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1974-04-25 第72回国会 参議院 商工委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十五日(木曜日)    午前十時十八分開会     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 植木 光教君                 小笠 公韶君                 大谷藤之助君                 細川 護煕君                 安田 隆明君                 阿具根 登君                 竹田 現照君                 林  虎雄君                 宮之原貞光君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    衆議院議員        発  議  者  左藤  恵君        発  議  者  板川 正吾君        発  議  者  野間 友一君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君    政府委員        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        中小企業庁長官  外山  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        通商産業省生活        産業局総務課長  佐藤 兼二君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○伝統的工芸品産業振興に関する法律案(衆議  院提出)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  一昨二十三日、高山恒雄君が委員を辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 委員異動に伴い、現在、理事に一名の欠員を生じておりますので、この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事藤井恒男君を指名いたします。     —————————————
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  本案に対する質疑はすでに終局いたしておりますので、これより直ちに討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより採決に入ります。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって、本案全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  8. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、伝統的工芸品産業振興に関する法律案議題といたします。  前回に引き続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  9. 中尾辰義

    中尾辰義君 それじゃ提案者にお伺いをいたします。  まず、伝統工芸品を含む各地地場産業高度経済成長の陰に隠れまして、今日まで人手不足零細性、あるいは低生産性、こういったような困難な事情に加えて、国際化の波に耐えながら今日までがんばってきたわけですけれども、今回の伝統工芸品産業振興法によりまして伝統工芸品産業保護育成の手が伸べられると、これは非常に喜ばしいことだと思いますが、こういったような産業を今後どういうような方向育成発展をさせるのか、本法趣旨ということになりますが、また、わが国の産業政策目的であるか、この辺を最初にお伺いしたい。要するに、伝統産業育成ということを、今後どういうような方向振興育成をしていくか、その辺のところをまず最初お伺いします。
  10. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 伝統的工芸品産業をどのような方向育成しようというのがねらいであるかという御質問でありますが、伝統的工芸品産業は、いわばお国自慢産業であり、手づくりのよさによって、長年にわたって国民に愛用されつつ地場産業として発展してまいったのであります。御承知のとおりでありますが、戦後の物資欠乏時代には、大量生産という社会の需要に応じ切れないために、いわば見捨てられた産業というふうになって、衰退の一途をたどってきたわけであります。しかし、戦後、国民生活が安定をしてゆとりが生じてまいりますと、伝統的工芸品のよさが再認識されるようになりまして、その需要が急速に高まってきたのであります。これを本来のいわば地場産業として、お国自慢産業として育成をし、地域経済発展に役立たせようと、こういうねらいを持って本案が立案されたのであります。したがって、いわば地場産業として、そうして地域経済発展のためにと、こういう方向を持つべきであると、こう思います。
  11. 中尾辰義

    中尾辰義君 いわゆる伝統工芸品産業と称するものに、いろいろこれもあるわけですが、私は京都ですけれども京都は西陣だとか、あるいは清水焼き、また、滋賀県には信楽焼きというような伝統産業がございます。こういうような産業がいま問題になっておるのは、一つ後継者の問題でありますけれども、もう一つは、原材料入手難ということが非常に問題になっておるわけでありまして、地場産業によりましては、従来の木製のものが、材料が入らぬからプラスチックにかわっているとか、あるいは焼きものでも、いわゆる陶土というものが掘り尽くして、ない、よそから輸入しなければ、とっても地場産業というようなものが今後振興といっても、それはできないというような面もあるわけです。ですから、原材料確保ということを今後どういうふうにしておやりになっていかれるのか。また、今日そういったような地場産業で、原材料等に困っているようなところはどういうようなのがあるのか、その辺ちょっとお伺いします。
  12. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) ただいま御指摘になりましたように、伝統的工芸品で使います原材料というものは、大体天然のものが多いわけでございまして、そういったところから、こういった原材料入手が困難化しておるのが一般的な現象でございます。たとえて申し上げますと、陶磁器における陶土、それから漆器の木地とウルシ、竹細工の竹、染色品におけるアイ、こういった天然自然の原材料がなかなか入手困難になってきておるというのが現実かと思います。こういった原材料不足問題に対処いたしまして、一部の地方公共団体におきましては、たとえば陶土につきまして粘土の分布状況を調査するとか、あるいは配合試験実施するとか、いろいろと対策を打っておるようでございますが、御指摘のように、政府といたしましても、こういった原材料対策を十全にやりませんと、伝統的工芸品振興に逆行するということにもなりますので、われわれといたしましては、原材料需給状況といったものを十分実態を調査いたしまして、本法で設けられる審議会の場で、それに対していかに対応していくべきか十分御審議をいただき、その意見を反映いたしまして対策を打っていきたい、かように考えております。
  13. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから伝統工芸品でも、これはさっと思いつきですけれども、各県のものをずっと書いてもらったのですが、たくさんあるわけです。それで、この伝統工芸品指定要件一つとして、「主として日常生活の用に供されるもの」というふうになっているのですが、これは具体的にはどのようになっておるのか、その辺ちょっとお伺いしたいのです。それも、たとえば京都なんかになりますと、丹後ちりめんというようなものもある。そうすると、ああいうものが一体この中に入るのかどうか、そういう疑問もありますので、ちょっとお伺いしておるわけですが、いかがですか。
  14. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 第二条の中に、「日常生活の用に供される」ということが指定要件としてございますが、この「日常生活の用に供される」ということは、国民日常生活の中で使用する用具というふうに解釈をしておりまして、主要のものとしては日常生活用の器具、衣料品装飾品等が考えられます。しかし、いわゆる美術品は、一般国民日常生活の用に供されるものではないという考え方から、美術品伝統的工芸品とをここで区別をしておるわけであります。  そこでいまお話しの、では、具体的に伝統的工芸品というのはどういうものか、丹後ちりめんのようなものは入るのか入らないのかという御質問でございますが、御承知のように、この法律では、伝統的工芸品というのは、第二条の指定要件がございます。この要件を満たしたものの中から通産大臣審議会意見を聞いて指定する、こういうことになっておるわけであります。で、私どもが具体的に、じゃ、この丹後ちりめんが入るのか、あるいは輪島の漆器が入るのかと、こう言われましても、実際は審議会意見を聞いて通産大臣がきめることでありまして、また、生産の様式によって指定されるものとされないものが同じ産地でもあるかと思います。したがって、これは入る、じゃ、この場合入るのか入らないのかという具体的な答弁は、私どもは実はできないわけでありまして、これは第二条の指定要件に合ったものの中から通産大臣審議会意見を聞いてきめるということになるので、御了承願いたいと思います。
  15. 中尾辰義

    中尾辰義君 そうしますと、これは別な角度から見て、現在は文化庁中心として無形文化財保護対策がとられておるわけです。京都なんかにもたくさん指定をされているところもあります。これも古い伝統的な技術技法を保存するという目的では、伝統工芸産業保護と共通したものがあるわけですが、この両者の関連はどういうぐあいになるわけですか。
  16. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 文化庁無形文化財保護対策というのがございます。それと本法との考え方という御質問でありますが、文化庁対策は、いわば文化的作家技能保護するというのが目的でありまして、技能の最高峰を維持するという対策と聞いております。で、文化庁では、この伝統工芸技術重要無形文化財指定するという施策をとっておることは御承知のとおりでありますが、これは文化財保護という観点からとられたものであって、いわば特定の個人、団体を対象といたしております。本法は、これは国民日常生活の用に供される伝統的工芸品生産産業としてとらえて、そしてこれの振興をはかろうというものであります。ですから、この伝統的工芸品というものと伝統的工芸技術美術工芸というものとを区別をしております。産業としてとらえております。ということの区別があろうかと思います。
  17. 中尾辰義

    中尾辰義君 いろいろありましたけど、大体いろんな話、熱心な御審議もありましたので、あと二、三問だけお伺いしますが、伝統工芸品産業振興協会について、これは本法第十二条でつくることになっておるわけですが、これは全国を通じて一つの民法上の法人ということになりますが、どこへどういうような形でどのようなものができ上がるのか、その辺の構想をお伺いします。
  18. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 本法施行をされ、伝統工芸品指定が行なわれ、各地協同組合等から振興計画を出され、そしてそれが認可され、本法が実質的に運用が開始をされるわけでありますが、その中で全国的な指導センターといいますか、それがセンターとしての協会を必要とするという機運が各地から起こってまいって、その各地協同組合の自発的な意向によって、本法十二条における伝統的工芸品産業振興協会というのが設立を見るという段取りになろうかと思います。全国的な指導センターといいますか、協会というのはなかなかむつかしいものがありまして、指導者がりっぱな適格を持っておるということ、あるいは協力するスタッフが必要だということ、資金面のある程度確保、見通しがなくちゃならない。さらに、これを置こうとする自治体への協力というのが非常に必要であろうと思います。そういう要件を満たしたとき、適当な地域協同組合中心とする話し合いの中から選ばれるのではないだろうか、こう思います。立案者のほうから、これはどこがいいだろうということはしたがって申し上げられませんが、そういう要件の中からおのずからきまるところにきまるだろう、こう思います。御了承願います。
  19. 中尾辰義

    中尾辰義君 それから最後に、本法施行日がいつになるかは、これは修正案も出ておりますけれども施行されてから業種指定され、振興計画がつくられるまでには相当な時間もかかろうかと思いますが、こうした準備期間はどのくらいかかるのか。それから、予算面はどうなっているのか、その辺をお伺いします。
  20. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) まず第一点でございますが、計画作成までどの程度時間がかかるかという御質問にお答えいたしたいと思いますが、まず、法律の手続の順に従って申し上げますと、通産大臣審議会意見を聞きまして伝統的工芸品指定するという行為がございます。二つ目に、協同組合等がこれを受けましてみずから振興計画作成する。三番目に、作成された振興計画都道府県知事を経由いたしまして通産大臣に提出され、これを通産大臣が認定するというこの行為でございます。したがいまして、期間的には審議会における審議期間がどれぐらいかかるか、それから計画作成期間にどれぐらいかかるか、あるいは認定までにどれぐらい期間かかるかと、こういったところで期間の長短がきまってくるわけでございますが、一つには、やはり関係産地と申しますか、あるいは関係業種と申しますかの熱意、どの程度事前に具体的に振興計画内容を詰めつつあるかといったような、現地における煮詰まりぐあいとの関係も大きいかと思います。それから、私たちのほうといたしましては、この法案が成立いたしましたら、できるだけ早く審議会の構成をつくり、業界から振興計画ないしは指定について申請があった場合、極力早い機会に審議会意見を聞き、あるいは通産大臣指定し得るように措置いたしたいと、要は、さように官民この問題にどの程度真剣に取り組むかということで、その期間は長くもなり短かくもなってくるかと思います。われわれとしては、できるだけ早く実施に移し得るようにいたしたいと考えております。  それから、これに対する助成措置としての振興対策でございますが、まず一般会計では、初年度分といたしまして一億二千一百万の予算を計上いたしております。これの内容は、主として後継者育成事業に対する補助と、それから、伝統的工芸品産業にかかわる技術保存、あるいは研修事業に対する補助、その他コンクール、展示会開催補助だとか、あるいは先ほどもお話が出ました原材料対策費、こういったものがこの一億二千一百万の中に含まれております。  それから次に、財投の関係といたしましては、伝統的工芸品産業特別貸し付け制度といたしまして、国民金融公庫に三十億、中小企業金融公庫に十億のワクを確保いたしております。金利はいずれも八分でございます。  そのほか税制といたしましては、伝統的工芸品産業振興準備金制度、あるいは共同施設特別償却制度、かような税制措置も講じておるわけでございます。  一応こういったことで初年度は何とかやっていけるかと思いますが、今後の問題といたしましては、実施状況を勘案し、かつは審議会でも意見を十分拝聴いたしまして、所要の対策は次年度以降拡充してまいりたい、かように考えております。
  21. 藤井恒男

    藤井恒男君 最初政府のほうにお聞きしたいのですが、全国各地には、昔から特定地域特定産業が集積して立地しておる。そして、一つ経済圏を形づくるいわば地場産業が発達しておりまして、そういった地場産業地域経済圏を構成しておるわけですが、残念ながらこういった地場産業に対する保護政策というものがほとんどなされていない。しいて言うなら、中小零細である一般的な繊維産業なんかについては、特定業種に限って構造改善対策というものが打たれておるわけですが、本法にいうところのいわゆる地場産業伝統工芸等に関する地場産業というものについては、国としての保護助成育成という面が非常に立ちおくれている。一方また、こういった地場産業はきわめて零細性であるというところから、労働力も不足しておるし、高度に、しかもスピードの速い経済成長についていけない、こういった苦境に立たされておるわけです。  しかし、地方自治体では、ある程度こういった点について工芸指導所などをつくるとか、あるいは後継者育成というような点について、地方自治体独自の施策としてある程度保護につとめている地域も見られる、こういうような状況でございますので、私はまず最初に、どうして国としてこれまでの間、こういった地場産業育成というものを、地方自治体がその必要性をおもんぱかって処置しているのにかかわらず、等閑視してきたのか、そういった点について、私はやはり議員立法としてこういった法案を出さなければいけないというところまで追い詰められたことについて、かなりな責任がある、こういうふうに思うわけですが、まず最初に、そのことについてお聞きしておきたい。
  22. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) 御指摘の点でございますが、従来、一般的な地場産業対策といたしましては、たとえば第三近促によりまして、中小企業産地の実情に応じまして、産地ぐるみ構造改善を進めてきたといったような、いわゆる一般中小企業対策の一環として実施してきたということはございますが、特に本件に関して申し上げますと、ただいま御指摘ございましたように、必ずしも十分でなかった、と申しますことは、一般的に申し上げて中小企業対策と申しますと、どうしてもやはり中小企業近代化あるいは高度化を通じまして、国際競争力をつけていく、あるいは世界に通用する中小企業育成していくという、さような観点施策が進められるということになっておるわけでございますが、こういった地場産業と申しますか、特に伝統的工芸品産業について申し上げますと、どうしてもその産業の性格からいたしまして、大半が内需要である、あるいはどちらかといえば大量生産になじまない伝統性手工性といったようなものを持っている、そういった点からいたしますと、まさに御指摘のとおり、従来の一般中小企業施策では隔靴掻痒の感があったということは認めざるを得ないかと思いますが、幸い今回かような法律を御提案いただきまして、われわれといたしましてはこの法律趣旨に基づきまして、十分に地場産業と申しますか、伝統的工芸品産業と申しますか、特に零細性に着目いたしまして、できるだけの助成措置をとっていきたい、かように考えております。
  23. 藤井恒男

    藤井恒男君 まあ、橋本さんは率直に認められたわけですが、特定繊維構造改善それ一つをとってみても、あるいは中小企業近促法などについてみても、いわゆる経済成長というものを促進する、輸出競争力をつける、こういった点にほとんど全部の視点が注がれて、谷間の老人じゃないけど、この種の伝統的工芸について手を抜いておったということについては、大いに反省しなければならないというふうに思うわけで、本法施行と同時に、十分留意して施策を講じていただきたいと思うわけです。  それから、全国地場産業のうち、本法でいうところのいわゆる伝統的工芸品産業に該当するというのは、この指定基準によってかなりな違いをつくってくると思うのです。指定基準の定め方、先ほどの御答弁に、審議会においてどういうふうに扱うか、さっそくには答弁しかねるというようなお話もございましたけれどもかなり私はバラつきが出てくるように思うのです。同時に、数においてもその審査のしかたによって、あるいは基準の設定によって非常に変わってくる、たいへん恐縮でございますが、この法案だけを見れば、雲をつかむような、そういう感じがするわけですが、提案者としてその辺きわめて抽象的な質問でございますけど、どのようにお考えになっているか……。
  24. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 私ども審議の過程で、これではどの伝統的地場産業といいますか、工芸品産業指定されるのか、雲をつかむような、抽象的であり過ぎるのじゃないか、実はこういう議論を再々してまいったのでありますが、しかし、これは全国的にどの伝統的工芸品産業指定するかどうかと、一々具体的に地名と品名をあげて議論をいたしますと、実は際限がない、また、それをきめるだけのまだ私どもデータも知識もない。しかし、きめなくちゃならないから、これはやはり審議会というものをつくって、学識経験者に御意見を聞いて、二条の各号に該当するようなものの中からひとつ推薦をしてもらう、それを大臣が認めるという形をとる以外に方法がないということで、まことに抽象的で恐縮なのですが、そういう結論になったわけであります。どうぞ御了承をお願いいたします。
  25. 藤井恒男

    藤井恒男君 工芸品ということになれば、たとえば去年できたものでもりっぱな工芸品として通用する。あるいはきょうできたものも工芸品として天下に通用するというものがあるわけだけど、伝統的工芸品ということになれば、ある程度時代、流れ、継承されたものということを意味していると私は思うのですが、そうなってくると、これもまた抽象的な表現でございますけど、伝統的ということになるとどれくらいの時代をいうものか、質問しても、それはまあ全部審議会にもうまかすのだ、学識経験者にまかすのだというだけになるのかもわからぬけど、しかし、それではあまり芸がない。だから、一般的にみなが頭にそれぞれ描いているようなものだぞといえば、それぞれにまた違いも出てくるし、やはり衆議院段階で立案なさるおりに、ある程度のものを想定なさったのじゃなかろうかという気がしますので、その辺の論議経過があれば教えておいていただきたい。
  26. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 立案者のほうの気持ちとしましては、伝統的というのはまあ明治の初年ごろ、その前から引き継がれてきておって、その後もその地方地場産業、お国自慢産業として維持されてきたと、こういうような一つのめどを持っておるわけであります。これとても、先ほど申し上げましたように、審議会等できめられるものと思います。で、この伝統的工芸品というのは必ずしもその定義がきまっているわけじゃないんです。必ずしも明治の前からじゃなくてはいかぬということでもないという説もあろうかと思いますが、ここでは明治の初年ごろから、その前から受け継がれてきた産業というふうに解釈をしていきたいと、こう思っております。
  27. 藤井恒男

    藤井恒男君 まあ、およそちょんまげをつけておる時代からやっておったものという、おおよその時代的な概念ということになるわけだけど、ちょんまげを結っとったときからつくって、しかもそれがずっと継承されてくるとして、もう現代的にやっぱり現在の人は、先ほど御指摘のありましたように、これは内需ですからね。だから、このユーザーの嗜好というものも変わってくる。だから、技法の本質が変わらなくたって、たとえば焼きもの一つを取り上げても、同じ地域信楽なら信楽という焼きものであっても、ちょんまげ時代につくっておった信楽焼きと現在の信楽焼きでは、同じ信楽焼きと言いつつもその技法も違えば、そのつくり上げてくるところの製品の形も違っておる。これは陶器だけじゃなくあらゆるものについて言えると思うんですが、そういった場合、技法も変わってきた、あるいは形も変わってきた、しかし、つくっておる地場を形成する地域、そしてそれを継承してきた人たちはずっと伝統に入るというような場合、やはりその品物は伝統的工芸品になるのかどうか。これは非常にむずかしいところだと思うんです。  たとえて言うなら漆器一つとってみても、和歌山県あたりの漆器ということになると、プラスチックで全部もうやっておるわけだ。しかし、塗りそれ自体は輪島の塗りを継承しておるというようなことになると、素材それ自体がもう本質的に違う。しかし、塗りということだけ見れば、それは素材も塗りも入れて漆器ということになるのかもわからないけど、一体これは伝統的工芸品になるのか、これは近代的な手法を欠いたところの単なる工芸品、あるいは何と言いますか、単なる漆器産業というふうに呼ばれるのか、その扱いによって受ける恩恵というのは変わってきますからね。その辺はどんなものでしょう。
  28. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 指定要件として、二条に一号から五号までございますが、御承知のように、製造の過程の主要部門が手工業的であること、それから三として、伝統的な技術または技法によって製造されておること、こういう点については、いまお話しの点は異論はないと思いますが、四に、「伝統的に使用されてきた原材料が主たる原材料として用いられ、製造されるもの」、この辺に——「原材料が主たる原材料として用いられ、」——ですから、まあ輪島塗りと申しましょうか、木材を中心に塗られてきたものがプラスチックになったという場合には、主たる原料が伝統的に使用されてきたものと若干違うんじゃないだろうかと、こう思います。そういうものはあるいは私ははずされてくるんじゃないだろうか、こう思いますが……。
  29. 藤井恒男

    藤井恒男君 それも一がいにきめつけられるわけじゃないんで、その製品の中にどれだけのウエートを占めておるかということによって、継承された素材がどれだけのウエートを完成品に対して占めておるかということが吟味されることだと思いますので、これが一がいにいまのあげた例がそいつはだめだと言えば、これはだめなりにまた問題になってきますから、これは今後のまた検討ということになりましょう。  そこで、いまおっしゃった第二条の第一項の中に規定されておることですが、この指定基準として、「一定の地域において少なくない数の者がその製造を行ない、又はその製造に従事」することというふうになっておるんだけど、「少なくない数」というのは、これは具体的に数ということは私言えないと思うんだけど、要するに、産業を形成しておるという意味に言っておられるのか、ぽつんとこうやっておったってだめだということなのか、この辺もう少しこれをはっきりしてもらいたいと思うのと、それから第二条第一項、第二項等の関連でお聞きするんだけど、この地域指定、これ、ずっと読むと地域指定ということになっておりますが、産業指定というような考え方は入る余地はないのか。たとえばこけしならこけし、こけしをつくっているところも地域によっていろいろあるわけだけど、こけし産業ということになるのか。まあ地域産業というものを併用するのか。その辺ちょっと私不勉強でわかりませんので、教えていただきたいと思うわけです。
  30. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 先ほどの答弁の中で、はずされると申し上げたのは、ちょっと私の言い過ぎでありまして、そういう基準によって審議会が答申をするだろう、こういうふうに——審議会意見を聞いて大臣がきめますから、そういう主たる原材料が伝統的に使用されてきたものであるということをどう解釈するかは、審議会の決定にあろうかと思いますので、その点訂正させていただきます。  いま御質問の、産業指定ということはどうなのかと、たとえばこけしならこけし、全国にございます、これをこけし産業として指定することが可能かどうかということですが、先ほども申し上げてまいりましたように、この法案のねらいは地場産業というものを発展させていこうと、そして地域経済発展に寄与しようというねらいがありますので、産業的に横断的に指定するということはないと、こう解釈を願いたいと思います。そこで、二条の五号にありますように、「一定の地域において」というものがあるわけであります。地域的に拘束をされます。これは、「一定の地域」というのは、市町村単位というふうにお考えになっていただきたいと思います。  「少なくない数の者がその製造を行ない、」というのはどうかというお話でありますが、まあ地方地場産業として、産業としての一つの形態をとっていなくてはならない。そのためには、少なくとも十企業以上の企業があり、三十人以上の方々がそこで働いていること、その程度産業的な、地場産業的な要件を持っておることが必要だろうと、こう思います。これも具体的には、指定されるときの審議会等においてこれをどう解釈するかということにもつながってまいりますが、そのようなことを私ども頭に置いておるわけであります。
  31. 藤井恒男

    藤井恒男君 この伝統的工芸品産業振興に関する法律案提案理由の中の一つに、後継者確保難、原材料入手難、さらには伝統的な技術または技法の消滅のおそれ等という字句が入っておりまして、本法提案の主たる提案理由になっておるんですが、この中のこの原材料入手確保難ということに関しての問題ですが、伝統的工芸品原材料あるいは道具などを生産する産業、それも大きな産業じゃなくて、いわゆる地場産業として、こけしでいうならこけしの町に付随して、そこで使うのみを終始一貫つくっておる、こういったものは包括されるのかどうかですね。それはもう、のみをつくっておるんだから、のみは多目的にも使えるからこれはだめだということになるのか、やはりこけしの一環として、しかも原材料生産に従事しておるんだから、あるいは道具を生産しておるんだからということで地域指定に包括されるのかどうか、この辺どうでしょう。
  32. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) いま御指摘になりました伝統的工芸品で使われる原材料、あるいは道具についてどう考えるかということでございますが、こういったものがこの法案の第二条にいうところの指定要件に合致する場合には、そのもの自体を伝統的工芸品として指定することも可能だと思いますが、そういった原材料といったようなものにつきましては、一般的に日常の用に供されるという第一番目の基準に合致しない場合のほうが多いんじゃなかろうか、かように考えるわけでございます。したがいまして、こういった原材料は、一般的には伝統的工芸品として当該商品が、製品が指定されることによりまして、それにつれて振興されていくという間接的な関係に立たざるを得ないのではなかろうか、かようにこの法案をわれわれ解釈いたしておるわけでございますが、ただ、原材料につきましてより積極的に振興をはかる必要があるといったような場合には、現在ございます一般の中小企業対策をこれに充当していくということも可能でございますし、また、かりにこの原材料——糸あるいは織物といったようなものに限定していきますと、現在御審議をいただいております、新しい繊維の構造改善法の対象としても取り上げられる機会というものが十分あり得るわけでございますので、そういった形で原材料対策は考えていくべきではなかろうかと私たちは考えているわけです。
  33. 藤井恒男

    藤井恒男君 一般的に広範囲、日用製品として使用可能なもの、たとえばこけしの木材であれば、それは何もこけしだけに使わなくたって、げたにも使えるとか、器にも使えるということになるわけだけど、伝統的工芸品固有の原材料を分離してつくっている、そして、それは一つ団体を別に形成しておるということがはっきり立証されれば、私はやっぱり含めるべきであろうというふうに思うのです。それは審議会で論議されることだと思いますが、原材料は入ってないんだぞということになれば、提案理由にも載っておることですから、提案理由に原材料確保難、だから伝統的工芸品をやるんだということになっておる。だから、法案全部からいうと原材料は入らないことになるでしょう。製品をさしておることになっておる。だから、その辺は、もういまの御答弁も非常にむずかしい答弁をなさっておるけれども、一般的にはそれは入りませんよ、大体中を見たらそうじゃありませんか、こういうことになるわけだけど、きめつけてしまうとやっぱり問題が出るんじゃなかろうか。その辺は多少弾力を持たしておくべきじゃないか。全部開放してしまうとたいへんなことになるんで、製材業、森林業から全部入るということになるから、それはたいへんだということは私わかるけど、その辺のところはどうでしょう。私の言うことのほうが本法にマッチしておるんじゃないでしょうか。
  34. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 御説のとおり、四条の振興計画という中には、三号に原材料確保及び原材料についての研究に関する事項とか、六号に原材料の共同購入とか製品の共同販売というのがございまして、伝統工芸品産業振興上必要な固有の、一般に通用するものでなくて固有の原材料というものは、含めて振興計画の中に入りまして対象となるものと思います。
  35. 藤井恒男

    藤井恒男君 橋本さんいいですな。
  36. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) 振興計画内容に盛られることによりまして、直接指定がなくとも、振興措置は講じ得るというふうに理解いたします。
  37. 藤井恒男

    藤井恒男君 振興計画作成するのは、当該工芸品産業の事業協同組合あるいは商工組合ということになっておるんだけれど、それ以外のいわゆる人格を持たないところの任意団体というようなものがかりにあった場合にはどうなりますか。
  38. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) やはり伝統的工芸品産業というものを振興していく場合に、われわれサイドだけではなくて、当該事業者がきわめて強い意欲を持ってこれに臨んでいただく必要があるかと思います。それだけに、それに即応したような責任体制というものが必要かと思いますので、そういった場合には、やはり一つが法人格を持つということが表面的なあらわれかと思いますし、かたがたいろんな措置を考えておるわけでございますが、その助成措置の態様としても、適用を容易にするという意味でもやはり法人格というものが必要ではなかろうか、かように考えておるわけでございますので、この法案の第二条の第三項に法人といったようなことばを使っておるのもそういったところにあるかと思います。したがいまして、法人格を持たないものを対象として考えるということは、法律的にもあるいは現実的にもなかなかむずかしい問題ではなかろうかと考えます。
  39. 藤井恒男

    藤井恒男君 それはわかりました。だから、現にそういった形で明らかにそれが伝統的工芸品と目されるという場合には、やはりきめこまかな指導をして、商工組合なりそういったところへ入って、そして本法の適用を受けるような行政指導というものが私は必要であろうと思います。その辺のところはよろしくお願いしたい。
  40. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) この二条の三項の事業協同組合協同組合連合会、商工組合というものが中心になってこの法の適用を受けてくるわけですが、協同組合法によりますと、発起人というのが四人以上ということになっておるんですね。ですから、これから類推しても、この任意団体という、理由があってそういう団体をおつくりになっていると思いますが、このわずかな人数でも協同組合というこができるわけですから、法人格を取得してこの適用を受けるということのほうがスムースにいくんじゃないだろうか、私はこう思います、できることがむずかしいわけじゃございませんから。
  41. 藤井恒男

    藤井恒男君 今度新たに設置されるところの伝統的工芸品産業審議会、この委員は、伝統的工芸品産業に関し学識経験のある者の中から通産大臣が任命するということになっておるわけで、これは一般的な審議会委員を構成するときの、いわゆる一般的なものの書き方になっておるわけですが、伝統的工芸品という特殊性にかんがみて、この委員の任命にあたっては、当然、伝統的工芸品と目される地場産業が現にあるわけですから、そういったところの意見を十分徴して委員の任命に当たるということが必要であろうというふうに思うわけです、そのことが本法の適用を与えるかいなかの権限を持つわけだから。たとえば、産構審におけるところの委員の任命とか、そういったのと私はいささか異質のものであろうというふうに思うので、きょう大臣おられぬけども、次官おられるわけで、その辺のところの配慮があるかどうか、お聞きしておきたい。
  42. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) この法案実施段階に入るまでの間相当期間ございますので、その間十分に検討いたしまして、ただいま先生御指摘になられましたような点を十分留意して審議会のメンバーをきめていきたい、かく考えております。
  43. 藤井恒男

    藤井恒男君 ぼつぼつ時間ですから、もう問題をしぼってあと一、二点だけにしますが、衆議院のほうで出ましたところの附帯決議、これは実は宮之原さんが質問なさったかもわかりませんが、重なっておれば私はたいへん恐縮なんですけど、この第八号の「伝統的工芸品に類似した工芸品産業については、その実態と必要性に応じ積極的振興を図ること。」ということは、それまでに述べられているところの附帯決議をいささか趣旨を異にするというふうに読み取れるわけです。失礼なものの言い方かもわかりませんが、文章表現が悪いのか何か知りませんけど、すなおに読めばすなおにそうとれるわけで、これはちょっと混乱しておるように思うんです。この辺、整理して一ぺん聞かしておいていただきたいと思います。
  44. 板川正吾

    衆議院議員板川正吾君) 御指摘のあったとおり、伝統的工芸品産業振興法の採決の際に附帯決議がされまして、その八号に「伝統的工芸品に類似した工芸品産業については、その実態と必要性に応じ積極的振興を図ること。」こういう附帯決議がございます。この趣旨は、伝統的工芸品の模造品産業振興をはかれという意味では全くございません。表現が多少私ども適切でなかった感じもありますが、この附帯決議の真意というものは、工芸品の中には伝統的工芸品と、それからそうでないもの、指定要件を備えていない工芸品というものがあろうかと思います。ここでは、この指定要件を備えていない、伝統的工芸品でない産業地場産業として、あるいは零細企業の集団として維持されているものについては、実態を調査して、必要があれば本法と別個に中小企業対策として振興をはかるべきであると、こういう趣旨で書かれたのでございまして、決してまがいものを奨励しようという意味ではございません。表現が適切でない点もありますが、御了解願いたいと思います。
  45. 藤井恒男

    藤井恒男君 よくわかりました。  次に、まとめて質問いたしますが、大島つむぎの問題が非常に重要な段階に立ち至っておるわけで、私も陳情を受けたわけです。その中の一つに、指定商品には産地表示を義務づけていただきたいという一項がございまして、指定商品産地の責任を明確にすると同時に、品質と信用保持のため原産地の義務表示が望ましいということです。これは私、伝統的工芸品、いわゆる地場産業保護育成という意味からと同時に、それを愛好する消費者の保護という意味からも、これはうなずけるものであろうというふうに思うわけで、ぜひそうあってほしいと私は思うんです。同じつむぎといいましてもいろいろあるわけですから、原産地表示をすれば、ああ、これは大島のつむぎだなということもわかるわけだし、あるいはしぼりにしても、ああ、これはどこそこの産地のしぼりだなということがわかるわけですから、しろうと目に、ぽっと並べられると、これは韓国商品と日本商品すらわからないということでございますので、この辺のところをぜひ考えていただきたいということが一つ。  それからいま一つは、たしか六日の日に衆議院では商工委員会でこれは論議されたと思うのですが、そのときの御答弁は多少抽象的であったのですが、その後新聞報道で明確になっておることの一つに、「政府はわが国の伝統的産品である西陣帯、丹後ちりめん、大島つむぎなどが、韓国を中心とした近隣諸国で製造され「国産品とまぎらわしい表示」をして輸入されるものに関税法第七十一条を発動して輸入禁止措置をとる方針を固めた。」という新聞報道が一部あります。具体的な輸入禁止、これは輸入通関不許可ということになるわけですが、その「措置は各税関でおこなうが、まぎらわしい表示の基準などについては、大蔵、通産両省で協議中である。」という報道がなされておる。このことについて、その後、大蔵とどのような調整がなされておるか、現にこれはもう実施されておるのか、その辺のところをお聞きしたいと思います。
  46. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) まず、原産地表示の問題でございますが、先生御承知のように、関税法の七十一条におきまして、これは二番目の問題にも関連するわけでございますが、原産地を誤認されやすいようなものにつきましては、これは通関をストップすることができる、あるいは聞かない場合は積み戻しさせる、あるいは表示をつけ変えさせるというような水ぎわでのチェックができるわけです。それからいま一つは、この五月一日から実施に移されるわけでございますが、景表法の四条に基づきまして、やはり原産地等についてまぎらわしいものに規制措置を講ずる、こういった規制があるわけでございます。ただ、この二つはいずれも、みずから表示をしたものに対して、不当表示ということによって規制をするわけでございます。したがって、表示の義務づけということとは直接関係がないわけであります。この原産地表示の義務づけという問題につきましては、いろいろむずさしい問題がございます。一つは、わが国の参加しておりますガットの九条の規定によりますと、一つはその無差別主義をとれ、それから二つ目は、消費者対策といたしまして必要の最少限にとどめる、三つ目に、あえて義務づけする場合におきましても、罰則の適用がない、こういう問題があるかと思います。  それから、具体的にこの伝統的工芸品について申し上げますと、やはり現在の伝統的工芸品産地につきましても、かつて別の地域から工人がやってきて、そこを現在の産地のように繁栄に持っていったといったような歴史的な経緯もございます。中には最近の立地条件、公害事情等からいたしまして、やはり他の地域に進出するということも大いにあり得るわけでございます。そういったところから、産地の義務づけということになりますと、親産地あるいは新産地ともどもマイナス面も出てくるおそれがある。そういったところから、この原産地表示の義務づけというのはなかなかむずかしい問題であるかと、かように考えております。  それから二番目の、関税法の七十一条について大蔵との協議はどのようにやっておるかという御指摘でございますが、これにつきましては、先ほど申し上げましたような三つの方法があるわけでございます。そういった点を常に大蔵とコンタクトをとりながら、すでに大蔵としては、もちろんこの関税法七十一条の規定に従いまして十分の監視と申しますか、事実上のチェック措置を講じておるということでございます。
  47. 藤井恒男

    藤井恒男君 いまの原産地というのは、たとえば京都府の奥丹後というものじゃなくて、いわゆる丹後ちりめん、それが舞鶴で、かりにそこに工場が進出して織られておっても、しかし、それは丹後ちりめんとして織られておれば、丹後ちりめんという表示をすることはおかしくないじゃないか。あるいは大島つむぎ、これは奄美大島でつくっておる場合もあるかわからぬし、鹿児島でつくっておる場合もあるかもわからぬ、私さだかじゃないけれども、かりに多少地域が広がっても、それは大島つむぎとしての伝統的工芸品であれば、大島つむぎということを表示したって一向差しつかえない。それから、いまいうガットとの関係があるとはおっしゃいますが、一方、この不当表示、要するに消費者保護という立場からくれば、現に半分の値段で商品名もつけずに店頭に並べると、消費者は迷ってわからないわけだから、これは奄美でつくったものと思い込んでこう買い込んでしまうということの保護ということを考えれば、私は無差別主義ということに別に逸脱せずに、これは韓国のつむぎであるということを表示できるのじゃないだろうかという気がするのです。その辺のところを重ねてお伺いしておきたいと思います。
  48. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) ただいま先生が例示なさいました西陣だとかちりめんにつきまして、具体的に私の考えを申し上げますと、かりにその丹後ちりめんということを義務づけた場合に、どういうマイナス点があるかということでございますが、たとえば、京都市内においてはもう立地上無理である、あるいは騒音公害等で新しい立地を求めなくてはいけないといったようなことで、その同じ会社の技能者、技術者が同じ材料を同じ工法をもってつくった場合には、たとえ丹後に行っておりましても、もとの本場でつくった品物と全く同じものであるということが言い得るかと思います。そういった場合に、事業者が自分の積極的な意思、任意ベースで、これは京都市内でつくったんではなくて奥丹後でつくったんだといったようなことを表示することは、私はそのこと自体はいいかと思います。しかし、その場合に、法的に義務づけて、同じ品物でありながら、これは違った土地でつくったんだといったことを義務づけるということは、やはり若干行き過ぎではなかろうかという気がいたすわけでございまして、そういったところから、任意ベースならばということでお答え申し上げたわけでございます。現実問題としまして、ここでもやはり地域指定して伝統的工芸品というものが指定されるわけでございますから、この第八条にいうところの表示の一項目として一般的には自分で表示なさる、特に本場ものについては、積極的なPRも兼ねてみずから表示されるということが現実としてあり得るかと思いますが、その他のものについても、表示を義務づけるというのはなかなか問題が残るんじゃなかろうかというのが私の率直な気持ちでございます。
  49. 藤井恒男

    藤井恒男君 最後でございますが、大島つむぎの問題がたいへん大きな問題になって、それがある意味での伝統的工芸品議員立法をする引き金になったのであろうと。これは災い転じて福にしなければならないわけで、全国にはこれに類することが、単なるつむぎだけじゃなく、漆器、その他においてもたくさんあると思うんです。そういった意味で、先ほどもちょっと触れましたけど、新しくできる審議会委員の選定と、それから、いわゆる伝統的工芸品をつくっておるところの地場産業との関連ですね、その意思の疎通というようなものについては、私、十分配慮をしていただきたいということを重ねてお願い申し上げます。  以上で私の質問を終わります。
  50. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、この法案に替成し、伝統的工芸品産業に従事する方々の生活と経営の安定と向上をはかるため、この法律をほんとうに血の通ったものとして運用する立場から、提案者政府に若干お尋ねをいたしたいと思います。  提案理由にも述べられておりますが、この伝統産業の分野に対する国の助成は、従来全く行なわれなかったと言っても過言ではないと思います。周知のとおり、伝統的工芸品産業は、個人企業や従業員五人以下という小零細企業が大部分を占めており、これは伝統的工芸品産業の大きな特徴となっております。そして、これらの産業はひとしく後継者がいない、原料の手当てが困難だといった問題をかかえながら今日に至っております。  わが党は、このような状態に置かれている伝統産業に対しまして、中小零細企業対策のみでは不十分であり、特別の対策が必要であることを強調し、すでに昭和四十六年には、中小商業、伝統産業保護と援助を掲げた政策を発表し、その実現のために努力してきたわけであります。一昨年審議した工業再配置促進法にも特徴的にあらわれたことでありますが、政府は、京都の西陣のような伝統産業も、工業一般としてその小零細性地域性といった特徴を全然考慮していないということがありました。結果的には、われわれの主張により一定の改善がなされたわけでありますが、このことは、政府伝統産業保護といった点については全く考えていなかったことを示す好例と言えます。  ともあれ、今度こうした伝統的工芸品産業振興法が提案されたことは、一歩前進と受けとめたいと思いますが、その提案者の一人である野間委員に伺いたいと思います。
  51. 野間友一

    衆議院議員(野間友一君) 須藤委員にお答え申し上げますが、確かに、先生がいま御指摘されたように、伝統的工芸品産業、これは企業規模において小零細性、これが非常に大きな特徴になっておることは御指摘のとおりだと思います。通産省がアンケート方式で調査をしておりますが、それによりましても、昭和四十七年現在で、陶磁器、それから漆器、織物、染色品、竹細工、金物細工、それから和紙、これらの業種で、企業の数が約一万七千社、生産額は約四千五百億円、従業員の数が約八万七千人と、こうなっておるわけです。これは一企業当たりにしますと、生産額は二千七百万円、従業員の数は五・二人。ここからいたしましても、いかに零細であるかということを如実に示しておるというふうに私は考えております。  また一方、これまた先生が御指摘をされたわけですが、伝統的工芸品産業、これにおきましては、ひとしく後継者確保あるいは育成が非常に困難になっておる、また、原材料入手難、これがいま深刻な問題となっておる、これは御指摘のとおりです。で、ほんとうに手づくりの味と申しますか、私たちが、豊かなと申しますか、伝統的なそういうものを手づくりの味として味わいの深いもの、そういうものをこういう状態に放置した。これは、私見で恐縮ですけれども、今日までの重化学偏重の政策、こういう中で一向に顧みられなかったというふうに私は考えておるわけです。  それはともあれ、今回、五党が一致をして、とりわけ、いま国民的な世論の高まりの中で、どうしてもこういう産業保護育成する必要がある、こういうふうに考えまして、私たち衆議院の段階で議員立法として提案を申し上げた、こういう次第であります。
  52. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いま野間議員がお答えになったように、この日本の伝統的産業には、いろいろな問題がたくさんあったわけです。その点につきまして、今回、各党の認識が一致いたしまして、伝統産業振興を考えようということになりましたことは、大いに私も歓迎いたしたいと思っております。この法案では、まだしかし、解決のできない問題もあると私は思うわけでございますが、たとえますならば、絹織物——西陣とか大島つむぎといった業界は、きわめて深刻な問題を今日かかえておるということは、野間議員も御承知のことだと思います。  それは、韓国からの逆輸入の問題でございます。韓国では、国内で全然需要のない和装用の絹織物を生産して日本に輸出しております。このため、特につむぎなどは大きな打撃を受けているわけです。なぜこのようなことが起こっているかと言うと、日本の商社や大企業が、資本と技術を韓国に輸出して、製品を輸入するということを数年前から始めたことによるわけでございます。最初はしぼり程度であったものですが、いまや、つむぎも輸出するようになっております。これは簡単に言えば、大商社、大企業が大島つむぎや西陣の中小零細業者を危機に追いやっているわけで、日本の政府が解決をはからなければならない問題だと思います。そこで、この法案によって、いま申し上げたような韓国からの和装用絹織物の輸入問題がどの程度解決されるのか、伺いたいと思います。もし、十分解決されないとすれば、提案者として政府がどのような対策を打つべきだと考えておられるか、伺っておきたいと思います。
  53. 野間友一

    衆議院議員(野間友一君) この伝統的工芸品産業の中で、いま御指摘の織物関係、そういうものが占める割合、これは企業の数にして約八〇%を占めておる、その多くは絹織物である、こういうふうに私は理解しておるわけです。つむぎの問題がございましたが、すでに大島つむぎ等を先頭に大きな打撃を受けている。言ってみれば危急存亡のふちに立っておる、こう言っても私は過言ではないと思うのです。こういう状態で韓国からの逆輸入、これを放置しますと、さらにこれが広がりまして、特に西陣その他にも大きな影響を与えるであろう、こういうふうに私も考えておるわけです。現に幾つかの企業が韓国に進出いたしまして、西陣織りの生産にすでに着手しておる、こういう事実も明らかでありまして、こういうことから考えて、これは一刻も放置するわけにはまいらない、こういうふうに考えておるわけです。  しかし、この法案では、この問題に対して八条ですけれども伝統的工芸品である旨の表示、これで韓国産のものと伝統的工芸品区別する、こういうような措置をとったわけですけれども、御指摘のとおり、きわめて消極的である、これはそのとおり私は考えておるわけです。ですから、この逆輸入に対して適切な措置がとれるかどうか、これはおっしゃるとおりだというふうに思うわけです。したがって、衆議院の段階で、最後の議決の際に、「伝統的工芸品類似の外国製品の輸入及び販売に対しては、伝統的工芸品産業の存立がおびやかされることのないよう十分対処する」、こういう附帯決議をいただいた次第でございます。御指摘のとおり、私もこの問題については至急対策を立てて、そして、これは私見でまた恐縮ですけれども、その海外の投資の規制とか、あるいは輸入の規制というものをほんとうに真剣に考えていかなければならないというふうに考えておりますし、また、政府に対しても、確かにガットとかいろいろ問題がございますけれども、最も効果的で、最もこの伝統的産業を守るという立場からどうすればいいかということ、いま申し上げた輸入、あるいは海外投資の規制等の問題について私たちも真剣に考えていきたい、こういうふうにいまの段階では考えておる次第でございます。  なお、政府のほうにももし何ならお聞きいただいたらというふうに思います。
  54. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 政府並びにこの法案提案者の御参考までに、私は一言申し上げたい点があるのですが、私が数年前に国会から調査を命ぜられて京都に参りまして、西陣の大きい業界の人たちと会いまし夫。そして、西陣織りを将来どうするかという問題がそこで出されたわけです。そこで西陣のほうの訴えは、いま日本の西陣織りは労働賃金が非常に高くつくので、とても海外に売ろうと思っても売ることがむずかしくなってきておる、材料は高いし、工賃は高いということで。そこで私たちはこういうことを考えておりますといって、そのときに私に示された案が、要するに技術ですね、技術を韓国へ輸出したい、こういう提案でございました。  私はそのときに、それはたいへん危険なことですよ、目前の利に迷うて、将来のあなたたちの産業が大きな打撃を受けるということを忘れていませんか、だからそういうことはすべきでない、第一、韓国の労働賃金は安いということで、他国の労働者を搾取して安い賃金で働かして、そうして安いものを買ってきて、それであなたたちはもうけるという、これが一つあなたたちは考えていることであると同時に、自分たちの伝統的な技術を、ただ金もうけということで他国にそれを売り渡すことになりますよ、いまはあなたたちがデザインしたものを持っていくから、向こうは心配ないとあなたたちは考えるかわからぬが、そういうものはすぐ技術的にあなたたちの持っている技術を向こうにとられますよ、そうしたとき、向こうは材料は安く手に入る、そうして労働賃金は安いということになれば、とうていあなたたちは太刀打ちができなくなる時代が来ますよ、だからそういうことはやめなさい、他国の労働者を搾取するという点からもそういうことはすべきでないからやめたほうがいいと、私はそのとき注意したのですよ。  ところが、それをやはりやってしまっておるわけです。そうして、最近になって向こうから逆輸入がされるということで、西陣織りも非常な打撃を受けておるわけなんです。これはおそらく私は、西陣のみならず、大島つむぎもそういうことがあったのではないだろうかと思うのです。だから、私がそのとき業界に注意をしたように、日本の政府がその段階において、やはりノーハウの輸出といいますか、そういう形のものですが、そういう点について業界に注意を与えるべきであった、業界を指導すべきであったと思うのですが、日本の通産省はそういうことを一向考えていなかったのかどうなのか、その点を私は通産省に確かめておきたいと思うのです。
  55. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) ただいま投資規制についての、技術を含みまして海外への投資規制について通産省はどう考えるかという御質問であると理解いたしておりますが、私たちのほうといたしましては、先ほども指摘がございましたように、国内産業保護と申しますか、伝統的産業保護という点につきましては、全く先生方と意見を一にしておるわけでございますが、ただ、これとの関連において投資規制をどうするかという問題御承知のとおり、OECDの資本自由化コードに従いまして、投資は一部銀行業等を除きまして完全に自由化いたしておるわけでございます。ただ、御指摘のような問題がございますので、すでに自由化されておる段階ではございますが、関係の省庁と連絡をとりながら、事実上事前にチェックをするということで、海外への資金なり、あるいは技術の進出につきまして、きわめて慎重な態度をとっておるということでございます。  いま韓国のお話が出ておりますので、韓国への投資をちょっと申し上げますと、わが国から韓国へ出ております投資は、件数にいたしまして八十件、金額にいたしまして、これは残高ベースでございますが、一億四千万ドルになっておるわけでございますが、このうち綿紡関係が三件ございまして、それが合計九千八百万、大体一億四千万のうち一億近くが綿紡関係ということになっておるわけでございます。そういうようなことで、われわれといたしましても、自由化はされてはおりますが、現実の投資の段階におきまして十分こちらとしてもチェックし、あるいは業界をその方向で指導いたしておると、こういうことでございます。  それから、いま先生から西陣の問題についてお話がございましたが、おくればせながら昨年の九月の六日付をもちまして、西陣織物の工業組合といたしましてそういった逆輸入の可能性、おそれのあるような輸出につきましては厳重に自粛しよう、あるいは協力をお願いするといったようなことで、内部的にもそういった方向意見統一をはかっておるようでございます。私たちといたしましても、こういった方向で今後とも指導してまいりたいと、かように考えております。
  56. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私、一週間ほど前に京都へ参りまして、それで西陣業界の組合の方々と懇談をしました。そうしていろいろな話が出ました。いま困難に直面しているという話が出ました。そうして、あのときに韓国に技術の輸出をした人たちは、もちろん零細企業じゃないのですね。西陣の大きいところの方々、これが十社ほどそういうことをやったわけです。ところが、こういう結果を招いて非常に苦しい立場に立ったというので、何とか自主的にやっていかなきゃならぬという気持ちは持っておるようでございますけれども、また、ある企業では、そこの労働組合の決議によって、もしも今後われわれの会社が、労働者の立場も考えないでどんどんとこれまでのように技術を輸出するというようなことをやるならば、もう労働者はこの工場では機織りをしないぞと、こういう交渉をそこの社長としたそうです。それで社長も困ってしまって、私たちは今後はそういうことを絶対いたしませんと、こう確約をしたそうです。しかし、まだ三つ、四つの大企業、大きいところはこれまでも同じことを続けているというのです。  それで、その背後には日本の大きい商社がついておるわけです。これは皆さん御存じのとおりだと思うのです。だから商社は、輸入をしてはならないという法律がないということをたてまえにして、そしてどんどんと輸入をして、そして日本へ安い値で売りさばいておる。大体半値だそうですね、韓国から来るものと日本でできるものとは。そうすると、日本の西陣織りの業者はとても太刀打ちはできないという、そういう状態になっておるわけなんです。そうすると、通産省としてこの商社の輸入を規制するということはできないのか、また、日本からのそういう技術の輸出ということをとめることはできないのか、通産省はどういうふうに考えていらっしゃいますか。
  57. 橋本利一

    政府委員橋本利一君) 輸入の規制というものは、なかなかむずかしいと申しますか、きわめて慎重に対処する必要があるかと思います。と申しますのは、やはり貿易全体のバランスをどう考えるか、あるいはその他の産業へどのように波及していくか、あるいは資源問題も含めまして、国際協調の面からどのように考えていくかといったような問題もございます。しかし、大量に輸入され、あるいは粗悪品が輸入されるということは、当該関係業界だけではなくて、消費者対策としてもやはりマイナスの面が非常に強うございます。そういったことでもございますので、私たちといたしましては、国内の需給動向にミートしたような適正な輸入ということが非常に必要かと思っております。その面からいろいろと指導を続けておるわけでございます。  それからいま一つは、いままでの日本の繊維産業というものは、どちらかといいますと輸出型産業、輸出に非常に依存した産業であった関係上、輸出統計というものはよく整備されておるわけでございますが、輸入の統計というものが、一言で申し上げますとやはり未整備である。ただいまもお話が出ております大島つむぎ等も絹織物ということの中に入ってしまっておる。さようなところから、ことしの一月にさかのぼりまして、もっと明細な品種別の月間輸入量が 握できるように、現在その作業を続けております。そういったところから実態というものをよく詰めていきたい、かように考えておるわけでございます。したがいまして、それに基づいてさらに緻密な行政指導も展開できるものと、かように考えておるわけでございます。  それから、技術輸出の問題につきましては、これも先ほど申し上げましたように、一応制度的には自由化されておるわけでございますが、ただ、先ほども申し上げましたように、昨年の九月、西陣の組合でいろんな申し合わせもいたしておるにもかかわらず、まだ一部で技術輸出をしておるものがあるという御指摘でございますので、その点につきましては、われわれといたしましても実情を調査いたしまして、実情に応じてこれを指導してまいりたい、かように考えております。
  58. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 輸出、輸入を規制するということは、むずかしいという点は私も知っているわけなんですがね。しかし、日本には貿管令といういわゆる輸出、輸入を規制する法律もあるわけですね。それを適用することができないかどうかという点が一つです。  それから、この間、参議院の外務委員会におきまして、うちの星野議員がこの問題について少し質問をいたしました。そのときに、説明員の佐藤兼二さんが——いらっしゃいますね、ここに……。その方は、こういうふうな意味のことを答えていらっしゃるのですね。「国内の体質改善をするということをまず基本にしまして、片や通商面でも、先ほど申しましたような秩序ある、不適当でないような輸出ということも確保し、それから輸入面に対しましてもできるだけそういうような問題がないように、関係の業界等々にも協力要請もしていきたい、そういうふうに考えております。」と答え、また星野君が、輸出、輸入の禁止措置がとれないものかというような質問に対しまして、「実態の推移というのをよく把握しまして、慎重に検討してまいりたい、こういうふうに考えております。」と、こういうふうな答えをしていらっしゃるわけですが、この「実態の推移というのをよく把握しまして、慎重に検討してまいりたい、」という、その内容はどういうことを考えていらっしゃるのか、一ぺん伺っておきたい。単なる官僚の答弁ことばとして、皆さんはよく慎重に検討しますというようなことばを使うのですけれども、どういう点を検討し、どういう方向で検討をしていこうというふうに政府当局は考えておるのか。私、こういう事態になったのは業界だけの責任じゃないと思うのです。やはりそれをほっておいた政府自体にも責任があると、こういうように考えておるのですが、そういう点、どういうふうに考えておるか。
  59. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) ただいま御指摘いただきました私の発言は、先月、私が奄美大島に参りまして、現地の方々と直接御意見を交換いたしました結果に基づいてのお話を申し上げたわけでございます。  で、その背景といたしまして、やはり地元の方々は、当面の問題として、金融問題等いろいろあるが、今後の問題を考えた場合は、自分自身らの体質を強化していかなければならないという認識は、やはり基本にはっきり持っておられます。したがいまして、現在のこの法案に関する、制定される期待というものは非常に大きいものがございました。片や、そうは申しましても、当面問題になっておる点といたしまして、現に韓国から製品が輸入されてくるということ、これに対する懸念、かつ、それが将来に対して非常に大きな脅威となるだろうという、将来に向けての懸念が非常にまた強くなっておるわけでございます。  その辺の後段の問題に関しまして、一体何かということなんですが、即座に考えられることは、やはり製品の輸入のストップということも考えられるわけでありますが、事の起こりは、やはりこちらから向こうの生産体制との関係を見ますと、どういうルートかということで騒ぐわけですが、原料となるべき糸を輸出されて、それが向こうで織られてこっちに入ってくる。で、問題は、その技術の輸出の問題ですが、その糸の輸出というかっこうを経ながら現在行なわれておるという点が非常に問題になっておるわけでございます。その辺を踏まえまして、現地でも自分自身のことなので、糸の輸出に対しては、自分らが自分の手で自粛しよう、こういう運動が非常に強く起こっているわけでございます。  そういう状況にありますので、私たちといたしましても、それは単に地元だけの努力ということでもできかねる点もあります。回り回ってどういう手でか韓国に流れているということもあり得るわけですから、そういうことで国内の関連する業界、たとえば国内の卸商の方もあるでしょうし、それから、先ほど御指摘になりました大手の商社の介入もあるかもしれません。その点も踏まえまして、私は帰りまして、現地のそういう熱心な自粛運動ということをよく伝えまして、強力に現地でのお気持ちというものを伝えまして、それに対して協力するように要請しておるわけでございます。当面の問題として、それがやはり一つのポイントだろうと考えておるわけでございます。
  60. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 政府は、こういう問題に対して全然責任がないという立場ですか。政府自体も責任があるという立場なんですか。
  61. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) その糸の輸出の問題になりますと、やはり輸出の許可問題ということになると思うんです。この件に関しましては、単に輸入の制限なんということと同じく、やはり輸出することに関する制限ということは慎重に考えていかなくちゃいかぬだろうということで考えております。
  62. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この輸出する場合、輸入する場合、通産大臣の許可が要るわけでしょう、貿管令によりまして。
  63. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) 現在のところはその承認制度はとっておりません。
  64. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 承認ということはとってない。
  65. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) はい。
  66. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、輸出貿易管理令というものは全然効力がない、これを発動してないということなんですか、政府としては。
  67. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) そうでございます。
  68. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうでございます——そんなら発動しようと思えばできるんじゃないですか、法律があるから。なぜこれを発動しないんです。それによってなぜ日本の伝統産業を守ろうとしないんですか。
  69. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) それを発動しようとするならば、特定の商品を特定の国向けということ等になりますので、その辺はやはりその必要の度合いということを判断して実施するということになろうと思います。
  70. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、政府がこのある法律も発動しないと。その結果受ける業界の損害に対しては、政府自身が大きな責任を感じてなくちゃならぬ。政府自身にその責任があると言わなきゃならぬと思うんです。せっかくこの法律があってもそれを実行しない、その結果は業界が大きなマイナスの面を受けるんですから、それならば政府としてやはり責任があるじゃないですか。だから、業界の受けた損失に対して政府はどういうふうにしてこれを補償しようと、そういうふうに考えているんですか、そこを伺っておきたい。
  71. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) いまの御指摘のように、直ちにしかるべき法的な規制をするということの前に、私たちはやはりその前に、現地の事情を申しますと、先ほどのように自重自戒の線で努力されておりますし、それからまた、先ほど申しましたわれわれの行政指導の方法としましても、関係の商社等に厳重にその辺の協力を要請しておるわけでございますから、その規制の以前の前にしかるべき手を打って考えておくということでございます。
  72. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、現在政府がやろうとしてやっていることが効力がなくなった場合、これではどうにもならぬという段階になったら、この法律を発動しますか、どうです、それでもほっておくんですか。
  73. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) それは事の実態の推移いかんによるものと考えます。
  74. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、このあなたの答弁の中に、実態の推移ということをよく把握しまして慎重に検討すると、こういう中にそういうことも含まれておると、こういうことですか。
  75. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) まさにそのとおりだと思います。
  76. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは、いまあなたが言うように、自主的に商社などに話をして、そういうことを防ぐようにやっていくというのが、これがいま政府の考えておる第一段階ですね。ところが、それが実行できない、実現できないという場合が来たら、必ずこれを発動してそしてやると、第二段階にはそういうことを考えておると、こういうことですね、はっきり返事しておいてくださいよ。
  77. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) 私が現地に参りましたときの状況から申しまして、事の起こりは、やはり、現に出ていく糸そのものを生産される方々が、それを出せば、やがてそれが単に向こうの国内の、韓国側の生産体制を強化させることにもなり得るし、それが回り回って物の輸入というかっこうで振りかかってくるので、何といっても自分みずからの手で守りたいという、その意欲というものが非常に強いわけでございます。そういうことに私は全面的に当面のところ期待しておる。ただし、そういう状況にあるわけですから、関連の商社の介入等に関しては、そういうことがないように強く要請してその事態の推移を見ていく、こういう考え方でございます。
  78. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 わかりました。  私が西陣に行って注意を与えたような段階で、政府がその注意を与えて、そういうことを未然に防ぐべきだったんですよ。ところが、政府はそれを怠ったんです。その結果、こういうことが起こった。それで今度は政府が、自主的にやれということで、業界はやる気になっていますよ、いまはね。しかし、その効果がほんとうにあるかどうかというのは今後の問題です。わからないんです。第一、日本の商社がそんなことでへっこむと思いますか。へっこまないですよ。商社というものは、もうけられればどんなことでもやる人種ですから、だから今後だって、商社は韓国のもの、それをどんどん買うて、それで日本へ安く売りさばくという、これはやまらないと思うんですよ。やまらなかったときは、効果がないときは、必ずこれを発動するとあなたはおっしゃった。そのとおりですね。そこをはっきりしておいてください。
  79. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) 話の筋としては、まさにそういうことだろうと思います。それにしても、くどいようでございますが、現地での方々の決意というものは、事の起こりは、意識的にそのあとで、いわば、ことばが表現正しいかどうかは別としましても、災いを招くようなことになるかどうかは意識しないで、糸が出されていって、それで回り回って現在の製品の矛盾をもたらしておるという経過が一つあるわけでございます。ところが現段階では、このことの問題がはっきり認識されまして、少なくとも今後はそれを積極的に防止しようという態勢に強くあるわけですから、それに対して強く私は期待したいわけです。
  80. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そんなことはよくわかっているんですよ。そういうことばかりに、業界の自粛、自粛というところへ話を持っていくということは、政府が自分の責任をのがれる前提ですよ。ほんとうに政府が責任を感じているなら、そういうことばが出る前に、もっと考えるべきことがあると、私はそういうふうに思うんです。たまたまあなたが、それが実効がなかった場合はこの貿管令を発動するんだという答弁をしたから、その効果がないときは、必ずそのときは発動してやりますねと、そういうことを私はだめ押しをしておるのです。だから、やりますというならばそれでいいのです。はっきり答えてください。
  81. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) それは製品の輸入問題に関しても、制度的には緊急関税とか、それからしかるべき輸入制限措置という制度的のものもあるわけですから、それに対していかに対処していくかという適用の適正の問題があると思います。そういうしかるべき要件が具備すれば、制度の運用というのは当然期待されることだろうというふうに考えております。
  82. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 おそらく業界からは、効果がなければ、政府、ちゃんとした貿管令を発動してわれわれの生活を守れと、われわれの産業を守れという声が起こりますよ。必ず起こりますよ。そのときは、その声に耳を傾けて、そしてその人たちの希望をいれる、そういう姿勢で政府はいくと、そういうふうに私は理解しますが、いいですね。
  83. 佐藤兼二

    説明員(佐藤兼二君) 私が現地に出向いたのも、そういう気持ちがあって出向きました。
  84. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この模造品といいますか、いろいろな向こうでつくったにせものですね。それが大島つむぎとか、西陣というようなレッテルを張っつけて、そして日本へ入ってくる。これがいままで問題になっている点ですね。  そこで、私は提案者に、野間さんにもう一つ質問をしたいんですが、提案者は、類似品の輸入品に対する規制等は別途施策を考えるべきであるとのお考えのようでありますが、政府もそのような考え方かどうか。また、実際に何らかの対策を考えているのかどうか、これは私がいままで質問した段階で後段は済んでおるようなことでございますが、提案者はどうしていくべきかと、こういうふうに考えていらっしゃるか、提案者の御意見を伺っておきたいと思うんです。
  85. 野間友一

    衆議院議員(野間友一君) いま鋭意検討をしておりますので、もう少し時間をおかしいただきたいと思います。
  86. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 時間も迫っておりますから、もう一問、私は審議会について質問するわけですが、この審議会は、審議会委員通産大臣が任命すると、こういうふうになっていますね。私は、この法案はけっこうな法案でいいと、しかし、この審議会の運営ですね、非常に困難な問題があると思うんです。皆さん方もおそらく業界の複雑性という問題についてはよく御存じのはずだと思うんです。もしもそれを全然考えないでこの法案をつくったとするならば、これは一つ抜けている面があると私は思うんですね、失礼ですけれども。おそらく皆さんよく御存じのはずだと思っております。でありますから、審議会の構成メンバーという問題がこの次来る一番大きい問題だと思うんです。この法案の中で一番大きい問題はそこだと、私はそういうふうに考えておりますが、この審議会の構成について通産大臣の任命ということで、もうこれはそのままで、関せずえんでおっていいものか、また、その審議会の任命について、提案者として野間議員はどういうふうに考えていらっしゃるか、この点ちょっと伺っておきたいと思います。
  87. 野間友一

    衆議院議員(野間友一君) これは二十五名以内ということになっておるわけですけれども、私たちこの共同提案をした際にもいろいろ論議をしたわけです。いまの御指摘にもありましたけれども、やはり使う人ですね、まあ一般国民と申しますか、消費者と申しますか、あるいは業界の意見、この中には当然熟練労働者、この産業に従事しておる、いわば私たちの宝であるそういう方々に入っていただくという方向で、私は政府に対して、ぜひ検討しろということもまあ申し上げておるわけですけれども、その点については、政府においても前向きにそういう趣旨に沿ってやる、こういうような方向でいま政府としては臨むと、このようでありますので、御指摘のように、広くほんとうにこの業者の実態とか、あるいはそこで働く国の宝である従事者の実態、そういうものの声が十分反映できるようなそういう委員の任命をさせるように私たちも努力していきたい、このように考えているわけでございます。ただ、この二十五名ということですね。しかもこれは、伝統的産業というのは産地性、地場性ですね、そういう点から非常に数が多いという関係の中で、その二十五名の中にどういうぐあいにこう入れていくかということは、確かに一つのむずかしい問題ではあろうかと思いますけれども、御趣旨に沿ってぜひそういうような形で選ぶようにしていきたい、このように思っております。
  88. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは非常にむずかしいのでして、こういう業界にはやはりいろいろな利害関係の対立という問題があるわけなんですね。ですから、ある業界の代表が自分の考えだけを中心にして、そうしてこの伝統産業の問題をきめていくとなると、やはりほかからまたいろいろな意見が出てくるわけなんですね。それを統制していくということは非常にむずかしいのです。  それで、いま非常に優秀な技術を持っている人があります。国宝といわれているクラスの人があります。しかし、その人たちも、国宝クラスのそういう人に恥ずかしくない製品だけやっていれば、値段は非常に高いし、そう売れるものではない。そうすると、やはりその人たちも、生活の面からもう一段少し技術を落とした、いわゆる数多くつくるというようなことも必要になってくる場合があるのですね。そうすると、その人たちは、国宝クラスの人だから、この伝統産業として保護をされないかという点もあるわけです。そうすると、それじゃ困るといういろいろな問題も起こってくる。その線をどこに引くかということですね。伝統産業で、これがこの法律によって保護されるというその線をどこで引くかということは、これはほんとうにむずかしい問題なんです、芸術上の問題になってきますしね。私は非常にむずかしいと思うのですよ、実際には。だからそこの点を、そういうむずかしい問題を処理していくというのですから、この審議会委員というものの選定は、よほど、慎重によく考えてやる必要がある。単に通産大臣の任命というようなことで済ましてしまうことのできない問題だと、こういうふうに思っているんです。だから、審議会委員の任命にあたってどういうふうにやっていくかということが、これがまずこの法案を生かすか殺すかという、このけっこうな法案が生きるか死ぬかという、そういうことだと私は考えます。そういう点は通産政務次官、どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  89. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 先ほども藤井先生からその御質問ございましたとおり、委員の選定にあたりましては、広くいろいろの意見を聞きまして、公正な意見が持てるような委員を選定することに非常に神経を使ってやりたいと思っております。そうでないと、先ほど先生が申されたような、非常にデリケートな問題を蔵しておりますこの伝統工芸品産業でございますので、そういう点が間違いのないように運営するためには、やはりこの委員会のメンバーということが非常に大きなことになりますので、その点は先生の申されたとおり、公平な選定をして、りっぱな審議会を構成したい、こう思っております。
  90. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 最後に。京都からこういう案内状をもらったわけなんですね。京都友禅協同組合、それから京都手描模様染連合会、それから西陣織工業組合、京都扇子団扇同業組合、それから財団法人京都陶磁器協会、もう一つ京都らしい、京都府佛具協同組合、この六つのこういう団体が、この法案が通ることを非常に歓迎しまして、この法案が通ったらひとつ祝賀会をやろうじゃないか、祝賀会にひとつ出てきてくれと、こういう案内なんですね。ところが、四月二十四日午後四時からやると、こういう案内状なんです。それで私は、それはまだこの法案は通っておりません、だからその祝賀会を二十四日にやることは少し早過ぎるでしょう、こう言って私はそれはお断わりをしてあるわけなんですけれども、こういうふうにもう各界が、伝統産業関係の人たちは、この法案が通ったら大いに自分たちは保護されるのだという大きな期待を持って歓迎しているわけなんです。  私はいま六つしかあげませんでしたが、大島つむぎ、それから先ほど民社党代表が質問なすったような丹後ちりめん、これは丹後だけじゃないと思うのです。日本全国方々に丹後ちりめんに類したちりめん類もありますし、それから、京都なんかじゃ人形もありますね。それから、岐阜へ行けば岐阜ちょうちんという、いろいろな問題も出てきます。それから漆器があります。こういうふうに数えていくならば、もうたくさんたくさんあるわけなんです。これをどれを含めるかということは審議会できめるのだという政府答弁ですから、私は、どれを、これを含めろあれを含めろという質問はいたしませんけれども、もう日本全国に、こういう法案が通れば自分たちは保護されるのだ、育成されるのだ、こういう大きな希望を持っている面は非常に多いと思うのですね。それだけに、この法案ができてその人たちに失望を与えないように、私は行政面でやっていかなきゃならぬと思うのです。おそらく提案者の皆さんもそういう希望を持ってこの法案を提案されたものだと、野間議員、私は理解をしておるわけなんですが、この提案者の気持ちを行政府として十分に生かしていくという約束を、ここで政務次官、ひとつはっきりと言っておいてほしいと思うのです。
  91. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) これは私、個人的なことを申し上げてはなはだ失礼でございますが、伝統的工芸品というものに対しては、非常な魅力を感じている者の一人でございますので、先生がいま言われたようなことに関しましては、私、政務次官であります限りにおいては一生懸命やっていきたいと思っております。
  92. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あなたが政務次官である限りなどという、そういうことをおっしゃっちゃ困っちゃうんですよ。やっぱり、いまの政務次官がはっきりおっしゃったことは、後々までもそれがずうっと効力が発生しなきゃ意味ないと思うんですよ。どうでしょうか。
  93. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 語り伝え、申し伝えて、そういうような伝統をつくっていきたいと思っております。
  94. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあよろしゅうございます。
  95. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  96. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  竹内君から委員長の手元に修正案が提出されております。修正案内容は、お手元に配付のとおりでございます。  この際、本修正案議題といたします。  まず、竹内君から修正案趣旨説明を願います。竹内君。
  97. 竹内藤男

    ○竹内藤男君 修正案趣旨について御説明いたします。  この法律案によりますと、施行期日が「昭和四十九年四月一日」となっておりますが、同日はすでに経過いたしておりますので、施行期日を「公布の日」に改めようとするものであります。  以上でございます。
  98. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは、ただいまの修正案に対し質疑のある方は順次御発言願います。——別に御発言もないようですから、これより原案並びに修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、竹内君提出の修正案を問題に供します。竹内君の修正案賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  99. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって、竹内君提出の修正案は可決されました。  次に、ただいま可決されました修正部分を除いた原案全部を問題に供します。修正部分を除いた原案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  100. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって、修正部分を除いた原案は可決されました。  以上の結果、伝統的工芸品産業振興に関する法律案全会一致をもって修正議決すべきものと決定いたしました。  大矢君から発言を求められておりますので、これを許します。大矢君。
  101. 大矢正

    ○大矢正君 ただいま可決されました伝統的工芸品産業振興に関する法律案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党、日本共産党の五党共同提案による附帯決議案を提出いたしたいと存じますので、御賛同願います。  案文を朗読いたします。    伝統的工芸品産業振興に関する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、次の諸点について十分配慮すべきである。  一、伝統的工芸品産業の経営の近代化、作業環境の改善等につき、適切な指導を行なうこと。  二、伝統的工芸品産業後継者養成のため枝能資格制度の創設につき検討するとともに、伝統的工芸品産業の従業員の福利厚生の充実につとめること。  三、伝統的工芸品の流通機構の近代化等につき適切な指導を行なうこと。  四、伝統的工芸品産業に対する政府中小企業金融機関の融資制度の充実につとめるとともに、伝統的工芸品の取引の安定等のための事業に関する税制上の優遇措置につき検討すること。  五、指定を受けた伝統的工芸品と同様の工芸品を製造する者が、その製品に、当該指定を受けた伝統的工芸品産地の製品と誤認を生じさせるようなまぎらわしい表示を附することのないよう十分対処すること。  六、伝統的工芸品類似の外国製品の輸入及び販売に対しては、伝統的工芸品産業に悪影響を及ぼすことのないよう十分配慮すること。   右決議する。  以上でございます。
  102. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいま大矢君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手
  103. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって、大矢君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し楠政務次官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。楠政務次官。
  104. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 附帯決議に対しましては、御趣旨を尊重して万遺憾なきを期する所存でございます。
  105. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) なお、審査報告書作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  106. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、う決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十六分散会      —————・—————