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1974-02-14 第72回国会 参議院 商工委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十四日(木曜日)    午前十時十七分開会     —————————————    委員異動  十二月二十四日     辞任         補欠選任      稲嶺 一郎君     川上 為治君      星野 重次君     矢野  登君  一月二十一日     辞任         補欠選任      栗林 卓司君     藤井 恒男君  一月三十日     辞任         補欠選任      寺下 岩蔵君     小笠 公韶君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 藤井 恒男君     委 員                 植木 光教君                 林田悠紀夫君                 細川 護煕君                 阿具根 登君                 竹田 現照君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君    政府委員        公正取引委員会        委員長      高橋 俊英君        公正取引委員会        事務局長     吉田 文剛君        経済企画政務次        官        竹内 黎一君        経済企画庁長官        官房長      吉瀬 維哉君        経済企画庁長官        官房会計課長   白井 和徳君        経済企画庁長官        官房参事官    有松  晃君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業審議官  森口 八郎君        通商産業大臣官        房長       増田  実君        通商産業大臣官        房審議官     矢野俊比古君        通商産業大臣官        房会計課長    大永 勇作君        通商産業省貿易        局長       濃野  滋君        通商産業省産業        政策局長     小松勇五郎君        通商産業省立地        公害局長     林 信太郎君        通商産業省基礎        産業局長     飯塚 史郎君        通商産業省生活        産業局長     橋本 利一君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君        資源エネルギー        庁石炭部長    高木 俊介君        中小企業庁長官  外山  弘君        中小企業庁次長  小山  実君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    説明員        資源エネルギー        庁石油部精製流        通課長      松村 克之君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○産業貿易及び経済計画等に関する調査  (昭和四十九年度通商産業省基本施策及び石  炭対策基本施策に関する件)  (昭和四十九年度経済企画庁基本施策に関す  る件)  (昭和四十八年度公正取引委員会業務概況に  関する件)  (昭和四十九年度通商産業省関係予算に関する  件)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨年十二月二十四日、稲嶺一郎君及び星野重次君が委員辞任され、その補欠として川上為治君及び矢野登君が選任されました。  また、去る一月二十一日、栗林卓司君が委員辞任され、その補欠として藤井恒男君が選任されました。  また、同月三十日、寺下岩蔵君が委員辞任され、その補欠として小笠公韶君選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 委員異動に伴い、現在、理事に一名の欠員が生じております。この際、理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事藤井恒男君を指名いたします。     —————————————
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題といたします。  まず、通商産業大臣から、通商産業省基本施策及び石炭対策基本施策について所信を聴取いたします。中曾根通商産業大臣
  6. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 第七十二回国会における商工委員会の御審議に先立ち、通商産業行政に関する私の所信の一端を申し述べたいと存じます。  戦後これまでに経験したことのない困難な事態を克服し、新たなる国民的連帯国際的協調のもとに、安定した、かつ希望に満ちた社会をもたらすことが本年の最大課題であります。  わが国は、戦後廃墟から立ち上がって、他に例を見ないほどの経済成長をなし遂げ、いまや主要な工業国の一員として、国際社会における地位もとみに重要性を加えてまいりました。  しかしながら、その反面、社会資本民間資本のアンバランス、社会福祉のおくれ、環境の汚染、過疎、過密の問題の深刻化等いわゆる高度成長のひずみの現象が表面化し、対外面でも、国際収支の不均衡、一部開発途上国における対日批判動き等々の問題が発生し、解決を迫られているのであります。これらに加え、昨年来、物価の騰勢が強まり、昨年秋には、いわゆる石油危機事態に直面するに至り、物価上昇物資需給の緊迫が一段と加速されたのであります。  このような事態は、直接に国民生活を脅かすものであるだけに、まず求められるのは果断、的確かつ迅速な施策実施であります。しかし、これと同時に、事態の内奥にひそむ本質的な要因を深い洞察力をもって鋭く分析し、長期的なビジョンのもとに基本的な対策を講ずることを忘れてはなりません。  このような認識のもとに、通商産業政策を、国民福祉充実国際協調促進のため推進してまいる所存であり、以下その概要を申し述べます。  当面の通商産業政策最大課題は、物価の安定と需給円滑化であります。物価対策基本は、総需要調整策であります。このため政府といたしましては、昨年来公共事業の執行の繰り延べ、公定歩合の引き上げ民間設備投資新規着工原則停止をはかるなど、総需要抑制策を累次にわたり強化するとともに、昭和四十九年度予算案及び財政投融資計画においても公共事業関係費抑制等により極力財政規模を圧縮することとしているのであります。  以上のような施策はいわゆる価格メカニズムを通ずる市場経済の健全な発展をたてまえとするわが国経済にとってはもっとも基本的な対策でありますが、昨年来の状況に応じてさらに個別物資需給価格対策を適時、適切に進めてまいりました。すなわち、昨年七月、生活関連物資の買占め及び売借しみに対する緊急措置に関する法律施行し、企業の売り借しみまたは買い占めによる値上げ動きに対処するとともに、セメント、小棒、塩ビ管主要鋼材等々のあっせん所設置セメントトイレットペーパー等に関する増産指示緊急出荷要請等を問題の発生のつど、迅速に行なってきたところであります。  さらに、昨年秋以来の石油危機事態に対処し、今国会冒頭に御審議をお願いし、すでにその成立をみた国民生活安定緊急措置法及び石油需給適正化法を昨年末から施行に移したところでありますが、現在、国民生活安定緊急措置法に基づいて、灯油、LPG、トイレットペーパー及びちり紙の四品目について標準価格を設定しているところであります。また、同法を背景とする行政指導等により、合成洗剤更紙等増産指示合成洗剤石油及び石油化学製品学用品等値上げ抑制ないし価格引き下げ要請を行なってきているのであります。さらに、現在、主要な生活関連物資等品目の在庫について立ち入り調査実施いたしております。  今後ともこれらの法律運用あるいはこれらの法律背景とした行政指導等により物価の安定、物資需給円滑化のため迅速適切な手を打ってまいる所存であります。  物価の安定のためには、以上申し述べてきた政府努力はもとより、広く関係各層の御理解協力が不可欠であります。特に企業につきましては、買い占め、売り借しみ便乗値上げ、その他不公正な価格形成に走ることのないよう厳に自粛を求めるとともに、政府としても必要に応じ関係法律の厳格な運用を行なっていく所存であります。  昨年十月アラブ産油国実施した石油供給削減措置は、わが国に深く激しい衝撃を与えました。この衝撃による影響から、国民生活を守り、経済的混乱を最小限にとどめることが政府に課せられた責務であります。このため政府は、閣議決定に基づき、昨年十一月二十日から、石油、電力につき想定需要の一〇%節減行政指導実施したのでありますが、現在では、これを石油需給適正化法及び電気事業法の規定に基づく法律上の規制に切り換え、原則として一五%の使用節減実施いたしております。なお、この実施にあたっては、一般家庭用をはじめ、中小企業用農林漁業用病院用等について一定の基準により優先的な取り扱いを行なうほか、物価需給対策観点から政府増産指示を行なった場合についても特段の配慮を行なうこととしております。  このような国内対策とともに、中近東諸国に対するわが国立場を明らかにするために昨年十一月二十二日に中近東紛争解決についての、わが国の新たな基本的立場を表明し、また、三木副総理や私が中東訪問を行なうなど同地域との友好協力関係の増進に寄与するための対外政策を積極的に行ないました。  このような努力の一部は昨年末、OAPEC諸国会議決定となって実を結び、わが国への石油供給削減は緩和へと向かっております。  しかし、事態はいまだ流動的であり、石油供給量も決して十分ではありません。加えて原油価格上昇及びこれに伴う国際収支の負担など引き続き困難な事態が続くことを覚悟せざるを得ません。したがって、エネルギー消費節減について、今後とも引き締まった態度で努力することが肝要であります。  また長期的にみても、今後の資源エネルギーをめぐる状況は量の面でも価格の面でもきびしいものがあります。したがって、海外石油開発により一そうの努力を傾注する一方、より長期的には、石油偏重エネルギー体制から脱却し、エネルギー供給源多様化をはかるとともに、その効率的利用促進する必要があります。  このような考え方から、今国会石油開発公団法改正、及び日本、韓国間の大陸だなにおける石油天然ガス共同開発促進をはかるための所要協定案及び法案の御審議をお願いするとともに、サンシャイン計画に着手することとし、四十九年度予算案太陽エネルギー、水素エネルギー等豊富かつ無公害の新エネルギー技術開発に要する経費を計上いたしております。  なお、金属資源につきましても、その海外開発促進するべく今国会において所要法律改正をお願いすることといたしております。  また、基本的な施策としてこれまでの産業構造を是正して、省資源省エネルギー型の産業構造転換することが必要であります。今般の石源危機は、資源消費型の産業構造がいかに不安定であるかの重要な教訓であろうと思われます。より少ない資源でより大きな付加価値を生み出す、いわば資源エネルギー効率のよい産業構造へ変革することがぜひとも必要であります。  通商産業省では、従来から七十年代の産業構造基本的方向として知識集約型産業構造への転換をすすめてきたところであり、具体的には電算機、情報処理、航空機等の諸産業に関し技術開発促進等をはかってきております。  また、繊維産業につきましても、新商品または新技術開発力強化等その知識集約化推進をはかるため、今国会特定繊維工業構造改善臨時措置法の一部を改正する法律案の御審議をお願いすることといたしております。  私は、今回の石油危機環境問題の深刻化事態に直面し、このような産業構造転換をより一そう加速し、より全面的に実施していくことの必要を痛感しております。このためできるだけ早急に望ましい産業構造ビジョンを策定し、産業構造の省資源省エネルギー化、無公害化知識集約化をはかる所存であります。  公害のない社会建設し、産業環境面からの要請に適合させてゆくことは、この狭い国土の中でわが国民が存立してゆくための基本であります。  まず水銀公害については、緊急の問題として政府といたしましてもその解決全力を尽くしてまいりましたが、昨年中に製造工程クローズドシステム化がほぼ完了し、現在さらに五十二年度末を目途に水銀を使用しない製法への転換を行なうべく最大努力を続けております。また、PCB等化学品による環境汚染問題に対処するため、第七十一回国会成立した化学物質審査及び製造等規制に関する法律がいよいよ本年四月から施行の運びとなります。また、休廃止鉱山等における鉱害防止についても、第七十一回国会成立した金属鉱業等鉱害対策特別措置法の適切な運用等を通じ、鉱害の防除に万全を期することとしており、これらにより蓄積性汚染問題は、その解決へ着美な一歩を進めることができるものと考えております。  大気汚染問題についても、政府は、さきに窒素酸化物環境基準及び排出基準を設定いたしましたが、これを達成するため、新たに脱硝技術開発研究を強力に推進いたします。硫黄酸化物については、総量規制導入等規制強化をはかってまいる所存であります。  以上の公害防止前提として不可欠なのは、公害発生量の正しい測定であります。このため今国会計量法につき所要改正をお願いすることといたしております。  廃棄物を減少させることは、公害防止のみならず資源有効利用ともなり、最も重要な施策一つであります。このため古紙の利用促進するほか、他の廃棄物についても所要調査研究啓蒙等施策推進いたします。  今日、立地問題はすなわち環境問題であるといわれております。このため、コンビナート立地につき工場立地法に基づき所要調整を行なうほか、特に電源立地につきましては、環境審査体制強化するとともに、電源開発促進税目的税として創設し、今国会で引き続き御審議をお願いする発電用施設周辺地域整備法案成立をまって電源立地周辺地帯整備事業等推進する所存であります。  昨年後半、石油化学コンビナート等における事故が相次ぎ、付近住民をはじめとする関係者に大きな被害と不安とをもたらしましたが、この貫重な教訓を生かし、各コンビナートに対する総点検を実施し、監督指導強化するとともに技術開発等につとめ、コンビナート等における保安確立していく所存であります。  中小企業わが国経済社会基礎としてその発展をささえてきたものであり、中小企業施策は、通商産業政策の重要な柱として、財政、金融、税制等の面でこれまでも年々拡充されてまいりました。他方、昨年二月の変動相場制への移行、夏以来の物資需給の逼迫、とりわけ基礎資材の不足からくる原材料の入手難、十月後半以降の石油危機等中小企業を取り巻く環境は昨年一年で目まぐるしく変化をしてまいりました。  このような中で中小企業施策、とりわけ中小企業の大多数を占める小規模企業施策については、さらに格段の強化をはかる必要があり、このため四十九年度予算案においては小企業経営改善資金大幅拡充経営指導員大幅増員をはじめとする小規模企業対策強化をはかるとともに、中小企業庁小規模企業部を設けるため今国会中小企業庁設置法改正を提案する等、中小企業対策の一そうの強化をはかることといたしております。  今後とも総需要抑制策の効果の浸透等によって中小企業環境がさらに一段ときびしくなることも懸念されるところであり、政府としても中小企業施策適確推進全力を投入する所存であります。  最後に、目を対外面に転じますと、現在の通商政策課題として次の諸点が特に重要であると考えております。  第一は、国際収支動向の慎重な監視であります。  ここ二、三年のわが国通商政策最大課題であった国際収支の黒字問題については、数次にわたる円対策変動相場制への移行景気上昇等背景輸入拡大対外投資進展が進んだ結果、国際収支は昨年三月から赤字となっておりますが、昨年秋以降の石油危機契機として石油価格の高騰などにより、さらに赤字基調が強まっておりますので、その動向を慎重に監視していく必要があります。  また、流動する貿易為替状況のもとにおいて為替不安による輸出取引の障害を除去し、プラント等中長期輸出の安定をはかるため、政府輸出保険制度の中に為替変動保険を設けるべく、今国会輸出保険法の一部改正案を提出しているところであります。  第二は、資源エネルギー輸入確保であります。  昨年は世界的な景気拡大等契機に国際的に物資需給が逼迫した年でありましたが、この傾向を決定的としたのがアラブ産油国石油供給削減措置であります。資源の乏しいわが国にとって、資源輸入安定的確保通商政策最大課題であると考えられますが、わが国としては、国際協調のもとに国際経済安定的拡大がはかられる方向でかかる課題の解答を見出すことが必要と考えます。このため資源保有国資源消費国共存共栄をはかることを目的として、国際的な話し合いを行なっていくことが必要であると考えております。  第三に、わが国企業海外事業活動指導経済協力拡充であります。  最近、開発途上国においてわが国海外事業活動につき批判が高まっております。この批判の中には誤解に基づくものも含まれているかと思われますが、習慣や考え方わが国と異なる海外諸国事業活動を行なう者は、謙虚にその批判に耳を傾け、節度を守り、相手国発展に十分貢献する方向で対処することが必要であります。このような考え方のもとに政府としても海外事業活動を行なう企業につき所要指導を行なってまいる所存であります。  かかる現実を踏まえ、私は、経済協力につきましても真に相手国のためになる方向でその量的、質的改善をはかっていかなければならないと痛感しております。政府は、今国会国際協力事業団法案を提出する予定でおりますが、本事業団一つのねらいも民間経済協力政策的立場から誘導していくてことすべきところにあるものと考えております。  第四に、国際的に通商経済上の秩序確立であります。  戦後四半世紀を越えて国際貿易経済をささえてきたガット・IMFの体制保護主義の台頭、ブロック化への動き国際通貨体制動揺等により、その再検討が迫られておりますが、昨年来の石油危機発生に伴い、事態は一そう深刻化してきております。私は、自由貿易体制が世界の多くの国の国民に大きな福祉をもたらすものと確信いたしております。このような観点から、わが国は今後とも貿易通貨両面にわたる新たな国際的秩序の形成に積極的に貢献すべきであると考えております。  以上、当面の通商産業政策の重点とするところを申し述べましたが、ゆれ動く内外の情勢を思い、今日の難局を直視するとき私はその激動の中に、緊急に解決を迫る奔流と、新たな時代のおとずれを告げようとする底流とを見るのであります。したがって、この難局を克服して新たな時代を切り開くためには、発生する問題に迅速的確に手を打つ決断力と、歴史を誤らせない大局的総合的判断力とが肝要であります。  このような考え方のもとに国民の御理解と御協力を得つつ、私はこれまで申し述べてきた政策の展開に全力を傾注する所存であります。  委員各位におかれましても、一そうの御理解と御支援を賜わりますようお願い申し上げます。     —————————————  次に、石炭対策に関し所信を申し述べます。  最初に、去る二月一日に北海道万字炭鉱におきまして、死亡者二名を念む罹災者二十名を伴う災害の発生を見ましたことは、所管大臣としてまことに遺憾であり、保安行政面において今後一そうの努力を払う決意をここにあらためて表明する次第であります。  石炭鉱業につきましては、昭和四十八年度から第五次石炭対策実施し、国会はじめ関係方面の御協力のもとに、石炭鉱業近代化と再建を可及的に支援する措置を講じてきております。しかしながら、昨年秋の中東紛争契機として生じた石油供給削減等に伴い、石炭についても再認識必要性が各方面から指摘されるに至っております。  こうした新しい情勢進展に対処いたしまして、石炭鉱業審議会から、昨年十二月七日に「エネルギー情勢の激変に伴う石炭対策について(中間報告)」が政府に提出されております。  政府といたしましては、可及的すみやかに総合エネルギー政策検討に着手するとともに、そのようなエネルギー全体の検討と関連して、石炭につきましても、保安確保前提としてエネルギー安全保障見地から国内炭最大限の活用をはかるとともに、エネルギー供給多様化見地からする輸入炭活用も含め、その位置づけを明確にし、これに要する対策について検討してまいる所存であります。  また、当面の石炭対策につきましては、第五次答申に盛り込まれました諸施策を引き続き推進いたしますとともに石炭鉱業審議会から提出された中間報告の趣旨をも尊重しつつ、以下のような石炭対策を強力に実施してまいる所存でございます。  第一に、石炭企業向け対策につきましては、石炭鉱業資金経理状況にかんがみ、総額六百八十億円の累積債務財政による第三次肩がわり石炭鉱業安定補給金拡充及びその傾斜配分石炭鉱業合理化事業団による経営改善資金融資制度拡充等を行ない、国の助成の大幅拡大をはかることといたしております。  第二に、保安対策につきましては、監督、指導の一そうの強化をはかるとともに、鉱山保安確保事業費補助金をはじめ石炭鉱業保安対策費充実することにより、企業自主的保安確保促進し、石炭鉱山保安確保に万全を期してまいる所存であります。  第三に、石炭需要確保対策につきましては、混焼火力発電所設備利用率向上等により、石炭需要拡大をはかるとともに、石炭火力発電所建設促進することとし、四十九年度においては北海道地区において産炭地石炭火力発電所建設に着手いたします。  また、電源開発株式会社石炭火力発電所設置する排煙脱硫装置に対し助成する等公害防止対策充実による石炭需要確保をはかることといたしております。  第四に、将来における石炭需要拡大に資するため、石炭ガス化液化等によるクリーンエネルギー化を目ざすこととし、四十九年度からサンシャイン計画の一環としての石炭ガス化発電研究等に着手することとしております。  第五に、労働対策につきましては、適正な労働条件確立及び労働環境改善に資するため、石炭鉱業安定補給金増額等による企業経理改善につとめるとともに、炭価の引き上げに対する需要家協力が得られるよう支援してまいる所存であります。  第六に、産炭地振興対策につきましては、産炭地振興臨時交付金制度充実工業再配置・産炭地振興公団による産炭地部門の事業規模の拡大をはかることにより施策強化につとめてまいることといたしております。  第七に、鉱害復旧対策につきましては、一昨年十二月に策定した鉱害復旧長期計画に基づき、残存鉱害の早期完全復旧につとめてまいる所存であります。  これら施策実施につきましては、昭和四十九年度の石炭及び石油対策特別会計石炭勘定の予算案において所要財政措置を講ずるほか、法制面の整備をはかるため、今国会石炭鉱業経理規制臨時措置法の期限延長等所要法律改正案を提出し、御審議をいただくことといたしている次第であります。  本委員会におかれましては、従来から石炭対策について深い御理解と心強い御指導、御鞭撻をいただいておりますが、何とぞ今後とも一そうの御協力をお願いする次第であります。
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、経済企画庁長官から、経済企画庁基本施策について説明を聴取いたします。内田経済企画庁長官
  8. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 第七十二回国会において、参議院商工委員会が再開されるにあたりましてごあいさつを申し上げますとともに、所信を申し述べます。  現在、わが国経済は、昨年来の物価問題の深刻化に加え、石油問題等に直面し、きわめて重大な局面に立ち至っております。  最近の経済情勢を見ますと、設備投資や消費動きに慎重化がうかがわれ、一部商品市況が軟化を示してはおりますものの、石油、電力の消費節減の影響から生産が減少し、需給の逼迫基調に変化は見られず、異常な物価の高騰が続いております。  すなわち、卸売り物価は、本年一月には前年同月比で三四%と大幅に上昇し、消費物価も昨年十二月には前年同月比で一九・一%上昇するなどまさに異常ともいうべき局面に立ち至っております。  このような急激な物価上昇は、海外の物価高騰の影響、国内における需給の不均衡など各種の要因によるものではありますが、昨年秋の中東戦争を契機とする石油問題がさらに物価上昇に拍車をかける結果となっております。  こうした事態に対処して政府は、物価の安定を現下の最優先の課題として、全力をあげてこれに取り組んでおります。すなわち、昨年春以来、総需要の抑制を中心に累次にわたる総合的な物価対策実施してきたところでありますが、これらの措置については今後ともこれを堅持し、その効果の浸透につとめる必要があると考えます。  また、政府は、四十九年度の予算編成にあたり、予算及び財政投融資計画を通じ、公共投資の抑制を中心にその規模を極力抑制いたしました。公共料金につきましても、国有鉄道運賃及び米の政府売り渡し価格の改定時期を延期するなど、真にやむを得ざるものを除き抑制する姿勢を明確にしたところであります。  さらに、昨年十二月には、生活必需物資の供給の確保価格の安定をはかるため国民生活安定緊急措置法を制定をしていただき、これに基づきすでに主務官庁において数品目につき標準価格制度を実施に移しているところであります。生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律につきましても、その改正強化を行なうとともに指定物資を逐次追加し、関係行政機関における価格調査官の大幅な増員、相当数の専任価格調査官の設置などその運用強化につとめております。今後も引き続き物資の需給及び物価動向を注視し、これらの法律を機動的に発動してまいる所存であります。  さらに、急激な物価上昇と一部の物不足感という事態に直面して、特に消費者への正確かつ迅速な情報提供の必要性が痛感されたため、物資需給速報の作成配布、地方公共団体との情報連絡体制の整備等を急ぎ実施したところであります。  政府は、以上のような物価安定のための諸施策全力をあげて取り組んでいるところであり、四十九年度中の物価動向につきましては、夏ごろまでにはかなりの落ちつきを取り戻すことが期待されるところであります。  私は、以上申し述べましたような施策全力を傾け、当面の緊急事態に対処する所存でありますが、それと同時に、昨年来の物価上昇石油問題に基づく貴重な教訓を生かし、長期的視野から政策運営を行なうべきであると考えております。  すなわち、主要な資源を海外に依存するわが国は、あらゆる国との友好を保ちつつ開発途上国に対する建設的な協力を一そう推進するとともに、国際通貨体制の再建等、新しい世界経済秩序確立に対しても積極的な貢献を行なうべきものと考えます。  さらに、国内的には、不測の外部要因による経済変動に対して、臨機に対応できるよう各種政策手段の整備をはかるとともに、環境資源などの制約の中で国民福祉の向上に対応する産業構造、すなわち、省資源、無公害、知識集約型の産業構造を築き上げることが急務となっております。また、完全雇用と豊かな社会をある程度達成した今日、生産の拡大だけではなく、社会各層間の分配の公正についても一そうの配意が必要な段階に来ていると考えます。  こうした見地から、昨年二月に策定された経済社会基本計画につきましても、最近の内外諸情勢の変化に適応しつつ、その推進をはかるため、計画の点検の意味を含めて計画のフォローアップ作業を進めておるところであります。  また、四十四年に決定された新全国総合開発計画につきましても、計画策定後の諸情勢の変化を踏まえ、国土資源の有限性、公害等の広範な環境問題の観点から、その総点検作業を進めているところであります。  以上、私の所見の一端を申し述べてまいりましたが、政府といたしましては、今後とも適時適切な措置を機動的に実施することにより、国民各層の理解協力のもとにわが国経済が直面している困難に対処する所存であります。  本委員会におかれましても、よろしく御指導をお願いする次第であります。     —————————————
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、昭和四十八年度における公正取引委員会の業務の概略について、公正取引委員会委員長から説明を聴取いたします。高橋公正取引委員会委員長
  10. 高橋俊英

    政府委員(高橋俊英君) 昭和四十八年における公正取引委員会の業務につきまして、その概略を御説明申し上げます。  あらためて申し上げるまでもなく、昨年のわが国経済は、不況から一転して、はなはだしい物価高を伴う景況に転じ、十月以降には原油の削減、またその価格の大幅引き上げ通告を契機として、さらに次々と商品の大幅値上げを招来し、同時に、物不足経済に直面したのであります。  これに対する総需要抑制策は逐次強化されたのでありますが、便乗値上げを含む各種の商品の騰貴に対しては、個別対策の必要も痛感されるところであります。投機防止法及び石油二法等の有効適切な運用にまつところ大なるものがあると存じます。  公正取引委員会といたしましては、こうした異常な経済情勢下におきまして、競争秩序を根幹とするわが国経済の健全な発展方向を取り戻すことにいささかでも寄与するため、独占禁止政策を厳正に運用して、できる限りの努力を払ってまいりました。  まず、独占禁止法違反事件の取り締まりについて申しますと、昭和四十八年中に審査いたしました事件は、二百六件でありますが、同年中に審査を終了した百三十四件のうち、法に基づき排除措置を勧告したものは六十一件でありまして、いずれもこれまでに比べ大幅な増加となっております。これらの違反の事件の内容は、ほとんどが価格協定に関する事件であり、また、違反の規模が拡大するとともに、質的にもかなり悪質と思われるものが幾つか認められました。そこで、公正取引委員会は、これら違反事件に対する排除措置として、従来の措置のほか、事業者団体に対して解散を命じ、あるいは、排除措置を受けた後の販売価格動きを監視する意味で、事業者ごとに、一定期間、販売価格の報告義務を課すといった新たな措置を昨年からとっております。  次に、会社の合併等につきましては、これまで国際競争力強化のためには合併が必要であるといった主張が行なわれておりましたが、最近のわが国企業の国際的地位から考えましても、そのための合併の必要性は認められませんし、一方、行き過ぎた経済力の集中を未然に防止するため、世界的に見ましても一般に合併に対する規制強化される傾向にあり、公正取引委員会といたしましては、昨年、合併に対する審査基準を従来よりきびしいものとし、その旨を発表したところであります。このような事情もありましてか、昭和四十八年中における会社の合併の届け出は千九十九件でございますが、そのほとんどは中小企業の合併であり、特に問題となったものはありません。  次に、国際契約等につきましては、一昨年末、輸入総代理店契約に関する認定基準を公表しましたが、昨年はこの基準に従い、輸入総代理店契約に対する監視、規制強化につとめ、並行輸入阻止条項、競争品取り扱い制限条項を含む四百三十一件について、これを是正するよう行政指導を行ないました。  また、昨年九月には、各国の独占禁止政策施行官庁の責任者、学者、経済界代表など多数の参加を得て、国際経済と競争政策に関する国際会議が東京で開催されました。この会議におきましては、独占禁止政策のあり方及びそのための国際協力について広範囲にわたる意見交換が行なわれ、わが国の独占禁止政策の今後の運営にとりましても、多大の示唆を受けるところがありました。  次に、再販制度につきましては、西欧諸国において縮小、廃止の方向が打ち出されている事情などを参考にしながら、基本的な検討を加えてまいりましたが、昨年十月、当面の措置として、これまでの指定商品に関する告示を廃止または改正する告示を行ないました。その内容は、家庭用浴用石けん、家庭用合成洗剤及び練り歯みがきについては指定を取り消し、化粧品及び医薬品については指定商品の範囲を縮小するもので、本年九月から実施することになっております。  景品表示法の運用について申し上げますと、昭和四十八年中に同法違反被疑事件として取り上げた総数は千八百六十三件でありまして、このうち排除命令を行ないましたものは三十五件、警告等により是正させましたものは七百二十四件であります。  不当表示等を事業者自身の手により防止する有効な策として、公正競争規約をできるだけ多くの業界に設定されるよう関係事業者の指導努力しているところでありまして、目下、約二十の業界において公正競争規約の設定を準備中でありますが、昨年新たに認定した規約はわずか二件にとどまり、四十八年末現在の規約総数は四十二件であります。一方、昨年は景品表示法施行後初めて、商品等の内容について一般消費者に誤認されるおそれのある表示を規制するため、同法第四条第三号の規定に基づき、無果汁の清涼飲料水等に関する表示及び商品の原産国に関する不当な表示の指定を行ない、その規制対象を明確にいたしました。  また、昭和四十七年十月から、都道府県知事も景品表示法の権限の一部を行使し得ることとなり、漸次、都道府県における措置件数も増加してきておりますが、今後とも都道府県の一そうの御協力が得られますようつとめてまいる所存であります。  次に、下請事業者の保護に関する施策といたしましては、昭和四十八年中には、下請代金の支払い状況を中心に約九千三百件の親事業者に対しまして調査を行ない、勧告二十九件を含め、七百四十六件について、支払い改善等の措置を講じさせました。  最後に、現行の独占禁止法は、昭和二十八年の大改正以来二十年を経過しており、その後の経済、社会の激しい変化に対応して必ずしも十分対処できないのではないかと考えられる面もありまして、改正すべき点がないかどうかを専門的見地から御検討いただくため、昨年末、独占禁止法に造詣の深い法律、経済学者及び言論界等の有識者から構成されます独占禁止法研究会を公正取引委員会の私的諮問機関として発足いたさせました。  当面のおもな検討事項としましては、高度の寡占に対する方策として、価格面におきましては経理内容の公開、市場構造面におきましては企業分割の制度を設けることの是非、カルテルに対する排除措置として、価格協定に対する価格引き下げ命令、すでに終了した違反行為に対する排除措置必要性、不公正な取引方法に対する排除措置強化、その他となっております。  このような専門的見地からの着実な検討を積み重ねました上で、改正すべき点があるという御指摘があり、かつ、十分な国民的な合意が得られまするならば、公正取引委員会といたしましては、独占禁止法の改正の問題に対して積極的に取り組んでまいる所存でございます。  なお、今年に入り、去る一月二十一日に調査報告を公表したのでありますが、公正取引委員会におきましては、昨年六月以降、総合商社の事業活動について実態調査実施してまいりました。今回の調査はいわば巨大な総合商社の実態把握のための第一歩にすぎず、今後も調査を継続する必要があるものと考えております。当面、総合商社がその優越した地位を乱用することのないよう監視するとともに、総合商社を中心とした企業集団強化一つの手段となっている商社による他企業の株式所有について、何らかの制限を加える必要があると考えられ、この問題も、ただいま御説明いたしました独占禁止法研究会において御検討いただく所存であります。  以上、簡単でございますが、業務の概略につきまして御説明申し上げました。何とぞよろしく御指導、御鞭撻のほどをお願い申し上げます。     —————————————
  11. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、通商産業省の予算について説明を聴取いたします。通商産業省増田官房長
  12. 増田実

    政府委員(増田実君) 昭和四十九年度の通商産業省関係予算案及び財政投融資計画につきまして、お配りいたしました資料に沿い、ポイントを御説明申し上げます。  まず、昭和四十九年度の通商産業省の一般会計予定経費要求額は、二千五百五十二億一千四百万円でありまして、前年度当初予算二千百二億一千二百万円に対し、四百五十億二百万円、二一・四%増しとなっております。  次に、重点事項別に予算の内容を御説明申し上げます。  第一、物価の安定と消費生活の充実。  物価の安定と消費生活の充実につきましては、対前年度比四〇・九%増しの十八億六千八百万円を計上しております。  まず、主要基礎資材等の需給計画の策定を内容とする主要基礎資材需給安定対策費、流通合理化促進費、消費生活改善対策費等の充実をはかるとともに、本年六月で期限が切れる繊維工業構造改善対策のあとを受けて繊維産業知識集約化、零細企業対策等を内容とする新しい構造改善対策を行なうこととし、このための経費として六億六千三百万円を計上するとともに、中小企業振興事業団への出資の中で九十一億一千三百万円をこれに充てることとしております。  また、わが国の伝統的工芸品産業の振興をはかるため、伝統的工芸品産業の後継者育成、技術保存等のための経費一億一千八百万円を計上しております。  第二、無公害社会建設環境保全の推進。  無公害社会建設環境保全の推進につきましては、対前年度比五四・九%増しの三十三億九千八百万円を計上しております。  まず、公害防止技術研究充実することとし、重要技術研究開発費補助のうちに新たに窒素酸化物対策技術ワクを設けるための経費六億円を計上しております。  また、産業公害総合事前調査資源再生利用技術システム開発等の拡充をはかるとともに、発電所立地に伴う環境審査等を新たに行なうこととしております。  さらに、故紙の有効利用推進するため、紙類再生利用促進センターに債務保証基金を設けることなどを内容とする経費一億七千百万円を計上しております。  また、休廃止鉱山等鉱害対策につきましては、新たに坑廃水処理を補助事業の対象に加えることなどにより十二億九千六百万円と大幅に拡充するとともに、金属鉱業の坑廃水対策調査費を新たに計上しております。  第三、中小企業対策の全面的な展開。  中小企業対策につきましては、対前年度比二六・六%増しの八百二億一千百万円を計上しまして、施策全般にわたり充実をはかることとしております。  中でも、四十八年度に創設された小企業経営改善資金にりきましては、貸し付け規模を三百億円から一千二百億円に拡大するとともに、貸し付け限度の引き上げ、貸し付け期間の延長を行なうこととしており、このために必要な予算百四億八千四百万円を計上しております。  また、商工会、商工会議所等の経営改善普及事業を中心とした小規模事業対策の大幅な拡充をはかることとし、このための経費として百十二億二千三百万円を計上しております。  さらに中小企業振興事業団の事業運営につきましては、四百十四億四百万円を計上するとともに、商工組合中央金庫出資につきましては、中小企業者の事業資金の融通の円滑化に資するため、五十億円の出資金を計上しております。  第四、資源エネルギーの安定供給の確保。  資源エネルギーの安定供給の確保につきましては、二百二十四億七千六百万円を計上しております。  まず、省資源省エネルギーに関する広報費、石油需給適正化法施行のための経費を計上するとともに、鉱物資源につきましては、金属鉱床精密地質構造調査の補助率引き上げをはじめとして、国内外における探鉱開発促進することとし、また、電力につきましては新たに地熱発電開発のための精密調査費を二億八千二百万円計上しております。さらに原子力につきましては、ウラン濃縮国際共同事業及び再処理関係事業の調査費一億百万円を計上し、また、水資源につきましては、工業用水道事業費補助は、対前年度減となっておりますが、新しい水源を開発するため、廃水の再生利用、海水淡水化等を内容とする造水促進対策費三億七千四百万円を計上しております。  第五、国民福祉のための産業活動の調整。  国民福祉のための産業活動の調整につきましては、百八億一千三百万円を計上しております。まず、企業行動の適正化をはかるための調査研究実施するとともに、製品安全性確保対策、特定化学品安全確保対策をそれぞれ充実することとしております。  また、工業再配置促進対策拡充をはかるため九十八億九千万円を計上しております。  さらに、工場環境整備促進対策費として二億五千二百万円を計上しております。  第六、高度産業社会の創造。  高度産業社会の創造につきましては、九百四十億九千九百万円を計上しております。  まず、これからのわが国経済をリードしてゆく電子計算機産業、航空機産業等の振興をはかることとし、電子計算機産業等振興対策費として百九十六億五千五百万円、次期民間輸送機の本格的な開発事業費として二十一億二百万円を計上しております。このほか、日本周辺大陸だなの海底調査等を内容とする海底地質調査費四億五千二百万円を計上しております。  次に、西歴二〇〇〇年を目途に太陽エネルギー、地熱、合成天然ガス、水素エネルギー等の無公害エネルギー開発するサンシャイン計画を発足することとし、四十九年度は二十二億七千万円を計上しております。  さらに、沖縄国際海洋博覧会につきましては、開催が五十年三月から七月に変更されることとなりましたが、準備に万全を期すべく百九十七億二百万円を計上しております。  第七、国際協調による世界経済への貢献。  国際協調による世界経済への貢献につきましては、百六十三億七千二百万円を計上しまして経済協力関係予算を中心に拡充をはかることとしております。  まず、日本貿易振興会に対する補助を七十一億二千五百万円に増額しております。  経済協力につきましては、発展途上国からの強い要請にこたえまして、通商産業省所管の経済協力費を対前年度比四〇・九%増しの七十二億二千六百万円に増額しております。  まず、発展途上国の要請に応じた中小企業の海外投資を促進するため、中小企業海外投資協力事業費として十一億一千七百万円を計上しております。  また、発展途上国産品の開発輸入促進するため、これに関連したインフラストラクチュアの整備などに二十三億七千五百万円を計上しております。  第八、特別会計。  以上の一般会計のほか特別会計といたしまして、アルコール専売事業特別会計は、歳八百四十三億三千三百万円、歳出百四十一億四千七百万円、輸出保険特別会計は歳入歳出とも六百十九億一千三百万円、機械類信用保険特別会計は歳入歳出とも二十二億六千二百万円を計上しております。なお、輸出保険特別会計につきましては、為替変動保険を創設することとしております。  また、石炭及び石油対策特別会計につきましては、歳入歳出とも他省所管分を含めまして、一千四百七十五億八千百万円を計上しております。  さらに発電所立地を促進するため、電源開発促進税(仮称)を財源とする電源開発促進対策特別会計を創設することとし、発電用施設等の所在する市町村及び周辺市町村に公共、福祉施設を設置するための費用の交付等を行なうこととし、歳入歳出とも百一億円を計上しております。  引き続きまして、昭和四十九年度の通商産業省関係財政投融資計画につきまして御説明申し上げます。  総額は、二兆四千三百二十八億でありまして、前年度当初計画二兆一千四百四十一億円に比べ一三・五%の伸びとなっております。この伸び率は、財政投融資計画全体の伸び率一四・四%を下回っておりますが、新規項目を中心に資金の重点的配分をはかることにより、通商産業政策の新しい目標に沿った施策実施し得るものと考えております。  以下、一般会計と同様、七つの柱に沿い、お配りいたしました資料では分類しておりますが、御説明は省略させていただきます。  以上でございます。
  13. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  14. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 速記を起こして。  以上で大臣の所信等の聴取は終わりました。  それでは、これより質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  15. 竹田現照

    ○竹田現照君 大臣の所信表明のトップにもあります、この物価の安定と需給円滑化の中の具体的な問題についてお尋ねしますが、生活安定法に基づく標準価格の設定をしていろいろと努力をしているという所信表明でありますが、標準価格の設定のやり方といいますか、これは一体どういうふうにきめるのか、ひとつ具体的に御説明をいただきたいと思います。
  16. 有松晃

    政府委員(有松晃君) お答え申し上げます。  標準価格の設定でございますが、これはまず標準価格を設定する必要のある物資を指定いたします。これは政令で指定をするわけでございますが、これは生活関連物資あるいは国民経済上重要な物資の価格が著しく上昇し、または上昇するおそれがある、こういう場合に政令で指定をいたしまして、政令で指定された物資について、次にこれは物資ごとの主務大臣が標準価格を定めるわけでございます。その標準価格の定め方につきましては、国民生活安定緊急措置法の第四条にございますが、これは標準品目というものがございますが、ある物資につきまして大体取引の量その他から見まして標準となるような品目につきまして、小売り業あるいはその他の段階について定めるわけでございます。その標準価格の定め方といたしましては、標準的な生産費等のコスト、それに利潤を加えて得た額、それに需給事情あるいは生活に対する影響等を勘案して定めた次第でございます。
  17. 竹田現照

    ○竹田現照君 その主務大臣、たとえば通商産業大臣が設定をする場合でも、経済企画庁は合議にあずかるのですか。
  18. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 標準価格決定につきましては、主務大臣は経済企画庁長官に協議をすることになっております。
  19. 竹田現照

    ○竹田現照君 それでは具体的にお尋ねしますが、この一月の十四日にきめられました灯油とLPGの標準価格の設定、この場合も通産、経企は緊密な連絡の上、いろんなデータをもとにしてきめたものと理解してよろしいですか。
  20. 有松晃

    政府委員(有松晃君) さようでございます。
  21. 竹田現照

    ○竹田現照君 予算委員会に資料として出された標準価格の算定基礎という印刷物がありますが、これを拝見したのでは、たとえばLPGが千三百円、灯油が三百八十円ときめたその根拠というのが、一体どこにあるのか、もうさっぱりわからないんですね。ですから、これが予算委員会の資料というのは、まことにちゃちなものですけれども、ちょっとわかるように説明していただけませんか。  私はきょうの質問に備えて、通産省に再三にわたって、これを決定をした場合の具体的な資料というものの提出を求めたんですけれども、十日近くになりますけれども、いまだに持ってこないわけです。ですからどうもわからないんです。それから指導通達なるものも、なかなか出せない、出せないといって持ってこないんですね。ようやく先週の土曜日に私のところに持ってきましたよ、これも内々ということで。指導通達なんというものが何で内々なのか、私にはさっぱりわからないんですね。ですから、わかるようにひとつ説明してくれませんか。この予算委員会の資料ありますね、通産省かどっちから出たのかな、これは。一括で出ている通産の予算委員会資料の36というナンバーを打った資料です。ちょっと説明してください。
  22. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) LPGで御説明申し上げますと、LPGは御存じだと思いますけれども、輸入品が半分の商品でございまして、昨年の十月ごろいわゆる輸入品の大幅な製品の引き上げについて、輸入業者といいますか、供給先のほうから通達がございまして、これは三・三倍ぐらいの値上がりの通告があったわけでございます。ちなみに、当時、トン当たり約二十五ドル見当であったものが七十五ドル以上、八十ドルぐらいの通告がございまして、これは一月一日から実施するということで、すでに実施はされておるわけでございますが、当時、こういう動きがございまして、十一月の末ごろからLPの価格の高騰と品がすれが起こったわけでございます。  で、われわれといたしましては、これは非常に大問題であるということで、十二月の十三日に指導価格をつくりまして、いま先生の御指摘のとおり、標準価格にこれをいたしましたのは一月の十四日でございますけれども、いわゆる指導上限価格というものをつくったわけでございます。そのとき、その異常なる値上げの前あたりの大体の実勢相場、元売り出し値等を参照いたしまして、小売りの仕入れ価格をいろいろと算定いたしたわけでございますが、この場合に、大体地域的にばらつきがございますが、五百五十円から五百九十円、これは十キロ単位でございますけれども、小売りの仕入れ価格を五百五十円から五百九十円ぐらい程度を想定いたしまして、小売り店の形態がこれまた大きいのから小さいのございますけれども、標準的に従業員を男と女各一名、それに店主ということで三名の店で月間の販売量が十トン、販売戸数というのが四百戸数、四百世帯というようなことをモデルにいたしまして、販売経費をはじき出しまして、これが大体十キロ六百八十円ぐらいに当たったわけでございます。それに先ほど申し上げました仕入れ価格五百五十円程度を足しまして、それに中小企業全般の標準的なマージン、これは小売り価格の六%ということでございますので、その六%のマージン七十八円を足しまして、十キロ当たり千三百八円という検証的な一つの分析を行なったわけでございます。  もちろん当時、いま一番最初に申し上げましたように、十二月の初めの段階というのは、非常に大きな動きがございまして、地域別には十キロで千八百円、場所によっては二千円というのが現出しておった状態でございますので、これを早急にとめるというのが、最大のわれわれの目的及びねらいであったわけでございまして、いま申し上げました数字も、標準的な店舗のとり方等いろいろとむずかしい点があったわけでございますが、十二月段階ではそういうことで検証し、千三百円をはじきまして、その後法律施行に伴いまして、いまお話しのとおり一月十四日にこれを標準価格にしたわけでございますが、着々と十二月以降指導価格が定着しつつあったわけでございますので、その継続性の尊重という意味も含めまして、標準価格への移行につきましては、その千三百円をそのまま据え置いて、その後の行政を行なっておるというのが現状でございます。
  23. 竹田現照

    ○竹田現照君 昨年の十二月一日の読売新聞の座談会で、中曾根通産大臣は、標準価格の設定については「物価全体の動き、コスト、賃金などを考えた上で、業界と話し合って適正水準を決める。」業界がその価格をきらっても通産省が指導してのんでもらう、そういうふうに言われているんです。この大臣のお答えをすなおに私は読む限り、業界のきめる価格とは違ったものを通産省独自で算定をして、その上で業界と話し合われて適正水準をきめるものだというふうに理解をするんですけれども、しかし、実際は通産省独自で試算をしたものというのはないんじゃないですか。あれば出していただきたいんですけれども、ないんじゃないですか。
  24. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 業界のほうは、ざっくばらんに申し上げますと、その当時千六百円ぐらいないしは少なくとも千五百円というのを非常に強く主張いたしたわけでございますが、われわれのほうはその資料を出していただきまして、人件費、輸送費、それからこのLPにつきましては法律上耐圧検査を行なうことになっておりますので、そういう意味での耐圧検査の固定費、それからそれに関連する保安費、それから償却等相当こまかくわれわれのほうでいわゆる査定といいますか、チェックをいたしまして、いま申し上げましたその標準店舗における経費、諸経費ははじき出しております。これは定性的な要素もございますけれども、先生のほうにお出しできると私は思います。
  25. 竹田現照

    ○竹田現照君 ですから、私が先ほど、きょう質問するのにも具体的にその数字をいただいて、その上でただしたかったんですけれども、持ってこないわけですよね、幾ら催促しても。それはどうして出せないんですか。いま、長官出せるとおっしゃっていますけれど、幾ら言っても持ってこないんですよ。ですから、それじゃそこでちょっと言ってみてください。この灯油やこのLPをきめたのは、いろいろと新聞等で伝えるところによると、十一月一日の平均価格から三〇%アップを認めたと、こういうわけです。十一月一日のこの平均価格ということになると、大体十月中ですね、十一月一日のものを調べているわけじゃないでしょうから。そうすると、この総理府の統計なりあるいは経企庁の国民生活センター、あるいは各都道府県の消費モニター、通産省独自でやっているモニター、こういういろいろな人々による統計というものがあるはずなんですけれども、私がここで持っている総理府の統計なり、国民生活センターの統計等から見ますと、大体十月の実勢価格というのは千円を上下しているところにあるわけですね。そうすると、これを基準にして千三百円なり千五百円というものを、いわゆる凍結価格とした根拠というのはやっぱりあると思うんですよ。これをひとつはっきり説明してください。
  26. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 先ほども申し上げましたように、当時の実勢の動きというのは、この統計類に出ておるものよりも非常に高かったわけでございます。これは当時、私のところに地婦連の代表が参りまして、千七百円、千八百円ということでございまして、これを何とか避けてくれということを、われわれのほうにも陳情があったような状況でございます。千三百円、これはなかなか当時の勢いがあったやつを、業界側としては千五、六百円を要求しているのをとめたわけでございますので、非常に厳密の原価計算等はございません。これはチェック的な要素も含めて、先ほど来申し上げましたような作業をいたしたわけでございます。  私のほうで、先ほど言いました三人の店主以下二人の使用者、そこの人件費が十トン当たりで——月間販売量十トンというのが標準としてございますので、これを十トンで申し上げますと、月当たり人件費が四十六万程度でございます、三人。輸送費が五万八千円ぐらいでございます。これは小型トラックと軽四輪を一台ずつ持っておるという前提でございます。それから保安費、これは法定上検査をしなきゃいけませんし、その辺の、耐圧検査の費用及び損害賠償責任保険に入らざるを得ないわけでございますけれども、これは保険会社等ともチェックいたしまして、これが約二万五千円。それから通信、水道、光熱、事務用費それから支払い利息、これは設備で、どうしても大きな設備を持たなきゃいかぬものですから、それの支払い利息等で六万七千円ぐらい。それから税金関係、これは固定資産税と自動車税でございますが、一万三千五百円ぐらい。それから容器、ガスメーター等の償却関係が、償却で五万六千円ぐらい等々、全部足しますと、いわゆる経費としまして六十八万円ぐらいが月間の十トン販売としての経費でございます。これを十キログラムに換算いたしますと、六百八十円ぐらい、これは先ほど申し上げましたものでございます。これに仕入れ原価が五百五、六十円、通達によりますと五百五十円から五百九十円ということでございますが、その辺の経費及び仕入れ原価の足し算、これに適正マージンといいますか、六%の小売りマージンを足したものが千三百円という検証の数字でございます。
  27. 竹田現照

    ○竹田現照君 これはいろいろと長官御説明になりますが、たとえば北海道価格と言われている千五百円をきめたときの、その根拠はどうなんだという、私は電話であなたのところの部下に尋ねましたよ、資料をさっぱり持ってこないものですからね。たとえば、北海道庁がこれについて了解したのかと言ったら、ちょっと口を濁しましたけれども、何か来て了解したようなことを言ったから、これはちょっと問題だなと、一体だれがどういう時期に来て言ったのか、はっきりしてくれとこう言ったら、いや、そのときは私はおりませんでしたからなんと言って、ちょっと逃げましたけれども、どうもつじつまが合わないんだ。それで、どうしてそうやったと言ったら、通産省のモニターが調べた実勢価格できめたと、こう言いましたよ。そうすると、たとえば北海道には通産省のモニターというのは二十六人しかおらないんじゃないですか。ですからいま長官がおっしゃった、いろいろともっともらしい算数をしていますけれども、実際は当時の実勢価格をそのまま——多少のでこぼこはあるにしても、やっぱりそれを認めたにすぎないんじゃないですか。それが実態ですよ。ですから、十月、十一月が比較的こう安定しておったのが、十二月になって全国的にぽっくりと上がっていったわけですよ。そうしてその上がった値段を大体通産省は認めて、いわゆる凍結価格にし、いわゆる安定法に基づく標準価格にきめたというのが正直のところじゃないですか。  先ほど経企庁は、相談を受けたとこう言われていますが、これはほんとうですか。私は経企庁等もちゃんと調べているんです。あなたのほうは結果的にこの凍結価格というものがあったから——先ほど長官は、それは継続性とかなんとか言っていたけれども、これをそのままやられたにすぎないんで、経企庁は実際問題として、この問題について価格をどうするかということについて、何にも実際は相談を受けてないんじゃないですか。たまたまこれは告示を出したときは経企庁の長官が中曾根大臣外遊中だったから臨時大臣、臨時代理だったから、たまたま両相兼ねておったようなものですけれどもね、実際はそうじゃないんじゃないですか。私はだから、この法律に基づく標準価格の設定というものは、まあその当時は、凍結価格をきめたときは、石油二法を審議をしておった情勢を思い起こせばわかりますが、いろいろと、非常に物情騒然とまで言ってはあれですけれども、そういう情勢のときでしたから、ある程度お互いがわからなかったでしょう。  しかし、その後、一月になって告示を出し、それでいまの現状は、このLPの問題にしたって、全国のLPガス協会の責任者は、先月の下旬の新聞でも言っているように、これはどうもつくられたあれだったなというようなことで、実際は供給面だって変更がないわけですよ。それから価格だって、実際は何も暴騰をさせなければならぬという理由はない。かかって業界によってつくられた値段であったことは、いま、はっきりしておるわけですよ。ですから私がいま千三百円、千五百円というようなものをいろいろ言うと、通産省の事務当局だって、いまごろそんなこと言うのは時期おくれだというようなことを、いま実勢価格は下がりつつありますなんということを言っているんだよ。はなはだもってけしからぬ話なんだけれども、そういうような実勢だから私はこの標準価格というものはそういう情勢に応じて適切に対処していくべきだと思うのですよ。  いま実勢が下がっているなら下がるような措置をどうしてしないのですか。一ぺん出したら出しっぱなしでそのまま押し通していくということは、私はどうしても納得がいかない。ですから、いろいろともったいをつけた説明はされてますが、実際はモニター等による調査基準にして、それを追認したにすぎないわけでしょう。事務当局はそう言っているのだから。私は名前は言わないけれども、それが実情だったのじゃないですか。通産、経企との間に話し合いなんかありませんよ。ないと言っているのだから、その点はもう少し正直に答えてください。だから、36のナンバーを打っている予算委員会に対する資料だって、何だかさっぱりわからない。これだけで判断をしろというほうが無理な資料ですよ。少しはっきりしてください。
  28. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 先ほど来申し上げましたように、LPGといいますのは石油製品の中で特殊なものでございまして、LPG以外の石油製品というのは、極端に言いますと全部国内で生産をいたしまして、一部がC重油とナフサの輸入がございますけれども、ほとんど大部分を国内生産でまかなっておるわけでございます。ところが、LPGというものだけが国内生産では間に合いませんで、これは得率が非常に低いせいもございますけれども、現時点におきましても五三%ぐらいが輸入分でございます。これは製品輸入をいたしておるわけでございます。これがまたまずいことに、ほとんど全部が中東地域、サウジ、クウェートからの輸入でございます。  御存じだと思いますけれども、例のOAPECの原油の値上がりの通告がありましたけれども、製品価格につきましては、それ以前にこれは非常に売り手として強いという感じもございまして、通告が、原油価格の値上がりよりも大幅に通告があったわけでございます。その後、先ほど申し上げましたように実現されておるわけでございますが、半分以上が輸入に頼っておる品物の大幅値上げというのが十月の半ばごろに通告がございまして、実施したのは一月一日でございますが、その辺を受けて先ほど来出ておりますLPの暴騰というのが行なわれたわけでございます。私のほうは、そううそを言っているわけでもございません。しかし反面、そう正確に当時の行動が原価計算に基づいたということを申し上げるわけではございませんけれども、当時、何はともあれ、千七百円、八百円というのが現出しておりましたことも確かでございまして、この辺を踏まえて、先ほど来申し上げた千三百円というものを上限価格としてこれを打ち出したわけでございます。  北海道のことが出ましたのでちょっと申し上げますと、北海道地域というのは、私のほうは北海道価格なんというものは全然考えておるわけではございませんで、従来の実勢相場からいいまして、北海道が大体三百円から四百円高い実勢を示しておるわけでございます。それは、一つの大きな理由といいますのは、北海道に一次基地というのが非常に数が少なく、LPというのはある程度温度を下げて、常温で運ぶのではございませんので、特殊なタンクも必要なわけでございますけれども、北海道に一次タンクの数量が非常に少ない。北海道で産出しておりますLPの自給率というのが、大体三割でございます。あと七割分というのは本土から——本土といいますか、主として京浜地区から持っていかざるを得ない。その辺の輸送問題が、輸送費の関係一つの大きな理由になっておりまして、従来から北海道が高いわけでございます。  それからもう一つの理由は、北海道というのは非常に広い地域でございますのと、それから石炭と灯油の使用率が高いものでございますので、一戸当たりのLPの使用率を全国平均との比較で言いますと、大体七割ぐらいであるわけでございます。そういう意味でコストアップの要因がそこにあるわけでございます。ちなみに十月の総理府の小売り統計、まだ異常高値というのが出ていない時代の去年の十月の総理府の小売り統計で見ますと、これは北海道では札幌と函館と釧路という三地区が選ばれております。全国で全部で六十六の都市が選ばれておるわけでございますが、その北海道の三都市の平均が十キログラム当たり千二百四十三円三十三銭ということに相なるわけでございますが、北海道を除いた全国六十三都市の平均が、十月で九百四十八円六十銭ということであったわけでございます。この差額が三百円でございます。  これはいい悪い別でございますが、当時私のところにLPの業界の方は、北海道で三百円を差をつけてくれというのを非常に強く申し入れしてきたことは事実でございまして、私は、それは絶対いかぬということで、この一月十四日の段階で妥当と認める価格というときには二百円アップで、一応通達を札幌市長と北海道庁に行なったわけでございますが、これは固定したものでございませんで、通達の中をお読みくださってもおわかりのように暫定的なものである。今後、生産者、流通業者、販売業者みんなで協力してこれを引き下げるということを指導するということを条件で、暫定的な妥当と認める価格ということにいたしたわけでございます。  いろいろなことを申し上げましたけれども、当時の事情及び当時の実勢相場等の動きから北海道に実質的に差がついたわけでございますけれども、これはいま鋭意通産局長が中心に、これの実質的な引き下げにつきいま努力をいたしておりまして、近く何らかの改善策がとられると私は確信いたしておるわけでございます。
  29. 竹田現照

    ○竹田現照君 それで値段の問題は、千三百円がいいとか千五百円がいいとかいうことはまた別問題として、いずれにしても標準価格の設定というものが、実際はいま行なわれている告示というものは、長官がおっしゃっているように、かくかくしかじかであるという確信を持った形において設定されたものでないことだけは確かなんです、実際は。それから通産、経企の間の話し合いがないことも確かなんです。あったなんと言っているけれども、あったなら具体的に何月何日と言ってくださいよ。私が聞いている限り、きのうだって、経済企画庁、なかったと言っているじゃないですか。だめだ、そんなうそを言ったって。
  30. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 先ほど私申し上げましたように、この標準価格の告示は一月十四日にこれは出たわけでございますが、その告示を出すにあたって、資源エネルギー庁のほうから説明を受けまして協議を受けております。
  31. 竹田現照

    ○竹田現照君 それはここの場だから、受けてないだなんと言ったら因るからそう言っているだけで、実際は受けてないのですよ。きのうだって、私はきのうも五時ごろ確かめたのだ。だから、そのことをやっていたら——私はきょうの昼までで終わるという約束になっているから、それ以上言いません。  そこで、いわゆる北海道価格と称せられる問題についての値段の設定についてお尋ねしますが、いま長官は都合のいいことを説明しているわけだ。札幌、函館、釧路の確かに総理府の統計はずっと出ています。私は四十六年以来のやつを持っていますが、北海道だけは札幌と函館と釧路の三都市のやつを平均をして千二百幾らだと、平均が。それから青森以下鹿児島に至る六十六のうちの六十三だけは、道を除く全部の都府県を足して平均して八百円とか九百円とかと言っていましたね。したがって、北海道との間に三百円ぐらいの差があるのだという、そういう説明ですよ。これはちょっとでき過ぎた、いいかげんな答弁じゃないですか。四十六年以来の総理府の統計を見ましても、それは三百円も四百円もの差なんかありませんよ、これは。それは釧路のような特殊なところは別ですよ。  ですから、そういう、そこを基準にものをきめるということについては私はどうしても納得がいきませんし、それから千五百円をきめたその根拠というものは、通産事務当局が私に明確に言ったことは、通産省のモニターの調査による実勢価格でありますと、こう言ったんです。そうすると、二十六人しかいないモニターの実勢価格をあなたは基準にやったんだ。私はここに、北海道の道が委嘱しているモニター五百名の実勢価格調査によりますと、これは昨年の六月から十一月までは大体千百円台で安定しておったんです。十二月になって千五百十三円という数字、これは五百名ですよ、あなたのほうは二十六名だから。道の五百名のモニターの調査による価格状況で十二月だけが急騰しているんです。最近、札幌市の生活安定対策本部長の談話が出ておりますが、LPガスは昨年十二月十七日に指導価格が出されたのを境に、十キロボンべ千百円が千五百円に高値安定したと言っている、つい最近。そしてこの千五百円を通産省がきめたのは、北海道の業界のはじき出した数字とぴたりじゃないですか。これを認めたということは、これは事実問題なんですよ。ですから私は、この決定のしかたそのものについて何と御説明があっても納得がいきません。  そこで大臣にお尋ねしますが、北海道は戦後、週刊誌に至るまでちょっと高かったんです、輸送費が高いとかなんとかということで。それから石油も、昭和四十一年までは標準価格というものはやはりあったようですね。それで北海道は七百円ないし千円の加算額が認められていたんです。しかし、これは北海道は党派をこえて全道民的な問題として、なぜ北海道だけが高い価格でがまんしなければならぬのかということでたいへんな運動がありまして、これは四十一年に閣議でも取り上げられ、十一月に政府がやられた一日内閣で、当時の佐藤総理もその解消に努力するという公約があった。そういうふうなこともあってこれは漸次解消され、いま自動車かセメントぐらいがちょっとある程度なんですね。漸次その解消の方向になっているところにもってきて、このLPが、政府のきめたこのことによっていわゆる公認をされたような価格をきめられるということは、これはたいへん問題なんですよ。一波万波波及するところは非常に影響が大きい。  だから、これをきめるときの段階で、すでに北海道知事からは通産省にそういうことをきめられたら困るという強い申し入れがあったようですね。最近は北海道議会でもこれは超党派でいろいろこの問題に取り組んで、久保通産局長が連合審査会に呼ばれても、この通達をなかなか撤回をすると言わないんですね、指導価格の。たいへんこれは大きな問題になりまして、いろいろと運動が行なわれておりますが、なぜこの北海道だけが、私が聞くところによると離島、山間僻地その他は別ワクとしてきめるのだ、こういっているんですよ。そうすると佐渡島から八丈島まで一ぱいありますけれども、北海道で離島といったら利尻、礼文のことをいうんですよ。なぜ北海道という大きな島だけが日本列島の中で離島、山間僻地の中に位置づけられて別格の価格をきめなければならないのか、私はどうしても理解ができません。  それと、総理府なり、先ほどから言っているように、経企庁の国民生活センターの資料を見ましても、差をつけなければならぬという理由はないんです。経企庁のあれにおきましても、北海道の十二月二十二日の物価動きを例にとりましても、これは共同通信の調査ですが、これは北海道千五百円、青森千六百円。いいですか、まだ高いのは栃木県の二千円、山梨県の千五百円、それから鳥取千四百円、島根、岡山千五百円、山口も千五百円、愛媛県の千六百円、沖縄の千五百円、類似のものは全部ありますよ。にもかかわらず、なぜ北海道だけがこの価格を押しつけられ、しかも先ほど言ったように、札幌市の生活安定対策本部長が言っているように、これをきめられたばかりに高値安定をしたという、こういう実情についてはすみやかに解消してもらわなくちゃいかぬ。ですから、私はこの通産省が出した指導通達なるもののただし書きというものは、なお書きですか、これは撤回をひとつ約束をしてもらいたい、いかがですか。
  32. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 品物によりまして北海道のほうが少し高いというものがあるのはまことに遺憾でありまして、そういう事態はできるだけ早期に解消していくように私たちも努力してみたいと思います。  それで、灯油の場合はわりあいに春から増産させまして大体見当がついておりまして、これは全国一律でやったわけであります。ところが、LPGの場合は不足が非常に目立って出てまいりまして、あの十一月、十二月の時点におきましては、一月の需給関係自体も非常に不安な情勢でありました。実際問題として、灯油とLPGの場合は手持ちの量が非常に違っておったわけであります。それでLPGの場合は、外国からスポットものをかなり入れないと需給の安定ができないという情勢もありまして、当時の実勢価格をいろいろ調べてみますと、やはり北海道は内地よりも高目になっておるわけであります。  それで、やはりあの当時一番大事なことは、円滑に品物が出回るということが大事である、そういうような配慮のもとに実勢価格基準とした場合に、北海道と内地に差があるということはわかっておりましたから、これはやはり北海道と内地を同じ格づけにした場合には、ひょっとすると北海道のほうに品物がかすれて、住民の皆さんに困ることが出てこやしないかと、そういう心配が非常にいたしました。そこで、矛盾であるということは知ってはおりましたけれども、品物を出させるということが一番念頭にあったものでありますから、実勢価格をやや平行移動した形であのときのLPGの標準価格はきめたのが実際の真相であります。  現在の時点になってみますと、その後、LPGの需給関係はわりあいに輸入もふえまして、そうして回復してきております。したがいまして、できるだけ近い将来にそういう事態を解消するようにいたしたいと思っております。
  33. 竹田現照

    ○竹田現照君 それはできるだけ将来というのは、これはひとつ大臣、ここで言えないですか、もう今月なら今月やめるということを。私も一月ずっと札幌あたりを調べてみましたけれども、もう品物がどうだとかこうだとかなんというときじゃないんです。むしろ一生懸命買ってくれ買ってくれというところだってあるんですね。ですから、北海道だけが実勢価格が高かったなんというんじゃなく、先ほどから私が言っているような実情からいきましても、これはあなた、まだまだ不便なところがあるでしょう、実際は。ですから、これはできるだけ早いとこなんと言っても、いつになるかわかりませんから、はっきりお答えをしていただきたいのです。
  34. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま何月何日というふうに時期を限ることはむずかしいと思いますが、ともかく需給関係、それから今後上がるという見通しがないという、こういうことを見きわめないと、われわれも責任を持てないことになりますから、その辺をよく見きわめまして、できるだけ早期にやりたいと思います。
  35. 竹田現照

    ○竹田現照君 私はね、そういう答弁だけで済む……実際、全国的に見ても全然条件が違ってないのですね。違ってないのですよ、大臣。上がるとなれば、また全国各地一斉に上がり出してくるのですよ。需給適正法を審議したこの部屋で私どもが質疑をしたときにも、埼玉県だって千八百円だとか二千円だとかと言っていた時期なんですよ。それから、現に私が灯油の問題についてここでただしたときも、東京の中だって全然ドラムかんが、一本か二本しか店に持ってこないという実情だったじゃないですか。ですから、あのときは全体が困難をしておったから、私はある程度その段階は理解をいたしますけれども、もう三月も近くなってきたいま、全体が御承知のような状況になって、しかもその十二月の段階というものは、業界によってつくられた一つ情勢であったということも、これははっきりしている。それから価格の暴騰によってとてつもないもうけをしているということも事実。国民感情がこれを許してない実情なんですから、これはそういうお答えだけではどうしても私は納得がいかないのですよ。  現に通産事務当局が千三百円、千五百円だなんていうことを問題にしていることが時期おくれだと、こう言っているのだ、私の言うことについて。むしろ下がってますよと言っているのだ。下がっているということがわかっていたら、なぜそれを具体的に適切に手を打たないのですか。大臣、あなたの先ほどの所信表明と全然違う。「迅速適切な手を打ってまいる所存であります。」と、何が迅速適切な手を打っているのですか。これこそ私は迅速適切な手を打つ——先ほどお読みになった所信表明なんですから、私はこれを求めたいんです。いかがですか。
  36. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石油需給計画が二月、三月、それからその後にわたってどの程度になり得るかと、そういう数量の需給関係の見定めも実は必要なのであります。したがいまして、どの程度の生産が確実に可能であるか、そういうような数量を見きわめないで大体の感触だけでやるというと、なかなか商人はずるいですから、かえって裏をかかれるという危険性もなきにしもあらずであります。そういう面から、やはり不安のない行政でやっていきたいと思いますので、まあ検討はしてみますが、できるだけ早期ということで御了承願いたいと思います。
  37. 竹田現照

    ○竹田現照君 これはきょうの段階では押しくらまんじゅうみたいなものですけれども、しかし、特に北海道価格の問題は、全道民的な問題としていま政府にも強く要請されておる問題なんです。ですから、商人がずるいとかなんとかというのは、これは全国的に言えることなんです。ですから、それを見きわめるために北海道の道民だけが、それでなくても冬に金がかかる道民生活を、さらに支出が増加をするということを政府によって保障されているなんていう、こういう状態というものはすみやかに解消をするのが当然だと思うのです。ですからこの点は、すみやかにということは、四月だとか五月だとかということでないというふうに私は理解していいですか、すみやかにということは。それで私はきょうの質問を終わりたいと思いますが、そういうふうに理解してよろしいですか、四月や五月ではないということ。
  38. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) できるだけその御期待に沿うようにいたしたいと思います。
  39. 大矢正

    ○大矢正君 経済企画庁を午後から私呼んでいませんから、まあ一問か二問だから、わざわざ来ていただくのも恐縮だと思って実はお呼びをしてないわけですが、ちょっといま十二時までに若干時間がありますからお尋ねしますがね。  いま竹田君から、LPGと灯油の問題についての標準価格のあり方について質問がありました。私がお尋ねしますのは、いまきめられている灯油ですね、これは三百八十円という価格はいつまで続くのでしょう。通産省は、前は、三月一ぱいまでは三百八十円というような話をしておったと記憶していますがね。あなたは、実際に標準価格をきめるのは経済企画庁だから、おたくは三百八十円という灯油の価格は、これはいつまで三百八十円でいこうとされていますか。その一点だけちょっとお答えを願いたい。
  40. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 実は、標準価格決定は主務大臣が定めるのでございまして、主務大臣が経済企画庁と協議をするということでございまして、ただ、私どもは通産省からこれは事情も聞いておりますが、告示ではこれはいつまでということは定めておりません。おりませんので、これは法律でも必要がなくなれば当然やめるということになりますので……。
  41. 大矢正

    ○大矢正君 そんなことは聞かなくてもわかりますよ。
  42. 有松晃

    政府委員(有松晃君) はっきりした期限はこれはきめておりません。
  43. 大矢正

    ○大矢正君 私の聞いておるのは——いまあなたの言うようなことはわれわれだって知らないわけじゃない、わかっておるんですよ。私が聞きたいところは、あなただって、一月一日以降大幅に原油の値上げが行なわれていると、これはメジャーをはじめとして。いいですか、こういう情勢の中で、三百八十円という灯油の価格というものは、これはずっとそのままでいくのかどうですかということを聞いているわけですよ。  もっと具体的に言うと、三百八十円というものはどうやって出てきたかといえば、実勢価格だの何だのといろいろ理屈はあるが、リッター当たりおおむね元売り価格を十三円と指定をして、それに一次あるいは二次、あるいは標準的な流通機構のマージンを加えて三百八十円という数字をはじき出したのでしょう。とすると、その元売り価格というものが、かりに十三円というものに変化が生じた際には、標準価格というものは変化する公算が大きいわけですよ。そういうことを含めて、経済企画庁としてどう考えておりますかとお尋ねしておるわけです。
  44. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 経済企画庁といたしまして、灯油の標準価格でございますけれども、標準価格というものは、一たんきめました場合には、やはりある程度の期間、これは安定的と申しますか、にきめられるということが望ましいと思いますが、ただ法律でも、もちろん事情が変更した場合には改定の規定もございます。したがいまして、改定の必要あるいはこれをやめる必要というようなものが生じました際には、これはまた通産省のほうと、十分説明を受け、協議もいたしたいというふうに考えております。
  45. 竹田現照

    ○竹田現照君 委員長、最後に。  これは先ほど、値段をきめるときの通産省の態度にも関係してお聞きしますが、電力カット告示の際に、官報の告示が間違っていたのですね。一五%が二〇%、一月十二日の官報。それで十四日に訂正をということですがね。私は、官報の告示なんていうものはこれはきわめて重要な問題ですよ。それを、国民がきわめて重大な関心を持っているのを、一五%、二〇%の制限の数字を間違うなんていうことは、幾ら当時資源エネルギー庁が忙しくててんてこ舞いで、たいへんお疲れだったようですけれども、これはたいへんけしからぬことだと思うのですよ。  そして、その当時の新聞を見ると、官報の、ミスなんかときどきあることだと、しかし、これはたいへん重大なミスだったので申しわけありませんだなんていう、こういう新聞記事が載っておりますが、これは申しわけないどこれじゃない、きわめてけしからぬことだと思うのです。官報の告示のミスなんていいうのは、だいぶ前にたしか金森徳次郎先生あたりが、この問題について一つ所見を発表されておりますが、これは慎重の上にも慎重に取り扱わなきゃならぬ問題だ、こういうことになると思います。これはたまたま期限があったからいいようなもので、期限がなけりゃこれはたいへんなことじゃないですか。私は、こういうような扱い方というのは、いま時期が時期だけに重要な問題だと思うのですが、こういうようなミスをしたことについては、通産省としては大臣、どういう処置をされるんですか。間違ったから、しようがないから、告示、官報の訂正だけで済ましておくんですか。
  46. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 一月十二日の、電力の法律に基づく規制に入りますときの告示が官報でミスいたしましたことは、いま先生の御指摘のとおりでございますし、また、いまお示しになりましたように、非常にわれわれ遺憾の感じを持っておるわけでございます。たまたま実施が十六日ということで四日間時間がございまして、これの訂正が間に合いましたことが非常に幸いであったわけでございますが、いまお話しのとおり即日施行というような場合には大問題であったことは、もうそのとおりでございます。  弁解ではございませんが、当時二割のカットという案もございまして、その間OAPEC系統から急に日本の友好国扱いという変化もございまして、実は事務上非常にそごを来たしました。本来ならば印刷局に至急にこの訂正をしなきゃいかぬことをミスいたしまして、私、責任者として非常に恐縮でございます。今後絶対こういうことがないように、もう官報のミスというものは一ヵ所も絶対あり得ないということで気をつけたいと思いますので、庁員にも厳重に申し渡しておりますので、その辺お含みの上でひとつ御了承願いたいと思うわけでございます。
  47. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 官報のミスを行なうというようなことは、官庁としての非常に大きな失態でございまして、まことに申しわけない次第でございます。私もこのことを聞きまして、非常にこれは公務員としていろはのいから間違っておるというやり方で、これはお粗末であるとか何とかということばでは済まされない問題である、官庁の職員としての心がまえ、国民に奉仕する心がまえにおいて根本的に間違っておるところがある、そういうことを説諭いたしまして、強く長官以下戒めたところでございます。まことに申しわけない次第でありまして、今後はそういうことを絶対起こさせないように監視し、監督していくつもりでございます。
  48. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時三分休憩      —————・—————    午後一時十分開会
  49. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き産業貿易及び経済計画等に関する調査を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  50. 大矢正

    ○大矢正君 私は、エネルギー問題の中で特に石炭問題と、それから石油問題にしぼってきょうはお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、石炭問題についてお尋ねをいたしますが、昨年、中東紛争に伴うエネルギー危機、石油の危機によって石炭がまた再び見直される方向に変わってまいりました。政府においても審議会に対し、諮問等を通じて新たな立場からの石炭政策というものを打ち出したいということで、昨年来努力をされておることは私もよく知っているところであります。特に、午前中の大臣の所信表明の中に、石炭問題に触れられておりますが、この所信表明でなされております政策というか、出されている政策というものは、これはいま審議中の四十九年度予算に限定をした形でのこの石炭政策の見直しと、その域を出ていないわけですね、はっきり申し上げて。私は、時間がありませんから詳しくは申し上げませんが、四十九年度予算の中における石炭特別会計、あれに盛られている施策の内容をもってしては、これはやはりとうてい石炭産業の現状をすら維持することはできないんじゃないか。増産などというものはなおさらのことできませんし、その観点から、大臣は石炭産業を新たな立場から見直すというのは、一体どういうことを考えて先般の衆議院の予算委員会等においても御発言をなされておるのか、お答えをいただきたいと思うのです。
  51. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石炭産業が重要な国産エネルギーの宗たるものでありますし、また、日本の経済的セキュリティーを考えてみましても、そういう国内から出るエネルギー資源を大事にするということは政策上も非常に重要でございます。そこへまた石油危機が起こりまして、石油の値段が暴騰いたしまして、そこで石炭石油に対抗する条件が徐々に醸成されつつあるのではないかという考えを持っておるわけであります。石油の値段がどの程度の水準に落ちつくのかまだよくわかりませんが、今日のところ、アラビアンライト等におきまして、大体九ドル前後ということでございます。こういうような価格が今後どういうふうに推移するかわかりませんが、いずれにせよ、その程度の価格にまで石油上昇してきているということは、火力発電等におきましても重油専焼火力に対抗して石炭との混焼、あるいは石炭の専焼火力というものの対抗要件が徐々にいままで以上に上がりつつあるものであると思うわけです。完全に対抗できなくとも、国産資源を大事にするという意味においてこの資源を保護しながら開発していく、そういう面においていままでとは違う条件が現出しつつあるものと考えます。今後、石油情勢等全般を見きわめながら、そういう基本線に立ちましてこの石炭政策というものを見直す必要がある。そういう意味におきまして、総合エネルギー調査会に諮問いたしまして、石炭、水力、あるいは石油、原子力そのほか日本におけるエネルギーの機能、それから価値の位置づけというものをいま策定してもらっておるわけでございます。  さきに第五次答申につきまして中間答申をいただきました。この中間答申を実行していくということが当面のわれわれの立場でございますが、その過程におきましても第五次答申自体、及び中間答申自体も検討を重ねていくべき時世に入っている、そういうように計得まして、総合エネルギー調査会の答申も見つつ政策を進めていきたいと、こう考えておるわけでございます。
  52. 大矢正

    ○大矢正君 大臣、石炭産業というものを見直すということについて二つの問題点があります、金を除いてですね。それの一つは、いま油が比較的不足をしているから石炭を見直そうじゃないか、あるいは石炭をもっと利用しようではないかという方向政府施策の目を向けているが、しかし、この油の不足というものはいつまでも続くものではない。とすれば、このまあ価格の問題では、問題はいま大臣から言われたとおりいろいろありますが、量の問題に限っていえば、ある時期が来れば、まあ必要とする油はこれは確保することができるという段階になったときに、そこで再びまた石炭が見捨てられはしないだろうかという危惧の問題が一つありますね。  それから第二の問題は、いままではスクラップ・アンド・ビルドという合理化法の基調にのっとって一方では新鉱も開発する。一方で、そのかわりコストの高い山はつぶしていく、自然条件の悪い山はつぶしていくというようなことで、そのつぶれる山があったから、労働力を、つぶれる山から三割なり四割なりを他の不足をしている山が受け入れることによって現状維持をはかってきたわけです、まあ減ってはきましたが。ところが、今日の事態になってまいりますると、つぶす山はほとんどもうつぶしてしまいましてね、政府がある程度助成をすれば、従来のようにつぶれる山というものはほとんどないという状況にまできてしまった。それは傾向としてはいい傾向なんだけれども、反面には、つぶれる山がないから労働力を維持する、確保することができないという問題にぶつかっているわけでね。  したがって、私はこれは大臣に、まず第一の問題に関連してこういうことを考えられないかどうかということを提起してみたいと思うんでありますが、いま電力の中心は火力であり、火力の中心は油であることは申すまでもありません。そこで前提としては、国内の一般炭を使用して、それでなお不足を生じた際には輸入をするんだという前提で、石炭専焼火力を単に北海道に今度新しく一基をつくるというようなものではなしに、もっと規模の大きいものを量的にもつくったらどうかと。これはやはり九電力にやらせようとしてもなかなか問題が残ると思いますから、当然、電源開発等が中心になってやらなきゃなりませんし、現に電源開発も各地でやっているわけでありまするから。受けざらというか生産した石炭が有効に利用されるという前提のためには、それを受け入れるものがなきゃならぬ。それの最も近道は、やはり電力用炭として使うことが一般炭の場合は大事だと思う。とすれば、もし石炭が足りないようだったら海外から輸入するということも含めて、受けざらとして石炭専焼火力を北海道、九州にこだわらないで、私は、積極的に政府が肝いりをしてつくるという方向が必要なんじゃないかと、こういうふうに考えるんでありますが、この点に対する大臣の見解を承りたいと思うんです。
  53. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 現時点におきますと、方向としては、もし公害問題において異論がなければそういう方向にいきつつあるのではないかと思います。きょう御説明申し上げました私の施政の方針の中にも、まず大矢委員おっしゃいましたように国内炭を使い、足らざる場合は外炭の輸入ということも考慮すると、そういう趣旨のことを申し上げておるわけであります。しかし、やっぱり公害問題という一つの大きな問題もございます。それから、石油の値段の動向がどういうふうに変わるかということもまた一つございまして、それらの両方をにらみ合わせながら、私らはできるだけエネルギー源というものを多様化するほうがいいと思いますから、いままで石油にのみおぶさっておったのを石炭やそのほかに散らしていくと、そういう多様化方針を考えておるものでございますから、できるだけそういう方向に持っていきたいと考えておるわけであります。
  54. 大矢正

    ○大矢正君 次に、石炭問題は、小委員会がありますからそのほうでも十分やりたいと思いますので、石油問題に入りたいと思いますが、いま政府は、電力と石油消費規制をやっておりますが、三月以降は消費規制はどういう形になさるおつもりか。もちろん、これは今後の石油輸入見通し等とも関連が出てまいると思いますが、そういう今後の石油輸入見通し等から判断をされて、もう二月も半ばでありますが、三月以降の政府の電力、石油消費規制についての新たな方向といいましょうか、方針といいますか、そういうものはないのかどうか、お尋ねをいたしたいと思います。
  55. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは需給適正化法に基づく審議会を近く開きまして、そこにお尋ねをして、それから発表するという段取りになることになりますが、私のいまの感じといたしましては、一月の石油の入荷量を見ておりますと、これはラフな私の記憶でございますが、通関ベースでは二千二百万キロリッター台であったと思います。ところか速報ベース——通産省の統計による速報ベースで見ますと二千四百万キロリッター前後の数字が出ております。この差がどこから出ておるか、いま精査しておるところでございますが、大体いままで通産省は輸入関係の速報を全部とりまして各船別に集計しておるわけで、それが政策立案の大体の基準になってずっといままでやってきたものであります。まあその差は、いままでの経験によりますと、片方が多くなって片方が少なくなったりすることはございますが、大体通関のほうが多いというのがいままでの大体の傾向でございました。一回だけ別のことがたしかあったと思います。そういう情勢で今度は速報のほうが多いということでございますから、精査してみる必要があると思いましてやっております。  もっとも、最近は船のボリュームが大きくなりまして、一隻五十万トンのタンカーが出没いたしますから、このタンカーをどっちに入れるかということによって百万トンぐらいすぐ違ってくるというところもあるわけでございますが、その辺も精査してみますが、一月の入荷ぶりを見ますと、初旬、中旬があまり期待ほど入っていない。ところが、下旬になりましてどっと入ってきておる。そういう情勢を見ますと、この傾向は二月も続くであろう、あるいは三月も続くのではないかという期待を抱かせる様相がございます。そういう面から見まして、今日の時点における私の感じでは、三月ごろは少しゆるめたほうがいいのではないか。そして生活必需物資、生活関連物資等の増産のほうに拍車をかけて物価下落を促進するという方向に向けるほうが適切ではないかと、そういう感じがいましております。もう少し数字を精査いたしまして、いずれ需給審議会に諮問いたしたいと、そう考えております。
  56. 大矢正

    ○大矢正君 エネルギー庁長官にお尋ねいたしますが、政府が電力と油の消費規制を昨年来行なってきましたが、大体いままでの消費規制によってどの程度、まあ、それ以外にマイカーの規制とかというものもやはりかなり有効に私はきいてきたと思います。そういうものを含めて、もちろんこれは正確な数字を出せといっても困難かとは思いますが、大体規制措置によってどのくらい原油に換算をしてカットできたのか、量的な内容をひとつお答え願いたいと思います。
  57. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) お答え申し上げます。  御存じのとおり、十二月は行政指導で一〇%の削減で始まったわけでございますけれども、一月十六日から二月一ぱいにかけまして現在一五%でやっておるわけでございます。この実績、特に数値で申し上げるというのは時間もなかなかかかりましてあれでございますが、私、手元にちょっといま数字持っておりませんけれども、十二月の非常にゆるやかなる行政指導でやっておった段階の効果といいますか、それはある程度われわれのほうでつかんでおりますが、特に電力につきましては、全国でたしか私の記憶では一〇の行政指導に対しまして七・五ぐらい出ておりますが、特に東電管内では行政指導段階でありながら一〇%の削減というのがそのまま出ておりまして、ほぼ一〇%近い実効をあげておるわけでございます。  その後、一月の半ば以降電力は法規制に入りまして、石油につきましても二月からいわゆる法規制に入っているわけでございまして、まだ一月の効果というのが数字的にはそういう意味ではっきりしない点がございますわけでございますけれども、十二月のそういう動きから見ますと、一月、二月のいまやっております規制の効果は、私、非常に勘で申し上げてあれでございますけれども、相当期待されている効果が出てきておるのではないかと考えるわけでございます。これを石油換算で何キロリットルかということは、ちょっといま数字その他も持っておりませんし、明確に申し上げかねますけれども、大体そういう方向だと思うわけでございます。
  58. 大矢正

    ○大矢正君 どうも長官、時間はかかるんだけれども、中身がさっぱり答弁の中にないので、私も持ち時間一時までしかないので困るんですよ。ことばの数は多いんだけれども、私の参考になる内容がさっぱり出てこないのです。  それはまあそれとしても、それじゃお尋ねしますが、当初こういうような危機を予想しない以前、すなわち昨年の段階で、昭和四十八年度は原油の輸入を大体どの程度当初計画として見込まれたのか、お答えを願いたいと思います。これはすぐわかるでしょう。
  59. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 四十八年度の石油輸入量は、三月段階では二億八千三百万キロリットルぐらいであったわけでございますけれども、上期の輸入の趨勢を見まして、九月にこれを実質行政的に改定いたしまして、年度間三億五百万キロリットルと改定しまして、それに基づいて十一月十六日の閣議で決定しました規制のあり方等を考えたわけでございます。
  60. 大矢正

    ○大矢正君 そこで私が通産省に確かめたところ、ことしの一月、二月、三月、すなわち四十八年度末まで来月一ヵ月ありますが、この一年間で、四十八年度ですよ、二月、三月はある程度想定を含んでおりますが、大体二億八千九百五十万キロリッター、約二億九千万キロリッターぐらいの油が実際には入ってくるという、そういう数字が示されておりますね。そこで、そうすると当初の必要見込みというか、当初の輸入見込みを三億キロリッターぐらいに押えておったというのは、いまあなたが御答弁になったとおり私もそう記憶しております。そういたしますと、約一千万キロリッターぐらいしか不足というものが出てこないわけですね。三億キロリッターの入荷のうちの一千万ですから、その量というものは非常にわずかである。しかも経済規模が大幅にダウンをして、物の生産もこのとおり設備投資中心に抑制をしているわけでありまするから、この当初の三億キロリッターも、さらにそれだけも必要としないというような事態も起こり得たんではないか、あるいは起こり得るんではないかということを想定しますと、これは何のための消費規制なのかということに、数字的にどうも疑問が出てまいりますが、大臣、その点はいかがでしょう。
  61. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 結果的に見ますと、四、五月になって石油の入荷量を正式に調べてみますと、あるいはそういうような傾向になるかもしれません。しかし十一月、十二月の段階で、あの当座考えてみますと、OAPECが十月の十六日でありましたか、二五%削減、それから毎月五%削減、そういうような非常におそろしいような数字が出てきて、それで、これでいったら日本経済はどうなるかということで諸般の措置をとり、国会でも法律をつくっていただきまして、この法律ができましたがゆえにいろんな規制ががっちり組めまして、それでものごとがわりあいに、多少の心理的パニックはありましたけれども、安定の方向へ向かいつつあると思うんであります。これはやはり法律をつくっていただいて、がっちりワクを組んで、国の向かう方針を国民の前にお示しいただいたから、人心も鎮静してきて、こういうふうになってきたんだろうと私は思います。  そこで、それに伴いまして、いまお示しになりました総需要のカットを思い切りやっていく、これは通産省が先導して実はやったといってもいいと思うんであります。十二月の段階で、石油を多消費する産業、特に自動車以下について、約三千五百億円に及ぶ下期の総需要カットを民間設備投資でやりまして、大蔵省がこれについてきて資金関係のまた削減をやる、そして内閣全体としてそういう方向へ誘導いたしまして、それが四十九年度予算の方向にも同じペースで動くようになってきまして、そういうような政策づくりが行なわれたがゆえに、需要と供給とのバランスが回復され始めつつあるのではないかと思うわけであります。  したがいまして、結果的に見ますと、ある意味においては、国会法律をつくっていただき、いろいろ政策について御指導していただいたがゆえに、たいした混乱がなしにうまく過ごせる方向に行きつつあるのではないか。この間において、一部の業者がもうけたとか、いろいろそういう遺憾な事件はございますけれども、十二月の時点で見ますと、二月ごろはどんなパニックが起こるかわからぬという、実は戦々恐々たる気持ちで行政をやっておったわけでございます。そういう面におきましては、まあまあの方向動きつつあるのではないかと、そういうように考えます。結果的に見ますと、確かにそのとおりになりますが、政策立案者のほうから見ますと、あの当時の心境というものは、これは二月は通産省焼き打ちにあうんじゃないかというぐらいな悲壮な気持ちで実はやっておったのであります。
  62. 大矢正

    ○大矢正君 大臣、私も、過去のことはこれはだれも予測ができなかったことであって、その十二月の時点でもって一月、二月どうなるかというようなことを、おまえ的確な判断できるかといわれても、だれもそれはできるわけではないので、それは当然だったと思うんです。ただ、今日の段階になって、数字をずっと積み上げてみると、三億キロリッターに対して約二億九千万キロリッター入るということになれば、三・三%程度にしか当たらないわけですね、需要に対してその原料分というのは。それがその恐慌を来たすというような今日の事態というのは、ちょっと数字からいくと想像できない結果が出てくる。私はだから十一月、十二月に政府がやったことが悪いと必ずしも言っているのじゃない。問題はこれからのことですが、今日なお石油不足、石油不足ということで、物が値上げをされていくという事態防止するには、やはりこの数字から見ましても、総需要の抑制がかなり浸透しつつあるんですし、金融面からの引き締めももちろん出ておりますが、需要がかなり押えられてきている今日の実態を見ますれば、それほど消費規制を三月も強力に続けていく必要性はない。むしろ規制は解くと、そうして、その反面で値上げをそのかわりびしびしとたたいていくと、こういう方向に大幅に転換をされるのが好ましいのではないかという感じがしますが、いかがでしょう。
  63. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 現状の条件を考えてみますと、御指示の方向にいくほうがいいと思っております。ただ、まだ足元が不確定な要素が若干ございますから、それらを確かめまして、国民の皆さんが不安を持たないような形で、安心した形でそこへ推移するように努力してみたいと思うのであります。
  64. 大矢正

    ○大矢正君 それから次にお尋ねしますのは、石油確保政府立場と申しましょうか、その面についてお尋ねしますが、たとえば電力、ガスというような公益事業に対しては供給責任を、まあ地域独占を許す反面、供給責任を持たしておるわけですね。しかし、油というものが、もし入ってこなかった場合にどんな事態になるかということは、去年の十月以降われわれがみずから体験をしたところですね、全く極論すれば、電気、ガスがとめられると同じような結果になったわけですね。  そこで、電力あるいはガス等については緊急避難はあるといたしましても、一応供給責任というものを業者に持たしておるわけですが、石油に関してはだれも責任を持つ必要性はないことになっていますね。石油業法の中にも、石油精製業者は供給に責任を持ちなさいと別に書いてあるわけでもありません。単にこれは設備の制限あるいは許可制、あるいは精製業を始める場合の許可制とか、そういうようなものが中心で、安定的に油を供給するという責任は一体それじゃどこにあるんだろうかということになると、どこにもないということになるんですね。このことについての矛盾について大臣、どうお考えになりますか。
  65. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は今度経験してみまして、電気の場合と石油の場合と非常に違っておるので、政策としても非常にやりにくいところがあったのは御指摘のとおりであります。ただ、いままでのいきさつから見て、石油はプライベートカンパニーとして、自由企業原則のもとにやってまいりました。これは日本の場合は、メジャーに依存するところが非常に多いという遺憾な歴史的事情からもきておる要素が非常に多いわけであります。通産省としてやってきたことは、民族系を育成をして、メジャーとフィフティー・フィフティーの力を持たせて指導力を漸次培養していこう、そういうことであったと思いますが、それも必ずしも十全の力をまだ持っておるわけではございません。そういう意味において、今後の石油の事情全般を見比べながら、石油に対する国家との関係国民に対する責任、そういうようなものをどうすべきか、これは私も頭の中で考えておるところであり、政治の課題として検討すべき課題であると考えております。
  66. 大矢正

    ○大矢正君 大臣、抽象的な論議ばかりやっておるようで何ですが、時間がないものだから、そうせざるを得ないんですが、たとえば貿易をする場合に、一つの国との間における貿易があまりにも大きくなるということは、それはお互いに万一の場合に不幸な結果を招くということは一般論としていわれるわけです。ところが、油の場合も私は同じことがいえると思うんで、いまのように六〇%から六五%の原油の供給をメジャーに依存をしているわが国の実態というものは、これは結局のところ、わが国の自主性といいましょうか、フリーハンドといいますか、そういうものをかなり制約をすることになってきております。そこで大臣が考えて、いまの六割から六割五分近いメジャーの供給という今日のわが国の実態を今後どうされるおつもりか。二国間取引のような形はこれから大いに拡大をしていくとは思いますが、どんどんこれを拡大していくつもりなのかどうか。ただ、そこで問題になるのは、一番安い油を供給しているのは、残念ながらこれまた、ひっくり返して言うとメジャーだという、こういう矛盾にぶつかるわけです。その辺の問題をどうこれから処理されるおつもりでしょうか。
  67. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 方向としては、やはり自主原油の率をふやしていくということが方向でありまして、これは石油審議会の答申の中にもそういう方向が明示されておるわけであります。将来としてはやはりGGベース——二国間取引というようなことをやはり努力していかなければならぬと思いますが、当面、いま御指摘のようにメジャーから買っている油のほうが安い、GGベースのものとかあるいはDD原油、こういうようなものは入札でありますし、そのためにあるいはバイバックのものにいたしましても値が高い。メジャーが売る場合は、それをいままでの供給に埋めてくるからわりあいに低位に落ちつくけれども、バイバックやDD原油だけにすると非常に高い値段につく。ですから当面の物価対策からしますと、DD原油というものは物価対策に貢献しない、そういう要素がございます。しかし、長い目で国民経済や国家のセキュリティーという問題を考えてみますと、やはりそっちの方向移行しなくちゃならぬ。いずれ、メジャーの値段とDD原油の値段が次第に落差がなくなって同一になっていくだろうと私は思います。この間、ヤマニ大臣とも話しましたときに、これは解消するであろう、またそういう方向へ持っていきたいというようなことを言っておりました。そういう方向に持っていってもらい、低位に安定さしてもらいつつDD原油をふやしていく。そういう形でいくのが最も望ましいと思いまして、そういう努力をしていきたいと思っております。しかし、当面は物価対策が重要でございますから、あまり高いDD原油を買うなということを過去において、たしか十二月か一月でありましたが、視察しまして、十七ドルとか十六ドルというような高い油を買う風潮が一時ありましたが、それらを押えたというのが事実であります。
  68. 大矢正

    ○大矢正君 山形さん、大臣がしばしば石油は——現在、灯油、LPGについては標準価格がありますが、それ以外の石油製品について指導価格を設けたいと、ガイドラインというものを設定したいと、こういう御説ですね。これはいまのDDかGGか、あるいはメジャーかというようなものにも関連が出てまいりますが、いま私が申し上げましたような、通産大臣もしくは通産省がいま検討しておるガイドラインというものは、石油業法に基づく指導価格というものなのか、あるいはそういうことと何も関係ないものなのか、その辺はどうなんでしょう。石油業法の第十五条だったですかな。十五条の「販売価格の標準額」というやつがありますね。これに基づいて標準価格というものを——標準価格というか、指導価格というか、これはどういうことばが適切なのかわかりませんけれども、それを出そうとするのか。いや、そういう法律上の問題ではない、通産省は今日の石油価格を幾らかでもとにかく低位に押えようとする、そういう立場から出そうということなのか、その辺のことはどうなんでしょう。
  69. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 現在、各社から資料も十分にとりまして検討いたしておるわけでございますけれども、いずれにしましても、一月一日以降、公示価格で言いますと大体二・三倍くらいの値上がりをいたした原油がすでに日本に入着しておることは現実でございます。いま先生御指摘のとおり、これをどういう形で標準的なものを出すかということを検討いたしておる段階でございまして、でき上がりのかっこうで石油業法に根拠を置くのか、もう少し行政的なものにするのか、その辺は現在私から、その根拠をどこにするかということを申し上げかねる段階でございまして、いま実態を検討しておる段階でございます。
  70. 大矢正

    ○大矢正君 しかし、山形さんあなたは——どうも私はわからぬのだが、政府が現にやっておるでしょう、積み上げでいろいろな計算を。それで私は通産省はなかなか渋くて資料を出してくれないんですわ。だから私は自分で昭和四十七年の全世界の油の、日本の各石油会社が油種別にどういう油を幾ら入れたというこの資料をやっとこさ、とあるところから入手したんです。これを見れば四十七年度は、たとえば日本石油は世界のどこの油を何ぼ買ったというのが全部出ているんですわ。膨大なものです、これ。あなたのほうはこれを一つ一つ積算して、これは油みな価格が違うんですからね、それを全部積算をして、そうしてその一つ価格というものを出すのか、全体とにかく平均すれば倍になったとか、二・三倍になったとか、二・四倍になったと。したがって、いままでの原油価格にぽんと二・四倍ぶっつけて、そうしてそれから展開をしていくというようなそういうやり方をするのか、これはなかなか問題のあるところだと思うんです、このガイドラインを出すにいたしましても、言ってみれば、標準価格というところまではいかないに、しても指導価格と言おうか、あるいはガイドラインというか、そういうものをきめるという方向を大臣が打ち出されてからかなりもう日がたっておるんです。その日がたっておるにかかわらず、これは石油業法の第十五条に基づくものなのか、いやそんなことには全然関係ない、通産省は単なる法律に根拠を持たない、言ってみればガイドラインというか、指導価格というか、そういうものを設けようということなのかということすらきまらないということは私はどうも不可解でならないんですが、大臣いかがですか。
  71. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の現在の感じでは、生活関連物資に関する国民生活安定法を背景とする行政指導による価格体系というもの、そういうものを私は頭の中に置いております。この前、灯油やLPGにつきましてもそういう意味の行政指導価格をきめて、それが標準価格移行したわけであります。そういう意味におきまして、標準価格移行前の行政指導価格、そういうような感じで持っていきたいというふうに私個人は考えておるところであります。  それで、それらにつきましてはいろいろな考慮が実は必要でございまして、一つはメジャーの日本に来ておる支社長や支店長がこの間私のところに来まして、メモランダムみたいなものを置いていきました。それによると、ともかくドイツやフランスやイタリアは一月十一日ごろから値を上げておる、日本は押えているのはけしからぬ、あまり押えてわれわれのほうの採算ベースが怪しくなると油が来なくなる危険性がある、やっぱりあるヨーロッパのほうへ回せざるを得ぬというがごとき感じのする考え方をわれわれに述べていったわけです。私らは、メジャーがいままで必ずしも横暴でないと言えない。そういう要素もありますから、この間のワシントン会議におきましても、メジャー問題を日本は持ち出せと、そういうことを頼んでおいたくらいであります。しかし一面において、そういう供給をできるだけ保証して、国民の皆さんに安心してもらって、心理的パニックを再び起こさせないようにするという配慮が、実は一つ大事な点でもあるわけです。だがしかし、一面においてこの石油会社の一部が十一月、十二月もうけて国民から指弾された、そういう事実もやっぱりあるわけでありまして、国民感情という問題も、非常にわれわれは行政当局として考えなきゃならぬ要素があります。  そういう中にあってどういう体系をつくっていくかということは、なかなかむずかしい要素がございまして、エネルギー庁におきましても、夜をあげていろんな形の積算根拠をつくってやっておるわけです。それは各社別に、どこの油が何ぼ来た、値段は幾らである、総積み上げをやっておりまして、そして入ってきた油全部について各単位ごとに掛け算をして、そして、総資本ということばがありますが、総価格、総平均価格というものを綿密に積み上げてやらして、平均水準がどの程度であるかということをいまにらんでおるというのが現状でございます。
  72. 大矢正

    ○大矢正君 公取にお尋ねをしますが、けさの新聞によると、おたくの委員長さんが、これはまことにいいことを言っておるわけですが、標準価格をどんどんつくれということを盛んに強調されておるようですね。その意味するところは私、まことにいいことだと思うんですよ。  ただ、そこで問題は、いま大臣は、指導価格をつくったらその指導価格標準価格に横すべりさしていくんだと、こういうお話ですがね、それは結果としてはそうなっていくんだろうと思うんです。ただ問題は、そうすると指導価格をきめるときが一番問題なんであって、標準価格をきめるときが問題ではないということになるわけですね。少なくとも政府行政指導として設ける価格というものと、それから法律に基づく、国民生活安定法に基づく標準価格というものをきめる際においてのこの算出のしかたというものは、私は、性格的にかなり違いがあると見て差しつかえないんじゃないか、単純に横すべりをさせて値段をきめるというような内容のものではないんじゃないかというふうに考えますが、公取委員長の発言の趣旨と、いま私が大臣その他エネルギー庁長官と話し合った、質疑応答をいたしました内容との関係についてお答えをいただきたいと思います。
  73. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 公取委員長の発言された趣旨は、それは法律に基づいて主務大臣が自分できめる、自分の責任できめるいわゆる安定法の標準価格というものは、これは政府がみずからの責任できめるわけでございますから、価格を、いわゆる標準的な価格をきめるならば、そういう法律に基づいてきめるのが望ましいと、こう言われたのだろうと思います。  その前の、いまおっしゃいました指導価格、いわゆる法律に直接根拠を置かない、しかし、それがまた標準価格移行することもあり得るというようなものにつきましては、これは法律の根拠は現段階においてはないということでございまして、その場合、その業界の意見がそのままの形で——ということは、業界個々にもちろん事情を聞くということは独禁法上も差しつかえないと思いますけれども、業界サイドの団体の意見とか、いわゆるそこに話し合い的な内容を持った業界意見というものが反映されることになれば、これは非常に問題があるのじゃないかというふうに考えます。  ただ、法律に基づく標準価格の場合は、これはあくまでそれ以上の価格では売ってはいけないという価格でございまして、それ以下の価格で売ることは、これは自由でございます。ですから、この標準価格の場合でも、業界同士話し合って、その価格を維持しようというような競争制限的な行為が行なわれれば、これはやはり独禁法上問題じゃないか、いわゆる競争制限に、カルテルになるのじゃないか。こういうものはきびしく規制をしていかなければならないというふうにわれわれは考えているわけでございます。
  74. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、公取に最初に。  いま非常な物価高で、政府も積極的に物価対策に取り組んでおるということも、ある程度は評価できるわけですが、依然としてこの物価の衰えはありません。まあ幾らか行政指導等によりまして、生活物資の値くずれも若干は見受けられておりますけれども、まだまだ上がりっぱなしというようなものも相当あります。  そこで私は、再販の指定品につきましてお伺いしますが、新聞等にもちらほら出ておりますけれども、再販指定の取り下げの届け出が最近は非常に急増している。しかもそれが大半は、この物価値上げの際にはじゃまになる、なるべくこれを追っ払って値上げをというようなことを意図したような取り下げ、そういうような動きが非常にあるわけですが、最近の再販取り下げの動き、その辺のところを最初お伺いしたいと思います。
  75. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 最近と申しますと、四十八年の十月から四十九年の一月までの四カ月間について申し上げます。  この期間におきまして再販を廃止した商品は八百八十品目でございます。  再販を廃止した理由として考えられますのは、その当該商品が陳腐化した、あるいは経営上の理由等によりましてその商品の製造を中止した場合、これが一つ。それからもう一つは、従来からその商品の販売価格の維持が困難で、再販の実益がないということで廃止する場合。それから第三は、自由な価格決定、つまり、現状におきましては、これはほとんど値上げでございます。値上げをするために再販を廃止する場合。大体この三つがあると考えられるわけでございます。  で、再販を廃止しました、いま申し上げました期間中の商品八百八十について、どういうわけでこれを廃止したのかというふうに理由別について、たとえば化粧品につきましては、八百八十のうち五百十三品目を廃止し、契約を解除しておるわけでございますが、廃止の理由として、値上げのためというのが二七%に当たります百三十八、それから製造を中止するというのが二九%に当たります百四十八、その他の理由というのが四四%で二百二十七というふうな、これは化粧品の例でございますが、そういうことになっております。
  76. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、わが党は先般再販取り下げ後の再販関係商品の八百八十品目の実態調査、これをいたしまして、その結果につきましては通産大臣にも申し上げて値下げを勧告するようにお願いはしておるわけでありますが、その内容を若干申し上げますというと、化粧品では再販取り下げ後値上げした品目が五十五品目、このうちで三〇%以上値上げしたものが四十七品目、その中で値上げのひどいのは牛乳石鹸のスペシャルシャンプー、これが旧価格百五十円のものが二百五十円、六七%の上昇であります。牛乳シェービングクリーム、これ百円のものが二百円、これは倍です。中山太陽堂のクラブ美身クリーム、これは二百円から三百五十円、大体七五%の上昇です。それから手の込んだ悪質な値上げと思われるような、再販製品を製造中止をして、あまり中身が変わらないようなものを新製品として値上げをしている、そういうふうに思われるのが桃谷順天館、柳屋本店等の商品、この中に明色アストリンゼン各種あるいはスペシャル、ソフト乳液、スキンフレッシュナー、ソフト栄養クリーム、クリンジン、レモンクリンシン、柳屋本店は、柳屋ヘアトニック、ポマード、ポマードソールペール、チック、ヘアクリーム、こういったようなものが出てきておりますが、この中で値上げのひどいのが三百円から六百円、これは桃谷順天館のソフト栄養クリーム、これが倍、クリンジンの四百円が七百円、これは七五%、ポマードソールペール、これは柳屋本店、これは三百円から六百円、これも倍、こういうふうに出ているわけであります。  さらに、再販取り下げ後値上げの激しい歯みがき、石けん、家庭用合成洗剤、このうち値上げのひどいのは、石けんではライオン油脂のエメロンバスサイズ九十グラム、これが七十円が百二十円、七〇%の値上げ、ミツワ石鹸のミューズ石鹸、これが八十八グラム入りで五十円が八十円、大体六〇%の値上げ。さらに歯みがきは、サンスター歯磨ハイサンスター九十グラム入りが百円のものが百五十円、五〇%の値上げ、ライオン歯磨のほうはホワイト&ホワイト、これは百九十グラム入りのもの二百円が二百五十円、これは二五%の値上げ合成洗剤では二〇%から五〇%、ライオン油脂なんかもアクロン、二百八十グラムが百円が百五十円、五〇%の値上げ、こういうような結果が出まして、一応私のほうの党のほうからも大臣にもこの実態を申し上げて行政指導をするようにすみやかにやってもらいたい、こういうようなお願いもしてあるわけでありますが、きょうの新聞を見ますと、おやりになったようなことも書いてありますが、どういうふうな行政指導をなさったのか、大臣にお伺いしたいと思います。
  77. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 二月十二日に公明党の竹入委員長、生活防衛緊急対策本部長の名前で申し入れをいただきまして、さっそく御趣旨に沿って処置をいたしました。  化粧品の価格は、これまで比較的安定的に推移してきましたが、近時、包装あるいは包装資材、容器、原料等の値上がりを理由に、いわゆる五大メーカー以外の中堅以下の企業の一部で大幅な値上げを行なったものであります。去年十月以降再販を取り下げて値上げ実施している品目は百三十八品目に達している。このうち値上げ幅が二〇%以上五〇%未満のものが八十品目、五〇%以上のものが四十六品目となっております。このほかに従来から非再販品目であったものについても一部値上げが行なわれております。このような状況にかんがみまして、次のような指導をいたしました。  昨十三日、価格引き上げ実施した中堅十三社に対し、このたび再販取り下げに際し大幅な価格引き上げを行なったことはきわめて遺憾である。可能な限り値上がり前の価格に引き下げること、非再販品目であって値上げを行なったものについてもできる限りの価格引き下げを実施すること、特に値上げ幅が二〇%をこえるものについては、重点的に価格引き下げにつとめることとし、その方策を速急に検討すること、上記検討の結果を一週間以内に報告するとともに、かりに値上げ幅を二〇%以内に抑制できない場合には、その明確な理由を提出することを指示いたしました。また、同日大手五社に対し、マークアップによる値上げを含め価格引き上げを行なわないよう強力に要請し、その了承を得ました。さらに、化粧品工業会長に対しても前述の趣旨を申し入れ、その点を会員各社に周知徹底せしめるよう要請した次第でございます。  詳細、具体的なことは局長から御答弁申し上げます。
  78. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) ただいま大臣から御答弁されたとおりでございますが、今回再販品目が再販指定の取り下げをやりまして、その際に値上げをいたしたものは大体中堅以下のメーカーでございますが、大臣からもお話ございましたように、大手五社、これは化粧品のシェアでいきますと六五%ございますけれども、このほうは再販も取り下げていないし、値上げもしてないという実情でございます。しかし、私どものほうはこういう大手五社の製品について今後値上げがあっては困りますので、その点につきまして心配いたしまして、昨日大手五社に対しても、いままでのところは再販取り下げとか値上げとかいうことはやっておられないけれども、今後においてもそういうことはつつしんでもらいたいということを厳重に申し入れたわけでございます。これに対しまして大手五社も了承いたしまして、値上げについては極力いたさないということを約束いたしたわけでございます。
  79. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、これは化粧品だけじゃありませんで、ほかの石けん、歯みがき、合成洗剤、そういったようなものはどうなっていますか。
  80. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 石けんにつきましても、今回値上げをいたしました三社を昨日呼びまして、化粧品のときと同じような趣旨の申し入れをいたしまして、特に二〇%以上の大幅値上げのものについては、これを極力二〇%以内におさめるように努力してもらいたい、もしどうしてもできないというあれがあれば、その理由を明確に説明してもらいたい、これも一週間以内にその報告をしてもらいたいということを申し入れております。なお、洗剤につきましては、大部分が二割程度でございますが、一部メーカーで大幅値上げをしたものがございますが、これはつい先般、自発的に値下げをいたしたわけでございます。なお、歯みがきにつきましては、これは近日中にメーカーを呼びまして値下げの指導をいたす予定でございます。
  81. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 新聞を拝見しますと、「歯みがきについては薬事法による医薬部外品が含まれているため、近く厚生省と協議」すると、こうなっておりますが、その辺どうですか。
  82. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 厚生省のほうは、先般薬につきまして値下げの指導をいたしておりまして、その際に医薬外部品についても同じような指導をいたしております。したがいまして、私のほうで今般指導をいたしておりますのはそれ以外のものでございまして、化粧品、石けん、洗剤及び歯みがき、この四品目を対象として指導をいたしておる次第でございます。
  83. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから合成洗剤、これはまあ騒がれた問題の品目でありますが、私のほうの調査では、二〇%以上値上がりしているものが、ライオン油脂のアクロン、二百八十グラム入り百円のものが百五十円と五〇%値上げ、これは一月十六日からですよ。ライポンF、これは粉のほうが四百五十グラム入りで百円から百五十円、これも五〇%の値上げですから。これは取り下げたんですか、値下げしたんですか。
  84. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 値下げをいたしましたものは日本油脂の分でございますが、ライオン油脂につきましては、大部分が二割でございますが、いま御指摘のような五割のものもございますけれども、これにつきましては、まだいままでのところ値下げをしてないと思います。
  85. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 値下げをしてないからどうするんですか。
  86. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) これも引き続き値下げにつきまして強力な指導をするつもりでおります。
  87. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あなた方、要するに今度の政府の取り組み方、予算の編成を見ましても、物価の安定、物価の引き下げに相当な力を入れていらっしゃるわけですからね。ですから、何もライオン油脂だけ残す必要はないでしょう。どうしてこれは一緒におやりにならなかったんですか。
  88. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) この分は、ライオン油脂の中で非常にシェアが小さかったために漏れているわけでございますが、御指摘のとおりでございまして、私どもはこの大幅値上げのものについて、値下げの指導を強力にやるつもりでおります。
  89. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 じゃ、これいつやります。
  90. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 本日夕方あるいは明日でも、会社の指導部を呼びましてやるつもりでおります。
  91. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大臣ね、せっかく私のほうが——通産省でこんなものをやるというなら、すぐできるんですよ。政党がこういうものをやるということは、相当日にちと人の数も要りますしね。通産省のほうが敏速におやりにならない。それでまあ政党としてやったわけですけれどもね。こういうものはさっそく取り上げていただいたのはいいんですが、このライオン油脂の合成洗剤なんかは抜けているんですね、いま聞いたら。洗剤のアクロンなんか一月十六日から二百八十グラム入り百円を百五十円、五〇%値上げしておるわけですよ。ライポンFが、粉で四百五十グラム入り百円が百五十円、五〇%の値上げですから。こういうものは、あれだけ騒がれた品物ですから、何もこれを残す必要ないですよ。  それで特に、このライオン油脂は非常にもうかっているんですよ、新聞に出ていますがね。一月の決算を私いま聞いてみた。ところが、ライオン油脂は前期に比べまして経常利益四〇%の増である、四〇%ですよ、これだけもうけているんですよ。経常利益は十七億一千七百万、約四〇%近くこれは出している。そして税引き利益九億五千三百万と、こういうふうになっておりますけれども、これには別途の積み立て金を含んで剰余金が七十二億四千三百万もあるんです。洗剤は明らかにもうけているんです。だから、こういうものこそあなた方、びしびしやらないと、通産省何しているのだと、まして物価特別委員会をつくって証人喚問までしようといま国会は騒いでおる最中でもありますし、これは直ちにやっていただきたいんですよ。もう一ぺんこれは大臣に答弁を聞いておきます。
  92. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 直ちに実行いたします。聞きましたら、何かシェアが非常に小さいというので見のがしたのだそうであります。これも落ち度でございますから、きょう夕方かあしたにでも至急呼びまして、そのように行政指導いたします。
  93. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 シェアが小さくても、だんだんこれから大きくなるんですよ。  それで、次に公取にお伺いしますけれども、いま再販制度は、さっき大体の情勢を聞きましたけれども、いままでは再販再販と騒いだんです。再販を取っ払うのはけしからぬというような意見もありましたが、こういったような情勢のもとでは下げるほうがだんだん多くなった。公取としても、ことし九月ころまで下げる方向ですが、これがいま、取り下げの届けを出せばそれで取り下げられると、こういうようになっておるらしいのですが、ところが、いま物価問題で政府は取り組んでいるでしょう。こういうときこそこういう問題は、自由かってに——一ぺん再販を許可したものは簡単に取り下げることができないように何か手を打つ必要ないですか。そうせぬと、とっとことっとこ取り下げて、またとっと上げると、こういうことは今後もふえてきますよ。
  94. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 再販を自分から取り下げます場合に、独占禁止法のたてまえ上、再販制度というのはいわば例外的に認められている関係で、公取としてもそれを取り下げるのに干渉はできないと思いますけれども、しかし、再販制度の趣旨はおとり廉売の弊害を防止するために認められたものでございまして、値上げ前提にかってに再販を廃止するというふうに、この制度を自分の都合のいいように、まあ悪用と申しますか、便宜的に利用するようなメーカーに対しましては、このような商品については、情勢が変わりまして、物がだぶついて価格が下がる傾向が出てきたというような場合、このようなメーカーが再び再販商品として公取にまた再販契約をやりますというふうに届け出をしてきたような場合には、これはやはり認めるべきではないというふうに考えております。
  95. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それはこの前の衆議院の予算委員会での総理の答弁もそういったような答弁ございましたがね。それで、まあ取り下げたものを今後お互いに話し合いでやみ再販等でまた値上げをしようというような動き、これもあるわけですから、それの取り締まりに対しては、どういうふうな対策を講じていらっしゃいますか。
  96. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 価格値上げのために再販を取り下げまして、公取の目から離れた、手から離れたところで、たとえば協定によって値をつり上げるというような、これはやみカルテルでございます。こういうものに関しては厳重に法律等に従って処置をしていく。また、やみ再販に対しましては、これは事実上価格を拘束して、つまり契約を結ばないでそういうことをやっているというようなやみ再販に対しても、これはきびしく取り締まっていくというふうに考えております。
  97. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ時間がないようですから、石油の問題で若干お伺いいたします。  それで、まあ一番最初にお伺いしたいのは、石油規制法が前年末国会でできたわけですが、それによりまして石油の供給目標というものが設定されるようになっておるわけですが、一月の石油供給目標が幾らになっておるのか。それと、原油の輸入は目標のどの程度入ってきたのか、その辺まずお答え願いたいと思います。
  98. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 一月の供給目標でございますが、石油製品のLPガスを除きました分で二千二百六十六万六千キロリットル、LPガスにつきましては七十九万五千トンでございます。で、この供給目標の前提になります輸入原油の量でございますが、これは二千四百万キロリットルと想定いたしたわけでございます。これが当初見通しましたものとどういうことになっておるかと申し上げますと、当初の一月の輸入計画は二千六百三十七万八千キロリットルであったわけでございますので、この二千四百万キロリットルといいますのは、これに比較いたしますと九%の減ということに相なるわけでございます。
  99. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ややこしい表現じゃなしに、一月の石油供給目標が二千四百キロリットルですか、それで入ってきたのは幾らですか、原油が入ったのは幾ら。
  100. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 実は、通関統計が本日発表に相なることになっておりまして、集計ができまして。これが二千百九十九万九千キロリットルでございます。なお、通産統計のほうの、通関でございませんで、通産省のほうの速報値につきましてはまだ発表に相なっておりませんで、これはおそらく明日、または明後日に発表になると思いますが、先ほど大臣から答弁がありましたように、ほぼ二千四百万に近い数字に相なるかと予想されるわけでございます。
  101. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ次に、原油の輸入価格動向についてお伺いしますが、これを地域別、精製会社別にわかっておればひとつお願いしたいと思います。  それから、再値上げをされた原油、これはいつごろから製油会社にいって、また製品として出荷されるのはいつごろになるのか、その辺具体的に答弁願います。
  102. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 輸入原油の価格でございますが、十月十六日に例のOPECの値上げの通告がございまして、これは標準の品種がアラビアンライトというのでございますので、それで申し上げますと、去年の十月の十六日以降アラビアンライトでバーレル三ドル六十五ということに相なったわけでございます。これがことしの一月一日以降は約二・三倍上がったかっこうになりまして、アラビアンライトで八ドル三十二というのが標準ものであるわけでございます。ただ、日本の場合には、非常に公害との関係でインドネシアの低サルファの原油等も入れておりますが、これが非常に高い価格になっておりまして、全体を平均いたしますと、十二月ごろで全体で八ドル五、六十であったんではないかと私思うわけでございますが、今後この価格が相当、二・二倍ぐらい上がるということが考えられるわけでございます。  それから入着の問題でございますけれども、アラビアものは航海日数が二十日でございますので、大まかに言いまして一月の二十日以降ごろ、こういう一月一日以降の大幅値上げの高値のものが日本に入着して精製に回っておる段階でございます。
  103. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 出荷されるのはいつごろかな。
  104. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) ちょっと私、間違いまして恐縮だったんでございますが、十月十六日にアラビアンライトが三ドル六十五ということに上がりまして、十二月現在では、ほかのインドネシアの油なんかを含めまして四ドル四十五でございます。先ほどこれを八ドル三十二と申し上げましたのは間違いでございまして、全地域輸入の平均値は四ドル四十五ぐらいに相なっておりますので、訂正申し上げます。  なお、この価格が一月一日以降といいますか、入着でいいますと一月二十日以降でございますが、九ドル前後ということでございますが、私のほうのインボイスのこまかい集計等をやっておりますと、これは短期間のもんでございますが、九ドル二十四という数字が出ております。大体そのぐららいで全世界からの輸入の一月以降の高値というのが推移しておるんではないかと考えておるわけでございます。
  105. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、精製会社にいって、それから製品になって出荷されるのは大体いつごろなんですか。これはおおむねのところでいいですけどね。
  106. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 実は、いま申し上げましたように、非常に原油価格が高騰しておるわけでございまして、各社値上げを考えておるわけでございますが、こういう情勢でございますので、先般大臣のほうからいわゆる価格引き上げ、一月以降の引き上げにつきまして、まあ凍結といいますか、しばらく見合わせるようにということをいま各社に通知いたしておりまして、各社は一月以降は値上げをいたしておらないわけでございます。十二月水準で、いま横ばいで各社は販売をいたしておるわけでございます。
  107. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 長官には私はそんなの聞いているのじゃないんだよ。いま値上げをされた油が製油会社に入って、それが石油製品になって出荷されるのはいつごろになりますかと、これはもう各社によって違うでしょうが、おおむねのところでけっこうですと、こう言っているのですよ。値段のことをいま言っているのじゃない。
  108. 松村克之

    説明員(松村克之君) 御説明いたします。  一月一日積みのものが、中東のものでございましたら一月二十日ごろ入ってくるわけでございますが、その後、たとえばなまだき用の原油でございましたら、直接にそれが需要者のところに届きまして、需要者のタンクに入りまして、数日後にはそれが消費されるということであります。それから精製工場に入りました場合には、これは精製工場の規模等によってもいろいろございまして、また、ガソリンの場合と重油の場合といったことで違いますが、おおむねということで申し上げれば、十日ぐらいで外に出る。それが流通段階でどれくらい滞留するかということも、これもまた油種によりましていろいろございますが、これも十日ないし二十日ということで末端消費に回ると。したがいまして、全体を通じて申し上げますと、原油なまだきは特殊でございますが、それ以外はものによって二十日程度で消費のところに回る、こういうふうに考えられます。
  109. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、大臣にこれはお伺いしますが、石油価格値上げの問題は物価値上げに油を注いだようなことになっておりまして、山下次官も、石油業界は諸悪の根源である、こういったようなことまで言われておるわけですがね。石油の値段が上がると、またこれは全般的に諸物価が上がってくると、これはまあ当然のことで、この非常に大事な問題を衆議院予算委員会で私のところの矢野書記長が取り上げて、そして、とにかく石油連盟は十一月、十二月から急に新しい値上げ価格で上げていると、結局そのときの油というものは古い値上げ前の油を売っているのじゃないかと、そういうようなことで、便乗値上げが明らかじゃないか、まあ、こういうような質問であったように思いますが、それに対する中曾根大臣の答弁では、今回の値上げが一部便乗値上げ的色彩を有する面もあると考えられると、したがって、政府としては現在その妥当性について検討を進めているところであり、問題点が明らかになれば引き下げ指導等適切な措置を講ずる方針である、こういうように答弁なさっていらっしゃるのですがね。先ほども大矢さんの質問にちょっと答弁がありましたが、いま一月以降一応は凍結をされておるわけです。それを引き下げ指導等も考えているという御答弁でありますが、このいまの石油価格を、この物価値上げに対しまして、国民にも、政府の姿勢を正すという意味におきましても、この答弁のとおりおやりになるのかどうか、これをお伺いしたい。
  110. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あのとき矢野書記長は、たしか公取の調査にも言及されておりまして、石油化学製品、中圧ポリエチレンとか、高圧ポリプロピレンとか、そういうようなものの便乗値上げについても言及をされました。そこで私は、そういうものについては至急引き下げさせる、そういうことをたしか申し上げたと思います。で、それは大体三〇%ぐらい引き下げをやらせたわけでございます。それからアルミについても同じように引き下げをやらせまして一万円下げましたけど、さらに最近また下げるように行政指導して下げさしたわけであります。そして、一般のガソリンそのほかの石油につきましては凍結ということでやっておりまして、現在新しい一月一日以降の・値の高い油がどんどんいま使用されておるわけでありまして、この間うち、会社の経理、財政状況を全部調べたところによりますと、ある社が言うには、二月十日ごろからは一日十三億円ぐらいの赤字になっておるということを言っておりました。まあ、会社によって持久力がいろいろ違いますが、民族系は非常にもろいようであります。それから中小のほうは、いまの値で凍結されているともう代金の支払いもできないという窮状に立つのもいずれ出てくると、そういう情勢であります。日石とか出光なんかはかなり強いほうでありますが、それらも何しろ膨大な量でありますから、かりに二千万キロリットル入ったとしても、十二月と一月の落差をかりに一万円といたしますと二千億円になりますから、そういうわけで、会社のほうにはびしびしいま響いてきておるわけであります。われわれのほうは多少油代金の支払いについてはユーザンスがあります。ですから、それも頭に入れてこの値上げを抑制させながら十二月にもうけたもうけ分は全部吐き出させようと、そういう考えに立っていまいろいろ計算をしておるというのが実情でございます。
  111. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 十二月分はあなたのほうのいわゆる産業連関指数のあの試算によりましても、大体適当な油の値上げ水準は三〇%ぐらいであると、こういうように通産省が発表していらっしゃる。ですからあれはもう明らかにこれは便乗値上げである、こういうことはもうはっきりしておるわけですね。しかも十二月決算なんか、これは新聞等にも出ておりますが、「石油危機の業界決算第一号」、これは十二月期、東燃は三五%の大幅増益をあげておる。その利益を隠すためにまあいろいろと内部留保に積み重ねておるようでありますが、これは読んでみますというと、特別損益の項目で、前期わずか二千九百万円だった特別損失を今期は十二億五千万円に計上しておると、こうなってるんですね。その内訳は、価格変動準備金繰り入れ、これを三億六千九百万、前期は六百万円であったと、貸し倒れ引き当て金繰り入れ二億四千百万、前期はゼロ、海外投資損失準備金繰り入れ三億円、前期は三千万、こういうふうに相当からくりと言うとおかしいですが、まあ内部留保に重ねて相当もうけておるということは事実ですよ。国民感情から見まするならば、このように石油会社がもうけてるのはけしからぬと。これは単なる石油会社だけの決算でありませんですよ。あの石油便乗値上げのおかげで燎原に火がついたようにいろんな物価がぱあっと広がって上がってきたんですからね。そのあと始末にあなた、政府も困ってるんでしょう。だから、もとはやっぱり通産省のこれは所管ですからね、相当責任を感じなきゃならない。ですから、一月一日から凍結をして、赤字が幾らか出ておると、これは当然でありませんか。  それで、私がお伺いしたいのは、先ほども大矢君から質問がありましたが、今度約九ドル五〇ですか、先ほどの九ドル前後という石油の新価格になるわけですが、この凍結をさらに値下げをする意思はないのか。さらに、新しい価格体制をいま検討中だと。この凍結の価格はいつまで維持するのか。この辺は私が聞いても御答弁にならぬでしょうが、国民といたしましては、あれだけぼろもうけをしている石油会社に再び値下げを許すということはもってのほかだと、これはまあ素朴な感情ですがね。そういうことですから、このままずうっと凍結してやってくれというのが大体全体的な考えのようでしょ、これは物価対策の面から、生活の面から素朴な国民の考えは。そういう点を考慮されての先ほどの答弁のようでもあったようですが、もう一ぺんその辺のところを、凍結はいつまで続けていくのか、近くまた新しい値上げをする価格をきめるのかどうか、その辺のところいかがですか。
  112. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 中尾先生おっしゃいましたように、国民感情が石油会社に対して非常にきびしいということは私もよく知っておりますし、私らもあのゼネラル石油の文書を読んでみると、通産当局とジャーナリズムをごまかせというような文章も書いてあって、甘く見られておったという気がして非常に公憤にかられておるところであります。ですから、できるだけ凍結を続けていきたい、そして国民の願望に沿いたいというのが私らの気持ちでもありますが、また一面、国の経済全体を考えてみ、また国民消費を考えてみると、メジャーから六〇%以上の油が供給されておる。それで日本ではメジャーの会社がスタンドを持ったりして売ってるところもあるわけです。そういうわけで、あまりに安い価格に引き下げておくというと、今度メジャーのほうは日本に油を持ってこないでヨーロッパへ持っていってしまう。そうすると、やはり油をある程度だぶつかせておくということが物価を下げる基本でありますから、そういう面もまた考える必要がある。  そのジレンマをどうするかというのが、私たちがいま一番毎日頭の中で苦しんでおる問題であります。やはりある程度油を潤沢に入れておかなければ国全体がもたなくなるというのは基本でありますから、それを捨てるわけにはいかぬと思うのであります。だがしかし、石油会社がこの十一月、十二月あるいは一月にかけてもうけた分というものは吐き出させなければならぬ。これはもう先生と私は全く同じ感情でございまして、それを技術的にどういうふうにやるかということをいまいろいろ計数的に詰めているというのが実情でございます。
  113. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その辺が私も聞きたいところでして、あなたの速記録の答弁を見ますというと、「二十日以降は新しい油が入ってきておりますから、それを上げさせないために赤字が出ておるわけです。これは赤字を当分続けさせてよろしい。」とこう大臣は答弁しているんですよ。ですからわれわれとしては、この際は当分——当分というのがいつまでなのかその辺もわかりたいわけですが、その場合に備蓄されたのがかなりあったのですが、あれはもう食いつぶしたのか、まだあるのか、どうなんですかね、古い油の備蓄ですよ。
  114. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 備蓄を申し上げますと、十二月末で、これは原油と製品と合わせまして五十三・八日分あったわけでございます。これが一月末におきましては五十二・四日分、その間一・四日分吐き出したわけでございます。二月の想定でございますと、これが五十・五日分の保有ということになるわけでございます。
  115. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この油は今度の値上がりをする前の古い価格の油なのか、それはどうなんですか。
  116. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 十二月末の在庫が古い油になって出てくるわけであります。それを目の子算用でやりますと、製品合わせてまず五十三日分かその前後ではないかと思います。その中に製品と原油とございますが、原油は半分の三十日前後だろうと思います。そうなりますと、それを一月以降ずっと使って、そして二十日過ぎになると新しい油が入ってきて両方が混在して使われる。そうすると、十二月に在庫したその古米ですね、お米で言えば。古米がいつまで最後に切れるかという計算をしてみると、これは会社によっていろいろ違いまして、もう切れている会社もあります。もう確実にあると思います、弱小になりますと。しかし、まだ残っているのもあるかもしれませんが、まあ私の勘で申し上げると、二月の末までもつものはないんじゃないか、感じとしてそういう気がいたします。せいぜい二月末ではないか、あるいは三月に入っても少しちょぼちょぼぐらいまでもつのではないか、もたして。それ以降は完全に新しい油オンリーになる。そういうふうになって、初めのうちは一対九、それが二対八、それから三対七というふうに古米と新米とが両方使われているという形で流れていくだろうと思います。私の感じとしては、いまの十二月の末の在庫の量を考えてみますとそんなところではないかという感じがいたしております。
  117. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 この前、田中総理と財界との懇談会では、三月一ぱいぐらいまでは自粛しようというような話もあったようですが、ああいうようなこと、さらにいま生活物資等の政府行政指導に対しても面子も立てなければならないということもあるんでしょう。一割ないし二割がたこう下がっておるようですが、五割上げて二割下げて、これは三割がた上がっているのですからね。ただし、これはまた三月以降は知りませんよと、こういうような傾向でしょう、物価対策から見れば。ですから凍結解除されて、いつになるか知りませんが、大臣の答弁によってわかりませんが、それを解除したら一斉にまたほかの物価が値上がりをすることはもう目に見えておるわけですが、それでどういうふうにお考えになっているのか。さらに新しい価格をつくるにいたしましても、石油価格が九ドル五十セントか、大体昨年の倍になったので石油製品が倍になるのか。その点は、あるいはまた東燃みたいに十二月決算、一月決算でかなり相当に黒字を出しているそういうようなこと、また、国民感情からいろいろと石油会社はもうけ過ぎておるというような声もあります。そういうものも配慮して、それからかなり差し引いて値段をきめるとかいろいろ考えていらっしゃるでしょうが、その辺いかがですか、大臣。
  118. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 物価の問題は非常にデリケートでありまして、石油価格の問題について便乗値上げを防ぐというやり方は、いろいろわれわれも今回は前回にこりて考えております。ただ、いま検討していることどもはうかつに申し上げますと、また先回りをされるといういろいろの危険性もあります。で、そういう点については非常に慎重な態度で私たちは臨んでいきたいと思っておるわけであります。しかしいずれにせよ、石油の精製会社や石油関係便乗値上げでもうけたということは国民は許さぬと思うんです。われわれも許しません。そういう意味においてもうけたものは吐き出させると、石油会社が内部留保を腹一ぱいにふくらましてやるというようなことは、国民も非常に不愉快に見ておると思うし、感情的にも許さぬだろうと私は思うんです。そういう国民感情を尊重しながらこの問題は処理しなけりゃいかぬ。むしろこういうときに石油会社が吐き出して国民に奉仕すると、そういう姿勢を示すような形でこの問題を処理していきたいというのが私の願いであります。
  119. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、かなり当分は凍結が続く、このように理解してもよろしゅうございますか。
  120. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは先生と私と同じ願望を持っておりますが、一つ心配しなきゃならぬのは、日本の油がメジャーから供給されておると、メジャーは、日本の国内でスタンドを持っておるメジャーもあって、そして一方われわれの得た情報によりますと、ドイツとかフランスとかイタリアが一月一日前後から一月にかけて新しい油をみんな上げているわけです。日本は凍結しているのを見て、メジャーは内心非常におこっていると思われます。私のほうにも幾人かの社長からメモランダムをよこしてきたりしておるわけであります。その態度がいいか悪いかはわれわれ日本国民としてまた考えるところがあります。現にワシントンの会議でも、先ほど申し上げましたように、メジャー問題を取り上げてくれと私は大平君にも頼んだところであります。  だがしかし、現実にヨーロッパの国がそういうふうになって日本とヨーロッパの間に落差が出てきた場合に、日本に持ってくる油をメジャーがヨーロッパへ持っていかれてしまって、日本の油が減ってくるということは、またこれ経済政策国民生活を考えると考えなきゃならぬ一つの要素でもあるわけです。そういう情勢を勘案しつつ、中尾先生や国民の皆さんが思っておられる感情をいかにして生かしていくかということでいま腐心しているということを御了承願いたいと思います。
  121. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これで終わりますがね。それで、物価対策の面から心配なことは、かりに凍結がいつまで続くか知りませんが、大体いまの大臣答弁の感触によりますと、いつかこれは解かなきゃならぬということになるわけですが、その際にまた十二月みたいなおかしな便乗値上げをやられたのじゃ、これまた困るんですね。せっかく通産省では適正価格産業連関指数に基づく適正価格というようなものも発表なさっていらっしゃる手前もあるし、あれは別にあらゆる条件が入っておるわけじゃございませんけれども、今度はひとつスムーズに、ああいうむちゃなことはないように一応は考えてはいらっしゃるでしょうが、最後にその辺のところの決意のほどを大臣にお伺いしまして、終わります。
  122. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 将来そういうような場が起きて、便乗値上げの危険性が出てくるという場合には、今度は事前に十分手を打ちまして、そういうことを起こさせないようにわれわれは責任を持ってやらなけりゃならぬと思っております。公明党の皆さんも全国的な非常に鋭い調査網をお持ちでございますから、われわれに知恵を与えていただきまして、いかにして協力一致してやれるか、いろいろ御鞭撻をお願いしたいと思います。
  123. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 結局これは素朴に国民の側から考えて、通産省は石油対策に対しまして年末国会石油二法をつくっただけじゃないかと、何にもしておらぬと、これが感覚ですよ、あなた。先ほど大矢君が言いましたように、すみやかに物価対策に対しては善処するみたいな、大臣の所信表明の中にもありましたが、その辺がもたもたしていらっしゃるから、待ち切れぬとわれわれがやっただけのことなんですからね。さっきの化粧品の問題でも、通産省がやればわけないことじゃないですか。もう少しその辺は所管の省でありますから、国民の期待にひとつこたえるようにやってもらいたいと思います。終わります。
  124. 藤井恒男

    藤井恒男君 最初公取にお伺いしますが、五日の日に出されました石油連盟並びに石油元売り十二社に対するやみ協定の珍棄勧告、これは二月十五日、すなわち明日ですね、明日までにこの勧告に対する諸否を通知するように求められておるわけでございますので、時間的に見て、もうきょうはこれで終わるわけですから、いままでの間、業界並びに元売り十二社と公取との間でこの勧告に対してそれぞれフォローがあったと思うんです。どういうことになっておるか。このやみ協定破棄勧告並びに現在の業界との接触の経過を説明していただきたいと思います。
  125. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 三月五日に石油の元売り十二社、それから石油連盟に対しまして独禁法に違反するということで勧告を行ないました。  その概要でございますが、相当内容がごちゃごちゃしておりますが、まず、石油元売り十二社に対する勧告、これは価格協定で、勧告の内容は、これは元売り十二社の昨年の十一月上旬の価格協定を破棄せよ、それからもう一つは、石油製品の購入量、それから販売価格、こういうものを各社二月以降一年間、公正取引委員会に報告せよ、という内容が主たる内容でございます。  それから事実の要旨でございますが、これは十一月までに五回ほどいろいろ話し合いを行なって、価格を修正したりあるいは実施の時期を修正したりしております。詳しく申し上げますと、いろいろごちゃごちゃいたしますが、五回ほど話し合って、それで価格の修正あるいは実施時期の修正をやっているということでございます。  それから法令の適用は、三条後段の「不当な取引制限」ということでございます。  それから次は、石油連盟に対する勧告でございますが、勧告の内容は、四十八年の十月上旬の原油処理量の決定を破棄しろ、それから石油連盟の会員の原油の輸入量、処理量、在庫量、販売量を二月以降一年間、会員をして公取に報告させるというのがおもな内容でございます。  事実の要旨としましては、四十八年度下期原油の各社別の処理量を決定しているという疑いでございます。  法令の適用は独禁法第八条一項一号、事業者団体による競争の実質的制限という条項でございます。  それから、あしたがいわゆる十五日がこの勧告の応諾期限でございますが、特にこちらと向こうといままで接触を行なっておりませんで、まだ一体どうするのかわかっておりません。あしたまでには応否を通知してくるというふうに考えております。
  126. 藤井恒男

    藤井恒男君 いまお聞きしたように、この元売り十二社並びに石油連盟に関する破棄勧告の内容となるものはすべて昨年起きた事件でございまして、しかもこの間、公取と業界等の間では数次にわたって話し合いなども現に行なわれておるわけです。こういった時点に立って私は大臣にお伺いするわけだけど、この二月五日にいわゆるやみ協定の破棄勧告が公取によってなされる。しかも、そのことがきわめて新聞紙上などでは大きな活字で取り上げられる。国民の目から見れば、やっぱりそうだったのかということになるわけです。この間、いろいろまあ揣摩憶測された内容がこの報道機関でも取り上げられるし、また国民の間にもささやかれておったわけなんで、この種の一連の昨年からこの二月五日までに至る間、いろんなできごとがあったにかかわらず、この種の問題を通産省としては事実行為もあったわけだけれども、どのように把握しておったか、全く通産省としてはこれは知らなかったのかどうか。  私は、通産省の場合は公取よりもやっぱり元売り十二社あるいは石油連盟との間の関係は深いと思うのです。だから油の動き、値の動き、そういったものについても、日常の所管業務としてこの種の問題を手がけておられると私は思うわけなんで、それが全然通産省は国民からしりたたかれておりながらじっとしていて、公取がすぱっとこの問題を取り上げるというような形で新聞の目に映るなら、先ほど申したように、元売り並びに石連はやっぱりそうだったかと同時に、通産省おまえもかということになるわけで、かねがね通産大臣は就任以来、本委員会においても、われわれは国民の側に立った通産業務でなければならないということを言っておられるのが裏に出てくるわけですね。こういうような私は見方をするわけだけど、そういう観点に立って私は大臣にお伺いするわけですが、この種の実情というものを存知しておらなかったのかどうか、この辺のことをお聞きしたいのです。
  127. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まことに申しわけない次第でございましたが、全く関知しないでおりました。昨年はいろいろOAPEC側の動きがございまして、値上げも数回行なわれたのでございます。為替変動に伴う値上げとか、あるいはOAPECの決意に伴う値上げとか数回行なわれまして、そして、そのたびごとに石油の値段がどうなっていくかということは非常にフォローしておったのでございます。  それから十月に入って、戦争が起きてから十六日に大幅の値上げがありまして、これがまあ国民経済に非常に大きな影響を及ぼすであろうというのでそっちのほうの検討はいろいろやっておりましたが、まさか業界内部でやみカルテルのようなことまでは洞察できなかったわけでありまして、この点はもし真実であるとすれば申しわけない次第であると思っております。詳細についてはエネルギー庁長官から御報告申し上げます。
  128. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) 通産省といたしましては、これは価格だけでございませんで、石油全般の動きにつきまして石油業法に基づく毎月の報告及び指定統計による統計の収集等情報を集めますと同時に、価格等につきましては、特にこれを厳重に各社から一船ごとに聴取するようなことを行なっておるわけでございます。これはあくまでわれわれ個々の企業と直結して、個々の企業からとっておるわけでございまして、いま大臣からお話ございましたように業界が横でカルテルを、特に価格について結ぶというようなことは、これは許しがたいことでございます。われわれは全然関知しなかったわけでございまして、この辺非常に公取当局でこれが指摘されたということで、われわれのほうの力足らずでありたことをおわびせざるを得ないと思うわけでございます。  なお、ちょっと大臣からいまお話ございましたことに触れて補足いたしますと、OAPECが世界的に値上げに成功いたしましたのが、古い話ですが四十五年の八月三十一日に値上げ成功を、若干でございますが成功いたしまして、その後、最近の大きな動きといたしましては、去年の一月にジュネーブ協定というのが結ばれまして、それから六月に新ジュネーブ協定というのが結ばれまして、これは通貨変動に応じてエスカレート、スライドして価格を改定するという方式が確立したわけでございまして、その後毎月小幅ながら原油の価格というのは上がってきたわけでございます。おそらくこの間、非常なる毎月の小幅の値上げに対応した動きを業界が話し合った、もし事実といたしますれば話し合ったのではないかと、こう思うわけでございますが、いずれにいたしましても通産省がそのことを関知できなかったという点は認めざるを得ないと思います。
  129. 藤井恒男

    藤井恒男君 公取りは申すまでもないことでございますが、有効な競争関係を維持していくために設置されているものでございますが、そのことが、結局は国民福祉につながるものでなければならない。通産省の業務もまたしかり、有効な競争の中から健全なる産業発展を願う、そのことが国民福祉につながるんだと、そう考えると、究極においては同じ目的に沿って行動を起こしておるわけなんです。  私、素朴なこれは質問をするわけなんだけれど、実は田中さんが通産大臣のころ、たまたま繊維がたいへんな不況におちいって、しかもアメリカからの繊維交渉ということでピンチに立っているときに、国際競争力をつけて大いに輸出ドライブをかけなきゃいけないと、まあアメリカがそうであれば欧州に進出して市場を広げなければいけないということで、一方で行政指導するわけですね。非常に力を入れて行政指導をする。それに基づいて欧州に販路を開く、公取がうしろからきてそれはカルテルだということでストップをかける。何かちぐはぐじゃないか、一体どうなっておるんだということを私は田中さんに質問したことがあるんです。田中さんは、全く同じ国の機関でありながら、片方で奨励して、片方で取り締まるというような結果になっておる、機構のあり方そのものを一ぺん検討してみなければいかぬということを、当時はお答えになっておりました。いまはさまが変わって、どっちかといえば大きな業界に対して目を光らすという方向立場は変わっておるものの、私は通産省と公取というこの関係が何かちぐはぐじゃないだろうか。  たとえば国民は、このような便乗値上げあるいは適正な在庫の放出ということを阻害しておるがゆえに苦しんでおる、そのことを早く除去してくれと願っておるわけなんで、公取りがそれを取り上げて手柄にするということを何も望んでおるわけじゃないのですね。だから公取自身も、そういった過去に五回も業界との間に疑いを持って接触を保って、そのときどきにもある程度のサゼスチョンをして、適正な措置をとるようにものを進めてきておるという経過があるわけですから、それを全然通産省が知らずに、全くぽんと破棄勧告か出るまで何もわかりませんと、すみませんでしたということではたしていいものであるかどうか、大臣、この辺どうお考えですか。
  130. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 公取は、やはり半独立の機関として公正に仕事をされるという意味において、各省からある意味においては隔絶して、独立に自由に権限を行使する姿というものが理想的には望ましいと私は思います。また、そういう立場を尊重したほうがいいと思います。これは長い目で見て日本経済全般を健全に成長させるために、たとえ通産省に不便なことが多少あったとしても、それは甘受しなければならぬポジションであるだろうと思います。ただ、軽微な事件で、これは行政官庁から注意さしたほうがいいと、そういうようなものがあれば、これは事前にわれわれのほうに連絡していただいて、われわれのほうから行政上の注意を与える、そして、あやまちをおかさせないようにするということも、また行政上の大事なポイントでもあるだろうと思います。そういう点について公取におかれては、農林なり、通産なり、厚生なり、各省に対して必要に応じて緊密な連絡を持って行政がうまくいくようにまた協力を願いたいと、そういうように思うわけであります。
  131. 藤井恒男

    藤井恒男君 もちろん私は、公取は各省庁に縛られずに全く公正な立場で行動することが正しいと思うし、そうあらねばならないと思うけど、ただ問題を摘出してオープンにするというだけが目的じゃない。もっと先にあるものは何だということを考えるとき、私は、もっと動きというものが俊敏にしてしかも国民に視点を向けた行動をとる余地があるであろう。いまの法体系あるいは行政の仕組みの中からは、それはむずかしいかわからぬけど、何かその辺のくふうがあっていいだろう。まあ、公取が悪くいけば、そのことによって各省庁との間に癒着を起こして、本来の機能を失ったらこれは元も子もないけれども、それは一応おとなの論議として、私はあえてそういうことを申し上げたわけです。前回も申し上げてみたんだけど、いまになってみてそのために国民が苦しむということであれば、何をやっておるかわからぬじゃないかということになるので、この辺のことは一度また御研究いただきたいと私は思います。  それからもう一つ、おそらく明日、私は石油連盟並びに元売り十二社は応諾する旨を通知をしてくるだろうと思うわけですが、応諾してくるとなれば破棄勧告を応諾するわけですから、その破棄された以前の状態ですね、そういった行為以前の状態に復することになる。しかし、これはいわゆる法的な力も何も持っていないわけですね、あくまでもそれは勧告の範囲であろうと私は思うわけです。  そこで、公取に私お伺いしますが、先ほどの公取委員長所信表明の中にも出ておることですけど、現在のこの独禁法というのが二十八年の改正以来二十年を経過しておる。で、正直に申し上げて、これが現在もうある意味において無力化しておる。そのために、今日見られるように大企業の反社会的行為が横行しておるとも言えるわけなんです。そういった意味で独禁法制定のある意味での原点に立ち返って、経済力の乱用と経済力の不当行政を徹底的に排除するということが、公正な経済秩序の維持と一般消費者の保護と、中小企業者の地位を確保するために必要であるというふうに私は思うんです。  そういった意味で、現在どっちかといえば無力化しているところの独禁法について、私的諮問機関として独占禁止法研究会というのが設けられておるようですが、この中の一つのテーマの中にも、価格協定に対する価格引き下げ命令という一項があるわけですね。私も公取委員長が、この価格協定に対する価格引き下げ命令なども、公取自体が保持しなければ実際的な効力がないというような  ことをおっしゃったような印象があるのです。まあ、実際に公取が価格引き下げ命令というものを持ち得るとすれば、これはその価格決定権というものが逆に公取側にあるということになって、非常に問題が複雑になろうというふうに思うんですけど、むしろ現状の公取の勧告というものを生かす意味からすれば、引き下げ命令とまで言わなくても、引き戻しですね、価格引き戻しに対する命令権並びにそれに対する罰則というぐらいなものは公取が持つべきじゃなかろうかというふうに私は思うのです。そういう点について私的諮問機関の話し合いの内容、経過、あるいは公取自身が持っておられる考えというものを率直に聞かしていただきたいというふうに思います。
  132. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 確かに先生のおっしゃいますとおり、現在の独禁法というものは、制定以来かなりの期間を経過しておりまして、その経済情勢も当時とはだいぶ変わってきております。しかも、独禁法の規定自体にやはり限界があるんじゃなかろうか、いわゆる排除措置等の有効性等につきまして限界があるんじゃなかろうかということで、公取内部でも検討はいたしておりますが、昨年の十二月に独占禁法研究会、これは経済学者とかあるいは法律学者等がそのメンバーでございますが、これは公取の私的諮問機関というようなことで、四回ぐらい会議を開いてやっておるわけでございます。  その中には、価格引き下げ命令をやるには、一体改正を必要とするとすればどういうところを改正すべきであるか、あるいはまたさらに管理価格の問題等につきましても、一体管理価格規制というのは現行法ではなかなかできがたいものでございますから、値上げをするとき、いわゆる管理価格引き上げられるときの各社の経理内容を公開をさせたらどうかとか、あるいはさらには旧第八条の復活、会社の分割規定というようなものをまた復活させるのがいいかどうかというような種々の独禁法上の、独禁法を有効適切に行なうためにいま隘路になっている現行の規定をどういうふうに改正するべきか、はたしてそれを改正する必要があるかというような点で現在検討いたしているところでございますが、まだ具体的にどういうふうな、中間的にしましても結論が出たと個々の問題について申し上げる段階には至っておりません。  価格引き下げ命令の点につきましても、中でもいろいろ検討しております。確かに先生おっしゃいますとおり、いわゆる値上げ協定があった場合に、排除命令で違法行為を「排除するために必要な措置」の中に——これはいまでも第七条にございますが、その違法行為を排除するための必要な措置というものの中に入るかどうかというような問題もございまして、公取としてはこれはちょっと現行法では入ると解釈するのはむずかしいというような結論でございますけれども、ただし、価格引き下げ命令を出すといいましても、排除措置として出すのでございますと、これは協定前の価格に引き戻せというようなのが大体考えられる線ではなかろうか。決して公取が価格統制を行なうというような意味合いではなくて、協定する前の価格にとにかく一応戻せと。  ただし、技術的にいろいろむずかしい問題がございまして、それではその引き戻しの期間をどれくらいにしたらいいのか。一日だけ引き戻して次の日から価格引き上げられたんではこれはあまり効果が、意味がない。あるいは三ヵ月据え置けと、こう言うのか。それから、審判で争いますと審決で出るまで二年も三年もかかるというようなことで、その間一般的に価格が非常に上がってまいりました場合に、三年前の価格に引き戻せということがはたして妥当であるのかどうかというようないろいろむずかしい問題もございますので、そういうふうな点を踏まえまして、独占禁止法研究会で現在鋭意検討しておるところでございます。大体、一応本年の秋ごろまでには何とか結論を出したいというふうに考えておりますので、その検討の結果を待ちまして、公取としてもこれに対処してまいりたいというふうに考えております。
  133. 藤井恒男

    藤井恒男君 まあ、十一月ごろと言わずに、それはもう少し、私的諮問機関であろうとも急いで万全の体制を整えていかなければ、いま事務局長おっしゃったように、いまの状態では間尺に合わないようになっておることはおたく自身が認めておられることですから、そういう状況の中で公取の機能強化といったってこれはナンセンスですから、ぜひひとつ早くその辺の結論を出して体制を整備していただきたいと思います。  それからその次に、大臣にお伺いしますが、大臣も率直に衆議院の予算委員会などで、油について見通しが狂ったというふうにおっしゃっておられました。まあ、できたことは私しょうがないと思うんだけれど、先々のこともあるわけで、一体何が一番原因だったかということですね。非常にこれはむずかしい問題だと私は思います。備蓄ということを一つ取り上げても、普通の完成品が倉庫に入っておるような状況とは違うわけですから、非常にむずかしいことは私わかりますけれども、見通しがこうも狂ったということの原因は何であったのか、今後そういうことが想定されるかどうかですね、その辺のところをお聞かせいただきたいと思います。
  134. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 自分で静かに考えてみまして、一つはアラブの生産制限、カットというものが日本の場合は初めは二五%、そして毎月五%ずつ加えていくと、そういうことで非常に色めき立ったわけであります。ところが、実際入ってきた量をみますと、これはある資料で私が読んだところでは、確実な資料であるとは断定できませんが、二五%ぐらいカットと言われたのは一七%ぐらいで終わっていたんではないか、十二月までで大体平均してみまして。われわれは初めは一六%程度ということを基準にして緊急対策をつくりましたし、その後十二月に入ってからは二〇%強のカットと見て諸般の対策をやったんでありますけれども、アラブからのものがどうも一七%カットぐらいであったんではないかとある資料には出ております。その辺が一つ。  それからもう一つは、油が来なくなるというので非常にスポット買いに日本の商社等が奔走して、思いのほかに油を買ったという事実があると思うんです。これはどうも傾向から見ますと、サウジアラビアからの入荷がかなり多い。サウジアラビアはカットするほうでありますけれども、その入荷が多いということは、アメリカ、オランダ向けが禁止になりましたものですから、それで余った分が日本に来たんではないか。それをかなり日本の商社が買いまくって、その量がかなりふえた。で、思わざる量が出てきたんではないか、これが第二であります。  それから第三は、インドネシアがかなり増産してくれまして、インドネシアからの量が非常にこれはふえたということ。それから第四は、十二月二十五日のOAPECの外相会議で日本が友好国に指定されました。友好国に指定されましたということは、この間ヤマニさんが来て初めてそのとおりであったと確認したわけですが、一−九月総量の平均または九月の水準、どっちでも高いほうを日本に渡すと、それがOAPECの外相会議決定の内容であったようです。  そうしますと、そういう面から見まして、十二月末から一月にかけて油はかなり入ってくる。初めは一六%ないし二〇%カットと想定して諸般の緊急対策をつくり、規制をやったわけでございますから、そのラインで来ればかなり油が窮屈になるはずであったのであります。しかし、われわれ十二月の二十日過ぎに見まして、各船ごとの入着を集計してみまして、頭をかしげて、ちょっと油の入荷が多いぞと、これはどういうわけだろうか、もう少し様子を見ようというので、実は一月一日から二〇%カットやるというのをぎりぎりまで待って、官報に原稿投げ入れる時間まで待ちまして、そして一月に持ち越して、一月の休みはやっぱりゆったりしてもらったほうがいいと——あのころずいぶんわれわれ非難されました。せっかく法律もつくり、国民がその気分になっているのに通産がでれでれするとは何だと、ずいぶん言われましたけれども、それでもやはりわれわれは数量を見まして、そういう非難を受けながらも延ばしたわけです。そして一月十六日から当初二〇%と考えておったのを一五%カットにしたわけです。それで一月の入荷等も見てみますと、やっぱり十二月及び一月にかけていま申し上げたようなことが結論として浮かんできたこと、こういうことでございます。
  135. 藤井恒男

    藤井恒男君 私も昨年の十二月の中ごろ、ニューヨーク、ワシントンで国務省のいわゆるエネルギー庁それからメジャーに会っていろいろ懇談する機会を持ったわけです。そのときむしろそういういった先方の人たちよりもわが国の在外公館の方たちが、もっと早くなぜ直接メジャーズとの間の対話を起こさないのかということを指摘しておりました。この辺まあ非常にむずかしい問題だと私は思うわけですが、今後のこともあるわけで、各業界はそれなりにアタックしておる模様ですが、所管庁として通産省なら通産省としてその種の行為というものがとれるのかどうかですね、その辺のところをどういうふうにお考えですか。いまでもやったのか、あるいは今後そういうことがやれるのか。これは産油国との関係いろいろあろうと思うし、あるいはワシントンなどで行なわれておる会議関係も出てこようとは思うけど、重要な問題であろうと私は思うのです。
  136. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この点はメジャーの動向というものを非常に重要視しまして、ワシントン駐剳の日本大使に訓令を出しまして、メジャーと接触して日本に対する輸入量が減らぬように直接やってくれと、こういうことでワシントンの大使をやりました。それからキッシンジャー氏が十二月の十四日に来ました。あのときも私ら会いまして、メジャーの日本に対する供給を減らしたりなんかしないように、そういうことで強く言って、その点もキッシンジャー氏は承知したと言って帰って、彼はメジャーを集めてそういう話もしてくれたと思っております。それから、私自体がメジャーズの東京の支社長を全部呼びまして、そして懇切に、日本に対する油の供給を減らさないように、われわれとは長いつき合いなんだから、この機会に変なことをするというと将来たたりが起こるぞと、そういうことを私からも言いまして協力を求めた、そういうことでもあります。その間、BPとかシェルとか、あるいはフランス石油とか、そういう人たちとは個々的に接触したり、あるいは情報を交換したりしてはやっておりました。まあ、われわれがやったのは、いま反省してみますとその程度でありまして、もっとやればあるいはやれたかもしれませんが、当時としてはそれが精一ぱいであったように思います。
  137. 藤井恒男

    藤井恒男君 二月四日の日の衆議院予算委員会でわがほうの玉置一徳議員が大臣に質問をしておるわけですが、質問の概要は、物価情勢がやや安定してきた現状であると。また、三月を待たずに石油と電力の一五%の供給削減、こういった情勢に照らして一〇%ぐらいにゆるめ、産業用に増配してはどうかという質問に対して、大臣のほうから、期待以上の原油の輸入もあった、そういうことから、国際会議動向などを見て慎重に検討したいと前向きの答弁があったわけです。昨日、ワシントンの石油消費国会議というものがもう終わっておるような状況でありますし、それ以降日にちもかなりたっておるわけです。そういった状況に照らして、前回大臣がおっしゃったこと、いまの時点でどういうふうにお考えになっておるか、もう少し具体的な御答弁も得られるんじゃないかと思うのですか。
  138. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 玉置委員の御質問は非常に適切な御質問であったように私も感じました。それで、そのとき申し上げましたのは、ワシントンの会議と、その後十四日から開かれるOAPECの外相会議、OAPECの首脳部会議等の国際会議動向を見てと、そういうことを申し上げたつもりでおります。それでワシントンの会議は終わりましたが、このワシントンの会議に対するアラブ側の反応はどういうふうに出てくるか、これをやっぱり見る必要があると思っております。このアラブ側の反応の行く末をある程度見きわめた上で、石油需給適正化法に基づく審議会におはかりすべきものであると、さように心得て、方向としては玉置委員にお答え申し上げた方向で処置していきたいといまは思っております。
  139. 藤井恒男

    藤井恒男君 ヤマニ石油相がお見えになったとき、大臣、お会いになりましたね。あそこでヤマニさんが言っておられたのは、原油価格の値下げということを示唆されて、その後新聞などではそれが現地報道として否定されるような向きもあるし、まあ杳としてわからないわけですが、そのときの感触とその後の産油国の動きなどについて御説明いただきたいと思います。
  140. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ヤマニ大臣は、サウジアラビアのファイサル王は石油の値を引き下げる必要を認めて、各国にそういう行動に出たい希望を持っておられると、そういうことで、それは近いうちに行なわれる可能性があるというような示唆に富んだ話をされました。私の得たいままでの情報では、キング・ファイサルはそういう行動をおとりになって油の値を下げる方向努力されていると私は考えております。しかし、そのときもヤマニ大臣は、石油価格の問題は一国だけできめられる問題でないので、関係各国と協議した上で共同でこれはきめられるべきであるから、自分たちの言っていることが必ずしもコミットにはならない、そのとおりになるとはわかりません、そういうことも付言しておったのであります。
  141. 藤井恒男

    藤井恒男君 まだいまの情況では確たることはわからないということのようですから、これはもうやめまして、次に私、鉄鋼の市中価格とメーカーの出し値の関係について少しお伺いしたいんです。  私の調べた範囲では、非常に状態がおかしく感じます。率直に申し上げまして、小形棒鋼、それから中形の形鋼、それから厚板ですか、この品種によってそれぞれ違うわけですが、出し値と小売りとの相関、そしてまたメーカーが得ている利益というものが何に原因しておるのか。私がいままで把握しておる範囲では、通産省としてはこのメーカーが得た利益というものは、どちらかといえば数量効果によるものであるというふうなニュアンスを持っておられるんじゃないかと思います。そういう点について、最初に通産省としてはどう考えておるかをお聞きしておきたいと思います。
  142. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 鉄鋼の中で、いま先生御指摘の三品目、つまり小形棒鋼、中形形鋼、厚板、これがいわゆる市況品種といわれているものでございます。時によりまして非常に価格の乱高下が行なわれる品種でございますが、これにつきましてメーカーの出し値並びにメーカーの利益がどういうところにあるかという御質問でございますけれども、小形棒鋼につきましては、最近のメーカーの出し値が七万五千円程度ではないかと考えます。昨年の夏以降、非常に建設関係需要が高騰いたしまして、そのために小形棒鋼につきましてもいわばフル生産のような状態でございます。それが大体今日まで続いておるわけでございますが、御指摘のように、確かにメーカーの利益はやはり操業度が非常に高くなったということに基づくものではないかと思います。  小形棒鋼につきましては、御承知のように、主原料がスクラップでございますが、スクラップの価格の高下によりまして、高低によりましてメーカーの利益というものもだいぶ変わってくるわけでございますが、スクラップは実は昨年の七月にアメリカからの輸入制限を発表いたしまして、急速に上がったわけでございますが、それが十一月ごろには石油危機による減産というものが心配されまして急激に下がりました。ところが、心配された石油、電力のカットというのがそれほどでもなかったということで、小棒メーカーの生産もそれほど落ちていないということを理由といたしまして、また本年に入りましてからスクラップの価格が非常に高くなっているわけでございます。先ほど申しました小棒のメーカーの七万五千円は、メーカー出し値としては従来から据え置きでございますけれども、最近のようにスクラップの価格が上がってまいりますと、高操業のメリットはありますけれども、反面原材料価格の高騰ということでそれほど大きな利益というものを享受しているとは思われない状態でございます。
  143. 藤井恒男

    藤井恒男君 私、ここにグラフを持ってきておるんですけど、一部これは大臣も見ていただきたいんですが、このピークしておる時期が、これが小形棒鋼ですけれども、中形も全く同じなんですよ、こういうふうに。また厚板も同じなんです。それに引き比べて、出し値というのが全く同じカーブを描いておるわけですね。お手元の赤い線がこれはメーカーの出し値です。そして破線が二つ、上にありますが、これが東京と大阪のいわゆる市中価格ですね。だから、小形棒鋼で見ると、全くこれはリンクした形で推移しておる。二枚目の中形についても同じようになっておるわけですね。しかも昨年のピークが同じ時期です。  三枚目になると、いまおっしゃるように厚板についてはピークしておることは同じだけれども、出し値というのはほぼ変わらない、これをどういうふうに判断したらいいかですね。この表で見る限りにおいてはきわめておかしな現象になるんじゃないでしょうか。それは二つ見たら小形棒鋼と中形形鋼は同じような傾向を示している。そして、むしろこれはどちらが誘導したかわかりませんが、出し値が市中価格を誘導したのか、あるいは市中価格がメーカー出し値を引き上げていっておるのか、これはわかりません。しかし、厚板とは非常な違いを示しておりますね。出し値というものがほとんど横ばいである。しかし、市中価格それ自体はピークのカーブは全く同じだと、しかもその開きというものはこんなにあいている。そうすると、厚板についてはメーカーじゃなくて、流通段階がかなりな利益をあげておるんだろうかということにもなるわけです。この間の相関を少し説明してもらいたいと思います。
  144. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 小形棒鋼とそれから中形形鋼のほうは、主として平電炉メーカーが生産を行なっておるわけでございます。平電炉メーカーは、先ほど申しましたようにスクラップ価格の高低によりまして、実際のコストは変わってくるわけでございますけれども、メーカーの出し値そのものは実は昨年の十一月ぐらいから今日までの間それほど変わってないわけでございます。実は私は、いま御指示になりました資料について詳細を検討する時間ないわけでございますけれども、問題は、むしろ末端の需要家渡しの価格の乱高下があるところに問題があるのではないかと思うわけでございます。昨年の十一月の初めぐらいまでは非常に落ちつきを取り戻してきたわけでございますけれども、十一月に入りまして、石油危機契機といたしまして、いわば建設関係を中心とした仮需要というものが出まして、これが市況品種であります、特に小棒と中形形鋼につきまして価格を、末端価格引き上げたわけでございます。でありますから、メーカーの出し値よりもむしろ流通段階におきます手取りといいますか、そういうものがふくれあがったということが乱高下を来たした原因だと思っております。しかしながら、ことしの初めから二月の今日までの間、総需要抑制等措置が、それから金融引き締め等の影響も出てまいりまして、同時に、通産省といたしましても、この流通段階におきます暴利を極力排除するということで指導をいたしておったわけでありますが、それらの効果があらわれまして、十二月の初めから一月の初めまで小棒の末端価格十万円であったものが、今日は二月の上旬では七万七千円と急速に下がっておる状態でございます。
  145. 藤井恒男

    藤井恒男君 厚板はどうですか。
  146. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 厚板につきましては、二月の上旬価格は七万四、五千円に下がっておると思います。これもやはり十二月から一月の初めまでは十万円程度だったものでございます。
  147. 藤井恒男

    藤井恒男君 それはいまの時点に立ち至れば行政指導の結果というふうにおっしゃるし、仮需要が終息したということになるわけだけど、わずか一ヵ月ぐらいの間に小形にしても二万円ぐらい落ち込んでおる、市況がですね。それから一番ひどい中形形鋼のごときは、実にどうですか、四万円ぐらい落ちとるんじゃないですか。ということは逆に言えば、昨年のピーク時にはいわゆる四万円上げておったということになるわけですね。全部言えるわけです。厚板にしてもしかり、三万円ぐらいの落差がある。そうなると、ピーク時のこの価格というものは、単にこの乱高下というものが末端から引き出してきたものというふうに言っていいものかどうか、それだけで終わらせられるものであろうか、このひどい状態はですよ。この間の利幅というものは一体どうするのか。それがいわゆる仮需要、要するに買いだめ・売り惜しみが因果関係を結んだものじゃないでしょうかと。グラフにしてみたらこれはびっくりするわけですね。いまの値段を見ると、なるほど下がったかということになるけれども。そうすると、一、二ヵ月前のこれは一体何だということになっていくわけなんです。その辺がやっぱり解明がなければ私はいけないのじゃないかと思うのですよ。どうでしょうか。
  148. 飯塚史郎

    政府委員(飯塚史郎君) 従来から小棒につきまして価格の乱高下、並びに高いときには流通段階におきます非常に大きな利得というのが私ども問題であるということで、いろいろ検討しておるわけでございますが、まあ、鉄の商売人に言わせますと、小棒というのは従来からそういう品種であるということで、長年そういう観念で製品を扱っておるということでありますが、しかし、今日のように物価抑制が私どもの最大の仕事である時期においては、かりにそういう長年の商慣習というものがあったにしても、それを放置するわけにはいかないと思いますので、流通段階のそういう異常なマージンの取得については、できる限りきびしく指導していきたいというふうに考えておりまして、ことしの初めからその指導を精力的にやっておるところでございます。
  149. 藤井恒男

    藤井恒男君 時間が参りましたので、次回にまた質問を保留さしていただきたいと思いますが、一つだけ資料をお願いしたいのですけれども、一番安定した状況ですね、過去において。大体こう成長過程にあるわけだけど、安定した形で成長しておる時間帯をつかんで、いま言う小形棒鋼はどういうカーブがあるのか、季節的にも何か問題があるのか、その比較などを見てみたいと思いますので、中形と厚板と、三種類のカーブを一ぺん、また事務局のほうにあとで申しますけれども、資料を出していただきたいと思います。  時間が参りましたので終わります。
  150. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 きょうはたくさん問題は持っておるんですけれども、もう時間も迫っておりますし、私の持ち時間もわずかですから、まず最初、通産省の定員の問題でちょっと伺っておきたいと思うんです。  昨年十二月十九日のこの参議院商工委員会石油需給適正化法審議の際に、中曾根大臣が定員の増強、融通、それからあらゆる措置を講じて期待にこたえると、こういうふうに答弁していらっしゃいます。あれからいままでの間に、この法律を動かすために、体制上の問題でどのような対策をおとりになったかということをまず伺っておきたいと思うんです。この質問は、私があの中で、たくさんの仕事がいっぱいふえたと、で、今日の状態でそういう体制がとれておるのかという質問に対しまして、通産大臣がこういうふうにお答えになっていらっしゃるわけです。まずそこからひとつ……。
  151. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石油需給適正化法実施するにつきまして、当時はてんてこ舞いでございました。その上に不祥事件等がありまして、非常に職員は困苦の中にあったわけであります。そこで推進本部をつくりまして、そうして他の課、他の部から増員を応援として割り当てまして、たしか三十名近の、二十八名の事務官等を本部に入れましておのおの補佐をさせて、ほかの部局から人間を引き扱いたわけでございます。それから今回の四十九年度予算につきましては定員の増をお願いいたしまして、これにつきましても若干の定員増を認められまして、それぞれ予算が通りましたら配置したいと思っておるわけです。  詳細につきましては係から御説明申し上げます。
  152. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) いま大臣の答弁で大綱はそのとおりでございますけれども、たしか、ちょっと記憶が不確かでございますけれども、十二月の十七日に通産内部に石油対策本部をつくっていただきまして、省内各部局から、二十八名だったと思いますが、その対策本部に出向していただいたわけでございます。そこで体制を整えて準備を進めたわけでございますが、予算定員といたしましては、ちょっと手元に数字はございませんが、これも四十九年度で恒常的な平年度全部の者が八名、それから四月から十二月までの者が二十八名、計三十六名の予算定員を認めていただいたわけでございます、これは四月以降でございますが。それまでは対策本部を中心に進めてまいる、こういうことでございます。
  153. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その定員増三十何名というのは定員法を改正した……。
  154. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 総定員法の中で……。
  155. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 現在の総定員法の中でそういうふうな処置をしようというわけですね。
  156. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そうです。
  157. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、あるところからそこへ人を持っていくためには、あるところの分を減らして持ってくるということなんじゃないでしょうか。
  158. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 五%削減がありますから、その余裕が出ているわけです、たしか。
  159. 山形栄治

    政府委員(山形栄治君) これは全般的に予算措置としまして、新規要員として認められたわけでございますが、別途定員削減というのは、これは全官庁で進んでいるわけでございまして、先生のおっしゃいますように、どこかの部局をつぶしてそれをストレートにこっちに持ってくるというのではございませんで、全体の総定員法の中の片方ふやすやつと片方減らすやつとこういうことの運用の一環だと思います。
  160. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 通産省で専任の調査官を増強したというふうには聞いておるんですが、それは何ですか、この人々は新規に採用した人人ではないわけですか。
  161. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 三十五名の専任の調査官を配置いたしましたが、これらは各部局から抽出してそれを専任に充てたということであります。
  162. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この省内での融通、各省間の融通では、これまでの一般行政事務が他の人々にしわ寄せされるということになりかねないと思うんですね。結果的には全体としてうまくいかなくなるんじゃないか、こういうふうに私は心配するわけですね。現に通産省内部では病人もたくさん出ておるということを聞いておるんでございますが、その点はどうでございましょうか。あるパートでは何だか神経衰弱者がたくさん出ているとか、そういうことを私たちは聞いておるんですが、どうでございましょうか。
  163. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 十二月のあの一番戦場にあるようなときにおきましては、非常に夜も寝ないでみんなやってもらいまして、十二月の二十日前後に、ともかく組合のほうからこのままいったらみんなぶっ倒れて死んじまうと、そういうことで、エネルギー庁長官が約六十名ばかり身体検査でチェックしようというのでチェックしましたら、使えるのは十九名しかいなかったと、あとの者は神経衰弱とかからだが弱くなって使うにたえないと、そういう診断がお医者さんから出たのが二十日前後にございました。そこでこれは至急早く各部局から抽出して配置しなけりゃならぬというので急いでやったというのが現状でございまして、通産省は石油やその他をかかえまして、実際あのころは戦場のような忙しさであって、いまそういうふうなあたたかいことばをいただくことはたいへん感激であります。
  164. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちはもう少し進んだ意見を持っているわけですね。まあ皆さん非常に苦労して、いろいろなあちらからこちらからこうあんばいをして、現状を糊塗していらっしゃるような感じがするんですが、もう少し私は人数をふやしたらどうかという考えなんですね。そういう無理の起こらないように、通産省は非常に忙しいということも聞いておりますししますから。ところが、人員がやせない大きな原因は総定員法によってワクをはめられておると、こういうために、人員をふやさなけりゃならぬような事情に遭遇しても要するに簡単にふやせない。そこでそういうふうな無理をしていらっしゃるように私は見受けるわけなんですね。そこで通産大臣は、ひとつ定員法を変えても職員の実際のその増加というふうなことを考えていったほうがよいと思うんですが、そういうふうな職員の純増をしないと事態は一向に私は解決しないんじゃないかと、こういうふうに思っておるんです。そこで、責任を持ってこれをやり遂げるつもりでありますか、そういう気持ちはないんだというふうなお考えでしょうか、大臣の責任のある答弁をまずしておいていただきたいと思います。
  165. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やっぱり総定員法は動かさないほうがいいと思います。国民の皆さんの御要望は、やはり官庁にはまだ遊んでいる人間がいる、朝行って、足を出して新聞読んで、お茶を飲んで、それから始まる、民間会社とは非常に違うと、そういう批判もまだ一部には残っておるようでありまして、忙しいところは非常に忙しいけれども、忙しくないところは忙しくない。だから全体をかきまぜて同じ均度になるような、同じ忙しさになるようなやりくりをすることがやはりわれわれとしてのつとめで、できるだけ国民の税金を多く使わないようにやるのが行政当局としてのわれわれであると思いますから、内部のやりくりでできるだけのことをするのがいいのではないかと思います。
  166. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣、実際にそういう状態があるんですか。大臣の口からそういう足を投げ出して遊んでいるのがあるとかいろんなことを聞くと、私はおやっと思うんですが、大臣の口からそういうことを聞くのは私は何だか意外な感じがするんですがね、実際にそういう状態なんですか。
  167. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういう国民批判がまだ一部にあるおりからと申し上げたと思います。私がそうだと言ってるんじゃなくして、国民が見ればそういうふうに受け取っておると。やはり客観的な批判に対してわれわれは謙虚に耳を傾けてやらなきゃならぬと、そういう気がしておるからであります。
  168. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういう考えでいくというと、やはり仕事のしわ寄せが私は職員のほうにきて、国民がそういうふうに言っているからと、そういう言っていることが事実からば、これはもう私はやむを得ない。そういう事実はないんだと、見てくださいというような、そういう態度で私はいってもらいたいと思うんですね。そして私たちが心配するように、今日の状態では相当オーバーワークになっているということを聞くものですから、私は。それで、それならばひとつ総定員法を改正してでも、実際に必要だということになれば、私たちも賛成をするんですから、だからそういうふうに大臣は考えていこうとしないのかどうかと、今日でけっこうですという大臣のお答えなのか、そこを私は聞いておきたいと、こういうことなんです。
  169. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはりチープガバメメントといいますか、なるたけ税金を使わない政府というものが国民に喜ばれる政府でありますから、総定員法は変えないで、その内部でいろいろやりくりを操作してやるのが適当であると思います。
  170. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そういうやりとりしてもしようがありませんが、実際に忙しい思いをして働く職員たちのことも大臣としてはやはり考慮していってもらいたい。職員に仕事の過剰がずっとしわ寄せをされて病人が出るというような状態は好ましい状態ではないと私は思いますので、あえてその問題をきょう劈頭に申し上げたわけでございます。  それから次は、石油業界の独禁法違反の問題につきまして、公取の方に少し質問をしたいと思うんです。  公取委員会は先日、石油連盟と元売り十二社をそれぞれ独禁法八条、三条の違反で勧告をされましたが、昨年末までの原油の輸入量や在庫の状況を見た場合、これらの反社会的な行為の実態は事実をもって明らかにされていると私たちは思いますが、公取委員会はなぜ独禁法第七十三条に基づいて彼らを告発しないのか、その点を伺っておきたいと思います。
  171. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 確かに七十三条には、独禁法に「違反する犯罪があると思料するときは検事総長に告発しなければならない。」という規定がございます。石油連盟につきましては、これは現在、昨年来でございますか、やはり同じような価格協定で審判中でございまして、またそれに加えまして再度勧告をし、あしたがその応諾期限ということになっているわけでございますが、これについて一体告発をするかしないかというのは、これは非常に具体的な問題でございますので、独禁法三十八条で、具体的な事件についての意見、あるいは事実の有無については申し上げられないというような規定もございますので、この具体的な問題については、勧告をするとかしないとか申し上げることはお許しをいただきたいと思います。  一般的に申し上げまして、石油関連のたとえば中低圧ポリエチレンとか、そういう石油製品業界におきましても、過去において五回とか六回とか審決があったにもかかわらず、違反を繰り返しているというような例もございます。非常にけしからぬというふうに思っておりますが、ただ、事前に告発するとかしないとかいうことを申し上げますと、これはその後の審査活動に非常に支障が生じる。過去においてもそういう例がございました。これは委員長も申し上げたことでございますが、予算委員会で。  一応は、最近のと申しますのは昨年でございますが、一連の石油関係等の事件において、これはいわゆる厳重な注意文書というものを会社に対して渡しまして、再三その違反を繰り返しておるけれども、今度もやると、もっと強い措置をとりますという注意文書を渡したわけでございます。ところがその後、これは——失礼いたしました。一昨年、四十七年でございますが、その後の状況を見ておりますと、そういうふうな今後違反をやれば強い措置をとる、とり得る、とることがあり得るというような注意文書を渡しましたところが、その後のこちらの違反の疑いで調べた際に、供述を全くやらない。係官が調べましても、いわゆる黙秘権と申しますか、黙って、物証がなければ、物証があっても供述をなかなかしないというようなことで、非常に証拠をつかむのに苦労をと申しますか、何十人呼んでもなかなか供述をしないというようなことで、うちの委員長も言っておりますが、早く言えば黙秘カルテルというようなものがどうも業界にできあがっておるんじゃないかというふうな点も認められまして——今後告発をやらないということは申しません。これはあり得るということでございますが、今後もやる場合には、一罰百戒というようなことでやることもあり得ると思いますが、そういうことは、予告的なことは申し上げられない。黙って告発をするときはする。ただ、具体的な事例については、するとかしないとかいうことはお許しをいただきたいということでございます。
  172. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 公取ははっきりとした確証をつかまなければ告発はできない。それで彼たちは黙秘カルテルをしいて、公取の審問に対して口をつぐんで何にも答えない。だから、いますぐ告発をするとも言えぬが、しかし、告発しないとも言わない。ある時が来たれば告発もすると、こういうような御答弁ですね、いまの。そういうふうに理解していいですね。
  173. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 具体的な事例について、するとかしないとかいうことは、これは申し上げられませんが、一般的に申し上げて、告発があり得ないということはない、今後の問題です、こういうことです。
  174. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 公取委員会の事務局長、公取には資料がちゃんといっていると思うのですね。先日、私たちの党が衆議院で明らかにしましたゼネラル石油の通達の問題です。これは、午前中の通産大臣の御答弁の中でも、通産省をばかにしているといって、えらいふんまんを述べられたような文書です。ここに私も持っております、その一部始終は。  公取は、ゼネラル石油を、元売り十二社ということで独禁法第三条違反で勧告をしておりますね。そうでしょう。勧告、ここにありますよ、勧告文書は。この通達を見ますと、「マスコミや通産に対して値上げを通報する取引先があった場合、以後出荷停止をする旨それとなく云っておく事」と、こういうふうになっているのですね。明らかに独禁法にいう「不公正な取引」に該当すると私は思います。  また、ゼネラル石油は、昨年十月、兵庫県の尼崎市の小売り店に対しまして、保証金として従来五万円だったものを、一挙に五十万円から百万円に、十倍、二十倍に引き上げる、これに反対すれば出荷停止である、こういうようにおどしておる事実も明らかになってきておるのです。したがって、ゼネラル石油は、三条違反ばかりでなく、独禁法十九条違反で即刻四十五条、四十六条の調査を行ない、七十五条で告発を行なうべきであると、こういうように私たちは考えるのですが、公取にその意思があるのかどうか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  175. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 実はそれは非常に具体的な会社についての問題でございまして、いま私がここで一人だけで、これは違反である、あるいはこうしますとかいうことは、うちは委員会できめるところでございまして、私個人の意見を申し上げるわけにもいきませんし、また先ほど申し上げましたように、独禁法第三十八条によりまして、「事件に関する事実の有無又は法令の適用について、意見を外部に発表してはならない。」という規定もございまして、具体的なケースが違反になるかならないか、これは申し上げることをお許しいただきたいと思います。  ただ、一般論として申し上げますと、取引先を不当に差別的に扱うというのは、これは不公正な取引方法に該当する疑いがあるのではないかというふうに考えます。ただ、このケースが直ちに該当するかどうかはこの場で申し上げるのはお許しをいただきたいと思います。  それから十九条違反は、これは不公正取引方法の違反でございますが、不公正取引方法については、それに違反したからといって直ちに罰則がかかりません。つまり審決で排除命令が出て、その排除命令に違反した場合に初めて罰則がかかる、こういうたてまえになっております。
  176. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 しかし、ここにある文書、あなたもお持ちでしょう。この文書は持っていますね。このゼネラル石油の販売部長から各支店長、直売部長にあてた文書ですね。この文書を読んでみると、実に全く通産省ならずとも私たちでも国民をばかにしていると思って憤慨にたえないようなひどい文書ですよ、これはね。それで、ずっと全部紹介してもいいですが、時間がありませんから申しませんが、最後のほうには、「マスコミや通産に対して値上げを通報する取引先があった場合、以後出荷停止をする旨それとなく」言っておけと、こういうところまで言っておるわけでしょう。こういうのはりっぱに私は告発の条件がそろっておると思うんですよ、こういう文書もあることですから。それをなぜ公取は告発に踏み切れないのか、もう私たち見ているとはなはだもどかしい感じがするんですよ。一体どこを向いて公取はやっているんだと。業界の利益ばかり公取は考えているのと違うかと、これは私はほんとうに腹が立つんですよ。いまの話じゃ、はっきり調査をしないとわからない、向こうは黙秘権を使っているのでというようなこともあなたのほうからおっしゃいましたが、それじゃ調査をして、違反が事実であるということがはっきりしたら告発をされますか、どうですか。
  177. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) いまの告発と申しますと、その不正取引についての告発でございますか、それとも石油のいわゆる価格協定についての告発という、おっしゃっている意味は……。
  178. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ゼネラル石油などはこういういろいろ違反があるわけですよ。こういうことを調査をする意思があるのか、調査をしてはっきり事実がわかったら告発に踏み切るのかどうかということです。
  179. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) 先ほど先生おっしゃいました、いわゆる不公正な取引方法になるんじゃなかろうかという点は、これは調査をしてみないとわかりません。いますぐ私が違反になるとかならないとかということは申し上げられないということはさっき申し上げたとおりでございますが、今度の石油連盟のいわゆる勧告の中にはゼネラルも入っておるわけであります。それを含めてこれを告発するかどうかは、先ほど御答弁申し上げたとおり、具体的事例でございますので、告発する、しないということは申し上げることはお許しをいただきたい、こういうことでございます。
  180. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、こういう事実をつかんで、その事実の上に立って言っているんですよ。あなたも事実を知っているはずなんです、この文書を持っている限り。だからこういう事実があるのだと、しかもあなた方が告発しようとしないのは、国民生活を非常な困難におとしいれた企業を擁護するような態度は、国民はそう言っているんです。何だ、公取はわれわれ苦しめられているのを知らぬ顔をして業界を擁護しているじゃないか、こういう態度は国民に対して許すことはできないではないか、こういうふうに言っておりますから、私はこの際、公取として責任ある答弁をしてもらいたい、こういうことなんですね。もう少しすかっとしたような答弁はできないんですか、国民が納得するような答弁は。どうですか。
  181. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) それはちょっと、告発する、しないということは私個人できめることじゃございません。委員会できめることでございまして、しかも先ほどから申し上げておりますように、これは具体的な事件、ケースでございますので、する、しないということは申し上げることはお許しいただきたい。しかし、先ほど一般論上して申し上げましたように、非常に過去において何回も違反を繰り返す、非常に悪質であるというふうにも考えますので、そういう一般的ないわゆる非常に悪質なものについては、今後も告発があり得ないということはないということを申し上げたわけでございます。ただ、具体的なものについて告発する、しないということを私の口から申し上げられないということを御了解いただきたいと思います。
  182. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大体あなたの腹の中の考え方というものは、わかったようでわからぬようでわかったような感じがするのですが、そういうふうに理解しておきましょう。あなたがどうしても言えないとおっしゃるならば、そういうふうに私は推測する以外にないんですが、しかし、国民はこう考えていると、だから、国民立場に立って処理をするということは言えるでしょう。国民立場に立って国民の考えを尊重するということを言ってくださいよ。
  183. 吉田文剛

    政府委員(吉田文剛君) それはおっしゃるとおりでございます。国民立場に立って国民の考えを尊重してまいりたいというふうに私も考えております。
  184. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 中曾根さん、この問題はちょっと時期が一日ずれたように私は思われぬでもないと思うのですが、いわゆる石油消費国会議の問題について、私はあなたの御意見を伺っておこうと思って実は用意しておったんです。しかし、きのう、ああいう結論が一応出たということは私も新聞で拝見しました。だから、ちょっと時期が一日おくれているような感じはするのですけれども、なお、あえてあらためてあなたの御意見を伺っておくということも、今後に関して意義があると思いますので質問するのですが、キッシンジャー・アメリカ国務長官の開会演説に関連しまして私は少し聞いておきたいと思うのです。  この中で七項目の提案をしております。その五番目で、石油国の保有するドルについて国際的な管理をする旨の提案をキッシンジャーがやっておるわけです。これに対する通産大臣の見解はどうかという点を伺いたいのが一点ですね。
  185. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 産油国が保有するドルの処分権は産油国にあるのでありまして、これを他からとやかく言われることは産油国が不愉快であろうと思います。むしろ、産油国のほうからいろいろ案を出してもらって、それを国際的チャネルに乗せるというほうが賢明なやり方だと思います。
  186. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先日訪日されたヤマニ石油相もそういうふうに言っておると思うのですね。一国の通貨は、どのように運用するかはその国の主権にかかわる問題だと、私もそう思います。よその国があれこれこれに介入すべき問題ではない、これを強要すれば産油国の主権侵害につながると、こういうふうに私は思っておるのですが、通産大臣の考えも私と同じような考え方だと理解していいですね。
  187. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 大同小異であります。ただ、これからちょっと違うかもしれません。やはり産油国に蓄積する膨大なドルというものは、国際経済に非常に影響するところが大きい。特に発展途上国やその他に対する影響も大きいわけであります。発展途上国の少ないドルも産油国に行くからであります。そういう意味において世界経済を円滑に運営していくために、やはり世界的立場に立って産油国もそのドルを使われることを私たちは希望いたします。
  188. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私と同じ考えならば、もう質問をする必要はないわけですが、やはり大同小異で、小異がなかなか小異でない感じがするんですが……。  さらに質問はその次に移りますが、石油二国間取引きに一定のワクをはめようとしておるように私は思うのです。この点について通産大臣の見解はどうでございますか。石油産出国が自国の石油資源をどこの国に売ろうと、どのように使おうと、それは石油産油国自身の主権に属する問題であって、他国が干渉する問題ではない、こういうように私は思うのでが、それに対して通産大臣はどういうように……。
  189. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれは、やっぱり対外経済政策というものについては国際協調主義を持っておるのでありまして、その二国間取引はもとより是認すべきものであり、それが主権の発動である限り、他国からは容喙を受くべきものでないと思います。ただやはり、世界経済全体の協調ある発展を考えますと、その主権の行使について国際的な撹乱行為にならないように、他国に著しく迷惑を及ぼすことがないようにという配慮は、やはり世界社会の中に生きていく一員として持たなきゃならないことであると、そのように思います。
  190. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはあなたがそう考えるのはいいけれども、産油国に対してそういう考えを押しつけるところに私は問題があるんじゃないかと思いますね。これは主権の侵害になりはしませんか。産油国が協調しましょうというならばいいですよ。協調せいとか、してもらいたいというような、その協調を押しつけるところに私は問題があると思うのですよ。協調というものは、そんな押しつけるべき性質のものじゃないのじゃないですか。やはり自主的な立場に立って協調していこうというので、初めてほんとうの協調というものが生まれるのじゃないでしょうか。あなたの話を聞いていると、やっぱり資本主義国がずっと取り巻いて、協調せい、協調せいと、こういうふうに協調を押しつけていこうという考えのあるような感じが、私にはあなたのことばの中から受け取れるんですが、どうですか。協調というものは、やはり相手国が自主的な立場に立ってやること、それがほんとうの協調というものの形じゃないでしょうか、どうでしょうか。
  191. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) おおむね同じであります。ですから私は最初に、主権的行為であって、他国から容喙を受くべきことでないと、こう申し上げました。そういう立場に立って行なうのであるけれども、行なうほうの主体的なほうの心がまえとしては、やはり国際的に撹乱を起こして、他国に迷惑を及ぼすことをなるたけ少なくするように配慮することが、世界社会の中に生きていくわれわれとしての立場であります、そう申し上げておるつもりでございます。私自体がイラクに行って二国間取引をやってきた人間でありますから、私たちは私たちの行為を是認して、いいと思っておることであります。
  192. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 原則として、二国間取引について他国が干渉すべきでない、こういうふうにはっきりするならば、国連で議題になってきました、天然資源の恒久主権の決議に全面的に賛成しなければならないと、こういうように私は思いますが、通産大臣はどういうふうにお考えでしょうか。
  193. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 恒久主権の決議の内容を、もう少しここで分析してみないとわかりませんが、全面的にそのまま無条件で支持し得るかどうか、その辺は検討を要するところであると思います。しかし、大体においてあれは支持すべき内容であると私は思います。
  194. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 この石油消費国会議の中で、西欧諸国を中心に、国際石油資本の行動に何らかの歯どめをかける必要がある、こういう議論が出ていると思うのです。この意見は国際的な世論になりつつあると私は思います。通産大臣の、この意見に対する所見を伺っておきたいと思います。
  195. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 前に、エクソンの社長が、新聞記者会見で言ったのでしたか、議会の証言でございましたか、ともかく八十数%の利益は東半球から出たのだ、アメリカ人から取り上げたのじゃない、そういう発言を新聞で読んだことがあります。私はあれを非常に不愉快に思いまして、今回大平外務大臣が行くに際しても、ああいう問題を取り上げてくれ、東半球というとアジアとか日本が中心になる。こういうものはアジア、日本人として黙って見のがすわけにいかぬ、そういうことを大平外務大臣にお願いしたところであります。やはり国際石油企業というものも、世界経済全般を繁栄させ、各国民を繁栄させるためにファシリティーを供与すべきであって、その偏した商売のやり方とか、あまりにも利己主義的な商売のやり方というものは決して世界からは歓迎されないし、われわれも歓迎しない。そういう意味において、長い安定的な商売を望むならば、自粛した態度でわれわれと商売をやってもらいたい、そういうことを強く要望するし、そういう点を監視するつもりでおります。
  196. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 少しそういうあなたの考えに対して、私たち多少危惧の念を持つわけですが、そういう考えが自分の腹の中にあるからといって、それは産油国がそういうことを言ったのはけしからぬとか、おかしい、そんなものじゃないじゃないかというふうに、すぐ言い切ってしまっていいのか。やはりひるがえって、自分たちの態度ですね、こちらの。態度に対してもやはり反省をしていく必要があるのじゃないか。特にアメリカなどが、石油も自分の支配下に置いていこうという、こういう方向に向かっているときに、先方だけそういうふうなことばで責めるのは私は妥当ではないような感じがするのですね。だから、それは商売が商売ですから、お互いが話し合って、お互いが納得して、お互いの幸福のためにやっていくという、それは私は必要だと思いますね。だから、それはもちろん必要なことではありますけれども、向こうが言ったことがすぐ気に入らないといって、それを非難するような態度よりも、もう少しこちらも反省の上に立って、いろいろ話し合いをしていくという態度のほうが妥当じゃないかと、私はそういうふうに思いますが、どうなのでしょうか、そこらは。
  197. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 須藤先生のお話は何を主題にしてお話しになっているのか、私の頭はこんがらがっているのですが、私はいま、国際石油資本の態度について私の意見を申し述べたのであります。産油国に対する態度について申し述べたのではありません。
  198. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 国際石油資本ですね。メジャーですね。メジャーに対してならそのとおりです。私はちょっと聞きそこなったかわかりません。  それで、私の質問はこれで終わりましょう。またあらためて。まだ石炭問題についても相当あるのですが……。
  199. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言がなければ、本日の調査はこの程度にとどめ、本日はこれにて散会いたします。    午後四時二十九分散会      —————・—————