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1974-04-26 第72回国会 参議院 災害対策特別委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十六日(金曜日)    午後一時七分開会     —————————————    委員の異動  三月二十三日   委員濱田幸雄君は逝去された。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         秋山 長造君     理 事                 川野辺 静君                 中村 英男君     委 員                 古賀雷四郎君                 柴立 芳文君                 桧垣徳太郎君                 八木 一郎君                茜ケ久保重光君                 宮崎 正義君                 塚田 大願君    政府委員        建設省住宅局参        事官       山岡 一男君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        総理府総理大臣        官房参事官    杉岡  浩君        文部省管理局教        育施設部長    柏木健三郎君        文部省管理局教        育施設部指導課        長        大井 久弘君        農林省農蚕園芸        局農産課長    工藤 健一君        水産庁漁政部協        同組合課長    剱持 浩裕君        水産庁漁政部沿        岸漁業課長    平井 義徳君        水産庁研究開発        部開発普及課長  榎本愼太郎君        気象庁海洋気象        部長       土井 謙二君        気象庁海洋気象        部海上気象課長  坂田初太郎君        建設省河川局傾        斜地保全課長   大工原 潮君        建設省住宅局建        築指導課長    佐藤  温君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○災害対策樹立に関する調査  (豪雪による学校体育館倒壊に関する件)  (流氷による魚介類被害対策に関する件)  (豪雪地帯の消雪対策等に関する件)     —————————————
  2. 秋山長造

    委員長秋山長造君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  この際、豪雪による学校体育館倒壊調査について、政府から発言を求められておりますので、これを許します。柏木文部省教育施設部長
  3. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) 山形県の豊田小学校雪害調査について御報告申し上げます。    山形東村山中山町立豊田小学校雪害調査報告  一、被災建物の名称 豊田小学校屋内運動場  二、被災日時 昭和四十九年二月十二日午前十一時三十分頃  三、現地調査日 昭和四十九年三月五日  四、調査者 文部省管理局教育施設部指導課文部技官 片倉茂助成課文部技官 野崎稔雄  五、被災校概要  (一) 所在地 山形東村山中山大字土橋六百四十五番地  (二) 学校規模被災時) 児童数三百七十二人 学級数十二学級うち特殊学級一)  (三) 敷地面積昭和四十八年五月一日現在)一万四千七百四平方メートル  (四) 建物保有面積 校舎二千九百七十八平方メートル 屋内運動場千二百八十二平方メートル 合計四千二百六十平方メートル  六、被災建物概要  (一) 用途 屋内運動場  (二) 構造 鉄骨造平家建(一部二階建)  (三) 建築年 昭和二十九年  (四) 設計者秦伊藤建築設計事務所  (五) 施工者 山形建設株式会社  (六) 工期昭和二十九年八月二十二日−十二月二十五日  (七) 設計内容 柱高六メートル、小屋組平行弦トラスラチス柱屋根造下地亜鉛鉄板瓦棒葺、外壁−木造ラス下地モルタル塗。内壁−立羽目板張油性ペンキ塗及び木摺下地しっくい塗。天井−直打木毛セメント板張り。スパン−梁間方向二十一・六メートル、桁行方向四十・五メートル  七、被災日気象状況中山役場調)  (一) 気温 日平均マイナス三・八度C、最高マイナス〇・九度C、最低マイナス九・二度C  (二) 風向及び風速 十分間最大秒速六メートル南の風、瞬間最大秒速八・二メートル南の風  (三) 降雪 三センチメートル  (四) 積雪 七十センチメートル、なお、山形地方気象台の推定によると被災当日の豊田小学校における積雪は約百十センチメートルである。  八、調査結果  (一) 積雪量および雪の重量    被害当日における屋根面積雪量は、山形教育委員会報告町当局からの事情聴取被災写真気象関係資料被災現場状況等から判断すると、屋根面南側で約八十センチメートル同北側で約百三十センチメートル程度であった。なお雪の重量は二月二十二日(被災後十日目)における被災建物附近で測定した結果によると、一平方メイトルにつき高さ一センチメートル当たり三・四五キログラム。  (二) 雪おろし    雪おろしについて当該校では、児童出入頻度の高い個所から順次作業を進め、一月二十二日から二十五日にかけて教室、便所、給食室を、二月九日に渡り廊下作業をそれぞれ完了し、被災建物をその次に計画していた。  (三) 設計    当該地区の過去の最深積雪および雪おろしの習慣があること等を考慮すると、構造計算において積雪量を一メートルとし屋根面一平方メートルにつき二百キログラムを長期応力算定用荷重としていることは建築基準法施行令第八十六条の規定に合致しており、山形建築主務課指導にも適合している。    また、構造計算の過程および構造設計について調査したところ柱材梁材の一部に長期許容応力度を超える部材が認められるが、いずれも短期許容応力度以内となっているので、設計荷重程度荷重には耐え得るものと考えられる。  (四) 施工    設計図被災建物とを照合した結果建物の形状、寸法、各部の仕上、使用部材の大きさ等にそごはなかった。  (五) 被災状況    被災状態についてみると、屋内運動場主室部分積雪量が多かった北側の柱および梁の座屈により、梁の北側床面まで圧壊落下し、全壊状態となっているが、屋内運動場出入口、物置、ステージ等の二階建部分間仕切壁のある部分屋根は直接破壊されていない。  なお、同建物北側に附属していた木造渡り廊下は、屋内運動場主室部分全壊に伴ない同時に全壊し、同じく北側に附属していた木造器具倉庫屋内運動場主室部分との接合部分が分離されたため半壊状態にとどまっている。  九、所見    被災原因を推定してみると、被災当時は風速六メートルの南風があったうえ屋根面南側北側での積雪量の不均等による偏荷重がかかり、しかも屋根北側において設計上の長期荷重の約一・九倍の荷重がかかったため柱および梁の構造部材許容応力度限界を超え座屈破壊されたものと考えられる。  また、雪おろしについては、人手不足のためすみやかな実施が困難な状況にあったと聞いているが、当該学校については計画的に実施されており、管理上重大な過怠はなかったものと考えられる。  したがって以上の諸点を勘案すると、本件は通常予測し得ない大きな積雪荷重によって生じたものと思料される。  以上でございます。
  4. 秋山長造

  5. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) お手元に簡単な報告書の抜粋をお配りしてございます。ゼロックスの写し書きでございます。  ただいま文部省のほうから御説明になりましたこととほとんどが重複いたしておりますが、3、に書いてございます現地調査日建設省担当官は、昭和四十九年二月二十二日に現地調査をいたしております。調査に参りました者は建設省建築研究所第一耐震工学室長渡部丹主任研究員室田達郎両名でございます。  それから調査結果のところで積雪及び雪の重量設計施行等につきましては、いずれも文部省の御説明と同じでございますが、二枚目の紙の(4)所見というところに調査結果をまとめております。「倒壊の主原因は、設計積雪荷重の約一・九の過荷重が加わったことにある。しかも、北側にに偏心過荷重となったため構造部材許容応力度限界を大きくこえ倒壊にいたったものと考えられる。従って、標記建築物倒壊は通常予測し得ない積雪荷重によって発生したものと思料される。」  以上でございます。
  6. 秋山長造

    委員長秋山長造君) ただいまの報告に対し質疑のおありの方は順次御発言願います。
  7. 宮崎正義

    宮崎正義君 たいへを詳細なしかも綿密な調査がなされましたことを深くお礼を申し上げます。  私ここでちょっとお伺いしたいのは、先ほどの御説明がありました設計上のことの構造計算において積雪荷重というものの見方、建築基準法施行令の八十六条の説明がございましたけれども、この八十六条のことにつきましてはいまさら申し上げることはないと思いますが、念のために私は八十六条を見てみますと、第八十六条「積雪荷重は、積雪単位重量にその地方における垂直最深積雪量を乗じて計算しなければならない。」これがその原則になるわけであります。したがって、文部省のほうの説明で、地元山形県でもこの積雪量に対しては調査のものと間違いはないというような御答弁があったように思うのですが、この八十六条のいま申し上げましたところに違いがなかったかどうか、この点を確認をしておきたいと思います。
  8. 山岡一男

    政府委員山岡一男君) お手元にお配りしております調査報告書で、先ほど朗読を省略いたしましたが、7、調査結果の中の(2)設計というところがございます。ここで「構造計算においては積雪荷重を一平方メートル当り二百キログラム」これはかっこで書いておりますが、「(〔積雪量一センチメートルごとに一平方メートルにつき二キログラム〕×〔一メートル〕)」ということで二百キログラムという計算をしたということを示しております。これは八十六条の規定に適合しておるということになっております。
  9. 宮崎正義

    宮崎正義君 この項目を二項、三項、四項とそれぞれございます。いまの積雪量の「一センチメートルごとに一平方メートルにつき二キログラム以上としなければならない。ただし、特定行政庁は、規則で、建設大臣の定める基準に基づいて多雪区域指定し、」となっております。これは多雪区域としての指定があったところですか。
  10. 佐藤温

    説明員佐藤温君) 山形県の場合には積雪荷重の取り扱いにつきまして規則によります多雪区域指定をしてございません。しかし、確認審査における内規で多雪区域と同等の積雪荷重をとらせるように指導をいたしておるように聞いております。
  11. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は将来のために質問をしているわけでありまして、条文で明らかに「特定行政庁は、規則で、建設大臣の定める基準に基づいて多雪区域指定し、その区域につきこれと異なる定めをすることができる。」というふうになっております。この点も将来やはり指定をしていくような形でなければならないと思うんです。それと同等とみなすというのは法文の上からいってちょっと疑義があるように思います。その点も将来のために私は申し上げておきたいと思うんです。  それから三項の「第一項に規定する垂直最深積雪量は、実況に応じた数値特定行政庁規則でその数値を定めた場合においては、その定めた数値)としなければならない。」と、このように出ております。この点については規則で定められたものであったというふうに私はみなしたいと思います。  問題なのは、第八項にございます。第六、第七もずっと関連をしておりますから、第六項、第七項もずっと読んでいかなければわかりませんけれども、時間的な問題でこれは省略させていただきまして、第八項の「前項の規定により垂直最深積雪量を減らして積雪荷重計算した建築物については、その出入口、主要な居室又はその他の見やすい場所に、その軽減の実況その他必要な事項表示しなければならない。」と、こうなっております。これが実行されていたかどうか、この点についてお伺いいたしたいんです。
  12. 大井久弘

    説明員大井久弘君) 私どものほうで調査いたしましたところでは、この建築基準法施行令第八十六条の第八項の事項につきましては、これは昭和四十五年に施行令が改正になりまして新たに追加された項目でございまして、この建物が建設された当時、二十九年ですか、におきましてはこの規定がございません。したがいましてこの規定の適用を免れているものと考えておるところでございます。
  13. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは、私、過去の建物であろうがどうであろうが、将来、明確にしていかなきゃいけないんじゃないかと、こう思うわけですが、その点はどうなんですか。
  14. 大井久弘

    説明員大井久弘君) 人手不足のために除雪が非常に困難な状況にあるということは十分承知しております。したがいまして、学校施設指導上、体育館のようなものにつきましては積雪量表示するということは今後ますます必要なことであろうかと考えております。したがいまして、今後、私どもといたしましては、この点については十分趣旨徹底をはかり指導してまいりたいというふうに考えているところでございます。
  15. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは完全に実施しなければ、せっかく法があってもその法を無視するという形態にもその他のことにも考えられてまいりますので、その点は十二分にいまの御答弁を実行に移していただきたいと思います。と申しますのは、人的事故が起きた場合、これは取り返しのつかないことになりますし、また、建物にしましても、国民のとうとい血税によってつくられていったものであると同時に、そういうもろもろのことを考え合わしてみましても、当然、前の建物だから、それが、新しい法律ができたから以前のものは条文に該当するとかしないとかいうことじゃなくって、つくられたということはそうしなきゃ事故は防げないんだと、そうしなければ事故対策を講じられないんだというたてまえで法律あとからつくられてきているわけですから、そういう点を十分に考えていかなきゃならないと思います。もう一回重ねて将来のためにお伺いしておきます。
  16. 柏木健三郎

    説明員柏木健三郎君) ただいまの御指摘につきましては、まさに、私たちも今回の事故を契機としまして、おそ過ぎるきらいはございますけれども非常に反省しているところでございます。実は、この災害がありましたあとではございますが、三月の末に特豪地帯の一道十一県の学校施設関係者急速文部省に招集いたしまして、こういった事故が再びないように、現在持っている、特に体育館維持管理であるとか、あるいは、これからの設計上の留意事項であるとか、そういったことにつきまして会議を開きいろいろな事情聴取もいたし、御指導申し上げたわけでございますが、その際も、御指摘のありました積雪量表示ということにつきましては、文部省のほうからもぜひこれを励行するようにということで申し上げたわけでございます。今後とも、このことは非常に大事なことと思いますので、ぜひこの趣旨徹底をはかって指導してまいりたいと思います。
  17. 宮崎正義

    宮崎正義君 その他、こまかい御親切ないろいろな資料をそろえて、計算資料等も、第一資料・第二資料と、いろいろ、風圧力問題等のことも渡してくださいましたので、一応、御報告どおり状態であるということを、私は——これは私自身が認めることになるわけですけれども、よろしいんじゃないかとも思います。ただ、同じときに秋田にも同じような倒壊があったわけですが、自然状態、諸条件というものは秋田とこの中山町の豊田小学校との条件は多少は違うでありましょうけれども秋田のほうの報告書というのはととのっていないようにも思いますけれども、同じような考え方でいいかどうかということを、念のために伺っておきたいと思います。
  18. 大井久弘

    説明員大井久弘君) 秋田県の秋田市立太平中学校の、鉄骨体育館倒壊いたしましたことにつきましても、直接現地から報告を受けましたところによりますと、やはり同様な状況でございまして、実際の積雪量が、設計のときに想定いたしました積雪量を、大幅に上回っているというような状況が認められております。しかしながり、先ほど先生から御指摘のありました危険許容積雪量表示の問題でありますとか、そういったことにつきまたても、これは建物昭和三十九年の十二月に建築されているということから見て、表示の措置が行なわれていないわけでございまして、これらの点については、先ほども御説明申し上げまたたとおり、十分、注意事項として指導徹底を期してまいりたいというふうに反省しているところでございます。
  19. 宮崎正義

    宮崎正義君 この問題につきましては、これで質問を終わりだいと思います。  どうも御苦労さまでした。ありがとうございました。
  20. 秋山長造

    委員長秋山長造君) じゃ速記とめて。    〔速記中止
  21. 秋山長造

    委員長秋山長造君) 速記つけて。     —————————————
  22. 秋山長造

    委員長秋山長造君) 次に、流氷による魚介類被害対策に関する件について質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  23. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま委員長のほうからのお話しがありました流雪流氷について——災害の起こったところの北海道サロマ湖でございます。そのサロマ湖の流水のことについて、水産庁はどのように受けとめておられるか、お伺いをいたしたいと思います。
  24. 平井義徳

    説明員平井義徳君) お答えいたします。  本年一月中旬ごろから、オホーツク沿岸流氷サロマ湖内に流入いたしまして、ホタテ養殖業にかなりの被害が発生しているというふうに聞いておりますが、被害の詳細につきましては、目下、北海道庁において調査中であります。いま、われわれとして把握いたしましたるところは、以上のようなことでございます。
  25. 宮崎正義

    宮崎正義君 私は実情調査現場に行ってまいりました。これは報道機関でも、いち早く報道されて、たいへんな、将来に大きな示唆を与えているという問題だということからも、緊急に取り上げなきゃならない問題として取り上げているわけでありますが、私は現場に行きましたときに、その漁業組合長部屋から、水産庁長官に直接電話いたしました。ちょうど農林大臣のお部屋にいられて、そのときに電話で、実はいまサロマに来ておりますと、そしてその砕氷船に乗って、その流氷を砕いてもみてまいりましたというふうな報告をし、損害も、私の尋ねましたそのときの時点で、三十二億をこえておる被害額だというふうに組合のほうから承ったことも申し上げておきました。そして帰りましてから、この問題につきまして詳細にお伺いもし、またお願いもしなきゃならないということを、そのときに申た添えておったわけでありますが、残念ながらきょうは農水のほうとかち合いまして、水産庁長官がお見えにならないということは、私、まことに残念なんですが、実力者であられる、実際の担当の皆さまがおいでになりますので、どうかきょうの、これから行ないますいろんな諸問題について、長官に、納得のいかれるように御説明を願いたいということを前もってお願いをいたしておきます。  そこでサロマ湖第二湖口工事というのが、現在施行されております。このことについて御存じでしょうか。
  26. 榎本愼太郎

    説明員榎本愼太郎君) お答え申し上げます。  サロマ湖浅海漁場開発のために、昭和四十一年より委託調査をいたしまして、四十八年から現実の事業といたしまして、実施しておるわけでございます。  この事業内容と申しますのは、いわゆるサロマ湖の新湖口を掘さくいたしまして、浅海増殖のための、ホタテ貝のいわゆる増養殖の推進、種苗の生産と、こういうことで、下半分のいわゆる海水の交流をよくしようと、こういうことで事業を実施しておるわけでございます。
  27. 宮崎正義

    宮崎正義君 四十八年度の予算、それから四十九年度の予算について、五カ年計画ですから、五年にわたっての予算計画というのもなされているはずだと思いますが、この点、御説明を願いたいと思います。
  28. 榎本愼太郎

    説明員榎本愼太郎君) 四カ年計画で一応私どもといたしましては計画を立てておりまして、全体の事業費十億二千万、補助金といたしましては二分の一でございますので、五億一千万、こういう予定で考えております。  そして、四十八年度につきましては——この事業全体から申しますと、いわゆる水路護岸六百三十四メートル、導流堤二百メートル、土砂掘さく二十六万六千立米橋梁工事一カ所、こういうのが全体計画てございまして、四十八年度につきましては、事業費二億四百万、国費といたしましては一億二百万でございます。事業内容といたしましては、水路護岸三百九十九メートルのうち、これは矢板工のみでございます。橋梁につきましては下部工のみでございます。水路掘さくにいたしましては、八万七千立米、これを実施いたしました。  四十九年度につきましては、同じく事業費につきましては、二億四百万、国費は一億二百万でございます。事業内容といたしましては、引き続き水路護岸二百三十四メートル並びに掘さく五万立米橋梁工は完成と、こういう予定で進めておるわけでございます。
  29. 宮崎正義

    宮崎正義君 気象庁の方おいででございますかか。——昨年の十月、十一月、十二月、本年一日にかけまして樺太東岸から流氷の襲ってきたという状態気象状況関係について御説明を願いたいと思います。
  30. 土井謙二

    説明員土井謙二君) お答えいたします。  まず初めに流氷状況を申し上げますと、この冬は十一月の末ごろまでは大体平年並み結氷状況でございましたけれども、その後結氷が盛んになりまして、平年に比べますと一週間ぐらい早くオホーツク海の氷が南下を始めました。そうしまして、これが北海道オホーツク海の沿岸に接近しました時期も平年よりも半月ぐらい早いということになっております。その後、気圧配置関係もありまして、盛んに北のほうから流氷が続きまして、その量は平年に比べますと二倍から三倍というふうにいわれております。さらにその氷は根室海峡を通りまして太平洋のほうにも流れ出たようでございます。オホーツク海全体の氷の量としましてはほぼ平年並みでございますけれども、それが北海道オホーツク海の沿岸に集中的に流れ込んだということで、特に顕著な流氷群が見られたというように聞いております。その理由でございますけれども一つにはことしは、この冬は北海道は平年に比べますと暖冬ぎみでございまして、例の昭和三十八年に北陸豪雪がございましたが、その年と大体似たような気圧配置でございまして、西のほうは平年よりも寒く、北のほうはあたたかいという状況でございます。そのために、凍りましたものが流れ出すということが一つ考えられます。それからもう一つは、気圧配置例年と少し変わりまして、オホーツク海の海上に北ないし北東の風が非常に強く吹く状況が続きました。そのために氷が相当の勢いで沿岸に流れてきたというふうに考えております。
  31. 宮崎正義

    宮崎正義君 実際の面と少し内容が違っている点もありますが、地元富武士方面に、常態から考えますと、例年より二週間以上も早く流氷がきたということであります。そしてサロマ湖自身も、大体例年ですと一月の二十日ごろに結氷するわけです。その結氷以前の一月九日に樺太東岸から、いま御説明にありましたように、異常な事態流氷が接岸し、入ってしまった。ですから、結氷の時期よりやや早くこの流氷がきたという異常事態で、流氷で埋まってしまったということになるわけですが、そういうふうに、私ども地元では聞いておりますが、いま御説明になりましたようなことを地元気象情報として予告されていたかどうか、この点を伺っておきたいと思います。
  32. 土井謙二

    説明員土井謙二君) 気象庁といたしましては、流氷の予報というものを現にやっております。それで時期はその年によりまして、氷の状況等で多少は違いますけれども、大体十二月から翌年の五月ごろまでの間、流氷と申しますか、氷の状況及び今後の予想というものを発表いたしております。もう少し詳細に申し上げますと、北海道の札幌にございます札幌管区気象台及び函館にございます函館海洋気象台で氷の状況を発表しておりますし、また、地元の稚内地方気象台及び網走地方気象台では、管区気象台及び海洋気象台からの資料をもとにいたしまして必要のつど流氷の予報を発表しております。
  33. 宮崎正義

    宮崎正義君 やったかやらなかったかということです。
  34. 土井謙二

    説明員土井謙二君) 予報の、流氷の情報といたしましては、一月八日と十一日に札幌管区気象台が発表しております。それから網走地方気象台では一月十二日に流氷の予報をいたしております。
  35. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、この流氷が予報どおりに一月九日に異常事態サロマ湖に流入したということ、そういうことは一月八日にすでにもう気象庁としては手落ちなくやったということでよろしゅうございますか。そう理解してよろしゅうございますか。
  36. 坂田初太郎

    説明員坂田初太郎君) ただいま部長から説明がございましたように、管区としましては八日と十二日に出しました。それから現実に流氷が着岸したというのが一月十日紋別に着岸したという情報を得ましたので、その翌日十一日には網走の気象台から紋別にもう着岸した、平年よりも十七日も早く着岸しておる。しかも非常にオホーツク海の風というのが北または北東の風が吹きやすい状態になっておるから早目にやってくるだろうという予報を出たておりまして、十一日以降網走におきましては毎日流氷予報を出しておるという報告を受けております。
  37. 宮崎正義

    宮崎正義君 そうしますと、紋別に入ったから、それから網走のほうは十一日から毎日のように予報をしたということと受け取れたのですけれども、すでに九日にはもう富武士のほうからサロマ湖に流入していったということになる、いま御説明がありましたように、例年にない異常であるということは気象庁としてもお認めになりますか、これ。
  38. 土井謙二

    説明員土井謙二君) 異常と申しますか、先ほど申し上げましたことの繰り返しになりますけれども北海道暖冬ぎみであったということ、それから冬の低気圧の発達する位置が少し例年よりも南に下がりまして、そのために風の関係で顕著な流氷があらわれたということでございますので、そういう原因が重なったという点ではまあ異常と言えないこともないというふうに考えております。
  39. 宮崎正義

    宮崎正義君 実際は北海道の十一月にはもう根雪になっているわけです。これは東北地方もそうだったと同じように、全体とは言いませんけれども北海道は十一月にもうすでに根雪になっておるというところが多かったわけです、去年は。そういう関係があったということだけいまのお話の中に私の意見として申し添えておきたいと思います。  いずれにしましても、異常な事態であるというふうにも認められるというようなお話でございますので、その上で私はまた水産庁の方々に質問をいたしたいと思います。このサロマ湖の特にホタテの養殖を計画的にやるようになりましてから、全国にも非常に成績が短期間のうちに上がってきたことにつきまして相当の調査をする人あるいは研究にくる人たちがふえていたわけです。しかも、漁業の方法としては、養殖の方法としては耳づる式なことが非常に成功しているという、そういうふうなこと等あわせまして、全国にもまれな浅海開発事業を、さすが水産庁は選んだといっていいほどすばらしい状態事業計画というものが進められて、また実績も上がってきておりました。ちなみに、昨年の三漁業組合、これは約の大ざっぱな話でございますから、詳細な資料はまた現地から陳情に届くでありましょうけれども、大体四十八年度が三漁業組合の総水揚げ量が約四十億近くにもなってきた。そして昨年は、その漁具の施設を投じたのが約四十七億である。今年度の流氷によって、その養殖の漁具が壊滅に瀕してしまった。私がちょうど現場に参りましたときに、先ほど申し上げましたように、いまの時点で三十二億をこえている。これが、流氷湖口から出ていったときにさらに被害は大きくなるであろう、これはだれしも予想されることでありますし、またこの稚貝の面、このことにつきましても、先ほど答弁がありました中にも種苗の問題も、これはまた壊滅の状態でありますし、おそらく今年度はどの程度まで漁獲量ができるか、養殖ができるかということに漁民はお先まつ暗な状態で今日あります。私がちょうど行きましたときには、あの御存じのように湖口は、口元ですね、口元が十キロございます。一万メーターです。その長さの約倍近い流氷が帯状になっておりまして、私が行ったときはだいぶ解けたときです。そして砕氷船に私は乗っていきましたときに、その幅が大体一千五百メーターぐらいまだ流氷が残っておりました。天日で融解していくものと、それから砕氷船で砕いていく作業をやりながら、サロマ湖の中から結氷を打ち砕きながらいっときも早く立ち直りをしなければならないというので必死な作業を続けられておりますが、この砕氷船についても、全国初めての試みとして水産庁はこれを補助なさっておると思いましたが、どうでしょうか。
  40. 平井義徳

    説明員平井義徳君) ただいま先生のお話の砕氷船につきましては、サロマ漁協という漁協がございますが、そこの協同組合で考えましてこういうふうな船をつくりたいということで、構造改善事業の、第一次構造改善事業というのがあるのですが、それの補足事業としまして四十七年に補助をいたしております。
  41. 宮崎正義

    宮崎正義君 非常に思い切って補足事業としておやりになったこと、これは私も非常によくやったというふうに思っております。ただし、話が横道にそれましたけれども砕氷船が鉄板の厚みが六ミリでございます。この点、十ミリでなければならないのじゃないかということと、いまのトン数が二十トンちょっと欠けるわけであります。十九トン六百ぐらいしかないと思いました。その小さいので、氷山になっているところと、水深のところが十メーターぐらいある、そこを一つずつぶち破っていくわけですから、その氷山に乗るわけです。非常な危険な作業をやっておられますが、私もそれに乗って一部分を砕きながら湖口のほうに進んでいったわけですが、たいへんな作業だと思います。したがってもう一ふんばりしていただいて、この砕氷船についても大型にして、そしてその鉄板の厚みをふやしていくというふうにお考え願って、この点も御研究を願いたいと思います。いかがですか。
  42. 平井義徳

    説明員平井義徳君) 先生おっしゃいますように、船の改造というのは非常に大事かと思いますが、われわれがそれを構造改善事業で取り上げました時期では、一つには現地の漁協がこのくらいでだいじょうぶだというふうに判断をされました点で、われわれとしましては、やっぱり実情に一番明るい方の御意見を尊重するのがよろしいのじゃなかろうかというふうに考えました。  それから先ほどからお話がありますように、ことしは非常に異常な流氷がきた。普通考えられる段階では、結氷に対して砕氷するというふうな程度の施設ではなかったかと思いますが、現在それを厚くする、あるいは施設を大きくするということにつきましては、第一次構造改善事業というのがもう終わりましたので、いきなりいますぐどうしろということを言われましても、なかなかむずかしいのじゃなかろうかと思います。  何らか、いい方法があるかどうか、道庁とも相談してみたいと思いますが、ここでお約束するということはちょっとむずかしいわけでございます。
  43. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは前向きにひとつ御研究願いたいと思います。  本題に今度は入っていきますけれども先ほど気象庁のほうからお話もありまして、例年より水温が二度以上も低いということで、今後の養殖事業というものが危ぶまれるわけです。これも一つの要素になってきているわけでありますが、いずれにしましても、例年であれば五月から作業の実施に入るわけですが、融雪の時期もずれておりまして、いまだに気象関係が変化が非常に多くて、一週間——一週間しませんか、五、六日前も雪が降っているぐらいな異常な気象状態でありますために、融雪の時期も少しずれて、河川が淡水で、淡水分布で非常に養殖をしていく時期がだんだん例年のとおりにならなくなってきているという実情をまず知っていただきたいと思うんです。したがって五月になれば作業開始になるのが、五月にも作業開始が相当、二週間ないし、あるいは三週間、気象庁からお話がありましたように、十七日というお話も出ておりました。非常におくれていく作業状態ということになりますと、今年度の収穫量というものもこれはたいへん危ぶまれてくるわけでありますが、こういうふうなことから考え合わせて、まずどうしてやったならばこの人たちの救出ができるんであろうかという点を考えなきゃならないと思うわけです。それで、先ほど私は気象庁の方に異常気象であるかどうかということを念を押したのは、地元ではいまだかってないことだから、何とかして天災融資法のひとつ考え方を持ってもらいたい、こんなふうな希望もしております。それからさらには既設の設備買い入れ資金の条件の変更もしていただきたい。さらには漁家の生活資金の低利長期融資のあっせんをしていただかなければ今年度も来年度も危ぶまれてくるということになれば、この点は十二分に御了解を願いたい。さらには被害状態確認調査の実施を一ときも早くしてもらいたい。これは私からもお願いですが、国としてこの調査にいつ行かれるのか。ちょうど私が行きましたときに、朝十時に船に乗りまして、約一時間ちょっとかかりまして漁業組合に戻ってまいりましたが、道の水産部会のほうから調査団が来ておりました。午後から砕氷船に乗って現場に行くんだということを言っておりましたけれども、午後から風が出てだめになったという話もちょっと聞いておりますが、私が最初に乗り込んで実際の現場調査をしてきたわけでありますが、そういう実情から見ていきまして、いま御答弁がありましたように、道の段階で詳細を調査しているというそれを待っているというお話のようでございましたけれども、待たないで国も率先して、国からも来たということがどれほど漁家の人のために大きな勇気づけになるか。またその漁業に対して、せっかく上昇してきたこの浅海漁業の開発が軌道に乗ってきた、これからいいんだというところに大きな打撃を食っていったということについてでも大きな励みになると、こう思うわけであります。したがって、国ではいつごろ調査に行くのか、そのお考え方をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  44. 平井義徳

    説明員平井義徳君) ただいまお話がありましたように、サロマ湖の漁業被害につきましては、われわれ前々から道庁等から聞いております。相当な被害が出る模様であるというふうなお話でございますが、その当時は流氷その他の気象条件から被害状況確認するわけにはいかないという話がございまして今日に至ったわけでございますが、先生からのお話もありますので、北海道庁と連絡をとりまして、被害確認ができるようになり次第、早急に現地に係官を派遣をいたしまして調査させたいというふうに考えております。
  45. 宮崎正義

    宮崎正義君 まだ地元から要望がございますが、復旧資材の優先確保をひとつ御努力願いたいということです。これも要望を現地では切にしておりますので、この点もお願いをしたいと思います。  で、ちょうど私が船で行きましたときに、ごく一部分の写真しか持ってきませんでしたけれども地元の人からお借りしてきたものがございますが、これを御参考にお渡ししますから——。それで、ついでに、まだこれは正式のものじゃございませんでした、ちょうどこういう陳情をしたいのだという過程においてつくり上げておられた陳情書の案でございましょうか、ちょうどつくり上げられたというその時点に私が行きましたものですから、それもあわせてもらってきた次第ですから、これもいまそちらに持っていってあわせて説明をして、さらにその考え方を、道庁と相談してからゆっくり行きましょうというのじゃなくて、道庁を、何やってるのだ、地元こそ早くやらなければならないのに、いまだに来ないじゃないか、国会の委員会の席上においてもうすでにこの問題取り上げられているじゃないか、何をやっているのだというぐらいな叱咤激励があって、初めて行政の指導的な立場においでになる皆さま方のお考えがそうあっていいんじゃないかと私は思うのですが、どうでしょうか。
  46. 平井義徳

    説明員平井義徳君) 先生のおっしゃること、まことにごもっともだと思います。ただ先ほど申し上げましたように、流氷等があります段階では、なかなか参りましても十分な調査もできませんので、それがなくなり次第、早急に調査したいと思います。
  47. 宮崎正義

    宮崎正義君 流氷は、四月二十一日現在で全部湖口を脱しました。  これが八メーターから十メーターある流氷の下からとった写真です。これは漁具です。そしてこういうものが全部埋められているわけです。漁具ですね。それから耳づるというのが別にある。これがまた全国で何というのですか、注目の的になっている非常な成果を上げているわけです。これで、耳づる式のやつがサロマ湖の実績をあげ九といっていいくらいです。これがちょうどおさしみのつまに出てくるシソの実のあれをさかさまに落としておさしみを食べますね、あれと同じようにさかさまに耳づる式の漁具をだあっとすり落としたような形になって被害を受けているわけですね。で、この海底にありますこういうおもりとか、浮きとか、そういうようなものが全部この流氷の上に上がっちゃってきているわけです。ここに、これは全部こわれて上がってきている姿です。それでこういうところなんかは大体十メートルぐらいあるでしょう。ですから、これを一つ一つ砕氷船で破っていくわけです。ですから、地元先ほどの、これぐらいの船でいいだろうと言われたものは向こうもわからなかったわけですね。こんなに流氷のおそろしさということはわからなかったわけです。それで、いまになってみれば、もう少し大きな鉄板の厚い砕氷船がほしいということを希望するようになったわけです。これはほんの一部分の写真しかございませんけど、御参考に長官にお見せいただいて、そしてよく説明をしていただきたいと思います。天災融資法をとにかく考えていただきたいというその切なる願いというのを、ひとつよろしく御考慮のほどをお願いします。これは、全部日時、日を追ってどんな状態になったかということが出ております。ここに置いていきますから……。  ちなみに、これは三漁業組合ありますけれども、一漁業組合、これはサロマの漁業組合のほうですけれども、どんなふうに漁獲量が上昇してきたかということ、ホタテだけで参考に申し上げてみたいと思いますが、四十二年に千四トン、一億二千八百四十二万七千円、それから始めて四十三年、四十四年、四十五年、間は時間の関係で飛ばしますけれども、四十五年で千七百九十二トン、二億五千九百三万七千円で、四十八年で二千六百八十八トン、五億二百四十九万、これはホタテだけです。そのほかにサケなんかの全体の漁獲量からいきますと相当大きくなります。常呂というところと湧別というところは、ホタテのほうはサロマより劣るわけですけれども、ほかのサケの漁業というものが非常に大きな漁獲量を占めております。したがって、三漁業組合では、私がさきに概算のような形で申し上げましたように、三漁業組合を集めますと、年間四十億ぐらいになるというふうに予測されているわけですが、ともあれ、こういうふうにいま申し上げましたように、わずかな期間に非常に浅海漁業開発というものが当を得た、時を得たというふうに言える状態でございます。したがって私どものたん白質を補充していく意味におきましても、これは十二分にお考え願って、いっときも早く手を打たなければならないのじゃないかと、このように思うわけであります。そうした全体の中から、いまの私の質問にこたえて御答弁を願いたいと思います。
  48. 平井義徳

    説明員平井義徳君) ただいま先生から非常に詳細にわたりまして被害の概況につきお話をいただいた次第でございますが、われわれといたしましては、できるだけ早急に北海道庁と連絡をとりまして、現地の実態と被害の実情というものについて調査をいたしたいと思います。そのほか、資材の確保その他につきましてもできるだけの努力をいたしたいと思います。
  49. 剱持浩裕

    説明員(剱持浩裕君) 資金関係のことにつきましてお答え申し上げたいと思いますが、まず第一点に、先生おっしゃいました天災融資法の関係でございます。これにつきましては、やや事務的な御説明になって恐縮かと存じますけれども、天災融資法の適用の要件といたしまして、「天災による被害が著しくかつその国民経済に及ぼす影響が大である」ということになっておるわけでございます。先生御指摘のように、今回のサロマ湖の養殖被害につきましては、その被害程度が非常に大きいということは、先生のお話からも、また写真等見せていただきましたことからも推測はつくわけでございますけれども被害地域が何ぶんにも非常に限定されているという点がございまして、事務的には、私の現段階での考え方といたしましては、やはり天災法の適用を直ちにはできないのではないかというふうに考えるわけでございます。しかしながら国といたしまして、天災融資以外に、それではこういった場合の政策手段といいますか、金融的な対策がないかと申しますと、実は公庫資金でございますけれども、主務大臣指定災害復旧資金、それから特に沿岸漁業につきましては沿岸漁業経営安定資金がございます。これは天災融資法の発動云々とは関係なしに、特に沿岸漁業経営安定資金につきましては四十九年度に融資限度額を倍に引き上げるという措置もとっておりますので、そちらのほうで当面対応することがよろしいのではないかというふうに私なりには考えております。  なお、今後の施設等につきましての融資といたしましては、現在参議院で御審議いただいております漁業近代化資金助成法の改正案が通りますと政令の指定ということにはなりますけれども、養殖施設、それから養殖施設以外にその種苗、それからえさ——ホタテの場合にはえさ代というのはあまり関係ないかと思いますが、種苗費等につきまして低利資金が融資される道が開けることになっております。そういったようなものの組み合わせというようなことで対処していったらいかがであろうかというふうに現段階では考えておるわけでございます。  それから次に、すでに借りました資金の償還延期といいますか、条件変更でございますが、この点につきましては、被害の実態に応じましてやはり必要な要請というものを金融機関になすということは、私どもこういったケースにつきましては従来からもやっておりますので、この場合につきましても、近々水産庁現地調査等も行なう予定でございますし、実態それから被害漁業者の実情等を把握いたしました上で必要な措置をとりたいというふうに考えております。  なお、生活資金につきましての低利資金のあっせんというお話でございましたけれども、実は沿岸漁業につきましては生活と生産の場が必ずしも分離できないという面もございますけれども、われわれ漁業関係担当しておりまして、やはりそういった沿岸漁業者の特性に応じました融資といたしまして、どちらかといいますと生産のほうに、つまり再生産の確保といったような観点から生産のほうに着目いたしました制度資金等いろいろございますので、そちらのほうでの対応ということを考えてまいりたいというふうに思っております。  以上でございます。
  50. 宮崎正義

    宮崎正義君 天災融資が、あなたのお考えでは少し一部分の限られた地域だからそういう面ではちょっとむずかしいんじゃないかというようなふうに私は聞き取れたわけですけれども、この被害額という面から考えていきまして、それからもう一つは、また今年度どうであるかということは予測されませんし、初めてのことですから、昭和五年から大体このサロマというものが注視されるようになりましてから、そして四十年からこの事業が遂行されるというふうに方向づけられてきている。その間にこういうことが一度もなかった。ですから、そういう面から考えていきましても、異常事態であるということだけははっきりしていると思うんです。それから、先ほども申し上げましたように、湖口が十キロもある。そのサロマ湖全体を襲っていった、埋め尽くしていった結氷が、浜のほうからだんだん解けて、砕氷船でこわしながら、また天日で融氷していくものと、これ、合わせながら、風によって今度は流氷が移動するわけです、この大きなまま。行ったり来たり、風の向きによって変わっていくものですから、最初は一カ所ぐらいの被害で済むんじゃなかろうかと思っていたのに、南が吹いたり東が吹いたり北が吹いたり西がふいたりするそのたびに、大きなかたまりのまま流氷が動くものですから、せっかくの漁具というものが全部こわれちゃったわけですね。私どももこういう湖の中でこんなふうに聞いたのは初めてでありますし、そういう事情等をよく考案をなさって、どうかひとつ水産庁長官にも、また農林大臣にも、大蔵省にも、特に今回はひとつ御尽力願いたいと、また当然国としても考えてやるべきであると、このようにお考えをしていただきたいと思うんです。この点確認をして私の質問を終わります。いかがですか。
  51. 剱持浩裕

    説明員(剱持浩裕君) 今回の被害に対しまして、金融関係の措置といたしまして、できる限りの措置を講じてまいりたいというふうに考えております。
  52. 秋山長造

    委員長秋山長造君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。     —————————————
  53. 秋山長造

    委員長秋山長造君) 次に、豪雪地帯の消雪対策等に関する件について質疑を行ないます。  質疑のおありの方は順次御発言願います。
  54. 塚田大願

    ○塚田大願君 私は、三月六日の当委員会におきまして、豪雪対策についていろいろ質問をいたしました。その際、雪害というものがどういうものであるかという基本的な問題、基本的な認識について大臣にも御質問申し上げました。従来のこの雪害というものは、風水害などと比べて、いわば災害というふうな認識ではないと、これではいかんのではないかという立場から質問いたしましたが、その際小坂大臣から「今度のような豪雪状態は、それは明らかに災害であると私は考えておりますし、また防災会議におきましても、災害としての認識をもって行動を進めるように指導しております。」と、こういう御答弁がございました。そういう観点から私はその後の問題について質問したいと思うわけでありますが、今度の豪雪が記録破りのものであったということは、これはもう皆さん御承知のところでありますが、これに対して政府も、昨日でありましたか一昨日でありましたか、とにかく今度はこの災害に対しては天災融資法あるいは激甚災害指定を行なうというふうに言われたようであります。そこで、この間までの問題は、それで一応の形はついたと思うんですが、今度の豪雪の問題は、それだけで済まない面があるわけです。それは、いよいよ融雪期に入ったと、その融雪に伴う災害というものが、やはり新しく出てきているという問題であります。これは、かねてから予想されたところでありまして、別にふしぎなことではないわけでありますが、そこで、まず一つ確認しておきたいのは、豪雪というのは、そういう降ったときだけでなくて、解ける時点での災害というものも当然これは豪雪災害の一環として対処するということでなければならないと思うんですが、その点の、まず基本的な見解をお聞きしておきたいと思うんです。
  55. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) お答えいたします。  豪雪それ自体につきましては、災害対策基本法におきましても災害の定義がございますが、もちろんそれはその融雪、その雪が解けることによる被害、これももちろん災害であることは間違いございません。雪が解けますその災害によりまして、いろいろとなだれ等による死者等がございますが、これにつきましては、先般御審議いただき、そして通していただきました、たとえば弔慰金の法律、こういったものが当然適用されますし、それから融雪災害によりますいろいろな被害、こういったものは、その被害程度によりまして、たとえばそのときに激甚地等の指定をするというように、これはまさに災害の一環であるというように認識しております。
  56. 塚田大願

    ○塚田大願君 私この間の質問のときに、わざわざ「北越雪譜」という有名な本でありますけれども、その一節を読み上げて紹介をいたしましたが、きょうはその「北越雪譜」は持ってまいりません。あまりペダンチックになってもいけませんから、持って来ませんが、あの「北越雪譜」の中にも、融雪期の災害ということについても相当詳しく書いてあるのですね。昔のことでしたから、いまのように護岸工事なんかありませんから、川がはんらんをする、大水が出る、夜夜中に突如鉄砲水が出てくるというふうなことに対しても詳細に叙述してあったわけなんですが、そういう点から見ましても、当然私は、いまお答えがありましたように、こういう融雪時の災害というものは、これはやはり天災でありまして、そういう観点からやはりこの融雪対策というものに取り組んでいただきたい、このことをまず確認して、具体的に質問をしたいと思うわけであります。  一つは苗しろの除雪対策の問題であります。このたび新潟県の東頸城郡の松之山町からも陳情書が参っております。農林省もごらんになっておると思うのですが、この陳情書を見ますと、松之山町では、三月二十五日現在でなおかつ三メートル七十センチあると、役場前でも三メートル五十センチあると、消雪予定は五月二十日ないし二十五日ごろであると、こういうふうに訴えております。私、一昨日電話でこの松之山町の役場に聞いてみました。どのぐらいいま雪があるのだと聞きましたら、四月二十四日現在でもなお二メートル以上ある、こう言うわけです。ですから、雪のないところではちょっと想像ができない状態でありまして、こういう状態でありますから、もしこのまま進めば、ここに書いてありますように、消雪の予定が五月二十日ないし二十五日ごろということになるわけであります。そうすると、一体どういう事態が起きるかと申しますと、大体苗しろの種まきが一カ月おくれるという計算になります。普通ですと四月の下旬に種まきをするわけであります。ところが、五月末に初めて雪が消えるのですから、このままでいけば一カ月種まきがおくれる、それだけ田植えもおくれる、こういうことになります。これはたいへんなことだと思うのですね。しかも、ことしの気象予報を拝見いたしますと、これは農林省の出されました「昭和四十九年春・夏作の技術指導について」というものでありますが、これで見ますと、「気象庁予報部が三月十一日に発表した本年暖候期予報によれば、」として、ことしは、盛夏期——真夏ですね、真夏に北陸や北日本の低温、局地的大雨、早冷等が懸念されると、こういうふうに気象庁が予報を出しているということが書かれております。だとすると、種まきは一カ月はおくれたわ、冷害が来たわ、こういうことになりますと、もうこの結果については大体想象ができます。たいへんな凶作ということになりかねないわけであります。しかも、大体一カ月足らず——現地の松之山町の農民の皆さんは、二十日ぐらい田植えがおくれますと、十アール当たり約一俵の減産だと、こうも言っておりますから、これはたいへんな結果が生まれるわけであります。したがって、もしそういう事態になってから対策を講ずるということでは、これは全くの手おくれであります。こうなると、もう、天災ではなくて人災だということになりますので、そこでやはり私は、こういう大体予想されておるこの事態、秋のこの災害というのは予想されておるとすれば、いまからこれに対してしかるべき手を打たなければならないと思うのですが、防災対策という観点から見まして、こういう事態をどういうふうに処理なさろうとしているか、御見解を伺いたいと思うのです。
  57. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 先生御指摘ありました豪雪の融雪の遅延に伴いまして、苗しろの設置がおくれることが予想されましたので、私のほうといたしましては、ことし一月ごろから各県の担当官を呼びまして、いろいろ検討を進めてまいりました。で、現在財政当局とも話を進めている対策が三つございます。  一つは共同苗しろの設置でございます。これは同一の市町村の中で共同で苗しろをつくる事業でございますが、比較的雪の少ないところといいましても、まだ雪があるわけでございますから、そこをブルドーザーで機械除雪をいたしまして、そこに苗しろをつくっていくということでございます。  それから二番目は、委託苗しろといいまして、比較的融雪が早いと予想される、これはかなり離れた地域になると思いますが、そういうところに苗しろ用地を借り上げまして、苗づくりを委託をいたしまして、それで本田に移植する農家がその苗をもらうということで、これは苗のトラックによる輸送費等も含めて委託苗しろの設置を二番目に考えております。  それから三番目は、最近は移植の機械が発達しまして、田植えの機械移植が進んでまいりました。機械移植の場合には、苗しろづくりではございませんで、ハウスで、室内で箱育苗をいたします。したがいまして、そういう希望の農家に対しましては、既設の共同利用育苗施設がかなりございますので、そういうところに、これは技術的になって恐縮ですけれども、硬化ハウスという一番最後の段階に苗をかなりかたくするわけでございますが、そういうのがかなり面積が要りますので、その硬化ハウスの増設ということで対策を立てております。その三つの対策をとっております。  実際の助成といたしましては、機械除雪の費用、融雪の促進の費用、それからビニールフイルム、ポリエチレンフイルム等の保温資材、それから先ほど申し上げました苗の輸送費等の助成措置ということで、各県に連絡をしてございます。で、市町村別に現在その対象面積あるいは先ほど申し上げました種類別に農業者の希望を聞いておる段階でございます。
  58. 塚田大願

    ○塚田大願君 農林省としてはそれなりにいろいろ努力されておる面があると思うのです、確かに。いまおっしゃったような共同苗しろであるとか、あるいは委託苗しろであるとか、あるいは共同育苗事業というようなことをやっていらっしゃるのはけっこうだと思うのですが、ただ、こういう事業で問題になりますのは、やはり補助の対象というものが非常に範囲が限定をされるのがひとつ問題ではないかと思うわけであります。そこで、いまおっしゃったいろいろ育苗の水稲苗の確保の対策事業でありますけれども、大体これで対象となる面積というのは、どの程度カバーされるのか、実際に積雪のために、そういう当面苗が必要だという面積というのはどのぐらいあるか、つまりどのぐらいいまの事業によってカバーをされるかということ。それから、さらに具体的にはいま新潟県の松之山町を例にとりましたが、新潟県なんかの場合には、一体どのぐらいこれがカバーされるのか、その辺をもう少し具体的にお聞きしたいと思うのです。
  59. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) カバーされる面積でございますが、これは時々刻々変わってまいるわけでございます。ただし、現在まで私のほうで集計しておりますのが本田の面積でございます。これは先ほど申し上げました共同育苗施設等では十アールの面積と、本田の対応面積が苗しろと違いますので、本田の面積で換算をいたしまして、現在五県で八十七市町村が希望を申し出ておりまして、その中の希望面積が二万一千町歩程度でございます。  それから新潟県が二十一町村で二千二百二十ヘクタール程度になっております。冒頭に申し上げましたように、これは時々刻々変わってきますので、現在の数字はつかんでおりません。
  60. 塚田大願

    ○塚田大願君 そうしますと、新潟県の場合をとって御質問いたしますが、たとえば新潟県の場合には、四月一日現在で一メートル以上の積雪地域というものは、これは大体五十二町村、四万四千ヘクタールあるといわれておるわけでありますが、いまお聞きいたしますと、新潟県で二千二百ヘクタール——これは本田換算ですよ、ということになるわけでありますから、これはつまり全体の約五%ということになると思うんですけれども、これではたしてほんとうに対策になるのかどうかということですね、確かに流動的な面はありましょう、まだ若干数字は動く、それはけっこうでありますけれども、しかし、いまの時点でなおかつ計算をしましても五%、はたしてこれで対策になるのかという面でありますが、この点ではどうでしょうか。
  61. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 市町村別にいろいろ集計いたしました結果が現在のところ先ほど申し上げました数字になっておりますが、まだ何といいますか、かなり事務手続のおくれている市町村もあるかと存じます。先ほど申し上げましたように、中間集計でそうでございますが、私のほうもさらに催促をしまして調査をいたしたいと思っております。
  62. 塚田大願

    ○塚田大願君 ぜひその点はひとつ積極的に働きかけてやっていただきたいと思うんです。おそらく市町村の希望がまだ十分そろってないというのは、やはりこういうものに対するまだあまり大きな期待といいますか、を持ってない、現地の市町村あるいは農民たちが。そういう側面もあろうかと思うんで、これはやっぱり政府の施策が農民に信頼をされるようなものでなければまずいけないんじゃないかと思うんですけれども、それにしても、そういう政府のいろいろ事業の対象になる農家とならない農家があると。そうなりますと、結局ならない農家に対しては、おまえさんたちは独力でやりなさいということになるんですけれども、これではまことに不平等だと思うんですね。この点をまあ政府としては一生懸命やったんだけれども、申し込みがないんだからそれはかってにしたらいいだろうということであっては私はいけないんじゃないかと思うんですよ。農業振興の観点から見ましても、やはりそれは積極的な指導の姿勢がなければならないわけでありますから、こういう点でもっとひとつ積極的にやっていただきたい。このことについてはどうでしょうか。
  63. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 先生御指摘のように、共同苗しろ、委託苗しろとか育苗施設等の種類ごとの要望は、かなり、何といいますか、部落とかそういう市町村と人的な問題がありまして、相談が必要でございます。したがいまして、私のほうとしましても、若干時間のかかる市町村があるんではないかというふうに考えておりますが、先ほどの三つの対策をより趣旨徹底をはかりまして、それと同時に、その対策ごとの対象面積、苗しろ面積、本田面積等を至急調査をいたしまして、すみやかに対策を講ずるように今後も促進してまいりたいと思っております。
  64. 塚田大願

    ○塚田大願君 ぜひそういう姿勢でやっていただきたいと思うわけであります。  そこで、いまもおっしゃいましたし、私もちょっと一言触れましたけれども、共同でやるんだとおっしゃるんですけれども、これは、一つは時期的な問題もあったと思うんですね。   〔委員長退席、理事中村英男君着席〕 どうも政府対策ははっきりしないと、いつまでも待っていられないと、こういう気持ちから、ずいぶんもう独力で始めた農家もあるだろうと思うんです。それから除雪機械の問題にしましても、私松之山町で聞きましたら、とてもじゃないけれども苗しろ用なんかに機械なんか回す余地はないと、いま県道や市道の道路除雪や整備でもう手一ぱいだと、とても機械なんかを使っている余地はない。民間の場合でも、製材業であるとかその他の道路整備なんかに追われて、なかなか順番が回ってこないと、こういうことで、しかも、こういう積雪地帯では建設用のブルドーザーじゃかえってたんぼを荒らすということもあるようであります。で、やっぱり湿地ブルが必要だ。しかし、湿地ブルは松之山町でもたった一台しかない。こんなことで、結局そういうものにたよっていられないと。そこで、まあ除雪を人間の肩でやる、人力でやると、こういうことになってるようです。これが実情だと思うんです。これは、実際に現地へ行けばもっとひどいんではないかと私は考えます。そこで、人力でやるということになるんですけれども、じゃ、人力といって、そんなに男手がいるかと、これはもうほとんどこういう山村地帯というのは、豪雪地帯というのは、もう出かせぎに出ているわけでありますから人手がない。労働力を他から頼むと、雇い入れるということになりますと、大体どのぐらい費用がかかるかと言って私聞いてみましたところが、大体二メートルの積雪がありますと、十アール当たり十八万円かかっていますね。これが三メートルになりますと二十六万円かかると、こう言うんです。ちょっと私、もには、直接そういう仕事をやったことのない人間にはわからないんですけれども、とにかく、かるほどと思われるのは、結局いまの融雪期の雪というのは、もう降ったときの雪と違いまして、カチンカチンに凍っちゃっているんですね。ですから、スコップで簡単によけるというようなことはできない。のこぎりを持ち出して、のこぎりで切る。氷を切るのと同じ理屈ですけれども、のこぎりで切って、そうしてこれを遠くまで運搬をすると、こういうことになるわけでありますから、二メートルの積雪と三メートルの積雪では費用がまるで倍になる。これは道理だろうと思うんです。そこで、こういう地元の方々がおっしゃるのは、いま何について一番皆さん要求しているのかと言ったら、この費用だと言うんですね。除雪のこの費用に対して何とか助成措置というものができないのかと、こういうお話なんですが、この点ではどんなふうな対策をお考えなのか聞かしていただきたいと思うんです。
  65. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 先ほど申し上げました対策の、実際に雪を消すのは苗しろ用地とか共同育苗施設のハウス用地に相なるわけですから、その地域につきましてブルドーザーによります機械の除雪、それからカーボンブラック等の消雪剤を散布をいたしまして、融雪の促進をはかるという対策でございまして、具体的にはブルドーザーの借り上げ料とか、それからそのブルドーザー・オペレーターの賃金、それから稼働に必要な燃料費、それからカーボンブラック等の融雪促進剤の購入費等の助成を一応予定をいたしているわけでございます。先生御指摘の個人のということでございますが、実際にはブルドーザーにしろ消雪にしましても、機械と同時にこれは人力が伴います。したがいまして事業主体がそういう作業の効率性等からしまして、やはり集団的に対応するというほうが非常にやりやすく効率高いものでございますから、事業主体としまして市町村または農業者の組織する団体という形で取りまとめて事業をいたすことに——そういうものにつきまして助成措置を講ずるというふうにいたしている次第でございます。
  66. 塚田大願

    ○塚田大願君 そこで共同という問題が出てくるわけでありますが、いまのお話ですと、いまのような考え方ですと、結局私がいまこの実態を御説明申し上げましたけれども、その機械だ何だかんだと言ったって、結局間に合いやしないじゃないかということでみんなが始めているわけであります。もちろんそれは共同という、協力ということは当然なければそういうことはできないわけでありますけれども、しかしこういう実態ではやっぱりこの農家の直接負担ということになるわけでありまして、その面ではさすがに地元の市町村は非常に具体的にきめこまかい対策をとっておるんですね。たとえばいまの松之山町もそうでございますし、その隣の松代町にいたしましてもそうでありますけれども、こういう町村では共同あるいは委託もちろんでありますけれども、個人でやっている場合でも助成を検討しているわけです。で、これはまあ直接農家の状態は、実態はよくわかっておりますから、まあ当然のことだと言えば当然のことでありますけれども、しかし国といたしましても、やはりこういう市町村の実態というものをよくつかんだ上で助成するということになりませんと、実態に合わないことになるんではないかと、つまり一部だけは対象となるけれども、多くの人たちが対象にならないと、こういう結果になるわけです。これは決して農林省がそういうことを望んでそういうふうになったと申し上げているのではありません。事志と違った形でそういう結果が生まれる可能性というものは非常に強いわけでありまして、そこでこの地元の方々はとにかく政府に一番望みたいのは、この除雪というものの苦労を知ってもらわなきゃ困ると、   〔理事中村英男君退席、委員長着席〕 いま言ったように除雪といっても簡単に町の道路を、アスファルトの道路の除雪をするようなぐあいにはいかないのでありまして、段々畑もあります、いろんな形態、たんぼがいろんな形をなしておると、そういうところでの作業でありますから、これはもう並み並みならぬ苦労というものがある、その苦労を知ってもらいたい、まあこういうことなんで、私はそういう意味で共同苗しろという考えも、この地域地域の実態に応じた弾力的な運用というものが必要だろうと思うんです。いわば形式的な、この図面の上で線を引くようなそういう仕事のしかたでなくて、ほんとうに心のこもったそういう運用というものが必要だろう。そうでありませんと、先ほど申しましたように、せっかく政府、農林省はこういう事業をやるから希望を出しなさいと言っても、結果はいま申しましたようにたった五%、新潟県で五%というふうな対象面積しか出てこない。これでは実際にこの農政を進める上におきまして一つのやはり欠陥だろうと私は考えるわけであります。したがって、こういう点でも、ひとつこの共同苗しろという問題にいたしましてももっと前向きで私は検討する必要があるんじゃないかと、でないと、せっかくの好意というものが通じない、このことを私はたいへん憂えるわけでありますが、その点についてもひとっさらに突っ込んだ御答弁を願いたいと思うんです。
  67. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 共同育苗施設とか苗しろの施設等は、先ほども申し上げましたけれども、やはり一つは、実際行ないます農家の方々のことを考えますと、やはり個人よりも集団的にやるほうがやりやすく能率的だということがございます。それから、これは先生も御存じと思いますが、補助金を出すと言うと語弊がありますが、出す段になりますとやはり手続が要りまして、支出の確認等の義務がございます。したがいまして、個人に補助金を支出するというのは、なかなかそういう意味で難点がございます。で、そういう事情も関連をいたしまして、先ほど申し上げましたように、個人が当然入りますけれども、そういう事業主体としては市町村または農業者団体が企画をしまして個人が参加をしてやるというシステムをとっております。そういうものにつきまして助成措置をする、こういう形にいたしているわけでございます。
  68. 塚田大願

    ○塚田大願君 その共同というものの中身なんですね、問題は。いまのお話ですと、私はそういう考え方でかなり柔軟な考え方だと思うんですけれども、たとえばこの個人でやるといっても、ああいう地帯では個人で単独で、いわゆる単独で作業なんかできないのは、これは当然です。みんなの協力、村の協力、町のみんなの協力がなければ、ああいうところの作業なんかはできるものじゃありません。おやじが一人いたところでですよ、まあいなければもちろんのことですが、いたところで一人の人力では何ともしようのないものがあります、あの積雪というものは、豪雪というものは。ですから、これはいろんな形で共同して話し合いをしながらやっていくと、こういうことになると思うんで、そういう意味で私は申し上げているわけです。全く単独の個人、孤立した個人がやる事業に対して、それは補助とか助成とかというのは、それはできないでしょう、制度としましても。しかし、この共同というものの解釈といいますか、運用といいますか、そういうものによってかなりそれを弾力的にやることによって、私はかなり広範な面積を援助することができるんじゃないかと、まあこういうふうに思うわけであります。そういうふうな私の理解でよろしゅうございますか。恐縮ですけれども、もう一回ひとつお願いしたいと思うんです。
  69. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 繰り返しになって恐縮でございますが、共同苗しろ、委託苗しろ、それから機械移植用苗の硬化ハウスの増設費等の事業でございまして、先ほど申し上げましたように、個人に対する補助金ではないという形で、市町村または農業者の組織する団体が企画をいたしまして、個人も参加をいたしましてやる事業に対しましては助成措置をいたす、こういうような形に御解釈いただきたいと思います。
  70. 塚田大願

    ○塚田大願君 じゃあ話を少し進めまして、次にこの補助単価の問題でありますけれども、どうもこの単価のきめ方もたいへん画一主義で、お役所特有の一律主義といいますか、官僚主義とまで言ったら語弊があるかもしれませんが、たいへん形式的なものだと思うんです。で、先ほども申しましたように、三メートルと二メートルの積雪ではその除雪だけでも倍達うと、こういう実態でありますから、たとえば機械除雪費ですけれども、松之山町では三メートルのところでは十アールの苗しろ面積を除雪するのに費用として七万円かかっておると、こういうふうに言っておりました、七万円。十アール当たり七万円。ところが補助の単価は幾らかと聞いてみましたら、補助の単価は一万二千二百六十二円と、つまり約五分の一と、こういう費用になるわけですね。そこでこれがやっぱり一つの問題であります。確かに一メートルぐらいのそこそこの積雪なら一ぺんで除雪が片づくかもしれないんですが、もう三メートルになりますと、もうまさに何倍ということになるわけでありまして、ですから補助のしかたもやはり検討してみる必要があると思うんですよ。どうも政府のきめる補助単価というのは、いつの場合でも、これは学校の校舎の建設の場合でも同じことですけれども、大体において単価というものは非常に低目に見る。ですから実際三分の一といっても実態は四分の一ないしは五分の一と、こういうことになってしまうんで、これもやはり災害対策という観点から見まして、私は一つの重要な問題ではないかと思うわけであります。ですからこういう点でもっと補助の単価のきめ方などについても私はもっとあたたかい配慮があってしかるべきじゃないかと思うんですが、この点はどうでしょうか。
  71. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 先生御指摘の機械除雪費でございますが、一応ブルドーザーで除雪するほうが高うございますので、そういう形で単価を詰めてございます。で、いま先生おっしゃられました単価は十アール当たりの苗しろ用地でございまして、実際のたしか十アール当たりでは御指摘のように安いと、こういうお話でございますが、その面積の広さによって実際には何と申しましょうか、ブルの稼働効率とかそういう点でいろいろ経費が違ってくる。で、小さいとこれは非効率で割高になりますが、さらに大きくなりますとかなり効率的にできるという面がございます。で、私のほうといたしましては一応十アールということになるんですけれども、その隣接を約倍に取りまして、十アールですけれども二倍程度の除雪の費用ということで計算をいたしている次第でございます。それから積雪の量によりましてということでございますが、これにつきましてはお話しのように、カーボンブラックをまくだけで対処できるところ、もっと機械でやらなければならぬところ、いろいろ違いますので、その辺は各県各市町村の実情をよく聞きまして、実態に合うように運用してまいりたいと思っております。
  72. 塚田大願

    ○塚田大願君 ひとつぜひこの雪害の対策については積極的にやっていただきたいと思うわけであります。  そこで時間も迫りましたから次の問題をお聞きいたしますが、これはついこの間起きました新井市の地すべりの問題であります。これも同じ新潟県の上越地帯でありまして、この間、四月六日でありますか第一回の地すべりがございました。今日まで七回続いて起きておる。これは新聞、テレビその他にもいろいろ報道されておりますので実態はよく御存じだと思うわけでありますが、この問題にいたしましても、これは結局やはり雪が直接の原因でございます。御承知のように、昨年の夏は干ばつでございましていろいろ亀裂が山にできた、それにものすごい豪雪でそしてこれが今度の雪解けでしみ込んでなったと、こういうのが大体の判断でございまして、私もそのとおりだろうと思うわけであります。ところがこの地帯というのはいわば地すべりの常襲地帯でありまして、これは農林省、建設省もよく御存じだろうと思うんです。もう地すべりというとこの地帯なんで、とうとうまたことしもこういう状態になったというわけでありますが、こういう常襲地ゆべり地帯に対する対策というのは、大体昨年の予算を見ますと、新井地区の場合、地すべりの対策予算が六千五百万円でございました。これは国や県その他全部含めての話でありますけれども六千五百万円。ところが繰り延べ二千六百万円がありましたので実際は四千万円ぐらいなんですね、実際に支出されたのは。ところが今度のこの地域の地すべりによる被害というのは約八億円だと言われております。これは概算でございましょう、八億円というのは。ちょうど二十倍であります。支出した額の二十倍の被害がことしもう起きておる、こういうことになっているわけであります。で、これではまさに焼け石に水といいますか、文字どおり焼け石に水ということになると思うんですけれども、ひとつこういう地すべり地帯に対しましては抜本的な対策を立てる必要があるんではないかと、私はこう考えるわけです。ところが地元の方々というのは、まあ私も同じ県の生まれですけれどもこの地帯ではございませんでしたので、必ずしも正確かどうかわかりませんが、大体においてもう新潟県あたりの豪雪地帯というのは、雪だとか、こういう地すべりというのはもうこれは宿命的なものだと考えておりますから、すぐ政府に対してこうしろああしろということはなかなかおっしゃらないんですね。ですから毎年政府としても県としても応急対策はすると、しかし同じことが繰り返されると、こういうことになっているわけです。  そこで私いま申しましたように、抜本的な対策を立てる必要があるんじゃないか。たとえば年次計画でやっていくと、毎年毎年の短期の応急措置ではなく、年次計画なんかを立てて、こういうところの不安といいますか、災害というものを一掃する必要があるんじゃないかと。まさにそういう点こそ防災会議の主要な任務ではないかと私は考えるんですが、この辺は、きょうは建設省も来ておられますか。ひとつどんなふうに考えていらっしゃるかお聞きしたいと思うんです。
  73. 大工原潮

    説明員大工原潮君) お答え申し上げます。  先生お話がございました新潟県新井市の地すべりの災害状況からちょっと触れてみたいと思います。  先生いまのお話のように、災害原因といたしましては、やはり豪雪という、残雪量が例年に比べて現在の時点で多いというふうなこと、それからさらに四月時点におきまして数日高温が続いておったというふうなことから、さらにその上にわずかではございますが降雨があったというふうな条件が重なりまして地すべりの発生があったというふうに解釈いたしております。しかも平丸地区につきましては、一級河川関川水系の平丸川沿いの地域でございます。その地域に集中してちょうど六カ所被害が出ておるわけでございます。現在の県からの報告によりますと、被害総額といたしましていまお話がございましたように約八億四千万円ほど、その中には建設省所管のもの、さらには林野庁所管のもの、あるいは農地局所管のものというふうな区分がございますけれども、全体で約八億というふうな被害でございます。  私どものほうといたしましては、応急対策といたしまして直ちに、ちょうど建設省の土木研究所の地すべり試験所が新井市にございます。直ちにその所長を派遣いたしまして、現地の新潟県の砂防課長と同道いたしまして、担当者等で現地における応急対策というふうなもの、あるいは現地災害状況の把握、あるいは避難勧告あるいは避難のための移動の計測というふうな技術指導に当たらせたわけでございます。さらに昨日、四月二十五日でございますが、私のほうの傾斜地保全課の補佐一名と、やはり河川局の防災課の係長でございますが、現地に派遣いたしまして、復旧工法等の技術指導に当たらせておる状況でございます。  で、現在のさしあたっての対策といたしましては、危険と思われる地域につきましてとりあえず人命の安全を確保するというふうなことから、現地に直ちに警報機つきの移動観測機施設を設置いたしまして、それによりまして移動を観測しながら避難をしておるという状況でございます。現在のところやや小康状態を保っておるというふうなことで、避難は一部解除されておるという状況でございます。しかしその災害の過程におきまして被害人家が合計で四戸ございまして、一戸は流失、一戸は倒壊、一戸は一部破損、さらに二月は土砂が人家の中に流入したというふうな程度でございまして、ただ、まだ動きが将来活発になりますと危険と目される範囲の人家がございますので、ただいま申し上げましたように警報機つきの施設をもって危険の、人災のないことを願って人命の安全を確保しておるというのが状況でございます。  さらに応急の工事といたしましては、移動を押えるために仮排水路、やはり水が移動の促進になるという原因がございますので、そういった地すべり地域に対します水の供給を絶つために仮排水路の設置、あるいは流入土砂が家屋に押し寄せないような、はねるためのワク工の設置等を行ないまして、土砂の移動防止、あるいは河川への流入の防止をしておるという状況でございます。  で、現在までとってまいりました応急復旧状況といたしましては、本川の平丸川の河道埋塞等につきましては土砂の取り除き工事あるいはその埋塞によります河川はんらんにならないように土砂排除工事を実施いたしております。さらに県道の平丸−新井線というのが河川沿いに走っておりまして、そこへ埋塞土砂が載っておりますので、それの取り除き工事を実施して交通の確保を行なったという状況でございます。  先生御指摘の抜本対策という問題でございますが、地すべり対策をわれわれ検討いたしております段階におきまして、実は四十七年の非常に大災害を契機といたしまして、全国的に地すべり危険地の調査をいたしております。それによりますと、地すべり防止法によりまして担当の課が、われわれ建設省所管のもの、あるいは林野庁所管のもの、それから農地局所管のもの、合わせまして約一万カ所の危険個所が判明いたしております。そういった一万カ所の中、それぞれの所管省におきまして、現在われわれが建設省所管といたしましては現在実施いたしております第四次治水事業五カ年計画のワクの中で計画的に、さらにそういった危険度の高いものから順次施行しておるという状況でございます。特に新井地区につきましては、この地域一帯が第三紀層の泥岩地帯ということで、その調査の時点でも非常に危険個所が集中して判明いたしております。したがって地質的にあるいは地形的に非常に地すべりの発生しやすい条件にあるわけでございます。特にこの地域におきましては、今回の災害の地域は、三十八年におきまして法律によります地すべり防止区域指定いたしまして、工事昭和四十四年から地すべり対策事業ということで建設省所管で実施してまいっておるわけでございます。で、現在まで投資してまいりました事業費といたしましては約一億四千万程度の地すべり対策事業を実施してきたところでございます。現在の災害の個所等をその実施いたしましたところ等から比較いたしてみますと、今回の災害の個所は一応対策が概成いたしました個所の周辺でございまして、一応対策が概成いたしました個所からは災害が起こっていないというふうな状況でございます。したがいまして四十九年度以降におきましてもさらにこれらの地すべり対策事業の促進をはかるということにつとめてまいりたいと思っておりますし、さらにこれらの災害復旧には災害復旧事業というふうなもので対応していかなきゃならない部分もあるわけでございまして、再度災害防止のために今後努力してまいりたいと思っております。  さらに、先ほど申し上げましたように担当官を現在二名派遣いたしておりますので、その調査の結論、さらにはその結論に基づきまして、地すべりは御承知のように地下構造の変動でございますので、相当詳細な調査をしないと的確な判断が出てこないというふうなこともございます。したがって、調査を継続いたしまして、当地域一帯の地すべり対策についてさらに検討をして、抜本的な対策を打ち立てていきたいというふうに考えております。
  74. 塚田大願

    ○塚田大願君 建設省の対応は大体よくわかりました。  幸いにして今度の場合には人命の損傷がございませんでしたが、まあせめてもの慰めでありますけれども、とにかくこういう災害が起きると、これは大体いまもおっしゃられましたように、この防止施設をつくったところがやられなかったと、その周辺だったと。まさにそうだろうと思うんですね。やはり地元の方々もそう言っておられます。もしこの防止施設が何もなかったらもうえらいことだったろうと、まあ幸いにしてこの程度だったと、こういうことなんですが、まあこの程度だというのがわれわれにとってはたいへんな程度ですけれども、とにかくまあ一応の手だてだけはあったということですが、しかしこういうことが毎年繰り返されて、いままでの、三十八年でしたか、あの地すべり以来対策を立てて、一億四千万円でありますか、投資をしたとおっしゃるんですけれども、今度の一回のこれだけの災害で八億円の災害が出る。まあこういうことを考えますとね、私はそのお金の使い方は、予算の使い方はやはりもっと賢明に使う必要があると思うんで、そういう意味でこの抜本策を、あるいは年次計画などをやはり立てる必要があるんじゃないか。まあ日本じゅうこれは災害だらけでありますから、一カ所だけに全部金を使うということはできないことは、これはもう明らかであります。この災害列島をほんとうに解決するためには、あの田中さんの言う列島改造なんといって、工業地帯をつくるなんという列島改造でなくて、まさにこういう災害列島を克服した平和な日本列島をおつくりになることのほうが先決だと私どもは考えているわけですけれども、まあそういうことで、いまいろいろ説明を受けましたので、応急の対策はそれでもけっこうだと思うんですが、どうしてももっとこの抜本的な、ほんとうに中身のある対策を立てていただきたいと思うんです。  そこで、その問題について建設省のあれはわかりましたが、農林省はどうなんですか。農地関係に対するこの地すべり、新井地区の対策はどういうふうにやっておりますか。
  75. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) ちょっと私の所管じゃございませんので、後ほど担当の者を先生のところに伺わせるようにいたしたいと思いますので、御了承いただきたいと思います。
  76. 塚田大願

    ○塚田大願君 私はそういうこともちゃんと質問通告のあれはしてあったと思うんだけれども、まあ担当官がいなければあれですから、あとでひとつ、じゃ具体的なあれを報告を出してもらいたいと思います。
  77. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) はい。
  78. 塚田大願

    ○塚田大願君 そこで、これはもう総理府に対する質問になりますが、こういう今度のこの地すべりの場合でも災害救助法が適用されたのかどうかですね。これだけまあ避難訓練、避難だ何だかんだといって大騒ぎをして、まあもちろんそのたき出しやその他たいへんだったろうと思うのですが、現地では。これに対して災害救助法は適用されたのかどうかですね、そのことを最後にひとつ伺っておきたいと思うのです。
  79. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) お答えいたします。  まあ災害救助法の所管は厚生省でございまして、この新井地区の地すべりにつきまして相当の人が避難されたというのを聞きまして、厚生省のほうにもこの事情を、われわれ担当の施設課という課でございますが、そこに聞いたわけでございますが、現在のところ、まあ災害救助法の仕組みと申しますのは、都道府県知事が発動する。で、都道府県知事が厚生大臣と協議して発動するということになってございまして、現在厚生省のほうとしては知事のほうからまだ協議がきていないというふうに聞いております。で、まあそれについて厚生省のほうに県と十分協議するようにというふうな指導はしておりまして、一応県と厚生省の所管で処理しております。
  80. 塚田大願

    ○塚田大願君 これはですね、全く私どもにするとあまりにも驚くべき非常識だというふうに考えるのですね。これだけの災害が起きているのにやれ県から申請がないと、所管は厚生省だというふうなことでお役所仕事で結局まあ今度は人命はとにかく直接ありませんでしたけれども、これだけのこの災害で住民がおののいているのに、この災害救助法が適用されないというのはまことに何のためにこの災害救助法はあるのだろうというぐらいですね、ふかしぎに考えるわけですよ。で、これはですね、確かにまあ常襲地帯だということを考えれば、機械的にたとえばこの災害救助法のとの要件に適応しないとか何かというようなことでなくて、もっとこの災害救助法の精神というものを生かして、これをほんとうに弾力的に運用していく必要があるのじゃないか。なるほど地域的にも非常に狭い範囲でございましたし、この救助法によるとどれだけの範囲でどれだけの人口が被害を受けなければ適用できるとかできないとかと書いてありますけれども、年がら年じゅうこういうことをやっておるわけですから、たとえば通年で考えれば相当な被害になっておるわけですから、まあこういうものに対しては直ちに災害救助法が適用されて私はしかるべきだと思うのです。ぜひこの点で、こういう場合の救助法の適用のあり方を検討していただきたい。実はこの間のこの災害対策委員会であそこの南魚沼でありましたか、あの豪雪地帯の視察をしてまいりましたときも、やはり地元からは非常に強いその災害救助法の適用の要請があったわけであります。私も発言をいたしましたけれども。今日聞いてみますと、やはりあの地帯でもいまだに災害救助法は適用されておらない、こういうことらしい。そこでなぜそうなのかと聞いてみれば県から申請がないというふうな答弁がこの間ございました。しかし、県はもちろんひとつ問題があると思うのですね。が、やはり究極的には、私は国に責任があるのじゃないかと思うのです。と申しますのは、この災害救助法のいろいろ要件とかいろいろ制度というものがございますけれども、要するにこういうものは、政令できめられているわけでありますね。すべてその運用の要件というものは政令になっておる。ですから、政令でできることでありますから、私は弾力的な運用というのは十分に可能だと思うのですね。でなければまたこの災害救助法の意味というものがなくなってしまいますので、ぜひその点でひとつこの災害救助法の運用あるいはこの制度上の改善ですね、これをひとつやっていただきたいと思うのですけれども、これを、この御答弁をひとつ聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  81. 杉岡浩

    説明員(杉岡浩君) お答えいたします。  まあ災害救助法の所管省はさっき申しましたように厚生省でございまして、厚生省といたしましても最近災害救助法の運用につきましては非常に弾力的に、先生の御質問がありましたように非常に弾力的にその運用をいたしておると聞いておりますし、実際にそのような処理を聞いております。災害救助法を発動するかどうかやはり地元のその県が総合的に判断いたしまして、厚生大臣と協議して定めるということで、その地元の県のほうから厚生省に申請があって、それを厚生省がいろいろとチェックするというようなことじゃなくて、むしろ積極的に厚生省のほうも災害救助法等の運用につきまして弾力的に行なうように指導しておるとわれわれは認識しております。本件の場合、その実態が、これは厚生省のほうからあるいは先生のほうに御説明にあがらせたいと思いますが、避難しておられる場所がたとえば御親戚だとかそういうようなところに避難されておりまして、災害救助法のたき出しだとか、そういった行為があまり見られないということで県等は災害救助法の発動をしてないんじゃないかというふうに私推察しておりますけれども、その間の事情につきましては厚生省のほうから先生のほうに御説明にあがらせたいと、こういうふうに考えております。
  82. 塚田大願

    ○塚田大願君 いまのお話しなんですが、こういう地帯で地すべりが起きたとき、さあどこに逃げるなんといっても山の中で逃げる場所なんかありませんわ。そうすれば知人とか親威とか頼ってかけ込む以外に手はないですね、町のまん中と違いますから。他人でも何でもいれば、それはあるいは学校でもあればこっちへ避難するという手もありますけれども、これはもうほんとに山間地帯ですから当然そういう結果になる。しかしそういう避難であるとか食事であるとか寝床であるとかというのはこれはどこの家でもそんなことを予想して準備しているわけじゃありませんから、これは当然そういう場合でも常識として考えまして私は災害救助法——災害と見て救助をするというふうでなければこの法律をつくった精神に適合しないんじゃないかと思うので、いませっかくお話もございましたから、ひとつ総理府といたしましてもひとつぜひ積極的に、そういう官庁のセクト主義じゃなくて、やはり防災会議としてですね、統一したひとつ見解を出していただくように努力していただきたいと思うのでこのことを要望して私の質問を終わります。
  83. 秋山長造

    委員長秋山長造君) 本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時三十三分散会     —————————————