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参考人(
密田博孝君) どうも御質問はたいへん大きな問題で、しかも将来の予測をどういうふうにするか、何に根拠を置いてそれを考えるかと、たいへん率直に申しますと、ここでだれもなかなか考えにくい問題あるいは考えましても、それぞれ違った結論が出てくると、こういった問題ばかりなものですから、私としてもこれが
石油連盟の
意見であるというふうに申し上げることはできないのですが、いま感じておりますことを中心に、いまの御質問に若干お答えしてみたいと思いますが、そういう意味でひとつお聞き取り願いたいと思うのであります。
原油の見通し、特に来月以降どういうことになるかということにつきましては、いろんな問題も考えなくちゃいかぬのでありますけれ
ども、第一には、やはり将来
OAPECがどういう態度で
原油を
供給してくれるであろうか、あるいはそれがどういう要因で動いていくのだろうか、こういうことになりますと、これはどうもいまの
段階では、
業界があらゆる手段を講じましても、たとえばあとでも価格の問題で出てまいりますけれ
ども、御指摘のありましたイランの十七ドルというような公開入札のDD
原油がありましたが、たとえば、むちゃくちゃな値段を出しまして何でもかき集めるのだと、こういいましても、その対象となる量はきわめてわずかであります。したがいまして、たいへんどうもそれからまたいろいろの影響する問題が出てきましても、なかなかそれでもって将来の
原油の
確保という道には私はつながらないと思います。したがいまして、
OAPECは、私の考えておりますことは、やはりこの二十二日から始まりますアラブ・イスラエルの平和会議がどういうふうに動くかということが最大の要因でありまして、これは
日本の外交政策も関連いたしましょうし、あるいはまた国際
情勢もそれによって変化するということでありますから、簡単に言いまして、なかなかどうもそれは急速に進捗するというふうには考えられません、相当長期間かかるのではないか。
そういたしますと、やはりアラブサイドといたしましては、これを有利に解決しようということで、
原油を武器に、いつまでも手に持って放さない。これは私は、現
段階の予想といたしましてはある程度予想され得るのです。それで現在、御
承知のようなことで、アラブの
生産削減率は二五%であります。一月からその上に五%上乗せしようということも、これは最終的ではないかもしれませんけれ
ども、きまっております。やはりこの状態が非常に長期ということではありませんが、いま言いましたような平和会議がどういうふうに進むかということと並行して、そのぐらいの減産というものは、当然、やはり将来見込んでおかなくちゃならぬのではないかと思います。
それからもう一つは、やはりメジャーの動向でありますけれ
ども、
日本へ
供給しておりますいまの
OAPECの
生産原油も含めまして、大体八〇%以上というものは
日本に対してメジャーが
供給しております。そうしますと、メジャー自体もやはり減産の影響を受けておりますから、本年の九月以前の
原油量はとうてい維持しておりません、手持ちが減っておるわけでありますから。したがいまして、メジャーはメジャー自身の
原油繰りと申しますか、それによって各国に対する、特に
日本に対する
供給量というものを自分できめております。
きめる際に、どういうきめ方をするかということについては、詳細はわれわれ関知し得ないわけでありますが、大体いまのところ平均して二〇%カット、こういったようなことになっております。たいへんでこぼこはございますけれ
ども、総平均いたしますと二〇%カットであります。それで
日本に対する態度、これは通産省もメジャーの
日本の各社を呼んで考え方を聞かれましたが、その際には、非常に
世界各国に公平に
供給する考えであるから
日本もその例外ではないと、こういう言い方をいたしております。ただし、どうも各国によって、アメリカにしましても、英国にしましても、あるいはフランスにしましても、それぞれ各国の個別の特殊
事情というものがございましょうから、そういうその国のやはり方針に沿って、この考え方も影響されないとは断言できないと思うのです。そういうことを前提にいたしまして、
生産制限しておりませんイランでありますとか、あるいはインドネシアでありますとか、その他の諸国の
原油もやはり当然にそれの影響を受けております。したがいまして、いまの予測から申しますと、そういう要素を総括して考えますれば、現在の
日本へ対する
供給削減率、これは当然少なくともやはり一-三月の間は続く、こういうふうに私は考えざるを得ないと思います。四月以降につきましては、これはいまのところ全然私はここで申し上げる資料を持ち合わせておりません。
それからもう一つは、やはりこういう
混乱状態でありますから、輸送がたいへんに影響を受けております。いま申しましたような量がかりに確定いたしましても、輸送期間が長引くとか、そういうことによって当然入るべき期間に対する量がそれだけ減ってくる、こういうことも当然考えなければいかぬわけでございます。したがって、いまのところわれわれとしましては、最終的に何によって
原油の予測をするかということになりますれば、やはりいつ
原油を船に積んで、それがいつ
日本へ到着するんだと。いろいろな
削減率の前に、到着ベースによるところが一番確実であろう、これがミニマムをはじき出す一つのボーダーラインだと考えております。その辺に通産省とわれわれ
業者との作業の相違が現在までございました。したがって、以前には通産省は、期中平均で二八%不足するだろう、その当時のわれわれの予測としましては二三、四%不足するのではないか、こういう食い違いがございましたが、いまのところではその両者のいろいろな情報なりデータなりつけ合わせまして、大体
意見が一致しております。
そうしますと、期中平均で大体二〇%、正確に申しますと一九・八%ぐらい。十月-三月の間にわれわれが
輸入計画を持っておりましたものに対して約二〇%不足するのであろう。これは十月から十二月までの間は、大体予定どおり二千万キロ以上毎月入っております。したがいまして、その二〇%の減少というものは一-三月にしわ寄せがくるわけでございます。したがって、そこは二〇%をオーバーいたしまして、大体二五、六%の不足になるであろう。こういうことで、その一-三月に入ります量を大体五千七百万キロぐらいに考えております。六千万キロ弱でございます。いまの
段階で申し上げるのはその辺で、しかも、これは大体毎月の二十日過ぎに見直しをやっております。そうしますと、翌月に入る油が大体の見通しが立つわけでございます。したがって、いま申しましたことも今月の二十五、六日にもう一ぺん一月分を見直しいたします。同様のことを毎月繰り返します。その
段階において数字が若干ずつ変わってくると、こういうこともあり得るかと思います。
いまのようなことで、それでたとえば、四十八年度全体がどういうことになるかということの数字を概略申し上げますと、この上期は予定どおり大体入っております。一億四千五百万キロでございます。それで下期はいまのような話を前提にいたしますと、大体一億二千八百万キロ、合計いたしますと二億七千三百万キロ、それで、われわれが持っておりました
輸入計画は三億三百万キロでありますから、それに対比いたしますと約九〇%、
輸入計画については、年度間を通じますと九〇%というものがこれは予想も含めまして入るであろうと、こういうふうに考えております。それで御
参考に申しますと、四十七年度の
輸入実績は、これは二億五千五百万キロでありましたから、それに対しますといまの予想数字も入れまして、大体こおしの
原油輸入量は一〇七%、結局、こういうふうにたいへん
原油が足りないと言っておりますけれ
ども、昨年の実績を七%上回る、そういうものが四十八年度にはもう過去には入っておりますし、あるいはまた一-三月には入るであろう、一応そういうふうに考えておるわけです。
それから、自主開発の問題も先ほどお触れになりましたけれ
ども、これは先ほど御指摘のように、アラビア
石油といえ
どもたいへんな投資をしながら、しかも四十万バーレル、大体年間に二千万キロ、そういう
生産を続けてまいりましたけれ
ども、現在入っておるのはその半分でございます。したがって、どう申しますか、たいへんどうも苦労しながら率直に申しますとむだなことをしておるではないかと、こういう緊急時に自主開発したものはまるまる持ってこれてこそ初めて
原油開発の意味があるんだ、こういうふうに考えられるわけでございます。私もその意味では同感でございます。しかしながら、中東はもうすでに国有化をやっている国もありますし、あるいはパーティシペーションを五一%、クウェートあたりは六〇%、こういうふうなことも考えております。したがいまして、そういう意味では、どういう事態がどういうことでわれわれの自主開発
原油に起こらないとも限らぬ、これはやはり一つのこういう仕事のリスキーな一面だというふうに考えざるを得ないわけであります。
したがいまして、そういう政治的な不安、あるいはどういう問題が起こるかもしれぬというような
地域の開発はできるだけ避けまして、これは
日本近海でもしも
原油を開発できればそれにこしたことはありませんけれ
ども、それとてもやはりいろんな国際問題が起こる可能性もございます。したがいまして、今後の方針としましては、やはりできるだけ正常な、安定した、投資したものが全部回収できると、こういった開発方針を十分頭に入れなくちゃならぬかと思いますけれ
ども、御
承知のようなことで、
原油のあるところは中東が非常に大きなウエートを持っております。できるだけ
原油を早く、あるいは量的にも確実にということになると、やはり中東に目を向けざるを得ない、こういう矛盾があるわけでございます。そこらがやはり
日本の今後の
原油開発の一つの問題点として大いに研究する必要があるかと思います。
それから、価格の見通しでありますけれ
ども、先ほどおっしゃいましたように、今後の
原油価格は、これはもう騰貴することは覚悟せざるを得ないと思います。現在の
日本のFOBの平均価格が私は四ドルを上回っておると思います。おそらく、最近の高いDD
原油も相当買いましたし、それから、現実にはインドネシア
原油はすべて六ドルになっております。そういうことからいたしますと、あるいはもう五ドル近くになっているかもしれません。そこへもっていって、インドネシアは来年一月からさらに価格の見直しをやる。私は、これはやはり八ドルないし十ドルというものを考えなくちゃいかぬのではないかと思います。それからDD
原油は、十ドル以上というものが非常に続出してまいりました。これに当然メジャーも実勢価格をさや寄せいたしましょうし、あるいは
OPEC諸国も
公示価格を、現在一応の基準となっておりますアラビアンライトは五ドル十一でございますが、これも早晩また大勢に近寄っていくだろうと思います。そういたしますと、やはり将来の
原油価格というものは、少なくとも六ドルないし七ドル、平均いたしましてそういったような
日本の平均価格になるのはそう遠いことではない。まあ、それに対する
エネルギーコストがどういうことになるかということも、十分早急にわれわれ検討しなくちゃならぬ
情勢だと考えます。
それから、在庫の問題でございますけれ
ども、これは私、この前
衆議院の
商工委員会で申し上げましたのは、質問が、
製品在庫はどうか、こういうお尋ねでありましたので、半
製品を含めずに申し上げました。したがいまして、三月末にはもう十六、七日分、どうもミニマム・ランニングストックはもうその辺まで三月にはいくかと、こういうお話を申し上げましたが、この
製品、半
製品を含めますれば、通産の考えておる数字とはそう相違はございません。
原油につきましては、これはもうほとんどわれわれと通産の数字とは変わりはございません。
それで、われわれといたしましては、先ほ
ども申したように、
原油の入るのを、それから各社の
生産計画、そういうものを一括いたしまして、一本として必要な場合には外部に発表いたしております。それから役所のほうは、各社別に数字をおとりになって、それを統計として使っておいでになるわけでありますが、
原油あるいは
製品、半
製品の在庫の数字というものは、それぞれ各社のいろんな営業上の機密その他に
関係するものですから、個別の発表というものはなかなかどうもしたがらない。しかし役所は、行政上の必要で各社のヒヤリングをおやりになりますから、そういう意味から申しますと、むしろ役所のほうがこまかいデータをお持ちになっているということが、ある意味では言えるような気がいたします。食い違いは現在のところございません。
それから、将来の
エネルギーの対策でございますが、お話のように今度の
法案は、これは緊急対策でございますから、どうしても将来、たとえば中東の
情勢が安定いたしましても、なかなか以前のような、
日本の
エネルギーが年率にいたしまして一〇%、一五%、場合によるといままで二〇%もふえたことがございますが、そういうことは私はとうてい考えられないと思います。したがいまして、それをどの辺に押えるかということが、これは今後の一つの
日本の
経済全体の動きと関連いたしますから、なかなか来年度の予算の問題にいたしましても、やはり来年度の
原油の
輸入量を基礎にしておやりになっております。それからいたしますと、どうしても一〇%、少なくとも一〇%以内の
エネルギー増ということしか常識的には考えられないのではないか、しかも、それも相当先のことでございます。
そうだといたしますと、これはどうも省
エネルギー、
エネルギーをいかにして有効に使うか、それをどう産業活動に反映させるか、こういったことになってまいります。したがって、やはり産業構造の問題、将来の産業活動の問題、そういうものに基本的に関連してくるわけでございます。それとともに、いまの緊急事態を見ましても、どうも国民生活の
エネルギーの使い方、これも非常に各国が制約しておりますものと比べますとぜいたくでございます。まだ
消費ではなくて、浪費の部分が相当あると私は思います。それからもう一つ、非常にきめこまかく、たとえば
石油を使うのと電力を使うのとどちらが効率的で、どちらが有効なんだと、こういうきめのこまかいひとつ
エネルギーの使い方の
指導を国民生活の中へもっと入れていく必要がある。その辺はやはり
業界には限度がございますので、国全体としての将来の
エネルギーの使い方を大いに研究する必要があるかと考えます。
たいへん言い足りませんけれ
ども、お答えいたしました。