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1974-05-09 第72回国会 参議院 商工委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月九日(木曜日)    午前十時十五分開会     —————————————    委員異動  四月二十五日     辞任         補欠選任      安田 隆明君     今  春聴君      細川 護熙君     上原 正吉君      宮之原貞光君     小野  明君      須藤 五郎君     小笠原貞子君  四月二十六日     辞任         補欠選任      上原 正吉君     細川 護熙君      今  春聴君     安田 隆明君      小笠原貞子君     須藤 五郎君  五月七日     辞任         補欠選任      竹内 藤男君     二木 謙吾君  五月八日     辞任         補欠選任      二木 謙吾君     竹内 藤男君      林  虎雄君     沢田 政治君  五月九日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     青木 一男君      沢田 政治君     林  虎雄君      須藤 五郎君     野坂 参三君     —————————————   出席者は左のとおり     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 青木 一男君                 植木 光教君                 小笠 公韶君                 林田悠紀夫君                 細川 護熙君                 阿具根 登君                 小野  明君                 竹田 現照君                 沢田 政治君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君    政府委員        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業省立地        公害局長     林 信太郎君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        大蔵省主計局主        計官       禿河 徹映君        大蔵省関税局企        画課長      海原 公輝君        資源エネルギー        庁長官官房鉱業        課長       斎藤  顕君    参考人        金属鉱業事業団        理事長      平塚 保明君        日本鉱業協会副        会長       森  五郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○参考人出席要求に関する件 ○金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案(内  閣提出、衆議院送付) ○特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨八日、林虎雄君が委員辞任され、その補欠として沢田政治君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 一昨七日、竹内君の委員異動に伴い、現在、理事に一名の欠員を生じておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事竹内藤男君を指名いたします。     —————————————
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 中曽根通商産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中曽根通商産業大臣
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先般、宇都宮市におきまする私の演説の中で、社会党及び共産党に対して不穏当、不謹慎の発言をいたしまして、たいへん御迷惑をおかけいたしました。ここに深く反省をしておわびをいたします。以後このようなことのないように厳重に自戒をいたします。どうぞ……。委員長からも御注意がありましたので、ここでよろしくお願いをいたします。     —————————————
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  8. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  金属鉱業事業団は、金属鉱産物貿易自由化わが国鉱業に及ぼす影響に対処して、その国際競争力強化に資するため優良資源確保をはかることを目的として、昭和三十八年に設立されて以来四次にわたって改組拡充され、現在では、国の内外における金属鉱物探鉱を促進するための業務と、金属鉱業等による鉱害を防止するための業務を行なっております。  一方、わが国金属鉱産物供給現状を見ますと、逐年増大する需要に対して、国内資源的制約により、海外からの供給に依存する度合いが急速に上昇している状況にあります。しかも海外からの供給のうち、安定的な供給が期待できるわが国企業みずからが探鉱開発を行なった鉱山からの輸入はきわめてわずかであり、かかる現状を放置すれば、国民生活に必須の基礎資材である金属鉱産物の将来にわたる安定的な供給確保が次第に困難になることは、容易に予想されるところであります。  したがいまして、わが国非鉄企業体質の脆弱さをカバーしつつ、特に海外における金属鉱物探鉱を促進し、優良な資源発見確保に一段と力を入れることは、現在の喫緊の要務であると申さざるを得ません。  このことは、また資源開発をてことして経済社会発展をはかろうとしている、資源を保有する発展途上諸国に対する経済協力推進観点からもきわめて意義あるものと存じております。  以上のような理由に基づき、政府といたしましては、昨年来このために必要な予算上、立法上の検討を鋭意進めてきたところでありますが、このたび金属鉱業事業団を活用して、海外における金属鉱物探鉱を促進するための業務追加して行なわせることとする成案を得るに至りましたので、ここに金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案を国会に提出いたしました。  以下、同改正法案の内容の要旨を御説明申し上げます。  改正の要点は、業務追加でございます。  業務追加の第一は、海外における金属鉱物探鉱に必要な資金供給するための出資であります。  これは、出資により探鉱に伴う民間企業リスク負担を軽減し、民間企業共同の大規模プロジェクトによる探鉱を抜本的に促進する趣旨でございます。  業務追加の第二は、海外において外国法人と共同して金属鉱物探鉱に必要な地質構造調査を行なう金属鉱業を営む者に対する助成金交付であります。  これは、基礎的調査段階についても日本企業調査への参加を促進し、将来における資源安定供給に資する趣旨でございます。  これらの業務追加に伴い事業団法目的を一部改正いたしますとともに、その他所要の規定の整備等を行なうこととしております。  以上、この法律案提案理由及びその要旨を御説明申し上げました。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  9. 剱木亨弘

  10. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げます。  わが国金属鉱産物海外依存度は逐年上昇し、昭和四十七年度においては、銅で約八八%、鉛、亜鉛でそれぞれ約六五%という高率となっております。この状況に対処するため、政府といたしましては、従来から国の内外における金属鉱物探鉱を促進しております。  まず、国内鉱山につきましては、資源の最も安定的な供給源であり、また海外資源開発推進の人的、技術的基盤であるため、現在程度の規模でその積極的活用をはかっていくことを基本的な考え方といたしまして、金属鉱業事業団等を通じて広域調査精密調査企業探鉱助成のいわゆる三段階方式により探鉱を促進するとともに、税制、関税による保護を行なっており、昭和四十九年度におきましても、これら施策強化拡充をはかることとしております。  一方、供給の大宗を占める海外資源につきましては、たとえば、昭和四十七年度の銅の例で見ますと、輸入海外鉱石五十八万トンのうちわが国企業みずからが探鉱開発した鉱山からの供給は四万七千五百トンと少なく、これの需要に対する比率はわずか四・八%にすぎないことは、将来における資源安定供給確保する上できわめて大きな問題を投げかけております。  わが国は、海外資源開発に関しては後発国でありますため、昭和四十三年度から金属鉱業事業団を通じて資料情報の収集、地質構造調査探鉱融資などの施策を講じておりますが、海外における探鉱開発が十分に進まない最大の原因は、わが国非鉄企業体質の脆弱さにあると考えられます。昭和四十六から七年にかけましての国際相場の低迷、円切り上げ、コストの大幅な上昇等影響により、わが国非鉄企業探鉱開発費減少傾向を見せており、リスクの大きい新規プロジェクトには容易に取り組めない状況にあります。  したがいまして、このような現状を打開し、資源長期的安定的確保をはかるためには、従来にも増して抜本的な資金的助成を行ない、リスク負担の軽減をはかる必要があります。政府といたしましては、昭和四十九年度から金属鉱業事業団海外関係業務探鉱に対する出資業務及び外国法人と共同して地質構造調査を行なう日本企業に対する助成金交付業務追加することが必要であるとの見地から、金属鉱業事業団法改正案を提出いたしました。  出資につきましては、日本企業が共同して取り組む大規模プロジェクトに対して金属鉱業事業団出資するものとし、出資比率は五〇%以下とするとともに、昭和四十九年度においては、探鉱融資に充てる分を含み九億円の原資をもって充てる予定であります。また、共同地質構造調査に対する助成金につきましては、日本企業負担金の五〇%を助成することとしております。  これら新規施策により、海外における金属鉱物探鉱の抜本的な促進をはかることは、わが国に対する安定的な資源供給に役立つとともに、資源保有国にとりましてもその経済発展基盤づくりに寄与するものであり、近時高揚している資源ナショナリズムにも適切に対応し得るものと考えております。  以上、この法律案提案理由及び要旨を補足して御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  11. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上で説明の聴取は終わります。     —————————————
  12. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  本日、本法案審査のため参考人として金属鉱業事業団理事長平塚保明君及び日本鉱業協会会長森五郎君の出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  13. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  14. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは、これより質疑  に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 沢田政治

    沢田政治君 政府資源政策が大ざっぱに言って、国際分業論なるものに立脚しておったと思います。このことは、単なる基礎資材ばかりではなく、農業政策、食糧についても言えると思います。つまり、日本外国から原料輸入して加工して、もうかった分を外国からまた原料を買って加工する、こういう一つのたてまえでまいったと思います。私は、そういうことはよりあしは別としても、今日的な状況は、単なる抽象的な国際分業論ではもうすでに壁にぶつかっておると思います。そのことは、金さえあれば何でも買えるんだ、こういう時代ではなくなったと思います。このことは、端的にエネルギーである石油についても言えると思います。つまり、金の価値観だけではなく、自国から産出するものが自国のために金以外にどういう利益をするのか、プラスになるのか、こういうような民族的な、国家的な利益というものを輸出国考えるようになったからだと私は思います。  そういう観点に立つならば、当面は、石油はそういう時代になっておるわけでありますが、おそらく鉄を含め、非鉄金属を含め早晩、これらの輸出国というものはほとんど後進国、つまり、ことばをかえて平らに申しますと開発途上国発展途上国、こういう国々が多い現況からしても、一そうそういう感を深めるものであります。そういう意味で、従来の民間ベースによる開発、こういうものだけではたして日本基礎資材というものが安定的な供給を受けられるか、こういうことで安心していいのかどうか、中曽根大臣から、まず第一にその付近の見通しについて、あるいは今後とるべき一つ方向、また、現在までの反省点があったならば反省点、こういうものについて所信をお聞かせ願いたいと思うわけです。
  16. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ただいま御指摘の点は、先生の申されるとおりであると思います。資源保有国、特に発展途上国の場合におきましては、自立を達成しようというナショナリズムの高揚が近時非常に旺盛でございます。これはまた正当な理由があるわけでございます。そういう国家としての自立を達成しようということに先進工業国がどの程度協力してくれるかということとかかって、それらの資源を輸出するという問題が出てきております。したがいまして、この問題は単に企業ベースだけでものは解決するということではなくして、いわゆる政府間ベースGGベースで事が進められて、その経済開発一環協力一環として相互主義というもとにおいて向こうからは資源供給してくれる、そういう方向に進む情勢がきわめて顕著であります。したがいまして、そういう方向日本資源政策の転換をしなければならぬと思っております。  先般、私、イラクへ参りまして、またイランへ参りまして、石油のリファイナリーとか、あるいは商船隊の建造であるとか、あるいは肥料工場であるとか、セメント工場であるとか、そういうような話し合いをいろいろしてまいりまして、それと相応じて石油供給という話をある程度つけてまいりました。こういう趨勢に今後の資源政策というものは進んでいくであろうと思います。そういう考えに立ちまして政府としての体制を整て、考え方を転換させるとともに、一面においては機構を整備する必要がございます。それで今般、石油公団を改組いたしまして、石油公団の権限を若干増強をいたしましたのもそういう趣旨でありますし、また、きょう御提案申し上げました金属鉱業事業団法の一部改正も、直接、間接そういう趣旨も盛られてやっておるわけでございます。今後もそういう御指摘の線に沿って改革を進めていきたいと思います。
  17. 沢田政治

    沢田政治君 資源問題については、中曽根大臣はなかなか一家言のある方だと私も理解しておりますが、ただ単に金で今日までのような手法で買えるという時代が過ぎたことは、一つ転機を迎えておることは大臣理解しておられるようだし、私もそういうように理解しておるわけです。つまり、広義な意味のギブ・アンド・テイク、金の決済じゃなくですね。それは文化もあるだろうし、経済もあるだろうし、外交もあるだろうし、これはやはり民生安定もあるだろうしね。そういう関係でなければ資源安定供給というもの、これは得られない、こういう一つ転機を迎えておるという現状認識、この点については一致すると私は思います。  これは私の推測か、憶測か、邪測かわかりませんが、民間産銅会社のほうは、政府から金額的な援助を受けるのは、これはけっこうだけれども、何かあまり支配介入とか、拘束されるのはどうも好ましくない、こういう考えを全部が持っているわけじゃないが、そういう気配というものが、そういうものも一部にある、こういうように仄聞をいたしておるわけであります。が、しかしながら、私はやはり先ほど申し上げましたように、民間会社といえども、いまのような手法だけではもうすでに行き詰まっておると思います。このことは開発の促進しやすい、しにくいということよりもやはり開発途上国発展途上国が多いわけでありますから、政権も非常に安定しておらぬ、どういうように変貌を遂げるかということはもう予測がつかぬわけです。そういうことで、ただ単に民間ベース開発した場合、その国の政変があった、こういう場合、エチオピアなんかにも例があります。いま引き揚げているようですが、純然たる民間ベースの場合と、やはり政府主導型で、政府が一枚かんでいる場合と事後処理の問題も非常に違ってくると思います。そういうことでありますから、私の理解を深める意味で、産銅業者と言われておる鉱業協会の方々がいまのような民間主導型ではないにしても、いまのような形でどんどん資源開発できる、もう政府はあまりおせっかいしてくれなくてもいい、何といいますか、あまり拘束されるのはいやだ、こういう感じを持っておるのかどうか。私は、もうあまり拘束してもらいたくない、あまりしゃしゃり出てもらいたくないと皆さんが考えておるというようには考えませんが、一部そういう点を仄聞するもんでありますから、私の理解を深める意味で、協会としての考え方森参考人からお聞かせ願いたいと思うわけであります。
  18. 森五郎

    参考人森五郎君) お答えいたします。  海外資源開発につきましては、いろいろ大臣からもお話がございました。先生からもお話がございました。われわれ全く同じ気持ちであるわけです。民間ベース開発する、民間だけでやるということは、これはもう全く不可能でございます。  たとえば、最近の資源保有発展途上国というものの考え方がどういうふうになっておるかと申しますと、資源開発に伴って、もちろん自分の国の経済の成長をはかるということもございますが、同時に、それを何と申しますか、鉱山開発等を中核といたしましてその辺の地域開発をやりたいという希望が非常に強いわけです。したがって、ある鉱山開発に伴いまして、その付近農業開発であるとか、あるいは電源開発であるとか、あるいは道路の整備であるとか、あるいは町の町づくりであるとかいうことが非常に、鉱山開発に伴う、そういったいわゆるインフラストラクチュアの整備という非常な強い要望がある。この要望をかなえてやらなければ、窮極的にはわれわれが必要とする資源が獲得できないということに相なるわけでありまして、むしろ、この資源開発というのは非常な大きな経済協力一つの手段であるというふうにわれわれも考えておるわけでございまして、民間だけで開発をするということは毛頭考えておりません。ただ、政府が口を出すということにつきましては、これは日本自由経済主義をとっておりますので、われわれ民間としては、生理的にはこれはちょっと若干抵抗を感ずるところでございますけれども、しかし、こういういまの先生の御指摘海外資源開発に関する限り、これはやはり政府民間協力一致してやるべきものであるというふうに基本的に考えております。
  19. 沢田政治

    沢田政治君 もともと金属鉱業事業団、これは名前も最近変わったわけですが、この事業団昭和三十八年に発足した当時の事情というもの、背景というものは、自由化から国内産業保護、育成しよう、こういう観点目的を持ってこの事業団が設立されたわけですね。今日といえどもその使命、目的というものは決して失われたわけではありませんが、傾向的には、国内から海外開発という方向発展的に一つの大勢が移行しておると思います。そこで私、一番憂慮するのは、もちろん依存度は、海外からの輸入依存度が高いから必要性は認めますが、もともとの目的であったところの国内産業保護、育成する、こういう一つの誕生の際の大前提を没却されたのではたいへん困ると思います。そうなりますと、もう業界保護的な色彩になって、当初の設立目的から逸脱すると思います。そういうことでありますから、そういう点を万般やはり考えておると思いますが、事業団としてはどう考えていますか。
  20. 平塚保明

    参考人平塚保明君) ただいま先生の御指摘の件、私もまことにもっともと存じておりますが、現実におきましては、ただいまのお話がございましたように、日本の原材料の供給面からいたしますと、まことに残念ながら国内からの供給は次第にその比率を下げてきておりまして、たとえば銅について見ますると、現在は一割そこそこの供給しかいたしておりません。かようなことで、いま先生指摘のように、絶対値から見ますると海外資源に依存しなきゃならぬ。したがって、探鉱の面においても海外に力を入れなければならぬということでございまするが、しかし、海外をやるにつきましても、やはりそのもとをなす国内鉱山があって初めてこれができることでございますから、そういう意味からも、ぜひ国内鉱山に一そうの力を入れなきゃならぬ。同時に、これは過疎対策の問題もございます。  さようなことで、先生指摘でございまするが、次第に比率海外のほうが伸びてはきておりまするが現実においては、やはりまだ国が探鉱資金の面で出しておられまする金額の面から見ましても、国内のほうが金額的にははるかに大きいという状態になっております。さようなことで、私どものほうの仕事は、国からの指図によって委託を受けてやっておる仕事でございますので、したがいまして、これは国の政策が直接的に反映していることでございまするが、これらにつきましてはもちろん御当局で、通産省のほうでいま先生のおっしゃった御意見と全く同じと考えておりまするが、私どももこの仕事をお引き受けしておる立場からして、いろいろと私ども意見も具申もいたすつもりでおりまして、さような先生の御指摘の点は、今後とも十分に頭に置きまして、国内を無視しない、むしろ、国内をできるだけ強めていくようにお願いしたいと考えております。
  21. 沢田政治

    沢田政治君 産銅量は、全体の需給関係からいって約一〇%内外、大体ここ数年間一〇%は維持していますね。そういうことで平塚さんも国内金属資源を守るのだ、強化していくんだと、こういう決意が披瀝されておるわけでありますが、しかし、この数量は別としても、鉱山数からいったならば、逆に産銅会社といわれておる従来の会社が脱鉱山傾向にあることは御承知のとおりだと思います。志は強化していくんだ、発展させるんだと言っても、逐次、ここ二、三年間、急激に脱鉱山化、こういう方向が出ています。このことは鉱害とか他の要因もあるでしょう。国際的な相場の変動もあるでしょう。どういう原因によってこういうように脱鉱業化という方向に事態が促進していっているのか、日的と違う方向傾向としていっておるのかどうか。これは平塚さんに聞いても無理だと思いますし、所管外だと思いますが、エネルギー庁長官どうですか。どうしてこういう傾向を生んでいますか。
  22. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 御指摘のとおり、たとえば銅で見ますと、四十六年四月の国内鉱山数は七十三鉱でございます。それから四十七年四月が五十八、四十八年四月が三十五と、相当企業数は御指摘のとおり減っておるわけでございます。  これは一つには、日本の鉱業というのは非常に古い歴史を持っておりまして、先生も御存じのとおり、非常に採掘条件、それから埋蔵量の関係、まあ悪い状態がございまして、鉱量の枯渇というのが一つの非常に大きな問題だと思うわけでございます。  それからもう一つは、鉱害及びそれに関連する地域社会との関係、この二つが大きな問題で、できる限り鉱害を発生しないようなこともいたしませんといけませんわけでございますので、企業数は先ほど申し上げましたように減っておるわけでございますけれども、しかし、考え方として国内鉱山の意義というのは、これは非常に大きなベースとして重要な意味を持っておりますので、われわれといたしましては、何とかして国内で一〇%程度の基本的な鉱量というものを確保すべきであるということで、四十九年度の予算におきましても、一般会計で大体対前年二割程度の調査費の計上をいたしております。また、財投では国内探鉱融資におきましては三十三億円をこれに充てておるわけでございまして、今後とも企業数はだんだん減っておりますけれども国内鉱山をより一そう維持強化いたしまして、かつての秋田の黒鉱の発見というようなこともあったわけでございますので、今後とも採鉱技術の発展と相まちまして国内鉱山の維持をはかっていきたいと、こう思っているわけでございます。
  23. 沢田政治

    沢田政治君 ただいまのお話を聞きますと、産銅会社、鉱業会社ですね。この本来の主体が鉱山であったものが脱鉱山化しておるという理由には、鉱害を第一点にあげ、鉱量の枯渇を第二点、まあ前後これは別といたしましても、そういう点を述べられていますが、もちろんこの要因も含まれておると私は思います。これは、資源国内的な規模であっても国際的な規模であっても、いま発見されておるものは有限ですから、これはやはり掘り尽くすとなくなると、これは物理的な現象でどうにもならぬと思います。まあそうならないためには、新鉱床探査とか、精密調査とか、広域調査とか手法がいろいろ盛られておるわけでありますが、それが同時に並行じゃない、先行してなされなければならぬと。しかし、絶対的に現状においてないということになると、石掘るわけにはいきません、これは。花咲かじじいじゃありませんから、ここ掘れワンワンとはいきませんから、価値あるものを掘らなくちゃなりませんから、これはまあ物理的にやむを得ないといたしましょう。  さらにはまた、鉱害をたれ流しても国策のために掘るというわけにもこれはまいりません。やはり最近言われておるように、生活環境とか人間中心とかいわれておりますから、これはもうやむを得ないと思います。その比重を、掘るものの価値と、それからまた、民生の安定とか生活環境を価値観としてはかった場合、今日的な常識では、やはり生活環境を保全するというのが第一義ですから、これもやむを得ないと思いますが、ここで忘れてならぬのは、そういうように鉱害、さらには鉱量の賦存状態が枯渇した、こういう場合にはこれは明白です。ある場合はこれは避けて通ることはできません。  しかしながら、もう一つは、この産業の特色としては、価格の変動があまりにも屈折が多いということであります。起伏が多いということであります。一年前には銅建て値の一トンが三十二、三万円と思いますと、七十八万円と。おそらく国際商品といわれる商品の中には非常に変動が多いわけでありますが、特に金属鉱物についてはこれはもうひどいんですね。でありますから、たとえば鉱量の枯渇、あるいは鉱害でなくともあまりにも価格の変動の上下がひどい、たえられないと、でありますから中小企業の閉山が多いと思います。でありますから、これを何とか安定的にやがて上限が来るまでささえるような一つ政策がなければ、おそらく脱鉱業化、閉山というものが続出するというように私は考えておるわけであります。  例をとってみますならば、あれは大日本鉱業だと思いますが、立又鉱山等も、もうちょっと、もう数ヵ月がんばっておったならば閉山にならなかったはずであります。ところが、三十万円台で低迷したので、がまんしてがまんして、何とかなるだろうというように踏みこたえておったわけでありますが、これは中小鉱山でありますから、踏みこたえられずについに閉山をした、こういう状況になっておるわけであります。一たん閉山したならば、それを開発してまたつくり直すということは、今日的なインフレの進行状況の中ではこれは不可能ですね。でありますから、国にもし鉱業政策があるならば、その間のつなぎを——これは資源問題ですから、私は企業の利潤行為を援助しようというような頭で聞いておるわけじゃありません。せっかくある資源を無に帰せないためにそのつなぎをどうするかという、この政策がなければ、鉱業政策とか、資源保存とか、自給度向上という目的に私はいかぬ、こういうように考えています。  そういうようななまなましい事実が、一つ、これはもうこういう例をあげますと枚挙にいとまありませんから私は言いませんが、こういう点が抜けているんじゃないかなと思うわけですが、これはやっぱり長官どうですか、これは抜けていますね。国内資源もあわせ温存するとか、強化するとか、自給度を向上するとかいっても、事実はこういうように脱落していくんです、いまの政策では。私どもも、かつて何回も需給安定とか価格安定を主張してきましたが、今日はそういう例を見ても、やはり需給安定はもちろんのこと、価格安定というものについて一本抜けているわけでありますから、これをどうするつもりか、いまのままでいいんだ、国際ロンドン相場を中心にしてスクラップ・アンド・ビルドでいっていいんだということになると、先ほどお答えしましたように、国内資源を守るし、ある一定限度を守るという一つの使命というものはどうしても達成されない、逆な方向に行く、こういうことはもう理の当然だと思うわけですが、いかがですか。
  24. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 御指摘のとおり、銅で申し上げますと、かつて三十万ぐらいだったものが現在七、八十万いたしておるわけでございます。今後の見通しといたしましては、この七、八十万がむしろ一回下がるんじゃないかという見方が現時点では有力でございますけれども、いずれにいたしましても、非常に乱高下いたす国際商品でございます。このことは裏から言いますと、日本だけで国際的なロンドン相場を中心にしたこの国際商品の価格の乱高下を食いとめるというのは、これはまた非常にむずかしい問題であるわけでございまして、一つ方向といたしましては、すずとか亜鉛とかに行なわれておりますように何か国際的な一つの機構をつくるべきではないか。これはすでにすずにつきましては、非常にうまくワークいたしておるわけでございますけれども、一番問題でございます銅につきましても、こういう形の国際機構を今後、日本も中心になりまして——一番の輸入国でございますから、そういう機構をつくるというのが一つの大きな方向だと思うわけでございます。これにつきましては、現在そういう動きが若干活発に進み出しておるわけでございます。  それからもう一つの問題は、国内で、いわゆる国家的なファンクションによる備蓄等の機構または動きをつくるべきではないかということでございまして、これは数年来非常に言われておる問題でなかなか実現いたしておらないわけでございますが、最近における石油とかその他資源問題が非常にこういう大きな問題になりました現時点におきまして、これを真剣に考える必要があろうと考えておるわけでございまして、この国家備蓄のあり方も含めてこれは金属鉱業審議会に諮問をいたしまして、そのあり方につきましても検討いたしてもらういま手はずに相なっております。  いずれにしましても、国際的及び国内的両方の意味で、今後はこういう形の何か突っかい棒をつくることによりまして、国内鉱業の安定及びその倒産の防止等に努力いたしていくべきであると考えておるわけでございます。
  25. 沢田政治

    沢田政治君 資源、特に銅、鉛、亜鉛の備蓄は——油の備蓄というのは、これは設備の関係もあるし、物が物であって可燃性であるということで、そう簡単にはこれはできないと思います。しかし、備蓄の方向に向かって踏み出していること、これは事実ですが、金属地金の場合はこれは腐らぬです。鉄なんかよりも腐食度が非常に少ない。物体としては、元素としては非常に備蓄しやすい特質を持っていますね。そういうことで、備蓄ということについても意を注ぎたい、こう言っておりますが、これはあとで触れたいと思いますが、そう言っておりながら今度輸出したんでしょう。これはどうもおかしいですよ。あるときはスポット買いまでやる、あるときは輸出をする。これはあとで聞きます。非常に農業については場当たり農政、こう言われておりますが、事このことを見ても場当たりなんです。現象を追っている。何かの現象ができたならば右に行くか左に行くか、結果を追っているということを私は指摘せざるを得ないと思います。やっぱり政策なり政治というものは先を読まなければ意味がないのです。現実に起こったものをアフターケアとしてこれを処理するということじゃ、これは何も政治は要らぬでしょう。業界にまかせておけばいいんです。これはまああとでお聞きします。  そこで、いま言及されましたロンドン相場は、かなりな投機的なものであり、仮需要によって国際相場を左右する。でありますから、アメリカはこれは最大の産銅国であり、輸出国であります。日本は最大の消費国なわけですから、いまのような国際相場のあり方というもの、これを見のがしておったならば、たいへんな利害関係日本にあると思います。したがって、新しい価格形成の機構というものを考えておる、こう言っております。私もその必要性があると思います。しかし、これは外交的な問題もあるので、なかなか各国の——アメリカも、消費国であると同時にこれは輸出国である。こういう関係からいって、これはアメリカでもなかなか歩調がとれない一つの宿命を私は持っておると思います。が、しかしながら、ロンドン相場にかわる何らかの価格形成のメカニズムをつくりたい、こう言っておりますが、現状の段階ではどういう話し合いと構想と見通しを持っていますか。きわめてこれは私は重要な問題だと思います。
  26. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) 国際的なバスター・ストップにつきましては、先ほど長官が御答弁申し上げましたように、すずにつきましては国際すず協定というものがございまして、幾度かの安定帯の変更等はございましたけれども、これは有効にワークしておるというふうに評価されております。  また、鉛、亜鉛につきましては、コンシューマーズ関係が中心になりまして鉛・亜鉛研究会というものを持ちまして、刻々の需給の変化に伴っていかにそれらの供給及び需要が対処されていかなくちゃならないかということを、その必要に応じて各国が集まりまして話し合っておるわけでございます。  銅につきましても、幾度か国連を中心といたしまして、そういう中にむしろ鉛・亜鉛研究会のようなものをファーストステージ・ステップとして持つべきじゃないかというふうな議論がされながらも、供給者、需用者との立場の相違等もございまして、現在なかなかそういう具体的なものが生まれておらないというのが現状でございます。しかしながら、このまま銅について放置しておくのはたいへん困ったことであるということは、これは供給者及び需要者側の共通の考え方でございまして、そういう意味から、現在の動きといたしましては、国際ロート・カッパー・カウンシルというものがございまして、IWCCと呼んでおりますが、これを中心にいたしまして、日本はそれに対しましてJWCCという下部機構を設立しております。こういうふうに欧州諸国を中心とする需要家サイドにおきまして、一つのこういうことを真剣に実際問題として研究しようというふうな動きがございます。それに対してJWCCは非常に活発な発言とそれに対する具体的な内容の提起等をいたしておりまして、今後これらの動きが国際的にどういうふうな形で発展するかということも見定めるということがたいへん必要な問題となっておるというふうに私どもも感じておるわけでございます。そのほかに、それらの動きに呼応いたしまして、生産国が、今後の資源ナショナリズム等の台頭と相まってどういうふうなビヘービアを示すかということを十分にウォッチしながら、日本としての考え方をIWCCの場へ提起していくということで、ここしばらく推移したいというふうに考えておるわけでございます。
  27. 沢田政治

    沢田政治君 いまの答弁はそれでけっこうですが、先ほど私、長官にお聞きしました内容がはき違えられたのかどうか、まあ核心に触れた答弁になっておらぬと思います。ある程度満たされた問題もありますが、それは鉱害もある、鉱量の枯渇もある、中小鉱山の倒産ですか閉山、休山ですね、そういう要素もあるが、価格の変動があまりにも激しい、八十万が三十万になる、そういうように価格の変動が非常に大きい、その変動についていけない、これが最大の原因だということで、大日本の立又鉱山を私は例にとってこう言ったわけです。  でありますから、非常に資源を温存する、また保護する、育成する、これの自給度を高める、こういうことからいったならば、いまのままで国際的な相場の変動の奔流の中に投げ打ったのじゃ、志はそこにあったとしても目的が達成されない、こういうふうに結論を結んだわけでありますが、これに対する確たる具体的な答弁がないんですね。もちろんいま、何というか、拙速でこういう構想を出せと言ってるのじゃないが、大体大ざっぱに考えて、こういう方向政策を組み立てたいなら組み立てたい、考えたいなら考えたい、こういう一つの柱ぐらいを出してもらわなければ——わからんければ私はそれで黙っておりますが、若干知っておるものでありますから、そういう答弁でけっこうですということで下がるわけには私自身いかないわけですね。でありますから、もう少し核心に触れた答弁をしていただけませんか。
  28. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) 銅につきまして申し上げますと、ロンドンの取引所の相場を中心にいたしまして、これが非常に著しい国際商品に相なっておることはいま御指摘のとおりでございます。したがいまして、この国際相場とのリンクを切り離しまして、日本だけで単独に国内相場を形成するということは、私は無理だと思うわけでございます。したがいまして、先ほどもちょっと触れましたように、まず、いま非常に動きが出ておりますIWCCの動きを促進いたしまして、ちょうどすずについて行なわれておりますように、一定の基金を設定して最高価格と最低価格を国際的に設定し、これをもって、その基金の活動を通じてLMEに介入するというようなことを、いますずではやっておるわけでございますが、そういう意味で非常に効果をあげておるわけでございますが、一つの大きな方向といたしましては、銅につきましても、そういう機構というのをつくるのが一番の本筋であろうと私は考えておるわけでございます。しかし、それだけではなかなか急場の問題もございますので、別途、関税政策の活用、これはいまこまかいことはちょっと省略いたしますが、国内鉱山保護のために一定比率の、ある条件に基づいた場合におきまして関税をかけまして、安値の鉱物及び地金の日本への流入をチェックいたしておるわけでございまして、今後ともこの関税政策の運用というのが一つ国内の措置であろうかと思うわけでございます。  もう一つは、国際相場との遮断は絶対的には無理でございますけれども、しかし、何らかのかっこうで国内でバッファーの機関、または機構をつくるというのが一つ方向であろうと思いまして、これにつきましては審議会にこれを諮問いたしまして、その具体的なあり方等につきまして、早急に結論を出してもらうように検討を進めるつもりであるわけでございます。
  29. 沢田政治

    沢田政治君 鉱業審議会というこの審議会が、皆さんの諮問機関がありながら、年に一回ぐらいしか、おざなりにしか開かれておらぬわけですね。でありますから、いま言ったようなことをやっぱりもっと地道に取り組んでほしいと思いますよ。私に質問されると、鉱業審議会で考えたいということじゃいかぬですよ。これは私に言われる前に、もっと長期展望に立った、いまの現象で足りない、余った、高くなった、安くなったという現象を追わずに、こういうように起伏が激しいんだから、それに対して長期的にどういうように対処していくかということを、長官、やっぱりみっちり審議会の中で議論していただきたいと思います。  それと同時に、私はあまり関税に触れるつもりはなかったわけですが、関税操作によって何かうまいことをやっていく、国内の中小鉱山保護するというようなことを言っておりますが、もちろん関税も必要です。関税というのは、もともと国内産業を守るということからきていますから、自国産業が強大で相手国が弱ければ関税は必要ありませんから、これは関税も必要です。現に、三十万を低迷したころは、中小鉱山が、これはやっぱり干天の慈雨的な役割りを果たしたことも私は認めます。しかし、関税といえども干天の慈雨だけであって、どれだけのコストを見ているのかと、こういうことになりますと、実際のコストと関税の分岐点とは、これは相当のズレがありますよ、そうでしょう。大体いま現在、これは産銅会社の黒鉱とか脈状鉱床とかによって違います。償却の年月によっても違いますが、大体、脈状鉱床なら脈状鉱山ですね、黒鉱なら黒鉱層状ですね、こういうのを二つ比較して産銅コスト、これはどれくらいですか。それを聞くと、関税の分岐点とコストとどう合っているのかという矛盾が出てきますから、これは明らかだと思います。
  30. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) 御指摘のように、黒鉱鉱床の最近開発された山と、それから脈状等で古来操業しておるところでは、相当コストの開きがございます。安いコストで確保しておるところは三十五万円台、高いところは五十万近いところもございます。これらおしなべまして、昨年度のコストの平均は約四十五万円というふうになっております。
  31. 沢田政治

    沢田政治君 四十五万円でコストが仕上がる鉱山はどこだと聞きたいわけですが、企業秘密とかというから聞きません。まあそこまで興味持ちませんが、いずれにしても実勢と合わぬですよね。これだけはやっぱり念頭に置いてほしいと思っています。  それと、次はちょっと角度を変えますが、事業団のほうにお聞きしますが、広域調査精密調査、たいへん、まあ政府機関の事業団の中には、ある面では行管から盲腸のような事業団だと、こう言われておる事業団も、汚名をかぶっておる事業団もある中で、比較的成果をあげる事業団一つだと私は思っております。が、しかしながら、これは百点満点じゃないんですよ。何事にも百点満点ということはあり得ないので、私は悪口を言うつもりはありませんが、これは歴史的に出発の歴史が浅いという面もあるでしょうが、広域調査にしても、あるいはまた、精密調査にしても、あまりにも総花的で、体面をつくろうためにみんなの希望をいれてあるというような国の予算と同じで、一つの重点がないというような感じを、これは私個人の感じですが、持つわけです。  たとえば北鹿の黒鉱をやったと、これはたいへんな裨益をしました。これは感謝されています、地域の方々からも。そうすると、今度は四国へ行く、北陸へ行く、九州へ行くというように、全国をキャラバン隊のようにやっているわけであります。もちろん、これは地元の要望も強いと思います。あすこで一発こういうものをあげて、非常に雇用量の少ない、出かせぎの多い地帯に雇用量をふやしてもらったし、われわれもやはりふやしてもらいたいものだという地域住民の期待もあることは、私は否定しません。しかしながら、そういう要素を入れたとしても、あまりにも転々として日本全国一周してくるというような、こういう姿勢には私は百点満点とほめられないと思います。少なくとも国費を使う以上は効率を高めると、結果なんです、見つけるということです。国内資源をふやすということが大前提だという、この前提を忘れてもらっちゃ困ると思います。中には、鉱業権の所在によって何々鉱業の鉱区がどこにあるという割り振りによって鉱業権者の要望もあわせ聞くと、これもやむを得ないと思いますが、もうすでに私は一回りしたんだから、本来の使命に立ち返って、ここをやったならば資源をふやせるし、可能性も大きいという一つの効率というものを考えてほしいものだと、私はそう思うわけであります。  全国的な地域のバランスをとるためと称して、金属鉱物を関東のローム層に何十億円使ったって、これはだめだということはわかっているんだから。鉱物は地球のはれもののようで、根があるところに枝葉もあるわけでありますから、いまやっているのは枝葉かもわかりません、まだ根は見つかっておらぬと思いますよ。宇宙まではかなり知っておりますが、自分が立っておる地球の下ということは宇宙の科学よりもおくれておると思います。そういうことでありますから、やっぱり科学的な要素を考えてほしいと思います。私は地域的な考慮を考えるならば、これは考えるなというわけにはいきません、やめたあとはそこに累々たる鉱害を残してくるんだから、やはり地域というものを考える必要はあります。それは、その地域が歴史的に鉱山をやって、鉱山として地方自治体も成り立っておる、雇用にも大きな影響を持っておると、こういうところが閉山になったならば、及ぼす影響が大きい、やめてから鉱害が出てくるんだから。鉱害防止の意味でも、そこの賦存量というものを拡大したいという要素は入れてもいいわけでありますが、ただ単に地域的にキャラバンをやるということは——そうやったとは思いませんが、一応発想の転換をこの付近でやってほしいと思います。  今年なら今年はどの地域を重点にやるのか。ここは非常に既存の鉱山もある、地層からいっても有望だというところはいまのような一キロ間隔なんて、一キロも広い鉱床なんというのは日本にはないのですよ。十メートル、一メートルはずれて発見できるものが発見できない例が非常に多いわけです。発見された例を見ますと、もう掘っても掘っても、ボーリングやっても当たらぬ、これはもう最後のむだだというところでみんな当たっているわけですね。そういうことだから、たとえば北鹿地帯の北部に行っているようですが、南部のほうもいまのような一キロじゃなく、できるならば、百メートル間隔になるとこれは企業探鉱になりますから、少なくとも五百メートルぐらいに網の目をしぼって、そうして徹底した精査をしてもらいたいと思います。そうなると、また再び戻って、キャラバンが一回りしたからもう一回やってみようというロスが、リスクが少なくなるわけでありますから、そのほうが能率的だと思うのですが、平塚さんどうですか。
  32. 平塚保明

    参考人平塚保明君) ただいま先生からたいへんきつい御指摘がございました。まことに私自身もそう考えております。確かに広域、精密調査、これは御案内のように、広域地層調査をやりまして、これはおもしろい層だというところを今度は精密にかかるわけでありまして、また、広域調査は全額国の費用、精密調査は三分の二国から出している。これの決定は資源エネルギー庁でおやりになることでございます。その指図によって私どもがその仕事をお引き受けして、指示のとおりにやっておることでございまして、この方針については、通産省のほうからお答えをいただかなければならぬことでございます。確かにただいま先生がおっしゃいましたように、全国あちこちキャラバンのように行っていたのでは困るじゃないかということでございまするが、この地域の決定は、鉱業審議会の探鉱分科会というところで慎重審議の結果、この地点を取り上げようではないかということでおきめになったことでございまして、最初に全国二十八地区を、その後、第二次として二十数カ所をきめて、それを逐次加えてきておるわけでありまして、最初の二十八地区は全部すでに探査も終わり、あるいは引き続き探査をしている地区でございまするが、それを受けて精密調査をいたしておるわけであります。さようなことで、やはり国の金を使って探査をすることでございまするから、地域的にもある程度先ほども指摘がありましたように、その地域の鉱山の比較的多い地域に結果的にはなっておりますが、さようなことで、全国に多数の地区が広域調査の対象になったわけであります。  しかし、ただいま御指摘のように、十年やりました結果、私どももこれではいけない、やはり日本は御案内のように、全国至るところに鉱山があります。しかしながら、そこの中でも地域的に比較的多い地域がある。これは全国均一にあるわけでございません。したがいまして、ただいま御指摘のように、重点的の地域をやはりきめて、そこに集中的に探鉱するということが一番効果をあげる道であろうと。これは政策のことでございますから、私から申し上げるのは筋違いでございまするが、お役所のほうではやはり先ほど申し上げましたように、全国をにらんで地域的の開発ということと、同時に、結果においては探鉱するということは、鉱山を見つけて、最終的には、それから資源を掘り出すということが最終の目的であるわけであります。  さような両方の目的をまず考えておやりになったことと思いますが、いま申し上げましたように、すでに十年たっておりますことですから、そこの中でもさらにもう少しこまかく調査をすれば、大きな資源が発見可能であろうというところを、再びそこに力を注ぐべきであろうというふうに通産省でもお考えになりまして、御案内のように、今年度の予算は先ほど通していただいておるわけでありまするが、そこの中でも、一番最初にやりました秋田県の北鹿地域の精密調査を、今年度から再度調査をするということに相なったわけでありまして、今後引き続き可能性の多い地域を、過去に精密調査で一度終わったところについても、引き続いて探鉱をやっていこうというふうにお考えになっておるようであります。  ただいま御指摘の北鹿の精密調査につきましても、確かにあの地域で見つかりました大きな黒鉱鉱床でも、直径が千メートルになっているところはございません。したがいまして、千メートルおきのボーリングをやって、これで精密調査とはまことに先生がいま御指摘のとおりおこがましい言い方でございますので、私自身も少なくともその半分ぐらい、いま先生が御指摘ありました五百メーター、五百メーターをやりますと、いままでのところに五本新しくボーリングをするわけでありますから、そういうことによって新しい資源が必ずや発見されるだろうと期待はいたしておりまするが、これは予算の面もございましょう、なかなか時節柄コストも上昇しておりますので、これらをかみ合わせて、できるだけただいま先生の御指摘のように、せっかくの国のお金を使うのでございまするから、その効果が最も大きい結果を得るという方向にいろいろのいままでのやり方も変えていっていただきたいということは、私も考えておる次第でありまして、今後これらにつきましては、資源エネルギー庁でいろいろとお考えくださることと期待いたしております。
  33. 沢田政治

    沢田政治君 大体理解できますが、鉱種別にもひとつ配慮していくべきじゃないかと思います。といいますのは、一回見つけると五百万トン、一千万トンというのは、脈状鉱床ではこれは望まれないのです。その脈が飛んだりはねたり、また思わざるところに脈があったり、まあ尾去沢鉱山一つを見ても、坑道の延長の長さは秋田から宇都宮まであるというんですから、これはすごいものです。一回にそれを最初から見つけるということはこれは不可能です。そうなると、どうしても効率を高めようということになると層状鉱床ですね、層状鉱床の次はキースラーガーと、こういうようにいくわけですが、そういうことじゃなく、やっぱり日本のこの鉱山をささえておるのは脈状鉱床なんです、ペンタイプといわれる。どうしてもキースラーガーと黒鉱のほうに力点が置かれがちなんですよ。ところが既存の鉱山というのは、古い鉱山はほとんど脈状鉱床なんです。これは見つかればいいんですよ、新しいものが。だからいま新しいものは新しく発見すると、これはリスクが多いかもわからないけれども。しかし、古いものはこれは維持していくという一つの合わせた配慮がなければならぬと思います。  最終的には鉱業審議会の探鉱部会ですか、そこの審議を待ってですけれども、私はそれだけじゃいかぬと思います。これは鉱業経営者がそこへ代表で出ていますから、おれのところも、おれのところもというのはこれは無理ない。その決定だけじゃいかぬと思いますよ。しかし、民主的な手続は私はこれは否定しませんが、行政的な配慮はエネルギー庁長官、あなたのほうでいろいろな地域の雇用とか、これが減ったならばたいへんだという一つの要素があるから、そういう要素はひとつコントロールすべきだと思いますね。通産省のほうで。銭は出すけれども、あんた方よきに取り計らえということじゃ、これはまずいと思います。いままでそういう例があったんじゃないか。傾向としてはそういうことを感ぜられるから、少しその付近のかじとりを長官、ひとつやってくださいよ。
  34. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) ただいまの先生の御説は全く同感でございまして、若干、過去に誤解を受けるようなこともございましたけれども、最近時におきましては、やはり集中的に総花的でなく、日本の鉱物をいかに能率的に、効率的に探鉱するかということが眼目でございまして、すでにその方向に行政的にも、審議会の運営におきましても変えておるわけでございますが、なお一そうこの辺につきましては、いまのお考えのような方向で進みたいと思います。おのずから予算の限界もございますわけでございますが、その辺につきましても財政当局ともよく相談いたしまして、要は日本国内鉱物を効率的に保持、探鉱するということが目的でございますので、悪平等にならないように心がけてまいる所存でございます。
  35. 沢田政治

    沢田政治君 大蔵省、待たしておっても失礼ですからお伺いしますが、これは資源問題はたいへんだと思います。石炭さえも、石油ショック以来もう一回見詰め直そうというこの時代に入っています。でありますから、やはり資源問題はいま現在の問題じゃない、将来の問題にもかかわる長期的なこれは政策の問題ですから、国際価格と比較して間に合わないものはつぶしちゃえと、外国から買えという時代一つの壁にぶつかっておるわけでありますから、日本の将来というものを、産業の将来というものを考えた場合、非常に長期展望に立った視野に立ってやはり銭金を出さなくちゃならぬと思います。間に合わぬものはつぶしちゃえと言ったって、もう、一回つぶしたものはこれは不可能だと思います。絶対不可能じゃない、もう大体金銭面では不可能ですね。そういうことで、大蔵省も大蔵省なりに努力してきていただいておると思いますが、どうですか、現状で、これ程度で、しかも、いま資源ナショナリズムが台頭する今日において、日本資源というものは、財政的に見てこれだけの投資をしておったならばだいじょうぶだと思っていますか。私はその逆な面を持っていますが、もう少しやはり資源というものは、ますますこれは有限であり、ナショナリズムの台頭によって銭金じゃない、いろいろな外交的な、文化的な、民生安定的な、あわせ国内資源も守っていこうと、この両面を、非常に多角的な政策を結合させなければならぬ時代に来ておると思います。  特に海外開発のほうは、今度の法律改正の要点にも盛られておりますが、国内資源があるとないでよほど違うんですよ。石油のようにもう九九・九%依存する場合と、少なくとも一〇%でも二〇%でもある場合は、輸出国だってばかじゃないからちゃんとわかっています。でありますから、いままでのようにロンドン相場と比較して中小鉱山というものはやっぱりスクラップ・アンド・ビルドでいいんだということじゃ、これはいかぬと思います。そういう連関性を持っているわけです。そういうことでありますから、その点について大蔵省どう考えますか。
  36. 禿河徹映

    説明員禿河徹映君) 金属鉱物関係の将来の日本のあり方という点につきましては、先ほど通産省御当局からお答えがございましたとおり、あるいは先生から御指摘がありましたとおり、そういう方向で私どもも進むべきだと、かように考えております。  たとえば国内鉱山の問題にいたしましても、例の広域、精密並びに新鉱床探査という三段階方式、それがほとんど確立した制度みたいな形で動いてございます。私どももこういう方向でさらにこれを推進拡大してまいりたいという気持ちに変わりはございません。あるいはまた、海外探鉱なり開発なりの問題にいたしましても、今回の金属鉱業事業団法改正等にございますとおり、その面につきましても私ども十分配慮をして、要は資源全体、これの安定確保、それを日本としてはかっていく、そういう方向で私どもなお一段と努力をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  37. 沢田政治

    沢田政治君 国内の問題でありますが、要は、産銅会社をいかに手助けするかということだけじゃないと思います、国内の問題に限って言っても。いかにして日本資源量をふやすか、しかも効率的にするかと、こういうところに間接的には別として、直接的にはそこに大前提と目的があると思いますね。そういうことでありますから、たとえば探鉱のしかたでも、それはもう営業探鉱、企業探鉱じゃないか、だから、そこからボーリングの口をつけることは何か企業を助けるんじゃないかと、まあ知らぬ者からいえばそういう議論もこれは出てくると思います。いいんです、そういう疑問が率直にあって。しかしながら、企業が現に営業している地点からボーリングをやっていくということは、何かこれはかっこうとして悪いと。でありますから、外を回って別の鉱区から——非常に遠距離になりますね、発見量も非常にこれは少なくなりますね。だから、そういうよそを回ってよそからこれはボーリングをやると、こういうぎすぎすした運営もあるやに私は聞いています、事実そうかどうかわかりませんが。でありますから、私はやはりどこからボーリングをやろうが、水平にしようが、垂直にしようが、少ない経費で早く大きなものを発見するというのは、これは常識的に目的ですから、これは私の記憶が違うならばそれでけっこうですが、そういうことのないようにひとつ配慮をしてもらいたいものだというように考えています。さらにこれは私の理解が間違っておるなら答弁の必要がありません。  それと、もう一つ新鉱床探査補助金ですが、これはやっぱり五〇%の補助だったんじゃないかと思いますが、私、まあ七年も商工を留守にしておりますので、記憶がさだかでありませんが、しかし、これは一面においては非常に歓迎されておるわけですが、一面においてはやや歓迎されるわけですが、資力の乏しいところはなかなか飛びつけないと、ある程度の自己資金がある場合は歓迎しますが、ほとんど鼻血も出ないようなところは、なかなかこれは飛びつけないという一つの欠点もあることは事実です。これは今年は今度一〇%のアップはしていますね。これは、率アップすることは探鉱しようとする者に対しては一つの福音であります。  しかし、率アップだけでは私は解決しないと思います。つまり実勢経費ですね、実勢の単価とそのアップする単価の基礎がどうなっているかということに私はやっぱり関係があると思います。形式的には、リスクが多いんだから五〇%援助をしようと、こういうことになっても、実際ふたをあけてみますと、こういう狂乱物価のおりでありますから、ある場合は二〇%、三〇%、こういう、私は具体的な個所の資料を持ってきておりますので、私の考え違いで言っているんじゃありません。具体的なことは言いませんが、でありますから、率アップもそうでありますが、実勢に近いような一つの基礎を設けるべきだと思います。そのほうがかえって私はこれが利用される可能性というものが多いんじゃないかと思いますが、これはもちろん大蔵省の補助金の全般に通ずることですね。  これは公営住宅とか、道路とか、下水とか全部に通ずることでありますので、鉱山だけということはなかなか至難だということは私も承知しております。たとえば公営住宅の場合でも、銭はあるけれども、地方自治体が敬遠しています。実際の予算だけ建たないわけですよ。そんなものは間に合わぬから、持ち出しが多いんだからまっぴらごめんだというのが最近の傾向です。でありますから、国全体の補助単価というものの見詰め直しを今日しなきゃならぬことになっておりますが、しかし、道路にしても住宅にしても一つの結果が残るわけですよ。多くの負担をだれかが、どっちがしたかという問題が残りますが、結果は残るわけですね。ところが、鉱山の場合リスクですよ。ゼロから一〇〇、その中間がないわけだ。でありますから、そういうリスクの多いものを五〇%と称して中身が二〇%じゃ、ありがたいにはありがたいけれども、これを利用する利用率というものは非常に消極的になると思いますから、そういう問題の本質といいますか、私は、事の事柄上こういうものを考えて将来のために考慮すべきじゃないかと考えますが、いかがですか。
  38. 禿河徹映

    説明員禿河徹映君) 先生の前段の件につきましては、私、寡聞にしてそういう事実があるということは存じておりませんので、ちょっとお答えがいたしかねますが、あと新鉱床探査の補助金の御指摘でございますが、私ども予算の策定にあたりまして、通産当局ともいろいろ御相談いたしまして、確かに最近労務費あるいは諸物価の高騰もあるということから、一応予算の上で一〇%のアップを見たわけでございます。ただ、これがそれで十分であるかどうかという点は、確かに御指摘はあろうかと思います。  なお、先生指摘のように、探鉱費のいろいろの実態というものを十分把握した上で考えるべきだという御指摘でございますが、その辺につきましては、私ども今後通産御当局ともよく相談をして実態の把握につとめてまいりたい、かように考えます。ただ、これも先生指摘ございましたけれども、いろいろ、補助金の問題、この問題だけじゃなしに各般にわたる大きな問題でございます。その辺になりますと、財政的にも非常に膨大なものになる可能性もございますので、他の補助金の単価等の関連ということも十分頭に置きながら、あわせて鉱山関係の実態ということも十分実情把握いたしまして、今後いろいろ勉強をしてまいりたい、かように考えます。
  39. 沢田政治

    沢田政治君 先ほども申し上げましたように、坑外試錐、坑外からボーリングをおろす場合は大体単価に近いようです、私の調査の範囲では。あとは全部実勢単価と補助単価とは相当の違いがありますので、この点は将来の課題というか、遠い将来じゃなく、来年度予算から考慮していただきたいと思います。  それで、私の質問はきょうでちょっと終わりそうがない、あとに残したいと思いますので、とりあえず、大蔵省はお仕事もあるでしょうから、きょうのところはこれでけっこうです。  それで、問題を整理しておりませんので、あちらこちらに飛ぶと思いますが、御了解願います。  銅の輸出の問題ですが、通産省は、二月に二万五千トンですか、三月に一万トン、これを輸出しておるわけです。日本資源というものはたいへんだ、海外開発しなくちゃならぬ、政府も援助しなくちゃならぬと、こういうことで国費をある程度投じて確保したものが、目先の需給によって海外に出さなくちゃならぬというのは、どうも疑問を感じているのです。悪いとか悪くないとかという私は即断はできませんが、疑問を感ずるわけであります。国の経済のために、国内産業のために必要だということで、国民の理解を得て金を政府が幾らか出しておるものを、これを輸出するということは、これは企業援助じゃないかという感じさえも私は持たざるを得ないんです。もういつでもだぶついておるのであるならば、これは問題ありませんですね。ある場合はスポット買いまでしているじゃありませんか、膨大な価格で。そうして今度はいまの需給が、若干在庫がふえた、こういうことでこれは輸出を許可しておる。これは許可制ですね。重要基礎資材でありますから、当然大臣の認可がなければならぬわけであります。先ほど私は申し上げましたように、しかもこれは備蓄できる特質を持っております。性質を持っております。そんなに世界的にこれはだぶついてくるんですか、銅なら銅が。  私の理解では、アメリカはやや不足ぎみになっています。しかも今年は、アメリカは労働協約の更改期ですよ、これは。どれだけのストライキをやるかもわかりません。また、これはアフリカでどんな民族運動が台頭するかもわかりません。非常に不安定な要素を持っているわけです。そのときなぜこれを輸出するかということであります。それしか芸がないかということであります。なぜ政府がこれを買っておかぬかということであります。将来日本の銅なら銅、鉛なら鉛、亜鉛なら亜鉛が余って余って、未来永劫までいかぬけれども、この十年間はとてもさばき切れないというものであるならば私はわかりますよ。来年のこともわからぬ、再来年のこともわからないときに、いま余ったからってこれを輸出するというのは、あまりにも私は政策がないと思います。そういう長期にわたる需給計画の安定というものに確信を持って輸出しておるのかどうか。在庫をかかえて資金繰りがつかぬというならば、資金繰りのことを考えたほうがいいでしょう。買い取り機関を設けたらいいでしょう。なぜそういう芸のこまかい長期展望に立った政策を持たぬかということであります。余ったから売る、足りなかったらスポット買いもするということじゃ、何のための鉱業政策だかわからないと、こういうことに本質的になるわけです、私の持論からいくと。いまやったのは、いい悪いということは論議しませんが、こういう現象を追うような政策では私は政策の名に値しないから、もう少し頭を冷やして、長期展望に立って考えるべきだというのが私の持論なわけです。いかがですか、間違っていますか、そういう考え方が。
  40. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) 銅地金は、輸出貿管令に基づきまして輸出承認停止物資となっておりますことは、先社御指摘のとおりでございます。今回、約四万トンの銅の輸出を許可したわけでございます。これには大きく分けまして二つの理由がございます。  一つは、石油危機以来、われわれの予想した需要と大きなギャップが実需要面に出てきたということ、一方、鉱石の手当ては、日本と同じようにやはり諸外国日本へ向けて輸出しておる鉱山は、日本向けということで鉱山開発しておるわけでありまして、日本が鉱石の輸入をカットする場合、これは一つ鉱山町にパニックが生ずるわけでございまして、国と国際資源政策上信頼を今後ともつないでいく上にも、鉱石の輸入を一どきにカットするというふうなことは、われわれとしても許すことのできないことでございます。これは政策の最も重要な点の一つでございます。  第二に、地金の問題がございます。一方でこのように輸出をしながらも、もう一方では、本年おそらく地金にいたしまして三十万トン近い地金が入ってくるのじゃないかと思います。一方で地金を輸入して、一方で輸出するというふうな一見矛盾したことでございますけれども、これは商業契約というものが介在しておる以上やむを得ない点であろうかと思います。それらを総合いたしまして、需要のダウンと鉱石を経常的に輸入していかなくちゃならないという国際的な問題同時に、地金が、一部カットはしておりますけれども、契約どおりに入ってくるという問題、それらが競合いたしまして、相当量の過剰在庫というものを鉱石の面でも地金の面でも持ち始めておるということでございます。そこにもう一つ先生指摘のような資金の問題も生じまして、もちろんこれを備蓄に回すということは政策問題として考慮しなくちゃならないことであるかと思いますが、現段階で十万トンの銅を備蓄に回すと約八百億の金が要るわけでありまして、至急政策的にこれを取り上げるといったことは現実問題としては非常にむずかしいことでございます。  そこで、今後の需要を見きわめまして、十分の需要に対する供給力はあるか、市場を満たすだけの十分なランニングストックはあるか、物不足を招来するおそれはないかというふうなことを、個々の精錬所別に在庫を、一々職員が全部現地へ参りまして、ストック状況をつぶさに調査いたしまして、業界の申請と鉱石並びに地金のストック状況の差はないかということをこの目で、われわれの目でチェックをした上で、今回特に輸出を許可するということに踏み切ったわけでございます。
  41. 沢田政治

    沢田政治君 契約上のいろいろないきさつがあると、こういうこともわかります、国際商品でありますから。原鉱石の輸入を含めても、いろいろなそういう事情があることは、私もこれを理解するにかたくはありません。しかしながら、十万トン在庫をする、また備蓄をするということになると、八百億ですか、の金が要る、これもわかります。いまの建て値に掛けていくとすぐわかりますから、そういう金額もわかりますが、しかし、先ほど言いましたように、産銅国のナショナリズムの問題、世界的なインフレの傾向の問題、こういう問題からいって、しからば、現在若干余ったということで三万五千トンぐらいこれは輸出すると、将来逆に十万トン足りない、スポット買いしなくちゃならぬということになって倍にはね上がったなら、千六百億の外貨が必要になるんじゃないですか。  少なくとも外貨の問題は今時たいへんな問題ですよ、これは石油の値上がり等によって。でありますから、あまりにもそういう考え方はミクロ的だと思うのです。だから、こういう資源の問題はミクロ的に考えちゃいかぬ、資源ですから、少なくとも十年ぐらいを見詰めた長期展望に立った政策をつくれ、ものを考えよ、こう言っておるわけです。でありますから、契約上の問題とかそういうのはわかりますから、いまのままじゃいかぬですよ。足りないからスポットでも買え、余ったから売らなくちゃならぬということでは、八百億のことを含めても膨大な額はわかりますが、もう少し国として長期展望に立つべきだと思います。そうでなければ、いまの小手先のようにやったんじゃ、もう海外にほとんど資源を依存している日本はたいへんなことになりますよ、いまはいいとしても将来ね。そういう意味一つの警句を私は発しておきたい、こういうように考えるわけです。  そこで、いまのこの二万五千トンと一万トンを輸出した精錬の業者別、扱い商社別、これは輸出数量を含めて、そうして輸出先はどこだと、これをお聞きしたいと思います。  それともう一つ、先ほど自山鉱の産銅コストをお聞きしたわけですが、これもまあ的確じゃありません。これは的確じゃないことはいいんですよ。各社別に聞けばいいわけですが、企業秘密があるから私はあまりここでこれは追及しませんが、精錬の最近のコスト、これはいろいろ私なりに聞いておりますが、まあ精錬といっても博物館にいくような精錬もあるし、最近の新型もありますから、これは一様には言えないと思いますが、古い設備の精錬コストは幾らで、最近の比較的新しいコストが幾らだか、これをお知らせ願いたいと思います。
  42. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) 精錬設備、精錬のコストにつきましては、私ども調査したものがございますので、後ほど資料にして先生のお手元にお届け申し上げたいと思います。  それから、銅地金の輸出先別の状況でございますが、四十八年五月の二日現在、総計四万二千三百四十三トン輸出承認をしております。そのうちアメリカが二万三千トン、東南アジアが一万トン、ヨーロッパが八千トンその他ということでございます。扱い商社はいま手元に資料ございませんので、また後ほど資料届けさせていただきます。  精錬コストにつきましては、平均のコストはいま手元にございますけれども、新旧の設備別ということで手元にございませんので、後ほど届けさせていただきたいと思いますが、精錬コストの推移は、銅について申し上げますと、平均いたしますと、トン当たり四十六年が四万七千八百円、四十七年が五万三千二百円、四十八年が五万三千四百円、四十九年は、予想でございますけれども、約五万六千円以上になるのではないかと考えております。
  43. 沢田政治

    沢田政治君 大臣がちょっと退席しているようですが、これくらいのことは長官でも答えられると思いますが、先ほどの備蓄ですね、これは何も新しい政策じゃないから、足りない場合はスポットで買っているんだから、しかも、将来は百八十万トンの銅が必要なんという計算をしている向きもあるようだから、これを目先に十万トンぐらい在庫かかえたから、大体五万トンぐらいは正常な在庫だと、五万トンは多いと、経営者も困るだろうから吐き出してやれと、こういう安易なことでは政策じゃないと私は言っているわけだ。将来の資源というものが有限だということを考えて、また、産銅国のナショナリズムの問題等を考えた場合、これは非常に現象を追うているだけにすぎぬということを言っているんです。備蓄のことについてどう考えていますか。いまのままでいいと思いますか。これはやはり深刻に考えなくちゃならぬことだと思いますので、具体的にどうするかということは、どういう資金でどうするかということは別としても、その必要性考えていますか、長官。
  44. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 資源の備蓄の問題につきましては、最近の石油危機のときに非常に痛感いたしたわけでございます。あの当時、十月末で日本石油の備蓄は六十日分であったわけでございますが、ヨーロッパ諸国は九十日、多いところは百二十日持っておる国もあるわけでございます。もし日本の備蓄が六十日分でなく百二十日分でありとせば、当時の石油危機に対応いたします政策の立て方も相当ゆとりのある形がとれたんじゃないかという反省をいたしておるわけでございます。石油に即して申し上げますと、備蓄問題というのは、いまの銅の場合と同じように、非常な運転資金の問題があるわけでございますが、もう一つは、石油の場合には非常に国内立地の問題があるわけでございます。今後相当大きな備蓄をやります場合に、民間企業だけの責任にこれをまかせるというのが妥当なのかどうか、西独のように相当政府が介入して、補助して、政府備蓄的な性格を持つ必要があるんではないかということが言われておりまして、現在、石油につきましては、石油部会のほうで備蓄のあり方、その場合の資金負担のあり方等につきましても検討いたしておるわけでございますが、いずれにいたしましても、この石油にとどまらず銅等の非鉄金属におきましても、いま御指摘のとおり、これからナショナリズムが台頭、強化されることは歴然でありまして、有限のものでございますので、国内の鉱物も含めた備蓄問題というのは、真剣に取り上げるべき問題だと思うわけでございます。  この場合には、いまちょっと触れましたようにその備蓄主体の問題、それから備蓄資金の問題、立地の問題、それから、特に非鉄金属のように国際商品であります場合には、その備蓄した時点とこれを放出する時点の価格差といいますか、その問題、それをどうアジャストし、だれがその損失ないしは利益を負担ないしは平等化するかという、そういう問題も含むと思うわけでございまして、石油についてはいま審議を進めておりますが、非鉄金属、特に銅につきまして、先ほど来申し上げておりますが、六月早々にもこれを有識者を集めた審議機構でいま言ったような問題点別に詰めていただきまして、当然にこれは財政の力を借りなければ、民間だけでは私できないと思いますが、その方向で前向きに考えていきたいと思っておるわけでございます。決しておざなりにやっておるわけじゃないのでございますけれども、そういう基本的な線がきまりません現段階で、いまの鉱石も含めた過剰在庫というのが、約三カ月分日本にたまっておる現段階でございますので、輸出貿管令の運用を通じまして二月、三月と輸出を若干行なっておりますけれども、これは私の個人的な見解でございますが、本道ではない。正道というのは、やっぱりこういう希少物資につきましては、備蓄対策の整備強化というものをはかるのが方向であろうと考えておるわけでございます。
  45. 沢田政治

    沢田政治君 いま言ったことは政府備蓄というかっこうにならざるを得ないと思いますよ。相当の財政が伴うわけでしょう。物が物だけあって安いものじゃないから、八百億とか十万トンでも、これは鉱業審議会でも学識経験者を集めて詰めていきたい、こう言っておりますが、早急にやっぱり課題として詰めてみることを私は問題として提起しておきたいと思います。  それから次に鉱害の問題ですが、公害というのは、これは最大の悪です、何といっても弁解の余地はありません。どんな価値観を振り回してもどんな価値ある物を生産しても、公害を要認することは、今日の世論からいって許されないことだと思います。  そこで、そういう前提に立って私はお聞きするわけですが、明治以前には産業日本にはほとんどなかったわけですね。農業も産業ですから、農業はあったと思いますが、魚も幾らかとっておったと思いますが、近代産業と称されるのは金属鉱山しかなかったと思います、まあ規模は近代産業なんて名のつく規模じゃないにしても。  そこで、現在、加工している、利潤をあげて支払い能力あるものは営利行為ですから、全部これは企業が負担することは、これは事実です。しかしながら、無資力の場合はこれはわかりますが、問題は、政府鉱山を経営したことがあるのですね。そう長い期間じゃなかったんですが、官山として政府が直営で鉱山を経営した時代がこれはあるわけです。それ以前もこれは国家権力が持っておったわけです。個人が許されなかったわけであります。封建領主が持つか、いずれにしても、権力が持っておったことは事実であります、徳川が持とうが、藩閥が持とうが。そういうことでありますから、そういうところが閉山になって、鉱業権がいまどこにきているかは別として、そういう場合、どういう考え方を持っておるか。いま所有権が無主物であるならば、鉱業権者がなければ、これは政府がやらなくちゃならぬでしょう。しかし、現に鉱業権者もある、行使をしておらない、こういう場合どうするのか。これに対する考え方ありませんか。
  46. 林信太郎

    政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。  鉱山業の特性につきましては、ただいま先生指摘のとおりでございまして、現実に、ものの考え方といたしまして原因者がその責めに当たるということは昔から一貫した考え方でございますし、現在の鉱業に関します諸法規、賠償といい、あるいは保安、あるいは鉱害に関します諸法規もそういうたてまえになってる、そういう法規に基づきまして扱っていくというのが仕組みでございます。ただし、そういう仕組みでは、御指摘のような状態で資力がない、ただし鉱業権はあるというケースの場合には鉱害防止工事ができない。そういう場合をどうするかという問題でございますが、そういったケースにつきましては、私どもは、可能な限り的確な監督及び具体的な的確な指示をいたしまして、最大限の企業努力をやらせる、それが第一でございます。どうしてもやり得ないということがはっきりいたしました場合には、別途、現在やっております金属鉱業鉱害防止工事補助金制度によりまして、工事主体は県、費用は三分の二を国が負担して的確な具体的な防止工事の措置をとらせる、こういうやり方で進めてまいっております。
  47. 沢田政治

    沢田政治君 四十九年度の予算案では三千四百九十五万円ですか、蓄積鉱害の費用が新規に計上されておると思いますが、これでこれは足りるのですか。こういう聞き方は非常に唐突な聞き方ですが、だれがやった鉱山かわからないがカドミが入っておる、こういうことが至るところ、東北地方では——まあ他の地域にもあると思いますか、こういう補償は一体だれがやるのですか、これは。この点も明確にしなければ——非常に困っておるわけです。どうなりますか、これは。あまり深くは聞きませんが。
  48. 林信太郎

    政府委員(林信太郎君) ただいま御指摘のございましたその三千九百万円は、金属鉱業蓄積鉱害対策費という名前になっております。中身は幾つか入っておりまして、一つは、長年のこの特殊な、かつ膨大な金属鉱業の汚染をどうやって抜本的に解決するかという案をさがすために特別な対策会議を持つ、その費用が約一千万入っております。  それから、坑廃水の処理という問題が重大な問題でございます。これにつきましては、別途補助金のほうでその処理費も補助対象にするという配慮を今年、四十九年度からやることになったわけでございますが、そういった費用というのはあまりにももったいない話でございますので、何らかの技術研究をいたしまして、そういうことなしに済ます方法はないかということの研究費として約三千万、予算要求してない分を特に財政当局と話をいたしまして、国会からの強い要望がございまして、そういう措置をとったわけでございます。それで、本番でございます本来の休廃止鉱山鉱害防止工事そのものにつきましては、一般予算で十二億五千万、本年七億でございます。それから、財投から二十二億円の融資原資が本年十一億でございますが、四十九年度予算として政府原案に入っております。したがいまして、先生が御指摘になりました三千九百万は、そういった特殊な調査費及び会議費でございます。
  49. 沢田政治

    沢田政治君 鉱害については原因者負担と、まあ営利行為をやってる以上これは当然の帰結です、これは原則です。しかし、だれがやったかわからぬというものは、これはやっぱり国か地方自治体で持たなくちゃならぬと思いますし、もう一つ、先ほど言いましたように、国が経営しておった、幕府が経営しておった、こういうものについては、これはまた別な角度から考えなくちゃならぬと思いますから、やっぱりそこはひとつ研究課題として考えてもらいたいもんだと、これは私の私見ですから一応申し上げておきます。返答は要りません。  それから、鉱業審議会は一年に一回ぐらい、形式的とは言いませんが、非常に緩慢です。たいへん審議すべき課題があると思いますから、これは活発に問題を建議させ、議論をしてもらいたいと思います。  もう一つはこの構成ですが、これは学識経験者とか、あるいは鉱業権者とか関係者ですね、これは労働組合も含まれておるわけでありますが、その際に労働側として二名出ておるように記憶しておりますが、もう一つ、これ三つなんですね。私は労働運動をここで論ずるつもりはありませんが、非常に不公平だと、こう言われておるわけであります。中立糸、総評系、同盟系とあるようでありますが、総評系、同盟系が出ておるわけであります。中立系と称される方々も、人員においてはそう遜色はないわけでありますから、これはわれわれの意見だけがここに網羅されないと、こういうような不満も一部であるやに私聞いておりますので、精錬労協とかいうのがあるようですから、これについてもやっぱり考慮すべきじゃないかと思います。ここで私は即答は求めませんが、これは考えてみるべきじゃないかと思いますが、いかがですか。
  50. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) その件につきましては、審議会の活発な活動も近く考えておりますので、先生の御趣旨に沿いまして検討してまいりたいと思います。
  51. 沢田政治

    沢田政治君 だから、現在の鉱業の状態は精錬が中心になっているわけですね。精錬労協というのは、これは大きな産銅の比率を持っているわけです。現実的に考えるならば、こういう多くの精錬を持っておる、そういう組合の方々をシャットアウトするというのは、これは論理的に合わぬですよ。でありますから、ひとつ検討課題として考えてほしいと思います。  次は、石炭のほうには石炭鉱業者年金ですか、があるわけですが、これはわが党も主張しておるわけでありますが、金属鉱山にもこれを及ぼすべきだと、こういう主張は再三再四にわたって関係者はもちろんのこと、わが党もこれは主張しておるわけです。鉱石を掘るのと炭を掘るのの違いでありますからね。負担の問題もこれはあります。ありますが、やはり現実にその産業に働く者にとっては、非常に差別をつけられておる、そんなに重要な産業じゃないのかというような屈辱感も感ずることは、これは事実でありますから、もちろん、これは通産省だけでできるものじゃありません。厚生省もこれは一枚かまなくちゃならぬと思いますが、いずれにしても、作業の態様というのは同じなわけです。掘るものが違うだけです。そうして、片一方にはあって片一方にはそういう制度がないというのは、これは矛盾だと思いますし、そういうことで厚生省の所管でもあろうと思いますが、それのやっぱり問題提起していくのは、何といっても私は所管である通産省だと思います。それで、一応積極的にこれを前向きに検討するということぐらいから開始してもらわなければ、毎年何とか何とかということじゃ、たいへんこれはいかぬと思うんですが、どうですか、これは。前向きに取り組むべきだと思いますよ。
  52. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 鉱山にとりまして労働力の確保というのは、これからの最大のやはり問題だと思うわけでございまして、そのための労働者の福祉の向上に資するための特別年金制度の創設といいますか、これは年来の大きな課題でございます。最近、資源問題も新しい観点から見直す必要が出てきておりますことは、先ほど来の先生の御指摘のとおりでございまして、ただ、石炭におきます特別の財源問題、特別の財源を用意されておりますわけでございますが、この金属山につきましても、こういう財源問題が一つの大きな問題であろうかと思います。その辺の問題も含めまして、厚生省と前向きにこれは取り組んでまいる所存でございます。
  53. 沢田政治

    沢田政治君 先ほども鉱害の問題に触れたわけですが、私はやっぱり根本的に考えてみて、いまの鉱業法に問題があると思います。つまり、いまの鉱業法が先願主義なわけですね、また、欠格条項もない。見つけた者勝ち、宝さがしと同じであると思います。石炭の場合なんかも、たいへんボタ山を残されてあとどうするんだと、ボタ山とスラム街だけ残ったと、こういうことになって、たいへんな社会問題を起こしておるわけでありますが、一部の新聞では鉱業法の改正、これらを考えておるようですが、昭和三十九年であったんですか、通産省が一回、国会に出したことがありますね。これは石炭の、コールマインのほうの関係で日の目を見なかったわけでありますが、当然、私も衆議院の商工委員会でこれの論議に参加した一人でありますが、当時は問題がありました。また、当時問題があったと同時に、今日はまた鉱害というような問題、また、資源というものはたいへんな事態を迎えておるという時代的な背景の推移、こういうものがありますので、この改正について、今国会は別としても、いつごろ改正する意思があるのかないのか、これはどうですか。
  54. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 鉱業法の改正につきましては、昭和三十九年に四十六国会に提出をいたしました。その主たる内容は、いま御指摘ございましたように、石炭鉱業におきます能力主義を採用するというのが一つの大きな柱であったわけでございます。その他地上権益との調整、鉱山保安の確保等も一つの大きな問題であったわけでございますが、結局、地上権益と鉱業との調整ということがつきませんで、五十国会までこれが継続審議になっておりまして、五十国会で廃案に相なったわけでございます。  われわれといたしましては、過去のこういう議論の経緯、この辺、非常にむずかしい問題が関連いたしておりますので、当面、鉱業法の基本的な改正というのは考えておらないわけでございますが、別途、いま御質問ございましたように、鉱業権の付与というのが、非常に能力主義を加味しないで、だれにでもこれを与えるという点、そこから派生します鉱害の発生というものの事前防除等について不備があるんじゃないかという点でございますが、この辺につきましては鉱業法の改正の問題よりは、むしろ、一応これは広く全国民に対して鉱業に参加する機会を与えるという平等主義及び鉱物の発見、開発を促進するという観点、この辺から現行の鉱業法の骨格は変えませんで、しかし、その後鉱業権者が活動いたします場合に、いろいろと鉱害問題が発生するのに対応いたしまして、これを能力的な観点でチェックしていくというほうが妥当であろうかと思っておるわけでございます。  現に、鉱業法の運用におきましても、鉱業権の設定をいたします場合に、地元の市町村の長の意見を徴すること及び施業案の審査の基準を鉱害防止の観点から明確にいたしまして、監督体制を強化拡充いたしておるわけでございます。また鉱害をいささかでも発生するような悪質な鉱業権者に対しましては、鉱業法上に基づく鉱業権の取り消しを積極的に行なうという形をとっておるわけでございまして、そういう防除的な観点の法の運用及び特別法の設定をたてまえといたしまして、鉱業法そのものに抜本的な改正を加えるということでなく目的は達成できるんじゃないかということで、五十国会以降、その方向施策整備を行なっておるわけでございまして、当面鉱業法の改正考えておらないわけでございます。
  55. 沢田政治

    沢田政治君 いずれにしても三百年、五百年前に時の権力者が確保し稼働した山が、今日の国民にたいへんな鉱害として一つの負担をしわ寄せておる、こういうことから考えて、鉱業権というものは一つの私権として認めていいのかどうかということは、やはり深刻に考えるべき時代にきているのじゃないかと思います。それと同時に、見つけた、適法だ、おい掘れ、もうけろと、こういうことでいいのかどうか、五百年後を考えなくちゃいかぬと思いますね。でありますから、やはり欠格条項というものも考えなくちゃいかぬし、転売というのははたしていいのかということも考えなくちゃならぬし、ただ単に若干の手数料を取って認めて、あと後代の人はこの費用で何とかせいということで、子孫のほうに処理のほうをまかせるというのもどうかと思うのですね、これは。しかし、いま現在私権を持っている者はこれはしょうがないとして、新しい鉱区の場合はどうするのか、これはやはり国は、鉱業権というものを持って採掘権だけ認めて、将来の鉱害に備えてその費用をいまとっておく、こういう方法もあるであろうし、でありますから、いまの法律だけじゃどうにもならぬと思います。ここまで入りますと、非常に議論が深くなりますので私は避けますが、いまの手法だけでできるのかどうか。やはり幅広く先入観的な固定観でいまの法律でできるのかどうか、深く広く議論してほしいと思います。  まだ、ちょうどいまで半分ぐらいしか終わっておりませんが、当委員会で許されればもう一回私は聞きたいという希望は表明しておきます。  そこで、もとに返るわけでありますが、今度の事業団法改正では、政府出資ができるということと、さらにはまた、第三国の法人鉱業権利者がある場合でも、大型プロジェクに限りこれは融資できる、こういうことに改正はなっておるわけでありますが、いままでも融資があった、金を貸しておったと思いますね、事業団が。で、私の理解では、その対象地域が後進国じゃいかぬ、開発途上国発展途上国じゃなく、おもに先進地域に限り貸すことができるようになっておったような記憶があります。ところが皮肉なことには——これは皮肉でも何でもないのですよ、やはり工業国と称される少なくとも先進国の鉱業権が及んだりなにかするところは、投資の対象になるところは、アメリカにしても、あるいはまたカナダにしてもオーストラリアにしても、そう、何といいますか、ダイヤモンドがころがっておるような優秀な鉱区が存在しないと思います。相当のリスクで辺地に行って、品位は高いけれども経済品位は間に合うか合わぬかというところが、これはあるいは残っておるかもわかりません、これは断言できませんよ。土の下でありますから、みずからの屋敷の下にダイヤモンドがあるかもわかりませんし、そういうことは断言はできないにしても、常識的に考えてみてやはり先進国の場合、工業国の場合は非常に把握しておると思います。  ところが、事業団の実績を見ても、後進国で案外当たっています、見つけています。こういうことでありますから、この対象地域等も別の観点から考慮し直さなくちゃならんじゃないかという点が一つと、やはり大型のプロジェクトですから、これは個人のどこかの一企業だけが共同でやる場合はだめでしょう、共同というのはあくまでも共同でしょう、この件はどうですか。まあ平塚さん、いままでの実績はどうですか。やっぱりアメリカ大陸の中に日本が大鉱脈を発見したとか、オーストラリアで見つけたとか、カナダで見つけたとかということは聞かぬわけでありますから、実態はやっぱり開発途上国に多いでしょう、どういうことになっていますか。
  56. 平塚保明

    参考人平塚保明君) お答え申し上げます。  ただいま先生の御指摘のとおりでございまして、実は、私どものほうはいままでは融資だけでございまするが、融資につきましては先進国に限ると。これは、後進国につきましては、経済協力基金が以前から鉱山探鉱資金を貸しております。さようなことで、私どものほうはあとからできた組織でございますので、さように相なっておりまして、いま先生の御指摘のとおり、四十三年から始まりましていままでに先進国、いま御指摘のアメリカ合衆国、カナダ、オーストラリア及びこれらの信託統治領でございますが、この三カ所に十四億円、四十八年度末までに貸しております。現在返済がありますから、帳じりは十一億ほどになっておりますが、その対象は四十八鉱山でございましたか、これはというところは、オーストラリアで一ヵ所いま開発にかかっております。もちろん、まだ探鉱もいたしておりまするから、今後この中から開発の段階に入るものもあろうかと思いますが、いま先生の御指摘のとおり、これらの先進国におきましては、すでにいわゆる非鉄メジャーがケネコットとかアナコンダとか、そういう大きな組織が克明に調べておる関係で、残念ながら大きなプロジェクトは見つからないというかっこうでございまして、さようなことに対しまして事業団でやっておりまする海外仕事で、これ以外に資源開発協力基礎調査、これはGGベースで相手国の政府から日本政府に、この地域に鉱山がありそうだから調べてほしいということに対して、これを通産省で取り上げられて、これはおもしろいからやろうじゃないかということで予算化していただいてやっております。  この仕事と、もう一つは、日本の鉱業会社が外地で探鉱権を、あるいは採掘権を得ている地域、非常に向こうは能力主義でございまするから、大きな地域に対して探鉱権を付与します。この地域に対して国から平均いたしまして六割、物理探鉱その他は三分の二、ボーリングは二分の一という費用を国が補助しておりまするが、この地質構造調査、この二つをやっております。  これらは後進国でもよろしいことになっておりまして、事実、前に申し上げました資源開発協力基礎調査は、いままでに六ヵ国で、七地域でこの調査をやっておりまするが、この中からすでに探鉱の終わりました三地域がありますが、その三地域のうちの二地域はたいへんりっぱなものに発展するであろうと、これはペルーとフィリピンでございますが、見つけております。また、地質構造調査のほうは、十六地域の調査をいままでにやりましたが、その中で七地域で非常にいいものをつかんでおりまして、これはすでに開発の準備にかかり、あるいはもうすでに開発にかかっているところもございますが、かようなことで、いま先生の御指摘のとおり、やはりバージンフィールドは発展途上国にあるというようなことで、私ども事業団といたしましても、できることなら、発展途上国における探鉱資金の融資ということについても御考慮願えればありがたいというのが、私の考えでございます。
  57. 沢田政治

    沢田政治君 いまの事業団お話大臣も聞いておられると思いますから、重ねて私は何も言いません。  そこで、やはりどういうイデオロギーを持っておろうが、エネルギー資源というものは、これはある程度確保しなくちゃ日本の国が成り立たぬです、どういう政権ができようが、日本の立地条件からして。だから、エネルギー資源というものは、目先の得するとか損するの問題じゃない、相当長期に立った展望を持って財政措置なり政策的な措置をしなくちゃならぬと、こう思っています。それと同時に、また、金さえあれば物を買えるという時代じゃなくなったこともこれは事実です。  特にS源、特に大臣の群馬県はS源は非常に豊富なところですね。かつて吾妻、石津、小串たくさんありましたですね。万座とか白根とか群馬鉄山もあったし、いまはもう鉱害源になっているでしょう、ゴーストタウンまでいかぬけれども、非常に荒れ果たたところになって鉱害に苦慮すると、こういうところになっていると思います。しかも、硫酸も余ったと思えば今度は足りないとか、肥料がどうとかということで、やっぱり私は、資源政策はいまの現象だけ追っちゃいかぬと、将来どうなるのかというところまでいかなくちゃならぬと思います。そのためには、もちろんこれは私企業は私企業でやるでしょうが、国がきちんと計画を立てて財政措置をして、いまのそろばんじゃない、将来の民族的なそろばんという、大きい次元の高いそろばんというのが必要になってくると思います。こういう点についてひとつ大臣の所信をお聞きして、許されればもう一回やりたいと思いますが、一度大臣の所信をお聞きしまして、きょうの質問はとりあえず終わりたいと思います。
  58. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 本日はいろいろ広範な部面にわたりまして御所見を承りまして、非常にいい勉強をさしていただきました。御指摘のように、鉱山政策あるいは資源獲得政策というようなものは、目先の現象だけを追っておって成り立つものではなく、非常に長期的な、そして、しかも相手の国との共存共栄ということを基本的にほんとうに考えてやる政策でなければ、長続きのする政策ではないと思います。いろいろ御指摘の基金等、あるいは発展途上国との関係とか、あるいは鉱業法、鉱業権の問題、こういうような諸般の点についてはいろいろ示唆に富むお話を承ったと思います。われわれも大いに勉強いたしまして事態の改善につとめてまいりたいと思います。     —————————————
  59. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、委員異動について御報告いたします。  本日、大谷藤之助君及び須藤五郎君が委員辞任され、その補欠として青木一男君及び野坂参三君が選任されました。     —————————————
  60. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時二十四分休憩      —————・—————    午後一時四十四分開会
  61. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  62. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 午前中の質疑で大体鉱物資源の備蓄の問題、あるいは銅の暴騰に対する対策等の審議がありましたけれども政府当局の答弁もまだまとまったような答弁もないようでありましたので、私は、あと若干簡単にお伺いしたいと思います。  その前に、備蓄の問題でアメリカと日本は比較になりませんけれども、アメリカのこの備蓄の制度はどうなっているのか。アメリカでは、一般調達局が行なっているGSAストックパイル制度というものがあると聞いておりますが、これが原材料不足で苦しんでいる産業部門において、その混乱を非常に緩和するために大きな貢献をしていると、そういうふうに聞いておりますが、これをひとつ参考のために最初お伺いしておきます。
  63. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) アメリカ合衆国で銅及びその他の多数種類の金属をGSAがストックしておるということは、先生指摘のとおりでございますが、どのような種類をいつから幾らためておるかということを、ただいま手元にデータがございませんので、すぐ取り寄せます。
  64. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、深海底の鉱物資源のことで新聞等にも出ておりますので、ちょっとお伺いします。  日本鉱業、三菱金属等の大手企業三十三社は、本年の四月九日に深海底鉱物資源開発協会を設立して、深海底の鉱物資源わが国安定供給源として調査探鉱に乗り出す、そういうことが新聞にも報道されているわけですが、通産省はこれについてどのようなプロジェクトを持っておるのか。また、どのように指導していらっしゃるのか、その辺のところをまずお伺いしましょう。
  65. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 深海底には、いわゆるマンガンノジュールというのが多量にいま存在しておると言われておるわけでございまして、マンガンノジュールというのはニッケル、コバルト、銅などの金属を非常に高い品位で含有しているものでございます。これの開発がこれからの世界の資源政策一つの大きな方向だと思うわけでございますが、このマンガンノジュールというのは、水の深さで四千メートルぐらいの海底に存在しておるわけでございまして、したがって、これをまず効率的に取り出すという技術が非常にむずかしいわけでございます。  それからもう一つ非常に問題でございますのは、例の国連の海洋法会議、これは第三次のものがこの六月から開かれるわけでございますが、この辺で、各国のいわゆる領海問題等がまだ未定でございます。したがって、これは現時点におきましては、自由に各国が開発できるというものでなく、おのずからこの海洋法会議の結論でそれぞれの領海及び領土概念というものが決定されるわけでございまして、この辺の落着がいつどういうふうなかっこうで行なわれるかということも、このマンガンノジュールの開発一つの問題点であろうかと思うわけでございます。  しかし、いずれにしましても、非常に今後の有望なるプロジェクトであり得るわけでございまして、現時点におきましては、アメリカが最も技術開発が進んでおるわけでございまして、すでに十数年前から賦存状況調査を実施いたしておるわけでございます。わが国では、残念ながらまだその緒についたばかりでございますが、政府におきましては、御審議願っております金属鉱業事業団、これが昨年度末に調査船である白嶺丸という船を財政援助で完成いたしまして、これは海底の調査を専門に行なう船でございますが、これで本年度予算を活用いたしまして、本年度から賦存状況調査、それから探査機器の開発、採取技術の研究等、この白嶺丸の活動を中心に予算を講じてこれから運営をしてまいりたいと思うわけでございます。  なお一方、いま御指摘のとおり、民間サイドでもマイニングの産業、それから造船工業、機械工業、鉄鋼業、商社などの関連企業がこの開発体制促進のための機構をつくる動きもございまして、すでに着々その準備が進んでおるわけでございますが、今後は官民協力いたしまして、また、アメリカ等の先進国との連携もこれをとることにつとめまして、今後、大規模な効率的なマンガンノジュールの開発体制を今年度以降進めてまいる方向考えたいと思います。
  66. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまアメリカのほうがずいぶん進んでいると、こういうお話でありましたが、これもひとつ諸外国の海底の鉱物資源開発の問題ですね、進んでおるところのその現状を参考にちょっとお伺いしたいと思います。
  67. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 詳細は後ほどまた御提出も申し上げたいと思いますが、概括申し上げますと、アメリカではテネコの子会社でございますディープ・シー・ベンチャーズというのが、過去十年以上にわたりまして数十航路の探査を実施いたしております。また、技術の面でも非常に独自の方式を開発いたしまして、一九七一年、水の深さ九百メートルからこれを採取実験に成功いたしておりますが、さらに現在は、四千ないし六千メートルの深い海での実際の実験にいま取り組んでおるやに聞いておるわけでございます。  それから、いわゆるコングロマリットの一つでございますヒューズ・ツール社におきましては、やはり七二年、専門の調査船をつくりまして、ここで採鉱用の大型無人潜水艦というものも併存、これを開発いたしまして、ごく最近に水中での潜水及び回収テストに成功したと伝えられておるわけでございます。同社は、すでに九億ドル単位の資金を投じたということが伝えられておりますが、おそくとも一九七五年には本格採鉱に入ることが可能であると、いま同社ではこれを表明いたしております。その他非常に大手の非鉄会社でございますケネコット・カッパー社、これも十年以来取り組んできておるわけでございまして、同社の製錬技術の開発を加えましてその探査実績は相当のものがあると伝えられておるわけでございます。また、やはり大手のインコという会社におきましても、特にニッケルの採取を目的とした深海鉱業につきまして相当取り組んでおるということでございます。  なお、詳細につきましては、お手元に後ほど資料を提出いたしたいと考えるわけでございます。
  68. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、法案につきまして少しお伺いしますが、今度事業団業務海外探鉱資金出資海外共同地質構造調査に対する補助金の業務を加えるということになるわけですけれども、それぞれのこの資金供給の基準、条件並びにその対象になると現に予想されるプロジェクトにはどのようなものがあるのか、これをひとつ具体的にお伺いしたいと思います。
  69. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 今回御審議願っております法案の改正でございますが、従来、探鉱活動につきまして融資の制度があったわけでございますが、御高承のとおり、最近特に発展途上国におきましては、単純にこちらが金を融資してそれで開発を進める、探鉱を進めるという形でございませんで、むしろ非常に自主性を尊重する動きが強まってきておりまして、自分たちの行為に日本出資をしてくれという要望が非常に強いわけでございます。今回の改正もそういう点に着目した改正点でございますが、この出資につきましては、四十九年度で八億円の産投出資及び自己資金一億円、合計九億円の財源を予算上は予定いたしておるわけでございますが、本年は制度の出発の年度でもございますので、まあ九億円で私のほうとしては個別案件の見当から見ましても十分だと思いますが、なお、今後の情勢いかんによりまして、来年度以降等この金額の増額等も考えてまいりたいと思っておるわけでございます。  さしあたりのこの出資制度の具体的な運用でございますが、現在話が出始めておりますのは、ペルーの南部、それからパプア諸島、それからメキシコ、それからコロンビア等において話が出ておりまして、大部分が銅でございますが、メキシコでは銅と並んで鉛、亜鉛の期待鉱量も考えられておるわけでございます。  この出資制度の運用をどういうふうにするかという御質問でございますが、これは、将来のわが国非鉄資源の安定的供給に資することが期待されます大規模な——小規模なものでございませんで、大規模プロジェクトをまず選び出すことが一つでございます。それからもう一つは、一つ日本の企業が単一でこれを行なうのではなく、これを共同して探鉱するという共同案件を出資の場合の条件にいたしております。で、事業団がこれらのプロジェクト出資するわけでございますが、出資比率は五〇%以下と考えておるわけでございます。出資の対象会社日本法人でございますが、当該会社海外において外国政府、または外国政府系企業と共同して探鉱する場合も、当然にその対象と相なるわけでございます。  なお、探鉱が成功した場合どういうことになるかということでございますが、探鉱が成功した場合には、事業団の保有する株式を適正価格で民間に売却しましてその代金を回収し、それを次の探鉱投資に充当するということを現在としては考えておるわけでございます。
  70. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、いまのお話では、メキシコとかペルーとか、そういったような外国政府系企業のプロジェクトと、こういうふうに予想されておるわけですか。  それでは次に、現在この事業団では、民間企業に対しまして海外における金属鉱物探鉱に必要な資金の貸し付けを行なっておるわけですが、その場合に、貸し付け条件に合っている全プロジェクトが一応貸し付けの対象となり、いわゆる企業の資格審査を行なわないと。このために、たとえば四十七年から実施された外貨貸し出し制度の実績などを見ますというと、公害問題を起こしましたあの有名な東邦亜鉛等が大きなシェアを占めておるわけですが、こうした公害問題を引き起こした会社などには、出資や補助金を出さないようにする措置を講ずる必要があるんじゃないか。これはどうお考えになりますのか。  また、これに関連して、今国会の予算委員会等でもやかましく、いわゆる社会悪を起こしたような事業に対しては融資は規制するとの大蔵大臣発言もありまして、その後政府で、融資制限をする対象条件等も検討されておるわけですが、その点につきまして、こういうような社会悪、公害問題を引き起こして国民に迷惑をかけたような事業に対しては、出資、補助金等の措置はどうなさるのか。この点お伺いします。
  71. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) いわゆる反社会的企業に対します政府資金の投融資の問題に関しましては、先般四月十六日に閣議報告されました一つ考え方で、今後これを判断及び運用するということに相なっておるわけでございます。  その概略を申し上げますと、一つは、石油危機以降という時点でこれをとらえておりまして、その石油危機以降重大な問題を起こしまして起訴された場合、その他著しく国民の利益に反する悪質な行為を行なった企業に対しまして、主務大臣と大蔵大臣とが協議いたしまして措置を講ずるということが一つでございます。それから、本措置の一応の対象でございますが、これは開銀と輸銀と北海道東北公庫の一応三つを原則として考えるということが二番目の点でございます。それから三番目におきましては、その免責条項的なものでございますけれども、ある行為を行ないましたあとで十分な法的及び行政的措置、または企業自身の是正措置がとられている場合、または経済協力案件のようなもので、諸外国、特に発展途上国との関係で、もしそれをとめますと非常に国際信義上、または経済協力上著しい問題が生ずるというような場合におきましては、この本措置を適用しないということに相なっておるわけでございます。  以上のような基本原則で運用されるわけでございますが、いま先生の御指摘の東邦亜鉛の問題、これは特に鉱山保安法違反の事実があったわけでございますが、先ほど申し上げました第一点の、この本措置の適用というのがいわゆる石油危機でございまして、十月の十六、七日以降ということでございますので、一応今回の措置の対象からはこの東邦亜鉛のものははずれておるのは事実でございます。
  72. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 石油危機以後ですから、東邦亜鉛物はこれは当てはまらないというようなことですが、その後、東邦亜鉛は、国民のいろいろな非難も受けておるわけですが、どういうふうな対策を講じておるのか、それをちょっとお伺いしたい。
  73. 林信太郎

    政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。  まず、御案内のように、公害隠しということでたいへんな反社会的な、反道徳的な行為があったわけでございます。で、当時の社長、小西社長自身の時代のものもございますし、それ以前のものもございます。そういったところを全部総合いたしまして、企業の最高責任者でございます小西社長自身が、みずから身を引くことによって社会におわびしたいと。それから自後のことにつきましては全部新幹部によって——全部と申しますか、首脳陣の重要なところ、社長、両専務は新しい人たちによってやっていただくという決断をいたしまして、任期が終了しない段階ですでに辞任しております。で、そのあとは御案内のように、専任専務の沖田専務が社長代行ということで今月末の総会までの間、公害防除にきわめて積極的な対応をいたしておりまして、対州をはじめ各製錬所所在の自治体にもおもむきまして、地元の方々ともよく十分その話を聞く、それから自治体の議会にも出まして、いろいろその質問にも答え、かつ社としての積極的な姿勢も表明すると、こういうふうな姿勢になっております。  なお、私どものほうは、福岡の鉱山監督局をはじめ、各所にございます事業所所管の監督部が、それぞれの事業所に対しまして厳重な監督を数回実施いたしておりますし、水等の検査も数回実施いたしております。さらに対州につきましては、閉山後の公害防除工事が問題でございますので、これをもう一ぺん現地で厳正に、再び公害が起こらないような施行方法を検討して指示をする準備を進めておる段階でございます。
  74. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、東邦亜鉛は、あの問題以降人事の刷新をはかった。はかったが、まだ事業の公害防止の対策はこれからというところですか。
  75. 林信太郎

    政府委員(林信太郎君) 従来からも、御案内のように、昭和四十五年の、安中製錬所の鉱山保安法の許可を受けないで操業するという問題が起こりました以降、会社といたしましては努力はずっとしてまいっております。ただし、その努力の成果が十分でなかったために、先般起きましたような対州における公害隠し問題が起きてまいったわけでございます。この件は、その当時以前のものもございますし、四十五年以降のものもあるわけでございます。したがいまして、そういった体質改善をすべく努力はいたしております。さらにもっとその努力をさせなければ一般市民が迷惑をするわけでございますので、その足りないところは、ただいま先生が御指摘になられましたように、政府関係機関もてこ入れをすることによって、早く、能力を越えた公害防除工事をやらせるという措置をとってまいっております。  今後の分をどうするかということでございますが、新幹部がきまりまして、その辺の態勢を見きわめながら、ただいま資源エネルギー庁長官から御説明がございましたような政府の方針を基本にいたしまして検討してまいりたいと考えております。
  76. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 了解しましたが、公害の問題も、最近は、まあ今国会は特に物価問題で議論をされておりまして、この公害問題というのは一昨年からやかましくなったわりあいに、何だかあんまり表面に出てこないような感じもするのですが、どうかひとつ当局においては、これは国民保健上大事な問題ですから、あとの監視を厳重にして、庇護対策をやってもらいたいと思います。  それから、鉱害のことですが、本法は七十一回国会におきましても改定をされたわけですけれども金属鉱業事業団業務鉱害の防止のことで鉱害防止資金の貸し付け、鉱害防止積み立て金の管理、鉱山防止資金の債務保証が追加されたわけですけれども、現在までの同制度の施行状態はどういうふうになっておるのか。と申し上げるのは、この制度が鉱害防止のための画期的な施策として一応は評価されておるわけでありますけれども、その内容につきましてはまだ十分とは思われていないわけでありまして、たとえば、一番目が鉱害の防止のための措置に必要な資金に限られているわけです。これを鉱害賠償及び鉱害にかかわる負担金等についてまで拡大してはどうかというような問題。二番目は、休廃止鉱山鉱害防止工事費補助金制度の補助率の大幅な引き上げ、補助事業量の拡大。三番目は、鉱害防止積み立て金に対する優遇措置の強化、こういうような問題がまた考えられておるわけですけれども、この辺、この問題を強化するということにつきまして、通産省はどうお考えに、なっているのか。
  77. 林信太郎

    政府委員(林信太郎君) 金属鉱業事業団につきましては、昨年七月一日に発足いたしまして、御指摘の融資業務、それから債務保証積み立て金管理、それから技術指導という仕事をやり始めたわけでございます。  まず、一番主要な融資業務でございますが、これはすでに使用終了いたしました坑道及び堆積場の鉱害防止工事を行なう場合に、長期低利でその一部を融資するという制度でございまして、四十八年度の実績が二十五鉱山に対しまして五億七千五百万円、大手が十五、中小が十という形になっております。予算措置といたしまして、四十九年二十二億予定しておりますので、繰り越しました分と合わせまして二十七億円の融資原資が四十九年度に予定されておるわけでございます。  それから、債務保証でございますが、事務の段取りがおくれましたために、四十八年についてはまだ事例がございませんが、今後出てくるかと期待されております。  それから、積み立て金の問題でございますが、使用中の特定施設が使用が終わりましたときに、十分鉱害防止工事ができますように、いまから金を積み立て、それを金属鉱業事業団に管理、委託するということでございまして、四十八年につきまして七十二鉱山がこの積み立て金の委託を開始いたしております。四十九年につきましても、引き続きこれを拡大してまいりたいと考えております。  それから、事業団の行ないます鉱害防止工事につきましての調査指導でございますが、事業団の中に鉱害防止技術委員会を設けまして積極的に調査指導に当たっておりまして、四十八年度では九府県、十二鉱山がその対象になっております。  それから、今後事業団の融資を拡大いたしまして、賠償あるいはその他の負担金の原資にも融資してはどうかという先生の御指摘でございますが、私どもも、方向といたしましてそういうところにぜひもってまいりたいというふうに考えております。  それから第二番目に、原因者不存在の場合の鉱害防止工事につきまして、現在府県がやっております分を、補助率をもっと上げるという問題でございますが、再三国会からも御指摘を受けておる問題でございまして、形式的な補助率は、従来のとおり四十九年におきましても三分の二でございますけれども、その対象にいたします費目を二つふやしておりまして、維持管理費と鉱廃水の処理費をその対象にいたしまして、したがいまして、これを入れて計算いたしますと、約四分の三の補助率に実質上なるわけでございます。なお、鉱山の特性にかんがみまして、もっとこれを引き上げるべく努力をいたしたいと考えております。  それから、積み立て金の優遇措置につきましても、私ども方向としてぜひ実現したいと考えております。  で、御提案のございましたこの三点につきまして、近く私どもで予定をしております金属鉱業蓄積鉱害対策会議の主要なテーマといたしまして、官民の知恵を結集いたしまして、適切な案を作成し、四十九年予算実現を目ざして最善の努力をいたしたいと考えておるところでございます。
  78. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 最後に、それじゃもう一問お伺いしましょう。  今度、結局事業団の予算は、いまあなたのほうから説明がありましたように非常に小さい。特に海外探鉱出資が八億、債務保証が一億、その程度ではたしてこれが対処できるのかどうか、非常に心配しておるわけですが、現在、石油、石炭これには特別会計があるわけですけれども金属鉱業も含めた資源特別会計を創設する考えはないかどうか、この点お伺いします。
  79. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 現在、石油と石炭につきましては、お話のとおり特別会計で運用いたしておるわけでございます。別途いまお話しの金属鉱山金属鉱物、これも非常に性格が似ておりまして、諸外国資源ナショナリズムの高揚及び各国、特に開発途上国におきます開発のしかたが、非常に従来と違ったかっこうに相なっておるわけでございます。われわれといたしましては、現在国内鉱山保護とその海外探鉱開発につきましては、一般会計、財政投融資、税制等で相当の対策を講じておるつもりでございまして、予算の伸び率もかなり高いわけでございますけれども、いまお話ししましたような世界情勢が非常に変わってきておりますので、石炭、石油、金属鉱山全体を含んだいわゆる資源特別会計というようなものの創設は、前向きにこれは検討するに値する問題だと思うわけでございます。当然その財源措置をどう取り扱うのか、全体の制度上の調整をどう行なうのか、いろいろな問題があろうかと思いますが、御指摘のとおり、資源特別会計というようなものの創設につきましては、前向きに考えてまいりたいと思うわけでございます。
  80. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) しばらく速記をとめてください。   〔速記中止〕
  81. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めてください。  この際、委員異動について御報告いたします。  本日、沢田政治君が委員辞任され、その補欠として林虎雄君が選任されました。     —————————————
  82. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 質疑の途中ですが、この際、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案を議題とし、これより趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  83. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  繊維工業につきましては、これまで特定繊維工業構造改善臨時措置法に基づきまして、紡績業及び織布業につきましては昭和四十二年度から、メリヤス製造業及び染色整理業につきましては、昭和四十四年度から、設備の近代化と過剰設備の処理、生産または経営の規模の適正化等を目的とする構造改善事業を実施してまいりました。この間、これらの業種における構造改善は、設備の近代化、過剰設備の処理等の面においてはかなりの成果をあげてまいりましたが、繊維工業全体を見ますと、なお、企業数の過多及び企業規模の過小の事態が依然として、解消していないこと、また、紡績から縫製等の最終製品の製造加工に至るまでの製造加工工程が長く、かつ、それらの各工程が別々の業種によってになわれているため、消費者情報が各製造加工工程の商品生産に十分反映されず、消費者のニーズに即応した商品を供給するための体制が整備されていないという構造上の問題点を内包しております。  加えて、最近のわが国の繊維工業をめぐる内外の環境は、まことにきびしいものがあります。すなわち、国際的には、東南アジア諸国を中心とする発展途上国の繊維工業の急速な成長により、わが国繊維工業の国際競争力は急速に低下しております。また、国内におきましては、労働力需給の逼迫による労働力不足、賃金の急上昇等によるコストの上昇等の諸問題に直面しているとともに、繊維製品に対する需要動向の変化に対する迅速な対応を求められております。  繊維工業のかかる事態に対処して、繊維工業について、その内包している構造上の問題点を早急に解消するとともに、合理的な国際分業を推進し得る十分な競争力を持った発展性のある産業として育成することは、国民経済的な要請であると考えますが、そのためには、従来のような紡績、織布等の業種別の構造改善を推進するのみでは、必ずしも十分とは申せません。したがいまして、政府といたしましては、昨年十一月の繊維工業審議会及び産業構造審議会の答申の趣旨を尊重して、昭和四十九年度から昭和五十三年度までの間、従来の同業種間の連携に加え、紡績、織布、染色整理、縫製等の異業種に属する企業間の有機的連携による新商品または、新技術の開発の促進等を内容とする新しい構造改善事業を推進することとし、これにより、付加価値の高い商品の生産を増大し、繊維工業の知識集約化をはかることといたしました。  この新しい構造改善対策は、昭和四十九年度から昭和五十三年度までの間行なうこととしており、その実施に必要な制度を整備するため、このたび、この法律案を提案いたした次第であります。  次に、この法律案要旨を御説明申し上げます。  第一は、法律の対象とする業種を従来の特定紡績業、特定織布業、メリヤス製造業、特定染色業の四業種から繊維工業全体に拡大することであります。なお、これに伴い、法律の題名を繊維工業構造改善臨時措置法に改めることとしております。  第二は、通商産業大臣が、繊維工業の構造改善をはかるための繊維事業者に対する基本指針を定めるとともに、従来の特定繊維工業の構造改善に関する規定を改め、繊緩工業に属する事業を行なう者が、紡績、織布、染色整理、縫製等の各業種のうち他の業種に属する事業を行う者と連携して、または二以上の業種に属する事業を行なう組合が単独で、新商品または新技術の開発、設備の近代化、生産または経営の規模、または方式の適正化等の構造改善に関する事業を行なおうとするときは、構造改善事業計画を作成し、通商産業大臣の承認を受けることができるものとしたことであります。  第三は、構造改善事業の推進に必要な助成措置を設けたことであります。つまり、構造改善事業計画に従って構造改善事業を行なう者に対しては金融税制上の助成措置を講ずるほか、通商産業大臣が繊維事業者等に対し必要に応じ指導及び助言を行なうこととしております。また、これらの施策を講ずるにあたっては、小規模繊維事業者に対して、特別の配慮をすることとしております。  第四は、経済的事情の変化により事業活動に支障を生じている繊維事業者から事業の転換の申し出があったときは、通商産業大臣が必要な指導及び援助を行なうこととしたことであります。  第五は、繊維工業構造改善事業協会業務について、新しい構造改善事業の対象業種が繊維工業の全業種に拡大されたことに伴い、債務の保証の対象を繊維工業に属する事業にかかる構造改善事業に拡大するとともに、繊維事業者に対する技術指導に関する業務及び繊維製品に関する情報の収集、処理、提供の業務追加し、設備の処理に関する業務を削ることであります。  第六は、新しい構造改善対策の実施期間に合わせて、法律の廃止期限を昭和五十四年六月三十日までに五年間延長することであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重に御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  84. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 続いて補足説明を聴取いたします。橋本生活産業局長
  85. 橋本利一

    政府委員(橋本利一君) 特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案提案理由及び要旨につきましては、ただいた大臣が申し述べましたとおりでございますが、以下、その内容につきまして補足して御説明申し上げます。  まず第一は、法律の対象とする業種を従来の四業種から繊維工業全体に拡大することについてであります。  繊維工業はその製造加工工程が長く、かつ、それらの各工程が別々の業種によってになわれているため、これまでのように一部の業種についてのみ育成しても、繊維工業全体として効果的な構造改善を期待することは困難でございますので、新構造改善事業においては、その対象を繊維工業全体に拡大し、異業種事業者間の有機的連携による知識集約化事業を推進することにより、繊維工業の調和のある発展をはかることとしております。  第二は、繊維事業者に対する基本指針の策定についてであります。  通商産業大臣は、繊維工業の構造改善を推進するにあたって、繊維事業者のよるべき指針としての基本指針を定めることとしておりますが、この基本指針を定めるにあたっては、繊維工業審議会の意見を聞くこととしております。なお、この基本指針は構造改善事業計画の承認に際しての基準とすることとし、また通商産業大臣は、必要があると認めるときは、この基本指針に定める事項について繊維事業者等に対し、指導及び助言を行なうこととしております。  第三は、構造改善事業計画の承認についてであります。  従来の構造改善事業計画においては、国際競争力強化観点から設備の近代化及びこれに伴う設備の処理、生産または経営の規模の適正化等の事項を記載することとしていましたが、新しい構造改善事業計画には、繊維工業の知識集約化をはかるという見地から、新商品または新技術の開発、設備の近代化等の事項を記載することとしております。また、この計画は、繊維工業の工程間分断に伴う弊害を除去し、消費者の需要動向に即応した繊維製品を供給し得る体制を確立するという新構造改善事業の目的に沿って異なる業種に属する繊維事業者が共同して作成することとしております。なお、事業の区分及びその相互の関連性は、通商産業省令で定めることとしております。  第四は、構造改善事業の推進に必要な助成措置についてであります。  構造改善事業計画に従って構造改善事業を行なう者に対する助成措置としては、中小企業振興事業団等による融資、課税の特例等の措置を講ずることとしておりますが、特に小規模繊維事業者に対しましては特別の配慮をすることとし、中小企業振興事業団による融資の弾力的実施及び技術指導を行なうこととしております。  第五は、繊維工業構造改善事業協会業務の拡充についてであります。  新構造改善事業の実施に伴い、繊維工業構造改善事業協会業務について所要の改正を行なうとともに、同協会内に繊維工業全体の情報の収集、処理、提供の業務を行なう部門を設置することといたしております。  以上、簡単ではございますが、特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案の補足説明を申し上げました。  よろしく御審議賜わりたくお願い申し上げます。
  86. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本案に対する質疑は後日に譲ります。     —————————————
  87. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  ただいま説明を聴取いたしました本法案の審査に資するため、来たる十四日午前十時、参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、これに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  88. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  なお、参考人の人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  89. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  90. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは、再び金属鉱業事業団法の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を続けます。
  91. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 まず最初に、大臣がお留守でございますので、大臣に一、二質問がございますが、これは後日に譲りたいと存じます。委員長のほうでよろしく御配慮いただきたいと思います。  実は、けさの新聞報道を見て私もたいへん驚いておるわけですが、元来、非鉄金属業界はもろもろの条件が重なって不振をきわめ、まあ辛酸をなめている業界であるというふうに一般に見られがちであったと私は思うんです。けさの新聞によりますと、ことに産銅大手についてでございますが、空前の高収益、三井金属は一割の復配でぼろもうけだというような新聞報道が出ております。産銅六社の三月期決算、一社を除いてあとは全部ぼろもうけをしたという記事になっておるわけでございまして、おそらく皆さん方もこの新聞をごらんになったと思う。本法案を審議する時点において、いささか戸惑いを感ずるきらいもあるわけでございますが、これらの状況をどのように判断しておられるのか、そのことを最初にお聞きしたいと思います。
  92. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 三月期決算の詳細につきましては、まだわれわれも明確にこれを聴取いたしておりませんけれども、いま先生お話のとおり、今期三月期決算が珍しく非常に高収益をあげることは確かだと思うわけでございます。この原因といいますか、理由につきましては、御高承のとおりLME相場、いわゆる国際相場が非常に昨年来高騰いたしまして、特に国内の産出比率の高い山等におきましては、これはやはり国際相場でスライドいたしております関係上、今期が非常に収益をあげておることは確かだと思うわけでございます。  今後どういう推移をたどるかにつきましては予断を許しませんけれども、御存じのとおり、銅をはじめといたします非鉄金属は、非常に国際的に乱高下をする品物でございます。かつ一部伝えられるところによりますと、現在の相場自身が少し異常に高過ぎて需要が落ちておると、世界的に需要が抑制されておるということも聞いておりますし、国内的について言いますと、総需要抑制策の進展に応じましていわゆる建設、それに関連する電線部門等相当需要が減になる可能性もあり得るわけでございまして、この高価格水準というのがいつまで続くかということにつきましては、非常に疑念が存するところであろうと思うわけでございます。今回の三月期決算が、そういう特殊な事情で好決算を生むことはほぼ確かでございますが、何ぶんにも日本金属鉱業といいますのは、長年非常に不況が続いておりまして蓄積度も非常に低い、内部留保も非常に低い企業形態でございます。一方、今後考えられます海外の鉱物資源の探査、開発等につきましては非常に膨大な資金を必要とし、かつ、非常にリスキーなものであります。一方、開発途上国政府及び政府系の企業は何らかのかっこうで日本の国が責任を持って信用のあるかっこうで資金の投入、たとえば出資形態等を非常に希望いたしておることもございますので、今後の日本金属資源確保という観点からも、ぜひこういう新しい事態に即応する形をつくっていただきまして、今後の資源確保安定供給に資したいと思うわけでございます。  なお、先ほどもちょっと触れましたように、今回の決算が確かにいいことは考えられるわけでございますが、今後の情勢いかんによりましては、また非常に価格が暴落することも考えられるわけでございまして、この辺、金属鉱業といたしましても一期の好決算に酔うことなく、長期的に企業体質を改善する必要があろうかと考えるわけでございます。  非常にざっぱくな話でございましたけれども、私の所懐を申し述べたわけでございます。
  93. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 エネルギー庁から出された資料、これですが、これによっても確かに銅の価格というのは乱高下が激しい図式を示しておるわけだけど、激しくても日本の建て値というのは大体国際価格にリンクして推移しておるわけです。私は、これ非常にじょうずにきょうの新聞解説しておると思うんだけれども、要するに、銅の平均販売価格が前期比トン当たり十五万五千円のアップである、これはロンドンの金属取引所の銅相場を基準にするものである。しかも銅鉱石を買い付けてから製品にするまでには三ヵ月間のタイムラグがある。したがって、安い鉱石を買って非常に暴騰したときにそれを製品にして売れば、まさにこれはぬれ手にアワである、こういう結果になるわけです。裏を返せば逆のことも言えるかもわからない。しかし、国内鉱山のいわゆる自山鉱の原価とか、そういったものにリンクすることなく、ロンドンの相場にリンクして価格決定がなされていく。しかも、それが三ヵ月間の製品化のためのタイムラグがあるというこのこと自体、いま非常にこれいいからということになるかもわからないが、悪いときだって同じだと思うので、いかにもこれは矛盾しておることだと思う。  早い話が、六社のうち四社は前期比経常利益で二〇%以上の利益をあげておるが、一社のごときは九五%アップしておる。その九五%アップした社の売り上げは前期比三五%だという。売り上げが三五%アップだけれども、経常利益は九五%アップしておるということは、何と見てもこれはぬれ手にアワと言われてもしようがないですね。この辺のところ、私はいまの現象ということももちろんですが、先々のことも見て、何とか方法はないものか。あるいはこの三カ月のタイムラグというもの、これが操作を生む安全弁かもわからぬけど、逆に言えば、このように高騰をして異常なもうけをするという意味にも作用するわけです。この辺についてのお考えがあったらひとつ聞かしておいてもらいたいと思う。
  94. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 銅、鉛、亜鉛等の非鉄金属につきましては、これは従来ともいわゆる非常に乱高下の激しい国際商品でございまして、しかもそれがロンドンの取引所の価格にスライドして各国の国内価格が形成されるという、非常に一見不合理な形をとっておるわけでございますが、これは、これらの商品が伝統的に国際商品であることに根ざしておるわけでございます。しかし、これでこの形が絶対正しいということはあり得ないわけでございまして、現にすず及び鉛、亜鉛につきましては、国際的な動きがすでに発足いたしておりまして、何とかしてこのロンドン相場にただ単純にスライドする形を断ち切ろうという現実の動きがもうすでに発足いたしております。  国際すず協定を例にとりますと、これは一九五六年に発効いたしておりまして、現時点におきましては生産国で七カ国、輸入国で二十二カ国が参加いたしておりまして、それぞれの拠出金を出しました合計で基金を創設して、最高価格と最低価格を設定いたしまして、このロンドン相場の現物市場に介入して相場を調整するという形をとっておりまして、相当の効果をあげておるわけでございます。おそらく一番問題でございます銅につきましても、こういう形の国際的な調整機構というのができますことが、これからの一番大きな安定的な効果を発効する措置であろうかと思うわけでございます。  現在、日本は世界一の輸入国でございますので、関係のそれぞれの輸入国に呼びかけまして、世界の銅に関しますIWCCという機構、それの活用も含めて、いま申し上げましたすず協定に類する国際ファンクションの創設につきましても、よりより検討及びその設立の促進を進めておるわけでございますが、ロンドン相場だけに振り回される現在の機構は、何とかしてこれをもう少し正常な、秩序ある形にこれを直し、これと国内相場とのアジャストをより公正に行なえるようにすべきであると考えるわけでございます。
  95. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 本法を審議するにあたって、国内非鉄金属の業界がきわめて企業規模が脆弱である、内部留保も薄い、そういったものを何とかして育てていかなければならないということで、出資助成金等の措置を講じていこうという趣旨であるわけですから、いま長官おっしゃったように、今期の決算、これはいま異常なほど高いわけですけど、これをせっかく将来のために資するような各社に方途を講ずるように、十分なる行政指導をする必要があるというふうに私は思います。その辺についてよろしく御措置いただきたいと思います。  その次に御質問いたしますが、ウランの主要生産国であるオーストラリヤが、最近になってウラン供給国としての資源ナショナリズムといいますか、その立場をさらに有利にしようとする政策を打ち出しておるわけです。これはもう御承知のとおりだと思うわけですが、わが国としても、オーストラリヤに対する資源外交のあり方というものがきわめて重要な時期に差しかかってきておると思うのです。今後の計画的な生産あるいは外資規制、輸出規制というようなものが相次いでオーストラリヤ政府によって行なわれようとしておるときに、これらの点をめぐってわが国としてはどのような姿勢で臨まれるのか、その辺のところを聞いておきたいと思うのです。
  96. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 昨年、オーストラリヤにおきましては、御承知のとおり、労働党政権が成立いたしまして、先生の言われる資源ナショナリズム観点から外資規制を強化いたしておるのでございますが、わが国といたしましては、オーストラリヤの基本的なそういった考え方に対して十分理解は示しておるのでございますが、あまりきびしい外資規制をとるということになりますと、資源開発に阻害をきたしまして、両国ともマイナスになるというようなことから、昨年十月、日豪経済閣僚委員会の場におきまして、オーストラリヤ政府に対して両国の経済が円滑な発展を遂げますように、両国の資源政策の弾力的運用等につきまして配慮を求めるために、粘り強く現在も交渉を続けておる次第でございます。
  97. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 このウランなどについて具体的な話し合いというものはもう行なわれておるわけですか。
  98. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) ウランの探鉱につきまして、プロジェクトの数が三プロジェクト申請されておったわけでございますけれども、規制前のものにつきましては、その後オーストラリヤ政府の許可が下りまして、探鉱会社が設立することになりましたけれども、規制後の申請につきまして、外資規制という面からたぶん二つだったと思いますけれども、法人の設立ができないというふうな事態になったように記憶しております。
  99. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 いま次官おっしゃったように、きわめてこれは重要な問題ですし、いま課長がおっしゃったように、現実にそういった問題が出てくるわけですから、ひとつその辺よく留意して処置していくべきだと私は思います。  それじゃ、その次の探鉱融資の問題についてお聞きするわけですが、日本鉱業協会などでも、この融資の諸条件の緩和ということを現在の国内鉱山状況に照らして強く求めておるわけです。これは金属鉱業事業団から出ておる資料でございますが、融資比率、それから償還期限、利率等について、おそらく政府のほうにも具体的に数字をもってこの諸条件の緩和を求めておると私思いますので、それらについてどのように現在お考えであるか、お聞きしたいと思うんです。
  100. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) 金属鉱業事業団が企業の探鉱活動に対しまして融資を行なうわけでございますが、これらにつきましては、私ども資源探鉱の重要性を強く主張いたしまして、毎年利息を下げていく、あるいは据え置き期間を長くするというふうなことを財政当局と詰めてきたわけでございますが、金利の問題ということになりますと、一般金融との関係もございまして、なかなかむずかしい問題が介在するわけでございます。しかし、その中におきましても財政当局も資源の重要性、探鉱の重要性ということには理解を示してくれまして、他の一般産業よりは公定歩合が上がったにもかかわらず、一律に上げていくというふうなことはなくて、ある程度の低下を示しておるわけでございます。また、特に融資以外にも、今回は出資の問題ということに対しても金融当局も非常に理解を示してくれて、ここに御審議いただいているというわけでございます。
  101. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 この技術面の問題で財団法人の資源開発大学校というのが非鉄金属業界の協力で設立されておるわけですね。これから海外探鉱に携わるということになれば、さらに国際的な立場における技術というものが必要になってくると思うわけですが、現在業界で持っておるところの資源開発大学校のみで技術の蓄積並びに維持というものが可能であるかどうか。たとえば、現在石油開発公団に置かれている技術センターと同じようなものを設置して、資源開発技術の向上につとめるというようなことができるのかどうか、一歩進めた考え方があるかどうか、いかがですか。
  102. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 現在、海外探鉱活動及び情報収集等のために、いまお話のございました資源開発大学校というのを昭和四十五年に財団法人で設立をいたしまして、年々その教育人員の増強をはかっております。現在は大体四十人の規模で教育を行なっておるわけでございまして、これは専門技術に加えまして、語学及びそれぞれの海外の地域別の文化、歴史等の教育も行なっておるわけでございます。今後、非鉄金属資源安定供給のために非常に大規模な人員が要求されると思いますので、これもいまお話のございましたもっと大きな、石油公団におきます技術センターのような大規模で、かつ、もう少し基盤のはっきりした形にこれを発展的に拡大したいという希望を持っておるわけでございまして、今後その方向で検討を進めてまいりたいと思うわけでございます。
  103. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 大蔵省から……。  この国内鉱山保護のための関税というものがしかれておるわけで、実は昨年の衆議院における附帯決議の中にも、「国内鉱山の維持・発展を図るため、探鉱助成の抜本的拡充強化、価格安定機構の確立及び税制・関税制度の改善を図ること。」というのが附帯決議として第一項に出ておるわけです。現在、国際相場がトン三十六万一千円以下になった場合に、トン当たり二万四千円の関税が課せられるということになっておるわけだけど、この現在の免税点といいますか、三十六万一千円というものが妥当であるかいなか、その辺について御検討なさっておるかどうか、お聞きします。
  104. 海原公輝

    説明員(海原公輝君) お答えいたします。  先生御存じのとおり、銅につきましての関税は、先ほど来エネルギー庁のほうから御説明ございますように、銅の国際価格の変動が著しいということを考慮いたしまして、銅の価格が低下した場合には、生産者を保護する趣旨から従量税を、それから、価格が上昇した場合には無税ということによりまして、前者につきましては生産者の保護、後者につきましては需要者のコスト低減をはかるという、いわばそういった接点の形で設定されているわけでございます。  無税点につきまして、どういうふうに——引き上げるかどうかという点でございますけれども、いま申し上げましたように、国内産のコストのほかに国際価格の動向を勘案して設定している次第でございまして、現在のように国際価格が高騰しております場合におきましては、国際価格が高騰しているという事実において、すでに国内産業保護がある意味ではかられているというようなことでございますので、免税点を引き上げる根拠に乏しいのではないかと考えているわけでございます。  問題は、今後国際価格が低落した場合、その場合に一体国内産業保護をどう考えるかという問題かと思いますが、それにつきましては、四十七年度に実は現在の関税率を——現在は地金につきまして免税点は三百八十五円でございますが、それまでは三百六十円でございました——そういった四十七年度にこれを引き上げましたのは、まさにその時点におきます国際価格が低落しておったという事実に着目してのことでございます。したがいまして、今後どういうふうな推移をたどるか、それによりまして通産省のほうでの銅に対する対策、広い意味国内対策、関税だけでございません。その中で、一体関税の対策というものはどうあるべきかということも、一環といたしまして私どもとしては検討してまいりたい、こういうふうに考えているわけでございます。
  105. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 通産省としてはどうでしょう、いまの状態について。
  106. 斎藤顕

    説明員(斎藤顕君) ただいまの大蔵省さんの御説明でほとんどその内容は尽きておるように思いますが、銅を例にとって申し上げますと、銅の国際価格の変動に加えまして、円のフロートというふうな問題もあわせて発生するわけでございます。現在の三十八万五千円が、今後国際銅価格が下がっていった場合に、はたして日本の現有の、現存します国内の銅鉱山がこの関税障壁で十分にたえていけるであろうかどうかという問題は、これは慎重に検討しなくちゃならないことでございます。  御指摘のとおり、国内鉱山の温存ということは鉱業政策の第一歩でございますし、今後国内鉱山のコストがどの辺に落ちつくであろうか。労務費も相当高騰しております。また、これは輸入される原鉱石全体の量と非常に密接な関係にもございます。またユーザーも、これも自由化された業界でもございまして、メタル地金にかかる関税価格というものは非常にデリケートな関係を持っておるわけでございますので、それらを総合的に判定いたしまして、昨年の関税審議会では関税据え置きということで結論を出していただいたわけでございますが、毎年毎年これはやはり需要業界は需要業界なりの立場からいろんな議論があるわけでございまして、それらを総合的に考えまして本年度の関税審議会に臨みたい。そして国内鉱山をつぶしてはいけない。そのための関税保護であるということを第一義的に考えまして、対処していきたいと考えております。
  107. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 時間でございますから、最後にお聞きしますけど、今度の法改正の最も重要な一つである出資に関する問題ですが、先ほども長官から答弁がございましたが、この関係資料の五ページに書かれておりますように、「出資により探鉱に伴う民間企業リスク負担を軽減し、民間企業共同の大規模プロジェクトによる探鉱を抜本的に促進する趣旨」であるというふうに改正点の第一の理由づけをしておられるわけです。これはまさに出資についての条件、基準というものを示したものだと思うんです。ちょっと読んでみますときわめて簡単にのみ込めるわけですが、しかし、私は共同事業といい、すなわち単一企業ではないという、共同事業ということ、あるいは大型の大規模プロジェクトということ、これはことばにすればきわめて簡単だけど、しかし、民間企業という状態を考えるときに、私は、非常に大きな問題がこれはひそんでおると思うんです。  当面、八億でこれはスタートするわけですから、プロジェクトそれ自体もそう大きくはないことと思うわけだけど、やがてはこれは大きくなっていくし、盛んになっていかなければならないものですから、まあさまざまな状態が生まれてくるとは思いますけど、この概念だけで私は押し通せるものではないというふうに思うんです。企業には企業独自のノーハウもありますし、あるいは受け入れ国とのいろいろな歴史的なつながりというものもあるし、あるいは、企業は企業間において国内における競争条件なども持っておるわけですから、それがただ単に国益ということだけで、一緒にならなければこれは出資できないのだということは、きわめて簡単に見えますが、実質的には問題をはらんでおることであろうと、スタートはしやすくてもなかなかこれは維持することは困難だと私は思うのです。その辺についてどのように考えておられるか、将来の展望なども含めてお聞かせいただきたいと思うんです。——大蔵省はもういいです。
  108. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 今回考えております出資でございますが、これは一つは、相手国政府及び相手国企業、大体国策会社でございますが、具体的にいま話がきておりますのが非常に大きなものでございます。ペルー、パプア、メキシコ、コロンビアというのがいま四ついろいろと話がきておりますが、期待鉱量で申し上げますと、ペルーとパプアは、銅量で期待鉱量が大体四、五億トンのものでございます。メキシコ、コロンビアは二億トンのものでございまして、非常に大規模でございます。したがいまして、これが一社でとてもカバーできるものでございませんで、今後の推移を考えますと、むしろナショナルプロジェクト的なものとしてこれを把握いたしまして推進することが、相手国政府との関係におきましても非常に妥当であると考えておるわけでございます。また、民間企業側といたしましても、これをむしろ共同でやっていきたいというような希望もあるわけでございます。しかしながら、この四つに限る問題でございませんで、いま先生の御指摘のとおり、これからのいろんな形が考えられると思うわけでございます。そこに関係するノーハウの有無及び特殊な技術の有無歴史的な事情等を考えますと、必ずしも全部共同でなければこれがいかぬということでは、運用上かえっておかしい面も出ることも考えられるわけでございまして、現時点でいま考えられておりますものにつきましては、これを当然共同でやるということでございますが、これは当面の方針ということにいたしまして、具体的にケース・バイ・ケースで、私は共同のほうが望ましいと個人的には思っておるわけでございますが、問題は、安定供給が一番最大の問題でございますので、そういう目的と照らし合わしまして、将来、必ずしも共同ということにとらわれずに、最も有効な制度の運用をはかるべきであると考えておるわけであります。
  109. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 最後に。いまおっしゃったことは、目の前に見えているものは、プロジェクトはきわめて大型のものだから、一単位企業ではカバーし切れない。したがって、まあ共同でこれをカバーするほうがベターであるというたてまえに立って、当面この基準を設定していくと。将来は、安定供給という見地に立って見詰められるものであるなら、ケース・バイ・ケースで処置していくというふうに理解してよろしいですね。
  110. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) はい、そのとおりでございます。
  111. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 きょうはこれでやめます。
  112. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時八分散会      —————・—————