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1974-07-19 第72回国会 参議院 災害対策特別委員会 閉会後第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年七月十九日(金曜日)    午前十一時四分開会     —————————————    委員の異動  六月十二日委員山本敬三郎君は、公職選挙法第  九十条により退職者となった。  七月七日委員上林繁次郎君は議員の任期を終了  した。     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         中村 英男君     理 事                 川野辺 静君                 佐藤  隆君                 秋山 長造君     委 員                 久保田藤麿君                 古賀雷四郎君                 柴立 芳文君                 寺本 広作君                 桧垣徳太郎君                茜ケ久保重光君                 杉山善太郎君                 松永 忠二君                 宮崎 正義君                 塚田 大願君    国務大臣        国 務 大 臣        (国土庁長官)  西村 英一君    事務局側        常任委員会専門        員        村田 育二君    説明員        国土庁長官官房        審議官      横手  正君        防衛庁防衛局運        用課長      伊藤 参午君        環境庁水質保全        局長       大場 敏彦君        大蔵省主計局主        計官       西垣  昭君        厚生省環境衛生        局環境整備課長  吉崎 正義君        厚生省環境衛生        局水道整備課長  国川 建二君        厚生省社会局庶        務課長      北村 和男君        農林省構造改善        局次長      杉田 栄司君        林野庁指導部長  藍原 義邦君        中小企業庁計画        部長       吉川 佐吉君        気象庁長官    毛利圭太郎君        建設政務次官   内海 英男君        建設省河川局長  増岡 康治君        建設省道路局次        長        中村  清君        建設省住宅局長  山岡 一男君        日本国有鉄道施        設局長      篠原 良男君    参考人        日本道路公団理        事        栗田 武英君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○災害対策樹立に関する調査  (派遣委員報告)  (台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害に関  する件)     —————————————
  2. 中村英男

    委員長中村英男君) ただいまから災害対策特別委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  災害対策樹立に関する調査のため、本日の委員会に、日本道路公団理事栗田武英君を参考人として出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 中村英男

    委員長中村英男君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
  4. 中村英男

    委員長中村英男君) 災害対策樹立に関する調査を議題といたします。  まず、先般当委員会が行ないました台風八号及び梅雨前線豪雨による災害実情調査のための委員派遣につきまして、派遣委員から報告を聴取いたします。川野辺静君。
  5. 川野辺静

    川野辺静君 静岡県における台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害実情調査報告を申し上げます。  去る七月十六日、秋山理事松永委員宮崎委員塚田委員、それに私川野辺は、静岡県を訪れ、台風第八号及び梅雨前線豪雨による被害実情調査を行ないました。  私は調査団を代表して、調査の概要を簡単に御報告いたします。  まず、静岡県庁におきまして、就任早々山本知事をはじめ諏訪副知事関係部長荻野静岡市長県警本部長から、被害状況、その後の対策並びに措置要望事項等について事情を聴取後、静岡松富上組丸山町、清水市蛇塚、宮加三町の被災各地に参りました。  まず、今回の大災害発生原因となりました異常気象状況でございますが、瀬戸内海地方で山津波など、大きな被害をもたらした雨域が、台風第八号の移動とともに日本列島を北東に進んだため、関東、東海地方は、七日夜半から八日未明にかけて局地的な集中豪雨に見舞われました。特に、静岡県下では、西部地域の秋葉で三百三十二ミリ、浜松百四十四、中部の静岡で五百八、高根山四百七十九、東部の三島二百九十九、富士三百五十四ミリと全県下異常豪雨をもたらしたのであります。  静岡災害対策本部の調べによりますと、死者四十一名、行くえ不明二名、重軽傷者百三名の人的被害をはじめ、住家の全壊二百十五むね半壊三百六十むね、一部破損百五十一むね床上浸水二万四千八百六十四むね床下浸水四万六千百七十九むね、田畑の流失・埋没、冠水八千五百六十ヘクタール、公共土木施設百三十七億円、農地農業用施設四十二億円、林道治山関係百三億円、農業漁業商業関係六百八十億円、屎尿、ごみ処理場火葬場水道等二億円、社会福祉施設二千三百六十万円、合計九百六十三億円の被害でありますが、これは七月十二日現在の調査であり、なお時間が経過するにつれて、さらに相当額の増額があるものと思われます。  次に県の対策について申し上げます。  静岡県では、未曾有の豪雨による被害県下全域にわたって発生したため、七日の二十二時災害対策本部を設置するとともに、情報の収集を進めた結果、二十二市町村災害救助法を適用、さらに八日の零時五十五分以降、細江町、清水町、静岡市及び由比町に、自衛隊派遣要請を行なうとともに、総括、救助土木衛生農林水産農地、商工、教育警察の各班が所管対策を講ずべく即刻活動しておりました。  特に土木班河川関係につきましては、長尾川、朝比奈川、太田川、敷地川、二俣川の応急措置をほぼ完了、なお全県的には千二百九十カ所、被害額約九十億円の見込みでありますが、雨季の長引きと二次災害防止のため鋭意復旧につとめ、七月十五日には仮締め切りを完了したとのことであります。  また、住民生活と密着している道路関係につきましては、三十八路線(四十一カ所)が交通規制を行なっておりますが、復旧見込み状況は、国道百五十二号線、袋井−春野線、金谷−中川根線静岡春野天竜線がいずれも十八日から二十日には応急復旧により開通見込みであるとのことでございました。その他救済物資の輸送、飲料水の供給、医薬品の配布、消毒剤の散布の徹底等々懸命の努力が払われております。  次に、静岡県からの要望事項について申し上げます。  第一は、激甚災害に対処するための特別の財政援助に関する法律による激甚災害または局地激甚災害に指定されたい。  公共土木施設農地等及び農林水産業共同利用施設についての早期復旧をはかるための所要の措置を講ずるとともに、農林漁業及び中小企業に対する激甚災害に関する特別措置を全面的に適用されたい。  ほかに九項目にわたります内容でございますが、時間の関係もございますので、本報告の末尾に掲載させていただくことで委員長の御了承を得たいと思います。  次に、一、二所見を述べておきたいと思います。  このたびの梅雨前線豪雨による災害は、静岡地方気象台開設以来、観測史上初めての、全く想像を絶する雨量であったとは申せ、多くの人的被害をこうむったことはまことに遺憾であります。八日未明松富上組奥沢山を襲った鉄砲水は、ふもとの二世帯九人を一瞬のうちに土砂の下にのみ込んでしまいました。また浅間山の名で市民から親しまれた賤機山が恐怖の山と化し、約五千立方メートルの土砂東側丸山町の住宅七戸を、押しつぶしております。異常豪雨に危険を感じた住民方々避難を始めかけていたときでありましたが、逃げおくれた四家族九人が、家と土砂の下に埋まってしまいました。このような悲惨な事故を防止するためには、現在の気象観測体制の強化をはかるとともに降雨量の予報、警報等の伝達の方法等について、今後抜本的に再検討する必要があると思います。  静岡市では、七月八日午前二時五十分からの時間雨量が八十四・五ミリ、夜半から未明にかけて、一時間平均六十ミリのどしゃ降りであります。  地震については、夜間就寝中でもある程度はだで感ずることができますが、降雨量は全く予測することができず、大きな惨事を引き起こしたと考えられます。  梅雨前線の停滞により、たっぷり雨水を含んだがけ地等が一たび豪雨に見舞われれば崩壊は理の当然であることはいまさら申し上げるまでもございません。四十七年七月建設省調査によりますと、傾斜度三十度以上高さ五メートル以上の急傾斜地で想定被害地域内に人家五戸以上ある危険個所全国で六万七百五十六、静岡県内では自然がけが千三百十四、人工によるがけ百四十五、計千四百五十九カ所が存在するわけでありますが、今回視察いたしました賤機山東南面は、斜面もそれほど急とは思われず、全く予想しなかったところが崩落しているため、今後危険地調査、点検、対策について再考の要があることを深く、強く感じました。  次に清水市の浸水による被害はほとんどが巴川の流域で発生しております。近年の豪雨による都市災害のパターンは都市周辺市街化の進行により、雨水地下浸透能力の減少、洪水貯留能力の低下により洪水ピーク流量が増加し、いわゆる都市河川はんらんによる被害であります。したがって、巴川洪水調節は、巴川導水路をはじめ、大谷川の放水路を早期着工させることにより、地域住民方々が一日も早く安心して生活ができるよう血の通った行政が必要であります。  また、集中豪雨の後遺症は、道路鉄道等交通機関にもあらわれ、各地で渋滞を引き起こすなど県民生活の上に重くのしかかっております。県警本部長説明の中に本県、特に由比地区については、その地形的条件から、交通の大動脈である東名高速道国道一号、新幹線、旧東海道線が隣接しているため、一たび災害が発生するとすべての交通機関がストップしてしまう状態にあり、これらを解決する抜本策としては所管外ではあるが私的意見として西側にバイパス的道路建設がぜひとも必要と思う、と述べておりますが、全く同感でございます。  最後に、県としてもすでに実施しているようでございますが、引水後の早期防疫対策検病調査など早期予防体制を強力に推し進め、疫病発生防止につとめなければなりません。  なお、民生、公共土木住宅水道農林水産中小企業学校教育警察行政等々問題が広範多岐にわたるため、具体的な対策などにつきましては、各委員質問を待つことといたし報告を終わります。  終わりに、今度の災害によりおなくなりになりました方々の御冥福と、負傷された方々の一日も早い御回復をお祈り申し上げるとともに、不眠不休被災地復旧に当たっておられます皆さまの御苦労に対し深く感謝の意を表するものでございます。     —————————————
  6. 中村英男

    委員長中村英男君) 次に、台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害などにつき、政府から報告を聴取いたします。西村国土庁長官
  7. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 今回の災害における被害等につきまして御報告を申し上げる前に一言ごあいさつを申し上げたいと存じます。  去る六月二十六日国土庁が発足いたしまして、はからずも私長官を拝命いたしましたが、皆さま方の御協力のもとにこの大任を果たしたいと存じますので、何とぞよろしくお願いを申し上げる次第でございます。  国土行政のまた一環といたしまして、この災害対策の本委員会の任務であります災害対策の重責もになうことになりましたのでございます。  国土庁におきましては、従来総理府審議室において取り行ないました中央防災会議事務局の運営その他災害対策全般にわたる連絡調整事務を行なうこととなっております。  今後、委員長をはじめ皆さま方の御指導のもとに、国民の生命、身体の安全確保を第一義の目的として、台風豪雨地震等の各般の災害に関する施策に積極的に取り組んでまいる所存であります。今回の災害につきましての被害状況について御報告いたします。  六月三十日、沖ノ鳥島の南方海上に発生した台風第八号は、六日から七日にかけて福岡の西方海上を通り、朝鮮海峡から日本海に抜け、本土への上陸は避けられましたが、この間、梅雨前線を刺激したため、六日夜半から八日にかけて静岡兵庫香川、神奈川県等の各県に集中豪雨を降らせ、山くずれ、がけくずれや河川はんらん等により甚大な被害をもたらしました。  その後も、梅雨前線の活動は活発でなおも全国各地被害を与えております。  これらの災害による被害状況は現在までに判明したところによりますと次のようになっております。  一般被害といたしましては、警察庁の調査によりますと、死者・行くえ不明者百二十一人、建物の全・半壊流失千三十七むね床上浸水四万七千二百八十七むね罹災者十九万四千八十一人。また施設関係などの被害額といたしましては、現在判明しておるもので、公共土木施設など約九百五十二億円、農地など約四百九十三億円、農作物など約百七十五億円、中小企業関係約六百六十九億円、その他の被害を合わせまして、総額約二千五百二十四億円にのぼっております。  この災害に対してとった措置といたしましては、台風第八号の接近に伴い、災害発生前の七月五日に各省庁連絡会議を開催し、避難体制に重点を置いて各省庁において万全の措置をとるよう指示をいたしました。  次に、災害発生と同時に静岡県をはじめとする九県百九十一市町村災害対策本部を設置し、消防、警察自衛隊などを動員して、被災者の救出につとめるとともに、被害の特に大きかった静岡静岡市をはじめとする二十市二十三町一村に災害救助法を適用し、たき出し、避難所の設置、医療などを行なうとともに応急仮設住宅建設を進めております。  次に、七月八日、十六省庁からなる各省庁連絡会議を開催し、被害実態把握につとめるとともに、被災現地状況調査のための政府調査団派遣を決定し、九日内海建設政務次官団長とする一班を静岡県へ、山内国土政務次官団長とする一班を香川兵庫の両県に派遣いたしました。  また、七月十日には十八省庁からなる各省庁連絡会議を開催し、政府調査団調査報告をもとに、応急対策及び今後の復旧方針等について打ち合わせをしたところであります。  関係省庁におきましては、被災後直ちに関係係官現地派遣し、応急復旧指導等を行なっております。  なお、今後さらに被害実態調査を急ぎ、災害復旧に必要な万全の措置を講じてまいりたいと存じております。  最後に、たいへんたくさんな人命を失ったのでございまするが、罹災者の方について、この機会に深くおわびを申し上げる次第でございます。
  8. 中村英男

    委員長中村英男君) 次に、台風八号及び梅雨前線豪雨による災害対策に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  9. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 私は、トップバッターを承って質疑をさしていただきますことを心から御礼申し上げます。  まずもって今回の災害によりたいへんな死者ができましたこと、また多数の病人ができましたことにつきまして、心からお悔やみ申し上げます。さらにお見舞いを申し上げる次第でございます。  ところで、私はこの機会に二、三点の問題をひとつ質問を通じまして、いろいろと政府関係の直接意見を承りたいと存じております。  まず第一に、従来からの災害を見まして、ほんとうにわが国の治山治水対策が非常におくれておるということを痛感する次第でございます。国土が非常に狭い上に多数の人が住んでるのに水害が起こる。そういったことで多数の死者が出る、あるいは農作物が減収するとかいろんな問題ができまして、非常に社会的に問題が大きく影響してくるということが痛感されます。  したがいまして治山治水対策事業は、昔から言われおりますように、水を治める者は国を治めると言っておりますが、これは今日でも私は通用すると思うわけでございますが、従来からの治山治水対策関係のいろいろな諸施策につきましては、ひとつどちらかと言えば、のど元過ぎれば暑さを忘れるといったような傾向がなきにしもあらず、私は非常に残念に思います。どうかひとつ政府当局は、こういう事態が発生しないように全力をあげて治山治水対策のステディなやり方をひとつぜひやっていただきたいと私は考えております。治山治水対策は、どうも災害が七月、八月に起こるものですから予算の決着の時期には、十二月にはどうも災害を忘れてしまって、予算にはどうもとりあえず必要なことに非常に力を入れられるといったような向きもございます。この点はひとつぜひ政府当局の変わらない体制を十分持続していただきますように、国のいしずえとしての国土保全事業を十分ひとつ考えていただきたい。この席をかりまして強く要請いたしておきます。  そこで、今回の災害を私はあまり見ておりません。ただ、三重県の伊勢市に参りました。したがいまして私は主としてそういった問題に関連いたしまして御質問を申し上げましておきたいと思いますが、実は伊勢市の勢田川という川がございますが、この川は実は改修がやられていない川でございます。したがいまして、全国都市を見ましても、小河川におきましてはかなりそういった川がございます。また、いなかにおきましてもそういった川がございます。そういった川は必ずや雨がたくさん降りますとすべて溢水するという現象が生じます。溢水しますと公共土木施設等につきましては被害は若干起こりますが、なかなか根本的な破堤とかいろいろな問題はなかなか起きずに災害の激甚さは住宅とかあるいは家財あるいは土地の問題とかいろいろな問題に災害が生じますが、実際いざ復旧になってみますと、これの取り扱いが非常に困るということでございます。いわゆる溢水河川処理というのは従来から非常に問題でございましたが、なかなかこれを積極的に進める方策がなかった。公共土木施設もたとえば災害がたくさん出れば一定災とかあるいは助成関連とかいうやり方でやっていけたわけですが、なかなか災害が起こらないと実際の被害はたくさん出ても処置ができないというような今日までの政府施策でございます。  そこで私は、こういったことに対しまして治山治水対策のおくれを十分指摘できると同時に、私はこの溢水河川につきましては特別な方策を考えられてもしかるべきじゃなかろうかというぐあいに考えます。これに対しまして、ひとつ関係省庁から御説明をお願いしたいと思います。
  10. 増岡康治

    説明員増岡康治君) 最初の御要請はまことにそうでございまして、私ども治山治水予算につきましても万全の促進に邁進したいと思っております。  それから質問の第一点でございますけれども、現在行なわれております治山治水方法に対して、溢水した場合に対して非常にまだ抜けておるという御指摘でございます。現在私ども災害が起こりますと災害復旧事業を施行いたしますけれども原形復旧ではその目的が達せられない場合には、改良復旧方法といたしまして災害関連事業及び災害復旧助成事業等がございますが、これらの採択にあたりましては制度上一定の制限がございます。しかしながら、特別な大災害がございました場合には、原則的な基準を上回って採択してまいった事例がございます。まあ今回のように、先ほど勢田川の例がございましたが、非常に一般災害が多くて施設災害が少ないような場合の問題でございますけれども、先ほど申しました前例をよく考えまして弾力的な運用をはかってまいりたい所存でございます。いずれにいたしましても、この根本的な対策は、今後起こり得るこういうような集中豪雨を想定いたしまして、各中小河川等、特に中小河川でございますけれども、やはり抜本的な考え方における治水事業を進める以外に手がなかろうと、そういうような考えで現在おるわけでございます。  終わります。
  11. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 災害関連とか災害助成の点につきましてはよくわかりますが、実際現在の採択状況は、たとえば災害五〇%、改良が五〇%の場合に災害助成とか災害関連をやっていける。実際これらの問題を採択するのに非常にぼくは、折衝に従来からも難航しておりましたし、今後それらの問題がほんとうにやっていけるという自信があるのかどうか、その点非常に私は、いませっかくの御答弁ですが、残念ながらその点を深く危惧しておるわけです。そこで私は、大蔵省関係の方から、ひとつこれらの問題につきましてどういうふうに考えておられるか、たとえば災害助成の場合に一〇%の災害ででも災害助成として採択できるようなことができるのかどうか、やられるつもりなのかどうか。それはまあ全部の河川にはかりにできなくても、たとえば溢水河川等につきましては、特に緊急の措置を要する、そしてまたこの次もすぐ雨が降れば災害が起こるという可能性が非常に大きい川でございまして、そういう意味で大蔵省の御所見を、これに対する考え方をひとつぜひお伺いしておきたいと思うわけでございます。
  12. 西垣昭

    説明員西垣昭君) いまのお話でございますが、建設省からお話がありましたように、一応の原則というものはございますけれども事情に応じまして弾力的に運用するということを現にやっているようでございます。やっているようでございますと申しますのは、私まだ着任早々でございまして、その関係の話は直接伺っているわけじゃございませんのでそう申し上げるわけでございますけれども、今後とも建設省十分相談をいたしまして、弾力的に運用するようにいたしたいとかように考えております。
  13. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 いま大蔵省からの御説明がありましたが、弾力的に運用していただくようなお話でございますので非常にありがたいと思いますが、私はここで確認しておきたいのは、温水河川と称するものについて特別な措置を要するということを申し上げたいのでございます。その溢水河川というのは非常に堤防も貧弱だし、さらに今後も何回も水害が起こり得るという可能性の川、一番可能性が強い川、それだけに住民が一回災害を受けると次の災害を非常に心配するという状況でございますので、この溢水河川については私は特別なそういった処置が要るのじゃないか。従来の考えられている採択基準をさらに一そう緩和してこの問題をひとつ弾力的に取り扱っていただきたい。もちろん非常にそういった提防のない川とかいろんな問題は都市河川に非常に多うございまして、家屋の移転の問題とか、いろんな問題があろうかと思います。そこでこれらが急速に解決するかどうかということは用地交渉の問題とも関連してまいりましょうが、しかし、何としてでもやらなきゃ毎年災害が起こるわけですから、あらゆる方法を講じてひとつ具体的な施策をやっていただきたいと私は心からこの溢水河川についてお願いしたいのでございます。審議官も来ておられますが、どうかそういう趣旨をひとつ長官に十分伝えていただきまして、災害対策本部としましてもこれらの問題をひとつ具体的に解決できるようにぜひ御協力をお願いしたい。長官にもひとつ御進言をお願いしたいと思います。溢水河川については一応私は終わります。  さらに私はこれらの問題と関連しまして、都市内河川におきまして勢田川に見た例でございますが、ほかの河川にもたくさん例がございます。鉄道橋の問題で非常にみんな困っている。この鉄道橋の問題は国鉄との関連国鉄財政上の関係で非常におくれている。私はたちどころに十本ぐらいの川をその鉄道橋でおくれている例をあげることができるわけですが、新潟県からあちこちにたくさん全国的にちらばっております。この問題につきまして具体的な建国協定というのがございますが、建国協定もありますが、国鉄財政が非常に困っているときにどういうぐあいにこれを推進されるのか。たいがい河川の改修は鉄道の下まで行ってあとはなかなか予算がかかるのでストップされている。これが災害の原因になっております。それから、勢田川の実例でももうごらんになったかと思いますが、市道橋が二つ三つほどあって、いずれもピアが非常に狭い、しかも木橋もあるというような状況で、そこにみんなごみがつかえる、それも溢水を一そう激しくした原因であろうと思います。建設省は橋梁の三割等を助成して今日までやってきたわけですが、この鉄道橋の問題をひとつぜひ考えていただきたい。  たとえば勢田川の隣りの外城田川とか、あるいは相合川とかいう問題はもう全部鉄道橋でその改修がストップしている、それが災害の原因になっているということを如実に見ることができるわけでございまして、この点につきましてひとつ今後鉄道の財政問題と関連してどういうぐあいにおやりになるのか、ひとつ災害対策の一環としてこれらの解決を具体的にお聞かせ願いたいと思います。
  14. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  建設省といたしましては、先ほどお話がございましたように国鉄橋というものが非常に災害被害のもとになるということを十分過去から知っておりますので、予算等につきましては建設省のサイドから言えばそのものが治水工事でございますので、建国協定に基づいて惜しみなく予算を注ぎ込んでまいってきたわけでございますが、先ほど先生おっしゃいましたように国鉄にはいろんな財政の問題がございます。そのつどその重要度に応じまして国鉄御当局と十分協議しながら優先順位をきめまして協議しながら進めていきたい所存でございます。
  15. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ただそれは局長のおっしゃるのは、まあ方針としてはよくわかるけど、現実問題として予算が伸びない、そうするとなかなか実際できないじゃないか、できないのじゃ毎年水害を繰り返すだけだ。そこで、私は河川局長に提案したいんですが、むしろそういった危険な鉄道橋梁につきまして住民の安心を得るために、たとえば鉄道橋梁の拡幅問題について何カ年計画でこれはやってしまうのだというような具体的なやはり見通しをつけて、それについては大蔵省協力していただく、それから国鉄協力していただく。そういうことでないと私は災害をいつ解除できるのかちょっと見通し立たないと思うのです。それで安心してたんぼもつくれないしまた水害も除去されないということになるわけです。  私は、国土保全というのは国民が安心感を得れば、——それは一ぺんにできないものもたくさんあります、したがいまして安心感を得るような措置をやってほしいのです。必ずしも全部が全部やれと言われたら、国の財政としてはおそらくもち切らないと思います。そこで私は、そういった水害可能性の大のものを拾い上げて、ひとつ具体的に一つ一つ詰めて、それをたとえば三カ年計画でやるとか、あるいはその中で特に重要なものを緊急三カ年でやるとか、その裏づけを大蔵省でやっていただきたい。さらに鉄道もその問題にひとつつき合っていただくということにしなけりゃならないと思うのですが、その辺のお考えをぜひお伺いしたい。
  16. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  この重要な建国協定といいますか、これに基づくものは協定だけではだめでございます。先般の勢田川の災害にもこの事例が出たということでございますので、私ども建設省といたしましても、内部的にもまた国鉄との折衝におきましても、いま先生の御指摘どおり、やはり一つの年度計画を立てて進めるよう検討してまいりたいと思います。よろしくお願いします。
  17. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 ぜひひとつそういうぐあいに、やっぱり住民に、ああこれはいつまでにやってくれるという安心感を与えていただきたいし、まだこのほかにも、たとえば農林省の井ぜきが非常に災害を助長する方向に動いているせきがたくさんある。そのせきの改良計画にしましても、私は、相当これらの問題を、いま鉄道橋の話と同じような考え方で、やはりせきの問題もあわして解決してほしいということを強く要請いたしておきます。  そこで、溢水河川処理につきましては大体そんなことであがらしていただきますが、私は審議官にちょっとお伺いしたいんですが、ここの死亡者と称するものは大体、あるいは負傷者と称するもの、行くえ不明と称されるもの、あるいは全壊、中壊というようなものは、これらは何によってできたのか、原因をひとつ御報告を願いたいと思います。
  18. 横手正

    説明員(横手正君) 先ほど長官から御報告申し上げました被害状況でございますが、この内容は警察庁調べによるものを取り上げたわけでございます。  なお、死者、行くえ不明者等の原因別でございますが、その詳細な資料を実は持ち合わせておりませんが、今回は非常にがけくずれ、山くずれあるいは土石流、これによる死傷者、負傷者が多かったわけでございまして、濁流にのまれたというような事例も何人かございますが、ほとんどはそうしたがけくずれ等の被害になっております。
  19. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 審議官に私は要請をいたしておきます。資料を提出願いたい。これらの行くえ不明、死者の方、それから全壊、半壊、まあ床上浸水はともかくとしまして、それらの特に死者等、家屋の全壊、中壊に対しまして原因別に明らかにしていただきたい。これを資料提出をお願いします。
  20. 横手正

    説明員(横手正君) 死者、行くえ不明者百二十一名ございますが、この中で山くずれ、がけくずれ、鉄砲水によるものが百六名でございます。それから濁流に押し流された子が十四名でございまして、あと一人落石による事故でなくなられた方がございます。
  21. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 大体そうしたら、死者の大部分の方はがけくずれによって発生したというぐあいに理解できるわけですが、このがけくずれの問題は従来から災害対策委員会におきましても非常に重要視されておられまして、たとえばこの前の災害対策委員会では、もう委員長のもとで集団移転の法律までつくってこられたわけですね。議員立法でしかもつくられたわけですが、その法律に基づく予算、これは十億ぐらいついているようですが、いま天草を主としてやっている。ところが実際は、あの水害が起きて死者が出て私は対策を講ずるのだったらもうおそい。それはやらなければいかぬことですが、私はそういう行政のあり方はあまり感心しないと思うんです。むしろ私は、水害の起こる前に、死者ができない前にそれらの対策を具体的に処置を講じていくというあり方があってしかるべきじゃないかと思う。現在急傾斜地対策に基づく処置はかなり各地でやっておられますが、予算も急激に大蔵省の御理解を得てやっておるわけです。しかし私は、まだ必ずしもそれで十分ではないという感じがするわけです。したがいまして、私はこの急傾斜地の予算の増額等をぜひお願いしたいと思います。死者が少なくとも出ないようにしていただきたいというぐあいにお願いしたいのでございます。  それからもう一つは、集団移転の問題、これはまあ災害が起きたときしかやらないというようないまのやり方なんですね。えびのあるいは天草と、私もこの前天草を見に行ってまいりました。まあ大体非常に順調に、途中で若干資材が上がりましたのでちょっとおくれているところもありますが、大体うまくいっているような感じでございます。二、三意見は聞いてまいりましたけれどもこれはまた別の機会に譲るとしまして、この集団移転というのをまずこわれないところにやってもいいんじゃないか。それがいままで一つもやられていないという実例なんです。まあ、こわれたところをおおうのに精一ぱいなのかもしれませんが、もっとこれらの問題につきまして、積極的な集団移転の法律による移転を具体的にひとつ措置していただきたいということを強く要請いたしておきます。  大蔵省もぜひこの点については御協力を願いたいというふうに私御要請申し上げます。  ほかにもたくさんありますが、最後に、時間の関係もございますので、私は審議官にお伺いしたいと思っております。私は、前の杉岡参事官の時代に、激甚災の法律のいろんな指定の基準とか、あるいは災害の負担、あるいは財政金融のいろんな率の問題といった問題につきましていろいろと資料の提出を要求いたしておりましたが、実は私はその負担の、あるいは財政金融の利率の問題にしましても、非常にアンバランスがあるというぐあいに考えておるわけなんです。  この前伊豆の災害のときに、たとえば有料道路災害がたくさん出た。これは災害復旧にならないわけですね。だから有料道路の範囲内でやってくれと。しかしまあ有料道路は、道路がないためにわざわざその道路をつくるために有料道路というのでやってきたわけなんです。で、いままであの地域には道路はないわけです、道路らしい道路は。だからその住民にとってはもうあの道路しかないわけなんです。そういう道路がこわれた場合に、有料道路で負担してそれをやれというようなやり方は、ぼくはちょっと理解できない点もあるわけです。それは有料道路だから独立採算制だからいいんだと、それでいいんだという突っぱね方は私はなかなかできないだろうと思うんです。たくさんもうかっているところはそれはいいでしょうけれども、実際そういった場所でないところで具体的にひとつこれらの問題を突き詰めていく必要があるんじゃないか。たとえば有料道路の問題はそうでございますし、それから都市施設につきましても、あるいはその他の公益施設、それらにつきましても、私はほかのところとのバランスで、これらの国庫負担率ですか、それらの問題を具体的に調整してやっていかれる必要があるんじゃないかと、私は手元に資料がないものですから、具体的にちょっと申し上げるわけにはいかないのですが、ぜひそういった問題をひとつ検討する必要があると、そこで審議官のほうに私はそれらの問題につきまして、資料をひとつぜひ御提出をお願いしたいことを要請しておきます。  それから個人災害につきましては、従来からたとえば天災融資法とかあるいは住宅金融とかいろんな問題でやられております。そして伊豆の災害のときには住宅の貸し付け限度をたくさん上げていただいたりいろんなことをして相当な施策をしていただきましたけれども、これらの問題につきましても、ほかの個人災害の融資の問題を全般的にながめていただいて、どういうぐあいにやったほうがいいのか、いろいろと住宅金融公庫の融資は五分五厘とか、あるいは法律に基づくのは三%とかいろいろあって、やはり天災を受けた人に対してあたたかい手というわけにいかない点もあるわけなんですね。それから特に住宅の場合には、たとえば激甚災に指定されなければ融資率が違うとか、いろんな問題があります。しかし、全壊家屋については激甚災を受けようと受けまいと私は同じことだと思うんです。だから住宅被害の程度によって当然融資を考えていくべきであるし、融資率も考えていかなきゃいかぬ。だからその辺で私は非常に行政的にむずかしい問題もあろうかと思うんだけれども、これらの問題をひとつやっぱり実際進んで被害を受けられた方々の立場になって問題を処理してもらいたい。だからその辺の融資率の関係、あるいは融資額の限度の問題、利率の問題、それらの問題を十分にひとつ災害対策本部で御検討になっていただく必要があると思うわけです。この問題はぜひひとつ御検討を願いたい。  それから激甚災の問題も私は非常に激甚災の内容をひとつ検討していただきたいと思っているんです。隣の村はどうも激甚災になるけれどもこっちの村は激甚災にならなかったと、いろんな問題がありまして、地域感情としては非常にまずい点もあるわけなんですが、それはそれとしまして、激甚災の指定の基準とかいろんな問題を具体的にどういうぐあいに今後考えていかれなくてはいかぬか、従来の災害の実例のときにいろいろと参考になる点があろうかと思いますので、この点につきましてもひとつ御検討をぜひお願いしておきたいと思っております。  それから急傾斜地の問題をちょっと一つ言い残しましたが、この前、急傾斜地のところで、伊豆災害のときに、個人負担の率を下げていただいたと、これはたいへんありがたいのですが、従来は実はあの急傾斜地対策立法のときには地元負担はとらないというのが私らの趣旨だったのです。ところがいつの間にか変わりまして、二〇%の地元負担をとるというような採択基準になっている。しかし、これは災害を受けられた方が、どうも地元負担金を、個人負担をとるということについては、これは天災でありますから、特に地元負担をとることについて私は重要な異議を持っているのです。だからこの点については、新しく災害を受けない予防的な措置をする場合にはともかくとしまして、災害を受けた方に対してまた金出せと、おまえのこれらの急傾斜地をやってやるから金出せというやり方は、私は全くたいへん人情のないやり方だと思うのです。この点について何か建設省から考えをひとつお聞きしたい。
  22. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  ただいまのお話でございますが、いま申されましたとおり、急傾斜地の崩壊対策事業の受益者負担金は、現在、被災区域内に河川道路等の公共施設がある個所を公共関連といたしまして事業費の一〇%、その他の場合には二〇%を課しておるわけでございます。しかしながら、さきの伊豆半島沖の地震によります災害の実情にかんがみまして、おのおのこれが二分の一に軽減になったわけでございます。しかしながら、今回の静岡災害等その他の災害をいまいろいろと調査さしておるわけでございますけれども、この実情を十分調査した上で、建設省といたしましては、受益者負担金の軽減の方向に向かっていま内部的に検討を進めておる次第でございまして、この問題については、いろいろと他官庁との関連もございましていろいろ折衝もございますけれども建設省といたしましては、軽減の立場でその考えを検討していく所存でございます。
  23. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 大蔵省の課長さんに御質問するのは、立場がいろいろあるでしょうから、たいへんあれでしょうけれども、ぜひひとつ御協力を願いたい。これは災害を受けたところの個人負担はとらないということにぜひひとつ進めていただきたい。私は、新しくやる集団移転とかいろいろな問題は別としまして、そういったことに関しまして負担金をとるのは非常に酷な措置であるというふうに考えておりますので、その点につきまして十分上司と御相談くださってひとつ善処していただきたいと念願いたしておきます。  それからもう一つは水道の問題ですが、水道災害復旧というのはどういうぐあいになっておりますか、水道災害復旧については。
  24. 国川建二

    説明員(国川建二君) お答えいたします。  水道施設の災害復旧事業につきましては、これは予算措置といたしまして、被害の内容に応じまして軽微なものを除きまして二分の一の国庫補助を行ない、残りの事業費につきましては、災害債務留保ということで復旧に要する経費をまかなうという形をとっております。
  25. 古賀雷四郎

    古賀雷四郎君 そうすると、水道災害復旧の負担金は予算措置で、法律措置じゃないと。水道も有料道路も大体同じようなものですね、公共企業体みたいなものだから。だからこれは水道とか、たとえば都市施設も公共土木国庫負担法の指定にはなってない。報告はいつも都市施設は公共土木と一緒に御報告されますけれども、実は何にもなってない。あれは予算措置か何かでしょう。だからこれらの問題をやはり地元では地元でどう復旧するかということについては、負担が明確でないとなかなか財政上の問題もあるし、いろいろありまして、やはりはっきりしておく必要があるんじゃないか。それから水道なんかはいろいろ応急復旧の問題もございましょうが、いずれにしましても非常に重要な国民の生命のための水を補給するわけですし、他の公共土木とも同じように災害復旧の負担率を上げてもいいんじゃないかという気もするんです。その辺ひとつ私は、これは地元から強い要請があることをつけ加えておきますが、ぜひひとつ御検討を願いたい。  やはり公共——さっきの鉄道とも同じですが、それじゃ国鉄に補助金を出すのかという問題とも関連してくるわけです。そういった問題を、なべてひとつ災害対策のためにどうすればいいかという問題を、具体的にひとつ御検討を願いたい。  まあ、私はざっぱくな御質問でございましたから、いろいろと不明な点があったかと思いますが、要するに災害対策をひとつ今後国民の生命、財産を守り、また国民の安心した生活を確保するために、治山治水対策事業はもちろん、強力に御推進を願いたいし、また、災害復旧につきましては迅速適確にして、やはり国民が安心してできるような措置をひとつやっていただきたい。強く要請しまして私の質問を終わらせていただきます。
  26. 中村英男

    委員長中村英男君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午後零時二分休憩      —————・—————    午後一時十五分開会   〔理事川野辺静委員長席に着く〕
  27. 川野辺静

    ○理事(川野辺静君) ただいまから災害対策特別委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き台風第八号及び梅雨前線豪雨による災害対策に関する件について質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言願います。
  28. 塚田大願

    塚田大願君 今回の台風八号及び梅雨前線による被害というものがたいへん大きかったということは、この政府の資料でもはっきり出ていると思うわけであります。これは一番新しい資料のようでありますが、これを拝見いたしましても、死者・行くえ不明合わせて百二十一名、その他、山くずれだけを見ましても四千六百五十七カ所というたいへん大きな災害だったと思うわけであります。  特に今回の災害の場合、私ども一つの特徴といたしまして都市災害というものが非常に前面に出てきたというふうに考えるわけであります。私もこの間の当委員会の視察で静岡へ参りまして、静岡市、清水市も視察してまいりましたし、さらに私ども伊勢市にも調査団派遣いたしましてかなり具体的に調べてまいりましたので、その点についてお伺いしたいと思うわけであります。  まずこの都市災害、特に伊勢地域などでは一つの代表的な形だったと思うのです、静岡市もそうでございますが。こういう水害災害が、従来ですとこれは集中豪雨によるやむを得ない自然災害である、こういうふうにいわれたと思うのですが、はたしてそういう自然災害、やむを得ない自然災害と見ていいのかどうか、政府としてはその災害の根本的な原因をどういうふうにごらんになっておるか、まずこのことをひとつ大臣にお伺いしたい。大臣はきょうは初顔合わせということで初めてのあれだと思うので、ひとつ大いに率直な意見をお聞かせ願いたいと思うのです。
  29. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 都市災害でございますが、従来の例を多少私は知ってはおりまして、それがどういうことがおもな原因かということも大かたわかっておるのですが、説明も聞きましたが、何さま私は今回はまだ現地を見ておりませんので、私が申し上げることが的確であるかどうかはわかりませんが、   〔理事川野辺静君退席、委員長着席〕 ややもしますと、とにかく都市河川——河川が適正な幅で広げられておればいいけれども、開発のために非常に狭められておるとか、あるいはややもすると、何と申しますか、中小河川に至ってはほとんどアシがはえてずいぶん河川の幅が狭められておるとか、非常ないろんな原因があるわけであります。しかし、今回の伊勢静岡市につきましては、一応説明は聞きましたものの、私もやはり十分了知いたしておりませんから、まず説明員から説明を願いまして後ほどまたお答えを申し上げたいと、かように思います。
  30. 横手正

    説明員(横手正君) 今回の災害でございますが、御承知のように、台風第八号の接近に伴いまして梅雨前線が刺激され、そのための各地集中豪雨をみたわけでございます。たとえば、先ほど先生のおっしゃられました伊勢市におきましても、一日の雨量が三百三十ミリ近いものというような集中豪雨でありまして、これによって勢田川が溢水したというような状況でございます。また静岡県におきましても七日の夜半から八日の未明にかけまして、非常に短時間の間に静岡では約五百十ミリ近く、また三ケ日では約三百ミリ近く、また由比では約四百ミリというような非常に短時間の間に集中豪雨に見舞われたというような状況でございまして、このためこの地方の巴川とか都田川、こうした川がはんらんした、あるいはがけくずれ、山くずれが非常にたくさん発生したというような状況でございます。したがいまして、今回の災害のやはり一つの大きな原因は、こうした非常に局地的に集中豪雨があったということが非常に大きな原因であろうかと思います。そのほかそうした集中豪雨にあいましてもそれなりの防災体制が整備されておればよかったという面もあろうかと存じますが、一応私どもはこうした集中豪雨によるものというような感じがいたしております。  なお、今後とも各種の防災事業の促進とか、防災体制の確立ということには一そう努力を払ってこうした災害を未然に防ぐということが必要であろうというふうに思っております。
  31. 塚田大願

    塚田大願君 やはりいまの答弁聞いておりまして私が問題を提起いたしましたのは、やはりそこを、その認識が私は非常に間違っているということで、私はあえてこういう質問、わかり切ったような質問をしたわけです。非常にこれは初歩的といえば初歩的、原則的といえば原則的な問題ですが、しかし認識がどのような認識に立つかということからやはり出発しませんと対策なるものは私は出てこないんじゃないか、そういうふうに考えております。それで大臣も建設大臣もおやりになって河川のことなどは非常に詳しいだろうと思うのですが、その河川の問題であるとか、あるいは集中豪雨の問題であるとかというふうに問題を逃げるところに私は今日の災害対策の貧しさといいますか、立ちおくれといいますか、そういうものを感ずるわけであります。問題は、私は私の考え方、認識はそういう自然災害河川がどうだ、集中豪雨がどうだというのではなくて、やはりもっと政治的な社会的な問題として考えませんと問題がはっきりしてこないのじゃないかと考えるわけです。と申しますのは、たとえば集中豪雨の問題でありますけれども災害——このところ集中豪雨が毎年起きておりまして、そのたびに災害が起きる。私も毎年この委員会でその問題を質問してきたわけでありますけれども、この集中豪雨というのは何もいま始まったものではないと思うのです。大昔から豪雨というものがあったわけです。ただ局地的に四百ミリ、五百ミリというふうなのが最近出てきてはおりますけれども、むしろそうではなくて、この集中豪雨というものは、昭和三十年ごろからのいわゆる高度成長政策がとられてどんどん開発が始まったというころから集中豪雨ということば自体が出てきておる。このことを考えますと、私は単にこれが自然現象であってやむを得ないことだと、自然災害なんだというふうに持っていこうとするのは私はたいへん間違っておるし、またずるい見方ではないかと考えるわけです。むしろそうではなくて、この集中豪雨は一つの社会現象でありまた政治的な現象でもあるというふうな観点で見ませんと、私はこの根本対策というものが出てこないのではないかと、こういうふうに考えるわけで、まず最初にその御意見について反論をしておきたいと思うのですが、しかしこのことを抽象的に申し上げても始まらないと思うので、もうちょっと具体的に私は質問したいと思うのです。  私は、こういう原因の一つは、河川の上流あるいは中流、こういうところの乱開発、とにかく山を削って宅地をつくるとか、観光道路をつくるとか、そういう乱開発がやはり非常に進んできておって、そのために上流、下流の保水力というものが非常に低下をしてしまった、これが一つの原因ではないかと私は考えるのです。これは清水市に行きましたときにもその問題が出ました。あるいは静岡市に参りましてもそうでございました。あそこは、たしか大谷川と言いましたか、それから巴川、この辺の地域——二級河川のようでありますけれども、これがたいへんな被害の原因をなしておった、こういうふうに聞きましたが、伊勢市の勢田川の場合でもやはりその点は例外ではなかった、こういうふうに考えるのですが、その辺はどうでしょうか。
  32. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  いま先生のいわゆる乱開発等による原因によって、その以前よりはどう言いますか同じ雨が降っても計画以上に流れているのではなかろうか、そういう御質問だと思ってお答えいたします。  たとえば、いま先生が御指摘なさいました伊勢市の勢田川でございますが、私自身は最近河川局長になったばかりで現地へ行っておりませんが、現地へ先生に随行いたしました私どもの担当官等の話をいろいろ聞いた結果でございます。例をあげて申し上げます。この伊勢市の勢田川の問題は、これはほんとうにいまおっしゃるように河川改修が進んでいない二級河川でございます。このはんらんは、先ほどお話のように相当の集中豪雨でございましたけれども、この流域は千百九十ヘクタールでございます。それでいろいろと県のほうの協力を得まして、この中で最近におきます開発を許可したものを調べてみました。この開発許可は、御承知のように〇・三ヘクタール以上の開発は許可制になっておりますので統計がとれるわけでございますが、この流域を合わせて全部積算いたしますと四十三ヘクタールになりました。千百九十ヘクタールの中に四十三ヘクタールの開発がなされております。これは流域に占める割合が三・六%でございます。  それからもう一つ、都市計画法で宅地等の開発を許可する基準の中で、これは知事の権限でございますけれども、その宅地によって下流に溢水あるいははんらんを生じさせるようなものは許可しないという方針になっておるわけでございますが、そういう前提におきましてこの勢田川を見ました場合に、今回の勢田川のはんらんは異常な降雨が一つでございます。これは建設省の立場でございますが、異常な降雨ということと、伊勢市を貫流いたします勢田川というものは感潮河川であった。したがって非常に低地であるために排水が不良である。したがって、内水の被害が多く出たわけでございます。そういうことで、これはまた後ほどお話があると思いますが、これにはやはり抜本的な改修以外に手がなかろうと、そういうぐあいに考えております。  それから清水市の周辺の巴川等の問題でございますが、この巴川につきましては、昭和三十四年にすでに改修計画を立てておりまして、これはまた後ほど御説明申し上げますけれども、今回起こりました集中豪雨集中豪雨は現在はもう時間雨量でものさしをはかっておりますが、現在計画しております計画で満足するような計画になっておりまして、もしできておれば防げたのではなかろうかという結果でございます。とりあえずお答え申し上げます。
  33. 塚田大願

    塚田大願君 局長現地へは行っていらっしゃらなかったようでありますから、私地図も用意してまいりましたけれども、たとえばこの勢田川の場合ですね、この勢田川の上流の岡本というところでありますけれども、この辺にあります、これが伊勢市ですか、この岡本というところは昔水田だったそうでありますが、大体面積が十ヘクタールぐらいございますか、とにかく昔水田だったものが、最近民間業者の手によりまして宅地造成が始まった。しかもその計画たるや、その作業たるや、まことに無計画、無責任ないわばやりっぱなし式のもので、たいへんここが今度の場合にはひどい災害を受けた。とうとう選挙もできなかったというところでありますね。明倫第一投票所ですか、ここの関係になりますが、まあこうなれば従来水田であって、かなり保水力があり、吸収力があった。それがもう全くなくなったということが、やはりこの地域の災害を非常に大きくしたというふうに見ざるを得ないわけであります。  それからもう一つ、その上流に勢田町というのがあります。勢田という町でありますが、ここなんかも昔は雑木林であった。それが今度新規に宅造をされてきた。まあこういうことで、みんな民間業者の手でいわば無計画的にやられた。これがやはりこの勢田川のはんらんをこのように大きくしてしまったと、まあこういうふうに見られるわけで、そういう意味ではこれは単に集中豪雨が三百ミリ降ったとか、あるいは自然現象であった、自然災害であったというふうにはとうてい見るわけにはいかないんであります。その点で私は第一の原因をそういうふうに考えるわけであります。  それから二番目の原因といたしましては、やはり地盤沈下というものが考えられる、この伊勢市の地盤地下。この辺はいわば海抜ゼロメートル地帯みたいな形になりまして、もうほんとうに干潮時満潮時の差が若干ありますけれども、いわばもうゼロメートル地帯、こういう地帯にまでなっているわけです。そのために災害も非常に大きくなったと見ざるを得ないわけでありますが、じゃあその地盤沈下はなぜ起きたのかという問題であります。この点につきましては、きょうは環境庁も来ていらっしゃると思うんですが、環境庁あるいは国土地理院あたりからひとつ聞かしていただきたいと思うんです。
  34. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) ただいま御指摘のありま  したように、勢田川河口あるいは伊勢市の市街地、そういったところに地盤沈下現象が起きている。それが今回の災害の一つの原因といいますか、そういったことになったのではないだろうかと、こういう御指摘であります。私どものいろいろ調査といいますか、県なりあるいは市との話の総合では、現在御指摘のとおり勢田川の河口を中心といたしまして、潮の遡上範囲がだんだん拡大してきている、あるいは伊勢市の市街地それから御薗村、こういったところの地下水位が低下しているのではないだろうか、こういった心配を県庁の人なりあるいは市の当局者は持っております。  それから海岸地帯で比較的低いところ、そういったところでは、地下水の塩水化という現象が起きてきて、まあ水田に被害を生ずるおそれも出てきた。こういったことで地盤沈下の現象というものは、これはある程度警戒しなきゃならない、こういうふうに思っております。  ただ、定量的にそれがどの程度起きているかどうか、こういったことにつきましては、残念ながら県庁の調査は過去に実施したことはございますけれども、まだ精度その他の点におきまして不十分でありまして、定量的な把握については、今後さらに要望していきたい、こう思っています。  地盤沈下ないしは地下水の塩水化、そういった現象の原因は、実は残念ながら現在の段階で、私がこの場でこれこれだと的確に申し上げるような分析がまだ十分にはできていないのが現状でございますけれども、現象的に見ますると、まああの辺で上水道をとっておりますが、上水道の水源として四カ所、そのうちに二カ所この地下水に求めているということもあります。しかし、これはかねてから古い問題でありますから、これがあるいは地盤沈下現象に作用しているということになるかどうかは、まだ問題があろうかと思います。  そのほか最近気になりますのは、郊外においていろいろ工場ができてきた、そういった工場群が地下水をくみ上げておる、工業用水として地下水をくみ上げている、こういった事柄が片一方にありまして、これが具体的にどういうメカニズムで、地下水の水位低下現象というものがあるとすれば、それに結びついているかどうか、こういった問題も詰めなきゃならない問題だと思っておるわけでございます。  ただ今後どうするか、こういったお尋ねが当然おありだろうと思いますが、現在御承知のとおり、工業用水道あるいはビル用水道は、工業用水法あるいはビル用水法に基づいて地下水の規制はやっておりますが、この地域につきまして、上水道といいますか、工業用水がすぐ布設される地域であるかどうか、こういった点につきましては、やや問題が残ろうかと思いますが、いずれにしても原因なり実態の究明、原因の的確な把握、因果関係の把握ということを通じて、その災害発生をアクセラレートするような、そういった地盤沈下現象の防止ということについては、至急詰めて有効な措置をとりたい、こういうふうに思っておるわけでございます。
  35. 塚田大願

    塚田大願君 地盤沈下の原因について、いま環境庁のいろいろな答弁をお聞きしたんですが、環境庁としては、そのものずばりで言いにくいところがあるのかもしれませんが、あれではないか、これではないかと模索していらっしゃるように聞こえますけれども、しかし、私は率直に言って、この工業用水のくみ上げというものの比重が非常に今日の日本列島全体の地盤沈下、これは起きておりますね、日本列島全体で。私郷里が新潟でありますけれども、新潟あたりもたいへんひどいもんです。これがいわばこの工業用水のくみ上げによるものだというのは、いわば一般的なもう認識になっておって、その他もちろん上水道であるとか幾つかものはありましょうが、それはもう微々たるものであって、その比重は比較できないんじゃないか。いわば常識になっていると思うんですが、そこをやはりはっきりさせませんと、じゃ災害を今後どうやって防ぐかという具体的な対策は出てこないと思いますね、確信のある対策は出てこないと思う。やはり私はそこをはっきり、もしまだ調査ができていなければ、もっとそこに集中して調査をされる、こういうことがどうしても政府の責任としてなされなければならないんではないかと思うんです。その問題につきましては、きょうは、先ほど私国土地理院と申しましたけれども国土地理院は来ておられなかったようでありまして、こっちの連絡の落ち度であったようでありますからけっこうですが、国土地理院に前にお聞きしたときには、昭和四十五年の工業用水のくみ上げ規制で沈下はとまっておると、こうまで言っておられるんですね。つまり逆に裏返せば、沈下というものの原因が工業用水のくみ上げにあったというふうに言っておられるわけなんで、そういう点では環境庁の場合だって、私はこの環境庁のこれは四十七年度の公害白書でありますけれども、ここでも環境庁は、「その原因についてはこれまでに多数の説が出されてきたが、長期間にわたる観測と研究の積み重ねの結果、無視しうる程度の自然的な地殻変動等を除けば、」——「除けば」ですよ、「地下水を採取したために地下水位が低下し、それに伴って地層が収縮する現象であることが明らかになっていると、そしてその対策としては工業用水法ですね、こういうものをやらなければならないとかというようなことを、これはたしか環境庁の資料でしたな、そういうふうにおっしゃっておられるんで、私はもう大体においてその原因の究明については、今日の段階ではもうはっきり結論を出して、その上でしかるべき措置を行なうと、これ以外にないと思うんですが、その点もう一回環境庁の意見並びにこれは大臣の御意見もちょっとお聞きしておきたいと思うんです。
  36. 大場敏彦

    説明員(大場敏彦君) 御指摘のとおり、地盤沈下現象がいろいろ全国で起きておりますけれども、もうその主因といいますか、最大の原因というものは先生御指摘のとおり地下水のくみ上げによると、こう断定してこれは間違いない、常識だろうと思います。  それから地下水、それと関連いたしまして先生御指摘ありましたように、工業用水法に基づく規制をかけたために地盤沈下現象がとまったと、ないしは沈み方がかなり小さくなったと、こういったところは現実に起きているわけでありまして、この地域ではございません。たとえば尼崎とかあるいは四日市、そういったところで地下水のくみ上げを事実上禁止しておりましたために、そういった地域は下げどまりになっておると、こういった現象がございます。この問題のここでございますが、まだここでは工業用水法あるいはビル用水法に基づく指定というものはしておりません。と申しますのは、これはたとえば工業用水法に基づきますれば、現にそこに工業用水道が布設されているか、あるいは布設されていない場合には一年以内に工業用水が代替水として供給される見込みがある地域というぐあいに指定の基準がかなりきびしくなっておりますので、これはいろいろ現行法上の問題点でありますけれども、現行はそうなっておりますので、そういった関係もございましてここでは指定しておりません。ですから、今後の対策として決して手をこまねいていていいということにはもちろんなりませんが、どういうぐあいにしたらいいかということを実態究明した上で的確な処置をとりたいという気持ちは毛頭変わりありません。さっそく県なりあるいは市当局と相談して場合によっては節水とかそういったことも必要でございましょうし、その他の対策もあわせてこれは処置をするという考え方でございます。
  37. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 国土庁といたしましては、最も大事な水の問題を扱うところでありますので、従来地下水問題についてはいろいろな弊害があっていろいろ指摘されたところでありますので、政府としてはいままでいろいろな手を講じてやってはおりますが、これから国土庁として水問題を扱うからにはいま一ぺん先生の御注意を受けてひとつ十分水資源の問題として検討してみたい、あくまでやはり地下水にはたよりたくないと、こういう考えは持っておるわけでございます。しかしまだ十分国土庁としての成案を持っておるわけじゃございませんから、御注意を承りまして十分勉強をしてまいりたいと思っております。
  38. 塚田大願

    塚田大願君 ではその水の問題、地下水の問題はそのくらいにしておきまして、第三番目の問題といたしまして、やはり都市中小河川の排水力の問題ですね、これははたして都市中小河川がこういう豪雨に対しての排水能力があるのかどうか、そのための河川の改修や管理というものはどうなっておるのか、たとえばこういう中小の河川ですね、二級河川とか、そういったものの管理などがどうなっているのか。あるいは下水道なんかがちゃんと整備されておるのかどうか、その辺がやはり一つの排水の問題としては災害防止する観点からこの問題を見る必要があると思うのですが、この辺はどういうふうになっておりますか。
  39. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  いま先生は、川はいろいろございますが、特に都市河川といいますか都市周辺の二級河川その他の小河川、普通河川の話が出たわけでございますが、国におきましては、一級河川が御承知のとおり百八水系と言われているわけですが、河川にしますと一万二千六百六十、二級河川が二千四百九十七水系、川にしますと六千百七十九と、まあそういうような非常に膨大な川が日本国じゅうにあるわけでございますが、その河川改修を行ないます場合には、やはり最も大切な人命保護の立場に立ちまして資産を守っていかにゃいけないということからおのずからそういうウエートがきまってくるわけでございますが、そういう意味で大河川は相当整備してまいったわけでございます。ことに一級河川は相当整備してまいったわけでございますが、これからの問題は先生のおっしゃるような都市河川だと思っておりまして、建設省におきましても都市河川対策室を設けまして鋭意この対策に、どうすればいいかということをずっと研究しながらまた仕事もしてきたわけでございますが、一般の河川より非常に複雑なメカニズムを持っておりまして、特に集中豪雨といいますか、一時間二時間の豪雨によって生ずるということでございます。たとえば先ほど申し上げました清水市の巴川等はすでに三十四年から実は計画を立てまして今日まで来たわけでございますが、一番やはり都市河川で問題になっておりますのは、都市であるだけにその改修計画を立てましても、川幅を広げようと思いますと人家がすぐあるわけでございまして、地元の用地接収には非常に苦慮しております。幸い巴川の場合はおかげさまで地元の絶大な御協力があったということと、市あるいは県の当局のいわゆる用地先行取得ということで、四十八年、九年から二十四億円の金をもって用地先行を進めておるわけでございますが、こういう場合は非常にいい場合でございまして、どんどんこういうものが進みますと、集中的な投資を行ないまして早く守っていけるわけでございますが、これすら今回の集中豪雨には間に合わなかったわけでございます。そういうようなことで、まだまだ各——伊勢勢田川におきましてはほんのわずか着工したぐらいに過ぎません。いわゆる復旧事業ぐらいのことしかやっておりませんが、今回の集中の大被害を見ますと、これはやはり根本的な治水事業を進めざるを得ないと覚悟しておるわけでございまして、おそらく放水路問題も関連すると思います。現況で川幅を広げるのは非常にたいへんでございます。そういう意味で、都市河川問題は、下水の問題も含みますし、あるいは将来におきます開発問題を考えながら、あるいは地盤沈下も考えながら、河川のみならず各方面の総合的な検討の上において計画を立てないといけないということで、建設省におきましても、所管の内局におきましてはいま一生懸命に努力しておりますわけでございまして、これからのまだまだ残った問題というように感じておりまして、今後の重点施策の中に一番考えておる次第でございます。
  40. 塚田大願

    塚田大願君 いまの国土庁の決意といいますか、それは非常によくわかりました。やっぱりおっしゃるように根本的な、抜本的な、そして総合的な対策を立てませんと国土の保全というものはできないだろうと思うんです。これ以上この災害が起きるような状態では、これは、せっかく国土庁をつくって西村大臣が就任されましても、何のことだということになりまして、大臣が一人ふえただけじゃないかということになりかねませんので、ひとつ大臣もその辺を、根本的な対策をひとつぜひ考えていただきたいと思うんです。その点では私ども、すでに共産党はこの政策を何回もいままで出しておりますので、大臣まだお読みになっていないかもしれませんが、ひとつ共産党のこの国土政策について大いにひとつ勉強していただいて、ほんとうに抜本的にやっていく。この治山、治水にいたしましても国家百年の大計を立てるという立場でひとつやっていただかなければいけないと思うんです。  大体、以上、私主要な三つの点について意見を述べたわけでありますが、時間の関係もありますから、根本原因についてはこのぐらいにしまして、気象庁にひとつお伺いしたいんですが、先ほどから集中豪雨ということが何回も出ておりますが、どうも監視体制が非常に不十分ではないかというふうに考えるわけです。いつも集中豪雨が来てから後手後手になって、まあいろいろ弁解的なことはよく聞きます、私もそこで何回もそういうことはお聞きいたしましたが、しかし、たとえば一昨年の七月、福岡の柳川市で集中豪雨を受けまして、三時間で三百ミリでありましたか、あのときなんかの例を見ますと、あれはとうとう観測網にはキャッチできなかったということもあったと私は記憶しておるんですが、そういうふうに非常にいままでは後手後手だったと思うんです。にもかかわらず、たとえば測候所の予報権を取ってしまうとか、定員を削るとかいうようなことがやられておって、そして一方では、なるほど機械化といいますか、近代化、合理化が行なわれて、いろいろテレメーターなんかを使っての観測というようなものは行なわれているようでありますけれども、しかしやはり今度の場合見ましても、気象庁自体の責任ということにはならぬかもしれませんけれども、やはり災害が起きたということになれば、気象庁としてもそれなりの監視体制を強めていく必要があるんではないか。そういう点からいいますと、特に私がここで問題にしたいのは、通報体制、雨が降るぞと、豪雨がくるぞというこういう観測データがあれば、すぐそれが通報されておると、地域住民にそれが伝えられるという、こういう問題が非常におそまきといいますか、後手といいますか、そういうことになっているように思うんですが、この点はどういうことなんでしょうか。気象庁の御意見を承りたいと思います。
  41. 毛利圭太郎

    説明員毛利圭太郎君) ただいま先生から監視体制についてお話がございました。また、それに伴いまして通報体制についてどう思っておるかということでございます。  気象庁におきましてこういう集中豪雨に対しましてどのように監視体制をしていくかということに関しましては、最近までのいろいろの豪雨の場合の降雨域の状態などを調べますと大体十七キロくらいが平均の大きさと申せます。もちろんこれより小さい場合もございますけれども、このような数字から全国に監視点を置きますと、大体千三百カ所ぐらい置けばいいのでございます。で、気象庁におきましてもこの千三百地点の雨量のテレメーターによります資料収集ということの計画を立てまして、ことしの秋からそのうちの約九百カ所ばかりを実施いたしますし、その千三百、残りの部分も早急に充実いたしまして、観測点といたしまして、日本の中の雨の状況を的確につかむような努力をしております。ただ、雨には範囲の小さい雨もございますので、こういう範囲の小さい雨に対しましては、日本で約二十カ所ばかりレーダーがございますが、異常気象時におきましてレーダーを回しまして、レーダーによります監視も同時に併用いたしまして、レーダーは連続的に雨域を観測することができますので、このレーダーの観測を使い、また約千三百カ所になります地点からのデータをとりまして、これによりまして起こり得べき集中豪雨その他の異常気象を——現在そのうちの約九百三十カ所ばかりは試験運用をいたしておりますけれども、とのような状況異常気象の監視を実施しているのでございます。このような異常気象の監視をいたしますが、やはり自然現象の集中豪雨と申しますのは非常に範囲が小さいと同時に、時間的にも変化の多い現象でございまして、これをわれわれは資料としてつかみまして、これから判断をいたしまして、これを注意報——まず情報を出すことにいたしますが、情報を出し、またこれによりまして注意報、警報を出すのでございます。で、注意報、警報を出しますときにいままでの起こりましたいろいろの災害を調べまして、そういうことから考えて注意報、警報を出すのでございますが、警報を出しますときには、まずこれは気象庁といたしまして自治体の県、それからNHK、それから電電公社、これは電話局でございますが、それから警察、県警、それから海上保安部、それから洪水予報につきましては建設これらの個所に伝達する義務がございまして、極力すみやかにわれわれとしては伝達する努力をしておりますし、また、今後もより一そうこういう集中豪雨雨量の技術開発その他の努力をいたしまして、一そう早く警報その他の伝達をはかりたいと存じております。
  42. 塚田大願

    塚田大願君 もう一点だけお聞きしたいのですが、いまのお話の千三百カ所という観測所ですね、これは大体距離でいうと二十キロに一カ所ぐらいの設置ということになるのですか。
  43. 毛利圭太郎

    説明員毛利圭太郎君) 申し上げます。  大体十七キロという計算でございます。
  44. 塚田大願

    塚田大願君 十七キロではやっぱり私は十分な観測ということには少し無理があるのではないか。私も専門家ではありませんから詳しいことはわかりませんけれども、専門家などに聞きますと、少なくとも十キロに一カ所ぐらいは設置すべきだと、そうでないとほんとうに完全な観測体制というものはできない、こういうふうに聞きました。この点と、それからもう一つ、測候所に、地方にある測候所、これが四十九カ所でありますか、予報権というものがなくなっておるのですが、やはり専門家の意見を聞きますと、測候所に予報官を置くということで初めて的確な情報というものが得られるのだ、こういうふうに私は聞いております。それはやはり機械だけで、なるほどテレメーターで中央に集約をして中央から伝達をしていくということも、それは理屈の上で、机の上ではそういうことは可能かもしれませんが、現実のこういう事態、人間、地域住民を対象にする救済ということになりますと、やはりこういう体制というものも必要になってくるのではないかと思うのですが、この点をひとつさらにもう一回お聞きしたいと思うのです。
  45. 毛利圭太郎

    説明員毛利圭太郎君) 申し上げます。  十七キロでは少し目が荒いのではないかという先生の御指摘でございます。この点に関しまして気象庁としていろいろ検討してそういうことにしたのでございますが、テレメーターで雨量の観測が入ってまいりますのが十分間間隔で入ってまいります。たとえば、雨域が毎時三十キロのスピードで動くといたしますと、十分間では大体五キロ動くわけでございまして、この十分ごとに入ってまいります資料を使いますと、ある程度このようなスピードのときには五キロ間隔程度の観測に相当いたします。しかし、これだけではもちろん十分ではございませので、これに伴いまして絶えずそういう異常時には予報中枢あるいは地方気象台などの連絡をとりましてレーダーを回しております。レーダーは連続的に雨域の分布をつかむことができますので、両者を併用いたしまして、こまかい雨域に対しても十分常時監視ができると気象庁は考えております。  第二点の、先生がおっしゃいました測候所の予報権の問題でございます。気象庁で予報を実施いたします場合に、全国的なセンターが東京の気象庁の本庁にございまして、地方に、沖縄を含めて六つございますが、予報管区ごとに予報中枢がございます。また各県に地方気象台がございます。こういう全国中枢、地方中枢、それから府県の中枢におきまして十分豊富な資料と、そこにおります経験のある予報官によりまして予報を出し、また実際に警報、注意報を出しますのは府県の気象台でございますが、そこで出しました情報、警報、注意報、予報をなるべくすみやかに測候所に送ります。また、同時に、指示報という技術的な注意も行ないます。そういう状況によりまして測候所におきましては主としてそういう資料に基づきます解説を行なっているという状況でございます。その解説によりまして、いろいろ地域に対しての予報の説明、解説を行ないますし、また警報、注意報の解説を行なうわけでございます。  これにつきましては、今後気象庁といたしましては測候所につきましてはこの解説官の充実ということをはかりまして、さらに努力を重ねたいと存じております。
  46. 塚田大願

    塚田大願君 気象庁はそれなりに専門の方々がたいへん努力しておられることはよくわかっておりますので、今後ともこういう集中豪雨に対する体制の万全を期すようにひとつ努力していただきたい、このことをお願いしておきたいと思うのです。  時間もございませんから先へ進みますが、要するに、いろいろ私も御質問いたしましたが、結論としてこれは大臣にお伺いしたいわけですけれども、やはりどう考えても、最初に私が提起をいたしました、今度の災害が単にやむを得ぬ自然災害だということではなくて、明らかにいわば人為的な災害、政災といっても私は過言ではないと思うんです。  そこで私どもは、こういう問題について先ほども長官とちょっと一つ二つお話しいたしましたけれども、この災害対策を今後どうやっていくかという点についての意見を申し上げて、大臣の所見もお伺いしたいわけでありますが、一つはこの災害対策というものが災害発生後のあと始末であってはならないということであります。やはり災害対策は根本的な防災対策であるべきである、予防でなければならない。起きてからのあと始末が災害対策ではないんだと、この点がまず私、非常に、必要だ、大事なことじゃないかと思うのです。  ところが、現行の災害対策基本法を見ますと、要するにこれはあと始末法といってもいいと思うのですね。応急復旧をどうするとか、治安対策をどうするとか、いわば、悪くいえば気休めということになっておるわけでありまして、これを先ほどもお話ししましたように、ほんとうに科学的で総合的な、抜本的なものに改めていくべきだというふうに私どもは考えております。  その中身としましては、特に災害を誘発するような先ほどの乱開発、こういうものを規制していく、これが第一ではないか、こういうふうに考えます。これが第一点。  それから第二点は、災害救助であります。不幸にしてとにかく災害が起きた。じゃ、これをどうするかという、この災害救助の問題につきましては、いままでの災害救助というのはいわば自力更生といいますか、自力まかせ、自分の力で立てばいいんだというふうな考え方に立っておると思うのでありますけれども、やはりそうではなくて、この災害、こういういわば原因によって起きた災害に対しては国あるいは地方公共団体、こういうものがやはり責任を持ってこの災害救助に当たるべきであるというふうに、根本問題として私どもはそういうふうに考えておりますが、この点について、大臣の御所見も伺いたいと思うわけであります。
  47. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いまの災害対策基本法ですが、先生が言われるように、主として起こってからの後のことをとやかく言って、それに力点が置いてあるようだと、これはもっともこの法律ができましたのは伊勢台風のときでございまして、そういう面に重点が置かれておることも確かですが、一方、それのみならず、いわゆる事前防災ということについても、総合的に、やっぱり計画的に整備をしたらどうだということも全然ないわけじゃないわけでございます。したがいまして、私は、いますぐこの法律を抜本的に見直したらどうかということについてはあんまり考えてはおりませんが、いままでも時々これは法律を直した例もございますので、やはり災害皆さまの努力にもかかわらず、今日もこのようにとうとい人命をなくしておりますから、この際、せっかく国土庁としてこの重任をになったのでございますから、いままでの災害を見直して、何と申しますか、災害の白書と、こういうようなことにもなるのかもしれませんが、見直して、やはり今後災害が起こらないように、起こったらまた迅速にひとつ救済の道をとるように、やっぱり検討はしてみたいと思っておる次第ではございます。  災害、大体こう見まして、私も建設省にもごやっかいになりましたから見ておりますと、やはり施設を十分やったところは、たとえば河川にいたしましても、大河川の大はんらんというようなことは、戦後間もなくはありましたけれども、いまはあまりありません。したがって、きょう先生の御指摘の中小河川の問題ですが、これにはいろいろ問題がございまするが、これは建設省だけにまかしておけぬと私は思います。いま、建設省河川局長が言いましたけれども、私は相当意見があります。これは制度上、どこに行きましても、中小河川と申しましても、東京と大阪とかというようなところといなかとは違いますけれども対策は。いなかに行って、その人命が非常に大被害を受けたというのはみな中小河川です。これには、やはり相当に、これは制度上あるいは経費の点で、投資上やっぱり問題があるように私は見受けます。したがいまして、開発するにいたしましても、やはりいままでの開発がとかく開発第一主義でございましたから、今後は十分検討をしたいと思っておりますが、十分この基本法のいま一ぺんの見直しをしたいという気持ちは十分持っておる次第でございますから、そのおりはひとつ十分御協力を賜わりまして、ひとつ知恵をつけていただきたいと、かように思っておるような次第でございます。
  48. 塚田大願

    塚田大願君 さて、そういう点をひとつ大いに大臣のおっしゃったことに期待を申し上げて、ぜひひとつ、せっかく国土庁ができたんですから、予算だってひとつ大いにとって、思い切ったやっぱり施策をしていただくということはどうしても必要だろうと思うんです。  それで最後に、時間もだいぶ迫りましたので、これは厚生省関係に一括してお伺いいたしますからお答え願いたいと思うんですが、これは災害救助法による関連の問題であります。事が少しこまかくなりますので、一括してお答え願えればいいと思うんですが、一つは、この災害救助法による適用の問題ですね、たとえば「避難所」の場合の、この中身を見ますと、たとえば避難所設置費が一人一日当たり三十円ということになっておるのですね、これはもちろん天幕から仮設便所から、一切のものを含めた避難所の設置費が一人一日三十円と、はたしていまどき、こういう三十円で何ができるだろうという疑問が、当然、一般的に、常識としてわいてくるわけであります。やはりそうではなくて、形式的なものではなくて、被災者の生命と健康を守るという観点から、もっとこの金額を引き上げるべきではないかということが一つであります。  それから「応急仮設住宅」、これを見ますと、この応急住宅の場合は、被災者の三〇%以内ということになっておりますけれども、三〇%——とにかく、家屋が全壊をしたり、流失したりしておるその人たちに対して、三〇%以内というのはまことに不可解なことでありまして、私は希望する方に対しては、全員に、限度額一戸当たり四十七万八千円でありますか、こういうものを支給するべきではないかということです。  それからその次にあります「炊き出しその他による食品の給与」、これも数字を見ますと、一人一日当たり二百九十円ということになっております。一人一日二百九十円、何を食うんだろうと聞きますと、まあ握りめしだからそのぐらいでいいだろうと、こういうお話しのようでありますけれども、これはいささか基本人権を無視したやり方ではないかと、特にこの復旧作業なんかに従事している方々というものは、これは肉体労働でありますから、二百九十円ぐらいではこれはどうにもなるものではありません。したがって、これも当然見直すべきではないかというふうに考えます。  それから飲料水の問題、これは当然もうたいへん切実な問題でありますから、これはこれでよろしいと思うんですが、ただ、水といった場合、飲料水だけでなくて、災害地の方々の御意見聞きますと、まあとにかく洗たくと入浴、この水がほしいとおっしゃっておるんです。それが非常に強いです、この要望は。これをひとつ何とかすべきではないかと思います。  それから「医療」の問題がございます。医療の問題は、使用した薬剤、治療材料、その他の実費であるとか、診療所の報酬額以内であるとか、いろいろ書いてございます。これはこれでいいと思うんですけれども——もちろん十分ではないんですが、私はここでお聞きしたいのは、今度、伊勢市の場合には、民主医療団が臨時診療所をつくりまして救助に当たりました。その場合などは、これは全く無料奉仕なんですね。ですから、こういう場合でも、医薬品であるとか、器具など必要なものはやはり支給するというふうでなければ、ほんとうに血の通った救助活動はできないのではないかと、そういう点で、この医療対策も、もうちょっと充実する必要がある。  それから次に、「災害にかかった住宅の応急修理」でありますけれども、この場合は、住宅半壊したというような場合にしかこれが適用されておらないようでありますけれども、たとえば床上浸水したと、畳が全滅したというふうな場合にも、これは応急修理のしかるべき手当てがあってしかるべきではないのかと、今日、畳が何でも四千円とか五千円とか、ずいぶん場所によってはべらぼうな値段になっておるようでありますけれども、こういう問題も考えれば床上浸水の場合もここに含めるべきではないかということ。最後に、学用品の給与の問題でありますが、これは大体ここに書いてございますが、教科書やその他実費を支給するということになっておりますが、むしろこれは現物ですみやかに給付するというふうに改正すべきではないかと思うのですが、まだ幾つかございますが、時間もございませんから、とにかくいままでの災害救助法の適用、もうちょっと中身を生きたものにしたらいいではないかと。その予算だってたかが知れていることでありますから、ひとつぜひそういうふうに実現していただきたいと思うんですが、その点ひとつ厚生省からお答え願いたいと思います。
  49. 北村和男

    説明員(北村和男君) 幾項目かにつきまして御質問があったわけでございますが、まず個々のものに入りましてお答えをいたします前に、いま先生からいろいろお話のございました災害救助法によります救助の程度、方法につきまして、いろいろ数値があげてございます。私どものほうといたしましては、一応のたてまえといたしまして、こういう基準数値をあげてあるわけでございますが、まあどの分野につきましても、実態上どうしてもこれで無理だというような場合には、個々に特別基準を設定して、実際の需要に合わせる、そういうシステムをとっております。なお、個々の単価等につきましても、例年改善をいたしておることでございます。  第一の、避難所でございますが、単価三十円、あまりに安いではないかというお話でございますが、これはたてまえといたしまして、災害発生した直後にとりあえずテントなり何なりで雨露をしのぐ、そういう現実の必要からこのような金額にいたしておるわけでございますが、すぐそのあとで必要に応じて応急仮設住宅をすぐ追っかけてつくる、そういう前提になっておるわけでございます。  第二の、応急仮設住宅被災者の三割程度しか原則としてつくらぬと、ここらがおかしいではないかというお話でございますが、まあ被災の実態を過去の経験に徴してみますと、家が全然なくなってしまってどうしても住むところがないという非常に急迫な方々の場合はもちろんこの応急仮設住宅でございますが、もよりにとにかく知り合いの家に行って住むというような実態もまたあわせてあるわけでございます。これにつきましては、まずとりあえず三割とおきますけれども、隣接の市町村でも同様の災害が起きて、実際の需要と見合いまして、相互の市町村間でこのワク内でまず融通をし合う、それでもなおかつ足らぬという場合には冒頭に申し上げました特別の措置を講ずるというような二段がまえな措置をとっておるわけでございます。  たき出しにつきましても二百九十円、単価は非常に安いではないかというお話でございますが、これも逐年予算の額を上げておりますが、先生からもお話がございましたように、非常に急迫の事態でございますので、実態といたしましては、とりあえずまずお握りをたき出しをするというのが、その一日、二日の状態としては精一ぱいといったような状態もあるわけでございます。これも同様に、どうしてもこの額では足らぬというような場合には、特別基準処理をしてまいっております。  四番目の、洗たく水でございますが、この救助の程度、方法、期間の中には当面入っておりません。これにつきましては、実態として洗たくの水をどのように確保するかという現地の実情等も十分あわせて考えながら今後検討さしていただきたいと思います。  それから五番目の、現地における医療をもっと充実すべきではないかというお話でございますが、これは現在私どものほうでは日赤その他の救護班、地域の医療機関の御協力等によりまして救護に当たっておりますが、救護班の使用いたしましたお薬とか治療材料とか医療器具が破損すると、そういうものの実費は、これを災害救助法で手当てをいたしております。この医療の充実につきましては、今後ともなお一そう努力をいたしたいと存じております。  応急修理費用が、半壊だけで、たとえば床上浸水の場合の畳その他についてはお金が出ないしかけになっているのはおかしいではないかということでございますが、これにつきましては他の種類の救助方法ともからめまして、今後十分検討さしていただきたいと思っております。  最後の学用品でございますが、これは現物で早く支給すべきではないか。これは現在のところ金額で一応基準はきめておりますけれども、これは実態として直ちに県に用意してございます現物を被災の学童の手に渡るような実際上の措置は、そのように現在取り行なっておるところでございます。  以上でございます。
  50. 塚田大願

    塚田大願君 この個々の問題については十分今後中身を充実するようにひとつ努力していただきたい、このことをお願いをいたしまして、最後に、私の時間も切れてしまいましたから、環境衛生局にお伺いしたいのですが、このごみと屎尿の処理、これはまことに切実な問題でありまして、これがなかなか思うようにいかない。これはもうみんな知っているところなんですが、時によると、屎尿処理が、値段が三倍になるとかなんとかいって、ずいぶん地域の方々からは苦情を聞かせていただきましたが、これはやっぱり国や県が積極的に乗り出して、この広域処理で行なうと、こういうふうにならなければいけないのじゃないかと思うのですが、この点と、それからそういう費用はやはり国及び自治体負担というふうにすべきではないかと思うのですが、この点について、最後ひとつ環境衛生局の御意見を聞いて私の質問を終わりたいと思います。
  51. 吉崎正義

    説明員(吉崎正義君) お答えいたします。  確かに御指摘のございましたように、災害を受けました当該市町村がごみと屎尿の処理をするということはたいへんなことであろうかと存じておる次第でございます。それで、まあ災害の態様に応じまして都道府県あるいは隣接の市町村等が応援をいたしております。今回の場合におきましても、たとえば伊勢市におきましては、隣接の三市町村が一日当たり五、六台の応援をしておるというふうに承知をしておるわけでございますが、なかなかこの隣接の市町村といたしましても、日常の活動がたいへんでございますので、御指摘もございましたように必ずしもうまくいっておらぬ例もあろうかと存じます。今後もひとつ緊急の事態でありますので、ごみと屎尿の処理が適切に行なえますように研究をしてまいりたいと考える次第でございます。  費用の点でございますけれども、費用につきましては、廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二十二条第二号の規定によりまして、災害の場合には、被災を受けました当該市町村が行ないました廃棄物の収集、運般及び処分に要した経費及びごみ処理施設及び屎尿処理施設等の災害復旧に要する経費等につきまして二分の一以内とまあ定められておるわけでございます。御指摘もございましたけれども、だんだん経費も増高してまいっておりますので、御意見を体しまして今後研究をさしていただきたいと考える次第でございます。
  52. 松永忠二

    松永忠二君 他の方の御質問を聞いておりませんのであるいはダブっているかもしれませんが、もしあれでしたら御了承を願いたいと思います。  まず、国土庁長官にお聞きをするわけですが、きょう、被害総額を見ると二千五百二十三億、公共土木が九百四十四億というふうに出ているわけです。それからまた、私が実際に見ましたのは静岡県だけでありますから、他の被害地のことは承知いたしません。私の県だけで、実は公共土木が八十九億、市町村のほうが五十六億、農地農業用施設が百六十九億、林道・治山関係が百三億というふうなことで、公共土木農地農業用施設、林道・治山関係で県が九十五億で、県以外が千三十五億、被害総額千百三十一億という数字を出しておるわけです。農業被害がその他五十三億、商工業が六百二十二億、林業、水産業、そういうものを入れますと六百七十八億あるわけであります。で、私は、もう当然これは激甚災の指定の従来の基準に合うというふうに考えているわけでありますが、お話を聞きますと何か問題があるんだというようなことをちょっと言う人があるようでありますが、問題があるというならばどこをさして言っているんでしょうか。私は従来、公共土木は二百億以上の被害を受けている、あるいは農業関係約二十億、三十億以上というのが大体激甚のときの被害の一つの目安としていっているので、一つ一つの市町村についてはそれぞれ検討しなければいけないけれども、この被害激甚災害であるということはもう明らかだというふうに私たち、基準を見て思うんです。もし問題があるというなら、どこに一体指定に問題があるとお考えになっているのか。私は、この激甚の指定をできるだけ早くやってもらいたい。だから、もし指定できるものなら、いつごろをめどにしておやりになるのか。私たちの気持ちとしては、おそくも九月にははっきりしてもらいたいと思うのですが、まず、どこが、激甚指定に問題があるというなら問題があるのか、問題がないというなら、いつごろこれは確定ができるのか、おそくも九月ごろには明確になれるのか、この点を、まず、長官のほうでお話を願いたい、こう思っているわけです。
  53. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 激甚災害の指定——指定をすることによってだいぶんやり方が、安心も違いますから、ずいぶん早めたいという気持ちは一ぱいです。一ぱいですが、まだこれから調査もやっておる最中だというようなことで、しいておそくするという気持ちはございませんが、私もそういうことについてまだつまびらかにしておりませんから、政府委員からちょっと御説明を申し上げまして——早くしたいのは、この前の地震災害でも何だかんだとありましたけれども、私は当時、早くすべきだということで中小企業だけやりまして、あと八月中にあとの農林と公共はやるつもりですが、いま、九月中にどうだと、こういうお話でございますから、その点につきましてはひとつ説明員から答弁させたいと思います。
  54. 横手正

    説明員(横手正君) 今回の災害による被害額でございますが、各省、目下鋭意調査中でございます。  ただ、先生御存じのように、もう毎日毎日被害額がふえておるというような状況の最中でもございますし、なお梅雨前線の活動が現在もまだ活発でございまして、新たな被害各地に見られるというような状況でございます。したがいまして、私どもとしましては、こうした梅雨前線にからむ被害、こうしたものが一応おさまりました段階におきまして、早急に各省に調査をお願いしまして、その調査結果を待ちまして、従来の基準に合わせまして、該当する場合にはできるだけすみやかに進めてまいりたいと、かように存じております。  なお、公共土木関係でございまするが、実はこれはいわゆる現行の基準からいたしますと被害額はまだ低いと申しますか、逆にいえば被害の少ないほうが望ましいわけではございますが、現行の基準から見ますと少し幅があるように見ております。  それから、農地農業用施設等と中小企業関係でございますが、これは被害の結果を待ちまして、該当するならばできるだけ早く適用してまいりたい、かように思います。  なお、公共土木関係におきまして局地激甚の関係でございますが、こちらも市町村ごとの被害額が明確になり次第、できるだけすみやかに激甚に指定するよう、これも努力してまいりたいと、かように存じております。
  55. 松永忠二

    松永忠二君 それを言っているんですよ。そのことをちょっと聞いたんです。農地はまああれだと、そこはもう。だけども公共土木がどうかなあというようなことだが、大体どういう——この基準は明確になっておるわけですけれども、大体目安として従来、一災害全国的に公共土木被害が大体この程度あれば、これを大体めどとしてそれは検討のあれになると言っていたのが、これだけ私たちはあるし、それから私の県自身でもまだ明確にはなっていませんけれども、県は御承知のとおり局地激甚の指定にはならぬわけです。かりに本激甚の指定にならぬでも、市町村は局地激甚の指定があるから、それに該当すればできますけれども、県はやっぱり本激甚を指定しなければ何にもならないわけです。そうすると、本激甚の指定について、公共土木被害についてやや少ないのはけっこうだけれども、少ないというのはどういう一体あれでしょうか。   〔委員長退席、理事秋山長造君着席〕 そこの辺をもっとこう——実はこの前のときに、南伊豆の地震災害の際に、あの被害は局地激甚には該当することは明らかだと私は思うと言ったらば、総理府総務長官もまあ大体そういう見通しだと。ただ、しっかり調べるので、その上でやりたいといって、時期について、いままで局地激甚は、まあ正しく言えば二月、それが八月でなければ標準税収入のめどがつかないものだから、そういうことで少しおくれていかにゃいかぬといったのが、まあ早くやったわけですね。  それで、本激甚の場合には、非常に迅速にできるように基準の文章ができているわけですから、早くできるわけですね。だから、そういう意味では、われわれは、早く被害の実態を明確にして、早くこの考え方をまとめてもらいたい。もう各県、市町村などはそれを待っていると。実際のところ、自分のところの予算額と比べてみても膨大な被害であることははっきりしているので、何とかひとつ早くこれのめどをつけたいという気持ちなんですよね。  そこでまあ、専門的な立場でいまちょっと審議官のほうが言ったその公共土木というのはどういうことを言っているのでしょうか、ちょっとひとつお聞かせをいただきたい。
  56. 横手正

    説明員(横手正君) 公共土木についての本激甚適用の基準は従来どおりきまっておるわけでございまして、これによりまして本年度のいわゆる標準税収入見込み額ですが、これは御承知のように、八月末になりませんと明確になりませんが、それまでの間も本激甚の場合には一応推計見込み額でやってまいっております。その額が本年度は八百数十億円がおおよそのめどになろうかと、かように思います。で、現在、先ほど御報告いたしました公共土木等の被害額でございまするが、この中にはいわゆる地方団体の負担を伴わない直轄事業的な被害額も含まれておりますので、これら精査してまいりますと、あるいはかつかつという感じではなかろうかという感じがいたしておりまして、その点を先ほど申し上げた次第でございます。  なお、本激甚が適用できるという状況であればもう直ちに手続を進めたいと、かように思っておりますし、局地激甚の場合におきましても、大臣や政務次官からできるだけこれは早急に手続を進めるようにと、こういう指示もすでにございますので、私どもとしましてもできるだけ早急にこれを進めるよう努力いたしたいと、かように思っております。
  57. 松永忠二

    松永忠二君 大臣ひとつ、かりにたとえばいま言ったとおり八百億という——まあ昔はよく二百億と言ったもんですがね、それがいま八百億というお話が出ておったが、そうなると私は、たとえば静岡県などの被害は県としては非常に多いわけですね。そうすると局地激甚という考え方を使ってもらわないと、局地激甚というのは市町村を対象にするものであるけれど、非常にその被害が集中的に一つの県にあらわれてきたときには被害の範囲が狭ければ被害額が多くなるわけはないわけなんです、集中的な被害の場合に。今度の場合は県で言うと九県にのぼっているけれども被害を調べてみると二つの県くらいに集まっちゃっているわけですね。それで全国的な被害になっていないから、一県としては非常に膨大であっても、私のところは狩野川台風以上の被害なんですよ。狩野川台風以上の被害で二倍も被害があっているんですから、これは当然対象になるものだというふうにわれわれも考えているわけなんです。ところが、その要するに被害の総額の基準がずっと上がってきているところへ持ってきて、そういうものを対象にして考えているもんだから、どうしてもそうなると、数県、少ない県にわたって非常な激甚な災害があったときにはこれの指定に漏れるというなら、やはり県、市町村を——市町村というのが局地激甚の指定の対象なんだ。だから県をも考えなきゃできぬということに私はなると思う。大体本激甚とか局地激甚というのをつくったのは、激甚の被害状況によって局地激甚をつくる必要があるということでやったわけなんだ。だから今度の被害の実態から見て、私はそういうことを考えていかなきゃできぬということが一つと、またいまお話があって、いま梅雨前線はまだ続いているわけです。それから従来激甚を指定する場合には、ここにも出ているように、台風八号及び梅雨前線豪雨による被害ということで一貫したものをずっとつなげて被害額を出してきて、それで激甚指定をやっているわけですから、こういう意味から言うと、いまある被害も一連のいわゆる梅雨前線であるというふうに考えてやっていくか、何かやっぱり措置を考えてもらわぬと、一つの県でこんなにたくさんの被害額を持っていて、しかもそれが本激甚にはならない、局地激甚は市町村だけだと言ったんじゃ、これはとてもじゃないが県はやり切れないわけですよ。私はもうわれわれの狭い経験から言えばもうこんなものは本激甚であることにきまっちゃっている。だからそんなにああだこうだ言わぬでも、一応公共の施設についてはもうしっかりやってもらえると、問題は、いまある法律で適用できない面が出てきているので、その点をもう少し考えなきゃできぬというふうに言っているわけですが、大臣ひとつ、まあいますぐ結論をどうこうじゃありませんけれども、要するに公共土木が全体被害額で少ないならば、一つの県で非常に大きい場合には、それをやっぱり対象に、局地激甚の中に県を入れてもらうという考え方を、ひとつ新たに実情に即してつくってもらうか、それとも従来の基準を使っているというならば、もう少し長期間にわたった、何もことさら二つに分かれた災害を一つにするわけじゃない、いままで実は二つに努力してしたことがあるんですよ。して、被害指定にした場合もあるんですが、今度の場合は八号から梅雨前線がずっとつながっているわけだから、これからの被害の様子を見て、そして本激甚をかけていってもらうか、いずれかとにかくやってもらわないと、率直に言って、私は何も静岡県の出身だから静岡のことばかり言うわけじゃありませんけれども、これからの被害がこういうふうな形で出てきた場合においては、どうしてもその措置を考えてもらわないとこれは困る。その点について大臣の理解を得ておきたいと思うんですがね。まあ大臣は御存じなので、その辺どういうふうにお考えでしょうか。
  58. 西村英一

    国務大臣西村英一君) まあこれはいろいろ御指摘がありましたが、これは八号台風梅雨前線、やっぱり一つと見なけりゃならぬと思っておりますがね。したがいまして、いろいろ指示はわかりましたが、なるべく早いような激甚災害処置をとりたいということだけはお約束できると思いますが、いま説明員から申しましたように調査の最中でありますけれども、なるべく急がせますから、どうぞ御了承賜わりたいと思います。
  59. 松永忠二

    松永忠二君 そこでその次の問題ですが、今度の被害の一つの特徴というのは、もう毎回言うとおりにがけくずれの被害が大きいことであります。私の県に死者が四十一名ありましたが、この中で県警本部が非常にこまかい一つ一つの死亡した原因を書いた調査を出しておりますが、三十三人が裏山のくずれで下敷きとなって死んだものであります。中には警察官の殉職が一名あるそうでありまして、私の県全体としては三千三百二十一カ所というのが出ておりますが、小さくいきますと、岡部町という小さな町ですけれども、それにがけくずれが百七十五カ所、それから引佐郡の細江町で、一つの町で百八十カ所、引佐町のごときは七百四十四カ所というふうに出ているわけです。がけくずれの被害というのは非常に大きいわけです。これは西村長官は、建設大臣としてがけの急傾斜問題にも努力していただいたりなんかしたことも私知っているわけでありますが、そこで、これはもうがけくずれ対策についての抜本的なやり方を出してもらわなければ困る。もう前から困る困る——これで人が死ぬということわかっているんだから、もっと対策を明確に打ち出していかなきゃできないと思うんで、まず最初にひとつ、これは建設省のほうからお答えいただきますが、大臣ひとつちょっと頭に入れておいて、総括的にあとでお聞きをいたしますが、急傾斜対策事業費というのがあるわけです。これは基準としては三十度以上の傾斜を持ち、自然がけであって、人家が五戸以上のところで崩壊をしているというものについて、これに対策事業を事業化すると、それから緊急傾斜崩壊対策事業費というのを、それを一部五億をとめておいて、緊急に出た場合にそれに対策をするということもやっているわけです。八十六億が平常のです。いま六百六十四カ所、それについてやっているわけでありますが、緊急のものを五億にしてある。ところがこの緊急傾斜崩壊対策事業にしても、激甚指定にしても、何にも補助率が上がらないんです。これはもともと考え方として激甚対策としてやったものじゃない。つまりくずれてきているところをどうしたら安全にして住むことができるかという考え方で、いわゆる恒久的な意味の対策的なものだから、災害対策的取り扱いをしていないわけです。したがって国が四五%、県が四五%、地元が一〇%、それは公共施設がある場合であって、ない場合には四〇%、四〇%、二〇%で地元負担があるわけです。それで、しかも受益者負担ということでその下に住んでいる人にも負担をかけさせるときもあれば、今度、南伊豆町については、大蔵と建設と協議をしていただいて少し地元負担を減らしてくれたようでありますけれども、これではだめだと私は思うんですね。つまり、せっかく急傾斜対策事業があるわけなんで、災害で落ちて、急傾斜の、いま言うとおり人家のところに落ちてきたら、それに手当てをして災害対策としてやるなら、当然激甚指定したらば補助率は上げてもらわなきゃ、こういうきまった恒久的な対策としてのいわゆる急傾斜対策事業費のつけ方ではだめだと私は思う。またおかしいと思うんですよ。川や、あるいは山や道路については補助率のアップがあって、激甚の場合には九〇%もあるわけですから。それを現に災害で一番心配の出ている急傾斜問題について、この費用は額もたった五億しかない。たくさんなものはもうきまっちゃっていて動かすことはできないわけです。ことしはこことここをやるというふうにきまっちゃっているわけです。緊急のところに出てくるのはたった五億しかない。しかも五億は、国の補助率も何にも上がらぬ。これじゃあ対策にならないじゃないですか。災害対策事業としての性格を明確に持たせて、そうしてこれによって被害防止していこうという、あるいは被害を防いでいき、またこれを整備するという考え方にならにゃできぬ。これはもう建設省が力んだって、大蔵がそうじゃないと言えばそれきりでしょう。大蔵は、何か次長はきょう何だかだったが、主計官そういう答弁ができますか、きちっと。やっぱりそういう考え方にならなけりゃだめだということをまずひとつ、建設省のほうで先に答弁してみてください、河川局長
  60. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  ただいま先生のおっしゃるとおりの経過をたどっております。さきの伊豆半島の沖の地震による災害の実情から、緊急急傾斜地の崩壊対策事業の受益者負担金が、先生のおっしゃるように、公共関連が五%、その他の場合は一〇%に軽減したというのが従来より一歩建設省としては進歩したわけでございますが、今回の八号台風並びに梅雨前線による静岡県の実情というものは、たいへんな問題ということを承知しております。したがって、この新しい事態を迎えまして、この受益者負担金の軽減ということにつきまして、いま当局内部で前向きに実は検討しております。さらに、これを越えた、先生のおっしゃる激甚の上乗せというものがないじゃないかということについては、これは制度の問題でございます、法律の問題でございますから、これは私のほうから直ちにはお答え申し上げることはできません。
  61. 松永忠二

    松永忠二君 それは制度の問題だからお答えできないというのじゃないんで、局長はその程度のことじゃなくて、われわれとしてはこうしたいという考え方があるでしょう。大臣に聞いておっていただきたいのは、やっぱりこれは災害対策的なものの性格を持たせる必要があるということを私は言っているわけです。だから、やはりかさ上げをして、激甚の場合には補助率を上げていくと、災害対策的な意味をもって緊急のいわゆる事業費を、とめおき予算を相当多く持っていなければだめだということと、制度的にもそういうふうな考え方になってこなきゃいかぬ、地元負担を少なくするということはわかりましたが。  それからもう一つ、これは長官にもお聞きしますが、建設省あわせて。  これは実は住宅局の関係なんですがね。実は御承知のとおり、非常にがけのそばに近接しているうちがあるので、そこでまあ今度災害が起こった場合には、つまり集団的に移転をさせてやろうということで、まあ議員提案だけどついにできて、非常に活用されているわけです。ところが、たった一軒とか二軒となると手がつかぬわけですよ。つまり、もうがけがくずれてきて、ここへうちを建てたって、とてもしようがないと、だからどこかよそへ行きたいと考えても、いま集団移転でなけりゃ補助をどうするとか何とかということはできないわけです。そこで、実は建設省が苦心したのか、まあ実情からなのか、がけ地近接危険住宅移転事業制度というのをつくってあるわけです。これは予算制度補助であって、建築基準法の中に、御承知のとおり災害危険区域を指定できるわけですね。つまり災害危険区域として、ここへ建てる場合には建築基準法で特別な措置が必要だとかいうことをきめて、災害を除こうとしているわけです。ところが、よく言うとおり、これを指定されると、たとえば温泉地帯なんかは、そんなところへ行くのはいやだというわけで行かないわけですよ。だから、現に私のところでも、梅ケ島という温泉が被害を受けたときには、もうこんなばかなところへうち建てりゃ被害が出るのはあたりまえじゃないかと、何で災害危険区域に指定しておかぬのだといったって、そんなこと指定するのは地元はいやがるわけです、地価は下がっちゃう。だから、この建築基準法の中の第三十九条に災害危険区域というものがあるにかかわらず、ほとんど全国的に指定している数というのはほんのわずかしかないわけなんですね。ところが、まあまあ災害危険区域に指定したところに家がある場合には、そうするとまた地方でがけ条例というのをこしらえて、ここはあぶないということを明確にしているようなそういうところにある、これは四十条に書いてあるそこにいる者については、ここから出たいといった場合には利子補助をしてやろうと、国が二分の一、県が四分の一、市町村が四分の一を出して、一戸をこわせば三十一万円、建設をすれば百十万、土地については四十万、これはよそから金を借りたときに利子補給をしてやって、ちょうど住宅金融公庫から金を借りたその利子がただになるような考え方に立って利子補給の金額を一度にそこのその人のところへやってよそに移られるようにするわけです。そういう制度があるわけです。ところが、これは、これも前と同じように予防措置なんですよ。災害を受けたから行きたいといったってだめなんです。前からどうもあぶないから出たいといっていた者については、計画を立ててこれをやっているわけです。で、ことしは、四十九年は、建物千五百戸、除却千五百戸というのにして予算をつけてあるわけですね。で、この年は災害分として百五十戸とめおいてあるわけです。災害を受けたときには百五十戸だけは国がそれを適用してよいといって、まあとにかく災害の場合もあるという考え方で、百五十戸は保留してあるわけだけども、もともとこれは、災害のないときに危険な地域にいた場合にそれを移したいという者に対してつまり利子補給して、ただいわゆる住宅金融公庫から借りれるように、まあ利子補給だけしてやろうという制度なんですよね。しかし、これはなかなか活用されている。また、今度私のところで、もう現に、岡部ってさっき申しましたけれども、全壊、半壊したところで、十三全壊したんですが、この中で七戸の衆は、これを何とか借りて外へ出たいというんですよ。もうとてもじゃない、こんなところにいられない。ところが、静岡県へ聞いてみたら、たった四戸分しかないというんです。もう細江、引佐へ行ってみたら、みんな山のところはこれを何とか、何とかという話が出ている。全国で百五十戸ばかり保留してあるんですからね、一つの県へそんなに来るわけはない。そこで、これは建設省がもう百も承知のことであって、大臣の力を借りなきゃできないことであって、これは集団移転の制度ができたのでいいけれども、集団で移転したときにめんどうみてもらうじゃ困るわけですよ。もう裏のがけがくずれてきて、ここにはもうとても住めないと、だから外へ出たいといったって、いまどこにもこのほかの制度はない。いまちょうどあるのが、このがけ地近接危険住宅移転事業というのがある。まあこれはいま言うとおり、補助であっても利子だけを補助することだけれども、これでもあればけっこうだと思う。もう少し私は、集団でないものでも集団移転と同じように補助する措置をすべきだと思う、こういうことを言っているんだけれども、何かそれができないとすれば、せめて一戸、二戸危険な災害を受けた、現に災害を受けたところの人がよそへ移転をする場合には、それじゃ借りた金についてはひとつ利子だけは一度にと、一度に渡すわけなんです。だから一度に利子を払わぬでもいいですから、非常に助力になるわけなんです。これは非常にいい制度だし、これを予算をしっかりして、集団移転はこの法律、個々移転はがけ地近接危険住宅移転の事業でやるんだということにして、できるだけ危険なところからよそへ行けと。危険なところにいれば、もう災害を受ければうんと金はかかるわけだから、国でも市町村も県もたいへんなめんどうを見なければできないのだから、自発的にそういうことをやろうというのはけっこうなことである。現に災害を受けたならば、どんどん希望に応じることができるようにしなければできぬと私は思う。だから制度的には国土庁長官に、この制度をやはりもう少し充実をして、いわゆる数戸、二戸の移転についても国がこういう措置をしていくということが必要だ、このために充実をしてもらいたいということが一つと、建設省に対しては、この際予算をふやしてもらわにゃ困るじゃないか、大蔵省はその交渉に応じる用意があるのかないのか、これをひとつ聞かしてもらいたい。だから大臣と建設省大蔵省のほうからひとつ考え方を聞かしてください。
  62. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) ただいま先生がおっしゃいましたとおり、がけ地近接危険住宅移転事業は二年ほど前から始めておりまして、たいへん喜ばれております。それで、昨年は補助率が三分の一でございましたけれども、ことしの予算から二分の一ということに国の補助率を上げております。ただ、おっしゃいますように、戸数が非常にまだ少のうございました。制度の初めだったものですから、各県のヒヤリングの状況等聞きまして非常に少なかった。そのために千五百戸程度の計上にとどまったというのがいままでの実情でございますが、こういうふうな状況にかんがみまして、来年度予算等ではしっかり大蔵省に要求したいと思っております。
  63. 松永忠二

    松永忠二君 この災害の要望に応ずることができるのかというのです。
  64. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 現在百五十戸の保留と先生もおっしゃいましたけれども、これにつきましては各県別を詳しくきめておるとは思っておりません。したがいまして、災害状況等に応じまして当面はこの百五十戸の範囲を大いに活用したいと考えております。
  65. 松永忠二

    松永忠二君 何だって、もう一度ちょっとそのしまいのほうひとつ答えてください。
  66. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) その百五十戸を保留いたしておりますけれども、その保留しております百五十戸を活用してできるだけ要望に沿いたいと思っております。
  67. 西垣昭

    説明員西垣昭君) 建設省からよく話を聞きまして十分検討してまいりたいと思います。
  68. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま、そういうようなことを調整していくのが私の任務だと思います。したがいまして、各省は各省に法律に基づいてやっておりますが、そういうことにつきまして、このがけくずれの問題はたいへんいろいろいままでやってまいりましたけれども、あまり効果をあげておらないようでございます。それには、これは松永先生最も詳しいんですが、私率直に言いまして、そのがけくずれというものが調べてみますと、何とどれだけあるかわからぬような状態です。それで指定区域をやってみましたけれども、それもまたお説のようになかなか進まないと。しかもそれによる人命の損失はあるというのでございまするから、いま申しましたように、いまの制度を少し調整していくとともに、もう一歩私は別な観点から、人命の尊重のためには——気象庁の方もおられますが、気象庁の予報は私はだいぶ近ごろはうまくいっておると思います。それから集落に対する予報が私はちょっと組織的になっておらぬと思うんです。もうそういう場合は、どんなことでがけくずれがあるかわかりませんので、やはりその部落に一つの組織をつくって、これは警察庁の仕事になりますか、私どもの仕事になるかしりませんが、まあとにかく集中豪雨にしてもある程度の時間がたたなければがけくずれは起こらないと思います。もう五百ミリ降っても、それは五百ミリ程度の雨でも一時間や三十分じゃがけくずれしないと思う。やはりある程度時間が経過しなければならぬ。その間にやっぱり避難態勢をとる。そのためにもその部落に対する組織をもう少しうまくやりたいというような気持ちがいたしております。これは先生が言われるいまの問題とはやや違いますけれども、人命をもう直ちに防ぐというそのとりあえずの意味ではそういうことを徹底され得ると思っております。  いま先生のおっしゃいまする、いまの制度をどう生かしていくかという問題につきましては、ひとつ十分お知恵も拝借して、国土庁としては一ぺん見直して各省に対して指示をしたいと、かように思っておる次第でございます。
  69. 松永忠二

    松永忠二君 前段の問題はもうちょっとあとで触れますので、あと制度的な点を少し充実の方法はないのか検討してもらう。  同じような問題がもう一つあります。実は建設省一定災というのがあるんですね。一定計画による災害復旧という考え方があって、これはこの前、私ここで説明したんですが、この南伊豆町の中木というところは全部やられちゃったわけですよね。そこで、そのところを災害復旧するのには、もう川は河川だ、道路道路局だ、それからおれのところはいわゆる急傾斜だと、そういうことを言っちゃだめじゃないかと。農林省は農地だ、海岸は、港湾のほうは運輸省だという話になったんではしようがないじゃないか。そこで実は私が一つの試案をつくって、これはまあ案を出したのは、集中的に移転するのもいいけれども、今度は逆に集中的にやられたところでそれを再建しようと、もう全部うちは取っちゃったわけなんですね。もう川も全部あれになっちゃった。土は全部はずして海岸へ持っていっちゃった。だからここへ新しくいわゆる村をもう一回つくるわけですよ。だから集中移転とは逆に、再建のための村づくりがやれるように、もっと災害復旧関連づけてやって、一つの村づくり的な計画でやったらどうかということで、「災害が発生した地域における集落の再建に関する特別措置法」というようなものをつくったらどうかと言って、実は法案要綱を出したわけです。当時は総理府でやっていたわけですがね。出して一つの考え方を示して自治省にも、やるとすれば自治省が主管にならざるを得ないわけだけれどもどうだと。で、この考え方を収拾するのはこれは国土庁なり災害対策室であることは事実だ。ところがたまたま建設省だけにはあるんですよ。たとえば一定災害、一定災というのは公共土木の施設の関係について、つまり総括的に建設省としてその一定計画のもとで関連して進める一定災という方法がある。これは現地を査定官が見て、建設省にある基準があってその査定の方式に基づいて厳密にやって、大蔵省と協議をしてきめているわけです。今度私が言った中木についてこれはやろうとしているわけだ、一定災を。ところがこれは建設省だけの中の話であって、何も農林省にも林野庁にも運輸省にも関係はないわけですよ。で、御承知のとおり、前の、河野一郎氏が建設大臣のときに、あの人が農地河川の、いわゆる建設省と山腹砂防について、川と山の間に、非常にごたごたごたごたしていたので、役人を交換をして、そのいわゆる接点についてうまくやれるような方法を講じて一時非常に進んだんです、あれは。で、役人も交換した。またそのうちにやめちまった。そこで私は、公共土木について関連して一定災やっているということは、要するにやっぱり災害を一つの計画で復旧をやっていかなければだめだ、災害復旧よりもいわゆる改良復旧的な計画的な措置が必要だというので、私はこういういわゆる集団的に集落がやられた場合には、これを一つの計画に基づいて、各省協議をして、一つの計画に基づくやり方をやっていったらどうだろう。これは集団移転の場合の方法を逆にすればできるわけで、集団移転のときにも、つまりその地域を指定をして、指定をしたらば、それを建設省に持ってくる前に知事意見を添えて持ってくる。それで指定された地域について、指定した事業をやる場合には補助をするという形で、国と県とがその地域の分に関連をつけて、いわゆる規制をしながら全体の再建をやっていこうとしているわけです。僻地対策の意味からいっても、こういうことはどうしてもやらなければいけない。今度、私が行ってみて一番感ずることは、僻地のほうは、農地なんかやられた人たちは復帰する意欲はないんですよ、こんなものは。もういいと、下へ帰ってきたい、どこかほかへ移りたい、町村長は何と言っているかというと、何とかしてやっぱりせっかく僻地対策もやってくれて、がんばっているんだから、この衆を下へおろすことのないような措置をしてもらわなければ困る、こう言っているわけなんですよ。こういう災害考え方というものは、やはり私は必要だと思う。災害は各省ばらばら、一つの省は各所管ばらばら、川は川、海岸は海岸、道は道ということじゃだめだ。埋め立てたもので埋め立て地をつくり、護岸をこしらえ、この際いわゆる川を直し、それでまた、そこにいわゆる集会所をつくり、公園をこしらえるというようなことによって、そこの地域にいい部落づくりをやらなければだめだというのが私の考え方なんです。私は、こういう面についても、われわれも一つの案を出しているのだから、ひとつ国土庁のほうでもぜひひとつ一度検討してみてもらいたい。たまたま建設省自身もそういうことを感じていて一定災という方法を講じているわけなんです。中木についてはそういう方法でやろうといましているわけですよ。せっかくやるんだから、ばらばらじゃしようがないから建設省だけで相談をしよう、それには改良事業もくっつくから大蔵と相談をして、大蔵とも相談をした上できめたわけなんです。この考え方をもう一つ前進をさせて集団的な、いわゆるやられたところについては、もっと各省の間で協議を行なう。それを国土庁が調節をして、一つの計画を出させていくというようなことをやることによって、一つの部落をそこに再建をしようとするわけです。あるいは集団的によそへ持っていこうとするわけです、こういう点。それはできたが、さあ一人、一人、二、三軒についてはどうにもならぬから、それはがけ地近接危険でやっていけと、しょっちゅうここにきなさい、集団的な場合には考えてやるぞというような措置を持っていくことによって、何とかがけくずれの災害というようなものを根本的に対策を打っていかなければできぬのじゃないかと思う。これは特にまだ大臣にそういう案を示しているわけでもありませんので、せっかく建設省一定災という考え方もあるようだから、これをもう少し一段高めて、国としてやっていくという措置をぜひひとつ検討してもらいたいということを特に要望しておきます。特に私たち、南伊豆の僻地の集団的な災害をどう防ぐか、たとえば御承知のとおり、落居というところは十何回も避難している。いまだに山の上へ避難しては自分のところへ帰ってきている。それでこの人たちの集団移転をやろうとしたけれども、また何かそこにいようというような気持ちになってきているわけなんです。どうしたら一体これらを措置できるかということであります。これはひとつ考え方を述べておきます。  そこで、この前も強調いたし、いま大臣が言っていることですが、危険急傾斜地というのは六万七百五十六カ所きめたのですね、例の災害のあとの調査で。それで建設省にその後尋ねると、大体危険地域の全部はこの中に入っていると言うんですよ。そういう自信を持っていると言っているんです。そんならもうここから災害が起こるにきまっているんだから、何でここを始終警戒体制をつくらないのかということが一つ。それじゃ全部きまっているというなら、今度起きた災害は、ここが調査の場所に入っているかと聞いてみると入っちゃいないのですよ、これは。だから万全だということはできないので、まず六万七百五十六カ所のいわゆる監視体制を強化することと、もう一つは新しいところを発見するという調査の費用をつければできるじゃないかと、そこで、この前主計局の次長が出てきて、建設省のほうからそういう要望があれば、また十分検討いたしましょうということを話したけれども、どうしてもこれはやらなければだめだ。やっぱりもっといまある、あなたのおっしゃった、それはあなたのおっしゃったのは気象庁のことで、危険をどう防いで逃げるかということなんですよ。今回、わりあい災害についての避難命令というのは早く出たところも何かあって、このごろは死ぬ人が少なくなってきたのは事実なんですよ。しかし、がけくずれは相当被害があるわけですけれども、そこで、どうしても私は新しい調査を行なうということと、いまある危険個所の常時監視体制をつくるべきだということを考えておる。これを何とかやっぱり建設省も大蔵と話してやるべきではないか、道路については道路工事維持費というのができているのですよ。監視する予算ができたのですよ、道路保全費というのが。例の飛騨のところ、がけがくずれたりなんかして、落ちたものだから。これは。パトロール隊をつくって、常にある一定の何がきたら警戒しなければだめだということになって、そういういろいろな維持費をこしらえることになったのです、保全費。がけにはないわけです。これが一つ。  時間もありませんから少しはしょりますが、林野庁にもお聞きをするわけですが、これは長官にも聞いてもらわなければならないのですが、林野庁のほうでは、そのときに一緒に山地危険地というのを十二カ所持っているわけなんです。A、B、Cにランクして三十五万ヘクタール、これを持っているわけです。これもやっぱりきちっと監視体制があるとか、それを一歩進めていくとかいう必要がある。ところが今度出てきたところは、たとえば私のところで被害が出た賤機山というのは、ミカン畑なんです。ミカン畑がくずれてきて、そこで死んでいるわけなんです。ところが農地になっておれば、農地は、それじゃ林野庁のほうで、農林省のほうで地層調査をやったことがあるかというと、調査やったことがないのですよ。つまり農地だから、林野だからだいじょうぶ、いわゆる危険個所調査を進めないわけです。ところが調べてみると、農地がお茶畑になって、ミカン畑になって、もうすでにあぶなくて、落ちるにきまっているところが落ちてきたわけですよ。そこで農地となっているから、だいじょうぶだという考え方じゃ、がけくずれに対処できなくなっているわけです。今度の特徴というのは、みなそうなんです。賤機の死んだところなんて、みんなミカン畑、もう何十年来のミカン畑が落ちちゃっている。これというのは、もう賤機の土質がゆるんじゃってきて、だからもう農地だからあぶなくないなんという考え方は全然とれないわけです。だから農地についても危険個所を一回調べてみる必要がある。落ちちゃってから農地復旧はできないかとか、ああだこうだ言っているのではなくて。だから事前対策がなければ、農地だから、林野だから安心だなんて言っちゃいられないわけですよ。だから要約して私がお聞きをしたいことは、農地については、いわゆる農地危険個所調査ができているのか、できていないのか。また林野庁については、そういう十二万カ所やっているけれども、一体これはどういう監視体制を持っているのか。建設省は危険急傾斜地域のものについて、やはりはっきりと監視体制と新しい調査の対象をつくらなければだめじゃないか、もしそうでないというなら、今度起こった災害のどこが一体危険個所に指定してあるのか、危険個所に組まれているところを言ってごらんなさい。何カ所危険個所に、調査したところが落ちましたというなら、それを言ってみてください。それもひとつ各省で……。結果的にやっぱりそういうことをどこでも総括的にやらにゃできないということになると、これはやっぱし国土庁あたりが、いわゆるバランスしてもらわないとそういう声をきちんとすることができないのではないかということであります。各省からお聞きをいたしたい。  もう一つ農林省の関係にお聞きをするのは、今度の被害を見て、こんなところへ農地をつくれば落ちるにきまっているじゃないかというところへ農地をつくっているわけですね。いわゆる果樹を栽培をしているわけです。山の上のほうまでずっとやっちゃっているわけです。それでそこが落ちちゃった。一体農地として利用する限度というのはあるはずじゃないか。これ以上はもう農地としてはだめだと、そういういわゆる農地として利用する限度というものを考えなきゃ被害が当然起こることは明らかじゃないかと。そういう農地利用の限界というものを示すなり指導すべきじゃないか。そうでないと、どんどん危険なところから、農地だというところから被害が、がけくずれが起きてくるが、この点についての考え方を農林省はどういうふうに考えているかということであります。まとめて各省からひとつお話を伺いたい。
  70. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。  先生おっしゃいましたように、昭和四十七年度に総点検を行ないました。六万七百五十六カ所という危険個所が判明したわけでございます。この判明いたしたと同時に、いわゆる警戒体制の整備ということで、いろいろ地方公共団体に指導要領を流したわけでございますが、この主体は市町村の防災会議が主体になるわけでございます。今回の事例にかんがみましても、ますますこの警戒体制の整備につきましては、どうしたら徹底するのかということを市町村の第一線の皆さん方ともう一度協議しながら、さらにこれを強化してまいりたいと思います。  それから第二番目の、先生がおっしゃいましたように、静岡県におきましてはミカン畑の   〔理事秋山長造君退席、委員長着席〕 斜面が非常に多くて、そのがけくずれがあったわけでございます。それで、この危険個所調査にあたりまして、やはりミカン畑というものに対するひとつのそういうような生産性の問題がございます。こういう危険個所に指定いたしますといろんな動作ができません、あるいは水を散水したりいろんなものが禁止されてきます。そういうようなことから、一つの社会的な問題だと思うんですけれども、そういうことからこういう問題が県あるいは市町村の段階で知らず知らずはずれた形勢があるように思いますが、他のそういうところ以外は災害が起こったところはほとんど全部危険個所に指定されたところが起こっているように現在のところの調査ではそういうことになっております。したがいまして、そういうようなことでございますので、そういう特殊的な何か原因があって、漏れたものはいろんな原因がございますが、こういうような場所に対しましては再調査を行ないます。すでに伊豆沖につきましては調査費を県に流しました。で、今回のこういうような再調査といいますか、漏れに対する調査につきましては今回の事例を念頭に置きまして、二次災害防止のための調査を行なう所存でございます。
  71. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 林野庁におきましてもただいま御説明ございましたように、町村のほうに対しまして四十七年度に調査いたしました十二万カ所並びに三十五万ヘクタールにつきまして監視を十分いたすように通達いたしておりますけれども、先生御指摘のように必ずしも十分にいっておりません。したがいまして、今回の事例を十分検討いたしまして、今後監視につきましては対応できるような検討を進めてまいりたいというふうに考えております。さらに指導といたしまして、できるだけこの調査されました危険個所の中から積極的に治山事業を毎年進めるように指導をいたしておりまして、毎年行ないます治山事業もこの危険地区の中から重点的に各県で施行するような指導体制をとっております。
  72. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) ミカン山が特に問題なわけでございますが、ミカン山に限らず、急傾斜地に農地があるところがずいぶんたくさんございます。これらはやはり災害のたびに問題になるわけでございまして、特に四十二災で今回と同じように相当な被害を受けました。そこで四十二年に特にこういう傾斜地にあります農地につきまして十分調査をすると同時に、捷水路、排水路、あるいは土どめ工というような、そういう保全対策を十分に危険なところから急速にやるということで予算措置もとっておるわけでございます。しかし、残念ながらまだまだ不十分でございまして、今回のような結果になったことはまことに遺憾でございますが、そこで今後こういう危険地帯にございますミカン園等につきましてさらに十分調査を進めまして、同時に、今回のような記録をこすような豪雨にも耐えるような、そういう設定基準等も考えていきたいというふうに思っております。なおその上限と申しますか、三十度以上の急傾斜地については新しく開園等はしないようにというような指導もいたしております。しかし在来のもの、あるいはまたいわゆる自己開園と申しますか、一ころ非常にミカンが成績のよかった時代に自己開園がはやったわけでございますが、その時代等にやはり相当な急傾斜地にもミカン園等が造成されております。それらにつきましてはいま申し上げましたような調査を十分に進めると同時に、必要な農地の保全施設を十分に進めてまいりたいというふうに思っております。
  73. 松永忠二

    松永忠二君 ミカンのお話ありましたが、イチゴなんかもそうなんですよ。ずっと上までやって、それでそれがつぶれちゃった。これはもうはっきりこんなところをやればつぶれるだろうと思うところにやっているわけですよ。どうしてあすこの辺で区切りがつけぬものだろうか。その上をもう少しやっておけばという、そういうことだから、いま各省御答弁あったような、ただ口で言っていればいいということじゃなしに、やっぱり実情調査してきちっとやってもらいたいということであります。  後ほどまた大臣にお聞きしますが、その次に続けて三つ、四つ、時間もありませんので。今度の災害の特徴は、御承知のとおり浸水家屋が多いということであります。私の県で浸水した家屋というのは静岡で七千、清水で九千ということで、床下で一万以上です。今度は要するに都市浸水が非常に多くて被害が多かったのが一つの特徴といっていいと思うんです。  そこでまず一つ、住宅団地、工業団地というのはもうみんな低湿地につくってあるのは御承知のとおり。地価の一番安いところが残ったので、そこを造成して、住宅団地をこしらえたわけです。だからもうみんなやられちゃった。なぜやられたかというと、川をちゃんとしておかないから。河川改修が全然できてない。都市下水ができてない。ただ自分が造成したところだけをやっているだけであって、全体的にやってないんだから、そこはみんなだめなんだ。だからこれは静岡県だけじゃないと思う。ちょうどかつて貧乏人が川のそばに家を建てたと同じように山のくずれるところに建てた、貧しい者が。いまや貧しい者は団地に行かざるを得ない。そこはみんな湿地、低いところを造成してある。だからこういうととろは宅地造成規制法なんて法律でくずれることばかり心配してないで——がけくずれのほうばかり心配したことは事実だ。だけれども、もっと排水というものを、河川の整備をきちっとやっておかなければいけないということを感ずるが、この点一体建設省はどう考えておるだろうか。  それからその次に、家屋の補修費に金が十分出ない。これはもう災害復興住宅の問題をこの前やりましたが、私はそれでも努力していると思うんですよ。私が言ったときの基準よりも今度また少し金額がふえてますからね。やっておることはやってますけれども災害復興住宅というものをつくってやってるが、補修費というのがとにかく非常に今度は金がかかるわけです。全部床上、軒までつかったりなんかして、家はだめになってしまう。そういう点で住宅貸し付けについては、まあ前よりは少しずつ努力しているけれども、まだまだこれじゃだめだが、災害復興住宅に適用しているのかどうか。これは復興住宅の要望があればそのワクは十分応ずるだけの金があるのかないのか。聞いてみると、住宅金融公庫は申し込みが多くて打ち切ると言っているんでしょう。いままでのように年じゅう受け付けるのをやめちゃって、今度は打ち切ろうとしているわけだ。これはいま新聞にもたくさん出ている。それで災害復興住宅の金はあるのかないのか。資金のワクはあるのかどうか。災害復興住宅になれば幾ぶんでも利子は安くなるわけですが、これについてつまりその指定が直ちに行なわれて、そして貸し出しを十分やれるという態勢にあるのかどうかということが一つ。これを住宅局のほうから聞きたい。  それからもう一つは、従来と違ってこのごろは家屋の中にいい什器があるということです。もういわゆる電気洗たく機をはじめとして非常な高価な電気器具をみな持っている。それから家具も従来と違って非常に豪華な家具を持っている。これがみんな水びたしになっちゃった。そこで建物も被害が大きいけども什器の被害というのは非常に今度のは多くなっちゃって、これにはどこからも金を貸してくれるところはないわけです。こういうことについてやっぱり災害復旧の場合に、住宅金融公庫の貸し出しとかそういう家に関連してこの什器についての被害について貸し出しをするとか、めんどうを見るとかという措置がこれから必要になってきているのじゃないかという点を一つ考えるが、どうだろうか。そして全部畳がやられたが、畳の確保は確実にできてるのかどうなのか。それはもう市町村まかせ、県まかせ。私が調査したところでは県営住宅は県が心配、市営住宅は市が心配してくれるが、個人はすっぽかしです。だから市営に入っている人は少しぐらい水につかってもどんどん畳をかえてくれるけれども、ずぶぬれになった個人のところはどこもいわゆるかえてはくれるところはない。これじゃしょうもないじゃないかと思う。畳の確保についての対策はしっかりしているのかどうなのか。これを第三として、什器補助というものは考えるべきじゃないか、畳確保の対策はしっかりできているのかどうか、これをあわせて住宅局に聞きたい。  河川局にもう一つ聞きたいことは、もう行ってみるとみんなこれは前から懸案になっていることができないからだめですということですよ。たとえば私のところで静岡清水被害ができたのは、長尾川というのがありますが、その下流の巴川というのがもう人家の中に入ってきて、河床を広げることはできない、河川改修はもうできないわけです。そうかといって両岸の護岸をどんどん高くするわけにはいかないわけです。ここから出た——西村さん御存じの、建設大臣御存じの佐藤虎次郎氏が前から建設に非常に詳しくて、彼が出てきた当時、もうこのままにしておけば必ず清水は大災害が起きると言ったが、そのとおりなんですね。そこで、もうすでに御承知のとおり、大谷川という川をこしらえて、排水をこしらえて、それで静岡側へその排水を放水路的につくろうとしているわけだが、これがなかなか解決がつかない。やっと今度先行投資で二十何億かの買収費をつけたけれども、さあそうなったらおそかったということになるわけです。もうはっきりしているわけだね。たとえば私の町に葉梨川という川がある。この川で六百戸の床上浸水ができたが、これまた中小規模河川になってようやく井ぜきをとる程度で、予算をつけやせぬもんだから、もうわかりきってるのにやられちゃった。あるいは浜松のほうへ行けば都田川という川がある。これは中小規模河川になってようやく昭和五十一年から二十三億でやろうと思っていたら、とたんに百五十メートル切れちゃったということですよ。だから問題はある意味でわかっているわけですよ。それだから新聞が書くのが、いわゆる人災だ人災だと言ってくるわけです。だからもうこれを直さにゃだめだという懸案事項についてまあ集中的な努力をしないと、結果的にはわかっているところでやられてしまうというような結果になっているわけなんです。それで特にみなが指摘をすることは、河川の費用が少ない、道路はいわゆる財源ができたためにどんどん進んだけれども、川の予算はどんどん少なくなっちゃってろくに予算がつかぬ、これをまあ嘆いているわけですが、懸案事項の解決というものについてもっと力を入れなきゃできないと思うが、この点どう考えるかという点をお聞かせいただきたい。あと少しで終わりたいと思いますが、この点をひとつ各省から御答弁願いたい。
  74. 増岡康治

    説明員増岡康治君) お答えいたします。先生のおっしゃるとおりでございまして、もうそのとおりでございます。ことに、都市河川のおくれは特に目立っておりまして、建設省におきましても、来年度もこれを重点施策といたしまして強力に推進をはかるつもりでございます。ただ都市河川、いまおっしゃいましたような、先生の御承知の大谷川放水路——巴川でございますが、いつも都市河川で問題になりますのは、上流と下流の利害が相反するということで、用地買収に非常に実はこれ、解決までに時間がかかるというのが一つの大きな問題で、また社会的な問題にもなっておるわけでございまして、まあこれにつきましても総力をあげましてこういう調整をはかって早く用地の解決をはかっていきたいと思います。懸案事項の中で一番問題が用地の問題、それからいま先生がおっしゃるような集中投資でございます。まあ集中投資のほうはやはり河川全体の伸びを望むと同時に、やはりそういう都市河川の、特に人口の多い個所の問題はやはり最重点に来年も予算要求をする覚悟でございます。  また、中小河川でございますが、中小河川におきましても同じようなことが言えます。やはりいま建設省におきましても治水予算は全体の一〇%と言われております。まあそういうようなことで、大臣もこれをさらに伸ばすべきだということを盛んに申しておりますし、私どもも事務当局といたしましてそういうことでいま一生懸命にこの推進方をはかって、その資料も十分たくわえておるということでございます。  終わります。
  75. 山岡一男

    説明員(山岡一男君) 災害復興住宅の貸し付けにつきましては、先ほど先生おっしゃいましたとおり、伊豆沖地震の実情等にかんがみまして、建設費で三百九十万円でございましたものを四百三十万円、それから補修費で百九十万円でございましたものを二百十万円、それから移転費四十万円を七十万円、整地費四十万円を七十万円、土地費を百五十万円というふうに、六月中に政令を改正いたしまして額だけは少しふやしております。  それから、今回の災害がやはり八号台風とそれから梅雨前線に伴うものでございまして、まあ全体としましては当然災害復興住宅の対象になると考えております。それからそれに要します予算につきましては、先生もおっしゃいましたとおり、一般の個人貸し付けにつきましては予算のワク等を見まして相当オーバーいたしましたので二十日で締め切っておりますけれども災害復興貸し付けにつきましては万全の準備をいたしております。十分お貸しできると考えております。いまのところ、概算で報告を聞いておりますのは、大体三十四、五億ぐらいはどうも貸し付けの申し込みがありそうだというふうな状況でございます。  それから家具につきましては、実は私どもそこまで考え及んでおりませんでしたが、今後十分検討したいと思います。ただ、災害援護資金の原資の貸し付けという制度がございます。これはまあ所得の低い方に対しまして当面の家具、それから建具等の損失につきまして厚生省所管で貸し付けを行なうものでございますが、そういうものをやはり、一部にはなろうかと思いますけれども、先生おっしゃいますとおり、新しいことだと思いますので今後の検討課題にしたいと思います。  それから畳につきましては、実はこれも先生おっしゃいましたとおりでございまして、いまの公営住宅につきましては、災害の査定に行く前から、もうかまわないから発注しろという指示をして、実は手配をしたわけでございます。で、一般の畳のところまで全部についての災害状況がわからぬうちに、私のほうでなかなか十分な手配をしておりませんが、県の皆さんとも十分打ち合わせをしまして、今後手配に違背なきを期したいというふうに努力したいと思います。
  76. 松永忠二

    松永忠二君 お答えわかりましたが、私は畳なんかは個人でやって、もうござだってみんな使っているわけですよ。何とかやはりそういうことを業界との間に話をつけてきちっとしてやってもらわぬと。それからそういうところへ入っているところの差がひど過ぎる。片一方はまだ使えるのにどんどんかえちゃうのに、私のとこはもうずぶぬれになってもかえてくれぬと、あんまり差がひど過ぎる、自分の所管のとこばかりをやるというふうに——まあ自分のとこを先にやるのが初めだとこう言うけれども、やっぱり公平にやってもらわなきゃいけないはずだ、もうちっとやっぱりやると。什器についてはひとつ新しい方法を考える必要があるのじゃないか。やっぱり住宅金融公庫の住宅費の中に什器というものを何かこう入れるとか、考え方を入れるという方法はないものかどうか、まあ検討する必要はあるというふうに思います。  そこで、今度の被害のもう一つの特徴というのは、中小企業被害が多かったことですね。商工業の被害が非常に多い。これはなぜかというと、全部商店街へ入ってきた。それから工場へ入ってきた。工場の被害は、億というものを数えるようなものが一軒のうちで出てきてしまう。まあ私もたずねてみると、モーターの辺をやられちゃうと上はもう全部だめだと。しかもそれが数千万円のものをやられちゃうんだと。そこで私自身も中小企業関係では中小企業金融公庫の災害復旧貸し付け、国民金融公庫の被災者貸し付け、商工組合中央金庫の激甚災害——まあ激甚災害に当然なるものと考えて、これだけですね。それから中小企業信用保険法による災害関係保証の特例というのがあって、これは借りるときの話に保証つきで借りやすくしてもらうというこの問題がある。それから中小企業近代化資金を借りている者は貸し付け金の償還期限の延期の特例があるので、これも適用を受けるということになる。これは償還期限を二年延長するということになっているわけです。これは貸し付けるんじゃありませんよ。近代化資金を借りてつくった非常にいい機械が災害でやられてもう何にもならない。そこでこの近代化資金をもう一度重ねて借りる、近代化資金は八千万円が貸し付け限度ですから、八千万円借りていてまた八千万、その近代化の機械がやられたから新たに重複して借りることができるようなやり方をしていかないと困るということが一つと、それから二年延長するということになるわけだけれども、その返済をまあ何とかもう少し延ばす方法はないものか。あとはもう制度としてあってこれ以上にどうこうしようといってもこれはなかなかできないので、これは何とか方法はないものだろうかということが一つ。  それから大蔵にも関係するのであと大蔵にちょっと聞きたいのですが、いま御承知のとおり、このほかの貸し付けというと市中銀行と信用金庫や農協、漁協から借りるほかにないわけです。ところが御承知のとおり、いま金融引き締めで締まっちゃっているわけです。だから各知事は日銀の支店長のほうへいわゆるその融資ワクを特設してもらいたいと頼んでいるわけです。この程度じゃ解決はつかないのです。だからいわゆる金融緩和措置として災害関係したものについては日銀のほうで融資をゆるめるとかワクを考えるとかということをしてもらわないと、現実問題として市中銀行や信用金庫から融資ができない。すでにもう手形で詰まってしまうというふうなのが出てきているわけです。それで機械も今度は言うとおり三機関はもう貸せる限度がきまっているわけですから、幾ら何と言ったってこの際そう窓を破ると言ったって容易にはできない。そこでまあ何かいい方法があるか。いやそれはだいじょうぶだとおっしゃるなら何かいい方法はないのか。もう一つは言うとおり近代化資金を二重に貸せる方法はないのか。それからもう一つは市中銀行、信用金庫などの金融緩和措置をやってもらいたいと思うが一体どうだろうか、こういうことであります。  まあそのほか問題はありますが、時間もありませんのでもう一つあわせて、これは一番大きな問題でありますが、国土庁、林野庁、建設省国鉄関係したことでそれぞれその御説明を伺いたい。  今度の災害静岡県に集中的にあったのに、その災害でこんなにたくさん交通障害が起きたことはない。東名高速道路がだめになる。一号国道が通れない。東海道線がだめだ。新幹線がだめだ。こんなことじゃしようがないじゃないかと。それはまあ静岡に五百ミリの雨が降ったということは異常だというけれども、とにかく日本の動脈を全部この災害で断ち切られてしまって動きがとれないようなことじゃしようがないじゃないか。だからたとえば東名高速道路で——違いがあるなら言ってください——東京へ出るのは八日から十一日の間に交通どめになった。一体いまどうなっているのだ。東名高速道路は上下各一車線を使ってスピード制限をやっておる。上り線が八日から十一日にかけてとまる。下りは八日から九日にかけてとまる。しかも完全な交通はやっているわけじゃない。それから一号国道由比町で七日から十六日まで。それから中倉沢というところで七日から九日。それから清水市の巴川という橋で七日から十三日。で、まあ上りの一方通行をやっている。東海道線は七日から十三日未明まで三十キロの除行をやった。戦後初めてなんです。東海道線がこんなに長くとまったなんというのは戦後初めてだ。それから新幹線は七日から十一日の三時五十分までやって、またそのあと丸子川の橋梁でまたとまる。今度はまたちょっととまったのは御承知のとおり。そこで、一体何とかせにゃできぬのじゃないか。まあ御承知のとおりこの地帯はフォッサマグナ、日本の大地溝帯で一番地質の悪いところで、そこで山のほうを通さずみんな海側へ持ってきてしまったんだが、これは大臣まだ行っておられないようだけれども、この前由比の大きな地すべりがあって、これを国が、林野庁が地すべり対策事業をやって、それでまあようやく落ちついた。ところがそれの上がちょっとやられて、また横のところを二つやられて、その次の向こうのところもやられた。で、国鉄は、非常な大きな壁をいまコンクリートでつくってあるのだけれども、これじゃもうだめだからもう一つやらにゃいかぬということでこれを継ぎ足せば、今度はこれが落ちてきたときにたいへんなことになっちゃうということで、もう少し奥へ入れなきゃできないじゃないかということを言っておるわけですね。まあしろうと考えで言うと、東海道線をむしろ東名高速のところへ出してもらったほうがよかったんだというようなまあいろいろな考え方もありますけれども、とにかく地すべり復旧事業が中心だけれども、ここで応急措置をすると一緒に恒久対策をやらなきゃだめじゃないか。回ってみて全くおそろしいくらいにもう小さな崩壊がたくさん出てきている。それはさっき言うとおり農地なんかのところに出てきている。だからこれについては農林、建設、運輸で協議をして恒久対策を考えてやってもらわにゃいかぬ。それでないと一地方の被害を受けて日本の交通の動脈が全部とまるというようなことでは、とても大きな影響を及ぼす。これだけのものが四つ一緒にとまるなんというようなことは、そのままにしておくということはできないじゃないかという意味で、一体東名一号、東海道線、新幹線は現状何ら影響なく通っているのかどうか、現状はそうなのか。  それから最後に、この地すべり地帯について、それぞれの省はどういう一体考え方をもってこれに対処をしていこうとしているのか。これについて、国土庁は一体どういうふうな措置でこの被害を防いでいこうと考えているのか、これ最後にお聞きをして質問を終わりたいと思います。初めのほうからひとつ。
  77. 吉川佐吉

    説明員(吉川佐吉君) お答えいたします。  先生御指摘のように、政府関係中小企業金融三機関におきましては、被災中小企業者の災害復旧資金につきまして、貸し付け限度の引き上げ、それから貸し付け期間、据え置き期間の延長、貸し付け手続の迅速化を内容とする貸し付けを行なっております。  今回の災害につきましても、特にその重大性にかんがみまして、三機関の資金につきましては優先的にこれに当てるように、かつ迅速、弾力的に行なう、こういう方針でまいりたいと思っております。さらに、どうしても足りないということであれば、必要に応じまして、十分まかない得るような所要の措置を講じてまいりたいと思っております。  それから、なお日銀の問題につきましては、これは大蔵省の問題でございますけれども、地元の銀行等、災害融資につきましては現在優先的に努力をしているようでございます。  なお、規制ワクで問題がありますようでありますれば、中小企業庁といたしましても、大蔵省あるいは日銀等にも要請をしてまいりたい、こういうふうに考えております。
  78. 中村清

    説明員中村清君) 高速自動車国道被災状況でございますが……
  79. 松永忠二

    松永忠二君 現在の状況をちょっと言ってくれて……。
  80. 中村清

    説明員中村清君) 端的に現在の状況だけを申し上げますと、七月の十一日の十五時をもちまして、一部は片側車線の通行になりますけれども、富士と清水のインターの間が全部開通をしたということになっております。
  81. 松永忠二

    松永忠二君 まだ片側をやってるの、一部は。
  82. 中村清

    説明員中村清君) 片側はまだ残土が残っておりますので、一部片側通行ということになっております。  なお、国道一号線でございますけれども由比の今宿というところにおきまして、道路敷に乗っかりました土砂の排除は終わったわけでございますけれども、まだ山側のほうの土砂の排除のため、それから警察のほうの要請がございまして、ここは現在まだ交通をとめておるという状況でございます。この区間につきましてはかわりの代替道路がございますので、こちらを通すという状況になっております。
  83. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生御指摘のとおり、新幹線が八日一日、その後九日にまだ若干午前中、同じ丸子川の橋梁の災害でとまりました。現在まだ応急をやってございますが、復旧が残っておりますので除行していると思います。  詳細は、また調べましたら御報告いたしますが、御承知のとおり、丸子川がはんらんいたしまして、橋台の裏に、横に土どめ擁壁がございます。これが崩壊いたしましたので、現在土俵を組んでございますので、まだ仮でございますから、今後建設省と協議いたしまして、本復旧をやる段取りをいま進めておるというのが実情でございます。  東海道新幹線は、御承知のとおり、私のほうの雨量計では約五百ミリ近く雨が降りまして、しかも、一日といいますか、夜の七時から朝の三時までに相当の雨が降りました。私のほうの計画では、大体七十年確率ぐらいの雨に対しては対処できるように東海道やっておりましたが、この計画連続降雨量をこした、約五割ぐらいオーバーした一雨量でございまして、由比のところと、それから清水−草薙間、及び草薙の構内、この三カ所が非常にひどい災害を受けまして、草薙では、約五メーターぐらいある築堤の上を水が流れていって、それで土砂崩壊いたしました。これは、土俵を組んで現在上りだけは除行で通しております。それから由比の構内は、私も現場へ行きましたが、昔東海道線が波打ちぎわを走っておりましたので一番前にあったわけですが、現在バイパスが前にあり、東名が前にありますが、山から土砂崩壊をもろに東海道線がかぶりまして、民家の土を出すのにどうしても線路の上をまたいでバイパスのほうへ持っていかざるを得ないというような状況もございまして、これに協力しておりましたので、南海大震災のとき以来の東海道線の不通でございます。現在は要注意個所だけは除行しておりますが、ほとんどは除行はとれております。  ただ、今後それじゃどうするかということですが、従来由比の地すべり地帯につきましては、先ほど先生御指摘のとおり、約百五十メーターのトンネルをつくりまして、今後土砂崩壊してきた場合にはそのトンネルの上を越して海のほうへ流れるような措置をしたわけでございますが、今回やられましたところは平たん地でございますので、トンネルをやりますと、これはもろに土どめ擁壁になりましてうしろのほうに被害を及ぼしますので、これは農林省あるいは山のほうの治山治水の事業と協議いたしまして、今後、現在ある四つの開渠といいますか、小さな橋梁がございますが、これの改築あるいは増設というようなことで、関係個所と協議いたしまして復旧対策処理していく、かように考えております。
  84. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 由比地方の地すべりにつきましては、先生御存じのとおり、昭和二十年度当時からやっておりまして、特に寺尾地区につきましては、昭和三十六年から四十一年の間に約十七億の経費を投じまして地すべりの防止工事をいたしております。この地区につきましては、今回もまた大きな被害が出ておりません。ところが、今回特に大きく出ました濁沢地域でございますけれども、この地域につきましても昭和二十七年から三十年にかけまして一たん工事いたしました。ところが最近に至りまして、山がまた動いておるというような状況になりましたので、昭和四十六年から工事にかかるべく調査あるいは一部の工事にかかっておりまして、本年度も一億の経費で排土あるいは水路、谷どめというような工事をやる予定にしておりまして、工事着工にかかる寸前、今回の大雨で非常に規模拡大の災害が出たわけでございます。したがいまして、ただいま応急に排水あるいは排土の応急工事をいたしておりますし、今後これにつきましては再度調査をいたしまして、関係方面とも十分打ち合わせの上対応してまいりたいというふうに考えております。
  85. 横手正

    説明員(横手正君) 今回の災害復旧につきましては、林野庁のほうにおかれて抜本的な対策を講ぜられることになっております。今後はその復旧がすみやかに完成されるように私ども協力してまいりたいと思いますが、今後とも各省庁との連絡を密にしながら、再びこのような事態を招くことのないように対処してまいりたい、かように存じております。
  86. 松永忠二

    松永忠二君 最後に大臣に特にお願いするわけですけれども、これはよほど根本的な対策をやらないと、林野庁やっていたって、すでに予算、昭和二十二年だかに、前にやって、それからまた手をつけてやって、現にことしも、何か前年土砂排除した、三万立米排除したところはよかったといっているわけです。やっていたということはいいことであると同時に、またそこには問題があるということがわかっているわけですからね。これはもうこんなことを何回もやられたんじゃとてもしようがないので、やっぱり一度、全部のあそこの地帯について、一回農地とかいろんなものを含めてきちっとやっぱり調査をして、例の大きな地すべりのときに国が出てきちっと調査をして、あるいは学者の意見ども聞いて、そしてあの工事をやったわけなんだ。非常にあのときはむずかしい工事だと、こう言ってたわけです。今度はそこはよかったが、その上のところは少しやられたけれども、ともかくその水は平常にはけてそこは被害はなかったわけなんです。だから、各省で協力して協議をし、それから根本的に対策を——ただ各省がちょこちょこっとこうやるのじゃなしにやっていけば、有効な方法は出てくるわけだから、もうこれはそういうことをやるのが私は国土庁の一つの仕事だと思っておるんですよ、各省にまたがっていてしかも一つの省だけにまかしておけないというものを、調整をして安心して推進できるようにしてもらうということで。たいへんでも実情もひとつ見ていただいて、大沢くずれなんかもあなたごらんになって対策をしていただいたようで、今度の場所もひとつ動脈の全部通っているところであって、それぞれひとつ、実はこまかいことをいえば、それぞれのひとつ東名はどういう一体危険対策の費用を持ったのかというこまかいあれもありますけれども、それぞれあるわけですけれども、現在はとにかくそこの由比のところをどうして一体安心したものにできるのか、これはやはり相当知恵を集めてやっていただかないと、こそくな方法でもってしてはまた同じような結果が出てくるのじゃないかと思うし、いまわれわれは電車の通っているのを見ておそろしく実は見ているわけなんですよ。あの大きなコンクリートの壁のうしろの山が全部こうあちこちでやられているし、あれが水が一ぱい出てきているわけなんですから、どんなことになるだろうか、あれで通していてあぶなくないだろうかというような心配も実はしているわけです。まさか、国鉄はきちっと安心だから通しているだろうと思う。その自分の路線はいいとしても、上のほうは一体あれでいいのかどうか、何か緊急的に何の措置をやって安全対策をやるのか、恒久的にはどうなのか、早急にやはりこれを長官の手でひとつ安心するようにしてもらいたいというのが要望ですがね。  大臣の最後にお考えあったらお聞きをして、私は質問を終わりたいと思います。
  87. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 東名高速は、できるときにたいへん、また同じようなところを通るが、私も多少国鉄におりましたから知っておりますけれどもね、やっかいな——やはり同じところに出なけりゃならぬのかなと思ってやはり相当に首を傾けたんですけれども、いろいろ聞いてみますと、やっぱり海岸に出て同じようなところを通るようなことになったんですがね。やっかいなところはもうあなたも十分知っておるところでございますが、私も近く現地を見たいと思います。見た上で、またひとつ、各省にまたがる問題でございますので、十分ひとつ研究して、それぞれ学者の連中も集めましてひとつ対策を練ってみたいと、かように思っておる次第でございます。いずれにしても、非常にどうもたいへんいまからルートを変えるということも、ある路線について、なかなかこれも容易なことではございませんので、いまここで詳しく申し上げるわけにはいきませんが、十分ひとつ調査をして善処したいと、かように思っておる次第でございますから、御了承を願いたいと思います。  また、さいぜんお話がありました南伊豆のある村についての集団移転の問題も、私もやはり相当にこれは公共団体の方、町長あたりと話し合って総体的にやらなけりゃならぬのじゃないかと思っておりまして、次は出かけようかと思っておりましたが、まだ災害中で、その町村長の方々はそんなのんきなことまで考えるわけにはいかぬと、もう少し日にちたたないと計画ができないんじゃないかと——こうすればいい——しかし村の意見を聞かんでこちらばかりから先走りをするわけにいきません、県は県で意見がございましょうし、町村には町村の意見がございますからね。もう少し日にちをかさないとまとまった計画はできないんじゃないかと思いまして、実はちゅうちょして行かなかったわけでございまするが、これまた同じように、せっかくの御意見もございまするから、これひとつ十分現地へ出かけまして、それで町村長の方にも御相談しましてひとつ善処したいという考えでございますから、御了承を賜わりたいと思います。
  88. 松永忠二

    松永忠二君 東名の方、来ていただきました、何かお話があれば一言だけ、せっかく来ていただいたわけで、公団の……。
  89. 栗田武英

    参考人栗田武英君) 東名道路の現状はいま道路局の中村次長からお話ししましたように、被災個所についてはそれぞれ上下線とも一車線を規制しまして通しております。これは、通常高速道路の修繕工事あるいはその他災害等の問題等が起きたときに、交通をとめないで工事をやるときの規制方法と全く同じでございます。すなわち、中央寄りの——いわゆる私どもはこれを追い越し車線と言っておりますが、追い越し車線のほうを通常の走行車線に通しまして、外側、すなわちがけくずれ等がありますと山側になりますが、山側の走行車線のほうは交通をとめます、禁止します。それは一応その個所の修繕をやる場合もありますし、路側等の工事をやる場合に危険物が走行車両に当たることのないように、余裕をとって一車線の規制というものをやりながら、交通させながら工事をやるという、そういう修繕方法をとっております。そういうやり方と全く同じやり方で、現在の被災個所を規制しながら本復旧に入っているわけであります。本復旧にはまだ数カ月かかろうかと思いますけれども、現在の交通状況は、開放した直後には渋滞等も起こりましたですが、約数時間後には完全に正常流に戻りまして、現在スムーズな運行をしております。非常に交通量が多くなってくればもちろん渋滞が起こってまいろうと思いますけれども、現在の交通状況ではいまのような規制で十分交通は確保できるものと考えております。もちろん、本復旧につきましては、一日も早く完成させるべくいまいろいろと検討もし処置も講じておる段階でございます。  それから、いまの御指摘の地すべり地域との関係においては、一応地すべり地帯を避けて海側にルートを出しまして、それからトンネルで抜けた関係で、直接の地すべりの影響は受けておりません。今回の崩落個所も、切り土の部分で一部のりどめがずれ落ちたという形で道路をとめたのでございまして、そののり面の復旧をやっておけば当分またこのような被害はないだろうというふうに考えております。しかしいずれにしても、あの地域全体が非常に地質の悪い場所でございますので、私どもとしましてはあの個所は監視の——異常気象時における重点監視区域にいたしまして、十分な監視をしまして交通の安全を期する考えでおりますので、この方針は今後ともこれを継続していきたいと思います。
  90. 宮崎正義

    宮崎正義君 今回の台風八号及び梅雨前線による大雨の災害について、これはたいへんな問題が現実に起きておりますし、将来にわたって日本列島にこの種のものが、これ以上の災害が起きないとは予測されないわけです。当然予測されることがあると思う。  そこでまず、この今回の災害は人災のほうが多いというような意見も出ておりますが、ともかくも一番現地の自治体なんかに当てはめてみると激甚法に指定されるのか指定されないのかということが何よりも問題点でありますし、それによって種々対策措置というものが当然行なわれてくるわけです。で、激甚災害に対する指定というものをどのようにお考えになっておるのか、まずそこから伺っておきたいと思います。
  91. 横手正

    説明員(横手正君) 今回の災害によります被害額につきましては目下関係省庁で鋭意調査中でございますが、御承知のように梅雨前線の活動がまだ活発でございまして、局地的に集中豪雨によって被害がなおふえつつあるというような状況でございます。私どもといたしましてはできるだけ早急に被害額の把握につとめまして、激甚災害の指定基準に該当する場合には早期にこれを指定するよう努力してまいりたい、かように考えております。
  92. 宮崎正義

    宮崎正義君 いま審議官のほうから答弁がありましたけれども、いまも梅雨前線は続いて、被害はこれからもまた出るでありましょう。しかし、もうすでに先ほど長官のほうから被害総額というもの、この時点において、七月の十九日時点において被害総額がこれこれあるということを発表なすったでしょう。二千五百二十三億、この発表がありましたね。あった以上はもうわかっているのじゃないですか。たとえば静岡県がどれだけあったのか。この時点では被害額がどれだけあったということは明確だと思います。これからまた続くであろうということは、これは予定のことであって、現時点でどう対処してやるのかということが、このせっかく激甚災害に対処するための特別の財政援助に関する法律というものをつくった法の精神というものから考えていけば、当然もう指定し、発令するのが私はあたりまえだと思うんですがね。大臣いかがですか。
  93. 西村英一

    国務大臣西村英一君) さいぜんも御質問がございましたが、なるべく早く指定したいことはやまやまでございます。しかし、とりあえずの問題は、われわれのほうも復旧に全力を注ぐようにいろいろやっておる最中でございますから、御指摘の点はいまも説明員から説明がありましたけれども、まずいまはまだ事故が起こって、復旧をしようという措置に追われておるところでございますので、十分この御趣旨を体しまして、なるべく早く指定をしたいと、かように考えておる次第でございます。
  94. 宮崎正義

    宮崎正義君 これは災害が起きるたびに、私も災害委員ずいぶん長くやっておりますから、起きるたびにこの問題が出てくる。災害を受けた現地は、もう金があるとかないとかじゃなくて、現実にいま大臣が御答弁がありましたように、復旧のほうをどんどんやらなきゃならぬ。もう金がどれだけかかるかということは、もう無我夢中でやっておるわけです。したがって、そういうふうな現地の実態と、どれだけかかったろう、ではかかるのを待ってから発令をしようかというふうなこの考え方、これでは私はほんとうの意味の救済になっていかないじゃないか。なるほどその理論はわかるんですよ。集計をしてどれだけになったということは、今日集計されたものが先ほど大臣から発表された。だから今日の時点で発表されたものがわかっている以上、現地では金のないところでほんとに苦しい思いをしながら対策をしているんですから、そういう面から考えていってやはりいっときも早く安心をさせることがまず第一だと思うんです。それが一点。  もう一つは、必ず災害対策委員会が行なわれれば原形復旧よりこの際抜本的な改善復旧をしてやるべきであるということがいつも論じられるのです。山くずれにしましてもがけくずれにしても洪水にしましても、また河川の改善にいたしましても、その局部的なことよりも抜本的な対策をしなきゃならないということが何よりも大事だということはいつも論議される。そういうことも、大臣は、私も建設委員会に、建設大臣としておやりになった時分に私もおりました。そういうことは申し上げることもなく一番御存じだと思う。そういう意味から私は今後この日本列島に起きるであろう災害、今度のとうとい人命を失いながら、しかも多くの犠牲を払いながら多くの災害を受けている。このことを指針としてとうとい体験として原状復旧よりも改善復旧をして抜本的に日本の災害防止をしていくんだということを、こういう点についてまず御所見を伺っておきたいと思います。
  95. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 集中豪雨集中豪雨でいつもやられるのですが、私は集中豪雨ということばがいつごろ起こったのか、実は和達気象庁長官——博士に尋ねましたら、気象の状態は昔から百年ぐらいたってそう変わるものじゃない、昔も集中豪雨というのがあったのだ、しかし昔といまと違うところは大体施設がなかったんだ、集中豪雨があっても被害というものがなかったからというような話、まさにそのとおりでございましょう。したがっていまのやっぱり集中豪雨によって、集中豪雨は昔もいまもあるけれども、それによって被害をこのように受ける、人命が損傷されるというのはやはり人口の増加あるいは産業の問題等、いろいろな点でやっぱり開発が行なわれた。住宅がたくさんできた、施設もたくさん昔と違ってふえたということであろうと思います。したがいましていつ何どきどこに集中豪雨が起こるかわかりませんので、今後われわれはやはりこれは土地の利用はしなければなりませんが、利用するにあたって開発が行なわれるとすれば、その点を十分考えていままでの方法ではいけない、災害が起こらないような考慮をして今後はやはり土地の利用を考え、開発を進めなければならぬということでございます。やはり何と申しましてもいままでの開発のやり方について多少われわれとしてはこの際やっぱり反省するところがなくちゃならぬと、かように考えておる次第でございまするから、今後そういうような指針におきましてやはり何と申しますか全土を見なければならぬと、かように考えておる。いま事前防止につきましてはいろいろな方法も考えておりまするが、抜本対策といいましてもそう簡単に抜本対策はできるものじゃございませんが、やはりいままでの経験を生かしましてこれまた十分改良のみならずやはり自後こういうようなことが起こらないように考えることはもう当然であろうかと思っておる次第でございます。
  96. 宮崎正義

    宮崎正義君 大臣おっしゃっているような人口、産業等で、またいろいろ産業開発等で条件が変わってきたということ、これはいなめないと思うんです。したがいまして、冒頭に申し上げましたように大きな人災というもの、これに対処するための対策というものもこれは大きな手を打たなければならないことだと思うんです。あとで詳しい話は、また現地に行きましたんですから、詳しい話を実態に合わせながらやりますけれども、その観光開発をやりながら、そしてその樹木を森林を切っていって、観光開発をやっている。それがその翌年や、まだ五年や六年先には何事もなかったけれども、こういう長い雨が降ったりする場合に、それがもとでその中にしみ込んでいった水が山くずれあるいはがけくずれの原因となって崩壊していくということも十分あると思う。静岡のリフトで観光しているような施設があったようでありますが、私ども現場に行ってみましたけれども、あれなんかでもまさしくも私はそうじゃなかろうかと思うんです。ミカン畑もあったってそのミカン畑も全部押し流されちゃって、家が全部押しつぶされて、そこでとうとい人命を失っているという現場もよく見てきました。しかも大きな樹木のあるところは一応その根によって守られているけれども、ところが土砂くずれした、一応はその災害の時点では防がれたけれども、いまの時点で見るとその大きな木がみんな根っこをさらけ出して立っている。樹木が樹立している。これまた雨が降ると、今度は根を洗われたその樹木が大きな力になってまたそれがよけいの第二次災害を起こしてくるという形が随所にあるわけです。こういうふうなこともいま大臣がおっしゃられたような開発したときの計画性というものをちゃんと将来立てておけば、そういうことも今日の災害もないと思うんです。まあいずれにしましても、この問題はあとで詳しくやっていきますけれども、そういう人災による、観光開発によっていく、そういう災害が非常に多いということ。こういうことについての対策なんというものをどんなふうにお考えになっているか。いまの現在の日本に、わが国にある、随所にあります、もう小高い山の上にあります。そしてまた海岸路線にも随所につくられております。そういった施設に対する考え方、せっかく国土庁が発足いたしましたんですから、国を守っていくのには現実にあるものを今度はどういうふうにして改良し改善し、そして将来守っていくかというようなこと等のお考えをひとつお聞かせ願いたいと思う。
  97. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 長官になったばかりで、その抱負経綸といってもそういうことに対してなかなかむずかしいんですが、とにかくこれはレジャー施設、それから観光施設、やはりこれ全部とめるわけにはいきませんが、やはりある程度の規制は十分していかなきゃならぬ。ことに私もまあ全国的に知っているわけじゃございませんが、若干気がついておるのは全国至るところゴルフ場をつくるという熱が非常にたくさんあります。これはもうゴルフ場をつくる。私はあまりゴルフをやらぬからゴルフ場をつくらせぬなんというと悪いんですけれども、それあたりもやはりきびしい制限をして、やはり開発すべきところと開発してはならないところ、利用してはいけないところと利用すべきところというものをやっぱり区別して考える、土地規制を考えてやらなければならぬと思っております。またどうしても土地を利用しなければなりませんから利用する、その開発をする方法、手段、姿勢、そういうものについて十分いままでの反省を加えてやっぱりやらなきゃならぬと私は思う次第でございまして、今後はその点について国土庁としてはそれが一つの役目だと、かように考えて、まあ各省がこれは許認可をいろいろ持っております。国土庁が持っているのではございません。許認可は。したがいまして、そういう場合には私のほうとしてはやはり総合的に考えてやはりとめなければならぬものはとめる、勧告をする、注意するというぐらいのことをやらなければ国土庁をつくった値打ちはないと私は思っておりますから、十分皆さま方の御意見を聞いて、そしてやっていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  98. 宮崎正義

    宮崎正義君 そこが一番大事だと思うのです。むしろ私に言わせれば、もう各省の関係主管の人たちはまず国土庁の中に全部予算を入れてしまって、そしてやっていくということも考えられる将来の一つの課題だと思うのです。そして初めていま大臣のおっしゃられた一体化した一元化した国土を守っていくという形態というものが守られるのじゃなかろうかと思いますが、まあこれは将来論争されることでありますので、先ほどの激甚災害に対処する発令の件につきまして先ほどの御説明がございましたけれども、これは各県別が出てないわけです。したがって、激甚災害に対処するための特別財政援助に関する法律による激甚災害または局地激甚災害に区分けして指定されるところがおよそどういうところであるのかというようなこと、まだ答えられないといわれればそれっきりでありますが、各県の被害の金額から状態等ながめながら、静岡県がどうなのか、香川県の小豆郡の内海を含めた香川県全体を考えていこうとしているのか、あるいは神奈川県の横須賀の問題等あるいは兵庫、徳島、三重、愛知等々各県各地域の激甚法に、各県では知事災害法の指定まで自分たちのほうで出してやっているようですが、国としてはそれじゃ激甚法をいつの時点で発令し、そして国が守っていくかというそういう点をひとつお聞かせ願いたいと思います。
  99. 横手正

    説明員(横手正君) 激甚の指定関係でございますが、全国激甚につきましては従来から災害につきましては一つの災害として指定するというような行き方をしてまいってきておりますので、私どもとしましては台風第八号と梅雨前線豪雨、これを一本で考えてまいりたいというふうに思っております。したがいまして現在なお梅雨前線が活発になっておるというような状況にございますし、被災県につきましても南九州の一部に被害が見られるというような状況でございますので、こうした何といいましょうか、一応の梅雨前線関連豪雨といいますか、そうしたものがおさまりました段階で、至急各省による調査を進めていただきまして、その被害額に基づきまして指定の手続を進めてまいりたい、かように存じます。  また、局地激甚関係でございますが、これにつきましても同様に市町村被害額の把握ができました段階で、できるだけ早急に指定するような方向で努力してまいりたいというふうに思っております。
  100. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほども申し上げましたように、現地では罹災しているところではもうはっきりわかっているわけです、今日の時点でもですね。ですから、そういう面を特に考慮に入れていっときも早くそれは指定すべきであるという要望を申し上げておきます。  それから、この資料でございますが、少なくとも今日の時点で、この七月の十九日の時点でこういう「台風第八号及び梅雨前線による災害」という被害報告書が出ているんですから、各県ごとの被害額ぐらいは今日の時点で、総計だけは出ているんですからお出し願いたかったと思うんですが、この点非常に私は残念に思います。  それからもう一つ、——大蔵省の主計官おいでですか。何か連絡会議か何かおありでということでありますが、一番大事なのは、私は大蔵省、大蔵大臣がほんとうはここにおいでになって各委員の訴えておられることをよく聞かれて、現地の実情というものを一番掌握されて惜しみなく金を出してあげるということを考えなければならない立場だと思うんです。特に、せっかく大蔵省を代表しておいでになられて、いろんな予算面がさっきからありましたね、中小企業の金融処置の問題とか、激甚法の、もうすでに現地では、自治団体では相当の被害を受けて金を出しているわけですよ。そういう実情をつぶさに聞きながら、そして金がどれぐらいかかっているかということを考えながら、来年度の予算はそれじゃ少ないからこれだけやってあげようというような形に私はなるのがほんとうだと思うんですよ。ですから、中座をすることよりも、むしろ最前線にいていただいて、大蔵省どんと引き受けたというように、金のほうはもうどうでもいいよというように、もうとにかく人命そして罹災した人をいっときも早く救うんだと、国民の税金によってやっていくのだから救っていくのだというような考え方をお持ちにならなければ私はいかぬと思うんですよ。先ほど何か私のそばへ来て、連絡会議が朝からあるのがなかったとか、ああだとかこうだとか言っておられた。お気の毒でしたけれども、一番大事なのは、大蔵省の担当の方がお聞きになって、これからの日本の予算というもの、来年度の予算というもの、日本国土をどうして金の面で守れるならおれのほうで守るというようなお考えを私はぜひしていただきたいんですが、いかがですかね。
  101. 西垣昭

    説明員西垣昭君) 私どもといたしましては、関係者の皆さまお話をよく伺いまして間違いのないようにしたいと思っております。
  102. 宮崎正義

    宮崎正義君 時間はよろしゅうございますね。で、直接質問がいくかどうか、これからずっと時間の限りやっていくわけですが、時間が切れて質問できない場合がございますが、よろしゅうございますか。——けっこうでございますか。一応念う押しておきたいと思います。  そこで私は、与えられた時間がごく少ないわけで、全部を質問するわけにいかないんで非常に残念なんですが、まず、先ほども松永委員のほうから、由比町を中心にした山くずれ等で国道一号線とか不通になってしまって、経済の面に与える大きな問題等のことを取り上げられております。山陰の今度はトンネルのあの崩壊がありまして、そして国鉄もとまった。また、一昨年でしたか、あの土佐の山田で土砂くずれがありまして、道路から鉄道から押し流されてしまった。これも、災害とか山くずれといいますと、もう河川はんらんといいますと、必ず国鉄関係してくるわけです。と同時に、今度は道路関係してくるわけです。国鉄国鉄線を引いてそのあとに国道をつくっていったのか、国道をつくって鉄道線路をつくっていったのか、この間は問題は別としまして、これがほとんど同じ形態で同じ線を並行して走っている。これはもう東海道線ばっかりじゃございません。北海道の函館から小樽に向かう面でもそうでありますし、またこちら側の太平洋側の室蘭のほうに行きましても、同じようなことがいえるわけです。ましてや室蘭のほうはもう石油ターミナルが一ぱいあって、国鉄線がすれすれに走っている。そのわきには国道が走っている。そのところには切り立ったように岩壁の山がある。これも一枚岩の岩が倒れて道路交通遮断になったこともあります。こういうのは、日本列島全部ほとんどがそういう形態にずうっと、鉄道線路が走っているところはみんな同じように道路がつくられている。それで今度はその切り立ったところから崩壊していくことが多い。こういうことについて、先ほど東名の話を大臣からお出しになりまして、大臣おっしゃっておられましたね、東名も同じようなところを通っている、やっかいであるというような御答弁がありましたね——。それと同じように、これは東名ばかりじゃないわけですね。やっかいな問題なんです、これは。もう必ず、災害があればそういうふうに鉄道も道路もそれから人家も、その被害を受けていくわけなんです。  そこで私は国鉄の方にお伺いするわけですが、トンネルの土砂くずれが今日までどれだけあってどれだけ交通障害を受けたか。それで山くずれがあってそしてどの個所でどんなふうな山くずれがあったかという一覧表。  それから道路関係では、建設関係では、同じようなところで同じような山くずれなりがけくずれなり土砂くずれがあって、そして道路が遮断されたかということ。これは同じ個所であればいいですが、違った個所で交通遮断をしたような個所がどれだけあるかというようなこと。それから、危険個所というものが、両方の面で危険個所というのが日本列島にどれだけあるのか。  これは、農林省の林野庁長官——農林省、林野庁長官はおいでになっていないかな——林野庁の指導部長指導部長さん、これも同じだと思います。山くずれ、一つの例を申し上げますと、石がきイチゴというのを御存じでございますか。——石がきイチゴ、御存じでございますか。あの栽培のことについてはこれは農林省の園芸のほうですか、どなたですか、御存じですか——。私はあの栽培法がいいとか悪いとかは別にしまして、非常なあそこは一つの名所になり名物になっておるということは存じておりますが、はたして今度は二次災害があの場所で起きるか起きないかということをお考えになったかどうかですね。これが一つ。園芸のほうもそれから林野庁のほうも、あれだけの樹木を伐採して、そしてだんだんだんだん、段々畑のように石がきを積んでいってイチゴの栽培をしている。あそこもえらい災害を受けている。川でないところが川になり、川のところは全部つぶれて土砂はんらんして、そして国道の線までとめてしまったというような形、これは山くずれの場合には必ず林野庁は関係ができてくるわけです。じゃ林野庁が、どれだけの全国にそういう危険個所があるのかないのかということを、過去と現在はどんなような程度のものがあるかどうかというものをお調べをしているかどうかということですね。これをはっきりしておきますと、日本の地図の上からはっきりしておきますと、雨が降ったらどこが一番危険かということがわかるはずです。先ほど急傾斜地の話が出ておりましたけれども、急傾斜地はもちろんのことでありますが、ですが、そういうふうなことがずうっと地図の上で、調査の上ではっきりしていけば、危険個所がわかっていれば対策が、私は防止もできるのじゃないかと思うのです。そういう意味からいま申し上げましたように、それぞれの国鉄関係、運輸省関係、それから農林省関係あるいは建設関係等でひとつ御答弁を願いたい。
  103. 内海英男

    説明員内海英男君) 先生御指摘のように、日本の道路、鉄道等につきましては、地形上山腹が海岸線に迫っておる個所が非常に多いわけでございまして、したがいまして、そういった鉄道と道路とが並行して走っておるという個所が確かに御指摘のとおりだと思います。建設省といたしましては、四十六年度に全国三万五千カ所につきまして総点検をいたしまして、現在までのところ一万カ所大体防災工事を施したわけでございますが、たまたま今日のような災害が出まして、道路、鉄道ともに不通になったと、こういった事例をきびしくまた反省もいたしまして、今後防災工事を、さらにやむを得ず並行して走らなきゃならないような地域が工事施行上起こりました際には、十分強く指導して防災工事を施していきたい、こういうようなことで指導いたしてまいりたいと思います。
  104. 篠原良男

    説明員(篠原良男君) 先生御指摘の災害の要注意個所というのは、重点的に警備警戒するという個所が、全国で約四千五百ぐらいと私のほうは考えております。これは災害が起きますと警戒をつけるあるいは列車を徐行する、またはそれぞれの条件によっては列車をとめるというような措置をしております。たとえば雨による災害は、非常に長い時間連続降雨量と申しますか、二百ミリあるいは三百ミリというふうにずうっと長い時間降ってまいりますとまずあぶない。それから一時間に四十ミリ、五十ミリ降ると非常にあぶないということでございますので、一応重量による規制と連続降雨量による規制をしております。それによりまして、警戒要員を出すあるいは列車をあらかじめ徐行させる、何ミリ以上になると列車をとめるというようにしております。先ほど申し上げました四千五百カ所につきましては、それぞれの抜本的な対策は別途考えておりますが、これは限られた予算の中で処置をしておりますので、徐々に対策は講じておりますが、それまでの間につきましては、いわゆる運転規制あるいは雨量による規制ということによって安全の確保に従事しておるというのが実情でございます。また、そういうところをトンネルをつくるとかあるいは落石おおいをつくるとかというようなことも当然今後考えていかにゃならぬ問題でございますが、現状はもしなだれがきたりあるいは土砂崩壊が起きたときにある一つの装置をセットいたしまして、そのケーブルを切ると信号機が赤になるというような若干消極的な施策でございますが、そういうものも講じておるというのが実情であります。過去におきまして、雪の災害あるいは洪水あるいは風水害災害が大体年間七百件ないし八百件ぐらい起こっておると思います。そのうち、先ほど先生山陽本線の御指摘ございましたが、いわゆるトンネルの入口で土砂崩壊があった事故がこの間ございましたのですが、こういうものは大体年間二十件ぐらい、本年度に入りましてまだ二件でございますが、ございます。たまたまこの間の山陽本線の災害でございますが、相当連続雨量がある一つの規制値に達したということで、列車は三十キロで徐行をしておりましたので、災害現場の約二百メートル手前で乗務員が発見してとめて大事故に至らないというようなことになっておりますが、かように運転規制によりまして、現在措置をしておるというのが実情でございます。
  105. 藍原義邦

    説明員(藍原義邦君) 産地の危険地につきましては、昭和四十七年に保全対象といたしましては人家一戸以上または公共施設のあるところという考え方調査いたしまして、個所数としては十二万三千カ所、面積としては三十五万三千ヘクタールというふうに私どもは把握いたしております。  で、最初に申し上げましたように、私どもとしては、保全対象として人家の一戸以上あるところ、または公共施設のあるところという形で調査いたしまして、いま申し上げましたような個所数と面積を把握したわけでございますが、先生のおっしゃいましたような道路のあるところ、あるいは家のあるところ、そういう保全対象と申しますか、そういうものの対象として幾らあるという数字は私どもとしてはつかんでおりませんで、対象のしかたとしてはこういう形で個所数と面積を全般的につかんでおります。  さらに監視の問題としては、私どもとしては都道府県を通じまして市町村のほうに監視体制を強めるように四十七年度この調査指導いたしておりますが、必ずしもこれにつきましては十分とは言えない点もございますので、今後さらに今回の災害を契機にいたしまして十分検討し、対処してまいりたいと考えております。
  106. 杉田栄司

    説明員(杉田栄司君) 石がきイチゴに関連いたしましてお答え申し上げます。  今回被災しましたイチゴ畑はいわゆる南面の傾斜地を利用しました石がきイチゴということで、古くから行なわれておりまして、特殊なケースに属するわけでございますけれども被災しました大部分の地帯については、いわゆる石がきイチゴのところそのものよりも山腹の崩壊が主として原因になっている。もちろん石がきイチゴの畑そのものが崩壊したところもあるわけでございますけれども、そういうふうに承知しております。で、これは面積的には六カ所で二十九ヘクタールぐらいが被災しております。特殊な栽培でございますけれども、近年、イチゴの栽培はだんだんに平たん部に移ってきておりまして、静岡県全体を見ましても特殊な地帯になってきております。なお、これらは相当にいわゆる石がきを積みまして防災的な見地からも従来注意を払われておるわけでございますけれども、いま申し上げましたように、上部の山腹等につきましてさらに相当金もかかるという関係もございまして、十分手が届かなかったということが今回の原因になっているというふうに考えております。そこで、先ほどちょっと申し上げましたんですが、四十二年災の経験にかんがみまして、こういう急傾斜地における農地の保全のために農地の保全対策の施設事業を起こしまして、緊急なところから実は手がけてまいっておるわけでございます。  なお、このほかにもいわゆる耕して天に至るというような地帯が相当個所全国にあるわけでございまして、今後さらに一そう注意をし、また調査もいたしましてその対策に万全を期するようにしていきたいと考えております。
  107. 宮崎正義

    宮崎正義君 建設のほうでは三万五千カ所で一万カ所この防災工事をやっている。それから鉄道のほうは四千五百カ所ぐらいあると、これは重量トン、この重量問題あるいは連結問題等、調査をしていくとかいうことで交渉している。この四千五百カ所に対してやっぱり金不足でできない。  それから、今度は林野庁のほうは十二万三千カ所、これは四十七年に保安対策としてはこのぐらいの個所があるんだと。しかも、いまの最後に御答弁がありましたこの石がきイチゴの点なんかも、この山の頂上から、俗に言う峰からつくられている、南面に寄ってつくられている。強い雨が降っていけばくずれていくのは、これはもう火を見るよりも明らかだと思うんです。こういうふうなことを、林野庁は民有林だ民有林だというものの、やはりこの法の規制によってちゃんと監督、指導もしなきゃならない立場にあるのですから、ですから、保安対策の十二万三千カ所以外に、新たな問題としてこれは十二分に考えなきゃならないということを申し上げているわけですね。これなんかもやはり金がないということだと思うんです。金といえば大蔵省ですから、この点はよくひとつお聞き願っておきたいと思います。これはたいへんですよ。私らも、皆さんも御存じのとおり石がきイチゴというのは、これは答弁がありましたように特殊な栽培法をしておいしいイチゴができる。私は中を上がっていきました。くずれていて全くもうどうにもならぬ。しかも、この山の峰から、石垣を積んできているのですから、水の流れというものがどこからどういうふうに流れていくのか、その雨足によって全部水の流れの方向が変わっていきます。今回の災害の事態を見ていきましても、これはさっそく行って、大蔵省もともども行って、ああこれは金がかかるというふうに、ひとつ現場をごらんにならなければ、ぼくは思い切って金が出せない。知らないで、そんなことがあるのかと言ったんじゃ出し渋るようになると思うんです。やはり、これは国民である以上、また政府の税金を扱っていろんな施策をおやりになっている皆さん方、私たちも混然一体になって地域の住民を守っていく、国土を守っていくという考えにならなきゃ私はいかぬと思う。じゃあなかったら、きょうのこの災害対策特別委員会なんかやったって何にもならぬと思うんです。こういうふうな面からいってごくあたりまえのこと、常識的なことを私は申し上げているだけなんです。いま御答弁がありましたけれども、お聞きのとおりです。ほとんど予算関係でできないのです。予算の申請は、要望は出るのです、毎年毎年。削られるのです。先ほど松永委員も盛んに言っておられました。そういう時点をよく踏んまえられてから私はお考え願いたいと思うんです。特に大蔵主計官の先生にぜひともこれはひとつ来年度の予算、それで今日の激甚災害法による、また激甚災害法に適用されない地点においても、市町村財政規模なんてのは四億か五億です、一年間に。そういうところで六億も七億もするような災害を受けたらどうするか。それが局地激甚災害法にも適用されないということになるとほんとうに気の毒です。これがいままでずっと続いてきた実態であります。こういう面から、今度のこの災害を契機にして、大蔵省ほんとうにしっかりと現実を踏んまえられて私はやっていただきたいと思うんですが、いかがですか。
  108. 西垣昭

    説明員西垣昭君) 先ほども申し上げましたように、この問題につきましては制度の問題もからむ問題でございますし、皆様の話よく伺いまして、よく検討さしていただきたいと思っております。私どもといたしましては間違いのないようにというように考えております。
  109. 宮崎正義

    宮崎正義君 先ほど、建設省もそれから国鉄関係者もそれから農林省の関係方々も、いま大蔵省財政のほうが十分考慮していくというような御答弁でございますので、これから連絡会議が行なわれるそうでありますから、十二分にひとつ主張を言われて、それでその御返事をひとつこの次の災害対策特別委員会に発表を願いたいと思うのです。これは私の要望でございます。意地の悪いことじゃございません。これはあたりまえのことだと私は思うのです。  それから、時間がもう来ているような状態でございます。まことに残念なんですが、中小企業庁の計画部長さんですか、先ほど松永委員中小企業のことについていろいろ質問がありましたけれども、ひとつこういう激甚災害に匹敵するところという災害を受けたところには、思い切って国が無利子、無担保で二百万円ぐらいお出しになる考えはありませんか。東京都は無利子、無担保で中小企業育成のために二百五十円万ぐらい出しているということを聞いておりますがね。国は中小零細企業を守るために二百万円ぐらいの無利子、無担保の融資をしてやるというぐらいの考え方は、特にこういう罹災地には私は考えていくようにしなきゃいかぬと思うのですが、この点ひとつ伺っておきます。
  110. 吉川佐吉

    説明員(吉川佐吉君) 金利につきましては、激甚災の指定がありましたときには、特別に安い利率で貸すようにしております。無利子というところまでいっておりませんが、六・七%あるいは特に被害のはなはだしいものに対しては三%ということになっております。  なお、担保につきましては、すでになるべく担保を取らないように、たとえば国民金融公庫は原則無担保でやる。それからほかの中小企業金融公庫とか……
  111. 宮崎正義

    宮崎正義君 それはわかっているんですよ。それは知っているんですよ私は。やるかやらないか聞いているんです。
  112. 吉川佐吉

    説明員(吉川佐吉君) そこも弾力的にやるようにいたしております。
  113. 宮崎正義

    宮崎正義君 私はそういうことを知っていますよ。だからね、二百万円ぐらい、そういう罹災地——激甚法じゃなくても、局部的にやられているところ、ずいぶんありますよ。そういうところの中小零細企業の方々、この方あって日本の産業は今日のようにその大きな産業開発をしてきたわけですよ。そういう災害があったときに特に手を差し伸べていくような、そういう施策を考えていくべきじゃないのか。そして、それを融資をしてあげるべきじゃないのか。やる気があるのか、ないのかということを申し上げているわけであってね、それを即断はお立場上できないとは思いますけれども、一番作業の実体の実権を握っておやりになっている方ですから、この私の申し上げていることを生かしていただきたいと思うのです。そういう意味で申し上げているわけですがね、いかがですか。
  114. 吉川佐吉

    説明員(吉川佐吉君) 御趣旨を体しまして、今後十分検討してまいりたいと存じます。
  115. 宮崎正義

    宮崎正義君 それから、大蔵省のほうにですね、特交なんかのことで措置なんかはどんなふうにお考えになっているかですね、これは地方交付税だから、あれと違うな。
  116. 西垣昭

    説明員西垣昭君) おっしゃいましたようにちょっと担当が違いますので、お見えになりましたら自治省のほうから……。主計局の部内では担当していますけれども、自治のほうへ連絡しておきます。
  117. 宮崎正義

    宮崎正義君 基本を握っているのはそっちだからひとつよろしく。わかっていて申し上げているのは、知っててやはりこの一番もとをにぎっておられるんだから、私からお願いしているわけですから。  今度は、横須賀の今度の災害の点から考えまして、宅地造成から被害を受けた問題点、それから宅地造成をやった付近、また横須賀というのは御存じのように特殊のところでありまして、谷戸谷戸というのがずっとどの地域にもあるわけですが、そこでそれぞれ被害がだいぶ出てきているわけですが、この宅造をやったところが、宅造をやったところもそうでありますが、宅造をやったその周辺が、排水の施設が考えられないで相当の被害を受けているということがこれ一つ、一点。  それから当然こういうところに住宅が建てられるはずがないというのに許可がされているというような問題点。そういうその建築基準法に違反をしているような、見るからにそういう建物が平然と建っているというようなところも随所に見受けられるのですが、この山くずれとかあるいは河川はんらんだとかによって家屋が流失し、また崩壊されるということ、その場所が必ずといっていいほどそういうところが随所にあるわけなんです。したがって、建築基準の許可の問題もさることながら、厳重にこれはやっていかなければならない、指導監督もしなければならないと私は思うわけですが、横須賀あたりの現況を御存じですか。たとえばいまのくずれてきた、崩壊してきた土砂を取れば二次災害が起きるであろう。またそれを今度はそのまま置けば、また二次災害が起きるだろうという二通りのような形で非常に手をやいているというところが、この横須賀ばかりじゃございません。これは静岡もそうでありますが、今回の台風八号及びその梅雨前線によるところの被害では、こういうことは一ぱい随所にあると思うのですよ。こういう問題点なんかをどんなふうにとらえられているのか、ひとつ御回答を願いたいと思うのです。
  118. 内海英男

    説明員内海英男君) 横須賀の問題につきましては、現在事実関係を確認を急いでおるところでございまして、御指摘の宅地造成がそれが起因として災害が発生したかどうかということもいま調査中でございまして、今後宅地造成の指導にあたりましては、さらに災害防止といった観念から厳重に指導してまいりたいと考えておりますが、いま事実関係の確認中でございますので、確認を終え次第、さらに御報告申し上げたいと思います。  もう一点、先生から御指摘のございました宅地造成をやるときの周辺地区に対して、どういった配慮をしておるかというような御質問でございましたが、宅地造成等規制区域内において行なわれる宅地造成に関する工事は、できるだけ擁壁あるいは排水施設の設置、その他宅地造成に伴う災害防止するための必要な措置が講じられるものでなければならないと。このため政令で定める技術基準に従い指導しておるところであります。許可に際し、予測し得ない原因によって災害が発生することも御承知のとおりしばしばあるわけでございまして、これらの問題につきましては急傾斜地等の対策、こういったことも関連がありますので、今後、こういった点にも十分留意をして、災害の発生を未然に防ぐように全力をあげて指導をしてまいりたいと、こう考えております。
  119. 宮崎正義

    宮崎正義君 一番最後に私申し上げました崩壊した土砂を取れば二次災害が起きるだろう。またそのままにしておけば二次災害が起きるだろうという、一番最初に申し上げました丸山町の件なんかも、これなんかもそのままにしちゃだめだ。それから松富のところなんかは同じことが言えるんです。崩壊してその木が、残っている木がすっかり根があらわれちゃっていまにもこう倒れそうになった。一雨降ればまただっといくと思うのです。こういうふうなところなんかも、もういち早く手を打たなければならないのが、まだ放任されているという現状ですね。丸山町あたりのあれはあぶないものです。今度はお寺が全部つぶれちゃいます。また場合によれば県道まで土砂が流れていって、あの前にあるうちは全部つぶれるだろうと思うのです。それほど危険な二次災害が起きるような現況であります。これなんかもたいへんなことだと思うのです。横須賀のいま申し上げても千二百三十三カ所、今度がけくずれにあっているわけです。もう市だけの財政でもたいへんな問題です。これは自治省を呼ばなかったのはいけないんですけれども、たいへんな問題です。こういうふうながけくずれだけでも千二百三十三カ所横須賀であった。これからもまた二次災害が起きるであろうというふうに予測されているということになりますと、これはたいへんな問題が残されているわけです。こういう面から考えていきますと、これは急傾斜地の点も、横須賀あたりでは指定されたところは大体できていたが、できないところがやられていた。やっぱり指定されてもそのまま放任されているようなところはやっぱりまずいし、いっときも早く処置をやるべきであり、ここでも財政処置をうんと要請して早くやらなかったら、とうとい人命を失うようになると私は思うんです。こういう面から総括して大臣からひとつせっかく政務次官が御答弁ございましたけれども、総体的な面で大臣からひとつ御答弁を願いたい。
  120. 西村英一

    国務大臣西村英一君) いま御指摘のようなところがたくさんあると思います。またがけくずれの問題につきましても、従来いろいろやってきたのでございますが、やはり今回のこの災害状況を見ますと、ここで新しい観点に立って、やはり考え直さなけりゃならぬ。これはもちろん金の問題もございますが、方法の問題もございます。したがいまして、せっかく国土庁ができましたのでございますから、単に総理府からその事業を引き継いだと、数字を警察庁から聞いて、ただ数字を並べるというだけでは任務が済まないと私は思っておりますから、多少なりとも国土庁ができましたことについて、災害について、まあずいぶん災害が減ったと、人命の損傷が減ったというような実績をあげることに私の任務があると思いますから、十分この機会にひとつ検討をしたいと、かように思っている次第でございます。
  121. 宮崎正義

    宮崎正義君 私の大体きめられた時間というのがまいりまして、少し超過しているようでありますが、災害といえば自衛隊に出動していただいて、たいへん国民が喜んでおるわけです。そこでせっかく法律の百条から百条の二等あるのでございますので、この土木工事等の受託、それから教育訓練の受託、こういう面から私はこの前も要請をしているわけです。たとえばいまの静岡丸山町にしましても、横須賀にしましても、それから松富にしましても、もうひとつ自衛隊員の人たちが撤退しないで、この土木工事等の受託という百条の条文を生かされると同時に、自衛隊員の技術という、かりに自衛隊をおやめになっても技術者として働けるような、その二次災害の起きないまで工事を受託してやるようなことで技術員を養成していくというお考えをぜひしなきゃいけないと思うんです。この間も自衛隊機が民家に墜落、これは愛知県小牧市ですか、たいへんなことですよ。二軒全焼して二人巻き添えを食った、破片で乗用車の三人けがした。もう基地ははらはらしていますよ、こんなことがあるんじゃなかろうかと。たいへんなことです。これはF86のFですか、ジェット戦闘機ですね。これなんかの報告もきょう聞きたいところですが、これはもう全くの人災ですよ、人災もいいところですよ。私たちのとうとい予算でこの飛行機を買って、また乗っている人も、またこのまわりにいて、その現地にいてなくなった人、けがした人、たいへんなことですよ。そうかと思いますと迫撃砲のこわさをまざまざと知った。「〃撃ち直し〃の一発」「ヘルメット、破片グサリ」というような見出しで悲しい記事が出ております。これは北海道の然別ですね。これなんかもほんとうにこれは、一発あれ何十万しますか。こういうふうなことを研究するより、この山くずれをいかにして防いでいくか、またくずれたところはどのようにして復旧して、そしていっときも早く国民が出している税金の中でどうせやるならばその復旧工事を身をもって受けるというような訓練をさせる技術養成というものを、これはたいへんですよ、トラックの運転も必要でありましょう、またブルドーザーも必要でありましょう。そういう技術や指導にも養成にもなるわけです、そういう面からいって。土木工事の権威者にもなれると思うんです。そういう面からこの法を生かしていくというお考えがあるやいなや、山中長官に私は伺いたいところですけれども、これはまた別の機会にゆっくり内閣委員会等でやるつもりですけれども、この百条、百条の二に対するお考えをひとつ伺っておきたいと思いますと同時に、長官にも私のこんな質問があったということをお伝え願いたい。
  122. 伊藤参午

    説明員(伊藤参午君) 先月来北海道の然別演習場での事故、また今月に入りまして小牧のF86Fの事故を起こしまして、特に小牧の事故につきましては民間の方に特にとうとい人命を失わせましたということはほんとうに申しわけないと思っております。  なお、先生御指摘の私ども自衛隊の任務といたしましては防衛出動、治安出動、災害派遣と大きな三本柱と思っております。それぞれの訓練あるいはそれぞれのための装備品の整備といったようなものは、これは自衛隊本来の任務としてやらしていただくとともに、平時におきましては災害派遣、これが非常に大きな任務でございます。自衛隊発足以来九千件、主百万人をこえる災害派遣をやっております。特に災害派遣につきましては、先日も御説明申し上げましたが、たてまえとしましては応急復旧、応急救援というたてまえになっておりまして、しかも都道府県知事の御要請によって出動し、それから撤収の際にも都道府県知事の御要請災害を受けました市町村、公共団体等の方々と十分調整いたしまして、撤収するようにやってございます。御指摘の隊法百条による土木工事の受託、百条の二による教育訓練によりまして、自衛隊災害派遣というものを平和時における任務としてやっておりますので、それぞれ特に隊法百条におきます土木工事の受託等につきましては、地方公共団体等の御要請があれば、もちろんわがほうの教育訓練の目的にも沿うという趣旨ともあわせまして今後ともやっていきたいと思っております。
  123. 宮崎正義

    宮崎正義君 自衛隊の迫撃砲等で民間の人に対して被害を与えたということはまことに遺憾だというようなお話ですけれども自衛隊も同じですよ。軽くお考えになってはこれはたいへんだと思う。同じです。私は内閣委員会でずいぶんやりました。自衛隊災害補償法を取り上げて何回もやりました。人には変わらないわけですよ。軽重で、修理中に車にひかれて八十万円しか出なかった。人の命が八十万円かと私盛んにやりましたが、この災害法の総理府の問題等もありますので、この問題私言いませんけれども自衛隊員もなくしているということ、これは国家的な損害であり、また人間の生命の尊重という面からいって同じことばが出なければいけないと思うんですよ、私は。民間の人の話なら出てくるけれども自衛隊は残念なことをしました、おしいとかいう話があってしかるべきだと私は思うんですよ、ことばじりとらえて申しわけありませんけれども自衛隊員ならいい、民間ならたいへんだという考え方は、私はお持ちでないと思いますけれども、ついでに申し上げておきます。  それから最後に、これは長官にお願いしたいことがあるのですが、この災害を受けたところの復旧資材ですね、それから各中小企業の人たちが相当いためつけられて、原料なんかももう取り返しのつかない、使いものにならないという、この困っている人たちが静岡、これは災害のあるところ特に全部そうです。この方々に資材は市価の半値かあるいは原価で購入させるような、あとは補償していくような災害対策の中に新しい考え方の条文でもおつくりになって、この災害を受けた人たちを守っていくという、そうして喜んで復興作業に従事ができるというようなあたたかい法律というものをつくってあげるようなお考えがあるかどうか。  そういうことを最後に伺って私の質問を終わりたいと思います。
  124. 西村英一

    国務大臣西村英一君) 現在のやり方でどういうふうに各省がしておるか私はつまびらかにいたしませんが、ひとつ御提案として十分留意していきたいと思っております。そうでなくてはたいへんお気の毒でございますから、ひとつ御提案として検討してみたい。いまそういうことがあるのか、やっておるのかどうか、その辺つまびらかにしませんが、御提案として承っておきたいと思います。
  125. 中村英男

    委員長中村英男君) 他に御発言もなければ、本件に対する質疑はこの程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後五時十九分散会      —————・—————