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1973-12-19 第72回国会 参議院 商工委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十九日(水曜日)    午前十時十九分開会     —————————————    委員異動  十二月十九日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     稲嶺 一郎君      君  健男君     高橋 邦雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         剱木 亨弘君     理 事                 佐田 一郎君                 竹内 藤男君                 大矢  正君                 栗林 卓司君     委 員                 稲嶺 一郎君                 植木 光教君                 大谷藤之助君                 高橋 邦雄君                 寺下 岩蔵君                 林田悠紀夫君                 細川 護熙君                 安田 隆明君                 阿具根 登君                 小野  明君                 竹田 現照君                 林  虎雄君                 中尾 辰義君                 須藤 五郎君    衆議院議員        修正案提出者   中村 重光君        修正案提出者   田中 六助君    国務大臣        通商産業大臣   中曽根康弘君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君    政府委員        経済企画庁長官          官房参事官    有松  晃君        外務省中近東ア        フリカ局長    田中 秀穂君        外務省経済局長  宮崎 弘道君        農林大臣官房長  三善 信二君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        通商産業審議官  森口 八郎君        資源エネルギー        庁長官      山形 栄治君        資源エネルギー        庁石油部長    熊谷 善二君        資源エネルギー        庁石炭部長    佐伯 博蔵君        資源エネルギー        庁公益事業部長  岸田 文武君        中小企業庁長官  外山  弘君        運輸省自動車局        長        中村 大造君        労働省職業安定        局長       遠藤 政夫君    事務局側        常任委員会専門        員        菊地  拓君    衆議院法制局側        第 三 部 長  日下 千章君    説明員        農林大臣官房審        議官       二瓶  博君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○石油需給適正化法案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、今泉正二君及び君健男君が委員を辞任され、その補欠として稲嶺一郎君及び高橋邦雄君が選任されました。     —————————————
  3. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 石油需給適正化法案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。中曽根通商産業大臣
  4. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石油需給適正化法案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。  去る十月中旬第四次中東戦争を契機として始まったアラブ産油国における石油生産制限措置と、これに伴うわが国への石油供給削減は、このまま推移すれば、今後国民生活及びわが国経済全般に次第に大きな影響を与えてくるものと憂慮されます。  政府におきましては、今回の緊急事態に対処するためには、官公庁、企業、個人など国をあげての協力と国による効果的な施策が不可欠であるとの認識のもとに、去る十一月十六日の閣議におきまして、石油電力等エネルギーに関する全国民的な節約運動の展開、石油及び電力使用節減のための強力な行政指導実施石油の大幅な不足が生ずる場合における国民生活の安定、国民経済の円滑な運営をはかるために必要な緊急立法提案、総需要抑制策及び物価対策の強化、エネルギー供給確保のための努力等を中心といたしました石油緊急対策決定し、現在鋭意これら諸施策実施につとめているところであります。  本法律案は、この緊急対策一環として、またあわせて将来の同様な不測事態に対処するため、わが国への石油の大幅な供給不足が生ずる場合において、国民生活の安定と国民経済の円滑な運営をはかるため、石油の適正な供給確保し、及び石油使用節減するための措置を講ずることにより、石油需給適正化することを目的として立案されたものでありますが、その要旨は次のとおりであります。  まず、本法律案規定する措置を講ずるにあたっては、その事の重要性にかんがみ、内閣総理大臣対策実施告示前提としております。すなわち、内閣総理大臣は、わが国への石油が大幅に不足し、または不足するおそれがあるため、国民生活の安定及び国民経済の円滑な運営に著しい支障を生じ、または生ずるおそれがある場合において、その事態に対処するためこの法律案規定する措置を講ずる必要があると認めるときは、閣議決定を経て、その旨を告示することとしております。本法は、この告示がなされましてからこのような事態が消滅した旨の内閣総理大臣告示が行なわれる日までの間に限って適用されるものとしております。  対策実施告示がなされた場合において、本法律案に基づき具体的に講ずる措置は、次のとおりであります。  第一は、石油の適正な供給確保するための措置であります。  通商産業大臣は、石油の適正な供給確保するため、石油輸入動向等を勘案して石油供給目標を策定するとともに、石油精製業者生産計画大手石油販売業者販売計画等については、届け出制にかかわらしめ、石油供給目標達成のために必要があると認めるときは、当該計画変更指示を行なう等の措置を講ずることとしております。  また、通商産業大臣は、国民生命身体もしくは財産保護または公共利益確保のために不可欠な事業等に対する石油供給確保するため、大手石油販売業者に対し、石油保有指示とその売り渡し指示を行なうとともに、一般消費者中小企業者農林漁業者その他の公益性の強い事業等に対する石油の円滑な供給確保するため、石油販売業者団体に対し、供給あっせんその他必要な措置を講ずるよう指導することとしております。  第二は、石油使用節減のための措置であります。  石油使用節減するため、一定量以上の石油使用する者は、主務大臣が指定する数量または政令で定める数量をこえて石油使用してはならないものとし、その他の者についても通商産業大臣が定める石油使用節減目標に従って石油使用節減につとめなければならないこととしております。  また、民生安定の観点から、灯油その他の特定石油については、一定量以上の使用者に対し、別途その使用限度量を設定することができるものとしております。  また、ガソリンスタンドにおける揮発油販売方法等についても必要な指示を行ない得ることとしております。  さらに第三には、以上第一または第二の措置をもってしては、事態を克服することが著しく困難であると認められる場合には、これに迅速かつ、適切に対処し得るよう、必要最少限度範囲内におきまして、政令石油割り当てもしくは配給または使用制限もしくは禁止等に関し必要な事項を定めることができることとしております。  以上がこの法律案提案理由及びその要旨でありますが、最近における世界の石油需給動向をめぐる緊迫した状況とそのわが国に及ぼす影響等にかんがみ、以上申し上げました本法律案に基づく施策は、緊急にその実施を迫られているものでありますので、政府におきましてもその緊急性を考慮し、本国会にこの法律案提出した次第であります。  何とぞ慎重御審議の上、すみやかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
  5. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、本案については衆議院において修正が加えられておりますので、この際、衆議院における修正部分について、修正案提出者衆議院議員中村重光君から説明を聴取いたします。中村衆議院議員
  6. 中村重光

    衆議院議員中村重光君) 石油需給適正化法案衆議院における修正につきまして御説明申し上げます。  修正点の第一は、本法運用方針に関する規定を新設し、政府は、一般消費者中小企業者及び農林漁業者並びに国民生活の円滑な運営に重大な影響を及ぼす事業及び活動に対して、石油供給を優先的に確保するよう配慮し、石油に関する必要な情報を国民に提供しなければならないこととしたことであります。  修正点の第二は、石油精製業者等石油生産計画等に対する通商産業大臣変更指示に従わなかったとき、石油使用する者が石油使用制限に違反したとき、自動車に直接供給する事業を行なう石油販売業者販売方法制限指示に従わなかったとき、特定石油販売業者石油保有売り渡し指示に従わなかったとき等には、それぞれその旨を公表することができることになっておりますのを、公表するものとすると改めたことであります。  修正点の第三は、通商産業大臣は、揮発油使用節減のため、自動車に直接給油する事業を行なう石油販売業者に対して指示する場合、身体障害者でその生計を維持するため揮発油確保することが不可欠である者に対し、特別の配慮をしなければならない旨の規定を加えたことであります。  修正点の第四は、通商産業大臣は、石油売り渡し指示を受けた特定石油販売業者指示に従わなかった旨を公表された後、なお、正当な理由なく、その指示にかかわる措置を行なわなかったときは、石油を売り渡すべきことを命ずることができることとしたことであります。  修正点の第五は、通商産業省に、学識経験者及び一般消費者のうちから通商産業大臣が任命する二十名以内の委員で組織する石油需給調整審議会を設置し、同審議会関係大臣の諮問に応じ、石油割り当て、または配給等その他本法運用上の重要事項を調査審議し、また、関係大臣に建議することができる旨の規定を新設したことであります。  修正点の第六は、政府は、おおむね六月に一回、国会に、本法施行状況を報告するものとする規定を新設したことであります。  修正点の第七は、政府は、この法律施行後一年以内に本法規定及びその実施状況について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずる旨の規定を附則に設けたことであります。  以上であります。よろしく御審議をお願い申し上げます。
  7. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 次に、補足説明を聴取いたします。山形資源エネルギー庁長官
  8. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 石油需給適正化法案提案理由及び要旨につきましては、ただいま大臣が申し述べましたとおりでございますが、以下その内容につきまして補足して御説明申し上げますとともに、あわせて、この法律規定運用方針といたしておりますところをも若干御説明申し上げます。  まず第一は、対策実施告示についてであります。  本法は、今回のアラブ産油国における石油生産制限とこれに伴う我が国への石油供給の大幅な不足事態に対処するため緊急対策一環として立案されたものでありますが、あわせて、将来の不測事態に対処して、これを恒久法とするとともに、具体的規定適用につきましては、現実事態に機動的に対応し得るよう、内閣総理大臣告示を待ってこれが行なわれる仕組みをとっております。これによりまして、必要にして最小限の措置が弾力的に講じられるものと期待されるところであります。  第二は、石油供給目標についてであります。  内閣総理大臣対策実施告示が行なわれますと、通商産業大臣は、石油輸入動向在庫状況等を勘案して石油供給目標を定めることとなります。この石油供給目標は、いわば石油供給可能量とも申すべきものでありまして、これに引き続きますところの、石油供給適正化のための措置基本となるものであるとともに、石油使用節減のための措置前提になるものであります。このため、この策定にあたっては、そのことの重要性にかんがみ、閣議決定にかかわらしめることといたしております。  次に、石油の適正な供給確保するための措置であります。  石油の適正な供給確保するためには、まず、わが国石油輸入量生産量等を正確に把握するとともに、緊急事態のもとにおいて最も適正と判断される量の石油が生産され、市場に出回ることを担保しておく必要があります。このため、本法におきましては、石油精製業者石油輸入業者及び大手石油販売業者からそれぞれの事業にかかる計画を届け出させるとともに、石油供給目標達成のために必要があると認めるときは、通商産業大臣当該計画変更指示を行なうなどの措置を講ずることといたしております。  また、国民生命身体もしくは財産保護または公共利益確保のため不可欠な事業の用に供するため、通商産業大臣は、大手販売業者一定量石油保有せしめ、必要な場合にその売り渡し指示することとし、これら用途に対する石油供給確保については格別の配慮をいたしております。  さらに、国民各層石油使用節減努力の過程において予想される地域的または一時的な石油需給混乱に対処し、一般消費者中小企業農林漁業者及び公益性の強い事業に対する石油の円滑な供給をはかるため、通商産業大臣は、石油販売業者団体に対し、石油供給あっせんその他必要な措置を講ずるよう指導することといたしております。  第四は、石油使用節減のための措置についてであります。  石油使用節減のための措置といたしまして、本法におきましては、まず、一定量以上の石油使用する者につきまして、主務大臣使用限度量を設定いたし、これをこえる石油使用を禁止することといたしております。それと同時に、民生用石油確保する観点から、灯油その他の特定石油につきましては、総量とは別に別途個別に使用制限措置を講ずることができるよう措置いたしております。この数量の指定にあたりましては、石油使用する者の実績を基本としてまいる所存であります。  また、わが国への石油供給が大幅に不足する事態に際しましては、国民各階層にひとしく、応分の石油使用節減を期待いたしてまいらなければなりませんので、その他の者につきましても、通商産業大臣が定める石油使用節減目標に従って石油使用節減につとめなければならないことといたしております。  さらに、石油不要不急用途における使用節減する観点から、ガソリンスタンドにおける揮発油販売方法等につきまして、通商産業大臣が必要な指示を行ない得ることといたしております。この指示にあたりましては、国民生活運営に必要以上の混乱を招かないようきめこまかい配慮をいたしてまいる所存であります。  次に、割り当て配給等に関する政令委任規定についてであります。  この規定は、以上申し上げてまいりました一連の措置によりましては、事態の克服が著しく困難であると認められる場合におきまして、政令で、石油割り当てもしくは配給または使用制限もしくは禁止等に関し必要な事項を定めることができることといたすものであります。これは、事態の進展上やむを得ない場合におきまして、その事態に迅速かつ適確に対処するための措置を講じ得るよう準備されているものであり、法文上明らかなように、政令規定し得る事項は、必要最小限度範囲内に限られるものであります。また、政府として、本法の適切な運用その他石油需給適正化のための各般の施策を総合的に講じ、本規定適用といった事態に至らないよう最大限の努力を尽くしてまいることは申すまでもないことであります。  その他、本法案におきましては、以上の措置の適切な運用及びその実効性確保するため、権限委任報告徴収立入検査等規定を整備するとともに、所要の罰則を規定いたしております。また、本法は、事態緊急性にかんがみ、公布の日から施行することといたしております。  以上、石油需給適正化法案につきまして、その提案理由及び概要を補足して御説明いたしました。
  9. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  10. 阿具根登

    ○阿具根登君 まず、通産大臣に御質問申し上げます。  エネルギー革命ということが叫ばれて相当な年数がたちました。その間私どもはこの委員会を通じ、あるいは本会議を通じて今日あることを指摘してきたことは御承知のとおりです。当時五千五百万トンの石炭使用しておった。それを今日二千万トンにしてしまった。二十八万名の労働者を二万名に減らしてしまった。そのとき私どもは、産油国において動乱が起こった場合、戦乱が起こった場合、あるいは航路に支障を起こした場合、タンカーに事故が起こった場合、日本経済は一体どうなるかと、日本経済の大部分を、油でいうなら九九・七%を外国に依存しておる。そういうことであって、日本経済が将来安定といわれるかどうか、いわゆる繁栄に酔うた砂上の楼閣じゃないかと、こういうことを強く今日まで訴え続けてきたわけでございます。そうして今日のこの事態が生じてきた。  そこで、いまの説明を聞いておりましても、一体どれだけの油が入ってくるのか、それをこれから把握しなければならぬ、こういうことを言っておられるようです。しかし、石油連盟等の発表を見てみますと、来年の一月から三月にかけては政府が言っておる倍ぐらいの削減になるだろう、たいへんなことになる、こういうことを育っておるわけです。何か見てみると、政府は、最初は甘く国民に訴えておる。そうしてだんだん強くやっていく。一〇%、一五%、さらに来年は二〇%になる。二〇%になったならばこれは配給制度になる。まあ、こういうふうに徐々に国民にこう知らせていくような政治的な配慮がなされておる、私はこういうように考えられてしかたないわけです。  そこで大臣に、一体日本長期エネルギーに対してはどういう考えをお持ちなのか。中期に対してはどういうことなのか。現実にどうすれば一番いいのか。これはすでに五カ月以上になると思いますが、アメリカニクソン大統領石油問題について国民に訴えられた。石油白書を出された。その当時も、私、三〇%そこそこの外国依存度であるアメリカが、こういう緊急な事態だということで国民に訴えられておるのに、九九%も外国依存日本が何にも国民に知らさないでのほほんとしておっていいんですかと、こういう質問もしたはずです。だからひとつその間の、ただいま申し上げました日本長期中期、短期、現実問題、実際の中東見通し、そういう点について詳細お聞きいたします。
  11. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まず第一に、政府が従来とってまいりましたエネルギー政策が、必ずしも十全でなかったということを深く反省している次第であります。阿具根委員がしばしば御指摘の点が的中いたしまして、中東戦争が起こって、そのためにエネルギー削減ということが現実化いたしまして、日本経済がかなり混乱するという情勢が生まれましたのはまことに遺憾でございます。石油の将来性につきましては、私も中近東へ参りまして、そのころから事態は変わりつつあるという予感がいたしまして、そういう方向日本政策を適応させるように若干努力はしてきたつもりでございますけれども、何しろ中東紛争並びアラブ政策がかなり、考えている以上に強硬に出てまいりまして今日の事態に立ち至ったことは、やはり外交政策並びに石油政策ともに深く反省しなければならぬところがあると思います。  そこで、具体的な問題でございますが、当初九月、十月の時点におきましては、アラブ石油削減というものは一六%程度でいけるんではないかと。その後OAPECの会合で次第次第にきびしくなってまいりまして、最近の情勢におきましては、下期二〇%程度削減を覚悟しなければならぬという情勢になりつつあります。  総量で申し上げますと、ことしは約三億一千万トンの油が入ることを期待しておったわけでございますが、総量では二億七千三百万トン程度というのが現在における見通しであります。削減がもっときびしくなれば、もっと悪くなる危険性もございます。それで、下期はどうであるかと申しますと、下期は約一億六千万トン入る予定でありましたが、それが一六%の場合は一億三千四百万トン、二〇%の場合は一億二千八百万トンということでありまして、この下期六カ月間に一億二千八百万トン程度輸入になるだろう、こう見通しております。そうなりますと、国民経済に対する影響はかなりきびしく出てまいりまして、石油削減に伴う生産活動の萎縮、縮小、そういう面から、ほっておきますと物価騰貴を誘発する危険性がございます。そういう意味において、総需要削減を思い切ってやって、石油供給量に見合う物資の生産量、それに見合う資金量という方向国民経済を至急変える必要がありまして、いまその作業を実行中でございます。  政府は、十一月十六日にそれらの諸般緊急対策をきめまして、まず第一に官庁みずからが自主削減をする、そういうところで、エレベーター自動車以下二〇%の削減をまず実行いたしました。それから二十日に、国民の皆さまにも御協力願おうというので、同じくエレベーターその他の節約をお願いし、ネオンサインの自粛等もお願いをしたわけでございます。それと同時に、大産業十一種、石油を消費する産業に対しまして電力供給カット一〇%ということをそれ以降開始いたしまして、それは実行中でございます。そのほか、中小企業関係につきましては、できるだけ御協力くださいということで、これは自発的御協力をお願いして今日まで至っておるわけでございます。  しかし、行政指導によりまして、その間に灯油並びにプロパンガスにつきまして指導価格をきめました。灯油については、裸店頭で三百八十円、十八リッター、それからプロパンにつきましては十キロ最高値段千三百円、ただし北海道は千五百円ということでこれを凍結して、来年三月まではこれでもたせるように行政指導しておるところでございます。そういうような努力をいたしましたが、やはり石油の将来を見ますと、ある程度強制力を持たした権限政府に持たしていただきまして諸般政策を有効に完遂する必要があるというので、本法案の提出、御審議を願うという次第になったわけでございます。  それで、来年三月までの国民経済全般並びに来年一年間の国民経済全般を俯瞰いたしますと、通産省の試算におきましては、大体下期の経済成長はほとんどゼロ近くになるだろう。それで年間平均いたしますと、約六%程度にならされる。それから来年度の石油の入荷がどの程度見込まれるか、これは来年度予算編成の基礎であり、来年度経済のスケールをきめる基本でございますが、来年度予算編成は、やはり石油のほうから始めまして大体二億六千五百万トンから二億七千万トンの間という考えに立ちまして、来年度経済成長率は約二・五%前後ということで経済計画を始めたところであります。それで、その後の情勢等OAPEC情勢等にかかるわけでありますが、ここで中期並びに長期石油政策及び燃料政策について検討を加えなければならぬ段階であるだろうと思います。その方向は、やはり石油を偏食して肥満児になった日本経済というものをここで反省、点検いたしまして、石油のみにたよらない、水力であるとか、石炭であるとか、原子力であるとか、地熱であるとか、太陽熱であるとか、あるいは水を水素と酸素に還元するという研究であるとか、そういう方面にエネルギー源を質的に転化する、量的にもまた徐々に転換していく、そうして日本経済を諸資源、諸エネルギー型の知識集約型にこの機会に強力に転換さしていかなければならぬと考えております。  そういう意味におきましては、社会経済発展計画の内容は、長期的には私は合っていると思いますけれども、短期的にはこれは企画庁とも相談をしてもう一回点検する必要があるように思います。それで、来年かりに、和平が下半期にできまして経済が次第に正常化するにしても、この後遺症をなおすためにはやはり二年以上の時間がかかると思いますし、石油供給はやはり高値で、ある程度供給が直ちに復活するというようなことはむずかしい状態で、窮屈で、ある程度の高値の状態がしばらくは続く。そういうことも考え国民経済運営考えなければならぬ、そのように考えております。  その間にあって、第五次石炭政策の答申がございましたが、それに対して、七日に中間答申をさらにいただきまして、石炭政策を見直せという貴重な勧告をいただきましたので、その線に沿って石炭政策に関する見直しを実行してまいりたいと思っております。  なお、新しいエネルギー源の開発利用等についても、来年度予算をかなり画期的に取りまして推進してまいりたいと思うところでございます。
  12. 阿具根登

    ○阿具根登君 私は、大臣ね、いまの説明もわかりますけれども、たとえばサウジアラビアの石油相は、太陽熱がエネルギーとして使われる時代までは毎年油の値段は上がりますよと、こういうことをはっきり言っておるわけです。そういう状態で、いま大臣に聞いてみると、動乱が終わったら石油の値段が安定する、下がるんだと、こういうような甘い考えだから長期的な構想が立たないと思うんです。じゃ太陽熱、地熱は一体何十年後になるのか、原子力は一体どうなるのか、石炭でやるならば一体どうするのか、こういう問題が段を置いてあるはずなんです。いまの場合はこうする、五年後にはこうなる、十年後にはこれだ、二十年後にはこうなるというような一つの構想が描かれておらなければならぬと思うんです。もう相手側じゃ、現に産油国では、当然油と競合するのは太陽熱だと、太陽熱がエネルギーとして使われるまでにはまだ二十年かかると、そう言っておられるわけなんです。その間は売り手市場だと、こういうことを言っておられるわけなんです。それを甘くあんまり考え過ぎておりはせぬかと、こう思いますし、まだいろいろ質問がありますけれども衆議院からせっかく二人お見えになって早う帰してくれということですから、せっかく修正してもらったやつに私はあまり喜んでおりませんので、ひとつ御質問申し上げたいと思うんです。  まず第一に、二十一条「第十条第四項の規定による命令に違反した者は、三年以下の懲役又は百万円以下の罰金に処する。」と、こうなっておるようです。これは修正されたんでしょう。そうすると、よその国の罰則はどうなっておるか。ひとつ御存じのところがあったら教えてもらいたいし、他の方が教えてくださってもけっこう。  それから、「石油需給調整審議会」、これが修正の一番大きな問題だと思うんですが、これはけっこうだと思いますよ、けっこうだと思いますけれども関係大臣が諮問しなかった場合はこれは何もできないのかどうか。大臣の諮問に応じてこれはやるようになっておる。関係大臣がもし諮問しなかった場合は、この調整審議会は一体何するのか。  それから、二十人以内の組織になっておるが、「学識経験を有する者及び一般消費者のうちから」大臣が任命する、これは形としてはそうだと思うんですけども大臣は一体どういう角度でこれを任命するのか。それは正式に、正式にといいますか、委員を出すのは一体どういう機関でどうして出すのか。大臣が、消費者代表はあんた、学識経験者はあんたと、かってにきめればそれでいいのか、それをひとつお伺いしたいと思います。  その次に、おおむね半年に一回国会に報告せよということになっておりますが、その根拠は何なのかですね。六カ月に一回報告さえすればいいのか。何かそうでない場合でも、たとえば一月でも二月でも今日のような状態の場合ではいつ報告するのか。六カ月に一回報告をすればいいのかどうか。その根拠、こいつをひとつ御説明願いたいと思います。
  13. 中村重光

    衆議院議員中村重光君) 罰則の点ですが、これは買いだめ防止法、この程度の罰則は適当であるという考え方の意味です。この国民の健康とか生命にとって重要な、重大な場合、これに対して単に売り渡し指示であるとか、あるいは指示に従わなかった場合は公表ということではなくて、三段階に命令という形をとりまして、その命令に応じなかった場合の罰則というようなものは、これは買いだめ防止法の罰則以上のものが好ましい。まあ、しかし、罰則の大体の標準というようなことからいたしまして、このようにしたのであります。  で、審議会の点でございますが、当所与野党合意をいたしました際は、配給であるとか、いや、配給はこれは言うまでもないんでありますが、割り当てと、そういった場合と、あるいは緊急時の認定といったような場合に、審議会をつくってその審議会にはかるものとするということであったわけです。法制局との作業の段階におきまして、従来の法制審議会の姿というものは、主務大臣の諮問に応じて、かようかようなものですね、先ほど申し上げました割り当てであるとか、その他重要事項であるとか、これを調査審議するというような形にすることのほうがいいのではないか。内容的には同じであるという理解の上に立っておりますから、例文としてはっきり割り当てであるとか、その他この法律運用に対する重要事項という形になっておりますから、当然それらの問題に対しては事前にこの審議会にはかるということがたてまえでなければならないと理解をいたしておりますので、大臣がこれはやりたくないからやらないというようなことであってはならないというように考えておりますから、そういうことで御理解をいただきたいと思います。  それから、審議会学識経験者であるとか、あるいは一般消費者という形の中からということになっておるのですが、私どもが与野党合意をいたしました際は、国民各階層を代表するもの、こういう形で合意をいたしました。いま申し上げましたように、この一般消費者学識経験者というものは、国民各階層を代表するというような、そういうものの中から審議委員は二十名ということにいたしておりますから選ばなければならない、そういうように考えておりますから御理解をいただきたいと思います。  以上でお答えいたします。
  14. 阿具根登

    ○阿具根登君 衆議院の法制局の方見えているでしょう。——新聞等で見れば、他国は相当強い罰則が出されておる、こう見ておるわけであります。どういうふうになっておるか、二、三カ国でいいですから、アメリカ、イギリス、フランス、イタリア等。
  15. 日下千章

    衆議院法制局参事(日下千章君) お答えいたします。  不勉強でございまして、ちょっと時間もございませんで、外国実行例はまだ調べておりません。
  16. 阿具根登

    ○阿具根登君 私も書類を持ってこなかったのですが、新聞で見ると五百万とか、百万とかそういうものじゃなくて、相当思い切った罰則が出ておるわけなんです。この罰則でも、いわゆる罰則が強いからいいと私言っておるわけじゃないんだけども、たとえば買いだめ売り惜しみ法だって、あの場合はまあ、自民党さんは二年間と二十万円ということだったんです。しかし、野党四党では三年間の五百万円ということだったはずなんです。そして、今度買いだめ売り惜しみ法案でも、また改正になるようですけれども、このできたのが半年前です。半年前にできた法律が全然使わずに、しかもあれだけ論争されておって、そして変えてくるなら、なぜこの罰則をもっと強くしなかったか、まあこう思うわけなんです。しかし、この問題はそれでやむを得ないでしょう。まあ、審議会についてはまだ私には異論があります。しかし、長官もお見えになっておりますし、長官は早う帰らないかんと。いろいろそれぞれの用があるようでございますから、これはしかたがございません。  それで、長官に今度は質問いたしますが、当初この石油需給適正化法案というのが通産省で計画されたときは、価格の決定も通産省がなさるのだったと思うんです。需給調整じゃなくて価格のほうも通産省がひとつきめるということであったと思うんですが、これが国民生活安定法にいったということは一体どういうことなのか。  それから長官に、ちょっと言い過ぎたならば許していただきたいと思うんですけどね、いままで非常にりっぱな方々がいわゆる経済のお目付役ということで長官になられたけれども、言うことは言うけども全然力がない。何かオブザーバー的な閣僚でおられるような気がしてしようがない。何かサゼッションをしてやるんだというようなことで、言うことは言われるけども、企画庁長官がこれを断固としてやるというようなことはほとんど聞かないし、お隣りの通産大臣とか大蔵大臣から何もかも押えられて何もできなかったじゃないかと、こういうような気がしてしようないからですね、どういう権限をいま持っておられるか、その点をはっきりしてもらいたいと、こう思いますのと、何といいますか、経済Gメンとでも申しますか、いま新聞で見れば二百八十名そこそこの監督官がおるんですね、物価高に対して各省から出ております。そうしてこれが新聞で見ても、まあそれだけの数のものわかっておるんですけども、せっかくそういうのをつくっておりながら全然動いておらない。こういうことは一体何なのか。さっきの審議委員とおんなじですけれども審議委員とすれば、第三者も入っておれば消費者代表も入っておられるから、これは新しい感覚でもあるし、これはけっこうだと思うんですが、お役人がこういうことをやられても私はしようがないと思うんです。こういうのこそ第三者委員会をつくったらどうか、こう思うのです。  それからですね、少し脱線するようですけども、もう一つは田中総理大臣が中央郵便局私書箱一号、国民の不満をここに持ってきてください、こういうことをやって、その不満を解消しますと、こういうことを言って、ある新聞では目安箱と言われていた。目安箱というのは軍兵衛というのが要るんです、ラジオドラマで見れば。役人さんにまかせたところが、その目安箱が何にもならなかった。入れるばかりで、役人さんが大企業とつながっているからどうにもならなかった。そこに軍兵衛という正義の士が出てきて、そうしてそれを退治したと。これがドラマの筋なんです。  いまの政府だってそうでしょう。大企業とべったりくっついておるから、中小企業が泣き、みんなが泣いているんですよ。大企業とついておらぬというならおらぬでもいい。そのことをはっきり言ってもらいたい。そういうときにそういうやつをつくるんなら、それを見るのはやっぱり第三者がやらないかぬと思うのです。政府は行政を行なっておるのです。それがよかったか悪かったか、市民の不満がどこにあるかというものはやっぱり第三者が目を通さなければ、国民は知らぬ間に、ただ四百も五百も投書しただけで何も結果的にはあらわれてこない。何かこういうひとつ思い切った変わったことをしなければ、いまのままでは私は国民も信用しないと思うんです。政府を信用してないんだから、田中内閣一七%支持ですから、だから、何かちょっとあれば爆発寸前に国民の気持ちはあると思うんです。  たとえば油の問題でも、通産大臣、あなたは確かに三百八十円でやられた、しかし三百八十円で売られておるか売られてないかと私は栃木、長野を調べてきました。抜け穴をうまく大臣がつくってあるんです、あれは。三百八十円のほかに輸送関係はこれは別です、御自由ですと、ちゃんと三百八十円で売らぬでいいようになっているんです。卸が二百二十三円になっていないんです。三百六円になっていないんです。だから一番困っておるのは小売りなんです。しかも需要者の話も聞いてまいりましたが、チケットで油を入れる、十一月入れたやつが十二月に請求がくるわけです。請求がきたやつは十二月の価格でくるわけなんです。油は十一月に使ったやつなんです。それからぽんと上がって十二月の価格で請求がくるから、これはひどいじゃないか、あなたのところから買ったのは十一月に買って十一月に私は運転したんだ、十二月の値段で何でわしが払わにゃいかぬかと、こう言えば、ごもっともですと、それじゃこれからよそで買ってください、私のところでは全部そうしてもらっていますよ、お気に入らなかったらどうぞよそで買ってくださいと、こうやると言うんです。だからますます弱い者がいじめられてくる。こういう実態はここにおられちゃわからない。だからそういうものを監視するまあ企画庁なら企画庁長官がおられるなら、何かそういう国民の不満をほんとうに調査する機関が必要じゃないかと、私はこう思うんですが、両大臣にひとつお考えをお示し願いたいと思います。
  17. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ちょっと申し上げますが、経済企画庁長官は本商工委員会に初めてでございますので、ちょっと前にごあいさつをいただきまして、それから御答弁願います。
  18. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 先ごろ経済企画庁長官に就任をいたしました内田でございます。どうぞよろしくお願いを申し上げます。ことに、今日、物価の問題が政府といたしましても最大の課題になっておりますので、微力でございますけれども、私はこの問題につきまして全力を傾けて取り組む所存でおりますので、何とぞ当委員会の皆さま方にもよろしく御協力、御鞭撻をお願いを申し上げます。  さて、阿具根さんから数点のお尋ねがございましたので、私から一応お答えを申し上げます。  石油関係二法ということで、石油需給適正化法と国民生活安定緊急措置法の二つが国会提案されましたが、石油適正化法のほうは、価格の問題が御指摘のとおり入っておりません。初めはそれに入れるかという考え方もあったわけでございますけれども、価格の問題は、石油だけじゃなしにすべての物資について今日問題になっておりまするし、それからまた価格の問題は、これはあとから物価特別委員会のほうでいろいろ御議論をいただくわけでありますけれども、いろいろ複雑な仕組みがございまして、たとえば標準価格でありますとか、あるいは次の段階では特定標準価格でありますとか、あるいは万やむを得ないような非常な事態が生じましたときには、今日静かにしておりますところの終戦後の法律であります、終戦後政令法律に直したわけでありますが、例の物価統制令、そういうものの援用までもできるような仕組みがございますので、そこでそういう価格対処の一環として、石油の価格につきましても適正化法からはずしまして、私のほうがお世話をいたしておりますいまの国民生活安定緊急措置法の中にほうり込んだ、こういうわけでございます。したがって、石油需給適正化法はその名前のとおり、さしあたって石油不足に対応する処置を主として規制をした、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。  次に、私ども経済企画庁の権限の問題でございますが、これも阿具根さん御承知のとおり、経済企画庁というのは、総理府の総理大臣の補佐役というたてまえで、国務大臣ではございますけれども経済企画庁長官とか、あるいは他に例がございますけれども、総理府の仕組みの中に置かれておるわけでございます。したがって、この権限特定権限だけに限られておるわけではございませんで、経済企画に関しましては総理大臣の内閣の統括的な立場を補佐するものと私は考えておりますので、就任早々ではございますが、私はそのような考え方から、通産省の行なう行政にも、また他の独立省の行なう行政にも総理大臣を補佐して関与してまいるつもりでございます。  たとえば具体的には、私のほうが一つ一つの価格をきめたり、物資の配給ルートを定めたりはいたしませんけれども、先般、異例と言われたようなこの物価の上昇に対応して、便乗値上げとかあるいは先取り価格的なものは、これはこの国民生活安定緊急措置法を運用して、標準価格などをつくる場合にも認めないんだというような経済企画庁談話を発表いたしまして、私の強い姿勢も発表いたしたり、また御案内の公共料金、国鉄料金とか、あるいは消費者米価、こういう諸料金を半年たな上げをするというようなことにつきましても、私は私の積極的な考え方を述べまして、そうして主導性を持ちまして今回のような処置をとったわけでございますので、それらの点も御理解をいただきまして、これはまあ、ぜひひとつ皆さま方からも御鞭撻の上力もかしていただきたいと存ずるものであります。  それから買い締め緊急措置法、この夏おつくりをいただいたあの法律に基づきますところの価格調査官、この数は御指摘のように二百数十名でございまして、今日ではその数が若干ふえておりますけれども、私はいまの事態において国民生活安定緊急措置法というものまで制定をお願いをして、そうして国が価格に関与をいたします以上、とうてい二百数十名の現在の価格調査官だけでやれるものではないと思います。したがって、今度の生活安定法に基づきますところの価格の監視の権限等は、国の機関ばかりでなしに、消費者に一番近いところの地方公共団体にもこの権限委任する、こういうことを法律の中に規定をいたしておりまして、その具体的運営につきましては、自治大臣とも現在打ち合わせをいたしております。事実また地方公共団体等におきまして、この価格問題を国の行政だけにまかせないで、自分たちが監視をしていきたいという非常に意欲的な盛り上がりも見えておりますので、これは国と公共団体と相まってこの方面を補強をしてまいる所存でございます。  それから、私書箱一号のお話がございましたが、これは中曽根通産大臣からお答えがあるかと思いますが、私たちが承知いたしておりますところによりましても、返事の出せるものは返事を出しておる。中には無記名のものなどがありまして、返事の出しようもないようなものもあるようでございますが、返事の出せるものは返事も出しておる。またそういうものが、私書箱にどういう国民の苦情が集まったかというようなことも分類をされまして、それらに対応しておるということを私どもは報告を受けております。また経済企画庁自身も、今度はわがほうから積極的に国民に対しまして物資の需給とかあるいは価格の状況どもでき得る限り情報を取りまとめて流すことがよかろうということで、文書によりまして物資需給速報のようなものを出してまいりました。  しかし、最近では特定の電話番号を全国一本でつくりまして、そうしてこれは経済企画庁付属の機関に国民生活センターというものがございますが、そこの仕事といたしまして、これは四四六の〇九九九という統一電話でありまして、それにかけますと、毎日いろんな違った情報が流れる。これは効果のほどは一〇〇%とは私は思いませんが、そういう努力もいたしておりまするし、ことに今度衆議院国民生活安定緊急措置法につきましても、そういう情報を流すことを特に督励されるような修正規定もお入れいただきましたので、それらの精神に沿いまして、テレビ等の瞬間的な通報の仕組みなども利用いたしまして、でき得る限り国がやることを、国だけでしまっておかないで、国民にも広く知っていただいて安心を願って、そしてこの混乱を未然に回避するような努力を続けてまいりたいと考えております。
  19. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私書箱一号につきましては、十一月二十七日、火曜日においては百六十五通、二十八日も百六十三通、二十九日が百十七通、それ以来百十通程度に下がりまして、十二月四日からは九十九通、あと六十二通、五十六通、五十通、五十六通、そういうふうに下がりまして、十二月十二日の水曜日になって百八、十三日が百四十、十四日が五十八、十五日が五十八、十七の月曜日が百三十六、これは日曜の分が入りますので大体倍になっておるようであります。それで内容は、当初は灯油、トイレットペーパー、合成洗剤等が多うございました。それから砂糖等農林物資が出てまいりました。最近はプロパンガス、タクシー、そういう問題が出てきております。で、これらは通産省で受け付けまして、これを各当該の省に回し、その当該省の課から直接返事をし、また処理をしております。この私書箱一号というのは、ことし、予算で初めてずうっとやってきておるもんでございますから、当該原局においてそれぞれ処理しております。しかし、内容の中には相当匿名のものが多いわけでございまして、匿名のものは出せません。  そのほかに価格モニターというものをやっておりまして、洗剤とかトイレットペーパーとかの価格を定期的に調べております。これは全国で三百人ばかりのモニターを置いて価格を調べ、また苦情を調べておるわけでございます。
  20. 阿具根登

    ○阿具根登君 私書箱一号を論争しようとは思っておりませんが、まあ事のついでに質問したんですけれども、あれは総理大臣が発表したときは、そのままその翌日は五百通からあったんです。その前はちょうど、いま発表されたように八十通から百通以下だったんですね。ところが、そういうやつでも、匿名なら無責任ということを言われるかもしれませんけれども、そういうことをやる方も非常に弱い方なんです。匿名でやらなければいかぬという場合が多いかもしれないんですね。  で、たとえば長官が言われました地方自治体にまでも監督を委任するんだという話、それでもけっこうなんですよ。しかし、それならばやはりその予算も要るし、人もふやさにゃならぬ。いまの人で兼務させれば仕事はできない。二百八十名の人も兼務しているから仕事ができないんだと新聞にはついておりました。私もそうだと思うんです。それ専門でいなかったと思うんです、いまはどうか知りませんよ。このトイレットペーパー騒動のときは専門でいなかった。それで自分の仕事を持ってさておいて、何かあったならこういうやつにやるということになっていたから、何も調査させておらないわけです、いまはそう言っておられるけれども。それで、そういうようにしゃにむにお役人さんじゃなかなかできぬような考え方が、おかしいんじゃないかと私は言うんです。どうせ自治体なら自治体にもつくるならば、何か委員会組織みたいなのをつくって、そうしてその人たちがやはり国民の苦情を見て回るとか、あるいは何かするというようなひとつ別個な立場にならないと、何かお役人さんでは間隔があるような気がしてならないんです。  それで、こういうときにこそ何か変わったことをやらねば、私は国民の不満というのがおさまらないと思うんです。だから信用金庫等のごときも、ちょっとしたことがぱっと火がついてしまう。私は正月過ぎてそして一月過ぎ、総評でいえば春闘といいますか、これは物価が上がってくる、賃金だというようになってきますと、たいへんなことになると思うんです。油が足らないから製品が少ない、値段が上がってくる、物価はますます上がるけれども、そういう状態で賃金とのアンバランスがどんどん出てくる。これは黙っておられぬ。私はえらい問題になると思うんですよ。いま政府考えているようななまやさしい問題じゃないと思うんです。だからこの際、まあ企画庁の長官なら、いまのあなたの立場はわかりますけれども、たとえば大石長官が出てきた場合は、一つの公害に対するまあ青空だというような感じを国民に与えたじゃありませんか。何かやろうと思えば思い切ったことをせねばいかないんです。大石さんが出てきたときみんな拍手したじゃありませんか。それもいままでの方は、やっぱりあなたがおっしゃるように、いや、おれは内閣の中の一員であって国務大臣であるけれどもという考え方があったわけなんです。そんならそれらしくやはり何か斬新な考え方を打ち出してそうしてやっていかねば、いままでのマンネリズムで、ただ役所仕事だけでやっていこうと思えば私は国民はついてこない、こう思うわけです。これは私の意見として申し上げておきます。  それから、通産大臣にお尋ねいたしますがね、先ほどから申しておりますように、わが国の海外の石油の依存度は九九・七%だと、こういうことになっておりますが、それでは一体よその国はどうなっておるのか。たくさん要りませんから、アメリカと英国と西ドイツぐらい、外国の油の依存度の率はどのくらいかお教え下さい。
  21. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 石油の海外依存度につきましては、日本が御指摘のとおり九九・七%でございますが、アメリカが二九・七%、イギリスが九九・九%、フランスが九八・四%、西独が九四・八%、イタリアが九七・三%でございます。
  22. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうするとアメリカ以外は、大体日本と似たり寄ったりなんですね、大体似たり寄ったり。そうして、どういうふうな政策をいまやっておりますか。アメリカのことは知っております。アメリカ以外の国が日本と同じような姿になっておりますが、フランス、イギリスは中東に非常に好意的に見られておりますが、その他はどういうことになっておりますか。
  23. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) いま申し上げましたのは、石油だけに即した海外依存度でございますけれども、各国の一次エネルギーの構成を簡単に申し上げますと、石油日本が七三%ぐらいでございます。これに対しましてイギリスは約五割、フランスは六五%、西独が五六%、イタリアが日本より高くて七七ぐらいでございます。これはどういうことかと申し上げますと、石炭、天然ガスのウエートがそれぞれ日本よりも高い国が多いということでございまして、たとえば石炭で申し上げますと、イギリスは四三%くらいが石炭に依存いたしております。フランスは二五%ぐらい、西独が三八%ぐらいでございます。なお、天然ガスにつきましては、アメリカが非常にウエートが高くて、約三三%を天然ガスに依存いたしておるわけでございます。  こういうことでございますので、各国はほかのエネルギー源に相当依存度が高く、それぞれの所要の対策をやっておるのではないかと考えるわけでございますが、別途、石油につきましてもそれぞれフランス、イタリア、ドイツ、またイギリス等におきましても、開発部門におきます国家的な国策会社の設立等を進めておるわけでございます。
  24. 阿具根登

    ○阿具根登君 お伺いしますと、諸外国ではほとんど石炭エネルギーの半数以上になっておると、こういうことですね。その問題については、あとで通産大臣にじっくり御質問したいと思います。  そうすると日本は、通産大臣、今後油はいままでのとおり、石炭はいままで——油は九九・七%期待しながら外交をお進めになるんですか。それとも自主開発をやるのか。自主開発も三割やるということを言っておられたが、三割やるならどこをやるのか、どういう機構でやるのか。それとも自主開発はあきらめて他に転換されるのか、その点お尋ねをいたします。
  25. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 自主開発原油の取得状況は、昭和四十七年の結果では約九%でございます。これを三〇%程度に持っていけというのが石油審議会の答申でございましたが、その線に沿って今後も努力をいたしたいと思っております。しかし、急に間に合うわけではございませんから、やはり国内エネルギーの転換をある程度急ぐ必要がございます。それはやはり石炭を見直すとか、あるいは日本列島周辺の採掘を急ぐと。この間、常磐の沖でかなり大量のガスが噴出いたしましたが、日本列島の中でも、太平洋岸にガスが出るとはいままであまり考えておらなかったわけです。日本海沿岸には秋田や新潟の例がございますが、太平洋沿岸に出てくるということは、非常に驚異的なことでありまして、したがいましてやはり太平洋岸を沖繩の辺までかけて、できるだけ早期にこれを開発に乗り出していく。来年以降そういう点をさらに重点的にやっていこうと思いますし、そのほか水力発電につきましても、大体いま二千五百万キロぐらいの開発余力があるようであります。これらをできるだけ現実化いたしまして、水力というものも見直していく。そういうように総合的に国内的なエネルギーの開発ということを来年度以降推進してまいりたいと思っております。
  26. 阿具根登

    ○阿具根登君 いま言われたことは、大体中期的な考え方だと私は思います。  それで、当初申し上げました質問に返りますが、長期中期、短期とこう考える場合に、短期、いまの場合どうするかという問題が一つ、それについて通産省は石油連盟と打ち合わせながら、最優先、優先、一般と三つに考えると、こういうことを言われておる。最優先にはどういうものを考えておられるか、優先にはどういうものを考えておられるか、一般にはどういうものを考えておられるか、それをお聞きいたします。
  27. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 現時点におきまして、その優先の分類をどうするかということはきまっておらないわけでございます。御提案申し上げております本法のたとえば第十条でございますが、「一般消費者中小企業者及び農林漁業者並びに鉄道事業、通信事業、医療事業その他の公益性の強い事業」、これにつきましては特別あっせんの指導を行なうようになっておりますが、ここに例示されておりますような業種につきましては、当然に最優先でものを考えるのが妥当だと私は思っておるわけでございますが、そのほかのものをどういう取り扱いにいたすかということにつきましては、法律もまだ通っておりません。まだ行政指導の段階であるせいもございますけれども、現在、関係各省といろいろと検討している段階でございまして、最終的には内閣全体の責任において、これを何らかのかっこうできめざるを得ないと思うわけでございますが、特に農林漁業関係につきましては農林省と、それから公共交通機関関係につきましては運輸省、これは漁船も含めてでございますが、十二月の——どう十二月をやっていくかということにつきまして、ほぼ成案を得ております。具体的な成案も得ている段階でございますので、この辺につきましては、一月以降につきましても相当煮詰まった、その部門間のまたバランス等も行ない得ると思うわけでございますが、その他の関係各省とは、現在日夜検討を進めておる段階でございまして、石油連盟の、これは私のほうに何にも言ってきておりませんけれども、三分類にするとかいうようなことにつきましては、まだそういう意味におきまして決定をいたしておるわけではございません。
  28. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 衆議院におきまして第三条が修正されまして、第三条として、「この法律規定する措置を講ずるに当たつては、一般消費者中小企業者及び農林漁業者並びに公益事業、通信事業、教育事業、医療事業、社会福祉事業、言論及び出版に関連する事業その他の国民生活の円滑な運営に重大な影響を及ぼす事業及び活動に対して優先的に確保」せよ、こういう修正が加えられまして、この線に沿ってわれわれはやらなければならぬと思います。それにつきましては、とりあえず、中小企業関係、それから農林漁業関係、それから運輸関係、それから厚生関係、これらにつきましては、各省との間で政務次官同士で話し合いをいたしまして、十二月分の割り当ての話し合いができて、それをいま実行しておるわけであります。  ただ、この問題は、この原則に基づいて、各省整合してやらなければなりません。それで各省に大もとの割り当てをやりまして、その内部のことは各省にまかしてやっておるのが現状でございます。各省もこの順でやっておるわけであります。そこで、どの業種に具体的にどういうふうな優先順位を与えるかということは、いま、各省間で相談をしておりまして、一覧表みたいなものをいまつくろうという努力をしておるところでございます。
  29. 阿具根登

    ○阿具根登君 私どもが知る範囲内では、最優先は五%、優先が一〇%、一般が二〇%削減、その線で調整されておる、こういうふうに聞いておるわけなんです。  端的に伺いますが、自衛隊が使っておる油はどれに入りますか。
  30. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 自衛隊関係につきましては、われわれ一般の官庁と同じように、官庁に対する削減と全く同率でもってこれを取り扱う旨につきましては、先般の十一月十六日の閣議決定の際にも確認されておるわけでございます。
  31. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、一般官庁同様に二〇%削減、ところが、二〇%削減というのは、もう来年に入ったらこれは当然のことだと、こうなっておるわけなんです。ほとんどが——電力だって昼間二時間か三時間休電すると、ここまでやられておるわけなんです。そうしますと、一番生産じゃない——直接いま、いまの問題を言っておるわけなんですよ、長期中期のことを言っているわけじゃないんです。いまの問題はどうですかということを言っているわけです。そうすると、一番生産に、一番国民の生活に関係の遠いものをまず犠牲にしなきゃならぬと私は思うんです。そうして計画がだんだんだんだん乗ってきて、これをまた徐々に復活さしていかれるのはけっこうだけれども、この正月過ぎにはたいへんな事態になると思うから、私はこういうことを言っておるわけなんです。一番生産に遠い——一番生活に遠いというのは何かと言ったら、いまの場合自衛隊だと思うんですよ。いま日本がどこから攻められるか、いまこの訓練しておかなきゃならぬという理由はどこにあるか。この差し迫ったときですよ、このときに一般官庁並みと、これでは私は五%が一〇%になり、一五%削らなきゃならぬようになってくると思うんです。だからここでは思い切って、私は何回も言いますように、直接国民の生活と離れておる、そういうところはこの際ひとつ遠慮してもらう、思い切り削減する。それもやる、これもやってしまって、どうしても足らぬから、国民の皆さんに電気もとめますよ、節約をしてくださいというのはわかるけれども、ちゃんと五%、一〇%、二〇%と線を引かれておって、そして自衛隊は二〇%と、こうなっておるわけなんです。そうしたら国民はついてこないし、私はそれじゃあ実際いま計画されておるのがまた修正せにゃならぬような事態になってくると思うんです。防衛庁長官おられぬからしようがないんですけれども、あなたは通産大臣の前に防衛庁長官もやられたんです。  それからもう一つお伺いしておきますが、いま地方に行けば、これは農産物にしたところで、機械類にしたところで、紙にしたところで片道切符だというわけです。トラックで持っていくのは持っていけるけれども、帰りの油がないんだというわけです。だからどうしようもない。タンクでも積んでいけばいいけれども、そういうことはできない。だから、足らないからしかたないんで、それを細々と使っておるけれども、片道行ったら帰りの油がない。帰りの油を何とかしてくださらぬかと、これも運輸大臣に聞こうと思って要求したんだけれども、運輸大臣が何か衆議院でつかまって来られない。一時間も三十分も言わぬから、五分でいいから来てくれと言うけれども、なかなか来られないようです。で、これもどうせ通産大臣と話し合いの上できめられることだと思うんです。こういう差し迫った問題は、やっぱり国民に明らかにしてやらなければ不安がだんだん高じてくる、正月が目の前にくると、こういう状態になってくると思うんです。それでいまの問題として、永久にじゃない、いまの問題です。いまどこを一番しんぼうしてもらうか、どこにどうする、そしてひとつ正月を乗り切ろうじゃありませんか、三月までいこうじゃありませんか、そうすればこういう見通しがありますと、こういうやつを示してもらわなければ、新聞見てみなさい、朝から晩まで石油問題で、もうほんとうにいやこれはたいへんなことになるぞということを国民みな知ってるんです。いかがでしょうか。
  32. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 自衛隊につきましては、阿具根委員と少し私見解を異にしております。やはり自衛隊は今日においてもそう不要なものであるとは思いません。やはり国の安全保障を分担してもらっておる重要な機能を果たしておるところで、もう潜在的な力というものはある程度抑止力としていつでも働いておるので、その点をわれわれは看過することはできないと思います。しかし、自衛隊も国民あっての自衛隊でありますから、国民が苦労しているときには自衛隊もそれ相応の、あるいはそれ以上の苦労もしてもらわなければならぬと思っております。しかし、たとえばスクランブルのようなものとか、あるいは艦艇の操艦、そういうようなものはやっぱり勘が鈍るといままでの能力が非常に落ちます。われわれが自動車の運転して、二カ月もハンドル握らないと勘が非常に鈍ると同じように、操縦員のようなものは年じゅう操縦桿を握ってやってないというと非常に感度が落ちます。そういうような面もありまして、そういう部面につきましては、やはりやってもらわなきゃならぬと思っております。  たとえばスクランブルのような緊急発進のような場合は特にそういうもので、それは単に領空侵犯の飛行機が来たから飛び出すというだけじゃなく、その訓練もして練度を落とさないで置いておいてもらうということも必要であると思うんです。そういうようなこれに類するような部面は必要でありますけれども、演習とかそのほかの一般教育用等のもので引き延ばしが可能なもの等につきましては、これはこの時期には少し削減協力してもらって、一般官庁並み、あるいは情勢によっては一般官庁以上にも協力してもらう、そういう考え方で進めようと思いまして、山中長官もそういう精神に沿って演習とか移動とかそういうものについては、トラックにせよ、戦車にせよ、かなりきびしい削減をやらしておりまして、御期待にこたえておるところでございます。
  33. 阿具根登

    ○阿具根登君 いまの問題、まあ極端から極端に論じてはまずいと思うんですよ。しかし、一般だといえば二割削減なんです、いま言われておるのは。石油連盟と話されておるんですから、通産省が。発表になっているんですから。それならいわゆるスクランブルならスクランブルは、これはひとつやっておかにゃいかぬと、まあこういうふうになる。しかし、一般が二割だから自衛隊も二割だという感覚がおかしいじゃないかと私は言っておるんです。たとえ一般は二割、自衛隊は、まああまり戦争の問題は論争したくないんですけれども、あなたも海軍の兵隊、私も海軍の兵隊です、昔は。あなたは将校、私は兵。そのときも油のないときの訓練をいかにしたかということなんですよ。油のうんとあるときにそのとおりの訓練をして曲ったって何にもならないんです。日本に油がないんです。考え方が違うんです、あなたと私は。  あなたはそういうような地位におられたかもしれないけれども、私はたまの下を走って回ったんです。あなたと私の考え方は違う。戦争観が違うんです。  こういうときこそ、ほんとうにあなた方が自衛隊がかりに訓練しなければならぬというなら、油が非常に少なくなったらどうするのだという訓練こそあなた方はやるべきなんです。私があなた方の立場で自衛隊が必要だという考え方を持っておるなら、私はそれでやりますよ。かえって逆にいい訓練ができるじゃありませんか。そして国民の皆さんには、自衛隊の油は半分にしてしまったと、あるいは六割削りますということをやる一番いいあなた方のチャンスじゃありませんか。あなたが私と考え違うとおっしゃったけれども基本的にはまるきり違うけれども現実面でもあなたと私はそれだけ違うんです。いかがですか、あなたは。これはやっぱり一般官庁並みに二割だけじゃ、なけりゃいかぬと、こういう考え方ですか。
  34. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 基本的に自衛隊に対する認識は異なっているかもしれませんが、目前の処理については、私は阿具根さんと非常に近いと思います。でありまするから、緊急やむを得ないそういう部面、たとえばスクランブルのようなものについてはやはり練度を維持してもらうために油も供給しておくと、しかし、それ以外の演習であるとか教育であるとか、そういう部面についてはできるだけ切り詰めてもらうようにして、一般並みまたはそれ以上の削減考えてもらっておりますと、そういうことを申し上げているところであります。
  35. 阿具根登

    ○阿具根登君 一般並みまたはそれ以上のということで納得しろということらしいんですが、まあ、通産大臣はそうかもしれません。私は、一般並みよりももっとしんぼうしてもらったほうが、逆に国民から信頼されるんじゃないかと、こう思うんです。それは国民の方はほんとうにどうなるかわからぬと、何ぼ節約せい、節約せいとおっしゃっても、先ほど言いましたように、十一月の油と十二月の油というのは値段が倍違うんです。相当高い、五割以上違うんです。それをみんな知っておるのに、しんぼうせい、しんぼうせいと言ったって、しんぼうに限度がありますよ。  それから、時間がだいぶたったようですから石炭政策に入っていきますけれども、つい最近のアメリカの上下両院の委員会で、燃料対策がいま論議されておるんですがね。それによりますと、まあ将来は太陽熱、地熱だと、だけど、いま焦眉の問題としては石炭のガス化、液化だと、これはアメリカ日本と西ドイツの技術をお互いに交流していくならば必ずでき上がるし、アメリカから言わせるならば無尽蔵に近い千年の資源があると、だからこれを早急にやらねばならぬと、こういうことを言われておるわけです。そして外務大臣と中曽根通産大臣も、太陽、石炭ガス化などでは日米エネルギー開発で協力するということを言われておるわけなんです。しかし、アメリカの上下両院の委員会で言っておるのは、もっと積極的に直ちに始めなけりゃならぬ、こういうことを言われておるわけです。これに対してどういうふうなお考えをお持ちになっておるか。
  36. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 石炭の液化、ガス化についてアメリカ及び西ドイツ等と協力することについて私も賛成でありまして、推進していきたいと思っております。日本の技術につきまして私も調べてみましたら、やはりかなり進んでおる面がございます。日本の会社等で、九州にある、大牟田にあるコークス工場等におきましてかなり実験的に成功しております。ただ、問題が値段でございますけれども、そういう面についてはアメリカ、西ドイツとよく交流をして、お互いの足りないところや、あるいは気がつかなかったことを知り合って、一日も早く石油に代替できるようなエネルギー源を石炭ガス化、液化によって達成したいと思いまして、この点につきまして大いに努力したいと思います。来年度予算におきましても、工業技術院におきましてそれに対する予算をかなり取りたいと思っております。
  37. 阿具根登

    ○阿具根登君 石炭ガス化、液化についてのお考えはわかりますけれども、来年、予算はどれだけこの工業技術院の研究にお取りになるか。これは長官お答え願いたいと思うんです。  それからもう一つは、当然石炭を見直さねばならぬ、ガス化しなければならぬ、液化しなければならぬという時期になっておるけれども、いま日本の体制では二千万トンそこそこです。もう前のことを言いたくないですけれども、総理大臣がおられたらここで総理大臣に食ってかかりたいんです、ほんとうに。総理大臣と私と話したときは、二千五百万トンと二千万トンでずいぶん論争したんです。そして年間一千億からの金を使うならば、少なくとも幾つかの炭鉱をまだ残してくれ、せめて二千五百万トンから三千万トンへ持っていかなければならぬのだということをやったんだけれども、二千万トン以上ということになっておる。二千万トン以上ということは二千万トンを下らない。二千万トンを下らないということは二千万トンだと、こういうふうに変えられてしまったんです。そして二千万トン体制にしたから——もう、一ぺん閉山された炭鉱から炭は出てこないんです。  そうすると、石炭液化、ガス化はどんどん研究される、進まなければならぬ。先ほど発表がありましたように、五割以上、六割からの石炭を西ドイツは使っている。だから準備はちゃんとある。日本は二千万トンしかないんだから、五十一年度に二千二百五十万トンということを審議会では出されました。しかし、これまた石炭という日本にわざわざありながら、今度は外国石炭を当てにして液化をやらなければならぬ、ガス化をやらなければいかぬ、こうなると思うんです。そういう外国を当てにして、もういまこりごりしているんでしょう。それへもってきて、石炭もまた外国を当てにしなければならぬというようなことじゃいかぬ。それなら石炭政策はどうあるか、どう石炭を出すか、これを考えなければならぬ、私はこう思うんですが、いかがですか。どういうふうな対策を考えておられるか。
  38. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 最初に、ガス化の問題につきまして御説明申し上げますと、いわゆるサンシャイン計画というのを来年度から発足させるということで、いま予算要求をいたしておるわけでございますが、この計画によりますと、一日四万立米クラスのガス化プラントを一九八〇年ごろに完成するという目標でございます。それから、引き続きましてガス化発電で二千万キロワットクラスのものを、それから四、五年後に日本に実現したいということでございまして、総計で石炭ガス化、液化の関係といたしましては千百七十億円ぐらいを長期的には想定いたしておるわけでございますけれども、その第一弾といたしまして、来年度は五億の予算を要求いたしておるわけでございます。  しかしながら、このガス化につきましても、そういう長期計画と並行して、緊急事態で、もっと具体的な諸外国にございます技術を実験的にもすぐ導入したらどうかということで、先般十二月七日の石炭鉱業審議会の中間答申の線に従いまして、ルルギ方式というのが現在ドイツにございまして、ドイツでこれが実用化されておりますので、それを緊急にひとつプラントを導入いたしまして、実際の実規模実地試験を来年度行ないたい、これを、三億八千万円程度の追加要求をただいま財政当局と折衝中でございます。これは石炭のガス化、液化でございますが、全般といたしましては、先ほど申し上げました十二月七日の石炭鉱業審議会の中間答申の線に沿いまして、まず既存混焼火力、これは現在四十九カ所ございますが、その利用率が大体六四、五%でございます。これを百万トンぐらいの国内炭を導入、追加いたすことによりまして、その利用率を向上いたしたい、こう思っておるのが一つでございます。  それから、新規に石炭火力発電所を特に電発の機能を活用いたしまして建設を促進いたしたい。これは北海道で計画が前から進んでおるわけでございますが、北海道庁、開発庁等の調整も早急に進めまして、北海道地区における新規、おそらく三十五万キロワットクラス、石炭所要量でございますと、年間八十五万トンぐらいの石炭所要につながる大型の新規石炭火力の建設を進めたいと思っておるわけでございます。  その他一般炭の輸入ということも必要ではないかと思っておるわけでございます。これは九州の、国内の非常に硫黄分の高い石炭が、なかなか公害対策で使われにくい状態になっておりますので、むしろこの際、国内業界に悪影響を及ぼさない前提のもとに、適切なる低サルファの石炭輸入を入れまして、これを混炭として使うことにいたしますと、高サルファの国内炭の活用にもつながる問題でございますので、これは早急にむしろ進めるべきであるという考え方で、いまよりより検討を進めておるわけでございます。  なお、企業の経営改善のための安定補給金の増額につきましては、大体四十三億円ぐらい追加要求をいま財政当局にいたしておりまして、ここで傾斜配分の実施等を行なうわけでございますが、これはひいては企業の安定に資すると同時に、労働者の条件の改善にも資する重大な問題だと思いますので、四十三億という相当の多額の追加要求をいたしておるわけでございます。  それから安全性の問題といたしまして、坑内の骨格構造整備拡充補助金、これを限度額をはずしまして、より整備した形でこの補助金の使用を行ないたいということで、これも約五億円の追加要求をいたしておるわけでございます。  その他一番大事でございます労働者確保の問題等がございますが、これにつきましては先ほどの安定補給金の活用、それから経営管理委員会の活用、それから安全性の向上の問題等を行ないますと同時に、来年度以降、鉄鋼、電力部門の引き取り単価の上昇につきまして、われわれとしては、本年度トン当たり五百円及び二百五十円ということでセットしたわけでございますが、来年度以降はこれをもっと強い形で、ナショナルインタレストという観点も含みまして、その単価の引き上げということにつきましても進めたいと思っておるわけでございます。  総じて申し上げますと、当初の予算要求に対しまして、現在約五十億円の追加補正要求ということを財政当局に出しておるわけでございます。
  39. 阿具根登

    ○阿具根登君 長官の話はわかりますが、北海道の火力発電所では、もうこんな問題が起こる前に中曽根通産大臣が約束されて、ずっと調査に入っておるのです。これは二千万トン体制の中の仕事なのです。だから、こんなになったから北海道に火力発電所をつくるということじゃないんです。二千万トン体制をどう維持するかという中の一環の仕事なのですね。それから、九州の硫黄の高い三池炭の二百万トンにつきましては、これはおっしゃるように外国炭でも入れてもらって、そして混炭しなければたけないと思うのです。これはけっこうだと思うのです。  しかし、これはまた電力問題に触れますけれども電力が一番石炭を使った当時は、二千万トン近い石炭を使ったわけなのです。そうして、私たちが石炭山をつぶせばたいへんなことになりますぞと言っているころ、九電あるいは中電、東電では、石炭は一トンも使わない、こういう発表をされたわけなのです。それでばたばたと石炭はつぶされていったわけなのです。じゃ、そういうことを言われる方は、今日のこの状態でどう思っておるか、それを食いとめて、そしていま石油の関税で、これだけ山をつぶしてきたんで、また残った山を維持してきたのです。そうすると、これから石炭が要るのだというようになるならば、たとえばその前の二千万トン体制のときも相当論議されました、九州に火力発電所を一つつくったらどうだいと。そのときも九州につくるというような意見は、中曽根通産大臣にも田中総理にもあったのです。田中さんも通産大臣のときにそれに手を染めたのです。しかし、九州電力が一トンも使わないというからできなかったわけなのです。そうすると、いま発電所が百万トン、二百万トンもう足らないと、くれといっているでしょう。そうするときになったら九州なら九州になぜつくらないか、ですね。  それから、石炭を一体どうこれから——答申のあったとおりに昭和五十一年で二千二百五十万トンで、そしてガス化、液化ができるかできないか。それじゃできっこないでしょう。できるとしたなら、やはりよその石炭を当てにしてつくるだけでしょう。それだったら、日本はいま至急に五千五百万トンなんてそんなことできっこありませんよ。しかし、何年計画でどのくらいの石炭が要るのだという計画ぐらい青写真に示さなければ、どこでその原料を持ってきますか。また外国の原料を当てにするのですか。だから、言っておることとやることと違うと私は言っておるのです。それはアメリカが、いま急にでもやらなければいけないと、日本の技術と西ドイツの技術とアメリカの技術とでやれば助かるんだということを言っておるわけなんです。それならそれに対する対応策を、さあやりましょうと、開発技術で提携します、協力しましょうと大臣は言っておられるけれども、そんならおまえのところは石炭は何があるかと言われたら、ないのですよ。だからそういう対策は持たずに、ただ口先だけで、資源が考えられていないのです。そしたらまた向こうの思うとおりじゃありませんか。だから、それなら日本には石炭は全くないのか——エネルギー庁長官、どのくらい石炭があるか発表してみてください。
  40. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 埋蔵量につきましては、いわゆる埋炭調査というのがあるわけでございますが、三十一年に調査をいたしましたときの埋炭調査によりますと、日本でいわゆる埋蔵量というのは二百億トンでございます。しかし、これはそのときにおきましても検討されましたわけでございますが、採掘可能、これは技術的問題と若干経済的な要素も入れまして計算しました採掘可能というものにつきましては、約六億トンということに相なっているわけでございます。  なお先般、先ほど申し忘れましたけれども、十二月七日の中間答申におきましては、従来若干不明確でございました最終年度の五十一年度の出炭規模二千万トンを下らざる数量というものにつきまして、御答申におきましてはこれを二千二百五十万トンにふやすべきであるという答申をいただいているわけでございます。  なお、しからば今後の出炭規模につきましてはどうかということでございますが、これは現在石炭鉱業をめぐるいろんな悪条件がございますが、これはわれわれだけでございませんで、関係者全員の努力でこれを改善し、かつ、石油価格は先ほど先生のお話のとおり、非常に高騰いたしてきているわけでございます。これは石炭石油のカロリー換算は大体石油石炭の二倍ということでございますが、その辺を加味いたしました場合に、石油価格の異常なる上昇というのは当然に石炭が有利な関係に相なるわけでございます。そういう客観情勢の好転等によりまして相当採掘の可能性の拡大も考えられるわけでございまして、この石炭鉱業審議会といたしましては現在も、今後石炭をどう位置づけて、どのくらいの採炭規模を国全体としてナショナルインタレストという観点も含めて保持すべきかということにつきましては引き続いて検討するということで、いまそういうかまえで検討を続けているわけでございまして、御指摘のとおりあらゆる面から見まして、やはりわれわれも従来の石油に著しい依存をしてきたということについては反省をせざるを得ないと思いますので、これを機会にもう一回御審議をいただいた線を尊重しまして石炭のほんとうの意味での定着ということについても努力申し上げたい、こう思うわけでございます。
  41. 阿具根登

    ○阿具根登君 それからもう一つですね。まあこれも来年に入ってからですが、一般電気も昼間三時間くらい停電させる。これによっては医療その他の特殊なところは配線を変えて、そして一般家庭の電力も切る。これは電気事業法十八条だといわれておりますが、十八条はどうなっているか、ひとつ読んでみてください。   〔委員長退席、理事佐田一郎君着席〕
  42. 岸田文武

    政府委員(岸田文武君) 電気は、その持っております公共的な使命に即しまして、その供給体制の万全を期するというのが本来の役目であるというふうに理解をいたしております。特に国民生活に与える影響については、私ども十分配慮しながら進めてまいりたいと思っております。現にやっております行政指導の段階におきましても、三千キロワット以上の大口需用家を対象に節電を呼びかけるということにいたしておりますし、また、一月以降についても現在検討中でございますが、油の削減状況によってその範囲はおそらく多少拡大をするということになろうかと思いますが、やはり大口需用家に対する節電の要請ないし規制ということを中心にしてやってまいりたいと思っているところでございます。  一般家庭に対する問題は、私どもとしても供給の万全を期するという考え方で今後まいりたいと思っておりますが、先般、大臣からお答えいたしましたのは、今後、油の状況というものが非常に心配される要素がある、そういったときに油の事情も勘案し、また国民生活影響も勘案してそういう可能性があるかないかと言われれば、ないとは言えないというような趣旨の御答弁であったと理解をいたしておるところでございます。その根拠いかんということでございますが、いま御引用になりました電気事業法第十八条に、電気事業者は、正当な理由がなくして供給を拒んではならないと書いてありますことが関係条文ではないかと思います。この正当な理由の解釈につきましては、たとえば電気施設が故障した場合、あるいは事故が起こった場合、地震が起こった場合、その他電気事業者が正常な経営努力を払って、なおかつ電気の供給を全うすることができなくなった場合というふうに一応伝統的に解釈をいたしております。この解釈の問題ではないかと思っております。
  43. 阿具根登

    ○阿具根登君 まあそれに異常渇水もあったと思いますがね。しかし、いままで政府をなじってきましたが、電気の責任者にも、当時われわれがいま政府に言ったと同じことを訴え続けてきたわけなんです。もしも油がこなかった場合に、あなた方は公共事業として国民に責任持てますかとやってきたわけなんです。それを、石炭は一トンも要らぬ、責任持つと言ってきたのが電気事業者じゃありませんか。そしていまさらになってから——それは経営努力が足らなかったということじゃない。経営努力は、これは足らなかったのですが、しかし、異常渇水とか、あるいは機械の故障だとか、あるいは天変地異だとか、そういう問題じゃないんで、人為なんです。その人たちが安易に流れたからこういうことになってきたんです。それでもただ国民にだけしわ寄せがくるだけですか。そういう見通しも持たなかった、油がなからねば電気を減らす、そういうことだったら私はだれでもできると思うのです。そういう見通しを立てて、国民に一日も一時間もなくてはならない電気だから、やはり次善の策、三善の策、相当赤字が出ても覚悟してやらにゃならぬ。国も相当めんどう見ておるはずです。独占企業です。それがかってに、天変地異でもなければ地変でもない、異常渇水でもない、油がこないからと、そういう見通しのないことで私はいいかと思うのです。その当時私たちはこれを言ってきたんだから言えるわけなんです。そういう人たちの責任は一体どうしてくれるのですか。国民にしわ寄せばかりして、電気がこないから消すというのならだれだってできますよ。だから私は、それは、今度の場合は十八条に入らないと思うのです。そういう点も十分考えてもらいたいと思います。  それから、運輸省の自動車局長見えておるようですから、さっきちょっと質問しましたけれども、地方を回れば製品はたくさんあるんです。農産物もあるのです。しかし、それを運んでいけば、帰りの油がないから車が帰られぬわけです。それだから今度は消費地に向かって、帰りの油をくれますかと言うけれども、向こうも油ないから、ありませんと、こう言うわけだから、わざわざあっても持っていけないんだというわけです。それで、そういう場合に、チケット制なんかにして、何か持っておけば向こうで自由に帰りの油も買えるような、何か方策を講じてやらなければ、わざわざある品物もはけない。物価は上がってくる。まして便乗というのが盛んに行なわれている。これは運輸省としてどういうお考えか、それをひとつお聞きしておきたいと思うんです。
  44. 中村大造

    政府委員中村大造君) お答え申し上げます。  先生御指摘のように、トラック用の軽油につきましては、全体の総量につきましては、いろいろ通産省あるいは石油業界の御協力で、現在のところは総量的には確保されておる状況でございます。ただ、御指摘のように、長距離トラック、あるいはバスあたりもそうでございますけれども、行った先で帰りの給油が不自由であるという事態が生じておることは事実でございまして、これにつきましては、たとえば事業者間でいろいろ融通し合うとか、その他、たとえば休日、夜間等につきましても、ある特定のスタンドにつきましてはこれを開設して、何か証明書を持っておる者については特に給油をしてもらうとか、そのような具体的な方策を現在事業者間で具体的に煮詰めておる段階でございます。それから、農林水産物資等、年末年始にかけていろいろ緊急を要する物資がございますけれども、これにつきましても農林省とも具体的な打ち合わせをいたしまして、先生御指摘のようなことが最小限度に食いとめられるようにいろいろ措置をしてまいりたいというふうに思っております。
  45. 阿具根登

    ○阿具根登君 その点特に正月前を控えてお願いしておきます。実際あるんですけれども、それがまだ——運輸省はそう考えておるけれども、今度は通産省との話し合いでうまくいかなかったとか、大蔵省との話し合いでうまくいかなかったとか、あまり話が長過ぎますよ。生産物は腐りますよ。正月はもう容赦なく来ますよ。だからもう、ひとつ思い切って証明書なら証明書を渡して、帰りの油はどこそこで仕入れてよろしいという対策を早急に立ててもらいたいと思います。  それから、労働省がお見えになっておりますので、かけ足でいきますけれども、まあそんな心配をするなとおっしゃられればそれまでですけれども、こういう状況が来て一番しわ寄せは労働者なんです。おそらく私は、いまのままでいったら年明けから帰休制度とか——いま帰休制度が一応言われております——あるいは合理化とか、あるいは閉鎖とかという問題が起きてきて、これは労働者が職場から追われていく、こう思わなければならないのです。それに対する対策は立てておるのかどうか。私の調査によれば、相当数の金額が、余っておるといえば語弊がありますけれども、失業対策その他で使えると、こう思っておるのですけれども、まあ、極端に申し上げると、会社が油不足のために、あるいは電力のダブルパンチを受けてそして倒産したという場合には、退職金もなくてほうり出されるわけなんです。この物価高で退職金もなくてほうり出された労働者は一体どうなるか。こういうことを考える場合、何か政府で対策を立てておかねばならぬ。まあ、労働省はしりぬぐいでまことに申しわけないのですけれども、しかし、やっぱり労働者のサービスセンターだからこれはやってもらわなければいかぬ。何かお考えがありましたらお聞きしておきたいと思います。
  46. 遠藤政夫

    政府委員(遠藤政夫君) 最近の石油危機、それから総需要抑制というような施策が進められてまいりますと、雇用の面にも今後相当の影響が出てくるだろうことは十分予測しておかなければならないと思っております。ただ最近の新聞等で、一時帰休とか操短、あるいは求人の手控えといったような情勢があるやに報道されておりますけれども、最近の雇用需要状況は、もう先生御承知のとおりでございます。まあ、何か労働力需給が非常に逼迫しておりまして求人は二・三倍というような状況でございます。こういったいろいろな施策影響が、いま直ちに雇用の面にすぐさま非常な危機的状態であらわれるとは私ども考えておりません。ただ、そうは申しましても、今後相当な影響が出ることは十分予測しながら私どもは十分な対策を考えてまいりたい、かように考えておりますが、一昨年のドル・ショックに伴います雇用の影響も、実は私ども当初予想していたほどではございませんでしたけれども、今回こういった措置が進行いたしますならば、それを相当上回るようなことも十分考えて対策を講じてまいる考えでおります。  で、いまお話しのように、一時帰休とか、あるいはさらにそれを上回って解雇、失業というような事態が発生いたしましたならば、現在の中高年特別措置法とか、失業保険法あるいは転換給付金制度、こういったものによりまして十分対応できるような体制をとっておるつもりでございます。  さらに、今度の通常国会に、失業保険法の抜本的改正を御提案申し上げる予定にいたして準備を進めております。この制度の中で、単に失業者に対する給付、再就職の促進ということだけではなく、積極的にそういった失業を事前に予防し得るような雇用調整策も含めて、新しい制度をつくり上げるつもりでおりますので、こういったことによりまして十分対処してまいる考えでおります。  なお、そういった施策で間に合わなくて、失業保険だけでということになりました場合には、現在の今年度の予算におきましても、約六百億の予備費を持っております。さらにそれを上回ります場合にも、十分な対策を講ずるだけの積み立て、その他の措置がございますので、私どもといたしましてはあらゆる方策を講じて万全の対策をとってまいる考えでおります。
  47. 阿具根登

    ○阿具根登君 最後に、中曽根通産大臣にお尋ねをいたします。  先ほど私は、油と電気のダブルパンチで倒産するということを申し上げたんですが、現在受けております陳情では、油で削減されて、それにまた電気で削減されるならば、私の工場やっていけません、こういうことで来ておるわけなんです。極端な例は、非鉄金属の鉱山の精錬ですね、精錬等は油はうんと減らされる、電力でまたやられたらもうこれはやっていけません、こういうことが強く陳情されておるわけなんです。これはここばかりじゃないと思うんです。そういう点はどうお考えになっておるか。やっぱり油でうんと押えたところは電力は少し援助するぞというような考え方があるのか、遠慮会釈もないんだ、やるんだという考えなのか、その点をお聞かせ願いたいと思います。
  48. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 従業員の雇用問題に響くようでは重大でございますから、いまのような場合はケース・バイ・ケースで操業を維持できるようにわれわれも具体的な問題について指示していきたいと思っております。いま、お説のように両方が一緒にくるという場合にはかなり苦難におちいるものも出てくるかもしれません。その点につきましてはよく注意してやりたいと思います。
  49. 阿具根登

    ○阿具根登君 時間がないのでこれでやめなきゃいかぬのですが、またちょっと一番最初に返るようなんで、外務省が見えなかったから私は質問しなかったんですけれども、いま見えたようですから……。ちょっと長くなるから打ち切りますけれども、中曽根通産大臣衆議院で、いわゆるメジャーはアメリカ一辺倒じゃないんだ、アメリカじゃないんだ、アラブ側だ、こういうことをおっしゃったんですが、外務省のほうはどうお考えになっておりますか。
  50. 宮崎弘道

    政府委員(宮崎弘道君) メジャーはもちろん本拠をアメリカないしイギリス等に置いておるわけでございますし、他方、実際の石油の生産はアラブ諸国を含めて石油産出国で行なっておるわけでございます。したがいまして、一方におきましては、本拠にあります政府ないし世論の影響も受けますし、他方、アラブ諸国とも非常に連絡を密にしてやっておるということは事実であろうと考えております。
  51. 阿具根登

    ○阿具根登君 そうすると、いままでの政策というものは、アメリカにあまり遠慮してきたということになるわけですね。何かアラブ寄りになればメジャーからたたかれるということが盛んに言われてきた。ところが、今日になってみると、何もメジャーはアメリカじゃないんだ、アラブ寄りだ、どうせアラブ石油を買っているんだからアラブの言うことを聞かなくちゃならないんだ、こういうことになってきたら、もっと積極的にやってもらっていいんじゃないか。確かに、中曽根通産大臣が先国会国会中に中近東に行かれるときに、私も相談を受けましたよ。これはりっぱなことだと思って賛成申し上げて、行かれたのはりっぱだったと思うんです。しかし、今日、いま三木さんも行っておられるけれども、きょうの現地の解説でも見てみると、確かに二億八千万ドルから出してスエズ運河の改修にやるんだというようなことを言っておられたので、非常に好意を持っておるということでありましたけれども、利子が二%だということで、安いから得々としておるけれども、利子の二%というのは、もう英国だってどこだってやっている通常のことだと、日本だけが特に二%にしたと言って、これでこと足りるのだと思っておったら、向こうはそう喜びはしないですよと、こういうことを言っておったのですね。何かアメリカに遠慮され遠慮されてやっておられるような気がするからいまちょっと取り上げたのですけど、どうです、中曽根通産大臣、遠慮なしにばりばりやりますか。
  52. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 外交関係は、非常に周到な注意をしてやらないといけないと思いますが、私は、過般現地へ参りまして、メジャーの関係も見まして、メジャーはちょっとシャムの双生児みたいなところがあって、片方はロンドンやニューヨークに本社を持っておりますから、その国の政府及びその国の外交政策というものを顧慮する必要がある。ところが、片っ方はアラビアに工場を持っておるもんですから、現地の政府ないしは王さまと仲よくしていかなければ事実上やっていけない。それで一番おそれていることは、国有化が進行するということだろうと私は思うのです。そういう点で、リビアでも紛争が起きておるところでございますけれども、こういうふうに石油削減されてくる状態になりますと、メジャーとしても石油の量が減って収益が減るということは、株主に対して非常に大きな影響を持つところで、アメリカのメジャーはすでに十月か十一月ごろには株主に手紙を送って、そうして窮状を訴えておるのです。  私はその意味は、やはり現地のアラブの国の立場も考えなければならぬのだという意味のことを言外に言っているんではないかと思うのです。そういう情勢を見ますと、メジャーズの立場とアメリカ政府の立場とは若干違ったところがあります。アメリカ政府は、イスラエルを助けるという上院を中心にする議会の相当な影響を受けております。しかし、メジャーを見てみると、八大メジャーの中でユダヤ人がいるというのは、重役に二人しかいないようです。その人たちも技術屋さんや何かで、シオニズムとは全然関係のない人で、非常に注意を払っておるのであります。  そういうような情勢ですから、いままでややもすれば、日本の神話で、日本はメジャーとイスラエルの中間にいくと、中立だと、そう言っておりますけれども、むしろそういうもんじゃなくって、日本政府との関係で中立、中間にいるんじゃないか、メジャーはむしろアラブ寄りじゃないか、そういう感じが私しておるのです。メジャーとけんかしたり、外国政府と事をかまえるということは外交上これはうまくありませんから、国際関係は実に周到に理解を得つつやる必要がありますけれども、いままで日本にあったそういう神話は国民を誤って導く危険性があります。でありますから、私はあえてそういうことを申し上げたので、だといって、アメリカやイギリスの政府を無視したり連絡を不十分にしていいというわけではございません。ただ、冷厳な事実の認識だけは正確に持っておく必要がある、そういうように思っておるのであります。  私がそういうことを申し上げますのは、メジャーズの中でも、われわれが中近東の声明を出す前に、私のところに来る人がありまして、それは大体外国の人で、それでそれらの会社の顧問や何かをやっておる前外交官その他で天下った人が多いわけです。そういう人たちが私のところに参りまして、日本は何でもっとアラブ寄りにならぬのかということを私に言ってきたのがおります。——————————一がいにメジャーと言っても、内部は非常に複雑で、現地に工場を持っておる人たちは、やはり工場を維持していくと、産油量を一滴でも多くして会社経営を維持していくという点に問題の焦点があると、そういうふうに思いまして、認識を正確にしてもらおうと思ってああいう発言をしたのであります。
  53. 阿具根登

    ○阿具根登君 以上で終わります。
  54. 佐田一郎

    ○理事(佐田一郎君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  55. 佐田一郎

    ○理事(佐田一郎君) 速記をつけてください。午前の質疑はこの程度とし、午後一時まで休憩いたします。    午後零時二十二分休憩      —————・—————    午後一時二十二分開会
  56. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) ただいまから商工委員会を再開いたします。  午前に引き続き石油需給適正化法案を議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  57. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 内田経企庁長官がお忙しいようでありますから、お先にお伺いします。  石油不足、物不足で、石油をはじめ生活関連物資は、あちらこちら一部買い占め・売り惜しみと思われるような現象も出ておるわけでありますが、そこで先般の国会におきまして買い占め防止法案が成立をしたわけですが、きょうは、将来この法律が発動されるようなことがあるやもわかりませんので、確認の意味でお伺いをしたいと思います。  私がお伺いしたいのは、この法律の内容の、生活関連物資の価格が異常に上昇しまたは上昇するおそれがある場合、特定商品の買い占め・売り惜しみが行なわれまたは行なわれるおそれがある場合、政令で指定された当該物資についてその価格の動向及び需給状況に関して必要な立ち入り調査をし、生産・輸入販売業者が買い占め・売り惜しみによってその物資を多量に保有していると認めたときには、政令の定める基準に従って売り渡し価格を指定して、期限を定めて、その全部または一部の売り渡しを勧告することができる、こういうような内容でありますが、そこで、これは前も議論になっておったんですが、あらためて私はお伺いしたいんですが、この買い占め・売り惜しみというのはどういうような場合をさしているのか、それが今日まで一回もまだ発動されていないと思いますが、それで私は聞いている。この特定物資の中には十五品目がありまして、すでに灯油もこの中に指定をされているわけです。ところが灯油なんかの、これは買い占めになるかどうかわかりませんが、新聞情報等によりますと、ドラムかんでかなりの量を野積みにしであったり、一部隠匿をしてあって出さないというような現象も出ておる。それを消防法の適用によって警察、消防庁が取り締まっておるような現状ですが、ですからこの法律の買い占め・売り惜しみの判断によってこれを発動する場合、どういうような状態の場合をさすのか、あらためて私はお伺いしたいと思います。
  58. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) この売り惜しみ防止法は七月に御制定をいただきましたが、その当時は、まだ石油関係の物品はここでいう特定品目になっておらなかったようでございます。御承知のように、大豆とか、あるいは木材とか、あるいは一部の繊維のようなものを主として指定をされておったようでございますが、その後問題が油のほうにもだんだん移ってまいりましたので、油についても今日では追加指定がされまして、いまお話の灯油揮発油、軽油、A重油、それに液化石油ガスというようなものが九月から先月の十一月二十二日までの間に追加指定をされておるわけでございます。  この法律の発動につきましては、これは立ち入り検査までいたして、そうして物価が高騰する中で多量な物資を買い占めて、しかも、需要があるにもかかわらず、売り惜しんでいるというような事態のもとにおきましては、それの売り渡しを勧告するというようなこと、これが今日の法律では最終的の手段でございますけれども、しかし、この法律は、必ずしもいま申すことだけが目的ではございませんで、第三条の規定がございまして、ここに指定されたような物資については、常に価格の動向とか、あるいはその需給状況を調査、監視をするということが一つの大きな目標になっておりまして、私が経済企画庁長官に就任して以来、直ちに調べましたところによりましても、売り渡しを勧告したというような事件はまだ一件もないが、しかし、価格調査官に任命された諸君は、常にこれらの物資につきまして、いま申しますような価格動向や、あるいは需給状況を常に調査をし、その推移を見守って、そしてその具体的な行政上の指導をしておるんだ、その間、灯油につきましては、いまお話がございましたような消防法違反事件とも関連して、一件だけ立ち入り検査が通産省の価格調査官によって行なわれたというようなことを聞いておるわけでございます。  今度、御承知のように、この買い占め規制法は、私どもが御審議を新しくお願いをいたしております国民生活安定緊急措置法案の附則をもって強化のための改正をいたすことになっておるわけでございますが、それは物資の指定範囲を生活関連物資のみならず国民経済上の重要な資材まで広げたり、あるいはまた、売り惜しみ等の事態現実にあった場合には、単にその売り渡しの勧告をするだけでなしに、その売り渡しの勧告にも従わない場合には売り渡しの命令を主務大臣から発する、命令に従わない場合には体刑まで含む罰則が適用になるというふうに強化をいたしたり、また、問題は、取り締まりの陣容と申しますか、権限でございますが、従来の法律のままですと、価格調査官に任命をされたわずか何百人の者だけが監視なり、あるいは必要な場合の立ち入りに当たることになっておりますが、さような事態ではないという認識のもとに、これらの買い占め規制法による法律上の権限を地方公共団体にまで委任をして、そして実態に即するような監視や干渉をいたすと、こういう改正を含んでおることはすでに御承知のとおりでございます。
  59. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、私が聞きたいのは、この法の一番焦点である買い占め・売り惜しみによってその「物資を多量に保有していると認めるとき」ですから、ここのところの解釈をお伺いしたいわけですよ。これがはっきりしなければ、先ほど申し上げましたように、これは取り締まり当局も困るわけですからね、この辺のところを……。
  60. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 「多量」ということの具体的な、たとえば数字で申し上げられるような基準というものは定めておりませんが、当該物資について通常の必要とされる在庫等から見まして著しく多量に保有をしておると、これは物資ごとに大体の状況は観念されるかと思いますが、そういった物資ごとに即して判断をしてまいりたいということでございます。
  61. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いまの解釈は、私が申し上げました「多量に保有している」と、この「多量」の上にあなたの答弁は著しくの字句がついただけの答弁でして、この著しく多量という意味、それから著しく多量と判断する、これはだれが判断するんですか。
  62. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 現在の買い占め等防止法におきましては、主務大臣が判断をいたします。
  63. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、この著しく多量というところがある程度具体的に何か基準を示さないと判断のしようがないですよ。もうすでに法案も成立して半年ぐらいたっているわけですからね。
  64. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 私が先ほど著しくと申し上げましたのは、当該販売を行なっております業者の通常の在庫あるいは販売数量等から見て、著しく多い在庫を保有しておるというようなときに「多量」ということに該当するんではないかということで申し上げた次第でございます。
  65. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あなたの答弁では、私どもも非常にこれは判断に困るわけなんですね。これがまあ法律はできましたけれども、ざる法じゃないかと、こういうふうに言われておるわけですが、この点をもう少しあなた方は詰めないと……。こういうような石油不足、物不足の時代にこういうものが役に立つわけですよね。これも伝家の宝刀で刀を抜かぬでしまっておくのか知りませんが、現にいろんな問題出ているんですからね、LPガスにしても灯油にしても。ですから、この辺はもう少しあなた方が詰めないというと、この法律をつくった意味がないですよ。
  66. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 先ほど申し上げましたように、適正な在庫というものは、まあ物資によって若干違うかと思いますけれども、たとえば、ある物資について通常の適正な在庫が一カ月分というようなことであります場合に、それをかなり上回っておるというような場合には「多量に」ということに該当すると思います。  それからもう一つ、この第四条の要件で、これは「多量に」という要件のほかに「買占め又は売惜しみ」と、こういうことがもう一つの要件にかぶっておりますので、ある業者が買い占めをしておる、売り惜しみをしておるというようなことが販売の相手方等からも言われてまいりますし、そういった場合にその業者は普通の在庫から見て多量に保有しておる、こういうふうにこの条項を発動したい、かように考えておる次第でございます。
  67. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 その判断は主務大臣がきめるとおっしゃっておるわけですね。そうした場合に、灯油なんかがそういう状態が起こった場合には、これは通産大臣ですか。
  68. 有松晃

    政府委員(有松晃君) これは当該物資の主務大臣でございますが、主務大臣のみならず、内閣総理大臣及び主務大臣ということになっておりまして、経済企画庁におきましても通産省と相互に協議をして判断を下すという場合も当然あろうかと思います。
  69. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、灯油のような場合、これは通産大臣と経企庁長官とお二人で御判断を願うと、こういうことですが、私もまだ具体的な事例はつかんでおりませんがね。先般来のあのドラムかんを多量に野っ原の中に積んで隠してあるというようなものは、これはどういうような判断に、単なる消防法だけの問題なのか、この法案とは全然これは関係ないものか、その辺通産大臣と経企庁長官にお伺いしたい。
  70. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 消防法によりますと、これは私消防庁ではございませんけれども、一応数量が危険防止の観点できまっておるわけでございますが、いま先生の御指摘のとおり、買い占め・売り惜しみ防止法の考え方からいいましても、いま具体的な実例が出ましたような大量にドラムかんで野っ原にこれをあれしておるというような場合には、これは著しい不当ということに私はなるのではないかと思います。
  71. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 さっき、その判断は通産大臣と経企庁長官がこの場合やるのだと、こういうことでしたよ。ですからお伺いしておるわけです、通産大臣と経企庁長官に。事例が少し抽象的ですけれども、これはいままであったんですがね。
  72. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 消防法による場合は、消防法の規定がありまして、ガソリンならば百リッター、重油である場合には二キロリッター以上許可なしに持っておってはいけないという規定があるようであります。それに違反したものを消防保安の必要上から摘発し告発できるということになって、それを発動されて、消防法の関係からいまのような不法行為を取り締まっておるわけであります。これといまの石油需給割り当ての、あるいは買いだめ・売り惜しみの関係とは直接関係はございません。その者がほんとうに買いだめ・売り惜しみの犯意を持ってやってあったかどうかということは、その実態を見きわめた上で考えなければならぬことであると思います。
  73. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それならば、著しく多量に買い占めておった、しかし、買い占めておっただけでは、この法律適用にならぬですか。
  74. 内田常雄

    国務大臣(内田常雄君) 買い占めておることと、それが異常な価格上昇という環境のもとに買い占めておったと、こういう両要件が法律上は必要であることになっております。しかし、私は、灯油につきましては、通産省の指導価格三百八十円というような価格がおおむね今日国内にプリベールをいたしておる状況から見ますると、その三百八十円の価格がプリベールしている中におけるその保有という状態では、この法律から見ますると、異常に上昇しておるという条件は満たされておらない。しかし、石油はこれから供給がカットされるような事態もございますので、この石油製品のごときようなものは、すでに異常な価格上昇があるものという心がまえで、私どもは、多量の、必要量以上の保有者につきましては、常に注意、監視をするのみならず、それの法律に基づかないでも、行政上の措置として正常な処分を、勧告前の行政指導としてやるべきものだと思います。  なお、中尾さんがお尋ねになりました、私がちょっと申しました灯油につきましては、消防法違反の関連で一件立ち入り検査が行なわれたということを申し上げましたが、私がこれまで報告を受けているところによりますと、消防法違反の当該事件は、この買い占め防止法によりまして係り官が立ち入りいたしましたときには、すでにその灯油は事前に売り渡されておって、そして売り渡しの勧告の対象になるような保有の状態はなかったと、こういうことでございました。
  75. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、この法案に関係してお伺いいたしますが、この五条の「石油生産計画等」、ここのところに、「石油精製業者輸入業者又は石油の販売量が一定の数量以上であることその他の通商産業省令で定める要件に該当する石油販売業者」が生産計画輸入計画、販売計画をつくるわけですが、この販売計画というものは、特定販売業者がつくるわけですが、この販売計画はどこまで幾ら幾らやる、まあそういうことになるでしょうがね、これは具体的にひとつ、どこまでの販売計画になっているか、その辺ちょっとお伺いしたいと思います。——私が聞きたいのは、流通過程を見ますと、精製業者から販売業者ですね、それから特約店、第一次卸、第二次卸、それから小売りと、こういうような流れがありますので、この販売計画というのは、どの辺までの販売計画なのか、それをお伺いしておるわけです。
  76. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) この法律におきましては、まず四条で、石油輸入動向及び石油在庫状況等を見まして、政府供給目標というものを定めるわけでございます。この供給目標でそのときどきの適正なる需給の、はじくもとをつくるわけでございますが、その供給目標に合わせますように、各精製、輸入、それから販売業者が油種ごとに、これはガソリン、ナフサ、灯油、軽油、それから重油と——重油も中をA、B、Cと分けて、油種ごとにそれぞれ生産、輸入、販売計画を出してくるわけでございます。で、おそらくこれは各社の油の入り方等、また販売の目標等でそれぞれの事情がございますので、これを全部足し算しますと、供給目標に合わない場合が考えられますので、それは変更指示大臣が行なうようになっておるわけでございますが、この五条の趣旨といいますのは、販売業者に即して申し上げますと、いわゆる世間で言われております元売り十三社と、それから輸入業者の大部分、それから精製を行なって、かつ販売を行なっておるようなもの全部、大体二十五社ぐらいだと思いますが、いわゆる販売についての一番根元を明確につかみたいということでございまして、そのあとの卸、小売り等につきましては、この供給、要するに生産計画、販売計画のところでは押えることを期待いたしておりません。これはくどいようでございますが、元っこで各社別の販売計画を確定いたしまして、そのあと六条以降の「使用制限」等を使いまして需要家側の数量を確定し、それで需給の調整をはかるというのがねらいの条文でございます。
  77. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、この法律は、要するに石油需給の安定をはかる法律でありますからね。その需給の円滑な流れようがうまくいかなければ、これはあまり意味ないですよ。ですから私は聞いているんですが、特約店ぐらいまでは販売計画で、あそこの特約店に幾ら幾らとか、こうなっているらしいですが、それから先は、これはいわゆる自由主義経済で、実績主義だとか、そういうふうになるわけですか。
  78. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) いま先生のおっしゃいますように、あらゆる流通販売段階も全部明確に定めるべきだという御意見でございますが、おそらくそういうことを明確に定めますような状態というのは、この本法で申し上げますと、十一条の割り当て配給の段階でなかろうかと思うわけでございます。この五条及び六条等は、できる限り行政指導的な手法を法律で根拠を置きまして、明確にこれを実施するというのがねらいでございます。ただ、別途農林省、運輸省等のそれぞれ公共性の強い業種所管の官庁とわれわれは現在もうすでに相談を始めておりまして、需要面の量の確保、それのこまかい部門別のバランスの確保、それから、それがいわゆる供給側から具体的にどういうふうに物が流れるかというようなことにつきまして、そういう農業、漁業、運輸部門等につきましては、いませっかく検討を進めておる段階でございますが、そういうような具体的な努力前提にいたしまして、供給側からスムーズに最終需要家に物が流れるような保持をはかりたいと思っておるわけでございます。五条におきまして、特約販売店、その下の一次卸等々まで明確に全部の油種につきまして実施するような運びには相なっておりませんけれども、別途そういう配慮をいたしておりますことを申し添えておきたいと思います。
  79. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、最終末端の需要者まで円滑に流れるようにするのがこの法律の目的なんですね、まあ、配給制の発動、これはその前にはこの第五条等によってやるわけですから。それが今日はうまくいっていない。きのうもいろいろな参考人の御意見拝聴しましたけれども灯油にしてもLPガスにしても、タクシーの配分にいたしましても、途中でどうなったのやら、具体的に名ざしまではありませんでしたがね、いろんな協界の幹部だとか、そういうようなところによけいいっておると、それで末端のほうには相当カットされて手に入らない、それで困乱を起こしておると。また、業者のほうも、いまはとにかく値段も値段だけれども、値段よりかとにかく量を確保せにゃいかんと、そういうようなことで非常に石油争奪合戦というような風景が見られておるのが実情のように私も思うんで聞いておるわけですよ。ですから、ここのところをあなた方がうまくやってくれなきゃ、これから先は商売だから、それは金払いの悪いところはしょうがないとか、やあ新規のお客さんじゃ困るんだとか、こんなことをぽんぽんやられたんでは、これはきのうも主婦同盟の方から意見がありましたが、末端は非常に困るんですよ。その点と、さっきのこの買い占め・売り惜しみの法案と関連さして私は聞いているんで、かりに販売計画があって、特約店までは一応の計画はできておる、それから流れて一次問屋、二次問屋、この辺で相当量をこれは保有しているというような場合には、これは消防法が適用になれば、それはそれでもいいでしょうが、保管はちゃんと消防法に引っかからぬようにうまいとこ保管してあると、そういうふうな場合には、これはどうなりますか。この買い占め法案適用というものがあり得るのかどうか、その辺……。
  80. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) この法律におきましては、報告徴収とか、立ち入り検査の権限通産大臣にあるわけでございます。通産大臣は、いま先生の御指摘の五条の運用等の場合におきましては、その大手販売業者だけでなく、一般的に販売業者全体に対しましても報告を徴し、または事務所に立ち入りまして、その立ち入り検査ができるようなことになっておるわけでございます。われわれは、現在行政指導でいろいろとやっておるわけでございますが、この法律が通りました段階におきましては、法律に基づきますこういう立ち入り検査権も行使できるわけでございますので、小さな販売業者に対しましても立ち入り権、調査報告権等を行使いたすことによりまして、売り惜しみ法案とあわせて、両方の法案の効力をより一そう補完的にいたすことによりまして、相互に効果をあげてまいりたいと考えておるわけでございます。
  81. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は、そこのところが非常に大事だと思うんですよ。この点、通産大臣からひとつお答え願いたいです。
  82. 大矢正

    ○大矢正君 ちょっと関連さして下さい。  同じく、大臣、いまの問題は非常に大事なことで、マクロ的にといいますかね、たとえば一割削減とか二割削減とかということは、国全体としてはそれで成り立ちますが、実際に個々のたとえばスタンドなり、個々の薪炭商なり、炭屋さんで灯油をたとえば売りますね、こういうものがいわゆる最終小売り商の段階にいった場合に、結局は、ばらつきが出てきますね。その一割削減とか二割削減とか言ったって、何を基準にして二割削減するのか、それから需要者を一体その店で幾ら持っているのかといったって、これはお客さんが何人来るかわからないわけですからね。ですから、来てみて初めてそこに需要量というか、売る必要量がちゃんと出てくるわけですからね。そういう問題が出てきた場合に、これは一体どう解決をするのか。なるほど全体としての生産と販売計画というものは、この法律に基づいて一割削減で生産をし、一割削減でそれぞれ販売をすると、だから、マクロ的にはなるほど数字は合うんですよ。  ところが、一つ一つのスタンドなり、薪炭商なり、そういうものに当てはめて見た場合に、お客さんが行ってみたら売っていない、うちはもうなくなりましたと。じゃ、その買うほうは何軒も店を歩かなければ結局買えないということになりますね。こういう問題が一体どう解決をされるのか、この法律では。そしてどういう問題が残るのか。通産省はそんなこまかいことは言ってられない、そんなことは業界がやるんだと言うんであれば、この法律の意味たるやまことに効果がないということになるので、そんなことならいまの石油業法でもって十分事足りるわけで、むしろそういうきめのこまかい措置をする必要性があるからこそここに緊急措置というものが私は法律として上程をされているんだと、こう思うんで、いまの中尾さんの質問とあわせて、そういうこまかい問題をどう具体的に問題のないようにされるおつもりか、お答えをいただきたい。
  83. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 正直に申し上げて、その辺が一番困っておるところで、また、対策に重点を置かなければならぬところであると思っております。確かに総量では数は合っておっても、個々の具体的な問題になりますと、需給がアンバランスになっているというケースもございます。この間のタクシーの例がいい例でございまして、総量はある程度あるにしても、スタンドによってあったりなかったり、スタンドをかけ回るという現象が起きました。そういう現象がほかの油の場合でも起きないとは言えないし、中小企業関係の生産用の油についてもそういうことが起きることを一番おそれておるわけであります。法文では、そういうために苦情処理、それから「あっせん」というような条文がございますし、最悪の場合には、十一条を発動して、割り当て配給、そういうことが法律上は用意してありますけどれも、具体的なそういう問題になりますと、これはやっぱり需給関係の調整ということになりまして、これは目下のところは行政指導でやっていることであり、また、法律も前段階は行政指導的にやるわけでありますから、業者に需給関係を相互融通させる、そういうシステムを円滑につくっておいて、そうしてある商店で不足したという場合には、他の商店でそれを補うと、お互いにそういう相互融通し合う、そういうことを円滑に行なえるような体制をいかに早くつくっておくかと、そういうことではないかと思います。
  84. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、結局は、結論は行政指導でやると、こういうようなことらしいですね。その点、大臣、きのうも痛烈な批判がありましたよ、参考人から。まして、通産省の指導まで、何かちょっと薪炭協会ですか、通産省から何かの調査を命じられましたけれども、こちらは一生懸命やったけれども、その後何にも、通産省はほったらかして出てこないとか言って、八つ当たりのいろんな通産行政批判がありましたがね。そういうふうにいろいろ問題点を持っていますから、御承知でありましょうけれども、その点ひとつ特に注意して、最後のこの末端の需要者まで円滑にいくようにひとつお願いしますよ、これは。
  85. 大矢正

    ○大矢正君 それは中尾さん、お願いしますじゃだめだ、それは。それをどうするのだと、具体的なものを出してもらおうじゃないか、文書で。
  86. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、びしびしやって、あの例の売り惜しみの法案適用して、びしびしやると——よろしゅうございますね。
  87. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) はい。
  88. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで次にいきますが、この第六条、修正ので第七条ですね、「石油使用制限」のところですが、「石油使用する者は、政令で定める期間に、次の各号に掲げる区分に従い、当該各号に定める数量を超えて当該石油使用してはならない。ただし、使用期間に、当該数量を超えて当該石油使用しようとする者が、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、その旨を主務大臣に申し出た場合において、主務大臣が指定した数量範囲内で当該石油使用するときは、この限りでない。」と、こういうふうに書いてあるわけですが、まず「石油使用する者」、この法案の「石油使用する者」というのは、これはどういう意味ですか。
  89. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 第六条の「石油使用する者」といいますのは、民間のいわゆる企業、それから国、地方公共団体、それから一般消費者全部を含んだ概念でございます。
  90. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それから、その次に「使用期間に、当該数量を超えて当該石油使用しようとする者が、あらかじめ、主務省令で定めるところにより、」云々と出ておりますが、これは政令で定めた数量をこえて石油使用する者、こういう者は主務大臣の指定が要ると、これはこういうことですか。ここのところもう少し具体的に説明してもらいたいのですがね。
  91. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) この六条と七条とが一般的な使用の面の規定でございますので、あわせて御説明申し上げたいと思います。  この六条は、なかなか表現が非常にむずかしく書いてございますが、この六条の趣旨を申し上げますと、一般的に石油使用する者は、いま申し上げましたように、全部でございますけれども、特に大口に使っている、大口に石油を消費している者をチェックしませんと、一般消費者等の必要な石油は保持できないことに相なりますので、六条は「政令で定める数量」といいますのは、いわゆるすそ切りの数量でございます。一般的に一カ月に千キロと、こうきめまして、それ以上のものは、このただし書き等の規定に従いまして、具体的にカットを厳格に励行させると。それ以下のものにつきましては、いわゆる中小企業——一般消費者も入るわけでございますが、中小企業等につきましては、そういう厳格なる規制をしないで、七条のほうにいきまして、通産大臣が定めます「使用節減目標」という、別途節約目標等を定めまして、それに従っていただくと、それにつとめていただくと。したがって、七条は、罰則も別にございませんで、協力要請でございます。  くどいようでございますが、六条は、したがいまして、主として大口消費者をいかに規制するかということでございまして、ついでにこの六条の中に「特定石油」ということばが使ってございますが、「特定石油」は、民生に非常に使われている石油という意味でございまして、さしあたりは灯油とLPGを予定いたしております。したがいまして、六条で、灯油とLPGは産業用にも使われておるわけでございますが、産業用に使われております灯油とLPGについては、特に使用の限度を低くいたしまして、一般の産業用の灯油、LPGの使用をカットする、そういうことによりまして民生用確保することにいたしたいというのがこの六条全体の法文の意味するところでございます。
  92. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、当該数量をこえてその石油使用する者、これは大口使用者ということですね、その大口使用者というものが主務大臣の許可が要ると。主務大臣というものは、このうしろのほうを見ますると、通産大臣主務大臣に入る。所管の大臣も、たとえば農林関係であれば農林大臣。そうしますと、この大口使用者のこの業者認定というものは、いま私が申し上げた場合は通産大臣と農林大臣で認定されると、こういうことになるのですか。
  93. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 私の説明が不十分であったために恐縮でございますが、六条で大口になるのは、政令で定めますあるすそ切り数量がきまりまして、これは大体中小企業をはずすという意味でございますので、わりあいに低い数字が出るわけでございます。たとえばC重油につきましては何百キロリットル、月の限度額がそこまでと、こういうふうにきまるわけでございまして、それ以上のものは大口消費者になるわけでございます。その中にたまたま農林物資を生産なさっておる企業がございましたら、その企業は、農林大臣通産大臣に、この六条のただし書きに基づきます申し出を行なって、その認可といいますか、許しを得なければいけない。そこで大口消費者に対しましては、そのつどの供給目標に従いました中小企業よりはより大きなカット率を適用して、具体的にある月の使用は千五百リットルだとかなんとかだとか、そういうふうに具体的にこれをきめて守らせるというのがねらいでございます。  なお、当面、この供給目標というのは、こういう流動的な状態でございますので、おそらく毎月ごとにこれはつくっていかないといかぬと思いますので、今後、運用といたしましても、月ごとに、そのときの事情に応じまして大口需要者に対するカット率も変動があるのではないかと考えておるわけでございます。
  94. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、私がお伺いしたいのは、こういうような大口の使用者の業者の認定ということがこれは非常に問題になってくると思うのですね、石油がこういうふうに非常に足らないわけですから。そうすると、各省からいろいろな大口の使用者が出てくると、それを各省の大臣が今度通産大臣のところへ持っていく。最後にはこれはまあ通産大臣決定権を持っておるように思われるわけですがね。法律の文面上は別として、実際は。その辺は通産大臣どうなりますか。
  95. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) これは決して通産大臣が最終的にきめるということではございませんで、むしろ私なりの考え方を申し上げますと、たとえば農林——まあ農林は中小企業が多いと思いますが、農林の関係でかん詰めとか製粉とか、大企業もあるわけでございます。で、農林関係の全体についてどういう油を月にお渡しできるかということにつきまして、通産大臣と農林大臣が御相談して大ワクをきめていただきまして、そのワクの範囲内で農林御当局が、その非常に数の多い農林所管業種につきまして、その業種ごとにどういう配分のしかたをするかということを実際問題としてはお考えくださることに相なるんではないかと思います。その場合に、農林御当局がそのワクの中でおきめくださったことにつきましては、原則としてそれは当然農林省の御責任でございますので、通産省としてどうするこうするではございませんが、ただ、その場合、唯一ありますのは、大企業間——これは農林省の大企業、運輸省の大企業、通産省の大企業と、こうあるわけでございますが、その各省の全体を通じましての一応の、これはぴっちり同じじゃなくてもいいのかとも思いますけれども、おのずからなる公平感というのはそこに保持されなきゃいかぬかと思いますので、そういう意味で、通産大臣は、関係大臣との大ワクの設定の後におきましても、一応また大綱的な御相談を受けまして、そういうバランスの保持等につとめる、こういう動き方に私は相なるんではないかと思うわけでございます。
  96. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 あなた、もっと大きい声で言ってください。  そうしますと、いわゆる大口使用者というのは、どの程度、何件ぐらい考えていらっしゃるんですか、通産省としては、総ワクで。
  97. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) これは統計の観点から申し上げますと、月千キロリットル以上使っている企業数が現在三千ぐらいだそうでございます。したがいまして、千キロがここに一つのすそ切り量で出ますと、それ以上大企業ということになりますれば、三千ということに相なるわけでございます。
  98. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、三千の大企業ですね。その中には各省所管のいろんな大企業があるわけですが、それを三千なら三千のワクを各所管ごとに今度は通産大臣がきめるわけですか。そうして、各省の中では主務大臣がまたきめると、そうなるのか、その辺の要するに認定のしかたです。これをもうちょっと具体的に聞かしてくださいよ。
  99. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 法文上は一応一定の数量すそ切りをきめまして、それ以上が大企業でございますから、これは一律に、先ほど申し上げましたように、カットの数量がきまるわけでございますけれども、それぞれの業種・業態による特殊性というものもございますので、先ほどるる申し上げましたように、各省大臣通産大臣とが具体的に相談をいたしまして、それぞれの業態ごとにそれは運用をいたすことに相なると思うわけでございます。
  100. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、各省からいろんな大企業の申請がありましても、予算の大蔵折衝みたいに、最後には大蔵大臣がうんと言わなきゃだめだ。これも結局は、その大口の業者の認定には、最後は通産大臣が——それはまあ、相談はするでしょうが、うんと言わなければ、これはカットされると、そういうことになりますか。
  101. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) これは先ほども申し上げましたように、大企業といいましても、みんなそれぞれ業種が違いましても横での統一的なある程度のバランスは保持しないといかぬと思いますので、そういう観点通産大臣は御相談を受けるわけでございます。私のほうは、最終、大蔵省主計局のように、絶大な権限でこれを全部あれするというつもりはございませんで、あくまで各省大臣とそういう観点を含めて御相談をしてきめていくということに相なると思いますが、業界の実態を一番御存じなのはそれぞれの所管大臣でございますので、実態に応じた判断、必要量の確定というものは、それは各省大臣のほうの御意見に従わざるを得ないと私は思うわけでございます。
  102. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、それは石油がたくさんある場合はそれでいいんですよ。こういうような石油が足らぬ時代だから、おのずからそこに制限が出てくるのではないか、私はそういうふうに思うわけです。ですから、所管の大臣が自分の所管内における大企業、これを大口使用者として認定をしてほしいと相談がきて、結局、相談をしていろいろな意見を出し合って、最後はやはり通産大臣がおきめになるのと違いますか、それを聞いているんですよ。ですから、通産大臣が、それは困る、どうもいまの石油事情ではちょっと無理だ、こういう判断をすれば、これはやはりあきらめざるを得ないというようなことになるんですか。その辺、通産大臣ひとつ答弁をしてくださいよ。
  103. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先ほどから拝聴しておりましたが、私は、主務大臣がおのおの責任をもってやってもらうほうが円滑にいくと思うんです。運輸省系統の船の問題とかタクシーの問題とか、そういうことは通産省じゃとてもよくわかりません。それから厚生省系統のいろいろ社会福祉の関係は、それぞれ当該官庁が一番よく知っておるわけでございますから、そういう監督者である当該の主務大臣がやっていただく、そのほうが円滑にいくんではないかと私は思います。
  104. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、先ほどから言いますように、それは石油がふんだんにあるような場合はそれでいいと思いますよ。だんだんカット率がきびしくなる場合はそうはいかなくなってくるのではないかと思いますね。結局は、石油の所管である通産大臣のところに最後の結論は出てくるんではないか、そういう気がするんです。それでお伺いしておるわけです。
  105. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 優先割り当てという場合には、われわれのほうは出動いたします。こちらの省のこの分野が足りないからこのほうをよけいにしろ、そういう場合には各省間で話し合いまして、足りないほうにそれを持っていくように石油業界を指導して、流れを少し変えさせる、そういうことはやりますけれども、その省の仕事の内部までわれわれが立ち入ってやるということは、ちょっと仕事の見当がつかないのであります。
  106. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、まあいいです、その辺は。少し私は理解に苦しむ点もありますけれども……。  それから例の何条でしたか、十一条の割り当て配給実施、これは衆議院でもエネルギー長官の発言がちょっと新聞等に出ておりますが、この条項を発動するのは、いまの状態では二月ごろが発動をやれるじゃないか、こういうような示唆をした、こういうふうに新聞にも出ているわけですがね。その辺ひとつ、非常にむずかしい問題でしょうが、これがどうなりますかね、当分配給等第十一条を発動しないでこのままの状態でいく、それがうまくいかぬ場合は十一条の発動もあろうかと思いますが、それとあわせてやはりアラブ産油国のほうの石油制限ということも出てくるわけですから、その辺は大体どういうふうに十一条発動のことについての見通しを持っていらっしゃいますか。
  107. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) これはただいま先生のお話のとおり、いつごろこういうことになるかということにつきましては、これからの産油国のカットの事情等に非常に大きく関係する事項でございます。  私がこの間申し上げましたのは、二月ということを言ったわけではございませんで、カットの事情に応じて国内の全体の需要カットを二割ぐらいやっておる段階におきましては、この前段階のことでいけるけれども、もしそれ以上の相当強度なカットをやらざるを得ないような場合には十一条発動の可能性もあるということを申し上げたわけでございます。しかしながら、あくまで四条から十条までの前段階のいろんな措置を関係各省とも御協力のもとにきめこまかく進めることによりまして、乏しいながら石油が円滑に最終需要のところまでこれが流れ、かつ価格形成もうまくいくようなことを期待しておるわけでございまして、そういうことでございますれば十一条の発動は必要ないわけでございます。いずれにしましても、二割以上の需要のカット、三割近いようなカットとかというようなことになりますれば、これは一部の油種につきましては、どうしてもより強い措置をしませんと民生の安定がはかられないという点につきまして申し上げた次第でございまして、何月というようなことを具体的に申し上げたことでないわけでございますので、御了解願いたいと思います。
  108. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、外務省の方待っていらっしゃるようですから、一番最初に聞く予定だったんですけれどもね。それで、これはいませっかくやっていらっしゃるところで、明確な答弁はなかろうかと思いますけれども、ほんとうは外務大臣にお伺いしたいんですけれども、きょうお見えになっておりませんので、それで、まあ石油法案審議の一つとして参考にいまの中東紛争の現状ですね、それから今後の見通し。それから三木特使が現在行っていらっしゃるわけですが、あのアラブ諸国を回ってみてその反応はどうなのか。それから、きょうの新聞にも出ておりましたが、リビアの石油の国際入札にわが国が応ずると、こういうような記事も出ておりましたが、この辺の実情、これに対するメジャーがどういうふうな反応を示すか、外務省としての一つの判断なり、その辺のところを、これは総括的でいいですから、お伺いしたいと思います。
  109. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) ただいま大体三つの御質問であったと了解いたしますが、最初の二つ、中東紛争の現状と三木特使がお回りになった反応ということについて私からお答えいたします。  中東紛争は、御承知のごとく、十月の二十二日停戦になりまして、その後、エジプトとイスラエル双方の間に停戦に関します軍事会談が開始されておりまして、これはイスラエル、アラブの紛争で直接当事者が会談を行なった最初のケースでございまして、この紛争の行くえを見る上で非常に画期的なできごとだったとわれわれ感じております。しかしながら、この停戦会談が思うようにまいりませず、しかも、スエズ運河をめぐります戦線におきましては、停戦後の陣取り合戦のようなものが盛んに行なわれまして、しばしば小ぜり合いが続いておる。そういう状況を踏まえまして、約一カ月後の十一月二十九日、この軍事会談が一応停止ということになっております。  かたがたアメリカのキッシンジャー国務長官がきわめて精力的に動きまして、この停戦を契機といたしまして、双方の当事国による和平会談、これの実現に努力をいたしまして、十八日からという予定が若干延びたようでございまして、今月二十一日からジュネーブにおいて和平会談が行なわれるということになっております。その間、アラブ諸国におきましては、アルジェリアにおきますアラブ首脳会議、これの結果を踏まえまして、世界の主要な国に使節を派遣いたしまして、わが国にも、十月八日から十一日までの間、シリアの外務大臣、それからアブダビの国務大臣、二人が参りまして、アラブの立場というものを説明いたしたわけでございます。これに対しまして、わが国は、十一月二十二日、二階堂官房長官の談話を発表いたしまして、この紛争の解決の鍵となる国連決議の二四二号、これの解釈を鮮明にいたしまして、わが国の態度を明らかにしたわけでございます。  これを受けまして、三木特使が十二月十日御出発になりまして、大体中近東七カ国をお回りになるということで、ただいま三カ国の御日程を消化されまして、本日、クウェートにお着きになったはずでございます。三木特使のこれまでの各国首脳との会談の結果は非常に好感を持って受け取られたというふうにわれわれ了解いたしております。もとより三木特使の御任務は、二階堂長官談話によって明確にされましたわが国中東紛争に対する立場、態度、これを十分に説明し、あわせて現在の石油危機の状態におけるわが国状況というものを説明すると、あわせてアラブの各国との友好親善関係を増進すると、こういう目的でおいでになりましたわけで、こうした三木特使の御説明に対しましては、各アラブの首脳も十分に理解の態度を示したと、かたがた友好親善関係、これを促進いたしますために、従来懸案となっておりましたいろいろな経済協力あるいは技術協力の懸案案件、これを整理してお持ちになりましたものを土台といたしまして、先方とそれぞれ話し合いをなさり、詰めを行なわれたというふうに考えております。  それで、こうした状況下におきまして、二十一日から和平会談が開始されるわけでございますが、これには紛争当事国であるところのエジプト、シリア、ジョルダン及びイスラエルというものが参加して行なわれるのが最もよろしいわけでございます。これは国連の事務総長が招待状を発しまして、アメリカ、ソ連の努力によって開催の運びになるようでございます。ただいまも申し上げました紛争当事国各国それぞれ参加するかしないかということでいろいろ憶測が飛んでおります。いろいろ問題がございますが、しかしながら、われわれは、各国がこの席に連なりまして、一日も早く和平会談が推進され、それによって安保理決議二四二による恒久的公正な解決が招来されることを希望いたしております。
  110. 宮崎弘道

    政府委員(宮崎弘道君) 御質問の第三点のリビアの件でございますが、先般菅野議員を団長といたしますミッションがリビアに参りました際に、リビア政府側から石油の問題についてお話がございまして、私どもといたしましても、このリビア政府配慮ないし好意というものには非常に感謝の気持ちで検討してきたわけでございますが、通産省ほか関係方面と協議いたしました後、いま申し上げましたリビア政府の好意と配慮に対して日本政府も感謝するものであるということ。  それから、このお話は、菅野先生にリビア政府から出てきたものでございますし、これはもちろん在リビア大使館も関係しておりますけれども、その経緯からいたしましても、これは菅野先生が本件のあっせん処理を行なわれるというのが適当であろうということで、感謝の念とその点とをあわせまして、在リビア大使館を通じましてリビアの担当大臣に伝達方、昨夜訓令を発したところでございます。
  111. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、通産大臣の御意見が新聞等に出ております。これは例のリビアの石油問題で、国有化問題とメジャーと、いま紛争中のものを買うのはどうかというようなことで、通産大臣の御意見も出ておるのですが、これはどういうふうにお考えになるのか、こういうふうなホットオイルを買うことはメジャーを刺激するようなことはない、こういうふうに御判断なのか、その辺通産大臣からちょっとお伺いしたい。
  112. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その前に、お許しを得まして、先ほど午前中の私の発言の中に━━━━━━━━━━不穏当なことばがありますので、取り消さしていただきたいと思います。  それから、ただいまの御質問の点でございますが、リビア政府が今度売り出そうという油の量は、一説には、四十万バーレル・パー・デーないし九十万バーレル・パー・デー、二説あります。最近の電報によりますと、九十万バーレル・パー・デーということで、もし九十万バーレル・パー・デーといいますと六、九、五十四で、約五千四百万キロリットルぐらいであります。四十万バーレル・パー・デーといいますと、六、四、二十四、二千四百万キロリットルぐらいであります。いずれにせよ、ホットオイルもあるしホットオイルでないものもあるわけです。係争中でない油がどの程度あるか、係争中の油が入っておるのかどうか、その辺まだわからないところなんです。係争中でない油もずいぶんリビアは持っております。それから、すでにオキシデンタルとか、そのほか国有化に応じて平穏公然と操業している会社もあるわけで、それらのDDオイルもリビア政府は持っているわけである。そういうわけですから、一がいにホットオイルときめつけること自体は問題点がございます。ですから、私は、菅野議員は元通産大臣をやったぐらいの方ですから、現地にも行っておるし、その辺の情勢もよく知っておるはずでありますから、現地の情勢等、あるいはまた、どの程度の国々がビッドに参加するか、相当な国が参加すると私は見ております。フランスも参加するであろうし、イタリーも参加するであろうし、ことによればドイツも参加するかもしれない。そういうふうな情勢も見きわめて、そしてその処理は菅野議員に一任するということが賢明であるだろうと思います。  ただ、六月の時点で、昨年国有化をやっていろいろ紛争があったわけでありますが、その当時の時点と今日の時点とは国際環境はがらっと変わっておりまして、そして、メジャーと産油国の関係もまた非常に変わってきておりますし、アラブの国々に対する世界の見方もまた非常に変わっておりますし、こういうナショナリズムに基づく国有化というものは国家主権として認められるというのが大体大方の意見にずっとなってきている。補償の問題や、その他事後処理の問題が問題点として出てくるというような風潮にいま世界が動きつつあるという世界の現大勢をわきまえて、この時流を看過しないような行動を、やはり日本も適応していかなければならぬのではないか。いつまでも昔の旧観念で外交をやっておったら、時代から取り残されてしまうのではないかという気が私はしておるのであります。
  113. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ、午前中に阿具根議員からの答弁で、今後の石油見通しの中に、四十九年度の見込みで二億六千五百万トンから二億七千万トンぐらい、こういうふうな見込んでおる、それで来年度の成長率は二・五%くらいであろう、こういうような答弁でありましたが、これはどういうような御判断のもとでこういう数字をお出しになったのか。いま紛争中の中東問題、OAPEC、メジャー、こういうような動きをどういうふうに御判断されてこの数字をお出しになったのか、その辺のところをお伺いしたい。
  114. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その数字は、大体来年一年の展望を予測して、その予測に基づく数字でございますから、あるいははずれるかもしれません。しかし、大体この程度の可能性はあるだろうという予測で、できるだけ詰めて相談したものでございます。  それで、基礎になりますのは、一−三月にどの程度入るかということを基礎にいたしまして、これは先ほど申し上げたとおりでございます。それで、それを基礎にして四月以降のベースを考えて、まあ秋になったら中東紛争もある程度青空が出てきて、次第に解決の方向に向かって、石油供給もいまよりは緩和されるであろうというような見通しをもとにいたしまして大体カーブをかいてみまして、そしてその総量が二億六千五百万トンから二億七千万トンぐらいの間であろう、そういう安定帯を一応考えてつくった数字であります。
  115. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、一−三月は大体六千万キロリットルぐらいの予想である。平均一カ月二千万キロリットルですね。そうすると、一−三月よりかこれは楽観的な見方と、こういうふうになるわけですが、いろいろ新聞等の情報を見てみますると、どうもこの数字はまゆつばものだ、大体政治的な裁量が入っておるようなふうにも出ておりますけれども、要するに、これはまあ、こういう数字を出したけれども、いろいろ判断の結果、あまり少ない結果を出すのも国民に対して不安感を与える、そういうことも考慮しながら政策的に立てたというような感じもするのですが、大体そういうところですか。
  116. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そう極端な考えは持っておりません。しかし、やはり中東紛争もこれだけ大きな紛争になりまして、いろいろアラブの国のほうも輸入の品物が非常に高くなってきましたり、それからやはりバーターシステムにだんだん移りつつあるような気配があります。たとえば、油を出すから肥料をよけいよこせ、油を出すから鋼管をよこせ、両方もうきちきちになってきますと、そういうバーターシステムの方向にやや動きつつある気配がありますし、それからアジア・アフリカの発展途上国が、国家建設が挫折するというので、かなり苦情をわれわれにも言ってきておるし、国際社会にも持ち出してきつつあります。そういう情勢考えてみて、まあ秋ごろにはその辺は少しずつ薄らいでくるだろうということと、それからインドネシアやイランやあるいはペルーやベネズエラや、そういう非OAPECの国々が、石油の値が高くなりつつありますから、かなり増産して出てくる。そういう数量も一応計算に入れたわけであります。
  117. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは、一応きょうは大臣の答弁をすなおに聞いておきますけれども、それで経済の問題ですが、年明けからずっと一−三月にかけて、年度末でもありますので、危機ラインであると、こういうような経済予測が出ているわけですね。なおかつ、この前山下次官のお話、これも新聞に出ておりましたが、こういうような状態が続いていくと相当パニック的な状態になると、悲観的な発言が出ておりました。それで、今回のこの石油ショックというのは、前回、去年、おととし、例のニクソンショック、第一回の円切り、第二回目の円切り、あのときも相当な経済界にショックを与えたわけで、いろいろとあなたのほうで手を打っていただいたわけですが、あのニクソンショックの経済に及ぼす影響、それと今度の場合と比較してどういう点が違うのか、比較をしてみて、その影響の度合いというものはどの程度差があるか、大体のところでいいですが、その辺をちょっとお伺いしたい。
  118. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ニクソンショックとは雲泥の差でありまして、ニクソンショックの場合は、最初貿易業者に出てきて、それがどう波及していくかということでありましたが、今度の場合は全産業に響いてきて、それが直撃している、そういうことであります。そしてニクソンショックの場合には、金融問題等だけである程度解決できましたけれども、今度の場合は資材問題という、物自体を供給しなければ解決しないし、物自体の公平な配給ということが一番政治の要諦になってきつつある問題でありまして、これは日本経済の地軸をゆるがすような問題にもなってきております。そして、そのこと自体が日本産業構造の転換要請を強く示してきておりますし、また、日本エネルギー構造の転換も同時に要求してきている。そういう意味において、日本経済に対する影響というものははかり知れないぐらい大きな影響を後世から見たら持つに至るであろう、そう考えております。
  119. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それで、中小企業のことをちょっとお伺いしますが、いまのお話のように、今回は非常にニクソンショックと比べまして問題にならぬ、雲泥の差である、こういうことですが、中小企業の側から見まして、もうすでにこの年末を控えまして相当倒産も出ておる。今後、また一−三月かなり出るんじゃないか。ところが、前回のニクソンショックの場合は、中小企業対策というものを金融、税制、財政の面からもかなり手厚い対策を打ち出してもらったわけですが、今回は、ただ年末金融を若干やるということだけで、この中小企業対策ということについてはどうも音がないように思うのですがね。それほどの大きなショックを受けている場合ですから、この際に、こういうときこそひとつ通産省、中小企業庁は中小企業擁護のために何らかの強力な対策を講ずべきじゃないか、こう思うのですが、いかがですか。
  120. 外山弘

    政府委員(外山弘君) 先ほど大臣がおっしゃいましたように、今回の情勢はたいへん前の年と違いまして、単なる内需の喚起というふうなことで金融上の措置が効果を発揮する、そしてまた産地産業が助かるというふうなことで急速な解決を見るというふうなわけにはいかない。まず第一に金融の引き締めが強化されつつあったので、それからまた、夏ごろから物不足状態がぼつぼつ起こっていたということも踏まえまして、私どもとしては、物資ごとのあっせん所をつくるというふうなことで、不当なしわが寄らないようにという配慮もいたしました。  それから年末金融につきましても、いつもより早目に、しかも、いつもと違った多額の増加ワクを決定いたしまして、これを三機関に配るというふうなこともやったわけでございます。そういった情勢の中で、さらに石油の問題が加わったということでございまして、私どもとしましては、とりあえずは石油製品につきましての入手の円滑化、つまり不当なしわ寄せが寄らないように、少しでも公平な入手が可能なようにということで石油製品のあっせん所の開設をお願いいたしまして、これをすでに発足させたところでございますが、さらに年末金融につきましても、前にも物資不足の実情を業種別によくとらえて、そうしてその円滑な運用をしてほしいということを通達しておりますが、その辺を受けまして、さらに最近の情勢にかんがみまして、物不足の問題についての、たとえば増加運転資金とか減産資金、そういったことについても運用配慮をするようにということを三機関にも言っているわけでございます。  しかし、何と申しましても、公平な入手が可能なように努力することももちろん大事でございますし、石油関連資材等につきましても、物ごとにそういった配慮をお願いするということを今後も考えてまいりたい。それから金融の問題にしましても、いま申しましたような増加運転資金の問題あるいは減産資金の問題、そういったことがますます繁忙を加えてくるということも予想されます。したがいまして、そういったことについても、これから適時適切な対策を考えなければいけないということで、現在、状況の注視をしながら、いろいろ前回のドル・ショックのときの対策も含めまして勉強しているところでございます。で、適時適切な対策をとるということを基本的なかまえといたしまして今後そういった中小企業の救済対策、さらには、先行きは需要の減退ということからくる影響考えられるかもしれません。そういったこともとらえまして、これはそう簡単におさまる情勢にないという判断のもとに、私どもとしては、対策を強化するという方向で今後も勉強してまいり、そうして適時適切に打ち出していきたい、こう考えている次第でございます。
  121. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 いつものことですけれども、それはこの景気のしわ寄せが中小企業に最後には来るわけですね。よく言われるのですが、大企業のほうは、どんどん今度の決算だってばく大なもうけを出して、しかも、従業員に対しましてもかなりのボーナス、あるいは株の配当にしても相当な配当をやっておるわけですね。そうして資金にも力がある。ところが、中小企業のほうは、御存じのとおり、力がないので、資材の面、資金の面、そういう面からずっとしわ寄せを食ってばたばたいく。片や大企業はどんどんどんどんもうける。この石油の問題でも、きのうの参考人等の話も聞きましたけれども石油危機は大企業にもうけさしておる、そういうような意味合いの発言さえあった。結局は、中小企業というのは犠牲者になってばたばたいくわけですがね。目下検討中でありましょうが、これは来年度の対策等につきましては、来年度というのは間に合わないかしりませんがね、年明けてから一体どういうようにおやりになるのか、もうちょっと具体的にひとつお答え願いたい。いままであなた方はもう検討しているでしょう、何ヵ月にもなっているのですからね。その辺ひとつ大臣いかがですか。
  122. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 具体的には長官から答えていただきますが、ともかく年末から来年にかけまして、中小企業の関係は非常に重大であるだろうと思います。特に電力削減等が出てまいりますと、部分的にはレイオフとか、あるいは休電日における操業ができなくなる、そういうことから失業というような問題も出かねまじき情勢が出てくるだろうと思います。そういう点から、いかにして中小企業に、金融だけでなくして、資材を円滑に配当してあげるかということが非常に強く出てきた問題でございまして、金融と資材の配当の面と両方について、それから、もしそういうような超過勤務は要らなくなるとか、レイオフが出てくるとか、失業問題が出てくるというときの対策についても十全な対策をしておかなければならない、こういうように考えております。
  123. 外山弘

    政府委員(外山弘君) 御指摘の来年度の予算編成につきましては、総需要の抑制というふうな基本的な立場がございますので、非常にきびしい環境のもとに私ども中小企業対策の予算確保しなければならない。こういうことで、近く予算折衝の時期を控えまして、大蔵当局ともいろいろ話し合いをしているところでございます。何と申しましても、基本的に私どもがいままで要求しておりますことをさらに強化してまいりたい。  で、一つは小規模企業対策でございます。この点は、先ほど御指摘のように、不当なしわが寄ると申しますか、そういったことから経営の安定を脅かされるという要素の特に強い面でございます。そういった面でのひずみというのが一番問題だろうと思います。そういう意味では、小規模企業対策は強化しようと、もともと考えていたわけでございますが、やはりその点をさらに強くかまえていきたい。  それから第二は、金融対策の問題だと思います。三機関の金融上の配慮がいつでもできるように、いつもと違って、私どもとしては、強く要求をしてまいりたい。基本的には、中小企業もやはり全体の苦しみの中で公平な配慮を受けながら、しかも、このきびしさに耐えていかなければいけないわけでございます。したがいまして、従来からもやっておりまする高度化政策というものもやはり中小企業の自助努力を助けるという意味で、この政策も引き続き強化してまいりたい、こういうふうな観点に立ちまして、予算折衝を強力にやってまいりたい、こう考えている次第でございます。
  124. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 前の委員の質問と関連して恐縮ですけれども大臣にひとつお伺いしたい。  昨今の重要な問題がインフレ克服であると、よく言うわけです。そのためには、来年度予算は思い切ってしぼり込まなきゃいかぬ。一方では、中小企業対策はと言うと、ただいまの御答弁がやっぱり返ってくるわけです。これをどうしたらいいんだろうか。というのは、なるほど中小企業だけの問題を見ると、何とかしなきゃいかぬ、予算も金融問題も。ところが、総需要の抑制という観点考えていくと、それもこれも言っていたのでは一体物価はどうなるんだという悩みが新しく出てまいります。それをどうバランスをとっていったらいいのか、ひとつまずお伺いしておきたいと思います。
  125. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはなかなかむずかしい問題でございまして、新聞の伝うるところによりますと、大蔵省の御方針は、来年度予算は、大体金額は四十八年程度、量のほうはおそらく四十七年程度になる、こういうふうに非常に圧縮した予算が出てくるようなわけで、そういう中において、上半期はかなりの物価問題、特に原料、資材問題というものが石炭石油電力から出てまいります。もしこれがアンバランスになりますと、下半期にはオーバーキルの現象が出てきてだぶつく、深刻な不況が出てくる、そして相当な情勢によっては失業も出てくる、そういうようなことにもなりかねない情勢である。そこで上期のそういう現象と下期のそういう現象というものを年間を通じてどういうふうに施策をしていくかということになると、よほど予算というものが弾力的に運用できるようにしておかなくちゃいかぬ。きょうも党の幹部とわれわれ経済閣僚との昼めし会がありまして、私、顔を出してきましたが、予算上そういう弾力的措置をしておく必要があるのじゃないかということを大蔵大臣にも私言ってきたところであります。それをどういうふうな性格でやるか。  戦争直後のマッカーサーがいたころには補給金という制度がありました。これはインフレのときに合わせるために補給金制度というものをやって、ドッジのときに、あれ、みんな大なたをふるって竹馬の足を切ったわけです。いまのような情勢戦争直後の事態と似た事態も出てこないとも限らない。そういうようなことに対しては、やっぱり予算上弾力的な措置ができるようにしておく必要があるんではないか、そういうようにも一面において考えます。が、しかし、その中でも重点は中小企業者、それから一般の零細な市民あるいは農業者、そういう人たちのなりわいというものを見てあげるということが一番の大切なことであります。われわれ中小企業を担当している者といたしましては、そういう点について予算上特別の配慮をした考えを持ってやらなければいかぬじゃないかと、そういう気がしておるのであります。
  126. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 来年度予算は、まだ政府検討中でございますから、これ以上立ち入りませんけれども、おっしゃるように、一応組んではみたけれどもという含みを持たした弾力的な運用が来年必要になるんじゃないかという気がいたしますし、予算の面で総需要抑制ということも言われますけれども、一面では需要抑制、回り回って引き金を引いてくるものが石油であろう、ですから、まことにもってむずかしいこの一−三月じゃないかと思うんです。  そこで、物価問題ですと、これまでの審議を振り返ってみますと、とにかく短期決戦であるということをおっしゃるわけです。これは心理的な効果をねらったことだと思うんです。その気持ちはよくわかるのですけれども、この石油について先行きはと言うと、外交問題がからんでおる面もありまして、なかなか歯切れが悪い。そこで、こう考えてよろしいのかという意味でお尋ねしますけれども、先ほど大臣が御説明になった、アラブ以外の開発途上諸国も回り回ってたいへん困った始末になったし、それはアラブも実は入ってきた、その意味でこれだけの大がかりな国際紛争が解決にそう長時間を要するということはまずないであろう、秋口には緩和するんであろうということを一つ踏まえて考えますと、結局は、ことしの冬をどう越すかというのがさしあたっての最重要課題じゃないか。なるほど先行きふわふわ見えるように見えながら、差し迫ったこの数カ月に限った緊急処置が実は問題のほとんどすべてじゃないかという気がいたしますけれども、いかがでしょうか。
  127. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まさにそのとおりで、この半年、六カ月が勝負どころだと私は考えております。
  128. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで、たいへんあげ足をとるような質問で恐縮なんですけれども、一番重要な下期一−三月の原油の輸入見通しについて通産省の見通しと石連の見通しがもともと違っておりました。昨今は、通産が見通しを改定されました。非常に重要な部分でのこれは見通しの違いだったと思うんですけれども、なぜこのようなことになるんでしょうか。
  129. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 当初十一月のたしか十日ごろだったと思いますが、下期の見通しをつくったわけでございます。そのときの通産省のつくり方は、日本に油を入れておりますメジャーその他の、アラビア石油も含めました日本に油を入れておりますそれぞれの会社等から具体的なるカット率を聴取いたしまして、それにそれぞれの会社の日本輸入全体の中に占めますウエートがございます。たとえばカルテックスは一八%とかいうのがございますが、そのウエートをかけまして加重平均して、われわれは下期のカット率を計算したわけでございますが、当時石連側といたしましては、そういう方法をとりませんで、それぞれの営業担当が、相当、いわゆる勘を働かした、営業的なセンスも含めた推定を行なったわけでございます。その後、両者の間ですり合わせを行ないまして、われわれのほうでは、当時は一六%ぐらいのカットと言っておりましたのを修正したわけでございますが、それは、その後におきますアラブ湾といいますか、産油国周辺の船繰りが、ヨーロッパが船を急に回したりなんかしまして、船繰りが非常に混乱いたしまして、満ぱいで帰れない船が出たり、または積み込みのローディングの日にちが数日ずれたり、非常に混乱が起こりまして、そういう情報が刻々に入ってまいりましたので、それを加味し、かつ契約更改期がメジャーとの間では十二月末で切れまして、一月になりました。その間、契約の取り結びにつきましても、若干の遅延がありましたので、そういう種々の状況を加味しまして、その後、一六よりも大幅なカット率を修正したわけでございます。  現時点におきましては、石連とわれわれのほうとの基本的な食い違いは、下期の見通しにつきましてはないと了承いたしております。
  130. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 計算ごとでどうなったというお話はいいんですけれど、ただ対策を打つ、一番の山場の一−三月について、どのぐらい油が入るかという見通しが、悪いほうに間違ったというのは、いま出している数字もまた信用できないんじゃないかという気持ちを起こさせるだけなんです。そうは言ったって、見通し立つものかという話があるかもしれませんけれども、私は大臣にお伺いしたいのですけれども、勘の効用というのがあると思う。石連のほうは勘をきかしてというお話だった。勘というのは、経験といままでの能力、情報で実は醸成されてくるものだとよく言いますけれども、そういうものが政府になくて、石連側にあった。ほんとうは、政府政府なりに勘を働かせる余地がなければいけなかった。ところが、いろいろ聞いてみて、数字を積むしかないと、ここにして思うことは、そういう経験と情報を、政府としてもっと集めるべきであったということになるかと思うのですけれども、いかがでしょう。
  131. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 遺憾ながら、私は前法務大臣みたいに第六感が発達しておりませんので、まことに遺憾千万であります。確かに、単に数字的なものばかりでなくして、経験に基づく見通しというものも非常に大事であると思います。
  132. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そこで、ついでのようで恐縮ですけれども、外務省においでいただいておりますので、この際お伺いしておきたいのですけれども、今回の問題が起きて痛感したのは、中近東地域に対するわが外務省の情報にとどまらない、もう接触の弱さそのものだと、この反省を今日どう生かされておりますか、今後短期間に、どうさらに発展さしていかれますか、伺いたいと思います。
  133. 田中秀穂

    政府委員田中秀穂君) 中近東諸国に対しまする、言うならば外交布陣、こうしたものが必ずしも充実したものでなかったということは、われわれも反省いたしておりますが、何ぶん戦前から独立をしております国が非常に少ないという関係、まあ戦前から独立しておりますアフガニスタン、トルコ、あるいはイランという非アラブの国、あるいはエジプト、こうした国は相当に充実をいたしておりますが、その後独立いたしました若い国、これに対する布陣は必ずしも十分ではなかったと思う点がございます。しかしながら、非常な苛烈な自然条件の中で、各公館ともに精一ぱいの情報活動、あるいは相手国政府への接触というものを十分にやってまいったことは、大いに評価せにゃいかぬとは思います。  ただ、しながら、そういったような通常の外交活動、さらには情報収集、分析の能力を最大限に発揮するというようなためには、公館網がさらに充実される必要があるかと存じております。あるいは各公館におきます人員の手当てが十分になされること、あるいは非常に通信関係——コミュニケーションが悪いわけでございまして、こうした点を勘案いたしまして、通信連絡体制に万全を期するということが、ぜひとも必要であるということを非常に痛感をいたしております。  このために来年度の予算——ただいま要求中の概算要求の中にも、この中近東地域、特にアラブの地域におきます新しい公館の設置あるいは定員の増加あるいは通信網の確立ということ、さらに加えますれば、本省におきます中近東外交を実施する体制の強化ということも含みまして、いろいろと検討し、要求をいたすことになっております。  以上でございます。
  134. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまお答えになりながら内心お感じになりましたように、それでは答えにならない。問題は、そういうことができる人をどうやって育てるのか。急場の間に合わなかったら、どっから役に立つ人を持ってくるのか、必要なお金をどう使うのか。その意味では、やっぱりここ数年来そうですけれども、大きな発想の転換と真剣な取り組みを、私は外務省当局には強くお願いをしておきたいと思います。  先へ進みますけれども、今回の法案について、一つのポイントになるものは何かといいますと、優先順位をどうきめるかということだと思います。きのう参考人の方においでをいただきました。それぞれ業界代表のお話を伺いますと、大体口をそろえて——消費者ではありませんよ、業界代表の方がおっしゃるのは、この法律を早く通してください、そして国によって優先順位をきめてください、こう言うのです。たとえばLPガスの場合がそうですけれども、そのときに御説明いただいた資料を見ますと、ことしの八月発行のパンフレットに何が書いてあるかと言いますと、供給だいじょうぶだからどんどん使ってくれ、役に立つLPガスと書いてある、色刷りで。それがいま何をおっしゃるかというと、これからきびしく見なきゃいけません。しかも、とても私どもでは需要の整理ができないから、政府が優先順位をきめてください。——ずいぶんけしからぬ話だと思います。しかし、それはそれとして、政府としてきめざるを得ない立場に立つわけですけれども、どういうようにおきめになりますか。言い得べくしてきわめてむずかしいと思います。  一つの例を申し上げますと、灯油の、そもそもの四十八年度下期需要見通しを見ますと、農林水産が百八万キロリットル、鉱工業が三百十四万三千、建設、運輸が五十五万四千、で、民生その他が大きくはねて一千三十一万、合計が千五百八万七千と、こうなるわけです。この灯油をどうやって優先順位をおつけになりますか。LPガスの場合、需要の七〇%強は民生用です。どれをとってどれを削りますか。これがいま業界が望んでいる優先順位ということだと思いますけれども、この点について、どのような考え方で取り組まれますか。
  135. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 優先業種といいますか、これの取り扱いは非常にむずかしく、かつ非常に重要な問題でございます。先ほども御答弁申し上げましたが、本法によりますと、たとえば十一条をごらん願いますと、一般消費者中小企業者農林漁業者、鉄道、通信事業、医療事業、その他公益性の強い事業ということでございまして、その公益性の強い事業の中には、たとえば定期路線バス、上下水道、電気ガス事業、郵便事業、放送事業公共建設事業、社会福祉事業、清掃業等が当然に入ると思うわけでございますが、なお衆議院におきます修正におきましても、二、三そういう観点からの考え方も提示されておるわけでございますが、これらの業種につきまして、これは優先的に確保せなきゃいかぬということでございます。  いま御質問の灯油とLPGにつきましては、灯油の民生というのは、業務用も含めまして約七割あるわけでございますが、このうち家庭用は五割ぐらいだと私は思うわけでございます。それから農林水産が約八%でございます。それから建設、運輸のうちの、公共部門の運輸部門が、これは比率は少ないけれどもあると思うんですが、この辺の民生、公共輸送機関、それから農林水産等につきましては、これをどうしても確保しなきゃいかぬということでございまして、これからの作業、各省と詰めておりますけれども、やはり産業面をカットしてでも、いま申し上げました優先的なものは確保するということに相なろうかと思うわけでございます。  それからLPGにつきましては、家庭、業務用が四六%でございます。それから都市ガス用が四%でございますので、この二つを足しますとちょうど五〇でございます。これが純民生であるわけでございますが、その他、御存じのとおり、自動車用といたしまして全体の一五、六%が使われておるわけでございます。一番優先して確保しなきゃいかぬのは、この辺の分野だと思いますが、その他工業用とか化学原料用等のものがあるわけでございますので、できる限り産業をカットしてでも、この民生を確保するというのが、これからの大筋の考え方だと思うわけでございます。
  136. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 しろうとの質問かもしれませんけれども灯油の場合ですね、七〇%が民生その他である。そこで農林水産、ごく大ざっぱに言えば一〇%近く、足せば八〇%、そこで二〇%削減ということになると建設、運輸、鉱工業合わせて約二〇%だから、一切使ってはならぬということになるのが、この法案に従っておっしゃるように、優先的に農林水産、一般消費者用のものを確保したということの中身になるのでしょうかというお尋ねなんです。
  137. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 若干こまかくなりますが、鉱工業等で使っております灯油も、これは主として公害上の問題で使われている場合が多いわけでございます。原料としてこれを使っているとかいうわけでございませんで、公害対策で使っておりますので、できる限りこれをほかの油種に転換するとか、それから公害防除用の施設の整備等もはかることによりまして、やはり産業用のカット率を高くして民生のほうに回すということでございます。  その場合に、これからの石油の、諸外国からのカットに関係するわけでございまして、灯油の得率は一応大体きまっておりますので、各家庭におきましても、これはむだに使っておるとは思いませんけれども、できる限り合理的な使用のしかたということにつきましても、御努力願わないといかぬということで、これは薪炭商組合、または全石商連の地方支部等も通じまして、それから役所側としましては各府県にも御連絡いたしまして、一応の合理化ということは、当然にやっていただいて、少しでも、民生のほうでも、何というのでしょうか、節約をはかっていただくことも大切なことであろうかと考えておるわけでございます。
  138. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そういう話ではなくて、実際に灯油灯油と申し上げているのは、見やすい数字が並んでいるからいま言っているだけで、ほかも同じ議論ができるわけです。だから灯油を二割切るんだと、かりにそうしたとします。そうすると、これからいけば、中を見ればいろいろあるよとおっしゃるかもしれませんけれども、大まかな議論で私は間違いないと思うんで申し上げるんですけれども民生用その他は一般消費者に関係があるから切るわけにいかぬ、優先確保なんだ。農林水産はこれもだめだ。それだけで八〇%近くなりますから、したがいまして、鉱工業、建設、運輸は全部使えなくなりますねということなんです。そうは言っても、やっぱり一般消費者のほうも協力してと言われても、それは別な話なんです。どの程度見通しながら、個々について優先確保ということをしていかれるのかという意味で、具体的に伺っている。  だからもし、いま鉱工業のほうが、実は燃料用という、事業用ではなくて公害対策があるので云々というお話がありました。だから、最初に私がお伺いしたのは、これは短期ですねと聞いたのです、この異常事態は。短期だけをどうやって抜けていけるのかという見通しがあったら、短期なりの取り組みもほんとうはできるはずです。そのときに便々と皆さまの精神運動に期待してという話ではないと思うんで、そこで具体的にどういう優先順位のつけ方をされますか。極端に言うと、産業をやっぱりカットせざるを得ない、結果として全部使えなくてもしようがない、もう三カ月間工事を休めというところまで思い切られますかということなんです。
  139. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 灯油を例に申し上げたいと思います。灯油につきましては、九月末で大体五十五日分ぐらいの備蓄を積み増しまして、それで例の凍結制度に踏み切ったわけでございます。これは量がある程度確保できませんと、価格だけやりましてもあぶないと思いまして、そういうことをやったわけでございますが、その後も引き続きまして、灯油につきましては、精製各社に督励をいたしまして、要するに在庫備蓄日数の増加、灯油の生産の増加ということをはかっております。十月末で六十二日分ぐらいの備蓄になりました。十一月末の備蓄が最近集計ができまして、これが六十七日分あるわけでございます。  したがいまして、灯油につきましては、短期のものの考え方としましては、この備蓄をいかに計画的に放出していくかということが、一つのこれからの政策の具体的なる行き方だと私は思うわけでございます。これを最低ランニングストックまで、どうやって放出をしながら民生を一これはもう一番大事なことでございますので、最大限に確保し、かつ産業の中でも公害以外のものにつきましては、先生の御指摘のとおり、これは全面的に、その状況によりましては縮減するという方向に行かざるを得ないと思いますが、幸いなことに、六十七日という相当の備蓄もございますので、その辺も活用して、これからの灯油対策に取り組んでまいりたいと思うわけでございます。
  140. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 一点わかりかねるのですけれども、幸いなことに六十七日とおっしゃったんですけれども、それは来年の夏までとっておかれるわけではないと思います。いま要るわけです。もしそれだけあるというなら、何でこんなに上がるのだろうか。事実問題として、あっちこっちが何でこんなに買いにくくなるのだろうか。その点はいかがですか。
  141. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 灯油につきましては、十一月の二十八日に三百八十円の凍結を行なったわけでございます。当時若干手違いがございまして、薪炭業界との関係が悪かったわけでございますが、その後薪炭業の全国組織でございます全国燃料団体連合会、これが各県の支部とも種々調整いたしまして、十二月の十日現在で、すべてが政府の三百八十円の指示価格といいますか、指導価格を尊重するという完全な了解が取りつけられたわけでございます。何ぶんにも非常に数の多い、十数万という全国の業界の実情でございまして、若干のトラブルといいますか、趣旨の浸透に時間がかかると思いますが、われわれといたしましては、この全国燃料団体連合会及び全国石油商業組合連合会の下部組織の思想の統一と趣旨の徹底を待ちまして、近く、必ずこれはいい効果が出ることを期待いたしております。  なお別途、これは末端の問題でございますので、苦情処理、これは非常に数多く、一日に私のところの石油部だけでも百五十件ぐらい来るわけでございますが、その他私書箱一号、それをそれぞれ具体的にいま処理いたしておりまして、当面の混乱は、そういう苦情処理を通じましても円満に解決いたしたい、もうちょっと時間をかしていただきますれば、これは相当いい形で浸透することが期待できるんではないかと思うわけでございます。
  142. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 きのう参考人として、いまお話しの全国燃料団体連合会の代表の方がおいでになりました。三百八十円ではやっていけないんですと訴えておられました。その点はどうお考えになりますか。
  143. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 灯油は御存じのとおり、原油を分解いたしまして、一定の得率で出てくるわけでございますので、当時灯油が異常な値上がりをしそうでございましたので、いま申し上げました団体の連中とも相談をいたしまして、三百八十円を設定いたしたわけでございます。この場合、これは緊急事態でございましたので、大臣の表現によりますれば、大なたでぶった切るようなかっこうで、緊急の措置として行なったわけでございますが、別途、われわれのほうでチェックの意味を含めまして、いろいろと試算したわけでございますが、元売り仕切り値段は凍結されておりますので、これは十八リットル換算で二百三十四、五円、これはそのまま守られておりますので、それからあと特約店仕切り、販売経費、それから小売りの口銭等を、一応われわれなりにチェックいたしまして、三百八十円というものを検証いたしたわけでございます。  その後、各地区、各小売りの方、個々には、いろんな人件費の問題、土地代の問題、金利の問題等があるかとも思いますが、私のほうの一応のチェックでは、この三百八十円で合理化をしていただければ、何とかやれるんではないかという、一応の検証が行なわれておるわけでございまして、よく実情もまたお聞きいたしまして、個々に考えたいとも思いますけれども、一応そういう経緯で行ないまして、検証も行なったということでございます。
  144. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 何もあげ足とって申し上げるわけじゃないんですけれども、先ほどおっしゃったのは、いろいろいま問題があっても、やがて全国燃料団体連合会として思想統一をしながら、うまいかっこうになるでしょうとお答えでしたから、きのう実は代表の方が来られて、とってもやっていけませんと言ってました。——そしたら、それは大なたをふるったんですけれども、あとでやってみたら算術としては合っていました、ということではないんですね、いま問題なのは。これは商売する側から考えますと、削減しろなんて言われなくたってしますよ、得なんですから。最初一割カットと言ったら締め過ぎちゃってあとで通産がたいへんおこられたという新聞記事が出ております、真偽のほどは知りません。もう値上がりが必至、しかも下がることはまずない。きのうは全石連の会長が、値段は今後もどんどん上がるでしょうとおっしゃっていました。そうなったらだれだって持っていますよ。それをどうやって出させるかが実はポイントなんで、この手のものは削減するんじゃなくて出させなきゃだめなんですね。その条件をどうつくっていくのかということが問題なんで、三百八十円きめたから、これは計算として合ってますということで、私はないんじゃないか。しかも、それを考えるときに、実は薪炭屋さんのことは考えませんでしたという感じのことをおっしゃいました。  そこで、これは大臣にお伺いしたいんですけれども灯油にしても、LPガスでも同じですけれども、話が灯油できてますから灯油で通しますけれども、一般家庭用は配達が流通の原則なんでしょうか。それとものこのこあるところまで買いに行くのが原則なんでしょうか。一般の姿なんでしょうか。どうお考えになりますか。
  145. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本の社会では、いままではやっぱり配達であったと思うのです。しかし今日のこういう事態になりますと、配達は千差万別でありまして、隣の家へ持っていくのと、二里、三里離れた山の中へ持っていくのと、これなかなかつかみにくいところがあります。それで画一的に全国凍結するためには、やむを得ず店頭価格というふうにしたわけです。
  146. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 値段のきめづらさはよくわかります。ただ通常の流通の姿というのは配達を前提にしているとお考えになりますか。いままではそうでしたというんじゃなくて、これからも。あれを持って歩ける人、老人でだいじょうぶですかという意味なんです、聞いているのは。
  147. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それはやっぱり、いままでの社会のやってきたとおりやるというのが一応通念と考えざるを得ないと思います。
  148. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、灯油の場合は、大臣もお感じのように、配達されるというのがあくまでも基本的な流通の姿だと見て考えていかなきゃいかぬということだと思う。これは標準価格の問題になると、では配達料を含めるのか含めないのか。なぜそれが問題になるかといいますと、従来は過当競争でした。そんなこと気にしなくてもよかったのです。結果として、しかし物不足の姿になると、そこまで標準価格として入っていかざるを得ないんであるのか。さらにまた、そういう末端の、零細と言っては差しさわりがあるかもしれませんけれども、薪炭から灯油に変わってきた人たちの、ああいう実は商売の姿が、灯油の流通経路としては不可欠なんだと考えたら、一次、二次の問屋という、この渡り方もまた当然のこととして認めていかなければいけないのか。多段階の標準価格を設定し、なおかつ配達料まで管理をしなければいけないということにおのずとなると思いますけれども、いかがですか。
  149. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) これは生活安定法の成立を待ちまして、標準価格問題は考えることに相なると思うわけでございますけれども、ただいま大臣が答弁いたしましたように、配達の実態というのは非常に千差万別でございます。で、従来サービスも含めまして、先生の御指摘のとおり、売らんかなということもあったわけでございますが、配達料というのはいろんな形をとられておるわけでございます。しかし反面、消費者側から見ましても、その配達料について、おのずからなる常識というのが成立しておったことも確かでございます。非常に山奥にいる人は、それ相応の実費というような考え方も、当然にそこに加算されることを認めておった慣習もあるわけでございまして、われわれはごく一般的な問題配達としては四、五十円と考えておったわけでございますけれども、今後標準価格をつくりますにあたりまして、私の感じでは、やはり配達料を全国一律にこれを規定するのはなかなかむずかしいんではないか。何か標準的なものの考え方を別途提示いたしまして、あとは実費加算、その実費についての考え方等についてもまた整理するというような形でいかざるを得ないんじゃないかと思いまして、まだ検討している段階でございますので、何とも申し上げにくいんですが、配達料込みの形で灯油を標準価格にするのは、なかなかむずかしいんではないかと考えておるわけでございます。
  150. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 机の上で考える場合は、これは配達料でこれは灯油と、こうなるんですけれども、実際に薪炭屋さんが取る場合は、別に分けて、お金に色がついているわけじゃないですから……。きのうも代表の方がおっしゃったように、三百八十円ということで言われますと、私どもは配達料の中でいただくしかございませんと言っている。というのは、個々には、元売りは一応値段を指定してあるとおっしゃいましたけども、途中の流通でそれぞれにまた加算されてという事情があるということでしょうしね。それはないと思うほうがよほど無理なことかもしれません。  ただ私は、そういうものを当然の今日ある販売組織なんだということを頭に置いて管理をしていかなければいけない。そこで私が言いたいのは、これほど入り組んだこまかいものを政府が管理できますかということを聞きたいんです。
  151. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 先生御指摘のとおり、現在灯油の流通経路というのはなかなか複雑でございます。元売りから特約店、それから問屋、それから小売りとなるわけでございますが、その途中にまた薪炭問屋、薪炭小売り店というのがからむわけでございます。しかし少なくとも特約店、一次卸までは元売りからの系列といいますか、油のつながりがついております。で、われわれといたしましては、元売りを指導することによりまして、この特約店に異常なるマージンが発生しないように、これは大いに気をつけてまいるわけでございますし、法律でも成立いたしましたら、この辺はより一そうきちっとしたかっこうで調査その他もできるわけでございます。問題は元売りの一番最初の段階をきっちり凍結し、主要なる中間段階のマージンを適正に管理いたしましたことによりまして、最終需要家のところに渡ります三百八十円というものの堅持ということをはかろうというのがこれからの方向でございまして、いろいろと複雑な流通経路の問題がございますけども、これを一挙に短絡するということは、なかなか私むずかしいと思いますが、現行流通経路を前提にしながら、その中間における適正なるファンクションの保持ということに、これからやることが政策方向ではないかと思うわけでございます。
  152. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 まあこういったところでお伺いして、それはとっても無理ですとはお答えづらいのはよくわかるんですけども、ただ、できるのかできないのかということを、やはり腰だめでも政策当局は判断をされなければいけないんだろうと思います。きのう言われたまんまですから、そのまんまオーム返しにして真偽を問わず言ってはいけないのかもしれませんけども、この薪炭を中心にした末端流通組織についてどうなっているんだという調査要求が通産省からあったんだそうです。これは全国燃料団体連合会の話です。で、自前で手弁当で金を使ってまとめたら、ありがとうでもなきゃ、ウーでもなきゃスーでもない。一年半ほっぽっておかれてそのまんまなんです。  これも、いろんないままでの感情のいきさつがあっての御発言でしょうから、そのまんまは言いませんけれども、とにかく口だけでやるんではなくて、できるかできないかを考えながら、この場合には相当の無理があっても、灯油についてはもう無制限に出していくしかしようがない。そのかわり産業用でどういう問題が起きても、これは至急部分対策を打つしかないという見通しをやっぱり立てるべきなんじゃないか。これは灯油がないということになりますと、じゃあみんな寒い顔しているのかといえば、そうじゃなくて、やっぱり電熱器を買い込む、ほかのエネルギー源を使って結局寒い冬をしのぐわけです。それを考えますと、この灯油の問題については実態を見ながら御検討していただくということにして、農林省からおいでになっていますので、ちょっとお伺いしたいんですけども、現在の石油不足状況削減の可能性、その削減をしていくことが今後の農業政策に、あるいは農業問題に残すかもしれない後遺症、この点について、もしありましたらお伺いしたい。
  153. 二瓶博

    説明員(二瓶博君) 農業用の石油につきましては、過般決定を見ました石油緊急対策要綱におきまして、一応、一律節減の対象外ということにしていただきまして、さらにその適正な必要量の確保につとめるということになっております。  そういうことで、農業用の石油につきましては、その生産面の分につきましては適正な必要量の確保ということで優先業種にしてもらっておるわけでございますが、今回のこの石油節減といいますものは、国民的な一つの運動でございますので、農家の面におきましてもいろんなロスもあろうかと思います。これらの面につきましては、農林事務次官通達等におきまして、施設園芸その他の面におきましても、極力ロスのないようなやり方をするようにということで、指導の通達等も出しておるわけでございます。  で、いまお尋ねの、今後のこの農業の生産の面で、一体節減がどのぐらいまで可能かというような問題あるいはその場合の影響というようなお話でございますが、これらの面につきましては、率直に申しまして、まだ十分省内でも詰め切っておりませんので、この面につきましては、いま具体的に、ここでどうということまで申し上げる段階までには至っていない、こういうことでございます。
  154. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 端的に伺うんですけども、今回、私も実はにわか勉強でびっくりしたんですけども石油の流通組織というのはまことにごちゃごちゃしていまして、どこをどう縛っていいんだかわからない面があるんですけども、そういった意味で、確保していくとおっしゃるんですけども、その確保のルートづけは、たとえば農協という団体がおかげさまでございますとか、ということで、確保ルートは農林省として管理しやすくなっているんですか。
  155. 二瓶博

    説明員(二瓶博君) 現在農業用の石油につきましては、まあ全農、これは一応卸というような、石油販売業者での卸というようなかっこうで石油を取り扱っておるわけでございます。それが大体四〇%程度扱っております。それから経済連の段階、それから末端の単位の農業協同組合、この辺まで入れますと、まあ五九%程度、六〇%ちょっと切れた点ぐらいまではこの農協系統で農業用石油を扱っておるということでございます。それ以外の残りの分が、いわゆる商人糸と申しますか、そういう系統のほうから農家のほうに流れておるということでございます。  で、問題は、まあ優先確保といいますか、そういう政府の姿勢が出ておるわけでございますが、具体的に、たとえば当面問題になっております施設園芸、こういうものについてどういうふうな流し方をするかという問題があるわけでございますが、これはやはり供給のほうは、そういう商人の方々といいますか、要するに石油連盟傘下の元売り系統、やはりこれの流通のルートというものを一応尊重しながらやるしかないのではないか。ただ具体的には、現在も施設園芸用のものにつきましては、そういう供給団体でございます石油連盟、それから全石商連と需要団体という角度で、全国農業協同組合中央会あるいはいま申しました全農林ですね、こういうところで、具体的に必要な所要量はどのくらいさしあたり要るか、あるいはその流し方をどういうかっこうでやったらいいかというようなことをよりより協議中でございます。
  156. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 立ち入ってお伺いするようですけども、その協議というのはいつごろ始めたんですか。と言うのは、先ほど来、ほかの委員の方の質問も含めて伺っていますと、目下検討中、協議中、勉強中と、こうなるんですけども、この法律、あと数日後に上がろうとしているわけですね。それから対策をまさか打とうとしているわけじゃないだろうなあという不安感があるんですけども、いつごろからやっておられるのですか。
  157. 二瓶博

    説明員(二瓶博君) この協議は、実は昨日の午後一時半から協議をいたしております。
  158. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 大臣にお伺いしますけれども、あげ足をとって恐縮ですけれども、いま農業用の石油確保できるかどうかということでいろいろむずかしいのですというお話なんですが、農林について優先確保という方針も出ましたので、よりより相談しておりますと、いつから相談始めましたかと言ったらきのうからだと……。
  159. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そんなことはない。
  160. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いいえ、おっしゃっているんです。実はここで議論する前に、いろいろ各省庁に伺いますと、この法律が上がって、はたしてできるんだろうかという不安を実は真剣に感じているんです。その意味で、各省庁とも十分に、これ法律と無関係に石油に困っているんですから、各省ともしてなかったら、やるように国務大臣としてぜひやっていただきたいと思うんです。
  161. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 農林省とは予算が通る前、予算委員会をやっている最中に、私が政務次官及び事務次官に命じまして、倉石農林大臣とも話をして、そして私のほうの森下政務次官と農林省の渡辺政務次官と会って、私のほうの石油部長も出て、農林省のほうはまた数字を出しまして、それで第一回会合をやって調整したという事実がある。それは予算委員会をやっている最中であります。それで、その数字が少しまだ基礎が不安であるというので、またその数字の練り直しをやって、そして数字が具体的に固まるまでは、じゃこの項目、この項目と、項目ごとにまずセットさしたわけです。それで数字を固める作業は、まだ最終的に末端に至るまではきまってないはずです。しかし、そういうふうにして相談を始めたのは、だいぶ前の話であります。
  162. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 各省庁間の相談がしてないということ、もちろんいまの農林省の答えも違うんですけれども、ただ、デスクプランはできるんですよ。それをどういうルートで、どういう安定価格で確保していくのかということになると、業者がつくっているネットワーク、によらざるを得ない。農業のように、農協がたいへん強いところでも、伺いますと、一切がっさいひっくるめて六割弱、農業だけだったら四割の取り扱い高だということになると、ほかのいろいろな流通の人たちに相談をし、協力を求めなければいけないわけですね。その相談をきのうから始めたというのです。
  163. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) お答えいたします。  いま大臣からお答え申し上げましたように、農林省との間の話につきましては、ずっとやっておったわけでございますが、私どもとしましては、農林省との話に基づきまして、石油連盟を中に、農林部会、水産部会という部会を設置されまして、その責任者をきめまして、また農林省のほうにおきましては、御希望の数字等もございました。その数字についての裏づけのデータとか、そういった準備もございました。その数字をもちまして農林省のほうの関係団体と石連のほうの部会側との間におきまして、数字に基づきましての打ち合わせが具体的に始まったのはきのうということでございますが、それまでには、それぞれの準備がございまして、やや時間がかかったという点はあろうかと思いますが、そういう経緯でございます。
  164. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それでもきのうというのはけしからぬ話なんですけれども、石連というのは全業者団体を網羅しているんですか。
  165. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) 元売り業者は全部入っております。したがいまして、供給をいたしますときに、現下のように玉が総体的に逼迫をいたしておりますので、まず特定の分野に優先的に確保するということになりますと、玉をそこに向けるという、元の段階での確保をまず行なわなければいけない。その上で、たとえば全石商連合会がございまして各県にそれぞれ支部を持っておりますけれども、末端に至る組織を活用いたしまして、そのルートでそれぞれ流すということになるわけでございますので、いま私が具体的にやっておりますのは石連の段階でやっておりますが、もちろん私のほうとしましては、商業組合のほうの団体につきましても、農林省と通産省の考え方をもちまして指導をいたしておりまして、その指導のもとで円滑な流通ができるようにいたしたいということで、寄り寄り相談をいたしておる段階でございます。
  166. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 これは私の記憶違いであれば直したいと思うのですけれども、石連というのは、大体元売りは昭和二十六、七年ですか、昔の統制立法が排除されるころに歴史的な根源があったと思うのですが、それ以降十数社が今日まで来ているのですけれども、あといろいろニューカマーがありますね。それはコンビナートも含めて、限定的とはいいながら、ダウンストリームやアップストリームに参加してきたというものは石連に入っていないのですね。
  167. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) いま元売りは十三社でございますが、これは販売をやっておるものでございます。精製もし販売もやっておる。中には販売だけのものもございます。たとえば外資系で販売だけをやっておるものもございますが、あと同じく石油精製業者で、精製加工だけをやり、販売は元売りに委託すると、こういう企業もございます。その企業も石連の中にもちろん入っているわけでございます。
  168. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 それでは、あらためて戻しますけれども、確実にできるかどうかということを考えながら、ぜひ御検討をいただきたいと思うのですけれども、そこで十二条についてお伺いしたいのですけれども、いざとなったら伝家の宝刀を抜くかもしらぬと言いながら、まあできることなら使いたくはない。いざというときの用意であるということだと思うのです。これは来年の秋には、大体緩和されそうだし、ことしの冬場が、しのいでいかなければいかぬ一番の危機的状況なんだということになるだろうと思うのですけれども、そういった中で、もしかりに、この十二条を発動したとしたら、できるのかどうなのか、これの見通しを伺いたいと思うのです。
  169. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この法律全体が、緊急時の、しかも国民の権利義務を制約するという法律ですから、なるだけ発動しない。しかも発動する場合は必要最小限にとどめたいというのがわれわれの基本的立場であります。その中で、特にもとの十一条、今回は十二条。これにつきましても同じような原則でやっていきたいと思っておるのでありますが、しかし、たとえば高速道路に対する日曜日、祭日のマイカー乗り入れ制限あるいは禁止あるいはネオンサインの禁止、こういうようなものは、もうできるだけ早くやりたい、そう思っております。これらはむしろレジャーとか、それほど生活に近接なものと考えられませんから、準備でき次第すぐにでもやりたい、そういうふうに思っております。
  170. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまお答えの件は、続けてお伺いしようと思うのですけれども、その前に確認という意味で、なぜ伺ったかといいますと、これまで長いこと石油というのは買い手市場でございました。ですから価格の面を考えると、流通というのは、これは悪い意味ではなくて、野放しにしておいてあまり問題がなかった。そういう意味で、育ちたいほうだいに育っちゃったと思うのです。これが配給割り当てというぐあいに、統制をしていくということになりますと、どこをどうつかまえていくかということを、まずくふうしなければいけませんけれども、それが非常につかまえづらい。さっきの灯油も、実はそれを一つは申し上げたくて、原則が配達ということになれば、元売りと薪炭商だけでなくて、途中の一次、二次の流通まで含めて、きちんと見ていかなかったらだめになっちゃう。デスクプランではだめだということを申し上げたわけですけれども、これを全部この短期間にできるかというと、きわめてむずかしい。だから今度は十二条ですけれども、これを伝家の宝刀として、いつかは使いたいということを、もしお考えならば、いまの市場の流通秩序について、政府として介入し、是正をし、これを何らかの姿に直していくことも、あわせてお考えかどうか、これだけ伺っておきます。
  171. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 十二条の「割当て」「配給」につきましては、いま大臣が申し上げましたように、できる限り避けていきたいということは当然でございますが、もし不幸にして、こういう条文の発動をやりますときには、たまたまこの法案に価格の規定がございませんけれども、これは別途国民生活安定法のほうに価格全体の体制ということで用意してあるわけでございます。そういう価格関係の問題も含め、かつ先生御指摘のとおり、流通段階を、元売りだけでございませんで、卸、特約店等につきましても、きめのこまかい調査を行ないまして、そこの間に不正の起こらないように、かつ物が公平に渡りますように、そういうことをやっていかなきゃいかぬと思います。しかし御指摘のとおり、非常にそれを行ないますこと自身は、たいへんな事務量といいますか、事務処理の問題でございますので、でき得る限り同等の効果を、より一そう合理的な方法がないかということも、これから研究する必要があろうかと思いますが、現在民生にとって一番大事な灯油、LPG等を中心にいたしまして、具体的に公平なる配当が行なわれますようなことを引き続いて検討しておる段階でございます。
  172. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 事は急ぐわけです。それで、これまで石油に限りませんけども、ふんだんに物があるということに確かにわれわれも甘えてしまった面がありますから、さてここに来てということになると、なかなかもってもう手の振りよう、足の踏みようも知らないぐらいたいへんになるということはよくわかるのですけども、今後のことも考えながら、必要な能力、労力をどうやって集めていくのかも、これは真剣に御検討いただかないとできないことじゃないかと思います。  で、次に進みますけども、高速道路云々という話がありました。で、ガソリンの問題で少し伺いたいんです。現在は日曜、祝日はスタンドを締めなさいと行政指導がなされ、高速道路でも大体日曜日は二十四時間ストップしております。そこで私が伺いたいのは、いまの揮発油というのは、ほとんど大半がもう自動車が使っていると考えていいわけです。もし得率を変えないとしますと、そこだけ締めることにいかなる価値ありやいなやという議論になるわけです。で、現在は御承知のとおり、どこのスタンドに行っても、満タンと言えば入れてくれるわけです。一つはあれがたいへんもうかる商売だという面もあるのかもしれません。というときに、ガソリンの消費抑制が合理性を持つんだと、この点まずひとつ伺っておきます。
  173. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 得率の問題についてコメント申し上げますと、ガソリンはいま大体一一ぐらいの得率でございます。ナフサが一二ぐらいでございます。それからジェット燃料油というのが一・七%ぐらいの得率でございますが、この三つはいわゆる非常に軽質でございまして、この得率間の変動の可能性が若干あるわけでございます。もしガソリンを削減していきますと、それに相応しまして、ナフサとジェット燃料油は得率を若干向上できるわけでございます。そのナフサは、一番うんと使われておりますのが、石油化学用の原料で使われておりますけども、別途、非常にこれは公害上いい燃料でございますので、電力、鉄鋼それからガス等におきまして、これを公害用としても相当使っておるわけでございます。したがいまして、ガソリンの生産の減少に応じますナフサの増大というのは、日本経済全体のこれから少ない油全体を考えますと、ナフサの増加、それをガス部門等に回すことによるLPGの民生への確保、また灯油確保等に実質的には関係がございますので、私はガソリンの消費節減というのは、日本におきましても相当重要な問題であろうかと考えておるわけでございます。
  174. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまのお答えは、ガソリン、ナフサ、ジェット燃料というのは、得率の変更が比較的容易だから、したがってガソリンを減らしてナフサに回せば原油の有効活用がはかれるんだという趣旨だと思うのです。私、同じ趣旨のことを、きのう参考人の石連代表の方に伺いましたら、もし御指示があれば検討いたしますと言っておりました。そういう指示検討はされているのですか。
  175. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) 私どもは、石油業法に基づきまして毎月各社の生産計画並びに販売計画につきまして実態を把握をいたしておりますが、生産計画の段階におきましては、ガソリンをできるだけカットいたしまして中間留分のほうに回す、あるいはナフサのほうに回すと、こういう指導を具体的にいたしております。
  176. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 そうしますと、まあ昭和四十八年下期の当初の需要見込みでいきますと、都市ガス用が二百二万キロリットル、それから電力ほかとして二百二十七万一千という数字がありますけれども、そのナフサに関係する都市ガス用あるいは電力用というのは現在は困っていない——これは私、確認してないんでお伺いするんで、困ってないということですか。
  177. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) 十一月末のナフサの備蓄は約九日程度でございまして、製品在庫としましては約百万キロリットル程度のものでございます。したがいまして、たとえば先ほど申しましたように、灯油と比較いたしますと、備蓄自体がかかなり窮屈になっておりますので、ナフサに対する需要というのは、非常に需給がきびしいという状況でございます。
  178. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 従来ですと石油業界——これは話として伝え聞いてるんですけれども、ナフサをふやしてガソリン減らしなさいと言っても、なかなかいい顔はしてこなかった。そこで今回の危機で、いま毎月やってるというお話なんですけれども、従来よりも具体的にどのぐらいウエートをふやされたのか、その数字ありますか。
  179. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) ちょっと最近時のあれはございませんが、たとえば四十七年度の上期におけるガソリンの得率は一二であったわけでございます。現在これを一〇・五ぐらいに落としておるわけでございますが、将来、先ほど大臣も申し上げましたように、高速道路の規制とかマイカーの問題とか、ガソリンスタンドの販売量の規制とか、まあそういうことを行なうことによりまして、従来よりは、そういう規制の結果といたしましてガソリンの生産得率というのは精製側におきましても、できる限り下げるということにならざるを得ないと思うわけでございまして、今後毎月の計画をつくりますに際しましても、そういう政策の効果を反映さした形でガソリンの生産量というものはきめていきたいと思っておるわけであります。
  180. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 お話、逆じゃございませんでしょうか。あっちこっち、こう消費できないようにしぼっちまったらガソリンが余るから、そうしたらナフサに変わるというんじゃなくて、もとから変えなきゃいけないんでしょう、得率というもの。そこで、今月はガソリンはこれしかありませんから、車御利用の方々はこうしてください、緊急自動車優先でございます、という話に当然なるわけです。高速自動車をとめます、あるいはスタンドの販売量節減します、したがってナフサという、これ、逆でしょう、話が。しかも、いま都市ガス用、電力用という話がありますけれども、主力が石化原料であることはもう御案内のとおり。で、石化原料というのは、概して電力との関係がありますから、ナフサだけほうり込んでできるかという話があるとしても、これは開発途上諸国との関係で、ある程度つくっていかなければいけない部分かもしれませんね。そうなると、政策的にナフサはこれだけとるんだ、あと残りはガソリンだということになるんじゃないか。そういったことが、実は昭和四十七年上期と比べるというのんびりした話ではない。かりにも片っ方で制限するというんならそうだと思うんですけれども、いかがなんですか。
  181. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) ちょっと私、表現が非常に拙劣で恐縮でございます。先生のおっしゃいますような考え方でやるのが筋だと思います。
  182. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) 先ほど先生御指摘の点でございますが、十月の段階でのガソリンの得率は一〇・六四、ナフサが一一・八三ということでございますが、この十二月の指導におきまして、ナフサにつきましては一二・三六に引き上げるという指導をいたしております。ガソリンにつきましては一〇・六四から一〇・三二というふうに引き下げるという指導をいたしております。
  183. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いま国民が、新聞を見ながら素朴に感ずることは、LPGのタクシーは延々長蛇の列で、自殺者まで出ちゃった。片方のガソリンを使っている車のほうはいつ行っても満タンオーケーなんです。何となくアンバランスじゃないかという感じがあるわけです。そこに何%ふやしましたというのでは、ほんとうは御説明にならないんじゃないかと思うんです。  関連して、これはいささか所管離れになりますけれども大臣にお伺いしたいんです。いまタクシーのLPGがなくて困っている。これは流通経路の問題、大法人タクシーの問題、いろいろ事情があるようです。ただ一つ、国として責任がなかったかというと、実はガソリンに関する税制がLPGのタクシーをあれほどふやしてしまった大きな原因なんです。これから石油事情はそうよくなるとは思えない。そう考えますと、いまのLPGタクシーをガソリンにもう一ぺん戻すと、その場合に何が問題になるかというと、どういう機関でそれをやるか、その場合の改造費をどうするかという話、それから税制をどうするか。しかし、これもまた考えていかなければいけないんじゃないか。なぜかといいますと、ガソリンの場合には大きな原油の中の得率ということでいけますけれども、LPガスになると、それ自体の供給不安という問題がつきまとう。タクシーというのは庶民の足なんだという理解をすると、その燃料というのは最も安定的な道で確保しといたほうがいいんだ、そうなれば二年、三年かかるのかもしれませんけれども、一ぺん戻す政策もあわせて考えるべきじゃないかと思いますけれども、所管外ということであればけっこうですが、一応国務大臣としてお伺いしたいと思います。
  184. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その方法も検討に値する一つの方法であると考えております。ただ、かつてガソリン車をガス車にかえるのにたしか五、六万円かかりました。いまの段階でガス車をガソリン車にかえると十数万かかるんではないか、十万円ちょっとこすぐらいかかると思われます。そういう費用の問題があります。それからもう一つは、いまおっしゃったガソリン税の問題で、これが道路財源になっておる。そういう諸般の点を、運輸省や大蔵省とも相談して検討をする必要があると思います。
  185. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 いまの問題、御所管でありませんが、ぜひ御検討いただきたいと思います。  あと自動車の問題でもう一つだけお伺いしておきたいんですけれども、ガソリンの配給制限、切符制ということが話題にのぼったりいたします。それから日曜日のドライブを全部とめてしまえ、外国にもそういう例があるものですから、話題にのぼったりいたします。この種の制限的なものというのはあんまり物見高く話題にしないほうが、私はいいんだろうと思うんです。  そこで、一応確認のためにお伺いするんですけれども、時間がもったいないですから、主張のほうを先に申し上げます。一口にマイカーと言っても、中は千差万別であるわけです。何の用途に使っているかといいますと、官庁の資料がありませんけれども、ほかのデータによりますと、六割強が業務用であります。そこの中で、これが必要でこれが不必要という選別は非常にむずかしいそうです。警察庁、運輸省にもおいでいただいておりますから、必要があればまたお伺いしてもよろしいんですけれども、そういった意味では、途中を、こうきめこまかく区切ってしぼっていくということは、車の場合非常にむずかしい。全面一律——もちろん緊急自動車は除きますけれども、全面一律という規制しかできないんじゃないかと思います。この辺、御見解いかがでしょうか。
  186. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) この法案が成立しましたら、すみやかにやりたいことの一つは、土曜、日曜のガソリンスタンドにおける石油の販売をやめてもらう。いままでは日曜だけですけれども土曜もやろう。それから第二は、可及的すみやかに、日曜日における高速道路に対するマイカーの乗り入れば禁止しよう。それから日曜日、祭日におけるマイカーをどういうふうにレギュレートするかという問題は、おっしゃるように、非常に複雑な問題がありまして、それでこれは自治省や警察庁、運輸省とも相談をして、その成案を得るようにしてみたいと思っています。
  187. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 警察庁、運輸省からおいでいただいているんですけれども、こういう形で、こちらはこちらというのは失礼ですから質問は遠慮いたします。ただ不要不急ということは、ことばで言うことは簡単だけれども、選択はまことにむずかしいということだけ重ねて申し上げて、あとは大臣の後ほどの御検討に待ちたいと思います。  では次にいきたいと思うんですけれども、これは経済企画庁長官をお呼びしてあったんですけれども、いま物特が始まってしまって、席が抜けないようですから、政府委員の方にお答えいただきたいと思うんです。  石油の価格を幾らにするかということは、きめなければいけないと思います。また事実一部きめているわけです。という前提で、その標準価格を石油についてどういう目で見ていくのか。多少、やるとしたらという前提を置いた話になるかもしれませんけれども、お伺いをしたい。なぜ伺うかといいますと、ことしの初めまで石油業界というのは、まことに買い手市場で値段は安かった。ある業界紙から拾ってみますと、石油業界の本年度の最重要課題は何かといったら、価格の引き上げなんです。理由としては、石油産業利益の不振は数年間にわたってはなはだしいものがある。確かに石油業界では、過去十数年の間シェアを伸ばすことにきゅうきゅうとして、みずから利益を軽視してきた。それは石油業界がトータルコストの低減のみを追求し、適正な販売価格の達成をすべき努力を怠ってきた結果であると、まあ反省しているわけです。そのときの価格水準というのが一つありました。それと今日の売り手市場に変わってしまった価格水準があります。外国から買ってくる直接材料代については別途の議論として、問題は利潤率をどう見るかという話になる。ことしの初めは、買い手市場とはいいながら石油会社がつぶれたわけではなかった。確かに低かったかもしれない。今日では決してそうではない。それをどうやって見ていくのか。まずこの点、経済企画庁の方に、考え方として伺っておきたいと思います。
  188. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 経済企画庁といたしましては、標準品目についての標準価格の一般的なきめ方について申し上げたいと思いますけれども、いま先生おっしゃいましたように、いつの時点についてきめるか。特に標準価格を定める場合は、通常その品目の価格が値上がりを始めた時期にきめる場合が多いわけでございます。その場合に、この法律で予定をしておりますのは、標準的な生産費あるいは輸入価格、仕入れ価格、これに標準的な販売費用及び利潤を加えて得た額、それに、その他の事項といたしまして、取引の態様、地域的事情あるいは需給見通し等を勘案するということになっておりますが、その場合に生産費というものが有力な要素になりますけれども、実際上は、生産費がなかなか短時間の間にはっきり出てこない場合もあろうかと思います。そういう場合に、その総合勘案事項の中の一応の目安といたしまして、その物資の値上がりを始める前の価格というものは一応わかるわけでございますが、それを一つのよりどころといたしまして、その後における生産コストの中の諸要素、たとえばそれが輸入された物資であれば、輸入価格の上昇ということもあろうかと思いますが、そういった生産費を構成する……、生産費自体がわかれば一番いいんですけれども、生産費それ自体がわからない場合には、とりあえず生産費を構成する重要な諸要素についての、その後の値上がりの状況、こういったものを勘案して定めるというふうにしたいと思います。
  189. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 確認しますけれども、生産要素の問題、これはまたいろいろ石油石油なりに、ほかの商品は商品なりにむずかしい問題がありますけれども、いまは利潤率について、いつをとるかということをお尋ねしたんです。で、さっきの業界の資料から有力者のある方がおっしゃっていることを引用させていただきますと、われわれは加工業だからコストにあるマージンを含んだ値段で買っていただければよいわけです、しかし、いまの値段に比べるとだいぶ差があるから、なかなか容易じゃない、そのとき政府石油業界にどういう態度を示すのか云々という、まあそのマージン、それはあなたがいまお答えになったように、値上がり前のマージン率で考えてまいります。——これは原価率と別な話ですから。そう考えてよろしいですか。
  190. 有松晃

    政府委員(有松晃君) マージン率と申しますと、これはやはり物資ごとにおのずから異っておるかと思いますけれども、私いま申し上げましたように、値上がりしてまいりました際には、やはり値上がりする前の価格をベースとして、その後の諸要素の値上がりというものを勘案する、こういうことでございますが、そのほかにその物資の需給状況、生活等に及ぼす影響、そういったものを総合的に勘案する。言いかえますと、そういった総合勘案の過程におきまして、あまり現実から遊離するということではぐあいが悪いと申しますか、もの自体がスムーズにいかないという場合もあるいはあろうかと思います。まあ、概括的に申せば、先生おっしゃいましたように、大体値上がり前のマージン率が目安になると思いますが、いま申しましたように、そういった需給状況等も勘案しなければならないというふうに考えております。
  191. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 需給状況を勘案していただくと困るんです。売り手市場に変わってしまったんで、この法案ができたりあっちの法案ができたりしているわけです。需給状況は織り込まないでどうきめていこうかという話が問題の核心なんです。だから利潤率について、直接材料、要するに輸入原料費については、これは先さまの国際的な需給関係があるから、一がいに言えませんけれども、国内の各企業の利潤率はどうかというと、それだけで問題にできるわけです。そういう意味で、需給率は考えていただいては困りますし、現実の価格の動きとそう違ってもということでもこれはないんです。そこで、ことしの初めは大へんな買い手市場で、その状態が正常であるかどうかは異議はあると思います。これほど情勢が急変した中で、石油の価格問題に取り組んでいかなければいけないわけですから、少なくも利潤についてはこうなんだということは、はっきりお出しにならないといけないんじゃないかと思いますが、いかがですか。
  192. 有松晃

    政府委員(有松晃君) 私が需給状況も勘案してと申しましたのは、勘案事項の中の一つの要素として申し上げた次第でございまして、これを全面的にということでは必ずしもございません。売り手市場になっておるような場合に、それに引っぱられるような価格でということではなくて、やはりそのほかに生活への影響というようなこともございます。そういった意味で、私が先ほど申しましたのは、あまり現実を無視したような価格になっても困るという程度のことでございまして、半面生活への影響ということから、あまり高過ぎるようにするというようなことは十分チェックしてまいらなければいけないというふうに考える次第でございます。
  193. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 重ねて申し上げません。現実を無視して、よくわかります、ということから出てくることは何かと言ったら、出てくることは一日も早くなんです、ほんとうは。ところが先ほど来、勉強中、検討中、何だか中という話が出るから、国民は自衛処置に立たざるを得ないじゃないですかということです、ほんとうはね。  次の問題に移ります。時間がもうなくなりましたから、大臣に、当面の緊急問題と少し離れながら、先の問題をお伺いしたいと思うんですけれども、今回のアラブ、イスラエルの問題が石油削減ということをもたらしましたけれども、われわれはこれから長期に見て、あるいは中長期に見て、石油不足というのはベースとして続いてくると見ざるを得ないのではないかと思いますが、いかがでしょうか。言っている意味は、もう買手市場には戻らない、売り手市場が大体石油を取り巻く市場条件になっていくんではあるまいかという意味でお伺いしております。
  194. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういうふうになる形勢にはありますけれども、そうなるものと断定することはまだ早いと思います。石油日本近海とか、あるいは北海とか、ノーススロープとか、あるいは東南アジア諸国で見つかったという場合が出てきますと、また情勢は変わりまして、やはり国際関係というものは、なかなか変化が多いものであります。しかし現在の時点で見ますと、そういう形勢のほうに動いていくと思います。
  195. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 おっしゃるように、未来不測のことが多いわけですけれども、これから対策を考えていく場合に、石油不足が半ば恒常化する、したがって売り手市場も恒常化せざるを得ない可能性があるということを踏まえて、しかし好運にも見つかったら、ああよかったという取り組みにおそらくなるんじゃないかと思います。なぜ重ねてお伺いしているかと言いますと、一つのありそうな想定として、石油不足は続くし売り手市場はこうなんだということになると、石油の流通市場について、いままでのような野放しは許されなくなるのではないでしょうか。何らかの恒久的仕組みとしての介入あるいは管理ということをあわせて、いまの緊急対策にあわせて考えていかなければいけないんじゃないかと思うんですが、いかがでしょう。
  196. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それは国内の体制ですか。
  197. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 国内です。
  198. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私らは、この法律をつくる趣旨は、緊急事態に対応するためにつくろうと思ってやっておるわけで、緊急事態が終わった場合には、告示ですみやかに解除しよう、普通の自由主義経済機構に戻ろうと思っております。
  199. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 緊急事態が解除されるということは、二つに分けて考えなければいけないと思います。いまの何%削減というやつが将来どこにいくという、これはいまの緊急事態、これがおさまって、ある石油供給というものが安定的に可能になったとして、その水準は、やはり相当低いところかもしれません。これが将来とも続くのか、あるいはほんとうに従来と同じみたいに、自由に野放しにしてしまって、いいところまで供給可能になるのか。この辺の見通しは、ほんとうにどうお立てになっているわけですか。
  200. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 価格はどうも上がる形勢にあると思うんです。しかし十七ドル原油というものがいつまで続くか、これは代替燃料との関係もありまして疑問の要素もあります。いずれにせよ、緊急事態が終わった場合には、自由経済に戻して、そして価格機能、市場機能、そういうものを自由に動かせるようにしていきたいと思っております。独禁法の指示している点も、そういう点にあるように私は思います。
  201. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 独禁法——そのカルテル的なことをいま申し上げているつもりはないんですよ。そういったお答えを誘い出すつもりで言っているのではないんですけれども、いまの十七ドルというDD原油の異常な値上がりについてどうこうではなくて、一応将来を考えて、今日の異常事態が抜けたとしても、もう昔の、ああいう石油がふんだんにあってあってしかたがない、流通市場を野放しにしておいても価格面の心配は全くないということは想像できないわけです。そういうことにならない可能性がたいへん強いとまず見ざるを得ないのじゃないでしょうか。そこで価格は上がるかもしれませんとおっしゃいますけれども、その価格が上がる反面は、国民民生用に全部つながるわけですから、それも自由経済でいいんだ、プライスメカニズムにまかせておいていいんだということになるんでしょうか、重ねてお伺いします。
  202. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) われわれは、やっぱり自由経済のほうが長期的に見ると効率的でありフェアである、そういうふうに思いますから、やはり多少価格は高くなりましても、その水準において自由取引が行なわれるような体制をやっぱり維持すべきであると、こう思います。
  203. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 御主張を理解するつもりでお尋ねするんですけれども、価格について低いところに安定しろという理屈は、一面いいようでいて悪い面があると思うんです。というのは、これから省エネルギーの生活体系あるいは経済構造をつくっていかなきゃいかぬ。その場合に、精神論でいってもなかなかできないんですから、価格を上げることによって、そういったことに誘導効果を果たすという面が実はあるんです。したがって、これはあまりいじくっちまうと、本来ほかのエネルギーにかわるもっと省資源的な方向にいくべきところをゆがめてしまうからあまりいじりたくない、こういう趣旨も含めておっしゃっているんですか。
  204. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういう面も必ずしもなきにしもあらずですけれども、むしろそういうものよりも、経済の体制として、価格の機能、市場機能、そういうものを維持した形でやるほうがよりベターである。それでたとえばいまおっしゃったような部分について、政府が特に配慮した流通経路をつくるとか、特別の措置をやるというお考えを御示唆になりましたけれども、そういうことをやる考えはいまのところありません。
  205. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 私が申し上げているのは、これは議論するつもりはありませんけれども、申し上げているのは、各段階に政府が介入しろということではなくして、ある流通秩序のつくり方ということを業界とも相談をされながら整理をしていく必要がある。とにかく何でもかんでも野放しで、片っ方は全石商業何とかかんとかがあって、こちらでは全燃料団体連合会があるという姿のまま、このままほっておいて、自由だからいいかということになるんでしょうかということと、これからはやっぱり自由経済に戻るんだというお話ですけれども、その前提のところに異論があるから申し上げたわけです。重ねて議論しようとは思いません、お考えいただきたいと思います。  そこで、時間がもう希少ですから最後に一つだけお伺いをしておきたいんですけれども、この法律で、政府供給計画を組むということが書いてあります。この供給計画というのは、どういう手順でお組みになりますか。言っている意味は、各石油業者が出した数字を積み上げるんですか、政府としての判断が入るんですか。政府としての判断が入った場合には、供給に見合った輸入原油の確保責任はだれがとるんでございますか。以上です。
  206. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 石油輸入といいますか、供給はなかなか見通しがつきにくい現状でございます。したがいまして、本法に基づきます供給目標は、当面原則として毎月つくらざるを得ないと、私思うわけでございます。将来、状況変更で、これが二カ月分を組むというようなこともあり得るかもわかりませんけれども、当面は、毎月これを組まざるを得ないと思うわけでございます。その趣旨は、やはりいま先生の御指摘のとおり、非常にいいかげんな供給は組めませんので、できる限り現実的に的確なる供給数量をつかむ必要があろうかと思うわけでございます。その供給目標に基づきまして、各社が供給計画を出してくるわけでございますが、これはわれわれのほうは、全体の供給目標に照らしまして、これをチェックしまして、必要があれば変更指示するわけでございます。で、この場合に、やはりただ足し算をして、これを集計するということではございませんで、先ほど先生の御指摘のとおり、ガソリンとナフサとの関係、その裏にございますそれぞれの用途別の緊急性等もできる限りこれを組み込みまして、関係各省との御相談も行ないまして、そういう基本的な線に基づきまして供給販売計画をつくるわけでございます。そういう意味で、本法の第五条の「供給目標」というのは、この法律全体の出発点でございますので、第五条二項で、通産大臣供給目標を定めますときには、これを閣議にはかって、内閣全体としての責任と斉合性のもとにこれをきめるという規定がございますのも、その趣旨でございます。
  207. 栗林卓司

    ○栗林卓司君 お話ですけれども、きのう実は通産省にお願いしまして、一番最近の需給の数字をほしいと言ったんです。で、その一番最近という意味は、その最近というのは具体的にどれくらいなんだろうかということも私は知りたいんです、とただし書きをして資料提出を求めた。これが参りました。見ますと、十月が内数で、十一月は何にも書いてないんです。わずかにLPガスだけがペン書きしてあります。こうなんですかと聞いたら、いや、大体こういうことでございまして、調査統計部でやはり実績集計に一カ月半かかりますと。片方でこれを踏まえながら一カ月ごとにおっしゃったものができますか。だから、もうこれ以上申し上げませんけれども、いま必要なのは、ことばでなくて対策だと思うんです。で、皆さんがほんとうにはれぼったい目をされて御苦労されているのはよくわかるんです。そういった意味で、そこの機関をどうやって強化するのか、何かというと、やはり石連に頼んでデータをもらわないと仕事も積み上がってこない。——そうじゃなくて、さしに勝負ができるだけのノーハウと技術と知識をどうやって通産省に蓄積するのかということもこれからでしょう。それしなきゃ供給計画組むったって、ただ法律に書くだけです。しかも今後、資源の状況は国際的に見て、きわめて流動的だろうという気もしますし、しかも差し迫った国民生活問題でもあるわけですから、ここではなかなかお答えはしづらいことかと思いますけれども、真剣に取り組んでいただきたいと思います。  それだけ申し上げて、質問を終わります。
  208. 大矢正

    ○大矢正君 長官、いまの栗林君の質問に関連して、きょう昼に私、資料要求いたしておりますね。一−三月の月別の輸入見込み、それから生産、販売計画等を出してもらいたいということは、いまの栗林君のところに出した資料しか出ないということになると、私の要求した資料は出ぬということになるんだが、通産省がお出しになるのは、俗にいわれる指定統計でしょう。指定統計は一カ月半から二カ月おくれるんですよ。そうすると、いまですと十月ごろの統計しか出てこない。十月ごろの統計を使ってここで議論せいと言うほうがこれは無理でしょう。だから、やはりもっと誠意のある具体的な態度を示す上においても、私は示してもらいたいと思いますから、ひとつこの際、念のために、御答弁いただけるなら幸いだし、御答弁できなければできないでけっこうでございますが、とにかく私が質問するまでに、はっきりいまの問題はしてもらわないと、そんな一カ月半も前の指定統計を持ってこられて、それでもって議論せいなんて言われたら、私は法律審議に入りませんよ。
  209. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) ただいま栗林先生に御提出した資料が非常に不備で恐縮いたしております。十二月分のいわゆる生産計画、先ほど石油部長が御説明いたしましたように、ガソリン、ナフサ等の関係もつけながら、十二月のものはでき上がっておりますので、これは提出できると思うわけでございますが、大矢先生の御指摘の、一月、二月、三月というのは、私のほうとしてなかなかできにくい状態でございます。と申し上げますのは、先ほども言いましたように、この法律に基づきまして、一月の供給目標を、これからその輸入量の確定、それから優先度の取り扱い等をやるわけでございますので、いずれはもちろん私、出せますけれども、いま一月を出せ、ましてや二月と三月をいま出せと言われても、これは事実上不可能でございまして、十二月は当然お出しできると思いますけれども、一−三のものを月で割って、決して私のほう指定統計をそのままやるというつもりはございません。当然に推定作業でございますので、統計数字を並べるつもりは全然ございませんし、またそれは意味ないわけでございますけれども、そういう意味におきまして、一−三を出すというのは、現時点では私非常にむずかしいと思います。
  210. 大矢正

    ○大矢正君 大臣にも申し上げておきたいが、中尾さんの質問、栗林委員の質問、その他うちの阿具根委員の質問にも御答弁されておられるようですが、その中で私、非常に気になることは、たとえば一つの例として、四十九年度の予算編成にからんで、産業の中心を占めるエネルギー、まあ原料にも一部なりますけれども、それの輸入計画輸入見通しが立たなければ、経済成長率も出てこないし、税収の伸びも出てこないし、一切が出てこないという判断のもとに、二億六千から二億七千万キロリットルという数字を出してきているわけですね。それに対して、その根拠は何かという質問をきょう言われておるのに対して、大臣は、まことに抽象的で、まるっきり勘でもって、何というのか、はじき出した数字でございますと言わぬばかりのような御答弁があるが、それは中尾さんや栗林さんは、それで納得するかもしれませんが、私は納得しませんよ。先に申し上げておきますが、私の質問はあさってやりますが、これは逆に物価のほうが先に通っても石油需給適正化のほうは通らないということもあり得ますよ。ということは、あなたはお考えくださいよ、いいですか、一−三月の具体的な輸入計画、これはあくまでも見通しですから、狂うことは私も認めますよ。認めますが、一、二、三月の計画もなくて、それでいて、この法律に基づいて何々をしますとかいう根拠は、一体どこから出てくるのか。マイカーを押えますとか、高速道路には乗り入れないようにさせますとか、産業界に対しては二〇%削減をさせますとか、電力についてはこうでありますと、そんな数字は、一体需給計画がなくて、どこから出てくるのですか。それは当てずっぽうに勘でもって、通産大臣の勘でもって、このぐらいやっておきゃ何とかなるだろうという根拠だけでもっておやりになるんなら、これは議論も何もなりませんよ。どうですか、私の言うのは無理ですか。
  211. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 来年度のことはなかなか予測がむずかしいです。一−三月につきましても、原油の供給事情というものがどういうふうに変わるか。十八日に行なわれて延期された中東和平のジュネーブ会議がどうなるか。そのあとで出てくるOAPECの外相会議が友好国や、あるいは中立国に対して削減率をどうするか。そういうことがみんなまだ未確定の要素であるわけです。そういうような、政治的な流動しているものにやはりかかっておるわけでありまして、的確な見通しというのは実際はできないんです。しかし大体いまの現状の条件で行けば一月はこの程度に来ます。二月は二千万トンぐらい、三月は二千万トン何ぼとか、そういう予測はあります。だから、これは提出いたします。  それから、その予測に基づく分配という計画については、この法律が通って、そして優先順位をきめ等々によってできるので、これはいますぐといっても、とても作業としても無理なわけなんであります。そういうわけでありますから、来年度予算の基礎についても、その一−三月の大体の入荷の見通しを基礎にして、大体四月はどれくらいだろうという基礎を考えて、ずっと、あとは政治情勢等を勘案しながら判断をした、そういうことになっておるわけです。でありますから、われわれとして知恵の及ぶ限り誠意あるものをつくってみたいと思いますが、それでもまだ限度が、国際情勢の流動性にかかっているという限度もございますので、その点は御了承いただきたいと思います。
  212. 大矢正

    ○大矢正君 私の質問時間じゃございませんで、これから共産党さんの質問に入りますから、私はこれでやめときますが、強く希望することは、何の見通しもなくて、とにかく削減というものを、こういう形のものをやる、ああいう形のものをやるというものは出てこないはずなんだからね。だから、ここでことばでやりとりをしていたんじゃ、まことに抽象的な議論で、実際に国民に聞かしてもわからぬです。ですから、はっきりと資料で、文書と資料でもって提示してもらわぬと困ります。ですから、大臣の言われることは、それ以上のことを言えないなら言えないでもけっこうですよ。それなら、それを基礎にして私、質問しますから、とにかく文書と数字の資料にして提示してくださいよ。そうでないと、これはことばでやりとりしていると、中途はんぱで肝心なところがぼける面が往々にしてあるんですよ。それじゃ何のための議論かわかりませんし、国民に対して何もプラスになりませんから、大事なところですから、それはひとつぜひ文書として出してもらわないと、山形さんおっしゃるように、それはむずかしゅうございますというようなことで言われたんじゃ、大臣のほうは出すような話しっぷりだし、山形さんは、いやどうもむずかしゅうございますと、こういう話だし、どっちの話がほんとうなんだかわかりませんがね。いまその返事まではいただきたいとは思いませんが、ともあれ、とにかく誠意のある資料をぜひ出してもらいたい。
  213. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が申し上げましたように、できるだけ誠意のあるものをお出しいたします。
  214. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は、きょうの質問は、大臣資源エネルギー庁の長官と、大体お二人にしぼって質問をいたしたいと思います。  まず最初に、エネルギー庁の長官に質問するんでございますが、法律案の条文に沿って伺いますが、第一条と第四条でこの法律を発動する場合の要件に当たるものといたしまして、「我が国への石油の大幅な供給不足」と定められておりますが、ここでいう「大幅」とは、一体何を基準にして、どのくらい不足する場合を考えているのか、この点をまず伺っておきたいと思います。
  215. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 本法におきます「大幅な供給不足」という表現でございますが、これは経済全体、国民生活全体との関係で、法律的には相対的な概念でございます。  現在、十一月十六日から一〇%の産業用のカットを中心にした節約キャンペーンを含めた措置を行なっておるわけでございますが、この効果の出方等もいま見ておるわけでございます。私の私見でございますけれども供給カットに即応して内需のカット、これを産業面で二割程度も行なわざるを得ない。これは各産業なり国民経済全体が当初期待しておりました量に対しまして二割近いカット、それに基づく二割近い需要のカットということが要請されるようなときは、大幅な不足状態と考えざるを得ないんではないかと考えておるわけでございます。
  216. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 通産大臣、いま二割カットだという話が出たんでございますが、今年度の当初の供給予想と比較しまして、今回の削減通告でどのくらいの減少になるのか、現時点での見通しを伺わしていただきたい。
  217. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 昭和四十八年度におきましては、当初の予定は約三億一千万キロリットルぐらい入る予定で計画がありました。それが今日の時点におきましては二億六千七百万キロリットルぐらいの見込みであります。しかし、これはOAPEC情勢によって、もう少し切られる可能性もございます。
  218. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうするとこの三億何千万キロリッターというのが二億どれだけに減ったということは、皆さんの考えていらっしゃる基準より少ないんですか、多いんですか。
  219. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) ことしの十一月初め、半ばごろは一六%ぐらいの削減であろうと思っておりましたが、その後約二〇%ぐらいの削減がくる、そういうふうになりまして、少し多いようであります。
  220. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると見通しより削減が多いとなれば、この法律が成立しますと、即刻、この法律が発動してきめられた措置をとる、こういうことになるのでございましょうか。
  221. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) できるだけ早期に告示を出して発動して、必要な措置はとっていきたいと思います。
  222. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は石連の会長に昨日ちょっと聞いたんですが、対四十七年度比でいくというと、ことしは一〇七%、こういうふうになるというような答弁があったんですが、それは正しいんでしょうかどうでしょうか。
  223. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) お答え申し上げます。われわれが供給がカットされるといっておりますのは、当初、日本経済の成長に即しまして必要な原油量というものを想定して、それに対するカットで考えておるわけでございます。  ちなみに、先ほど大臣が年間の数字を申し上げましたけれども、下期で申し上げますと、当初われわれが考えておりましたのは、下期で一億六千万キロリットルの油が必要だということで考えておったわけでございますが、これがいまも大臣が申し述べましたようなカット率に相なるわけでございます。したがいまして、ことしの分と去年入った実績との比較で申し上げますと、これは若干のやはり七%前後の増加になるわけでございますけれども、ことしの経済の成長が強く見込まれておりましたので、その見込まれておりましたことから比べると大幅なカットが出る、そこで混乱が生、ずる、こういうことでございます。
  224. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 大臣石油供給が基準にまで減少しない場合でも、石油国民生活日本経済にとって重要な物資であることを考えますと、国民生活支障を来たす場合も十分あり得ると思いますが、どうでございましょうか。私はそういうことを考えて、この法案から「大幅」ということばをはずしてしまったほうが機動的と思いますが、どういうふうに大臣はお考えになられますか、「大幅」ということばは必要がないんじゃないかと思います。
  225. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) おっしゃる意味はわかりますが、やっぱりこれがためにふだんの備蓄、それから新しいエネルギーの開発、それからエネルギー源の多方面化というような政策を今度の経験にかんがみまして強力に進める必要があると思いますが、しかし、この法案は何しろ国民の権利義務を拘束するところが非常に大きな法案でありますし、また国会から授権していただくという授権法案でもありますから、できるだけこういう国民の権利義務を制約する法案というものは短期間で、そしてできるだけ適用しないで済めば、全条文を適用しないで部分的に適用すればいいという、そういう感じの法案ではないかと思うんです。  そういう意味から「大幅」のという深刻な事態でなければ適用しない、適当に行政官庁がすぐ告示を出してやるというようなことは国民の権利義務を守る上からも適当でない、こうわれわれは考えます。
  226. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほどのお話で、ことしは二〇%減となると、二〇%減になったらばこれは大幅なんだということがはっきりとみなにわかるように「大幅」ということばが数をあげて説明されればいいですけれども大臣のお考えで、ある年は二〇%減が大幅であり、あるときは五%減が大幅だと、こういうふうに解釈されていったんでは困るということなんです。  またマイナス五%、五%減でも国民生活には非常な影響を与えるときも起こってくると思うんですね。だから「大幅」という字を特に使う必要はないと、国民生活影響を与えるというふうな書き方にしたほうが私は適切じゃないかと、こういうふうに考えるので、こういう質問をいたしておるのでございますが、「大幅」というのは非常に概念的なことばで、われわれははっきりとしないと思うのです、国民には。それをどういうふうにはっきりさしていくことができるのでしょうか。
  227. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはり国民生活の安定と国民経済の円滑な運営をはかる必要がある。そのために、なぜそれが起きるかという場合に、石油が原因である、石油が原因であるけれども輸入が大幅に減った、そういうような供給が大幅に減ったと、そういうふうに非常に限定的にこれは書いてあるわけです。  それはやはりガソリンスタンドの休業であるとか、あるいは高速自動車道路に対する乗り入れ禁止であるとか、そのほかさまざまな国民の権利義務に対する拘束が出てくるわけですから、そういうようなことを政府国会委任と授権に基づいてやるということはなかなかたいへんなことでありまして、そういうときはなるたけ短期間に限定的に厳重に行なわれなければならない。したがってやはり「大幅」ということばは必要である、そういうふうに私は思っております。
  228. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ちょっと私たちの考えとそこは違いますね。そういうことを「大幅」ということばを使わないで、国への石油供給不足が起こった場合というふうにすれば、もっと理解がしよいように思うんですよ。  それじゃ、いまあくまでも大臣が「大幅」ということばに執着なさるならば、その「大幅」ということばは具体的にはどういうことなんですか。二〇%なんですか、ことしは一四%、一六%ぐらいの減になると思っておったところが二〇%の減になったと、これで大幅だと、こういうふうにおっしゃるわけでありますが、そこはどういうふうにわれわれは理解していっていいんでしょうか。
  229. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはまあ二、三%というような少ないものでは問題にならぬと思いますけれども、やはり供給不足が生ずる場合において不安定なことが起こる、そういうことが出てこなければいかぬわけであります。したがって、今回のように、前途がまだわからぬという情勢が続こうとしておる、そのためにトイレットペーパーの買い占めとか、そういう事件が起きている、こういうようなケースは典型的な一つのケースであると思います。  そのときの状態がどの程度であるかということは、これは国民生活あるいは国民経済運営自体に対する影響度を見て考えたらいいと思うので、それはなまやさしく発動すべきものではない、そういうように考えております。
  230. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、この「大幅」というのは国民の生活にどのぐらいの影響を与えておるかということをものさしにしてはかる大幅だと、こういうことですね。
  231. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そうです。
  232. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 石油の量ではないということですね。輸入減の量ではなく、国民生活に与えている影響がどうだということを基準にしてきめると、それを大幅だと、こういうふうに理解していいんですね。
  233. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そうです。
  234. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると少量の場合でもますます国民生活影響が大きくなれば、それはやはり大幅の削減だ、こういうふうに理解していかざるを得ないと私は思うんですよ、どうでしょうか。
  235. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 少量なときはやっぱり大幅とは言えないんで……
  236. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 しかし国民生活に与える影響は非常に深刻な影響になる場合がありますよ、大幅な。
  237. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) それはどうでしょうか。
  238. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それはありますよ。
  239. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 少ない場合は影響も少ないんじゃないですか。
  240. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 その場合のことを考えて、私はこの「大幅」ということばを削除しておいたほうがよいのではないだろうかという老婆心ですよ、私のこれは。
  241. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 老婆心はありがとうございますが、私は、しかし、やっぱり国会というものは最高機関ですから、国会権限を握っておいて、政府権限を渡すときにはできるだけ少量にして、国民の権利義務を守るというのが議会政治、民主政治の常道であると、そういう考えに基づいてこういう条文ができておるわけです。
  242. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 わかりました。あなたのことばでこの「大幅」というのは石油の量ではなく、国民生活に与える影響の強さではかるんだということはここではっきりいたしましたから、そういうふうに理解していきます。  それから次でございますが、この法律には価格の規制が入っておりませんが、これは何で価格の規制を入れないんでしょうか。
  243. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは別の国民生活安定緊急措置法という法律によりまして、石油のみならずほかの諸般の物資に関する価格の規制ができるようにしてありまして、その斉合性を整えておくために一括して向こうへ入れておるわけであります。
  244. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は石油国民生活にとりましても日本経済にとりましても重要な基礎資源であると思います。ですから物資一般の価格と同列に扱えない特別の意義がある、こういうふうに私は考えておるんです。この法律の第十二条で配給について定めておりますが、こういう場合は数量ばかりではなく、価格も問題になることを当然予想しなければならぬと思います。そのためにも価格についての規定を入れるべきであった、私はこういうふうに考えるわけです。  それをやらないで、石油の価格をその他の物資一般の価格問題に解消しようとしている政府には石油問題に対する認識の欠如がある、こう思いますが、通産大臣の見解を伺っておきたいと思います。石油と一般物資の価格とは非常に違いがあるということを私は申し上げたいんです。
  245. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 御指摘のとおり、石油は非常に基礎的な物資でございますが、反面、今回の緊急事態石油数量カットから行なわれたものでございます。したがいまして、石油について、特に石油の特性に即応した需給のこまかい規定を置きますことが重要でございまして、これは石油の中に御存じのとおり非常に数多くの油種がございますが、その油種別にいろんな計画等もつくらなければいかぬという要請に基づきまして、石油関係につきまして特に需給適正化法というかっこうでその需給関係をこの法律で詳細にきめたものでございます。  価格とは当然に連動いたすわけでございまして、御指摘のとおり必要に応じまして国民生活安定緊急措置法案のほうに盛られております価格条項とあわせてこれを措置することによりまして対処いたしたいと考えておるわけでございます。価格問題は、石油から派生しましていろんなものに関係いたしますので、価格関係全般としての斉合性を保つ必要があるという点につきましては、いまの大臣の発言のとおりだと私も考えるわけでございます。
  246. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 第六条に定められております石油生産計画等の届け出の中で、特定石油販売業者が作成する石油販売計画とは一体どのような内容の計画か伺っておきたいと思います。
  247. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 石油供給に関しましては、まず政府原案の第四条で供給目標をきめるわけでございますけれども、これを一つのガイドラインといたしまして、各石油精製業者輸入業者、販売業者がそれぞれ計画を出すわけでございます。これはおそらく当面としましては一ヵ月ごとにつくることになると思いますが、油種別にこまかく期初在庫、それからその期中における販売数量、それから期末の在庫等がこの計画によって各社別にきまることに相なると思います。
  248. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまの長官の説明を聞いておりますと、数量のみの計画になりますね、間違いございませんでしょうか。
  249. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 数量だけでございますけれども、当然にその数量の意味する内容、たとえば民生用灯油の一月なら一月の確保はどのくらいするか、民生用の農産物関係の軽油はどのくらいするかというような、そういう目的を含めた、それの集合された各社別の数量でございます。
  250. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 昨日、参議院のこの石油問題の参考人で出席された松村全国石油商業組合連合会会長はこういうことをここでおっしゃいました。あっせん条項では流通の適正化は不可能だと思いますと答えておるのですね。そうすると、あなたのいま問題にしているのは数だけのことを言っていらっしゃいますが、最近の石油流通段階に起こっております問題を見ますると、元売り業者の系列に入っていない販売業者には石油供給を拒否して、排除しておるわけです。そうして、もし石油がほしければわが社の系列に入れ、こうおどかしをかけておるわけですね。これは石油の入手難を利用した悪質なやり方とはあなた方はお考えになりませんか。  また石油国民生活に優先して供給確保する立場から考えますと、比較的に需要者に近いところにある販売業者計画には、いま言いました販売店とか一般家庭用、病院用、福祉施設、農漁業用など、用途別にどのくらい販売するかも考慮した計画として届け出させる配慮が私は必要だとこう考えるのです。通産大臣のお考えを伺いたいと思いますが、いまの計画ではただ数だけの問題です。
  251. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) こういう機会に一部の業者の中には弱い者を吸収して系列下に入れて強大になろうという危険性が十分御指摘のとおりございます。そういうことを排除して、やはり適正な配給を行なって、関係業者に対して公平に仕事ができるようにさしてあげるということがわれわれとしての本旨であり、そういう方向政策を指導してまいるつもりであります。
  252. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、私が後段で述べましたような一般家庭用とか病院用とか福祉施設、農業漁業など用途別にどのくらい販売するかも考慮した計画をと、こういうふうに私は申し上げたんですが、そういう計画はお立てにならないということなんですか。  そういう計画を立てていかないと、昨日の松村会長が申しましたように「あつせん」という条項ではものの流通がうまくいかない、不可能だということをおっしゃっている、そのとおりになるんじゃないかと思うんです。だからそういうことのないために、やはりもっと親切に各般にわたった計画を立てて指導していく、こういうことが必要じゃないかということを私は申し上げているんです。長官のようにただ数だけあげて、これこれの数ということでは私はものがうまくいくまい、こういうふうに考えておるんです。
  253. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その点は非常に重大な点の御指摘でございまして、ややもすれば強い者がちに流れていくという危険性が十分ございます。それをどういうふうにして公平な配当の方向に流れさせるかということが、まさに御指摘のとおり、われわれの一番大きな責任でございまして、その点につきましては運輸省あるいは農林省あるいは厚生省等とも連絡をして、当該省においてそれらの管下のものについては責任を持ってやっていただく、通産省はそのもとの配当は一生懸命保証いたしますが、それから先のことは当該省においてやっていただく。大体、厚生省は民生関係、運輸省は運輸関係、それから農林省は農林漁業関係、中小企業庁はわれわれのほうで自分でやりますから、そういうふうな分担でやろうと思っておるわけであります。
  254. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 私が申し上げましたのは、五条の販売計画というのは業者別の油種ごとの数量でございます。しかしそれはそれだけではいま御指摘のとおり、また大臣から答弁ありましたように、それだけでは特に優先的に確保しなきゃいかぬところに油が回らなきゃいかぬわけでございますので、これにつきましては農林、運輸等といま相当こまかい作業を詰めておりまして、近く成案が得られるわけでございます。  それの具体的な仕上がりというのは、それぞれの需要数量をこまかく具体的にきめまして、それを石油連盟及び全石商運の中におきます部会において、個別にそれを、いわゆるスタンドまたはどこの販売店から取るかというところまで極端に言いますとルートを確定いたしまして、これを流すようにいたしております。万が一それが滞りましたような場合には、販売業者間の融通または各府県に置かれますあっせん所の機能、そういうことで行なうわけでございまして、決して五条の規定に基づいて数量だけをぽっときめて、それであとは何もしないということではございませんので、念のために申し上げます。
  255. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 きょうは、通産大臣、私たちは非常に建設的な質問をしようとこう考えておりますので、そういうお考えのもとに御答弁を願いたいと思うのです。  第八条で「(揮発油使用節減)」を定めておりますが、規制の方法が主としてガソリンスタンドの営業時間の短縮に置かれているために、郊外からの通勤者の中にはマイカーを使ってもよりの駅まで出てから通勤電車に乗らざるを得ない人もかなりおりますから、たとえばバスの早朝、夜の便数をふやすとか、路線の延長、新設などの措置も私は必要となると思いますが、その辺の配慮はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  256. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) マイカーの制限等が出てきますと、当然、そういう大衆交通手段は増強しなきゃいかぬと思っております。
  257. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 先ほどからの大臣のお答えではマイカーを相当規制するような御答弁がありましたから、だから一刻も早くそういう準備と申しますか、それを整えて——もういま遠いところから通っていますからね、市内まで。だからそういうサラリーマンが遅刻をしたり困難をしないように大いに御配慮をしていまからその準備をしていただきたい、こういうことです。やってくださいますね。
  258. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やります。
  259. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それではその次に移ります。  この法案に関連しまして日本石油会社の現状について伺いたいのでございますが、まず第一に、日本石油会社全体の資本金に占める外国系会社、直接外資会社、外資関連会社及び間接外資関連会社など、いわゆる外資系石油会社の資本金の割合はどうなっておりますでしょうか。
  260. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) 外国系会社の資本金の全体に占めます比率は、これは日本系のなにが全然入っていない全くの外国系でございますが、三社ございますけれども、これが一〇・六%でございます。それからいわゆる直接外資提携会社、外資と直接提携しております会社の資本金の比率が三一・五%でございます。それから外資に関連するという形の会社でございますが、これが一二%。それから間接関連会社は一・七%でございます。それから外資非提携会社というのは当然差額の四四・二%、こういうことになります。
  261. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 合計は。
  262. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) 合計五六%でございます。
  263. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 五六対四四です。
  264. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 わかりました。  次に、それらの外資系石油会社の占める精製及び販売のそれぞれのシェアはどのくらいになっておりますか伺っておきたいと思います。
  265. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) 精製のシェアでございますが、四十六年度の数字でございますが、いわゆる外資系は、先ほど幾つか分けましたのですが、まとめて申し上げますと、精製の面で五〇%、販売の面で五五%、これが外資系でございます。直接、間接、関連を含めたものが五五%でございます。
  266. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると資本の占める率も五六%、それから精製の面でも五〇%以上、販売の面でも大体五〇%以上というふうに外資系の会社が占める率は非常に高いですね、大臣。私はここに問題があると思うのですよ。要するに日本石油産業というものは資本の面から販売、精製、あらゆる面で外国系資本に五〇%以上全部握られておる、こういうことになるわけで、日本の将来から考えましてこの問題は非常に重大な問題だと、私はその点を指摘しておきたいと思うのです。  そこだけにこだわると時間がなくなりますから次に移りますが、通産省監修の「石油産業の現状」という本を見ますると、外国石油会社、金融機関からの資金の借り入れが相当あるように書かれております。いまお聞きしたとおりです。最近の状態についてその説明をしていただきたい。  それから最近の通産省の資料を見てもかなりの額になっておりますが、いわゆる民族系といわれる会社も相当融資を受けておると思います。その点を説明をしてください。
  267. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) いま手元にございます資料は四十七年の三月末現在の数字でございますが、外資提携会社が借り入れております借り入れ金の状況は四億七千五百二十八万ドルでございます。これは外資提携会社でございます。外資の非提携会社が借りております外資借り入れ状況は三億七千二百六十七万ドルでございます。合計八億四千七百九十六万ドルというのが四十七年三月末の状況でございます。
  268. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 去年何月……三月ですか。
  269. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) 四十七年三月です。
  270. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私が持っておる表が間違っているといかぬから私はあらためて伺っておきますが、外資非提携会社、ここにドルを借りていますね、ドルを。それは幾らになっていますか。
  271. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) いわゆる民族系が三億七千二百六十七万一千ドルでございます。これは昭和二十七年から今日までの借り入れた額の累計でございます。
  272. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 間違いありませんか、私はここに資料を持っているんですよ、あまり間違われては困るんですよ。
  273. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) ただいま申し上げましたのは、外資導入の認可になったものを対象としたものでございまして、ただいま申し上げました金額の中には、すでに返済になったものは落ちておるわけでございます。
  274. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 やはり政府の責任ある答弁をはっきりさせておかぬといかぬですよ。——わかりませんか。
  275. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) あらためて詳細に出しましょう。
  276. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) あらためてお手元にお届けするようにいたします。
  277. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 どうもあなたの持っている資料よりぼくの持っている資料のほうが新しいらしいんだ。  で、ぼくの持っている資料によりますと、確認してくださいよ、外資非提携会社だけを申しますと、そこからドルが入っているのが四十七年度で二千五十五万ドルですね、それは四十七年度だけです。それから全部合計しますると三億九千三百二十二万ドルですよ。それを円に直しますと約千五百億ぐらいですね。そのぐらいの金が入っているということは私の持っている資料には出ているんです。それをあなたがそのとおりでございますと確認するならば、それで許しましょう。
  278. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) いま手元に四十七年の数字を持っておりませんで、どうも恐縮でございました。先ほど申し上げました三億七千二百万にいまの二千万の金額を足しますと、先生のおっしゃいます三億九千三百万にほぼなります。そのとおりだと思います。   〔委員長退席、理事佐田一郎君着席〕
  279. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それと、なおここに私は資料を一つ持っているんですが、先ほど申しました「石油産業の現状」という本の中に、こういうことが書いてありますよ、私が言ったことが正しいと思うんです。  「投資の対象が、戦前の販売部門中心から戦後は生産部門中心に変ったこと。」「会社別には英糸よりも米系の進出が圧倒的であること。」「民族系会社に対しても外国金融機関および外国石油会社よりの資金貸付が行なわれており、近年、世界的原油の供給過剰を反映して、原油購入契約をともなう外国石油会社よりの資金貸付が多くなったこと。」こういうことも書いてあります。それから「直接外資提携会社においては、必要とする輸入原油の全量を提携先の」——まあ、いま読んだところで終わっておきましょう。これはまたあとで述べることにしますが、そういうふうに書いてありましてね、要するに最近日本へ入ってくる外資の量が非常に多いということ、これがいわゆる日本石油産業に大きな災いを来たしておる、こういうふうにわれわれは思うんです。  先ほどの数は確認なさいましたから、それじゃその次にまいりましょう。  政府は自主開発原油を確保するといって石油開発公団なども利用して、かなり努力してはおるようでございますが、日本企業が海外で多く開発プロジェクトを持って盛んに開発を進めておりますが、単独でやっているのはそのうちの二割ぐらいのようでございます。残りは米国系を中心とした大手石油会社に資金的に技術的に依存しているようでございますが、実態はどういうふうになっておりますか。   〔理事佐田一郎君退席、委員長着席〕
  280. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 自主開発の問題につきましては、先生御指摘のとおり、できる限り日本が全部まるがかえで開発体制をとろうということで確かに当初は進んでまいったわけでございます。一番端的なものはアラビア石油でございます。これはもちろんサウジとクウェートの政府が約二割、それぞれ一〇%の資本参加をしておりますが、考え方といたしましては日本が全部やるということで始まったわけでございます。こういうものはどういうものがあるかといいますと、北スマトラ石油、ジャパンローサルファオイル、インドネシア石油、大体四社でございます。  しかし、その後、開発の動き、それから諸外国の動き等の推移を見まして、かつ従来メジャーズが開発しておりますところへむしろ参加して、その参加の比率に応じて日本に持ってくる油の量を確保するという問題、それから開発行為をしなくても、いわゆる融資買油といいまして、融資を行なうことによって、そこの株を取得しなくても油が取得できれば、それはまたそれでいいんじゃないかというようなことから、いろいろな形のいわゆる原油の獲得の方法が進んでまいっておるわけでございます。  今後、われわれはかかる多様化したいろいろな仕組みを考えまして、単純に日本が一〇〇%の資本ということだけでなく、いろいろな形の組み合わせも考えまして、日本に適切なる輸入確保をはかるような方向で進んでまいりたいと考えておるわけでございます。
  281. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 ここに表がありますが、この表によりますと日本単独が三十一件の中で六件しかない、一九%ですね。それから米系がからんでおるものが十九件、六一%が米系がからんでおる。日本石油産業の姿がここにはっきりと示されておると思うのです。  原油の供給面から私は伺いたいと思いますが、外資系は原油購入基本契約や資本金との関係で制約されるにしましても、民族系といわれる会社でも借り入れ金との関係で——先ほど申しましたとおりです、いわゆるひもつき原油を買わされて原油選択の自由が奪われております、そうでございましょう。反面、今回のOAPECの生産削減が出されると、不可抗力条項で本国には優先的に供給するが、日本には一方的に増大された削減率でしか供給しない、こういうことになっております、そのとおりでございますね。四十七年度の実績で見ますると、日本の総輸入量に占めるひもつき原油の割合は一体どのくらいになっておりますか、はっきり申してください。
  282. 熊谷善二

    政府委員(熊谷善二君) 従来、外資提携会社がその出資比率等を記入いたしまして、いわゆるひもつき原油を買わされていたわけでございます。まあ高くとられていたといった面がございまして、私どもの指導といたしましても、そういったひもつき原油をなるたけ少なくするように、そういった制約を排除していくというのが私ども行政指導の一つの目標でございました。  最近におきましては、ここ一、二年、非常に油の需給が対等になりつつございましたので、こういったひもつきの問題につきましては、私どもとしては特にそれが政策上の問題として排除その他の措置をとってまいっておりません。したがいまして、現在、いわゆるひもつきと称されたものにつきましての統計その他は確認をいたしておりませんので、具体的な数字につきましては特にいま手元に資料を持っていない状況でございます。
  283. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私が先ほど質問申しましたことは事実でございましょう、どうですか、そこをはっきり確認してください。
  284. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 最初の御質問の一〇〇%引き取り条項ということでございますが、これは原則的に先ほど来出ておりました出資比率に応じた引き取りということになっております。ただ、一、二その出資比率をこえまして一〇〇%引き取りが強行されております、契約上そういう規定になっております会社もあることは確かでございます。  それから本国との関係でございまして、メジャーズが日本にカットを高め、本国にはこれをゆるめるということが契約上読めることになっており、またそれが現実に行なわれているかということの御質問につきましては、これはなかなか詳細にはわかりにくいんでございますが、いまのメジャーズの全体的な行動といたしましては、これは数回にわたってわれわれ接触し、大臣も先般メジャーの代表を呼びまして接触したところによりますと、メジャーズの基本的な考え方といたしましては、各国に平等にこれを分けたいというふうに言っておりますので、なかなか諸外国の現状はつかみにくいことでございますけれどもアメリカ本国に非常に有利な配分をしているとわれわれのほうは考えてはおりません。彼らはそれははっきり平等原則を言明いたしておるわけでございます。
  285. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 じゃもう一つ、はっきり確認をとるために、私そこにある文書をちょっと読みますがね、「直接外資提携会社においては、必要とする輸入原油の全量を提携先の外国石油会社から購入することになっている。(不可抗力による免責条項がある。)」こういうことですね。それから「外資提携会社、間接外資提携会社ともに輸入する原油全量が、間接・直接に関係ある外国石油会社からのひも付原油であり、原油の自由選択は極めて困難となっている。」それから「原油ひも付契約は、外国石油会社の原油生産、販売シェアーの維持および拡大対策につながるものであり、当該精製会社の原油供給確保が期せられる反面、それだけわが国石油精製業の原油選択の自由度は減少する結果となっている。」これは確認なさいますか。
  286. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) いま先生が読み上げられましたことにつきましては、そのとおりでございまして、従来、いわゆる国際石油資本というものが非常に強大な力をバックに日本に——極端に言いますと、日本の販売を全部独占しようという形であらゆる方法を講じまして臨んできたわけでございます。ひもつき原油の問題もその一環でございます。  われわれといたしましては、これは先ほど来先生の御指摘のとおり、そういうことになりますと日本じゅうの油が全部握られるということになりますので、ここ十数年以来できる限り民族系を育てようということで、精製面だけでございませんで、販売面に共同石油というものをつくりまして、そこの販売能力の増強をはかってきたわけでございます。かつて九割くらいが外資系の販売シェアであったものを徐々にこれを改善いたしまして、一番最初に御披露いたしましたように、大体、いま国産系が、精製面でも販売面でも、五割で相拮抗する対抗能力というものを持つまでに育ててきたわけでございます。
  287. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、ひもつき原油は何十%ですか。
  288. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) まことに恐縮でございますが、手元に資料がございませんので、これは後刻詳細に御提出申し上げたいと思います。
  289. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私が持っている資料——これは通産省から出た資料ですよ、七〇%前後と推定しておるという資料がきている。どうですか、間違いありませんか。
  290. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 私、非常に判断がむずかしいわけでございますけれども、いま申し上げましたように、精製能力、販売能力約半分、そこへひもつきというかっこうでいろいろと圧力的なものもありますので、後刻これは調べて御報告申し上げますけれども、先生のおっしゃいます七割程度というのは、私の勘でございますけれども、そんなようなものじゃないかという感じもいたしております。
  291. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 わかりました。  原油の供給価格の面から見ますると、これは石油連盟でも認めておることでございますが、原油購入基本契約その他で国際石油資本側が一方的にきめられるようになっておりますね。ですからOPEC諸国が原油の値上げをすると、それをそのまま日本に転嫁してくるわけでございます。日本石油会社はそれを受け入れざるを得なくなっております。OPEC諸国が原油を値上げする理由は幾つかありますが、国際石油資本は産油国から安く原油を買ってもうけているのだから、それを自分たちにも渡すべきだというのも理由の一つになっております。  この際、政府は、日本石油会社を不当に拘束している原油購入基本契約を公表させて、国民の力で変えさせていく必要があると思いますが、通産大臣にはその御意思がございましょうか、どうでしょうか。
  292. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これは契約の自由で、私契約のもとでございますから、政府が干渉してこれを改めさせるとかなんとかということはちょっとむずかしいし、適当ではないと思います。
  293. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 じゃこういう契約は不当な契約だというふうにはお考えになりますか。
  294. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 国際私法の上で通用していることでございますから、特に不当なものであるとか、違法なものであるというふうには考えないところであります。
  295. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ大臣ね、これはこのまま放置するというお考えなんですか、どうなんですか。
  296. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私が申し上げましたのは、日本政府としては、そういうものはできるだけ少なくするように、努力目標として持っております、行政目標としては。しかし会社同士でやった私契約を政府が介入してやめさせるとかなんとかという力はないと、そういう意味のことを申し上げたのであります。
  297. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は何も政府の力でやれということまで言っているわけじゃないんですよ。そういうことを一般の人に知らして、公表させて、国民の力で変えさせていく必要があると、こういうふうに私は言っているわけです。通産大臣一人にやれということを言っているわけじゃない。その国民の力を結集させるためには、これを国民の前に明らかに発表しないとできないでしょう、だからこれを発表しなさいと、こういうことで、やれとかやるなとは言ってない。発表したらどうですかということを言っている。その御意思がございますかと言っているんです。
  298. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) いま一滴でも油のほしいときでありますから、そういうものを公表することが油の購入に支障を来たすというおそれもございます。慎重にしたいと思います。
  299. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 中曽根通産大臣ともあろうお方がえらく消極的なことだと思いますが、これはしかしやはり国民の前に明らかにして、それで国民の力によってこれを改めていくということが正しいと思います。私はそのことを強く大臣に要望しておきます、要求しておきます。  日本石油会社の現状について若干お尋ねいたしますが、この実態はまさに米系国際石油資本に日本石油会社が従属しておる、こういうふうに思います。通産大臣の認識はいかがでございましょうか。
  300. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 戦争に負けまして焼け野が原になって、製油所も全部焼かれてしまいまして、マッカーサー元帥の占領下アメリカの指令で太平洋岸の製油所の再開を許されて、アメリカの資本が入ってきて、そして占領が終わってから、営々として民族系を育てて、ようやく精製能力において五〇・五〇まできたのでありまして、われわれの努力の足らざるところはありますけれども、しかし、そういう努力はしてきたということはお認め願いたいと思いますし、今後も適正な割合を維持するように努力してまいりたいと思います。
  301. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまのところそれ以上の答弁を求めてもむずかしかろうと思いますから、この問題はこれでいたしませんが、いま私があなたに要望したことですね、これは重大なことでございますから、従属性を断ち切っていくという方向努力をしてもらいたいと思います。努力していきますね。
  302. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) まあこれをどういうふうに表現するか、従属的と言い得るか、あるいは協調関係と言い得るか、ともかく国際的な各国との関係、各国ともみんな同じような契約でやっている向きがあると思うんです。ですから、そういうパターンを一挙に日本がひっくり返し得るかどうかは疑問な点がありますが、しかし御趣旨はよくわかりますから、われわれも、日本石油会社がいずれも完全な独立性と申しますか自主性を持つように、今後とも指導してまいりたいと思います。
  303. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 あとに重大な質問がまだだいぶ残っておりますので、先を急ぐことにしましょう。  私は、当面の石油問題の解決のためにも、また日本石油問題を根本的に解決するためにも、従来のような米系国際石油資本に従属した石油中心のエネルギー政策を改めるとともに、自主的な外交、経済政策をとることであると考えます。そして産油国や社会主義国とも平等互恵の経済関係を発展させることによってエネルギー資源を自主的に確保すべきである、こういうふうに考えます。通産大臣の見解を伺っておきたいと思います。
  304. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 世界的に協調して国際協力のもとに円滑に石油を入れたいと思います。そのためにはイデオロギーや国家の体制を乗り越えて、そういう方向に進んでいきたいと思います。
  305. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 石油に関連して重要な石炭の活用の問題で伺いたいと思いますが、この問題は阿具根君も相当時間をかけてやられたようでございますから、簡単に二、三の質問にとどめたいと思います。  今月七日に石炭鉱業審議会が中間報告を出して石炭の積極的活用を提案しておりますが、特に火力発電所で石炭を大幅に活用することは重要であると思います。  たとえば東京電力管内にある火力発電所は石油石炭も両方燃やせる設備を持っております。このような都市にある火力発電所でも使い、産炭地には石炭専焼の火力発電所を建設することをあわせて実行すれば、国内の石炭も活用できますし、場合によって輸入してもよいというわけでございます。同時に、公害対策の面では、技術的には解決済みでございますので、排煙脱硫装置や集じん器を取りつけることを義務づけて実行すれば十分効果をあげることができると思います。  このほか石炭の液化やガス化について研究開発を進めれば、利用範囲が広がって、答申でいっておるところの二千二百五十万トンをはるかに上回る水準で石炭を掘って活用することができるはずです。その対策を早急にとる必要があると思いますが、大臣のお考えを伺っておきます。
  306. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 御趣旨には同感でございまして、そういう方向に沿って努力していきたいと思います。
  307. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 石炭を積極的に活用するために、この際、石炭特別会計のうち石炭鉱業再建交付金や元利補給金などは凍結をして、その分を坑道の骨格構造の改善、採炭技術の近代化、炭鉱労働者の労働条件の根本的改善のため使用すれば、さらに効果をあげることができると思いますが、どうお考えになりますか、大臣、御答弁願います。
  308. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 石炭対策につきましては、数次にわたる答申が行なわれ、現時点では五次答申の線で進んでおるわけでございます。なお、いま先生のお話しのとおり、十二月七日、緊急的な対策についての中間答申もいただいたわけでございますが、石炭の鉱業全体を考えまして、従来から非常に数の多い対策を組み合わせまして進めてまいったわけでございます。  石炭企業というものが石油との関係でだんだんとその勢力を落としてまいったわけでございますが、今後とも企業のやはり体制の保持というのは重要な問題でございます。企業労働者、労使一体になってこれからの石炭対策に取り組むべきであるわけでございまして、すでに御答申をいただいております五次答申の線に沿いまして、企業側に対する対策それから労務対策、経理対策等を全部含めてやっていくつもりでございますが、特に安定補給金の増額、それからいま出ました坑道補助金、それからガス化の研究開発の促進、こういう三点につきましては、緊急事態でございますので、合計約五十億円の追加要求をいま財政当局にもいたしておるわけでございます。
  309. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これまで石炭鉱業再建交付金や補給金というものがほんとうに石炭産業のために使われてきたならばいいんですが、そうでなしに石炭企業利益だけにこれが流れていったような感じがするんですよ。  そういうことでは私はいけないので、いま申しましたように労働者が安心して働けるような保安設備ですね、いわゆる元利補給金を凍結して、それで坑道の骨格構造の改善、これをまずやらにゃいかぬです。これがないために、いつも炭鉱がくずれたり爆発したりして死人がたくさん出ておるのですから、こういうところでは労働者は働きませんよ。だから石炭を掘ろうと思えば、まず保安設備を第一にしなきゃいかぬ、採炭技術の近代化も考えていかなきゃならぬ、炭鉱労働者の労働条件、給料をよくして都会の労働者に負けないだけの給料をちゃんと出すようにしていかなかったら、あんな穴っぽこの中に入ってちりにまみれて一日暗い中で命をかけてだれが働きますか。そういうことでは石炭産業というものは労働力のほうから消滅してしまうということを、第四次石炭審議会審議のときに私は植村さんに言ったわけですよ。同じことをまた重ねて言わなきゃならぬ。そういう状態ですから、こういう面をやっていかないと石炭を掘ろうと思っても石炭が掘れないわけです。  だから、この間じゅう政府石炭を掘ってくれ掘ってくれと炭鉱労働者に言ったでしょう、炭労に。ところが炭労は何と言っておりますか。炭労は、大会で、もう常に政府は身がってなことばかり言っておる、これまで閉山閉山といってわれわれの山をどんどんこわしてしまった、そうして石油がなくなるというと石炭を掘ってくれ掘ってくれと言う、しかしその石炭を掘る手当ては何もしていない。こんな状態でおれたちは政府の言うことを聞いて石炭が掘れるか、増産に応じられるかということを炭労の大会で言っておるのですよ。それじゃだめじゃないですか。  大臣、ここで通産大臣として担当大臣として、この石炭に対する態度をはっきりと強く打ち出さないと、石炭そのものもつぶれてしまうし、また皆さんが希望しても石炭そのものも出なくなってしまうという、こういう状態にあるわけです。石油がこなくなった、石炭が出なくなったらどうするんですか。ここをよく考えて責任ある答弁を私はしていただきたい、こう思うのです。
  310. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 先般、中間答申もいただきました。あの中間答申の線に沿いまして鋭意力を入れていきたいと思っております。  昨年は石炭対策に千八十億円の費用を投じたのでございますが、来年度は千二百二十五億円にこれをふやして、積極的に推進していきたいと思っております。
  311. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それからもう一つ伺っておきたいことは、法案の内容について私は伺いたいわけなんですが、修正されました条文の第十三条に定められております石油需給調整審議会権限についてでございます。  通産大臣の諮問にこたえるということになっておりますが、通産大臣の諮問にこたえるばかりではなく、諮問があってもなくても積極的に調査、審議できるようにすべきである、こういうように私は考えますが、大臣はどういうようにお考えになっていますか。
  312. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) これはこういう審議会をつくるときの例文でこういうふうになっておるのであります。次の項に「審議会は、前項に規定する事項に関し、関係大臣に建議することができる。」と、積極的に建議もできるわけであります。
  313. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それでは積極的に自主的に審議して、それを通産大臣に建議した場合、通産大臣はその建議を尊重してその実現のために努力されますか、責任持って。
  314. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 内容が妥当であれば、喜んで採用したいと思います。
  315. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 いまのことばちょっと引っかかるんですがね、内容が妥当であればということばはおかしいと思うんですよ。いやしくも審議会ですよ、権威を集めた審議会でしょう、政府がしかも任命した審議会じゃないですか、その審議会がかくあるべきだという結論を出したとき、政府がそれを問題については尊重するけれども問題については尊重しないというような、そんなばかげたことで審議会できますか、権威ある審議会できますか。そこはもう一ぺん答えてくださいよ、大臣
  316. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) やはりこれは諮問機関でございますから、そのまま全部採用するということをここで申し上げることはむずかしいんであります。しかし、おそらく、われわれが意見を異にするような建議をするようなことはあまりないと思います。がしかし、全部そのまま採用しますとは、ここで私は申し上げにくい立場にあるのであります。
  317. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 まあそれ以上は私追及しませんが、大臣の態度いかんによって審議会が積極的に動くかどうかということにも関連してくるんですね。だから、その点は、審議会の意見はできる限り尊重していくという方向大臣は進めてもらいたいと思います。よろしゅうございますね。
  318. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) よろしゅうございます。
  319. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 それじゃ、これはこの程度にしておきましょう。  その次に、大臣日本から在日米軍——陸海空軍を通じてですが、に提供しているガソリン、石油の量は一体どれだけなんですか。
  320. 山形栄治

    政府委員山形栄治君) 米軍向けの石油製品でございますが、四十七年度に三十八万二千キロリットルでございます。それから四十八年の一月から十月まででございますが、五十七万四千キロリットルでございます。これは大部分がジェット燃料油でございます。
  321. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 四十七年は三十八万、それから四十八年が五十七万、わかりました。  この石油はどこからきたかといえばアラビアのほうからくる石油ですね、アラビアから日本へそれだけくる。その日本はアラビアから受けた石油アメリカ軍にこれだけ提供していく。アメリカ軍は本国でその石油を使うならともかく、日本石油を使ってイスラエル援助という形をとっていくわけですね。そうするとアラビアは日本石油をせっかく提供しながら、自分の敵国であるイスラエルにそれが使われる、これは回り回ってそういうことになる。因果がめぐってそういう結果日本にアラビアの石油はこなくなる、こういう因果関係にあると思うんです。  だから日本がイスラエルと断交して、そしてはっきりとした態度を打ち出すことが私は必要だと思うんですが、政府考えを述べていただきたいと思います。
  322. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 日本にきている油が米軍に使われて、イスラエルに対する援助となって動くということは、直接結びつきはないと私は思います。  それからイスラエルとの断交問題は、事国際関係のことでございますから、外国情勢も見てこれは慎重にやらなければならぬと思います。
  323. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 直接関係がないとおっしゃっても、回り回ってそういうことになるわけでしょう。それはね、これはアラビアからきた石油だと、アラビアからきた石油は決して米軍に提供していないといったって、日本石油が米軍に提供されれば、それはそういうことになるわけですよね、だからアラビアだっておこるわけでしょう。だからここはよっぽど考えて、き然たる態度をとっていく必要が私はあると思いますよ。今度は政府はそういう態度に立ったんじゃないですか。
  324. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 米軍に供給している石油については、この間キッシンジャー国務長官が来ましたときに、総理も外務大臣も私も申し入れをしまして、善処方を要望しました。先方は日本に対して協力しましょうと、そういう話がありまして、まず自主的にいろいろ節減をしておりますが、外務当局でもその点については努力をしておられるようでありますから、いずれ結果が出てくるかもしれません。
  325. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 これは政府に私は検討をしてもらいたいと思う立場に立って申し上げるんですが、油不足がすなわち紙不足に通じまして、今日、新聞紙が不足して、みんな減ページになったり減紙になったりしておるということは大臣も気づいていらっしゃる点だと思うのです。人間の文明というものはどこから生まれたか、やっぱし私は紙というものができて人間の世界の文明というものが発展したものだと思うのです。特に新聞紙は言論、思想の自由というこの民主主義を守っていく上で新聞紙を確保するということは私は非常に重要なことだと思うのですね。ところが、それが不足を来たして非常に困っておる、これがどんどんと詰まっていくならばたいへんなことになると思います。  だから大臣にこの際申し上げておきたいことは、新聞紙に対して、製紙業者にあらゆる便宜をはかって重油の提供をたくさんしていくということですね、大量に。そしてそういう不都合の起こらないように政府として考えていってもらいたい。教科書の紙にこと欠くというようなことはこれはもってのほかだし、そういう点で私は製紙に対してこういう提案をしたいのです。  この間、私、製紙連合へ行って会長に会いまして、私は古紙を製紙に使ったらどうなんだという話をしました。そしたら古紙を使えば電力使用量は三分の一で済むというのですね。しかし、古紙だけでは新聞紙はできない、腰が弱くて切れてしまうんで、それはできない。だから古紙を使うにしてもどれだけかのパルプを使わなきゃならないんだと、こういうことでございました。それならば新聞紙にはパルプを使うが、ほかの紙には古紙を使ってはどうだと。いわゆる厚紙ですね、ああいう段ボールの紙とかそういうものは古紙を使うようにして、電力使用量を少なくして、そこから出てきた重油を新聞の製紙に使うようにしたらどうだろうか、こういうことも私は製紙会社に言ったんでございますが、この古紙を新聞紙に使えないということは腰が弱くて切れちまうということなんですが、これを通産省の科学技術関係——工業技術院なんかもあるんですが、何か科学的な研究をすることによって古紙がちゃんと新聞紙に使えるような研究をなすったらどうかと思うのです、検討を。それをどうでしょうか、これは私の意見ですが、検討していったら電力の点でもプラスになるんじゃないか、重油も少なくて済むんじゃないか、こういう考え方をするが、それは政府がやはり先頭に立ってやってくれぬとできないことだと思います。
  326. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 資源の活用でございますから、検討さしてみようと思います。
  327. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 通産大臣、あなたはこの間本会議場でも、日本はいまや産業構造を変えねばならぬ時期に達したと、これまでは海岸を埋め立てて工場をつくり、安い石油を買って自動車をつくり、それを外国にどんどん売って金をもうけたが、そのかわりに公害がどんどん出た。そうしていまや石油不足で苦しんでおる。だからこのような体制は反省して、知識集約型に変えねばならない、こうおっしゃいましたが、今後は、従来どおり安い石油がどんどんと入ってくるようになりましても、再び以前のような産業構造には返らないということがはっきりおっしゃれるんでしょうか、どうでしょうか。
  328. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) そういう方向に強く転換して、いきたいと思います。
  329. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると石油が今日のような条件であれば、もう当然私は田中総理大臣が言っておるところの列島改造論なんということは不可能だと思うんですが、通産大臣はどういうふうにお考えになりますか。
  330. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 時間をかければ可能であると思います。
  331. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 そうすると、あなたの考えていらっしゃる知識集約型の新しい産業構造というものは、一体、どういうことを考えていらっしゃいますか。
  332. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 私の記憶では、日本列島改造論の中にも知識集約型ということはよく書いてありました。前通産大臣ですから、その点はよく勉強されておったと思います。
  333. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私は田中通産大臣とこの商工委員会の席上で再三にわたって議論を戦わしたのですよ。あの人は勘のいい人だということは言えるようでございますけれども、あんまりものをきちっと突き詰めて検討してものを言っていらっしゃらないような感じがするのですね、私は。  それで列島改造論を聞いていると、もう六十年にはいままでのような石油よりももっとたくさんの石油をたいて、世界の石油の三分の一を日本に持ってきて、そして産業をどんどん興していくんだと、こういうことをおっしゃった。それでは公害がどんどん出るじゃないですかと言ったら、いや公害の出ないようにする。どうして出ないようにするんですかと言うと、ただ工場を分散するということだけなんですね。しかし工場を分散したからといって日本の公害は解決する問題じゃないんですよ。まずやるべきことは公害の出ないようなことをちゃんとしなきゃいかぬのですね、それを実行させなきゃならぬ、それを第二に置いて、工場をあっちこっち分散するんだと、それは公害の分散にすぎないではないかと、こう私は言ったんです。そうすると、そこまでいくとあなたと私は意見が違うと言って、もうあまり意見をおっしゃらないんですが、そういう面が多いと思うんですね。  それで田中さんの考えている列島改造論たるや——あなたのように時間をかけて、それは百年も二百年もかければ、公害もなく、いろいろな無理もなしにうまくいくということも自然と生まれてくるかもわかりませんよ。しかし、あのせっかちの田中総理の考えていることはそういうことじゃないと思うんですよ、私は。きょう田中さんがもしも元気でいらっしゃるならば、この席上に来てもらって私は田中さんとあらためて議論を戦わしたいと思うけれども田中さん来ないから、あなたにはこれ以上私は申しませんが、新産業構造というものですね、これを私は具体的に聞きたいんですよ。あなたの頭の中にあるどういうふうにしていくんだと、公害の問題はどうするんだ、エネルギーの問題はどうするんだ、生産はどうしてやっていくんだと、そういうことを日本国民の幸福ということを土台に考えて、命と暮らしを守るということを土台に置いて御答弁願いたいんです。どういうことを考えていらっしゃるのか。
  334. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) 命と暮らしを守るということは全く同感であります。そこで、しかし一億の人口を養っていくためには重化学工業の基礎も必要であります。重化学工業の基礎がなくして知識集約型が育つとは思いません。やはり重化学工業がある限度にきて、知識集約型にさらに伸びていく、そういう形が普通のパターンであるだろうと思います。だが日本の場合には、重化学工業のみにとどまっていて知識集約型のほうへの伸びが非常に少ない、それはそういう自覚が足りなかったんだろうと私思うし、自覚があったにせよ、実行力が足りなかったように思います。それにはやっぱり石油がふんだんに入る、安易に何でも入るという環境がしからしめたという点があるかもしれません。  そういう意味で、今回の教訓は、やはり安定成長、適正成長に日本経済を維持していくために石油輸入量というものが一つのかんぬきになる、そういうふうな考え方に経済政策産業政策考えを変えまして、自然に石油がめちゃくちゃに入らぬのだと、したがってそういう面から機械化とか知識集約型に産業構造を矯正していく、また石油電力をうんと使う産業は高くつく、そういうことでまたそういう方面に矯正していく、そういうような方向によりまして、これを機会に知識集約型ということを推進してまいりたいと思います。
  335. 須藤五郎

    ○須藤五郎君 私たちのほうでも、いろいろそういう産業の構造についても検討しております。そういう資料もありますから、ひとつ大臣もそれを参考までに読んで、じっくりと考えていただきたいと思うんです。  これで最後にいたしますが、政府は野党四党の修正案につきまして一定の譲歩をされました。国民生活を守る上で一定の役割りを果たすことができる可能性が出てきたと思うんですが、政府がこれまでとってきた売り惜しみ買い占め防止法や独占禁止法に対する態度を見ますと、この法律を真に実効あるものにするためには政府の確固たる姿勢が問題であると思います。また通産省内部にありましても、今回の法律ができても効果はあがらないだろう、法律があってもこれを保障する体制が不十分だ、資源エネルギー庁にはそれだけの体制がないという声が公然と起こっていることは皆さんも御存じのことだと思います。  この際、この法律運用するにあたりまして、政府の政治姿勢と実行するための体制をつくる上での中曽根通産大臣の所信を伺って、私の質問を終わりたいと思います。
  336. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) その御批判はやや当たるところもあるとわれわれは反省いたします。通産省のエネルギー庁におきましては不祥事件等もありまして、そのために多大の御迷惑をおかけし、国民にも申しわけないところでございましたが、そういうやさきにこれだけの大きな仕事が起きてまいりまして、そのためにこういう知識や事務に練達している者がいなかったという点もございまして、庁員は夜を日に継いで一生懸命やってくれていたのでございますけれども、必ずしも御満足のいくようなことができなくて恐縮に存じております。  しかし、これだけの重大法案を御採択いただくならば、われわれとしても非常に重大な責任を負わされるわけでございますから、定員の増強、それから通産省内部における融通、これはすでに実行しておりますけれども、そういうあらゆる措置を講じまして御期待にこたえるように努力してまいりたいと思います。
  337. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) 他に御発言がなければ、本案に対する本日の質疑はこの程度にいたします。     —————————————
  338. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) この際、通産大臣に申し上げます。  本日午前の阿具根委員質疑に対する通産大臣の答弁中に若干穏当を欠く発言があり、先刻、大臣もこれをお取り消しになりました。この発言につきましては、委員長において速記録を調査の上、適当に処置いたしたいと存じますが、大臣よろしゅうございますか。
  339. 中曽根康弘

    国務大臣中曽根康弘君) どうぞお願いいたします。
  340. 剱木亨弘

    委員長剱木亨弘君) それでは、そのように取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時七分散会      —————・—————