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1974-02-14 第72回国会 参議院 運輸委員会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十四日(木曜日)    午前十一時二十一分開会     —————————————    委員異動  二月八日     辞任        補欠選任      棚辺 四郎君    岩本 政一君  二月十二日     辞任        補欠選任      矢追 秀彦君    三木 忠雄君  二月十四日     辞任        補欠選任      岩本 政一君    今泉 正二君     —————————————   出席者は左のとおり。     委員長         宮崎 正雄君     理 事                 黒住 忠行君                 菅野 儀作君                 杉山善太郎君     委 員                 今泉 正二君                 木村 睦男君                 橘  直治君                 小柳  勇君                 森中 守義君                 三木 忠雄君                 山田  勇君    衆議院議員        修正案提出者   野中 英二君    国務大臣        運 輸 大 臣  徳永 正利君    政府委員        運輸政務次官   増岡 博之君        運輸省大臣官房        審議官      原田昇左右君        運輸省海運局長  薗村 泰彦君        運輸省船員局長  住田 俊一君        運輸省港湾局長  竹内 良夫君        運輸省鉄道監督        局長       秋富 公正君        運輸省自動車局        長        中村 大造君        運輸省航空局長  寺井 久美君    事務局側        常任委員会専門        員        池部 幸雄君    説明員        外務省アジア局        外務参事官    中江 要介君        日本国有鉄道総        裁        藤井松太郎君     —————————————   本日の会議に付した案件 ○運輸事情等に関する調査  (運輸行政基本方針に関する件) ○船舶職員法の一部を改正する法律案(第七十一  回国会内閣提出、第七十二回国会衆議院送付)     —————————————
  2. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) それでは、ただいまから運輸委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  棚辺四郎君、矢追秀彦君が委員辞任され、その補欠として岩本政一君、三木忠雄君が、選任されました。  また、本日、岩本政一君が委員辞任され、その補欠として今泉正二君が選任されました。     —————————————
  3. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 運輸事情等に関する調査を議題といたします。質疑のある方は順次御発言を願います。
  4. 森中守義

    森中守義君 七日に大臣がお述べになりました所信について、おそらくこのことを中心運輸委員会議論が展開をされてまいると思いますが、きょうはその第一回として大局的にお尋ねしたいと思うのです。  この中で述べられていることで非常に注目しますのは、「まず第一に国民生活の安定をはかり健全な生活環境をつくり上げるための対策に取り組んでまいる決意であります。」というところです。それから「国民の足を確保し生活必需物資の円滑な輸送をはかるべく特段の努力を払う所存であります。」、こういうことですが、まあこれは非常に注目に値するとは言いながら、きわめて儀礼的であり、かつ事務的であり抽象的である。一体この内容はどういうことなのかということが、以下ずっとお述べになりましたが、まあこれはある意味では予算の骨格を説明されたにとどまっているものと私は思うのです。ですから、いま国民政府あるいは行政に対してたいへんな怒りを持っている。言うまでもなくつくられた石油危機、つくられた気違いじみた物価、まあこういうようなことを考えてみれば、一体経済官庁である運輸省がどういう姿勢をこれから貫いていくべきなのか、まあ非常に問題が多い。  こういうことをずっとしさいに考えていきますと、いま運輸大臣が就任をされて、言われている交通危機、これ一体どういうように受けとめられているのか。まあ私は私なりに考えるのですが、たとえば昭和三十年代における交通危機というものは、これは当時いわれた交通戦争、まあ交通事故中心にしたそういう言い方であったと思うのです。四十年代になりますと、こういう単に交通事故中心にした交通戦争などという言い回しではもうとうてい避けられないですね。むしろ三十年代にいわれていた交通事故というものはまさに肉弾戦。それから最近のように、たとえば国鉄マル生運動、こういうものなどは交通部門におけるいわば思想戦、こういうことになるであろう。あるいは海洋の汚染、油の汚染、あるいは騒音公害振動公害排気ガス、スモッグ、こういうものはまさに化学戦である。それと料金の次から次に改定されていく問題等は、顕著なこれは経済戦ではないか。こういったように肉弾戦経済戦思想戦化学戦と非常に国民としては迷惑千万な交通危機になっている。この現状運輸大臣としてはどういったように受けとめられているのか、この受けとめ方が私は問題だと思うのです。  そういうことが決意を新たにという表現になったものと思う。しかも、そういうことを要約的に申し上げるならば、在来運輸交通政策というものはすべからく経済従属型のものであった。国民が怒っているというものは、経済従属の型から国民生活中心の型に運輸政策の転換を求める、こういうことだと思う。ついては、そういう意味から、在来方針を踏襲されるのか。つまり経済従属型の交通政策をとられるのか、あるいは国民生活中心にした徳永運輸大臣としての独自の環境を開拓されるというのか、どちらを選択をされるのか。私が最初に決意を新たにというのは注目すべきものだ、というのはそれを意味している。踏襲されるのか、独自の政策を展開されるのか、どういうお考えでしょう。
  5. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いままでの運輸行政というものが、いわゆる経済従属型であったかどうかということについては、いろいろ御議論があろうと思います。私はその議論はさておきまして、私がいまここで決意を新たにすると申しますのは、運輸行政というものは国民生活をいかに守るかと、国民生活をどういうふうにささえ守っていくかということが運輸行政の根幹にならなきゃならぬと、こういうふうに考えております。したがいまして、今日までの行政政策に対しまして、私はこれが必ずしも経済べったりの従属型であるとは思いませんけれども、とにかく私の考えは、ただいま申し上げましたように国民生活運輸行政の上でどう守り抜くかと、この一点をはずして運輸行政はないというふうに決意を新たにしておるのでございます。
  6. 森中守義

    森中守義君 大臣従属型であったのか国民生活中心であったかという、これは単にものの見方という、そういう相違の問題じゃないと思う。私は、やはり運輸行政運輸政策というものは、過去の長い沿革を持っている、流れを持っているんですね。そういうことから考えていけば、いま従属型であったのか、あるいは国民生活中心であったかという、まあ一つのわきまえといいますかね、その辺に一つ判断をつけてかかっていかなければまずいと思うのです。それはこれから少し議論に入りますが、私はこれから実証する幾つかの問題によって、あくまでも経済従属型である、少なくとも国民生活中心にしたものじゃなかった、こういう判断を持つのです。  しかし、いま大臣の言われるそれはともかくとして、大臣としては、国民生活中心にやっていくんだと、そういうことであれば、たとえばいままで表に出されてきた総合交通体系あるいは一連の関係機関決定運輸政策というものは当然大きな変化を伴わなければできませんよ。これはできません、いま言われるようなことでは。  それで、いま大臣は、あくまでも国民生活中心にしたものだ、そういう運輸政策をやる、こう言われるのですが、それならば、在来総合交通体系に関する中間報告であるとか、あるいは閣僚協決定であるとか、こういうものとはかかわりのないものとして新たな政策をおやりになるという意味に解してよろしゅうございますか。
  7. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私が申し上げましたのは、私の決意所信表明の中において申し上げたそれを重ねて簡潔に申し上げたわけでございますが、いままでのしからば交通体系というものを全部変えなければできないぞという御判断でございますが、私は必ずしもそうは考えておらないわけでございます。改善すべきものはもちろんございましょう。時代の流れにより、また今日の経済情勢省エネルギー問題等、当面いたしまして、今後、当面変えていく、あるいはまた長期的にこれをどういうふうに見ていくか、いろんな問題がここにあると思いますが、いま直ちに、おっしゃるように、いままでのものを全部さておいて、新しい出発点に立っての決意を申し上げましたけれども政策そのものについては、いろんな取捨選択がこれから出てくるだろうと思います。  したがいまして、私が申し上げましたような決意の上に、いままでの交通政策なるものを、とるべきものはもちろん踏襲してまいりますし、また改めなければならないものにつきましては、いろいろまた検討を要するものもあろう、こういうことでございます。
  8. 森中守義

    森中守義君 大臣、具体的に申しますと、四十六年の十二月十七日、臨時交通問題閣僚協議会、これが重要な政策決定をしている。そこで、この問題を一つの転機にしまして、陸上、海上、航空、いわば全体的な交通政策というものは、ある問題については非常にテンポを速める、ある問題についてはスローモーション、こういうように政策を実行に移す、そのテンポには多少の柔軟性がありますがね、おおむねこのことを中心にしていま動いている。よろしゅうございますか。そこで大臣は、とるものはとる、捨てるものは捨てる、こう言われるのですが、そのまま文言を実際問題として当てはめてみるならば、これは取捨選択をされる、こういうふうに解していいのですか。
  9. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 私のことばの足らなかったところもあろうかと存じますが、この総合交通体系そのものを、これは長期展望に立った一つ体系でございますから、申し上げるまでもなく、いま私はこれに対してどうこう変えよう、さらに検討を加えようというつもりはございません。いま当面しておるいろんな問題は、御説明申し上げるまでもなく、石油問題を中心にいたしまして、いろいろの問題が派生しておるわけでございますから、そういうような問題を長期展望を進める中において総合的な需要の抑制でございますとか、そういうようなものを取捨選択、現実に合わしたものに進めていこうということでございまして、いま直ちにこの総合交通体系そのものに、この長期展望改定考えるというわけではないわけでございます。
  10. 森中守義

    森中守義君 そういうようなお答えになってきますと、やはり新たな決意とか独自的なものということは、これは当然期待すべくしてもできない。  そこでひとつ、ごく最近の問題を提起しまして、さっき大臣が言われたように、経済従属型であるのか、あるいは国民生活中心にしたものであるかというこの判別の一つ例示を私はしたいと思う。まあ少なくとも国民生活中心にした運輸行政ではない、これだけはどうも歴然としていると言わなきゃならぬと思うのですね。その中の一つに、一月の二十二日、例の石油パニックに端を発したタクシー料金暫定措置、こういうのは一体国民の足をほんとうに守るという考えとしてなし得るものであるかどうか。国民の足を守る、国民生活中心にしているというものとは全く似ても似つかないようなものじゃないですか。おそらく運輸関係の全部の委員に陳情書的なものが回ってきたと記憶しておりますが、全国のタクシー業界のほうで、このパニックによってたいへんな損害をこうむった、ですからすでに出している基本料金申請、これを急いでくれ、同時にこうむった損害を補償してほしい、場合によっては訴訟に持ち込むもやむを得ないと、こういうような書面、これがいま私の頭の中に少し残っている。  ほんとうに、あれほど重大な物価狂騰のおりに、なぜこういうように二九%という高率な暫定運賃を実施しなければならぬのか。これははたして国民の足を守る、国民生活に根拠を置いた政策と言えますか。このことはどう考えておるのですか。
  11. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘の点につきましては、これはこまかく申し上げますと、十一月の終わりごろに、石油業界と申しますか、LPガスカットを宣言してきたわけでございます。そこで、これはたいへんだというので、私どもも直ちに通産省と協議いたし、また通産省をむしろ鞭撻いたしまして、その三〇%カットというようなものについてはとうていタクシー業界としては——承知のようにタクシー業界というのは個人もしくは零細な業者が多うございまして、六大都市に例をとりますと約半数近いものが個人タクシーでございます。で、まずこの量を確保し値段を維持するということに全力をあげてみたのでございますけれども、なかなかそれがうまくいきません。十二月の初めに入りまして、ようやく通産と私のほうの政務次官が最後の詰めに入りまして、十一万五千トンはタクシー用としてLPガスを確保する。値段の点についてもいろいろやりましたけれども値段現状維持にはなかなかとどまらなかったというのが実情でございました。  そこで、その十一万五千トンをどういうふうに割り振るかというわけで、いろいろ業界とも十分相談いたしまして、自主的に、できればみんなで話し合って、乏しきを憂えつつ、ひとつ平均に、これが平等に行き渡るようにということで、御承知のような個人タクシー並びに営業タクシーガス供給量がきまったわけでございます。そこで十二月の初めごろから、御承知のように、御指摘のようなタクシー料金暫定でない、いわゆる本料金申請も出ておりましたが、私どもはこの際、何とかこの量でやれぬものかということを強く要請もし協力も求めましたけれども、それほど言うならば、われわれはいまここを、物価をそういうふうに押えるということで要請するならば、われわれは暫定でもいいからこの際運賃をきめてくれと、こういう要請か出てきたわけでございます。  私は予算委員会におきましても暫定運賃という声があるがおまえはそれをやるのかという御質問がございました。しかし私は暫定運賃というのは運賃体系の中になかなか組み入れるのに問題があると思うと、したがって暫定運賃というものを採用するかどうかということについては、よほど慎重に考えざるを得ないんだという答弁を確かに予算委員会でしております。しかしながら、昨年の暮れになりまして、御承知のような、この運営をめぐりまして、個人タクシー、いわゆる零細業者の中から自殺者も出るというような悲惨な状況もあったわけでございまして、そういうものを背景に、国民の足は守らなければならない、これはもう当然のことでございます。  しかしながら、守るためには、やはりそういうような零細業者の経営をどういうふうに裏づけていくかということについて、実は融資考えたわけでございます。事実、この公庫に対しましても融資ワクというものの設定あるいはどういうふうにこれを進めていくかということについて、いろいろ御相談いたしました。なかなかしかし個々のそういうような個人、零細な業者がほとんどでございますから、この融資についても思うような裏づけができなかったわけでございます。そこで年末に、この混乱はどうしても見のがすわけにはまいるまいということで、いわば緊急避難措置と申しますか、緊急な問題として暫定運賃をやらざるを得ないということを暮れが迫って申し上げたわけでございます。  その後も石油輸入量が多少緩和されるんじゃないかというような話等も出まして、私どもとしましてはこの暫定料金なるものを何とかまた逃げられないだろうかということで、通産省におきましても正月一日から実施するという石油カット正月十日に延ばすというような声明までいたしましたから、その間の事情等もよく調査し、話し合いもしましたけれどもLPガスに対する問題は一向に思うような解決がつかないということで、タイミングとしましては、総理が前の日に極力抑制しますと演説をした翌日に、こういうような料金設定を発表せざるを得ないという、まことにタイミングの悪いことは承知の上で、実は決断をしなければならなかったと、こういう状況でございまして、力の足らなかったこと、あるいはいろんなその間に、私どもとしても不手ぎわもあったかと思いますけれども、そういう事情を踏まえてそこに到達したわけでございまして、これも私は、国民生活を守るといいながら料金を上げたじゃないかと言われる裏に、やはり二十三万人余の従業者生活というようなものも考え合わせて、そういうふうな決断をせざるを得なかったということでございまして、その点を何とぞ御理解いただきたいと存じます。
  12. 森中守義

    森中守義君 その経緯につきましてはあらかた知っている。ただし、いまお話の途中でお述べになりましたように、たとえば融資方法考える、こういうお話があったんですね、融資暫定運賃をきめるかわりに融資でしばらく切り抜けていこうという、そういう意思だったと思う。むろん、さっき申し上げたように、業界も正確にその数字をはじき出して、これこれが営業欠損だと、その補償をどうしてくれる、いろいろ出されておった。ですから、これはそういう事態に、ほんとうに気違いじみた物価上昇に油を注ぐようなことをしないで、方法は幾らもあったと思うのですね。その方法をとらないで、あの物価高騰の渦中の中で一挙に六大都市二九%アップということは、これはどう考えてみても国民生活を基調に踏まえた政策とはいえない。だから、私は経済従属型と、国民生活中心型じゃないんだと、こういう一つ例示になろうかと思う。  そこで、もう少し、いま車問題ちょっと出しましたのでお尋ねいたしますが、この暫定運賃決定手続ですね、あるいはその法律上の問題非常に割り切れないものがありますよ。いま、私の手元に一月二十二日、物価対策閣僚協議会、この決定された写しがある。これはもう読み上げる必要もありませんけれども、「六大都市タクシー運賃の取扱いについて」「最近タクシー事業にあっては、LPGの供給量の削減と燃料価格等高騰に直面し、深刻な打撃を受けているため、タクシー事業運営の安定に支障を生じさせないよう二九%の暫定運賃を認めることとし、基本運賃改定については四十八年度の実績をみて検討することとする。」、こういう物価対策閣僚協議会決定がある。大体運賃料金というものはだれがきめるのか、いま、こういうお話をしますと、こういう騒然たる物価事情の中にそんな手続的なことやこまかなことを言うなという、そういう一部の意見があるかもわかりません。けれども道路運送法上、運輸大臣料金運賃認可権者である。きちんと法律で規定されているんですね。しかるに実際の決定というものは物価対策閣僚協議会がきめる、これは一体どういうことなんです。屋上屋を重ねるというか、道路運送法できちんと確立をされている権限というものが行使されないで、そのようなところで決定をしている。これはまた、後刻触れる国鉄運賃凍結の問題も同様です。私は徳永運輸大臣の力量とか、識見とか、手腕というものを非常に低いとは思っておりません。けれども政府の全体の政策の中に動いている実情というものは法律を越えている。何のために道路運送法があるか、これ、所管大臣としまして、この一事に限ったことじゃございませんよ、何もかにもこういうことが多い。  一体確立をされた法律というものがこう簡単に侵犯をされていいものなのかどうなのか、暫定運賃もいま申し上げたように物価対策閣僚協できめる。どういうことなんですか。これが私の言う実務的な、手続的にも問題があるということの一つなんですがね、どうお考えになります。——それは大臣だよ、それは大臣だよ。
  13. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) いま御指摘道路運送法との関係でございますが、一般的に国民生活に影響のある重要な公共料金決定に際しましては、単に運賃だけでなくて、他の公共料金も含めまして閣議において物価対策閣僚協の議を経て、これを政府全体として、全体の物価対策との関係を調整しながら方針をきめていこうということは、閣議においてきまっておりまして、そういう運用方針で現在行なわれておるわけでございます。
  14. 森中守義

    森中守義君 それはおかしい。閣議法律とはどっちが強いものですか。閣議決定だから法律を犯していいということになるの。あくまで私、手続的なことをいま問題にしているんですがね。生きた政治の中でそれはあり得ることであろう。そのことは否定はしない。けれども、よしんばそういうことであれば、あらゆる公共料金については、いま言われるような閣議決定に持ち込むというようなことを法律のほうへきめなさいよ。道路運送法はそういうことを許容していないんだよ。許容していないにかかわらず、閣議決定でやったんだ。そんな理屈の合わぬようなことを言ったってだめですよ、それは。
  15. 原田昇左右

    政府委員原田昇左右君) 先ほどことばが足りなくてたいへん失礼いたしましたが、道路運送法上の運輸大臣権限を変更するものでは全然ございませんで、運輸大臣道路運送法上の新料金認可をする場合に、全体の物価閣僚協におきます方針に基づきまして処理をするということでございます。
  16. 森中守義

    森中守義君 それは原田君ね、そういうことを言っちゃいかぬよ。それは運輸大臣決定したことに判こをつくだけなの。道路運送法上の認可権というのは意思決定意味しているんですよ。どうですか、それは。意思をきめたのは閣僚協だ。その意思を受けて大臣を自動的にあやつり人形のように閣僚協がきめましたから手続をとりますと、これは大臣権限ですか。どこで、だれが意思決定するかというのが問題なんですよ。そういう議論になればね、やっぱりもう少し深みに入らにゃいかぬ。道路運送法八条の認可権というのは意思決定をいうわけです。いいですか。いま審議官説明からいけば、意思決定ということじゃなくて、手続的には運輸大臣がするんです。こんなばかなことないよ。道路運送法とはそういう権威のないものですか。少なくとも、いままで運輸関係道路運送中心陸運行政等をずっと見てきた私どもからすれば、運送法八条の認可条項というものは、これは意思決定をいうんですよ。大臣、どうお考えになる。そういう考え方を官僚が持っているからだめなんだよ。どうですか。
  17. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のとおりでございます。この第八条によって決定するのは運輸大臣であり、その権限のあるもの運輸大臣であり、責任のあるのも運輸大臣でございます。ただ、その間にいろんな公共料金というのは他に波及する問題もいろいろあるということで、私この物価閣僚協議会なるものが、どういう時期に、どういうような話し合いのもとにこういうものができたかということを、どういう条文にあるかということをいま調べさせておりますけれども、これができましたのは、おそらく他にいろんな波及し、あるいはまた他に関連するものがあるから一応そういう閣僚協議会の源というものをつくって、そこでその方々の意見も聞こうし、こちらの意見も述べて意見の調整をやろう。しかし、ここで決定されるものではもちろんございません。閣僚協議会協議会として一つ意思決定はすることにはなると思いますけれども、しかし決定権なり、あるいは権限なり責任というものは、あくまで運輸大臣にあるわけでございます。
  18. 森中守義

    森中守義君 これはちょっとこまかな話になり過ぎるかもわかりませんが、大体道路運送法八条の認可条項というものは、これは施行規則も含めまして全部崩壊しているんですよ。これが問題なんですね。だから私は新しい体制に対応できるようなむしろ法律改正などが望ましい、本来的には。だから法律法律で現存している。具体的に言えば八条の場合ですね、認可権は地方陸運局長に委任している、委任しておりながら実際は地方陸運局では裁量決定権はない、みんな本省でそれを吸い上げる、しかも本省は企画庁にそれを出す、ものごとによっては閣僚協に持ち込む、今日のその経済異常、物価異常というものは、やはり運輸省プロパーではできないでしょう、そういう総合性、そういう波及性の強い内容であることは、これは十分承知しておりますよ。  しかし、すでにもう道路運送法というものは、そういう意味では形骸化しているのだ、空洞化しているのだ、これはこれからの問題としまして、大臣、よほど慎重に扱っていきませんとほんとうに問題だと思いますよ。大臣が地方陸運局長に委任している、委任を受けた地方陸運局長権限の行使ができない、運輸大臣においてすらも、閣内の状況はどうであるかは、これは別のものとして、形式と実態が全然違ってきているんですね。実情としておわかりになりますか。だから私は、そういう意味では道路運送法が空洞化、形骸化、こういう状況にある。しかし半面、このことが何かの問題等行政訴訟等に発展をした場合にどういう扱いをするのか、少なくとも政府がよく言われるように法治国家なんだ、法律中心だとこう言われるならば、やはり政府みずからも法律を守ってもらいたい。守られていないことに問題がある。だから私は、現在の経済事情、これがいろいろなところに関係を持っておりますから、プロパーでできなければそれにふさわしいような法律改正なり何なり行なわれなければいかぬ、それをやろうとはしない。  ですから世間体ではそういう背景があまり理解されないで、料金改定、また上げたか、運輸省が悪いのだ、運輸大臣が悪いのだ、こういうことで、きわめて不利な立場に立っている。実際やる者は横におった、こういうような声なども決して少なくないんですよ。だから私は、きちんと法律がある、あるならあるように守りなさい、意見を聞かれることはけっこうでしょう、しかし名実ともに道路運送法を守ってもらいたい、そういう意味で、今回この措置というものは、いま大臣のそういう意見は聞いた、意見はお持ちである、最終的な意思決定は私がしたのだと、こう言われますから、そのまま私も深追いはいたしませんけれども、そうじゃないんですね。きちんとこうして、もう物価問題閣僚協議会決定というのは出ているんですよ、これをもって運輸大臣がみずからの意思によってきめたとはだれも思いませんよ。押えつけられている、こういうようなことは手続的で非常に問題がある、こう思うんですがね。しかし、これは今回に限ったことではない。これから随時こういう問題にぶつかるでしょう。そういうことを当然なこととして予測いたしますから、道路運送法八条条項に対してどういう見解をお持ちになるのか、どういう方針でこれから進んでいかれるのか、それをちょっと聞かしてもらいましょう。
  19. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) いろいろ御指摘の点につきましては私もよくわかるわけでございます。法律で定められております点につきましては、今後もいろんな面にぶつかるだろうとおっしゃいましたが、たぶんそういうことがたびたび出てきやせぬかと思っております。しかし、それはあくまで運輸大臣責任権限においてこれを遂行していくという決意には、またそれの実行には変わりはございません。その間いろいろと御相談する向きもあるかと思いますけれども、それはあくまで一つ協議会であり、協議であり相談であるわけでございまして、最後の決定運輸大臣に帰するわけでございます。今後も、私がどうも力が足らぬで振り回されているようなことで、まことに申しわけないと思いますけれども、これはもう勇気を出して、そういう御批判のないようなひとつ対策を進めていきたいと思います。
  20. 小柳勇

    ○小柳勇君 関連。  手続上はそれでいいが、問題はこういうことだと思うんです。運輸大臣のほうは運賃を上げたくなかったけれども、どうしても全体的な石油危機などで物価の閣僚会議のほうでは全般的なものをもって上げたという見方か、運輸大臣は上げたかったけれども物価の閣僚会議はどうかわからぬから持っていって相談したんだと、そういうことが問題だと思うんです。権限は確かに運輸大臣にあるはずです、道路運送法にありますから。物価に持っていったところが実はなぜかと聞きたい。そういうふうに現状物価値上げの問題について、一切もう物価対策閣僚会議にかからぬ、各大臣権限もない、田中内閣のときには一応そこで締めているんだと、でなきゃこんなこと何も閣僚協議会にかけぬでも、大臣でいいとか悪いとか言えるはずだから、そこのところをまず聞きたいわけです。  私どものきょうの結論は、暫定運賃だからこれは一応もう取り下げてもらいたいと、たとえば厚生省もやっているし通産省も値下げをやっているんです。二九%の暫定に上げるというのは、いまわれわれとしてはどうも納得しがたい。いま乗ってみましても、皆さんもう実情はたいへんなんです。だから、暫定だから早急にこれはもう取っ払ってもらいたい、もとの運賃に返してもらいたいというのがきょう私どもの言わんとする最終的な質問なんだが、それには、いや下げるのは今度もう閣僚会議に持っていかなきゃだめですよというなら、もうここで論議したってしょうがないから、予算委員会に持っていかぬと、時間のロスだから、そこのところを、いや暫定運賃ですから世間の情勢を見たらもう運輸大臣があと下げますよと、それだけの権限があるとおっしゃるならいいです。ただ、われわれいま大臣の答弁聞くと、権限はあるけれども物価の問題についてはやっぱり閣僚会議のほうに持っていかぬと、上げるも下げるもできませんということであるようにも思うから、そういうところをちょっと教えておいてもらいたい。
  21. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) まあこの閣議決定によりまして、公共料金は極力これを抑制するという一項があるわけでございます。したがいまして、今度の暫定運賃の場合は私はこの内容あるいはその手続あるいは法律との関連等についてはいろいろ問題があるだろうと思います。しかし、やむを得ずそこまで踏み切ったということは先ほど申し上げたとおりでございますが、この暫定運賃を今度どういうふうに持っていくかという問題につきましては、これはもう私の権限において——上げることについては抑制するという閣議決定がございますから、これはもういろいろ手続に従って皆さんとも相談するような、協議をするというようなことも、手続的なものはございますけれども、しかしながら、暫定運賃を今後下げるとかストップするとか廃止するとかいうような点については、私はその他の方々に形式立ったそういうような協議というようなものは要らない、私の権限においてやれるというふうに思っております。  なお暫定運賃につきましては、いま御質問の点に触れますと、油がどういう事情になっているのか、この値段が一体どういうふうな動きをするか、このLPGのいわゆる定着の状況を見きわめた上で検討したいというふうに考えておりまして、いま実は鋭意その調査を進めさしておるところでございます。
  22. 森中守義

    森中守義君 もう一つ道路運送法上の問題で気になりますのは、暫定運賃暫定料金というものは道路運送法のどこにあるのか。制度として確立されていない。ところがいかにも暫定運賃というものが道路運送法上あたかも確立された、許容されたものであるかのような言い方がしきりにされるんですね。まあこれも手続的に、あるいは解釈上非常に問題があります。一時暫定運賃の制度を導入しようという一部の意見があったことは私ども聞いております。しかし、そのことは法律字句は何もない。八条三項を読んでごらんなさい。確定運賃としておりますよ。正確な原価計算をやってくれ、そういうことがきちんと法定されているんですね。暫定運賃どこにあるんですか。法律外の制度をこういったものとして採用されることはまことに適当でない。どう思われますか。
  23. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 今回のこの暫定運賃と申しますのは、法律的には第八条にいう運賃でございまして、特にこの八条と違った運賃設定をしたということではございません。ただ今回の運賃設定が、いわゆるタクシーの燃料危機という緊急事態に対処するための非常に緊急的な措置であるということと、それからいずれにいたしましても、これは石油危機が去りまして、いわゆる常態に復するまでのものである、こういう関係から、従来運賃設定をいたしておりますように、一度設定をしますと大体二年間ぐらいはそれでいくというふうなそういう慣例あるいは原価計算上もそういう仕組みにいたしておりますけれども、そういうことじゃなくて、石油の状態がもとへ戻るまでと、こういう関係でいわゆる暫定ということばが通称されておるわけでございまして、法律的には先生御指摘のように、決してこの第八条にいう運賃と別の運賃設定したということではございません。
  24. 森中守義

    森中守義君 まあこれは法制局あたりの正確な見解を問う必要がありますね。  私は、さっき申し上げたように、道路運送法のどこにも運賃暫定制というものは性質的に置くべきものではないと思うんです。存在しないものだと、不特定多数の者から所定の対価を取るわけですからね。やっぱりこれはこの八条二項の一号でいっているように、「能率的な経営の下における適正な原価を償い、且つ、適正な利潤を含むものであること。」、これは暫定的なものと読めますか。だから、これはやっぱり、自動車局長ね、まあ率直に暫定運賃という、そういう新制度を導入しようということであるのか、将来問題としてその道を開いたのかどうなのか、そこまで少し言ってみたくなるんですがね。道路運送法上どこをどう読んでみても、運賃暫定制というものは出てこないんじゃないですか。ただ二、三の先例はあるようですね。非常に大幅に料金改定した、一挙に所定の日時をもって実施できないから、その間中間的に小幅なものでしばらくやってみるという、こういう先例は一、二回あるように聞いております。しかし、それもやっぱり問題なんだな。だからここでいっているように、料金運賃というものは適正な原価、適正な利潤を確保する、そうしなければ行政の都合によって暫定的なものでやりますよというのでは、取られるほうはたまったもんじゃない。ここに運送事業の公共性というものが背景にあるんじゃないですか。だから、この際は暫定というものは制度としてとるべきでないし、今回採用された暫定運賃というものも決して適当であるとは思わない、こう思うんです。そこで業界ではこの暫定運賃をきめる前に六〇%か七〇%かの基本料金のアップ申請が出ていたのでしょう。この件はどうなっているのですか。
  25. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 六大都市につきましては、昨年の十二月の一日から十日ころまでの間にかけまして、七十数%の基本運賃改定申請が出されていたわけでございます。これは前回の運賃改定をいたしましたのが四十七年の二月でございまして、それから大体二年近くたっておるということと、それから昨年末からの石油危機というものの到来で非常に危機感を持ちまして、いつもだともう少しあとで基本運賃申請をあるいは出すつもりであったのかもわかりませんけれども、少しでも早く運賃改定をしてもらいたいと、こういう趣旨だったと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、一日から十日ごろまでの間にかけて基本運賃申請を出してきておったわけでございます。
  26. 森中守義

    森中守義君 そこで、だんだん疑問がわいてきますのは、この八条の二項で「適正な原価」「適正な利潤」と、こういっておりますが、二九%、六大都市というのはきわめて正確な原価計算によったものかどうか、これが一つわからない。同時にまた、その閣僚協決定というものは、閣僚協みずからが二九%を詰めた数字として出したのか、運輸省が持ち込んだのか、これはどっちなのかわからない。  それからいま一つは、運輸交通関係ということになりますと、石油パニックによるものはほかにもあるんですね、ほかにもある。トラック運送もあれば、あるいは航空もある、海運もある、バスもあるというわけで、かなり広範な業種が存在するのですね。こういうところには全然目を向けないで、なぜひとりタクシーのみ二九%、それも六大都市に限ったのか、他の己とについてはどうお考えなのか、これもよくわからない。  それと、一月二十二日時点における二月、三月、四月、こういう石油事情、LPG事情に対する見通しの問題。率直に申し上げて、もうすでにこの見通しはくずれちゃったわけです、そういうことでしょう。いま、たとえばその一五%カットと、四十二円幾らかに上がったLPGへの、この二つのことを主要な問題として二九%出されたようですけれども、もうすでにカット分の一七%か一九%、これはもうどこへ行ったってみんな満タンしておる、価格も四十二円幾らから三十円台に落ち込もうとしておる。もうすでに二十二日のこの決定というものは二、三、四、五、この段階の見通しを一体持っていたのか持っていなかったのか。一カ月経過した時点において、すでにもうくずれておるんじゃないですか。二九%アップの必要性、少なくとも運輸省あるいは閣僚協できめられた意味合いというものは具体的に内容はもう崩壊しているんです。暫定運賃をきめる際には、少なくとも数カ月後の石油事情の見通しを全然持っていなかった。こういうことも私は言えると思う。これも私はわからない。いま問題にした三、四点の不明な事項を具体的に説明してもらいたい。
  27. 中村大造

    政府委員(中村大造君) まず第八条にいう、いわゆる原価計算の関係はどうなっておるかということでござ、いますけれども、私どもといたしましては、とにかく現在の運賃の中で、あるいは現在の運賃による収支見込みの中で全く予期しなかった事態が起こってきておる。それは元来LPGを望むだけ使って走行すると、こういう前提がいわゆる一五%供給量カットということで走行キロは一五%落ちざるを得なくなった。それからLPGの価格が約倍近くに上がった、こういうことで、これは現在の運賃の中には全く織り込んでない状態でございます。これがあまりにも大きな要素でございましたので、今回の運賃の算定にあたりましては、ほかにもいろいろな値上がり要素はあるわけでございますけれども、われわれとしては、まずこの一五%カットによる収入減というもの、それから燃料の価格アップによる経費増というもの、この二つの要件を中心にいたしまして、それによって運賃の算定をいたしたわけでございます。  それで、これは六大都市ばかりではなくて全国的な問題でございますので、全国的にはこの基準、この考え方で計算をして運賃の計算をしたと、こういうことでございます。六大都市につきましては、先ほども申し上げましたように、前回の改定から二年近くを経過いたしておりまして、事業者の側から言わしめれば、近くいわゆる基本運賃改定時期に来ておるというふうな判断をわれわれはしておるわけでございます。いずれにいたしましても、二年近く経過しておるその間のいろいろな諸物価高騰、こういう要素を考慮いたしまして、それに六大都市につきましては、いわゆる恒久的な運賃改定というものは、当面これは公共料金抑制という政府政策との関連もございますので見送るんだ、こういうことを考慮に入れまして二九%という率を出したわけでございます。  それから閣僚協議会で二九%ということを言っておりますけれども、これは運輸省におきましてそういう二九%という率を決定いたしまして、もちろんこれは経済企画庁とも協議をいたしまして、そして閣僚協議会に御相談を申し上げた、こういうことでございまして、閣僚協議会のほうで二九%という数字をお出しになったわけではございません。  それからもう一点は、この暫定運賃というものを他の業種、まあ自動車の関係だけで申し上げれば、トラックとかバス等についてもやらないのはおかしいんではないかという御指摘でございますけれども、これは、一つにはLPGの一五%カットという量の規制というものが、軽油、ガソリンを使いますほかの自動車にはなかった事態でございます。確かに価格の上昇はございましたけれども、しかし、これもLPGのように倍近くになるということはございません。したがって燃料による影響、事業に与える影響というものが最も大きくあったというのがタクシー事業であるということと、しかもそのタクシー事業の大部分が零細企業であり、あるいは個人企業であって、そういうふうな収入減、経費増という、そういう影響が直接的に企業の経営に影響を及ぼし、ひいてはそこで働いております運転手諸君の生活に響く、こういうことであったわけでございますので、これは私どもといたしましては、タクシー事業についてのみこのような緊急的な運賃改定考えたということで、他の業種にはこれを及ぼすということは当初から考えていなかったわけでございます。  それから二十二日にこういう決定をいたしましたときに、もうすでに油の見通しはゆるんでおったんではないかという御指摘でございますけれども、私ども今年の一月に入りまして、昨年暮れに暫定運賃というものを一応認めるという方針決定いたしましてからも、先ほど大臣が申し上げましたように、油の将来見通しというものについてもう少しはっきりとした見通しは立たないかということで、これは鋭意通産省とも協議を続けてきたわけでございますけれども、二十二日の段階では、少なくとも二月の油の供給量というものは、十二月、一月において確保いたしましたいわゆる十一万五千トン、これを上回ることはできないということで、二月以降これが十二万トンなり、十三万トンになると、こういう見通しは全くなかったということでございます。それから三月以降につきましては、これはいろいろな説がございましたけれども、私ども通産省といろいろ相談した限りにおいては、三月以降にこのLPGの供給がゆるむとか、あるいは価格がもとに戻ると、こういうふうな見通しをわれわれとして立てるまでに至らなかったのでございまして、したがいまして、その時点で改定方針どおり運賃改定を行なわざるを得なかったと、こういうことでございます。  その後、二月のLPGの供給量はやはり一月同様十一万五千トンと、こういうことに決定いたしております。また一月分のLPGのいわゆる使用量といいますか、供給量といいますか、こういうものにつきましても、私ども通産省から入手いたしましたところによりますと、やはり十一万五千トン程度であったと、こういうふうな報告を聞いておるわけでございます。  なお私ども独自といたしましても、現実に各事業者が油をどれだけ、幾らで購入したか、こういう実績を現在、直接調査いたしておる段階でございます。したがいまして、今後の取り扱いにつきましては、そういうふうな調査の結果を踏まえまして判断してまいると、こういうことになるのではないかと思っておるわけでございます。
  28. 森中守義

    森中守義君 時間がだんだんなくなりましたから、ちょっと私のほうから数字を申し上げますので確認をしておきたい。  二九%アップの内容としまして、想定需要量が一五%カットになる。これに対して、大体二九%の内容は一七%に相当したわけですか。
  29. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 一五%カットによる収入減というものは一五%と、こういうふうに……。
  30. 森中守義

    森中守義君 カット一五%に対して相当のアップ分が一五%ということですか。
  31. 中村大造

    政府委員(中村大造君) いいえ、この計算式といたしましては、一五%の収入減、それから……
  32. 森中守義

    森中守義君 それに相当するアップの数字は幾ら。
  33. 中村大造

    政府委員(中村大造君) それから経費の増ですね。
  34. 森中守義

    森中守義君 いや違う。こういう意味ですよ、二九%の内容として——いいですか、想定需要量が一五%カットになる。その分として幾らアップしたのか、二九%の構成要素として何%なのか。それを示してもらえばいい。
  35. 中村大造

    政府委員(中村大造君) これは二九%のうち、いわゆる燃料のカットと値上がり、これによる所要増収率が二三・五%でございます。それは収入の減と経費の増と、こういう二つの要素がございますので、そのプラスの要素とマイナスの要素で計算いたしまして所要の増収率をはかりますと二三・五になると、こういうことでございます。
  36. 森中守義

    森中守義君 局長、単純な数字でいいんですよ。つまり一括して申し上げると、二九%上がった。その中でカット一五%だから、これが何%になるのか、二九%の中身として。それからリッター単価が九七・一%値上がりしておりますね、これに相当するアップ率は何%であるか、この二つのことを示してもらえばいいんですよ。
  37. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 一五%油がカットされたわけでございますから、それによる収入、いわゆる要収入増加分というものは一一七%でございますから、一七・六%……。
  38. 森中守義

    森中守義君 一七・六ね。九七・一%の値上げ分に対しては、単価の値上がりに対する分は幾らですか。
  39. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 約五%でございます。
  40. 森中守義

    森中守義君 五%ね。そこで暫定運賃というのが、いわば激減をした、事情変更に基づいて。そうなりますと、さっきもちょっと触れたように、すでに一五%のカットというものはおおむね復元した、これはさっき調査をしていると言われましたが、私どもちょこちょこそういう車に乗ってみたりなんかしても、従前の五十リッター、三十リッターというものはないですよ。みんな満タンにしている。それで業界からの報告や、あるいは調査されたかどうかわかりませんが、まず、その事情変更という意味では一五%カットは消滅をした、これが一つ。そのためにもうすでに一七・六%というアップの要素は消滅をした、こういうふうに私は考える。  それから九七・一%の単価の値上がりはすでに四十円もしくは四十円を割った、おおむね、どんどん値くずれしていっているようですからね。だから、この五%というものもすでに数字的にはずっと減ってくるんじゃないか、こういうように見るんです。その辺の一五%カットというものは消滅をしたかどうか、九七・一%の価格の値上がりによるアップ分五%というものは一体どうなったのか、現状において。その判断をどうつけていますか。
  41. 中村大造

    政府委員(中村大造君) タクシーにおける燃料の使用量といいますものは、これは月々若干の変動があるということは、これは季節的な変動がございますけれども、十一万五千トンという数字がどういう数字になるかと申し上げますと、これは昨年十二月のいわゆる想定必要量、これから見ると約二〇%の減と、こういうことになるわけでございます。それから一月の想定使用量に比べますと一五%の減になると、こういうことでございます。それから四十七年度の年間の使用実績は約百四十五万トンをタクシーで使ったわけでございますけれども、これに対しまして四十八年度は、ほかに若干トラック等にも使っておりますので、そういうものを含めますと約百六十一万トン、こういうことで計算をいたしますと、十一万五千トンという数字は、どうしても必要量に対しまして一五%の不足をしておると、こういうことでございます。したがいまして、私どもといたしましては、十一万五千トンという量が十二万トンになり、あるいは十三万トンと、こういう事態になりますれば、もちろん車も従来のような走行キロを維持することができるわけでございます。また最近は比較的車の実働率も落ちておりますけれども、これをもとにすることができる、こういうふうに考えているわけでございまして、この十一万五千トンという数字である限りにおいては、私どもは、いわゆるカットというものは消滅したというふうには判断できないんではないかというふうに考えているわけでございます。  それから値段の点は、これも商取引でございますので、全国どのスタンドでも一律というわけにはまいりません。従来からの実績というものもある程度ものを言うわけでございますので、あるいはところによっては四十三円以下で購入しているところもあると思います。しかし、またその逆の場合もあるということで、私どもはこの値段について、全体的にこれが何円に低下したということについては、これまた現在のところは確証を得るまでに至っていない、こういうことでございます。いずれにいたしましても、そういうふうな実態は現在各事業者に対して報告をいたさせておりますので、いずれその結果がわかると思いますけれども、そういうものを判断いたしまして次の措置を考えていきたい、こういうふうに思っているわけでございます。
  42. 森中守義

    森中守義君 局長運輸省の実際の数字を出される場合とスタンドとの状態というものはどうも違うんだな。なるほどいま言われるように、十一万五千トンの総量を確保すれば、いやおうなしに、一五%カットに相当する、こういう説なんですね。ところが当初、総量は確保できた、けれどもスタンドに行ったらなかった、こういうことがある。いま逆に、通産あるいは石連との間に十一万五千トンが確保された。実際のスタンドでは満タンでどんどん入れてくれる。いまは全く逆な方向にいっているわけですね。だから、こういうふうなことが暫定運賃をさらに継続するかしないかという一つの分かれ目になるわけですね。ですから実態と違った数字を用いて総量十一万五千トン確保した、これから割り出していけば一五%カットは依然として残っているという見方、かなり実態と違っている。いま少しこの辺の実情の把握というものに力を入れませんと、その数字だけを中心にやっているとたいへんな間違いを起こしますよ。これはひとつ十分考えてもらわなければ困ると思う。  そこで大臣、これはひとり私のみならず、いまスタンドでLPGは依然として三十、五十ということはもうありません。都内どこへ行ってもない。法人も個人もみんな走っていますよ。こういうことはすでに一般化されたことである。だから私は、二九%の構成要素の一つとしての一五%カットによる十七・六%アップというものはその意義を失った。ただし単価の九七・一%値上がりが五%、こう見ておられるわけです。しかし、このことはおおむね通産あるいは石連等の非公式な見解を聞きましても四十円ぐらいに一応定着するのではないか、こういう見方がある。しかし、いまどんどん上がったものを下げよう、ことに公取に引き下げの権限も与えようというような議論もこれから出るわけですから、四十円が定着するものかどうか、これはわかりません。けれども、それは五%ですから百歩譲って認めるといたしましても、一五%カットに相当する一七・六%というものは、すでに意味を失ったわけですから、事情変更による復元をはかるということは当然なことだと思うのですが、この点についてはどうお考えになりますか。
  43. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 先ほど来いろいろな御質問、御指摘の点を聞いておりまして、昨年は十一万五千トンも確保したけれどもじゃ口からは出なかった、これは事実でございます。私は運輸省というのは通産省要請するだけでなくて、運転者が実際どのぐらいあるか、じゃ口まで行けといって督励したわけなんですけれども、それでも出なかったわけなんです。ところが、いまおっしゃるように、これがいまは十一万五千トンの総量はきまっているけれどもじゃぶじゃぶ出ているじゃないかというお話でございます。この辺をよく私は見きわめさせなきゃならぬと思います。  一例を引きますと、鎌倉に私は住んでおりまして、タクシーをよく使うわけなんです。裏駅におる鎌江というタクシーと、もう一つの何とかいうタクシーは、これはもう実は満タンでありますと言って運転手が小さい声で私に言うわけなんです。私がよもや運輸大臣とは知らないだろうと思います。表駅で聞きますと、表駅はなかなかそういってない。それはいままでにやっぱり取引やら何やらで支払いが悪かったり、あるいはあっちこっち行って買っておったり、いろんな問題が、複雑な関係があるらしいのです。その辺でいろいろな問題をまだ内蔵しているような状況があるということでございまして、その辺を私はよく見きわめさせまして、その結論を得ましたならば、御説のようなことも、これを本運賃に、基本運賃と申しますか、暫定ということばがずいぶんひっかかりましたけれども、実際暫定ということは俗名でございまして、暫定ということばは実際はないわけです。法律上はあろうわけがございません。このいわゆる二九%の料金アップというものに対して、これを本運賃改定期に来ているものにはこれに繰り込むか、あるいはまた、これを切り下げるものもあるいは出てくると思います。あんまり一カ月ごとに少しの石油事情で右往左往するということは、これは国民にも迷惑を与えますから、下げるほうは迷惑を与えたって下げるんでございますからいいといたしましても、よくその辺を見きわめた上で決心をいたします。その実情をおっしゃるように十分調査させて、その上で態度をきめたいと、かように考えております。
  44. 小柳勇

    ○小柳勇君 関連しまして、正確に議論するためにちょっと確かめておきますよ。カットによる減収が一七・六とおっしゃったが、それでいいか。それから、あとの油の値上げの問題が五%、二つ合わせますと二二・六%だ。ところが、さっき油の値上がりと油の減少による減収を二三・五%と見たとおっしゃる。数字が合ってない。数字の問題だから合わす必要がある。そうすると、あとの二九%から引いた五・五%は何を目当てに上げたかということ、それを説明しておいてもらいます。いいですか、わかりますか、三つあります、問題は。一つは上の数字が違っているということ。カット分が一七・六と初めおっしゃった。それから油の値上がり分が五%とおっしゃつた。二つ合わせると二二・六%なんです。それをさっきは、値上がりと減少分で二三・五%マイナスだとおっしゃったから、それが連っているから、それを合わせてもらうのが一つ。それから、その二九%と二三・五%の差の五・五%は何かと、これを説明してもらわぬと、いまの運輸大臣が言う値下げの話にならぬわけだから、これはどういうことで五・五%上げたかと、これを説明してください。そのあともう一問質問します。
  45. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 実は二三・五%という数字をはじき出しました算式根拠をちょっと申し上げますと、先ほどは燃料のカットと、それから値上がり分と分けてお話し申し上げましたけれども、実は収入のほうでは、要するに燃料が一五%カットされますので、一〇〇といたしますと、八五になるわけでございます。それから今度は燃料のアップによる経費の増というものは、これは経費全体を一〇〇といたしますと、それが四・九八ふえるわけでございます。したがいまして、八五分の一〇四・九八、こういうことで計算をいたしますと、一二三・五になると、こういうことでございまして、要するに二三・五%の改定をしなければ、いわゆる収支とんとんにならない、こういう計算をしたわけでございます。  それから、もう一つのそれに上積みいたします五・五%でございますか、これにつきましては、先ほどもちょっと申し上げましたけれども、六大都市につきましては、前回改定時期から二年を経過いたしておるわけでございます。で、それ以外の地方につきましては、今回もそういう改定時期に来ておるものは若干その改定時期を早めまして、そうして、いわゆる本格的な運賃改定をするように現在措置をいたしておるわけでございます。六大都市につきましては、公共料金抑制という方針との関連もございまして、それを見合わせるということをいたしましたために、そのような二年たっているという事実に徴しまして、いわゆる油以外の、その他いろいろな経費もあるわけでございますけれども、そういうものの値上がりというもの、しかし、これは一つ一つが何%ずつ足したかというふうにおっしゃいますと、若干その点につきましては、こまかい積み上げということはできませんけれども、その分として約五%を上積みをいたしました。したがいまして、二三・五を四捨五入して二四%、それに五%の上積みをして二九%にした、こういうふうに御理解をいただけたらと思います。
  46. 小柳勇

    ○小柳勇君 二つ質問するから、簡明でいいから、あと問題がたくさんあるのだから簡単に、私の質問だけ答えてくださいよ。一つは今度の二九%には人件費は含んでおりませんねということが一つ。それから、あなたが使っている統計は、タクシーを経営するとして、経営費を一〇〇として、人件費と燃料費と経営費、どういう統計を使っているのか。タクシー会社の収入を一〇〇として、人件費と燃料費と経営費それを何%にとった数字を使っておるのか、それだけ。
  47. 中村大造

    政府委員(中村大造君) まず第一点でございますけれども、この五%の上積みの中に人件費が入っておるかどうかということでございますけれども、私どもこの五%の中身につきましては、どれだけが人件費でどれだけがその他の物件費の値上がり分であるかという、そういうこまかい計算はいたしていないわけでございます。しかしながら、当然いわゆる油以外の、燃料費以外のものについて、いわゆる値上がりのものを見たと、こういうことでございますから、その中には当然その人件費のアップという要素も入っておるということは言えると思います。  それから第二点の構成比率でございますけれども、六大都市について申し上げますと、人件費が六〇・〇六%、それから燃料費が八・四五%、あとはその他修繕費、原価償却費、一般管理費と、こういうふうな要素になるわけでございます。
  48. 森中守義

    森中守義君 局長、いままでずっと数字の根拠を示されたことを、できるだけ早い機会に資料として出しなさいよ。私どももうちょっとこまかく見てみたい。  そこで、これで最後にしますが、メーター制を換算表にかえていること、これもまた非常に問題なんですね。しょっちゅう運送法ばかり言うようで恐縮なんだけれども、これも八条の五項でメーターで表示しなければならぬと、もうきちんとこれはきめられている、規則に至るまでですね。で、換算表を用いて対価を取ったという例はあまりありません。これは幾ら便法といっても適当でありませんよ。ここに実は暫定運賃の利用者に与える非常にまずい点もあるんですね。これは一体どうするのか。いつまでメーター制によらないで換算表を用いるのか。これはさっき大臣調査の結果一七・六%、これはもうすでに失ったことであれば検討しなきゃならぬと、こう言われるので、一日も早くそのことを期待いたしますが、メーター制換算表というこの問題をどう処理しますか。早く片づけませんとたいへんなことになりますよ。
  49. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) お説のとおりだと思います。先ほど来申し上げておるように、まあある意味ではやむを得ざる緊急避難的なような措置でございまして、この措置は一日も早く本運賃なりに切りかえて、切るものは切ると明確にしていかなきゃならぬと思っております。お説のようなことにつきましても、なるだけ早い時点において、定着した時点で見きわめをつけて善処いたしたいと思っております。
  50. 森中守義

    森中守義君 それで、この暫定運賃というものは全く違法的なものですし、こういうことでは承服できない。  そこで、本申請をいつ処理をするか、これに切りかえるという考えなのか。四十七年の七月が前回の決定だったと思う。何か一説によりますと二年ごとぐらいに運輸省と企画庁があらためて見直すというような取りきめがあるやに聞いておる。しかし、これはいまの物価事情からいきますと、そういう取りきめは取りきめ。もちろんこれは法律事項でも何でもない、二省庁間の取りきめにすぎませんからね。私は、よってこの問題の処理というものを、本申請を基礎にして確定運賃を出そうということであるのか、一七・六%を下げた状態で暫定制を続けていくというのか、この辺のことを、もう一回大臣から聞かしてもらいたい。
  51. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) そのことにつきましては、かかってガスの定着と申しますか、それを見きわめました上で、お説のようなことについて明確な処置をとっていきたいと思っております。ただ私の考えといたしましては、四十八年度の実績を見た上でさらに検討を加えたいと、こういうことでございまして、ただいまのところは、いろいろ暫定運賃暫定運賃ということばが出てまいりますけれども、これも一応の緊急避難的な基本運賃でございますから、これをどういうふうに足切りするか、あるいはまた改定していくかということは、いまからの油の定着を見た上で検討し、決定してまいりたいと、かように考えております。
  52. 森中守義

    森中守義君 実は、きょうの私の質問の中心は、徳永運輸大臣の固有の政策展開の重点を尋ねたかった。しかし、その例示の自動車の特に暫定運賃につきまして全部終わっておりません。したがって後日またこのことをお尋ねしたいと思います。  それから国鉄総裁と企画庁、せっかくお越しいただきましたが、このことのためにお尋ねできなかったこと、たいへん恐縮です。終わります。
  53. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょっと大臣、いまのに関連して……。
  54. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) すまぬけれども、予鈴がもう鳴って待っていますから……。
  55. 小柳勇

    ○小柳勇君 それじゃ局長に。いま大臣が四十八年度の実績を見てとおっしゃったけれども、これではいままでのずっと討論聞いておって、油も満タンになるし値段も若干下がり、しかも、これからずっとまた予算委員会——各値上がったものを下げなければならぬわけです。これはもう野党必死ですよ。国民も必死ですね。したがってLPGだってもっと下げなければならぬ、値段をね、いろんな対策を立てて。そうすると、いままで値上げした二九%の意味が半減してくるわけです。人件費が入っているとおっしゃる、二カ年間いろいろありましょう、ただタクシーの運転手諸君は、会社はもう人件費は入っていないと断固として言うから、ということを言っていますからね、この点が論争になりますね、この春闘の中で。それはいいが、したがって四十八年度の決算を待つと六月になっちゃうですよ、暫定運賃の決着というのは。それでは納得できないでしょう。したがって、いままでの論争でもあります。私もこのタクシー運賃は通告したけれども、午後は質問やりませんから、いまさっき大臣が言われた四十八年度の決算を見てではなくて、いまのLPGの値段あるいは需給状況を見て、早急にこの暫定運賃については処理をしてもらいたい。このことは大臣にもあとで質問しますけれども局長からも大臣に伝えておいてもらいたいと思いますが、いかがですか。
  56. 中村大造

    政府委員(中村大造君) 先生の御趣旨はよく私、大臣にも伝えるようにいたします。
  57. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 午前中の質疑はこの程度といたします。  午後一時四十分まで休憩いたします。    午後零時五十八分休憩      —————・—————    午後一時四十五分開会
  58. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) ただいまから運輸委員会を再開いたします。  午前に引き続き、質疑を行ないます。
  59. 小柳勇

    ○小柳勇君 日中航空協定について質問いたします。午前中、森中委員も質問したかったようでありますが、他の委員会に出ておりますから、大体私から要点だけを質問しておきたいと思うんです。  まず、大臣に日中航空協定の現状、まあ自民党の党議もありましょうし、政府考え方など、現状についての御説明をいただきたいと思います。
  60. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 日中航空協定につきましては、昨年来いろいろ日中間にもお話し合いがあったようでございますし、また事務的にもそういうような面を積み重ねてきたわけでございますが、今年の、御承知のように一月二日に大平外務大臣が中国に参られまして、貿易協定に調印されますと同時に、実務協定としては一番代表的なものでございます日中航空協定についてお話し合いがあったわけでございます。その間の内容につきましてはつまびらかにいたしておりませんが、六日にお帰りになりまして、いままで積み上げておりました、事務的にいろいろ詰めておりました問題点等をも含めまして、運輸省と外務省の間に六項目にわたる一応の素案と申しますか、原案を話し合ったわけでございます。  その中の内容につきましては政府委員からお話し申し上げさせますが、その両省案に基づきまして、関係方面といろいろ調整をはかって今日に至っておるわけでございますが、大体、私ども考えておりました原案で基本的には動行の段階に入れるんではないだろうか、まだ、これは正式に決定したものじゃございませんけれども、基本的にこの六項目について、これを中心にいたしまして、特にいままで、事実、日本と台湾の間には人の交流もございましたし、物の交流もあったことは、先生御承知のとおりでございまして、この日台路線と日中路線というものを、いずれも維持する形で今後の交渉に入ることになると思いますが、現状はどうかというお話でございますので、現状は大平外務大臣がいまアメリカに行っておりまして近日お帰りになります。お帰りになりますと、私と大平外務大臣の間で、さらにこの案について進め方等についてお話し合いをしたいと、かように考えておる次第でございます。
  61. 小柳勇

    ○小柳勇君 外務省に質問いたしますが、昨年の暮れの予算委員会で、外務大臣が日中航空協定を一日も早く締結したい、こういう意欲的な発言がございました。それからもうすでに二カ月経過しておりますが、交渉の見通し——もちろん外務大臣がお帰りになりましてからの大臣の意向もありましょうが、事務的に見て、あるいは技術的に見て、交渉の見通しについてはどういう見解をお持ちですか。
  62. 中江要介

    説明員(中江要介君) 日中航空協定につきましては、ただいま運輸大臣からも御説明がございましたように、一昨年の九月の日中国交正常化の共同声明の中に、その第九項に実務協定をいろいろ締結する。その中でも航空協定というものが人物往来その他の見地から望ましいということで、両国首脳間で了解があったというふうに聞いておりますし、それにのっとりまして、日中航空協定交渉の第一次予備交渉を始めましたのは、かれこれ一年になりますか、昨年の三月だったわけでございまして、政府といたしましては、この航空協定ができるだけ早く締結されることが共同声明の精神にも沿うものであるし、それが多くの国民の期待であるということでございますので、鋭意努力をしてまいったわけでございますが、同時に一昨年の首脳会談のときに、田中総理から周恩来首相に説明された日本と台湾との特殊ないままでの関係、そして正常化後も日本と台湾との間に人物、経済、文化交流がある限り船舶も就航する必要があるし、航空機も引き続き就航する必要があるんだという事情説明されましたのに対して、中国側はそれに理解を示したということでございますので、政府も努力の焦点は日中航空協定をできるだけ早く締結する。しかし、それと同時に日本と台湾との間の航空路線を維持する。これをなくしてしまうということにならないよう配慮するというところで非常にむずかしい交渉であったわけでございます。  昨年の四月に第二次予備交渉がありましてから、あとはもっぱらこの日台路線の維持を——維持そのものについては中国側はいままで異議を唱えておらなかったわけでございますが、どういう形で維持されるのか。日中航空協定が締結されたあとどういう形で維持されるのかという点について、中国側の感触がなかなか得られないで推移しておりましたところ、先ほど運輸大臣お話にありましたように、本年冒頭の外務大臣の訪中によりまして、外務大臣とされては、日本政府としてできる限りの誠意を尽くせば、中国は日台路線の維持について最大限の理解を示してくれるという感触を得られたために、今回は日本政府がその最大限の努力をするならば、日中航空協定交渉を軌道に乗せ得る可能性があるという判断でお帰りになりまして、それではどういう形で日台路線を維持していき、それに伴って日本は日中路線についてどういうふうに考えていくのかという、そこのところをただいまの政府案といわれておりますけれども、外務、運輸両省案ということで、主として日台路線の取り扱いについての政府考え方を与党である自由民主党におはかりしておったわけでございます。  それについての一応の結論が出たように考えておりますが、これを大平大臣が一両日中にお戻りになりまして、どういうふうに評価されますかは私どもの予測のできないところでございますけれども、基本的には日中航空協定をできるだけすみやかに締結したいという方針には変わりはございませんし、その場合の日台路線の扱いについて、日本政府として示し得る最大限の誠意というものは、やはり外務、運輸両省案に盛られているような考え方というものがいまの時点では妥当ではないかという考えでございますので、これを今後実施にあたってどういうふうに具体化していくかという点ではまだまだくふうの余地はございますけれども、日台路線の維持のしかた、それについての具体的な考え方について大平外務大臣がお帰りになって協議を進めて、そして一つ一つの項目の具体化について見通しが得られましたならば、一日も早く日中航空協定交渉が一時停滞しておりましたものをもとの軌道に乗せたい、軌道に乗せますとどういうことになりますかと申しますと、二回の予備交渉では協定のこまかいテキストについては、一応双方の考え方の交換はあったわけでございますけれども、協定そのものの実態については、これは運輸省のお考えを十分伺いまして、長い日中間の国際航空業務にとって十分妥当なものをつくっていきたい、こういう方針でございます。じゃあタイミングはどうかと言われましても、この点は日台路線の維持のしかたの問題と、日中間の実質的な考え方の問題とがまだございますので、いつということはいまの段階ではなかなかむずかしい、ただ政府といたしましては、特に外務省といたしましては、それはできるだけすみやかに日中航空協定の交渉を軌道に乗せるべきであるという考え方で臨んでおるわけでございます。
  63. 小柳勇

    ○小柳勇君 もう一問ですが、私は昨年の十二月十四日に予算委員会で質問いたしまして以来、今月の十日ごろまでの情報を集めています。それは日本の政府の動き、特に外務省と運輸省考え、それからそれを受けての自民党党内の論争及び野党の考え方、大体そういうものを調べて持っていますか、いま事務的に、あなたが担当——直接にはいろいろありましょうけれども、あなたは外務省の中の担当の責任者だと思うが、そういうこの一カ月あまりの間に動きました日本の政府及び政党の動きで、台湾及び中国が外交として受け取る、その日本の動きとして受け取るものとして材料が不備であると思われるのか、いまの日本の政府等の今日までの動きで、話を持っていけば、中国としても台湾としても交渉の座には着くであろう、そういうような見解でございますか。
  64. 中江要介

    説明員(中江要介君) それはなかなかむずかしい判断の問題だと思うのですが、日台路線の維持のしかたにつきましてはいろいろな情報がいま耳に入ってまいります。その中には非常にきびしい反応もあるわけでございますけれども政府といたしまして、この日台路線の取り扱いについて、先般提示いたしました外務、運輸両省案のような考え方で日台路線が処理し得るものかどうか、この点は、そもそもこの案は方針を提示したものでございまして、この方針について基本的に了解が得られるならばその方針でやってみようということで、一〇〇%これでやれるということは、いずれの場合でも交渉事でございますので申し上げられないわけですけれども、こういう方針で処理しようということをおはかりするには、それだけの考え方もあったわけでございまして、他方中国側につきましては、先ほども申し上げましたように、日本政府が最大限の努力をするという大平大臣の訪中の際に得られた感触から見まして、日本政府がどれだけの最大限の努力をするのかを見守っているというところかと思います。いままで、この一カ月あまり、あるいは二カ月近くいろいろ日本国内で起こっておりますことにつきまして、具体的にすぐさまいろいろ一つ一つの事項について反応が出ているわけではございませんし、日本側のこれからの対応ぶりを見守っているところだろうと思います。  私どもも日台路線については、これは民間取りきめで維持するということにいたしましても、これは民間取りきめができないことには維持ができないわけでございますから、日台路線を維持した形で日中航空協定を締結していくという大きな命題のもとで、その民間取りきめが何とか妥結の運びに持ち込み得るようにということで最大限の努力をこれからも重ねていこうと、こういうことでございます。
  65. 小柳勇

    ○小柳勇君 二つに分けて聞きますが、一つは中国が、今日までの日本の政府並びに政党の動きできめたこともありますが、それで中国がこの日中航空協定に対してどういうふうに考えておるかという情報をキャッチしておられますか。
  66. 中江要介

    説明員(中江要介君) 日台路線の取り扱いについての中国の考え方というのは、これは大平外務大臣が北京からお戻りになった羽田の空港の記者会見でもおっしゃいましたように、一つ一つの事項について中国と打ち合わせてきたわけでもないし、そもそも打ち合わせるべき問題でない、これはかねがねおっしゃっておりますように、日本政府決断すべき問題だと、したがって中国といたしましては、日本政府がどういう決断をするかということを見ているということだけでございますので、その日本政府決断しようとしている日台路線の取り扱いぶりについて、日本国内でいかような議論が行なわれているかについて、もちろん関心は持っていると思いますけれども、何ら中国側から反応なり考え方なりがこちらに伝わってくるということは私どもは期待しておりませんし、そういう性質のものでないと、日中航空協定は日中航空間で話し合うものでありますが、日台路線の維持というのは、日本が日中正常化の際にこれは維持しなければならない立場にあるということを説明し、相手が理解したということだけでありますので、あとどういうふうに維持していくかというのは、もっぱら日本政府決断する問題だと、こういうのが外務大臣の一貫した姿勢というふうに私どもは聞いておりますし、私どもも本来、事柄の性質上、日台路線の扱いについて日中間で話をするというようなものではないと、こういうふうに思っております。
  67. 小柳勇

    ○小柳勇君 あなたは外務大臣補佐役ですから、外務大臣といえども、皆さんがいままでおぜん立てしてきたこと、あるいは外務、運輸の決定なり、あるいは党の内部事情なりを素材をそろえて外務大臣に知恵を与えて、そして外務大臣が中国へ行って交渉するわけでしょう。その素材として昨年の暮れから今日まで、私も集めているように、あなたもちゃんと御存じだと思う、国内の動きや政府の動きはですね。それを外務大臣にさらにまた、交渉にこれだけの素材で行ってよろしいですよと、中国としては——内容はいろいろ進展するでしょう、交渉ですから。しかし、その交渉の糸口としての素材は、今日までのきめ方によって話に入れると見ていますか。
  68. 中江要介

    説明員(中江要介君) これは外務大臣がおっしゃっておられます、日本政府としても誠意をもって臨むと。その誠意をもって臨むという抽象的な考え方が具体的にどうあらわれるかということの問題だろうと思います。  それで今回の外務、運輸両省案のような形で日本の誠意を示した場合に、中国側はそれを日本政府の最大限の誠意と受けとめるかどうかという点については、これは直接北京で話してこられた大平外務大臣の御感触としては、こういう形で日本側の誠意を示すならば交渉は軌道に乗るのではなかろうかという感触を持っておられる、こういうのが現状だと思います。
  69. 小柳勇

    ○小柳勇君 よくわかりませんけれども、非常に慎重のようですけれども、今日まで運輸省と外務省との決定六項目がございます。自民党の中には、親台派もあって、いろいろ混乱しているようであります。ただいろいろ討論の結果、自民党の決議としても外務、運輸の六項目については基本的に了承しようと、そうして日台航路については民間協定でやっていくことでおおむね了解しておるようであるが、外務大臣がこれから中国に行って日中航空協定を交渉しようとすれば、補佐しているあなた方としては、このほかにもっと突き詰めたきめ方をしていかなければもう話になりませんよと考えられるのか。まあ今日の情勢であれば、誠意を示すというその内容については、現状の段階ではまあこのくらいでしょうと、これを持っていって大臣ひとつ向こうで折衝いたしましょうと、交渉してくださいと、そうおっしゃるのか。きょう大臣がおられぬから、補佐役であるあなた方の意見を聞く以外にないものですから聞いているわけですから、その点いかがですか。もしいま、こういう問題じゃもうはしにも棒にもなりません、外務大臣が言ってこられた誠意を示す内容にはほど遠いものですとおっしゃるならば、これからまた運輸大臣に言わなきゃならぬわけですからね。外務省としてはまだこんなことを考えているよと、運輸省としてはどうかと聞かなきゃならぬが、大体外務、運輸の六項目と自民党内の討論の結果の大体決議の内容はもう新聞でも報道されているが、そういうものがあって、一応外務大臣の誠意を示すものとしての材料としてはいいですよと、それで外務大臣向こうへ行ってもらって交渉していただきましょうと、われわれ外務省の補佐役としては、いまの段階ではこれが一つの誠意を示す材料でございましょうと判断しますと、そう言われるのか。いやまだ足りませんと、もっとこのところを煮詰めてもらわなければ困ると言われるのか、そのことを聞いているわけです。
  70. 中江要介

    説明員(中江要介君) 御質問の点につきましては、この六項目といいますか、外務、運輸両省案で触れられておりますのは、先ほども申し上げましたように、一つの取り扱いぶりについての方針でございまして、中身が依然抽象的であったり具体的にどういう形であらわれてくるのかということについてさだかでない面もございまするので、この方針で処理するということで基本的な了解が得られましたならば、政府としてはこれの具体化について、さらに検討するわけですが、この形、この方針について具体化するめどがはっきりつきましたならば、これは日中航空協定の交渉は軌道に乗り得るというふうに私ども考えておるわけでございます。
  71. 小柳勇

    ○小柳勇君 ちょっともう少し、じゃたとえば大平外務大臣は、これは外務省のスタッフの意見を聞いておかなければ交渉にならないわけです。したがって私、きょう局長に来てもらいたかったけれども局長は出られないからあなたに来てもらった。私は大平外務大臣の補佐役としてきょう委員会に責任を持ってあなたは見えていると思って、いま質問しているわけです。  そこで外務と運輸がきめました六項目がございます。このことは抽象的でございますから、もう少し具体的に話しておきませんと向こうは誠意と受け取らぬでしょうとおっしゃるならば、外務大臣がいなくとも、もう少し運輸省と話し合って具体的に話を詰めておかなきゃならぬ。いやもう一応あの六項目で外務大臣が中国に持っていかれる面についてはそれで話になります——台湾の問題はあとで聞きますよ。まずいま分けて聞きますからね。中国はこれで話になりませんよ、いまの話ではこれはまだ抽象的ですから、もう少し煮詰めぬとどうも話になりませんとおっしゃるようですから、それならばあなた方は補佐役だから、いまのうちにもつと煮詰めておかなきゃならぬでしょう、国民は日中航空協定を一日も早く締結するのを待っているんだから、外務大臣がおらなくても政府間の局長クラスの担当者の話はできるはずだから、私はもう大臣のお帰りを待つのは、これこれの材料はそろいましたと、したがって行っていってくださいというときに外務大臣はどう考えるか、これは別です。ただしスタッフとしては、担当の事務当局としては、まずいまの段階ではこれがベストでございますとおっしゃると私は思って質問しているんだけれども、そうおっしゃらないから、それじゃ何か懸念があるならどういうところに懸念がありますか、もし懸念がないとするならば、いまのところ事務当局としてはこの点が大体最上のところでありましょうから、そこから先、具体的な大臣意見を聞いてまた煮詰めますとかなんとか、話がありそうだと思います。いかがですか。
  72. 中江要介

    説明員(中江要介君) 私ども事務当局といたしましては、先生がおっしゃいますように、この外務、運輸両省案の抽象的なところをどういうふうに具体化するかということは、これはもうこの方針検討している段階から絶えず勉強を続けておるわけでございます。で、ただこの中身が具体化したものを北京に交渉する人が持っていくなり、あるいは北京に持っていって、そして日中航空協定の交渉をするということではないという点は、先ほど申し上げましたように、これは日本政府が日台路線についての取り扱いをこうするということを自分できめるだけのことでございますので、日中航空協定が軌道に乗る段階というのはどの段階かというと、この方針についての具体的のめどがはっきりつかめたときと、具体化するのにはどういう具体化の方針があるかということは鋭意検討しておりますけれども、そもそも、この方針そのものが最近まではっきりきまる段階でございませんし、まだ政府全体としてこの方針であるという最終的な了承を得ておらないわけですけれども、事務当局といたしましては、もちろんこれがいいと思ってやっているわけでございますので、検討は進めているわけでございます。
  73. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣に質問しますが、この外務、運輸のきめました六項目というのは、これは政府決定じゃないんですか。
  74. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) これは外務省と運輸省の両省が決定した案ということで、政府全体の決定した案というわけではございません。
  75. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、これからの日中航空協定の進める手続なり行動なり、日程はどういうことになりましょうかね。まず外務省からひとつ聞きましょう。
  76. 中江要介

    説明員(中江要介君) 私どもの期待いたしますのは、外務、運輸両省で鋭意検討してつくりましたこの方針で処理することについて、政府全体として御了承を得ていただければ、その具体化についてさらに努力が続けられると、こういうことに思っております。
  77. 小柳勇

    ○小柳勇君 その手続は、運輸大臣いつごろになる予定ですか。
  78. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御承知のように、この案につきまして党内でも、あるいは野党内でもいろいろ、あるいは国民の間でもいろいろ話が出ているわけです。したがいまして、私のほうのいわゆる自由民主党の中で、一応民間交渉でひとつ安定的な日台路線を維持していくということの原則をひとつ了承して、その上で日中航空協定というものを進めていってみたらどうだろうという程度の決定をみているわけでございまして、これもまだ私は、大平外務大臣がお留守中のつい最近のできごとでございますから、大平外務大臣が帰られましたら、大平外務大臣と相談いたしまして党との最終的な調整をやりたい。そこでそれから先の段取りを話し合っていきたい、かように考えております。
  79. 小柳勇

    ○小柳勇君 最終的な見通しはあとにいたしますが、台湾のほうはどうですか、外務省に聞きますが、今日までの政府間の話があります。自民党内の親台派の動きもありますね。この一カ月ぐらいの動きによって、台湾政府がどういうふうな見解を持っておるか、外務省としての情報など入っておったらお教え願いたい。
  80. 中江要介

    説明員(中江要介君) 台湾との関係は日中正常化の結果として公式の関係はなくなったわけでございますので、日本側の交流協会なり台湾側の亜東関係協会なり、そういった民間の機関を通じて、あるいはその他いろいろのルートから情報が入っておるわけでございますが、この方針が公にされて、外務、運輸両省案という方針が公にされて、日本の国内の議論が日々報道されるに応じまして、台湾側からは公式、非公式のいろいろの反応が出ております。外務省といたしましては、それを全般的にどう評価するかということはまだいたしておりません。と申しますのは、まだこれの具体化の段階についてどういうふうな段取りになっているかということも引き続き事務当局で検討しておりますところでございますし、ただ、この方針を出しましたにつきましては、台湾側の感触というものは外務省は外務省なりに情報を集めておりましたし、こういう考え方で日本側が努力をしてやっていけば台湾側の了解が得られるのではないかという見通しを持っておったわけでございます。
  81. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣、これは党内のことまで委員会で正式に発言できぬと思いますけれども、私ども心配しておりますのは、日中共同声明に沿って一日も早く日中航空協定を結ぼうとする外務大臣——総理もそうだと思うけれども、その意向というものが自民党内における親台派の諸君の強硬意見によって、たとえば日台航路が民間ベースで締結できないとすれば、ひいてそれが日中航空協定の締結を延ばす原因になりゃせぬかと思うわけですが、そういう点についての感触、自民党員としての運輸大臣の感触はいかがですか。
  82. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) これは非常にいまから先微妙な交渉を相手方、しかも三角関係の一角にある日本政府の、しかも私は、一つ責任者でございますから、なかなかお答えするのがむずかしいわけでございますけれども、いまの自民党内におきましても、日中航空協定に反対だと、こういうことではないと私は受け取っております。これはできるだけ早くいままでの日中共同声明の線に沿って、そしてこの協定をやればいいじゃないかと、しかし台湾との民間協定を結ぶといって、台湾の現状路線を維持するということにも異存はない。しかしながら、現に台湾との間には人の交流もあるし物の交流もあるじゃないかと、これを現状の姿においてひとつできるだけ維持するような形で持っていったらどうだろうという意見があるわけでございます。したがいまして、原則論として、私は日中航空協定そのものに反対しているということは自由民主党の中にもないというふうに判断しております。
  83. 小柳勇

    ○小柳勇君 日台航路については民間ベースですので政府のほうから云々という発言もあるいはできぬかもわかりませんが、現在の台湾航路の既得権など考えて、それよりもうんと劣った条件では、おそらく日台航路の民間協定というものは難航すると思うが、現在の既得権などに大きく拘泥しておれば民間ベースの日台航路の締結もなかなか長引くのではないかと思うが、こういう具体的な問題について向こうの民間の代表なり、あるいは将来日本でどこの会社が担当するかまだきまってないのに非常な微妙な問題ですけれども、少なくとも台湾のほうでは大体の見当がつくのではないかと思うが、その点について何か調査されたことがありますか、運輸大臣
  84. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘の点につきましては、運輸省としましては、先ほど外務省からお話がございましたように、公式、非公式な話を聞く程度でございまして、これに対して具体的なサウンドと申しますか、交渉と申しますか、そういうようなことをやったことはございません。
  85. 小柳勇

    ○小柳勇君 航空局長に承りたいのは、今日までのいろいろな折衝の過程と現状ですね一いまの段階、きょうはこの委員会が開かれております。私が調査し、かつ私の頭の中にあります材料で質問しているわけですけれども現状におきまして、この運輸省と外務省との六項目の決定というものは具体的にはどういうふうに考えておられますか。ちょっと説明つけば説明してもらいたいのですが。
  86. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 現状は、御承知のように、日台間におきまして日本側が週三十七便、台湾側が二十一便という便数で運航いたしております。そして台湾側の中華航空、これは大阪と東京とに参っておりまして、東京からさらにアメリカあるいはソウルという以遠地点の運航を行なっております。日本側は日本航空が台北以遠、香港あるいはマニラという地点に運航しておるのが現状でございます。  したがいまして、御指摘の六項目という考え方で整理をいたしますと、中華航空は大阪から他の空港へ移るということでございますので、大阪に就航できなくなるという意味で、現状とかなり変わった形にならざるを得ない。こういう状態、こういうふうな行き方というものが、では具体的にできるのかできないのかというような点につきましては、先ほど大臣も御答弁になりましたけれども、まだ運輸省側といたしまして相手方のサウンディング、その他をやったわけではございませんので、今後、民間取りきめの過程におきまして、こういう問題が解決されなければならない、こういうふうに考えております。
  87. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、中国は大きく日台路線がきまれば、中国としてはそれを誠意としてとるでしょうが、ただ中国としても、現在の既得権そのままで日台路線ができた場合に、それでオーケーするかどうかも今後の交渉にかかるでしょうし、いま話を聞いてみますと、これだけのものを持っていっても話にならないのではないかというような気もします。言うならば、日中航空協定というものはこれからまた相当時日を要するのではないかという印象ですがね、運輸省や外務省の話を聞きますと。そういうように理解するのが正しいんですか。外務省どうですか。
  88. 中江要介

    説明員(中江要介君) これはなかなか予測はむずかしいのですけれども、外務、運輸両省案で考えておりますような日台路線の取り扱いについて、特にその日本と台湾の民間取りきめというのは、これはこの方針が了承を得られて初めて——具体的にどういう方法をとるかは別として、接触を始めなきゃいけないわけでございますので、そちらのほうの進みぐあいがスムーズであれば、これは日中航空協定の交渉は軌道に乗ることはそう遠くないというふうに思いますし、中国側の言っております日本政府の誠意というのは、日台路線が維持されておることが二つの中国という考え方でないということをはっきりするという点に集約されておるわけでございます。したがって、それをどういうふうにくふうしていくか、それによって台湾の日台路線について持っている利益というものが害されないようにくふうしていくかということでございますので、考えると非常にむずかしいようですし、あるいはすんなり民間取りきめが動き出す見通しがつけば早いんじゃないかということもございまして、いまの段階では、まあ結論としては何とも申し上げられないという状況でございます。
  89. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣、日台路線の民間協定の日本側の民間の代表にはどの航空会社を充てようというようなことまでもう大臣航空局長の間では話していますか。
  90. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 実はまだそこまで行っておりません。これはいろんな考え方、組み立て方があると思いますけれども、民間協定そのものがどういう形で動いていくかということによって固まっていくわけでございまして、それではもう全然おまえの頭の中には、話したこともないかと言われて、いやありませんと言うのは、これはもううそになりますけれども、しかし、その民間交渉の過程において積み上げていく問題でございますわけで、いろんなこれは形あるいは組み合わせ、あるいは問題点を含んでおると思いますけれども、まだ公式の席でも非公式の席でも、この問題について見解を述べたことはございません。
  91. 小柳勇

    ○小柳勇君 航空局長に質問しますけれども、さっき以遠権の問題をおっしゃいましたが、いま日本で、日航、全日空、東亜国内航空などが持っている路線というものは、これはがちっと基準をきめて運航さしているんですか。たとえば国際線で外国へ行くのは日航でございますよと、あるいは日本の主要幹線は全日空ですよと、その他の支線は東亜国内航空ですよと。これはどういうような基準で、あるいは法律はまあなんですけれども、できめておるのか。あとのいわゆる日台航路の民間協定の以遠権の問題などにも影響しますからね。これはどういうふうにきめていますか。
  92. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 現在の国内航空企業の運営体制につきましては、四十五年の閣議了解というものがございまして、ここで国際の定期路線は原則として日本航空が一元的に行なうということになっております。それから国内につきましては、日本航空が幹線、それから全日本空輸が幹線及びローカル線、現在の東亜国内航空がローカル線、で、漸次これが幹線にも出るというような仕組みになっておりますので、現在まで国際線は日本航空が一社で運営いたしております。  それから国際航空の場合は、二国間の航空協定によりまして路線がきめられ、かつそこに運航する航空企業というものを当事国が指定いたしますことになっておりますので、国際路線の運航というものは航空協定に基づいて与えられておると、こういう状態になっております。
  93. 小柳勇

    ○小柳勇君 この運輸、外務両省の案に、「日本航空は日台路線に就航しない」と書いてありますね。こういうものを運輸省、外務省だけでがちっときめることはできるんですか。申し合わせですがね、これは、言うならば。これはできるんでしょうかね。
  94. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 御質問の趣旨がちょっとよく理解できませんけれども、この運輸、外務両省案に出ております、日本航空が台湾路線に就航しないようにすると申しますのは、つまり現在日本航空は台湾に行っております。で、就航しないようにするという点に一つ意思が働いておるようにお受け取りかと思いますけれども、要するに中国と台湾と両方に行く企業というものが、中国側から見ますと、一つの中国という立場に反するというようなこともございまして、日本政府の誠意を示す一環としてそういう形を考えざるを得ないということから、日本航空が中国を選びますと、当然の結果として台湾に行けなくなると、そういう趣旨でございまして、ただいまの御質問の趣旨がちょっとわかりかねますけれども、国際線は二国間協定に基づきまして、その路線に就航いたします企業を当事国が指定いたしますことになっておりますので、指定をいたします行為は、同時に変更いたしますこともできますわけで、そういう関係からそういう処置が可能であるというふうに考えております。
  95. 小柳勇

    ○小柳勇君 これは航空行政の根本にもなりますと思うんですけれども、たとえば日本航空には政府の金を出して、ほかの会社は純粋に民間でやれという、そのこと自体から出発しています、考えがね。日本航空は中国へ行くから、もう台湾に行くなよと、それを閣議決定なり、あるいは運輸省、外務省の取りきめで初めからがちっとやるということができる……、もちろんやってしまえば、それは行政指導だと言うでしょうがね。そういうものが航空行政をゆがめておるであろうし、もう一つ具体的に言うなら、たとえば東亜国内航空などは八十億も赤字があるのにそのままで、それは自分でやれと、がんばっていけと、日本航空政府がひとつ補助してやろう、全日空は一つの何とかが見てやるというような、初めから同等の営業権を持った会社に対して、政府が一方的なえこひいきのある行政措置なり指導体制とるということ自体に、私はこのいまの段階で、この競争の原理をとったあり方で、いまの憲法のもとでいいんだろうかという、それは根本。と同時に、日中航空協定を結ぶために日本航空が中国に行く。まずそれを、もうがちっと初めからきめたようなもんですわ。これ行くなよ、日中航空協定は日台路線に就航しないと書いてあるから、初めから日航は中国に行ってよろしいぞときめたようなもんでしょう。そういうことを外務省と運輸省で初めからきめてやるということは、私は自民党の中でこれをちっとも反対もせぬだったろうかと思うのですね。  私もこの委員会では、これがもう少しがちっときまったら論議しなきゃならぬと思っていますがね。そういうことがこの六項目の取りきめの中でやられている。それがもう一つずつずっとワクがはまっていくわけです。日本航空は中国、そのかわり台湾に行かぬから、それじゃ台湾にはどっかやりましょうとなるでしょうね。今度はこれが以遠権がありますよ。そうすると、あとは日航が飛んでいたところを普通の民間航空が飛ぶことにならなければ台湾はオーケーせぬでしょうね、台湾は向こうのほうにも以遠権がありますから。この話はまだ皆さん煮詰めていないようですから、問題ですけれども。したがって、そういうものを考えますと、この六項目の取りきめ自体法的にも問題ではないかと思うし、よくまあ自民党の党内で、これが内部的に論議はされているだろうけれども、基本的には了承すると書いてありますからね。たいへんな問題じゃないかと思いますが、そういう問題について航空局長はどうお考えですか。
  96. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) まず外務、運輸両省案という、いわゆる六項目、これは一つ方針でございまして、ただいま先生がおっしゃいましたように、ばちっときまったものだという、必ずしもそうではないと思います。一つのこういう方針で日台路線を処理したいということであろうかと思います。  それで、ただいま御指摘の、一体現在就航しておる路線を取り上げられるのかという御質問だったと思いますが、これは取り上げるとか取り上げないとかいう性質のものでございませんで、一つの選択の問題であろうかと考えております。日中国交正常化に基づきまして日中間が政府間の関係になり、航空協定に基づいて企業が就航するという関係になりますと、当然のことながら現在の日本航空、つまり国をある意味で代表いたしまして、世界に路線を張っております日本航空が北京の路線に就航するのは当然であろうかと考えられますし、また企業の側といたしましても、当然にそれを選択する、選択した結果がこういう形になるということでございまして、頭から取り上げるという性質のものではないというふうに考えております。
  97. 小柳勇

    ○小柳勇君 たとえば全日空を北京にやって日航は台湾へというと、つまり以遠権そのままで行けますね。いまの運航でそのまま行けますね。なぜ局長、あなたは日航は北京に行くのはあたりまえ、当然でございますとおっしゃるのですか、その根拠を教えてください。
  98. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 日本航空は、現在国の資本も出しておりますけれども、国策会社といたしまして、国として必要な路線の維持というものを第一の目的として運営されておるわけでございまして、先ほど申し上げましたように、国と国との関係ということで日中間が処理されるようになりますと、やはり国策会社である日本航空というものが北京路線に就航するのがすなおな考え方ということになろうかと思います。  それから以遠権の問題でございますけれども、以遠権は、今後、民間取りきめで日台間にどういう取りきめになるかわかりませんが、現在のような取りきめがそのまま、現在運航しておるような形のものがそのまま民間取りきめで成立いたしましたといたしますならば、日台間に今後、日本航空以外の会社が就航した場合、これがたとえば台北−香港というような路線を運航することが可能になるというふうに考えております。
  99. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣はどうですか、いまの考えについて。もう初めから日航か北京に行くのは当然だと、国策的にそういうお考えですか。
  100. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) これも非常に微妙な問題でございまして、運輸省がいまおまえはこっちへ行っちゃいかぬと言って、現に六項目の中にきめているんじゃないか、それだけの権利、法律的な根拠はどこにあるのだというところまで詰められますと、実は法律的な根拠も、私は法律にあまり詳しくないけれども、ないんだろうと思うんです。これは外務省が今日まで日中間においてもいろいろお話し合いになり、また大平外務大臣が今年初頭中国に参られまして、こまかいこういうような詰めをもちろんやられたことではないと思いますけれども、こういう問題は日本側が決定する問題だということで、それにいたしましても、いろいろな感触はお持ちになったと思うんです。そういうようなこと等々を考え合わせて、今度日中協定が成立した場合には、日本航空というものが、いわゆる日中間に就航するということが、いわばすなおな形じゃないだろうかというようなところから出ている問題でございまして、これにはおっしゃるとおり、私は法律的な根拠、いま日台間に飛んでいる日本航空運輸省なり外務省がどういう権限においてこれを切るのか、それは法律的にはおそらくないだろうと思います。またいやだと言った場合にどうするのだというようなことにも発展していきますと、なかなかこの辺の返答に困るわけでございますが、先ほど言ったような、そういう感触の上に立ってこういうような方針でいったらどうだろうかという原案をまとめた、こういうことでございます。
  101. 小柳勇

    ○小柳勇君 これだけを論議するわけにはまいりませんが、そういうようなことなものですから、たとえば、この日台航路の民間ベースの航路には日本航空が子会社でもつくってひとつやろうかなんといううわさが出ていますよ。うわさだと思うんですよ。日本航空がいままで以遠権を持っていたのだから、いや子会社で台湾にやりましょう、日本航空は北京に行きましょう、そういうような何といいますか、横暴といいましょうかね、航空行政はもう本元は日本航空だけだ——だけだとは言いません、だというような考え方自体が路線の片寄り、あるいは事故の原因にもなりはせぬかと思うわけです。たとえば727あるいは747を動かしている、それは全日空だってりっぱにやっている。そういうことを考えますと、それはいままでのいきさつもありますけれども、またこれは別の機会に論議しますけれども、ただ非常に、日中航空協定を結ぶおぜん立ての考え方、組み立てが何か片寄っているように思うのです。いままでのいきさつもありましょうけれども、非常に自由でない。言いたいのは、こういう一つの夜明けです。夜明けだから、いままでのいきさつにとらわないで、もっと自由にきめて、そしてなるべく早く日中航空協定を結んでくれぬか、私の気持ちはそうですよ。日本航空がこっちへ行くからあとはじゃあこう行きましょう、では以遠権はどうなりましょうかということになりますと、それでは子会社をひとつ日航につくらして、そしてそれでいままでどおり以遠権を持ちながら日台路線をやりましょうというような議論に発展しかねないんですよ、それは。そういうものを私は警戒しておるわけです。  もう一つは、たとえば先ほどちょっと出ました、東亜国内航空がずっといなかの路線をやっているのがそれは赤字です。これもパンク寸前だと聞いておる。これは航空会社を同じ行政監督しなきゃならぬ、行政指導しなきゃならぬ運輸省が、日本航空は国策会社でございます、全日空はこれは会社でうまくやっておりますと、あとのやつはもう知りませんでは済みませんでしょう、それは。人間が乗りますから。だから赤字の会社で労働条件でも悪かったら事故発生する可能性も多いですね。そういうものを、いま航空会社が持っておる路線など再検討する用意ありませんか。専門の航空局長に聞きましょう。
  102. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) ただいま先生御指摘のように、現在東亜国内航空が担当いたしておりますのは、いわゆるローカル路線、それもYS11型機による運航が中心となっております。で、東亜国内の採算が非常に悪いということの原因はいろいろございますが、まずこのYS11型機というものの採算性がジェットに比べて非常に悪いということが一つの原因になっております。したがいまして、東亜国内航空の再建と申しますか、のためには、もちろん企業としての合理化努力というものを十分やっていただかなければいけないわけでございますけれども、こうした比較的採算のとれるジェット機をふやしてやる、あるいはジェット路線をふやしてやるということが必要であろうかと思われます。そこでこの路線の再配分ということも考えなければならないわけでございますが、その再配分につきましては他企業に与える影響もかなり大きいものがございますので、この辺は航空企業全体の秩序の中で慎重に検討していかなければならない。御指摘のように、東亜国内という企業自体は、いま非常に赤字が累積いたしまして、苦しい状態にございますので、これを放置いたしておきますと、やはり安全の問題にもつながるおそれがございます。この辺のことを早急に一つの解決策を検討して打ち出していかなければならぬ、こういうふうに考えておりますが、ただいま現在、具体的にどうするのかということでございますと、まだ固まったものがございません。目下慎重に検討を進めておるということでございます。
  103. 小柳勇

    ○小柳勇君 合併のときにいろいろいきさつもありましたし、内容についても私も若干知っております。したがって、それを全部が全部政府が悪い、あるいは運輸省行政指導が悪いとは言いません。しかし、そういうものが路線として運航して、国民の足となっている以上は、これはやめるわけにまいらないければ、事故がないように見てやりませんと、事故が起こりましてから、またここでやんやん言ったって何にもならぬのですね。したがって早急にひとつそのことも考えてもらいたい。と同時に、いい機会ですから、日中航空協定の締結を機会にして、いまの日本航空、全日空あるいは東亜国内航空など、その会社がいまの姿でいいか、いまの国との関係、そういうのでいいかどうかについても、御検討願いたいと思うのですね、一方的でなくて。過去は過去ですよ。いまの新しい段階でやって、そうして平等にといいましょうか、みんながやっていって、そうして安全に運航できるようにしなければならぬと思います。私はそう思いますから、その点もひとつ御検討願いたいと思います。  それからもう一つは、五月十五日に米軍から沖繩の管制権が日本に返ってまいるが、日台航空路の問題に関連して、管制上支障があってはならぬと思うが、その点についての配慮なり対策についての見解を聞きます。
  104. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) ただいまの御指摘は、沖繩の管制が五月十五日に一応米軍のほうから、日本側がテークオーバーするという準備を進めておりますし、五月十五日でそれができるというふうに考えておりますが、そうなった場合に、現在沖繩FIRと台北FIRの関係がどうなるかという御質問かと存じます。現在は、米軍と台北FIRの間で技術的な取りきめがございまして、航空機の安全な受け渡しが行なわれておるわけでございます。これが日本側に移管されますと、今度は日本の、つまり日本の沖繩FIRと台北FIRの間に何らかのそういう技術的な取りきめが必要となります。したがいまして、現在まだ具体的にどうこうということをやっておりませんが、このFIR間の技術的な取りきめというものは、五月十五日までに両FIR間で取りきめておかなければ、あらゆる飛行機、つまり軍民を問わず、沖繩FIRと台北FIRの間をあらゆる飛行機が安全に航行できなくなるということになりますので、これは十分心がけておりますし、その話し合いも遠からぬ時期に台湾FIRと行なわなければならないというふうに考えております。
  105. 小柳勇

    ○小柳勇君 それは技術的な問題でありましょうが、外務省としては何ら支障ないのですか、その点は。
  106. 中江要介

    説明員(中江要介君) この問題は、事、航空機の安全運行に関する技術的な問題でございますので、その担当の責任者なり、当局の間でそういう話し合いがされることは、日本と中国との国交正常化と、その結果として外交関係を持たない台湾というものでありましても差しつかえないというふうに私ども考えております。
  107. 小柳勇

    ○小柳勇君 結論として、外務省としては、日中航空協定は一体いつごろ締結できるものと予想できますか。
  108. 中江要介

    説明員(中江要介君) ちょっと私では、何とも申し上げることはむずかしくて……。日台路線の扱いについてめどがつけば、日中航空協定の交渉はそう長くはかからないということは申し上げることはできるかと思います。
  109. 小柳勇

    ○小柳勇君 運輸大臣ひとつ、ほんとうに、かかって運輸省の努力になったのですが、日台路線の話し合いはいうごろつきましょうか。
  110. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) これも民間協定によっていまから話を進めることに相なると思いますが、いろいろなこの問題につきましては、相手方の御意見もございましょうし、また三つの間の一角に立っている日本において話を進めるわけでございますから、たいへん歯切れの悪い答弁で申しわけないと思いますけれども、いつごろつくかということにつきましては、私としても誠心誠意話を進めていくという以外に一日にちのめど、あるいはその感触等につきましては、まだ実は何にも話し合いを進めておるわけでもございませんし、いまここで申し上げる段階にはないことをお許しいただきたいと思います。
  111. 小柳勇

    ○小柳勇君 じゃこれで、この問題については結論出ないのでありますが、また予算委員会もありますから、さっき申しました航空会社のやり方なり、あるいは今後どうするかなり、路線の問題なりを十分ひとつ御検討おき願いたいと思います。私のほうでもいろいろ調査をして、日台路線の問題とそれから日中航空協定の問題については、近いうちにまた予算委員会などで質問さしていただきたいと思います。きょうはこの問題については質問を終わります。関係者ありがとうございました。  次は、苅田港の整備の問題でございます。余分な話ですけれども、海運局長御存じと思うんですけれども、きのうの朝四時四十分、東九フェリー「とね」八千百九十トンが東京から小倉へ向け航行中、関門海峡彦島付近で下関の東興運輸砂利船第十六東興丸二百九十八トンと衝突した。関門海峡のように狭い水道で、航路が整備されていないところへ常時多数の大型カーフェリーが航行しており、安全上問題がある。早急に目下北九州市が計画している新門司港のカーフェリー総合基地の整備が望まれる。こういうことですけれども、この衝突の情報は入っていますか。
  112. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) たいへん申しわけありませんけれども、実は情報を得ていないのでございます。
  113. 小柳勇

    ○小柳勇君 実は二、三日前、北九州から関門港整備の陳情が参っておりまして、いま私のほうに資料があるんですけれども、これは秘書が持ってまいりましたから。ただ、その陳情に添えて衝突の実態を北九州市港湾組合か、あるいは北九州市から情報が入ってまいりまして、秘書が持ってまいりましたから、すぐ調べて前後措置を講じてもらいたい。同時に、きょうは、このカーフェリーの運航が多くなりまして、苅田港におきまして二社四隻のカーフェリーが——それで苅田港の航路の拡張並びにバイパスの航路の建設及びバースの建設を急いでもらいませんと、現在四隻動いております。フェリーが一隻着きますと、これが八千トンクラスの大型のカーフェリーが動いておりますが、バースに着きまして、荷物をおろして、一ぺん二キロか三キロの沖に出まして、別の到着したカーフェリーが入りまして、そうしてこれがまた荷物をおろして出ますと、今度は荷物を積むためにまた一時入ってきまして出ると、こうシフトをやっておると、しかも入ってまいりますときにS字型で高速度で入ってくるから他の船は全部避難体制にある。この掘り込み式の港、これは特定重要港湾に指定される港ですが、航路の幅が狭くかつ浅い。それからバースが一バースしかないというようなことで、この苅田港港湾整備計画を急いでとにかく早急にやってもらいたいというような陳情がまいっております。この点について、きのう政府委員にもいろいろ実態は報告してありますが、やることについての大臣のひとつ見解をお聞きしたい。
  114. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 苅田港につきましては、小柳委員から前々からいろいろお話も承っております。私も関心を持っておったわけでございますが、航路の幅、あるいはその他について四十九年度予算でこれを実行をすることにいたしたいと思っております。詳細につきましては、政府委員から御説明を申し上げさせたいと思います。
  115. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 苅田港は、先生が御指摘になりましたように、本航路と南航路と二つございます。それでフェリーは現在その南航路のほうをS字型に回りながら入ってくるという点で先生のおっしゃるとおりでございます。なお現在七メートル五十の岸壁が一バースようやくできておりまして、そこを二社が利用していると、したがいまして、一つの船が入る場合には他の船がシフトしている。そのシフトするのは港外にシフトしている。したがいまして、先生のおっしゃるようないろいろな問題が出てくるわけでございます。  それで現在問題となっておりましたのは、先生のおっしゃいましたように、やはりこの南の回ってくる航路、この幅が現在百五十メートルしかございません。それから非常に直角的に回ってまいります。その点が非常に困る点でございますので、いま大臣が申し上げましたように、来年度の予算におきまして、百五十メートルのところをどうしても二百五十メートルにしたいということと、それから先ほど言いました直角に曲がるところ、ここのところのすみを切りまして安全になるように、このような仕事をまず航路のほうではいたしたいというふうに考えております。
  116. 小柳勇

    ○小柳勇君 それからバースの増設、一バース、これは予定だけ入っているけれども、これはいつつくるんですか。
  117. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 実はこのバースは、四十八年度、すなわち本年度におきまして五メートル五十の岸壁、これは約五千トンぐらいの船が入るわけでございますが、五メートル五十の岸壁一バースと七メートル五十の岸壁一バース、それに本年度かかろうとしたのでございますけれども、この五メートル五十の岸壁は現在取りやめているわけでございます。なぜかといいますと、まあここのところにどんどんできて次から次へと申請されて入ってくるというと、やはり先ほど言いましたような危険性がますます多くなるというようなお話等もございまして、港管理者のほうといたしまして、この五メートル五十のほうの岸壁をちょっと待たせまして、で、現在七メートル五十のほうの岸壁の完成のほうに工事進めているというわけでございます。で、四十九年度につきましては、この五メートル五十の岸壁につきましても、もう少し将来の安全性を十分確保すると、あるいは航路が完全にできてから仕事が完成するようにするとか、そういう点を十分慎重にやっていかなくてはいけないのではないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、もう一バース、七メートル五十の岸壁、これは四十九年度から着工できるんではないか、このように考えておりますが、これはやはり一年か二年かかるんではないか。したがいまして、当面、結論を申し上げますと、当面使えますのは七メートル五十の岸壁が一バース、それから七メートル五十の岸壁に着工はするけれども、これは当分時間がかかる。それから五メートル五十の岸壁は、もう少しこの航路が安全になるというような点を見計らいながらやっていくべきではなかろうかということを、現在考慮しているわけでございます。
  118. 小柳勇

    ○小柳勇君 そうしますと、このバイパスをつくりましても、このかどを削りましても、バースが一バースでは四はい入れれば精一ぱいで、中のほうで方向転換できないわけですね。そうすると、やはりシフトしなければならぬですね、当分は。
  119. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) その点につきましては、四十九年度におきまして、すぐそばにシフトするようなバース——バースといいますか、シフト用のドルフィンというのですが、シフト用のバース、これは乗り降りするバースではございませんで、シフト用のドルフィンをつくると、そういうことにしております。
  120. 小柳勇

    ○小柳勇君 それは、いつまでにできますか。
  121. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 来年度中に完成させたいと思います。
  122. 小柳勇

    ○小柳勇君 それから、このバイパスも、かどをとる工事も来年度中には完成するんですか。
  123. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) そのような予定で進めております。
  124. 小柳勇

    ○小柳勇君 さっき予算表見たら三億七千万ぐらいしか予算ついていないのだけれども、できますか。
  125. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) バースをつくるのは、フェリー埠頭会社がつくります。それと、いま……。
  126. 小柳勇

    ○小柳勇君 予算は幾らついておりますか、全部で。
  127. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 実は、苅田港全体としまして、四十八年度は約二十二億の事業費を持っております。これは四十八年度でございます。四十九年度はまだ補助事業等もちろん決定してございません。しかながら、全体的にはこの二十二億に対しまして、相当量大きな事業費にしなければ、いま言われましたような事業ができませんので、もう少し大きくしていかなくちゃいけない。これは予算決定してからでないとこまかいところは申し上げられませんが、いまおっしゃいましたドルフィンをつくるとか、あるいは航路の線切りをするとか、あるいは拡幅をするというふうなことは、この中でぜひともやっていきたい。こういうふうに考えております。
  128. 小柳勇

    ○小柳勇君 あとは、二社四隻、ほかに五隻ですね。松山−苅田間に二千トンクラスのカーフェリーが航路申請中だと聞いているが、これはどこの会社ですか。
  129. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 松山−苅田間を申請しております中距離の会社は北日本汽船、それからダイヤモンドフェリー、豊予高速フェリー、防予汽船、宇和島運輸の五社でございます。
  130. 小柳勇

    ○小柳勇君 それで、いまの四隻でもシフトしておりますし、一バースでは五隻の申請をしても、とてもこれは入れないんですね。したがって、これは海運局としては、これの就航は港湾整備ができるまでは許可されないのでしょうね。
  131. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 私ども、カーフェリーの安全な就航については、十分平素から配慮しているつもりでございます。また苅田港の特殊事情についてもよく承知しております。したがいまして、先ほど港湾局長からお話し申し上げました工事の進捗状況をよく見て、苅田港の実情を踏まえて航行の安全性を確保した上で免許ということの方針をきめたいと思います。
  132. 小柳勇

    ○小柳勇君 じゃこの港湾ができまして、ちゃんと遠方の沖まで出ないで荷積みができるように、あるいは荷おろしできるようなときまでは許可しないでもらいたい。許可の基準は一隻で航路をつくるときは本省でやるけれども、あと増便——航路だけとったら、あと増便は出発の海運局でやるというのだけれども、そうですか。
  133. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 地方の局で取り扱っております。
  134. 小柳勇

    ○小柳勇君 そういうところに問題があるようですよ。航路をつくるときは一隻で申請して、本省からオーケーとったら、あと出先の海運局に行って増便を二隻、三隻やるものだから、一つのバースでシフトしなければあとの出入りができない、それが非常に問題のようです。このカーフェリーの航路の許可の基準はつくってありますか。
  135. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 免許には基準がございますし、それから事業計画の変更でございましても、それに準ずるような重要なものについては、同じ基準でやるということの取り扱いをしております。また先生御指摘のように、こういった特殊の事情については地方の海運局にまかせずに、私ども十分関心を払っていくつもりです。  それから地方のことにつきましては、当然安全運航のあり方について、港湾管理者なり海上保安本部なりと十分海運局が相談してやるというたてまえは平素からとらしております。
  136. 小柳勇

    ○小柳勇君 この書面は、昨年の三月十六日に九電の苅田発電所が出したものです。タンカーに対する書面なんですが、これは初め一社四隻が。一社一隻でカーフェリーが免許をとったわけです。それが大型のカーフェリーが入るものだから、タンカーが苅田発電所に毎日入るのですが、それがたいへんなものだから特に書面が出ているわけです。苅田発電所からタンカーに。それは殿さまのお通りですね、カーフェリーの殿さまが通るから、ほかのものはけがせぬように横に待っておれというような意味の書面です。  そういうことが許せるか。同じ港におり、あるいは待避している、あるいは荷積みをしている、荷役をやっているのに、カーフェリーが来るたびに、大型のカーフェリーがどっと入るたびに、自分のところの会社に重油をおろすタンカーは特に待避する。そういう書面が出ている。これは会社から好意的にやったかもわかりません。わかりませんが、いま港の設備の悪いところで、あの大型のカーフェリーが高速で殿さまのお通りみたいにして入る、あなたはバースが足らぬためにシフトして他の船に迷惑するというようなことを御存じでしょうかね。
  137. 薗村泰彦

    政府委員(薗村泰彦君) 先ほど申し上げましたように、苅田港の航行安全上問題があるということは私ども承知しております。現在二社二隻就航しております。一日それぞれ一社一便でございますので、朝二社がそれぞれ一隻ずつ入る。それから夜それぞれ一隻ずつ出てくるということでございます。で、朝の時間をそれぞれの会社一隻ずつの時間をずらして入る。それから港域内の適当な場所にシフトをして、それから夜また一隻ずつ時間をずらして出てくると、こういうことになっております。特にこの場合はタグの曳航を必要としているというような特殊な考慮も払っておりまして、その航行の安全に十分配慮させているつもりでございます。ほかの船との関係、先生いまお話ございましたので、また私どもも十分注意させていただきますけれども、まあ私ども、朝二はい入る、夜二はい出てくるということでございますので、他船との関係も十分注意させて出入りをさせるつもりでございます。
  138. 小柳勇

    ○小柳勇君 私ももう一回調査しますけれども、海運局長も出先機関に指令して現地をよく調査をして、わがもの顔でほかの船を押しのけながらやらなければならぬようなことのないようにということ。特にシフトをしなくても荷積み荷おろしができるような対策ができればやってもらいたいということですね。出港時間の関係とか何かあるのでしょう、たぶん。そういう点も考えておらいたいのと、もう一つは、掘り込みの港湾だから流れ出ました汚濁水によって濁るから、これを沖のいい水を入れて、中と循環浄化の方式など考えられないものであろうかという陳情がありますが、いかがですか。
  139. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 港湾は本来的に、地形的に比較的閉ざされたような形でどうしてもできますので、海水の循環が悪くて汚濁しやすい形になっております。それで苅田港も確かにそのような形でございます。  本来これを考えてみますと、やはりいろいろな方法論がありますが、まず第一番に汚濁源をカットしなくちゃいかぬ。これは水質汚濁防止法であるとか、あるいは海洋汚染防止法というような法律でもってこのごろは順次よくなっている傾向がございます。それから二番目に、その海底にすでにたまっているきたないヘドロ、こういうようなものを除去しなくちゃならぬ。この工事もいますでにいろいろなところで進めているところでございます。それから第三番目に、先生のいまおっしゃいましたような導水のような仕事、港の中に別にきれいな水を入れていくというような方法論があると思いますが、これは新しく昨年港湾法を改正いたしましたときに、この導水施設というものを港湾施設といたしました。それで計画をいたします場合には、それを実施する際に国庫補助の対象にすることにいたしております。したがいまして、導水施設というものに対しての計画をつくりまして、それに対する国の助成をやるというような道を開いたわけでございます。それから同時に、防波堤がございますが、この防波堤の配置をどうするかというような面もございます。いままで防波堤が根元からできておりまして、海水の流通がよくない、ある部分を切ることによりまして中の海水を外の海水と循環させていくというような方法論も考えることができるんではないかというように考えております。  先ほどいまの一本の航路だけでフェリーも通れば、またよその船もいろいろ通るというところに危険性がある、そういう面もございますし、それから、いま言いました海水をきれいにするというような面からも、またひとつ抜本的に——いままで古い港を一生懸命使ってこのような形になっておりますんで、ひとつ全然視野を新たにして、いま先生のおっしゃったような海をきれいにするというふうな面、それから安全な面という点から、ひとつ考え直して検討していきたい、私たちそう思っております。港湾管理者である福岡県も現在そのような視野から苅田港を見直しているようでございます。その際には、私ども十分応援の態勢をとっていきたい、こういうふうに考えております。
  140. 小柳勇

    ○小柳勇君 それで大臣、港湾審議会に専門屋を入れてもらいたいという意見があります。特に地方港湾審議会には海員組合の支部長など、船の操縦の専門的な人を入れておいてもらわないと、たとえばつくるだけの人とか、あるいは地上の人で海の動いたことのない人が委員に入っているというようなことでありますから、これは県知事権限のようでありますけれども運輸省から、大臣のほうから、そういう詳しい人を入れる努力をしてもらうように指導してもらいたいのですが、いかがでしょうか。
  141. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御発言の点につきましては検討してまいりたいと思います。
  142. 小柳勇

    ○小柳勇君 最後に、港湾局長、北九州の管理組合のほうで汚職がありまして、管理組合をやめて港務局にしたいということに県会も市会もきめたのですよ。それでこれは日本にほかに例はあるようですけれども、この前、私、ここで公有水面埋め立てのときにその問題でいろいろ論議しました。他の港湾管理組合にもそういう問題が起こっておるのではないかと思うが、それは管理組合を港務局にするには県会と市会の決議だけでいいんでしょうか、その点ちょっとお教えください。
  143. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) まず第一点の他の組合の問題でございますが、これはそのようなことはございません。日本に現在五つございまして、北九州港ほか四つございます。たとえば名古屋等でもそうでございます。その組合なるがゆえにおかしなことになるという点は全くございません。北九州港の場合には北九州市の合併の時代から市が単独管理を願っていたようでございまして、それが近ごろ財政、行政力がついてきたという時期に組合を解散いたしまして市の単独管理にしたい、これは時期がどうも汚職とぶつかってきたという面もあったかと思いますが、そのように私どもは解しております。  それから、市と県議会が議決をしまして解散はできると思いますが、つくる場合には、今度は市が単独管理をする場合でございますが、それは港湾法に従いまして管理者設立の手続をとらなくてはいけない。たとえば一カ月間の公示をするとか、いろいろな手続きがございます。その点につきましては北九州市と運輸省のほう、よく連絡をとりながらやっていかなければいけないというふうに考えております。
  144. 小柳勇

    ○小柳勇君 それで、この苅田港だけじゃなくて、ほかにも急速度にカーフェリーがふえまして、バースが少ないためにシフトするようなところもあると思います。したがって具体的にもう少し、海運局も港湾局も現地を調べてもらって、事故が発生しませんように、事故が出てからいろいろやりましても無意味ですから、事故が発生しませんように御努力をお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  145. 森中守義

    森中守義君 港湾局長、いままで三、四回、それから決算委員会でも私、一度お尋ねしたことがあるのですが、水俣の例のヘドロの処理の問題ですね。これは昨年の五月ごろでしたか、類例のない処理なので副次汚染になると困る、それでその工法をすみやかに確定をしたい、そのために多少の時間をかしてくれないか、ただ着工の時期は、今年度一ぱいには着工したいと、こういうことが前回約束されているのですが、その後熊本県のほうで例の魚の出入りを防止するために網を張ったようです。もちろんこれは汚染魚をそこで抑制をするという暫定的な方法だと思うのです。したがって、このことが抜本的な解決にはもちろんならないけれども、あまり長くかかりますと、やはりこういう措置を長く続けざるを得ないであろう、こういうことを熊本県では言っている。これも、しかし、なかなか水産関係の専門家の見解によれば、水深が三十あるいは四十あるというところで網を入れて遮断してみても海草その他が全部網にかかる、一波くればすぐ倒れてしまう、なかなか有効な結果にはならぬのじゃないかと、こういう見解などもあるんですよ。もちろんそのための経費等は熊本県が独自で出したもののようですが、その後の工法の検討はどういうところまで進んでいるのか。私は前回の約束からいけば、すでに工法は確定をして、あとは財政負担のそういうものが残っているんじゃないかと、こう思っているんですが、どういう状態になっておりますか。
  146. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 結論的に申し上げまして、実は先生のおっしゃいましたような工法がぴしっと確定しているかどうかと、こういうことにつきましては、残念ながら実はまだそこまでいっていなかったのが実情でございます。その理由はいろいろあるわけでございますけれども、ヘドロの調査基準等が途中で変化してまいりまして、この水俣港の底質の状況を確実にキャッチいたしまして二十五PPM以上のヘドロを何とかしなくちゃいかぬというふうなことがきまりましたのが、昨年度のたしか九月か十月かというふうに延びてまいりまして、そういうような経緯もございまして、この工法そのものの決定にはまだ至っていないのがほんとうのところでございます。  それで運輸省といたしましては、予算のほう、四十八年度のほうに着工するような予算的な措置はつくってあったわけでございますので、これを何とかいたしまして、まず計画をきめなくちゃいけませんので、その計画の面と工法の面を早くきめなくてはいけないということで、運輸省の第四港湾建設局というのがございますが、技術陣が県のほうを指導しながら現在その計画をつくりつつあるというのがほんとうのところでございます。  それで先ほどの網の問題でございますが、その間熊本県といたしましては昨年の十一月ごろ百八十ヘクタールという水面に対して網を張りまして回遊魚が入らないようにやりましたけれども、これは先生のおっしゃるように海草がつくそうでございます。海草等によって目が詰まるので、やはり恒久的なものではない。ですから張りかえながらやっていくということだそうでございます。もちろん私どもといたしましては、とりあえず県はそういうことはやっておりますけれども、できるだけ早く着工するように指導していきたいというように考えておるわけでございます。
  147. 森中守義

    森中守義君 その工法というのは、なるほど物理的にかなり専門的な英知を集めないと簡単にいかぬと思うんですが、しかし、そろそろ詰めてもらわないと、実は昨年予算委員会の途中で、特に私が当時理事をやっておりましたから、三木さんに相談をして一ぺん行きなさいと、こう言って三木長官に行ってもらったことがある。そのときに運輸委員会でも実施官庁は運輸省ですと、そういう政府の見解も出ているし、政府としては約束どおりにいたしますということを何だか地元で約束をしてきているらしいんだな。それで、いまじりじり待っているんですよ。ですからこの際、ひとつ早急に——金をどうするかという問題はひとり運輸省だけでは困難でしょう、ただし金の問題も、四十九年度予算の中に、十五億のヘドロ処理の予算をたしか運輸省はつけておりましたね。これが水俣のそれに該当するものであるのか、あるいは本州製紙のああいう関係等にも使うのか、その辺はよく内容を聞いておりませんからわかりませんけれども、分担金の問題も早くきめてもらいたいし、まず工法が確定しておりませんと予算はついたがなかなか着工できない、こういうことになろうかと思う。それで、ぜひその辺のことを早急に検討してもらいたいし、答えを出してくれませんか。  それから、いま局長の言われる被害の程度の問題、これは水俣の水質調査、底質調査の場合には環境庁は化学分析研、これの分析データには関係はありませんと、自分でやったんだから、だからあの底質の汚染度についてはあのとおりだと、こういう言い方をしている。だから、そういう新たな問題が出てきたからといって、あの程度を疑ってみるという必要は私はない。ですから早くそれをやってもらいたいのと、いま一つ熊本県では、こういう大がかりな仕事は、たとえ県が管理港であったにしてもやれる筋のものではない、国でやってほしいと、こう言っておるんです。運輸省のほうでは、いや県が管理港だからそっちがやれ、いろんな援助はしようと、こういうことのようで、なかなか施行主体というものが一向に固まらない。その辺の調整も県と運輸省と早く詰めてもらいたい。どうもこのままの状態でいけば一体いつになるか、非常に地元ではそのことを心配しておりますので、早急にこういうことも含めて答えを出してもらいたいと思うんですが、どうでしょうか。
  148. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 先生がいまおっしゃった三つのいろいろな問題がございますが、やはり最後の問題が工法とかそういう問題にもからまってくると思います。実は工法そのものを決定することも、私どもはやはり実施する県がまず計画をつくる、そしてそれに対して国が全力の応援をしていくというような姿勢でいるわけでございます。ああいう非常に広範囲な、非常に地元と密接な関係のある汚泥の処理、しゅんせつというような仕事は、やはりどこまでも地方公共団体の長である知事が一生懸命やっていくんだと、そして漁民とか市民とか、いろんなところと関係をとりながらやっていかないと、実際問題としてできないんだと、そういう姿勢でやるべきであるというようにわれわれは考えておりまして、技術的ないろいろな困難がありますならば全力をあげて技術的にも応援いたしますと、また技術屋がほしいならば何とか人もさいて力一ぱい応援していきたい。しかし水俣の港をきれいにするということは、どこまでも港湾管理者の責任としてやるべきではなかろうかというのが私どもの姿勢でございます。  そこで、たとえば工法といいますか何というんですか、計画も含めてのお話しになると思いますが、たとえばこういうところに仮締め切りをやって、このような工事でやるというふうなことにつきましても、案はやはり港湾管理者がつくりまして、それを審議していくというような姿勢でやっていきたいと思っているわけでございます。その工法といいますか計画をきめる際には、国としても全力応援をいたしてやりたい。したがいまして、たとえば第四港湾建設局、これが下関にございまして技術陣がおりますので、その連中も一緒になって県のお手伝いをしながら、計画をきめていきたい、このような姿勢で、これはかねがねそのような計画を早くつくろうではないかということを、県のほうにも申し上げていたというのが実情でございます。  それから先ほどの環境庁のお話は、きまりましたのは、やはり相当あとになりまして、最初思っていたよりもはるかに汚染の範囲が広くなってきたのがわかったのは、たしか九月か十月か、そのくらいになったと思います。その後は変わりませんけれども、その前の調査と比べますと、やはり変わってまいりまして、それに対応する工法というんですか、計画をつくらなければいけないということは事実だったと思います。
  149. 森中守義

    森中守義君 これはいろいろ県にも運輸省にも考えもありましょうし、また背景もあるようですから、いま一がいに国あるいは県という、どちらが主体になるかと言い切らせるには少し早計だと思いますが、ただ工法を県が中心でつくりなさい、応援は幾らでもしますよ、これは非常にけっこうな話のようにも聞こえますが、残念ながら県が主体になって青写真を、線引きをやるだけの残念ながら人がいませんよ。そうなれば応援か主体かという、その辺の感じの違いはあっても、どうしても専門家を多数擁している運輸省中心になって線引きをしてやらないと、県が出てぐるのを待って応援をしましょうということでは、これは簡単に片がつかない。そのことだけは、やはり形はどうであろうと線引きの中心運輸省がなるんだと、こういうことはぜひ考えておいてほしいですね。
  150. 竹内良夫

    政府委員(竹内良夫君) 先生のおっしゃるとおりだと思っております。もちろん県がやるとはいいますけれども運輸省としましては技術陣を動員いたしまして、ほんとうはというか、とにかく応援ということではございますけれども、相当量の力を県のかわりになって絵をつくるというぐらいのつもりではおります。
  151. 森中守義

    森中守義君 これは運輸大臣、企業の分担それから国、自治体、財政分担が非常にややこしくなるんですよ。それでひとつ本来的には、当然これは原因者の全額負担ということになるんでしょうが、そうもいきかねるという実情もわからぬでもありませんから、関係大臣あたりともよく一ぺん協議をされて、いまの工法は専門家にまかせておけばいい、あと経費の負担をどうするか、その辺ひとつよく検討していただきたいと思いますが、どうでしょう。
  152. 徳永正利

    政府委員徳永正利君) これはなかなかいまおっしゃるように、いままでもずいぶん長いいろんなジグザグ、いきさつがあったようでございますが、私も沢田知事から一、二度会って聞いたことがございます。おっしゃるように、経費が事業者負担というのが、これはもう原則でございますけれども、なかなかそういう面においても問題もあろうと存じますが、おっしゃるように、ひとつ関係大臣と話しまして不安のないような何か結論を早急に出していきたいと、かように考えております。
  153. 森中守義

    森中守義君 実はチッソの再建計面の中に、このヘドロ処理のため、どのくらい充当するかという金額がない、ちょっとこの前見ましたらね。ところが、いま言われる沢田知事は当初三十億ぐらいをチッソは心組みしておったようだと、ところが前、港湾局長にちょっとそんな話をしましたら、いやとんでもない、三十億、五十億で終わる筋のものじゃございませんよ。まあこういう話が出まして、その後、沢田知事はおそらくチッソにも三十億なんて何言っているんだという話はしたようですよ。ところが再建計画を出して、これから患者補償あるいは新患者の認定とか、そういうものが出ているんですが、肝心なヘドロ処理が出ていない。それで私は、一体これはどういうつもりなんだ、早く財政分担をきちんと確定をしておかないと、工法はきまった、さあ実施に入ろうという場合に、なかなかもつれるなという、まあそういう予感もいたしますので、いま大臣の答弁もありましたから、ぜひ早急にこの問題を検討してもらいたいと思います。  それから小柳君の質問の中で、航空問題がちょっと出たようですね。あるいは重複するかわかりませんが、ちょっと航空局長にお尋ねしておきたい。  二月九日の日付で、田中総理あてに日本航空機長会の尾崎会長名で、今回の処理に対し抗議の声明、こういうものが出されておりますが、ごらんになったことありますか。
  154. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) ただいま御指摘の機長会会長尾崎さんからの声明書というものは拝見いたしております。
  155. 森中守義

    森中守義君 これはこの前、私が大臣に、日本航空を出さねばならぬという法的根拠は何もないんだと、まあいわば要請であり、これを受け入れたという、そういう内容のものだと思う、いまでもね。ところがこれを見ると、どうも日本航空に話を持ち込んだ際に、社内でかなり議論しているようですね。そこで日本航空は条件がついた、つまり乗員の絶対的な安全の保障、それからゲリラが乗る場合に完全に武装を解除してくれと、こういう重要な内容が条件についたんじゃないかと、新聞もそういうことをにおわしているのもありますね。そのいきさつはどうなんです。社内だけの、乗員を乗っける、つまり日本航空内部の問題としてそういうものが運輸省あるいは政府に出てこなかったとは思えない。人命の絶対的な安全の保障、ついては武装解除したならば乗せましょう、まあこういう条件はつかなかったわけですか、そのいきさつ、どうですか。
  156. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 本件のいきさつを簡単に申し上げますと、まず日本航空に対しましては、ひとつクウェートにおける人質の問題、シンガポールにおける人質の問題、こういう事件が発生いたしましたので救出のための救援機を出していただけないか、こういうお願いを政府としていたしましたわけでございます。  で、もちろんお願いをするにあたりまして、乗ってまいります乗員等の生命の安全については、運輸省としても最大の関心を持っておりまして、これを実際にクウェート政府あるいはシンガポール政府と交渉の任に当たっております外務省に対しましては、乗員の生命の安全をはかることを第一にしてもらいたいという要請をしております。また外務省もその線で、要するに武器を持ったままの、こういうゲリラが乗るということについては、そういうことのないように終始配慮をしていただいたというふうに了解をいたしております。  で、この声明文が出ましたいきさつについては、実はまだつまびらかにしておりません。私どもといたしましても、機長会とひざをつき合わしてどういう事情であったか、この真意はどこにあるかということをいま一度確かめたいというふうに考えておりますが、この声明にありますように、やはり通常の定期航空の輸送に従事している者を危険な状態に置くということは好ましいことではございませんし、また政府といたしましても、これを命令するとかなんとかいう立場にあるものではございません。そこで、こういった問題につきましては社内の事情は存じませんけれども運輸省と日航の関係あるいは運輸省と外務省の関係におきまして、飛行機に乗る乗員の生命の安全というものをまず第一に考えてもらいたいということは終始一貫とってまいっております。
  157. 森中守義

    森中守義君 ちょっと寺井局長お話の中にあるその真意は那辺にあるのかという、これはそういう見方をすべきじゃないんじゃないか。きわめて自然ですよ、これは。しかも意思としては非常に強烈な意思を表明していますね。「今般のシンガポール石油タンク襲撃事件及び武装ゲリラによるクウェート日本大使館占拠事件に関連して日本航空機長の乗務を前提とした航空機の提供による解決策について、日本航空機長会として次の通り日本政府に抗議するとともに内外に声明する。」きわめてこれは自然に受け取れるじゃないですか。こうも言っておりますね。「政府は明確な生命の安全についての保障、事件解決の具体的な見通し、及び潜在する数多くの危険に対する方策がないまま多数の民間航空従事者を武装したゲリラの銃口の脅威のもとに曝らしたことはまことに遺憾」である。このとおりじゃないですか。私はこういう重要な問題その背景はどうだとか、裏はどうだということにはやっぱり受け取るべきでないと、こう思うのですよ。  そして、さらにつけ加えてあるのは「近年頻発する航空機乗取り事件等防止のため各国の定期航空操縦士の間でも世界的にストライキにまで訴えてこの事態の善処を要求した事実がある。」こう言っておりますね。「にもかゝわらず、今回政府のとった処置は我々の容認し得ざるところである。加うるに武装ゲリラの要求に対し深く検討することなくこれに応ずるが如きは今後に悪例を残す結果となることを憂慮するものである。今回は幸に、生命をそこなうことはなかったが日本航空機長会は、今後このような飛行には一切協力出来ないことを声明する。」こういうんですね。大臣、どう思われる。局長はどういう意味であったかわかりませんがね。その真意が那辺にあるかという、そういう読み方、受け取り方は、私はどうしても納得できない。
  158. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) 少しことばが足りませんで申しわけございませんけれども、この事実関係、この声明の趣旨というのは、私どもはまことにもっともなことだと思っております。ですから、この事実関係につきましてどういう認識をしておられたかという点についてはやや疑問な点もございますし、どういい認識のもとにお考えでこういう表現になったかというような点をもう少し詰めさしていただきたいと、こういう趣旨でございまして、この気持ちそのもの、全体の趣旨というものはまことにもっともだというふうに考えております。
  159. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 御指摘の点につきましては、私はすなおにそのように受け取っております。実は朝田社長もお見えになりまして、私のほうからこういう事情だということで要請をしたわけでございます。事情もわかる範囲の、知る範囲のことを申し述べまして要請いたしました。日航の中でもいろいろ議論があったようでございます。朝田社長がお見えになりまして、人命の尊重、わがほうのいわゆる乗員の人命の尊重ということを第一義的にひとつ考えていただきたいという申し入れもございました。私もそれを了承いたしました。運輸省だけでもやれる仕事でもないわけでございまして、これはもう外交的な交渉もあり、また外国の公館等の力、政府の力も借りなきゃならぬことですから、夜中の二時ごろでございましたか、外務大臣のお宅に同道いたしまして、この一点はひとつぜひ外務省としても全力をあげてやっていただきたい、むしろ責任を持ってでもやるというぐらいの決意でひとつ御協力願いたいということで、三者の話をしたわけでございます。刻々に変わってきた情勢——情報が実は入り乱れたわけでございまして、飛んで出ました人々も正確な情報を刻々判断するということもなかなか問題があったろうと思います。またこちらのほうとしましても、いろいろと情報の混乱があったことも事実でございます。  そういうようなところが、いま航空局長が申しましたように、そういう混乱のないようないわゆる情報体制というものの上に立って、実際は武装解除と同じような弾倉も抜き、実際問題はそういうふうな処理になったようでございますけれども、その辺のいきさつが明確にさっと流れていかなかったというところに一つの問題もあるのじゃないかと思います。そういう点を航空局長は言っているのだろうと思いますが、私はこの声明は全くそのとおりでございまして、すなおにこの機長会の諸君の気持ちというものを受け取っております。今後再びこういうことのないことを祈りつつ、実はこの声明を非常に深刻な気持ちで読んだわけでございます。
  160. 森中守義

    森中守義君 これはだれしもが一度も体験しなかったことを体験したわけですがね、その体験の中からこういうことが生まれてきたわけです。  それで、いま大臣の言われることも私も全く同じです。再びこういうことが起こらざることを祈りたい。ただ世の中のできごとですから、将来全くあり得ないということもない。それならば一度体験をしたことをこれからどう生かしていくか、これはやはり現在非常に重責にある大臣としましては、よほどこれは慎重に検討しておいてもらいたいと思うのですね。  そこで私は、この機長会が内外に声明をした、政府に抗議をした、これはこれ、またあったならばそれはそれだということにはならないと思うのです。もしかりにあった場合に、今回と同じように要請をした、日本航空という会社はこれを受けた、けれども、今度は会社は受けたが乗る人は乗らないというふうになりますと、それをなおかつ押してということにはいきますまい。それがこの声明に脈々と流れているんですね。ならどうするのか、もしあった場合。いやそれはもういつあるかわからぬから、そのときはそのときだといえばそれまでですけれども、しかし、そう簡単にいくものでもないと思う。だから予測はされないけれども、予測もされないことはない、ということであれば、あらかじめこの機長会の申し入れ、貴重な体験というものを踏まえて運輸省でもよりより一つの見解をお持ちになる必要があるのじゃないか。じゃどういう見解なのかと言いますと、これはだれしも出ません。いまは。けれども機長会の意思は尊重しなけりゃいかぬ、ただそこで私が言えることは、外務省がどういう事態が発生した場合でも、これはおいそれということでもないでしょうけれども、最終的には運輸大臣航空事業の主管責任者としまして、外務省の申し入れは受け入れることができないという拒否権を持つことも、これは一つ方法だと思うのです。それでいけば一番いいと思うんですね。そういうことと、もし起きた場合にはどうするのかという、こういうことを検討になるお考えはありませんか。
  161. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) 実は非常に不幸なことでございますけれども、そういうようなものもあわせて、私はいま深刻に実はその声明を読みつつ、いろいろな思いをめぐらしておるところでございます。先生のおっしゃるように、日本航空に命令権があるわけではございません。日本航空から逆にこれは拒否権を発動されるかもわかりませんし、また私ども自体としましても、航空行政を担当しているものとしても、外務省に対してそういうものを受け取るわけにはいかぬということもあり得るかもわかりませんし、そういうようなことやら何やらを、いろいろ私は、実は苦痛を重ねておるわけでございます。  私が出るときに朝田社長が実はこう言ったんです。大臣から要請を受けましたと、しかし私はこれを命令と受け取ると、そのつもりでいまから社内に帰って相談をし処理いたしますと、こういう悲壮なことばを述べたわけなんです。私はそのときに、乗員の生命に関しては一身にかけてやりますということをお約束いたしました。私が一身にかけてやると言ったところでどうにもなることではないと思うんです。しかし私のそのときの気持ちは、これはまた言外に悲壮な覚悟を持ってその問答があったわけでございます。そういうようなことで朝田社長もそれを納得され、外務大臣のお宅にうかがって、そして出発を見たという一連の経過があるわけでございますが、そういうようなものをも振り返りまして、私はこの機長会の声明というものを深刻に実は受け取って、今後のいろんな問題に対して思いをめぐらしている最中でございますから、どうかお時間をおかしいただきたいと思います。
  162. 森中守義

    森中守義君 これは大臣あるいは航空局長ね、その機長会もあまりにもなまなましいショッキングな問題ですから、早く一ぺん会われるほうがいいと思う、代表に。そうすると、真意はどうだこうだと、そういう意味合いでなくて、ほんとうに機長が何を求めているかということがわかると思うんですよ。私はお会いになることをすすめます。  それからいま一つ、これはきのうのできごとのようですが、米軍機が東亜国内航空のYSにニアミスをやった。ここしばらくの間航空問題というのは意外に委員会でも話題になることなく、非常に平穏にきたわけですが、何かこう事故は忘れたころなんという古いことわざがあるように、もうひょっとした場合、こういう問題が出てくると、やはり雫石を思い出すんですよ。それで防衛庁あるいは米軍あたりとも恒常的な運用協議会、何かそういうものもやっておいでのようだから、ぜひそういうことをこの際は強化してもらいたい。  同時に、新聞によれば米軍に回答を求めたけれども回答がないと、こういっておりますね。こういうばかな話はないので、大体スカイホークじゃないかという、有視界飛行をやっていて認知しているようですから、こういう事実関係をもう少し詰めてみたらどうなのか。こういうことが忘れたころぽこっと出てくる。まあニアミス程度で終わったからいいようなものの、これはもう大問題ですよ。あれほど空域の設定、空路では絶対に軍事訓練をやらないという約束が雫石と、これまた体験の中から生まれているわけですから、そういうこともあわしてひとつお答えいただいて、きょうの質問は終わりましょう。
  163. 寺井久美

    政府委員(寺井久美君) まず機長会と早急に会って話をしたほうがよろしいという御提案、ごもっともと思いますし、私どももそういうっもりでおります。  それから岩国上空のニアミスの問題につきましては、米軍に対しまして電話で状況報告を求めたのに対して、回答がその時点では来なかったというのは事実でございます。文書でただいま回答を求めております。で、早晩回答は出てまいると思いますが、私のほうは福岡管制部等を通じまして、どういう状態であったかということを調査いたしておりますが、相手機の確認がまだ十分済んでおらないという状態になっておりまして、まことに残念なできごとであると思っておりますし、米軍あるいは自衛隊とも先生のおことばのように、ときどき連絡会等をやっておりますけれども、これもさらに緊密にそういう場を通じまして、お互いに間違いの起こらないように努力をしていきたいと、かように考えております。
  164. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 他に御発言もなければ、本件に対する本日の調査はこの程度といたします。
  165. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 船舶職員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  まず、政府から趣旨説明を聴取いたします。徳永運輸大臣
  166. 徳永正利

    国務大臣徳永正利君) ただいま議題となりました船舶職員法の一部を改正する法律案の提案理由につきまして御説明申し上げます。  最近におけるモーターボート、小型漁船等の増加は著しく、これに伴いまして、これらの船舶による事故も相当数にのぼっておりますが、それらの事故は、船舶に乗り組む者の基礎的な知識、技能の欠如に起因しているものがきわめて多いのであります。  運輸省といたしましては、このような事態に備え、かねてから小型船舶操縦士免許の取得を励行させるとともに、試験及び船舶職員養成施設における教習について、その内容の適正化をはかってまいりましたが、現行法におきましては、乗り組みにつき免許を必要とする小型船舶の範囲が限られていること、免許制度自体が必ずしも現在のような多種多様の小型船舶の使用実態に見合っていないこと等の問題があり、このままでは小型船舶による事故防止に万全を期することは困難な状態であります。  以上の点にかんがみ、小型船舶による安全なレクリエーション活動及び漁業活動を促進するため、船舶職員法の一部を改正し、従来船舶職員法の適用のなかった小型船舶についても原則として免許を受けた者の乗り組みを義務づけるとともに、実態に即した合理的な免許制度を創設し、もって小型船舶の航行の安全をはかることが今回の改正の趣旨でございます。  次に、改正案の概要について御説明申し上げます。  第一に、総トン数五トン未満の船舶であって、旅客運送の用に供しないものについても船舶職員法を適用することといたしております。  第二に、現在の小型船舶操縦士の資格は廃止し、新たに資格として総トン数二十トン未満の小型船舶についてその総トン数及び航行する区域に応じ  一級小型船舶操縦士、二級小型船舶操縦士、三級小型船舶操縦士及び四級小型船舶操縦士の資格を設けることといたしております。  第三に、新たに設けることといたしました資格に対応する試験の実施に関する事務を申請により運輸大臣が指定する者に行なわせることといたしております。  第四に、現在免許を必要としない小型船舶に対する新法の適用は法施行後一年六カ月後からとすること等、新法への移行が円滑に行われるよう必要な経過規定を設けることといたしております。  以上がこの法律案を提案する理由であります。  何とぞ、慎重御審議の上、すみやかに御賛成いただきますようお願い申し上げる次第でございます。
  167. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 次に、本案の衆議院における修正部分について修正案提出者衆議院議員野中英二君から説明を聴取いたします。野中英二君。
  168. 野中英二

    衆議院議員(野中英二君) 船舶職員法の一部を改正する法律案に対する衆議院の修正部分について、私からその内容を御説明申し上げます。  修正の趣旨は、第一に、限られた水域のみを航行する小馬力の小型船舶に乗組む者に対して、新たにこれらの船舶の航行の実態に見合った限定免許を設けるよう関係条文を改めるものであり、第二に、外洋小型船のうち一定の距離以遠に出るものについて航行の安全に万全を期するため、一級小型船舶操縦士のほか、機関長として丙種機関士を乗り組ませるよう別表第一を改めるものであります。  何とぞ御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  169. 宮崎正雄

    委員長宮崎正雄君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本日はこれにて散会いたします。    午後四時散会      —————・—————