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政府委員(林信太郎君) お答え申し上げます。
鉱山企業に限らず、企業は自分の
原因に基づきます
公害につきましては、事前防除あるいは操業中の防除、さらに事後におきます補償等につきまして万全の
責任をとるべきものでございます。私
ども鉱山保安法によりまして、そういう趣旨で従来とも万全の
措置をとるべく強力に指導監督してまいっております。にもかかわりませず、御
指摘の東邦亜鉛につきましては、昭和四十五年の無認可設備の使用というふうな問題を契機にいたしまして、さらに去る三月八日、問題が
指摘されました対州鉱業所におきます
問題等で、会社自体の体質に御
指摘のような問題があるということが、あらためて大きくクローズアップされたわけでございます。私
どもといたしましては、ただいま申し上げましたような趣旨で、企業としましてはやはり自己の
責任に属する部分につきましては、事前に、操業中に、あるいは事後におきまして積極的に万全の
責任を果たしていくべきだという指導を強力に、当東邦亜鉛のケースにつきましても実施いたしてまいったわけでございます。
そういった指導と企業内部におきましての体質の改善、特に
公害に対します認識の変化がかなり見られておりまして、すでに問題が起きました当時におきまして、社長は別といたしまして、二人の専務はそれぞれ外部からきた者でございます。さらに四月の十日に、任期を待たずして小西社長が突如
責任をとって辞任する、そういうことによってこの東邦亜鉛が社会に対してお詫びし、かつこの体質の中に不十分なところが多々残っておりますところを、新しい陣容でやってもらいたいというような
措置で、こういった社長突如の退任ということになったわけでございます。
〔理事原文兵衛君退席、
委員長着席〕
さらに、ただいま
先生から御
指摘のように、そういうところは了解できるといたしましても、あと社長になる、
責任者になる者のやはり資質あるいは
公害に対する認識、
責任観念が重大な問題だと考えております。五月の初めに会社のほうから私
どものほうに内々話がございまして、ただいま御
指摘の後任社長につきまして、大株主及び主要取引先が相談いたしまして、それで推薦された数名の中から、現幹部が相談の結果、肥谷英男さん(六十七歳)という方に社長をお引き受け願うということで内定いたしましたのでと、こういう届け出を事実上受けたわけでございます。経歴を調べてみますと、二十二年間伊藤忠におつとめでございました。その後、北洋水産のほうに十一年間おつとめでございました。
それで、私
ども監督に万全を期する立場からいたしますと、伊藤忠という会社は、先般
国会の物価
問題等で御
指摘のような
経緯がございますので、われわれといたしましては、判断として、あまり好ましい人とは思えないというふうなことははっきり申し上げております。ただし、その後十一年間北洋水産の再建に当たって、業績が顕著だとも聞いております。本来社長人事に私
どものほうが、ああだこうだと容喙するのは筋でございませんので、われわれとしては、そういった伊藤忠というところで二十二年間お働きになった人であるし、必ずしもそれをもって不適任という断定を私
どもいたすのは、きわめて早計な、あるいは常識を越えた越権にもなろうかと思って、そこは差し控えておりますけれ
ども、相当な危惧を持っておることも事実でございますので、東邦亜鉛の全事業所につきましての監督につきまして、従来以上に厳正に実行していく決意でおります。そういった趣旨は、現幹部に対しても十分伝えてございます。