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1974-04-24 第72回国会 参議院 決算委員会 第10号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十四日(水曜日)    午前十時三分開会     —————————————    委員異動  四月十五日     辞任         補欠選任      中村 利次君     栗林 卓司君  四月十七日     辞任         補欠選任      山田  勇君     野末 和彦君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                 温水 三郎君                 橋本 繁蔵君                 松岡 克由君                 小谷  守君                 中尾 辰義君                 加藤  進君     委 員                 石本  茂君                 河本嘉久蔵君                 世耕 政隆君                 寺下 岩蔵君                 長屋  茂君                 二木 謙吾君                 工藤 良平君                 佐々木静子君                 須原 昭二君                 鈴木  力君                 春日 正一君                 野末 和彦君    国務大臣        文 部 大 臣  奥野 誠亮君        厚 生 大 臣  齋藤 邦吉君        郵 政 大 臣  原田  憲君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 二階堂 進君        国 務 大 臣        (総理府総務長        官)       小坂徳三郎君        国 務 大 臣        (防衛庁長官)  山中 貞則君    政府委員        日本学術会議事        務局長      高富味津雄君        防衛庁参事官   長坂  強君        防衛庁長官官房        長        丸山  昂君        防衛庁経理局長  小田村四郎君        防衛施設庁長官  田代 一正君        防衛施設庁総務        部長       安斉 正邦君        防衛施設庁施設        部長       平井 啓一君        大蔵政務次官   柳田桃太郎君        大蔵大臣官房日        本専売公社監理        官        戸田 嘉徳君        文部省初等中等        教育局長     岩間英太郎君        文部省大学学術        局長       木田  宏君        厚生大臣官房審        議官       三浦 英夫君        厚生省環境衛生        局長       石丸 隆治君        通商産業審議官  森口 八郎君        郵政大臣官房電        気通信監理官   佐野 芳男君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        行政管理庁行政        監察局監察審議        官        川島 鉄男君        法務省人権擁護        局調査課長    加藤 泰也君        外務省国際連合        局外務参事官   野村  豊君        大蔵省証券局企        業財務課長    小幡 俊介君        日本ユネスコ国        内委員会事務局        次長       西宮  一君        通商産業省産業        政策局商務課長  荒尾 保一君        自治省行政局振        興課長      田中 和夫君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第三局長   桜木 拳一君        会計検査院事務        総局第五局長   中村 祐三君        日本専売公社総        裁        木村 秀弘君        日本専売公社営        業本部長     三角 拓平君    参考人        日本学術会議副        会長       野村 平爾君     —————————————   本日の会議に付した案件参考人出席要求に関する件 ○昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和四十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十六  年度政府関係機関決算書(第七十一回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十一回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十一回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十七年度一般会計国庫債務負担行為総調  書(内閣提出) ○昭和四十七年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十七年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その2)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算総則第九条に基づ  く経費増額調書及び経費増額調書内閣提  出、衆議院送付) ○昭和四十七年度特別会計予算総則第十条に基づ  く経費増額調書及び各省庁所管経費増額調  書(その2)(内閣提出衆議院送付) ○昭和四十八年度一般会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その1)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十八年度特別会計予備費使用調書及び  各省庁所管使用調書(その1)(内閣提出、  衆議院送付) ○昭和四十八年度特別会計予算総則第十条に基づ  く経費増額調書及び各省庁所管経費増額調  書(その1)(内閣提出衆議院送付)     —————————————   〔理事小谷守委員長席に着く〕
  2. 小谷守

    理事小谷守君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る四月十五日、中村利次君が委員辞任され、その補欠として栗林卓司君が、また、去る十七日、山田勇君が委員辞任され、その補欠として野末和彦君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 小谷守

    理事小谷守君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  昭和四十六年度決算外二件の審査中、ユネスコの第十八回総会に向けての科学者地位に関する勧告について、本日、日本学術会議会長野平爾君の出席を求め、その意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 小谷守

    理事小谷守君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  5. 小谷守

    理事小谷守君) 次に、昭和四十六年度決算外二件中、本日は締めくくり総括質疑第一回及び昭和四十七年度一般会計国庫債務負担行為総調書、昭和四十七年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その2)外三件、昭和四十八年度一般会計予備費使用調書及び各省庁所管使用調書(その一)外二件、以上八件を便宜一括して議題とし、質疑を行ないます。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 須原昭二

    須原昭二君 私は、ただいま愛知県の刈谷市にあります依佐美通信所についてお尋ねをいたしたいと、こう思います。この依佐美通信所愛知県下におきましては唯一のアメリカ軍事基地でありますが、これは地位協定第六条に基づ借り上げ提供施設であると私は承知しておりますが、確認のためにお尋ねをいたしますが、それに相違ございませんか。
  7. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 依佐美通信施設安保条約六条に基づ地位協定の二条1項に基づきますところの米軍に対するところの提供施設でございます。
  8. 須原昭二

    須原昭二君 そういう立場からきょうは御質問を申し上げるわけですが、このアメリカの依佐美通信基地提供面積は、私の調べによりますと百九十八万三千六百平米。この広大な土地に高さ二百五十メートルのアンテナ鉄塔が八基、四百八十メートル間隔で四本ずつ二列に並んで、その列の間隔は五百メートルで立っております。八本の強大なアンテナが林のように立っておるということであります。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 この施設内容はつまびらかに私も知りませんが、世界随一の超長波送信施設としてアメリカ軍太平洋において活動いたしております対潜水艦用の重要な役割りを果たしておると聞いております。特にこの基地は、横浜の戸塚送信所から二時間置きに送られてくる通信を自動的に太平洋で活躍するアメリカ原子力潜水艦を含むアメリカ潜水艦送信をしているということでありますが、とりわけこの送信所の問題については、たとえばアメリカ上院外交委員会聴聞会議録にも、日本におけるアメリカ軍事通信体系重要性報告されている中で、この依佐美通信所のことが触れられているわけでありますが、このアメリカの依佐美通信所任務、その役割りと申しますか、これにつきまして簡単に御説明をいただきたいと思います。
  9. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 任務といたしましてはただいま御指摘のございましたように、これは在日米海軍通信施設でございまして、送信機能を果たしております。そして米海軍に所属します艦船に対する通信を行なっていると承知しております。  なお、はなはだ失礼でございますが、先ほど面積につきまして百九十万ということをおっしゃいましたけれども、私どものほうで提供しております面積は百五十七万四千平米でございますので、そのように御承知いただきたいと思います。
  10. 須原昭二

    須原昭二君 面積の問題について若干違っておったようですが、百五十七万四千平米というふうに私も理解をいたしたいと思います。  そこで実は私も現地へ参りましてその施設を見てまいりました。その庁舎の玄関に立ちますと、「告示——米海軍通信隊司令官告示が実は大々的にこのように表示をされております。この中に見ますと、「この送信所日本政府との協定のもとに米海軍管理の下にありますが、地元日本人の手で運営されているものであります。この送信所日本と米国の船舶送信することで外部からの侵略や妨害から日本人生活事業土地を守ることを任務としております。」と、実はアメリカ船舶だけではなくして、日本船舶にも送信することということに公言をいたしております。したがって、私はたとえば日米共同作戦体制の中で海上自衛隊等共同使用しているのではないかというような感じがしてならないわけでありますが、その実態について御説明を願いたいと思います。
  11. 長坂強

    政府委員長坂強君) この依佐美通信所には自衛隊建物とか、自衛隊土地とかいうものはございません。それから自衛隊の隊員も入ってございません。したがって、施設共同使用ということはございません。
  12. 須原昭二

    須原昭二君 施設共同使用ではなくして、ここに表示をされているように、日本及びアメリカ船舶送信をすることと明記をしておるわけです。告示でございますから、公に発表しているわけです。ですから、そういう関連について、この送信所を通じて日本海上自衛隊についても送信をいたしておるのかどうか、この点についてお尋ねをいたしておるわけであります。
  13. 長坂強

    政府委員長坂強君) 施設共同使用はございませんが、海上自衛隊といたしましても、航行中の海上自衛隊潜水艦に対して、必要があるときは米軍使用支障のない範囲で依佐美通信所から潜水艦に対して米軍便宜供与を受けて放送をしておるということはございます。
  14. 須原昭二

    須原昭二君 了解をいたしました。  そこで、実は、日本政府地位協定基づいてアメリカ軍提供するために借り受けているもの、俗にここで送信所として使っている土地等不動産動産等々の問題点でありますが、土地、先ほども御説明がありましたように、百五十七万四千平米をはじめ局舎など鉄筋七むねをはじめ建物が十一むね建っておる。二百五十メーターのアンテナ鉄塔八基、引き込み鉄塔二基をはじめとする工作物、さらに発電機発動機等々の動産が含まれておりまするが、だれから何を借り受けられているか説明をしていただきたいと思います。
  15. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 依佐美通信所の百五十七万平米の内訳といたしましては、土地とそれから建物工作物あるいは設備備品等がございます。それから土地に関しましては、米軍が専用しております地域と、それからアンテナ塔が立っておりまして、そのアンテナ空中線下等で、これは土地としてはお借りしているわけでございますけれども、所有者の方もともに利用できるような形になっている土地、こういうふうに区別されてございます。したがって、土地といたしましては、専用区域と、そういうふうな所有者利用していただくようなアンテナ空中線下地域ということになります。それから、建物につきましては、これは全部専用地域の中に入ってございます。また、鉄塔とか送信設備備品修理工具、そういったものも含めまして、これらの設備建物等電気興業という会社が所有主体になっておられます。土地につきましては、電気興業所有地以外に公有地もございますし、また民有地もあるわけでございます。
  16. 須原昭二

    須原昭二君 内容の問題については後ほど具体的にお尋ねをいたしたいと思いますが、これらの賃貸借契約は、たとえば、いまお話しございましたように、一般地主——俗にいわれております山田長政さんはじめ五百三十二名といわれておりますが、組合をつくって代表者をきめ、賃貸人となっております。名古屋防衛施設庁長官がその賃借人となって契約をしているようでありますが、そうですか。
  17. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 土地建物等賃貸借契約国側の当時者は名古屋防衛施設局長でございます。
  18. 須原昭二

    須原昭二君 ここに実は名古屋防衛施設局長との間における契約書の一部を実は持っておるんです。ここに刈谷市長宮田一松氏名古屋防衛施設局長との間の契約更新承諾書の写しです、これは。契約更新は一年ごとですか。
  19. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) これは、会計法上のたてまえから契約書としては一年ごと更新の形式をとらしていただいております。
  20. 須原昭二

    須原昭二君 すでにこの私の持っておる契約書も期限が切れているわけです。というのは、四十七年四月一日から四十八年三月三十一日、そして防衛施彼庁からこの間資料提供をお願いをいたしましたものも四十七年四月一日から四十八年三月三十一日、こういうふうで、昨年度、四十八年度については私はまだ資料要求をしたけれでも出てこない。どういうことに実はなっておるのか、すでに契約は切れているけれども契約実態というのはどういうふうでやっているのか、お尋ねしておきたいと思います。
  21. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 毎年度ごと契約は締結さしていただいておりますが、年度が変わりました場合に、関係所有者方々とその当該年度に関するところの借料の額につきまして、いろいろお話し合いをさしていただくわけでございます。そして、その額が定まりました時点で正式の契約書を締結さしていただくわけでございますが、それまでの間は、前年度契約書にも書いてございますように、そういう話し合いが続いている間引き続き更新をさしていただくということで、所有者方々からもそういう意味の更新の同意を得た上で借料話し合いをさしていただく、そういうことになっております。したがって昭和四十八年度につきましても、そういう話し合いをさしていただいた上で、話し合いがつきまして、契約書も取りかわし、四十八年度借料当該四十八年度において支払いをさしていただいている状況になっております。
  22. 須原昭二

    須原昭二君 施設庁から御連絡をいただいたのは三月二十五日現在のこの資料です。その三月二十五日というのは年度末間近です。そういう段階で四十七年四月一日から四十八年三月三十一日までということになっておるわけですね。そこで、今年度もそのような形でやっていかれる予定でありますか。
  23. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 四十八年度につきましては、年度末にお話し合いつきまして契約を取りかわし支払いをさしていただきました。また四十九年度につきましても、これから所有者方々と本年度借料につきましての御相談をさしていただいた上で、契約書を取りかわし、借料支払いをさしていただく段取りで進める考えでございます。
  24. 須原昭二

    須原昭二君 この契約関連をして、ちょっと参考のためにお尋ねをいたしておきたいと思うんですが、提供の際の要件として、一番目が、通信施設として使用する、二番目が、アンテナ・グランド・システム、鉄塔支線及び付属物を点検、修理、使用、保守、移動及び撤去することの米軍使用目的支障のない限り、または一般的に通信機能に損害を及ぼすことが予測されない限り土地利用は制限されない、三番目、地区内の用排水路、河川及び道路現状を変更せず、おのおのの管理者の行なう維持管理も従来どおり認められる、四番目は、地区内における農耕は従来どおり認められる、ただし地主等による農耕以外の新たな土地利用建築物等の建設は防衛施設局を経由して米軍の承認を得た場合に許される、こういうことであります。いわゆるイーズメント区域における建築物規制緩和の合意が実は昭和四十四年の九月だったと思いますが、イーズメント区域内の建築申請を実は出されておるんですが、それが非常におくれておるということを聞いております。四十四年の九月から四十八年の二月八日現在で建築申請が十九件、許可十三件、手続中六件、却下ゼロということになっておりまするが、四十八年二月以降はどのようになっておりますか、御説明をいただきたいと思います。
  25. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) ただいまの契約と申しますか、土地利用に関します当事者同士話し合い内容と申しますのは、先ほど御答弁申し上げましたように、米軍専用地域以外のほとんど大部分を占めますところのいわゆるイーズメント地域に関するものでございまして、これはアンテナ等が立っておりまして、そのアンテナ補修等に使いますところの保全用道路というものが場内に走っております。この場内道路が、真四角の形で走っておりますが、その道路の中の部分外側部分に関しましては利用の方法が違ってまいりますが、建物等は、その補修道路外側に関しましては米軍話し合いの上で建ててもいいという場合が出てくるわけでございます。ただいま御指摘の点につきましては、かねて名古屋防衛施設局のほうにおきましてもそういう関係所有者方々の御要望を聞きまして、米軍にこの申し入れをいたしまして、米軍としては差しつかえないというふうに答えの出ているものもございます。しかし、一部の所有者の方で、そういう答えが出ておりますが、所有者のほうのお立場でせっかく申し出られた建物を建てておられないとか、そういう事情もあるやに聞いております。
  26. 須原昭二

    須原昭二君 私が御質問を申し上げているのは、四十八年二月以降において許可申請がどうなっておるかという実態についてお尋ねをしているわけです。横のほうのことは答弁いいんです。質問の的だけきちんと答えていただきたい。時間の関係上ひとつ御協力をいただきたい。それは後ほどでいいですから、うしろのほうからひとつ御報告をいただきたいと思います。  そこで、実は民間の地主五百三十二名、私の計算では約六十万坪ぐらいの農地宅地山林原野雑種地等いろいろ区分がございますが、それぞれ防衛施設庁に借り上げられておりますが、この賃借料はどの程度のものを払っているのか。実は過去のものについては私も調査をいたしました。四十五年、たとえば農地平米当たり二十一円八十銭、宅地が十四円九十七銭、雑種地が七円九十三銭。四十七年度を見ますると、農地が三十一円七銭、宅地が二十円九十六銭、それから雑種地が十一円九十六銭、こういうことになっておりますが、四十八年、すでに契約ができておると思いますけれども、どれだけになっておるのか。一平米当たり幾らの賃借料になっておるのか。さらにその積算の根拠はどこに求められておるのか。簡単でいいです。明確に答えてください。
  27. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 昭和四十八年度借料は、総額にいたしまして一億七千二百七十八万七千円支払っております。その中で、いわゆる土地借料に関しましては、建物等の建っております専用地域につきましては平米当たり百九十円四十銭でございます。それから空中線下のいわゆるイーズメント区域につきましては、それぞれの使用実態所有者利用実態等を勘案しましてそれぞれ格差がございますが、一部は平米二十六円あるいは三十九円、あるいは十五円というふうにいろいろ格差がございます。
  28. 須原昭二

    須原昭二君 そこで、その当該住民皆さんは、まあ今日狂乱物価とよくいわれておりますが、当然これらの農民は非常に零細な土地所有者であります。とりわけ、米軍が使っている以上転売価値がございません。売るにも売れない。したがって、賃借料の値上げ問題が当然惹起してくるわけでありますが、今後どのように対処されるのか一再契約更新の際値上げをされるのかどうか。この点についてお尋ねをしておきます。
  29. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 米軍に対しまして提供します土地賃貸借に関します基準につきましては、防衛施設庁におきましては、公共用地等補償基準要綱というものに準じました借料算定基準というものを設けております。土地に関しましては、その土地相続税評価額あるいはその土地現状によりまして近傍売買実例といったものをまず根拠にいたしまして、それから年利回りを掛けた借料というものを算定するという形をとっているわけでございます。したがってたえず年度ごとにその土地相続税評価額あるいは近傍類地売買実例というものをたんねんに調査いたしました上で、実情に合った借料というものを絶えず算定するようにしております。したがって今後ともこの依佐美関係所有者方々とも、そういった実態に即した借料を算定した上で、十分御納得をいただくような契約を今後とも結んでいきたい、そういうふうに考えております。
  30. 須原昭二

    須原昭二君 四十八年の賃借料、支払ったものが一億七千二百七十八万七千円、その前の四十七年は、資料を見ますと、一億六千二百二十九万五千円、一千万ぐらい増になっているわけですね。これは電気興業株式会社と、土地を所有している地域住民皆さんとの比率、これはアップ率は一緒ですか。
  31. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 電気興業の所有しておられます土地につきましては、四十七年度と四十八年度は同額でございまして、いわゆる据え置きでもってお願いしたわけでございます。したがってアップしましたのは、電気興業以外の一般所有者方々土地に関しまして行なったわけでございます。パーセンテージは二五%のアップでございます。
  32. 須原昭二

    須原昭二君 実は、依佐美通信所の中心をなすのは何といっても電気興業株式会社賃貸契約についてです。これについて若干お尋ねをいたしておきたいと思うのですが、防衛施設庁からいただいた資料によりますと、昭和四十七年度における電気興業株式会社に払った賃借料は、まず土地において建物等敷地の六万八千六百三十九平米に対しての賃借料千七百九十六万三千円、イーズメント区域一万八千二百八十九平米について三十九万九千円、建物賃借料四百五十八万九千円、及び鉄塔など構造物等賃借料九千七百四十四万八千円、計一億二千三十九万九千円が電気興業株式会社に払われておるとの報告でございますが、それに間違いございませんか。
  33. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) はい、そのとおりでございます。
  34. 須原昭二

    須原昭二君 これは昭和四十七年の賃借料です。したがって四十八年度における賃借料はお話によりますると、すでに確定をいたしておるようでございますから、この賃借料について、総計幾らになっておりますか。
  35. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 電気興業に関しましては、先ほど御答弁しましたように、専用区域につきましては据え置きでございまして、イーズメント区域部分につきまして総額で約十万ほど増加しております。したがって四十八年度は一億二千四十九万という額になっております。
  36. 須原昭二

    須原昭二君 わかりました。そういたしますと、まあ十万円ぐらいのアップといいますと、一億二千四十九万九千円という数字になるわけで、一方、これは施設提供だけでありまして、現地へ参りますと、電気興業株式会社は、実は六十名ぐらいの従業員、日本人の手によって運営されておるわけです。この電気興業株式会社は、米軍との間に運営のため直接に契約が取りかわされておるやに聞いておりますが、当通信所間に設けられた操縦線及びテレタイプ線によって通信が自動的に二時間おきに戸塚送信所から送られてくるわけです。それをあそこから送信をするわけでありまして、もっぱら施設維持管理に従事しているということであります。したがって、従業員の人件費、あるいはその施設維持管理費などのいわゆる運営費についてはだれが負担をしているのか。これはアメリカ軍なのか、会社が自己負担をしているのか、それとも日本政府防衛施設庁等々が負担をしているのか。どこですか。どういう内容ですか。
  37. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 先ほど来答弁申し上げておりますところの土地建物等につきましては、地位協定の二条1項に基づきまして米軍提供しております。したがって、これらに要しますところの借料等の経費につきましては、地位協定二十四条に基づきまして日本側の負担になります。しかし、御指摘施設の運営に関しましては、米軍電気興業との間に保守運転契約というものが結ばれまして、いわゆる一種の役務契約でございます。それに基づきまして、米軍が直接電気興業に対して、その契約基づく所要経費を支払っております。その契約の前提のもとにこれらの施設維持管理が行なわれておりますので、ここに電気興業の職員がおりまして、その運営に従事しております。数は、私どものほうで承知しておりますのは、現在三十六名と承知しておりますが、これらの人たちの人件費等は、この保守運転契約費の中でカバーされていると、そういうふうに承知しております。
  38. 須原昭二

    須原昭二君 保守運転契約内容についてはともかくとして、どのぐらい払っておりますか、アメリカ軍は。
  39. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) これは米軍電気興業との間の直接の契約でございまして、私どものほうといたしましてはこの仕事には直接タッチしておりませんが、年度によりましていろいろ違いがあるように聞いておりますけれども、……
  40. 須原昭二

    須原昭二君 概数でいいです。
  41. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 概数にしまして約一億程度と聞いております。
  42. 須原昭二

    須原昭二君 わかりました。そういたしますと、電気興業株式会社日本政府並びにアメリカ軍から大体二億二千四十九万円ぐらい受け取っておると、こういうふうに解釈をしていいのですね。そこで、実は防衛施設庁電気興業株式会社との施設借り上げ契約を結んだのはいつなんですか。
  43. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) これは占領期間中の昭和二十五年から米軍使用開始しておりますので、二十五年から契約を締結しております。
  44. 須原昭二

    須原昭二君 二十五年ですか。契約ということになれば二十七年四月二十八日、日米安保条約、旧ですね、行政協定が発効したのは二十七年四月二十八日です。二十五年というのはまだ占領下でありますが、そういうふうに解釈していいですか。
  45. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 御指摘のとおり、昭和二十五年は占領軍としての米軍使用開始でございます。当時占領軍に対する土地建物等の、いわゆる当時は接収ということばが使われておりましたが、占領米軍が接収いたしました土地建物等に対する借料につきましても、当時調達庁が契約を結びまして、借料をお支払いしていたと、それから昭和二十七年は講和条約が発効いたしまして^安全保障条約及び当時は行政協定でございますが、それに基づきまして契約の形式を占領時代から安保条約時代に切りかわった時点において契約形式も切りかえたと、そういう形で契約がその時点であらためて始まったという形になっております。
  46. 須原昭二

    須原昭二君 そういたしますと、二十七年の行政協定が発効した段階までは、アメリカ軍電気興業株式会社とが自主的に契約を結んだ。日本政府はそれに対して関係ございませんか。
  47. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 土地建物等提供に関しましては、やはり所有者と当時の調達庁との間に賃貸借契約が結ばれて、それを占領米軍提供していたと、そういう形になっております。したがって、国内的な契約の形といたしましては、占領時代も講和条約発効後も同じような形になっております。
  48. 須原昭二

    須原昭二君 ちょっと理解ができないんですが、その二十五年から二十七年の間は土地所有者というのは電気興業株式会社なんですか、それとも日本の政府なんですか、そういたしますと。
  49. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 所有者電気興業株式会社でございます。
  50. 須原昭二

    須原昭二君 そういたしますと、防衛施設庁電気興業株式会社からアメリカ軍提供するために借り上げたのは大体二十七年と、こういうふうに理解をする。そうすると、二十七年からその賃貸料というものを払っておるというふうに解釈していいですか。
  51. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) いや、二十五年、占領米軍使用開始した時点から所有者に対しましては借料をお払いしているわけです。
  52. 須原昭二

    須原昭二君 それは日本政府から。
  53. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) そうでございます。
  54. 須原昭二

    須原昭二君 それはおかしいね。二十五年から日本の政府が、当時は防衛庁かどこか知りませんが払っておるということになれば、二十五年から今日、四十九年まで、賃借料の累計はどれくらいになりますか。
  55. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) どうも答弁がおくれて申しわけでございませんが、二十七年からの資料が手元にございましたので……。
  56. 須原昭二

    須原昭二君 二十五年から払っているんでしょう。
  57. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 二十五年に五百八十七万、二十六年には千七百三十六万、借料をお支払いしております。それから二十七年から今日までの累計は約二十億になります。したがって、二十五年からといたしますと二十億五千万ぐらいになろうかと思います。
  58. 須原昭二

    須原昭二君 そうすると、二十五年から二十七年の間は、行政協定が発効するまでは大体五千万円ぐらい、行政協定が発効されてから政府が払っているのは二十億ぐらい、こう解釈しましていいですね。  そういたしますと、ちょっとこの機会に大蔵省にお尋ねいたしたいと思います。電気興業株式会社の収益状態でありますが、いま電気興業株式会社昭和二十五年六月一日、聞くところによると、アメリカ軍の命令によってこの会社がつくられたようなことを聞いておりますが、資本金五千万円で発足し、アンテナなど電気通信施設が主力、高周波応用部門を拡充し、今日では資本金五億四千八十万円、東京第二の上場会社に伸びてきております。UHF、FM放送向けの安定した需要を持った会社だと実はいわれておる。もともとこの電気興業株式会社というのは、この二十五年六月一日の段階で依佐美基地を中心としてでき上がった会社だと私は断定しても間違いないのではないかと思うんですが、この電気興業株式会社の決算は三月と九月、年二回であります。四十八年三月、四十八年九月の決算の当期利益金はどうなっているのか、特に株主の配当金はどのようになっているのか、大蔵省は有価証券報告書総覧なんか発行されておりますから十分知っておられると思いますので、お尋ねをいたしておきたいと思います。
  59. 小幡俊介

    説明員(小幡俊介君) お答え申し上げます。  ただいま先生から御指摘ございましたように、電気興業株式会社、これは昭和二十五年六月に設立をされた会社でございまして、現在の資本金は五億四千八十万円という会社でございまして、東京証券取引所第二部に上場をされておるわけでございます。そこで、決算期は三月、五月という決算期でございまして、ただいまお尋ねのございました四十八年三月及び四十八年九月の決算におきまする支払い配当額を調べてみますと、四十八年三月におきましては三千二百四十四万八千円、これは年配当率に換算をいたしますと一二%ということでございます。四十八年九月の決算期におきます支払い配当額は二千百六十三万二千円、これは年換算の配当率ということで換算をいたしますと八%と、こういうふうな状況になっております。
  60. 須原昭二

    須原昭二君 そこで三千二百万円、それから二千百六十三万円ですか、配当金が、株の配当が五千四百万ぐらいに上がっているわけです。で政府関係がこの株の配当を受けておるかどうか、そんなことはないと思いますけれども、あるかどうか、それだけ前もって御確認をしておきたいと思います。いかがですか、株の配当受けておりますか。
  61. 小幡俊介

    説明員(小幡俊介君) ただいま政府が配当を受けているかというお尋ねでございますが、有価証券報告書によりますと、株主として登載をされておりますのは民間の会社並びに個人の方でございまして、政府はここの有価証券報告書におきます株主のところに掲載をされておりません。で私、ただいまの段階でこの大株主以外のところに政府の保有株があるかどうかということはわかりませんが、有価証券報告書を見ます限りにおきまして、大株主として登載されておりますのは民間の会社及び個人だけでございます。
  62. 須原昭二

    須原昭二君 実はその株の大株主はほとんど法人でありまして、個人が四人お見えになります。萩原憲三さん、社長はじめ社長さんの親族だけです。あとは全部法人です。当然この国際電気通信株式会社は、実は国の国策会社として発足をいたしております戦前の国際電気通信株式会社、この出資会社で始まっているわけです。したがって、これらの問題については後ほど詳しくお尋ねをいたしますが、まず会計検査院にお尋ねをいたしますが、この国際電気通信株式会社なるものは今日、最近いただきました昭和四十九年度版の「国の決算と検査」、会計検査院が発行いたしておりますが、これを見ますると、検査の対策とした団体、「昭和四十七年度に対象としたもの」、こういうことで実は四ページから五ページ、六ページに書いてあります。そこに「清算法人」「国際電気通信株式会社」、終戦以来今日まで、解散をしてから二十七年間経過をしておりますが、いまなお清算中なんです。したがって、この国際電気通信株式会社は検査対策に今日なおなっておるということが、この四十九年度版の会計検査院の報告でわかるわけでありますが、検査されておるのか。検査されているというなら、いつ検査をしたのか、この点は明確にひとつ答えていただきたいと思う。
  63. 中村祐三

    説明員中村祐三君) ただいまお尋ねの国際電気通信株式会社は大正十年十月二十日の設立でございまして、資本金が六千三百五十五万六千円、そのうち政府出資が四千百四十二万六千円ということでございまして、昭和二十二年五月十九日に解散になっております。で、現在、在外資産といたしまして青島それから台湾等に無線電信所を持っておりますが、この処理が、まだ現在確定しておらないということで清算未了という段階になっておるわけでございます。二十五年の十月に政府の払い込み資本金に相当いたします四千百四十二万六千円、同額が配分金として回収を受けておるという状況でございます。それでお尋ねの、年報に清算法人として依然として検査対象に残っているという点は、ただいま申し上げました在外資産の点の処理がまだ済んでおりませんので、依然として検査対象として残しておるという現状でございます。
  64. 須原昭二

    須原昭二君 実は検査をされておらないわけです。国際電気通信株式会社の定款を持ってこいと言ったらそんなものはありませんで電気興業株式会社にあるそうですからそこへ行ってもらってきてくれというようなお話も、実は聞きました。検査しておらないのです。そこで、実はこの事実を明らかにするために、御参考までに御披露申し上げておきますが、昭和二十七年五月十三日、この参議院におきまして、今日の電電株式会社、国際電信電話株式会社法案のこの提案の説明をされております。平井太郎政務次官が提案説明をいたしておりますが、この項目を読みますと、こう言っております。「我が国の国際電信電話事業は、その運用については国内電信電話事業と一体となって国営により経営されて来たのでありますが、その設備の建設保守については電信については大正十四年日本無線電信株式会社が、電話については昭和七年国際電話株式会社がそれぞれ設立され、政府の監督と保護の下にその任務を遂行して来たのであります。その後昭和十三年両会社が合併され国際電気通信株式会社が設立され、両会社の業務を引継ぐと共に、伸長する国際電信電話事業設備の拡張保守に鋭意専心して来たのでありますが、終戦後昭和二十二年連合軍総司令部からの覚書により、同会社の解散が決定され、爾後国際電気通信設備の建設保守も又政府の事業として引継がれ今日に至ったのであります。」、こういうふうに実は会議録にも、国策会社であって昭和二十二年五月二十五日GHQの命令によって解散され、その施設、財産及びその要員はすべて逓信省に受け継がれたことが、この事実からも明らかであります。そこで、いま、国際電気通信株式会社が二十何年間も、四分の一世紀も、実は清算中というのはおかしいじゃないか、こう言いますと、在外資産がまだ処理ができておらない、台湾だとか、青島だとか言っておりますけれども、そんな在外資産というのは放棄したんでございませんか。これがいまなお残っておるというのはおかしいじゃないか、この点はひとつ郵政大臣からお尋ねいたします。
  65. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) いま先生の御指摘の点につきましては、在外資産が残っていることは事実でありますが、そういうことで……。
  66. 須原昭二

    須原昭二君 そういうことでじゃない、おかしいよ。在外資産を放棄したんだろう。そんなものはまだ処理していないということはおかしいじゃないか。
  67. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 正確に答弁してください。
  68. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) はい。  いま先生が言われましたように、当初、逓信省とそれから国際電気通信株式会社と別々に運営してたんでありますけれども、いまの話で、途中で一度、国際、国内通信を一元的に逓信省に統合されたときに、逓信省が引き継ぎました財産といいますのは、先ほどの電気興業株式会社に多少関連してきますが、同社の、同社といいますか、いまの国際電気通信株式会社の持っておりました通信施設とそれから従業員というものを二十二年の五月に逓信省に引き継いだわけでありまして、ただし、先ほど問題になりました依佐美送信所等は除かれております。それで、その後ですね。
  69. 須原昭二

    須原昭二君 早く言ってくれよ、時間がない。
  70. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) いま御指摘の点は、国際電気通信株式会社の財産はすでに整理をされておる、その中の在外資産は放棄されておるんではないかと、こういうお尋ねであると思います。この問題は、先ほど会計検査院からの答弁の中にもありましたように、この問題はまだ継続をされておるから、清算をせずに、この会社の——事実上はもう清算されておるけれども、その問題があるので清算をせずに名前が残っておると、こういうことでございますから、私はまだ放棄をされておるというようには考えておりません。
  71. 須原昭二

    須原昭二君 どうも歯切れが実は悪いわけですね。在外資産の問題についてまだ戦後は終わってないということですね。小野田さんは帰って来たけれど——戦争は終わったんだと、戦後は終わったんだと、こうおっしゃったんですが、沖繩がもう返ったら戦後は終わった、小野田さんが帰ってきたらもうこれで戦争は終わった、まだ戦後は処理されておらないということですね。二十六年、二十七年、四分の一世紀以上も経過しても、そうした問題が処理をされておらない。ここに大きな一つ問題点がございますが、時間の関係がございまして、在外資産等の問題についてもさらにこの点ははっきりさせたいと思うんですが、まだほかにたくさんございますから先へ進みましょう。  そこで、実はこの国際電気通信株式会社は、GHQの命令でそれらのすべての財産は全部政府へ返っているわけです。先ほども申されたように、この電気興業株式会社のいまの依佐美基地施設は全部残っているわけです。どうして電気興業株式会社に、政府へ返さずに現物出資の形で実は出したかというとこが一つ問題点です。  さらに私は、この清算の事務というのは、当然代表清算人をはじめとする責任ではございますが、この電気興業株式会社の社長萩原憲三さんは、実は電気通信株式会社の代表取締役で、そしてGHQの命令を受けて実は清算に入ったわけですが、いまなお代表清算人、電気興業株式会社の社長、同時にまた国際電気通信株式会社の代表清算人、こういう形で二十数年間ずっと続いておるわけです、間違いございませんね。確認をしておきたい。
  72. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) そのとおりです。
  73. 須原昭二

    須原昭二君 そこで私は、国際電気通信株式会社の解散と、そして電気興業株式会社の間に特別の利害関係があると断定せざるを得ないのです。実は依佐美通信所の歴史をずっと私はいろいろの文献を引っぱり出して一覧表にしました。大正十二年八月十五日、愛知県の碧海郡の依佐美議会で、逓信省の長波送信所の設置誘致が議決をされました。これによって、大正十三年八月六日、逓信省がいわゆる送信所の建設のために土地を買収しております。そして登記がなされております。で、大正十四年に国策会社、いまお話しをいたしました日本無線電信株式会社として設立発足をいたしております。昭和十三年三月十二日、前に申し上げました会議録のように、国際電気通信株式会社に実は合併、改称させられております。その後、第二次世界大戦においては、日本軍の命令で南方占領地域との通信施設として使用されてきたことは、私たち地元でおりますからよくわかっております。敗戦後、昭和二十二年五月二十五日、電気通信株式会社は、集中排除のゆえをもってGHQの命令に基づいて解散をし、その施設と要員とは当時の逓信省に引き継いで清算法人となったのでありますが、ただ、この依佐美の該当の二万坪になんなんとする土地あるいは建物通信塔等々の諸施設は、すべて電気興業株式会社に現物出資になっているわけです。どうしてそのような方途を講じたのか、ここが一つ大きな問題点であります。したがって、この国際電気通信株式会社の解散にあたって、依佐美通信所施設と要員は逓信省移管から除外をされた理由。ここに私も登記簿を全部参考のために持ってきております。これを見ましても、現実に移転の原因はすべて出資になっております。なぜこのようにこれだけ電気興業株式会社に出資されたのか、例外措置をとったのか、この点を御記録があったらひとつ御説明をいただきたいと思います。
  74. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 先生の御指摘のとおり歴史的経緯は全くそのとおりだと思いますし、とにかく非常に、古いと言いましても二十数年前の話ですが、私たち事前に調査した限りにおきましては、事実関係のみが明確になっておりまして、いま言われました依佐美だけが特別な扱いになったというほんとうの理由については、現在のところ明らかにしておりませんので、今後十分調べて、また別の機会に御答弁したいと思います。
  75. 須原昭二

    須原昭二君 ことばじりをとらえるわけじゃございませんが、二十数年たっているから云々という御表現がありました。いやしくも日本の国民の財産ですよ。国有財産を軽々に、時間がたったからどうだという言辞は厳に慎んでもらいたいと思うんです。
  76. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 私のことばが悪うございまして、書類が、現在手に入って調べられる範囲内の書類では、いま申し上げた事実関係しかできませんので、なお十分調査した上で御答弁したいと思います。
  77. 須原昭二

    須原昭二君 時間がたって非常に申し上げるのも全く遺憾でありますが、時間の関係もございますから、前へ行かざるを得ないのです。  電気興業株式会社昭和二十五年六月一日、資本金五千万円で設立登記がなされております。したがって私がいまごらんに入れてもいいんですが、ここに土地の代表的なものを集めてきております。この土地の登記簿謄本の写しによって判断をいたしますと、この電気興業株式会社はこれより三年前、昭和二十二年五月二十二日、いわゆるアメリカ占領軍の命令によって解散し、清算中である電気興業株式会社の財産、これはすべて逓信省に引き継がれておるんですが、この分だけ現物出資の形で実は電気興業株式会社が出発をしているわけです。占領中のことだから、GHQの命令だからやったんだというお話をきのう説明に来られた方が言っておりましたが、全く奇々怪々なんです。当然この現物出資をしたならば株はあるはずです。株はどこへ行った。この株は、現物出資に相当する分の株はどうなったのか、この点について記録がありますか。
  78. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 株の件ですけれども、私たちの調査した範囲では、ちょっと明確になっておりませんが……。
  79. 須原昭二

    須原昭二君 どうもその点おかしいのです。雲散霧消、どこかへ消えてしまったような感じがしてなりません。一説によると、きのう御説明に来ていただいた方が言うのには、それはおそらく郵政省に株はあったんでしょう、そしてその株は、また売ってしまったんでしょう、何かそういう株を処理しなければいけないということで売ってしまった、いつ、だれに株を売ったのか、それはわかりませんと、こういう話です。株の所在は明らかでない。だれに売ったのかわからない。この点の明確なひとつ御答弁をお願いいたします。
  80. 佐野芳男

    政府委員(佐野芳男君) 昨日、先生にどの程度まで御説明したか知りませんが、私のほうでいま事実関係だけをちょっと歴史的に申し上げますと、五千万円の現物出資と現金で第二会社、電気興業ができましたのが二十五年六月一日でございます。それで、二十五年の六月の十六日にもとの国際電気通信株式会社の株主に対しまして、持ち株割合に応じまして電気興業株式会社の株式を一応割り当てております。同じく六月十六日に例のHCLCといいますか、持株会社整理委員会のほうから国際電気通信株式会社に対しまして第二会社、ここでいいますと電気興業株式会社の株式のうち電気通信省に割り当てられた分を本委員会に譲渡しなさいという旨の文書を国際電気通信株式会社に出しております。これは指示番号、委員会指示第一〇一号という文書であります。同じく二十五年の七月七日に国際電気通信株式会社のほうから当時の電気通信省に対しまして第二会社を設立した、これは先ほどの電気興業株式会社でございます。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕 それから、二番目に同株式割り当ての通知と、それから、第三番目に右の割り当て株五十七万七千三百一株、持株会社整理委員会に譲渡した旨の文書通知が電気通信省になされております。それから同じく二十五年七月の十八日ですが、電気通信省から持株会社整理委員会——HCLCに対しまして右株式、いまの株式の有利な処分方法について文書で申し入れをいたしております。それから同じく二十五年の十二月二十七日に国際電気通信株式会社から譲り受け財産受領書、これはHCLCの発行のものを電気通信省へ回付しております。それから二十六年四月十九日、証券処理調整協議会におきまして、電気興業株式会社の株式を一株五十円以上で処分することを決定した。それから二十六年五月十一日に電気興業株式会社の株式二万四千四百七十株の処分代金百二十五万八千三円、これを電気通信省が受領いたしております。それから同じく二十六年の六月二日、いま言いました右の残余株式五十五万二千八百三十一株分の処分代金二千七百六十四万千五百五十円分の小切手を同じく電気通信省が受領いたしております。それから同じく二十六年の八月二十五日に国際電気通信株式会社から分配金の残余分といたしまして七百八十二万五千九百五十円を電気通信省が受領いたしております。同じく七月の十日に、当時の首相から持株会社指定解除の通知を国際電気通信株式会社が受理しております。当時の電気通信省と国際電気通信株式会社のいわゆる金額の面における清算というものは一応ここで完了したというように考えております。
  81. 須原昭二

    須原昭二君 そこで、何かきれいになっているというようなお話でありますが、実は株を持っておるというのは国際電気通信株式会社、その清算会社が株を持っておらなければいかぬわけです。郵政省が持っているはずはない。その株を、郵政省がまたそういう方針に基づいて株を処理するということで、株を処理してしまった。それはちょっとやり過ぎですよ。国際電気通信株式会社が清算中ですから、その中で清算をしなければいかぬわけです。これが一つ。  さらにいま一つ、私は登記書を調べてまいりますと、実はいまお話のあるのは二十五年から二十六年の話ですよ。私の手元にある登記書は二十七年七月三十日、電気興業株式会社土地所有権の移転登記をいたしているわけです。このときにもうすでに、まだ移転登記の原因は譲渡ではないのです。まだ出資になっているわけです。清算してしまったあと一年先、二十七年七月三十日付で実は移転登記が出資の形で実は登記が変更になっている。移転登記がなされているわけです。国有財産を管理をするという立場からいって、まさにきわめて不明朗と言わなければならないわけです。ですから、だれに、どこで、いつこの株を売り払った、処分をしたのか、この点は明確に一ぺん御調査を願いたいと思う。いまの御答弁だけでは私は了解ができません。  実は国有財産の管理の問題について付言をしておきますが、もう日本無線株式会社の名義で、もうすでに国際電気通信株式会社になったにもかかわらず、実は昭和二十六年になってその氏名変更の登記がなされている、あるいは株を処分してしまったといいながら、二十七年七月三十日に電気興業株式会社に対して出資の形で移転登記がなされておる。これらの事実をずうっと見てまいりますと、国有財産の扱いというものはまさに軽視をされている、こういう点を指摘しておかなければならないわけであって、特に国の監督指導下にあるところの、あるいは会計検査院の検査対象となっておるにもかかわらず、検査はろくろくやっておらない。全く行政の怠慢のすきをついてこういう不明朗きわまるような運営がなされておることを指摘しておかなければならない。行政管理庁の所見をひとつ承っておきたい。
  82. 川島鉄男

    説明員(川島鉄男君) 私も実は昨夜こういう問題があるということを伺いまして、この問題について詳しいわけではございません。一般論といたしまして、これらの処理がいまの時点で不分明であるということは必ずしも適切な事態ではないのではないかというふうに存じております、いま御指摘のようなことでございましたら。行政管理庁の所見というふうにお尋ねがございましたら、いまのように申し上げざるを得ないのじゃないかということで、これ以上特別な所見はございません。
  83. 須原昭二

    須原昭二君 私はいま非常に不明朗な感じで胸が一ぱいであります。実は国際電気通信株式会社は現物出資の形で、清算をして、解散をした清算中の会社が出資をする形で投資をするというようなことはちょっと常識では私は考えられない。これがまず第一点。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕 しかも株の処分をした、株は処分しなさいということで売買しちゃった、だから、いま清算はきちんとできておりますと言うけれども、だれに株を渡したのか、どこで処分をしたのか、これが明らかでない。しかもその後において、その処理をしてしまったという日にちよりももっとさらに過去に——あとになってその登記変更が、まだ現物出資で、出資の形で移転登記がなされておる。こういう点からいっても実に不明朗きわまりない運営がなされておったと言っても私は過言でないと思う。だから私が俗に言うならば、当然国際電気通信株式会社が解散命令を受けたら、全部一度郵政省に返し、そうしたのなら問題は起こらない。ここだけ残したというところに問題があるわけで、うがった見方をすると国有財産をやみからやみへ入手して、そしてそれを財産にして運営をして今日のような大きな会社になってしまって、しかも国から譲り受けたところの、投資していただいたところのこの財産を今度はネタにして、防衛庁、施設庁に対して年額一億二千万円相当の賃借料を毎年もらっておるというのは、うがった見方をすると、どろぼうに追い銭だと、こう言わざるを得ない。こういう運営をつまびらに明らかにしない限り、日本アメリカ軍が無理やりにこの軍事基地に蟠踞して、そしてアメリカ電気興業株式会社でぐるになってそういう会社を設立をし、そして今日の基地の運営がなされておるという国民の疑惑の念はますます高まり、基地に対する反発の声はますますまさに私は強くなってくると言わざるを得ない。ひとつ防衛庁長官の所見を承っておきたい。
  84. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私どものほうは安保条約、行政協定、そういうものに基づいた事務行為を行なっておるだけであります。いま言われましたようなその賃借料支払いの対象の会社がどのような経営であったのかについてはつまびらかにいたしておりませんので、郵政省御当局の資料その他によって調査された結果に基づいて、私どもが基地提供する行為、これはまあ外交行為でありますが、それに対して賃借料支払いする。行政手段として何らか配慮しなければならないものが出てくるかどうか、これについては今後の検討を待ちたいと思います。
  85. 須原昭二

    須原昭二君 同じようにひとつ郵政大臣からの御所見を承っておきたい。
  86. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) いま事務当局から経緯についての話をいたしました。大筋におきましては、国は持株整理委員会からこの清算した会社の同額の金を受け取っておるという形で、一応ケリがついております。ところが、ケリがついたあとの問題について御指摘のような問題があるということをいま承りました。これらにつきましてはよく調査をいたし、よく検討をしてつまびらかにいたしたいと存じます。
  87. 須原昭二

    須原昭二君 全く、いまの大臣の御所見にもあるように、このような不分明な状態ではこれはほんとうに今後支障を残しますよ。したがって、この際この疑惑を一掃してもらわなきゃならない。だから、過去に戻ってもう一ぺん追跡調査をぜひともひとつ実施をしていただきたい。  特にこの際私は申し上げておきますが、このような不明朗な状態におかれてるのはどういうところに問題があるのだろうか、解明のかぎはないだろうか、いろいろ私も私なりに推測に推測を重ねて——あくまでも推測でございますか、やはり歴史的経過をたどって見てまいりますと、当時のやはり国際的国内情勢の動き、これに私は解明のかぎがあると、こう言わざるを得ないんです。防衛庁長官も専門でございますからよく御案内のとおり、当時——昭和二十四年、二十五年というのはどういう時代であったのか。当時アジアにおきましては、昭和二十三年朝鮮民主主義人民共和国が建設をされました。翌昭和二十四年には中華人民共和国が建設をされました。こういうアジアの情勢が急転をいたした段階であります。そして昭和二十五年六月二十五日、いまでも忘れません、かの朝鮮事変が勃発をいたしてる直前のことです。したがって、アメリカ軍といたしましてはやはりこの準備のために鋭意努力をしておった段階であると言わなければならないわけです。この準備の過程で昭和二十五年四月、ちょうど朝鮮事変勃発の二ヵ月前に依佐美通信所を占領軍が接収をいたしてるわけです。そして日本側がその運営を担当することになってるのではないか、こういうことが一つ私たちは想像、推測をたくましくすることができるわけです。この場合、米軍が将来起こり得べき戦争を予想して、日本がいわゆる政府ベースで協力すると解されるおそれがあると、したがって、国有財産で使うのはまずいからということで民間に移管をさしたと。したがってこの問題点には、きのうも説明のときに、それはGHQの命令でございますから、もう何よりも最高の命令ですから従わざるを得なかったんだと、こうおっしゃったわけでありますけれども、したがって、国の財産で使うとたいへん問題があるから、したがって民営に移したのではないだろうか、ここだけ国有財産からはずしたのではないだろうか、そういう推測が出てくるわけです。さらに旧安保条約のもとでは新安保条約のようないわゆる極東条項なるものはありません、で、このような措置をとらざるを得なかったのではないか、こんな感じが私は濃厚であります。  私はひるがえって、もし朝鮮事変が、朝鮮戦争がなかりせば、なかったならば、依佐美通信所というのは他の国際電気通信株式会社の施設、要員とともに電気通信省に移管をされたのではないか、そして昭和二十八年の国際電信電話株式会社、今日の国際電電でありますが、この設立の際には、そのまま官営を続けることが可能ではなかったのではないか、あくまでも憶測、推測の段階でございますが、そんな感じがしてならないわけです。そういう情勢の急変に、アメリカの占領政策の中において、アメリカと国際電気通信株式会社の清算人であるところの萩原さん、そうした米軍との話し合いの中でこういう策謀がなされたのではないかと実は推測をいたすわけです。したがって、今日堂々としてアメリカのこの太平洋におけるところの潜水艦通信施設として使っておる、地元においては軍事基地を撤去したい、こういう機運がございますが、この問題はともかくとしても、そういう疑惑の中に起こりきたった、生まれ出てきたところの会社の運営、しかも、その国有財産に対してどういうふうに処理されたのかつまびらかでない。つまびらかでないにもかかわらず年々歳々一億から一億二千万円ぐらいの金が賃借料として支払われていく。実に私たちは奇々怪々でならないというのが今日の段階であります。  いま郵政大臣は、事実を究明して追跡調査をしていってきちんとする、こういうお話ですから、これを後日に延ばしたいと思うんですが、いつまでにはっきりされるのか、この点を明確にしておきたいと思います。いつまでにこの事態を明らかにしていただけるのか。いかがですか。
  88. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 可及的すみやかに調査をいたしたいと思います。  いまお聞きしていまして、問題点は、専門的に法的な措置はすでにとってありますが、あと出資をやっておるということを指摘されたここらの点について私はいまよくわかりません。それらのことについてもよく調査をいたすという意味で申し上げたんでございまして、できるだけ早く調査を進めたいと存じます。
  89. 須原昭二

    須原昭二君 可及的すみやかというような言辞では私も引き下がるわけにはまいりません。少なくともいま昭和四十六年度決算の審議をいたしているわけです。この決算の中においても一億五千五十九万九千円という支出をしているわけです。当該決算に該当しているわけです。ですから、可及的すみやかではなくして、当委員会がこの四十六年のを認定するか認定しないか結論出す前に当然私はこの結果を明らかにしていただかなければならない。この点は明確にしておきたい。どうですか。
  90. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) すみやかに調査をすることに最大の努力をいたします。
  91. 須原昭二

    須原昭二君 日本語というのは非常にむずかしいわけですね。可及的すみやかもすみやかもあまり変わりはないんです。やはり時間を切ってもらわなければなりません。少なくとも昭和四十六年度の決算を認定するかしないか、せとぎわにきているわけですから。少なくとも本会議に上程されるまでに、当委員会で結論が出るまでに明らかにしてもらわなきゃいけないと思うんですが、どうですか。できませんか、技術的に。
  92. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 最大の努力をいたします。
  93. 須原昭二

    須原昭二君 少なくとも四十六年の当該決算の中に一億五千五十九万九千円という金を支出しているわけです。ですから、当委員会がこの決算を承認するかしないか、それを認定するまでの段階にやってもらわなければこの問題は認定もできない。この点はひとつ理事会で御協議をいただきたいと思いますが、いかがですか。
  94. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それではこの問題はあとで理事会で相談いたします。
  95. 須原昭二

    須原昭二君 私は理事会におまかせをいたしますけれども、いずれにいたしましても、いま御答弁を聞いておりましてももう紆余曲折です。実態が明らかになりません。不明朗きわまりないものと私は断定せざるを得ない。  少なくとも私は、国家の機関として固有財産をこのような形でうやむやのままに、答弁ができないままに見のがすわけにはまいらないわけでありまして、直ちに実態を究明をしていただきたい。私の要求は、この昭和四十六年度の決算を認定するまでにこれは明らかにしていただきたいことをさらに要求すると同時に、一刻も早くこの不明朗な事態を解明して正規の姿に立ち戻す、これが私は行政の責任であると言わなければならないわけです。  依佐美基地の返還の問題については、地元の住民の補償問題を早急に解決をする、そして実現をする、そして国民の財産を守り、国民の賃借料負担の軽減のためにも私はこの際この問題は急務であると言わなければなりません。今後郵政大臣あるいは防衛庁長官の御両者からこの問題についてどういう心がけでいかれるのか、総括的に最後にひとつ所信の発表をお願いいただきたいと思います。
  96. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 私のほうは、先ほど御答弁申しましたとおりでございます。
  97. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 私も、このような問題につきましては御質問に対して明快な答弁ができるように今後処してまいりたいと存じます。
  98. 須原昭二

    須原昭二君 時間がありませんから終了いたします。
  99. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記とめて。   〔速記中止〕
  100. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それじゃ速記を起こして。
  101. 鈴木力

    ○鈴木力君 北富士演習場に関係してのうちですね、使用転換をめぐっての問題がずうっと非常にたくさんありますけれども、きょうは時間がありませんから、そのうちのいわゆる林雑補償関係についてお伺いをいたしますが、時間がきわめて少ないものですから、いろいろ回りくどいことはお伺いしませんし、それから回りくどい御答弁もちょうだいをしないで、簡明直截に私もお伺いいたしますので、御答弁もそういうふうにお願いしたいと思います。  まず官房長官に、経緯について一々申し上げると長くなりますからそういうことは申し上げませんが、少なくとも林雑補償問題というのはずうっと前からいろいろな形で今日までたどり着いておるといいますか、そういう経緯を経ておりますけれども、現在の問題点になっておる根拠が、これは衆議院や参議院の予算委員会等でも政府側の答弁もございますけれども、問題は、官房長官が山梨県の田辺知事との間に「北富士演習場の使用に関する覚書」を取りかわしていらっしゃる、これがもうすべての根拠だということにいまなっているようでありますから、そうだとすると、どうしてもこの問題をほぐしていくには、長官からその覚え書きの経緯、あるいは経緯と言っても詳しくは要りません、覚え書きを取り結んだ事情ですね、それからその意図、それについてまずお伺いいたしたい、こう思います。
  102. 二階堂進

    ○国務大臣(二階堂進君) 先般の参議院の予算委員会でもお尋ねがございまして、私少しばかり経緯その他について御答弁を申し上げたのでありますが、この「北富士演習場の使用に関する覚書」というものは、田辺山梨県知事と北富士演習場対策協議会長の小林さんが見えられまして、この使用に関する件でいろいろ陳情その他もございまして、最終的にはこういうひとつ覚え書きを取りかわしていただきたい、こういう県知事側の強い要望がありましたし、それに基づいてこの覚え書きを取りかわしたのでございまして、特に第三項がいろいろ問題になると思いますが、これは法律上この覚え書きは効力を持つものではないといたしましても、やはりこの覚え書きというものは行政上の効力は私は今日もあるものだと考えております。この経緯につきましては、先ほど申し上げましたように、長い間のいきさつがある問題でもございましたし、たびたびお会いしておりましたが、最終的には県側、県知事が地元を代表する代表者でございますから、そういうことだから、ひとつこういう覚え書きを取りかわしてもらいたいということで取りかわしたわけでございます。政府の、私の一存でこういうものをぜひひとつ結んでくれと、こういうことを政府側から特に要望してこういう覚え書きができたものではありません。県側の要望だと、こうしてもらいたいといういきさつがございましてこの覚え書きを取りかわしたということでございます。
  103. 鈴木力

    ○鈴木力君 特に第三項が問題になるとおっしゃいましたが、これはあとの問題ですけれども、私に言わせれば第三項だけが問題じゃなくって、第二項も問題だと思います。それから第一項も問題が相当ある。しかしきょうはこの第三項に限ってお伺いをするわけでありますから、あとの第一項、二項については別の機会にまたお伺いもしなければいけないと思っておりますが、この第三項のいわゆる林雑補償、これが「国と、北富士演習場対策協議会との間において協議されたところにより、措置されるものとする。」と、これだけになっておるわけですね、文章は。それでいまの長官の御答弁は、山梨県知事と演対協の小林会長から強い要望があったので、その要望にこたえてこの覚え書きを結んだと、こういうふうな御答弁だと私は承っておきます。私は正直言いますと、これと同じ内容のものが政府側からその前に出ておる。それは長官が御存じだったのですか、どうですか、この覚え書きを結びますときに。これは横浜防衛施設局から出されておるんですね。「北富士演習場関係林野雑産物補償に係る過年度分処理要領」というのが出されております。これを長官は御存じだったのですか、御存じなくて覚え書きを結ばれたんですか、お伺いしたい。
  104. 二階堂進

    ○国務大臣(二階堂進君) いま承りました。私は全然知りませんが、これはいつ出たか。私が官房長官になる前のことじゃないですか、これは。
  105. 鈴木力

    ○鈴木力君 知らなかったと言えばそれでいいんです。
  106. 二階堂進

    ○国務大臣(二階堂進君) 知りません。(笑声)
  107. 鈴木力

    ○鈴木力君 わかりました。それで、これは、御存じなかったということでありますから、きょうはだれがいいとか悪いとかいうことをそんなつまらぬことを言うつもりはございません。ただ、御存じなくてこの覚え書きに署名をなさった。ところが、私はこれには二つの点で問題があると思いますね。それはあとで防衛庁それから施設庁に伺いますけれども、長官はおそらく御多忙でおしまいまでここにいられないと思いますから長官にお伺いする部分を先に伺っておきたいと思ってその分ははしょるのでありますけれども、その二つの問題があるというのは、一つは、横浜防衛施設局が従来の、これはもう長官もずいぶん何べんも委員会でこの問題についての御答弁をなさっていらっしゃるから御存じと思いますが、従来は池田勇人大蔵大臣以来ですか総理大臣ですか、その答弁書というのがあり、それから詳しくは年代等はきょうは申し上げませんけれども、経緯からすると山上防衛施設庁長官のそれを受けた回答があって、従来は演対協の会長を通じてしか支払わないなんというような方向ではなかったわけですね。これはもう一つの権利を持っておる組合の代表を通じて支払うという形式になっておる。だから、私どもに言わせれば、これは重要な方針の変更になるわけですね。それを、防衛施設局が単独でそういうようなことができるのかどうか。もし単独でそういうことができるとすれば、官房長官の覚え書きというようなものは必要がなくて行政ベースでどんどんどんどんと進めていけると思います。しかしやはり、官房長官は前の経緯は御存じなかったにしても、これは重要な国の方針であるから官房長官の覚え書きになったと、こう思う。私はそう解釈するほうが正しいと思う。いかがですか、それは。
  108. 二階堂進

    ○国務大臣(二階堂進君) 私は、先ほど申し上げましたとおり、その過去の経緯その他は一切知らなかったと申し上げて、そのとおりでございます。  それから、もともと北富士演習場の問題とかあるいは北富士保全の問題につきましては、私は、前の増原防衛庁長官のときであったと思いますが、官房長官がこれに関係すべき性質の問題じゃないじゃないかと、こう言って何べんもお断わりしたんですが、当時県連の会長が金丸代議士でありますし、まあ君がおるから、いいから君話に乗ってくれと、こういうことでございまして、それでそのときも、これは防衛庁がタッチしていろいろ話を進めるべき問題だと、何でこのおれが北富士演習場の問題に関与しなくちゃならぬのかと、こういうことを申し上げたんですが、何べんも知事さんも来られるし、北富士演習場の対策委員長の小林さんも一緒に来られる。まあ君がおるから何とか話を早く進めるようにしてくれと、こういうことでございまして、それならということでいろいろ話を聞いておるうちに、こういうものをつくってくれと、こういう覚え書きにひとつ署名をしてくれと、こういうことでございまして、私も、そうかと言って署名をしたのでございます。しかしこれは、署名をした以上覚え書きというものは行政上やはり効力は持つべきものだと私は思っておりますので、そうだからこんなものは破棄してもいいとか何とか考えておりません。  しかし、本来は、防衛庁、施設庁がやっぱりこれは当時者でもあると思っておりますから、そちらのほうとひとつ話をしてもらいたいと、こういうことで、私もその覚え書きは両方交換したわけでございますが、その後山中長官が御就任なさいまして、この話を申し上げましたら、これは防衛庁が話をすべき問題だというようなお話もございましたので、以後どうかひとつよろしくお願いしますよと、こう言って、この覚え書きを破棄するとか何とかいう意味じゃございませんよ、話をされる主たる当時者というものは防衛施設庁であるべきだと、こういう考えでございましたので、山中長官が御就任になりまして、そうそう私もあまりこのような深い問題はよくわかりませんから、ひとつよろしくお願いします、防衛施設庁のほうにひとつ今後の話は進めてもらいたいと、こういうことでお話を申し上げておるわけでございまして、本来なら、私が演習場の支払い問題とか何とか、そういう一つ一つについての支払い問題等についてくちばしをいれるべき立場にはないと思いながらも、こういう覚え書きをかわしておりますから、これはやっぱりこの覚え書きというものは法律上の効果はなくても行政上の効果というものは持続されるべきものだと、こういうふうに考えておりますから、その辺のところを踏まえて、今後ひとつ防衛庁当局と地元の話を進めていただくより方法がないんじゃないかと、こういうふうに私はすなおに考えております。
  109. 鈴木力

    ○鈴木力君 きわめてすなおなようですけれども、私に言わせれば、すなおな装いのもとにまことにすなおでない考え方がその中にあると、こう思うのです。というのは、さきに私は横浜防衛施設局の処理要領の話をちょっといたしました。同じ趣旨の処理要領がもうすでに出ておるんですね、長官の覚え書きの前に。そして正直に言いまして、まあ長官も正直にざっくばらんにおっしゃるから私もざっくばらんに全部申し上げますと——まあ全部といっても——これは山梨県の林雑補償を受ける人たちの内部問題が一つあるわけですね。それの詳しいことは言いません。少なくとも相当部分の、量からいったら人数は少ないけれども半分以上といってもいいぐらいの補償を受ける人たちが、忍草入会組合です、はっきり言いますとね。その忍草入会組合の人たちが演対協の会長から、まあいわばいろいろな考え方の相違はあるとしても、——そこはきょうは議論をしませんけれども、その考え方の相違のもとに、いわば私に言わせればつまはじきをされていると。何となしにじゃまな存在であり、うるさい存在である。そうすると、演対協の会長が政府と直接ものごとをきめることが手っとり早くてよろしいからということだと思う。そういう利益の一部の人たちと、また政府側もそのほうが都合かいい——これは私はちゃんとわかっております。都合のいい者同士が集まって相談をして、都合の悪い人はつまはじきをしてしまった。そういう経過を長官が御存じないで覚え書きに調印をしたと、こういうことになるわけですよ、話の筋をまとめて申し上げますとね。したがって、その問題は今日まで尾を引いて、予算上からいうともうその支払いができる、できない、まあ山中防衛庁長官は五十年度の予算で何とかしたいと、たぶん衆議院ですかでお答えになっているというふうに聞いておりますから、将来までどうこうしろということにはなっていないにしても、そういう形になっている。だから私はやはり、そうして、長官がよく御存じなかったけれども判こをついたんだと。ついた以上はこれは法律ではないけれども拘束力があるんだ、こうおっしゃるわけでしょう。であとはそっちと相談してくれ。そっちと相談をすると、長官の覚え書きがあるからそのワクはどうにも越えられません、——相談にならぬ、相談にならぬものをつくっておいて、そうして、おれは知らぬからそっちと相談してくれ。これはなかなかたちの悪い巧妙な仕組んだ芝居だと私はそう思う。  そこで、もし長官がおっしゃるような、すなおな気持ちでの御答弁であったら、すなおにそれならば、山中長官にこのあとはもう処置はまかしてあるんだから、一言一句これを変えちゃならぬということではなくて、地元との相談、話し合いによっては、解決の方向にゆくなら、必ずしもこれだけでなければならぬとか、あるいは別の方法も加味すればとかですね、そういう弾力はあるんだということをお答えいただければ、長官もほんとうにすなおだったかなと、こう思いますけれども、そうお答えいただかないと、この長官なかなか口先はうまいけれども腹黒いというふうにしか聞けないんですがね、どっちですか。(笑声)
  110. 二階堂進

    ○国務大臣(二階堂進君) いや、私はね、腹の中も黒くはなし、腹も頭もまつ白でございまして、(笑声)そんな悪知恵を出してこんなことをやった覚えは毛頭ございませんから、その点はひとつこの委員会におきまして明確にいたしておきたいと思います。都合のいいところばかりとって政府は話をしてだましたなんということは一つもありません。これは知事が、こうしてくれと、富士保全法の問題もございましたから、こうしてくれと、これは県民の意思であると、まあ演対協の中にいろんないざこざがあるという話は聞いておりましたが、知事がいやしくも来ておって、こういうものでいい、こうしてくれ、これは県民の要望だと、こう言われれば、県民を代表するものは知事だと、これはもう私はすなおにそう考えて、そうですかと、こう言ってこの覚え書きに署名したわけでございまして、先ほどお述べになりましたような過去のいきさつは全然知らなかったし、またあとはこういう趣旨に基づいて防衛庁の施設庁当局が地元の演対協その他と話をされてそうして解決さるべきものだと、またそうあってほしいと。しかも山中長官のような有能な、力のある方が防衛庁長官に就任されましたから、私はそのときにも、どうかひとつ防衛庁長官、この話はあなたの手元で話をして解決していただきたいという話を申し上げて、そうしてもうそれ以来私は無罪放免、全くこれに関係ないものだと思っておりましたが、しばしば委員会に引き出されてこういうことをいろいろ、どうかこうかというお尋ねになりますから、私もそれはいまさら、これは破って捨てますよということを県民の代表で来られた知事さんに一方的に政府が申し上げるわけにもまいりませんから、この問題はひとつ、鈴木先生もいろいろ御意見があろうと思いますが、防衛庁の当局と地元とよく話をされて解決ができるように努力をしていただきたい、こういうふうにもう心からこいねがう以外に御答弁の方法はございません。
  111. 鈴木力

    ○鈴木力君 もう一つ私、言いますと、県民の代表だというふうにおっしゃる。しかし長官がさっきおっしゃったように、金丸自民党の県本の委員長がこれでいいから判こを押せと言ってきた。それはさっき長官が金丸さんの話をされたでしょう。それは県民の代表じゃなくて、自民党の代表でしょう。
  112. 二階堂進

    ○国務大臣(二階堂進君) その点ちょっと……
  113. 鈴木力

    ○鈴木力君 ちょっと待ってくださいよ。それから自民党の代表である金丸さん、それからあと知事はこれは県民代表ですわな、好ききらいは別としても、厳然たる県民の代表だ。これはもう私はそこは認めます。それに立ち会った小林演対長というのが内部の二つの分かれておる考え方の一方の人である。政府側では都合のいい人だ、どうこう言っても。そこで判こを押して過去の経緯は知らないと、こういうことですからね。まあ私は、しかし長官がまさか、覚え書きを政府の代表で判こを押したものを、そうか、そんならやめた、破棄するとはおっしゃらない、ということは私もわかりますよ、その立場は。わかるけれども、それは完全無欠なものであって、これ以上のことは絶対やっちゃいかぬとおっしゃるとするとどうしても私はわからぬと思っている。ですから、過去の経緯もよく知らなかった。そういう事情で、政府は政府の演習場の使用転換からいろいろ進めなきゃならなかった立場もありますから、私どもは反対だったですけれども、政府側の立場で言えばそうだ。そうすればそれを進めるためにはこうしたんだと、こういうことだと思いますから、それならそれで、しかし手続的によく過去のいきさつ等も御存じないままにおやりになったことでもあり、特に山中長官が今後事実上処理の責任でこうやっていただくということになれば、一字一句あれを違っちゃいかぬということになったら、山中長官に有能だとか、いろいろおほめはいただいている、ほめられてはいるけれども、当事者能力はないんだぞということになってしまったらおかしい。窓口だけだということになったらおかしいことになるわけです。その点の扱いは、長官のお気持ちはどうなんですか。
  114. 二階堂進

    ○国務大臣(二階堂進君) 金丸君が自民党の代表だという、金丸君が来たときに、君は何の資格で来たのかと、出ていけと言ったのです。そしたらおれは県連の会長をしておるからここにおるんだと言うから、出ていけと言うのに出ていかぬというものを引き出すわけにもいかなかったから、そのまますわっておったわけです。それはこの問題についてはあまりもの言わなかったですけれども、そういういきさつでございまして、あれがこれを押せと、こう言ったんじゃなくて、金丸君はこれに判こを押せとは言っておりません。私が出ていけと言ったんだから、二回。君は何の資格で来たんだと、出ていけと言ったら、おれは県連の自民党の会長しておるからとかなんとか言って、それだからここにおらしてくれと、そうか、ということでございまして、金丸君がこれ判こを押せと、こう言ったわけじゃございません。これは知事さんが来て県民はこうですと、それから演対協の中は、演対協の協議会長という小林さんですか、来られた。演対協の中がいろいろあるという話はぼくもよくわからなかったですが、これは一本にまとまって演対協というものはできておるんだと、こういう人たちが県知事とともに来てこういうものでよろしいと、これに判こを押してくれと言われますから、私もそうですかと言って判こを押したわけでございます。しかしいま鈴木さんのおっしゃるとおりいろんなあれがあることもよくわかりますから、私はこの覚え書きをいまおっしゃるとおりに、これはそうですかと、過去のいきさつも知らずにこういうことに覚え書きに署名いたしましたと、ですからこれは一切効力はございませんということをこの席上で述べるわけにはまいりません。が、実情はいろいろあるようでございますし、その辺を踏まえて山中長官と現地のほうとよく話をして、これはもう何としてもやはり解決していただかなければならない問題だと思いますから、その辺はひとつ十分話し合いの上で解決ができるように善処してもらう以外にございません。その辺でひとつ鈴木先生御理解をいただきたいと思います。私何べん言われても、なかなかこれ以上の答弁をする能力がございませんから、ひとつ。
  115. 鈴木力

    ○鈴木力君 長官の気持ちもわからぬわけじゃありませんし、それからさっき私は金丸さんを自民党代表と言ったけれど、いたのがけしからぬとも言いません。それは私どもも陳情団を連れてそこにいることもありますからね。そういう役割りの案内だったということと、それから県連会長だからこれをこうと言ってきたということは私はやっぱり違いますからね。その辺は前からの長官の御答弁、いろいろ記録を読んでみると、もう少し金丸さんのほうの働きが大きかったみたいに見えるから、まあいずれ、それを別に私はいま取り立ててこれはけしからぬという意味で言ったんじゃないけれど、そういう経緯の間にいろいろな問題点があった。覚え書きに調印をする前にあった問題点を、そこの点は御存じないままに押したということがあるわけですから、したがっていまの長官の御答弁が、解決の具体的な処理については山中防衛庁長官にまかしてある。そうすると、現地とのいろいろな話し合い等によって解決の方向にいく場合には山中長官の判断されるところでいくんだと、こういうふうに承ってよろしければ、あと具体的にその問題点等は防衛庁のほうにお伺いもし、私の考え方も申し上げて、経緯はわかりましたから長官に対する御質問はこれで終わりたいんですが、そう解釈してよろしいですか。
  116. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) ただいま官房長官が答弁されたような経緯であったであろうと思います。私は率直に申し上げて、このような複雑な経緯あるいは問題点をかかえたことを官房長官、すなわち政府を代表する者としての立場にある官房長官との間に調印をさせたということについては、防衛庁として私は誤りがあったと思います。防衛庁自身がこれについて処理すべき当面の、最終の責任者である。防衛庁自体がその自分の所掌事務の中で施設庁事務として解決をすべく最終的には長官が責任を負うべきものであったのを、官房長官にそういう文書を捺印さしてしまったということは、私は官房長官に対してきわめて申しわけないことをしたと思います。したがって官房長官はもう御釈放を願いまして、しかしながらその事実についてはたとえ防衛庁長官が調印をしていても同じ内容のものであったろうということは私もいきさつその他を顧みて承知できるところでありますし、たまたま官房長官がその立場に立たれたということの経緯を私もつまびらかにいたしませんが、これは防衛庁がみずからすべきことを怠って官房長官をこのような立場に置いてしまったと、したがって官房長官の調印は、これは政府を代表して調印されたわけでありますし、この後も効力は引き続き有します。有しますが、官房長官がやったこと、このことについてはもうここまでにしていただきまして、あとは私のほうで引き取って防衛庁の不始末としてこの手続については私のほうでおわびいたしますから、官房長官の御釈放を願いたいと思います。(笑声)
  117. 鈴木力

    ○鈴木力君 もうそれじゃあとは防衛庁の長官に伺いますから、釈放という意味じゃございませんが、あとは質問いたしませんので……。
  118. 二階堂進

    ○国務大臣(二階堂進君) どうもありがとうございました。
  119. 鈴木力

    ○鈴木力君 そこで防衛庁の長官に伺いますけれども、いままでのやってきた政策がどうとか、考え方がどうとかというこんがらがった議論をすると時間がかかって恐縮ですから、私は項目的に伺います。  それで、林雑補償が予算とするとどういう性格になっておりますか。これは政府委員の方でもいいし、施設庁長官でもいいです。
  120. 田代一正

    政府委員(田代一正君) お答えいたします。予算の科目上の性格としましては補償費でございます。
  121. 鈴木力

    ○鈴木力君 従来この問題がたとえば参議院の内閣委員会とかで何べんも議論されて今日まで来ておりますけれども、どうも一方では見舞い金というような言い方をしてみたり、補償金という言い方をしてみたり、いろんな言い方があったんですけれども、いまの長官の御答弁ですと補償費である、これははっきりしてよろしいわけですね。いいですか。
  122. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 通常こういった支払いの場合に、予算上の性格としまして補償費と見舞い金という種類がございますが、補償費というのは主としてたとえば国または国の委任を受けました者の適正な権限行使の結果国以外の者に損害を与えたと、法律上その被害者に対して金銭を給付するという場合もございますし、また国以外の者が国の命令に基づく行為によりまして損失をこうむったと、——損失をこうむったというときに国とその者との契約によって金銭上の給付をするという場合が通常ございますが、見舞い金の場合はこういった法律上また契約というものといった根拠なしで実損という面に着目いたしまして、公平の見地と申しますか、そういう見地から救済措置を講ずるというものが見舞い金であるというのが通常の考え方でございます。
  123. 鈴木力

    ○鈴木力君 そこで、補償金である、これはもうはっきりいたしましたですね。そうすると、補償金であるという以上は支払いの対象になる人たちはやっぱり受給を受ける資格がある、補償金を受ける資格があるということは言えるわけですね。これ権利ということばをほんとうは私使いたいのですけれども、権利ということばを使うとまたその入り会い権がどうこうという横のほうに議論が発展しますから、そうすると時間がむだになりますから、私は受ける資格がある、有資格者である、こういうふうに一応きめたいと思います。そうすると、有資格者である人が国から金をもらう場合に、自分の意図しない人に白紙委任して金をもらうというこのもらい方というのは一体妥当なのかどうかという問題があるわけです。これはいかがですか。
  124. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 受給資格者と私ども言っておりますが、これは個人だというぐあいに考えております。個人ですね、組合じゃなくて個人だというぐあいに考えております。
  125. 鈴木力

    ○鈴木力君 個人かどうかはまたもう少しあとに……。
  126. 田代一正

    政府委員(田代一正君) はい。それで、この受給資格者であるべき個人の意図に反して云々という話がございましたけれども、あくまでこれはそうなりますというと法律的な性格の問題に触れる問題かと思いますが、私どもはあくまでこれは入り会い権に基づく請求権というぐあいに考えておりません。長年の懸案で御承知と思いますが、北富士演習場の円満な使用ということに着目いたしまして、さらにまた米軍時代になりまして旧軍時代と違って使用の制限を受けるというものに対する不利益ということにまた着目いたしまして、そこで何らかの措置を考えなければいかぬということによって成り立った関係でございます。したがいまして、受給資格者と仰せられる方々からの、何と申しますか、申請と申しますか、というものをちょうだいいたしまして、それを国でもって査定をすると申しますか、そういうことの過程におきまして補償契約というものが締結されます。それに基づいてお払いするということになるわけでございます。したがいまして、これが完全な、よく衆議院、参議院で例がございまして、たとえば飛行機が落っこちたときに損害賠償を請求するという議論がございましたけれども、あくまでそういった補償契約を締結して発生する権利ということになりますというと、当然その補償契約を締結する行政上のプロセスといたしまして、ある機関を経由する。たとえばある機関でもって審査してもらうとか、窓口になってもらうとか、あるいはまた法律的には代理、副代理という関係を重ねて初めて国とそこで話し合いができるということにしても、これは行政措置としてはあながち不当である、妥当性を欠くということにはならないと、こう考えております。
  127. 鈴木力

    ○鈴木力君 私は政治的な問題としてものを言いますが、行政的に政府が都合のいいような法律なり、規則なり、制度なりを自分でつくればどんな道でも走ってゆけるわけです。この団体か個人かというのはあとで言いますが、私がいま聞いているのは、少なくとも受給の資格がある人、その受給の資格がある人から政府の気に入った人を通じてでなければ、おまえの資格を没収するということが政府にできるのかどうかということを聞いているんです。長官はいま個人と言ったでしょう。国民の一人の個人が国から金をもらう資格があるということまでは認めておる。しかし、その個人がいやな人を通じた場合、いやな人でも、これこれを通じなければ金は払わぬぞ、しかもその通ずる人は第三者、関係のない人なんだ、はっきりいうと忍草入会組合の人たちは演対協の会長とは関係のない存在。そうでしょう。関係のない存在の人を通じなければおまえの受給資格は没収できるぞと、こういうことが日本の階級システムのどこにあるかと言っているのです。たとえば、私は教師をやりました。教員をやって月給は学校長に委任をして、県からもらいますよ。ところがその校長が県からにらまれている校長で、あいつけしからぬから隣りの学校長を通じなければおまえの月給渡さぬなんていうことが、政府が言う資格があるのかどうかということなんです。これは長官よりも会計検査院の方おみえになっていると思いますけれども、会計検査院の見解はどうですか。
  128. 柴崎敏郎

    説明員(柴崎敏郎君) ただいまお話のケースの場合は会計法の見地からどうかということになろうかと思いますが、御承知のとおり会計法は会計経理の手続規定を主たる内容にしておるものであります。本件の場合で申し上げますと、国と受給資格者との間の経理の問題としての手続規定が会計法の規定内容になっているわけでございます。そういう見地から申しますと、現在のお示しのケースは、言ってみますれば主として受給資格者側の委任をどうするかという限りの問題であるように思われます。したがいまして会計法以前の問題ということで、これを直ちに個々の条文に当てて違反であるとかいうような結論は出ないのではなかろうかと思います。ただ事実問題といたしまして、こういうような仕組みになっているということのためにこの補償費が予算上は損失が実際に事実上あるものを対象にして積算されているはずでございますから、その積算された予算が執行過程においてあるいは支払いが不能になる、つまり予算執行上芳しからぬ結果が出るというような点につきましては好ましいことではない、そのように考えます。
  129. 鈴木力

    ○鈴木力君 その予算執行上芳しからざることがもう出たわけですね。予算執行上は好ましいことではない、これは私もそう思うのです。あと合法か非合法かということは、これはまあいろいろな考え方、法律の適用——このごろの政府の法律の適用なんていうのはどっちを曲げるかわからぬけれども、みんな合法にしてしまっておるわけですから、そういう言い方をここで議論してもむだだと思うのです。いずれいま会計検査院の方が申されましたように、予算執行上は望ましからざることだ、そういうことだけははっきりすると思う。これは私は山上長官時代にははっきりと、まあ入り会い権のあるなしは別ですよ、入り会い組合の当事者の団体に直接支払っておったわけでしょう。そういう趣旨だということになっておる。それをたとえば、忍草でいいますと、忍草入会組合の組合長を通じて、また小林演対協会長を通じてとこうきたから、関係のない者を通じてとこういうことになるから、行政の系統なら別ですよ、それがあそこの現地の事情に対しても、特にものごとを、くさびを打ち込むという政策以外に何にもない、黙って忍草入会組合長に委任をさせたらそれに直接支払えば何も問題はないじゃないか、まあしろうとのことばでいえば意地悪ですよ。使用転換にいい顔しなかったから意地悪をしてやれ、それだけの話だ。いまごろの日本の政府の態度としては最も愚劣です、私に言わせれば。これは所見は聞かないほうがいいですから、それの所見は聞きません。ただ山上長官時代にしておったことを演習場の使用転換という問題をめぐってぐりっと変えてしまって、そうしてもらうべき資格まで、政府側にいい顔をしなければその資格も没収をするというやり方だけは改めなければいけないということを申し上げておきます。  時間がありませんから、その次に、さっきの団体か個人かということについて、これもはっきりしておかなければいけないと、こう思うんです。さっき田代長官は個人だと、こうおっしゃったんですね。そうすると、林雑補償というのは、林雑補償額算定基準というのが調達規第三七号で出ておりますね、昭和三十六年の八月四日。読んでみますと、「この基準は、林野を駐留軍の用に供することによって林野特産物の生産または採取について権利または入会慣行を有する者がこうむる損失の補償額の算定について定めるものとする。」、簡単に言いますとこういうことでしょう。米軍が進駐をしてきた、その進駐する以前にあすこの林野でいろいろな草を刈ったり、あるいはそだを取ったり、それが米軍の進駐によってできないで損失をこうむった、それに対する補償ということでしょう、この林産物補償というのは。そうしますとですね——これ長官、こっちの話も聞いておいてもらいたい。個人というお話でありますから、私は個人というのはおかしいと思いますけれども、一応個人ということに立ったら、それならば、米軍が進駐をするころにはあすこの林野とは関係のない人たちでその後あすこに独立の生計を営むようになった人、その人に補償金を払うというのはどういう理由で払っておるんですか。今度払った人が何人ありますか。
  130. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 林野特産物の損失補償の性格は御指摘のとおりでございます。具体的に北富士におきまして個人の立場といたしましてもこの要件に合わない人があるんじゃないかという点を御指摘されております。具体的に私そういう方は承知しておりません。いずれにいたしましても、あの演習場におきましてそういう林野雑産物をとることができる方が演習場の使用によって立ち入りを制限されることによってできなくなるという不利益に対して行政的配慮をすると、そういう性格のものでございます。したがって……
  131. 鈴木力

    ○鈴木力君 したがって以下は要らない、時間が足りないから。——そこをはっきりしないとこれははっきりしませんよ。要するに駐留軍が進駐をした、そのあとにあすこに住みついた人が対象になるのかならないのかですね、そうすると林雑補償というこの制度は、さっき私が読み上げた基準のとおり、駐留軍が入り込む以前にあすこの林野でそだを取ったり、草を刈ったりしておった、それが駐留軍が行って、いまは自衛隊があすこは管理していますけれども、そのために以前にやっておった所得をあげることができなくなった人にその損害補償をしておるわけでしょう。だから、日照権でいったらこういうことになりはしませんか。家が建っておる、あとでここに日陰になるような建物が建ったからこの家には補償するんでしょう。建物の陰に家をあとから建ててそして日照権の補償をしろということは成り立つんですか、いまの法律で。成り立たぬでしょう。それを承知でそこに行った人たちに金を支払うというのはおかしい、個人という場合ですよ。存じていませんと言いますけれども、私が調べている限りにも、そういう人で今度補償金をもらった人が相当います。だれ、だれ、だれというのも資料がありますけれども、きょうはそれは言いません。そうすると、そういう立場に立てばその個人に支払ったということは間違いですね。どうですか、これは長官のお答えだな。
  132. 田代一正

    政府委員(田代一正君) ただいま施設部長から答弁いたしましたように、最近お払いしました分につきましてはそういう事例はないと、こういうことでございます。
  133. 鈴木力

    ○鈴木力君 わかった。——そうすると、あったらあった部分は間違いだと、これは確認してよろしいですね。
  134. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 私が申しましたのは、最近お払いしました四十二年−四十四年度までの支払い対象につきましてはそういう方はいないということでございます。四十一年度以前の方につきましては、いま少しく時間をかけまして調べてみないとわからないということでございます。
  135. 鈴木力

    ○鈴木力君 私は、どこの何さんという人が幾らもらったのをけしかる、けしからぬじゃなくて、ここではっきりしなければいけないのは、個人か団体かという議論に分かれるんです、これはね。従来は入り会い慣行を認めておって、その組合の中に入り込んだ人は、あとで入り込んだ人も、団体を対象にしておったから個人というものも支払いの対象になっておったわけなんです。それを今度組合を、団体を全然否定をしてしまうと、その個人の資格というのは変わってこなきゃいけない。そうでしょう。そうすると、あったか、なかったかは別としても、政府が団体を否定したという以上は、あとで入り込んだ人に資格はないはずです。そこをはっきりしてもらえばいいんです。
  136. 田代一正

    政府委員(田代一正君) これは入り会い組合と入り会い組合員との関係という問題になると思いますが、政府がかねがね申し上げておりますように、入り会い権というものはございませんけども、入り会いの慣行を尊重するということばは使っておると思います。そういたしますというと、受給資格者は組合員の個人でございましても、その活動その他は当然団体性というものがそこにございますから、その収益とかなんかにつきましては当然団体性というものを帯びてくるということですね。たとえばこの組合の規約によって朝何時から何時まで草を刈るとか、あるいはまた大きなかまを持っていっちゃ困るから小さいかまを持っていけとかいうので、やはり収益というものが制約される。これはやはり一種の入り会い組合というのがございまして、その中の組合員であるという資格においては、そういう問題はある。ですから、受給資格者は個人でございますけど、やはり事柄の性格から申しますというと、そういった団体規律とかいうものによって制約されるという面はあると、こういうことは言えると思います。
  137. 鈴木力

    ○鈴木力君 最初からそう言ってもらえぱ話がよくわかるんです。そういう入り会い組合を——まあ入り会い権の問題はきょうは抜きますよ、時間がかかるからね。入り会い組合という団体性のものということが前提になるわけです。その中の個人に支給をすると、こういうことでしょう。だから、私はさっきから、覚え書きというのはおかしい——覚え書きかおかしいんじゃなくて、覚え書きはそうなっているけども、実際にやったのは覚え書きと違うことをやっているわけでしょう。たとえば忍草の組合の人々が組合長を通じないで個人から演対協に直接委任をしろということを盛んに言い出してきた。二十人かがそれに行って金をもらってきた。もらってきたら話が違うからといって、入り会い組合のほうに寄付するとかなんとかというようなことになっている。そんな現象がいろいろ出ているわけなんです。だから、団体ということを基礎にして団体の中の個人、そういうことが確定をすれば、入り会い組合の組合長を通じないで委任をしたということが覚え書き違反なんです。あの官房長官の覚え書きの中にもそう書いてあるでしょう。入り会い組合長を通じて小林演対協の会長を副代理人として申請をしろと、こう書いてある。ところが組合長をもう除外してしまえ、そういう演対協から個人あての文書やなんかもある。あるいはおそらく施設庁が陰で指導したと思いますけれどもね。それでおって、個人なのか団体なのか、その場その場で言い方を変えておるようなところに国民の権利を安易に剥奪をする政府の姿勢がある、私はそう言いたいんです。だから、団体の中の個人ということで、団体性という性格を、これはもう従来そういう性格をとってきた。それを確認をすると、そのあとに入った人も支給対象者となり得るわけですから——これはなり得ると思いますよ。それならそれとしてはっきりしておけば、扱いを一貫しておけばそれでよろしい。そうすると、忍草入会組合も、組合長を通じないで、組合と関係なしにやった人というのは団体性の中の個人ということにはならない。そうでしょう。そこに政府側のこの扱いの間違いがある。どうですか、それ。
  138. 田代一正

    政府委員(田代一正君) 少し認識が違う点があるのじゃないかと思いますが、さっきから申し上げておりますように、受給資格者はあくまで個人でございます。個人がそういった活動をするにつきましては、団体の規律その他によってやはり制約されるという面はあるかもしれない、こういうことを申し上げました。しかし、あくまで個人が受給資格者であるということは間違いないと思うのです。  そこで、今回の演対協を通りました最終の措置に関連した問題かと思いますが、これは先生御案内のとおり、昨年の二月の十七日にできました一つの何と申しますか、支払いのしかた、方法というものによりますというと、一応組合を代理人として、演対協副代理というかっこうでもって国と接触することにしてございます。これは、やはりできるならそういった性格的な問題もございますので、やはり組合を通したほうが非常に便利じゃないかということでもってそういうシステムが考えられたと思いますが、三月以降起こりました問題につきましては、私どもの聞いておる範囲では、演対協といたしましては、忍草の入り会い組合に対して何度も、もう予算がこれで流れるからどうぞひとつ協力してくださいと申し上げた。しかし、忍草入会組合としては何ら措置をされない。そこで窮地におちいりました演対協が、じゃあ、個人が受給資格者だから個人から直接演対協を通ってもいいんじゃないかということでもってああいう措置を緊急に考えたというぐあいに私は報告を受けておりますが、これは先ほどの法律観念、構成からいってやはりやむを得ない措置ではなかったかというぐあいに考えます。
  139. 鈴木力

    ○鈴木力君 だから三百代言の言い方なんです、それは。最初から私が言っているように、演対協と忍草入会組合とは関係がない。それを政府が、演対協を通じなければと、——忍草入会組合の意思が、そこの間の意思が統一をされておって、この道を、ときめておるなら話はわかる。そうきめたのにそっちに委任しないからだめだというなら話はわかる。関係のないところに相談もしないで、そして相対立した——この見解からいま意見は対立しているわけですが、対立した一方のところに、これに委任をしなければというやり方ですね。これはもう組織の切りくずしの全くのえげつない手ですよ。そんなことを用いて基地管理をやっているという防衛庁の政治姿勢がけしからぬのだ。その弁解は、弁解ができるようにそれはお役人のことだからじょうずに文書はつくっているでしょう。しかし、たとえば横浜の施設局長が、政府が覚え書きを出す以前にもうそれをつくって、これが金科玉条でございます、でしょう。官房長官はお帰りになったけれども、官房長官の覚え書きはあとでそれを追認しているだけだ。そんなからくりをやっているわけです。きれいごとは言うけれども、中身は全部からくり。  だから、いまの団体性というものをはっきりと認めるなら、その団体性を認めたという本質のあり方に戻らなければいけない。それを、関係のないところの政府が、これを委任しろと言ったから、通じなければ個人でもいいんだ。団体と無関係でもいいんだ。団体と無関係でもいいということが基礎的に方針となっているのなら、最初からその方針でいくべきだ。だからさっきも言ったように、それならば団体と無関係な人は駐留軍の接収後に入った人は資格がない。団体というものを基礎条件として認める場合に資格が生じてくるわけだから、それなら団体を通じた場合に資格が出てくる。これはもう、そうだと言うと政府は困るでしょうから、そうだとは言わないかもしれません。しかし、これはだれが見てもそういうことなんです。  さっきの答弁のあれでも、何べん繰り返しても同じことだと思いますが、少なくとも私の申し上げている、筋道の通った、しかも会計検査院の方にさっき伺ったように、少なくとも望ましからざる金の支払い方法をとっている。これは望ましい方向に戻す努力ということがこれは政府としてはしなければいけないと思います。努力をするという意味は、認めて——団体性ということを基礎として認めているのだから、その団体と政府が直接話し合って、そして納得の上に、こっちを通るのなら通る、あっちみ通るなら通る。そういう方法を追求するという努力をするべきだ。これは山中長官、いかがですか。
  140. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) まあ会計検査院の見解は、予算で積算されて計上されたものが当該年度に支払われぬことがまず不正常である。支払われるべきであると。それを、会計法上繰り越しが許容される限度一ぱいになってなお支払いができないものがあって、それが結局は不用で国に返されるということについては、執行上それが最も望ましい方向とは思われないという御意見は私は当然だろうと思います。私もその点は否定いたしません。でありますから、次善の方策として、昭和五十年度予算においてそれを計上し、そしてそれをなるべくすみやかに当該受給資格のある方々が受領されるような予算措置を講じたいということで、私としてはその措置をとるしか現在のところ方法がないということであります。
  141. 鈴木力

    ○鈴木力君 いまの長官のその御努力というのは私はわかる。わかるけれども、そうおやりになる、それが一つのやっぱり努力だと思いますね。そして資格を持っている国民に対する答えの手だと思います。制度上それ以外にできなければ、その努力をする。ただ、その年度内に支給できなかった、支払いできなかった原因というのは、これは政府側の支給要領なり、そこに端を発していることなんです。そこのところにメスを入れないで、何年延ばしても基本的な解決にはならないと思う。これは私は、そういう点でせっかく五十年に予算を置くといま御努力をしているわけですから、その大もとになるところにメスを入れる努力ですね、私はもう時間がありませんから、これは強い御要望として申し上げておきます。  それで最後に、時間がありませんが、そこで、そのあとの四十五年度以降の実態調査をいまおやりになっているわけですね。それで、もう時間ありませんから、御答弁いただくと長くなるから、私のほうから端的に問題だと思うことを申し上げますけれども、前の場合には、学者に委託、お願いしておったわけです。そして学者に調査をしてもらったということが一つあります。ところが今度の場合は、さっきから申し上げたような、施設庁と、——施設局ですか、それから演対協が調査の任に当たると、こうなっているでしょう。ますますその忍草を締め出して、いじわるをして、いじめておるその対象が調査の責任に当たって、第三者の学者の調査というものをはずしたというこの意図というのが、まさにまともな政府の住民に対するあり方とは私は違うと思う。どこまでもあいつ憎たらしいやつだからいじめてやれ、それには、政府は合法なんだからかまわぬ、政府の権力をもっていけばと。その姿勢がどうも見えてならない。私は、こういう調査というのは、どうしても公正な調査ということはできないわけです。受領の委任さえできないと言われておって、そういう対立しておる一方側に調査を依頼して、責任を持たしておる。その調査であなた公平な調査ができると思いますか。これは政府のとるべき態度ではないと私はそう思う。  それからもう一つは、これは端的にお答え願いたいんですが、調査のしかたはやっぱり個人を対象にするんですか、団体というものの中の個人というそういう考え方で調査をするんですか。これはどっちです。
  142. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 調査につきまして、まず冒頭の御指摘につきましては、昭和三十五、六年ごろに学者に依頼して調査したその調査の実績というものは、これはあくまで一つの実績として尊重すべきものであると思います。今回、学者に委託せずして、防衛施設局が演対協と実態調査をやるということになっておりますが、この実態調査内容と申しますのが、各農家の田畑の保有反別、あるいは牛馬の保有頭数、その他それぞれの田畑に対するそういう野草等を使っての施肥量という事実問題についての実態調査でございます。あえて学者に依頼しなくても、そういう事実に即した客観的調査というものはできるという判断に立ってやっておりますので、決してそういうところに不公平な状態が生ずるとは思っておりません。それから、調査の対象はあくまで各農家のそれぞれの実態調査するという考え方であります。
  143. 鈴木力

    ○鈴木力君 言い方はじょうずですが、ことばの上で言えばそういうことになりますよ。しかし、私がさっきからずっと述べてきたような関係というものを、それだったらそういう単純な調査だったら、各入り会い組合に調査を命じたらどうです。そうして、それを政府が査定をしたらどうです。あえて演対協の小林何がしをどうして引っぱり出さなければいけないかということなんです。これは、私はあえて言えば政府と演対協の間にくされ縁がある。これを利用してやると忍草をくずすことができる。そういうこと以外に何もないじゃないか、公正な行政なんかはどこからもそのにおいはかげない。そういう行き方はどうしても私は納得できません。単純な調査であったら、その入り会い組合長に調査を依頼したらどうです。何しに演対協などという、わざわざいま問題の焦点の人をなぜ表に出してこなければいけないのか。政府の挑発行為じゃないですか。だから、それだったら各入り会い組合の組合長に依頼して調査をすれば、それでよろしい。しかし、この補償問題というのは、いろいろ経済的なあるいは農家経営的な要素というのが非常にたくさんあるから、そうするとやはり適切な学者というようなものも動員したり、あるいは学者でなしでもいいと思いますよ。常識的に言えば、こことこことがいま対立をしている関係で林雑補償というのがいまもこうした問題になっているわけです。それのどちらにも属せない第三者に、公正な第三者に調査を依頼する、こういうことだってあるでしょう。あえて片方だけを使わなければいけないというのは、挑発行為だ、正しい行政じゃないと、こう思う。どうですか。
  144. 平井啓一

    政府委員平井啓一君) 先ほど実態調査の対象は各農家であると御答弁申し上げましたが、そういう実態調査するために先ほど来答弁申し上げておりますように、いわゆる入り会い組合というものがその団体性にはそれぞれ濃淡の差はあっても一つの団体性を持っているという形からその実態調査に関してそれぞれの入り会い組合を通して御協力を得て調査するという形に、実際にはなろうかと思います。そしてこの調査の過程におきまして、御指摘のような点を踏まえて十分公平な、公正な調査結果を得るようにわれわれは努力したいと思っております。
  145. 鈴木力

    ○鈴木力君 公平にいかないしかけをつくっておいて、公平にいくことを期待していますなんというのは、答弁用のことばとしては成り立ちますよ。私が言うのは、だからそれならば演対協というのをはずして各入り会い組合に調査を依頼したらどうだ。演対協というのは、いま問題を起こしている一つの焦点になっている人ですよ。どっちがいい悪いということをここできめつけるわけにいかないかもしれません。しかし私は、私が行って現地を見たりなんかして状況を調べた結果においては、やっぱり演対協は、しかもよからぬことをいまやっているみたいに見えますけれども、これはまあ私の個人の所見ですから、ここでどうこう押しつけるわけにまいりませんが、いずれにしても公正な調査という場合には、できるできないの問題よりも、行政としての配慮としては、関係のない第三者にまかせるという配慮が常になければいけない。何か種をしかけて争わせるということを挑発していることにしかならぬ、このやり方は。これはまあ改めてほしいと思う。  そこでこの調査について、私はきわめて将来にもわたることでありますから、調査計画、どういう計画のもとに具体的にどう進行しておるのか、状況はどうなのか、あとで資料としてひとつ御提出をいただきたいと、こう思います。その上に立って、この調査の問題は別の機会にまた議論をしたいと、こう思う。どうですか。
  146. 山中貞則

    ○国務大臣(山中貞則君) 提出いたします。
  147. 鈴木力

    ○鈴木力君 それでそういう資料が出てまいりましてから、また別の機会に、こういう点についての御質問を申し上げたいと思いますが、委員長に御要望を申し上げたい、質問を終わる当たりまして。  きょうはこれで終わりますけれども、いま私が御質問申し上げて、御答弁をちょうだいしたこの経緯から見ましても、きわめてすっきりしないものがずっと残っております。特に私が問題にしたいのは、補償金であって、受給する資格がない、政府の意図によってこの仕組みの中に資格を奪われるというしかけがこの中にある。これは私はどうしても正しい行政のいき方でないと、こう思います。そういう問題が一つあります。  それから北富士演習場にからんでの問題で、私はきょうは時間がありませんから、その問題に触れませんでしたけれども、国有林の払い下げ問題も、これも私は相当の問題を含んでいる。これは演習場の使用転換をめぐっての問題として、そういう問題も含んでおるとも思います。  それから閣議決定で、要するに基地周辺整備事業、これも覚え書きから出ております。すでにしかしそちらのほうが相当先行している。これも私は疑義のある事実が相当あるような気がいたしますので、そういうことなので、特に決算委員会として、こうした諸問題を含めて、北富士関係のずっと累積されているといいますか、長年続いてきている諸問題解釈の方向を目ざして、現地調査あるいは横浜防衛施設局のいままでやってきていることにもいろいろ疑義がありますから、この問題についての調査委員会としてぜひひとつやっていただくようにお取り上げいただきたい。これは委員長にお願いを申し上げてきょうの私の質問を終わります。
  148. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまの問題は後ほど理事会で協議いたします。  それでは午後一時三十分から再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時三十八分休憩      —————・—————    午後一時三十一分開会
  149. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十六年度決算外二件中、締めくくり総括質疑及び予備費関係八件を便宜一括して議題とし、質疑を続けます。質疑のある方は順次御発言を願います。
  150. 松岡克由

    ○松岡克由君 きょうは専売公社関係、刻みたばこの問題を取り上げてみたいと思います。大蔵大臣も要求したんですが、何か飛行機に乗っているらしいのできょうは柳田先生にいろいろ大臣にかわって……。  私はあんまりたばこに興味は実を言うとないんで、私自身はさほどどちらかというと関心の対象ではないんですけどね。刻みがなかなか近ごろ買えないという声を耳にしますんですが、そこから問題を発想していきたいんですけれどもね。この刻みの販売実績というのですか、昭和三十三年ごろからひとつわかりやすく簡単に説明していただきたいのです。
  151. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) お答えをいたします。  数字のほうから先に申し上げますが、昭和三十三年度四百八十五万三千キロ、三十四年度が四百二十四万六千キロ、三十五年度三百七十二万三千キロ、それから三十六年三百三万九千キロ、三十七年二百四十九万七千キロ、三十八年二百八万六千キロ、三十九年百八十一万二千キロ、四十年百五十二万七千キロ、四十一年百四十五万キロ、四十二年百二万一千キロ、四十三年九十六万六千キロ、四十四年八十七万五千キロ、四十五年六十一万四千キロ、四十六年四十万五千キロ、四十七年四十万八千キロ、四十八年三十七万六千キロ、こういう数字をとっております。で、刻みにつきましては、わが国では一番最初たばこが需要されたというのは刻みでございまして、歴史を申し上げますと、刻みが一般化し、その次には口つきたばこ、そういうものが盛んになったわけですが、その次に、両切りたばこということでございます。最近ではフィルターつきのたばこに変わっております。そういう流れの中でたいへんまあ刻みというものが、需要そのものがだんだん減ってきておるというような状況でございます。
  152. 松岡克由

    ○松岡克由君 説明がちょっと余分で、親切と受け取りますがね。要するにどんどんどんどん減ってきているわけですねこれ、販売数量というものがですね、これは原因、なんだと思いますか。
  153. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 原因はいろいろございますけれども、申し上げるまでもなくこの刻みの愛好者は比較的お年寄りの方が多うございまして、大体公社の推計によりますと、平均七十歳ぐらいの方がおもな喫煙者でございます。そういう関係で年々この喫煙層と申しますか、人口の層が減ってきておるというのが一方にございますし、また他方におきましては、最近生活様式等もだんだん変わってまいりまして、紙巻きのほうに需要が次第に移りつつあると、それも軽いたばこのほうに移りつつあると、こういう両面の原因から次第に需要が減ってまいったものとわれわれは考えております。
  154. 松岡克由

    ○松岡克由君 まあ需要が減ったと、すなわち買い手が少なくなったということは、要するに販売が少なくなると、これは経済法則からいって間違いないですがね。ちょっと私の考えは違うんでしてね、つまり何といいますかな、あなた方公社のほうにむしろ問題があるというような気がする。買い手がなくなったから売るほうが少なくなったということでなくて、何か原因が違うような気がするんですがね。  その前にちょっと念のために全国の販売店ですか、それと刻みたばこを売っている店、その比率がどうなっているのか。それからもう一つは地域的に、簡単にひとつ、時間がないですから。
  155. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) お答えをいたします。  四十七年の一月現在で申し上げたいと思いますが、全国計で小売り店総数が二十一万六千二百四十八店と、こういうことでございまして、このうち刻みを取り扱っておる販売店が九万五千五百六十二店ということで、この比率は全国では四四・二%に当たっております。
  156. 松岡克由

    ○松岡克由君 ちょっといまもう一つ注文したわけですがね。たとえばおもなところですね、東北または関東、この二ヵ所についてちょっと答えてください、比率でけっこうです。
  157. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) お答えをいたします。  一応例をあげて申し上げたいと思いますが、東京都の場合を申し上げますと一万八千百五十五店、このうち刻みを取り扱っておりますのが九百六十八店、比率が五・四%ということになっております。それから大阪府でございますが、一万二千三百十八店、このうち二千七百四十店が刻みを取り扱っております、比率が二二・二%。で、比較的農村なり漁村の多い地区で二つほど例をあげて申し上げたいと思いますが、宮城県では三千八百五十二店、このうち三千四百三店が刻みを取り扱っております、比率が八八・三%。山形県、二千八百九十四店、この中で刻みを扱っているのが二千六百三店ということでございまして、比率は八九・九%でございます。
  158. 松岡克由

    ○松岡克由君 まあ聞いていますと東北とか北陸に売っている店が比較的多いと、東京都の場合はいまいみじくも五・四%というあれが出ていましたね。ということは、この広い東京でたばこ屋の数がざっと二万軒弱ある。ところが売っているのは千軒に満たないという、こういうことですね。そうですね。
  159. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) はいそうでございます。
  160. 松岡克由

    ○松岡克由君 そうするとほとんど売ってないということが言える、二万軒の中の千軒ですからね。私は、つまりいま総裁が年寄りが多くなったとか生活様式が変わってきたとか、まあ非常に少なくなっていると言うけど、私が知っている限りでは、たばこ屋の店先になくなってきているわけです、四十四年ごろから。これ販売実績のやっぱり減少と、こうなっているんですけどね、私は何かそっちのほうに原因があるということは、まあたとえば具体的に質問しますと、どこの店に行きますと東京では刻みたばこを買えるんですか。
  161. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) お答えをいたします。  具体的に一般の小売り店についてはちょっと資料を持ち合わせておりませんので申し上げにくいんですが、東京都内にサービスセンターというのが四ヵ所ございます。そこでは公社で扱っておりますたばこ全銘柄を用意しておりまして、当然そこでも売っておるわけでございます。
  162. 松岡克由

    ○松岡克由君 そのことを知らしていますか。——知らしてないでしょう。現に私がいま聞いて初めてわかる。まあたばこに関心がないと、こう言っていましたけどね。これは私だけの意見じゃなくて、たばこを吸っている人の意見をもちろん聞いた上での私は質問なんですから、周知さしていらっしゃいますか。
  163. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) 私どもといたしましてはそういうお客さんに対するサービスなり、お客さんとのまあコミュニケーションと申しますか、そういうものにたいへん関心を持っておりましてできるだけ周知をしているつもりでございますけれども、先生御指摘のような点がありますればこれは十分直してまいりたいと思うんですが、だいぶんわかってきておるというふうに認識をしております。
  164. 松岡克由

    ○松岡克由君 冗談言っちゃいけない。わかってないですよ、たばこのサービスセンターがあるなんていうのは。私はわりと東京とまたは都市を往復する人間ですけど、たまたま私の友人のうちが芝にありますのでその近所にたばこセンターというのがあるというのをたまたま友人のうちに行ったんで知っただけの話で、どこそこにそんなのがあるなんていうことはおそらく一般は知らない。昔はたばこ屋というのはもうちょっと歩けば、「向こう横丁のたばこ屋の……」って文句があるくらいなもんでね、どこでもあったんですね、現にたばこ屋はあります。たばこ屋はあるけれども刻みは売ってないです。教えてあげます、あんたどこへ行ったら買えるかということをね。私の行くのはまあ私を含めたうちの連中が、西武デパートの渋谷店なんです。詳しく言いますとA館一階のB館に面したたばこ売り場、ここに刻みがあるんです。まあおそらく知らぬでしょうね、みんな。よほど刻みをさがしている者でなければ、刻みに恋い焦がれている者でなければわからぬでしょう。ところがそこに行っても刻みありますという看板があるわけじゃない。いまあんた、周知さしていると言ったけどね、刻みありますなんて看板ないですよ。どういうふうに周知さしているんですか。うそ言っちゃいかぬ。
  165. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) お答えをいたします。  確かに先生御指摘のような点はあろうかと思いますが、刻みといいますのはたいへん特殊な愛好者でございます。かつては各小売り店で販売をしておったものでございますけれども、私どものほうといたしましては常時刻みが売れるという店、そういうものを選定いたしまして、そしてそこでまあ地域の需要に応じた供給をしておるわけでございます。したがってそういう特殊なものでございますから、刻みの愛好者の方と販売店との結びつきと申しますか、そういう点は十分とれているというふうに思っておるわけですが、ただこれから新しく刻みを吸いたいというような方についてはたいへん御不便かと思いますけれども、そういう方につきましてはやはりサービスセンターというものを周知徹底をいたしましてできるだけ需要にこたえてまいりたい、こう思っています。
  166. 松岡克由

    ○松岡克由君 言っていることが違うんですよ。少なくなってきちゃったからもうないというのと、それから徹底するように努力しているということに、ずいぶんハンディキャップを感ずるんですね。ほんとうにそう思っているんなら、私は売っているか売っていないかわからない、知る人ぞ知るなんていう状態にすべきものではないなんて、あたりまえの話なんでね。だから要するにこっちが勘ぐって正当に考えてみても、とにかく刻みを売るのをとにかくこう縮めていこう、縮小していこう、こうしか考えられないんです。たとえばいま私どもが西武に買いに行ったとしますね、ところが行ってもそう買えないんですよ、通常な手段では。知っていますか、それ。
  167. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) お答えをいたします。  確かに一般の方が新しく買おうとしますとたいへんむずかしいかと思います。ただ刻みの需要につきましては、私ども何ら手を打っていないというわけではございませんで、先ほど御説明いたしました販売の推移の中でも四十二、三年ごろたいへんストックがございまして、刻みを売るべく一生懸命努力をしたわけでございますが、一年に近いストックを持ったために私どもといたしましては需要に合わせるように生産量を落とさざるを得なかったという事態があるわけでございます。そういう需要の動向をどう踏んでいくかどいうこと、それからもう一つは、どの限界までつくればいいのかという問題があるわけです。最近のように四十万キロ程度ですとたいへん量が少なくて各販売店に供給をいたすのもたいへん苦心をしているわけです。したがって需要に合ったように、あるいは地域に差がございますが、そういうものに合ったようにできるだけ需要と供給とを一致させるように苦心をしているわけでございます。
  168. 松岡克由

    ○松岡克由君 だから、需要と供給に一致させるように——あなたの言っているのは七十歳以上の年寄りが好むとか生活様式が変わってきたからだんだん少なくなるから少なくしているという需要と供給に合わしているけれども、ほしい人に与えるという意味での需要と供給なんか全く合わしてないですよ。なぜ買えないかということを教えてあげましょうか。売ってねえんですよ。売ってないものが買いようがない。向こうも売りようがないんです。ないんです。ほしくてもないんですよ。たとえば私が調べましたら、その西武の渋谷店の場合です。最終の、週の週末に刻みが入るんですね。売り出すのに、お一人様五個以内と限られています。それも四、五日、早いときに二、三日でなくなっちゃうんです。これで徹底しているの、サービスしているの、やれ需要に合うの合わないの、七十歳がどうの、生活様式がどうの、ちゃんちゃらおかしいですよ。言いわけ以外に何もないでしょう。もう現実どうしてくれるんですか。ほしいから行くんですよ。五個以内というのは、需要がたくさんあるからですよ。でしょう。それを持ってかりに売って歩いたっていいじゃないですか。それだけの需要、ほしがっているのがいるというのです。ただあなた方が意識的になくそう、なくそうとしているんですよ。ほしくてたまらないんです。どうしてくれるんだというのです。その返答を聞きたい。
  169. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) われわれ専売公社といたしましてはあくまでも消費者の需要に応じて売っていくということがこれが基本でございまして、ただいま御指摘のような事情がありますとすれば、十分需要にこたえるように今後数量をふやしていきたいと存じます。ただ、先ほど申し上げましたように、地域的に需要者の層が偏在をしておりますので、これを、販売店を大幅にふやすということになりますというと、やはりそこに売れ残り品もでき、品質の低下も生じますので、いま申し上げましたようなサービスセンター等におきましては、今後需要者の需要に十分応ずるように、またそういう点については周知をはかるように、今後の施策として徹底をいたしていきたいと存じます。
  170. 松岡克由

    ○松岡克由君 それは違うんですよ。あのね、あなた方、たばこというのは嗜好品ですからね、生活必需品じゃないのです、なくちゃならないというもんじゃないんですよ。あるから買うんです。その根本を忘れているんですよ。それに年寄り年寄りといいますがね、とんでもないわけで、若者たちにいまきせる愛好者がふえているという事実御存じない。また総裁にそれを教えないまわりも悪い、子分どもも悪い。ふえているんですよ、なぜならばたばこには美学があるんです。そうなんですよ。きせるには、刻みたばこに美学がある。いまみたいに世の中が豊かになってくると、どうしても文化といってもいいくらいの美学にあれに感じているんですよ、若者は。つまりそういうものなんですよ。御飯とかなんとかというもんでなくて、たばこというのは、そこから発想しているわけでしょう。だから当然置いとかなければいけないもんなんです。やれ売れる、残るとか、腐るどかなんとかって、そんなものはそっちの頭で考えるべきものでもって、こんなものをどうの、こっちへ押しつけるもんじゃなくて、とにかく行ったら買えるようにして、そしてむだがたくさん——むだが出ますから、どうのこうのなんというのは、冗談じゃない、そんな商売人のあなた、ふざけちゃいけない。それはあなた、買いにくる人に十分与えて、むだなくやりゃいいじゃないですか、そんなもの。そんなばかな、答弁にもならぬですよ、そんなもの。そうでしょう。  じゃあ、ちょっと角度を変えて聞きますがね、耕作状況ですね、あのたばこの、まあたばこの葉っぱということです、たばこですね。これ刻みたばこ、これどのくらいになっているんですか、四十年以降でいいですけどね、ちょっと説明していください。
  171. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) 刻みのたばこに使用する原料でございますが、これは在来種というものを使っておりまして、ああいう芸術品的な商品に仕立てるためには、一枚一枚平たくのして、のしたものを用意しなければなりません。
  172. 松岡克由

    ○松岡克由君 面積
  173. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) で、これは四十四年以降、そういう葉っぱは生産がとまっております。その前までは、大体年に三百トン見当ずつ、三百トンまではいきませんけれども、その程度はやっておりますが、で、現在の刻みを供給している原料といいますのは、手持ちの原料をくふうをして延ばしながら使っておるというのが実情でございます。
  174. 松岡克由

    ○松岡克由君 そうするとなくなっちゃうわけですよね、もう現状。外国のたばこではできないんですか。
  175. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) はい。
  176. 松岡克由

    ○松岡克由君 できないんですね。——そうすると、座して食らえば山をもむなしという文句がありますけども、なくなってきちゃって、あともうないんですね。なくなってくるんですね。目の前に見えているわけですね。そうですね。
  177. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) 現在の状況からいきますと、手持ちしているストックをくふうして使っておるという現状でございます。しかし、相当期間はまだ供給可能だというふうに思っております。
  178. 松岡克由

    ○松岡克由君 ざっとどのぐらいですか。
  179. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) 需要の動向によりますけれども、まあおしかりを受けるかもわかりませんが、現在程度ですと大体五、六年程度ということでございます。
  180. 松岡克由

    ○松岡克由君 どんどんどんどん減らした上での五、六年ですね。この数字に見られるごとく下降線の需要、そっちは需要がなくなったということの上で五、六年ですね。以後こう平行線をたどっていく五、六年、最低線四十七年度、八年度の最低としてこういくんじゃなくて、下がっていくという意味において五、六年ということでしょう。
  181. 三角拓平

    説明員(三角拓平君) 一応多少そういうこともございますけれども、現在の供給している程度で五、六年程度ということでございます。
  182. 松岡克由

    ○松岡克由君 ということは、なくなっちまうということですね、五、六年たつと。あのね、かりに若い者がふえているとか、いま私がそう言いましたですね。かりに一部の人が趣味を持って吸っているといっても、私はこれ、専売公社というのは、刻みたばこを続けて供給していく、少なくじゃないですよ、普通にみんな間に合うように、義務があるんです。でしょう。専売なんですから、あなた方。だからそっちが少ないから、回わらないからといって、わきでつくるというわけにいかぬでしょう。こんな根本的な原則がわかっていないというのは、これはひどいですよ。専売局でしょう。わきでつくったら困るでしょう。どうなんですか、義務を感じませんか、総裁。
  183. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 刻みの生産を引き続き行なうことについての一番のネックは、先ほど御説明申し上げましたように、いわゆるのし葉を公社がどういうふうにして手に入れるかという問題でございます。申し上げるまでもなく、のし葉というのは在来種を石の上に敷きまして、それを一々人の手でもってなめらかにしてそうして延ばす、いわゆる、のすわけでございますが、このためには相当の労力が必要でございまして、そうでなくてさえ、ただいまのたばこの耕作には相当の労働力が必要であり、そういう手間ひまのかかるものはだんだん離れていくと、したがって、一般に減反、年間約四%程度ずつ毎年毎年減反をされていくような事情がございますけれども、特にこののし葉につきましては、いま申し上げましたように、非常に人力を必要といたします。昔は家内労働でもって、いろりばたで子供さんとか、あるいはおくさんとかが夜なべ仕事にそういうものをのしておられたわけでございますけれども、最近はだんだん農村の人口が都市に流出をいたしまして、なかなか安い賃金ではそういうものを手に入れるということは不可能でございます。したがって、のし葉の供給ができますならば、これは公社といたしましても、刻みのたばこを今後続けていくことはできますけれども、いまのような状況のもとでは、なかなかこれは困難があるということは御理解いただきたいと思います。
  184. 松岡克由

    ○松岡克由君 御理解します、ということは、できればやりたいけど、この現状を理解してくれということはできないんだと、できればやるという解釈してよろしいわけですね。
  185. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 私たちはやはり刻みというものは、日本伝来のたばこであり、伝統の味がし、また生のままの味のするいわばかけがえのない種類でございますので、でき得る限りこれを何とか将来につなげていきたいと、ただいま申し上げましたように、昭和四十四年度でもって、こののし葉の供給が絶たれておりますけれども、しかしながら、これを今後何とかしてつなげていきたい。それには一体どうしたらいいかということを現在検討中でございます。
  186. 松岡克由

    ○松岡克由君 検討中ということばと、それからやりたいんだけれども、こういう実情があるんだということと、ちょっとずれるような感じがするんです。要するに私の聞きたいのは、できればやるということですね。できればやるんですね、やってくれるんですね。
  187. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 需要者があります限りは、やはりかけがえのないものでございますので、やりたいと思います。
  188. 松岡克由

    ○松岡克由君 けっこうです。あのね、やり手がないというのは職業に魅力がないということもあるし、いろんな事情があると思うんです。私はもうかればやるんだと思うんです。伝統を継いでいる人たちというのは、いろいろな世界にありますよ。よくそれが継ぎ手がなくなっちゃうというんで、悲しんでいるなんという新聞やよく週刊誌を見ますがね、それは魅力がないからなんですよ。いろんな意味での魅力がない。たとえば金銭的な魅力があればやります。私はおそらく想像するのに、労力が多くて賃金が安いからだと思うんです。賃金が高ければ労力多くてもやるんです。そんなもの人間あたりまえですよ。賃金をやったらいいじゃないですか、値段を上げたらいいじゃないですか。それでもほしいのですよ。  あのね、ここに刻みぼくは一つ持ってきましたけどもね、これはないですよ、こんな包装紙で長もちしようたって、長もちはせぬです、こんなものは。たばこがいやがっていますよ、もっといいものにくるんでくれといっていますよ、もつわけないですよ。これほかのたばこに比べれば、ほらボンボン、ボンボン、これでしょう。(袋から刻みがこぼれる状態を示す)こういう状態にしておいて、おそらくこれから想像すると、つくっている人もかわいそうな状態でつくっているんじゃないですか。ないがしろにしておいているからこういう結果が出てくるんですよ。つくるやつがいないとは言語道断、盗人たけだけしいということばをあえて浴びせたくなるんですがね。なぜそんなきついことを言うかというと、ぼくの質問の趣旨は、そういう人たちが、おそらく、逆に考えれば、たばこをつくることしかできない人がいるけれども、つくりたい、つくりたいけれども賃金が安いからつくれないんだと、私は賃金高くしてくれれば、長年覚えたこの伝統のこれをやっていきたいなと、おそらく逆に聞き返せば、ぼくは思っている人がいると思います。それが伝統に対する日本人の考え方なんですよ。やりたいんですよ。やりたいけれどもやれないということもあるんです。だからそれをやるような方向にしむけていかなかったらだめで、少なくなったからだめだとか何とかいう、たばこってそういうものじゃないんです。たばこというのは嗜好品なんですからね。ある、ほしい、買う。ある、置いておかなければいけないものなんです。だからこそ専売局になっているんですから。その伝統を守っている人たちに対する——あえて伝統を守っていると言っていいと思いますね、こういう古いものですから。それに対する思いやりがあったら、また思いやりがなくちゃいけない。その思いやりをすることが営業につながり、専売局の面目を保つことにもつながってくるわけです。ましてや、そんなこと言われなくも釈迦に説法、百も御存じだと思います。どういう理由でやらないか知らないけれども、ことによるとだんだんお年寄りがやって、いま流でないかっこうの悪いものは、まあまあうまくもないなんて言われないうちになくなしていこうと、もうからないものはやめていこうという姿勢があるような気がするんです。それはないでしょうね。
  189. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) もちろん、ただいま松岡委員が御指摘のように、いわゆるのし料と申しますか、加工賃を十分に支払うということになりますというと、これは希望者が出ると思います。将来続けていくとすれば、特定の耕作農家と長期の契約をいたしまして、そしてある程度の適正な加工賃を支払う、あるいは場合によっては公社自身がのし葉をつくっていくというような方法も講じなくてはならぬかと思います。  これはついででございますけれども、もうからなければやらぬのじゃないかという仰せがございましたので申し上げますが、ただいま六十円で売っております「ききよう」、これは一個売ると九十五円赤字が出るわけでございます。そういうふうにして損を承知の上で売っておるわけでございますが、将来これを永続的につなげていく場合に問題となりますのは、やはり何と申しましても製品の価格でございまして、これが御承知のように、現在の定価法では十グラム当たり二十円というふうに法律で押えられております。したがいまして、将来続けていくためには、やはり国会の御承認を得まして、定価の改定と申しますか、益は出ないでもせめて収支とんとんぐらいのところにはなりませんと永続性が非常に困難になると、こういうことになるかと思います。
  190. 松岡克由

    ○松岡克由君 ぼくの質問に対する答えとしては合っているんですが、もののついでにたばこを上げてくれということになるとまた問題としては別になるんですけれども、私は少なくも刻みだけで言わしていただけば、こんな痛々しい状態に置いておくことはないんで、もうちっとはひとつめんどうを見てやってほしいし、その守っている人たち、おそらく労働組合もないでしょう、いろんな言いたいことも言えない状態でだんだんだんだんじり貧に細っていくんでしょう。目に見えるような気がします。伝統をやっぱり守らねばならぬわれわれとしては、非常にそういったものを置き去りにしていく、たばこの問題ばかりでない、一事が万事、緑しかり、それから町々にあるたいへん大事なもの、たとえば町名を変更してしまった、ああいうことに対することでも、それは需要と供給のバランス云々かもしれないけれども、やはりそこにある心情とか人間というものを無視してかかってくる、ここにやっぱり今日のいろんな意味での荒廃した現代の断層が私はあるんではないかと、そう庶民の代表としては憂うるもので、あえてこういう質問をぶつけるんですけれども、ぼくはぎりぎり——結論を言うと、やっはりほんとに上げなきゃならぬものなら上げてもしかたがないと思うんです。そのためにあえてかぶるべきだと思います、責任をかぶる。そしてその説明をする。こういう質問があったんだ、どうのこうの……。私は、理屈さえ通っていけばそうせざるを得ないでしょう。赤字でぶったおれれば、やっぱり上げなきゃならぬことが出てくる。現にそういった会社は幾らもあるし、公社もあるし、いろいろなことをやっています。それはいいです。その問題はまた別にしましょう。  とにかく、私の聞きたいことは、なくすということをしないで、やはりこのレベルでもってどんどんどんどん押していってほしいという、または盛り返すということなんです。その理由は何かと言うと、つまり、供給しないから需要がないのであって、需要がないから供給しないんじゃないです。もう一ぺん供給してごらんなさい。した上で、ほら、松岡さんごらんなさい、あなた言ったけれどもやっぱりだれも買いにこないと、こうですね、と。おそらく私はそうはならないと思うし、そんな意地の悪いこともしないでしょう。もうちっとは出したっていいでしょう。広い東京に千。専売局じゃなくて千分の一局です。(笑声)くだらないだじゃれ、いや、だじゃれに真実があるかもしれませんですよ。  もののついでに、巻きたばこの種類というのはどのくらいあるんですか。ばらばらっとひとつ、どなたでもけっこうですよ、あげてください。
  191. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 両切りが六銘柄でございます。それから口つきが一、それからフィルターが二十八、合計三十五種類でございます。
  192. 松岡克由

    ○松岡克由君 刻みは。
  193. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 刻みは別でございます。「ききよう」 一種類でございます。
  194. 松岡克由

    ○松岡克由君 これだけですね。
  195. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) はい。
  196. 松岡克由

    ○松岡克由君 それがねえ、こういう、さっきもこんなことを聞かなくてもわかっていたんですが、もらったんですが、いろいろ、たばこを吸う人に聞いてみてもそういうたばこは知らねえなあというのがあるんですよ。まあ、それはあってもいいんですけれどね。そのくらいあるのですから、やはりこういうものも大事にしなきゃいかぬということになってくるし……。  それから、これなんですがね、これは、何といいますか、たばこの宣伝のパンフレット、そちらにおそらくあるでしょう。こうやってどんどんどんどんこういうものの売り上げを増していく。これはけっこうなことだと思います。これはやはりもうからなきゃいかぬですからね。中にはずいぶん、何といいますか、首をかしげたくなるようなものがある。ここに、山本リンダがももを出して「ジンジンさせて」なんて書いてある。公明党御推薦だと思うんですがね。そんなことはともかくとしても、推薦の彼女をレコードの宣伝に使っていると。まあいいです。だけれども、こういうことをやる反面——おそらくこれはもうかっています。伸びています。伸びている反面、いろいろと価格の問題もあるでしょうけれども、くどいですけれども、いたわりをこっちのほうにやってほしいと。きょうは大蔵大臣おりませんが、柳田さん、ひとつ……。
  197. 柳田桃太郎

    政府委員柳田桃太郎君) 生活慣習の上から必需品として使っておられる方、並びに伝統を重んずるという立場からこれを趣味としている愛煙家があるということも知っております。しかしながら、専売公社としては、その需要にこたえる、きわめてジャストミートするように需給のバランスをとってやらなければ、全体の目的は、やはり国家収入に寄与するという目的も大きなものを持っておりますので、そういった文化とか伝統にこだわって刻みたばこに重点を持っていくことはできませんけれども、本日の松岡先生の御趣旨はよく私どもも理解できることでございますので、その需給の調整がうまくいくように、実需者・消費者に対する宣伝も徹底させまして、小売店の適正配置、適正配給というところに十分注意をして御趣旨に沿うように努力をいたしたいと思います。  なお、これが万一、原料葉が切れるという事態になりましたならば、これは復活することにやぶさかではありません。そして、その加工の方法については、いわば全体の専売益金の中でどういうぐあいに処理するかということでございますから、この手でしわを伸ばすというこの加工賃が高いからと申しましても、全体のうちのごく小部分でありますから、何とでもなることであります。要は、専売の目的に合致するように、需要者に対して御迷惑をかけないように、今後十分注意をし——いままでかような質問を受けたこともないかと思いますが、非常にやはり専売全体に対する一つの警告でもありますので、今後十分に注意をしていきたいと思います。
  198. 松岡克由

    ○松岡克由君 総裁、どうですか。
  199. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) ただいま政務次官から申し上げましたとおりでございます。
  200. 松岡克由

    ○松岡克由君 私は、ただ懐古趣味だけで申し上げているわけでも何でもないので、私は、何かこの刻みたばこの問題この中に何か公社の姿勢があったら困ると思うんです。だんだんだんだん少なくしながらなくしていってしまおうと。一方においては、たいへんにそのために不利益をこうむっているのがある。それは懐古趣味懐古趣味とおっしゃるけれども、専売公社は名のとおり日本専売公社であって、ドイツの専売公社でもなければオーストラリアのでもないんです。日本のです。それか日本の伝統を持つ——日本の文化と、さっき私はあえて言いましたけれども、そのものをやはり絶やしてはいかぬし、現に私個人の意見でなくて、みんながほしがっている、逆に言うと、すごく迷惑をしている、たいへんに迷惑をしている。迷惑をしているからといって、別にわきにつくるわけにいかない、専売なんですからね。もっとも角さんが言うみたいに、民営にさせますか——そうもいかぬでしょう。いま柳田政務次官がいみじくも言ってくれたように、そのさく労力とさく金銭的なものというのはごくわずかなものだと、全体から見れば。ということは、でき得る可能性がある、また、やればできるんだと。やる必要がないと言えばそれっきりだけども、おそらく私の言っている趣旨がわかると言ってくださったのは、やってもよろしいし、またやりたいという意見に、私はすなおに受け取ります。そしてやる方法もあるけども、金かない——いやそうではない、それは全体の利益から言ったら、ごく一部分でもって補えるんだから——ということは、やれるということなんですからね。それは通信販売という方法もあるでしょう。やがて、いろんなPRする方法あるでしょう。少なくとも、今日みたいな虐待をして、だんだんだんだん少なくするようなことだけは、私はやめてほしいということなんです。  時間を余して質問を私は終わりますが、一口に言うと、第一点は、たいへんに品物がなくなっているということです。この事実が一つと、それから決して年寄りや何かが吸っているものではないという、現代の若者たちも趣味で、またはふざけているかもしれません、しかし嗜好品である以上それはしかたがない、そういうもんだと思います。そういうのがどんどんふえているということですね、それに対する偏見があってはいかぬということです、さっき言いました。それと第三には、かりにそれが一部になっても、専売公社というのは、専売である以上それは供給を続ける義務がある。そしてできない理由はないはずだという答えを聞きましたから、おそらく私はやってくれると思います。どうぞひとつ、たばこという——どっちかといえば害があると言えば害があるもんです。しかし私は、たばこのこの立ちのぼっていく煙というものですね、ゆったりとした、心情的にもなかなか私は好きです。そういう意味におけるたばこの位置というものを、そこから発想していかなかったらもたないでしょう。たばこを吸わなきゃ死んじまうってものでもなんでもないんですし、私はむしろやめたほうが長生きするんですから、逆に言えば。だから、どうぞひとつそういうところを加味して、高いところから見てひとつ、総裁の、言ったけど、なくなっちゃったんだよという返事のないように、わが愛するこういう人たち、たばこの一つの問題でなく、いろんなところにこれはつながっていくと思います。愛情を持って、専売公社、公社という態度でもってひとつ進めていって、決してなくならぬと——どうです松岡さん、なくならぬでしょう、という結果を私は期待しますし、また、それに沿うようにひとつ販売面からも、皆さんも一緒になって相談をしてやってほしいという、非常に建設的な質問をして質問を終わりたいと、こう思います。——一言返事いいですかな、さっきもらいましたけど、まあ一言もらいましょう。
  201. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) ただいまの御趣旨、そのままわれわれ受け取りまして、今後これを継続していくためにはどうすればいいかということで研究してまいりたいと思います。私自身も刻みの愛好者でございまして……
  202. 松岡克由

    ○松岡克由君 おみやげに差し上げますから、どうぞ。
  203. 木村秀弘

    説明員(木村秀弘君) 家庭では吸っておりますので、そういうたばこの、刻みの愛好者の方々の心情もよくわかる気持ちがいたします。御趣旨十分尊重いたしまして、今後検討を進めてまいりたいと思います。
  204. 松岡克由

    ○松岡克由君 終わります。
  205. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記をとめて。   〔速記中止〕
  206. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記を起こして。
  207. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 私は最近問題になっております食品添加物のAF2、これをめぐる諸問題につきましてお伺いしたいと思います。AF2は、添加物として今日は広くわれわれの食卓の上に顔を出しておるわけでありまして、ハム、ソーセージあるいはとうふ、まあそういったような腐敗しやすいような食品の保存用に使われておるわけですけれども、これは非常に学者の間でいろいろと毒性の点につきまして批判があるのは御存じのとおりでございます。  そこで、まず最初にお伺いしたいのは、食品衛生調査会の人的構成、その委員の任命について、若干の疑惑もありますのでお伺いしたいと思います。この食品衛生法の第二十五条に食品衛生調査会の委員及び臨時委員の任命のことにつきまして出ておるわけでありますが、これが改正前の法律の条項と改正後の法律の条項、これをひとつ厚生省のほうで読み上げてもらって、なぜそのように改正になったのか、改正の趣旨につきましてお伺いをいたしたいと思います。
  208. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) まず食品衛生調査会に関します条文を読み上げてみますと、第二十五条でございますが、従前の条文によりますと、これは同一の条文は略さしていただきますが、食品衛生調査会の委員の人数がまず変わったことでございまして、改正以前は「委員五十名以内」という規定になっておりますが、改正後におきましては「委員四十人以内」というふうに、十名この定員が削減をされておるわけでございます。それと、調査会の委員の任命の範囲でございますが、改正前の条文によりますと、「食品衛生調査会の委員及び臨時委員は、関係行政庁の官吏又は吏員、食品、添加物、器具又は容器包装に関する事業に従事する者及び学識経験のある者の中から、厚生大臣がこれを任命する。」、これが従前の条文でございますが、四十七年の法改正におきまして「食品衛生調査会の委員及び臨時委員は、学識経験のある者の中から、厚生大臣がこれを任命する。」、かように改正になっております。
  209. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 要するに改正前の「食品衛生調査会の委員及び臨時委員は、関係行政庁の官吏又は吏員、食品、添加物、器具又は容器包装に関する事業に従事する者」、ここのところが削除された、こういうことになっているわけですが、なぜこれが削除し、改正をされたのか、その趣旨につきまして説明してください。
  210. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘のような改正が行なわれたわけでございますが、この食品衛生調査会におきまして御審議いただく事項というものが非常に食品衛生に関します専門的な事項を検討する任務を与えておるわけでございまして、主といたしまして化学的ないろんな立場からの御審議を願うという、そういったことでございます。それと同時に、従前は添加物等の審議に際しましては、それを利用する立場からのいろんな利益というものも考えてそういった関係の業者の代表というものも加えておったと思うわけでございますが、やはり添加物の問題というものは安全性を第一に考えるべきであるという、そういった観点から四十七年の法改正におきまして、専門的な事項について専門的立場から検討していただくというような意味合いにおきまして学識経験者のみをもってこれを構成するというふうに改正いたしました。
  211. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ再度お伺いしますけれども、いまの御答弁は、結局利益を追求する、そういうような企業から左右されない中立、公正な立場を堅持して学問的検討を加える、こういうふうに理解してよろしいですか。
  212. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生のおっしゃったとおりでございます。
  213. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そこで、この食品衛生調査会の委員のことでありますが、この委員に企業関係者が委員になっておる事実があればこれは当然いまの改正の趣旨から考えまして委員辞任させるべきであると思いますがいかがですか。
  214. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 条文のみからはただいま申し上げましたように、学識経験のある者の中から厚生大臣が任命するということでございまして、直ちに排除できるというような必ずしも条文ではなかろうかと思うわけでございますが、従前からこの法改正の経緯等を考えまして、この食品営業に関係のある人というこの委員の中で学識経験があるといたしましてもこの食品営業に関係ある人は委員に任命いたさないというような方向で処理をいたしております。
  215. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それじゃ具体的にお伺いしますが、まず一人はこれは麻布の獣医科大学の越智勇一さん、この人はもちろん大学の学長でございますけれども、一面、私の調査によりますと、AF2のメーカーである上野製薬株式会社の監査役に就任をしていらっしゃる、こういう事実があるんですが、その点御存じなのかどうか。
  216. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 先日、そういった事実があるという話をお聞きいたしましたものですから、直ちに会社の登記のほうを調べてみましたら、四十八年暮れに監査役に就任されておるという事実を把握いたしました。
  217. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、それを知らなかったということはこれは厚生省のほうは行政怠慢である、私はこう思いますよ。これはいまの調査委員の任命の条項を改正した趣旨から考えますと、どうも越智勇一氏は上野製薬の監査役をつとめていらっしゃる関係で当然これは調査委員としての適格性を欠いておると思いますが、この点はいかがですか。
  218. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) ただいま先生御指摘のようにそういう事実がわかりましていろいろ検討いたしましたが、従前からの取り扱いという観点から考えますと適格とは申せない、かように考えております。
  219. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 適格でなければこれからどうなさるんですか。
  220. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) この越智先生につきましては任命の時点におきましてまだそういった事実がなかったものでございまして任命いたしたわけでございますが、その任期中にただいま先生御指摘のような事態になったわけでございまして、実はこの食品衛生調査会の委員の任期がこの二月で切れたわけでございまして、ただいまその新たな食品衛生調査会の委員の任命の手続を実施いたしておるわけでございますが、その際、越智先生のことに関しましては、先生のほうからこの委員の就任について辞退の申し出がございまして、この新たな委員の任命につきましては越智先生を一応はずして現在選考中でございます。
  221. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それでは次に、これは同じく委員に聖成稔氏が出ておりますね。この方は、もとは厚生省の環境衛生局長ですけれども、現在は日本食品衛生協会の常務理事をしていらっしゃる、こういうふうに出ておるわけですが、ですからこれも私は問題があるように思いますが、その点いかがですか。
  222. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 聖成稔先生のことにつきましては、ただいま先生の御指摘のとおりでございます。おもな役職は、現在藤楓協会、これは救ライ関係をやっておる協会でございますが、そちらの方でございますが、一面、社団法人日本食品衛生協会の理事も兼ねておられるわけでございます。この点についてでございますが、社団法人日本食品衛生協会は、会員につきましてはただいま先生御指摘のように、食品関係営業者をもって構成している団体でございますが、食品衛生協会の定款にございますように、この協会そのものが、飲食に起因する伝染病、食中毒その他の危害の発生を防止するとともに、食品衛生の向上をはかり、公衆衛生の増進に寄与する、こういう目的を持って設立された法人でございますので、やはり一般の営利団体とはその性格を異にするものだとわれわれは考えておるわけでございまして、したがってそういった取り扱いにおきまして、聖成さんはいわゆる学識経験者として従前は取り扱ってまいりました。
  223. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 定款はそうありましても、大体定款はいいようなことを書くわけですよ。この食品衛生協会というこの団体は、これは明らかにいろんな食品業界の業者の団体でしょう。いろいろと名前が出ておりますけれども、一つずつあげますとたくさんありますけれども、その中にはこのAF2のメーカーである上野製薬会社も入っているわけでしょう、この中に。そのほかいろんな食品会社等がずうっと名前を連ねておりますけれども、やはりこういうような、さっきの委員任命の条項の改正の趣旨から見て、こういうような食品業界の団体の役員をしていることはこれはうまくないと思います。ですから私は、必ずしも聖成さんが学識経験者ではないとは言いませんが、一面においてやはり業者との関係はある、そういうところから業者との癒着を取り除くためにこれは法改正があったわけですから、そういう趣旨から、これは厳正にやるべきじゃないかと思いますよ、いかがですか。
  224. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 食品衛生協会、これは先生も御承知でいま御質問になったわけでございますが、われわれといたしましては、やはり食品業界をみずからの手で衛生面においてその資質の向上をはからそうという、そういった目的があるわけでございまして、そういう意味合いにおいて、従前のような他のいわゆる食品関係業界がその事業の目的に設立した団体とはやや趣を異にするというふうに理解いたしておるわけでございますが、ただいま先生のような御意見もあるわけでございまして、そういった点をさらに検討さしていただきたいと思います。
  225. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これは、その点は直接企業会社と関係はしてないとおっしゃいますけれども、やはりいろいろな問題点が出てくるわけですよね、あとから、これからまた述べますけれども。ですから、趣旨そのものがそうなんですから、多少とも関係がある者は除いたほうがよろしい、私はこういうふうに思うわけであります。その点は、今後ひとつ検討していただいてしかるべき方向に持っていかれたいとこのように要望しておきます。  それでは次に質問の二番目は、いまの越智教授につきましては本年の二月の——さっきの趣智勇一氏につきましては、今後食品衛生調査委員の任期の改期が二月にくるので本人から辞退すると、そういうことですね。
  226. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) はい。
  227. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 了解いたしました。  二番目に、同じく食品衛生調査委員であります河端俊治さん、この人は、これは厚生省の技官、でもありますし、食品衛生調査会の委員でもあります。ところが、この二月の二十六日に、神戸市の三宮で開かれました兵庫県立神戸生活科学センターにおいてAF2の安全性についての対話集会があった。それに出席をしておられる事実があるわけでありますが、河端氏は当然公務員でもありますし、これは上司の許可を得て行ったのかどうか。その辺、いかがですか。
  228. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 河端食品衛生第一室長の件につきまして、実は過般中尾先生のほうから資料提出の御要求がございまして、そのときに私のほうも気がついて調査したわけでございますが、公務で出張しているわけじゃございません。
  229. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ちょっと聞こえにくいから。
  230. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) もう一度申し上げさしていただきます。  過般中尾先生のほうから、河端室長に関しての資料提出の御要求がございまして、私ども非常に手落ちでございましたけれども、そのとき調べましたところ、確かに二月の二十六日に神戸に赴いたようでございますが、出張で、公務出張で行っているわけではございません。したがいまして、本人が、本来であれば当然上司の許可を取るなりして勤務地のそこを離れるわけでございますが、たまたまそのとき上司がちょっうど死亡されたとか、あるいは副所長が外国へ出張しているというような経緯がございまして、上司の許可を待たずにその日は神戸に赴いたようでございます。
  231. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、河端氏は上司に無断にかってに行ったということですが、これはだれの依頼で行かれたのですか。その辺、ひとつ明快にお答え願いたいです。
  232. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) そういう資料提出の御要求がございましたので、私どもも本人あるいは国立予防衛生研究所長を呼ぶなりして事情を聞いたところでございますが、直接主催者から呼ばれて行ったという形でなくて、主催者のほうから、だれかこういうAF2に関して権威ある人がいないかというふうな依頼が第三者のほうにあって、第三者のほうから河端氏が適当ではないかというふうなことで、第三者の中継ぎで赴いたようでございます。
  233. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 これを私はなぜ問題にするかといいますと、このAF2は、これはメーカーが上野製薬であります。そのAF2の毒性について消費者としては非常に心配しておるわけですから、そこでAF2に対していろいろと疑問等がある、そういうことに対する消費者側としての質問とか、そういうようなことだったろうと思いますが、ところが、公務員で、はたしてそういうところに上司の命令がなくしてかってに行っていいのかどうか。これは非常に問題だと思いますよ。しかも本人は食品衛生調査委員でもありますし、厚生技官でもある。それで私が問いただしたところが、河端氏は、安全食品促進連絡会の会長である山中純枝氏の要請によって行ったと、きのうはこういうようなことを言っている。ところが、私が山中会長に確かめますと、そういうようなことは要請の文書も出しておりません。山中会長はそういうことなんです。ですから、結局河端氏はこれはもうあなた、虚偽の報告をしたというふうに私は受け取っておるんです。非常にこれはけしからぬ話ですよ、公務員であってですよ。そうしますと、一体河端氏はどこから依頼されて行ったのか。山中会長のほうは依頼はしてない。その辺がどうも疑惑が出てくるんで、それがどうなっているんですか。
  234. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 公務員が上司の許可なしに勤務地を離れて、しかもそういう会合に出たということにつきましては、私どもも先生の御指摘もあり、深く反省しております。国立予防衛生研究所を呼んでさっそく、今後こういうことがないようにという注意も与え、本人も非常に遺憾であったと、こういう点は反省をしております。ただ本人から事情をただしましたところ、第三者のほうからそういう、会長がそういうことを申し込んでおると、こういう話があったので、本人はその第三者の、いわば企業のようでございますけれども、企業のほうに、企業から言われて行くんじゃないと、主催者が正当に呼んでいるのかどうかということをただして、主催者が確かに呼んでいると、こういうようなことで本人も当然主催者が呼んでいると、こういう認識のもとに行ったようでございますけれども、それはそれとして、正式に主催者から当事者に対して出席要求があったわけではないようでございますので、本人その点非常に軽率であったという点につきましては反省をしておるようでございます。
  235. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 どうも私は、彼が山中会長から文書で要請があったと、最初はそのように言って、またあとからそれを否定したと、これは非常にうまくないと思いますね。ですから、まああなた、第三者の要請と、こうおっしゃいましたけれども、われわれの調査では、そのAF2のメーカーである上野製薬のほうに山中氏のほうから依頼があったと。それで上野製薬から河端氏のほうに行ってくれないかという要請があったと。結局これは上野製薬の要請によって彼は行ってきたと、こういうようなふうに私どもは判断せざるを得ないんです。その点、いかがですか。
  236. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 先生おっしゃいますように、あたかも企業からの要請で行ったごとき結果になっていることにつきましては、先ほど申し上げましたとおり、本人も非常に軽率であったと、私どもも、もう少しその点につきまして事前に注意をしておけばよかったと、私ども側も反省しておりますけれども、軽率であったということにつきましては十分認めているところでございます。
  237. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 軽率であったのはそれは当然でありますが、それで一体、まあ山中氏が要請をしたのでありますと、当然、旅費とかあるいは食費とかお礼の謝礼金だとか、そういうものが出なければならない。全く自分でかってに自前で行ってしゃべって帰ってくる、そういうようなことは私どもとしてはこれは考えられない。ところが山中氏のほうからは全然そういうものは出ておらないのですよ、出ておらないのですよ。ということは、山中氏は招待をしてない。そうすると、一体どこから出たのだということになるのですね。まあ結局AF2のメーカーである上野製薬から頼まれて行った、こういうように判断をせざるを得ませんよ、ここに問題があるのですからね。その神戸の消費者の安全食品促進連絡会、これは私はいま申し上げましたように、問題の食品添加物であるAF2について非常に疑惑がある、その毒性について問題があるので、その点をいろいろと伺いたいというのがこの連絡会の会の趣旨でありますから、そこへもってAF2のメーカーである上野製薬から、しかも厚生技官たるものが、しかも食品衛生調査会の委員という資格のある方がメーカーから頼まれて行くということは、これはどうです、問題であります、これは。
  238. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 確かに公務出張ではございませんので、厚生省の側では旅費は支出いたしておりません。実はその点につきまして、昨日も本人を問いただしましたけれども、本人は自己負担で赴きました、こう言っております。ただそれはそれといたしまして、先生御指摘のとおり、そういう疑惑を持たれるような形で参るというのは、やはり公務員として不徳のいたすところじゃないかということで、その点につきましては本人もそれから管理者側も深く反省しているところでございます。
  239. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから、あなたは公務員としてあるまじき態度である、その点は認める、こういうような意味の答弁であります。それはわかりますよ。それだけじゃ済まない問題がこれは含まれておるわけですね、いま私が申し上げたとおり。ですから、AF2のメーカーである上野製薬から連絡、依頼されて行った、これは間違いないですね。
  240. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 直接に本人に対して、行ったらどうかということの連絡をしたのは、先生御指摘の企業のようでございます。ただ企業ではございますけれども、本人が問いただして、企業からの要請か主催者がそういうことを求めているのか、ということにつきましては、主催者から依頼があってということでございますが、直接の当事者は企業のようであることは間違いないようでございます。
  241. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですからこれは上野製薬から依頼されて行ったということは、まず私どもとしてはこれはそのように判断せざるを得ない。ところが、山中会長は要請してないという、委員に名ざしで要請してないでしょう、最初は文書による要請状もらったけれども、あとからはもらってない、このように否定した事実、それから山中会長から上野製薬に要請があった事実、ここまでは間違いないでしょう。
  242. 三浦英夫

    政府委員(三浦英夫君) 私どもの理解しておりますのは、確かに河端氏に対して直接行ってほしいと要請をしたのは企業のようでございますけれども、ただその企業に対しまして主催者の側のほうからだれかAF2について明るいような人はいないかということを、主催者から企業には要請があったのじゃないかと思います。したがって、そう何月何日にそこで行なわれるということが確認できたわけでございますから、間接には主催者のほうから、はたして河端氏個人であったかどうかということは疑問でございますけれども、AF2について非常にわかる人をよこしてくれないかという依頼は主催者から企業にはあったのじゃないかと思う次第でございます。
  243. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 ですから企業から、企業の上野製薬から河端氏に行ってくれないかという依頼があった、大体こういうふうに判断をされるわけですね。そこでほんとうに彼が、まあ食品衛生調査会の委員である、また国家公務員である、その自覚に立てばそれはあなた当然これはもう断わるべきじゃないですか。そういう点がどうも監督官庁としてはうまくないと私は思いますよ。  ただ、それだけじゃないんです。私がこれをなぜ問題にしているかといいますと、いま何べんも言いますように、AF2が問題になっているんですね。しかも発ガン作用があったり、最近は非常にガンで死ぬ人もありますね。そういうような話題になっているものだけに、厚生技官、食品衛生調査会の委員、これが問題のAF2のメーカーである上野製薬から頼まれて行く、これはどうもちょっと問題がありますね。この点は単に公務員として綱紀の点からまずいというだけじゃありませんよ。食品衛生調査委員と業者との癒着というような大きな問題になってくる。ですから私はこの問題を取り上げて言っているんですね。その点いかがですか、これは大臣にちょっとお伺いしましょう。
  244. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) この国立予防衛生研究所の河端君は食品衛生調査会の委員ということでございます。そこまあことしの二月に神戸に行ったというわけでございますが、これは事情を三浦審議官を通して調べてみますと、公務出張で行ったんではない。じゃだれに頼まれて行ったんだというと、上野製薬会社のほうからいろいろな申し入れがあって行ったんだということがわかったわけでございます。しかもその旅費はどうなっているんだといったら、自費で行ったんだ、こういうわけでございます。そこで、こういうときには国家公務員としては、かりに自費で行くにしても、あしたはこういう用で行きますからといって上司の承認を受けて行くのが普通の例でございますから、その点は国家公務員としても多少手抜かりが私はあったと思います。でございますから、その点は厳重注意しなければならぬという問題があると思います。  もう一つの問題は、この食品衛生法の昨年の改正によって、利益追求の企業と遮断をしなければならぬということから、この食品衛生調査会には企業に関係のあるような人は除く、学識経験者だけにする、こういうふうなことをいたしたわけでございますから、その趣旨を十分考えてみますれば、上野製薬から頼まれて行ったということはどうも非常に軽率であったというか一委員たるの責任というものからいうてどうもあまり好ましいことではなかったなあ、こういうふうに私はいま率直に感じておる次第でございます。
  245. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それは大臣、公務員として好ましくないと、そう簡単なものじゃありませんよ、これは。いま私が何べんも言っておりますけれども、このAF2が問題になっているんですよ、いま。そこの場に、あなた、食品衛生調査会の委員が行って、まあ私も発言の内容はそう詳しいことは知りません、どういうことを話をなさったかは。ある情報によりますと、食塩だって食べ過ぎると毒になるじゃないか、こういうようなことを言うて、ごまかしというと語弊がありますが、それはあなた、酒だって飲み過ぎれば毒になるのはさまっておりますよ、そんなことは。ビールだって一本や二本はいいけれども、一ダースぐらい飲む人もあるけれども、何でも度が過ぎるといけない。じゃ度が過ぎないからいい、そういうようなことでAF2もちょっとぐらいかまわぬじゃないか、そういうふうな論法でお話しになったか何か知りません、これは私はちょっとニュースでとっただけですから。非常にこれは不用意な発言と私は見ざるを得ませんよ。それは背後にAF2のメーカーである上野製薬が控えておると、依頼されて行っだとなりますと、単に公務員の綱紀を乱したというだけの問題じゃないです、これは。AF2の問題は、これは大臣だって食べていらっしゃるかわかりませんよ。発ガン性があったりする、学者間のいろいろな意見、批判があります。それだけに非常にこれは国民の保健上の重大な問題です。そういうところに業者ベースに立ったような発言を、これは非常にうまくない、業者と癒着の問題があるのじゃないか、こういうように疑惑がこれはぬぐえない問題として出てくる。ですから、私はこのようにやかましゅう言うわけです。その点はああせい、こうせいと私は言いませんよ。しかるべく善処していただきたい、このように申し上げておきます。いいですか、大臣。
  246. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 確かにAF2の問題については国会においてもいろいろ論議がされ、先般の国会においてもいろいろ御質問をいただいたわけでございまして、学者の中にはいろいろ議論のあることは私も十分承知をいたしております。私もこういう専門的な知識はございませんが、いろいろ議論のあることは私も十分承知をしておるわけでございます。そういう中にあって、AF2の製造会社である上野製薬から頼まれたというわけではないでしょうが、その仲立ちというか、そこからの口ききもあって行ったと、こういうことでございます。そこでその内容は、中尾委員もお述べになりましたように、私も実はどんなことを話したのか知りませんが、公務員であり、しかもまた食品衛生調査会の委員であるこの方がそういうふうなことをしたということについては、国民に非常に疑惑を与えるというふうに私は思います、率直に言うて。率直に言うていろいろ問題のあるところに、しかも製薬会社、これだけをつくっておる会社のある程度の口ききによって行ったというわけですから、どういうことをしゃべったかわかりませんが、私はその点は非常に好ましくないものがあったと思います。そこで公務員、さらにまた調査委員として、こういうことがはたして適当な行動であったかどうか、私も非常に疑問を持っておるわけでございますから、この点についてはひとつ十分善処をいたすようにいたしたい、かように考えておる次第でございます。
  247. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 適当な行動ではありませんよね、だれが見ましても。  そこで、それじゃ、いま大臣の答弁を了といたしまして、次に問題のAF2の食品添加物として広く使用されるようになったその根拠といたしまして、例の大阪大学医学部教授の宮地徹氏の論文があるわけです。この論文が調査会の審議の対象になって、今日今品添加物として使用してよろしいということになっておるわけであります。これはもう大臣重々御承知のとおりであります。そこでこの宮地論文なるものに対しましていろいろの学者間の疑義がある。ですから、私はこれをいま問題にいたしたいと思うのですが、疑義があるものは、これは食品衛生法上からいえば使っちゃならぬということになっておるのですよ。  こういうことで、まずどこが問題になっているのか、簡単に要点だけ申し上げますというと、一つは、これは東大の高橋講師あるいは医事研究家の平沢正夫氏、そういうような人から大臣にも来ておるはずですから——それはこの宮地氏の実験に使いましたラットのAF2、〇・〇一二五%添加一年飼育実験の肝重量ですね、これを九ヵ月飼育の対照群、つまりAF2を使っていない対照群の肝重量と比較してその差は認められなかった、こういうようなことをその論文にも結論として出ておるわけですね。これは一つの問題点ですよ。もう一ぺん言いますというと、AF2の〇・〇一二五%を添加したそのラット、これを一年間飼育した肝の重さ、これと、今度は別にその対照群として九ヵ月飼育の——九ヵ月養ったラットの肝の重量を比較した、そうしたら、両方差がなかったというような結論ですね。これも一つの、しろうとでもわかるような議論です。これが一つ。  さらに宮地氏が使ったラット、このラットが大阪大学の医学部病理学教室の動物飼育室で大学の職員によって飼育されていたかのように誤解されておる。その事実は、上野製薬の動物飼育室で飼育をしたものである、つまりそのラットですね。それから上野製薬の動物飼育室で飼育したラット、それを実験に使っておる。これは、どうもこういうようなところが非常に問題があることはもう厚生大臣も御存じのはずです。その点を厚生省はどうお考えになるのか。まず、それからお伺いしましょう。
  248. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 食品添加物の指定の際には、食品衛生調査会の中のこれは食品添加物部会及び毒性部会というこの二つの部会がございますが、そこの御意見を聞いて厚生大臣が指定するという、こういう手続をとっておるわけでございます。その際、この食品衛生調査会で審議の資料になりました論文は、ただいま先生御指摘の大阪大学医学部の宮地教授の論文でございます。この宮地論文の中で、〇・〇一二五%AF2添加の飼料を使って十二ヵ月飼育のラットの肝重量が対照に比べて有意の差がある、こういった事実につきましては、宮地論文を厚生省の統計調査部の数理専門の技官に検定させましたところ有意の差があるという結果が出ておるわけでございます。ただ、十二ヵ月をこえまして、この動物を約二年間あるいは三年間飼育するわけでございますが、十二ヵ月を超過いたしまして飼育いたしました動物ではこの肝重量の間に有意の差がないという、そういう結果が出て、これは数理上の有意差を検定いたしたわけでございますが、そういう結果になっておるわけでございまして、ただいま先生御指摘の十二ヵ月の時点におきますラットの肝重量はその対照に比して有意の差があるという、それは事実でございます。  それから、この実験に用いましたラットをどういうふうに管理していたかという問題でございますが、この点、この事実関係はわれわれもはっきりいたさないわけでございますが、少なくとも宮地先生の出された論文をこれは参考にいたしておるわけでございますので、宮地先生の責任のもとにこういった実験がなされたものだと思うわけでございますが、まあ一部われわれが調査いたしましたところでは、この阪大医学部の動物小屋が必ずしも十分の広さがないということで、一部の動物、すなわちラットでございますが、それの飼育管理を上野製薬のほうに頼んで上野製薬の動物小屋で飼育した、こういうことを聞いております。しかしながら、あくまでも宮地先生が論文として出されておるわけでございますので、宮地先生の責任のもとにおいてこの動物管理が行なわれたというふうにこの調査会では理解いたしたわけでございます。
  249. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 宮地論文に対しましてあなたが一局長でそれに批判を加えると、それはまずいじゃないか、そういう発言はあなた自体はできっこないわけです。できっこない。それから、私はあなたに対してそういう答弁を求めておるんじゃない。いやしくもそのくらいの、宮地論文に対する疑惑が二つ、三つあるわけです。そういう学者に対して疑惑を抱かれたそのAF2に関する論文を基礎として食品衛生調査会が、これは毒性がないと、こういうふうに認めたもの、これは非常に問題があると思いますよ。ですから、論文そのものがこれは欠陥がありますし、現在でも東京地方裁判所におきまして郡司氏がこれは宮地氏を相手どって裁判をしている。これは本人が言っているんですから読みますけれども、この宮地氏の研究に対しても「上野製薬から当然実験の費用ではありますが、一千万円もらっている」と、こういうようなことを本人自体が証言もしております。それはもらったからおかしいじゃないかというふうなことじゃありませんが、とにかくいろんな問題点が出ておるわけでありますよ。大臣、いいですか。こういうような疑惑があるものを国民が安心して——ソーセージだとか、かまぼこだとか、あるいはとうふにどんどん使用許可していいものかどうか。相手はわれわれでありますから、最近は非常にガン等の死亡率も多い、これは保健上問題にしなければならない、慎重な上にも慎重を期してこれは対処しなければならない問題だ、私はこう思うんですよ。ですから、この点、厚生大臣、どうお考えになりますか。
  250. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) やっぱりこの食品添加物については、いま中尾委員がお述べになりましたように、慎重の上にも慎重にし、化学的に疑わしいものがあれば、これは使用させない、こういう方針で臨むという基本原則については私は同意見でございます。そういうふうに私も考えております。  ところで、この宮地さんのおやりになりましたものは、私は化学的に判断する能力はもちろんございません。学者でございますから、学者の責任において行なった資料基づいてやっておるわけでございますから、私は、その点については何とも申し上げることはできませんが、一般的な原則として疑わしい点があれば追求して、そしてさらにまた疑わしいものがあるということになれば国民に食べさせないようにする、特に添加物は使用させないようにする、私は、そういうふうな基本方針でいくべきではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。
  251. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 疑わしいものは使用させない、そういう基本方針で臨むと、こういう大臣の答弁でありますが、私もしろうとでありますから、シロ・クロは私自身ではわかりません。これは当然調査会において、あそこは中立性を確保するようにあの構成人員を、これは二月で任期が切れるわけでありますから、もう一ぺん改めて、そしてあそこで再度AF2の添加物として適性、不適性、毒性があるかないか、その辺を検査をさせる、そして結論の出るまで一時そのAF2の使用を禁止する、そういうふうにされてはいかが、私はそう思うのですが、大臣その点いかがですか。
  252. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) この問題については、町のいろんな学者の方々からそういう議論のあること、私も承知しておるわけですから、もしそういう疑問が、国民が非常に不安を感ずるということであれば、食品衛生調査会の委員の今度は改選のときでもございますから、改選になりましたあとに、こういういろんな意見がある、もう少し慎重にちょっと研究してくれぬかという私は申し入れはいたします。しかし、いまの段階でこれを全部禁止するというところまでいったがいいのかどうか、その辺は私も多少まだもう少し研究さしていただかないと、いまここで即断的に申し上げることはできませんが、この場でお約束申し上げられることは、新しくできました食品衛生調査会で、国民の一部の中からこういう議論がありますよ、でございますから、もう一回慎重に検討してくださいと、これは私は申し入れをいたし、調査をさせる、これだけはお約束を申し上げたいと思います。
  253. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうしますと、AF2につきましては、従来の行きがかりはあるけれども、もう一ぺん食品衛生調査会におきまして調査をする、調査を命ずると、こういうことですね。
  254. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) そのとおりでございます。
  255. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そうすると、その間はまだ使ってもよろしいと、こういうことですか。
  256. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) その間使っていいとかなんとかいうのじゃなしに、それを禁止するだけの根拠が私いまないのですね、私学者じゃないんですから。両方のいろんな学説があることについて、私自身化学的な知識がありませんし、これはもうその間はだめだという、積極的に禁止を命ずるほどの私まだ知識もありませんし、まだそれだけの自信もございません。でございますから、改選されました調査会において至急にひとつ研究しなさい、国民の一部には疑わしいと言っているのがおりますということを言うて、もう一回再調査をしてください、それでその調査の過程においてどうも怪しいということがわかれば、一応規制するというか、禁止するといいますか、そういうことになると思いますが、きょうの段階でまだそこまで判断をする私自信もございませんし、学者ともどなたとも相談していないわけですから、自信はございません。ただ、中尾委員にお約束申し上げ得ることは、国民の一部の中にそういう不安を持っておる者があるから、この際もう少しはっきりと調査をしてくださいと、再検討と申しますか、再調査をお願いをするということだけはお約束申し上げておきたいと思います。
  257. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 大臣の気持ちはわかりますよ。しかし、それは調査会に調査をさしてすぐ結論が出るものじゃないと私は思いますよ。おそらく宮地実験にいたしましても二年かかっておるわけですからね。幾らかの年月——私はよう最近の学術界のことはわかりませんが、それがあんまり調査の期間が二年も三年も延びて、その間使ってもよろしいということになりますと、やっぱり食品衛生法の趣旨からでも私は反するのじゃないか。ここにも、有毒なもの、あるいは有毒の疑いがあるもの、こういうものは、疑いがあるものは使用してならぬと、こうなっておるわけですからね、食品衛生法の第四条。そういう趣旨から——結論が出る間もうしょうがない、その間使ってもいいじゃないかと、こういうことですか。それが、すぐ一月やそこらでぱっと結論が出れば、それは大臣のおっしゃるように私も納得しますよ。それを実験調査か長いことかかって——それか私はどうも気になるのですね。
  258. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 確かに、そもそも最初からラットがあれになるのかどうか知りませんが、安全性なり毒性なりというものを、新規まき直しに初めからずっとやっていくというには相当時間がかかると思いますよ、これはおっしゃるとおり。ただ、問題は、調査会に、こういう世間ではいろいろ意見を言っておるのがありますという論文があるわけですね、論文があるわけです。その論文を私が診断したのではだめなんですね。これは私には何の価値もないのです。これはいいんだ、悪いんだと言っても、国民は信用しませんよ。齋藤邦吉なんていう政治家が言ったってだめなんだ、こうなるにきまっていますから。そういういろいろな意見があるということを、まずしょっぱなに調査会にぶつけて、こういう御意見ありますよ、疑わしいと思いますか、思いませんかと、まずこの辺から始めるのだと私は思うのです、実際のところ。これは専門家ですからね、やっぱりいろいろ、これは安全性が乏しい、毒性があるよと、何かいろいろ根拠をあげて言っておるでしょう。その根拠あるいろいろな論文を、こちらの調査会で一応まず見まして、これはなるほどこういうデータでこういう調査をやっているのだからこの論文は間違いない、ですから毒性がある、安全性に欠けているところがある、こう判断すれば、これはいまさしあたり——初めからやり直すのを待つまでもなく、初めから調査をするまでもなく——一応禁止しておけ、そういう意見が出ると思うのです。そういうことをやっていかなければならぬだろうと、こう思うのです。私自身が宮地さんの研究を批判する能力もありませんし、それから宮地さんに反対の御意見を持っておる方の御意見も私は批判する能力はないわけなんです。でございますから、そういういろいろの意見のあることをまず申し上げて、これでまず疑わしいと思うかどうか、こういうことから始まっていくのだと思います。したがいまして疑わしいか疑わしくないか、いま私も何とも申し上げることができませんから、先ほど申し上げましたように、初めからやれば、なるほどおっしゃるとおり一年なり二年かかります。しかし一応反対の意見があるわけです。反対の意見にはそれぞれ根拠があるはずでございますから、そういう意味において私は再調査を命ずるということにいたしたいと、こう申し上げておるわけでございます。
  259. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 そういたしますと、実験そのものをやるんじゃなしに、宮地論文を土台として、宮地論文が、その実験のやり方あるいはデータ、そういうものがはたして正しいかどうか、まずそれを調査会においてはかる、その結論によってとりあえず禁止するかどうするかその結論を出す、こういうことですね、大臣。
  260. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 宮地さんのいろいろな研究の成果並びにこれに反対する方々の御意見、そういうものを十分に両方あわせて調査会で御検討いただくと、こういうことになるわけでございます。それで疑わしいとなれば、厚生大臣に対して、やっぱり禁止しておいてください、こう言ってくるでしょう。そうしたら私のほうはさしあたり禁止する、こういうことになるのじゃないかと思います。
  261. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それからこれは通達というようなものでもないのですが、とにかくこれは厚生省の食品化学課から各県の都道府県あてに出ておるわけです。通達とも何とも書いていない。これは一体どういう性格のものなのか、それが一つと、その内容が、やはりAF2については毒性がないというようなことを書いてあるようでありますから、これなんかもやはり撤回すべきじゃないかと思いますが、その点いかがですか。
  262. 石丸隆治

    政府委員(石丸隆治君) 先生のただいま御指摘の文書でございますが、これは先日、新聞にAF2の問題が紹介、報道されました際、各都道府県からその内容等につきまして、われわれのほうにいろんな問い合わせか——これはほとんどが電話でございましたが、電話をもって問い合わせがまいったわけでございますが、事の内容が非常に技術的な問題が多かったわけでございますので、現場においてある程度混乱が起きるというようなことをわれわれは危惧いたしまして、従来食品衛生調査会で審議されました内容、あるいはその宮地論文の内容等につきまして、技術的な——何と申し上げましょうか、技術的な事実を各都道府県の食品衛生監視員の諸君に知らせるという、そういった目的で事務連絡のような形で化学課からそういった情報を流したわけでございます。
  263. 中尾辰義

    ○中尾辰義君 それではこれで終わりますけれども、私はいままでいろいろと申し上げました。まあ一つは、食品衛生調査会の構成メンバーに対して、最もこれは公正中立でなけりゃならない。いやしくも業界と癒着をしているような、そう疑われるような者は、これははずしてもいいじゃないかと、こういう意見。  それから二番目は、公務員としての行動のあり方につきましては、監督官としてしかるべく善処すべきである。三番目が、いまの宮地論文の件でございました。私もこういうことを申し上げるのも結局はまあ、国民の保健上の重大問題でもございますし、今後厚生省に期待するところも非常に大きいわけでございますので、申し上げたわけでございます。厚生大臣はいろいろと過去の惰性等も打破してその基本を鮮明にされるように切に要望いたしまして、これで終わります。  最後に、大臣のひとつ御見解を伺います。
  264. 齋藤邦吉

    ○国務大臣(齋藤邦吉君) 食品は生命の源泉でありまして、その添加物もあくまでも保健衛生上厳重に監視さるべきものである、かように私も考えておりますので、食品衛生調査会の役員の構成等におきましても、国民から信頼の得られるような中立的な学識のある人でなければなりませんし、かりにまた公務員の方々も、その中に入っておる研究職員でありましても、その行動は世の批判を受けないようにしなければなりません。そういうことについては十分善処をしていかなけりゃならぬと考えておりますし、当面問題になっておりまするAF2につきましては、いろいろ意見のあることは十分承知をいたしておりますから、国民の不安を除く意味合いにおきましても、食品衛生調査会において厳重に再調査をさせる、そういうことによって国民の不安を解消する、こういうふうに努力をいたす考えでございます。
  265. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ちょっと速記をとめてください。   〔速記中止〕
  266. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは、速記を起こして。
  267. 加藤進

    加藤進君 本日は日本学術会議の総会が開催されていると聞いています。野村先生には御多用中のところを参考人として御出席いただきまして、まず感謝を申し上げたいと思います。  そこで、最初にまた野村先生にお尋ねをいたします。これは日本学術会議の事務局からいただいたものでございますが、第四百三十三回運営審議会の議事録の中に、昨年六月にインドのシムラで開かれたインドユネスコ国内委員会、インド社会科学協議会、シムラ大学の三者の共催による社会科学の教育・研究に関するアジア諸国会議が開かれて、ここでアジア社会科学研究連盟が結成されたとあります。しかもその中に、日本学術会議はこの会議に招請されておらず、また、日本ユネスコ国委員会からも何ら連絡も受けていなかったので、それを関知していなかったと、こう記してございますが、そこでお尋ねしたいのは、日本学術会議は何ら連絡も受けないで、したがって、会議にも参加されなかったにもかかわらず、この協議会の構成団体になっておられるということでございますけれども、このことは事実でございましょうか。
  268. 野村平爾

    参考人野村平爾君) この件につきましては、実は昨年の秋開かれましたISSCという国際団体がございますが、この国際団体のほうの議事録が送付されてまいりまして、その議事録の送付をしてきた材料の中で私どもは拝見いたしました。そこで、一月三十一日から二月二日までに開かれましたこのISSCの各国カウンシル並びにアカデミーとの連絡会議がございまして、その連絡会議出席をいたしましたときに、インド代表と日本の代表との間にそのことについて話し合いがあったと、そのことが議事録に載っているわけでございます。ですから、正式にわかりましたのは、実は一番早くは七三年の末にISSCのほうから送られた討議資料、議事録、その議事録で知ったということと、それから一月三十一日から二月二日まで開かれた会議の席上でそのことが確かめられたということで承知をいたしたわけでございます。
  269. 加藤進

    加藤進君 これはどなたにお答えいただくか、適当な方にお願いしたいと思いますが、この会議日本を代表して参加された方はどなたでしょうか。また、その代表を推薦されたのはどこなんでしょうか。
  270. 西宮一

    説明員(西宮一君) この会議は昨年の五月二十一日から二十六日まで、インドのシムラで開かれた会議でございますが、この会議出席されましたのは東京大学教授の東教授でございます。この会議の性質につきましては、ユネスコ国内委員会としましてはユネスコの人文社会科学関係の技術的な専門家の会議だと、こういうふうにとりまして、従来の取り扱いに従いましてユネスコ国内委員会の代表として東先生に御出席をお願いいたしました。
  271. 加藤進

    加藤進君 私は、このシムラ会議の招請状も拝見いたしました。この中にはソシアルサイエンスを含んだカウンシルを呼ぶと、こういうことが出ておると思いますが、日本でこのようなソシアルサイエンスを含むカウンシルということになりますと、これは日本学術会議をさしておるのではないかと思いますが、その点はどうでしょうか。
  272. 西宮一

    説明員(西宮一君) この会議への代表の派遣は、インドのユネスコ国内委員会から日本ユネスコ国委員会に招請が来ておりますが、その招請状によりますと、日本ユネスコ国委員会からの代表を送ってくれと、こういう招請状でございます。
  273. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、日本ユネスコ国委員会の代表として東洋さんが参加されたと、こう言っていいわけですね。ところが、その会議で連盟が結成された、これに日本の組織として参加したのはこれはどういう組織なんでしょうか。
  274. 西宮一

    説明員(西宮一君) この会議の代表として参加したのは日本ユネスコ国委員会の代表としての東教授が参加されたわけでございます。
  275. 加藤進

    加藤進君 いや、私はそういうことを聞いておるわけじゃないんです。日本学術会議はこの構成団体になっておると、こう見ておられるわけですね。ところがここに参加された日本代表は学術会議の方ではないし、学術会議は、あとで議事録を送っていただいて、初めてそのことがわかった、意外に思っておられるわけですが、これは一体どういうことなのかということをお聞きしたいと、こう思うわけです。
  276. 西宮一

    説明員(西宮一君) このシムラ会議はインドの社会科学評議会、インド高等教育研究所、インドユネスコ国内委員会の共催でユネスコの後援で開かれたものでございますが、この会議で社会科学研究評議会アジア連盟の設立をするという問題は当初の議事日程には具体的に明記されておらなかったことでございます。
  277. 加藤進

    加藤進君 それで……。
  278. 西宮一

    説明員(西宮一君) それでこの会議でインド側から席上突然提案され、採択された、こういう経緯がございます。
  279. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、そのときに東洋代表はどういう意思表示をされたんでしょうか。
  280. 西宮一

    説明員(西宮一君) 東教授はさような問題が討議されるという点についてのことは、自分の権限外である、こういうことで態度を留保せられた、こういうふうに聞いております。
  281. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、私は学術会議の運営審議会の議事録と日本ユネスコ委員会の事務局のお考えとは非常に大きな食い違いがある、この会議によって結成された連盟には、あるいは同盟には日本を代表しては日本学術会議が構成団体になっておる、こういうふうに日本学術会議は認識しておられるわけですけれども、それは議事録その他において、そういう東洋代表がこの会議における議題ではないから、これはとにかくわれわれとしては関知できない、関与できない、こういうような正規の発言ないし証拠があるんでしょうか。
  282. 西宮一

    説明員(西宮一君) この会議は先ほど申し上げましたように、昨年の五月に開かれたわけでございますが、この会議の正式議事録はつい最近到着したばかりでございます。その点については検討してみたいと、こう思います。
  283. 加藤進

    加藤進君 それはちょっとお話が違うんじゃないですか。もうすでに第二回の会議をイランか、あるいは日本でやると、こういう問題がもう出されておる。イランは断わっておるから日本でやるならやらなくちゃならぬけれども、その点についてどういう態度をとっていいのかというのがいまの問題になっているんでしょう。したがってもうこの会議に参加して、そうしてその会議における議決権も持って、この会議における連盟組織に加盟するということを公然とやっておられるんじゃないですか。これはどうですか、それは違いますか。そうしますと日本からは何らこの連盟に加盟した団体はないということなんでしょうか。
  284. 西宮一

    説明員(西宮一君) このシムラ会議につきましては、まだ、先ほど申し上げましたように、その後正式の議事録が参りませんでしたし、その内容がかなり検討を要する点があると思いますので、これは、この内容をしさいに検討するとこういう段階でございます。
  285. 加藤進

    加藤進君 シムラ会議の議事録を私持っています。ユネスコ国内委員会からいただいているんです、これ。はっきりお答えくださいよ。日本学術会議は心外だと言っておるんです。われわれは何ら委任しておったわけでもない、われわれにはその会議そのものの開催も知らされなかった。ところが、この会議においては日本を代表する社会科学を含むカウンシル、これが加盟するということがきまっている。そのような団体は日本学術会議以外にないから、これは越権行為じゃないかと、こう言っておられるわけですよ。どうですか、その点は。
  286. 木田宏

    政府委員(木田宏君) いまユネスコの事務総長はちょっとパリへ行っておりまして、次長は新任でございますので、私仄聞しております点を踏まえながら、いまのお尋ねにお答えをしておきたいと思います。
  287. 加藤進

    加藤進君 簡単でけっこうです。
  288. 木田宏

    政府委員(木田宏君) この会議そのものは、いま次長から御説明を申し上げましたように、インドの高等教育研究所及びインドのユネスコ国内委員会並びに社会科学評議会の主催した会議でございまして、そこにこのわが国のユネスコ国内委員会が参加を求められて教授を派遣した、そしてその会議でアジアの社会科学研究者の連盟を設立することが望ましいというような議事が採択をされ、本年の三月になりまして、インドの国内委員会から日本ユネスコ国内委員会に対して、そのときのシムラ会議の正式の報告書が回ってきたということでございます。したがいまして、それを受けて日本ユネスコ国委員会は、国内委員会の関係の小委員会等での議論をし、また必要がありますならば私ども学術関係のところへも御連絡をいただく、こういう段階に相なっておる、このように承知をしております。
  289. 加藤進

    加藤進君 これはね、事実と非常に相違します。私は日本学術会議の審議会の記録を持っておりますけれども、この問題について日本学術会議の代表が向こうへ行かれて、向こうの方たちにその真意をただされて、これは事柄が重大だから、注意すべき重要な問題だというような問題まで議題になって、議題というのか、話題になっておるという状況だと思うのです、私のお聞きする限りにおいては。  そこで野村参考人にお聞きいたしますけれども、このアジア地域における社会科学研究連盟には、日本学術会議は何ら関知されておらなかったわけですけれども、今日、学術会議自体としては、われわれの意思も聞かないで学術会議自体がこの連盟に加盟しているという、構成団体の一つになっておるということについてはどういうふうに御認識されておるのでございましょうか。
  290. 野村平爾

    参考人野村平爾君) この点は議事録を見ますと、各国の社会科学関係のカウンシルでもって構成をするという決定になっております。決定になっておりますけれども、学術会議としてはこれに参加をするかどうかというようなことは、いまのところきめておりません。ただ、まだ仄聞で、こちらのほうに直接に申されたものではございませんので、学術会議としては態度をまだ決定はいたしておりません。
  291. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、これは日本ユネスコ国委員会としても、これに参加してはいたけれども、しかし何ら組織加盟というような点については決定に参加していないと、こういうふうにはっきり言い切り得るんですか。
  292. 西宮一

    説明員(西宮一君) わがほうの立場を留保ししたわけでございます。
  293. 加藤進

    加藤進君 もう一つお尋しますけれども、そうしますと、このシムラ会議なるもののいわば開催、あるいはその招請を受けたユネスコ国内委員会、事柄は科学者の組織的な会議でございますから、当然私はわが国における科学者の内外に対する代表機関である日本学術会議に当然相談されていいと思うんでございますけれども、その点の相談はされたんでございましょうか。
  294. 西宮一

    説明員(西宮一君) 代表派遣につきましては、日本学術会議とは相談しておりませんでした。これは国内委員会としましては先ほど申し上げましたように、ユネスコの人文、社会科学関係の技術的な専門家会議、こういうことで従来の取り扱いに従って処理したわけでございます。
  295. 加藤進

    加藤進君 この会議の性格というものはきわめて明確になっておるわけでございまして、とりわけ社会科学関係の研究団体の国際的な連盟組織でしょう。そうなってきますと、これは日本ユネスコ国委員会が招請を受けたとか、相談に乗ったとかということはあったかもしれませんけれども、しかし、本来この主体になるのは、日本ユネスコ委員会で、なしに、日本ユネスコ委員会自身が産婆役をつとめて、そして内外において日本科学者を代表するような日本学術会議、この学術会議を立ててこの会議に参加させるというようなことこそ望ましいことではなかったかと私は考えるのでございますけれども、その点はいかがでしょう。
  296. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 一般的に申しまして、ユネスコの加盟各国の国内委員会、あるいは各国のこういう研究所が、ユネスコの組織を通じましていろんな国際会議の呼びかけをしてまいります。それをユネスコ国内委員会が窓口となって受け取りまして、そしてユネスコ国内委員会自体は、自然科学、社会科学、それからまた文化についての専門家の委員会を持っているわけでございますから、それらのところと御相談をしながら、こうした会議の案内についての派遣の人選、あるいは派遣けるかしないか、そういった判断等もいたしますし、また必要な範囲で関係省庁に連絡をするということでございます。このシステム会議の案内は、一般的に非常に空漠としておりますが、アジア地域の社会科学の教育と研究を取り扱うというような非常に広範なものでございまして、実際にインドのそういう国内委員会の主催の会議がどういうことになりますかは、その行った上のことでなければわかりません。これは正規の国際機関の会議ということではございませんので、インドの国内における一研究機関がインドの国内委員会と一緒になって開いたものということでございますから、従来の慣例からいたしますならば、一般的にこうしたたくさんの会議の招請に対して、そのつどしかるべき人選をユネスコ国内委員会の中で処理をする、こういう扱いになっておるわけでございます。
  297. 加藤進

    加藤進君 その態度が私は正しくないと指摘しておるんです。事柄は社会科学を含む科学者の連盟なんです。科学者の連盟に対して、ユネスコ国内委員会に招請があったということは、これは理解できましょう。しかし、招請のあったユネスコ国内委員会がこの会議に代表を送るということについても、日本学術会議には何一つ相談がなかった。この会議の模様や、この会議のきまった内容につきましても、何一つ相談されなかった。そして日本学術会議は、この問題について、議事録なりあるいは資料が送られて初めて、こういう会議が行なわれたということを知られたといわれます。こんなことがあらゆる問題について起こっていいのかどうか。私はまず、日本学術会議の一番の所管であります総理府長官から、こういう取り扱いをされて日本学術会議はいいものかどうかお聞きをしたい。
  298. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) 学術会議は、御承知のような学術会議法及び設置法等によりまして明確に規定をされております。まあそうした文案だけから考えますならば、やはり内外を代表するということでございますので、そうした面についての私は十分なる配慮があってしかるべきだと考えます。が、しかし、現時点におきましては、なかなか学術会議と政府間の、あるいは関連の中で、行政官庁の中でも必ずしもしっくりいっておらぬ点が多々あるように思います、これは端的に申し上げますと。私は、やはりこうした面を、総理府総務長官といたしましては、所轄をしている程度でございまして、決して内容に立ち入るわけではございません。せっかくこの組織があるし、予算も三億八千万、本年は四億五千万も使うわけでございますから、そうした関係の中から出てくるいろいろ有益なサゼスチョンなり、勧告なり、そうしたものが必要な行政の中に生かされることを私はやるべきだと考えまして、そうした面から見て、今後はもっと連絡を密にしながら、内政干渉ではなしに、お互いの立場を尊重しながら、いい関係をつくりたいというふうに私は考えております。
  299. 加藤進

    加藤進君 私は、そこで、日本ユネスコ国委員会に注文を申し上げておきますけれども、そもそも日本におけるユネスコ国内委員会ができたという契機は何だったでしょうか。日本学術会議の勧告があったからですよ。日本学術会議はまさに産婆役なんです。こういう役目を果たして日本におけるユネスコ国内委員会が設立されだんです。しかもユネスコの総会には、湯川秀樹教授をはじめとして、日本学術会議の代表が参加されました。そしてまた、日本学術会議の勧告も国際舞台で採択されているんです。こういう重要な内外における日本科学者の代表機関でありますから、この点をどうして日本ユネスコ国委員会がなおざりにされるのか、私はそういう態度を今後続けられるということを許してはならぬと、こういうふうに考えますけれども、この点、所管である文部大臣の御意見を承りたいと思います。
  300. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) いま、いろいろお話を伺いながら、ユネスコから関係者をインドに出したその選考について日本学術会議との連絡をしていないということについては、私はそれほど問題にすべきものでもないような感じがいたします。ただ、その会議において、社会科学研究評議会アジア連盟設立の問題が議題になったという点になりますと、やはりこれが日本学術会議のほうに、留保はしてきたもののこんな話があったというぐらいの連絡ができるような関係であることが望ましいなと、お話を伺いながらこんな感じをもって聞かしていただきました。
  301. 加藤進

    加藤進君 そういう連絡一つしていなかった、——私は意外に思います。こんなことかあっていいのかという感じをもって受け取ったわけです。  そこで、私は次の質問に入りますけれども、今度のユネスコの総会におきまして、科学者地位に関する国際文書が提案される、まあこういうことを聞いておるわけでございますが、一昨年開かれた十七回のユネスコ総合においては、この国際文書の取り扱いについてどういう決定がなされたのか、簡潔にお聞きしたい。
  302. 野村豊

    説明員野村豊君) ただいま先生の御指摘のございました一九七二年、一昨年でございますけれども、開かれました第十七回のユネスコ総会におきましては、大体次のような内容の決議案が通ったわけでございます。それは主として事務局がつくったわけでございますけれども、一つは、「科学(研究)者の地位に関しますところの国際文書」を作成することが望ましいと考えると、第二番目には、このような国際文書は、ユネスコ憲章の第四条の第四項に申し述べますところの加盟国に対する勧告の形をとることが望ましいと、それから第三番目には、事務局に対しまして、第十八回総会に付託するための勧告草案を準備する特別委員会を開催する権限を与えるというふうな趣旨の決議が採択されたわけでございます。
  303. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、この十月に開かれる第十八回国連総会にはこの勧告案が議題になる、こういうことですね。そこで、日本も含めてこの意見には賛成しながら、今日まで勧告案についての御検討なりあるいは意見を出してきておられると思いますけれども、この勧告案が一体どういう内容のものであるか、簡潔にひとつお答え願いたいと思います。
  304. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 勧告案の内容を簡単に私から御説明いたします。  勧告案につきましては前文がついておりまして、前文にその趣旨が入っておるのでございますが、科学技術の進歩と、その科学技術の進歩の持っておるある種の危険を考えた科学技術政策の策定が必要であるといったようなこと、その他いろいろの前文がついておりまして、あとは勧告の用語の定義あるいは国策形成と科学者との関係、あるいは科学技術者の教育訓練——最初の段階の教育訓練、あるいは科学技術研究者のの使命として、いわゆる倫理的な綱領のようなもの、それらの中身がございますし、また科学研究者としてのいろんな諸条件ですね、科学研究者に十分仕事をしてもらうための諸条件ということについてかなりたくさんの規定が盛られておりまして、最後に、この勧告の性質、これをできるだけ適用してもらいたいという趣旨の項目で締めくくってございます。
  305. 加藤進

    加藤進君 そうしますと、たとえてみれば、かつての教師の地位に関する勧告、この勧告にも匹敵するような科学者にとってはきわめて重要、科学者のみならず、日本国民にとっても重要な内容の文書がつくられるであろうと、こういうふうに理解してもいいと思いますが、その点はいかがでしょうか。
  306. 木田宏

    政府委員(木田宏君) 科学者地位等に関しまして、かなり広範に、多彩な内容のことが草案には盛られておる、こういうふうに考えております。
  307. 加藤進

    加藤進君 国際的な重要文書であるという点に  ついてはどうでしょうか。
  308. 木田宏

    政府委員(木田宏君) こうした事柄を国際的な政府間の取りきめあるいはその勧告としてどのように規定するがいいかということについては、加盟各国それぞれなお見解があるようでございまして、事柄が広範であるということは私どもも考えておりますけれども、この中身をどうするかというのは今後のやはり検討の課題だと思っております。
  309. 加藤進

    加藤進君 そこでお尋ねしますけれども、この勧告草案に対しまして、すでにユネスコ国内委員会を中心として政府に対する答申がなされていると思いますし、また政府代表の専門委員もすでにパリに出発しておるというふうに私は聞いておりますけれども、この答申は、一体どういう勧告案に対して見解を持っておられましょうか。
  310. 木田宏

    政府委員(木田宏君) ユネスコ国内委員会で相談をされました内容が文部省、外務省にも諮問に対する答申として発表されておるわけでございますが、その国内委員会の見解は加盟各国の予備草案に対する報告書についての見解と照らしてみても、各国間の考え方に相当の隔たりがあるというので、この基本問題につきましてはなお十分な討議が必要であると考えるという基本的な見解が一つございます。そうして今回の勧告草案が科学技術とあわせて、科学技術の担当者というふうに用語を使っておるわけでございますが、純粋科学の研究と、それから社会的・経済的な目標の達成に関連いたしますいわゆる研究開発面の担当の専門家と区別しないで、一律に同じような表現で規定をしていくということについては、かなり大きな問題を包蔵する。特に学問の自由といった感覚を、観点をこの勧告の中でどのように取り入れるかという点については慎重な討議を繰り返しておく必要がある、こういうふうに意見としては述べてございます。また研究開発に伴って生じやすい危険を防止するためにどうするか、これを研究者のモラルのみに訴えるという考え方は、いろいろな意味でやはり問題もあるわけでございまして、モラルが学問研究に先行するかどうかという基本問題を含むわけでございますから、そういう点につきましては、なお危険防止についての新たな科学技術政策の確立というようなことを筋道として考えておかなければならない、こうしたかなり基本的な問題に議論がございますので、なお関係各国の間で十分な討議を必要とするというのが、ユネスコ国内委員会から政府、私どもにも示されました意見でございます。
  311. 加藤進

    加藤進君 もう一つ開きますけれども、この勧告案を来たる十月の第十八回ユネスコ総会において採択すべく努力されようとするのか、それともこの議題について消極的あるいは否定的な見解を持っておられますか、その点について。
  312. 木田宏

    政府委員(木田宏君) いま御説明申し上げましたユネスコ国内委員会の意見は、私ども今後の学術政策を考えていきます場合にもかなり基本的な問題でございまして、これがいま行なわれております専門家の政府間会議におきまして、どのような論議になりますか、その成り行きは十分注目したい。そうして十分関係者の合意と理解が得られるならばけっこうなことだと思うのでございますけれども、いまのような基本問題につきまして問題を残したまま総会の議題になるということはいかがであろうかという考え方も持つ次第でございます。
  313. 加藤進

    加藤進君 私も勧告草案の原文を持っています。それからこれに付属する文書も持っています。各国の政府がどのような反応を示し、どのように賛否の意見を持っているかということも出ています。通観するところ、ほとんど世界の各国の大部分が、この草案に賛成して、これを積極的に成立させるような方向で意見を出している。ところが私の見る限りにおいては、日本アメリカが、これについてきわめて消極的、否定的な態度を表明しつつある。こういうことがこのアネックスの中にも見られるわけでございますが、私はその点につきまして、日本学術会議が、この政府の出しました答申につきまして、また政府の見解や態度につきましてどういう御見解を持っておられるのか、お聞きしたいと思います。
  314. 野村平爾

    参考人野村平爾君) 学術会議がこの問題に対して考える場合に二つの問題があります。一番最初の問題は、準備草案という形で送られた最初の報告書と、それから最近送られました最終報告書と、その二つがありますが、その最初の準備草案として送られたものにつきましては、一応ユネスコ国内委員会に対して学術会議の意見を申し述べてあります。  それから第二の問題として、この最終報告書が学術会議に手渡されたのが四月の九日でございますので、その後十分にまだ検討する余裕がありません。したがってその問題については正式な回答を留保し、ユネスコ国内委員会小委員会でもって——学術会議内部の委員会ですが、この小委員会で検討した意見を参考としてお届けをしたということはいたしてあります。
  315. 加藤進

    加藤進君 私はそのような日本学術会議の御努力と、またそのような見解表明に期待をしたいと思います。  そこでお聞きしますけれども、ユネスコ国内委員会は政府に対して今回出された答申についてどういう手続と体制をもって作成されたのか、その点を簡潔にお聞きしたいと思います。
  316. 西宮一

    説明員(西宮一君) 昨年の九月、ユネスコから送付されました予備報告書及び本年四月上旬に送付されてきました最終報告書、これはいずれも学術会議に送付申し上げまして、学術会議の御意見があれば連絡していただきたい、こういうことをお願いいたしました。学術会議から御連絡を受けました意見はユネスコ国内委員会の中でこの問題を所管しております委員会に逐一資料として提出いたしまして、審議に供した次第でございます。
  317. 加藤進

    加藤進君 その点野村参考人はどういうふうにお受けとめいただくのでしょうか。日本学術会議はそのように意見を求められ、そのような意見が今度の答申案の中に生かされたと、こういうふうに御理解いただいておりますか、どうでしょうか。
  318. 野村平爾

    参考人野村平爾君) 第一の準備報告書の場合につきましては、これは十月の三十日付で資料を手にいたしました。そこで学術会議内部の科学者の待遇委員会にこれを付議いたしましたが、その国内委員会から求められた期間までにとうてい審議をすることができないような事情がありましたので、その際は待遇委員会の見解を参考として提出をいたしまして、そしてその後これを今度は全般的に取り上げまして、各部会の議を経ました案をまとめたのが二月中旬でございます。二月の二十五日の運営審議会の議を経て送付いたしましたから、これは第一次の準備報告書に関する意見でございます。したがって政府の提出しました答申というものと、ないしは見解と称するものと学術会議の見解というものとは時期的に一致をしておりませんので、その点では学術会議の見解というものは政府見解の中には生かされておらないというふうに考えます。  それから第二回目の最終報告書でありますが、先ほど申しましたように、四月九日に手にいたしまして、四月十四日までに意見を国内委員会に申し出ろというのですが、ちょうどその期間ゼネストもありましたし、とうてい意見をまとめることができませんので、とりあえずユネスコ委員会だけの見解を送付いたしましたが、政府のお出しになった最終報告書に対する見解とはだいぶ内容的に違っているものでございます。
  319. 加藤進

    加藤進君 もう一つお尋ねいたしますけれども、ユネスコの組織の中でずっと検討されていたということでございますけれども、これはこの検討されているメンバーと申しますか、体制につきまして、あるいは人選につきまして、日本学術会議に相談なりあるいは意見を求められたことはあるでしょうか。
  320. 野村平爾

    参考人野村平爾君) いえ。ユネスコ活動に関する法律に基づきましてユネスコ国内委員会は組織されておりますが、その組織は別に、学術会議の会員が個人として一名ぐらい入っておりますけれども、別に組織的な連関はございません。また法律的にも組織的な連関をするようにはできておらないわけであります。したがって、あくまでも横の機関としての連絡以外にはないというのが現状でございます。
  321. 加藤進

    加藤進君 事柄は科学者地位に関する国際的な文書を作成するということでございますから、われわれ常識的に考えてみても、日本学術会議が存在する、ここには自然科学、人文科学、社会科学を含む日本の英知が結集されておる、こういうことでございますから、ユネスコ国内委員会においても政府においても、このような問題についてこそまさに日本学術会議の意見を徴して、この意見を尊重しつつこの問題に対処していくのが私は当然の態度だと思いますけれども、その点につきまして総理府の長官いかがでございましょうか。
  322. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) ただいま課題になっておりますユネスコ関係の問題につきましては、これはもう外務省並びに文部省の所管でございまして、私はその問題について具体的に総理府としての、長官としての見解は差し控えたいと思いますが、先ほど申し述べましたとおり、学術会議は非常に有力な方々の集まりであるということ、そしてまたそこには日本の非常に高い英知が結集されているということ、やはりそうした事態を踏まえまして、国際的にもまた国内的にも十分皆さん方の御意見を承わるような姿勢が大事であるというふうに考えております。また、そうしたことがやれるような方向に私としては今後努力をしてみたいというふうにも考えます。
  323. 加藤進

    加藤進君 私はそういう総理府長官の見解について、ぜひこれを前向きにさらに前進さしていただきたいと思います。  特にこの日本学術会議の見解について、先ほどの参考人のお話にもございましたように、ほとんどと言っていいのか、何ら今度の答申については意見が加えられていない、考慮されていない、こういう状況でございますし、日本学術会議もその見解を独自に表明されるそうでございますけれども、この間の意思の統一と申しますか、見解の統一をどうしてもはかっていかなければ、日本政府を代表する私は統一見解にはなり得ないと、こういうふうに考えておりますけれども、その点について文部大臣どういうふうに御判断いただけますか。
  324. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 重要な問題ですから各方面の論議を尽くすことが必要だと、そう思います。ただ、いろいろな立場がありますだけに、なかなか国内の意見を一つにまとめるといいましてもそう簡単なことではないんじゃないかと、こう思います。で、今度の場合にも、参考人の方からお話を伺ってますと、日本学術会議で御検討いただく期間が非常に短かったようでございます。しかし同時に、ユネスコから日本国内委員会のほうに送ってきた時期もたいへんおそかったようでございますので、これはあるいは物理的なやむを得ない事情ではなかったんだろうかと、こう思います。ユネスコ国内委員会といたしましても、日本学術会議関係の勧告、予備報告書、あるいは最終報告書をお送りして、御意見をいただくようにしてるわけでございます。これらの点につきましては一そう連絡が十分行きますように配慮していくべきだと、かように考えます。
  325. 加藤進

    加藤進君 先ほどの参考人のお話にもございましたように、ユネスコ国内委員会から送られた勧告草案に対して、それが四月の九日に学術会議に送られたその当時の状況は御承知のとおり、ストライキで交通機関もとまってしまうと、こういう状況のもとでなおかつ困難をおかして学術会議はその問題についての検討に検討を加えられた、私はそのような積極的な態度に対して十分に評価していかなくてはならぬと考えているわけであります。同時に、いま文部大臣が言われましたように、いまからでもおそくはない、学術会議は学術会議として独自の見解を表明されておりますし、これは国法に基づいてつくられた内外に対して代表する科学者の組織でございますから、これを等閑視したり、あるいは軽視したりするというようなことで政府はユネスコ総会に臨むということは私は決して正しい態度ではない。少なくとも日本学術会議との共同のいわばこの問題についての懇談会なり、あるいは共同の検討会なりをやっていただく、こういうことがぜひとも願わしいと考えますけれども、その点、文部大臣いかがでしょう。
  326. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) パリのほうから送られてまいりましたのが四月の上旬だそうでございます。したがいまして、実際問題としてそれぞれが最終報告書を討議するのには十分な時間がなかったんじゃないだろうか、かように考えるわけでございます。今後におきましても十分関係方面の意見が集約されて日本側の意見になりますように努力をしていくつもりだ、かように思います。
  327. 加藤進

    加藤進君 そこでもう一度お尋ねしますけれども、そのためにはやはりそれなりの措置が必要だと思います。日本学術会議は本日から始まる総会においてこの議題も正規の議題として取り上げられるし、また結論も出されてくると思います。したがいまして、この時期にユネスコ国内委員会と学術会議との間の合同の会議でもぜひともあっせんいただきまして、この草案に対する見解をさらに密にして、いわば日本科学者の、研究者の総意を結集するものにしていただきたい、このことを私は希望いたしますけれども、その点について文部大臣に重ねて意見をお聞きしたいと思います。
  328. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 日本ユネスコ国委員会の委員日本学術会議のメンバーも入ってくださっているようでございます。  なお、いまの、現実の討議の場を設けたらどうかという御提案につきましては、私なりに検討さしていただきます。
  329. 加藤進

    加藤進君 その点につきまして総理府長官もひとつ御見解をいただきたいと思います。
  330. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) 実は、学術会議と政府の関係につきましてはいろいろな委員会においても御指摘をいただいているわけです。私は、この学術会議にある高い英知というものをもっといろんな面で活用されなければいけない、またそれを非常に学術会議側の皆さん方も期待していらっしゃると思うのであります。そうしたことを考えましても、先ほど率直に申し上げましたが、なかなかそこの間に十分なる意思の疎通に欠けている面が多いと思います。それで、実は四月の十七日に、これは所轄をしておる総理府総務長官といたしまして越智会長においでいただきまして、一時間ばかりゆっくりと御懇談いたしました。その席上——もちろん会長一人の御意見でございます、また私も総務長官としての個人的見解でございますが、今後はひとつ学術会議と私の間でいろいろと問題を話し合おうじゃないかということをお話いたしまして、大体原則的には大筋で相互に理解をしたわけでございます。私は、いまの議題になっておりますユネスコを通しての科学者地位に関する問題というような具体的な問題とは別でございますが、今後はぜひ日本学術会議のリーダーと私の間でいろいろと、特に煮詰まった問題ということは別といたしまして、十分お話し合いをしながら意思の疎通をはかってまいりたい、こうした方向で進むつもりでおります。
  331. 加藤進

    加藤進君 要望しておきますけれども、総理府長官及び文部大臣はそれぞれの所管でございますから、相互にひとつ、ユネスコ国内委員会と日本学術会議との間の意思の交流、特に勧告案に対する意思の統一のためにせっかくの御配慮をいただきたい、こういうことをまずお願いします。  それから最後に、日本学術会議の見解の全容をまだ私お聞きしておりませんけれども、ユネスコ総会の決議に基づユネスコの事務総長の手によってまとめ上げられつつある勧告草案については、日本学術会議も非常にこれに積極的な支持を表明されておると聞いております。きょうここでユネスコ国内委員会の御意見を聞きますと、その点について私の感じではきわめて消極的、否定的で、そして、あるいはこの勧告案が第十八回ユネスコ総会においてつくられなくてもよかろうなどというふうに考えておられる向きが感じられるわけでございますけれども、私は、国際的な文書で、しかも国際的に見ても大多数の国々がこれに積極的に協力してその勧告案の成立に努力しておる現状から見るなら、国際的な状況の中で日本が孤立するとか、あるいは日本がこのような国際文書をつくる場合にきわめて否定的な役割りを果たしたというようなそしりのないようなせっかくの私は御努力を払いたいし、そのためには日本学術会議の意見を十分にお聞き取りいただきまして、その意見を含めての見解をもってユネスコ総会に臨むような御努力をいただきたい。この点を重ねて文部大臣と総理府長官にお尋ねいたしまして、私の時間がまいりましたので質問を終わります。
  332. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 現在、ユネスコの政府専門家特別委員会において討議が続けられているわけでございます。私が聞いておりますのと加藤さんの理解しておられるのとにちょっとズレがあるように思います。まだ基本的な問題につきまして相当多くの意見があるようでございます。やはりこういう問題は大事なことでございますので、十分意見が詰められなければならない。やっぱり日本も主張すべきことは大いに主張したらいいんだろう、こう思います。あくまでも国際協調の線で努力していかなければならないことは申すまでもないことだと思います。  いずれにいたしましても、十分な討議を経て各国の理解が得られて、そしてやがてユネスコ総会で採択される時期がくることが望ましいことだ、こう思っております。
  333. 小坂徳三郎

    ○国務大臣(小坂徳三郎君) 決して日本が国際社会から孤立することを願うものではございません。また、このようなユネスコ総会等におけるいろいろな決議の採択された問題についてわれわれは誠意をもってこれに対処していかなければならないことも十分考えておりますが、しかし、やはり問題がそれが同時に国内的ないろいろの条件、環境、そうしたものにもつながる問題でございますので、その点につきましてはやはり現実の日本の社会的な風土やあるいはその他もろもろの客観的な条件というようなものもよく踏まえまして、その点については十分にわれわれの現実の利害ということを国際的な場の中で主張し、それを理解してもらいながら、全体としての方向がわれわれにとってかけ離れたものにならないような努力をしていくべきではないかというふうに思います。
  334. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ちょっと速記とめてください。    〔速記中止〕
  335. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 速記を起こして。
  336. 野末和彦

    野末和彦君 文部大臣も、最近急激にエスカレートしてきました家庭販売とか訪問販売とかいう形でいわゆる教育図書というものが売られているのを御存じだと思うんです。で、教育図書、ここにありますのは、これは百科事典ですね。それから学習事典という呼び名とかいろいろありますが、そういうものを含めまして、いわゆる家庭販売の教育図書がまず値段がものすごく高いことですね。それから売り方があまりにもフェアでないということ。それから内容はずさんきわまりないという、この三点について聞いていきたいと思うんです。時間の関係でどこまでやれるかわかりませんけれども、まず通産省にお聞きしますが、新学期とともに書籍類の値段が非常に上がってきました。値上げが目立っておりますが、平均してどのくらい書籍類は上がっているか、何かの資料でそれをちょっと説明していただきたい。
  337. 荒尾保一

    説明員(荒尾保一君) お答え申し上げます。  辞書、事典につきまして一冊当たりの平均単価を最近調べたわけでございますが、四十七年と四十八年を比較いたしますと、四十七年が千七百五十七円でございましたが、これが四十八年には千九百四十二円というふうに約一〇・五%の上昇を示しております。そのうち新刊だけについてみてみますと千九百九十円であったものが二千六百三十一円というように三二・二%の上昇を示しております。これは出版科学研究所というところで調べましたもので、既存のもの等も全部ひっくるめた値段でございまして、したがってこの値段はかなり値上がり率は低目に出ておるという面があろうかと思います。そこで、一部のもので、これはサンプル的でございますが、一部の百科事典あるいは辞書等について調べてみますと、これは社によって値上がり等がかなり違いがございまして、ある社では四十七年の十二月から四十九年三月までの間に三八・八%値上がりしておる。あるいは他のところでは四五・五%値上がりしておる。あるいは辞書等におきましては大体二〇%から二五%、ところによりましては二九・四%というような値上がりを示しておる、そういう状況でございます。
  338. 野末和彦

    野末和彦君 新刊とかあるいは専門書、辞典類などによって事情が違いますから、値上がり率はさまざまであるのはわかるんです。私がいまここで言う家庭販売用の教育図書に限って値段を、値上がりを検討してみたいと思うんですが、百科事典類ですからね、文部大臣、十巻とか十何巻とか、そういう大部のものです。セットでもって数万円という、これ(現物を示す)なんですけれども、家庭販売専門の、つまり書店では売っておらない教育図書の値上がり、この実態は文部省のほうあるいは通産省のほうで御存じでしょうか。
  339. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 文部省ではわかっておりません。
  340. 野末和彦

    野末和彦君 ここが問題なんですね。わかってないのはあたりまえなんですが、家庭販売のシステムはいろいろ御存じだと思いますが、いま新学期ですね、新入生が——新入生と言っても一年生ですが、新入生がどんどん出てくる。その家庭専門にねらい打ちですよ、家庭販売は。で、売るものは小学生ではとても使えないようなこういう百科事典類なんですが、この販売合戦で主婦が非常に悩んでるんですね。この悩みの一つが、書店とか取り次店というものがないために値段にブレーキがない。一方的にかってにきめて、その値段をそのまま押しつけているという、ここが非常に問題だと思うんです。  で、私のほうで大手出版者の発行した書店では売っていない家庭販売でのみ売る教育図書ですね、それについて二、三値上がり方を、値の上げ方をちょっと御説明しますがね。これは学習研究社——学研の「学習ずかん百科」全十五巻、これは推薦図書になってますが、これが二万四千円が三万五千円、現金で。分割でいきますと二万七千円が三万八千二百円ということはですね、これは大体四五%の値上がり。それからこれは「学習百科大事典」というんです。十二巻。これも学習研究社ですね。これは分割のほうだけ言いますと三万五千円が五万三千七百円、これも五三%の値上がりですね。それから平凡社、これも大手ですけれども、平凡社の「アポロ百科事典」三巻というのですが、これは一万一千四百円だったものが五月一日から値上がり予定ですが、一万八千円で五七%。そこで考えるのですが、ただでさえどうも高いなと思っているんですが、こういう、紙も上がる、人件費も上がるんですが、四〇%から五〇%という値上がりはどうもちょっとひど過ぎるんじゃないかと、これはいわゆる一時よくいわれた便乗値上げ、不当じゃないかというふうに思いまして、値上がりが目に余るこの家庭販売用の教育図書。そういうように私は判断するのです。そう思いませんか、これは通産省ですか。
  341. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 確かにことしに入りましてから図書の値上がりが印刷費、用紙費等を理由にいたしまして相当大幅になっておりまして、おそらく先生御指摘の百科事典類もそういうような値上げ幅になっておるというように考えております。ただ、こういう辞書類について価格引き下げの指導をするかどうかということになりますと、確かに私どもの省では一般的な生産資材あるいは消費者が日常使っておりますものについてあるいは値下げの指導をしましたり、あるいは値上げの自粛を要請したりいたしておるわけでございますが、こういう何と申しますか、思想をパックにしておるようなものについてまで一体値下げ指導というようなことをやってもいいかどうか、特に行政がそういうような分野まで入れるかどうかということは非常にむずかしい問題でございますし、こういうような図書そのものは値段の高さと申しますよりは、やはり内容に相応した値段であるかどうかということを判断すべきでありまして、それはやはり賢明な購読者が自由にこれを選択していくというのが本来のあり方ではないかというように考えております。ただ、先生御指摘のような便乗値上げがいやしくもあるというような点は、これは厳に慎まなければいけないという点はもう御意見のとおりでありまして、一般的に便乗値上げをしないというような点では出版社等に私どものほうからよく指導してまいりたいというように考えております。
  342. 野末和彦

    野末和彦君 その辺ですがね、付加価値に対する値段ですから必ずしも高い安いということは軽率に判断できませんがね。こういう百科事典類はいま私があげていったものはもう減価償却は終わっているやつですね。五年、十年繰り返し旧版のままですよ。中身ははっきり言いまして、あとで内容に触れますが、もうかなりずさんというかずれているのですが、こういう旧版の繰り返しということになりますと、いま通産省がお答えになりましたような内容とかあるいは特殊性というものはちょっと考えられないんですな。特に書店で売るものと違って家庭販売用は返品のロスというものはあまり見込まないで済むし、長期に継続して売れますし、そういう書店売りと比べて条件が有利なんですね。そこでなぜこういう大幅な値上がりがあったかということが問題なんですよ。事実ほかの社で同じ似たような十何巻でセットになっている百科事典類で二〇%以内でおさまっている例もあるんですよ、文部大臣ね。ということは、二〇%以下でも現にもうかっている。もうかっているより引き合うからこれでいいということにもなるわけですね。そうするとこれは片っ方では二〇%あるいは一八%の値上がりで押さえているところもある、一五%のところもある。しかし片や四三だの五三、六〇%値上がりしているものもある。これを一緒くたに考えるのは非常におかしいので、私は本の原価計算をわりと詳しく知っているのでどう考えても便乗である、不当だというように思うんですが、その辺の判断、価格指導は通産省はできにくいということですから、なぜこうやって上がっているかということを指摘したいと思うんですよ。これは出版社のもうけ、これが第一ですね、これはめちゃくちゃにもうけている、この家庭販売に関しては。もう一つは販売合戦に勝つためにセールスマージンを大幅に上げているわけですよ。その辺のいわゆる消費者無視の商魂が大手出版社のこういう事典類を四〇%、五〇%、六〇%という値上がりをさせたんだと、こういうふうに考えているわけです。教育という美名のもとにこういうもうけ主義というかね、度の過ぎたもうけ主義を許しているというのはどう考えてもおかしいんで、いまの通産省のお話だと、これは行政指導ができない、消費者が判断するというけれども、実態を知らない主婦が、いろんなものが並べてあって、そして安い高い、内容がよしあしという幾らかの情報あるいは資料を持って買う場合にはいまの通産省の指摘は当てはまりますよ。しかし現実に家庭販売、それできませんからね。それであるならばやはりこの値段の上げ方が適切であるかどうかということを検討しなくちゃいかぬと思うのです。通産省はどうも行政指導はできない、介入はできないとおっしゃいますが、文部大臣としては、いやしくも教育図書、主婦は教育という名のもとに無理やりに買わされるというこういうケースが出ているんですが、いまのまず値段の点だけどう思われますか。
  343. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) お話を伺っておりまして、図書が五割も六割も上がったということは、どうも原価計算上はそんな数字が出てこないのじゃないだろうかという感じを私受けたわけでございます。いずれにいたしましても石油危機以来非常な経済混乱があった。先行き、物がなくなってくるんじゃないだろうか、先行き、物価が上がっていくんじゃないだろうかというような空気がかなり一般的になっておったために、それに便乗して値上げがかなり行なわれた。やはりこういう問題はそういう不安を解消して結局競争が公正に行なわれる、その中で消費者が安くてよいものを選択できるようになる、そこでおのずから価格が安定してくる、これが基本的な姿じゃないだろうかなと、こう思っているわけでございます。いずれにいたしましても出版を扱うようなところはあまり営利に突っ走らないようにしてもらいたいもんだなあ、自制をしてもらいたいもんだなあ、お話を伺いながらそういうふうに思ったわけでございます。しかし文部省がいま家庭を訪問してセールスしておられるものについて、それじゃどういう態度をとるかといいますと、どうもこれやっぱり消費者自身の賢明な態度に待つ以外にはないのじゃないんだろうかなあと、こう思っているところでございます。またよい知恵がございましたら考えさしていただきたいと思います。
  344. 野末和彦

    野末和彦君 文部省の立場はそうだと思うのです。だけども消費者に対していろいろなことを教えない、実態を知らしていない、知らす努力をしていないということは非常に怠慢だと思うんで、いまの文部大臣の発言で通産省やっぱりだめですか。下げさせるということは全く手も足も出ない状態、それほど通産省は無力ですか、これに関して。
  345. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) 先生、本の製作費のことは非常によく御存じだろうと思いますが、確かに紙代などは、特に辞書などの使う紙につきましては非常にはなはだしく値上がりをいたしております。大体まあ七、八〇%値上がりいたしております。それから特に製本費等は人手を要します関係上、やはり五割以上値上がりをしておると、また印刷費のほうもほぼ同じような値上がりをしておるというような現状でございまして、一般的にこういう辞書類が上がっておるということは原価上やむを得ない点があろうかと思います。ただ先生御指摘をいただきました販売手数料の面がやはり各社の競争上のために確かに大きくなっておるという面は否定ができないかというように思うわけでございます。一つはこういうような事典類はなかなかかさがかさばるものでございますから、一般の書店では売れないと、一般の書店では売れないということになりますと勢い御指摘のように訪問販売という形を利用して売り込まざるを得ないというような悪循環を来たしまして、そういうような意味でやはり販売手数料がその面で高くなっておるということは事実かと存じます。  こういうような状況でございますので、確かに値段を下げるように指導しろという先生の御指摘はよくわかるわけでございますけれども、通産省といたしましてこういうような書物ということについて価格指導をしていいかどうかという点につきましては、若干、繰り返しになりますけれども、一般の生活必需品等と違いまして非常にデリケートな問題もございますので、価格指導をやはり前面に押し出してやるということについてはやはりためらいを感ずるわけでございます。
  346. 野末和彦

    野末和彦君 書店売りと家庭販売と一緒くたになっちゃったようなお答えなんで、まあやむを得ないかもしれませんか、どうもこの値上げ——もう五年も六年も売り尽くしてきて、原価がとれたやつを紙が七〇か八〇上がった、それも事実ですよ。しかし百科事典じゃなく、それはいわゆる外国語辞典の例ですからね。百科事典の紙はそんなに上がっていませんからね。しかも厚い紙が高いわけじゃないですから、その辺を誤解なさっているんじゃないかと思いますが、まあやむを得ないならやむを得ないで、もうちょっとこのいわゆる家庭販売、訪問販売の実害といいますか、主婦がいかに迷惑しているか、困っているかという実態をお知りになればだいぶ考え方が変わるんじゃないかと思うんですよ。  そこで少し実態について文部大臣に聞いていただきたいと思いますが、大体これはもう皆さんの御家庭にも必ずセールスマン行っているんじゃないかと思うんです。行くときには、もう調査に来ましたとか、私は教育コンサルタントでこの地域を担当している者であるとか、あるいは先生の紹介で来たとか必ず言って入ってくる。ドアを開ければもうしつっこくねばって売るわけですけれども、まず一番疑問に感じるのは、この教育図書の家庭セールスはもうほんとうに公害であるというふうに感じるんです。その一つに、教師用指導書というものを持ってくるんですがね。こういうもの、(現物を示す)レポートがありましてね。私どもこれだけのレポートが全部ありますが、各社全部やっているんですけれども、教師用指導書、これは市販してませんからね。これを持ってきまして、これはおとりですよ、ここに書いてあることがこの学習百科の中にありますよと、だからこれを買えば勉強の役に立つんだという言い方をして主婦をだますというか、ひっかけるわけですね。全員がこれ使っている、ほとんどセールスマン全員が。教師用指導書というのはあれは先生用でしょう。営業用にこれを使えるほど自由にこれは手に入るものなんですかね。この辺がわからないんですがね。
  347. 岩間英太郎

    政府委員岩間英太郎君) 御指摘のとおり教師用の指導書というのは教師が指導するためにつくっているわけでございまして、私どものほうも教師の手に渡るようにはしておりますけれども、それ以外に渡るというふうなことは予想してないわけでございます。特にただいまのように販売に利用するというふうなことはこれは私どもは考えもしなかったことでございます。こういう点につきましては十分気をつけてまいりたいというふうに考えております。
  348. 野末和彦

    野末和彦君 これはちょっと想像もできないようなことで、商売人のほうが頭がいいというか、抜け目がないわけですから、簡単にこれをもうそういうのはそういう売り方をするなということも言えないでしょうが、私、ここで考えるんですよ。これ簡単に入手できるんだからまあしょうがないんですけれども、こういう訪問販売、家庭販売を規制するルールというのがないんだろうか。いままでしょっちゅう問題になっているんですね。で、国によっては外国などでもある程度の規制をしているところもあるんですが、いまのやり方を放置しておきますと主婦には自由に商品を選択する情報もなければまたそれだけの余地がないほど強引に迫られる。これは何というんですか。まあ押し売りですよね、いずれにしても。  これ通産省にお聞きするんですが、この種の訪問販売をなぜ野放しにしたままでいるのか。その辺がちょっとわからないんですが。
  349. 森口八郎

    政府委員(森口八郎君) だんだん販売活動が活発になってきますと、普通は対面で物を売るというような形から、いま問題になりましたような訪問販売あるいはカタログ販売と申しますか、通信販売と申しますか、そういう特殊な販売形態が商品の販売に出てくるわけでございます。まあこういう販売形態そのものはやはり消費者の商品選択の機会を増大させるという点ではそれ自体はいいわけでございますけれども、他面、先生御指摘のように、やはり販売員の部面に問題がありまして、不当勧誘をするとか、あるいは若干押し売り的になるとか、あるいは買ってみたけれども商品の品質に問題があるとか、あるいはアフターサービスに問題があるとかいうようないろいろな問題が生じておるわけでございます。私どものほうといたしましては、こういうような普通の対面販売でない特殊な販売形態についてどういうようなルールで一体これを秩序立てていくのか、あるいは規制をしていくのかということで、産業構造審議会の流通部会の中に特殊販売小委員会をことしの初めから設置いたしまして、現在調査をし、いま申し上げたようなルールづくりをするということで検討をいたしておるところでございます。そういう結論を待ちまして、御指摘の、どういうように秩序づけていけばいいかというような具体的方策を講じてまいりたいというように考えております。
  350. 野末和彦

    野末和彦君 その場合に、言っておきますけれども、教育図書とそれから防犯ベルや化粧品やそういうものを一括して全部同じ次元で考えるとまた非常にむずかしくなるし、問題は別の問題が生まれてくると思うのですね。その辺、やはりいまのままの野放しが好ましくないことはおそらくだれも異議がないと思います。ですから、規制のルールを、まあどこまで規制できるか知りませんが、やはりルールを早くつくることは必要だと思うんで、作業を急いでほしいと思うのですね。  そこで、また続けますが、文部大臣ね、非常に業者というのは巧妙というか、いろんなことをやるんですが、現職の校長先生が推選者としてパンフレットに麗々しく名前も出している。これはいいかどうか知りませんが、とにかく出している。するとセールスマンは、これを武器に、おたくの坊ちゃんの学校の校長先生も推選しているんですよと、買わなきゃ損ですよということですね。なぜならば、全国国公立小学校校長会会長、全日本中学校長会会長って、全日本ですから、代表して名前を出しているからね、おたくの坊ちゃんの学校の校長先生だと言われても、これは主婦は当然だと思いますね。こういうふうにセールスマンが利用しているんですが、どうなんでしょうか。やはり校長先生ですから、国公立の校長先生は公人ですね、商売の片棒をかつぐというのは、ぼくは軽率じゃないかと。ましてや、いかがわしい売り方をされている商売の片棒をかついでいるというんで、御本人がどういうつもりか知りませんが、名前はあえて出さないんですが、こういうことは許可されているんですか、大臣。
  351. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 許可するとかしないとかいう問題ではないような感じがいたします。肩書きを単純な営利活動に利用するということは好ましいことじゃないと思います。しかし、その肩書きからしても、ぜひこういう本を広くすすめていきたい、読んでもらいたい、責任をもってするめ得るものであるならば、肩書きを使うことが一がいに悪いと、こう言うわけにもいかぬのじゃないだろうか、こう思うわけでございます。肩書きを使うには肩書きを使うだけの責任をもって、その名前が利用されることについて責任を負わなければならないという性格のものじゃないだろうかと。単なる営利活動に肩書きを使うということは私は避けたほうがいいと、こういうふうに思います。
  352. 野末和彦

    野末和彦君 しかし、肩書きのついた名前があるとこれはもう権威になりますからね、営業上のこれはきめ手ですよ。他社との間のもちろん差もできるでしょうけれども、やはり最終的に買わせるという決断を促すもう最後のきめ手みたいに思うんですよ。ですけれども、大臣の言うように、まあいいものであるのを責任を持って推選するということであればよろしいとおっしゃる。じゃはたしていいものかどうかお調べになったことはないでしょう当然、大臣はね、わかんないでしょう。そうすると、もし内容の悪い、間違いがある、ずさんなそういう百科事典、学習事典にこういう校長連中が名前を連ねていたらどうなんですか。責任とりますか、この人たちは。
  353. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 全国の機関の長ということになりますと、やっぱりそれなりにしっかりした人たちだろうと思います。ですから、そういう人たちの十分な自覚のもとに、これについては名前を使う、これについては名前を使うことを拒否するというようなしっかりした態度を持ち続けてもらいたいもんだなと、こう念願をせざるを得ないわけでございます。  繰り返し申し上げますけれども、単純な営利活動に名前を利用させる、これはもう当然自粛すべきものだと思います。しかし、ほんとうに真剣に、これは良書である、これはすすめていきたいということについてまで名前を使うことは避けるべきだというのは、私はやっぱり適当でないような感じがいたします。
  354. 野末和彦

    野末和彦君 そうですがねえ。ずいぶん甘いようなことで……。まあ金もらっているかもらっていないかそんなことはどうでもいいんですが、こういうところへ——ちょっと軽率だと思いますね。それはあとから触れます。どうも時間の関係内容のいいかげんさまで触れられませんので、それについては後日に譲りまして、それをもっと問題点指摘したいと思います。  あまりにも問題があり過ぎるんですよね。たとえば、これやりましょう、今度は。これは講談社の「現代世界百科大事典」というんですよ。これを本屋で買いますと三冊で二万七千円。家庭セールスで届けてもらうと、これが十六冊(講談社版現代世界百科大辞典、発売元ブック・ローン株式会社)になりまして五万八千円というふうになるんですよね。これ自体はいいんですよ。片や三冊、片や十六冊ですから。紙質とかいろんな問題、まあどっちがいい紙使っているかは別としまして。これ(現物を示す)ですが、内容同じなんですよ、九九%同じなんです。どこに問題があるかといいますと、本屋に行きますと、この講談社の「現代世界百科大事典」のほうはこの三冊を一冊ずつでも売ってくれる。セールスのほうは分冊は絶対しない。十六巻ワンセットになっている。そこで、こういうことになるんですね。宣伝文句によりますと、これはブック・ローンというところが講談社のものを販売しているんですがね、「ブックローンオリジナル商品で書店では取り扱っておりません」というんですね。オリジナルで書店では取り扱ってないといって主婦に売るんですが、主婦の場合に、本屋に行けば三冊でこれが同じ内容のものが半額で買える。しかしこっちは十六冊で、値段が二倍以上になっている。まあ比較するちゃんとした情報があって売るならいいんですがね、オリジナルと偽って結果としては高いものを売っているわけですよね。そうすると、こういう出版社のやり方というのはどう考えても自粛すべきであって、高い安いとか単純に言うんじゃないんですよ。偽って誤認させるような売り方をしている。これはやっぱり、どうでしょうかね、一流出版社のやるべきことじゃないと、こう思うんですよね。これは三冊二万七千円で買いたい人のほうが多いんじゃないですか、同じ内容なんだから。十六冊にふえて五万八千二百円になったらいやじゃないですか。ところが本屋は三冊のほうを売っている。家庭販売はこれ(三冊のほう)は絶対売っていない。書店では売っているが売っていない。それでセールスマンはこういう十六冊のものを持ってきてやるんです。こういうフェアでない売り方をしているんです。——これはどこなんです、通産省とか文部省とかわからなくなっちゃうのですがね、こういうあまりにも巧妙なやり方をしているんで。こういうものも、野放しというのはどうもフェアじゃないと思いますが。
  355. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) おっしゃっているように、書店で買えば同じものがずっと安く買えると、そういうことになりますと、ほんとうに私もフェアじゃないような感じがいたします。反面しかし、そういうことがわかってくれば、私はその書店の信用が失墜してしまうことになりはせぬだろうかと。だから、そんなに値段の違ったような売り方をはたしてするんだろうかなあという疑問を持っているわけでございます。まあいずれにしましても、信用というものは商売の上で一番大切なことでございますので、信用を落とすようなことは私はしないはずだと思いますが、なおかつ信用を落とすようなことをしていれば私はその書店は没落していく、そういうことで取捨選択されていくんじゃないだろうかなと。やっぱりそこが自由競争の特色じゃないかなと、あんまり神経質に考えるのもというような気もしないわけじゃございません。しかし、おっしゃっているような非常に信用を失墜する行為をやるんなら、そういう著名な書店でありましたらむしろ注意をしてあげたほうがいいような感じも私はいたします。
  356. 野末和彦

    野末和彦君 いや、実態を知ればね、書店の信用も失墜するけれども、知らないし、永久に知られないんですよ、このままじゃ。だれが知りますか。名前をちょっと変えて同じものが安く片っ方じゃ高く売られているなんて、だれが一体主婦の立場でわかります。やっぱりこういう文部省なり通産省なり気がついたところが警告を発する形をとらなかったらやっぱりだめだと思うんですよ。自由競争にしておけばいいというものじゃない。自由競争の中で被害者はどんどんどんどん出てきている。そして信用が失墜するまでにもう被害者が続出しちゃ何にもならない。  もう時間はきちゃったのですけれどもね、もう一つ大事なことをやりたいんですよ。セールスに来る連中が全部名簿を持っているということですね。新入生はどことどこにいる、何々ちゃんは兄弟が何人でおやじの職業は何でと全部知っている。そういう名簿を持ってねらい撃ちをしてくるというこれなんですよ。もちろん区役所とか市役所とかいろんなところでそういう名簿を住民票なのか戸籍簿か何か知りませんが、全部写してくる。きょうの新聞を見ると、選挙人名簿までどこか売ろうとしているところがありましたがね。この問題ですが、プライバシーの侵害にならないかどうかということが一点ですね。それから営業目的で自由に住民簿だの戸籍簿みたいなものを閲覧させると、営業に利用させていいのかどうかと、この二つの点が非常に問題で、これが家庭販売を規制する大事なポイントじゃないかと思うんです。そこで法務省、自治省の立場からいまのプライバシーの侵害問題、それから自由閲覧の問題、これについて簡単に見解を伺いたい。
  357. 田中和夫

    説明員田中和夫君) 住民基本台帳というのは、御承知のように住所の公証をするものでありますけれども、同時に住民の利便を増進するということが目的にうたわれておりまして、公開の原則というのをとっておるわけであります。例外としては執務に支障がある場合には拒んでもいいけれども、それ以外は公開して住民の利便に供さなきゃいかぬということになっておるわけでございまして、もしいまのようなお話の場合に、役場でそれが調べることができないということになれば、戸別訪問をして調べるのかあるいは学校で調べるのかというようなことになってそれはたいへんだから、住民の利便を増進するために役場に行けば閲覧ができるというようなことになっておりまして、営利目的であるかどうかということによって閲覧を拒むというようなたてまえにいまの住民基本台帳法はなっていないのでございます。
  358. 加藤泰也

    説明員加藤泰也君) ただいまのプライバシーの問題ということでお尋ねですので、その面からお答えいたします。  プライバシーの権利と申しますのは、英米で発達しました法理論でありまして、わが国では三島由紀夫さんの「宴のあと」の問題以来ずっと注目を浴びておりまして、裁判例も出ております。ただその裁判例もたいした数ではまだないので、どういうものだということははっきりまだ確定できない段階であると思います。ただ全体の傾向としては、このプライバシーの権利は認めていくという方向にあると思っております。ただこのプライバシーの権利と申しますのは、その人の地位だとか職業とか年齢あるいはその侵害の態様によっていろいろと複雑な問題がありまして、一がいに言えない面がございますが、その権利の基本というのは、人間が個人として他人より干渉されないでそっとしていることができるという権利であるというふうに基本はそう書いておられると思います。そこで先ほど自治省から御答弁のありました住民台帳との関係でございますけれども、住民台帳は一定の代名、住所、生年月日等について住民に登録の義務を負わせております。そして何ぴとでもそれを閲覧したり、写しをもらうという権利が法律にうたっておりますので、少なくとも通常の方法でそういうものを求めて閲覧したりあるいは写しをもらったということだけでは直ちにプライバシーの侵害にならないじゃないか。と申しますのは、法律がそういうことを申告する義務を認めておりまして、公開している以上、その程度のことは住民としては私事を——私事と言いましてもそれほど重要な私事ではないと思いますけれども、年齢等を公開する受忍義務は負っているのじゃないかと考えるので、そう考えるわけです。  そこで営業の目的でそれをやるのは直ちに違法になるかどうかということでございますけれども、営業ということは現在の法制では当然認められていることでありますので、たとえばダイレクトメール、ただいまの問題もそうでありますけれども、そういう営利の目的があったからといってそれが直ちに違法になるとかいうことはちょっと言えないんじゃないかと考えます。ただ私はいま通常の方法ということを申し上げたので、異例な方法の場合にはプライバシーの侵害になるおそれもあるという点が若干ございます。これは昨年、鶴岡市の市民名鑑というのをある興信所が売り出したことで衆議院でも御質問を受けたケースでございますけれども、それによると、住民の名簿全部を写していって全部載ってしまう。たとえば内縁関係だとか、年上の妻であるとか、母子家庭とか、連れ子であるとか、あまり世間に知られたくないようなことが全部わかってしまう、こういうものを出版して目に触れるというようなことになるとプライバシーの問題が起こると思いますが、ただいまの本の関係ですと、知りたいのは名前と住所と生年月日ということだと思いますので、その程度のことではプライバシーの侵害ではないと、そういうふうに考えております。
  359. 野末和彦

    野末和彦君 いや、これはちょっとあぶねえな、そんなことを言っているようじゃ。というのは、実態を知ればもうちょっと別のお答えが出るんじゃないかと思ったんですが、知らないのは無理もないですから、ひとつ家に帰って奥さんなどに話してみてくださいよ。どういうふうなやり方で来ているか。いまいろいろお話を聞くと、これは主婦の悩みはとうてい解消しない。政治不信ですよ、ますます。一方、業者は大喜びだ。こんな野放しにしていて、業者自身がこれでいいのかと思いながらやっているのに、政府のほうはあまり何もやってくれそうもなければ連中は大喜びすると思う。それくらいに実態というのはひどいんですよ。公害なんですよ。主婦が目ざめて不買運動でも起こしてくれればいいけれども、そこまで実態を知らされてないだけにそれも無理だと、こう思うんです。新入生をねらい撃ちしてこの新学期にどっと全国で数万人の教育図書セールスマンが繰り出しまして、おふくろの不安と子供にかける夢につけ込んでもうカモにしている。さっき言ったように、高い値段で売りつけていく、しかも内容は、きょうは触れられませんでしたけれども、かなりいいかげんなものですよ。指導要領からどんどんずれていって、古い内容、しかも間違いもある百科大辞典、大出版社の百科辞典で間違いがあるから、その辺一々御検討になっていないと思いますけれども、いずれの機会にかそれもやりたいと思いますが、直接に悪いのはセールスマンかもしれない、しかし、その裏でマージンでもってほっぺたを張ってあやつっている、糸を引く大出版社、それから販売業者のやり方にもう少し監視の目を光らせて営業姿勢を正させるというような努力をどこかがしなければいかぬと思うんですね。やはり主婦をもう少し保護するというか、家庭を保護してやらないと、この形態というのは非常に被害を大きくすると、こう思います。  いずれにしても文部大臣、教育の美名のもとに悪徳と私はあえて言いますが、皆さんはどうも正常だとお考えのようですが、こういういかがわしい商人をはびこらせるのは好ましくないと思うんです。ですから通産省、文部省などが協力して、少なくとも教育図書という名前をかぶせてくる、こういうのはほかの化粧品や車や防犯ベルなどとは違うんだということで何とか規制というか、もう少し正常になる、健全になるような案を考えていただきたいんですが、最後にどうでしょうか、それだけひとつお考えを聞かせていただいて終わりにします。
  360. 奥野誠亮

    ○国務大臣(奥野誠亮君) 実態を知らないからのんきなことが言えるのかもしれませんけれども、化粧品を買うかわりに本を買ってくれれば多少は役に立つかもしれぬというような気持ちもしないわけではございませんが、いずれにしましても商売のことでございますので、私がいま深く実態も知らぬままにとやかく批判がましことを言うのはこの際は避けさせていただきたいと思います。
  361. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 他に御発言がなければ、本日の質疑は一応この程度にとどめます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十九分散会      —————・—————