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1974-05-17 第72回国会 参議院 公害対策及び環境保全特別委員会 第12号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月十七日(金曜日)    午後二時二十七分開会     —————————————    委員異動  五月十六日     辞任         補欠選任      高橋 邦雄君     斎藤 寿夫君      沢田 政治君     鶴園 哲夫君      川村 清一君     佐々木静子君      村田 秀三君     加藤シヅエ君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         森中 守義君     理 事                 田口長治郎君                 原 文兵衛君                 矢山 有作君     委 員                 金井 元彦君                 菅野 儀作君                 寺本 広作君                 中村 登美君                 鶴園 哲夫君                 小平 芳平君                 沓脱タケ子君    国務大臣        国 務 大 臣        (環境庁長官)  三木 武夫君        国 務 大 臣        (科学技術庁長        官)       森山 欽司君    政府委員        科学技術政務次        官        長屋  茂君        科学技術庁原子        力局次長     伊原 義徳君        環境政務次官   藤本 孝雄君        環境庁企画調整        局長       城戸 謙次君        通商産業大臣官        房審議官     江口 裕通君        労働省労働基準        局長       渡邊 健二君    事務局側        常任委員会専門        員        中原 武夫君    説明員        警察庁刑事局保        官部公害課長   星野鉄次郎君        環境庁企画調整        局公害保健課長  竹中 浩治君        環境庁水質保全        局土壌農薬課長  遠藤  茂君        厚生省医務局指        導助成課長    木戸  脩君        農林省農蚕園芸        局農産課長    工藤 健一君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○公害及び環境保全対策樹立に関する調査  (放射性物質による環境汚染問題等に関する  件)  (旧笹ケ谷鉱山周辺のひ素中毒問題に関する  件)     —————————————
  2. 森中守義

    委員長森中守義君) ただいまから公害対策及び環境保全特別委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  昨十六日、高橋邦雄君、沢田政治君、川村清一君及び村田秀三君が委員を辞任され、その補欠として斎藤寿夫君、鶴園哲夫君、佐々木静子君及び加藤シヅエ君が選任されました。     —————————————
  3. 森中守義

    委員長森中守義君) 公害及び環境保全対策樹立に関する件を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 矢山有作

    矢山有作君 この間、五月の十三日に、これは新聞紙上を通じて大きく報道されたところでありますが、岡山県下におきまして、日本非破壊検査株式会社放射性同位元素取り扱い関連をいたしまして、少年の放射線による障害事件が起きておりますが、これに関連をしてきょうはお伺いをしたいと思うわけであります。  そこで、それぞれの担当、科学技術庁並び労働省のほうから、いまわかっておる点について御報告を願いたいと存じます。
  5. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) この日本非破壊検査株式会社放射線被曝事故概要につきましては、政府委員をしてお答えさせます。
  6. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) お答えいたします。  日本非破壊検査株式会社の件につきまして、先生指摘のように五月十三日、警察側捜査活動によりまして明らかになったものでございますが、警察側調査によりますと、渕定昭と申します者が同社に当初勤務し、その後、同社を退職いたしまして、その下請事業者として非破壊検査を行なっておる、その間、未成年者数名を放射線作業に従事させたということのようでございまして、その容疑で逮捕されておるということでございます。  以上の状況にかんがみまして、科学技術庁といたしましては同日、直ちに同社の本社、それと千葉の出張所、それと水島出張所検査官おのおの二名を派遣いたしまして、その現状調査いたした次第でございます。調査の結果につきましては、やはり一般的に申しまして非常に成績が悪いと申しますか、容器の保管場所許可なしに変更されておるとか、標識等あるいは記帳、そういったものが十分行なわれておらないことが判明いたしましたので、この会社については今後厳正な措置をとってまいりたいと考えております。
  7. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 労働省として把握いたしております事実も、ただいま科学技術庁からお話がありましたこととほぼ同様でございまして、私どもも率直に申しましてこの事件を五月十三日の新聞紙報道等によって承知をいたしまして、早速岡山の現地の監督署日本非破壊検査水島出張所監督をいたしております。四十六年当時の事件でございますために、証拠書類等警察が押収しておりますためまだ完全に全貌をつかんでおりませんけれども、その後引き続き関係者事情聴取等々によりましていま事実を調査中でございますが、現在までのところでは、おおむね新聞紙等に報ぜられましたことが事実のようでございます。  なお、この事業場につきましては、四十六年当時の事故労働省として承知しておりませんでしたが、四十七年、四十八年にはいずれも監督を実施いたしまして、そのときどきに放射線障害防止規制、われわれの安全衛生法に基づく規則でございますが、これらに違反する事実等を把握し、それに対してはそのときどきに改善を命じ、是正の指導をいたしてまいっておるところでございますが、最近でもなお違反状態がまだ今回監督にまいりましたときにも発見されておりますので、今後厳正に処置してまいりたいと考えております。
  8. 矢山有作

    矢山有作君 五月十六日の新聞紙上によりますと、四十六年の十二月の定期健康診断の際に発見された五人の放射線障害者のうち、二人のデータをこの日本非破壊検査会社水島出張所は隠しておったというふうに伝えれらておりますね。それからさらにその後、放射線障害を受けたという人が出てまいりまして、現在この出張所放射線による被害者が十人くらいになったというふうに伝えられておりますが、この点は御存じないわけですか。
  9. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 四十六年秋の健康診断の結果、三名については承知をいたしておりますが、いま新聞等で御指摘になりましたように、二名についてはただいま調査中でございます。
  10. 矢山有作

    矢山有作君 報道によれば、二人のデータを隠しておったということがわかったので、労働基準監督署のほうでは障害防止規則違反疑い同社責任者から事情を聞くということを言っておりますから、隠しておったということは事実だったのでしょうね。だから、こういう事件が起こったときに実態を早く把握するための努力というものを、労働省のほうは労働者保護という立場からやっていただかなければ話にならぬわけですから、その点はぜひもう少し実態をよくつかんで、こちらのほうへ御答弁を願いたい、こういうふうに思うわけです。  それから、科学技術庁のほうからの話も、ごくかいつまんだ抽象的な話でありましたから、時間の関係もありますから、あなたのほうから詳しく言っていただくのじゃなしに、私ども承知しておるのをもとにしながな質疑を続けていくつもりでおりますけれども、しかし、こういうような放射線障害というような重大な問題ですから、できるだけ的確に要点を整理して答弁をするという姿勢だけは持ってもらいたいということを強く要求しておきたいと思います。  それから、これも私ども報道で知るわけですが、保管管理がずさんであって、付近住民にまで被害を及ぼしておるのではないかという疑いが県の衛生部調査でわかった、そして住民被害調査をやらなければならぬのじゃないかといって、やる方針のようでありますが、これはそれぞれ科学技術庁なり労働省承知しておられますか。
  11. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) その先生指摘の詳細まで承知しておりません。ただこの会社が扱っております放射線源は、いわゆる一般周辺住民障害を与えるような性質のものではございませんで、御高承のとおり、イリジウムという放射性同位元素線源といたしまして非破壊検査を行ないます。そのイリジウム線源は密封された形になっておりますので、一般的に周辺住民障害を与えるということはなかなか考えにくいものであるかと思います。しかし、立ち入り検査の結果といたしましても、非常に管理がずさんであるということは事実でございますので、先生の御指摘の点も十分私どもとしても踏まえまして、今後指導してまいりたいと思っております。
  12. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 労働省安全衛生法に基づく電離放射線障害防止規則関係は、一般住民に対する関係というよりは、従業員健康障害防止するという観点で諸規定が出されておりますので、外部に対する問題は直接の所管ではございませんが、ただ、私ども規則に基づきましてもいろいろな管理規定がございまして、それらの順守につきまして、確かにルーズな点がいままでのところ見受けられるのでございまして、それらの点を含めまして、ただいま事実を正確に把握すべく鋭意調査をしておるところでございます。
  13. 矢山有作

    矢山有作君 十分実情をつかんで、それを踏まえてやっていただくために申し上げておきたいのですが、こういうことが言われております。  「十三日の岡山県警の捜索に立ち会った県衛生研究所山本隆志アイソトープ部長は十五日、その調査結果を明らかにした。それによると、同出張所木造プレハブ製倉庫内にあった放射性物質保管する鉄箱はフタが半開きのままで、シンチレーションサーベーメーターで測定したところ、保管場所から約二メートル離れた地点で、人体許容線量」——一時間値六十マイクロレムだそうですが、その「人体許容線量の約四十倍に当たる二千五百マイクロレムを検出した。また同部長調査結果から、同社放射性物質使用保管に当たって法令を無視した疑いがある、放射性物質についての科学知識が乏しい、長期にわたりズサンな保管管理をしており、付近住民健康診断をすべきだ」、こういうふうに指摘したと言われておるわけであります。  私は、この伝えられる限りの保管状態であるとするならば、これはたいへんだと思うのです。だから、原子力次長が簡単に言っているようなことでは済まぬのではないか。したがって、主務官庁である科学技術庁のほうは、岡山衛生部と何らかの連絡をとりながら事態に対処しておるのかどうか、その点をお伺いしたい。
  14. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいま先生指摘の点につきましては、まだ岡山衛生部との連絡が十分行なわれておるかどうかにつきまして十分報告を受けておりませんので、実態をさらによく調査いたしました上で、必要な措置を厳正にとってまいりたいと思っております。
  15. 矢山有作

    矢山有作君 原子力次長報告を受けてからやるんじゃないんです。あなたのところが主務官庁なんだから、しかもこれだけの事件が起こっておるのですから、あなたのほうから連絡をとって、実態をできるだけ把握するということでなければ問題解決にならぬのじゃないですか。
  16. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 御指摘のようにいたしたいと思います。
  17. 矢山有作

    矢山有作君 この事件をきっかけにいたしまして、労働省のほうでは各地の労働基準局を使って、この放射性同位元素使用管理、またこれに伴う障害発生したかどうか等について調査を始めたと聞いておりますが、その調査の現段階における状況はいかがですか。
  18. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 労働省といたしましては、一昨年労働安全衛生法制定以来、これら職業性健康障害防止すべくいろいろ努力をいたしておるところでございまして、実はこれら放射線障害防止関係につきましても、昨年も全国で一斉監督を実施いたしまして、全国で千百四十四の事業場監督を実施いたしております。その中には、非破壊検査専業事業場百二十八も含んでおるわけでございまして、そういう一斉監督を実施いたしました結果、全事業場でございますと約五〇%の違反率非破壊検査専業事業場においては五三%の違反把握いたしておるわけでございます。  そこで、特に非破壊検査事業関係につきましては、いろいろ問題となるような電離放射線障害防止規制違反の事実がございますので、昨年十一月には私の名で非破壊検査振興協会にも警告を発しまして、それら違反の絶滅、是正を強く要望をいたしたところでございまして、こういう状況にかんがみ、今年度も当初計画におきましても、これら放射線障害防止関係事業場につきましては、監督年間において強力に実施すべく年度前に指示をいたしておったところでございます。こういう事件がございましたので、特にそれら該当事業場を持っておる各県の労働基準局におきましては、該当事業場をもう一度問題となりました点を調べると同時に、それ以外の事業場につきましても、それぞれ調査監督に手をつけ始めておるところでございます。
  19. 矢山有作

    矢山有作君 放射性同位元素事故というのは、これまでたびたび起こっておる問題です。したがって、またこういう事件発生をし、しかもこれだけの人数の放射線障害者が出たということは、私はきわめて重要な問題を含んでおると思うのです。  そこで、これらの問題、特に具体的に言うなら岡山県下で起こったとの当該会社が、どういうような放射性同位元素使用管理等をやっておったのかということについて、科学技術庁は具体的に調査をされておると思うのです。それらについて長官報告をして、長官はその会社取り扱い実態使用実態保管実態、そういったものを承知しておられますか。まだ聞いておられぬか。その点はいかがですか。
  20. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 私どもは至急検査官二名を派遣いたしまして調査をしたわけでございますが、関係文書警察当局に押収されておるというふうなこともございましたために、検査が口頭による確認というものが中心でございます。そういうことでございますので、完全に確信を持ってこうであるということではなくて、中間報告という形で一応大臣には概要の御報告はしてございますが、その詳細については、さらにいま少し時間をかけて厳密に調査をいたしたいと思っております。
  21. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) アイソトープ障害防止に関する法律は、科学技術庁所掌法律でございまして、今回の事件につきましても、そういう意味で総括的な責任官庁になっております。しかし、申すまでもないことでございまするが、労働者労働基準あるいは安全衛生という事柄は労働省仕事に属しておるわけでございまして、その労働者安全衛生というようなことにつきましては、これは労働省が主役で、私どもはわき役というようなかっこうになる。しかし、だからといって私ども責任がそれで軽減されるわけではないことは申すまでもございません。しかし全国的に労働省は各県に労働基準局を持ち、各地方労働基準監督署を持っておりますが、科学技術庁地方組織は原則的にゼロというようなことになっておりまして、なかなか実情把握については十分な体制にないわけでございます。  そこで、今回の事件についてのみならず、一般的な問題といたしまして、この機会に抜本的に対策を講じなければならないというふうに考えておりまして、現状事業場等合わせて三千をこえる数がございますし、これに対しまする許可あるいは届け出等年間六、七千に相なろうかと思っております。それを現在、科学技術庁の中の一つの課で十数人の人間でこれを処理していくということは、もう整理するだけでおそらく手一ぱいであって、内容について一々処理するということは、科学技術庁現状から申しますと、必ずしもこれは十分ではないような状況になっておるわけでございます。そういうことでありますから、これに対処する対策をこれから講じていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。  そこで今回の事例にかんがみまして、まずあすかあさって、この一両日中に全事業者に対しまして、こちらのほうから実情を調べて、自主点検をして、これらの問題について実情がどうなっているかということのアンケートをとるように目下準備中でございます。これは一両日中に処理が終わるわけでございまして、この自主点検調査の結果によりまして、今後の措置一つは講じてまいりたいというふうに考えております。  それからもう一つは、全国的に三千以上のもの、これは一度にただ一つ中央の一セクションで処理するにはあまりにも膨大でございますから、これを職域とか業種別あるいは地域別にそれぞれ組織化をいたしまして、組織化をいたした形においてもう少し実態把握につとめてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。  しかし、そういうことをやるにつきましても、科学技術庁だけで独走することは法律上も許されませんので、先ほども申し上げましたように、労働安全衛生という面からは労働省法律上の権限も持ち、かつ大きな組織を持っておりますから、労働省のほうとも御相談しなければなりません。それからまた厚生省、あるいは大学関係では文部省、関係官庁との横の連絡を十分にしなければなりませんので、これらの問題につきましては、事件が起きましてから個別に折衝を重ねますとともに、きのう各省の局長クラスで相談をいたしまして、それぞれの立場連携を密にして今後処理をいたそうということにいたしておる次第でございます。  なお科学技術庁といたしましては、先ほども申し上げましたように、アイソトープの利用というものが近来非常に数が多くなり多方面にわたっておりますのに、昔ながらの体制でやっていくということに非常に無理が伴います。実は昭和四十年ごろに二回ほど、地方都道府県権限を委譲しようという案を出したことがあるのでございますが、ものにならなかった。それは十年近く前のことだといわれますが、実はこの昭和四十九年度の予算要求につきましても、地方委譲ということで予算要求いたしましたが、これが認められなかったのでございます。  そこで私どもといたしましては、五十年度におきましては、当面の処理先ほど来申したことでございますが、とても中央で十数人の人間でこれを処理するということは技術的に無理でございますから、そういうことを考えまして、地方にこれを広い意味権限を委譲する。ただ、やり方は二つあると思います。一つは現在の都道府県に委譲するというやり方と、それから現在水戸原子力事務所あるいは福井原子力調整官事務所というような制度がございますから、そういうような形において科学技術庁の出先をつくって、そこでやっていくというやり方もあるかと思いますが、それはいずれにしても予算を伴うことでもございますから、行政の能率と予算との関係をかね合わせまして、昭和四十年早々に二回、四十九年度、今年度の予算で要求いたしました実績を踏まえまして、来年度はこれについて抜本的な体制を整備をいたしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。  一般論としては、ただいま申し上げましたようなことで措置をし、また、ただいま御質疑がございました面につきましては、私ども政府委員からも話がありましたように、また労働省基準局長からも話がありましたように、現在の段階においてさらに個別的実情調査を進めてまいりたい、そういう考え方でございます。
  22. 矢山有作

    矢山有作君 長官、何か科学技術委員会のほうにおいでのようですから、もう一つだけいまの御答弁関連して申し上げておきたいのですが、私はことばじりをとらえるわけではありませんが、ものの考え方というのが行動にどう反映するかということで非常に大きなウエートを持っておりますから、その点で申し上げるのですが、労働者保護仕事労働省にあるということはわかり切った話なんです。ところが問題は、このラジオアイソトープについての主務官庁はどこかといえば、科学技術庁なんです。  御案内でもありましょうが、科学技術庁設置法の中にその権限が定められておるはずですね。それを見ますと、放射性同位元素または放射線発生装置使用許可、これは科学技術庁がやる。放射性同位元素の販売の業の許可、これも科学技術庁放射性同位元素またはそれによって汚染された物の廃棄の業の許可、これも科学技術庁がやる。放射性同位元素または放射線発生装置による放射線障害防止するための必要な措置命令権を持っている。これも科学技術庁なんです。  要するに、放射性同位元素使用等実態というのは、科学技術庁が一番よく知っているはずです。ラジオアイソトープについては科学技術庁主務官庁なんだから、いろんな権限を握っておるのだから、したがって、これが実態がどうなっておるかということはあなたのところが一番よく知っておるのですよ。ところが、その実態把握科学技術庁自体にできていない。そのことは、行政管理庁の行政監察報告でこの一月に指摘されたところなんです。そこのところがしゃんとしてないから、こういうような問題が起こりがちにたるのです。だから、科学技術庁ラジオアイソトープ実態を正確に掌握しておって、そして主務官庁として労働省なり厚生省なり関係官庁と緊密な連携をとって処理していくなら、今度のような問題はまだ未然に防げたかもしれない。  そういうことなんですから、ものの考え方をはっきりしてもらわなければならぬ。あなたのところが主務官庁なんだから、あなたのところに第一次責任があるんだ。そういうことを自覚しでやってもらわぬと、労働者保護の問題は労働省のことだからというようなことでは、私はものの基本的な考え方が誤っておると思う。だから、その辺の認識を的確にしてもらって、そしてラジオアイソトープ使用保管その他取り扱い全般について、実態を確実に把握する。そしてその把握に基づいて、関係官庁連絡を緊密にして今後の体制を整備する。そしてこのような事故が再び起こらないようにしてもらいたい。このことを強く申し上げたいのですが、御所見をお聞きしたい。
  23. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) ただいまお話がございました矢山委員の意見に、私はおおむね同感でございます。  ただ、私が申し上げましたのは、アイソトープ放射線障害防止に関する法律四十八条、「この法律規定は、労働安全衛生法及びこれに基く命令によって、労働基準監督官労働者に対する放射線障害防止についてその権限を行使することを妨げるものと解してはならない。」とありますように、そういう労働安全衛生法等権限があることは、もうこういう法律によっても歴然としておりますから、そうしてそれだけの地方組織を持っておりますから、やはりこの方面について二重行政にならないように、労働省にそういう労働者保護立場からのことは推進してもらわなければならぬ、こう考えておるわけでございます。先ほど申しましたように、それによって私ども責任が解除されているなどとはいささかも考えておりませんので、その点はどうか御了解を願いたいと思います。  それから本件につきまして、ことしの初めでございましたか、例の行管勧告がございまして、この勧告の中身はまことにショッキングなものでございました。私の記憶では、二百六十件ほどのうち、何らかの意味において法律違反しているところが、これは重要な事項もありますし、また軽微な事項もありますが、何らかの意味において法律違反したところが実に七八彩というふうに記憶をいたしておるわけでございます。  私は、この行管報告を受けまして、役所のほうが書きました当面の回答というものに満足できませんものでしたから、かばんの中に数日間握っておりましたときに、ちょうど今回の事件が起きました。そこで、そういう従来のお役所風の微温的なあり方じゃなくて、この際抜本的に対処しなければならないということで、先ほど私が口頭で申し上げましたような当面の施策を行なうことにし、それに役所のほうで考えておりましたような事項で当面の事態に対処したい。この問題の解決のために、今後こういうようなことについて、ルーズになっておりましたことをとの機会に一挙に切りかえるような措置を講じてまいりたい、そのために全力を尽くしたい、そういうつもりでございまして、矢山委員からお話がございました線に沿いまして、最善の努力を尽くす所存でございます。どうか御了解を願いたいと思います。
  24. 矢山有作

    矢山有作君 権限の委譲等の問題は、おっしゃるとおり権限委譲はありますが、私が申し上げたかったのは、あなたのところが主務官庁である、実態把握はあなたのところがやれるんだということですから、その実態把握をあなたのところではしっかりとやってもらって、そうして労働省厚生省その他関係官庁と緊密な連絡をとって対処していただきたい、このことを重ねて申し上げておきたいと思います。  どうぞ、どうしても行かなきゃならぬのだったら行ってください。
  25. 森山欽司

    国務大臣森山欽司君) どうもありがとうございました。
  26. 矢山有作

    矢山有作君 それから次は労働省でありますが、労働省先ほど岡山日本非破壊検査株式会社、この会社の件については四十七、四十八年に似たような障害事故があったということを承知しておると言われたのじゃなかったですかな、違いましたか。
  27. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 障害事故ということではございませんで、四十七年にも四十八年にも監督をいたして、違反事項を発見したものについては是正指導措置を講じたということを申し上げたわけでございます。
  28. 矢山有作

    矢山有作君 四十七年、四十八年に違反事項の発見をして、そして是正措置を講じたということでありますが、是正措置を講じさせたその結果として、是正がなされたということを確認しておいでになりますか。
  29. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) それぞれの時点におきましては、是正させたことを確認いたしておるわけでございますが、今回の事故の際にもう一度監督に行きましたところ、そのうちの一部についてはまた違反の事実を発見しましたので、こういう再三にわたる違反については、これは厳正に処置をしなければならないと現在考えておるところでございます。
  30. 矢山有作

    矢山有作君 日本非破壊検査会社の一例をとってみましても、立ち入り検査をし、指摘をし、改善をさせても、まだもとに戻ってしまう。何べんでもこういう誤りを繰り返す。これはこの会社の場合には、あなたがおっしゃるようにはっきりいたしました。私どもがこの行管報告を読んでみましても、やはりそういう実態ではないかということがうかがわれるわけであります。  そこで私は次にお伺いしたいのでありますが、どうも今回の会社事件をみておりますと、この責任者というのは、放射性同位元素というものが人体に対して非常に危険を及ぼすものだということは承知しておると思うのです。承知せずにやってはおらぬと思う。承知をしておって、そして何らの防護措置も講じないで、再三にわたって放射性同位元素を扱わせてこういう障害を起こした、こういうことになると、私は、事はただ単に放射線障害防止違反であるとか、あるいは労働基準違反だとかいうのでなしに、刑事上の問題が生ずるのではないか。刑事上の責任といいますのは、未必の故意による傷害罪、こういったものが成立する可能性が私はあるのではないかと思う。この点はいかがでしょうか。これは警察庁のほうに見解を伺いたい。
  31. 星野鉄次郎

    説明員星野鉄次郎君) ただいま先生指摘のとおり、未必の故意による傷害の可能性も考えられると思います。  現在、岡山県の事件につきましては、御案内のとおり、十八歳未満の少年に放射性同位元素を扱わせた放射線障害防止法三十一条と労働基準法六十三条の違反で、現在その容疑を固めるべく捜査中でございますけれども先生いまおっしゃいましたような傷害の疑いということも一応考慮に入れまして、この点の捜査の進展によっては、この適用ということも考え得るという方針で捜査しておるということでございます。
  32. 矢山有作

    矢山有作君 そのことは、ただ単にその未成年の少年を使っておった渕何がしという者だけの未必の故意による傷害罪ということの成立の可能性だけでなしに、会社責任者自体についても私はそういう可能性が出てくるのじゃないかと思うのです。というのは、会社責任者は、少なくとも先ほど言いましたような、ラジオアイソトープというものが非常に危険なものであるということは、十分承知をしておるはずであります。そして、これを使って作業をやる場合には、取扱主任者を置かなければならぬということも承知しておるはずであります。そしてまた、これを取り扱うためには、十分な教育の訓練もやらなければならぬということも十分承知しておるはずだと思うのです。そしてまた、その教育訓練の中で十分な防護措置もするというようなことを教えて、また実際に十分な防護措置をとって作業をやらせなければいかぬのだということも承知しておると思うのです。  ところが、おそらくお調べになれば、会社自体がそういうことを承知しておりながら、たとえば教育訓練もやっていない、防護措置もちゃんととらせるようにしていないというようなことで今回の問題が起こっておるのだろうと私は想像するわけです。そうなれば、渕何がしの刑事責任の問題でなしに、会社責任者に対する刑事責任の問題が発生の可能性がある、こういうふうに私は思うわけでありますが、その点はいかがでしょうか。
  33. 星野鉄次郎

    説明員星野鉄次郎君) いま先生おっしゃいましたような会社責任についても、当然そういう可能性があるということで鋭意捜査を進めておると聞いております。
  34. 矢山有作

    矢山有作君 それでもう一つ重ねてお伺いしたいのですが、これはまだ詳しい実態というものはわかりませんが、労働省がいまいろいろと調査しておる、その調査の模様等々はそれぞれ新聞の報道でも伝えられておりますし、また、いま一部にについてはお話しがあったとおりでありますけれども、そういうぐあいで、各地でこの放射線による障害が起こっておる。しかもその実態というのは、たとえばことしの一月に行政管理庁から出た報告によって見られるごとく、法令違反というものをもうたいへんに犯しているという実態がある。そういう実態を見て、そしてつき詰めていくならば、私が先ほど申し上げましたような、危険を承知をしておって、人体障害が起こるんだということを承知をしておって、何らそれを防ぐための手段をしてないで、そのままにして人を使っておったということになれば、これも同じように私は傷害罪の成立の問題が起こってくると思うのです。  そこで私は特に警察当局に希望したいのは、このような放射性同位元素のような危険なものを取り扱う、そういう事業が三千事業所もあるといわれております。それほどたくさんある中で、しかも専門家はその危険性を十分承知しておるのに、その取り扱いはきわめてずさんで、こういう障害事件があちらこちらで起こっているということになると、これは私はこの際、このことをきっかけにして、労働省とも十分な連絡をとりながら徹底的な調査をやっていただきたいと思うのです。そらして、これはまさに一罰百戒といいますか、こういうずさんなことが再び起こらぬようにする。そういう意味におきましても、警察当局のきびしい態度を私は望んでおきたいと思います。それに対しての、もし申されることがあったならばお聞かせいただきたい。
  35. 星野鉄次郎

    説明員星野鉄次郎君) 私どもといたしましても、国民の健康を守るという立場から、関係行政庁との連携のもとに、悪質または重要な事犯については積極的に取り締まってまいりたいというふうに考えております。
  36. 矢山有作

    矢山有作君 これは科学技術庁にお伺いをいたしますが、立ち入り検査の結果、きわめてずさんなラジオアイソトープ使用管理をやっておる実態というのは、先ほど記録が警察に持っていかれておるからよくわからぬというようなお話もありましたが、これは私はおいおい警察と連携をしながらそういう内容をつかまれることによって、たいへんな、まさにずさんな管理が行なわれておったという実態が暴露されてくると思います。こういうことになれば、私はそれらの会社に対しして甘い措置をとっちゃいかぬと思うのです、行政処分の上でも。しかも、これは岡山日本非破壊検査会社だけでなしに、労働省がいま調査をしておる同じような事業所においてたくさん起こっておる問題でありますから、したがってこの際、再びこういうような事件を起こさないために、主務官庁として持っておる行政処分の権限についても、私はきわめて厳正な態度で臨んでもらいたいというふうに思いますが、その点、科学技術庁当局の見解が伺いたいと思います。
  37. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいま先生指摘のとおり、残念ながらそういう事実でございますので、厳正な処置をとるということで進めております。
  38. 矢山有作

    矢山有作君 ぜひ厳正な処理をしていただくように重ねて要望しておきまして、次に移ります。  先ほど来引用しております行管の一月の「放射線障害防止に関する行政監察報告」を見ますと、大学、研究所、国立研究機関、国公立病院を含めて管理等がきわめてずさんであり、野放し的なものがあるということが強く指摘されておるわけであります。私は今回の事件発生とこの問題を切り離すことはできないと思います。  そこで関係行政機関の監督指導の問題でありますが、放射性同位元素使用の現況、これをどういうふうに把握しておられるのか。これに対する指導監督体制というのは、具体的にどうなっておるのか。それぞれ所管が違うならば、それぞれの所管のほうからお答えをいただきたい。
  39. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 科学技術庁といたしましては、先生指摘のように、放射性同位元素取り扱い全般について責任を持っておりますので、この行政管理庁の御指摘、十分検討いたしまして、残念ながらここの御指摘にありますことは、もちろん多少軽微なこともございますけれども、全般的に見て成績が悪いということは御指摘のとおりでございます。そういう調査の結果を踏まえまして、かつまた、この放射性同位元素使用につきましてはそれぞれ関係の官庁、たとえば病院につきましては厚生省、あるいは大学の研究機関なり大学病院につきましては文部省、あるいは労働者災害という観点からいたしますと労働省、そういった観点からいろいろ御協力をお願いいたしておるわけでございまして、昨日も厚生省、文部省、労働省、それに科学技術庁を加えまして連絡会議を持ちまして、今後定期的に情報を交換し、いろいろ現在の規制のさらに適確厳正化をはかってまいりたい。さらに長期的な対処方針といたしましては、先ほど長官が申し上げましたとおり、地方への権限委譲その他含めまして、適確な法律の遂行をはかってまいりたいと思っております。
  40. 矢山有作

    矢山有作君 いまどういう指導監督体制をとっているのかというのは、それぞれ関係あるでしょう、厚生省労働省
  41. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 診療用放射線につきましては、ほぼ障害防止法と同様の規制の内容をもちまして、医療法に基づきましてチェックをしておりまして、都道府県あるいは保健所を設置する市の職員、具体的には保健所の職員が大部分でございますが、その職員が医療監視をいたしましてチェックをしているわけでございます。  参考のために、科学技術庁所管の障害防止法に基づきます診療用アイソトープあるいは発生装置の許可を受けております事業所は、病院が六百十八、診療所が五十三で、六百七十一ということでございます。  私どもといたしましては、従来から診療用放射線の取り締まりについては、医療監視の重点項目として取り上げてまいったわけでございますが、先ほど矢山先生の御指摘のように、行政管理庁の勧告によりまして、病院、診療所におきましても何らかの指摘を受けたところが多かったわけでございます。したがいまして、診療用放射線の監視につきましては、本年度は監視の重点項目として取り上げて、三月末に全国に一斉通知をいだし、四月の半ばには医務主管課長会議を開きまして詳細にその点を指示したわけでございます。なお、みずから設置いたします国立病院、療養所につきましては、昨日国立病院課長、療養所課長の名前をもちまして、院長に対しましてその厳正な取り扱いについて指示したところでございます。
  42. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 労働省におきましても、放射線障害防止につきましては、放射線障害防止法とほぼ相見合った放射線障害防止規則というものを安全衛生法に基づいて制定をいたしておるわけでございますが、最近そういった事業場がふえてきておること、それからいわゆる職業性疾病問題の非常に重要性の増大にかんがみまして、かねてからこれらに対する監督指導、これを強化していかなければならないと考えておりましたが、四十七年に全般的なそういう基本的な考え方に立ちまして労働安全衛生法も制定していただきましたことに対応いたしまして、放射線障害関係事業場につきましては、昨年初めて全国一斉の監督も実施し、先ほど申しましたように、千以上の事業場についての監督をいたしたわけでございます。  今年一月、行政管理庁から私どものほうもいろいろな勧告をいただいたわけでございますが、これらの点につきましては、私どもがかねがねそういう点を考えて行政を強化しなければならないと考えておりました事項でございましたので、私ども全く同じ見解に立ちまして、さらにこれら放射線障害防止安全衛生対策、その監督指導を強化すべく、今年も行政運営方針の重点の一つとして年度開始前から指示をいたしておったところでございますが、こういう上に立ちまして、いま矢山先生から御指摘がございましたような非破壊検査事業場だけでない、いろいろなそのほかも含む関連事業場に対しまして、監督行政指導を強化してまいりたいと考えております。
  43. 矢山有作

    矢山有作君 私の聞き方が悪いから見当違いの答弁になるのかな。  科学技術庁にお聞きしたのは、使用許可を受けたり使用の届け出をしたりするのは、全部科学技術庁に対してこれはやるわけでしょう。それからまた放射性同位元素使用保管あるいは廃棄に関する事項等は、全部記録する帳簿を備えさせて記録させているわけでしょう。そういうことをきちっと厳格にやらせておるのなら、私はこの放射性同位元素の状態というものを科学技術庁ではつかんでおるはずだと思うのです。ところが、その実態行管報告にも指摘されておるように、使用許可を受けておっても届け出をしないとか、あるいは記録が全然なされていないとか、そういう問題がたくさん指摘されていますね。したがって私は、そういう届け出すらしない、記録すらしておらないというような状態であるから、科学技術庁もその放射性同位元素がどこにどういうふうにあって保管されておるのか、さっぱり実態をつかんでおらぬのだろうと思って聞いたわけですよ。だからその点ははっきりしておるのかと。そうなると、届け出も行なわれていないし、記録も行なわれていないのが多いものだから実態がつかめませんからね、なかなか返答がしにくいから、ちょっとピントはずれのような、わけのわからぬような答弁になるのでしょうけれども、その辺は正確に答えてもらいたい。  それからこの監督指導体制といいますのは、先ほど来聞いておりますというと、監督指導体制をこうして強化します、ああして強化しますという話はたくさん聞かせていただける。ところが、現在における監督指導体制はどういう状態になっておりますという話が具体的に出てこない。現在はこういうような監督指導体制の状態でありますから、したがって実際の検査はこの程度しかできないのです。したがってこれを克服するためには、具体的にはどうしようと思うのですということにならぬと、単なる委員会での論議だけに、ことばのやりとりだけに終わってしまうのです。それではあまり意味がありませんのでね。  そういうことでありますので、あらためてお聞きいたしますが、科学技術庁なり労働省厚生省で、いま持っておられる検査体制というのはどういうものなのか、その検査体制でやるならば大体どの程度の検査ができておるのか、それをまずお知らせ願いたい。そして、その現実に基づいて具体的にどこをどう改善しようとするのか、そういうふうにお答えを願いたい。
  44. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 科学技術庁といたしましては、放射線障害防止法の施行に関係いたしまして、検査官を任命いたしております。その検査官が毎年各事業所を立ち入り検査をいたすわけでございますが……。
  45. 矢山有作

    矢山有作君 検査官は何人おるのですか。
  46. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) ただいま十八名でございます。非常に数が限られておるということでございまして、立ち入り検査の数が年間に大体四百事業所程度しか立ち入りできない。したがいまして、三千をこえるような事業所でございますので、そういう点からいたしますと、必ずしも十分には行なわれておらないということが言えるかと思います。残念ながらそういう実態でございます。  したがいまして、具体的な措置といたしましては、先ほど大臣からも御答弁いただきましたように、まず自主的な総点検を全事業所に対して指示するとともに、将来さらに監督指導の強化という観点から、人員の増員も含めまして、地方への権限委譲の問題等も含めまして抜本的な改正をはかっていく、こういうことでございます。
  47. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 診療用放射線に対しますチェック体制は、全国都道府県におります、あるいは保健所を設置する市におります医療監視員、昨年の十月一日現在で約三千九百名おります。対象施設数は医療法全体で、これは放射線を取り扱っているということではなく、病院が八千、それから診療所が約十万あるわけでございます。病院につきましては、年一回医療監視を行なっております。しかしながら、診療所につきましては、何せ数が多いものでございますから、なかなか大府県におきましては年一回というわけにいかないで、二年に一ぺん、あるいは三年に一ぺんというところもあるわけでございます。  診療用放射線の監視につきましては、先ほども申し上げましたように、本年度におきましては病院、診療所を問わず一斉にこれをチェックする、こういうことでございまして、特に科学技術庁所管の障害防止法の対象になっております大規模な発生装置あるいは密封線源あるいは非密封の同位元素、こういうものにつきましては一斉点検をできるだけ早めて、科学技術庁が行ないます一斉点検と同時にあわせてやるというふうに考えておりまして、違反を発見した場合には、直ちにその事故を文書で指摘するとともに、その是正状況を必ず把握させておく、こういうふうに指導してまいりたいと思っております。
  48. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 労働省関係監督指導体制といたしましては、私ども全国労働基準監督官が約三千、さらに監督官でない安全衛生専門官がそのほかに約三百くらいおるわけでございます。適用対象事業場は全産業では二百七十万くらいございますので、なかなか全事業場というわけにはいかないのでございますが、電離放射線関係等は非常に問題のある最重点業種といたしまして、近ごろは重点を入れておりまして、昨年は全国で千百四十四の監督を実施いたしました。今後とも毎年そのくらいの数は、現在の体制監督の実施ができる、かように考えておるわけでございますが、  なお、この体制を強化いたしますためには、ことしも監督官や安全衛生専門官、若干の増員は獲得いたしましたわけでございますが、今後とも一つはそういう監督官や安全衛生専門官の増員を獲得して体制を強化したいということ。一つは、近ごろそれら監督官や安全衛生専門官に対しまして、電離放射線関係等の専門的ないろいろ問題がございますので、そういうことにつきましての研修等を逐次、従来よりも努力をいたしまして能力向上につとめておるわけでございますが、そういうことによりまして、それら監督官の能力の強化をはかる。これらによりまして、今後ともますますできる限り、能力の限りの監督指導の強化をはかっていきたい、かように考えております。
  49. 矢山有作

    矢山有作君 いま、厚生省は三千九百人の医療監視員を持っておる、労働省労働基準監督官、労働衛生専門官あわせて三千三百人の陣容である、こういうお話があったのでありますが、この数字を見ると、非常にたくさんの検査官を置いて、かなり検査ができておるというような印象を受けます。しかしながら実態が大事なんでしてね、問題は、この中で放射性同位元素取り扱い等について専門的な知識を持って、立ち入り検査の任にたえられるような職員でないとしかたがありませんので、その質の問題はどうなんでしょうか。これだけの膨大な人員が全部、放射性同位元素取り扱いについて専門的な知識を付与されて、立ち入り検査にたえ得るようなそういう能力、資質を備えた人なのかどうか、それがお伺いいたしたい。  それから科学技術庁に対しましては、検査官十八人、これは私はおそらく専門的な知識を備えた検査官だろうと思います。ところが、それにしてはあまりにも人数が少ないわけなんですね、いずれにいたしましても。この十八人の者で、いまのように放射性同位元素の事業所が年を追ってふえているときに、これで監督指導の万全が期せられるのか。特に科学技術庁主務官庁としてその任にたえられるのかということは、これは非常に問題だと思うのです。  そこで、いろいろと科学技術庁はこうする、ああするおっしゃるけれども、肝心かなめなのは、いまの事業所に対応して十分検査をすることのできるような優秀な人材をまずある程度確保していかなければならぬのじゃないかと思うのです。十八人が多い少ないの議論は、これは私の感じですから、それはけっこうなんです、これだけでもう十分足りるのですとおっしゃればそれまでの話であります。しかし、足りるのだとおっしゃるなら、行管指摘はあまりにも手きびしい指摘なので、これは私は足りるとはおっしゃらぬと思う心そういう一番大事な足元からどうするのかという問題を積極的におっしゃっていただかぬと、抽象論でああする、こうするおっしゃっても、われわれはなかなかそれが信用できない。  信用できないということは、この放射性同位元素事故というものはこれまでもたびたびあって、国会論議になっているわけでありますから、そういう国会論議を経つつも一向に改善されないで、またまたこういう事故が起きている。しかも岡山事故をきっかけに調べてみれば、あちらにもこちらにもあるという状態なんですから、その点を踏まえながら再度御答弁をいただきます。
  50. 長屋茂

    政府委員(長屋茂君) ただいま矢山先生の御指摘のことは、まさにそのとおりと言わざるを得ないのでございます。先ほどからいろいろ御指摘もあったようでございまするが、よく主務局長とも具体的に検討いたしまして、御趣旨に沿うように持っていきたい、こういう所存でございます。
  51. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 医療監視員三千九百十一名おりますが、先生指摘のとおりに放射線の適正な検査ができる資質を備えているかどうかという点につきましては、正直に申しまして非常に不十分な点があると思います。具体的には医療監視員は、医師、それから診療放射線技師がおりますが、そのほかに、多数のいわゆる一般の吏員でございます一般監視員がいるわけでございます。  この一般監視員に対します放射線の知識の付与というのは、各都道府県で自主的にやっておりますもののほか、毎年厚生省で新任の医療監視員の講習会を一週間程度やりまして、その中で診療放射線の基礎知識は付与しております。それから、場合によりましては科学技術庁放射線医学総合研究所のほうに、県のほうから防護課程のほうに専門知識を付与するために研修に出ている。この程度でございまして、今後この質をどういうふうに上げていくかというのは非常に重大な問題でございまして、私どもといたしましては、一般の監視員も正確にしかも迅速に放射線に関する監視の知識が得られるようなマニュアルなりテキストなり、そういうものを早くつくってこれを配付するというようなことが、本年の重要な課題だというふうに考えております。
  52. 矢山有作

    矢山有作君 だから、検査にたえられる専門的な人間は何人おるのですか。
  53. 木戸脩

    説明員(木戸脩君) 私どものほうで正確な人数というものは、実は把握をしていないわけでございます。
  54. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 労働省の人員については先ほど申し上げましたが、監督官が約三千人おりまして、この監督官は、安全衛生法に基づく電離放射線障害防止規則、これ等は一応マスターをいたしておりまして、法令等は十分に承知をいたしておりますが、電離放射線等の科学的、技術的な問題になりますと、率直に申しまして、それほど高い知識を持っている者はごく少数でございます。ごく少数はラジオアイソトープの四週間の派遣研修などを受けさせた者もおりますけれども、その数は現在のところあまり多くないわけでございます。
  55. 矢山有作

    矢山有作君 どのくらいいますか。
  56. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 全国で二十人あまりということでございまして、たとえて申しますと、敦賀の監督署長のような、原子力発電所があるようなところにそういう者を配置いたしておりますが、全国的に見ますと、それほど多い数ではございません。  なお、先ほど安全衛生専門官約三百と申しましたが、そのうち労働衛生専門官というのが百二十名でございまして、これは電離放射線障害につきましてもある程度の専門的な知識を持っていると思いますので、監督官が参りまして、技術的、専門的なことで問題があると思いますれば、おおむね局に何名かおりますそれらの衛生専門官等の協力援助を受けて、さらに詳細な調査監督を行なう体制をとっておるわけでございます。
  57. 矢山有作

    矢山有作君 まさに、こうずっとお聞きしておりますと、監督指導体制というのは、政務次官、さびしい限りですね。主務官庁である科学技術庁が十八人しかおらない。それから労働省は労働衛生専門官を含めて百四十人ほど。まさに専門的な知識を持っておるといって労働省が自信を持っている数は、わずか二十名。そして厚生省に至っては、はたしてどれだけのものが専門的知識を備えておるのか、そして立ち入り検査にたえることができるのかということすら不明である、こういう実態なんですよね。これでは、私は監督指導体制の万全を期せといってもできる話じゃないと思うのです。放射性同位元素使用事業所が、もう三千をこえるというのでしょう。だから、できる話じゃないですよ。  したがって、こういう点の強化をはからなければどうにもならぬ。しろうとを向けてみたところで話にならぬのですからね。法令解釈はいかに熟達しておりましても、取り扱いの専門的な技術がわからなければ、これは行ったってごまかされてしまって、それなりけりです、これは。でありますから、行管指摘しておりますように、不適切事項についての指摘漏れや見落としが多い、こう言っているわけでしょう。しろうとを行かせたってしょうがないわけですからね。ところが、行管でも指摘しておりますように、その専門職員の養成の研修にしてもきわめてお粗末だと言われておるわけであります。この際私は、主務官庁である科学技術庁が中心になって、関係官庁連絡をとって、この監督指導体制強化の中心になる優秀な専門知識を備えた職員の増強をはかってもらいたいと思いますが、いかがでしょう。
  58. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 先生指摘のとおり、専門官が数の上で不足ではないかということにつきまして、私どもも十分御趣旨を体しまして、数の増強、それから関係各省庁間の連絡を十分に密にいたしたいということで、将来抜本的にこの問題の対処ができるように、全体的な制度の変更まで含めまして考えたいと考えておる次第でございます。   〔委員長退席、理事田口長治郎君着席〕
  59. 矢山有作

    矢山有作君 さらにこの際、私は科学技術庁のこの面における行政能力がいかに低いかということを実証する問題として、行管報告をもう一つ引用しながら申し上げておきたいと思う。  それは行管の監察報告によりますと、放射性同位元素使用許可を受け、使用開始前には放射線障害予防規定を作成して科学技術庁長官に届けなければならぬことになっておりますが、ところが、使用開始後入年間も予防規定の作成・届け出のないという事業所があるということが行管報告指摘されています。またもう一つ、これは放射線障害防止法三十四条ですが、それによりますと、事業所は放射線取扱主任者免状を有する者等を放射線取扱主任者に選任し、三十日以内に科学技術庁長官に届け出なければならぬことになっておりますが、科学技術庁立ち入り検査指摘されて七年を経過した時点でも、取扱主任者の届け出をしていない事業所も指摘されております。  こう見てくると、まさにこの面に対する科学技術庁行政能力はきわめて低いというのか、貧弱であるかということがうかがえるわけであります。こういう点、専門家の次長のほうはどう思われますか。科学技術庁はこんなずさんなことをやっているのですか。要らないね、科学技術庁なんか。
  60. 伊原義徳

    政府委員伊原義徳君) 科学技術庁といたしましては、放射性同位元素使用、これは御高承のとおり当初は米国からの輸入ということで、ごく少量のものが、ごく少数の専門家によって使用されておりました時代から、最近のように、非常に実際の産業活動あるいは医療活動の部面に直接使われるというふうなそういう時代に、何と申しますか、使われる実態が大きく変化をしてきておるということがございます。しかしながら、科学技術庁が当初この障害防止法を制定いたしまして、そこで責任官庁として仕事を始めたときには、先ほど申し上げましたとおり、まだそれほど放射性同位元素使用が普及していない時代でございまして、その初期の時代におきまして十分な安全関係体制をしき、かつ技術を向上、普及させるということにつきましていろいろ努力をしてきたわけでございますが、何と申しましても、科学技術庁原子力局の職員全体が百三十名程度というきわめて少数でございますので、ただいま先生指摘のように、不十分な点が今回行政管理庁から指摘された。これも残念ながら事実でございます。  私どもといたしましては、職員が日夜努力いたしておるわけでございますが、やはり基本的には、そういう先ほど申し上げましたような情勢の変化に伴って、組織、制度の変化というものを考えざるを得ない段階にきておると考えますので、そういう観点からも、先ほど大臣が御説明申し上げました地方委譲等も含めて抜本的な制度の改正をはかり、再びこのような不手ぎわを生じないようにいたしたい、こう考えております。
  61. 矢山有作

    矢山有作君 政務次官、これはやはり科学技術関係の問題というのはいま重視されておるときですし、特に放射性同位元素等の使用はこれからふえるわけですし、その放射性同位元素の問題に限って言うなら、これはやっぱり人の健康・生命に非常に重大な影響を持つものですから、こういうものすら十分に指導監督できないという体制ではどうにもならぬわけですよ。もう科学技術庁はあってもなくてもいいようなことになってしまうので、そういった点は、ただ予算がないからやれぬのだ、まあやれなきゃしかたがないじゃないか、やれるところでほうっておけということで、使用届けがあってから八年間も予防規定すら届け出されないのに、それも知らずにおるというようなことでは話にならぬ。ぜひともあなたも政務次官としての立場から、こうした問題が解決されるように、ひとつ御努力を願いたいと思うのです。  それから、いまの科学技術庁行政能力の低さというのは、こういうことにも出てくるのです。たとえば放射性同位元素使用状況というようなものは、全部科学技術庁に届け出ることになっているわけですね。この届け出が十分に生かされておったら、取り締まり上非常に有効に働くことができるわけです。たとえば今度の日本非破壊検査株式会社も、最初のアイソトープ使用届け出をした場所とは違う水島に使用場所を移して、そこで仕事をしておって起こった事件ですから。だから、この届け出が正確に、いままで私のところはどこどこを使用場所として届け出をしておりましたが、今度使用場所をここに変えましたということが科学技術庁にその会社から届け出がされて、そしてその届け出に基づいて科学技術庁が現地の岡山労働基準局に、今度どこどこの会社岡山県の倉敷の水島でアイソトープ使用して仕事をするようになったぞと、こう連絡しておけば、またそれなりに労働基準局は対応できていくわけです。したがって、この使用の届け出などというものを軽視してはいけないのです。それが軽視されている。したがって、一つの届け出はさせても、届け出をさせたことの効用を果たしておらぬし、また届け出がされなくてもそのままでほっぽらかしと、こういう状態になっているわけです。これは私は非常に問題だと思いますよ、どうですか。
  62. 長屋茂

    政府委員(長屋茂君) ただいま御指摘いただきました件でございますが、まず機構の強化というのが一つの課題だと思いますが、その問題と、それからいまの運営の問題でございまするが、この点は御指摘のとおり、やる気でやれば簡単に実施できることであると私ども考えておる次第でございまして、こういう点に対する御指摘につきましては、さっそく庁のほうにも持ち帰りまして、これがすみやかに改善されることを考えていきたい、こういうふうに存ずる次第でございます。
  63. 矢山有作

    矢山有作君 行管指摘事項で一々ずっと御披露しながらいきますというと、たいへん時間がかかりますので、あと用意していますが、一応はしょります。それはもう皆さんのほうでよく読んで十分御承知になっているはずでありますから。  そこで労働省にもう一つお聞きしたいのは、最近になって大阪の労基局の管内におきましても、日本工業検査株式会社の下請けである国際非破壊検査会社従業員に被曝者が出ておった。当時高校の一年だそうですが、そういう末成年者を使って、それが被曝しておったという事件があったということが最近わかったようでありますが、これは御承知でありますか。   〔理事田口長治郎君退席、委員長着席〕
  64. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) これは日本工業検査株式会社、実際はその下請けといたしまして国際非破壊検査株式会社従業員が、特に未成年者である者が四十六年からそういう仕事に従事しておりまして、昨年そのために放射線障害を受けまして、そのことから大阪の基準局におきましてその事実を把握し、障害を受けました労働者に対しましては、これは労災保険上、業務上の疾病としての認定をし、必要な補償をいたしますとともに、そういうことによって把握いたしました日本工業検査株式会社におきます電離放射線障害関係違反事項につきまして監督をし、それに対しまして、ことしの一月でございましたか、是正の指導をいたしたところでございます。
  65. 矢山有作

    矢山有作君 被曝したということは、いつごろわかっておられましたか。
  66. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 健康障害を受けておるということは、昨年の六月にわかったわけでございます。
  67. 矢山有作

    矢山有作君 私はそこに一つ労働省がかかえておる問題があると思うのです。昨年の六月ごろに放射線障害を受けておるということがわかっておるわけなんです、阪大で診察を受けてね。そのときに労働省がどういう手を打ったかということが問題なんです。労災を認定したとか、あるいは是正勧告をしたということだけで済まされない問題が出てくる。  なぜかというと、そういう未成年者を、十分な教育も訓練もしない、放射線同位元素というものがいかに危険だということも教えない、そうしてそういう子供にそういうものを扱わしておるという実態に対して、あなたは法律違反しておりますぞという、そんなことをやりなさんなというような一片の注意で済む問題じゃないと思うのです、これは。そのときに、むしろ積極的に司直のほうに連絡をして、一体そういう事態がなぜ起こっておるのかということを、あなたのところで調べることのできない権限を越えるものについては、司直のほうの手に移してでもその実態を究明していくという姿勢がなぜなかったのか。ただ法令に形式的に違反しているから是正措置を出したらそれでいいんだという問題じゃないのです、この問題は。そういう措置がその当時とられておるなら、今度のような事件があちらこちらでまた新たに起こってくるということもないと思う。あるいはそれ以前にも、いまぼつぼつ労働省調査で明らかになってきておりますが、そういう被曝者があちらこちらに出ておったということのようです。だから、見つけたそのときに厳正な処置をしておれば災害を未然に防ぐ余地があった、労働省の処置が非常に手ぬるい面があるのではないかと私は思うのですが、その点いかがですか。
  68. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) この事件は、先ほど申しましたように、私ども把握いたしましたのは昨年六月でございますが、その少年がそういう業務に従事しておりましたのは、四十六年の八月の古い事故でございまして、放射線機器の運搬という補助的な業務に従事しておりまして、落ちたものを手で拾ったといったようなことでそういう障害を受けたものと考えておるわけでございます。したがいまして、確かにおっしゃるようにいろいろ放射線障害防止規則上の管理のルーズな点はあったわけでございますが、それらにつきまして、直ちに送検をするというまでの悪質な事犯であったというふうにまではいえないのではないかということで、現地では、違反の事実につきまして十分に違反事実を指摘し、それについての是正と、今後についてのそういう事故の再発の防止を厳に戒める措置をとったわけでございますが、われわれはこれらを決して軽く扱っておるわけではございませんで、悪質なものにつきましては厳正な処置をとるように指示をいたしておるところでございます。
  69. 矢山有作

    矢山有作君 危険業務に未成年者をつかせた場合というのは、単なる行政罰だけじゃないですね。
  70. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 基準法違反におきまして、六十三条で未成年者を有害危険な業務につかせてはならないというものにつきましては、確かに罰則もございます。
  71. 矢山有作

    矢山有作君 あなたのほうで調べてみたが、たいした悪質でなかったとおっしゃるけれども未成年者を使って、しかも放射性同位元素というような危険な取り扱いをやらせているわけでしょう。そうすれば、私は当然警察のほうと連絡をしてその実態を調べてみるべきだと思うのです。今度だって、水島の問題は労働基準監督署が摘発したのじゃないのですよ。警察のほうから出てきた問題でしょう。警察のほうが、シンナー遊びか何かしておるのをつかまえてみた。そうして見たら、手がまさにこれは放射線障害を受けておる手だと、こういうことで、一体どうだったんだといって子供に聞いたら、実はこうこうだということでわかってきたわけでしょう。  そうすると、私は第一次的に事業所に対して監督権限を持っておる労働省のあり方が、非常に事業者に対して手ぬるい。その点を私は深く反省してもらいたいと思うのです。事は、未成年者を使って放射性同位元素を扱わせて、しかも治癒しがたい人体上の欠陥を与えているわけですよ。このことを私は重視していただきたいのです。そういうことをやった事業者が司直の手にかかる、かからぬ、それに対して余分な配慮をする必要はない。労働者保護立場に立つならば、そういう事件を未然に防いで、根絶していこうとするなら、時によってきびしい態度が要ると思うのです。ありふれた一般的な労働基準違反の問題とは違う。その点は私は十分わきまえてもらいたい。今後におけるあなた方労働省の反省を求めながら、今後どう措置するというのか、それに対して見解を伺いたいと思います。
  72. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 私ども労働者の健康を守るという見地から、健康障害を起こすような法令違反につきましては、厳正な態度で臨むべく指示をいたしておるわけでございまして、今後ともこのような事案であって非常に問題の重要なものにつきましては、厳正な態度で監督してまいる所存でございます。
  73. 矢山有作

    矢山有作君 局長、ちょっとも具体的じゃないですわな。私は具体的に言っているのですよ。一般的な労働基準違反の問題であるなら、そう何もかにも告発だ告発だというぐあいにはいかぬでしょう。しかしながら、未成年者を使って放射性同位元素を扱わせ、そして治癒しがたい障害を与えている、そういう事案なんです。しかもそういう仕事をやっておる人は、放射性同位元素というものがいかに危険で、いかに人体にたいへんな障害を与えるものかということをよく知っておる。しかも、あなた方も幾つかの事業所をお調べになって御案内のように、その雇用関係のごときはきわめてあいまいで、できるだけ自分のところへ責任がかからぬようにというようなことで、下請の雇用関係等を全体をながめてみて、きわめてあいまいな雇用関係に置かれておるということもあなた方十分承知しておるはずなんです。そしてまた実際に立ち入り検査をやったところでは、何べん言っても是正をしないという事実も知っておるはずなんです。そういう状態の中でこういう問題が起こっておるのですから、一般論でものを言ってはいけないんですよ。  こういう問題については単なる是正措置だけじゃだめだ。一罰百戒ということがあります。手きびしく一ぺん告発してみるぐらいのことをやってごらんなさい。直接労働省が担当しておる事業所で、そこで何一つようしないで、是正勧告を出す、てんで守られない、あるいは守ったとしても、その次にはまたそれを破ってしまう、そんなことをしてなめられた態度をとられておって、今度この事件が、たまたま警察がそういうシンナーで遊んでいる子供をつかまえてみた、そういうところから実態が暴露されてくるというのじゃ、労働省としては全く恥ずかしい話でしょう。機能を果たしてないということになるのですよ。だからあなたも、これだけの問題ですから、あなたが強い態度をとって今後指導に乗り出すか、乗り出さぬかということが全般的に下へ響いていくわけですから、あなたがあやふやな態度をとっておると、下もあやふやですよ。その点を含めてもっと腹を据えた具体的な御答弁を願いたい。
  74. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 先ほども申し上げましたとおり、再三の是正につきましても改善をしない、累犯を繰り返すといったようなもの、その他、非常に障害が起きることをわかっておってそういうことをさせたといったような未必の故意的な違反等々の悪質なものにつきましては、私ども厳正な態度をもってきびしく責任を追及する、こういうことで臨んでおるわけでございまして、決して甘い態度で臨んでおるわけではございませんが、今後ともそういう態度で臨んでまいりたいと存じます。
  75. 矢山有作

    矢山有作君 なかなか具体的な答弁ができにくいようですがね、語気を強めて厳正な処置と言われたから、その点を私はお聞きして、これ以上追及することはやめますが、しかし、こういう問題が再び労働省が全然知らないところであちらこちらで司直の手によって摘発されて、労働省があわを食って、あの処置はちょっと手ぬるかったからもう一ぺん調査をしてみようじゃないかと、大阪の例がそれですね、そういうようなぶざまなことにならぬようにひとつやっていただきたい。こういう公式の場での議論でありますから、各党の議員さんにもみなわかることですからね、今後の労働省の対処のしかたというのはみな注目して見るところだろうと思いますから、そのつもりでやっていただきたいと思います。  そこで、この締めくくりとして申し上げておきたい。  行管はこういうことを言っておりますね。「放射線障害防止関係法令の施行後約十五年を経過しているが、今回放射線使用事業所二百六十七を調査したところ、八二%に当たる二百十九事業所に不適切事項がみられた。このことは、使用者の放射線安全確保に関する認識が低いこともあるが、次のように関係省庁において法令違反等に対する指摘方法や改善効果の確保措置について厳しさが欠けていたことにも一因がある。」と、こう言われております。このことは、私は関係官庁においては肝に銘じて対処されるべき問題であろうと思います。  そこで次に質問を移しますが、今回の事件被害を受けた少年の救済の問題であります。  これら少年は、聞くところによりますと、開業医で見てもらって、皮膚病だという診断で薬をもらった程度といわれております。これは早急に、そういう仕事をやらされておった少年全員について精密検査を行なって、本格的な治療を受けさせるべきではないかと思います。その点いかがですか。
  76. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 今回の日本非破壊検査の少年たちは、業務に起因した放射線障害を受けておるものと考えられますので、先生指摘のとおり十分に健康診断を受けさせまして、必要な治療は受けさせるとともに、過去の治療等につきましても、これは業務上であるということでございますので、労災の補償を適正に実施するようにいたしたいと考えております。
  77. 矢山有作

    矢山有作君 労災の適用はあるでしょうが、一体どこの責任で、どこの病院で治療をさせますか。
  78. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) まだ、病院までは考えておりませんが、よく本人に連絡しまして……。
  79. 矢山有作

    矢山有作君 ちょっと待って。病院というのはたまたまあとからつけたことばだけれども、労災の適用になるというととははっきりわかっておるけれども、保険関係がどうなっておるかというのはまだつかめてないでしょう。つかめていますか。そしてまた雇用関係もきわめてあいまいなようでありますから、それを念頭に置きながら答えてください。
  80. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 確かにおっしゃるように雇用関係の所在等があいまいではございますけれども、こういう危険有害業務は、現在ではすべて労災の強制適用事業場になっておりますので、いずれの事業場従業員と認定されました場合にも、労災の適用はあるわけでございます。したがいまして、労災の保険から業務上としての補償が出ることは当然である、かように考えておりますので、医療機関等の選定は、本人の医師選択の自由もございますので、十分に実情に即した措置をとりたいと存じます。
  81. 矢山有作

    矢山有作君 そこで次に、私は今回のこの事件の場合は、民事上の損害賠償責任が起こってくる可能性があると思います。ところが、問題はこれらの人々が未成年者ですから、一体どういうふうにこれを民事上の損害賠償の問題として処理していくかということが問題だろうと思うのです。つまり、子供であるだけにやり方がわからないという問題があると思うのです。そこらの辺でどういうふうにお考えになりますか。これは法務省を呼んでおいて聞くのがよかったかもしれませんが、基準局長の見解を伺っておきたい。
  82. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 民事上の請求、それは特に訴訟になるような場合ですと、そこまでは直接の基準監督機関の所掌ではございませんけれども、業務上の災害にあわれた方ということで十分に親切に御相談に乗りまして、しかるべくよく本人たちとお話し合いをして、適切な処置がとられるように指導してまいりたいと考えております。
  83. 矢山有作

    矢山有作君 それはなぜこう言うかといいますと、私はこれは民事上の不法行為による損害賠償責任発生するだろうと、こういうふうに推察しているわけです。そこで、子供でありますだけに訴訟提起の問題をよく知らぬと思います。したがって、しっかりした親権者がおっていく場合、それはそれなりに解決することができるかもしれませんが、しかしそうでない場合はいろいろ問題があるだろうと思いますから、出先の労働基準監督署を通じて積極的にこういった問題も、相談があるなしにかかわらず、助言をしてやっていただきたい、こういうふうに思うわけです。民事上の訴訟提起の問題はあなたの直接の担当ではないけれども、一応この少年の救済の問題として取り上げておきたいと思います。  以上で時間もまいりましたから私の質疑は終わりますけれども、ただ、私が申し上げたいのは、こういう重大な事故が今後絶滅されるように十分それぞれの関係機関で対策を講じていただきたい、このことを再度申し上げておきまして、質問を終わりたいと思います。
  84. 小平芳平

    ○小平芳平君 島根県津和野町の旧笹ケ谷鉱山の砒素による健康被害、それからまた環境汚染、この笹ケ谷鉱山の健康被害については五月四日、砒素による健康被害検討委員会から環境庁長官に対して、十二人の被害者が発見されたという報告が出されたということを新聞報道で知りました。先週、私は直接津和野町へ行きまして、被害者の方あるいは町当局等の関係者からいろいろ意見をお聞きし、また現地も調査してみました。これらに基づいて、きょうは環境庁並びに関係官庁に質問をいたしたいと考えます。  まず十二人の砒素による健康被害者が発見されたということについて、環境庁としては、地域指定をする、また具体的には公害被害者としての認定が行なわれるという、それらの段取りの見通しについてお尋ねをしたい。  また、この十二人の方の中には、元従業員と、それから一般環境による被害者と区分されているようにも報道されておりますが、この辺についてお尋ねをしたい。
  85. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) ただいま先生おっしゃいましたように、四十七年度、四十八年度二カ年にわたりまして島根県が健康調査しました結果、十二名の方が慢性砒素中毒と思われる患者ということで報告されております。そのほかに、疑いがある者あるいは経過観察すべき者、こういう者が数名報告されておりますが、こういう報告を受けまして、環境庁では、ただいま先生指摘の検討委員会を設けまして去年の十一月から検討を続けてまいったわけでございます。それで最終報告がこの五月四日にまとまりまして、環境汚染と健康被害ということを認めますとともに、認定に必要な要件として神経症状を加えるということ、あるいは認定に必要な検査項目につきましても追加するということが行なわれたわけであります。  私どもとしましては、現在健康被害補償法がまだ施行されておりませんが、健康被害救済特別措置法によりまして、早急に地域指定及び疾病指定をしていきたいと思っているわけでございます。当然、現在の法律で指定されまして、それに基づきまして審査会に患者から申請がなされまして知事が認定をしますと、認定されました患者は新しい法律によります認定患者ということにみなされますので、新しい制度に移りかわる、こういうことになるわけでございます。  なお、ただいまの十二名の方々の中には、七名の方が職業歴があるということになっております。
  86. 小平芳平

    ○小平芳平君 いま城戸局長の御答弁だと、砒素中毒と思われる者十二名の県から報告があったということ、それは私のほうでもそのように受けとめておりますが、疑いのある者、それから要観察者は合計三十名になっておりませんか。
  87. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 疑いのある者が六名でございまして、経過観察すべき者が二十三名でございます。先ほどの十二名と合わせますと四十一名ということでございます。
  88. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうすると城戸局長の言われるのと一人違いますけれども、中毒の疑いのある者六名、要観察者二十四名、合計三十名ということにはなっておりませんか。
  89. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 一名違っている点につきましては、後ほど調べましてお答え申し上げます。
  90. 小平芳平

    ○小平芳平君 ではそれはそれとしまして、現地で一番心配していることは、健康被害補償法に移行した場合にどうなるか、それは当然救済特別措置法から補償法に移行するという城戸局長の御答弁で、それで了解できますが、企業負担がどうなるか。補償法は企業が負担することを前提にして法律ができている。それでこの笹ケ谷鉱山の場合、負担する企業が確定できなければその給付もおくれるのではなかろうかということを心配しておりましたが、この点についていかがですか。
  91. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 先ほど申し上げましたように、新法が施行されましたら、それまでに知事が認定しました患者は当然新法に移行するわけでございまして、ただ新法に移行しました場合、その裏づけとなります費用につきましては、特定賦課金ということで関係の原因者から徴収することになっているわけでございます。ただ、現在の特別措置法ではそこまでの措置になっていないということは、先生承知のとおりでございますので、私どもとしましては、そういう負担の関係関係なしに指定の仕事は進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。なお、今後その特定賦課金を徴収するための必要なる調査につきましては、原因者の特定のため、通産省とも協力して現在やっておる段階でございまして、給付がそのためにおくれる、あるいは指定がおくれる、そういうことはないということを御承知いただきたいと思います。
  92. 小平芳平

    ○小平芳平君 これはあとで労働省にお尋ねするのですが、すでに労働省では労災の認定をした二名の元従業員がおります。労災に認定したということ自体、その企業が確定しているということであります。私たちが現地で調べてみた範囲でも、およそこれこれの時期に従業員であったという方が現在被害者として浮かび上がってきております。したがって環境庁としても、そういう企業が確定される、されないは関係なく給付は開始し継続するということで、それはそれでけっこうですが、およその責任企業についても見当がつくのではなかろうかと思いますが、いかがですか。
  93. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 笹ケ谷鉱山でございますが、およそ七百年前ごろから採掘されておりまして、本格的には明治以降だと、こういうことでございます。明治から昭和の初めにかけましてが堀藤十郎さん、それから昭和十年から二十五年までが日本鉱業が亜砒酸などを生産しておりまして、その後鉱業権が転々と移って、吉岡鉱業が最終的な鉱業権者ということで四十六年十月二十三日に鉱業権が消滅する。これが実態でございます。したがって、今回の健康被害は砒素による環境汚染によるものでございますから、亜砒酸の主たる生産者でございますただいま申し上げました二者が、主たる原因者である可能性は非常に強いと思っております。  ただ、この健康被害補償法によります特定賦課金の納付義務者ということで確定しますためには、たとえば特定施設を設置しているとか、いろいろな今後裏づけるべき問題があるわけでございます。その他の関連の排出者がどうかということもございますから、一そう今後その辺の調査を進めてまいりたい、こう思っておるわけでございます。
  94. 小平芳平

    ○小平芳平君 ちょっといま聞き取れなかったのですが、二者ですか。いまあげた二者というと、どことどこですか。
  95. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 堀藤十郎氏及び日本鉱業、この二者が、従来の亜砒酸を生産していた非常に主要なる方であるという意味で原因者の一番主たるものであろう、こういう意味でございます。
  96. 小平芳平

    ○小平芳平君 それからもう一つ地元で一番気になっていることは、おそらくお役人の考えというものは法律的ですから、元従業員は労災で補償すべきものである、環境被害はまた別の問題として、公害健康被害補償法で補償していくということになるであろうと。そういうことになると、元従業員だといっても、ほんの一、二年分人もあれば、十年二十年の人もある。あるいは強烈な砒素焼きがまの中で働いた人もあれば、それでない人もある。そういういろいろなケースがあるのですから、元従業員だからといって公害認定からはずされるということは非常に困るという強い要望がありましたが、この点については環境庁はいかがですか。
  97. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) この問題は、御承知のとおり原則としましては業務災害によるものは労災法、それから一般の環境汚染によるものは私ども関係法律と、こういうことがたてまえであることは当然でございますが、したがいましてまた、労働省災害に関連して私ども一般環境汚染もあるという場合はこれはあるといたしましても、全く環境汚染に触れる機会のないような方、たとえばそういう職場で働いていた方で全く今度いたします線引きの範囲内に居住その他の経歴がないような方、これは問題がまた違うということも当然でございますが、その両者の間の運営につきましては、その間に漏れが生じないように労働省とも相談をしてやっていきたい、そう思っておるわけでございます。
  98. 小平芳平

    ○小平芳平君 したがいまして、汚染地域というものが指定になりますと、その汚染地域内に住んでいた人に対しては、その方が元従業員であるかないかは関係なく公害被害者として認定します、特に元従業員として労働省のほうが労災認定した人だけは省きますけれども、そうでない限り従業員歴のある、ないということは絶対条件ではなくて、要するに汚染地域内に長年住んでいたということを条件にして認定します、このように受け取ってよろしいわけですね。
  99. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) これは御承知のように、職場におきます汚染の機会と一般環境におきます環境汚染の機会というのは、いろいろな意味合いにおきまして、職場における汚染物質との接触の機会のほらが非常に危険が大きいわけでございますから、通常は当然業務災害として労災法のほらで認定される。したがって、それはそれとしまして、残りのほらを一般環境汚染で認定するという場合が多いわけでございますが、ただ、先生指摘のように、私ども考え方としましては、労災で認定されない、しかし職場におったというために、それを対象からはずすということはいたしません。それだけはお約束申し上げたいと思います。
  100. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、これは環境庁にお尋ねすることはちょっと無理かもしれませんが、たとえば第四の公害病として報道されたように、あなたは砒素による健康被害者であると認定された場合に、認定してくれるのだから、地元としては、砒素の健康被害を治療するための専門病院あるいは治療のための研究機関、そういうものが当然持たれるのではないですかということですが、これはいかがですか。
  101. 竹中浩治

    説明員(竹中浩治君) ただいま御質問の患者さんの治療ないしは治療の研究、そういった関連の問題かと思うのですけれども一つは、地元に私ども聞いております範囲では、たしか二カ所診療機関が、診療所だと思いますけれども、あると伺っております。その二つの診療機関、それから、できればその周囲の診療機関も御協力をいただきまして、できるだけ地域の患者さんの診療に万全を尽くすようにしたい。  それから治療法そのものの研究等でございますけれども、私どもこれを機会に砒素の健康被害の問題につきまして、今年度から新たに研究班をつくりたいと思っておりまして、その研究班の研究内容の一部として治療法の研究をもお願いをできたら、こんなふうに考えているわけでございます。
  102. 小平芳平

    ○小平芳平君 三木長官、第四の公害病として大きく問題提起されているこの問題につきまして、いまの政府委員の御答弁によりまして、公害認定を事務的に進めるとともに、原因者が確定するしないにかかわらず給付を開始するということで私は了解いたしますが、一番大事なことは、給付を受けることはそれで国が補償に一歩前進するということになるわけですが、専門的な治療の研究ですね、これが非常に問題なんですが、これは法律制度からいうと厚生省その他の関係も出てくると思いますが、ひとつ長官として強くこの点を進めていただきたい。
  103. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 給付のほうは、いま言ったようなことで除外されることのないようにいたします。  治療のほうは、この問題については厚生省と十分打ち合わせをいたしまして、何かこれに対しての治療対策というものも考えることにいたしたいと考えております。
  104. 小平芳平

    ○小平芳平君 次に、いまお聞きのように、労働省が労災認定すれば、そうした場合は公害救済からはずされてしまうわけです。ところが、労働省の労災認定は四十八年一月九日、二名の元従業員を職業上と認定いたしましたが、同じく四十八年五月二日には、あなたに対する補償は五万円ですといって、五万円で五月二日に打ち切っているのです。そうしますと、公害認定を受けた人はいろいろ補償法によっての補償が継続いたしますが、元従業員であった方はわずか五万円で補償打ち切りというのは、いかにもおかしいと思いませんか。
  105. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 労災の適用労働者でございまして、本人の申請があって、それが業務上の疾病と認定されました場合には、労災現行法に基づいて必要な補償を行なうことになるわけでございますが、私ども聞いておりますところによりますと、いままで認定をいたしました二人の方につきましては、療養をされたという過去の実績がございますればもちろん療養費は全額さかのぼって労災が見るわけでございますが、そういうような実績もなく、現在また、療養を要するという状況でもなく、ただ砒素中毒による鼻中隔せん孔等の障害がいま残っておられるという状況でございまして、そういたしますと、労災保険法の定めるところによりますと、その障害が何等級に当たるかということによりまして所要の障害補償費が支給される。その方々につきましては十四級の障害に該当するというふうに認定をされましたので、それに基づきまして、現在の法律に基づいて障害補償費の請求がなされておる、かように承知をいたしておるところでございます。
  106. 小平芳平

    ○小平芳平君 それは局長、去年の五月の段階承知をしている話であって、その後鳥取大学の研究調査、研究診断、それが県を経て環境庁に提出され、環境庁では十二人の砒素による被害者がいまいるという結論を出したわけです。地元の方は、十二人の中になぜこの労災認定された二人が入っていないかということが非常に疑問なんです。ですから、労働省法律に基づいて五万円ときめたと言いますが、それはそのときまでに出した健康被害の結論であって、もう一ぺん健康被害の結論を、今度は環境庁のほうで専門家が集まって健康被害者が十二人いるというのですから、現在の被害者がいるというのですよ、鼻中隔だけじゃないですよ。そういう点どうですか、もう一ぺん検討するということはできないのですか。
  107. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) もちろん労災は、一ぺん治癒いたしましても再発ということもあり得るわけでございまして、いまなお療養を要する状態であるということであれば、一ぺん障害補償を支給いたしました方にも療養費を、療養の補償をするということは可能でございますし、行なわれ得ることでございますので、それらの方々を検討いたしまして、現在の段階においてなお療養を必要とされる状態にあるということであれば、法律の定めるところに従いまして療養補償費その他の補償を行なうようにいたしたいと存じます。
  108. 小平芳平

    ○小平芳平君 よく環境庁から聞いてください。第一に砒素中毒と思われる者十二名、その中に元従業員がたくさん入っているのです。それから第二には砒素中毒症の疑いある者、それから第三には要観察者というふうに立て分けて研究報告がなされているわけですから。ですから、むしろ五万円で打ち切られるのだったら労災補償なんか要らないと言うんですよ。そんな二十年、三十年の苦しみがわずか五万円、しかも砒素中毒と思われる人の中にも要観察者の中にも元従業員がいる。そういう点は医学的に、環境庁のほうの専門家と労働省のほうの専門家ともう少し歩み寄りができないのですか。それが一つ。  それからもう一つは、企業が責任をとるべきなんですね、企業が。それはどうですか。
  109. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 現在の疾病の状態等につきましては、さらに環境庁のほうで御検討になりましたことともあわせまして、いまの状態がどうであるか、検討をしてみたいと存じます。  それから責任の問題につきましては、労災保険に加入いたしておりますと、保険から出るべきものは、これは使用者の基準法の災害補償責任にかわって保険が支出するわけでございますから、保険が支出いたしますれば、その限度におきましては労働基準法の使用責任ということは免除になります。これは法律上の規定に基づいてそうなるわけでございます。ただ、労災保険から災害補償がなされたといたしましても、それを越えるもし民事責任ありとすれば、これを越える部分につきまして民事上の請求をされることまで排除するものではございませんので、それにつきましては直接使用者との民事上の責任の有無の問題になる、かように考えるわけでございます。
  110. 小平芳平

    ○小平芳平君 局長、そうじゃないですよ。一つは労災法に基づく、それはそれで一つよろしいです。それから民事上の問題、それもそれでまた一つの考えです。もう一つ私がいま企業が責任をとるべきだと言いましたことは、そういう法律問題じゃなくて、労働省のよく言う行政指導ですよ、行政指導、すでに土呂久あるいは松尾等において労働省がやってきたでしょう。そのことをやるべきだというのですが、いかがですか。
  111. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) そういう問題につきまして、当時の使用者と元労働者との間に労災補償を越えます問題につきましていろいろトラブルがありますような場合には、従来とも労働省は両者の円満なお話し合いを促進するよう、いろいろな行政指導をいたしておりますので、今回の場合も、労災保険の補償を受けられました方につきましてそういう問題があれば、同様に処置をいたしたいと考えております。
  112. 小平芳平

    ○小平芳平君 局長は詳しく御存じないか、あるいは御存じか、土呂久、松尾に対して労働省がどう指導し、企業がどうそれに応じて話がついたかということは、それはいかがですか。それと同じことを笹ケ谷でもなすべきではありませんかと言っているのです。
  113. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 土呂久、松尾も同じような砒素の問題でございましたので、同じようにいたしたいと存じます。
  114. 小平芳平

    ○小平芳平君 土呂久は住友金属でしたか、それから松尾は日本鉱業でしたか、そうすると、この笹ケ谷はどこだと思いますか。
  115. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 私の記憶しているところでは、土呂久が日本鉱業で、松尾が住友ではなかったかと記憶いたしております。  今回の場合は、労災の適用を受けることになった方々は、日本鉱業の従業員であったというふうに承知をいたしております。
  116. 小平芳平

    ○小平芳平君 私もあるいは逆に申し上げたかもしれません。しかし、いま土呂久、松尾を問題としているわけではございません。したがいまして、私が申し上げたかったことは、日本鉱業はすでにそういう先例があるわけですから、ですから企業としても、社内補償とかいっておりましたですが、そういう先例に従って、九州と同じように笹ケ谷も処理してほしいということを行政指導していただきたい。いかがですか。
  117. 渡邊健二

    政府委員渡邊健二君) 同じ日本鉱業の鉱山で土呂久と今度の笹ケ谷でございますから、同じように指導をいたしたいと存じます。
  118. 小平芳平

    ○小平芳平君 次は労働省に特にお願いしておきたいことは、労災認定するならするで急いでほしいということ。それから労災認定したからには、先ほど申しますような、企業にも行政指導してほしいという点です。それは基準局長お聞きのように、環境庁としては、はっきりこの人は職業上だと認定すれば、その人は環境汚染の被害者として認定できないと言っているわけですから、そういう人を早く、あるならあるできめてほしいということをお願いしておきます。  次に農地の被害につきまして農林省から。農林省は、私がこの問題を国会で初めて取り上げたときは、試験田を設けていま試験中だということで終わっちゃっていたのですが、その後どうなりましたか、簡単に結論を。
  119. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 農林省といたしましては、島根県に委託をしまして、昭和四十六年から四十八年まで対策試験を行なってきております。その内容は、非常に砒素の濃度の高いところに排土客土をする。それから客土を五センチ、十センチ、二十センチ、三十センチというような区を設けまして、それぞれの水稲の収量、土壌中の砒素の含有量を分析調査をいたしております。  現在のところ、非常に砒素の濃度の高い試験区、たとえば土壌中の濃度が砒素含有量二三六PPMというような試験区では、いわゆる対照区といいますか、普通の含有量の高いところの収量に比べまして、客土したところが約六割程度の増収になる。それからたとえば二八PPM程度の土壌中の含有量のところでは、大体増収率が客土をしたところで一五%増収、そういうような形になっておりまして、今後こういう試験データをもとにいたしまして、指定基準がきめられればそれに基づいて所要の調査を行ない、土染法のラインに沿って進めてまいりたい、こういうふうに考えております。
  120. 小平芳平

    ○小平芳平君 そこで、農林省としては試験の結果が判明したと、こういうことですので、砒素は土壌汚染防止法の指定にはいつなりますか。
  121. 遠藤茂

    説明員(遠藤茂君) 砒素の指定につきましては現在検討中でございます。と申しますのは、四十八年度の成績を入れました全国一本の基準をつくりたいということで、若干作業がおくれておりますけれども、現在取りまとめ中でございますので、近く公害対策審議会の土壌部会にかけまして、きめていただくという方向で努力いたしております。
  122. 小平芳平

    ○小平芳平君 そういうことではたいへん困るのです。私が国会で問題提起してからももう何年にもなるし、農林省が四十六年からそういう試験田をつくって研究をして、もう研究結果が農林省は出ているというのですが、環境庁では何かがおくれてまだ指定になっていないということでは困るのですが、それはいつごろ指定することが可能ですか。
  123. 遠藤茂

    説明員(遠藤茂君) 土壌汚染防止法の指定につきましては、細密調査を行ないまして、指定基準に該当するかどうかというようなことを見るわけでございますが、そういう意味調査がおそらくことしの秋の土壌と米というものを調べてきめるということになりますのですが、したがって本年度中には、とにかくたとえば笹ケ谷につきましても指定ができるようにという目標で、それに間に合うように基準のほうも設定をしてまいりたいというふうに努力をしております。
  124. 小平芳平

    ○小平芳平君 今年度中ですか。四十九年度中ですか。
  125. 遠藤茂

    説明員(遠藤茂君) はい。四十九年度中には指定をするように、それにまた間に合うように基準をつくっていきたいというふうに考えております。
  126. 小平芳平

    ○小平芳平君 農林省は先ほど、排土客土をした汚染のはなはだしいところでは、六割増収になったと言われましたか。その資料をあとでいただきたいのですが。
  127. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) はい。
  128. 小平芳平

    ○小平芳平君 何割増収になったと言われましたか。
  129. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 土壌中の砒素の含有量が二三六PPMのところで、約六割の増収でございます。
  130. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁長官、そういうように砒素による高濃度汚染地区があるわけです。その地区が、しかもこの津和野町というところは山陰の京都とかいわれまして、非常に狭い地域なんです。全体として狭い地域。その狭い地域で、お米のとれるたんぼはそう広くないわけです。その平地のたんぼで、しかもそういう高濃度汚染があるのです。その高濃度汚染地域は、土壌の入れかえをやれば六割増収になるというのですから、現実には六割損していることになるわけですね。ですから、これは砒素の指定を少しでも早くやって、次の作業にかかっていただきたい。いかがです。
  131. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) いまのお話を聞いておりましても、六割増産ですから、いま御指摘のような耕地面積の狭いところでそういうのですから、どういう方法がありますか、とにかくこれは促進をいたすことにいたします。そらして農家の人々たちが安心してお米がつくれるようにいたします。
  132. 小平芳平

    ○小平芳平君 もう、きわめて促進をしていただきたい。  次に、砒素が土染法の指定になった場合に、排土客土をやるという計画が立てられる。ここでまた費用負担の問題が起きるのですが、この企業の費用負担については、先ほどの健康の場合はその企業が確定するまでもなく給付を開始するという御答弁でありましたので、この土染法の土壌改良の事業も、企業が確定するしないは別としてその事業は開始できる、また開始するというふうに理解してよろしいですか。
  133. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 私先ほど申し上げましたのは、現在の健康被害救済特別措置法と新しい補償法との関係におきまして、新法ではむしろ特定するということを前提の仕組みになっておりますけれども、現在の救済特別措置法ですべり出すわけでございますから、その辺は先の九月時点までにいろいろ考えるとしまして、特定しなくても、政令をきめました上ですべて運ぶようにしていきたい、こう申し上げたわけでございます。  ただ、いまの土壌改良のことになりますと、これは当然費用関係公害防止事業費事業者負担法によるわけでございまして、この場合には、原則としましては施行者、通常自治体になるわけでございますが、費用負担計画を定めると、そこで費用負担の総額がきまってきまして、それを各原因者に割り振っていく、こういう仕組みになっているわけでございまして、それを前提としまして国の補助あるいは地方の負担部分がきまってくるわけでございまして、すべり出しを先にしまして、あとで費用負担計画を追っかけやっていくということは、技術的にも非常にむずかしいのじゃないか、こう思っております。
  134. 小平芳平

    ○小平芳平君 そうすると、廃鉱のような場合、費用負担がわからない場合は土壌汚染防止法は活動しないということですか、適用されないということですか。
  135. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 私が申し上げましたのは、原因者が負担すべき金額がどの部分であるかということがきまらないという場合にできないということでございまして、その原因者負担分が二者で負うか、あるいは三者で負うか、こういう点は確定しなくても事業にかかれる、こういうことでございますから、ちょっとその辺訂正させていただきます。
  136. 小平芳平

    ○小平芳平君 それでは、要するにこの津和野町の場合は、原因者負担が二者であるか三者であるかはわかりませんが、今後の検討に待ちますが、土壌改良事業の計画ができたら、そのためにおくれるということはない、こう理解してよろしいですか。
  137. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) そういうときには遅滞なく工事は行なえるようにいたします。   〔委員長退席、理事矢山有作君着席〕
  138. 小平芳平

    ○小平芳平君 三木長官のそれを信じまして、地元の人にも安心するようにお伝えします。  それから今度は過去の農作物の減収の補償、これも六割増収になるというほどの被害がいま発生している。しかし、この地域で農作物の被害が訴え始められたのは、もう何十年前からです。それで昭和二十六、七年ごろ、いよいよ砒素による減収が続いて、そこでため池なんかをつくって一応鉱毒防止につとめたというようないろいろな経過をたどってきております。こうした過去の農作物の減収分の補償、これはどうなりますか。
  139. 工藤健一

    説明員(工藤健一君) 先生から御指摘ございましたのでいろいろ調べてみたわけでございますが、非常にむずかしゅうございます。  一つは、御存じのように渡良瀬川の減収等の補償が、四十九年、ことしの五月十一日に公害等調整委員会の調停によりまして成立をいたしているように聞いておりますが、その調停案の農作物の減収は、金額はちょっとわかりませんですけれども昭和二十七年から四十六年までの二十年間の水稲、小麦等の農作物の減収を計上しているようでございます。それと公害防止対策事業費とか、それからいままでの汚染によりますいわゆる農業技術の停滞と申しましょうか、新しい農業技術を採用できなかったというようなこと全体を含めまして、御存じのように十五億五千万円ということに相なっているようでございます。   〔理事矢山有作君退席、委員長着席〕
  140. 小平芳平

    ○小平芳平君 環境庁長官、渡良瀬川の場合は古河という企業が確定しているものですから、そういう過去の補償が締結されるという段階を迎えておりますが、この津和野町の場合、またそこでどこへ要求するかということが問題になるわけです。一般的に国と企業、国が許可をし国が監督をして鉱山活動を行なった、その国と企業が過去の農作物の補償もすべきだという強い要求がありますが、長官いかがですか。
  141. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) やはり汚染者負担の原則というものは、あまり簡単にくずしてはいけぬと思うのです。くずしますと、これはもう取りとめのない、全部国が責任を負うというようなことにルーズになってもいけませんから、これはやっぱりこの原則は貫きたい。しかし、いまのように実際につぶれてしまって、そういう場合に、土地の改良をやるのにいつまでもこれが片づかないためにできないといったら、農家の人たちにも気の毒ですから、そういうものは公共事業でやるという方法を当然に考えるべきだと私は思うのです。そういう方向で考えていきたい。しかし、それは原則をくずすものではない、こういうたてまえをとらざるを得ないと思うのです。
  142. 小平芳平

    ○小平芳平君 私もまさしく加害者負担ということは、全く長官の御発言のとおりと思います。現在稼行している鉱山でないだけに非常にむずかしい点があるわけですが、その点またなお私たちも研究していきたいと思います。  最後に、時間になりますので、どんなに土壌の入れかえ工事をやっても、その流れ出すもとがあるわけです。いまなお荒涼たる廃鉱のあとがありまして、そこにズリ、カラミ等が山ほど積まれている。これを処理できないことには、せっかく土壌の入れかえをやったところでまた同じことになってしまう。これはいかがですか。
  143. 江口裕通

    政府委員(江口裕通君) いま御指摘の点は、いわゆる鉱害汚染源が堆積しております山元に対する鉱害防止対策あるいは防止工事の問題かと考えるわけでございますが、現在それに対しましては、笹ケ谷鉱山に対する鉱害防止対策というものを実施中でございます。  具体的に申しますと、鉱業権の消滅いたしましたときの最終鉱業権者でございます吉岡鉱業というのがございますが、それの吉岡鉱業の実施にかかります鉱害防止工事につきましては、鉱業権消滅後も鋭意立ち入り検査監督をいたしました結果、現在必要な指示を行なっておりまして、鉱害防止工事を実施いたさせ、かつ終了しております。中身といたしましては、鉱口の閉塞、あるいは堆積場の導水路の設置でございますとか、堤の上の部分を補強いたしますとか、あるいは覆土植栽、沈でん池のせきどめというようなことを内容として、これはもう完了をいたしておるわけでございます。  それ以外、義務者が現在存在しておりません部分につきましては、いわゆる休廃止鉱山の鉱害防止工事費補助金制度を活用いたしまして、現在島根県が事業主体となって工事を実施中でございます。  これは具体的に申しますと、四十七年度は航空写真あるいは現場測量ということをいたしましたが、現実に四十八年度から工事に着手いたしまして、四十八年度におきましては、製錬所あとの処理、あるいは水が入ってまいりませんように遮水壁をつくる、それからその水を山腹水路に引いて、そして下流に流すというようなこと、それからいろいろな炉その他ズリの埋め込み工事をいたしております。これは若干雪の関係で遅延をいたしておりますが、四十九年の六月には、四十八年度分が一応完成する予定でございます。それから四十九年度につきましては、それ以降の工事、これも大体同じような種類の工事になりますけれども、やや地区も広めましてやるということで、総額といたしましては五億程度のものの工事が行なわれておる、こういう状況でございます。
  144. 小平芳平

    ○小平芳平君 この点については時間もありませんので、また私はそうした技術的なことは技術者ではありませんので、私はもっと具体的に計画を教えてもらってきたのですが、どうも他の廃鉱でやっている防止工事と比べてみて、はたしてこれだけの大きな廃鉱が、いま県で計画しているような計画でほんとうにこれからあと砒素が流れ出すということがなくなるのかどらか、きわめて私は疑問に思っているのですが、それは私なりのしろうとの疑問といたします。  三木長官、私はかつてこの委員会で、廃鉱の処理について国がもっと経費も負担して強力に進めてほしいということを強く要請したことがありましたが、これは全国に数も多いことでもあり、また通産省も、地方通産局も限度のあることでありますので、ひとつ政府として強く取り組んでいただきたい。この点についての御所見を承って終わります。
  145. 三木武夫

    国務大臣(三木武夫君) 廃鉱になったところは、実際において地元の人たちをどのようにして被害を救済するかという方法がございませんからね、そういうことで、これは政府が責任を持つべきだと私は思います。この場合にはやはり通産省を通じてやることが必要なんで、いま補助金を出しておるわけですけれども、その補助金をもっと積極的に出すという形において、いまおっしゃるような御趣旨に沿うていきたいという考えでございます。
  146. 城戸謙次

    政府委員(城戸謙次君) 先ほど先生からおっしゃいました数字と私が申し上げました数字が違っておりましたが、いま県に調査しましたところ、四十七年、四十八年度の健康調査の結果、疑いがある、経過観察すべき者の数は、先生がおっしゃいました二十四名が正しくて、私のほうが一名少なくなっておりましたので、二十四名と訂正させていただきます。
  147. 森中守義

    委員長森中守義君) 本件に対する本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後四時五十七分散会