運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1973-12-19 第72回国会 参議院 決算委員会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十八年十二月十九日(水曜日)    午前十一時二分開会     —————————————   委員氏名     委員長         田中寿美子君     理 事         片山 正英君     理 事         世耕 政隆君     理 事         渡辺一太郎君     理 事         小谷  守君     理 事         中尾 辰義君                 石本  茂君                 河口 陽一君                 河本嘉久蔵君                 君  健男君                 小林 国司君                 佐田 一郎君                 佐藤 一郎君                 寺下 岩蔵君                 中村 登美君                 温水 三郎君                 二木 謙吾君                 松岡 克由君                 片岡 勝治君                 杉山善太郎君                 鈴木  力君                 鶴園 哲夫君                 藤原 道子君                 村田 秀三君                 二宮 文造君                 峯山 昭範君                 栗林 卓司君                 萩原幽香子君                 春日 正一君                 野末 和彦君     —————————————    委員異動  十二月一日     辞任         補欠選任      鶴園 哲夫君     加藤  進君      栗林 卓司君     田渕 哲也君  十二月四日     辞任         補欠選任      片山 正英君     長屋  茂君  十二月六日     辞任         補欠選任      野末 和彦君     喜屋武眞榮君  十二月十四日     辞任         補欠選任      君  健男君     上田  稔君      河本嘉久蔵君     竹内 藤男君      寺下 岩蔵君     小笠 公韶君  十二月十五日     辞任         補欠選任      上田  稔君     君  健男君      竹内 藤男君     河本嘉久蔵君      小笠 公韶君     寺下 岩蔵君      喜屋武眞榮君     野末 和彦君  十二月十八日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     木島 則夫君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         田中寿美子君     理 事                 君  健男君                 松岡 克由君                 小谷  守君                 加藤  進君     委 員                 河本嘉久蔵君                 世耕 政隆君                 中村 登美君                 二木 謙吾君                 片岡 勝治君                 鈴木  力君                 藤原 道子君                 村田 秀三君                 木島 則夫君                 萩原幽香子君                 野末 和彦君    国務大臣        郵 政 大 臣  原田  憲君    政府委員        防衛庁防衛局長  久保 卓也君        外務省アメリカ        局長       大河原良雄君        外務省条約局長  松永 信雄君        通商産業政務次        官        楠  正俊君        郵政大臣官房長  神山 文男君        郵政大臣官房電        気通信監理官   浅見 喜作君        郵政大臣官房電        気通信監理官   牧野 康夫君        郵政省郵務局長  石井多加三君        郵政省貯金局長  船津  茂君        郵政省電波監理        局長       齋藤 義郎君        郵政省人事局長  北 雄一郎君        郵政省経理局長  廣瀬  弘君         —————        会計検査院長   白石 正雄君        検  査  官  知野 虎雄君    事務局側        常任委員会専門        員        佐藤 忠雄君    説明員        総理府人事局参        事官       大林 勝臣君        外務大臣官房領        事移住部長    穂崎  巧君        資源エネルギー        庁公益事業部計        画課長      杉山 和男君        郵政大臣官房首        席監察官     田所 文雄君        郵政大臣官房建        築部長      武田 礼仁君        会計検査院事務        総局第二局長   柴崎 敏郎君        会計検査院事務        総局第五局長   中村 祐三君        日本電信電話公        社総裁      米澤  滋君    参考人        日本放送協会専        務理事      坂本 朝一君        日本民間放送連        盟専務理事    杉山 一男君     —————————————   本日の会議に付した案件理事辞任及び補欠選任の件 ○調査承認要求に関する件 ○参考人出席要求に関する件 ○昭和四十六年度一般会計歳入歳出決算昭和四  十六年度特別会計歳入歳出決算昭和四十六年  度国税収納金整理資金受払計算書昭和四十六  年度政府関係機関決算書(第七十一回国会内閣  提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産増減及び現在額総計算  書(第七十一回国会内閣提出)(継続案件) ○昭和四十六年度国有財産無償貸付状況計算書  (第七十一回国会内閣提出)(継続案件) ○派遣委員報告に関する件     —————————————
  2. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  まず、委員異動について御報告いたします。  去る十一月三十日、塚田大願君が委員辞任され、その補欠として春日正一君が、十二月一日、会派割り当ての変更により鶴園哲夫君が委員辞任され、それに伴う異動として加藤進君が、また同日、栗林卓司君が委員辞任され、その補欠として田淵哲也君が、十二月四日、片山正英君が委員辞任され、その補欠として長屋茂君が、昨十八日、田淵哲也君が委員辞任され、その補欠として木島則夫君がそれぞれ委員に選任されました。     —————————————
  3. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、理事辞任についておはかりいたします。  世耕政隆君及び渡辺一太郎君から文書をもって、都合により理事辞任したい旨の申し出がございました。これを許可することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  ただいま御報告のとおり片山正英君及び塚田大願君の委員異動に伴う理事欠員二名及び世耕政隆君及び渡辺一太郎君の理事辞任に伴う欠員二名、計四名の理事欠員となっておりますので、この際理事補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては先例により委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  5. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認めます。  それでは理事温水三郎君、君健男君、松岡克由君及び加藤進君をそれぞれ指名いたします。     —————————————
  6. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、調査承認要求に関する件についておはかりいたします。  本委員会は、国家財政経理及び国有財産管理に関する調査を行なうこととし、その旨の調査承認要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  9. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、参考人出席要求に関する件についておはかりいたします。  昭和四十六年度決算外二件の審査並びに国家財政経理及び国有財産管理に関する調査に資するため、必要に応じ政府関係機関等役職員出席を求め、その意見を聴取することに御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  10. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、日時及び人選等につきましてはこれをあらかじめ委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  12. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に会計検査院長白石正雄君及び検査官知野虎雄君からそれぞれ発言を求められておりますので、この際順次発言を許します。  会計検査院長白石正雄君。
  13. 白石正雄

    会計検査院長白石正雄君) 過日、会計検査院長を命ぜられました白石正雄でございます。何とぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。
  14. 田中寿美子

  15. 知野虎雄

    検査官知野虎雄君) 先日、検査官に任命されました知野でございます。何とぞよろしく御指導のほどお願い申し上げます。     —————————————
  16. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、昭和四十六年度決算外二件を議題といたします。  本日は、まず外務省及び防衛庁について、十一月二十八日に引き続き質疑を続行いたします。本件につきましては片岡委員質疑中、外務省統一見解を求め、外務省も十二月五日文書をもって統一見解提出いたしましたので、理事会協議の結果本日の審査の冒頭にこれを行なうこととしたものでございます。  それでは、これより質疑に入ります。片岡君。
  17. 片岡勝治

    片岡勝治君 過般、前回委員会要求いたしました母港化関係するこれまでの政府見解について、いろいろ不明確な点があるので、その統一した見解を出すように求めたわけでありますが、その回答を得たわけであります。しかし、率直に言ってたいへん不明確な点があるわけでありまして、さらにまた、この統一見解によって非常に重大な問題を投げかけてきたというふうに私はとるわけであります。そういう点で若干の質問をさしていただきたいと思うわけであります。  そこで、まず統一見解の受けとめ方でありますけれども、第一項については、母港とは何ぞやということに対する政府見解として、「「母港」とは、」在籍港あるいは登録港また家族居住地である、あるいは活動上の根拠地、こういうようなものを母港と通称言っている、こういうことであります。  それから第二項にまいりますと、いろいろ書いてありますけれども、本拠地根拠地母港である、これは母港と言える、しかし母港は必ずしも根拠地本拠地ではない、こういうふうに一項、二項は受け取れるわけでありますけれども、そういうふうに受け取ってよろしゅうございますか。
  18. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 前回委員会におきまして御要求がございましたいわゆる母港化の問題につきまして、統一見解委員会のほうへ提出いたしました。その統一見解の中の第一項で母港につきましての説明をいたし、第二項で安保条約六条の実施に関する交換公文でうたわれております事前協議との関連におきまして「配置」とはこういう意味であると、こういう御説明をしたわけでございまして、ただいまの御指摘のとおりでございます。
  19. 片岡勝治

    片岡勝治君 次に、第三項、四項がたいへん重大な問題でありますけれども、ここで防衛庁防衛局長がお見えでありますので、いわゆる海軍の場合の艦艇ないし艦隊根拠地あるいは本拠地というのはどういうふうにあなた方は見ておるのか、そういう機能は一体どういうものなのか、これをひとつ専門的な立場でお答え願いたいと思います。
  20. 久保卓也

    政府委員久保卓也君) 御審議に資する意味におきまして旧海軍それから現在の海上自衛隊それから一般船舶、この三つに分けまして、やや何といいますか、法的と申しますか、そういう観念をまず申し上げておきたいと思います。  旧海軍におきましては軍港に鎮守府があったわけでありますが、その鎮守府に船の籍があります。この統一見解の中で「在籍港」とありますが、そういった意味の籍を有するところ、これが鎮守府でありまして、その効果はどういうことかと申しますと、兵員管理、つまりその鎮守府に管轄区域がありまして、その管轄区域内の兵隊クラスでありますが、その兵員はすべてその鎮守府に籍のある船に乗船すべきことになっておったようであります。そして、補給あるいは整備管理をその籍のある鎮守府がやっておったということであります。現実整備をやるのがたとえば横須賀鎮守府に籍のある船でありましても、佐世保修理をやるということは現実にはあるようでありますが、どこで修理をする、どういうふうに修理をするのか、そういった管理コントロールというものは籍のあるところがやるということのようであります。それと別個に、そういう籍があるということと別個に、根拠地という思想はこれはその船舶艦船活動根拠地ということのようでありまして、その根拠地は必ずしも籍のあるところと同じではなくて、あるいはまた一つではなくて、幾つ活動上の根拠地がある。特に戦時中であれば、そういった根拠地幾つもできるということがあり得るようであります。そういう観念のように聞いてまいりました。  自衛隊はどうなっているかと申しますると、やはり籍の観念がありまして、これはたてまえといたしましては地方総監部のあるところ、地方総監部に籍があるわけでありますが、そういたしまして、その地方総監部ではこの自衛隊艦船国有財産としての管理者としての仕事が行なわれる。したがいまして、地方総監部におきまして、そこに籍のある艦船につきましては、各般の、入籍から除籍までの一貫しためんどうといいますか、そういったものを見ることになっておりまして、また人事的に見ましても曹士のクラス人たちについての任免権といいますか、そういった人事権を持っておるというようなことであります。それと別個に自衛隊の場合には定係港という観念があります。これは籍はたとえば佐世保とか横須賀地方総監部にあるのですけれども、現実活動するのが必ずしもそういう場所ではなくて、たとえば大村でありますとか、そういうやや離れた場所にあって活動する場合、そういう場合に、定係港が指定されますると、たとえば航海手当が出る場合にその定係港から出て定係港に帰るまでの日数が計算される、あるいはその乗り組み員の住所地は、籍のある場所ではなくて定係港のある場所ということになるようであります。したがいまして、旅費の計算定係港というものが基準になるというような扱いをしております。  それから、一般船舶について見ますると、これは海上保安庁とか一般商船について大体似た観念のように思いますけれども、在籍港——籍のある港あるいは現実には場所市町村名になりまするけれども、、そういう籍のあるところとそれから主たる根拠地あるいはこれは主たる根拠地という名前は漁船の場合に使っておるようでありまするし、それから一般船舶の場合に運航の根拠地というような表現が運輸省の中では使われているようでありますし、それから海上保安庁の中では、基地という観念が使われているようであります。いずれも籍のある港あるいは市町村というものは、これはその船を管理する、官庁が管理する必要上つくられているところで、たとえば登記所がそこで——その場所が決定されることによって登記所がきめられたり、あるいは船の積量をはかったり云々といったようないろいろな業務が籍のあるところで行なわれる。ところが漁船でいう主たる根拠地という場合には、今度はその船が実際に活動する場所の根拠になるようなところ。で、場合によってはこの船籍港と主たる根拠地というのが一緒になる場合もあるようでありまするし、海上保安庁の場合には基地船籍港一緒になる場合も多いようであります。しかし海上保安庁の場合には二十トン以上の船舶についてはすべて東京都に船籍港を置いているそうでありまして、その場合には二十トン以下のものが基地であるところの海上保安部あるいは海上保安署というところになり、おそらくはそこがまた船籍港として指定されておる、二十トン以下の場合に、ということになっているのではなかろうか。  そういたしますると、旧海軍海上自衛隊及び一般船舶を通じて見ますると、法的な観念としましては籍のある場所、つまり官庁的な管理業務を行なう場所と、それから活動根拠地になるような場所、それから中間的には補給整備を行なう場所ということが考えられるわけでありまするが、それは籍のある場所で実体的に行なう場合もありましょうし、基地、主たる根拠地、あるいはわれわれの言う定係港、そういうところで行なう場合もあるということで、そこでこれが法的に見た場合のいろいろの港なり根拠地なりの考え方でありまするが、母港というのは、旧海軍時代も用語としては使われておったようでありまするけれども、やはりここに書いてありまするように、統一見解にありまするように、俗語的なものであって、どの部分がそろったら母港であるのか、家族がいるところだけを指して言う場合もあるんでありましょうし、どういう要件があったら母港であり、どの要件がなければ母港と言えないかということは、いろいろ聞いてみましたけれども、どうも明確に言いにくいということで、ある程度具体的に言うならば、いま言いましたように法的な面をとらえて論ずることのほうが正確のようにいままで調べたところではそう思ったわけであります。
  21. 片岡勝治

    片岡勝治君 第三項についてはきわめて不明確だと先ほど申し上げましたけれども、私が統一見解を求めたのは根拠地あるいは本拠地とこの母港との関係について、非常に不明確だからそれを統一して出しなさい、こういうことであったわけであります。第三項には、「単に乗組員家族わが国居住させることとなった結果、わが国への寄港回数が増加したり、寄港期間が長くなっても、これにより、同艦による港の使用の実体が従来と比較して変ったとは認められない。」、こういう答弁書であります。一体これは何を言おうとしているのか、ちょっと私どもにはわからないわけであります。  そこで、端的にこれから一つ一つ確認をしていきたいと思いますので、ひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。これはいままでの衆参両院における関係委員会あるいは本会議等におけるきわめて最近の政府関係者答弁をいろいろ洗い出してみますと、この「ミッドウェー」の寄港に関することについて次のような諸点が明らかになっておるわけでありますが、これを一つ一つ確認をしていきたいと思います。  第一、「ミッドウェー」の横須賀の駐留というのは、その期間はほぼ三年である、これはいいですね。
  22. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 空母ミッドウェー」が横須賀周辺家族居住させておる期間はおおむね三年というふうに承知いたしております。
  23. 片岡勝治

    片岡勝治君 第二点、その三年の期間のうち、一年をとってみると、延べ日数にして半年ぐらいはいわゆる西太平洋ないしインド洋に出動をして、延べ半年ぐらいは横須賀に駐留すると、これもよろしいですね。
  24. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 一年のうちの約半分は洋上にある、残りの半分は寄港しておるということでございまして、約半分の六カ月程度を必ず横須賀寄港しておるかどうかということにつきましては、必ずしもそれに限られるものではないだろうというふうに考えております。
  25. 片岡勝治

    片岡勝治君 これはしかし衆議院の内閣委員会ではあなたはそういう答弁をしておりますね。まあいいです、これは。そういう半年ぐらいは横須賀、つまり母港とした横須賀に駐留するだろうと、こういうことです。  次、第三点、これはまあいま答弁がありましたとおり、家族もこの横須賀——厳密に言えば横須賀及びその周辺ということになりますね、そこに居住をする。この三点はけっこうです、もうすでに確認をされている事項ですから。  第四点、この横須賀において「ミッドウェー」は補給活動を行なうということ、これは食糧、燃料、その他必要な物資、そういう補給活動はこの横須賀で行なうと、これもいいですね。
  26. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 横須賀寄港いたします「ミッドウェー」は横須賀におきまして補給、休養、こういうふうな機能を果たすと、こういうことでございます。
  27. 片岡勝治

    片岡勝治君 第五点、「ミッドウェー」はこの横須賀において修理をする、もちろんぶっこわれた船を根本的に直すなんということはこれは別として、いわゆる通常修理はこの艦船修理部で行なうと、こういうふうにお答えになっております。これもよろしゅうございますね。
  28. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 横須賀におきまして通常維持補修が行なわれるということでございます。
  29. 片岡勝治

    片岡勝治君 第六点、空母には飛行機が搭載されておるわけでありますけれども、つまり横須賀に駐留することによって、その期間搭乗員訓練を行なう、飛行訓練を行なう、これもいいですね。
  30. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 横須賀寄港いたしました「ミッドウェー」の搭載機の一部は厚木なり、あるいは三沢に飛ばせ、そこで訓練などが行なわれるということでございます。
  31. 片岡勝治

    片岡勝治君 第七点、第七艦隊旗艦オクラホマシティ」、これは巡洋艦でありますけれども、この母港横須賀である、第七艦隊司令部横須賀にある、これもいいですね。
  32. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 第七艦隊旗艦は「オクラホマシティ」でございますが、第七艦隊司令部そのもの旗艦の上にございまして、陸上ではございません。また、「オクラホマシティ」は横須賀にその乗り組み員の家族居住させているということでございます。
  33. 片岡勝治

    片岡勝治君 「オクラホマシティ」は第七艦隊旗艦であり、横須賀母港にしている、これはそういう答弁が載ってますよ、なんだったら読み上げましょうか。あなたが答弁しているんだから。
  34. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) いわゆる母港という意味で御答弁申し上げたことはございませんと思いますが、家族横須賀居住いたしております。
  35. 片岡勝治

    片岡勝治君 さて、いまずうっとこう読み上げてまいりますと、まあ防衛局長から、海軍の場合の根拠地海軍あるいは艦艇あるいは船の根拠地は一体どういう内容なのかということについて御説明を受けたわけでありますけれども、いまこの「ミッドウェー」の場合を考えてみると、このほかに一体どういう要素がプラスされればここが根拠地になるんですか、どういう要素が。ないでしょう、もう。
  36. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど御答弁申し上げましたように、「ミッドウェー」は横須賀周辺に乗り組み員の家族居住させておりますとともに、横須賀におきまして通常修理補給ということを行なっておりますけれども、「ミッドウェー」がその活動上必要といたしております修理補給、それから兵員管理、こういうふうな一般的な機能につきましては、米国の西海岸のサンジエゴに所在します米太平洋艦隊海軍航空部隊司令部の指揮のもとで行なわれているわけでございまして、従来「ミッドウェー」がいわゆる母港化横須賀で行ないます前におきましては乗り組み員の家族もアメリカの西海岸に居住しておった、こういう状況であるわけでございまして、ことしの春以来、ことに夏以来家族横須賀居住を始めた、こういうのが実態でございます。
  37. 片岡勝治

    片岡勝治君 私が聞いていることをひとつすなおにお答え願いたいんですけれども、アメリカの船ですからね、アメリカの指揮命令を受けるのはあたりまえですよ。そんなことは、私は聞いているんじゃなくて、このほかにいま言ったような——私は七つあげたわけですよ。七つの要素以外に一体どういう要素がこれにプラスされれば「ミッドウェー」は横須賀本拠地とする、根拠地とするということになるのか。防衛局長説明によれば、全くもうこれ以上プラスされる要素は何にもない、そういうことになりますよ。だから、このほかに一体どういう要素が、どういう内容が、港を使用する機能がプラスされれば根拠地になるのか、こういうことを聞いておるんです。なければないとおっしゃっていただければいいんです。
  38. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 従来からも兵員管理等の一般管理につきましては、米国の西海岸で行なわれてきているわけでございまして、「ミッドウェー」が先年来随時横須賀寄港したことがございますけれども、そのときの状況と変わっておりますのは、ことしの夏以来乗り組み員の家族横須賀周辺居住を始めたということでございまして、ほかの一般的な管理業務は引き続いて米国西海岸で行なわれておるというのが実態でございます。
  39. 片岡勝治

    片岡勝治君 そんなことは初めからわかっているんですよ。アメリカの船ですからね、最終的にアメリカの指揮命令を、管理を受けるのはあたりまえですよ。日本の自衛隊だって、南太平洋の、かりにですよ、どこかに母港なり基地なりを持ったときに、その管理は日本の横須賀でやるとか、佐世保でやるというのはあたりまえじゃありませんか。そういうことを聞いているのじゃなくて、いま私が言ったのは、三年もいる、一年のうちに半年もいる、家族もいる、乗り組み員の休養もやる、補給活動一切やる、修理もやる、訓練もやる、第七艦隊旗艦オクラホマシティ」も横須賀にいる、その中に司令部もある、その指揮命令によってこの第七艦隊というのは動いているんです。そのほかに一体どういう要素があれば根拠地となるか。もしあなた、そういう論理でいくならば、日本への配置というのはあり得ないんじゃないですか、安保条約による。まあそこまでこれからいきたいんですけれども、そこへいく前に、いま申し上げました七項目以外に一体どういう要素がプラスされれば横須賀本拠地ないし根拠地になるのか、言ってくださいよ、具体的に内容を。
  40. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 統一見解でも述べられてございますように、いかなる場合に本拠あるいは根拠地としての駐留に該当するかということにつきましては、「個々のケースについて米軍の活動の実体に即して判断されるべきものである。」と、こういうふうに政府としては考えているわけでございます。  そこで、具体的な「ミッドウェー」の活動につきましては、先ほど来御答弁申し上げておりますように、従来から一般的な管理は米国西海岸で行なわれているわけでございまして、そういう意味では活動の本拠は米西海岸にあるということが言えるわけでございます。そこで、いわゆる「ミッドウェー」の母港化横須賀で行なわれました結果として変わってまいりましたのは、「ミッドウェー」の乗り組み員の家族横須賀周辺居住することになったということでございまして、補給修理訓練、そういうものがすべて日本国内で行なわれているという状況ではないわけでございます。そういう意味で先ほど来の御答弁を申し上げているわけでございます。
  41. 片岡勝治

    片岡勝治君 あなたは言ったじゃないか、補給訓練横須賀あるいはそういうところでやるということはいま答弁したのですよ。さっきの答弁は取り消すのですか。それからもう一つね、私が聞いているのはいま七項目あげたわけですよ。母港とか母港化ということじゃなくて「ミッドウェー」の横須賀の施設ないしその地域を利用する機能としては私は七項目あげた。まだそのほかにあるかもしらぬ。七項目以外にどういう要素がプラスされればなるほど「ミッドウェー」は横須賀根拠地にする、こういうことになるのか、どういう活動というか、どういう機能というか、どういう基地の使い方をすれば本拠地になるのか、これを聞いているから、なければない、あればこれにプラスそういう機能があるんだよと、こう言ってもらいたいんですよ。
  42. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほど私御答弁申し上げましたのは、横須賀へ入ってまいりました「ミッドウェー」はそこで補給修理等を行なうことが当然あるわけでございますが、補給修理横須賀におけるもののみに限られるわけではございませんでして、通常補給はかなりの部分が洋上で行なわれておりますし、また三年に一度西海岸に戻ります場合には、そこにおいてわが国においては実施できませんような補給修理あるいは訓練、こういうふうなものが行なわれるわけでございます。そこで具体的に七項目をおあげになられまして、これ以外に何があるかと、こういう御質問でございますが、その点につきましては統一見解の第三項目に述べられてありますとおりに「活動の実体に即して」考えられるべきものであると、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  43. 片岡勝治

    片岡勝治君 だから「活動の実体に即して」考えられる、あなた方事前協議の対象にするときに、こういう点が明確でなければ困るでしょうに。だから「活動の実体」はいろいろあるだろう。だから私が常識的に考え、しかも現に「ミッドウェー」が横須賀にいてその基地の施設の利用のしかた、基地機能、こういうものを、ずっと「ミッドウェー」が行なっているものをあげてみると七項目があげられる。そのほかに一体どういうものがプラスされれば根拠地になるのか、これは単に「ミッドウェー」の問題じゃないのですよ、事前協議の対象になる。つまり配置、海軍の場合の配置というのが根拠地になるということなんだ、だから根拠地機能というのはこういうことなんだということが明確にならなければ、これは事前協議の対象にするなんと言ったって全然それはものさしがないじゃありませんか。アメリカの指揮命令を受けている、西海岸なんというのは理由になりませんよ、アメリカの船ですから。そんなことはもうあたりまえの話ですよ。
  44. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) アメリカ局長、質問にちゃんとまっすぐに答えてください。
  45. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 配置とは何だと、こういう御質問がまず出てくるわけでございますが、その点につきましては統一見解の第二項に記載されてございますように「米軍がわが国の施設区域を本拠あるいは根拠地として駐留する場合」と、こういうふうに規定されている、考えられているわけでございます。したがいまして、ただいま御質問の本拠または根拠地としての関係において、一体事前協議の対象となるべき配置についてどういうふうに考えるべきかと、こういう御質問だというふうに伺っておりますけれども、その点につきましては個々のケースについて、「活動の実体に即して判断されるべきもの」と、こういうふうにまた考えておるわけでございます。
  46. 片岡勝治

    片岡勝治君 だから個々の具体的なケースで判断をする、百歩譲ってそういうふうにしましょう。そこで、現に「ミッドウェー」が横須賀にいてこういう基地の使い方あるいは機能のしかた、そういうものをずっとあげてみると、こういうことになっている。そこであなた方はこれは根拠地じゃないと言いたいんだろうけれども、それならそれでいいんですよ。あとどういう要素が加わったら、根拠地なり本拠地になるのか、これを聞きたいんです。出てこないところをみるとないんですね、これは。このほかに何かありますか。
  47. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 「ミッドウェー」の場合につきまして考えますと、兵員管理その他一般的な管理業務が米国西海岸において行なわれてきており、また今日も行なわれてきておる。そういう意味で「ミッドウェー」の場合には従来から活動の本拠というものは米国西海岸にあると、またあったと、こういうふうに考えてしかるべきだというふうに思っているわけでございまして、家族を日本に居住させることになりましてからもその寄港の実体は従来とは変わってきておらないと、こういうふうに政府として考えております。
  48. 片岡勝治

    片岡勝治君 ああそうですか。そうするとアメリカの船ですからアメリカのどこかにその総元締めがあって、まあアメリカ海軍でしょう、西海岸ですから、これは「ミッドウェー」が帰るんですからね。それはあたりまえの話でしょう、そんなこと。あなたの解釈でいけば日本への海軍の配置というのは全然ありませんよ、事前協議の対象となるべき重要な配置の変更、そういうものは海軍の場合にはあり得ない。あなたの解釈でいけばそういうことになりますね。
  49. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 安保条約に規定されております事前協議の対象となるべき重要な配置の変更ということにつきましては、従来政府がこういう場合には……
  50. 片岡勝治

    片岡勝治君 具体的に答えてください、具体的に。そんなことはわかり切っていることだ。
  51. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 重要な配置の変更と申しますのは、海軍の場合では一機動部隊程度の部隊が日本に配置されることであると、こういうふうな御説明をいたしておりまして、では一機動部隊程度というのは具体的にどの程度の兵力量かと……
  52. 片岡勝治

    片岡勝治君 そういうことを聞いているんじゃないんですよ。これから聞くんですよ、それは、量の問題は。いま質の問題を聞いている、質。
  53. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) したがいまして、一機動部隊程度のものが日本に配置されますとそれは重要な配置の変更ということで事前協議の対象となりますと、こういうことでございます。
  54. 片岡勝治

    片岡勝治君 はい、わかりました。あなたも頭がよろしいんですからもう少し私の質問を明確に理解していただいてお答え願いたいと思います。私は量の問題はこれから触れようと思っているんです。事前協議の対象、つまり事前協議の対象には二つの要素があるわけですよね。つまり基地の使い方、もう一つは量の問題です、量の問題。なるほど政府見解によれば、「ミッドウェー」一隻だけが横須賀根拠地にしてもこれは事前協議の対象にはなりませんよと政府はいままで言っているんです。私はそれは政府見解見解なりで私は理解している。いまその一つ要素として基地の使い方、これについてお尋ねをしているわけであります。極論すれば量の問題はもう関係なくなるんですよ、これが、あなたのような答弁になれば。そうでしょう。それじゃこういうふうにお尋ねいたしましょうか。いま一機動部隊と申し上げましたけれども、これはいままでの政府答弁によれば三隻ないし五隻の空母、それに一緒にいるところの駆逐艦一グループ五ないし七の駆逐艦がある、これを一機動部隊、これもいままでの政府答弁によれば第七艦隊のうちのTF77機動隊しかないと、こういうことになりますよね。そこでそれではこの「ミッドウェー」と同じように他の二隻の航空母艦が横須賀母港にして、私がいま申し上げました一項目から七項目の機能基地の使い方をした、そして家族もそこに住んだ、それから駆逐艦も五ないし七ですから、かりに六として三、六、十八隻の艦艇横須賀母港にした、「ミッドウェー」と同じような基地の使い方をした、まさにTF77機動部隊が「ミッドウェー」と同じような形で横須賀に来たという場合に事前協議の対象になりますか、これ。あなたの論理からすればなりませんよ。どういう機能がそれにプラスされれば事前協議の対象になるのですか。それではTF77が来た場合に……。
  55. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 質と量と両面を考えろと、こういう御指摘だと承知いたしております。  そこでまず量から申しまして、一機動部隊程度というのは何だと、こういうことに関しましては、政府は従来三ないし五のタスクグループをもって編成されるタスクフォースが配置される場合が事前協議の対象となる、こういう御説明をいたしております。そこでこの「ミッドウェー」につきましては、一タスクグループを編成しているのかどうかということは別といたしまして、「ミッドウェー」が横須賀寄港いたしますことは、政府としては、これは乗り組み員の家族が日本に居住することになったものであって、配置だとは考えておりませんと、こういう御説明をいたしております。そこでいまの御指摘は、それでは「ミッドウェー」と同じような船がもう二グループ日本に家族居住させる場合はどうかと、こういう御指摘だと思いますけれども、配置ということが前提となって、重要な配置の変更と、したがって事前協議の対象と、こういう関連になってくるだろうと考えておるわけであります。
  56. 片岡勝治

    片岡勝治君 二つの要素があって、どっちか一つも欠ければ、これは事前協議の対象になりませんね。これはわかっているんですよ、私も。だからこの場合私は、「ミッドウェー」がいままでの政府見解によれば、根拠地にしたところで直ちに事前協議の対象にはしない、ならない。これはいままでの政府見解だから、それは見解でいいと言うんですよ。私が聞いているのは、そのうちの一つ要素、つまり基地の使い方、施設の利用のしかた、そういうものが明確な尺度がない限り、事前協議の対象というものは一切なくなるということですよ。だからいまアメリカ局長答弁によれば、量としては一タスクフォース、具体的に言えば第七艦隊のうちの第七十七機動部隊。現実には、具体的にはこれ以外に対象がない。これは衆議院の内閣委員会答弁しておりますよね。しかしこの七十七機動部隊でも、その艦艇、その船が横須賀を利用する場合の利用のしかたが、この「ミッドウェー」と同じような場合にも政府のいままでの統一見解によれば事前協議の対象にならないということになるんですよ、質の問題から、基地の利用のしかたから考えれば。そういうことになるんですよ。私の質問は非常に具体的ですからね。
  57. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 現実の問題といたしまして、三個タスクグループの艦船が日本に一時に寄港し、その乗り組み員の家族が一時に——一時というか、まとまって日本に居住をするということはまず考えられないと思います。
  58. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうだったら事前協議の対象なんか、あんた、みずから語るに落ちたでしょう。事前協議の対象なんか、それじゃ具体的には何があるんですか。
  59. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) そこで事前協議の対象となるものにつきましては、重要な配置の変更ということにつきまして、政府は従来から御説明をいたしております。ただ現実の問題といたしまして、そのような実体がどういう形であり得るだろうかということになりますと、一機動部隊程度の艦船の、しかも乗り組み員の家族がまとまって日本に居住するということは、まず想定されないだろう、こういうことを申し上げておるわけでございます。
  60. 片岡勝治

    片岡勝治君 はい、わかりました。  たいへん長時間この問題でいろいろ質疑をさしていただきましたけれども、結論は、いまアメリカ局長が非常に明確に言ったように、大体もう量の問題から事前協議の対象は海軍の場合にはあり得ない、こういうことが明確になったわけであります。  それから質の問題でも、つまり「ミッドウェー」の基地の使い方、これが根拠地でないということはもう常識で考えられないわけであります。しかし政府は、いやこれはアメリカの船なんだから、アメリカ西海岸にこの指揮命令権があるんだということ、その一点であります、私と見解を異にするのは。で、このことを推し広げていけば、日本への配置、海軍の場合は日本への配置は、すべてこれはもうアメリカの艦艇でありますから、アメリカの西海岸か、あるいは場合によっては東海岸もあるかもしれないけれども、これは指揮命令を受ける最終的な管理の責任がそこにある、こういうことになれば日本への配置ということは全くあり得ない。したがって政府は、これまで安保条約の運用についてチェックすると言ってきましたけれども、事海軍の場合には全くこれは空文であるということがいまの答弁によって明確になったわけでありまして、これはきわめて重大ですよ。たいへんな問題となりますよ。いままで国民をペテンにかけてきた、こういうふうに言われてもいたし方がないでありましょう。
  61. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 先ほどの御質問で、七十七機動部隊の空母の乗り組み員の家族が日本に居住するような場合にもなおかつ事前協議の対象にならないかと、こういう関連においての御質問でありましたので、私はその関連においての御答弁を申し上げたつもりでございます。また、事前協議の対象となるべき重要な配置の変更というものは実際上あり得るのか、ないのかと、こういう御質問を前に衆議院の内閣委員会におきまして受けました際に私御答弁申し上げましたのは、平常の事態においてはそのような重要な配置の変更ということで事前協議の対象となるような配置が行なわれることはまず考えられないでありましょう、特にことしの一月二十三日の安保協議委員会事前協議の問題が話し合われました際に、日米双方で、現在の情勢のもとに事前協議の対象となるべき事態が生ずるということは考えられないという趣旨の意見の一致を見ておりますので、そういう状況のもとにおきましては事前協議ということが、配置の変更という意味における事前協議ということが行なわれることはないでありましょうという趣旨の御答弁を申し上げましたのを記憶いたしております。
  62. 片岡勝治

    片岡勝治君 非常に私は具体的にずっとお伺いをして、二つの角度から、一つは、配置の変更という場合には質と量があるんだと、端的に言えばですね。基地の使い方、その基地機能、そういう面からの要素一つと、それからもう一つは量の問題だと、この二つの角度からお尋ねしたところが、質の問題については七項目あって、そのほかにどういう要素があるのかと言ったら、具体的に全然お答えにならない。私のほうからすれば、この七項目でこれは根拠地ということは明らかであるわけですけれども、しかし、アメリカ局長お答えによると、これはアメリカの船なんだから西海岸のほうにその最終的な指揮命令権がある。あえて言うならば、そのことが満たされれば根拠地というふうに理解されるわけであります。これはアメリカの船ですからいかなる場合にもその指揮命令といいますか、最終的な管理権、そういうものはアメリカにあるのはあたりまえじゃないか。そうでしょう。だとするならば、基地の使い方、つまり根拠地ということは海軍の場合にはあり得ない。日本を根拠地にするということはあり得ない。こういう結論になるじゃありませんか。非常に単純な論理学ですよ、これは。そうすると、アメリカの艦艇が日本に根拠地を持つということがあり得ないということになれば、配置の重要なる変更ということはこれまたあり得ないということになるんですよ。配置の変更ということは、海軍の場合。これが一つですよね。質の問題から、そういうことがはっきり言えるわけです。これはアメリカ局長答弁からずっとこうきますと、そういうことになる。  次に、量の問題から。これは現実空母三ないし五、それにプラスされる駆逐艦艇が一グループごとに五ないし七ということになりますれば、これざっと計算いたしますと、これはたいへんな艦艇になるのですよね。それが一時にこの横須賀母港にする、そして家族も住む、補給活動修理訓練、そういうことが可能かというと、これは全くの不可能な話です。これは局長も言っているとおり、そういうことは想定できない。おそらくこの家族居住者だけでも、私の概算で計算をいたしましても、空母だけで三千世帯、駆逐艦その他の艦艇を合わせてほぼ同じぐらいの人数、六千世帯、そんなものを横須賀佐世保、そのほかのところに、あるいはその周辺であっても住む余地なんかありませんよ、これは。大体そんな広い海だってありはしないんだから。そういうことになりますれば、量の問題からしても配置の変更という、つまりいままで政府が考えております一機動部隊程度、一機動部隊というのは空母三ないし五、それにプラスされる一空母ごとの五ないし七の駆逐艦、こういう膨大な艦艇、具体的にはTF77という部隊が横須賀ないし佐世保根拠地にするということは量的な面からいってもあり得ないではないか、こういう結論になったということ、あんたが幾ら答弁してもそういうことになりますよ。これはたいへんな問題ですから、私は今後関係委員会等でわが党としては徹底的にこの責任を追及せざるを得ないと思う。  時間が制約されておりますので、あと二、三点お伺いをいたしまして終わりたいと思いますけれども、核の問題、これについても関係委員会でいままでもずいぶん追及をされてきたわけであります。そこで、これは政府はそういうことはあり得ないということをいままで繰り返し言ってきておりますけれども、われわれがいままで「ミッドウェー」が西海岸を根拠地にして、あるいはグアム等を根拠地にしてやっている場合なら、あるいはそういうことも可能かもしらぬ、全く不可能ではないということも考えられます。それは核装備をはずしておいてきて日本へ寄港するということ、まあ常識的には考えられませんけれども、しかし今度は三年間帰らないんですよ、三年間帰らない。そうすると、そういうことが日本に行きっぱなしですからね。行きっぱなしというよりも半年日本にいて、半年は西太平洋ないしインド洋にいる。三年間根拠地に帰れないということになりますれば、核の抑止力を第七艦隊の重要な戦略目標にしているアメリカの艦隊がそういうことをするのかどうか、信じなさいというのかもしらぬけれども、そういうことは常識的に考えられないと思いますけれども、これはどうなんですか。
  63. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) これもかねがね政府が御答弁申し上げておりますように、「ミッドウェー」そのものは核装備の可能な機能を持っております。しかしながら、「ミッドウェー」の日本への寄港にあたりましては、日米間の了解に反した措置をとることはないというふうに政府としては信じているわけでございます。  そこで、補給の問題でございますが、先ほど私、御答弁申し上げましたように、「ミッドウェー」の通常物資の補給はかなりの部分が洋上で行なわれているというふうに御答弁申し上げました。核の問題についてどういうふうに米側が現実に処理しているのか、あるいは「ミッドウェー」が現実に洋上で持っているのか持っていないのかということについては、米側として一切これはコメントしないということでございますから、その点について政府として何とも申し上げることはできませんけれども、いずれにしましても事前協議の対象となるべき重要な装備の変更について米側が日本政府との約束に違反した措置に出ているということはないというふうに考えておるわけであります。
  64. 片岡勝治

    片岡勝治君 「ミッドウェー」が横須賀に入りましたとき、二十一日ですか、記者会見を行ないまして、そのときに艦長リチャード・J・シュルト大佐に対して記者団が、核の問題について質問をしたところが、米海軍としては核を積載しているかどうかは回答できません、こういう答えをしているわけですよね。載せていなかったら載せていませんとなぜはっきり言わないのですか。だから国民は、横須賀市民は、ああやっぱりこれは怪しいぞと言うのはあたりまえに思いますよ、これは。日本への約束なら堂々と言いなさい、アメリカもそれから、艦長さんも、そのくらいのことを、日本としてなぜ要求できないのですか。艦長が言うのですから、みんな疑っていますよ、ああやっぱりあるらしいと。ぼくもそう思いますね。
  65. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 米国政府といたしましては核の所在についてはいかなる場合にも一切コメントすることができない、またしないというたてまえをずっととっているところでございまして、「ミッドウェー」の艦長が核の問題について何もコメントできないという答弁をしたということは、まさに一般的な原則に従っての措置であるというふうに考えております。しかしながら重要な装備の変更という事前協議の対象となるべき核の問題について米政府が日本政府の、日本の意に反した行動に出ることはないというふうに政府としては確信しておるところでございます。
  66. 片岡勝治

    片岡勝治君 意に反した行動はとらないであろう、信じなさい、こういうことでありますけれども、しかし、いまあなたもおっしゃったように、核の問題については一切コメントできない、これがアメリカの核に対する基本原則です。大統領権限であります。そのほうが優位になっておるわけですよ、アメリカの戦略体制の上では。日本の事前協議の対象事項よりも核に関する大統領権限のほうが優位に立っている。だとするならば、いまの艦長の発言どおり、発言はいみじくもそのことを私は明確にしていると思う。ただ信じなさいだけでは、これはとてもわれわれとしては理解できない。  最後に、あと二点簡単に質問をいたします。事前協議の対象になるには直接戦闘作戦行動にかかる補給活動についても事前協議の対象になる、これはそういうことになっております。かつて戦車問題でたいへん騒がれましたけれども、アメリカの戦車を日本で修理をしてベトナムに持っていった、直接、これはベトナム戦争中であります。これも非常に明確でありながら、この補給活動事前協議の対象になるべきはずのものである。終わっちゃったことですから、それはそうだったなと政府はいまお考えになっているかもしらぬけれども、こういう点はどうなんですか。
  67. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 事前協議の主題とされておりますのは、日本国から行なわれる戦闘作戦行動のための基地としての施設・区域の使用というのが政府の従来から一貫して御説明しているところでございます。その観点におきまして通常補給活動はその意味の戦闘作戦行動のための基地としての使用ということには該当しないというのが政府のこれも一貫した御答弁であるわけでございまして、ただいま御指摘ございましたベトナムヘの物資の補給はその意味では事前協議の対象となるものではないわけでございます。
  68. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうすると、戦闘部隊に補給するいわゆる補給活動も具体的に事前協議の対象になり得る条件というのは考えられませんね。ベトナム戦争で戦っている米軍に対して戦車を送り食糧を送り、弾薬を送り燃料を送る。ほとんど日本が基地として行なわれやってきたわけです。これが事前協議の対象にならないとすると、いままで政府は、戦闘部隊に対する直接戦闘にかかわる補給行動というものは、これは事前協議の対象になるんだという一貫した答弁があったわけであります。具体的には考えられませんね。どういう場合にこれなるのですか。
  69. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 戦闘作戦行動とは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動をさすものであるというふうに政府は従来から御説明いたしております。わが国の施設・区域を発進基地として使用するような戦闘作戦行動で典型的なものとしてはどういうものがあるかということになりますと、たとえば航空部隊によります爆撃、あるいは空挺部隊の戦場への降下、あるいは地上部隊の上陸作戦と、こういうふうなものがまさに御指摘の戦闘作戦行動の典型的な場合であろうというふうに考えるわけでございます。従来から政府は、通常の軍隊に対する補給は、この意味の直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動ではないと、こういう見解を持って御答弁いたしておるわけであります。
  70. 片岡勝治

    片岡勝治君 私が聞いておるのは、通常の軍隊ということじゃなくて、ベトナム戦争のさなかに戦車が輸送されたわけでありますから、アメリカの陸軍ないし海兵隊ですか、あれは。直接戦闘をやっておるところへ日本の基地を使って日本で修理してどんどん物資を送ったわけです。そういうものも事前協議の対象になるんだということは、いままで何度も答弁しておるのですよ、この速記録を見ますと。そういう場合は該当しないんだ、こういうことですか。ベトナム戦争にいろいろな物資も送った、直接アメリカが戦っている軍隊に対して戦車を送った、こういう場合に……。
  71. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 戦車を輸送いたしますことは、軍隊に対する補給ではございますが、事前協議の対象となります戦闘作戦行動のための基地使用、これには該当しないというのが政府の従来からの方針でございます。
  72. 片岡勝治

    片岡勝治君 そんなのありますか、じゃ一体何ですか、補給活動というのは。戦車はだめで、じゃあ大砲はどうなんですか。弾薬、これも日本の弾薬庫からだいぶ運んだわけですよ。弾薬、戦車はいいんだと、戦車がいいということは考えられませんね、これは。戦車というのは字のとおり戦う車ですからね。一体どういうことなんですかね。これも全然事前協議の対象にならぬということですね、そうすると補給活動の。  それから時間がありませんからもう一つ、これも昔の話ですから、私は政府としたってたまには失敗というか、そういうものもあっていいと思うのですよ。あのときはやっぱり事前協議の対象にすべきだったというふうに私はあってもいいと思うのです。政府だって神さまじゃないんだから。そこでこれもベトナム戦争のときに、昨年ですか、四月三日に横須賀から当時「オクラホマシティ」、これはさっき申し上げましたが、第七艦隊旗艦です。それから航空母艦の「コンステレーション」というのがありまして、これもたいへん大きな船でありますけれども、これが非常にベトナム戦争が拡大をしたというときに、突如としてここから出港して行ったわけです。あんまりあわてて行ったので、船員を全部乗せきれずに忘れてしまったというふうな、そういう事件があったほどあわてて行った。そうしてトンキン湾へ行って、そこから航空母艦を爆撃する、あるいは艦砲射撃をやったというのが、当時のアメリカ軍も、そうして北ベトナムの報道にもあったわけです。どう計算しても、四月三日あたふたと出て行ったこの「オクラホマシティ」、航空母艦「コンステレーション」その他の艦艇がトンキン湾へ行って攻撃を開始した時間を考えるというと途中寄ったということはとうてい考えられない。フルスピードでそこまで行って攻撃をした、こういうことでありますけれども、あのときは事前協議の対象にすべきだったのではないですか、これはどうですか。
  73. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) これもかねがね政府が国会で御答弁申し上げているところでございますが、事前協議の主題となります日本の施設・区域を使用して、米軍が戦闘作戦行動のための基地とするということが事前協議の主題になるわけでございまして、その戦闘作戦行動というのは、直接戦闘に従事することを目的とした軍事行動をさす、こういうことでございまして、直接戦闘に従事ということが一つの考え方の基本にあるわけでございます。そこで従来から政府が申し上げておりますように、航空部隊によります、たとえば爆撃。一つの例をとりますならば、かりにB52が沖繩から発進して爆撃行動を行なうという場合は、まさに典型的な戦闘作戦行動のための施設・区域の使用ということになると考えますが、その意味では直接戦闘に従事ということが一つの基準になっておるということでございます。
  74. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうですか。そうするといま私が言ったのは航空母艦「コンステレーション」が行って、あそこから飛び立って北ベトナムを爆撃した、横須賀から直接行って。そうすると、航空母艦の場合には事前協議の対象になるということはあり得ないわけですね。それから巡洋艦が艦砲射撃をかりにやったという場合、この場合には、艦砲射撃をやっておるわけでありますから、これもそうするとあれですか、だめということになりますれば、これまた海軍の場合の直接戦闘作戦行動としての基地の利用、そういうものはあり得ないということになりますね。ちょっと航空母艦のことと、それからいま戦艦というのないのですけれども、巡洋艦が行って艦砲射撃をやったという、これは現にやっていますけれども、航空母艦はどうなんですか。
  75. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 米軍がわが国の施設・区域から発進します際の任務、態様、これがこのような行動のための施設・区域の使用に該当する場合には、事前協議の対象となるということでございまして、その任務、態様のいかんによってそこは分かれてくるところでございます。
  76. 片岡勝治

    片岡勝治君 そうですよ、まことにそのとおりです。ですから私は言っているのです。これはこれから想定されることじゃなくて、かつてあった、現実の、具体的な事項を申し上げて聞いているのですよ、いまおっしゃったそういうところから、基地のこの使用のしかた、任務、そういうことからすれば、横須賀から出て行った「コンステレーション」が、そこから飛び立った飛行機が北ベトナムを爆撃した、そういうことについて、具体的にどうだったのかと、こう言ったのです。それも対象になりますよというなら、そうはっきりおっしゃってください。航空母艦の場合はだめですよと、こういうふうに。
  77. 大河原良雄

    政府委員大河原良雄君) 航空母艦ということをもってとらえるのではございませんで、わが国の施設・区域から発進してまいります際の任務、態様のいかんによってそれが分かれてくるという御答弁をいたしておるわけであります。
  78. 片岡勝治

    片岡勝治君 だから、これは明らかに北ベトナムへ行ってやりなさいという任務を負って現にやったんですからね。現にやったんですよ。もう歴史的事実があるじゃないですか。これからの想定の問題じゃないんですよ。これはひとつ他日答弁していただきたいと思います、時間が参りましたので。  そういうふうに、いまずっとこう来てみますと、海軍の場合には事前協議の対象なんというのは、質の問題、艦艇の量の問題、それから補給活動もだめだ、あるいは直接作戦行動も航空母艦の場合はだめだ。一体、海軍の場合には事前協議の対象は何かというと何もないじゃないですか、結論的に。こうなりますと、いままで安保条約について事前協議があたかも日本側のチェックの唯一の機能を果たすということで国民の理解を求めようとしてきたことは、実はこういうふうに分析してみますと、全部それはごまかしだ、ペテンだと言われてもいたしかたがありませんよ。私はそう思いますね。これほど国民を欺瞞する事前協議ということは全く残念であります。  もっとほんとうは追及したいんでありますが、ちょっと時間が過ぎましたので、以上で終わりたいと思います。ありがとうございました。
  79. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 以上をもちまして外務省及び防衛庁の決算につきましてはこの程度といたします。  それでは、午後一時に再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時十一分休憩      —————・—————    午後一時七分開会
  80. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいまから決算委員会を再開いたします。  午前に引き続き、昭和四十六年度決算外二件を議題とし、郵政省とそれに関係する日本電信電話公社の決算につきまして審査を行ないます。  この際、おはかりいたします。  議事の都合により、郵政省とそれに関係する日本電信電話公社の決算の概要説明及び決算検査の概要説明は、いずれも口頭報告を省略して、これを本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  81. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  82. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ただいま議題といたしました郵政省と電電公社の審査に関連して、本日参考人として日本民間放送連盟専務理事杉山一男君の出席を求め、民間テレビ放送の諸問題に関する件についてその意見を聴取することにいたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  83. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  84. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは、これより質疑に入るわけでございますが、質疑に入るに先立ち、原田郵政大臣から発言を求められておりますので、これを許します。郵政大臣原田憲君。
  85. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 一言ごあいさつを申し上げます。  去る二十五日、内閣改造が行なわれまして、不肖私、はからずも郵政大臣を拝命いたした次第でございます。もとより浅学非才でございまして、皆さん方の御協力を賜わらなければこの大任はなかなか果たせないものと思っておりますが、いまだ就任早々でございます。何かにつけて重だるいところがあると思うのですが、郵政省の業務は郵便とか、あるいは貯金とか、保険とか、また電信、電話、電波、国民の生活と全く直結したといいますか、身近な問題を取り扱っておりますので、国民へのサービスということを万全ならしめるために微力ではございますが、全力を尽くす覚悟をいたしておりますので、何とぞよろしく御鞭撻をお願い申し上げる次第でございます。  まことに簡単でございますが、就任にあたりまして一言委員会の皆さん方にごあいさつを申し上げる次第でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
  86. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) それでは質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言願います。
  87. 小谷守

    小谷守君 大臣、御就任おめでとうございました。  郵政省関係の決算を点検させていただいたわけでありますが、いまから、二、三の点について御質問いたしたいと思います。  ことしは国民のひんしゅく、怒りを買うような汚職が続発をいたしました。建設省河川局を中心にする汚職、通産省エネルギー庁の汚職、科学技術庁、郵政省では近畿郵政局に大きな汚職が発生しました。まず、この近畿郵政局建築部に起きた不祥事件についてそのてんまつを監察官から伺いたいと思います。
  88. 武田礼仁

    説明員(武田礼仁君) まことに平生から注意はいたしておるのでございますが、国民の皆さまに申しわけない事件を引き起こしまして深くおわび申し上げます。  ただいま御質問いただきました近畿郵政局の不祥事件のてんまつでございますが、当省職員は四名がいずれも収賄容疑で逮捕され、すでに起訴されております。公訴事実に基づいて申し上げますと、近畿郵政局建築部施工課職員亀井嘉鶴男、これは昭和四十六年八月から四十七年九月までの間に宿舎及び大阪郵便貯金会館付帯施設の新築工事に関連して業者から六万円余を収受し、十四万円余の供応を受け、四十八年十月十一日に大阪府警に逮捕され、同年十一月一日起訴されております。  さらに、二人目の中村公治は、昭和四十七年八月、宿舎及び大阪郵便貯金会館付帯施設の工事に関連して、業者から十万円を収受し、四十八年十月二十一日大阪府警に逮捕され、同年十一月六日に起訴されております。  三人目の木村博己は、昭和四十六年四月から四十七年二月までの間に鳳郵便局新築工事に関連して、業者から十一万円を収受し、四十八年十一月十四日大阪府警に逮捕され、同年十二月五日起訴されております。  四人目の本省建築部施工課課長補佐橋本慎治郎、これはことしの夏の異動で移ってきておりましたのでありまして、当時は近畿郵政局の施工課長でございました。この者は、昭和四十七年七月から八月にかけ、宿舎及び大阪郵便貯金会館付帯施設の新築工事に関連して、業者から二十五万円を収受し、四十八年十月三十日大阪府警に逮捕され、同年十一月十七日に起訴されております。  以上、起訴されました四名のうち、亀井嘉鶴男、中村公治、橋本慎治郎の三名については、十二月十八日現在釈放されておりまして、木村博己という者は、まだ現在勾留中でございます。  まことにどうもみっともない事件でございまして、以上が今回の不祥事件のてんまつでございます。
  89. 小谷守

    小谷守君 みっともないということではすまされぬ、みっともいいとか、みっとも悪いとかいうことではない。最近の、先ほどあげました建設省、あるいは科学技術庁、通産省エネルギー庁、そして今度のこのケース、これに共通する状況というものは何か課ぐるみでやられておる、管理職がぐるになってやっておるということ、これが一つの共通点だと思います。もう一つは、いままでの何か汚職というと、いわゆるつけ届け、そういうものでありましたが、今度はつけ回しという形ですね。遊興したつけを業者に払わせる、こういうことが目に立つ共通点ではないかと思うんであります。  そこで、この事件をめぐって、郵政当局としては、こういうことの再発を防ぐためにどういう措置を講じられたか、また、これらの該当者に対してはどういう処分をされたか、監督の責任にある者をも含めて、どういう措置をおとりになったか、こういう点をまずお聞かせ願いたいと思います。
  90. 武田礼仁

    説明員(武田礼仁君) どういう措置をとられたかということにつきまして御返事申し上げます。処分につきましては、人事局の担当と存じますので、人事局のほうから御返事申し上げます。  今度の事件が起こりまして直ちに、建築部職員に対しまして、綱紀粛正について、本省建築部長から地方郵政局建築部長あて通達を十月十三日に行ないました。それから、同日、本省建築部全職員に対して綱紀粛正について、こういうことをしてはいけない、今後厳重に注意しなければいけないという文書を各人に手渡しております。それから、さらに同日に、業界のほうに対しても本省建築部長から、不祥事件防止について協力の要請を行ないました。そして十月二十四日に、積算業務の秘密保持ということにつきまして、本省建築部管理課長、設備課長並びに施工課長の連名で、地方郵政局建築部長に対して指導を行なっております。で、十一月二十二日に、綱紀粛正の具体的方針というものを作成いたしまして、本省建築部各課長連名で、地方郵政局建築部長に対して指導を行なっております。  以上は、何と申しますか、モラルという点について非常に強調しているやり方でございますが、同時に、いま行なっております業務のやり方に手抜かりはないのだろうか、さらに改善するべき点はなかろうかということで、業務の再検討というものを、直ちに委員会を設けまして、ただいま一生懸命、鋭意検討中でございます。  以上が、今回の事件に対しまして行ないました建築部の措置でございます。
  91. 小谷守

    小谷守君 私は、建築部のあれを聞いておるのじゃないんです。郵政省としてはどういう措置をとったか、こういうことを聞いておるんです。官房長か、だれか来てないんですか。
  92. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 郵政省といたしまして、綱紀粛正あるいはその他の措置につきましては、ただいま建築部長お答え申し上げたとおりでございます。  なお、本人たち及び本人を監督する立場にある者につきまして、すみやかに行政処分を行なうべきであると、かように考えております。  ただ、まあそういうことで、今日まで、私どもといたしまして努力をいたしておりますし、今後もその努力をするのでございますが、今日までの状況を申し上げますと、本人たち、まず勾留せられまして、しかる後に四人起訴されたわけでございますが、その間、接見等が許されませんでしたので、私どもといたしましては、できる限り、起訴前に事実を当方といたしまして確認をして、それに基づきましてすみやかに厳正な処分をしたかったのでありますが、それが不可能でございました。その後、四人とも起訴に相なったわけでございまして、そのうち、三名は釈放されており、一名はなお勾留中でございます。で、三名につきましてその後も接触をとっておりまして、本人たちの供述というものを私どもとして得るべくつとめておるのでございますが、本人たちが私どもに対して供述することをがえんじない状況に現在ございます。他の一名は、なお勾留中でございまして接触ができない、こういうことでございます。  しかし、まあそういうことでございますので、とりあえず、起訴に伴う身分措置といたしまして、本人たちを休職処分にいたしましたが、いわゆる懲戒処分につきましても、私どもとして、第一に、すでに当該地方検事局に対しましては照会をいたしまして、どういうことをやったのかという照会をいたしまして、それに対する回答を得ております。なお、これに本人たちの供述、あるいは供述が得られない場合には、それにかわるような本人たちの犯罪事実というものを証明するような他の材料と、たとえば贈賄側の供述でありますとか、そういったものを含むわけでございます。そういうものをつとめて得るようにいたしまして、できるだけ早く懲戒処分を厳正に執行したいと考えております。監督者責任につきましては、しかる後に、これまたすみやかに厳正な処分をしたいと、かように考えておる次第であります。
  93. 小谷守

    小谷守君 そうしますと、いま、起訴されておるけれども、行政処分はまだしてないと、こういうことですね。この四名は、休職中で月給はまるごともらっているわけですか。
  94. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 休職中の給与につきましては当方公労法適用でございますので、組合と協約がございます。協約に基づきまして給与準則を立てて公務員法に対する別段の定め——公務員法の中にいう別段の定めをなしておるわけでございます。これによりますれば、休職中の給与は六〇%以内を支給すると、かようになっておりますので、ただいま六〇%を支給しておるわけでございます。
  95. 小谷守

    小谷守君 これ大臣御就任早々いやな質問をして恐縮なんですが、これは郵政省に限りません。国務大臣としてひとつ聞いてもらいたいんですが、地方公務員の場合、こういう汚職非行がありますというと、どの段階で行政処分をするかと申しますと、大体起訴された時点で行政処分をやります。情状によりますが、こういう汚職の場合には起訴されたという場合において懲戒免です。ところが、国家公務員等においては起訴されてもまだ行政処分をやろうとしない。総理府人事局の方おいでになってますね。これは法律上どういう根拠によるのか。伺いますというと、人事院のほうで本人が事実を認めない限りは行政処分はしないという仕組みになっておるようでありますが、私はそういうことで国民は納得するであろうか。もとより人権は尊重されなければなりません。最終判決が確定するまでは白黒を断ずることはできません。しかし、こういう汚職の場合なんかは刑事処分に行政処分が先んずるものではないかと、こういう気持ちがしてなりません。地方公務員の場合には現にそれをやっておるわけなんです。ですから、まず総理府人事局のほうでどういう仕組みになっておるか、現行法ではそれしかしかたがないのかどうか。とすれば、大臣はこの頻発する汚職の再発を防ぐために、綱紀粛正のために私はこの際法の改正をあえてしてでもこの起訴段階では身分をとると、こういうやっぱりきつい姿勢でないというと困るのではなかろうか。地方公務員はこれ現にやっておりますよ。そういう点についてひとつ御見解を伺いたいんです。
  96. 大林勝臣

    説明員(大林勝臣君) 現在の制度の問題でございますが、現行法では御承知のように国家公務員法の八十五条という規定がございまして、「人事院の承認を経て」刑事手続とは別途、適宜行政処分を進めることができると、こうなっております。したがって、第一の条件は「人事院の承認を経て」ということになっておりますが、その取り扱いを人事院がきめまして、指導をしておるところでございますが、その内容は原則的なたてまえとしましては先ほど郵政当局からお答えがありましたように、本人の事実を認める供述書またはそれが不可能であれば客観的にそういった事実を証する書面あるいは資料を提出して人事院の承認をとるようにと、こういう指導をいたしておるわけであります。したがいまして現行制度のもとにおきましては本人があくまでその事実を否認をする場合、あるいは犯罪の態様によりましてなかなかほかの客観的な傍証も得られないというような場合には、この行政処分の手続がそれだけ遅延しておるということに結果的に相なるわけでありますが、そういうことにならないように、できるだけ本人の供述が得られない場合でも、客観的な傍証の事実をできるだけ早く取りそろえて、人事院のほうに持ってきてほしいというふうに、人事院としても各省に申しておるところでありますし、また事柄の理非を明らかに、早く明らかにすべき措置として私どもも当然のことと存じますが、ただ現在の制度上はいま申し上げましたような仕組みになっております。確かに先生のおっしゃるように、場合によって制度的にはさらに今後十分検討しなければならない余地は残っておるものと考えております。
  97. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) ただいま事務的と言いますか、法律的と言いますかの問題については当方の人事局長からも、総理府からもいま御説明を申し上げたところでございます。働いておる人たちが協約によって結ばれたということをもとにしてやっておるということでございますが、先ほどのお話の中にありましたように、今日どうも課ぐるみで一ぱい飲んで、そのツケは業者に払わすというようなことをやって、そしてそれが起訴されておるにかかわらず、処分もしないで、そしてまあ六割といえども月給をもらっておって、世間がそれで承知するか、こういうことでよいかというお尋ねに対しましては、また御意見に対しましては私も全くそのとおりであると思います。就任をいたしましてまだ間もないのでございますが、大臣以下管理者がまず率先をして姿勢を正し、かかることの起こらない、こういうことについて綱紀を粛正してこれからも臨んでまいりたいと存じます。また、いまお話がございましたが、問題点があるなら、総理府のほうで人事院の問題等について検討を要すると思っておるということでありますから、これらの問題についても今後問題点を提示されておりますので、これらについては検討してもらいたい、このように考えております。重々まことに申しわけないことでございまして、今後かかることのないようにつとめてまいりたいと存じます。
  98. 小谷守

    小谷守君 先ほど人事局長のお話を伺いますと、起訴された四名は先ほどの理由によってまだ行政処分はしていない、この該当者四人に対する行政処分がきまらぬから、したがって上のほうにも何らの処分をしてない、これはきまるのを待ってやる、こういうゆうちょうなお話でありますが、そういうことは国民納得しないと思うのです。大臣御就任早々でありますが、本省の建築部長、近畿郵政局長に対して、私はこれだけ世間をさわがした問題について今日一ぺんの行政処分もないというふうなことは国民は納得しないと思います。これはどうお考えになりますか。
  99. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) ただいま私が御質問にお答えいたしましたように、私就任早々でございますけれども、このような問題につきましては大臣以下管理職、姿勢を正して臨んでまいりたいと、こういうことでございまして、御指摘の当該職員、ここに出ておりますので、このことは先生の前で申し上げておりますので、今後姿勢を正していくということで御了解を賜りたいと存じます。
  100. 小谷守

    小谷守君 大臣御就任早々でありますが、前大臣の久野郵政大臣は、しばしば国会の審議の中においても、またそれ以外の談話におきましても郵便料金の値上げはしないという、これを抑制するという御趣旨の御発言があったわけであります。ところが、先般大幅な郵便料金の値上げの答申が郵政審議会から出ておる。これは新大臣としてはどういうふうにお考えになっておるのか。私は久野郵政大臣という方ははったりのない非常に誠実で正直な方だというふうに尊敬しておったのですが、しないという言明した時点でもうすでに諮問しておりましたですね、審議会に。ああいう不正直なことを言ってもらっちゃ困ると思うのです。新大臣は、いま答申が出ておるわけですが、これをどう扱われますか。聞くところによりますと、新年度の、来年度の予算検討の中で、国鉄、消費者米価、郵便料を含めて、時節柄これを押えようというふうな意見も散見をしておりますが、新大臣としてはどうお考えですか。
  101. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 久野さんが皆さんの前でいろいろ御答弁があったというお話でありますが、これはさておきまして、確かに久野大臣のときにこの郵便料金の問題を含めて審議会のほうに答申を求めた、これは事実でございまして、私はその答申をいただいた次第でございますが、この中で郵便の業務というものがほとんど人の手で最後には配達をされる、こういうことでございますから、十円、二十円というお金で一軒一軒届けるという業務でございますから、ほとんど人手である。したがいまして、人件費というものがほとんどこの経費の中で占めておる。この人件費が上がってくることは、すなわち経営がむずかしくなってくるということで、そのことを含んで今後こうしなさいという答申がございました。その中では、郵便料金を変えたらよいという答申をいただいておることは事実でございます。ところが政府といたしまして、最もこれからの政治で力を入れなければならぬことは物価の問題を最大な政治課題として、これを何としても抑制をしなければならぬ、こういうことでございますので、この公共料金の中に含まれておる郵便料金というものは、指数こそ一番最低といいますか微々たるものでございますけれども、それを上げるということになると、やはり物価が上がるという点がございますので、これにつきまして一体どうするかということで、いまお話しのように、政府はすでに法律が通過をいたしまして四月一日をもってこれが施行されることになっております鉄道運賃の問題あるいは米価の問題についてこれを延期をするということを決定したという段階でございます。これはすでに法律がきまっておった問題でございますが、私どもはこの郵政審議会の答申を受けて、政府として責任を持ってどうするかということを考える立場におりましたので、ただいまこれにつきましては、いま申し上げました物価問題というものを政治課題として最大に考慮をするときに、一体これを抑制するためにどうしたらよいか、これを財政的に裏打ちをして値上げをしないということになりますと、それだけまた支出が別な面でふえてくるという問題も含まれてまいりますので、慎重に考えておりますけれども、物価抑制ということを最大の政治課題とするときには、郵便料金といえども考えなければならぬじゃないかというふうに私自身考えながら、関係当局と相談をいたしておるというのが現状でございます。
  102. 小谷守

    小谷守君 だいぶ回りくどい御説明でありましたが、結局この五七%の値上げの答申、これはおやりになる意思はないと、公共料金抑制のために、物価抑制のためにこれはやらぬというお考えであると、こう理解してよろしゅうございますか。
  103. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) これは時期の問題等もございまして、いまの答申というものは尊重しなければならぬ立場にございますから、やらぬということを、いまこの問題をすぐにやらぬということは、私がいま言明をできる段階ではございませんので、御指摘のように回りくどいような、初めから、一から述べたような答弁をいたしたのでございますが、十分考慮しながら事を運んでおる、こういう段階であります。
  104. 小谷守

    小谷守君 私この答申を見まして、値上げは困る。困るけれども郵政省としても悩みが大きい点があると思うのです。それは企業の出しておる通信物、これがたいへんなことだと思います。いま私どもの調査によりますというと、郵便物全体の中で、企業から出しておりますものが八〇・五%、個人から出しておるものは一九・五%である。これは数字が間違っておるかどうか確かめたいと思いますが、企業から企業へ出しておるものが四一・一%、企業から個人へ出しておるものが三九・四%、個人から個人へ出しておるものが一七・一%、個人から企業へ出しておるものが二・四%、こういうふうに私どもの調査ではなっておりますが、これに間違いないかどうか。間違いないとするならば、全体の郵便物の一九・五%の個人郵便物、これが八〇・五%の企業の郵便物の負担を同じように背負わなければならぬなんということはどうしてもうなずけぬのです。そこで、審議会あたりではこういう点をもっと仕分けをして検討すべきものではなかったかと思うんでありますけれども、企業郵便物が多いということだけは書いておりますけれども、これにどう対応するかということについては何も答えがないんです。何も答えがない。そこで、まず私がいま申し上げた数字に大体間違いはないかどうか、企業郵便物というものを郵政当局としてはどういうふうに考え、これにはどう対応すべきものかというふうにお考えになっておるか、そういう点ひとつ伺いたい。
  105. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) お答えいたします。  ただいま御指摘になりました個人用と企業用と申しますか、差し出し人が個人の場合、企業の場合のパーセンテージにつきましては、私たちのつい最近実態調査をいたしました調査の結果と同じ数字でございまして、これは九月の十八、十九の二日間にわたりまして三百八十七局、延べ——失礼しました、十三万五千通の郵便物につきまして個々の郵便物の配達された先に私どものほうから一通一通に対するアンケートを出しまして、その内容について、郵政省がこれを個人用とか、企業用とかいうことは中身を見ないとわからないものですから、そこまではできませんので、受け取られた方にそれぞれのいま申し上げたようないろんな項目のアンケートをとりまして、その内容の集積がただいま御指摘になりましたように、まさに全体の八〇・五%が企業から出されたものであり、また、個人から出されたものが一九・五%という数字でございます。それぞれのこのシェアは実はいまから数年前はもう少し個人用が大きかったわけでございまして、大体七五%と二五%と、個人用が二五%だったと思うんですが、最近の調査ではそのような結果が出ております。  なお、余談になりますが、アメリカ等におきましては個人用が全体の一五%、残りの八五%が企業というふうになっておるようでございまして、この傾向が今後もますます、個人の通信は全体の中からいきますとシェアは少なくなっていくというような傾向があると思われるわけでございます。ただ、いま申し上げましたように、通信の内容を出される段階で一々郵政省としてはチェックできませんので、実際にはこのような調査をして、回答をいただいてはじめてわかるわけでございますが、この実態は間違いない数字でございますし、今後ともこの傾向はますます進んでいくというふうに考えておるわけでございます。
  106. 小谷守

    小谷守君 そこで、この企業通信といいますか、企業郵便物に対してはどう対応したらいいんですか。これがこの負担で、一九%ほどの個人の郵便料がこの分も背負わなければならぬなんというふうなことは、国民としては審議会がどんな答申出そうと納得いかぬですよ。ですから、先ほども申し上げましたように、企業がどんどんどんどん出すダイレクトメール、こういうものと、個人の通信ですね、それと同じように扱っていいものかどうか。役所も大臣少し自粛したらどうでしょう。役所がPRのために各省——郵政省も出していますよ。電電公社も出しておる。この紙不足の時期に豪華な紙を使って、これはまあたいへんな予算だと思いますが、これもどんどん送ってきております。配る必要があれば、国会議員には郵便でなくて議会のほうに一括して持ってきたらどうですか。まあぜいたくなものを役所もずいぶん出しています。企業と同じようにやっていますよ。  そこで、郵務局長は企業郵便物というものに対してどう対応しようとするのか、むずかしい問題ですけれども、これをひとつお考えがあればお示し願いたい。
  107. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) ただいま御指摘のありました企業用と申しましても、企業から企業へ行くもの、企業から個人へ行くものとありまして、さっき御指摘のあった数字のとおりでございますが、この全部がただいまお話のありましたダイレクトメールというわけではございません。企業から出されるものの中にも業務用通信、重要ないろいろな書類を送るような場合もございますし、あるいは金銭の請求その他、たくさんの種類がございまして、全体の中で、まあいま百二十五億通ということを申しておるのでございますが、その中の全体の二割、まあ約二十五億通が企業の出すダイレクトメールであるというふうにわれわれ考えておるわけでございまして、そのほかにもいま申し上げました業務用通信その他、金銭の請求とか事業関係といったようないろんな郵便物がございまして、まあ企業の出すものであるからといってこれをどうこうということもわれわれ言えないような気がいたすわけでございます。  同時に、これは事業の経営の立場から申しましてまことになんでございますが、現在非常に郵便事業経営の苦しい中で申し上げますと、今後ともこういった企業の通信が郵便の大宗を占めていくという傾向がますます強まっていくことも必至でございますので、われわれ事業経営の上からいいますと、一時に大量に差し出される郵便物というものは、まあ事業経営の面からいいますと、一通一通出される郵便物よりも経営上は非常にやりやすい、効率的な処理がしやすいという点もございまするので、この前の郵政審議会の議論の中でも、こういった企業用通信あるいはダイレクトメールについて割り高な料金をつけたらどうかという議論はずいぶん議論されたところでございますが、答申にありまするように、実際に形状とか内容などによっても的確な判別が困難であると、かりに一定の基準を設けてこれを区別するといたしましても、大量処理を必要とする郵便業務の効率的な作業をそこなうおそれがあるというふうなことで、この点は特別な措置をとらない、割り高な料金をつけることはしないことにしようというふうな結論が出たわけでございまして、私たち郵政省としてもこの問題については審議会の答申と同様な考え方でいきたいと思っておるわけでございます。
  108. 小谷守

    小谷守君 私の質問が少し抽象的だったので、御答弁がしにくかったと思います。ですから、私は具体例を申し上げましょう。  ことしの夏、まあことしに限りませんが、夏場に集中した清涼飲料、これがテレビを通じて王冠を何個封筒に入れて送ってこい、そうすると抽せんでこういう景品がもらえる、これを毎日毎日しつこくコマーシャルをやっていた。これで郵便局が参ってしまいましたですね。特に大手の清涼飲料の本社のある京橋、日本橋の局なんかは、これで郵便物の選別機がパンクした。こういうふうにも聞く。封筒が破れてざらざらざらざら王冠が出てくる。またそれでほかの郵便物もいたんでしまうというふうな事故がかなりあったように承知をしておるんですが、新聞の報道によりますと都内十八局のうち一日の郵便物の一割に相当する一万五千通が王冠入りの封筒だったと、こういうふうにも報じられておる。こういうものは、いま郵便局でもどんどん機械化を進めておる中で、機械の対象にならぬようなこういう王冠封入の郵便物なんというものは禁じたらどうか、こういう業者に対してああいうコマーシャルはやめてくれ、民放に対してもあれは困るからやめてもらいたい、こういう要請はされましたか、どうですか。要請をやってもなお聞かぬということであれば、法的な措置が必要であるとすればそれを用いてでもこういうものはやめさせなきゃいけませんよ。こういう行き過ぎたコマーシャリズムというものに対してはチェックしなきゃいかぬと思います。時節柄そういう時期にもうきておると思うんです。大臣お考えどうです、これ。
  109. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) ただいまお話の出ました問題は、確かに新聞等にも報道されまして、また現実に私たち、現場の郵便局からそういった苦情が出てまいっておるわけでございます。郵便物の中にただいま御指摘の王冠が入っておりますためにその郵便物自体が破れまして王冠が出ていくとか、あるいはまたそういったことから他の郵便物にも損傷を与えるといったようなことになりまして、あるいは自動取りそろえ押印機の中にこれがまじって故障の原因になったと、区分機の中でやはりこれのためにほかの郵便物がこわれたとか、あるいは機械が故障したというようなことがかなりあちこちで起きてまいります。私たちといたしましても非常に困った事態だと考えまして、現実にもいまの清涼飲料水の関係のビール会社その他にこういったものを封入するような宣伝をすることを中止してもらいたいという要請をいたしたわけでございます。ただ現実にはまだその効果が完全にいまのところ出ていないように思いますし、最近でもまだこういったものがときどき出てまいっておるようでございまするので、私たちといたしましても、これは現在の郵便法の第十五条にこのような場合の、他の郵便物に損傷、損害を与える、損傷を与えるというような場合にはそういったものを排除するようなことができる規定もございますし、それから十八条に、郵便物の包装のしかたについて必要な事項の記載をすることができるというような規定もございまするので、この両方の規定を活用いたしまして、ただいま御指摘のように、こういったものが入ってこないような禁止の方向の措置をできるだけ早くとりたいということで、いま条文のいろいろ検討をいたしておるところでございます。
  110. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) いまのお話はお聞きしておりまして、全くそのとおりだと私思って聞いていたのですが、企業からのダイレクトメール問題なんかはこれは何とかして知恵を出してこれを区別ができたらお説に対する対応ができると私は思うんですが、私もしろうとですが、こういうことについてどうしたら区別ができるかということについての一つの大きな問題点であろうと思いますが、何とか受け取っているほうではこれがダイレクトメールである、これが私信だと分けられるけれども、出している、分けるところでなかなかそれがしにくいという問題ですから、これは何とか技術上の問題知恵を出していまの具体的な問題等は、これはそういうことはやめてもらわにゃなりませんが、最初から持ち出されておる問題についてはできればこれを今後の具体的に解決できる道が求められるようにこれからも検討してまいりたいと存じております。
  111. 小谷守

    小谷守君 郵務局長、いまの王冠の問題、具体例を一つ申し上げたんですが、これは子供の射幸心をあふることにもなりますし、企業のコマーシャリズムの中でこういうものは自粛してもらわなきゃ困るんです。しかし自粛を言うてもなかなか聞かぬのですから、聞かぬとすれば郵便局で取り扱わぬという措置はできぬものかどうか。  それから電波監理局長おいでになっておると思うんですが、ああいうコマーシャルを、子供の射幸心をあふるようなコマーシャルはやめてくれという行政指導はできませんか、民放に対して、どうですか。
  112. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 先ほどお答えしました郵便法の第十五条に、ちょっと条文を読み上げますと、「郵政大臣は、郵便の業務に従事する者又は他の郵便物に対する傷害又は損害を避けるため必要があると認めるときは、省令で物を指定して、その物を郵便物として差し出すことを禁止することができる。」という条項がございまするので、従来この条項に該当するものとしては動物のような生きものだけを非常に制限的に考えておったんでございますが、ただいま御指摘のような問題が出てまいりましたので、この点はわれわれのほうも前向きに考えていきたいと思います。
  113. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 放送の関係でございますけれども、これは放送法によって御案内のように規律されているわけでございますが、放送番組、いまのコマーシャルも放送番組の一部になるわけでございますけれども、これにつきましては、放送番組につきましては放送法の規定によりまして政府が直接にタッチできないというかっこうになっております。それで、これをどうしているかと申しますと、各放送事業者が自分で番組基準をつくりまして、その番組基準を番組審議機関、審議会というものを各民放業者につくっていただいておりますが、それに諮問していただいてそれに従ってひとつ広告等あるいはその他の番組内容を自主的にひとつ判断していただきたい、こういうような大要をつくっておりますものですから、郵政省としてこうやれああやれという事柄は現在のところは差し控えておるような状況でございます。
  114. 小谷守

    小谷守君 次に、郵政事業の合理化と労働強化の問題について伺いたいと思いますが、明治九年に国営の郵便事業が行なわれて来年で百年を迎えるということであります。そういうことでありますが、せめて正月、元日は年賀状を配達しなきゃいかぬけれども、二日と三日は人間らしく休ましてもらえぬかと、こういう訴えがあったことは大臣も御承知のとおりであります。これは私は国民の今日共感の得られる問題だったと思うのでありますが、このことをめぐって先般ストライキが行なわれたり、まあこれも円満に話し合いがついたようでありますが、どういう取り扱いになりましたですか。二日と三日ぐらいは休ましてもらいたい。伺いますというと、年賀状も大体元日で八割、九割方は終わってしまうと、配達は。そうすると、あとの一割や二割は四日になってもよろしい。私はこの程度のことは国民の共感の得られる問題だと思いますが、いかがですか。
  115. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) お答えいたします。  ただいま御指摘の問題は、今年度の年末闘争の中の一つの大きな柱として組合の方面といろいろ話し合った問題でございます。結論的に申し上げますと、来年の一月二日につきましては、速達を除きまして全面的に配達を休止するということにいたしました。来年の三日につきましては従前どおりでございますが、来年の二日の状況も見まして、もう一年あとの五十年には、全国で相当の局を選びまして、三日についても休配をするということが実際にできるかどうか、五十年度においてそれを検討したいというふうな回答をいたしまして、両者の意見がそこで一致したわけでございます。まあ二日、三日続けて休みたいということが組合のほうの要求に出ておったわけでございますが、ただいま御指摘のように、年賀郵便物の中で大体元旦に配達されますものが全体の約八割でございます。残りの二割のものは一月に入りまして二日、三日以降、大体十日までにこれが完配されておるということでございます。大体二日、三日の郵便物数を過去の先例で見てみますと、全体の約三%程度が二日、三日に年賀状がまだそれぞれ出されておりますし、それを二日、三日続けて休みますと、四日にその三日分の年賀状と、それから年賀状のほかの平常の通信も実は年末から三十一日以降のものが残っておりまするので、一月の四日にそれを全部まとめて配達しますと、大体約三億通近い郵便物数になるわけでございます。一日の平常の配達物数は約三千万通でございまするので、それの十日分に近いものが四日に一挙に配達されるということは事実上むずかしいというふうなことがございまするので、そういったこともありますし、過去多年二日、三日は配達をしておったということもございまするので、来年はとりあえず二日をそういうふうに休配してみまして、今後の問題については、お互いによく実態を調べてまた議論をしようということで以上のような措置を決定した次第でございます。
  116. 小谷守

    小谷守君 これは組合との間に話し合いがついたようでありますから……。この郵便労働の現状を考えますというと、いま、あれでしょう、週休二日制ということが民間企業ではどんどん進行しておる。そういう中で旧態依然とした郵便労働の状況だと思うんです。で、あなた方が合理化でどんどん人減らしをされる。四十一年から四十七年度にかけて一万五百五十五人の人減らしが行なわれた、こう承知しておりますが、片や、機械にたよる。たとえば仙台の中央郵便局では、小包区分機、三億円もかけた小包区分機のコンピューターが原因不明の故障を起こした。そして大混乱が起きた。この原因をひとつまたお聞かせ願いたいと思いますが、こういうふうに、機械にたより過ぎてこういう事故も起きておる。郵便事業というのは元来機械ではまかない切れぬ分野が多いわけでありますから、機械化−人減らし、そういう方程式でどんどんお進めになるということはどうでしょう。伺いますというと、東京の鉄道郵便局なんかでは、これは新聞報道でありますが、月に、日曜も入れて家で寝泊まりできる日は月に八日ぐらいしかないというふうに訴えております。家族との団らんも何もない。こういう労働環境、労働条件というものをどういうふうにお考えになりますか。
  117. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 先ほどお話に出ました昭和四十一年度から四十八年度までにおける人減らしというおことばでお話になりました数字で、一万一千八百二十一人という数字があるわけでございますが、これは人減らしというおことばではございますが、この間におきましてこの一万一千八百二十一人をどういう方法によって節減をしたかということをちょっと申し上げておかなければなりませんが、この中で一番大きいのは、いわゆる処理能率の向上でございまして、これによるものが七千二百九十三人、物数の増に比較しまして人間をそれだけふやさないで済ましたということに相なるわけでございますが、そのほかに、労働力の転力化と申しますか、たとえば主婦の労働力の活用でありますとか、いわゆる一般の非常勤を雇うとかといったようなことによるものが約三千人ばかりでございます。その二つを除きますと、あとがいわゆる機械化等によるもの、あるいは集配施設の専用自動車化と呼んでおりますが、そういったようなことによる減員でございまして、いまの、特に御指摘になりました仙台の中央郵便局に配備いたしましたような郵便物自動選別取りそろえ押切機とか、郵便番号自動読み取り区分機といったような、機械の設置による減員と申しますか、これも増員を抑制したことになるわけでございますが、その数字は合計しまして四十一年から四十八年度までの間にわずかに七百三十一人というふうな数字でございます。御指摘になりましたように、非常に機械化の余地も非常に少ないと申しますか、やはり人的な、人間の力にたよらざるを得ない郵便事業の実態がここにあらわれておるというふうに申し上げてよろしいかと思います。  それからただいま御指摘がありました仙台の中央郵便局で機械の処理システムが故障したために混乱を起こしたということについての、これは新聞記事等にもそういったことが載りましたけれども、これは仙台の中央郵便局が局舎が狭隘のために、ことしの十月十五日に局舎を新築いたしまして移転したわけでございます。その機会に局内のいろいろな搬送設備等を新しい局舎に設備したわけでございますが、当初、機械の初期の故障とか、職員のふなれ等もございましたために、機械の故障が起こりまして、その故障が原困になったことはございますけれども、そのために郵便が、運行が混乱したということは事実はないわけでございます。なお、現在はこの機械は非常に安定した状態で運転をされております。  それからもう一点、東京の鉄道郵便局の勤務のことのお話がございましたけれども、大体の数字がそんなに大きく間違っておるわけじゃございませんけれども、私たちの調べによりますと、大体東京の鉄道郵便局の中で一番勤務の状況がきついといわれておりますのは上野の鉄道郵便局の分室であろうかと思いますが、そこの場合に、大体一カ月のうちでうちに帰れる日数は約半月、十五日であるということになっておるわけでございます。これは個人によって多少の違いはございますが、平均しますと十五日でございます。ただ、その十五日間、いつも十五日の間うちで寝ることができるか、宿泊、夜できるかといいますと、そうではございませんで、約その中で五日間、四日か五日はうちに帰って昼の間に、たとえば朝早く帰ってきてずっと夕方まで寝ておって、また夜の勤務に出るというようなことでございますので、うちに帰れる日数ということになりますと、もう少し多いんじゃないかと思います。しかし大体週休一日を入れまして休める日にちは、うちに泊まれる日にちは約十日から十一日ということは事実でございます。われわれといたしましては、こういった職員の労働条件が特に鉄道郵便局の場合は他の郵便局と違った、きついと申しますか、夜の勤務が非常に多いということと、汽車に乗ってその間に作業していくという非常に特殊な拘束を受けるということもございまするので、そういった人たちが出先のところでは宿泊するようになりますから、そこには宿泊施設等を、冷暖房を完備とはいいませんが設備いたしたりいたしますし、また、いわゆる一般の職員に与えられない乗務員旅費というふうな旅費等の支給もございまして、勤務については特殊な勤務でありますだけに待遇その他の面ではできるだけ配意をしているつもりでございます。こういったことにつきましては、絶えず組合のほうといわゆる事前協議協約というものを結びまして、こういった合理化等をやりました場合その他にあたりまして絶えず組合のほうとも相談してやっておるわけでございます。今後もこういった労働条件の改善には力を入れてまいりたいと思っております。
  118. 小谷守

    小谷守君 仙台中央郵便局のその区分機のシステムの故障はたいしたことはなかった、こういうお答えでありますが、この故障による混乱とときを同じゅうして大きな事故を起こしておるじゃありませんか。現金郵袋が二袋不明になって二十二万円の被害を与えておるじゃありませんか。このてんまつを御説明願いたい。
  119. 田所文雄

    説明員(田所文雄君) 仙台中央郵便局で起こりました郵袋の窃取事件、同一人によるもの二件ございます。一件は、十月三十日、宮城県の閖上郵便局から仙台中央郵便局あてに送られました郵袋五十二個のうち一個を窃取したものであります。他の一件は、宮城県吉岡郵便局から仙台中央郵便局まで自分で運送した郵袋の数が送り状に記載せられた数より一個多かったことに目をつけまして、これを窃取したものであります。この被疑者は日本郵便逓送株式会社仙台支店の臨時雇いの運転手でございます。それから同人は十二月十二日吉岡郵便局の分を自供いたしましたし、その後十七日に閖上局の分を自供いたしております。十二日に吉岡局の分、十七日に閖上局の分を自供したわけでございまして、本人は十二月十四日仙台地検に送致済みでございます。  以上が概要でございます。
  120. 小谷守

    小谷守君 神奈川県の鶴見郵便局で現金の抜き取り事件がありましたですね。そのてんまつを御説明願いたい。
  121. 田所文雄

    説明員(田所文雄君) 鶴見郵便局におきまして四十八年の十月十一日第一集配課の主任が普通速達の配達区分中現金が封入されていると認めた郵便物を窃取して在中現金を抜き取り封被等を焼却した。この者は四十八年の九月ごろからこのごろまで——十月の十一日まで犯行を重ねていたわけであります。起訴事実によりますと被害通数五通、一万円でございます。処分状況は十月二十二日懲戒免職、それから十月二十二日同日起訴ということになっております。  以上でございます。
  122. 小谷守

    小谷守君 これはまた近畿郵政局の建築部と違って行政処分、早かったね。それはよろしい。  この鶴見郵便局の抜き取り事件を通じて考えさせられる問題は、元来現金は一般の封書に入れて送ってはいかぬ。これは書留で送るか、為替で送るか、あるいは現金書留にするか、こういうことでありまして、何か一般の封書に現金を入れて送るとたいへん悪いことだ、何か罰金でもたくさん取られるんじゃないか、一般にそういう印象があるように思うのです。ですから抜き取られても泣き寝入りをする向きが多いんじゃないですか。そこでそういう法の無知に乗じてこういう一般の封書から現金の抜き取りというようなものが再々行なわれておる、こういう類推は成り立ちませんか。そこで一体法的に封書の中に現金を入れておった、一般の郵便物に入れておった、そういう場合にはどういうことになるのかということをここでひとつ郵便法によって解明をしておいてもらいたいと思うんです。
  123. 田所文雄

    説明員(田所文雄君) 郵便法の問題につきましては後ほど主管の局長からお答えがあると思いますが、郵便物を抜き取られたりいたしました場合には郵政省では郵便物事故申告制度というのがございまして、すぐ郵便局にお届けくださいということを、監察制度を発足して以来周知をしてまいりました。これによりまして、相当の申告が毎年ございまして、これをもとにいろいろ捜査をして、調査をして忘失云々をはっきりしたい。あるいはまた、特定の郵便局にそういう事故が続発するというときには、また監察官は司法警察員の職務も行なうものでございまして、独自の方法によりまして犯罪の摘発に努力をしておるわけでございます。
  124. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) ただいまの場合には、郵便法の第十九条に、「現金又は郵政大臣の指定する貴金属、宝石その他の貴重品を郵便物として差し出すときは、書留の郵便物としなければならない。」という規定があるわけでございまして、もしこの規定に違反しまして内容品が普通扱いの郵便物でいまのようなものが出されました場合には、その郵便物は第五十二条第二項、これは書留の場合でございますが、差し出し人に還付されその際には五十三条第三項の規定のように、書留料の二倍に相当する額を還付料として納付しなければならないと、そういうことになっているわけでございます。
  125. 小谷守

    小谷守君 ただそれだけのことなんです。それだけのことなんだけれども、一般には何かたいへんな罰金でもくるような錯覚を持ってそして泣き寝入りが多いんです。  人事局長に伺いますが、この鶴見の抜き取り事件の犯人という者は、これはあなた方が目に入れても痛くないようにお育てになったマル生の幹部なんです、マル生運動の。これこそあなた方のめがねにかなった郵政の職員であるということでお育てになった幹部なんです。これが、こういうたいへんな犯罪を犯しておる。マル生運動というものに対する反省も含めてどうお考えになるか、御見解を出してもらいたい。
  126. 北雄一郎

    政府委員(北雄一郎君) 四十五年当時以来、全逓の組合のほうからそういった、何といいますか、当時はマル生とは言いませんでした。郵政の場合には一定の労務政策があって、これを変更してくれというような要求があったことは事実でございます。でありまするが、その問題につきましては四十五年の年末、十二月十四日でございますが、当時そういった問題を含めまして労使間で一定の確認をいたしました。私ども内部では十二・十四確認、かように申しておりますが、そういう確認をいたしましていろいろ他のこと等もございましたが、いま仰せのような点につきましてはそういったことは省として従来からとっておらぬと、今後もちろんそういうことをやるわけじゃない。もしそういった疑惑を招くような行為があるとすれば、そういったことは省としても大いに自粛をしていく、こういった趣旨のことを含めました十二・十四という確認がございます。これをあくる四十六年の一月に当方といたしまして二つの通達にいたしまして、わがほうの下部へしっかりその趣旨を伝えました。事後四十六年、四十七年という経過の中で、省といたしましてはこの通達の下部への徹底化、定着化ということに真剣な努力を払ってきたつもりでございます。まあ、わが部内におきまして労使関係がいつも緊張いたしますのは、特に年末でございます。年末でございますが、そういった次第で四十五年にはそういったことに関する具体的な問題というものは多数提起されました。しかし逐年その数は減少しておりまして、四十八年の、つまりこの暮れの段階におきましても、若干の苦情がございましたけれども、当時に比べれば激減しておるというのが実情でございます。したがいまして、今日においてはそういった問題もほぼ終息に近づいておる、もうないというふうに私どもは考えております。しかし今後もそういった趣旨の徹底、定着化ということについては、十分配慮をしてまいるつもりであります。鶴見局の具体的な人につきましては、全逓でない組合に所属しておった人だと私も承知しております。しかしそのことと、本件犯罪とは、全く関係がないというふうにに思います。やはりこういった犯罪をするということは、組合の所属のいかんにかかわらず、許すべからざることであるというふうに考えるわけであります。
  127. 木島則夫

    木島則夫君 政府は、物価の抑制、景気の過熱を防ぐために、ことしの四月以降数回にわたって公共事業の繰り延べ方策を講じております。最終的には八%の翌年度繰り延べとなったわけですけれど、まず電電公社関係の問題を提示いたします。電電公社の本年度建設工事は、最近非常に、極端なほど資材が不足をする、値上がりをする、そういう中にあって、年度内に一体本年度分の建設工事予定を消化することができるだろうか、このことについてまず伺います。特に加入電話については五カ年計画の最初の年ですね。三百十万戸を予定しておりますけれど、このとおり増設ができるものかどうか、まずこの辺です。
  128. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま御指摘がありましたように、最近の物価の情勢は非常に激しいものがあります。電電公社といたしましては、本年度予定の計画の中で八%だけ次年度に繰り延べするということで進んでおりますが、このうちの大体四%ぐらいは毎年繰り越しが起こるものですから、意識的に繰り延べたのは約四%でございます。公社といたしましては、加入電話につきましては三百十万工程を全部やるということでいま進めておりますが、現在の見通しでは大体やれるというふうに考えております。
  129. 木島則夫

    木島則夫君 来年度予算では、総需要を押えることで物価の安定をはかると、これは最優先の課題になっているわけです。このため公共事業の伸び率をゼロ、工事量を四十七年度並みにとどめるということなんでありますが、そうしますと、電電公社の第五次五カ年計画も大きく影響を受けることが予想をきれる、これはもう当然だと思います。五カ年計画では、この計画書の中にもはっきりとうたってありますけれど、期間中に一般加入電話千五百三十万個をふやし五十二年度末までに加入電話の積滞を解消することをうたっているわけですね。工事量の削減によって電話架設がおくれることが心配をされているのが現状です。ちなみに申し上げると、四十七年度末で申し込んでもなかなかつかない電話が約二百二十万ということですけれど、五カ年計画は、このまま見直さないで済むのかどうか、まあこれはたいへんむずかしい問題だと思いますけれど、いまのところどういうふうに考えていますか。
  130. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  公社といたしましては、第五次五カ年計画をつくりまして、ちょうど四十八年度がその初年度にあたっております。この五カ年計画の最大の目標は、ちょうど五年先の昭和五十二年度末におきまして電話の申し込みの積滞をなくすということでありまして、その間、千五百三十万の加入電話を架設するということを最大の眼目にいたしております。  ところで、ただいま御指摘がありましたが、昭和四十九年度の予算に対しましてどういうふうなことになるか、実は大蔵省から査定案もまだ出ていないということでありますが、まあ長期的に見まして、私はたとえ来年度が需要抑制のために公社の要求の予算が削減されたといたしましても、まあ五カ年計画というのは非常に長期の計画でございますので、この最終目標はぜひ達成したいと。したがって、来年度公社の要求は、金といたしまして本年度の総投資額の約一七%伸びということになっております。しかし、五カ年計画全体をならしますと、総投資額は大体毎年一一%ぐらい伸びると、そうむちゃくちゃに後年度に拡張するようなことになっておりませんので、もしも明年度削減されるような、まあこれは国家のそういう特別な事態でありますので、なった場合でも、その残りの昭和五十年度以降において取り返して、五カ年計画の目標はぜひ達成するように努力いたしたいと、このように考えております。
  131. 木島則夫

    木島則夫君 まあ方針どおりいかないことも当然予想されるわけです。その場合、どこに重点を置くのか。みんな大事でないとは言いません。特に一般加入電話の内訳を見ますと、千五百三十万のうち住宅用が千二百五十五万という数字を見ましても、一般家庭用というものに私は相当大きなウエートがかかっているように思いますね。ですから、もし見直しがあるというときには、どれが優先的というとちょっと語弊があるかもしれませんけれど、私はやはりいまのようなこの時代の中で、まあ郵便料金はこれから先上がるだろう、そうしてストによる遅滞がたくさんある、こういう中で頼みとするのは電話ぐらいなものでしょう、はっきり言って。そういう意味で私はこういうところにしわ寄せがこないように特にこの際要求をしておきたいんです。いかがですか。
  132. 米澤滋

    説明員(米澤滋君) お答えいたします。  ただいま御指摘がありましたように、千五百三十万の予定加入電話のうちで八割強が一般の住宅電話でありまして、これは生活必需品的なものであるというふうに考えます。したがいまして、今後五カ年計画を昭和五十年あるいは四十九年の後半の時点で考える場合にも、この住宅電話につきましては最優先でいきたいというふうに思います。
  133. 木島則夫

    木島則夫君 これは大臣にも一言伺っておきたいんです。つまりいま総裁は、これは生活必需品であるというふうにおっしゃった。この認識は大臣もきっと同じだろうと思いますし、これから先そういうものが公共投資の繰り延べあるいは抑制によって私はしわ寄せがないように、この際国民の立場でお願いをしておきます。いかがですか。
  134. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 木島さんの御意見に沿って極力検討してまいります。
  135. 木島則夫

    木島則夫君 検討だけじゃまずいんで、そちらの方向で……。
  136. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) いや、それは時間の関係もありますから簡単に言いましたが、電力問題にからみまして電信電話その他のものは最重点であるという扱いをいたしておりますから、いずれの場面におきましてもそういうふうにやっていきたい、こういうことでございます。
  137. 木島則夫

    木島則夫君 ひとつその辺をわきまえていただきたいと思います。  次の問題に入ります。何せ時間が一時間しかございませんので、簡潔に私も伺いますので簡潔にお答えをいただきたいと思います。  テレビの自粛について伺います。久野前郵政大臣が、これは十一月の二十日ですけれど、今道民放連会長あるいは在京テレビ五社の社長に、電力節約のためにテレビの深夜放送の自粛の要請をされたわけですけれど、まあ民間放送としてはこれに協力することに結果的になりました。そこで政府にお伺いをしたいんですけれど、零時以降の深夜テレビ放映の電力消費量はどのくらいなのか。それは同じ時間帯の全電力消費量の何%ぐらいを見込んでいるのかということですね。まずここから伺います。
  138. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) それじゃ事務当局から答弁させます。
  139. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) いろんな前提があるわけでございますが、一つの試算の例といたしまして、十二時以降の深夜テレビを全部やめた場合における電力量十七万五千キロワットアワー、これは推定が、前提条件がございますけれども、一応省略いたしまして、十七万五千キロワットアワーということでございます。
  140. 木島則夫

    木島則夫君 それのいま質問しました同時間帯の電力消費量の中でのパーセンテージ。
  141. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) 〇・二七%と一応算出しております。
  142. 木島則夫

    木島則夫君 民放連の杉山務理事にお伺いしたいんですが、この〇・二七%というのは非常にかすかな数字であるというふうにお受け取りになりますか。それとも相当な数字であるというふうにお受け取りになっておりますか。その辺のまずニュアンス、実感です。
  143. 杉山一男

    参考人杉山一男君) この〇・二七%という数字は私たちは必ずしも大きな数字だと受け取ってはいません。
  144. 木島則夫

    木島則夫君 まあこれから一月に入るともっときびしい自粛要請あるいは規制というものが行なわれると思いますけれど、そうしますと、これはむしろ通産省に伺ったほうがいいと思いますけれど、量的に言うと非常に微々たるものであると。節約されるこの数量、時間のメリットに重きを置くのか、あるいはこれだけやっているんだという精神運動としての、みんながやっているんだという、むしろ精神的な面に重きを置くのか、どっちでしょうか。
  145. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) それはやはり精神的な面も非常に影響力がございますので、その点にも重点を置いて考えております。
  146. 木島則夫

    木島則夫君 さて、さらに来年になりますと、日曜マイカーをきびしく規制をする、自粛ということですか、禁止まではいくかどうかわかりませんけれど、風俗営業の閉店時間の繰り上げとか、一般家庭の一時的な停電とか、規制がきびしくなるわけですね、これから。そこで、八日の臨時政務次官会議というのがあったそうですけれど、ここでは規制についてなかなか威勢のいいことばがずいぶん出たようですね。これは新聞報道、雑誌報道を拝見してもそのようです。で、中には「広告には交際費に準じて課税せよ」、「冷暖房設備の新設を制限せよ」とか、マイカーを新規に購入するときには重税をかけて実質的に買えないようにしちまえというような節約強化の勢いのいいお話が出たようでありますけれど、ここでテレビの放映時間は九時間にしたほうがいいという発言はほんとうであるのかどうか。もしそれがほんとうであるとするならば、一体九時間という基準はどこから出てきた数字なのか、その辺もひとつ伺いたい。
  147. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) あくまでも要望でございまして、決してそうしなければならないというような気持ちで言っておるわけでございませんので、この際全体的に節減をしてもらいたいという願望から出たものだと存じます。
  148. 木島則夫

    木島則夫君 いま私が申し上げた九時間というその数字は全く根拠のないものなんですか。ただ願望が九時間ぐらいでどうだろうということにきまっちゃったんですか。それとも、いろんな根拠、たとえば二〇%削減、それをテレビの中で逆算をするとこれこれこういう数字があるから結局九時間に短縮しなければいけないというような相当の根拠があってのことなのか、あるいはただ願望でどなたかが九時間ぐらいでいいじゃないか、少し日本のテレビは多過ぎるよというようなムードでそういうことばが出たのか、とても大事なことだと思うのでお聞かせください。
  149. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) おおむねヨーロッパの先進国並みに日本もすべきであると、非常に資源の豊富であるアメリカ並みの放映をすることはいまの時点であまりよくないのではないかというところから出て、何時間というようなことは具体的には出ていないわけでございます。ヨーロッパ並みということでございます。
  150. 木島則夫

    木島則夫君 その辺がひとつ問題でしてね。ヨーロッパ並みといっても、ヨーロッパと日本では事情違いますね、社会事情、経済事情、政治の置かれている状況。で、日本だとテレビぐらい、テレビしか見る楽しみがないとか、まあテレビに、落ち着いてごろごろしていてテレビぐらい見ようよというようなことですね、そう言うと民放連の杉山さんにしかられるかもしれないけれど。ヨーロッパではもっと経済事情もいいし、社会状態もいいし、第一、政治がつくり出している、やっぱり何と言うか、その中での状況も日本とは比べものにならないぐらい私はいいと思いますね。だから一がいにヨーロッパと比べる、そういうものさしが庶民感情をさかなでしないだろうかということと同時に、私はやっぱり一番心配することは、これからもっともっと規制が激しくなっていくということになると、この緊急事態に悪乗りをしちゃって、ふだん政府に対して都合のいいことを言わない、不都合なことを言うからこの際規制してしまえというような統制、言論、表現の規制の方向にもしちょっぴりでもそういう心が働いているとするならば、私はこれはゆゆしい問題だと思いますね。よもやそんなことはないと思いますけれど、これは念のためにお尋ねしておきたい。
  151. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) そういうことはございません。
  152. 木島則夫

    木島則夫君 これは郵政大臣にも伺います。
  153. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) いまの深夜放送の自粛の問題は、前の大臣から確かにテレビ協会の民放のほうに話をもっていっております。今後電力事情によりましては、それ以上の状態というものも予想をされるわけでありますが、それの根拠として、まあいまおっしゃっておるような政府に都合の悪いことを言うやつはこの際というようなことは、そういうものは一切お考え無用だと思っております。さようなことはいたしません。
  154. 木島則夫

    木島則夫君 まあ政務次官にしても大臣にしても、それはもう政務で非常にお忙しいですから、こういうことを伺うこと自体が私は無理かと思いますけれど、いかがですか、政務次官、大臣、テレビをごらんになりますか。
  155. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 私は、たいへんテレビをよく見ておりまして、ここにおいでのテレビ関係の皆さんのもよく拝見をいたしております。
  156. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 木島委員が出ておられるころはよく見ておりました。現在も非常に有効だと思えるものは十分見ております。
  157. 木島則夫

    木島則夫君 ちょっとことばがおすべりになったようですけれど、有効でないものもございますか、そうすると。
  158. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) これは私の主観でございますから、有効でないということも考えられる場合もあります。
  159. 木島則夫

    木島則夫君 まあことのついでですから、どういうものをどういうお時間に見られるのか、ちょっとひとつ伺いたいのですね。そしてテレビに対する認識度と言っては失礼ですね、そういうものもやっぱり伺っておくことがこの際大事だと思います。これはやはりお二人の、政務次官と大臣に聞きたいと思います。
  160. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 私は、朝NHKの六時のニュースから見ます。「明るい農村」というのは非常に私はよい番組だと思っております。それから野末議員が奥さんと二人でお出になる番組もちょいちょい見るほうでございます。これは大臣になってからは朝が早うございますので、時間が許されない限りは見ておりません。大体朝役所へ出るまでは各局のチャンネルに回してみてそれぞれ見ております。夜もほとんど、夜の番組はよく見ます。以前はたいへん「11PM」というのがおもしろうございました。このごろはあまりおもしろいとは思いません。それは同様な番組がたくさん出てきたためであろうと思います、初めはあれだけが一つありましたから。このごろは10チャンネル、あるいは8チャンネル、6チャンネルと似通った番組が出てきますから、もうこのごろでは十二時のNHKの最終ぐらいで寝るようになっております。
  161. 木島則夫

    木島則夫君 郵政大臣におなりになって見方が変わりましたか。
  162. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 変わっておりません。私は前からテレビは非常に有効な情報あるいは文化というものに対して相当な働きをしておると、こう承知をいたしておりますから、郵政大臣になったからと言って別に変わってはおりません。
  163. 楠正俊

    政府委員(楠正俊君) 朝めし会がございますときには見られませんが、朝の「北の家族」、非常に興味深く拝見しております。特にああいったいわゆる庶民の苦労しておる姿というものが、私の姿によく似ておりますので、そういう意味で非常に興味深く拝見をいたしております。おおむねニュースは見ます。夜は頭を休める意味で音楽を聞いたりいたしておりますが、特に私が好んで見るのは、外国の風景、そういったものを、「兼高かおる世界の旅」なんというのは非常に私は興味深く見ております。
  164. 木島則夫

    木島則夫君 こういうことでいろいろこまかく伺いたいのですけれど、きょうはほんとうに時間がないので残念なんですけれど、また後日に譲るとしまして、なかなかよくごらんになっておるようです。寸暇を惜しんできっとごらんになっていると思います。  杉山さんに伺いたいのでございますけれど、その深夜テレビの打ち切りを発表してから聴視者の反応というか、そういうものはどんな形で放送局に寄せられているか。  それからもう一つそれに続いて、深夜テレビの打ち切りですね、いま十二時以降ということです。どのくらいの収入減になるのか。これも各局それぞれ置かれた営業状況、形態が違うと思いますけれど、大まかにおわかりになりますか。
  165. 杉山一男

    参考人杉山一男君) 聴視者の反応は大体新聞などに出ておりますので、木島先生もごらんになっていると思いますが、大体賛否両論ございます。こういうときだからわれわれの娯楽を少しでも削るというようなことをしないでほしいという意見もあります。しかし、こういう時節だからやむを得ない、早く発表して非常にその姿勢はりっぱだというような投書もあります。そういうような状態で、どちらがどうかということはわれわれのほうでまだはっきりつかんでおりませんけれども、一応賛否両論あるということを申し上げておきます。  収入の問題ですが、たとえば一つの例をとってお話ししますと、TBSが零時以降放送しておるのは一日二時間です。その二時間を放映をやめるということを打ち出しておりますが、そうしますと、製作費すべてを含みまして営業収入は一カ月約七千万。それだけが収入減になるということであります。
  166. 木島則夫

    木島則夫君 現在おそらくそういうことについてはこまかい数字を——データをお集めになって対策を寄り寄り協議をされているというふうに思うのです。で、結局現段階ではそれほどの減収にはならない、七千万ということです。しかし、もっともっと規制がきびしくなればこれはやはり相当私は収入減ということになってはね返ってくる。しかし、四十八年度の九月期決算を見ると、これもいろいろ高安——でこぼこはありますけれども、相当いい収入をあげている会社が多いようですね。ですから、いますぐこれはどうのこうのということではありません。問題は結局こういうしわ寄せというか、収入減がいわゆる番組製作なりの面でどういう形であらわれてくるかということが私は問題だと思います。やたらにコマーシャルの回数をふやされても困る。現在一時間番組の中で十二、三分もコマーシャルが占めておりますから、これ以上コマーシャルがやたらにふえても困るとか、あるいはさっき小谷委員のおっしゃったことに関係をするのですね、私も言いたかった、実は。王冠を送ると景品がもらえる、そういう射幸心を、あるいは何というか、売らんかなという、いたずらに消費をあおるコマーシャルに転用されやしないだろうかという心配があるわけですね。この辺、杉山さんどういうふうにお考えになりますか。もちろんこれは、政府がこうしなさい、ああしなさいと言う問題ではないのですけれど、一応民放を代表する民放連のお立場で伺っておきたいと思います。
  167. 杉山一男

    参考人杉山一男君) 深夜放送の自粛という現在の段階では各社がそれぞれいろいろ研究してそれぞれの立場で自粛を打ち出しておるわけであります。したがって各社は現在の収入の中でこの程度の収入減があっても企業の合理化その他で何とかやっていけるという前提に立っておるということだけ申し上げておきます。
  168. 木島則夫

    木島則夫君 一応現在の段階でというお話がございましたから……。これからやはり規制がきびしくなるといろいろの問題が出てくる。これはいまにわかにここで杉山さんにお尋ねをするのは私は酷だと思います。私が、たしか四月だったと思いますけれど、委員会で、買い占めとか売り惜しみなどいわゆる反社会的行為のあったスポンサーを何とか放送に出てくる前の段階でチェックできないだろうかというふうにお尋ねをしたらば、結局その放送基準ですね、これによって、私ももうひっくり返して何回も見たけれど、だめなんですね。やはり画面に出た段階からこれに照らし合わせなければいけないということで、該当できない。しかしこれ経済状態が非常にきびしくなってくると背に腹は変えられないということで、いわゆる相当あくどいコマーシャルが流れたり、あるいは誇大なコマーシャルが流れたりするようなことにもなりかねない。これは私の杞憂じゃないと思いますよ。そういう問題について、私は前の委員会で提示をいたしました。そのことも含めてその後具体的に何か動きがあるものかどうか。いま新聞が行なっております財団法人新聞広告審査協会、こういうところで広告というものを審査、一応自主的にチェックしてますね。こういうものがもっと私は早く民放の世界でもあって、そして安心してやっぱりコマーシャルを放送できるというような、ほんとうに自主的なものがあってしかるべきであったと思います。いまからでもおそくございませんけれど、何かそういう動きが具体的に動いておりますでしょうか。そして最近、何かそれに該当するような問題のコマーシャルがあったらば実例としてあげていただきたい。
  169. 杉山一男

    参考人杉山一男君) 木島先生のおっしゃるように、この前ここで私が、要するにあのときは商社の問題であったわけですが、そのときに、そういうものがチェックできないか、あるいはそういう売り惜しみ、買いだめをしたそういうような商社をスポンサーにしないようにできないか、というお話であったと思います。そのとき私は、そういう問題と出てくる番組とかあるいはCMは別の問題で、CMそのものがりっぱで、あるいは提供番組そのものがりっぱであれば、われわれのほうではこの放送基準からどうすることもできない、ということをお話ししたつもりであります。しかし、何とかそういったものについても検討できないかということで、まあひとつ研究してみますという約束をしたわけであります。それで、私たちもこの問題についていろいろ検討しました。しかしもう現行の放送基準ではどうにもならないし、それで、この基準を一回点検してみよう、しかしその点検をするにしても、現在の社会情勢ではすべてが国際的に関連を持ってまいります。ことに衛星が出てまいりましてからは、番組も国際化しております。そういうようなことで欧米の諸国ではどういう基準を設けてどういうように運用しておるか、あるいは放送についてどういう考え方を持っておるかということを調査するために、十月の六日に調査団を派遣いたしまして、十一月四日に帰ってまいりました。約一カ月、アメリカ並びにヨーロッパ各国を回ってきております。現在その報告書を取りまとめ中ですが、その報告書ができてからもう一回これを総点検して、現時点における価値観と現時点における各国のいろんなものの考え方を参考にしながらこの基準を総点検していきたいというふうに考えて具体的に進めております。  なお、いまCMについて何か具体的な例がないかというお話ですが、こういう時世でございますので、物を節約するとかあるいは電力を節約する、こういうようなことで、われわれ放送局のほうでは必ずしも拱手傍観しておるわけではありません。いろんな、物については節約をしたらどうかというようなこと、あるいは買いだめ、買い占めに対しては心配しなくてもいいんじゃないかというようなことについて、スポンサーのほうへもいろいろサゼスチョンをしております。現に、一つ例を申しますと、これは洗剤メーカーのCMでございますが、そのCMの中にテロップを入れまして、そして洗剤は十分生産され、販売されるから御心配要りません、というような趣旨のことを入れてもらっております。それから、最近、ある社のほうでは、たとえば冷蔵庫、そういうようなものを、電気製品を使う場合にはこういう方法ですれば電力は経済になりますからという意味のことばを入れる、あるいはトヨタの自動車のCMには、こういう使い方をすればガソリンが経済になります、というようになってきております。これからいろいろ社会情勢も変わりますが、大体、木島先生もよく御存じだと思いますけれども、売らんかなあるいはもうけんかなということではなかなか、社会ではそれを認めなくなってまいりますので、いわゆるイメージとか、あるいは社会広告的なものがふえつつあります。そういう方向に行くんじゃないか、そういう一つの転機があるのじゃないかと、こういうふうに考えております。
  170. 木島則夫

    木島則夫君 前に私が委員会でその問題を提示いたしましたあと、ヨーロッパあるいはアメリカまで視察にいらしって、その結論を早々に発表できるというような意味でのお答えは、私、たいへんうれしいのです。私もマスコミに育った人間として、やっぱりテレビというものがほうとうにおとなになって、いい意味で育っていってほしいというふうに考える一人ですから、あえて、苦言ではあるかもしれないけれど、あの時点では、ぼくは提示をしたのです。そういう意味杉山さんにお礼を申し上げたいと思います。また、その結論が出ましたら、やっぱり大きな声でこれはおっしゃっていただきたいと思うのです。  で、さっきの、せっかくここに小谷委員もいらっしゃいますので、こういうところでやっぱり野党の連携プレーが必要になってくると思うのですね。いわゆる清涼飲料水を扱っている会社が、王冠を送れば景品をあげますよという、それがいわゆる郵便の選別機にはからないで、しかもほかの郵便物を破損をするというようなことでたいへん迷惑をしている。こういうものは、私は、やっぱり民放連、しかるべきところで、もう即刻注意をして、連携プレーをとっていただく意味で即刻、私は、何と言うか、訴えるべきだと思いますね。  それから、この間、さっきのトヨタというお話がございましたけれど、私も車を実は運転します。たまたま運転してたらそのコマーシャルが出てきたのですね。あまり吹かしても意味がないのですよと、あぶないばかりでなく、ガソリンが消費されるのですよ、というものを聞いてたら、非常にやっぱりそれが効果的です。そういう効果的、時宜にかなったものもあるけれど、中には、悪いけれど、紙がすっからかんになくなったときに、ほんとうにほんわかムードで、楽しさ一ぱいでティッシュペーパーをこう、盛んにティッシュペーパーの箱からパッパッ出してる。そういうように、やっぱり主婦の感情、国民感情をさかなでするようなことも往々にしてあるわけですね。ですからもう、たとえば一クール先に取っちまうとか、あるいは先取りをしてしまうという制約はございますけれど、テレビの私は一番大事なものの一つが機動性であるとするならば、もう先どりしたコマーシャルフィルムもそこで置きかえて、さっきおっしゃったように、洗剤は十分あります、紙もあります、ただ流通段階で詰まっているんです、というような、そこで社会情報に切りかえるくらいの、私はテレビ局の自主性があってしかるべきだと思いますね。これはもう杉山さんは百もそういうことはお考えになっていらっしゃると思います。現にこの間私が見て、この差し迫ったときにこんなにのんびりムードをして、ある不動産会社はこの土地のない高いときにただマイホームの夢ばかりを前面に押し出してほんわかムードでやっている。そういうものが一体どういうふうに視聴者の神経に写るかということですね。非常にテレビの果たすいま役割りは大きいと私は思います。そういう意味で、ニュースそのほかでは社会情報の提供では実によく対応してやっていらっしゃるのにもかかわらず、一部分そういう対応がないと、なんだい、民間放送もということになると、テレビ全体の評価にも私はつながっていく。それがまた政府の足がかりにもなったらつまらないと思いますから、これは蛇足ですけれど、杉山さんに申し上げておきます。これはお答えけっこうです。  で、先ほどの王冠の問題は、小谷委員とも関係がございますのでお取り上げいただけますか。
  171. 杉山一男

    参考人杉山一男君) 民放連で研究さしていただきます。
  172. 木島則夫

    木島則夫君 さて、そこでですが、私もさだかではないのでこれは政府にお伺いしたいのですけれど、放送局の電力節減について五百キロワット以上の放送局の節電のしかたと、五百キロワット以下の放送局の節電のしかたとでは多少ニュアンス、やり方が違っていると思いますけれど、簡単でけっこうです、ちょっと教えてください。
  173. 杉山和男

    説明員杉山和男君) ただいまの石油危機からまいります電力の不足に直面いたしまして、通産省では十二月につきましては行政指導ということで三千キロワット以上の需用家に対しまして一〇%程度の節電を大臣名で要請しておるところでございます。  それから、一月以降につきましては、さらに状況が悪化するということから内部でどういう使用の節減をお願いするかということについてただいま検討中でございます。法律的な面から申し上げますと、電気事業法第二十七条というところで使用電力量の制限をできるという規定がございまして、これが政令でいろいろ制約条件がございまして、現行政令では五百キロワット以上の受電設備を持つものについて行なえるという制約が政令であるわけでございます。
  174. 木島則夫

    木島則夫君 それに関連して五百キロワット以上の場合に時間量で制限をする場合と——私はこれはまた聞きですからちょっと不勉強で恐縮です、ここのところは。時間量で制限するのか、あるいは五百キロワット以下の放送局がある日一日休むことで、いわゆる節電に協力をするのか。その辺のこまかいことはわかっていますか、ちょっとその辺を聞きたい。   〔委員長退席、理事小谷守君着席〕
  175. 杉山和男

    説明員杉山和男君) ただいま不十分な答弁で恐縮でございますが、電気事業法二十七条には電力が足りない場合の制限のいたしかたとしまして、先ほど申し上げました電力量、キロワットアワーの制限、それから休電日をきめまして、一定の日時をきめて電気を使わないというふうな制限のしかたもございます。これがすべてではございません。その二つがございます。いま私どもが検討いたしておりますのは、キロワットアワー、電力量で一定の水準に対しまして、どの程度節減をしていただきたいということを法令の内容として含めることを検討中でございます。それでいま御指摘のございましたのは、あとのほうでございますが、休電日の指定、これは連続操業をしているような製造業について一体どうするのか。それから五百キロワット以下でございますと、いまのところは先ほどの第一のほうが適用にならないわけでございまして、やるとすれば休電日というようなことが考えられるわけでございますが、これはむしろ小さなところだけに対しまして一日休ませるということが妥当かどうかという均衡論があると思います。私ども慎重に検討しておるわけでございます。たとえば二〇%以上の節約ということを電気使用量の制限でみました場合に、単純に考えまして一週間営業しておるところが一日休めということになります。算術平均いたしますと、単純に割り算をいたしますと一四%の節減ということになるわけであります。しかし、そういう電気の需用者の中には、いや自分のほうは二〇%の節減をするけれども一日も休みたくないというふうにおっしゃる需用家が当然おられる、その辺の大きな均衡論ということについてはただいま検討中でございます。
  176. 木島則夫

    木島則夫君 私が申し上げたいことは、やっぱり、非常に有機的に考えてもらいたいということ、弾力的に。それじゃないと、休電日を設けて、五百キロワットアワー以下の電力を使っているところが休んじゃった場合に、せっかくネットを組んでいるキー局から送られてくる番組が出せないなんということにならないように、そこは重々ぬかりはないと思います。これはお答えけっこうです。  結局、いままで伺ったところではコマーシャルヘのしわ寄せ、こういうものに対しても民放連はいままでにない姿勢で取り組んでこれを検討してくだすっているということであるし、また政府としてもこの緊急事態に悪乗りをして、便乗をして決して統制のにおいを出すものでないという、このことについてはいま確約をしてくだすった。私のきょうの質問のこの項目の中での質問の大半はもうこれで終わりたいと思いますけれど、もう一つ、私はこれは電力制限とは一応切り離して考えたい。しかしまあ完全に切り離してということはできないんですけれども、一体テレビのあり方について現在の複雑な、しかも価値の多様化した社会ではテレビの果たす情報提供という役割りは新聞と同時に非常に大きい。これは私もそれを全幅的に認めるわけです。だからこそ質量ともに充実することが大事なんだという意見と、もう一つ、朝暗いうちから深夜まで延々とテレビが放送されているこういう状況がはたして人間にとって正常な状況であるのかどうか、この際ひとつ国民生活を総点検をするという意味で、もうそろそろ見直すべき時期ではないだろうか。といって私は何もいわゆる民放、NHKを含めて、何というかワクをはめようなんということはさらさらございません。要するにテレビの質的向上を目指すあまり私はこの発言をしているわけですけれど、これはまず民放連の杉山さんあたりにお伺いしたいんでございますけれど、テレビの将来の問題として、人間生活のあり方の問題として、また文化的の立場から、もう一度、それこそ暗いうちから深夜まで、朝方近くまでこういう放映をされていることが正常な状況なんだろうか、こういう検討をされているか、またこれからするおつもりがございますかどうか、お伺いしてみたいんです。
  177. 杉山一男

    参考人杉山一男君) いまの木島先生の話は非常に大きな政治的なものを含んでおるわけでありまして、私、個人的な見解はいろいろありますけれども、民放全体の問題ということになれば民放連は理事会にかけて話をするわけであります。私たちは二十日の理事会で、この電力節減問題に伴う放送の今後の問題についていろいろ懇談することになっております。したがいまして、その結果が出ればお答えできると思いますけれども、いまは先生のそういう話を踏んまえて二十日の理事会でいろいろこういう先生からの御意見があったということを御紹介しておきたいと思います。
  178. 木島則夫

    木島則夫君 まあ、実は私はその理事会があるということを伺っておりましたものですから、そこでの議題にひとつ取り上げていただけないだろうかという意味も込めて、いまこれは私がこうしなさい、ああしなさいなんと言っているんじゃありません。国民の皆さんに問いかける形で、もう一回テレビを見直す問題を、むしろ、民放のほうが御提供になる時期ではないだろうか、そういう意味で申し上げたわけでございます。そういう時期でございますから、ほんとうは私、郵政大臣にも、通産政務次官にもお伺いをしたかったんですけれど、ここでの御発言がその理事会に影響をするということを私は配慮をいたしまして、この問題は、むしろその理事会でのお話が出たあと、また別の機会をもって私は質問をさしていただきたいと思います。テレビの項目については以上で私は終わります。  さて、それから郵政大臣にこれはじかにお伺いしたい問題です。先ほど小谷委員の質問にもございましたけれど、年末というのは、大臣、郵政当局にとってはえらいたいへんな時期ですね、これは、たいへんな時期だと思います、これは。つまり、ストによる郵便滞貨をなくし、同時に、それこそ膨大な量の年賀はがきの元旦配達を確保しなければいけない、当局にとっても、また、現場の第一線に働いていらっしゃる職員の方にとっても、私は、これはたいへんなことだというふうに申し上げたい、ほんとうに御苦労さまですというふうにおなぐさめのことばを申し上げたいわけです。  そこで、この年賀はがきのあり方、さっきのテレビのあり方ではありませんけれど、この年賀はがきのあり方について根本的に考えてみる必要はないだろうか、私はたいへんしろうと的な発想をします。だから、お前の発想は無謀であるというふうにお考えならば、遠慮なくそうおっしゃっていただいてけっこうです。それは年々ふえる年末の滞貨に加えて、年賀状の元旦配達というのは非常にいろんな意味で私は重荷になっていると思います。労使の正常な関係ができれば、元旦配達もスムーズにいくんだよというような言われ方もされておりますけれども、どうもそういう労使の状況にはまだまだ近づいていない。そういう状態の中で、年賀郵便がまた労使の紛争の種にもなるといったように悪循環を何か繰り返している。私は、ここでしばらく労使の問題から離れて、年賀状の根本的なあり方についてちょっと伺ってみたいと思います。大臣は、やはり年賀状というものが元旦に届かないと気持ちが悪いですか。
  179. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) これは人いろいろ考えがあろうと思います。したがって、これに類するものには、諸外国では宗教的な背景でキリストのクリスマスのカードというようなものがありますが、これは二十五日に別に配達されるものではありません。いまでもわれわれの手もとへまいります。しかし、年賀状というのは、日本の郵便という制度ができて以来、日本人の長いしきたりの中の、お正月おめでとうというものが、この制度に結びついて長い伝統となっております関係から、お正月がきたというときに、一月元旦の自分のところをおとずれてくる年賀者以外に、はがきがそこへくるということで、年が改まったという感じを持つものでありまして、私はできることならやっぱり一月一日にいただいたらうれしいという気持ちは、自分、個人的には持っております。
  180. 木島則夫

    木島則夫君 そうでございますか。私も、別に一月一日に届けられていやだなんということは言っておりません。これはたいへんありがたいと思うし、それに伴う御苦労というものは、ほんとうにはかり知れないものがあると思いますけれど、何か昔はお正月になって年賀はがきというのは書いたものですね。いまは売り出し開始が十一月の五日、早い人は十一月中に印刷しちゃって、そして受け付けの十二月の十五日になると一番乗りをしたなんといって、それがまたニュースになる時代ですね。で、私は何かそういうことは総需要を抑制し、エコノミックアニマル的な日本の行き方を是正していく中で、何かそれに逆行するようなムードをいままで盛り立ててこやしなかっただろうか、非常に斜視的な見方かもしれません。そういう意味で、現場の職員の方も、私は、それこそ正月二日、三日というよりも、七草のうちに年賀郵便というものは届けばいいように感じるんですよね。あんまり一日にこだわるあまり、八〇%が一日に配達をされる、アルバイトを雇う、それこそ郵政の機能が破裂しそうな形でフルに稼働をする。それがいろんなところにしわ寄せになる。一ぺんにやっちまったほうが効率的で経済的だという考え方も半面あると思いますよね。だけど、私はもうこの際、ユックリズムとか、総需要を抑制するんだというような考え方がある以上、何かあまり元旦配達、元旦配達にこだわる必要ないんじゃないだろうか、この際発想の転換、つまりたいへんしろうと的な、乱暴な発想かもしれないけれど、これも何かの機会に私は郵政当局で御検討願えないだろうか、一つの話題にしていただけないだろうかというふうに、いま、提案をしたいんです。どうでしょう。
  181. 石井多加三

    政府委員(石井多加三君) 年賀状の基本的なあり方についてのただいまの御質問でございますが、まあこの年賀状の習慣というものは非常に古いということも大臣からお答え申したとおりでございますけれども、実はここ十年ぐらい前——昭和三十七年、八年ごろの年賀状の差し出し通数は約十三億通だったわけでございます。その当時のいわゆる官製はがきと申しますか、私どもで出しております通常はがきの年間の発行枚数が、約やはり十三億通でございます。年賀状と一年間の通常はがきの枚数が大体いまから十年前はバランスがとれて、同じぐらいな数字だったわけでございます。それが現在でも年間を通じて発行いたしております官製はがき、通常はがきのほうは多少減少し、あるいはまあ横ばいで今日まで来ておるわけでございまして、それに対しまして、いまの年賀状は、御承知のとおり、ことしは約二十三億通と、もう一年間の官製はがきよりも倍近い膨大な数字が出ておるわけでございまして、このことはいろいろ虚礼とかなんとかいったような御批判もあるかと思いますが、私たちから見ますと、通常のはがきをお互いにあまり書かないということになって、個人通信がだんだん減少しているということは、まあそういったこともあると思いますけれども、一年に一回勝負すると申し上げると、まあことばが悪いかもしれませんが、そういった傾向もあるのではなかろうかと。したがいまして、これは一年間の通信が、むしろ平常の通信がこちらに肩がわりしておるのであって、決してわれわれ事業をやっておる者から見ますと、人口が伸びておる、一般の郵便がふえておる中で、平常の組織はむしろ減っておる中で、年賀状は全体としてやはりこのぐらいのふえ方でいいのではないかというふうな見方もしておるわけでございます。  なお、これの配達のしかたにつきまして、もっとマンマンデーでいいじゃないかという御指摘、これはいろいろお考えがあろうかと思いますけれども、二十三億通にものぼる膨大な通数がいずれにしても出るわけでございまして、これを配達するしかたといたしましては、やはりまあいろいろ組合問題がありましても、一月元旦に、十二月三十一日の午前までに配達の郵便局に到着したものは完全に元旦に配達すると、それ以外のものは、やはりいろいろだだいま御指摘がありましたように、年賀状をもらってからまたお書きになると、いわゆるわれわれのほうで帰り年賀と申しておりますが、これは全体の中で二割ぐらいございますので、やはりこれが六億から七億ぐらいはあるわけでございます。したがいまして、われわれとしては、年末までに出されたものは元旦に配達するということ、これをマンマンデーにやりますと、毎日配達することになりまして、かえって人的なあれからいきますとロスにもなるわけでございまして、現在の配達のしかたが一番いいとは思いませんけれども、来年からは二日の問題も、先ほど申し上げましたようなことで休配にいたしまして、その分は三日ないし四日にまとめて配達するというようなことで今後も進んでいったらどうかというふうに考えておりますことをお答えいたします。
  182. 木島則夫

    木島則夫君 この問題もひとつ、基本的な年賀状のあり方として何というのですか、検討をしてくださいよ。   〔理事小谷守君退席、委員長着席〕  私は、やっぱりむしろ、こう、日本人のセッカチズムというのですか、田中さんはやたらにせっかちな方ですけれど、田中さんに代表されるそういうものを、やっぱり年賀状のああいう集配のしかた、あり方がかき立てているようなところもありますので、単なる経済効率だけではもうこれからの世の中はいかないんだということを根本に据えていま問題提示の形で申し上げたわけです。  最後に、もう時間がございませんので簡単に郵政大臣にお伺いいたします。  それはインフレによる貯蓄の実質減価問題ですね、このことについて簡単にお話を伺いたいと思います。最近のこの異常な経済情勢のもとで国民の貯蓄動向にもいままでに見られなかった傾向が出てきているということです。去る十七日の、御承知かと思いますけれど、日経新聞によりますと、最近における銀行預金の利用状況というものが定期預金よりも出し入れ自由の普通預金の伸びが著しいということであり、また郵政省のここにありますこの資料で拝見しても定額貯金の伸び悩みに対して通常貯金が異常な伸びを示すという同じ傾向が実はあらわれている。結局、これはこんなような物価上界、インフレの激しい中で貯金をしても結局損をしちまうんだから、まあ当座先行き不安な現状では当座預金にとりあえず入れておいたほうがいいやという、私は国民の敏感な心理のあらわれだというふうに解釈をしたいんです。そこで私は郵政大臣というのは、ほかの大臣もそうでしょうけれど、ほかの大臣に比べて庶民につながる接点、庶民との接点を一番大きく持っているのが実は郵政大臣ではないかというふうにも私は申し上げたい。そういう意味で、いま言ったようないわゆる預貯金の動向を、零細貯蓄を預かる郵政大臣はどういうふうな気持ちでお受け取りになっているか、簡単でけっこうです。まず伺います。
  183. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) いまの御趣旨のお示しになった資料ですね、郵便貯金のほうは定額貯金も郵便貯金も伸びているというように私は承知をいたしております。これはまた事務当局から答弁をさしていただきますが、この間も郵貯法の改正をお願いいたしまして法律第一号として今国会で通過をさしていただきましてありがたいと思っておるのでございますが、総需要抑制ということが最大の課題である今日、国民の皆さん方に確かにインフレ下にあって貯金をしてみてもそれよりも物価の値上がりのほうが激しいやないかと、こういう御議論は議論としては私当然起こってもしようがないと思います、これは。しかし、それで皆が買いあさったら一体どういうことになるかということを考えていただくと、まず貯金をしていただく。それから使っていただきたいと、そういう点でどうしたらいいかというときには端的に、簡単に言いましたら金利を上げて、そしてひとつ貯金してください、こういうような手だてをしなければならないであろう。この間の限度額の引き上げもさようなことでありましたし、金利を定期で上げたと、こういうことも一つの手だてでありましょう。そういうことでございます。
  184. 木島則夫

    木島則夫君 結局、まあ要するに庶民のこの零細貯蓄が国の建設、公共投資にいろいろ役立っている。しかし、せっかく預けても物価が一四%、一五%も上がっちまったら結局損をするんだというこの実感ですね、これをやはり私は庶民に一番接点の大きい郵政大臣としてははっきりとまず認識をしていただくということを前提にしまして、大蔵省では宝くじ付き定額預金の創設を検討しているようですけれど、郵便貯金の場合はやろうと思えばこれができるようになっているようですけれど、これを郵政省でも検討をしておりますかしら、いかがですか。
  185. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) 検討いたしております。これはやはり大蔵省とも金融関係で同じような関係もありますから、わがほうはもうすでに行なえるという何がございますから、密接に連絡をとって検討いたしております。
  186. 木島則夫

    木島則夫君 私はあまりにもオーソドックスな考え方過ぎるのかもしれませんけれど、さっき王冠を送れば景品がくるという、そして郵便の年賀状のあり方については一年に一度の一発勝負だというようなおことばから、何も足がかりをつかむわけではありませんけれどね、何か私は、たとえば金利を一般の預貯金よりも低くするかわりに、その預貯金証書の番号で宝くじをつくって、高額の賞金を出すというか、何かこうあまりにも射幸心をそそるようなやり方ではないだろうか、そういうことよりももっと本筋のことをやっぱり国民に提供することが最初なんではないだろうかと、そういう意味で、競馬と一緒にしちゃ悪いですけどね、大穴が、まあ大穴が出るというといけないけれど、何か一発勝負、射幸心をねらうというような私はニュアンスを強く感じてしかたがない。もう時間がないですから先に行きます。  要するに、これからの消費者物価の上昇は、政府発表では十一月の対前年同月比で一四・八%の上昇、先日発表された国民経済研究所の経済予測によりますと、来年の一月から三月期の物価は対前年同月比卸売り物価で三〇%、消費者物価二三%というまさに破局的なものがいま予想されていると、日銀の調べですと勤労者一世帯あたりの貯蓄額は四十七年度末で百七十三万円です。これはもう御承知のとおりです。しかし、こんなに異常なインフレでは、さっきから言っているように、貯金をしても損をするばかり、物価上昇にからむ預貯金の目減りを政府が補償しなさいという声が出てくるのも私は当然だと思いますね。同盟の中の全繊同盟あたりも、大蔵省、日銀を相手取って損害賠償請求の訴訟を起こす昨今、これはもう組合だけじゃなくて、一般庶民がみんなやりきれない気持ちでいると思います。同盟の賃金白書でも、平均貯蓄額百八十万としてこの七年間の物価の上昇から勘案しますと、実質五十万ぐらい損をしているのじゃないかということです。ですから、こういうことを踏まえて、異常なインフレの中で貯蓄増強をはかろうとするならば、少なくとも庶民のささやかな貯蓄については物価上昇に見合うくらいの高い利子をつけるとか、あるいは西ドイツで行なっている勤労者貯蓄へのプレミアム制度を導入するとか、インフレによる実質的な損失から庶民の貯蓄を守るためには思いきった措置が必要であるということ、そしてその思いきった措置というのは何かというと、いままでの常識的な金融政策ではとてももうだめだから、思いきって発想の転換が必要。異常なのは現在わが国が直面しているインフレそのものであるという確認に立つならば、私は思いきった、こそく的な、射幸心をそそるようなものでない、本筋のものができるというふうに私は確信をします。  二十七分ですけど委員長いいですか、一言お答えいただいて。
  187. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) はい、どうぞ。
  188. 木島則夫

    木島則夫君 よろしいですか。  それじゃ最後に、これだけを簡単でけっこうですよ、決意だけ聞かしてください。
  189. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) いまのプレミアムつきという、財形貯蓄の方針はこれはいま該当省と大蔵省の間で現行制度についての拡充ということで進めておる、これはわがほうはそれに乗って推進をしておる、検討じゃない、推進をしているほうであります。先ほど言いましたのは検討しておるということでございますから、決して、ことに一つ、二つと番号をつけるならばあなたの言われたあとのほうをまず進めておる、そのほか郵便貯金の中で持っております貸し付け限度が十万円という何が初めて行なわれましたけれども、郵便局へ行ってもお金が借りられるということは魅力でありますから拡充をしていきたい、今日の私におかれておる郵便貯金制度の中で十分に皆さん方に御期待に沿えるような点はひとつできるだけやってみたい、このように思っております。
  190. 木島則夫

    木島則夫君 どうもありがとうございました。  以上です。
  191. 野末和彦

    野末和彦君 まず、大臣にお聞きする前に、事情をNHKのほうから説明してもらおうと思うのですが、NHKが海外の在留邦人に向けていま国内で流している番組ですね、どんなものを提供しているか、海外のテレビ局にですね、この場合。それだけちょっと先に説明してください。
  192. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 提供いたしておりますのは、いわゆる番組交換という形で提供いたしておりますものと、それからNHKインターナショナルを通じまして有償頒布しているものとございまして、その中身はいろいろございますけれども、いわゆる自然もの、ドキュメンタリーものあるいは音楽番組ないしは一部コンクール等に入賞したドラマ等々でございます。
  193. 野末和彦

    野末和彦君 そうすると、海外の在留邦人向けの有償配布についてですけれども、その中で一番人気のあるのが大みそかの「紅白歌合戦」だという話を聞きましたけれども、事実ですか。
  194. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) おっしゃるとおりでございます。
  195. 野末和彦

    野末和彦君 そうしますと、この「紅白歌合戦」ですけれども、これが海外のいわゆるテレビ局ですね、この場合たぶん商業放送だと思いますけれども、海外の商業放送局にどういう形でいつごろから提供されるようになったのですか、ちょっとそれを説明してください。
  196. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 海外の放送局に提供されるようになりましたのは大体この四、五年のことでございます。それまではいわゆる外務省と共同でやっております巡回の、放送ではございませんで、公開の形式、それで在留邦人の方にサービスしておったわけでございますが、その後この四、五年来放送局に提供するルートが開けまして、放送局に提供するということもあわせて行なうような次第になったわけでございます。
  197. 野末和彦

    野末和彦君 放送局へ提供するルートですけれども、現在来任度の、つまりことし放送の来年度海外向け、それがいまどこの国に放映権を渡しているかということと、それから放映権を渡すについてどういう業者が、業者といいますか、仲介者がいるか、それをちょっと相手国別に説明していただきたい。
  198. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 現在話し合いを進めて大体合意に達しておりまするのは、アメリカのハワイ、それから香港、それからアメリカの西部の放送局、それにブラジルのサンパウロ等でございます。  それから、先ほど申し上げましたように、NHKインターナショナルを通じてNHKは提供しておるわけでございますけれども、NHKインターナショナルといたしましては、いわゆるコントリピューターと申しますか、その間にたとえばハワイ、香港等につきましては電通を通じて提供いたしております。西海岸のほうはオリエントフィルムという会社に扱わせております。それからブラジルにつきましては、直接ブラジルの放送局とコンタクトをとっておりますけれども、その間に丸紅商社が仲介の労をとっていると、こういうことでございます。
  199. 野末和彦

    野末和彦君 この計画はそもそも相手の、海外のテレビ局からNHKに直接依頼があってこういうことが始まったのか。それともいまの電通あるいは丸紅というような仲介者がNHKに働きかけて始まったのか、どっちですか。
  200. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) これは冒頭申し上げましたように、NHKといたしましてはできるだけ海外の放送局に国内の番組を頒布するということを積極的に考えたいということで、インターナショナルを通じて世界各国にアプローチしておるわけでございまして、したがいましてこれのアプローチの原点はNHK側からアプローチしている、こういうことでございます。
  201. 野末和彦

    野末和彦君 そこで大臣にお伺いするのですが、NHKは公共放送ですから、かりに「紅白歌合戦」を例にとれば、これは国内では公共放送としていわば国民の聴視料でもって制作されている公共性を持った商品ですね。商品ということばはこの場合、NHKの場合当てはまらないとしても、しかしそれが海外にいきますと、民間放送で流されている。当然スポンサーもついているわけですけれども、この公共性のあるものをNHKが民間ルートに流して、いわば民間ベースで取引をしている。もうかっているかどうかそれは別ですよ。民間ベースで商取引をしているということは、これは全然かまわないということなんですか。常識的に考えて何となく納得できないような気もするのですがね。
  202. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) NHKが外国に番組を提供する条文は、放送法の第九条の第二項の第七号ということでございまして、放送番組を「一般放送事業者の用に供し、又は外国の放送局に提供すること。」ということがございまして、NHKが独自に提供するということが可能なわけでございますが、その条件等につきましては法律的な事項ではございませんで、NHKの自主的判断にまかされておると、こういうような法律のたてまえでございます。
  203. 野末和彦

    野末和彦君 そこで大臣にお伺いするのですが、提供ということは番組の交換とか、提携とかいろいろあると思うのです。有償で配付ということになりますと、これはどうなりますか、一向にかまわないですか。
  204. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) ただいま申し上げましたように、番組の提供ということで提供に関する条件等については法律上の規定がございませんので、現段階におきましてはNHKの自主的判断にまかされているというぐあいに解釈しているわけでございます。
  205. 野末和彦

    野末和彦君 そうすると、極論すればNHKは営業をしてもいいわけですね。公共放送としてつくった番組を商品として、海外ならば、海外の民間テレビ局ならば業者を通じて有償で配付、はっきりいえば営業、売っている、これはいいということになりますね、NHKの自主的判断によって。
  206. 齋藤義郎

    政府委員(齋藤義郎君) NHKの性格からいたしまして、おそらくこれを売るといって、営利を目的とした商売をしておるということではないと思います。これはNHKに対しては禁止されておるわけであります。
  207. 野末和彦

    野末和彦君 もちろん商売でやっているとは思いませんけれども、結果として営業ルートに乗っているということは、これは全くNHKとしては自主的判断でかまわないと、意義があるからいいんだというならばまたそれはそれでいいんですが、その見解が聞きたいわけですが、大臣どんなものですか。
  208. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) これは法律論でなしに、常識でどう思うかというあなたのお尋ねと思ってお答えいたしますが、NHKは金をもうけて商売をするという性格のものではない、これは日本の国内でもあるいは外国においてでもそうであろうと思います。だから法律的にはそのことは問われないという場合においても、これは当然プレスコードだとか、あるいはテレビのコードとかいう守らなければならない基準のものとして、常識で行なわれておるものと思いますし、私はNHKはそういうことをむやみに金もうけをしておられるということはないと思っております。
  209. 野末和彦

    野末和彦君 金もうけでないのはわかります。しかし公営事業の、公共放送のNHKが営利目的の民間企業に、たとえそれが海外であろうが番組の放映権を有償で渡すということがどうも納得いかないんですがね。というのは、これらの番組がどういう形で現地でテレビに流れているかということが一つあるんですよ。これは当然スポンサーつきですから、こま切れになってまして、途中にCMが入って、それ自体はかまいません。しかし国内でやるように二時間半を続けてやるということでなくて、いろんな時間帯にばらばらにばらしている。中には日本語でなくて現地語でもって吹きかえられて、それで放映されているという形に事実なっているわけなんですよ、NHKもその辺は知ってると思いますがね。そういう形の提供になると、これは現地の邦人が全部見て楽しんでいるとも言えない面が実はあるわけですね。  そこで、外務省とNHKがつくっている無償フィルムが一番喜ばれているということになりまして、それをこれからお伺いするんですが、現実にNHKが金もうけでなくても意義を認めて放映権を渡した、それがそんなに望ましい形では放映されてないんだということなんですよ。だからぼくはどう考えても、何でそんなことを業者を——ディストリビューターを入れてやっているのか。しかも聞けばあまりもうからない、ましてや金もうけでやってんじゃないということになりますと、どうもその自主的判断というのがかなり安易で、なんとなく業者の要請でやってんじゃないかという程度にしか思えないんですがね、その点はどうでしょうか。
  210. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 御指摘の点につきましては、私どもも常々戒心して事に当たっているつもりでございます。大臣その他からお答えがございましたように、NHKは営利行為をいたしておりませんし、その業務を委託しておりますインターナショナルも財団法人でございますので、いわゆる営利行為はいたしておりません。ただし、提供する相手国の放送局の実体が商業放送であるという点は、これはその国の放送事業の事業形態でございますので、やむを得ないかと思うんでございますが、それにつきましても、できるだけ原形をそこなわないようにということの要望はいたしておりますし、いま御指摘のような点につきましては、なお実情を調査いたしまして、はなはだしく解体されるというようなことであれば、それについては話し合いをしなきゃならないんではないかというふうに考える次第でございます。
  211. 野末和彦

    野末和彦君 さて、それでいままでの話を前提にして、これからNHKと外務省が毎年共同で海外の在留邦人への福祉サービスの一環としてやっている「紅白歌合戦」のカラーフィルムの無料巡回ですね、これについてお聞きします。いまこの「紅白歌合戦」の十六ミリカラーフィルムの無料巡回が来年度の予定で何本どの地域を回ることになっていますか、簡単にお願いします。
  212. 穂崎巧

    説明員(穂崎巧君) ことし放映されるもの、これは来年になって回るわけでございますが、全体で十一本ございます。地域別に申しますと、カナダ地域、米国地域、中米地域、南米地域、これはブラジルを除きます。その次にブラジル地域、アジア地域、これにモンゴルと中国は入っておりません。なおインドネシア、マレーシア、シンガポールは次に申します大洋州の中に入ります。次は大洋州といま申し上げましたインドネシア、マレーシア、シンガポールの三国、それから中近東地域、アフリカ地域、西欧地域、東欧・北欧地域、東欧に東独は入ってはおりません。以上の十一本を配付する予定になっております。
  213. 野末和彦

    野末和彦君 それで大体世界に在留している邦人はカバーできると思うんですが、一つ疑問は、それだけ十一本のフィルムが回りながら、先ほどNHKの有償のルートを通して、ブラジルと、それからハワイとアメリカの西海岸と香港でしたね、その中のハワイと香港には回らないということになっていますが、ここは在留邦人もかなりいると思うんですが、そのハワイと香港には無料の巡回フィルムはこれは行かないんですか。
  214. 穂崎巧

    説明員(穂崎巧君) ハワイと香港につきましては、これはNHKのほうでおやりになっているので私のほうではやっておりません。
  215. 野末和彦

    野末和彦君 ということは、民放テレビでやっているから、無償のフィルムのほうはしないということですね。  今度アメリカの西海岸ですが、サンフランシスコ、ロサンゼルス、フレスノというこの地区は非常に日本人が多いわけですが、アメリカ全土に約六十万以上の邦人がいると、そこにはフィルム一本しかないわけですが、特にこの西海岸、在留邦人の固まった地域、ここには来年からはテレビでやはりNHKのものが回るんですが、ここには無料のフィルムはどうなっていますか。
  216. 穂崎巧

    説明員(穂崎巧君) アメリカの西海岸につきましては、NHKのそういうもの以外にわれわれの在外公館を通じましたものが回ることになっております。
  217. 野末和彦

    野末和彦君 アメリカは広いですからね、ニューヨークから回るわけで、必ずしもそこに十分に行き渡るとは思えないんですが、ただ私のほうで調べたところは——調べたというより外務省にいろいろお聞きしたときは、このアメリカの西海岸はテレビでやるから外務省の無料フィルムは回さないという報告を受けていたんですが、これは間違っているんですか。
  218. 穂崎巧

    説明員(穂崎巧君) これはただいまこちらへ参りましてから確かめたところでは、先生に間違ってお教えしたということでございます。ひとつお許しいただきたいと思います。
  219. 野末和彦

    野末和彦君 そうしますと、この西海岸の場合は、あとで私の希望を言いますけれども、いずれにしても日本人が多過ぎまして、たった一本のフィルムを一年間に回すというにはあまりにも少な過ぎるので、もう一本ぐらいふやすのは当然だろうと思っているんですが、たとえばハワイの場合、いただいた資料によりますと、要するにハワイについては、現地のテレビ局、ラジオ局が放映権及び放送権を取得する予定につき巡回上映は除外というふうに書いてあるんですよ。これを見ますと、何かNHKのルートを通していったテレビ局でやるから無料のフィルムはしないんだと、何か放映権の手前外務省はしないというように受け取れるんですが、現実にはやっぱりそういう意味でこの地区を除外しているわけですか。
  220. 穂崎巧

    説明員(穂崎巧君) これは外務省がきめたわけではございませんで、NHKとお話をした上で、ハワイにつきましてはわれわれのほうの上映はしないということをきめておるわけでございます。
  221. 野末和彦

    野末和彦君 そうすると、これは放映権があるからということになりますと、要するに相手の民間放送のテレビでやるから無料フィルムを回すとどうも好ましくないんじゃないかというような配慮が働いているわけですか。だから、在留邦人はたくさん多いと、無料フィルムを回せば喜んでもらえるだろうと思うけども、まあとりあえず控えているという意味なんですか。
  222. 穂崎巧

    説明員(穂崎巧君) これは先ほど申し上げましたように、ほかの地域では重複している個所もございます。ただハワイと香港につきましては、NHKと外務省で話し合いました結果、これはNHKのルートを通じて放映する、われわれのほうではしないということになっているわけでございます。
  223. 野末和彦

    野末和彦君 そこら辺がお役所仕事で、NHKと外務省がどうも安易だと思うんですよ。NHKのルートでやるから無料のフィルムはやらないと、ところが実際にはどっちが喜ばれているか、どちらが要望が多いかということを現地の報告外務省あたりはお聞きになれば当然わかると思うんですね。さっき言ったように、テレビでやるやつは、もうはっきり言ってそんなに見るチャンスもないし、時間がこま切れだし、まあまとまったものじゃない。ところがNHKと外務省が福祉サービスの一環としてつくっているものは、十六ミリのカラーフィルムですから、二時間半全部そのままやっているんですね。しかも会場に日本人ばっかりを集めて非常に喜ばれているわけなんです。だから、テレビがあるから無料フィルムのほうはやらないというのは現地の事情を全く知らないし、それから在留邦人の声を全く聞いていないやり方で、それだけじゃどうもなぜこの地区に回さないかはわからないのですがね。その辺のことを調べた上で、やっぱりNHKのテレビのルートがあればもう十分だと、無料フィルムはいいじゃないかというふうに単純に結論を出して外務省は今回も除外しているわけですか。
  224. 穂崎巧

    説明員(穂崎巧君) 外務省が除外したということではございません。たとえばサンパウロにつきましては従来と異りまして、今度は外務省のルートのものとNHKのものと二つ共映すると、共映すると申しますか、二つ行なわれるということでございますので、そういう方法も可能であると存じますが、今年度につきましてはとにかくハワイはNHKのほうにおまかせするということでございます。
  225. 野末和彦

    野末和彦君 ハワイだけでなくて香港もそういうことですよね。ですから、どちらがやはり一番喜ばれているのかということを現地の声を聞けば簡単に結論が出るわけなんですね。ですから理想はサンパウロの来年からやるように、テレビでもやるし、しかし、より在留邦人に喜ばれる無料フィルムをやると、二本立てでやるというのがこれがあたりまえだと思うんですよね。その辺で、現地の新聞なり邦人の声を聞きますとサンパウロの場合はたまたま実現したから文句ないようですけれども、何かNHKが、いわゆる営業的要素のあるルートを優先して、福祉サービスの一環でやっているこのフィルムのほうを一応その地区では、テレビの放映地区では除外してほしいと、締め出しているというふうに現地では受け取っているわけですよ。もちろんそんな事実はこっちはないと思いますけれども、NHKにひとつはっきりさしておきたいことは、契約事項か何かがあるわけですか、放映権を売り渡すときに。相手国に外務省の無料フィルムはやらないのが望ましいというような契約事項がありますか。それとも一切ないけれども何となく結果としてテレビでやっているところには無料フィルムがいかなかったと、どっちですか。
  226. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) 契約事項にはそういうことはございません。
  227. 野末和彦

    野末和彦君 そうすると、これは当然ハワイにも香港にも無料フィルムは回していいということになりますね。
  228. 坂本朝一

    参考人(坂本朝一君) たいへん適切な御指摘をいただいて恐縮しておるわけでございますけれども、私どもといたしましては放送事業者でございますので、やはり放送を通じて番組を海外に出すということをまず第一義的に考えたい。そして、もちろん野末先生の御指摘のように、邦人に無料でもって会場公開すれば喜ばれるということは十分承知しておるわけでございますけれども、まず放送事業者としてはテレビで放映されることによってより多くの方にNHKの番組が鑑賞していただけるということでそれを優先的に考えたわけでございますけれども、しかし御指摘の点について非常に在留邦人がお喜びになる、そういう方法をシャットアウトするというような結果になることについては十分今後検討しなければいけないというふうに考えておる次第でございます。
  229. 野末和彦

    野末和彦君 非常にそのとおりにやっていただければもう文句ないわけですから、ぜひ二本立てのほうをNHKのサイドでは差しつかえないというふうにしてほしいんですけれども、何かいかにもNHKが悪くて締め出したように私は言っていますけれども、現地ではそういうふうにとっているわけで、なぜわれわれがこんなに求めているものが来ないんだと、テレビじゃだめだという声がありますからあえてお聞きしたわけです。  そうすると今度外務省にお聞きしますが、NHKのほうが差しさわりがないと、一向にかまわぬじゃないかとなればやはり邦人の多いハワイとアメリカの西海岸を、アメリカに一本ふやすわけですね、もう一本。そういう形で、ことしは間に合わないかもしれませんが、次からは無償の福祉向けのフィルムというものをやれるあるいはやる意思がおありですか。
  230. 穂崎巧

    説明員(穂崎巧君) NHKのほうの御協力さえ得られればこれは十分にやることはできると考えます。
  231. 野末和彦

    野末和彦君 それならひとつ確実にその方法ですぐやってほしいと思います。NHKに別に営業しようという気持ちがあったわけじゃないことはよくわかりましたけれども、何となくいままでの、ずっとここ四、五年の様子を見ていますとテレビがやっているところはそれでいいから無料フィルムはやらないよということがそういう形できていますからあえてここでお願いするわけなんです。  そこでもう時間もなくなりましたけれども、もう一つ「紅白歌合戦」だけじゃなくてほかの番組が、もっと邦人の喜ぶ娯楽番組を外務省と協力して十六ミリにとってカラーフィルムにしてもっと在留邦人にPRとそれから娯楽、二つ目的を持ってかまわないと思うんですが、もうちょっとたくさん出したほうがいいと思うんですね、ブラジルの勝ち負け組なんという話もありますが、郵政大臣、これは外務省とNHKが直接やるわけでしょうが、これいまのお話をお聞きになってわかるとおり、「紅白歌合戦」だけなんです。大体喜ばれているのは。もう少し娯楽番組をふやしていまの日本をPRするように何か積極的に計画をふやすというような考えはありませんか。
  232. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) これはいまたまたま野末さんがNHKの「紅白歌合戦」をやっておる方法を具体的に取り上げていただいたんで私も勉強さしてもらったんですが、在留邦人はもちろんのこと、外国に対して日本の文化交流をするためには外務省——いまの場合はNHKですけれども、こういう面はますますふやしていくべきであると、私はそのように考えております。
  233. 野末和彦

    野末和彦君 じゃ最後に、さっきのに戻りますが、公共放送のNHKが営利目的ではないけれども、結果として営業ルートに業者を入れて番組を流すということをこれは今後検討すべきことですか。それともこれはもうこれで意義のあることだからかまわぬというふうに郵政大臣としては結論をお出しになりますか。一応それはどう考えても、これは法的にはともかく一般の人に話してもあるいはぼく自身でも何となく割り切れないような気がするんですよ。ですからあらためて検討なさるかどうか、それだけお聞かせ願いたい。
  234. 原田憲

    ○国務大臣(原田憲君) これちょっと非常に専門的なことですから扱う人が、いまの、先ほどの話を聞いていると、商社であったりその他であるということでそこで営利というお話が出てくるのかと思いますけれども、やっておる事業が、いま聞きますと福祉事業であるということですと、その仲介をしたものが営利を目的としておる商社であっても、その商社はほんとうにただあっせんをしただけというような場合もあり得ると思いますから、一がいにいまお尋ねになっておる点を私はすぐ受け取っていかぬということは言えないと思うんです。私の言っていますのは、NHKが、自分たちが向こうへ行って金もうけをする相手にもうけさしておるというようなことはこれはもう許されないことでございますから、日本と外国の間、あるいは在外におる日本人との間の文化交流であるとか、福祉関係のことをあっせんをするというものが、たとえそれが民間人であっても、その人がいわゆる中間搾取というようなことをしないならそれはけっこうなことじゃないかと、このように思います。法的な問題それからモラルの問題については万々法的違反であるとか、モラル違反であるというようなことはないように、NHKも、外務省はもちろんのことでありますがつとめなければならぬ、このように考えます。
  235. 野末和彦

    野末和彦君 最後に、繰り返しになりますが、来年からはひとつNHKルートのテレビのある地区にもフィルムを流すと、それからアメリカは広過ぎて、六十一万人に対して一本のフィルムじゃとうていカバーし切れませんから、西海岸用にもう一本ふやすということをひとつぜひ実現してほしいと思います。それ、お願いしておきます。だいじょうぶですね。
  236. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) ほかに御発言もないようですから、郵政省とそれに関係する日本電信電話公社の決算につきましてはこの程度といたします。     —————————————
  237. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 次に、派遣委員報告に関する件についておはかりいたします。  前国会閉会中、当委員会が行ないました国家財政経理及び国有財産管理に関する実情を調査し、もって昭和四十六年度決算外二件の審査に資するための沖繩県及び鹿児島県への委員派遣について、報告書が委員長の手元に提出されておりますが、口頭報告はこれを省略し、本日の会議録の末尾に掲載いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  238. 田中寿美子

    委員長田中寿美子君) 御異議ないと認め、さよう取り計らいます。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時一分散会      —————・—————