○沓脱タケ子君 私は、
日本共産党を代表して、
大気汚染防止法の一部を
改正する
法律案に対するわが党の修正案
提案理由と、その
概要を説明いたします。
わが党は、
現行の
大気汚染防止法によるいわゆる高煙突拡散方式では、
国民の健康と
生活を守ることは不可能であり、
汚染物質の総排出量をきびしく規制することがどうしても必要であると早くから主張してまいりました。同時に、
現行の
公害対策基
本法をはじめとする
公害関係諸法は不徹底、不十分なものであり、これを抜本的に
改正するよう要求してまいりました。すでに衆議院におきまして、
日本共産党・革新共同が
提案している
公害対策基
本法案、
大気汚染防止法の一部を
改正する
法律案などは、このような考え方に立つものであり、真に
国民の健康と
生活を守るためには、どうしてもこれらの抜本的
改正を実現する必要があると確信しております。
事実、すでに多くの積極的な
地方自治体におきましても、
住民のいのちとくらしを守るために国の法
改正を待つことなく、法を乗り越えて
総量規制に踏み切っているのであります。
今回
政府が
提案した本
改正案は、わが党が提起しているような抜本的
改正案ではなく、
現行の
大気汚染防止法の体系の中での部分的
改正案ではありますが、
総量規制方式の導入をはかるという点では、おくればせながらも一歩前進であると思います。
しかし、本
改正案では、
総量規制方式の重要な点がほとんど政令、総理府令にゆだねられていますので、それをどう定めるかによって規制の実効性に重大な
影響を与えるのであります。
そこでわが党は、
地方自治体が
住民の要求に従って、政令、総理府令に
制約されず、自主的、積極的に
総量規制を推進できるようにここに本修正案を
提出した次第であります。
以下、わが党の修正案の
概要を説明いたします。一、
総量規制を行なう
汚染物質、対象地域は、政
令で定めるとありますが、
汚染物質について
は、
硫黄酸化物、窒素酸化物及びばいじんを法
律で定め、対象地域については
都道府県が条例
で定めることにいたしました。二、対象
工場等の規模、地域の許容
総量及び
総量
規制基準は総理府令で定めるところにより定め
るとありますが、総理府令の
制約をはずし、都
道府県知事が定めることができるように改めま
した。三、
工場等による使用原料または燃料の
見通し
を、ばい煙
総量削減
計画作成時の勘案要件から
除きました。また、同
計画は政令で定めるとこ
ろにより定めるとなっていますが、これも政令
の
制約をはずし、
都道府県知事が定めることが
できるように改めました。四、ばい煙
総量削減目標は大気
環境基準に照らし
算定するとありますが、これを大気
環境基準が
維持されるために十分なものであるよう算定す
ると改めました。五、
環境庁長官は、ばい煙
総量削減
計画の作成に
関し必要な助言、
勧告をすることができるとあ
りますが、これを大気
汚染の防止のために必要
な場合に限って、助言、
勧告ができると改めま
した。六、新増設されるばい煙発生施設に対しては特別
の
総量規制基準を定めることができるとありま
すが、これを新増設に対する
総量規制基準は大
気
環境基準が維持されるのに十分なものでなけ
ればならないと改め、
環境基準未達成地域にお
ける規制の対象となる大
工場の新増設はできな
いように明確にしました。七、
総量規制基準に違反した場合、違反者には罰
則を科するように新しく
規定しました。八、
総量規制基準に適合しないばい煙が継続して
排出されるおそれがあり、それにより
被害を生
ずると認めるときは改善命令を出すことができ
るとありますが、これを
総量規制基準に適合し
ないばい煙が排出されるおそれがあると認める
ときは改善命令を出すことができるように改め
ました。九、規制対象事業者には、自動連続測定記録の義
務づけを新たに
規定しました。
以上が修正案の
概要でありますが、本
委員会におかれましては、慎重に御
審議の上、すみやかに可決されるようお願いいたしまして、私の
提案理由の説明を終わります。