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国務大臣(
森山欽司君)
アイソトープの
障害防止に関する
法律は、
科学技術庁所掌の
法律でございまして、今回の
事件につきましても、そういう
意味で総括的な
責任官庁になっております。しかし、申すまでもないことでございまするが、
労働者の
労働基準あるいは
安全衛生という事柄は
労働省の
仕事に属しておるわけでございまして、その
労働者の
安全衛生というようなことにつきましては、これは
労働省が主役で、私
どもはわき役というようなかっこうになる。しかし、だからといって私
どもの
責任がそれで軽減されるわけではないことは申すまでもございません。しかし
全国的に
労働省は各県に
労働基準局を持ち、各
地方に
労働基準監督署を持っておりますが、
科学技術庁は
地方組織は原則的にゼロというようなことになっておりまして、なかなか
実情把握については十分な
体制にないわけでございます。
そこで、今回の
事件についてのみならず、
一般的な問題といたしまして、この機会に抜本的に
対策を講じなければならないというふうに考えておりまして、
現状が
事業場等合わせて三千をこえる数がございますし、これに対しまする
許可あるいは
届け出等は
年間六、七千に相なろうかと思っております。それを現在、
科学技術庁の中の
一つの課で十数人の
人間でこれを
処理していくということは、もう整理するだけでおそらく
手一ぱいであって、内容について一々
処理するということは、
科学技術庁の
現状から申しますと、必ずしもこれは十分ではないような
状況になっておるわけでございます。そういうことでありますから、これに対処する
対策をこれから講じていかなければならぬというふうに考えておる次第でございます。
そこで今回の事例にかんがみまして、まずあすかあさって、この
一両日中に全
事業者に対しまして、こちらのほうから
実情を調べて、
自主点検をして、これらの問題について
実情がどうなっているかということのアンケートをとるように目下準備中でございます。これは
一両日中に
処理が終わるわけでございまして、この
自主点検の
調査の結果によりまして、今後の
措置を
一つは講じてまいりたいというふうに考えております。
それからもう
一つは、
全国的に三千以上のもの、これは一度にただ
一つの
中央の一セクションで
処理するにはあまりにも膨大でございますから、これを職域とか
業種別あるいは
地域別にそれぞれ
組織化をいたしまして、
組織化をいたした形においてもう少し
実態把握につとめてまいりたいというふうに考えておる次第でございます。
しかし、そういうことをやるにつきましても、
科学技術庁だけで独走することは
法律上も許されませんので、
先ほども申し上げましたように、
労働安全衛生という面からは
労働省が
法律上の
権限も持ち、かつ大きな
組織を持っておりますから、
労働省のほうとも御相談しなければなりません。それからまた
厚生省、あるいは
大学関係では文部省、
関係官庁との横の
連絡を十分にしなければなりませんので、これらの問題につきましては、
事件が起きましてから個別に折衝を重ねますとともに、きのう各省の
局長クラスで相談をいたしまして、それぞれの
立場で
連携を密にして今後
処理をいたそうということにいたしておる次第でございます。
なお
科学技術庁といたしましては、
先ほども申し上げましたように、
アイソトープの利用というものが近来非常に数が多くなり多方面にわたっておりますのに、昔ながらの
体制でやっていくということに非常に無理が伴います。実は
昭和四十年ごろに二回ほど、
地方の
都道府県に
権限を委譲しようという案を出したことがあるのでございますが、ものにならなかった。それは十年近く前のことだといわれますが、実はこの
昭和四十九年度の
予算要求につきましても、
地方委譲ということで
予算要求いたしましたが、これが認められなかったのでございます。
そこで私
どもといたしましては、五十年度におきましては、当面の
処理は
先ほど来申したことでございますが、とても
中央で十数人の
人間でこれを
処理するということは技術的に無理でございますから、そういうことを考えまして、
地方にこれを広い
意味で
権限を委譲する。ただ、
やり方は二つあると思います。
一つは現在の
都道府県に委譲するという
やり方と、それから現在
水戸原子力事務所あるいは
福井原子力の
調整官事務所というような制度がございますから、そういうような形において
科学技術庁の出先をつくって、そこでやっていくという
やり方もあるかと思いますが、それはいずれにしても
予算を伴うことでもございますから、
行政の能率と
予算との
関係をかね合わせまして、
昭和四十年早々に二回、四十九年度、今年度の
予算で要求いたしました実績を踏まえまして、来年度はこれについて抜本的な
体制を整備をいたしたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
一般論としては、ただいま申し上げましたようなことで
措置をし、また、ただいま御
質疑がございました面につきましては、私
どもの
政府委員からも話がありましたように、また
労働省の
基準局長からも話がありましたように、現在の
段階においてさらに
個別的実情の
調査を進めてまいりたい、そういう
考え方でございます。