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1974-03-05 第72回国会 衆議院 予算委員会第四分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十九年二月二十七日(水曜日) 委員会において、設置することに決した。 二月二十七日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。       植木庚子郎君    正示啓次郎君       羽田  孜君    松浦周太郎君       松岡 松平君    湊  徹郎君       岡田 春夫君    湯山  勇君       矢野 絢也君    小平  忠君 二月二十七日  湊徹郎君が委員長指名で、主査に選任され  た。 ————————————————————— 昭和四十九年三月五日(火曜日)    午後一時一分開議  出席分科員   主査 湊  徹郎君       羽田  孜君    松浦周太郎君       松岡 松平君    大出  俊君       岡田 春夫君    湯山  勇君      米内山義一郎君    松尾 信人君    兼務 倉成  正君 兼務 阿部 昭吾君    兼務 上原 康助君 兼務 八木 一男君    兼務 神崎 敏雄君 兼務 竹本 孫一君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         人事院事務総局         任用局長    大塚 順七君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁長官         官房長     吉瀬 維哉君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         経済企画庁長官         官房参事官   北川 博正君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁国民         生活局長    喜多村治雄君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君  分科員外出席者         総理府人事局参         事官      藤井 良二君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         農林省食品流通         局砂糖類課長  永井 和夫君     ————————————— 分科員の異動 二月二十八日  辞任         補欠選任   植木庚子郎君     笹山茂太郎君 三月四日  辞任         補欠選任   小平  忠君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   玉置 一徳君     小沢 貞孝君 同月五日  辞任         補欠選任   小沢 貞孝君     小平  忠君 同日  辞任         補欠選任   岡田 春夫君     大出  俊君   湯山  勇君    米内山義一郎君   矢野 絢也君     松尾 信人君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     岡田 春夫君  米内山義一郎君     湯山  勇君   松尾 信人君     新井 彬之君 同日  辞任         補欠選任   新井 彬之君     矢野 絢也君 同日  第二分科員上原康助君、竹本孫一君、第三分科  員八木一男君、神崎敏雄君、第五分科員倉成正  君及び阿部昭吾君が本分科兼務となった     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算経済企画庁所管      ————◇—————
  2. 湊徹郎

    湊主査 これより予算委員会第四分科会を開会いたします。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしくお願いをいたします。  本分科会は、昭和四十九年度一般会計予算中、経済企画庁農林省及び通商産業省所管並びに昭和四十九年度特別会計予算中、農林省及び通商産業省所管について審査を行なうことになっております。  本分科会審査日程につきましては、お手元に配付しております日程表により審査を進めてまいりたいと存じますので、御了承をお願いいたします。  まず、昭和四十九年度一般会計予算中、経済企画庁所管を議題といたします。  この際、政府から説明を求めます。内田常雄君。
  3. 内田常雄

    内田国務大臣 昭和四十九年度の経済企画庁関係予算及び財政投融資計画につきまして、その概要をまず御説明申し上げます。  総理府所管一般会計歳出予算のうち経済企画庁予算総額は、百十億八千三百九十四万円であります。  これは、総合開発局関係予算が、御承知のように国土総合開発庁に移管されることとなることを想定しておりますので、その分を除いた額でありまして、前年度の総合開発局関係を除いた当庁予算額に比較いたしますと、四十二億七千三百十六万円の増額となっております。  また、財政投融資計画につきましては、海外経済協力基金にかかる分、総額一千九百八十億円でありまして、前年度に比べまして三百七十五億円の増額と相なっております。  以下、重点として取り上げました事項につきまして、その内容を御説明申し上げます。  まず第一は、物価安定国民生活充実対策強化に必要な経費でありまして、六十二億八千六百万円を計上いたしております。  その内訳は、国民生活安定緊急対策費として、国民生活安定緊急措置法及び生活関連物資等の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律の施行に必要な経費をはじめ、物価対策に資する情報の提供、パイロット事業等を推進する経費五十億円とその他の経費であります。  第二は、経済政策調査研究充実するために必要な経費でありまして、二十三億七千万円を計上しております。  その内訳は、経済社会基本計画のフォローアップを進めるための経費、新しい国民経済計算体系整備促進をはかるための経費、各省庁の経済政策を推進し、総合的な効果を確保するために必要な調査等のための経費総合研究開発機構の機能をさらに強化するための経費などであります。  第三は、海外経済協力拡充強化に必要な経費でありまして、海外経済協力基金事業規模として、前年度に対し、三百七十五億円増の一千九百八十億円を予定しているものなどであります。  以上をもちまして、経済企画庁予算並びに財政投融資計画についてその概要を御説明申し上げました。  何とぞよろしく御審議のほど、お願いいたします。
  4. 湊徹郎

    湊主査 以上をもちまして、経済企画庁所管についての説明を終わりました。     —————————————
  5. 湊徹郎

    湊主査 これより質疑に入ります。  この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守いただきまして、議事進行に御協力を賜わりたいと存じます。政府のほうも、答弁は、時間が短うございますので、できる限り簡単明瞭にお願いをいたしたいと思います。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。阿部昭吾君。
  6. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 私は三十分までで、きちっと終わります。  内田長官のところでは、わが国電力、いわば日本産業構造の非常に重要な問題を大きく掌握をされておられるわけでありますが、現在電源開発調整審議会建設決定をしたこの発電所建設が、電調審では決定を見ましたけれども、順調に建設が進んでおらぬというところが全国にたくさんあるのであります。  この状況をどういうふうに把握をされていらっしゃるか。私ども承知をしておるのでは、十二月の電調審決定の以前の段階で三百万キロワット以上の発電所建設がなかなか順調に運んでおらないというふうに承っておるのであります。現状段階でどういう状況にあるかということをお伺いしたいのであります。
  7. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 電源開発調整審議会におきまして、基本計画決定せられまして現在まだ未着工というものが、これは過年度のものまででございますが、五カ地点、約三百五十万キロワットでございます。
  8. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 きのう、きょうの状況の中で、再び油の輸入というものがなかなか簡単ではない、相当輸入量が減りつつある、こういう状況が伝えられておるのでありますが、この状況を、ここ当面、ある程度長い展望経済企画庁としてはどのように把握をなさっていらっしゃるのか、お聞かせをいただきたい。
  9. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 これは大臣からまたお答えがあるかもしれませんが、一応私のほうから事務的に申しますと、昨年十一月からの石油問題に伴いまして、電源開発についても、まず供給構造多様化について考えなければならぬということでございまして、具体的には水力、原子力、石炭火力あるいは地熱等促進をし、火力はある程度押えていくという形にならざるを得ないわけでありますが、こういった問題につきまして、年末に内田長官から閣議で御発言もございました。  関係各省集まりまして、経済企画庁を中心に議論をしてまいったわけでございますが、こういった方向で、将来の長期にわたる電源開発の見直しをやる、また、具体的な多元化のための施策をどうするかということも考えていこうということになりまして、先般の電調審におきまして、電源開発調整審議会の中に開発政策部会というのをつくっていただきまして、ここでそういった問題についての議論をしていきたいと考えておる次第でございます。  なお、この問題は、当然通産省のほうでも総合エネルギー調査会等において検討が進められておるというふうに承知いたしております。
  10. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 局長、私が伺いましたのは、油の輸入状況が、私ども承っておりますのでは、量の問題では、そういう暗い見通しは大体山を越えて見通しは持てる、こういうふうに私どもも当初は報告を受けておったわけであります。きのう、きょうに至りまして、なかなかその輸入状況はそう甘い情勢じゃない、こういう状況が伝えられておるのであります。  この状況を、当面、四十九年度なら四十九年度ぐらいの展望で考えました場合にどういうふうになるのか。いまのは一時的で、先はだいじょうぶなのだということなのか、ことし一年も輸入はたいへんきびしいということなのか、そのことだけひとつ端的に。
  11. 青木慎三

    青木政府委員 原油の輸入状況でございますが、昨年末ごろぐらいにいろいろ通産省のほうで見通しておりましたのは、今年度四十八年度には二億八千万キロリットル程度というふうに考えておったわけでございます。その後供給が緩和いたしまして、現在の見通しでは二億八千九百万キロリットル程度になるのではないかというのが、つい最近までの見通しでございます。その後、また若干状況が変わりまして、一月、二月は従来の予定よりは若干低い水準で推移しておるようです。  しかし、いずれにいたしましても、年度を通しましては、ほぼ二億八千万キロリットル程度というものは入るのではないかというふうに現在でも考えられます。たとえ落ちましても、その程度は入るのではないかと見ております。  四十九年度の見通しでございますが、四十九年度の見通しにつきましては、政府見通しにおきましては、二億七千万キロリットルというふうに想定しております。これは、今後の石油情勢の推移によって変化する可能性はございますけれども、今年度の見通しが二億八千万キロリットルといたしますと、二億七千万キロリットルというのは若干控え目な数字でございますので、この程度の数量の確保はできるものと現在では見ております。
  12. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 そこで、きのう、きょうの伝えられておるような状況がありましても、政府が四十九年度という年間の見通しを立てましたものと大筋においては狂いは出ない、こういう判断ですね。
  13. 青木慎三

    青木政府委員 そのとおりであります。
  14. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 そこで局長、実は東北電力株式会社と住軽アルミとの間で、私の郷里酒田共同火力発電所建設することを目下進めておるのであります。  前提としてお断わりしておきますが、私どもは私ども地域開発賛成、こういう立場に立っております。公害はきびしくチェックしなければいけない。私ども鹿島開発状況や、方々の開発状況を調査してまいりました。したがって、いまの酒田開発につきましては、あの二の舞いを踏ましてはいけない、公害だけはきびしくチェックをしていかなければいけない、こういう立場で取り組んでまいりました。  その観点から見ますると、実は、昨年末に電源開発調整審議会酒田共同火力七十万キロワットに関する建設許可をしておるのであります。  その場合に、二つ条件を付しておるのであります。一つ条件は、エネルギー情勢を見きわめるということ、それからいま一つ条件は、アルミのように、電力が全く原料と同じようなエネルギー多消費型の産業でありますから、そういう意味で、アルミというものの需給状況なり、いろんな問題も、もうちょっと見きわめた上で、電気事業法三条による認可、あるいは四十一条だったかと思いますかの認可を、さらに通産省があらためて行なう、こういう条件を付して、昨年末の電調審東北電力、住軽アルミ酒田共同火力発電所というものを認可されたのであります。二つ条件が付されております。  そこで、この中でおっしゃっておるエネルギー情勢を見きわめるということについては、いま青木局長の御答弁によりますと、油の価格の問題その他も決して無関係ではありませんが、量的な問題は、きのう、きょうのいろいろ伝えられる情勢はありましても、四十九年度という展望で考えました場合に、大筋見通しのとおり、こういう御答弁なんであります。それをしっかりと踏まえていけるのかどうかということ。  それから第二の問題は、アルミ需給関係も含めて、この中にはコストの問題もいろいろな問題も含むのだと思いますが、この情勢も見きわめるということに実はなっておるわけであります。そこで、あの地域で、電力亜硫酸ガス公害基準の問題について、たいへん紛糾いたしました。  私どもは、基本的にいうと、冒頭申し上げましたように、開発賛成公害はきびしく押えていこうという態度でありますから、いまわが国の中において、火力発電の場合に最も公害を少なくするような進んだやり方をしておるところ、せめてその程度のことは、この場合でもやってもらわなければいけないという主張をいたしました。具体的にいいますと、中部電力だと思いますが、福井火力発電、この場合は完全排煙脱硫を装置するというやり方でありますが、酒田の場合もそのやり方をとるべきだということを主張いたしました。残念ながらそのようにはなりませんで、公害対策審議会紛糾のままに実は見切り発車をしておるのであります。  このままで参りますと、われわれは、開発賛成公害反対という態度に立っておるわけでありますが、公害の問題をここままで、通産省電気事業法三条、四十一条による建設許可を出してしまうということになりますと、いまお話の、電調審建設許可をしておりながら着工ができないでおる三百五十万キロワットの状況と同じような状況が出てくるおそれがある、私どもはそれは避けたい、こう思っておるのであります。そのためには、福井でやられておるような完全排煙脱硫というやり方を、酒田東北電力や住軽アルミができないはずばないと思うのであります。  この問題について、通産省資源エネルギー庁におかれてはどういう判断をなさっておるか。いま私が申し上げました、せめて福井並み努力、こういう方向東北電力なり、あるいは住軽アルミ共同火力に対して指導すべきだと思うのでありますが、いかがでしょうか。
  15. 岸田文武

    岸田政府委員 いまお話がございましたように、これから酒田電気事業を開始しますにつきましては、電気事業法三条と四十一条の許可が要ります。その許可につきまして、あらかじめ電調審条件がついておりますことは、私ども十分承知をいたしております。特にエネルギー需給め見通しの問題、あるいはアルミ産業の今後の将来の問題、これらにつきましては、基礎産業局等とも十分打ち合わせながら、十分慎重に勉強した上でその許可を進めていきたいというふうに思っております。いまだ未認可段階でございます。  その際に、公害との関係が特に問題であるという御指摘でございますが、私どももこれからの発電所建設につきましては、公害問題について特に留意するということが、長い地元とのつき合い上も大事なことであるというふうに考えております。  その際に、当面、硫黄酸化物の濃度の問題が問題であるという御指摘でございます。私ども電気事業法のたてまえといたしましては、国できめております排出基準あるいは環境基準に適合するということが必要最小限度の要件でございますが、別途、地元とのいろいろの公害防止協定等の話し合い、この結果も尊重して処理していくという方針をとっておりまして、これにつきまして、地元公害対策審議会でいろいろ紛議があったというお話でございますが、私ども聞いております限りでも、十数回にわたって議論がかわされたその結論であるというふうに聞いております。一応私ども地元の雰囲気も受け、また、国の基準参考にしながら処理してまいりたいと思っておりますが、なお、それについてもさらに問題があるということでございますれば、一体他の地域との関係でどういう問題が残されているか、努力の余地があるのか、また、それを達成するためには、油で対応したほうがいいのか排煙脱硫で対応したほうがいいのか、さまざまな手段につきまして、なお十分勉強してまいりたいと思っております。
  16. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 それから私が心配をいたしておりまするのは、現地公害対策審議会、ここでの意見がまとまらぬままに、見切り発車で、県は、政府に対してあの電調審に何とか間に合わせようというので、亜硫酸ガス施設に関する細目協定というものを、きわめて強引なかっこうでまとめて出してきたのである。したがって現地は紛糾しておる。あのままで通産省電気事業法による認可が出されるということになりますれば、われわれは非常に残念だと思いますけれども、三百五十万キロワットの建設ができないでおるところと同じような状況があの地区にも起こる。これは私は何としても避けたいという考え方であります。そのためには、福井火力発電の場合に完全排煙脱硫というものをやる、すぐお隣の東北電力の中の私どものほうの共同火力でそれができないはずがないというのが、実は地区民の強い強い考え方であります。  したがって私は、通産省認可をするにあたって、よそで、全然技術的にもいろいろな面で不可能だというなら別ですけれども、私は、通産省はぜひそういう方向で貫徹する努力をしてもらいたい。コストの面からいっても、地元がやはり完全なる合意の上に進んでいくのと、建設阻止運動などが起こって、なかなか電調審決定のとおり建設できないで、ぐずらぐずらやっていくのとでは、私は、将来のためにも、コストの面でも大いに違っていくと思うのです。  大前提として、開発賛成、しかし、公害は、現在の当局説明でも——当局というのは、電力当局ですが、その当局でも現在のいろいろやられておる状況の中で最も進んだやり方をしたいと言いながら、福井にこの例があるじゃないかと言うと、それはどうもどうも、こういうことで逃げちゃうわけであります。福井でやられておることが私ども地域でできないはずはない。ぜひそういう指導をやってもらいたい。  それから、これはあとでまとめて、時間がございませんので、御答弁願いますけれども基礎産業局のほうにおかれて、今度アルミというのは、御案内のように、非常に弗素公害、その他地域全体の、特に農作物等に与える公害——亜硫酸ガス公害が遠隔の地にいろいろな公害を及ぼすのと対照的に、弗素公害というものは、すぐ近所に、農作物その他にたいへんな被害を及ぼすのであります。  そういう意味で、いま電調審決定の中に、アルミ弗素公害に関する細目協定を、私ども、もっと早くひとつ現地公害対策審議会付託をして結論を出すようにしてもらいたいという希望を持っておりましたが、まだ現地では公害対策審議会にそれを付託いたしておりません。したがって私どもは、なるべく早い機会に付託をして、審議を十分に尽くすように、こういう要望を出しておるのに、まだ付託をしておらぬのであります。したがって、電調審決定をされておりますアルミのいろいろな関係、諸問題というものを見きわめた上で、電気事業法三条、四十一条の認可、こういうことになっておるわけでございますから、したがって現地公害対策審議会において、アルミ公害細目協定、これの結論が出ない間に三条、四十一条の電気事業法認可が出てしまうということになると、これもまた三百五十万というものと同じ仲間入り、私どもの意図とは無関係に、現地がそこへのめり込んでいくというおそれがある。私はこの関係もぜひひとつ——この前も飯塚局長さんと非鉄課長さんの御意向としては、当然に、アルミ細目協定が完結しなければ、それはあの条件を満たすことになりません、電調審決定のあの二つ条件一つであるアルミ関係条件を満たすことにはなりません、こういう御意向のようでしたが、あらためてこのことを確認しておきたい、こう思うのであります。
  17. 岸田文武

    岸田政府委員 御質問の第二点のほうから先にお答えいたします。  アルミに関する地元公害防止協定決定をするまでは、電気事業法による認可を差し控えるべきだという御要望につきましては、そのようにはからいたいと思います。  第一点の、これからの公害防止対策充実の面でございますが、各地域地域既汚染状況に応じまして排出基準等が定められておりまして、いわば各地域の実情をよく見きわめる必要がございますが、他地域でいろいろ先進的な対策がとられているというようなことでございますれば、それらの例も参考にしながら、結果として公害対策が万全を期せられるようないろいろなくふうをいたしてみたいと思います。
  18. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 基礎産業局のほうとは……。
  19. 岸田文武

    岸田政府委員 基礎産業局とも打ち合わせをいたしながら、アルミに関する公害防止協定の締結を待って、なおかつアルミの将来について処置をしていきたいと思っております。
  20. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 長官、いまお聞きのように、われわれの地域産業的な基盤を強化したいという願望を、私自身持っておるのであります。そうだからといって、鹿島二の舞いや四日市の二の舞いなどを、将来私ども郷里にはやってはいけない。これは、われわれの地域のみならず、日本全体の開発という方向大前提にならなければならぬ問題だと思うのです。したがって、こういうような問題が至るところで起こっておるわけでありますが、いままでの予算委員会審議等を通じてみましても、企業に対しては、政府は非常に弱いのであります。ここでは将来の日本産業というもののあり方についてあやまちなき方向をつくってもらわなければならぬと思うのです。  したがって私は、さっき油の問題は、四十九年を展望した段階では、きのうきょういろいろ伝えられておりますが、心配はありません、これも実は、ああ心配はないのかなと思えないそういう懸念を持っております。したがって、ぜひひとつ、そういう問題の見きわめを、単に企業サイド——経済企画庁日本経済全体を掌握していく、将来的な計画をしっかりしたものをつくっていく意味では、企業サイド立場でものを考えるのではなくて、やはり客観的な立場でやってもらわなければいけない、こう思うのでありますが、最後に、ひとつ長官の所信をお聞きをしたい、こう思います。
  21. 内田常雄

    内田国務大臣 阿部さんのお話を私は傾聴をいたしておりまして、お話の筋はまことにごもっとも、当然な話であると私は受け取っておるわけであります。  これが、開発も成長も反対だ、その上に公害反対だということでありますならば、これは日本国民の生活の将来、あるいはまた人口増加や雇用の見地からも、非常に暗い将来にならざるを得ませんけれども阿部さんのお話は、たいへん筋の通ったお話のわかる話だと思いますので、これは電源開発調整審議会でその対象として取り上げられましても、実際これを動かすためには、いまおっしゃるとおり電気事業法の各条による許認可が必要になりますので、その電気事業法による許認可にあたりましては、政府委員答弁をされていますような、また阿部さんが要望をされるような、そういう筋に乗せた上で認可をすることは当然であると思います。  ただ、環境基準とか、あるいは排出基準とか、いうものは、必ずしも、いろんな地域や地形の状況にかかわらず、全国一本のものではないような事態、事情もございましょうから、福井の例が、そのまま御希望のように酒田の例に当てはめて、そして最も合理的であるかどうかというようなことも、これはあなたのお説を十分取り入れながら、当局も研究をいたしまして、そして地域の住民も、その経済的な発展とそれから健康の要因と両方満足させるような形においてやってまいりたいと思います。  なお、いずれにしても、あなたは国土総合開発計画とか、あるいは経済社会基本計画というものにつきましては、たいへんお詳しい方であると、私は尊敬をしておるわけでありますけれども、これから先、日本の人口が毎年百数十万人ずつ伸びてくる、しかも、失業はなしに、生活水準、社会福祉を向上してまいるということになりますと、いまの八千数百万キロという開発電源の規模ではとうてい足りません。電源開発基本計画で取り上げております昭和五十四年ぐらいのペースでも一億数千万キロワットの設備能力が必要だということになっておりますし、また原油の輸入につきましても、当面、短期的には昭和四十八年度、四十九年度を通じてどうにか間に合う程度輸入は確保できると私ども見ておりますけれども、しかし、私どもが立てております長期計画におきましては、これは電力ばかりでなしに、石油の需要につきましても、ここで数字はことさら申し上げませんけれども、かなり大きなものが必要になりますので、省資源、省エネルギー産業の構造というものに転換しながらも、エネルギー充実というもののためには、ぜひひとつ阿部さんにも一はだ脱いで、そして進めていただきたいと、私からもお願いを申し上げます。
  22. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 私は、実は三十七分までの時間を残してやめたい、こう思っておったのでありますが、大臣がそうおっしゃられると、私も一言ないわけにいかないのであります。  従来の経済社会発展計画とか、あるいは新全総とか、あれ自体は、もうやはりここで再検討されなければならぬ段階にきたことは明らかだと思うのです。したがって、あの計画にのっとって云々というので、私はそれは承服いたしません。  総理も予算委員会等において、いわば省エネルギー的な産業、あるいは知識集約型の産業とか、いろいろなことを言っておるわけであります。私は、これ以上どんどん、ただで、かくすればいいという発想はいけない段階にきておるのである、そういう意味では、新全総なり経済社会発展計画なり、そういうものは、ここで大きく軌道修正されなければならぬ段階にきておると思います。  そういう観点も含めて、いま私が申し上げました具体的な問題に関する政府のしっかりとした指導、少なくとも三百五十万キロワット以上の、許可はしたけれども着工できないなんという状態のところにわがほうのところも仲間入りせぬでもよろしいような、そういうしっかりとした政府の指導を希望したいのであります。  以上申し上げまして、私の質問を終わります。
  23. 湊徹郎

    湊主査 これにて阿部昭吾君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  24. 上原康助

    上原分科員 私は二点ばかりお尋ねをさしていただきたいと思います。  一点は、申し上げるまでもなく、いまたいへんなインフレ、物価狂乱で、国民全体が悪性インフレ、物価高の中で苦しめられているわけですが、そういうことも踏まえながら、特に離島県である沖繩の場合の物価問題も、きわめて深刻なものがございます。毎年、この委員会でも物価問題も幾ぶんお尋ねをしてまいりましたが、なかなか鎮静するどころか、むしろ暴騰を続けているというのが現状でありまして、特に大臣も御案内のように、海洋博というのを来年に控えて、ますます沖繩の物不足、あるいは物価の深刻さが増高してきているという現状であります。それが一つ。  あと一つは、非常に重要な問題となっている地籍の調査の問題、特に最近軍用地の解放、返還というものも徐々に進んでいるわけですが、地籍あるいは筆界、境界の確認が全くできないままに軍用地が解放されているということで、あと利用もできない。政府の窓口も、企画庁といってみたり、開発庁といってみたり、防衛施設庁だといってみたり、なかなかはかどらない面がありまして、沖繩の振興開発なり、解放された土地のあと利用計画というものができないで、返された地主そのものも賃貸料は入らなくなるということで、むしろ迷惑をこうむっている、損失をこうむっているという現象が続出してきております。  そこで、きょうはこの二点についてお尋ねさしていただきたいと思います。  まず、物価の問題です。確かに、政府国民生活安定緊急措置法その他の法律を国会でおつくりになって対策をとってきたわけですが、これとて、実を奏していると私たち受けとめておりません。そういう意味も含めて、離島県である沖繩の物価対策なり現状把握といいますか、そういう点については、どういう行政指導なり、あるいは対策をとってこられたのか、お答えをいただきたいと思います。
  25. 小島英敏

    ○小島政府委員 沖繩につきましては、復帰後、やはりレートの問題等もございまして、非常に水準が高くなりまして、その後、私どももたいへん苦慮していたわけでございますが、海洋博の関係で特に物価部会というものを設置いたしまして、関係省庁相集まって対策を考えてきたわけでございます。  沖繩の物価を概略申し上げますと、最近の動きは、全国のCPLと傾向的にはほぼ同じ動きをしておりますけれども、四十八年の後半においては、やや全国平均に比べて上昇率が鈍っているように感じていたわけでございますが、ことしになりましてから、一月の数字が最近出ましたが、これが、やはりある意味では、全国ベースよりもさらに上回っているものがあるわけでございまして、特に品目別に見ますと、傾向的に、サービス料金関係、あるいは肉の関係等は、わりに本土に比べてよろしいようでございますけれども、野菜が非常に高いという一般的な傾向がございますし、さらに生鮮魚介も比較的高い。特に一月も相当上がっているようでございまして、こういう状況に対応いたしまして、先日、実は物価部会を開催いたしまして各省相談いたしました結果、やはり海洋博の準備、開催期間において、身の回り品や食料品及びサービス料金等が便乗値上げをされる危険性が非常にあるわけでございます。したがって、関係官庁において、現地機関と密接な連絡をとりながら業界を指導して、こういう便乗値上げを絶対排除するように措置をしてまいろうというのが、第一点の申し合わせでございます。  それから第二点は、海洋博に関連する本土から沖繩への物資の輸送につきまして、必要があるときには、関係官庁において優先配船、荷役の確保等について、関係方面の協力を要請する等、必要な措置をとろう。やはりロケーションと申しますか、沖繩の問題というのは、輸送の問題に非常に大きくからんでおるわけでございまして、配船、船の問題というものが非常に重要であると思っております。  それから三番目には、四十九年度における国の施策といたしましては、野菜生産団地の育成、この辺はむしろやや長期的対策も含めておるわけでございますけれども、特に、先ほど申しましたような野菜の状況に関連して、生産団地を育成すること、それから野菜流通施設を整備すること、それから一般的に中小企業の近代化を促進すること、それから商品流通システム調査等を実施して、やはり流通面の合理化、近代化、これは一朝一夕にできる問題ではございませんけれども、本土も同じ問題で悩んでいるわけでございますけれども、流通合理化のための長期的体制をどうあるべきかということを調査をする。それからもう一つは、消費者に対する物価、物資の需給に関する情報提供、これがやはり遠隔地でございますので、なかなか十分でない点がございますし、私どもも十分留意をいたしまして、消費者に対する情報提供をもっと充実してまいりたいということでございます。  それから、最後に第四点といたしまして、最近における物価の異常な高騰に対処するために、政府としては、石油需給適正化法、国民生活安定緊急措置法を制定し、さらに生活関連物資の買占め及び売惜しみに対する緊急措置に関する法律、いわゆる買占め防止法でございますが、これを改正いたしまして、総需要抑制策というマクロ的な物価対策のほかに、こういう個別物資対策を推進しているわけでございますけれども、特に、沖繩における地域的な事情を考慮しながら、これら生活関連諸法の適正な運用をはかってまいりたい。そのためには、沖繩県において、すでに、二月九日でございますか、生活安定緊急対策協議会というものも設置されておりますので、これらと十分中央省庁との間で密接な連絡をとりまして、個別物資対策を進めてまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  26. 上原康助

    上原分科員 いろいろ物価部会で対策を講じておられるということは、前々から御答弁なりその方針等も聞いてはいるのですが、先ほども申し上げましたように、なかなか実をあげ得ない。そこに物価問題のむずかしさもあると思うのです。  時間も限られておりますが、国民生活緊急安定法の適用をといいましても、たとえばLPガスを一つとりましても、標準価格が千三百円ですか、しかし、実際には千四百から千八百円で販売されている。それには離島であるがゆえに輸送コストというものがかさむ、小売り業者も、標準価格ではどうにもならないというあれがあるわけですね。当然、標準価格をきめる場合には、離島、僻地等の条件、あるいは、特に沖繩の場合、国鉄もない、そういう状況等が、行政指導の面においてどう勘案されたかというのも非常に疑問を持つわけですよ。そのほか、トイレットペーパーにしましても、ちり紙にしても、標準価格を上回っている。本島も上回っておりますし、宮古、八重山周辺離島になりますと、それだけ輸送コストがかさむということで、標準価格の維持さえもできない状態なんですね。  こういう実態をつかんでやっていただかないと、どうにもならないのじゃないのか。生鮮食料品とか、あるいは野菜団地をつくるということも、これは大事なことかもしれませんが、現に起きている物価高あるいは生活必需品の不足、そしてまた、ますます物価がつり上がる、こういうことなども、私は、どうも、全体が本土と画一的にされておって、末端まで十分配慮をする行政的な指導といいますか、政策というものが欠けているのじゃないかという気がいたします。  その点、いま例を一、二点あげましたが、その面を含めて、この物価対策については手を打つべきだと思うのです。したがって、この点については、大臣のほうから、沖繩とか、あるいは離島——本土の場合だって、鹿児島の場合も奄美、いろいろあると思うのですね。そういった地域に対しての行政指導とか、標準価格の維持というのは、どういうふうになっているのか、もう少し明確な答弁をいただきたいと思うのです。
  27. 小島英敏

    ○小島政府委員 標準価格制度につきましては、一月に入りましてから、実は法律の施行に伴って急遽施行した制度でございまして、二月の一日から都道府県に対する権限委任も行なわれて、ようやくいま監視の体制が整いつつある段階でございます。  したがいまして、初めの段階におきましては、確かに体制が不十分な面が多々あったと思いますが、ようやく都道府県においても、まあかなり熱心なところと、そうでないところと、多少のニュアンスの相違はございますけれども、一般的には非常に熱心に体制も充実され、監視体制が強化されつつあると思いますし、そういう意味では、時間がたてばたつほど、やはり標準価格の順守というものが精度が高まっていくというふうに考えます。  ただ、先生の最初におっしゃいましたように、地域別の需要というものが確かに大きな問題でございまして、LPGについては、北海道についても、これは標準価格に準ずるものとして特に高い価格になっているようでございますけれども、これについて、やはり非常に問題が現地においてあるやに聞いておりますし、沖繩はその点はないわけでございますけれども、そのかわり、実費的に、確かに、先生がおっしゃるように、コストがかかるから、これを無理に押え込むと供給が阻害されるという問題もございまして、この辺は通産省のほうで、現地と連絡をとりながら、離島の場合の適正なプラスアルファ分がどの程度であるかというようなことを、いま現状を調べながらおそらく検討されていると思います。  その辺、私どもといたしましても、確かに、初めの全国一本、北海道だけ例外を設けた標準価格の設定が完ぺきであったかどうかという点については問題があるというふうに思っておりますので、今後、またほかの物資を指定してまいります上にも、一般的な問題として十分検討してまいりたいと思います。
  28. 上原康助

    上原分科員 北海道を別ワクにして、沖繩は考えなかったというところも問題なんですよね。そこまでいろいろ議論しませんが……。  さらに、もう一つは、サービス料金の問題がございましたが、物価問題などいろいろ検討なさる場合にぜひ御理解いただきたいことは、総需要抑制あるいはインフレ抑制ということで、国鉄運賃やら消費者米価については、政府は一応押えたわけですね。しかし、沖繩の場合は、昨年来、このいわゆる公共料金というものがどんどん値上げをされてきているわけです。それも物価上昇を来たす一つの大きな要因になっているということ。  いま一つは、私は、もう何回も指摘するのですが、やはり輸送コストということに対して、政府がもっとお考えにならないといかない問題だと思うのです。  沖繩の場合、国鉄利用というのが全然ないわけでしょう。そういう点なども、ぜひ大臣は、経済政策全般、あるいは物価対策全体の政策的な面から、そういった離島県といいますか、過疎地域に対しては配慮をやっていただかないと、僻地や遠方の住民、国民はますます負担がかさんで、それだけアンバランスになっていく、不均衡になっていくということですから、それに対しても配慮をしていただきたいし、公共料金については、国の補助といいますか、そういう面でも、当面押えていくという考え方もあっていいのじゃないかと思うのですね。こういうお考えはないのかどうか。
  29. 小島英敏

    ○小島政府委員 公共料金は、確かにいま大きな問題でございまして、こういう事態でございますから、先生おっしゃいますように、国鉄についても半年延ばすとか、ほかの一般公共料金についても極力いま押え込んできておるわけでございます。  ただし、一部に、公共料金をどんどん国が補助を厚くして、もうほんとうに必要なものはただでもいいじゃないかというような極端な議論もございますけれども、たとえば小学校の教科書代とか、値段いかんにかかわらず、需要が一定しているものというのは、そういうやり方経済的にも成り立つと思いますけれども、交通問題というのは、価格がある意味で安過ぎる場合には、需要が過大になるということがございます。幾ら施設を設置しても、今度はお客さんが多くてとてもどうにもならぬということもございますから、もちろん幅はございますけれども、やはり合理的なワク内にとどまっていることが必要だと思います。  そういうこともございますし、それから財政負担が非常に過大になっていって、財政硬直化の原因になるというようなこともございまして、物価政策の観点からは、私どもも、なるべくそういう手法も加味して公共料金を安くしておくということが望ましいわけでございますけれども、この辺にもやはり限界がございます。ただ、現在の段階は、一般物価体系の中においては、交通料金というものは非常に低い水準に押えられているということは申せると思います。それから長い意味で、押え込み過ぎますと、しかも、政府の助成なしにそういうことが放置されますと、どうしてもこれは資源の適正な配分を阻害するということになって、そういう部門に私的な資金が投入されなくなりますと、一そう大きなアンバランスの問題が生ずるということがございまして、公共料金の抑制というものも、いまのような非常事態においては、相当強引に繰り延べをしているわけでございますけれども、やや長期的に見ますと、こういう政策にも限界があるということはいわざるを得ないと思います。
  30. 上原康助

    上原分科員 そういたしますと、大臣、具体的には沖繩の場合、海洋博の件も関係するわけですが、海洋博の関連の物価安定部会でただ協議を重ねていく、特に政府として物価対策をどうしていくかというお考えは全然出てこないわけですか。
  31. 内田常雄

    内田国務大臣 実はもう私、上原さんに非常に申しわけないことなんですが、沖繩に行ったことがないのです。また、そういう回り合わせでおりましたが、これはまあ国の行政機関におります以上は、また沖繩は復帰しておるわけでありますから、私もぜひ早い機会に参りたいと思っております。  そこで、お話を承っておりますと、私が一々御答弁しますと、全くあなたの御質問を切り返すだけでつまらないことになりますから黙って聞いておりましたが、離島については、いろいろな点で、物価とか公共料金とかについて、新しい発想というものを何が導入するというか、そこまでいかなくても、検討の課題にする必要があるように思います。ということは、離島振興法というような法律がありまして——それは昔はございませんでした。議員立法で皆さんが苦労してつくられたのでありまして、そういう精神からいきましても、それはいろいろな生活状況を考えますと、遠いところはそれだけコストもかかりましょうし、また不便もありますが、それについて国として考えます場合には、何らかやはり特殊の考慮ができるかできないか。公共料金というものを、一般的に、いま政府委員が申されたように国が財政負担して、そしてできるだけ安くする、できたらただにするというような考え方とは別な意味において、離島県のようなところについては、何らかお互いに検討をしていく余地があるようにも、私は黙って聞いておりましたので、私もひそかに、真剣に研究をさしていただきたいと考えます。
  32. 上原康助

    上原分科員 これは御研究なさるだけではいかないわけです、そういう御答弁あったわけですから。離島とか過疎対策というのは、輸送の問題という点と、物価を含めて、いま大臣おっしゃったように、発想の転換といいますか、新しい政策の導入ということがない限り、苦しむほうはだんだん苦しんで、ますます過疎化をしていくというアンバランスが生じてくると私は思うのですね。  そういう意味で、離島地域に関して、あるいは僻地に対するそういった物価対策の面から、あるいは交通体系の面から、政府としても御検討をいただいて、政治的に、政策的に、そして財政的な裏づけの伴う施策というものを確立をしていく、そういう方向でぜひ御検討いただきたいと思います。  次に、時間が非常に限られてあれなんですが、最初に申し上げましたように地籍の問題です。  これは、これまでもほかの委員会などでもある程度お尋ねをしてきましたが、一体、沖繩の国土調査といいますか、地籍筆界の確認、境界の確定というものが非常に雑であって、いろいろ問題が起きているということは御案内かと思うのです。特に解放される軍用地の場合に、全然現場と公簿公図等は食い違っている、あるいは面積においても異っている、そういう事例はもうざらにあるわけですね。それを実際に画定をして、正確な公簿公図をつくる所管というのは、一体、経企庁なのかあるいは防衛施設庁なのか、開発庁なのか。国土調査法というのは経企庁の担当と私は聞いておりますので、経企庁としては、これは今日までどういうふうに進めてこられたのか。いま申し上げたようなことに対しては、今後どう対処していかれようとしているのか。きわめて重要な問題になってきておりますので、お答えいただきたいと思うのです。
  33. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 国土調査法によります沖繩県の地籍調査につきましては、前から先生にお答えしていますように、十カ年計画に基づいて調査をしております。しかし、その私どもでやっております地籍調査は、本日先生から御質問のあった境界の画定の困難な地域を対象外にしておりまして、困難な地域については、沖繩開発庁もしくは防衛施設庁のほうで仕事を担当していただきまして、画定がいたしますと、私どもの地籍調査がその上で行なわれるということでありますので、先生のおっしゃる点については、国土調査法においてはできないという見解でおります。
  34. 上原康助

    上原分科員 できない原因は何ですか。
  35. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 国土調査法の命じておりますものは、境界が明らかであるものの調査を命じておりまして、画定そのものを、民事にまで立ち入って画定するところまでは、権限が与えられていないという解釈をしております。
  36. 上原康助

    上原分科員 そういうたてまえで経企庁としては国土調査をやるということになりますと、当然、軍事基地施設、区域という一般にいわれているところに対しての立ち入りなり調査なり画定というのはできないということなんですね。問題はそこなんですよ。  たとえば、これはいろいろありまして、議論が長くなりますから、大臣にもぜひ私は御理解いただきたいと思って、ここに地図を持ってきてみたのです。いろいろ口で申し上げるよりも、地図を見たほうがおわかりと思うのです。  これは、昨年返還された具志川市における軍用地の解放なんですね。この黄色い部分が公図上は解放されている地域なんです。しかし、実際に現場に行ってみると、まだ軍用地になっているのです。こういうふうに入り乱れているのですね。ですから、所有者は、図面上はおれの土地はここなんだということがわかっても、現場に行くと、軍用地になってみたり、あるいは、現に軍用地であるのだが、解放地のほうに入っておったり、もうてんで手のつけようがないというような錯綜ぶりなんですね。これをこのまま返還しているというのが、いまの外務省や防衛施設庁のやっている土地返還なんです。ですから、どうしてもあと地利用ができない。地主のいわゆる所有している土地の確認さえもむずかしい状態なんです、現場と実際の公図の上では。  だから、この責任は一体どの省がやるのかということになりますと、いま局長がお答えになったように、いや、実際はそういうところにはわれわれはタッチする権限がないのだといいますと、どこがやるのですか。開発庁ですか、それとも防衛施設庁ですか。
  37. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいま御指摘の点は、米軍に提供しております施設が返還になったという問題に関連しての御質問でございますので、防衛施設庁の立場でお答え申し上げたいと思います。  確かに、沖繩の地籍問題というのは重要な問題でございまして、特に沖繩本島において二二%をこえる膨大な米軍提供施設、区域が存在しているということが、たいへん大きな問題になっているわけであります。これらの施設のうち、逐次返還になります土地につきましては、米軍が終戦後基地を設定いたしましたときに、たいへんな形質変更をやっているものが多うございます。したがって、御指摘のように形質が変化したために、また公簿等の不備のために、所有者の境界、筆界が非常に不明確だということで、これを明確にすることはたいへん困難な作業だ。しかし一方、せっかく返還になりました土地を、それぞれの土地所有者が一日も早く有効に利用されるということは大事なことでございます。  われわれとしましても、それぞれの関係の所有者、あるいは関係市町村、関係機関、当庁一体となってこの問題にぶつかるということで、昨年来も、返還になったただいまの具志川の問題、あるいはトリイステーションだとか、泡瀬倉庫地区等についても作業を進めております。それから地籍の画定、あるいはそれを登記簿にはっきり登記するという問題になりますと、これはあくまで関係所有者の間のお仕事になってくると思います。しかし、返還になりました土地につきましては、それぞれの所有者に対して原状回復の補償をするという仕事の任務は、防衛施設庁に与えられております。  したがって、防衛施設庁としまして、そういう原状回復補償を行なうためには、どうしても返還になりました土地の調査を行ない、境界を画定して、そこで初めて原状回復補償というものの積み上げ計算ができてくるわけでございます。そういった仕事を、所有者の皆さん方なり、あるいは昔の事情を知っておられる古老たちも中に入っていただいて、一体となって作業を進めていく過程において、結果的には地籍の画定というものにつながっていく、そういうふうに考えてわれわれも努力している次第でございます。
  38. 上原康助

    上原分科員 約束の時間が来ましたので、最後に大臣に。  私は、この問題はこれだけの議論では、具体例がありますので、とてもおさまりません。しかし、やはり経企庁も国土調査をやらなければいかない責任官庁ですから、やっかいなものはみんな——きょうも爆弾事故の問題でも言ってきたのですが、やっかい者扱いして、おれのところではないというふうに逃げるのですね。そういうことではいかないと思うのです。ですから、経企庁、それから開発庁、防衛施設庁が協議の上で、軍用地を含めて、この地籍の確認をやるという方針は出していただきたいと思うのです。予算の問題も含めて早急に手がける、そういうお考えでやっていただけますか。
  39. 内田常雄

    内田国務大臣 沖繩は、全島に米軍の基地が非常に多かった特殊の地域でありますから、上原さんが指摘されるような問題は、私どもが想像する以上のものはあろうと思います。むずかしいからということで、お互いにしり込みしていたのでは、お説のとおりでございますから、私どものほうも、この問題は積極的に取り上げて、関係省庁と相談をして進めてまいるようにいたしたいと考えます。
  40. 上原康助

    上原分科員 時間ですので、終わります。
  41. 湊徹郎

    湊主査 これにて上原康助君の質疑は終了いたしました。  次に、倉成正君。
  42. 倉成正

    倉成分科員 私は、きょうは情報化社会に備えて、政府がどういうことをなすべきかということについて、お尋ねをいたしたいと思います。  情報化社会ということは、よくいわれることばでありますけれども、この定義は、必ずしも明らかではございません。しかし、現代におけるコンピューターの出現というものは、ちょうど二百年前の動力機械あるいは蒸気機関の出現が社会に大きな変革をもたらした、そのような深刻な変化、あるいはそれ以上のものがあると思います。もしコンピューターがなかったならば、人類の月への着陸も実現しなかったでありましょうし、ある意味において、原子力を例にとりますと、原子力は人間の肉体的な能力の拡大をはかったものでありますが、コンピューターは、人間の知的能力を拡大するものであるということが言えると思います。したがって、無限の可能性を持っておる。同時に、それに伴う危険性を持っていることを指摘しなければなりません。いわゆる光と影の問題。すなわちこのコンピューターの出現と通信技術と結びついた社会、このものから未来への社会が大きく生まれてくると思うのでありますけれども、この情報化社会にいかに混乱なく移行できるか、そのために政府は何をなすべきかということを、ひとつ端的にお伺いをしたいと思います。  率直に言って、こういう問題についての主管官庁が、一体政府の中でどこであるかということも必ずしも明らかではございません。したがって、経済企画庁にすべての問題をお尋ねすることは非常にむずかしいと思いますけれども、少なくとも、経済企画庁でどういうふうな問題の把握をしておられるかという意味において、お尋ねをしてみたいと思います。  そこで、まず第一に、情報化社会とは、どういう社会であるかということについて、ひとりお伺いをしてみたいと思います。幸い下河辺局長が来ておられまして、あなたが編さんされました「情報化社会との対話」という非常に興味の深い本も持ってきておりますので、あまり国会答弁ということでかたくなられないで、ひとつ自由奔放にお話をいただきたいと思います。締めくくりは私がいたしますから、どうぞ率直な御意見を伺いたいと思います。
  43. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 情報化社会というものについて、開発局が担当しているわけではないものですから、お答えがむずかしゅうございますけれども、新全総をつくりますころ、新しい時代を迎えるために、発想の転換が必要であるということが、審議会を通じて論ぜられました際に、やはりそれを一言で俗に言えば、情報化社会という名前の社会ではないかというお話があったことがございます。そのときには、やはりいままで物をめぐってものを考えてきた時代から、やはり知識なり情報なりというものを中心に考える時代に移行する時代が来たし、それに耐えるだけのハードウエアとしてのコンピューターの発達もあるという御指摘がありまして、そういうものを日本経済なり、あるいは日本の国土が受けて立つ際に、どういう用意が必要であるかということが議論になった次第でございます。つまり、私どもとしては、情報化社会という名前でいわれる社会というものは、今日の新しい時代を迎えるべき、まだ暗中模索すべき社会への総称ではないだろうかというふうに考えております。
  44. 倉成正

    倉成分科員 いまお話を端的に申しますと、物を中心とする社会から無形のものの価値、いわゆる情報の価値がだんだん大きくなっていく社会である、そういうふうに理解したわけでございますけれども、私も、情報化社会というのは、いわば農業社会から工業化社会、その次に来たるべき社会でありまして、物質、エネルギー、情報という三つの要素を考えてまいりますと、いま石油危機が叫ばれておりますけれどもエネルギーの問題が非常に重要な認識に立っておるわけでありますけれども、これから先、情報の価値が物の価値を上回るような社会、そうして情報が量と質の両面で、物質や、あるいはエネルギーよりも上回って、そうして主導的な役割りを果たすような社会ではなかろうかというふうに思うわけでございます。  そういたしますと、こういうふうに、かりに理解をしますと、それでは、この情報化社会を示すべき指標というか、経済企画庁のようなお役所で情報化社会をそういうふうにかりに理解した場合に、どういう指標が情報化社会の指標になり得るか。  具体的に申しますと、たとえばコンピューターの設置台数であるとか、通信回線の発達であるとか、いろいろありましょうが、どういうふうにそれを御理解になっておるか。もしそういう御意見があれば、お聞かせをいただきたいと思います。
  45. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 まだ非常に野心的な段階で、確定的なことを申し上げるわけにはまいりませんけれども、いまおっしゃられましたように、有線、無線を通じての通信の量ということではかるということは物理的に可能であるということで、多少の測定をしたこともございますが、さらには、この情報の発生量として、それをある一つのビットへ換算をして集計をして、今日、日本においてどのくらいの情報量が発生しているかという推計を試みたこともございます。  それからさらには、この情報というものは、発生するだけではなくて、受信する側がございますから、その受信量がどのくらいかという推計を野心的にしたこともございます。さらには、郵政省等にいろいろな調査研究をお願いしているという段階で、今日まだ明確に情報量を指数化するということについて成功しているとは申し上げられないと思います。
  46. 倉成正

    倉成分科員 情報化の指標は、まあいろいろ考え方はあるけれども、必ずしもまだ定説化したものはない、そういうふうに受け取ったわけでありますけれども、それならば、こういう情報化社会を振り返ってみますと、御案内のとおり、アメリカの場合には、このコンピューターの利用というのが、国防とか宇宙開発という巨大プロジェクトから出発いたしまして、それが民需へ応用されてきた、こういう経過がございます。日本の場合には、そういう国防とか、そういう宇宙開発という大型プロジェクトがなかったものでありますから、いきなり企業、たとえば銀行であるとか、そういうものに利用されてまいりましたし、官庁でありますと、御案内のとおり、昭和三十三年に初めて気象庁にコンピューターが導入された。それから地方公共団体では、昭和三十五年十二月に大阪市、それから昭和三十八年の二月に神奈川県に入った。こういう経過があるわけでありますけれども、どちらかというと、民間企業が中心でこういう情報化が非常に進んできた。もちろん官庁のほうも最近急速に進みつつあるけれども、まだまだ非常におくれておる。  端的な例を申し上げますと、大蔵省出身の官房長がおられますが、たとえば銀行検査、大蔵省が銀行検査をやります場合に、銀行はほとんど全部データをコンピューターの中に入れてオンライン化しておる。しかし大蔵省の銀行検査というのは、現在の法制上の問題その他がありますけれども、若干の進歩はあったとしましても、昔ながらの銀行検査のやり方があまり進歩していない。そういうことになりますと、企業と行政というのが非常にアンバランスになってくる、そういういろいろな問題があろうかと思うのでございます。  そこで、行政の情報化という点について、企画庁の予算を拝見いたしますと、たとえば、国民のすぐれた頭脳を結集して総合的な研究開発を推進するための総合研究開発機構の機能強化のための経費が二十億三千万円と、いわゆるシンクタンクの予算だと思うのでありますけれども、この前に、やはり行政としてなすべきことがたくさんあるんじやなかろうか。今日の社会的なニーズであります医療、交通あるいは公害、物価、特に企画庁を中心とする物価、そういう問題は、一省庁でよくするところではなくして、やはり各省庁、いわゆる縦割り行政の行政ではなかなか解決できない、どうしても横のつながり、全体の総合力を発揮する、いわゆるインターディシプリナリーの発想でなければ解決できないと思うわけでありまして、たとえば石油の問題一つをとりましても、閣僚懇談会等がありまして、あるいは閣議等でいろいろ関係各省庁の所管大臣が御協議になるわけでありますけれども、その前に、事務次官のレベル、あるいは各省の局長関係の話し合いがあるわけでありますけれども、各省のなわ張りがありまして、つまらないことで意見が衝突してなかなかまとまらない、しかも非常な時間がかかる、そういう弊害があるわけでありますけれども、行政の情報化という問題についてどういうことをお考えになっておるか。これは内田大臣、ひとつ感想でけっこうですから、御意見をお聞かせいただければ幸いと思うのであります。  まあ端的にいえば、民間はかなり進んでおる、しかし役所のほうは、明治時代からは若干進んでいるかもしれないけれども、あまり進んでいないという認識を私は持っておるわけですけれども、その点をお伺いしてみたいと思います。
  47. 内田常雄

    内田国務大臣 私は倉成さんと違いまして、情報化社会についての勉強を十分いたしておりません。  そもそも、一体情報化社会なるものは、人間社会の到達すべき目標なのか、あるいは人間が幸福に生存するための手段としての組織なりや、その辺からして私にはよくわかりませんけれども、しかし今日、日本ばかりでなしに、地球上の限られたる国土の上に、人口は、日本だけ申しても、また世界的にもふえる一方でありますし、また人間生活が豊富になればなるほど、人間の意識が高度化し、多様化をしてまいります。その意識に対してフィットしたような行政を達成したり、あるいはまた、教育であれ、医療であれ、社会福祉であれ、その他の状況を実現するためには、多くの人々が、人類が数千年かかって積み上げたような経験をまた初めからやり直すということは、ただ混乱を増すだけであって、人間生活の幸福を進めることから遠ざかる一方であるということを考えますときに、私は、いま申しましたような点におきましても、その情報化組織といいますか、あるいは情報化のハードウエアも、またこれらを活用するソフトウエアというようなものも、政府努力によって充実をさせていかなければならないし、それが単に一企業の便益のためとか、行政の便益のためということでなしに、地球上の人類の幸福のためということでなければ、幸福の実現というものが達成されなくなるだろうと、ぼんやり私は考えております。  そういう際に、倉成さんもお聞きになったかもしれませんし、私自身もいま述べましたような、たとえば医療の問題一つとりましても、これは僻地医療あるいは離島の医療というようなことが充実されていない場合に、情報化システムというものが、これらの分野においても充実をすることができるならば、人間の幸福や健康はそれだけ増進をするわけでありまして、そういう際に、その音頭とりを一体どこがやるべきか、医師会にまかしておけばいいのか、あるいは地方公共団体か、あるいは国民皆保険の時代でありますから、保険者であるのか、そうではなしに、それは医療行政なり、あるいは総合行政を担当する厚生省なり経済企画庁なりというものが指導性を持って、これらの医療の分野における情報化網の充実というようなこともやるべきではないかというようなことを、実はこれまでも考えてきたことはございます。  いわんや、御指摘になりましたような物価の問題でありますとか、あるいは物価ばかりでなしに、物資の需給地域的な不均衝というようなものを、あたかも銀行勘定をコンピューターのオンラインに乗せるがごとく、経済企画庁なりあるいは物資の輸送官庁、生産官庁というようなものがハードウェアとソフトウェアを最も適切に発展させ、駆使させることができたならば、混乱が避けられるのではないかということを、私はこれもまたぼんやりと感ずるのでありまして、したがって、おことばにありましたように、この情報化社会への進歩というものの音頭とりを民間の企業等にたよって、政府はあとからついていくということであるべきではないように思います。  しかし、現実には経済企画庁などがこの方面の研究や、あるいは前進のために割り当てられている予算というものもとうてい問題にならないような程度のものでありますので、これは、私よりもこの方面のことについては非常な深い造詣と、うんちくを持っておられる倉成さんに、これは与党としても、あるいはまた国会に席を持たれる政治家としても、いろいろお教えをいただいたり、御協力をいただいて前進をさせなければいけないように考えるものでございます。
  48. 倉成正

    倉成分科員 はしなくも、情報化社会における人間の問題ということをちょっと大臣、お触れになったわけですけれども、私は端的に言って、今日、これだけ物価問題が大きな問題になっている、また石油の輸入の問題、価格の問題で社会が大騒ぎをしている。また公害の問題がちょっと下火にはなっておりますけれども、PCBその他で大きな騒ぎが起こった。また交通の問題も、東京都一つをとりましても大きな問題である。また医療の問題についても、大臣がお触れになったような僻地医療の問題、無医村の問題、あるいは東京のどまん中でありましても、一流の病院に行くと数時間待たされて、わずかの、何分間の診療を受けるにすぎないということを経験しておることを考えて参りますと、医療、交通、公害、物価、こういう社会的なニーズの高い諸問題について、近代的な武器を利用して、もっと思い切った対策をいろいろ考える方法はないものか、その点についての長期の計画なり中期の計画なり、あるいはそういうプロジェクトに対する取り組み方、全然なしとはいたしませんけれども、非常に私は手ぬるいという感じがいたします。  それからまた、行政の情報化の問題脱省庁というか、各省庁に非常に関係の深い問題を協議するために閣議があるわけでありますけれども、これも私をして言わしめれば、かりにテレビ電話等をもう少し活用しますと、必ずしも閣議にすべての閣僚諸公が全部一堂に会しなくても、あるいは九州に、北海道に、あるいは地方に行っておりましても、テレビ電話を各地方に設けまして、そのボックスに入れば閣議にも参画できる。極端に言えば、総理官邸に集まらなくても、テレビ電話を通じて閣議を開くことができる。そういう非常に何というか、やろうと思えばできること、そういうことが全然されていないで、情報の洪水、そうしていろいろな昔ながらの議会運営、たとえば私は、総理大臣が、あるいは各省の大臣が一言一句も違わないことを衆議院と参議院でこのスピード時代のこの忙しい時代に読むというようなことは、どうも時代にマッチしていない。そういうことをやはり思い切って行政の情報化、企画庁のいろいろな資料、企画庁が石油の問題でいろいろ知りたいと思っても、通産省協力しなければ、石油のいろいろなデータはなかなか入ってきません。  そういうことでなかなかうまくいかない。そういう各省庁間の連絡なり、あるいはいろいろな総合的な行政ということをもう少し積極的に勇気を持って進めていく必要があると思うのでありますけれども、このような議論が閣議で論議されたことがありますか、伺いたいと思います。
  49. 内田常雄

    内田国務大臣 私は閣僚の経験に乏しい者でありますが、私が一両回の閣僚在職中はございませんでした。  ただし、これはここにいらっしゃる諸先生が皆さん関心をお持ちになり、また、今度はこれについて新しい構想を盛り込むべしとされておりまする昨年春の経済社会基本計画というようなもの、これの考え方の進め方というものは、私は今日でも正しいものだと思いますが、しかし、いろいろ物価とか、国際収支とか、あるいはエネルギーとか、いろいろの客観的な与件が、今日、わずかの間ではございますけれども、違ってまいりましたので、この経済社会基本計画についていまフォローアップの作業をいたしております。その過程におきまして、いま倉成さんが提言されたような情報化システムの取り上げ方などについて、当然私は、閣議の論議もさることながら、経済企画庁の仕事の一つの大きな分野としてこの問題に取り組ませたいということを、お話を聞きながらも感じたわけでありまして、そのことは経済企画庁の諸君も私と同じような考えを持っておると思います。
  50. 倉成正

    倉成分科員 情報化社会を展望してみますと、やはりわれわれがやらなければならぬことがたくさんあると思います。  各省庁間の問題一つをとって考えましても、標準化の問題があります。各省庁でやっておることで、もう少しほんとうに話し合って、いろいろな問題標準化について話を進めていくなら、もっと能率的に資料の交換が行われたり、あるいは情報の交換ができるということも考えられましょうし、これは一行政機構の中だけでなくして、民間との関係、あるいは国際的な視野にまで広がるべきことであろうかと思われる標準化の問題がありましょうし、一九七〇年代の最大の課題は、やはり知的労働力が非常に絶対量が不足するということであります。  そういうことになりますと、教育の問題についてどうこれから考えていくか、どちらかというと、情報処理教育は企業にまかされたきらいがありますが、これはやはり教育のすそ野を広げて、広い視野で教育の場で取り上げていかなければならないと思いますし、特に、これから先の情報化社会を考えてまいりますと、ちょうど二月二十三日のワシントンの外電の伝えるところによりますと、ニクソン大統領が「フォード副大統領を委員長とし、関係閣僚で構成する「プライバシー委員会」をホワイトハウスに設置し、四カ月以内に対策を打ち出すよう指示した」、そしてこの中でニクソンは、「「高度の生活水準を持つ社会は、コンピューターが不可欠の要素である」ことを認めながらも」やはり非常にプライバシー侵害の問題がいろいろ出てきておるから、やはりこの問題について慎重に考えていかなければならない。「逮捕歴が無実とわかったあとも使われている」というような例をあげまして、「「多くの場合、市民はこれらの記録がある事実すら、知らないままである「個人が何を所有し、慈善のために何を寄付したかなどは、個人的な問題であり、承諾なしに流布されるべきでない」」というようなことを言っております。また、同じ日に、二月二十三日に国連で「人権と科学技術の発展」という国連報告書が出されておりまして、「人はみな自分に関するどんな情報がコンピューター・バンクにたくわえられているかを知る権利がある、記憶ミスの際には当人に何らかの補償を行うべきだ、」というようなプライバシーや個人の権利の問題について、くしくも、国連やアメリカ政府がこういう取り上げ方をしておるわけでございます。  これはひとりアメリカやその他の国々の問題ではなくして、世界各国の例を調べてみますと、イギリスにおいてもデータ管理法案、あるいは個人記録法案、アメリカにおいてもまだいろいろな法案、西ドイツ、スウェーデンというふうに、いろいろなそういうプライバシーの問題等真剣に取り上げられておるわけでありますけれどもわが国の場合には、こういう問題への準備が非常におくれておるような気がしてしようがありません。  したがって、私は時間がございませんので申し上げておきますけれども、やはりこのために必要なことは、どうしても閣僚に情報担当の大臣、このような情報化社会の問題を取り上げる担当の責任大臣をつくりまして、そしてやはり将来の標準化の問題をはじめ、各種の国の役割りであるとか、あるいは法制上の整備であるとか、あるいは非常に弱い立場の中小企業や、その他の人たちの配慮であるとか、教育の問題あるいは技術開発、通信回線あるいは秘密の保護、情報産業の育成、そういういろいろな基本的な方針を盛った情報化基本法というのをすみやかに制定すべきじゃないか。そのためには、やはり政府でしかるべき委員会でもつくりまして、諸外国のいろいろな例も、すでに企画庁でもかなり勉強しておられると思うのですけれども、やはりそういう勉強を早急にやっておかないと、今日の状況のままに進むと非常な混乱が起こってくるのではなかろうか。非常に目先のことだけにとらわれまして、基本的な重要な問題、先ほど、はしなくも大臣が言われた人間が主人公であって——私もコンピュータなどというのは、あくまで道具にすぎない、やはり人間の幸福のためにこそこういう道具が使われるべきであるということを信じて疑いませんけれども、しかし、黙ってほうっておくと逆になってしまうという非常な危険性があるわけであります。やはり未来を洞察して、そういうことを着々と準備を進めていくということが、これからの非常な大切なことではなかろうか。あまり目先のことだけで——これは政治と行政の区別は、行政は現実の問題を処理するわけですけれども、政治はやはりもう少し長期的な視野に立って、ものごとを処理していくという役割りを持つと思うのですけれども、その点が非常に欠けておるような気がいたします。  したがって、総合企画官庁としての経済企画庁、幸いここにシンクタンクの予算も出されていることでございますから、ひとつ元気を出して、これらの問題について、これはどこの省のなわ張りである、どこの何だということになりますとなかなかうるさいと思いますけれども、どこかで壁を破らないとこれはうまくいかないわけでありますから、ひとつ積極的にこれらの問題に取り組んでいただくことを要望いたしまして、時間が参りましたから、終わりたいと思います。
  51. 湊徹郎

    湊主査 これにて倉成正君の質疑は終了いたしました。  次に、大出俊君。
  52. 大出俊

    大出分科員 たくさんあるのですが、時間がありませんので、考えましたら一つにしぼりますので、ひとつ御返答いただきたいのであります。  実は、諸物価高騰のおり、まだ国会でもあまりこまかい質問が出ておりませんが、食品関係あるいは菓子工業会等の関係の製品がたいへんな実は値上がりをいたしておりまして、これは話にならぬ値上がりであります。わずか一カ月で、菓子などは倍になってしまっている商品もたくさんございます。したがって、お菓子屋などというのは、せっかく売り上げたということで、金を持って仕入れに行きますと、二割ばかりが利益でございますから、それで生活する、その利益を全部吐き出してみても、最初のいまあった製品だけ仕入れができない。一体、何で食っていけばいいかということにこれはなる。たいへんなことにいまなっております。だが、石油その他と違いまして、これがあまり大きく表にいま出ておりません。  私も実は七、八年になりますが、ボランタリーチェーンを小売り店舗その他につくれという指導がいろいろ政府からありました時期に、全国で初めてのケースであり、いまだに一つでございますが、横浜にボランタリーチェーンをつくってあげまして、ちょうどまる七年、二割五分くらい仕入れ価格が下がっておりますから成功している部類でありますが、それだけに心配であります。その中心は、一つは砂糖でございます。一つは粉でございますけれども、もちろんブドウ糖あるいはその他の関係もございますが、そこで、砂糖に関しまして、きょうは少し承っておきたい。というのは、農林省がどうやら砂糖の上限価格をはずしそうな雲行きに見えます。これをはずされることになりますと、これはえらいことになります。そういう心配をするのであります。  そこで、ここに新聞が二つありますが、一つは、おたくの新田次官が、砂糖を標準価格に入れたい。これは一月の二十五日の新聞でありますが、二十四日のこれは記者会見。国民生活安定法による標準価格指定にしておきたい。砂糖、しょうゆ、セメントなどというものを追加したい、こういう発表をしたことがあります。ところが、これはやるのかなと思っていたら、ぼっと消えてしまって、おやりにならない。なぜ一体これを標準価格に入れようとお考えになったのかということと、なぜまたこれをおやめになったのかということと、両方聞きたい。いかがでしょう。
  53. 小島英敏

    ○小島政府委員 実は、昨年末たいへん与野党の先生方に御協力を得まして、ああいう安定法ができたわけでございます。あの法律自身は、実は石油の供給量が一月、二月と、ますます削減される可能性があるという事態に対処して、最後の、最悪の場合には、物資についての割り当て、配給権限について授権していただこうという点が実は一番大きな目玉だったと思います。幸いそういう事態は一応回避されたわけでございますけれども、同時にやはりあの法律の一つの柱は標準価格制度でございまして、これは、公定価格でなく、ソフトな段階でどんどん物が仮需要によって暴騰するようなときに一つの歯どめとして価格を設定して守らせようという制度でございます。こういう制度ができた以上、その後昨年から年初にかけまして幾つかの物についてかなり急騰がございましたから、せっかくの制度でございますから、通産物資につきましても農林物資につきましてもなるべくこの際指定をしたいということで、実は政府の中でいろいろ相談をしたわけでございます。そういう段階で新田次官からお話しのような発言があったわけでございますけれども、その後いろいろ事務的にやっております間に農林省の増産の行政指導等もきいてまいり、さらに一般的に石油の需給について最悪の事態が避けられるというムードも客観情勢としてふえてまいりまして、いろんな効果もあったと思いますけれども、砂糖の末端価格が一時非常に暴騰いたしましたのがむしろ下がってきておるわけでございます。  それから物不足状況ということで、企画庁でも都道府県から国民生活局のほうで情報を集めておりますけれども、一月の半ばぐらいに調べたときには、二十数県が砂糖について不足しているということを答えておりましたのが、ずんずん下がってまいりまして、二月十五日現在ではすでに砂糖については不足を伝える県がなくなってきております。  そういうこともあり、結局物不足の状況もピークを過ぎ、それから価格についてもむしろ一時の暴騰状況から反落しつつあるという状況でございますので、現在の段階では、砂糖を直ちに標準価格にするということを考えていないわけでございまして、かえってこれが下ざさえになっては困るという感じで事態を監視しておりますけれども、今後の問題といたしましては、またいわゆる世界的な砂糖市況の暴騰というようなこともあり、合理的な限りにおいてコストが上がるものに応じて価格がある程度上がるということはやむを得ませんけれども、もしそれを越えてさらに便乗的なものが加味されるというようなことになりました場合には、また砂糖について標準価格を考えるということは私どもとして当然検討いたしたいと思います。この辺は農林省と今後とも相談いたすつもりでございます。
  54. 大出俊

    大出分科員 私が聞きたいのは、標準価格云々する前に、砂糖に関してはもう一つ問題があるのですね。農林省でないからあまりこまかいことまでは申しませんが、昭和四十年の六月二日法律百九号というのがございまして、砂糖の価格安定等に関する法律、ここで第十二条に、「国は、海外における砂糖の価格が著しく騰貴し、」つまり海外の価格が上がった場合ですね。いまおっしゃる、これからロンドン相場なりニューヨーク相場なりが上がったという場合であります。「又は騰貴するおそれがある場合において、」いま上がっておりますし、また将来おそれもあるわけであります。「第六条から第十条までに規定する」輸入に関する指定価格を「安定させることが困難と認められるときは、」輸入価格が安定しない、こう認められるときは「砂糖についての関税率の引下げその他」というように「その他」が入っているんですが、「必要な措置を講ずるものとする。」こうなっているのですね。戻し税制度なんというのはかくて要求として出てきているわけですね、二月から幾らかおやりになっているのかしれませんが、だから、この法律がまず標準価格の前に、先にあるのですね。  そこで問題は、時間がありませんから少し申し上げておきますが、つまり上限価格がきめられている。かくて当然出てくるのは、この上限価格は幾ら幾らということなんだから、それに従って糖価形成というものは割り掛けをすれば出てしまう。つまりこれは政府決定糖価、こういうことになる。だから原糖価格がトン当たり五万一千円であった場合には、百三十三円七十六銭というのがこの法律に基づく農林省査定による標準精糖加工販売価格なんです、正式に申し上げれば。原糖がトン当たり五万二千円になれば百三十四円八十一銭になる。もちろんこれは精糖工場出し値キロ当たり上白糖でございます。五万三千円になると、百三十五円八十五銭、五万四千円になると百三十六円八十銭、さてこの百三十六円八十銭が実は上限価格なんです。つまり輸入原糖の上限価格が五万四千円に押えられているからであります。だから上限価格一ぱいで計算をして百三十六円八十銭になる。いま下がってきているとおっしゃいますが、あなた、ほんとうに末端の小売り店で、つまり指定店が十店舗に一店ある勘定になっておりますが、幾らで売っているか御存じでございますか。そしていま私が申し上げた上限価格というものがあるのだが、経済企画庁の側から見て、この上限価格をはずすこと、このことについての御意見をいただきたい。
  55. 小島英敏

    ○小島政府委員 農林省はキログラム当たり百八十六円という、十一月の水準と思いますけれども、指導しておるわけでございますが、これは店舗の数が全体の一割ぐらいのシェアしかございませんものですから、なかなか全体に対してまだ十分な効果を発揮しておらないわけでございまして、統計によりますと、四十九年一月が二百二十九円というのがピークでございまして、それから二月においては先ほど来申しましたようなこと及び農林省の指導の間接的な効果もございまして二百七円というふうに承知しております。  それから上限価格の問題につきましては、現在農林省と事務的にいろいろ検討中でございます。
  56. 大出俊

    大出分科員 上限価格で話し合っておられるといういまお話でございました。私は、上限価格をはずすことはいかなることがあってもやるべきではない。いかなることがあっても上限価格をはずしてはならない。そうでないと、食料品からあらゆる食生活に直接結びつく、みんなこれ砂糖が大きくからんでおりますから、実はたいへん大きな引き金になってしまう。  場所を変えて、私、粉の問題では、農林省の方、食糧庁の方にもおつき合いをいただいて、サイロから始まりまして末端の製めん屋さんからインスタントラーメンの工場からパン屋さんから全部歩いておりますから、こまかく原価計算まで、たとえば戸塚の第一屋製パンなんというところから出していただいておりますからわかっておりますが、農林省の一緒においでになった方々もその場でお認めになっておりますように、まさに粉の値上げは引き金でございました。同じ意味で、この上限価格をはずしたなどということ、あるいははずすのだなどということになったら、これはえらいことになる、こういうふうに実は考えているわけでございまして、そこで、いま相談中ということでございますが、どっちのほうに相談でございますか。農林省ははずしたいという気持ちがあって、そちらのほうへの相談でございますか。
  57. 永井和夫

    ○永井説明員 御説明申し上げます。  ただいま先生の御指摘は糖価安定法に基づきます安定上限価格についてのお話かと思いますが、私ども、現在ロンドン相場が非常に乱高下、非常に高騰しておりますので、それを計算上持ってまいりますと原糖コストが非常にかかるということで、そういうようなことが巷間取りざたされてございますが、ただ、現実の問題といたしましては、糖価安定法に基づきます事業団売買を通じまして五万四千円に押える努力を続けてまいりまして、二月十五日までそういう売買によって押えてまいりました。その後安定資金が底をつきましたので、十六日から先生御指摘のような関税の制度でもって五万四千円の水準を維持することでやってまいりましたが、現在の段階で、法に基づく試算をしますと、その水準をなかなか、原糖コスト的にはオーバーするような様子も出てまいっておりますが、ただ、現実のロンドン相場というのが非常に大きな変動を来たしておりまして、必ずしもその水準を見きわめるのが現在の段階結論を出しがたいということで、私どもといたしましては必ずしも上限価格を現在上げようとかどうするということではなく、なおこの糖価水準を見守る必要があるということで見守りつつ、その後の対処のしかたを検討してまいりたいという態度でおるわけでございます。
  58. 大出俊

    大出分科員 これは実は本年五月までを見通して、これは台湾製糖ですが、専務の佐藤氏から私もらったのですが、台湾製糖の一種の国際糖価の見通しなんです。これを見ますと、これができたときはトン当たり百八十ポンドぐらいなんですね。ここに表がありますが、ニューヨーク相場でなくてロンドン相場で、ちょうどことしの一月の末、二月に入るところの百八十ポンド、これは確かに高いですね。これが二百ポンドをこえて取引停止になっていましたね。そこらを見通して、ここに九万八千円だとか十万をこすだとか、ずっと国際相場の値動きの見通しを持っている。上限五万四千円に押えている。ところが、御存じのとおり関税がトン当たり四万一千五百円ですから、四万一千五百円を全部出しちゃっても、これで見ますというと二月の上期で三千二百八十円マイナスだ。二月の下期で九千二百九十円マイナス。これが三月になると一万二千百九十円マイナスになるだろうというところから始まりまして、一万九千六百三十円ぐらいマイナスになるだろうというところまで実ははじいているわけですね。時間がないから多くは申しませんが、ことしの場合には国際的な事情がありますから、あるいはこういう相場が出てくる可能性もなきにしもあらずという気がする。実は私が申し上げたいのは、もうここまでくると五万四千円という上限が限度である。だから、かりに台湾製糖の佐藤専務がはじくような戻し税、つまり弾力関税の形にして四万一千五百円を全部返しちゃっても、関税を全部ぶち込んじゃっても、なおかつ一万九千六百三十円もかりに赤字になることになっても、砂糖価格を上げるべきではない、いまの五万四千円の上限価格をはずすべきではないという考え方を実は私持っております。  そこで承りたいのですが、実はこの五万四千円ではじけば、形成糖価つまり工場出し値は、一キロ当たり上白で百三十六円八十銭、こうなる。先ほどのお話は、担当の方でないから見当違いな感じですけれども、とやかく申しませんが、しからば台湾製糖なら台湾製糖の百三十六円八十銭の時期の仕切り価格は一体幾らだったのだ。これは明らかに上限がきまっているのに、百三十六円のところ百五十三円が仕切り価格なんだ。ここに一つ新聞がありますが、この一月の二十五日の新聞によりますと、まずメーカー出しが一キロ当たり百五十九円から百六十三円。百五十九円から百六十三円だとすると、上限価格が五万四千円として計算すれば百三十六円八十銭に間違いないですね。これは、工場出し値です。法律があって上限価格が一応きめられていて百三十六円八十銭で出すべきものを、工場が百五十九円から百六十三円で出していた現実、私、佐藤さんに聞いたら、御指摘のとおりですと答えている。これは農林省としてはどうお考えになりますか。
  59. 永井和夫

    ○永井説明員 百三十六円という先生のあれは、私どもが見合い市価として試算をしております百六十三円九十銭という数字を出しておりますが、おそらくその数字ではないかと思います。私どもは、毎年上下限価格を決定いたします場合に、それを国内の市価換算をしたときに幾らぐらいになるだろうかということを例年やっておったわけでございまして、昨年の九月に上下価格を決定いたしましたときに、あわせて換算の価格を出しましたのが百三十六円九十銭、それが上限に見合う市価として出したわけでございます。  若干言いわけになるようでございますけれども、その出し方と申しますのは、私どもコストを押えます場合に、その時期におきまして最終決算で把握いたしましたところの会社のコストというものをもとにいたしまして、それを基準といたしましてトン当たりに換算して出しておるわけでございます。したがいまして、昨年の九月に出した場合には、多くの会社でございますと、三月までの決算をもとにいたしまして出しておったわけでございます。したがいまして、従来御売り物価が非常に安定的な場合には、それで出しましたコストで、大体その会社の原糖コストというものは人件費のアップ以外にはそれほど問題はなかったわけでございますけれども、私どもの昨年九月に出しました価格を、かりに昨年の四月から九月までの決算で締めた会社で見ますと、あの当時、私どもがその前の決算で締めましたときには、会社の加工経費が大体二十円九十銭ぐらいに試算されるわけでございますが、四月から九月の決算をもとにして試算いたしますと、それがすでに四、五円高くなっておるという状況一つあるわけでございます。私ども、この見合い市価というのは、現実の指導面として一応の目標として出しておったわけでございますが、そういうような現実からいいまして、現在のように非常に御売り物価が高騰しておる時期におきまして、過去のデータをもとにした価格がそのまま現実に妥当するかどうかという点につきましては、確かに現在のような情勢においては問題がある。したがいまして、それをこえているからといって不当な価格だというふうには必ずしも言い切れないのではないかと考えているわけであります。
  60. 大出俊

    大出分科員 時間がないから簡単に言いますが、これはあなたおっしゃるように百三十六円九十銭なんです。ただし、おたくで計算したものは、五万四千円で計算していきますと、百三十六円八十銭になる。それを見合い市価の形で、ここにも書いてありますが、百三十六円九十銭、こういっているわけで、同じことです。  そこで、原糖価格そのものが上がり始めた時点と上がっていない時点と比べてみまして、では一体どのくらい原糖を買い付けしてあったのか。国際契約もございますが、そこの算定がまず一つ大きな問題ですね。何十万トンという押え方を農林省もしているんだと思いますが、要するに安い原糖がどこまで入ってきていたか、急に上がったわけですから。で、末端価格を申し上げますと、ここに「国内糖価の動向」という表がございます。おたくの表です。これを見ますと、四十八年の十月、ここから少し上がり始めている。四十八年の六、七、八、九月までは卸売り価格で百二十四円三十八銭、四月、五月は百十九円、百十八円。二月、三月は百二十一円。だから、多少でこぼこはありますが、大体九月までは普通なんです。この時点では原糖は上がっていない。ロンドン相場は上がっていない。だから、こういう落ちついた相場になっている。ところが、十月から上がり始めたとたんに末端価格を上げてきた。何も、上がったからいきなりそれが入ってくるのではない。国際契約もあるわけです。  それが十一月になると、十月の百三十六円七十銭が、これは卸価格ですよ、何と百六十七円七十銭にはね上がった。十二月になると何と百七十四円八十一銭にはね上がった。これはべらぼうな額です。だから末端が二百二十四円にもなった。この上がり方、つまりここのところをあなた方はどう押えているか。たいへん買い付けて持っていたはずでありまして、だから、ばく大もない利益が入っている。特約店に行って聞いてみると、たいへんもうけましたよ、台湾製糖さんはというわけです。いや台湾製糖の専務は、どことどこがもうけたのですかと言ったら、特約店がもうけましてねと言いましたよ言ったら、うそばかり言いなさいというわけだ。私のところはもうけるのはもうけたけれども、マージンが一〇%くらいあったけれども、一番かせいだのは台湾製糖さん自身ですよと言っていました。だから還元リベートも、最近おまえさんもうけたからやらないよということを言って、ますますがめつくなりましてねというわけです。石油と一緒ですよ。それだけかせいでいる。千載一遇の好機だったわけです。これをこのままでおいておく手はまずない。あなたのほうは、原糖価格で安定している八、九、十月、この辺の国際相場に基づいて、トン数でどのくらい持っていたと御推定になりますか。
  61. 永井和夫

    ○永井説明員 砂糖の売買は、大体、契約をやりまして、あとは原糖在庫としては一月ぐらい手持ちを持つのが通例かと存じます。この場合に、昨年ずっと原糖価格が安定しておりましたころは事業団売買を通じておりまして、原糖価格が安定しておるというものの、私どもの上限価格をオーバーしておりましたので、事業団売買を通じて五万四千円という価格で大体入っておったというふうに理解してございます。それがことしになって上がり始めるということでございますので、昨年一ぱい使った砂糖は大体五万四千円の原価コストの砂糖であったというふうに私どもは考えております。
  62. 大出俊

    大出分科員 何万トンくらいでございますか。
  63. 永井和夫

    ○永井説明員 量的なものはちょっと具体的にあれでございますけれども、大体使用量に見合った分を買っておるというふうに考えますれば、十二月までに消費した分は大体その金額であり、その後一カ月分約二十万トンくらい業界で使用してございますから、本年に入りましてその前の五万四千円で買っておるのは一月、それから二月分あたり、これがその価格に見合うものというふうに考えております。
  64. 大出俊

    大出分科員 そうすると、一月、二月あたりは前の五万四千円でいっているとすれば、これで四十万トンですね。それで十月から急激に上がり始めましたが、十、十一、十二は、国際価格が上がったにしても関係ない前の砂糖を使っておるわけですから、ここらあたりも二十万トンくらいずつ使っておるのですけれども、安い価格で使っておる。これは売っちゃいましたけれども……。安い価格の原糖二十万トンを十月に、前の月百二十四円のものを百三十六円七十銭にしたのですから、これでもうけて売った。十一月にまた百六十七円七十銭にした。これも二十万トンまたもうけて売った。十二月が百七十四円八十一銭、これまたもうけて売った。これで合計六十万トンかせいで売ったわけであります。そこへもってきて一月、二月、これ四十万トンあるとすると、百万トンからの安い原糖を高く売ってかせいだことになる。これは精糖業界、それこそこたえられぬ。石油と一緒で返してもらいたいところなんです。  そこで、そんなことを言っても時間がありませんから、このことに間違いないことをいまお認めになったような感じでありまして、一月、二月は五万四千円で押えていた原糖だということになると、四千万トン。それから、十月、十一月、十二月、前月対比でぼんと上げたわけですから、十月が百三十六円七十銭、キロ当たりの卸売り仕切値段。それから十一月が百六十七円七十銭、十二月が百七十四円八十一銭、一キログラム当たりの会社の工場の仕切り値段。九月が百二十四円三十八銭なんですから、この差額がみごとにもうかっている。間違いない。原料は安いのです。人件費はこの間上がっていない。一月、二月はまたそれに輪をかけておる。こうなりますと、十、十一、十二、一、二、五カ月。一カ月二十万トンなら百万トン。キログラム当たり単価の差額にこれをかければ、もうけが出てくる勘定になる。  そこで、私はここで承りたいのは、まず一つは、砂糖消費税というものを一体どう考えるのかということであります。国際比較の面で、日本の砂糖消費税はたいへんに高い国内税、高過ぎるのであります。アメリカあるいはカナダなどをながめてみると、カナダは国内税を砂糖については取っていない。日本の場合だけたいへんに高い。ここらあたりをあわせまして一体どう考えておられるのか、承りたい。
  65. 永井和夫

    ○永井説明員 御説明申し上げます。  その前に、さっき先生のおっしゃった国内の価格は、卸値と申しますのは特約店の仲間相場でございますので、あれが必ずしもメーカー出し値ではないということが一つと、それから九月までの百二十何円という場合に、四月から九月で私どもが決算的に試算いたしますと、コスト的に大体百三十七円、上限価格が上がっておりますから、現在の上限価格に換算しますと、百四十一円くらいのコスト的なものになるということが一つあるのでございまして、そういう意味で、過去ずっと赤字が続いておったということは、そういう状況にあったということを一応御説明さしていただきたいと思います。  消費税の問題につきましては、これは財政当局の主管でございまして、私どもの一存でとやかく申し上げることでもございませんし、なお非常に影響の大きいところもございますので、私どもといたしましては、基本的には国際糖価の推移を見ながら、あるべき糖価水準といたしまして、私どもが従来設定しておりますのが三十ポンドとか五十ポンドとかいう過去の砂糖の水準をもって上下限価格を設定して、今日運営していること自体、あるいは国際的に許されるのかどうかというようなところも見きわめまして、全体的に今後検討していきたいというふうに考えております。
  66. 大出俊

    大出分科員 時間がありませんから、いまおことばに出ました点、ちょっとつけ加えておきますが、ここに台糖が御自分で出しておる資料がございまして、いまここで議論している時間がないので、大袋上白幾らとか小袋上白幾らかというけじめなしに申しますが、大袋の上白でいえば会社の卸し値がキログラム当たり百五十九円、これで代理店に来まして、それから特約店に百五十九円で来て、特約店のマージン三%、二次店舗六・八%、消費者のところの小売り店舗が一一%、これは台糖自身でおつくりになっておる資料です。ところで小袋のほうは、百七十四円、百七十四円、百七十九円、百九十一円、二百十二円、ここに書いてありますのは小袋ですが、百七十四円八十一銭、これは何も中間の特約店の価格じゃない。つまり百七十四円というのは会社の出し値なんです。あなたはいま特約店価格とおっしゃいましたが、そうじゃない。十二月百七十四円八十一銭、これはおたくの資料です。これは特約店ではなくて、小袋の場合の会社出し値です。台糖がお出しになったものも同じ金額です。その点だけはっきりさせておきます。だから、たいへんなかせぎ方をしたことになる、こう申し上げておるわけであります。  そこで、いま私は経済企画庁お願いしておきたいのは、たとえば国際糖価がどんどん上がる。それでも上限価格をはずしていただきたくない、こう申し上げておりますが、百万トンからのたいへんな利益をあげている精糖会社でございますから、これをおっぱずされると、そこらじゅうの——あとからどこかの場面で総理でもおいでになるときにものを言いますけれども、食品関係なんというのはむちゃくちゃなんです。石油どころの騒ぎじゃない。毎月上げておるのです。その上げ方の文書もみな私は持っておりますけれども、むちゃくちゃです。腹が立ってしようがないのです。どこか場所を考えて言わないと、いまのように税金はあれだなんということを言い出しますから。  そこで、大臣にお願いしておきたいのは、いかなることがあっても押えていただかぬと、まさに物価狂騰の、今度は石油云々でないほうに砂糖価格というものはべらぼうな引き金になる。そこのところを念を押して、だから、もしどうしても戻し税だけでやっていけなければ砂糖消費税に手をつける。私のところに来ております陳情は、食品加工全国団体連合会協議会、会長さんが中西さん、新橋のところのビスケット会館に私はよくお伺いして聞いて知っておりますが、彼のところだってそうだし、ここにもたくさん加工品業者がおいでになりますが、これは砂糖の上限価格をはずされたらそれこそえらいことになるというので必死の思いだというわけです。だから、そこらのことも考えて、経企庁は内田さんになったらたいへん強くなるのじゃないかと思って、厚生大臣のときの内田さんではありませんけれども、期待しておったのですが、どうも次官がものを言ったらすぐ消える。次官がちょいとものを言ってすぐ消えては困るので、ひとつ強くなっていただいて、砂糖価格の安定ということについてやはり真剣に考えていただきたい。小麦の値上げ、原麦で三五%、粉で三七%の値上げがたいへんな食料品上昇の引き金になっておりますから、ここでまた砂糖をいじられたらえらいことになるという心配をしますので、そこらのところを考えていただいて、それは内田さんが幾らいろいろおっしゃっても、農林大臣もなかなかさるものですから、標準価格にしようといったら、今度は農林省はのらりくらり逃げて、一月十六日に九段の精糖会館で二十五のメーカーが集まる、二十五日に東京、関西の特約店を集める、そしてモデル店をつくってそこだけ下げさせるからというようなことで、標準価格に入れないでくれと言った。とうとう入れないほうになってしまった。次官の言ったことがどこかへ飛んでしまった。そういう前歴がありますので、ここのところはひとつ御研究いただいて、何とかこれを上げないように、上限価格を押えていただくように御配慮いただきたい、こう思いまして、最後にひとつ……。
  67. 内田常雄

    内田国務大臣 実は私はたいへん強いほうの役目、物価を上げるべからず、国民生活を安定させようということ一本で遠慮なくものを言うほうでございまして、しばしば書きものまでにして政府関係方面にその実行を迫っているような立場をとっております。  また実は砂糖のことにつきましては、あなたのように詳しくはありませんけれども、私もたいへん心配になっておりました。それは昨年暮れからことしの初めにかけて精糖会社が安い原糖、これは糖価安定事業団から出された原糖を加工して——物みな上がる時代でありましたから、私は精糖会社の悪口はここであえて言いませんけれども、利益をあげたといわれるような事態もあったろうと思うわけでありますが、それが一つです。  そればそれでちょっと横っちょにおいていただきまして、もう一つは、いまこれも大出さんが言われましたように、最近のロンドン相場、原糖相場は非常に上がってきている。それが糖価安定事業団を通って、そしてメーカーに入るのでしょうが、糖価安定事業団が瞬間タッチで取り上げた金の蓄積がだんだんなくなってしまって、それを安く埋めてやる余地がない。そこで弾力関税まで発動させて、四万幾らの関税を半分だか全部だかかからないようにしよう、こういうことなんでしょうが、そのあと今度はロンドン相場が上がったものに対応する措置が一体あるかというと、糖価安定事業団もお手上げ、関税のほうももう戻すものはみんな戻したということになると、一体どうなるんだということで、私は農林大臣の顔を閣議で見るたびごとに——これはほんとうでございますよ。それからまた予算委員会などで隣にすわりますたびごとに、砂糖の価格どうするんだ、あれはひとつ何とか上げないようにしなさい、こういうことを実は常に言っておるのです。標準価格をつくるかつくらぬかというような技術的な問題は別といたしまして、私がとっておいたほうの問題は別にして、あとの要素を申し上げますと、上がる方向へいかざるを得ないのでありましょう。そこで、上げない方法としては、あなたが示唆されたような砂糖消費税を一体戻すのかやめるのか。これはしかし予算に影響がありますから、そのままやるといったら、すぐ大出さんのほうで、そんなら予算を出し直せ、こうくるから、うかつには言えない点があるのかもしれません。  それから、いずれにいたしましても、便乗値上げか何かの計算は、農林省できっちり調べていただきまして、不当な利益の分は当然吐き出すことによって、その砂糖の上限価格というか、少なくとも消費者にタッチする小売り価格というものが百八十六円の指導価格できめられたら、とにかくその価格は死守してもらうような方向でいってもらいたいということを私は常に述べておりますので、これから先も、私は消費者本位また国民生活本位の立場に立って、あなたからたいへんいいお話も聞かせていただきましたから、大いにやってまいりたいと思います。  こればかりじゃありません。実は農林省関係で、小麦とかあるいは飼料とかの海外から入ってくる物資の値上がりを一体どのようにして畜産品、酪農品が吸収していくか、あるいは小麦粉、パンなどを吸収させるかという問題で、いまや原油の値上がり、それに伴って石油製品の価格の改定などもいろいろ私どもも研究をいたしておりますが、それが他の生活必需物資あるいは国民経済の基礎物資に影響を与えないように、押え込むことを一生懸命でやっております。農林物資につきましても右へならえで、いろいろ研究をぜひやれということで、強くやっております。そのことをまた御激励いただきたいと思います。
  68. 大出俊

    大出分科員 どこかの機会に詳細にひとつ資料を提出したいと思っておりますけれども、ぜひひとつ御尽力をいただきたいと思います。  それではどうもありがとうこざいました。
  69. 湊徹郎

    湊主査 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。  次に、米内山義一郎君。
  70. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 長官にお尋ねします。  いま砂糖の問題が出ましたが、物価の問題では狂乱物価という新熟語といいますか、これは近松の造語かもしれない。この狂乱をあおるのが企画庁の仕事か、押えようとするのが企画庁の仕事ですか。まずこの一問を……。
  71. 内田常雄

    内田国務大臣 これはまた米内山さんから意外なことをお尋ねいただいたわけでありまして、もちろん企画庁というのは物価の狂乱状況を押えて国民生活を守る、それが企画庁の仕事であり、私の役目であると考えております。
  72. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 実はきょう、物価の問題じゃない、開発の問題をお尋ねするのが趣旨です。物価の場合は、あるいは気違いが乱暴しておるというようなことかもしれない。だからばかは死ななきゃ直らぬという程度のことかもしれないが、いま正面からぶつかっているむつ小川原開発というようなものは一種の狂乱開発だと私はきめてかかっておる。     〔主査退席、羽田主査代理着席〕 しかもこれは女性的なものじゃなくて、乱暴者が気違いになった、こういうことだ。乱暴者という意味は何かというと、国家権力、地方権力、財界、こういうものが一丸になって、開発という名前のもとに私ども地域に狂乱開発をやっておる。したがって、これはこのままにしておくと、実はわれわれが殺されるのです。開発がやまるのを待っておるわけにいかない。こんな乱暴な開発というものは、私は反対じゃなくて許せないものじゃないかと実は思っておる。長官はむつ小川原開発というものはいいものだとあるいは思っておるかもしれないが、この開発の経緯というものをどの程度に御存じですか。
  73. 内田常雄

    内田国務大臣 こまかい経緯はもちろん私は存じませんが、日本は国土狭小にして資源に乏しい。しかし人口はふえる一方である。しかもまた国内全体を見渡して見ましたときに、人口は大都市に集中しておって非常な過密状態を来たしておる反面、たいへん失礼でありますが、米内山さんの御出身地の青森のほうは過疎の状況が依然として続いておって、都会に農村の方々が出かせぎに行かざるを得ないというような状況にあることは、これもまた一つの不幸である。かようなことを考えた際に、合理的な開発の範囲内において、納得し得るような開発の方法において、むつ小川原の地域にいろいろな意味でのコンビナートをつくるということが、おのずから地元の世論としてもまた中央の考えとしても起こったものではないか。それゆえに、先般むつ小川原の地内における町村長の選挙でも開発派がお勝ちになった、こういうことを聞いて、なるほどと私は思った点がございます。その程度しか私は知らないわけです。
  74. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 私は別にいま日本列島改造論の解説を聞こうとは思わない。むつ小川原開発の実態について、どういうものか、下河辺さんはそれを書いた人かもしれない。いずれにしろどういうことかというと、あんなまるっきりの虚構を前提にして開発を進めるということはあり得ない。われわれはすでに有形無形評価しがたいほどの損害を受けています。いずれにしろ、こういう不当な損害に対してはわれわれはその責任を追及しなければならない立場にあるわけです。  そこで、このむつ小川原の開発というものの法律的根拠は何か、これを明確にしないと——今度は国あるいは県を相手に、われわれは法律を根拠に争わなければならぬ。それを聞きたい理由は、いまの新国総法の中にはいわゆる特定開発についての一つの条文があるわけであります。あれが通れば一応こういう大きい開発にも法律的根拠が出るのだが、いまの段階で、今日までの段階で、明確な法律的根拠は一体何なのか、この点をひとつ簡単にお聞きしたい。
  75. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 非常に全国的な立場あるいは東北的な立場といたしましては、国土総合開発法なり東北開発促進法というものに基づいておるということがいえようかと思います。しかし具体的な事業の推進については、実は当初むつ小川原に関する特別法が必要ではないかという御議論もいただいた時期がございますが、この地域の方々とのお話し合いであるとかあるいは環境に関する調査を了した上で考えたほうがよろしいのじゃないかというお考えもあって、現在のところ特別法をつくるという形にしておりません。したがって法律的根拠と申しますものは関係各省に非常にまたがって、それぞれの実施法に基づいて実施していく体制でございます。
  76. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 国の見解はそうだろうと思うが、青森県知事は議会でこう言っておる。一体いかなる法律的根拠、知事としていかなる職務権限に基づいてこんな乱暴なことをやるのだ、こう聞きましたのに対して、地方公共団体の首長としての固有の事務としてやっている、こう答えています。しかし固有の事務であろうが委任事務であろうが、現代の常識を越えたような、たとえば石油精製を二百万バーレルやる、あるいは石油化学を年四百万トンつくる、火力発電は一千万キロ。いずれにしろいまの資源状態やそういうものから考えると、これには根拠がない。ただ中身を大きく見せて、大きいものを入れるから大きい土地を必要とするというだけの架空のものなんです。その架空のものに対して国がいわゆる閣議口頭了解というものを与えた、それを根拠にして用地買収という既成事実を今日つくってきたわけです。これは明らかに出発点において重大な誤りをおかしているし、これは取り返しのつかないものじゃないかと思う。新国総法の中には開発の理念というような文句もあったりしますが、法律の中に理念なんというハイカラなことばが二、三は散見しますが、いままではそうないのだ。そこで下河辺さん、こんなやり方の理念というものをあなた流に解釈するとどういうことになる。
  77. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 工業基地をつくります際に、従来のやり方は、そこへ立地します工業の業種や規模を先にきめまして、そしてそれに所要の原単位をかけて土地や水や港の大きさというものをきめて、そしてそれを設計に移し、実施に移していったというやり方がむしろ中心であったかと思います。しかし、今日環境問題なり地域の問題が重要であるということの認識に立って、考え方を変えなければならないというようなことから、一つ考え方といたしまして、このむつ小川原地域の場合、土地の利用なり、あるいは地域の方々との話し合いで土地がどういうふうに工業用地に転換できるかということが、工業基地を設計する場合のまず出発点であっていいのではないか。そのことが少し見通しがつきました段階で、それらの工業基地に、どういう規模のどういう業種のものをどの時点で配置することが環境上一番適切であるかということで、非常に抽象的な大ざっぱな言い方でありますけれども、いままでとは逆の考え方をとりたいという一つの例ではなかろうかというふうに考えておりまして、先生はもう先刻御承知でありますけれども、現在五千ヘクタール程度の工業用地ということを目標に話を進めておりまして、もしそれが可能であれば、その範囲で従来なかった公害防止に十分配意した規模のものを確定したいということでございますので、県からは二百万バーレルその他の資料が出てきておることば事実でございますが、国といたしましてはそういう段取りを十分つけた上で将来の見通しを立てたいという考え方でございます。
  78. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 そうしますと、県はこういう資料を出した、国はこれにこういう一定の余裕、弾力性を持たせてやっているという。そうしますと、この開発の責任はだれにあるのです。国が責任を持つのか。県知事が持つのか。それとも第三セクターというものが責任を持つのか。この責任者がない限り不安でたまらぬ。どんなことをされるか、わかったもんじゃない。現にいまやっていることは、あとで申し上げますが、乱暴きわまりないことをやっているが、その責任はだれにあるのか。あやまちがあったとき、だれがどういう方法でこれを是正する方法があるのですか。
  79. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 実際にむつ小川原を進めていきます際に、国におきましては関係省庁の集まりを持ち、私どものほうでそれの総括をしておりまして、政府としての責任を持つという考え方でありますが、またこの開発自身は地域開発であり、知事がその地域を総括して責任者であることも確かでありますし、それから用地買収その他具体的な事務に関しては、私どもとしてはむつ小川原会社に対して十分な責任を持っていただかなければなりませんし、またかりに企業が進出いたしますれば、企業というものは公害あるいは地域環境に対して社会的責任を有するということで、それぞれがみずからの責任を持つということで考えていくべきではないだろうかというふうに考えております。
  80. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 そこで、では、地域開発というものは何であるかという、きわめて原則的なことをお尋ねしておきたい。工業を持ってくればそれだけで地域開発されるということは、もう過去の失敗の歴史から見て明らかです。少なくともこういう世界にも例もない、日本でも想像もつかないような重化学工業をあの狭い地域に持ってきた、立地させた場合は、その地域だけでなしに、そのもっと広い周囲に非常な産業構造の変革に近いものが起きる。それが明らかで、そして初めて地域がよくなるというから、地域開発の理念というものもおのずから理解されるのです。難民をつくる前提のもとに——いま青森県が示している住民対策なんというものは、それとはほとんどほど遠いもので、難民対策にすぎない。農業がどうなるか、水産業がどうなるか、広範な構想なり計画が具体的に示されて、初めてわれわれは住民としてこれに同意していいのか、せざるべきものか、あるいは修正すべきという意見が出るのであって、いまの状態ではこれは出るはずがないと思うのだが、それでも、下河辺さん、あれでもいいとお考えですか。
  81. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 現在は、実は下北半島について、先生も御承知のように過去十年なり二十年いろいろと地域の方々と苦労してなかなか成功できなかった経緯というものもございます。そのために地域の方々の御苦労も私ども若干なりともわかるつもりでおるわけでありますが、何しろあの地域に大規模な工業基地をつくるということがどこまで可能であるかということの見定めが、一つはあの地域に対して非常に大きな条件であることは間違いがないところではないかというふうに思いまして、従来の経緯ができてきたわけでございますが、いま御指摘がございましたようにあの地域が大規模な工業基地だけ成功すれば、あとは何でもよろしいという考え方とすれば、それはやはり誤りであって、あの地域の場合、水産業あるいは農業というものについて将来を計画してみるということがやはり非常に重要な課題でありますし、そしてまた大規模な工業基地が開発されたときに、青森県あるいは北東北というようなものにわたって広範囲にどういう産業上の影響があるかということも検討していくべきであることは事実でありまして、私どもといたしましても工業開発の面だけではなくて、やはり水産業、農業のあの地域開発について計画をまとめてまいりたいという考え方でおります。
  82. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 私は、その開発はこのまま押し切って成功し得るものではないと断定していいと思います。ヒトラーの宣伝相が、人をだますときは小さいうそではだめだ、人間の判断力から余るほどでかいうそをつけば何とか押し切れるということがあるのです。それと同じような、まことに虚構、架空なものだったことは明らかだ。したがって、これを通して今度は農地転用の問題にしろ農振法の問題にしろ、さまざまな問題が起きてきますが、そのときに県知事は権限だと言うだろう。ところが、住民には生きていく権利というものがある。これが具体的に法律的に争われたときには、やはり開発を進めようとする者にも誠実というものがなければ、うそを前提にしていろいろな既成事実を重ねていったって、これは非常な危険が伴うと思う。私は、法治国なんだから、そういう反省をできるだけ早いうちにやらなければいかぬ、これだけは申し上げておきます。  それからもう一つは、あの開発が表に出たころはあなたらが新全総計画を書いたときでしょう。金融も暖和していたし、経済も天まで上がるような勢いのときだが、いまは情勢が変わった。したがって、むつ小川原開発というものは、まだメンツか何かのために上俵からはおりていないけれども、相撲でいえば死に体じゃなかろうか。あなた方これをささえていくということは容易じゃないと思うのです。  そこで、下河辺さん、あれをいまの姿勢のままで死に体になったものをどういう方法でささえていきますか、どういう形で住民の同意を得ようと思いますか。ここにほんとうのことが前に出れば、われわれも対話に応ずるでしょう。なるほどそうだということを明らかにしながら、これは毒まんじゅうだということを知りながら、それに手をかけるばかはないでしょう。初めのうちはあのムードでみんな巻き込まれました。しかし、時間がたった。今度の青森市長選挙をごらんなさい。青森市長も、むつ小川原開発の背後の基地になろう、そこで利を得ようということで青森市の総合開発計画というものを策定したそうだ。ところが、今度の選挙に際して、私はむつ小川原開発というものはもうないものと考える、よって、市長に当選すれば青森市の開発計画は立て直すということを選挙公約の正面にうたったのです。そうして勝ったのです。これをやろうといったほうは負けたのです。開きは三万なんです。こういうふうに、人間はいつまでもだまされるものでないということを反省したならば当然ですよ。しなければならぬのだ。事実、真実を中心にして開発計画というものを原点に返ってやるべきが妥当だと思う。これは私の見解ですが、あなた方はこれをこのまま押し切ろうとするのか。退くか、原点に返るか、このまま凍結するか、ゴリ押しするか、三つの道よりないが、どっちのほうが適当だとお考えですか。
  83. 下河辺淳

    ○下河辺政府委員 むつ小川原につきましては用地買収の契約の事務は進んでおります。そして、予定された民有地の七割近い土地の売買契約ができ上がりました。この時点におきまして、そのまま従来のとおりゴリ押しをするとか、あるいはこのまま白紙に戻るという立場には、私ども置かれておらないというふうに思います。したがって、今日の現実を踏まえて、いまおっしゃられたように、もし虚構であるとか虚偽であるというような面があれば、それは即刻直さなければなりませんし、私どもの国の立場としては、いよいよこれからはたしてどういう開発を進めるべきかということについては技術的な調査もし、地域の方々ともお話しして慎重にきめなければならないというふうに思いますし、今日の石油問題その他のこともございますけれども日本の国土全体を見ました場合に、やはり長期的な目で慎重な開発を進めていくということは避けることはできないのではないだろうか。そのときに地域の方々が難民状態になってよろしいということにはならないわけでありますし、従来、むつ会社あるいは県当局がつくられた住民対策で満点であると思っているわけではございませんので、そういったことについても私どもとしては十分勉強してまいりたいと思いますので、むしろ地域の方々を代表してこういうふうにしてはどうかという御提案をいただければ、私ども幸いであると存じます。
  84. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 しかし、あなた方そういう架空の前提に基づいて土地買収をかなり進めた。開発というものは土地さえ買ってしまえば八割成功だというのは鹿島の精神です。それをあそこに持っていったわけです。きわめてお粗末、乱暴な考え方です。  そこで、戻られないというけれども、じゃ住民はどうやればいいか。しかもこの開発のめどというものは立ちますか。自然的な条件の調査さえまだ手が染められただけで、とてもじゃないが立ちますか。住民が最初土地を売るときには期待があったのです。土地を売って農業から足を洗って、開発が始まれば別な産業分野で生計が立つという前提があったから、土地を売るのに応じた者もある。これに疑いを持った者はいまでも抵抗しています。こういうことから考えても、国の単にものの需給関係からだけ考えるのではなくて、人権の上からも当然のことなんだから考え直す必要があると私は思うのです。  そこで、この実態なんです。すでに百七十億ぐらい用地買収費を支払ったそうですけれども、われわれが銀行へ預金する利息でももう七%になっているわけだが、八%、九%といったら一年に十三億か十四億、毎月一億の金利がかかる。この金利の雨ざらし、日本の大銀行がやっているそうだから、これからたえ得るかもしれないが、金融緩和の時期じゃないからたいへんだろうと思う。その点からもこの第三セクターというものに重大な経営上の欠陥がある。国が北東公庫を通してこれに出資の形で関与しているが、一体この第三セクターというものは何だ。国も金を出している、地方も金を出している、財界も出しているから、りっぱだというのか。それとも、こういうものの機能が重大なんだ。そしてほんとうに住民の要望開発構想の中に入っていくような機構になっているのかどうか。いままでのところわれわれは、この開発会社が住民の正面に出ているものを言うた事実を知らない。まるでどこかに覆面して隠れているようです。  しかも第三セクターと財界との関係です。特に三井不動産。この開発計画が表に出るおよそ二年前、昭和四十四年から三井不動産が覆面して、三井不動産といえば値が上がるということで、内外不動産という一〇〇%出資の新しい会社をつくって、約八百ヘクタール買った。その中に、極端な例を申し上げると、開発目的に土地を買ったと言っていますけれども、ある場所に二十ヘクタールの公共事業で開田したたんぼがあります。その中の道路と水路だけ買った。道路と水路を買って何の開発になりますか。しかも二・五ヘクタールでわずかに六十万。これを第三セクターにいまの開発相場で売ると一千五百万になるのです。これはこの開発の中にひそんでいる事実なんです。こういうことを是認しながら、六ケ所の人の開発だなんということはいえるものじゃない。こういうものもやはりいつかは国会に証人に呼んで、油屋ばかり油をしぼる必要はない、こういうものも開発の中でぎりぎり油をしぼる必要がある。こういうふうな実態をあなた方も十分理解しないと、東京でいかにきれいごとを言ったって開発というものは進むものではない。そういうことで私はこのことを皆さんに、特に大臣に警告しておきたい。大臣などは実態を知らない、政府のやっていることだ、わが党の進めておることは間違いないはずだと思っているけれども、具体的にこういうあやまちがあるのですから。誤ったら、小さいあやまちならわびすることもあるが、こんなでか過ぎるあやまちというものは出直す以外に道がなかろうと私ならば常識的に思うが、大臣いかがです。
  85. 内田常雄

    内田国務大臣 冒頭に私が申し述べたとおりでございまして、国土の総合的利用とかあるいは人口の増加とかあるいは過疎過密とかいうものに対応せずに、このままじっとしておれば国民全体が幸福になるというものではないことを考えますときに、これから申し上げることが私のほんとうのつもりなんですが、合理的であって、そして人々が納得するような、コンセンサスが得られるような方法での基地づくり、コンビナートづくりというものは、それは進めるがいいということでむつ小川原の開発計画というものもここまで進んできた、こう考えますと、こういうことを申し上げましたのは、あなたがお考えになりますように不合理で、あるいは国民的、地域的コンセンサスが得られないような方法が現実にありますならば、そういうところはやはり必要な検討を加えながらやってまいらなければならないと私は思います。
  86. 米内山義一郎

    ○米内山分科員 以上をもって質問をやめますが、いずれ国総法か何かの機会に詳しく議論いたしたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  87. 羽田孜

    羽田主査代理 これにて米内山義一郎君の質疑は終了いたしました。  次に松尾信人君。
  88. 松尾信人

    松尾分科員 長官に最初にお尋ねします。  今回エクソンとかシェル、このようなメジャーが、三月には、二月に比べてメジャー全体で油の供給量を二五%減らす、このような配給計画を通知してきたということであります。よく御存じだと思います。このためのいろいろの政府対策というものが練られておると思うのでありますけれども、この三月の総輸入量では二月に比べて一五%減るのだ、こういうことがいわれております。結局この石油製品の価格の引き上げ、このことについて日本政府としてなかなか引き上げの時期的な見通し等があいまいになっておる、これを牽制しようというよう意味合いも私は相当強いと思うのであります。このようなことの裏には、そういうことを十分思って言うてきておる、こうとれるわけであります。でありますから、結局このような石油製品の値上げを認めるのか、そうするといつごろそれを認めるか、またはそのようにして輸入の数量の確保をはかるか、しかしこれがまたいろいろ物価に及ぼす大きな影響がありますので、いろいろお考えがあろうと思うのでありますけれども、事物価に関する限りは、長官は何といってもやはり物価の大もとでありますので、この際はっきりと、どのようにいまのこの事態を長官が認識されておるのか、そうしてどのようにこの問題に対処していこうとする心がまえなのか、これを、基本的な問題でありますので、最初に伺っておきたいと思います。
  89. 内田常雄

    内田国務大臣 松尾さんの冒頭のおことばにありましたエクソンとかシェルとかというメジャーの一部が日本に対する原油の供給を減らす態度を伝えてきたということにつきましては、新聞に載っておったことを私も見ましたけれども、真偽のほどは私も正確な情報を握っておりません。したがって、そうであるかもしれないしそうでないかもしれないといまのところは思っておりますが、それはそれといたしまして、これはもう松尾さんもよく御承知のとおり、いまの石油製品の価格は、昨年十二月の下旬に通産省が一括して、その仕出し価格を規制をいたしております。ところが、本年の一月一日から原油の値段が大幅に、昨年秋の価格を倍以上にも引き上げられたようなことになりました石油が、一月の二十日ごろから日本に入着いたしつつあるわけであります。これは通関統計によりましてもわかるわけでございますが、現在では、そうしてみますと原油の入着コスト通産省が押えておる石油製品の価格がまさに逆ざやになっておることも事実でございますから、メジャーの問題はしばらくおきましても、このような状態をいつまでも続けるということ、何らの施策なくして続けるということになりますと、おそらく日本における石油の精製業というものは運営ができなくなるということにもなるわけでございますので、これに対しましては何らかの政策的措置をとる必要があると私も考えております。しかし御激励をいただいておりますように、経済企画庁は物価の総合施策について立案をしたり、また各省の行政を調整いたしたりする任務を持っておるところでございますが、石油製品価格を新しくどのようにきめるかということは、個々の物資の値段をどのようにきめるかということとはまさに著しく違いまして、物価の基本に関する事態であるという認識を私どもは持つものでございますので、直接の石油精製業を担当せられる通産省とはもちろんのこと、また財政を担当する、さらには総需要抑制などの手段をいろいろ用意をしておる大蔵省、そういう方面ともいろいろ打ち合わせをいたしまして、結論的に申し述べますならば、かりに石油製品の価格の手直しをすることがございましても、それの影響は石油製品の段階でおおむね打ちとめて、そうして石油製品価格が、それらを原料とするような石油化学製品はもちろんのこと、国民の主要な生活関連物資あるいはまた経済の基礎物資、そういうものの価格の押し上げにならないような、そういう措置をとることが、今日あるいは今後の段階にとって絶対必要だ、こういうことのもとにいろいろな検討や作業を進めておる、こういう次第でございます。
  90. 松尾信人

    松尾分科員 いろいろお答えがありましたけれども、エクソンとかシェルの削減の問題、これははっきりと知らない、こういうお話でありますが、これは私は今日大きな関心を持っていかなくちゃいけない。ですから、これがうわさであれば非常にけっこうなことでありますけれども、かりにこれが事実といたしますればいろいろ大きな影響を及ぼしますし、このようなメジャーというものに対するいろいろの態度も今後はよく研究をしてきめていかなければいけない。二月の輸入数量自体でも約八%減っている。これは当初の見込みに比べて実績が減っている。これもよくよく調べてみれば、メジャーの売り分がそれだけ削減されておるんじゃなかろうかというようなこともいわれておりますので、これは物価の問題で非常に大きな影響があります。価格が上がっていくのも困ります。また数量が減ってくるのも困るわけでありますので、非常にむずかしいことでありますけれども、これは事態をはっきりさせて、そしてもしもこれが事実とすれば、あわせてきちっとした政府対策を物価長官としてまずきちっとしていく、これは念のためにお考えを聞かしていただきたいと思うのです。
  91. 内田常雄

    内田国務大臣 松尾さんからお考えを聞かしていただきまして、私もたいへん得るところがあったように思います。しかし、これは私のほうの側から、松尾さんのおことばを待たずに、あたかもメジャーに威嚇されたり、それに対応して石油製品価格の値上げをするというような、そういう態度をとることも適切ではないという考えも実は私にあるわけでございます。ことに、また、メジャーの性格はいろいろ批判をされたり評価もされているわけでしょうが、今日世界じゅうでこれは環視の対象にもなっておることでもございますので、メジャーの行動というものも世界的に見ても筋の通ったものであるべきだ、それが当然ではなかろうかと私は思うわけであります。しかしそれはそれといたしまして、いまの逆ざや問題というものはいつまでも続けられるものではないという認識は私も持つものでございますが、繰り返して申しますと、それがまた引きがねになりまして、そして物価狂乱のような事態を、せっかくここで卸売り物価等が鎮静をしてまいりました際に、再び引き起こすということがないような措置、対策を十分用意して、それと同時にこの問題は手をつけるべきである、こういうことを申し上げた次第でございます。
  92. 松尾信人

    松尾分科員 いまおっしゃったとおりに、ひとつきちっとしたりっぱな対策を立てて進んでいただきたい、このように強く要請しておきます。  次には、水の問題であります。水というものは、われわれの日常生活に欠くことのできないものであります。ところが、この水というものが、日本全国に一律に水資源がないのです。非常に少ない地域、こういうところはいままで一生懸命に水道事業をやっております。飲料水の供給というのが地方自治体の大きな責務でありますので、いろいろやってきておるわけでありますけれども、もう地元に水資源がない。他地域まで、ほかの公共地方体のほうまで手足を伸ばしまして、ダムをつくり、遠いところから導管を引っぱり、——これは長崎市の例で申し上げましても、先般百二十億くらいのお金を入れて導管を引いて、やっといまどうなりこうなり四十三万の市民の水をまかなっている。それがやがてまた行き詰まるわけであります。こういうことで、現在の水道事業というものは各地方自治体の事業体が主として行なっているわけでありますが、それにつきまして、厚生省とか自治省というものが何がしかの負担はしております。しかし、水道事業というものは独立採算制であります。建設資金のほとんどというものがやはり企業債という起債にたよりております。そして水道施設の整備、水質の検査、水道料金、こういうものは日本国でみんなばらばらなんです。特に水資源のないところは施設、水資源等に非常に投資をいたしますので、水道料金が日本一高い、格差が非常にある、実態はこういうことであります。一言言いましたとおりに、自分の周辺にはもう水資源がなくなっておる、行政の区域外まで水を求めていく、こういうことが水道事業の水資源のないところの実態でありますけれども、こういうことについて厚生省はどのように認識をされておるのか。認識があると私は思います。とするならば、当面の対策として、この水道事業に対する対策というものをどのようにお考えであるか、これを聞いておきます。
  93. 国川建二

    ○国川説明員 ただいま先生御指摘のように、水道用水、特に生活用水の需要が、都市への人口集中その他もろもろの事情で需要の増加が非常に著しいのでございます。これは大都市やその周辺地域のみならず、地方の都市におきましても同様だと思います。したがいまして、水道事業の立場から申しますと、必要な水は必ず確保するというのが必要条件でございますので、場合によりましては、相当なコストの高いような事業施設等につきましても、あえてこれを整備し充実していかなければならないという事情がございます。  他方、ただいまも先生御指摘のございましたように、一応公営企業というたてまえからそれぞれの水道料金というものが個別に扱われておりますので、地理的条件やその他の条件によって料金に格差もございます。しかし、それらのある程度の格差は当然と申しますか、これはやむを得ないこともあろうかと思いますけれども、非常に著しいものはやはり好ましいことではないというふうに思いますので、私どもといたしましては、特にその建設費の上昇を来たしておる原因と申しますのは、たとえばダムの建設あるいは導水施設という大規模な事業にあると思いまして、これらの事業に対しまして実は補助制度がございます。水源等につきましては三分の一という補助率でもって助成いたしておりますし、さらにまた料金の公平化と申しますか、均等化というようなものも考えまして、水道の広域化に鋭意つとめております。これらの施策に対応しまして、必要な助成等は今後とも従来以上につとめてまいりたいと思います。  さらにはまた、地方債等につきましては、自治省その他関係省とも十分協議しながら、そういったことについて対応していきたい、このように考えております。
  94. 松尾信人

    松尾分科員 いまお答えがありましたけれども、答えとしてはそのとおりであり、内容ははなはだ抽象的でありました。水道水源開発施設整備費は補助率三分の一を上げていきたい、それから水道広域化施設の整備費の補助率はわずか四分の一でありますが、こういうものを上げていきたいというお答えでありますけれども、これはいきたいじゃなくて、四十九年度からこうやるんだというぐらいにお答えがありませんと、当面の対策にはならないわけですよ。長年間一生懸命になって資金を入れてきた。そうして借金に借金を重ねてきている。元利償還に水道料金の収入の五〇%以上を充てなければできない。人件費は上がる。その他の物価も上がる。そういうことでほんとうにこれはお手あげなんですよ。そうしておいて、干ばつ等が来ればもう制限給水だとかなんとかいっていろいろな問題を起こしておいて、もうどうしようもないからといって金を注ぐ。赤字は増す。水道料金は日本一高いけれども、なかなか値上げはできない、こういう実態はよく御承知でありますから、私が申し上げました水道水源の開発施設の整備費、ことに広域化の施設の整備費については早急に対策を立てられるように、これは強く要請しておきます。  それから、これは長官もいまお聞きのとおりでございまして、要するにそのような水資源の非常に不足している地域は、もう自治体が自分の力では開発できないのです。こういう段階に来ております。ですからこれは一地方自治体の問題ではない。それでいま申し上げましたとおりいろいろの問題が起こっておる。経済企画庁におきましては水資源課というようなところで日本の重要な五つの水系の開発等はいろいろ研究されておりますけれども、このようなほんとうに水道事業をやっておって困っておって、そして水資源もあまりない、そういうようなところに対する施策がない。あればけっこうでありまして、承るわけでありますけれども、私はないと思います。  ただ、九州地方開発促進法だとか、これが中国、四国、北陸とブロックごとにあるわけでありまして、その中で開発促進計画をつくるということになっているわけでありますけれども、できていない。これは私は、国土の総合開発という最高責任のある企画庁としては非常に無責任じゃないか、このようなところまで考えるわけですよ。ですから、これはそういうことを踏まえて長官が、国土総合開発の最高責任者として厚生省また関係省庁とよく話し合いを詰めて、そして水資源の開発というものはもう一地方自治団体の問題じゃない、限界を越えておる問題だ、こういう認識のもとに国家が開発していくんだ。そして水の供給というものの責任は、そういうところに対しては国が最高責任を負っていく。その根元はおれが保証する、根元をやった以上は、あとはしっかり都道府県の水道事業がやっていけ、このような一つのシステムがなければ現在の問題というものはますます深刻化してまいりまして、地域における水問題というのは永久に解決できない、こうなるわけです。長官のお考えを聞いておきたい。
  95. 内田常雄

    内田国務大臣 私全く松尾さんと同感であります。というのは、私はここで経済企画庁長官として申すばかりでなしに、私は実は両三年前に厚生大臣をやっておりまして、水道の問題では盛んに各省ともけんかをしたり、また大蔵省とも予算のぶんどりをやりましたり、いまおっしゃる広域水道計画というようなことを進めていきます上でたいへん苦労をいたしました。おっしゃるとおり、この水道なども安い料金と高い料金との間には非常に格差がございまして、地域も一番安いところと一番高いところを覚えておりますが、同じ公共団体の住民でありながらあまりにも負担格差があることは放置できないと私は思うわけであります。したがってそういう点を合理的にしてまいることと、また水資源が乏しくて、しかしその用途は、工業用水道、上水道あるいはかんがいから発電等多目的に利用する道もございますので、そういう水系、水路そのものの総合的な結びつけ計画というようなものについてもさらに一そう思いを新たにしてやらなければならないと思います。幸い、あとのほうの問題は、私は今度経済企画庁におりまして、たとえばいまの新全国総合開発計画というもの、これは古い計画でございまして、いま総点検をやっておりますが、そういうものは来年中にも新しいものを検討し直すつもりでございますので、そういう際にこの問題を十分取り上げてまいるとか、あるいは大きな水系についての構想を新たにするなり、さらにまた水資源開発公団のようなもの、これは経済企画庁であずかっておりますので、そういうものの活用等につきましても考えながら、水の利用あるいは水道の問題というものにつきましては、新しい事態のもとに善処をしてまいらなければならないことと考えております。
  96. 松尾信人

    松尾分科員 この水の問題は、私は毎年質疑を重ねておるわけであります。前回、小坂国務大臣のときに、「水資源の問題について、私ども国土総合開発という見地から各省庁と十分に話し合ってまいりますわけでございます。その場合、要るものがあれば、国の財政から、予算なり投融資なりの形をとりまして、できるだけ出していかなければいかぬ、こう考えております。」というふうに、答えもちゃんと出ておるのでありますけれども、それが一向実現に入っていない。いま心強い内田長官のお答えを聞いたわけでありますので、私は心の底からこれが実現できるように期待いたします。  いろいろ陳情、要望というのはもうたいへんなものなんです。時間がありませんから申しませんけれども、これは水道事業経営健全化対策促進協議会ということで、北は札幌から九州は七つの市が名前を連ねております。初めが札幌市、最後が長崎市、こういうことでありまして、非常に大きな要望を掲げておりますけれども、みんな内容はもっともなことであります。  「一、水源開発は国の責任において国が行ない、地方公共団体が上水道の用に供するため用水を必要とするときは、原水の供給を行なうことを明定するとともに、地方公共団体が開発した水源についてはその費用を負担すること。二、既往債を含む起債利率の大幅引下げ、償還期限の延長、国庫補助の増額と、補助対象事業の拡大を図ること。三、起債の支払利息が料金収入の一定額を越える場合、あるいは水道料金が全国平均を上回るなど、水道事業の経営が著しく困難な条件下にある地方公共団体を対象として、補助金の交付、地方債の特別扱いなど財政援助の特別措置を講ずること。四、各地方公共団体において、安定した用水供給が図れるよう、国は広域水道圏計画の積極的推進に努めること。」こういう各項目につきまして要請が出ております。  ただ、非常に水の足らない全国の代表の二十の市が、いま水道事業経営健全化対策協議会、こういうものをつくりまして、本年の一月十七、十八日にいよいよこれは設立が決定いたしましてスタートいたしました。それでこれは、いま読み上げたこの中にありますほとんどの市が入っておりまして、これは十九の市でありますけれども、そしてこのように、自分の一つの地方公共団体ではもうだめなんだ、それから政府に対しても個々にこのような対策を幾ら進めても、政府が一向にやってくれぬ、ですからお互い団結してそして政府に当たろうじゃないかということで、もうそこまできておるわけです。ですから私は、水の問題は二カ年連続でこの分科会経済企画庁長官に強く要請しているわけでありますから、非常に重ねてくどくなりますけれども、もう一回そういう実態をよくわれわれも勉強して知った、また知っていこう、知った以上はしっかり対策を立てて、早目にそれは解決していきたい、このような決意を念のために聞いておきたいと思います。
  97. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほど申し述べたとおりでございまして、私はその状況を、実は私もいま松尾さんが申された全国的団体の顧問を仰せつけられておるはずでございますので、これは一生懸命でやらなければならぬと思っております。ただこれは、予算経済企画庁一本で予算を預かって、それを総合的に各省に経済企画庁予算をつけかえるというようなことができるならいいんですが、厚生省、自治省、通産省建設省と行って予算をとるときに大蔵省から各個撃破でやられてしまいまして、私どもはいい構想を立てましてもなかなかその問題は進まない、こういうような状況もございますから、そういうところも私は何とかしてひとつ突破してまいるような努力を続けさせていただきたいと思います。
  98. 松尾信人

    松尾分科員 この水道関係は厚生省だけですから。あなたは元厚生大臣だから。そしてまたいろいろ問題を提起されておりますが……。
  99. 内田常雄

    内田国務大臣 工業用水なんか通産省にいってしまうのです。
  100. 松尾信人

    松尾分科員 いろいろまたがっておりまして、工業用水道ありますけれども、私の言っている中心はまず飲み水です。市民の水道事業に関する飲料水でありますので、ひとつしっかりやっていただきたい。  最後にまた要望して私の質疑を終わります。
  101. 羽田孜

    羽田主査代理 これにて松尾信人君の質疑は終了いたしました。  次に神崎敏雄君。
  102. 神崎敏雄

    神崎分科員 初めに、経済企画庁は民間私企業からの出向社員を部員という肩書きで受け入れておられますが、現在どの企業からどの課に何名という職員が配置されておるのか、簡単にその実態を明らかにしていただきたい、こう思います。
  103. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 課別に述べますと非常に長くなりますが、たとえば調整局の調整課に現在一名、それから調整局の国際経済課に二名、財政金融課に一名、それから総合開発局の開発調整課に一名等でございますが、そういうような配置でございます。
  104. 神崎敏雄

    神崎分科員 では、あとでまたこちらから御紹介します。  そこで経済企画庁の一般職員は五百五十二名ですね。     〔羽田主査代理退席、主査着席〕 これは四十八年の七月十日現在ですが、これに対して民間大企業からの出向、よくいいますね、天下りとかいいますが、この場合は天上がりの職員なんですね。この天上がりが何と四十七人もおられて、八つもある省庁のうちで経企庁が一番多いんですね。こうした問題は昨年も国会で問題になっておりますが、その後検討されたというふうに聞いておりますが、どういう方向結論を持っていかれようとしておるのか、それを聞かしていただきたい。
  105. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 たしか、御指摘のとおり各省庁の中でわが庁が一番多い部員の数をかかえておるわけでございます。いま御指摘がございましたが、ことしの二月一日現在では民間からの部員の数は四十七名でございましたが、その後二名減員いたしまして現在では四十五名になっています。ちなみに四十八年の、去年の五月一日現在ではその人数が六十二名であったわけでございます。昨年以来国会のほうでいろいろ御指摘がございまして、たとえば決算委員会の決議等によりましても、民間の職員を給与を払わないで公務員として使っている、このような不自然な制度はできるだけ早く解消したほうがいいというような決議もございまして、そういうような御指摘の数々を踏まえまして、私ども関係省庁と協議をいたしましていろいろ手を打とうとしているところでございます。  とりあえずとった方針の第一といたしましては、まず関係省庁と協議いたしまして近く統一的な処理基準ができるわけでございますが、それまでの間御指摘の点を踏まえましてできるだけ減員を不補充にする、任期が来まして帰る人につきましても補充しないという方針で臨みまして、その結果現在のような民間部員の減員をいま鋭意やっているわけでございます。ただ、この問題につきましては、私ども現在、経済企画庁の実員の中の相当の部分がこの部員によって占められておる。これを一挙に全廃いたしますと、経済企画庁の現在相当複雑になってきた事務内容につきましても支障がございますし、そういう点でなかなか削減計画も順を追ってやらなければできないという感覚でおります。それと同時に、もう一つ指摘の点を踏まえまして、配置につきましては、できるだけ派遣元企業と直接関連のあるような配置は避けるということで、主として調査研究なり資料の整備なり、そういう面を中心といたしまして、できるだけ調査研究部局に主眼を置いて配置する。また、やや現業を持っている一部の部局がございますけれども、そういう部局の内部でも許認可等の現業的なほうにつきましてはできるだけ配置させないという方針でいっているわけでございます。  なお、各省庁の統一処理方針でございますが、私どもといたしましてはやはり民間とのいろいろなある程度の交流は必要だとは存じておりますが、やはり公務員上の身分が明らかでないのは非常に差しさわりがあるということで、これを国家公務員法上身分を明確にいたしまして、できればこれを非常勤の賃金職員とするというような方針で処理いたしたい、こう考えております。
  106. 神崎敏雄

    神崎分科員 いま言われたように、大体四十八年の五月一日には六十二名、それから十一月三十日には五十三名、私が指摘したのが四十七名、それがまた二人減って四十五名だ、こういうふうに言われているのですが、これは従来から批判にこたえて改善をしていったというふうなお答えに私はいま承ったのですが、長官に伺いますが、こういうような状態は結論的に好ましき状態であるか、そうでないか、ひとつ長官の決意を聞きたいと思います。
  107. 内田常雄

    内田国務大臣 私が報告を受けておりますところでは、国会におかれては、好ましくない状態であるからすみやかにこれは排除するような方向で善処せよ、こういうようなお話であった、こう承っておりますので、国会の御意思にできるだけ沿うような措置をなるべく早く私はとるような努力を続けてまいりたいと思います。  ただ、現実を申しますと、これは国会の御見解にさからうわけではございませんが、一つはやむを得ない面と、一つはいい面がございます。ことに経済企画庁は、中の部局といたしまして経済研究所でありますとか、調査局でありますとかあるいは総合開発局でありますとか、民間のエコノミストの人々の知識や、あるいはまた電子計算機などを操作する際のソフトウェアのつくり方等、とても役人の手に負えないような、役人だけでやっておると何か硬直したような調査の結果が出るような分野の仕事も担当いたしておりますので、そういう方面の民間のエコノミストを使うことがほんとうはいい。それは企業や物資を直接監督されているような他の省庁のように、民間企業との癒着というものは生じない分野が私どもの庁には多いのではないかと思いますので、そういう点は御認識をいただければありがたいと思うことが一つ。  それからもう一つは、何といいましてもまだ四十五名、人がおるわけでありますから、これを一挙に出してしまうというわけにもまいりませんので、官房長からお話がありましたように、直接行政面にタッチするたとえば許認可、というのは公共料金などをさすと思いますが、公共料金などの許認可みたいなところには関係の者を置かない、そういうようなことをいたしながら、若干の猶予の期間をいただかないと全部追い出してしまえないということもあるわけでございます。そこでこれは公務員にして、非現業の公務員ではございましても、国家公務員法の適用を受けたり国家公務員法上の規律を守ったりするような措置もとりながら、しばらくの間時間をかしていただくのが一番現実的でありがたい。まあこれはおことばを返したり御意思に反するわけじゃございませんけれども、現実的にはそう思う面がございます。
  108. 神崎敏雄

    神崎分科員 いま長官言われたように、両側面があるということもわかりますが、基本的にはこれは間違いだ。特に経企庁としては、これは即刻改善をしなければならない。しかも、これは相当歴史的な経過もあるし、毎年のように国会で指摘されておって、そしてまあおことばを返すようではないけれどもとおっしゃりながらも、ずんずんこれは続いておるということが一点。  特に私は問題にしたいのは、この経企庁へ来られているうちで、まあいま四十五名と言われたので、どこを二名削られたのか、また聞かなければならぬことになりますが、私の調査では、銀行が二十社、保険が六社、電力が五社、それから自動車メーカー二社、弱電メーカー二社、その他住友化学、三菱重工、こういう四十七社ですね。これが私は問題だと思う。  特に電力問題では、先国会で関西電力についてずいぶん小坂長官時代に私は質問したんですが、いわゆる経企がチェックをしなければならない通産省から回ってきたものやら、公共料金その他そういうようなところに関連を直接持つ、そういうような企業代表といいますか、こういうようなところから——いわゆる天下りの場合は前の次官か関電の副社長になっている。そして現在は関電の社員が経企の中におる。これは電力の値上げが問題になっているやさきに、そういうようなときに、私はこういうことは正常なる人事の交流というのではなしに、むしろこれは出向といいますか情報取りといいますか、あとで彼らの行動なり言動を事実に基づいて展開しますが、そういうことではないかと思う。まあよい面もあるとおっしゃるが、よい面は向こうにあるんであって、向こうがお金を払ってここへ出てきているのだ。せちがらい、特に銀行だとか電力会社などわりあいきびしいですね、金銭問題については。それが全額給料を負担して出しているというのは、よい面は向こうにあるから出すんであって、こちらのほうはいわゆる人間をふやさないで、逆に便宜的にそうやっている場合と、もっと言うならば、これは癒着の問題にもなりますが、そういう形から今度はいろいろ各省間で協議された結果、四十九年度から一部のものは予算に計上して国家公務員にする。いまも長官言われたが、私はここにやはり問題があると思うのですね。  大体公務員というものは、一般公募をしてそうして試験に及第した人、いわゆる優秀な方々がお入りになる、こういうようなことになるのに、現在そういう企業から出てきた者を、問題があるから、すぐ今度は国民の税金をそれに払ってそして国家公務員にするんだ。こうすると、企業は二重三重に利益を得るということになる。そういうことから考えても、私は、一般の公務員を公募されるようにやるべきである。現在給料を払ってないから問題があるんだったら給料を払おうじゃないか、こういう形では国民は納得せないと思うのですが、長官、これでいいんですか。
  109. 内田常雄

    内田国務大臣 神崎さんのおっしゃること、私、わからぬじゃありません。よくわかります。よくわかりますが、ただ私のところの役所は、直接その企業を監督をしたりあるいは物資を直接所管するという性格の役所でなくて、もっぱら調査研究をするような分野がたくさんございますので、そういうところに、役人のエコノミストももちろんいいのですけれども、広い民間のその方面担当の調査部とか調査課とかいうようなところに関連のある民間エコノミストを使うということは、ちょっと通産省——まあ人の役所を言っちゃいかぬのですが、他の役所でそういう民間の部員を使う場合とはやや趣を異にする点があるようにも思います。  しかし、あなたがおっしゃいましたような、また私も言いましたような、公共料金に関係があるかのごとく考えられるようなポストには、そういう部員を置かないほうがよろしいし、またそういう企業からは私は人を引いてこないほうがいいと考えますので、これは私がさからって、必要があるから幾らでもふやしておくということではございませんで、先ほど来申しておりますように、もちろん転勤をさしたりポストを変えたりしながら対処をして、そして国会の御意思に沿うようにいたしてまいりたい、かように考えております。
  110. 神崎敏雄

    神崎分科員 たとえば長官建設省は三名なんですよ。北海道開発庁は一名なんですね。総理府は二名なんです。ただ経企だけがいま言う四十五名。いま聞いて初めて四十五名で、ぼくが調べたときは四十七名ですがね。そういう形でずば抜けて違う。そうして通産、経企というものは公共料金その他いろいろされる一番のところ。これにこういう銀行だとかあるいはいま御紹介したようなところがたくさん来ている、電力、自動車メーカー、弱電メーカーというようなところから。こういうようなことになってくると、これはやはり問題がある。  そこで、国家公務員法第百条に秘密を守る義務というのがあるのですね。「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。その職を退いた後といえども同様とする。」こういういわゆる公務員法第百条、これが守られると思っていますか、こう経企の中へどんどん入っておられるそういう民間の人に。これらは国家公務員じゃないんだからこの秘密を守る義務というのはないのでしょう。どうです、これ、守らしているのですか。
  111. 内田常雄

    内田国務大臣 現在までのところでは、とにかくその者が来ておるというだけで、その公務員法との関係等について筋も何も通っていないように私は思います。そこで、これは私どものほうの流儀だけではなしに、人事院とか総理府の人事局とか行政管理庁とか関係の機関が先ごろの国会の御意向を受けまして、それぞれ参集をして、そして協議をいたしました結果、いままでのようなわけのわからないあり方はよろしくないのではないか。そこで、人事院規則とか公務員法とかいうようなものの適用を受け得るような形に、少なくとも残すものについては、だんだん整理はするのですが、残すものについては残すべきである、こういうことにしておるということを私どもは聞いております。  さらにまた、経済企画庁ははなはだずば抜けて数が多いということもおっしゃるとおりであると思いますが、これはたびたび申し述べましたように、わがほうは調査とか研究とかいうような分野の仕事が多いということと、それからもう一つは、これも神崎さんのおことばの中にもあったように思いますが、昔からのしきたりといいますか、歴史的に経済安定本部の時代にそういう部員制度というものを主としてこの役所ができておったというようなことがそのまま尾を引いておる。しかし、世の中はどんどん変わっていきますから、だからいいということは私考えません。十分御趣旨を尊重してまいりたいと思います。
  112. 神崎敏雄

    神崎分科員 時間がありませんのでどんどんいきますが、この中でも一部の者は予算に計上して国家公務員にする、それ以外の者については廃止を検討する。それ以外の者とは、いま来ている四十五名のうちでどんな人なのか、どういう人を国家公務員に今度は採用するのか、こういうようなこともやはりここで明らかにしなければならないということも中身としてはありますが、これはまたこの機会じゃなしに聞きますが、これはぼくは全廃をせいという立場ですからね。  そういう形からいって、たとえばいま長官の言われる長いことのしきたり、この長いことのしきたりというのは、悪いのはやはりやめるべきで、いいしきたりは置いておいてもよろしいが、こういう人たちが同じテーブルを並べて同じ仕事をしておって一体機密が守れるか。機密を漏らしても部員だから国家公務員法にかからないのですね。そうでしょう。そうすると、蓮見さんのような事件にはならないのですよ。蓮見さんは西山事件のとき何で罰せられたか。ああいう人にああいうぐらい罰しておいて、それと同じことを公然と中でやられていて、あとで実証をあげますけれども、そういうようなのは何もしない形になってくるのですから、これは非常に不十分なものである。しかも身分は係長待遇。それから経企のいわゆる会議をやるときには必ずこれは参加する。役所の資料を使って、役所のデータや資料を毎日のように出しておる。こういうことをさす法的根拠というのは一体あるのか。これは関係責任者がおられたら答えてもらいたい。
  113. 吉瀬維哉

    ○吉瀬政府委員 ただいま神崎委員の御指摘がございましたように、現在では公務員法上の身分が非常に不明確である、こういう御指摘もございましたので、四十九年度からは国家公務員法上の規律に乗せましてやりたい、こう思っておるわけでございます。  それから、現在私ども心得ております点は、たとえば行政上の許認可とか一般の調査のための会合等には出席させておりますが、いわゆる国民の権利義務に関係のあるものとか、あるいは行政上のある意思決定を行なうような会議には参加させないということをたてまえとしまして関係各局と連絡をとりまして指導しております。また、部員等も上司の命令を受けまして必要な調査研究、たとえば物価局におります国鉄から来ておる職員は物の流通に関するシステムの研究等をやっておりますが、そういう種類の研究に必要な資料は大いに活用させますが、いろいろ機密にわたるような資料の活用は控えるように、こういう指導でいまやっておるわけでございます。
  114. 神崎敏雄

    神崎分科員 こういうのもありますね。国家公務員法の第百三条ですね、「職員は、離職後二年間は、営利企業の地位で、その離職前五年間に在職していた人事院規則で定める国の機関と密な関係にあるものにつくことを承諾し又はついてはならない。」これは百三条ですね。役所をやめてからでも五年間は関連する企業に入っちゃいけない、こういう拘束力があるわけなんですよ、長官。ところが、これはやめるどころか、公務員でないのに企業代表のような立場から入ってくる。  だから、電力代今度上げてくれるのは二三%らしいぞ、二八%と書いたかてだめだよというようなことが早く電力会社に流れたり、私が長官に会う二日前に私が長官に会いたいと言うたら、電力会社のほうから、あさって神崎長官に会いよるというのが入ってきたり、そういうことはわれわれは一ぱい経験しているのです。  だから、行政があと追いになる。行政があと追いになるのじゃなしに、あと追いになるような仕組みになっているところに問題があるのですよ。これが政府企業の現在のあり方だ。これはやはり即時廃止すべきだ。これは私はきつく人事院に勧告をして、そしてほんとうにいま長官も認められたように、やるのかやらないのか。もうこれは言われてしばしばになるのですね。もう長い歴史もあるし、たびたび国会で言われております。こういうふうに長官も言われているのですから、もうこれを最後にして、即刻これを改革する意思が長官にあるかどうか。そうでなかったら、私はあとで事実を読み上げますが、これは重大な問題があるのです。  会議には参加させない。私とあなたと会議に参加していたとしましょうか。私が帰ってきて自分のテーブルにすわって隣のテーブルに、ああきょうの会議はこうだったとしゃべったら、この人は聞きますわ、会議に参加してなくても。そうでしょう長官。会議には参加してない、これは形式論であって、中身の秘密はすぐばれちゃって、すぐこういうところへ流れていくんじゃありませんか。これで国家機密が守られるということにはならない。そういうことについてははっきりと、過去にも指摘されているのだったら、なぜやめないのか。人事院あるいは総理府の人事局等はこれについてはどういうような指導あるいは権限に基づいて対処されてきたのか。  もう時間もあまりありませんので、簡単に経過を言うてもらいたいことと、長官もああいうふうにおっしゃっているのだから、今後どういうふうに、少なくともいつまでにはこういうことは改革するという最終的決断を出してもらいたい。
  115. 大塚順七

    ○大塚政府委員 お答えいたします。  公務員で企業に関連のあるような事業に従事していた者に関しましては、先ほど先生御指摘のようないわゆる天下りの関係で規制をいたしております。  それから今回のケースにおきましては、受け入れ省庁側の御説明によりますと、主として調査研究の業務に従事いたしまして、関係省庁間においてそういう実態をいろいろ検討いたしました結果、派遣企業関係のない職務に従事させている者のうちで業務遂行上必要と認めざるを得ないものにつきまして非常勤の国家公務員にするというようなお話を聞いておりますので、その点につきまして所要の給与を支給いたしますほか、勤務時間とか服務、いまおっしゃいましたようなポイントに対しまして取り扱いの明確化をはかることといたしまして、その他のものにつきましては受け入れの解消をはかるようになっているという次第でございます。
  116. 神崎敏雄

    神崎分科員 長官、どうですか。
  117. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほど来たびたび申し上げておりますように、国会の御意思、私どもはできる限りそのような方向で対処してまいるつもりで、だんだん数を減らしたり、それから配置場所を適正にしたり、あるいは残る者は公務員と同じような規律を守らせるという方向をとってまいることにしておる。これは永久に置くということではなしに、国会の御意思に従って逐次その方向でできるだけ早く整理をしてまいる、こういう処置をとるのがよかろうと私は思います。
  118. 神崎敏雄

    神崎分科員 できるだけ早くとってもらうために、あと私は三分しかありませんので、読み上げます。こういう実情だから早くやりなさいということですよ。これはこういう人たちの動きやら言動について御紹介いたします。  たとえば開発途上国の人々との経済セミナーに出席して、そこでこのセミナーに出席した人が自分の属する企業経済進出のために人的、物的データを手に入れておる。  それからもう一つは、経企庁発行の庁誌に「ESP」というのがあるのですが、それの広告掲載について自分の会社との仲介役をしておる。幹部役員の講演原稿をつくっておる。また幹部役員の出張の際、切符や旅館のあっせんをしておる。こういう形で人的にも非常に密接に形成されておる。  それから次は、自分たちの重要な仕事の一つは、経企庁自体の、またそれを通じての各省庁の経済情報の入手と人的コネつけであると言明されておる。  もう一つ経済企画庁にいる部員、いわゆる出向部員ですね、これで経遊会という会をつくっておられる。この会の創設発起人、これはAとしておきましょう、すぐニュースソースがわかりますから。経遊会は将来、経企庁次官などに対する圧力団体にしていくんだと言明をしている。  もう一つは、会社の金でゴルフ、マージャンに職員を誘う。金のことは心配してくれるな、こういうふうに言われておる。もっと言うならば、いわゆる基本法の何ページから何ページまではおれが書いてきたんだ、こういう形で、会社に帰れば四、五年で部長になる。  こういうような形で、持ちつ持たれつといいますか、まさに不明朗きわまるようなことが行なわれているんです、長官。これではやはり長官の言われていることとは違う。だから、すみやかに、もう何回も聞くようなことはさせないように、もう思い切ってそういう形とは縁を切っていただいて、特に先ほどあげたような企業から来られている人とは縁を切っていただいて、そして一般の方々を募集されるように公募されて、いまおられる方をすぐ国家公務員にするとか、またそこにお金を出して——手続が悪かった、お金を出す。向こうは来たほうがぼろいから、黙ってお金まで出して、マージャンしてください、ゴルフしてください、お金をもちますと言うているんですから、その人にまで月給を払うということは、何かに追い銭ということばもありますが、こういう関係を明確にしなければ経企庁の中はガラス張りにならない。こういうことを申し上げて、私は時間が来たから終わります。ひとつ考慮して、すみやかにやってください。二度とこの質問を私にさせないようにお願いします。
  119. 湊徹郎

    湊主査 これにて神崎敏雄君の質疑は終了いたしました。  次に、八木一男君。
  120. 八木一男

    八木(一)分科員 内田経済企画庁長官はじめ関係政府委員に端的に御質問をいたします。  内田経済企画庁長官は、いまの状態に非常な責任を持たれなければならないと思うのですが、あなたの企画庁で取りまとめられた四十九年度の経済見通し、これは当然いまの状況で変更をせにやならぬ。出したものだから、あるいはできるかできないか知らないけれども努力目標で出したんだからというような遁辞は許されないと思うのですが、このことについては、予算委員会の総括、一般でも、時間の足りない状態の中で触れておきました。その後、それを聞かれて反省されたかどうか、反省されて、どのような態度をしなければいけないということを考えられたかどうか、ひとつ伺っておきたいと思います。
  121. 内田常雄

    内田国務大臣 四十九年度の経済見通しは、八木さん御承知のとおり、四十八年の十二月の段階で一応つくりましたものを、石油関係とかあるいは物価の状況等のその当時の推移を織り込みまして、あらためて検討をし直しまして、この一月につくりましたので、私といたしましては、現在の状況におきましては、これをもう一ぺん改算をし直すことはしないつもりで進むつもりでおります。
  122. 八木一男

    八木(一)分科員 しないつもりだなんて、そんなばかな話がありますか。あなたはあなたのメンツが立つかもしれないけれども、国民はそれでたいへんな迷惑をする。あなたはいまの政治家としてとるべきものは、誤った不十分な経済見通しを直し、国民に対する対処をすることが政治家の責任です。いま変える必要はないというようなことは、あなたは政治家の資格はないと思う。  そこで伺いますが、あなたの前任者の時代もありますけれども経済見通しをやられるときに、大体十二月ごろの消費者物価の水準その他卸売り物価やいろいろなことも経済見通しはやられますけれども、消費者物価の問題では、そのときの水準でいろいろ考えておられるわけであります。昭和四十六年の十二月の対前年度比は四・六%の値上がりでありました。そのときに昭和四十七年の経済見通しは、五・三の消費者物価の値上がりを予測してつくってあります。これは資料がないかもしれませんが、あなたのほうでつくった資料でやっているのですから、お見せしてもいいです。それからその次には、四十八年度の経済見通しをやるときには、十二月は五・三上がるということで、四十八年度には五・五上がるということで推定してやっていられるわけであります。ところが、四十八年度は、その前の十一月の水準でとらえましたから少しずれておりますけれども、いま、四十九年度は九・六ということで経済見通しを立てておられるわけであります。  ところで、いま消費者物価の指数は猛烈に上がっておりまして、大体このような変動のくるまでは、十一月、十二月、一月ごろの前年度比の値上がりと同じようなものが上がると推定しても、それほど大差がなかったわけですけれども、これだけ大きく変わったのですから、つくったものでも、それはそういう状態に応じて計算をし直す、見通しを直すということをされなければならないと思うのです。大体あなた方がつくった経済見通しをもとにして、消費者物価は九・六上がるだろう、そうしたら生活保護水準はこの程度でよかろうということで、予算が組まれているわけです。あなた方がそれを直さないから国民生活が破壊をされるということになるわけです。  内田さん、政治家であれば、出したものを直すのはメンツが失するなんということを言われないで、あなたのメンツがなくなることによって一億の国民が助かるなら、あなたのメンツなどなくすことが政治家の任務だと思う。経済見通しをいまから変えて、そしてそれをもとにした予算案にいまから変えるということをやられなければならないと思うけれども、もう一回伺っておきたいと思うのです。
  123. 内田常雄

    内田国務大臣 おっしゃるとおりでございまして、私の個人的メンツというようなものよりも、国民経済の指導のほうが大切であると私は思います。でありますから、たとえば昭和四十八年度の経済見通しというもの——私が経済企画庁に参りましたのは十一月の終わりでございましたが、そのころの物価というものは、四十八年度の経済見通しをつくりましたときには卸売り物価がたしか二%ぐらいの上昇、消費者物価でも五・五ぐらいの上昇ということでつくられておりましたが、まるで様子が違ってきておりますので、私は、これは年度の途中になりますけれども、やはり四十八年度の分についても思い切った改定をしたほうがいいと考えまして、その当時の物価の状況等に合わせたり、あるいはまた物資の窮屈になりかかっている状況に応じまして、実質GNPの成長率も、当初の見込みの一〇・七%ぐらいのものを、御承知のように、六・五ぐらいに落としたり、その反面、名目所得のほうは、物価の値上がりを織り込んで、名目的にはさらにふくらむというようなことに実は直しまして、これは私がメンツにとらわれなかった証拠でございます。  しかりしこうして、四十九年度につきましても、四十八年終わりぐらいから一月ぐらいにかけまして、いろいろな異常状態が起こっておりましたので、たとえば石油などの見通しにつきましても、四十九年度の当初の見積もりでも私どもは少し先を読んだということになりますか、石油の入着価格なども四十八年度の状況から見ますとかなり高いものを見込んだり、また物価につきましても、これは四十九年度もある程度上がらざるを得ないということを見越して、当初の閣議了解の経済見通しをつくりました。しかし、それが年を越えまして、さらに一そうこれは見直したほうがいいということでいろいろその物価の試算もし直したり、国際収支などもことに大きく見直しをいたしまして、そうして二度目の四十九年度の見通しを正規な閣議決定にいたしておるわけでございます。  その後も、おっしゃられましたように物価が上がっておりますけれども、しかし、いまたとえば一月の消費者物価が昨年の一月に対して二十数%上がっていますから、消費者物価の九・六を直すということではなしに、これは年度と年度との比較でございますから、まあ四十八年のまん中ごろの物価と四十九年のまん中ごろの物価を比較するという想定に立ってみますると、それはまあ一分一厘狂いがないような状態が必ず実現するとは申し得ませんけれども、いまここで、先ほど申しますように直す必要はない、こういうふうに私は判断いたしておるわけでございます。
  124. 八木一男

    八木(一)分科員 かってなことばかり御答弁になるものじゃありませんよ。予算の基本方針がきまったのは十二月の十九日ですか。昨年の十二月の予算の編成の基本方針、それから四十九年度経済見通しがきまったのは十二月の三十一日ですか、十九日ですか、どっちですか。——二十一日ですね。それで、予算経済見通しが確定したのは一月の二十一日ですね。その間で、あなたがおっしゃったように、石油がどうだこうだということで、国際収支だとか、卸売り物価だとか、通関の数字だとか変えておられるのでしょう。消費者物価のほうだけは変えないでほってある。何たることですか、これは。いろんな関係のある事業者にはそれはいいかもしれない。それは変えていけないというものでなく、変えたほうがいい。ところがその間に消費者物価が暴騰しているのにあなた方は変えてない。事務的に片っぽのほうを変えられるなら片っぽのほうだって変えられるはずじゃないか。国民生活のほうに関係の深い消費者物価のデータは変わっておるのに、それをほったらかしにして石油の関係や卸売り物価だけ変える、そんななまけた話がどこにありますか。  そこで、十二月の二十一日にあなた方が翌年の経済見通しに使われるためのその指数は十二月の数字じゃないですね。十一月の末に発表された消費者物価指数、それは十月の全国の平均をとったものですよ。そんなものをもとにして——それから急変しているのを国民が全部知っている。物価の総元締めの経済企画庁が知らないはずがない。それなのにほっかぶりをしてそのままほっておく。そんなことで政治家といえますか。十一月の二十九日ですか、消費者物価が出ていますね。そうして一月の二十一日ですから、確定するまでにずいぶん期間があるわけです。どうしてそれをお変えにならなかったか。
  125. 内田常雄

    内田国務大臣 八木さんのおことばにもありましたように、卸売り物価は、暮れのうちの閣議了解と年を越してからの閣議決定との間で、卸売り物価のほうは上昇率を多くいたして変えております。消費者物価のほうは、これもお説のとおり変えておりませんが、消費者物価というものは卸売り物価のあとからついてくるものでございまして、したがって、もちろん卸売り物価も押えることに全力を尽くしますが、卸売り物価のあとから実現する消費者物価につきましては、その間なお政策的努力をする期間がございますので、物価が国民に一番接着するのは消費者物価の場合が多うございますので、消費者物価は個別物価対策をはじめ各般の総需要対策も積み上げまして、そうして十二月の見通し以上に上がらないようなそういう努力ができる、こういう見通しのもとに消費者物価は変えてない、こういうわけでございます。
  126. 八木一男

    八木(一)分科員 もうあなたも自分でじくじたるものがあると思うのですよ。言っていることは全部説明になりませんよ。卸売り物価がそれほど上がらないと推定した十二月の十九日の見通し、それから基本方針、それから卸売り物価が上がっているんでしょう。上がった見通しを入れておられるのでしょう。努力はしなければならないでしょう。努力はしなければならないが、あなた方の経済企画庁の能力で幾ら努力したってそんなに押えられるものじゃない。実績が示している。  それじゃ、その中に最大限の努力をしなければいけないけれども、前に卸売り物価が上がっていない推定のときの努力で九・六に消費者物価がなっているのでしょう。それから卸売り物価が上がるということになれば、幾ら努力してもそれより消費者物価が上がるという要件じゃないですか。そういうことになるわけでしょう。努力は同じだ。そしてその前の推定よりも卸売り物価が上がるということになっていれば、努力は同じとすれば、消費者物価もそれにつれて、時期のズレはあるけれども、そのズレはずいぶん少なくなっていますが、ズレはあるけれども、上がる推定をするのがあたりまえでしょう。あなたは政治的な努力があると言うが、政治的な努力があっても、この狂乱物価のときにあなたや田中内閣がひっくり返っても、そのことを完ぺきにとめる力はないですよ。  それならば、ちゃんとその見通しをやって、努力はせいぜいしてもこのぐらいだということで経済的な見通しをやり、そして予算を立てなければ、国民生活はたまったものじゃない。もっと上がるのに、ちょっとしか上がらない、だから生活の方面はこの程度でよろしい、年金はこの程度でよろしい、福祉施設へ入っている人の生活費はこの程度でよろしい。あなた方がへ理屈をこねている間にその人たちの健康はどんどんと衰弱するわけです。何百万という人が健康を阻害しているでしょう、あなた方のメンツのために。いまからでも変えなさい。どうして一月に変えなかったか。もう一回言ってください。
  127. 内田常雄

    内田国務大臣 先ほどから申し述べておりますように、消費者物価につきましては、卸売り物価と消費者物価の値動きとの間には期間がございますので、それらの期間において政策的努力を積み重ねる余地が卸売り物価以上にある、こういうことで、消費者物価につきましては九・六%と、こういうことにいたしました。  なお、年金のスライド等によりましては、この見通しでやるわけではなしに、御承知のとおり、過去の実績で五%以上上がりました場合には、十月とか一月とかで当然改算をされるわけでございますから、私が社会福祉の充実をこれによって阻害しようというような考え方は毛頭あるわけではございません。
  128. 八木一男

    八木(一)分科員 阻害しようという考え方があったらたいへんですよ。即刻あなたは国務大臣も衆議院議員もやめなければならない。憲法違反ですよ。そんなことが一言でもあれば、ほんとうにうしろにあれば、即座に政治から追放されなければならない。あなたはそうではなくて、それを促進しなければならないのです。阻害するような考え方があったらとんでもないですよ。促進をなまけているのは、国務大臣の資格がないということです。  そこで、いま言ったように、努力で何とかと言う。努力で何とかというのは、経済見通しをつくったときの十二月の経済見通しの総ワクを一応認められてそれを一月に再確認されたんですね、卸売り物価その他を修正して、そのときにも政府は全面的に努力するはずだったんですよ。十二月はなまけるつもりだったんですか。十二月も一生懸命努力するはずだったでしょう。一月も同じように一生懸命努力するんでしょう。そうしたら、その努力の前の前提の卸売り物価が上がるということになれば、それ以上に消費者物価に影響があることばあたりまえじゃないですか。十二月には努力はいいかげんにするつもりであったのかどうか、伺いたいと思います。
  129. 小島英敏

    ○小島政府委員 先生おっしゃる点はよくわかるわけでございますけれども、卸売り物価を改定したにもかかわらず消費者物価のほうを動かしませんでした理由を若干整理して申し上げますと、大臣言われましたように、卸売り物価から消費者物価に波及するのにタイムラグがあるというのが一つでございます。  それからもう一つは、石油のああいう問題についての物価に対する影響というものを各種の方法で計算してみますと、やはり卸売り物価のほうに非常に強く響く。消費者物価のほうは響き方が少ないということがいえるわけでございまして、かりに産業連関表なんかで、これは机上計算でございますから、そのとおりにはなかなかまいりませんけれども、原油価格が二倍になったときに物価にどれだけ影響するかという計算をいたしてみますと、卸売り物価が四%、消費者物価が二%というような数字もあるわけでございます。これが第二点でございます。  それから第三点は、これは先生も御存じのとおり、政府経済見通しというものは純然たる見通しではございませんで、政策努力を加味した目標ということでございます。物価はやはり卸売り物価と消費者物価も当然政府は全力をあげて押え込まなければいかぬということは言うまでもございませんけれども、どちらかといえば、やはり国民の生活に密着している消費者物価のほうを一そうやはり低く安定しなければいけないということでございますので、消費者物価のほうは特に政策努力を加味する……(八木(一)分科員「もう長いことはいいです」と呼ぶ)特に政策努力を加味する度合いを強めて多少石油の関係は上がっても押えようということでございます。
  130. 八木一男

    八木(一)分科員 局長答弁も全く自分たちが変えなかったことの弁解にすぎない。タイムラグがあるということは十二月の段階でも一月の段階でも同じだ、卸売り物価と消費者物価のタイムラグがあるということは。政府努力も同じだと思うのです。基礎の状態が違っていたら、同じ努力で同じタイムラグであればそれは変えなければいけない。政府のほうは努力目標を示して、国民に精神的にそんなに上がらないということを言いたいのでしょう。それはある程度はそういう気持ちはわかりますよ。しかし、そんなに変わって、そういうことを努力目標ということで実態に合わないことをつくられたら、実態に合わない経済見通し予算をつくられたら、国民はだいじょうぶです、だいじょうぶです、生活は破壊されませんよと言われておるうちに、実際は生活を破壊されるのです。企画庁のメンツがあり政府のメンツがある。企画庁や政府のメンツは、それは国民の生活を破壊するメンツであるということになりますよ。狂乱物価のときですから、いままでのようにへ理屈でものが通るというような考え方は間違いです。局長内田大臣も、いまからでもその見通しの悪さをわびて、これをつくり直しましょうということを進言なさらなければいかぬ。局長以下関係者は一人残らず全部。そうでなければ国家公務員の資格はありませんよ。  それで大臣、もう時間がないからあれですけれども、あと簡単に数字だけ言ってください。十二月の経済見通しの総ワクをきめたときの数字は十一月の消費者物価指数のあれできまったが、十月は、そのときには全国平均は何%の対前年同月比値上がりだったか。一四幾つでしょう。
  131. 小島英敏

    ○小島政府委員 十月の全国CPIの前年同月比は一四・二%でございます。
  132. 八木一男

    八木(一)分科員 それであなた方が基本方針を出されたから一五・九ですか、それで一月のときに一九・の幾つになって、東京は二〇・四、いまはそれよりもはるかに上がっている。一月に出されてから数日後にめちゃくちゃに違っているものが出てきている。あなた方は一四と言うけれども、そのときにすでに数字としてそういうものは出てきているわけです。そこで変えても政治日程はちっともおくれないわけです。しかもそれから後に物価を押える努力をしましたと政府は言っているけれども、あの第五条と第三条の問題、五条を一つも使っていない。最善の努力をしますと言うけれども、その努力一つもしていないことも明らかになったじゃないですか。そうしたらそれだけ分上がってくるのはあたりまえじゃないですか。また今度はメジャーが何とかいって石油がどうとか電力がどうとかいろいろな問題がある。全部国民の生活にかかってくるじゃありませんか。あなた方はことしの後半まで国鉄運賃や消費者米価をどんなことがあっても断じて上げないというならば、その要素は少し減る。しかしそれも上げたいようなかっこうで夏までというようなことを言っている。下がる要件は一つもないじゃないか。上がる要件ばかりじゃないですか。  時間がないから国務大臣に言っておきますが、そういうことですから、経済見通しは全くのでたらめだ。基本的に経済見通しを変えて四十九年度予算案を出し直すということを閣議で主張なさらなければならない。それが一つ。  出し直すのが間に合わなければ与野党に熱心に要請をして、その状態に合うように予算を変えてもらいたい。内閣から、自由民主党や日本社会党や日本共産党やあるいはまた公明党や民社党、御苦労ですけれども、根底のない予算でありました、根底のない経済見通しでありました、申しわけありません、いまの状態でその予算を変えるように、各政党で国会のほうで御努力を願いたいとあなた方のほうから陳情に回るのがあたりまえです。  四十八年度も同じような状態です。いまの国民春闘の問題であなた方のいろいろなやり方のために生活が破壊されている人たちに対して、たとえばインフレ福祉手当の問題、あるいは各種年金等のスライドの問題、そういう問題が課題に載っているわけです。この前あなた方が労働団体と会われる前の日に、私は社会保障制度審議会の十一月十九日の建議について説明して、これをその晩中に克明に読んで勉強して——しかもそれが出たのが、十一月十九日の状態であのくらいのものが出ている。それから物価が狂騰している。それならばその字句一つ一つをもっと三倍ぐらいに拡大をしてやらなければならないということをかみしめて国民の代表に会え、そしてそれにまともに対処をしなさいということを申し上げておいた。経済企画庁長官はその代表の一人であったかどうかは知らない。しかし国務大臣の一員である。あのようなインフレ手当、私の計算では少なくとも四万円、労働団体のいろいろな計算では三万円以上という要求になっておる。あなた方がいま出そうと考えているものは、生活保護では一級地で二千円平均。一級地ですよ、これは。四級地ではまた値切るのでしょう、千四百円。そして四人で八千円、四級地では五千六百円、一世帯。私の計算では四万円以上必要である。労働団体の要求では三万円以上必要である。そこのところを八千円から五千六百円くらいでお茶を濁そうという。  そういう考え方自体が国民を裏切っているものであるということをかみしめられて、あしたかあさって閣議があるでしょう。あなたが経済見通しを誤ったものをそのままにしておるのを、来年度から、この意味で総体的に国民生活が圧迫をされていることをしみじみと反省をされて、せめてもそれを取り返すためにこのような要望にこたえなければいけない。こたえることができなかったら、内田さんは政治家としての任務を果たせない。田中角榮君に、断じて、国民春闘の要求に全面的にこたえるようにしなさいという進言をなさい。進言がいれられなかったならば、政治家としての責任をとって辞表をたたきつける。何の何がしが反対をした、どの国務大臣が賛成をしたということを天下に公表をしてやめていくのが、あなたの政治家としての責任であろうと思う。この点をかみしめて、ひとつ決意をもってそれに対処をしてもらいたい。明確に国民に対して責任をとる立場で御答弁を願いたいと思う。
  133. 内田常雄

    内田国務大臣 まず、お話の中に二つの要点があったと思いますので、二つのことについてお答え申し上げたいと思います。  四十九年度の経済見通し、なかんずくその中の消費者物価の上昇計数をさらに大きく変えるか変えないか、それをもととして四十九年度の予算の補正を政府みずからやるか、あるいはまた野党の皆さま方に修正をお願いするかということにつきましては、これはいま八木さんのお話でも、昨年の年末からことしの正月にかけまして、卸売り物価も消費者物価もかなり目ざましい上がり方をしているじゃないか、これを無視して四十九年度の経済見通しをつくられたのはけしからぬ、こういうお話でございますが、いま問題になっておるのは、きょうを含む四十八年度中の物価の値上がり状態と、それから四月から始まる四十九年度の物価の値上がりでありますが、いままで物価は大いに上がってきた、こういうことではならぬということで、総理大臣も大蔵大臣も私も、経済閣僚が述べておりますように、物価の基調というものを、春とか夏ぐらいにかけましてその状況を鎮静をさせる、こういう決心でいろいろな施策を展開をする、こういうことになっておりますので、私は四十九年度においては、四十八年度と比べます場合には、それは四十八年度の秋からことしの正月にかけましたような大きな消費者物価の値上がりはさせない、こういう考え方のもとにこの四十九年度の経済見通しをつくっておりますので、したがって予算につきましても、これは大蔵大臣あるいは総理大臣が申すことかもしれませんけれども政府みずから予算の出し直しをする、こういうことはここで申し上げられないところでございます。  第二は、物価の上昇の過程において、恵まれない人々に対する施策でございますが、これは金額の違い、人数の違い等の問題はございましょうけれども、実はけさの閣議で正式に、人数にいたしましては六百数十万人、それに一人当たり二千円ないし二千五百円ということで、予備金支出で合計百二十数億円の支出をいたすことにきめましたので、これもお気持ちはよくわかります、私は微力でございましたが、厚生省におりました経験もございますので、そういう恵まれざる谷間におられる人々に今日の物価の上昇の中においてはできる限りいろいろな手で対応策を講ずべきであるという気持ちを持ちますし、またあなたが社会保障制度審議会の中で御答申になりましたものを私も拝見をいたしておりますので、私もあなたも気持ちは通ずるところは実はあるわけでございまして、これらにつきましては、先般春闘共闘委員会の代表の方々と閣僚の個別会談を二度ほどやりましたが、そのときにも、すぐに金額を改定したりあるいはその他の施策につきまして、具体的のことは申し上げませんでしたけれども、これはてまえみそになって恐縮でありますが、いらっしゃった方々も、おまえの考えはよくわかる、こういうような気持ちを持っていただいたと思っております。このことにつきましては予算の補正とかあるいはきょうの閣議決定の予備金支出のどうこうの問題にこだわらずに、今後におきましても八木さんのそういうあたたかい気持ちを、そちらから迫られたということではなしに、私どもが、国務大臣としても政府としても、できる限りの努力をいたしてまいる所存でございます。
  134. 八木一男

    八木(一)分科員 後半少しましな態度を示されましたので、国民のためにほんのちょっとうれしい気持ちがします。ほんのちょっとですよ。それで、時間がないから二つの問題を言ったのですが、頭のいい内田さんはおわかりになっておると思うのです。公的年金その他のスライドの問題もさっきちょっと言ったつもりです。ですから、四十九年度になってから——いまの厚生大臣は一生懸命にやっておるけれども、ちょっとこの問題については紋切り型です。計算ができないからどうしても十一月までどうにもならぬ。こんな狂乱物価に計算ができないなんということはないのです。それはいまのところは臨時的にきまったものに、たとえば来年の経済見通しが九・六なら一〇九・六をかければいい、二五になったら一二五をかければいいということはできるのです。それをいろいろな理屈で、賃金スライドや何かのことは一年後にきちっとしたらいいけれども、その間は単純な数字をかければ、そんなもの即時にできることです。ですから、来年、下がればいいのでしょう。スライドというのは、上がったら上げる、下がったら下げるのですから、これはそういう御心配なしに、あなた方の御努力どおりとまる、下がることはめったにないと思っているが、下がれば下がったでかまわない、もう上がるにきまっているとわれわれは心配しているからあれなんですが、上がったら上げるというスライドを、そんな一年単位というようなゆうちょうなことを言わないで、一月単位、せめて三月単位ぐらいに上げる。これはあなたも厚生省もやっておられたのですから御存じだと思う。厚生省が計算がむずかしい、こんなときに計算がむずかしいといって対処できないようなものは政治じゃありませんよ。ひとつ国務大臣として、断じて田中角榮君にも福田君にもそれから齋藤君にもこれをやれと、あなたは硬骨漢である一面もあることは知っています。硬骨漢をへんなところに出されたこともありますけれども、いいところに出してもらわなければ困る。断じてやると主張される、そういうふうにしていただきたいと思う。  それから、年度末の問題は、これは明らかにあなた方はこの年度内、これからと推定しておられるけれども、その推定も十二月ごろされた。急に消費者物価は上昇しておるのが現在の事実ですからね。それから五%十月に生活保護費を上げた、あるいは失対賃金を上げたというけれども、その十月に上げたのは、九月二十一日に決定して、それは八月の末の消費者物価指数できめて、それは七月の全国の水準できめたもので、十月に上げたときからもう生活が詰まっているわけです。ですから齋藤君などは一、二、三を考えているようだけれども、こんなものは断じてならぬ。前からずっとたまっているのだ、一月決着でそれはつくというような観念論は許されない。からだが栄養失調になって耐えている、そういうことで、前からのものを全部考えなければいかぬ。そうなればどんなに計算したって三万や四万になる。  そういう点で、いま閣議で決定されたそうですが、閣議はいいことをどんどん決定を増大されていいわけです。きょうの閣議でそこまで一歩上げられた。百歩上がってもらわなければならない。あしたの閣議ではそれを倍にする、あさっての閣議では三倍にする、しあさっては四倍にする、そのような勢いで推進していただくことを強く要求いたしまして、私の質問を終わります。
  135. 湊徹郎

    湊主査 これにて八木一男君の質疑は終了いたしました。  次に、竹本孫一君。
  136. 竹本孫一

    竹本分科員 私は、最初に経済見通しの発表の形式の問題ですけれども要望をかねてちょっとお伺いしてみたいと思います。  日本政府が発表する白書がいろいろたくさんありますし、あまりたくさんあるので、白書の白書が必要であるという人さえおるぐらいにたくさんある。しかしその大部分は、みんな過去を振り向いている、うしろ向きの白書である。その中で前向きのものといえば経済見通しではないか、こういうふうに思うわけですが、そういう意味で、経済見通しというのは非常に大事で、これをたよりにして国の経済全体が動いているといっても過言ではない、かように思うわけです。ところが残念なことには、いまもいろいろ御議論がありましたけれども経済見通しは大体において数字の結論が与えられておるだけである。もちろん若干の説明は入っておるし、ついておるわけですけれども、十分でない。  そこで私のお伺いしたい第一点は、これにもう少し経済の内外の情勢の分析を、政府はどういう分析をしてこういう結論を出しておるか、その前提条件というか、内外の情勢に対する分析というものを詳しくわれわれが知ることができなければ、ただ二・五%の成長だとか一〇%の成長率とかいってみても、それを信ずるというか、それを承るということだけにとどまって、ほとんど検討ができない。そういう意味一つの点は、もう少し内外の情勢を、結論を出された内外の情勢の分析、それに対する政府考え方、受けとめ方といったものを、だれが読んでも、少し経済のわかる者が読めば、なるほどこういう前提に立っているからこうだということで同感する場合もあるだろうし、いや、この前提が間違うからわれわれとしては困るのだということで、反対の意見を出すこともできる。いずれにしてもムードや感情論でなくて、特に経済見通しというものは科学的に冷静に行なわなければならぬ。  したがって、政府が行なった分析を、われわれに正直に前提条件を出してもらって、お互いが共同の勉強ができるようにしたらどうかと思うのですけれども、いまの発表方式というものはあまりにも簡単で、極端にいえば結論が与えられているだけのような感じがいたしますので、大臣のところで今後の経済見通しを御発表になる場合には、その前提条件というものをもう少し詳しく分析的に提示されたらどうでしょうということです。
  137. 内田常雄

    内田国務大臣 私、経済見通しの数字を並べたものはそれなりに非常に啓発的なところもあり、また私どもがいろいろな作業をいたす際の基礎になり得るものがあると思います。しかし、あれについております、前半のほうの「経済運営の基本的態度」という文章がございますが、竹本さん、それをおさしになって御批判があったと思いますが、私もあの文章はほんとうは、これはまあ内輸の分科会ですから申しますと、尊敬はしないのです。この文章は、天気のいいときは雨が降らないというようなことしか書いてないじゃないか、ごくあたりまえのことしか書いてないじゃないかということで、あの文章を斜めに読んでみて、あなたと同じように実はあの文章には失望を感ずるものであります。しかし、経済企画庁のエコノミストの諸君があんな文章しか書けないのかというと決してそうではありません。長年の、あるいは数年間の習慣がこういうかっこうになっているんだということであれだけしか書かれないというような形でありますが、ほんとうにあれではいけないと思いますので、もう少しほんとうに政策指導の勘どころ、あるいはまた経済の動きの受けとめ方というようなものを入れたようなものを何とか経済見通しの前後の説明といいますか、経済運営の態度にはつけるように私努力をしてみたいと思います。  しかし、それはそれといたしまして、たとえば簡単なものでは経済月例報告でございますとか、あるいは毎月の景気の見通しでありますとか、私なども不勉強でございまして、経済企画庁でこんな調査があるのかと思うものが、これは過去の白書ではなしに、その時点その時点において広く内外の情勢見通したり分析したようなものがないではありません。そういうものを皆さまのお目にとまるようにもう少し系統的に計画的に出すようにつとめてまいりたいと考えております。
  138. 竹本孫一

    竹本分科員 大臣から前向きに御答弁をいただいてありがたいと思いますが、いずれにしましても、とにかく経済を勉強する人の参考資料として生かせるだけの内容のあるものにしてほしいということでございますので、ぜひこの次の経済見通しぐらいからはそういう分析的なものをひとつつけ加えて発表していただくということをお願いをしておきます。  それからもう一つ、これも要望みたような質問みたようなことになりますけれども、私は、これは大臣も大蔵省にいらっしゃったから申し上げるわけですけれども日本の財政のように単年度で予算を組んでいるということで、しかもそれを裏つけるいわゆる財政の五カ年計画というようなものはないのですね、いま日本には。ところが、アメリカにしてもヨーロッパの各国にしても、先進国ではいろいろやり方は少しずつ違いますけれども一つの財政五カ年計画というものが大体ある。あるいは少ないのは三年計画がある。要するに長期的展望に立たなければ、福祉国家の建設なんていうものは、ことし厚生省の予算をふやして来年減らすというわけにはまいりませんので、とにかく福祉国家の面から見ても、それからまたいまの財政の見通しといったような面から考えても、これはやはり長期的展望がなければいかぬ、こう思うのですね。  ところが、四十九年度の経済見通し、こういうふうに単年度で切って出る、あとはあとで考えるということになるのでしょうけれども、そういう意味から申しますと、いま背景になっている内外の情勢を科学的に分析的に提示してもらいたいという要望を申し上げたのにつけ加えて、次の要望になりますけれども、これはいま簡単になかなかできないと思いますから、まあこれも要望にとどめますけれども、やはり長期的展望というものを経済企画庁は持たなきゃうそだ。そして将来は財政の五カ年計画とあわせて経済の長期的な、これは見通しのほうですね、あとで経済社会計画についてはまた御質問いたしますが、あれがあるではないかと言われるかもしれませんけれども、あれだけでなくて、特に見通しに重点を置いたものでどういうふうに考えていこうとしておるのかということも考えていただきたい。要するに幅広く、それから長期的な展望の中での経済見通しでないと意味がないではないかということであります。これはあとで簡単に御答弁いただけばけっこうです。  次に、ことしの経済見通し、二・五%の経済成長ということでございますが、その後の経済のプラスの変化もあればマイナスの変化もあると思うのです。特に石油について言うならば二億七千万キロリットルというようなことが前提になっていると思うのですけれども、実際はもう三億キロリットルをこえるであろうと私は思います。そういう点も含めて、結論だけでいいが、いまだに二・五%の経済成長というものを中心に考えておられるかどうかということだけ伺います。
  139. 内田常雄

    内田国務大臣 結論を申しますと、その辺でまいりたいと思います。これは竹本さんよく御承知のとおり、私どもは二・五をつくります際には、これはもっぱら政治的、政策的な成長率を盛り込んでいくというようなきびしい批判が、どちらかというとございました。成長ゼロ%というような有力エコノミストの論文があった最中でございます。しかし近ごろになりますと、いま竹本さんのおことばの中にも、二・五ではなしに、石油がある程度いけばもう少し経済成長率は実質的にも大きくなるのじゃないか、こういうお考え方を言外に秘めていらっしゃるようにも承りましたが、そういうわけで、前後左右にいろいろな見方をなさる方がおりますので、私どもはそういう方々のお説を十分承ってはおります。承ってはおりますが、現段階におきましては実質二・五%、これにまたデフレーターをアプライいたしました成長率が一二・九%、たいへん幅が開き過ぎておりますが、そういうことでいまの段階においては進んでまいりたいと考えております。  なおまた、おことばのうちにありました財政の長期計画等のこと、これは御承知のようにしばしば計画をされたことでもあり、また財政の仕組みの中にも継続費の計画とかいうような制度もあって、なくなってまた一部分復活したようなところもございますが、しかしそれにかえて、たとえば社会福祉につきましても、社会福祉の全体としての、たとえば振替所得の目標を国民所得に対する八・八%にするとか、あるいは社会福祉施設充実の長期五カ年計画とか、道路については言うまでもない、あるいは水道とか港湾等々のいろいろの面でこれをまた総括したものが、すなわち経済社会基本計画にもなる面がございますので、例の九十兆の長期計画にもマッチするものでございますが、そういうものもありまして財政がそのとき、その年限りの状況で一人歩きを思いつきのまましているものではない。でありますから、もう一歩私どもは視野を広げてそして見通しを持つならば、財政につきましてもお説のような長期、中期の見通し計画というものを立て得るのではないか。これは勉強を進めるべき課題であると心得ます。
  140. 竹本孫一

    竹本分科員 一つだけ具体的に伺いたいと思いますが、二・五%の成長率と政府が言われるようにかりに考えた場合でも、山と谷がある。いま政府は短期決戦で物価問題に取り組もうという御努力をなさっているわけですが、そういうことも受けとめて考えた場合に、大体四半期ごとに期間を分けていろいろな成長率がプラス五%いく場合もあるかもしれないがマイナスもあるかもしれない。全部ならして二・五ということになるわけでしょうが、いま国民が一番心配しているのは、いつごろが一番悪い時期になるか、こういうことですね。私は四−六期が一番悪くなるのじゃないかと思うのですけれども、大臣は、四半期でいうならば第何四半期が最も悪くてあとは漸次好転するであろうとかいうような点についての大きな見通しをひとつ伺いたいと思います。
  141. 内田常雄

    内田国務大臣 これはここに名人の政府委員がおりますから、あとから補足させますが、正直に告白いたしますと、二・五%実質成長率をつくりました際に、四十九年度上半期はとうていそこまでもいかない、場合によればフラットかもしれない、場合によればある瞬間風速においてはマイナスの期間もあるかもしれない、しかし後半から持ち直して、経済の動きが安定して、そして調子を取り戻して、年度を通ずると二・五だ、こういうふうに考えておりました。ところが最近、これはもう竹本さん御存じだろうと思いますが、四十八年度の四半期の実績等がだんだん出てまいりますと、案外十−十二の実績というようなものの実質経済の成長などがああいう物資の不足を伝えられた時期にもかかわらずよかったようであります。十−十二の実績が出たということは、四十八年の暦年の一月から十二月の実績が全部出たということになるわけでありますが、それらを年間を通じて通算をしてみます場合は、それは私どもが四十八年度の改算の経済見通し六・五%、これは七月から今月の終わりまでですから少し期間はずれますが、それよりも高いものでございました。したがいまして、これは石油の問題などでまだもたもたしている点もございますけれども、必ずしも私はこの二・五%というものは、上半期は非常に悪くて瞬間風速がマイナスだというふうに考えなくてもよいような気もいたします。もっとも他の面から総需要の抑制というものをこの際追い打ちをかけてやる方向に私どもは進んでおりますので、経済の実質成長の裏打ちといいますか、それを含んでの動きになりますところの景気の見通しというようなものは、やはり私ども初めに考えたような、いまあなたが述べられましたようなそういう期間にスタグネーションというものがあらわれるのではないかというような気持ちを私は持っております。しかし、これはひとつ調整局長から答弁いたさせます。
  142. 竹本孫一

    竹本分科員 私のほうからもう一度明確に伺いたいのですけれども、私は物価をほんとうに押え込もうということで政府が短期決戦をほんとうにやる気であるならば、いわゆるオーバーキルを覚悟して押え込んでいくということでなければ、物価安定のきっかけはできないと思うのですね。したがって、物価問題に対して、ほんとうに真剣であるならば、やはりオーバーキルを覚悟でやるということになれば、大体四−六期ぐらいが一番悪くなる、またある程度悪くならなければ物価の安定のきっかけはなかなかつかめない、こう思いますが、どうですか、端的にひとつ
  143. 内田常雄

    内田国務大臣 ちょうどその期間が御承知のように財政資金の揚げ超の時期になるわけでありまして、そこでほうっておけばオーバーキルの問題も起こります。ことに油が高くなるということになりますと、その油が使い切れるかどうかという問題もあるかもしれない。これはタクシーでも理容料金でも、ちょっと高くなると初めの間は乗らなかったり、頭を刈るのを少し先に延ばしますけれども、またなれるとそういうものでもないという心理も働きますので油が高くなったからといって経済活動がすぐ停滞するとも思いませんけれども、放置した場合、いまの企業の手元流動性なりあるいは日銀券プラス預金を加えましたそういう購買力化し得る力というようなものは、私はあの四−六期にはほうっておけば一番弱る。しかし、政治はそういうことで経済だけではございませんので、実は今日の閣議でも年度末の中小企業等に対しまして、これはある特定の目標をしぼっての話でございますけれども政府機関からの追加金融とかあるいはまた民間の金融機関における中小企業特別ワクというようなものの設定もいたしましたので、その辺が政治と経済とからむ面が私は出てくると思いますが、しかしそのことは、私どもは物価問題の単期決戦を放棄したということでは全くございません。どういう事態が生じましても、総理が言明されたように夏の時期までにはいまのような物価の鎮静の状況にさらに追い打ちをかけて、そして物価鎮静という事態をもたらしたい、こういう気持ちに変わりはございません。
  144. 竹本孫一

    竹本分科員 御答弁が何だか明確を欠くように感ずるのですけれども、いずれにしても物価問題をあずかる経済企画庁でもありますので、やはり短期決戦の決意というものはもう少し強く堅持していただいて貫いてもらいたい。これは要望ですから、要望申し上げておきます。  次に、経済社会五カ年計画といいますか、基本計画について二、三の点をお伺いしたい。  これは前の国会からもいろいろ議論になっておりまして、御承知のように成長率九・四%の問題から見ても、消費者物価の四・九%の問題から見てもあるいは国際収支の面から見ても、ある意味において実質的にはこの計画は難破船で難破している、こう思うわけですね。そこでこれらの改定をやるということを大臣も言われたこともあると思うのだけれども、そのままになっているような感じがしますが、改定についてどう考えられるかまた改定の時期はどういうふうに設定をされておるかという二つを伺って次に参りたいと思うのです。
  145. 内田常雄

    内田国務大臣 経済社会基本計画というものは、経済指導の理念、経済政策の方針というようなものについては、いまのように物価が高くなりましても、あるいは国際収支が悪くなりましても、私は昨年のこれをつくりました二月のときの理念がそのまま生きておるし、そのままやればいいのだと思います。私自身ほんとうに読み返してみました。しかし、世間では経済環境がすっかり昨年と変わっておるのだから、あれは当然スクラップ・アンド・ビルドの対象になるべきもののようにお考えの向きもあるようでございますが、私がいま申しましたように、前段の経済指導理念というものは生産第一主義とか輸出第一主義とかいうものであってはならない、やはり省資源、省エネルギーで社会福祉を充実することを目標として進むべきであるというようなこと、またそればかりではなしに、さらに国際的には低開発国との協調とかいうようなことまでも取り入れまして、非常に今日的な、いま現在の政治指導、経済指導理念にも合うようなたてまえになっております。  ただ、物価が変ったりそれから国際収支が著しく変わったり、あるいはエネルギーの環境が変わってまいりましたので、その理念によって積み上げてまいりますいろいろな具体的の計画のフレーム、ことにその中身につきましては、これは十分再検討をしなければならない面があると思います。  たとえば社会投資などにつきましても、十一か十二の部門に分けまして九十兆円というワクをつくりまして、その中に生活関連の公共企業でありますとか、あるいは教育とか水道とか道路とか、いろいろなものを入れておりますけれども、とうてい私は九十兆円のワクの中にあそこで取り上げられたような課題がはまるとも思いませんし、それらの点につきましては、あの基本計画が掲げておる理念に沿いつつこれは再検討していくべきであると思います。  幸いあの計画ができました際に、これは毎年フォローアップをする、こういうことになっておりまして、フォローアップの作業をいたしておりますので、そのフォローアップの結果によりまして、いま申しますような少なくとも計量的な、数量的な部門やそれから政策誘導の方法などにつきましては変えてまいらなければならない面が幾つかあると思いますので、そういう方向で進みたいと思います。
  146. 竹本孫一

    竹本分科員 私は、いまの計画の基本的な理念というもの自体に、確かに方向を切りかえた面もあります、その点は評価しなければなりませんが、まだまだ非常に不十分だ、あるいは不徹底であるというふうに思いますが、時間もありませんので、私の考えておる本来の社会経済の基本の計画ということになれば、こういう点が十分盛り込まれなければならぬではないかという二、三の点を指摘をしまして、大臣のお考えを伺って終わりにいたしたいと思うのです。  その一つは、当然のことながら、福祉尊重ということを言われる。しかし、福祉を尊重するということは、これは全部の考え方を変えるということなんですね。従来のGNP中心の成長政策プラスアルファというふうなかっこうで、プラス福祉というものがちょっと終わりのほうにくっついた。これでは福祉国家の建設はぼくはできないと思うのですね。だから、あらゆる経済政策産業構造、あるいは政治理念、政策の基本的なものすべてにわれわれの考え方を変えるということがなければ、ほんとうの意味の福祉国家はできないと思うけれども、その点について、福祉ということばが出てきたり、あるいは福祉の関係予算が若干ふえるというようなことが考えられておっても、ものの考え方の根本がやはり従来の考え方の延長線上にプラスアルファとしてくっついているだけではないか、プラスアルファではだめなんだ、ものの考え方を変えるんだ、その点について非常に、私の言うのは理念的な問題ですけれども、話が不徹底ではないか、取り上げ方が不徹底ではないか。  一つの例を申し上げますと、最近は貯金、預金の利子のスライド制などという問題も出てきておりますけれども一つの問題は、金利水準等から考えてみても、世界で日本の金利水準は、たとえばドイツのおそらく四倍くらい物価が上がっておる、時期によりますけれども、この間までは四倍くらい上がったというときに、金利水準は逆にドイツの半分だというような段階がだいぶあった。そういうことから考えてみても、まじめに貯金した人に目減りで大損をさせるというような考え方も間違っておるし、何よりも低金利政策というのは、根本は高度成長経済をささえた一つの柱なんです。設備投資主導型の高度成長というのは、結局低金利政策、それから間接金融ということが中心でいままでやってきた。福祉国家を建設するというときに、間接金融の問題にも低金利政策にもメスを入れようという努力はどこにも見受けられないということでは、ほんとうの意味の福祉国家の建設は、経済政策の面から見てもできないと思うのです。そういう点について福祉というのはプラスアルファではなくて、これから考え方の根本を変えるということだけれどもどうか、これが一つ。  次に、物価の安定の問題については、時間がありませんから申しませんが、もう一つは省エネルギーの問題、これも一つの大きなこれからの問題で、七億五千万キロリットルを列島改造で考えておるような段階とはまるきり違ってしまった。これから資源ナショナリズムというものはむしろ強くなる方の心配があるということを考えると、これについても発想を変えなければいかぬという点をどういうふうに受けとめて今後の作業をやられるのか。  第三は食糧問題。私はいま食糧の問題はそれほど危機的な様相を示しておるとは思いませんけれども、アメリカの基本政策というのは農産物の輸出でこれからは約百億ドルの黒字をかせいで、油の支払い代金の増加したものは全部そこでカバーしていこう、こういうことがアメリカの基本的な経済政策になっておると思うのだが、それをまともにあおりを受けるのは日本の農業であるが、そうでなくても農業政策が農政のない農業政策というようなことになっておるような問題で非常に重大な問題である。特にわれわれは食糧問題というのは、やはりナショナルセキュリティーの一つの大きな柱という考え方に立って非常に大きく考えなければならぬ。この問題がどの程度のウエートを置かれているかというと、御承知のように安いアメリカの小麦や安い外国のものを買ったほうがいいのだというような経団連のような考え方が一時一世を風靡するかのごとき勢いであった。そういう点を考えると、やはり基本計画の中にもそういう反映があると思うのですけれども、これを抜本的に、やはり農業食糧問題というのはナショナルセキュリティーの一環であるということで考え直さなければならぬと思うがどうか。  最後に、もう一つの問題は、私は、いま緊張緩和の時期だから国防をふやせとか四次防をやれとかいうようなことは言いません。しかしながら、国が存続している以上は、国の文字どおりのセキュリティーということについては考えなければならぬが、三次防であるか四次防であるかは一応別にして、この基本計画というものは、そういう観点はほとんど抜けているのではないかと思うが、そういう点はいったいどうなのか。  以上、三、四点についての考え方をどういうふうに受けとめて新しい計画を練り直そうとされるか、承っておきたい。
  147. 内田常雄

    内田国務大臣 第一点の福祉社会、人間福祉の建設の問題でありますが、これは私がそういう理念を取り入れているということを言いましたので、おまえのそういうことはつけ足りになっている程度ではないかというようなふうにも受け取られたようでございますが、それは全くそうでございませんで、これはひとつ竹本さんに私は返上したいのですが、経済社会基本計画に副題がついておりまして、「活力ある福祉社会のために」ということを、これは第一ページから実はうたいあげておるわけでありまして、その点につきましては、ぜひひとつこれをもう一度読んでいただきたいと思います。  それから、第二点の省資源、省エネルギーの問題につきましては、そういう方向にかじを曲げようといたしておりますけれども、それの政策誘導のための具体的な方向づけ、施策みたいなものは足りないようであります。やはり数億キロリットルの石油精製の設備というようなもの、これは新全総のように具体的に書いた、幾ら石油の輸入が入り用であるかとは書いてございませんけれども、やはり石油への依存というようなものを捨て切っておらない面がございますので、こういう現実に対応しましては、私はもう少しそれは掘り下げてしかるべきであろうと思います。  それから、第三点の食糧の問題につきましては、その点も、これを読み直してみまして、実は、私は先般の本会議で経済演説というものをさせられたのでありますが、そのときには私は、エネルギーの問題と並んで食糧の問題の重要であること、それがナショナルセキュリティーの問題にも関連することをことさら取り上げておるのでありますが、それほど明確には、食糧については横ばい的な考え方しかとってないようにも思います。  第四点の防衛の問題につきましては、この中に特にうたっておりませんが、こういう中に特にうたうべきことかあるいは付録別冊にすべきことかというような言い方がいいかという問題が残るような気もするということを申し上げたわけでありますが、それらの点につきましても、要するに人間が集団的に生活するための経済社会でありますから、その幸福をはかるためには、あなたのおっしゃる意味の食糧とは違った意味の四次防とかなんとかいう意味のセキュリティーというものを度外視しては人間の集団社会というものはあり得ないと私は思う者の一人であります。ただこの中に、他の問題とあわせてうたうのがいいかどうかという問題につきましては、形式の上で検討を要する問題があるのではないかというような気持ちがいたします。  せっかくですから、立案者がいますから補足させていただきます。
  148. 宮崎仁

    宮崎(仁)政府委員 大体いま長官お話しのとおりで、特にございませんけれども、まず食糧問題につきましては、おっしゃられましたように、その後の非常な価格の高騰というような問題は予測できておりません。したがって、国会のフォローアップにおきまして、最近の実態、特に気象の問題などございますので、そういう点も含めまして、中期的な見通しの見直しをやろうと思っております。  それから、最後の点の国防というような問題でございますが、これはこの計画の性格として、東西問題、南北問題等についての考え方は一応書いてございますけれども、政策の体系として国防について書いていくということは従来経済計画としてやっておりませんでしたので、今回も織り込んでないわけでございます。これが資源配分上非常に大きなウエートを占めてくるということになってまいりますれば、この中に入れないわけにはいかないということになると思いますが、御承知のように、現在まだこの資源配分という面から見ると非常にわずかでございますので、特にこの中には記述をしておらない、こういうことでございます。
  149. 竹本孫一

    竹本分科員 以上で終わります。
  150. 湊徹郎

    湊主査 これにて竹本孫一君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和四十九年度一般会計予算中、経済企画庁所管に対する質疑を一応終了いたしました。  次回は、明六日水曜日午前十時より開会し、通商産業省所管について審査することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十一分散会