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1974-03-28 第72回国会 参議院 運輸委員会 第11号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)    午前十時十三分開会     —————————————    委員の異動  三月二十七日     辞任         補欠選任      金井 元彦君     江藤  智君      寺下 岩蔵君     渡辺一太郎君      中村 利次君     田渕 哲也君  三月二十八日     辞任         補欠選任      田渕 哲也君     中村 利次君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正雄君     理 事                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 杉山善太郎君     委 員                 岩本 政一君                 木村 睦男君                 橘  直治君                 瀬谷 英行君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 三木 忠雄君                 中村 利次君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君        国 務 大 臣        (内閣官房長官) 二階堂 進君        国 務 大 臣        (経済企画庁長        官)       内田 常雄君    政府委員        経済企画庁物価        局長       小島 英敏君        経済企画庁総合        計画局長     宮崎  仁君        大蔵省主計局次        長        田中  敬君        運輸大臣官房審        議官       原田昇左右君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        労働省労政局長  道正 邦彦君        労働省職業安定        局長       遠藤 政夫君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        日本国有鉄道総        裁        藤井松太郎君        日本国有鉄道副        総裁       井上 邦之君        日本国有鉄道理        事        内田 隆滋君        日本国有鉄道理        事        加賀谷徳治君        日本国有鉄道理        事        伊江 朝雄君        日本国有鉄道理        事        天坂 昌司君        日本国有鉄道理        事        速水 信一君        日本国有鉄道資        材局長      篠原 春夫君        日本国有鉄道施        設局長      篠原 良男君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進  特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正  する法律案内閣提出衆議院送付)     —————————————
  2. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会開会いたします。  国有鉄道運賃法及び日本国有鉄道財政再建促進特別措置法の一部を改正する法律の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。質疑のある方は順次御発言を願います。
  3. 黒住忠行

    黒住忠行君 本日、大臣予算委員会等関係で、時間の制約もございますので、まず冒頭に大臣にお伺いしたいと思います。  それは四十八年度とまた今回提案になっておりますように、二回にわたりまして運賃改定が延期されるわけでございますけれども、それは物価事情その他の事情等もある一方、国鉄再建という非常に重要な計画ができまして、これの推進という命題がございます。そういう関係におきましていろいろと複雑な御心境にもあるかと思うわけなのでございまして、その点につきまして、大臣の御所見を承りたいと思います。
  4. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 昨年、十カ年再建計画につきましていろいろ御審議をわずらわして成案を得さしていただいたわけでございますが、このたびの経済の異常な状態にかんがみまして、さらに六ヵ月間運賃改定を延ばしたいということで、ただいまさらにそのための御審議をわずらわしているわけでございます。これはとりもなおさず昨年来申しておりました、運賃消費者物価にはそう大きな影響は与えないんだということを言っておりましたけれども、その指数のいかんにかかわらず、この異常な物価の不安な状態下にありまして、政府といたしましては、まず公共料金の一つでございます国鉄運賃改定実施期間を延期しまして物価抑制政府全体として挑戦する、これが当面の政策の第一であるという基本的な姿勢をこれによって示し、また国民の御協力を得なきやならぬということで、そのような措置をとることに相なったわけでございます。  なお、その資金的な裏づけ等におきましては、今年度の六ヵ月間の延長において減収になる九百七十六億に対する処置といたしましては、これを財投等借り入れ金によってこれを補てんするということに措置いたしたのでございます。なおこの借り入れ金に対する利子補給は、昨年、四十八年度において処置いたしましたと同じように、その利息は国庫においてこれを、財政再建中補てんすると、こういうことに処置いたした次第でございます。
  5. 黒住忠行

    黒住忠行君 財政措置等内容につきましては後刻さらに承わりたいと思いますが、国鉄再建十ヵ年計画というものにとりまして、最近におけるベースアップ状況等は必ずしも予想どおりには行っておりませんし、諸物価の高騰という事情もございます。また、ただいまお話がございましたけれども財政措置をいたしましても借金というものが残るわけでございまして、それらの諸情勢が変わってきておりますが、この十ヵ年計画をぜひ予定どおり推進するということであるか、あるいは将来情勢によっては変更をしなければならないということであるか、大臣の御決意を伺いたいと思います。
  6. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のように、ベースアップあるいは物価上昇、あるいはまた借り入れ金そのものは、いろいろなその間における多少の措置はございますけれども数字としては残るわけでございます。御指摘のとおりでございます。したがいまして いろいろの面で非常に先行きが不安じゃないかという御指摘でございますが、私どもも事実それは率直に認めざるを得ないと思いますけれども、十年計画というのは長期にわたる一応の十年の計画でございまして、基本的にその計画を一応踏襲してまいりたい。基本計画でございますから、いま直ちに、今日ただいまの状況を見て、この十年の再建計画というものを見直すということは考えておりません。この再建計画をたどりつつ、いろいろな諸点について、それぞれの時点でまた考えてまいる機会はあろうかと思いますけれども、いま直ちに十ヵ年計画を見直すということは考えておりません。
  7. 黒住忠行

    黒住忠行君 それでは内容につきまして若干見てみますが、四十九年度で特別利子補給内容につきましては、四十八年度分で運賃改定実施の延びることによる影響千八百四十九億、それに三月三十一日の分、これが六億、それから四十九年度の分が半年延びることによりまして九百七十六億、それで数字はよろしいわけでございますか。
  8. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) そのとおりでございます。
  9. 黒住忠行

    黒住忠行君 それで四十八年度分の運賃改定実施の修正その他仲裁裁定等によります四十九年度分の負担分九百七十六億、それに対する財政措置の点を御説明願いたいと思います。
  10. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいま御指摘のとおり、四十八年度におきましては運賃改定のおくれ並び仲裁裁定実施、こういったことによります資金の不足につきましては、これを財投その他の借り入れ金によりまして補てんしたわけでございます。それから四十九年の十月一日まで運賃改定を延ばしましたことにつきましては、全額これを財政融資をもって補てんしたわけでございますが、ただいま大臣からお答え申しましたように、これにつきましては四十八年、四十九年度それぞれこれを直接、子利子特別利子補給金という形で政府から補てんしたわけでございます。で、四十九年度におきましては、四十八年度の借り入れの分並びに四十九年度の新しい借り入れの分合わせまして二百三十五億というのを特別利子補給金といたしまして一般会計より補てんすることにいたしたわけでございます。
  11. 黒住忠行

    黒住忠行君 いまの御説明財投による処置、これは元来からいうと全額ほかの金で補てんをされれば運賃相当分はそのまま補てんされるわけですけれども利子補給するといたしましても借金でもっていくということは将来残るわけでございまして、国鉄としてその問題をどうお考えになっているか。
  12. 井上邦之

    説明員井上邦之君) ただいま先生御指摘のとおり、確かに借金は当初予定いたしました長期収支計画よりもそれだけふえます。ふえますけれども、先ほど鉄監局長からも御説明のありましたとおり、それに対する利子は従来の孫利子方式と違いまして直接子利子方式として一般会計から年々補給してまいる、こういうことになりますので、その借金の額は長期歳入残高としては十年間を通じてその根底に、底に加算されるということでそれだけふえておりますけれども利子を払っていかなくてはならぬということによる累積的な悪化の要素というものは五十年度以降にはないわけでございます。ほかの条件に変わりがない限り五十年度以降は長期収支計画で一応算定いたしております数字、あれがもとになり得るということでございます。したがいまして、長期収支計画にこの面だけでは基本的には影響を与えるものではない、かように考えております。
  13. 黒住忠行

    黒住忠行君 運賃改定実施が延びるということはそのものずばり、たとえば本年度は九百七十六億と、こういうふうになるわけですが、収入などの算定の場合に、ときに企業努力ということがいわれます。今度企業努力による増収分は幾ら見込んでおりますか。
  14. 井上邦之

    説明員井上邦之君) 四十九年度の予算案で見込んでおります企業努力による増収額といたしましては八百二十億を見越しております。
  15. 黒住忠行

    黒住忠行君 国鉄近代化合理化をはかりまして能率をあげていかなければならないわけでございますけれども、いろいろ経済情勢を反映いたしますし、企業努力は大いにやってもらうのは当然としても、ときどきつじつまを合わすために企業努力ということで数字を入れられるわけでございますけれども、従来ままあったわけですけれども、八百二十億というふうなことにつきまして、どのような企業努力によって達成されようとするか、お伺いしたいと思います。
  16. 井上邦之

    説明員井上邦之君) 今後の業務体制全般的な刷新といいますか、近代化といいますか、そういったものを進めて企業増進努力するということはもちろん根底にございますし、そのほか設備投資も増加してまいりますれば、それだけ輸送力もふえると、こういうような諸般の情勢を総合的に勘案いたしまして八百二十億でございます、八百二十億を計上いたしたということでございます。
  17. 黒住忠行

    黒住忠行君 次に一般会計支出金でございますが、四十九年度は六百五十億、前年度は当初八百億で、その後補正によりまして一千百五十億が追加されております。四十八年度に対して四十九年度は少なくなった。十カ年計画による予定数字よりはふえておるようでございますけれども、四十九年度六百五十億というものは四十八年度と比較して減っておる。その点につきまして一応御説明をお願いしたい。
  18. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 御指摘のとおり、当初四十八年度におきましては八百億ということを予定いたしておりましたのですが、先ほど申し上げましたように、運賃改定が一カ年おくれたということによりまして、その借り入れ金に対する手当てはいたしましたが、長期負債が残るということは事実でございます。これに対しましては、やはりその財政基盤強化あるいは今後の利子節約といういろいろな面から申しまして特別の出資をいたしたわけでございます。並びに十ヵ年間に一兆五千六百億というものを出資する予定でございますが、そのうちを四十八年度に繰り上げて出資を多くいたしまして、少しでも財政再建強化しよう、こういうわけで四十八年度は多額の出資予定よりもしたわけでございます。
  19. 黒住忠行

    黒住忠行君 国鉄国民の足であり、その国鉄に対する国民の期待は大きいわけでございますが、先般来たびたびストが行なわれており、先般の二十六日のスト目的といいますか、それを当局側はいかに観念されておるか、そうしてまたそのストによる旅客輸送貨物輸送に及ぼした影響、したがいまして国民生活に及ぼした影響相当絶大なものがあると思いますが、それらの点につきまして国鉄からお伺いしたいと思います。
  20. 井上邦之

    説明員井上邦之君) 三月一日に始まりました今次春闘につきまして、国鉄関係労働組合が特に国民の皆さまに対して非常な御迷惑をおかけいたしておりますことは、私どもといたしましても非常に遺憾に存ずる次第でございまして、おわびを申し上げます。  今度の三月一日のいわゆる第一波と称しておりますものは、完全な政治闘争でございまして、当局との間に何ら団体交渉をやって事案を解決するという問題を含まない、すべて政治的な目標だけを掲げた闘争でございます。そういう政治闘争をやるということについては、事前にそういう暴挙をやめろということを極力説得いたしましたけれども、遺憾ながらそういう結果に相なったという次第でございます。  それから第二波と称しまする二十六日、おとといの闘争でございますが、これは午前零時から十二時まで、前半は第一波と同じく政治闘争だけが目標ということで、十二時以降を当局との間に団体交渉で解決すべき事案を持った、それを背景にした闘争である、こういうことでありました。政治闘争のほうも十二時間の闘争、これは総評との関係もありまして、国労動労とも闘争をぶち抜いたわけでございますが、十二時以降の部内的な処理によって解決すべき闘争、これにつきましては当局との間に積極的な団体交渉を進めまして、ある程度組合当局との間に原則的な了解が得られたということによりまして、国労は全般的に十二時に闘争を解除いたしました。動労は一部の地区を除きまして、やはり十二時に闘争を解除した、中止指令を出した、こういうことでございます。  重ねて申しますが、第一波、第二波ともに政治闘争が主要な目的になっております。こういう闘争をやるということにつきましては、かねがね労働組合に対しても強い反省を求めておるところではございますけれども、私ども努力が足りずそういう政治闘争に遂に突入せざるを得なかったということにつきましては、おわびを申し上げます。
  21. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 第二波闘争影響についての御質問があったと思いますので、ちょっと補足さしていただきたいと思います。  二十六日の零時から以降闘争に突入するという戦術でございまして、まあ前日の夜行列車からの乗務員確保といったようなことにつきまして、本社、地方あげて最大の努力をいたしたわけでございますが、それによりまして、長距離夜行列車につきましては、闘争拠点となっておる地区について五割以上の確保ができた、また貨物列車なんかにつきましては、緊急物資生鮮食料、そういったものを運ぶ列車につきまして、八割程度列車確保ができたというようなことで進んでおるわけでございますが、実際に出ました影響につきましては、これは非常に概数で申しわけがございませんが、あとでまた多少数字が変わってくるかと思いますが、二十四日から、今度は動労が順法をやりましたので、四日からそういった影響が出ておりまして、そのあと動労の一部地区闘争が終わらなかったというようなところがありますので、二十四日から二十七日までの四日間の影響というような感じになりますが、旅客減収額推定額で十二億、貨物が九億ということになりまして、運休列車は両方合わせまして一万本、内訳申しますと、旅客で五千四百、貨物で四千六百というようなことで、大体旅客関係旅客の足に影響したものを推定いたしますと、およそ全国的に千三百万人にわたるであろうというふうに考えられます。
  22. 黒住忠行

    黒住忠行君 国鉄総裁は就任に当たられまして、明るい職場をつくらなければならぬ、労使相携えて国鉄重要使命を達成したい、こういうふうにおっしゃられていると思うわけです。そういう面から見ましても、今回のようなことは、いわば政治ストが行なわれるというふうなことにつきましては相当問題が大きいのではないかと思うわけでお聞きしたい。せっかく明るい職場をつくり国鉄使命を達成しようとしておられる総裁とされまして、どのような所見であるか、伺いたいと思います。
  23. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 先ほど来申し上げておるように、今回のいわゆるストによりまして各位に迷惑をかけた、つつしんでおわびをする次第でありますが、その対労組との問題は、これは正すべきものは強く正し、話し合いを進めるべきものは両者が腹を割って話を進めるということによって漸次改善していくより手がないんじゃないかと私は考えるのでございまして、今後ともその線に沿って懸命の努力をして、御指摘になりましたような明るい職場をつくっていこうと、それの前段としては、国鉄の働く職場環境というようなものは必ずしもよくございませんので、こういうものに相当投資をやることによって職場を明るくし、なおかつ労組の諸君とも話し合うべきものは十二分に話し合って、漸次職場を明るくして、今回おしかりを受けたようなことを少なくしていきたい、かように考えておる次第でございます。これには、まあ相当と申しましては申しわけございませんが、多少の時間もかかることでございますので、そういう点をお許し願って懸命の努力をいたしたいと、かように考えております。
  24. 黒住忠行

    黒住忠行君 最近におきまして社会経済情勢はたいへん転換してきております。たとえば高度成長から安定成長というふうなこともいわれておるわけでございますが、その間におきまして国民の足であるところの国鉄使命は、どのような時代でありましても不変であると私は思います。しかし、その社会情勢経済情勢に即応した、また対策を考えなければならないわけでございまして、その意味からいいまして、運輸省当局国鉄をいかに指導されようとしておるか。
  25. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 現在の社会情勢といいますのはきわめて変動的でございまして、これに対処してまいりますものはいろいろとむずかしい問題があるわけでございます。で、先ほど大臣が申しましたように、私たちといたしましては四十八年度を初年度といたします昨年国会で御審議いただきました再建促進特別措置法、この趣旨に乗りまして四十八年度を初年度とする国鉄財政再建をぜひいたしたいと思っておりますが、同時に、やはり時勢に対応いたしましてきめこまかい措置もまた必要かと思っているわけでございます。で、今回四十九年度の予算におきましても、総需要抑制という事態を踏まえまして、新幹線につきましては八五%という昨年に比べまして一五%の減の経費でございますが、一方エネルギーの節約あるいは石油危機、こういった問題から考えまして在来線整備強化ということには力を入れまして、四十八年度と比べまして二〇%増という一二〇%という予算で四十九年は臨むことにした次第でございます。また同時に、工事の施行にあたりましても、環境の保全だとか、あるいは公害対策、こういった面、それにつきましては安全の確保は言うまでもないことでございますが、そういった面につきましても従来よりもさらに一そう力を入れていたしていきたいと考えておる次第でございます。
  26. 黒住忠行

    黒住忠行君 いまの点を含めまして、さらにいろいろと環境への適応ということでございますが、国民の歓呼の声をもって迎えられました新幹線、世界に冠たる新幹線でございましたけれども、いまや騒音問題ということがたいへん緊急な問題としてクローズアップされてきたわけです。先ほど運輸相にお聞きいたしました新しい時代に即した国鉄の即応、特にこの騒音問題に対しましては、いろいろ具体案をつくり推進されようとしております。いろいろと御苦心があることはよくわかりますけれども、ひとつこれに対する取り組み方基本的考え方国鉄総裁からお伺いしたいと思います。
  27. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) いわゆる公共事業を進めまして国民利便を与えるというゆえをもって、沿線住民方々の犠牲においてそういうことを行なうということは、もはやだれが考えても許されるべきことじゃございませんので、国鉄の東海道新幹線に関しましては、当初は列車回数も少なかったゆえをもって、と同時にきわめて利便であるということでかっさいを博したんでありますが、漸次列車回数がふえてきて騒音その他でおしかりを受けるようになってきたということでございますので、これに対しましては、いわゆる環境庁から基準と申しますか、そういうものをお示しを願い、運輸省の御指示もございますので、その線に沿いまして音源の、何といいますか、減少というか、音源騒音の発生を押えるということ、さらに押え切れない騒音に関しましては、住宅、学校その他の防音の工事をやるとか、あるいは極端な場合は御移転を願うといったようなことに対する補償というようなことを、大体ルールらしいものをつくって、また運輸省環境庁その他に御相談申し上げなくちゃ、決定的とは申せませんが、そういう線で進めていこうと。何をおきましても技術の開発に一そうの努力をするとともに、沿線住民方々話し合いを十二分にして御了解を得たい、かように考えておる次第であります。
  28. 黒住忠行

    黒住忠行君 今回提案になっている法案につきましてはいろいろ問題がもちろんあるわけでございまして、長期計画に対して影響なしとしないと思います。長期計画をつくりました後にいろいろ情勢変化がありまして、なかなか困難が増していると思う次第でございますが、ひとつ政府におきます、財政措置等につきましては、十分この情勢変化を勘案しつつ、基本長期計画推進をせなきゃなりませんけれども事態に即応した対策を特にお願いしたいと思います。  また国鉄におかれましては、情勢変化のもとにおいてこれを遂行されるということでございますけれども、ひとつ明るい職場ということが私は基本であると思う次第でございまして、それらの点につきましての格段の御努力を要望いたしまして、質問を終わります。
  29. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 本案に対する午前中の審査はこの程度にいたします。  正午まで休憩いたします。    午前十時四十四分休憩      ——————————    午後零時十八分開会
  30. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。
  31. 森中守義

    森中守義君 運輸大臣、これは企画庁長官あるいは官房長官にも同じようなことをお尋ねしますが、たいへんな大騒ぎが連続続いたあげぐ昨年やっと決着を見た今回の措置は、物価問題ということで特別な措置をとりたい、こういう趣旨の御説明がありましたけれども、これでどうなんですか、運輸大臣がこういうことを決定をされたいきさつ、あるいはものの考え方からしまして、経済社会基本計画の中で、計画期間を通じて年平均四%台の上昇物価上昇をとどめると、こういつているわけですね。国鉄運賃を六ヵ月凍結することによって、この基本計画の四%台に抑制しよう、政府のこの措置に斉合させるということでこの措置がとられたのかどうなのか。また、それがそのとおり実行できるかどうか。その辺のお考え方はどうなんですか。
  32. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 半年国鉄運賃を延期する、この問題はいまお話がございましたように、昨年の暮れ異常な経済情勢下にあって物価は高騰している、そこで、この物価高騰に対する挑戦こそが最大の課題であるというようなことから、公共料金法律を御審議願って御決定いただいた国鉄運賃ではあるけれども、ひとつ政府基本的なそういう姿勢を、物価に対する挑戦こそが一番大きな使命であるという、そのかまえも持ってこれに当たっていこうと、そういう一つのあらわれとして、この問題に対して半年の延期をもひとつやろうじゃないかということに決定を見たわけでございます。  したがいまして、昨年御審議いただいたこの問題は、物価には〇・二%でございますか、の影響を与えるだろうということは当時御説明をしておったのでございますが、しからば経済社会基本計画との関連の問題等についても、一応企画庁等においては考えておられたと思いますけれども、私としましてはそこまで踏み込んだ討論と申しますか、議論は実は私はしなかったわけでございます。
  33. 森中守義

    森中守義君 官房長官、いまお聞きのとおりですが、運輸大臣の言われる物価抑制に対する決意、姿勢、まあいわばこういうことは精神的なものとしてわかる。しかしながら、運賃というのが相当長期にわたりましてたいへんな騒動を巻き起こしてやっと決着がついた。それをまた六ヵ月延長しようという内容目的目標というものはそういう精神的なものばっかりじゃ私ども承知できない。なぜかといいますと、企画庁が案をつくり、閣議で決定をされた物価抑制の一つの指標としては、経過期間を通じて年平均四%台の上昇にとどめるという、こういう一つの原則をつくっておるわけですね。ですから六ヵ月間運賃を凍結することによって異常な上昇と見ている物価のこの状態を、運賃凍結によって四%台にもどめることができるという見解のもとにこの措置がとられたのかどうなのかということが一つ。これは内閣できめられたわけですから、本来ならば総理にお越し願いたいところですが、内閣を代表して官房長官から、四%台に封じ込めるんだと、そのための一策として運賃の凍結ということをやられたのかどうか、これが第一点。  それからいま一つは、片や運賃が凍結をしたのに、同じ交通部門でありながら石油パニックを理由にしてタクシーについては二九%の暫定運賃を決定しているわけですね。これは物価閣僚協できまっている。そうかと思えば、関連申請による六八%の電気料金を上げようという、また先般の予算委員会かどこかでの運輸大臣の答弁では、電気料金がそういう方向をとるならば、おのずから私鉄、バス、航空、これら交通関係の料金改定にも検討を加えざるを得ないだろう、こういうことが言われているわけですよ。どうも物価対策に対する定見がどこにあるのか全然私どもにはわからない。ですから、運賃は凍結したが法律事項以外の、つまり行政府における認可事項についてはどんどんやっていくという、どうもつじつまの合わないような物価政策が問題だと、私はこう思う。  ですから、一つには運賃を六ヵ月凍結することによって、企画庁が提案をし閣議が決定をした四%台ですね、封じ込めるという自信があるのかないのか。他面他の交通部門の認可を場合によっては考えよう、電気料金も上げていこう、あるいは石油もしくは石油製品も大騒動の果てに値上げ決定と、こういう趨勢をたどりながら、どうも昨年の十月、十一月以降、大騒ぎになった物価。そこであわてふためいて運賃凍結という方針をとる、まあそれには世論操作、ことに参議院選挙を前にいたしまして、政府物価対策の姿勢を世論操作の一環として扱ったという向きもありますけれども、いま物価問題がやや、下火とは言いませんけれども、幾らか鎮静化の方向にあると言うならばあると言えるでしょう。そういったように、ある一定の時期が過ぎたならばもうどんどんほかのものは上げるというようなことで、つじつまが合わないわけですね。ですからその辺のことを、政府を代表して官房長官はどうお考えになるか、全く政策がから回りしているじゃないですか。だから私は明らかに運賃を六ヵ月凍結することによって、年率物価上昇四%に封じ込める、こういう言明が行なわれるならば、これはもう大いに政府の労を多としますがね、そういうことはどうなんですか。
  34. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 私は政府を代表して、なかなかこのむずかしい物価論争をするだけの能力はございませんよ、率直に言って。しかし、これは大蔵大臣企画庁長官を呼んでさらにこの物価問題は大いにひとつ議論をしていただきたいと思いますが、ただ、いまお尋ねになりました国鉄運賃をさらに、三月三十一日からの実施のところを十月までですか、延期したと、これによって四%台に物価を押えられるかということでございますが、これはなかなかむずかしい私は議論だと思いますよ。国鉄運賃値上げをさらに六カ月間引き延ばしたからといって四%台に六カ月以内になるとは思いません。  これは御承知のとおり、この四%というのは五十二年度までの長期見通しの平均を押えようということでございますから、私はそのために、ただ国鉄運賃の引き上げをさらに延ばしたと、そのために四%になるのだという考えでこれはやったのじゃない。これは御承知のとおり、四十九年度の予算編成のときには、とにかく物価をどう押えるかということを最重点にして予算編成をしようということが当初の総理や私どもの間で議論された問題でありまして、そのときに、自民党も一体でございますから、党とも話をいたしまして、とにかく四十九年度予算編成の最大の課題は物価抑制だ、総需要抑制だということで、その話から始まりまして、まあとりあえず公共料金の中でも国鉄運賃引き上げが三月三十一日実施になっているが、これを当分の間ひとつ延期しようというこの方針をきめたことは、十二月の十七日であったと思いますが、そういう方針を党との間にきめたわけでございます。そうしなければ、予算編成の方針がきまらなければ、大蔵省のほうともいろいろ話をするわけにもまいりません。大蔵省も含めて、大蔵大臣も含めて話をいたしたわけでございまして、その方針がきまりましてから、具体的に六ヵ月延期が閣議で決定されたのは十二月の二十一日か二日だったと思いますが、正確には記憶いたしておりません。そのときに閣議でもその話が出まして、それで正式に六カ月間延期しようという話  になったわけでございまして、先ほど運輸大臣からも御説明があったと思いますが、そういういきさつがありまして六カ月延長ということになったのであります。  先ほども申し上げますとおり、六ヵ月間運賃の値上げを延期したから、政府物価を四%に押える自信があるのか、こういうことでございますが、この点につきましては最初申し上げましたとおりでございまして、なおまた参議院の選挙があるから、参議院選挙が済むまで延ばそうなどという考えと関連してこういう措置をとったのではございません。これは、そういう議論はありますよ。議論はありますけれども、参議院の選挙を考えて六カ月間引き上げ延長をきめた、引き上げないということをきめたということではございません。その点を明らかにしておきたいと思います。
  35. 森中守義

    森中守義君 官房長官、なかなかぴんとくるようなお答えでないので、これ以上この問題については聞いても無理なようですが、これはしかし、内閣一体のものとして考える場合に、もちろん郵便料金は今度は押えられた、これはけっこうでしょう。しかし電力であるとか、その他全体の公共料金というのが、この運賃が一つの歯どめになって、これをとめている間ほかはやっぱり手をつけるというわけにはいきますまい。ですから、断わっておきますが、私は運賃を凍結したのはけしからぬということじゃない、これは衆議院でもそうであったし、きょうこの委員会でも、六ヵ月間というけちなことを言わないで、末長くこんなものはとめ置いたほうがいいのだという見解を持つのですよ。それはひとつ誤解のないようにしてくださいよ。  それで、できるだけ早い機会に公共料金というものは一定の期限を設定をする、これが五十二年までですから、確かに言われるように年平均ということですから、四%というのが五十二年度まで続くわけないので、五十二年に至る間は公共料金は一切凍結だというくらいのことを、今日の物価関係において言明されてもおかしくないのじゃないですか。運賃をこれだけ凍結したならば、この基本計画が存続をする五十二年段階まで、つまり四%というものを物価動向の一つの原点に置いているならば、言明されてもいいのじゃないですか、どうですか。
  36. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 私も個人的には、物価抑制が最大の問題でございますから、まあ公共料金はできるだけ上げないにこしたことはないと思いますよ。しかし公共料金の問題は多年にわたっていろいろ議論されておることは、もう森中先生も専門家でございますから十分御承知でございましょうが、私がこの場で、末長く、五十二年度まで公共料金は一切上げませんということを言える私は責任の地位にもございませんし……。
  37. 森中守義

    森中守義君 そんなことはないよ。
  38. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) ありません。また、この問題は予算委員会その他でも総理との間でもいろいろ議論されたことでもありますから、まあ私がここで、できるだけ個人的には押えたことにこしたことはないが、これをいつまでも、五十二年度までも全部の公共料金を押えるなどという考えは私はございません。この点は森中先生とやや見解を異にいたします。まあ、その程度でひとつ私との間の議論はやめておっていただきたいと思います。
  39. 森中守義

    森中守義君 きょうは総理の代理で来てもらっているわけでして、これはもうちょっと思い切ったことを言ってもらわないと、決断と実行になりませんよ。これがほんとうに決断と実行が必要だ。  それじゃ、もう一つ大事なことがありますのでお聞きしておきますが、いま運輸大臣国鉄、なかなか当事者能力に限界がありますよ。たとえば労働組合といろいろな問題を処理する場合においても、運輸大臣国鉄総裁ではその裁量に限界がある。ところが、そういう当事者能力に非常に制約あるところにとかく問題がよどみがちであり、一向前に出ない。たとえば総裁の職務権限を日本国有鉄道法から見ても、執行権というものは保障されている。さて、その国鉄総裁の執行権の限界は何なのかということになると、もうすぐその執行権というものがごく手狭なものになってしまって、ちっとも執行権というものが執行権にならない。運輸大臣においてもそのとおり。それから会計の制度上あるいは労働組合国鉄が締約をする労働協約、本来ならば自由であるべき労使間の問題が政府の政策によって制約を受けるということは、これは労使間の最も近代的な国際社会においてはあまりないですね。そういうものがびしゃっと制約をされている。ですから今日の国鉄状態をここまで持ってきたのが、全部とは言いませんけれども相当部分が大臣もしくは国鉄総裁が当事者能力の制約を受けているところにある、こういう見方も私はできると思う。  でありまするから、ここで事こまかにこれはどうする、あれはどうするということまでは官房長官に申し上げませんけれども、いま春闘の最大の目標である憲法に保障されるスト権の保障ですね、これは公務員制度審議会等の答申等も背景にありますけれども、直接の主管でないかわかりませんけれども、内閣の屋台骨として、運輸大臣及び国鉄総裁の当事者能力を漸次拡大をしていこう、そういう検討をこの際やってみようというお考えはお持ちになりませんか。
  40. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) この問題もなかなかむずかしい問題と思いますが、やはり森中先生がおっしゃるとおり、当事者能力に限界があるというような御指摘でもございますが、この当事者能力をもう少し与えるべきじゃないかという私は原則的な議論につきましては、これは個人的には私ももっとそういうふうにあっていいのじゃないかと思いますよ。ですから政府といたしましても、将来これは当事者能力をもう少し付与していいじゃないか、拡大していいじゃないかということについては、これは私は検討する余地があると思っております。
  41. 森中守義

    森中守義君 検討の余地があると言われるということは、やや具体的にこれから検討してみよう、そういうふうに受け取ってよろしいですね。
  42. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) まあ将来の考え方として政府部内でもそういう考えを持っておる、検討してもいいという考えを持っておるというふうに御理解願って、も私はいいと思いますよ。いま直ちにそれに、たとえばストがあるからそれに対してというような問題とは別でございますよ。
  43. 森中守義

    森中守義君 いや、これは長年の沿革と歴史があるわけですから、いま展開されようとしているこの春闘に向けて具体的なものを引き出そうという、そういうせっかちな気持ちは私もございません。しかし政府の一つの方向として、そういう方策をこれから探究しよう、その意思を持つんだということを言明しておかれると、これはそれなりにやっぱり歯車は回っていくと思うのですね。そういう意味で、私は問うているわけですよ。だから、それを半年以内にとか一年以内に、そういう注文をつけても、これはなかなかいい返事がもらえるとも思えませんから、多少先回りをして、これからの方策としてどうですかと、こう聞いているのですから、そのお答えできるのじゃないですか。
  44. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 公制審の答申の中にもいろいろ、三公社五現業の将来の問題についても検討せよという答申も出ております。その中には経営形態も含めてということもありますが、それらの問題等は別にして、いま森中先生おっしゃるような議論は多年にわたってあると思いますよ。私はあまり専門家ではございませんから、もう先生はなかなかの専門家でございますから、十分御承知のことと思いますが、私は、先ほど申し上げたとおり、当事者能力というものはもう少し拡大して、もう少し自由な裁量が持てるようにしてもいいじゃないかという議論もありますから、そういう議論を、考え方を中心にいたしまして、政府部内としても将来の問題として検討してもよろしいのじゃないかと、こういうことでございますから。
  45. 森中守義

    森中守義君 私も専門家じゃなくて、あなたと全く一緒くらいなものですよ。
  46. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) あなたは専門家じゃないの。たいへんな専門家です。
  47. 森中守義

    森中守義君 それで、もう一回、今回の当事者能力の問題ですが、運賃凍結は、運輸大臣並び国鉄総裁から騒然たる物価事情の今日なので進んで凍結をしようという申し出があったのか。私の承知するところでは、物価閣僚協、その前段になるのは少数の実力閣僚と党首脳が意思を決定をして押え込んだというような、こういうことなどもちらちら聞くわけです。ですから、これの経過はともかくとしまして、まず運輸大臣国鉄総裁は、物価はこういう状態だから、三月三十一日からの運賃はひとつ政府の方針に合わしてつとめて四%台に封じ込めるために差し控えようという自発的な意思に基づいたのか、あるいはそうではなくて、他動的な意思に基づいたのか、ここに一つ当事者能力の問題があると思う。  再建計画基本方針をつくる、あるいは基本計画をつくる、それが閣議で決定をされる、まああと運輸大臣との協議などというものが措置法にはきめてありますので、私の認識の限りにおいては、大臣及び国鉄総裁というのは、そういう意味ではこの問題に対する当事者であるべきなのですね。その当事者が自発的にそういう措置をとろうとしたのか、他動的な力でこうなったのか、この辺ひとつ閣議の決定が行なわれたわけですから、官房長官がどうなのか一番御存じのはずなので、ちょっと当事者能力の最大のものとしてこれをお聞かせ願いたい。大臣はずっとこっちにおられるのだからね、官房長官は五十分で帰してくれというのですから……。
  48. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 私にそういろんなことを聞かれても、なかなかあなたに気に入られるような答弁はできないのですよ。しかし先ほども申し上げたとおり、四十九年度の予算というのは、何としても総需要を抑制して物価をできるだけ押えようというのが最大の眼目であったわけですから、特に自由民主党のほうからは、とにかくそういう強い要求が政府のほうにもなされましたし、また政府としても物価を抑制しようということで取り組まなきゃならない。特に福田大蔵大臣が総需要の抑制、物価を押えるんだということで全く意見の一致を見まして、そこで四十九年度の予算編成方針がきまったわけでございます。そのときに国鉄運賃の引き上げも当分の間延期すべきだ、こういうことでございまして、全くこれはどちらが押え込んだということじゃなくて、国民的要望に政府も与党もこたえたと、こういう形で今回の六ヵ月延長がきまったということでございます。  なお、それには、延長するなら財政負担も相当要るわけでございますから、そこで大蔵大臣も交えまして、運賃がどのくらい減収になるか六カ月間——よく存じませんが、相当なものでしょう。それに対しましては、これはもう財政当局は穴埋めをしなくちゃなりませんから、大蔵大臣もその点はいいですなと念を押して、よろしいということで、六カ月——当分の間というのは六カ月——に延長しようということにきまったようないきさつでございます。
  49. 森中守義

    森中守義君 官房長官、これ一問でどうぞお引き取り願いたいと思いますが、さっき申し上げましたように運賃凍結けっこう。これは六ヵ月なんというみみっちいことは言わないで永劫にそうしてもらいたい。同時に、運賃だけがそうでないように、つまり電力であろうが、同じ交通機関の中でも暫定運賃でタクシーはもう上げた。二九%も上げた。これは、いずれ基本運賃改定の時期も一応運輸大臣の頭の中にあると思う。航空運賃、バス、私鉄、こういうものがあとにどうも来そうな気配であるし、石油はすでに上がった。石油製品も上がった。こういうロジックの合わないような政策の展開というものは、どう考えても私どもはいただきかけることなんです。ですから、これから先の公共料金及び一般消費者物価等々、よほどこれは注意しないと四%台に封じ込むということは、まさにこれは口ぎたなく言うならば痴人のたわ言、できるはずありませんよ。それをあえてでかしていこう、物価安定という国民の信託にこたえようということであれば、当然内閣一体の責任において今後の対策についてはよほど配意を必要とするんじゃないかと、こう思う。内田長官も見えましたから、あとはこっちのほうへ引き継いでもらいますが、内閣の姿勢としては今後のことはどうするのか、これだけひとつお聞かせ願ってお引き取りいただきたい。
  50. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) この物価問題は、これは物価担当の内田長官も見えましたから大いに議論をしていただきたいと思いますが、私は、内閣全体としての君は窓口だから返事をしろと言われても、なかなかこれは、物価問題というのは、私の頭の中では、なかなか先生の気に入るような答弁ができません、率直に言って。しかし物価抑制というのは、単に公共料金だけを押えることに.よって、物価をたとえば五十二年度までの目標である四%に押えようということだけで私は達成できない問題じゃないかと思いますよ。ですから内閣や党一体となりまして、総合的ないろんな施策を強力に行なうことによって物価全体を押えていこうという立場でございますから、その点につきましては、これは関係各省も党も一体となってあらゆる手を打っていかなければいかぬ。その中に公共料金は問題になっているんだから、これを一年も二年も据え置くという議論を先生はしておられると思います。私もその議論はわからぬでもございません。ございませんが、ただ公共料金の問題は、もう長い間いつも問題になることでございまして、これがどうかこうかという話は内田長官と大いにやってもらいたいと思いますが、なかなか公共料金だけを一年押えた、そのことによって物価が、大体政府が考えておるような平均四%台になるのだというようなことに私はならぬと思いますよ。  それもできるだけ押えていったほうがいいという議論も、私は個人的にはそう考えますけれども、全体として考えたときに一体公共料金はどうあるべきかというようなことについては、いろんな議論があることは先生も御承知のとおりでございます。ですから、そういういろんな角度からも公共料金というものは考えて、どこが一番適正な値段か、あるいは物価抑制という中においてどの程度にひとつ押えていかなきゃならぬかということは判断すべき問題であると思いますが、それだけで物価が全部おさまるというものじゃないと思いますよ。私は総合的なあらゆる施策を一緒にひとつ強力に進めることによって、物価安定という一つの大きな国民的要望にこたえていくということが政府の姿勢でなければならぬと、かように考えております。
  51. 森中守義

    森中守義君 概念の表現であって、私はあえて気に食う必要も何もないのですが、国民ですよ、相手はね。どうも、いまの官房長官のお話からいけば、あとあとでどうもこれは続くなという印象をだれしもが持つでしょうね。ほんとうの物価対策にならない、それでは。だから私は、具体的に言えば、運輸大臣の所管事項でもありますが、これは物価閣僚協とか、あるいは閣議でも当然一通りの報告や承認あるいは了解等をとらなければならぬことでしょうが、同じ交通機関の中であとに続くものはこれは抑制しなさい、そうすべきだとこう思う。国鉄運賃とめたならば、他の交通網も当然そうすべきじゃないですか。これは一般論じゃない、非常に具体的なものですよ。運賃はとめた、それならばバスでも私鉄でも、あるいは航空でもとめるべきじゃないですか。どうしても経営が成り立たないというならば、それなりに財政の措置政府は講ずべきだということなんですがね。端的にひとつそれはいやならいやだと、内閣としちゃどうもそういうようなことを考えないということのようですから、重ねて問うてもあまり価値のないことかと思いますがね、国民はやっぱりそうは見ておりませんから、それだけ一つお答え願って、どうぞ。
  52. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) 何べん私が答弁しても、なかなかこれは答弁にならぬ答弁ばかりしているようでございますけれども国鉄を押えたと、したがって私鉄も、去年からでしょう、値上げを申請しておるのは、押えておるでしょう。しかし、これもタクシーだって暫定料金をきめたときも、組合の代表からも死ぬほど苦しんでおるから上げてくれと言われたんですよ。
  53. 森中守義

    森中守義君 それはいい。
  54. 二階堂進

    国務大臣(二階堂進君) いやいやそういうこともあったんです。いや、そうですよ。私のところに具体的に来られてます。真実のことを国民の前に明らかにすることはあたりまえのことですよ。だからやっぱり働く人に高い賃金を払わなきゃいかぬでしょう。会社の経営も考えなきゃいかぬでしょう。ですから、私は特にこの国鉄なんというのは公共企業の、国民のために奉仕する交通機関でしょう。だから利用される方々も応分の負担をすべきだという私は考えを持っているんですよ。だから、こういうときに物価が最大の問題だから、国民的要望だから、何もかんも一年も二年も押えろと言って、一体働く人の賃金はどうするのか、会社の借金はどうするのか、金利はどうするのか、そんな問題もあるでしょうし……、先生は百も承知なんですよ。だからそういう考えをここで申し上げますと、私も公共料金をおっしゃるとおり押えます、押えるべきであるという答弁はなかなかできませんよ。これ以上私と物価論争されても、私も答弁に困りますから、ひとつどうぞ内田経済企画庁長官が来ておられますから、よくひとつやっていただきたいと思います。
  55. 森中守義

    森中守義君 内田長官、さっきから基本計画の四%でひっかかっているわけですが、これは少し皮肉な質問かもわかりませんが、五十二年に至る基本計画物価対策の中で、年率四%にとどめるんだと、こう言われているわけですね。今回の六ヵ月運賃を凍結することによって、四%台に封じ込めるという自信があってこういう措置をとられたのかどうなのか、これが第一点。  それからちょうどおいでの前からも話をしておりましたし、いま官房長官もそのタクシーの暫定運賃のことで、ちょっと笑いながら出ていきましたが、運賃の凍結決定とタクシーの暫定運賃ね、そう期間的に離れておりませんよ。かなり接近をした時期に運賃の凍結をした、タクシーの暫定運賃を上げた。ちょっと矛盾がある、同じ交通機関の中で。それから、これからたとえば航空運賃どもいままでの企業負担ではどうもいくまいと、これは運賃にはね返るんじゃないかという、こういう懸念もあるし、あるいは航空三社も新しい申請を出したやに聞いておる。私鉄も出しておる。暫定運賃もやがて基本運賃に切りかえるというような方向をとるのではないか、同じ交通機関の中でこういう片や押え、片や上げていくという矛盾があるわけですね。こういうことをどうお考えになるのか。また、その交通機関に限らないで、すでに石油及び石油製品を上げられた。電気料金も東電が六八%の値上げ申請があって、どうもこれは値上げの前兆的な傾向にあるということをうすうす私も感じるんです。で、そうなるとね、さっき私はなぜ運賃を凍結したのか、それは不当である、けしからぬと言っているんじゃない、大いに歓迎する。しかもそれは六ヵ月なんてみみっちいことは言わないで、相なるべくは未来永却にできるだけ長くと、こういうことですね。具体的には五十二年までの基本計画だから、この間に四%ということになっているんで、それに斉合させるために、九月末日と言わないでもっと先までいったらいいんじゃないかと、こういう私は意見を持っているんですがね。要するに物価担当庁としまして、どうもやられることに理屈が合わないんですね。  だから少しこれは推理が過ぎるかわかりませんが、例の異常な狂乱状態がある。ここで世論の鎮静をはかるのは運賃を凍結することだ、こういう世論操作をねらったという見方もある。私もその一因があるだろうと思いますよ。しかも六、七月は参議院選挙に入る、これじゃどうも与党の調子が悪いというので凍結したんじゃないかという、これまた非常に皮相な見方も、あえて否定さるべきものでもないんじゃないかと、こう思うのですね。ですから四%台に運賃凍結は封じ込めるという自信のもとにやられたのか、どうなのか。他の交通機関及び重要な社会生活に必要な物資の値上げ等が行なわれる、これからもその可能性がある。いま官房長官公共料金をいつまでとも言わない。場合によっては少し世論が鎮静化したならば、たとえば郵便料金であろうとその他のものであろうと値上げせざるを得ないのではないかというようなふうにもとれるような発言があって、経企庁長官としましては、どういうつもりでこういう措置をおとりになったのか、ひとつ御所見を求めておきたいと思います。
  56. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) なかなかこれ表現かむずかしい点がいろいろございます。しかし私どもはいろいろなことを矛盾をさせるという考え方ではなしに、公共料金の問題にいたしましても、まず国鉄料金でありますとか、あるいは米の消費者価格というような、政府の財政との関連でやれるものを押え込むとした場合には、同じようなそれにつながる公共料金というものも極力これを抑制して、政策の統一性といいますか、一体性とかいうものを公共料金については保つべきだと考えまして、もし国鉄料金を押え込まざりせば、御承知のように、当時私鉄料金の値上げ申請もおととしから出ておりましたので、私鉄料金もいまに至るまで押え込みの状態というようなことでなかったかもしれません。あるいはまた、いま御指摘がございました、これはまあこまかいものでありますけれども、タクシーの料金にいたしましても、この間のような暫定引き上げというようなことでなしに、一つの期間的なローテーションの節に当たるようなものにつきましてはそれなりの引き上げもしなければならなかったかもしれませんが、物価政策というものは政府の最大の基本的な政策課題であるということの一環といたしまして、国鉄のみならず、それにつらなるいろいろな公共料金を押えるという、その政策をとってまいりました。  しかし、これは国鉄にいたしましても米価にいたしましても、あるいはいまの私鉄、また御指摘がございました電力等々の公共料金にいたしましても、これはいつまでも押え得られるものではないわけでありまして、もしいつまでも押えるということになりますれば、これはそこへの、そういう企業への資源配分あるいはそういう財政分野への財政配分というものがアンバランスになりまして、必ずその分野に破綻を生ずることになりますので、物価対策との関連をながめながら、ある時期にはその凍結というものを解除をしていかなければならないものだと私は考えます。ただそのやり方といたしまして、一時佐藤内閣にありましたように、すべて一年間凍結であるというような考え方もございましょうし、あるいはまた物価の全体の落ちつき趨勢ぐあいを見ながら、その中に公共料金の凍結解除をはさんで、そして全体の物価の動きをなだらかにするような政策をとるが、いろいろのやり方はあると思います。  そこで国鉄料金につきましては、これはけちくさい話だとしかられるかもしれませんが、昨年の暮れにとにかく六ヵ月米とともに押え込むと、こういうことで六ヵ月と、こういうことにいたしたわけでありますが、それはその間にいろいろな諸物価が上がってまいりましたが、諸物価の値上がりにつきましては総需要の抑制、つまり財政とか金融政策あるいは設備規制の政策等を極力進めますとともに、去年の年末ごやっかいになりましたような、ああいう特別物資対策としての国民生活安定緊急措置法でございますとか、あるいは売り惜しみ買い占め規制法の強化でありますとか、そういうようなことをやったり、またその当時世間から非難を受けましたような先取り値上げというようなものを極力洗い出して、そして値下げをさせると。あるいはまた原油価格は、もう御承知のように、昨年を通じ、ことにことしの一月においては非常な値上がりがございましても、それらの影響というものをでき得る限り原油の精製に直接つながる石油精製のみならず、石油製品につながるいろいろな分野の基礎物資や生活関連物資の価格に影響を及ぼさないように、これまたいろいろの批判はございますけれども、行政指導というようなことのために押え込んで、そして物価の騰勢というものを抑制する中において、徐々に公共料金の凍結というものも、そういう物価情勢と見合いながら、解除を部分的にしてまいるということが一番適当であろうと、このように考えたわけであります。  その間におきまして、タクシー料金を上げたのは矛盾だという御批判がございましたが、それはこういうふうに解釈していただければいいと思います。国鉄をはじめ公共料金の凍結なかりせばタクシーもローテーションに来ておったものにつきましては、それは曲がりなりにもその料金引き上げというものを認めざるを得なかったかもしれませんが、そういう全般的な姿におけるタクシー料金の改定というものは六大都市につきましては押え込みまして、その間油の値上がりとか、あるいは数量がショートしているために十分かせげないといったような、そのことだけに限った部分、これ二九%ということでございましたが、それだけをかわりに認めると。その二九%の中に入っている一般ローテーションにかかわる料金引き上げの分としては、これ利息分みたいなことになろうと思いますが、五%だけはみておいてやろう、あとの全体としてはいずれあとなんだと、こういうことでやってまいってきておりますので、私どもとしては矛盾なしでやってきた。  それから二番目の四%で昭和五十二年まで消費者物価年々の上昇を押え込めるかということ、それはとてもできないと思います。ということは、経済社会基本計画というものは四十七年ごろの発想から四十八年の初めにわたってつくられたものでございまして、今日のような異常な物価高、ことに石油問題、エネルギーの危機というようなものは想定をしておらなかったところでありますし、したがって、それは国際収支などについてもそういう今日のような想定がなかった。むしろ外貨が入り過ぎてその見返りの銭が出過ぎて困るというような状況を押える意味においてできておったものでございますから、当然経済社会基本計画そのものを、理念は理念として、これは福祉社会をつくるとか、あるいは生産第一主義をやめにするとかいうたいへんいい理念はありますけれども、その理念は理念として、いろいろな政策手段あるいは環境変化というようなものに当たる部分は見直しをして直していかなければならない。直していくということは、それは四%だめだから、より高く、日本の将来における物価というものがもう上がりっぱなしのような計画にするということではなしに、四十八年、四十九年というものがすでに経済見通し等の単年度作業で、御承知のように非常に上がっておりますから、そういうものを除外をしてそして新しい価格体系のもとにおいて、あるいは新しい産業構造のもとにおいて五十二年がいいのか五十五年がいいのか、そういう計画の再検討、これはフォローアップということばを使っておりますが、そういう検討を始めておる。こういうわけでございますので、そのことにつきましても、そのように御理解いただければありがたいと思います。
  57. 森中守義

    森中守義君 どうもやっぱり物価対策の発想にかみ合いがないですね。さっきの官房長官がはしなくも、たとえばタクシーの暫定運賃については企業側のみならず労働組合からも希望があった、こういうことを言われた。それと、いま企画庁長官も企業財政の状態によってはこれは見ざるを得ないんじゃないかというような言い方をちょっとされたわけですね。これはやっぱり政府の一体のものとして、そういう思想が非常に根強く流れている、そこに私は問題がある。つまり、こういうことじゃないでしょうかね、企業財政の状態を申請されたものと照らし合わしてみて、どうもやっぱり財政が悪化しているならば申請を認めざるを得ないんじゃないか。この発想に立つならば、これは国鉄だって企業内容というのはたいへんなものですよ、他のいかなる企業にも負けないでしょうね。まさに巨大に失するような債務を背負っている。これはちっとも変わらない。  そこでタクシーの暫定運賃の問題を一つの例に用いますならば、業界から確かに申請が出ておりましたよ。私どものところにもそういうものが来ました。そこで、どうしても運賃改定が認められないとするならばリッター当たりの単価、コストアップ、あるいは不足分、諸経費の高騰、こういうものに相当する助成措置もしくは補助金、融資こういうものでもやってほしいというような内容の申請がある。私は運賃を凍結した、しかし国鉄の財政はいまやどうにもならぬようなところに来ている。企業内容から言うならば他のものよりももっと深刻でしょうね。そこで押えたならば当然申請をされたタクシー等にも助成措置でいいんだ、融資のあっせんをしてくれ、こういうような意見も出ておったわけですからね。こういう措置をやれば二九%の暫定措置というものはとらなくても済んだんじゃないか、こういうことに私はなろうかと思う。ですから受益者負担、国の財政負担、これをどういったように扱うかというのが問題じゃないですか。  残念ながらずっと政府のいままでの施策の流れを見てみますと、すべからく受益者負担によってまかなっていこう、ではその結果どうなったか。次から次に上がっていった。それが今日の物価上昇を促進をしてきました。しかも一つの時期に物を隠した、売り惜しんだ、物不足をつくりあげた、不当なカルテルを結んで価格協定をやった。こういう一つの背後の演出なども加わってこうなったわけですが、やはりこれからかなり力を入れて物価抑制をやっていこう、それは私もこれはある意味では皮肉ですよ、四%にとめられるかというのは、できないことをあえて承知で言っている。言われてもしようがないんじゃないですか。  ですからここで問題なのは、こういう物価騒動の時代にすべからく受益者負担の原則を政府は貫こうとするのか、相当の財政負担に依存すべきである、どちらを選択するかという、これはやっぱり択一でないとまずいんじゃないですか。ほんとうに物価対策をやろうとするなら、これは受益者負担をしばらくはたな上げにしておいて、政府の財政負担ということが相当強く前面に出てこないと物価対策にはならない。これが私は物価対策基本だと、こう思うんです。あえて採用しないで、やっぱり受益者負担だ、これが公共料金も長くは据え置かれない、こう言われる一つの原因だと思うんですね。ですから、受益者負担、財政負担——政府の財政負担ですね。これをどういったようにこれから進めていかれるかということのお答えを一つ。  それからいま一つ、具体的に申し上げると、九月一ぱいは国鉄運賃は凍結ですね。そこで確かにいまいろんな公共料金の申請が出ている。けれども運賃の凍結期間の中においては、きわめて限定をした凍結の期間という意味で、他のものは一切運賃凍結期間中は認可しない、こういう方針をとるのが私は当然だと思うんです。それでなければ国鉄はかわいそうですよ——かわいそうなんという言い方はあまり適当じゃありませんが、筋としては合わない。この理屈はわかってもらえるでしょうね。運賃は九月まで凍結しているんだ、しかしほかのものはどんどん上げていくというのでは、これはどう考えてみても均衡論からいって、あまり理屈に合わぬのじゃないですか。だから、そういう意味で、国鉄運賃を凍結している期間は、私鉄といい、電気料金といい、つまり行政権にゆだねられている認可というものは全部凍結をする。これはひとつここで約束願えそうなもんだと思うんですが、どうですか。
  58. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) いや、それはなかなかむずかしいことでございまして、国鉄、米というものは国の財政制度の中に置いて運営をされていると。これはもちろん米は特別会計であり、国鉄は公共企業体でありますから、法律的には主体が違いますけれども、財政的に見ればきわめて類似なもので、もともと国の特別会計から国鉄というものは分かれたことから考えても、私は財政が手が伸び得る範囲であろうと思いますけれども、しかしこれはタクシーでありますとか、あるいは電気でありますとか、あるいはガスもそうかもしれません、その他いろいろの公共料金につきましては、一方において物価安定政策というものを掲げながらも、これらの料金引き上げ要因というものを全部財政の力で消していけるかというと、とても消していけない。それは国鉄についても米についてさえも、一方においては二年か三年凍結しろと、こういう御意見がありますけれども、総理大臣も大蔵大臣もとてもそれはできないんだということで、十月からは国鉄のほうももとの線に戻す、と、こういうことにいたしておりますので、森中さんのたいへんありがたい御激励ではありますけれども、大蔵大臣が金を出さぬということばかりじゃなしに、かりに私が大蔵大臣でありましても、公共料金安定のために財政支出をそちらに持っていく、その財源を公債に求めたんでは総需要の抑制が全くしり抜けになりましょうし、納税に求めるといいましても、これまた公共負担の関係どもございますし、それは国鉄、米と同じようなわけにはやはりまいらぬと言わざるを得ないと、こういうふうに私は考えます。しかし精神は、私どもは、外に対しましては公共料金は極力これを抑制すると、こういうことで、極力抑制というワクの中で合理的な操作をやろうと考えていることはもちろんでございます。
  59. 森中守義

    森中守義君 長官、やっぱり国鉄に対する認識がだめですね。そういう姿勢で国鉄を見ているからたいへんな問題になる。これは少し勉強してもらわなきゃ困りますよ。国鉄財政を政府がまかなっていますか。いままでどのくらい流し込みましたか。国鉄の財政をまかなっているのは国民ですよ。運賃であり料金ですよ。そういうつもりで処理されるものだから運賃だけは簡単に差しとめる。そんなばかばかしい話はありませんよ。運輸大臣いいですか、企画庁長官の認識が、国鉄に対しては財政上政府の庇護のもとにある、こういう言い方ですよ。どれだけのものを政府が庇護しておりますか。総裁どうですか。  それから、私は決して架空の議論を大臣に言っているんじゃない。きわめて現実的ですよ。あなたが言われるように、極力抑制をするんだと、そう言われるんだから、極力抑制をするということは具体的に六カ月なんだ、これから。運賃をとめている間とめなさいと、こう言っている。さっきひやかし半分のように言いましたような、未来永劫にやめておけという、そういうばかなことばこの際は言いませんよ。きわめて実態的であり具体的であり実務的に可能なこと——数字か合うのは六カ月間なんだ。運賃凍結している間やめたらどうですかと、こう言っている。極力抑制するというのはどういう意味ですか。極力抑制ということが具体的に現象として認知できるものは六カ月間ということじゃないでしょうかね。これが極力抑制の私は一つのとり得る今日の限界でなければならぬ。運賃を凍結しているんだ、それに合わしたらどうかというのは、それもやっぱりいけませんか。それなら極力抑制するなんてやめなさいよ。極力抑制とはどういう意味ですか。六カ月間押えろと、こう言う。これは運賃をとめているんだから、とめている期間はやめたらどうですかと。そのくらいもしんぼうできない、困難だと言われるならば、極力抑制とか努力ということはもうやめてもらいたい。そういうことをここでのうのうと言ってもらってもだれも信用しませんよ。  それと政府の財政負担なのか、あるいは受益者負担かという問題になりますと、ことしは自然増収どのくらい見ているんですか。まだ私どものほうで完全な試算をしておりませんが、例年にない自然増収になるんじゃないですか。その自然増収を、いわば税金の取り過ぎだからこれを国民に還元をする。還元の一方式として公共料金を抑制するためにそれに充当するというのはちょっともおかしいことじゃありませんよ。大蔵省来ていますか。どのくらいあるんだね、ことしの自然増収。大体の概算でいい、試算の結果は。
  60. 田中敬

    政府委員(田中敬君) お答え申し上げます。  自然増収につきましては所管外でございますので、私どもいま見通しの数字を持っておりません。
  61. 森中守義

    森中守義君 昨年はどのくらい。
  62. 田中敬

    政府委員(田中敬君) ただいま調べておりますので、判明次第御報告申し上げます。
  63. 森中守義

    森中守義君 それじゃ長官どうぞお答えください、自然増収の額がまだはっきりしないけれども。私は従来にないような相当増収だと思っている。
  64. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 自然増収のことは、これは大蔵省もちろんいろいろ想定してあるんでしょうが、現に国会に、来年の歳入は公債を発行しながら歳入を計算し、また公債財源、租税財源を引き当てながら歳出を載せているわけでありますから、いまおそらく自然増収というものは、この瞬間においては当然ありますということに——それは大蔵大臣か来ても自然増収はないんですと、歳入歳出一本にして載せておりますと、こういうことにもなろうかと思います。しかし税金というものは、所得税は、御承知のとおり全体の税収の三分の一ぐらいありますし、それから法人税がさらに所得税を少し上回るぐらいありますので、春闘などのまとまり方、あるいは法人が物価を押さえ込んでおりますから、下期によけいな利益が出るということは考えられませんけれども、三月期などでもし利益が出るものがあるとすれば、それはそういうものが出る場合もありましょうけれども、しかし、えらい自然増収が出るような見方はいまのところは大蔵省はとり得ないと思います。  それから先ほどの極力抑制するということは、これはおことばを返すわけではございませんけれども、まあ極力ということは、抑制できないものは解除するものもあるということを想定いたしますけれども、そのときの認可の幅というものも合理的に押さえるということもございますし、もう一つは、当初に申しましたように、すべてある時期に、たとえば電力を例にとりましても、何月分から一斉に上げるというようなことをいたさないで、おそらくは物価鎮静と、それからその企業の財務の状況ども勘案をしながら、できるだけうしろへ持っていく分も残すようなふうに、一日延ばしということになるとけちな話ですが、一月延ばしにでもやってまいる、こういう、やるべきことはその範囲でもできるだけやっていこうと、こういう考え方でございます。  それから、もちろん私も国鉄政府財政のまるがかえだと思っておりません。国民が銭を払うわけでございますし、また国鉄自身にも合理化をしいたりいたしているわけでございますけれども政府もこれは日本国有鉄道というわけでありますから、財政の見方が少ないか多いかということにつきましては、大いにひとつ論議をしていただきたいわけでありますけれども政府のほうも見る。これは三方から国鉄の必要性というものを認識しながら、財政の円滑なる立て直しというものをはかる、こういうわけでありまして、政府がみんな見ているというわけではもちろんございません。それはことばが足りなかったかもしれませんが、そういうふうに私はもちろん理解をいたします。
  65. 森中守義

    森中守義君 これは内田長官、いま直ちに自然増収分数字として具体的に配分せいと、そこまで言っているのじゃない。いわば考え方ということで御了承願っておきたいと思う、いいですか。  そこで、やはりこれは受益者負担というものが、こういう緊急を要する物価問題のときには、やはり受益者負担よりも政府の財政負担、しかも自然増収というようなものは長年の実績からいけば相当あるのです。これをどう使うかというのは、まだ正確に歳入が確定しておるわけではないから、いま決算の最中でしょうから、いずれこれははっきりしますよ。大蔵省は自然増収の大体の試算等はもうしていると思う。だから考え方としては、企業もあまり苦労しないように、それだからといってすぐ値上げということにならないように、一がいに受益者負担という考え方に立たないように、物価抑制考えるならば財政負担にしなさい、これは一つの私は考え方としては採用すべきだと思う。ですから努力するということならば、六カ月間そういう可能な限りの努力をして抑制すべきじゃないのか。運賃六カ月とめるわけです。それに符節を合わしたらどうか、こういうわけですよ。それもできないとおっしゃるのですか。それはもう一回あらためてお答え願いたい、できるかできないか。  それと運輸大臣国鉄総裁内田長官も多少気がさしたとみえて、政府まるがかえじゃないのだと言いわけはされた。言いわけはされたが認識は全然違う。三方一両損ということを言われるけれども、三方一両損にならないのですよ。政府のなるほど融資はある。ほんとうの出資は幾らになっているのですか。この再建計画の十ヵ年間の間にどのくらい出しているのですか。もう長くここでやっておってこんなものは話にならぬということが、実は私どもの意見なんです。まるがかえというものじゃありませんよ。そのために国鉄はおたおたやっている。これはやっぱり経企がそういう考えじゃほんとうに困る。大臣国鉄総裁も、企画庁に対する説明のしかたが悪いのか、あるいはそりが合わぬのか、その辺のことはよくわかりませんが、あんなことを企画庁長官に言わしておいて黙っていいですか。それでも一言もありませんか。どうです、運輸大臣総裁はお一言ずつ、これはやっぱりあんなことを言わして、政府にお世話になっておりますということで事が済みますか。ちょっと言ぐらい言いなさいよ、何とか。それは済まないのじゃないか。
  66. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 一言言わしてもらいますが、内田長官も御説明の何と申しますか、説明されることばが少し足らなかったのだろうと思いますが、お気持ちは私はそういう気持ちで言われたのじゃないというふうに考えております。
  67. 森中守義

    森中守義君 ちょっと具体的に少しこれこれだといって、政府国鉄にめんどうを見ているのは総ワクの中のこれだけですと、多少数字でも示すと、もっとはっきり長官も認識されるのじゃないですか。どうも企画庁長官が偉すぎるのだね。
  68. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 今回の財政再建計画につきましては、長官におべっかを言うわけじゃないが、政府も非常にお助けを願いまして、十ヵ年間の工事経費が大体十兆五千億ぐらいのうち政府がお出し願う御趣旨のものが一兆六千六百三十五億、さらに国鉄はその間いろいろな借金を持っておりますが、これの金利も大体国鉄負担は三分ないし三分五厘を国鉄が負担して、それ以上はひとつ政府が見てやろうということになっておりますので、これでありがとうございますと引き下がるわけじゃございませんけれども、従来にない親心を出していただいたので、私としてはあまり悪口を言うところはないと思います。
  69. 森中守義

    森中守義君 ちょっと鉄監局長、ひとつ政府がどのぐらいめんどうを見ているのか言ってごらんよ、数字を。
  70. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 政府といたしまして国鉄に対する助成でございますが、これは四十三年度に始まったものでございます。その当時はわずか五十四億といったようなものでございましたが、その後逐年これは飛躍的と申しますか、増加してまいりました。昨年御審議いただきました財政再建特別措置法におきましても、十カ年間にただいま政府出資が一兆五千億、あるいは政府の、国鉄の過去債務に対します一般債務まで含めましてのこれの利子を負担する、あるいは工事費につきましても三・五%まで助成する。最初は六・五%までの助成でございましたものを四・五%、今度は三・五%まで助成する。それから鉄道建設公団に対しましての国鉄の借料でございますが、これを軽減いたしますために鉄建公団に対しましても一兆と、合わせまして国鉄に対する助成が十カ年間に四兆六千億という数字になるわけでございます。  並び出資につきましても、これは国鉄ができて以来二十数年間は全く出資という規定もなかったわけでございますが、昨年、ことしと、全く飛躍的に出資を増加してきている実情でございます。
  71. 森中守義

    森中守義君 いまたいへん大ざっぱな数字が言われましたが、それはまだまだ足りないのです。足りないからいつも大騒動になるし、やっとこの段階まで底上げをしたといってもまだまだですよ、これは。だから政府の自由な意思で運賃凍結だ、どうする——こう言われるなら、言われるだけのことをやっぱり政府も考うべきでしょうね。しかし、それは多少理解をされた上の話のようですから、それはあまり深追いいたしません。ただ藤井総裁、ありがたい、非常によかったということばかりじゃ、これはだめですよ。非常に謙虚な言い方には聞こえますが、先々代の石田総裁のように、足りない、これでは。ということでたまにはすごみをきかしたほうがいいですよ。そうしなければどうにもなりませんよ国鉄は。そういうことで、内田長官、さっき私がお尋ねした、六カ月間の期間中最大限の努力を払って、その間は抑制する。手当ての方法としてはあるわけですから、おそらくしばらくすれば自然増収の歳入確定額もほぼ明らかになるでしょうから、そういうものでも財政当局とよく相談して運賃を押えている間は他のものも押えるんだというようなことは、これはやはり言うべきじゃないですか、できませんか、それは。もし言われないならば物価はどんどん野放しに上がっていくということにつながりますよ。一体政府は何をしているんだという、こういう再び世論の袋だたきにあう、こういうことなるんじゃないでしょうか、その辺を卒直におっしゃってください。
  72. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 一番むずかしい物価政策について、森中さんから応援をしていただきまして、私もほんとうにありがたいことでございます。でございますから、公共料金の抑制ということを人に憎まれながらも、あなたと同じ立場から私も一つ覚えのように言うわけでございますけれども、しかし運輸省もさっきのタクシーばかりじゃなしに、私鉄も所管をしておりましょうし、航空運送も所管をしているということで、運輸省のほうも自分のほうの国鉄料金については十月まで押えられているにもかかわらず、他のほうの所管の公共料金についても、あれいつまでも押えておくのかと、それはどうも困ったなあ、こういうような御発言もときどきひとり言のようにあるようでございまして、私どももそういうことを耳にいたしますと、森中さんの御激励のように、財政資金にみなぶち込んで、右へならえで国鉄以外の公共料金についてもこれを財政負担のままで凍結するということが、なかなか財政的の基礎が出てこない面もございまして、苦労をいたしております。  たとえば、この石油の価格というものは、これは公共料金じゃありません。公共料金じゃありませんけれども、しかし今日の日本経済の運営からいいますと、電気料金が公共料金なら、それは石油の代金というものは当然私は電気料金と同じような公共価格であってしかるべきだと思います。なぜならば、電力料なんてものは、石油精製業の二次産業みたいなもので、石油精製業から重油を売ってもらって、それを電気エネルギーにかえているというなことでありますから、その第二次産業のほうを押え込んでおる、こういうことなら、当然石油なんかについても政府が、大蔵省がというか私のほうがというか、財政負担でもして、そして石油製品の価格を押え込めば、これは一番いいんでございますけれども、たとえば石油製品——日本で年間二億数千万キロリッターから三億キロリッター近い石油を御承知のとおり使うわけでありますが、そういうものの一月からの上昇差というようなものをかりに財政で負担をいたしますと、一年間で国鉄に対する政府助成の七、八年分ぐらいの助成を石油のほうだけで持っていかなければならない。電力につきましても、石油ほどではございませんけれども、これもやはり国鉄に対する国の助成の三年分ぐらいは少なくとも電力のほうに金を入れるんでないと、それは電力料金が押え込めない、こういうことでございます。まさかタクシーまで国の財政資金を入れるわけにもいきませんので、そういうことをやるくらいなら私はさっきからの御激励にあるように、国鉄にうんと政府のほうからその分金を出しまして、そして国鉄の運営をさらに盛り上げるぐらいの考えでおりますので、やはり公共料金を押え込むにつきましては財政負担だけということを頭へ置くわけにもいかないとすれば、そこにやはり極力という前置詞を置かざるを得ないということでありますことも御理解いただきたい。しかし幸い、これは相当公共か何かわからぬのですが、他の卸売り物価等、落ちつきを見せてきておりますので、そういう卸売り物価の落ちつきの中に公共料金的なものの凍結解除をはさんでいって、そうしてその物価の動き方をスムーズにする以外にない、こういうふうに判断をいたします。  それからもう一つ財政の問題でありますが、大蔵省で計算しているかもしれませんが、昭和四十八年度ももうあと二、三日で終わりますが、八年度かりに剰余金が出たといたしましても、それは四十九年度の歳入には繰り入れられません。四十九年度に半分繰り入れて、残った半分は国債償還特別会計、御承知のように国債整理基金特別会計のほうに繰り入れるということでありますから、去年といいますか、現年度の剰予金は全く当てにできません。四十九年度はあれだけの十七兆何千億という予算を組んでいますが、国債を二兆何千億か乗っけておりますし、これがスタグネーション——総需要の抑制をとんとんやっております。物価を押えております。でありますからスタグネーションというような、あるいはスタグフレーションというようなことが起こりますと、これは私は大蔵大臣じゃないからそんなことを言えるのかもしれませんが、大蔵大臣がいたらしかられるかもしれませんが、はたして歳入が四十九年度の予算どおり上がって、ここも微妙な言い回しをいたしておりますけれども、上がって、その上公共料金凍結の財政負担分の金が浮くというような、なまやさしい国内の経済情勢ばかりを想定するわけにいかぬのじゃないか。  いろいろな場面を想定してまいりますと、四十九年度の財政において、他の、国鉄にあれだけやっております以外の一般の公共料金を、財政負担でまかなうということが、新増税でも起こせばともかくでございますが、なかなかむずかしい状況にある、こういうことで、私も自分の趣味でこんなこと、公共料金の押え込みやらまたその解除やらやっているわけでもございませんで、非常に苦しみながら、また私だけの責任ではなしに、それはもうよく運輸大臣とも話し合いながら、また内閣全体とも相談をしながらやっている、こういう次第でございます。
  73. 森中守義

    森中守義君 どうも歯切れの悪いお答えで、九月まで他の公共料金がどうなるかというのははなはだ心もとない。しかし、これは物価の集中審議等もありましょうから、おそらく関係の諸君からも同じような質問が出ると思うのです。しかし、このことはやはり企画庁としても一つの課題として踏まえておく必要がありますね。いま私は、にわかにしないとかするとかいう言質をとるには、非常にお苦しいようだから、一歩譲っておきましょうが、考え方としてはそういう方向へ持っていってもらいたい。  それからもう一つ、あまり時間もありませんので、少しはしょって聞きますが、六ヵ月凍結によって物価にどういうメリットがあるのか。つまり計画からいけば一般消費者物価は四%、卸売り物価は二%、こういう標準を示していますね。そこで、いま企画庁のほうで想定している四十九年の一般消費者物価、卸売り物価上昇率をどのくらいに見ておりますか。その中に運賃を抑制したことによってどの程度の効果があるのか、ちょっと数字で示してください。
  74. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 四十九年度の経済見通しで私どもが想定をいたしておりまする卸売り物価上昇率は、四十八年度に対しまして一四・六%の上昇、それから消費者物価のほうは九・六%、四十八年度に対して上昇すると見ております。これは森中さんも御承知のように、二月なら二月を基準にいたしますと、対前年同月の卸売り物価上昇率というものは三〇%をこえたり、また消費者物価も二〇%をこえるのですが、これは二月と前年の二月ということで、年度と年度の対比ではございません。昨年でも、またことしでもそうでございますが、物価がこうずっとしり上がりに上がってきておりますので、年度対年度をとります場合には、物価上昇というものはもっと低いものに、二分の一ぐらいで計算をするという、早くいうとなるわけであります。これは物価指数でやってみるとすぐ出るわけでございますので、四十八年の物価上昇が三〇%、二〇%ということになっているのに、いまおまえの言う数字ははなはだ低いじゃないかと、こういう御批判が出るかもしれませんが、ちょっと数字の性格が違うという意味の補足をさしていただきます。  その間、国鉄料金の値上げによる消費者物価——卸売り物価のほうは、私記憶しておりませんが、大体旅客運賃のほうが多いわけであります。旅客にはね返る消費者物価への影響というものは、半年間で〇・二%、それから一年押え込めば〇・四%と、こういう重さを占めておりますので、それだけを直接分離しますとそういうことになります。しかしそれは、私はそんな数字で満足いたしません。高い汽車賃を出せば何となく銭がかかるからということで、いろいろ国民の賃上げの問題を誘うかもしれませんし、また貨物運賃影響というものがはね返ってくることを考えてみますると、料金が消費者物価なり卸売り物価なりの全体のウエートの中で占める直接の比率だけで私はやれるものではない。——私のいまの〇・二、〇・四というのは貨物運賃も入った数字だそうでございます。貨物運賃もこれは消費者物価でありますが、しかし貨物は卸のほうにも影響があるんでしょうね。まあ大体そういう程度のことでございます。
  75. 森中守義

    森中守義君 それじゃいまお示しになりました半年で〇・二、単年で〇・四、これは固まった数字かどうかよくわかりませんが、国鉄はこれで寄与率がある。そこで九月まであまり約束ができない。それならば、たとえばその余の運送費ですね、タクシーの運賃であるとか、トラックの運賃であるとか、あるいは航空、海上、こういう輸送機関がどの程度の範囲までならば許容できるということになりますか。つまり六ヵ月以内に、凍結期間中に他のものを認可する場合、それが両物価にどう波及していくか、波及率はどの程度のものか、とめたらどういうものか、その数字が出ますか。
  76. 小島英敏

    政府委員(小島英敏君) タクシーはこの間暫定料金で上げまして、これは当分、この半年の間には六大都市のタクシーがまた出てくるということはないと思いますが、あとトラックその他の問題がございます。だた私ども国鉄以外のそういう料金は、個々の計算をいたしますと、パーセントとしては非常に少ない寄与率でございます。したがいまして、半年の間に全体としてそういうもののためにどのくらい上げられるだろうかという計算をして個々のものの認可をするんではございませんで、やはりケース・バイ・ケースに、一つ一つの問題が出てまいりましたときに、運輸省のほうからどの程度業界が困っているかという実情を伺って、必要最小限度の処理をしてまいるということでございます。
  77. 森中守義

    森中守義君 いまの国鉄再建計画、まあこれは五十七年までなんですね。それから基本計画は五十二年まで。ここで昨年審議をする際に、合わないじゃないか、五十三年から五十七年に至る間、何に準拠しているのかということでたいへん議論があったんですよ。つまり運輸省が立案する段階では、この基本計画と新全総が大体背景になっている、これを基調にしていると、こういうことなんですね。そこで五十三年以降の見通しはどうかということになって、結果的にはミクロかマクロかという議論に一応落ちついていきましたが、ここに一つの問題点がある。同時にまた、五十三年段階まで、いままで議論をしました四%及び卸売り物価の二%ですね、これはもう現状においてくずれてしまっておりますね。いま長官も言われたように、早くも九・六%だ。これからどういう変化を遂げていくのかわかりませんが、少なくとも物価指数というものはすでにもう崩壊している。これが一つの問題。  それと原油の供給削減あるいはコストの高騰、こういうものがさつき長官も言われるように、あらゆる生活物資に影響してくる。そうなると名実ともに見直しの時期が来ておる。これはいままで宮崎局長も見直しますということを何回も言っているんですがね、もう一回長官から、その必要性があるのかないのかという問題が一つ。それからいま一つは、見直しはいつから始めるのか、その時期はいつなのか、これが一つ。  それとこの中でいわれている年率九・六%の成長率、これは一体将来にわたって九・六%というものを持続するのかどうなのか。いわばこれは産業経済政策の基調をなすものですから、九.六%の成長を促していくとすれば、すでに七・二%の段階でこういう混乱を起こしているわけです。海外の原料確保の問題であるとか、いろんな問題にこれは影響してくるんですが、少なくとも九・六%は一体どうするのか。この数字は高めるのか、いままでの七・二%に封じ込んでいくのか、あるいはもっと低く、五%以下に落としていくのか、この三つのことをちょっと長官から聞いておきたいと思います。
  78. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) 経済社会基本計画というのは、いま御指摘のように、五十二年までの計画でございます。私さっきちょっと触れましたように、この考え方は非常に新しい考え方でいい理念を持っているんですが、しかし何と申しましても、昨年からことしにかけまして全く与件がくずれてきていますので、国鉄輸送の問題ばかりでなしに、国際収支、物価等の問題を中心といたしましても、当然その見直しをしなければならないところに来ております。そうして国鉄の十ヵ年財政再建計画との関係におきましても、この経済社会基本計画はいろいろ論議を重ねてきて関連があるわけでありますから、経済社会基本計画を見直す段階におきましては、当然この国鉄の十ヵ年計画あるいは財政再建計画というようなものも見直さなければならないと思いますので、そのようにいたすつもりであります。  どういうところに影響が来るか私などの頭にちらっと浮かぶのは、これは経済の成長率が、いま森中さんがおっしゃいましたように、今後はああいう九・四%ですか九・六%ですか、この期間中を通じて比較的高い成長率が保てるとは私どもは考えておりません。これは私も大蔵大臣も考えておりません。おそらくは六・七%程度ぐらいのところではなかろうかと私は思います。これは大体諸外国の成長率というものはよくてもそんなところ、四、五%から六、七%ぐらいまでの間にありますので、日本経済というものがここまで成長して、そして外国経済と一体的な関連に立ちます以上は、当然いままでのような高い経済成長は見られないということになります。  それが一つと、それからもう一つは、総合輸送体系みたいなものが石油の制限あるいは社会的な投資計画、道路をつくるのがいいか鉄道の路線を充実するのがいいかというようなこと、どっちが金がかかるか、どっちが保全上よろしいかというような問題、それからガソリンの問題等々含めまして、総合輸送体系も変わってくると。いままでのような鉄道と自動車との相関関係よりも、たとえば総理大臣などは鉄道のほうへのウエートをよけいかけたいという気持ちさえもちらちらと述べておられることは御承知のとおりでありまするし、世の中の経済の構造がそういうことになるということになりますと、経済の成長率の伸び方はいままでよりも低まるけれども、鉄道が総合輸送体系の中において占める地位というものは、単に中長距離とか、あるいは大都市における通勤輸送とかというようなことだけでなしに、全体の輸送関連の中においてその重要性は高まるというようなことも私は考えなければならないと思いますので、そういうことを取り入れまして、この経済社会基本計画の見直し、フォローアップと、それから国鉄の十カ年計画の見直し、フォローアップとを関連さして運輸省その他の方面とも協力してやってまいりたいと思います。しかりしこうして、その見直しは実は十一項目ぐらいの角度、アングルをとりまして、その十一項目ぐらいの角度からもう実は見直し作業を進めておりますので、それはすぐに来年両方の計画国鉄並び経済社会基本計画を来年改定するという結論までは至っておりませんけれども、それらの十一の項目の見直し作業の積み上げの過程において結論を出してまいりたいと、このように考えております。
  79. 森中守義

    森中守義君 わかりました。そこで、いま長官も御指摘になった総合交通体系ですね、これはさっき申し上げたように、基本計画と新全総が背景になってできているわけですが、それを根拠に置いて。そういうことになれば、当然総合交通体系の見直しも必要であろう。さらにそれが発展をして、いま凍結しようとする国鉄再建計画もそういうものが背景になっているわけです。これはまた運輸大臣との間でやりとりしますがね、これにもやっぱり影響がある。ですから、これから作業をいつの時期にどういう方法でやるかということはまだつまびらかではないにいたしましても、やはり現在でも非常に問題がある。たとえば総合交通体系の中で、競争原理を活用しつつ、あらかじめ各交通機関の分担の関係を想定し、交通需要を調整し、誘導していく。これは一つの考え方だと思う。  ところがこの総合交通体系が世に出されて、一体具体的に政策ベースに入っているかどうか。これ点検じゃ入っていないんですよ。どこがこの作業の任に当たるのか、ただ、しいて入っているというならば、先般の四十四年の当初の国鉄再建計画の中に都市間旅客輸送、中距離大量貨物輸送、大都市通勤通学輸送、この三つのものがいわば総合交通体系を受けたような形で入っている。しかし分担関係というのはこれでは見られないんですね。しかもこの基本方針を受けて国鉄がつくった基本計画の中には全然そういう内容がない。むろんこれは運輸大臣の、この前航空問題でだいぶ議論しましたあの分担確立というものが整理されていないんで、ただ政策目標として基本方針の中にこの三つのものがあげられておる。このあげられておる三つの政策目標では、これはやっぱりほんとうの国鉄再建計画に、総合体系の中をその方向づけをしようにも方法がないのじゃないか、こういう気が私はするんです。  ですから、新しく見直そうとする基本計画あるいは総合交通体系、こういうものの中に各交通機関の分担というものを、きちんと確立を企画庁でなさるおつもりなのか、そこまで踏み込むべきであるかどうか、そういうものがきちんと確立をしないと、いま申し上げたように、運輸省がつくって国鉄に示した三つの政策目標ではなかなか国鉄は動きにくいんじゃないか。他の競合機関とどうするのかという、こういう問題は解決しない。それを企画庁の策定の際に詰めてみるお考えがあるのかないのかということと、確かに国鉄がわが国の輸送体系の中で占める位置、になうべき分野というものはこの際はっきりしておかないと、どうも国鉄の将来というものはあぶない。あぶないという言い方はおかしいかもわかりませんが、これからの運輸省の政策展開、あるいは国鉄実施計画にあたってもうまくいかない、そういうように思うんですが、だから企画庁が一つの基本政策をつくる際にそういうものを採用されるのかどうなのか、それをちょっと聞かしておいていただきたい。
  80. 内田常雄

    国務大臣内田常雄君) こまかいことは私もわかりません。この計画をつくった博士が、エコノミストが隣におるわけなんですが、しかし、それは私が長官として私の頭に最近しばしば浮かんでくること、先ほどもちょっと触れたのですが、いまの経済社会基本計画というものの中に鉄道とか、あるいは総合輸送のシェフなどについてのことを二ヵ所にうたっております。その一ヵ所は鉄道の建設投資計画、一カ所は自動車とか航空機とか船舶とか、そういうものとの相関関係における輸送分担についての見通しがあるわけでありますけれども、これは私がつくったんじゃなしに、こちらのエコノミスト宮崎局長を中心として民間の方々も加え、各省の方も加えてつくったものでありますが、私がこれをちらっと見たところでは何となくやはり鉄道も伸びるんです、日本の経済が伸びるんですから。それよりもやはり自動車輸送の伸びのほうによけいたよっているように私には印象づけられるのですが、さっき触れましたように、私はここが違うんじゃないかと思います。それはいまの大都市の問題とか通勤とか中長距離とかいうようなことだけでなしに、資源の問題もあり、あるいはまた社会投資というんでしょうか、公共投資というものですか、そういうものの効率というようなことを考えてみます場合に、いままでと違った行き方が、今後これを再検討をこれからし、またしつつあるわけでありますが、出てくると思いますので、そういうことを、私の考え方や私の感じ方が違えばだめなんですが、そうでない限りこれは森中さんなんかの御意見も聞いてみたいところでありますけれども、そういうことにせっかくこれはいまのやつも触れておりますから、さらにこれをもう一歩見直したり掘り下げたりしたようなものをやはりこれの改定版には載せて、鉄道の地位、任務、他の輸送機関との相関関係というようなものをよりはっきりさせていきたい。  われわれがせっかくこれをつくりましても、皆が見てくださらないと、大蔵省でも運輸省でも、あんなものは学者のつくったものだということでは困るんでありますから、私どももつくった以上は、さっきの、総合交通体系をつくったけれども何も実現のほうに踏み出していないじゃないかと言われることはまことに残念でありまして、これは昭和四十六年のその当時の状況を基礎につくられた、まことによく行き届いたものだと思います。しかし基盤が違ってきていますから、これについてもやはり見直し作業というものをやって、できたところを、国鉄当局にもまた監督者である運輸省当局にも協力をしていただきながら、生かしていただくような方向をとるべきじゃないかと心から思うものでございます。
  81. 森中守義

    森中守義君 ちょっと宮崎局長、実務的な範囲のことですが、これをもう二回もつくられたわけだけれども、どういうように価値評価されているんですか。私はこれは単なる学説の展開だとも思わない。やはり具体的に経済産業関係ね、少なくとも国の政策の将来の方向を示唆するものである。その指標となるべきものだというような、そういう理解と認識をしている。またそうあるべきだと思うのですね。しかしながら、これは変遷をしていく経済事情、社会事情等に対応する必要がありましょうから、これは当然見直しはやるべきですよ。けれども基本計画それ自体の持つ権威、これが政治施策の展開の中にどういう位置に置かれているのか、その点がどうもいまの長官の話だと、見てくれなきゃ困るよと、こう言うんじゃ、これは何も創作でもなければ、ある学者の経済学説でもないわけだ、それは一体どういったように理解したらいいんですか。
  82. 宮崎仁

    政府委員宮崎仁君) 昭和四十四年に経済計画につきましての基本問題研究委員会というものが持たれまして、従来の経済計画が、どうもつくってもなかなかそのとおり経済の運営が行なわれない。すぐ実績と乖離するというようなことから、どういう点を今後考えていくべきかという検討が行なわれました。この中に経済計画の持つ意味といたしまして三つの点がいわれておりました。  一つは経済計画、わが国における経済計画の問題でございますが、五ヵ年とかそういった中期、長期にわたる経済の予測をする。これによって各経済主体、企業とか労働組合とか個人とか、いろいろの方々経済活動の指針にこれを使ってもらうという教育的、誘導的効果というのが一つでございます。  それから第二は、いま長官もお述べになりました、たとえば公共投資に関する計画でありますとか、その他いろいろの政府の行なうべき分野についての実行計画としての意味を持っておるわけでございます。  それから第三には、政府の行なう計画というのは各省が中心で行なうわけでございますが、この中には相矛盾する、調整を必要とするというものが相当ございます。環境問題と産業政策とかいろいろございますが、そういった政策の調整を経済計画といったような、こういうオーバーオールの場において行なう、この三つがいわれておるわけでございます。  私どもも、大体現在つくっております計画目的とまたその有効性という面においては、こういった考え方でやっておるわけでございます。したがいまして、今度の経済社会基本計画も、たとえば公共投資計画などにつきましては各省の五ヵ年計画等に生かされるわけでございますし、またいま御議論の国鉄再建計画等にもこれは当然合致しておると、こういう形になるわけでございます。社会保障に関する計画も、今度のこの経済社会基本計画ではつくろうではないかということがいわれておりますが、これができますと、かなりその点では経済全体との関係が明確になる、こういうふうに考えております。  まあ、いまお話しのように、つくって早々に非常に大きな変動に遭遇いたしまして、全体にフォローアップという形で見直しをしなければならぬ状況でございますので、いまこの中に入っておる具体的な数字というものがそのまま各省のいろいろの施策に反映できるという状況にはございませんけれども、私どもといたしましても、できるだけ早くいろいろの作業を進めまして、そうしていま長官のおっしゃられましたような新しい方向でこの経済計画というものの見直しをやってまいりたい、こう考えておる次第でございます。
  83. 森中守義

    森中守義君 運輸大臣、いままで経企長官とのかなりの時間のやりとりで、まず大体体系的なもの——。そこで一体、具体的な再建計画というものは、昨年決定されたままのものを今後持続すべきであるかどうか。これが一つの大きな問題になってきているわけですね。  そこで概念的にとらえてみますと、肝心な基本計画が見直し、総合交通体系が見直し、新全総が見直し、こういうことになれば、それを土台にしている再建計画というものはすでにもう崩壊しているんじゃないか。あるいは新しいものが出された段階で再建計画も当然これは見直すべきじゃないかという、こういう私は前提に立って少しお話をかわしてみたいと思います。  その第一の問題ですが、昨年の審議の際に出された「長期収支試算前提」というのがある。はたしてこの前提は依然として不変なものとして生きているのかどうなのか。私は残念ながらこれはくずれている。長期試算がくずれたところで再建計画というものを進め得る可能性はないじゃないか。こういう私は固有の意見なんだ。そこで具体的にちょっと見てみますと、投資計画で十兆五千億、この中身がはたしてその五十七年まで生き続けるのかどうなのか。一つの例をあげますと、せんだって鉄監局長か住田部長だったかな、公害特別委員会であったような気もします。そこで名古屋周辺の沿線における振動騒音のために土地を買い取ろうと、こういう構想を固めたと、こういうんですね。これが一体どういうような内容になるかというのを見た場合、これは投資計画の中で「安全、公害対策合理化等」一兆五千億というのが組んである。そこで十兆五千億のワクの中で、たとえば新幹線、大都市圏輸送、幹線輸送、こういうものと多少の操作をしながら、十兆五千億のワクの中で用地の取得等ができるのかどうなのか。これが第一の問題。で、そうなると、横幅どのくらいの土地を買い取るのか、そういう計画がまだ固まったと聞いておりませんが、かなりのものだと思われる。これはこれからの非常に大きな社会問題ですよ。そうなると、そういうものが件数として何件分、何百ヘクタールというようにまとまっておれば買い取りの単価も出るでしょう。そうなると一兆五千億の中で済むのか済まないのか、計算もできますが、それがない。しかし想定されるものは相当過大なものになろう。しかも、この十兆五千億の中の一兆五千億で安全、合理化、踏切整備、老朽施設の取りかえ、車両改造、CTC化、軌道強化、技術開発、こういうものに充当されている一兆五千億というものは間に合うかどうか非常に大きな問題ですね。だから、この関係はこのワクの中なのか、不足すればワクをふやすのか、あるいは土地を買い取るものは全然別なものとしてやるのか、この辺が一つの私は問題になってくると思う。そのことが不明である限り、私は前提は一つくずれる、こう見ている。  それからいま一つは、今日ものすごい勢いで建設資材が上がっております。これには相当大量な新幹線の用材を調達しなきゃならぬ。一体この用材の積算というものは、おそらく四十五年、非常に新しいものとして四十六年ぐらいの積算じゃないか。しかもその後もパニックがずっと続いていくわけだし、これはなかなか物価はおさまりませんよ、大臣。そういうものを計算していけば四兆八千億というものは、はたして資材の値上がり等でまかなえるかどうか、もう前提においてくずれているんじゃないかというように思われます。それから人件費がまた問題です。これは運輸大臣が今回の春闘のはしりのときに、ゼロ回答するかしないかというと、しません、有額回答だ、こう言われた。あるいは仲裁裁定の段階までエスカレートしていくでしょう。一体どのくらい出るのか。とても運輸省国鉄が想定をするそういう内容じゃないと思う。いまの激しい状態からいけば、これはあくまでも私の勘ですよ、おおむね二五%から二〇%の幅じゃないのか、そのまん中あたりが一番妥当であろうというような見方も出てくる。  そうすると、予定されたものからかなり上積みしなきゃならぬ。あるいは物件費はどうなのかというように全部洗っていけばすべからく前提はくずれてくる。運賃は六カ月分は凍結したんだが、もう実際問題として四十八年から再建計画は動いているわけですね、実態としては。そういうように考えていきますと、かなり内容的に大きな変化を遂げているんじゃないか。しかも、こういう長期の収支試算というものが再建計画の一つの背景を持つものであれば当然再建計画というのはくずれた、こういう見方を私はするんですが、どうですか。
  84. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) たいへん具体的な例をあげての御指摘でございまして一々ごもっともだと思います。新幹線公害対策にいたしましても、また新しい幹線の工事の用材高騰あるいは人件費、いろいろ例をおあげになりましたが、そのとおりだと思います。がしかし、またさらに先ほど来経企庁長官とのお話の中にも、国鉄基本方針のもとになっております経済社会基本計画というものも見直そうといういま段階でございますから、基本になっているその計画もいままさに見直されんとしているわけでございますから、ある時期に至ればそういう見直しの議論が私は出てくるのは当然だと思います。しかし財政再建というのは、御承知のように、焦眉の急で、すでに現在御指摘のように動きつつあるわけでございますから、この基本方針であるところの投資規模とか財政助成、運賃改定、この幅等の具体的な事項について、今後経済社会情勢の動きと申しますか、進捗状況に応じて見直しをやっていかなければならないと思います。  しかしながら、いま直ちにこの基礎がくずれたんだから再建計画は宙に浮いているじゃないかということには今日直ちに直結は私はしない。一応この計画計画として、現に四十八年度を初年度として動きつつあるのでございますから、これはこのまま一応私は遂行していきたい。がしかし、その過程において、いま指摘をいただいたような問題あるいはまた基本になっている経済社会基本計画というものも見直される段階でございますから、そういうものをしっかり見きわめた上でさらに見直しの議論というものは当然出てくるだろうと思うし、その時点においていろいろまた見直しということがなされる段階が来る、こういうふうに考えるわけで、いま直ちにこの十カ年計画を見直しするというには、あまりにも流動的ないろんな問題が多過ぎる。で、この問題はこの問題としていま計画に乗っておるわけでございますから一応進めさせていただく、こういうふうに考えております。
  85. 森中守義

    森中守義君 運輸大臣なかなか正直な答弁でけっこうですよ。ただ、これには前段があるんです。四十四年の際に、当時の原田憲運輸大臣はどう言ったのか、前回新谷運輸大臣はどう言ったのか、あるいは丹羽運輸大臣はどう言ったのか、こういいますと、もうこの計画については一〇〇%はおろか二〇〇%、三〇〇%の自信ありということが述べられている。しかも物価等につきましては、それは運賃が、あるいは料金が物価に与える寄与率なんというものはまことに微弱なものであって問題になりませんと、こういう実は所論がずっと展開をされて、いま国鉄にどうしてもこれをやらなければどうにもならぬという緊急性、緊迫性、必要性が強調されてきた。四十年どうですか。何年目にこれがどうなったか。そしてまた、あれほど大騒ぎしたものが、いままだ見直しということが否定できないような現状にある。私はこれが問題だと、こう思う。そこで、なるほど相当な流動期にありますから、それは運輸大臣も予測できないでしょう、景気の見直し等の問題も大きく関連してきますからね。しかし、ここできちんと運輸省国鉄もしておかねばならぬ問題があると思う。そこで私は、もう一つ疑問がありますのは、四十八年から五十七年度に至る各年度ごとの運輸収入以下全部整理はしてありますよ。これでどうもごろ合わせ、数字合わせという意味では、ある程度この数字それ自体は合っているかわからない。けれども問題なのは、四十八年度の当初予算の中で歳入欠陥がある。この歳入欠陥が旅客が一兆一千二百四億、貨物が三千七億、合わせて一兆四千二百十一億ですね。この問題にからんで歳入不足額が約二千四百三十八億、この不足分を一般会計から利子補給しているわけです。なるほどこれは予算上、正確に言えば四十四億千六百万円、確かこれは四十五億になっていましたかね、予算書ではね。それから今回の四月一日から九月の末に至るまで約五十四億九千万、予算書では五十五億という利子補給が行なわれている。これはこういう特異な事態の発生のためにとられた措置であるのか。少なくともこれは財投を入れたわけですからね。五十七年度に至るまでこの利子補給というものは一般財源からずっと補給していくものかどうなのか。その約束が財政当局とできているかどうかよくわからない。これをひとつ正確にしてもらいたいということが一つ。  それとこの前の審議の際に、当時の大蔵政務次官と次長はあれほどかたい約束をして、これは財投ではいけないよ、財投では承知しないよというわけで、ちょっと多少の議事の混乱もあったし、休憩をして簡単な作文をたしか私と江藤君でやったんだったのかな。これを読めということで、財政当局も運輸当局もわかりました、読みますというわけで朗々と読み上げて、何のことない、あとで見てみると、これはもう一般会計どころじゃない、財投みんな入れ込んで、利子だけ一般会計から補給しましょうというわけで、すりかえてしまう、もうこれはたいへんな問題なんだ。これは鉄監局長局長の押し方が足りなかったのか、あるいは国鉄の援助が不足したのか、あるいは大蔵省ががんとして聞かなかったのか、委員会の約束を守られていないんですよ、大臣。これはどうしてくれますか。  これは流してもいいような法案なら流しますけれども、そうもいかぬよ、今度の場合には。非常に困っている。それを考えると、これはもう全然話が違う。財投というのはやっぱり国鉄の債務として上積みされて約三千五、六百億になりますね。これなども計数整理していけば、やはり債務は上積みされたということになるし、ここでも前提は狂うということになるのですが、その補給の問題と、それから一般財源から入れるという約束がいつの間にやら財投に振りかえられてしまった。この経緯を少しつまびらかに述べてもらうと同時に、まあ役所でいえば減俸か始末書ぐらいでしょうな、懲戒に値するわけだ。委員会にそういう懲戒があるかどうか、ちょっと委員部に調べてもらいますが、大いに困る、こういうことでは。どうしてくれますか。そのことをちょっとお尋ねしておきましょう。
  86. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まず利子補給のことでございますが、御指摘のように、減収の分は財投から借り入れるということで補ったわけでございます。それから利子補給につきましては、これは五十七年までの期間全部一般会計からこれを補給するということでコンクリートされております。しかし、その財投借り入れた分は借り入れとして残るわけでございます。  で、昨年、私は森中委員がいろいろ御指摘になって、当時議論のあった実はその速記録を出しまして、克明丁寧に読んでみたんです。そうすると、いまおっしゃるようなことがちゃんと出ているわけなんです。で、この点につきましては、私どもといたしますれば、一般財源から借り入れなんというのじゃなくて、ごそっと入れてもらえばこれで一番明快に片はつくわけでございますけれども、財政当局もいろいろな御事情もこれあり、私どもも速記録を読んで頭の中に一生懸命入れて、私もねじりはち巻きで少しやったわけですけれども、なかなか言うようにまいらなかったというのが、これはもううそ偽りのない実情でございます。  したがいまして、まあそうではあるけれども、それと罪滅ぼしというわけではございませんけれども国鉄財政も非常に脆弱な基盤の上に立っているからということで、八百八十五億の政府出資をちょうだいいたしまして、これの利子効果と申しますか、いろいろなものも考えられますし、それで全部が相殺されたわけじゃございませんけれども、結果的にはそういうことに落ちついたわけでございます。まあ前大臣がどういうことを言ったかということは、これも引き継いで私の責任でもあると思います。そういう意味で、私はあらためて速記録まで引っぱり出して、森中委員のきついその発言等を逐一頭に入れて一生懸命やったつもりでございますけれども、ここでお断わりを言わなきゃならないような羽目に至ったわけで、私もほんとうに責任は感じておるわけでございますが、いかなるおしかりでも受けなきゃならぬと思っております。しかし現実はそういうことで落ちついているというのが経過と実態でございまして、何とぞ御寛大なる御処置を賜わりたいと思います。
  87. 森中守義

    森中守義君 これはまあ寛大な御措置をと言われればね、それはたまには男気も出さなくちゃいけますまいが、財政当局はどういう経緯だったのか。もちろんあのときの光景をいま頭に浮かび出してみると、だいぶいやがったのは事実だった。しかし運賃がああいうせとぎわに来ていて、うんと言わなければどうにもなるまいということで、まあいわば傍観をしたようなかっこうになったと私も記憶しているんだが、しかし、やっぱりあれだけのものをこの委員会で言った以上は、たとえその経緯がどうであったろうと、やっぱりやるべきじゃなかったのか。ちょっとなぜ財投に振りかえたのか、その辺の経緯をもう少し明らかにしてくださいよ。
  88. 田中敬

    政府委員(田中敬君) お答え申し上げます。  当時のことを速記録で調べてみますと、確かに私は森中先生から盛んにしかられながらも、こういうものは財政投融資であるべきだと、一般会計での補てんを考えるべきでないということを絶えず主張をし続けてまいりました。その間にありまして、委員長のあっせんによりまして休憩時間中に政府当局が集まりまして、統一見解というのをつくりまして、それを当時の山下官房副長官が見解を述べたわけでございますが、その見解によりますと、「現在における歳入欠陥につきましては、その補てんについて、政府において措置いたします。」と、こういう統一見解があったのでございます。それに対しまして、政府の統一見解は述べっぱなし、それからこの速記録を読みますと、森中先生は「条件がある。財投によらない、これをひとつ条件にして了承いたします。」、こういう森中先生の御発言があったことも速記録に載っております。しかし私ども財政当局といたしましては、政府において措置するということでございまして、すべてを一般会計でめんどう見るということを、あの当時統一見解の作成の一員といたしまして入りました私としては考えたわけではございませんで、少なくともこういう企業体の損益勘定、経常収支というものの赤字はやはり国民の税金である一般会計財源で補てんすべきでないと、もっと企業努力もあるであろうし、しかしながら、そうかといって、こういう運賃改定のおくれに伴う大幅な赤字というものを放置すれば、国鉄財政再建初年度に当たる年からその出発が危ぶまれるということで、国鉄に累積債務はふえますけれども、実際の国鉄の運営に支障のないよう借り入れ金でまかなって、その利子を直接一般会計から補給をすれば、十年の長期の間には国鉄再建がそれなりにできるであろうと、こういう見解で一般会計から直接利子補給という方式をとったわけでございます。  以上でございます。
  89. 森中守義

    森中守義君 私は、当時の議事録をきょう読んでこなかったけれども、たしか、あとで私が強い条件を示したときに、副長官か次長だったか、全然コメントしていなかったはずだ。コメントしなかったが条件は容認された、こう私は思っている。これはやっぱり私の言う主張が正しいと思う。そこで、そのことをいまあれしてもしようがないんだが、しかし、これはやっぱり非常に大きな問題ですよ。  そこで、もう一つ同じようなことで聞いておきますが、助成金の場合に、工事費の補助金、それから財政再建利子補給金、これは法律によって拘束したわけだな。ところが、さっきの四十四億とことしの五十五億、これについては、つまり特別利子補給については四十八、四十九ともに法律にゆだねていない。これはちょっと論理が合わないじゃないか。どうして法律上この問題を処理しなかったのか。これはやっぱり問題ですよ。これはどうですか。
  90. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 国鉄財政再建につきましては、今回の改正におきまして政府出資ということを新しく入れていただいたわけでございます。従来からのいわゆる工事費補助あるいは過去債務に対する利子補給、これにつきましては、工事費補助と申しますものも最初は六・五%であったものを今回は三・五%にいたしましたが、過去債務につきましても、これを政府保証債あるいは政管債という以外に一般債務まで今回は拡大したわけでございますが、こういった点につきましては、いわば予算的にその措置をとったわけでございます。しかし、いずれもいまの三つの助成方式は国鉄財政再建のいわば骨子と申しますものでございますので、これはいずれも法律に規定してあるわけでございます。しかし、ただいま御指摘特別利子補給金、これは四十八年度並びに四十九年の十月まで国鉄運賃改定が延期になったという、いわば不測の事態に対応いたしまして、国鉄財政再建に遺憾なきを期するためにとりました、いわば緊急な、異常な措置でございまして、したがいまして、これは法律に規定することなく予算上の措置で、四十八年、四十九年の運賃のおくれによります減収再建期間中直接利子補給をするという予算措置をとった次第でございます。
  91. 森中守義

    森中守義君 大蔵省。
  92. 田中敬

    政府委員(田中敬君) 鉄監局長が申しましたとおりでございまして、四十八、四十九年の運賃のおくれによる一時的な摩擦的な資金不足であるということから、出資金、工事助成金あるいは孫利子というような、国鉄長期計画に立つ、長期ビジョンに立つ基礎的な総合的な措置と異なりますので、法律によらず予算措置によったわけでございますが、森中委員冒頭の御質問にございました五十五億なり四十四億を、五十七年までの再建期間中ずっと約束がしてあるのかという御質問が冒頭にございましたが、その点につきましては、財政当局といたしましても、国鉄にこの負担がかからないよう、今回の特別利子補給金につきましては再建期間中五十七年までその利子補給を続けてまいる所存でございます。
  93. 森中守義

    森中守義君 ですから五十七年に至る一般会計からの特別利子補給、これはもし行なわれていないということになればたいへんだと思ったんだが、それはずっと継続されるんだということであればそれ自体問題ないですね。ただ、助成の前段は法律によった、四十八、四十九は法律によっていないという、これはおかしい。財政法を調べてきていないから、この辺の扱い上の問題は私も断定的には言い切れないけれども法律に基づいてみたり予算措置に基づいてみたり、どうも一貫性がないんだね。これはやっぱり財政法上必要があるから法律に基づいたんじゃないの。なぜ今度これをはずしたのか、その辺の根拠をはっきりしてもらえばいいですよ。また私も機会があれば財政法を一ぺん調べてみたいとは思っているのだが、きょうはそれをやってきてないわけだ。根拠だけはっきり示しておいてください。
  94. 田中敬

    政府委員(田中敬君) 補助につきましては、法律によるものと予算措置によるものがございますが、結論を申し上げまして、今回のような補助につきましては、財政法上全然問題はないと申し上げられます。
  95. 森中守義

    森中守義君 ちょっと詰めるには少し私も勉強不足ですから、もう一回よく見てみます。  それから局長、さっき、たとえば騒音の土地の問題だの、大臣、一般的なものとして再建計画のあり方についての答弁があって内容出なかったのだが、これは一体どういうふうになりますか。すでに、もうちゃんと買収の予定計画をしているのか、財政の手当てはどうなるのか、その辺をちょっとお答え願いたい。
  96. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 現在すでに開業いたしております東京−岡山間の騒音振動公害対策につきましては、昨年のこの委員会におきまして御答弁申し上げましたことでございますが、十兆五千億の中で八百億と申しますものを予定いたしておった次第でございます。これは音源対策と障害防止対策と二つの面があるわけでございます。しかしながら、これはすべての問題に関連するわけでございますが、現在の異常な物価高騰というものがもし今後続いてくるといたしますと、先ほど大臣からお答え申しましたように、工事規模の問題につきましても、これは見直しをしなければいけないという時期があるかと思うわけでございます。  この公害対策につきましては、ただいま国鉄のほうにおきましていろいろと策定しておりますが、これはなお関係各庁とも打ち合わせまして、できるだけ早急にその具体的な要綱と申しますか、対策をつくらなければなりませんが、さらに今後新幹線環境基準というものが設定された場合には、これだけのもので処理できるかどうかというさらに根本的な問題もございますわけでして、こういった点も含めまして、現在のところは八百億でございますが、現在の暫定基準におきましてもどこまで処置するかという具体的問題、並びに、いずれ環境庁から提出されます環境基準というものを見まして、こういった点につきましてももう一度検討してみたいと、かように考えております。
  97. 森中守義

    森中守義君 ちょっとはっきりしておきたいのは、最初に申し上げたように、十兆五千億の投資計画のワクの中でやろうとするのか、あるいは別なものとしてもっと具体的に言えば、これこれの金が要る、それについて国鉄が半分持てとか、国が半分持てとか、そういうような方式をどう考えているのか、私はいまこまかな数字を言おうとは思わないけれども、やり方ですよ。じゃ国鉄に持ち出しを求めるのか、相互の持ち合いでやるのか、あるいはその十兆五千億の中の投資計画の中でこれを扱りていこうとするのか、その辺はっきりしておきましょう。
  98. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これはあくまでも国鉄の全投資規模の中で処理していきたいと考えています。で、この際に現在の八百億で処理できるかどうかという問題は、御指摘のとおり今後具体的対策を定めていくに従いまして、この問題もございますが、現在のところ、一体どの程度の障害防止対策をするかということについて、まだ確定いたしておりませんので、その点につきましては、今後さらに検討を重ねてまいりたいと思っております。並びに国といたしましては、先生十二分に御承知のとおり、今回は工事費の一五%は政府出資いたしますし、三・五%は利子補給をいたすということで、国といたしましては、国鉄利子負担が三%になるように、工事全般について助成をいたした次第でございます。
  99. 森中守義

    森中守義君 局長ね、結局投資計画、つまり十兆五千億のワクの中でやる、このサイドでね、言いかえるならば国鉄には出費を求めない、そういうふうに理解していいですか。つまり十兆五千億の投資計画がありますね。私はこの中では金が足りないだろう、いろいろ操作をやってみても。ただ各項目ごとに移用流用、大ワクをきめてあるんでしょうからね、十兆五千億というのは。そういう項目ごとの移用あるいは流用で事が済むのか、オーバーした分は別途政府のほうで資金を入れるのか、これがはっきりしたらいいわけだ。国鉄はこれはもう全然関係のないことなのかどうなのか、その辺をもう少し整理しておきたいと思うんですね。
  100. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これは先ほど申しましたように、国鉄工事規模の中で処理すべきものだと考えております。ただ、いま申しましたように、この環境基準と申しますものにおいて、現在の予定いたしました八百億というもので足りるかどうかということはございます。  なお、さらに今後つくってまいります新幹線公害対策にいたしましても、現在までのところ、工事費の五%を公害対策に充える予定でございますが、これにつきましても、環境基準の設定によりましては五%で足りるかどうかという問題もございます。それから先ほど御指摘物価騰貴というものが、今後どういうふうになっていくかということもございまして、もしも物価騰貴が異常に続くということになりましたならば、国鉄工事規模全体が十兆五千億で一体国鉄の債務を十分に果たせるかどうかという根本的な問題もあるわけでございます。こういった問題全体を含めまして、とても十兆五千億の中では処理できないとなれば、この工事規模というものをもう一度見直さなければならない時点が来るかと思います。
  101. 森中守義

    森中守義君 ちょっとその意味合いがわかったようなところもあるし、ちょっとぴんとこないところもあるんだけれども、要するに出されている十兆五千億の投資計画の中でやると、方法としてはね。国鉄には負担をかけないんだと、簡単な言い方をするとそういうことなのかどうかと聞いているんですよ。そうならそうだと、こう言ってもらえばいい。八百億と言うんだけれども、この数字の出どころはどういう意味ですか、わからない。八百億の数字はどこにあるのか。
  102. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これは先ほどの十兆五千億の中の一兆五千億の中に入っているものでございます。しかし全体がこれだけで処理できないときにどうするかという問題につきまして、これを別個に国が処置するというものではございませんで、あくまでも国鉄工事規模の中で処理したいと、そうして、しかも十兆五千億で国鉄全部の責務を十分に果たすだけの設備あるいは工事ができないという場合が出てまいります際には、この十兆五千億という工事規模の再検討ということになる次第でございます。
  103. 森中守義

    森中守義君 ここは局長、どうもうまいこと言われているんでね、それで私も混乱するんだけれども、安全、公害対策、合理化費が一兆五千億なんだな、十兆でなくて一兆ね。この中の八百億が騒音公害対策という意味ですか。
  104. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) そのとおりでございます。
  105. 森中守義

    森中守義君 そのとおり……、そこで国鉄工事規模ということを言われる。その理解がちょっと私にはできないんだ。国鉄工事規模でとどまるならばそれでよし、とどまらなければ別途手当てをすると、こういういまお答えでしたね。もっと簡明率直に、国鉄に負担はかけないんだ、この規模の中でやるんだ、そのとおりに答えてもらえばいい。国鉄工事規模なんて言われると、ちょっと私も勉強不足でよくわからないよ。国鉄が持ち出しをするのか、全部この関係は国がめんどう見る、つまり十兆五千億で足らなければもう少しつけましょうという意味なのかどうなのかね、それをお聞きしようじゃないですか。よく私のみ込めない。要するに国鉄に負担をかけるなと、私の言い方としてはね。だからこの中で全部こなせるならやりなさい、こなせなければ追加したらいいじゃないか、こういう言い方ですよ。国鉄に負担をかけるな。そういう言い方に対して、工事規模でまかなえるとかまかなえないとか、こういう言い方になるもんだから、どうもへたすると国鉄も持ち出しがあるんじゃないのかなという、そういうような心配も出てくるんで、その辺をはっきりしてもらえばいいですよ。
  106. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) これは先生の考えとは違って恐縮かと思いますが、これはあくまでも公害対策でございますので、PPPの原則に基づきまして国鉄が負担すべきものだと考えております。
  107. 森中守義

    森中守義君 そうなると、その原因者負担の原則によるということであれば国鉄というわけだね。まるまる国鉄が出す。そうなるならば、この十兆五千億の関係、あるいはその中の一兆五千億は関係ないじゃないか、国鉄全額負担するというなら。その関係どうなるのか。
  108. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 十兆五千億の工事規模と申しておりますが、これの資金調達の面でまいりますと、政府出資のものもございますし、あるいは財政融資によるものもございますし、あるいは鉄道債券、利用債という一般の債券、一般からの資金の募集というものもございまして、この十兆五千億という工事を達成するわけでございます。で、十兆五千億の工事の中では、かりに今後の公害対策というものが処理できないという場合になりますと、この十兆五千億と申します工事規模を拡大せざるを得ないと、こういうことでございます。
  109. 森中守義

    森中守義君 藤井総裁、いま鉄監局長のお話で大体理解できましたがね。国鉄で試算をされているその関係の費用はどのくらい見ていますか。
  110. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 表現がどうも私みたいなへたじゃないんで……、ちょっとわかりづらいんですが、再建期間中に国鉄が公害も含めて十兆五千億の仕事をやる、その中には公害の、営業しているところの八百億も入っておるし、これからやるであろういわゆる新幹線の五%に該当する公害対策費も入っておる。しかし現在のような流動している時代でございますので、経済、社会のあるものを見直すというようなことになってきますと、これは足らなくなることも十分考えられる。その場合どうするかということを先生非常に御心配になっておるんですが、それはやはり国民にもお願いするとか、何とか手を打たざるを得ないんですが、現況においては十兆五千億というのはすべてそういうことを想定した予算でございます。こういうことなんですがね。
  111. 森中守義

    森中守義君 なるほどね。そうすると、結局大臣、足りなければやっぱり追加する、十兆五千億のワクを広げる、このことについては確認しておいてよろしいですか。
  112. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 十兆五千億そのものを見直さなきゃいかぬことに相なるかと思います。その場合に十兆五千億の割り振りを公害の面をどういうふうにもう一ぺん考えるかというようなことは、その時点でやはり考えなきゃならぬと思います。これかやはり政府出資なり——十兆五千億のうち一兆五千億というものは政府出資企業努力と、それから運賃からとにかく出ているんですから、それは一兆五千億の中でどういうふうにこまかい数字で出てるかは別といたしまして、その時点になると、あるいはいま公害問題が非常にやかましくいわれておりますし、環境庁からも正式な騒音振動等に対する環境基準の勧告も出てまいるだろうと思います。どういうものが出てまいるか知りませんけれども、航空機騒音等の現状から見ますと、相当またきびしいのが出てきやせぬかと思っておるわけなんです。そのときに至りまして、あるいはまた原因者負担と、騒音料というものをどうするかというような議論もそこで派生する私は可能性もあると思うのです。  したがいまして、ここで抽象的に言えることは、いま御指摘のように、十兆五千億のもしワクをはみ出るとするならば、この十兆五千億そのものを見直さざるを得ない、こういうことでございます。
  113. 森中守義

    森中守義君 もう時間がそろそろ参りましたので締めくくりますが、三月三十一日を予定していた改正、これを考えると、当然もう運輸大臣基本方針ができ上がり、手続は先に進まないけれども、ものとしてはもうでき上がったんじゃないか。あるいは国鉄でもそういう閣議の決定を受けて基本計画をつくる、こういう措置法上の定めによりましてすでに試案的なものもできていると思うんですがね、これはどうでしょう。もし、そういうものがいま手続を進める段階ではないにしても、これはもうこれからの問題で非常に重要な関係がある。それは素案であろうと何であろうとかまいませんから、できているかできていないのか。できているならば委員会に出してもらいたいと、こう思うんですが、どうですか。
  114. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 実はこれは閣議決定をしなきゃならぬ法律的なあれがございますから、ここでのらりくらりといいかげんなことを言うわけにはまいりませんからほんとうのことを申しますと、これはできております。明日の閣議におはかりしようと思っております。しかし、まだ閣議にはかる前の段階でございますから、閣議決定いたしましたならば、ひとつ皆さんのお手元にお届けしたいと思います。閣議決定前でございますから、できておることは事実でございますけれども、その間しばらく御猶予をいただきたいと思います。
  115. 森中守義

    森中守義君 これは大臣実施が十月一日ですからね。何もあしたとかあさってとかあわてる必要はない。そこでその内容ですが、先般の航空騒音のときにもかなりきびしいお尋ねをいたしました例の分担確立の問題、あるいは需要調整の問題、こういうものが非常に拙速というわけにはもちろんいきませんけれども、今回の閣議決定を求めようとする基本方針の中に何がしかの片りんがあるのかないのか。これはさっきから基本計画あるいは総合交通体系をずっと議論をしてきて、しかも先般の航空問題のときは大臣がお認めになった、運輸省の全力を傾倒して分担確立の問題は仕上げると、こういうことを言われたわけですね。こういうものは入っておりますか、どうですか。
  116. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 今回の基本方針、これは再建特別措置法に基づきまして、この第三条の規定のことをすべて盛り込んでおるつもりでございますが、ただいまの分担関係と申しますと、いわばそれぞれの役割りの問題かと思いますが、国の施策といたしまして国鉄が総合交通体系の中で果たすような措置ということは、旅客貨物につきましてそれぞれいたしておりますが、数字的なものではございません。いわばこれは基本方針でございますので、あくまでも精神的なものでございます。
  117. 森中守義

    森中守義君 まあこれはものを見せてもらう段階でもないようですから、あまり先ばしりした意見もどうかと思いますが、さっき申し上げたように、十月一日であればまだ相当時間もある、しかもこれを閣議決定にのせて、それから国鉄に通知をする、国鉄基本計画を立てる、それを大臣が承認しようとする際に大蔵大臣と協議するというこの一連の手続の問題はありますが、やはり多少の時間をかしてでも、数字がきちっと出るかどうかは別として、ある種の分担確立、それと需要調整ということはきちっと整理をしたものでないと、やはり従前のものと変わらないような結果になるんじゃないかな。私は前のを見て、これじゃもう単なる一つの概念の指針を与えたというにすぎないという、基本方針としては。そういうものだと思う。さっき申し上げたように、国鉄に与えられた任務というものは都市間旅客輸送だ、中距離大量貨物輸送だ、大都市通勤通学輸送だ、この三つのことしかいっていないわけだ。これだと同じパターンを繰り返すことになりますよ。一体これがほんとうに運賃収入、料金収入、それと国鉄の存立を将来ほんとうに保障することになるだろうか、再建はこれで実施できるかどうかということはかなり問題があると思う。そういう意味で、多少の時間をかして、もう一回ひとつ練り直してみたらどうですか。
  118. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 実はそういう森中委員のおっしゃることは私よく理解できます。いままでずっとそういうようなことで意見の一致を見てきているんですから、いまおっしゃることよく理解できます。理解できますが、法律的に年度一ぱいで閣議決定に持ち込まなきゃならぬと、こういうことだそうでございます、法制的に。したがいまして、前々からいろいろ御議論があり、私もお約束しておりました基本計画の見直しの中でいろんな分野の確立を、いわゆるおっしゃるような点を明確にしていかなきゃならぬということでございまして、それが実はこのたびは間に合わないわけでございます。というのは、たいへんな流動的ないま、そういうようなものを一つ一つかまえてやるということは非常に困難でございます。したがいまして、出してからしかられるよりも、先にお断わりしておきますけれども、きわめて抽象的なものにならざるを得ないと、こういうことでございまして、この点をひとつ御理解いただきたいと思います。
  119. 森中守義

    森中守義君 ちょっと大臣、おことばを返すようですがね。どういう意味で年度一ぱいにしなければならぬのか、これは措置法上の規定は何もないわけです。そういうふうには法制されていない。ただ行政執行のルールとしてそういうものであればこれは別だけれども、しかし、それは何も根拠がないわけだから、それをやろうとすればできますよ。それが一つ。  それからいま一つ、その国鉄の当事者能力に関係するものであり、いまのものと関係しますが、日鉄法の九条の三項との関係、これはどうなるんでしょうか。つまり理事会の設置権限という項なんですがね。この三項で「予算、事業計画及び資金計画」という事項がある。これは措置法によって、日鉄法第九条の三項というものは拘束をするのかしないのか、この関係はどういうことになりましょうか。国鉄は自前で計画をつくり資金計画をやっていいと許容しているわけです。措置法はこれを越えたやり方になっているわけですな。それがどういう関係になるのか。
  120. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) ただいまのまず第一の問題でございますが、この国有鉄道財政再建促進特別措置法のほうは昨年すでに公布されておりまして、この問題につきましては四十八年度を初年度といたします十カ年計画ということになっておる次第でございます。したがいまして、この法律に基づきまして、基本方針並び再建計画と申しますものは、四十八年度以内に策定しなければいけないと、こういう法解釈でございまして、私どもといたしましてもぎりぎりでございますが、明日の閣議に基本方針をお願いしたいと思います。  それから第二の日鉄法の関係、ちょっと私聞き漏らしたのですが、どういう趣旨かたいへん恐縮でございますが。
  121. 森中守義

    森中守義君 その日鉄法——まあこれは法律以上の問題なんだけれども、その九条の三項で国鉄はみずからの事業計画、みずからの予算計画を自由につくってよろしいとこうなっているわけです。ところが再建措置法があるものだから、これで自由を拘束されていて、これが死文化していると私は見る。これが最初に言った当事者能力の中の一つの問題なんだけれども、この日鉄法を措置法は拘束しますかどうですかと聞いているのです。
  122. 秋富公正

    政府委員秋富公正君) 財政再建特別措置法のほうでは、十カ年間のいわばスケルトンというものをつくっておるわけでございますが、単年度の予算の問題につきましては、これは三十九条の二によりまして運輸大臣に提出いたしまして、そして運輸大臣がこれを閣議に提出すると、こういう規定になっておるわけでございます。で、この段階につきまして、ただいま御指摘の九条のいわゆる理事会の権限という問題は、それ自体といたしまして、運輸大臣に提出するまでの問題といたしまして、こういう規定がある次第でございます。
  123. 森中守義

    森中守義君 大臣これで終わりますが、いままでずっと整理をしてきた経緯からしますと、どうもやっぱり再建計画も時期はともかくとして、遠からず何とかしなきゃなるまい、内容的にも、そういう気がする。そこで五十一年度の一五%の問題ですね。これはお答えとしてはそのとおりやらざるを得ないということなんでしょうが、おそらく五十一年の次の機会までもたないんじゃないですか、私はそういうように予測します。もう五十年に一年しかありませんが、この間に非常に大きな変化があって、もう五十一年の二回目の値上げの一五%というものはくずれるであろう、こういうふうに思いますが、どういうように大臣はお考えになるのか、予定どおり実施するということなのかどうなのか、検討すべきだと思うんですがね。どうでしょう。
  124. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) おっしゃるように、いまこれだけ流動的な中でございますから、いまここで五十一年は必ず見直しますと言うわけにも実はまいらぬわけでございまして、そのときに至りまして、諸般のいろいろな情勢を見きわめた上で決定しなきゃならぬと思います。したがいまして、今日の時点では、一応この計画をいまそれでは見直しますということには至っておりませんし、いまどうじゃと、答えを出せと言われますと、一応五十一年はこの計画に沿ってやらしてもらいたいと、その時点でと、こういうことになるわけでございます。
  125. 森中守義

    森中守義君 これは大臣、五十一年というと、もう一年半しかありませんね、十月一日からして。それでその物価問題がこういう時期に、一年半でまた一五%ということは、物価に対するやっぱり国民の感情からしても、これは非常にむずかしいですよ。それと見直しの問題、これは私どももひとつこれから十分見守っていきましょう。それとあした閣議決定がどうなるのか、その結果を見せてもらいたいと思いますが、さっき表に言われることと、実際の腹の中とはかなり苦しい答弁のように受け取れますし、そういう意味ではあまり大臣と私の意見も極端な開きがないようです。ですからよほど慎重にやらなきゃいけませんね。  それからいま一つは、再建計画の三つの柱といわれる利用者負担、それと政府助成、国鉄の合理化、内部留保を高めるという、この三本立てのものが、やはりこれからずっと踏襲されていいのかどうなのか。ここが私は非常に考えどころだと思う。四十四年から同じようなパターンを繰り返して、四十四年はわずか一年かそこいらでくずれてしまった。そしてまた四十八年にきめたんだが、これはまた半年、一年延期という、どうもやっぱり国鉄再建というものは何とはなしにつまずきがちですね。これは三つの柱を中心にしているというのも一つの原因だと思う。こういうことを、これから先ずうっと繰り返していっていいかどうか。ここはひとつ事務当局にもまた国鉄総裁にも、よく大臣と憶見をたたき合ってこのパターンはもうこれで終わりだと、次はもっといい方法をというような、そういう方向に再建の方法がいかないと、それは四十四年の場合もやや似たような意見を出してきましたよ。この前もその前も出してきた。しかし、この三つの柱以外に方法がないのかどうなのか。場合によっては、日鉄法の改正ですとか、あるいは国鉄運輸省の当事者能力の限界を少しでも拡大していこう、官房長官は概念的にはそういう方向が望ましいと、こういう答弁をしておりますから、いろんなことを考えていかないと、ただもう三つの柱を中心に再建をはかっていくということでは乗り切れないんじゃないかと私は思います。こういうことを一つのテーマに残しながら質問を終わりますが、大臣どういう御見解ですか。
  126. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 柱が三つになるか四つになるか、そういうようなものもこれから先の問題として検討を要することだと思いますし、また三つの柱の中の重みも、いまのような十ヵ年計画にあるそれぞれの配分でいいのかどうかというようなことも、これから先また検討していかなきゃならぬ問題だろうと思います。したがいまして、いま公害問題というのも新しく大きく出てまいりましたし、まだ固定したものはございませんけれども、やがてこの問題の対策というものには固定したものの考え方によって立ち向かわなけりゃならぬだろうと思います。そういうような問題等もいろいろ含んでおりますから、十分いまのお説等も傾聴いたしまして、今後検討してまいりたいと、かように考えます。
  127. 森中守義

    森中守義君 ちょっと国鉄の藤井総裁でも井上総裁でもいいですが、いまの三本柱の問題、これは国鉄にも一言あってもいいと私は思う。これはずっと運輸省でつくられたものをそのまま国鉄に採用するのがいいのか悪いのか。国鉄独自の御所見があっても私はいいと思うんですが、大臣に私は、関係の向きとよく相談して一ぺんたたき台を出してみないかと、こういう注文をつけておりますから、そういう意味で、国鉄側ではどういうお考えなのか、ちょっとこの際、総裁でも副総裁でもかまいませんが、お答えを願いたい。
  128. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 国鉄といたしましては、その形態がいずれであれ、最良のサービスを国民に提供するということであって、現在の形は政府は三分の一ぐらい助けて、御利用者にもお助けを願って、国鉄はもちろん中心になってできるだけ働くという形になっておりますけれども、おそらく先生のおっしゃっているのは、そういう現在の形態以外にまた考えようがあるんじゃないかというようなことであろうかと思いますので、そこらはひとつ意を体して、非常にむずかしい問題でございますけれども、ひとつ考えてみたいと思います。
  129. 森中守義

    森中守義君 総裁、考えるというのはけっこうですが、私が言っているのは、要するに国鉄は合理化を促進してもっともっと内部留保を高めなさいと、政府はうんと助成もしましょう、そのかわり国民にも利用者にも少し協力してくれと、こういう三つのものが再建計画の中心なんです。これがずっと続いてきているわけですね。しかし、それをやってきたけれども、そのつどそのつど挫折をして新しいものに切りかえていく、切りかえたものはちっとも新しくない。こういうことなんですよ。ですから、この三つのもの以外に、もう少し変わったフレッシュなもの、新鮮なものを必要とするのではないのか、それをテーマに預けておきましょうと、こう言っているわけなんで、これは副総裁、長年基本計画なんかやってきておられるだろうから、総裁のいまの考え方でおおむねわかりましたが、他にいい方法はありませんか。
  130. 井上邦之

    説明員井上邦之君) いま卒然として何かはかに新しいものはないかとお尋ねになりましても、ちょっと私も、こういう方法がございますと、三本の柱以外にこういうものがございます、あるいは三本の柱でなくってこういう方法がございますというようなことを自信をもってお答えする段階ではございませんが、ただ先生、おことばを返すようでありますけれども、確かに四十四年度、それから今度四十八年度出発といたします基本計画をつくりましても、非常に問題を生じたことは事実でございます。四十四年度の基本計画は三年にしてつぶれた。四十八年度から始まろうとする基本計画についても、先生御指摘のとおり、いろいろな問題があるということは事実でございますが、しかし、これはいま考えております利用者負担それから政府の援助、国鉄みずからの努力という、この三本柱の考え方が悪かったためにそうなったんだとは私は思わないのでございまして、やはり昨今の非常な流動的な経済情勢、こういうことによって、いわば計数的な再建計画がそのまま通用しなくなったと、こういう面が大いにあろうかと思うのでございまして、考え方として、この三つをいま直ちに変えなくちゃならぬというふうな段階では私はなかろうかと思いますが、なお先生の御趣旨を体しましていろいろ勉強さしていただきたいと思います。
  131. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 総裁にまずお伺いしたいと思うんですけれども、一昨日の委員会で、大臣にはこのことを聞いたんですけれども国鉄の民営論の問題です。たまたま航空騒音の問題で大阪空港のあり方が問題になりましたので、事のついでに一昨日運輸大臣にお聞きしましたところ、運輸大臣としては、国鉄民営についての話はまだ総理からは聞いていない、またそれらの問題について検討するということもやっておらぬと、こういうお話だったんです。しかし予算委員会でもって田中総理が国鉄民営論を考えるかのような答弁をしたあとで、国鉄民営論は思いつきであると言うのはこれは不勉強だと、こういう言い方をしているんですね。つまり念を押して総理大臣国鉄民営論というものを唱えているわけです。  そうなりますと、当該国鉄として、じゃ田中総理が言っているようなことを具体的に考えているのかどうか。また総理のほうからそういうことを考えろという指示を受けているのかどうか。また、それらの民営論について本気になって考えるならば、どういう形態のものを考えるのか、その辺を明らかにしてもらいたい、こう思うわけです。
  132. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 国鉄の運営形態をどういう形に持っていくかということは、それは要点だけ言えば、いかなる経営形態が国民に最も御利便を与えるだろうかということにスタートしなくちゃいかぬと思いますけれども、これは非常にむずかしい問題でございまして、実は先生も御承知のとおり、過去におきましてもたびたびそういう論議が行なわれたんでありますけれども、決定的な議論は生まれてこないというのが実情でございまして、そのことは非常にむずかしい問題である、おのおの一利一害があってむずかしい問題だということと私は解釈いたしておるんであります。  今回の国鉄民営論に関しまして、総理はもちろん、運輸大臣からも私は何ら伺っておりませんし、私自体もそれはきわめて重大な問題だということはわかりますけれども、まだ具体的に考えたり申し上げたりする段階にはなっていないのが実情でございます。
  133. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 そうしますと、総理が民営論は思いつきであると言うのは不勉強である、という話そのものは、これはまことに不可解なことなんですね。そうすると、総理の言明を伝えた新聞が事実を伝えていないのかどうかという問題になるわけですけれども、少なくとも公式に運輸大臣並び国鉄総裁から委員会でわれわれが聞いた範囲では、総理からも指示は受けていないし、また指示を待つまでもなく、そういうことは運輸省あるいは国鉄双方とも部内で検討していないと、何ら検討をしていないというふうに理解をしてよろしいのかどうか、この点念を押してお伺いしたいと思います。
  134. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 現在の段階では先生のおっしゃるとおりでございます。
  135. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 指示を受けてないということはたびたび申し上げているとおりでございます。それでは何ら検討しておらぬのかということになると、もう全然これに触れてないかということでございますが、御承知のように、公制審の答申も出ているわけでございまして、まだまだ一課で、課で固まった意見というようなものまでいっているわけじゃもちろんございません。しかし、あの公制審の答申を読みながら、どういうメリットがあるのか、デメリットがあるのかぐらいのことはそれぞれ頭の中で描いていると。それを実際の文字の上にあらわして作業を進めているということではないと、こういうふうに御理解をいただきたいと思います。
  136. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 先ほど総裁から、森中委員質問に対して、最良のサービスを国民に提供するということが大事だというお話がありました。だから最良のサービスを国民に提供するために、田中総理はどういうつもりで言ったか知らぬけれども、いわゆる民営論という形のほうがよろしいと、あるいは分割論のほうがよろしいといったような、何らかの意見があるならば、これは検討しても悪いことはないと思うんですよ。ただまるっきり検討されていないと、何ら現在の経営形態について変更を考えるようなことはやられていないということになると、これは総理が何と弁明しようとも、これは単なる放言にすぎなくなるわけですよ。どう弁明しようともこれは思いつきの放言ということになっちゃうわけですね。だからこれは総理大臣の発言である以上は、もしそれが放言だというならば、むしろ運輸大臣のほうから閣議でもってたしなめてもらわなきゃいかぬですよ。あんまりいいかげんなことを言わないでくれというふうに念を押してたしなめる必要があると思うんです。そうでないと、国会でもって運輸大臣が答えたことと、それから国会の外でもって総理大臣が答えたことがまるっきりあべこべであるというんでは困ると思うんですよ。一体新聞に報ぜられたことがうそなのか、国会で答弁されたことがほんとうなのかさっぱりわからなくなるわけですね。だから、別に私は民営論がいいとか悪いとか言っているんじゃないです。ただ検討されていることならば、それを明らかにしてもらいたいと思うし、またその明らかにされたことを素材にして、われわれもこれを勉強するということも必要になってくると思うんですね。  だからこういうふうに全然検討されてないし、また検討する意思もない、用意もないと、指示もされてないということであるならば、総理の発言そのものは、これはもう意に介しないでもらいたいというふうに、これは大臣のほうから言ってもらったほうがいいと思うんです。それならそのような前提でこれからも論議をしていきたいと思う。その点はどうですか。
  137. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 総理のあのときの答弁、山崎さんとのやりとりを私、速記録をもう一ぺん取り寄せて、いろいろひっくり返して読み直してみたわけでございます。その中に二十六年間何にもやってないじゃないかということからの議論として、いや、その可否の論議については二十六年前からこういう議論があったというようなところからいろいろ発展してきているわけでございまして、いま直ちに民営計画というものを検討してということではなかったと思います。それからその後それぞれの関係閣僚に対して検討を閣議において命じたということがございますが、これは新聞の明らかに誤報でございます。私は少なくとも担当の閣僚でございますけれども、私に対してはそういうことはございません。これはもうお昼のニュースで何かやったというので、新聞のクラブの皆さん方が、おまえはきょうの閣議で何か隠しているだろうというので、たいへんな大騒ぎを委員会の外でやっておりまして、それで出ていきますとそういう質問を受けましたけれども、これはもう私の言っていることが正しいのだということで御了解を得たわけでございまして、その事実はございません。  それときのうまた総理のテレビの対談を聞いて、これが出てきたわけでございます。それを聞いておりますと、やはりいまどうこうするということではないのだというような発言があったように聞き取ったわけでございますが、したがいまして、いまこういう問題の検討に入っているとか、あるいは素材にのぼして、運輸省としては検討を進めているという段階でないことを明確にお答え申し上げておきます。
  138. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 所管大臣として明確にお答えになっているならば、それが私は政府の意思であるというふうに理解をいたします。したがって政府の意思と全然食い違ったことを総理が軽々しく述べないように、これは大臣のほうから注意してもらいたいと思うのです。総理大臣をやめてからなら何言ったってかまいませんが、少なくとも総理大臣の地位にある以上は政府の方針と全然相いれないといいますか、政府の方針にないことをやたらと言われるのはきわめて迷惑ですから、その点念を押していただきたいということです。これを大臣にも要望しておきたいと思います。  それから今後の国鉄の経営について、これは森中委員からもあらゆる角度から質問が行なわれましたけれども、しからば現在のような公共企業体としての国鉄のあり方が妥当だと考えられるのかどうか、この膨大な赤字ですね、この膨大な赤字で首が回らなくなっておる、こういう状態で、総裁には自由裁量の余地がない。こんなようなことでは能率的な経営は、民営論の是非はともかくとして、能率的な経営というものは考えられないのじゃないか、こういう心配があるわけです。その点でやはりいまの公共企業体としての国鉄のあり方が妥当であるかどうかということは、これは検討に値するのじゃないだろうかという気がいたしますが、その点はどうですか。
  139. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 現在の国鉄のあり方は、御指摘のとおり、いわゆる国営と民営との中間に位するものであって、これがうまくいけば両者のいいところを二つとも具備できるが、うまくいかないとしからざるケースが起こってくるというようなことで、いろいろこういう問題を含めまして、先ほど大臣のお話がありましたように、国鉄の運営形態をどうすべきかという御議論がまあ過去においてもしばしば行なわれまして、その結論としては、決定的な結論には至っておりませんが、まあ現況でひとついいところを伸ばしていくべきじゃないかというふうに結論が出たように私は思います。したがいまして、私自身もさように考えている次第であります。
  140. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 さように考えておる次第だというのですが、さように考えておるというこの内容がよくわからないのだね、うまくいっているかどうかというのは結果によって証明されるのですね。じゃいまの国鉄というのはうまくいってると思いますかというふうに言われた場合に、総裁としてはどのようにお答えになりますか。
  141. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) まあ現況におきましては、御指摘のように、うまくいったとはちょっと言いづらいので困るのでございますけれども、これは現況の日本国有鉄道の骨組みが悪いのじゃなくて、しいて言えば、われわれはじめその努力が足らぬというゆえをもって悪くなっている場合もあるだろうし、しいて言いわけ的に言えば、流動的な世の中の状態で経営が苦しいんだという言い方もあると思いますが、必ずしも骨組みが悪いから現在のような状態になっておるというふうには私は考えておりません。そういう意味でございます。   〔委員長退席、理事黒住忠行君着席〕
  142. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 国鉄の財政上の赤字の問題は、これは必ずしも石油危機によってもたらされたものじゃないですよね。これは石油危機だとか最近の物価高とは別です。それ以前からの問題です。したがって総裁をはじめ経営陣が至らないからだというような言い方は、これは社交辞令のことばとしてはわかるけれども、実際の話としては必ずしもそのまま受け取れないわけです。うまくいっていないという以上は、骨組みの問題も再検討してしかるべきではないのか、こういう気がいたします。その場合に、民営がいいか悪いかと、うことは別ですけれども、骨組みの問題から再検討して、その結論として民営という考え方が出てくるならば、それだってやはり一応出してみて検討してみる価値はあるんじゃないかという気がするのですよ。一切何も手をつけないでいてこれでいいんだということでは、なかなかよくならないと思うのです、国鉄の経営そのものがですね。  そこで、じゃ今度は、現実の問題として新幹線の問題がありますがね。新幹線政府として建設をきめているわけです。ところが、この新幹線については多くの障害が出てきていることは御承知のとおりです。騒音公害等の問題か出てきている。だからこれらの問題を解決するためには一体どうしたらいいか、こういうことになる。たとえば騒音振動対策、これらの問題は、これは簡単といえば私は簡単だと思うのです。というのは、現在の新幹線が、用地を取得をする場合にきわめてけちな方法をとった。ぎりぎり一ぱいの必要な用地しか買収しないから、東海道新幹線なんかの場合は民家とあまり離れてないところを通過をするという形になってしまった。これだけ高速で走るものが、民家からそう離れていないところを通過すれば、騒音や振動という問題が出てくるのはあたりまえの話です。騒音や振動が出てこないようにするにはゆっくり走るほかない。ゆっくり走ったのでは新幹線の値打ちがないから急いで走る。二百キロで走るということになれば問題が出てくる。これはあたりまえなんです。だからこれらの問題を解決しようと思えば、今後の新幹線については、少なくともその用地を買収するためには、幅員百メートルぐらいの地域を確保していくということ、そしてそのまん中を新幹線を通らせる、両わきに側道を設け、緑地帯を設け、要するに空間を設けるということができればもろもろの問題は解決するわけです。これはきわめて簡単な話です。ただ財政上の問題がそれに伴うかどうか。金で解決できることなら簡単なことだと思うのですね。  だから今後の問題としては、思い切って騒音振動等についての苦情が出ないような方法をとるんだということをきめれば、新幹線建設についての基本方針がここに確立をされると思うのですがね。その点は一体どのようにお考えになっているのか、その点をお伺いしたい。
  143. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生のおっしゃるとおり、新幹線の両側にある程度の空閑地、緩衝地帯を設けるということは、人家密集地帯では非常に必要なことだと思います。ただ、これをやる場合のやり方でございますが、都市というのは非常に密集地帯でございますので、強引に幅百メートルを国鉄がみずから買っていくというやり方をしたのでは、都市のいわゆる土地利用という問題で非常な御迷惑をおかけすることになろうかと思いますので、そういう緩衝地帯をとる場合には、やはりその町の都市計画あるいは土地利用の考え方というものを地元の都市とよく相談いたしまして、できれば都市計画等によってそういうものを確保していく。もちろん国鉄といたしまして、それに対して十分な協力をしていくということで、今後はやってまいりたいというふうに考えます。
  144. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 航空騒音にしても非常に問題になっているわけですけれどもね。飛行機の場合に比べると、新幹線の場合はまだ範囲が狭くて済むと思うのです。そのかわりこれは延べにすればかなり距離は長くなります。しかし飛行機の場合に比べればまだ解決方法はむずかしくはないという気がするんです。  ただ問題は、どっちにしたって新幹線をつくろうと思えば、最小限度何十メートルかの用地を買収しなきゃならないことは同じですよ。いままで最小限度で済ましていたものをある程度拡幅をするということに勇断をふるい得るかどうかによって問題はきまってくると思います。もちろんこうなれば、これは政府の住宅対策、土地対策、こういった問題と関連をしてくるわけですから、国鉄独自できめるわけにはいかないと思うのですがね。だからこれは、むしろ国鉄独自できめるつもりにならないで、政府自身が、今後の新幹線計画については、問題を起こさないだけの用地の買収をしてやっていくのだ、で、ひっかかる地域については代替地を考え、かわりの住宅を考えるということをやっていけば、問題はそんなにこじれないで済むというふうに思われるんですよ。  したがって政府として、今度は大臣にお伺いをいたしたいけれども、それだけの思い切りがあるのかどうかということが、今後の新幹線計画推進をする上に、これは重要なかぎになってくると思うのですが、その点はどうですか。
  145. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のとおりだと思います。私どもも今後の新幹線は、公害の配慮なくして新幹線の設定と申しますかは、ちょっと考えられぬと思います。したがいまして、町中を通すような場合には、思い切った事前にそういう工作の上に敷設をしてまいらなきゃならぬ。いまお述べになりました御意見のとおりだと思います。そのように私どもも考えております。
  146. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 幅員百メートルないし百二十メートルぐらいを新幹線用地として確保していくということになれば、おそらくあまり問題は起きないと思います。必要な緩衝地帯も設けられるわけですからね。だからそういう方法でもって今後の新幹線を考えるということを基本にして、それでできれば、そのくらいの幅員をとって、まん中に新幹線を走らせて——もちろんこれは高架です、走らせて、両側に側道を設け、さらに緑地帯を設けるというようなことで、防音装置もくふうをしていけば、これは問題は解消すると思うのです。  ただ新幹線のあり方として、もう一つ考えなきゃならぬことは、できれば新幹線だけではなくて、その両わきにモノレールなり在来線なりというものを敷設をすれば、なおいいんじゃないか。つまり新幹線は三十キロか四十キロごとに駅をこしらえるけれども、その間は在来線が四キロか五、キロおきに停車をする、こういうシステムにする、さらにその側道をバス路線にして一キロか二キロ間隔に停留所を設けるというようにすれば、その幅員百メートルないし百二十メートルの両側は新幹線の駅がなくとも在来線の駅が近所にある。在来線の駅が近所になくともバス停が一キロか二キロの間隔にあるということになれば、これがそれぞれ利用価値が出てくるというふうに思うんです。そういうふうに利用価値が出てくれば、これはむげに反対をするという人はなくなってくるんじゃないかと思うんです。   〔理事黒住忠行君退席、委員長着席〕 だから、それらを考えた上で新幹線の建設に踏み切るというのが今後の考え方としては正しいんじゃないかという気がいたしますが、いま大臣は、まあ私の意見に対してそのとおりだと言ったんだが、その場合にこれは相当の、いままで以上の費用を必要とすることは、これは当然なんです。その場合に、先ほどの森中委員質問でもすでに物価その他の面からいってもうくずれてしまったんじゃないのか、まあ価格がどのくらい暴騰するか、用地買収だけじゃなくて、資材その他の面でもかなりこれは高騰しているというふうに考えられるんですが、これはもう再検討してみると、新幹線の建設計画そのものを財政的にも再検討してみる必要があるんじゃないかということが、これは当然考えられるんですが、その点はどうですか。
  147. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) やはりいまの計画を十年間固執するという態度をとっておらないことは、その時点において見直す時期もあるだろうということは、先ほど来申し上げておるとおりでございます。  それから将来の新幹線につきましては、これはもうお説のように、工事費用地買収等がどういう形で出てまいりますか、これはいまちょっと予測がつかぬわけでございますけれども、いままで計画した再建計画のあの計画で進もうとは考えておりません。したがいまして、一定時点において見直さにゃいかぬ時期が来るであろうということも想像されるわけでございます。しかし、先ほど来申し上げてありますように、一応の四十八年度を出発点とした基本計画でございますから、その路線に乗ってとにかく歩いてみると、そしてこの流動の固まった時点で、ひとつ安定した時点で見直すと、こういうことでございます。  それからさらに、将来の新幹線の問題も、いまのような騒音公害をまき散らして歩いているような状況では、もう環境保全を考えない新幹線の施行ということは、私はこれから先は考えられないんじゃないかと思うのです。したがいまして、お説のような膨大な機構がいいのか、あるいはまた新たに多少高くなるかどうかしりませんけれども、いま国鉄でも鋭意御検討いただいておるような、リニア何とかカーというようなのがいいのか、いろんな問題がいまから出てくるだろうと思います。そういうようなものもあわせて検討してまいらにゃならぬと思いますが、それが十年先に出てくるのか、あるいはもう少し早い時期に出てくるのか、そういう研究の速度、あるいは経済情勢の見合いの点もあるだろうと思いますけれども、いずれにいたしましても、今後は公害というものを頭に描かない新幹線の設定というものは、これは経費を見直さなきゃならぬようなことになりましても、これはもうどうしても考えの中に入れてまいらなければならない。これはもう瀬谷議員の先ほど来の御意見のとおりだと思います。  ただ、まん中に高架の新幹線、その両側に高速道路あるいは在来線を走らすとかいうようなことが理想的にできれば、それが一番いいと思いますけれども、狭い国土のことでございますから、そういうふうな計画が成り立つかどうか、しかし私どもはいまここで描く想像としては、そういうようなことは一番理想的な、都市計画との関連も出てくるでございましょうけれども、いい姿だと思うわけでございます。
  148. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 もう少し国土を利用する場合には有効に考えたほうがいいと思うんですよ。新幹線新幹線で用地買収をやると、高速道路は高速道路で用地買収をやると、別々に競争して用地買収をやって、そして自動車は自動車、列車列車で別々に走らせると、これはやむを得ない点もあるかもしれないけれども、むだな点も多いと思うのですよ。だからもし新幹線を建設をする際に、公害対策等考えて十分な幅員をとるということであれば、今度は道路としてもその側道が利用できるという利点が出てくると思う。逆に言うと、道路を建設をする場合にその中央分離帯等を今度は鉄道に利用すると、地下鉄を導入するなり、あるいは国電を入れるなり、こういう利用のしかたをすれば、その道路もまた多角的に利用できるということになってくると思うのです。それが道路は道路、鉄道は鉄道、こういう形で別々になっているからむだが多いんじゃないかという気がするのです。そういう点を運輸省と建設省といったようなセクトを取り払って考えることができないものかどうか、その点をお伺いしたいと思うのです。
  149. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まことに適切な私は御提言だと思います。これから先はそういうようなことを、どうせ穴を掘ってトンネルをつくって走るんならば、道路で走るのも同じような方向であり、また同じような工事量を持つわけでございますが、それはてんでんばらばらに曲がりくねるよりも、そのほうがより合理的だと思います。私さっそくこういう問題については一ぺん話合ってみたいと思います。お説のように、確かにむだのある点は私にも理解できるわけでございます。
  150. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 これはまあ宿題として運輸大臣に預けておきたいと思うんです。近い機会にその点について再度突っ込んだ質問をしてみたいと、こう思っております。これはこれからの新幹線計画を考える場合には、もう用地買収あるいは公害対策でもって手間どるならば当然こういう点を考えていかなきゃならぬと思うからです。  それからもう一つ、新幹線のスピードの問題があるんですがね、まあ時速二百五十キロで走れるからといって二百五十キロで飛ばすことばかりが、私は能じゃないと思うんですよ。たとえば上越新幹線の場合、東京−新潟間は三百キロです。この三百キロを百五十キロで走れば二時間で走れるわけですね、単純に計算すればそういうことになる。平均時速百五十キロで走れば二時間で行けるわけです、新潟まで。しかし二百キロで走れば一時間半ということになる。そうすると、二百キロで走った場合にどれだけ時間の節約ができるかというと三十分しか節約できない。三十分の節約のために二百キロで走るということになると、相当の公害がこれまた出てくるということになる。まあ縦長の岡山から博多といったようなところはまた別ですけれども、上越新幹線なんというのはどう考えたって新潟が終点ですからね、あの先は行かれないんだから、海になるんだから。そうすると、この新潟が終点のところを特に二百五十キロで飛ばすという必要はなくなってくるのじゃないかという気もするんです。そういう場合には百五十キロぐらいでもって、つまり百五十キロだと、在来線でも百二、三十キロ出しているわけですから、新幹線が百五十キロ平均で走るのはさほどむずかしいことではないという気がするんですけれども、そういう点、速度というものもある程度考慮をして、無理のないような運行をするということを考えてしかるべきではないかと思うのですが、その点はどうでしょうか。
  151. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) まことに適切な御指摘でございますが、御承知のように、二百キロで走っておったものを百五十キロに落としまして、騒音のほうでどれだけ軽減するかというと七ホンかそこらしか落ちぬと。したがって減速すると申しましても、そういうときにはあまり効果は出ないし、かたがたさきのお話のように、大体百二、三十キロぐらいは現在線のような構造でもスピードを出す気なら出せるということなんでございますから、新幹線を、ああいう相当の金をかけた構造がいいのかどうかという本質問題にからみますけれども、いずれにしましても非常に適切な御意見なんでございまして、よく考えてみたいと思います。
  152. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 初めから精一ぱいのスピードを出すと、あとで減速をするときには非常にやりにくくなるわけです。だから、これからの新幹線、特に短距離はそんなに初めから無理して走らせる必要はなかろうと、幾ら田中総理のおひざ元とはいいなから——もっとも杉山理事もおひさ元になるわけですけれども、その点を考えてみたほうがいいんじゃないかということを私は言ったわけなんです。  この新幹線の問題と一緒に、在来線の問題について非常に不満があるわけです。いま新幹線についての感情的な反対というのは、在来線のサービスがちっともよくならないのに新幹線だけ急ぐというのはふざけているのじゃないか、こういう気持ちがあると思うのです。また、先般全交運から運輸大臣に対していろいろ申し入れをした中身を見ましたけれども、その中でも国鉄ダイヤにおける普通列車の冷遇改善についてという項目があります。特急だけを優遇して、そのかわりに普通列車はえらい迷惑をこうむっている、こういう問題ですね。これらの点もやはり特に通勤時等においては考える必要があると思うのです。これはむしろ国鉄の問題になってくると思うのですがね。こういう指摘をされた点について改善をするという考え方はないのかどうか、この点をお伺いしたいと思います。
  153. 伊江朝雄

    説明員(伊江朝雄君) お答え申し上げます。  別に在来線を冷遇しているわけじゃございませんで、やはり輸送量の多寡ということによりましてそれぞれの改善を行なってまいっておるわけであります。この国鉄長期計画におきましても、大都市の通勤輸送の改善、ローカル輸送の改善はもちろん当然のことでありますけれども、その上輸送の質が変わってまいり、輸送の量が変わってまいります線区につきましては、逐次複線化あるいは電化というふうなものを進めてまいりますが、その前にそれに至りません線区につきましては、車両の増結でありますとか、あるいは時間の短縮についての努力をするということで逐次やってまいっておりますので、決して在来線を冷遇するということにはなりません。しかもまた新幹線が敷設されます並行線区につきましては、御承知のとおり東海道線の例、岡山まで開業の例などをごらんいただきますように、新幹線への旅客列車の転移によりますあいた線路の容量は通勤、ローカル輸送の改善あるいは貨物列車の増発と、こういうふうに当てておりまして、総合的に太い線区とのフィーダーサービスのできるように在来線も支線区も育てていくと、まあかように考えております。
  154. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 この普通列車の冷遇という点はね、これはダイヤを見ると確かに指摘できるんですよ。特急が二本通るという場合に、普通列車はある駅でもって十分ぐらい待たされるわけです。待避をしてるわけです。しかもそれが通勤電車であるという例があります。これは具体的な事例として私も体験をいたしました。で、またそのダイヤを取り寄せてこれを見てみました。そのとおりなんですよ。これは通勤者が用のないところに十分も待たされて特急を二本もやり過ごすなんてのは、これはほんとに通勤者にしてみればずいぶん腹が立つだろうと思うんですね。またその駅が上尾駅だったりすると、こんちくしょう火をつけてやろうという気になるのは無理がないんです。したがって、こういう点は配慮の必要があると思うんですよ。また急行列車においてすら特急を待避するために十分停車するといったような例があるわけです。これは去年の十月のダイヤ改正でそういうふうになってきました。急行列車でありながら各駅停車よりものろいような急行列車、こういうのは一体どういうわけなのか、これでも急行料金を取るというのはあつかまし過ぎやしないか、こういう気がいたしました。したがって、まあやり方としては少しこれはひど過ぎるんじゃないかという気がいたします。その点国鉄としてはどのように考えておるのか、お伺いしたいと思います。
  155. 伊江朝雄

    説明員(伊江朝雄君) 場所によっては御指摘の線もあると思います。で、特急、急行、それからローカル、それぞれやっぱり使命を持った列車でございますので、急行はやはり中長距離の旅客の到達時間を早くするということでございまして、特急ももちろん急行と同じでございます。したがいまして、ある一部の区間におきまして、なるほどローカル列車と同じ速度で走ってるところがある列車があるかもしれませんが、到達目標、つまりその列車使命とするところがやはり違うということで、ある区間をとっての比較だけでは、この問題は先生おっしゃるように急行とローカルと変わらないじゃないかと、こういう結論になろうかと思いますが、使命を考えます場合には、やはり最終目標地の到達時間の問題だということに考えていただければこの問題は割り切れるんじゃなかろうかというふうに、まあてまえがってかもしれませんが考えております。  それから逐年やはり東京あるいは大阪という主要都市への到達時間の短縮を求める声が多うございまして、したがいまして、その要望にこたえての特急、急行の増発というものが続いてるわけでございますけれども、かといいまして通勤電車あるいはローカル列車というものを極端に冷遇するというかっこうにはなっておりません。それで実はそういうふうな御質問があるということで、高崎線の例を調べてまいったわけでございますが、従来高崎線におきましてローカル列車が急行ないし特急を待避するということで、非常に沿線の御利用の皆さまにおしかりを受けたわけでございますが、去年の十月の改正ではローカル列車の特急待避というのはごくわずかになってまいりました。そのかわり先ほど御指摘の急行列車が特急を待避する、まあこういうかっこうになりまして、どちらか救済すればどちらかが多少の御不便をいただかなきゃならぬという、まあ線路が同じ線路を走ってるという宿命による一つの、まあ私どものサービスのあり方の問題もさることながら、一つの宿命であるんじゃなかろうか、こういうことでございまして、これは新幹線が開通しますまでの間はしばらくそういう形態が続くんじゃなかろうかと。しかしローカル列車につきましては、かってのような御批判を改善をいたしまして、できるだけ特急、急行の待避をなくしてると、こういうことで、これは高崎線の例でございますが、逐次各線区ともそういうふうなかっこうで措置をしてまいりたいと、こういうふうに考えます。
  156. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 実は私も高崎線のダイヤを見てものを言っているんで、決して抽象的に言っているわけじゃないんです。これは時間の関係がありますから、一々具体的な例をここでは言いません。しかし通勤時間帯に急行、特急が入って、通勤列車を待たせているという具体例は、あることは間違いない。  それから急行列車が十分間も待たされているという例も間違いない。また急行列車がきわめてのろい急行列車であるにもかかわらず急行料金を取られているということもね、これなんかは非常に不合理だと思いますよ。そういう場合はむしろ急行料金を取らないということのほうが合理的じゃないかという気がするんですがね。これはむしろ急行料金を取らない区間というものを設けて、そして一般客を乗せるというようにしたほうがいいと思うのですが、それはできないのかどうか。
  157. 伊江朝雄

    説明員(伊江朝雄君) しゃしく定木にものを考えているわけじゃございませんで、御指摘の急行の一部区間を一般に開放いたしましたり、あるいは先生御承知のとおりの、定期の旅客に通勤時あるいは退勤時に利用していただくような急行も設けてございまして、その辺は弾力的に考えておるわけでありますけれども、いま高崎線の例で御指摘のございました急行は、なるほど上野−高崎の区間においては、一部待避の関係でスローダウンいたしますが、やはり目的地への速達ということは、これはやはり使命でございます。そういう長距離の旅客の利用ということで一部その区間は一般には開放してないと、こういうことでございます。したがいまして、線区によりまして、あるいは列車によりまして、あるいは時間によりまして急行の一部区間を開放するということは今後ともやってまいりたい。しかし高崎線のいまの具体的な御指摘の点につきましては、やはり相当に乗客も多うございますし、それにまた目的地への旅客の大部分の方がそういう終着駅の旅客でございますので、まず上野−高崎間というものは、一般に開放と申しますか、あるいは快速列車のように料金を取らないというふうなかっこうには輸送量からいってできないのではないかと、かように思います。
  158. 瀬谷英行

    ○瀬谷英行君 関西だったら快速列車として急行料金を取らないけれども、関東だったら、ほかに競争の線区がないのをいいことにして、急行に値しない列車から急行料金を取るというのは、これはいい方法じゃないと思うのです。この間私も「あかぎ」何号とかという急行に乗ってみましたら、ばかにのろいんですね。車掌にこれは何かあったのかと聞いてみたら、いやこれは所定の速度で走っていると。そのナメクジみたいにのろい急行から急行料金を取るんじゃこれは詐欺と同じじゃないかなというふうに思いまして調べてみたら、なるほど十月ダイヤ改定以来たいへんにのろくなっていますね。各駅停車と変わりがないんですね。ああいうやり方は、やはり国鉄が利用者から反感を買うだけだと思うのです。運賃を上げるかわりにサービスを悪くするというんじゃ、これはもう踏んだりけったりになるわけですから、こういう点は、少なくともああいった詐欺類似行為はやらないように私はすべきじゃないだろうかと、こう思うのです。  それらについては例示をするその材料は持っておりますけれども、時間の関係できょうはやめておきます。しかし、これらの明らかに不合理だと思われる問題については、国鉄として再考慮をするということを望んでおきたいと思います。  それから、この在来線の問題についてもう一つ申し上げるならば、川越線と八高線といったような問題東京の環状線的な役割りを果たしている川越線が幹線の陰になってしまって、何ら手を施されていない。単線でしかも気動車が走っている。不便なローカル線そのままになっている。これらの点は、複線にして電化をする。さらに八高線、川越線を一体のものとして外環状線的な役割りを果たすようにすれば、利用者も便利になるし、沿線の開発にも役立つであろうし、また周辺の人口密度から考えても必ず収益を上げ得る線区ではないかというふうに考えられるわけです。みすみすこういう人口の急増地帯を走りながら、設備が不備なために利用価値のないローカル線として放置されているというのはきわめて遺憾だと思うんですがね。こういう川越線や八高線のような、手を加えれば便利になる、あるいは沿線の開発にも役立つといったところに、どうして国鉄は手を加えようとしないのか。また手を加える意思があるのかないのか。その点をお伺いしたいと思います。
  159. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生御指摘のとおりだと思います。いままで国鉄は、いわゆる五方面作戦というか、東京から出る幹線の増強工事に非常に力を注いでまいったわけでございますが、前の国会でも説明があったとおり、いわゆるこういう東京の郊外の路線というようなものにも今後設備強化をしてまいりたいということを考えております。  で、川越線あるいは八高線につきましては、今後の沿線の開発状況旅客の動向等をにらみ合わせて考えながら、逐次電化並びに複線をやってまいりたい、これは十カ年計画の中でもそういうふうに考えております。
  160. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは最初に運輸大臣に。  先ほどから森中委員からも質問があって、関連する問題は省きますけれども、昨年の暮れに強行採決までやって運賃法案を採決したわけですね。ところが政府事情によって——物価対策上というけれども、実際上いろんな、参議院選対策であるとかいろんな観点から、国民運賃値上げがないほうが一番いいわけでありますけれども、そういうてまえがってなことでこの運賃値上げの操作というものが行なわれている。特に、ほんとうに国鉄が赤字でたいへんという実際の認識がはたして政府当局にあるのかどうかという問題が非常に考えられるわけです。こういう点について、やはりこの運賃値上げがおくれればそれだけ財政再建計画もおくれる。さすれば利子補給程度をやるという話を聞いておりますけれども、もっと根本的に、この財政再建計画を促進するためには政府がもっと抜本的な手を打つべきじゃないかと思うんです。国鉄のこの六カ月延ばす、この観点から考えれば、確かに、もっと政府が抜本的にこの再建計画を立て直すためにも、やはりもっと政府はてこ入れすべきじゃないかと、こういうふうに考えるんですけれどもね、その点いかがですか。
  161. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 六カ月運賃を延期いたしました趣旨は、繰り返し申し上げるまでもなく、物価に対する政府のきびしい姿勢を表明いたした次第でございまして、参議院選挙の対策でないことは、この際明確にいたしておきたいと思います。  なお、十カ年計画にそこをしょっぱなから来たしておるんじゃないかという御指摘でございますが、そういうことがあってはいかぬというわけで、四十八年度におきましても、また今年度におきましても、財政投融資の借り入れ金によってこの減収の穴を、計画の示されておる減収借り入れ金によって補てんしたわけでございます。なお、それに見合う利子は十年間一般会計からこれを補てんするということであることば、先ほど来の質疑を通じて御理解いただけると思いますが、なおのほかに国鉄財政基盤の脆弱と申しますか、そういうものを補強する意味合いをも含めて、計画にございませんけれども、八百八十五億の政府出資をいたしておるわけでございます。そういう面におきまして、十カ年計画そのもののすべり出しには一応支障のないように財政的な措置をいたしたと、こういう次第でございます。
  162. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 国鉄総裁から考えれば、まあ一千億——国民は半年でも延びれば、あるいはないほうが一番いいわけです。しかし国鉄は、利子補給してくれるけれども、一千億はそれだけ赤字を背負うごとですね。そのために財政再建計画、どうですか、まあ一千億だからたいしたことはないと言うかもしれぬけれども
  163. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 国鉄といたしましては、運賃が延びるということは必然的に歓迎すべきことじゃございませんけれども、しばしば政府の御説明にあるように、物価対策というものはすべてに優先するものであって、そのために四十八年度千八百五十五億の穴があき、さらにこれを四十九年十月一日まで延ばすことによって九百七十六億の穴があいちゃうということでございまして、計三千億弱の穴があいたということでございますけれども、先ほど来の御説明にあるように、それに対する利子再建期間中政府は全部めんどうを見てやるということなんで、結論的に三千億弱の最終年度において借金の量が多くなったということなんで、国鉄としては決して喜ぶべき現象ではございませんけれども政府もできるだけのお世話をしてくださったという意味合いにおいて、まあ、かしこまりましたと言わざるを得ない立場でございます。
  164. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 何だかはっきりわからない問題なんですね。実際に国鉄がこういう問題から、まあ確かに利子補給するけれども、実際に政府物価対策上からかもしれないけれども、しかし簡単にこういう変更が国鉄に対して行なわれるということは、これは国民は上げないほうがけっこうなんですよ、しかし、ほんとうに赤字体質の国鉄が真剣になってやはり努力をしようということであれば、もっと運輸大臣やあるいは総理に三千億ぐらい持てとはっきり言ったほうがいいんじゃないですか、どうですか。
  165. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 非常にエンカリッジをしていただきましてありがとうございますが、まあ私は三千億出せと言ってどなり込んだわけじゃございませんけれども政府相当のめんどうを見てくださったということで、おしかりを受けるかもしれませんが、お引き受けしたというようなことでございます。
  166. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これ以上言っても国鉄総裁の権限は限られた権限でしょうから。  それで、やはり再建計画の狂いの中に、これから石油資源の問題等にいろいろ関連してくると思うんです。こういう問題で今後の客貨車の輸送需要の変化、あるいはまた国鉄の重点投資の問題について、石油事情との問題に対してはどう考えているかということですね。
  167. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) お答えします。  私が申し上げるまでもなく、物を運ぶので一番エネルギーを食わぬものは何だということになると鉄道ということになりますので、従来は中距離ぐらいで自動車に依存しておったような貨物が鉄道に流れてくるということは十分考えられますし、またこれを受けて運ばざるを得ぬ、運ぶべきであるということもこれは議論の余地がないところでございまして、現在は線路の容量が足らぬとかなんとか、直ちに御要望に沿えるような形には必ずしもなっておりませんけれども、まあ電化であるとか複線化、その他駅の近代化といったようなものを推し進めまして、そういった輸送に十分沿うように、十カ年計画を少し、そういうものは早めるといったようなやりくりをしてそういう情勢に応じたいと、かように考えております。
  168. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは具体的に事務当局でもいいですが、石油の値上がり、あるいはそれの関連製品の高騰等によって再建十カ年計画の中にやはり修正をすべき問題がだいぶあるのじゃないかと思うのですが、総裁はそこまでこまかく検討してないと思いますけれども、これは具体的にそういう変更はないかどうか。これは副総裁でも事務当局からでもけっこうです。
  169. 井上邦之

    説明員井上邦之君) 石油等の最近の値上がり、確かに著しいものがございますが、どのくらい上がっているか、これはあとから事務局のほうから御説明させますけれども、まあ石油に限らず、確かに最近の物価の値上がりというものは異常なものがあるわけでございます。ただ、この情勢はいつまでも続くとも私ども考えられませんので、最近政府でおとりになっておる物価抑制政策、この鎮静効果というものが漸次効果をあらわしてくるというふうにも考えられます。したがいまして、私どもの考えておりますこの長期の全体の計画、この計画にいま直ちに変更を要するというようなところまで実は考えていないのでございまして、先ほど来、森中先生の御質問に関連しまして、各大臣から御答弁もございましたように、経済社会基本計画をいずれは見直さなくちゃならぬであろうというようなお話もございまして、その点に関連しまして確かに私どもの考えております再建基本計画というもの、それらのいろいろな経済的な諸指標というものは経済社会基本計画に基礎を置いておる、こういう点から考えましても、もし経済社会基本計画が見直しをされるという時点になりましたならば、その時点で政府の御指導も賜わりつつ私ども基本計画も練り直していかなくちゃならぬと思いますけれども、ただ見直さなくちゃならぬであろうといういまの段階でございまして、まだそれが改定されてはいないのでございます。したがいまして、いまの時点で私ども計画を変えるというような段階ではないということを申し上げざるを得ないと思います。
  170. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的に、資料でもけっこうですけれども国鉄が石油会社から石油を購入しているこの実態を資料でもらいたいのですけれども、これはよろしいですか。ちょっとわかったら言ってくださいよ。どの程度値上がりしているのか。
  171. 篠原春夫

    説明員篠原春夫君) 先ほどの総裁の御説明に少しふえんさせていただきまして、石油の話を申し上げたいと思います。  国鉄の四十八年度の購入価格の値上がりの状況でございますが、木材の高騰で木まくら木、これは対前年四七%上がっております。それから、コンクリートまくら木が二八%上がっております。しかし、これは新幹線用の大型のまくら木がふえました関係で価格のアップも大きい、こういうことになっております。それからレールにつきましては、新幹線用の六十キロ、あるいは従来の二十五メートルじゃなくて五十メートルという長いレールを相当数買っておりますが、これは対前年六%の値上がりということになっております。それから油の関係でございますが、これは軽油、重油、それから灯油、こういうものをひっくるめまして、前年に対しまして一五%のアップということになっております。しかし油につきましては、この一月以降まだ精算ができておりませんので、それを加味いたしますと一五%よりは高い数字になろう、かように考えております。  それで、ことしの国鉄の資材の購入費のアップの状態でございますが、上期が大体六%程度の値上がりでございます。それから下期のほうが平均いたしますと一七%ぐらいのアップでございまして、年間平均いたしますと、前年に対しまして一二%弱、その程度の値上がりでございます。以上でございます。
  172. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私もきょうこまかなことを聞く考えは持っておりませんけれども、たとえば石油は一月以降の分がまだ精算ができないというのは何か事情によるんですか。
  173. 篠原春夫

    説明員篠原春夫君) お答えいたします。  従来、石油の契約は大体六ヵ月契約ということで契約いたしていたんでございますが、昨年の十月来の石油の需給悪化、それから市況の変動という問題がございまして、それから方々石油関係法の成立もございまして、月別に需給計画を立てるということになってまいりまして、私どもといたしましては月ごとに石油の需給をきめていたんでは列車の運転に支障を来たすということで、業界ともいろいろ折衝いたしまして、従来の六ヵ月は無理であっても、せめて三カ月ごとの契約をお願いしたいということで、昨年の十二月までをことしの一月に精算いたしまして、そして一月から三月までの契約を新しく結び直した。かような状態でございまして、まだ下期の価格につきましては折衝中でございまして、精算いたしておりません。
  174. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それでは具体的にいま資料で——いまでなくてもいいですから、資料を私提出してもらいたいんです。石油をどのメーカーから買っているか、それから四十八年度から今日までの国鉄へ入れている納入会社の石油価格ですね、この実態を資料でもらいたいんです。これは出してもらえますか。
  175. 篠原春夫

    説明員篠原春夫君) 納入業者につきましてはこれは申し上げます。  それから価格でございますが、各社の納入実績、これは申し上げたいと思います。
  176. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 最初のは出せないの。
  177. 篠原春夫

    説明員篠原春夫君) メーカーは申し上げます。  それから各社別の全体の契約金額、これは申し上げます。
  178. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 各社別の契約金額も出ますね。
  179. 篠原春夫

    説明員篠原春夫君) 出ます。
  180. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 じゃ資料で下さい。  それでは国鉄運賃の値上げがこれだけおくれてくる、こういう形になってくると、再建計画の調整が必要だと私は思うんですけれども、いまの副総裁の答弁からいきますと、基本計画が変更ない限りはこれでやるという計画のようでありますけれども、そうすれば十一万人の合理化の問題ですね、三方一両損という。こういう問題についてはたして近代化計画の再検討も同じようにいまの実態で進めていくのかどうか、この問題について。
  181. 井上邦之

    説明員井上邦之君) 先ほど申し上げました物価の値上がり等の関係につきましては、これは経済的な指標の関係もありますので、経済社会基本計画の見直しがあれば、その時点で検討いたしたい、かように申し上げたわけでございますが、十一万人の縮減という要員合理化の問題は、これは基本的に国鉄の体質を改善していくためには必要なことでございます。十カ年計画の中に入っておりますけれども、かりに十カ年計画がなくても、やはりこれだけの要員縮減はやっていかなくちゃならぬという現在の国鉄の体質でございます。したがいまして、この十一万人の縮減というものは、現在までに、これは四十四年度から五十三年度までと一応のめどが立てられておりますけれども、四十四年度から四十七年度までにすでに三万三千人減らしてまいりました。本年度さらに一万人ぐらい減らす計画をいたしておりますが、それで総計十一万人を今後縮減、十一万人が減るようなことに落ちつかせたい、こういう計画でございます。この計画は変更なく進めてまいると、こういう考えでございます。
  182. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、今後、国鉄自体が事業の拡大もいろいろ考えているわけですね。事業規模は相当拡大していかなくちゃいけないという問題を考えますと、要員確保とこの事業規模の問題についてのバランスはどう考えますか。
  183. 井上邦之

    説明員井上邦之君) 確かに御指摘のとおり、業務量はざっと申しましても倍増していくわけでございますし、また昨今の時代的な要請であります週二日休日制、こういったような切実な労働者側の要求もございます。そういった点を考えますと、確かに増要素はかなりあるわけでございます。増要素はかなりありますが、それを乗り越えて絶対数で十一万人を減らしていくということを私ども決して不可能だとは考えていない。と申しますのは、いろいろな省力化投資をやりまして一これは金がかかります。簡単に申し上げれば、いままで人手を使ってやっておりました仕事を機械を使ってやると、こういうことでございますけれども、金はかかりますが、そういったことによって人間の数を減らすことと、また同時に、機械化ということによって、いわゆる労働集約産業から機械装置産業へ、完全な装置産業にはとても国鉄はなってはいかないと思いますけれども、そういう方向へ進むということによって国鉄近代化が進められる、こういうことを私ども目ざしておるのでございます。十一万人減らすからといいましても、労働者に労働過重になるような負担のしわ寄せをしないように極力考えてまいるつもりでございます。十一万人減った結果においては国鉄自体の姿が近代化された姿に変わっておるというところに光明を見出しておるわけでございます。
  184. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ところが最近の国鉄の職員の採用状況を見ますと、あまり集ってないですね。確かに地方のほうの採用は幾ぶんできているかもしれませんけれども、大都市周辺で国鉄につとめようという若年労働者というのは私は非常に少ないと思うんです。昔は、地方では国鉄職員とか郵便局は非常に魅力のあった職場でしたが、最近は若年労働者は国鉄に集まらぬ。こういう点から考えますと、特に大都市周辺における事業拡大という問題から含めますと、新規採用もできない、こういう点から考えて、大都市周辺の要員自給の問題あるいは事業の拡大の問題ということを考えますと、予定どおりこの再建計画が進んでいきますか。
  185. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) ただいま先生の御指摘の大都市付近の新規採用要員の自給問題、これは国鉄のみならず全般の問題だと思いますが、確かにそうたんたんたるものじゃないということでございます。で、ことしなども新幹線の博多開業、それから東京付近なんかでかなり大きな設備工事が完成いたしまして、いろいろな大きなダイヤ改正が見込まれておりますが、それに向けまして、昨年から一定のワクを設けて東京付近の採用などをやっております。確かにこれは非常に簡単な採用ではございませんが、首都圏付近あるいは地方の採用なんかともかみ合わせまして東京へ持ってくるというようなことを考えておりまして、現在のところでは、おおむねそういった新しい輸送需要に対応できるようなめどがついておるというような感じでおります。  将来はこれは非常にたいへんなことだという私ども認識に立っております。したがって東京付近の全般の合理化なんかを進めていく、なるべく省力化をはかっていくということはもちろんでございますが、あるいは場合によっては、こういう都市付近にあまりたくさんの業務機関を集め過ぎることのないようにわれわれも配慮していかなきゃならぬというようなこともございます。それからまた、人を集めるためのいろいろな条件があるわけでございますが、そういったようなことにつきましても、私どもも民間その他でやっておりますことにならって、おくればせながら宿舎その他、そういったいろいろな住居の問題なんかにつきましても、これから配慮をしていかなきゃならぬというふうに考えている次第でございます。
  186. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 私、こまかくきょうは質問する時間がありませんからやりませんけれども、これはいま当局が答弁しているような程度じゃないんです。実際に新規採用を千八百やったって首都圏では千名しか集まらないわけですよ。非常に実態とそぐわない問題があるわけです。たとえば武蔵野南線、あるいは京王線とか、あるいは東海道貨物新線、こういう問題が具体的にはたして計画どおりに、ダイヤ改正どおりに行なわれていくかどうかという問題、これは予定どおりいけますか。
  187. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 先ほどの答弁で教字を申し上げなかったわけなんですが、この辺は御指摘のとおり、千八百の首都圏管内での新規採用のワクになっておりますが、実際応募してきたのが二千八百ぐらいあるわけでございます。私どものほうとしましても、できるだけ、こういう大事な仕事でございますので、良質の労働力を確保したいというような意味でいま現在は千五百ぐらいの採用がきまっております。あと三百足らないというような問題もございますが、今後も募集を続けてまいりまして補充できれば補充したいし、今後合理化その他の関係とも見合って人の配置を考えるということになりますので、ただいま申し上げたとおり、これからやっていきます輸送改善計画については、大体めどが立っておるというふうに言えると思います。
  188. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 首都圏の問題あるいは大阪でも同じだと思うんですけれども、やはり若年労働者が集まらないとなると国鉄の機能が、たとえば合理化で進むかもしれないけれども、実際に入ってくる予定の人員が入ってこない、こうなってくると、いりかはどっかで支障を来たすんじゃないかと思うんですよ。やはり若年労働者が集まってくるような対策ですな、もう少しそういう積極的な手を打たなければ、私は将来行き詰まってしまうんじゃないかと思うんです。この点についての対策をどう考えておりますか。
  189. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 先ほども申し上げましたとおりでございますが、大都市付近に業務機関なんかは集め過ぎないというような考え方もしていかなきゃいけませんし、それはそうだとしても、また全然ゼロで済むわけじゃございませんので、できるだけの採用はしていかなきゃならぬということになります。大きくいえば賃金問題といったようなこともあると思いますが、いまの賃金体系は組合なんかとの話し合いによってきまるわけでございますので、にわかに大幅な改定はできないというような面もあるわけでございますが、その他の諸条件につきまして、東京へ出てきて非常にいい宿舎に住めるとか、いろんなことがあると思うんですが、その他の諸条件なんかにつきまして、私どもも鋭意この数年来そういう設備の整備に相つとめておるというのが現状でございます。
  190. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 次の問題に移りましょう。  合理化の問題とうらはらに、国鉄の業務の民間委託あるいは請負化ですか、外注は相当ふえてきていると思うんです。その実態をできれば具体的に、どういうものを外注としてふやしているのか、あるいは民間委託を進めているのか、その実態について御説明願いたい。
  191. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 一般的に国鉄の外注の歴史は古いわけでございますが、比較的簡単な作業につきましては信用ある外注会社を対象としまして外注を進めてきておるということでございます。今日まで国鉄の職員全般に対する割合としましては四%くらいの肩がわりをしているようなかっこうでございます。特に規定を設けておるわけではございませんが、外注につきましての考え方といたしまして、一般的には外注したための個々の経済効果ということもございますし、それから作業内容というものについても一定の考え方でやっておる要員の需給状態、そういったものを勘案してやる、それからまた基本的には安全の問題、運転保安の確保といったようなことに直接関係あるものはたてまえとしてもちろんやらない、多少でも関係するものにつきましては十分な監督体制なり何なりによって行なうというようなことで、特に気をつけてやっておるというようなことでございます。  外注しております事柄の内容が、たとえば駅業務を委託するとか、コンテナの小口貨物の集配の作業を委託するとか、あるいはサービス面で非常にプラスになりますが、乗車券の委託販売、町における販売がそれによってできるというようなことなどいろいろあります。また車両の清掃、コンテナの清掃作業、そういったようなものを委託するようなことをやってきておりまして、最近の合理化の傾向としましては、こういったものでどんどんやっていくというようなことよりも、むしろ先ほど副総裁が全般的な合理化のやり方として申しましたように、設備投資によって人間の仕事を機械に置きかえていくということをたてまえにして、むしろやっておるというようなことでございまして、特に外注が最近どんどんふえていくというような傾向にはなっていないということでございます。
  192. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 ここ一二年間くらいで大体外注化の比率はどの程度になっておりますか。
  193. 加賀谷徳治

    説明員加賀谷徳治君) 全般の傾向、ちょっと三年間の厳密なパーセンテージはわかりませんが、初期のころといいますと、合理化の始まりました初期のころ、四十年前後にかなり外注化の傾向が多かったわけですが、最近ではむしろそういったものが少なくなってまいりまして、設備投資による合理化といったようなことに移り変わっておる傾向が見られるわけですが、最近の状況からいきますと、先ほどちょっと四、五%と申し上げましたのは、過去十五年間の合計が大体四、五%の肩がわりになるという意味で申し上げたのですが、最近の二、三年の傾向から申しますと非常に微々たるものであると、こういうふうに言えると思います。
  194. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは微々たるというのは総体が大きくなっておりますから微々たるものになっているかもしれませんけれども、こういう具体的な問題は、きょうは時間がありませんからやりませんけれども、軌道の補修作業の外注化という問題については、輸送安全確保上、これは私は非常に問題があるのではないかと思います。こういう問題についてはどう思いますか。
  195. 篠原良男

    説明員篠原良男君) お答え申し上げます。  線路とというのは、先生御承知のとおり、レールとまくら木と砂利でできております。機関車が通りましてでこぼこなりますとタンピングで直しますが、これは日常やる仕事は全部直営でやっております。しかし御承知のとおりに、最近、先ほど副総裁が申し上げましたように省力化軌道と申しますか、レールを太くしたり、まくら木をコンクリートまくら木にしたり砂利を砕石にかえる、いわゆる更新工事を最近、線路を強くするためにやっておりますが、これを一カ所に集中いたしまして片押しでやっていきませんとなかなか成果があがりません。一カ所に集中する仕事は直営でやろうといたしますと、非常にたくさんの常勤をほかの管内からとらなければいかぬ。そうすると、常勤を出したところの線路の保守能力が減るというような問題がございますので、業者を指定いたしましてこういうものは請負でやってきております。もう戦後ずっと二十数年やってきておりまして、こういう業者には資格審査を与えまして、また工事指揮者という認定試験をいたしまして、工事指揮者をしかるべくつけさせまして請負でやっておりますが、主として閉鎖工事あるいはそういう一カ所に集中するような工事を外注しておるというのが実情でございます。
  196. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 こういう問題で労働省からちょっと伺いたいですけれども、軌道補修作業の外注化の問題については、職業安定法違反じゃないかという意見もあるんですけれども、こういう問題についていかがでございますか。
  197. 遠藤政夫

    政府委員(遠藤政夫君) 国鉄の軌道作業とかそういった点につきまして、ことしの二月の六日に国鉄の事務当局から、こういった外注請負契約の締結について職業安定法の労働者供給事業の規定に抵触するかしないかという御相談があったそうでございます。私のほうではその際、その計画の具体的な細目が判然といたしませんので、どういう作業をどういう内容で請負契約に出すか、そういう具体的な細目が明らかになった上で、それが抵触するのかしないのか、その点をお答えしようということでそのままになっておる次第でございます。
  198. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 たとえば先ほど施設局長から言われたように、軌道補修作業、これは国鉄のやらなければならない本来の業務だと思うんですよね。これを外注化していくという形を進めていけば、やはり具体的には職業安定法にひっかかるんじゃないですか。
  199. 遠藤政夫

    政府委員(遠藤政夫君) 職業安定法の「労働者供給事業の禁止」の規定は、いわゆる戦前の人夫供給事業といったような形で中間搾取、いわゆるピンはねが行なわれることを防止するための規定でございます。したがいまして、一定の固有業務の下請を契約に出すか出さないかということは業務運営上の問題でございまして、それ自体が安定法に抵触するかしないかという問題にはならないと思います。ただ請負契約という名目でございましても、それが単純なる労務供給、労務を提供するという内容のものであれば安定法違反になります。しかし職業安定法に規定されております各条項を満たしておれば、それは労働者供給事業に該当しない、こういうことになりますので、その請負契約の具体的内容、細目が明らかになりませんと、違反になるか、抵触するかしないかという判断はいたしかねるわけでございます。
  200. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 たとえば一つの例が、雪の除雪作業ですね、これは単純に労務提供をして、そこへ中間搾取者が入ってくる。それをそのまま国鉄がその業者に請け負わさせるという形になると、これはちょっとまずいんじゃないですか。いかがですか。
  201. 遠藤政夫

    政府委員(遠藤政夫君) 除雪作業を下請に出すという場合にも、除雪作業の全体の使用者の責任がどこにあるのか、法律上の責任あるいは財政上の責任、そういった問題あるいはその作業が単に未熟練労働者で全く経験のない者でいいのかどうか、そういった点が判断の基準になるかと思います。
  202. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そういう、たとえば具体的にこの間いろいろ検討されたという局長の話ですけれども、たとえば外注がどんどん進んでいく、こういう問題の中でやはり中間搾取的ないろいろな機構といいますか、そういう会社が数多く出てくるという形になってくれば、これは相当労働省としても摘発というか、問題が大きいのではないかと私は思うんですよ。こういう点についての国鉄なり、あるいは電電ですか、そういうところの問題についての労働省の、外注化に対する見解というか、あるいは実態調査というか、そういうものはされたことがありますか。
  203. 遠藤政夫

    政府委員(遠藤政夫君) 私のほうから、こういった各官庁関係あるいは政府関係機関について業務の一部を下請契約に出す、そういったものの具体的内容がどうなっているのか、そういったことを調査いたしたことはございませんけれども、少なくとも民間においてそういった事態が起こらないようにということでこの法律の条項が設けられておりますので、政府関係機関、そういったいわゆる政府部内におきましてこういう問題が起こった場合に、いやしくも政府部内でそういう法律違反といったような事態が起こらないように、事前に御相談を受けてしかるべきものだと私ども考えております。
  204. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 国鉄総裁あるいは副総裁でもいいが、具体的にこういう問題が拡大して、いろいろな問題があちらこちらで起こっているのですよ、具体的にきょうは指摘しませんけれども、実際に直接雇われたほうがいいような問題なんです。トンネル式な会社が一ぱいできているわけですね。そういう関係から、単純労務の提供であっても搾取的な問題が各地にいろいろあるのです。こういう問題はやはり当局として、具体的にまだ労働省へ提起しておりませんので、労働省も見解が出ないと思うのですけれども、こういう姿をもう少し私は整理すべきだと思うのです。それが非常に最近は私はふえているような傾向を見受けるわけですね。こういう点について総裁は一ぺん洗い直しておかなければならない問題じゃないかと思うのです。
  205. 井上邦之

    説明員井上邦之君) 先生御指摘の問題につきましては、実は私、職員局長を二年やりまして、それから労働担当の常務理事を三年やりまして、それから三年部外におりまして、今度また国鉄へ舞い戻ったというかっこうでございますが、二年の職員局長時代、それから三年の労務担当の常務時代を通じまして、先生御指摘の点を国鉄といたしましても十分に考えました。労働省の御指導も十分に仰ぎまして、外注の問題を実は一々御相談しながら外注に出したようなケースもございます。そういうことでございまして、少なくとも私が見ておりましたときには、先生の御心配になるような点はなかったと思うのでございますが、最近三年間留守にいたしておりました間に、どういうことになっておりましたか、それはちょっとチェックいたしておりませんけれども、考えにおきましてはもう先生の御趣旨を十分体してやってまいっておるつもりでございますし、今後もその考えでこの外注問題に処してまいりたいと思います。
  206. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは私、別な機会に具体的に指摘をします。まあそういう問題がふえる傾向に具体的にありますので、そういう点はきょうは具体的に時間がありませんのでやれませんけれども、そういう点のやはりないように、同じあれするならば、公正なやはり運営をしてもらいたいという点が非常にあるわけです。  それから国鉄総裁に伺いますが、磯崎総裁のときに、東京周辺に通勤新幹線というか、こういう構想を一ぺん出したことがあるのですよ。これはおそらく私はできないものだと思っているのですけれども、東京のこのラッシュアワー、これを解決する方法ですね、特に三鷹−立川間の複線の問題等含めて、当局としてはどういうふうに考えているのか、この点について。
  207. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 東京の通勤線に関しましては、先生御承知のように、五方面作戦とかなんとかいうことで一応完了したとかしないとかいうような表現はございますけれども、御利用になるお客さまがだんだんふえてくることは事実でございますので、極力これも増備をしていきたい。三鷹以西のごときは、さらに線路の数をふやすとかなんとかいうことを考えていきたい。実は私どもの一番困っておるのは、東京に手を取られちゃって、関西にあまり手が回らなくて、向こうへ行くとえらくしかられるような状態になっておりますので、向こうとも両方にらみながら、できるだけひとつ増備をしていきたい、かように考えます。
  208. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 具体的に三鷹−立川の線増の問題で御指摘がございましたので、お答えいたします。  三鷹−立川につきましては、現在連続立体交差化の問題、あるいは急行電車を通すわけですが、それの停車駅をどういうふうにするか、設計とも関連がございますので、そういうような問題につきまして、地元の方々と協議をし、また連続立体ということになりますと、建設省の補助金ももらわなければいけないという問題もございますので、これらのものを含めて工事計画を準備中でございます。それでこの準備ができ次第、大臣の認可申請をいたしたいと思いますけれども、最近はいわゆる沿線住民方々の問題が非常にむずかしくなっておりますので、慎重に進めてまいりたいというふうに考えております。
  209. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 具体的に大臣への申請ですね、これは大体いつごろになる見通しでございますか。
  210. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 諸般の事情が許せば四十九年度には出したいというふうに考えております。
  211. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 もう少し具体的に聞きたいのですけれども、四十九年にたとえば出すと、具体的に工事の着手に入るのは、大体いまの状態でいけば、いつごろから工事を開始して、そしていつごろの完成予定と、こういう大まかな計算は、大体わかりませんか。
  212. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 工期といたしましては大体五年ないし六年かかるんじゃないか。ただ、こういうような大規模のプロジェクトにつきましては、いろいろ建設省の分担金の問題とか、地元との設計協議の問題とか、事前に解決しなきゃならない問題たくさんございますので、それらの問題がきちっと解決がついたならば、それから五年な  いし六年ということで完成したいと思っております。
  213. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これについての財政の問題は、具体的にもうだいじょうぶなんですね。たとえば四十九年に申請、大臣の認可がおりる、工事にたとえば五十年からかかれば、財政再建計画予算の中には十分組み入れられているわけですね。この点はどうですか。
  214. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 一応十兆五千億の中には入っております。
  215. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうしますと、地元の、工事計画申請するまでのネックになって国鉄当局として一番この点が困るという、三鷹から立川の間にどんなネックになっている点何点かあるかと、私たちも幾ぶん知っているつもりですけれども、やはりこの工事認可申請がおくれているネックになっている問題は、やはり地元との協議があるでしょうけれども、具体的にどういうものがありますか。
  216. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) まだ具体的にどこの部分をどういうふうに連続立体交差化するかというところは具体的にきまっていない。これは建設省もまだ調査費をつけていただけてない段階でございますので、その辺が一番のネックではないかというふうに考えます。
  217. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 そうすると、これは建設省のほうの問題がネックなんですね。国鉄のほうはその要望かいれられれば大体設計としてやっていかれると、こういう感じでございますか。
  218. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 建設省も一つのネックでございますし、地元との話し合い、具体的にここは高架にするのかしないのか、あるいは国鉄事情から見てどうしても平面でなければいかぬというようなことで、お話し合いをある程度基本的なものについて詰めていかなければならぬ。その辺がまだ具体的には詰まっておりませんので、これが具体的になるのに少し時間がかかるであろうというふうに考えます。
  219. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これね、具体的にいまどこへ聞いても、この問題なかなか納得しない問題があるんですよ。実は現地で、国立の周辺で、現在通っている線路わきで非常に困っている住民が多いわけですよ。それはなぜかと言うと、複々線ができるからという言いわけで——国鉄当局は逃げていると言ったほうがいいかもしれませんけれども、言いわけをしているわけですね。そういう立体交差ができるといういろんな問題に地域住民もある程度希望もつないでいるわけですけれども、具体的な見通しがないんですよ。だからこういう問題が建設省と国鉄との間にいつ協議がされる、あるいは四十九年度中に認可申請をいつごろまでに一応——そのとおり私は計画はいかないと思うんですよ。しかしながら荒筋は——やはり地域住民も非常に困っている問題があるんです、これは。特に国立周辺等は線路がガタガタいって寝られないところが一ぱいあるわけですよ。それを補修しろと言ったってなかなか直さないわけですね。こういう問題で、やはり将来の複複線計画等も含めて、実際にいつごろからどういう見通しになっているのかという荒筋。計画と実際とはなかなかうまくいかないと思いますけれども、その見通しだけはやはりはっきりしておくべきじゃないかと思うのですけれども、いかがですか。
  220. 内田隆滋

    説明員内田隆滋君) 先生のおっしゃられる立川、国立付近の問題もよく承知しております。これは相手さんのあることでございますので、われわれとしては、できるだけこの工事の具体化につきまして今後努力してまいりたいというふうに考えます。
  221. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 これは、そこまで言えないらしいですから私も了解しますけれども、もう少し私は、積極的にこの問題は特に進めてもらいたいと思うんですね、やはり現地でいろんな点で非常に困っているわけですから。いわんや通勤自体も青梅線から来る、五日市線から来る、あるいは八王子から来るという問題で非常にたいへんな問題であるし、やはり総裁が大阪のほうにおこられると言わないで、東京は大人口をかかえているわけですから、こういう問題は建設省と渡り合って積極的に進めるという、こういう考え方を示してもらいたいと思いますが、どうですか総裁。東京はだめだと言わないで、ひとつ。
  222. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 大阪を進めると申し上げましたけれども、東京はもう完成したとは決して申し上げていないはずなんで、できるだけの努力をいたしまして早く解決したいと、かように思います。
  223. 三木忠雄

    ○三木忠雄君 それじゃ時間が来ましたので、最後に構内タクシーの問題をちょっと一点だけ聞いておきたいんですけれども、三鷹の駅で個人タクシーは入れないんですね。あとの三社の、日本交通であるとか、もう一社か二社、限定した特定会社だけを構内に入れておる。確かに駅前広場が狭い関係でいろんな問題点私あると思うんですけれども、やはりどこでも、個人タクシーであろうと開放している地域もあれば、特定の会社だけに開放しているという問題がある。この点をもう一ぺん、だれから見ても、こういう構内タクシーの問題については納得のできるような姿にしなければいけない。特に三鷹等は入っている会社があまり感じがよくないんですね。そのために、やはり個人タクシーも入るようにしてもらいたい。特に深夜の遠くへ帰る人たちが非常に多いわけですよ。こういう点を、やはり個人タクシー等も含めて、機会均等と言うのは語弊かもしれませんけれども、平等に扱えるような方向にこういう構内をしなければまずいんじゃないかと思うのですね。この点について。
  224. 速水信一

    説明員(速水信一君) ただいまお話の構内タクシーにつきましては、先生のお話がありましたように、駐車場とか列車間合い、いろんなことがありまして、国鉄はルールを三つつくっております。いまおっしゃった三鷹の駅については、国鉄の地方駅で行なっているルールをいままでも適用している。地方へ行けば列車間合いもあることですから、やはり各社の、タクシー会社の駐車場が要るわけです。やはり会社の制限も要るわけです。しかし三鷹と申しますか、結局武蔵野市、それから三鷹市、こういうものは東京のタクシーの運輸省の扱い上、東京の都区内と同じ扱いになっているということで、私のほうも、実は最近におきまして東京都区内と同じようにしようということに大体方針をきめまして、新年度からそういうふうにしたいと思っております。東京都区内はどうなっているか。これは国鉄のきめた構内に入るいろんな、一般的な公序良俗に反しないとか国鉄の定めに反しない、そういうルールは守っていただかなければいけません。それ以外としては申し出があれば入れると、こういうことでございます。したがって新年度からはそういうふうになると、そういうふうに御理解いただきたいと思います。
  225. 中村利次

    中村利次君 三月三十一日から運賃値上げをするということが七十一国会できまっていたのを、物価狂乱のこともあり十月一日からにしようということでありますけれども、私は三月三十一日にきまってから運賃の値上げをするというのを延ばしたということについては、これはたいへんけっこうだと思うのですけれども、理解できないのは、十月一日からやはり値上げをするんだということになるわけでありまして、これは製品価格あるいは運賃、こういうものをどうしても値上げしなきやならないというときには、それなりの、だれが聞いてもやむを得ない、納得できるという条件がなければいけないと思うのですが、私は、どうも国鉄については、その条件整備がはたして十分に国民の合意を得られるような条件整備が行なわれておるのかという点を考えますと、残念ながらどうもそうではないという点が幾つもあるわけであります。  まず第一に、これはやはり私は、企業の経営なんというものは労使関係がたいへん基本になって大事だと思うんですけれども、公制審が八年もかかって、去年の九月に答申が出たと、これはまあ非常にむずかしい課題でありますから、したがって必ずしも非常にきちっとした答申ではなくて、幾つかの二本立て三本立ての答申になっていましたが、少なくとも公制審としては、すみやかに選択をするように政府に求めているわけなんですよ。ところが、それから半年以上たちましたけれども政府はどうも黙して語らずというか、動ぜずといいますか、動かない。この理由を私は、これは運輸大臣だけではなくて、総務長官、労働大臣等、やっぱりこう一緒にいていただいて伺いたいと思ったんですか、きょうは予算委員会その他の委員会でどうしても出られないということでありますから、この議論はここではかみ合わないと思うんです。しかし原則的に私は労働基本権なんというものは侵しちゃいかぬと思うんであります。そういう立場に立ってものを考えても、最近だけじゃなくて、これはずっと頻発をしてまいりました順法闘争あるいは三二、三・二六、あるいは四月の十一、十二と新聞に報じられております交通ゼネスト、これは順法というのは、国会で順法闘争は合法か違法かと、あるいは合法であるならば、適法であるならば、国鉄ダイヤは違法であると、こういうことで、当時の磯崎国鉄総裁は違法だという答弁をされた。運輸大臣も違法だという答弁をされた。ところが、いま私が申し上げておるようなのは、ストライキと明らかに銘打って、自他ともにストライキであると銘打ったことが行なわれたし、また行なわれようとしているんですよ。  私は現在の公務員法による官公労働者の労働基本権の問題が侵されているという点については、これは政府の怠慢を指摘をし、追及しなきゃならぬと思うけれども、日本は少なくとも法治国家でしょう。どんな悪法でありても、これは私は悪法に対しては反対運動をして、国民パワーでも何でも、これをやはり納得のできる法律に改めるという行動というか運動というか戦いというものは当然あっていいと思う、民主主義国家として。しかし、ある法律を堂々とこれを犯す。それだけではない、私は政府のいろんな答弁を聞いていますと、行政責任者である人たちが、運輸大臣もこの間そうだったですが、二十六日の全交運のストは、四月の半ばに実施されるといわれる全文運のストは、いかにもそういうものを是認ではないかもしれないけれども、前提としたものの言い方というのは、私は法治国家の行政の責任者としてはまことに何というのか、遺憾千万といいますか、けじめははっきりしていただきたいと思うんですが、こういう点について、まずどうお考えですか。
  226. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私どもは、ストライキを是認いたすものではございません。いろんな問題の御要望のあることは、それぞれに御要望として承っておるわけでございますが、御指摘がございましたように、法治国家における順法というものは、法を守るということは、これは厳正に守っていただかなければならないと思います。また、そういうもろもろの要求達成のために、計画的なストライキというものを組んでこれを打つということについては、私どもはそういう問題に対してきびしい態度で臨んでまいらなければならないと、かように考えております。  また国鉄ストの問題につきましても、国の助成もさることながら、国鉄自身としても十分この問題に対して厳正に対処していただきたいと思うのでございます。国鉄の全職員が国鉄に課せられた使命というものを十分に認識していただきまして、厳正な職場規律のもとで国民国鉄に期待する役割りの遂行に全力を尽くしてもらう、これが基本的前提であることは論をまたないわけでございます。国鉄財政は、御承知のように、三十九年を境にいたしまして年々悪化しておりますけれども、国としてもその助成にあたっては十分な配慮をし、それぞれに強化をしてまいっているところでございまして、このことは中村委員も御承知のとおりだと思います。今後におきましても私どもはこの財政の再建にはさらに努力をいたしますが、財政の再建と申しましても、これは国民の税金をもってまかなうことでございますから、国民はひとしくこの状態を見守っておると思います。この国民の期待を裏切ることのないように、私は国鉄におつとめになっている方々もひとしく国民の信にこたえよということについては異論はないと思います。したがいまして、国民のそういった期待を裏切ることのないような今後行動をとってもらうことを厳にお願いを申し上げますと同時に、違法な問題につきましては、私どもはそれに対してき然たる態度をもって臨んでまいりたいと、かように考える次第でございます。
  227. 中村利次

    中村利次君 厳にお願いをする、要求をするというか、これでは片がつかないから、なおかつ過去、現在、将来にわたっても——目先の四月十一、十二なんかということは言わなくとも、これは片がついていない。しかし結果についてはき然たる姿勢をもって臨むと、それは私は、官公と政府との労使関係、これにどう取り組み、どういう役割りを果たしてきたか。これは政府に対して追及をすべきことが一ぱい私はあると思う。ということと仕分けをしてこれはやらなければいかぬと思うのですよ。だからといって、法治国家で違法行動は許されるのか。許されないにきまっているんだが、許さない許さないといいながら、いままでのやり方はどうですか。全くゆるふんですよ、これは。そして国民はあきらめたとか、あるいは理解したとか、いろんな見方がありますよ。国民はしょうがないのだ、これは。しょうがない。上尾事件あるいは首都圏のターミナル等の事件を起こしてみたけれども、どうしようもなかった。暴動みたいなことをやったってどうしようもない。こういうものに対して法に照らしたやっぱりぴしりとした節度というものが政府にきわめて欠けておる。  こういう点については厳重に私は指摘をしておかなきゃいかぬと思うんですよ。これは私は基本だと思う。そして赤字であります、国民利用者の負担をふやしてもらわなけりゃならない、これでは筋が通りませんよ。それから職場の無法状態、不法状態はどうですか。私たちも行ったんです、党で調査団をつくって。調査団に対して、これは非番の人たちでしょうからけっこうでありましょうけれども、デモをかけて、ものすごいシュプレヒコール、それであなた、国鉄の建物の中に入ったって、その中にどんどん来て、そうしてあなた、ドアをたたく、シュプレヒコールを操り返す。これは刑事ざたまで起こしていますけれども、これは時間が少ないんですから、そんなこと一々ここで私はあれしないけれども、これに対してどういう措置をとっていますか、国鉄は。とってない。現場管理者なんか、これはもうこんなことを、こういうところで言うのもおかしな話ですけれども、矢だまというのは前からばかりは飛んで来ないでうしろからも飛んで来るというので、それこそその姿勢はきゅうきゅうとしちゃって、まさに無法に対しても妥協に終始していたじゃないですか。そんなことはいままで指摘されてきた。こういう状態で赤字を出した。私はこれは聞こえませんよ、運賃を値上げされる立場からいえばですね。  それから、これは私はおそらく答えを聞いたっていいかげんな答えになるでしょうから、問題指摘をしておきます。何回もこれはやっておる。そのほかもうたくさんありますけれどもね、私は次に進みますけれども。やっぱり条件整備にはいろんな整備があると思う。ですから、まず労使関係を正常にする。正常にするについては、政府の姿勢が悪いものは改むべきである。違法に対しては、無法に対しては、やっぱり法治国家の行政責任者らしい姿勢を明確に示すべきである、基本です、これは。これができないで、幾ら国民に向けて何とか値上げの理由説明をしてみたって、そんなのはもうてんで問題になりません。そこで、この赤字の要因にはいろいろあると思うんですけれどもね。これは大体貨物運賃がたいへんに大幅赤字でもってどうしようもない。しからば総合輸送体系というものはどうなんだと、こういうところまで行くんですけれどもね。しかし、その前に、はたしく国鉄がどういう経営努力をおやりになっておるのか。あるいはこの生産性の向上にしても、私は企業と名がつくものがやっぱり生産性の向上について積極的に取り組むというのは当然のことだと思うんです。これが行き過ぎて、労働条件を悪くしたり、あるいは労働者の犠牲の上に生産性の向上をしようということになるとこれは大問題である。しかし、これも生産性向上運動をおやりになって、わが党の向井議員だとか、私もずいぶんおととしあたり質問をしたけれども、再開をするんだといいながら何か蒸発ですね、これは。どこに行ったんだかわからない。どういう意欲をもっておやりになっておるのか伺いたいところですけれども、これはどうですか。  それから、もう一つついでにいまの国鉄の総支出に占める人件費の割合をお伺いをしたい。
  228. 井上邦之

    説明員井上邦之君) ただいま先生からおしかりをこうむりました点、まことに私どもも恐縮に存じておる次第でございますが、ただ全部が全部、国鉄職場六千四百ぐらいございますが、その職場が全部御指摘のような荒れ果てた、荒廃した姿になっておるわけではございません。確かに一部にはそういう非常に不心得な者がおるという職場もございます。また御指摘の、いろんな暴行などをやった場合にどうしておるか、何もやっておらぬじゃないかという御指摘もございましたが、さようなことはございませんので、しかるべく懲戒処分をやっております。解雇処分にいたした者も数名ございます。そのほか解雇に至らない者でも、いろいろな懲戒の段階に応じて処分をいたしておりますので、決して私ども手をこまねいて、ただ荒れるがままにまかしておるということではございませんので、昨年来、総裁もかわりました、副総裁もかわりました、心を新たにして職場再建にいま向かっておるところでございます。いましばらくひとつ時間をおかしいただきたいと思うのでございます。  それから、お尋ねになりました人件費の件でございますが、たしか事業費の中で七五%ぐらいになっておると思います。
  229. 天坂昌司

    説明員(天坂昌司君) 総支出に占める人件費の割合を申し上げます。総支出でございますから、減価償却費とか、その他の資本費を含んだものに占めます人件費の割合は五五%になっております。これは四十七年度の決算が出ておりますので、それに基づいた数字でございます。
  230. 中村利次

    中村利次君 これは五十何%とおっしゃいましたけれども、総支出に占めるね。
  231. 天坂昌司

    説明員(天坂昌司君) はい、さようです。
  232. 中村利次

    中村利次君 これは、たとえば営業収入に占める人件費の割合だとか、いろいろありますけれども、やっぱり七〇%あるいは七五%という取り方もある。  それから、これは特に申し上げておきますけれども、私は全部の職場が荒れておると、こういうことは、そういう事実もないでしょうし、またそうも私も考えていない。これはひとっことばが足りなかったら補足をしておきます。  大体まあどうですかね、国鉄は設備産業ですか。
  233. 井上邦之

    説明員井上邦之君) ただいまの時点では、労働集約産業であると申し上げざるを得ないと思いますが、しかし……
  234. 中村利次

    中村利次君 本来です、本来。
  235. 井上邦之

    説明員井上邦之君) 設備産業へ向かいつつあるということだけ申し上げておきます。
  236. 中村利次

    中村利次君 私が人件費の割合を聞いたのは、国鉄労働者の賃金が高いと思わない、安いと思う。にもかかわらず、七〇%、七五%というのが人件費の割合、はたしてこれが健全経営といえるかどうかですね、運賃を値上げしなくちゃならないという立場に立ってですよ。それをお伺いしたい。
  237. 井上邦之

    説明員井上邦之君) いまの時点では確かに健全な経営ではないのでございます。したがいまして、これを十年の長期計画再建しようとしておるところでございます。
  238. 中村利次

    中村利次君 そこにやはり問題があるんですよ。それはどういう御答弁をされようとも、国民は納得できませんよ。いまは健全経営ではないんだ、健全経営にするために国民の皆さん手を貸してくれというんでは、これは具体的なそういう青写真がきちっとあって、なるほどそんならけっこうだと、こういうものがあればいいと思いますけれども、そうじゃないでしょう。たとえば、もうこれはいろんなあれがありますけれども国鉄なんていうものは、労働集約産業で現在はあるとおっしゃったけれども、これはやっぱり設備産業であるべきだと私は思うし、たいへんなやっぱり土地なんかもお持ちになっておる。ところが、この土地の利用がどういうぐあいに、全般的な合意を取りつけられるような、そういう利用がなされておるかどうかといいますと、これは私は必ずしもそうじゃないと思う。特に、駅周辺のあの一等地域、これはもう商業価値なんていうものはものすごく高い。権利金だけでも坪何百万というところが一ぱいでしょう、私が知っている限りでも。そういうところがどういう賃貸借をやられておるのか。あるいは未利用地というのがあります。これは国鉄の持っている土地を全部売却して赤字を埋めろ、私はそういう乱暴、まあ乱暴かどうか知らぬけれども、その論をとるものではありませんよ。有効に利用すべきである。まして、いわんや、非常に狭い土地で、そして土地問題では、これはもう国民だって頭に来ているし、政府だってほんとうに対策に頭を痛めておる。  そういうときに、これは一つは賃貸借料、これはもう委員会をおつくりになって適正な賃貸借料を取っておるというお答えになると思いますけれども、その仕組み、どういうことになっておるかを簡単にお伺いをしたい。それから権利金をお取りになっておるかどうか。これは営利を目的とするものに土地を賃貸をする場合には、ますやっぱり国民の常識は適当な、相応な権利金というか、そういうものを取るというのがこれは常識なんですけれども、いかがですか、そういうこと。
  239. 篠原良男

    説明員篠原良男君) お答え申し上げます。  国鉄の土地の使用料につきましては、さら地の時価に換算いたしまして、土地をさら地で評価いたしまして、これに契約内容の制限に基づく修正をしております。たとえば高架下ですと二階の建物が建たないので何%引くというような修正をかけまして、これに資本利子率をかけております。それから管理費と公組公課相当額を取っております。先生御指摘の権利金につきましては、実は取っておりません。それからまた土地の価格は消費者物価指数の上昇を標準といたしまして、貸し付けの実情に応じまして三年ごとに改定いたしております。昨年改定いたしまして、昨年は二二%上げております。権利金をなぜ取らないかということでございますが、確かに先生御指摘のとおり、民間の地代については権利金を取っておるというのが非常に多うございますが、権利金を取る場合には土地の時価からそれを修正するというような措置をとっておりますが、国鉄は事業上必要があればいつでも返してくれと、貸し付け契約を解除すると、あるいは建物の移転とか変更を要求できるという契約条項になっておりますので、こういう点を施行するためには権利金の授受は好ましくないという観点から権利金を取っていないのが実情でございます。
  240. 中村利次

    中村利次君 それはそういう契約をお結びになっているでしょう。事実上、それはお店をかまえて、ちゃんとした駅の周辺で営業をやっているのを、契約に基づいていつでもそれを返させるということができますか、事実上。そんな事実がありますか。幾らの土地を賃貸借されているか知らないけれども、その中のどれくらいあるか。どうなんですか、総面積ではなくてもいいですけれども、これは分けて、駅周辺の商業価値のあるようなところ、全国で大体面積にしてどれくらいありますか。
  241. 篠原良男

    説明員篠原良男君) 駅周辺の、先生の御指摘になるような駅前の問題とかというものは、いわゆるターミナルビルでございまして、これは事業局のほうでやっておりますが、事業局長お答えすると思いますが、施設局でやっておりますのは、いわゆる貨物の構内の、あるいは高架下というようなものを管理しておりますが、現在貸し付け件数が約四万件ございまして、面積は土地では三百七十万平米ぐらい貸し付けております。年間三十七億ぐらい収入を得ております。駅前の、先生のおっしゃるような店になると、そういうような分につきましては事業局のほうで所管しておりますので、事業局長からお答えいたします。
  242. 速水信一

    説明員(速水信一君) 数字は後ほど申しますが、いまの考え方を先に申し上げさせていただきます。  考え方としまして権利金を取ったらどうか、あるいは民間のような賃貸借にしたらどうかということは国鉄内部でも実は非常な民間の有力な学者、弁護士の方に入っていただきまして委員会をつくりまして、二年にわたりまして議論をいたしましたが、いろいろ一長一短ございます。しかし最終的には現在の国鉄の契約というのは国鉄の都合によってどいてくれる、こういうたてまえの契約に先ほど申し上げましたようになっております。これがやはり法律上完全一〇〇%国鉄に有利であれば問題ないことでございますが、しかし、それがまだまだ世の中通る面がございまして、やはり国鉄のように事業をやるときにはどいてくれる、こういうふうにしておくことは国鉄の運営として必要だ。ということは、国鉄として要らないというのは原則として将来使うことがないというところでございます。売却も一生懸命やっております。したがって残すところは将来使う可能性がある、あるいは先ほど先生お話ございましたが、国鉄として付帯事業をやってかせいでいく、こういうところを持っております。そういうものについて残しておく、こういう考え方でございます。やはり権利金を取って、純民間的な貸借契約にすることは必ずしも得策でない、こういう観点に結論が出まして現在のような方策をとっておる次第でございます。
  243. 中村利次

    中村利次君 これは失礼ですが審議会とか委員会を隠れみのにしちゃいかぬという、そういう議論はうんとあるんですね。やっぱりそういうのは問題にならない。それから賃貸借をやってることは間違いない。それを必要があるときには返してもらわなければならない。賃貸借であろうとなかろうと国有鉄道が必要とする場合には交渉をして買収をしてでもやっているでしょう、複線化もやっぱり。そういうことは私は関係がないと思うんですよ、本質的には。ただ国民的な疑問は、運賃値上げをして、やっぱり負担を国民利用者にしてもらわなきゃならない。しかし国鉄がはたしてそれにふさわしいような経営努力をしておるのかどうか、これがポイントですからね、私の質問の。そういう点からいいますと、いま問題になっておる権利金の問題にしても、あるいは未利用地の問題にしても、これは国鉄法の改正をしなければできない面もあるようでありますけれども、私鉄なんというのは相当な多角経営をやって経営を維持してますよ。  私はそういうことを国鉄に求めようとするものではありません。しかしながら、やっぱりこれは私鉄と比べてえらい運賃値上げをやらなきやならぬという原因がどこにあるのか。そうでなくてもいいという努力がどうなされたのかということに論点を置きませんとね。未利用地の点についてはいかがですか。
  244. 速水信一

    説明員(速水信一君) ただいま先生のお話のとおり、国鉄は未利用地について積極的に使うものは使う、売るものは売る、こういうことで両方の態勢で進んでおります。そこで国鉄といたしましてもいま先生からお話しになりましたように、私鉄と同じようなことということは、なかなかこれはいろんな問題がありましてできませんが、けれどもいま少し積極的にやってもいいじゃないかということは国鉄部内でも議論を長年いたしておりまして、実はそういうことで昭和四十五年の八月に国鉄の駅付近の土地を積極的に開発していこうということで事業局を新設をいたしました。それから翌年の四十六年一月に運輸省にお願いいたしまして、現在の国有鉄道法の投資に関する部分の政令を改正いたしまして、かなりの制限はございますけれども、駅と一体の場所に国鉄がそういう事業を子会社の形でやれる、こういう形にいたしました。で、その後積極的に開発を進めて、すでにこの二年半ぐらいの間で十二カ所の駅の用地についていま開発工事をやっております。今後とも積極的にやっていく、こういうことでございます。
  245. 中村利次

    中村利次君 私はここで質問を終わってしまいますと、ただ単に問題提起をしただけで、何らの前向きの結論を得ないままに終わるわけですけれども、ほかにもまだありますから、これはそういう点は、私は積極的に委員会や審議会をつくってどうこうというのじゃなくして、まず国鉄当局の経営姿勢としてどう取り組んでいくかということをいま一回考え直していただいて、やっぱり国民の納得できるような手法をおとりになることを強く要望しておきたいと思います。  やはり同じ次元の問題で、これももう前々から追っかけられて追っかけられて、おととしなんかのときもこの法律が法案として提案をされましたときにも、これは私も指摘をしましたが、皆さんも指摘をされた赤字路線ですね。これは私は、国有鉄道ですから、赤字路線をいかぬという議論は乱暴だと思う。国家的に見て、ここは赤字であるけれども、しかし総合的に見て、ここには国鉄を敷設しなきゃいけない、こういうところがあると思う。これは民営の電力だってそうですからね。電柱一本当たり需要家件数〇・幾つなんて、こんなのもう初めから赤字にきまってるんですよ。しかしながら、やっぱり公益事業としてやらなければならない。電気事業法はそういうものをきめておる。  国有鉄道は赤字であるけれども、しかしながら、ここはやっぱり国家的見地から見て、総合的に見て当然であるというところは、これはもう当然でしょう。ところが、これは何といいますか、政治赤字路線、これを指摘をされますと、歴代の運輸大臣国鉄総裁はやめますと。——やめましたか。やめてないんですよ。どうでしょう。
  246. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘の点はいろいろ問題を含んでおる点でございます。まず建設の面もございますし、赤字路線の廃止の面、二つがあるわけでございますが、鉄道に対する国民の愛着と申しますか、期待と申しますか、特に赤字路線の廃止の問題等については愛着、期待というものがなかなか断ち切れぬものがございますけれども、これはしかし鉄道としての特性を発揮し得ないような状態になったときには、これは地元のそういう方々ともよくお話しして整理をしてまいらなければ——バスに乗りかえるとかいうような方向をとってまいっておりますし、こまかい数字は要すればもうお手元にもあるいはあるかもわかりませんが、なかなか悲しいところでございます、私どもとしては。  それからまた建設の問題にいたしましても、御要望の多いことはもう与野党問わずたいへんな要望が出てまいって、予定線といたしましてもたくさんあるわけでございます。そういうものをどういうふうに処理していくかということは、これは私どもも十分配慮しつつ、その必要性、それからその需要の密度、いろいろな点を配慮しつつ進めておるわけでございますが、しかしながら、いま先生御指摘のような面が皆無というわけではございません。  ただ、お話にもございましたように、国鉄というのは他の企業に比べまして大きな公共性を背負っているわけでございますから、民生の安定と申しますか、そういうことでは一口には片づけられませんけれども国民の皆さん方の期待にこたえなきゃならぬという面もあるわけでございます。その判断とかなんとかいうようなことが、えてして政治路線というようなことに結びつけられて御批判があるわけでございますけれども、私どもといたしましては、そういうことのないようにいろんな諸般の事情を勘案しつつ建設を進めているわけでございます。  また、そういう新線の建設、赤字路線の建設ばかりでなくて、いわゆる在来線の電化、複線というような問題にも十分——四十九年度の予算におきましても、新幹線なんか八〇%の予算を削っておりますけれども、片や在来線のそういうような整備については、たいしたことでございませんけれども、一二五%とにかく予算も伸びておりますし、あらゆるそういう面において配慮しつつ持っていっておるわけでございます。いろいろなことで御批判もいただいておりますけれども、そういうことのないように私どもとしましては十分な配慮の上に進めつつあるということもひとつ御理解いただきたいと思います。
  247. 中村利次

    中村利次君 運輸大臣は、人柄がたいへん私はりっぱな方であるということは承知しておりましたけれども、答弁がまことにおじょうずですね。これはどうもやっぱり問題ですよ。じょうずな答弁で引き下がるわけにはいかないんですよ。  これは確かに鉄道に対する地元住民の愛着は否定しません。ありますよ。どんなにそれがバスに乗りかえてもいい、ほかの輸送機関にかえてもいいというところ、客観的に見て、あるいは第三者が見てもそう思うところでも愛着があるのは当然です。それからまた新しい路線の建設、それから既設路線の廃止、それについても、与野党問わずとおっしゃったが、確かにそうでしょう。地元の議員さんが目の色変えて残せとか、あるいはここに鉄道をつくれという圧力をかけられるということ、これは私は理解するに苦しくない。そうでしょう。しかし私は、いつも申し上げますように、そこが議員と立法府と行政府の違いですよ。やっぱり政府は選択をしなければならぬですよ、一億国民のために。そこを申し上げているんです。そういう全く苦しい、しかし国民的立場に立ってどう選択をするのか、これを私は申し上げているんですからね。  いままで歴代の大臣が、政治赤字路線はもう絶対にやりません。国鉄総裁もこれは迷惑ですからね、国鉄にしてみれば。赤字を背負って、いろいろ追及されて、それこそ運輸大臣もお気の毒ですけれども、いろんな課題が多過ぎちゃって。それは国鉄総裁以下にしてもたいへんに追及されることばかりで私はたいへんだと思う。政治的赤字路線のごときはこれはもう大迷惑で、そんなものまで背負わされて、何でわれわれはいろんな責任を追及されなければいけないかという気持ちじゃないかと思うんですが、これは大臣、それこそ腹背に敵を受けても何であろうと国民のために選択を私は求めなければいけないと思うんです。もう一回ひとつ、今度は非常にじょうずな答弁じゃなく直截に言ってくださいよ。
  248. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いろいろ苦しい答弁をいたしましたけれども、おっしゃるように、どういうことでありましようと私ども国民の足をどう守るか、国民生活をどう守っていくかというのが、これが運輸行政の基本でなければならぬと思います。でございますから、その初心を忘れることなく、あるときは義理人情を踏み越えてき然たる態度で処置してまいりたいと思いますし、今後もそういう方針をくずすものではございません。でございますから、何かまた御指摘のことがございましたら、ひとつ遠慮なく御指摘いただきまして、私どもの不明を御指摘いただきたいと存じます。
  249. 中村利次

    中村利次君 これは答弁倒れにならないように私は要望をしたいと思います。  これはほんとに容易でないことだと思いますよ。とにかく何々議員の世話で鉄道を敷いた、あるいは道路をつくったということになると、まずは永世当選間違いなしというような、議員なんというものはそれはもう選挙に勝たないことにはどうしようもないんで、そういうことをやりがちだと思うんですが、実はそれが国民の利益に合致しないということになるとこれは重大問題ですよ。まして鉄道がたいへんな累積赤字あるいは今日以降も赤字をかかえて、そしてその再建のために運賃の値上げまでしなきゃならない。私はこれは否定しますがね。値上げ反対ですけれども、そういう場合にはやっぱりえりを正す政治姿勢と、国民の前に当局の経営姿勢というものが当然なければならないから、たいへんうるさくこういうことを指摘をし、いまの大臣の御答弁をいただいたわけでありますから、私は強くこれが答弁倒れにならないように要望しておきたいと思うんです。  それから、これも私は国鉄に対して鋭い批判をすると同時に、ある面では同情的なものもあるんですが、いわゆる最近よくいわれる、この前の運輸委員会でも森中委員でしたか、指摘されましたけれども、イコールフッティングの問題、この問題で空港は国がつくる、国道は国がつくる、都道府県道あるいは市道、そういうものは地方公共団体がつくると。まあ有料道路も中にはありますが、そこにトラックを持ってくりやそれだけで輸送できるということ、飛行機を持ってくれば航空会社はそれで営業できる。国鉄はもちろん国がやっているものもありますけれども、駅舎その他全部これは国鉄の負担でやる。私はやっぱり国鉄貨物がトラックだとかその他の運送機関にどんどんとられていって国鉄が大幅な赤字を出さなければならなくなったというのに対して、国の政策というものが、どういう役割りというよりも、どういう影響を与えたのか。そういう点は運賃値上げという国民に迷惑をかける大事な時期に来て、もう一回見直しをして、はたしてこの総合交通体系というか総合運輸政策というのが誤まってなかったかどうか。あやまちは改むるにはばかることなかれですからね。そういう面から見てどうでしょう。
  250. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まあこの国鉄に対する国のあたたかみというのが欠けておったじゃないかというお話でございますが、それぞれの自動車あるいは航空機等に比べてということでございますが、それぞれにそれぞれの歴史を持って今日まで来たと思います。三十八年まではとにかく国鉄は非常な企業努力によって黒字を続けておった。それから総合交通体系の問題もございましょう。ございましょうが、自動車に依存するシェアというものが非常に大きくなったことも、これは事実でございます。またそれと同時に国鉄のいわゆる社会資本の配分と申しますか、そういう投資に欠けておったこともこれまたいなめない事実だと思います。しかしながら国鉄はこの総合交通体系におきましても示しておりますように、都市と都市との間の交通、旅客の輸送、それからさらには中長距離の貨物は受け持ってくださいと、また都市間の通勤通学等もひとつ国鉄のほうで受け持ってくださいということで、そういう基本に立ちまして再建計画というものを実は立てたわけでございます。まあ財政を圧迫することのないように政府出資も、あるいはまた工事の助成も、また貸し付け金に対する利子補給助成等におきましても、再建計画の中では相当な大きな部面をになっておるわけでございまして、必ずしも他の企業に対してよりも、政府のあたたかみというものが欠けておるじゃないかというおしかりは、まともにちょうだいするわけにはまいらぬと思いますけれども、しかしながら、今後におきましても省資源の問題もございますし、になう分野というものが非常に大きいものがさらに出てきたと思います。そういうような面からも、国鉄に対しましては、いまの十ヵ年計画を見直す段階におきましても——私、見直す段階は来るだろうと思います。これは正直に申しまして。そういう時点におきましては、さらにそういう点を配慮しつつ国鉄のになうべきこの役割りというものを国も手助けをして、公共性の最も大きい輸送機関として配慮してまいらなければならないし、また配慮してまいりたいと、かように考えておる次第でございます。
  251. 中村利次

    中村利次君 こればかりに本法案が成立をいたしますと、ことしの十月一日から、これは仮定ですけれども、一回目の値上げをする。七十一国会で可決成立をしたものがそのまま生きるわけでありますから、また四回値上げをされるということになりますね。ところがこれはいろいろな条件が変わってきましたね、去年、おととしあたりに比べると。まず原油価格の高騰なんかでもって日本は振り回されている。  念のために伺っておきますけれども、この法案を是認するというんじゃなくて、そういう十月一日を初回の値上げとして国鉄再建計画が立てられておった、去年の暮れからたいへんな石油危機で原油価格は数倍値上がりした、これに関連をして諸物価はやっぱり上げざるを得ないという、これは私は実情だと思うんです。これで大体国鉄再建というのは足りると、それからなお出血した場合には運賃の値上げというようなやり方ではなくて、何かその他総合交通体系の見直しとか、その他いろんな手法を講じて十分にやっていけるという見通しがあるのかどうか、念のために伺っておきたい。
  252. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 率直に私お答え申し上げますと、今年を出発点にしました十カ年計画が出発したわけでございます。したがいまして、当面いまの時点でこの路線を変更するということは、諸般のいろいろな問題が流動的でございますから私は適当でないと思います。でございますから、あの十カ年計画の路線の上をとにかく走らせてもらいたい、また走っていくという覚悟をきめて、いまこういうような御提案を申し上げ、御審議をわずらわしているわけでございます。  しかし御指摘のように、油一つをとってみましても、これが将来どういうふうに私は出てくるか予測つきませんけれども、かりにまた電力というものにはね返ってくるとするならば、私は国鉄がどう、また電力がどういうふうになるかわかりませんけれども国鉄がいま使っている電力というのは自前でやってただで走っておるわけじゃございませんから、相当の大きな問題が出てくるだろうと思うんです。  それからまた公害の問題にしましても、先ほど来議論がございましたように、一応十兆五千億の中の一兆五千億のいろんな公害対策費の中で、新幹線の八百億をまず先取りしてこの対策をやるとしましても、これではたして足りるかどうかというような問題も現実目の前に出てきているわけでございます。でございますから、そういうようなものを一々整理してまいる段階に、経済企画庁におきましてはすでに経済社会基本計画というものを見直さなきゃならぬ時点じゃないか、また見直すべく作業を進めるということをおっしゃっているわけでございます。したがいまして、そういうもろもろのことを総合いたしますと、私はいませっかく今年度を初年度として、既定の十カ年計画の路線を出発したんだから、このままこれを堅持してまいりますと、いまではこう言っております。また、それがために六カ月の運賃延長の法案の御審議をわずらわしているわけでございます。しかし、いろんないま御指摘のような点を総合いたしますと、十兆五千億そのものを見直さなきゃならぬことがあり得ると思います。でございますから、そういう時期になりましたときには、これはもう十分基本計画等をも含めて検討して見直さざるを得ない、かように考えております。  しかし、その時点がいつであるかということにつきましては、なお流動的なものがたくさんあるわけでございますから、そういうようなものの見きわめをつけた上でさらに検討を加えなきゃならぬと、かように考えるわけでございます。
  253. 中村利次

    中村利次君 私はこの十カ年計画の中で、いろんな事態が想定されます。しかしながら、いろんな議論を通じてであっても、十カ年計画の期間中は国鉄運賃値上げはしないという確認ができれば、これは一つの前進だと思うんですが、これはできませんか。
  254. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いいことを言えば、運賃には手を触れないということが一番いいことだろうと思いますけれども、やはりそれがためにはいろんなまた問題も出てこようと思います。この再建計画の三本の柱というのは、公共性に見合ったいわゆる政府出資、それから利用者負担と申しますか、いわゆる運賃もいろんな点で御負担を願う、また国鉄企業努力というものにも期待する、この三本の柱で成り立っているわけでございまして、これが三流の柱にとどまるか、あるいは将来この柱をまた追加するなり、あるいは考え直すのに、いろいろなウエートの均衡等は見直す時期において出てくるだろうと思いますけれども、一応この三本の柱というのはくずして、十年間に運賃を上げないということにつきましては、せっかくの御指摘、御要望でございますけれども同意しかねるわけでございます。今後も十分いろんな点を配慮して、利用者の皆さんの御負担の軽いような配慮はしていかなきゃならぬと思いますけれども、それは当然のことでございますけれども、やはりこの三本の柱をくずして運賃の値上げは今度はやりませんと、それはそのように努力いたしますということも、いま私はここで答弁するだけの勇気を持ち合わさぬわけでございます。
  255. 中村利次

    中村利次君 私がどうしてこういうことを質問するかといいますと、これは時間もだんだんなくなってきましたけれども国鉄を値上げすれば私鉄も値上げしなきゃいかぬでしょう。もうだいぶ前に私鉄の値上げ申請は出ていますけれども、これは運輸大臣もおそらく値上げを認められると思うんですね。たとえばよく引き合いに出されますけれども、東京−小田原間で四回も国鉄が今後値上げし、それ以上は絶対に値上げしないということになっても、これは並行して走る私鉄との運賃のアンバランスなんていうのはどうしますか。国鉄国民のものであり、国有の鉄道がたいへんに高くって、民営が企業努力を重ねてたいへんに安かったなんて、そんなばかげたことはあり得ないわけですね。民有、民営なんというのは、これは利潤を追求するものですよ、適正利潤でなければいかぬけれども。その利潤を追求するのが目的でない国民の足としての国鉄が倍も高かった、三倍にもなったということになったら、これは私は運輸大臣は責任をおとりになりようがないと思う。非常に極端の言い方をしますと、もうかっていてももうかっていなくても、私鉄の運賃値上げというものはバランスからいって上げなきゃならぬ。トラックだってそうですよ。いまですらほかの輸送機関に荷物を取られた国鉄は大赤字である。取られた理由はいろいろありましょう。しかし国鉄貨物運賃がえらい上がっていっちゃう。倍になり倍以上になる。安いとこへ流れるのはこれは当然。そうなったら国鉄なんというものは赤字だけじゃなくて壊滅になりますよ。バランスをとって上げなきゃならない。こうなったら国民生活はどうなるでしょうね。まさに容易ならざる国民的課題であり物価問題ですよ。こういう点についてどうお考えでしょうか。
  256. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まあたいへんに卑近な例をお引きになりまして、たいへん痛い御指摘でございますが、私鉄も運賃を上げてくれということ、もう四十七年から手をつけておりませんから、苦しい状態というものは私どももよく承知しております。しかし物価抑制公共料金のたてまえから、がまんしていただいておりますけれども、まあなるたけそういう態度を堅持しつつ、今後配慮してもらわにゃいかぬかと思いますが、いままで貨物にいたしましても、トラックに取られたのかトラックのほうに追いやつなのか、やっぱり反省してみにゃいかぬと思うのです。ですから、そういうような面を十分反省しつつ、料金問題にいたしましても、今後検討を重ねてまいらなければならぬと思います。それがこれから私どもに課せられた一つの任務であろうと、かように考えて努力をいたすつもりでございます。
  257. 中村利次

    中村利次君 これはどうも時間が少なくて不本意ですけども国鉄総裁がだいぶおひまなようでありますから。  先ほど三木委員から中央線の問題が取り上げられましたけれども、まさに旅客運賃は、これは黒字だということになっていますね、国鉄発表でも。どの線が黒字線でありどの線が赤字線、これは明らかにされていますけれど、結局私は新幹線だとか、あるいは大都市周辺の通勤者というか居住者あたりが、通勤ラッシュで、全くあんた、肋骨がおかしくなるような、顔がいびつになるような残酷物語の通勤ラッシュの中で、国鉄旅客運賃は黒字であるというようなものをつくり出しているんですね。これに対する私はやっぱり対応、対策というものが当然なきゃならないと思うのですが、さっきの御答弁を聞いた限りでは、東京もそれはほうってはおかないよと。しかし、これはやっぱりやることは一ぱいあって、なかなか思うようにいかないのだという御答弁の趣旨でありましたけれども、それでは私は救われぬと思うのです。  それから、また中央線の例も出ましたけれども、これもまあたいへんなあれで、複々線を三鷹まで延長されましたよ。非常にけっこう。輸送力はふえたかもしれない。通勤のスピードアップになりましたか——ならないんですよ。やっぱり地域住民の皆さんの意向は無視できない。御意向を十分尊重してけっこうでございますよ、しかし輸送量をふやすと同時に、通勤のスピードアップが必要なのに、いまこの政府の施策が悪いものだから土地まではとっても勤労者では入手できません。高尾あたりでもとても給料生活者は手が出ないのです。やはり私はスピードアップもまた輸送力の増大とセットした不可決の私は国鉄の任務だと思う。複々線になったのでたいへん期待した。ところがあなた、三鷹から中野までは全部各駅停車ですよ。日曜のときにはちょっと間引きします。昼間は特快があります。不動産屋できわめて悪質なところなんか、特快で幾ら——特快なんか通勤に関係ないのです、あんなものは。ところが特快が通るときには快速電車というのは三鷹でとめられちゃって、阿佐ケ谷、高円寺、西荻窪を飛ばして運行するにもかかわらず、三鷹以降はかえって時間がおくれるという、まことにもって不サービスであります。私はやっぱり通勤ラッシュのときなんか複々線になったら荻窪の人は中野で乗りかえていいのです。そういうことこそ本物のサービスだと思うのですが、どうですかね、この点は。これはこれでおしまいになりますから、ひとつ懇切丁寧に答弁してくださいよ。
  258. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 大都市付近の通勤の問題は非常にむずかしい問題で、これは私が申し上げるまでもなく、先生十分御承知だと思うのでございますけれども、私どもはえらい苦労して線路増設をやって通勤の道を補強すると、それとほぼ同じくらいのスピードでもって住宅がふえてくるということで、先ほども三鷹駅が約五年くらい工期的にかかりますと、五年くらいたつとあそこで線路増設をやっているからというので住宅がふえて、おそらくできた一年くらいは若干楽でも、また同じような状態になるのではないかと思います。やっぱり住宅というものは足がなければ住宅の用をなさぬので、これは非常にむずかしい問題になりますけれども、そういったことで何らか関係の向きともお話を申し上げて解決の道を聞きたい、かように考えている次第であります。
  259. 中村利次

    中村利次君 中野−三鷹の各駅停車はどうですか。
  260. 藤井松太郎

    説明員藤井松太郎君) 各駅停車の問題は、これは全体の方がそれでなるほど国鉄はいいサービスをするというふうにおほめをいただけるなら私どもはもちろんいたすのでございますけれども、まあ中野で乗りかえるということになると、従来は乗りかえなかったのに何だというような御不満もございましょうし、ですから大局的に見て、大ぜいの方が御納得いくようなサービスというのは、実はだいぶない知恵をしぼって考えているのですが、なかなかうまい知恵がないということなんで、これは御意向なんか営業の者になく研究させますけれども、結局はあまりとめたら線路の容量が足らないものだから、線路に列車の入り方が少なくなる、容量を食うというようなこともあって乗りかえの問題が生じてくるということで、御意思は非常によくわかるのだが、具体的の方法論になりますと、なかなかこれはむずかしい問題があると思いますが、ひとつ御名案をだいぶお持ちのようでございますから、お教え願って、できるものはやりたいと、かように考えております。
  261. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 他に発言もなければ、本案に対する質疑は終局したものと認めて御異議ございませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  262. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時五分散会      ——————————