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1974-02-19 第72回国会 参議院 運輸委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十九日(火曜日)    午前十時二十五分開会     —————————————    委員異動  二月十六日     辞任         補欠選任      今泉 正二君     岩本 政一君  二月十九日     辞任         補欠選任      木村 睦男君     重宗 雄三君      小柳  勇君     竹田 四郎君      田渕 哲也君     村尾 重雄君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正雄君     理 事                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 杉山善太郎君     委 員                 岩本 政一君                 木村 睦男君                 橘  直治君                 瀬谷 英行君                 竹田 四郎君                 森中 守義君                 阿部 憲一君                 村尾 重雄君                 山田  勇君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君    政府委員        運輸省船舶局長  内田  守君        運輸省船員局長  住田 俊一君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        海上保安庁長官  佐原  亨君        労働省労働基準        局安全衛生部長  中西 正雄君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        警察庁刑事局外        勤課長      大堀太千男君        文部省体育局ス        ポーツ課長    望月 健一君        水産庁漁政部企        画課長      新井 昭一君        労働省職業安定        局特別雇用対策        課長       永場 久治君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○船舶職員法の一部を改正する法律案(第七十一  回国会内閣提出、第七十二回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  今泉正二君、田渕哲也君、小柳勇君が委員辞任され、その補欠として岩本政一君、村尾重雄君、竹田四郎君がそれぞれ選任されました。     —————————————
  3. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 船舶職員法の一部を改正する法律案を議題とし、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 竹田四郎

    竹田四郎君 運輸委員会審議に初めて参加したわけでありまして、船舶職員法の一部を改正する法律案趣旨説明もこの書類で読ましていただいたわけでありますが、今度の船舶職員法改正法案趣旨の重点というのは一体どこにあるのか。読んで見ますと、モーターボート小型漁船増加という問題について、かなり強く述べられているわけでありますが、モーターボート小型漁船について免許制度をつくって、そして事故防止の万全を期すということが今度の改正趣旨なのかどうなのか、その辺をひとつ大臣からお答えをいただきたいと思います。
  5. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御承知のように、最近におけるモーターボート、それから小型漁船あるいは小さいその他引き船等もたいへん数が増してまいりましたし、これに伴いまして、そういった船舶による事故も相当数増加してきているわけでございます。そういう事故を防ぐために、乗り組む人たちの基礎的な知識、また技能の欠陥に起因しているものが非常に多いわけでございまして、そういうものをひとつチェックして、事故防止のためにこういう法律によって規制していこうと、こういうのがこの法律のねらいでございます。
  6. 竹田四郎

    竹田四郎君 私は衆議院における交通安全委員会の記録もざっと読ませていただいたわけでありますが、いま大臣お話の中にも、引き船ということが一言入れられておるわけでございますが、引き船の場合に、具体的にどう安全確保ということの措置をこの中でしているのか、その辺がきわめて不明確に私は感ずるわけであります。確かに五トン以下の小型モーターボート、あるいは小型漁船、こうしたものについては、最近の海難事故等についても、こうしたものの事例というものがありますし、あるいは海岸におけるモーターボートの雷族的な運航のしかたというようなこと、まあこうしたことは確かに問題があると思います。船の航行規則というものを知らないで、おもしろ半分と言うと語弊があるかもしれませんが、実際上にはそういうことでやって、あるいは網を切るなり、あるいは漁場を荒らすなりというようなこともあるでしょうし、あるいは小型漁船の場合には労働力の不足という面から、いままでの年齢を下げなければならない、あるいは中学校、高等学校の学業の手間に船に乗るとか、あるいはカキの養殖とか、そういうものの手伝いをしなくちゃならぬ。そういう点で、そうした人々に対して新しく免許基準をつくって、船の操法のあり方あるいは航行のしかた、あるいは諸規則、こうしたものを教え込んでいくということについては、私は異議はありません。そういう面ではある程度の秩序というものですか、そういうものをつくっていかなければ、まさに海水浴客も安全な海水浴ができないという事態のあることは、これは世論が指摘しているとおりだと思います。  で、引き船増加と言われているんですけれども、具体的にどのくらい増加をして、そして引き船というものの安全性確保が、この法律の中で具体的にどこでどういうふうに、その引き船あるいは機帆船等もあろうと思いますけれども、そういうものの安全確保というものが、具体的にどこでどういうふうに安全確保がされているのか、この辺は、私いろいろ読んでみまして、どうも審議対象にあまりなっていなかったし、この提案理由説明法案の要綱というものを見せていただきましても、どうもその辺——確かに引き船の安全も確保されるようになった、確かに港の中におけるところの航行というものがより安全になった、こういうようなものは、どうもこの船舶職員法に関する限りはあまり感じられない、こういうふうに私は感ぜられるわけでありますが、他の法律と一緒に審議なさった船舶安全法ですか、こういう面では若干感ぜられるわけでありますが、船舶職員法では具体的に引き船の安全というものがどう具体的に強化されたのか、この辺御説明をいただきたいと思います。
  7. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま大臣から御説明ございましたように、この船舶職員法対象となる船舶といたしましては、レジャーボート、あるいは漁船以外に、いま竹田先生が御指摘のように、港湾におきまする引き船あるいは港湾運送事業と申しますか、こういったすべて二十トン未満の船が対象となるということは言うまでもないところでございます。  さて、ただいま先生がおっしゃいましたまず引き船増加状況、それから政府といたしましての対策について以下申し上げたいと思う次第でございます。まず、ちなみに数字から申し上げますと、この引き船保有状況でございますが、昭和四十五年におきまする統計は、合計千八百六十三隻、これは港湾局港湾統計調べでございますが、千八百六十三隻に相なっております。内訳は五トン未満が六百九十九、五トン−二十トン未満が七百四十八、二十トン以上が四百十六、こうなっております。それが漸次ふえまして、詳細別にいたしまして、昭和四十六年におきまして、トータルが千九百四十一隻、それから昭和四十七年におきまして千九百八十一隻、昭和四十八年は若干減っておりますが千九百七隻、こういうふうに相なっております。  なお、ちなみに京浜港におきましては、横浜昭和四十五年が二百十五、それから四十六年に二百二十八、それから四十七年に二百三十六と、それから四十八年に二百二十八と、こういうことで、一般の趨勢としては増加の傾向をたどっておるということが言えると思うのでございます。  さて、次に政府といたしまして、このような港湾運送事業における船舶に対してどういうような対策をとっているかということでございます。で、まず基本的にこういうことを第一点として申し上げたいのは、そもそもこの船舶職員法の今度の改正のねらいは、ただいま大臣お話ございましたように、総トン数二十トン未満小型船舶対象とする。そうして、それらの船舶の総合的な航行安全対策ということが、そもそもこの法律のねらいでございます。したがいまして、小型漁船あるいは港湾運送事業に従事する船舶あるいはレジャーボート、そういったような、すべて特段の差異なく総合的にこれを規制していこうというのがねらいでございます。したがって、これらの船舶に対しての必要な知識というもの、つまり海事知識というものはすべて同一である。したがって、ある一つ船舶だけを取り出して別個に法定するというような必要性がない、むしろ総合的にこれを見ていきたい、こういうねらいがこの法律の骨子でございます。したがいまして、たとえばいま申し上げましたように、一つ船舶だけを取り上げて、そうして事業法的なことを考えたらどうかという、こういう御意見審議の過程でございましたけれども、しかし、海事知識はすべて同一であると、こういう認識に立ちまして、総合的な施策のもとに小型船舶というものの規制を考えた、こういうわけでございます。  で、具体的に、しからばいまのこの港内事業船舶についてどうなっているかということが第二の問題になります。まず、その前提といたしまして次のことを御指摘申し上げたいと思うのでございます。これは後ほど船舶局長からもお話があると思いますが、現在かかる船舶エンジン性能というものが非常に発達しております。御承知のようにリモートコントロールをされておりまして、そうしてそのエンジン材質あるいは使う油、こういったものは数年前から非常に改良されております。非常に高質の材料を使い、また油も腐食がつかないようにいろいろと考慮が払われております。そういう点が一つで、非常にエンジン性能が発達しておるということ。  それから同時に、出航する前に十分な仕業点検を加えればエンジントラブルが少ない。仕業点検励行ということを十分に守っていただければ比較的エンジントラブルが少ない。したがいまして、今度の免許に当たりまして、機関航海と両方をマスターする、いわゆる甲機両用ですね、甲機両用のそういった小型操縦士免許をとれば、つまりエンジンに精通するような学科をとらせる、こういうことによって、十分にこのエンジントラブルを防ぐことができるんじゃないか、こういう観点に立っていろいろと議論されたわけでございます。  そこで、この審議会で一番問題になったのは、先生も御存じのとおり、丙種機関士を落とすかどうか、二人乗りがいいか一人乗りがいいかと、こういうことが議論になったわけでございますが、審議会の有識者の御意見では、大多数が一人でいいと、現在のエンジン性能あるいはいま申し上げました材質あるいは仕業点検励行あるいは部品を持っていくということによってそういう心配はない、こういうことで大多数の意見が一人でいいと、しかし少数意見といたしまして、やはり二人で乗ったほうがいいということで、併記答申が出たということは御承知のとおりでございます。そういうことで、私どもといたしましては、いろいろと慎重審議の結果、そういった小型の二十トン未満につきましては、まず一人で乗っていいと、こういう結論に達してこの改正に踏み切ったのでございます。  次に、ではもっと具体的に、こういった港内事業船舶につきまして、さらに具体的にどういうふうに考えているかという点でございます。これについては次のように考えております。いまお話がございましたように、港内事業船舶には大まかに分けましていわゆるリモコン船と非リモコン船がございます。リモコン船の場合は、いまお話ししたように、そういった甲機両用を具備した操縦士を乗っければ、まずそういうエンジントラブルはないということは言えると思いますが、やはり半分——正確な数字はまたはっきりしませんが、大体半々であると思いますが、半分程度が非リモコンであります。そういったところにおきましては、極力小型操縦士の指揮を受けまして、そうしてエンジンの制御あるいはエンジン——特に先生承知だと思いますが、こういった引き船エンジンが過熱いたします。あるいは船を引いていく場合がございますので、絶えずうしろの船をウォッチする、監視する、こういう問題がございます。そういうことで、過熱防止あるいはうしろの船をウォッチする、こういうことで、そういうことに当たる補助者乗り組みということが必要不可欠になってくると思うのでございます。  そこで政府といたしましても、こういうような船舶航行の安全を確保するという意味におきまして、特にリモコン化されてない船でございますね、これにつきましては必要な機関士を乗っける、あるいは機関長がかりにおるとしても極力従来の機関士乗り組ませるように行政指導する、業界に特にそういうことを指導いたしまして、そしてそういうトラブルがないように今後やっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  8. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなたの話を聞いておりますと、モーターボートのように港の引き船は全部リモコンで一人で操作できるようにおっしゃるわけですが、これは大臣、あなたは引き船の中に入って見たことございますか、モーターボートはなるほどそういう装置になっております。あるいは漁船もそういう装置になっております。しかし、私も三菱リモコンという名前のついたエンジンをつけている船に入ったです。とてもワンタッチでそのエンジンは見えませんわ。全然見えませんよ。それで一体、じゃ計器が幾つついているか、二つか三つしかついてないのですよ。そして、そばにはどういう機械があるかというと、エンジン内部に入っている人との連絡用のサインのいろいろなものはありますよ。それが今日のおっしゃっているリモコンエンジンなんですよ。三菱リモコンと書いてある。できないのですよ、一人で。  それをまさに、その辺の海岸で競走をやっているようなモーターボートと同じように問題を考えている。これはちっとも一人でできるということじゃないんですよ、リモコンエンジンのついているものでさえ。やっぱり機関士エンジンルームの中に入っていなければ、リモコンエンジンだって始動すらなかなかできないということですよ。これがエンジントラブルがあったら、これは専門家でなければどうにもならぬですよ。じゃ操縦士エンジン室へ入って直せばいいじゃないかと言ったって、いろいろの付近の景況がありますよ。操舵をしなくちゃならぬでしょう、あるいは海流の問題もあるでしょう、風の問題もあるでしょう。そうしてみますと、何かいまの引き船まで含めて全部リモコンで船は動くのだという印象を、実情を知らずして引き船まで含めている、私はこういうふうに言わざるを得ないと思うんですね。ここで知らない人は、なるほどああそうだろう、なるほどモーターボートもそうだ、漁船もそうだ、だから引き船もそうだろうというふうに思うのですが、現状は全然違うのですよ。  いまのお話でも非リモコンが半分あると言ってるのですよ。半分あると、こう言っている。あとの半分はリモコンじゃないと言ってる。しかもリモコンだと名前の書いてあるエンジンですらほんとうの意味リモコンできないのです。まあいろんな船がありますよ。レジャー用モーターボートとは全然違うのですよ。これは大臣、見たことありますか、実際に。この法案を出されているのですから、そういう点でも、大臣、責任があるとぼくは思うのですけれども。そういう引き船の中に入って船の中は一体どうなってるか最近ごらんになったことありますか。
  9. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私も長い間船乗りやっておりましたが、ところが古い船乗りで焼き玉エンジンのころの引き船は何べんも乗ったこともありますし、中に入ったことがありますけれども、最近のいわゆる改良、近代化されたリモコンによる船には実は入ったことはないわけでございます。しかし御指摘のように、この業務用船舶は、安全上からも、また雇用面もございましょう、また普通のレジャーモーターボートとは違うわけでございますから。また引っぱって歩くのも、一隻引っぱって歩く船もあるでしょうし、あるいは二隻、三隻と引っぱって歩く引き船もあるでしょう。そういうようなところから、私は普通のレジャーボート同一には考えられぬのじゃないだろうか。  そこで法律のたてまえはそうなっておりますけれども、従来どおり、この丙種機関士がいま乗っておるわけでございますが、これはもう極力そういう機関士乗り組ませていくような強力な行政指導をしていかなければならぬと思っております。これは私が実際に乗って体験してみての話じゃございませんけれども、いまのお話やら、あるいは私の昔の長い船乗りの点から考えてみて、これはただ一片の通達で行政指導するというのじゃなくって、安全上からも、あるいはいままでせっかく乗っておるのですから、雇用面等からもつとめて——つとめてというよりも、丙種機関士を、いままで乗っておられる方については確保していくという強力な行政指導でもっていきたい、まあ私はかように考えているわけでございます。
  10. 竹田四郎

    竹田四郎君 強力な行政指導ができるかどうか、政府の手で。まあこれは最近の物価の問題で行政指導というものは一体どんなものであるか、これはもうわかり切ったことですよね。何でもかんでも行政指導でできるというふうに私は思いません。この問題はあとで触れます。  そこで局長、たとえば引き船の人はいままで点検せずに出ていったのですか。引き船が出発するときにいままでは点検しないで出ていったのですか。私は点検して出ていってると思うのだけれども、今度の法律でいえば、そういうことを義務づけるようなことを言っておりますが、別にどこでも義務づけてはいないと思うのですよ。ただ航海士の資格を取るときに、そういうことはしなければならないという一つモラルの問題、航海士モラルの問題としていくわけであって、自動車の場合だっても、スタートするときには、オイルはどうだ、ガソリンはどれだけあるんだ、タイヤのエアはどうなってるのだ、あるいはワイパーの洗浄液はどうなってるのだ、こういうことは自動車免許を取る者としては、それはモラルとしてやるべきことである。  そうすると、今度のこういう航海士というような者を一人乗せていけばそういうものが格段とよくなるかどうか。それはモーターボート漁船の場合には、おそらく私はそういう点検というのはおろそかにされていたとは思います。しかし港湾運送事業という業としてやってるものが、そういうように点検もしないで、油のあるなしもわからないで出ていっているというふうにあなたはおっしゃるわけですか。
  11. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  すべてこの種の二十トン未満の船は、従来私どもは、こういった船舶を扱う以上、少なくとも定期の仕業点検はしているというふうに確信しておるのでございます。  なお、今回この種のいわゆるエンジンチェックにつきましては、先ほど申しました仕業点検を極力励行するように指導しておるわけでございますが、特に具体的にエンジンオイルだとか、あるいは燃料タンク油量点検、補給とか、あるいは冷却水量点検、その他いろいろと十種類ぐらいの項目をつぶさに列挙いたしまして、そうして少なくとも航行する前には、こういったチェックを十分にするということを極力行政指導ではかっていきたい。また今後、たとえば免許を受けるということになりますと、いま言った整備という問題の、具体的な学科の試験も受けるわけでございますので、そういうことによって、いま私が申しましたいろんな点検等については十分にマスターし、また出航する前には完全に仕業点検していくというふうに確信しているものでございます。
  12. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはだれが聞いたって、今度この船舶職員法ができればそういうことをやるということじゃないですよ。そんなことは会社がいつもやらしていることですよ。この法律ができたから仕業点検が厳行され、この法律ができないから仕業点検はやられていないと、あなたはそういうことをおっしゃるなら、いままでそういう事実があるのですか。いままでの引き船に対しては動かす前に仕業点検はしなかった。今度の法律ができたならば必ず仕業点検をすると、いままで仕業点検をしていないから仕業点検させるようにすると、こういうわけですからね。いままではやっていないという証拠があるのですか。あったら示してください。
  13. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 船員法の八条で次のように規定しております。発航前の検査でございまして、「船長は、命令の定めるところにより、発航前に船舶航海に支障ないかどうかその他航海に必要な準備が整っているかいないかを検査しなければならない。」、こういう規定がございます。したがいまして、船長といたしましては、この規定に基づきまして出航前の検査をしているということでございますので、私はこういったことに基づきまして、十分にこういった機関チェックをしているというふうに思っております。
  14. 竹田四郎

    竹田四郎君 それじゃ、漁船モーターボートの場合には確かにそういうことが言えると思うのです、五トン未満の。しかし引き船に対してはこのことはいままでされていることですよね、別にあらためてここでそんなこと言わなくても、安全性の問題について。これは法律事項じゃないですよ、むしろ、モラルの問題ですよ。あなたは行政指導すると言っているのですが、具体的には業者がいままでやらしているですよ。そんなもの、何にも行政指導にはつながらないですよ。モーターボート漁船の場合にはぼくはあり得ると思う。もっと事前の仕業点検をしなさいよということはあり得ると思うのですが、引き船なんかで、これによって引き船安全性が向上するというようなことは法律内容じゃないでしょう。また今度の改正法一つの根拠じゃないでしょう、こんなものは。こんなことはいつでもやらなくちゃならぬことですよ。法律がどうなろうとこうなろうと、一つの業をやっていく上には当然やらなくちゃならない。別に船舶職員法が変わったから引き船船長仕業点検をよりやるということじゃないですよ。いままでだってよりよくやっているんですよ。それで事故が起きる。  だから、いままでだって、したがって丙種機関士を乗せている。リモコンの問題だって、さっきあなたが言ったように、非リモコンが半分もあるというんだ。実際上はもっとある。私がさっき述べたように、リモコンと書いてあるエンジンですらリモコンできないんだ。これが現実だ。局長は見たことありますか、横浜にいたというんだから、そういう引き船の代表的なものを中へ入って、あなたは見たことあるんですか。リモコン機と書いてあるのがリモコンができないという。見たことありますか。
  15. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 私はまだ見ておりません。
  16. 竹田四郎

    竹田四郎君 見ておらない人が、リモコン機になったからだいじょうぶだと、そういうこと言えますか。リモコン機だからだいじょうぶだと言った人はだれですか。はっきりここへ出て証言させてくださいよ。私は現実に二、三日前見てきた。リモコン機名前がついていたってリモコンできないんだ。まあ商売——物を売るんですから、少しでもリモコンできればリモコン機だと、こういうふうに書くのは当然でしょうね。だれがリモコン機なら一人でいいと言ったか、出してくださいよ、証人を。証人を出してください。実験データも出してください。
  17. 内田守

    政府委員(内田守君) エンジンのことだけ申し上げますが、先ほど先生指摘になりましたリモコンというお話がございましたけれども、大ざっぱに分けますとリモコンの中に二種類ございまして、遠隔操縦には変わりないのでございますけれども、普通のエンジンそのものの発進あるいは停止そのこと自体はエンジンルームでやりまして、そしてエンジンが動き出してからリモコンのほうをブリッジで中立にしておきまして、そうして速度、事実上はエンジンの回転数になりますけれども、速度であるとか、あるいは前後進、そういうようなものだけを遠隔操縦する。これはわりあい多いのでございますけれども、そこで先生、先ほど例にあげられておられましたのは、おそらくこの種の遠隔操縦のものだと思います。  それから、もう少し進みましたモーターボートはほとんどでございますし、作業船の相当数の中にもう少し完全な遠隔操縦もあるわけです。これはいま申しました機関エンジンそのものを動かすこと、それからエンジンを停止すること、そういうこともブリッジのほうでコントロールできるような、ある意味では完全な遠隔操縦というようなものと、二種類大ざっぱに分ければある。  それから先ほど船員局長が御指摘になりましたけれども、リモートコントロールする、せぬにかかわらず、最近のこういう小型エンジンというのは、御承知のように、特に材質とか、それから工作精度というようなものが非常に発達しておりまして、したがいまして、具体的な故障という問題に触れますと、比較的エンジンの大きな事故につながるようなことと申しますと、たとえば漁船ですと長い間オーバーロードの状態で長時間運転してエンジンが焼きつくとか、あるいは吸入口から海に浮いておりますたとえばポリエチレンの袋だとか、ああいうようなものを吸い込みまして、それが原因で焼きつくかとか、そういうような焼きつきが一番重要な故障になるわけでございますけれども、こういう故障が一たん起こりますと、こういう故障そのものは、実際には潤滑油の管理あるいは使用前の点検とか、あるいは工場における定期的な整備というような面で、それを防止すること自体はきわめて簡単なことなんでございますが、そのような簡単な点検なり、コントロールを怠りますと、いま申しました焼きつけとか、そういう事故になるわけでございますけれども、一たんそういうことになってしまいますと、これはどういう技術屋でも船の上で修繕するとか、そういうようなことじゃなくて、工場へ運びまして専門的な立場からオーバーホールして整備するということになろうかと思います。  それから、そのほかのエンジントラブルと申しますと、たとえば燃料の噴射弁が詰まったり、あるいは電気系統の故障なり、あるいはベルトがゆるんだとか、そういうようなことがあるわけでございますが、これは船にそういうものにつきましての予備品等を備えさしておりまして、そういうものにつきましては比較的簡単に、そう専門的な知識がなくても部品を取りかえるというようなことは可能だと思います。要するに、大ざっぱに申しまして、そういうしょっちゅう、比較的軽い、わりあいある故障につきましては予備品を比較的簡単に取りかえることでまかなえ切れる。それから先ほど申しました、焼きつきのような大きな故障に至るようなものにつきましては、そういう故障が起こらない初期的な点検であるとか、あるいは先ほど申しましたオーバーロードを長期間やらないとか、そういうコントロールを含めて比較的故障を防止する措置はわりあい容易である。ただ一たん起こりますと、これは工場へ運んで整備しなければいけないということでございます。
  18. 竹田四郎

    竹田四郎君 いま、そうすると、リモートコントロールでも一人ではなかなかできない。二種類ある、こういうわけですね。あなたのおっしゃった、そのリモートコントロールがもう半分ぐらいあるということですが、この二種類で分けていくと、いまの全国の引き船の中で、リモートコントロールでもほんとうに一人でできるもの、あるいはとても全部を一人でやっていけないもの、分けたらどのくらいの数になりますか。
  19. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 正確な数字はまだ私のところに届いておりませんが、先ほど申し上げましたように一応……
  20. 竹田四郎

    竹田四郎君 正確な数字を示してくださいよ。いいかげんな数字で……、リモートコントロールの話だって実にさっきから聞いていればいいかげんだよ。いいかげんな数字でここで答えてもらっちゃ困るんだよ。正確な数字を出してくださいよ。
  21. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) いまわかっているところで二千隻でございますが、そのうち半分がリモートコントロールされておりません。なお正確な数字は、また追って調査次第御連絡します。
  22. 竹田四郎

    竹田四郎君 あなた方が言っていることは、エンジンが非常によくなった。材質がよくなったということもあるでしょう、新しい船がね。新しい船の材質がよくなったということもあるでしょう。あなた方の言っているのはリモコン装置がもうほとんど取りつけられているから、だからもう一人でいいんだ。いままでは五トン未満のものについては確かになかった。しかし二十トン未満のものにはあったわけですよね。それが二人乗りだったわけですね。それがリモートコントロール装置になってきた。それからエンジン材質が非常によくなった。それから仕業点検励行させるようにするんだ、だから一人でいいんだ、こういうことです。大臣の話をそれに加えると、丙種機関士も引き続き乗せるように強力な行政指導をやる。これだけの話があったわけですね。その中で、リモートコントロールの問題一つ言ったって、もう正確な数字が出てこない。こんなことで一人乗りにするか、二人乗りにするかという議論が一体できますか、ここで。あとで資料をよこす、通ってしまってから資料をよこされたって、そんなもの何にもならぬ。いますぐ出してください。そうでないと私の議論も進められない。
  23. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま一人というお話ございましたけれども、これは御承知のように、船舶職員法の基本的な考えといたしましては、法定上乗り組ませるべきいわゆる人の問題でございます。これは最小限度きめるというのがたてまえでございます。したがいまして、職員法上では、二十トン未満については丙種機関士をおろすと、つまり一人ということにはたてまえ上最低限度なっておりますが、実際の引き船の実態を見ますると、ここに組合の方もいらっしゃいますが、労務協約によりまして三人ないし四人も乗っておりまして、その方が実際のエンジンの補助員ということで、先ほど申しました過熱の防止なり、あるいはそういったエンジントラブルを見ると、こういうことでございまして、決して一人だけ乗っておるというわけでございませんで、その他補助員が乗っておるということでございます。  なお大臣からもお話ございましたように、そういったような航行安全をはかる意味におきまして、補助員を極力乗っけるように、今後、行政指導をはかっていきたい、こういうわけでございまして、決して一人ぼっちになったと、こういうわけでございませんで、補助員というものが極力乗るように、今後業界にも指導いたしまして、そうして航行の安全を期したいと、かように考えておる次第でございます。
  24. 竹田四郎

    竹田四郎君 補助員を乗せるということは、それは組合と業界との話し合いでしょう。しかし資格を持った人が乗るか乗らないかというところに問題があるわけです。なぜ資格がいままで要ったのか、じゃいままでだって資格は要らないはずじゃないですか。なぜ資格が要る人が乗らなくちゃならないかということは、エンジントラブルがいろいろあるから、そういうことが心配されるから、わざわざ乗せて義務づけているわけです。今度は義務づけがないですね。あなたのところの前の局長ですか、丸居というのは前の局長ですか、この人、何と言っていると思いますか、答弁。いいですか、読んでみましょうか。「御承知のとおりにディーゼルエンジンかあるいはガソリンエンジンに大体切りかわってきております。」と言っていますよ。半分じゃない、大体じゃないじゃないですか。半分のことを大体と言うんですか、政府は。そういう用語を使うのですか、どうですか。私は使わぬと思うんですよ。半分しか、しかも半分に切りかわったリモートコントロールも完全なものじゃないわけです。一人でやれるというものじゃないということは、いま言ったわけだ、船舶局長。それでいて、「大体切りかわってきております。」と、こういう答弁をしていますね。「ほとんど焼き玉エンジンゼロといっていいくらいに減ってまいっております。また、船の操縦もリモートコントロールができるようになってまいっております。したがいまして、丙種機関士を乗せておりましても、丙種機関士のする仕事というのがほとんどなくなってきておる、そういうことで、むだな人が乗っておるということではまずいのじゃないか、いろいろと業界のほうからもそういう陳情もございますしいたしますし、もう一つは、そういうエンジンの進歩もございましたので、むだな人を乗せておくというのもおかしい話だ、」、こういうことを言っています。「むだな人」と、こう言っている。いまの実態から、むだな人ですか、大臣。むだな人ですか、この丙種機関士はむだな人ですか。
  25. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 前の局長がどういうふうな答弁をしたか、私実はいま初めて聞いたわけでございますが、先ほども申し上げましたように、確かにこの引き船の問題については他のレジャーボート等とは趣を異にする点は、御指摘のとおりたくさんございます。  そこで、たびたび申し上げますけれども、安全上あるいは引き船一つ引っぱって歩いているのじゃない、二隻も三隻も、あるいは四隻も引っぱって歩くこともあるのでございますから、そういうことで、船のエンジンもいろいろな、先ほどの議論を聞いておりますと、ほぼ完全なリモートコントロールの船もある、また、それにやや近いような船もあるし、まだ改良もしていない船もあるということでございますから、私といたしましては、従来どおりいま丙種機関士を乗せておる引き船につきましては、もう極力その機関士を完全なリモートコントロールができるようになる期間、行政指導によってこれに乗船させまして、雇用上の問題あるいはまたいろいろな安全上の問題もろもろの条件の低下をこれで防いでいきたい。で、おまえの言う行政指導というのはたいしていままででもあてにならぬということでございますが、これは私が約束しましたからには、必ずそういうふうな決意のもとに指導いたしまして、万全を期してまいりたいと思っております。
  26. 竹田四郎

    竹田四郎君 大臣はこの港湾の業界とはあまりお会いになっていないようですから、いまここでたいへんけっこうなことを言って、ああなるほど徳永さんってえらい人だ、力のある人だと、こういうふうにおっしゃるだろうと思うのです、みんなはそう考えるだろうと思うのです。しかし港湾協会——これは労働問題ですからね、全港湾と結んだ協定あるいは確約書、こうしたものを平気で破っているのですよ。これはお調べになればすぐわかることで、またあとで触れるかもしれません。前の大臣、加藤労働大臣ですね、前の大臣と協会との確約書も破っているのですよ。それで、あなたがいま、私は責任をもって行政指導やりますからと——港はそんな甘いものじゃないですよ。徳永さんだって、あなた鎌倉に住んでいるのだから、横浜のすぐ隣の町ですから、全然港を知らないというはずのものじゃないと思うのですがね。港はそんな単純なものじゃないですよ。いま港で一番大きい問題は何かというと、暴力排除ですよ。暴力団をどうして港の中から排除するかというのが一番大きい問題ですよ。そう簡単に上のほうでこう言ったから下のほうもそのままいくなんていう、そんな港というのは単純じゃないですよ。お役人の考えているような形で、そうスムーズにいくなら、港の近代化、こうしたものはもっとずっと早くできておりますよ。そういう港の近代化を一番おくらしているグループというのはあるわけですよ。そういう点で、ちょっとそれは私、行政指導だけでいくということを信頼したいのですよ、信頼したいのですが、残念ながらそううまく問屋はおろさない。これは確定的だと思いますね、それは。  それで数字は出ないのですか、局長。それとさっきの丸居政府委員が、もう丙種機関士はむだなものだと、こういうふうに言っているのですが、あなたも同感ですか、それは引き継いでいるのですから同感でしょうな。また今回、法律をどんどん出してきているところを見ると、丙種機関士はもうむだな人間だ、こういうふうにお考えになっているのでしょう。
  27. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  まず第一点に、二十トン未満船舶は全部で現在四十六万一千隻ございまして、引き船はそのうち、先ほど二千隻と申しましたけれども、失礼いたしました、一千五百隻でございます。このうち半分がリモートコントロールされておるというわけでございます。いま私が申し上げました四十六万一千隻は、これはほとんど焼き玉からディーゼル化されておるというのが現実でございまして、引き船だけは千五百隻のうち約半分がリモコンにされているというのが現実でございます。  それから次に、いま先生が……
  28. 竹田四郎

    竹田四郎君 ちょっと待って下さい。  半分リモコン化されていると、こう言っているのですよ。船舶局長はその中にも二種類あると、こう言っているのですよ。だから、それぴしっと分けて下さい、数で。
  29. 内田守

    政府委員(内田守君) 数字はいま船員局のほうで調べておりますが、ただ技術的なことを申し上げますと、リモートコントロールに二種類あると申し上げましたが、その違いというのは、最初に出航するときエンジンルームへ入ってスタートさせる。それから帰ってきたら、これはスピードをゼロにすることはリモートコントロールはどちらもやれるわけでございますから、出航するときにまずエンジンエンジンルームに行ってスタートさせて、それからスピード調整をリモートコントロールでやる。帰ってきたらエンジンをストップさせるということで、航海中にエンジンをストップさせたりというようなことは、スピードをゼロにする話でございますから、これはリモートコントロールはブリッジでやれるわけでございますので、またいろいろな計器は、これはエンジンの停止あるいはエンジン自体の作動のものをリモートコントロールするもの、それ以外をリモートコントロールするもの、いずれもほとんど航海中の計器というものは原則的にはブリッジに置いてありますので、片っ方が完全で片っ方が不完全だというそういう意味ではございません。
  30. 竹田四郎

    竹田四郎君 途中でとまったらどうですか、エンジンが。スタートから最後に帰ってくるまでエンジン全然とまらないという想定で考えているんでしょう。とまったら困るでしょう。そういうことでほんとうにワンタッチでどうにでもなるという、ほんとうのリモートコントロールできる船もありますよ。私の言ったように、リモートコントロールの実際できない船がある。リモートコントロールできれば何もエンジンルームとブリッジの間にサインを示し合わせる必要はないですよね。リモートコントロールと書いてある船が、エンジンルームとブリッジとの間でサインをお互いにしなければならないような装置になっているのがある。一人でコントロールできるならそんな余分なものはつける必要はないでしょう。だから完全にリモートコントロールできるものと、完全にはリモートコントロールできないものと、一体どのぐらい数があるか、これがはっきりしなければ審議に入れないじゃないですか、はっきり先に数字を出してください。
  31. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) その数字、さっそく調べまして、あとで御報告いたします。
  32. 竹田四郎

    竹田四郎君 何回もぼくは言っているのです。あとで報告されたら困るんだよ。この点が重要だからぼくはやかましく言っているわけです。すぐ出してください。
  33. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  34. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 速記つけて。
  35. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 竹田委員の御指摘のように、海の仕事はそうおまえの言うように簡単じゃないということは、私も終戦後ずいぶん沖仲仕もやりましたし、進駐軍の労務者もやりましたし、港のことは、昔でございますけれども、非常にむずかしいということはよく知っております。最近もいろいろな問題になっておることも、これは私、現場を見ておりませんし、現場の人と中に入ってやっておりませんからわかりませんけれども、非常な困難な問題があると思います。  いま御指摘になっております問題は、これは引き船の問題でございまして、何かレジャーボートやら何やらとこんがらがっちゃって答弁が動いているようで恐縮でございましたが、引き船につきましては、先ほど来申し上げておりますように約半分が、いわゆるディーゼルエンジンではあるけれども、リモートコントロールのない船が約半分だそうです。あとの半分はリモートコントロールであるけれども、そのリモートコントロールと申しましても、非常にブリッジの上からすぐエンジンがかかってそして動けるというようなリモートコントロールの船は比較的少ないそうでございますが、いま数字は調べさしております。しかし、そのリモートコントロールといわれる中でも、いわば旧式のほうでございますね、そのほうが数は確かに多いだろうと思います。それも数は調べさしておりますが、正確な数が出てきますかどうか、いま至急やらしております。  いずれにしましても、先ほど来申し上げましたように、確かに御指摘のように、この法律ではここがなかなか問題の点だと私は思います。したがいまして、たびたび申し上げましたように、丙種機関士をいままで乗せておった船は新しい、最新式のリモートコントロールのいわゆる補助員程度でこの機関が保てると、運航が保てるというまでは、行政指導によりまして安全の確保というものをはかっていきたいと、こういうふうにお答え申し上げているわけでございます。したがいまして、いろんなむずかしいその他の問題はございましょうけれども雇用上の不安あるいは条件の低下というものは、そういう面で極力指導してまいるつもりでございます。
  36. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ極力指導するという話で、ほんとうの意味でのリモートコントロール、まあここに書いてあるのはやっぱりモーターボートがこう頭に浮かびますね、この法案を出してきた説明の中にはね。しかし業界からは、もうそんな丙種機関士は要らないんだ、そんなむだなものはもう要らないんだと、ここまで言われているんですよ。それを堂々と丸居政府委員は去年の六月二十日の交通安全対策委員会で述べているんです。ここの港湾運送事業に関するものは、いまの運輸大臣お話を聞くと、これはどうも今度の法案の中に入れ切れない現状。リモコンだって完全なリモコンのものは幾らもない。二千隻のうち半分が非リモコンだと、非常にこの法律で、あなたは最初にこういう海事のことは一般的だから、特殊的なものは縛れないと、こう言っているんですが、実態が違うんじゃないですか。それを同じように一般的に縛ろうとするから、いまのような無理が出てくる。しかも頭の中ではモーターボート漁船のことだけしか頭にない。これを別扱いにする気はないですか、大臣。別の扱いにする必要は。
  37. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 先ほどお話し申し上げましたように、先生の御指摘の点はよくわかるのでございますが、この法律というものが二十トン未満小型船舶に対して総合的な施策の一環としてこれを取り上げると、こういうことでございまして、特に先ほども触れましたように、こういった船舶に対しましては同一海事知識を吸収することが必要であると、こういう前提に立っております。したがいまして、これを別々にたとえばレジャーボートあるいは漁船あるいはこういった港湾小型船舶を別にしたらどうか、こういう議論も確かにございまして、私ども検討したのでございますが、いろいろと検討した結果、やはり総合的な航行安全という見地に立ちまして、そうしてしかも同一の必要な知識を与える、こういうことから考えて、これを分けて法的に規制するということは実務も困難であると、こういうことから分けて考えることはしなかったわけでございます。  しかしながら、先生がおっしゃるような、特にこういった港湾の運送船舶についてはいろいろと特殊事情もございます。その点われわれも十分わかっております。そういう意味におきまして、ただいま大臣からもお話ございましたように、こういった安全を確保する意味におきまして機関士というものを極力乗せるということ、あるいはこういった技術をマスターするまでは当分の間従来どおりとすると、こういうようなこと、これはまだ通達の段階でございますので、公式の段階ではございませんが、そういうことも検討して、そうして航行の安全を期していきたい、かように考えておる次第でございます。
  38. 竹田四郎

    竹田四郎君 委員長にお願いするんですが、どうも港湾運送事業の問題を単純に考えているんですね。リモートになっているのは半分しかないと、こう言うのですよ、いろいろなものを含めて。リモートと少しでもいわれるものを含めて半分しかないと言うんですよ。半分はどうしたって非リモートということになりますな。それを一括して新しい改正案のようにしてしまうということは、これは皆さん聞いているように、私は無理があると思う。答弁だってたいへん苦しいですよね。こんな苦しい答弁というのはそうないだろうと思うんですが、たいへん苦しいですよね。これはやっぱり理事会で、私はこの辺もう少し相談してもらわなければ、ただこのままでは進められないと思うのですよ。どうなんですかね、その辺は。
  39. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  40. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 速記を起こして。  午前中の質疑はこの程度といたします。  午後零時三十五分まで休憩いたします。    午前十一時三十五分休憩      —————・—————    午後零時五十五分開会
  41. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  午前に引き続き、船舶職員法の一部を改正する法律案を議題とし質疑を行ないます。船員局長
  42. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 一言おわび申し上げたいと思います。  午前中の竹田先生の御質問の中で統計資料の提出要求がございました。この問題につきまして、ただいま極力全地方の海運局あるいは関係機関を通しまして、資料の収集につとめております。そういうことで若干不手ぎわのございますことについておわび申し上げます。また極力、できるだけすみやかにこの資料の収集につとめたいと、かように考えております。
  43. 竹田四郎

    竹田四郎君 一応、数字がなければ、一番ポイントでありますから、本来ならここで数字をもらわなければ審議をしてもむだだというふうに思っております。審議を進めてくれという強い要請がありますから審議は進めます。  大臣にちょっとお聞きしたいと思うんですが、法案を出す以上は問いに答えられるような資料を常にそろえておいて、そしてわれわれがそれによって、なるほどそうだということになれば、あるいは賛成もするし、まあ議論はわかったということで前へ進めると思うんです。一番ポイントの点になると、そうした資料も出さないで、そしてひとつ御了解をいただきたいとか、あるいは先へ進めてくれということは、私はほんとうは筋から言うと違うと思うんですよ。これは政府側だっていろいろ民間から陳情があるでしょう。そのときに、その根拠の数字も示さないし、問われたことにも答えないで、そしてはいよろしゅうございますというふうに、私は政府もやらないと思います、陳情が来ても。やはり政府は、それはそうだ、もっともだ、これはやらなくちゃならないから、ではひとつこれはこうしよう、これについては予算つけようと、こういうことだと思います。ですから、審議の進め方について、私は大臣に、もっと問いに答えられるような体制ね、これをぴしっとつくってから出てきていただきたいと思うのですよ。この法案だってずっと前から出ているものでありますから、ここへきて急遽調べなければわからないというようなことはあり得ないと思うのですよ。大臣も就任してまだ日が浅いからかもしれませんけれども、そういうものじゃないと思うのですよ、幾ら就任日が浅いと言っても。その辺は、こういう審議をほかでは私はあまり経験しないんですけれども、運輸省のこの法案で、こういう事態になったということは、私はきわめて遺憾だと思います。私も徳永さんの人格には常日ごろ尊敬している一人でありますから、ひとつこういうような審議の実態というものは大臣から今後なくしていくような、そういう体制を組んでもらいたいと思うのですが、いかがでしょう。
  44. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まことに筋の通ったお話でございまして、いまむち打たるる思いで聞いておったわけでございます。全くそのとおりでございまして、的確な数字、資料も持たぬで説明に当たったこと、私からもまことに申しわけないと、おわびを申し上げる次第でございます。今後はこういうことのないように全力をあげて法案の整備並びにその背景を整えてまいりたいと思います。どうぞ御理解のほどをお願い申し上げます。
  45. 竹田四郎

    竹田四郎君 そこで質問のポイントを変えてまいりたいと思うのですが、確かにこの法案に書いてある、五トン未満のいわゆるレジャー船や漁船というものについては、これは私、政府趣旨は非常によくわかるわけです。そこで少なくとも港湾というもの、港湾にもいろいろな港湾があると思いますけれども、少なくとも五大港といわれるような重要港湾ですね、こういうものというのは、最近の船の込み方、あるいは全体でいって港湾の込み方、こういったことについては各方面から、船が込み過ぎるじゃないか、もう港湾の限度は一ぱいじゃないかということがよくいわれるわけです。  そこで東京港——京浜港と言ったほうが適切かもしれませんけれども、要するに東京湾内の船の込み方、これは一体どういうふうにお考えになっているのですかね。もし数値があれば、ひとつ数値でもってお示しをいただきたいと思うんですが、まあ私ども、たいへん大きな込み方である、したがって、たとえば東京湾内にはもうタンカーなんか入れたらいかぬじゃないか、したがって東京湾外にシーバースをつくって、それから油をパイプで送るというようなこと、こうしたこともずいぶん東京湾開発ということでは、いままで論議をされてきたわけですね。それから浦賀水道の危険性というようなこともいわれてきているわけですが、一体東京湾の過密度というものはどういうふうに判断したらいいか、お聞かせいただきたいと思います。
  46. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 確かに先生のおっしゃるように、東京湾は非常に混雑している湾であると思います。いま私、突然でございますので手に資料を持っていないままに、知識でお答えするしかないのでございますけれども、世界で一番大きな港がロッテルダムだと思います。これはユーロポートで、いわゆるヨーロッパの中で世界で一番大きな港でございます。長さにいたしますと、そのロッテルダムと同じくらいの長さが東京湾はございます。幅は東京湾が非常に大きいという形ですが、大体ロッテルダムの一倍半ぐらいの荷物をいま扱っておるのではないかと思います。うろ覚えでございますけれども、現在四億トン程度の貨物が出入していると思います。この四億トンというのは、戦前でいいますと昭和十二、三年ごろの日本全体の貨物量に匹敵するようなものでございます。  で、現在一番大きな船では二十万トン程度のタンカーが入ってまいりまして、京浜あるいは京葉地区に対する原油を供給している。なお小さな船、漁船も出入いたします。それからコンテナ等の船も出入している。全体的に見まして、このような形になったのは、やはり東京湾そのものが世界的に見ても非常にりっぱな湾であって静かな湾である、そして水深も適度にある、同時に裏のほうに平野があるというような、いろいろな条件があってこのような形になってきておりますが、このままで推移いたしますと、現在の四億トンはおそらく、かつての推計でございますけれども昭和六十年ぐらいまでにはそれの二倍か三倍になるというような傾向が見えるわけでございます。方向といたしましては、やはり過密の東京湾に対してはできるだけ抑制するような方向で、そして貨物あるいは船を地域に分散するような方向でいくべきではなかろうかというように考えている次第でございます。
  47. 竹田四郎

    竹田四郎君 あとでひとつ出入の船舶隻数、こうした資料をお届けいただきたいと思います。  まあ全体として非常に混乱している、混雑しているという状況、これは混雑がここで峠に来たとは私は思いませんけれども、まだまだこれから混雑をする可能性というのが非常にあると思います。そういたしますと、やはりいろいろな事故というようなものがあると思うのですが、法の不備に基づく事故あるいはその他の偶発的事故もあるだろうと思いますが、法の不備による事故というものは一体どのくらい全国で発生しあるいは東京湾でどのくらい発生しているのか、この点をひとつお聞きしたいと思うのですが、どうでしょうか。
  48. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) まことに申しわけございませんが、手元に資料が整備されておりません。法の不備による事故がどのくらいあるかということはちょっとお答えできませんのですが、事故の一般的概況をお答えいたしますと、最近三カ年間、海上保安庁に救助を求めてまいりました海難件数でございますが、昭和四十五年が二千六百四十六件、四十六年が二千六百件、四十七年が二千六百五十七件、これは一般船舶漁船、全部合わせた全国の数字でございます。それで大きな港でどのくらいあるかということでございますが、四十七年について申しますと、いわゆる五大港合計で二百五十六件ございます。そのうち京浜港だけを摘出いたしますと四十九件になります。このうち法の不備でどうかという点はちょっとお答えできません。
  49. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは船員局長、法の不備による事故というものがこの中でどのくらいあるというふうに推定しているわけですか。まあその法の不備による事故というものがある程度あるから法律改正ということをやる、あるいは五トン未満の船について資格を持たせる、こういうことですね。何かそういうことがなければやっぱり法を改正していくということにはならないのじゃないかと思うのですが、その辺はどうですか。
  50. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) 海難をいろいろ原因別、種類別に分析したような資料はございます。たとえば現象面から見ますと、機関故障がどのくらいであるとか衝突がどのくらいであるとか、あるいは転覆、浸水がどのくらいであるという現象面から見た資料はございますが、それぞれ船舶安全法船舶職員法あるいは海上衝突予防法、港則法、こういった安全を担保する諸法令を持っておるわけでございますが、これを順守するかしないか、あるいはその上にさらに不可抗力がかかってきておるかどうかというようなことで事故というものは発生するわけでございまして、法の不備がどうだからどれだけの事故が起こっておるかということは、ちょっと厳密な意味ではお答えができかねるというふうにわれわれは考えております。
  51. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは法を立案したところは船員局ですか、それともどこなんですか。その法を立案したところではそういうようなものはある程度、こういうものがないから事故がこんなにたくさんあるということで、立案の一つの根拠にされているだろうと私は思うのですけれども、これは立案当局にお聞きをしたいわけです。
  52. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) いま海上保安庁長官からもお話ございましたように、私ども海難のこの小型船舶の発生の原因についていろいろと調べて、それに基づいてやったわけでございまして、法の不備による云々ということについてはしておりませんです。
  53. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、この法をいままでのを改正したということは、事故の発生とは関係ないわけですね。事故の発生のおそれがあるという一般概念的なもので法改正をしたと、こういうことになりますかどうですか。
  54. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) この法律のそもそもの制定の理由は、先ほど申し上げましたように、特にこういった小型船舶の海難事故が非常に多いと、そしてその事故の原因は機関故障だとか、あるいは衝突と、いろいろとございますが、そういった漁船あるいはレジャーボート、そういったような特に事故の多いということ、そういうことから原因が発しておるわけでございまして、その場合に、一番われわれ分析いたしますると、そういった乗っている方が無免許である、あるいはそういった技術に非常に精通してないと、こういうようなことにかんがみましてこの法律を提出すると、こういうことに相なった次第でございます。
  55. 竹田四郎

    竹田四郎君 引き船の場合にまた戻ってまいりますけれども、現在引き船には具体的にどのくらいの人がどのような形あるいはどのような船にはどのくらいの人が乗り込んでいるのか。そういう点はお調べがありますか、ありませんか。
  56. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  まず全般的な問題といたしまして、港内業務用船舶ですね、港内業務用船舶について次のようになっております。  まず引き船が七百二十七隻、丙種機関士の数が七百二十七人。それから通船でございますが、これが五百七十九隻、同じく丙種機関士の数が五百七十九人。その他作業船でございますが、これが七百十四隻、それから丙種機関士の数が七百十四人。したがいまして合計が港内業務用船舶は二千二十隻になりまして、丙種機関士の数が二千二十人と、こういうふうになります。  それからなお、ちなみに現在丙種機関士が今回乗り組みを必要としなくなる四十馬力以上の推進機関を有する船舶でございますね、四十馬力以上の推進機関を有する船舶は約一万三千五百隻でございます。それでその内訳が漁船が六千五百隻で一般船が七千隻になっております。これに乗り込んでおる丙種機関士が約一万二千人と、こういうふうに相なっております。内訳は漁船が六千五百人、一般船が五千五百人と、こういうふうになっております。
  57. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは丙種機関士の場合でありますけれども、その他の補助者を含めて大体どのくらい乗り込んでいるのですか、全体として。
  58. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  通常の二十トン未満小型船舶はそのほとんどが二人で運航しております。それから引き船の場合は、これはいろいろな実態において若干変化がございますが、三人ないし四人ということになっております。
  59. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう少し具体的に、どのくらいの船には船長、それから機関士、補助員、そういうのを含めてどのくらい乗り込んでいるのか、そういう統計はございませんか。
  60. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  これは運輸省の港湾局で調べた数字でございますが、たとえば京浜港の横浜でございます。横浜の場合、はしけ労働者といたしまして、これは港湾の作業船にも従事している方も入っておるわけでございますが、三千三百七十九人、その他全国九十五港合わせますると約一万一千九百七十二人、こういうふうになっております。これは昭和四十七年度の数字でございます。
  61. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは乗り組み員として登録されているという意味ですか。具体的にどのくらい乗っているものだというのか、その辺はどうなんですか。乗り組み員として登録されているというのがそれだけあるというのか。普通は具体的にどのぐらい乗っているものなのかということですね、統計的に。
  62. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  引き船につきましては通常二名ないし五、六名、こういうふうになっております。なお引き船の場合には労務協定がございまして、この協定の中に人数が規定されておりまして、私が先般京浜の方、ここに組合の方もいらっしゃいますが、協約を見たところによりますると四名というふうに覚えております。
  63. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは協定によると四名でしょうけれども、一般的に協定外のところもあるわけですね。協定に参加している業者もあるだろうし、協定に参加していない業者もある。そういうものを含めてやっぱりいまおっしゃったようなことなんですか、どうなんですか。
  64. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  いまお話ししましたように、協定に入っていないところは二名ないし三名でございまして、協定に入っているところは四名ないし五名ということになります。
  65. 竹田四郎

    竹田四郎君 具体的に協定に入っているところと入っていないところ、業者数とその乗り組みしている人数、こういうものは一体どんな関係になっているか、これをひとつお示しいただきたい。
  66. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 実は港湾運送事業法ではそこまでの数字をとっておりませんので、港湾局のほうとしてはちょっとその数字がつかめません。
  67. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあ港湾事業をやっている船というのは夜も作業をやる場合が多いわけですね。それから少しばかり荒天だから作業をやめるというわけにもまいらぬ事態があると思うんですね。荒天でもかなり仕事をしなくちゃならぬ。あるいは突然いろいろな気象の変化というようなものも東京湾の中でも私はあると思うんです。そうしますと、やはりそういう乗り組み員というのはただ乗ればいいという、そういう形のものじゃなくて、最小限はこれだけなければ作業はできないし、また作業上の安全も期せられないということで、ある程度の定員をきめるなり、あるいは労使間でこれだけ乗せてくれなければ、こういうことで困るんだというような理屈づけもぼくはあると思うのです。ですから政府のほうとしては、大体どのぐらいなければ航行の安全あるいは作業の安全というようなものが期せられるのか期せられないかというような点は、何かお持ちになっているものはございますか。
  68. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  先ほど御説明いたしましたように、この船舶職員法において必要な最低限度の人数をきめると、こういうふうに相なっております。で、それだけでいいというわけではございませんで、それぞれ実態に応じまして、たとえば引き船等こういった特殊な事情いろいろとございますので、そういったような特殊な業務に従事する船舶は、その作業の実態に応じまして必要な数の乗り組み員を乗っけると、こういうふうになると思いますが、その数を幾らにするかと、こういった問題につきましては、それぞれ港の事情もございましょうし、あるいは船の事情もございましょうし、また仕事の事情によっても変わってくると思います。したがいまして、その数につきましては労使の間において協約を結んで、そして何名というふうになると思います。先ほど私が申し上げましたように、京浜地区におきましては、協約によってそういった補助員の方を四名乗っけるというふうに聞いております。
  69. 竹田四郎

    竹田四郎君 何名乗せれば安全であるか安全でないかという、そういうことは政府のほうはタッチをしない。船が動かせる最低の、これだけあれば船は動かせるという最低の基準だというわけですけれども、これは具体的にどのぐらい乗っているかという実態もつかんでいないわけですか。これは労働省がいいのか、港湾局がいいのか、その辺はどこがつかむべきかわかりませんけれども、むしろ労働省あたりがつかむべきかと思うのですけれども、その実態としてはどうなっているのか。
  70. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 実は非常にこまかいところまでの資料といいますか、実態はつかんでいないのがほんとうのところでございます。しかし大きく申し上げまして、そのはしけ関係者、労働関係の方の、東京、横浜、名古屋、大阪、神戸、この五港の乗り組みの関係の方を調べますと、はしけの合計が七千八百四十五隻、引き船千二百九隻、それのはしけ関係の方が七千五百八十五人というのが五港のトータルでございます。一港一港申し上げますと、東京では千五百九人、横浜は二千二百七十人、名古屋が六百三十五人、大阪が千五百六人、神戸が千六百六十五人でございます。これはどちらかといいますと、安全面そのものからよりも、そのような関係の方の人数を調べたという点からつかまえた数字でございまして、昭和四十七年十二月末の数字でございます。
  71. 竹田四郎

    竹田四郎君 これは実際それだけの人がいるというふうに簡単に言えば言ったほうがいいわけで、具体的に乗っている人というのはこういう形じゃないと思いますね、もっと減っていると思います。中には休む人もあれば病気する人もあるから、もっとあれですけれども、そういう実態というものをやっぱりつかまないと、一体それはほんとうの意味で安全なのか、安全でないのか。ただ人がそれだけいるということじゃなくて、これだけぐらいは乗って初めて安全なんだという実態がある程度出されなければいけないんじゃないですか、ただ人がいるというだけでは。だから大体、政府としても何人くらいは乗っているのがあたりまえだと、このくらいなければ事故の場合動きもとれないぞ、こういうことぐらいの判断ができる材料というのは、これは政府側にないわけですか。
  72. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 港湾側からお答えするのが筋かどうか、ちょっと私わかりませんが、やっぱり船舶職員法法律に基づくことと、労働省関係で労働問題、安全問題については所管しているわけでございます。しかしながら、私どもといたしましては、やはり企業に対して、当然、先ほどからの協約等に基づきまして今回のこの法律、先ほど大臣のおっしゃいましたように、この法律に従って直ちにカットするというふうなことは当然やらせるわけではございませんし、従来の安全面を十分考えながらやっていくという点の行政指導を十分やっていきたいと思うわけでございます。  港湾運送事業を監督する立場のほうからは、現在のところ、先生のおっしゃるように、安全には何人というところまでは実はいってないというのがほんとうのところでございます。
  73. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうしますと、政府のほうでは、大体安全には業界の常識としてこのぐらいはほしいんだという基準なしで、そして引き船に乗る人間は行政指導をすると言ったって何を基準にして行政指導をするかということになると、これはまた基準が出ませんな。私のところはこれでだいじょうぶだと思いますと、こう言われれば、どんどん人をおろして、業者としてはなるべく人件費を減らすということが、これは常識でしょう、資本主義である限りは。経済性を求めていくということになれば、その常識に私はなると思うんですよね。そういうものなしで、それじゃはたして先ほど言ったように、乗せますよと、行政指導の根拠というものは一体どこから出てくる。これがまあどうなるか知りませんけれども、一人ということになって、あと何人か乗せますよと、行政指導するというんだけれども、じゃその基準は一体何で定めると、何を基準にして行政指導ができるかというと、これはまたできないということになっちゃうんですね、対抗できないことになるでしょう。政府のほうではっきりしてこの船にはこのくらい乗せなくちゃいかぬ、十五トンの船にはこれだけ乗せなくちゃいかぬ、百トンの船にはこれだけ乗せなくちゃいかぬ、こういう基準があって行政指導というのは私は初めてできるものだと思うんですよ。自分のほうは根拠なしにして行政指導できますよ、行政指導できますよと言ったところで反論されたらどうしますか。業者から反論されたらどうしますか。あなたのほうにはどういう判断がありますかと、判断がないということになれば、これで安全ですよと言えば、それでそのままじゃないですか。先ほど大臣、強い行政指導をしますから御安心くださいと、こういうお話をさっきいただいたわけですけれども、それにはそれでやっぱりちゃんとした判断がなければ、これは丙種機関士に限りませんよ、航行の安全という立場で考えてみれば、この法律に直接関係あるなしにかかわらず、やっぱり一つの判断を政府として持たなければいけないんじゃないですか、行政指導できないんじゃないですか、できますか、それで。
  74. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まあいろいろむずかしい問題があるかと思いますけれども、船にもいろんな作業、どういうような作業をやるかというその作業量あるいはその作業内容等にもよると思います。したがいまして、船長が必要なことは、これはもう申すに及びませんし、さらに重要な部門におきましては、先ほど来議論になっておりますような機関を動かす機関士というものを、この御審議いただいております法律におきましては、御指摘引き船等においては丙種機関士というものをいままでどおりひとつ置くように強力に行政指導すると。その他の点につきましては、その船がどういうふうな一体作業をやり、またどういうふうな任務を遂行するかによって、あるいは補助員が三名要ることもございましょうし、あるいはその人数がきまってくると思うのでございます。したがいまして、船には最小限の資格なり定員というものは、一応めどはつくわけでございますけれども、それから先は、やはり作業量等によっていろいろお話し合いの上で人数をきめていく、また船の安全確保のためにどのぐらいの人数が要るかというようなことになってまいるのではないかと思うのでございますが、私もこの点については、いま常識論をやっているわけでございますけれども、そういう、何トンまでは何名、何トンまでは何名というような基準を持っていないとするならば、そういうようなことに立脚しているのじゃないだろうか、かように考える次第でございます。
  75. 竹田四郎

    竹田四郎君 それは私、基準というものが、公式な基準があるなしにかかわらず、政府のほうで指導する場合には、こういう船でこういう作業するのには何人ぐらいいなければ船の安全な運航はできないよというものの基準がなければ、進めるといったって進められないのじゃないですか、政府のほうで判断持っていなければ。どうでしょうか、私はそう思うのですがね。そうすると、業者の言うままに人数はなってしまうということになるのじゃないですか。  これはだれにお聞きしていいのかわからぬですがね。やはりこういう船にはこのくらい乗っていなければいけない、こういう船にはこのくらい乗っていなければいけないと、それでなければ船の安全あるいは生命の安全、これはいけません上というものが私はあるはずだと思うのですよ。それがもしできていない中で、いろいろ人数をこうしなさい、ああしなさいということになれば、これは結局、業者主導の安全ということになっちゃうのじゃないですか。業者が安全だと言うから安全でございますと、こういうことになっちゃうのじゃないですか。最近の石油の標準価格やなにかと同じことになるのじゃないですか。そういうものは防げないと私は思うのですが、どうですか。
  76. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 先生のおっしゃる点、まことにごもっともなことだと思います。ただ先ほど来申し上げておりまするように、この船舶職員法と申しますのは、有資格者の基準を定めているのでございまして、決して定員をきめておるのではないんでございます。さて、それぞれこういった港におきまする港内の事業用船舶につきましては、それぞれの作業の量によって、あるいは先ほど申しましたように作業の実態あるいは港の状況、こういったことをいろいろと考えまして乗り組み員を乗せなければならない、こういうことが基本的なポイントだと思います。それによっていろいろな労働条件なり、あるいはその他の条件がきまってくる、こういうことになりますので、私どもといたしましては、それぞれ港に応じた、そして適当な定員をきめなくちゃいけない、こういうことになるわけでありますが、実態はいまその実施に当たっておる労使が、使用者と組合の方がそれぞれ議論いたし、そして適当な数をいままできめておるというのが実情でございます。
  77. 竹田四郎

    竹田四郎君 組合のあるところはいいですな。組合員のほうは自分たち使われるんだから、あぶないとかなんとかいうことはあるから、それはいいのです。じゃあ港の実態をもう少し聞きたいのですが、こういう、これは別に船を動かすということだけに限らないで、一体船に乗り組む、その船で、船に関連して作業する。通船とかなんかじゃないですよ。船を動かすということについて、そういう労働者の組織率は一体どうなっておりますか。ほとんど全部が組織されていますか、されていませんか、どちらですか。
  78. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 組織率につきましては、私ども責任あるお答えができないわけでございまして、労働省のほうでないと明確には出ないんじゃないかと思います。
  79. 竹田四郎

    竹田四郎君 労働省から来ていますか、来ていたらひとつ組織率がどういうふうになっているか。
  80. 永場久治

    説明員永場久治君) はしけ、引き船の労働者の組織率でございますけれども、実はこれを正確に積み上げますには、労働組合基本調査の各単組別人員を拾い上げて計算しませんとその組織率がわからないわけでございます。私どもその積み上げ作業をやっておりませんので、正確なことはここで申し上げられないわけでございます。ただ関係の労働組合、これは二つございまして、一つは全日海という組合でございます。もう一つは全港湾という組合でございます。それぞれに照会いたしますと、船によって違いがあるわけでございます。少なく見積もった組合で四割、それから多い組合で六割こういうふうな推定になっております。一方業界のほうで聞きますと四割ぐらい、こういうふうに聞いております。したがいまして、正確な個々の単位組合の積み上げ計算はやっておりませんけれども、おおよそ四割から六割、四割強と、こういったところが妥当なところじゃないかと思っております。
  81. 竹田四郎

    竹田四郎君 そうすると、両方合わせて半分に割って大まかな数字で五割ですな。五割は組織されていないということになりますね。さっきのお話を聞いていると、組織された連中は協定を結んでそれによって守るから、組織した連中はいいけれども、組織されないのは業界の言うままだ、かってにしろと、こういうことになってしまうのじゃないですか。政府がある程度基準を持っていれば、組織されてない人たちについてもある程度これぐらいにしなくちゃいかぬということになりますけれども、どうもさっきから話を聞いていれば、組織されたところは組合のほうががんばってこれくらいなくちゃいかぬというので、安全に必要な要員を確保するけれども、組織されてない連中は、それは結局業者が安全ですと言われればそのまま、こういうことになって、港の業務にタッチしているところの半分の人というのは、非常に危険に常にさらされている、こういうことになりませんか。
  82. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、組織化された組合の方と業者の間におきましては、そういった協定によりまして、そういった補助員の人数がきまっておる、四名ないし五名と、こういうことを申し上げたわけでございますが、いま先生指摘の非組織下の方については、なるほど先生おっしゃるとおりでございますが、これにつきましては私ども港湾局あるいは労働省の方もおられますが、関係機関と密接な連絡をもちまして遺漏のないようにつとめたいと、かように考えております。
  83. 竹田四郎

    竹田四郎君 お答はきわめてそつがなくてりっぱですけれども現実にはそういうものがいままでずっと続いているんでしょう。ここへきて半分が組織されていない、半分は組織されたという事態がここにきて急にあらわれてきたわけじゃないんです。いままで具体的にそういうものが厳然としてあるわけですよね。それにもかかわらず、そういうものに対する政府自体の判断、こういうものがないということになると行政指導もできないということですね、そうは大臣なりませんか。そういう意味で、ある程度の政府の判断というもの、こういうものは持っていなくちゃいけないんじゃないですか。組織されたなら守られるけれども、組織されないなら、おまえらかってに危険にあっても何でもかまいやしない、こういうことになりかねないですね。大臣それはどうですか、変だと思いませんか。
  84. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まことに専門的な話でございますが、組織されてない方々の乗船につきましては、先ほど来繰り返し申し上げておりますように、船長なり機関士なり、あるいは補助員なりというものが、その作業の実態あるいは港湾の運航状況その他によって判断されて、話し合いの上でそういうような運航の安全が保たれているわけでございまして、何人乗せなければならないというのを、ここで法律化するかどうかということにつきまして、あるいは基準をどういうところに置くかというのは、繰り返し申しておりますように、やはり作業実態等において話し合いの上で安全なる作業が遂行されるということが望ましい姿だと思うわけでございます。これは組織されておろうがおるまいが、そういう基準においていろいろお話し合いがなされておるだろうと思います。したがいまして、監督する官庁といたしましては、まず第一番は安全の確保であろうと思います。で、その上でその作業量、作業内容等においていろいろ人員等も配置されるわけでございまして、最終的には、いわゆる安全確保のためには、これは行政指導で十分各省間の連絡をとってやっていかなきゃならぬ問題だと思います。
  85. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもよくわからないんですが、大臣の言うことが。やはりそれは一つ法律にきめるかきめないかということを私はいま問うているわけじゃないです。政府のほうで大体このぐらいのものは必要じゃないかという判断、こういうものを持っていないと対抗できないんじゃないですか。あなたのところはもう一人人を乗せなさいと言ったって、いやこれは話し合ってだいじょうぶですと、で、労使関係が対等な関係にあるというのは、組織があってはじめて対等な関係にあるわけなんです。組織のない人は、へえそうでござんすかと、いやでも何でも仕事をしなくちゃならぬ、こういうことにだんだんなっていくんじゃないですか。そう思いませんか。  私は、政府として大体このぐらいのものは常識だという数字を、やっぱり胸の中に秘めて行政指導をしなければできないんじゃないかと思いますけれども、何か大臣の言っていることよくわからないんですよ。私は、やっぱりそういうものを胸の中に秘めて、ああもう少しこうしなさいよ、こうしなさいよ——それをしなかったら処罰するとかしないとかいう問題は別ですよ。そういう基準というものをやはり私は政府が持つべきだ。それでなければ行政指導なんてできたものじゃない。基準があって初めて行政指導できるわけです。だから、いまここでその基準がないということがはっきりしているんですからね、そういう意味では、せっかくこういう船舶職員法という法律改正して航行の安全を期すると、こういうことであっても、どうもあんまり航行の安全を真剣に期すことのできるような状況じゃない。せいぜい一人乗りレジャーボートあるいは漁船漁船も一人乗り二人乗りのすぐ近くでやっているような漁船しか対象にならない。それ以上のものについては、ほんとうにこの法律によって船舶航行の安全、生命の安全というものが期せられるというぴしっとしたものが私はないように思う。そういう意味からいえば、この改正趣旨というのはどうも文字どおりわれわれとして受け取れない。何かどこかにひっかかるものがあると、こういうふうに言わざるを得ないわけです。そういうものは今後も考えていく意思は全然ないわけですか、どうなんですか。
  86. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) ただいま竹田先生おっしゃるとおりでございまして、私どもは、あくまでもこの法律に基づきまして小型船舶事故防止をはかるという基本的な理念には変わりございません。で、いま先生指摘のような、こういった未組織の方に対する措置につきましては、私どもいろいろと全国的な基準なり、あるいはその当該港湾における実態、こういうものを十分に研究します。そして先生のおっしゃる基準とは言わないまでも、そういった一つの行政の指針になるようなものをつくりまして、そういった未組織船の場合におきましても、そういった支障がないように安全な行政指導をはかっていきたいと、かように考えております。
  87. 竹田四郎

    竹田四郎君 まあそういうものが、私に言われて初めて答えるというような形でこの法律が出されてきたというのは、私は勉強が足りないと思うんですがね。私はこの法案を見たのは先週の金曜日ですよ。それから考えてもこのくらいのことは言えるわけですよ。あなた方はもっぱらこの行政に当たっているわけですよ。そうしてみますと、一体どういうことを考えているのか、どうも私、この法案改正のほんとうの趣旨というようなものがよくわからなくなってきた、こういうふうに思うわけであります。  次に問題を移したいと思うんですが、一ぱい船主というのがございますね。一ぱい船主というのは一体どういうのを言うんですか。あるいは船主船長なんということがいわれておりますが、それはどういう形の船のことを言うんですか。
  88. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 先生のおっしゃっているのはいわゆる個人はしけと称されるものだと思います。一人の方が船主と船頭を兼任いたしまして一ぱいのはしけを運航しているのではないかと思います。それで一般的にははしけ運送事業者にはしけを貸して、はしけ運送事業者の仕事を手伝っているというような仕事をやっているようでございます。
  89. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう自分が船を持っていて自分が船頭をやる、あるいは自分が船を持っていなくても船長を雇ってやるという一ぱい船主ですね、これは一体どのくらいあるんですか。そうしてこの人たちからいまどういう要求が出ているんですか。
  90. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 正確な数字は私わからないんでございますけれども、この前聞いたところによりますと、神戸では何か七〇%ぐらいというふうな話を聞きました。  それで、その待遇のほうでございますけれども、元請がはしけ業者に下請けを出します。そのときに一〇%の、何といいますか割り符というのを取りますが、そのはしけ業者に、今度はいま言った個人はしけが船を貸すと。その際に三十数%しかはしけ業者からもらっていないというような話を聞いております。きわめて低いのではないかというような話を聞いている次第でございます。
  91. 竹田四郎

    竹田四郎君 結局そういう人たち規定の、十分やっていけるような形での料金というのはもらっていないわけですね。  それで、トリップ賃金というようなことを私、聞いたのですけれども、このトリップというのはどういうことなんですか。
  92. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) いまトリップ云々というのは、ちょっと調べてもらっております。  その三十数%でやっていかれるかどうかというお話は、実はよくわかりませんが、いろいろお話を聞きますと、確かにつらいようでございます。で、現在個人はしけの方々は、いわゆる港湾運送事業免許を持っているわけでございませんで、持った船をはしけ業者に貸しているというような形でやっておりますので、やはりそこのところ、いかにも低いというような感じが出てくるんではないかと思います。
  93. 竹田四郎

    竹田四郎君 それで、いまそういう一ぱいはしけの人から——一ぱいはしけの動力船ですね、その人たちから乗り組み員を一人にしてくれと。で、いまそういうようなことをやっているというふうに私、聞いているわけですが、ことしの三月三十一日まではそういうものを認めているというような話ですが、本来は私は二人以上乗らなくちゃならぬ当然の船だろうと思うんです、船の大きさも大きいですからね。それが現実には一人で乗っているということのようですが、そういう問題はいまどういうふうになっておりますか。
  94. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) ただいま先生がおっしゃったのは、いま議論されているのとは別でございまして、いわゆる機づきはしけの点でございますね。この点につきましては先生指摘のように、気動はしけになった場合に、定員の問題について緩和してくれと、こういう陳情が業界からございました。これにつきまして、通達でことしの三月三十一日までずっと緩和規定を延ばしておったのが事実でございます。  さて定員につきまして緩和してくれという問題につきまして、私ども業界から陳情を受けております。また各方面からもぜひ緩和してもらいたい、こういう陳情を受けていることは事実でございます。これにつきましては先生承知のように、船舶職員法の二十条で、そのような別表の定員の合理化数、あるいは緩和数といいますか、こういった問題につきましては二十条で、それぞれ関係機関が集まりまして、そして決定する、こういうたてまえになっております。したがいまして、現在この問題につきましては、この船舶職員法の二十条小委員会というのを設けまして、そして先般来その会議を開催しております。実は昨日その会議の第二回目を催しました。そして関係者それぞれの方をお呼びいたしまして、そしてその実態をいま現在検討しているところでございまして、まだ結論は出ておりません。これはそれぞれ組合の方あるいは中立の公益委員の方あるいは業界の方、それぞれ意見が出るわけでございまして、私どもはあくまでも安全という趣旨からそのことをきめたいと思いますが、いずれにしてもその二十条小委員会でいま検討しておりますので、その結果を待って処置したいと、かように考えている次第でございます。
  95. 竹田四郎

    竹田四郎君 結局、その一人乗りにしてくれというのは、さっき言ったように三〇%しかもらえないと、まあやっていけるかやっていけないか最終のぎりぎりの線、こういうことは私は当然二人以上乗らなきゃならないものを、まあ一人でかんべんしてくれよという話に私はなってきていると思うんですよ。こういうことをやっていって、はたして安全が期せられるかどうかということはわかりませんよ。しかし、これはおそらくあなた方は一人にしていこうという腹だとぼくは思うんです。今後それはどうするんですか。いま現実に一人でやっていくという措置を認めているんでしょう。現実には認めているんでしょう。
  96. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  いままでは先ほどお話ししましたように、その通達によって軽減措置を認めております。ただ三月三十一日で切れますから、そこで先ほど申しましたように、二十条小委員会を催しまして、そしてその答申をもちまして結論を出したいと、かように考えているわけでございます。  なお、ちょっと補足いたしますが、いまの竹田先生の御質問の意味は、帆船が機船に登録がえになったわけでございますね。登録がえになって、そしてその場合におきまする職員法に基づきまする定員の緩和問題、こういうものが起きたわけでございます。それで、その結論につきましては、いま関係機関と慎重に審議いたしまして、そしてその結論を待ちまして、私どものほうで最後的な答えを出したいと、かように考えているわけでございます。
  97. 竹田四郎

    竹田四郎君 港湾の問題で一番大きな問題というのは、常に港湾というのはダンピングが行なわれている。そのダンピングのためた港湾労働者の社会的地位なり経済的地位というようなものが常に脅かされている。そこへまた一つ、暴力団というのが港湾には大体入り込んでいる。ますます港湾労働者の立場というのは弱くなる。したがって近代化されない。ピンはねはもうあちらこちらに公然と起きている。まあ人買いすらいるという、こういう私は港湾労働の実態だろうと思うんです。いままたますます人を減らす。今度のこの改正案でも、丙種機関士をおろしてしまう、ほかのやつをだれでもいいから乗せるように指導する。こういうことになれば、またこれも賃下げなり港湾料金を引き下げてダンピングさしていく大きな根源をつくるようなものだと思う。また現実に私は港湾料金が公定のもので行なわれているとは思いません。かなり切り下げられて行なわれていると思うんです。官庁への報告にはちゃんとなっているかもしれぬけれども現実にはいろいろな形で切り下げられている。  今度の法律も、港湾に関する限りは、そういうようなことをねらっているんじゃないか。だから前の局長は、そんな余分なものは要りませんと、こう言っている。機械がよくなったから要らないんじゃなくて、港湾料金をうんと安くし、ダンピングをさせ、これによって流通経費をうんと下げていく。これも確実に、安全で下げていくというならいいですよ。先ほどのようにリモートコントロールがと言われる。ほんとうはそうじゃないけれども、言われるものを含めても、引き船の中で半分。この中であえて資格のある丙種機関士をおろしてしまう。これは行政指導でやると言っているけれども、そんな簡単に行政指導が私はできないと思うんですね。これは運輸大臣、あなたは二・二九通達というのが一体どういうふうにいま守られているかどうかということは、とくと御承知のはずだと思うのですよ、運輸省が出した二・二九通達だって守られていないんだから、もっと、何といいますか、複雑怪奇な港湾の形の中で通達がそう容易に守られるとは思いませんよ。二・二九通達が守られているというなら、私は今度の港湾の問題も、丙種機関士はおろさないというあなたの通達は守られるというふうに思いますけれどもね。二・二九通達は確実に実施されていますか、どうですか。大臣、どうですか。
  98. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まことに申しわけございませんが、私二・二九通達という内容を承知してないわけでございまして、まことにその点は申しわけございませんが、あるいは船舶関係なのか、自動車……
  99. 竹田四郎

    竹田四郎君 トラック関係。
  100. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) トランク関係——しかしながら、いままで御指摘にございました点につきましては、私はこれはもう省令というわけにはまいらぬかもわかりませんけれども、省令に近いというぐらいの厳密な、厳重な通達によって、これはもう明確に守らしていくように処置していくということをお約束申し上げる次第でございます。
  101. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) いま大臣の発言について委員長からもちょっと発言をいたします。  ただいまの大臣趣旨を体して各関係の局長は、その実をあげるように努力していただきたいと思います。
  102. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはおそらく二・二九通達とか、三・二二通達なんというのは、私は局長あたりでは話できていると思うのです、組合との間で。私がここで初めて言うわけじゃないですよ、大臣じゃないですよ、ほかの方は聞いていると思うのですよ。ですから大臣、わが敬愛する徳永さんがもう少しきちっとやってくださいよ。あなたが答えられないにしても、ほかの人が大体こういうもんですということが答えられるような、そういう体制にしてくれませんか。これはあなたのためというよりも日本の運輸行政のためですよ。その辺ひとつぜひこちらからお願いしておきたいと思うんですけれども、そういうふうに二・二九通達も具体的にどう実施されているかということが明らかでない。そういう事態の中で、いま大臣の言った省令でやってもらえば一番いいですよ。いまの丙種機関士の問題も、そのぐらい強くやらなければ、普通の行政指導で聞くような相手じゃないですよ。自動車に対するよりももっと港に対するほうがむずかしいですよ。自動車ならわれわれの目にも触れる。しかし港の問題というのは、国民はわかっているようでわかんないですよ。  これは横浜市民だってそうですよ。あれだけの港を持っていながら港に関する知識というのは、横浜市民非常に弱いですよ、常に目で接していないからです、はだで接していないからです、港というのは。だから、よほど強い規定でなければ、おそらく業者が守るなんということはあり得ないですよ。その辺もっときびしく大臣考えてくれないと、普通の通達でいい——二・二九通達だって守られていないんですからね。普通の通達ぐらいじゃ私は守られるとは思いませんよ。そしておそらくあなたがそう言っていても、強い規制をしていかなければ、はしけなりあるいは引き船に乗っている人をどんどんおろしていきますよ。横浜の回漕協会だって法律にないやつを乗しておく必要はないと言っているのです。法律が通らない前からそう言っているんですよ、横浜回漕協会は。そういう事態の中ですから、いませっかくあなたは省令に近いといったんですが、省令ぐらいに載せてくださいよ。それじゃ守られませんよ、あなたの言ったことは。横浜の近くにいらっしゃるあなたの通達が横浜の港自体で守れないという、そうした現実があるかもしれませんよ。だから省令の中に入れる、このくらいにしてほしいんですがね。
  103. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私は法律的な手続は詳しくないわけでございますが、法律を受けて省令ができると思うんです。しかし、それはともかくとしまして、いま竹田委員の御指摘のような覚悟で、私はこの法律通してもらおうと、ここだけのただ一片の答弁で逃げようとは考えておりません。私は約束したからには私の力だめしにひとつやってみせます。部下を監督いたして必ずお約束したことは実行いたします。また、そういうような点で手抜かり等があったことが御指摘いただきましたら、私は異常な決意をもってこのお約束は実行する覚悟でございます。
  104. 竹田四郎

    竹田四郎君 これはひとつ、理事の皆さんに具体的にこの問題をどうしていくかということについては、十分理事会等で話し合っていただかなければならないというふうに思うわけでございます。大臣の決意を伺いまして、私非常に心強く思ったわけでありまして、ひとつ大臣のほうも、ここの場の言いのがれだけでなくてやってもらいたいと思うんです。  どうも私、何回も言うようでありますけれども、少なくとも五大港という非常に海上交通がふくそうしている中で、五大港の港湾事業というのをこの法律で一律にやっていくということは、それ自体無理があると思うんです。たとえば五トン未満船舶でも、小型船舶操縦士、今度は十六歳で免許を取れるわけでしょう。これも簡単に取れるわけです。そうむずかしい形で取らなくても簡単に取れるわけです。横浜の港でこの十六歳がモーターボートを走らせてごらんなさい、一体安全に走れるかどうか。この免許を持っていたら横浜港の一番込んでいるどころだって走れますよ。現実に走れるかどうか。いま一人で運航している横浜港の船の、大体経験年数はどのくらいあるかお調べになったことがありますか。中学卒業したのが幾らモーターボートでも、あの横浜港の中を事故なしで走れるということが世間全般から信じられるとは思いませんがね。鎌倉の由比ケ浜の沖なら十六歳でも走れると思うんですが、横浜の港の中で一体そういうことができるのかどうか。しかし、この規定によれば、横浜の港の中を十六歳のが走れるわけです。それは漁船モーターボートの場合は私は十六歳でもいいと思うんです。実際に経験のないのが横浜の港に資格だけ取って走れるかどうか、どうですか。
  105. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生から免許年齢を十六歳にしておる、これにつきまして危険ではないか、こういう御質問であろうと思います。まず第一点といたしまして、今回の法律改正によりまする免許の年齢の問題は、第一には四級の小型船舶操縦士だけに限るわけであります。一級、二級、三級全部じゃございませんで、あくまでも四級の小型船舶操縦士に限りまして十六歳にする、こういうことが第一の問題でございます。  さて、じゃ十六歳でだいじょうぶかどうかということでございますが、実はこの問題につきましては審議会でもいろいろと議論がございまして、いろいろと検討したのでございますが、先生承知のように、十六歳といいますると中学校を卒業したと、こういう年齢でございまして、いまお話ししました四級の小型船舶操縦をするという、つまりそういった船舶の構造なり、あるいは航行の実態から考えますれば、中卒程度でも十分にその試験を受ける、あるいはまた航行する実力があるのではないかと、こういうことで十六歳という改正案を出した次第でございます。  それから、これは陸上と比較したらいけないと言われるかもしれませんが、法制局の審査の過程におきまして、御承知のように陸上の軽免のほうも十六歳になっております。しかし私どもといたしましては、先生指摘のように、陸とまた海とは違うのでございまして、そういった十六歳の方がすぐ実際にハンドルを握るということは、実際上はまずないのじゃないか。と申しますのは、実際の職制上いろいろと経験を積んだ方、あるいは一ぺんじゃできませんから、長年の経験がどうしても尊重される。こういうところから見まして、やはり十六歳にはもちろん資格はございますが、実際に船長になるというのは相当の職制上からいっても経験年数が要るのじゃないかと、かように考えておりますし、私どももそういったことを踏まえまして、十分に海運局を通しまして行政指導をはかり、そしてそういった事故がないように極力つとめていきたいと、かように考えておる次第でございます。
  106. 竹田四郎

    竹田四郎君 ぼくの質問ちっとも答えていないのです。ぼくは一般の由比ケ浜や、どこかあの辺ならできるだろうというのですよ。少なくとも五大港でそういったことが一体できるかどうか。私は陸上のことは言ってはいませんよ。こういう免許を持ったら五大港でも走れるわけですが、一体走れるかどうか。おまえは何年、職制上何だということなんていいですよ、ただ走るだけでも走れるかどうか。どうですか、走れますか、あんなふくそうした五大港の中で。
  107. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 技術的にはこういった試験に合格すれば走れると思います。ただ実際の問題といたしまして、先生が御指摘のように、非常なふくそうした港におきましては、それぞれ船長あるいはそういった従事者の判断によってきまっていくというふうに考えます。
  108. 竹田四郎

    竹田四郎君 だから私は、そういう意味では大きな港湾の中でのあり方と、その辺の海水浴場のあり方というものは、もう少し区別して考えてくれなくちゃ困ると思うのです。ただ一般的にやっていくということだから、私はあなたのような相矛盾するというのか、何か片方に非常に危惧を残したような発言にならざるを得ないと思うのですよ。だから港湾運送事業法全部とは私は言いませんけれども、少なくとも五大港ぐらいの中には、私は特殊な事例をつくるべきだと思うのです。同じようなやり方だったらほかの船があぶなくてしょうがないですよ。そういう点で大臣、一般的に考えるというのは私は間違いだと思うのです。少なくとも重要港湾については、特別に考えていかなければ同じようにいかないと私は思うのですよ。それを無理やりにほかと同じように扱おうとするところに、きょうの議論の大多数というのはそこに無理があるということをあなた方自体も認めているような話ですよ。ですから、ひとつレジャーの問題と、こういうふうな経済的に重要な港湾における場合というものとを区別して考えなければいけないと思うのです。特例なら特例を、こういうのをつくるというふうにしなければいかぬと思うのですが、どうですか大臣
  109. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) ただいま先生のおっしゃった点、特にこういった六大港において非常に船舶がふくそうしております。またそういった危険状態が非常にあることも事実でございます。そういったことにかんがみまして、私どもといたしましても、こういった危険防止という観点から、十六歳の方が、すぐ実際のハンドルをとるということは、極力やはり慎むべきじゃないか、こういうことで、その港の実態に応じまして、各現地の海運局あるいは海上保安庁その他関係機関と十分な連絡をとってその事故防止をはかっていきたい。  なお先生から先ほどお話ございました、こういった免許、十六歳の方が免状を取って航行できるかどうかということでございますが、これは免状を取れば航行できることは事実でございます。この場合に、法律的に申しますると、港内におきましては、これは海上保安庁の所管でございまするが、港則法によりまして、その取り締まりを受けるわけでございまして、当然にこういった免状を持った方は十分に港則法あるいはその他の関係法規を十分に熟知しておるというふうに思っておりますので、少なくともそういった事故はないというふうに確信しておるのでございまするが、なお私どもといたしましても、関係機関と十分に連絡とりまして、特にこういった六大港においては、一段の注意を払うように行政指導をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  110. 竹田四郎

    竹田四郎君 どうもその辺が行政指導行政指導だ、一回船に乗って海に出ちゃったのにどうして行政指導するのですか。それにまあいままでなら三年ぐらいの実技をやってきながら、そうして十八歳で取れたわけです。今度はそういう何年間の経験年数というものを必置の期間として置かなくてもいいわけでしょう。いままでは三年間なら三年間、先輩連中と一緒にやってあれを覚え、これを覚えてきたわけですよ。今度はとにかく船の操作と、頭の中で港則法なり、海上交通安全法なり、衝突予防法なんていうものを教わるわけでしょう。そんなものがたくさん頭の中に詰まったって、それはいろいろな経験をしなければ、そう港の中は簡単にいきませんよ。自動車なら道があるから、それについていけばいいわけです。  港の中には、こう行かなければいけないという明示された道はないわけですからね。まあどっち側を通らなくちゃいかぬとか、こっち側を通らなくちゃいかぬということはあるけれども、線はないのですよ。自動車の場合には、右へ回るときには右へ回るように路上に表示されています。あるいはこっちに入っちゃいかぬという標識がありますが、海にはそんな標識ないのですよ。たくさん覚えたことを机の上ではできるかもしれぬけれども、とっさのハンドルさばきでそういうことができるかどうかといったら、私は非常に無理だと思う。おそらくそんなものが港の中へ入ってくるということになれば、経済活動がものすごく阻害されると思う。だからこの辺は何か特例というものを設けなければ、大きな船やほかの仕事をする船の迷惑になって私はかなわぬと思う。そういうことを考えることはありますか。
  111. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) まず先生指摘免許年齢の十六歳の対象の方でございますが、これは先ほど申しましたように、四級の小型船舶操縦士ということになります。これは学科が十五時間と、それから実技の場合は十二時間と、こういうことでございまして、十分な実技試験をやる、こういうたてまえをとっております。したがいまして、そういった学科と実技を両方マスターした者でなければ、こういった四級小型船舶操縦士になれないのでございます。それが第一点。  それから、こういう問題もございます。かりに十八歳ということになりますと、これは一般の場合でございますが、御承知のように、最近十六歳でもすぐ船に乗ってしまうと、あるいは漁労に従事するとか、あるいは実際に動かしてしまうと、こういうことで無免許で乗ってしまうと、こういう例も非常に多いわけでございます。そこで先ほど申しましたように、中学卒程度で、そうしていまの四級のところならば一応知識、能力はあるんじゃないか、こういうことと、それから、こういった学科試験なり実技試験の講習会等を通しまして港のルールを教える。こういうことも非常に大事じゃないか。先生の御指摘のように、非常に錯綜した港において、やたらに航行の安全を阻害するような航行があっては困るわけでございまして、こういった点につきまして、講習会におきまして極力港のマナーといいますか、こういったことも十分に教えまして、そうして先生の御指摘のようなことがないように今後行政指導していきたいと、かように考えておる次第でございます。
  112. 竹田四郎

    竹田四郎君 だからね、私は一般的に十六歳いかぬと言っているんじゃないんですよ。漁船の場合とか、あるいはそのほかのレジャーの場合は、私はそれを否定しているわけじゃないんですよ。少なくとも重要港湾の内部においてはそういうものはちょっと困るんじゃないか、その辺にも何か特例が必要じゃないだろうか、こういうふうに言っているんです。あなたのほうは、何かこうすぐ私の言っていることを一般化しちゃって、一般化の中で話をしているわけです。私の言っているのは、そういう重要港湾においては、そういうことじゃかえって困るんじゃないか、その辺は例外規定があってもいいんじゃないかと、こういうことを言っているわけです。だから問いに対して答えてくださいよ、一般論じゃ困るんですよ、私の質問は。
  113. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) いま一般論も申し上げたわけでございますが、特に六大港におきましては、先生指摘のとおりでございますので、こういった点につきましては、六大港の実態あるいはそういった先ほど申し上げました当該船舶あるいはその港のいろんな気象条件、そういったものを十分勘案いたしまして、遺漏のないように極力行政指導をはかっていきたいと、かように考えております。
  114. 竹田四郎

    竹田四郎君 もう私の時間も切れたようですから、あんまりむだなことを言い合っていてもどうもプラスにならないような気がして私、しようないんですよ。  大臣、やっぱり重要港湾は重要港湾なりの経済的な問題があるわけですよ。ですから、それはそれとしてやはり別に私は考えていかないと無理があると思うのです。この法律を同じようにあと行政指導行政指導というふうな形でやっていくということには無理があるんじゃないか。どれ一つとったって無理なことばかり、この辺は私は別に考えなくちゃいかぬと思うのですがね。ただ単なる行政指導だけでいいですか。行政指導といったって、一つのところに雇われている人はいいでしょう、雇われてないで乗り継いでくるのだってないという保証はないわけです。何らかの意味で、私はそういう重要港湾なら重要港湾の経済活動を円滑にさしていく、しかも安全が確保されるというようなものは別に考えないといかぬと思うのですが、どうですか、大臣
  115. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のように、由比ケ浜の沖でふっ飛ばして歩くんならたいしたことはございませんが、浦賀水道のあの狭いところでいろいろ産業活動にも妨げになるというようなことのないような措置は、これは当然考えなきゃならぬことだろうと思います。これはもう年齢等にかかわらず非常に重要な問題でございますが、こういう点につきましては、海上保安庁等の取り締まりと申しますか、指導等も合わせまして、そういうような間違いのないような、また講習等を通じまして、そういう面において十分訓練、知識を積み重ねると同時に、万全の措置を今後とっていかなきゃならぬと思います。お説の点につきましては十分配慮いたしまして、間違いのないような措置をとりたいと思っております。
  116. 森中守義

    ○森中守義君 関連。  局長、これはいまお尋ねの中でもちょっと出たように、海上交通安全法を二、三年前ここで議論したときに、とにかくいまの沿岸の状態はたいへんなもんだというわけで、非常に問題があったにかかわらず海上交通安全法をつくったわけですね、その意思を了承しまして。だから今回、この法案については当然保安庁は海上交通安全法を一体どういったように見ているか、そういう意味で特定の海域を設定をするとか、その辺の配慮は当然あってしかるべきだったと私は思う。これは私の持ち時間の中でも少しただす必要はあると思っていたんですが、そういう意味で、そういう他の法律との関係はどういったように見ているんですか。
  117. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) 従来港則法によりまして港内の交通秩序を維持してまいりました。最近では非常に港外、いわゆる浦賀水道的な港の外の船舶交通のふくそう度合いが非常に逼迫してきたために、先生御存じのとおりの海上交通法の制定をお願いしたわけでございます。現在は港則法による交通秩序と海上交通法にいう指定航路における特定な交通ルールと、この二つをもって規制をしております。先ほどからのいろいろ御質問ございました五大港の中の航行規制ができるかできないかという点は、港則法でもって港長が航行区域の指定、航法の規制をすることは港則法で可能でございます。現在どの程度やっておるかという点は、まだ十分調査が済んでおりませんけれども横浜港における遊走の禁止などはすでに一部やっておるようでございます。この辺は将来モーターボートの、レジャーボートの実情をよく調べまして船員局のほうと十分相談をしてやってまいりたい。  それから浦賀水道における海上交通安全法につきましては、レジャーボートといえども指定航路においては指定航路どおりのルールを守っていただく、スピードの制限は守っていただく、こういうことになります。それから航路への出入りにつきましても、レジャーボートだからといってかってな航行は許さないと、こういうような観点から、われわれのほうは指導取り締まりを期してまいりたい、このように考えております。
  118. 竹田四郎

    竹田四郎君 紙の上のお答えは非常にりっぱですよ、できそうですよ、紙の上のお答えではね。現実にはそれじゃ海上保安庁がどれだけそういうことを守らせるだけの強制力が具体的にあるかどうか。あとで引っぱりあげて何とかということではないと思う。人員だって船だってたくさんあるわけじゃないです。それに十六歳くらいの人たちが、そういう法律を守ってやるというようないまの雰囲気かどうか、ということになるとこれにも問題がありますよ。  それで一体どうなんですか、あとでこういう試験をした人たちを定期的に講習をやって常にそういうものを植え込むというような、試験機関はありますけれども、そういう訓練機関というのは、たとえば三年おきに訓練をするとか、そういう免許証を持った者を、五年おきに訓練をするとか、二年おきに訓練をするとか、そういうようなことはあるんですか、ないんですか。
  119. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  そういう訓練するというようなことはいまのところ考えておりません。ただ、そういったことがないように、いろいろとわれわれ運輸省関係機関と密接な連絡とりまして事故防止に万全を期していきたいと、かように考えております。  なお先ほど先生から十六歳の免許年齢の問題がございまして、これについて補足さしていただきますが、引き船でございますね、引き船の実態はどうかと申しますと、引き船の大多数は五トン以上でございます。そうなりますると、法律で書いてございますように、三級小型船舶操縦士になります。したがいまして、十八歳というのが大多数でございまして、引き船の場合は十六歳の方はないということになるわけでございます。補足さしていただきます。
  120. 竹田四郎

    竹田四郎君 そういう形であとで講習でもじゃんじゃんやるということになりゃ私は十六歳でもだんだん身につくと思うんですが、講習はしない、免許を取ればあとはもう自由かってだ、取り締まりのほうも、そうここで話があるような取り締まりというのはおそらく現実問題としておそらくないだろうということが言えるわけですね。ことばの上で言えても現実的にはそれを取り締まることができる体制にはないわけです。あると私は思いません。そういうことでありますと、もう全くそうした四級の小型船舶操縦士が乗っている船というものは海岸ではいいでしょうけれども、港ではもうあばれ馬と同じようなものだというふうに言わざるを得ないと思うんです。  あと一問で私やめますけれども、今度の試験機関は一体どこへ委任するのですか。衆議院のほうの話ですと、モーターボート協会とか、あるいは何とか協会という名前があがっているんですけれどもモーターボート協会に委任をするというふうに大体きまっているわけですか。あなたのほうのお話では三千二百万円の予算というものは早くやらなければいかぬ、この法案をきょうじゅうにあげてくれ、それでないとあとのいろいろな手続が進まないからというふうな、非常に緊急な事態にいま来ているようでありますけれども、一体どういう機関に委任をするのですか。
  121. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 指定機関の御質問にお答えを申し上げます。  もともとこの試験と申しますのは、身体検査と実技試験と筆記試験からなっておりまして、本来これは国で実施すべきではないか、こういう議論が審議会の過程でございました。ところがいろいろと議論の過程におきまして、何と申しましても国でやるとなりますると、膨大な予算が要るということ、それからモーターボートに深い経験と能力を有するものが必要である、こういうことでいろいろと予算的な問題がございました。そこで何かこういった一つの法的な面における指定機関が設けられないかということで、いろいろと検討したわけでございます。そこで少なくとも国が厳重な指導監督のもとに、従来からこういった小型船舶操縦士の養成に当たっておる実績のある公益法人に行なわせたほうが適当ではないか、こういうことが審議会の過程において結論づけられたのでございます。もともとこの試験事務というものは、申すまでもなく、三つの点があると思います。第一は非営利的であるということ。第二は公正で中立であると、ニュートラルであるということ。第三点は継続性があって安定性がある。この三つが基本的な要件ではないかと思います。  さて、その三つの要件にどういったものが一番ふさわしいかということで私どもいろいろと検討したわけでございます。そこで、まず国でやれば先ほど申し上げましたように一番よろしいのでございますが、予算的その他のいろいろな問題がある。そこで次に考えたのは、公益法人の中で社団法人にしたらどうか、こういう意見がございました。ところが社団法人でございますと、構成メンバーのいかんによって、いま申しました公正あるいは中立性というものが阻害されるのじゃないか。それから継続性というような問題についても、総会によっていつ業務が廃止されるかもしれない。こういうような問題がございまして、結論的には財団法人が適当じゃないかと、すなわち財団法人というものが公益法人として主務官庁の認可を受けております。さらに寄付行為によって意思が決定されております。したがって、いま私が申しましたこの試験機関の三つの要件である非営利性、それから公正、中立性、それから継続、安定性というものが一番適当じゃないかということで、試験機関は財団法人が適当であるというふうに事務的に結論が出てきておるのでございます。  さて、しからば先生指摘のように、どの財団法人に指定するかということについてはまだ未定でございます。で、いま現実にこの小型船舶操縦士の養成に実績のある財団といたしましては次の二つがございまして、その一つは、財団法人日本船舶職員養成協会と、もう一つは財団法人日本モーターボート協会、この二つがございまして、これについて、どれにするかにつきましては、十分に関係機関、その他と連絡いたしまして慎重に決定したい、かように考えておる次第でございます。
  122. 竹田四郎

    竹田四郎君 慎重に決定すると言ったって、あなた、私の部屋へ来た説明では、もうとにかく来月中にはきめなくちゃならぬでしょう。だからまだそれがきまらぬというようなことでは、予算の出しようもないじゃないですか。
  123. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 御説明いたします。  この法律の附則の第一条、「施行期日」のところでございますが、「この法律は、」——最後のところでございますが、「公布の日から起算して一月を経過した日から施行する。」こういうことになりまして、この指定機関は一カ月後に指定するということになります。したがいまして、幸い公布いただきますれば一カ月以内に指定するということになりますので、その間におきまして、いま私がお話ししました点を十分に考慮いたしまして、どの財団法人にするかということをきめたい、かように考えておる次第でございます。
  124. 竹田四郎

    竹田四郎君 では、その二つの財団法人の役員を言ってください。
  125. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  まず財団法人日本船舶職員養成協会のほうでございますが、会長は太田九州男氏でございます。この財団法人は昭和三十九年の九月十八日に設立許可されております。それから専務理事さんに吉成貞男氏がおられます。それから事務局職員数、こうなっておりまして、職員数は十八名になっております。  次に、日本モーターボート協会でございますが、会長は笹川良一氏で、昭和三十八年の三月二十日に設立されております。理事者数は十名でございます。それから常勤役員といたしまして専務理事一名と、それから理事二人おられます。以上でございます。
  126. 竹田四郎

    竹田四郎君 この人たちの略歴をつけて——きょうでなくてけっこうですから、法案の最終の質疑が終わるまでに、ひとつこの人たちの略歴をつけて私のところに提示してください。
  127. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 先生のおっしゃることにつきましては、至急持ってまいりたいと思います。
  128. 竹田四郎

    竹田四郎君 終わります。
  129. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この法律案の一部改正が、衆議院の段階では、言うならば継続審議という形で修正をして附帯決議、そういう形で参議院の段階に回ってきておりますけれども、この法案がこのままの形でひとり歩きをするということになりますとたいへんなことになるんじゃないか。言うならば重要法案であるとか、ないとかということとは別問題として、非常に問題がある法案である。でありまするから、少なくとも私どもは、やはり政治的な一つの常識のルールの中で、衆議院で修正で回ってきているものを、さらに参議院の段階で修正をするということになれば、またこれが衆議院のほうに回付されるということになれば、全く急がば回ってもこれが廃案になってしまうということも心配をしながら、きわめてこの法案は、参議院の段階では慎重審議をしながら、問題法案であるのだ、この法案はやがてひとり歩きをすることになります。  そうしますると、救われる者よりも、これができてよかったと受けとめるものは、資本の倫理と資本の側に属した者がそういう立場をとると思います。しかし労働組合があって労使対等の原則の上で労働協約とか、あるいは基準法とか労組法上のあるものはそれが防波堤になるでありましょうけれども、そういう意味で、大所高所から非常に問題のある一つ法案であると、だからそれだけに慎重審議を要するんだという形で、実は竹田さんに来てもらって小柳先生と差しかえてもらった。小柳先生も実は関門であるとか、若松であるとか、六大港の一つとしてこの問題に同様の感覚できておるわけでありまするけれども、どうしてもいろいろな事情で参れぬというわけで差しかえていただいたわけでありまするが、私はむしろこの衆議院の四回の審議をしたそういう段階で、局長その他スタッフの方々が明快に、それは衆議院でもあったんだ、ここでもあるんだというような形のようなふうに、私は私なりきに実は平面的にとらえておったわけでありまするけれども、不勉強というようなことばは言いませんけれども、どうもはなはだ、私は実は午前午後を通じまして聞いておるのでありまするけれども、重複を避けてひとつ簡明直截に質問いたしますが、各大臣の補佐役であられるところの方々もひとつ十分——それからきょうははなはだ恐縮でしたけれども、警察庁であるとか文部省であるとか水産庁であるとか労働省であるとかという方々にも実はお越しいただくように委員部を通じてお願しておるわけでありまするけれども、どうも不幸なことに、政府委員であるところのかみしもをつけた局長さん方が衆議院のほうに張りつけになって、これは一歩手おくれだなと思ったけれども、実際の実務を担当しておられる所管の課長さんたちもお見えになりまするので、それなりきにひとつ。  そこで竹田先生がポイントを言っておりまするから重複は避けまするけれども、大体柱は海上運輸の安全に関しその現状と対策港湾運送事業に関する安全対策について、それから漁船に関する安全対策免許制度の合理性、そういったような問題と、試験の制度についても、在来にあったものがよかったからあれでいいんだという形ではなくて、新しい発想と新しい視点でひとつ配慮をしていただきたい。もう一つは、ずばりで申し上げまするというと、やっぱりもちはもち屋で、海上には大きな船の総意を結集して全日本海員組合であるとか、あるいは港湾には全港湾というものもありまするので、それらの意見というものを、どういうようなぐあいにこの法改正あるいは今後の問題についても重視をし配慮されていくというような、そういう問題についてもひとつ御配慮を願いたいと、こういうふうに考えてるわけであります。  そこで、まず最初にお伺いしたいのは、きょうはどうしても午前午後に大臣はどうしても来てもらいたいということで、大臣にはずっと来ていただいておりまするので、その点については非常な配慮を感謝いたします。率直に大臣に伺っておきますが、大臣は本委員会における所信表明の中でいろいろ言っておられまするけれども、たとえば運輸行政の面においては、「まず第一に国民生活の安定をはかり健全な生活環境をつくり上げるための対策に取り組んでまいるという決意」を表明されておるわけであります。また大臣は「交通の安全確保のため陸海空すべての分野において人命尊重の基本理念に立脚し、事故の絶滅を期してまいる所存」であるということを言っておられますわけであります。「いかに機械が進歩しようとも交通機関を動かすものは最終的には人間」であると、まさにそのとおりであると思います。で、この船舶職員法の一部改正について、この精神を終始一貫貫き通して、いまの場合はまあ陸であるとか空であるということは別で、まあ文字どおり日本は四つの島国で連なっている列島でありまするので、そういう点から、やはりこの所信というものをどういうふうに貫き通していくか。いま、いみじくも竹田先生の質問の中で、どうも問題が問題で心配だというかっこうでありますので、結局行政の長官である大臣が、ひとつ所信の中でも表明されておるわけでありまするから、それさえしっかりきちっとしていけば、おのずからいろいろと問題が整理されていくんだというふうに、問題法案がひとり歩きをしてよかったということになるもならぬも、しゃべるだけでなくてその精神をどういうふうに配慮していくかということが必要だと思いますので、ひとつ所信と精神というものを伺っておきたい、こういうように考えております。
  130. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私も若いころ船乗りを長い間やっておりまして、海に対するそういう面での郷愁なり知識なりというものは持っておるつもりでおりますが、自来、海難事故等におきましては、とかく陸上の事故に対するとみんなびっくりして大騒ぎをやりますけれども、北洋にあるいは南海に事故があったということが、あたかもそれの関心が薄らぐような国民的なあるいは感じが出てきているということは、私はもうほんとうに運輸大臣になる前、平素から非常に遺憾に思っている次第でございます。  まあ何と申しましても海上交通あるいは海上運送あるいは海上におけるすべてのことは、これは安全の確保が大前提であり大きな課題であると思います。これがためには航路でございますとか、あるいは港湾あるいは航路標識等環境の整備がまず第一になされなければならないと思います。それからまた第二番目には、安全運航に必要な管理体制というものが整備されなければならない。非常に抽象的な問題を羅列いたしますけれども、そういうふうに考えます。三番目は船の構造だとか設備等とかいろいろなものがございましょう。さらには運航される要員の資質の向上とか、あるいは執務体制の強化もはかってまいらなければならぬと思います。海上交通安全法等のいわゆる関係法令をよく周知徹底さして、そしてこれらの順守によって海上の海難あるいは交通の安全というものをはかってまいらなければなりませんが、万が一にも不幸な事態になりましたときには、これは救難体制の強化を常に整備してまいるということも必要であろうと思います。  ただいま御審議いただいておりますこの法律案は、先ほど来竹田委員の御指摘にもございましたように、また、ただいま先生の御指摘にもございましたように、いろいろ問題点を含んでおると思います。全きな法案ではないと思いますが、御指摘になったような点は、重々私どもも今後肝に銘じ、あるいはまた留意いたしまして、ただいま申し述べましたような諸点について遺憾のないようなひとつ対策なり、あるいは態度を堅持してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  131. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大臣は苦労もしておられるし、非常に勘もいいと思いますけれども、私が尋ねたのとはピントがすれ違いになっているわけであります。率直に申し上げまするけれども、どんなに機械が発達しても、それからどういう形にしても、すべての原点は人間であるということと、さらに人命というものは尊重されるべきである。したがって最終的にはどうしても人間が、宇宙開発にしても、空、海にしても、どんなリモコンであっても何であっても、原点は、コンピューターでもデータを入れるのは人間の人知なんですから、それが間違ったなら、そのコンピューターの出す計算は正確であっても、原点が間違えば先へいくほど大きなあやまちをおかすというような形になります。  そこで私は、いまいみじくも竹田先生が言っていたことからヒントを得たわけでありまするけれども港湾運送事業に関係する船舶について、海上労働の特殊性というものは確かにあるわけです。現実においても将来においてもあるわけです。そこで現状において、一つの船に五人なり六人なり乗っておるが、しかし現在の法の対象になる丙種にしても、それが機関長であり、あるいは船長であるわけでありまして、外の側から見ればみんな実際そういう技能を持っているわけであります。しかし実際この法律がひとり歩きするようになれば、一人でもいいというような形に、資本の倫理から、あの組織には労働組合がないのだというようなかっこうになりまするから、どうしても通達だとか、それから省令だとか規則だとかいうようなものでなくて、政令というようなすっきりしたもので、それがやっぱり原点の生命を尊重するという一つの基本になるのだ、そういうことを一貫して、精神の上で、大臣は陸海空の行政の長官だから、そしてあと局長はみな補佐役だから、それを集中的にひとつ、過去はどうあろうとも、将来は将来として、十分姿勢を正していくと、こういう一つの返事をもらわなくても、そういうことを終始一貫貫いてほしいということを強く主張するというのが、私のこの大臣の所信表明にあやかって申し上げてみたい重点である、ポイントであるというふうに、ひとつ御理解いただいておきたいと思います。
  132. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のように、私が所信の中で申し上げている点も全くそのとおりでございまして、今後におきましても、この決心はゆるぐことなくひとつ貫いていきたいと、かように考えております。
  133. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 で、本論に入りますが、船舶職員法の一部改正審議するにあたって、小型船舶の海難事故の原因についていろいろな角度から検討されていますが、一体、船舶構造の合理化による乗り組み員の削減、一ぱい船主などの経済上の理由からくる超過労働——過積みですね、そして船が転覆する。一番多いのは、やっぱり統計も示しておりまするけれども機関故障による遭難事故というものが多いわけであります。加えて、この法改正というものは、外の側から見るというと、やはりレジャー宣伝による小型の造船業者であるとか、あるいはセールス商人であるとか、モーターボート、ヨットの製造業者であるとか、健全な海洋スポーツを育成しなければならない立場の政府が、人命尊重、安全の教育というものに十分な施策をしないなどの点があげられるということが、陰に陽に海難を誘発している一つの原因ではないかというふうにも判断をされるわけでありますが、この辺について、ひとつお伺いしたいわけであります。  要するに以上の見地から、まあこれは修正案のことをさして言うわけでありますが、検討した場合に、海難防止や安全対策が第二義的で、ほんとうのねらいとするところは、モーターボートやヨットなどのメーカーや商人などの利益や定員削減を望む船舶資本の利益、安上がりの船員養成機関や請負式な試験機関の設置などの利益本位の言え方と、レジャーボートの無謀な運転に対する世論の批判をかわそうとする、言うならば一石二鳥というような、そういうことは、私はそう判断することはひけ目かどうかと、そんなことは全然ないと言い切ることができるかどうかといったような問題について、ひとつ、これは所管局長でもいいですから。
  134. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  この法律改正趣旨は、先般来大臣からも御説明がございましたし、また先ほど竹田先生の御質問の際にも申し上げたわけでございますが、あくまでも私どもは、この基本的な理念といいますか、哲学といいますか、この法律の中心は小型船舶航行安全性の確保ということが基本的な理念でございます。  したがいまして、今度の小型船舶というものは、漁業なり、あるいは先生指摘のように、レジャーボートもございましょう。また竹田先生が御指摘のように、港湾の運送業、港内の事業用船と、いろいろとございましょう。いろいろとございまするが、すべてこの総トン数二十トン未満小型船舶につきましての総合的な航行安全対策の一環としてこの法律改正をしたということは先ほど申したとおりでございまして、したがいまして、いま先生が御指摘のように、メーカーからのお話だとか、そういうことはございませんで、私どもはあくまでも、何度も申し上げまして失礼でございますが、安全性の確保ということに立脚いたしましてこの法律改正に踏み切ったというわけでございます。  したがいまして、先ほどお話ししましたように、小型漁船あるいは一般の船舶あるいは港内作業船、すべてこれは船の間におきましては特段の差異はないんでございます。で、すべてこういった必要な海事知識同一にして、そうして同じ免状を取っていただくと、そして学科もそれから実技もマスターをしていただくと、こういう見地からこの法律をつくったわけでございまして、決して別に考えるということではないんでございます。総合的な小型船舶航行安全行政の確保をはかる、こういう意味でつくったことを重ねて申し上げたいのでございます。
  135. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 これはもう百も承知の事例だと思いますけれども、関東ボート販売店会、関西モーターボート販売店連合会からの船舶職員法の一部改正法に関する要望書というものは、もちろん当局側にいっておると思いますけれども、この中身を見ますというと、要するに時間が短縮されて、そして週休二日制等々がしかれると、そして余暇というものが出てくると、健全レジャーというかっこうについて、ヨットというものについて、やはり十分というような形で、ちょうど自動車——日産やトヨタが車をつくって、売らんかな買わんかなというかっこうで、免許というものと、通勤をするならというかっこうで、これも限界を越えるというと、活用のいかんによってはやはり一つの公害の原点になったりという点もありまするので、私はこれを見て、こういう要望書が出ているが、なるほどということは、労働時間が短縮されて、そして余暇というものができて週休二日制になれば健全な娯楽というかっこうで非常に売り込みをやっていると、そういう点について、やっぱり船舶職員法というものができて、五トン未満についても免許の出るということは、これは本音としては、そこにあるかないかは別として、これは私のひけ目であり曲解であるかどうかわかりませんが、こういう点については、当局に対してもあの手この手で要請や陳情があったでしょう、どうですか、その点は。
  136. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  いま先生から御指摘のございましたメーカーの販売筋からの要望、これは私ども受け取っております。で、基本的に考えることは、御承知のように、最近非常に国民所得の増大あるいはレジャー時間の増大ということから、非常にレジャーブームを起こしていることは事実でございます。確かに最近の石油危機によりまして若干停滞ぎみであることは事実でございますが、少なくとも海上におきまして船舶を運航して、そして健全なレジャーを楽しむということは、決して海運日本として否定すべきものではないと、私はこう思っております。しかしながら、一番大事なことは、先生も御指摘のように、やはり安全ということが一番大事でございます。いま業界がらお話があったのも、決して、大いに促進しろということ、もちろんそれは商売上ございましょうが、むしろねらいは、最近無免許でいろいろとレジャーボートを動かしている、そのために新聞で御承知のように、鎌倉由比ヶ浜沖で事故が起きたとか、あるいは漁場の網を切るとか、こういったような毀棄事件が非常に多いわけでございます。そういうことで、むしろ業界としては秩序ある体系をつくっていただきたい、こういう要望もあったわけでございます。そういうことで、私どもはもちろんレジャーも大事でございますが、やはり先ほどからも申し上げておりますように、安全ということを考え、そして、それに応じた免許の合理化というものを考えておるわけでございまして、決してメーカーの要望があったからこれをしたということは毛頭ございません。重ねて申し上げますが、安全第一ということでこの法案をつくった次第でございます。
  137. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 そういう趣旨とそういう精神で、具体的にはどんな教育と取り締まりをされようとしておるか、この現状、そして今後こうしようというような対策があったならば、ひとつ関係者の詳しい説明をいただきたいと思います。  これは船員局、同様に海上保安庁という立場からも、たとえば先ほど竹田委員の質問にあったように、免許さえあれば、事故が多発するような六大港の中でも一応操作が許されるとか許されないとかというような、そういうような問題について、交通安全の立場から、海上保安庁についても、意見がなければいいが、あってしかるべきだというふうに考えますので、船員局のほうと保安庁のほうに、意見があればひとつお答えをいただきたいというふうに考えます。
  138. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) ただいま船員局長から説明がございましたように、従来は無免許のままレジャーボートが走り回っておった現象、これをとにもかくにも講習を受けさせるなり試験を受けさせるなり、いわゆる基本的な海事知識を与えることによりまして交通の秩序、事故防止をはかる、この面ではこの法律改正案は一歩前進であろうかと思います。  問題はレジャーボートが走り回って、先ほどからいろいろ御質問ございますように、いわゆる大きな港あるいは大きな航路において、本線航路の前でうろちょろして航路妨害をする、あるいは漁網の付近を走り回って漁業界に損害を与える、あるいは夏のシーズンになりまして、海水浴場付近で暴走をいたしまして、海水浴客に迷惑あるいは危害を及ぼす、こういったようなデメリットが考えられるわけでございますが、これもいままでは全然無免許、野放しというような現状でありましたのを、少なくとも山登りに山登りのマナー、モラルがあると同じように、船に乗る人は船乗りとしてのモラル、マナーを教える必要がある。今回の法律改正による講習あるいは試験制度というのは、その意味で非常に前進するのではあるまいか。従来から法律は整備されてはいませんでしたけれども、海上保安庁、警察庁その他と協力いたしまして、夏場の海水浴場付近ではパトロールを、これも先生がおっしゃるように必ずしも万全ではございませんけれども、力の及ぶ限りにおいて巡視、哨戒をいたしまして、法律で強制をされていない人に対しても、少なくとも小型船舶操縦士の免状は取ったらどうですかと。それから航法はこういうふうにしたらどうですかというふうな指導はやっております。マリーナを通じましてでもそういった指導は現実にやっておりますが、この法律が通りましたあとは、さらに指導取り締まりを一そう徹底いたしまして、海難防止、海上事故の防止に万全を期したい、海上保安庁としてはこのように考えております。
  139. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) ただいま長官からお話ございましたが、さらにつけ加えてお答え申し上げたいと思います。  ただいま杉山先生から具体的にどういったような養成をするのか、特にこの小型船舶操縦士につきまして、どういうようなことをやるかという御質問がありましたので以下お答えいたします。  まず第一に学科と実技二つに分かれます。学科はいま長官からもお話ございましたように船乗りとしてのマナー、それから磁気コンパス、あるいは航海計器の使い方だとか、あるいは海図の見方とか、あるいは落水者の救助、さらには気象、海象の概要、その他海上交通法令いろいろとございますが、それについて十分に熟知させよう、こういうことでテキストだとか、あるいはスライド、こういったものを使って十分にそういった学科をマスターさせたいというふうに考えておりますのが一つと。それから次に実技のほうでございますが、これは実際に実習艇を用います。これは先ほどちょっと竹田先生のときにも触れましたけれども、今度幸いこの法案が通りますれば実験艇の予算がついておりまして、この実験艇もいろいろ使いまして、出発前の準備だとか、あるいは点検、さらには機械の運転の方法、かじのとり方あるいは離着岸の方法、それから衝突、火災、浸水における応急措置あるいは交通方法、エンジンのメンテナンス、こういうことを実技の面において考えております。  なお後ほどまた詳しくお話ししますが、今回の小型船舶操縦士につきましては一級から四級まで分けまして、それぞれそれに応じた実技なり、あるいは学科の教習をやっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  140. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 文部省は来ておられますか。文部省はそれなりに海洋スポーツであるとか、レクリエーションの振興という問題について、青少年に対する教育や社会教育を重視されておることはもちろんでありまするけれども、やはり特に今回対象となっておるモーターボートやヨットの現況と指導に対して、たとえば文部省ではどういうような、大学にしても海洋思想というものの問題について、これらの現行法が今度いろいろな形で、これは五トン未満の船でも適用されるということになるので、それとうらはらの関係において、スポーツとしてはどういうように文部省は青少年というものを教育をして指導していかれようとしておるのか。そういう点について文部省のそれなりの見解があってしかるべきだと考えますが、その点いかがでしょうか。
  141. 望月健一

    説明員(望月健一君) 海洋スポーツ等につきましては、これからますます国民の嗜好はそちらのほうに向いていくことはいろいろな資料からわかっておるわけでございます。その際モーターボートにつきましては、いわゆる先ほど来出ておりますように、レジャーあるいは娯楽と、全く個人的なことで、私たちの知っている範囲では組織的なものもあまりないし、あるいは競技ルールのようなものもないしということで、いかにしたものかという考え方でございましたけれども、このたび運輸省から、いま提案されております船舶職員法改正後の免許制に伴う研修あるいは御指導あるいは海上保安庁等の御指導ひとついただいて、りっぱなものになったらよろしいと、それに大いに期待しているところでございます。  なおエンジンのないようなヨット等につきましては、三十九年来、財団法人日本ヨット協会という文部省所管法人がございまして、これは非常に小型のものでエンジンもついておりませんので、今回の法律では、当分の間これは免許制にならないということをお聞きしているわけでございますが、この団体ではそれぞれ海上における危険防止に対するいろいろな措置あるいはヨットの普及のための講習会等を現にやっておりまして、ある程度の成果があがっていると考えております。  学校関係につきましては、高等学校についてはそれほど多くございませんが、大学等につきましては百二十二校がこの中に加盟しており、学生数にして二千五百から三千人がいる。あるいは一般のほうのこのヨット協会に加盟している人は大体三千八百人ぐらいの登録があります。船とすると、この協会がいわゆる検定したり、あるいは浮力検査をしたり、いろいろチェックしている船は約五千隻と聞いておりますが、全体のヨット数に対しては必ずしも十分ではないかもしれませんが、これらが主軸になって、ヨットによる海上でのスポーツということについては今後とも十分な指導をしていきたいし、この協会自体も大いにそれを振興したいと張り切っておりますので、やっております。なお四十八年度のこの協会の事業の中に、安全を含み、ヨットの健全な普及ということの講習会を積極的に取り入れろということで、船舶振興会のほうに助成金を文部省のあっせんでお願いしまして、ある程度の額は出していただいて、大いにこの力をヨット協会とともに進めていきたいと、そういう考え方でございます。
  142. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ついでにお尋ねしておきますが、この改正法対象レジャーという面でポイントを押えれば、やっぱりモーターボートということになっておりまするけれども、この法改正の点について、その教育の対象になっておる大学なり高等学校、中学の当事者は、これはただスポーツとしてということか、こういう法律に関心を持つというような、そういう点について、あなたたちのはだで感ずる感じ方はどうですか。
  143. 望月健一

    説明員(望月健一君) 広い意味で、学校教育で安全のことについては学習指導要領で示されております。で、学習指導要領の基本は教科と道徳と体育ということになっておりまして、その体育の項目の中に、健康で安全な生活を営むために必要な習慣や態度を養う、あと云々とずっと書いてございますが、基本的なことは海のことも含めまして、あるいは陸上のことも含みまして、安全ということについては教科の中で指導するという考え方でございまして、それから指導する場は教科と特別活動、要するに教科の中の、学校が計画した時間ではございますが、いわゆる国語、理科というような、それでない特別活動の中で行なっておりますが、そこでは地域性を大いに生かしていくと、山の中の子供に船のことをと言ってもちょっと無理でございまして、海上安全を言っても無理でございまして、水泳その他のことはありますけれども、特別活動のところでは地域性を生かして大いに指導するという原則論になっております。なお修学旅行とか、そういうようなところで乗船するというような乗り物一般については、その際に必要な指導はしているというようなことで基本的なことは行なっているわけでございますが、特にいまの法律改正されて、直ちに学習指導要領その他の学校の中、外との関係というのは、先生のおっしゃるのは私がはだで感じているのはどうかとおっしゃるんで、基本的なことはやっているので、その具体的な活動の場に即してそれぞれのところで十分やっていただける、そういうふうに考えております。
  144. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 きょう警察庁のほうから来ておりましょうか——たいへん待たせておりますけれども、これはぼくは氷山の一角だと思いますけれども、新聞のローカル紙に、これは共同通信か何かに出ておったと思いますけれども昭和四十七年の夏、三浦市の海岸モーターボートが近くを泳いでおった海水浴客の中に突っ込んで、即死が一名、けが人を二名出す事件があった。ボートの所有者はさる会社の社長であって、本人が免許を持っておったかおらないかは別として、同乗者が無免許であったことは事実でありますが、それがとにかく運転されておって、こういうふうな一つの被害が出ているわけでありますが、全体としてこれは大なり小なり氷山の一角じゃないか、これは法律以前のモラルの問題だというふうに思うのでありますが、こういうような、陸上には雷族があり、海上にはこういうものがあるが、そういう面からいけば、今度の改正対象になっていると思いますが、その人命の問題や、あるいは事故というようなことについて、これはどのようにその後処置されておりますか。私どもは相当にこういうことがあると危惧をするわけですが、そういう点について警察庁の考え方や、実際の処置について、ひとつ簡単でいいですから。これはあってからではおそいので、予防処置として、今度は確かにこの法律ができれば、やっぱりこれなりにいい面で、船もふえたけれども、こういう被害はなかったということが、やはり予防処置として判断されなけりゃならぬので、そういう面も意識しながら、ひとつ簡明直截に、私ども勉強したいというように考えているわけでありますから。
  145. 大堀太千男

    説明員大堀太千男君) お答え申し上げます。  警察庁といたしましても、人命の安全ということにつきまして非常に重要な問題として鋭意努力をしているわけでございますが、先生指摘のように、四十七年の七月二十三日には神奈川県の三浦市の三崎町の先の湾内で二十八歳の会社員が操縦をしておりました、無免許ですが、モーターボート事故を起こしまして、死亡が一名、重軽傷各一名と、こういう悲惨な事故が起きたわけでございます。  ちなみに四十八年中の警察で把握をいたしましたモーターボートによる事故の発生状況を御説明申し上げますと、これは内陸水面も含めておりますが、発生件数では三十五件でございます。で、死亡、行方不明は十八名、重傷が五人、軽傷が二十四人、無事故で救出された者が二十二人で、合わせて六十九人が事故に遭遇をしておる状況でございます。  これにつきまして、私どもといたしましても、各県警、警察を通じまして指導取り締まりをやっておるわけでございますが、昭和四十七年の十一月に水上における交通の安全と事故防止という観点から、水上安全に関する条例のモデルというものを警察庁で作成をいたしました。都道府県警察にこれを示しまして、その制定について勧奨をしてまいったわけでございます。昭和四十八年中に茨城県と山梨県におきまして、それぞれこのモデルの条例に基づきまして水上安全条例というものを制定をしております。また近く三重県では三月の県会にこの条例案を提出をしたいというふうに聞いております。そのほか栃木県では中禅寺湖における事故防止をはかるためにこれと類似の条例がございます。また滋賀県でも琵琶湖における事故防止をはかるためにこれと類似の条例がございます。また、他の府県におきましても、いわゆる迷惑防止条例ということに基づきまして、事故に直結するような無謀操縦やその他悪質と認められる事犯の取り締まりを行なっております。  四十八年中におきます事故の取り締まりの状況を申し上げますと、検挙件数は百十五件でございます。そのうち悪質かつ危険性の高いものについて七件を送致をしております。内訳といたしましては船舶職員法関係が六件、迷惑防止条例関係が一件でございます。なお警告件数は三千三百五十六件という状況でございます。それから、また先ほど申し上げました事故に関しては十五件を送致をしておりますが、送致罪名といたしましては、業務上過失致死傷と船舶職員法違反で送致をしたものが七件、業務上過失傷害と水上安全条例違反で送致をしたものが一件、業務上過失致死傷で送りましたものが五件、船舶職員法違反で送りましたものが二件、以上のような状況でございます。  また本年も夏のシーズンを迎えますと、このような事故の多発も考えられますので、鋭意都道府県警察を指導いたしまして事故の絶無を期したいというふうに考えております。
  146. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 今度の法の改正について、むろんこの試験制度、免許の資格付与という問題に関連をして、これをどういうふうに受けとめておられますか。
  147. 大堀太千男

    説明員大堀太千男君) 先ほど御説明をいたしました昭和四十八年中の事故の中身を見ておりますと、免許を持っておった者が十五人でございます。それから免許のなかった者が二十人で、率にいたしますと五七・一%が免許を持ってなかった者でございます。このようなことから、今回の法律案が通過、施行されました場合には、こういう免許がなかった者が免許を持つということ、またその間いろいろな行政指導によりまして、いろいろなマナーというようなものも勉強されるということで、事故の軽減ということについて私どもは期待をしておるのでございます。
  148. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 労働省来ておられますね。この点はひとつ大事なことでありますから、ひとつお聞かせいただきますが、今回の対象となる中には船舶職員法船員法対象となるもののほか、港湾運送荷役などの労働面から、労働基準法だとか、労働組合法の対象となる労働者も含んでおるということは明白な現実なんです。特に港湾労働における災害が非常に多いわけです。労使ともに安全対策には取り組んでおるのでありますけれども事故の防止や安全対策についての現況とか対策といったような問題について、どういうようなふうに労働省は、あるいは基準法上、労働組合法上そういうような点についての見解なり、認識なりというものを簡明直截にひとつお答えをいただきたいと思っております。
  149. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 先生指摘のように港湾荷役作業は非常に危険でございまして、災害率も高うございます。最近の災害発生状況を見ますと、全体としては毎年件数において減少いたしておりますけれども、特に問題の死亡災害につきましては百名前後でございまして、あまり変わっておりません。港湾荷役作業者全員に対する割合、発生率からいくと他の産業に比べて非常に高いのでございまして、この港湾荷役作業の安全につきましては、特に重点といたしまして労働安全衛生法に基づく災害防止計画に基づきまして、各種の対策を実施いたしているところでございます。  また特に、この業種は災害発生率が高いということにかんがみまして、港湾荷役の災害防止協会——自主的な災害防止をはかる団体がございますが、これらを通じましてさらに自主的な災害防止活動を促進しているところでございます。
  150. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 その効果は、防止協会があることは知っておりますが、相当な予算の面からいって、その効果のあがったものは年々だんだんとそれが目的の方向に向かって実績があがっているかどうか。予算があるとかないとかという、もっとほしいとか、そういうような側面からはどういうような御見解を持っておられますか。
  151. 中西正雄

    政府委員(中西正雄君) 災害防止協会の予算でございますが、これは港湾労働につきます協会の予算は本年度予算で約一億近くございます。これは毎年一〇%前後の伸びを見ておりまして、国の予算と、また関係会員の拠出するお金によりまして各種の対策を実施しておるわけでございまして、協会としましては、さらに活発に活動するために予算を増ワクしてほしいという要求はたびたび受けているわけでございます。幸いに各種の施策を実施いたしまして、先ほど申し上げましたように、たとえば災害全体の件数を見ますと、昭和四十六年度の災害件数は六千十四件でございますが、四十七年度は四千九百八十四件、さらに四十八年度は四千五百六十九件というように順調に減少をしております。さらに今後これを減少すべく努力をいたしたいと考えております。
  152. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先へ進んでいきますので、お越しいただいてお尋ねの済んだほうの方々は漸次お帰りになってもようございます。  問題はいよいよ中身に入っていきますけれども、今回修正案という形でこちらへ回ってまいりましたが、この改正の内容というものは、主として五トン未満の旅客運送の用に供しないものについても職員法を適用する。二つは、現在の小型船舶操縦士の資格を廃止して、二十トン未満小型船を、トン数、それから航行区域に応じ推進機の限定も含めて一級から四級の小型船舶操縦士の資格を設ける。三は資格試験に関する事項。などがおもな内容になっておるわけでありますが、提案の趣旨に強調されておるように、レジャー用、言うならば小型船舶対象とせず、すべての小型船舶にワクをはめたのは一体どういうわけか、すべての船舶というのは、先ほどから出ておりますが、主として京浜の港内船ですね、引き船であるとか、とにかくそういうような問題についてもこれは網がかぶるということになるわけでありますが、その辺についてはどういう見解を持っておられるわけですか。
  153. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 御説明いたします。  この法律は先ほどお話しいたしましたように、総トン数二十トン未満小型船舶の総合的な航行安全対策の一環といたしまして改正に踏み切ったということについては御説明したとおりでございますが、いま先生指摘のような点につきまして、これは特にどの船舶に限るということではございません。たとえばレジャーボートだけに限ったということではございません。もちろんレジャーボート、つまりモーターボートもございますし、それから漁船もございますし、それから先生指摘港内事業船舶——引き船、こういったものすべて総トン数二十トン未満小型船舶についてこの法律の網をかぶる、こういうことになっておるのでございます。
  154. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 中身に入りながら漸次進めていきますけれども、本来からいくならば、やっぱりこの法律がひとり歩きをすることによって、表面から見るというと、これはモーターボート等にやはり適用されるように見えるけれども、その関連の中で、実動しておる、港内で非常な大きな仕事をやっている、そういう引き船に乗られておるという問題についても、やっぱり二人乗っておるものが結局ある段階になれば一人でもいいのではないかというような危惧というものは杞憂にすぎないか。この点はあとで詰めますけれども、そういう点も配慮しながら、この法改正の起案をされたのか、そういうような点について考えておられたかどうか。その点について原点を、ひとつ腹蔵のない、裏を表に出したようなずばりでひとつお伺いしておきたい、こう思うのです。
  155. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  この法律改正の動機は、言うまでもなくいまお話ししましたように、二十トン未満小型船すべてについて適用の対象となるということで作業を進めたわけでございます。そしていま先生指摘のように、この法律改正によりまして丙種機関士がおりるということは先ほど御説明したとおりでございますが、これは先ほどお話ししたように、エンジンの非常な発達あるいは仕業点検励行と、こういうことで、審議会の過程におきましてもだいじょうぶではないかと、こういうことで踏み切ったことは先ほど申したとおりでございます。  しかしながら、先生指摘の、こういった港湾におきまする引き船あるいは通船等、港内の作業船についての実情については、先ほど竹田先生からもいろいろとお話がございました。私どもも十分にこの点につきましては配慮いたしまして、そしてこういった事故の防止に万全を期していきたい。その意味におきまして、先ほど大臣からも御説明こざいましたけれども、極力行政指導——この行政指導の内容につきましてはいろいろと検討しておりますが、たとえばその一つといたしまして、その実態——もちろん港湾の実態あるいは船舶の実態によっても異なりましょうが、補助者を乗っける、あるいは丙種機関士というものを極力乗っけるように行政指導するということで、その事故防止というものに一段と配慮を加えていきたい、かように考えている次第でございます。
  156. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 今回の言うならば法改正は、船舶の安全航行や海難予防は、現実に海上や港湾で働いている労働者や漁民が一番よく知っておると、こう思うのです。これらの人たち意見や経験というものが、改正にあたって一体重視されておるかどうかという点について、私は竹田委員の質問に対して、実際において、どうも要求資料の面についても、それからその船舶の実態はどうだという点についても、客観的に把握が足りないわけであります。  しかし少なくとも法改正をしてというような点については一体どうかと、そういう面から、そういう視点で評価するならば、むしろ最近のモーターボートなどの自動化や動力船の性能の向上などを理由に、むしろメーカーの意をくんだ改正案だと思える節もこれはあるわけでありますが、それはそうではなくて、十分原点は、現実に働いておるそういう人たちの立場というものを配慮してやったかどうか。そういう点が発想の原点であったならば、すべて一応、まあ大臣は別として、皆さんは知っておられなきゃならぬのだと、認識を、そこを原点として法改正というものができていくんじゃないか。そういうように判断をするわけでありますが、その点は船員局長どういうふうに考えておられますか。
  157. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま杉山先生並びに先ほど竹田先生から御指摘を受けましたように、特にこの港湾運送事業数字につきまして十分に資料を整えなかったことにつきまして、深くおわび申し上げ、また、いま早急に現地の海運局並びに関係機関と連絡いたしまして、いま資料を取り寄せておる最中でございますので、その点御了承願いたいと思います。  なお私どもといたしましては、この法律の策定にあたりまして、もちろん関係機関、それから全日本海員組合を通しまして極力組合の御意見を聞くように、二年前この法案に着手したときからつとめたわけでございますが、いかんせん、いろいろと全部の方に浸透していたかどうかということについては私も保証の限りではないわけでございますが、この法案がきのうから作成されたわけでございませんで、数年前から作成されたということからかんがみまして、十分に関係機関には連絡したものと思っております。しかし、そういったまだ浸透しない点につきましては、私どもといたしまして十分に反省いたしまして、先ほど来申し上げておりますように、特にこういった港におきまする引き船あるいは通船の実態ということについては重々わかりますので、こういった点につきまして、杉山先生並びに竹田先生の御指摘の点について十分に配慮いたしまして、今後遺憾なきを期していきたいと、かように考えておる次第であります。
  158. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大臣もよくこの点だけは聞いておいていただきますが、たとえば港湾運送事業に従事する船舶で現行法に該当する場合は、船長機関長、それが丙種機関士であっても丙種航海士であっても、ともかくも要員として二名は必ず配乗しておることになっているわけでありますが、改正案がひとり歩きをすれば一名でもいいということになると思います。で、海上は陸と違って、機関が故障したからといって、道路の片すみに引っぱっていって自動車の修理屋を連れてくるようなわけにいかぬのです。ましてや交通ラッシュの港内ではしけを引っぱる作業、実態は、とにかく一つの船が三百トンなり五百トンなりの船を四つ、五つつないでずっと運航をして、横浜なら横浜を起点として、千葉なり京浜へ実際一つの資源というものを、実際の産業動脈となるものを補給しているわけでありますが、こういうような点について、私は衆議院の段階で論議されたかどうか。それから改正案も見ました。附帯決議も見ましたけれども、この港湾運送事業に関係する船舶について、海上労働の特殊性というものを十分踏んまえて、船長機関長の配乗というものについて重大な考慮を払われておったかどうか。  しかし、それはやはりこの免状の一級、二級、三級というような改正によって、一人でも操作できる、そういうふうにやはり自動化され、そしてそういうふうに教育するから心配ないんだというような判断でされているのかどうか。その点は非常に重大なポイントだと思いますので、そこまでは考えなかったのか。なぜ私がこういう質問を根掘り葉掘りするかと申し上げますと、衆議院の段階においてこういう点があれば、もう少しスタイルのいい、かっこうのいい附帯決議なり改正になってくるのではないか。であるから、蒸し返すというような悪意は持っておりません。そういう点で、ひとつ正真正銘の腹がまえ、そういう点についてどうしても伺っておきたいと、こう思うのです。
  159. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 衆議院審議のことにつきましては、他院のことに私が触れることはどうかと思います。したがいまして、それはそれとしまして、竹田委員からも、また杉山委員からもいま御指摘がございましたように、運輸省といたしまして、この海上労働者の特殊性というものについて、この法案を作成しますときにいろいろ御指摘、御議論を拝聴いたしまして、配慮が足らなかったのじゃないかということは率直に私は反省しております。  したがいまして、いままでのいろんな答弁、やりとり等を聞いておりますと、引き船等におきましては、昔の焼き玉と違って、いろいろディーゼルエンジンの改良もあり、しかも非常に進歩したリモートコントロールで、丙種機関士を乗せなくても十分安全なる運航ができるというようなたてまえの答弁をしておったようでございますけれども、いろいろ議論を詰めてまいりますと、先ほどの竹田委員の御指摘のように、二千隻もあるこの引き船の中で、実際そのリモートコントロール有無にも一段、二段と段階があるようでございますが、まだ実際問題として半分はそのコントロールもできないという実情が明らかにされたわけでございます。したがいまして、その点につきましては、ただいま御指摘がございましたように、その点は率直に私は認めたわけでございますが、この点につきましては、先ほど来私の所信を披瀝し、また委員長からも、この点について、政府に対して御注文があり、なお御質問者のほうからもきつい御注文をちょうだいいたしまして、今後の万全を期していきたいと思っておりますが、経過につきましては、いま私が申し述べましたように、その点について私のいままでの考えを明確にお述べ申し上げた次第でございます。
  160. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 当局に対して私が違った判断を持っておるなら、不勉強で、あなたの考え方は間違っておられるというふうに率直に言ってもらってけっこうでありますが、私どもの受けとめておる、また見方では、およそ当局は船舶職員法が定員を定めたものではなくて、要求される技能に応じて必要最小限度の海技従事者を職員として乗せるためにある法律だ、そういうように言っておられるように、またそれはこの改正案の別表の第一表を見れば、明らかに一定資格を備えた者が乗らねばならないのは当然だが、船長機関長などの定員を押えるという側面が出ておるわけであります。また、その船舶の運航目的、乗り組み員の労働内容から、最低必要人員で予備交代要員の必要なことは法目的に照らして明らかじゃないか、この場合の法目的というのは言わなくても皆さんのほうからお教えいただくような、そういう趣旨でありますが、この点について、ひとつ法目的に合致してこれは何ら間違いないんだというような、そういう点について御見解をいただきたいと、こう思うんです。
  161. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  先生承知のように、この船舶職員法の第一条では次のようにうたっております。すなわち「この法律は、船舶職員として船舶乗り組ますべき者の資格を定め、もって船舶航行の安全を図ることを目的とする。」、そういうことで必要最小限度の資格を定めることをこの別表に規定しておるわけであります。したがいまして、このきめたものが必要最小限でございまして、あとは先ほど竹田先生の御質問のときにお答え申し上げましたように、それぞれ補助員を幾ら乗っけるとか、そういうような問題、たとえばいまの港内はしけの場合、引き船の場合は、先ほどお話をしましたように、被曳航船の監視の問題もございましょう。それから非常に引き船は過熱するそうでございまして、その場合の過熱のウォッチといいますか、監視といいますか、こういう仕事も出ております。  そういう意味におきまして、それだけの人間ではございませんで、それ以外にそういったような補助員を乗せざるを得ないというのが実態でございます。しからばその定員を何名にするかということにつきましては、先ほどお話をしましたように、そういった港内の実情あるいはその船舶あるいはその作業量の内容によってきまってくる、こういうことで、それぞれ労使の間におきまして慎重な協議の結果三名ないし四名ということできまっておるのが実情でございます。なお私どもといたしましては、そういう実態にかんがみまして、関係機関とも十分連絡いたしまして、そういった港内の作業船において事故がないように、いろいろと行政指導以外にも、そういう現地の海運局その他関係機関と密接な連絡をとりまして、そういった事故防止に万全を期していきたい、かように考えておる次第でございます。
  162. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 この点はどういうふうに考えておられますか。たとえば全日本海員組合が今回の改正に反対の意見を表明しております。それも口だけではなくて文書にきちっとして、これは御存じだと思いますが、この中で記されておる点のポイントは、「総トン数五トン以上二十トン未満船舶について機関長定員が削減されるが、通船・曳船などの港湾船を含めて、これは海難防止と海上安全に逆行する。」と、こう言っているのです。船舶の安全航行に直接関係している海員組合が、その長い経験の中から職員法を定員法と理解し、なおかつ改正案は法の目的に、あるいは精神に逆行すると言える。船員を代表する海員組合の意見を聞いたのか、実情に沿った資格制度の改善とはことばの上ではないのかというような問題について、これはどういうような認識を持っておられますか。海員組合から直接に運輸省の所管のほうにいっておると思いますし、この海員組合の見解というものは、率直に言って、政党政治の中で、自民党さんはじめ各分野にいっておると思いますけれども、これはそれなりにいいことだと思いますが、どういうふうに行政当局としてはこれを受けとめておられますか。
  163. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま杉山先生からお話ございましたように、全日本海員組合からこの法律に関しまするいろいろな陳情は受けております。また意見も聞いております。この意見につきましては、先ほどお話ししましたように、本法案審議の過程におきまして、審議会においていろいろと議論されたわけでございます。全日海も決してこの法案に全部反対であると言っているのではないのであります。あくまでもこういった事故防止というようなことから賛成すべきものは賛成であるということでございまして、決してこの法案に全部反対であるということではないのでございまして、たまたまこういった法律の適用範囲について一体幾らにしていいか、こういうことについて意見が出たことは事実でございます。
  164. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 海員組合はおとなしい組合でありますから、当局に向かってはきばをむいたような形では言っておらぬと思いますけれども、非常に私どものほうへは不満を爆発して、せめて彼らは外の側から見て、参議院の段階でひとつ歯どめをかけて、十分魂をぶち込んで、私どもははだで感じて、これはむしろ改正ではなくて、改悪だというようなふうに判断をしている。しかし、これはタイムリミットに来ておるので、もう少し早くからこれが手ぎわよく衆議院の段階からやってきたならば、改正とかなんとかというものになるけれども、いまではタイムリミットに来ているのだからというようなことで、ぼくらは、そういう感情や、そういう精神をひとつ政治の次元で吸い上げて、一ぺんにはいかなくても、積み上げの中から漸次改善していくということに努力はするというふうに言っておるわけでありまするけれども、決して皆さんの言っておるように、これでしょうがないのだ、これでいいのだというようなことは、ちっとも言っていないわけです。何かあるなら言ってください。
  165. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) ただいまの私の発言に対して補足さしていただきます。  全日本海員組合から最近こういう陳情が出たのではございません。先ほど申し上げたように、この法案はすでに数年前から検討されておりまして、その審議会の過程におきまして組合の意見も十分に聞いてこの審議に入ってきたわけでございます。特に組合としては、決して全部が反対であると言っているわけではございませんが、特に反対であるといった点は、先ほど来議論になっておりまするように、丙種機関士をおろすことによって雇用不安を生ずるじゃないかということが一番の眼目でございました。この点につきましては、衆議院の過程におきましてもいろいろと御説明申し上げたわけでございますが、特に漁船の場合においては、いまの丙種機関士の方が現実に漁労に従事しておる、したがって雇用の不安を生ずることはないのであるということをよく説明したわけでございますが、しかし現実にそういうことがあってはならないように、私どもといたしましては十分に業界にも連絡いたしまして、そうして雇用不安を起こさないようにしたいということを常に私ども衆議院の過程においても申し上げたわけでございます。  その意味におきまして、附帯決議におきましても、先生承知のように、こういった雇用不安が生じないように努力するというような附帯決議がつけられたことも先生承知のとおりだと思います。そういうことでございまして、全日海とは十分な連絡を保ちながら今日まで来たわけでございまして、といって、その組合の意見を全部取り入れることは残念ながらとれなかったわけでございますが、そういった点は私どもも決して無視はしてないで、そうしていろいろと配慮してきている。その配慮の過程が、いまお話ししましたように通達という形にもあらわれてきたわけでございます。なおそういった全日海の希望事項につきましては、今後十分に関係機関と連絡いたしまして行政指導をはかっていきたい、かように考えておる次第でございます。
  166. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 昭和四十七年の七月付で日本船主協会から船員施策に関する要望書というものが出ておるわけでありますが、この要望書というものは帰納法的に考えてみるというと資本の倫理で、結局だんだんと、いま船舶職員法によれば甲種船長から乙種船長各級ありますけれども、将来はこれがリモコン化されていくと全部船舶士というかっこうで何もかも操作するというような、そういう源流がこの中の思想の根底にともかく含まれておるのではないかというふうに判断をしておるので、私は抜き書きだけ覚えていますけれども、皆さんのほうではいま持っておられるとすれば、簡単でありますから読んでいただきたいと、こういうふうに考えておるのです。船員施策に関する要望書です。
  167. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) 残念ながら、いま先生指摘の要望書はございません。
  168. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 抜粋だけ、大事な点だけぼくは抜き書きしておきましたけれども、ほんとうは全体をひとつ知りたいと、こう思って要望書がほしかったのでありますが、これは船舶の自動化の進展に応じ、乗り組み定員を合理化するとともに、従来の就労体制を時代の趨勢に合わせて改善する必要が痛感されます、の書き出しに始まっておるわけであります。で、船舶職員の資格及び員数は船舶職員法において詳細が規定されておりますが、Mゼロ船について、船舶職員の員数を軽減できるよう、職員法の特例を設けられたいと言っておる。で、自動化船の出現により首切りを政府法律でやれと言っておるようなものだというふうに、私は悪意、善意は別として、そういうふうに私は私なりに受けとめているわけであります。  当局は海運や港湾資本の期待にこたえて、言うならば、やはりこの改正を意識するとしないとにかかわらず、そういう方向にいくのではないかと、そういう危惧を感ずるので、もしありましたならば、やはり今後のために歯どめをしなければならぬので、ここになければまたあとでひとつ資料をいただきたい、こう思うのです。
  169. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  いま先生のおっしゃったような、業界から最近の船舶の自動化に伴いまして、定員の合理化といいますか、そういったような要望が出ていることは私、承知しております。先生お聞き及びかと思いますが、余談になって失礼でございますが、西ドイツにおきましても、最近は十三人定員ということで、いろいろと各国ともそういうMゼロ船の問題が検討されておることは事実でございます。しかしながら、私どもといたしましては、あくまでもさっきから申し上げておりますように、安全ということが基本的骨子でございます。したがいまして、たとえそういった合理化の要望がございましても、私どもといたしましても、あくまでも安全行政ということを貫く以上そういうことで行政の施策を進めていきたい、しかしながら、ただこういった減免措置につきましては、先ほどお話ししました小型船舶については二十条の小委員会で現在検討されておる。それからまた大型船につきましては、特別部会がございまして、そこで審議されることになっております。いずれにせよそういった関係機関が十分に集まりまして、そうして慎重に検討していきたい、かように考えておる次第でございます。
  170. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は口が悪くてずばりで言いますけれども、言うならば、これはいま日本船主協会、いわゆる海運資本の原点が、こういうものを要望書という形で出しておりますけれども、すばりで言って、この当面の改正案はその一つの現代版だから、ひとつ弱い時点からふき出てきているのではないかというふうに危惧をしておるわけでありまして、これは私の心配ごとでありまするので御回答は要らぬわけでありますが、率直に言って、法の目的である航行の安全をはかることは、また乗り組み員の生命安全、労働条件と不可分な関係があることは当然なことであります。  ここに、これは御承知のとおりでありますし、きょう傍聴者の方も来ておられますけれども、日本の港を代表する横浜の全日本港湾労働組合横浜支部と、はしけを業とする横浜回漕協会との労働協約があるわけでありまして、これは当局も御承知のとおりでありますが、その中に引き船の定員の基準が、たとえば七十馬力までは四名と、七十五馬力から百十馬力までは五名と、それから百十五馬力以上は六名と、そのほかの雑種船はこれに準ずることになっておる。だが改正案にこれを当てはめるというと五名になるわけであります。もちろん甲板員も含むが、船長機関長の最低二名が常識となっているのでありますが、この協約というものが労使が港湾作業の実態を考慮して、長い年月をかけて、あるときは闘争を、あるときは団体交渉を積み重ねて、実情に合うように今日まで進んできているわけであります。したがって改正案にあっては、この実態をどれだけ一体配慮しておられるかどうか。船舶の安全と労働条件の関係というものをどう見ておられるか。これは運輸省からも、それから労働省からも見解をいただきたいと思います、基準法上の面から、労組法上の面から。そういう点で、じょうずを言ってもらいたくないのです。ずばりでひとつこう思う、ああ思うということを、私ども改正と名のつく改悪をおそれるわけでありまするから申し上げておくわけであるますが、どちらからでもいいです。
  171. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生がおっしゃいました協定書、これは私どもも承っております。昭和四十四年の四月に横浜回漕協会と、ここに御列席の全日本港湾労働組合関東地区横浜支部との間におきまして協定書が結ばれております。そして先生指摘のように一四ページのところで6とございまして、「引船定員に関する事項」というのがございます。その中で、七十馬力までは四名、七十五から百十までが五名、百十五馬力以上が六名と、こういうふうに相なっております。これは先生指摘のように、長年いろいろと労使の間におきまして努力の結果こういった数字が出たものと思っております。  そういうことで、私どもといたしましてもこれで万全とはもちろん思っておりません。それぞれ当該港内の、先ほどから申し上げておりまする気象状況あるいは海象状況あるいはそういった当該船舶が従事しておりまする作業の実態と、こういったことを十分に把握いたしまして、そして関係機関と緊密な連絡をもちまして事故の防止に万全を期していきたいと、このように考えておるのでございます。  なお先ほど竹田先生からも御質問ございましたように、未組織の労働者につきましては、今後ともこういった、いまの組織労働者と同じように基本的な線に沿いまして、特にオーバー労働といいますか、過重労働におちいらないように十分に注意していきたい。特に未組織労働者につきましては、先生承知のように労働基準法あるいは船員法がございます。そういうことで労働条件はいまでも確保されておるものと理解しておりまするが、なお今後、先生の御指摘の点がないように組織労働者とあわせて未組織労働者につきましても、関係機関と十分な連絡をとりまして、そういった労働過重あるいは不当な労働条件にならないように、そしてひいては事故防止ということに万全を期していきたい、かように考えておる次第でございます。
  172. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 はしょって、時間もありませんから先へ進みますけれども、この京浜関係において約三千名の人たち引き船、はしけに船員として乗り組んでいるわけでありますが、この現行改正法案がひとり歩きになって、かりに一隻の引き船で平均三百トンのはしけを五隻、千五百トンを牽引することを想像したときに、引き船船長もさることでありまするけれども、この自力運航のできないはしけの船員の生命や貨物は一体どうなるであろうか、一人乗っておって、それはもう自動化されておるから、二人乗らなくても、それ以上の正確さをもっていくんだというふうに、理屈の上ではそういうことも是認されるのでありまするけれども、実際はその三百トンはしけを五隻も引っぱっておるときに故障を起こさない保証はないわけであります。そうした場合に引き船船長ももちろんのことでありますけれども、自力でできないはしけの船員の生命や貨物は一体どうなるかというようなことは、そんなことはもう要らぬ心配だ、そういうことはないんだということの保証はどこにもないんですよ、海象、気象の変化というものを考えてみた場合に。  だから最悪の事態を考慮しながら、事前にそういうことのないような配慮が海上労働の、あるいは海運の安全性というものと、その原点はやっぱり人間と生命というものに位置づけて判断しないといかぬということを、言うならば大臣の所信表明の中にも、新幹線その他なんかも含めて、そういう点が空も海も通じて原点だというふうに考えているわけであります。だがしかし、いまいみじくも船員局長が言ったように、この種の協約もない労働者ややみ船などは、いまですら定員はないんですよ。日本列島全域の中の全湾港の中で組織されているのは実は一握りなんです、さいの川原ですよ。つくったと思えば暴力団の末端組織につぶされてしまうんだ。これは次元が違いますからここで論議はする必要がないのでありますけれども、この種の協約もない労働者ややみ船などはいまですら定員はないんですよ。だから無権利な状態のものはしようがないんだ、あるものだけは労使対等の原則の上で力関係で守っていけばいい、ないものはこれはしようがないんだというふうになっていまうのかどうか。この点、労働省の立場から労組法上、基準法上のことを聞きたかったのでありまするが、これはまだ次回もありまするから来てもらいますが、この点について船員局長はどういうふうに考えられますか、船員局長の立場から。
  173. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  先ほど申し上げましたように、こういった未組織労働者につきましては過重な労働負担にならないように、あるいは労働者のそういった生活圧迫にならないように、そしてまた、ひいては事故につながらないように十分に注意してまいりたい。また先ほどお話ししましたように、すでに現在労働基準法なり船員法というのがございますので、そういった面からもカバーできておるわけでございますが、私どもといたしましては、それだけでも十分でないと考えますので、関係機関と十分連絡いたしまして、そういった先生の御指摘の点がないようにはかっていきたい、かように考えております。  それからもう一つ先生先ほど御指摘になりました、この法律改正によりまして、たとえばこの四級小型船舶につきまして船長は一人になるのじゃないか、こういうお話でございます。実は確かに理論的には一人になるわけでございますが、こういった京浜港におきまする引き船の実態は、先ほど私が申し上げましたように、またここに組合の方もおられますが、先生も御承知のように、やはり引き船の場合は被曳航船に対するウォッチの問題あるいはエンジンの過熱状態に対する監視の問題、こういったものがございます。したがいまして、全然一人ということはあり得ないのでございまして、いまお話ししましたように協定を結んでいるところは三名ないし四名、それからリモートコントロールできた船は少なくとも最低限度二人乗っておるというのが実情でございます。そういうことでひとつ御了承願いたいと思います。
  174. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 私は法律論だとか協約論をここで繰り広げたいとは思っておらぬですよ。少なくとも法律は現状を踏まえて守られる法をつくらねばならぬと思うのですよ。法は出たんだけれども、これは表では法は法として守るけれども、裏ではとにかくちっとも守っていないというようなことでは法改正をしても何にもならないのだという心配がある。で、この改正法案というものをとらえてみるというと、営利を目的とする法律ではなく、航行の安全を目的とし、労働をする人を対象とする法律であるというふうに考えておるわけであります。言うならば、安全が確保されて労働者が喜ぶという法律でなければならぬと思うのです。  ところが法ができれば労働者は苦しむことになり、ストライキをかけて法以上のものを手に入れねばならぬと。ストライキというものはあくまでもこれは手段であって目的ではないのですよ。それをやらなくても、とにかくやれるというような状態が望ましいことだ。確かにレジャーボートを規制する面ではよいが、国民生活に大きな役割りを果たしておる港湾労働者にとって、これが悪法というような形にとられないようなことを、十分大所高所から大臣に配慮してもらいたい。法はできたんだけれども、表面は法律だから守らなければならぬけれども、裏でけたくられるような日陰法律になっちゃいかぬ、そういうふうに考えておるわけでありますので、この点について、大臣の見解を承っておきたいと、こう思うのです。
  175. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のように、全くこの法律がひとり歩きをしたために、せっかく安全という名目のもとに、羊頭を掲げて裏に泣く人があるというような状況下にあってはならないと思います。その点につきましては、たびたび申し上げておるわけでございますが、雇用上の不安あるいは条件の低下等がないように、先ほど引き船のことで竹田先生から御指摘がございましたが、そういう点につきましても、お約束いたしましたようなことにつきましては、重ねて御指摘の点を肝に銘じまして万全を期してまいりたいと思います。
  176. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 水産庁はお見えになりますか——どうも長い間お待たせしておりますけれども、次に漁船関係についてお尋ねをするわけであります。私の申し上げることを、あなたを通して上司にもよく伝えてください。きょうお答えをいただいて記録にしておけばそれでいいというものじゃありませんから、そのおつもりでひとつ聞いていただきたいと思うのであります。  まず第一に、この改正法によれば、小型漁船がふえたため、これらの漁船の資格制度を改正するという趣旨が、当局からもらった資料によると、たとえば二十トン未満漁船では五トン未満と五トン以上に分けてその増加ぶりを見ると、五トン以上の漁船昭和三十年から四十七年までに隻数においては横ばいで、増加していないのです。五トンごとに区切ってこれを見るというと、ふえていないのです。ふえたのは五トン未満船で、昭和三十年にはたとえば十一万六千隻になっておるんですが、昭和四十七年では約二倍以上の二十六万隻になっているわけであります。  この理由は、今後の増減というものの推移を展望して、どういうように把握しておられますか。これは漁船統計表という水産庁から出ておる資料に基づいて比較対照すると、こういうようなふうに評価されるわけですが、実際はどういう推移かひとつお答えいただきたい、こう思うんです。とりあえず答えていただき、また二、三点お尋ねします。
  177. 新井昭一

    説明員(新井昭一君) お答えいたします。  漁船の隻数のトン数別の推移の状況でございますが、先生指摘のとおり十トンから二十トンの漁船は横ばい的な状態で推移しております。それから十トン未満、特に五トンから三トン層がふえておりますが、この十トン未満がいわゆる沿岸漁業に従事する漁船でございまして、この十トン未満漁船の中では年々大型化が行なわれております。そういう経営上の理由というようなことで、三トンから五トンあるいは五トンから十トンという階層が大体この五年ぐらいで増加率が非常に高くなっている、三割ぐらい増加しているというような状態でございます。  それから十トンから二十トン、これがあまりふえていないという理由でございますが、この十トンから二十トンはいわば中小漁業の一番階層の低い小型の層でございまして、経営的に見ますとあまり収支がよくないというような動向がございます。そういうような理由で、私どもといたしましては十トン−二十トン層はどちらかといえば横ばい、十トン未満の三ないし十トン層は生産性が高いということでふえている、こういう全体的な傾向にあるわけでございます。
  178. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 同じようなことでありますが、若干視点を変えて質問いたします。  五トン以上二十トン未満小型漁船航行安全と操業の安全を考えてみたときに、水産庁は機関長の乗っていない船のほうが安全であるといえるかどうか。これは言わずもがなの問題でありますけれども、自動化され機械化された中でこれでも間に合うのだということで、実際は、従来はこの級の船についてはやっぱりそれなりの要員が乗っておるわけでありますが、それで漁業労働者からそういうような意見や陳情などを受けたことがありますか。あれば、たとえばどんな内容であったか、またどんな行政指導を今日されようとしておるか。それから操業安全の立場から、運輸省の今回の改正案について何か水産庁にこういう見解についてどうかというような意見の問い合わせがあったかどうか。ある、ないはお答えいただかなくても、それに関連をしてひとつ見解を伺っておきたい、こう思うんです。
  179. 新井昭一

    説明員(新井昭一君) お答えいたします。  今回の船舶職員法改正の過程におきまして、海上安全船員教育審議会でいろいろ討議、審議がなされているわけでございます。この席上におきまして、私どももこの審議、検討の経緯につきましてはずっとタッチしておりまして、沿岸漁業者の側の意見といたしましては、今回の改正について安全ということが第一でございますので、まあそれは適当なのではないかというような考え方をとったわけでございます。  それから二十トン未満のものにつきまして、四十馬力以上のものは従来丙種機関士が乗船を義務づけられておりましたが、これにつきましても、最近、沿岸漁船の構造、性能がだいぶ進んでまいりまして、ディーゼル機関の普及もほとんど一〇〇%近くになってきているというような状態にございます。こういうような漁船の近代化というようなこととの関連で、沿岸漁業者の側といたしましても、従来のように必ずしも丙種機関士の乗船を義務づけなくても、一人の乗り組み員が甲板部と機関部の両方の知識、技能を持てばこれで沿岸漁業について安全操業ができるのではないかというような、実は、漁業者側の意見があったわけでございます。  それから全日海あるいは漁船同盟等の乗り組み員の側の御意見といたしましては、審議会あるいはそれ以外の場におきましても、丙種機関士の乗船義務をやめるということにつきまして、いろいろ問題があるというような御意見は承っております。そういうような状況でございます。  私ども水産庁といたしましては、従来から漁船操業の安全ということについてできるだけ指導をしてまいっておりますが、今後も、たとえば小型船舶安全基準というようなものをつくりまして極力安全な操業ができるように指導してまいりたい、こういうふうに考えている次第でございます。
  180. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 いまいみじくも、これは海員組合漁船部、沿岸部のほうからのいろいろなあれがあったと思いますけれども、この法改正にあたっては、漁船部も、前段るる申し上げておる港内運送事業の中で就労しておる労働者もこの法改正がひとり歩きになるということに非常に神経を使っておる。  それで、さらに関連をしてお尋ねいたしますが、たとえば五トン以上二十トン未満小型漁船の隻数は変わらないが、馬力数が年々ふえてきている、四十馬力程度のものが八十馬力以上になってきていると思うので、常識で判断してみると年々沖へ出ることを意味していると思うのであります。これは都市排水その他で漁場というものが沿岸ではどうしてもないから、これが外洋に出ていくというようなことで、したがってこういう面から海難を受ける可能性や安全運航の面で機関長が非常に必要だということについて、改正法では省令によって云々ということが衆議院段階から回ってきておるこの外洋の船舶にありまするけれども、この点についても非常に論議のあるところだと思っているわけですが、いま申し上げた点について水産庁の見解をひとつずばりでお答えをいただきたい、こう思うのです。
  181. 新井昭一

    説明員(新井昭一君) お答え申し上げます。  先生指摘のように、確かに最近エンジンの馬力が非常に大型化していることは事実でございます。最近、沿岸漁業でも漁船の構造、性能がだいぶよくなりまして沖合いに出るという場合もあるわけでございますが、この二十トン未満漁船が約二十七万隻ぐらいございます。この大部分は比較的沿岸付近で操業をしているというのが実態だと思います。特に五トン未満のものが約二十五万隻ぐらいございまして、これらは、たとえば沿岸の養殖漁業に従事する船も含めまして、非常に限られたごく沿岸の海域で操業しているというのが実情でございます。で、ごく少数の船舶については、確かに百海里とかあるいはそれ以上の海域で操業しているというような実情もございます。
  182. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 大事なことでありますので、もう一つ水産庁のほうから、これは運輸省も保安庁もひとつ関連をしてお答えをいただきたいと思うのでありますが、五トン以上二十トン未満小型漁船の海難について、当局の資料を見ると、五十海里未満の海難原因、たとえば衝突だとか転覆だとかいうものを見ても最高に多いわけであります。百海里以遠になると百海里未満よりもふえるという現象が統計上出ている、こう思うのです。  また海難の種別では、何といっても機関故障が海上では一番多いようであります。陸上の自動車とかバイクはよく知りませんけれども、とにかく海上では機関の故障がどの原因よりも最高に高い。その次は衝突であるとか、あるいは機関に関係のある推進機の事故であるとか、あるいは直接生命に関係のあるのは転覆事故、これは荷物を積み過ぎたということに尽きるだろうと思います、そういうのが目につくと思いますが、統計上の判断から見ても機関長が不要だという理由は全く見当たらない。不要でないけれども、しかし今度の改正によって一級から四級まででき、一級を乗せればこれは一人でもいいというような法解釈もできるわけでありますが、こういう点について、それは君の取り越し苦労だというようなふうに、これは運輸省のほうからでも、水産庁のほうでも保安庁のほうでもどちらからでもけっこうでありますが、ひとつお答えをいただきたい。大事なことだと思っております、関係当事者として。私どもとしてもこの問題を審議するにあたって、この法案はできて結局はよかったんだと、あるいはできてかえってわれわれが難儀をするというようなその辺の一つの分岐点になるんじゃないかというふうに考えておりますので、ひとつお答えいただきたいと思います。
  183. 佐原亨

    政府委員(佐原亨君) 雇用問題をまず置いておきまして、安全にしぼりまして丙種機関士が乗っておるのと乗っていないのとどちらがいいかと言われますと、これは言うまでもなく乗っておったほうがベターである。したがいまして事安全、海上保安をつかさどる立場からいたしますれば、丙種機関士をおろさないほうがいいというのが率直な意見にならざるを得ないと思います。  ただ船舶職員法は御存じのように非常に古い法律でございまして、まあ明治時代の思想をそのまま受け継いできておる感がございます。構造、設備、材質等が非常に不備であった時代、人の力でカバーしておったその機械部分、材質部分が非常に進歩してきた今日において、総合的な安全度をいろいろ原局のほうで検討した結果、今回の法改正になってきておるのではなかろうかと思います。  その辺はちょっと保安庁としてはまことにものが言いづらいわけでございますが、丙種機関士をおろすかわりに一級または二級の小型船舶操縦士、これは聞くところによりますと在来のモーターボートをあやつっておる小型船舶操縦士の資格内容よりもうんとハイレベルなものだそうでございます、エンジン知識も十分に与えるような講習をし試験をするということで、そういった総合的な判断のもとに量を減らして質でカバーをするというのが今回の改正の要旨ではなかろうか。そういうふうに承り推測しておる次第でございます。その辺はちょっと私主管局ではございませんので、非常に歯切れの悪い答弁になりますけれども、そういうことで総合的に御判断いただきたいと思います。
  184. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) ただいまの長官の御説明に補足させていただきます。  先生の御指摘の海難におきましては、機関故障が非常に多いということは確かに事実でございます。そこで私どもが調べますところによりますと、次のようなことが機関トラブルの原因になっております。すなわち第一は機関エンジンの整備の不良、それから取り扱いが悪かった、ハンドリングが悪かった、それから不完全な修理その他、こういうことで、最近の統計によりますると一般の漁船の例で見ますと、二百七十七隻中、そういったいま私が申し上げたのは二百三十三隻もあるのが実情でございます。  さて、こういうような実情でございまするが、先ほど来申し上げてございまするように、最近非常に機器が発達しております。そこで事前に定期点検あるいは仕業点検というものを十分に実施しておれば、いま私がお話ししましたこの二百三十三隻の機関の整備不良とかあるいはハンドリングの不良、こういったことが未然に防止し得るのではないか。こういうことで、私どもはこの機器の性能についてはある程度、先ほど申しましたように、関係機関の有識者の意見をまってこういう結論に踏み切った次第でございます。  なお、先ほど来申し上げておりまするように、今回の小型船舶操縦士免許につきましては一級から四級まで分けまして、特に一級の場合におきましては学科時間を四十時間、それから実技を行なう場合二十時間、こういうことをしている以外に、特に整備技術、機関技術、こういったものにも非常に重点を置いてやっております。そういうことで甲機両用ということを兼ねて、こういった操縦士免許を取っておるわけでございまして、そういうことで、そういったエンジン知識を十分に持っておれば、いま私がお話ししましたようなエンジントラブルなりあるいはハンドリングの不良ということがないというふうに確信しておるものでございます。
  185. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 水産庁のほうはさしあたって見解を持っておられませんか——。  では先に進みますが、これは免許取得の年齢制限に関する件で、先ほど竹田委員の質問の中にもありましたが、現行法の十八歳を十六歳に改定したということだが、その理由として、ヨット等もさることながら、漁労に従事する若年のほとんどが中学卒、言うならば十六歳が常態になっておって無免許で、そういう者に全部免許を持たせる必要があるというのが改正のねらいであろうと推定をします。  で、私の調査によりますれば、確かに十六歳の少年が働いているんですよ。ことに漁船には多いわけですが、しかしほとんどがおやじなり兄なり年長者が一緒になって働いておるわけです。年長者が漁労の方法や漁場地点の確認だとか潮流などとか、海象、気象の判断などを一人前の漁師があと継ぎにするために仕事を教え、機関部のことも教えて一人前になるのを楽しみにしておるわけであります。われわれが一人むすこを漁に出すかと問えば、異口同音にとんでもないということばが返ってくるわけであります。とんでもないということは、まだ十六歳ぐらいでは体力はおとなであっても海象、気象の判断力については劣っておるので、自分のあと取りむすこを養成するために連れていっているのだと。一応そういう意味であって、十六歳に下げたという点については、これは漁船の場合については実際に当たってはどういうようなふうに下げられたかという点について、そんなことはちょっと思いつかなかったか、その辺について、これは水産庁のほうにもお聞かせいただきたいと思うんです。  たとえばある底びきの集団、これは日本で非常に有名な底びき集団でありまするけれども名前は伏せておきますけれども、若年労働者が足りないために山出しの少年を集めてきて見習いとして出漁させておるわけでありますが、一航海か二航海でほとんど下船して逃げるわけです。そこで、ここでは時間の関係で多く触れられませんけれども、昔で言うならばタコ部屋システムで、少年の足どめ策としてあるいは金を貸してばくちを打たせるとか何かによってやっているわけです。   〔委員長退席、理事黒住忠行君着席〕  このようなところでは免許を与え子供に励みをつけさすという意味で賛成するかもしれないが、からだはおとなでも精神面では未熟な少年を使うことは労働基準法や福祉の面から見ても好ましくないと思うのです。これは実際にあるんですよ。  そういうような点について運輸省や——労働省は保留しておきますけれども、いずれにしてもそれは取り越し苦労だと、そういうことは実際ないんだと、問題は、私がお伺いしたいのは、十八歳を十六歳に下げるということが、おかならばそれはいいんですけれども、オートバイは十六歳で取れまするけれども、とにかく海上では非常に問題がある。しかし法改正ではそうなっておりまするけれども、なぜそういうふうに法改正が出てきたかということだけはひとつ聞いておきたい、こう思うのです。
  186. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) いま先生の御指摘の点につきまして、いわゆるタコ部屋があるかどうか、こういうお話でございますが、これはいま水産庁の方がおられますからそちらからお答え願うといたしまして、船員局の立場としましてこの十六歳の問題について以下お答え申し上げたいと思います。  先ほどこの問題につきましては、竹田先生の御質問の際にもお答えしたわけでございますが、そもそもこの十六歳の年齢の免許対象になるのはいわゆる四級小型船舶操縦士でございます。四級小型船舶操縦士と申しますると、先生も御承知のように、総トン数五トン未満船舶で、しかも沿岸ですね、陸岸から五海里以内のみを航行する船舶船長でございます。非常に近い範囲において航行するという船舶でございます。したがいまして実際にこういった方が従事されておるのはおもに養殖漁業で小舟で済むもの、それからいわゆるレジャーボートモーターボート、こういった方がこの対象になると思うのでございます。   〔理事黒住忠行君退席、委員長着席〕  したがいまして先ほどお話ししました横浜港におきまする引き船の場合は、これは三級小型になりますので、十八歳ということになります。したがいまして十六歳の者と考えられますのは、いまお話ししましたように、非常に近距離の場合で、しかも養殖漁業に従事する者あるいはモーターボートレジャーボートをたしなむ者、こういった方がこの対象になるというふうに考えられるのでございます。  そう考えますると、いわゆるこういった非常に近い距離でございますから、これに就航する船舶の構造なりあるいはこの航行の実態から考慮いたしますれば、中学卒でも——中学卒と申しますと十六歳でございますが、その十六歳程度の能力があれば、十分にその要求される知識なり技能を習得できるんではないかというふうに考えまして、こういった線に踏み切った次第でございます。  なお実際問題といたしまして、いろいろと先ほど竹田先生からも御質問ございましたように、十六歳の方がしからばすぐ船長になって、そうして動かすと、これはまあレジャーボートの場合はいざ知らず、また養殖漁業の場合はいざ知らずでございますが、先生の御指摘のような京浜港のような船舶のふくそうしたところにおきましては、先ほど海上保安庁からも御説明ございましたように、実際問題といたしましては港則法その他のいろんな制限もございます。それからさらには、たとえ免許を取ったとしましても、その引き船船長の指揮下に入りましていろいろと長い経験を要するのではないか、深い経験が要るんじゃないか、そして除々に系統を踏みながら船長の過程を踏んでいくんじゃないか、そういうふうに思うのでございます。  そういった点につきまして、私どもも、十六歳の方がすぐ出て、そうしてふくそうした港内におきまして航行に支障を与えるとか、そういうことのないように、極力関係機関と密接な連絡をとりまして事故の防止につとめていきたい、かように考えておる次第でございますが、いま私がお話ししましたこの十六歳の免許の問題は、すなわち四級の者であって、一級から三級というのは別であるということと、それから陸岸から非常に近いところを航行するものであって、しかもそれは十六歳の中卒程度で十分に知識、技能が習得できるんではないか、こういうことでこの改正案を提出した次第でございます。
  187. 新井昭一

    説明員(新井昭一君) 漁業の側のことをお答え申し上げます。  四級の小型操縦士は、ただいま運輸省のほうから御説明がありましたように、五トン未満のものについて今回初めて資格が要るというようなことになるわけでございます。従来は、五トン未満の漁業者については何も資格が要らなかった。そういうような実情から、私どもといたしましては、やはり現に漁業を行なっている者に支障があってはいけないという考え方で、全般にわたりまして調整を行なってまいったわけでございます。  年齢の問題につきましては、現在の漁業の実態が、たとえば新規の中学卒業者が毎年約三千人ぐらい漁業に就業してまいるわけでございます。で年齢的には十六歳ぐらいの中学卒が三千人ぐらいずつ毎年新しく漁業に従事する、そういうような実情にございます。この場合に、やはり先生お話がございましたように、大体は両親なり家族と一緒に初めのうちは漁船に乗って操業をするという実態にあるかと思いますが、たとえば養殖業等の場合には非常に近距離で作業をするわけでございまして、そういう意味合いで、ときには一人で作業をするというようなこともあり得るわけでございます。そういうような実情を私ども踏まえまして、四級に限ってはやはり十六歳が適当なのではないかと、これは沿岸漁業者の声を聞きましても、まあその辺がいいんじゃないかというようなことでございますので、私どもといたしましては十六歳が適当というふうに考えている次第でございます。
  188. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 両省にお伺いしますけれども、それはたとえばノリ船だとか養殖業というものについての認識ですか、その辺はどうですか。
  189. 新井昭一

    説明員(新井昭一君) 一番いい例は養殖だと思いますが、大体五トン未満で操業する海域はいわゆる漁業権漁場の範囲内でございまして、近いところですと三キロ以内というようなところが大体漁業権漁場では多いわけでございます。中心は養殖等かと思いますが、場合によっては、そういう比較的近い海域で漁船漁業を行なうということがあるいはあり得るかとも思います。
  190. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) いわゆるノリ漁業の場合でございますが、これは十六歳の者でも、先ほどお話ししましたように、その実態から見て差しつかえない、かように考えております。
  191. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 先へ進みますが、試験機関の問題についてひとつ質問をしておきたいと思うんです。  竹田委員の質問の中に、これはどこでやらせるんだというかっこうで、それは一応資料が出るから、それはそれでいいんでありますけれども、どういうわけで一体財団法人にやらすのか。自動車免許は都道府県の警察でやるが、海技免許は国でやるのが当然ではないかというふうに私どもは考えておるわけですが、下請させる理由は予算にあるのか。たとえば国が行なうとしたならば、一体、どの程度の費用が必要なのか、試算されたことがありますかどうか。結局は、これは国でやることが一番望ましいと思うんですけれども、即いけなくても、そういう方向の展望は全然ないのか。いまある既存のものを、これこれのものがあって相当にやっているからということで、やはり既成、在来のものの手直しをして、それで監督していけばいいというのか。その辺の点については、これは大臣も既存のものと将来のものとを展望しながら、大臣は、やはり所管大臣になられて、この点は大事ですが、どういうふうにお考えですか、あとで見解を承りたいと思います。
  192. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生お話ございますように、この指定試験機関につきましては、本来国でやるべきじゃないか、まことにごもっともでございます。これにつきまして私ども実はいろいろと審議の過程において、実際にさてしからば国でやった場合に幾らぐらいかかるだろうかということも検討してみました。それは先ほど竹田先生の御質問にもお答えいたしましたように、いろいろ試験場をつくるとかあるいは必要なそういった試験官を配置するとか、あるいは具体的にそういった試験艇ですね、ボート、こういった購入費、こういうものをいろいろ検討してみました。約九億円ぐらいかかるという概算が出ております。しかしながら、もちろん理想的に言えば国でやるのが非常にいいのでございますが、いまお話ししましたように十億近い金が要るということ以外に、なかなかそういった海技免状を与える長い経験と能力を持った方が実は少ないというのが実情でございます。  したがいまして、それらの要望に沿うにはやはりいままでどおりこういった小型船舶操縦士の養成に実績のある公益法人を使ったほうが国家的にも有効ではないか、しかもその財団法人が恣意、独善に走らないように国が厳重な指導監督のもとにこの小型船舶操縦士の適正な養成につとめることが最も必要ではないか、こういうわけで、先ほど竹田先生の御質問にお答えいたしましたように、従来実績のある財団法人にやらせたらどうか、こういうことでいま事務的に検討しておる、こういう段階でございます。
  193. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のように、国の一定した機関免許をやるということは、これは望ましいことだろうと思います。  いままで御説明申し上げましたように、事実、今度免許対象になる人が大体六十五万人ぐらいおるそうでございます。漁船関係あるいはそういう試験をやらなくてもいい人の残りだけで、いわゆる試験をやらなきゃならぬ人が約三十六万ないし三十七万人ぐらい推定おる、しかも二年間近い期間にそういうことをやるというしかけになっておるようでございますから、将来は別といたしまして、今度の場合、そういう機関を、いままでの経験もあり、またいろんな知識を持った人のところに委託して講習をやり試験をやる、こういうことになると思うのでございますが、将来の問題としてはひとつ検討をしてみたいと思います。
  194. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 時間もだいぶたちましたが、以上数点にわたって問題点を尋ねるというばかりではなくて、私の主観であり、主張も申し上げたわけでありますが、衆議院の段階から修正という形で、しかも附帯決議もついてこちらに来ておるわけであります。  その過程で、この修正の中で、たとえば法改正の中の別表第一の「外洋小型船」の問題ですが、これがやはり衆議院の段階では、たとえば自民党が「外洋小型船」を修正して、「一級小型船舶操縦士」これを「船長」と書いて、「機関長(運輸省令で定める区域を航行する外洋小型船に限る。)」そしてその下に「丙種機関士」と書いてあります。  これが修正される過程において、ともかくも外洋船舶については丙種機関士を乗せるべきだという主張に関連して、しかしなかなか問題があるのだと。いわゆる沿岸からの以遠距離について、私の聞き及ぶところでは、自民党のほうの側は百海里、民社党のほうは五十海里、社会党は二十海里というかりこうでいろいろ論議されておるけれども、しかしいずれにしてもそれはめどであって、これはやっぱり機関長は運輸省令で定める区域を航行する外洋船舶に限るのだという点について、これは重要な参議院の段階においてこの法をとにかく再修正をして差し戻すとか歯どめをかけるということができない一つのタイムリミットがあるとするならば、一つの余地は、やはり私は理事の間で、この問題は重要なポイントだから、ぶちまけて言うならば港湾運送事業に関係する既存の船舶について海上労働の特殊性にかんがみ、船長機関長の配乗を義務づけるような何かそういう点について、「運輸省令で定める区域」というものはいろいろな経過があって修正案という形で出ておるけれども、これは絶対不変であって、どうにもこうにも動きのとれないものであるかどうか一そういう点についてひとつ所管局長から見解を伺いたい。  大臣も大事なことであるし、さらにわれわれのほうとしては、せめてこの段階にくれば、もう一日あとありますけれども、この点をこの辺で詰めて、いま御承知のように竹田委員が資料というものを収集しておるというような点を帰納法的に限定すれば、非常に大事な問題であるので、詰めれば一体どういうことになるのかという点について、差しつかえない見解というものをお聞かせいただいて、当局はこの省令のめどというものについてはどういうふうに考えているのか、これは委員長にも理事さんにも考えてほしいと思うのですが、その点についてはどういう見解ですか。
  195. 住田俊一

    政府委員住田俊一君) お答え申し上げます。  ただいま先生から、自民党の修正案といたしまして、別表第一の改正の中に「外洋小型船」とございまして「機関長(運輸省令で定める区域を航行する外洋小型船に限る。)」こういうふうになっておりまして、そうして「船長」と「丙種機関士」に改める、こういう案が出たことは事実でございます。  私ども政府といたしましては、元来原案といたしましては、先ほど来話しておりますように、最近のエンジン機器の非常な発達等によりまして、外洋小型船については機関長の乗り組みは不要であるというように考えておりますが、しかし、この修正案におきまして外洋小型船については運輸省令で定める、こういう案が出されたことは事実でございます。私どもといたしましては、この点につきまして修正案について現在鋭意検討を進めておる、こういう段階でございます。
  196. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘のように非常に重要な点でございますから、委員長を中心にしまして当委員会の御意見も十分拝聴して決定いたしたいと思っております。
  197. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 ここで委員長にちょっとひとつお尋ねしますが、これを理事さんの間でひとつ十分、きょうも若干時間はあると思うのですけれども、きょうでないにしても、十分慎重審議をして、めくらヘビに動ぜずで、あなたたちわからないのだから、こうこういうものだというところまで詰めて、可能性を追求して善処してもらいたいということを強く要望いたしますのですが、大臣もいま私が内輪話をするようでありますけれども、記録にもとどめておいていただいて、まだ私はたくさん持っておるわけでありまするけれども、この点がやっぱりポイントでありますが、そういう点について……。
  198. 竹田四郎

    竹田四郎君 ちょっと関連で。  きょうあたりの議論を聞いていますと、別にはしけの航行の態様というようなもの、あるいは引き船の実際の設備がどうなっているか、こういうような問題についても資料もまだ出てこないような状態、かなりむずかしい問題があるんじゃないかと私は思いますが、これはやっぱりわれわれこの法律審議する点で、横浜ならそう遠いところじゃないですから、ひとつそういうものを一回見て、現実にどうなんだということを明確にしなければ、一体、適当なのかどうなのかということがわからないわけですから、これはぜひひとつ委員長、理事の間で、短い時間でもいいと思いますから、引き船というのはどういうものだ、実際リモートコントロールというのはどういうものなんだ、引いている実態は一体どういうものなんだということを、本来なら夜間あるいは天気の悪いときが一番いいわけですけれども、なかなかそうばかりも言っちゃおられないと思いますから、短時間でもいいですから、ぜひひとつ現地視察をやるべきだと思うんです。  衆議院のほうでやっているのはどうもモーターボート関係だけ見て、実際の港湾というのはあまり見ていらっしゃらないようでございますので、ぜひひとつ重要な問題を含んでいるわけですし、法体系上も若干問題が私はあるように思うわけです。そういう意味でぜひひとつ短い時間でもけっこうですから現地を見てくる、確かめた上で法案審議をさらに進めるというふうに御配慮をいただきたいと思います。
  199. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ただいまの杉山委員竹田委員の御発言につきましては、本日の会議の終了後理事会を開きたいと思いますので、その席で十分に相談したいと思います。
  200. 杉山善太郎

    杉山善太郎君 竹田さんと私と振り合いでもって時間を非常に食ったわけでありますけれども大臣がおられないというと、次官ではこの質問が進められなかったわけでありますけれども、ひとつ大臣も、この論議を十分あなたの所信表明の中でやっぱり原点に返って、あるいはしゃべって帰ってということにせず、ひとつあなたの独自性というものを生かしてもらいたい、この大事なポイントをいま委員長もいみじくも言っておりますから、特に要望しておきます。  以上で私の質問は終わります。
  201. 森中守義

    ○森中守義君 少しめんどうですが、資料を五、六件。  各国の領海、専管水域の一覧表。ILO条約の九十二号と百二十六号だったと思いますが、客船の居住区に関する条約と漁船の居住区に関する条約。それから海上における違法船舶の監視体制と摘発をされた船舶の処分の状況。それから先般の港湾法の改正に伴った港湾整備計画の概要。それから沖繩を含む米軍の返還ドックの使用状況及び現在使われている米軍のドックの状況。それと、今回の改正によるモーターボートの数が相当ふえるということになりましょうが、資料の中に一応想定された隻数が出ていますね、こういう関係で油の需要量はどのくらいになるのか、これをひとつ、私の質問がいつになるかわかりませんが、できるだけ早急に御提出していただきたい。よろしゅうございますか。
  202. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) いまの森中委員の要求に対しまして、運輸省側は何かお答えになりますか。
  203. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 質問でございますが、港湾改正に伴った港湾整備計画の概要でございますか。
  204. 森中守義

    ○森中守義君 そのとおり。
  205. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 港湾改正に伴いまして港湾の計画はつくっておりませんでございますけれども……。
  206. 森中守義

    ○森中守義君 あの改正のときに、相当数の消費流通港をつくるんだ、こういう説明があったんです。でそういう消費流通港は何年にどの地区どの地域につくるのかということと、港湾管理者との間で一定の計画を協議するという条項があったと思う。それが四十九年度ではどうなるか、そういう計画です。特に公害などを中心にしたほうね。
  207. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) わかりました。また先生と連絡をとりながらやらせていただきたいと思います。
  208. 森中守義

    ○森中守義君 はい、けっこうです。
  209. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 本案に対する本日の審査はこの程度といたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時五十七分散会      —————・—————