なら政府間の話し合い等も必要だと思いますし、それから、こういう海外投資に関します二国間、あるいはもっと広い国際的な舞台での海外投資に関する一つのルールと申しますか、これは資源保有国も含めた話し合い、こういうものも検討してみなければいけないんじゃないか、こういうふうに考えております。
  66. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういう海外経済援助というもの、それはこういう形でしなくって、やはり国と国との立場に立って、いわゆるひものつかない海外援助資金を出していく、こういうことが私は一番好ましいやり方だと思っているのです。これはまあ次の機会に質問する金鉱法、この中にもこれと同じような性格が出てくるわけなんですね。それがやってないために逆になるような感じもするのですが、だから、そのときはまたそのときで、この問題について質問をしてまいりたいと思っておりますが、やはり私たちの考えておるようなことが将来起こってくるという懸念がありますし、海外からそういう非難を受けるときがやがて来るんじゃないか、こういうふうに私たちは見ているわけなので、これも私たちの――皆さんは共産党の意見だとおっしゃるかしれませんが、後日のために私は一言申し上げておきたいと思います。  それから、次の質問に移りますが、現在、南アフリカ共和国に対する輸出や投資に対しまして輸出保険は一体どうなっておるのか、こういう点……。
  67. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 南アとの取引につきましては、御案内のように、国連の舞台での決議によりまして、いわば経済的な取引に対する制限がございます。わが国といたしましては、輸出入はいたしておりますけれども、いわゆる投資は認めておりません。そういう意味で、もちろん保険の対象にはなっておりません。
  68. 須藤五郎

    須藤五郎君 南アフリカのローデシアに対しては、国連で貿易自体が禁止されているわけなんでしょう。ところが、きょうの朝日新聞を見ると、「通関手続き厳しく ローデシア貿易政策」という見出しで、国連から一つ非難が来ている。それに対して政府が、どう対処しようかということでいろいろ苦慮されていらっしゃるようでございますが、こういうこともすでに問題になってきているわけなんですね。そうすると、いま投資はしてないが貿易はやっている、こういうことをおっしゃいましたが、それは貿易は自由なんですか、どうなんですか。国連で禁止されているのじゃないですか。あなた、ちょっといまことばが違っているような感じがしますが、どうですか。
  69. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 国連の決議に基づきまして完全に貿易もやっておりませんのは、ローデシアとの関係でございます。南アに対しましては貿易関係は持っておりますが、投資は行なっておりません。ローデシアに対しては貿易関係も持たず、投資関係も持っておりません。諸外国は、南アにつきましては、貿易とそれから投資も行なっている国がございます。
  70. 須藤五郎

    須藤五郎君 ローデシアに対しては国連が禁止していると。そうすると、そのローデシアに対しては貿易は絶対してないということですか。
  71. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ローデシアとの関係では、いわゆる貿易関係も投資の関係もございません。
  72. 須藤五郎

    須藤五郎君 そうすると、この新聞記事は正しくないということでしょうか。
  73. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 朝日新聞の記事、私見ておりませんので詳細はあれでございますが、問題は、南アとは私ども日本貿易関係を持っておりまして、おそらく現在それが問題にしておりますのは、南ア産ではなくローデシアのクロームの鉱石を買っておるのではないかということに関する問題ではないかと思います。私ども、ローデシアとの経済的な制裁と申しますか、国連決議に基づきましてローデシアとの貿易関係を持っておりませんので、南アからの輸入につきましては、まず原産地証明書等を取りまして、南ア産であるということの確認のもとに輸入をしております。そういうことですが、ただそれを、ローデシアのものが南アという名前のもとに入ったのではないかということに関する記事ではないかと私は思います。
  74. 須藤五郎

    須藤五郎君 あなた、これまだ読んでませんか。
  75. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま御指摘の記事は、私ちょっと読んでおりません。
  76. 須藤五郎

    須藤五郎君 ローデシアの原産のものを、南アフリカ共和国原産という擬装のもとで入れているという点が問題になってきておるのですね。こういうあくどいことをやることは、私は、国際的におもしろいことじゃないと思うのです、慎まなきゃならぬことだと思っておるのですが、それに対して政府はどういうふうに対処していくつもりですか。
  77. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいまお答え申し上げましたように、南アとの取引関係は持っておる、ローデシアとの貿易関係は持っていない。ただし、御案内のように、南アとローデシアはいわば隣接した国でございまして、南アから南アのものということでローデシアのものが入るということを押えるために、南アとの取引につきましては、南ア原産であるという原産地証明を全部取ることによりまして、それのないものは入れないということで現在南アとの貿易をやっておるというのが現状でございます。
  78. 須藤五郎

    須藤五郎君 それから、投資につきまして、政府も、禁止しているように先ほどおっしゃいましたが、貿易は盛んにやられておりますね。その貿易高は、七三年には十一億千八百万ドルにも達しております。南アについてはアパルトヘイトと呼ばれる人種差別が国連でも問題になり、国連総会決議は南アに対する借款、投資、あらゆる軍事、経済、技術援助をやめ、貿易も控えるように要請してきておると思います。ところが・日本は事実上の武器ともなる車両などを大量に輸出しております。そして、アフリカ諸国の非難をあびておるというのが事実だと思うのです。アフリカ諸国の南アに対する経済断交に逆行ずるこのような動きは、発展途上国との正しい経済協力の姿とは言えないものである、私はこういうふうに考えます。南アに対する輸出保険を直ちに中止すべきであると思いますが、政府はどういうふうにお考えですか。
  79. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 私、南ア問題の直接の担当でございませんので詳細はわかりませんが、ただいま先生の御指摘の点は、私どもといたしましても非常に注意をしてやっているところでございます。先ほども申し上げましたように、南アにつきましては、先進諸国の中では日本は投資関係を持たないということで、むしろシビアな立場で貿易関係だけを持っておるということでやっておりますが、これは国連決議のラインには違反してない、国連決議の範囲内でできることをやっておるというふうに私は了解をいたしております。したがいまして、もちろんこの海外投資保険も認めないということは、これは当然でございますが、通常貿易を認めています範囲内では、その他の保険につきましては、要するに付保の申し出があります以上、普通のその他の保険制度対象にいたしておるというのが現状でございます。
  80. 須藤五郎

    須藤五郎君 くどいようですけども、要するに、日本と南アとの貿易に対しては非常に反対が大きいということは皆さんも認めていらっしゃると思うのですね。そういう世界から非難を受けるような貿易に対してまでこの輸出保険法を適用する必要はないじゃないか、それでもやはり輸出保険法によって業界を保護し、そして世界から非難の的になっておる南アとの貿易を今後ますます発展さしていこうというのが日本政府考え方かどうか、そこをはっきりと答えておいていただきたいと思います。
  81. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 南アとの取引関係は、先ほど申し上げましたように、現在の国連決議の範囲内でやっておるわけでございまして、私どもの立場からいたしますれば、これはちょっと南ア問題とは違いますが、国交のある国、あるいはない国ともできるだけ貿易経済関係は続けていくというのが一方の一つの大きな考え方でございまして、許される範囲内でございますれば、輸出保険というのは別に輸出の振興のための措置でございませんで、一つの安定をした輸出取引確保するというたてまえで私どもは運用しているわけでございますので、輸出保険法対象にすることも、そういう意味では問題はないのではないか、こういうふうに私どもは考えておる次第でございます。
  82. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 委員異動について御報告いたします。  本日、安田隆明君が委員辞任され、その補欠として嶋崎均君が選任されました。
  83. 須藤五郎

    須藤五郎君 ここまでは認めているようですね。南アとの日本貿易が、国連内においても、アフリカ諸国から非難を受けているということは政府も認めるわけでしょう。政府も非難を受けておるということを認める、その国との貿易を、ますます発展させるためにこういう保険をそこに適用する、こういうことはおかしいじゃないか、だからそういう国々に対する、南アに対する貿易に対しては、この保険を適用する必要はないじゃないか、やめてしまったらどうだ、すっきりしたらどうだというのが私の意見でございます。ところが、政府はやめないと、貿易発展させるのは当然だ、世界各国から非難されたってそんなことはとんちゃくないんだ、こういうふうにおっしゃるならば、これまた別ですね、そこです。
  84. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 同じような答弁を申し上げて恐縮でございますが、南アとの関係は、国連の決議の中で国際的に許されている範囲内で日本政府としてはやっておるわけでございまして、そういう意味で貿易関係、つまり通常輸出関係を持つということは、私どもの許されておる範囲内であろうと考えております。そうなりますと、南アとの関係、これは南ア向けの輸出を非常に大幅に伸ばそうとか、こういう意思は毛頭ございませんが、通常輸出関係貿易関係が維持されている以上、その裏打ちをなします保険関係、保険というのは、別に輸出政府が意識的に伸ばしていくというための制度ではございませんので、安定した取引関係を維持していく、その範囲で輸出保険を運用することは、私どもとしては差しつかえないことではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  85. 須藤五郎

    須藤五郎君 南アに対する貿易は積極的に発展さしていくという意思は持ってない、こういうことですか。
  86. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 南ア向けにぜひ政府として輸出を大幅に伸ばしていこうと、こういう意思をとりわけ持っているわけではございません。
  87. 須藤五郎

    須藤五郎君 しかし、現状は維持はしていきたい、こういうことですね。
  88. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) これは南アにかかわりませず、先ほども申し上げましたように、たとえば国交の未回復国との間でもいわゆる経済交流、貿易関係というものはできるだけ広くやっていこうというのが私どものいまの立場でございます。
  89. 須藤五郎

    須藤五郎君 その場合に、アフリカ諸国から受ける非難も覚悟して、日本企業の利益をはかるためにはやっていくんだという、こういう心がまえですか。
  90. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先生指摘の、特にアフリカ諸国との関係というのは、これは率直に申し上げまして非常に私どもとして考えなきゃならぬことだと思いますし、単にそれは私どもが、通産省が所管しております貿易とか、経済とかの関係ではなく、もっと大きなやはり政治的な、外交的な判断も入ることだと思いますので、もちろん、アフリカ諸国の日本、私どものやっておりますことに対する反応なり、態度なり、そういうものは十分外務当局等とも相談の上、日本政府考え方をきめていく、それは必要だろうと私は思っております。
  91. 須藤五郎

    須藤五郎君 先日、田中総理の東南アジア訪問で明らかになりましたように、東南アジア日本経済進出のため、大きな打撃を受けております。その一つに、貿易のアンバランスがあると思うのですね。日本は売りつけるだけでちっとも買い入れない。そのために、日本品があふれ、国内産業が倒産に追い込まれておる、これが東南アの実情です。  たとえば、タイの場合を申しますと、日本からタイヘの輸出は、六五年の百五十億バーツ――一バーツは十四円ですね一から、七〇年の二百六十五億バーツヘと、年々二〇%ずつ伸びておるのに反しまして、タイから日本への輸入は、六五年の百二十六億バーツが七〇年は百四十二億バーツと、ほとんど変わっていないわけですね。輸出入のアンバランスは、大体ほぼ二倍ということになると思いますが、常にこれの是正が問題にされながら、七二年上半期も輸出約五十一億バーツ対輸入二十四億バーツと、むしろその差が広がってきておるような状態です。この日タイ貿易のアンバランスによる赤字は、タイの全貿易の七割を占めておる。日本品は工場プラントや自動車、トランジスターから日用雑貨に至るまで、文字どおりタイにあふれております。  このような状態で、タイなどの東南アジアの国国が正しく経済発展できるわけがないと思います。日本の対東南アジア通商政策を根本的に再検討すべきときがきていると思いますが、政府は、この点どういうようにお考えになっておりますか。これは次官がお答えくだされば一番いいんですが……。
  92. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 先生おっしゃいますと仰り、そういった無秩序な輸出ということに対しホして、総理が現地に行きましたとき、ああいつみ批判を受けたということに対しましては、日本政府としても非常に反省があるわけでございまして、今後そういった問題に対しましては、秩序去る輸出というようなことで真剣に検討していかみくてはいけないと思いますが、具体的には事務立局のほうから御説明を申し上げたいと思います。
  93. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 東南アジアわが国との関係ということになりますと、大まかに申し上げますと、いま、東南アジア日本輸出先といたしましては約二五%、四分の一が東南アジアに向けておる。輸入では、たしか約二割が東南アジアからの輸入ということで、全体で見ましてもそこでわかりますように、つまり五%日本が出超だというかっこうになる。これはもう事実でございまして、ただいまタイの御指摘がございました。私、ここにタイと日本とのこまかい数字を持っておりませんので、はなはだ恐縮でございますが、タイは、前から二国間のアンバランス問題を非常に大きな問題として取り上げておることは、これはもう先生指摘のとおりでございます。日本としては、このアンバランスを何とか解消したいということで、特にタイにつきましては、日タイ間に定期的ないわば両国間政府で協議をするという協議機関を設けまして、この場を通じて新しい輸入品の開発促進、輸入の促進ということに大いにつとめておるわけでございます。  同様なことは、東南アジアその他の国にも、たとえばインドネシアのような産油国を除きましてはすべて出てくる問題でございまして、いま政務次官お答えになりましたように、まず、日本といたしましては、日本輸出品が相手国、特にだんだん工業化が進みまして、消費財中心自国産品もできております国に対しましては、特に輸出に注意をしていくということが一つだろうと思いますし、第二は、なかなかこれは現実論としてはむずかしゅうございますが、日本が買えるものを見つけ出していく、必要ならば、いわゆる開発輸入と申しますか、先ほど先生指摘のように、これが資源収奪になることは問題でございますけれども、相手国政府あるいは関係者とも十分相談の上、相手国側の希望に沿った関係日本になるべく物を持ってくるというための努力をするということが、東南アジア貿易中心ではないかと思います。  もう一つは、最近東南アジアは特に肥料、鉄鋼等いわば工業開発、民生安定という観点から非常に物をほしがっておりまして、たまたま日本は昨年末以来、国内的な事情からこういうものの供給にも不足を生ずるというかっこうになりましたけれども日本としては、いわば東南アジアとの関係が十分円滑にいくために、そういうほしがるものはぜひ日本から十分な供給をはかるような方法を考えていく必要がある、こういうふうに考えております。
  94. 須藤五郎

    須藤五郎君 日本経済進出輸出貿易も、相手国の産業を衰退させてしまうというのでは、これはおよそ意味がないと思うのです。やはり平等互恵の経済交流でなければ私は意味がないと思うわけですね。進出した大企業をタイの場合で見ますると、自動車工業の七〇%、繊維工業の七〇%、エレクトロニクス工業の六六%、食品工業の八八%、いずれも生産高比率でございますが、というたいへんな支配率でタイの国内資本を衰退に追い込んでおるというのが現状だと思うのです。多少の経済援助がありましても、結局経済侵略の手段になっておる。輸出保険制度がこのような経済侵略の安定に役立っているとすれば問題があると思います。輸出保険をかける場合、そういう相手国経済への影響という点をチェックすべきではないか、こう私たちは思いますが、どうでございますか。
  95. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま先生指摘の、タイをはじめ東南アジアのみならずいわゆる発展途上国というのは、一方、国内の産業の保護ということのほかにやはり国内開発、工業化のための資金が足りないということで、外国からの外資の導入政策というのを積極的に進めているというのが現状ではないかと思います。したがいまして、外資の導入にあたりましては、むしろそれぞれの政府がそれぞれの立場からひとついろんな規制をやっておりまして、外資の流入を促進すると同時に必要な規制をやる。私ども保険の申し込みがございましたときには、そういう相手国政府のポリシー、これに沿ったものであるかどうかということを従来から検討してまいりました。ただ、たまたまいま御指摘のように、タイのように日本企業が非常にたくさん行って、経済的にもあるいはビヘービアの面でもいろいろ問題を起こし、あるいは起こすおそれがあるということは事実でございますので、そういう相手国政府のポリシーをチェックするほかに、私どもの立場、日本政府の立場から見ましても保険の個々に当たりまして、そういう心配があるかどうかというような点を十分チェックをするというような運用をこれから考えていかなければならないのじゃないか、こういうふうに考えております。
  96. 須藤五郎

    須藤五郎君 時間的に議論をする時間がなくなってきましたから、質問をずっと続けますが、進出する日本企業に雇用される東南アジアの人たちの低賃金もまた問題があると思うのです。進出の動機そのものが低賃金である。マレーシアの味の素工場の日本人工場長が次のように言っておることは、政府も御存じだろうと思うのですが、東南アジア進出理由はいろいろある、第一はチープレーバーだ、こういうことを言っているのですね。タイの場合、日系企業に働く労働者の平均賃金は月給でわずか三十五ドル、繊維業では二十七ドル、こういうようにいわれております。インドネシアのある東レの紡績繊維工場では、千二百人のインドネシア人労働者の賃金は高校卒で月に一万ルピア。日本の金に直して約七千円です。日本の十分の一だということが言われておるわけです。ここに日本企業進出の魅力があるということは、味の素の工場長がはっきり言っているのを見ましてもわかると思うのです。輸出保険制度によりまして安心を供与されておる日本海外投資実態を見ますると、これでは反日運動が起こるのは当然と、こういうふうに思われるわけでございます。現地人を低賃金で搾取するような大企業海外進出については、輸出保険制度の段階でも私はチェックしていくべきだと、こういうふうに思っております。  私は、一昨年タイに旅行しました。ヨーロッパ旅行の帰りにタイに寄りました。非常に貧富の差がひどいということ。あそこで社会問題が起こらないのが私はふしぎでならなかったわけです。これから問題の起こってくるのはタイ国だといっても、私は差しつかえないような気がするんですが、そこへ、こういう状態日本企業が今後も国の力にカバーされて、そして無制限に出ていくということになれば、これは将来必ず問題を起こすと私は思うのでございますが、その点を政府はどういうふうに考えているか。やはり輸出保険制度の段階でチェックしていく必要があるのではないかというのが私たちの意見でございます。どうでございますか、次官、どうなんでしょうね、こういう点は。私は政治的な判断だと思うのです。単なる事務的な問題じゃないと思うのですがね。
  97. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) もちろんこの輸出保険法チェックをするということは、先ほど局長のほうから、相手国のポリシー等に合わせて、それを勘案しながらチェックするという、そういったことをお答えいたしましたが、それももちろんでございますが、そういった事務的な段階でチェックするというだけではなく、やはり政治的な立場九ら、そういった賃金が安いから、向こうが魅カバあるといったようなことを堂々と味の素の工場耳が言ったとすれば、はなはだどうもわれわれの音に沿わないようなことをやっておるわけでございますから、政治的な段階におきましてもチェックをしていかなければいけないというように考えております。
  98. 須藤五郎

    須藤五郎君 通産省の役人としてはどうですか、いま政務次官の答弁がありましたが。
  99. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま政務次官から答弁がございましたように、日本進出企業の、特に東南アジア諸国に対する進出の動機の一つとしまして、安い労働力が確保できるというのが一つの投資の動機であることは、率直に申し上げまして私はあったと思います。ただ、その安い労働力だけがその進出の動機ではなくて、いろんな動機がございます。特にタイ等におきましては国内の需要充足、工業化、そのほかにやはり輸出産業もつくりたいというような政府の意向もございました。いろんな意向がからみ合って、タイにはかなりの件数が出ておるわけでございます。私ども先ほど申し上げたように、保険の段階でのチェック、これは相手国政府のポリシーに沿っているかどうかというチェックもございますが、ただいま政務次官から御答弁ございましたように、単に保険法の運用というだけではなしに、もう少し日本海外投資のいわば相手方に好かれると申しますか、問題を起こさない投資を進めていくためには、単なる保険の運用ということではなしに、保険を使いまして必要な指導をしていくということは、私どもとしても考えていかなければいかぬ、かように考えております。
  100. 須藤五郎

    須藤五郎君 もう少しことばを明瞭におっしゃってくだきい、はっきりと、聞きづらいから。  次にまいります。  マレーシアの元日本留学生は次のように言っております。日本人が道路をつくるのは車を売るためだ、発電所をつくるのはテレビを売るためだ、病院を建てるのは薬を売るためだ、このようにして日本経済援助も日本の大企業の商品輸出手段になっているにすぎない、こういうふうに日本留学生は帰って言っているわけですね。ずいぶんひどいことを言われているものだと私も思うわけですが、まあ当たらずといえども遠からずと、大体当たっているんじゃないかということが言えると思うんです。このような日本企業への反感は、ついにこの間の田中総理の東南アジア訪問の際爆発し、日本ペイント・インドネシアや、本田技研工業などが現地人の襲撃を受けて操業停止になったようでございます。このように、現地の住民の日本の大企業に対して不満が爆発して、たとえば内乱などになり輸出海外投資などが打撃を受けた場合も、輸出保険制度によりその補償を受けることになるのかどうか、簡単に、なるとかならぬとか答えてください、時間がありませんから。
  101. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま先生の御指摘のような、いわゆる政治危険と申しますか、内乱とか戦争、こういう事態によりまして起こりました損害に対しましては、現在の投資保険対象として、事故の対象として……。
  102. 須藤五郎

    須藤五郎君 そこが聞こえないんですよ、もっとはっきり言わぬと。
  103. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 事故の対象として、保険金支払い対象になります。
  104. 須藤五郎

    須藤五郎君 そういう場合は保険の対象になる、こういうことですね。
  105. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) はい。
  106. 須藤五郎

    須藤五郎君 それでは、輸出保険制度があるために、日本の大企業は政治的危険をおかして経済侵略をしても、その損失を心配する必要はない、こういうことになると思いますが、現地人の反発を受けるような問題の多い海外投資などは、輸出保険の段階でもチェックすべきではないかというのが私たちの意見ですが、どうですか。
  107. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先ほどから御答弁申し上げましたように、いわゆる輸出保険を、単に収支を償うとか、こういう意味ではございませんで、健全な海外投資が行なわれるように投資保険の運用によって必要な指導をしていきたい、こういうふうに考えております。
  108. 須藤五郎

    須藤五郎君 議論したいけれどもやめましょう。海外投資保険業ですね。この海外投資保険業務の対象を拡大するということでございますが、融資買鉱の場合ですね、輸銀から資金の供給を受けているという話でございますが、その利息など、融資の条件はどのようなものでございましょう。簡単に答えてください。
  109. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) いわゆる輸銀の輸入金融ということで、鉱物等必要なものの開発、これの引き取りについては輸銀の輸入金融の対象になっております。輸入金融の金利につきましては、現在六・五%から七%程度、個々のケースによって違いますが、その程度の金利になっております。
  110. 須藤五郎

    須藤五郎君 輸銀の金は、十大商社がその三割ぐらいを使っているということでございます。結局、融資買い付けによる対象の拡大も大企業の利益第一主義の海外投資になっており、しかもそれが国家の資金である輸銀の金を使うという形になっております。日本の資源不足につけ込んだ利益第一主義の海外投資に今回の改正は道を開くものだ、こういうふうに私たちは理解しますが、どうですか。
  111. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 輸銀の現在の融資の中で、いわゆる大企業の比率がどのくらいか、ちょっと私、数字は持ち合わせませんが、輸銀の融資というのが主としてプラント類輸出、それから輸入につきましては、国民経済上必要な鉱物等の原材料の輸入ということでございますので、実際問題としていわゆる大商社、大企業が輸銀融資の対象になっているということは、これは事実でございます。しかし、一方、やはり日本は主要資源全部外国に依存しているわけでございまして、これの安定的な確保ということは、これは一方、日本政府としてぜひ必要なことでございまして、そういう政策的判断から、ある程度政府関係機関でございます輸銀から必要な資金を供給するということは、これは必要なことではないか、かように考えておるわけでございます。
  112. 須藤五郎

    須藤五郎君 次に、為替変動保険について質問を二、三問するわけですが、これは免責期間が二年となっておるわけですね、これによりますと。外国の例では、一年というのが通産省の資料でも多くなっておるように思います。二年とした積極的な理由はどこにあるのかという、それを伺っておきたいと思います。
  113. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 二年をこえます中長期の延べ払い輸出、これを今度為替変動保険対象にするわけでございますが、これについては二つ理由がございます。  一つは、日本のいわゆるプラント等の長期延べ払い輸出の中で、外貨建ての取引の比率が非常に多うございまして、諸外国に比べましていわゆる自国建て通貨、日本で言えば円取引の比率というのが非常に低いために、為替変動というのは一般的に全部に起こる事故でございますので、事故が起こった場合に保険の運用として、つまり、保険料を幾ら取ったらいいかという問題とからんでまいりまして、この期間を短くすればするほど保険料が高くなるという問題が一つございます。  それから第二は、この保険は、為替変動というものはある程度予見ができまして、したがいまして、この期間が短くなりますといわゆる逆選択、あぶないときにあぶないケースだけ保険にかけるというケースがふえてまいりまして、これまた保険の運用上問題がございます。それが第二の理由でございます。  裏返しの第三の理由といたしまして、それでは二年以下の短期の取引、これも為替変動がございますればリスクを負うわけでございますけれども、これの実態を見てみますと、大体雑貨、繊維等通常輸出は、輸出契約から船積みまで四カ月程度のものでございまして、これのリスクは、いわゆる為替の先物予約制度、これが六カ月程度まで先物の予約ができる、これによってほぼカバーできると。繊維、雑貨等の取引につきましては、全輸出の九十数%がそういうケースでございますので、形式的には先物予約の六カ月と二年の間に穴はあきますが、実態的にはそれほど大きな問題はないということで、まず本制度の発足にあたっては二年という免責期間を設けた、こういうわけでございします。
  114. 須藤五郎

    須藤五郎君 政府からもらった表によりますと、フランスやベルギー、オーストラリア、スペイン、それからオランダですね、こういうところはみな一年になっています。そうすると、これはどういうために一年にしておるのか、なぜ日本だけが二年にしなきゃならぬのかという意見も出てくると思うんですね。それは、日本の大企業は二年でもそれほど影響はないと思うんですよ。しかし、中小企業の立場に立つと二年では長過ぎるわけです。決済は早くしてもらわぬと困るから、売ったものはすぐ金もらうという状態ですからね。そこのところを私は説明しておいてほしいと思うんです。
  115. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先生指摘のように、諸外国七カ国程度がこの制度を持っておりますが、二年という免責期間を設けておりますのはドイツだけでございまして、今度日本が二年になりますが、フランスも実は発足のとき二年で発足をいたしまして、その後一年という改正をいたしました。先ほど申し上げましたように、日本外貨建ての比率が多いということからこの変動保険、これは保険でございますので、保険収支、保険料というものの算定、いろいろそちらの面の問題がございまして、さしあたりこれは二年で発足をしたいというのが私どもの感じでございます。将来、長い長期の問題としてこの二年の免責期間をどう考えるかという点は、今後の問題として考えていきたい、かように考えております。
  116. 須藤五郎

    須藤五郎君 大企業輸出するプラントの下請をやっておる中小企業には、一定のメリットがあると思われますが、みずから輸出をしておる中小企業は一体どうなるのかということなんですね。たとえば金属洋食器やそれから雑貨類ですね。こういうのはもう輸出すればすぐ代金をもらえるというたてまえだと思うんです。そういう人たちに対してこの輸出保険が二年の期限ということですね。それじゃはなはだ困る場合が起こってくると思うんです。このような中小企業取引というのは大体半年とか一年前後で決済期が来る、これがほんとうだと思っています。そうなると保険の対象とならずに、為替変動による被害をもろにかぶることになってくると思いますね。これに対して政府はどういう対策を持っていらっしゃるか、伺っておきます。
  117. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 先生指摘のように、中小企業取引をしておりますのは繊維でございますとか、雑貨でございますとか、いわゆる通常取引のものが非常に多うございまして、これは、成約から船積みが起こりますまでの期間が四ヵ月程度であるものが、大部分でございます。これにつきましては、船積み前のいろいろな事故につきましては、普通輸出保険というものの対象になっておりますし、為替の変動リスクにつきましては、先ほど申し上げましたように六ヵ月の先物予約制度というものがございまして、この予約制度によりまして先物をつないでおきますと、為替リスクはカバーができる。こういうことで、中小企業者の方の取り扱うリスクは、現在ございます先物予約制度によってほぼ全部がカバーできる、こういうことになっております。
  118. 須藤五郎

    須藤五郎君 先物予約制度の答弁がありましたが、為替の予約といいましても、それには一定のワクがあるわけでございましょう。先物相場でやる場合も、先物相場の値段によっては輸出価格が高くなる場合も起こると思うんですね。そうすると、中小企業の価格面での国際競争力が弱くなるということも起こってくるんじゃないですか。被害を受ける可能性が私はその場合起こってくると思うのですね。したがって、中小企業に対しましては二年間の免責期間をはずしまして、なお、三%の足切りもやめるような措置をとらないと、中小企業を放置して大企業のみを救うことにしかならない、こういうように私は思うんでございますが、その辺は政府はどういうふうに考えていらっしゃるか、中小企業に対する何かこれにかわる対策を持っていらっしゃるのか。
  119. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) ただいま御答弁申し上げましたように、中小企業の方が行なっておられます取引、主として繊維、雑貨等が中心でございますが、これはいまの六カ月という先物予約の範囲内で、もし先に円が高くなることによって、輸出して実際のお金が入りますときに、契約をするときの相場よりも円高になって損をするという場合に、この先物予約制度でつないでおけばリスクはカバーできるわけでございまして、いま先生の御指摘のように、先が円安だというときには、これはだれも先物をカバーしない、こういうことになりまして、問題は中小企業であるがゆえになかなかその予約ができない。各銀行にワクがない、これが問題だろうと思いますが、これは先生案内のように、昨年フロートになりましたあとに、そういう中小企業のために特別に外貨を預託をいたしまして、中小企業用のワクをつくりまして、このワクをつくっておけば中小企業の方は必要なときにはいつでも予約ができる。たしか秋までの間に十五、六億ドル、そのための預託をいたしました。現在は先物にプレミアムがついておりますので、現在、先物予約の必要性というものはなくなってまいりましたために動いておりませんが、もしそういう必要が出てきた場合には、同じようなことを考えましてスムーズに先物の予約ができるようにすれば、為替リスクは十分カバーできるのではないか、こういうふうに考えております。
  120. 須藤五郎

    須藤五郎君 二年たたないと保険の効力が発生しないというと、二年間にはいろいろな変動も起こることが考えられますし、そのときにつくった保険が発動しないということになると、やはり中小企業としては損失を受けるという場合が起こりかねないように私たちは考えるのですがね。そういうことで中小企業が損失を受けるような場合には、何か特別な手段で中小企業の受けた損失をカバーしていくのだ、こういうことでございましょうか、どうでしょうか。ここはもう少し具体的に述べておいていただきたいんです。
  121. 濃野滋

    政府委員(濃野滋君) 今回創設をいたします為替変動保険は、対象がいわゆる中長期の延べ払い輸出ということになっておりますので、一般の諸外国ともそうでございまして、免責期間が一年か二年かの違いがございましても、対象はすべてプラント等の中長期ものの延べ払い輸出対象にするということでございますので、現在中小、いわゆる中堅中小企業の方も、プラント輸出の中の約二割ぐらいは件数で取り扱っておられますので、この方たちは本保険の対象になると思います。したがって、先生のお考えになっていらっしゃいます繊維、雑貨等につきましては、先ほども御答弁申し上げましたように、現在の先物予約制度でカバーができる。  それじゃ、現実に為替変動によりましてリスクが起き、いままでの制度の運用でカバーができないものをどうするかという問題でございますが、これにつきましては、直接これとの関係はございませんけれども、中堅中小の業者に対しましては、いわゆる従来、市場開拓準備金ということで利益率の一定率を小さな人たちにだけ積ませる制度が現在税法上ございます。これの活用も可能かと思いますし、一般的に為替リスクができましたと弐には、この前のスミソニアン体制のときの為替変動の場合と同様に、税法上、その他の点でそのときに国の政策として処理を考えることになるのではないか、こういうふうに考えております。
  122. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  123. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  ちょっと速記をやめてください。   〔速記中止〕
  124. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めてください。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。――別に御発言もないようですから、これより古ちに採決に入ります。  輸出保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  125. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべき“のと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  126. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後二時三十五分散会      ―――――・―――――