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1973-12-18 第72回国会 参議院 社会労働委員会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十八日(火曜日)    午前十時二十四分開会     —————————————    委員異動  十二月七日     辞任         補欠選任      石本  茂君     鹿島 俊雄君      寺下 岩蔵君  十二月十七日     辞任         補欠選任      中沢伊登子君     高山 恒雄君  十二月十八日     辞任         補欠選任      君  健男君     矢野  登君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         大橋 和孝君     理 事                 玉置 和郎君                 丸茂 重貞君                 須原 昭二君                 小平 芳平君     委 員                 川野辺 静君                 斎藤 十朗君                 小谷  守君                 藤原 道子君                 矢山 有作君                 柏原 ヤス君                 高山 恒雄君    国務大臣        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君    政府委員        厚生政務次官   石本  茂君        厚生省環境衛生        局長       石丸 隆治君        厚生省医務局長  滝沢  正君        厚生省社会局長  高木  玄君        厚生省児童家庭        局長       翁 久次郎君        厚生省保険局長  北川 力夫君        厚生省年金局長  横田 陽吉君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        警察庁刑事局保        安部保安課長   相川  孝君        行政管理庁行政        管理局管理官   門田 英郎君        環境庁長官官房        審議官      橋本 道夫君        通商産業省基礎        産業局基礎化学        品課長      宇都宮綱之君        労働省労働基準        局監督課長    岸  良明君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○社会保障制度等に関する調査  (当面の石油危機及び物価問題に伴う社会福祉  施設対策等に関する件)  (水道問題に関する件)  (年金の通算問題に関する件)  (国立病院等の医師及び看護婦不足対策に関  する件)  (栄養士等に関する件)  (廃棄物の処理及び廃プラスチックの再利用に  関する件)     —————————————
  2. 大橋和孝

    委員長大橋和孝君) ただいまから社会労働委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  去る十二月七日、石本茂君が委員辞任され、その補欠として鹿島俊雄君が、また、同日、寺下岩蔵君が委員辞任されました。  さらに、昨日、中沢伊登子君が委員辞任され、その補欠として高山恒雄君が委員に選任されました。  本日、君健男君が委員辞任され、その補欠として矢野登君が委員に選任されました。     —————————————
  3. 大橋和孝

    委員長大橋和孝君) この際、石本厚生政務次官から発言を求められておりますので、これを許します。石本厚生政務次官
  4. 石本茂

    政府委員石本茂君) 一言ごあいさつをさせていただきとうございます。  私、このたび政務次官に就任をいたしましたが、御承知いただいておりますように、ほんとうに至らない人間でございますので、一生懸命に大臣補佐役ができますよう努力をしてまいりとうございますが、いままで以上の御指導と御鞭撻を心からお願いいたします。よろしくお願いいたします。(拍手)
  5. 大橋和孝

    委員長大橋和孝君) 社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 矢山有作

    矢山有作君 おもに重症心身障害児の問題について一、二お伺いしたいと思います。  まず最初に、四十八年の十一月の十九日に、社会保障制度審議会から、「当面する社会保障危機回避のための建議」ということで、「インフレーション下社会保障」ということで建議が行なわれたわけであります。その中身を見ますと、最近の消費者物価高騰が続いているわが国現状を、かつてわが国が平和時に経験したことのない急激なインフレーションであると規定をして、そのおもな原因は、高度経済成長政策に由来する多くのひずみが、昨年度末の財政・金融政策の運用の過誤からくる総需要の過大な膨張などによって著しく拡大されたことにあると断定し、このインフレの最大の弊害は、所得及び資産の分配に好ましくない変化を生ぜしめ、少数の豊かな人々を一段と豊かにし、貧しい人々を一段と貧しくすることであって、それは社会保障の理念とする所得分配をくずすものであり、社会保障の大敵であり、いまやわが国社会保障危機に立っていることを指摘して、社会保障制度の推進による福祉向上をうたう以上はインフレ抑制が不可決の前提条件であるとしながら、わが国社会保障水準の低さから見て、他の経費を削ってでも予定された計画以上に社会保障の財源を確保すべきだと主張しております。そして当面する社会保障の各分野についてとるべき具体策というものを示しておるわけでありますが、この建議を受けて厚生大臣はどういう考え方をもって来年度の予算の獲得に臨まれようとするのか、まずその点についてお伺いしたいと思います。
  7. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 最近の経済情勢は、物価の異常なる高騰が相当長い間続いておるわけでございまして、まことに憂慮すべき状況にあると私は受けとめておるわけでございます。そういうふうな中にあって、私どもは何としてもこの物価の安定、物価値上がりを防止する、これにまず全力を尽くしていかなけりゃならぬ、政府全体力を合わせてこの物価安定に取っ組んでいかなければならないと考えておりますが、同時に現時点における物価高騰の中に生活をしておる方々生活を守る、これが第一次的になし遂げなければならない問題であると考えておるわけでございまして、先般の社会保障制度審議会建議は、私も全く同感でございます。こうした異常な物価高の中に苦しい生活をしいられておる方々生活を守っていく、こういう観点から社会保障というものを進めていかなければならぬであろうと、かよう考えておる次第でございまして、来年度の予算編成にあたりましても、すでに新聞紙上でいろいろ伝えられておりますが、総需要抑制物価の安定、これを第一の旗じるしとし、同時に、福祉の充実、——そうであればあるほど生活の苦しい人人の生活を守る、そういう方面にできるだけの予算をつぎ込んでいかなければならない、こういうふうに政府全体としても意思の統一をいたしておるような次第でございまして、この審議会建議趣旨を体して来年度の予算に対処してまいりたい、かよう考えておる次第でございます。
  8. 矢山有作

    矢山有作君 そこで、この建議が出たのは十一月の十九日ですから、特に最近の物価高騰が急激になった時点、さらにまた石油危機等が関連して今後も非常に急激な物価高が見込まれるという時点で、この建議がなされておるわけです。ところが、四十九年度の予算要求というのは大体八月の時点概算要求が出されておるわけでありますから、その八月の時点物価動向等からすれば、またその時点ではほとんど予測されてなかった石油危機がこの物価高騰に加速的な要因を果たすというような点については、おそらく考慮されずに私は概算要求がなされておっただろうと思うんです。そうするならば、こういう建議を受けた時点、しかもまさに建議が指摘するとおりの状態にあり、さらに今後の石油危機でますます物価の急激な上昇が予測されるという状態の中では、この概算要求についても私は根本的な再検討が試みられなければならないというふうに考けるわけでありますが、その点についてはどういうふうにお考えになっておいでになりますか。
  9. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 御質問の趣旨、私もそのとおり、まことにごもっともだと思っておりまして、中身については相当再検討をしなければならぬと、こういうふうに考えておる次第でございます。すなわち一番大きな問題は、最近における物価高騰が、社会福祉予算について、八月に概算要求をしましたものについて改めなければならないものがたくさんあるわけでございます。ただ、そのうちで一番大きな問題は生活扶助基準でございますが、生活扶助基準につきましてはどの程度上げるかということは八月の概算要求に出しておりません、これは。これはいつも予算決定するその時点において、来年度における消費生活水準の伸びがどうなっていくか、消費者物価現状がどうなっているか、来年度どういう見通しになるであろうか、そういうことを頭に描きまして予算決定のときにこれはきめると、こういうことにいたしておりますので、これは概算要求は出しておりません。出しておりますもののうちですぐ影響を受ますのは、いわゆる措置費の問題でございます。この措置費の問題も、実は一括して何十億というふうに出しておるわけでございまして、これを決定する際には、予算決定のその場合におけるいま申し述べましたよう消費者物価動向を見て積算根拠を全部直していくわけでございますから、こういう問題もその時点においては——八月のときにはその数字は出しておりませんので、これと見合ってその時点決定をすると、こういうことになるわけでございます。ただ、一番問題になりますのは、たとえば保育所の数とか、こういうものはあの当時概算要求で八月に出しておるわけです。それから身体障害者モデル都市を何カ所来年はつくりたいという予算要求をしております。こういうふうな施設の数等につきましては相当変更をしなければならぬものがあるいはあるかもしれません。あるかもしれませんが、やはり保育所の数だとかあるいは身障者のモデル都市建設とかあるいは福祉センターの数とか、こういうものは最近における経済状況をにらみ合わせてあるいは多少の変更をしなければならないものも私はあると思います。しかしながら、保育所の数のようなものはこれはちょっと減らしようがないんです、国民の要望が非常にあるわけでございますから。しかし、しいて言えばそういうようなものについては、多少経済状況変化に伴って数等について検討しなければならないものは出てまいりますが、生活扶助基準だとかあるいは措置費だとか、こういうふうな生活そのものにくっついてるもの、これは予算決定時点において来年度の予算見通し、そういうものとにらみ合わして決定すると、こういうことにいたす所存でございます。
  10. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、措置費ようなものについては、概算要求はしてあるけれども、今後の消費者物価動向等からして検討し直されると、こういうふうに解釈していいわけですね。
  11. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) けっこうです。
  12. 矢山有作

    矢山有作君 そこで、施設等の問題については、先ほどおっしゃったように、その施設の数等について変更が起こるかもしれないとおっしゃったわけでありますが、私は、日本の社会保障水準というのは世界的に見て非常にまだ低水準にあるわけですから、そういう点を考えて私は、今度の建議にもほかのほうの予算、たとえば公共投資等をたとえ削るようなことがあっても、社会福祉施設であるとかあるいは医療施設であるとか、公営住宅等建設は削らぬほうがいいんだと、削らないでむしろこれを強化すべきだというふうな建議になっておると思うんです。それからまた、いろいろな新聞論調等を見ましても、やはりインフレ防止のために総需要抑制とは言いながら、そういう場合はやはり道路とかその他公共事業費を削ることはこれは当然として、こうした社会福祉施設等についてはしわ寄せをすべきではないということが強く指摘されておるわけでありますから、そういうことで私はやはり厚生省としては臨んでいただきたい。どうも厚生省予算要求態度を見ておると、厚生省自体社会福祉水準が非常に低いということを承知しておりながら、大蔵省の顔色を見てるわけでもないんでしょうが、何かおっかなびっくりで要求やってるような気がしてしょうがないんです。私はもっと思い切った、こういう時期でありますから、国民生活、特に弱い立場人々生活を守るという立場から、こうした経費の増強については格段の熱意をもって取り組んでいただきたいと思うわけです。そのことを特に強く要望しておきたいと思います。さらにまた、それらの問題については四十九年度予算のときにいずれ論議する機会があるだろうと思います。  ところで、ただいまの議論というのは、これはまあ、四十九年度の予算をどうするかというようなことで申し上げたわけでありますが、私はそれよりも当面非常に緊急を要する問題として措置しなきゃならぬことがあると思うんです。それは御案内ように、この歳末厳冬の中で燃料をはじめとした生活必需物資不足と異常な物価高騰で、社会福祉施設に入っておる老人だとか障害者児童、母子などの生活に深刻な影響が出ております。さらに、施設によってはこういう状況の中では施設の維持が困難ですらあるというような、危機的な状況にもあるわけであります。これらの問題については四十九年度予算でどうするこうすると言っておるようなゆうちょうな論議をしておることはできませんで、これは即刻手を打たなければならぬ緊急の課題だと思いますが、こういう点について具体的にどういうふうな対策考えておられるか、これはかつて衆議院等でも議論になったようでありますが、お伺いしたいと思います。
  13. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) こういうふうな御老人方々、あるいは子供、こういう社会的に弱い方方の生活をこの物価高騰の中で守っていく、こういうことは非常に大事なことでございます。そこで、まあ、すでに御承知のように、先般生活扶助基準につきましては五%のアップ、それから生活費等につきましても十月一日から五%アップということをいたしまして、補正予算をお願いしたわけでございます。で、それはそれで一応生活扶助基準並びに措置費の五%アップということをいたしたわけでございますが、最近における石油関係燃料の確保の問題、それから歳末生活を守る、こういうふうなことから、この際慣例によって行なっておりまする扶助一時金を増額するというやり方をいたした次第でございます。  扶助のほうで申しますと、これは級地別にいろいろ違うわけでございますが、東京の例で引いてみますと、東京では一人当たり扶助費が大体四千円程度もち代ということになっておるわけでございます。しかし、一人当たり四千円ではこの物価高では困難であろうということを考えまして、今回その五割アップをいたしまして、二千円、すなわち一人当たり東京で申しますれば六千円、一人当たり六千円の歳末扶助一時金を支給する、こういうやり方にいたしたわけでございます。したがって、四人家族で申しますと、四、六の二十四、二万四千円というものが歳末において——四人家族生活扶助は一カ月大体五万円をちょっとこえたところでございますから、五万円にいま申し上げました歳末の四、六の二十四、二万四千円という金額を増額して、十二月は七万六、七千円という金額になる、こういうことだと思います。  そういうふうなことをいたしますとともに、施設につきましても、施設に入っておられる御老人方々子供さん、そういう方々につきましても、年末一時金として千四百円一人当たり出すことになっておりますが、さらにもう千円追加する、すなわち歳末には一人当たり二千四百円ということになるわけでございます。したがって、百人収容の老人ホームということになれば、それを百倍した二十四万円ということになるわけでありまして、それによって歳末施設に収容されておる方々生活費の足しにしていただく、こういうことにいたしたわけでございます。  なお、暖房費につきましては、さらにこれに加算をすることになっておるわけでございます。  さらに、児童施設につきましては、これはどうも私もいままでうっかりしておったんですが、社会施設暖房費に非常に差があるんですね。非常に差があったんです。それはおかしいじゃないかと。社会施設暖房児童施設暖房はあまりにも格差があるんです。それはおかしいじゃないかということに——これはほんとに私もうかつであったと思いますが、気がつきましたので、さっそくきのう大蔵省とも相談いたしまして、児童施設のほうは非常に安かった暖房費を倍に引き上げましょうということに決定を見まして、これは暖房費ですから、十二月ばかりじゃありません、十二月から来年の三月まで倍額に増額しようということにいたしておるわけでございます。  もとより、そういう数字を並べてみましてもなかなか、これで十分かと言われれば、私は、胸を張ってはい、だいじょうぶですとも言いにくいと思いますが、お互い御苦労願っておる職員の方々にはほんとうにお気の毒だと思います。けれども予算の許すぎりぎりのところで、歳末あるいは暖房等についてきめのこまかい配慮をしたということだけはひとつぜひくんでいただきたいと思うのでございます。
  14. 矢山有作

    矢山有作君 いまお話のあったようなことを私どももけさの新聞で承知したわけでありますが、そういうことがなされておるなら、できるだけすみやかに私どものほうにもその資料の御提出を願いたいと思います。  ところで、厚生大臣もまさに良心的におっしゃったように、私は、そのような年末一時金をわずかばかり出すことによって現在の物価高の中あるいは必需物資が非常に不足しておる中で、はたして社会福祉施設等がやり切ることができるのかということが非常に問題だと思うんです。私は、そういうような金の出し方というのはおそらく何ら積算根拠というか、一つの目安というようなものを立ててやったんではないだろうと思う。もし、何らかの一つ根拠をもってやっておるのであれば、それはどういう根拠によってそういう一時金の支出を算定をしたということをお示しを願いたいんですが、おそらくそういう支出についての積算根拠というものはなしに、いわば、ことばは悪いですが、つまみ金でやっておるんだろうと思うんです。そういうことでは私は、ただでさえ運営の困難になっておる社会福祉施設が、しかもこの急激な物価高生活必需物資不足しておる中、燃料不足しておる中でやり切ることができるのかどうか。これはやはりこうした高度経済成長をとり続けてきた中で起こってきた大きな問題であります。しかも、その施設におる人たちというのは非常に弱い立場人々でありますから、それをもっと守るということになるなら、施設の実態というものを十分把握していただいて、そして、少なくともまあ、何とかなりそうな程度の金は私は出すよう努力をされなければいかぬのじゃないか、こういうように思うんです。  御案内ように、この間の十二日に社会福祉施設関係者が集まりまして危機突破大会をやっております。その中での資料が私どものところへ参っておりますが、それを私はずっと目を通してみたんですが、これを見ておると、まさに社会福祉施設はたいへんだと思います。これはもう石油燃料値上がりで、そしておまけに石油燃料が手に入らないということで、暖房制限をやらなきゃならぬ、あるいは入浴の制限をやらなきゃならぬ、そういう問題が起こって、施設の年寄りは昼のひなかでもふとんをかぶって寝ておらなきゃならぬというよう状態。また、子供は手先が縮かんで、盲児なんかは点字も読めぬということが訴えられておりますし、障害児は、重症児は筋肉が硬直してからだの自由もきかない、こういうふうなことがいわれておりますし、非常な問題が起こっておるわけです。それからまた、食料品関係の非常な値上がり食事の質、量ともにこれを削減しなければならぬ、こういうような問題も起こっておるようです。そうなるというと、私は、いまおっしゃった程度措置ではどうにもこの施設というのはやり切ることができぬのじゃないかということを心配するわけです。  たとえばここに一つの例がありますが、東京のある養護施設の例であります。四十七年の十一月に一人一日の措置費、これは食事でありますが、飲食物費でありますが、昭和四十七年十一月に二百五十六円であったのが四十八年の十一月二百九十三円になっていますね。これに対してまた五%アップされておるわけでありますから、そのアップ分はおそらく二百九十三円という中には入っていないと思いますから、それに加えたとしても、この二百九十三円という飲食物費アップは前年度に比べてたしか一四・四五%、それに対して今度五%上げたわけでありますから全体として一九・四五%上がる、結果的にはそうなると思うんです。ところが、昨年の十一月と今年の十一月との食事にかかる経費飲食物費を見ますというと、実際にかかっている経費は昨年の十一月が二百六十三円七十銭かかった、四十八年の十一月は三百六十円五十銭かかったと、こういう数字を出しております。そうすると、これは三六・七一%のアップであります。  こういうふうな状態ですから、したがって、いま言われたような年末の一時的な措置ではこの食事代値上がりだけでもまかないかねるよう状態にあるんじゃないか。ところが、この食物関係経費だけでなしに、石けんであろうが、あるいは紙であろうが、教育材料であろうが、あらゆるものがみんな急激な値上がりをしておる。そういうことで言うなら、これだけの年末のいまおっしゃったよう措置だけで私はやれるとは思われぬわけであります。しかし、やられたということはやらぬよりはいいことであります。  そこで私は、もう一つ聞きたいのは、これからおそらく石油見通し等も暗いんじゃないか。そういう石油危機の中で石油供給が削減されるということになると、いろんな面に大きな影響を及ぼします。ますます生活物資不足を来たし、あるいは価格の急激な高騰があるかもしれません。そういうときに、再び同じ年度内であろうと、実際に即した手を打つ気持ちがあるのかどうか。もうこのままでしかたがないんだ、来年度予算までは手の打ちようがないというお考えなのか、そこのところがお聞きしたいと思います。
  15. 大橋和孝

    委員長大橋和孝君) ちょっと答弁の前に。  いま矢山委員からも出ておりましたように、こういうような非常に急激な変化で、各委員も非常に心配をしておられるわけですね。そういうときに際して、新聞でわれわれが初めて見るというようなことではなく、やはりこの委員会に対しての態度として、もう少し委員会に早く、そういう厚生省の中でとられようとする事柄に対して、やはりデータを出して周知をしていただきたい。そういうことによって、また委員もいろいろなことを考えていただけるし、あれになるということになりますので、少なくともこの重要な委員会に対しては、こういうよう状態で非常に問題があるときの資料というのは、ひとついち早く出していただきたいと思います。  よろしゅうございますか。
  16. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) はい、承知しました。  いま、矢山委員が具体的な例をお述べになりまして、最近における施設の苦しい状況をお述べになりました。具体的にそういう苦しい例が相当あるんじゃないかというふうな気持ちも私は持っております。具体的にはそういういろんな悩みを持っておる例がたくさんあるんじゃないかと、こういうふうに考えておるものでございますが、一応、またお述べになりましたように、最近の消費者物価指数が前年同期に比べまして大体一四%、三%から四%、それから一般勤労者消費水準消費支出も前年に比べれば一六%といったふうな数字も出ておるわけでございますので、生活扶助基準なり措置費について、前年に比べますと五%アップいたしておりますから、一九%アップということにいたしたわけでございまして、一応いまの時点においてはこの辺のところでごしんぼういただくきりないのではないか、こういうふうに処置をいたし、さらに歳末の一時金も出すというふうにいたしたわけでございます。  しかし、生活にもう非常につながりの強い性質の金でございますから、私は今後とも物価動向というものには慎重に関心を払ってまいりたいと思います。したがって、来年の三月まで、すなわち昭和四十九年度の予算が始まるまでに、必要があったらまた必要な措置をとるかと、こういうお話でございますが、いま、どういう時点で、どういうふうに物価動向が変わっていくか予断を許しませんから、十分監視はいたしますが、しかし、そういうふうな適切な措置を必ず講ずるということをいまはっきりとはお約束はできないと思いますが、それはもう生活に直接関連したところの事柄でございますから、物価動向に十分関心を払いながら、そして必要な措置は講ぜざるを得ないというふうに私は考えておるものでございます。  しかし、どの程度になればどの程度措置をするかというふうなことは具体的には申せませんけれども、年度内でも、来年のまだ三月まであるんですから、その年度内に急激な状況変化があれば、これらの人々生活を守るために、やはり何らかの措置を講ずる必要があるんではないか、こういうふうに考えております。  しかし、これは一般的な話としてひとつ御理解いただきたいと思うのでございます。
  17. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、この場で、今後の物価動向によってさらに年度内であっても適切な措置を講ずるというお約束ははっきりできないようでありますけれども、しかし問題は、私は人の生活にかかわる問題であるし、人の命にかかわる問題ですからね、したがって、お互いが少々の物価値上がりですぐ、さて命に響くほどの、健康に響くほどの痛痒を感じないからといって、私はのんびりしておれないと思うのです。そういうやはり心身に非常に大きな欠陥のある人というのは、そういう点では非常に弱いわけですからね、肉体的にも精神的にも。したがって、やはり私はそういう人たちに対しては、今後の動向では、積極的にやはりそれを、生活をあるいは健康を、命を脅かさないような手だては打つということでないと、私は福祉国家が泣くんじゃないか。まあ、福祉国家といいましても、ことばだけで実体はないようなもんでありますけれども、しかしそれにしても、政府福祉国家ということはこれはもう、何というのかね、大看板で掲げていよるわけですから、したがってその名に恥じないようなことだけは、こういうような異常な物価高騰が続いておる異常なインフレ状況下においては、やっぱりやっていくという覚悟がなければ私はいけないと思います。したがって、随時適切な手が打たれることを私どもは強く期待をしたいと思うんです。  ところでもう一つは、その金の面はなるほど幾らか出したといたしましても、なかなか物が手に入らないというんですね。これが一つ問題だと思うんですよ。たとえば中曾根通産大臣に言わせると、灯油は三百八十円で手に入るはずだとこう言われる。私もこの間来の論議を新聞紙上で見ておりましたがね、いや手に入る、何が何でも手に入る。実際問題としてわれわれは手に入らないんだとこう言っても、手に入ると言っておるようですが、しかしながら、あなたは、三百八十円で手に入ることはまずないということは御承知だと思うんです。そういう状態ですから、少々の金を出したことで生活必需物資燃料等が手に入るよう状況ではない。ところが、施設の実態というのは、御案内ように、もうそれこそ人手が足りなくて、全く子供の世話だけで手一ぱいも手一ぱいもいいところでありますから、したがってそういう物資を買い集めにかけずり回るというような余力は全然持っていないわけです。そうなると、この施設に対してその物資を確保する方法をどうとるかということが重要な問題になってくるんで、その点について確たる見通しを持っておいでになるかどうかをお伺いしたい。
  18. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 社会福祉施設に必要とする石油等の燃料につきましては、優先的に確保するように通産省に申し入れして、通産省もその点はもう十分に了承いたしております。具体的には、各福祉事務所長が管内の社会福祉施設の実態をよく把握し、その社会福祉施設がそれぞれ石油を購入いたしておりまする石油の取引販売業者というものをよく福祉事務所長がつかんで、そして社会福祉施設の必要量をその取引販売業者が提供しない場合には、福祉事務所長が直接その石油の取引販売業者に対しまして、社会福祉施設に優先的に提供するように要請する、それでもなおかつ必要量を確保されない場合には、福祉事務所長がそれを県段階に上げまして、県の民生部局長が地方通産局長に対して申し入れすると、こういう手順を踏みまして必要量の確保をはかりたいと、かよう考えております。
  19. 小谷守

    ○小谷守君 矢山先生の御質問に関連して大臣に伺っておきたいと思うのですが、石油問題からちょっと逆戻りします。  いまの措置費の問題です。本年九月十四日の決算委員会で、私、あなたにこういう実例を申し上げて御答弁を願ったわけであります。それは、養護老人ホームの食費、これが当時二百八円だったでしょう。三食で二百八円。警察の留置場の留置人、これが二百二十七円、俗に豚箱というこの警察留置人が二百二十七円で、養護老人ホームのお年寄りの一日三度の食費が二百八円。そういうことでよろしいかという御質問を申し上げた。あなたはこの数字も御存じなかったようでありまして、これはたいへんなことだから年度内にぜひ是正をいたしますと、こういうお答えでありましたが、その後、いま矢山先生のるるお話にありましたように、経済情勢石油問題等も加えて急激に悪化してきておる。これはどういうふうにされましたか、具体的に。
  20. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 先般の決算委員会でお尋ねいただきまして、私もあんまり数字はそのとき存じ上げないでございましたが、実はその後ずっとこれを調べてみたんです。  そこであの当時の二百八円というのはこれは私のほうは材料費だけなんです、材料費だけ。留置場のほうは仕出しの食事の金、こういうことでございました。  そこで、なるほど材料費ということであれば光熱費も人件費も何も入ってない金なんです、これは。材料費だけなんです。それが二百八円ということであったということを私もよくよそとの比較において知ったわけでございますが、これは今回の諸式のアップによりまして、二百八円が二百十八円、十円だけ、まあ十円なんてけちなことだとまたおしかりいただくかもしれませんが、材料費としては二百十八円ということにしたわけでございます。しかしその後、光熱費とかそういうふうなものを合わせますと大体三百八十五円になるという計算が出ております。したがって留置場の食費は二百二十七円、これは材料費じゃなくて仕出しの食事が二百二十七円、したがって、老人ホーム等における食費というものはその材料費、光熱費等を加えますと三百八十五円になる、こういう計算で処置をいたしておるような次第でございます。しかしこれで不十分じゃないかと、こうおっしゃられればなるほどそうかもしれません。しかし御承知のように百人なりをかかえた大量で購入する材料費でございますから、全体的には栄養士の方々や経理の方々ほんとうに御苦労なすっていると思いますけれども、多少なりそういう方面では努力をしたつもりでございます。
  21. 小谷守

    ○小谷守君 留置人が仕出し弁当で養護老人ホームが材料費だというようなことは百も承知しております。また、そういうことで安くていいという理由にはならぬでしょう。いまこの寒空で材料費にせよそんなことでまかなえるものじゃありませんです。ですから、具体的にはいまその補いとして各府県で少しずつ上積みをしておるでしょう。これがまた地方財政の超過負担という原因の一つの要因にもなっておる。見るに見かねてそういうことをやっておるわけですよ。  関連ですから、長いことを申し上げませんが、要するにあのときあなたが声をはずまぜてこれは何とかしますと、たいへん熱意のある御答弁でありましたが、その熱意が結局実ったものは十円アップと、こういうことですね。そういうことであなたは心は痛みませんか。
  22. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) そう言われればなるほど心の痛む次第でございます。まあ、しかし今後こういう問題についてはもう少し実情に合うように来年度の予算編成等にあたりましては努力をいたしたいと思います。
  23. 大橋和孝

    委員長大橋和孝君) 関連して大臣、あなたのほうにおられた渥美節夫氏、前の児童家庭局長はこのごろ日本医療食協会で冷凍食をやっておられるのですね。あれをこの間、よく聞いたら、もうぜいたくを言わないでやっぱり八百円ぐらいかかる。月によると八百四十円ぐらいかかる、現在。もうちょっと物価が上がってきたらおそらく千円ぐらいかかるだろうと言われている。それがあまりぜいたくじゃない状態。まあいまよりはうまいでしょうけれども。それでやっぱり一方では正式に計算をして八百円かかるというデータが出ているわけだ。それでいま、あちらこちら東京あたりでも大阪あたりでも実際やられているわけですね。それがみんな施設が何とかしてつじつまを合わさなきゃいかぬ状態になっているんです。だから、私はもう少し食事というものを根本的に考えないと二百円だとかなんとか言っておるというと、一方ではけたが違うわけですね、千円になろうとしている。私はここのところをもう少し何か後向きの考え方じゃなしに前向きにひとつ検討を根本からしないと、これは生命に関係する問題です、先ほど矢山委員からもお話になっておるように。そういうものを軽視することになるわけですからね。やはりこれは厚生省あたりとしては、ほかの省にも関係がありましょうけれども、栄養という面で。しかし、厚生省が一番その根幹ですから、ことに施設あたりの問題は、それだけしか食べないんだから、これはたいへんなんですからね。ほかの食事はおやつなんかでも補給ができるんでしょうけれども、生命に関係するんだから。そういう観点からどうですか、いまの問題を見直したときにどうすべきだということは、もうデータが出ているでしょう、おたくのほうには。その点どうですか。  それでもしね、八百円、千円というのはいかぬということになったら、これはそこはえらい暴利をやっていることになるんですよ。こっちは平均二百円、三百何ぼまでいいと言っているところを、これは倍以上になっている。三倍くらいになる。そういうことをもし冷凍食の給食協会がやろうとすることをもしこの厚生省でじっと見ておるとすれば、(「見ているんじゃない、許可しているんだ。」と呼ぶ者あり)許可しているなら三倍を許していることになるわけですよ。暴利をやらせていることになるわけですよ。だから、その辺の見解は非常にぼくはやらないともういかぬぎりぎりのところに来ているんだと思うのだ。
  24. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 私、児童家庭局でございますが、先日この委員会でたしか医務局長が病院の食費に関連して答弁申し上、げたのは、一日大体五百円ということで、現在の医療費の点数の中でやっておるわけでございますが、もちろんこれ、医療費の改定等もございますので、将来の問題かと存ずるわけでございます。
  25. 大橋和孝

    委員長大橋和孝君) 同じことを言えるんですよ。医療費のほうはそれだけ見ておいて、施設のほうは三百円。それでいいのかという問題ですね。
  26. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) ただいま委員長の御質問、私も冷凍食のほうの金額、存じておりませんでしたが、そういう問題等も含めましてですね、このやっぱり施設に入っておられる方々の食費の問題、ひとつ根本的に検討してみることにいたしたいと思います。  これは医療費のほうにつきましても、やはり同じように食費の増額が医師会のほうからも出ておるわけでございまして、医師会のほうは大体千円にしろという要求だったと思いますが、そういう状態でございますから、こういう問題につきましては真剣にひとつ検討をいたしてまいりたいと思います。
  27. 矢山有作

    矢山有作君 いまね、話が飲食物費関係の問題に戻りましたので、私はこの際、ぜひお願いしておきたいんですが、どうも私ども厚生省に御質疑を申し上げる場合に実態を把握して、その実態に基づいて措置費等は出すことを、委員会等では再三要求されておるところだと思うのです。どうもそれがそのとおりに行なわれない。そこで、私ども参考にしたいと思いますので、厚生省は何といったって栄養行政の担当省ですから、したがって、それぞれのまあ、施設に収容されておる人、つまり老人であるとか子供であるとかあるいは成年に達したものとか、いろいろなその対象者によって多少の相違はあるかもしれませんが、そういう人たちが十分に健康を維持し、さらに健康を増進していくために一体どの程度のカロリーの食餌をとる必要があるのかということをまず示していただいて、それを達成するための一週間にわたる一つのモデル的なメニューというものを示してもらいたい。で、それをやるのに大体経費が一カ月どのくらいかかるか。それをひとつ出してもらいたいと思うのです。それを出してもらうことは、私どもは単に厚生省を責めることだけでなしに、やっぱりお互いにそういう施設に入っておる者たちが健康を維持し、健康を増進されるような処遇を受けることのできるようにしていくために、私ども厚生省も同じ立場に立っておるわけですから、そういう立場からやっぱり国に実現を要求するところは要求して、あなた方と一緒に立ってやらなければならぬと思うのです。そういうためにもぜひそういう資料をひとつ提出をしていただきたいと思います。  それから、先ほどの局長からの御答弁をいただきましたが、燃料の確保については非常にこまかい御説明いただいたわけです。しかしながら、問題ははたしてそれでたとえば燃料が確保ができるのかどうかということは非常に大きな問題。現実にもう現在でも六〇%からの削減を食っておる、これは北海道の例ですが、そういうようなところがあるし、まあ、各地で見ると二〇%から三〇%ぐらいの削減を食って、なかなか燃料が確保できなくて、先ほど言いましたように入浴の制限暖房規制をやっておるわけですから、したがって、ことばでおっしゃっても、いまの三百八十円の灯油の話じゃありませんが、やれなきゃどうにもならぬわけですからね、したがって、その実態というのは私は絶えずあなたのほうで監視をして、実情を把握して、そしてもし、それが確保できないことがあるんなら行政的な措置によって必ず確保していただきたい。それから事は私は燃料の問題だけではないと思うんです。最近御案内ようにちり紙の買い占め事件があったり、あるいは小麦粉が店先からなくなったり、砂糖がなくなった、塩がなくなった、いろんな物がなくなったり高くなったりで金を出しても手に入らぬという物もたくさん出ておる。そういう状態の中で、そういった施設に必要な日用の生活必需品を確保する手だてがついておるのかどうか、この確保がむずかしいということも同じく危機突破大会等で切実に訴えられている問題なんです。これの確保についてどういう考え方を持っておられるか承りたいと思います。
  28. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 施設に必要な日用生活物品の確保につきまして、ただいま先生申されましたように、私どもといたしましても絶えず実情を把握して適宜適切に処置してまいりたいと、かよう考えております。
  29. 矢山有作

    矢山有作君 資料出してもらえますね。
  30. 高木玄

    政府委員(高木玄君) はい。
  31. 矢山有作

    矢山有作君 この問題につきましては幾ら議論してもこれはし尽くすことはないと思うし、こまかく拾い上げていくと現在の激しいインフレーションのもとで施設はたいへんな状態になっております。したがって、先ほど来、もう大臣も言われるし、局長もおっしゃいましたが、この施設の維持、そしてまた、施設に入っておる者の健康を維持し増進していく、そういうよう立場に立っての療育活動ができるようにするために、保護活動ができるようにするために私は、さらに一そう真剣に取り組んでいただくことをさらに強く要望しておいて次の質疑に移りたいと思います。  次は、社会福祉緊急整備五カ年計画というのが、これはたしか四十六年からですね、四十六年度から実施されておったと思いますが、これの進捗の状況というのは一体いまどうなっておりますか。
  32. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 四十六年度から五十年度まで社会福祉施設の緊急整備計画を立てておりますが、この整備計画は、初年度一〇%、それから以後五%ずつその進捗率を高めていくということでございますので、ちょうど四十八年度まで三年目でございますので、初年度一〇%、次年度一五%、その次は二〇%となりますと、四五%が四十八年度末までの達成目標でございますが、総体といたしましては進捗率は四十六年から本年度四十八年度までの達成率は五二・一%でございます。ただし、この達成率の中で目標を上回っておりますのは特別養護老人ホームの五三%、それから保育所の六六・八%等でございまして、重度の身障施設とかあるいは重度の心身障害児施設等特に身体・心身障害者関係の施設の達成率は非常に不十分でございます。特別養護老人ホーム保育所の達成率は目標を相当上回っておりますが、それ以外のものは目標率を下回っていると、結局保育所、特別養護老人ホームの達成率が高いために総体としては五二・一%の達成率と、こういうことでございます。
  33. 矢山有作

    矢山有作君 いまおっしゃったとおりなんですね。そうすると、特に重症児者の収容施設というのはこれは非常に急がれなきゃならぬことだと思いますし、それからこの問題については田中総理もたしかこれは一月三十一日の参議院本会議で、この整備計画で「緊急に施設入所を必要とする者については、昭和五十年度末を目ざして全員が入所できるよう施設の整備を推進する」と、こういうふうなことをはっきり言っているわけですが、いままでの実績というのは特に急がれなければならぬ重症心身障害者施設整備が非常におくれているわけです。はたしてこれは達成できる可能性があるんですか。
  34. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) たいへん心配しておる次第でございまして、ことしまでに整備いたしましたのが四十八年度で約一万一千でございます。目標が一万六千五百でございますので、あと五千床ばかりが残っているわけでございます。
  35. 矢山有作

    矢山有作君 それは、心配するのはわれわれも心配しているんでね、特に収容を急がなければならぬといって政府自体が緊急整備五カ年計画を立てるときにはこの点を特に強調しておったわけでしょう。特にその整備を急がなければならぬといって政府自体が計画を立てるときに強調し、しかも総理自体も緊急に入所させる者はどうしても五十年度末までには全部収容するんだと、こう言っている。それが計画どおり整備できるかできぬかということについて担当省自体が心配しておるようなことじゃ困るんですがね、これは。担当省としては、これはやはりこれの緊急施設だけはどんなことがあっても充足させなければいかぬと思うんです。これは何も建物を建てるだけでこと足れりということではありませんけれども、少なくとも、これはやらなければいかぬ。それはもちろん緊急整備五カ年計画には、御案内よう社会保障長期計画懇談会というのがありますね、ここでもこの緊急整備五カ年計画というのは現在の社会経済状態の多様化等によって再検討せられなければならぬ部分があるということは指摘されております。指摘されておりますが、それはそれとして、再検討して是正すべきところは是正していくとしても、既定計画ですらがこういうよう状態なんじゃ話にならぬわけなんです、これは。その点、大臣どうお考えなんですか。
  36. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは、私どもは非常に力を入れなければならぬ問題だという強い認識を実は持っておるわけでございます。一万六千を一応収容するということにして、たしか一万二千近く収容しておるわけでございますが、これは非常な実はネックがあるんです。と申しますのは、民間施設方々には非常に御苦労願っております、これはほんとうに。重症の方々を収容されている島田療育園とか、その他たくさんほんとうに御苦労願っておりますが、公立の病院に併設をしようとしますと、いやがってこれなかなか受け付けないのです、ほんとういうと。県立療養所、県立、市町村立病院に何とか併設してください、こういうことをお願いしているんですが、やってくれないんです、ほんとういうといやがって。それで私のほうはほとんど全部実は国立療養所に併設しているんです、国立療養所に。こういう状況です。一万二千のうちの大半は実は国立療養所に併設しているんです。ところが公立の病院、診療所に併設をしてくださいとお願いしても、なかなか聞いていただけないのが私の実はやっている上の経験からいって非常なネックでございます。それはそれなりの理由があるんでしょう。そんなものはやりたくないとかなんとかいう理由があるんでしょう。けれども、私は何とかもう少し公立病院、療養所に併設してもらうような最大の努力をやらなければいかぬというので、医務局長を通して、いま非常にやかましくこれ実は言うておるんです。しかしまあ、公立病院がやってくれなければしょうがない。それじゃうちは約束した以上はやっぱり全部収容するよう努力をしなければいかぬ、もう是が非でもそれじゃ国立療養所のほうにもう全部入れてしまうというくらいのことをやらなければいかぬと思って、実は非常に強い決意をして臨んでおるわけでございます。  そこで実際問題として、一番のネックは、公立病院が協力していただけないというところに、非常に大きな私は問題があると思っております。しかし、私どもも誠意をもってこの点はぜひお願いをしたい、こういうふうに考えております。まあ、それにはそれなりの私は理由があるんだろうと思いますけれども、私どもは、この問題は、ある意味から言うと、計画を多少おくれておりますが、全力を尽くしたいという決意でございます。
  37. 矢山有作

    矢山有作君 これは、私はこういう施設、重症者の施設というのは、一方は医療があるし、一方は何というんだ、育成ですか、保育の問題と両方あるわけでしょう。そういう点で非常にむずかしいということはわかるんです。しかし、むずかしいだけにやっぱりこれ収容施設の整備が急がれるんで、まあ、最近のいろいろな専門家に言わせると、収容施設のあり方についても、論議があるようですから、そういう点はやはり、私は厚生省が専門的な立場から検討を進めて、そういうようなネックはやはり解消する努力をしてもらわんと、ネックがあるからやれぬのだということで、こういう重度心身障害児施設が一七・九%、一八%くらいですか、達成率がね、そういうようなことで放置されたんでは、これいかぬと思うんです。だから、おっしゃることはわかりますが、ことばだけでなしに、私は現実の問題として解決すべき手をやっぱり積極的に打っていただきたい。こまかい議論はいたしませんから。そのことを特に強くお願いしておきたいと思います。  ところで、民間のこの重症児施設の問題なんですが、最近建築費が非常に上がっておりますね。そこで民間の重症児施設——まあ、重症児施設には限りませんが、社会福祉施設全体にいえることだと思いますがね。それに対しての建築に、施設整備に非常な大きな障害が起こり、これが非常に大きく停滞をしている面が出てきておるんじゃないかと思うんですが、この点はどうですか。
  38. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 建築資材の高騰しておるのは事実でございまして、私どもは、本年度の社会福祉施設の整備にあたりまして、年度当初の実施計画を定める段階におきまして、四十七年度の建築単価を一五・四%引き上げたわけでございますが、その後も依然として建築資材が上がっておるということで、各県から一五・四%程度の引き上げでは困るという陳情がございましたので、十月一日以降一〇・八%さらに建築単価の上積みをいたしました。そういたしますと総体において、前年度対比二八%程度の単価の引き上げでございます。これで何とかやってほしいということで、いま都道府県のほうにこれでやるように指導いたしておる次第でございます。
  39. 矢山有作

    矢山有作君 それで、この間聞いたところによりますと、たとえば民間の重症児施設の場合ですが、いま民間で整備をしようとしておるのが百八十一施設あるというんですね。ところが、当初の計画で進行しておるのが二十、あとは全部更正予算を組んでおると。で、その内訳は、国・県の公費の増額を要望しておるとか、あるいは社会福祉事業振興会ですか、その借り入れを当てにしておるとか、あるいはまた、規模の縮小、材量の変更、工事の省略等によって何とかやろうとしておるとか、あるいは業者や寄付者の好意にたよって何とかやろうとしておるとか、あるいは市中銀行の借り入れでやろうとしておると、まあ、こういうようなのがある。で、全然目安が立ってないというのが六施設あると、こういうような結果が出ておるんです。これはおそらく、先ほどおっしゃった十月以降の契約工事の分について一〇・八%さらに是正をされたわけでありますが、そういう是正を見ても、なおかつ施設の建築というのはこういうふうな実態であると。したがって、対前年度比一五・四%のアップ、さらに十月以降の補正予算で一〇・八%を見ても、これではやっぱりどうにもならぬような建築資材の高騰があるのではないかと思うんです。民間の重症児施設というのは、これはやろうとしたらできるだけ無理をしてでもやる意欲で取り組んでおるわけでございます。それがなおかっこういう状態なんですから、これでは追いつかないというのがほんとうではないか。そこでさらに見ると、自己負担が大体普通二五%です。ところが当初の予算で見ていって、実際にはやっぱり四〇%ぐらい自己負担を持たなければならぬ実情だということです。ところが、こういう物価高騰の中でやろうとすると、その自己負担が四五、六%になる、こういうふうにいわれておるわけです。これでは私は民間の施設をやろうとしても、もうこの建築費の高騰の中で、民間施設の整備も頭を打っておる。だから、重症児施設の問題について、先ほどおっしゃったように国立病院、公立病院等が受け付けてくれない、何とか療養所に設置するということでやってきて、非常に進捗率はおくれておる。民間重症児施設のほうも、そういうようなことで施設の整備が進まないで停滞をするということになると、これまたたいへんだと思うんです。こういう建築費の増加による施設整備の停滞というのは、おそらく私は療養所に設置する場合も同じように起こってくる問題だろうと推察しますけれどね。したがって、この面の是正も積極的にはかられぬというと、これはなかなか問題が片づかぬのじゃないか。しかも、各重症児施設の財政状態を調べてみますと、もうほとんど四、五千万以上の借金をかかえていますね。そういう状態の中でとてもじゃないが、こういう情勢ではやり切れないという問題が出てくると思うんですがね。これに対してもっと積極的に解決する考え方はありませんか。
  40. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 社会福祉施設の整備につきましては、他の施設は建築資材等の価格の高騰等のために、事業量を縮小して対応した施設もございますが、社会福祉施設につきましては、事業量の縮小はできないということで、先ほど申しましたように、十月一日以降の契約分につきまして公立文教施設並みに一〇・八%の価格の上積みをしたわけであります。それでやれるかやれないか、どういう状況かということを、実は私どもただいま実態を調べておるところでございます。ただ、一般的に言えますことは、非常に工事期間が長引いている傾向はこれは出ております。したがいまして、繰り越しの手続をとらなければならぬという施設が相当出てくるのではないかというふうには考えておりますが、各県ともこの一〇・八%の補正で御措置願ったわけでございますが、この単価のアップでただいま十二月の県議会等に更正予算を出しおりますので、その更正予算の成立後の状況をよく把握いたしまして対処したいと、かよう考えております。
  41. 矢山有作

    矢山有作君 そうすると、都道府県の負担等の状況も見ながら、支障があるようならさらに建築費単価の是正について考慮する余地ありということですか。
  42. 高木玄

    政府委員(高木玄君) この施設整備の状況等をいま実態把握中でございますので、どういう状況が出てまいりますか、その結果を見て適切に対処したいというふうに現在考えておるわけでございます。特にこの建築資材の価格の高騰、あるいは入手難は明年度以降にも継続されると思いますので、来年度予算等におきましても、そういった点は十分に配慮してまいりたいと、かよう考えております。
  43. 矢山有作

    矢山有作君 まあ、今後の状況によって適切な対策をとるとおっしゃるし、また来年度以降も建築費の上昇は見込まれるので、来年度予算でも対策をとるというんですから、そのことばの使い方から言うなら、私は年度内であっても、施設整備に非常に大きな障害が起こる場合には考えることはもちろん、四十九年度では単価是正を考えると、こういうふうに解釈していいんですか。
  44. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 実態調査の結果を見て判断したいと思っておりますが、実はこういうことを申すことが適当かどうかわかりませんが、先般松下電器から五十億円の寄付金が各都道府県、指定都市に対して配分されました。で、私どもは、この寄付金につきましては、社会福祉施設の整備と、——民間社会福祉施設の整備と、それから社会福祉施設職員の福利厚生にその寄付金を各府県が予算化して充当するようにという指導もいたしております。そういったこともありまして、おそらくこの十二月の県議会でそういった財源も含めまして社会福祉施設の整備ができるよう予算措置を各府県が講じてくれているのじゃなかろうかと、かよう考えておりますので、そういった結果等も見て判断したいと、かよう考えます。
  45. 矢山有作

    矢山有作君 いろいろな結果を見て判断をするということでありますから、私どものほうとしてはそれを良識的に解釈をいたしまして、建築費の、建築竣工に支障があるなら早急にそれに相応した対策が打たれるんだというふうに理解をしておきますので、そういう方向で努力をしていただいて、施設整備を推進する上で遺憾のなきを期していただきたいと思います。  それから、次は御案内ように、ことしの春ごろから特に重症児施設等におきまして労働条件が劣悪、人手が足らない、そういうようなところから腰痛症の患者が多発するという状態が起こりまして、全国各地の重症児施設では、とてもこのままの状態で収容児の世話をすることはできないというので、収容児を親元に帰すというような例が数多く見られました。そこで、そういう重症児施設に対して、いかに人手を確保していくかという問題、また、腰痛症で倒れた職員の代替要員をどういうふうにして求めていって、できるだけ残った人たちの労働過重を軽減をし、施設を維持していくかというような問題が非常に世論をわかしたところでありますし、その世論を受けて国会の中でもたびたび論議がかわされたところであります。その結果、厚生省のほうは、腰痛代替職員の確保のために措置をとられ、さらに施設でそういう人手不足、腰痛症の多発等でたいへんなところは、四十八年度中にも介護職員一に対して収容児一というふうな方向に持っていく努力をすると、こういうようなことが言明されたと思います。具体的にはそれがどういうふうに実施に移されたのかお伺いしたい。
  46. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 事実はただいま御指摘のとおりでございまして、ことしの七月に大臣が特命をされまして、総額約六千万円を一定基準以上の対象重症心身障害児施設に配分をいたしました。その配分の中身といたしましては、これを臨時職員の雇用、あるいは力を省くいわゆる省力機器と申しますか、そういったものの購入というものに充てるようにいたしまして、当面その解決に努力をしたところでございます。  なお、びわこ学園あるいは砂子療育園等において、この秋腰痛職員が出まして、その結果、一時収容児童を親元に帰すということがございました。私どもたいへん、そういうことがあってはならないということで心配もいたし、事実、各この児童措置している府県が相寄り相談をいたしまして、なお各府県もある程度の応分の負担をいたしまして、この問題についてはこの秋を境に終息を見たような次第でございます。  なお、腰痛職員につきましては、現在ある程度、この腰痛の職員が出ておる施設につきましては、労災の認定あるいは職員のための休養施設等についてただいま、一部ではございますけれども施設整備のほうで若干の配慮ができるということになっている次第でございます。
  47. 矢山有作

    矢山有作君 びわこや島田のようなところは特にたいへんだったと思うんですが、ああいうところに対してその当時お約束になった、これはたしか厚生大臣が衆議院の委員会でおっしゃったと思うんですが、一対一の実現というものは全然やってないわけですね。
  48. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) この問題につきましては、来年度予算並びに、御承知のとおり、この重症心身障害児施設は医療費の点数払い、点数制によっておりまして、現在の児童家庭局が所管しております措置費支弁になっていないのでございます。したがって、来年度はこの医療費の点数に対する、ただいま支給しております重症児指導費という名目で、本年度医療費の五五%を施設に出しているのでございますけれども、これは職員の対比にいたしますと、いろいろな収容の態様並びにその施設のあり方等によっても異なりますけれども、おしなべて大体一人の職員が一人半の児童を見るような指数が出るのでございますけれども、来年はこれをできるだけ施設の態様に即して、一対一になり得るよう予算要求をしている段階でございます。
  49. 矢山有作

    矢山有作君 代替要員確保の緊急措置というのも、先ほどおっしゃったように、一定の条件を備えた重症児施設だけに対して配付されたわけですね。大体たしか八施設でしたね。
  50. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) そのとおりでございます。
  51. 矢山有作

    矢山有作君 ところが、この重症児施設で、この条件に合った八施設だけじゃないんですね。もうあらゆるいろんなところの施設が人手不足、腰痛症の多発、人手不足子供を帰しているわけです。たとえば私のところにある岡山の旭川の旭川荘、社会福祉法人ですが、ここでもたしか二カ月か三カ月にわたって子供を帰さざるを得ないよう状態になって、帰しておったわけですがね。ところが、ここは厚生省の交付基準に合わぬということで、全然交付を受けられなかったわけです。ですから、私は、この春以来の腰痛症の多発、人手不足という状況は、この特別措置が行なわれた八施設だけではないと。ほとんどあらゆる全国の施設、民間施設は三十カ所ぐらいですか、三十二カ所ほどありますね、そこで起こっておる問題じゃないかと思うんです。したがって、もう少しやはり実態をとらえながら、その施設の運営ができるような配慮を願いたいということが一つでありますが、さらに、ただいま打たれたような腰痛代替の措置によって、問題が根本的に解決をしたと認識しておられるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  52. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 岡山県の例は私も承知しておりますし、また、ある一定基準以上の施設ということに限ったために、それ以外の施設で、ややそれに近い状態がありながら、それが均てんしなかったということもたいへん残念に存じております。また、この措置だけで十分済むものとも考えておりません。重症心身障害児収容施設は、先ほど大臣も触れましたように、非常に大きな問題と申しますか、根本的な問題があることは事実でございます。と申しますのは、この施設が当初発足の経過から申しまして、いわゆる小児病院の延長というような形の、医療ということを重点に出発しておるのでございます。それと、したがいましてそこに働く方々はお医者さん、看護婦さんというものが一応主体ということで発足をいたしました。しかしながら、一方では、先ほども御指摘がございましたように、いわゆるリハビリテーションと申しますか、社会復帰ができるよう努力も片方でしながら、同時に児童のための、できることならば教育もしたいというような、非常に多様な要求を満たしながら、そして児童福祉につなげていくという、いわば従来ございます児童福祉施設とは根本的に違った使命と目的を持っておるのでございます。したがいまして、そこに働く方々が非常に多くの、何と申しますか、使命にこたえるためにわれわれとしては、その処遇の改善をまずはかっていかなければならない。と同時に、その人々がやはり非常に重い子供さんを相手にしていることもございますので、たとえば休養室の整備であるとか、あるいは厚生施設の整備ということをやって、職員の人もやはり生きがいを持っていけるような仕組みにしていかなければならない。そういうことを考えますと、単に臨時・代替の職員だけでこと足りるということではなくて、やはりこうしてできた施設の総合的な施設として、ほんとうにいい方向に持っていく。これはやや、まだ、私自身の考えで、公式なものではございませんが、お許しいただけるならば、やはり重い子供さんばっかりを集めるということは、若干問題があるんじゃないだろうか。これは、子供さんもある程度、軽い子供さんがいて、それが刺激になる。それから、入って働く職員の方々も、重い人ばかりを朝昼晩お世話するのではなくて、やはり働けばよくなるんだという、少しそういった、何と申しますか、プラスになる明るい面を施設に取り入れる必要があるんじゃないだろうか。そういう点から申しますと、国立療養所である程度成功しておりますのも、重症棟と同時に、そのお医者さんが軽度のところにも行って、そしてある程度の何といいますか、回転がきくというところにも一つの意味があるのではないか。そういうようなことを考えますと、われわれ児童家庭局といたしましては、医務局あるいは他の局とも十分連携をとりながら、この施設のあり方というものをやはり根本的に検討しながら、ただ単に検討するのではなくて、職員のためにも施設のためにも、さらに改善をはかっていかなければならない、かよう考えているわけでございます。
  53. 矢山有作

    矢山有作君 いや、ありがたいことです。そういうふうな方向でやってもらいたいんですが、私がお聞きしたのは、この七月にとられた代替要員を確保するという緊急措置で春の状況が改善されたのかということをお伺いしたんで、あなたはその前の答弁でたしか、春のような事態はなくなっておるというようなことを確かにおっしゃったと思うんで、そうしてみると、ある程度改善されたような受け取り方をしておられるのかなと思った。いま、まだそこの論議の段階ですから、その点はどうなんですかな。
  54. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 収容児童を家に帰さなきゃならないという不幸な事態は、一応終息を見たというように私ども考えております。したがいまして、形の上では一応おさまっておりますけれども、そういった施設が持っております根本的な問題というのは、なお多く残っている、かように申し上げたわけでございます。
  55. 矢山有作

    矢山有作君 私は、大体そのとおりの御認識でいいんだろうと思うんです。というのは、私もこの間、第二びわこ学園の実態というものをずっと調べてみたんですが、これは八月でしたかね、第二びわこは、子供を帰さなきゃならぬといってたいへん、何というのか、困ったのは。そのときの状況と現在の状況とほとんど変わってないわけですよ。1時間の関係あるから、こまかいことは申し上げません。それから、島田のほうを調べてみた。島田のほうもほとんど変わっていない。これはもう、労働条件の状況も、それから人数にも、ほとんど変更がありません。第二びわこは九月以降、十六人採用したら、これは第二びわこですが、七人は腰痛でやめちまって、あと九人ほど残っておる。だから、春に比べると第二びわこの場合は、正直言って六名ほどふえておるようですが、しかし、勤務の状態なんか見ておると、詳しく調べてみましたら、ほとんど変わらないんです。ただ、春から夏にかけての非常な危機的な状態のときと介護職員の置かれておる立場がほとんど変わってない。変わってないけれども、まだ、子供を帰さなきゃならぬという問題は起こってないから、それで問題が幾らかでも改善されたという認識は、ぼくは間違いだと思うんです。これは間違いだと思う。やはり基本的には労働条件も人員の確保の条件もほとんど変わっておりません。ただ、たまたま、また帰そうかという声が起こっていないだけだ。しかしながら、この十二月から三月にかけては例年に見られるところ、こういう重症福祉施設の退職者が非常に多いそうです。したがって、もしこの十二月から三月に退職者が出るようなら、再びこの問題が起こってくるんではないか、こういう危機的な状態にあるということを私は御認識いただきたいと思うのです。そうしてやはり緊急に要員を確保する手を打っていかなければならぬと私は思うんですが、しかし、六千万円の金を八施設に出して代替要員の確保をやれ、こういうことでやらしたわけでしょうが、その実態は各施設がどういうふうにやったか御存じになっておりますか。
  56. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 詳しいデータは手元にございませんので申し上げられませんけれども、おおむね機械の購入とそれから臨時職員の採用、この二とおりに分かれているようでございます。
  57. 矢山有作

    矢山有作君 これは私はこういう緊急措置を打たれたら、はたしてそれがどれだけの行政効果をあげたかということは、やっぱり将来の施策の参考としても確実に把握をしてほしいわけです。私どもの調べたところでは、この六千万円の金を八施設に配ったからといって人員確保の役には、これは立っておりません、現実の問題として。第一、これだけの金を配分されたからといって、それで人員確保ができるというようなものではない。いままでの給与の改善に多少向けるとかあるいは機械器具の購入をやるのが関の山という実態です。したがって、これはあなたのほうで八施設ですから、すぐ調べがつくわけですから、この措置に対して各施設がどういう手を打ったのか。そして、その結果どういう状態になっておるのか、これはお調べの上、私どものほうに資料として差し出していただきたいと思うのです。いいですね。  それから次に、四十九年度から一対一にさせるように指導費を予算考えておるということであります。ところが、数の上では私は収容児が百人おるから介護職員百人ということでは実質的に一対一の確保にはならぬと思うんです。これはなぜかというと、現実にどこの施設を見ましても七〇%から九〇%の腰痛者をかかえ、そのうち何人かの者はこれは仕事ができないで入院加療中の者もあれば、あるいは二、三日休んでは勤務するというような者があるわけです。たとえば一例を申し上げると、第二びわこではどういう状況になっておるかといいますと、四十八年九月の状況で見ると、これは七十六人ほど職員がおるときの状況ようですが、これを見ると、長期休業で入院加療しておるのが六名、週三日休業で毎日加療しておるのが四名、週二日休業で毎日加療しておるのが八名、週一日休業で毎日加療が二十五名、毎日加療が十七名、六十名が腰痛で加療を受けておるわけです。このときの職員数は先ほど言いましたように七十六名、こうなると、私は一対一、数の上でやってみたところで、これは実質的に、そういうような入院加療では一週間のうちに二日も三日も休んで加療しておるという人が出てくると、その埋め合わせをつけることを考えておかぬと、やっぱり一対一の実質的な介護はやれないわけです。そこでただ単に、数の上で収容児百に対して介護職員百ということでは、これはもうどうにもならぬということです。どうしても腰痛代替要員というものを確保するということを考えておかなければならぬ。この点をお考えになっているんですか。
  58. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 先ほど御指摘のございました六千万円の内訳につきましては、ただいま私の手元にないわけでございますが、原課のほうに来ておりますのでその点は御了承をいただきたいと思います。  それから腰痛問題に関連しての一対一でございますが、私どもはこう考えております。民間施設三十幾つございますけれども、その施設の職員の構成比と申しますのは、収容児童との対比の関係で申しますと、収容されている児童の態様、それから職員の、先ほど申し上げました看護婦さんとか、お医者さんとか、保母、あるいは介護職員というような関係で、必ずしも全部が一様ではございません。うまくいっているところでも一・六対一のところもございますし、現に第二びわこは、職員総数だけから申しますと、ただいまのところ一・三対一でございます。ただ、その中で、第二びわこの場合には、いま御指摘がございましたように、腰痛職員が出ております。したがって、腰痛職員で毎日加療の職員が何名かおる、あるいは休養している人がいるということで、したがって、そのしわ寄せが一・五になり、一・六になるということは、これは事実でございます。私どもは、できるならば、この腰痛職員を前提とした職員配置というのは重症施設であってはならないことだと考えております。むしろ、こういった腰痛の方々が出ないよう考え、また配慮するのがわれわれの責任であると思います。  しかしながら、遺憾なことには、こういった三十キロ以上もある子供さんをかかえたりなんかしていることで、そういう職員が出ることはまことに残念でございます。われわれが一対一に近づけたいと申し上げておりますのは、こういった重症の子供をかかえている障害児施設について介護職員をふやしていく、そして、少しでも職員の勤務態様をよくしていく。そして、そういう配分の中で、それぞれの施設に合った独特の行き方もあろうかと思います。必ずしもここでこうしなきゃならぬということは、私ども具体的な指導としてはいたしておりませんけれども、医療費なり、重症児指導費の配分の中で、職員の対比をできるだけ児童の介護にプラスになるような一対一に近づけてまいりたい。こういうことでただいま予算要求していると、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  59. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、それは局長、おかしいじゃありませんか。たしかこうおっしゃいましたね。腰痛職員を前提としての職員配置を考えるべきではないと、こうおっしゃったと思うんです。しかし、そんなことをおっしゃったって、現実の問題として、極端な労働過重のために、腰痛者が一施設について七〇%から、高いところでは九〇%出ているんですよ。これをそのままに放置しておけば、腰痛は進んでいけば仕事ができなくなってこれはやめていかざるを得ぬのですよ。また、その腰痛にかかっておる者については治療さしてやらにゃならぬ。こういうことを考えるなら、私どもは、腰痛の発生を前提として職員の配置を考えるべきではない——それはそのとおりだと思う、腰痛がない状態では。腰痛が一切ない状態の中で、腰痛が発生しないような十分な人員を確保してあるんなら、そのとおりだと思います。ところが、現在までに十分な人間の確保ができなくて、腰痛が多発して、人手不足で困っているわけでしょう。そうすれば、そこのところをどうして埋めていくかということを考えて要員の配置を考えなかったら、一対一という原則だけでいくんなら、入っていく者がまたまたこれは腰痛になって倒れていきますよ。腰痛者で就業できない者がおるんだから、その負担は全部かかってくるわけですからね。しかも、一日三交代でやるわけでしょう。そうなると、数の上で百人の収容児対百人であっても、一人が受け持たなきゃならぬ収容児の数というのは、実際には五人になり、多いところでは八人にもなってくる、九人にもなってくるんですからね。そうなると、これはたいへんな重労働。しかも、重症心身障害児の収容施設というのは、収容年限が長引いてきて、もう子供が大きくなっちゃって、体重も三十キロ以上のがたくさんおるわけでしょう。大きくなるな言うほうが無理なんでね、これはやっぱり大きくなりますよ。そういう実態を踏まえて腰痛症の職員の存在を前提としては考えるべきではないというのは、私は、これは間違いだと思うんですよ。だから、いま腰痛症の職員が存在をし、それがさらに増加をし、そして症状が悪化していきつつあるわけですから、現在の人手不足の中で。それがないように、解消できるような形で人員を確保しなきゃ、これはこの状況はひとつもやまない。あなたが前提としないと言ったってやまぬですよ、腰痛症の発生が。そこのところが、ぼくは、根本的に考え方をあらためてもらわぬと問題は解決しない。そこはあなたの間違いじゃないですかね、考え方。どうですか。
  60. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 私が申し上げましたのは、腰痛の人があってはならないということを申し上げたんでありまして……。
  61. 矢山有作

    矢山有作君 あってはならないたって、あるんだからね。
  62. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 事実はあるわけであります。ある施設について、それはそれなりの休養あるいは臨時職員、代替職員の措置というものをとっているわけでございます。しかし、それが十分であるかと申しますと、必ずしも十分とは申し上げかねる。  そこで、来年度はできるだけこの職員の増員がはかれるよう重症児指導費の増、それから一方では医療点数の——これは医療費の問題でございますけれども、改善ということによって、施設の運営が少しでもよくなるようにしてまいりたい。それの一つの、何といいますか、目標は、簡単なことばでいえば一対一という標語ではあるまいかと、こういうように申し上げておるわけであります。  それで、施設によっては、先ほども申し上げましたように、一対三のところもございます。一対六のところもございます。それはそれなりの施設のあり方であろう、こういうように申し上げているわけであります。  なお、くどいようでございますけれども、先ほど私見をまじえて申し上げましたのは、やはり重い子供さんばかりでは施設運営上、非常に問題があろうかと考えますのは、やはりそこに多様——ある程度の軽症な児童も入って職員の負担も軽からしめていくというような配慮も片方では必要じゃないだろうか。これは厚生省としてきめたわけでございませんので、そこまで私が申し上げるのは行き過ぎかと思いますけれども、重症障害児の問題を考える場合に、職員の処遇と重症児の処遇、そしてそれと相応した職員配置、それに必要な予算要求、こういうことで申し上げたのでございまして、現実の腰痛症の方々がおられるということを否定しているものではございません。
  63. 矢山有作

    矢山有作君 しかし、局長ね、現実を踏まえてものを言うてもらわなければ困るわけですよ、現実を踏まえて。あなたのは、一つの観念論としてはそれは成り立つでしょう。いま一切腰痛症の患者がおらないものという前提に立って言うなら、それは収容児百に対して介護職員百を確保していくと、それで、その後労働条件にあらゆる配慮を加えながら、腰痛症を発生させないようにするのだと。これは私はそのとおりだと思う。これはいい。ところが、現実に腰痛症患者がおるわけでしょう。しかも、施設によって数の上で一・三対一のとこもあれば、一・五対一のところもある、二対一のところもある。もっと悪くて二・五対一のところもあるわけでしょう、現実に。それは何もその施設の職員と収容児の態様からきておるのではなくて、おもにそれは現在の金の問題からきておるわけです。なぜかというと、一・三対一人のところだって、腰痛症の患者は七割も八割もおるのです。二対一のところだって七割も八割も九割もおるのです。この実態は、数の上で一・三対一であろうが、一・五対一であろうが、二対一であろうが、現実の問題としては、そういうふうに腰痛症患者がどこにもおるのだから、そのことは、それほど労働が過重であるという裏づけになるわけですからね。それをいかにして軽減するかということを考えなければならない。軽減するためには、なるほど機械器具を購入して、なるべく体力を消耗しないでいいような方法も考えられるでしょう。それと同時に、十分な人手を確保するということも考えられるでしょう。一人の保母さんが四十キロも五十キロもある子供を一日に四十二回も三回もおむつをかえたり、あっちへ移したり、こっちへ移したりすると、これはたいへんです。ところが、二人で一人をさげてやるんなら、これは可能ですわね、四十キロぐらいの子供でも二人でさげるのは。一人でやるのはたいへんなんです。そうすると、やはり人手不足の解消ということがどうしても問題になってくる。そうした場合に、一対一ということはこれはある程度の進歩です。だから、これは私どもは四十九年度でぜひともやっていただきたいし、実現さしていただきたいと思う。ところが、それだけでは、現在の腰痛症患者をたくさんかかえておるのですから、そこのところを踏まえてやらぬと、これは新たに一対一で採用された者がすぐまたばたばた腰痛で倒れていきますよと、こう言っているわけです。というのは、形の上で一対一になったって、腰痛で休んでおる人がおる。こういうことになればそれを埋めていかなければならぬ。一対一にならなくなってしまうわけですよ、実質的には。だから、そこのところを私は考えてもらいたいのです。だから、一対一はこれはぜひ確保していただくが、同時に腰痛の代替要員の確保ということも考えてもらわなければ、私はうまく今後が運営できないのじゃないかと思って言っているわけです。あなたが、全然それはもう考慮の余地がないのだとおっしゃるんなら、それまでですが、どうなんですか、これは厚生大臣、大体おわかりいただいたと思うんですがね、私の言っていることは。どうでしょうか。
  64. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 矢山委員の質問の中に具体的ないろんな代替要員についてのお話、私も非常に理解できます。したがって、来年度の予算の配分の際には、施設施設によって多少の差は私はあると思いますが、何かいい知恵を出して、単に一対一というだけじゃなくて、なるほど腰痛職員が出ないことが望ましいことは確かですが、現実おることもまた確かでございますから、そういう点をにらみ合わして、何かいいくふうがないか、くふうのしどころだと思いますから、もう少し知恵をしぼってこうした問題に対処できるよう検討をしてみます。
  65. 矢山有作

    矢山有作君 大臣の非常に前進的な御答弁でありますから、私どももそれを大いに期待をしておきたいと思います。  それから、きょう労働省来ておりますね。労働省はこれまで社会福祉施設に対して労働条件等の調査をやってみるというようなことも労働基準局長がかつて国会で答弁をしているようでありますが、そういうことから、この重症児の収容施設の労働条件はどういうふうな実態であるか、つかんでおられたら、ここで、厚生省がいま言ったよう対策を前向きに進めていただくのに大いに励みになるわけですから、ここでちょっと披露しておいてもらいたい。
  66. 岸良明

    説明員(岸良明君) ただいまのお尋ねでございますけれども、ちょうど四十八年の四月に先ほど来御指摘になりましたような諸問題が起きまして、労働省としても特に社会福祉施設のうちで重症心身障害児施設については、これはもうすべての施設調査的監督を行なう、こういう形ですでに指示を流して実施をいたしております。ただ、これはちょうど報告がただいま手元に入ってまいりまして集計中でございますので、その結果ということはこの席で申し上げるわけにはいかないわけでございますが、いずれにいたしましても相当に労働条件上問題がある、こういう認識で私どもといたしましてはその結果を待ちましてさらに適切な措置を講じていきたい、かように思っております。
  67. 矢山有作

    矢山有作君 なかなか課長は慎重で数字をおっしゃらぬようですがね。これはやっぱりある程度いまつかめておることはおっしゃっていただいていいんじゃないかと思うんですがな。この間、これは四月の十七日ですか、衆議院の社労委員会で渡邊労働基準局長が、民間病院の場合われわれが監督しましたもののうちで五六%ぐらいの違反がある、こういうことを言っておりますね。だから、かなり労働基準法違反というのはあるんではないか。時間外労働、休日労働、夜間の労働、こういうようなのを合わせると相当な違反件数があるのではないかと思うんです。事実、この間も社会福祉危機突破大会では、労基法違反の事例というのがたくさんあげられております。相当の労働基準法違反があると思う。そうすると、その数字については、きょう、もうこれ以上言いません、あなたのほうでまとまったらぜひ資料として御提出ください。  そこで、このような労働基準法違反事件が起こるのは、労働省はいままでの実態を調査した結果、何に原因があると思っておられますか。
  68. 岸良明

    説明員(岸良明君) まあ、いろいろな原因があると思いますが、ちょっとその前にお断わりをいたしておきたいのでございますが、渡邊局長のほうから申し上げました数字、あるいはお手元にあります数字は、おそらく四十七年の五月に私ども調査的監督をいたしました、これはきわめて限られました十件を対象にしてやりました結果でございます。その結果でございますと、これは御指摘のよう数字になっておるわけでございますが、特にお尋ねが重症心身障害児の問題でございますので、これについては四十八年度の調査を待たなければわからないということを申し上げたわけであります。
  69. 矢山有作

    矢山有作君 その資料は出してもらえますね。
  70. 岸良明

    説明員(岸良明君) これはまとまり次第御提出いたします。  それから、この原因で、ございますけれども、いろいろな問題が考えられると思います。やはり一番大きな問題といたしましては、そういう施設あるいは勤務の非常に特殊な形態ということが大きな原因であろうと思いますし、また、先ほど来御指摘になっております施設の人員の非常に制約をされている状態、   〔委員長退席、理事須原昭二君着席〕 また、先ほど来御指摘になりますように、こういったような諸施設というのは地方公共団体あるいは国の諸措置によって運営をされている部面が非常に強いわけでございまして、そういう面からの配慮もやはり非常に重要なファクターであろう、かように思うわけでございます。
  71. 矢山有作

    矢山有作君 厚生大臣、いま労働省から言われたように、やっぱり私は労働条件というものが非常に大きな原因になっておると思うのです、腰痛症の。したがって、それだけに労働条件を緩和するための人員確保ということが重要になってまいりますので、先ほどの御答弁を私ども大きく期待をしたいと思いますから、ぜひ実現に努力をしていただきたいと思います。  それから、この腰痛症について重症児施設においては大体七、八〇%、九〇%ぐらい腰痛症がどんどん出ているわけですね。だから、私はこれは職業病として指定をしていいんじゃないかというふうな感じがしておるのですが、指定をするということについては、労働省はどういう考え方ですか。
  72. 岸良明

    説明員(岸良明君) 私の所管から、はずれることでございますけれども、御承知のとおり、労働基準法の施行規則三十五条でございます、そこには職業病が列挙してございます。そうして現在腰痛症等についてもしも該当するという条項は、御承知のとおり、「業務に起因することの明らかな疾病」という三十八号の規定でございます。で、御承知のとおり、腰痛症の問題、この社会福祉施設その他一定の企業から出ておりますので、労働省としては三十八号に基づきまして専門家の方々に集まっていただいて、一定の基準を立てておるわけでございます。いまはその基準に従いましてそれぞれ個々の事例において仕事と当該腰痛症との間の因果関係を検討した上で、一部のものは業務上の認定をすると、こういう形にしておるわけでございます。ただ、これを一般的に職業病として指定をするという、これは三十七号という号数がございます。そこで中央労働基準審議会の議を経まして追加指定をしていく、こういうメカニズムがございますが、そこまでの状態はまだ十分な検討が進んでおらないということでございます。今後さらにいろいろと検討が進められた結果、もしもそういう状態になれば、三十七号の手続を経てこれが追加をしていく、こういうふうに私は考えております。ただ、いずれにいたしましても、監督課長でございますので、所管の労災担当課長、これが専門でございますので、私の知悉している限りにおいてはこういうことでございます。
  73. 矢山有作

    矢山有作君 きょう労働省のほうは基準局長が衆議院の社労に出て、来れないということですからあなたに来てもらったんで、そういう中で所管外だという答弁になると、全くこれ、たよりない話なんですが、しかし所管外であることには間違いないんだろうから、これ以上言いませんがね。指定の問題を考えていただくと同時に、いわゆる認定の基準というものをもう一ぺん再検討してもらうことも同時にあわせて検討してもらうように労働省には頼んでおきます。というのは、労災認定をやっても、なかなかその認定がおりないらしい。あの重症児施設の労働実態、そうして腰痛症の発生状態を関連さして考えれば、私は職業病として指定してもかまわぬと思うけれども、その一歩手前で認定基準の再検討をするということもぜひ考慮していただきたいので、この問題はひとつ担当課の課長のほうにお伝え願い、また、あらためての機会で労働基準局長のほうからの御見解を伺いたいと思います。特に腰痛症にかかった人たちの場合、労災認定を受ければ別なんですが、そうでなしに加療しておる人たちというのは、交通費の支弁にまいっておるんですよ。これは、御存じのように、あとで言いますが、賃金が非常に低いんですよ。賃金が非常に低いところへ持ってきて、腰痛症にかかって、ほっとくわけにはいかないし、労災の認定はしてもらえぬし、加療に通うということになると、やっぱり交通費が安くても、往復すれば千円前後ぐらいは何ぼ何でもかかってくる。また、地理的な不便なところでタクシーを使えば、そんなことではとても行けれぬし、という問題が起こるので、この腰痛症にかかった人たちの通院、加療の問題を、交通費等を何とかして厚生省考えてやることはできぬのかどうか、この点どうでしょう。
  74. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) ただいまの御指摘の問題につきましては、いまここでできるというお答えをするだけのものを持っておりませんので、ひとつ御容赦いただきたいと思います。
  75. 矢山有作

    矢山有作君 これは、新しく提起された問題でしょうから、すぐこの場で事務当局としてもお答えができぬとすれば、大臣のほうで、これはぜひ配慮をしてもらえるならしてもらいたいと思うんです。あとで触れますが、賃金がとんでもない低い水準ですから、その上、交通費をかけて通院するということになると、たいへんなんですよ。この点、考えられますか。
  76. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) いま、翁局長からもお話のありましたように、いますぐ交通費を出せるのか出せないのか、私もはっきりよくわかりませんが、十分ひとつ実態を調べまして研究してみます。
  77. 矢山有作

    矢山有作君 その点はお願いしておきます。  それから、最近、週休二日制ということが非常に言われ出したわけですね。人事院の勧告でも、週休二日制を採用すべき段階に達したと認められるとして、五十年度を目標にその実施を真剣に検討すべき段階にきたと、こういうふうに勧告しておりますが、私は、この週休二日制のようなものこそ、これはもう積極的に重症児施設社会福祉施設等、こういうところに導入をしていくべきだと思うんです。特に、重症児施設ように、労働過重でばたばたと腰痛症で倒れるというような人が続出している状況の中では、これはできるだけ休養というものを考えなければいけませんし、それからまた、現在の社会経済情勢の中で、ああいう重症児施設の介護職員を獲得するということは、いろんな面で非常に困難がある。ただ、たとえば賃金だけがよくなったからといって、さあ、ほい、それ、そこがいいところだといって行くような情勢でもない。これは、人手、人員確保というのは、非常にむずかしい。そうすれば、やっぱりいまの風潮としては、十分な休養がとれるということも、これは賃金問題とあわせて、やはり重要視すべき問題ではないかと、こういうふうに思うので、週休二日制の実施のごときは、むしろ公務員よりも、こういう重症児施設等の職員に率先して採用さるべきではないかと思いますが、これは厚生省考え方が一つは重要なキーポイントになってまいりますので、その御所見を承りたいと思います。
  78. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 児童福祉施設全般について言えることでございますけれども、一応福祉施設一般は措置費で全部を見ているわけでございます。それからまた、この重症心身障害児施設については、指導費と医療費、その中で、いわば施設が主体的に職員を配置をして、そして職員の勤務体制というものをとっております。しかしながら、こういうように二十四時間収容の施設については、たびたび御指摘がございましたように、十分な職員配置になっておるとは言いがたい。そこで将来の問題として、こういった施設の職員の休日問題というのは、必ずしも週休二日ということにこだわらなくても、何とかしてこの人たちが休養できる、そしてあすに備えて体力の回復とレクリエーション等ができるような余裕を持たせるような配慮というのは、これは行政当局としてぜひ必要なことだと思います。その意味で、先ほども申し上げましたように、今後、休養室あるいは職員宿舎というようなこと、こういったものも職員のこういった休養に一番かかわり合いの深いことでございますので、そういったことを含めて前向きに進めていかなければならないと、こういうよう考えております。
  79. 矢山有作

    矢山有作君 それは、まさにおっしゃるとおりで、週休二日制どころの議論じゃないので、この施設の職員というのは、まさに一般の休養すらとれないよう状況なんです。有給休暇の一つもとれないような過重労働の中にあるわけですから、したがってその週休二日の議論をする前に、そういった一般の休養がとれるようなところに持っていくということ、これはまさに緊急の要務なんですよ。ところがそれと同時に、やはり週休二日の問題をも、先ほど検討課題にするとおっしゃいましたが、私は真剣にこれも検討していただきたいと、こういうことを重ねて申し上げておきます。  時間がありませんので、次に参りますが、一対一に必要な介護職員の確保ということが四十九年度予算では考えられておるわけでありますが、ただ単にこれだけでは私は職員を獲得することはできぬと思います。これは第二びわこ学園を調査したときも島田を調査したときも言われておることでありますが、何にしても人を持ってくるのには宿舎がない、それで、第二びわこ学園もあるいは島田にしても、宿舎の建設で行き詰まっておるわけですね。この宿舎の建設なしに人を雇うということはできないという実態を踏まえて、この要員確保に必要な宿舎の建設について、国としての裏づけを考えられるのか、考えられないのか、この点をお伺いしたい。
  80. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 遺憾ながら現状においては、国庫補助の対象として収容施設の職員宿舎までいっておりません。非常に残念なことでございますが、現在の態様としてはそういうことでございます。
  81. 矢山有作

    矢山有作君 局長、あんた、私の質問に対して、さきに長々と職員確保の必要を述べられたわけです。職員確保にはこうしなければならぬ、ああしなければならぬといって述べられたのですが、その中でやっぱり重要なのは、これは宿舎がなくちゃ、住まうところがなくちゃ人は来ぬわけですからね、野っ原に寝るわけにはいかぬので、これは宿舎建設はぜひとも考えなければならぬ。しかも宿舎の建設については、現在の福祉施設の中で、重症児施設の中で、その宿舎の建設を自分でやり得るよう財政的な力はないわけです。したがって、これはやっぱり人員確保、人手確保にあなたが熱心になるのなら、これはいままで制度がないからでなしに、そういう宿舎建設に対する負担をやるという制度をつくるのかつくらぬのかという問題ですから。どうなんですか。
  82. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 申しわけございせん。島田、びわこについては、職員宿舎は見たそうでございます。補助の対象にいたしております。訂正いたします。職員宿舎は補助の対象としております。
  83. 矢山有作

    矢山有作君 しておる、——何割ぐらいの補助ですか。
  84. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) これは平米当たり単価をかけまして、個別に出しておるというのでございます。ちょっと資料をいま取り寄せますので……。  職員宿舎といたしまして、直接処遇職員、要するに直接児童を処遇する職員に対しまして、鉄筋にいたしますと、平米当たり四十八年度で約四万八千円、それが一人当たり約十三平米で対象になっているそうでございます。
  85. 矢山有作

    矢山有作君 四十九年度で一対一を確保するための宿舎ですよ。つまり四十九年度に一対一に持っていくわけでしょう。そうすると、表向き、数を一対一にするだけでも三十何人足りないんです。第二びわこ学園の場合は三十何人の収容施設をつくらぬことにはそれは雇えない、それとの関連です。
  86. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 第二びわこにつきましては、先日職員の二十人分について先ほど申し上げましたような単価で五割補助の対象にしているわけでございます。四十九年度につきましては、四十九年度の施設整備費全般のワクの中でさらに検討すると、こういうことになっております。
  87. 矢山有作

    矢山有作君 それではね、これはぜひ各施設について、重症児施設——何も島田、第二びわこに限ったことはありませんから、これから人手を確保しなきゃならぬ、一対一にあなた方がされた場合、その人手を確保する必要があるわけですから、そのための宿舎というのは、これはもうどこも足らないわけですから、したがって、この宿舎建設についてはぜひとも国としての措置をとっていただきたい。ところが、その場合に、やっぱり先ほど最初に触れました基準単価の問題等、十分実勢に合わせた形で補助をはじいてもらわぬと、これは施設としてはやり切れませんから、その点も念頭に置きながら処置をしていただきたいと思います。  それから先ほどちょっと触れたところですが、この重症児施設はどこでも民間ではたいへんな負債を負っているわけです。たとえば第二びわこの場合、調べてみましたら、滋賀銀行に千六百万円、それから医療金融公庫に千五百万、社会福祉事業振興会に一千万、合わせて四千一百万の借金があるというわけですね。こういう借金を持っておって、しかも、いまの不十分な措置費の中で要員を確保し、宿舎を建設する負担を負っていかなきゃならぬわけですから、これはたいへんなことだと思うんです。しかもこういうよう重症児対策のごときものは、これは国や自治体がやるべきものなんです。それを民間施設におんぶしてやっているわけですから、したがって、民間施設のこういうような負債をばく大に負っているこの肩の荷を軽くしてやらぬと、これはもう今後の運営がたいへんなんです。したがって、こういうよう施設の負債に対して何らかの措置はないのかどうか、この点はいかがですか。
  88. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) 御指摘のように、第二びわこがそのような発足当初から土地代その他でそういうような負債があることは承知いたしております。現在の国の補助の対象ということでまいりますと、そういうことが非常に困難でございますけれども、御承知のように、第二びわこにつきましては、後援会組織、あるいはこれももう一つ別途収容している各府県の父兄の会、あるいはそういった総合的な後援組織もあるように伺っております。国としては、現在できますことは、医療費並びに措置費あるいは日用品費等の補助負担でございますけれども、こういった問題につきまして、特に民間施設がこういう重症施設を経営していく上の基本的な出発点について、すでに借金があるということは非常に心の痛むことでございますので、何かいい方法はないかというよう考えてはおりますけれども、国の予算の範囲内で措置するということは非常に困難であるというよう状態でございます。
  89. 矢山有作

    矢山有作君 これは国のほうでめんどう見るというのにはいろいろなむずかしい点もあるということを私ども承知しております。しかしながら、この問題の打開はやっぱり民間のこういう施設がさらに健全な運営をやる上には考えなきゃならぬ問題もあるわけですから、私どももどうしたらこれがいいのかということを検討をしてみたいと思いますが、皆さんのほうでもこういうよう過大な負担、負債を負っておる施設の問題についてひとつ検討していただきたいと、これは検討課題で残しておきたいと思います。  それから最後に、人手確保の問題でこれは避けて通ることができないのは賃金の問題なんですが、これまでも賃金の格差があるあるということは厚生省でも認められ、そしてその格差の解消をやるということをたびたび言ってこられたと思うんですけれども、これはもう格差の解消には全然なっておらぬようですね。これは四十八年九月現在でこれもびわこ学園の状況を調べてみたのですが、高卒で、高卒一年でびわこ学園が三万七千五百円、県職になると四万六千百円、それから高卒五年でびわこ学園のほうが四万五千二百円、県職が五万七千八百円と、こうなっている。短大卒でいうと、短大卒一年でびわこ学園が三万九千九百円、県職は四万九千三百円、五年でびわこ学園が四万七千八百円、県職が六万三千六百円、大卒一年でびわこ学園が四万五千三百円、県職が五万五千六百円、大卒五年でびわこ学園が五万六千二百円、県職は七万三千二百円、それから准看で見ると、准看の資格を持っている者が一年でびわこ学園が三万八千二百円、県職は四万七千二百円、五年でびわこ学園が四万六千円、県職は六万一千三百円、それから高看は、一年でびわこ学園は四万六千百円、県職が五万六千七百円、五年でびわこ学園が五万六千二百円、県職が七万千四百円、こういうように、これはかなりな大きな開きがあるわけですよ。これではやっぱり私は人手の確保ということはむずかしいと、こう思うのですが、大体全国のそういう施設についてその給与の実態をつかんでおられるのかどうか、第一に。その点どうなんですか。
  90. 翁久次郎

    政府委員(翁久次郎君) ただいま御指摘のように、第一、第二びわこ合わせまして県職あるいは他の施設より低いことはわれわれも承知しております。具体的に申しますと、島田が同じような人が七万六千円の場合に第二びわこの場合五万三千円というようなデータもございます。これは先ほども御指摘がございましたように、第二びわこがかかえておりますいわゆる基本的な当初からの借金の返済というようなものもあるいは影響があるのではないだろうかというようにわれわれも憂慮をしているわけでございます。また、腰痛職員のために臨時代替職員を入れるということも影響しているのではないだろうか。御承知のとおり、医療費、措置費の全体のワクで運営しているためにそうなっているわけであります。そこで、こういったことを少しでもよくするために今後予算上の措置も十分努力をしていきたいというふうに考えているわけでございます。
  91. 矢山有作

    矢山有作君 時間が来たようですが、私ども、こういうふうに部分的に、島田とか砂子だとかびわこ学園だとかというように、部分的にしかいまのところまだその給与実態をつかんでおりません。皆さんのほうではこういう重症児施設なら重症児施設、三十二施設しかないのですから、これをつかもうと思えばわけなくつかめると思うのです、給与の実態は。それをひとつつかんでいただいて、私どもに民間施設の、こういう施設の給与の実態はこうだということを教えていただきたい。そういう中で私どもは、やはり最初にも申し上げましたように、こういう施設をりっぱなものにしていくために必要な要員の確保についてはお互いにやはり協力し合う立場もあるわけですから、批判するだけでなしに、したがって、そういうためにもこういった資料を、私どもにも十分実態を知らせていただく意味で、ひとつ整えて御提出を願いたいと思います。  いろいろと申し上げたいこと、まだ残っておるわけですけれども、私が最初約束しておった時間が参りましたのでこれで終わりますが、しかしいずれにしても、最初にも申し上げましたように、いまの非常な激しいインフレ状況の中で、こういう重症児施設、また施設一般でもそうでありますが、たいへん運営、経営に悩んでおるところでありますし、そのことが収容児者にとっては直接毎日の生活あるいは健康や命にかかわる問題なんで、これをやっぱり現在の情勢にマッチをさせて改善をしていく、さらにこれをよりよいものにしていくということは非常に重要なものだろうと思います。特に福祉国家を標榜される以上はその点について格段の配慮がほしいわけでありますので、そうした点について今後の厚生省努力を期待をいたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  92. 須原昭二

    ○理事(須原昭二君) 質問を続行いたします。
  93. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほど来の矢山委員の質問に対しまして、最初に私は食費につきまして、社会福祉施設における食費、これは原材料費だということで前回の委員会厚生省から答弁のあったのは五%引き上げた上で特別養護老人ホーム二百七十二円、養護ホーム二百十八円、身障者更生援護施設二百八十二円、児童養護施設等二百九十三円、乳児院二百九十七円、国立病院療養所二百九十円、重症心身障害児施設三百二十五円、これが一日当たりの食費だという答弁があったんですが、これはこのとおりでしょう。
  94. 高木玄

    政府委員(高木玄君) そのとおりでございます。
  95. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、これではとても食べていかれないわけですよ。一体何カロリーとることにしているんですか。
  96. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 社会福祉施設入所者の栄養摂取量につきましては、昭和四十四年八月に栄養審議会が答申されました日本人の栄養所要量を基準として栄養摂取量をきめるように指導をいたしております。現実にこの所要量が確保されているかどうかでございますが、私ども社会福祉施設に対して都道府県なり私どもが監査いたしておりますときに同時に調査しておるところでは、おおむね良好というふうにいままでの結果では相なっております。
  97. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣、そんなおおむね良好になるわけないじゃないですか、この値段で。そういうことでは困るですよ。四十八年六月の行管の勧告では老人ホームにおける給食の栄養度が低いというふうに行管も指摘しているですよ。それにもかかわらず局長はおおむね良好ですか。
  98. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 私どもが監査した結果を聞いているところではそういうふうな結果になると思うんです。確かにこの一日当たりの二百七十二円とかいう単価でございますが、これは先ほども大臣からお話ございましたように、これは飲食物の原材料費、食費の原材料費でございます。そして、この単価は何といいますか、それぞれ百人なり百五十人の収容施設でございますので、それに三食給与するわけでございますので、いろんな原材料費につきましては、大量購入というような利便も、大量購入による廉価購入できる面もあるわけでございまして、施設全体としてはそういった創意くふうをこらしてまかなっておるのだと思います。なお、先ほど大臣がお話しになりましたように、この石油危機以後の物価高に対処いたしましては、今回、年末に本年度限りの措置でございますが、収容者一人当たり千円の特別一時金を出すと、この千円につきましては、燃料費に充当しても食費に充当しても、それはそれぞれの施設の判断にゆだねると、こういうことにいたしております。
  99. 小平芳平

    ○小平芳平君 その点はあとで質問しますが、行管の一月の、給食の栄養度が低いというふうに指摘したことは無視するんですか、無視しないんですか、それを尋ねているんです。
  100. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 行管の勧告は、「老人福祉施設の運営管理等について」というところで、「入所者に対する処遇状況をみると、給食面では厚生省策定の標準栄養所要量を下回っているところ、入所者のし好をはあくしていないところおよび夕食時間が早すぎるところなどが多く見受けられた。」と、こういう指摘でございます。
  101. 小平芳平

    ○小平芳平君 だから厚生省はそれにどう対応しますか。もう一年近く経過しようとしております。大臣答えてください。
  102. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 行政管理庁の勧告は勧告として私は受けとめなければならぬと思います。これは、まあ、先ほども御質問がございましたように、二百幾らとかいうふうな、まあ、これは材料費だといいましても、私はやっぱりなかなかたいへんだと思うんです、これは。率直に私、認めます。それは、なるほど私も責められるとつらいものですから、率直に申しますと、まあ、百人ですから材料費にこうなりましてとか、光熱費入れますとこうなりますなんてこと言うておりますが、私も一人の人が生活していくにこれだけの材料費で十分であろうか、私も率直にそう思います、これは。だから、やっぱりそういう問題は、今後改善させるように私は努力すべきだと、私は率直に思います。というようなことを言うと局長にしかられるかもしれませんが、私も率直にそう思っておるんです。まあ、国会の答弁ですからいろいろ言いますけれども——いろいろ言いますよ、私も。百人分まとめて買うんですから少しは値引きして安くしてもらえるんじゃないかとか言いますけれども、私は栄養士の方々とか、この施設の管理、経営をやっておられる方々、非常な御苦労だと思います。だから、そういう御苦労なことを頭に描きながら、私はやっぱり来年度の予算に少しでも多くするように、これは真剣になって努力していくべきものだと、こういうふうに私は考えます。
  103. 小平芳平

    ○小平芳平君 局長は、大臣の言うことを聞かなくちゃだめですよ。(笑声)  それで、先ほどの委員長からも矢山委員からもお話があったように、結論としまして献立表をつくってください。献立表をつくった上で、はたして——カロリーも計算ができております、ここにね。かりに七十歳以上の方だったら千八百カロリー、あるいはたん白六十五グラムというものをとるためには幾らかかるかということを、これはもうそういうことは人事院でもやっているんだし、ですから必ず献立表をつくって、先ほどの結論どおりやっていただきたいことを要請いたします。  それから、先ほどの歳末一時金ですが、資料が配付されましたが、この予算はどこから出るんですか。
  104. 高木玄

    政府委員(高木玄君) この生活保護の被保護者一人当たり一級地で二千円の特別一時金を出す、それから社会福祉施設に一人当たり千円の特別一時金を出す、その所要額でございますが、生活保護の所要額が十五億四千万円、社会福祉施設の所要額一億七千万円、これ、いずれも十分の八の国庫補助額でございます。十分の八、国庫補助額が生活保護の十五億四千万円と社会福祉施設の一億七千万円でございます。その材源でございますが、これは既定経費を繰り上げ充当いたします。
  105. 小平芳平

    ○小平芳平君 ニュースでは、生活保護世帯が当初の見込みより減ったために、それで十分流用できるんだと、そういうようなニュースが流れておりましたが、そうなんですか。
  106. 高木玄

    政府委員(高木玄君) この経費につきましては、既定経費を繰り上げ充当いたしますが、いま先生おっしゃられましたように、現在の保護の状況等を見ておりますと、当初見込んだ生活扶助人員を下回っておりますので、その分でやりくりできると、つまり既定経費の範囲内でまかなえるだろうと、かよう考えております。具体的な数字について申し上げますと、昭和四十八年度の生活扶助の人員は百十六万七千七百二十七人を予算上見込んでおりましたところ、いままで現在一番新しい実績、八月分まで保護実績が出ておりますが、四十八年の四月から八月までの実績人員が百十五万三千三百六十八人でございまして、差し引き一万四千三百五十九人予算人員を下回っている状況でございます。したがいまして、この保護状況が続きますならば、この財源で、予算上見込んだ数の分でこの措置経費はまかなえる、つまり既定予算の中でやりくりできる、かよう考えておるわけでございます。
  107. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう少し、厚生大臣ですね、それは既定経費のやりくりでできる程度の一時金でなくて、大蔵省に要求して手厚いことはできませんか。
  108. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 御承知のとおり、生活扶助基準と、それから施設措置費につきましては十月一日から補正予算を待たずに五%の引き上げをはかったところでございますが、その所要額につきまして、先般補正予算に計上いたしまして御審議いただいたばかりでございます。したがいまして、いま直ちに新たな財政措置はとりがたい状況でございますので、既定予算の範囲内で措置すると、こういうふうにいたしたわけでございます。ちなみに、国家公務員につきまして、この石油危機以後の事態に対処するために〇・三カ月分の年末手当の繰り上げ支給がございますが、これも既定予算の中に組み込まれているものを繰り上げ支給するわけでありまして、新たな財政措置は必要としないわけでございます。生活保護におきましては、さような繰り上げすべき経費が予定されておりませんので、いままでの保護実績等から既定経費の中からやりくりする限度内で措置したと、こういうことでございます。
  109. 小平芳平

    ○小平芳平君 先ほどの給食費と同様に、これは四十九年度予算まで待てるかどうかですね、真剣に私は検討していただきたいと思うんです。それが一つと、それから、先ほどの給食費の場合は八十人以上の施設で栄養士一人ですか、八十人以下の場合は週一回栄養士が巡回指導するというふうなんだそうですが、こうした栄養面の取り組みがきわめて弱いと、低いと、栄養面の取り組みをもっとやらなくちゃいけないと、ですから、そういうことを基準にした上で、土台にした上で一日の食費を出していただきたい。ただ何%上がったからどうだということだけでは追いつかないですから。以上、二点いかがですか。
  110. 高木玄

    政府委員(高木玄君) 本年度、年明けて一月から三月までの物価動向がどうか、これはまだ予測できないところでございますけれども、もしその物価の上昇が非常に著しい場合が万一ございましたならば、その時点において、機動的に対処することが必要と判断いたしましたら、そういうふうにいたしたいと思います。それから、栄養士の設置につきましては、定員八十名以上の施設に一名常置しておる、それから、それ以下の施設につきましては非常勤職員で設置しているというふうにいたしております。
  111. 小平芳平

    ○小平芳平君 ですから、栄養面の取り組みをもっとしっかりやらなくちゃいけないと言っているんですよ。どうですか。
  112. 高木玄

    政府委員(高木玄君) これは、一つには栄養改善法の規定からきまして、八十名以上の大きな施設につきまして栄養士を設置しておるんだと思います。ただし、この点につきましては、おっしゃる点もございますので、今後とも栄養面の取り組みについて十分努力いたします。
  113. 小平芳平

    ○小平芳平君 それから次に燃料ですが、これも先ほどお話がありましたが、実際問題、現物がなくて困るわけですよ。あるいはこの値段がとてつもなく高くて困るわけですが、そこで、警察庁が不法貯蔵として押収されたものはどのくらいありますか。また、そういうものを公平な価格で福祉施設へ優先的に売るということはできないんですか。
  114. 相川孝

    説明員(相川孝君) 警察が本年の十一月一日から十二月十五日までに、全国で不法貯蔵の石油類を摘発、検挙いたしておりますけれども、その状況について申し上げますと、総計で百八十三件、百九十五名、このうち十一法人を含んでおります。これらはいずれも消防法の第十条第一項の違反ということで検挙いたしたものでありますが、その不法貯蔵の摘発量について申し上げますと、総量で約三千キロリットル、ドラムかんに直しますと約一万五千本分に当たる量となります。詳細なこの種別内訳は省略いたしますけれども、このようにして摘発いたしました不法貯蔵の石油類をどのように処分いたしておるかと申しますと、大体違反物件の措置というものは、私どもは証拠の確保と、それから危険状態の除去という観点で、これらの事件については処理をいたしておるわけです。具体的に申し上げますと、押収した違反物件を所有者に還付したり、または仮還付いたします。そうして、消防機関とよく連絡をいたしまして、危険物の貯蔵所や取り扱い所等の設置の許可を受けている施設、そういうものに保管をさせるという措置をとっているわけでございます。そこで、先生お尋ねの、このよう石油製品の不法貯蔵を検挙いたしておるわけですが、これらを社会福祉施設等に警察の手で売り渡すということ、あるいは払い下げるということはできないものかというお尋ねでございますが、実は石油類などを換価処分しまして、社会施設等に分けてやるということは、刑事手続の中で警察がそのようなことを行ないますことはいろいろ問題がございます。と申しますのは、売り渡し先をどこにしたらいいかという選定の問題がございます。それから売り渡し価格をどのようにきめたらいいのか等、いろいろむずかしい問題が伴ってまいります。私どもは事件の捜査をして、押収物という形でこれを押えるわけでございますけれども、この売り渡し等につきましては、やはり主務省と十分協議をいたしまして、適正を期する必要があると考えております。現在、物価問題や物資の不足問題をめぐりまして、生活安定法あるいは買い占め防止法の一部改正等が審議されておるわけでございますが、これらの法律が改正されました暁には、物資の主務省とよく連絡協議をいたしまして、売り渡しの指示とか命令というような条項を十分研究いたしまして、妥当な価格で必要とするものにこれを売り渡すというようなこともできる場合もあろうかと存じます。  なお、この手続等につきましては、私どももかねてから通産省にもお話をしたりいたしておりますけれども、買い占め防止法等の改正が成立いたしましてから本格的な打ち合わせなり検討というものを進めてまいりたいと考えております。
  115. 小平芳平

    ○小平芳平君 結局結論としましては、押収した違反物件は所有者に還付、または仮還付して安全な場所に保管させておるというだけで換価処分はしてないということですね。で、換価処分する場合は、私が指摘するような、そうした生活に直接絶対必要だというところへ優先的に流通するような方法を講じていただきたいと思うんですが、そういうことですか。
  116. 相川孝

    説明員(相川孝君) この点、私どもの一方的な判断でもいろいろ問題点もございますので、先ほど申し上げましたように主務省、灯油類あるいは石油製品につきましては通産省になるわけでございますが、十分先生御指摘のような点につきまして協議をしてまいりたいと考えております。もうしばらく時間をかしていただきたいと思います。
  117. 小平芳平

    ○小平芳平君 厚生大臣どう、そういう点思われますか。この寒空にもう一刻を争う、そういう事態に立ち至っているような場合、ただ、確保します確保しますって、先のことを言われても困るんです。差し迫ってどうするということ、そういう方法をぜひ考えていただきたいと思うんです。いかがですか。
  118. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) まあ、御承知のように、今回の御提案申し上げてあります石油二法の法律が成立いたしますれば石油の、灯油が中心になると思いますが、灯油の燃料としての確保については病院とか社会福祉施設には優先すると、優先して確保しようということになっておるわけでございますので、保母さんたちが灯油を買いあさるというようなことはやめさせないかぬと、そこで、社会福祉事務所がその連絡役を果たして確保に努力しましょうと、こういう体制をつくっておるわけでございます。したがって、いま警察のほうで押えたものをすぐというのは、私も警察のやり方、よくわかりませんが、それをすぐやるというわけには、それから、まあ警察が確保するのが灯油なのか何なのかこれもわかりません、これは実際のところ。でございますから、まあ、それはちょっとむずかしいんじゃないかと私も思うんです、警察のことはよくわかりませんが。しかし、石油二法の成立を契機として強制力をもって確保しようと、優先的に確保しようと、こういうわけでございますから、私は何とか確保することはできるんではないか、そして保母さんたちだけが買いあさるようなことのないようにこれはしなきゃいかぬと、こういうふうに考えているような次第でございます。
  119. 小平芳平

    ○小平芳平君 では、私は時間の関係で次の問題に移りますが、当委員会齋藤厚生大臣になってからは取り上げたことはないかもしれませんが、再三取り上げた問題なんですが、それは岐阜県高山市の水道の問題なんです。で、とにかくまあ、きわめて簡単に御説明いたしますと、廃鉱があるわけです。この上水道の上流二十キロくらいのところに廃鉱がある。その廃鉱たるやもう惨たんたる——平金鉱山というんですが——廃鉱です。もう草も木も一本もはえないような廃鉱です、見渡す限り。その廃鉱から坑廃水が流れ出している。その坑廃水を分析してみると、あらゆる重金属が全部入っているというようなことなんです。しかし、県と厚生省と市当局はこの取水地点で重金属が出てないからいいんだということで、二年前から市民にその水を飲ましている。ところが、はたしてほんとうにだいじょうぶなのかということがきわめて疑問なんです。そこで、確かに私たちもこの家庭に通水されている水を分析した段階では、明らかなこの水道法の基準をオーバーしたものはありませんでした。ありませんでしたが、今回この水道の浄水場の貯水池の底へたまったどろを定期的に捨てに行きます。で、そのどろを分析してみたところが、大体松尾鉱山、あの松尾鉱山の露天掘りあとからとったズリ、からみ、そういうものと同じような重金属がずらり検出された。つまり松尾鉱山のあの露天掘りのあとへたまった水を飲んでいるような形になるわけです。しかし水の中には入ってないということだけでこういうことが放置されている。鉄だと一万九千五百PPM、マンガン五百二十PPM、弗素二百六十、砒素十四というようなぐあいです。いずれも湿重量ですから、乾重量にするとこれよりまた高くなる。それで、厚生省はこうした実態をいままでどおりあの水はだいじょうぶだと言い張るのか、それとも、——私は危険だということを言いたいわけですが、——危険だということも感ずるのか、それが第一点。  それから第二点としては、これは県が分析しているはずなんです。しかし、県は発表する必要がないといって発表しないんです。ですから、それについてどう考えますか。以上二点にお答えいただきたい。
  120. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘のように、高山市の水道の沈でん池の沈でん汚泥の中に御指摘のような重金属が含まれている事実は十分承知いたしておりますが、日常給水いたしております水質につきましては、ただいま先生御指摘のように、この水質基準に合格しておりますし、また、この日常の給水水質を確保するために、この水道法に定めてございます定期あるいは不定期の水質検査のほかに、この高山市の水道事業に対しましては毎日、特にカドミウム等につきましての検査を行なわせておるわけでございますが、ただいままでのところ、この給水いたしております上水道水につきましてはそういった重金属が含まれておりませんので、これは一応水質基準に合致するものといたしまして、まあ、われわれ安全と判断いたして水道事業を行なわせておるわけでございます。  それから、第二番目の点でございますが、県が、そういった、この沈でん池の沈でん汚泥について分析の結果を持っておるわけでございますが、この発表につきましては、まあ、県のいろいろな事情があろうかと思いますけれども、水質につきましては、水質の検査結果につきましてはこれは従来からも発表を行なっておるようでございますが、この沈でん汚泥の検査結果につきましては、従来発表していないというふうに聞いておりますが、まあ、これはわれわれのほうといたしましては、特にこれを秘匿するというようなものではないと、こういうふうに考えております。
  121. 小平芳平

    ○小平芳平君 それなら県にそう言ってください、発表せよと。
  122. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生の御指摘のような点につきまして、県のほうに連絡をとりまして善処いたしたいと思っております。
  123. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは、私たちが発表したらえらくおこられましてね、迷惑千万だといって。しかし、隠しておく必要、理由は何一つない。ただ安全だ安全だという安全のほうだけ発表して、そして、こうしたどろのほうは隠しておくということは、私は市民の立場に立ってよくないと思うんです。  それから次に、「破滅の水」という本が出版されております。この三島昭男さんといわれる方の書いた「破滅の水」という本ですが、これによりますと、結局神通川に発生したイタイイタイ病は、一方の川は神岡から来る高原川です。一方から来るのは、高山から行く宮川なんです。いま高山市民がまさしく飲んでいる宮川の水が行くわけです。そうして結果、イタイイタイ病を二十数年にわたって研究してこられた萩野博士は、カドミウムとプラスこの銅——高山市の上水道の新しい水源となったこの宮川の銅がイタイイタイ病の発生にもつながっていたというふうにおっしゃっている。そうして、富山の衛研ではカドミウムプラス銅で、カドミウムの毒性に対する銅の添加効果、それからカドミウム連続経口投与における各臓器の感受性と云々というふうな、要するに、カドミウムプラス銅によって毒性が倍加するということが、この富山県衛研の研究報告が出されておるということ、こういう点をどう考えますか。
  124. 橋本道夫

    説明員(橋本道夫君) いま先生の御指摘のございました件につきましては、私の存じておりますところでは、昭和四十四年ごろから萩野先生が銅がイタイイタイ病に関係しておるのではないかということをおっしゃったことを記憶いたしております。関係しておるという断言をなさったことを、私は伺ったことはございませんが、しておるのではないかという、一つの仮説をおっしゃっております。そういうことで鉱山の排水というものは、これは神岡鉱山の排水を分析いたしましても、実に鉱山というのはいろいろの物質が中に入っておりまして、イタイイタイ病の調査のときも、私どもは鉱山の排水を分析した成績と、もう一つは流域の水及び土壌及びたんぼというところの中で、鉱山のもとの数字を判断しながら、私ども調査のところではカドミウムと鉛と亜鉛、この三つに焦点を置いて調べたわけでございますが、疫学的に、また実験的な問題を参考にいたしますと、カドミウムをもって説明することは最も説明がつきやすいということでカドミウムが原因であるというぐあいに行政のほうでは割り切ってやっておるというところになっております。いま御指摘のように、銅がかんでおるのではないかということでございますが、その点につきましては、先生も御承知かと思いますが、富山の衛生研究所のほうで一生懸命研究していた資料がございまして、その中に、これは動物実験で相当高濃度の場合でございますけれども、カドミウムにあわせて銅を添加をしてやっていきますと、貧血がより強く起こるということとか、あるいは体重の減りがそのカドミウムだけの場合と少しどうも差があるのではないかというような御意見がありまして、カドミウムの毒性が銅によってより促進されるのではないかということにつきましての学会発表があるということも私どももこれは存じております。で、そういうことで、イタイイタイ病に関して銅がかんでいないのかという御質問に対して、学問的にはなかなか完全にかんでいないとは言い切れないものでございますが、先ほど申し上げましたよう調査の結果と実験の成績を通じて、カドミウムによって最も説明がつきやすいということで割り切っているということでございまして、この重金属がいろいろある場合に、その総合的な影響について注意しなければならないということにつきましては、私どもも非常にその点は注意すべきであるという関心のもとに、現在進めております例のカドミウムの中毒の研究班の中におきましても、やはりこの二つ以上の重金属がある場合にどういうぐあいになるかということをすでに昭和四十五年——四年か五年の研究班のときからもそういう実験的なものがございますが、何ぶん実際のそのケースを、カドミウムによって起こったと見られるイタイイタイ病が、銅がかんでいるということを完全に証明しようというところになりますと、なかなかまだむずかしい問題がございますので、私どもは、研究班の中で、このカドミウムだけに限らず、重金属の問題もあわせてこの研究を進めていくという態度をとっております。
  125. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう慎重な御発言でけっこうなんですが、私も断定的にイタイイタイ病の原因がカドミウムプラス銅だと断定して発言しているわけでもないわけです。ただ、富山県衛生研究所ではカドミウムの毒性に対する銅の添加効果としてこうした報告をしているということをどう受けとめていますかって尋ねたわけです。ですから、それはなお今後研究の必要があるということですね、簡単に言えばね。で、私もなお今後検討の必要があると思うわけです。  そこで、厚生大臣ですね、どうも水道の水は一日としてもう欠かせない市民の水ですから、ですから、先ほど申しますような廃鉱があること、その浄水場の、貯水池のどろからは強烈な重金属が検出されるということ、しかし、家庭に入る水はだいじょうぶだと言い張るわけです。県と厚生省は絶えず言い張るわけです。しかし、浄化する前の取水地点では県の水道当局の発表によっても亜硝酸性窒素とアンモニア性窒素ですが、それが同時検出されてみたり、鉄が数PPM検出されたりしているわけです。しかし、それは浄化装置によって浄化できると言っているわけです。したがって、給水の時点ではそういうものは水道法に反するものはないと言っているわけです。しかし、絶体絶命そこしか水を取るところがないならともかく、高山という山の都市ですから、川は幾つもあるわけです。それがまあ、水利権その他の事情もあろうと思いますが、思いますが、やはりこの市民の飲む水を優先すべきだと私は思うんですがね。そういう点、ひとつ大臣どんな感想を持たれますか。
  126. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) ほんとうに、水は私どもが毎日毎日生きていく上に欠くべからざるものでございますから、水に対して不安を与えるというようなことは絶対あってはならぬ、私はさように思います。しかし、高山市のお尋ねでございますが、私、具体的に何も承知しておりませんものですから、十分検討する点があれば検討しなければならぬと思いますが、一般的に言うて水だけはこれはもう安心して飲めるような水でなけりゃならぬ、私はさように思います。
  127. 小平芳平

    ○小平芳平君 元のなくなられた斎藤厚生大臣は、結論としては毎日分析をさせると、一ぺんでも重金属が出たらすぐやめさせると、こういう結論だったんですが、言われたように毎日カドミウムだけは分析しているようですが、毎日分析しなくちゃいけないようなこと自体が非常に市民にとってはありがたくないことなんです。しかも毎日分析しているというのはカドミウムだけのことであって、ほかのものは毎日やっているわけじゃないんです。そしてまた渡良瀬川では環境庁がずいぶん洪水時の調査をやったんですが、そうした洪水時の調査も当然高山市の場合もやるべきなんですが、それもやってないわけです。ですから、どうも結論はどうしますかですね。ほかに水系があるならほかの水系へ移しかえたほうがいいわけですけれどもね、水系があるわけですから。局長に尋ねるとさっきと同じことしか言いませんので、ひとつ大臣検討いただきたいです。
  128. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 毎日毎日カドミウムを検査すると申しましても、これは不安なことでございますね。きょうはなくてもあしたは出るかもしれぬなんといったらこれはおつかなくて水は飲めるものじゃないですね。というわけでございますから、そこに水道がどうしてそういうふうなことでやっているのか私、ほんとうに存じません、何も。知りませんから、県なり市なりの様子を十分に調べまして検討いたします。そして、やはり水だけは安心して飲めるというんでなければ、おつかなくて飲めないと思いますね。きょうはなくてもあしたはあるかもしれぬなんということではとてもおつかなくて飲めないと思いますから、十分その不安のないようにやっぱりしていかなければならぬと思います。十分検討いたします。
  129. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういう不安があるものですから、市民の中で金持ちは井戸を掘っている。だいぶ井戸が流行しているんです。あるいはつい最近、私、現地へ行って聞いたことですが、夜十一時ころ切りかえるらしいんですが、もう一つ水道が、過去の水道もあるわけです。旧水道もあるし、新浄水場から来る水も両方あるわけです。で、切りかえた所ではお茶が紫色になるとかですね、いろんなことが、あるいは流産がふえてきたとかあるいは子供のじん炎が大量発生したとか、そういういろんな問題がありますので、大臣いまおっしゃったよう趣旨でぜひ御検討いただきたいと思います。  それからもう一つ、これは別の問題ですが、年金についてですが、年金については、私は政府に質問主意書を出したんですが、まだ回答が来ていませんですがね。その後、あの質問主意書を出したあとで手に入ったこの調査によりますと、総理府の調査ですけれどもね、年金の制度は、どこにも入ってないという人が二三%いるんですね。どの年金制度にも入ってないという人が二三%いる。それからこの二三%のどこの年金にも入ってないという人が、年齢の点で加入できなかった、年金に期待を持てない、年金を必要としない等々の人が半数以上あるわけですがね。ですから、どうしても通算制度を——年金が、たとえば学校卒業して二十年、三十年官庁なら官庁へつとめている人はわりあい知らず知らずのうちに年金につながっていくからいいわけですが、そういう人ばっかりじゃないわけですよね。特に婦人の場合は、結婚の退職、育児のための退職、その他でやはり各制度を転々することになるわけです。したがって、ぜひともこの通算制度をはっきり立てていただきたいわけです。いかがですか。
  130. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) ただいま御指摘の調査によりますと、御指摘のよう年金制度どれにも入っておらないという方が二三%おられまして、その中で、お入りにならない理由といたしましては、配偶者が入っておるという方が二四%で一番多いわけでございます。それでおそらく厚生年金その他のいわゆる職域の年金制度に入っておられる方の奥さんが、大体その配偶者が入っておるという理由でお入りになっていないケースだろうと思いますが、この問題につきましては、御承知のように厚生年金の被保険者の妻につきまして国民年金に任意加入する道が講じられておりますので、そういった点の趣旨の徹底と申しますか、それが十分行なわれておらないというのが一番大きい理由だろうと思います。  それから、もう一つは、年齢の関係でそういう問題がございまして、たとえば厚生年金に入っておられて、それから国民年金に移られました場合に、六十歳をこえますと、すでに年金の保険料を払って被保険者期間を続けるということはできなくなるというようなことがございますので、そういった場合の通算の問題というのは非常に大事な問題になってまいります。この通算の問題につきまして一番の大きい障害と申しますのは、実は脱退手当金の制度が一つございます。それからもう一つは、障害年金でございますとか、それから遺族年金でございますとか、そういった点について通算の対象になっていないというような問題がございますので、そういった問題等含めまして御指摘のようにこの通算の問題というものは、これから先の年金制度を云々いたします場合には最も中心的な課題になる問題だと私どももそういう問題の意識を持っておりますので、極力早い機会にこれらの点につきましての何らかの方途を各年金制度を通じまして考慮いたしてまいりたいと考えております。
  131. 小平芳平

    ○小平芳平君 齋藤厚生大臣は、前国会の年金審議の段階で、通算については今国会に提案するというような答弁をしておりますか。
  132. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) この年金制度の通算問題というのは、いま局長からもお話がありましたように、非常に大きな問題でございます。人によっては、脱退手当金制度というのはほんとうはやめたらいいじゃないかという説もあるのです、実は。これがなくなると、だいぶ問題の解決に近づくと思います。しかし、これをやめるということになると特に女子の方々が反対だということで、実は、たしか昭和三十九年ころの改正、——三十九年ころでございましたか、一時脱退手当金廃止ということでなっておったんです。それをまた復活さしたという歴史があるわけでございますので、なかなか、これをまた新たにやめるということも非常に困難ではないかと、こういうふうにも考えられます。そこで私は、年金局長に、年金審議の際に、私も何とかこの通算問題を解決して国会に出せるようにしたいんだということで検討を命じておるわけなんですが、共済、国民年金それから厚生年金、こう三つにまたがる問題、そのほかの年金制度もあるわけです。そこで、なかなか一朝一夕にできないのじゃないかという意見もだいぶ近ごろ出てきておりまして、私はできればやりたいのです、ほんとう言うと、これは。やりたいのですけれども、いまのところ、いま直ちに今度の国会に間に合うかどうか、できれば私、間に合わしたいと思っているのですよ。思っていますが、間に合うかどうか、いまのところ、はっきり断言はできない、こういう状況でございます。しかし、この問題は年金制度全般を通ずる私は非常に大きな問題だと思っております。掛け金、保険料を納めながら、その保険料を納めたその部分はどこへ行っているかわからぬという状況、そしてまた、そういうことのために年金の恩恵を受けることができない人が多く出てくると、こういうわけですから、これはやっぱり思い切ってある程度の時間をかけて解決をしたい、こう私は考えております。できれば間に合わしたいと思いますが、いまの状況じゃなかなか簡単ではない、こういうふうに承知いたしております。
  133. 小平芳平

    ○小平芳平君 一朝一夕と、そんなに急がなくてもいいですがね。一朝一夕というわけにはもちろんいきませんでしょうが、どうも厚生省に、年金局にまかせておいたんでは、大臣、どうも結論出ないような気がしますね。ですから、それこそ大臣としていつまでに結論を出せと、——それは、私は、質問趣意書に提出したような例もありますけれども、また、こういう例もあるわけです。六十歳くらいで、子供さんも成長して独立した——六十歳くらいで新たにつとめに出ている人がいるんです。案外多いんです、新たにつとめに出ている人が。そうすると、これらの方はつとめに出ているから当然厚生年金を差し引かれている、保険料を払っている。ところが、前回の年金の改正で、五年年金のあれができるようになったんですね。来年三月三十一日まで申し入れができるようになったんですが、つとめに出ているから申し込みができないわけですよ。ですから、はっきりこの厚生年金が、厚生年金の老齢年金がもらえるまでつとめられるならともかくそこまではちょっと続きそうもないと、しかし、厚生年金の保険料を払いながら、五年年金のそれにも入れないで、じゃあ、来年三月までにつとめをやめろと言わぬばかりの制度なんですね。で、老人福祉、生きがいのある人生、なるべく働ける人は働くようになんて一方で言いながら、年金制度の上からいえば、早くつとめをやめて国民年金に入っておいたほうが老齢年金に結びつくというような結果になっていくわけですね。そういう不合理がわかっていながら、むずかしいとか困難だとかいっていつまでたっても直そうとしないんですが、どうですか。
  134. 横田陽吉

    政府委員(横田陽吉君) この通算の問題で一番の障害は、やはり八つの公的年金制度全般にわたるという、そういったところにあるわけでございます。で、昭和三十六年にこの通算制度をつくりました際に、八つの制度それぞれの期間をそれぞれの期間としてつないでいく、そういう方式をとっておりますので、ある年齢になられて、厚生年金に、それからそのあと国民年金、また厚生年金、あるいは共済、いろいろなケースがあり得ます。いま先生新たな問題として御指摘になりましたこの五年年金の問題でございますが、五年年金自体が、国年それ自体の高齢者対策といたしましての、非常に、何と申しますか、優遇的な経過年金でございますので、この経過年金の受給資格につきまして、さらに何らかの特例ということはなかなかむずかしい問題だろうとは思います。ただ、いろいろな年金を渡る場合に、ただ単に実際に保険料を払った実の期間だけを通算するのがいいのか、あるいはまた、たとえば脱退手当金をもらった場合には、この脱退手当金の対象になりました期間は、現在の通算制度では全く通算期間の対象になっておりませんけれども金額の計算はともかくといたしまして、これをいわゆるから期間として計算をして、通算年金が出るような方策を講ずる道がないものかとか、いろいろな問題がありますので、私どもも極力先ほど大臣のおっしゃったような線で努力はいたしておりますけれども、いかんせん私どもの所管いたしておりますのは、国民年金、厚生年金、それに般員保険の共済年金部門でございますので、大いに他の年金とのつながり等につきまして努力はいたしますが、直接所管をいたしておりますのがその三つの制度だけであるというようなこともございますので、この辺の事情は御理解いただきたいと思っております。
  135. 小平芳平

    ○小平芳平君 全然御理解できません。大臣社会保障制度審議会の何かをきっかけとして、昭和四十二年から総理府が中心になって年金制度の連絡協議会をやっているでしょう。で、その総理府の審議室で聞きますと、当面は石油問題に追われてとても年金どころじゃないと言っているのです。そんなら昨年総選挙ころから年金の年、福祉の年、福祉元年と言ったのだから、よっぽど年金にそのころは取り組んだかと思うと、何と一回しか開いていない。一年に一回しか開いていない。ですから、どうも役所まかせで、ただむずかしい、公的年金の制度がたくさんあってただむずかしいというだけでは現実、問題解決にならないわけですよ。ですから、私たちもあらゆる機会に強く主張いたしますが、大臣はまた特別のお立場もあるわけですから、この通算問題、結論を出せと、で、大臣は今国会へ提出するという答弁もなさったんですがね。一時そういう答弁も確かに衆議院でなさったのですがね。しかし、きょうのお答えではまたむずかしいようなこともおっしゃるですが、もうそれこそ日にちきめてけりをつけようじゃないですか、いかがですか。
  136. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 総理府に連絡協議会というのがあって、一年一回きり開かなかったというおしかりをいただいた、まあ、確かに石油問題、たいへんですから、それにばかり頭をいまとられているのだろうと思いますが、まあしかし、石油問題だってそう何年も何年も続くわけではないわけで、年金のほうが大事です。その意味からいえば、長期的に見ればですね。でございますから、いまの先生のお述べになりましたよう趣旨に基づいて社会保障制度審議会もあるのですね、総理府には。そういう学者さんの御意見もありますから、そちらのほうとも連絡をとりながら、その協議会が本気になって勉強するように、私からも申し入れをいたしたいと思います。
  137. 須原昭二

    ○理事(須原昭二君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後二時十分から再開することとし、休憩いたします。    午後一時二十七分休憩      —————・—————    午後二時二十五分開会   〔理事須原昭二君委員長席に着く〕
  138. 須原昭二

    ○理事(須原昭二君) ただいまから社会労働委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、社会保障制度等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  139. 藤原道子

    ○藤原道子君 まず第一に、国立病院と国立療養所におけるニッパチ勧告がどのように実施されているか、その実施状況についてお伺いしたい。
  140. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) お尋ねの、病院、療養所におきます看護婦のニッパチ体制の実施状況でございますが、まず八日に相当します月の勤務の平均でございますが、約九日でございます。それから二人夜勤の看護単位が病院、療養所ともに四五・八ないし三でございますので、約四六%が実施をされている状況でございます。
  141. 藤原道子

    ○藤原道子君 勧告があってから、もう八年たっているですね。それでいまだに半分にも達していないですよ。いま二人夜勤が療養所では三三%、それから、らい療養所では四三%、それから国立病院では五〇%、がんセンターは八二%やっているようでございますけれども、これを、いつになったらこの勧告が実施できるんですか。一人夜勤が非常にまだ多い、らい療養所が五七%も一人夜勤、療養所は六七%も一人夜勤、これをそのままにしておいて、一体この人事院の勧告というものを厚生省はどう受け取っていらっしゃるのか、それを聞きたい。
  142. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) おっしゃるとおりの、特に国立療養所、先ほど私、病院と同じように四五%と申しましたのは、国立療養所の中に重症心身筋ジス病棟がございまして、ここがニッパチ体制に入っておるので、これを加えたわけでございますが、先生御指摘の三三、六七というのは、確かに結核療養所的な機能のほうを見ますというと、二人夜勤の体制はまだ十分ではございません。われわれといたしましては、いずれにいたしましても、看護婦の確保対策というものは非常にむずかしい段階に入りまして、絶対数の上でも非常に不足状況でございますけれども、この改善を特に三三というものを、少なくとも五〇ぐらいに高めていきたいということで努力いたしたいと思うのでございますし、まあ、がんセンターのようなところにつきましても、これは全部をニッパチ体制に持っていきたいということで、これは逐次看護婦の養成計画、あるいは最近のように都会地において非常に看護婦の確保が困難な状況で、数年前は都会地のほうが確保しやすかったという状況が、逆転しているよう状態になってまいっておりますので、都会地にございます大きな病院等で、この体制をしくことが非常にむずかしいのですが、いままでの御質問のお答えはわが国全体の数値の上で申し上げたわけでございまして、この点につきましては、一応先ほど申し上げましたような目標を立てまして、定員の確保、それともちろん実際に看護婦の確保という、このむずかしい問題と取り組まなければならないというふうに考えております。
  143. 藤原道子

    ○藤原道子君 看護婦が足りない、このことはもうずいぶん長い間のわれわれの要求なんですが、それがどうしてできないのですか。看護婦の養成機関の問題、それから潜在看護婦対策、あるいはまた保育所等がないために看護婦さんはやめていく人が多いのですよね。こういうことに対して、一体厚生省は、——給与の問題もありますが、どう考えているのか。看護婦が足りないということは患者に対して非常に大きな迷惑をかけている。ことに一人夜勤なんてのは呼び鈴を押されて行くでしょう。あとに呼び鈴がかかったってわかりませんからね、そのために障害が起こることが幾つもあるじゃございませんか、これを一体どう考えておいでになるか、この点についてお聞かせ願いたい。
  144. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) わが国全体の看護婦不足状況をどういうふうにして解消する努力をするかということでございますが、先生御指摘のまず第一点給与の改善につきましては、大臣からこの夏の人事院勧告が出ます前に、人事院総裁に改善を申し入れました。その基本的な考え方としては、少なくとも高校卒の三年を学んで国家試験を取った資格からいきますというと、いわゆる義務教育に従事しておられる女子教員の方に相当するくらいの給与は確保すべきであるという当面の標準を中心にして、人事院にお願いいたしたわけでございます。八月の公務員の給与勧告の際に先生も御存じと思いますが、教職員、看護婦等については官民格差という従来の考え方と別途に人材確保的な立場から、別途給与の改善について検討し、年度内に第二次的な勧告をしたいというお気持ちを明確にされたわけでございまして、この点についてはわれわれも人事院に給与局長等にお願いをいたしまして、その感触を伺っておりますが、かなり積極的に人事院はできたら年度内にもう一度人材確保法案との関連もございましょうけれども看護婦については給与の改善について勧告を検討しておるという、かなり積極的な感触を受けておりますので、給与の改善は逐次実現していくということを期待しておるわけでございます。  それから、保育所あるいは潜在看護婦の活用というためのナースバンクというような、一連の、従来、先生等からありました御意見につきましては、四十九年度予算の要求の重要な柱にいたしまして要求をいたしておりまして、これはぜひ実現したい、こういうふうに思っております。それから、まあ、早急に実施は無理でございましょうけれども、一応検討する予算をほしいと思っておりますのに、看護婦職員のちょうど福祉施設の職員の退職共済制度がございますが、これと同じよう看護婦になった方が一連の公私を問わず病院等に御勤務をした場合、ある年限がたった場合には共済制度的に退職金を加算してあげると申しますか、そういうようなことについては、これはなかなかむずかしい問題ですけれども、一応来年度はぜひ検討さしていただきたいというようなことで、当面養成計画の増強はもちろん考えておりますけれども、非常にポイントになりますのは、やはり資格を取ったら離職しないで済むように、あるいはまた、職場に復帰できるように、こういう対策が非常に重要な対策であるということに考えておりますので、従来の養成所の運営費の補助であるとか、施設整備費の補助であるとかという従来のベースの上にそのような特殊な対策というものを盛り込みまして、そして、看護婦の確保を少なくとも五年で五十二、三年ごろまでには相当従来のベースよりも高いベースで看護婦の確保をいたしたい、こういうふうな考え方で取り運んでおります。
  145. 藤原道子

    ○藤原道子君 養成機関はどうするのですか。
  146. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 養成機関の問題につきましては、従来、公的な市町村県立等に対しては、養成施設の補助金は日赤済生会、こういうものには出しておりました。ただ、かなり民間の医療法人、いわゆる民法法人の医師会立等でも積極的にもう准看の養成では無理である。看護婦の養成に切りかえたいというような問題もございまして、大体本年度予算看護婦養成所の施設整備費は五億程度でございますけれども、かなり二倍以上の予算要求大蔵省にお願いしてございまして、これはなかなか整備費はいまの情勢では非常に困難な時期だと思いますけれども看護婦の養成の施設を建てることにつきましては積極的な御協力をいただいて、従来のベース以上に、大体いままでは一学年定員が二千人から二千五百人くらい年年ふえる程度でございましたけれども、その倍の四千人近い、養成所の一学年の入学する定員を、施設を増強することによって確保しなければならないというふうに考えております。
  147. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、この養成の問題で、ぜひ准看をやめて看護婦一本にしてほしいということは前々から要望しておりますし、厚生省でも若干その方向へ動いていると聞きましたが、そうですか。
  148. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 実は、准看を廃止するという表現をしますと、いまにも大きな動揺を与えますし、問題がございますけれども、少なくとも中卒二年という制度である准看、中卒以上と、まあ法律ではなっておりますけれども、中卒以上の二年教育でつくる准看というものは、もう九〇%が高校進学をするという時代になりますと、基本的にこれは検討する必要がございまして、制度検討会を設けまして御検討をいただきました結果、御報告をいただきました中には、できるだけ早く看護婦養成のほうに切りかえて、あるいは看護婦養成所を新たに起こすか、あるいは准看の者を進学コースあるいは看護婦三年コースに切りかえる。あるいは場合によっては看護婦で、地方では四年制の定時制でもいいから看護婦を養成しろ、せめて今後の看護婦養成は、いわゆる看護力の養成は准看というものを、比重がいま大きいわけですけれども、これをできるだけ早く切りかえて、看護婦による制度を打ち立てなさい、こういう御答申をいただきましたので、われわれの方針としては准看は横ばいないしはむしろ減少の傾向に考えまして、これを補うのみならず、さらにそのさっき申し上げました看護婦をふやしていくという対策は、准看に期待せずに看護婦に期待する方向で予算措置対策、すべてをやってまいると、しかしまあ、准看の方が進学コースに行けない場合、進学コースに通信教育を設けて、そして働きながら学んで、進学コースと同様に国家試験の看護婦資格をとれる道を開けという項もございますので、来年はそれを検討する予算をお願いしてございます。  そのほか、いつこの法律を改正して、准看制度を廃止するのをどういう取り扱いで法律上やるか、この問題はいましばらく検討させていただきたいと思いますが、かなり制度としては准看制度は当分残さなければならぬ。准看の方で働いている方がいるわけですから、制度的には残さなければなりませんが、教育制度としては、やはり早く計画的に看護婦の養成計画に切りかえなさいということに、われわれは向かって計画的に進めたい、こういうふうに考えておるわけでございます。
  149. 藤原道子

    ○藤原道子君 それは言われるとおりに、いまの看護婦さんの半数以上が准看ですからね。したがって、私たちが五、六回看護婦法の改正案を出しておりますけれども、その中にも、うたっておりますように、実務六年くらいの間に通信教育をして、そして、あと二、三カ月の講習を開いて国家試験を受ける、そして看護婦になれる、こういうような方向にしなければ、勤務の状況によっては学校へ行けませんものね。また看護婦が足りないから学校へやるのはあまり好かない病院もあるのです。こういうことで、いまの医療を半分も担当してくれている准看の人たちを軽視するようなことはいけません。ですから、その人たち看護婦の資格がとれるような方法を、ぜひ実行していただきたい。これを通信教育と講習を兼ねてその資格を与えるというふうにやっていただきたい。まあ、私はそのよう考えておりますので、これは要求いたしておきます。  それから、この看護婦の充足できない一つの理由として、病院の従業員は一括しているのですよね。そこで行政管理庁あたりがやはり看護婦が足りなくても病院全体の数からいくと、どうも看護婦をふやすことは無理でできないというような点があるやに聞きますけれども、それはどうなんですか。
  150. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先生のおっしゃるのは、現在われわれ国立病院、療養所でぶつかっている問題から御質問だと思うのでございますが、実は、やはり国立病院、療養所は、国家公務員としての総定員法があり、したがって、年間の予算、人件費等は、一つの各職種別の定員というものをもとにしながら積算したものでやっておるわけでございます。で、若干、先生おっしゃるように、看護婦のほうが、まあ、欠員があるというけれども、総体的にほかの職種でオーバーした人員があるということになりますと、やはり定員管理、予算管理の立場からは非常にこの看護婦の採用というものを、いつでもよろしいというわけにいかない面がございまして、その点をいま非常に苦心しておるわけでございますけれども、やはり予算全体の執行という責任もございますし、定員管理という問題もございますし、そういう点から、総体にはいま申し上げたよう一つの大きな法則なり縛りがあるわけですけれども、個々の施設につきましてはできるだけ、定員というものがあまりオーバーしていない、しかも看護婦不足していると、こういうようなところについては、まあ、人件費には、先生御存じのように、定員の人件費と、それから賃金職員というものがございますので、そういう方で、将来定員に切りかえてくださるならばつとめてよろしいという方もないことはございませんで、そういう賃金の活用と、欠員ができました場合には、人件費の運営が許されますならばなるべく早く定員に切りかえるという方針のもとに、個々の施設ごとにはこの問題はそろそろ重要な段階で、非常に施設からも不満の声がございますので、われわれとしてはそういう問題について積極的に個々の施設ごとに点検して、特に看護婦が確保できるようにいたしたいというふうに考えております。
  151. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、病人に対して看護婦がどれだけ大事かということは、あなただってわかっていると思うのです。ですから、定員を〇・五%とするというようなときに、やめる人が少ないから看護婦も入れることはできないんだと、こういうばかげたことはないと思うんですが、どうですか、看護婦は別扱いにするというわけにはいかないのですか。——行政管理庁来ていらっしゃいますか……。
  152. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) 御説明申し上げます。  先ほど医務局長のほうからお答えになりましたとおり、全体として、定員法という大きなワクの中で定員管理を厚生省のほうで行なっていかれるという問題でございます。したがいまして、厚生省のほうでおやりになる定員管理のあり方から申しますと、行政職(二)の、現在過員になっております、そういった状況にあるようでございますが、それを調整いたしまして看護婦の充足につとめるべきであるというたてまえであろうかと存じております。
  153. 藤原道子

    ○藤原道子君 そこが非常にむずかしいと思うのですよ。厚生省も弱いんだよね、そういう点。看護婦が足りないで、国立病院でも、夜勤だけをいまでも十四、五日やっているところありますよ。それじゃつとめるのがいやになってやめていくのはあたりまえなんですよ。こういうことに対して、厚生省はやはりいまのままでいく以外にないというお考えですか。
  154. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先ほどお答えしました、それから行管のほうからただいまお答えいただきましたように、具体的には行政の(二)の職種のところの、まあ、定員以上の人員をかかえておると、こういう問題について、御指摘のように、総定員の中で運営していく場合、医療機関にとって一番重要な、看護婦を採用し得るよう状態をつくるということは、この行(二)ばかりでなく、全体の過員の問題、行政職に医療機関はこの過員が生じておりますので、こういう問題に努力しながら、もちろん賃金の運営ともからみ合わせながら定員の確保ということに努力したいと思います。  ただ、特殊な事情として、決して言いわけではございませんが、実は看護婦さんが国立病院、療養所で約二万二千人ぐらいの定員があるのですけれども、四十七年度の数字を見ますと三千五百人くらい退職しておられる。三千五百人の退職ということから考えますと、この問題をどうしても補充しなければならないということで、その補充はもちろん極力努力しています。ところが三千五百という去年の数字に比べて、四十八年の数字はまだ出ませんが、最近特に地方医務局からの情勢報告によりますと、昨年よりも予定しておった退職者が若干少なくなった。要するに退職しないで施設に残っていただく傾向が出てきた、こういうこともございまして、われわれの今後の努力としては、過員をできるだけ調整いたしまして、——しかし、これは俗にいう出血整理ということはできないたてまえになっておりますので、十分この問題については個々のケースごとに話し合いながら調整いたしまして、そして、できるだけ定員管理を適切にして看護婦を採用していきたい。  まあ、本年としては、特に、そのようなわずかな面でございますが、特殊の事情もございまして、従来、いまの定員管理、新採用というような問題について苦心をいたしておるわけでございます。
  155. 藤原道子

    ○藤原道子君 最も二人夜勤の少ない療養所では看護婦の欠員が非常に多いんですよ。何人の欠員がありますか、また、その欠員をどうして埋めないで放置しておくのか。困る困ると言ったって私たち承知できないんです。他の職種で過員になっているから全体として定員を充足しているか、または看護婦の確保が困難であるとか、いろいろ言われておりますけれども、これじゃ一体医療というものがどうなるかということが心配なんです。病院に行くたびに胸が痛くなる。療養所の看護婦さんの欠員幾人になっておりますか、療養所の欠員。
  156. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 療養所のほうの看護婦さんは特段欠員が多いわけでございますが、約三百五十前後だと思いますけれども、これについては先ほど来御説明していますように、必ずしも就職していただくという看護婦さんがないこともありますし、またあった場合でも、いま先ほど申し上げましたような定員の管理の立場から、ことしの事情としてはただいま採用を慎重に検討しておるということで、それでなお、先ほどお答えしましたように、個々の施設ごとには、実際に国立におつとめくださるという希望が出ましたケースについては、今後具体的に定員の管理の中で確保するか、あるいはお話し合いの結果、将来なるべく早く定員化をはかる意味も含めまして賃金職員でとりあえず就職していただくというようなことも予算措置の上ではいたしてございます。ケース・バイ・ケースでございますし、本人の御希望等もございますし、あるいは確保がなかなか実際には困難なところもございますけれども、一般的には希望者があっても入れられないということに対処する方法については、もっと努力しなければならない、こういうふうに思っております。
  157. 藤原道子

    ○藤原道子君 繰り返して言うようですけれどね、そこの定員が全部平均すれば充足している、だけれども看護婦は足りない、こういうことはどうしてもしようがないのですか。別個に扱うわけにはいかないのですか、看護婦だけ。それはどうなんでしょう。
  158. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) この問題は別個に取り扱うという意味は、先生の御希望としてはわからぬことございませんが、やはり国家公務員というワク内での国立病院、療養所というものを別個の企業体のような形ならば別として、やはり現状の国家公務員としての国立施設として運営している場合、定められた総定員法と定められた年間の人件費というものを踏まえて定員の管理、予算の管理等を適切にやっていくという全体のたてまえから言いますというと、特定な職種だけを別個定員からはずす、いわゆる国家公務員でなくなすというような意味にもなりますと、これはもう基本的な一つの問題につながってまいりますので、これは先生の御趣旨はわからぬことはございませんけれども、実行上は不可能な問題でございまして、われわれといたしましては、先ほど来御説明しましたように、確かにいまの行き詰まった状態というものを各方面から努力を続けておりまして、これを打開しながら看護婦の充足という医療機関としての最も重要な問題に取り組むと、こういうふうにもう現状では最大の努力を傾けるということにいたしたいと考えておるわけでございます。
  159. 藤原道子

    ○藤原道子君 それでは幾ら看護婦が、いまのままでは足りないんですから、今度ふやすことはもう承知の上です。ふやすと言っているんでしょう。だけれども看護婦をふやすためにはほかの職員を首にしなければ看護婦はふえないんです。どうなんですか。
  160. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) もちろん、先生端的に首にしなければということをおっしゃいましたが、われわれたてまえとしてとっておりますことは、出血整理というような形はとらないという方針に基づいて極力勧奨を申し上げ、あるいは就職のあっせんを申し上げしながら、あるいは老齢者であれば家庭の事情等も十分考えながらおすすめするというようなことで従来かなりの成果も、決して無理なくかなりの成果もあげてまいりましたけれども、やはりこの問題は社会のいろんな情勢にも変化がありましょうし、また一部の要因でございますが、看護婦さんが通常的な年度ではある程度退職される状態があって、それにかわって新しい方を採用するということを予測できたのでございますが、ことしは多少、たいへんけっこうなことではございますけれども看護婦の離職する方が予想よりも少ない、したがって、四月の卒業期にある程度看護婦さんを確保しておかなければなりません。それでちょうど夏のボーナス、あるいは暮れのボーナスをいただいたあとおやめになるというケースが実際に、非常に世話話になりますけれども、実際はあったわけでございます。そういうことも含めまして、われわれもこの問題については実態がそうでございますから、個々の病院についてはできるだけケース・バイ・ケースで努力いたしたいと思いますが、総括的に申しますというと、いまのような実情でございますので、この点については今後とも、何回も同じようなお答えで恐縮でございますけれども、許された定員管理、あるいは予算管理の中においてできるだけの努力をいたしたい、こういうふうに考えております。
  161. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は頭が悪いので、ちっとも理解ができないんです。いままで一人夜勤だったのを二人夜勤にふやすんでしょう。それから夜勤の数が多かったのを今度は八日以内にしようということはきまったんですね。ということになれば、看護婦をふやさなければできないじゃありませんか。ふやすのはどうしてふやすんですか。私は、問題は看護婦を確保できたとしても採用できない、採用するという行政指導をしている点にありますけれども、現実に看護婦の欠員もあり、したがって、また一人夜勤をなかなか減らすことができない。にもかかわらず、総定員法の実施のためにこれを補充するなという方針は政府としても不本意だと思いますが、これはどうなんですか。私は、きょう大蔵省にも来てほしかったんですけれども、都合で来られないと、この点は行管としても真剣に考えてもらわなきゃ安心した医療を受けるわけにいかない。そのために看護婦が足りないから付き添いをどうしても置かなきゃならない。付き添いは月に幾らかかると思いますか。三千五、六百円から四千円だっていう。それが払える階級がどれだけあるだろうか。それから入院したくっても入院ができない。たとえば国立第一病院にしても、一千床の病棟が建ってりっぱな病棟です。看護婦がいないから、実際に使っておるのはわずかに四百五十以下ですわ。五百五十以上が遊んで何年たちますか。こういう点に対して一体厚生省はどう考えておいでになるか。この間も私は第一病院に行きまして、こんなりっぱな病院が半分以上遊んでる。しかも入院したい患者はたくさんいるんです。それが入院ができない。その原因はどこにあるかといえば、看護婦が足りないというんでしょう。これ一体どうなるんですか、どうするんですか、聞かしてちょうだい。
  162. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 東京第一病院の状態については、まことに申しわけないと思うんですが、実情といたしましては、ことしの四月、新しい看護婦が卒業されるのを契機にいつも新採用をするわけでございます。それで、われわれとしては、東一をできるだけ早く全面的に再開いたしたいと思いまして、定員としてはそれに必要な定員を採用してもよろしいということを病院に努力していただくために出したわけですが、実際に採用できたのは七十人ぐらいしか採用できない。われわれの考えている約半分以下であると。しかもその中で三十五人がおやめになっちゃった。実質増は三十五人程度にとどまってしまった。それは私の前国会のときの記憶している数字でございますから、若干その後変動はあると思いますけれども、いずれにしても、東京地区で看護婦を確保することが非常にむずかしい情勢になってきておりまして、がんセンター等でもなかなか昔のように、がんセンター、東京にある病院ということで来てくださったということを実態として知っておりますが、最近の病院側の意見では、なかなか地方から都会に出てくる看護婦さんという人の考え方が非常に変わってきておると、こういうことで、それは一つの理由ではありましょうけれども、やはりわれわれとしては、全国の病院、療養所に養成所もございますし、いろんなことで努力はしましても、東京第一病院の私の承知している若干古い資料でございますけれども、四月の時点で、採用、退職差し引きして三十何名しか確保できなかった。したがって、わずかな改善しかできていない。だから、今後私はあの千ベッドの病院というものをほんとうに活用するためには、看護婦の確保が最大のネックになるわけでございまして、これには全国の地方医務局とも相談しながらやはり最大限確保するよう努力しなければならぬというふうに思っております。
  163. 藤原道子

    ○藤原道子君 政府は国立病院を全国の病院のモデルにしようとする意欲が全然ないんですね。それが根本的な問題だと思うんです。その証拠を二つあげたい。  第一に、厚生省はニッパチ勧告を完全実施するには二・五ベッドに一人の看護婦を配置しなければならないことを再三答弁していらっしゃいます。二・五ベッドに一人を配属するという政策目標を確立していないし、いわんやこのための年次計画を立案しようとしてもいないように思うんですけれども、どうですか。いつ政策化するか、目標年次についてひとつお聞かせが願いたい。
  164. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 確かにニッパチ体制を一つの看護単位でしくためには、婦長を含めて十六人の看護婦が必要でございます。それを四十人、平均利用率いま八二、三%から、年度によっては八〇くらいのときもありますが、平均で八二%ぐらいでございますと約四十一、二名の患者、まあ、非常に平均の話で恐縮でございますけれども、そうしますと、やはり二・五人に一人という数字になるわけでございます。それが、まあ、二・五人に一人と、これを完全に実施すれば、過去の国会でもお答えしたように、六千人ぐらいの看護婦が必要である。これはまあ一〇〇%実施の場合の試算でございます。で、われわれといたしましては、やはり段階的にこれはやらざるを得ない。いまの看護婦の養成計画、もう国立だけにみんなとっちゃうとか、みんな来てくれるという保証は何にもございません。そういう意味からも、国立といえどもやはり全体の看護婦養成計画とかね合いながら、われわれはかなり時間をかけてこの問題と取り組む必要があるというふうに思っております。しかしながら、当面やはり国立のニッパチ体制の改善ということは、現状のままで据え置いていいとは私は思っておりません。やはり改善する方向に努力いたしたいというふうに考えておりますので、そのかかる年次というものは当面は、先ほど私、看護婦養成で申し上げましたような、五年ぐらいたたないとかなり改善できない、相当の努力を重ねても五年ぐらいかかるということともあわせながら、やはりそう一、二年のうちに国立もかなりよくする、ニッパチ体制を改善するというようなことは非常に無理だと思いますので、やはり若干時間をかけざるを得ないというふうに思っております。
  165. 藤原道子

    ○藤原道子君 そんなこと一生懸命考えたって、全員の中できめるとすれば、看護婦入れようといったって入れられないようなこともあるんじゃないですか。これを一体どうするかということを大臣に聞きたかったんです。  それから、政府の、いま言われたけれども国立病院が、いろいろ調べてみましたけれども政府の意欲のなさを示す第二の証拠としては、国立病院、療養所の一ベッド当たりの職員数であります。四十八年現在、一ベッド当たり職員数は、国立病院で〇・六一人ですか、療養所では〇・五〇人、ところが全国全病院の平均は〇・六二人です。つまり、国立病院、療養機関だからといって職員が多いかと思えば、逆に全国の全病院の平均よりも下回っている。諸外国で病院といえば一ベッド当たりに少なくとも一・五人ないし二人ですよ。それから教育研究病院のモデル的なところでは看護婦が五人から六人となっている。それが珍しくないんですよ。このようなことから、わが国の病院は病院の名に値しないとか、ただ寝かせて薬をやるだけという事態になってしまいます。今後これをどうするつもりか、これでもなお定員を削減するのか、病院の全体のですよ。こういう点についてどう思うんです。諸外国に恥ずかしいじゃないですか。諸外国の病院は、普通病院でも一・五人ないし二人です。ところが日本では国立病院は〇・六一人、療養所では〇・五〇人ですね。これでいわゆる現在の日本の実態と言われるでしょうか。諸外国に恥ずかしいと思いませんか。この点について伺いたい。
  166. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先生のおっしゃいました一人当たり職員の〇・六一という数字が国立の数字であると、それがわが国全体の病院に直すと〇・六二だと、これは看護職員だけじゃなくて、全部の病院の職員と、こういうふうに理解した数字でございますが、調べましたら、非常勤の医師を含むか含まないかで、ちょっとわれわれのほうの資料が〇・六一というのは、実は国立病院では非常勤医師を含むと〇・六三になる、含まないときが〇・六一。それから、先生のおっしゃった〇・六二というのは、非常勤医師も含むほうの数字でございまして、含まない数字で見ますと〇・五九ということで、まあ、決してこれでいいという数字ではもちろんございませんけれども数字の上では国立病院の職員数はほぼ同じ、一般よりも下回っているというよりは同じぐらいと見てよかろうと思いますが、看護婦の諸外国との比較論、これは先生の御意見がほぼ妥当だと思いますが、ただ諸外国でも、まあ、ソ連は非常に医療関係者が特別でございますんで、アメリカが多いということをよくいわれますし、また、われわれもそういう比較をするわけでございますが、看護婦一人当たり受け持っている病床数から考えますというと、結核、精神、一般を全部入れましてアメリカが病床数から見ると二・九、そこにいる入院患者数から見ると二・五、これに対応するわが国の四十六年の数字が四・五、三・六ということで、同じ時期を比べると、先生おっしゃるようにほぼ二倍で、日本の場合が五・〇、それから人数に比べると四・〇と、こういうことでございます。スウェーデンがやや日本に近いよう数字を一部示しておりまして、これは国立以外のわが国全体でございますが、看護婦さんを見ますというと、一人当たりの、今度は病床数でございます。看護婦一人当たりの病床数が、日本では一昨年で〇・三〇でございますが、スウェーデンが〇・三二ということで、アメリカが〇・六二ということでございますから、おっしゃるとおり二倍というようなことは明らかでございます。
  167. 藤原道子

    ○藤原道子君 今後どうするんですかということに対しては話はない……。
  168. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 今後どうするかという中で、まず医師の問題につきましては、先生御存じのような医師の養成計画が、ただいま旭川、山形、愛媛の医科大学の設置が発足いたしまして、わが国の医学部の定員数は六千二百でございます。これに近く防衛医大の発足がございますけれども、そうしますと六千——あれは八十か百だったと思いますから、そこに百か八十加わりますけれども、その数字で、かりに今後医科大学の定員がふえない場合でも、ほぼ昭和六十年で、十万対医師数が百五十以上百五十四ぐらいになると思います。これは死亡その他も整理して予測した数字でございます。これはさらに、その他の沖繩を含めまして約九県に医科大学がまだないということで、これに医科大学をぜひ設置しろという、まあ、政府の方針もそうでございますし、世論もそのようなことでございまして、これが設置される傾向と増員その他が実施されますというと、かなりの数字の医師の確保は可能になってまいります。で、どこの国もやはり医師の確保は、われわれの情報で医師が多過ぎて困るというのは、スペインが最近そういう情報が入っておりますが、その他の国は全部まだ医師が足りないということで、わが国のこの計画も、私は医師の養成としては、当然時間はかかりましょうけれども、やらなきゃならぬ。で、医師のほかにもちろんパラメディカルとして看護婦の問題それからOT、PTの問題等、あるいは衛生検査技師、レントゲン技師等ございますが、大体われわれの病床のふえ方その他から見ますと、衛生検査技師と、それからレントゲン技師の関係については、養成所も年年多少ずつふえてまいりますし、この問題についてはほぼ充足できる見込みがあると思うのでございますが、何といっても一番足りないのはOT、PTの問題でございます。これはやっぱり養成所をつくる計画を立てましても、その教員の確保、教師の資格ある人の確保が非常にむずかしいので、来年以降の予算では、まず外国に派遣することを含めまして教師の確保ということに努力いたして計画的に養成を進めたいというふうに思います。問題は、一番ポイントは看護婦でございますが、この点につきましては、先ほど申し上げましたように一応養成計画として施設を増強する、それから離職を防止する対策を給与改善、保育所の設置その他から進めるということで、一応五十三年までにわれわれのいまの計画では、若干週休二日制等の問題を導入しますと、これをまた修正しなきゃならぬと思いますけれども、一応、五年間で看護婦養成所の定員を二万人ふやしたいということを計画に入れているわけでございます。しかしながら、看護婦さんの問題はなかなか女子の職種が多様化してまいりましたから、看護婦さんというものになっていただくような魅力を持たせるということ自体も含めまして、非常にむずかしい問題ではございますけれども、できるだけの努力はいたしたい。そういう全体の中から国立病院、療養所についてどういうふうにして確保するかということで、先ほど申しましたように昨年三千五百という離職者が出ておるという状態を、まず、いま申し上げたよう対策も含めましてやはり防止していく。それから一般のわが国全体としては潜在で資格を持った方に勤務願えるよう対策というものを総合的に進めるというようなことでございまして、特に病院、療養所では先ほど来定員管理の問題がございますので、この点については定員がふえればそれだけ定員のワクは広がるわけでございます。しかしながら、おっしゃるとおり、やはり定員全体のワクは広がるよう努力いたしましても、やはり実際に看護婦さんを確保するためには職種ごとの全体の定員管理をやはり適正にすることによって看護婦確保が実際上定員管理上からもできるよう努力しなければならないというふうに思っております。
  169. 藤原道子

    ○藤原道子君 そこで、大蔵省と行政管理庁は、——きょうは大蔵省来てないんだね。——今後国立病棟、国立医療機関を国際的に見ても恥ずかしくないように、あるいはまたいまのニッパチ勧告を完全実施できるようにする場合に積極的にこれを支援して金と人をふやすかどうか。また、当然第三次削減計画は中止すべきではないかと私は思います。第一、医療機関というのは普通の機関とは別ですよ。人の命を守るところなんです。いまのよう状態ですと、入院したくても入院ができない、病院を閉鎖しているのがずいぶんふえている、こういう状態ですから、第三次削減計画は少なくとも病院に対しては中止すべきであると思いますが、一体どうでしょうか。
  170. 門田英郎

    説明員(門田英郎君) いま第二次削減計画等につきましては先生も御案内のとおりかと存じますが、定員削減の考え方といたしましては、行政需要の消長というものに即応いたしまして政府全体としての定員の弾力的な管理、これをはかるために行なっているものでございます。その削減目標を定めるにあたりましては、行政運営の合理化ということによって定員削減ができるかどうか、その難易というものにつきまして十分配慮すべきものでございます。このような観点に立ちまして定員削減目標数を定めます際には医療関係の職員、特に看護婦につきましてはその職務の特殊性、これは先生御指摘のとおりでございます。その特殊性などに着目いたしまして非常に特段の配慮を加えている。こういったやり方できたところでございます。総定員の縮減をはかりながら定員配置の合理化を推進するというのが定員管理の基本方針でございます。その基本方針から見まして、やはり看護婦など医療関係職員のみを定員削減目標数というものの算出基礎から除外することはやはりできないというふうに考えている次第でございます。  なお、定員削減の各部局別の配分につきましては各省庁の自主性にゆだねておるところでございまして、先生御指摘の厚生省の国立医療機関の看護婦、これにつきましても厚生省がお考えになっていらっしゃるわけでございますが、過去五年間、定員削減による減員は全く行なっていらっしゃいません。一方、私どものほうといたしましても、政府といたしましても、新規の業務量の増加というふうなものに即応いたしまして、看護婦の増員ということにつきましては積極的に対処することとしております。昭和四十四年度以降今年度まで四千人余り増員を行なってきているところでございます。  なお、先生御質問の第三点でございます第三次削減計画についてどうかという御質問でございますが、これは何ぶん昭和五十年以降のことでございますので、どう対処していくかということについてはまだ考えてはおりません。  以上でございます。
  171. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、この点は十分お考えになっていただきたいし、今後運動いたしますから、とにかく日本の医療の問題を考えると、いまのまんまでは人の命が無視されているといわれてもしかたがない状態です。  そこで、御案内よう看護婦の定員がふえているんですよ、結局。いまいわゆる何といいますか、夜勤が十八、十九日あったのを八日以内にしろ、一人夜勤だったのを二人にしろというのが人事院の勧告なんです。それがあって、もう八年たつんですよ。ところがいまでも夜勤を十五日、十六日している国立もあるんですよ。こういう状態では、政府やり方、一体何をしているんだと、こういうことになるじゃありませんか。これをひとつお考えになって、安心して医療が受けられる、病人の看病をする看護婦さんの待遇の改善ですね。さっきお答えになりましたけれども給与の問題、あるいはまた何といいますか、病院等に保育所を、あるいはまた何といいましょうか、潜在看護婦さんをどうして吸収していくか、看護婦の養成機関の充実をはかっていかなきゃならぬ。  今度政務次官になられた石本さんの御質問をゆうべ読んでみたんです。保育所の問題、給与の問題、これに対して大臣がなかなかいい答弁をしているんですが、これはもう一回伺います、今度は政務次官ですが。問題は、潜在看護婦をどういう方向で吸収していこうと政府考え努力しておいでになるのか。  それから保育所でございますけれども、いま深夜の保育所というのは少ないんですよ。深夜の保育所こそ看護婦さんには必要なんです。とにかく一カ月のうち八日としても約三分の一は夜勤をしなきゃならぬ。そういう場合に、幼い子供は一体だれが見るのですか。いまの保育所状態考えても全然見てくれる人がいない。そうすると御主人が見る以外にないとなれば、おまえもうやめなさい、こうなるのはあたりまえだ。したがって、病院における保育所が充実すれば退職する看護婦さんは減ってくると思う。今後、看護婦をふやしていく場合にも非常に有利になるんじゃないか。  それから看護婦さんは、あなたの質問にもございますけれども、初任給はとにかくとして、五、六年たったらこれが横すべりのような変なかっこうになっていく。こういうことの改正についてのお考え方をきょうは伺わしていただきたい。
  172. 石本茂

    政府委員石本茂君) ただいま申されました三つのことでございますが、第一番目の潜在看護力をどう一体引き出していくのか、これはなかなか容易な問題ではございませんが、私考えておりますのは、勤務時間をもっと弾力的に、朝八時に出て来て昼から五時までというんじゃなくて、やはり家庭を持っている人々がほとんどですから、朝十時から出てくる人もおってよいと思いますし、あるいはまた、午後の三時から出てくる人があってよいと思うんですが、要しますに、国家公務員の場合はちょっと問題抜きにいたしますけれども、いままでのようにきちょうめんに三交代でございます、何交代ですという、全くワクにはめてしまったような勤務体制ではこれは引き出せません。ですからやはり、もっともっと、どう言いますか、働く看護婦さんの働きやすい労働環境というものをこれから大至急につくり出していかなければならない。まず、できるとこから、民間からひとつお手本を示していただきたいというので、現に何カ所かもう始めております。朝子供を送り出して出てきて、昼から三時には帰ってもらう、あるいはまた、もう子供を育てなくてよくなりましたので、私は夕方から勤務に入りますというようなことで、きびしいワクをはめたような体制をはずさない限りは、これは無理だ。これは労働環境の問題です。  それからもう一つは、さっきその次に申されました労働報酬の問題でございますが、これはやはり潜在看護力を引き出すときの問題にもなるわけです。いまのような、その辺のマーケットに行って朝四時間ほど働いて二千円なり三千円もらえます。あるいはまた、競馬場のもぎりをしているだけで一日三千円はもらえます。こういうような実態でございますから、いまのような、付き添いのおばさんよりも少ないような資格を持つ看護婦の給料体系では、これはどんなにがんばって太鼓をたたいて走り回っても、容易には職場には戻ってもらえないと思います。それで、いま私ども必死になって努力しておりますのは、もうお聞きだと思いますけれども、人事院が第二次勧告の中で看護婦のいわゆる基礎給料ですね、本給、医療職日表の本表の手直しをしたいということを言っておりますし、これは先生方、皆さんの御努力でそこまでいったわけですが、これは先般私が質問したときに大臣が申されましたように、柳の枝のように落ち込んでいる五%と、それから女子教職員を一応目標にした格上げでございますね。合計一五%の給与の格上げということを厚生当局は人事院に出しております。私も今度こういう立場になりましたので、一五%が確保できるのかどうか、やるやると言っておりますので……。もう一つは、教職員の人材確保法案との結びつきがございますので、これは別々にしてください。教職員の人材確保法案が通らなければできませんというのでは困りますところですね。そういうのんびりとした問題ではございませんので、そちらはそちらとして、こちらはこちらとして早急にこれは勧告をしていただきたい。その際に一五%というお願いを出しているのですから、そのとおりでなかったら困りますよと、しかし、たいへんむずかしいようなことをおっしゃいますので、これは個人的なことになるかわかりませんが、私は一けたでは承知しませんよと、少なくとも一〇%以上のものを、一五%が無理ならせめて一〇%という線だけは確保してほしいということで、目下懸命になって当局をかけ回っている最中でございます。人事院に参りますと、大蔵との関係もございますし、あるいはまた民間との関係もあるということでございますし、大蔵省に参りますと、人事院の裁定がありませんからというようなことでございますが、まあ両方のところを私どもなりにめどを押えまして、局長ももちろんでございますが、大臣もそうですが、目下必死の努力をしておる最中でございますから、先生、もうちょっとこの方向見ておっていただきたいと思います。  それから、夜間保育の問題ですが、これ、私の考えは小さいかわかりませんが、私は、できるだけ病院という事業所の中の環境のよいところに保育所は持ってほしいんです。少なくとも、預ける子供が五人以上おりましたら、やはり病院の中に私設保育所を持ってほしい。東京ようなところは無理かわかりませんが、地方に参りますとかなりそれで食いとめておりますので、それで病院の中にある保育所の中の、いわゆる保育所自身に夜間体制ですね、これをつくっていけないだろうかと、それで一般保育所に話しかけますと、保母さんの深夜勤務を強制しなければなりませんので、その辺はひとつ、まあごかんべんくださいとはおっしゃいませんけれども看護婦さんの夜間勤務体制がたいへんなように保母さんにもその波及が大きくなるということで、とてもむずかしゅうございますというのがほとんど経営者のことばでございます。保育所を経営するところのことばでございます。ですけれども、これは協力していただきませんと人間の命が守られませんので、できるだけ夜間保育体制というものを広めていっていただきたいということを、同じ省内におります保育担当の児童家庭局にもお願いしておりますし、それから労働省等にもお願いいたしまして、企業の中にある、要するに、病院の中にあります保育所も夜間体制というものをひとつ考えてもらいたい。局長がいまその先頭に立ってがんばっていらっしゃるわけですが、そういうことで、今度の国家予算でもぜひこの三つの条件だけは満たされるようにと思ってがんばっている最中でございます。いろんな意味で御指導いただきたいと思っております。ありがとうございました。
  173. 藤原道子

    ○藤原道子君 私はちょっと聞いたんですけれども、全医労あたりが保育所をつくりましたね、そうすると保育所をつくったらやめる看護婦さんが三分の一に減ったということです。いま六十何カ所か持っているわけですね。ところが年間に十万円の補助があるんですって、十万円じゃね、これはたいへんだと思うんです。それでやはりもう少しふやして、そうして何も全医労がつくるんじゃなくて国として保育所をつくるという方向へ向けていただきたい。私、前にも言いましたけれども、中国では妊娠すると妊娠食さえ出る、普通の職場ですね。それで勤務は六時間勤務で、八時間勤務を二時間削除してくれる、母体を守るために。それで賃金削除はないんです。それからお産をして産後八週間休んでつとめに出るときにはちゃんと保育所があるんです。病院では夜間のもある。労働者が働いている間は保育所がある。それで育児時間というのでやはり八時間勤務が六時間、それで二時間は子供の世話ができるんです、その施設の中に保育所があるから。一年間保育所でそういう方法をとっている。これを見てまいりまして非常にうらやましかったんです。したがいまして、特に保育所が足りないけれども、病院とすれば夜勤をする限り深夜の保育所が必要なんですよ。保育所をつくったためにやめていく看護婦さんがぐっと減っている。これをひとつお考えいただいて、ぜひ、もうニッパチ勧告があって八年たちます。これが完全に実行できるように、そうするには看護婦がふえなければ困ります。そこで給与をふやすことと、いまお話がございましたが、一五%遠慮しないでうんとがんばってください。それから何といいますか、保育所ができる、給与がふえる、それから潜在看護婦を吸収していく、養成機関をさらにふやしてまいりまして、そうして准看は最初に申し上げましたように、六年勤務すればその間に通信教育をして、それで三カ月なら三カ月の講習を受けて、国家試験を受けて看護婦に統一していく、看護婦は将来一本化していくと、こういう方向で安心して入院のできるような方向にいっていただきたい。そして行政管理庁といたしましても少しお考えを願って御協力が願いたいと思います。  で、私はいろいろ言いたいけれども、きょう二時間の予定が三十分倹約しろと言いましたね。だから倹約しますが、医療が完全に行なわれるようにしてください。このことを強く要求し、ことに政務次官看護婦問題の権威者でございます。私の昔看護婦をしているころは、看護婦の給与はよかったんです。ところがいまはこういう状態であることを考えると、どうしても、この改正をひとつお骨折りを願って、政務次官でいらっしゃるうちに看護婦問題を解決してくださいよ。   〔理事須原昭二君退席、理事小平芳平君着席〕 ひとつ局長にもお願いすると同時に、政務次官にお願いいたしまして、看護婦問題の質問はこれで終わりたいと思います。  次に、冷凍医療食の問題で少しお伺いをしたい。時間がございませんので少々抜いて質問いたします。  まず第一に、栄養士の問題でございますが、栄養士は、学校を出て国家試験があるんですか、ないんですか。  それとあわせまして、病院で栄養士をどの程度使っておいでになるか、この点をまずお伺いします。
  174. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 栄養士の資格を取るためには、基本的には国家試験を全部受けていただくわけでございますが、学校によっては、その学校を卒業をした資格があることによって栄養士の資格を同時に付与できるのが一部ございます。  それから、病院における栄養士の設置の基準でございますが、これは医療法の中に、医療施設に栄養士を一名置きなさいといって、もう最低の基準と申しますか、そういう意味で医療法の中には栄養士一名設置の規定がございますけれども、現実には二人以上、二・五人ぐらいだと思います。全国の病院に従事する栄養士さんの数を計算いたしますと、平均的には二人以上にはなっております。基準は一人でございます。
  175. 藤原道子

    ○藤原道子君 食糧問題というものは人の生死を左右するものであって、きわめて真剣に取り組まなければならない問題だと思うんです。その生産と消費に関しては、一貫した姿勢で計画的に考慮した政策が必要であると思う。この消費面で、過去において、また現在においても栄養士の果たす役割りは大きいにもかかわらず、高く評価されていないように私は思う。  それは、栄養士の養成制度からその業務などについて法的裏づげがないんじゃないんですか。実社会ではこれを軽視している。そのためいろいろな問題が提起されているので、この点でひとつ御意見を伺いたいと思うんです。
  176. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 栄養士の所管は公衆衛生局でございますが、私、前任の立場もございますし、お答えいたすわけでございますが、確かに、終戦後この栄養士制度というものが設けられた感覚と現在医療の上などで特に栄養士を必要とする必要性とが、若干私は率直に言ってズレがあるんではないか。ということは、医療に従事する栄養士さんには、相当医療と関係ある栄養指導ができるような教育カリキュラム、知識技能を持たせる必要があると思うのです。その点で、やや、いまの単なる栄養士になれるということを考えますと、この問題は将来やはり明確にして、業務を明確にすると同時に、その養成の資格の充実も必要であろうと思います。  ただ、一般栄養士の上に管理栄養士という制度が実はございまして、この制度はまたやはり国家試験で資格を取るわけでございますが、管理栄養士は、従来一般的には一般栄養士よりもさらに知識技能を高めた条件になっておりますので、これらの方々はかなり指導力はあるというふうに思っております。  で、一般的には、養成の内容あるいは業務を明確にというようなことでございますが、先生の御質問のお気持ちなりお考えとしては、特に医療機関において、単なる給食の働きをしているというようなことでなく、もっと医療の面に進出して、そうして栄養指導をすべきだという御意見が基本的にはあろうと思います。  そういう点は病院運営の上でも非常に重要でございまして、国立病院は——全部ではございません、特定な一部でございますけれども、例を引けば、国立の京都病院に糖尿病クリニックというのをつくりまして、ここでは栄養士が毎日外来に出て相談室で具体的な糖尿病の食餌指導その他をいたしておる、こういうような姿をもっともっと医療機関に導入していく。これは病院の管理と申しますか、病院のサービスの部門の考え方をどう持つかということにかかってまいろうかと思うわけでございまして、やはり医師の側の考え方もそういう方向に向けていかないと、医療関係者、特に医師がこれを理解しないと栄養士さんとの協力ができない。こういうふうな面があろうと思いますので、だんだんには、栄養士の資質の向上にあわせて、医療の中に栄養士を必要とするような具体的な医療関係者考え方を深めていく必要があるというふうに思っております。
  177. 藤原道子

    ○藤原道子君 病院だけには限りませんけれどもね、大体栄養士法では栄養士という名称を用いて栄養指導を業とする者をいうと記載されているだけで、業務独占ではないために、あらゆる職種の人がこれに類した行為をしてもよいことになっており、現実的には中途はんぱな指導をするにとどまっているわけです。  私が考えるのに、栄養指導というのは、これは生活改善の根幹であり、栄養の診断から個人の特性を考慮した献立作成、さらに、調理方法に至るまでの過程を根拠にした説得力のある具体的教育指導であると考えるわけです。これが徹底されると、国民の健康増進に役立つことは成人病指導の一面を見ても明らかではないか。これに対してはどうお考えでございますか。大臣に聞こうと思ったんだけれども……。
  178. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 全く先生の御意見にわれわれの気持ちも一緒でございますが、ただ、栄養士というものの業務独占という問題は、身分法の考え方からいきますと非常に私はむずかしい問題だと思うのでございます。名称独占は、栄養士ということでまぎらわしいものをやたら使ってはならないと、これはいいと思うのですが、国民一般の中でも、かなり一般教養としても栄養士的な力というものを持っている方もたくさんございますし、その栄養士の業務を、やはり病院なり何なりに、保育施設には何を置かなければならぬとかという、置く施設側のほうから規定すべきであって、一般的に栄養指導というようなものを業務独占で栄養士だけに限定するということは、社会の実態論からいってもなかなか私はむずかしい問題だと思います。ただ、栄養士をしかるべき必要な施設には置くようにする規定をもっと強化しろということには私は結びつくし、これは可能な問題だと思いますし、また、その方向で努力しなければならぬと思いますが、一般的には、栄養士の身分に業務を限定するということは非常にむずかしかろうというふうに思っております。
  179. 藤原道子

    ○藤原道子君 結局、先ほど局長おっしゃいましたけれども、学校を出て国家試験を受けるわけです。それから、受けないのもあるんですよ。それはどういうんですか。私は、国家試験を取らずに免許を安売りしているところがある。一方では必置義務もないために、採用されずにめちゃめちゃになる人もいる。こういうことはまことに無為無策だと思うんです。もう少し栄養士というものをはっきりさせる必要があるんじゃないかと考えるのですけどどうですか。
  180. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) この問題は、栄養士会等はじめ関係者の間からこのような御意見を私も承ったことがございます。確かに学校で、その学校の機能なり能力が教育上十分であるというふうに認めた、昔からある古い学校がこの栄養士法にからんで多少特定の取り扱いを受けている。したがって、そこの学校を卒業した資格があれば栄養士と、国家試験を受けなくも栄養士になれると、こういう制度が一部に残っておるわけです。これがやはり全体の栄養士さんの立場からは、やはり全員が国家試験を受けて、医師や看護婦と同じように栄養士として卒業資格即栄養士の身分につながるという部分的なことでも残さずに、全部国家試験にしなさい、こういう御要望だろうと思うのでございますが、これは関係者にも賛否——一部そういうことを既得権といってはたいへん語弊がいろいろあるかもしれませんが、そういう学校の資格として持っておるところをやめさせて、全部卒業生は栄養士の国家試験を受けろと、こういうことになるわけですから、その部分の関係者にとっては一つの変革になるわけでございます。そういう意味で、必ずしもどちらが賛否が多いかということとは別に、やはりこれは十分話し合って、そして合意に達すれば私はこのよう考え方というものは直すことができると思います。また、行政当局としても一つ考え方としては、栄養士のやはり将来の身分、資格、重要性を考えますと、その問題については検討に十分価する問題だとは思うわけでございますが、ただ学校の資格、そこに入学する魅力というようなものもございまして、非常に古くからの歴史のあるりっぱな栄養士学校というものは、やはりそういう権利を持っておるものですから、これをにわかに捨てて全部国家試験だというふうに改革することには、若干の時間とやはり検討が必要ではなかろうかと、こういうふうに考えております。
  181. 藤原道子

    ○藤原道子君 その学校はどの学校、どこなんですか。
  182. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 栄養士養成施設の総数でございますが、四十八年度現在で二百六十五校ございまして、そのうち先ほど申しました一つ上と申しますか、管理栄養士という資格を取れる学校は三十ございます。
  183. 藤原道子

    ○藤原道子君 管理栄養士、それはどこにあるのですか。
  184. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 施設名そのほかはちょっと私資料を手元にございませんが、ほとんどが東京、大阪等の大都市だけでございます。
  185. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は、そういうりっぱな学校ならみな同じようにしたらいいじゃないか。古い学校だから、経歴があるからそこは国家試験を受けなくていい。看護婦さんはどんな学校出たって看護婦の試験を受けている。お医者さんだって試験を受けるのでしょう。なぜ栄養士は、たとえ三つだか知らぬけれども試験受けなくてもよくて、ほかは試験を受けるのはおかしいじゃないですか。私は、国家試験による免許取得と必置義務をぜひ法律的に裏づけをして、国民の健康増進に役立てるように寄与すべきだと思いますけれども、それはどうですか。
  186. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先ほどお断わりしましたように、担当局長でございませんで、若干お答えを訂正をさせていただきます。  先ほど養成施設を出まして、その中にもいろいろ差があるように申しましたが、国家試験を受ける資格というものは、高校卒で一般に栄養士業務に、実務に従事しておった者が国家試験を受けて栄養士になれるという制度でございまして、養成施設と認められたものを出た者は、さっき申し上げました二百六十五と、管理栄養士三十は出ただけで国家の資格が取れるということでございます。したがって、さっきは養成施設の中に甲乙があって、こちらを出れば国家試験なしだと申しましたが、間違った答えになっておりますので訂正さしていただきますと、二百六十五の養成施設を出れば、その人は国家試験なしで栄養士になれる。それで栄養士になるための国家試験をなぜ設けてあるかというと、高校卒の資格だけで一般的に病院の給食施設で栄養士的な業務に従事しておった経験が二年以上あれば国家試験を受けられます。それから管理栄養士というのは、栄養士として勤務を、実務経験を二年積んだ履歴があれば、今度は管理栄養士の国家試験が受けられます。そういういわゆる養成施設を出ない人のために国家試験制度というものがあるだけでございまして、養成施設を出れば栄養士になれる。  そこで、先生の御質問の栄養士を全部国家試験にしろというのが栄養士全体の御希望であって、医療関係の看護婦、医師はじめほとんどが国家試験制度になっている中で、医療の仲間の中で栄養士だけが養成所を出ただけで栄養士になっている。これをむしろ改革すべきだという御意見だと思いますので、全体私の記憶が間違っておりましたのでこの際訂正いたしまして、先生の御意見の主張というものは、したがって、国家試験に変えろというのはかなり変動としては大きな問題であるというふうに受け取るわけでございます。
  187. 藤原道子

    ○藤原道子君 何だかわからなくなってきた。それじゃ、栄養士は試験を受けるのは病院なら病院、どこかで働いてきた人が、二年働いた人、それが国家試験を受ける。それじゃ、学校を出た人は国家試験は要らない。それはあんたはさっき二百六十五校出た者が試験を受けるので、三つの学校、昔からやっている学校を出た者は試験を受けなくてもいいんだと言ったのは間違いなんですか。
  188. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) そうです。
  189. 藤原道子

    ○藤原道子君 学校を出た者は試験を受けなくてもいい。で、将来もそういう方向でやるわけですか。じゃ、栄養士というものはどういうふうに理解していらっしゃるのか。
  190. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) この栄養士の養成所を二百六十五と申し上げましたが、大学であるものが六十六、短大であるものが百七十六、各種学校が二十三でございます。したがいまして、比較的まあ、率直に申しまして大学、短大等のいわゆる文部省の指定するところの学校教育法第一条に基づきます大学教育という形でやっておるというところは、かなりレベルの高いものと見ていいと思います。従来、栄養審議会等でも先生の申された御意見は検討しておるようでございますけれども、根っこが各種学校は一部ございますが、そう多くはなくて、かなり大学コースで栄養士の養成をいたしておりますので、これをにわかにすべて国家試験に切りかえなければいけないかどうか。この点は栄養審議会等の御意見が固まれば、行政当局も検討する方向だろうと思うのでございます。
  191. 藤原道子

    ○藤原道子君 そこで、医療法では病院の設置基準に調理室などを明記し、医療の一環としてうたいながら、これをほとんどの病院では事務部門に組み入れているという、この実態からくる患者給食へのしわ寄せをどう理解してよいのか、私は、これは行政指導の怠慢としか思えない。そして、病院給食は医療の最も良心的なかつ基礎的医療行為で、人間の原点の喜びとも結びつく価値あるものであると考えますが、この点を大臣はどのようにお考えでございましょうか。
  192. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 委員長
  193. 藤原道子

    ○藤原道子君 大臣にと言ったんで、あなたに聞いていない。
  194. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 具体的な問題でございますから、私からお答えさせていただきます。  事務部門に入っておるというのは確かに国立病院、療養所などの運営は事務部門に入れてございます。ただ職種としては医療職の(一)が医師、(二)がレントゲン技師や栄養士など、同じような医療職(二)の給与表を適用いたしております。それから(三)が看護婦でございます。そういう意味で、先生の御指摘の問題は、身分その他は医療職として取り扱っておるのに組織上事務部門に置いているじゃないかと、こういう問題だと思います。この点については、国立はいまそういう実態でございますけれども、栄養士の関係者その他からもそのような要望は聞いております。で、特定な民間あるいは公立病院等で一部事務部門からはずして、医療の部門と合わせて栄養士の活動を期待しているところもあるようでございますし、これからも今後国立としても病院の運営上、医療職を事実、組織部門としても医療の関係のほうに持っていくかどうか、この点は検討させていただきたいと思っております。
  195. 藤原道子

    ○藤原道子君 それはぜひ検討していただきたい。検討したいなんというと十年ぐらいかかるからねあなた方は、真剣に検討していただきたいと思います。  ところで給食費の問題でございますが、現実では、この疾病治療を目的とした病院給食が一日三百円ぐらい、あるいはこれを不当にも下請させたところは驚くべく二百五十円以下という費用で行なわれている。これはあまりにも人間性を無視したものにほかならない。さきの大臣が答えられた精神が反映した措置とは思えない、この点については早急に改善する必要がありますが、、この点はどう措置するつもりでございましょうか。
  196. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 病院給食の委託の問題につきましては、たてまえとしては、病院の給食は病院の責任においてやるというたてまえになっております。ただ、やむを得ない事情ということでいろいろ一部に委託している事実はあるようでございますけれども、この点については最終責任はあくまで、事故あるいは患者に対する影響等がございますれば、これは病院に責任があるわけでございます。ただ、具体的御指摘の、委託することによってその給食費を安くしているというような実態につきましては、実は国立病院がただいま患者一人当たり一日の計算が二百九十円の予算で執行いたしておりますが、この点につきましては手元の資料によりますというと、日赤等は大体、本年度の予算でも二百八十円前後、厚生連等も一部三百円、一部は二百六十五円というようなところ。これは地域によって病院の経営上差があるようでございます。一般市町村立病院では三百円程度のところがありますし、高いところでは東京都の結核の三百二十七円、一般の三百二十円というようなのがございますし、あるいは公社、公団関係では、金沢の逓信病院等が三百五十円というよう数字がございますので、責任上、病院が患者給食というものを著しく不当な状態でなければ、この金額そのもので判定を下すことはなかなか地域的な差もございますし、あるいは経営上の問題等もございますし、むずかしいことでございますが、やはりほぼ適正な値段で給食というものを執行していただきませんと、やはりこの点は病院報告の中に、病院から県に毎月栄養の報告をしていただいておりますので、そういう点を踏まえまして、この内容をチェックしていく必要があるんじゃないかと、こういうふうに考えております。
  197. 藤原道子

    ○藤原道子君 この物価高のときに、病院の費用が三百円以下というのは、これをそのまま認めていらっしゃるというのはおかしいと思う。しかも、下請に出したら二百五十円以下のところがある。なぜこういうことになるのだ。病院では、設置基準に調理室などもちゃんと計画されているわけです。当然病院でつくることになっているはず。にもかかわらず、下請に出すとはどういうわけなのか。
  198. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 全く下請に出すという形をとることは、われわれとしては、病院の管理上はよろしくないというふうに思っております。ただ、病院の場所を貸しまして、そして、一定の責任あるところに給食を委託しておるという例は聞いております。したがいまして、この問題については、全く学校給食センターから何かで運んでくるというような形の給食の委託というものについて、実態はほとんどないと思いますけれども、そういう著しく悪い状態のものがありますれば、これは直させるようにしなければならないというふうに思っております。
  199. 藤原道子

    ○藤原道子君 学校の食餌と違って、病院の食餌は医者と栄養士が協力して、その患者の治療上適切な食餌を与える、これが医療のやはり一つの基本になっていると思うんです。ところがそれを下請に出すと、そうして、しかもこの物価高に二百五十円なんかで出されて、栄養食なんかが与えられるとは思えない。この三百円の給食費、これに対しては少しはお考えになっておりますか、この物価高に対してどうお考えになっておりますか。
  200. 北川力夫

    政府委員(北川力夫君) 私のほうからお答え申し上げますのは、現在保険の診療報酬として、病院の給食費も扱っておりますので、診療報酬としてこれをどう評価していくかという観点からでございます。  ただいま医務局長から申し上げましたのは、国立病院なら国立病院の給食材料費でございますけれども、診療報酬としての給食費は材料費も含めて全体の形で大体四十二年以後、四十二年、四十五年あるいは昨年の二月、それぞれ診療報酬改定の際に改善をされてまいりましたが、現在のような値段で私ども十分であるとは考えておりません。特に、いま先生御指摘のように、最近における経済事情の激変等もございますので、ちょうど今月の七日に中央社会保険医療協議会に対しまして、診療報酬全般の改定を諮問をいたしたわけでございますから、この機会に給食費につきましても、その是正をお願いをしたいと、このよう考えているような実情でございます。
  201. 藤原道子

    ○藤原道子君 そこで、こういう状態ですからね。いま、病院給食をきわめて安価なものに追い込んでおいて、病院に入院してみたら食餌がまずいときめつけて評価し、これを一挙に解決するものとして冷凍医療食システムなるものを厚生省が認可したんですね。すでに病院はおろか、デパートまでも販売しているんです。このことは病院給食の本質をゆがめるものとして、私は非常に危険視しております。まさに弱い病人にさえもえたいの知れない加工食品を与えるという、食餌の持つ本質を無視した何ものでもないと考えるが、これに対して大臣はどうお考えでございましょうか。冷凍調理済み加工食品が病気をなおす手段として本筋と思われますかどうですか。
  202. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) この冷凍医療食の問題につきましては、現状を申し上げますと、現在、病院が私立の病院だけでございますけれども、三十一カ所、これは全部私立でございまして、月間の使用品目は百十一種の食品を使用いたしております。使用量を金額に換算しまして約三百三十万程度でございますから、一カ所約一日当たり千食ぐらいの食餌量が取り扱われていると。ただ、百貨店においては十一月現在の数字でございますが、東京で七カ所、横浜で一カ所の百貨店に栄養士を置きまして、そして民間の在宅の糖尿病、じん臓病等の患者さんの御希望に医師の処方せんによって市販がされているようでございまして、現在取り扱っている品目としては六十一品目ございます。大体十一月の実績としては五百十四名のお客さんがございまして、三千三百食ぐらいが利用されておる、こういう実態でございます。で、御指摘のように、冷凍医療食の問題は、諸外国においてはかなり普及しているようでございますが、わが国はまだ率直に言って実験的な段階であろうと思うのでございます。特に特別食につきましては、家庭用の方はかなり高額の費用がかかるようでございますし、いま問題になりました病院給食との関係もございまして、これは今後相当のメリットがございませんと、要するに適温で食べられるとか、あるいはかなり厳密な管理の中で、栄養的にもまた衛生的にも安心して食べられる材料である、食材料であって、それを購入して、そこにくだものや牛乳やあるいはなま野菜等を添付して病院が給食するという可能性というものは、それは今後ないことはないと思いますけれども現状の段階ではまだ大幅に普及していくということは、いろんな条件がございまして、現状ではそのようなことはすぐには考えられないわけでございますが、一般的には私はこの特別なじん臓食、肝臓食、糖尿病食というようなものが手に入るようになるということ自体は決して悪いことではないと思います。われわれは病院給食の責任の立場からは、材料としてこういうものを使う傾向というものは、今後一般的な医療食と言わないまでも、冷凍食品的な意味で材料として使うものからだんだんにそれが手に入るようになり、あるいは量産されて安価になる場合、材料として病院が手に入れることは今後はあり得ると思うのでございますが、それに、先ほど先生も御指摘のように、何か給食がそういうものに委託されたように全くそれに依存してしまっているというような実態は、これは好ましいことではございません。やはり給食の責任は、病院で一定の施設の中でこれをまかなうべきものであり、この冷凍医療食的なものが一般病人に給するところの材料として活用される時代というものはあり得ることは可能だと思います。これが全然毎食ともこの冷凍食で患者に食餌を簡単に給するというようなことになることは、私は実態としてもないと思いますし、また、そのようなことは事実上、日本人の食生活の好みからいって、みそ汁の問題もございますし、お米の問題もございますし、つけものあるいはなま野菜、くだもの等の問題もございますので、やはり必要な設備と人員とによる病院給食とういものは、基本的には大きな変更をすべきものではないというふうに考えております。
  203. 藤原道子

    ○藤原道子君 そこが問題なんですよ。外国ではだいぶはやっているというけれども、外国の調査をいたしましたけれども、そうでないですね。外国でも、欧米でもかなり普及され、効果をあげているように医療食の機関誌は書いている。ところが、いろいろあれしてみますと、アメリカあたりでもこれをやるにはたいへん設備が要るんだそうですね。冷凍食だから、これはあたためなければならないでしょう。それで冷凍食で持ってくるのは、やはりこれは在宅患者のほうといたしましても、五日豆というのが一つ入っている。朝ですよ。そのほかに、御飯だの、焼きノリだの、リンゴなんかはこっちでやらなきゃならぬ。全部そうなんですよ。そうすると、病院へ持ってくるのだってやっぱりそうだ。冷凍食は持ってくるけれども、これをあたためるための施設がたいへん要るんです。そういうことで一つ問題になっておるし、それから大病院では、冷凍医療食のみでは病人食は完全に患者側から受け入れられない。食餌は、医者と栄養士とで、その病状に応じてやるんでしょう。ところが、冷凍食というのは、これを見てもやっぱりこれはじん炎食、高血圧食あるいは糖尿病食というようなもので、持ってくるのに、これはこの程度、これはこの程度というようには持ってこない。そういう場合に、病院で、医者の診察により、病気の重い軽いによって医者が指導をし、栄養士がつくるというやり方を、なぜ、こういうふうなことに変えなきゃならない  それから、きょう、私がこの点を伺うなんていうことを厚生省が知らしたんでしょう。何と言ったっけ、元の局長。私のところへ電話がかかってきた。先生に一度お話し申し上げたいと思っていたところが、きょうは名古屋へ来ているから、あした先生が質問なさるそうだけれどもと、まあ、こういうことで電話がかかってきた。電話がかかったって同じです。私は、この資料を見ると、糖尿病の基礎食、これを見ると一日六百円から六百五十五円くらいですね。ところが、じん炎とか高血圧の食餌は七百七十円から、安い日が六百六十五円。しかも、それはおかずだけですよね。御飯とか、おみおつけとか、おこうこなんというものは、これは個人が持たなきゃならない。そんな高い。——いま病院の食費は三百円、それが六百円だの七百円なんかで一体どうするのよと言ったら、いや病院のほうは二百五十円から二百八十円ぐらいと思っておりますと、こう言う。この物価高で二百五十円で何ができる。持ってくるための施設も要るし、あたためなければならないし、ほかのものもつくらなければならない。これは私が言わなくたっておわかりのとおり。病院に栄養士もいるでしょう、医者の指導もあるでしょう。にもかかわらず、それを無視してこの冷凍医療食に依存するというのはおかしいと思うんですが、これは一体どうなんです。外国でもそのためにほんの一部しかやっていない、こういうふうなものを私はきのう読みまして、まあ、たいへんなことだなあと思ってきょうはお伺いしておるんです。
  204. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先生、いま値段、七百円とか八百円とかいう、これは、個人の在宅患者が御利用になる場合の特別食の費用でございますので、これを病院がそのまま特別食を利用するなんということは、現状の価格と実態からいってもこれはできないことで、二百数十円というようなお話がございましたが、これは特別食の患者でない病院の一般的な——先ほど申し上げた民間の病院が、品目が少なければそれは二百何十円程度でおさまるかもしれません。その品目と献立の選び方によって金額はいろいろ違いがあると思います。で、そういうことで、値段の問題は、家庭か病院かということと、特別食と一般食ということで、若干混同の感じがございますけれども、病院で一般に特別食を出す場合は、現状では冷凍食だけに全部依存するというふうなことは、私は実行上もできないことだと思うのです。将来ともに、この問題はやはり経済的にやれるようになるからならぬからというような問題ではなくして、やはり先生おっしゃるように、特別食を材料としてたまたま医師の処方なり考え方と、その病院給食といいますか、医療食の献立とが栄養士の判断によっても合う場合は、材料としてそれを使うことは一部ありましょう。しかし、全体としての特別食を給する責任というものは医師と栄養士とその病院側にあるわけでございまして、そういう基本的な体系というものをくずすことはなかろう、また、非常にその点については問題がある、こういうことでございまして、若干将来のことを含めてお答えしたものですから、決してこの医療食というものが全面的に今後とも病院に入ってくるというような感覚で私は申し上げているわけじゃなくて、あくまで、医療というものと患者というものを考え、そして病院の責任ということを考えたときに、一部材料として適切なものができ、それが衛生的にも、また保存の上でも可能なものは特定な病院などでは使うでございましょうと。これはわが国一般の病院として、そういうふうに判断すれば使うところもあるかもしれません。  で、われわれ直接国立でどうするかというようなことは全く将来のことで、基本的には、私申し上げましたような姿勢を守って、簡単にすべてを冷凍食にしてしまって、冷蔵庫と解凍庫とを置いて、そして何でもあっためて溶かして、すぐ朝から昼と夜も全部そういうものに切りかえて、職員を減らすなんということは毛頭考えておりませんから、そういう直接的な国立病院の運営でしたら、そのようにはっきりお答えいたしておきます。
  205. 藤原道子

    ○藤原道子君 だけど、これは冷凍医療食というものは、厚生省で認可しているんだよね。それから、この一般、特別食というものを見ても、ごく一部つくって、おかずのおも立ったものをつくってきて、ほかのものは自分でつくるわけですね。病院へ来たってそうだと思う。それで、病院には料理をする施設はちゃんとあるし、ことに疾病の治療というものは、同じ病名でも個人差がある。あくまでも個々の病状に適した処置をするのが本筋であると私は思うんです。にもかかわらず、すでにつくられた規格品を、これを病状に適用させるということは誤りだと私は思うので、この冷凍医療食を病院で使うというようなことも、ちょっと問題じゃないかと思いますので、御意見を聞いているんですよ。  そこで病院給食の委託、——この冷凍医療食システムの病院への導入は、病院給食の問題点である本質的な面での配慮の欠除がもたらしたものとして反対の声がちまたでもあがっているんです。すなわち、これは当社労委員会で何度となく取り上げて、是正すべきと確約された病院給食の外注問題ですよね、下請ですね。外注問題よりもまだ悪いと思う、私は。一大委託外注制度の誕生であり、社会保険の基準給食制度にはなはだしく違反していると私は思う。局長通達などで、——公衆衛生局長、医務局長通達などで、これを導入させようとしているという声も、私のところへ来ている。そういうことは絶対に許せないことだと私は思うんですが、どうですか。  あなた方は、この冷凍医療食を病院で使うように指導しているということを聞きますが、どうなんですか。
  206. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 冷凍医療食を病院に使うように指導しているという事実は全くございません。ただ、先ほど、私立の病院等の実態は、三十病院ほとんど東京中心でございますが、使っている事実はございます。  で、われわれはあくまで、そのようにしてつくられたものが冷凍し保存がきき、一週間の献立その他に合い、なおかつ、その材料そのものなり、あるいは糖尿食あるいはじん臓食というものにふさわしいものと栄養士が認めて、そして、これを患者に給する材料として使うならば、私は、それは可能性はあると思うということを、先ほど来申し上げたわけでございまして、決して病院給食を全面的に医療食に変えるとか、あるいは医療食を奨励するとかというような行為は一切いたしておりません。そういう意味で、今後とも、病院給食の基本的な姿勢というものは、先ほど来お答えしてましたように、病院の責任において、これを給食すべきものであるということで、材料というものの見方として、これを活用することは、公私を問わず施設側の考え方であり得るであろう。しかし、病院機能としての給食全体をながめたときに、それが材料として適切に使われているかどうかということは、また、給食管理の上から重要な問題でございます。  また冷凍食そのものが、一般の冷凍食と同様に、それが製品となったときに一つ一つ抽出して検査して、そうしてそれが十分に基準に合っているかどうか。それから大腸菌その他の衛生管理もいいかどうか、こういうようなことはやはり冷凍食と同様に、食品衛生の立場から、この医療食の管理は十分する必要があると思っております。
  207. 藤原道子

    ○藤原道子君 私は病院に施設があるのに、なぜ外へ出さなきゃならないのか、このごろかん詰めにしてもいろんな食品にしても、中毒がふえているんですよ。そういうときに、病人に対しては医者の指導によって食餌はきまるはずなんです。同じじん臓病だって重い人もあれば軽い人もある。ところが冷凍医療食はみんなじん臓食とかあるいは高血圧云々ということになっている。私は、そういうものをなぜ入れなきゃならぬのか。それよりも、もしいろいろあるならば、病院の中の設備をよくしていく、栄養士をちゃんと使って、その指導によって治療にふさわしい食餌を与えるのが私はほんとうだと思う。三百円ではやれないから、あるいは人を使うのがあれだから結局外へ出す。外へ出せば五百五十円ですね。そうすると患者の栄養はそれだけ減らされるんですよ。こういうやり方が私、いやなんですよ。医者が足りない、看護婦が足りない、看護婦は夜勤がふえる。人事院の勧告があっても、八年たってもそれが実行されない、そこへ持ってきて、また食餌を、——病院の食餌は医者の指導のもとに治療の役割りを果たしているんです。そういうことを私は考えてやっていただきたい。結局まあ、手間が省けるといったって、向こうから来るのはおもだった食料だけなんです。おみおつけとか、おこうことか、くだものとかいうものは病院でやらなければならぬ。それで二百五十円くらい。冗談でしょう、この物価高にできるもんかと私はきのう言ったんですけれども、そういう話があるんです。結局、毎食トーストだとか御飯だとか野菜は別につくらなきゃならないんじゃないか。手間が省けるといったってうたい文句だ。高くつく。一日七百五十円というようなもので一般に売っているのに、それを病院はその三分の一にするというようなことでは問題があるんじゃないか。そういうことでぜひ検討してもらわなきゃ困る。結局、栄養士を十分使う、あるいは病院の施設を足りなければ拡充したらいいんじゃないかと思うわけでございます。  そこで、もう時間もございませんので、最後に、このようなものを世に出すことは、薬以上の規制が必要となることを強調したい。衣食同源ということばがあるが、食餌は薬以上に複雑なものであることは、成分的にも明らかでございます。結局、確かに健康を回復する手段として考慮され、使用されているが、食事というものが人間文化の中心であり、常に一回たりとも欠かすことのできない重要なものであることは、いまさら私が言うまでもなく、病に伏した者が痛感していることなんです。この基本的な面の配慮を忘れて、こそくな手段で解決させようということは絶対に許しがたいことだと私は思う。われわれが人間として生き、食するものの中心を企業サイドのものに預けるわけにはいかないことを、この点、大臣もぜひ同感していただいて、これらの類似の食品は一切今後専門家である医師、栄養士を十分に起用し、その指導、取り扱い、販売等をこれらの者にさせないと、市中のスーパー、弁当屋、食品店、で扱われることとなり、病人にとっては、さらに支出を増大させ、混乱が増してくることは私が申し上げるまでもないわけなんです。混乱が行政サイドから生まれるものとなります。こういうやり方に対して大臣にお考えを願い、どうか病人が安心して治療ができるように、食餌の問題あるいは看護婦の問題、ぜひお考えいただいて、正しい態度をとっていただきたい。それで、こういう冷凍医療食を入れるためには施設も広げなきゃならないし、あっためたり冷やしたりたいへんなことです。病気には軽い人もあれば重い人もある、同じ食餌を運んでくるようなばかげたことはないと私は思うんですが、間違っていたら御意見を伺いたい。
  208. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 医療用冷凍食、実は私も食べてみました。私は健康でしたから、そのときいただいたときは非常においしく、これはなるほどいいのができるようになりましたなと、実は私、感心して食べたことがございます、感心して。確かに大ぜいの方の給食をやりますためには手間が省ける、それから糖尿とかその他のいろんな病人にはそれなりの冷凍食があるわけですから、なるほどこれは非常におもしろい試みであるなと実は思って私も食べたんです。非常にいいと思っておったんですが、きょう承りますと、これがあまりよろしくない、こういう実はお話なんですね。あまりよろしくないと言われたのは、実はきょう初めてでございます。しかし、考えてみますれば、やっぱり食餌というのも医療のうちなんですね。医療の本体、ということであってみれば、病院が栄養士を中心として栄養をはかりながら、その病人にふさわしいような食餌を与える、これはやっぱり医療の内容でございましょう。そういう意味において、やっぱり外に委託をしないで、病院にはそれぞれの施設がありますから、その施設を利用し、栄養士のあたたかい配慮による栄養食を差し上げる、これは私はやっぱり理想だと思いますね、理想だと思います。医療用の冷凍食ということになりますと、病人の差というものをおかまいなしに、たとえば、この病気なら、糖尿なら糖尿といってもほんとはいろいろ症状が違うんでしょうね。違うのに同じ一律の食餌を与えると、なるほどそういう点は、私もこれは考えなければならぬかなという、いま先生のお話を承ってそう痛感をいたしました。したがいまして、私はすすめないというわけでもありませんが、由来こういうものは医者の管理、指導のもとに冷凍食を食べさすわけですから、やっぱり病状によって、いろんな格差のある食餌というものを千編一律の形においてやるのがいいのかどうか、その辺はまだ多少研究の余地はあると思います。しかし、せっかく新しいこういうふうな仕組みができたことでございますから、もういきなりそれはだめだと、こう言うのもこれ、ちょっとどうかと思います。ですから、やっぱり人人によって違う、その人たちに対してあたたかい思いやりのある栄養の満ちた食餌を食べさせるにはどうすればいいかということを頭に描いて、そういう医療用冷凍食をやっておる方々に対しても、もっと研究しなさいというふうなことをやって、いきなりだめだと言わないで、これはもう少し研究する余地はないかとか、いろんなサゼストを、いろんな注意を与えながら、よりよきものに育て上げるということも必要じゃないか、こういうふうな感じもいたします。しかし、基本は先生お述べになりましたようなことが基本である、これはもう同感でございます。
  209. 藤原道子

    ○藤原道子君 もうこれでおしまいにいたします。  とにかく、どうしても認めるようであったらば、——あなたたち許可したのでしょう、冷凍医療食、だから、もしそれを認めるようならば、医者や栄養士の指導、取り扱いを経なければ販売してはならない、こういうことは絶対にやってもらうように法の改正をしなきゃいけない。私は反対なんです。反対だけども局長二人が許可したというのだから、——その許可は、病院で使うことを許可したんじゃないでしょうね。冷凍医療食を許可したのですか、病院で使うことを許可したのですか。
  210. 滝沢正

    政府委員(滝沢正君) 先ほどもお答えしましたように、局長通知のような形でそういうものは出ておりません。  それから法人として、このような医療食協会を認可したのは昨年でございます。そうして一応協会が直接的にやる責任としてはやはりそういうシステムの開発とか、あるいは管理、いわゆる試験研究所のようなものを持って、そうしてときどき品物を抽出して、大腸菌があるかないか、それだけの成分がきちんと含まれているかどうかというような管理をきちんとやる、こういうことを主体とした法人の認可であると私は理解しております。そういうことと、実態は先ほど申し上げましたようなきわめてまだ小範囲にとどまっておりますので、今後これがそう急速に拡大していくということはいろいろの意味でもなかなかむずかしい問題だと思いますし、病院給食の責任論というものは先ほど来お答えしましたようなことでございます。したがって、先生の、市販されているという、いわゆるデパートなどで売っている問題については、われわれは当然医師の処方ぜんに基づいて栄養士がこれを指導する形をとらないと、どの形のものがどのくらいの成分を含んでいる、そうして医師の処方とそれが合うかと、こういうやはりものがないといけないことはおっしゃるとおりであるというふうに思います。
  211. 藤原道子

    ○藤原道子君 私も厚生省が許可したなんということは知らなかったのよ、きのうそのことが耳に入ったので、そういうことで、きょうは突然の質問でございますから、十分な点が触れていないかもわかりませんが、大臣がおっしゃいましたように、特に病院で使う場合は、医者と栄養士、それから病人の、重症もあれば軽症もある、あるいは合併症も幾らもあるわけでございますから、その点を十分お考えになっていただきたい。私は病院でこれを使うのじゃなくて、病院の食堂というか、食餌をつくるところをもっと整備して、そうして、栄養士のいないところは栄養士を入れるというようなことで病人によき食餌を与えてほしいことを強く要望いたしまして、ちょうど時間になりましたので、これで……。
  212. 須原昭二

    ○須原昭二君 私は、きょうは廃棄物処理の現況と石油化学資源の問題との関連において、特に今日的な課題でございますから、この機会にお尋ねをいたしておきたいと思います。  近年における生活水準の向上、産業活動の進展によって廃棄物の質の多様化といいますか、あるいは量の加速度的な増加をもたらしておる今日、廃棄物は、俗にいいます産業活動によって生ずる産業廃棄物と、一般家庭生活によって生ずるいわゆるし尿、ごみ等の一般廃棄物、この二つに大別されるわけでありますが、一般廃棄物、特にごみについては、量質両面の変化に対応して処理施設の整備が進められていると聞いております。さらにまた、産業廃棄物については、事業者の自家処分を軸として地方自治体の処理あるいは処分体制、まあ、言うならば、焼却だとか埋め立て処分地など廃棄物処理の建設用地の確保など、実は側面的に国も整備を進められておると聞いております。  ところで、まず総括的にお尋ねをいたしておきたいのですが、一般廃棄物についていま現在、ごみの排出量は、一日一人どれだけになっているのか、総排出量はどれだけになっているのか、これが第一点。  第二点は、いま一番問題になっているのはごみの質の問題について粗大なごみの増加といわゆる石油化学製品であるところのプラスチックの混入率の上昇が問題になっているわけでありますが、特にこの一般廃棄物の中におけるプラスチック系の廃棄物の混入率、これはどうなっているか、これが第二点。  第三点は、地方自治体の保有するいわゆるごみの処理場、埋め立てあるいは焼却場、大体千五百カ所あるそうでありますが、この処理場へプラスチックの廃棄物の持ち込み量は家庭から来るものがどれだけで、それから産業系から来るものの割合はどうなっているのか、この点をまず端的に、簡単でいいですから、数字だけ明らかにしていただきたいと思います。
  213. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 現在わが国では日量約十万トンのごみが一般家庭から排出されておりまして、そのうち約六割を焼却いたしております。残り四割が一部の自家処分を除きまして、ほとんどが埋め立てに使われておる現状でございます。  お尋ねの一人一日当たりのごみ排出量でございますが、これは都市によって相当の差がございますが、一応昭和四十五年の実績で申し上げますと、全国平均いたしまして一人一日九百十グラムを排出しております。それで四十七年度の推計といたしまして、一人一日全国平均千三十七グラム、こういう推計を行なっておりますが、ちなみに東京都の二十三区の状態を申し上げますと、一人一日千三百九グラムのごみを排出しております。川崎市におきましては、これは大口を含んで一人一日千二百二十九グラム、こういう実態になっております。  それからプラスチックの混入率でございますが、これも都市により、また年によって相当な変動がございますが、一応四十六年の大都市の平均を申し上げますと、九・六%のプラスチック混入率になっております。四十七年におきましては一〇・五%という推計を行なっております。  なお、ちなみに東京都の二十三区におきますプラスチックの混入率を昭和四十六年の実績で申し上げますと、約八%ということになっております。  それから、ごみ処理場の施設数でございますが、これはただいま先生御指摘のように、昭和四十七年度末におきます実績で約千五百カ所ございまして、正確に申し上げますと千四百七十二カ所でございますが、そのうち、これらの処理場に持ち込まれます家庭ごみのプラスチック量、家庭から排出されるプラスチックの量が約百三十万トン、こういう状態になっております。
  214. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで、特にわれわれが日常使っている歯ブラシあるいはまた食器類、あるいはビニール袋、調味料のびん、あるいはおもちゃ、ポリバケツ等々、いわゆるプラスチック製品の廃棄物の処理は、お聞きいたしましたところによると、たとえばヤクルトのプラスチック容器だけは業者が回収しているようでありますが、その他の業者はどのように回収しているのか、そういうものはないのか、あったらひとつお知らせをいただきたい。これが第一点。  第二点は、事業者に回収させるといっても、いわゆる収集システムが完成しておらない今日ではなかなかむずかしいわけです。したがってこれら焼却する、あるいはまた埋め立てなどで処理されているというんですが、ごみの収集やあるいは処理場の段階で、どのようにこうしたものが処理されているのか、その方法について大要、簡単でいいですから、簡明にひとつお答えをいただきたいと思います。
  215. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) こういった牛乳あるいは乳製品の容器に使っておりますプラスチックは、これは厚生大臣の特別承認で許可を出しておるわけでございますが、昭和四十六年五月以降、こういったものにつきましての対策を講じておりますが、昭和四十八年三月以降におきましては、確実に回収できるという、たとえば、集団給食施設等に使うもののみを許可の対象にいたしておりますが、それ以前に、四十六年五月以降承認いたしましたものが、牛乳及びその加工乳の特別容器として認めておりますのが四十七件、発酵乳、乳酸菌飲料が三十八件でございます。で、今年九月現在におきますこれらの回収率は、牛乳、加工乳におきまして九六%の回収。発酵乳、乳酸菌飲料におきまして七七%の回収率。これは、都道府県を通じましてわれわれのほうが月報でまとめておる数字でございます。それから、これらの一般廃棄物の中にプラスチックが混入いたして回収されてまいるところが大部分でございますが、これらのごみにつきましては、一般の廃棄物と同じように炉のあるところは燃焼をいたしております。それからまた、埋め立ての分は他のごみと一緒に埋め立てに使っている、こういう実情でございます。
  216. 須原昭二

    ○須原昭二君 通産省お見えになっていると思いますが、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリスチレン、塩化ビニール樹脂、これがいわゆるプラスチック製品の原料でありますが、この日本のプラスチック生産量はアメリカに次いで世界第二番目です。四十七年度の生産量が通産省から出ておりますが、資料によりますと五百六十五万七千トン、こういわれております。したがって、廃プラスチックの量も年々増大をいたしているわけです。通産省では、四十八年、——これはまだ承っておりませんから、予想でありますが、百八十六万トンに近い廃棄量が見込まれているといっております。この数値は、四十八年の生産量に対する予想はどれだけになっているのか、この際、お尋ねをいたしておきたいと思うわけです。これが一つです。  時間の関係上、まとめてお尋ねをしておきますが、きわめて膨大な数が、百八十六万トンに近い廃棄量が今度この四十八年出てくるわけですが、焼却すれば、御案内のとおり有毒ガスが出る。燃やせば普通のセルローズ系のごみと比較すると約十倍の発熱量になる。したがって、焼却炉が破壊をされる。だから、焼却はできない。したがって、おのずから自然還元をしなきゃならぬ。しかし、自然還元をしようとしても自然分解をしない。ここで、いわゆるプラスチック公害というものが世にうたわれておるわけでありますが、これらほとんどが、いま、数値が明らかになってまいりますように、この焼却、埋め立てで処理されているというけれども、ほとんどされていないのではないかと実は思っているわけですが、その点を明快にひとつお尋ねをいたしておきたいと思います。
  217. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) まず、第一点でございますが、プラスチックの生産量でございますが、四十八年におきましては五百八十五万トンと見込まれております。それで、なお、先ほど先生申されましたように、廃棄量の見込みは百八十六万トンでございます。  第二点でございますが、この百八十六万トンの廃棄物がどのように処理されるかということでございますが、やはり、焼却、埋め立てということになりまして、その分野が非常に大きいということでございます。で、その他再生利用あるいは熱分解が行なわれておるわけでございますけれども、そのうち再生利用の占める。パーセントは約八・四%という低い比率でございます。これにつきましては、われわれとしましては、この比率をできるだけ将来高めたいというふうに考えておるわけでございます。
  218. 須原昭二

    ○須原昭二君 そこで、私はきょうお尋ねをいたしたいのは、この再生・有効利用の問題です。  いまお話のございましたように、四十八年度予想が八・四%。私も資料をここへいただいておりますが、端的に申し上げましてレジンメーカー、焼却は四万五千トン、そして埋め立てが二万八千トン、再生が三万四千トン、三〇%ですね、これはまあ、原材料ですからすぐ再生ができるわけです。一次加工のほうが、焼却が四万六千トン、それから埋め立てが三万一千トン、再生が七万七千トンですか、これまた五〇%。これまた一次加工ですから素材ですぐ還元ができるわけですね。流通の段階で物がこわれたりなにかする場合、そうした場合は、実は焼却が十一・三万トン、それから埋め立てが九万三千トン、そして再生が二万トン。この流通の段階がごとんと落ちて九%しか出ていない。さらに、製造の二次加工に至っては、さらに中小企業の段階に入ってまいりますから、焼却が六万九千トン、それから埋め立てが五万九千トン、再生がわずか一万トンですね、たった七%です。さらに、これが家庭の段階に入ってまいりますと、焼却が五十万八千トン、埋め立てが四十二万四千トン、そして再生はわずか一万トン、一%です。で、総計をいたしますといまお話しのように八・四%しか再生・有効利用されておらない。しかし、この時点で、四十八年の段階で石油危機が来て、いまこの段階でこれからやろうというならば、私はわかるんですけれども、通産省から出てまいりましたこの資料を見ますと、四十八年、四十九年、五十年、五十一年までこの「廃プラスチックの処分方法別予測」が実は出ているわけです。あと三、四年たってもあまり数値が変わってないわけです。依然として焼却あるいはまた埋め立てをしていこうという方針がここに残って、明らかになってくるわけです。まさしく私はこれが大量生産、大量消費につながっていく、この典型といわなければならないし、これは依然としてここまだ三年か四年続くと、こういうふうに通産省は計算をされておられるように見えていたしかたがないと思うわけです。  そこで、私はひとつ厚生大臣にお尋ねをいたしたいんですが、あの資源のあるアメリカですら、すでに、あれは昭和四十六年にもうニューヨークでは節約令を出している。資源の乏しい日本では初めてこの石油危機が来ていま苦悩に満ちておるわけですが、これは明らかに私は政府の責任だと思うわけです。節約は美徳だといまさら、いまごろ言って合いことばにしようとされておりまするけれども、もっと私は深刻に考えるべきではないだろうかと思います。特に国民に対して、今日までの過去を反省して、そして国民の協力を求めるような、そういう措置を私は当然とるべき段階にきておるのではないか。通産省の資料を見ますると、五十一年でも再生産の率というのは非常に低いわけで、五十一年を見ますると、全廃棄量が二百五十八万九千トン、その中で再生がわずか一六%、この比率ではわれわれは将来が非常に不安である、こう言わざるを得ないわけです。その点で一つ大臣にお尋ねしたいんですが、アメリカでニューヨーク市が節約令を出したように、そういうやはり国民的なPRあるいは自治体の行政指導、そうしたものを私は当然この際起こすべきだと思いますが、大臣の御所見をまず承っておきたいと思います。
  219. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) 日本のように資源が乏しく、ほとんど外国に依存しなければならないような国としては、お述べになりましたようなことは私も全く同感でございます。いままでほんとうに、何でも外国から金さえ出せばもう安く希望どおりの量が入ってくるなんという考え方でこれからの日本の経済を維持していくということは、私はできないと思うんです。特にこのプラスチックのようなものは、焼却炉におきまして焼いても、せっかく焼却炉をつくったと思えばまた焼却炉がこわれちまう。こういうようなことで、いいことはないんですね、一つも。こういうわけでございますから、これは通産省の御所掌かもしれませんが、やっぱりこのプラスチックについては、資源の回収率を高める、それから再生利用をもっと本気になってやり方を研究する、こういうことをやっぱり思い切って前向きにやらなければならぬのじゃないかということを痛感をいたします。したがって、こういう石油危機ような、禍を転じて福となす、こういうふうな絶好のチャンスでございますから、私も通産省にもお願いして、思い切って、こちらも許可するときはもうちゃんと回収できるようにするとか、再生利用をどうするんだといったふうなことについて、前向きに今後努力をいたしてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。
  220. 須原昭二

    ○須原昭二君 大臣の御答弁は非常に同感だと思います。ただ、思うだけではいけないわけで、具体的にやっぱり実行に移さなければいけない。ですから、今後、これから御質問申し上げるのは、その事項です。  プラスチック類をつくるのに原材料の一番初めの素材ですね、ペレット、これ一トンつくるのに実は原油が一・三トン要るんですね。もちろん、言うまでもなく、エチレンとかプロピレンとか、こういうものをつくる石油化学用ナフサ以外に、たとえば揮発油だとか灯油だとか軽油というものが別にはできてくるわけでありますが、ペレット一トンつくるには原油が一・三トン要るわけですね。そういたしますと、プラスチックの実は全廃棄量四十八年度の予想量百八十六万二千トンを全部再生利用したとするならば、仮定をしますと、実は千四百二十万トンの原油の節約につながるわけです。こういう点を考えますと、いま石油危機が強く叫ばれて非常に全国民がたいへんな不安の中に入っているわけです。四十七年度の原油輸入量が二億五千六百八十三万キロリットル。中近東の戦争でその四〇%を占めるOAPECですか、アラブ石油輸出国機構からの輸入は大きく制限をされているわけです。  そこで私は通産省にお尋ねをいたしたいんですが、石油のこの供給削減が四十八年下半期、実は一六%ぐらいの減になるとかねがね中曾根通産大臣も言っておられますし、資料にも実は書いてあるわけでありますが、この一六%の削減は石油化学の製品において考えると一八・二%の実は生産減につながると予想されております。私は、これは多少私から見ると過小評価ではないかと思うんですが、その点はどうなのか、ひとつお尋ねをいたしておきたいと思います。
  221. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) 四十八年下期におきまして、たとえば一六%石油がカットされたという場合でございますが、その場合には、ナフサも同様に一六%カットされたというふうに仮定しますと、本来からいいますと、石油化学製品も一六%ダウンするということでございますが、ここで問題がございまして、電力の問題でございますが、石油化学におきましては買電と自家発電とございまして、自家発電が三分の二を占めております。それにたきます重油が必要なわけでございますが、重油のカット率のほうが少なくありませんとナフサの量とは見合わない。と申しますのは、やはり安全の問題、それから保安の問題ということでございまして、安全操業のためには基礎的に必要とする電力がございまして、それを確保するということからいきますと、重油の確保量がナフサの確保量よりも多くなきゃならぬということがございまして、その重油の不足量を補うために、石油化学から出てきます製品の一部を燃やさなきゃならぬという事態がございますので、先生の仰せのとおり、やはり一八%程度のダウンになるというふうに考えられます。
  222. 須原昭二

    ○須原昭二君 いずれにしても、一八%、一八・二%、まあ、私に言わしむると二割ぐらいの減になるんじゃないかと思っているわけですが、いずれにしても、きわめて憂慮すべき段階に実はきているわけです。そうした現状考えてまいりますと、依然としてプラスチックの廃棄物、これをどんどん土の中へ埋めていくというものの考え方、とうとい資源をみずから目をつぶって焼却、埋め立てをしていくというのは、どう考えてもわれわれは理解ができません。したがって、いま厚生大臣がおっしゃいましたように、何とかこれは再生利用しようじゃないか、この点は当然一致する私は見解だと思います。ただ、廃プラスチックは、排出の形態、あるいは樹脂の種類、あるいはよごれの度合い等が複雑多岐であるということはよく私も知っております。したがって、再生以外の技術はまだ十分完成されていないと、実は通産省の資料には書いてあるわけです。あるいはまた、厚生省資料にも実は書いてあるわけでありますが、実は、私もこうした化学を専攻してまいった立場にありますから、同窓が、多くそういう化学、石油化学の職場に働いております。宇部ニッコウ、あるいはまた三菱モンサントにも私の同窓がおるわけですが、それらと問い合わして聞いてまいりますと、彼らは技術屋として活躍しておりまして、現場で働いておるわけですが、それから聞けば、今日のわが国の技術においては回収、再生はできると。やらぬだけだと。原料がたやすく入ってきたからどんどん使って、そして廃棄してきただけのことであって、やればやれるんだということを実は言っておるわけです。現にアメリカでも、資料によりますと、アメリカのEPAI米国環境保護庁ですか、これによりますと、オハイオ州のフランクリン、湿式分別による物質再生、これはすでに稼働いたしているわけです。こういう現況から見れば、私は厚生省資料による、あるいはまた通産省の資料によっても、そういうことができないんだというような規定のしかたというのは、私はおかしいんじゃないかということをここで指摘をしておかなければなりません。そういう点を考えますと、現に私たちが持っておるところのアメリカの資料なり、あるいはまた、私の同窓が働いている、現実に職場で働いている技術者が言っていることばが、うそであるのかどうなのか、この点を明確にしておかなければならないと思うわけですが、その点はどうでしょう。
  223. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘の湿式分別方法、こういった方法があることは、われわれも文献で承知いたしております。ただいま一般家庭から出ますごみを分別収集すべきか、あるいは混合収集をして、こういった機械的な分別をすべきか、そういった点についても検討を行なっている段階でございますけれども、こういった一つのシステムをつくりますまでの間、われわれといたしましては、一般家庭から出ますプラスチックを再生利用しやすいよう、現段階においては分別収集の方向に向かっている、これが現状でございします。
  224. 須原昭二

    ○須原昭二君 だから技術は、そういう回収、再生するという技術は、確認できますね。
  225. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 承知いたしております。
  226. 須原昭二

    ○須原昭二君 分別収集の問題については、後ほど私はお尋ねをいたします。  したがって、やればできるんだ、そこに資源を大切にするというものの考え方は、——国民の中に、消費は美徳だと、これが通念となっておって、いまさらになって、節約は今度は美徳になってきたわけだ。これをもっとやっぱり徹底するためには、みずから政府自身が反省をし、政府自身が資源を大切にしなければならないという熱意に燃えなければならないと思うんですが、厚生大臣、どうでしょう。
  227. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) おっしゃるとおりだと思います。
  228. 須原昭二

    ○須原昭二君 お認めになりました。  そこで、最近私は、名古屋あるいはまた東京の夢の島ですね、あの埋め立ての処理場を見てまいりました。そうすると、古いビールのポリ箱、ポリバケツ、ポリの製品、そうしたものを山ほど積んで、それをトラクターが踏みならしておるわけですね。どんどん埋めている。全く私はとうとい資源が永久に土に埋もれていく姿をまざまざとこれは見せつけられてきたわけです。  そこで、私は端的に具体的な例を引いてお尋ねをいたしますが、ビールのポリ箱ですね、ビールを入れる箱、二十本入り一個、私、目方をはかってまいりましたら、約三キログラム、これをつくるには、先ほどの話じゃございませんが、一・三倍掛けりゃいいんですから、四キログラムの原油が要ることになるわけです。ビール会社当局は、二十本入りのこのビールのポリ箱、これを購入するときには、初めつくったときは、たしか七百円ぐらい——三菱化成が初めてつくったんですが、現在四百五十円でできるようになったそうでありますけれども、この箱を実は購入するときは、このビールのポリ箱というのは実はサービス品で、ビールが一本百六十円で、二十本入っておりますから、三千二百円払うとただでどんどんこれを入れて持ってくるわけです。御案内のとおりです。しかし、ポリが不足してきた、品不足になった、ポリ箱の回収率もよくない。近く業者は、このサービス品であったこのポリ箱を、実は一個千円つけて売れば、みんなもったいなくて今度は回収をするであろうということで、内々何かいま相談をしているそうです。私は内部の、中の声を聞いておるんですから、千円つけた、千円でこれを売買するというんですよ。そうしたら、たとえば、年の暮れです、いま。贈答品にみんな使うんだ。三千二百円で二十本入りのビールを贈答、お贈りするのに、四千二百円かかるんです。こういう現況に至っておるということを、まずこの場で明らかにしなきゃなりません。まさにこれは便乗値上げだと。各社がこれは提携をして話し合っておるとするならば、これは公取違反です。この点は直ちにひとつ通産省において——厚生大臣お見えになりますが、きょうはほんとうに中曾根さんぐらいに言いたいんですけれども、ひとつ厚生大臣からも、特に中曾根大臣にお話しをいただいて、そういう便乗値上げをしないようにしていただきたいということを一つ申し上げておきます。  一方において何をやっているかというと、それだけ貴重なポリ箱を、実は中小企業が、プラスチックの材料がないために、このポリ箱をどんどん集めて、実は片一方でたたき割っているんです。そうして、再生して原材料に供しているところがたくさん出てきているんです。もちろん、言うまでもありません、この品不足、特に原料不足で、先ほども社会福祉施設に重油が燃料としてなかなかおりてこないという話を聞いたわけですが、末端に行けば末端に行くほど、どこで消えるのか薄くなっていくわけです。中小企業の段階まで、原料不足がもう端的にあらわれている。したがって、材料がないために操業を実は短縮をしなきゃならない。仕事があっても、材料がないから休まなければならない。材料があっても、不足高のために収支が合わないということで、みすみす倒産のうき目にいま、さらされているのが現況なんです。  そこで私はこの際お尋ねをいたしておきたいことは、何かそのプラスチック処理促進協会という協会ができておるそうでありますが、ここで事業促進をやられておるといわれておりますが、何をなされておるのかということが一つ。  プラスチックの有効利用業者がまだ組織されていない、あるいはまた収集システムが、先ほどの分別あるいは混合の収集のシステムが確立してないとすれば、——実はそう言っておられますけれども、この廃プラスチックの有効利用業者が少ない。しかも、中小企業、零細企業が多い、中小企業は回収に手間どらないきれいなものだけ、きれいなものだけ手がけて、たとえば古くなったものだとか、砂がついているようなものはなかなか再生が、洗ったり何かと手間がかかるから、労賃がかかるからと、これは無視をしておる。こういう実は現況にあるわけで、はたして有効利用業者の育成についてどうお考えになっておるのか。私は、この際、通産省にお尋ねをいたしておきたいんですが、たとえば、再生処理利用施設、こうしたものの割り増し償却といいますか、あるいは固定資産税の減免といいますか、あるいはこれらの施設に対する再生——とうとい資源をさらに復活をさしてくれるんですから、こういうものの団体に助成、補助金を出すとか、あるいはそういう利用施設をつくる場合には利子補給をするなどとか、こういう具体的な育成をつとめる段階に私は来ておると思うんですが、それらに対してどうなんですか。私は、再生はしなきゃならないという大臣のお気持ちよくわかりました。しからば、こういう具体的な措置に対してどうお考えになっておるのか、お尋ねをいたしておきたいと思います。
  229. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) まず、最初のプラスチック処理促進協会の点でございますが、これは四十六年からプラスチック処理促進協会ということで発足しておりまして、四十七年に社団法人の形態になっております。で、行なっております事業といたしましては、廃プラスチックの処理、有効利用技術の研究開発、それから廃プラスチック処理、有効利用技術の普及という仕事、それから廃プラスチックに関します各種の調査、情報の収集ということ、それから廃プラスチックの有効利用業者に対します債務保証といった仕事を行なっております。あとの点でございますが、廃プラスチックの再生業者の問題でございます。これは先生仰せのとおり、中小零細企業が非常に多いということでございますが、プラスチックの再生利用の重要性にかんがみまして、まず、中小企業金融公庫とか、公害防止事業団から融資の措置を行なうということを今年度から開始しております。  それから、税制の問題でございますが、廃プラスチックの再生利用施設につきまして、取得後五年間五割増し償却ということを来年度の税制改正として要求しております。それから、同じく再生利用施設につきまして、取得後五年間固定資産税の課税標準を三分の一に軽減するという措置を四十九年度要求しております。これは再生利用施設でございますけれども、そのほか、廃プラスチックのそのほかの処理施設につきましては、すでに特別償却なり固定資産税の非課税なりの措置がとられております。それから、なおこれらの中小再生利用業者が必要とします機械設備の設置費でございますが、これにつきましてはプラスチック処理促進協会におきまして債務保証を行なっておりまして、この債務保証のための基金といたしまして、国から補助金を出しております。  以上でございます。
  230. 須原昭二

    ○須原昭二君 いろいろやっておられるように見えるんですけれども、実は末端のほうには何らおりておらないんです。ここにやっぱり問題点が一つ、この協会を通じてやっているのか、政府が指導されているのかわかりませんが、組織されておりませんから、あるわけです。したがって、末端におりてないんです。ですから、さっそくこの業者というものを組織化させることがまず前提でなくてはならぬ、その上に協会があって適切に指導する、こういう体制に早くいかなければならないと思うんです。いま要求をされている、予算要求をされていることはよくわかったんですが、あくまでもそれは予算要求であって、削られるかもわかりません。ですから、厚生大臣、ひとつそれはね、きょうは中曾根さんお見えになりませんけれども厚生大臣がかわって聞いていただいて、ぜひともこういうものに力を入れるようにお願いをしておきたいと思います。とりわけ、いま中小企業が、一般的にいえることは、大企業が先行投資をやって大きな工場にした。自分のところも下請で工場を広げた。そうしたら金融引き締めになった。公定歩合は引き上げられる、自分たちが借りているお金ですら返せないのに、新たな再生利用施設をつくろうと思ってもそれはたいへんなことなんです。よほど公定歩合の問題、利子の問題あるいは利子補給の問題等々考えなければ、私は太鼓をたたいても借りてやろうというよう気持ちには、いま業者は萎縮しておりますから、よほど慎重に大幅に援助の手を差し伸べなければならないということを特にこの際要望しておきます。  問題はもう一つあることです。先ほど局長がおっしゃいましたように、たとえその再生利用施設ができても、いかにして収集するかということが一つ問題点になってくるわけでありまして、そこで厚生省にお尋ねするわけです。収集システムが確立しておらないところに問題が一つある。そこで、私はこの間、議員会館に、宿舎に入っておったわけですけれども、「ごみ分別収集のお知らせ(燃やしてはいけないごみを別にとること)」「プラスチック、ゴム、皮類のゴミは、清掃工場で燃やすと、有害ガスが発生するなど公害をおこすおそれがあります。」、したがって、プラスチックやあるいはゴムや皮やその他のものは別にして収集しますと。これは案内状です、知らせが来ているわけですね。名古屋でも、私の地元でもいま月に二回とかいってやり出しました。しかしいま考えますと、厚生省からもらいました資料によりますと、分別収集をやっているところは、百万都市、百万人以上の大都市でほとんどが一〇〇%混合収集ですよ。五十万から百万の都市を調べてまいりますと、四〇%しか分別収集をしていない。ましてや十万から五十万の都市は五八%しか分別収集していない。こういうよう状態なんですね。混合収集をやっている以上、私はとうとい再生されるべき資源も埋め立てのうき目を見るのも当然であると。そこで、まず私は、東京都がやっているように、各自治体がこういうものを徹底させるように、まず厚生省はPR作戦をやっぱり展開をすべきだ、これをひとつ要請をしておきます。しかし、ただPRをするだけではいけないわけです。自治体がやる場合には、分別収集をやれば労働力も倍かかるわけなんです。したがって、その分別収集を財政補助をして地方自治体に義務づけるというか、法律でやっぱりそれは規定をするとか、あるいはまた、現在の段階でも、法律ができるまでは行政指導を強めるというような、こういう具体的な方法が私はあると思うのです。こういう点については全然触れずに、ただ、分別収集をしなさい、しなさいというかけ声だけでは私は足は進んでいかない。こういう点について具体的に厚生省はどうお考えになっておるのか。
  231. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘のように、この廃棄物を再利用し、資源として再利用する一つの方法といたしまして、分別収集ということが非常に大きな有力な方法であるということは先生のおっしゃるとおりでございまして、しかしこれは歴史的に見ますと、かって分別収集を大部分の都市が行なっておりまして、一時混合収集にこれが切りかわってまいりまして、また最近再利用という観点から分別収集のほうに移っている、こういう歴史的経過があるわけでございますが、この分別収集をやります場合に、ただいま先生御指摘のように、輸送経路が二倍になるとか、そういったいろいろな問題がございます。そのほかに、まあ、住民の協力が前提になるとか、あるいはまた、再生の技術的な問題あるいは再生製品の販路の確保と申し上げましょうか、そういったいろんなまだ未解決の問題も残されているわけでございまして、これらの欠点をできるだけ早く除去いたしますよう関係各省庁とも連絡をとりまして、分別収集の方向に進んでまいりたいと、このよう考えております。
  232. 須原昭二

    ○須原昭二君 いや、私は具体的に聞いているんですよ。やはりかけ声だけではいかぬというんです。行政指導だけではいかぬというんです。やっぱり地方自治体も金がかかるんですから、したがって財政補助をするなり、そういう反面、やはり法律で縛っていくというような強制権を出さなければ、なかなか私はこれはできぬと思うんです。その点を指摘をしているわけで、きょうはたまたまプラスチック、石油化学製品についての再生についてお話ししておるわけですが、その中にも、ゴムもございますでしょうし、あるいはトイレットペーパー不足といって、騒動がございました、パニックがありましたけれども、紙の収集についても同じことです。こういう仕事は、一般の民営の企業はできないわけです。行政がタッチして、行政権限で措置をしない限り、私は進まないと断定してもはばからないと思うわけですが、そういう点で申し上げるならば、収集システムが確立しておらないから、このまあ、技術が開拓をされておってもなかなか物が来ぬからしようがないわというようなほかり方で報告書が書かれているようでは、これは明らかに政府の怠慢である、政府の責任のがれであると言わざるを得ないわけです。したがって、ぜひひとつ具体的に、法律なら法律で義務づける、義務づけると同時に、それに対する財政補てんはするというような明確な方針を出していただきたいと思うんですが、その点、厚生大臣、ひとつ明確なる意欲ある答弁をお願いをしたいと思います。
  233. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) これは実は、そのプラスチックだけではなくて、いまお述べになりましたように、紙の問題、それからテレビなんかもモデルチェンジばっかりやっておりますね。大型のごみ、そういうのはみんな厚生省引き受けろと、こういうわけですね。やっぱりこの辺はほんとうにこれは考えなければならぬ問題だと思いますし、それをほんとうに真剣に取り組まなければならぬ時期だと私は思います。きょうは須原委員から、私はほんとうに貴重な意見をお聞かせいただいて、感謝をしておるわけでございます。  そこで、どうしてもやっぱり、紙にしても、こういう。プラスチックにしましても、回収をするルート、組織・そういうものをはっきりさせる。そして、それと同時に、それを利用する工場にそれをどうやって結びつけていくか、そういうことを、これ、一連のものとして考えなければならぬわけだと思うんです。私のほうはごみを集め、通産省のほうはこのごみをいただいて、また再生利用をすると、こういう工場がちゃんとできなきゃだめですね。そういうふうなルートをはっきりさせるようやり方とにらみ合わせながら、そして、そういうものを組織化していくルートをはっきりさしていく、そういうものを十分にひとつ検討しなければならぬだろうと思います。で、幸いにうちにも、産業廃棄物の処理を今後どうやっていくか、大型のものをどうやっていくか、まあ、さまざまなことを考えなければなりませんので、その懇談会をつくっているわけです。その懇談会には、先ほど来お話のありまするプラスチック処理促進協会の会長さんも実は入っているわけでございますから、単に厚生省はいままで、ごみを集めて埋め立てるとか、焼却するとか、そんなことばっかりやっておりましたけれども、やっぱり今後は、この資源を再活用するという観点に立ってごみ処理行政というものを基本的に見直す必要が私はあると思います。通産省と十分連絡をとりながら、やはり根本的な見直しをやってまいる所存でございます。したがって、いますぐ法律でどうのこうのというお話でございますが、やっぱり組織をはっきりさせませんと、すぐ法律だけつくっても、これはどうにもなりませんから、やっぱりそういう組織づくりと相まって、そして法律的に必要があるならば法律をつくると、こういうことになるんじゃないかと思いますが、確かにいままでの厚生省は、従来のごみ処理といったふうな考え方だけできましたが、やはり今度は、資源の再活用という観点から出直すようなつもりで検討をしてみたいと思います。
  234. 須原昭二

    ○須原昭二君 まあ、くどいようですけれども、やはり家庭から出てくる廃プラスチックは行政的に収集する以外に道はないということです。それからもう一つは、いまお話がございました十一月五日からできました産業廃棄物処理懇談会、これは厚生大臣の諮問機関でありますが、何かこの名前を聞きますと工場から出てくる廃棄物ような感じがしますから、一般家庭の中から出てくる粗大なプラスチック等々の廃棄物も一緒に考えような、そういうぼくは諮問機関にしていただきたいと、どうも陣容を見ますと産業界の方ばかりであって、やっぱり庶民の皆さんの代表がこの中に入っておらないわけですね。そういうところで広範な人たちの意見を一ぺん、直ちにひとつ厚生大臣諮問をしていただいて、組織的にも、技術はもう確立しているんですから、こういう人を行政的にどうやって集めるかということを真剣に早く考えてやっていただきたいと思います。とりわけ石油危機がやってまいりまして、石油化学製品の原材料の不足は一そういま深刻になってきているわけです。特に、ああした再生業者というのは小さな企業でありますから、もっと政府の力で大きくして、そうして大挙やれるような体制に持っていく、そうして、いまこそ消費は美徳を、今度は節約は美徳だと、こう政府自身が、田中総理自身が名前を、表現を変えられました。まあ、古いことばで恐縮でありますが、資源愛護といいますか、極端な話がそのくらい徹底しなければ私はいけないじゃないか。聞くところによりますと、何か産業廃棄物処理の段階でプラスチックはどこか夢の島の一定の一画にどんと一定のところに埋めておけば、いつかまた復活できると、こういう安易な気持ちでどんどん埋められておるというようなことをちょっと私は耳にはさんでおるわけですが、そういう何か他日に、余日に、次の日に仕事を残していくというようなものの考え方というものは、どうしてもこの際払拭をしていただきたい、こういうことを特にこの際要望しておきます。  特に、社労の委員会でありますから、いま医療機関で内科あるいは小児科のシロップ剤あるいは皮膚科、耳鼻咽喉科のプラスチック系の容器入りの軟こう、あるいは眼科の点眼剤、これは実は中身、原材料はあっても容器不足でいま品不足になっておるわけです。こういう点から考えますと、もうこのプラスチックの問題というのは、もはやわれわれの全生活を支配しておるといっても私は過言ではないと思うわけであります。ことさらに私は強調しておきたいと思うわけです。特に、プラスチック材でも私は、たとえば口の中に入れるものの容器をつくるのは初めのペレットですね、一番新しい質のいいものでつくるのは当然のことです。しかしながら粗雑でもいいようなものまでりっぱなプラスチックを使っているんですね、たとえば先ほど申しましたビール入れのポリ箱あるいはちり紙や汚物などを入れるポリバケツ、こんなものは新しいペレットを使わなくとも、回収、再生した材料でつくれば私はいいんじゃないかと思うんです。私も最近、酒の販売の関係で調べてみました。アサヒのビールを見ますと、ビールのポリ箱は薄い黄色なんですよ。それからサントリーは緑です。それからサッポロはわざわざ赤にしておる。キリンは黄色ですよ、それでまちまちなんです。ビールのびんですら、キリンはいまでも自家専用でありますけれども、他社、アサヒ、サントリー、サッポロ、これは全部お互い交流をして融通し合っているわけです、同じびんを。ビールのポリ箱なんか回収、再生した、悪いというと語弊がありますが、質の落ちるもので私はいいじゃないか、初めから透明にできるものをいろいろ色をつけて使っておる。たとえ品質が落ちてポリ箱が悪くても、たとえば極端な例でまっ黒な色をしておったってビールの味には変わりはないと私は思うんですよ。そういう点を考えれば、たとえ品質が落ちても、こんなポリ箱やポリバケツというものは、この際私は、品質は落ちてもいいような行政指導をやっぱりきちんとすべきだ。そうするためには、たとえばビールのポリ箱なんかは各社が一緒にやらなければ、おれのところだけいいきれいなものを出そうとすれば、これは比較対照されますから、特に私は通産省にお願いをいたしたいんですけれども、このビールのポリ箱なんか回収材料でつくって私は当然じゃないか。もちろん回収材料にしますと、粗雑になりまして素材がもろくなる、こういう要素はあります。しかしながら、新しい材料と古い材料とをミックスしていくというような、そういう技術的な配慮によって、このビールのポリ箱なんかをつくらせるというような行政指導が当然ではないか。そういうところに資源の浪費を少なくしていく要素があるわけであって、何かビール会社だけにそれをまかしていくということじゃなくて、それをある程度規制をしていくというような、そういう考え方に立たなければならないと思うんですが、そういう点はどうなるんでしょうか。たとえば、いま端的に申し上げますが、アサヒのポリ箱が一番薄い色しているんです。だから、これを中小企業がみんな集めてきて、ボンボンボンボン割って、もう一ぺん熱加工して再生をしてほかのものに使っているというのが現況なんですよ。ですから、アサヒだけやれったってこれは無理なんです。みんな一緒にして同じポリ箱に切りかえるというような英断をしなければ、この浪費は私は絶えないと思うわけですが、そういう点、通産省はどういうふうにこのビール会社を御指導しておられるのか、この点を明確にしておいていただきたい。
  235. 宇都宮綱之

    説明員宇都宮綱之君) ビールのポリ箱でございますが、これは御承知のとおり、ビールビンのような重いものを入れまして、かなり乱暴に扱われるということもございまして、強度を要求されるわけでございます。したがいまして、この強度の点からいきますと再生プラスチックではちょっと不足であるという問題がございます。  それから、回収プラスチックと新しいものとをまぜて使ったらどうかという点でございますが、これも試験を行ないましたところによりますと、やはりもろきがあるということでございまして、したがいまして、このビールのポリ箱は新しいプラスチックでないとむずかしいということでございます。しかしながら、回収プラスチックの中にも純度の高い、たとえばレジンメーカーあたりから出てくるものがございますので、これにつきましてはビールのポリ箱に使えるということでございますが、ただ、レジンメーカーから出てきます量には限度がございまして、量的には非常に少のうございますので、量的にはなかなか確保はできないと思いますけれども、利用はできると思います。  それからビールのポリ箱を各社別に色分けしないで、同じものにして融通し合ったらどうかという点でございますが、この辺は確かに先生のおっしゃるとおりでございますが、いまのところ各社は自社の特徴と申しますか、宣伝も兼ねてそういう特徴を出しているのだと思いますけれども、その点は、今後早急に検討していかなきゃならぬ点だと思います。
  236. 須原昭二

    ○須原昭二君 ひとつ、それはぜひともやっていただきたいということと、まあ、たまたまビールのポリ箱だけを取り上げたわけですが、ポリバケツ等々やはりあまり口に入らない、われわれの衛生に関係のないものは、どんどんそういう分別をしていくというような、品質を別にしていくというようなものの考え方に立ってこれば通産省はひとつ御指導願いたいと思います。とりわけ、この資源問題が非常に叫ばれている今日でありますから……。  いま、なお一つ落としておりますが、先ほど申し上げました業者の中で千円にしようとしているんです。三千二百円で買えるものを今度はポリ箱もビールの代金の中に入れて、あの箱を二十本入りを買いますと四千二百円にするといって、いま下の業者がワアワア騒いでおります。事前にチェックしなければなりません。前例はあります。御案内のとおり、サイダーは三十本入り二百円にこの前したんです。ですから、やる可能性は十分にある。だから、この点は厚生大臣、ぜひともとめていただくようにひとつお願いをいたしたいと思います。  いずれにしても、きょうはまあ、通産、厚生両方にわたりますけれども、通産の幹部の皆さんはお見えになりません。どうぞひとつ、厚生大臣は少なくとも石油問題閣僚懇談会の有力なメンバーですから、ぜひともこの閣僚懇談会の中で、この問題をもう一ぺんひとつ御発言をいただいて、適切な措置を講じていただきたい、特にお願いをしておきます。  資源の復活といいますか、回収といいますか、いまこそ、私は日本国民が、あるいは官民一体になって、やはりこの資源の再認識をするという時点にあると思います。ですから、私はきょうは与野党のという問題点ではなくして、ぜひとも行政的にきちんと位置づけて徹底をさせる。これはまた、廃プラスチックは土の中に埋めておけばいつか使えるというようなものの考えに立たないように、特にひとつ要望しておきたいと思いますが、最後に中小企業の問題、材料不足の問題、これら資源の回収の問題について総括をして、厚生大臣から、田中内閣を代表してひとつ御見解を承っておきたい、こう思います。
  237. 齋藤邦吉

    国務大臣齋藤邦吉君) まあ、田中内閣を代表してというわけでもございませんが、確かに今回の石油危機というのはこれはもう絶好のチャンス、禍を転じて福となす絶好のチャンスだと思います。国民ほんとうに資源というものに対する認識を新たにしたと思うんです。ただ、新たにしただけじゃだめなんですから、やっぱりこれを機会に、きょうなど私、ほんとうに貴重な御意見を聞かせていただいて、私も非常に感心をし、感謝をしておるわけでございまして、やっぱりこの問題については、厚生省サイドにおいても前向きに、真剣に取り組んでいくというふうにしなければならぬと思いますし、お述べになりましたよう趣旨は通産大臣にも十分御連絡を申し上げる考えでございます。
  238. 小平芳平

    ○理事(小平芳平君) 本調査に対する本日の質疑は、この程度にとどめます。本日はこれにて散会をいたします。   午後五時二十七分散会      —————・—————