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1974-03-28 第72回国会 参議院 商工委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)    午前十時開会     —————————————    委員の異動  三月二十六日     辞任         補欠選任      竹田 現照君     上田  哲君  三月二十七日     辞任         補欠選任      上田  哲君     竹田 現照君  三月二十八日     辞任         補欠選任      大谷藤之助君     寺下 岩蔵君      川上 為治君     中村 禎二君      安田 隆明君     吉武 恵市君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 佐田 一郎君                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 小笠 公韶君                 寺下 岩蔵君                 中村 禎二君                 細川 護煕君                 吉武 恵市君                 小野  明君                 竹田 現照君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 峯山 昭範君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君    政府委員        科学技術庁原子        力局次長     生田 豊朗君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業大臣官        房審議官     矢野俊比古君        通商産業省機械        情報産業局長   齋藤 太一君        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君        中小企業庁長官  外山  弘君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        環境庁企画調整        局研究調整課長  津澤 健一君        通商産業省機械        情報産業局計量        課長       姫野 瑛一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○中小企業信用保険法の一部を改正する法律案  (内閣提出衆議院送付) ○電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法  律案内閣提出衆議院送付) ○計量法の一部を改正する法律案内閣提出)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  中小企業信用保険法の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  3. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明いたします。  中小企業信用補完制度は、創設以来一貫して発展を遂げ、現在二兆八千億円を上回る保険規模に達し、中小企業者に対する事業資金融通を円滑にする上で、大きな役割りを果たしているところであります。  しかしながら、最近における中小企業を取り巻く内外の環境は急速に変化し、かつ、きびしさをましつつあり、それに伴い信用補完制度においても、中小企業者の現実の資金需要に十分対応できない面が出てまいっております。  本法律案は、このような観点から中小企業信用保険法の一部を改正しようとするものでありますが、その概要は、次のとおりであります。  第一は、保険限度額引き上げであります。  最近の中小企業者資金需要大口化傾向に対応して、中小企業者一人当たり保険限度額普通保険について現行の三千五百万円(組合の場合は七千万円)から五千万円、(組合の場合は一億円)に、無担保保険について三百万円から五百万円に、さらに特別小口保険につきましても、小規模企業層資金確保円滑化をはかるため、現行の百万円から百五十万円に引き上げることとしております。  第二は、現行法倒産関連中小企業者範囲を拡大することであります。  すなわち、現行倒産関連中小企業者に関する特例は、主として親事業者倒産または操業短縮といったような場合に、その取引相手方である中小企業者を救済する趣旨のもとに規定されているものであります。  今般の改正は、以上のような取引先事情とは別に、原材料等供給減少とか、製品需要減少とかいった原因により、その業種に属する中小企業者相当部分経営が不安定になっていると認められる場合にも、業種を指定して、倒産関連特例対象としようとするものであります。  以上が、この法律案提案理由及びその要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいまするようお願い申し上げます。
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、補足説明聴取いたします。外山中小企業庁長官
  5. 外山弘

    政府委員外山弘君) 中小企業信用保険法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨補足して御説明申し上げます。  現在、全国で五十二の信用保証協会が、中小企業者金融機関からの借り入れ債務保証することにより、担保力に恵まれない中小企業者信用力補完に大きな役割りを果たしております。  中小企業信用保険制度は、この信用保証協会の行なう保証について、中小企業信用保険公庫保険を引き受けることにより、その推進をはかろうとする制度であり、創設以来、一貫して発展を遂げ、中小企業者に対する事業資金融通を円滑にする上で目ざましい実績をあげてまいっております。  ちなみに、昭和四十八年度の保険引き受け残高は二兆八千億円を上回る見込みであり、保険利用件数年間百万件近くに達し、中小企業金融をささえる大きな柱となっております。今回の本法の改正は、このように重要な機能を果たしている中小企業信用保険制度につき、最近の中小企業資金需要の動向を勘案して、一そうの改善をはかろうとするものであります。  今回の改正の第一は、最近における中小企業者資金需要大口化傾向に対応するため、保険限度額引き上げることであります。すなわち、普通保険につきまして、中小企業者一人当たり限度額昭和四十八年度の改正による二千五百万円から三千五百万円に引き上げたことに引き続きこれを五千万円に、組合の場合も同様に、四十八年度の五千万円から七千万円に引き上げたことに引き続きこれを一億円に、それぞれ引き上げようとするものであります。  また、無担保保険につきましては、昭和四十二年よりの現行の三百万円から五百万円に、特別小口保険につきましては、四十八年度の八十万円から百万円に引き上げたのに引き続き今回百五十万円に、それぞれ引き上げまして、零細中小企業者資金確保円滑化に資することとしております。  第二は、倒産関連保証特例対象範囲を拡大することであります。  すなわち、現行倒産関連中小企業に関する特例は、主として親事業者倒産または操業短縮といったような場合に、その取引相手方である中小企業者資金調達を円滑にする趣旨のもとに規定されたものであります。  今般の改正は、以上のような取引先事情とは別に、原材料等供給減少とか、製品需要減少とかいった要因により、その業種に属する中小企業者相当部分経営が不安定になっていると認められる場合も、業種を指定して、倒産関連特例対象とすることにより、各種経済変動等に的確に対処し得る体制を強化しようとするものであります。  以上、この法律案につきまして、簡単でございますが、補足説明をいたしました。  何とぞよろしく御審議のほどお願い申し上げます。
  6. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上で説明聴取は終わりました。本案に対する質疑は後日に譲ります。      —————・—————
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案議題といたします。  まず、政府から趣旨説明聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  8. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  石炭鉱業につきましては、石炭鉱業審議会答申に基づき、昭和四十八年度からいわゆる第五次石炭対策を実施しているところでありますが、昨年秋の中東紛争を契機として石油供給削減等事態が生じましたことに伴い、こうした新しいエネルギー情勢の進展も考慮して石炭対策を進めることが必要となっております。  このため、政府におきましては、第五次石炭対策における諸施策を引き続き推進するとともに、昨年十二月に提出されました石炭鉱業審議会中間報告趣旨をも尊重し、当面の石炭対策を強力に推進してまいる所存でございます。  本法律案は、こうした石炭対策を推進していく上で不可欠な法制面整備をはかるためのものであります。  本法律案は、三つ部分に分かれており、第一に電力用炭販売株式会社法の一部改正、第二に石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正、第三に産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部改正をその内容とするものであります。  まず、電力用炭販売株式会社法の一部改正でありますが、同法は、昭和三十八年七月に制定された電力用炭代金精算株式会社法をその前身としており、同法について昭和四十年に全面的改正を見、今日の形となったものであります。同法は、昭和四十四年の改正により廃止期限延長が行なわれ、現在、昭和四十八年度末がその廃止期限となっております。同法は、電力用炭販売株式会社業務を通じて、電力用炭価格の安定、石炭供給円滑化及び流通合理化に重要な役割りを果たしておりますが、今後も石炭、特に一般炭需要大宗を占める電力用炭価格と引き取りの安定をはかる必要性はなお継続するものであり、その延長石炭対策上重要であります。このため、同法の廃止期限昭和五十一年度末まで三年間延長するものであります。  次に、石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正でありますが、同法は、国の財政資金を受ける石炭企業について、所要経理面規制を行なうことにより、経理適正化経営合理化をはかることを目的として昭和三十八年七月に制定され、その後の法改正により廃止期限延長が行なわれ、現在、昭和四十八年度末がその廃止期限となっております。しかしながら、石炭企業に対する国の助成措置が今後も継続実施されることに伴い、石炭企業に対する経理規制を実施する必要があり、このため、同法の廃止期限昭和五十一年度末まで三年間延長するものであります。  最後に、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部改正でありますが、同法は、石炭鉱山休廃止により移転、転業し、あるいは経営不安定におちいった中小企業者に対してその信用力補完し、経営の安定や企業再建に必要な資金を確保することを目的として昭和三十八年八月に制定され、その後昭和四十四年の法改正により廃止期限延長が行なわれ、現在、昭和四十八年度末がその廃止期限となっております。しかしながら、産炭地域現状にはなおきびしいものがあり、逐年産炭地域振興対策の強化をはかっているところでありますが、同法についても産炭地域振興対策の一環としてその延長をはかることが必要であります。このため、同法の廃止期限昭和五十一年度末まで三年間延長するものであります。  以上が、この法律案提案理由及び要旨であります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛同くださいますようお願い申し上げます。
  9. 剱木亨弘

  10. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案提案理由につきまして、補足説明申し上げます。  本法律案三つ部分に分かれております。  その第一は、電力用炭販売株式会社法の一部改正でありますが、同法は、昭和三十八年七月に制定された電力用炭代金精算株式会社法をその前身とし、その後同法について昭和四十年に全面的改正が行なわれて、今日の形となっているものであります。同法は、昭和四十四年に廃止期限延長が行なわれ、本年三月三十一日がその廃止期限となっております。  電力用炭販売株式会社の主たる業務の第一は、電力用炭購入及び販売業務であります。現在、電力用炭一般炭需要大宗を占めておりますが、電力用炭販売株式会社は、電力用炭について、同社が一手にその購入及び販売を行ない、かつ、その価格通商産業大臣が定めることによって、電力用炭価格の安定に重要な役割りを果たしております。  同時に、同社購入及び販売に際して、市中銀行から協調融資を受け、石炭代金を一カ月繰り上げて石炭業界に支払うことにより、石炭企業資金繰りの円滑化に寄与しております。  電力用炭販売株式会社主要業務の第二は、・石炭専用船運航、その他の石炭運送船配船調整業務であります。石炭鉱業合理化事業団近代化資金及び船舶整備公団資金協調融資によって、昭和三十七年度から四十三年度までに建造された石炭専用船については、電力用炭販売株式会社がその運航業務を行なっており、また、その他の石炭運送船についても、同社が委託を受けて、その配船調整を行なっており、流通合理化に大きな役割りを果たしております。  電力用炭販売株式会社法は、このような電力用炭販売株式会社業務を通じて、電力用炭価格の安定、流通合理化等に重要な役割りを果たしておりますが、今後も、石炭、特に一般炭需要大宗を占める電力用炭価格と引き取りの安定等のための対策を講ずることの必要性は、なお存続しており、このため、電力用炭販売株式会社機能を活用していくことが必要であります。これが、今回同法の廃止期限昭和五十一年度末まで三年間延長することとしている理由でございます。  第二は、石炭鉱業経理規制臨時措置法の一部改正であります。同法は、国の財政資金を受ける石炭企業について、所要経理面規制を行うことにより、経理適正化経営合理化をはかることを目的として昭和三十八年七月に制定され、その後の法改正により廃止期限延長が行なわれ、本年三月三十一日がその廃止期限となっております。  同法は、その規制対象会社として石炭企業のうち石炭鉱業再建整備臨時措置法により経理規制を受ける再建整備会社を除き、石炭鉱業安定補給金の交付を受ける年間生産数量が十五万トン以上の会社等を指定することとしており、対象会社について利益金の処分の認可、事業計画及び資金計画の届け出、これらの計画に対する改善勧告業務及び経理監査実施等規制を行なっております。今後も、石炭企業に対する国の助成措置が継続実施されることに伴い、こうした経理規制を実施することが必要であります。このため、同法の廃止期限昭和五十一年度末まで三年間延長するものであります。  本法律案最後部分は、産炭地域における中小企業者についての中小企業信用保険に関する特別措置等に関する法律の一部改正であります。同法は、石炭鉱山休廃止により移転、転業し、あるいは経営不安定におちいった中小企業者に対して、その信用力補完し、経営の安定や企業再建に必要な資金を確保することを目的として、昭和三十八年八月に制定され、その後昭和四十四年に廃止期限延長が行なわれ、本年三月三十一日がその廃止期限となっております。同法は、石炭鉱山終閉山等の影響を受けて事業所移転もしくは事業の転換を余儀なくされ、または売り掛け金債権等の回収困難により経営の安定に支障を生じている中小企業者について、中小企業信用保険特別措置として、一般信用保険別ワク付保限度額の設定、中小企業信用保険公庫信用保証協会に対するてん補率引き上げ及び保険料率引き下げ措置を講ずることにより、産炭地域における中小企業者対策に重要な役割りを果たしております。産炭地域現状にはなおきびしいものがあり、産炭地域中小企業者についても、引き続きこうした特別措置を講ずることが必要であります。このため、同法の廃止期限昭和五十一年度末まで三年間延長するものであります。  以上、簡単ではございますが、法案提案理由につきまして、補足説明申し上げました。  よろしく御審議を賜わりたく、お願い申し上げます。
  11. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 以上で説明聴取は終わります。  これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  12. 大矢正

    大矢正君 質問に入ります前に、大臣委員長お願いと要望いたしておきたいと思いますが、御存じのとおり、この法律は、三月三十一日までに成立を見なければ行政支障を来たす内容のものであります。商工委員会は、三月三十一日、すなわち年度内にはきょうしか開かれないということで、きょうじゅうにこの法律議了をしなければ、あとあと支障を来たすおそれもありますので、私どもはやむなく、本日中に本法案議了をいたさねばならないと考えておりますが、今日のエネルギー情勢等を踏まえて考えてみまするに、石炭問題の審議は非常に重要な内容を含んでおります。しかし、いま申したような事情で短時間しか質疑ができない。同時に、予算委員会とのかね合いで、終日大臣委員会に出席願うこともできないというようなことから、質問最小限度にしぼらなきゃならぬという事態になっております。したがって、この際、この法律案をかりにきょう可決いたしたとしましても、今後石炭問題につきましては、積極的に商工委員会あるいは石炭対策小委員会等において発言の機会を与えてもらい、また、大臣からも答弁をいただくような配慮を、委員長に特にお願いをしておきたいと、こう思います。  まず、最初にお尋ねをいたしますが、私は、先般来衆議院石炭対策特別委員会、それから予算委員会分科会等において行なわれました石炭問題の質疑の際には必ず行きまして、全部それを聞いております。したがってできる限り重複した質問は避けたいと思いますが、どうしても詰めておかなきゃならぬ問題点が二、三あるように感じます。  その第一は、衆議院における答弁によりますると、エネルギー調査会において、現在石炭位置づけ問題を論議をしておるということであり、おおむね予定としては六月ころまでにはエネ調位置づけを終えて、その段階で石炭問題に関する審議会への諮問をすると、こういうように感じとってきたわけでありますが、これからの石炭問題に関しての手続、手順、日程等につきまして、できる限り具体的にひとつお答えをいただきたい、こう思います。
  13. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 形式的には、総合エネルギー調査会答申を得て、そして石炭鉱業審議会にその結果また諮問するという形になりますが、実質的には、エネルギー庁におきまして、現在の情勢を踏まえていろいろな通産省としての考え方対策を練らしておりますし、また、石炭鉱業審議会もその間におきまして適時開いてもらいまして、石炭鉱業審議会としての考え方も勉強をしていただいて、即応できるような態勢をつくっておくことが適当であると思っております。衆議院あるいは当委員会におきましてもお答えいたしましたが、石油事情というものは、ほぼ大体この辺の水準であろうという見当がつきかけつつあります。そういう意味におきまして、これに対応する石炭政策の外貌も少しずつ露呈し、かつ輪郭も出てくるのではないかと思いまして、私らも関係当局を督励しまして、われわれ自体としての考えを固めさしていきたいと思っております。
  14. 大矢正

    大矢正君 大臣通産省石炭鉱業審議会諮問をする際に、どういう形で諮問をされようとするのか。と申しますことは、石炭問題について審議会として議論をして一つ方向を出してもらいたいという、非常に何といいますか、案を明示して検討してもらうというような形ではなしに、ほんとうに審議会に一切を諮問をするという立場と、それから、そうではなくて、ある程度いままで行政当局として石炭行政をやってまいりました過程の中で、このようにすればよいんじゃないかとか、あるいはこうすべきだと思うがどうかとかいうようにして、骨格のようなものを定めて、それについて審議会答申を求めると、こういうやり方をおやりになるのか、その辺はどういうようになるんでしょうか。
  15. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 具体的には当局答弁せしめますが、私の考えでは、かなり大きな変化が生まれまして、第五次答申がつくられましたときとは、基本的条件等においても変わっているところがすでにございます。そういうことを踏まえまして、現在われわれは予算措置上、第五次答申の線でやっておりますけれども、その基礎の上に一応は立ちながらも、第五次答申の根底も実は洗い直してみる必要があると私は感じております。そういうような基本的立場を踏まえて、この現在の情勢変化というものを認識しつつ答申を求むる、そういうやり方がいいのではないかと思っております。具体的には当局から答弁をいたさせます。
  16. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 御高承のとおり、現在総合エネルギー調査会のほうに、今後のエネルギーのあり方ということで諮問しておる次第でございまして、これは二月の十九日の日に諮問しておりますけれども、それの中間報告を一応六月の中旬にいただくようになっております。この中には当然、各種エネルギー位置づけということで石炭も大きなウエートを占めるわけでございまして、石炭位置づけといたしましてはいわゆる国内炭輸入炭、あるいは一般炭原料炭というものについて、将来の需要供給がどうなるかというようなことでの位置づけ、あるいは価格の問題としての位置づけ、特に一般炭につきましては、将来の石炭火力の増設に伴う火力用一般炭位置づけというようなことで、あるいはそのほか石炭ガス化、液化というようなクリーンエネルギーというような問題もございます。こういうことで、一応大きくはエネルギー調査会のほうで総ワクとしての石炭需要、あるいは供給見通しというものが出てくると思います。これを受けまして、当然その前には、来月の実は一日から新たに、例の石炭鉱業審議会の中の総合部会を開催することにいたしておりますけれども、当然、エネルギー調査会のほうと並行いたしまして審議会のほうも開催いたしまして、その間大きな問題が今後発生するのではなかろうかと思います。  と申しますのは、現在まではいわゆる縮小体制という石炭一つ方向があったわけでございますけれども、今度のエネルギーのいわゆる石油危機というものから見まして、将来に対する石炭の拡大と申しますか、明るい方向への前向きという対策を立てなくちゃならぬと思います。そういう点では、現在の制度の中でのスクラップ問題、あるいはスクラップ問題のいわゆる再開発の問題、あるいは将来の需要に対する一般炭供給問題というようなことで、いろいろ大きな問題を含んでおると思います。これに対しましては、当然六月までのエネルギー調査会審議会と並行して実施いたします石炭鉱業審議会総合部会でも、ある程度の方向というものをつけなくちゃならぬのじゃなかろうかと思っております。  そういたしますと、六月のエネルギー調査会のほうの中間報告によります将来の石油位置づけ、いわゆる競合燃料である石炭石油という問題の五十五年なりあるいは六十年度の石油価格見通しというようなこともある程度位置づけされると思いますので、そういうものを受けまして、五十年あるいは五十五年、六十年に向かいます石炭の新しい方向というものの審議石炭鉱業審議会で新たに諮問いたしていろいろ御検討いただき、場合によっては法律改正というものも、当然いままでの法律そのものが、合理化法そのものがスクラップのほうを中心にした法律でございますので、前向きな法律への改正ということにもおそらく発展してくるものと思います。そういうことで六月の調査会の中間報告を受けまして、新たに石炭鉱業への今後の石炭の進むべき道ということで諮問し、りっぱな答申をいただこうというのが事務局の考えでございます。
  17. 大矢正

    大矢正君 大臣、そうすると、実態的にはいろいろありましょうが、表向きの立場としては、現在四十八年度予算というのはいまの五次政策の初年度ですから、予算としては初年度ですから、そういうこともあるから、通産省として新しい政策を審議してもらいたいということを審議会に持ち出すことは多少問題がある、よって、エネ庁が六月ころまでにエネルギー全体、特にその中で石炭位置づけを明らかにするであろうから、その段階でそれをよりどころにして石炭鉱業審議会に新政策の諮問をすると、こういう順序立てというふうに解釈いたしますが、そのとおりでいいですか。
  18. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 形式的段取りはそういうことでございますが、実質的には、エネルギー庁並びに審議会等におきまして事前にいろいろな勉強もしてもらい、できるだけ早期に諮問にこたえていただくための準備をしておいていいと思います。それでその方向としては、先ほど私及び石炭部長が申し上げましたような姿勢に沿って、今後新しく付加されてくる石炭のより大きな使命というものに対して、どういうふうな具体的段取り、裏づけ等をもってこれを行なうか、そういう趣旨諮問という形に実質的にはなるんではないかと思います。
  19. 大矢正

    大矢正君 審議会に具体的とまでは言わなくても、骨格程度でも、ある程度通産省としては、こういう方向はいかがなものかというようなものも出して諮問をするという考え方はないかどうかということを、さっき私申し上げたんですが、それはなぜそういうことを言うかと申しますと、通産省からいただいたこの資料を見ましても、いま全国で三十七炭鉱しかない。しかもその三十七炭鉱のうち、露頭だけの炭鉱、純粋に露頭だけの炭鉱というのが十七炭鉱あります。そうすると、純粋な意味の坑内掘り炭鉱というのは二十炭鉱しか全国にないということになるわけですね。非常に数が少ない。しかし、数は少ないんでありますが、これを企業別に見ますると、企業の格差というものがかなり大きくあるわけですね。それを同じレベルで考えますと、片方は、ある程度の施策をやれば黒字になる、しかし、ある企業は、そんな程度じゃ全然問題にならぬ、赤字のためにやっていけないというような、そういう状態が出てくるわけですがね。  それらの問題をどう解決をするかということになりますると、これは審議会が独自でどうこうというよりも、やはり行政当局が、石炭企業経営形態も含めてどうあるべきかというような立場において一つ考え方を示さなければ、これからの石炭産業というもの、企業じゃなくて産業というものを現状維持、もしくは拡大をさしていくということは困難ではないかという感じが私するわけですが、その面について事務当局答弁じゃなくて、大臣としてその点どう考えるかですね、ばらつきがありますが。ですから、全体としてやればこれは非常にうまくいくんですが、そうではなくて、企業ごとにやると、非常にでこぼこがあってつぶれなければならないような炭鉱が出てくると。  しかし、たとえば先般、衆議院大臣がおっしゃっておられたんですが、炭価の引き上げ等を考える、こう言っておられますが、炭価の引き上げというのは、これは各社みな同じ数字でありまして、経理事情の悪い炭鉱はよけいに炭価が上がるというわけのものじゃございませんから、それでもって格差が埋まるというものではないわけです。そうすると、行政上何らかの方法を講じなければならぬ。それには、たとえば地域別に炭鉱を一本にまとめてしまうとか、あるいは全国一社にするとかいうような方法も一つあるでしょう。あるいはまた助成措置として、格差をつけることによってでこぼこを埋めるという方法もあるでしょう。そういうようなことになってきますと、これは基本的な問題にもかかわってくるんじゃないかと私思いますので、事務当局がどう考えるかというよりも、これは政治的にそういう問題をどう考えるかという大事な点だと思いますので、大臣からお答えをいただきたいと思います。
  20. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は、私らまだ勉強不足でございまして、知識もございませんし、いまここで確たる御答弁を申し上げる準備がございませんが、いずれ事務当局の意見もよく聞いてきめたいと思いますが、せっかくの御質問でぐざいますから、当面私が感じていることを申し上げますと、石炭をこれから発展させようと思えば、やはり一生懸命やればもうかると、そういうようなインセンティブを与えることが、企業にも、あるいは労働賃金を上げるためにも、私は一面において必要であると思います。しかし、また一面において、石炭企業はかなりの国の支援を得ておるわけであり、社会公共の協力にもまたたよっておる面もございます。そういう面から、完全な自由企業みたいなやり方でもうけるということもまたどうかと思います。その間のインセンティブと、それから公平という概念をどう調和させるかという点がポイントになると思いますが、大矢先生がいま申されたあとのほうの考え方、各企業をある程度のランクに入れるといいますか、そういうような形でインセンティブを設けながら、しかも公平を維持していくと、そういうような方向方向としてはいいのではないか、そういう感じがいたします。
  21. 大矢正

    大矢正君 大臣のいまのお話はわからぬわけじゃないんですね。やっぱり私企業としての創意なり、くふうなり、努力なりというものが生かされるような立場の私企業態勢を維持していくということは、それはそれなりでの意味があるかと思いますが、率直に申し上げて、一トン当たり石炭を生産するに際しての原価といいましょうか、生産費といいましょうか、それの企業間格差というものは少しくらいのものじゃないわけです。それを考えますると、少々の行政上の手かげんと申しますか、ことばがあまりよくありませんが、そういうものでは全体を生き延ばしていくということは非常に困難で、やはりスクラップが今後も続かざるを得ないということが私は起こると思います。したがって、時間もありませんので、問題点としてだけ私はきょうは出しておきたいと思いますので、御検討を願いたいと、こう思います。  それから、実は大臣衆議院で述べられた、当面は油がかなり上がったので、それの見合いにおいて、炭価問題で石炭経理問題は考えていこうというようなお説でありますが、そうなってまいりますると、まず第一に問題になるのは、基準となる電力用炭の炭価問題が一つクローズアップされてくると思いますがね。で、政府が電力料金をいつから値上げするのかというような問題は、先般藤井委員も御質問いたしておりましたが、明確な態度がない。いま、御存じのとおり、石炭をたいているというのは電発と北電が大部分でありまして、あとは、ほかの電力会社はたいているといううちに入らない。もう電発と北海道電力で、私の記憶に間違いがなければ、八割くらいになるはずであります。そうなってまいりますると、炭価を上げようと言いましても、電力会社それ自身に力がないわけですからね、結局、炭価は事実上上げづらいという問題があると思うんであります。そこで、私は何も電力料金を上げろと、こう言っているわけじゃないわけでありまして、ただ、安易に炭価を上げよう、上げようと言いましても、そのもとになる電力会社の経理事情というものがはっきりしないわけですから、政府考えているように、電力料金は上がらないけれども、炭価だけは上がるんだというようなことにはなかなかなりづらいのじゃないか、現実問題としては。そういう感じがいたします。  そこで、一つ質問は、これは公益事業部長にお尋ねをいたしますが、通産省からいただいておる資料で、昭和四十八年の上期の石炭と油のカロリー当たり価格の対比が出ております。これによりますと、九電力平均が、石炭の場合は六十八銭、それから重油の場合は八十九銭というような数字になっております。揚げ地だけで見ればこれは油のほうが安いという結果になるわけでありますが、そこで私がお尋ねを申したいのは、この十八日から油が値上げになりました。そこで、正確に計算をしたらどうなるかというようなことではなしに、ラフに考えて、先般の油の値上げだけをかりに上積みをした際に、一体重油をたく場合のカロリー当たりのコストがどのくらいになるか、お答えを願いたい。石炭は、これは上がっておるわけじゃありませんから、これはこのままだと思います。油は現にもう上がっているわけですから、それは一体カロリー当たりどのくらいになっておるか。  それから続いて、大臣に先ほど私が申し上げましたように、電力料金が上がっていない中で、あれは上げるというような方針のない中で炭価を上げようといっても、それ自身はむずかしいことではないかという私の質問についてどのようにお考えになっておられますか。これは大臣ですが、お答えを願いたいと思います。
  22. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 四十八年上を基準にしてお示しいただきましたのでありますが、そのころからの電力用の油の値上げ状況を大ざっぱに見てまいりますと、大体原油で三倍ぐらい上がっております。また、重油の関係では、電力会社は特に低硫黄重油というものを重点に引いております関係上、伸び率はあるいはそれ以上になるのではないかという感じがいたしております。そういたしますと、全体で三倍ないし三倍余りということになります。先ほどお示しの重油のカロリー当たり単価八十九銭余り、これがどうも二円ぐらいにはなるのではないかという感じがいたします。
  23. 大矢正

    大矢正君 大臣お願いします。
  24. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 炭価の値上げの問題は、これは電力会社、そのほか鉄鋼その他にもいろいろ影響するところが大きいところでございますが、これは業者間のネゴシエーションでやるということですが、われわれとしては、石炭政策の振興、それから、いまのようなカロリーを計算してみて二円対約七十銭の格差がいま出ようとしているということ、それから春闘における炭労と一般の金属労組との賃金格差、そういうような問題もよく考えて、石炭政策を振興するに役立つ方向に積極的にわれわれは側面から協力していきたいと思っております。
  25. 大矢正

    大矢正君 非常に微妙な問題でもありますから、これ以上触れないことにいたしますが、時間ももうありませんから、最後に要望意見として大臣お願いをしておきます。それは、石炭政策を実行するにあたっての財源確保の問題に関連してです。  衆議院でも、関税収入問題等を含めて議論をされましたが、繰り返しをするようで恐縮に存じますが、いまの六百四十円、その六百四十の十二分の十を石炭、十二分の二を油にという対策費財源といいましょうか、原資の確保というものは、これだけ油が急騰いたしますれば、当然のことながら税金を安くせよ、ガソリンなんかのように、自動車を減らさなきゃならぬというような政策的な意味があって一部引き上げるということは、これはまあ考え方としては成り立つかもわかりませんが、しかし、そうではなくて、原料としての油、燃料としての油ということを考えますると、将来ともに原油関税の六百四十円というものを維持していくということは非常にむずかしいのではないかという感じがするし、まあヨーロッパ各国におきましても、原油に対する関税というのは事実上ないにひとしい状態でありますことから見ても、あるいはまたOPEC諸国の値上げの口実にこの関税その他をあげているという、こういう事態を見ましても、早晩どうも原油関税というものはもぎ取られてしまう懸念があります。  そういたしますると、一つには石炭に響きます。それからまた、石油開発公団を中心にして油の開発をするにつきましても、十二分の二程度の原資では、これは話にならぬというような問題等も含めて考えますると、この石炭政策を実施するにあたっての原資の確保というものは、関税収入、ことしで言えば一千億程度の、これをいつまでも期待をしてそれに基づく石炭政策といいましょうか、その筋囲内での石炭政策というようなものは、これは非常に私は問題が出るんじゃないか。それから、油が上がりましたから、当面政府は、炭価アップができるんだという考えでありますが、しかし、油ももうこれからはそう高くなるとは考えられないし、また高くなったらたいへんなことだと思います。世界の国が協力して、やはり現状維持ないしは少しでも下がる方向で努力をするだろうと思われますが、そういたしますると、たとえば、政府考えておりますこの炭価の問題で石炭政策のある部分を消化しようとしても、それは本年はできるかもしれませんが、来年からは実際にはできないという問題が起こってきはしないかという懸念がありますが、それらの問題を考えますると、石炭対策の財源確保というものは、単に通産省だけで考えるのではなくて、やはり、内閣全体としてどうあるべきかという方向考えなきゃならぬ重要な内容ではないかという感じがいたしますので、その面についての通産大臣の見解を最後に承って、要望も含めて私の質問を終わりたいと思います。
  26. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま大矢先生御質問部分は、一番重要な政策のキーポイントに当たる部分であるだろうと心得ております。確かにOAPECの情勢等から見ますと、石油関税という問題はいつも議題にのぼっておる問題でありますし、この問題は、必ずしも前途そう楽観を許さない要素が国際的に起きているように思われます。しかし、石炭政策発展させるというナショナルセキュリティの面から見た非常に重要な要請もまた他面ではあるわけでございますが、一面において、石油の値が上がれば炭価も上げられるという面から、財政上は少しは楽になる要素もありますけれども、一面においては新しい炭鉱の開発とか、いろんな面においていろいろ財政的なささえをしなければならぬ要素もまた出てくるだろうと思います。そういうような要素を、必ずしもいままでのようなワクにとらわれないで、新しい構想に立って財源政策をどうするかということを、これはやはり総合エネルギー政策の答申も踏まえて検討し直してみるときではないか、そういう広い観点から財源政策も検討してみたいと思います。
  27. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 石油危機なんかに伴いまして、エネルギー供給の中における国内炭位置づけ、このことは当然前向きで検討されなきゃならぬ問題ですが、たびたび通産大臣答弁も聞いております。これはまあ大矢君の質問もございましたので、それで私は、国内炭も当然でございますが、国際的にも、石油危機の悪化に伴ってまたいろいろな問題が続出しておるわけです。それは英国の長期にわたる石炭スト、あるいはオーストラリアの大洪水、こういったようなことで世界の石炭需給もまた逼迫しておる。そこで、このために原料炭年間約五千万トン輸入をしておる鉄鋼業界などでは、原料炭の在庫が正常在庫の一・五カ月分を大きく割って〇・九カ月分の水準に押し込もうと、こういうようなことも聞いておるわけです。そこで、石炭の見直しを行なう際に、石炭の安定的供給を確保するという意味におきましても、輸入をどういう、ふうに考えていらっしゃるのか、原料炭のみならず一般炭の輸入も考えておられるようでありますし。  それから、その輸入先を見ましても、米国、オーストラリア、ソ連、カナダ、ポーランド、いろいろ出ておりますけれども、輸入先の分散ということも考える必要があるんじゃないか。そうした場合に、ソ連、中共からの輸入を今後大幅に促進をする必要があるのではないかということを考えるわけですが、その辺の通産大臣の御意見をお伺いしたい。
  28. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 一般炭及び原料炭の輸入政策につきましては、社会党並びに民社党等からも御注文がございまして、われわれも鋭意検討しておるところでございますが、われわれの考えとしては、ある一定の基準を持って輸入ということも広げていく必要がある時代に入ってきた、その場合に、国内炭を圧迫させないようにするということが非常に大事なファクターであります。むしろ国内炭の開発を助長して、使用量を拡大する方向に誘導するという形の輸入というものも考えていいのではないか。たとえば、サルファ分の多いものと少ないものとを混焼して公害対策用に調節をとる、そういう場合に、国内炭はどうしてもサルファ分が多いものでございますから、国内炭をうんと活用しようとすればするほどある程度外炭も入れて薄める、そういうことも必要になってくると思うのであります。何かそういうような意味のある一つの基準をつくって、そして輸入も拡大していく、そして石油に対する依存率を減らしていく、そういう方針で進んでいきたいと思っております。
  29. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、後半の私の質問で、ソ連、中共あたりの輸入に対してはどうお考えになっておりますか。
  30. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ソ連、中共からも、もし採算が合って質の合う石炭が入ってくれば、われわれは大いに歓迎して輸入を促進していきたいと思います。
  31. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ちょっと採算等はいま現状ではどうなっておりますか、大体わかっておればですな。
  32. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) いま先生の御質問のソ連及び中共のいわゆる炭価でございますけれども、炭価は残念ながら資料を持っておりませんけれども、中共炭につきまして、スポットもので入れた場合どうなるかというような話を聞いたことがございますので、その点御説明いたしますと、CIF価格一般炭で三十七、八ドルだという話を聞いております。これはスポットものでございますので、長期的にどうというような石炭ではございませんけれども、CIF価格で三十七、八ドル、一般炭でございます。
  33. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、電力用炭販売株式会社があるわけですが、一般炭の輸入等につきましては、これは一括輸入させるお考えはないのかどうか、その辺はいかがですか。
  34. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 現在、一般炭の輸入は実施いたしておりません。しかし、今後、いわゆる電力の需要ということで、一般炭供給国内炭のみで供給できないような場合というのが、おそらく考えられるのではなかろうかというふうに思います。その場合は、当然需要面においての充実ということで供給しなくちゃならぬと思います。ただ、そのときに、先ほど大臣も申しましたように、歯どめがなくして輸入されるということでは、これは国内炭の生産に悪影響を及ぼしますので、この点につきましては、先ほど先生の御指摘の電力用炭株式会社なりを法改正し、今後の輸入というものに対しまして一元化なり、あるいは統一ある輸入ができるような形で、一定のルールをもちまして輸入さすような方式を考えなくてはならぬのではなかろうかというふうに考えております。
  35. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 じゃ、次に、海外でのこの原料炭の開発につきまして、昭和四十四年に石炭、鉄鋼両業界によって設立をされました海外原料炭開発株式会社が行なっているわけですけれども、その開発の状況につきまして、どうなっているのか、説明お願いします。
  36. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 海外原料炭開発株式会社は、海外におきますいわゆる原料炭の探査、開発に関する調査及びコンサルタント業務を行なうということになっておりまして、政府としましては、四十五年度から四十八年度まで、海外原料炭が行なう資料、情報の収集、あるいは基礎的調査、これはいわゆる立地条件の調査とか、地質調査でございますけれども、そういう調査及び探査の調査でございます。これはボーリング調査、あるいは探炭坑道の掘さくというものに要します費用の五〇%を国として補助いたしております。四十九年度以降は補助の対象となるような事業がないということで、予算要求は行なっておりませんけれども、現在まで、四十五年度から四十八年度までの間におきましては、年々千五百万から二千万前後の予算額を補助率として、これは半分に当たる五〇%の金額でございますけれども、海外原料炭のほうに補助しているというのが実態でございます。  じゃ、海外原料炭がどういう事業をやったかということでございますけれども、四十五年度には、コロンビアの炭田に立地条件の調査に行っております。それからなお、オーストラリアに探査のために出かけておりますし、そういうことで、四十五年度はボーリングというようなことは実施いたしておりませんけれども、四十五年度から発足しましたこの会社は、当初は探査、調査ということで一応四十五年度を終わっておりまして、四十六年度にはニュージーランドのグレイマウス炭田でございますけれども、ここに立地条件調査と地質調査のために試錐を三本実施いたしております。四十七年度も引き続きましてニュージーランドの炭田に試錐を三本実施いたしまして、四十八年度でこれは全部で九本ボーリングを、四十六年から四十八年度にかけてニュージーランドのほうの炭田の調査を実施したわけでございまして、この調査の結果をベースにいたしまして、開発をどういうような形でやるか、あるいはやるとした場合、ニュージーランドの国との関係もございますので、どういうような形態でやるかというようなことを、いま海外原料炭としては検討している段階でございます。  なお、そのほかコンサルタント業務といたしましては、オーストラリアでございますけれども、オーストラリアの炭鉱に、いわゆる国内におきます太平洋炭鑛での高層採炭の——まあ坑内における高層採炭でございますけれども、優秀な技術がございまして、ここの技術を豪州のほうに輸出すべく、しかも、ただ単なる技術だけではなくして、プラントとあわせまして輸出するというようなことで、いま商談に入っておる状態でございます。そういうことで、海外原料炭のほうは、できましてからまだ間もないあれでございますけれども、いろいろな活躍をやっているというのが実態でございます。
  37. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この海外原料炭開発株式会社は、資本金も五億円しかありませんし、なお、政府の補助金も少ないんですがね。それでいろいろと聞くところによりますと、とてもその鉱業権の取得というようなことはむずかしいので、商社なんかが協力をして原料炭の開発、探鉱等に当たっていると、こういうのが実情であると聞いていますが、この商社なんかの協力の状況はどうなっていますか。
  38. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) ニュージーランドのボーリングにつきましては、話が安宅産業から持ち込まれたやに聞いておりまして、安宅産業と共同の形で調査しているボーリングでございます。
  39. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 石炭の見直しという点から考えますと、はたしてこれでいいのか、今後もう少しこの会社を改めて、たとえば石油開発公団のような組織にすると、そういうようなことは考えてないのかどうか、その点いかがですか。
  40. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 先ほどからのお話のように、今後の石炭の依存というのが、国内炭はもちろんのことでございますけれども、不足する分につきましては、単なる商社ベースによります取引だけではこれは問題がございますので、いわゆる開発輸入ということが必要になってくるんではなかろうかと思います。そういう点で、今後海外における開発という問題につきましては、現在の海外原料炭開発株式会社をベースにいたしまして向こうで開発し、それを輸入するという一つのまとまった業務をすべきではないかというふうに考えておりまして、まあ、当初からそういう意味での開発会社であったわけでございますけれども、まだそこまで機能がいってないということも事実でございます。で、今後一般炭の輸入問題ともからみまして、いわゆる一般炭の輸入の場合の規制というようなことも当然考えなくちゃなりませんし、それと海外開発というものを一緒にした何らかの、海外原料炭あるいはきょう法案を御提案しております電力用炭株式会社というようなものも一緒にしましたような、何か強力な輸入開発というような業務一つの法人を将来考えるべきではないかということで、現在検討しているような段階でございます。
  41. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 次に、それでは電力用炭の問題についてお伺いしますが、国内炭における電力用炭需要量は、昭和四十四年、五年ごろをピークにいたしましてだんだん減少をいたしております。四十五年度一千八百八十三万トン、大体四七・二%であったものが、四十七年度には一千三十五万トン、約三八%、まあこのように急激に落ちておるわけでありますが、今回の石油危機に際しまして、石炭鉱業審議会総合部会中間報告では、「現在の混焼火力発電所について利用率の向上等により、当面四十九年度中に、四十八年度に比べ約百万トンの石炭の消費増が見込まれる。」と、まあこのように出ておるのですが、これは電力用炭需要増を示唆をしておる、このように見ておりますが、政府は、電力用炭の長期的な需要見通しを具体的にどのように立てていらっしゃるのか、その点お伺いします。
  42. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 昨年の秋の石油危機以来、電力会社といたしましても、電源構成の多角化ということについては真剣に反省もし、これからの方向を模索しておるという段階でございます。とりあえず、石炭火力につきましては操業率を向上するということによりまして、百万トンの引き取り増加を、当面四十九年度として私どもは心づもりにいたしておるところでございます。ただ、御承知のとおり、公害規制が今年また一段と強化されるという運びにございます。まあそういったこと等あわせて供給の安定性等の見地から、これがいかに円滑に実施されるかということについては、私どもも十分注目もし、対策を立てていきたいと思っておるところでございます。  五十年以降の引き取り量につきましては、まだ具体的な計画は確立をされておりません。目下、私どもといたしましては、電気事業審議会の中に需給部会という新しい組織を設けまして、先ほど申し上げました電源構成の多角化あるいは今後の需要構造、供給構造の変化、こういったものを織り込んだ新しい見通しを検討いたしておるところでございます。当面、その中でも石炭火力の問題は大きな焦点であるというふうに考えまして、諸般の情勢を十分織り込んだ対策を立てていきたい、こう思っておるところでございます。
  43. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、電源開発株式会社のこの石炭の消費に対する協力のことにつきまして、先ほど大矢君からも少しあげましたが、これは九電力及び電源開発株式会社の石炭の消費量、これの実績を四十七年度で見ますと、北海道電力が三百十五万トン、九州電力が百十三万トン、東京電力が百十七万トン、それから電源開発株式会社が二百九十三万トンと、こういうふうになっておるわけですね。ところが、この電源開発株式会社には年々三百億円以上の財政資金が入っておりますので、この電源開発の石炭の消費量が他の電力会社とほとんど変わらないということは、どうしても理解に苦しむわけでありますが、どうなのか。石炭需要確保が国の政策としてなされておる以上は、国の財政資金が投入をされている電源開発KKも発電用石炭の消費にもっと協力すべきではないのか、この点はいかがですか。
  44. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 石炭火力の建設は、昭和三十年代に入りましてから石炭石油価格のギャップができてきたこと、あるいはその当時からの公害が問題になり始めてきたこと、こういったような事情を反映いたしまして、九電力会社におきましては、一部の増設を除きまして、三十九年以降新規の石炭火力発電所の建設は中止をされて今日に至っております。その間にありまして電源開発株式会社は、いわば国の石炭政策への協力及び日本全体の電源構成の是正というような意味合いを込めまして、磯子、高砂、竹原等々の新営石炭火力の建設を実施をしてきたという経過がございまして、新しい石炭火力の建設につきまして、ごく最近のところで一番知識経験の豊富なのは電源開発株式会社ではないかという感じがいたします。特に昨年秋以来の石油危機を受けまして、電源の多角化が大きな課題になってまいりました際、電源開発株式会社としても、今後の電源開発会社の進むべき方向一つの柱として、石炭火力の増強問題ということに真剣に取り組んでおるところでございます。目下、いろいろの構想を用意をし、部内で検討が進められておると聞いております。それらの構想の固まりを待ちながら、私どもとしても積極的にこれを支援をしてまいりたいと思っております。
  45. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 積極的に支援をしたいと、こういう御答弁でありますから、それなら今後この電発の石炭火力発電所の計画等について、どうなっているのかお伺いしますが、電発の石炭専焼火力発電所は、磯子、高砂、竹原の三カ所にありまして、石炭の消費量にして、昭和四十七年度でわずか二百八十五万トンですね。それで電発の石炭火力発電所の今後の建設計画、これはどうなっておるのか。と申しますのは、本年の三月十二日の新聞の報道によりますと、電発では、四十九年度から五カ年計画石炭火力発電所を三カ所、合計出力五百万キロワットを建設する方針である、こういうような記事があったようでございます。ですから、その点をひとつ明らかにしていただきたい。  それから、具体的な建設地点及び石炭の消費量、その際、電力用炭国内炭をどの程度当てるお考えであるか、それもあわせてお伺いをいたします。
  46. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 四十九年度におきましては、すでに設置されております電発関係の石炭火力発電所におきまして、それぞれ操業度を上げることによりまして、従来よりも増加した石炭引き取りを予定をいたしております。  いまお話ございました新鋭の石炭火力発電所の建設問題、これは先ほどお答えいたしましたように、目下、電源開発株式会社内部でいろいろの構想が検討をされておる段階でございまして、私どもはまだ正式にその内容を承知をいたしておりません。しかしながら、方向といたしまして、先ほど申しましたように、電発のこれからの方向といいますか、重点として石炭火力の新鋭のものを建設をしていきたいということを考えておるようでございますので、その内容が固まり次第、私どもとしても具体的な相談に乗っていきたいと考えておる現段階でございます。
  47. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ火力発電に石炭がきらわれておるのは、結局、公害等の問題で住民運動でいろいろ反撃があるわけでありますが、そこで、公害の防止のことについて少しお伺いしますが、現在発電所では、亜硫酸ガス規制に対処するために、硫黄分のきわめて少ない重油を混焼する方法を採用をしておりますが、石油供給が非常に不安定になった今日、当然石炭の混焼割合は、今後は増大するであろうと思われるわけであります。たとえば昨年の七月二十四日、石炭鉱業審議会が決定をいたしました四十八年度の出炭計画三千三百五十万トンのうち、電気事業石炭の引き取り量八百四十四万トンでは、公害防止のための排ガス規制の進展によって今後修正もあり得ることが協定をされておると、このように聞いておるわけです。したがって、当然に排煙脱硫装置の設置など、公害防止対策が行なわれなければならないと思われますが、政府は、公害防止にどう対処していくのか、また、この排煙脱流装置などの公害防止の装置、施設、これは現状ではどの程度進んでおりますか、その点もあわせてお伺いします。
  48. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 石炭火力発電所の建設に関する公害問題として、私ども注目いたしておりますのは、一つは粉じんの問題、一つは硫黄酸化物と申しますか、亜硫酸ガスの問題、それから第三番目には、窒素酸化物の問題、さらに広げてまいりますと、温排水の問題、以上のような点が問題になろうかと思います。  粉じんの問題につきましては、各地で条例、規則等が制定をされておりまして、それとの調和ということが相当問題になってきております。これは集じん機等の整備を実施しまして対応するわけでございます。なかな万限界があるというような点が問題ではないかと思います。  それから、硫黄酸化物につきましては、お話ございましたように、排煙脱硫装置の建設という対応策が必要でございまして、この件につきましては、すでに電発で試験的にその建設に着手をいたしております。今後さらにそれを増強するという計画を持っております。それらの結果を見ながら、今後の建設の参考にしていきたいというふうに考えております。  問題は、窒素酸化物がなかなか問題のようでございまして、これらの点につきましては、技術的にもまだ解明できていない分野が多く、また防止装置につきましても、いま開発途上であるということでございまして、この辺の整備を急速に急がなければならないと私どもは思っておるところでございます。  温排水の問題につきましては、いわばこれは火力発電所一般の問題でございまして、これらの一環として私どももその実態を見きわめ、また、対策を立てていくというような方向で対処いたしてまいりたいと思っております。
  49. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 まあ、この公害という問題がありますから、どうしても石炭もきらわれてくるのですけれども、公害問題が解決しなければ、幾ら石炭を使え使えと言ってもこれはなかなかそう簡単にいかない。ですから、いま排煙脱硫装置、こういうようなものも、これはまだ実験の段階ですか、それとも一部実用に供されておるのか、試験的に多少行なわれておるのか、その辺ちょっと関連質問になりますけれども、あなたのほうに聞いていいかどうかわからぬけれども、一ぺんわかっておればお答えをいただきたい。
  50. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 石炭火力に関係する排煙脱硫装置としては、すでに三井アルミで十五万キロであったと思いますが、実用に供されておるところでございます。今後石炭火力発電所を新設いたします場合には、さらに大きい容量が問題になってまいろうかと思います。このような規模のものを対象として現に電発で建設を進められており、その成果が十分実証されれば、さらにほかのものにも適用されるだろう、こういうような段階ではないかと思います。
  51. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、まだ試験の結果ははっきりしない……。どの程度いっているのですか。
  52. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 先ほど申しました三井アルミのケースは、私どもはすでに成功しておるというふうに判断をいたしております。おそらくは、その経験を生かしてつくる電発の排煙脱硫装置についても、かなりの成果はあげ得るものだという期待のもとに建設が進められているわけでございます。一般的に申しまして、排煙脱硫装置は、当初の段階ではいろいろ技術的な難点がございましたが、その後次第に大型化への技術の適用も進んでまいりまして、いろいろな新しい方法もさらにそれに加わってまいりまして、かなりいまの段階では安定の域に近づいているというような感じで受け取っております。
  53. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これはまた専門の部門でお伺いすることにいたします。  最後に、石炭のこのガス化見通しは一体どうなっているのか、これでちょっとお伺いしますが、石炭の見直しの一環として、石炭ガス化技術の開発、これが来年度から石炭技術研究所に委託をされまして八年計画で行なわれると、こういうように聞いておるわけですが、四十九年度の開発委託費予算はわずか一億七千万円にすぎませんし、アメリカが過去十三年間に数千億円の研究費をつぎ込んだのに比べますと、これはずいぶん少額だと、こういうことですね。その上、アメリカでは、最近になってどうにか石炭ガス化の実用化のめどがついたといわれております。これに比べまして、わずか一億七千万の予算ではたしてガス化の実用化が可能であるのかどうか。非常にこれは疑問に感ずるわけですが、政府は、石炭ガス化について具体的にどのような見通しを持っているのか。
  54. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) いま先生御指摘の石炭ガス化、発電用ガスの開発研究でございますけれども、これはサンシャイン計画の一環といたしまして、石特から予算支出したのが四十九年度一億七千万円でございまして、これは八年計画を持っておりまして、八カ年計画で約二百九十一億支出する予定にしております。それに四十九年度、これとは別個でございますけれども、同じくサンシャイン計画の中での、これは一般会計でございますけれども、合成天然ガスの開発のために、これは工業技術院の一般会計で二億六千万円の予算を計上いたしておりまして、これも十三年計画と、一応長期でございますけれども、約六百十三億円を支出する予定にしておりまして、サンシャイン計画の中では、一般会計のただいま申し上げました合成天然ガスの開発といわゆる石炭ガス化、発電用のガスの開発ということで、二つがサンシャイン計画の中に入っておるわけでございます。また、このほかに石炭関係といたしましては、石特関係の予算の中で電発に、国内炭ガス化実用化試験ということで本年度二億予算を計上いたしておりまして、これは電発に試験をしていただくということで、本年度二億でございますけれども、これは二カ年計画で来年度五億出しまして、一応七億の研究をしたいというふうに考えております。  まあガス化研究につきましては、ただいま御指摘のように、アメリカでも過去相当な金を出しておるようでございますし、なお、西ドイツにおきましても、七〇年から七七年の間には六百十六億出して研究しようというようなことでございますし、私どもといたしましても、今後石炭のいわゆる液化、ガス化ということには重点的に研究し、クリーンエネルギー化という点に大きな目標を置きまして、今後の石炭の利用開発ということで進めてまいりたいというふうに考えております。
  55. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 炭鉱の大手八社の坑内基準内賃金を、月額で大体どのくらいに見ておられますか。
  56. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) ただいま石炭鉱山の労働賃金といたしましては、これは資料がちょっと古うございますけれども、統計上四十七年の統計になっておりまして、十月から十二月分の五百人以上の統計でございますけれども、坑内では八万六千三百十円というふうになっております。なお、これと同じような環境条件で働いておられます金属鉱業につきましては、当時同じ時点の統計でございますけれども、十一万三千四百八十六円というような数字になっておりまして、約二万七千円ぐらいの差があるというふうに聞いております。ただし、これはいわゆる賃金体系そのものが金属鉱山あるいは石炭鉱業とおそらく体系が違いますので、即これがそのままどうということはいえないのじゃなかろうかと思いますけれども、一応月の手取りといたしましては、二万七千円の差があるというのが当時の実態であろうと思います。
  57. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 いまお述べになった数字、これは四十七年の十月で五百人以上、坑内で八万六千三百十円ということですが、これは残業その他の問題を除いて、いわゆる基準内賃金ということでいくと、私の手元にあるのでは、これは大手八社の坑内基準内賃金が月額で七万円ちょっとである。いま御答弁ありました非鉄金属ですね。これは私の手元では、非鉄五社の坑内基準内賃金が十一万五千八百円、したがって、御答弁との間に多少の差異はございますが、しかしいずれにしても、私の手元では非鉄金属と炭鉱との間の賃金格差は、この数字でまいりますと四万五千円ということになるわけです。したがって、石炭をせめて非鉄金属並みに引き上げてもらいたいというのが、現在石炭を掘っている労働者の切実な願いになっておるわけで、昨日もそのような意味から陳情にあがったと思うんです、大臣のところに。一挙にこの差を埋めていくということは不可能だと私も思いますので、かりにこれを二カ年計画でさや寄せをしていくとすると、四十、九年度で一トン当たり二千百四十円程度の対策費を必要とするであろうというふうに思われます。五十年でそれをさらに上乗せしていくと、大体その時点でまあパーパーということになるわけですが、その時点で非鉄金属のほうがさらに上がっておれば、これはどうにもならないことになるんだけど、そのままのレベルということになれば、大体この辺で非鉄金属に肩を並べるんじゃなかろうかというふうに思います。炭鉱それ自体が危険度の問題、その他の問題等もめぐってなかなか人が集まらないというような状況にもあるわけなんで、この辺の現実的な賃金格差、そして労務者対策という点についてどのような方針を持っておられるか、具体的にさや寄せをしていこうとするなら、たちまち抽象的なことではなくて対策費というものを積まなければならない、こういうことになるわけです。この辺についてお考えを聞かしていただきたい。
  58. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 非鉄金属の労働者と炭鉱労働者の賃金格差でございますが、これはもう私は、二万七千円というようにこちらで聞いておったのでございますが、非常な格差がございまして、先生が申されるように労働者をこれから集めるといっても、こういった格差のままでは当然集まってこないわけでございますが、それにつきましてもやはり炭価をアップする、適正な炭価にする。それからまた、国の助成というようなことを実施することによりまして企業経理改善するといった点から、今後検討していかなくてはいけないというように考えております。その点につきまして、先ほどから大臣が申されておりますとおり、総合エネルギー調査会等の場におきましても、また石炭鉱業審議会等の場におきましても、こういった問題をすみやかに検討し、事務当局といたしましても、真剣にこれに取り組んでいかなければいけないというように考えております。
  59. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 いま次官の御答弁でございますが、これからもよりの機関にはかって、そういった方向で行くべきだということでございますので、せっかくの御努力をお願いするわけですが、炭鉱における労働環境というのは、常識的に考えても他産業に比して決していい環境とは言い得ない。したがって、これから将来にわたってクリーンエネルギー化の活用という問題にも照らして、炭鉱全体を近代的にしていくということになれば、勢い、若年労働者も就職できるような魅力のある職場環境というものをつくっていかなければならないわけで、労働環境の近代化投資、それからいわゆる安全投資ですね、これをやっていかなければ私はいけないと思うんです。いま楠次官のお話の中には、今後検討するというものの、企業経営の面をさらに合理的にやらしてという面がありましたが、現在、炭鉱の企業経営実態というのはもう御承知のとおりでございますので、いま申したような形のものを実現さそうとすれば、勢い、炭鉱全体に対する国の直接投資というものを拡大していかなければいけないというような、せっぱ詰まった状況であろうと私は判断しておるのです。したがって、くどいようですが、この辺についてもう一度お答えいただきたいと思います。
  60. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 藤井先生の御質問にございますように、炭鉱の近代化、若年労働者を確保するといったような面につきまして、その保安対策とか、それから住宅福利厚生施設といったような面につきまして国がどうするかということが、具体的な御質問内容だと存じますが、昭和四十九年度におきまして、二十二億円の保安確保補助金というものを計上いたしておりまして、現在予算委員会において御審議をいただいておる次第でございます。これは四十八年度と比べますと二億円増ということになるわけでございます。  また、住宅福利厚生施設融資等につきましては、石炭鉱業合理化事業国から施設費の八〇%を無利子で融資するということを、四十九年度において計上をいたしておる次第でございます。
  61. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 次官も事務局もよく趣旨は御了解いただいていると思いますので、今後ともひとつよろしくお願いいたしたいと思います。  それから、衆議院ではいろいろ論議されておることでございますが、本院ではこれが初めてでございますから、大臣は不在なので、次官に基本的なことをやはりお聞きしておかなければいけないと思います。  次官からお答えいただきたいわけですが、エネルギー資源の先行きの見通しが非常に不安であるというところから、石炭の見直しということが叫ばれておるわけです。本年度の政府予算でも若干の措置を講じているようですが、問題は、この火力発電を含めて石炭というものを今後どのように評価していくか、その基本的な考えを聞いておきたいと思うんです。  なお、炭鉱というのは、一度閉山すれば再開はほとんどもう不可能だというような状況に置かれておるわけですが、いただいた資料、昭和三十五年から四十七年に至る稼働炭鉱数、生産量、常用労働者、ずっと見比べていくと、たいへん急ピッチに落ち込んでおるわけですね。これは石炭委員会などでも再三論議されてきたところです。現在採炭しておる炭鉱を維持していくということが当面重点であろうと思うわけですが、現状の年の産炭量というものの水準について、これをいま先ほど申した基本的な考え方に照らして、具体的に採炭量というものをどのように将来見詰めていくのか、近い将来ですね、この二点についてお答えいただきます。
  62. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 先ほど大臣が答えておりましたとおり、やや抽象的にわたりますが、この六月の中間答申で、総合エネルギー調査会におきまして石炭をどのように位置づけるかということが、このエネルギー調査会の主要テーマになると存じますが、その中間答申と並行いたしまして、石炭審議会におきましてもその基本的な姿勢というものを出してもらうということになっておりますので、第五次答申の洗い直しをここでやってもらいまして、その位置づけを明確に事務当局をも含めて検討していきたいというように考えておりますが、具体的な第二点の御質問につきましては、事務当局からお答え申し上げます。
  63. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 消滅鉱区の再開発問題でございますけれども、ただいま先生から御指摘のように、不可能とまではいきませんにしましても、相当困難な問題をかかえておるということは十分理解しておるつもりでございます。しかし、現在までに石炭鉱業合理化事業団がいわゆる買い上げまして整備いたしました買い上げ炭量という点でいきますと、六十二億トンというような数字が言われております。これは買い上げの評価の対象になった炭量でございまして、厚さ三十センチ以上の炭ということで、全部をまとめた数量が六十二億トンというふうに言われておりますけれども、いまその消滅しました炭鉱の炭量につきまして、もう一ぺん再開発可能である炭量が幾らぐらいあるものかということを、合理化事業団に命じまして作業さしている段階でございます。  その場合、一番注意しなくてはならぬ問題といたしましては、まず保安の問題でございます。消滅した鉱区につきましては、鉱内水の問題あるいはガスがたまっておるとかいろいろな保安上の問題もございますので、そういう点も専門家の日常の御研究によりまして、どういうところがどれぐらい掘れるかということを一応価格別に、かりに一万円で掘るならばどれぐらいの炭量がある、一万五千円で掘るならばいくらぐらいの炭量があるというようなことを、いま再評価させておる次第でございます。そういうことで、可能であるという数量がおそらく幾らかは出てまいると思いますけれども、不幸にいたしまして、いまの法律では直ちに手をつけるわけにまいりません。これは消滅した鉱区は再出願ということができぬような形になっておりますので、そういうものが出てまいりましたら、いわゆる審議会の中で十分御検討いただき、法律改正という点まで持っていきまして再開発を実施するということになろうかと存じます。
  64. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 この消滅鉱区の採炭可能量というのは、事業団では調査しておるということですが、いつごろ出てきますか。
  65. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 事業団が買い上げたときに、いろいろな資料を持っておるものですから、まあ事業団にお願いしておるわけでございますけれども、とにかく数も多うございますし、もう常識で掘れないという地域もあろうと思います。そういうところは初めから除外すればいいんでございますけれども、相当資料も詳細な資料をベースにして検討しておりますので、おそらくあと二、三カ月の期間を要するんではなかろうかというふうに考えております。指示しましたのは、もう昨年のたしか八月ごろだったと思いますけれども、それからいろいろな分析のしかたをしまして、最終的には、いま申し上げましたようにコスト別の炭量の把握ということをいまやっておる段階でございますので、あと二、三カ月でおそらくでき上がるのではなかろうかというふうに考えております。
  66. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 脱硫対策が不十分なこの現状の中で、公害対策の面から、硫黄分の高い国内炭と、いわゆる低い輸入炭との混焼ということが必要になるわけで、先ほど中尾さんのほうからの質問でもこの点触れておられたわけですが、具体的に言って、大臣の御答弁とも先ほど、輸入炭というものも将来考えていかなければならないということでした。で、輸入炭はサルファが低いわけですから、公害という面からいけば混焼するということだけど、輸入炭がふえるにつれて、現在の国内炭というものの生産がその意味において圧縮されるということはないというふうに確約できますか。
  67. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 当然、輸入炭によりまして、原料炭はいまでも不足しておるわけでございますけれども、一般炭におきましても、輸入することによって国内炭の引き取り量にどうというような悪影響を及ぼすようなことはないようにいたしますというのが私どもの姿勢でございます。
  68. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 明年度の石炭特別会計の歳入は、原重油関税収入が前年に比して三十九億円減少しておる。前年度の剰余金を九十八億円と見積もっても千百三十九億円ということになると思うんですが、この数字は間違いありませんか。
  69. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) そのとおりでございます。
  70. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 今後のこの原・重油関税の見詰め方についてでございますが、私は、先ほど大矢さんも質問しておられましたけれども、原・重油関税が期待薄だというふうに見ていくのが正しかろうというふうに思うわけです。そうなってきますと、石炭産業の維持、それから振興費というものは今後増大するというふうに見ていかなければならないわけで、そうなってきますと、勢いこの財源措置というものも、一般会計から操り入れるなどの再検討が必要じゃなかろうかというふうに思うのですが、いかがですか、この点。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほど御答弁申し上げましたように、総合エネルギーの新しい運用方針に基づきまして、答申が出ましたならば、そういう広い見地に立って財源措置もいままでのワクのみにとらわれることなく、検討してみる必要があると思います。  なお、先般御答弁申し上げました中で、一般炭の輸入問題について社会党、民社党からお申し入れがありましたと申し上げましたが、公明党からも申し入れ書がありまして、その中に、たしか一般炭に関することにも言及しておったと記憶いたしましたので申し添えておきます。
  72. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これで私、質問を終わりますが、大臣に、先ほど政務次官にも申し上げたことなんですが、また昨日は、わがほうから大臣に直接陳情も申し上げたと思いますけれど、私の調べた範囲では、石炭労働者の環境がきわめて劣悪である。他の一般商事会社その他と比較するんじゃなくて、大体同じような環境下に置かれているところの非鉄金属の坑内と比べてたいへん悪い。総合的なエネルギー問題を考える中で石炭の見直し論が出ている現在において、石炭のさらに合理的な発展というものを願うなら、安全環境、そして労働環境というものについてさらに整備をして、若年労働者が進んで炭鉱に来るようにということを願うわけだし、そのことが炭鉱の労働者の切実な願いになっておるわけです。先ほどは次官からも、その辺の事情をよくさらに検討して、十分万全の措置を講じていきたいという御答弁をいただいたわけですが、最後に、大臣のほうからこの点についての御決意をお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  73. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石炭関係労働者と非鉄金属関係の労働者の賃金格差は、たしか私の記憶でも二万七千円から二万九千円ぐらい開いていたように記憶しております。そういう面からも、この点はわれわれとしてはできるだけ努力をして、格差を縮めるようにやらなければならぬ問題であると思います。それと同時に、いろいろな環境問題等につきましても、私たちとしてはできる限りの努力をして、石炭労務者の立場、環境というものが、少なくとも一般労働者と肩を並べるようなところにできるだけ早く回復するように、努力をしていきたいと思います。
  74. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 けっこうです。
  75. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午前十一時四十七分休憩      —————・—————    午後一時六分開会
  76. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  77. 大矢正

    大矢正君 石炭部長にお尋ねしますが、午前中、私と大臣との間におきまして、石炭企業の金繰り問題、経営事情等の今後の見通しについての質問をいたしまして、大臣から抽象的に、たとえて言うならば、春の賃金引き上げが行なわれるについては、それに間に合うように措置を講じたいというようなお話がございました。で、これはまことに抽象的な答弁で、もっと具体的に真意をお尋ねしなければならなかったのでありますが、私に与えられた三十分間という制限された時間でありましたので、重ねて質問ができなかったわけであります。  そこで、あらためて具体的に石炭部長にお尋ねをいたしたいと思いますが、最近の物価高騰、それから特に四月からは賃金を引き上げなきゃならぬという問題があり、しかもインフレ下の今日、かなり多額の給与水準の引き上げを行なわない限り、炭鉱の労働力確保は困難であるという問題等考えまする際に、それがコストにはね返る、ひいては資金繰りに響く影響度というものはきわめて大きいものがあると思うんであります。で、先日私ども社会党として通産大臣に、この春の賃上げは、炭鉱労働者が定着できるような内容の賃上げが可能になるような方向で協力を願いたいという申し入れをいたしまして、政府側からは、部長御存じのとおり、一つには炭価の引き上げ一つには安定補給金の有効な活用というような形で善処してまいりたいというような意味の回答書が寄せられました。  そこで、いま申し上げたことにまた逆戻りするようでありますが、炭価の引き上げ問題というこの政府考え方は、電力料金の問題が片がつかない限り困難ではないのか、もし電力料金の問題に関係なくできるような方法がありとすれば、それはどういうようにしておやりになるつもりなのか。昨年も炭価の、電力用炭の若干の引き上げがありましたが、これは大部分が七月から実施をされているというようなことで、たとえば、電力料金の値上げの見合いにおいて炭価を上げるということ——私は、電力料金を上げることかいいと言っているんじゃないですが、そういう政府考え方でありとすれば、電力料金がきまるまでは炭価問題は解決をしないということになりはしないのか。そうなった場合に、当面する物価高騰、あるいは賃金の大幅な引き上げということを政府自身も了承しているこれらの解決は、資金繰り上困難になると思われますので、そういう面についてどのように対処されるおつもりか、お答えをいただきたいと思います。
  78. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 第一は、いま先生御指摘のとおり、炭価のアップということは、電気料金という問題との関連になってくると思いますけれども、これは一応別にいたしまして、私どもといたしましての考えといたしましては、当然春の賃闘と申しますか、今度のベースアップで相当の金額がアップされなくちゃ、また将来への労働の確保というものもできないんじゃないだろうかというふうに考えておりますし、当然、午前中大臣からもお話ございましたように、金属鉱業並みに持っていくべきだという一つの目標も立てておるわけでございまして、そういう点からいきますと、相当の高額の労賃アップになるんじゃなかろうかというふうに考えております。  その場合、じゃ、その金をどういうような形で出すのかということになろうと思いますけれども、一つは、先ほども御説明いたしましたように、当然炭価との間にそういう原資というものが生まれてくるということを期待しておるわけでございますけれども、では電気料金が上がるまで賃上げができないのかというのでは、これはまた一方、労働の確保という点からいきましても問題がございますので、さしあたりましては、私どもの考えといたしましては、来月の末ごろに例の需給部会を開催いたしたいというふうに考えておりまして、需給部会で当然炭価問題というものも一応の想定をしまして、来年度の四十九年度の石炭需要というものを、いわゆる需要者と供給者の両方の数字を持ちました需給部会を開催さしていただきまして、その中での炭価アップというものを一応ある程度前提にした上での需給部会の結論が出ると思います。  また一方、いま御指摘のような賃上げの問題がございますので、そういうことでああいたしますと、あるいは電力料金のほうからの、炭価アップのほうからの期待というのは、ある程度おくれるかもしれませんので、一応通産省といたしましては、四十八年度からの制度になっております事業団での運転資金という制度がございます。いわゆる経営改善資金ということでやっておるわけでございますけれども、昨年度三十億の出資、これは無利子でございますけれども、出資いたしまして、七十億借り入れ、百億を原資として四十八年度を運用しようということで、四十八年度はその運転資金、いわゆる経営改善資金を運転したわけでございますけれども、四十九年度も同じように三十億の出資をいたしまして、これに借り入れ百十億を元といたしまして、百七十億の運転資金という金がございます。この金をもちまして、一応賃上げのほうのいわゆる貸し出しという原資は確保しておるというつもりでおりますので、価格アップ直、賃アップということとの結びつきのほかに、石炭部のほうといたしまして、この金を支出することにより、賃上げのほうも問題なく解決できるんではなかろうかというふうに考えております。  なお、幾ら上がるかという問題につきましては、一応金属鉱山へ近づけるという姿勢で臨んでもらうように、業界のほうにも要望いたしておりますし、また最終的な金額につきましては、労使間でおきめいただく問題だとは思いますけれども、できるだけ金属鉱山並みへということで御協力いただくように、石炭業界のほうには要望しておるのが現状でございます。
  79. 大矢正

    大矢正君 高木さん、いまお話を承りますと、電力用炭の炭価の引き上げ、それにつれて一般炭の全体的な値上げ、それからまあ原料炭も、これまた輸入炭がかなりの率で上昇しつつありますから、これも一般炭の値上がりの見合いにおいてかなりの部分が上がるといたしましても、やっぱり過去の炭価の引き上げというものは、どちらかというと原料炭が上がって、それに引きずられて一般炭が率は低くても上げられてきたんですが、今日の状況はむしろ一般炭、特に一般炭の中の中心となる電力用炭の炭価の引き上げ原料炭が引きずられるといっても過言ではない状態で、炭価というものがきまっていく方向に私はあるんじゃないかという感じがいたしますね。  そこで、そうなってまいりますると、一つ問題点として考えられることは、電力用炭のかりに政府引き上げを希望していたといたしましても、これが電気料金との関係でかなりずれ込んでいくということになりますと、それが原料炭にも響いてくるということが考えられますね。そういう問題点がまず一つある。そこで、そういう際にはどうするか。次善の策として経営改善資金を有効に活用すると、こういうお話のようでありますが、残念ながら部長のいまおっしゃられることは、ちょっと実態と合わぬ面があるんじゃないかと思う。  それは何かと申しますと四十八年度、すなわち、今年度は三十億の出資と七十億の借り入れで百億を限度にして経営改善資金を貸し出すわけですが、これはもう現に貸し出しておるし、多少それは余裕があったとしてもほんのわずかだと思います。しかも、石炭企業経理内容がよくなっているわけではありませんから、当然の結果として借りたものは、まあ悪い話が借りかえというかっこうで、六カ月なら六カ月の期限がきたら、これをまた借りかえをしてつないでいくというかっこうで、ほとんどの企業が、もうこの百億の借りた内容については借りかえで私はやっているんじゃないかというふうに思います。そうしますと、四十八年度分の百億というものを、四十九年度以降に、九年度に入ってからもこの資金を活用しようとしても、それはゼロとは申しませんが、ごく限られたものしか残っていないんじゃないかと、それから四十九年度であらためて三十億の出資と四十億の借り入れで、七十億を、これを経営改善資金に充てるということでありますが、これは部長御存じのとおり、先般の一時金の決定の際における経営改善資金による措置によって、石炭企業の当面の資金繰りをまあカバーしてやろうというようなこともありまして、それに費やされる部分もありますから、これを引いて精密に計算をしていきますると、炭価が上がらない段階において、かなり大幅な賃上げや、あるいは今日の物価騰貴によって生じている石炭のコスト高というものから来る資金繰りを、やりくりするような金は、この経営改善資金の中からはとうてい出てぐるとは思われないと私は思うんですが、この点はいかがでしょう。
  80. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) 第一の原料炭一般炭価格の相関関係でございますけれども、いままでは確かに先生御指摘のように、原料炭に引きずられて一般炭はいやいやながら上がったというのが実態であるのも、これはもうそのとおりでございます。しかし、今回一般炭のほうがいわゆる石油の問題とのからみ合いで値上げという問題が出てきているわけでございますけれども、原料炭におきましても、同じような問題が輸入原料炭については起きてきております。これはきのうも衆議院のほうの参考人の御意見のところで稲山鉄連の会長、まあ石炭鉱業審議会の会長もしていただいておるわけでございますけれども、稲山会長の御説明によりますと、いわゆる製鉄原料の弱粘でございますけれども、弱粘においても、海外からの取引にいま値段の交渉をやっておられる向こう側の外国からの指示というものが、十ドルないし十一ドルのアップを要求しているというのが事実でございまして、これも近いうちに、おそらく四月中旬ごろまでには本年度の原料炭取引価格というのがきまるんじゃなかろうかというふうに考えております。  また、そのほか現在の原料炭国内炭の、いわゆる輸入原料炭と国内の弱粘との価格でございますけれども、これは千四百五十円というものの格差は守るということで、いままで鉄鋼のほうは原料炭価格について御協力いただいたわけでございまして、この点もきのうの御質問でいろいろ参考人から意見が述べられたわけでございますけれども、ものすごく輸入炭が上がる場合は別としましても、いま申し上げました程度の場合は千四百五十円というものの格差は守っていくというようなお話もございまして、一応原料炭のほうの価格も相当上げていただけるのではないかということを期待いたしております。国内炭においても、原料炭価格を上げていただけるんではないかという期待を持っております。これもおそらく外国との取引でございますので、国内のほうがいまどういうような状態だということは、外国のほうとの取引関係上金額はまだ示しておいでになりませんけれども、きのうの委員会でのお話みたいに十ドルないし十一ドルのアップというようなことでございますと、いまは、先ほど申し上げますように、確かに国内炭のほうが千六、七百円高いというような金額にはなっておりますけれども、千四百五十円のベースは守るということでおっしゃいますと、相当な期待ができるということでございます。  また一方、一般炭につきましても、けさほど話がございましたように、カロリー当たりで直しますと二円前後と、これは硫黄分に応じまして相当開きはあるようでございますけれども、平均して二円ということになりますと、現在の石炭価格カロリー当たり約七十銭と、これは当然メリット差、そういうものを入れますとおそらく八十何銭に相当するんじゃなかろうかと思いますけれども、それから見ましても、一円十何銭の値開きがあるということからいきますと、一般炭においても相当な値上がりが期待できるというふうに私なんかは考えておりますし、また期待もいたしておりますので、先ほど申し上げましたように、来月下旬には審議会の需給部会を開きまして、価格を前提にしました取引引き取り料をセットしたいというふうに考えております。  なお、二番目の運転資金の問題でございますけれども、確かに本年度、四十八年度百億近い金を貸し出しておりますので、新たに四十九年度としては、御指摘のとおりの七十億という金を用意しなくちゃならぬわけでございます。この用意につきましては、いま事業団が主体になりまして銀行関係等とも話を進めておりますし、なお不足の場合は財投のほうからも入れるということで、いろいろ交渉しておるわけでございますけれども、これは必ずや七十億ということを期待いたしまして、この前の、いわゆる一時金として四万円を支出するような形になったわけでございますけれども、この金は全部で約十三億ぐらいになるんじゃなかろうかと思います。この金は、すでに、来月へ入りましたら手続の上で支出しようということにも準備もいたしておりますし、そういう点では問題ないと思います。  なお、いま先生御心配の、今後の賃アップに伴う支出という問題が生まれてくるわけでございますけれども、これは企業のほうも一応経理的には来年度、各社によってこれは違いますけれども、十数%のアップというものは一応組んだ上での資金収支というものを各企業からの計画でいただいております。これに結局上乗せになるという分が企業としては負担しにくいという点になりますので、この点を一カ月になるか、二カ月になるかわかりませんけれども、負担すると、事業団のほうを通じて金を出すということになりますと、さほど心配しなくても運転資金上の問題はないんじゃなかろうかというふうに私どもはいま考えておるような次第でございます。
  81. 大矢正

    大矢正君 まあ私どもか単価をどうせい、こうせいというようなものではございませんし、要は物価高騰の折から、特にこの炭鉱従業員の賃金の引き上げについてはかなりの配慮をしない限り、労働力の面から山の維持が困難であるということは十分御認識をいただいていると思うんで、その面においての金融上からの配慮をぜひひとつ御努力願いたいと、こう思います。  次に、いまも申し上げました労働力の確保にからみましてお尋ねをいたしたいと思いますが、たとえば北炭なら北炭という会社でありますど、山が幾つも企業内にありますから、一つの山がつぶれたといたしましても、その山の従業員を他の山に振り向けていくということは比較的容易であります。いい悪いは別として容易であります。ところが一社一山というような、あるいは中小炭鉱というような場合には、その山が閉山をしてしまいますと、その時点で労務者が離散をしてしまうと、再びもう帰ってこないということになりますね。それと、まあたとえば私ども北海道なんかでも調べていますが、一回炭鉱地帯から離れて都市に行きますと、もう再び炭鉱に戻って働くという人たちはほんとうに数える程度しかいない。したがって、炭鉱地帯から働く人々を離散させない手段なり方法なりということを考えていかないと、行く行くは労務倒産になるおそれはもう十分あるわけでありまして、抗内とか石炭とかというものを知らない人が炭鉱に来て働くとは思われませんし、そうなってくれば、やはり過去に経験のある者をいかにして残しておくかということが大事なことだと思うんです。ですから賃金を出き上げるとか、労働条件をよくするということも、足をとどめさせる一つの大きな意味もありまするし、同時に、それだけではなしに、いまの私企業体制からくる矛盾、たとえば日本の炭鉱が一社でありますれば、いかようにでも労務者の配置転換とか、異動とかいうのはできますけれども、その間に企業というものが存在している状態では、どうしても労働力を残しておく、温存しておくということはできません。  たとえば、北炭の場合で言いますと、いま清水沢新鉱に着手をしておりまして、まだ着炭はしておりませんが、その着炭のためにある程度他の炭鉱で余剰人員を確保してそれに備えるというようなことができますが、これが一社一山である場合にはそういうようなことはできないわけで、そこに石炭企業の私企業体制の効率的な運用と申しましょうか、合理的な運用のむずかしさというものが私はあると思うんです。そういう意味で、私どもは再三再四公社化ということを主張しているんですが、いまそれをここで持ち出しても議論になりませんから申し上げませんが、ともあれ労働力を今後とも確保していく、維持していくということは非常に重要なことだと思うので、何か方策というものがないものかどうか。たとえば、一社一山の炭鉱がつぶれたと仮定しましても、その労働力をある程度政府が介入するようなかっこうで、政府といいましても私はせいぜい合理化事業団、いまの法律を抜本的に変えるというわけにもまいりませんから、いまの法律の中だけでやっていくとすれば、合理化法の中に盛られているいまの石炭合理化事業団等を有効に利用して、ここらあたりが労務者確保のために一役買って出ようではな  いかというような方向を打ち出さないと、非常にむずかしい面があるんじゃないかという感じがいたしますが、その面について何かお考えがありますれば、この際お聞きかせをいただきたいと思います。
  82. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) ただいま先生の御指摘のとおり、一社数山を持っているところは、たとえば北炭でございますけれども、配転というようなことである程度の労務離散というものを防げるのじゃなかろうかと思います。ただし、いま御指摘のように、一社一山の場合の閉山という問題にかりに突き当たったとした場合、一回この労働者が離散してしまいますと、もう一ぺん再就職するということはなかなかたいへんだろうということは十分理解しておるつもりでございます。そういうことで、一つのこれは案でございますけれども、今後、二千百万トンなり二百万トンという現状の生産維持をするということはもちろんでございますけれども、将来の需要拡大に備えできるだけ掘れるものは掘ろうという姿勢で、いま消滅鉱区の再開発という問題にも取り組みまして、午前中も御説明いたしましたように、合理化事業団で幾ら掘れる炭量があるか、また、どういうところがあるかというようなことを計算しておる段階でございます。  そういうところの消滅鉱区の再開発という問題と閉山という問題ともあわせ考え、あるいは現有鉱区内での代替鉱というようなことも一つ考えられるのじゃなかろうかと思います。そういうものによりまして、特に代替鉱は、当然、鉱区を持っておられるところの鉱業権者のいろいろな権利のもとでの採掘ということになろうと思いますけれども、消滅鉱区につきましては、これは全然いま鉱業権者がない、いわゆる無鉱業権の鉱区でございますし、なお、事業団が保有しているのは、これは事業団の保有鉱区と、いわゆる鉱業権のない地域と二つあるわけでございますけれども、その消滅鉱区あるいは事業団の保有鉱区の再開発という問題については、これは今後、審議会の場でもいろいろ御議論をいただかなくちゃならぬ問題だろうとは思いますけれども、どういう組織のもとでこれを再開発していくかということも、一つ問題があるんじゃなかろうかと思います。  ただ、いままで所有しておられた、いわゆる事業団のほうにお売りになった鉱業権者にやらすべきかどうか、これは大きな疑問がございますし、また、そういう点からいきますと、何らか消滅鉱区の再開発というものは統一ある組織のもとで再開発すべきではないかと、これはまだ私見でございますけれども、そういう考えも持っておりまして、そういうものとあるいは代替鉱ということの開発を、もし不幸にして閉山というところがあるならば、その時期とのかね合いを十分考えながら、できるだけまとまった労働者の方を、代替鉱なり消滅鉱区のほうの再開発に従事していただくように持っていったらどうなんだろうかというふうに考えておりまして、これはまだ今後、審議会の場でいろいろ御検討いただかなくちゃならぬ問題だろうと思いますけれども、現在といたしましては、私はそういうような考えを持っているような次第でございます。  なお、できるだけ閉山しないように指導するのが、これはもう当然のことでございまして、これには、合理化事業団の中に管理委員会というのも四十八年度から設けられておりますので、できるだけの助成をし、なお、そういうことでも不可能な場合、開発していけない、あるいは存続できないというような場合は、いま申し上げたようなこともあわせ考え、できるだけ労働者の方に一生の場として過ごしていただけるような石炭鉱業に持っていきたいというのが念願でございます。
  83. 大矢正

    大矢正君 いま部長の御答弁の中にもありましたが、鉱業権をすでに抹消してしまったもの、あるいは事業団が保有している鉱区等いろいろありますが、日本の石炭の埋蔵量あるいは可採炭量、あるいはもっとさらに具体的に言うと、ある一定の水準における経済炭量といいますか、経済可採炭量といいましょうか、そういうものは量的にはずいぶんあるように見えるんですけれども、実際はすでに消滅された鉱区であるとか、あるいは事業団が保有しておる鉱区であるとかという部分が相当数ありまして、ほんとうに新しい、いままで手をかけていない地帯の埋蔵量というものは、あるいは可採炭量というものは、衆議院でいろいろ言われておりますが、あんなにべらぼうな量があるとは思われませんね、私は率直に言って、  となりますと、やはりいま部長が言われたとおりに、過去において放棄をした鉱区なり炭鉱といったほうが正確かもわかりませんが、そういうものを再開発をするかしないかということも、資源の有効利用という立場からいきますると、やはりかなり重要な点にはなるのじゃないかという感じがしますがね。そこで、再開発というようなことは、一私企業でなかなかできる内容のものではないという感じがいたします。たとえば衆議院なんかでも取り上げられましたが、かつての住友の奔別炭鉱を再開発してはどうかというような御意見があります。北海道の炭鉱に関心の深い、あるいはまた学識のある北大の先生方も奔別あたりを再開発してはどうかという御意見を盛んに述べておられます。私は全くそのとおりだと思うのであります。  ただ問題は、それを私企業にまかすということになりますると、これはたいへんに金がかかる問題だし、また、ある意味ではリスクのある内容でもありますから、やはり、公的な機関が介入をするということを考えないわけにはいかないわけですね。これは全く私のかってな発想なんですが、たとえばこういうことはできないものでしょうか。いまある法律を全部変えてしまえなどということを申し上げても、これは通る話じゃございませんから、いまの合理化法という一つ石炭政策の基本となる法律の若干の修正の限度において、何らかいま言った内容を達成するということになりますれば、石炭合理化事業団に出資をするような一つの任務を与える、あるいはそういうものを法律あるいは定款で規定をして、そうして再開発をするようなところは、合理化事業団の主体的な指導のもとにやるようなことを考えられないものだろうかどうだろうかと。それはいま申し上げましたとおりに、私企業としてやるということは非常に困難性があるということと、いま一つは、これがある程度事業団のような政府関係機関がそこに参加をしているということになりますると、働く者もある程度安心をしてそこに集まってくるという可能性も生まれてまいりますし、そういう点から、これは全く私のかってな発想なんですが、考える余地はないものだろうかというのが私の質問要旨なんです。
  84. 高木俊介

    政府委員高木俊介君) まず、炭量の点でございますけれども、確かに、三十二年の通産省の調べによりますと、二百二億トン、あるいは実収炭量で三十二億トンというような数字が出ておりますけれども、これは、私どもが四十六年度末に補助政策のために試算いたしました現有鉱の炭量としましては、当時生きている山だけでございますけれども、五億九千万トン、これは当時の平均コストが四千五百円でございましたので、九千円までで掘れる炭量は幾らであるのかというようなことで、五億九千万トンというような数字が出たわけでございます。その後、数鉱山の閉山がございますので、現在としては五億九千万よりある程度量が減りまして、五億六千万というような数字になっているのではなかろうかと思いますけれども、当時は、いま申し上げましたように、九千円ということをベースにしておりましたので、もう一ぺんこれを計算し直さすということで、現有鉱については企業お願いしておりますし、消滅鉱区には、先ほど申し上げましたように事業団を通じて一応八千円、一万円、一万五千円、二万円というような前提を置きまして、それで掘れる炭量は幾らあるかというようなことを計算さしているわけでございます。そういたしますと、おそらく五億九千万、あるいは五億六千万のこの数字というものは、もう少し量的にもふえてくるのではなかろうかというふうに期待しております。こういうもののいわゆる現有鉱、あるいは、別途いま計算さしております事業団の消滅鉱区の炭量でございますけれども、これの再開発、いわゆる先ほどお話に出ておりました奔別炭鉱の炭量も、六十二億トンの中に入っておる炭量でございまして、これが再開発できるかどうかという一つの問題があろうと思います。  一つは、保安上の問題が相当大きな問題になるのではなかろうか。それからもう一つは、たとえどこでやるにいたしましても、あまりにも高いコストで掘るということは、これは慎まなくちゃならぬのじゃなかろうかと思います。ある程度のコストで掘れるということであるならば、当然これは再開発ということになってくると思いますけれども、いまその点も、保安上の問題、あるいは経済的な問題ということも一緒にいたしまして、事業団のほうで検討してもらっているわけでございますけれども、かりにこの山が掘れるとした場合、じゃ、事業主体はどこでやるかということが次の問題になってくるのではなかろうかと思います。この場合、きのうも海外原料炭の社長のほうからいろいろ御要望もございましたけれども、何かこういう再開発については、いわゆる国の機関でやるべきではないかというようなことでございますので、一応、先ほどからお話しいたしますように、今後の再開発につきましては、合理化事業団のそういうデータをベースにいたしまして、審議会の場で十分検討していただいて、どういう機関で掘るかをきめたいというふうに考えております。  なお、私先ほど申し上げましたように、できるならば統一した、統一ある組織のもとでということで掘りたいというふうに考えておりますので、できるならばそういうような法人組織とか、何か事業団とかいうような別途のものを考えたらいいんじゃなかろうかという気がいたしております。ただ、いま直ちにこれを、掘れるからという結論がかりに数カ月後に出まして、じゃ、すぐ着手できるかということになりますと、御指摘のように、法律改正の問題も出てまいります。これは、現在も鉱区調整という制度で一部隣の鉱区を調整してやって、現在稼行している山へ鉱区を譲るというような方法はございますけれども、全然離れたところで、ひとりぽつんと消滅した鉱区の再開発というものは、これは法律的にも合理化法を改正していただかなければならぬ問題じゃなかろうかと思います。いまそれに直ちに開発事業団から出資をするとかというようなことは、ちょっと考えられないのじゃなかろうかと思いますけれども、もう少しその点も研究さしていただきたいというふうに考えます。
  85. 大矢正

    大矢正君 時間も来たようでございますから、最後に、大臣への質問はもうできない状態にありますので、政務次官に、この際強く要請を申し上げておきたいと思うのですが、この石炭問題というのは、昭和三十七年ごろから始まりまして、かなり長期間にわたって、政府と私どもとの間でいろいろと議論をされてきた内容のものであります。何か一つやれば、それで石炭産業というものが生き残れて、石炭産業に与えられた役割りというものを果たせるというものでもないので、非常に広範多岐にわたった施策を必要とするものであることは御存じのとおりだと思います。  特に、こういう物価高騰のさなかにありまして、非常に矛盾することは、炭価を上げるなり、国民の税金を大幅に使うなりしなければ石炭産業は残っていけないと。しかし、それをやれば、これまた他の物価の高騰に影響したり、まあ財政上問題が出るというように、相矛盾する内容も結局あるわけですね。しかし、問題は、唯一の国内エネルギー資源を、いかに今後有効、かつ量的にも多く利用するかということに最大のひとつ焦点を当てられて、石炭政策の樹立に取り組んでいただきたいということを強く希望いたしまして、私質問を終わりたいと思います。
  86. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 先生仰せのとおり、広範多岐にわたっておりますことでもございますし、矛盾する要素がこれにからんでおりますので、今後、審議会等にまかせるということではなく、事務当局といたしましても真剣に取り組んでいくべき問題であると、先ほどの各委員からの御質問等を聞きながら、つくづくそれを感じておる次第でございます。早急に事務当局を叱咤いたしまして、対策を立てていきたいと、かく念じておる次第でございます。
  87. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 本案の審査は、一応この程度にとどめておきます。     —————————————
  88. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、計量法の一部を改正する法律案議題といたします。  前回に引続き質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  89. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 最初に、新しく設けられました七十条の二、「(法定計量単位による販売)」という条文があるわけですが、その中に「その商品を販売するように努めなければならない。」という文言がありまして、これは一昨日の審議の過程で、局長のほうから、訓示規定である、将来はこの訓示規定を義務規定としたいけれども、まあ現状においては段階的にやっていかざるを得ない、そうして、最終的には目標として、全面的に義務規定に移行したいのだという御答弁があったように私聞いております。どうして消費者側の立場に立った場合に、一挙にやれないのか、たしか先刻の局長のお話の中には、現実の問題として、計量単位による販売の普及状況がいまひとつであるというようなことが理由であるというふうにおっしゃっておられたと思うんだけど、現状そのようにあいまいもことしたものであるか。であればなおのこと、訓示規定ということで段階的に推移するよりも、思い切って法の面から一挙にこれをやっていくというのも、一つの方策じゃないかというふうに考えられるわけなんだけど、この辺について、まず最初にお聞きしたいと思います。
  90. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 前回もお答え申し上げましたとおり、計量行政審議会消費生活専門部会におきましても、そういった即刻に義務づけるという意見があったのでございますが、現実の取り引きの実態に即して考えてみますと、たとえば生鮮食料品などは非常に品質にばらつきがございまして、同時に、鮮度が刻々変わっていくという激しい変化がございますので、量目だけで販売する状況にないという現状を前回もたしか御説明いたしましたが、そういった状況にございますので、暫時そういう方向に向かって義務づけていきたいとは思っておりますが、現状におきましては、そういったことから始めていきたいというように考えておる次第でございます。
  91. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 七十五条の2の場合、「その正味量を計らなければならない。」このことは、これは義務規定ですか。義務づけですか。
  92. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) 先生がいまおっしゃいましたのは、今度の法改正の七十五条の一項のことでございましょうか。
  93. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 はい。
  94. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) この「七十五条の第一項中「法定計量単位による長さ、質量又は体積により」を「政令で定める」」という、この一項のことでございますか。
  95. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 はい。
  96. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) これは先生御指摘のように、これを改正案に従いまして読ませていただきますと、「政令で定める商品を販売する者は、その商品を容器に入れ、又は包装して、その容器若しくは包装又はこれらに付した封紙を破棄しなければその商品の長さ、質量又は体積を増加し、又は減少することができないようにするときは、その容器又は包装に、政令で定めるところにより、法定計量単位によるその商品の長さ、質量又は体積を表記しなければならない。」という規定になっておりまして、密封包装商品であって、政令でその商品が定められた場合には、内容量を表記し方ければならないということになっております。
  97. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これは義務規定ですね。
  98. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) 義務規定でございます。
  99. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) ただいまの七十条の二のほうはいわゆる訓示規定でございますけれども、ただいま御指摘の七十五条のほうは義務規定でございまして、いわゆる包装して、密封して売る商品につきまして、その商品の中で政令で指定しましたものにつきましては、今後は必ず中身の内容量を表記しなければ売ってはいけないと、こういう義務が課せられることに改正をいたしたわけでございます。
  100. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 2のほうは訓示規定ですね、七十五条の。これも義務ですか。七十五条の2、「政令で定める誤差を超えないように、その正味量を計らなければならない。」。
  101. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) これも義務規定でございます。
  102. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 義務規定ですか。
  103. 姫野瑛一

    説明員(姫野瑛一君) 義務規定です。
  104. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 はい、わかりました。  先ほど政務次官お答えになったように、これは一昨日の審議のおりにも出ておった問題ですが、審議会のおりにもそういった意見があったということでございますから、なるべくできるだけ早い段階に、義務規定の方向へ進んでいただきたいということを要望しておきたいと思います。  その次に、このたびの法改正によって設けられた、この対照条文の九ページですね。百二十三条第二号ですね。「濃度、騒音レベルその他の物象の状態の量で政令で定めるものの計量証明の事業」の対象となる公害測定分析業者、これも一昨日の審議の過程で大体三百ぐらいあるということでございましたが、通産省の計量課では、そのうち百八十業者については技術者、仕事の内容、所有している機器、資本力などからその内容をよく調べておるということでございますが、それ以外の百二十社の業者については、通産省としては、調査済みの百八十社と同じように今後調査していかれるおつもりかどうか、それをまずお聞きしたいと思います。
  105. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 昨年、私ども実態調査をいたしましたときには、回答がございましたのが百七、八十社でございましたが、いろいろな面から聞き合わしておりますところでは、大体三百ないし四百ぐらいの分析業者がおるように推定されますけれども、正確にはその実態がまだ把握されておりません。私どもとしましては、至急にこの実情を調査したいと考えておりまして、今回法律が成立いたしますと、この濃度等の計量証明事業者の登録基準等をつくらなければなりませんので、全事業者につきまして再度実態調査をいたしたいというふうに考えておりまして、その実態調査のための予算も四十九年度予算に計上されております。この法律は、大体交付のあと一年以内に施行することになっておりますので、この法律の施行までの間に再度実態調査をいたしたいと考えております。
  106. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 これはどうでしょうね。一年以内に施行するので、その間に残るところの実態調査をしたいということですが、正直に言って、この残っておるところがむしろ問題のあるところで、私らの聞き及んでいる範囲では、マイクロバスに機器を載せて、最近の御時世でございますから、ことばは悪いけれども、中小工場を走って業務を営んでおるというようなところがあるやに聞いておるのだけど、どうでしょうね、正直に申し上げて、この残っておるところこそ、先ほど言った三つの条件などに照らして問題があるというふうには把握しておられませんか。
  107. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) アンケート調査に回答のなかったような業者のほうが、おそらく先生の御指摘のように零細でございまして、設備の面なり、あるいは従事しております技術者の数なり、そういった面で、調査に応じまして回答の参りました業者よりも実質的に零細なものが多いのではないかと考えます。したがいまして、なるべく早く実態調査をいたしまして、こういう方たちにつきましては、いろいろ育成指導をいたしまして、登録基準に早く合致できるようになるように育成をしてまいりたいというふうに考えております。
  108. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 この計量機器、それから事業所、計量士という三つの登録要件を備えておる事業者が、全部をかりに四百とするなら、およそ二百二、三十社がまだ未調査、そしてしかも零細ということになるわけだけど、大体どれぐらい該当するというふうに判断しておられるか。
  109. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) これからどういった登録基準をつくりますか、法律の施行までにいろいろ関係方面の御意見も伺いまして、その細目を固めてまいりたいと考えております。したがいまして、この登録基準もまだ確定を見ておりませんが、いまお話しの、現に零細なる証明事業を営んでおる方々がどの程度登録が可能で、あと基準に合致しないものがおるか、再度実態調査をいたしませんと、現状でちょっとはっきりしたことが申し上げられませんけれども、ただ、この法律の附則によりまして一年間だけ、この法律の施行後も一年間は、従来からその事業を継続してやっております場合にはそのまま事業を営むことができるという規定を設けておりますので、さしあたって登録が受けられないとすぐ廃業しなければならない、こういうことにはならないかと存じます。その経過規定の間におきましてさらに設備を充実していただき、適切な技術者をかかえていただきまして、登録基準に合致するようになってほしいと、こういうふうに期待をいたしておるわけでございます。
  110. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 把握しておられなければやむを得ないわけですが、まあ、おそらく適格な要件を備えておるところは非常に少ないであろうというふうに想像されるわけですが、この有害物質の濃度、騒音などの公害測定の分析というのは、国民の生活に直接関係するものですから、本来この種のものについては、公共的な機関で行なっていくほうがいいと思うわけなんだけど、現状では民間に依存せざるを得ない。これもまた事実であろうというふうに思います。そこで、当面民間でやっておらうわけですが、民間でやってもらうからには、公害というものが国民の生活に直接関係するというような重要性にかんがみて、このチェック体制というものをきびしくやらなければならない。一昨日の審議竹田さんの質問に対して、現状では、このクロスチェックというものは費用がかかってやれないというふうに御答弁なさっておられたように聞き及んでおるんですが、すべての測定分析とまではいかなくても、複雑な分析あるいは高度な結果を要する大規模なものなどについては、クロスチェックをやっていかなければむしろいけないんじゃないだろうかというふうに考えるわけです。前回の審議を踏まえた上で再度お尋ねするわけですが、どのように局長はお考えになっておるか、お聞かせいただきたいと思います。
  111. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) この問題を考えます場合に、依頼者が分析業者に頼む場合に、どういう分析業者に頼めば正確な測定結果が得られるかという場合の、その測定結果の信頼性を確認する意味でクロスチェックを行なうという問題と、それから、この計量法によりまして、業としてこういった濃度等の計量証明を行なう人の監督のためにその信頼性をチェックをする問題と、二種類内容があろうかと存じます。それで、一般的に依頼をします場合に、それが非常に信頼が持てるかどうかという場合に、若干疑問等があります場合には、クロスチェックをするということは有効であろうと存じますが、特に非常に複雑、高度で大規模な測定分析をやるというような場合には、依頼者としてはその測定結果が非常に正確性を期すという場合に、同時に同じ資料につきまして二カ所に委託をして、クロスチェックと申しますか、同じ資料の二カ所での分析結果をつき合わしてみる、こういうことは望ましいことではなかろうかと存じます。もちろん費用はかかりますけれども。  それから、この法律の施行に伴う監督体制としてのいわゆる濃度等の計量証明事業者の監督のためのチェックの方法としましては、たとえば標準資料、つまり、濃度等がすでにわかっております資料を業者に与えまして分析をさせて、その数値がすでに取り締まり側でわかっておりました数値と合致するかどうかと、こういう方法を使いましてチェックすることは、分析業者の信頼性を確認するために一つの有効な手段であろうと考えておりまして、取り締まりの一環として、そういう方法の活用につきましても検討してまいりたいと考えております。
  112. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 現在、この国立の公害分析を行なう、業とする機関が全然ないということですが、環境庁の直属機関として三月十五日から発足した国立公害研究所、この国立公害研究所の任務についてですが、これを単なる研究というだけじゃなくて、分析実務もやれるように拡充強化していくという方向はあるのかどうか。それはいま御質問申し上げたように、小さな分析を業としておる業者のようなかっこうじゃないけれども、精度を要するもの、非常に大規模なもの、あるいは監督、あるいは指導、信頼性というようなものも、総合的に勘案して、そういった内容をある程度実務としてやっていくような方向性はとれないものか、ちょっとお聞きしたいと思う。
  113. 津澤健一

    説明員津澤健一君) 国立公害研究所は、このほど発足したわけでございますが、この組織の一つといたしまして、計測技術部というのを設けております。この計測技術部におきましては、環境汚染物質の測定技術の比較検討でございますとか、あるいは改良、開発というようなことにつきまして、環境汚染を適正に評価いたしますための計測技術の研究を進めることといたしておりますが、このほか、ただいま先生御指摘のような高度の技術を必要とするようなそういう分析測定の実務も手がけることといたしております。  それから、なお同時に、この研究は御案内のように、地方公共団体あるいは民間機関の行ないます日常の分析測定といった業務に対する技術面の指導的な役割りも果たすことになると考えておりまして、これらの団体あるいは機関に対しまする具体的な助言、あるいは制度管理の指導、技術面の訓練、こういったことを通じまして、計測分析業務全般の信頼性の確保に資するようにつとめるつもりでございます。
  114. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 いまのお答えですと、計測技術部というものを設置して環境汚染物質の測定、計測分析の研究をやることが主たる業務である、同時に分析測定の実務もやるということですが、この場合、この国の研究所の実務に対する依頼者はどこになりますか。
  115. 津澤健一

    説明員津澤健一君) 行政機関からの依頼が中心だと思います。
  116. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 もちろんこれは営利事業じゃないわけですから、一般の、これを業とするものの機関と混同してはならないと思うけど、公共機関以外のところからの依頼はやっぱり受け付けないわけですか。
  117. 津澤健一

    説明員津澤健一君) ただいまの事柄でございますが、非常にむずかしい問題が発生しまして、それに対する分析測定が問題になるというような事案につきましては、たとえば行政機関の測定、あるいはそれ以外の測定に対する評価をいたさなければならないというような場合には、そういった需要に対してもこたえることがあり得るかと考えます。
  118. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 別な質問に入りますが、日本分析化学研究所の分析技術者は、自分の分析結果についても全く知らされていなかったということですが、これはどういうことか私にもわからないんですが、一応分析者たるものは分析結果をやはり自分が熟知し、把握しておらなければ分析したことにならないわけなんだけど、まあそのように聞いておるわけです。やっぱり設備と人材をそろえるだけでなくて、技術者の分析に対する自主性というものも尊重するような執務体制が必要だと思いますが、通産省としては分析技術者の執務体制についてどのように把握しておるか。私は、聞いた話だから真偽のほうはまだ不確かですが、日本分析化学研究所あたりで、分析技術者が自分の分析結果も知らされていなかったというのはどういったことなのか、わかっておれば聞かせてもらいたいと思います。
  119. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 分析結果の信頼性を高めてまいりますには、分析に用います計器の性能を向上すること、それから測定の方法につきまして極力技術化を進めることと並びまして、担当する技術者の資質の向上と分析結果に対する責任意識の高揚ということが大切であろうと存じます。そのために、今回の改正法におきましては、仮称でございますけれども、濃度計量士という制度を設けまして、国家試験をして資格を与えるというようなことをいたしておるわけでございますが、同時に、濃度等の計量証明事業者につきまして、今回新しく事業規程というものをつくらせて、監督をする知事に提出させる義務を課しております。この事業規程の中におきましては、責任者である技術者の選任と、それから分析の実施体制の明確化、こういったことをこまかく書かせることにしておりまして、結局その事業者の組織等こまかく書かせまして、責任体制を明確にいたしたいというふうに考えております。  なお、日本分析化学研究所の内容につきましては、私、詳しい事情を承知いたしておりません。
  120. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 公害計測士の国家試験の問題について、一昨日の審議のおりに、たしか一番最後に局長が何か訂正されたようにちょっと聞いたんですが、その国家試験の実施時期についてはっきりしておいていただきたいと思います。あれは最初竹田委員質問に答えたので最後にちょっと討正なさったんですか。一番最後で聞き取れないし、わからなかったんですが。
  121. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 従来の一般計量士の国家試験は、毎年三月末に実施をいたしております。で、今回新たに追加をいたしますいわゆる濃度関係の計量士でございますけれども、この国家試験につきましては、四十九年度に別途予算措置が講じられておりますので、しかも、この国家試験が行なわれまして濃度計量士が誕生することが、計量証明事業者を登録する場合の登録要件と申しますか、前提になりますので、なるべく早く国家試験は実施をいたしたいというふうに実は考えておりまして、できれば四十九年度中に実施をいたしたいというふうに考えております。そのために、ほかの実施手続が間に合いませんときには、この試験関係の規程だけでも早く施行いたしまして、試験は年度内に実施をいたしたい、こういうふうに考えております。
  122. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 定期検査についてですけど、毎年一回行なうのが市の区域ということになっておるわけですね。そして、町村の区域については三年に一回、こういうことになっておりますが、この定期検査の市と町村との差というのは、機器の使用頻度などによることで判定されておるんだと思いますけれども、いまのような時世で、市と町村の区域を三年に一回、一年に一回というふうに区別することはナンセンスだと思うのですが、どうでしょう。
  123. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 確かに御指摘のように、従来、町村部では三年に一回、市部は一年に一回定期検査を行なっておりますが、こういうふうに区別をいたしました理由は、その計量器の使われます頻度が、各町村部の場合には低いというふうな実情に基づいてこのように分けておったわけでございますが、いま御指摘ございましたように、だんだん流通が近代化いたしましたり、地域開発が進みまして、市部と町村部のそういった面での区別がだんだん少なくなってまいっておるように私ども考えます。で、計量行政審議会におきまして、特にこの定期検査等のあり方につきまして、現在、審議中でございますので、ただいま御指摘の点も、検討項目の一つとして現在取り上げております。至急に検討いたしまして、この次の計量行政審議会答申の中にその点は意見を盛り込んでいただきたいというふうに、私どもも計量行政審議会のほうにお願いをしておるところでございます。
  124. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 この特定工場における公害防止組織の整備に関する法律に規定されている公害防止の統括者、あるいは管理者、主任管理者と、今度この法律によって選ばれる公害計測士との関係、これはどういうふうなことになるか。まあ国家試験——現在の監督者、統括者、それからもちろん管理者、主任管理者も国家試験によって選ばれるわけなんだけど、この両者の関係をどういうふうに見られるか、お聞かせいただきたいと思います。
  125. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 計量法に基づきます計量士、今回の濃度計量士は、濃度の計量管理を主たる業務とするものでございます。で、濃度計といった計量器の整備でございますとか、計量の方法の改善、計量の適正化と、こういったことを主たる業務といたしております。で、一方、公害防止管理者でございますけれども、これは、いかに公害防止を効率よく進めるかということを主体といたしておりまして、そのために、たとえばどういう燃料を使えば亜硫酸ガスなりその他のばいじんなり等が減少して、この大気汚染防止法に合致するかとか、あるいは工場の設備を動かします際に、公害防止施設等の運転の管理、点検、緊急時等におきます必要な措置をとるとか、こういったいわゆる公害防止のための管理を主たる仕事とするものでございます。  で、たとえば国家試験でも、濃度計量士の場合には計量に関する知識、技能につきまして試験を行なうわけでございますが、公害防止管理者のほうは公害の処理技術でございますとか、公害法令、公害防止技術、こういった面についての知識なり技術を試験をいたしておりまして、目的とするところ、その所掌する事務の内容がお互いに異なっております。したがいまして、たとえば、公害防止管理者の国家試験合格者に計量士としての試験の資格を与えるといったようなことは、ちょっとこの仕事の内容が違いますので、別々の制度であろうかというふうに考えております。
  126. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 はい、わかりました。  この公害の計量証明事業に対する監視というのを、ほとんど地方自治体にゆだねるわけですが、現在、何でもこの計量研究所で一年間再教育をしておる、非常に手薄であるために、結局はしろうとの職員にも監視をやってもらわなければいけないということを答えておられましたが、先ほど申し上げた環境庁の公害研究所、ここらがその仕事を代替するというようなこと、まあ代替するということは何だけど、当然、研究所がお手伝いをするというようなことになるんじゃないだろうかと思うんだけど、その辺はどうなるんですか、違うんですか、それは……。
  127. 津澤健一

    説明員津澤健一君) 実は環境庁では、お話の公害研究所のほかに、公害の研修所というのを設けておりまして、ここでは、都道府県の職員等を対象といたしました一般的な技術研修を行ないますが、そういったものの中で取り上げてまいるのが適当かと考えております。
  128. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 計量関係の取り締まり行政は、県なり特定の市——七十九の特定市と、それから府県にお願いをしてやっていただいておりますが、その関係の取り締まり職員が、市の分も合わせまして現在千四百人おります。ただ、今回の公害関係の計量証明事業者の監督というものは、新たな仕事でございますが、それに即応いたしまして、府県の職員の再教育を現在始めておりまして、四十八年度に七十四名研修を受けさせまして、公害計測特別教習というものを計量教習所で行ないました。で、今年度、四十九年度は大体八十名ぐらいを研修をいたす予定にいたしております。そのほかに公害計測コースという長期のコースも設けまして、こっちのほうはまだ人数が確定を見ておりませんけれども、並行してまたそういった教習を行なうことにいたしております。  それから、この公害のための特別のコースでございまする、一般の計量教習所におきます府県職員の講習におきましても、今後教育科目に公害計測関係を加えまして、そういった面を充実してまいりたいというふうに思っております。
  129. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 現在千四百名ですか、いまおっしゃったのは……。
  130. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) さようでございます。
  131. 藤井恒男

    ○藤井恒男君 次官に、最後お願いいたしますが、冒頭に申し上げたこの訓示規定について、先ほど次官も局長もおっしゃっておられましたが、今後、これをできるだけ早く義務規定の方向へ持ち込んでいきたいということでございますので、私もそのおことばを信じておりますので、なるべく早く義務規定のほうへ移行するせっかくの御努力をいただきたいと思います。  以上のことをお願いして、私の質問を終わります。
  132. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 きょう私は、この法案をよく審議している中で、その法案の重大性を強く感じるようになったわけです。それで、先ほど科学技術庁関係の方も出席をしてもらうように頼んだんですか、見えていますか——もうちょっと——それじゃ、それはあと回しにいたします。  それで環境庁の方と、それから通産省の方にと思うんです。  この計量士という問題が、これができて、それを各五段階ですか、何段階かにするというふうになっていますね。こういうふうに、今度の法案で計量士というものが非常に重大視されてきておると思うんですが、その計量士の責任とそれから権限ですね、それから、その計量士がその目的を忠実に履行しなかった場合、その場合に対する罰則の規定があるのかどうかという点、まずそれを一つ伺っておきたいと思うんです。
  133. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 計量士は、適正な計量管理を行なうということを主たる目的として、この計量法によりまして資格を与えておるものでございますが、計量士の主たる仕事といたしましては、たとえば非常に計量器をよけい使います企業の中におりまして、その企業で使っております計量器の管理をする、その場合に、計量士がおりますと、普通は計量器を使っております事業場での計量器につきまして、毎年一回定期検査を受けなければならないことになっておりますけれども計量士が府県なり市なりの定期検査を代行してかわりに定期検査をすることができることになっております。  それからもう一つは、第三者に対して計量証明を業としてする者、これを計量証明事業者と申しまして、府県知事のもとに登録制をしいて、知事が監督をいたしておりますけれども、それの登録要件といたしまして、計量士がいるか、あるいは計量士に準ずるような知識経験を有する者がその事業の中におる場合でないと、計量証明事業者としての登録が受けられないと、こういうことになっております。  それからもう一つは、独立計量士と申しますか、業として、一般に計量証明に使われております、たとえばお店屋さん等の計量器につきまして、これも市部では年に一回、地方、郡部ですと三年に一回、定期検査を受けなきゃならぬことになっておりますけれども、これも計量士が代行検査をすることができることになっております。それで、計量士が代行検査をいたしますと、県なり市の検査を受けなくていいと、こういうふうな、つまり公共機関、国の委任事務としての府県の取り締まりの代行を計量士がする、こういった仕事に従事する計量士もおります。そういうふうな仕事を大体計量士は現在営んでおります。  で、これがいいかげんな検査をしたといったような場合には、計量士の資格を剥脱をすると、こういうことになると存じます。計量士の登録を取り消すという罰則がございます。
  134. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、権限は相当私は持つものだと思うんですね、今度のこれで。ところが、その責任を十分に果たせなかったときに、その登録を取り消すということだけで、これは濃度とかいろいろなものをはかるということになるでしょう、計量士が。これはやはり人命とも非常に深い関係のある問題ですからね。公害、それをあとから私は科学技術庁の方に来てもらって、質問をしようと思うのですが、先日、日本分析科学研究所核種分析の問題が衆議院で、でたらめをやったということで問題になったというのは御存じだと思うのです。それとこれとの関係ですね、計量士のそういう問題との関係ですね。そこらを私はもう少し詳しく聞いておかないといけないと思って、いまその点で質問をしたのですが、どうなんですかそこら。
  135. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) この日本分析化学研究所は、こういった分析事業者としては、従来日本でも一番大きな事業者でございました。放射能の分析のほかに、水銀の分析でございますとか、PCBの分析とかいったようないろいろ濃度関係の分析も、依頼を受けてやっておったわけでございます。今回、本法が改正になりましてこのことが施行になりますと、今度はこういった関係は、計量証明事業者として登録を受けないと、濃度等の分析を業としてすることができなくなりますので、本法施行後は、かりに分析化学研究所が今後もそういう仕事を継続するといたしますと、これは法律に基づく計量証明事業者としてその法人が事業者として登録を受けなければならないということになります。その場合に、そこの従業員の中に適当な計量士が、国家試験を受けました濃度計量士がおることが登録の要件ということになるわけであります。したがいまして、なるべく四十九年度中に国家試験を行ないまして、濃度計量士というものを誕生させたいというふうに思っております。
  136. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そこで、やはりこれも品物、商品では、七十条の二の関係で、正味を明らかにしなきゃならないというような点がありますね。それはその品物の正味を多少一グラム、二グラム間違えることは、これは生命に関しないことです。しかし、いまのような立場の計量士が将来分析化学のようなこと、核種濃度まで計量するというようなことになったときに、それがあいまいなことをやったときに、ただ資格を剥奪するというようなことでは、私は済まされないのだと思うのですよ。こういう重要な問題がこの法案の中にあるということを、検討する中で私は見出したわけなんですよ。だから委員長、こういう問題になると、もっと時間をかけてほんとうは究明しなきゃならない問題だと思いますよ。きょう法案がやがて採決になろうかというようなときに、私がこういうことを言い出すと、皆さんはおかしいと、これは困るというようなことを考えられるかもわからぬけれども、そういう重大な問題があるということを私も最近気がついた。  実は、そこでこの問題を私は出すのですが、計量士の資格というものはもっと厳重にして、それから責任をもっと重要に考えて、そのためにああいう問題が再び起こらぬためには、やはり罰則というものも考えていかなきゃいけない点があるのじゃないかと思うのですよ。そうでなかったら、この間の、人間の生命に関係のある核種の分析やそんなものまでいいかげんな報告で済まされるというふうなことでは、私は困ると思うのですよ。そういう点は、これは科学技術庁の方が来ないと最後の詰めはできないと思いますけれども、通産省は、そんなずさんな考え方でいいとお考えになるのですか。そこはどういうふうにお考えになっていらっしゃるのですか。
  137. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 測定をいたしました計量士が、非常におかしな測定をしました場合には、計量士の資格を剥奪するということになるわけですが、その仕事を請け負ったのは分析化学研究所という法人、財団法人でございますね。この法律の適用からまいりますと、その法人が計量証明事業者としての登録を受けるわけでございますので、その事業者として違法な行為がありますれば、その事業者としての登録も取り消すことになろうかと存じます。
  138. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 事業者の登録を取り消す、しかし、それの罰則は、取り消すというだけの罰則ですか。
  139. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 取り消しますと、その事業を営めなくなるわけでございます。
  140. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それは当然のことですよ。事業ができなくなるというようなことで一人命を預かるような重大な問題が、そんな程度のことで済まされていいかどうかということ。そんなことじゃ済まされませんよ。それはやはり刑事罰まで含んだ問題をやらないとはっきりしませんよ。
  141. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 計量法におきましては、正確な計量義務に違反してそういったことがございました場合には、計量士であれば計量士の資格の剥奪、それから、計量証明事業者であれば事業者としての登録の取り消し、こういうことになりますが、別途いろいろ公害の取り締まり法規がございまして、それぞれの法規に応じまして測定義務を課しているわけでございますね。たとえば大気汚染防止法あるいは水質汚濁防止法におきまして、工場でございますと、それぞれの工場に排水の水質を測定する義務を負わしております。そこが虚偽の報告をかりにいたしたといたしますと、その虚偽の報告をした事業者には、そっちのほうの公害取り締まり法規の違反として、罰金なりその他の刑罰としての罰則の適用があろうかと存じます。
  142. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その法律はちゃんとあることは私も知っています。そうするならば、先日の日本分析化学研究所のあのようなでたらめな報告をした人間は、公害取り締まりのその法律対象になって、やはり罰則を受けるということなのですか。どうなんですか、はっきりしておいてくださいよ。
  143. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) この何でございますね。委託者が国あるいは府県でございましたので、たとえが水質の分析なりPCB水銀の分析といったようなことを、国なり自治体が依頼をしたものを、これは誤った結果が出たのかどうか私は存じませんが、誤った結果が出ているといたしますと、依頼者である国なり自治体は、これは処罰の対象にはならないわけでございます。したがって、その面は委託を受けた方との間の民事上の、契約を満足に履行していなかったということでの損害賠償等の問題になろうかと思いますけれども、公法上の罰則は、その限りにおいては、国なり自治体が依頼したもののおかしな結果が出たということでかりにありますれば、その受託をして分析をした人に公害法規上の罰則はかぶってまいらないと存じます。
  144. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると……
  145. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 須藤君に申し上げます。  科学技術庁から参りましたから、その問題をどうぞ。
  146. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 科学技術庁の生田さん、いま計量法法案の中で、私はこれをずっと検討していく中で、この法案には非常に重大な問題が含まれているということを感じたわけです。ここで計量士が何段階かに分かれたですね。計量士という資格を与えることになっているのですね、国家試験で。それがもしも違法なことをした場合ですね、責任を十分果たさなかったときにどうするかという問題をいまやっているわけです。そうすると、例をあげれば、分析化学研究所にもこの計量士の資格をとった人が行くわけですね。いなければできないわけなんですね。そうすると、この間の分析化学研究所の、核種分析をでたらめな報告をした、こういうことが再び起こったときに一体どうするのか、こういうことを私はいま質問したわけです。そうしたら、それは公害法の中に、そういう違反をした者はやはり罰則が設けられている、だからその公害法で罰則を適用する、こういう答弁なのです、通産省答弁が。それじゃこの間やった日本分析化学研究所の人たちは、公害法によって、罰則の適用によってどういうふうになるんだと、こういう質問をいましたところなんです。科学技術庁としては、その点どういうふうに考えていらっしゃいますか。
  147. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) ただいま先生がお尋ねの点でございますけれども、放射能分析に携わっております技術者、たとえばいま御指摘がございましたような分析化学研究所の従業員でございますが、それが計量士の資格を持っていなければいけないということではないというように理解しております。  それからもう一つは、今回起きましたような不祥事件の場合に適用されます罰則でございます仕れども、特に、ただいま公害関係法というようか御指摘がございましたけれども、それの罰則を適用いたしますということではございませんで、前回もこの委員会で御説明申し上げたところでございますが、現在のところは、警察当局がむしろ刑法の適用があるかないかということで捜査を進めている段階でございます。
  148. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 通産省答弁と全く食い違いですよ、これは。通産省は公害法の適用だと、こう言っているんですよ。科学技術庁は公害法の適用じゃないと、警察庁で刑事的な罰則だと、こう言うんですよ。これ全く違いますよ。こんなことじゃ困るじゃないですか。ちょっと休憩してでもいいですから、そこをはっきりしてくださいよ。そんなばかなことはないですよ。政府の中に意見の違いがあるなどということじゃ、この法案審議できないじゃないですか。おかしいですよ。
  149. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 分析化学研究所が依頼を受けて行ないました分析は、放射能の場合と、それから水質の場合等があったように聞いております。水質ですね、水銀、PCBといったような水の分析といったようなものでございますね。ただ、この場合も、みんな国なり県なりから試料を委託を受けて、国なり県が分析をすべきものを分析をたのまれた、こういうことでございますので、それがおかしな報告をしたという場合は、依頼をした国と依頼を受けた分析協会とのいわゆる民事上の契約の違反の問題で、民事的には損害賠償の問題があろうと存じますし、それから、刑事的には何か詐欺罪になりますか、何になりますか、そういう問題が成立するかどうかの問題があろうかと存ずるわけでございます。  私が公害法規云々と申し上げましたのは、依頼者が民間の事業者であった場合ですね。つまり、公害法規によりまして分析をする義務を負わされている工場、事業場が自分ところの水を分析協会に分析を委託をした、その場合には虚偽の報告をしておれば、その事業者がまず処罰の対象になるわけでございます。依頼をしたほうの事業者が虚偽の報告を国に対してしたと、そしてあとは事業者とその分析協会との民事関係になってくるか、あるいはいまの刑法の問題が適用ございますか、一応第一次的には、公害法規の適用としては、依頼をしたほうの業者が虚偽の報告を国にしたということで処罰の対象になる、こういう関係になるんじゃないかと思います。
  150. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これははなはだそこらの関係ね、いまの科学技術庁の答弁通産省との答弁には非常なニュアンスの違いがあるように思うんですね。私は、この問題をもっと時間をかけて詰めておきたいと思うんですがね、どうですか、よろしいか。
  151. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 須藤君に申し上げます。  きょうは、あとの審議の打ち合わせもありますから、できるだけ聞いてくださいよ。時間は、いまわれわれも聞きますから、ただ時間をかけたって、じっと聞かないでいたんじゃとても解決する問題じゃないので、どんどん聞いてから判断をしてください。
  152. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、私ははっきり確認をしていきますからね。科学技術庁の答弁は、これは、この間のようなことが起こった場合には刑事罰でこれを罰しますと、こうさっきあんた言っていますね。公害法の罰則適用じゃないと、刑事罰だと、こう言っているんですね。間違いありませんか。そこ、はっきり確認してください。
  153. 生田豊朗

    政府委員(生田豊朗君) 先ほど私の御説明が多少説明不足でございましたので、もう少しっけ加えさしていただきますが、私が先ほど申しましたのは、分析研に対しまして科学技術庁が委託いたしました放射能の分析調査につきましては、先ほど申し上げたようなことでございます。先生御承知のように、分析研は、放射能調査のほかに一般の公害の調査も受託しております。これは科学技術庁と直接関係はございませんので、その公害関係につきましては、先ほどの通産省の御説明のとおりだと思います。
  154. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほどの通産省答弁だと、今度のこの法案でいわれておるところの計量士というものですね、計量士は日本分析化学研究所にも必要だということなんですね。そういう答弁があったと私は確認しておるんです。そうですね。
  155. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 本改正法が施行になりまして、そうして日本分析化学研究所が新法施行後、濃度等に関する計量を他から委託を受けて、業として行なう事業を営む場合には、県知事の登録を受けないとそういう事業は営めなくなります。その場合には、登録の要件といたしまして、本法に規定する計量士、または通産省で定める計量士に準ずるような知識経験のある者がそこの事業の中に従事しておることが必要でございます。
  156. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そこで、いつも言う計量士が分析化学研究所に入って、そうして、この間のようなでたらめな報告をしたときには一体どうするかということになるわけですね。計量士の無責任な報告とか、間違いとか、そういうことに対して何ら責任を負わしてないのです、この法案そのものが。だから、その場合にはどういうふうな罰則があるのかと言って私は質問をしたわけですね。権限はあるんだけれども、責任が非常にうやむや。そうすると、免状を取り消すんだと、通産省答弁はこういうだけのことですね。そんな計量士の免状を取り上げられたって、何ら痛痒を感じない場合がある。しかし、それはやっぱりそんなことでおさまらぬ場合が起こってくる。品物の量が少ないとか多かったというようなことは、それはそのくらいの罰則でもいいが……。こんなずさんなことしちゃいかぬですよ。だから、そこをはっきりしなければいかぬ。  大臣も見えたから……。大臣、そこら非常に重大な問題を含んでいるんです、この法案は。私はあらためて検討し直したら、そういう問題があるんですよ、ここに。
  157. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  158. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を始めてください。
  159. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣ね、大臣から責任のある答弁をしておいてほしいんです。いま、そこの法案の中に計量士という問題が非常にクローズアップしてきているわけですね。それで私は、計量士は権限があると同時に、その責任を果たさなかったときには罰則があるのが当然じゃないかと、こう言ったんですよ。そうしたら罰則はないと、間違ったときには登録を取り消すだけだと、こうおっしゃるわけですね。それは、お菓子の分量をはかって、間違いがあって、そういう場合には登録を取り消すぐらいでいいですけれども、この間の日本分析化学研究所の核種分析ですね、ああいうでたらめな報告を、将来この計量士がそういう段階に入って分析をして、そしてああいう間違いをおかしたときには、登録を取り消すぐらいでは済まぬじゃないか、人命に関する問題だからもっと重大な責任を負わすと同時に、その責任を果たさなかったときには、やはりその責任を問うという姿勢が必要だと、こういうことを私申し上げているんです。ところが通産省は、それは公害法で処理しますと、こう言うんです。それで私は科学技術庁に、それじゃ公害法を適用しましたか、公害法でどういう罰則を適用しましたかと言うと、科学技術庁のほうでは、それは刑事罰でございます、公害法ではありませんと、こういうことですね。それじゃ刑事罰でどういう処置をしたのかと、こういうことを私は聞いておるところなんです。それで、どうもその通産省と科学技術庁との考え方に違いがあるわけなんですよ。それでは困るんです、こちらはね。
  160. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 須藤委員のおっしゃることはよくわれわれも理解できます。特に、公害関係等について計量ということが非常に重要な意味を持ってきておりますおりから、いままでの概念だけで計量という問題をとらえる段階ではないように思います。しかし、今回の法律はいままでの概念よりさらに前進をいたしまして、資格を剥奪するという、計量士にとっては致命的な処分をあえてやって戒めようとしておるものであり、また、片方におきましては、そういうことをやらした企業について、公害側の諸般の罰則等の適用があるわけであります。しかし、須藤委員のおっしゃることは、これは真剣に考えるべき要素があると私も考えますので、将来の問題点としてこれは検討いたしてみたいと思います。
  161. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これはやがて衆議院にも、こっちから送られる法案だと思うのです。で、参議院ではいまお聞きのごとく、まあ採決が迫っているからといって非常に委員長がやかましくおっしゃいますから、いまの大臣答弁で、問題があるということを大臣も認めて、将来これは明らかにしなきゃならぬということを大臣はここではっきりおっしゃった。だから、私もこの問題に関する質問はこれで終わっておきますけれども、重大な問題がこの法案の中にあるということ、それだけははっきり認識しておきたいと思います。大臣も認識されたことと思いますが、間違いございませんな。
  162. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) よく認識いたしました。
  163. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、次にもう一問質問。  これは質問と申しますよりも私の意見かもわかりませんが、ここには濃度、騒音という問題が出ていたのですね。そこで、騒音とは一体何だと、騒音の規定を私はこの際しておく必要があると思うのですよ、将来のためにも。どういうふうにお考えになっていますか、騒音とは。
  164. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) 騒音と申しますと、一般的に俗に申しますれば、好ましくない音というものの総称かと存じます。たとえば非常に大きな音でございますとか、音色の不快な音というものが騒音になろうかと存じますが、騒音防止法にいいます公害という意味での騒音につきましては、騒音規制法におきましては、騒音レベルという計量単位を設けましてその大きさをはかりまして、その騒音レベルの単位でいう、これはホンという単位でございますけれども、何ホン以上の音をこういう場所の場合には出してはいけないと、こういうふうな規制をいたしておるわけでございます。
  165. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまの答弁だと、騒音とは何ホンという、それをはかる基準にして、そうしてきめるというと、何ホンというのは音の大小をはかるあれでございましてね、好ましい音かどうかということは、この何ホンでははかり得ないことだと思うんですね。そこで、実際は騒音の中を分析していくと、音の大小、それから音の高低、音の種類、いろいろのものがこの騒音の中には含まれておると思うのですよね。まあ時間が非常に迫っていますから、私は簡単に質問をしていきますがね。音の種類でいくならば、何ホンではかっても、何ホン以下で規定以下の音でも、のこぎりの目立てね、あのような音をしょっちゅう耳のもとでやられたのじゃ、これはとてもやりきれたものでなくなるわけですね。一例にすぎません、こういうものはね。  ところが、そういうものに対する規定というものが騒音の中に何にも含まれてない。今度の騒音はホンではかるのだから、音の大小だけのあれしかない。高低をはかっていないということなんです。しかし、音の高低、種類というものは、私たちの生活に非常に重要な問題があると思うのです。私たちの精神に与えるもの、これも非常に大きいと思うのですよね。だから、飛行機のプロペラやジェットのエンジンの音は決して愉快な音じゃないと思うんですよ。かりにそれが七〇ホン以下のものでも愉快な音じゃないと思うんですけれども、大臣はどうお考えになりますか。七〇ホンだったらけっこうだという御意見でしょうか。そこをだれか責任のある人、答えてください。
  166. 齋藤太一

    政府委員(齋藤太一君) このホンは、周波数を基準といたしまして、音の高低だけでなくて、音の高低と強さを組み合わせて実ははかるような計器になっております。と申しますのは、非常に高い音になりますとまた耳に聞き取りにくくなりまして、そういう意味では、非常に高い音は逆にまたホンが下がるのでございます。そういう意味で、高低だけでございませんで、それに音の強さを組み合わせて、人間の耳に感じる音の大きさという形で騒音計はつくっておりまして、それの大小によって実は規制をいたしております。したがいまして、先生の御指摘のような、非常に不愉快な音とか音色がどうかとかいったようなのは、ほんとうは、もしそれが非常に量的に統一ある基準がつくれまして、しかもそれを計量器にあらわすことが可能であれば、取り締まることも望ましいかと存じますけれども、その音色等の問題は、現在は一つの機械で量的に把握するという形に、そういう計器がまだできておりませんために、そういうものの取り締まりは、いまの音の大きさだけの取り締まりに現在のところは終わっておるわけでございます。
  167. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この間私は新聞を見ておりましたら、ネズミを駆除する問題として、ある商店でネズミが最もいやがる音を、キューという音ですか、シューという音ですか、新聞に出ていました。それを流すと、そんな大きな音でなくてもネズミがいなくなってしまうという記事が出ておりました。こういうふうに、ネズミにはそういう音がとてもたまらない音——人間にもたまらない音があるわけなんですね。それはやっぱり規制をしていく必要があると思うんですね。私は、そういう騒音というものを単に音の大きさだけではかるんじゃなしに、音の質によっても規制をしていく必要がある、そういうことをここで言いたいために、政府の注意を喚起するために、音専門の職業家として私はここへ提案しておるわけなんですね。だから、将来——いまはそれをはかる計器かないんですよ、不愉快な音はどんなものだということを。それは計器はありません。しかし、通産省としてはそこまで考えてやっていく必要があると思うんです。悪臭は、はかる計器はあるんじゃないですか。そうでしょう。それならば、悪臭に類する悪音といいますか、そういうものはやはりはかる計器を開発して、そしてわれわれの生活をより楽しく、より豊富にしていく必要が私はあると思いますので、その点大臣どうお考えになりますか、私の言うことを。私は、人間生活の上でもっともなことを言っておると思っておるんで、そういう面に通産省としてひとつ開発に努力されるということをここで約束していただきたいと、こういうことです。まだまだ問題はありますけれども、もう時間をやかましくおっしゃいますから、ここで質問は打ち切ることにしますが、その点ちょっと大臣、はっきりおっしゃってください。
  168. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 須藤委員はやはり音楽家の御出身ですから、音に非常に鋭敏で、いまのお話を聞きまして、私もそのように感じます。私の家は材木屋をやっておって、製材工場でキリキリキリというソーイングマシンの音は非常に不愉快であると思います。しかし、あるホン以上にならないとそれは聞こえてこない、そういう要素もありますけれども、しかし、音の質というものを無視してはいかぬように私は思います。いま音声学——音声の分析というのがあって、電話で音の指紋みたいなのがわかる時代になっているらしい。で、犯人の追跡をやっていますね、これは東北弁だとか、これは、古河近くの発音はこういう発音だとか。ですから、開発すれば不可能じゃないと思いますが、一つの大事な課題を受け取ったと思いまして、大いに開発に努力いたします。
  169. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、これで終わりましよう。     —————————————
  170. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、大谷藤之助君、川上為治君、及び安田隆明君が委員辞任され、その補欠として寺下岩蔵君、中村禎二君、吉武恵一君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————
  171. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  172. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  計量法の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  173. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  174. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  175. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案を再び議題といたします。  本案に対する質疑は、先刻一応終了しておりますが、他に御質疑はございませんか。——別に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  176. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  電力用炭販売株式会社法等の一部を改正する法律案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  177. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  178. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。   この際、委員長から政府に一言申し上げます。  午前に大矢君からも御発言がありましたように、本案については、本委員会は、石炭委員会における審査を含めて十分な審査を行なう予定でありましたが、本案がいわゆる日切れ法案でありますことを考慮して、はなはだ不本意ながら、便宜、本委員会での本日一日間の審査をもって終わったのであります。  当面のエネルギー問題の重要性にかんがみ、今後、本委員会におきましては、積極的に石炭問題に関する審査または調査を進めてまいりたいと存じておりますので、その際は、大臣及び政府委員委員会に御出席くださるよう御配慮いただくとともに、調査に御協力くださるよう特に要望しておきます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時九分散会      —————・—————