運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-05-30 第72回国会 参議院 運輸委員会 第18号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月三十日(木曜日)    午前十時十六分開会     —————————————    委員異動  五月二十一日     辞任         補欠選任      橘  直治君     永野 鎮雄君      黒住 忠行君     田中 茂穂君  五月二十二日     辞任         補欠選任      桧垣徳太郎君     渡辺一太郎君      藤田 正明君     松平 勇雄君      永野 鎮雄君     橘  直治君     茜ヶ久保重光君     小柳  勇君  五月二十三日     辞任         補欠選任      田中 茂穂君     黒住 忠行君  五月二十九日     辞任         補欠選任      黒住 忠行君     郡  祐一君  五月三十日     辞任         補欠選任      郡  祐一君     黒住 忠行君      江藤  智君     杉原 荒太君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正雄君     理 事                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 杉山善太郎君     委 員                 木村 睦男君                 杉原 荒太君                 橘  直治君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君    政府委員        運輸省大臣官房        審議官      原田昇左右君        運輸省大臣官房        観光部長     高橋 寿夫君        運輸省船舶局長  内田  守君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        運輸省自動車局        長        中村 大造君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        科学技術庁原子        力局核燃料課長  高田 利男君        通商産業省産業        政策局沖繩国際        海洋博覧会管理        官        増山 孝明君        運輸省大臣官房        参事官      佐藤 久衛君        労働省職業安定        局審議官     岩崎 隆造君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○理事補欠選任の件 ○運輸事情等に関する調査  (港湾行政に関する件)  (自動車行政に関する件) ○東北新幹線東京駅起点の実現に関する請願(第  一九六号) ○北陸新幹線長野県内ルート及び早期着工に関  する請願(第三五九号) ○上田交通別所線存続に関する請願(第三六〇  号) ○篠ノ井線全線複線化早期完成に関する請願(第  三六一号) ○産炭地筑豊地区「国鉄五十駅の無人、委託化、  貨物取扱い廃止」の撤回に関する請願(第六一  五号)(第八五〇号) ○総野線予定鉄道線路編入に関する請願(第一  二〇四号) ○バス交通確保に関する請願(第一六三五号) ○精神薄弱者に対する運賃割引制度創設に関す  る請願(第二一二八号)(第二四七九号)(第  二六一三号)(第二八一一号)(第二八四八  号)(第二八四九号)(第二八五〇号)(第三  〇四八号)(第三〇四九号)(第三〇五〇号)  (第三〇五一号)(第三〇五二号)(第三一二  二号)(第三一二三号)(第三一二四号)(第  三一二五号)(第三一四一号)(第三一四二  号)(第三一四三号)(第三一四四号)(第三  一四五号)(第三一四六号)(第三一四七号)  (第三一四八号)(第三一四九号)(第三一五  〇号)(第三一五一号)(第三一五二号)(第  三一五三号)(第三一五四号)(第三一九八  号)(第三二九七号)(第三二九八号)(第三  二九九号)(第三三〇〇号)(第三三〇一号)  (第三三〇二号)(第三三〇三号)(第三三〇  四号)(第三三七四号)(第三四四八号)(第  三四四九号)(第三四五〇号)(第三四五一  号)(第三四五二号)(第三四五三号)(第三  四五四号)(第三四五五号)(第三四五六号)  (第三四五七号)(第三四五八号)(第三五二  五号)(第三五二六号)(第三五二七号)(第  三五二八号)(第三五二九号)(第三五三〇  号)(第三五三一号)(第三五三二号)(第三  五三三号)(第三五三四号)(第三五三五号)  (第三五三六号)(第三七九二号)(第三七九  五号)(第三七九六号)(第三七九七号)(第  三七九八号)(第三八二八号)(第三八二九  号)(第三八三〇号)(第三八三一号)(第三  八三二号)(第三八三三号)(第三八三四号)  (第三八三五号)(第三八三六号)(第三八三  七号)(第三八三八号)(第三八三九号)(第  三八五一号)(第三九一八号)(第三九三五  号)(第三九三六号)(第三九三七号)(第三  九三八号)(第三九五九号)(第三九六〇号)  (第三九六一号)(第三九六二号)(第四〇九  三号)(第四〇九四号)(第四〇九五号)(第  四〇九六号)(第四〇九七号)(第四〇九八  号)(第四〇九九号)(第四一〇〇号)(第四  一二一号)(第四一二二号)(第四一三二号)  (第四一三三号)(第四一三四号)(第四一三  五号)(第四一六一号)(第四一六二号)(第  四一六三号)(第四一六四号)(第四一六五  号)(第四一七七号)(第四一九二号)(第四  一九三号)(第四二三三号)(第四二三四号)  (第四二三五号)(第四二三六号)(第四二三  七号)(第四二三八号)(第四二三九号)(第  四二四〇号)(第四二四一号)(第四二四二  号)(第四二四三号)(第四二八八号)(第四  二八九号)(第四二九〇号)(第四二九一号)  (第四二九二号)(第四二九三号)(第四二九  四号)(第四二九五号)(第四二九六号)(第  四二九七号)(第四二九八号)(第四二九九  号)(第四三〇〇号)(第四三〇一号)(第四  三〇二号)(第四三〇三号)(第四三六九号)  (第四六四四号)(第四七四三号)(第四八五  一号)(第四九〇七号)(第四九〇八号)(第  四九〇九号)(第四九八八号)(第五〇〇一  号)(第五〇〇二号)(第五〇〇三号)(第五  一四二号)(第五二八二号)(第五四七九号)  (第五四八〇号) ○精神薄弱者に対する運賃割引制度創設等に関  する請願(第二六九五号) ○野幌・栗山間の鉄道旅客運行存続に関する請願  (第三二〇〇号)(第三三九八号) ○交通安全、輸送確保に関する請願(第五二二四  号)(第五二二五号)(第五二二六号)(第五  二  二七号)(第五二三七号)(第五二三八号)(  第五二七四号)(第五三六五号)(第五四九四  号)(第五四九五号)(第五四九六号)(第五  四九七号)(第五四九八号)(第五四九九号)  (第五五〇〇号)(第五五〇一号)(第五五〇  二号)(第五五〇三号)(第五五〇四号)(第  五五〇五号) ○継続調査要求に関する件     —————————————
  2. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  郡祐一君が委員辞任され、その補欠として黒住忠行君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 委員異動に伴い、理事に欠員が生じておりますので、この際、その補欠選任を行ないたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事黒住忠行君を指名いたします。     —————————————
  5. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  6. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ここ数年来、海事海運は言うならば船舶が非常に大型化されてきたし、それだけではなくて機械化されてきた、言うならばラッシュ船であるとかコンテナ船であるとか、あるいは港湾荷役作業の面では象の鼻のようなものが出てきて、あれはサイロと言うんだそうでありますが、ばら積みのごときは港湾労働者は手も足も何も出ぬというような、それからかてて加えてカーフェリーの長距離、中距離化といったような動きの中で、在来の貨物輸送の形態であるとか、あるいは港湾における労働者荷役作業関係が急速に変化してきておる。これに対応するために国はもちろんのことでありますけれども、地方自治体、公共団体等相当資金をつぎ込んでおられるわけであります。  したがいまして、たとえば、七十一通常国会の中で港湾法の一部改正等もありましたが、ずばり第四次の港湾の五ヵ年整備計画を踏まえて、現状展望について、概要をひとつお伺いします。
  7. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 現在港湾整備は、いま先生おっしゃいましたように、港湾の五ヵ年計画に対応いたしまして整備を進めております。現在の計画昭和五十年を目標とする昭和四十六年からの計画でございまして、その計画の中で、昭和五十年の目標を、総トータル貨物量を一応二億一千万トンというスケールの計画を進めている次第でございます。現在まで順調に仕事が進んでまいりましたけれども、その間、先生のおっしゃいますように港湾近代化、これに対応するところの整備相当重点を置いております。たとえば外貿——外国貿易埠頭におきましてはコンテナを特に整備する。この中には、京浜におきましては京浜外貿埠頭公団コンテナ埠頭整備させます。また阪神におきましては阪神外貿埠頭公団コンテナ整備させる、このような姿で整備を進めております。また一方、荷役機械化、そのような姿に対しまして特別な物資専門埠頭等を選定いたしまして、先ほど先生おっしゃいましたようなニューマとか、あるいは機械化ができるような木材であるとか、あるいは鉄鉱石であるとか、それぞれの機械化ができるような物資専門埠頭を進める、このような形を持っております。  また内貿関係でございますけれども、内貿関係につきましては、やはり近年のカーフェリーの発達に対応いたしまして、埠頭におきましてもカーフェリー専門埠頭をつくっていく。これは埠頭公社というものを考えまして各地にそのような姿を進めている次第でございます。  簡単に申し上げますと、コンテナ埠頭につきましては、京浜におきましては大体十六バース——東京港十バース横浜港六バースの計十六バース計画しております。現在、四十九年度当初でそのうち供用になっておりますのは東京湾におきましては東京港五バース横浜港四バースの計九バースでございます。それから阪神におきましては大阪港六バース神戸港九バースの計十五バース計画しておりますが、現在供用されておりますのは大阪港三バース神戸港七バースの十バースでございます。そのほかフェリー埠頭につきましても、四十八年度末におきましてフェリー埠頭も九バース供用を開始している。このような姿で近代化に対する整備を進めている次第でございます。
  8. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この第四次の整備五ヵ年計画でありますが、本年度は具体的にはいま申されたような外貿埠頭公団事業であるとか、あるいは埠頭整備資金貸し付け事業であるとか、特定港湾施設工事——石油だとか鉄鋼であるとか、あるいは物資別専門埠頭というようなものを位置づけるために、ともあれ先立つものは予算であり銭でありますけれども、その点についてはどのように配慮されておりますか。
  9. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 計画期間の四十六年から五十年までの総投資額を二兆一千億円といたしておりますが、その中で、いわゆる国の関与する港湾整備事業は一兆五千五百億円でございます。それで先生いまおっしゃいました四十九年度計画は第四年度目に当たりますけれども、港湾整備事業の四十九年度事業費は二千七百五十七億、約二千八百億円程度になります。この四十九年度事業が完成いたしますと、先ほど申し上げました一兆五千五百億円の中で約六五%の進捗率になる次第でございます。
  10. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 今度は大臣にお尋ねいたしますが、七十一国会新谷運輸大臣の当時でしたが、港湾法の一部改正の中で、改正基本理念というものは港湾環境整備するということと、廃棄物処理等も含めてやはり公害を言うならば誘発をするということがあってはならない、かりそめにも港湾がいかなるシステムをとられても公害の原点となるような状態であってはならないということと、港湾保全、裏を返せば安全等の問題が港湾法の一部改正基本理念であったということであるわけでありますが、そういう関連の中で、いま私は質問をそこにしぼっておるわけですが、何か引き続きそういうような関係の中では、何かあなた自身お考えを持っておられますか。
  11. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 新しい五ヵ年計画を総需要抑制立場から一年延ばさざるを得ないような状況になってまいったわけでございます。したがいまして、明年度予算編成にあたりまして、この経済動向ともにらみ合わせまして、その計画をどういうふうにつくり上げるかということは一つの問題点であろうと思いますが、しかし基本的な理念といたしましては、先ほど御指摘がございましたような点を踏まえると同時に、廃油の処理でございますとか、あるいはごみ、あるいは流油と申しますか、そういうものの排除とか、あるいはまた港湾にふさわしい公園等整備いたしまして、環境保全というものになお一段と力を入れてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  12. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 概念的には大臣としてそういう把握、そういうもののとらえ方でけっこうだと思いますけれども、具体的な問題として、科学技術庁の実はきょうは原子力局長に来ていただきたかったんでありますけれども、説明者として課長来ておられますか。——そこで、言うならば港湾における物資別専門埠頭整備という問題に関連をして、放射性固形廃棄物港湾整備という問題に、かりそめの位置づけとポイントを置いて考えてみた場合に、やはり核問題に関連をして、核の原料から再処理に至るまでのいわゆる燃料サイクル現状展望について、概略をひとつ御説明いただきたいと思います。
  13. 高田利男

    説明員高田利男君) お答えいたします。  いま核燃料サイクルの問題でございますが、通常核燃料サイクルといわれるものにつきまして、簡単に説明さしていただきたいと思います。  まず鉱山からウラン鉱石を掘り出しましたのちに製錬いたしまして、これを濃縮したのち、成形加工いたしまして燃料棒に加工いたすわけでございます。この燃料棒原子炉にチャージいたしまして発電をするわけでございますが、二、三年使用いたしました後、その燃料棒を再処理いたすわけでございます。この再処理いたしました後、有用な物質でございまするウランあるいはプルトニウム、こういうものを分離いたしまして、ウランにつきましてはまたもとに戻しまして濃縮あるいは加工をいたして原子炉にチャージすると、これを普通核燃料サイクルと称しておるわけでございます。この核燃料サイクルの中でわが国に外国からどういうかっこうで輸入されるか、あるいは輸出されるかということでございますが、まず日本に輸入されるものは濃縮されましたあとの酸化ウランあるいは気化ウラン、こういった形で原料として入ってまいります。これを加工いたしました後原子炉にチャージするわけでございますが、原子炉から出てきました使用済み燃料の一部につきましては、外国に再処理を委託することがございます。  したがいまして、この再処理を委託する場合、やはり船に積みまして港湾から外国に出ていくと、こういうかっこうになるわけでございます。
  14. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 言うならば、概念的にはそうでありましょうけれども、具体的な問題として、いわゆる省エネルギーといって、石油にかわって発電をするためには原子力を国の方針として云々という問題が政治の大きな課題になってきておる。そういう方向づけの中で、具体的な問題としてこの辺はどういうことになっておりますか。たとえば四十七年の六月に策定された新原子力利用長期計画によれば、原子力発電については昭和五十五年度に三千二百万キロワット、昭和六十年度には六千万キロワット、六十五年度展望として一億キロワットを想定しているわけであります。ついこの間、これは通産省でありますけれども、通産省昭和六十年度のめどにおいて七千万キロワットの建設を打ち出しておるわけでありますが、この計画の可否は別として、長期計画によるというと、使用済み燃料処理需要というものは昭和五十年には百トン、昭和六十五年には二千六百トン、累積計算で一万九千トンに達するわけであります。  それから五十年度の初頭には、茨城県の東海村でこの動力炉・核燃料開発事業団というもので東海村の第一号プラントが稼働するわけでありますので、そういう経緯、経過の中から、いわゆる燃料サイクルからすると相当終末処理というものが、これは輸送をするとか具体的な問題として、たとえば原子力船むつ」はやはりむつ港を母港としておりまするけれども、歴史の流れの中では最初横浜のところへ位置づけようと、ところが飛鳥田市長はそれは困るというかっこうで、そういう経過を経て陸奥湾が母港ということで位置づけられたわけでありますが、そういう関連の中で、一体、このいま稼働しておる原子力それなりにありますが、そこから出ておる廃棄物処理というものは、プルトニウムという形だけではなくて、この放射性固形物質などは、たとえば海洋投棄をしておられるのか。それと一定の特定なところにこれは穴埋めをしておるのか。そういうような点について私がこれを視点としてとらえるのは、やはり港湾というものは大中小にかかわらず日本列島全域における海陸輸送接点であるわけでありまするから、日本のやはりエネルギー省資源というものを、現在の石油から発電をするという関係から原子力エネルギーを中心として発電をするということになれば、これは当然港湾という問題のあり方というものに関連をして、たとえばいま第四次五ヵ年計画があっても、将来の展望になるというと、大きな——これは先ほどちょっと申し上げたように、この港湾法改正理念というものは、港湾環境整備するということと、廃棄物処理等も含めてやはり公害というものを一切港湾から出さないというかっこうと、港湾保全、安全という面というものから、結局相当に機能しておった港湾を、一部改正でありますけれども、かなり基本理念を踏んまえて抜本的に改正をしておると、そういう方向づけの中にあるわけであります。  しかも、そういう中でいまあなたは燃料サイクル概念については一応さっと並べましたけれども、いまある事実について、やはりきょうは原子力局長に来てもらって尋ねたいと思いましたけれども、関係法案を本委員会は持っているわけじゃありませんので、大体の概念として、一応、その核燃料サイクルというものはどういうものであると、具体的にはたとえばいま敦賀においても、それから東海にしても福島にしても現に稼働しているわけで、まあこのウラン燃料ですが、濃縮ウランから稼働した結果それなりプルトニウムというものが出ておるし、それから大気中に放射されるところの廃棄物、いわゆる放射能は別として、この放射性固形物質というようなものもあって、そういうような廃棄物処理は、具体的にはたとえば横浜港でやはりこれをひとつ何とか——たとえば具体的な問題として東海村の第一号炉コールダーホール、これはイギリスから輸入した日本原子炉の第一号炉でありますが、この廃棄物処理についても横浜から積み出したいということでありますが、型のごとく飛鳥田市長はこれを断わっておる。これが日立港に今度は位置づけを転換されておりますが、そういうような関連の中で具体的な問題として、まあ将来の展望はあなたから聞かなくてもいいんですけれども、現実は、過去から現状まではこれをどういうふうに処理しておると、そういうことを、まあ港湾には御心配いただかなくても、こうなっているからだいじょうぶだということになるかどうか。その辺のことをとにかく追及ということではなくて、あるがままの状態をお伺いするということと、私はきょうは原子力問題を論議するということではないが、港湾のやはり整備という、そういう方向の中で物資別ということになって、たとえば石炭はどうであるとか、石油はどうであるとか、あるいはまたその背後地帯にはコンビナートというものができるんだと、いまは試験管でありますけれども、たとえば動力炉・核燃料開発事業団ですか、あの事業団試験管の中でテスト時代はやはり茨城で稼働しておりまするけれども、やがては私の予測ではむつ小川原のしかるべき拠点に大きなやはり核燃料処理工場流れの中で、いろいろな住民運動の抵抗もありましょうけれども、もしエネルギー資源原子力に置きかえるということならば、必らずそういう点でありまするから、そういう点についてやはりこれは原子力関係燃料サイクルがどうだとかこうだとか、公害がどうだとかこういうことだけでなくて、海陸接点という立場からやはりこれは相当に重大な問題として配慮を願わなけりゃならぬし、大臣としてもそういう点について政治的にも、この法改正精神からいっても、それはあわせ兼ねてそういう方向位置づけることもやはり展望の中では考え方の中にあるんだと、それはこれからやるんだと、この辺についても、ひとつ最初まあ科学技術庁燃料課長からお答えいただいて、関連してやはり港湾局長のほうからも、それなりの見解なり、なけりゃならないと、まだこれからならこれからだと、時間がありませんので、先へ急ぎますけれども、その辺をひとつ。
  15. 高田利男

    説明員高田利男君) それでは現状につきまして御説明申し上げます。  まず原子力発電株式会社東海にございますコールダーホール型の炉でございますが、これはほかの軽水炉と違っておりまして、出てまいります使用済み燃料は全部イギリスで再処理してもらうというかっこうになっておるわけでございます。したがいまして、使用済み燃料につきましては、現状のところ日立港からイギリスのほうへ搬出いたしております。それから敦賀でございますけれども、現在日本にまだ再処理工場ございません。したがいまして、これももイギリスで再処理してもらうということで、使用済み燃料イギリスに搬出をいたしております。なお使用済み燃料の再処理事業先生指摘のように、動力炉・核燃料開発事業団が現在建設を進めております。昭和五十年末には稼働することになっておるわけでございますが、これが稼働いたしますと、日本国内におきます再処理と申しますか、使用済み燃料の再処理のうち、一部分につきまして、約二百十トンぐらいの能力でございますが、その分は各地原子力発電所から使用済み燃料茨城東海村のほうに主として海送されることになります。  以上でございます。
  16. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) ちょっと、先ほど私答弁の中で間違いましたので訂正させていただきます。  現行五ヵ年計画の総トータル二億一千万トンとさっき言いましたのですが、金額が二兆一千億円で、貨物目標が三十三億八千万トンでございますので訂正させていただきます。どうもも失礼いたしました。  先生港湾整備五ヵ年計画における使用済み核燃料の運搬のことでございますが、現在の港湾整備五ヵ年計画におきましては、核燃料輸送のための特別の施設整備を見込んではございません。この種の輸送のための特別の公共の港湾施設整備が必要であるということになりますと、その段階におきまして五ヵ年計画の中に組み入れるということも関係省庁とも十分協議しながら検討するということはできると思います。
  17. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは若干次元が違いますけれども、事案の性質上申し上げまするけれども、御承知のように、日本には九電力を核として、電発——電源開発株式会社も含めて十あるわけでありますけれども、いろいろな使いわけをしていることは御承知のとおりだと思います。たとえば原子力産業会議や、あるいは電気事業協会がいろいろ言っておりますけれども、目標とするところは、昭和七十五年は言うならば西暦二千年になるそうでありますけれども、その時点において、水力と火力とそれから原子力発電とを等価値において、総発電四億四千万キロワットということになっております。それを単純計算しますと二億二千万キロワットが原子力発電になるわけであります。日本列島を取り巻いて、立地を四十点に大体マークしておるわけです。  大体日本原子力列島だということになるわけでありますが、その状態になってまいりますと、この核燃料の大気に発散するものは、これは公害問題ですから次元が違いますからきょうはどうこう言いませんけれども、つまり天然ウランではなくて、諸外国から——日本は御承知のように核拡散防止条約を批准しておりませんから、諸外国からいろいろと濃縮ウランを輸入してくる。しかし、いろいろな再処理技術によって相当プルトニウムも出るわけでありますから、空でやるか、あるいは海か、海陸接点でやるか、そういうような観点からいきますと、相当膨大な量になるわけであります。  そのために原子力船を政府がつくってやるんだということが本音であるかないかは別といたしましても、いずれにしてもそういう展望を描いてみまするというと、やはりいまは年次計画の中にはないけれども、将来各省庁で連絡をとればこれは重大な問題になってくると思う。そこで私は、今後各地における使用済み核燃料を海外へ——これはどうしても原料を買ってくるんですから向こうへ送り返さなきゃならぬ形になっておるわけでありますから、そういうような問題に対して、港湾の五ヵ年計画に、今日的には予算的に財政的に処置はしてないが、今後の展望の中で、一体四十九年度にはないが五十年度、そういうような次の計画についてはどのようにこれを配慮し、位置づけていこうというような、これは政治的な問題になりますが、そういう展望の中で、大臣から、それはまあ目下勉強ということになるか、考えてみようということになるか、いずれにしても見解をひとつこの時点でお伺いしておきたいと、こう思うのです。
  18. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のように、核燃料並びに使用済み燃料等の放射性物質輸送は、原子力発電の営業運転が増加するに従って増加するということは当然考えられることでございます。その取り扱いにつきましても、輸送の安全上の基準が定められておりますから、一般の公共埠頭での取り扱いについても特に問題はないと考えられますけどれも、しかし、その取り扱いが大量で、しかも定量化するというような場合についてはもう専門港湾あるいは一般の埠頭とは区別された専門の埠頭で取り扱われるのが私は望ましいと考えております。したがいまして、五ヵ年計画の中にも、いろんな将来の展望を織り込んで、そのような方向でひとつ考えてみたい、検討したい、かように考えておる次第でございます。
  19. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それでは、いま大臣の見解はひとつ勉強してみようというふうに受けとめられる。大体私もその程度で今日理解をしておきましょう。で、きょうは、実は時間があれば気象庁にも来ていただきたいと思いますけどれも、問題は放射性固形物質をいまは鉄のかんに詰めて、そしてそれをさらにコンクリートして、山積みしてあるとか、地下に入れてあるとか言いますけれども、たとえば気象庁なら気象庁で、日本海方面あるいは太平洋方面の深海に投棄をするというような問題についても、結局アメリカや中国は非常に領域が広大でありますけどれも、日本は限られた列島の中でありますから、海洋投棄というようなものがおのずから考えられるので、そういう点についても十分所管としては考えておいてもらいたい。口からものを食べればおしりから出るのだが、したがって、それをやることに非常な抵抗が、住民闘争がありましょうどけれも、大勢として国民の生活をどうするんだという、そういうぎりぎりの線までいけば、結局あらゆる仮定すべきものを仮定して、合意を得て、こうしようじゃないかというときは、この放射性固形廃棄物処理の扱いについては重大な政治課題、問題になるんだと。そしておよそそれは科学技術庁にしても文部省にしてもそれから運輸省にしても、これは他山の石ではないんだというようなふうに受けとめて、勉強しておいていただきたい。——これは次元の違う点でまた追及もし、また勉強をお互いにしたいと、こういうふうに思っております。  それからもう一つ、港湾問題に関連して、これは徳永運輸大臣にかわられてからの新しいなまなましい問題ですが、四十八年の六月初めに、北海道庁や、それからこれは開発庁も一枚かんでおりますけれども、北海道の苫小牧東部工業基地の中核となるような港湾計画をまとめていろいろと申請を出しておるわけであります。しかし、いろいろな住民の抵抗もあるし、その当時はまだ石油危機という問題も予測されないときであるから、備蓄もし、精製をするために一つの石油コンビナートというものがマークされておった関係がありまして非常な問題があったわけでありまするけれども、この環境保全立場から、今日的には四十九年の一月、港湾審議会で、結果において五十三年度完成という目標で、とにかく苫小牧の開港になっておるだろうと思います。この点について、この港湾法のやはり改正精神というものを十分重視して、認可をしておられると思いますが、現状はどのようなぐあいな計画になっておるか。これは大臣でなくてもいいんですが、ひとつお答えいただきたいと思います。
  20. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) 苫小牧の東部の計画でございますが、これは港湾管理者、すなわち苫小牧市と北海道の一部事務組合でございますが、苫小牧港管理組合、これがつくったものでございます。この計画のそもそものバックグラウンドは、苫小牧が昭和五十三年を目標といたしましたところの苫小牧市の東部開発計画の基本方針というものをつくりまして、石油精製あるいは石油化学、あるいは自動車、その他機械工場を対象といたしまして基本計画をつくりました。その計画に対応するところの港湾計画、これは昭和五十三年を目標とするところの港湾計画でございますけれども、それを港湾管理者がつくったわけでございます。この過程におきまして、非常に環境問題等に対するいろいろな努力を払いまして、特に北海道庁のほうで環境問題につきましては研究いたしまして、それを昨年の十二月に開かれました、いわゆる関係十一省庁、苫小牧に関する連絡会議である十一省庁にはかりまして、環境庁におきましてもこの環境問題を一応計画の段階においては認めたと、こういう姿でございます。  このような姿を受けまして、港湾審議会、昨年の十二月並びに今年の一月十二日に港湾審議会にはかりまして、運輸大臣といたしましてはその審議会の答申を経まして、この計画を承認したわけでございます。ただ、この計画全体の当初の計画そのものを一応認めたわけでございますけれども、経済の変化とか、あるいは立地企業の様子、あるいは立地企業が使うところの船の使い方等などを十分見きわめた上で、現在の防波堤の東の部分であるとか、中の部分であるとか、あるいは航路の配置の問題であるというところについては再検討しなさいと、あるところまでの段階において再検討しなさいということを運輸大臣港湾管理者に伝えてある次第でございます。  なお、いろいろのトラブルがございましたけれども、そこら辺につきましては十分地元の方々の誤解のないように配慮をしてくださいと、こういう点を条件づけまして、大臣は管理者に伝えたわけでございまして、現在港湾管理者におきまして、地方港湾審議会であるとか、あるいは組合議会、あるいは苫小牧市の議会、そういうところにも十分の説明を行なっているという次第でございます。なお、そのほか、たとえばこれには漁業組合等の関連がございますけれども、この事業の実施にあたりましては、そういう漁業者との意思の疎通をはかっていかなければいかぬ、こういう問題がございます。そのほか港湾区域を改正するというようなこともございます。現在、四十九年度事業につきましては、どちらかというと基礎的な仕事の予算をつけたわけでございますけれども、現在の段階におきましては、一応全部、四十九年度分の事業の着工はしておりませんで、いろいろ地元とのお話のほうに鋭意努力している最中でございます。
  21. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先へ進むことにいたします。  実は、先ほどまくらことばではありませんが、重大なポイントとして申し上げましたけれども、昨今の海運事情というものは船舶の大型化、機械化によってサイロ化であるとか、ラッシュ船であるとか、コンテナ船というかっこうによって日本の重要港湾はもちろんのことですけれども、海陸接点としてやはり港にはそれぞれの業があって、そのもとに雇用の関係、あるいは日雇い、登録というふうな関係で法的根拠を持っておった。言うならば、憲法に保障された、働く意思を持って、代々港湾労働者というかっこうで働いてきたのだ、ところがいま申し上げたような機械化あるいは大型化によって、たとえば日本港湾労働者あるいはそれを組織する労働組合もびっくりしたわけでありますが、具体的な問題としては、昭和四十六年の八月二十七日に横浜港にラッシュ船として初めてトマス・E・カフ号というのが入ってきた。そこで横浜においても神戸においても全港湾労働者はあわてふためいて、結局海上デモをやってこれを取り巻いていま横浜飛鳥田市長も中に入って、これは非常に問題があるからというかっこう——しかし、こういう事案は、やはり神戸港でも、横浜港でもあったという経過については、監督官庁として、運輸省あるいは所管局長は知っておられるはずでありますが、そういう関連の中で、一体こういう問題がなぜ発生しなければならないか、大体労使関係というものは、賃金の問題とか雇用関係とか労働時間とか労働条件という問題は起きますけれども、こういうことについて、なぜ外貿埠頭でピケを張ったか、その問題の背景と所在というものをどういうふうにとらえておられるか。  これはいいとか悪いとかいう論議では片づかないわけであります。憲法の二十七条に基づいて、おれたちは現にこの業をやってきた、そうして働く意思も能力もあるのだ、のにもかかわらず仕事がないじゃないかということになって、どうしてくれるのだというかっこうの問題が、これは要するにいま勝海舟論議をするわけじゃありませんけれども、ラッシュ船の第一号がいま申し上げた昭和四十六年の八月二十七日に入っておりますが、日本でもやはり鎌倉丸とか、あるいはこの間臨時船舶調整法の中で、いろいろな大型化によって機械化されてくる傾向があります。要するにこの問題の背景が一体どういうふうに視点をとらえて、一体どういうふうに対処していくべきかという問題については、これは運輸省でも労働省でも一応考えてまいらなければならぬ一つの重大なポイントではないかという、組織、未組織を乗り越えて港湾労働者と名のつくものと、業のほうにおいても、これは十分考えてもらわなければならぬ問題だというふうに考えるのですが、この辺についてひとつ。
  22. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) いま先生がおっしゃったような時代の中に、われわれが、また港湾関係者がいるのではないかと思います。私ども港湾労働の問題は、労働省とタイアップしながらやっていかなくてはいけないと思いますけれども、やはり港湾運送事業関係を担当し、また港湾整備等を担当している私どもといたしましては、やはり全体的な港湾輸送革新の中におきますところの港湾労働者が、その全体の革新の中で犠牲になってはいけないと、やはり全体の革新の中のメリットというものは社会が受けるわけでございますけれども、その革新のメリットの一部をやはり港湾労働者は持っていかなくちゃいかぬというような感じでやっていくべきではないかと、このような気持ちで私たちこの問題には対処していきたいというように考えております。
  23. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これは参議院選挙が済んで、また国会が開かれる状態の中で、現実を踏まえてお互いに勉強し合い、追求し合いながら落ち着くところへ落ち着けないというと、これは政治問題という様相をはらんでおりますので、大臣もその辺はお答えいただかなくてもけっこうでありますが、参議院選挙が済んで、改造があって、おれはもう関係ないではなくて、勉強をひとつしておいていただきたい、こう思います。  それで労働省のほうからはきょうはどなたが来ておられますか。——いま申し上げたようなことをもちはもち屋で概念的に把握しておられまするけれども、どんぴしゃりで申し上げまして、港湾における荷役方法ですね。貨物輸送形式が従来見られなかった変化が起こっているということは、もう国内においても、国際的な事実ですよ、これは開発途上国にいたしましても、先進国にしてもみんな五十歩百歩です、海運国では。そこで今後他に波及すると予想されるこの港湾労働者の問題、荷役作業の進捗状態、推移、運転の状況について、御承知のようにこのために実は昨年の六月に、ILOにおいて港湾における新しい荷役方法の社会的影響に関する条約というものが採択されておりますね。そういったような問題について一九七三年の港湾労働条約というふうに私どもはとらえておりますが、それは条約案と勧告案ということになっておりますけれども、これはもちろん多数の勧告案や条約案はありまするけれども、列島の日本を改造するといっても、あるいは内航、外航海運を整備し、貿易をというような宿命的な立地条件に置かれておるわけでありまして、そういうような問題について、このILOの勧告なり、あるいは条約という問題について、労働省あるいは政府としてはどういうふうにこれを理解し、いろいろな経過はありましょうけれども、努力の積み重ねによって、この条約をわが国に消化するんだ、やがては勧告を踏まえて批准するのだというような点については、ありのままの現状報告と展望について、これは別な次元で、また時間がありませんけれども、ひとつお答えいただきたい。
  24. 岩崎隆造

    説明員(岩崎隆造君) いま先生指摘の条約並びに勧告は昨年のILO総会で採択されたものでございます。私どもその条約に示された考え方ないしそれを細目化いたしました勧告の内容につきまして、今後の港湾労働政策を進めていく上における基本的な方向づけとして、私どもは基本的には賛同をいたし、その線に沿いまして、今後の港湾労働政策を進めてまいりたいというふうに考えるわけでございます。  ただ条約の批准ということになりますと、これは昨年の総会で採択されたばかりでござまして、まだILOの憲章に基づく手続による条約の発効というところまでは至っておりません。私ども基本的には現在の港湾労働法の内容で条約に適合するというふうに一応考えられるわけでございますけれども、採択早々の条約でございますので、その条約と国内法とのより一そうの斉合と申しますか、ございます観点に立ちまして、十分慎重に検討をしてまいりたいというふうに考えております。
  25. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 まあ審議官は予想どおりの答弁でありますけれども、なるほど歴史の流れと具体的なカレンダーの上にマークすれば、ことしは七四年、昨年は七三年でありますけれども、この日本港湾のあり方というものと、それから港湾の労働事情の経緯、推移からいけば、長年に港湾労働者が未組織の段階からつくってはこわされ、つくってはこわされ、まずく言えば、日本の有数の暴力団の資金源という形で手配師というものが港湾に横行しているような中から、国際的に踏んまえて日本は貿易なり、あるいは港湾なりに、そういう立地というものを活用していくよりほかに日本国は呼吸していく道はないんだと、歴史的にいけばいいけれども、マークすれば、これは昨年ですけれども、新しいからまだまだというような、そういうことは、そんなものは聞かなくてもわかっていることですよ。聞かなくてもわかっておりまするけれども、そういう過程で、別にあなたに対してここで問答していると先が詰まっちゃいますから言いませんけれども、そういう点について、この条約案が採択された過程については、あなたのほうの課長がこれの専門的というとおかしいですけれども、非常にたんのうだが、扱っておる課長が行って、相当に勉強しておって何もかも身につけておって、現に全港湾を主軸とする港湾労働組合全国協議会ともいろいろな日常の中のことばのやりとりは、これはとにかくたてまえはどうあっても実際は、日本の実情は急ぐ必要があるのだというとらえ方をしておってもらうべきであるし、それはそうしなければならぬという、そういう問題であると思います。  これは昨年のことであって、まだ勧告がどうだ、批准がどうだというような紋切り型じゃ済まされない問題だと思いますし、これは労働省所管でありますけれども、運輸大臣もよくこの港湾においては十分歯どめがかみ合った態勢でひとつ前進的に扱って、この港湾労働者のあり方というものが大型化や機械化やサイロ化によって、労働権がどうなってくるんだというところまで落ち込んでしまえば、これは実もふたもありませんから、そういう点について、これは先へ進めますが、そういうことですから、審議官ひとつ頼みます。去年のことだからまだいいよ、これからやりますなんということはたいへんなことだと思います。  カーフェリーの問題について、これはひとつ運輸省と、労働省のほうにも関係があると思いまするけれども、全日本港湾労働組合で、このカーフェリーの足が長くなって長距離化してきております。いままではカーフェリーが瀬戸内を便宜的に歩いているうちはそれでいいのでありまするけれども、非常に長距離化してきますというと、最初の時点がトラックで貨物を積んできて、そしてそこでトラックを船に積んでいって、これは一つの橋だわいというふうに考えておったわけです。港から次の港まで、そこで受け渡しをする橋だと、たいして神経とがらす必要はないということになりまするけれども、今度カーフェリーが非常に長距離化してきますというと、太平洋水域から日本海水域、しかも北海道の苫小牧だとか小樽だというところに無人トラックが行くということになると、いままで港湾で働いておった港湾労働者というものはお茶をひいちまうというようなかっこうで、背に腹はかえられないということで、この大阪埠頭で三千人がカーフェリーを巻いて、そこで背に腹はかえられないから、いわゆるカーフェリー公社であるとか港湾協会というものが出てきて、そしてやはり近畿海運局だとか神戸海運局であるとか、市の労働基準局関係者も集まって、ともあれ問題を、お茶を濁すという形ではなくて、可能性を追求しながらその処置をしようという経過処置は踏んまえておられると思いますが、その問題の扱いについては、それは大阪地方のできごとであっても、全体として先ほど申し上げたとおり、近代の海運の事情というものは、大型化、機械化でなくて、カーフェリーのつまり航行の距離というものが中距離から長距離化してきておる。したがって港湾荷役作業状態というものに大きな変化が来ておるというような、かいつまんで経過的な処置と、ついこの間でしょう、港湾労働組合の代表者と具体的な問題の扱いについて、これは海運局、港湾局ですか、折衝しておられると思いますが、時間がありませんから、ひとつ大体私の言わんとすることを踏んまえて、ずばりでひとつお答えいただきたいと思います。
  26. 竹内良夫

    政府委員竹内良夫君) いま先生のおっしゃいました大阪南港カーフェリー埠頭における港湾労働者フェリー埠頭との紛争の経緯でございますけれども、おっしゃいましたように、カーフェリーの就航に伴いまして港湾労働者が、まずカーフェリー埠頭における自動車の積みおろし作業を港湾運送事業者に行なわせろと、またカーフェリー利用貨物について港湾運送料金相当額を合理化基金として拠出しなさいと、このような要求を踏まえまして紛争が起こりまして、その間先生おっしゃいましたようなトラブルがございました。  しかしながら、地方海運局がその中に立ちまして、海運局長が次のような提案を行ないました。まず一番として商品車、無人航送車など船側渡しの自動車の積みおろし作業は港湾運送事業者に行なわせること。それから港湾労働者の生活安定のための基金などが設立された場合には船社は賛同者の一人として応分の拠出をすること。実施の具体的細目については関係者間で協議する。このような提案をされまして、その間二、三のやりとりがございまして、また実力行使等もございましたけれども、努力の結果これが協定されました。阪神カーフェリー二十一船社と全港湾関西地方本部との間で協定書が締結されたわけでございます。海運局私案を受諾した立場において、これを尊重し、これに準拠して今後話し合いにより解決する。二番、中央問題とこれに先行して解決すべき地域的暫定措置については、積極的にこれらを進める。(イ)職域範囲については、最終的に中央での話し合いの結果に待たねばならないが、地方的、先行的に海運局私案を最低として具体化するため話し合いを進める。(ロ)雇用安定にかかわる諸方法については海運局私案に基づき海運局の指導を得て新会社、公社または既存港運業者の使用により港湾労働者の就労を確保する。(ハ)救済基金については中央段階で制度化されるまで暫定措置として前項趣旨にかんがみ船社は拠出に合意しその意思を明確にするための具体的措置をとる。実施細目は両者間で別途協議する。  このような形で大阪南港におけるカーフェリー埠頭の紛争は一応解決をいたしまして、その後船社と全港湾関西地本間で数次の話し合いが行なわれております。で、私どもこのような解決の方法、いろいろ具体的な基金等についての話し合いなどが行なわれる、このような方向は非常にけっこうなことではないかというように考えている次第でございます。
  27. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 それが経過の事実として、それから出先の海運局なり港湾局なり、それから出先のカーフェリー公社なり、しかし出先の神戸あるいは近畿の海運局には海運局私案という形でともかくもお茶を濁したということではなくて、起きた現実を憂慮しながら知能をしぼってこれが一時的でも一つの決着がついたということは、それなりに高く私は私の経験に基づいても評価します。ただ問題は、たとえばこれも七十一通常国会の中で港湾労働法の一部改正という中で、いわゆる港運業会とそれから港湾労働者と、事案の成立するについて運輸省それから労働省の次官あるいは局長まで立ち会って一つの紳士協定というものがかわされたのでありますけれども、結局いろいろな当事者能力の問題について港運業界のほうの当事者能力に限界が来て、結果においては破棄されたような形におちいっているわけでありまして、それはそれといたしましても、いま述べられたこの経過的な事実とあり方という問題を高く評価しながら積み上げて、今後十分港運業界、カーフェリー協会ですね、もちろん港湾労働者の結成体である組織、組合もそうでありまするけれども、この関係を十分コントロールされて、コンセンサスを得て、十分進展をさせていただきたいと、こういうことを強く願望しておきます。  そこで、これは大臣に今度はお答えをいただきたい。カーフェリー対策については、一応、大臣は非常に今回は忙しい立場におられたので、しかし、こういう経過の事実というものを踏んまえて、具体的な問題として、たとえば日本海方面において舞鶴から新潟、苫小牧、小樽で、今度新潟にいまの段階では、これは会社の名前は出していかないほうがいいと思いますけれども、いずれ認可事項でありまするから、新潟を起点としてまた大型化されたカーフェリーが出るわけでありますが、いずれにいたしましても、やはり外航、内航海運は貿易と不可分の関係がありますから、そういう問題について業のあり方、労使関係の問題等についても十分ひとつ勉強をしてもらいたいと思います。  要約して、まあ運輸省が一つの指導をして、そしてフェリー業界だとか労働組合というような三者で一つの話し合いの場をだんだんと積み上げていっていただきたいということ、それからカーフェリーの発着に伴う作業はたてまえとしては港湾労働者の仕事場であるというようなことを、これは憲法二十七条を申し上げるまでもなく勤労の権利というのがあるわけでありますし従来でもあったわけでありまするから、その辺はかどを立てず十分労働権というもの、ことに港湾労働法というものもあるし、登録労働者、日雇い労働者位置づけられてあるわけでありまするから、そういう問題について、ひとつ十分御配慮をいただいておきたい。  それで、先ほど大阪においては港湾労働者に対する基金制度云々という問題もありましたけれども、こういうような問題は関連して、カーフェリーというものに関連して、沖繩でも今度は海洋博等を問題にして、沖繩を整備充実するという中で港湾のあり方について大なり小なり問題が起きることが予測されまするので、ころばぬ先のつえで、やはり十分即応の態勢を配慮しておいてもらいたいというふうに考えますが、まず最初労働省のほうについてもひとつお考えをお述べいただきたいと思います。両者からそれぞれひとつ見解なり所信なりをお述べいただいて私の質問を終わることにいたします。よろしくお願いします。
  28. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほど来の御質問を拝聴いたしまして、いろいろ今後私も勉強しなければならぬこともございますが、お説のようにコンテナ輸送あるいはカーフェリー輸送等の進展の影響があらわれてまいっておる現状にかんがみましてILO条約及び勧告、それから港湾調整審議会の建議、そういうようなものもございます。そういうようなものを十分尊重いたしまして港湾労働者の雇用の安定、それから生活の保障、それから労働条件の向上、こういうものにつきましては十分に配慮してまいらなければならないというふうに考えておる次第でございます。  そのような見方からいたしましても、今年の四月二十日に日本港運協会と全国の港湾労働者組合協議会との間で労働時間の短縮でございますとか、あるいは最低月額賃金の保障の設定でございますとか、あるいはまた港湾労働者の生活保障基金制度の確立というものをずっと引き続いてひとつ協議をしていこうという話し合いができたように承知しております。きわめて適切なことでございまして、今後ともこのような方向関係者が話し合えるよう、ひとつ運輸省も考え、指導と申しますか、おこがましい話でございますが、そういうような方向で進めてまいりたい、こういうふうに考えておる次第でございます。  なお港湾労働者の福利厚生施設の充実等につきましては、日本港湾福利厚生協会、御存じのこの協会等を通じまして、今後できる限りの努力を積み重ねてまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  29. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 労働省のほうから何か。何も言うことありませんか。——それでは希望を申し上げておきますが、この前の学員会でも申し上げましたが、やがて七夕選挙が過ぎればやはり七月二十日、海の記念日が来ますが、何々の船を、何々天皇がお乗りになって、そのことをとこしえに残すための記念日であるというあり方の持ち方ではなくて、十分将来の展望を描きながら海事海運が労も使も、学術経験者、それから外務、それから経済関係のやはり権威者、それから港湾労働者の代表組織であるとか、海員組合だとか、あるいは通信士労働組合とかというような労使関係のキャップが集まって、それはだれも拘束しないが、要するに将来の海運の方向づけと貿易のあり方という問題について、そういう一つのコンセンサスを得る場として、記念日にはそういうことを運輸大臣がひとつ先頭に立って根回しをしてもらって、在来のことがまた回ってきたわいということのないように、ひとつそれは私の主観で、言うがごとく、しゃべるがごとくはできないでしょう、いろいろなセクトもありましょうけれども、海の記念日でこういう催しを毎年やっているんですから、そういうもののひとつ型を破って、生き生きとした展望をひとつ開いてもらうように願望を申し上げて、これで終わります。
  30. 森中守義

    ○森中守義君 きょうは少し自動車関係について御質問申し上げます。  四十七年の十二月七日につくられた「大都市バス・タクシー輸送改善対策」、こういう計画書が私の手元にいまあります。これは四十六年の八月二十日に「大都市交通におけるバス・タクシーに関する答申」、これを受けて実行に移すものだというように対策目標を掲げてありますね。この中で期間が四十七年から五ヵ年間で達成することを目標とする、こういったように期間設定が出されておりますが、こういったように理解してよろしいんでしょうか。答申の中で新しい施策への移行、こういう政策展開の期間をある程度置くべきだと、こういっているんですね。もちろん、この答申では四十七年から五年間ということなどは明示しておりません。  しかしながら、おおむねこの答申を具体的に実行に移していくには、ここにいわれている五年間でこれをやってしまおうという、そういう斉合したものであるかどうか、それをひとつ最初にお尋ねしておきます。
  31. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 御指摘のように、この答申を受けました改善対策というものは、五ヵ年の間にその計画を具体化すると、こういうことで、それはあくまでも目標でございますけれども、しかし、できる限りの努力をしてその実現をはかる、こういうことで、事実この中で具体化をしつつあるものもございます。順次できるものから早期にやっていくということで五年間にこれを達成するという目標であることは、先生指摘のとおりでございます。
  32. 森中守義

    ○森中守義君 答申が出されまして、この改善対策が出るまでに約一年二ヵ月ぐらいたっていますね。したがって、この一年二カ月間の間に答申を受けて、かなり政策的に煮詰めた内容だとは思う、この期間を置いたということは。ただしそうは言うものの、私も実は非常に短い期間で通読しただけで十分にのみ込んでいるわけでもございませんが、答申のいっている内容に非常に重要なところがある。むしろこれは都市におけるバスあるいはタクシー等の基本的な政策展開をかなり重要な変更としてとらえているのですね。ところがこの改善対策というのは、いわば暫定的なものとしてこれを実施してみようという意思であるのか、あるいはもっと基本的に政策面というものが確立された上でこれが採用されたものか、その辺はどういうことになりましょうか。
  33. 中村大造

    政府委員(中村大造君) この改善対策と答申との間に若干の時間が経過しているわけでございます。この答申の中身はある程度相当思い切った提言がなされておるように思うわけでございます。これは私当時の答申の出された状況を身をもって体験いたしておりませんので、あるいは見当違いな御答弁になるかもわかりませんけれども、四十六年の八月当時のいわゆる大都市交通、バス、タクシーそれぞれについての実態というものが、一年たった十二月当時とそのままであったかどうかという問題ございます。  それから答申の内容そのものが、先ほど申し上げましたように、非常に思い切った提言をいたしております。特にタクシーのあり方というものについては相当突っ込んだ意見の提言がなされておるとこういうことでございます。したがいまして、そういうものを受けた十二月の改善対策というものは、確かにそれを一〇〇%受けとめて、それをそのまま実施対策として展開しておるということではなくて、その中で五年間に行政上の措置としても実施可能だと、いうふうに考えられるものを取り上げておる。それからタクシー対策についてはやはり御答申の趣旨もございますけれども、やはり相当思い切った提言でございまして、これを具体化するについてはやはりいろいろな前提条件の整理が必要でございますので、そういうふうな前提条件の整備の状況をにらみ合わして、第二第三の対策を講じていくということで、したがって、十二月に出されました改善対策は、あるいは答申の中の第一段階的な具体的対策と、こういうことになっておるということはいなめないのではないかと思います。
  34. 森中守義

    ○森中守義君 これは大臣、非常にむずかしく、しかも重大な問題でしてね、確かに必要があったから諮問をしたんだということだと思う。したがって運輸省自体が今日の大都市におけるバス、タクシーの輸送のあり方については何か脱却をしたい、一つの軌道をもつと正確なものにしたいという意図のもとに諮問が出されて答申が出たと思うんですね。ですから考え方としてはある意味では運輸省の意思に沿ったかもわからない。が、出てきた内容というものは、言いたいことを言わしてもらいますよ、やりたいことをやらしてもらいますよというような言い方なんですね。非常に大胆ですよ。しかも、いま局長の言われるように、これがずばり実行に移されるということになれば、まさにこれは一つの陸上における革命的な意味合いを持つような気がするんですね。非常に大事なんです。ただし、そうは言うものの、最後のほうで、いやこれは一つの考え方なんだ、だからできるだけ入念に、新しい政策展開については相当の期間を置いて十二分に用意をしなさいと、こういう実は答申者の配慮はよく見える。ただ、それではありますが、こういう内容を受けながら便法として改善対策をつくったと思わないんですね。  そこで、これは諮問をして答申を受けた、出てきた内容が重過ぎる、さてこれを直ちに政策べースにのせていくにはなかなか簡単にいかぬぞというような、この辺に一つの壁が来ているような気がするんですね、そう思いませんか。そこで——これは私の率直な感じですよ。確かにこれを政策ベースにのせる壁がある。で、この壁を少しずつほどいていこうという感じがするんですね。だから、そこに期間の問題もありましょうが、何かこのことを——もちろん私は答申の内容が是認してもよろしい点、それからこれをやればえらいことになるぞという、いわば是認できないような点、ミックスされている。こういうものを整理、選択するには単にこの改善対策という、まさにこれはある種の抜き書きをして、まああまりこれだけのことをやってもさして重大な支障はなさそうだ、特別金もかかりそうじゃないと、まあけれども、ひとつ手のつくところからやってみようという感じ以外の何ものもないですね。そうなると運輸省の中に諮問をする当初の意思、受け取った答申の内容が重過ぎる、さてこれをどうしていくかという、その辺の苦慮がよくにじみ出ているんですがね。  私は内容的にはあとでずっとお尋ねしますが、これを五十二年までの五年間という期間を設定して、これだけのものをやろう、こういうことなんですが、まずいま運輸省に必要なのは、この答申を受けて、政策理念は一体何なのか。たとえばこの中にタクシーについては、大量輸送機関である高速鉄道であるとかバスの補助機関であると、補完事業だと、こういう性格づけといいますか定義を与えておる。こういう程度のもので済むのかどうなのかですね。これが答申を受けたいわば一つの確立された運輸省の政策理念として理解すべきかどうかには非常に問題がある。そういう意味で、何かこの厚い壁をどうにかしなきゃならぬというような気がするんですが、そういう配慮はいままで行なわれてきたのか、いまなお模索中であるのか、その辺はどうでしょうか。
  35. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 非常にむずかしい御質問でございますけれども、この答申、あるいは運輸省において諮問いたしましたこの背景でございますけれども、これは大都市交通問題の解決のためにバスとタクシー、まあ高速鉄道網——これはもちろん非常に大きなウエートを占めるわけでございますけれども、それとの関連でこのバス、タクシーというものをいわば一体的にとらえまして、相互の関連においてどういうふうな輸送分野を担当させ、そしてそれに対してどういう政策をとるかと、こういう考え方だと思います。したがって、そのバスのあり方、あるいはどの程度それに対する政策が実行に移されているか、移し得るかという、そのバス対策というものと切り離してタクシーのあり方というものは考えられませんし、またその逆も真実だと思います。したがって答申はあくまでもそういうバス、タクシーというものを総合的に考えまして、一つのあり方というものを提言しておると、こういうことでございます。  したがって、やはりバスに対する——バスの実態というものがどの程度整理されていくか、答申の内容が実現していくかとの関連において、あるいはまあこれマイカーの関連もございますけれども、タクシーのあり方というものはやはりおのずからきまってくるんではないかというふうにまあ思うわけでございます。したがって非常に答申の内容がこう重いといいますか、確かにある意味では非常に重い内容でございますけれども、そういうふうなバスとタクシー相互に関連して一つの政策を展開していくという、そういう中でこの四十七年の十二月に出されました改善対策というものは、そういう前提で五ヵ年間にやっぱり実施可能な政策というものを展開していくと、こういうことであろうと思っております。
  36. 森中守義

    ○森中守義君 まあこれはその答申の意味合いと、それから運輸省が行政施策としての意味合いというのは、かなりはだ合いが違うということはわかりますよ。ただし、そういう角度からとらえると、改善対策は非常にすっきりした性格のものにはなかなかならないだろう、こういうことは私も理解します。ただ運輸行政、自動車行政の中で何が一番大事なのかという概念規定などがちゃんとあるんですか。たとえば概論の中に「一般に「助成援助措置」と「規制措置」が考えられる。」、二つに大綱的に分けているんですね。しかも、その一つの基礎理念の上に立ってずうっと論理が展開されていく。この論理の展開の中にバス、高速鉄道、ハイヤー、タクシー、この性格づけというものはやっぱり出ていますよ。このことがこの改善対策の中には残念ながら読み取れない。まあ読み取れないというよりも、そういう基礎理論というのが、あるいは基調になるようなものが一体運輸省の自動車行政の中に存在するのかどうなのか。その割り切りができた上でこういうものが出たかどうかというのが実は私が問うているわけなんです。  ですから、いま私は、はしなくもバスとタクシーの問題はこの中にいわれている一つの例示に過ぎない。むしろ基本はどういうことなんだと、きちんとこの基本を受けとめて、そこで政策分類ができているのかどうなのか、これを問うているわけなんですが、これはどうなんです。というのは、そのことがきちんと確立されていないと、ややこれからの政策展開というのは行き当たりばったりになるし、これが大事なんだが、どうもやっぱり壁が厚くてやれないというので避けてみたり、あるいは抵抗の弱いところに手を突っ込んでいくという、そういう何か蛇行性を持つような危険性があると思う。だから、そういう意味で、考え方がいいか悪いかは、これはまた出た上で、お話があったあとで、いろいろまあ批判もあるし、意見も出すことにもなりましょうけれども、そういう気がまえ、基礎、基調というものがきちんとこの概念規定を踏まえたものであるのかどうなのか、これをちょっと聞かしておいてもらいたい。
  37. 中村大造

    政府委員(中村大造君) それはやはり答申の中でいわれておる基本的な理念といいますか、そういうものをできる限りふえんして、それをそれぞれの対象に対して実施可能性というものも探求しながら具体的な施策を徐々に展開していっておるというふうにお考えいただいていいんじゃないかと思うのでございます。
  38. 森中守義

    ○森中守義君 まあ、それは確かに、かなり当時の自動車局首脳部あるいは本省首脳部の間でこういうものを吟味検討の上ということでありましょうね。しかし、そのことが正確な意義づけになっているのかどうなのか。この辺になると少し私は、いま局長の言われることを一〇〇%そうなのかという理解もできない点がある。簡単な言い方をすると、これはとてもじゃないというふうな、そういう一つの側面のとらえ方もあったろうし、議論の結果、じゃあもうしようがない、やれるものからやろうじゃないかという、この辺に改善対策の出た背景があるように思うんですよ。なぜかと言えば、必ずしも、その後のいろんな措置の中に、気負い込んで一つの方向を求めていく、探求していく、これを実現させるというものが、残念ながら自動車行政の中に、非常になまなましいもの、生きたものとしまして感じとれないような面がたくさんあるんですね。しかし、それはさっき言うように、非常に重味のある、しかもある意味では自動車運送事業のある種の革命的な内容を持っているわけですから無理もないと思いますが、しかし、そういうものを踏まえた上でという局長の答弁を了としておきたいと思う。  もしじゃあそういうような見解の上に立って進められてきたとすれば、この内容としては、内容というのは答申それ自体、あるいは改善対策、これ自体にも現行法のワク内で可能なもの、当然法律改正を伴うべきもの、まあこういうものがたくさんありますね。この辺の整理はどういうことですか。改善対策というのは、全然法律改正等伴わなくて、現行法のワク内において行政裁量ができるという意味合いのものだけ網羅されたということになるのか、その辺はどうですか。
  39. 中村大造

    政府委員(中村大造君) この改善対策に含まれております具体的な施策は、おおむね現行の法制下において基本的にはなし得ること、こういうものの範囲内で具体策をここに提示しておると、こういうふうに考えていいと思います。
  40. 森中守義

    ○森中守義君 局長、それなんだな。手やすく、手近にやれるものからという意味はその辺にあると思う。だから抜本的に自動車行政を改めて政策に取り組むというならば、この答申の中では、たとえば規制の問題あるいは援助措置の問題、いろんなことが並べられていて、なるほどそうだというところもありますよ。そうなれば、これはやっぱり法律改正をしなければならぬ。法律改正ということになれば、さしずめ道路運送法であろうし、あるいは車両法であろう。こういったように、まさに行政の抜本的な方向を改めていくという、そういう方向づけ、もちろん段階的に、まずワク内でできるもの、手近にできるものを改善対策として五ヵ年間やる、第一次的に。継続して二次的なものは何なのか。こういうことがどうもやっぱり出てこないと、少なくともこの答申というのが非常に重要なものであるだけに、私はできるもの、検討すべきものというように分類をして、ある程度、一期五年、さらに一期五年というような、そういう改善策というものがとられてよかったんじゃないかと、こういうように思うんですが、そういうことは考えていなかったんでしょうか。ただこれだけのものとして受けとるべきなのかどうか。
  41. 中村大造

    政府委員(中村大造君) まあいろいろな施策があるわけでございますけれども、たとえばこのタクシーについての提言の中には、現在の免許制度、運賃の認可制度、こういうものを基本的に変更するような内容になりかねない提言がございます。したがって、そういうものについては、この改善対策の中におきましてもそういうものについて検討すると、こういうことを実は対策の中でいっているわけでございます。したがいまして、こういうものについては、あるいはこの五ヵ年の間に結論が出るか、あるいはその次の段階の検討課題になるかは別といたしまして、いわばそういう検討事項として、五ヵ年間の検討事項としてこういう問題は取り上げておると、しかし五ヵ年の間にそれについて答えを出すというところまでは改善対策の中では考えていない。だから段階的に、いろいろ施策の中で段階があると、こういうことが言えるのではないかと思います。
  42. 森中守義

    ○森中守義君 これは議論していけばかなり短い時間で終わる筋のものでないんですがね。私が、法律改正を伴うのかどうなのかというこの一つの問題提起というのは、たとえばこの中で、「具体化のための計画」というのがある。この計画は地方陸運局長がやるんだと、こういうことがありますね。ところが前文を見た場合に、その政令移譲の、地方陸運局長への大臣の職権委任ね、こういうものが、地方陸運局長に委任されている分野をはるかに越えていると思うんですよ、内容を一々吟味しておりませんがね。  そうなると、計画それ自体にも無理がある。もちろん、大綱を示して、あとで地方陸運局長でやれと、こういうふうになっている。縦の線を通ずる輪郭からいけば、そう大きな矛盾は感じません。けれども、いまの法律のワク内かワク外かという問題にはやはりこれは政令の範囲を越えるもの、そういう部分がたくさんあります。もうしさいに検討していけば非常に重要な部分でひっかかってくる。むしろ私は、こういうスタイルをなぜとったかというのは、なるほど答申の中にも、先を急ぐな、ときには地域の事情というもの、特異性というものが尊重されなければならぬと、こう言っているわけだから、限定された地域に限定された計画をつくりなさい、こういう意味はわかりますがね。大綱を示して、あと地方陸運局長にあてがって、さあそれでやれという、こういう行き方もどうかなというような気がするんですね。  むしろ、これは運輸省の大臣、局長の責任ですよ。こんなようなことを地方の局長にまかしても、やるからには金がかかる。一体予算はどうするのか、人はどうするのか、しかもいろんな外があるわけですからね。その辺との調和も必要であろうということになれば、やや地方陸運局長では荷が重過ぎる。むしろ本省が、こういう一定の、なるほど答申は地域の特異性、自主性というものを尊重しなさいと、こういっているわけだから、そのことを背景に据えながら、該当地域に対して一体的な計画を本省それ自体がとるべきではないか、そう思うんですがね。私は、いまそういう意味では、地方陸運局長に委任されていない職権を越えるものを運輸省があてがった。それと政策展開それ自体にすれば、スタイルとしても必ずしも好ましいとは思わない。こういうように思うんですが、いかがでしょう。
  43. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 先生の御指摘ごもっともだと思いますけれども、必ずしも法律上の陸運局長権限、許可権限、認可権限という、そういうものにこだわらないで、やはり具体的な各地域の実態を把握いたしておりますのは陸運局長であるはずでございますし、またそれぞれの関係の県なり、あるいは建設省、通産省等、関係の出発機関とのやはり接触というものも陸運局長を通じてやるわけでございますので、やはり具体的ないろいろな計画というものにつきましては、陸運局長が相当なやはり自主性を持って行なうということは、私は必ずしも法律上抵触するしないという問題ではないと思います。  ただ、それの基本的な考え方、全国的な視野に立っての方針といいますか、そういうものは当然本省においてこれを策定しそれを陸運局長に示しまして、その基礎に立って具体的な方策を講ずると、こういうことになるのではないかと思います。
  44. 森中守義

    ○森中守義君 それはいいでしょう。だいぶ議論していけば、これも非常にぎりぎりの議論になりそうですから、それはそれとして。  そこで、ちょっと内容に入ってみますが、タクシーの輸送改善対策という項目がありますね、三項。この中で定義がくだされている。「大都市におけるタクシーは、高速鉄道及びバスを補完し、大量公共輸送機関により難い輸送を担当する公共交通機関であるので、その特性に着目しつつ、利用者の利便と安全を確保することを主眼とした施策を講じる。」、これはタクシーに対しての一つの定義です。ところが、この定義の上に立って、それならば将来展望としてたとえば将来五年間とか三カ年間とか、大体需給状態はどういう程度のものになるんだという、そういう肝心なものがちょっと抜けている。それはなぜかと言えば、法人の免許申請があろうし、個人の免許申請があろう。これではやっぱりある程度うらはらの関係になると思う。いま法人であろうと個人であろうと、出された免許申請が免許基準に従って該当すれば認可されようし、そうでなければ否認されよう、そういう傾向だと思いますけれども、肝心な需給策定というのはこの中にない。一体法人はどのくらい、いわゆる高速バスの補完作業をやっていくにはどういう程度の伸び方をしていくのか、個人はどのくらい伸ばせばいいかという、その辺の原則というものは全然こういうものの中に出てこないのですね。私は、そのことは全然この改善政策のらち外のものと思いませんよ。やはり一体なものとしてとらえていくべきじゃないのかと、こういうように思う。性格としてはきちんと定義づけられたが、じゃあ一体将来はどうなのかというこの点の見通しというものが、残念ながらこの中に出てきていない。これは私の見当違いの質問かわかりませんが、私はそういう表裏一体の関係にあると、こういうようにまあ見るのですが、そういう見解はどうですか。
  45. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 当然、事業免許を行ないますにつきましては、需給というものは重要な判断の基準の一つでございます。ただ具体的に、ある都市について、しからば何両までタクシーが要るのかという具体的な数字をあらかじめ想定するということは、これはなかなかむずかしいわけでございます。またやはり、これも最初に申し上げましたけれども、その都市におけるバスの輸送力がどのように整備されるか、あるいはマイカーというものの進展がどのようになるかと、そういうふうな他の交通機関との関係、それからいろいろな道路事情、そういう点がございまして、定量的にある市については何両ということは、なかなかこれはむずかしいわけでございますが、一般的に申し上げますと、この答申が出ました当時についても、背景といたしましては、タクシーの輸送力、供給力というものは、まだ需要に追いついていないと、したがって、いまだ厳密にもうタクシーの供給力というものは押えるべきであるというう、そういうふうな考え方を打ち出すまでには至っていないという、そういう前提でその答申が行なわれ、また当時の改善対策が打ち出されておりました当時も、そういう事態は変わっていなかったと、こういう背景でこの改善対策を考えておると、こういうふうに受け取っていいんではないかと思います。
  46. 森中守義

    ○森中守義君 そうするとあれですね。いま局長、大臣がお答えでしたが、需要は相当伸びている、供給はまだまだそこまで追いついていない。言いかえれば新免はもっともっとおろしてもよろしい、こういう認識を、いまなおこの答申も持っていたし、運輸当局もそういう考えだというように理解していいんですね。
  47. 中村大造

    政府委員(中村大造君) そのとおりでございます。
  48. 森中守義

    ○森中守義君 そうであれば何も心配することも何にもないし、まだまだ供給不足だということであれば、何をかいうところありませんが、ただ現在のその供給力を、もっと効率化していく、そういう施策として計画配車の制度確立、それから無線タクシーの増設という、こういうおおむね二つのことと、もう一つは乗り合い、三つのことが採用されていますが、具体的にこの三つのことは、改善対策が出されたあと、かなり大きなメリットを生んでおりますが、なかなか数字的にというわけにもいくまいが、およそこうこういうことでものさしを当ててみれば、三つを実施したことによってかなり変わってきた、そういう証拠が示されますか。
  49. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 私いま具体的な数字を持ち合わせておりませんので、後ほどまた資料で御提出申し上げますけれども、たとえば計画配車の点につきましても、あるいは無線タクシーの増強につきましても、おおむね計画の線に沿って増強をされてきておると、こういうことが言えると思いますし、また先ほど先生指摘の中にございました相乗り制度というものも実現個所はまだ多くございませんけれども、最近東京及び大阪の郊外におきまして逐次これが実施に移されつつあとということでございます。  それからたとえば流しの制限、流しの禁止区域、こういうものの拡大につきましても、これは運輸省だけの問題ではございませんけれども、警察庁等と連絡を密にいたしまして、逐次こういうものは整備に移しておりまして、やはりタクシーの持つ機能をできる限り対利用者の関係で、フルに発揮させるための施策、しかもそれが道路交通あるいは環境、そういうものすべてについてプラスになる政策、こういうものはまあ徐々ではございますけれども、実施に移しつつあるというふうに申し上げていいんではないかと思います。
  50. 森中守義

    ○森中守義君 この辺の計画配車の制度確立、それから無線タクシーの問題は、これはかなり行政指導で、あげようと思えば効果はあがるんですね。ただほんとうはもう少し正確に、どういう成果を生んだのか測定をしてみたいような気もするんです。資料があるなら出してください、どの程度効果があったのかということ。  それから、ちょっとここで私ひっかかるのは、(ハ)項の「郊外部の団地などの需要集中時間帯の対策として、前記バス対策が完了するまでの間、時間、場所を限った相乗り制度について検討した上暫定的に実施する。」、こうなっておりますが、いまの実施している地域はどういうところですか。
  51. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは昨年から実は実施いたしまして、東京周辺につきましては、国鉄の津田沼駅、それから船橋駅、それから最近神奈川県の国鉄溝ノ口駅に、これはつい最近実施でございますけれども、大体そんなところでございます。それから大阪のほうでは阪急の仁川の駅、それから南海電鉄の金剛の駅、こういうところからそれぞれ団地へ参ります路線につきまして乗り合い制を実施いたしておるわけでございまして、それ以外に数カ所現在実施を前提にして具体的な検討をいたしておるところがございます。
  52. 森中守義

    ○森中守義君 この場合、運行時間、それから区間とか料金とか、そういうものはきちんとした条件を付してあるんですか。
  53. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 乗り合い制につきましては、相当きびしい条件をつけて、その前提でこれを許可いたしております。それで、まず第一はその駅から団地へ行く路線について、現にバスの運行がないところ、ないしはバスの運行がありましても終バス以後の時間だけと、こういうふうな制限でございます。それからもう一つは、いわゆる駅から団地までの定路線に限ると、こういうことでございます。それから運賃につきましても、もちろん定額を認可いたしております。
  54. 森中守義

    ○森中守義君 定額というと。
  55. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 定額でございます。
  56. 森中守義

    ○森中守義君 定まった額。
  57. 中村大造

    政府委員(中村大造君) はい。一律に一人幾らと、こういう定額でございます。大体それは、いわゆる普通のタクシーに乗って駅から目的地まで行く場合の通常の運賃の大体半分ぐらいの運賃でこれを認可いたしております。そういう条件、非常にきびしい条件、しかも乗り場につきましては、いわゆるそういう相乗りタクシーであるという表示をはっきりさせるということ、それからそうでない普通のタクシーの乗り場とは別にするというふうな、いわゆるまぎらわしくないようにいたしまして、これを実施に移さしておる。こういうことでございます。
  58. 森中守義

    ○森中守義君 これはどういうことなのか、道路運送法の二十四条の二、禁止事項がある、これには触れませんか。一項は当てはまらないわけだな、おそらく二項を無理やりにこれはあれしたというような感じなんだけれども、もともと禁止されているものをやっているという感じがしませんがね。二十四条の二の二項の解釈はどうなりますか。
  59. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 結局その当該区間につきまして、いわゆる一般のバス輸送によることができない、現実にできないと、そういう時間帯ないしはそういう路線、そういうものについて運輸大臣が許可をいたしておるわけでございまして、これはしたがって法律上から申し上げれば例外的な措置と、こういうことであることは間違いございません。
  60. 森中守義

    ○森中守義君 私の調査では、東京陸運局がやった、さっき局長の言われる国電津田沼、船橋駅の団地、これは去年の十一月二十二日付、しかも条件としてはバスの終車時間後早朝まで路線を定める、運賃はメーターの二分の一、こういうことでやっておるようですね。そうなると、これは十一月の二十二日と言えばオイルショックのはしりですよ。例の死人が出たとかどうとかというあの当時の状態です。だからむしろこれはオイルショックによる非常に困難な時点にこういう措置をとったということであって、この改善対策にのっとってやったという感じがしない。転機は何であったかというと改善対策が転機じゃない。それに沿ったものでなくて、昨年の十一月の二十二日、オイルショックのときにこれを手をつけた。だからそういうのを裏返して見ると、かなり道路運送法二十四条の二にひっかかっておったというようにも私は推察する。これは「禁止行為」があるのだから、これによって簡単にはできない。どこかで言いわけをつくる、突破口をつくろうというにはオイルショックという機会をねらったというような、邪推じゃないけれども結果的にそういう見方をするのですよ。もともとこの法律の解釈をどう読むべきなのか。なかなか当局ではこの辺のふん切りがつかずにいたんではないですか。これは津田沼の一件だけれども、さっき南海、それから阪急と国鉄と言われましたね、こういうものは時期はいつなんですか、これよりも以前にやっているのですか。津田沼の昨年の十一月二十二日以前からこういうことをやっておられるのか、どうなのか。これはどうでしょう。
  61. 中村大造

    政府委員(中村大造君) いずれも十一月以降でございます。
  62. 森中守義

    ○森中守義君 そうなると、なかなか油がうまいぐあいに回らないし、お客さんは騒ぐというようなことで、改善対策の中にこういうものをうたっているけれども、なかなかその法律の適用がむずかしい。しかし、この際思い切って政策的にやろうという、そういう意図でなかったんですか。そうだとはなかなか言えぬだろうがね。
  63. 中村大造

    政府委員(中村大造君) たまたま昨年の十一月こういうオイルショックがございまして、確かに相乗り制度を実施することが油の節約になるという、そういう面がございまして一石二鳥の効果があるというふうに私ども判断したことは確かであるというふうに白状せざるを得ませんけれども、しかし、この問題は、この対策にもございますように、前々からやはり実施すべきものということで具体的に検討をしてきたわけでございます。ただ、やはり従来のタクシーというものの実態から考えますと、やはり相当画期的なことになるわけでございますので、こういうことを認めることによってそれがどのような将来波及効果を及ぼすかという先生おっしゃいましたふん切りの問題、それからこれによって現在ございますバスの事業に対してどのような影響を与えるかという問題、それから法律上の問題、もちろんそういうものを当初から予想しておったかどうかという問題ございます。そういうものを総合的に考えまして、なかなか具体化はしなかったわけでございますけれども、しかし、こういうものを認めなければならないという実態的な要請というものは、やはり非常に強くなってきたことは事実でございまして、やはり団地の造成というものが非常に活発に行なわれ、それにバス路線を整備していくテンポというものは必ずしも合わないわけでございます。それから終バスを延長するということも、これはなかなか言いやすくしてそうすぐにはできない事情もございます。そうなるとその空間、空白をやはりタクシーで埋めざるを得ない。そこに現在のタクシーの制度をそのまま当てはめた場合の不合理性あるいはロスというものを考えますと、やはりこういうものを場所を限り、時間を限って認めるのが適当ではないかと、こういうふうな実態的な要請というものがやはり非常に強くなってきたことは事実でございまして、そういうふうな機が熟してきておりましたときに、たまたまオイルショックが起こりまして、それがまた燃料の節約にもなると、こういうふうなこともございまして、まあそのふん切りがついたというと非常に語弊ございますけれども、十一月から実施に移した。移した結果はいままでのところは乗客からも非常に評判はよろしいようでございますし、また当初懸念いたしましたバス事業者とのトラブル、あるいはタクシー業界内部におけるいろいろな問題、こういう点につきましても現在のところはあまり大きな問題はございません。こういうものを将来野放しにやってしまうということは、これは問題ございますので、最初から申し上げましたように、きわめてきびしい制約、制限を加えまして、そうしてほんとうにその条件に当たるところについて許可していく、こういう実態でございます。
  64. 森中守義

    ○森中守義君 これは局長、一般社会の変遷に伴って社会の要請というそのことを私は否定をしません。ただ道路運送法上の禁止行為及び料金条項、まあこういう現行法の中のかなりきびしいワクがあるから、そのワクをいきなり飛び越えて社会の要請だからしかたがないということでは、いささかこれは運送を預かる責任者としてはよほど用心深くやりませんと、これは体系がくずれますよ。現行法がいけない、新しい時代の要請に合わないというなら変えなさいよ。そうすると、こういういう議論も起きてこない。ただ在来いろいろないきさつ等から考えてみても、一挙に道路運送法の改正というものが非常にむずかしい。そういう現在の状態というものはよくわかりますがね。けれども、どうもやっぱりそのぎりぎりでるか、あるいはワクを越えるかどうかという、そういう非常にむずかしいものを、社会の要請だからというだけではちょっとやっぱり危険じゃないですか。そういう必要があれば必要があるように手当てを加えたらいい。加えないでやるところに問題があります。ね。  私は二十四条の禁止行為、及び料金条項、この二つにかかってくると思いますよ。それは業界等には説得をし、こういうことだからやってくれ、協力しなさいと言えば、それ自体ではいま局長が言われるように極端なあれにはならぬかもわかりませんがね。しかし、ここで読んでみても、どうも大臣が特例として認可するような条件を満たしているかどうか、ちょっと疑問ですね。何か私のきくところでは、新宿から京王帝都か、あの途中の駅で、マイクロを夜持ってきて団地まで運んでいるという、こういう例が幾つかあるように聞いておりますがね。これが適法なものかどうかももちろん確かめておりませんが、むしろ乗り合いタクシーというよりもマイクロ等を用意して、それをバスがなくなったあと十一時までなり十二時までなり、二、三回マイクロ等の運行なども何か考えていけば、そのほうが効率的であり適法であるかもわからない、乗り合いタクシーというよりも。そういったようなことなどもこれはひとつ検討の対象にして、改善対策の中には相乗りと、こう出ているけれども、何かこれは少し検討の余地があるように思いますので、特にこの問題を少し念を入れて聞いたわけですが、検討してみませんか。マイクロにするとか、非常にあぶなかしい乗り合いタクシーというよりも、むしろ団地の足を確保しようというならばそのほうがいいように思う、やや大量に輸送しますからね。どうですか。
  65. 中村大造

    政府委員(中村大造君) おっしゃるとおり、これをいわゆるバス型の車両によって一時に大量に輸送する、これがやはり一番能率的であり効率的であるというふうに思います。これは、したがいまして、その駅周辺団地との関係、その輸送量、想定されます輸送需要、こういうものが千差万別でございますので一律には言えないと思いますけれども、そういうふうないわゆるバス型によって輸送するという形態は、これは当然考慮に入れて考える必要があるというふうに思いますので、今後私どもはこういうふうな駅と団地との輸送をどのようにするかということについては総合的に考えてまいりたいと思います。     —————————————
  66. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) この際、委員異動について御報告いたします。  江藤智君が委員辞任され、その補欠として杉原荒太君が選任されました。     —————————————
  67. 森中守義

    ○森中守義君 それから、この改善対策の一番最後に、タクシーの営業形態についての検討、「大都市におけるタクシーの需要の態様と輸送機関としての特性に配意しつつ、タクシーの営業形態のあり方について検討する。」、これは非常に関心の高い問題だと思うんですが、どういったように検討しようというのか、まだ検討に着手していないのか、答申の中でそういうことをちょっといっておりますからね。それで、ただここに出されたのか、本気で検討しようというのか、検討に着手しているかどうなのか、どうですか。
  68. 中村大造

    政府委員(中村大造君) この問題につきましては、いろいろタクシーというものの持っております体質といいますか、これはいわゆる運転者というものの非常に特殊な性格から来る特異な体質があるわけでございまして、そういうものが需要の実態との関連でどのような営業形態というものが将来望ましいか、また、そういうふうに移行していかざるを得ないかと、こういうような問題につきましてはいろいろな意見がございます。したがって、そういうふうな必要性といいますか、そういうものとの関連で検討をしていくと、こういうことで、いろいろな素案というものは出されておるわけでございますけれども、まだ私ども、これについて明確な将来の方向づけというものをしておる段階には至っておりません。
  69. 森中守義

    ○森中守義君 将来、この問題をある時間を設定して積極的にひとつやっていこうという御意思じゃない、そういったように理解すべきものなのか、いまのところという意味なのか、それはどうですか。
  70. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 確かに、現在の営業形態のあり方について非常に差し迫った問題として、これを考えねばならないという、そういう要請もあることは確かでございます。ただ、それをそのような取り上げ方をいたしました場合のやはりメリット、デメリットというものをいろいろ考えた場合に、まだまだ検討を加える必要があるのではないかと、こういうふうに思っておりますので、これについて具体的にいつまでにその結論を出して、それに移行するとか、そういうことは現在の段階ではちょっとまだ申し上げる段階に至っていないというふうに思います。
  71. 森中守義

    ○森中守義君 大臣、これはかなり時間をちょうだいしまして、少し大急ぎにさっとやってみましたが、なぜこれをきょう突然にやったかといいますと、いま関係の業界あるいは団体等で、一体運政審はどうなるんだと、こういう危惧の念、中には非常に歓迎される向き、中には、いや困るという向き、いろいろ意見が入りまじっているわけですね。それでもうそろそろ、この問題についてはどっかで何かの区切りをつける必要があるという、こういうことを私は考えているんですよ。そこで、さっき一番最初に聞きましたのもそういう意味であったわけです。四十七年から五ヵ年間でやるんだと、こういうことなんですね。したがって五ヵ年経過して、これが一次であり、さらに二次が出るのか三次が出るのか、そういう心配もずいぶん濃厚にあるんですよ。だから、私は改善対策が四十七年から五十一年まで、この出された答申がさしずめできそうなものだけ拾ってみたと、それでこの第一回を改善対策として出して、もうあとはこれで終わりますよということになるのか、あるいはさらに継続して残されたもの、ことに私は最初、政策の基礎理念というものがどうなのかということを問うたのもそういう意味だったわけですが、将来、これどうされるつもりですか、非常に大事な問題です。  いま関係者の中で、ちょこちょこ運政審の行く末はどうなのかということを聞かれるんですね。たまたま、こういうものをいつだか、もらったわけで、私も夕ベからこれ、ちょっと見て、ははあ、なるほどこういうものかなというように感じたわけですが、この改善対策は一次的なもの、つまり五十二年以降は第二回目が出るのかどうなのか、その辺はどういうようにお考えになっておりますか。これがある意味では区切りをつけるということもなりましょうし、いや継続してもっとやるんだということであれば、自動車行政についてはもっと慎重に見つめていかねばいかぬというように思うのですが、出されてこれだけのものならば、現行法のワク内かワク外かという、そういう初歩的な議論は議論としまして、大体とらえ方が違ってくるんですがね、どう思われますか。
  72. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) この諮問並びに答申は、やはり経済社会基本計画を一応基礎にできてまいりました総合交通体系というもののいわゆる大都市版だと思います。総合交通体系の中のいわゆる都市交通版、バス、タクシーに対する都市交通版だというふうに私は受けとめております。したがいまして、いままでずっと森中委員の質疑を通しましてお説を聞いておりますと、一応結びのところで五年計画として、五年以内に実現する方策をワクの中にはめたんだから、これに対してできることをやりなさいというような結びになっているわけでございますが、作文としては、交通体系と同じような形態をなしていると思います。非常によくできていると思います、作文としては。しかし実際問題としては、なかなかこれになじまない面もございますし、いま、たとえば乗り合いタクシーの問題でも御指摘がございましたように、道交法の二十四条の二をいろんな知恵を出してバスの免許を与えてタクシーにバスと同じような行為をさしているというような便法と申しますか、法律的には何ら間違いはないんですけれども、非常に苦しい操作をやっているということも、これは事実でございます。  したがいまして、今後五年たったら、これはもう廃止するのかどうなのかということでございますが、一応、五年間の大ワクははめてありますが、これから先のやはり経済社会のバックグラウンドというものを十分踏まえて、その時点でひとつ考えていくべきであろうというふうに考えます。と申しますのは、経済企画庁でも経済社会基本計画について見直しをやる時期に来たというような、この国会を通じていろいろお話もございましたし、その見直しに対して、はたしていわゆるこの大都市版の総合交通体系というものが依然として生き得るものなのか、あるいはまた、ここであらためてこれに検討を加えるものかというような問題についてそこでひとつ検討してみたいと、かように考える次第でございます。
  73. 森中守義

    ○森中守義君 結局、いまの大臣のお考えでは、総合交通体系が基本計画見直しの際に、当然、見直さざるを得ない。その際に、これも包括をして検討をしてみよう、こういうことなんですね。したがって、この一次は一次でもう終わりだというように、いまの御答弁からいけば認識してもいいように思いますが、そのとおりに考えてよろしいですか。
  74. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 一応この答申というのは、この第六章の「結び」にもございますように、実現されるべきものを「五年以内に実現するためとるべき方策の大枠を明らかにしてきた。」と、こういうことでございまして、これを五年以内、五年たったらこれはおやめなさいとかそういう性質のものじゃないと思うのです。五年以内にこういうものを整備してみたらどうだと、その大ワクはこういうものだという意思をあらわしていると思うんです。  したがいまして、これが将来生き続けるか、あるいはここであらためてこの問題に新しいメスを加えていただくかということは、背景にあるいわゆる経済、社会のバックグラウンドというものの動きを十分見きわめた上で、なおこれにふさわしいものであるかどうかというのはその時点で考えるべきものであって、これは五年たったからこれはあらためて一ぺんまた見直さなければならぬという性質のものではなかろう、こういうふうに考えるわけでございます。やはり時代の変遷と申しますか、そういうような時代の要請あるいはそういう背景というものを踏まえた上で、一応五年間の努力目標はここに提示されておりますから、この努力目標に従って私どもも努力をしてまいるわけでございますが、さらにその後においては、あるいはその途中においても背景に大きな変化があればこれは検討を加えなければならぬだろうと思います。将来ともその背景を踏まえた上で、さらに検討を加えるべきかどうかというのはそういう時点において考える、こういうことだと思います。
  75. 森中守義

    ○森中守義君 大臣、たいへんおことばを返して悪いですが、いま経済社会基本計画とか、あるいは総合交通体系とか、なかなかそういう意味じゃ逃げ込むには便利のいいものですよ。しかも企画庁長官にここで見直すのかと言ったら、見直すとこう言っているから、そういう意味じゃ非常に都合のいい答弁材料にはなると思うのですね。ただ私はそういう何も意地悪い言い方のつもりじゃありませんが、自動車行政というのが、非常に対応がこのごろむずかしくなってきている。だから、ここでいわれている高速鉄道あるいはバスの補完事業なのか。そうじゃなくて、これはこれで価値を持っているという、その辺の価値評価というものがもっと正確に出されていいように思うのですね。ところが、一般社会がどんどん変わっていくとか、経済、社会がどうなるとか、それに対応してと、これは意味はわかりますよ、そういう社会の流れの中に生きていく仕事ですからね。もっと自動車は自動車としてのある種の特性、ある種の性格というものがきちんと定義づけられていいと思うのです。  だから、そういう意味じゃ必ずしも経済基本計画であるとか、あるいは総合交通体系とか、そういうものとは別個なものであっても決しておかしくはなかろう、全体のワクの中にはあるにしましてもね。しかし、そういうものがちょこちょこ見直される、変わっていく。そのたびごとに一転、二転、三転というように変遷を遂げるということではあまり好ましいことではないんじゃないか、こう思うんです。だから、そういう意味でこの運政審に対するみんなの見方というものもいい面、悪い面両方持っているわけですから、何かこれを整理する必要がある。だから、これは一回で終わりなのかどうなのかと言えば、いま大臣のような答弁になるのですけれども、私は見解としては、自動車は自動車としての固有の一つのものがあってもいいというように思うんです。  これは大臣とだいぶ意見が違いますけれども、そのくらいいまの陸上交通、ことに自動車というものに一定の息吹きを吹き込んでおかないと情勢がどんどん変わっていくから、それに対応して右へ、左へといっていたんでは自動車政策というものは確立が非常におくれていくんじゃないだろうか。もう現におくれているというような、何がじゃあおくれているかということになりますと、これはいろいろ反論もありましょうけれども、一つのものを持つべきだ、こういうように私は考えているわけです。大臣の意見とだいぶ違いますけれども、反論がありましたらどうぞひとつ教えてもらいたい。
  76. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私はそう大きな隔たりのある議論ではないような気がするわけなんです。バスなりあるいはタタシーなりが受け持たなければいかぬ分野というものを確立していかなけりゃいかぬ、これはもう交通体系の中では当然なことでございまして、それは一体今日まで、あるいは将来変化していく背景というものはどういうところにあるのか、これは答申の中の総論にもございますような、いわゆる「国民総生産の飛躍的増大と国民生活の急速な向上をもたらしたが、その反面において、過密、過疎、公害など多くの解決しなければならない問題」が出てきた。そこで「これらの問題のなかでもいわゆる過密の問題は、当面解決を迫られている最大の問題の一つである。」から「経済発展に伴う政治、社会、経済活動の都市集中により、大都市人口は爆発的に増大し、」、こういうようなものを背景にして、「なかでも都市の旅客交通は、量においては社会経済活動や人口の増加に比例して増加するとともに、都市圏の膨張によりその距離は平均して長くなり、全体としてはさらに大きくなっている。」、こういうものをどういうふうにバス並びにタクシーが受け持つか、その分野は一体現在においてどういうものであるかということを明確に政策の上に出していかなきゃならぬ、こういうことであろうと思うのでございます。  したがいまして、森中委員の御指摘の点で、この問題を一体答申をどういうふうに始末するのか、どういうふうに受けとめるかということについて、多少私は意見の相違と申しますか、考え方の違いはあるかもわかりませんけれども、基本的には私は森中委員の考えとそう大きく変わってないというふうに自負しているわけでございます。
  77. 森中守義

    ○森中守義君 時間がなくなってきましたからもう一項目お尋ねしましょう。  せんだってから一、二回問題に供しましたタクシーの暫定運賃ですね。これはその後どういったように進められているのか、非常におりからの問題ですしね。もうすでにトラックあるいは航空、私鉄、バスというように運輸関係の俗にいう公共料金の値上げというものがメジロ押しにきているようですが、いま大臣どうですか、この前企画庁長官は、ここで私が国鉄の運賃凍結をしている間は他の公共料金も当然凍結をすべきだ、こういう質問をしたところが、いやそれはなかなか各企業の財政状態がよくないからそうもいくまいということで、暗に値上げを肯定するような答弁があったわけです。ところが、せんだっては公共料金の引き上げがあって、電気があのとおりですしね。おおむねわれわれの想定ですけれども、いずれ遠からずというようなどうも気がしてしようがないのですが、そういうお考えはお持ちなんですか。
  78. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 時期をいつとかいうようなことにつきましては、さらにその運営状態等も当然調査、勘案しなきゃならぬと思いますが、近い将来においてやはり運営に支障を来たすというような事業に対しましては運賃の改定ということもやむを得ないというふうに考えております。
  79. 森中守義

    ○森中守義君 それでタクシーの場合、暫定運賃を見直すというのか、あるいは本運賃にのしかかるというか、この辺の見解はいかがですか。
  80. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) この問題につきましては、いつまでも暫定運賃でおるわけにはまいりません。したがいまして、四十八年度の決算状況も十分調査いたしまして、そうしていまの暫定運賃中にそれが吸収できるのかどうなのか等も十分勘案いたしまして本運賃に切りかえたいと、かように考えておりますが、その時期等につきましては、まだこれから検討してまいりたいというふうに思っております。
  81. 森中守義

    ○森中守義君 実は私の手元にこういうのがあるのですよ。「暫定・本運賃認可、状況」というのをずっと統計をとってあるわけなんです。これを見ると大体四十六、七年。四十七年は前期ですね、このときに本運賃に切りかえられたものは暫定運賃を出さないで本運賃が出されている。これはたとえば北海道の小樽を例にとった場合、四十七年二月九日に前回認可がおりた。これが四十九年の三月十二日に新しい本運賃の認可がおりて、四十九年の三月二十三日から実施された、三四・五一%。こういう例がたくさんあるのですね。それで暫定と本運賃の理解のしかたが、あまりにもばらばらにおりているものですから、たくさんあるのですよ、そういう例が。大体四十七年の前期までに本運賃がおりたものは暫定をとらないで本運賃をおろしたということなんですが、この辺の運輸省の扱いというのは何か一つの定木を持っていたのですか。四十七年の前期までのものは本運賃でいこうとか、それ以降のものは暫定でいこうとか、そういうものさしがあったものかどうなのか、どうでしょうか。
  82. 中村大造

    政府委員(中村大造君) タクシーの運賃は、通常従来から二年に一回見直しをすると、こういう慣例で行なってきておるわけでございます。したがいまして、ことしの二月に運賃改定を考えましたときも、原則といたしましては、そういういわゆる二年経過いたしまして運賃改定時期が来ているというふうにみなし得るものにつきましては、これを本運賃といいますか、そういう考え方で運賃の改定をすると、また事実そういうふうにいたしたわけでございます。  そうでなくて、まだ運賃改定の時期が来ていないもの、ということは、いわゆる二年まだ経過していないものでございますけれども、そういうものにつきまして暫定運賃というものを認めたと、こういうことでございます。ただ六大都市につきましては、これはいろいろ意見ございますけれども、一応二年を経過いたしておるわけでございます。しかし、いろいろな情勢を考えまして、これを本運賃の認可ということにしないで暫定運賃を認めたと、こういうことでございます。
  83. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、ここで統計を見ると、全国百十八地区の中で二十四地区が本運賃、それから八十一地区が暫定、据え置きが十三、こういうようになっておりますが、いまのお考えからいきますと、暫定の八十一地区と据え置きの十三地区、合わせて九十四地区というものはいま大臣がお答えになった、つまり本運賃の作業にかかる、そういう対象になるということですか。その場合に四十八年というもの、これはいま局長の言われる二年の見直しの期間にも入らないわけですね、一年しかたっていないわけだから。こういうところは暫定でそのままいくんですか、それとも今度本運賃に切りかえる、これはどうなんですか。
  84. 中村大造

    政府委員(中村大造君) そういう具体的な方法につきまして、先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、すべての事業につきまして四十八年度の実績というのを一応とりまして、それによってどのような本運賃への移行のしかたが妥当であるかということを現在鋭意具体的に検討をしておる、こういうことでございまして、具体的にどういうものについてはどういうふうな移行のしかたをするかということは、まだ結論を出しておりません。現在検討中、こういうことでございます。
  85. 森中守義

    ○森中守義君 そこで四十八年の七月二十六日自旅第二七三号自動車局長通達、依命通達で、「運賃改定要否の検討基準及び運賃原価算定基準について」という通達が出ている。これからいきますと、これは申請が出て、まず要否の検討をする、こういったように前段の基準をつくって要否の判定をつけるということは、運賃をより正確に慎重に扱おうという意味ではこれは非常に賛成です、こういう措置をとられることについては。そこでいま出されている本運賃申請の地区はどれだけありますか。
  86. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 実はこの二月に暫定運賃を認めましたときに、六大都市につきまして暫定運賃の申請と本運賃の申請と両方出たわけでございます。それ以外のところにつきましては、本運賃の申請が現在出ておるというところはございません。
  87. 森中守義

    ○森中守義君 局長、それはちょっと質問が悪いのかもわかりませんが、暫定運賃とほとんど符節を同じくして本運賃の申請が大量に出ているんではないですか。いま暫定運賃以外には本運賃の申請は出ていないと、こう言われますけれども、出ているでしょう。たとえば東京の場合には、十二月の十何日かまででも本運賃の申請じゃないの。
  88. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 先ほどお答え申し上げましたように、六大都市につきましては暫定運賃の申請と本運賃の申請と相前後して出てまいりました。したがって現在も本運賃の申請が出ておる、六大都市につきましてはそういうふうに判断していいのではないかと思います。それ以外の都市につきましては、本運賃の申請が出ていない、こういうことでございます。
  89. 森中守義

    ○森中守義君 いま言われるのに間違いないとは思いますが、ほんとうに全国的に六大都市以外に出ていないんですか、ちょっとうしろに事務当局おるようだが、少し正確にしてもらいましょう。
  90. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 六大都市以外につきましては、本運賃の申請は出ておりません。
  91. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、さっきお尋ねした改定要否の検討基準、これは一体どういう状態で作動するんですか。まず申請が出てくる。そうすると、これによってふるいに一ぺんかけてみよう、そういうふうになるのでしょうか。したがって実務的に出てきたものを要否の基準に照らすには大体期間としてどのぐらいなのか。どれも申請から認可までの基準はこの期間でなければならぬというもちろん法律上の規定はどこにもないんですが、出てきた場合にこれはいつごろ適用するんですか。
  92. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 普通申請が出て、これを早急に処理するということであれば大体一ヵ月程度の期間があれば処理は可能であると、こういうふうに思います。
  93. 森中守義

    ○森中守義君 この判定基準の中で「当分の間標準能率事業者の実績年度における事業収支率(適正利潤を含む)が一〇五%をこえる場合は、運賃改定の必要があるものとは認めない」、こういっておりますね。いまのタクシー業界を見た場合に、一〇五%の事業収支率というものは大体全事業者のどのくらいに当たりますか。一〇五%をこえる場合、こええない場合という、その辺の——事業者数に当てはめてみた場合、こえるのとこえないのはどういう比率になりますか。
  94. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 通常タクシーの場合に適正利潤を含めまして収支率は一〇一%か一〇二%というところでございまして、したがいまして、一〇五%ということになりますと、これは相当ないわゆる高利潤を得ておる会社であると、したがって、そういうケースは比較的少ないんではないかと、こういうふうに思います。
  95. 森中守義

    ○森中守義君 そういうケースが少ないということは改定の必要性がいずれもあるという認識に立つべきものですか。
  96. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 通常はいままでの、いわゆる平常の場合にいたしましても二年ローテーションということで大体考えているわけでございますけれども、そういう時点での改定ということを前提といたしますと、もう通常そういうふうな収支率になると、またそういうことを前提としての運賃改定しか従来から認めておりませんので、そういうふうなことになると、こういうことでございます。
  97. 森中守義

    ○森中守義君 それからその基準表によれば、たとえば「地域区分の基準」、それから「標準能率事業者の選定基準」、それに「事業収支状況の算定基準」、この三つに分かれていて、かなり適用外のものが多い。こういうようにこの基準からいけば、大体出されてきたものは要否検討基準のものさしにはみんなはまってくる、これだけふるい落とされているわけだからね。たとえば「原価標準基準」ですね、これにも六項の除外がある。それから「サービス標準基準」では三項の除外がある。それから「効率性基準」の場合にはこれまた四つに分かれている。その基準が定められている。いずれもこういったように適用除外をずっとやっていけば、出されてきた申請というものは、いま言われるように一〇五%こえるものはまれに見るものであって、大半はそういうケースはないというようなことであれば、その要否基準にはもうみんな合格すると、いま出されている六大都市ね、それは全部これに当てはまるという解釈が出てくるんですが、そういうふうに理解すべきなんですか。
  98. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これはその基準年度をいつにとって考えるかという問題があるわけでございますけれども、現在六大都市について出てきております申請は、これは御承知のように昨年の十二月に出てきたわけでございます。したがって、これは四十七年度の実績をもとにして申請を出してきておるわけでございます。で、いまの時点になって考えますと、私どもは四十八年度の実績というものを見て、それによって収支を考えなければならないのではないか、その場合にまたそのような基準年度、平年度をいつにとって考えるかという、これまた技術的な問題がございますけれども、平年度をいつにとるかと、こういう問題等も含めて判断をいたしませんと、現在六大都市についてこれが一〇〇%をこえているかこえていないかと、こういうようなことは、仮定の問題としてはちょっと一律に申し上げられないと、こういうように思います。
  99. 森中守義

    ○森中守義君 いや、ただ私が申し上げているのは、その要否の検討基準というものが早くから設置されていて、ことに四十八年の七月二十六日に企画庁と協議の上でこういうものをきめたと、この限りにおいては非常に用心深いし、決して否定しませんよ。ただ、その基準の内容を見ると、出てきたものは要するに全部オーケーですよというような内容にどうもとれるんだな、非常にむずかしいその条件というものが付されておらないしね。  それと、いま局長が言われるように、申請から認可まで相当の期間がたっている。で、この間の空白が算定の中に入ってこないという計算になるでしょう、申請が出されたそれ以前の資料でしょうからね。それで要否の検討基準でふるいにかけてみて、これ採用された、じゃあいよいよ本申請の審査の作業に入ろう、認可をおろすというまでには大体通例どのくらいの期間をいままでかけているんですか。その期間がむしろ問題なんで、どのぐらい期間がかかっておりますか、いままでの実績からいけば。
  100. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは全国的にいろいろなケースがございまして、先ほどから私申し上げましたように、大体二年ローテーションといいますか、二年に一回見直すというふうなシステムがある程度でき上がっております。したがいまして、申請者——事業者といたしましても、たとえば去年値上げをして、ことしまた値上げの申請を出しましても、通常の場合には来年でなければこの見直しの時点にならないと、そういう時点であえて申請をするということは従来はないわけでございます、あまり。したがいまして、大体そういう改定時期というものは見当がつくわけでございますので、そういう時点に合わせて申請を出し、それに従って審査をするということでございますので、申請から結論まではそう時間がかからなくて処理しておるというのが実態でございます。ただ、その申請の中には、非常に申請の内容等につきまして、たとえばずさんであったりということで、その資料をもう一度精査して再提出させるとか、そういうものはこれは例外的にございますけれども、そうでなければ時間がかかるということはございません。ただ今度の場合、六大都市につきましては昨年十二月に申請が出たわけでございますけれども、これは前々から申し上げましておりますように、そういう本運賃の改定ということではなくて暫定運賃を認めると、こういうことにいたしましたために、昨年十二月に出た本運賃の申請というものはまあいわばそのままになっておる、こういうことでございまして、これは非常にタクシーの場合につきましては例外的なケースであろうと、こういうふうに思います。
  101. 森中守義

    ○森中守義君 それではずばり聞きます。まだこれはだいぶ問題あるけれども、また次の機会でもあれしますが、いま出されているといわれる六大都市の場合、この改定要否の検討基準には適合しているのかしていないのか、これはどうですか。
  102. 中村大造

    政府委員(中村大造君) したがいまして、この現在出ております申請につきましては、私どもこれが検討基準に照らして適合しておるかどうかという具体的な検討はいたしておりません。私どもは相前後して出ました暫定運賃の申請につきましてこれを処理したということでございますので、本運賃の申請につきましてはその検討をいまだいたしていないということでございます。
  103. 森中守義

    ○森中守義君 これは局長、また聞きなので、そういう文書を持っているわけでもないのでよくわかりませんが、すでにもう本運賃の審理作業に入れと、つまり油も大体安定供給の体制に入っているというようなことで運輸省では意向を表明しているんじゃないですか、そういう点私は聞いておるわけだ。  そこで作業の段階からするならば、申請が出て当然この検討基準に合わして適合しておれば審理を開始する、つまり一〇五%の上下の問題ですね。適合していなければ却下と、こういうのが表向きの筋でしょうからね。だから、すでにもう本運賃の審理作業に入れという指令を出したということは、適合しているということじゃないですか。どういう文書を出されたかよくわからぬけれども、大体本運賃の申請はよろしいというようにちょっと聞いているんですがね。方針はきまっているんじゃないですか。
  104. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 暫定運賃を本運賃に切りかえる処理のしかたにつきましては、大臣がたびたび答弁申し上げておりますように、四十八年度の実績を見た上で、その上でどういうふうな切りかえ方をするかということを検討してきめると、こういうことでございます。したがいまして、六大都市につきましてもそのような方針で進むということは確定いたしておりますけれども、しからば具体的にいつどのようにして切りかえるかという、その切りかえ方につきましては、これはいまだ決定をいたしていないと、こういうことでございます。
  105. 森中守義

    ○森中守義君 そうしますと、また逆戻りだけれども、暫定運賃という制度を制度上——私は制度じゃないと思っているのだが、暫定運賃を見直してやろうと、決着つけようというのか、そうじゃなくて、本運賃で決着をつけようというのか、その方向はどうなんですか。暫定をずっと残していく、そのために暫定を見直す。そうじゃなくて、出された本運賃でやっていくという、どっちを採用しようとするのか、その基本的なものが全然わからない。
  106. 中村大造

    政府委員(中村大造君) いずれにしても、これは四十八年度の実績を見た上できめるわけでございますけれども、その場合に、現在、昨年の十二月に出ております申請、これはたびたび申し上げましたように、四十七年度の実績によってあの当時の状況でこれだけの値上げをしてもらいたいという、こういう申請でございます。したがいまして、そういう申請を前提にしてこれを処理するのがいいのか、それとも四十八年度の実績が出た段階におきまして、それをもとにしてそれを基礎にして申請をして、それによって処理をするのがいいのか、この辺はいろいろやり方の問題になるわけでございまして、私どもの感じといたしましてはやはり四十八年度の実績というものが出た上で、四十八年度を基礎にしてそうして運賃というものはどうあるべきかという新しい観点で本運賃の決定をしていくというのが筋ではないかと、こういうふうに思っております。
  107. 森中守義

    ○森中守義君 いまの御答弁は前回も同じような答弁だったので、大体その辺だなというように判断をしますよ。そうなれば十二月八日に出されたその本運賃の申請というものは四十七年の決算を基礎にしているわけだから、当然これは一応撤回をさせて四十八年度決算の上に立って新しい申請を出させる、そういうことになるんですか、手続的には。
  108. 中村大造

    政府委員(中村大造君) そういう点も含めまして、いまどういうふうな本運賃への切りかえが一番時宜に適し妥当であるということを鋭意検討をいたしておるわけでございます。また事業者のほうといたしましてもどのような希望の表明をしてくるかということも、現在はまだ予断を許さない状況でございまして、いろいろな条件を勘案いたしまして私どもとしては最も適切な方法をとってまいりたいというふうに思っております。
  109. 森中守義

    ○森中守義君 いまのようなお話からいくとまだ固まっちゃいないんだということですね。そういうような状態でさっき大臣の答弁と合わしていくにはかなり無理していきますね。まあいいでしょう、大体意向はわかったような気がします。ただ、ここでいわれている要否の検討基準、こういうものは相当——これこそ検討の上こういうものがつくられたんでしょうが、ある程度、局長、大臣というそういうレベルではなくても、やっぱり出てきたらこういうものはきちっと合わして、いいものはいい悪いものは悪いというようにある程度ふるいにかけるべきでしょうね。そのための基準だろうからね。  最後にちょっともう一つ沖繩関係で聞いておきますが、せんだって沖繩へ行きまして海洋博の問題でずいぶんいろいろ問題があります。その中で運輸省関係で足をどう一体確保されるか、何か地元でいろいろ話を聞いてみるとなかなか容易なことではない。こういうことをずいぶん詳しく聞いてきましたが、これは私がお尋ねする前に観光部長においでいただいていますから、大体足の確保等については自動車局及び観光部長のほうでどういったような計画をお持ちなのか、ちょっと漏らしておいてもらいたい。
  110. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 海洋博における観光客の足の確保の問題でございますけれども、これにつきましてはいろいろの方法があると思いますが、いわゆる自動車による輸送力をどのようにしてつけ、またそれに対してどのような助成をするかと、こういう点につきましては私ども現在考えておりますのは、現在貸し切りバスが約二百八十両ございます。海洋博の場合にどれだけ入り込みがあるかということから想定いたしまして、どの程度のバスを増強しなければいけないかという計算をいたしますと約百五十両——先ほど私ちょっと言い間違いましたけれども、現在百三十両ございます。百三十両ございますけれども、そういう入り込み客を考えますと約二百八十両のバスを必要とする、差し引き百五十両の増強が必要になるわけでございまして、それに対しましては四十九年度予算におきまして一両について百三十万円、こういうふうな補助金を交付することによりまして必要な車両数の確保につとめさせたい、こういうふうに思っております。
  111. 森中守義

    ○森中守義君 この二百八十台を必要とするこの根拠は大体どういうようなもので出されたものでしょうか。また百三十台貸し切りバスがあるというのは沖繩にあるものですか。
  112. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 沖繩でございます。
  113. 森中守義

    ○森中守義君 路線でなくてね、貸し切りバス
  114. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 貸し切りバスでございます。
  115. 森中守義

    ○森中守義君 二百八十台の根拠はどういうことですか。
  116. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これはまあ通産省の見込み数を基礎にして考えたわけでございますけれども、一日大体一万人と、こういうふうな想定のように聞いておりまして、その点から考えますと約百五十台の車を増強する必要があるんではないか、こういうふうな計算をしたわけでございます。
  117. 森中守義

    ○森中守義君 通産省、これ現地のだれが言っているのかね、おそらく通産省の責任者なのかどうかわからぬけれども、大体海洋博に五百万人から六百万人ぐらいを予定していろんな施策が進んでいる、こういうふうに聞いてきたんですが、いまの話の一日一万人といえば百八十万人、こういうことでだいぶその五百万、六百万とは違うんだけれども、通産省は大体どのくらいと見込んでおるのですか。
  118. 増山孝明

    説明員(増山孝明君) ただいまお話しのありました五百万人という数字は、沖繩海洋博覧会協会が輸送観客委員会を開催いたしまして想定いたしました延べ入場者の見通しでございます。延べ入場者と申しますのは、一人の人が二回見れば二名にカウントされるわけでありまして、本土から五百万人行くということではございませんで、入場者、沖繩県内の人も含めまして延べ五百万人入るという想定があるわけでございます。このことを現地で言っているのかと思います。  それで、いまの一日一万というお話が出ましたが、これは海洋博覧会に備えまして、目下運輸省のほうで船あるいは飛行機の増便を計画していらっしゃるわけですが、これで予想される座席数ですが、これが約一万に達するというように私どもは運輸省のほうから聞いております。これがまあ一万人ということでございまして、もしかりにこの一万人が完全に座席が埋まって、それが現地に行き、それからここへ本土から行った人がもし二回会場を見るということになりますと、その行った数の二倍というふうになってカウントされるわけです。  また沖繩県の方もこれは非常に近いので多くいらっしゃるであろうということで、大阪万博の数等を考慮いたしまして、沖繩の島民の六〇ないし六五%の方が二・五回ぐらいごらんになるというように想定いたしますと、入場者の延べの想定数が五百万人になる、こういうことになっております。しかしながら、現実に台風での欠航とか、あるいは座席数が一〇〇%埋まるかどうか、いろいろ問題がございますので、現在輸送手段が現実にどれくらい準備できるかということ、それから一方、旅行エージェントを通じまして現実にどれくらいの観客が行くようにすでに計画されているかということ、あるいは沖繩島民の方がどれくらいの入場の希望を持っていらっしゃるかというようなアンケート調査、こういうようなものを実施しておりまして、これらのデータがそろい次第、再び海洋博覧会協会のほうにおきまして第二回目のはっきりした輸送計画を立てるという手順で目下検討を進めているという段階でございます。
  119. 森中守義

    ○森中守義君 沖繩では五百万ないし六百万というのは通産省が言っていると、こう言っているのだ、向こうのほうの話ではね。その辺がよくわからぬけれども、いまの説明からいきますと一日一万、延べ百八十万だな、六カ月でね。この計算をちょっともう少しくシビアに見る必要があろうし、それと、かりにいまの説をそのとおりだと肯定した場合に、現地の人が二回見るんじゃないかとか、そういういろんな説を想定して五百万ないし六百万という割り出しのようですが、これは中に何回行こうと、乗りものを利用するのか歩いていくのか、こういうたわいない議論になるけれども、やっぱり乗りものを利用するんだろうね。近いからといっても歩いちゃ行けないね、那覇から百キロある。だから現地の人が一回、二回、三回行くからそれを計算すればそういう数字になるということでは、これはやっぱり乗りものの割り出しにはならない。やはり車を利用するでしょうね。あるいは自分のもので行くかもわからぬけれどもね。しかし重複して見たいという人の中にはやはり乗りものを利用する人もいるだろう、そういう計算もしてみないと、沖繩現地だけは別だと、こっちから一日一万人行くので、それを月三十万、六ヵ月で百八十万人だけの足を用意すればいいということにはならないのじゃないですか。その辺のことがどうもやっぱり割り出しとしては理解できないですね。どうですか。
  120. 増山孝明

    説明員(増山孝明君) 目下、先ほど申しましたように、いろんなデータを集めて検討する運びになっていると申し上げましたけれども、これは単に本土から沖繩に行く人だけを輸送するということを考えているわけではございませんで、沖繩県民の方でもその一部の方は自家用車を利用されますが、また一部の方はバスを利用される、あるいは船も準備しておりますので船も利用されるといことを考慮に入れまして計画を立てる所存でございます。
  121. 佐藤久衛

    説明員(佐藤久衛君) ただいまの先生の御指摘の五百万という数字は、海洋博協会のほうで算定いたしました入場者の数でございます。で、沖繩という本土から離れた場所でこういう大型のプロジェクトが実施されるわけでございますので、まず本土のほうから大体どのくらいの人たちがどういうルートで行くのかということが第一点。それから第二点は、沖繩の離島の方あるいは沖繩本島の方々が会場にどういう経路で行かれるか、こういうような要素をいろいろ勘案しなければならぬ。ところで沖繩本島への本土からの往来、交通手段はどういうふうに考えられるかということでございますけれども、やはり主体は航空機、したがいまして那覇空港に着く。それからもう一つは、現在就航しております定期船あるいはその海洋博期間中に不定期の形で旅客船が就航する、これは那覇港に着きます。そのほかに不定期のものにつきましては、現在整備を進めております渡久地港、これはいま建設中でございます。それからもう一つ、ちょうど渡久地港の北側になりますけれども、運天港というのがございます。現在これは建設資材の運搬用の港として整備を進めておる、いま使用している、供用しているものでございますけれども、そこのほうにも旅客が船で参ります。  そのほかに那覇港に着きました者が、あるいは那覇空港に着きました者が、先ほどお話ございましたように、観光バスで会場まで参るというのと、もう一つ計画されておりますのは、それから大型のフェリー、これはまだ就航はいたしておりませんけれども、大型フェリーでもって先ほど申し上げました渡久地の港まで参る。その場合にはフェリーのほかに水中翼船その他の計画もあるようでございます。で、そういうような経路でこの会場まで参る。その場合、先ほど島内におきますところの交通計画を立てます場合に、実は本土から参りました人たちがどういう経路をたどってまいるかという点につきましては、今度宿泊施設がどこにどのような形で整備されるかということによりましても、輸送施設をどういう形で整備するかということに関連してまいるわけでございますので、現在もう海洋博の開設は一年後に控えているわけでございますので、いま言ったような各航空機、それから旅客船、それから本島内におきますところのバス、あるいはまた船舶整備というふうなもの、それと宿泊施設との関連というふうなものを実は詰めておるという段階でございます。そういう実情でございます。
  122. 森中守義

    ○森中守義君 結局これは、自動車局長が二百八十台全車両が必要であり、現在が百三十しかない、百五十ふやさなければいかぬ、こういうことですが、これは新しい免許申請、もしくは既存の五社でしたね、バス業者は——、そこにやろうというのですか、どういうあれですか。それで海洋博が済んだあとこれはどうなるのか、この車はどういう処分をするのですか。こんなにたくさんは要らないだろう、普通の日は。
  123. 中村大造

    政府委員(中村大造君) この百五十両の増強はすべて現在の既存事業者の増車という処置で行なうということになろうかと思います。  それから海洋博後でございますけれども、御承知のように、沖繩で現在使っておりますバスは相当車齢も古いわけでございますから、新車百五十両入れましても当然それは海洋博が済んだあと、それぞれの各社におきまして老朽化した車両の代替に使っていくということでございますので、これが海洋博後に余る、こういうふうな事態にはならないというふうに考えております。
  124. 森中守義

    ○森中守義君 これはいまの段階であまり確定的な煮詰めというのも無理でしょうが、だいぶ数字は移動するね。これはかなり流動すると見なければいかぬ。したがって、ぜひひとつこういう足の問題、地元でも非常に心配しているようですから、御配慮願いたいと思いますね。  それから観光部長、ホテルのほうの受け入れはどうなんですか。
  125. 高橋寿夫

    政府委員(高橋寿夫君) まず運輸省で担当しておりますホテル、旅館関係の問題は、これはオリンピックのときも、あるいは大阪の万博のときもそうでございましたけれども、外国人宿泊客のための施設ということで担当いたしました。したがいまして、それを含めました日本人を合計した全体の宿泊施設の話は後ほどまた通産省の方からお話ししていただくことにいたしまして、外国関係の登録ホテル、登録旅館というふうなものの施設の状況を御説明申し上げますと、現在すでに登録基準に合致しておりますホテルが沖繩の本島に九軒ございます、これはホテルでございます。それから登録旅館、これは本島に十軒ございます。これらはいずれも外人客が宿泊するのにふさわしい施設を備えております。なお、このほかにすでに建設が済んでおりましてまだ登録手続が済んでないもの、これが十三軒ございます。ホテル、旅館合計でございますが十三軒ございます。それから、そのほかになお建設中のものが四軒ございます。これらをすべて合計いたしますと、外国人の宿泊にふさわしいホテル、旅館、合計三十六軒、約七千七百人の収容人員が確保できることになっております。  一方、どのくらい外人が来るかということでございますけれども、先ほどの延べ五百万人という入場者のうち外国人は延べ約三十万人ぐらいだろうという数字がございます。一日平均にいたしますれば約千七百人、こういうことでございますので、外国人のことだけ考えれば七千七百人の収容力がございますので十分余りがある。したがいまして、この残りのところは日本人の宿泊に充てられるというふうに考えております。
  126. 森中守義

    ○森中守義君 まあ大臣、現地に行きますと予想外にいろんな問題がありますよ。その逐一を御披露する時間もありませんし、まだいろいろお尋ねしたいこともありますけれども、これは次の機会に譲りますが、一ぺん機会を見て、大臣なり、あるいはかわるべき人を一回現地に入れてみませんか。局長やあるいは観光部長の仕事ですから、そつのあることとはもちろん思いません。しかし意外にわれわれが考えることとは思いもよらないようなことが現地にいろいろあります。そういうものをきちんと踏まえた上での仕事でないと、ただ数の計算で、ホテルがこれだけだからこれだけでよかろうとか、車はこれだけでよかろうということでは、やっぱり海洋博の成功を車と泊まりでバックアップしていくということには、なかなか難儀を来たすのではないかというふうに思います。いろんなことがあります。そういう意味で、またこの問題はもう少し時間のあるときにゆっくり、期間もありますから、お尋ねすることにして、ぜひひとつ大臣あるいは省の首脳部が一度おいでになることをおすすめして、私の質問はきょうはこれで終わりたいと思います。
  127. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。     —————————————
  128. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 次に、請願を議題といたします。  本委員会に付託されております請願は、第一九六号東北新幹線東京駅起点の実現に関する請願外百八十四件であります。  これらの請願は、理事会において協議いたしました結果、請願第一九六号東北新幹線東京駅起点の実現に関する請願外百五十九件は、議院の会議に付するを要するものにして内閣に送付するを要するものとし、第三五九号北陸新幹線長野県内ルート及び早期着工に関する請願外二十四件は、留保とすることに意見が一致いたしました。  右理事会の申し合わせどおり決定することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  130. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     —————————————
  131. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 次に、継続調査要求に関する件についておはかりいたします。  運輸事情等に関する調査につきましては、閉会中もなお調査を継続することとし、本件の継続調査要求書を議長に提出いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  132. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  なお、要求書の作成につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  133. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時二十九分散会      —————・—————