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1973-12-21 第72回国会 参議院 商工委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月二十一日(金曜日)    午前十一時四十九分開会     —————————————    委員異動  十二月二十日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     星野 重次君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 佐田 一郎君                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 栗林 卓司君     委 員                 稲嶺 一郎君                 植木 光教君                 大谷藤之助君                 寺下 岩蔵君                 林田悠紀夫君                 星野 重次君                 細川 護熙君                 安田 隆明君                 小野  明君                 竹田 現照君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君    政府委員        外務省中近東ア        フリカ局長    田中 秀穂君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君     —————————————   本日の会議に付した案件石油需給適正化法案内閣提出衆議院送付) ○委員派遣承認要求に関する件     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  昨二十日、高橋邦雄君が委員を辞任され、その補欠として星野重次君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 石油需給適正化法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 小野明

    小野明君 これは通産次官のほか外務省がお見えになっていないようですが、きのうときょうの報道によりますと、三木特使中東に行かれて非常に明るい見通しである、こういう報道がされております。きょうの新聞によりますと、サウジアラビア友好国という決定をする、こういう報道がされておるわけです。まず、その報道によりまして、この法案は大幅な石油不足に対応するための法案であるわけなんですが、その辺の報道が事実であるとすればきわめて重要なニュースであると思うのですが、その辺について国民は明るくなったり、あるいは暗い気持ちになったり、非常に重大な影響があると思います。まず、そのあたり情報について政府はどのように握っておるのか、お伺いをしたいと思います。
  5. 楠正俊

    政府委員楠正俊君) その点についていまだに私はしかと情報を心得ておりませんので、外務省のほうからお答えをしてもらいます。
  6. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) けさの各紙に、ただいま御指摘のようなことが報道されております。三木特使が十日に御出発になりまして以来四ヵ国の御訪問を終えられたわけでございますが、われわれの受けておりまする報告現地大使からの報告によりますと、各国日本中東問題に対する態度、考え方、これを十分に御説明いただきまして、先方もこれに理解を示した。あるいは現在の石油危機に直面して日本の置かれておる困難な立場、あるいはそれの発展途上国その他に及ぼします影響、そうしたものをるると御説明なさいまして、こうした状況についても十分に先方の認識を得、さらに、三木特使の御使命でありますところのアラブ各国との友好親善関係増進という点について、場合によりましては具体的な協力案件について詰めを行なう、こうしたことで、先方も非常によい反応を示しておる。よい反応と申しますのは、両国関係増進を双方で協力していくということについて非常に向こうも積極的である。総じまして、三木特使の御使命あるいは目的というものは十分に達成されておるというふうにわれわれ了解しておりますが、具体的に日本友好国にする、あるいはしないというような問題につきましては、われわれ特に報告を受けておりません。また、かりにそういうことがどこかでありましたとしても、この日本をどういうふうに扱うか、日本のみならず各国をどう扱うかという問題は、一国だけでは必ずしもきめ得ないのではないか。これはOAPECという一つの機構がございまして、それの決議によってきまるのではないかというふうにわれわれは考えております。
  7. 小野明

    小野明君 いまの御答弁によりますと、まだ先の見通しがはっきりしない。やっぱり観測段階であるかのような印象を受けます。報道によりますと、三木特使は、来年二月以降の石油供給配分を再検討するOAPEC会議が本年末に開かれるであろう、これは、きわめて重大な記者会見の内容であります。これについて外務省のほうが的確な事実を知らぬというのは、これまたきわめて重大な問題なんだが、そのあたりはどうですか。
  8. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) 各国がいかように考えるかということを持ち寄りましてOAPEC会議が開かれ、そこで会議としての決定がなされるということにわれわれ了解しておりますが、その点に関しましては、どこの国がどうというようなことは、なかなかわれわれとしても的確に情報を入手することがむずかしいわけでございまして、そのために、各国一様に関係国事情説明いたしまして、さらに日本が積極的に友好関係を促進するための方途を探り、かつそれを迅速に実行するということに極力つとめておるわけでございます。
  9. 小野明

    小野明君 アラブ諸国との友好関係、まあこれはどろぼうを見てなわをなうといいますか、そういう感じのいなめない中近東政策であると思うのですけれども、それは別として、友好関係につとめておる、それはよくわかっておるのです。よくわかっておるのだが、三木さんの、今月末にもOAPEC石油戦略に関する再検討会議が開かれるだろう、こういう重大な情報に対して、いまの御答弁ではどうもはっきりしませんね。その辺はおそらく、けさ新聞によりますと、総理のほうにも公電で入れてある、こういうニュースが流れておる。その辺の御事情は、あなたのほうではわからないわけですか。
  10. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) 特に、特定な国が日本友好国にするというような確約があったという公電には接しておりません。
  11. 小野明

    小野明君 そうすると、そういう公電は受けていないということですか。
  12. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) そのとおりであります。ただ、一般的な会談、いろいろな会談の空気の報告といたしまして、きわめて友好的であるという一般的な報告はもちろん受けております。
  13. 小野明

    小野明君 そういたしますと、中近東訪問印象としては、一般的には友好的な扱いである、このあたりが公表できるニュースであって、十二月末に二月以降の石油配分について再検討が行なわれる、あるいは日本に対してサウジアラビア友好国扱いをするというような具体的な事実というものは、まだ日本政府としては握っていないというふうに確認してよろしいですか。
  14. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) OAPEC会議は、大体平均いたしまして月に一回は開かれるわけでございまして、それによりまして、OAPEC諸国あるいはアラブ諸国石油戦略についての検討をするわけでございます。したがいまして、この次の、次回の最近の会議がいつ行なわれるかというのは、御指摘のように十二月末という情報もございます。あるいは一月というようなのもございまして、まだはっきりいたしておらないようでございます。これに対しまして、各国日本をどう扱うかという問題につきましては、先ほど申し上げましたように、的確に日本友好国とするというような確約というものは別に得たわけでございませんで、三木特使に御苦労いただきまして、各国でのいろいろな話し合いの中で日本立場を十分に相手方に理解してもらえたということによりまして、われわれもOAPEC会議の結果に期待はいたしておりますが、何ぶん、各国いろいろな国からなります会議でございますので、一国だけの感じで全体会議の結論というものをただいま引き出すことはなかなか困難かと存じます。
  15. 小野明

    小野明君 これもきょうの報道ですが、OAPEC事務局長が二十日の午後に三木特使同行記者団会見をしたと。「石油の役割を再検討する会議が来年一月半ばまでに開かれる」、「この会議では中東紛争の問題も取り上げられ、」「ヤマニ・サウジアラビア石油相らの報告を聞き、これをもとにOAPEC態度が協議される」と、こういうように語られておりますね。この中で日本に対する扱いというのは再検討をされると、このように見てよろしいんですか。
  16. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) そのようになることをわれわれは期待をいたしております。
  17. 小野明

    小野明君 そういたしますと、現在のところは期待をしておるという程度であって、中近東諸国日本に対する態度を変更したというような甘い観測というのは許されないということですか。
  18. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) この問題は非常に重要な問題でありますと同時に、その先行きにつきましては、われわれといたしましても極力慎重にこういう先を読むということで、早計に判断を下すのは必ずしも適切ではないというふうに考えております。
  19. 小野明

    小野明君 楠政務次官にお尋ねをいたしますが、この石油二法という重大な法律案を審議するにあたって、三木特使の一挙一動というものはきわめて重大な影響を及ぼします。むしろこの法案よりもそちらのほうが重大かもしれません。そういう重大な中近東の感触というものが責任ある通産省のほうに連絡がない、そこで検討をされていないという点はきわめて問題だと思うんですが、その辺は通産省としては、いま外務省からいろいろお聞きのような説明がなされておりますが、いかがなものですか。
  20. 楠正俊

    政府委員楠正俊君) いま外務省のほうからの答弁によりまして、いまだ明確な答えが出たというようにも思えないような答弁でございました。そこで、かりに友好国扱いになったといたしましても、もちろんイギリスにしてもフランスにいたしましても、マイカーを規制するといったような節減をいたしておりますし、いまの外務省の話によりましても、友好的なムードであったというだけでございますので、この法案による石油節減という基本方針には何ら変わりがないわけでございまして、通産省といたしましても、既定方針どおり、この法律の施行後は国民協力を得て石油節減に力を尽くすつもりでおる次第でございます。
  21. 小野明

    小野明君 それからもう一つ、きょうから中東和平会議が開かれますね。これは当然石油戦略検討アラブ諸国会議にも反映をするわけですが、この見通しについてどのような見通しを持っておられますか。
  22. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) 本日から和平会議開催の運びになる模様でございますが、まず、これに参加をいたしております国が紛争当事国のうちエジプト、ヨルダンでございまして、シリア参加を表明いたしておりません。こうしたことから、この和平会談の前途もなかなか楽観を許さないというふうな感じもいたしますが、いずれにいたしましても、とにかく当事者が一つのテーブルにつくということ自体が画期的なできごとでございまして、その点この長年膠着状態を続けておりました中東紛争解決のほうに前進をしていくという見通しはあるわけでございます。ただし、十月二十二日の停戦安保理決議三三八号によりまして停戦が行なわれましたが、その後また移動がございまして、現在二十二日の停戦地点、ここに両軍を引き戻すということがまだ完全な合意に到達いたしておりません。また、シリア戦線におきましては停戦のままの状態がそのまま持続されておると、こうしたようなことで、まず第一歩はこの停戦ラインに戻る、あるいは両軍の引き離しというようなことから始まるのじゃないかというような観測が一般的なようでございます。それに今月三十一日にイスラエルの総選挙を控えておりまして、その結果を待たなければイスラエルといたしましても的確な和平に対する政策というものを打ち出せないんじゃないかというようなことで、いずれにいたしましても、本格的な話し合いというものは年が明けてから始まるのではないか。  それで、申すまでもなくこの問題は、イスラエル占領地からの兵力の撤退の問題、あるいはパレスチナの問題、あるいはエルサレムの問題というようないろいろむずかしい問題がございますので、おそらくは会談が相当長引くのではないか、ただし、その間にも段階的に幾つかの解決へ向かっての前進が行なわれるのではないかということで、われわれとしても一日も早く完全な恒久的な平和の到来することを祈っておりますが、会談が始まりまして右から左にすっと終わるというようなわけにはいかぬのではないかというふうにわれわれは考えております。
  23. 小野明

    小野明君 まあ、それはそうだと思いますが、やはり基本的な問題で合意を当初得るかどうかという点がきわめて重要な見通しになると思うのです。大体成功するだろうというような見通しのようですが、時間は大体どれぐらいかかると、そして問題である要素がかなり御説明のようにあると思いますが、それらの問題がどう片づくか、具体的なひとつ見通しをいま少しお話をいただきたいと思います。
  24. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) 非常にむずかしい問題をちょうだいいたしたわけでございますが、まず時間的要素については、われわれとしては現時点におきましては予測がつきがたいというのが本音でございます。  それから問題点につきましては、当然イスラエル占領地からの撤退ということが第一であり、最も大きな問題の一つでございますが、これはすでに日本といたしましても十一月二十二日の二階堂談話わが国立場を表明いたしましたとおり、イスラエルはその全占領地から撤退すべきであるということを申しておりますが、そういうことによりまして次の問題、あるいはその次の問題というものの解決に向かっていけるものとわれわれは判断をいたしておるわけであります。したがいまして、こうした線に沿いましての和平会談の進捗、解決への到達ということに対しまして、わが国機会をとらえましてできる限りの努力をいたしたい。仰せのとおりに、ただいまの機会を逸しまするとまた非常に困難な事態が出てくる可能性もございますので、この機会世界じゅうがとらえまして、これに応援をし、成功に導くということを考えており、かつ努力をいたしておると存じております。
  25. 小野明

    小野明君 政務次官三木特使のきのうの報道一つで株価が一斉に上がるというような重大な影響があるのですよね。ですから、ひとつ通産省としても事実をきちっと受けとめておっていただきたいと思うのですね。いまの御説明によると、これは三木特使が帰ってこられてからの話を聞く以外にないような感じがしますが、それならそれでやっぱりきっちり見通しを出してもらわなければならない。  そこで、先般のこの委員会での通産大臣説明によりますと、来年の秋には青空が見えるようになるというようなお話が、説明があったようであります。これは具体的な根拠があるのかどうか。これは、長官のほうでもいいと思いますが、石油連盟の調べでは、来年一月は五〇ないし七〇%も石油削減をされる見通しである。政府も一月以降二〇%の使用削減を実施するという意向であります。こういったきびしい削減が長く続けば、非常に国民生活というのは深刻な影響を受けることはもう言うまでもございません。そこで、これらの一月以降の見通し、もしかりにアラブ諸国から友好国という決定がなされた場合に、それは一体どうなるのか、その辺をひとつ説明をいただきたいと思います。
  26. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 来年の秋口から好転が考えられるのじゃないかと大臣が申し上げましたのは、いま外務省お話のとおり、なかなか和平先行きがわかりにくいのでございますけれども、一方で後進地域、いわゆる油を持っていない後進地域、この辺が油の高騰に基づく資材の輸入価格上昇等で、非常にいまつらい立場になっておりまして、日本に限らず西欧諸国にも非常にその窮状を訴えてきておるわけでございます。これは、いわゆる油を出していない開発途上国が、油を持っておりますいわゆる開発途上国に対しましても強くこの辺を要請をいたしておるわけでございます。それからもう一つ、油を出しておる後進地域開発途上国は非常に気候条件の悪いところでございまして、まあ油以外はさしたる産出物のない国が多いわけでございます。そういうかっこうからやはり工業製品農業製品等を全部輸入にたよっている比率が高いわけでございまして、油の価格というのがカットも含めまして非常に上がり、世界経済が非常なる混乱におちいる可能性はこのままでいきますと起こるわけでございます。おそらくうちの通産大臣の考えは、いま行なわれております和平交渉等も、そういうバックのもとで好転する方向も考えられるのじゃないかということを申し上げたのではないかと思うわけでございます。  一月以降の原油の入手の見通しでございますが、これはなかなか流動的でむずかしいわけでございますけれども、一月につきましてはほぼ大体つかめております。と申し上げますのは、船がペルシャ湾といいますか、アラブ湾といいますか、あの辺から日本に来ますのに、大体二十日間かかるわけでございまして、一月に入ります入着予定の油につきましては、すでに現地事情が相当つかまれております。そんな関係で、われわれのほうといたしましては一月はいろいろとこまかい情報を積み上げまして、二千八十万、約二千万キロリットルくらいが入着可能ではないかと考えているわけでございます。二月−三月はそういう意味で非常につかみにくいわけでございまして、特にメジャーズとの関係で、契約の結び方が一月−十二月で契約をいたしているのが現状でございまして、一月自身が契約更改期に相なっております。それから、そのいわゆる船積みをいたします地域の船繰りが非常に混乱いたしておりまして、それこれの事情で二月−三月の見通しは一月より若干下回ることをわれわれとしては考えざるを得ないのではないか、こう思っているわけでございます。これは非常に推定要素が多いわけでございますが、われわれのほうといたしましては、一−三月を大体ほぼ六千万キロリットルの入着という想定をいたしているわけでございます。  それから、友好国扱いにかりになった場合にどういうことになるかということでございますが、これもなかなかむずかしい状態で、先ほど政務次官から御答弁がございましたように、いま友好国扱いになっております先進国イギリスフランスだけでございます。その他スペインもございますが、そのイギリスフランスにおきましても、友好国扱いになっても全部油が満ぱいで入るということでございませんで、いわゆる国際石油資本が間にあるわけでございます。国際石油資本世界全体を商売にいたしておりまして、従来からできる限り公平に配分いたしたいという原則を持っているわけでございます。そんなような関係で、若干アラブ関係の油に対する依存度の強い国等におきましては友好国扱いになりましたから、若干そこで影響が、好転の傾向が出ると思いますが、まるまる全部一〇〇%カットがなくなるというようなことは、私は考えられないのじゃないかと思うわけでございますが、これは今後の、いつ友好国扱いに万が一なるのか、なりましたときのメジャーズとの交渉等の問題に相なるのじゃないかと思っております。
  27. 小野明

    小野明君 いまアラブ諸国からの油の問題は、二五%削減でしたね。それから非友好国、あるいは中立国という扱いもあるようですが、その場合五%上のせ、こういうことに予定がされているようですが、友好国扱いになった場合には、仮定ですが、トータルでいうとどういうふうに変化が起こるんですか。
  28. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) これはただいま申し上げましたように、非常に推定がむずかしい問題でございます。実は、友好国扱いになっておりますイギリスフランスがどういうぐあいになっているかということは、なかなかこれ、相手国も教えてくれませんし、メジャーズもこれを教えてくれないような状態でございまして、正確なところはわかりがたいのでございますけれども、友好国扱いになりますれば、定性的な言い方しかできませんが、いわゆるカット率というものは好転、いい方向に向かうことは確かだと思いますが、これは、これからのそういう場合になりましたときのそれぞれの国のOAPEC諸国との関係、それから、メジャーズとの折衝のぐあい等にかかわると思います。好転することは確かだと思います。定量的にどのくらいどういうふうになるかということは、現段階では非常に申し上げにくいわからない要素の多い問題であろうということでございます。
  29. 小野明

    小野明君 一月段階で二千八十万キロリッターといいますと、来年の年末までの推算でいきますと、昭和四十七年度の輸入量を下回るということは確かですね。
  30. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) かりに、二千万の十二倍といたしますと、二億四千万キロリットルでございます。ちなみに、昨年度が二億五千七百万キロリットル入着いたしたわけでございます。そういう意味では昨年より少なくなるわけでございますけれども、先ほど御答弁で申し上げましたように、秋口以降の好転ぐあい、それからOAPEC以外の産油国、たとえば南米の諸国、それからインドネシア等のいわゆるスポットものの引き合いがいま相当参っておるわけでございます。これは、値段の問題は別といたしまして、相当スポットものの問題が出てきております。それから、OAPECの中におきましても、DDオイルというのが徐々にふえつつございまして、これは自分で処分できる油でございますが、そういうDDオイルの量もふえておりますので、この辺をこれから積極的に輸入するということも当然考えられる問題でございますし、またやらなければいかぬ問題でございます。で、われわれといたしましては、来年度下期以降、そういう要素も含めまして、上期に対して増加を見込んで、大体二億六千万から二億七千万の間ぐらい、その辺を来年度の輸入目標ということで考えておるわけでございます。
  31. 小野明

    小野明君 もう一つですが、OAPEC諸国では、その価格の引き上げという問題が出ておりますね。現在、いままでの分は大体三ドル四十ぐらいだったと思いますが、価格で十七ドルというような価格も言われておる。驚異的な価格と、こういうようなヤマニ石油相の言明もあるようです。その価格問題で、外貨の事情をあわせてひとつ御説明をいただきたいと思うんです。
  32. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) いまごく最近の事例でございますと、イランのDDオイルが十六ドルないし十七ドル、油種によって若干違いますが、ほぼ十六、七ドルで、これは大部分がアメリカの独立系の会社が入札に応じまして、これによってむしろ値段が非常に引き上げられた経緯がございますけれども、一部、ドイツ系日本の一部とがこれに参加いたして設定されたわけでございます。それからそのちょっと前に、ナイジェリアで十三ドルぐらいの油が出現いたしたわけでございますが、今後原油価格というものは上昇すると思わざるを得ないわけでございます。ただ、現時点のこれらの動きというのは、どちらかといいますと、スポットと言うと言い過ぎでございますけれども、全部これが波及するとは考えられませんので、現在は、先生のいま御指摘のとおり、日本に入っております原油の全部の平均が、たしか四ドル三十四でございます。これがこれからもちろん上がるわけでございますが、どの辺まで上がるのか、この辺は非常にむずかしいことでございます。  計算はまだいたしておりませんけれども、十七ドルというようなことは、とてもこれでは経済が成り立っていきませんので、どのぐらいの状況で見るか、非常にむずかしいわけでございますが、かりに、これは全く仮の計算でございますが、十三、四ドル、そのナイジェリアクラスということが、全部そういうことになったらどういうことになるか、これは機械的な計算でございますので、私、そうなるということでございませんが、そうなりますと、本年の一−三でもってすら二十五億ドルぐらい、もし全部がそういうことになりますれば、そのぐらいの当初予定しておりました外貨に対しまして増加外貨量が必要になるということが言えると思います。これは機械的な計算でございますが、したがいまして約九ドルぐらいいまの値段が上がって十三、四ドルぐらいになりますれば、二十四、五億ドルの追加外貨になるということでございます。
  33. 小野明

    小野明君 二十四、五億ドル追加外貨ということは、当初、二億六千から七千を目標とすると、こう言われましたね。そうしますと、この石油購入のための外貨総額というのは幾らになるんですか。
  34. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) これは非常に単価の問題が計算しにくいわけで、これからの推移を見なければいかぬわけでございますが、従来は四ドル五十ぐらいの計算で、大体来年度が、数量にもかかわりますけれども、たしか七十億ドルぐらいと言われておったわけでございますけれども、最近の価格上昇等を見ますと、百億ぐらいになるんじゃないかと言う人もいますし、もうちょっとこれがふえるんじゃないかということを言う人もおりまして、すべてこれからの価格形成にかかわるわけでございますが、いずれにしましても、当初想定されましたものより私は必要外貨量というのはふえるのではないかと思います。
  35. 小野明

    小野明君 それから、これは通産省にお尋ねしますが、対策の告示を第三条は規定しておりますね。この第三条に基づく告示はいつおやりになるのか、そしてその対策の具体的なもの、おもなものをひとつ御発表いただきたいと思うのです。
  36. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 三条は、「我が国への石油の供給が大幅に不足し、又は不足するおそれがあるため、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じ、又は生ずるおそれがある場合」、こういう場合におきまして、この法律に規定する措置を講ずる必要があるという認識のもとに内閣総理大臣がこの旨を告示するということでございます。現時点石油削減の状況、それに伴います、これは初めての経験でございますせいもございまして、非常な混乱が末端においても起こっておる現状等を見ますと、私は、この法律がもし成立いたしましたら、すみやかにこの三条の告示をいたすべき段階に来ておるのではないかと考えるわけでございます。この告示がなされますと、この法律の条文に基づきます行為が行ない得るように相なるわけでございますが、まず、こまかいことでございますけれども、年内に、二条におきますいろんな定義がございますが、定義に関係する政令を至急に定めまして、年内から年初にかけまして関係の手続、省令等の交付、施行をせなきゃいかぬわけだと思うわけでございます。  引き続きまして、四条にございます「石油供給目標」というのがこの行為の始まりでございますので、これに関する作業を開始いたしまして、できる限りこれも早く、まず目標を定め、これに基づいて精製、輸入、販売業者の届け出を受けるということの行為を年内から来年にかけまして早急に行ないたいと思っておるわけでございます。  なお、八条にございますガソリンスタンドの制限というのがございますが、この辺につきましては、若干、全体的な動きよりも少し早めに実施する可能性もあるわけでございまして、これはまだきめておりませんけれども、現在検討をそういう方向で進めておるような段階でございます。
  37. 小野明

    小野明君 第一は、具体策としては第八条、これはマイカーの規制になるのですか。これは、スタンドですね、「石油販売業者に対し、」云々と。この項はまだきめてはいないわけですか。この項に始まって、その他、重要な規制と思われる点はもうありませんか。他にはないわけですか。
  38. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 私が申し上げましたのは、四条、五条が供給関係の規定でございまして、これは精製業者、輸入業者、販売業者のほうで、供給の、たとえば一月の供給量をどうするか、生産量をどうするかというのをきめまして、引き続いて六条で、今度は需要側のほうの規定をきめなければいかぬわけでございます。この辺はうらはらになっておりまして、当然の一連の措置でございます。  八条は若干独立いたしておりまして、不要不急と言うと言い過ぎでございますが、そういうガソリンの使用規制のためのガソリンスタンドに対する規制でございますので、これは独立して行なえるのではないかと思うわけでございます。  なお、十条のあっせんというのがございますが、このあっせんにつきましては、この法律の制定を待つこともできませんので、実は先般十七日から、各府県にあっせん所を設置して、すでに業務が開始されておるわけでございますが、法律が成立しましたら、より一そうその法律に基づく円滑な供給の確保の根拠を法律でもっていたしたいと思っております。  なお、十一条は「割当て又は配給」ということで、非常に強度の規制でございますが、これは当面は考えておらないわけでございます。
  39. 小野明

    小野明君 最後でありますが、この法案が成立をしたといいましても、直ちに石油価格が下げられるというものでもない。衆議院で審議会設置、国会報告、これらの項目が追加をされておりまして、政府に与えられた石油割り当て、価格決定等の強大な権限に対して、ある程度歯どめはされたと、こう思いますが、一歩運用を誤りますと、官僚統制だけが残った、こういう結果になりかねないわけですね。そこで、この点について通産省の御見解を承っておきたいと思います。
  40. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 今回の法律は、OAPECの動きを中心にします緊急事態に応ずるものでございます。しかしながら、緊急事態という名のもとで、いま先生の御指摘のとおり、これが公平を欠き、民主的でない運営というのは、私は絶対避けるべきだと思うわけでございます。また、こういう物が急に不足してきたような経験というのは、日本国民は初めてでございますので、非常な混乱も起こるわけでございますが、その場合、国民生活に直結いたします消費者、農林漁業、その他病院とか、公共交通機関等、国民生活に非常に関係の深いものにつきましては、これが優先して確保せられるべきことは当然でございます。われわれも、政府提案の中にもその考え方を入れておったわけでございますが、今回衆議院におきます修正におきましても、より明確に新しい三条ということで、「この法律の運用方針」ということも規定されておるわけでございますが、これらの線に従いまして、国民生活の混乱を防止して、それを優先的に配慮しながら、かつ、公平に本法の運用を行なうつもりでございます。
  41. 小野明

    小野明君 終わります。
  42. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 午前の質疑はこの程度とし、午後二時まで休憩いたします。    午後零時三十九分休憩      —————・—————    午後二時十九分開会
  43. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き石油需給適正化法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  44. 竹田現照

    ○竹田現照君 大蔵政務次官関係する点だけ先にお尋ねしますが、この第五次石炭政策関係する財源の問題でですね、この原油関税との関連で財源がかなり不足をしてくるのではないかというふうに思うのですけれども、これについてどういうふうに措置をされるのか。  それと、石炭見直しが言われているときでありますから、この石炭対策の財源をいつまでも関税に大幅にたよっているというこの措置もそろそろ変えていいのではないかというふうにも考えるのですけれども、あわせてひとつお答えをいただきたい。
  45. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 来年度の石油輸入見通し昭和四十八年度とほぼ同様であるか、あるいは少しぐらい減るであろうという推定を立てておりますので、石油の、いわゆる重原油輸入関税は、御承知のとおり従量税になっておりますので、その量が減れば比例いたしまして関税収入が減るわけでございますが、いまのところはほぼ四十八年度並みの収入が得られるであろうという想定のもとに予算が組まれておりまして、したがいまして、その予算の中には従来どおり石炭鉱業合理化安定対策であるとか、あるいは鉱害対策であるとか、あるいは産炭地の振興対策であるとか、あるいはいままでの炭鉱離職者の対策であるとか等々、法律または制度によって継続的に発生する経費を見込んで予算が組まれつつあるわけでありまして、これに対しまして新しいエネルギー源としての石炭開発をどうするかということは来年度の予算にはまだはっきりとはあらわれておりません。したがいまして、一般会計から繰り入れないでも重原油輸入関税の収入の範囲内で適当な予算が組まれるということで進んでおります。
  46. 竹田現照

    ○竹田現照君 この原油関税の現在の税率の適用期限というのは、私の記憶が間違っていれば訂正しますけれども、四十八年度末で切れるんですね。そうすると、来年度以降この税率の問題はどういうふうになさるお考えですか。
  47. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 石炭及び石油特別会計は、御承知のとおりに時限立法でありまして、これは五十一年度末まででございます。そして四十九年度に新しい経理方法が始まりますのは、石炭及び石油特別会計法の第四条の中に、御承知と思いますが、十二分の十は石炭のために使う、十二分の二は石油勘定に使うという区分がございましたが、これは同法の附則によりまして昭和四十七年と昭和四十八年は石炭勘定と石油勘定というものを区分して収入を分けて使うが、その年度を経過した、すなわち四十九年度からは予算の定むるところによって使うということになっております。したがって、石炭がこういう事情になったから重原油輸入関税が、要するにワクをとっ払って使うということになりますと、そこで石炭のほうに少なくなって石油のほうによけいに金がいくんじゃないかという心配があると存じますけれども さきに申し上げたように、やはりこれは法律と制度によって諸対策が講ぜられておりますから、にわかに石炭の勘定が減って石油の勘定がふえるというぐあいにはいかないようになっております。したがいまして、わずかの金の異動はありましても、従来四十八年度に組みました予算の総ワクが非常に減少するという事態は起こらないと考えております。
  48. 竹田現照

    ○竹田現照君 衆議院の連合審査で中川政務次官が、この関税の引き下げを検討するような発言があったように新聞で見たんですけれども、引き下げることによって、いまお答えになったような財源の変更というものはさしむき考えられないのですか、財源が足りなくなるというようなことは。
  49. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 衆議院の委員会におきまして中川政務次官がお答えをしたようでございますが、関税率審議会という会の小委員会におきましては、すでに重原油輸入関税その他石油製品の関税をどうするかという意見を審議したよりでございますが、この審議会がやはり二十四日か五日ごろに開かれまして最終的結論を得る予定でございますが、いまのところ重原油輸入関税はそのまま据え置いて、製品につきましては、これを多少の引き下げをしようという案で進んでおるようでございます。詳しいその定率の変更につきましてはやはり審議会の結果を見なければ、答申を待たなければ決定は見ませんけれども、重原油輸入関税に異動がございませんので、この特別会計の財源には著しい支障はないということをお答え申し上げてもいいと思います。
  50. 竹田現照

    ○竹田現照君 いずれにしても、この点についてはあす予算が内示をされると伝えられていますけれども、大蔵、通産両省間における詰めというものは私はまだ最終的ではないというふうに聞いていますけれども、これは一両日中に詰めが行なわれて、来年度予算——一両日って、あす内示されるわけですけれども、政府案が決定をされるまでの間には明確にこの点が結論をつけられた形において出されるというふうに理解してよろしいですか。
  51. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) いままでの例もありますが、予算が内示になりましたその以降におきまして、締めくくりの段階におきまして関税率審議会の答申が出まして、通産省といろいろ折衝いたしましてきめる例になっておりますが、本年度は二十六日に最後の答申が出ることになっております。したがって、最終的には通産省と折衝した結果が予算に反映することになると思います。
  52. 竹田現照

    ○竹田現照君 じゃ、この法案の審議も大詰めですが、もう両院を通してかなり微に入り細にわたって質問が出尽くしているようにも思われますが、私は、灯油と若干電力の制限の問題にしぼってお尋ねをしておきたいと思うんです。  けさ新聞にも、ごらんになっていると思いますが、灯油あるいはいわゆる石油削減に伴って病院の日中の暖房を取りやめたとか、手術を断念せざるを得なかったとか、その他いろいろなことが出ている。電気暖房をやめてこたつに切りかえたら、それで死んでしまったという記事もけさのに出ておりましたけれども、たいへん深刻な問題が毎日のように報ぜられていますが、通産省が十九日に発表しました石油統計速報によりますと、石油全般があまり大異変が見られないということを日本経済にもいっていますが、灯油に限定しただけでも全然昨年と変わっていないんですね。前年比一〇・五%の増。ですから、十一月に関する限り原油削減影響というのは全然受けていないにもかかわらず、末端の小売り商には全然入ってこない、勢い一般の消費者当然に手に入らない、こういうことになっているんですけれども、大臣は灯油三百八十円を守らせるというようなことを言われているけれども、実際の消費者はそういうようなかっこうになっておらないわけですけれども、これは一体どういうところに大きな原因があるのですか。
  53. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 灯油につきましては、これは民生用の最も重要なものでございますので、先般来重点的に灯油の量の確保及び価格の安定をはかってまいったわけてこざいます。したがいまして、いま先生の御指摘のとおり、灯油については九月末で五十五日分の在庫を持たしたわけでございますが、その後引き続いて在庫の積み増しを行なわせておりまして、十一月末では六十七日分、これはほかの油の種類に比べまして圧倒的に多い在庫を積み増しさしておるわけでございます。  こういうふうに非常に数量の確保をはかっておきながら、末端でどうしていろんな問題が起こっているかというようなことでございますが、去年、おととしは暖冬でございまして、いわゆる灯油はむしろ町にあふれまして、非常に安値であったわけでございます。その過程におきまして、いわゆる業転ものというのが、結局量が、需要が非常に少ないものでございますのでタンクに入り切れないでこれが横で商社の手を通じて流れるものを業転ものと言うんでございますが、その業転ものが約二割ぐらい去年はあったわけでございます。で、業転ものはどちらかと言いますと、一般のものより安く取引されておったわけでございますが、ことしは冬場もわりあいに温度が去年から二度平均で低いような、いわゆる寒い冬に相なっておりまして、需要も去年に比べますと非常にふえておるわけでございます。そんな関係で、いわゆる業転ものというのがいま町の中で見当たらないような状態に相なっております。  それにつながっておりました一部の小売り商に若干トラブルが起こっておるわけでございますが、先般来全国石油商業組合連合会及び薪炭商の団体等を通じまして、十二月の十日現在ですべての団体が三百八十円の厳守と、それからそれを正常に供給するという決議を行ないまして、いま着々それが浸透しておるわけでございますが、何ぶんにも流通段階十三万軒ということでございまして、若干周知徹底までに時間はかかりますが、われわれといたしましては、近くこれは非常にいい方向でおさまるんではないかと思っておるわけでございます。ただ、何ぶんにも末端が多いものでございますので、そういう具体的なる苦情等につきましては、苦情処理等を通じまして機敏にこれを解決しておるわけでございます。最近の苦情処理の状態から見ますと、若干灯油に関する苦情処理の件数が減りつつあるような状態でございますが、今後ともそういうことのトラブルが起こりませんように機敏にこれを解決してまいりたいと、こう考えるわけでございます。
  54. 竹田現照

    ○竹田現照君 長官、そうおっしゃいますが、業転ものについては、これはあとであれしますが、具体的に私はうちの党の議員、あるいは党が実際に現地で調査をしてきたことについて申し上げますけれども、これは会社の名前も販売店の名前もはっきりしていますが、それは申し上げませんが、これは小売り商店に影響がありますから申し上げませんけれども、現実は、やはり最近の灯油はまず直営スタンド、系列スタンド、それから特約登録店、それから一般の、この間参考人においでになったような燃料商組合に加盟をされているようなところ、そういう順序で供給されているようなんですね。  私が具体的に存じています埼玉県の県下のある酒屋さんがやっている燃料商は、去年の八月、九月、十月六千リットル、十一月が二万四千リットル、十二月は四万四千リットル、それぞれ扱っている。ことしの一月は五万リットル、二月は三万八千、三月が二万六千、四月が一万、五月が六千、六月が一万四千、七、八がゼロで、九月が一万八千、十月が一万四千、十一月が二万四千リットルそれぞれ扱ってきたんですね。ここの酒屋さんは八千リットルを入れる地下タンクを持っているそうです。ところがここが十一月の二十二日から全然入らないというんですね。これは業転ものというのは全然扱ったことのないところだそうです。十一月の二十二日から全然扱ってないで、この薪炭商は新興団地で五百五十世帯を受け持っているというのです。ですから毎日一体どうしてくれるのだとてんやわんやだ。それで元売りのところに突いたら、十二月の七日にドラムかん五本持ってきた、それだけだと、こういうんですね。  ですからいろいろと御説明はあるけれども、現実に末端ではこういうことになっている。しかもだんだん寒くなっているいまになって全然入らない。正月以降の見通しもまるきりない。こういう現実の問題がある。これは苦情としてわれわれが通産省へでも持っていけば直ちに応急措置をしてくれるということになれば、まあわれわれが持っていけばそうするかもしらぬけれども、全国ではこういうことが非常に多いんですね。私の出身の北海道なんというのは、大体夏場にいろいろ契約をしますけれども、何だかんだと言って契約を破棄をされる。けさ新聞にもありましたけれども、団地生協の予約は全部お断わりだと、ないかと思えば、四百円だ、四百五十円だと言ったら、あると、こう言うんですね。そうすると、品物がないけれども、どこでパイプが詰まっているのか。ですからこの名のとおり、石油需給適正化法案というものが通ればほんとうに需給が適正にされるのかどうか。この法律が通れば、直ちにあすにでもこの問題に対するそれぞれの対処をされるというようなことも伝えられておりますけれども、私はそういう緊急立法としてなされるこの法律の効果というものが、ほんとうに年内にも直ちに一般消費者の期待にこたえられるような措置というものが政府においてとられるのかどうかということについて非常に大きな期待があり、かつまた不安を持っていると思うんですよ。ですから、いま私が具体的にもあげましたけれども、これは東京に一番近いところ、東京と埼玉はすぐ関係するところですから、こういう具体的な問題がどうして起こるのか、ひとつお答えをいただきたいと思います。
  55. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 灯油につきましては数量的には、いわゆるマクロといたしましては最も充足をいたしておる油種でございます。いま先生のおっしゃいましたような事例、これは非常に遺憾なことでございまして、いまお聞きいたしますと、従来から取り扱いがあった卸との関係ですらそういうことになっておるということでございますが、そういうことは非常に遺憾なことでございます。むしろ、まず一つの商売の常道といたしましても、従来からのルートというのは最も尊重されるべきであり、最も把握が確実に行なわるべきものでございまして、こういう事実につきましては即刻もう一度、再度いたしたいと思うわけでございます。  なお、この法律が通る通らないに関係ないわけでございますが、通りますれば、特に六条の規定で、これは法文上はわかりにくい表現になっておりますが、特定石油という規定がございまして、特定石油といいますのは、さしあたり民生に影響のある灯油とLPGをわれわれ指定いたそうという予定にいたしておりまして、その灯油とLPGにつきましては産業用に確かに使われておりますので、灯油、LPGの産業用の用途につきまして強い規制をかけまして、それで民生を確保するということもこの法律の六条で行なえるわけでございます。今後工業用の抑制を通じての民生の確保と同時に、民生内部の流通のしかた、これにつきまして、いま先生の御指摘のことがなお起こらないようにより一そう指導いたしてまいりたいと思います。
  56. 竹田現照

    ○竹田現照君 この問題が起きて以来、いろいろと政府は言われるけれども、末端ではそれとは全く逆の現象が毎日のように起きているわけですよ。ですから、いま卸からまっすぐ入るところすらこうなんですよ、いま申し上げたような。それで、先ほど長官のおっしゃったように、いわゆる業転ものですね、これも私の党が具体的に現地で調査をいたしました販売店の実情を見ますと、確かに去年は卸から販売する量の五〇%、それから五〇%はいわゆる業転ものを扱っていた。ところが、いま大臣のおっしゃられる三百八十円というのは卸から小売りの直通の五〇%は確かに三百八十円はきいているようです。しかし、業転ものといわれるところのあとの半分入るものが、先ほど長官のおっしゃったように、昨年は確かに安かった。しかし、ことしは政府がいう三百八十円に近いかあるいはそれ以上でなければ入らない。ですから、全体の消費者の需要を満たすためには三百八十円は実際問題として守れないというのが実情のようです。ところが、ないないという業転ものにいわゆる半分も回る状況ですね、先ほど長官は二割ぐらいとおっしゃっておりましたけれども、実際はそうじゃないですね。まだかなりの量が業者間転用として、いわゆる業転ものとして流れているわけですけれども、この業転ものと称するものについて通産省は的確にどういう経路をたどり、どういう状態になっているのかということを実際問題として把握されたことはあるのですか。
  57. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) いわゆる業転ものといいますのは、これは先生御存じのとおり、原油を処理しますと、いわゆる得率ということで灯油が出てくるわけでございますが、去年おととし等はその得率で出ました灯油が、結局卸の段階のタンクに入り切れずにタンクからあふれたようなかっこうで、結局、いつまでもそれを持っていますと経費もかさむということで、若干ダンピング的にこれをいわゆるブローカーといいますか、商社系に流したわけでございます。五割というお話でございますが、われわれが去年、おととし等の実績調査、聞き込み調査等を通じてあれしますと、大体二割見当過去にあったということでございます。この業転ものというのが、結局いま御指摘の元売りから特約店、それから薪炭問屋、それから小売り商、こういうつながりでございませんで、問屋筋のところ、または特約店グループのところからあふれ出ました業転ものを商社が横で取りまして、これを直接小売りに流しておったものがいわゆる業転ものでございます。  先ほど申し上げましたように、この冬が寒いのと、結局数量が全体的にはカットされてくるということの動きから、現在業転ものというのが世間にはないわけでございまして、したがって、そこにつながっておったいわゆる薪炭小売り商等につきましては、新しいルートを問屋とか特約店との間でつくるということが一つのむずかしい行政上の問題になっておるわけでございます。したがいまして、いまわれわれといたしまして全石商及び薪炭組合と小売りとの関係の間におきまして、そういう従来確定したルートのなかった小売り商につきまして新しいルートをつけることも着々進んでおりまして、これがまだ完全に終わっておりませんけれども、これが完全に終わりますとそういうトラブルも非常に少なくなるのではないか、こう思うわけでございます。
  58. 竹田現照

    ○竹田現照君 どうもやっぱり納得しないのですね。先ほど埼玉の例を言ったように、これは卸から直通ルートのところすら十一月の下旬から全然入らぬわけですよね。それから都内で、たとえばモービルでは昨年の十一月十三万キロリットル出して、ことしは十六万キロリットル出しているというのです。二三%以上多く出しているんですけれども、それがこれは例をあげたのはモービルからのあれではありませんけれども、直通ルートすら現実に入っていない。高い金出すとどこかから入ってくるわけですね。ですから、業転ものがないないとおっしゃるけれども、どこかにはあるんですね。ですから、長官いろいろとおっしゃるけれども、政府はその流通系統というものはぴしっと把握していないということを言ったほうが一番はっきりしているんじゃないですか。現実に入ってないわけですから、どっちのルートをたどろうと。
  59. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) モービルの例が出ましたのでちょっと御説明申し上げますと、モービルというのは、非常に自分の持約のいわゆる販売網を少なく持っておったわけでございます。したがいまして、御指摘のとおり、モービル系というのは従来業転に出る比率が非常に高かったということは確からしいわけでございます。で、今後モービルにつきましては、四十七年度の十一月に十三万キロリットルを販売いたしまして、四十八年度の十一月の実績は十六万キロリットルの販売でございます。これは二三%ぐらいのアップに相なっておるわけでございますが、全体を通じまして十二月は昨年よりは若干多い生産数量、販売数量をわれわれは計画しておるわけでございます。モービル系というのは、確かに製造と販売とのアンバランス、ギャップというのが従来からありました部門でございます。これはモービルに限らないかとも思いますが、モービルはそういう形態をとっておったものでございまして、これを、いわゆる従来ぐるっと回ってモービルのものを使っておったのがあるわけでございますので、この辺につきましては先ほど申し上げましたように、小売りと特約店とのルートづくりということをいま進めておるわけでございまして、この辺の作業が完了いたしますればそういう点のトラブルというのは非常に少なくなるんではないかと考えるわけでございます。
  60. 竹田現照

    ○竹田現照君 私は、政府が行政指導なり何なりでぴしっとしてもらいたいというのは、何か架空の論争じゃなく、現実の問題灯油が手に入らないというこの現実を、これから寒くなってくるいまの時期にその不安というものを直ちに解消してやらなけりゃならぬという大きな責任があるわけですね。ですから聞いているわけです。ですから、元売りなら元売りが自分の系列がある程度確立されるまではなかなか流通がちゃんといかないんだということになりゃ、一番述惑するのは消費者ですから、寒さは待ってくれませんから。ですから、先ほどから何回も繰り返しますけれども、直通ルートでも入らない、あるいは業転ものは高く金を出せばどこかから回ってくると、そういう現実の矛盾というものを政府はどういう強力な手を打つなら打って解決をして、国民の不安を解消してくれるのかどうか。その点、値段は三百八十円を守らせますという大臣の言明だけでなく、量、質ともに値段を含めて、これだけはちゃんと国民の不安を解消させますと、そういう強い対策というものについてひとつお答えをいただきたいと思います。これは大臣のほうがいいんだね。
  61. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) われわれといたしましては、灯油問題というのが石油問題の一つの一番重要な試金石といいますか、天王山といいますか、ということであるという認識は非常に強く持っておりまして、あらゆる施策に先んじまして相当強力な指導をしてまいっておるわけでございます。ただいま先生の御指摘のような遺憾なことが起こっておるということも認めざるを得ないわけでございますが、先ほど来申し述べましたように、あらゆる手段を使いまして正常化につとめておるわけでございます。全体的には数量は確保してあるわけでございまして、ルートの流通経路等におきましてトラブルがございますが、こういうのはルートの開設を待つといっても時間がかかるかもしれませんので、具体的なる苦情をお寄せくださいまして、機敏に具体的な問題として解決すべきものはするというのが、むしろ新しいルートの開設にもつながる問題だと思いまして、そういう方面の努力もあわせて灯油問題だけはこの冬は量、質ともにいささかも寒くて非常に困るということが起こらないようにいたしたいと思います。なお、十一月二十八日以降いわゆる業務用と称せますパーマネント屋さんとかとうふ屋さんが使っております灯油につきましても、これを家庭用と同列に扱うということで元売りの価格の凍結も行ないまして、従来とかく行なわれました業務用という名で家庭用を売りさばくという道もこれを禁止いたしたわけでございますので、もうちょっと時間をかしていただくと同時に、具体的な問題の、むしろ庶民の方の直接の苦情をお寄せくださって具体的に解決もいたしてまいりたいと思うわけでございます。
  62. 竹田現照

    ○竹田現照君 この業転ものというのはあれですか、元売り十三社の価格操作に使われているというようなことは絶対にあり得ませんか。石油タンクの中は一々調べて歩くわけにもいきませんし、地下に入れているのを調べているわけにもいきませんから、元売りの段階で大口の第一次、第二次のほうに実際は帳簿上は出荷されていることになっているけれども、元にはあると、値段が高くなったら買ったものはそこに出てくるというような、それも価格操作が行なわれるものに使われているという懸念なしとしませんけれども、元売りの段階でそういうようなことというものは絶対にあり得ないと断言できますか。通産省と元売りとの間にはもう毎日のように何か会合が持たれているようでありますけれども、その点はどうですか。
  63. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 通産省におきましては十日おきに非常に詳細な油種別の生産在庫報告を受けております。これは輸入のほうも当然受けておりまして、それとの斉合性のもとに各元売りがどういう活動をしておるか、これを全部チェックしておるわけでございます。御指摘のとおりタンクの中まではのぞいておりませんので、そういう意味での現実的な把握に欠ける点があるかもしれません。われわれといたしましては近く法案の成立も持ちまして、調査権限も明確に法律に基づいて付与されるわけでございますので、調査権限等の活用も含め立ち入り検査というのができますので、これを予告なしに、もちろん予告なしでございますが、立ち入り検査する等のことを含めまして調査の提出と実態とが合っているのかどうか、この辺は責任を持って確認をし、出てくる調査結果が正しいということの保証もとりたいと考えておるわけでございます。
  64. 竹田現照

    ○竹田現照君 いずれにいたしましても、この業転ものはないとおっしゃるけれども、現実にはそういうものがあるわけですから、強力な行政指導で不安の解消に大いにつとめていただきたいと思います。  あわせて価格の問題についてちょっとお聞きしておきますけれども、家庭用と工業用とで価格が違いますね。しかし、元売りでは価格は一本で出しているわけですから家庭用、工業用に色をつけて出ているわけでない、そうしますと、現実に高い工業用に家庭用が流れる。説明をされているように七、三の比率というものはそこでくずれて、結果的に家庭用の七割というものが現実問題として減って比率が六、四になったり五、五になったりしているのが、やはり末端消費者に手に入らないというようなことを起こしているのではないかということも考えられるわけですけれども、これは生産コストはみんな同じなんですけれども、価格を二つに分けなければならないのか、一本化することによって工業用に流れる心配のあることを食いとめることもできるんではないかと思いますけれども、そういう点はどんなもんですか。
  65. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 灯油の需要別構成でございますが、民生が業務用も含めまして約七割でございます。この業務用というのが、従来、いわゆる家庭用と別の価格体系を許しておりましたので、薪炭商等に買いにいきましたときに、これをパーマネント屋さんに売ると同じような値段で民生に売るというトラブルが非常に起こったわけでございますので、先ほど申し上げましたように十一月二十八日以降、この分の七割に相当する分につきましては、元売り価格を凍結いたしたわけでございます。現在、御指摘のとおり、鉱工業、運輸、建設等に約三割使われておるわけでございますが、これは使用の対象が限られておりますので、数少ない、おのずから使用先が限定されております。これは全部把握できますので、われわれといたしましては、そういうどっちかといいますと、大口の産業用に回すものと、それから民生、業務用に回すものとを区別して業界から調査もとっております。しかし、先生の御指摘のとおり、将来この辺でやはり問題が起こるということでございますれば、法律の施行の過程を経まして、これはこちらの法律ではございませんが、国民生活安定緊急措置法のほうに標準価格その他の規定もございますので、今後の推移を見て、いま御指摘のようなことが必要でございますれば、それも一つ検討すべき事項だと私は考えております。
  66. 竹田現照

    ○竹田現照君 十八日の新聞の伝えるところによりますと、この法律が通って石油配分をするのに、最優先、優先、一般と三段階に順位をつける。この順位をつけるのはいいのですけれども、この新聞が伝えるとおりとすれば、通産省石油連盟がいろいろと相談をしてこういうことをきめたと、こういうことになると、どうもいま通産省石油問題でてんやわんやでなかなかこまかいところまで手が回んないようですけれども、言われるように業界から出てきたデータその他、そういうものに基づいて業界の言ったとおりのことにきめられるのではないかと、こういうことをみんなが心配しているわけですけれども、この十八日の伝えられる新聞というのはそういうことを裏づけるような記事であります。こういうようなものはどうも通産省石油連盟の合作だなんというようなことじゃなくて、これこそ政府自身の責任においてこの優先順位の決定というものはなさるべきだと私は思うんですけれども、この新聞の伝えるようなことが現実にやられているんですか。優先順位は私が言うように、政府の責任においてこの法律が成立すればきめる、そういうものなのか、はっきりしてください、この点は。
  67. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 優先順位の問題につきましては、この法律の今度の新しい三条及び九、十条等に最優先的な、いわゆる公共性の高い業種及び事業が書いてあるわけでございます。われわれといたしましては、これは政府全体の問題でございます。関係する省庁もほとんど全部に関係するわけでございます。いま御指摘石油連盟等がそういうものを考えておるということは、これは全然筋違いの問題でございまして、こういうことは業界で考えるべきものでなく、また考えられるべきものでもないと私は考えております。そういうことにつきまして、いやしくも石油連盟と相談しているというようなことは全然ございません。むしろ優先のつくり方いかんによりまして、業界としては灯油の得率をこれ以上ふやしたくないというようなことがございましても、われわれとしては灯油を絶対確保するということで、むしろ業界にそれを押しつけるようなかっこうに相なるんではないかと考えておるわけでございまして、新聞報道のような事実もございませんし、そういう気持ちも全然ございませんで、むしろこれは政府の責任の事項でございます。御了承願いたいと思います。
  68. 竹田現照

    ○竹田現照君 それは当然のお答えですが、この法律の修正に伴う運用方針も、一般消費者をはじめとして、農林漁業者を含め、中小企業を含めて、そういう部面にまず第一にこの供給の確保を優先的に配慮しなければならぬということが強く言われているわけですから、この点は私からも強く、絶対に国民に疑惑を抱かせるようなことのないように要望いたしておきたいと思います。  これ、灯油と同じことですが、LPについてちょっとお伺いしておきますが、これもことしの冬は心配ないというようなお話ですけれども、供給状況等からまいりますと、どうも私なりに計算をしますと、来年の三月ごろには半月分ぐらいの不足を生ずるのではないかと、こう思うんですけれども、そういう見通しはいまのところ心配ございませんか。
  69. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) LPGにつきましては先生御指摘のとおり、灯油よりもより需給がむずかしい油種でございます。これは簡単に申し上げますと逃げ場のない単一製品でございまして、灯油のようなものは軽油とA重油、それからナフサ、そういういろいろな関係の深い油種間での融通というのが若干行なわれ得るわけでございますが、LPGは全くの極端に言うと、単一製品でございまして、われわれの当初の下期の供給計画は、当初五百二十七万トンぐらいを想定しておりましたところ、原油カットされましてそれに即応するLPGの生産の減がどうしても想定されるわけでございます。また、LPGは半分が輸入ものでございますけれども、レギュラーものはわりあいにいまのところ順調に入っておりますが、スポットものがここへきて非常に入手が悪くなっておるわけでございます。そういうことで、私のいまの需要の見直しといたしましては、下期の供給量が四百六十八万トンぐらい、当初の見通しに対して約一一・二%ぐらい供給が落ちざるを得ないと考えるわけでございます。  そこで在庫をいま御指摘のマイナスではございませんで、十月一日現在の在庫が二十七・五日分くらいあったわけでございますが、これをどうしても食いつぶさざるを得ないということで、おそらく三月末には十五日分ぐらいにこのままで推移するとなると思います。しかし、十五日分というのはこの業界にとりましてのほんとうのぎりぎりでございますので、われわれといたしましては産業用のカット、これと並行いたしまして家庭の使用につきましても使用の合理化をしていただきまして、もうちょっと余裕のある在庫で三月を迎えたいという考えでいまいろいろ考えておるわけでございます。
  70. 竹田現照

    ○竹田現照君 私のお尋ねしたのは、三月末に十日分、約四十三万トンの在庫を残すとして、大体十日から半月分ぐらいの不足を生ずるのではないか、そう思って、いまの長官のお答えも大体裏づけていますけれども、そうなってまいりますと、これまたいまの個人タクシーの問題でもありませんが、ますます不安を増長することにもなりますので、そういう事態の起こらないように万全の体制をひとつしいていただくようにお願いしておきます。  それから、これは大臣にお尋ねしておかなくちゃならぬのですが、衆議院で大臣、電力制限をおっしゃいましたですね。特に家庭用の停電、これはかなり影響を受けていますが、家庭停電というようなことは、これはやはり民心を極度にいら立たせますから、大臣、かなり強い御意見を持っておられるようですけれども、慎重に対処していただきたいと思うんです。これはたとえば北海道なんとというのは、このごろ石油ストーブにしても、全部普通コンセントから電源をもってきてたいているのが実情なんです。ですから、家庭停電が行なわれるということになると、暖房が完全にストップしてしまいます。ほとんどの家庭がいまそうなっているのですね。ですからそうなると、そういうようなことのないような石油ストーブにもう一ぺん買いかえなければならぬというような事態にもなってくるのです。いま石炭に切りかえるといっても、ストーブすらいまないという状況ですから、そういう点は十分に配慮してやっていただかなければなりませんが、これは九電力一律に家庭停電というようなものも行なわれるのですか、やるとすれば。そういう地域のいろいろな実情、電力会社それぞれの電力の状況に応じてそれぞれ対処されるのか。直接生活に関係をすることですから、大臣が衆議院でお答えになったことの具体的な問題について、いまお考えになっている点についてお答えをいただきたいと思うのです。
  71. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) まず家庭用の電気の制限の問題につきましては、慎重に対処したいと思っております。それは産業あるいは公共事業その他全般を見まして、どうしてもやむを得ずやらざるを得ぬというときに家庭のほうにも御迷惑をおかけするということになるので、そういう意味でできるだけ慎重にやりたいと思っております。ただ、産業用カットやそのほか中小企業その他のほうへあまりめり込んでまいりますと、いろいろ物価にはね返ってきて、かえって原料、資材、セメントとかあるいは丸棒とか塩化ビニールとか、そういうものが高くなってまいります。そういうような場合で物価で御迷惑をおかけするという場合も考えてみて、多少家庭にもそういう場合には御苦労を願って、そういう意味からも御協力願える分だけは御協力願おうと、そういう意味で考えておるので慎重にやります。  それから事実、先ほど申し上げましたように、交通信号とか、あるいは病院であるとか、エレベーターであるとか、スプリンクラーであるとか、非常にむずかしい条件がありますので、かりにやるとしても、よほどよく事前に周知徹底して皆さんに御協力願える体制を整えてやらぬとむずかしいと思います。それから、北海道とか沖繩という場合には、電源関係、電気の潮流関係が独立しておる部面もございます。そういう点気候、風土その他も見まして、特にその場所に合うような考慮もいたしたいと思っております。
  72. 竹田現照

    ○竹田現照君 最後に重ねて大臣にお伺いしておきますが、いままで電気でも何でも使え、使えということで一生懸命宣伝をしてきたわけですから、大量に、たとえば電力料金にしても使えば使うほど安くなるというような、こういう電力料金体系というものもやっぱり見直すべき時期であると思います。この点について二、三の電力会社で料金値上げの問題も出ておりますが、この料金値上げに関連をして、この電力料金体系というものについて手直しをなさるお考えがあるのかどうか。あるいはまた、これも衆議院その他でお触れになったようですけれども、電気を大いに食う製品をつくっている家電メーカーその他、これは節電型の製品に切りかえるように積極的に指導されることは当然のことでありますが、まあいずれにしても、そういう大量に使う根本的な問題というものに対処しないで、国民に節約ばかり呼びかけてもこれはならぬと思うのですが、ニクソン大統領のエネルギー教書に基づいて、アメリカが内務省にエネルギー節約局なんというものをつくって、あらゆる分野から検討をしながら、企業に対してはもちろん、一般の消費者教育にも当たっているということを聞いておりますが、そういうこともあわせて私は政府は行なうべきである。そうしてあらゆる分野から検討して、この点は国民協力をする、この点は企業に対して強い指導を行なうと、そういうことを行なっていくべきであると、そう思いますが、そういう点についてのお考えを聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  73. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) まず第一に電力料金につきまして、これはいま電気事業法の見直しをすでに開始しております。審議会の中に調査委員会をつくりまして、現在の原価主義というものを見直しまして、省資源型、それから家庭の民生関係を重視する、そういう方面に向かっての電気料金の改定の作業をしておりまして、できるだけ早期に答申を得て法律の改正へもってまいりたいと思っております。  それから第二に、省資源型の電気器具あるいは乗りものその他を奨励するということでございますが、この点につきましても、関係業界に先般指示いたしまして、一定の基準をきめ、関係業内部においてそういうような申し合わせをしてもらって、一社だけやってほかの社がやらぬというのでは足並みが整いませんから、そういう方向で誠実に省資源型の機器、乗用車、そういう方向に新しく切りかえてもらうように指示し、実行し始めたところでございます。
  74. 大矢正

    ○大矢正君 私は短時間に質問を集中いたしたいと思いますから、端的に結論だけひとつお答えを願いたいと存じます。  先日、阿具根委員が質問いたし、また本日は、ただいま竹田委員からも若干質疑がありましたが、四十九年度予算に関連をいたしまして、二、三点お伺いをいたしたいと存ずるのであります。  今日のエネルギー危機、特に油の輸入が激減をいたしました段階で、新しいエネルギー源を求めるということは、一次、二次を問わず重要なことであることは申すまでもないところでありますが、その一つに石炭の対策が先般来議論をされております。大臣は、一昨日の質問に対する答弁におきましても、明年度は千二百二十五億円でございますか、要求をし、これをぜひ確保したいと、こういうお考えを示されておりまするが、御了承のとおり、四十八年度は当初の見込みよりもかなり原油輸入量が減ってまいりまして、その分から歳入が当初見積もりどおりにあるかどうかも問題でありまするし、あわせて四十九年度におきまして二億六、七千万キロリッター程度しか油が製品を含めても入ってこないということになりますれば、その面においてはとうていこの千二百二十五億円の原資をまかなうだけの原重油関税というものは出てこないと思うのでありまするが、この面についてどういう措置を講ぜられるおつもりか、まず第一点。  第二点は目は、これまた同じく一次エネルギーの重要なものでありまする水力発電に関連をしてお尋ねをいたしたいと思うのでありますが、私は長い間商工委員をいたしておりまして、常に、わが国の水力の発電はぜひ必要であるから積極的にやるべきであるということを強調してまいりました。しかしながら、御了承のとおり、水力発電は一般の火力発電に比較をいたしましてその施設の工期が長いということもありまするし、また建設費が多額につくと、しかし、まあ原料、燃料を必要といたしませんから、その面においてはコスト上長期の展望に立ちますれば、必ずしも高いわけではないのでありまするが、当面多額の資金を出さなければならぬというようなことがあって、九電力は油を中心とした火力発電に集中をして今日まできたわけであります。したがって、これからわが国が水力発電を開発しようといたしますれば、まだまだ国内には規模の大小を問わず、用水を含めますればかなりのものが残されていると確信をいたしておりまするが、いま言ったように、公益事業とはいいながら一応民間企業として存在をしておりまする九電力に多額の資金を必要とする水力発電、また工期の長い水力発電、こういうものをまかせるとしてもなかなか順調にはまいらないのではないか。といたしますれば、政府みずからが電源開発法によって規定をいたしておりまする、また、設立をしておりまする電源開発株式会社の能力を十分に活用して、特に来年度からは大幅の予算を確保して水力発電に取り組むべきではないかということを私はこの際強く訴えたいと思うのでありまするが、まずこの点についてお尋ねをいたします。
  75. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 第一番目の御質問でございますが、御指摘のとおり、四十九年度の原油輸入可能量といいますのは本年度より下がる見通しに相なっております。しかしながら四十八年度は、十一月までの実績でございますと、当初の見通しよりも油の入手量が多いわけでございます。もちろん、これからの十二月及び一−三月の推移を見なければわかりませんけれども、少なくとも四十八年度はとんとんないしは若干の余剰が出る可能性もあるわけでございます。四十九年度につきましては、御指摘のとおり当初の見通しより減少せざるを得ない、こう思うわけでございますが、この特別会計の決算剰余金等所要の対策経費を確保いたす所存でございまして、石炭の重要性にかんがみまして、われわれの期待しております予算要求額の確保に最大限の努力を払いたいと考えるわけでございます。  それから、第二番目の水力の問題及び電発の問題でございますが、水力は御存じのとおり水量調査というのがございまして、四千九百万キロワットが、日本に一応調査上は水力の量があるということでございまして、現在までに約二千万キロワットが開発されておるわけでございます。そういう観点からいいますと約三千万キロワットがまだ未着手で残っておるわけでございますが、先生の御指摘のとおり、なかなかこれ開発に多額の資金を要するわけでございまして、山奥の非常に条件の悪いところも含めた数字でございますので、いまこういう時期でございますので、通産省の中で水力の緊急開発委員会というものをつくりまして検討しておりますが、その中間的な段階で、キロワットアワーで百円以下の建設コストでできます地点を集計いたしますと、これが八百九十万、約九百万キロワットという計算ができておりますが、これのうち特にキロワットアワー七十五円以下の、これは現時点におきます火力との比較では若干高いわけでございますが、これにつきまして、これを三年以内に開発すべきではないかというのが現時点の中間的な考え方でございます。この最大出力が五百四十万キロワットでございます。  なお、来年以降早急に九電力及び電発で着手すべきものとして、この五百四十万のうちの二十六カ地点を来年じゅうにおいて着手いたしたいというのが、いまのわれわれの考えでございます。この場合に、電発の機能というもの、これは当然に非常に重視されるべきものでございまして、九電力と電発との関係を踏まえまして、国家的な重要性という観点から九電力という一応私企業形態をとっております会社ではやりにくいというところもあることも考えられますので、今後電発の機能の強化、拡充といいますか、そういう方向でいまの水力の開発につきましても取り組んでまいりたいと考えております。
  76. 大矢正

    ○大矢正君 次に、大臣にお尋ねをいたします。  先般来、このイランのDD原油が十七ドルという話がありましたら、けさ新聞によると、今度はリビアの二十ドル原油というやつが生まれてまいりまして、これに対して日本の商社が応札をしたというような記事が載っておりますね。これはとにかくどこまで上がっていくのだか見当がつかない、この調子でいきますとね。今日の段階では、量的にはわずかでありますから、全体の中に入れて薄めればそれはほんとうにわずかなものでありましょう。だがしかし、先日、参考人として石油連盟の会長さんをお呼びしましたときに私どもお尋ねをしましたら、大体来年の夏ころには少なくとも八ドルから十ドル、バーレル当たり、全原油の平均のFOB価格が。もうそのくらいになると覚悟しなければなりませんと、こう言っておりますね。私は、その中近東、特にアラブ諸国が高く売りたいという気持ちそれ自身については否定をするものではないのでありますが、しかしながら最近は、この実勢価格に対して四割をかけて公示価格をつくり上げ、それによってメジャーとの間に価格の協定が結ばれる、それに基づいて今度わが国のこの原油輸入価格がきまるというような、こういう手順を考えてみまする場合に、みずから自分で自分の首を締めがねないという問題があります。なるほどこの量的な確保ももちろん大事なことでありますけれども、将来の展望を考えまする際には、価格の問題もこれまた重要な要素じゃないかと思うのであります。幾ら高くてもいいということではないのじゃないかという私は感じがいたします。そこで、これは私企業がやることだから通産省が何もくちばしをいれることはないということで、幾らの原油が生まれてもそのまま放置されるおつもりなのかどうかですね。もうけさ新聞には二十ドルと出ているわけですよ。おそらくまたこの上が出てくるかもしれませんがね、こういう問題について大臣としてどうお考えになっておられるか、これが第一点。  それからいま一つは、先般、大臣もちょっと触れられましたが、バーター貿易と称して、鉄鋼会社が鋼管を輸出をするかわりに油を輸入する。そのかわりその油は優先的に割り当てに上積みをして鉄鋼会社にくれるようにと、こういうような話を通産省に持ち込んでおるということが新聞で報じられておりますが、もしそういうことが許されるならば、これは日本の全業種が中近東諸国に品物を売ったやつを全部油でもらってきて、この分はおれの分だという形でやりましたら、こんな適正化法が幾らできたって効果がないことになりますね。こういう面、どういうふうになさるおつもりですか。
  77. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 第一に、原油価格の問題でございますが、最近の一つ情報でございますが、ある場所の入札価格を聞いたところによりますと、これは必ずしもそう確実な話じゃございませんが、ヨーロッパの会社が十ドルで入れた、日本の会社は十二ドルで入れた、アメリカが十五ドルで入れた。そういうような例があって、わりあいにアメリカの会社が高く入れておるようであります。それに引きずられているというのが、最近一つそういう例がありました。日本のように、石油をいままでのような多消費で産業に使っているという国にあっては、これが上がっていくということは原価コストに非常に響いてきまして、ドイツやあるいはアメリカやイギリスのように石炭とかガスを多量に使っている国に比べて著しく不利になってくるという現象がございます。したがいまして、原油価格がこういうふうに不安定で上がっていくということは好ましくない現象でありまして、これは何か国際的な協力によって、OAPEC諸国といえどもそれによって買い付けの工業品がまた暴騰していくというのではやり切れたものではないし、世界経済全体が不安定なのみならず、こういう現象で一番困るのは発展途上国で油を持ってない国であると思います。そういう国の立場もやはり世界全体としては考えなきゃならぬので、そういう意味からも、できるだけ早く産油国と消費国が協調して、世界的な合理的な水準をきめるということが必要ではないか。私、世界的なそういう会議を持つことが望ましいということを発言したことがございますが、今日の事態を見ると、ますますそれを痛感しておる次第であり、特に油を持たない発展途上国のことを真剣に考えてやらなければならぬときである、そういうように考えておる次第でございます。  それからバーター貿易の問題につきましては、これはやっぱり国家的に統制しなけりゃいかぬと思います。おっしゃるように、自分のところは鋼管を出す、自分のところは肥料を出す、その油は自分で使う——たとえ鋼管を出すにせよ、肥料を出すにせよ、それは国民協力によって、また他の産業の協力によってそれが行なわれておるのであって、そういうことを調整するのは国家の役目でございますから、そのやり方及びあんばいについては、そういうことを努力したものについて部分的なメリットは認めてあげる必要もあると思いますけれども、しかし相当量、あるいは大部分のもの、そういうものは、国家の恩恵によってそういうことが行なわれているわけでありますから、国家的な配分、あるいは行政指導による配分ということを考慮して実行しなければならぬ、そういうように思っております。
  78. 大矢正

    ○大矢正君 次に、通産省がこの十一月に出された、これは閣議でないかと私記憶しておりますが、資料に、需要抑制のケースを、もちろんこれは行政指導ベースでありますが、三種類、四種類程度にやりまして、一月、二月、三月末で備蓄日数がどのくらいになるかという数字を出しておりますね。もちろんこれは十一月につくった資料でありますから、もうそれから一月以上たっておりますので、かなりの違いが出てきていると思いますが、たとえばこの資料によりますると、需要の抑制を全然しないでいった場合には、二月の末の備蓄日数は三十八日である。しかもこれは全油種を含めての話でありますから——全油種というか、全製品を含めての話でありますから、製品ごとには、すでにもうこれは大幅に三十八日を割るものもあるし、また四十日、四十五日というものも出てくると思います。政府が言っております三十九日という流通過程における絶対量、必要な絶対量、これを抑制をしない場合には、二月の末ですでにそれが割られてしまうという計画書が出されました。  そこで、私がお尋ねをしますのは、これを聞くのじゃないのです、これは当然修正をされてしかるべきものであろうと思うのでありますが、これを今日修正したらどういう姿になるかお答えをいただきたいと思います。
  79. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 非常にむずかしい御質問でございますが、当時、この計画といいますか、この資料をつくりましたのが十一月の十日でございます。そのときの輸入カット率というのは、入着ベースで約一六%、当初の需要希望といいますか、需要想定額に対して一六%ということではじいたわけでございます。したがいまして、これがいま大体二割近いカット率になっておりますので、おそらく、全然需要の抑制をしないで推移するとしますれば、二月末三十八日というのが一月末ぐらいに繰り上がるんではないかと考えるわけでございます。
  80. 大矢正

    ○大矢正君 私がお尋ねしているのは、この行政指導というのは、この資料ができた時点では行政指導しかないわけですね。しかしきょうかりに法律が通れば、これは告示その他の手続が必要でありますけれども、はっきりした一つの権限があなた方に与えられるわけですね。そういたしますると、当然いろいろな現にもう削減措置をやっておるわけですから、それがさらに法律の裏づけをもって強力に実行されるわけでしょう。といたしますると、この備蓄日数というものは具体的に出てくるはずですね。十二月の末、一月の末、二月の末、三月の末というものは出てくるはずですね。なぜかといえば、その法律の裏づけのない段階においてすらこういうものが出たのだから、ましてや法律の裏づけが出たのだから、なおさら正確なものが出てしかるべきだと思うが、出せるのか出せないのかということです。
  81. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) それは結論から申し上げますと、出せると思います。
  82. 大矢正

    ○大矢正君 それじゃいまは出せないでしょう、出せますか。
  83. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) いまはちょっと無理でございます。
  84. 大矢正

    ○大矢正君 そうですか、まあ、あまり無理を言ってもしようがないから、じゃあとで出してください。  じゃ次に、法案の内容についてお尋ねをいたします。まず大臣に衆議院の修正部分についてお尋ねをいたしたいと思います。それは、私のこれから申し上げますのは、修正された条文で申し上げたいと存じます。  第十三条に、石油需給調整審議会というものが設けられることになりました。これはこの条文の第二に、「審議会は、関係大臣の諮問に応じ、石油の割当て又は配給その他この法律の運用に関する重要事項を調査審議する。」、第三に、「審議会は、前項に規定する事項に関し、関係大臣に建議することができる。」と、この二項によってこの審議会の性格づけをしているわけでありますが、そこでお尋ねをいたしますのは、私どもこの文書をこのとおり読みますと、「諮問に応じ、」ですから、諮問しなくてもいいということがまず言える、そうですね。「諮問に応じ、」ですから諮問しなくてもいいということ。それから衆議院の方々は、したがってそういうことがあっては困るので、「建議することができる。」ということで、建議というものを第三項にうたったのだとこう答弁されておりますがね。建議というものは少なくても審議会が開かれて、その審議会で全会一致でもって建議をしようではないかということになって初めて建議ができるのであって、審議会の委員の一人が、おれは建議すると言ってみたって通る話じゃないわけですね、これは常識的に。といたしまするとね、この三項というものは、事実上これはもうないにひとしいものであります。そういたしますと第二項で「関係大臣の諮問に応じ、」ですから、諮問しなければ全然審議することができないという欠点があります。そこでこういうことでは常識経験者をはじめとする国民の多くの方々の英知を集めて、より合理的な公平な石油の需給調整というものあるいはまた該当するそれぞれの方々の利害関係の調整というものをはかることは困難になるのではないかと思うのでありますが、この審議会に政府はどういう形で問題点を付議しようとされておられるのか、お答えをいただきたい。
  85. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 石油需給調整審議会一の運営については、思惑、買い占め等、国民の利益をそこなうおそれのある場合を除き、本法の運用に関する重要事項は、すべて事前に審議会にはかることといたします。また経過措置として、審議会設置までに政府が行なった諸措置については、審議会設立後、直ちに審議会に報告をし、了承を得ることといたします。
  86. 大矢正

    ○大矢正君 それでは次に、法律第五条の石油の供給目標についてお尋ねをいたします。「通商産業大臣は、石油輸入動向、石油の在庫状況その他の事情を勘案して、通商産業省令で定めるところにより、石油供給目標を定め、これを告示しなければならない。」とありますが、これは一ヵ月を言うのか、一年を言うのか、あるいは半年を言うのか、そういう期間の問題が一つ。それから、この供給目標というのはその全体をとらえて供給目標というものを出すのか、それとも製品別に供給目標というものを出すのか、まずその点をお尋ねしておきたいと思います。
  87. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 法律の定めますところによりますと、期間が明示してございませんけれども、法文の趣旨から言いまして、石油輸入動向、石油の在庫状況等を勘案して定めることに相なっております。現在のような非常に流動的なる状況によりますればこれはおそらく一ヵ月ないしは二ヵ月というような形でつくられざるを得ないと思うわけでございますが、当面最近時の場合においては私は一ヵ月でまず発足すべきではないかと思うわけでございます。  それから第二点の、全体か油種別かという点でございますが、これは油種別につくることに相なろりと思います。
  88. 大矢正

    ○大矢正君 長官ね、相なろうと思いますじゃ困るんですよ。あなたがおやりになるんだから、あなたが、なろうと思いますじゃ困る。私がそう言うんなら話はわかるけれども、やろうとされておられるあなたが、なろうと思いますじゃ困るんですが、そういうふうにするのかしないのかと聞いておるんだから、それをあなた答えられないんじゃ困りますよ。しかもこれは、あなたのほうから提出していただいたタイムテーブルと申しますか、あれを見ますると、もう直ちにこの法律に基づく告示を行なうと同時に供給目標を公布、施行すると、こうなっておるわけでしょう。できれば年内にも石油供給目標関係の手続、省令公布をすると、それから施行すると、そういうような、あるいは石油供給目標の告示、こういうものはできれば年内、おそくとも年初にはやると、こういっているわけで、あと何日もないわけで、その何日もないものを月別では一ヵ月くらいではないかと思うとか、それから製品別に行なわざるを得ないであろうとか、そういうようなことでは議論にならないですよ。はっきり言ってください、その点。
  89. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 当面考えられます一月のものにつきまして、まず一月分としてこれは定めます。それからその内容につきましては油種別で定めます。
  90. 大矢正

    ○大矢正君 そこで長官お尋ねしますが、お尋ねしますというよりも私の懸念を表明させていただくとこういうことになるんじゃないかと思うんです。あなた方が非常に製品別にやるべきかいなかということでちゅうちょされておられるのは、もし政府がここで供給目標というものを製品別にぱっと出しますね、そうすると、それがほんとにうまくぴたっと需給が合えばよいけれども、合わなかった場合に今度は一切あげて政府の責任だということになりますね。政府が供給目標を石油精製業者に出すわけですから、あるいは輸入業者に出すわけですから。そういたしますと、そこで混乱が起きたときには一切政府の責任だと、こういうことになりますね。そういう解決は私の独断じゃないと思うが、よろしゅうございますね。
  91. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) この供給目標及びそれをもとにしましてつくられます各精製業者、輸入業者、販売業者のそれぞれの計画でございますが、これは現在の非常に流動化しております原油の入手状況等の前提でございますので、供給目標といい、それから生産計画等といっておりますが、たとえば五条の二項でその供給目標に沿っておらなきゃいかぬというようなことになっております。総じて一トン、半トンこれが違ってはいかぬというようなことを想定または考えておるわけでございませんで、ほぼその目標が達成される、その目的が達成されればいいと私は思うわけでございますが、しかしいずれにしても法律に基づきましてつくるものでございますので、それが著しく食い違うような場合には、先生のおっしゃいますように非常な非難を受けることは当然だと思うわけでございます。
  92. 大矢正

    ○大矢正君 そこだけ覚悟していてくれればですね、いままでは石油業者が握っていたからこうだとか、中間でまた握っていたからこうだとかと言えるけれども、今度はマクロ的に政府が出すわけですから、目標を設定するわけですからね、それでやるわけですから、今度はそれで不足な状態が起きた、全体として。個々にはいろいろこれからまた質問しますから、出てくるでしょうけれども、マクロ的に不足が生じた場合には政府の責任である、こういうことになるということだけははっきりしておきたいと思います。  それから次に、第六条の石油生産計画についてお尋ねをいたしたいと思うんです。これは「石油精製業者、石油輸入業者又は石油の販売量が一定の数量以上であることその他の通商産業省令で定める要件に該当する石油販売業者は、」、言ってみれば、これは元売り業者、元売りという解釈になると思います。あるいはまた今後新しい存在が発生してくるかどうかわかりませんけれども、当面の流通機能あるいは流通機構からまいりますれば元売りということになると思うのでありまするが、そこでそれぞれの生産計画、それから販売計画、これは生産計画は精製会社、それから輸入の会社ということになると思いますが、販売計画、ここにいう販売計画というのは、これは元売り段階というように先般来答弁をされていると私解釈しておりますが、それはそのとおり受け取ってよろしゅうございますね。あくまでも元売りの段階で押えるのだ、販売計画は。
  93. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 結論的に申し上げますとそのとおりでございますが、若干コメントいたしますと、この「一定の数量以上であることその他」云々と書いてございますのは、いわゆる元売りのように精製と販売と両方行なっているもの、それから元売り以外で精製だけをしておるもの、それから一部商社におきましては輸入したものをそのまま直販しておるもの、したがいまして元売りはいま十三社でございますが、その他のものを入れまして全部で二十五社現在考えられるわけでございます。この趣旨は日本に入ってきます油を全部根元で把握いたしまして、それでその販売の計画をつくらせるということでございます。
  94. 大矢正

    ○大矢正君 そこが問題なんですよね。結局元売り段階でだけは政府は押えてその段階では責任を負いますけれども、それ以下のことについては責任を負いませんよ、それよりすそのほうのことについては、これは業界がおやりなさい、政府はあくまでも元売りで実際にその供給目標に従ってそれだけの量が売られているかどうかということを製品別に押えて、売られているということであれば、政府の責任はそれでなくなるんです。あとはもうそこであっちで品物が足らなくなった、こっちで品物が足らなくなったの、それは業界が悪いんだからそうなるんですよ。ただしそれを補足する意味でもってあっせんという項目はありますよ。ありますけれども、それは単に指導するという政府の役割りがここにあるだけでありまして、それ以上の命令も何も権限がないわけですね、あっせんについては。政府は指導するだけですから、あっせんの指導をするというだけで、しかも罰則も何もないわけですから、政府がたとえば指導してこうしなさいと言っても、従わなくても何の罰則も与えられない。いいですか。そういたしますとはたして元売りのところだけで押えておいて、それでもって末端の需給が円滑にいくという理屈はどこから出てくるのかと私は聞きたくなるわけです。
  95. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 御指摘のとおり、元売り段階を使いまして、そこで日本に入ってくる油及びそれの処理量を油種別にきめるわけでございますが、政府提案の第六条、これが今度七条になるのかもしれませんが、六条におきまして今度使用者側の制限を規定いたしておるわけでございます。これは条文はくだくだしておりますが、趣旨は大口の消費者につきまして規制を加える、かつ、灯油、LPG等の産業向けの消費につきましては、これをまた別途規制するというのが六条の規定でございます。これに基づきまして一応われわれは民生安定の措置も相当できるんではないかと思っておるわけでございますが、いま先生の御指摘のとおり、現実の動きは、流通段階でいろんな問題があるわけでございます。特に初めての経験でございますので、いろんな問題がこれからも起こると思うわけでございまして、農林漁業、公共交通機関、それから医療、病院等、このどうしても確保しなきゃいかぬ部分につきましては、別途いまそういう面の詰めを行なっておりまして、これは最終需要家と小売り商、ひいては卸商というところまでのルートをつくるようないま作業が進んでおるわけでございます。そういうことを別途行なうことによりまして、この本条文の四条、五条及び六条の補完的な強化を行なう。そういう方向を通じまして公平に適正なる使用量が確保できるようにいたしたいと、こう考えておるわけでございます。
  96. 大矢正

    ○大矢正君 精製会社が一社で元売りも一社で、それですべてのスタンドなり、あるいは薪炭商なりがその傘下に入っているという流通機構なら、これはこっちのものをこっちにひょっと持ってくるとか、あっちのものを足りないからこっちに持ってくることができますがね。しかし、あなたが言っておりまするとおりに、元売り十三社ですわね、それ以外に今度は輸入の商社等を含めて、さらにまたその精製会社等も考えていきますと、それに系列としてほとんどスタンドの場合なんかもつながっていますね。そうすると、こっちの油をこっちに、こっちの油をこっちになんて、そう簡単にいくものじゃない。しかも、過去のように、石油が非常に潤沢であって、どこへ行っても不足がないという状態でしたら、さっきから言われているようなAの業者からBの業者、すなわち業転ものというものも出回って、それはやっていけますよ。  しかし、絶対量が足らないわけでしょう。その絶対量も、たとえばA社につながっているスタンドの場合には三割削減になる、B社につながっているスタンドの場合は二割削減だ、あるいは五割削減のところも出てくるかもわからない。そういうようなばらつきのあるスタンドにお客さんが物を買いに行った、ないと言う。そのときに、お客さんはすなおにないと思わないで、おまえのところは隠しているんじゃないか、こういうふうに思われるかもしらぬ。あるいは中には悪質で隠しておるものも出てくるかもしれないけれども、しかし、誠心誠意、善意を持ってやっていて、実際に全部品物を出しているんだが、回ってくる品物が少ないために、いわゆるお客さんから、おまえは隠しているんじゃないかと、こういうふうにたとえばスタンドならスタンド、あるいは薪炭業者なら薪炭業者が言われるという問題点が発生してまいりますね。  その際に、一体この需要者というものは何をたよりに油をさがせばいいのか。たとえば灯油を一つ例にとってみた場合に、自分の近所に何軒かスタンドもあるし、薪炭商もある。あちこちに行ってみたけれども全然ない。さて、今度は電話帳でもひっくり返してあっちにも電話かけ、こっちにも電話かけて、そしたら杉並区に住んでいる者が、隣の中野区にはあるということになった、それじゃそれをどうやって買いに行くかということです。買いになんか行けるもんじゃない。運んできてもらわなきゃならぬ。運んできてもらうには今度はべらぼうな運び賃がかかる。三百八十円なんという話は夢物語ですわね。そういう問題は必ず出てくる問題なわけですよ。  ですから私は、この法律は非常に審議期間が短時間でありまするために、こまかい問題まで具体的に議論ができないで成立することは非常に残念だという感じがいたします。しかも、これは政府みずから、恒久立法だと、こう称しておる。たまたま衆議院で一年後にはもう一回検討してみようではないかという一項目が挿入はされましたけれども、これ自身これは恒久立法ですよね。恒久立法だとするからにはどうも拙速過ぎるんじゃないか、私は、そういう感じがしてなりません。この法律だけでは、あっせん所を幾ら設けてみたところで、そのあっせん所がこの広い東京全域あるいは全国にわたって合理的にお客さんの要請に応じて、そうお客さんに迷惑をかけないように、あらゆるガソリンなり灯油なり、そういう企業ではない個人の必要とするものを手に渡せるような状態になるものではないんじゃないかと、こういう感じがいたします。  時間もかなり経過いたしましたので、そこで、そういうことを前提として通産大臣に私お尋ねしますが、大臣、この法律は、なるほど恒久立法ではありますけれども、私は、短期間に政府自身もつくられたがゆえに、やはりまだまだ補足する必要性が今後出てくるのではないかという感じがいたします。それから、中東諸国とのいろんな話し合いの経過に基づいて、従来ある石油業法というものは、これは近く見直しをしなければならぬし、大幅な修正をしなければならぬのではないかということも言われておる。それから、海外において石油を開発する石油開発公団法それ自身も、四十九年度予算にからんで、業務の拡大とかその他でこれまた法律改正をしなければならぬという事態になっている。したがって、私は、この法律なり石油業法なり、あるいは石油開発公団法なり、そういうものを一本の法律として明年始まる国会に提出をすべきじゃないか、そうして恒久立法なら恒久立法らしく、石油全体に関して網羅した一つの法体系というものを完全にまとめあげるべきではないかということを最後にお尋ねをして、私の質問を終わりたいと思います。
  97. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) 大矢先生の言われる御趣旨はよく理解できます。やはりこれだけ大きな転換が国際的にも国内的にも行なわれている際に、いままでの石油諸法体系を見直して一つの統一ある体系のもとに再編成せよということはごもっともな御議論であると思います。しかしながら、今日の時点に立って見ますと、与えられる条件自体がまだきわめて流動的であります。それからもう一つは、日本の経済の情勢と見通しというもの自体ももう少し的確に前途を把握する必要がございますし、もう一つは、これはまことに申しわけないことでありますが、一月以降は石油今回の法律の実施にあたって資源エネルギー庁はおそらく狂奔しなければ人手がないくらいに忙しい段階に立ち至るのではないか、現実の法の実行につきまして。そういう点で、これだけの大きな体系の立法をやる時間的余裕もないだろうと私は思うのです。そういう点におきまして、いずれの日にかそういう方向に沿って体系は整う日があると、なければならぬと思いますが、今回はぜひ以上のような理由によりまして御容赦願いたいと思う次第でございます。
  98. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 二問ほど簡単にお尋ねしますが、昨日、突然私のところへ滋賀県から陳情団が参りました。その陳情団の構成は小売り業者とそれから消費者と、そういう方々の集まりでした。  そこで受けました陳情は、十一月の二十日までは、小売り業者が卸から買うプロパン、それが十キロが三百円だった。そこで十キロ三百円で買って、それに七百円余りのマージンを加えて、まあ千円ほどで売っておった。ところが十一月の二十一日から十キロが三百三十円、いわゆる一割値が上がった、卸値が。十二月の一日になりますると、十キロ六百円、御値が、そうなってきた。だから従来のマージンではもうとてもやれなくなってきたということです。ところが中曽根さんは、十キロ元売り卸値が二百四円だということを国会で答弁していらっしゃるようだ。それから卸から小売りにくる値段は三百五十円から三百八十円、こういうことを中曽根大臣が言っていらっしゃるようですが、先ほども申しましたように、十キロ六百円の卸値では小売りはとても政府の示された千三百円というようなことではやっていけない、実際にやっていけない。だから、そういうことをおっしゃるならば、十キロ六百円という卸値をまず押えてもらわないとどうにもならない、こういう陳情が参ったわけです。  そこで私も、政府に申したいんですが、卸がこう高くては小売りはとてもやっていけないということは事実だと思うんですね。そうすると、小売りがどうしても高くなってくる。消費者も高いものを買わなきゃならぬというんですから、卸のところでどうしても値段を三百円以下に押えていくということが私は絶対必要だと思うんですが、その点をどういうふうにお考えになり、どういうふうにやっていこうと考えていらっしゃるか、まずそれが一問です。
  99. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) LPGにつきましては、先般、小売りを十キロ千三百円ということで凍結いたしたわけでございます。これは当時の動きといたしましては千八百円とか二千円とかいう話も出ておりましたのを、緊急時にこれを凍結するという目的でやったわけでございます。ただ、別途われわれのほうで内部的に検証いたした資料もございました。そのときの卸は五百五十円ぐらいではないかという試算もあるわけでございます。これは地区ごとに、それから業者ごとにはいろいろと違いがあると思いますが、標準的に五百五十円ぐらいではないかという試算もあるわけでございまして、いま先生の御指摘の六百円というのは、これは個別案件でよくわかりませんけれども、標準的な感じから申し上げますと、若干高いのかなという感じもいたしておりますが、なお、この辺は全国非常に数の多い、小売り全体で四万四千軒ぐらいの業界でございますので、むしろ具体的にお話を伺わさしていただいて、いろいろとわれわれのほうといたしましても検討いたしたいと考えるわけでございます。
  100. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 五百五十円の卸では千三百円で小売りが消費者に渡せぬというわけですね。非常にマージンが少なくて、それではやっていけない。特に最近検査料なども三〇%高くなった。こういうふうにあらゆるものが高くなってきて、マージンだけに押えられたんでは小売り業者の生活が成り立たぬ、こういう訴えを受けたわけです。だから、小売り業者が生活の成り立つようにするためには、どうしても卸値を三百円程度で押えていくということが絶対必要だと思うんです。これは十一月の二十日までは三百円でおろしておったんですから、だから、それ以後ずっと六百円まで上がってきたということは、卸業者が相当私は大幅にもうけている証拠だと思うんですね。ここを押えないで、小売り業者の利益だけを押えるんでは小売り業者がやっていけない。したがって、小売り業者が消費者に渡す値段が高くなってくるということなんですから、そういう意味におきまして、政府として最も力を入れて押えなければならぬところは卸業者の値段だ、またメーカーの値段だと、こういうふうに私は思うんです。そこをどういうふうに今後やっていかれるか、簡単に答えてください。そして次の質問で終わります。
  101. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 先ほど申し上げましたように、小売りを押えるのが目的であったわけでございますが、今後、御指摘のとおり、メーカー段階、卸段階につきましても、われわれとして十分調査をいたしたいと思います。
  102. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それからもう一点です。従来は、十キロで五立方メーターのガスが出るという、その計算で今日まで来た。ところが最近、プロパンの器具にメーターがくっつけられて、今度は十キロで四・六立方メーターのガスが出るという計算にしてきた。これまでは五立方メーターで十キロの値段を払っておったところが、四・六立方メーターで十キロの値段を取られることになった、こういうわけです。そうすると十キロで〇・四立方メーターずつ消費者は損をしておる、こういうことが訴えられたわけです。この計算は業界が計算した計算であって、信用のできない計算であるから、政府が責任を持って、十キロで何立方メーターのガスが出るかということを政府の当局で計算をして発表してもらいたい、これが消費者の訴えでございました。それをぜひやってもらいたいと思うんですが、どうでございましょうか。
  103. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) LPガスの重量と体積の換算率につきましては、LPガスの組成とか温度の条件によりまして、その地区地区によりまして、かなりの幅がございまして、いま先生の御指摘のとおり、これを一律に全部きめるということは、寒いところと暑いところで相当違います。しかし、いまのお話のように、従来のメーターを突如として理由なくこれを変えるということは、これは非常におかしな話でございまして、理由なく換算率を変更するというようなことは、私は、許しがたいことだと思いますので、そのような事例につきましては、これを調査しまして、厳重に取り扱い、かつ改善をはかりたいと思うわけでございます。
  104. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言もなければ、質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  105. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認めます。  それでは、これより討論に入ります。御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。——別に御発言もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  石油需給適正化法案を問題に供します。本案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  106. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって、本案は全会一致をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  竹内君から発言を求められておりますので、これを許します。竹内君。
  107. 竹内藤男

    ○竹内藤男君 ただいま可決されました石油需給適正化法案に対し、自由民主党、日本社会党、公明党、民社党の四党共同提案による附帯決議案を提出いたしたいと存じますので、御賛同をお願いいたします。  案文を朗読いたします。    石油需給適正化法案に対する附帯決議(案)   政府は、本法施行にあたり、国際的な石油の需給動向ならびに国内における石油製品等諸物資の著しい需給のひつ迫と価格の急騰が国民生活および経済全般にわたり重大な影響を与えている実情にかんがみ、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。  一、今後の長期安定的な石油の供給の確保を図るため、国際社会において果すべきわが国の責務の遂行を前提としつつ、世界石油資源活用に当つての国際協力増進に格段の努力を図ること。  一、石油開発公団について、投融資業務を拡大するとともに、自ら鉱区取得、探鉱、原油引取等の業務を行いうるよう石油開発公団法の改正を行うこと。  一、石油の備蓄対策の抜本的拡充を図ることとし、このため特段の配慮を払うこと。  一、長期的観点にたつて総合エネルギー政策の確立に努めるとともに、石油の節約とその効率的な利用を進めるため、今後とも省資源型産業構造への転換等の施策を強力に推進すること。  一、石油需給調整審議会の委員の人達にあたつては、一般消費者をはじめ国民各階層の代表を適切に選任するとともに、同審議会の建議は十分これを尊重すること。  一、私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律ならびに生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律の運用を強化すること。   右決議する。  以上でございます。
  108. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいま竹内君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行ないます。  本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。   〔賛成者挙手〕
  109. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 全会一致と認めます。よって、竹内君提出の附帯決議案は全会一致をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し通産大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中曽根通商産業大臣
  110. 中曽根康弘

    ○国務大臣中曽根康弘君) ただいまの附帯決議に対しましては、これを尊重し、この法執行に万遺憾なきを期する次第であります。
  111. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  112. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  113. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、委員派遣承認要求に関する件についておはかりいたします。産業貿易及び経済計画等に関する調査のため、自然休会中に委員派遣の必要が生じました場合は、これを行なうこととし、その手続等は委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時十一分散会