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1974-03-06 第72回国会 衆議院 予算委員会第三分科会 第2号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月六日(水曜日)     午前十時二分開議  出席分科員    主査 渡辺 栄一君       保岡 興治君    渡部 恒三君       小川 省吾君    大出  俊君       大原  亨君    佐野  進君       長谷川正三君    八木 一男君       木下 元二君    庄司 幸助君       増本 一彦君    三谷 秀治君       近江巳記夫君    兼務 安宅 常彦君 兼務 阿部 昭吾君    兼務 和田 貞夫君 兼務 松尾 信人君    兼務 渡部 一郎君 兼務 折小野良一君  出席国務大臣         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         警察庁交通局長 渡部 正郎君         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         中小企業庁計画         部長      吉川 佐吉君         自治政務次官  古屋  亨君         自治大臣官房審         議官      森岡  敞君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君         自治大臣官房会         計課長     紀埜 孝典君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君         消防庁長官  佐々木喜久治君  分科員外出席者         内閣審議官   浜岡 平一君         大蔵省主計局主         計企画官    岩崎  隆君         大蔵省主計局主         計官      名本 公洲君         大蔵省主税局税         制第一課長   伊豫田敏雄君         通商産業大臣官         房参事官    下河辺 孝君         通商産業省立地         公害局工業再配         置課長     志賀  学君         運輸省海運局内         航課長     阿部 雅昭君         運輸省海運局定         期船課長    熊木 藤吉君     ————————————— 分科員の異動 三月六日  分科員植木庚子郎君は、委員長指名で第四分  科に所属を変更された。 同日  第四分科員示啓次郎君は、委員長指名で本  分科所属を変更された。 同日  辞任         補欠選任   塩谷 一夫君     保岡 興治君   多賀谷真稔君     大出  俊君   八木 一男君     大原  亨君   木下 元二君     庄司 幸助君   山田 太郎君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   保岡 興治君     塩谷 一夫君   大出  俊君     長谷川正三君   大原  亨君     八木 一男君   庄司 幸助君     増本 一彦君   近江巳記夫君     北側 義一君 同日  辞任         補欠選任   長谷川正三君     小川 省吾君   増本 一彦君     三谷 秀治君   北側 義一君     山田 太郎君 同日  辞任         補欠選任   小川 省吾君     佐野  進君   三谷 秀治君     木下 元二君   山田 太郎君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   佐野  進君     多賀谷真稔君   近江巳記夫君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   瀬野栄次郎君     坂口  力君 同日  辞任         補欠選任   坂口  力君     山田 太郎君 同日  第一分科員和田貞夫君、第二分科員安宅常彦  君、折小野良一君、第四分科員松尾信人君、渡  部一郎君及び第五分科員阿部昭吾君が本分科兼  務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算自治省所管  昭和四十九年度特別会計予算自治省所管      ————◇—————
  2. 渡辺栄一

    渡辺主査 これより予算委員会第三分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算自治省所管を議題とし、前回に引き続き質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。保岡興治君。
  3. 保岡興治

    保岡分科員 奄美大島振興対策について、このたび従来の奄美群島振興特別措置法の一部を改定して奄美群島振興開発特別措置法が新しくできるということで、いま衆議院で審議を尽くして本会議にかけるところまできているわけでありますけれども、これに基づく予算に関連して伺いたいと思います。  四十九年度以降はこの法律に基づいて新しい方式奄美振興開発をしていただく、しかも予算措置もかなり考えていただいたという政府努力に非常に感謝しておるわけでありますが、現在の奄美大島の置かれている状況を見ますと、物価問題ということが非常に重大な問題のように思われるのであります。  実は御承知のとおり鹿児島から三百七十キロ余り離れておりまして、与論島の一番最南端は五百六十キロほど離れておる。そういった関係から、貨物運賃を加味すると、その他流通機構整備などができないために島内自給ができない、その他いろいろな悪条件に影響されておるわけでありますけれども、非常に物価が高い。たとえば食パンなど鹿児島の価格と比べますと大体三五%ぐらい高い。小麦粉も四一%高い。即席ラーメンも一袋三十二円で鹿児島で売られているのが六十五円で、二倍近くしておる。あるいは豚肉、牛肉、こういったものが七割近く上がっておる。牛乳なども八七%も高い。野菜もおしなべて高くて、キャベツが四八%、ホウレンソウでも四八%、白菜が六六%、ネギは二一〇%、大根が二六四%という生鮮食品の高騰、あるいは納豆とかちくわとか、こういった生活食ぜんに日常出てくるものが七五%も高い。みそが四四%高い。砂糖が三八%、しょうゆ四九%、食用油五七%、こういうぐあいに生活に密接に関連する物資あと幾らでも例をあげればおしなべて高くなっております。  また教育費などを見ますと、PTA会費が月に鹿児島県の場合と比べて小学校が三六七%、中学校が二五〇%、ノートブック一冊の値段ども二四〇%、鉛筆が一四〇%と、こういうぐあいに教育費等、もうあらゆる生活関連物資が軒並み奄美大島の場合高い。  これは、国民平均所得の四九%という低所得奄美大島にとってはきわめて耐えがたいことであって、これは何らかの恒常的な対策、この物価悪条件を克服する要素等を十分研究して対処する必要があると思うのですが、自治省でその点についてどのような重点を置いて今後政策を進めていかれるか、お伺いをしたいと思います。
  4. 町村金五

    町村国務大臣 奄美群島は、いま御指摘がありましたように生活必需品等島内自給度が非常に低い、したがって本土からの移入によらざるを得ない、その度合いが非常に高い、したがって、物価が御指摘のように本土に比べてかなり高くなっておるということはどうも事実のように私どもも見ておるわけであります。この問題を解決することはなかなか実は至難な問題でありますけれども、将来はやはり生鮮食料品のごときものはできるだけ島内自給度が高まるということが、何といっても一番の大事なことであろうと私は思います。もちろんこれはなかなかそう簡単にはいくものではないということも重々承知はいたしておりますけれども、やはりそういったことをできるだけ今後の奄美振興開発の上においては考えていかなければならぬ。  さらには、聞くところによりますると、まだ港湾等もはなはだ整備が十分されていない。そのために貨物輸送にもいろいろな隘路が存在をしておる。これまた物の値段を押し上げる上に一つの問題になっておるということもいなみがたいのではないか。したがって、今後奄美開発については、やはり港湾整備につとめまして、できるだけ大量輸送に伴う運賃の低下をはかるということも、これまた物価対策としてはきわめて重要なことではないか、かように考えるのでありまして、そういった一種外海離島であるということからくる貨物運賃割り高というものは、なかなか実はにわかに払拭しがたい非常に困難な問題であると思いますけれども、しかしこのことは将来の群島開発、発展のためには非常に重大な問題でありまするので、今後はさらに群島振興開発一つの大事なかなめの問題として、関係省庁ともにその対策の推進に努力をしていかなければならない、かように考えておるところであります。
  5. 保岡興治

    保岡分科員 いま大臣からお答えいただいたように、基盤整備を含む農林水産業その他の産業を充実して、島内需給等をまかなうことによって物価もある程度解決できると思うのでありますけれども、何しろ産業というものは急に興こるわけでもない。しかも、海上輸送運賃体系も内航路のいろいろな原則と非常に深いかかわり合いを持つので、なかなか国の助成等抜本的な解決がむずかしいということで、産業もないために所得も低い。その上に物価高には悩まされる、こういう離島区というものはまだ奄美大島では相当困難性があるように思われるのです。そういった意味で、こういった困難性一つ一つ条件を正確に把握して、できるだけ的確な政策を早く立案するために、やはり諸条件総合調査ということを国が相当力を入れてやる必要があるのではないか、そのように思うのですが、調査費等その他予算上の措置などで、政府で特にこういう点の重点を置いていただけるかどうか、伺いたいと思います。
  6. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 いま問題になりましたような地元のこういう物価の問題その他いわゆるあらゆる経済条件を取りまく問題の詳細な調査と分析、御示唆のとおり、確かにああいう地域振興をはかる上にたいへん重要なものであると私たちも考える次第でございます。来年度の振興予算の中に、特にいま御指摘がありましたような目的を明記した総合調査費というのは、現在ないわけでございますけれども、諸調査として国費二百万、これに県費その他も継ぎ足しまして相当な調査ができる体制にはございますので、今後特にそういう必要性を強調しまして、県と相談いたしまして、たとえば来年度全体の体系のうちの一部でも、さらに、その結果いかんによりまして、その次の年度に総合的な精密なということも考えられるかと存じますので、積極的に検討させていただきたいと存じております。
  7. 保岡興治

    保岡分科員 沖繩が復帰になる前に、沖繩については相当大規模な予算でそういったことが行なわれたようにも聞いているわけです。御承知のとおり沖繩に隣接する琉球弧と称する一連の島の問題でございますので、やはりいまお話し額等でも相当程度のことはできると思いますし、御熱意はよくわかるのでありますけれども沖繩の額を正確に私は覚えておらないのでありますけれども、相当多額であったように記憶しております。それとの比較をしましても沖繩の六分の一の面積ないし人口をかかえている地域でございますので、ぜひ、さらに一そうの御努力をお願い申し上げたいと思います。  次に、経済企画庁にお伺いしたいのでありますけれども、こういった離島特定地域物価対策というものも非常に重要だと思います。物価の問題については、政府物価局を設ける等力点を置いておるわけでありますが、こういう特定地域物価対策について何らかの有効な手段が、物価局のほうで考えられておるかどうか、その辺についてお伺いをしたいと思います。
  8. 有松晃

    有松政府委員 実は経済企画庁役割りでございますけれども物価問題に関しましては、基本的な政策企画立案、あるいは各省庁で行なっております物価対策総合調整ということになっておりまして、具体的な、特に特定地域の問題にまで立ち入る立場にはないわけでございますが、地域問題等につきましては、また特別の必要があれば調査等についても検討はしたいと思いますけれども一般的にはそういう立場にはないという点は、御了承いただきたいと思います。
  9. 保岡興治

    保岡分科員 そういう一応の原則的なたてまえはよくわかります。しかしながら、鹿児島県は非常に離島が多い。しかも、その中でも、奄美大・島は、先ほど申し上げたような地理的条件気象条件、その他非常に困難性をかかえている地域である。私、小選挙区で一選挙区で一人で出ているわけでありますけれども、ここに地図があるとおり五つの島からなって、十六万の人口が九州の半分くらいの長さの間に点在する五つの島に住んでおる。しかも大きな部落だけで二百六十くらいあって、小さなのを入れると三百以上になる、そういう地域でありますから、主要港からさらに部落に船が出かけていく、あるいは耕うん機で物を運ばなければならない、あるいは大きなトラックで運べないので小さなトラックで運んでいる。その山村の外界の部落小売り店がどういう利潤でやっているか、そういうことまで県が一々調べるのはなかなかたいへんなことだろうと思うのです。そういった意味で、やはり本来は県がそういうことはやるべきなんでしょうが、経済企画庁でもぜひ物価調査費の一部をさいていただいて、県に対して助成を行なう等、県と十分な連絡をとって、この地域については他の地域と非常に違った特性がありますので、特段の努力をしていただきたいと思うのですが、いかがでございましょうか。
  10. 有松晃

    有松政府委員 奄美群島物価問題の事情につきましては、ただいまの先生お話しで、まことに困難であるという事情は私どもも身にしみて感ずるわけでございますが、ただいま先生おっしゃいましたように、この地域の問題はもちろん第一次的には県が行なうべき問題でありますけれども、特にそういった非常に離島僻地で、困難な当該地域の問題につきまして、県の意向等も私どものほうで十分聴取いたしまして、できるだけ県のそういった体制をバックアップする方向で検討さしていただきたいと思います。
  11. 保岡興治

    保岡分科員 たいへんありがとうございます。ぜひよろしくお願いいたします。  それから運輸省にお伺いをしたいと思うのでありますが、何といっても離島物価の最大の要因は運賃コストにあるだろうと思います。そこで、先ほどちょっと例を申し上げました諸物価、これは石油問題の発生で、油の事情等運賃が上がる前の物価でございます。ところが石油事情の影響で運賃が上がるということで、三八%の申請があったところを、いま御検討中のように伺っておるわけでありますが、これが加算されるとさらにひどい状態に追いやられるということが懸念されるのです。そこでこの運賃値上げ申請に対してどう対処しておられるか、お伺いをしたいと思います。
  12. 阿部雅昭

    阿部説明員 お答えいたします。  内航課長でございます。私、貨物船関係の担当をいたしておりますが、奄美大島につきましては、鹿児島から奄美大島の間の航路につきまして、貨物運賃協定というのを、その航路貨物船を走らせております六つの会社が実施いたしております。貨物船運賃は、現在協定という場合に届け出るというのが海上運送法のもとの制度でございます。先生お話しがありましたように、昨年三八%程度はぜひ、会社も非常に経営が苦しいということで値上げしたいという話がございましたが、三八%というのは少し率としても大きくないか、関係者の理解も十分とってから慎重にやるようにという形での指導をわれわれいたしました。その結果その後いろいろ資料も整い、関係者も話を進めて、大体二五%程度トン当たりに直しまして約五百円といった程度値上げはもうここ数年来やっておらないので、この際非常に高まっておるので、ぜひ海運経営上やらせてほしいという申請が先般出たようにわれわれ報告を受けております。
  13. 保岡興治

    保岡分科員 それはいつから実施される予定であるのか、そうしていまお話しのとおり、海上運送法届け出制になっておるということでありますけれども政府が積極的に認可その他の制度でもっと強く規制をする必要がないのか、その辺のところをお答えいただきたい。
  14. 阿部雅昭

    阿部説明員 実施の予定期日は三月十日からそのようにいたしたいという形で出てきておるようでございます。  それから、なお海上運送法に基づく届け出でございますが、われわれ実際運用上といたしましては、単に出てくればそのまま受け取るということではなくて、その届け出十分理由があるのか、コスト的なチェックを十分行なうといった体制で臨んでおりますので、実質的にはたとえば認可制といったようなものと変わらないような運用をしている、またそのような指導をしているつもりでございます。
  15. 保岡興治

    保岡分科員 海上運送が実は企業ベースでやる以上、その企業がなくなってしまえば島民としては殺されるようなものですから、航路を維持するためにある程度値上げ調整の上やむを得ない。これは現在の制度の上ではいたし方ないことでありますけれども、しかしながら、何といってもこういう隔絶外海離島で、しかも十六万という大きな人口をかかえておる地域で、沖繩県とも隣接しておるわけで、沖繩ども同様な事情があると思うのでありますが、地域人たち生活向上離島福祉行政、こういったものは時代が大きく変わって新しい政策の転向が始まろうとしている時期であろうと思うのでありますが、そういった意味地元では海上国道とか海上新幹線とか、通常本土であれば当然公共投資その他によって、国が助成することによって交通体系整備がはかられていく、それで産業立地も可能になって所得も上がっていく、こういう恩恵にあずかっているのに、離島であるがゆえに、海というものがあるばっかりにそういうことができないで、単に企業ベースの採算によって維持しておる。こういうことでは非常に不公平ではないか。こういう気持ちがあって、これは昨今の物価事情等の感情とあわせ、非常に爆発的な不満として起こってきておる。この事情について運輸省としては今後どのように対処していかれるおつもりであるか、その辺のところを伺いたいと思います。
  16. 熊木藤吉

    熊木説明員 お答えいたします。  離島航路整備につきましては、先生承知のとおり一部の赤字航路につきましては、離島航路整備法に基づきまして離島航路補助金を交付いたしますとともに、離島航路に就航する船舶につきましては、船舶整備公団共有方式によりまして船舶整備を現在までやってきたところでございますけれども、昨今の事情につきまして、ただいま先生から御発言がありましたことにつきましては、行政の衝に当たっております私といたしましても同感するわけでございます。  今後そういうふうな政策についてどのように考えておるかということでございますけれども、われわれといたしましても、いま離島という話が出たわけでございますけれども、単に離島に限らず、過疎バスの問題とかそういう過疎地域における交通サービスの確保ということにつきまして、何らかの措置を講ずることを検討するような時期に参っているんじゃないかという認識を持っておるわけでございます。
  17. 保岡興治

    保岡分科員 あるいは地元では国鉄航路の開設を検討してみたらどうかというような話もあるわけで、運輸省でそういった研究、政策立案の時期にきておる、こういうことでありますので、それはたいへんありがたいと思いますが、具体的にどのような機関でどうやっていくかということについてお伺いしたいのですが、きょうはちょっと時間がありませんのであとでまた運輸省関係委員会等でお伺いをしたいと思うのでありますが、できるだけその点の努力をお願いを申し上げます。  それからちょっと前後して恐縮ですが、自治省にお伺いしたいと思うのですが、こういう物価高で非常にたいへんな奄美大島であります。ところが公務員給与というものを比べてみますと、国の公務員、県の公務員離島手当のような手当が一二%加算されて支給されておる。ところが当該市町村職員はそういう手当がないということで、市町村職員の中でも隣で住んでおる者がおって、全く同じような仕事をして同じような経歴であるのに給与が違っておる。非常に不公平じゃないかというような具体的な不満もあるわけなんですけれども、その点について自治省でどのようにお考えか、伺いたいと思います。
  18. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先生の御指摘は、おそらく特地手当といわれているものだと思います。鹿児島県とかあるいは国の公務員が、鹿児島県の公務員を例にとりますと、県の公務員となって鹿児島市あるいは出水市とか鹿児島県内をいろいろ移動して回る。そのうちで奄美大島のごとくたいへん離れた離島へ行くという場合は、一種の慰謝料的な意味もありますし、それから世帯を分けて生活しなければならないということに対する手当のために一定の金額を加算するということでございますので、鹿児島県の公務員一般ベースに対して、一定の率をもってそういう特別な地域のときには加算する、こういうたてまえになっておるので、これが県なり国の公務員で、たとえば奄美大島名瀬市に勤務する職員にはそういう加算がついておると思います。しかし、これは地元名瀬市というところから考えればまさに全部地元でございまして、名瀬市の中にさらに離れて孤島でもあれば、そこに対する特地手当というのは名瀬市でも考えられますが、名瀬市全体が奄美大島のあの地域にあるということで、名瀬市全体に一定の率を加算するという観念ではちょっと成り立ちません。やはり名瀬市の中の孤島とかいうところであるべきだ。そこで国家公務員や県の公務員との均衡という問題がございますが、その均衡というのは、名瀬市の場合は名瀬市に特地手当を支給するということではなくて、名瀬市のベース自体をどうするかという問題になるわけでございまして、名瀬市に勤務する国家公務員あるいは県の公務員一定手当がついている、それとの均衡を考えて名瀬市のベースを少しよくするということを考えるかどうか。しかし名瀬市のベースというのは国家公務員、県の公務員との均衡だけではございませんで、名瀬市における民間の給与というものも考えなければなりません。それらをすべて勘案した上で、名瀬市のベース自体を上げるか上げないかという問題で解決すべき筋合いのものでございまして、特地手当という形で支給することは、そういう名前の手当が簡単にそこにありますので、安易にそれによって支給するということは法の趣旨と合わないことでございます。もちろん、県その他を通じて御相談をいただけば、よくその辺も御説明するようにいたしております。
  19. 保岡興治

    保岡分科員 特地手当というのが、おそらくその一二%の加算に該当するものであろうと思いますけれども、たてまえ上は行政局長のおっしゃるとおりだろうと思います。しかしながら、実際に県の公務員でありながら、そこで現地採用になってそのままずっとそこに住んでおる人もおるわけなんです。そういうことになりますと、離れているための慰謝料的なものであるとか、引っ越しその他の苦痛があるのでそれを手当するものだとか、そういったたてまえが即実感として周囲の者にわからない。したがって結局特地手当という形ではできないとしても、何らかの実質的な、そういう物価高に悩んでいる離島区、先ほど申し上げたように非常に物価が高い。こういった状況等については、やはり市でも、財政能力名瀬市あたりはまだ〇・二二くらいですが、他の町村は〇・ ○五、コンマの下にもう一つゼロがつくような財政指数で非常に困窮しているわけです。したがっておそらく遠隔地補正というのですか、交付税等でもおそらく一般的にはされておると思うのでありますけれども、こういった物価事情あるいは市町村財政のきびしさ、こういったものを十分しんしゃくして今後対処していただかないと、この人たちが十分な生活ができていくということはなかなかむずかしいように思うのです。そういった意味で、周辺の給与等の比較もあるでしょうが、それは周辺の給与そのものが先ほど申し上げたようにいろいろな事情で低いのですから、その低い例にならうということも私は問題があるだろうと思うのです。そういった意味で、市町村財政の強化がこのベースを上げるという点では非常に重要だと思いますので、その点についてどういうふうに対処していただけるか、御意見を伺って質問を終わりにしたいと思います。
  20. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 御指摘のような事情奄美町村、その財政力についてまさにたいへんあると思います。  そこで、この奄美振興事業につきましても市町村の負担のある事業については、できるだけ国の補助率を高めますという努力をしてまいっておりますし、そういう意味で、事業の内容に比べてその負担が大きくならないようにと、支出の面ではそういう配慮をできるだけしてまいったつもりでございますし、今後もしてまいりたい。しかしまた同時に、国税の算定あるいは特別交付税の配分等にあたって、具体的な事情を十分参酌して、私のほうの財政局でも検討していただけると存じますが、市町村の財政力を高めることが、確かにそのベースを改善する意味でも、それがまた周囲に影響を及ぼして郡民の所得水準を上げるということでも、やはり非常に大切なことだと存じますので、一方振興事業を実施するかたがた、こういうことについての配慮も今後さらに積極的にやってまいりたい、かように考えております。
  21. 保岡興治

    保岡分科員 何といってもたいへんな物価高でございます。おそらく他の離島や僻地とまた違った特別な事情があろうと思いますので、いまお述べになったような御努力をさらに一そう強めてしていただけるようにお願いして私の質問を終わります。  ありがとうございました。
  22. 渡辺栄一

    渡辺主査 保岡君の質疑は終わりました。  次に大出俊君。
  23. 大出俊

    大出分科員 大蔵大臣の通達が出されまして、土地買いに対する開発公社に関する規制の問題が新聞に出ておりますが、これをどこまで本気でやるのかという点につきまして、いささか私ども納得いたしかねる点があるわけであります。  そこで、自治大臣に承っておきたいのでありますが、いま各自治体の開発公社、これは学校の建設あるいは住宅の建設に相当大きな役割りを果たしているわけでありますが、土地の先買いにメスを入れる、そうして土地の換金売りを促す、ここまでのことを大蔵省が考えるとすれば、旧来の開発公社のやってきた役割りをどう評価しているのかという点がたいへん大きな疑問になります。したがって、大蔵省にはいずれ質問をいたしますが、とりあえず自治大臣からこの問題に関する自治省としての御見解をいただきたいのであります。
  24. 町村金五

    町村国務大臣 土地開発公社が公有地の先買いのために非常な働きをしてきたことはもう申し上げるまでもございません。したがって、そのためには、相当な資金につきましても十分の配慮は行なわれてきたわけでございますが、御承知のような最近における総需要抑制というような立場から、開発公社の土地取得につきましても、大蔵省としては特にその規制をきびしくするために銀行局長から選別融資の通達等も出しておるわけであります。そのために開発公社としては従来からいろいろ計画をし、土地の入手に努力をしておったやさきにこういうことになりましたので、たいへん難渋をいたしておるということも私ども聞いておるわけでございます。  そこで、いろいろ問題が起きておるわけでございますけれども、従来開発公社としてばかなり幅広にいろいろな土地の入手に努力をしておったという点もございますので、当面やはり、あるいは学校の校舎の敷地であるとかあるいは社会福祉施設の敷地であるとかいうようなものは、これはどうしても入手をできるようにしなければならないということで、この点は自治省といたしましても大蔵省と折衝をいたしまして、大体そういったものにつきましては、契約済みのものはもちろん入手ができるように、また契約がまだできていませんでも契約寸前というようなものにつきましては、大体この点は入手ができるようにしてもらうというようなことで大体大蔵省とは話し合いがついておる、かように私は承知しております。
  25. 大出俊

    大出分科員 きょうは、かぜで、どうも熱がありましてしゃべっておりますから、お許しをいただきたいのでありますが、全国で、この種の開発公社といわれるものが大体どのぐらいございますか。
  26. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 土地開発公社の設立状況でございますが、都道府県におきましては、現時点におきまして四十団体が設置しておりまして、それから指定市におきましては全部、九つでございます。市町村におきましては六百七十九、全体で七百二十八の土地開発公社が設立されております。
  27. 大出俊

    大出分科員 来年度に向けまして、どのくらいの土地に対する開発公社からの起債等に関する要求が出ておりますですか。
  28. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 御案内のように、土地開発公社の資金といたしましては、関係の都道府県、市町村といった地方公共団体から資金を仰ぐ、あるいは銀行から融資を仰ぐ、あるいは国の公共事業等の先買いで国あるいは国の公社、公団等から委任を受けまして買うといったようないろいろな関係がございますので、融資額の予定がどれくらいという点については、現在把握しておりませんけれども、たとえば四十八年度の見込みで申しますと、土地開発公社あるいは住宅供給公社、合わせまして約一兆円の規模の土地の買い取りを行なうというような計画になっております。ただしかし、この計画が現時点において昨年の暮れからの金融の引き締め、一方土地の相当の値上がり、そういった要素がございますので、現実問題としてどの程度買えたかというようなことにつきましては、現在調査中でございます。
  29. 大出俊

    大出分科員 これはことしになりましてから大蔵省と二、三話をしたのでありますが、大体一兆円の規模のところを当初は二千億ぐらいにしぼるというのですね。できれば一千億ぐらいにしぼりたい、こういう話でございましたが、自治省とのやりとりの中で話がついたとおっしゃるのですが、どのくらいのワクにおさまっていると見たらいいのでございますか。
  30. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 この一兆円と申しますのは、いま申しましたように一般会計が買うもの、国の公社、公団等の委託によって買うもの、いろいろなものを含んでおりますので、もちろんそれがすべて融資になるわけではございません。われわれ最近調査いたしましたところによりますと、一−三月におきまして地方公共団体の公社が賢いたいと言っておりましたのが約三千億にのぼるのじゃないか。その買いたいというのは銀行融資等によって買いたいという意味でございますが、約三千億程度にのぼるのじゃないかという予測を立てておりました。つまり、すでに契約が、十二月二十五日、銀行局長通達が出されました時点において契約済みのもの、これは一−三月に支払わなければならない義務が発生しておるわけでございますが、それにつきましては、土地開発公社におきまして、全国で約一千億、住宅供給公社等を合わせますと千二百五十億程度になるかと予測しております。それ以外に、その時点においてまだ契約はできておらないけれども、事柄の性質上買いたい、あるいは地権者との話がある程度進んでおるから買いたいというようなものを取りまとめますとやはり同額程度ございますので、二千五百億から三千億程度の資金需要があるのじゃなかろうかというふうに考えておりまして、そして一、二月につきましては、ただいま大臣からお話ございましたように、すでに支払い債務が発生しておるもの、そういうものにつきましては、これは大蔵省銀行局あるいは日銀のほうとお話しいたしまして、大体におきましてすでに消化をいたしております。ただ、三月に支払いしたいと申しますか、それが集中しております。これから買いたいというようなものも実は三月のほうに繰り越されておりますので、われわれの見通しでは、地方団体の要望からすれば三月でそれが約二千億くらいになるのではなかろうかと思いますが、その中にはいろいろなものがございますので、現在どの部分については融資を行なわなければならないかということにつきまして、都道府県と地方銀行段階におきましても詰めが行なわれておりますし、そこで話がつかないものについてはわれわれのほうへ上がってまいりますので、今後日銀あるいは大蔵省のほうとお話し合いをしていきたいと思っております。
  31. 大出俊

    大出分科員 現在あなたのところで日銀、大蔵省と三者でケース・バイ・ケースといいますか、個別に折衝しているんじゃないですか。そこはいかがでございますか。
  32. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 個別に折衝しております。ただ、御案内のように東京及び大阪周辺以外におきましては大体におきまして県単位で解決がついております。われわれのところへ何とかしてくれといってまいりますのは、関東のしかも東京周辺及び大阪地区といったようなところでございますので、そういった点を中心といたしまして、こういった財政事情があるということで日銀及び大蔵省と御相談しております。
  33. 大出俊

    大出分科員 支払い債務が発生しているものというお話がありましたが、たとえば土地の買い付け書面を出しているというふうなものはどういうふうにお考えになりますか。
  34. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 いろいろなケースがございますので、個々のものによって、これはどうしてもこの一−三月に払わなければならないかどうかということを地方銀行と地方団体の間で話を詰めるというやり方をやっておるわけでございます。
  35. 大出俊

    大出分科員 ずいぶん方々から話を聞いておりますが、幾つも例をあげたらひまがないのでありますけれども、たとえば川崎市なんというところは百二十何億あるのでありますが、それをしぼって、ことしはこのくらいというふうなことにしたらどうかという話はあるのですけれども、中身を見ると現実にはしぼりようがない。じゃこれは要らないのだといえるものがないというふうな例がございます。説明を聞いてみるとなるほどもっともな点もございまして、だから、しぼればその範囲でものを考える、こういうことでございますが、しぼりようがない。その辺のところは、これはしほれというほうが無理。市議会対策もございますし、できないわけでありますから、そういうケースについてはどうお考えですか。
  36. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 いま先生から川崎市の話が出ましたが、一つの例として申し上げますが、川崎市の場合は一−三月に支払い義務が発生しておりますのが二十八億四千六百万円でございます。一月に現金化いたしましたのが四億五千万でございます。残り二十三億九千六百万というのが一応川崎市の申します契約済みの分でございます。それにつきましては横浜銀行ほか十八行が協調融資の形で何とか引き受けてもらえないか、横浜銀行がワクがあるとかないとかいろいろいっておりますけれども、大蔵省のほうへ御協力を願っておるわけでございます。  そのほかに、川崎市は御承知のように九十二億でございますか、将来、と申しましても一、二年先のことでございますけれども、公営住宅の用地あるいは学校用地をこの際確保しておきたいというお話がございます。川崎市のようなところにおきましては、人口急増地帯でもございますので、この際土地を確保しておくということはまことにもっともなことだとは思いますけれども、実は総需要抑制のこの大方針、そしてここ数カ月が一番大事なときであるということでございますので、たまたまこの川崎市が申しております九十二億というものの内訳を見てみますと、そのほとんどというものがいわゆる大手の民間デベロッパーでございます。そういった関係もございますので、これが将来学校用地になるということば事実でございますので、何とかしてこれを川崎市としても押えておくことが適当だと思いますけれども、いまこの大手デベロッパーに何十億かの金がいくということはどんなものかという一つの問題がございますので、金が動かないような形で何とかできないものか、それを検討してくれ、それから単価でございますが、時価で買うというのはいろいろ問題がある、その点についても検討してくれということで、この九十数億につきましては、川崎市のほうでもう一度再検討及び銀行との折衝をやってくれということで、現在私たちの手元で大蔵省及び日銀にはこの分については相談しておりません。いま川崎市の例で申しましたけれども、各都市につきましてはみんなこういうようにいろいろなケースがございますので、そのつどわれわれとしても、総需要抑制のおりからでも、しようがないのだ、もっともであるというものにつきましては拾い上げて折衝していきたいと思っております。
  37. 大出俊

    大出分科員 どうも珍しく話がしにくい声の状態でございますから、あんまり大声でしゃべらぬように気をつけているのですけれども。  いま話が二つ出まして、一つは横浜銀行だ。ところが横浜銀行というのはある意味の信用オーバーをいたしておりまして、その意味でたいへんなオーバーローンの形になっておりますが、したがってこれはなかなか資金ワクというのがない。そうかといって、市の指定銀行でございますから、にわかにそのためにほかに変えるというわけにもいかぬ他の事情もある。だがしかし、この際変えなければならぬものならばあえて変えようじゃないかという気持ちもあるわけでありますが、そこらのところは一つ地域の中ですからなかなかむずかしい面がある。そこらは、自治省と大蔵省の折衝の間に、横浜銀行だからワクをやれないということがネックになるのだとすれば、これは市民に申しわけないことになりますから、別なことを考えなければならぬ。これは一体どう考えるかという点が一つ。  もう一つは、大手デベロッパーがほとんどだというけれども、実はいま一般の町の方々が持っている土地を買うなんということはそう簡単にできない。私は横浜でございますからこまかい資料を全部持っておりますけれども、実はここでしゃべるのはもったいないので、あらためてどこかでやるつもりでおりますけれども、日本列島がかりに三十六万ないし七万平方キロあるとすると、その一・二六%というのは有価証券報告書を当たってみた限り、東京の証券市場の上場会社千二百九十三社が全部買っているわけです。これを調べてみるとちょうど一・二六%大手デベロッパーが日本列島の中の土地を買っちゃっているわけです。パーセントにすると冒頭に申し上げた一・二六%、四千平方キロをこえるわけであります。これはまさに日本じゅうの市街地の総面積に当たるわけですね。それだけ買っちゃっているわけですから、ここで住宅用地を、ここで学校用地をといえば、必ずぶつかる先は六大都市並びにその周辺の大都市であれば大手デベロッパーであります。だから、相手がそうだからということならば、大体福田さんが言っている公社が買っている土地を金融を締めていって換金させる、これは全くもってとんでもない話でありまして、そうではなくて、逆に大手デベロッパーの土地を学校用地なり住宅用地なりになぜ吐き出させる措置をとらぬのか。話はまさに逆でありまして、どこへ行ったって、大手がみんな、名義は変わっておっても、たとえば何々不動産、それを調べていけば実は何々電鉄、資金関係は全部そうなっている。東急土地開発が日本中で一番土地をよけい買っているのですから、横浜や川崎には東急の提供する地域がたくさんある。京王なんかもそうであります。だから、そういう意味では全く話は逆で、大手デベロッパーが持っている土地を国が出させるという措置を逆にとるべきであって、これは話が逆ではないかという気がするのでありますが、いかがでございますか。
  38. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 初めの問題でございますが、川崎市は指定都市でございまして、横浜銀行ほか十八行で協調融資という形で現金を調達いたしておりますものですから、おそらく横浜銀行だけでなくて、今後のものもこういった形で現金化するという形になってこようかと思います。  それからいまの大手どうこうの話でございますけれども、私の申し上げましたのは、現実問題として川崎市の北のほうと申しますか、西寄りのほうでございますか、大手デベロッパーにほとんど押えられております。だから、大手から買うことが悪いとかどうとかそういう問題ではございませんので、その大手デベロッパーがそれぞれ金融機関から金を借りてその土地を押えておるわけでございます。したがって、金が動かないような形で何とか大手デベロッパーと話をつけて学校用地等に願えないものか、簡単に申しますならば交付公債みたいな方法もあるではないかというようなことを申し上げて、市のほうでもう少し知恵をしぼってくれということを申し上げておるわけでございます。
  39. 大出俊

    大出分科員 時間がありませんから、こまかい数字は申し上げませんが、横浜にせよ川崎にせよ、たいへんな人口急増地域でありまして、手のつけようが実はない。横浜なんか三十八年に百六十万の人口が、三十八年から四十八年の十年間で何と二百四十万。百六十万の人口が二百四十万。この間、宮城県知事選挙に行ったときに、宮城県民百八十万の諸君と、こう言うわけでしょう。横浜市だけで二百四十万あるのですから、これは話のほかでございまして、いろいろな法に基づかざる、つまりマンションを建てるといえば、何世帯ですか、子供さんは何人ぐらいですか、出てきても学校がない、だからこのマンションは困りますと教育委員会が押えるようなことまで実はやっているわけですよ。逆に、学校用地も住宅用地もどんどん先買いをしなければ間に合わない。横浜の場合はこの四十九年四月で開校しなければならない学校が七十六校あるんです。七十六校一ぺんに開かなければいかぬ。教室数で千十二教室。ところが、どうにもならぬで何と十二校しか開校できない。七十六校要るのに十二校。あとはじゃ、どうするかといえば全部プレハブですよ。プレハブもたいへんな金がかかる。移動すればまた金がかかる。こういう状態の中で、先行投資をして土地を買わなければ全くもってにっちもさっちもいかない。だから市の側、市民の側からすれば、国が大手デベロッパーからいつでも土地を出さしてくれるというなら、しかも地価を適正な地価で出してくれるというなら先行投資をする気は一切ない。したくはないんです。そこらのところをやはり自治省、大蔵省側がほんとうに詰めた話をしてもらわなければパンクしてしまいます。その責任は国だと言っていられない現実でありますから、この点はぜひ前向きでお進めいただきたいのであります。  次に、もう一点だけ承りますが、実は、特に六大都市がそうでございますけれども国家公務員職員よりも地方公務員職員のほうの給与が高い、よけい払っている、これが現実であります。この問題をめぐりまして、そのことは何かといえば、財政上余裕があるんだからたとえば特交を減らす、特交は交付税全体の六%でございましょうが、という問題等自治省から出ている。これはいろいろな理屈がおのおのあるとは思いますけれども、私どもは私どもなりに長い歴史の上に立ってものを考えている。そこで、この間特交をおきめになったようでありますけれども、結果的にどういうふうにこの点はお考えになって、どの程度——つまり、たとえば何億よけい払っているからその何%を切るという形だと思うのですけれども、そこらは具体的に言うとどのくらいのものをどう切ったか。つまり、自治省はそれをどう見ているかという点を大ざっぱにお答え願いたい。
  40. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいま給与が高いという問題をとらえられての御質問でございますが、給与水準が高い低いということについては、特別交付税では別に要素として取り扱っておらないのでございまして、取り扱っておりますのはプラスアルファの問題だけでございます。たとえば横浜の例が出ましたが、横浜でございますと、給与水準は国家公務員より、はっきり記憶はいたしておりませんが、すでに二〇%以上高いというデータがあるはずでございます。そういう給与ベースをもとにして、国家公務員並みの期末勤勉手当の支給率を用いて職員にボーナスを支払うということになりますれば、本俸の高い分だけは国家公務員よりよけいにボーナスがいくわけでございます。その上に一律何万円とかあるいは率で〇・幾らとかいうものを足しておられる。そのやり方については、これまでもぜひやめてほしいということを自治省としては繰り返して申し上げてきております。昨年からこの出しましたプラスアルファについて報告を求めまして、それの九割に相当する額を算出いたしまして、それを交付税の計算上いわゆる減額要素として取り扱っておりまして、現在明確に減額要素として取り扱っておりますのは、競馬競輪収入の一定額とプラスアルファ、これを取り扱っておりますが、現実に算出をいたしました特別財政需要額、それとそれとをある程度相殺をしていく、そして特別交付税の額を算定するというやり方をいたしております。     〔主査退席、渡部(恒)主査代理着席〕
  41. 大出俊

    大出分科員 これは四十三年でございましたか、柴田さんが財政局長をやっている時代であります。私は地方行政に出かけていきまして、ここで公営交通問題等を含めて長い質問をしたことがあります。このときに、本来給与というのは労使間の交渉できまる。しかも準ずるたてまえをとっている。だとすると、プラスアルファがくっついた場合に、準ずるのだから、はたしていけないと言い切れるのかという法律論争をやったことがある。結果的にそこまでは言えない、当事者間できめたものを、労使関係ですから、それをどこかほかのほうからそれはいけませんと、これは実際には言えぬ。交渉に介入することになりますから。この点は明らかになっている。  またもう一つは、有能な地方の首長ならば——町村さんもおやりになったのでしょうけれども、その地域公務員に優秀な人材が集まるか集まらぬかという点は、普通ならば、おれは公務員になろうという人は、手近にものを考えれば国家公務員になりたいという気になる。だが、すぐ身近な自治体の賃金水準を考えて、近いし、給与がいいからということになる。これはたくさんある。そうなると、特に六大都市のような場合に、いなかじゃないのですから、給与一般国家公務員よりも多少高いという場合があっても、そのことを一がいにいけないとは言い切れぬというふうなことが論議をされまして、現状変革をいきなり大きくやるということはいかがなものか。だから、そこらはあんまり開く方向に進んでいかないように、国家公務員との対比もあるので、理事者側が考えていくという形にして、自治省もその点は各自治体と話し合いを進めながら、今後対処していくというふうなやりとりを実はしたことがあるのであります。どうも今回の場合、六大都市並びにその周辺が中心になって出し直せということでいろいろなことをおやりになるものだから、大阪の例じゃありませんけれども、いささかどうも各地方の首長が頭にきておりまして、私は細谷君に聞いてみたら、細谷君いわく、六大都市のねらい撃ちをするのは革新市政のせいじゃないかと言ったら、松浦さんが、革新首長はどうも思想が違いますと言ったというので、彼はかっかして私のところに来ましたが、そうならそうで、ほんとうにそう考えるなら、わしらも開き直って、自治省のこれっばかりのあらでもさがして、これは一戦大げんかしなければならぬじゃないかという気に実はなったわけなんです。だが、きょうは大げんかしている時間がありませんので、ひとつそう大荒れにならぬうちに、四十三年のときも実はそういうごたごたがありましたが、雨降って地固まるじゃないが、柴田さんとはあとで話して、お互いに理解し合って、以後順調に進んでまいりましたが、現状変革をいきなり大きく考えるということは、それなりの歴史があるわけです。何事によらず要らざるところに大きな波紋を呼びます。したがって、そこらのところは、あなたは財政通だから担当者のところまで行って、けつをひっぱたいてやれということを言ってやっているというので、いろいろ方々からうわさが入ってきて騒ぎになっているわけでありますけれども、あまりこの時期にそういう問題である程度の感情が入ったトラブルを起こしたくない、こういう気がいたします。したがって、ぜひひとつ自治体の側と話し合って理詰めでものを詰めていただいて、その上で納得づくで決着をつけるということに、これはぜひお願いを申し上げたい。私ども、そのつもりでできるだけやっていきたいと思っておりますので、これはひとつお願いをいたしておきます。いかがでしょうか。
  42. 松浦功

    ○松浦政府委員 六大都市の問題は、御承知のように私のほうからプラスアルファの支給状況について公平に調査を御依頼いたしましたところ、プラスアルファが現実にあるのに報告を全然していただかないわけです。事実二十六億という報告を最終には大阪市からいただいておるのに対して、去年も二億台の報告しかいただいておらない。その間の事情は、いろいろほかのところからも、おかしいじゃないかというお話を受けましたので、これは正直に出していただきたい、その上でこれをどういうふうに措置するかは私のほうできめることでございますということで、何べんも公式にお願いをいたしましたけれども、なしのつぶてでございましたので、私が財政局長にお電話をして、こういうことでは困るじゃありませんか。やっぱり公式の問題だから、出しておられるなら正々堂々と表に出していただきたい。しかし、ことしの特別交付税でも若干大阪は要素の減等もございまして、去年より若干減っておりますけれども、財政運営に極端な影響を及ぼすような減額ということはあってはいけないということで、大阪にとっては、財政的に影響のない程度の去年よりの減ということにとどめております。その辺のところはひとつ御了解をいただきたいと思います。
  43. 大出俊

    大出分科員 時間いっぱいでありますからこれでやめますが、自治体側に言わせれば、超過負担一つをつかまえましても、横浜市の場合、こまかくここに計算してありますが、実はたいへんな超過負担をしている。そこへ持ってきて、最近は高校用地の問題が非常に大きな問題になっておりまして、高校進学率なんかが、横浜の私の足元の区なんかは九九%をこえている。そうなると、高校建設が町のおかあさん方の中心的な課題になっている。県にだけまかしておけない。市もやらなければならぬ。こればたいへんな努力と負担がかかります。これらのところは全く国は、まあことしは奥野文部大臣のところから何がしか何とかするというわけでありますが、今日までそういう点については何らめんどうを見ていただけないというふうなことがございます。したがいまして、ことほど一つずつ取り上げますと、こっちはこうだ、だが、こっちはどうなんだというふうな争いも出てくるわけでありまして、どうかひとつ、全体的にながめて見ていただいて、現状変革をあまり激しく求めないほうが、一カ所にしわを寄せては困りますから、そういう意味で、ひとつこれは慎重にお進めいただきますようにお願いいたしまして終わらせていただきます。たいへんどうもきょうはありがとうございました。
  44. 渡部恒三

    渡部(恒)主査代理 これにて大出俊君の質問は終わります。  庄司幸助
  45. 庄司幸助

    庄司分科員 まず通産省の方にお伺いしますが、実は昨年の三月、私が石油コンビナートの防災対策について、通産大臣並びにあなたのほうの参事官に質問したわけですが、通産省が防災体制についてはほんとうに行政指導上の責任を果たしてきたのかどうか、非常に疑問だ。あんまり防災問題について関心を払っていないのじゃないかという趣旨の質問を申し上げたら、中曽根さんは、こう答えたわけです。  コンビナートを中心にする高圧ガス等の取り締まりについては、法規が非常に整備されておりまして、その法規に基づいて監察を行なったりしている。それから田中参事官は、この法律によりまして実施したり、いろいろして、この面からの災害の発生に遺憾なきを期しておるわけでございますと、この三月にお答えになったわけです。ところがそれから三カ月あまり経てあの徳山の、四日間燃え続けたエチレン工場の火災が発生したわけです。手の打ちようがなかった。住民の被害も相当あったわけです。その後大分であるとか、その他直江津であるとか、あなた方は遺憾なきを期しておりますなどと言っているこの口先のかわかないうちに、こういう大事故、大火災、世上を震憾させたような騒ぎが起こったわけです。その点でまず私は、あなた方の答弁の、遺漏なきを期しておった、これはでたらめじゃないか、こう思うのですが、その辺の責任をどうお感じになっているのか、これをひとつまず伺っておきます。
  46. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 お答えいたします。  昨年七月、山口県の出光石油化学工場の爆発事故がございまして、それから約十二件程度の爆発事故が出たわけでございます。それらにつきまして原因等を調査いたしました。その結果によりますと、大部分の事故の原因につきましては、そこの従業員の誤操作によるものが認められた、あるいは設備の点検の不十分というようなものもかなりあったように報告を受けているわけであります。しかしながら、その裏には、やはり保安を確保するための管理体制そのものにゆるみがあったのではないかというような点も認められておりますので、会社のトップから現場の第一線に至るまで、組織をあげて保安の確保につとめるよう、強力に行政指導を進めてきたというような情勢でございます。
  47. 庄司幸助

    庄司分科員 それは企業の側の責任をあなた方はおっしゃっていますが、通産省のほう、防災体制上のいろいろな指導あるいは法規に基づく取り締まり、これがやはり手抜き——手抜きと言うと少しオーバーになりますが、やはりルーズな点があったのだ、この点を認めて反省してかからないことには、今後の対策だってあまり信用できない、こうなると思うのですが、その辺率直に反省してもらいたい、こう思うのですよ。その辺ひとつお答え願いたいのです。
  48. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 災害の原因等調査してまいりますと、設備等の保安の技術基準と申しますか、防災のためのいろいろな設備等を設けなければならないというような点につきまして、いろいろな点で若干不備な点があるということも認められておるわけでございます。この点につきましては、化学工場の技術の進展がめざましいものがあったという反面、若干監督側におきましてもそれをフォローする点において手抜かりがあったのではないかというような点につきまして、われわれといたしましても十分反省をいたしておるわけでございます。したがいまして、それらの点の穴を埋めると申しますか、そういう意味合いにおきまして、現在高圧ガス取締法全体の見直し作業を進めているというような情勢にあることをお答えいたしておきます。
  49. 庄司幸助

    庄司分科員 通産は大体それぐらいにしておきます。とにかく手抜かりがあったということをお認めになったのですから、今後ともひとつ厳重にやっていただきたい。  それから消防庁のほうにお伺いいたしますが、時間の関係で、私が調べた範囲で申し上げておきますが、石油コンビナート火災発生件数ですね。これは通産省やおたくのほうの調べでわかったわけですが、通産のほうでは高圧ガス関係だけで、十年間で七十一件も火災が発生した。それからこれは四日市消防局の調べですが、四日市の石油コンビナートでは、四十年から四十八年までの間で火災十七件、事故二十七件、それから川崎では、これは十七年間でありますが火災が八十二件と事故が三十一件、それから千葉県の市原市では四十一年から四十九年までの八年間で火災が四十六件発生しておる。そのうち昨年の火災もあるわけです。それから宮城県の仙台市の仙台新港、あそこでもやはり東北石油が火災を起こしております。その上に、昨年の一連の新聞を騒がせたいわゆるコンビナート火災があったわけです。それでまいりますと、私は消防庁の防災課の資料を二点ほどちょうだいしたのですが、これは全国の石油コンビナートあるいは関係企業の危険物保有状況、それとそれに対する関係企業の自衛消防力、この一覧表をちょうだいして、ずっと見てみたわけです。そうしますと、危険物の存在に対して企業の自衛消防力がきわめて貧弱である、この辺が明確に指摘されると思うのです。  たとえば消防庁が四十六年の二月十六日に各県あてに通達を出しておりますが、これは「石油コンビナート地帯防災対策について」それに二点ほど資料が添付されております。その一つとして「石油コンビナート地帯の火災被害の想定について」という資料がございます。いろいろ想定してやってみたら、こういう場合はこれぐらいの消防力が必要だという想定があるわけです。その中でたとえば川崎市の八万四千三百キロリットルのタンク、これを例にとって火災が起きたと想定した場合、三種類の想定をしておりますが、総合してみますと、八万四千三百キロリットルのタンク、これは全国にごろごろあります。これが火災を発生して防油堤内も燃え上がったという場合、一分間三千リットル放射できる高級消防車ですね、これが九台必要だ。そのほかに化学消防車が二十四台要る。しかも隣の防油堤内のタンクに延焼を防ぐためには、その隣のタンクを冷やすために普通消防車が相当数要る。これは八万四千三百キロリットルのタンク一基だけですね。こういう必要量を出しているわけです。  ところがこれを調べてみますと、高性能化学車というのは全国で六台しかない。苫小牧に一台、鹿島に一台、それから堺、泉北に二台、徳山に二台。宮城県の仙台新港なんかの場合は十万トンタンクが三基あるわけです。これは何にもないんですね、これに該当するような高級消防車は。それから水島の場合はあれだけのタンク群があってこの化学車が一台しかない。それから放射砲は三台。それからこの間事故を起こした徳山の場合、これは化学車が五台。これはだいぶあるほうです。あっても四日間燃え続けたわけですね。それからこれも事故を起こした大分、これは一台しかない。鹿児島の場合は二台しかない。沖繩なんか全然ない。こういうのがこれから出てくるわけですね。  そうすると、私は自衛消防力の観点から伺っているのですが、石油関連企業というのは今度の予算委員会でも明確になったように、あれほどのほろもうけをやっておきながら、自分たちの防災体制についてはほとんど責任を持った体制をとってない、こういうふうになるんじゃないかと思うのですよ。もちろん市町村の消防力も総合してとあなた方は言われるかもしれませんが、これに対応するような市町村消防力なんかほとんどないですよ、どこへ行ったって。こういう現状ですね。企業の無責任な現状。これは消防庁長官としてどのように認識されておるのか。それから今後どのようにこれを強化させるのか、これをひとつお答え願いたいと思います。
  50. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 石油コンビナート地域における自衛消防の問題でございますけれども、こうした危険が非常に大きい火災発生の予想されるような場合におきましては、まず第一次的に考えなければなりませんのは、固定消防設備を設置をしてもらうということがまず第一だろうと思います。そのためにタンクなりあるいは製造設備等につきまして、それぞれ必要ないわば自動消火設備というものを設置をするということがまず第一次的に考えられるところでございます。  第二段の措置としまして、化学消防車あるいはその他の消防車によるところの消防力というものを備えるということでございます。現実問題として、先ほど例示がございましたように、原油タンクから原油が防油堤内に流れ出て火災になったという場合におきましても、その火災を消すということは、実は消防の技術の面からいいまして非常にむずかしい問題がございます。そういうことで、防油堤内に相当の量の油が漏れて火災を発生するということは、万が一という場合には想定されるわけでありますけれども、それ以前に火を消すという装置をまず企業としてはつけてもらわなければならない、こういうことで、あわ消火剤というものを自動的に散布できるような設備を、いわば固定消火設備というものをタンクに備えつける。  それからさらに、現在指導としてやっておりますのは、原油タンクの外側に散水設備をつけましてタンクを冷やしていく、タンク自体の熱が上がらないようにして延焼を防ぐ、こういう面に相当の金を入れてもらっておるということでございます。また不幸にして、そうしたタンクなりあるいは製造設備等から油が漏れて外側に火災が発生をしたという場合には、当然に消防力によりましてこれを消さなければならないわけでありますけれども、その場合におきましてはやはり企業のいわば自衛消防力、さらに公共団体の消防力というものをもちまして消火に当たる、あるいは延焼を防止をするという体制にならなければならないわけでありますけれども、いま申しましたように、現在自衛消防力というものを一応基準として設けております部分は、固定消化設備との関係においてどれだけの自衛消防力を持てばいいのかということで計算をしておるわけであります。最近の一連の石油コンビナート火災というものの事例がら見まして、現在の自衛消防力というものがこのままでいいかどうかという点につきましては、なおさらに検討していく必要があるかと思いますけれども、第一次的にはやはり施設自体に固定消防設備を持つということを強力に進めていくということが必要であろうというふうに考えております。
  51. 庄司幸助

    庄司分科員 これは長官、全国消防長会会長の要望はごらんになったと思います。昨年の十一月二十六日分ですね。この中にこういうことが書いてあります。「企業責任の明確化について」「関係市町村のもてる消防力を勘案して関係企業の立地を排除し得ない現行の法体制下において、」云々と書いてあるのです。これは市町村が現有の消防力ではこういうコンビナートが来てもとても消せませんよ、こういうふうに考えておっても別なほうでどんどん立地がはかられる、これは自民党政府一つ政策でもありますが、こういう体系下で市町村は苦労しているわけですよ。これは私昨年も申し上げました。宮城県の塩釜の場合はそういう施設から入る固定資産税が二億五千万近く、これに対してそういうコンビナートができたためにかけた金が七億円、こういう状況があるのです。これはどこの市町村でも同じだろうと思うのですよ。やれないところはほとんどやってない。直江津なんかそうでしょう。そういう状況のときに、市町村との総合力でやろう、そういう考え方は私は一応うなずけますけれども、しかし第一義の責任は企業にあるのだ、これは消防長会の要望事項に入っているし、同時に消防審議会の意見の中にも入っておりますね。その辺あいまいになさらないで、私は確固とした企業の自衛消防の第一義的な責任、これを明確にしないとうまくないのじゃないか。この辺私は長官だけではなかなかたいへんだろうと思いますから、自治大臣も北海道で室蘭とか苫小牧とかいろいろかかえていらっしゃいますから、これはたいへんな問題ですから、これはひとつ自治大臣から明確な御答弁をお伺いしたいのです。
  52. 町村金五

    町村国務大臣 最近石油コンビナートにおける非常に重大な火災が昨年はことに頻発いたしたわけでございます。まことに憂慮すべき事態であると私ども考えておるのでございます。先ほど来だんだん御質疑がございましたが、やはりああいったような特殊な大きな装置をいたしておりまする石油コンビナートで、しかも普通の火災とは全く態様の違う火災でありますので、おのずからそれに対しまする消火の方法につきましては、私はやはり自家消防を中心として進めるということが当然でございまして、これを一般都市の消防力に依存するということは私は非常に無理があり、不可能に近いような点も考えられますので、やはり今後はさらにこういった企業に対しまして十分な施設を講じさせるということに一そう指導に力を注ぐべきであろう、こういうふうに私どもは考えておるところでございます。
  53. 庄司幸助

    庄司分科員 これは大臣指導だけではだめなんです。やはり法制化しないとだめなんです。昭和三十六年の「消防力の基準」ですね。これを見ますと、企業に義務づけられているのがあるでしょう。いろいろめんどうくさい文句が書いてありますが、「第四類危険物の五対象施設の数が五十以上五百未満の場合」は化学消防車、単なる化学消防車一台、あるいは二台、せいぜい三台くらいですよ。これをまず改正しないとだめなんですね。だから企業の自衛消防力、これは企業に負担してやってもらう。これをひとつ法制化してもらいたいのですよ。この辺大臣簡単でいいですから……。
  54. 町村金五

    町村国務大臣 御指摘の点私どももたいへんごもっともだと考えておりますので、ひとつ積極的に検討してみたいと思います。
  55. 庄司幸助

    庄司分科員 それでは大臣、積極的に検討する、これをひとつ確認しておきます。  それから、このほかにもやはり法制上の措置についての要望があるわけです。これは通産とも関係がありますが、いわゆる徳山の火災で民家が相当被爆してガラスが割れる。直江津の場合は汽車がとまる、あるいは民家に相当な毒ガスが流れ込んだ。これはたいへんな迷惑ですよ。不安もたいへんです。その点で保安距離と保有空地の強化の問題、これは現行の法制ではだめなんですね。これは実例があります。徳山なんかもいまの基準には合っているのです。合っているのだけれども、あのとおり被害を及ぼしている。川崎なんかはなおさらです。市原もそうでしょう。この保安距離と保有空地の強化の法制化、この点どうでございますか。やられますか。
  56. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 昨年の一連の石油コンビナートの爆発事故を顧みまして、通産省におきましては、それぞれ石油コンビナートにおけるその中の防災的な診断調査というものをやっておられるわけでありますけれども、消防側といたしましても、そのコンビナート地帯の防災診断というような形で、そのコンビナートが存在しております市町村、府県と協力いたしまして、その地域の防災診断を今年度実施をしたいというふうに考えております。これによりまして、消防の担当しております部分は、その地域全体としての防災という観点から見て、現在のその地域の工場からの距離とかあるいはその地域の空地の比率であるとかというものを調査いたしまして、必要な防災上の措置をとってもらう、こういうことでことしからそのコンビナートの防災診断を実施したい、こういう計画を持っております。
  57. 下河辺孝

    ○下河辺説明員 通産省といたしましては、高圧ガス施設の保安基準につきまして、現在コンビナート分科会というものを設けまして、そこで審議をお願いしている次第でございます。その停滞しておりますガス量その他を目安といたしまして、安全な距離を大幅に拡大いたしまして保安確保につとめたい、かように考えております。
  58. 庄司幸助

    庄司分科員 じゃそれはひとつ急いでいただきます。  最後に私お伺いしたいのは、市町村消防の財政問題です。これはことしの予算で昨年と比べると、補助額が若干ふえたようです。しかし、若干ふえたのですが、どうも焼け石に水の感があるのですね。時間もありませんから——私いろいろなデータを持っています。超過負担の率や割合とか持っていますが、消防力の基準、これは三十六年に制定の基準ですよ、現在これも満たしていないのですからね。消防機材については充足率が大体六〇%くらいだろう、それから人員に至ってはもう半分くらいじゃないか、こういわれているのですが、まあその数字は一応さておくとしても、こんな予算じゃとってもじゃないがほんとうに住民は安心して暮らしていけない。  さらに、最近都市市街化区域では、いわゆる高層ビルが林立してビル火災がどんどん起きています。熊本の大洋デパートのような問題とか大阪の千日デパートとか、これは市町村はほんとうに血眼になって対策をとっているわけですが、いまのようなほんとうに三割自治のもとではなかなか自主財源もない。しかも補助は少ない。この超過負担の解消ですね。ぜひひとつ本年度において予算を修正して計上するなり、あるいは補正予算を組んでこれはひとつ解消していただきたい、こう思うのです。  それからもう一つ伺っておきますが、実は全国の市長会で市有物件補償共済という掛け金をして積み立てをやっているのですね。市有財産が火事で焼けたりなんかした場合そこから払う。この積み立て金が実は市町村のいわゆるほまち金になっているのです。これはないしょ金です。いままではいわゆる起債のワクの制限を受けないのですね。それが大臣、どうやらことしから総需要抑制と称して、この市長会のほまち金にまで自治省がどうもワクをかける、ワクの中に入れちゃうという動きがあると私は聞いてきました。これはとんでもない話で、もしありとするならば、これは絶対やめてもらいたい。せめてこれくらいのほまち金ぐらい、みみっちいこと言わないで市長に残してやってほしい。これは大臣にひとつお伺いしたいのですが、この二点をお伺いして、私の質問を終わります。     〔渡部(恒)主査代理退席、主査着席〕
  59. 佐々木喜久治

    ○佐々木政府委員 消防の仕事は市町村本来の仕事でございます。その財政措置の基本は、地方交付税における基準財政需要額においてその算定が行なわれておるわけでございます。その交付税における基準財政需要額の算定と市町村の消防費の決算額というものを比較をしてみますと、昭和四十七年までの決算から見ますならば、常に地方交付税の基準財政需要額の算定額のほうが多くなっているというのが現状でございます。そういう意味におきまして、現在必要とされる財政需要額につきましては、一般財源としての地方交付税がまず十分に措置されているというふうに見て差しつかえないわけであります。だんだんこの比率は過去の八〇%水準から最近は九〇%水準まで上がってきております。それだけまた市町村のほうも財政的に消防費について相当力を入れてきたということが見れるわけでありますけれども、なお交付税のほうの基準財政需要額の算定が先行しているという点につきましては、これは市町村のほうといたしましても相当今後努力をしてもらわなければならないというふうに考えておるわけであります。  また、消防施設の補助金につきましては、最近の事例がら見ましてもやはり補助単価自身が実勢に相当合わない面がある。特に四十八年度あたり物価の上昇が大きかった関係で、実勢価格のほうが相当高いというようなこともございまして、昭和四十九年度の予算におきましてその補助単価の引き上げということをはかったわけであります。なお、今後の物価の推移というものを見まして補助単価の引き上げにつきましては今後とも努力をしてまいりたいというふうに考えております。  それからなお、消防施設の起債につきましては、現在たとえば火災保険の資金でありますとかあるいは地方公共団体の共済資金の積み立て金から消防施設につきましては起債ワクを特に融資をしていただきまして、消防施設の整備に充てておるというのが現状でございます。これは地方債計画のワク外として消防施設の整備に充てておるというのが現状でございます。
  60. 松浦功

    ○松浦政府委員 市有物件補償共済の融資にワクをかけるというのは不届きであるというお話でございますが、そういうことは全然考えておりません。いままでどおりでございます。
  61. 庄司幸助

    庄司分科員 終わります。
  62. 渡辺栄一

    渡辺主査 庄司君の質疑は終わりました。  次に近江巳記夫君。
  63. 近江巳記夫

    ○近江分科員 最近のこのものすごいインフレ状態、物価狂乱の中で、公共公益施設の整備のそういう立ちおくれというものが非常に目立っておるわけであります。特に学校であるとか保育所であるとかまたそのための土地の先行取得の問題であるとか、そういうことで各地方自治体で非常に困難な問題にいま直面しておるわけであります。それで、総需要抑制ということはわかるわけでありますけれども、そういう締めつけというものが全く民間と同じレベルで行なわれておる、こういうことで校舎の建設も進まない。たいへんな問題が起きております。特に人口急増地域におきましては全くお手上げの状態である。校舎が建たないものですからプレハブにしなければならぬ。プレハブといいましても一教室当たりリースで借りましても三百万からかかるわけですね。ところがそういうものについても国は補助もしない。こういうことでいまいろいろな問題が起きておるわけです。これは大阪の例でありますが、二月十日現在で契約済みの未支払い分が、土地だけで百五十二億四千三百万、建物で三十三億二千八百万、これはどうしても払わなければならない分ですね。ところが、銀行局長の通達等からも、一般市中銀行もなかなか金を出さない。全く行き詰まりの状態になっておるわけです。こういう問題につきましてどのように把握され、どのように対処されようとなさっておられるのか、この点についてお伺いしたいと思います。
  64. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 昨年暮れの銀行局長の通達によりましてきびしい選別融資が行なわれておることは御案内のとおりでございます。で、土地開発公社は土地の購入ということを目的としております関係で、特にこれにもろに該当いたしまして、この一−三月非常に苦しい経営状況になっております。  ただいま先生から大阪の場合の一−三月の債務発生額をお話しございましたけれども、全国で一千二百億程度のそういったものがあるわけでございます。われわれといたしましては、そのようにすでに債務が発生しておるものはこれは何としても現金化しなければならないということで、日銀及び大蔵省銀行局のほうへお話ししておりまして、一−二月につきましては大体処理できた現況でございます。ただ、御案内のように三月に金額的には集中してまいっておりますので、この三月分をどうするか、それからそうした債務発生額だけでございませんで、緊急にどうしても要るものがただいまお話しの学校用地等を含めてあるわけでございまして、そういうものも含めまして何とかこれを処理したいということで、現在関係方面と折衝中でございます。
  65. 近江巳記夫

    ○近江分科員 銀行局長の通達を見ましても、優先的に取り扱うべきものとして、医療、教育、住宅等、国民の生活の基盤として不可欠なものに必要な資金と、これをはっきり明記してあるわけですね。ところが抑制的に取り扱うべきものとして、土地取得に関連する資金であるとかそういうようにうたっておるわけでありますが、全く民間の業者と同じ扱いを受けておる。自治省努力していろいろなさっておられるとは思うのですけれども、ところが実際の地方におきましてはその徹底が行なわれてないわけですよ。現実にもうたいへんな窓口の引き締めが行なわれでいるわけですね。特に三月は年度末になるわけですが、これは御承知のように決算もありますし、一般の民間におきましてもたいへんな資金の要求があるわけですね。そういうことで銀行もこういうように——それは確かに通達も、通達というのですか、おたくのほうのそういう要望が出されておるとは思うのですけれども、まだまだこれが徹底してないわけですね。そしてもう支払いは迫られてくる。ですから、話し合っておるということをおっしゃっても現実には違うのですよ。徹底してないのですよ、その点が。  それで総需要抑制ということは私よくわかるのですけれども、しかし何といいましてもこれは学校の問題であるとか、これは法律上も義務教育はうたわれておるわけですし、最優先でしなければならない問題だと思うのです。こういう点、いまのいろいろ努力していただいておることはまだ浸透しておりません、正直に申し上げて。だからやはりその点は一段と解決に力を入れてもらわないとたいへんな行き詰まりがきます。そういう点、さらにどういうようにお考えか。
  66. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 全国的に見まして、特に東京周辺と大阪周辺の地方公社が非常に困っておる状況でございます。それ以外の地域につきましては、大体県段階において処理できるとわれわれは見ておりますけれども、その二つの地域関係銀行の資金ワク等の関係もございましてなかなかむずかしい状況になっております。  そこで、地方公社と一口に申しましても、県段階の公社それから市町村段階の公社、いろいろあるわけでございまして、県の段階におきましてそれをまとめていただきまして、どうしてもこれだけ要るというものをまとめて、どうせ相手の銀行というのは同じ銀行でございますので、どこの銀行に対してどれだけという形で、大阪府下の市町村につきましては、すでに大阪府が中に入ってそういうようなやり方をやっておるわけでございますが、どれだけぎりぎりのところ要るというのを詰めるということで、それに対しまして大蔵省なりわれわれのほうなりが、側面的に協力するというような具体的な問題として解決していきたいと思っております。
  67. 近江巳記夫

    ○近江分科員 これは土地だけの問題ではなくして、御承知のようにいま超過負担の問題がありまして、学校の校舎の建設をしましても非常に持ち出しが大きいわけですね。どうしても銀行から金を借りなければならぬ。これは業者のほうも行き詰まっておるというようなこともありまして、これは四月開校にも間に合わないという事態になってきているわけです。それで間に合わないからということでプレハブということにもなるわけですが、プレハブも、いま申し上げたように全然補助もないわけですね。リースしても一教室三百万もかかってくる。こういうような現状なんです。プレハブ校舎というのは全国的に見ましてもたいへんな数ですけれども、実際に真夏になってきますと、教室内の室温は戸外よりも高くなるわけですよ。子供たちは鼻血を出しながら勉強しているわけです。こういうこともこのインフレに対応して当然いろいろな手を打たなければならぬわけですね。そういう点において、これはほんとうに緊急を要する問題なんです。特に大都市周辺については民間事業所等も集中しているわけですし、取り合いのような状況になっているわけですよ。自治省さんが努力して大蔵省と折衝なさっているというけれども、これはなかなか前へ進んでいないのですよ。だからこの問題はほんとうに大蔵当局と真剣な折衝をしてもらわなければ私は解決しないと思う。この点について、大臣今後どういうようにされるおつもりですか。
  68. 町村金五

    町村国務大臣 ただいまも御指摘になりました大都市周辺における用地の取得、あるいはまた義務教育諸学校の校舎の建築というようなことが、一方においては非常な物価の値上がりにより、一方においては総需要抑制によります融資の規制というような両面からたいへん困難をしておられるという事情は私どももしばしば承っておるところでございます。そこで大蔵省といたしましても、あの融資規制に関します通達、方針というものは、いま全般的に地方開発公社などでは土地をぜひ早目に将来のために買っておきたいというようなこともありまして、かなり大規模な用地取得の計画等があるというようなこともありましたので、そこでただいまもお話がございましたけれども、たとえば学校の用地でございますとか、あるいは住宅用地あるいは福祉施設等に関します用地については、これは例外的な措置を講ずるということを私どもにもはっきり申しておるわけでございます。  ただ御指摘のように、現実には大都市あるいはその周辺においては、私どもの考えておることあるいは大蔵省が私どもに話をしておるようなぐあいに動いていないというのが近江委員の御指摘でございますが、私どもはこういった総需要抑制の中ではございますけれども、こういうものはどうしても私は押えておくことはできないし、押えるべきものではないという考えで取り進めておるわけでございます。具体的には、いま一々どこの銀行から金を出させるかというような問題等についていろいろ大蔵省も配慮してくれているはずだと私どもは考えておりますが、なお現実にいま近江委員御指摘のような事実があるようにも存ぜられますので、ちょうどこの三月期というのがたいへんそういった資金需要の重なっておるときのようでありますので、そういった面をひとつ十分私どもも念頭に置きながら、今後大蔵省とはこういったことの支障の起こらないようなぐあいに、ひとつできるだけのことはしてみたい、こう考えておるところでございます。
  69. 近江巳記夫

    ○近江分科員 いま大臣、今後の基本的な姿勢をお示しになったわけですが、ほんとうにこの三月というものはやはりいま申し上げた一つの区切りのときでありますし、そういうことで、ほんとうに板ばさみで赤字の地方自治体が、特に急増地帯につきましてはもう大半なんですね。そういうことでいま追い詰められた状態なんです。いま大臣おっしゃったように、積極的な折衝を展開していただいて、何とかこれをひとつ解決できるように努力していただきたいと思います。  それからその次に、公債費の問題でございますが、一般単独事業債につきまして五五%カットしておられるわけですね。先ほども申し上げましたように、この最近のものすごい物価狂乱の中でありますので、建築資材等がたいへんな高騰を示しておるわけです。そうなってきますと、業者もみすみすこれだけの赤字が出るんだから契約はできないということを言ってくる。そうなってきますと、契約更新しなければならないということになるわけでありますが、そういう費用にりきまして、この起債をいわゆる増額申請してもこれは全然だめだし、これについては何の手当てもないわけですね。これだけのインフレに対して一つは五五%カットという問題もありますし、それからさらに物価高の中で、それについて起債の問題等についてどのように配慮を今後なさっていかれるのか、この点についてひとつお伺いしたいと思います。
  70. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいま御指摘をいただきましたように、単独事業につきまして、財務局あるいは都道府県のほうとほほ協議がまとまっておると認められるような事業に四五%配分をいたしたわけでございます。御指摘のように五五%カットという形に現在のところなっておるわけでございます。現在の段階では、その四五%でそれぞれ県内の市町村事情を十分配慮をしながら配分をしてほしい、これで何とかおさめてほしいということで、各都道府県の地方課のほうには御協力をお願いしておるところでございますけれども、現実の問題といたしまして、各般の事情があるために、それではなかなか本年度の財政の幕が引けないというところもあるようでございます。われわれといたしましては、今回の措置で必ずしも十分でない、特別の事由があってこれでは収拾がつかないという都道府県等につきましては、個々にいろいろと事情を伺っておりますので、それについてのある程度の修正措置は講じてまいりたい、こう考えております。
  71. 近江巳記夫

    ○近江分科員 修正措置を講ずるという、それは私評価できると思うのです。しかし、現状はこれだけの異常な物価高でありますし、形だけの修正に終わる場合が往々にあるわけです。ですから、やはり中身の濃い修正なり、でき得れば五五%カットというようなこういうこと自体もこれは考えてもらわなければいけないし、どの程度の修正をお考えになっておられるのか。それはケース・バイ・ケースで変わってこようかと思いますけれども、ひとつその辺のお考えを承りたいと思うのです。
  72. 松浦功

    ○松浦政府委員 どの市町村にも平等にわずかの地方債の追加を認めるというやり方はとらないつもりでございます。地方課においてそれぞれの市町村の財政事情なり特殊事情なりがわかっておるはずでございますので、五五%をもとに戻すというような大幅な作業はもとより考えておりませんけれども、一部について個々の団体ごとに始末をつける、一件審査というような考え方で処理をしていくというのが一番適当かと考えております。
  73. 近江巳記夫

    ○近江分科員 その場合、でき得る限りきめこまかなそういう事情の把握をしていただいて、そして実のある修正を十分やっていただきたい。これは強く要望いたしておきます。  その次にお聞きしたいのは、たとえば各都道府県で公害防止条例をつくっておるわけでありますが、たとえば大阪府におきましては、じんかい焼却炉の廃ガス洗浄処理装置をつけなければいかぬということになったわけであります。この場合補助につきましては、この装置をつける自治体は十分の七のうち四分の一の補助、一七・五%ぐらいになると思うのですけれども、府が補助をする、残りにつきましては地方債なり府の貸し付け金によって措置をする。ところがこの問題におきましても地方債のところで大きく引っかかってくるわけですね。ですから条例ができておっても実際上これだけの装置というものはちょっとすれば何億かかるわけですね。そうなってきますと、条例ができておったって一つも進まぬわけです。こういう公害問題というものにつきましては、これは要するに人の生命にかかわる問題でありますから、これは動かせない問題なんです。どういう事情があろうとも進めていかなければならない問題であります。ところが、現実にこういう地方債等におきましても締めつけがありて実際上はできない、こういう地方において条例に基づくそれをやっていこうとしてもできない、こういう現状についてはどういう対策をおとりになるわけですか。
  74. 松浦功

    ○松浦政府委員 ただいまの御指摘の点につきましては、当省としては公害対策事業でございますので、これをしぼるという考え方は持っておらないところでございます。現実に申請額と食い違っておりますのは、事業の進捗状況に見合って起債を許可いたしておりますので、進捗状況のおくれておる部分がカットされているという一面があることからそういう御質問が出ているのではないかと思います。これについてはもちろん一般単独事業債のワクではございません。一般廃棄物処理事業債のワクの中で処理をいたしますので、でき上がります進捗状況に応じて、来年度になりましても続けて起債を見ていくということを申し上げておきたいと思います。
  75. 近江巳記夫

    ○近江分科員 そうしますと、これについては心配なく工事の進捗に合わしてさしていく、こういうことですね。
  76. 松浦功

    ○松浦政府委員 そのようにお考えいただいてけっこうでございます。
  77. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それから超過負担の問題ですけれども、原因はいろいろあろうかと思うのですが、たとえば単価差の問題であるとかあるいは対象差ですね。たとえば建物以外の机であるとかいすであるとか黒板であるとか鉄棒であるとかブランコであるとか、そういうような付属設備等はもちろん全然入っておりませんし、あるいは数量差、基準面積というものが実際上地方の事情とかそういうものに合っておらないということもいろいろあろうかと思うのです。それで、昭和四十六年度に政府が主要六事業につきまして調査をなさって、千六十九億円の超過負担をあげておられるわけですね。ところが全国知事会は昭和四十五年に二十  五事業について調査をして、二千六十九億円の超過負担を言っているわけです。これは一年の年次  の違い、あるいは対象事業に違いが出てきておるわけでありますけれども、いわゆる一つの事業に  つきましても国と自治体がどこまで負担し合うかという点が私は見解に大きな差があるように思うわけです。私いま三つの原因をあげたわけでござ  いますが、この点について政府としてはどのようにお考えですか。
  78. 松浦功

    ○松浦政府委員 単価差の問題についてはわりあい客観的に意見の一致する要素が多いかと思いますが、対象差それから数量差、これについてはそれぞれ考え方が違う部面がございますので必ずしも一致しないわけでございます。具体的に一つの例、適切であるかどうか存じませんが、小学校の建設にあたってサッシを鉄製でとるかアルミ製でとるかでもう値段が全然違ってくるわけでございます。あるいは床を白木のままで置いておくという考え方をとるのか、リノリウムぐらいは張ってもいいじゃないかという考え方をとるか、その辺でいろいろ分かれてくると思います。したがって、そういった問題についてはやはり社会情勢というものの常識的な判断をしていきませんとなかなかむずかしい。そこで四十六年度調査でも実施官庁と大蔵省と自治省、三者共同でいろいろ意見の突き合わせをやって最終的な結論を求めたわけであります。今後もそういう方向でできるだけ何びとにも納得していただけるようなものを求めながら超過負担の解消に当たってまいりたい、こういう気持ちでおります。
  79. 近江巳記夫

    ○近江分科員 超過負担の問題につきましては摂津市が訴訟をやっておりますし、いま非常に大きな問題としてクローズアップされてきておるわけでありますが、私はいまのような状況を見ておりますと、今後むしろ非常に拡大していくように思うわけです。原因としましては、政府も補助単価の引き上げをなさっておるわけですけれども、そういうことよりも物価上昇のテンポがはるかに早い、こういうことだと思うのです。木材であるとか鋼材等いろいろにらみ合わせて単価のそういう改定もなさると思うのですけれども、いわゆる前年度を実績としておられる。そこにはどうしても一年のズレというものが出てくるわけですね。こういうような現実の問題を直視したときに、いまのようなやり方でいいかどうかという問題が一点あるわけです。  それからもう一つは解消措置が、いわゆる調査対象を六事業にしておられるわけでありますが、その他の事業は一般行政経費あるいは職員費等について行なわない、こういう問題についてどのようにお考えであるか。こういう問題を解決しない限りはますます拡大していくと私は思うのです。  それから第三に、補助単価が全国一律になっておりますね。当然、地域を考えますと、大都市周辺、こういうところは地価の上昇がもう非常に大きいわけですね。政府調査に来て、これほど地価がべらぼうに高いとは思わなかった、来た人がみなびっくりしておるわけです。そういう点においてもっと実情を把握してもらいたいということもありますし、そういう人口急増地域等におきましては、地域の超過負担というものが非常に大きい。全国的なそういうばらつきがあるわけですね。  いま申し上げたこの三点につきまして政府として——今後よほどの前進がないことには超過負担がますます拡大していく一方であるということはいえると思うのです。この三点につきましてどのようにお考えか、お伺いしたいと思います。
  80. 松浦功

    ○松浦政府委員 現在のような物価の情勢のもとでは、調査をいたしまして問題がここにあるということを確定をいたしまして、決定をいたしました時点においてはまた先に進んでいる、こういう事態も考えられますので非常にむずかしい問題かと思いますが、いずれにいたしましても事業実施官庁あるいは大蔵省とよく相談をいたしまして何らかの対策を立てて、ただいま御指摘をいただきましたような抜本的な方向を見出すということでなければならないと思いますが、現在の段階でどうするということを申し上げるだけの結論を持ち合わせておりません。  それから第二番目に、六事業になぜ限定しているのかということでございますが、これはたまたま六事業に目をつけて調査をしたというだけのことでございまして、できますことでございますならば、全種目にわたって私どもとしては手を出してみたいという気持ちでおります。これは仕事の量の問題その他いろいろの制約もあろうかと思いますが、最大限の努力をいたしてみたいと考えております。  それから最後に地域的な差の御質問がございましたが、御承知のように、公立文教施設では段階別に五区分、公営住宅では七区分、保育所では三区分という区分がなされております。この問題につきましてはこれ以上さらにこまかくすることができるかどうか、技術的な問題もあると思いますので、関係省ともよく十分慎重に検討をさせていただきたいと思うところでございます。
  81. 近江巳記夫

    ○近江分科員 時間がありませんからあと一点だけお聞きしますが、私いつも申し上げておるのですが、たとえば過疎地域については過疎地域の特別立法があるわけですし、あるいは離島につきましては離島振興法もあるわけです。ところが人口急増地域についての特別立法については、関係各省があまりにも多過ぎるということでなかなか調整もむずかしい、何とか行政措置で進めていきたいということで、とにかく誠意をもって検討してできる限り実現をしたい、歴代の大臣はみなそのようにおっしゃっているわけです。それも何年も何年もこういうことを言っておられるわけですね。少なくとも今日これだけ過密の状態に集中してきておるわけでありますし、やはり特別な立法をしてそして措置をしていく。いまの行政措置にしたってほんとうに現実と合わぬ状態ですよ。手当てをしてないとは私言いませんけれども、非常に遅々としているわけです。少なくとも大臣はもう北海道でも経験もなさってきておられますし、私は、いままでの大臣の中でも一番地方自治というものについては身をもって経験をなさってこられた方であると思いますし、これにつきましてはほんとうに大臣真剣になってやっていただきたいと思うのです。  最後に、特別立法の考え方と、特に申し上げました超過負担につきまして大臣としてはどういう具体策をもって、またどういう決意で臨んでいかれるか、この問題についてお聞きして私の質問を終わりたいと思います。
  82. 町村金五

    町村国務大臣 御指摘のように最近大都市に特に人口が激しく集中をする、しかも物価が著しく高騰をする、こういう時期に当面をいたしておりますので、大都市に多くの問題が激発をしておるような感じが私もいたしておるのでございます。  いま近江委員は、こういったことに対処して何か特別の大都市に対する立法といったようなものを考慮すべきではないかという御指摘でございます。確かに私は貴重な御意見であると考えますけれども、御承知のとおり、すでにいろいろな立法が大都市についてはかなりできておるように私は思うのでございまして、それらとの関連を一体どう見合わせていくかという問題もあるでございましょう。したがって、これは検討をいたさなければならない問題ではございますが、やはりそういう検討と同時に、いま御指摘になりましたような諸般の問題を当面行政的に財政的に急速に処理をしていかなければならないという切迫した事情がございますので、私どもといたしましては、さきの恒久的な問題のほかに、まず当面するこういった問題に全力をあげて、大都市の方々が非常に困ったような事態にならないように、何としてもひとつできるだけのきめこまかい配慮を重ねていくべきだ、かように現段階では考えておる次第でございます。
  83. 近江巳記夫

    ○近江分科員 ちょっと一点だけ……大都市、大都市ということをおっしゃっておるけれども、私が申し上げているのは人口急増地域、むしろ大都市周辺のそういう地帯なんですよ。大都市の場合でしたら、それは大都市の中でも人口急増地域もあれば、逆に中心部はビル街になって抜けていく場合もあるわけです。そういうことで、いろいろな点でばらつきがあるわけですが、特に最近の大都市周辺の人口急増地域のことなんです。ですから、この問題につきまして、いま緊急に、そういう財政的な問題であるとか、これはもう当然やってもらわなければならぬわけですが、今後の緊急なもう一つの問題は、いま申し上げたように特別立法をして、まず骨をつくっていく、これが大事じゃないかと思うのです。その点、ちょっと、大臣のお話を聞いておりますと食い違いがあるように思いますので、最後に、もう一ぺんお願いします。
  84. 町村金五

    町村国務大臣 ちょっと私の発言の内容がやや不正確でございましたが、私の先ほど申し上げましたのは、何と申しましても、最近人口が急増いたしておりますのは大都市周辺の諸地域であるということは、私も承知をいたしております。そういった意味でお答えをしたというふうに御了承いただきたいと思います。
  85. 近江巳記夫

    ○近江分科員 終わります。
  86. 渡辺栄一

    渡辺主査 近江君の質問は終わりました。  長谷川正三君。     〔主査退席、渡部(恒)主査代理着席〕
  87. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 私は、町村自治大臣並びに関係政府委員の皆さんに御質問と要望を申し上げたいと思います。  ただいま大阪御出身の近江委員が御質問をなさっているのを伺っておりまして、私は、東京の出身でありまして、東京、大阪等の大都市周辺の市町村のかかえている深刻な悩みがまことに共通しているということを痛感した次第でございます。国の行政、都道府県の行政、そして区、市町村行政、こうした中で国民は生活をしておるわけでありますが、何と申しましても国民に直結した日常の生活は、末端の地方自治体に凝集されておると思います。したがって、政治全体のひずみあるいは経済の変動、こういったものが、常に最も端的に国民にしわ寄せされる。その解決の一番身近な責任を持つ行政主体としての末端自治体の苦しみというものは、いままさに極点に達していると申しても過言ではないのではないか。近江委員の質問の中にもそれが端的にあらわれております。  町村自治大臣は、豊かな地方自治の御経験をお持ちでございますし、おそらく全国の各市町村、特に人口急増地帯、あるいは急速な過疎化の進んでいる地帯、こういったそれぞれの自治体の悩みというものをよく御存じだというわけでありますが、ただ問題は、どれをとりましても大蔵省との関係があり、あるいは教育なら文部省との関係があり、あるいは住宅の問題、公園緑地ということになりますと建設省との関係があり、さらにはまた農林省との関係もあり、非常に複雑な行政機構の一つの集約点になっておるために、非常に問題の解決が円滑にいかないという悩みを端的に持っておると思います。そのことを最もよく総合的に理解されているのは、閣僚の中でも自治大臣ではないかと私は思うわけです。そういう意味で、特に町村自治大臣に、そういう御自覚のもとにぜひひとつ問題解決の先頭に立っていただきたいということを、私は、総括的に申し上げておきたいと思います。  なるべく近江委員と質問が重ならないようにしたいと思いますが、まず最初に、これはどうもたいへん初歩的な質問になりますけれども、先ほど来たびたび出ております超過負担という問題。私の選挙区は、東京の七区、三多摩地区でございまして、ここには、いわゆる人口急増に伴って、実にいま二十六の市ができておる。最近二十七になろうとしております。四町二村という構成でありますが、どこへ伺いましても、保守系の市長さんであるとか、革新系の市長さんであるとか、そんなことは全く抜きにして、共通の問題提起といいますか、訴えを聞くわけです。そこであらためて伺うのもどうかと思いますけれども、超過負担がどのくらいになっているのか。その主要な項目といいますか、問題点はどういう点があげられるのか。先ほど知事会議調査自治省の把握と違うのではないかというようなおことばもちょっと出ておりましたけれども、それについてごく簡単でけっこうでございますから、どう実情を把握されており、どういう問題点があると御認識なすっておるか。それを伺いたいと思います。
  88. 松浦功

    ○松浦政府委員 四十七年の段階で、実態調査をやりました時点での数字は、先ほども先生から御指摘いただいたとおりでございます。現在の段階においてどの程度超過負担があるかということについては、ちょっと私どもといたしましても、推計の方法もございませんので、わからないところでございます。  問題点といたしましては、先ほど御指摘をいただきましたように、単価差、これが最も典型的な超過負担問題の類型であろうかと思います。あと対象差あるいは数量差、これが本来超過負担であるかどうかについては、基本的に議論のあるところであろうかと思います。たとえば先ほど申し上げたように、鉄のサッシでいいじゃないか、片方ではアルミのサッシでなければいかぬ、これはいろいろ議論のあるところで、意見の分かれるところだと思いますが、単価差ということだけははっきり言い得るのだろうと思っております。  いずれにいたしましても、住宅、教育施設あるいは保育所、それからごみ、屎尿の処理施設、そういったような建築物に非常に大きな問題があると考えております。もちろんそのほか、人件費の補助、一般行政費の問題にもあろうかと思いますけれども、やはり重点は、住宅、教育施設あるいは保育所、生活関連施設、こういったものの超過負担の解消ということを最重点に考えていかなければならないであろうかというふうに考えております。
  89. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 先ほどの御答弁の繰り返しと承りましたが、このごろ、自治体の長に会いますと、超過負担ということばでは足りないと見えまして、法外負担ということばを使われる。これは、超過負担という場合は、一応法律上、国も補助金を出すなり、交付金で処置するなりということになっているものの、その具体的の適用において持ち出しが出てくる。ところが実際にはそれ以上に、法的な規制はないけれども、逆に言うと、法的に自治体が必ずしも責任を持たなくてもいいとも解釈できるけれども、現実の市民生活を考えますと、どうしてもこれは出していかなければならない。ですから、どうも超過負担ということばだけでは包摂し切れないから、ああいうことばが出てくるのじゃないかと思います。私、不勉強で、そのことばを最近覚えたのですが、法外負担、そういうことばが最近自治体の中で使われだしておることを御存じですか。
  90. 松浦功

    ○松浦政府委員 いままでも法外援護とか、そういうようなことばで耳にしたことはございますが、法外負担ということばは、ただいま初めてお伺いしたわけでございます。意味するところは十分わかるような気がいたします。(「それは法外な負担だろう」と呼ぶ者あり)
  91. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 まことに、いまおっしゃったよう帳外な負担になっておりまして、これは直接は文教関係でございますが、たとえば実例を申し上げますと、学校給食の材料費がたいへん上がりまして、間引きをしたりあるいは給食費の引き上げをしなければならない。私ごく最近三多摩地区で、いわゆる多摩ニュータウンの大部分をかかえます多摩市へ参りまして実例を調べてみますと、牛乳一本につきまして本人負担が十三円十九銭、国から五円八十銭の補助があり、東京都から一円の補助があって、十九円九十九銭でまかなっているのですね。ところが、各地で一斉にこの牛乳について五円十八銭値上げしてくれという要求が業者から出ておりまして、そして地方自治体、たとえば大阪、神奈川、千葉等ではすでに五円十八銭上げたところ、四円二十八銭上げたところ、四円十五銭上げたところ、もうすでに実施に入っているところもあるわけです。そこで稲城の市長さんが言うには、どうもこの五円十八銭全額父母負担にぶっかけることはできない。そこでしようがなくて、いままではこの牛乳については市が負担をするということはなかったわけですけれども、給食の設備その他についてはいろいろ市が負担しておりますが、直接子供の飲む給食の牛乳について市が負担するということでは何ら法的責任はないけれども、現実に値上げをしなければならない、これは何とか回避したいということで、四月からとりあえず一本二円の補助を予算化した。まだ小さい市でありますから、この予算は年間二百五万程度だそうでありますけれども、しかし子供と一緒に飲む先生のほうにまでは回らないから、先生の分の二百本ばかりは先生に二円よけい直接負担してもらいますなんという、そんなみみっちいことまでしましてこれを負担せざるを得ない。これはまさに法外負担。私は、学校給食の牛乳一本の事例を一つだけ象徴的な意味でここにあげたわけです。  こういう問題がいまいろいろな意味生活全般に、市町村にしわ寄せしてきている。これはぜひ自治省として十分御調査をなさり、把握をされまして、こういう問題をどう解決するのがいいのか。おそらくこれは自治省がどうこうというよりも、学校給食法そのものを変えて、そして抜本的改正をするというところに問題はいくと思います。したがって、私は、もちろん文教委員会なり予算分科会の文部関係なり、大蔵関係でもこのことはさらに強く申し上げたいと思います。しかし現実にこれは自治体に解決しなければならない問題としてふりかかってきているという事実を大臣において、あるいは自治省の皆さんがよく認識されまして、こういうしわ寄せを解決するために政府自体として、閣議等で十分ひとつこういう問題を反映していただかないと問題の解決にならない。超過負担の解消のための御努力はもちろん、いま言ったような新しいことばで、法外負担というようなものが地方自治体に出てきているということをひとつ十分御認識をいただいて、善処をいただきたいと思いますが、これについてひとつ大臣の御見解を承りたいと思います。
  92. 町村金五

    町村国務大臣 最近における物価の著しい高騰が各方面にいろいろ重大な影響をもたらしておることは私どもも深く感じておるところでございます。  いま、多摩市における学校給食の中における牛乳の代金の若干を市が負担せざるを得ないということで負担をしたということについてのお話でございますが、申し上げるまでもなく、本来そういうものは学校給食法で当然父兄の負担のたてまえということになっているわけでございますから、通常の考え方からいえば、これは当然父兄負担ということになるべきものでございましょう。     〔渡部(恒)主査代理退席、主査着席〕 しかし、市長さんがそこで若干のものを負担をしなければならぬという感じを持たれて、そういう措置をせられたわけでございましょう。こういう点は、あるいは市長さんのお考えにより、また他の地域におきましては、おそらくそれを全部父兄負担にするというふうなやり方をされるところも、私は数多くの中にはいろいろな場合があり得るのではないかと思います。  そこで、お話しになりましたいわゆる法外負担といわれる問題、本来ならば当然負担すべきものに負担をさせるものを、どうしても諸般の情勢上、地方団体の市長としてはこれを当該市の地方公共団体の負担にしなければならぬというふうにお考えになって、そういう措置を講ぜられたということに相なるものかと思うのでございますが、いま物価の値上がりというものがいろいろの方面にいろいろな問題を引き起こしておる、私はその一例を御指摘いただいたように伺ったのでございますが、こういった問題を含めまして、今後、そうは申しながらも、地方団体がやはり負担をしなければならぬというようなものが次第にふえてくるということも考えられることでございます。したがって、地方団体それ自体の自主財源というものが不足だというところに問題を集約していかざるを得ないのではないか。地方団体の自主財源というものを今後ともさらに確保するということについては、自治省として一そうこのことに力を入れるということにいたしてまいるべきであろう、かように考えておるところでございます。
  93. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 ただいま大臣の御答弁、特に自主財源の確保という点は私ども全くそのとおりだと思います。これは税制そのものの変革までいかなければいけないのではなかろうかと考えますが、ぜひひとついまの実情を的確に把握をされて善処を御要求します。  これも先ほど近江委員からも出ておりましたが、学校用地をはじめ公共用地の先行取得に対しては、今日特別の措置を強力に推進しなければいけないと思いますが、これについて、たとえば各市町村で土地開発公社等つくりまして努力しておるようでありますけれども、公共用地の先行取得問題について、特に自治省としてどういう施策をいまの現状に立って推進されるつもりなのか、それをひとつお伺いします。
  94. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 御案内のように、一昨年公共用地の先行取得のための特別立法ができまして、昨年実態に合うように大改正をしたところでございます。公共用地の先行取得につきまして自治省が特に行ないますのは財政面でございますけれども、一方におきましては地方債、それから公社の場合には融資ワクの問題もございます。そうして公社の融資ワクの場合におきましては、われわれとしましては公営企業金融公庫の融資を活用していきたいという気持ちを持っております。  それから土地開発基金、現在三千億ばかりございますけれども、これをある程度の額を上のせいたしまして、これを弾力的に使うということも公共用地先行取得には大いに役立つことであろうと思います。したがいまして、本年度の補正予算におきましては一千六十億、そして明年度におきましては一千四百億をこれに上積みするということで交付税措置も講じておるというような状況でございます。
  95. 松浦功

    ○松浦政府委員 学校用地等の問題につきましては本年度も起債ワクを相当準備をいたしております。しかも、中でも特に人口急増地域における小中学校用地等については、政府債を重点的に充てるという配慮をいたしてまいりたいと思いますが、義務教育の用地起債ワクとしては六百十三億を用意いたしておりますし、高等学校の用地等につきましては、これは水田債なりあるいは先行取得債なりというもので、できるだけ手当てをしていくという方向で臨んでまいりたいと考えております。
  96. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 これは先ほど近江委員も指摘されておりますが、いまの御趣旨ですと、少なくとも義務教育学校用地の取得等については、総需要抑制のあおりを食って非常な困難に自治体が当面するということは、当面解決されるようにうかがえるわけなんですけれども、ところが、この多摩市の例をとりましても、用地の取得ということ自体、土地を買うということで十ぱ一からげのきびしい規制が大蔵省のほうからかかっておるようです。この市では、ことし一校新設、来年また小学校を二校新設しなければならない。そういうことを考えますと、用地取得について非常にいま心配をしておるわけであります。  もう時間がありませんし、近江委員からもずいぶん詳しいお話がありましたから、ぜひこれは末端までいまの御方針が生きるような行政指導と実際の追跡をやっていただきますように、強くひとつ要望いたしておきます。よろしゅうございますか。
  97. 町村金五

    町村国務大臣 先ほど来、特に人口急増対策地域における小中学校の校舎敷地の入手に非常に困難をしておられるところが非常に多いということを、私どももしばしば伺っておるところでございます。  この問題については、先ほど来だんだんお答えを申し上げておりますように、総需要抑制の見地からいたしまする融資規制というものが行なわれることになり、見ようによりますると、十ぱ一からげで、全部こういうものに対しましても、たいへんなきびしい選別融資が行なわれることになっておるというのが実情だという御指摘をいろいろ伺っておるわけでございますが、実は自治省と大蔵省との間の話し合いにおきましては、いまの義務教育の校舎でございますとか、あるいは保育所あるいは公営住宅といったような敷地については、これは例外措置をしてもらうということに基本的には話し合いがついておるわけであり、また、現実にそういうことでケース・バイ・ケースの処理が行なわれているもの、私はかように承知をいたしておるのでございますが、ただ現実の問題としては、必ずしもそうスムーズにいっていないところがあるというような御指摘もございますので、この点につきましては、そういった基本的な考え方が今後実際面で実現のできまするように、ひとつ関係方面とさらに積極的な協議を進めながら、そういった問題の解決につとめてまいりたいと存じておるところでございます。
  98. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 用地問題に関連しまして、特にいま人口急増地帯というのは、大きな団地、日本住宅公団をはじめ都道府県の県営住宅なり都営住宅あるいは公社住宅、さらには大企業開発する住宅団地、こういったものがどんどんふえるために、人口急増しておるというのが実情でありますが、この場合に、これに付随する公共用地、いまの学校用地あるいは公園、図書館、保育所、幼稚園、そして診療施設、最低なくてはならない  スペースというのが当然考えられますが、それらがまだ、明確な法的規制を受けていないし、義務化していないではないかと思うのです。  この点について現在どこまでそれが行っておるのか、今後抜本的な方針をお持ちなのかどうか、これは自治省というよりも建設省が本来的には考えることかと思いますが、こういう要求を強く、むしろ自治大臣のほうから閣議等に十分反映していただかないと、なかなか肝心の責任者の建設関係からそういうものが実際出にくい実情にあると思うのでありまして、この点についての大臣の御所見、御決意を、ぜひひとつここで伺っておきたいと思います。
  99. 町村金五

    町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたような次第でございまして、関係各省とひとつ十分積極的な協議をいたしてまいりたいと存じております。
  100. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 何か、具体的な御方針をお持ちですか。
  101. 松浦功

    ○松浦政府委員 現在までは各省間に協定がございまして、それでやっておるところでございますが、必ずしも現実に合わない面がないとは言い切れない。各種の問題を総合して、いろいろと相談をいたしておる段階でございます。
  102. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 時間がありませんので、この点はもう少し明確にしていただきたいような気がしますが、先へ進ましていただきます。  土地の問題を離れまして、また学校建築等の問題になりますと、これは文部省予算関係があるんですけれども、現実にたとえば四十八年度とりましても、九月段階、十月段階、十二月段階と三回ぐらい、建築途上にある小中学校の建設について、契約金の改定を申し出られて非常に困惑しているんですね。最初きめた補助金や起債のワクではまかない切れないわけですが、こういう問題はどう解決なさるおつもりですか。これまた自治省だけの問題じゃないんですけれども、しかし、具体的には自治体が苦しんでおるのですから、これは自治省としてどうお考えですか。
  103. 松浦功

    ○松浦政府委員 十月の段階で単価の改定を行ないましたことは、御承知のとおりでございます。その後の物価の値上がり、経済の動向等をしんしゃくいたしまして、現在大蔵省、文部省のほうにもう少し何とかならないかという形でのお願いをしておる段階でございます。いずれ近いうちに何とかして結論を出していただきたいと、当省としては考えております。
  104. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 東京都では、大体全体の傾向としてこれに対処して、美濃部知事のほうで一つのレールが敷かれかかっておりまして、その値上がり分の半分は業者に泣いてもらう、値上がりのうちその半分を都が出そう。これは直接、たとえば校舎建築の値上がりですから、三多摩振興費というような形で出しているんだろうと思いますけれども、そしてあとの、そうすると全体としては四分の一になりますか、これは市町村が負担する。その分だけで、実は四十八年度の多摩市の例だけでも、この年度末に来て二千万円。まあ額は、国の予算等から見れば少ない額ですが、この年度末に二千一万円を新たに多摩市が負担するということはどうにもできないんだ。これは多摩市などは少ないほうで、全国の人口急増地帯におきましては、こういう追加持ち出しというものに非常に苦しんでおると思うのであります。こういう問題については、いま、ひとつ何とかならないか。近く答えを出してもらいたいというふうに努力をしておるというお話でありますけれども、ぜひひとつ自治体のこの悩みを解決する先頭に自治大臣があるという、信頼がわくような実績を出していただきますように強く要望いたします。  時間が参りましたので、最後にひとつだけ御質問して終わりたいと思います。  いま全国的にも起こっておりますが、私どもの三多摩地区でもたくさん起こっている問題で、基地が返還されるあと地、それから筑波学園都市がだんだん整備が進みまして、各官庁の施設、研究所等があちらに移る。それから未利用の国有地などがまだ点在をしている。こういうところについては、地方自治体は垂涎おくあたわざるものでありまして、そうでなくても足りない学校用地なり森林公園なり、あるいは市民グラウンドなり、あるいは病院、高校進学率がまさに九〇%、一〇〇%に近づいているという段階での高校の建設用地なり、各市町村によって問題はいろいろバラエティーがありますけれども、この基地の返還あと地、あるいは筑波学園部市への官庁の移転あと地、そして未利用国有地、こういうような点について、それぞれの地元自治体の意向、要求というものをぜひ最高度に尊重してこの処置がとられることが、いま緊急の当面の、非常にいろいろな問題で苦しんでおる中で一つ明るい希望を持たせておることは事実なんです。ところがこれが、基地はアメリカから返ったけれども自衛隊が別に使うんだとか、警視庁の機動隊の訓練場所にするんだとか、あるいはもとそこはある大資本が持っていたから結局そっちへ返してしまったとか、こういう動きが所々に出ておりまして、自治体としては非常に不安を持っている、希望と不安が交錯した中でいまもがいているというのが実情であります。具体的なことはもう時間がありませんから申し上げませんけれども、こうしたあと地の公共利用については、そうでなくてもいま先ほど来公共用地の不足ということ、入手困難ということ、こういうことが大きな問題になっておるときだけに、これはいわば最も解決の早い問題なんでありますから、自治大臣としてぜひ御善処を願いたいと思いますが、これについての御見解を伺いまして、私の質問を終わりたいと思います。
  105. 町村金五

    町村国務大臣 いまおあげになりましたような基地のあと地であるとか、あるいは研究施設等の移転のあと地であるとかいったようなものにつきましては、現在東京周辺の諸都市におきましては、まさに垂涎おくことのあたわざる土地であろうという御指摘は、まさにそのとおりであろうと思うのでございます。私どもも、そのあと地が、ただ単に都市がスプロール化していく場所になってしまったんでは何の役にも立たないというふうに考えるのでありまして、できるならば、それぞれの各市町村にいろいろの御希望等もございましょうが、つとめて、今日の不良な環境を改善するための、緑地であるとか自然公園であるとかいうようなものにそれが払い下げられるということが一番望ましいことだと私は考えております。  ただ問題は、御承知のとおりに、国有財産に関する処分の方針の問題というものにも関連をいたしておりますので、この点は大蔵省がもっぱら考えることではございますけれども、私ども自治省立場としては、いま申し上げたような方針で今後処分をされるということを強く要望をしたい、こう考えておる次第でございます。
  106. 長谷川正三

    ○長谷川(正)分科員 終わります。
  107. 渡辺栄一

    渡辺主査 長谷川君の質問は終わりました。  次に、安宅常彦君。
  108. 安宅常彦

    安宅分科員 まず、きょうは通産省から始めます。  全国にいまいろいろな工業団地がたくさんできておりますね。こういう問題についてあなたのほうでは、これまたたくさんの法律があるわけですね。通産省が関係しておられるそういう工業団地・について各企業の入居条件といいますか、こういうものについては国では統一した条件を設定するとか、いまそういう事態に至っていないんじゃないか。率直に言うと、工場再配置法だとかいろいろなものを一生懸命——田中さんの日本列島改造論に便乗したのかどうか、これも便乗値上げのうちの一つかもしれぬけれども、あなたのほうはそればかり急で、非常に乱脈をきわめているような気がしてなりません。あなたのほうで関係しているもので、入居条件が法律的に定められているような、そういう法律は何かありますか。
  109. 志賀学

    ○志賀説明員 お答えいたします。  私どもの通産省が持っております法律で工業団地に関連い駐与法律といたしましては、一つは工業再配置・産炭地域振興公団法がございます。それから、これは直接工業団地を目的とするものではございませんけれども、工場立地法というのがございまして、これは主として工場の緑化というものを推進する法律でございますが、それに関連いたしまして、若干工業団地について触れている部分がございます。いま先生おっしゃいましたように……(安宅分科員「時間がないから、入居条件が法律的に定まっているのがあるかということを聞いている」と呼ぶ)法律上きまっているものはございません。
  110. 安宅常彦

    安宅分科員 わかりました。  それから総理府にお伺いいたしますが、あなたのほうでも、この公団のがありますね。工業再配置促進法に基づいてですか、これは工業再配置公団、それから、これをいま国土総合開発公団に改組するためのいろいろな作業が進んでいる。いろいろな仕事をあなたのほうではなさっているわけですけれども、その関係でも、入居条件というものについては考え及んでいないんじゃないですか。どうなんですか。
  111. 渡辺栄一

    渡辺主査 なお政府委員に申し上げます。  御答弁は、できる限りひとつ簡潔にお願いします。
  112. 浜岡平一

    ○浜岡説明員 お話しのような法律案を国会に提出いたしまして、現在継続審議中でございます。この公団は県で直接団地を造成いたすわけでございますが、その段階では、業務方法書におきまして、自分の造成した団地の分譲基準というようなものを定めることになろうかと思っておりますが、法律で明文の規定を設けるということはいたしておりません。
  113. 安宅常彦

    安宅分科員 自治省にお伺いいたしますが、たとえば県単独でだとか、つまり地方自治体単独でいろいろな工業団地をつくっている。それに対して、あなたのほうでは起債を認めたり、いろいろなことをなさっていると思いますが、そういう団地でも入居条件といいますか、そういうものについて格別な基準というものを示したり、あるいは行政指導をしたりすることはなかったんじゃないでしょうか。
  114. 松浦功

    ○松浦政府委員 工業団地等の造成につきまして自治省がタッチしておりますのは、裏の資金面だけの問題でございますので、当然御指摘いただきましたように、入居基準をこうやれとか、こういうのはいけないとか、そういう指導はいたしておりません。
  115. 安宅常彦

    安宅分科員 たった一つ、首都圏の近郊整備地帯及び都市開発区域の整備に関する法律、これは二十二条以下ですか、若干の、いわゆる俗にいう入居条件のことが法律的に定められている。ただこれだけだと思います。したがって、こういうことは自治省、あっさり私は資金面のことでございましてと言えば、そのとおりです。あなたのほうがあんまり地方自治体に監督を強めるということは私は反対ですよ。だけれども、金はどんなものになるかわからないのだけれども金は出してやるなんという、まるでどろぼうに追い銭みたいな結果にならないとも限らない。そういう金をじゃかすか出すということは、これまた少し不見識なことではないかと私は思いますが、どうでしょうかね。どうなんですか。
  116. 松浦功

    ○松浦政府委員 工業団地の開発ということは、地方公共団体が議会の議決を経て行なっておられることでございますので、入居条件等についても憲法なり自治法なり、そういうものの精神にのっとって当然やっていただいているという前提でございますので、中身等について審査をするということはいたさないというのがたてまえでございます。
  117. 安宅常彦

    安宅分科員 そんなりっぱなことを言うけれども、国が大体きまっていないのだよ、国のやるやつが。私がたった一つ指摘した法律だけ以外にはないのです。だから、ほんとの話かって気ままなものよ。そういうことはここで論議したってしようがない、論戦しようと思いません。これは自治大臣と論戦したってしようがない話だから。国のいろんな法律に基づいて工場を追い出して、補助金をやってなんてうまいことを言っているけれども、補助金なんかまだはっきりしていない。ただ、利子補給するということだけはやっているけれども、これは法律的な根拠も何もないことです。そういうことをやっている程度であって、看板はりっぱだけれども、何もやっていないのですよ。どういう企業が入ってこようと何でもかまわない。あとは野となれ山となれというのがいまの日本列島改造論に浮かされた工業団地の育成、設置なんですね。こういうことは国の施策としては最も下の下だとぼくは思っています。したがって、ここでは論戦いたしませんが、その上に立って私申し上げるのですが、たとえば一つの例を申し上げますと、県独自の工業団地の場合にいろんな種々の問題が起きているんじゃないかと私思うのです。  一つの例として山形県の鶴岡市における、これは県営のものだと思いますが、工業団地があります。ここではどういうことが行なわれておるかというと、一つの例として、これは時間がないので簡単に申し上げますが、東北みすゞ電子工業株式会社という会社が入居を申し込んだんですね。ところが、これはトリオという大きな会社があります。音響メーカーです、弱電の。これとみすゞ工業という小さな会社との資本提携か何かによって、東北みすゞという会社の名前で入居を申し込んだんですよ。そうしたら、まだ入居の契約もしていないのに基礎工事を始めちゃったんですね。いいですか。これはおかしいじゃないかと県議会で問題になったんです。そうしたら、取りこわせということになったわけです。なかなかこわさない。そんなことをしているうちに、このみすゞという会社ががらくた会社といいますかね、失礼なことばですが、私口が悪いから申しわけないのですが、経営状態があまり上等でなかったためにその直後に事実上倒産をしています。いま会社更生法の指定を受けているようですが、こういう会社を入居させるという条件で県は動いてきていましたね。鶴岡市当局もそういう上申を県にしていますよ。ところが、今度はみすゞがこわれたんですからね。トリオと組んだ東北みすゞというまだできていない会社。ですから、できていないうちは本社はどこにあるかというと、工業団地にあると定款に書いてあるんですよ。これは商法上いいんだそうですが、とにかくまだ架空の会社、この会社がつぶれた。これも片一方がつぶれたんですから、ほんとうに幽霊みたいな会社のはずですね。それを今度はたくさんの希望者があるのに、これをトリオだけに入居を急遽許可しています。条件が入居のとたんに変わっているのです。  もう一つの例を言いますと、東京部品工業株式会社というのが入居の申し込みをしています。これも契約をするときにはぐらりと変わって、鶴岡ブレーキ株式会社という子会社か関連会社に名前をすりかえて入っていますね。みんなそういう会社だから来るんで、たいへんいいんじゃないかと市議会でもどこでも、市民でも皆そう思っている。ところが、入居のときそういうからくりが行なわれる。議会でチェックしようも何にもないじゃないですか。そうでしょう、すてんとやられるのですから。こういうことが行なわれているのです。こういうやり方は非常に疑惑を生み出す、そういうやり方じゃないでしょうか。どうですか。自治省行政局長かだれかおりますか。
  118. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 鶴岡の山形県営工業団地での入居について、いま先生いろいろな御指摘をなさいまして、実は私もそれは初耳でございます。  県営団地の入居でございますから、この事業主の県において、その入居においていささか疑問があり不正があるということであれば、県議会においてもその批判が当然あり得ることと思いますし、さらにはその所在地である鶴岡市からも、そういう副申のような形で入居に関しての関与が行なわれておれば、その間やはりおかしいことがあれば鶴岡市の議会でも当然批判が起こるべきであろう。大体、住民の批判というものがそういう議会なりあるいは地元のローカル紙なりで行なわれていって、いろいろ地方自治の問題が正しく解決され誤りが正されていく、これが地方自治の真髄だと思いますので、それに関しては私のほうから直接いろいろ調べて、四の五の言う前に地域での住民あるいは地方のローカル紙、議会、そういうものの批判によって正されることが筋であろうと考えておる次第でございます。
  119. 安宅常彦

    安宅分科員 ていさいいいこと言ったってだめですよ、あなた。入る前に、ずっと市民には東京部品という会社が入るんですよという宣伝をし、議会にもそういうことを言ってきているとぼくは思うのです。それから東北みすゞという会社が入るんですよと言ったと思うのです。だからみんな批判が起こらないです、その時点では。ところがそうではない会社が、許可するときにぱっぱっぱっとやられるのです。県のほうでつくった委員会か何かで、開発の一番親分と市長あたりが入って委員会をつくって、三人か四人ですよ、そこでひっくり返ったら、批判が起きたって、そのときはすでに契約したんだもの、批判が行なわれてももとに戻るかい、絶対戻らないじゃないですか。あなた、そんなていさいのいいことを言っちゃいけませんよ。戻らないということはわかりますな。それはあなた、行政局長どうですか。批判が幾らあったって、契約をもとに戻すことはできないでしょう、法律上。
  120. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 確かに一つの既成事実というものができると、もとに戻すというのはたいへんむずかしいことであろうと思います。しかし、その前の段階までにいろいろていさいのいい説明をしておって、そこでごろりと変わったとなれば、まさにその時点に批判は当然起きるべきでございましょう。起きることが、たとえその件がもとに戻らなくても、それからあとの入居その他については、その批判をもとにして正しい運用がなされる、これが大切だろうと存じます。
  121. 安宅常彦

    安宅分科員 批判が起きても既成事実が残るんです。石油のメーカーを幾らぶったたいても、高くなった石油を下げるということまで至らないです、国会であんなにやっても。いいですか、だれが困るかというと、この場合には入居をしたい人々が困る。灯油を買った人が、消費者が困る。同じことなんですよ。たくさん地元の人が入りたいと思っても入れない。しかもこういう、たとえば東北みすゞという場合には一万五千坪——坪というのはいま使って悪いことになっているかもしれませんが、これでここまではこの会社の区画でございますと市で言って、あるいは県で言って、あと会社は入るところありませんと突っぱねておいて、今度別な会社にすとんと落とした。そうしたら今度急に半分になったりするんですね。なぜそれは大きな土地を希望しておったか。これはたいへんなことですよ。たかが二、三百人の従業員しかいないはずの会社が一万五千坪なぜ要るのでしょう。買っておけばしめたものだというので、案外トリオという大きい会社が資金を出しておいて、それに土地を買わせて、みすゞという会社がつぶれないと思って、そしてあとで値上がりを待つということだって考えられないわけじゃないですね。そうでしょう。何年か後にこれを売ってもいいけれども、何年かの期間売ってはならない、譲渡してはならないという条件があったとしても、じっと待っていれば、資金力のあるものはもっと値上がりを待つことができる。言うならばここで不当な土地の買い占めが行なわれるということが現実として行なわれているんですよ。——行なわれる危険がある。そういう疑いのある入居条件の団地がたくさんある。そういうこともあり得るから、行政指導を、起債を認めるぐらいだったらそれくらいのことをするのがほんとうじゃないかとぼくは思いますが、どうですか行政局長。そういうことがないようにぐらいは……。
  122. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先生、それは筋道としてはあくまでその地方自治の問題として地域で解決していただくことが私は大切だと思います。ただ、現実には地域にいろいろな実情があり、あるいはいろいろな不正というのが人目につかぬところで行なわれてものが曲げられるという事実、これはまああるいはあるかも存じません。これは防がなければならぬということは当然のことだと思います。ただ、そのために私たちのほうが起債の段階で入居条件をどうする、だれが入居するというところまで口を入れるのは、そこまではいかがなものだろうかということでございます。
  123. 安宅常彦

    安宅分科員 わかりました。あなたの意見も一つの識見ですから、それでけっこうでしょう。ただ、そういう場合にどういうことが起きておるかということを、ちょっと私は心配なことがあるものですから。自治大臣がいなくなったので、国家公安委員長のあれもありますから、ぜひこれとも暗に関連させながら質問したいと思っておったのですが……。  「つるおか広報」というPRの市報があります。これが市報のつづりです。このつづりの表紙を配っているのです。全戸に配っているのですよ。こういうものに大事につづっておきなさいという鶴岡市報の表紙ですね。その表紙のいいところに「鶴岡ブレーキ株式会社、東京部品工業の姉妹会社」——いいですか、東京部品か入る予定だったのですよ。それを出して、そして今度は、市報のつづりです、「この表紙は、広告掲載商社のご好意により、鶴岡市全世帯に配布されたものです。広報は大切にとじて保存しましょう。」こんなことは好ましいことでしょうかどうですか。
  124. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 自治体の行政があくまでも公平でなければいけないということは、もうどこを通じても厳守されなければならない真理だと思いますので、それに疑いを持たせるようなことがはたして適当かどうかと聞かれれば、これは適当でないと言わざるを得ないと私は思います。  ただ、その市報なるものは、各自治体でいかにたくさんの人に読んでもらうかということにいろいろくふうしておりまして、いまのは市報そのものではございません、その表紙を何かサービスのようなかっこうで、場合によれば売名のようなかっこうで配っておるという事件のようでございます。市報の中に、たとえばいろいろ広告を取り入れたり、民間の業者とのある程度のタイアップによって、市報自体をわりあいと人に読ませるようなくふうをしておるということはこれはけっこうございまして、そのこと自体はあまり非難するべきものではない。ただ、いまの先生の御指摘になったその件が、市とどこかがよけいに癒着しておるだろうというようなことをもし疑わせるようなことであれば、やはりこれは適当でないと言わざるを得ないと思います。
  125. 安宅常彦

    安宅分科員 これは去年問題になりましたね。鶴岡市の住民基本台帳を日本ダイレクト有限会社ですか、こういうところが写していって、そして全市民に配った。だから、あなたのほうでは、これはまずいというので、四十八年の十月二十六日に通達を出しておるようですね。この程度では、将来こういうものがコンピューターで支配されるような事態になったらこれはえらいことだというのでたいへん問題になっておる時期ですから、過渡的な通達としてはいいでしょう。そして慎重に考えなければならないという一つの意思表示だということは私は認めますよ。ところが、問題になった日本ダイレクト有限会社はこれは小さな会社なんです。この会社が企画発行して、市の総務課長並びに市長の了承を得て全戸に配っておるというところに問題があるのです。いいですか。まだ頭をかしげておるけれども、なぜかというと、このダイレクト有限会社というのは、ちょっと表現に気をつけなければならないと思いますが、非常に信用のあるというところまでいかない会社だといわれている会社であります、そう思うか思わないかは別ですが。ところが、この社長が、この鶴岡ブレーキ株式会社が入居することについて、相当の市との癒着関係があるのではないかと疑わしめる発言をしています。だから、この会社は、私どもにはしょっちゅう広告を出さなければならないのだ。人居予定、あるいはしている会社からは、関係ないけれども、私は知らぬけれども、この会社はしょっちゅう広告を出さなければならない立場にあるのだとこのダイレクトの社長は言っておるのです。たいへんぐるぐる回ってえらい黒い霧と疑われるような、そういう問題がいま鶴岡市内に出ているのであります。これは入居基準というのは非常にはっきりしておかないと、こういう事態が起きるのですよ。これは売名のために日本ダイレクト有限会社がかってに出したのだ、かってに配ったのだというのだったら、これは鶴岡市当局が非難して、・そんなことをかってにやられては困るというのが、鶴岡市当局でなければならぬとぼくは思うのです。いいですか、それを言うどころか、その前提ではなくて、鶴岡市の了解を得て全戸に配布している。そうして鶴岡ブレーキ株式会社という工業団地に入る会社が一番たくさんの広告料を出さなければならない立場にある。これは非常にゆゆしい問題だと私は思うのですが、こういうことについて私は事前にあなたのほうの係官に言っておいたのですが、何か県のほうに聞いて調査したり何かはしておりますか、どうですか。
  126. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 多少時間的にも不十分かと思いますが、私はここで御報告できるような詳しい報告はまだ聞いておりません。おそらく現地でいろいろな事情があっていろいろなことが行なわれ、そのうちには先生の御指摘のように、おかしいと思えばはなはだおかしいじゃないかということもあるいはいろいろあるのかと存じますが、私のほうがいま詳しい事情を知らないで、ちょっと立ち入ってそれに対して価値判断はしかねますけれども、とにかく市の行政というのは公平でなければいけない。どこから見られてもおかしいというようなことは、かりにほんとうはおかしくなくても避けなければいけない、こういうような倫理観からいえば、あるいは軽率であったのではないかという感じを個人的には私どもは持ちます。
  127. 安宅常彦

    安宅分科員 これは時間がありませんから確認をしておきたいのですが、住民基本台帳の閲覧について、それを全市民の分をとって、そうして印刷をして配った。そういう会社が市報の表紙を——これは毎日全市民が見るのですよ。これはたいへんな経費ですよ。この会社はちゃちな会社なんです。住民票を閲覧をした会社はね。そんな資本なんか張るわけじゃない、有限会社です。だからそういう会社がたくさんの金を使ったと思うのです。一部何ぼするかということを原価計算してみたらあっさりわかることです。鶴岡全戸に配ったのですから。配りつつあるといってもいいかもしれません。そうしますと、鶴岡市が住民の基本台帳を写させて印刷させる行動に出たことさえもおかしいのですよ。そこまで疑惑の念を持つのも当然ではないか、それが一つ。そうしてこの会社が企画発行して、市の了解を得て全戸に配ったということは、さらに重大な要素を持つのではないか。それから、工業団地に入居を決定された会社が、入居を決定をする直前に社名を変えたり、架空の会社で申し込んで——架空というか、まだできない会社で申し込んでおった。これもいいでしょう、ある程度。だけれどもそれがだめになってしまったならば、当然、これはあぶないからというので別な会社に入居をすすめるとか、たくさん希望者があるのですから、そういうことをすべきだと思うのだが、一緒になって、許可にならないうちに基礎工事をした片棒かつぎの片方、これは二つ合併してやるはずだったのですから、これは共同正犯だ。その会社を急に入居させるようにしたなどということはいいことかどうか。確認しなければならないことは三つです。これは三つ目です。  四つ目は、先ほど言ったように、それと大体似たようなケースで、契約のときに突然というか、若干の期間しかない間に、批判を起こすようないとまを与えず、東京部品という会社が、姉妹会社だか関連会社だかぼくはわかりませんけれども、おそらく下請なんです。姉妹会社と自分で名乗っているのですから世話ないです。この会社に急に出す、こういう会社、鶴岡ブレーキ株式会社が住民票を頒布したその会社に多額の広告費を出して、そうしてしかも鶴岡市の市報の表紙、これは鶴岡市の当局の了解を得て発行された表紙に寄付金を出さなければならない、悪くいえばおどかされたと思われるような節もないではない。これはうわさとしてはおどかされたと言われています、鶴岡市内では。ですから因果がぐるっと回って、そういうものを鶴岡市がつくることに了承を与えた行為、これも大きな疑惑があるのではないか。その疑惑を持つのは当然ではないか、私はそう思います。だから、その四つの点について一つ一つ確認したことを一つ一つ答えてください。
  128. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 たいへん残念ではございますけれども、いま先生からあらかじめ伺っておりまして、おそらく係のほうでは調べられるだけは電話その他で調べたと思いますが、まだ私がここでこれはあやしい、これはおかしいというような心証を得るまでの材料を実は集めておりませんし、何よりも前に、最初申し上げましたように、こういう問題こそ自治の問題であるし、先生がおっしゃるような疑惑、確かに先生のお話を伺えばそこに疑惑があるんじゃないかという気は、私のみならずだれでもすると思いますが、そういう事態が地元で起これば、元来地元の議会あるいは県営団地であれば県の議会に批判が起こらぬはずがない。起こってしまってから、既成事実ができておって取り返しにくいということは確かにあろうとしても、そういう過程を経てこそ自治体の行政が正される。そういう意味では、あくまでもその地元の現実の批判に待つべきであるし、私のほうへ、そういう問題について地元でもてあまして相談に見えれば、こちらで考えられるだけのいろいろなアドバイスはいたしますけれども、まだ上がってこないうちにこちらのほうから、それはおかしい、疑惑があろうと言うわけにまいりませんので、そこは御了承いただきたいと思います。
  129. 安宅常彦

    安宅分科員 たとえば、契約寸前に社名を変えるような入居の条件のまま、そういう運営がなされているということについては、あなたはそれは是か非かという場合には、非ではないか、これは確認できませんか。——あなたの指導するかしないかを聞いているんじゃないのですよ。いいことか悪いことかと聞いているのだ、ぼくは。
  130. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 入居寸前に名義を変えるというのが自由にできるというのは適当な運営ではないと思います。
  131. 安宅常彦

    安宅分科員 はい、わかりました。  それでは、鶴岡市がこういう特殊なものに、おもて表紙に広告を載せた鶴岡市報のつづりを全市に配らせたということはいいことか悪いことか、好ましいことか好ましくないことか、これくらいの判断はあなたはできるでしょう。指導するかしないかは別。
  132. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは先生、やはりちょっと鶴岡市の言い分も聞いてみなければいかぬような気もいたします。私の住んでいる杉並区とかそれぞれの自治体で、自分の施策を市民に徹底させるためにいろいろなくふうをしておりますから、その鶴岡市の市報というのも、鶴岡市としては市民全体に読んでほしいのでしょう、おそらく。読むために何かそれが便利だし、役に立ち、名前をかすだけで自分の市費はいたまないというときにかすということはあるかもしれません。ただそれが、そこの広告その他によって、先生の言われるように市と何かと密着しているのじゃないかという疑いを起こすことがあれば、これは適当でないと私は思いますけれども、そのおそれがないかどうか、そういうところも十分判断してその配ることに了解を与えたかどうか、これは私ももう一ぺん聞いてみなければわからないと思います。
  133. 安宅常彦

    安宅分科員 それでは自治省の「住民基本台帳法の施行については、かねてから御配意いただいているところであるが、」という書き出しの昭和四十八年十月二十六日の通達ですね。通知というのですか、これには「このこと」、つまりプライバシーの擁護です。鶴岡市のことが議会で問題になったときに、これに関連して出した通知ですね。「このことに関連して、当面、住民基本台帳の閲覧に当たって、閲覧を請求した者が、全住民ないし多数の住民の住民票を書き写すようなことば、市町村の執務に支障を及ぼすことが多いとして、適宜、同法第十一条第二項の規定を適用するなどの措置を講ずることにより、住民との間に無用のトラブルを生ずることのないよう、貴管下市町村をよろしく指導されたい。」  この住民台帳を閲覧して全市民に配った会社、これは好ましくないからこういう通達を出したのでしょう、あなたのほうでは。その会社の企画発行で、市の了解を得てこういうものを出したということはどうなんですか、それじゃこの通達は紙っぺらかね。
  134. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 住民台帳が公開であるという原則……(安宅分科員「いやいや、そんなこと聞いているんじゃない。時間がないから」と呼ぶ)これを利用しましてそういう出版をした。もちろん無料で全市に配ったわけではございません。たしか有料頒布か何かで予約をとったようでございます。その企画自体は非常に適当でないものとしてそれに対する対策をいろいろ協議しておりますし、その企画、そういうことはよろしくない、プライバシーの関係からよろしくないとして、それが引き続いて起こらないようにその通知を出しました。これはそのとおりでございます。ですから、そういうよろしくない企画をした会社はもう頭から一切よろしくないとしか考えないんだ、その会社と市が癒着しているような感じを抱かせることは軽率であろうと私は思います。しかしあるいはその会社はそれで反省しておるかもしれませんけれども、その辺のほうは、私のほうからちょっと調べる能力に現在欠けておるという状況であります。
  135. 安宅常彦

    安宅分科員 もうこれでやめますがね、そんな理屈を私らあなたとやりとりしようと思ってきょう来たのではない。そんな役人的なことで、ことばで私をごまかそうったって、その場はしのげるか知らぬけれども、どこまでも追及します、それだったらこの通達と関連して。いいですか。反省しているかもしれないなどということ、反省していないです。いま配っているんだとぼく言ったじゃないですか、さっき。ただでですよ。ただで配るというのは、広告費によって全部やられておる。特定の業者だけが書いてある。入居したものだけでいえばこの一社。そのほかは鶴岡市内の特別なこのダイレクト有限会社と非常に近しいようなところだけが広告が載っている。そういうものが市報の表紙として市の了解で配られたことが好ましいか好ましくないか、鶴岡市の言い分を聞いてみなければわからないなどという答弁で、あなた行政局長つとまると思うか。そんな答弁は納得できない。時間がないから、あとでこの問題についてはひとつよく調査して、私のところに報告をするということが一つ。あなたのほうから答弁をいただきたいということと、これは自治省に言ってもしようがないが、総理府からとそれから通産省からもおいでになっているようだから、こういう問題について、工業団地というものは野放しになって、非常にトラブルが起きやすいから、入居の条件というものについてある程度政府指導方針があってもしかるべきではないかということについて、あなた方、責任ある人はいないからおれは言えないというんだったら、自治省の政務次官からでも、そういうことは必要であるかもしれないということか何か知りませんけれども、やはりトラブルがあるとすればそれを是正する方針があってしかるべきだということがあなたの考えの中にあるならば、そういう答弁をしてもらえば、私はこれで終わります。
  136. 古屋亨

    ○古屋政府委員 先生のいまの第一点につきましては、調査をいたしまして、先生のほうへできるだけ早い機会に御連絡いたしますから、御了承願いたいと思います。  第二の点につきましては、いま御趣旨の点を通産その他の関係省庁に申し入れまして、いまのような点につきまして、考え方をはっきりして——やはりそういうことが必要だと思います、お話のように。御連絡いたすことにいたしたいと思います。
  137. 安宅常彦

    安宅分科員 どうもありがとうございました。
  138. 渡辺栄一

    渡辺主査 安宅君の質疑は終わりました。  午後二時に再開することとし、この際暫時休憩いたします。     午後一時十八分休憩      ————◇—————     午後二時二分開議
  139. 渡辺栄一

    渡辺主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  自治省所管について質疑を続行いたします。増本一彦君。
  140. 増本一彦

    増本分科員 私に与えられている時間は三十分しかございませんので、ひとつ私も簡潔に伺いますから、簡潔にお答えいただきたいと思います。  まず大蔵省にお伺いしたいのですが、すでに御承知のように、去年の十二月二十五日に金融引き締め、窓口規制についての局長通達が出されまして、それ以降、特に地方自治体に対する融資が大きな問題になっている。先般の予算委員会で、わが党の三谷議員がこれに関連して質問をしまして、あの通達の中にある教育、住宅、医療というのは、個人だけでなくて、地方自治体についても同じようにワク外として指導するという答弁も大臣からあったわけですけれども、しかし、依然として地方自治体の金融難による苦しみというのは解消されていない。特に義務教育の小中学校の建設にしわ寄せされているという問題は、この入学期を控えていま一番非常に深刻だし困っているという問題があると思う。まずこういう事実を皆さんのほうではどういうように押えて確認しておられるか、そこのところをまずお答えいただきたいと思います。
  141. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 お答えいたします。  先生指摘のように、昨年の暮れに通達を出したわけでございますけれども、これに対する背景はもうすでに先生もよく御存じでございましょうが、ちょっと重ねて申し上げますと、地方公社の借り入れ要求額というのが急速に急増したということは御存じのとおりでございまして、都道府県一の、三十九都道府県を合わせますと、自治省で調べましても一−三月に二千百八十七億という膨大な借り入れの要求がございました。これを銀行のほうで別に全国で調べてみますと、都市銀行だけで約三千百億、それから地方銀行で債券を合わせますとこれが約三千六百億というような、非常に膨大なものになっているわけでございます。しかもこれが都銀の例を見ますと、最近金融引き締めで銀行の総貸し出しワクを大体対前年同月に対しまして三%程度に押えているにもかかわらず、地方公社の伸びが、増加要求額というものは二〇%以上にオーバーしているというような状態でございまして、一つの銀行に例をとりますと、ある銀行では、地方開発公社の借り入れ申し込みが二百十九億もあって、その銀行の貸し出し総額は中小企業等の貸し出しも入れまして百三十億しかないというような要求になってきたわけでございます。したがいまして、もしこの地方公社の要求額を全部まかなうということになれば、それはその銀行自身は融資が完全にほかの中小企業等には回らないというようなことになりましたので、この通達が出されたわけでございます。  したがいまして、私どもの方針といたしましては、教育についての重要性は十分存じておるわけでございますので、教育、医療等について緊急やむを得ないものについてはこれを考慮いたしますけれども、根っこのところには、やはりいま現在猛烈な金融引き締めをやっている最中でございますので、そういうことを踏まえた上で金融機関と地方公共団体との間で十分話し合って進めてもらいたい、こういう指導をいまやっておるわけでございます。御承知のように、一、二月につきましてはもう銀行との間の話し合いもかなり進んでおります。したがいまして、地方公社としましては、要求額に比べてはまとまった金額というのは少のうございますけれども、それはやはり地方公社の側でもその辺の事情をよく御勘案の上、要求額を緊急性のあるものだけにしぼっておられるというような状況になっておるわけでございます。
  142. 増本一彦

    増本分科員 たとえば来年度からすぐ必要だという学校用地の取得が、不要不急だということでけられるわけですね。こういうことがちゃんとその通達にそのまま記載されていて、このとおりやりなさいということになったら、銀行でそのさいふのひもを締めてしまうということは当然だと思うのですよ。  そこで、一つはこの前の二月の二十三日の予算委員会での大蔵大臣の答弁を踏まえて考えますと、あの通達では個人の教育、住宅、医療、こういうものについて、緊急なものはこれははずすというように書いてあって、地方自治体のことが書いてなかった。だから、地方自治体については何でも締めればいいというような運用のしかたというのが、あの通達に基づいてやられてきているという実態は私は否定できないと思うのですね。そこで、いま皆さんもこの教育や住宅、医療、特に教育や医療についてはその必要性を十分考えていらっしゃるというのであれば、ここでもっと地方自治体に対する銀行融資の指導基準というものを、具体的に明確にする必要があるのじゃないか、あるいはその部分のすでに出された通達はそこの部分に限っては撤回して、別の指導基準なり通達というものを明確にすべきではないかというように思うのですが、その点はいかがですか。
  143. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 最初に御指摘ございました大蔵委員会の発言の中で、私どもといたしましては、地方公共団体もこの通達の一、二に書いてあります通達に準じて取り扱うという表現を御説明いたしたと思いますが、その準じた取り扱の中で大体どういうことが基本になっておるかと申しますと、教育と申しましても、たとえばスポーツ施設等に関連するようなものというのは、いまの半年くらいの間の非常に金融引き締めの強化されている最中に緊急対策としてどうしても立てなければならないものかどうかというようなことまでいろいろ考えた上で、やはり義務教育施設等で優先順位の高いものを拾っていく、それから同じ教育の中でも、ややもう少しがまんできるというものをあと回しにするというようなことが実際の取り扱い上できないだろうかというような基準を考えておるわけでございまして、いまのところ地方公共団体のいろいろな事情を聞いてみますと、かなりその要求の中に、いろいろ過密、過疎があるようでございます。したがって、銀行と地方公共団体との間のほんとうの話し合いというのは、実際にいま行なわれておる現状を聞いてみますと、やはり教育の中においても、いまがまんできるものは資金の都合である程度がまんしょうというふうなことを、みずから自治体のほうからもおっしゃっていただいておるようでございますので、先生指摘の点は、具体的には金融機関と公共団体の間で、かなり解決しておるのだろうと私は考えております。
  144. 増本一彦

    増本分科員 この事業が、いま必要なのか必要でないのかということは、審議官のいまの御答弁ですと、銀行が結局判断するのと同じことになってしまいますね。自治体と銀行とで相談をしてきめるというけれども、いまは金を借りるということをお願いに行っている立場でしょう。だからこれは貸せませんとかどうだということを、自治体のやる計画の内容に銀行が口をはさんであれこれやって、さいふのひもをゆるめたり締めたりするというような結果にならないように、まずものさしだけはきちっと、はっきりとさせておくということが一つは必要じゃないですか。金融機関が自治体のやることに一々くちばしをはさむ、こういうことを放置しておくということが私はたいへんまずいことになる、それを現にあの通達はやってしまったんだというように思うのですよ。  大臣いらっしゃいますから、いまの簡単な、時間がないものですから簡単な議論でありましたけれども、この事実を踏まえていかがですか。この事業はいま必要か必要でないかということは、結局売り手市場、貸し手市場になっているわけですから、金融引き締めの中で自治体と銀行との関係は。それで貸すか貸さないか、結局銀行の態度一つできまってしまうというようなやり方というのは、たいへんまずいやり方だと私は思うし、だからこそ銀行は、こういう場合には貸さなくちゃいかぬとかいうようなはっきりとした基準をきめるとか、自治体に対しても、ここまでのものについては必ずやれるように、皆さんのほうできちんと便宜なり保証条件をつけるというようなことが私は必要だと思いますが、いかがですか。
  145. 町村金五

    町村国務大臣 いまの総需要抑制の中における融資規制の問題は、たびたび私どももお話を伺っておるのでございますが、この大蔵省が出された通達というのは、先ほどもお話がございましたけれども、やはり義務教育施設であるとか、これに類するような緊急やむを得ないものについてはいろいろな情勢がございますけれども、これはぜひ融資はしていただかなければならないということで、この点は大蔵省とも十分話し合いのついているところ、かように私は承知をいたしておるのであります。  そこで、ただいまお尋ねの、銀行が最終的には貸すわけなんでありますから、結局銀行がきめるわけでありますけれども、しかし、銀行に対しましてはこういった通達がはっきり出ておるわけでありますし、地方自治体のほうにも私どもはそういうふうなことで事が運ばれるんだというふうに申しておるのでございますから、その点はそれぞれの地域における自治体と銀行との話し合いで、いまのワク内のことについては私は十分に処理ができるものであり、現に伺うところによりますと、二月までは大体そういうことで処理ができてきた、目下三月分についてそれぞれ交渉が行なわれておるというふうに聞いておりますけれども、おそらくいまのような基本方針で解決されていくものだ、かように承知をいたしております。
  146. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 いま先生の御指摘の、金融機関が別に地方公共団体、地方公社の査定をしておるのではないかというような感じのことをおっしゃったのですけれども……
  147. 増本一彦

    増本分科員 結果としてそうなるでしょう。
  148. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 結果と申しますか、御要求その一ものは、結局地方公社の場合には債券かあるいは銀行からの借り入れに依存する、いわゆる議会を通しての地方公共団体の一般会計で税収を云々というような議論がされないで、要するに借り入れ金ということでまかなうという方針が貫かれております以上は、どうしてもそこに地方公社としては計画というのは借り入れに依存をする、安易と申しては恐縮でございますけれども、四、五年先までのことを読まれたところの借り入れ申し込みになっておるのでございます。したがいまして、それは銀行側から見ますると、その全容をお示しいただけるわけでもございませんで、毎月毎月このぐらい貸せというような御要求として出てまいりますものですから、このような金融引き締めの時点においては、これはある程度考えていただかないと、全体の金融の問題として問題があるのじゃなかろうかというところからこの通達の精神が始まったわけでございます。したがいまして、膨大な要求と銀行側のワクとの間においては、かなりの差があることは当然でございますから、そこにいま大臣もおっしゃいましたように、いろいろこまかい話し合いを銀行と地方公共団体との間でしていただくということでございます。基本的には、義務教育のようなもので緊急のものを先に取り上げるということになっておるわけでございまして、決して金融機関が地方公社の中に立ち入って査定をしているとかいう形ではございません。  ただ申し上げておきますが、地方公共団体と地方銀行との例をとってみますれば、最近問題になっております大口融資という形に対しましては、地方公共団体の九割近くは地方公社が第一順位でございます。それほど地方銀行といたしましては地方公社に対しておつき合いしているわけでございます。しかし、これには金融引き締めの別の一つのワクがあります。またこの金が第二の過剰流動性のほうに行く可能性がございますのは、農協その他にかなりの資金のたまりが出てまいりまして、そういう点がまた金融引き締めに逆行している面も考えていかなければいかぬ。同時に、地価がせっかく鈍化しているわけでございまして、ここで地方公共団体の買い込みによりまして、やはり騰勢が少し加わっているという最近の傾向について、私どもは金融当局として非常に心配しているわけでございます。
  149. 増本一彦

    増本分科員 借金に自治体が依存しなければならない、一般会計で解決できない、こんなにも金融についての要求が出てきたのは、一般会計では学校一つ建てるのにも事ができないという実態があるからでしょう。一般会計の中で学校建設の占める割合がいまどのくらいになっているか、教育費だけでも三〇%、四〇%、これを一般会計で占めなければならないという事態になっているからじゃないですか。ではそういう事態にだれがしたんだと自治体は言いますよ。審議官のお答えを聞いていると、何か銀行の参考人を呼んで伺っているみたいな話だと思うのですね。しかし実態は、たとえば神奈川県の相模原市の場合をとってみましても、四十億申し込んで横浜銀行は三十億貸すと言っていて、実は十億はすでに借りている金の返済に充当しちゃって二十億しか出さない。残りの二十億をしかたがないから農協から借りるわけですよ。銀行の金利は九・二%で、農協のほうは一二%でしょう。こういうような借り方をして、そして金利による圧迫も一そうひどくなるという事態があるでしょう。これはちょうど政府が地方交付税で一部を千八百億補正予算のときに抜いて、今度もまた来年度予算案の中でも千六百七十億ばかり抜いているのと同じようなことを銀行もまねしてやっているわけです。座間市の場合でも、横浜銀行に十億申し込んで五億五千万しか借りられない。しかも、そのうち一億三千万はことしの三月三十一日までに返せという条件をつけて、そうしてようやく借りた。これらの地域はみんな人口急増地域で、相模原市の場合だと小学校五、中学校三はどうしても建てなければならぬ。座間の場合も、小学校、中学校は一校ずつ建てなければならぬ、こういう実態の中でやりくりしてお金の借り入れを申し込んでこういう事態です。ですから、通達の精神は義務教育などの必要で最優先すべきものをやるんだといっていながら、実際には大なたをふるわれて、半分しか貸さないということになっているわけですから、いま金融機関は貸し手市場になっていて、その事業の計画について、これは必要だから貸しましょう、これはもう少しがまんしなさいということも言えるわけですね。皆さんは、地方自治というものを守らなくちゃならぬということをおっしゃっていながら、実際にはこういう金融の逼迫している状態のもとで、力関係はいまでは逆に自治体がきわめて弱い立場に立ち、金融機関が強い立場に立って、そういうところからも、事業内容についても文句がつ仕組みになってきてしまっている。だから、地方自治を守り、そして住民の福祉を前進させていくという上からも、この通達については、きちっとものさしなり基準というものをもっと明確にはっきりさせる。通達が総論であるのだったら、各論の通達で指導基準をもっと明確にして、強力に銀行当局に対する指導もすべきであるというように思うのですよ。  そこで、先ほど大臣にもお伺いしたのですけれども、もう一度大蔵省としては、その辺のところを再検討し、こまかい各論の指導基準を明確にするお考えがあるかどうか、伺いたいと思います。
  150. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 先生の御指摘のように、確かにこれから長い——長いと申しますか、地方公共団体における義務教育の施設をどうするかというような面から、その財源調達をどうするかという長い目で見た場合のいろいろの問題という点から、金融機関がいま参加しております貸し付けとかあるいは地方債等の債券の買い入れ、そういうふうな形の参加の形態の中で、いろいろな、長い目で見れば、私はいまから大いに検討していかなければいけない問題はたくさんあると思います。それは双方にあるのではあるまいかと思いますが、現段階は非常に金融を締めて、いま貸し手市場とおっしゃいましたが、確かに金融引き締め下というのは貸し手市場といえるかもしれませんが、こういうきめのこまかい引き締めをやっております際には、どうしてもある程度その辺で引き締めが出てくるのはやむを得ないかと考えております。ただ、義務教育施設の用地は優先度が高いと思われるので、この点については話し合いをするようにという点につきましては、現在各銀行に指示を与えておるところでございまして、先ほどから御指摘の相模原市につきましても、横浜銀行から報告をとっておりまして、一、二月についてはお話し合いがついた。三月について目下話し合いを進めておるというふうに報告を受けております。ただ、横浜銀行は大体神奈川県のほとんどの都市の公金銀行でございますので、神奈川県下の要求をしぼりにしぼったところで現在すでに百七十一億の要求が出ております。これを三月までの間に処理するとなりますと、一地方銀行としてはなかなかたいへんなことではないかと思いますので、その点から、私ども、決して金融機関が地方自治の実態の中に口を差しはさむわけではございませんが、金融機関のほうにわれわれが指導している点は御理解いただきたいと思います。
  151. 増本一彦

    増本分科員 ひとつ銀行によらしむべき基準というものをはっきりさせて、これは私のところに届けてください。  最後に、もう時間がありませんから、大蔵省にはひとつ、こういういまの実態の中で、たとえば銀行だって九・二%になってしまった、農協は一二%だ、これはどうしても利子補給の必要があるのではないか、自治省としても考えていただきたい。  それからもう一つは、農協などに高金利でやむを得ず借りてしまって、これがもっと金利の安いところから借りかえ返済ができるような手だてというものも、この際、通達がきき過ぎてそうして現状のような結果にもなっているという点を考えれば、もう少しそこらのところも配慮していいのではないか、この点はどうか。それから大臣については、こういういまの状態が出てきているというのは、何といっても補助対象面積が低かったり、実際取得の価格と補助額との間に非常に格差がある。これに一つ原因があるわけですから、この格差の是正についてはどう考えているか。そしてまた自治体に対する国の長期低利の資金を融資するような制度というものを、自治省独自に確立していく努力というものを大いにやる必要があると思うのですが、この点についてはどうか。この点だけお尋ねして、時間になりますので、私の質問を終わりたいと思います。
  152. 岩瀬義郎

    ○岩瀬政府委員 確かに高い金利で借りておられるという点につきましては問題があろうかと思いますが、これを借りかえ金利を安いほうに切りかえるということにつきましては、むしろお借りになったほうの地方公共団体が、その返済の計画等について、あるいはそれは最終的には市民の負担になるわけでございまして、そういう点でどういうふうな計画のもとにお借りになったかという実際をよく把握いたしませんと、簡単に借りかえ金利というものをどういう機関に持たしたらいいかというようなことの結論まで行かないかと思います。ただ、いまのような事態がほんとうはあまり長く続くべきものではないと私は思っております。同時にやはり地方公共団体の計画性に基づいて、そこに資金調達計画というものをはっきりさせていただいて、そこに地方の銀行あるいは金融機関が、これに計画的に応じていくというような体制というものが早くでき上がることが一番緊要ではなかろうかと思います。義務教育施設の問題につきましては、私どもその重要性を十分承知いたしておりますので、その点からも今後なお検討して、金融機関の指導には当たるつもりでおります。
  153. 町村金五

    町村国務大臣 地方公共団体がかなりの超過負担等をしておるということについては、これは実はいろいろな問題がある、私もこう思うのでありますが、自治省としてはやはり一つの基準を設けまして、それに基づく超過負担というものは極力解消をしたいということで、いままでも努力をいたしておりますが、今後も努力をいたしてまいるつもりでございます。  なおまた、そういった場合における資金問題についてでございますが、今日まで自治省としては、やはり地方団体が使われる資金についてはできるだけ良質低利のものがいいというふうに考えまして、明年度の予算におきましても、政府資金をかなり増額をするというような措置を講じて努力をしておるということだけを申し上げておきたいと思います。
  154. 増本一彦

    増本分科員 そこでひとつこの点は大いに検討していただくとして、もう一問だけ自治大臣伺いたいのですが、去年から資材がうんと上がってしまって、インフレ条項をつくってスライド制を採用したわけですね。これはいろいろな公共事業の工事にあるわけですけれども、しかし特に学校建設や福祉施設、これでこのスライド分だけで相当な負担をいま自治体がしいられているわけですが、たとえば藤沢市を例にとりますと、小中学校建設だけで五千五百八十九万円、これがスライド分の負担になっているわけです。こういう問題についてどういうように処置なさいますか、その点だけ簡潔にお答えいただきたい。
  155. 町村金五

    町村国務大臣 そういう事態のあるということを私どもも十分承知をいたしておりますので、この点は目下関係省と十分話し合いをいたしておりますので、適当なそこに処理策が出てまいる、かように承知しております。
  156. 増本一彦

    増本分科員 終わります。
  157. 渡辺栄一

    渡辺主査 増本君の質疑は終わりました。  渡部一郎君。
  158. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 私は、大都市財政の問題について総括的な点をちょっとお伺いしておきたいと思います。  現在大都市におきましてはさまざまな問題点が集約しておりまして、むしろお金のかかる問題点がもう集積しておるという点は御承知のとおりだろうと思います。公園、下水道あるいは住宅、道路、教育施設、福祉施設、もう問題は非常に多い。私の手元にある政令指定都市の要求といたしまして、昭和五十二年度までの緊急投資の必要額と財源不足額を掲げまして、この四年間、五十二年までの間に六兆一千七百億円の投資を必要とする旨述べております。そしてそれに対して財源不足額は一兆五千億円と見込んでおります。これはかなり現在型の、現在を維持するというだけのものであって、新しいプロジェクトその他というものに対してはきわめて不十分であろうかと私は思っておるわけであります。  そこでまず要望の第一は、税制改正の要望が出ているわけでありますが、たび重なる税制調査会の答申における大都市財源の充実策というものが出ておるわけでありますが、今期の予算案においてもそれが十分反映されることを望んでいるわけであります。  特に私が申し上げたいのは、法人所得課税の拡充について市町村民税法人税割りの税率というものを——現在九・一%でありますか、これを大幅に引き上げていただきたい。いままでの固定資産税中心の税制では、もうとてもやっていかれないところにきておる。逆に三割自治から二割自治へ、二割自治から一割自治へというふうな、もう話にもならないようなやり方というものが今日まで横行しておるわけでありますから、それに対してどういうふうに取り組まれるおつもりであるか、またどういうふうに考えておられるか、これをまずお伺いしたいと思います。
  159. 首藤堯

    ○首藤政府委員 御指摘がございましたように、地方財源、特に都市税制におきましては、動態性と伸長性というものの必要性もございまして、税源が充実をされるということが非常に望ましいことだと私どもも実は考えておる次第でございます。ことしは税制調査会の答申等もいろいろございましたので、ただいま御指摘がございましたような市町村民税の中の特に法人税割り、これの充実をはかることを第一義といたしまして、標準税率で九・一%でございましたものを三ポイント上げまして一二・一%に引き上げることといたした次第でございます。この市町村民税法人税割りの税率の引き上げ分は、平年度で約二千億見当に相なろうかと思います。ことしは初年度で千億余りでございます。こういったことで、市町村における法人税関係の実効税率と申しますか、シェアと申しますか、こういったものもかなり高まってきておる次第でございます。  なお今後ともいろいろな手段を考えながら都市財源の充実に心がけてまいりたい、このように考えております。
  160. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 この点は相当改善されたことは認めるにやぶさかでないわけでありますが、これは私どもの予想よりはるかに低いので、さらにもう少し何とかしなければならぬと思うわけでありますが、今回全くうなずけないのは、いわゆる事務所税、事業所税の創設に関する後退的なお取り扱いであります。これに関しましては、田中総理のおっしゃっている日本列島改造論に私は批判を持っているほうではありますけれども、東京、大阪等をはじめとする大都市に事務所や事業所が、中心部が集中してしまう。権力集中が起こる。その結果として不適当なき簿の事業所集中あるいは事務所集中が起こることが、地価高騰その他の大きな引き金になっておることは、もう見られているとおりであります。したがってこれについては、事務所税を創設するというような欧米諸国における創意というものは当然受け入れられなければならないことでありますし、また国会においてもそれに関する考慮を払うべき決議が委員会等においても行なわれ、また議論もあったわけであります。したがって、こうしたものは当然今回において盛り込まれてしかるべきであるにもかかわらず、全くお取り上げになってない。これはどういうわけなのか。私はその辺とんとうなずけないのであります。私が申し上げるだけでなくて、自民党の諸君ですらうなずけないと私はほんとうに思うのです。その辺、虚心なお話を聞かしていただきたい。
  161. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま御指摘がございましたように、都市、特に大都市におきます企業が集中の利益を享受をしておる、またこのことに伴いまして、各種の公共施設の充実、都市の再開発等の問題が起こっておる、こういったことから、その地域に所在をいたします事業所、事務所に対して新たな負担を求めるということが適当であろうと私どもも考えて、事業所事務所税につきましては税制調査会等の御審議をわずらわしたのでございます。ところが諸般の事情と申しますか、ことしは法人関係の全般の税負担を一般的に増加をいたしましたこと、それから年度末の経済変動の動向の問題がございまして、なお慎重に検討しろ、こういうような税制調査会の結論も出た次第でございます。私どもとしては今後ともこの創設に向かって努力をいたしたい、こう考えておる次第でございます。
  162. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いまの御説明は私はどうもわからないのです。年末の経済変動がすごいからそういうことをするべきでないというのは、おかしいのではないか。年末の経済変動でむしろ企業はぼろもうけをしたというのは、もう通説であります。そうすると、むしろこういうときだからこそ事業所税を創設して賦課することが妥当だというならわかりますけれども、経済変動がすごいから適当でないというのはうなずけないのであります。ともかくこうしたものに対して、税調の態度はともかくとして、それこそ関係省庁の態度というものがかなりものをいうのじゃないかと思うわけでありまして、大臣、ちょっとお伺いしたいのですが、大臣はどういうお考えですか。
  163. 町村金五

    町村国務大臣 今日、大都市が非常に財政需要というものがふえてきておる、それに対して必ずしも財源はこれに伴わないという実情にあることは、私ども承知をいたしておるところでございます。そこでかねてから大都市の税源をできるだけ増加しなければならないということで、何と申しましてもこれには法人税あるいは住民税における法人税割りを上げていくというのがやはり本筋の行き方であろう。いま税務局長から、事務所事業所税が歳末のいろいろな経済変動等に関連して云々というお答えを申し上げておったのでありますけれども、それは、ああいった情勢の中でむしろこういう恒久的な税をつくることは適当でないであろうという話であったと私は思うのであります。一部の企業が格別の超過利潤をあげておるということであれば、むしろそういった対策を講ずるのが適当でありまして、こういった事務所事業所税といったような、単に一種の財源対策として広く税収を求めるというやり方は、必ずしもそれには適当ではないのではないか、やはり本体としては法人税等の増徴をはかるということが本筋ではなかろうか、私はこう考えておるわけであります。
  164. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 それじゃ大臣は、法人税割りをどのくらいにすればいいとお考えですか。私、いまの大臣の御意見にはだいぶ疑義があります。というのは、事務所税や事業所税は、その事務所や事業所が、集中の利益といいますか、その巨大都市化した都市群の中央部にあって、そして公害をもたらし周辺の環境を悪くするのに対する補正の意味も十分に含まれているわけですね。そういう前向きの点はわざわざ落として御答弁になった。だから私は、それは大臣としてはちょっといかがなるお答えかなと御見識を疑う感じがする。それで、法人税割りを重視するということは、それは私は賛成なんです。それはそれで当然なんです。ただ法人税割り、いまのはあまりよくないというおほしめしなら、じゃ何%くらいを今後、将来にわたってしたいと思われるのか、この二つを……。
  165. 町村金五

    町村国務大臣 こういう法人税割りを、御承知のとおり本年は約三%の引き上げをするということにいたしたわけであります。御指摘にございますように、大都市等におきましては、これを一挙にそれ以上に増徴すべきだという御議論もあるようでございます。確かにそうなりますれば、地方の大都市における歳入は非常にふえるわけでございますけれども、これは多きにこしたことはございますまいけれども、しかし税というものはそうまた一挙に思い切った増徴をするということは、これはやはり適当ではございませんので、おのずから漸を追って進めるということが必要であろう。それから事務所事業所税については、私は実はこの創設に反対をいたしておるわけではございません。私も税務局長がお答えを申し上げておるとおりでございますけれども、ただやはり昨年の税制調査会等におけるこういった問題の論議の中で行なわれたことは、法人税の税割りをふやすのと、事務所事業所税とを同時にやっていくということにはかなりの無理があるであろうというようなことで、おそらく私はこれをこの際は見送ろうということになったと思うのでありまして、税制調査会等におきましても、このこと自体を否定をする考えはないというふうに私は承知いたしております。
  166. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 では大臣は、要するに今後の——いまの問題に対する御解釈を承るのではなくて、これから先、事務所事業所税の創設に関しては前向きに取り組んでいく、こういう御意向であると解釈してよろしゅうございますか。
  167. 町村金五

    町村国務大臣 よろしゅうございます。
  168. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 また法人税割りについては、現在においては三%上げたけれども、将来についてももう少し拡充する方向にしたい、こういうおつもりと理解してよろしいですか。
  169. 町村金五

    町村国務大臣 これは御承知のとおり、法人税割りというのはやはり法人にかかる税でございますから、主体の国が取りまする法人税というものとのかね合いを考えなければなりませんので、ただ法人税割りだけをふやしていくということは、これは簡単に結論を出すべきものではございません。やはり両者をよく見合いながら、今後適正な税率にするというふうにつとめていくべきものであろう、こう私は見ております。
  170. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 大臣が慎重な御答弁をなさるのはわかるのですけれども、いまの地方税法を見ていて、要するに不安にたえない国民の前に、これから先の努力する方向を示される必要がありますね。その意味では私は、事業所税に関する御答弁は的確でありますが、法人税割りに対する御答弁はあまりいい御答弁ではない。ただバランスをとるばかりの、調和をされるばかりの御答弁ですから、その御答弁はうしろ向きです。そういう事情はあるでしょうけれども、その次が聞きたい。そういうふうにバランスもとらなければいかぬ、ほかの税割り等も見なければいけない、あるいは他省庁との関係もある、そんなことはわかっています。私も国会議員になってもう何年かたちました。そんなしろうとみたいなことを聞く必要はありません。そうではなくて、これからどうするかです。少なくとも地方自治体が全部関心を持っているこれらのあれについては、もう少し何とかする方向で前向きに検討するのか、それともうしろ向きに下がるのか、もういまのまま考慮の余地はないのか。そういう方向性を伺っているのです。
  171. 町村金五

    町村国務大臣 私は、今日の地方自治体が非常に財政需要がふえてきておる、それに対して必ずしも自主財源が意のごとくにふえないというところに地方財政の非常に困難な状態があり、ことに今日のように物価が異常に高騰をするというような状態になってまいりまして、各種の施策を行なうというのにはたいへんな実は難渋をいたしておるわけでございます。したがって地方財源の、自主財源の増額を求めるということは、私は地方自治体にとっては当然のことであろうと思うのであります。  ただ御承知のように、税というものはそう簡単に税率をふやしたり減らしたりするということはこれは適当ではないというふうに私は判断をいたしておりまするし、こういうような困難な一種の緊急事態というようなときには、やはり他の財源というものを当然考えていかなければならぬのであります。こういう場合にはやはり地方債等の活用というものも当然念頭に入れながら、それこれをひとつ総合した財源対策を進めていくというべきものであろう、こう私は存じております。
  172. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 じゃ地方債のお話をなすったからそちらへいきたいのですけれども、国庫補助金制度の改定について四十九年度においてはどういうふうに考えられておるか。下水道整備の十分の四とか、ごみ処理施設整備の四分の一とか、幼稚園、消防の三分の一とか、現行のこうした割合というものはあまりにも現状に実際の現行のさまざまな問題点が適合しないわけであります。まずその点をお伺いします。
  173. 松浦功

    ○松浦政府委員 国庫補助金制度のもとにおける補助率の問題につきましては、道路とか河川とかいうような種類のものに補助率が高くて、住民生活に直接関係の深い事業について案外補助率が低いじゃないかという意見が一部に非常に強くあるようでございます。私どもといたしましても下水道整備事業でございますとかあるいはごみ処理施設整備事業でございますとか、こういったものについては住民生活に欠くべからざるものであって、道路、河川同様にある程度国においてその政策を推進していくべき事業ではないであろうかと考えております。私どもといたしましても、補助率の引き上げについては各省に大いに働きかけをいたしたところでございます。今年は御承知のように、下水道事業でございますが、従来十分の四の補助率が管渠について六割、それから末端処理については三分の二、そういうように下水道関係につきましては大幅の補助率アップを見ることができました。これについては非常に喜ばしいことだと思っておりますが、そのほかのごみ処理施設等についてはまだはかばかしい成果が見られないようでございますが、今後におきましても補助率の引き上げ、超過負担が起こらないように補助単価の引き上げ、こういった点について最大の努力を払ってまいりたいという気持ちでおります。
  174. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 市街地の高層住宅の建設に関し、これは非常に大きな問題になっておるわけでありまして、各地方自治体では閉口しておるわけであります。実際いって市街地の高層住宅はもうできぬとまでみな叫んでおります。これらに対する補助金の補助率の割合はいかがでありますか。
  175. 松浦功

    ○松浦政府委員 高層住宅二分の一、二分の二という負担割合でございますが、これについても地方公共団体は補助率を引き上げてもらうことを非常に望んでおると思いますが、われわれといたしましては、もっと補助率の低い住民生活に密接なものとして下水道、ごみ処理等を中心にことしは各省にお願いしてまいりました。この問題についてはなお今後の問題として検討さしていただきたいと思います。
  176. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 それでは補助採択のワクの拡大の問題についてでありますが、これはいずれも実際的に工事をしたり何かする場合にあたって大問題になっているようでありますが、この実質の補助率というものが非常に低い。六大都市のほうから報告されているのでは、実質補助率が下水道の場合には二〇%、公園事業については一二%とかあるいは一八%というようなひどい数字があげられております。数字に対しての御議論もありますでしょうが、こうしたかなりのひどい実態に対して御認識をいただいて、これらについても今後前向きに取り組んでいただきたいと私は思っておりますが、いかがでありますか。
  177. 松浦功

    ○松浦政府委員 当省といたしましては、補助採択率の問題については非常に深い関心を払っております。これの引き上げという方向で、今後とも努力することをお約束いたします。
  178. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 時間がありませんからどんどん飛ばして申し上げます。  単価の引き上げの分について申し上げるわけでありますが、四十八年度の公営住宅の単価の引き上げ、それが第一次改定と第二次改定が行なわれた旨了解をいたしております。ところが、たとえば小中学校校舎でいいますと四万二千五百円というものが実施単価として二度にわたって改定され、そして今年四十九年の予算単価では六万一千七百円になっております。そしてその引き上げ率は四五・二%であると伺っております。この資料は自治省からちょうだいいたしました。ところが実際、単価を四十八年度内に二へん引き上げられましたけれども、その引き上げた場合に、戸数を減少して単価を上げられたというふうに私は伺ったのですが、そうでざいますか。
  179. 松浦功

    ○松浦政府委員 住宅につきましてはそのように伺っております。
  180. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 単価引き上げという問題は、これは単価引き上げじゃなくて、実際的にはそういうように地元の財政に対して調整し直すことによって、実質的な行政効率を下げることによって、建てるだけは建てるという意味でありますから、私はこれは単価引き上げというよりも戸数調整といったほうがむしろこの場合は的確であろう、こう思うわけであります。したがって私は、大蔵省と折衝しにくいのかもしれませんけれども、地方自治体がこうした形で行政を行なわれるというのは、実質上の地方行政の破壊にもつながることでありまして、今四十九年度においてはこういうような妙なやり方はやめていただかなければしようがないのじゃないか。こういうやり方が続くならば、地方自治体としては戸数だけうんと広げておく、名目的な戸数を膨大にしておいて、そして戸数を下げろというと何%か下げてそれに応戦するというようないやな雰囲気が地方自治体に蔓延してしまうのじゃないか、私はそのように遺憾に思っているのですが、いかがですか。
  181. 松浦功

    ○松浦政府委員 ちょっと説明が不十分であって申しわけなかったのでございますが、私どもが聞いております範囲では、住宅は国で予算をお組みになりました戸数だけ各地方公共団体の御要望がなくて、国に補助金をとめおきというかっこうで残ってしまっておる、その補助金で単価アップをしたということでございますので、地方公共団体が戸数を減らしてどうこうということではございません。御希望になって、百戸建てようとしておったところについての単価補正はちゃんと行なわれるわけでございます。国全体で何万戸と組んでいたうち、数千戸ですか何万戸ですか、その辺よく知りませんけれども、それだけのものが不消化で残っておった、その国庫補助金を使って単価補正をしたということと聞いております。
  182. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 ところが、そうおっしゃるのであるならば私は次の話をしなければならないのですが、ここに出ている実施単価というもの、そして四十九年度の予算単価というものは現状に全くそぐわないのですね。それはもうあなたが御存じである。だからそんな架空の値段を出したときに、一応自治団体で私のほうへ予算をください、家を建てますと、よほど破廉恥でなければいえないという状況になっておりますね。たとえば一平米で校舎が六万一千七百円である。六万一千円で建つ建物なんてないのですね。もうプレハブでもあぶないでしょう、こうなりましたら。プレハブでも十万円クラスですね。それを六万一千七百円というので堂々と出す。最近入札された一番安いのですら八万円という報告があがっておりますが、そうすると、こういう単価をつけておいておくということ自体、夢物語的な——あまり悪口を言ってもいけないのですけれども、そういうむなしさを感ずるのは私だけではない。おそらくあなたもそうだろうと私は思うのですね。そうしておいて、また同じゃり方で強行して戸数を減らす、そういう形でしか単価アップというものを認めない。それは私は大蔵省がどうかしているのじゃないかと思うのですね。だから、こういううそみたいな、ほんとうでないみたいな、何というか現状と全く取っ違ったみたいな、そういうものを予算案にしてこうやって出してきて、平然と説明しなければならない皆さん方の御苦衷も察してはおりますけれども、これは何とかならないのでしょうか。これではしようがないじゃないですか。私は恥ずかしくて説明すらできない。地元人たちに説明できないじゃない、国民に説明が不可能じゃないでしょうか。これはどうお考えですか。
  183. 松浦功

    ○松浦政府委員 まことにごもっともな御指摘でございますが、明年度の学校の補助単価六万一千七百円というものをきめました段階は、御承知のように去年の十二月の初めでございます。したがってその時点におきましてはだいぶ大蔵省ともいろいろ議論もいたしましたけれども、ここまで組んでいただければ何とかできるのではないかという気持ちでおったことは事実でございます。ところが、その後の変化というものによってこういうふうに事態が変わってきておるということだとわれわれも考えております 現在六万一千七百円という単価で、特に都会地において平米当たりその単価ではなかなか学校が建ちにくいだろうということは、地方団体からもいろいろお話を承っております。したがって自治省といたしましては、地方団体が今後スムーズに学校建築等が行なっていけますように、実施の段階において関係各省なり大蔵省なりに強く御要望を申し上げていくという努力を重ねてまいりたいと思っております。
  184. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 時間があまりありませんから、もう単価が無理なことは御承知だというのはよくわかりましたから、私ちょっと安心したのですあなたがそれも認識されなかったらたいへんだと思って、説得する材料を山ほど持ってきましたけれども、その話はやめます。ですが、これがあまりにも実勢価格を無視している点はおわかりのとおりですから、万やむを得ない。それでは、ともかく四十八年度にも二回単価を改定なさったように、私の判断では今年ももう実質改定せざるを得ないだろうと私は思うのですね。それで、行政の担当者でいらっしゃる皆さま方にそれにお答えいただきたい。今年も四十八年度と同様にそうしたことを検討しなければならぬと思いますけれども、いかがですか。
  185. 松浦功

    ○松浦政府委員 四十八年度の問題につきましては、先ほど大臣からお答え申し上げておりますように、二回の改定が行なわれましたけれども、いまの状況ではひどいじゃないかということで、大蔵省、関係各省にお願いをいたしております。近く何らかの結論が出るのじゃないかという期待を持っております。  四十九年度の問題につきましては、これからの物価がどういう形になりますか、私どもにも予断を許さないわけでございます。実施の段階において地方公共団体が運営に支障のないように努力をいたしてまいるということだけ申し上げて、それから先はひとつ御容赦をいただきたいと思います。
  186. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 いや、できないな。それから先を聞きたい。そうでないと私ナンセンスで……。それでは役に立つかもしれぬからちょっとここで申し上げますが、これは日銀の卸売り物価の数値ですよ。私もっと長く論戦できると思って山ほど持ってきましたけれども、これで小形棒鋼が一六六・八%、セメントが一二二・三%、生コンが一三五・九%、砂利が一三八・六%、これは四五年一〇〇のときの推移であります。そうして単価の見積もりを見てみると、四十五、六年の単価見積もりですから、これぐらいのアップになるはずです。そうするとどういうことになるかというと、とんでもないことになってくるわけであります。また東京における推移を見ますと、一年前の同期と比べておるわけでありますが、四十八年の十一月現在での単価、小形丸鋼は二一四%、木材の松平角、四百かける百五かける十五センチというのが一五八・六、生コンクリートで一四一・八%であります。ということは、資材がもう五割から倍に上がっている。これでは計算にならぬわけですね。四十八年の分の倍は要るわけですね、荒く見ましてほぼ倍に近い。ところがここでは四五%単価アップです。四五%単価アップではもうできないことはおわかりじゃありませんか、あなた。今後物価の上昇は予断を許さぬじゃなくて、予断されて出ちゃっているじゃないですか、ここに。出ちゃっている分がここにあるのに、あなた白々しく予断を許さぬなどとおっしゃるが、今後努力するとおっしゃることばの裏にある深い事情もお察ししないじゃありませんけれども、もう少し地方自治団体がああ何とかなりそうだという希望をもってこの予算書を見れるように、何か言ってもらえませんか。
  187. 松浦功

    ○松浦政府委員 私が大蔵省なり各省の立場でございましたら、もうちょっとものもはっきり申せるかと思いますが、いずれにいたしましても、建築単価がどれだけであるべきかということについて自治省検討の能力を強く持っているわけでもございませんし、財政の査定権も大蔵省がお持ちでございます。したがって、私どもといたしましては、関係各庁ないし大蔵省に実施上自治体が困らないように懇請をしていく、お願いをしていくという態度を繰り返してまいりたい、それだけ申し上げてお許しをいただきたいと思います。
  188. 渡部一郎

    渡部(一)分科員 それではそこまでです。
  189. 渡辺栄一

    渡辺主査 渡部君の質疑は終わりました。  次に、折小野良一君。
  190. 折小野良一

    ○折小野分科員 時間も限られておりますので、主として国と地方との関係につきましてお伺いいたします。  私どもがいろいろな機会に聞くところによりますと、国は地方自治体をあまり信頼していない、それから地方のほうではまた国をあまり信頼していない、こういうふうに相互にいろいろな面の不信感があるように考えるわけです。国民のための行政という面からいたしますならば、国も地方も協力してやっていかなければその成果があがらないということは、もう私から申し上げるまでもないことでございます。こういうような点につきまして、まず自治大臣の、一般的なことでけっこうだと思いますが、御所見をお伺いをしておきたいと思います。
  191. 町村金五

    町村国務大臣 国も地方公共団体もともに住民福祉の向上、増進をはかるという大きな基本的な立場に立っておるわけでございます。したがって、本来から申しまするならば、国と地方との間に不信感などがあるということは、まことに遺憾しごくのことといわなければならないのであります。やはり数ある地方公共団体の中には、今日の国と申しましょうか政府に対してかなりの不信感を抱いておられる人があるということも私は承知をいたしておりますけれども、これはまことに遺憾千万なことでございます。私ども国としては、できるだけその不信感を除く。一体除くにはどうしたらいいか。やはりその原因があるわけでございましょうから、その原因を除去することにわれわれはわれわれとして努力をしていかなければならぬ、こう考えておるのであります。同時にまた地方団体におかれても、政府の行なわんとするところに十分な理解をいただいて、お互いにそういった不信感で対立するということのないようにぜひいたさなければならぬ、かように常々考えておるところでございます。
  192. 折小野良一

    ○折小野分科員 政治的な立場はいろいろあろうかと思います。しかし政治的な問題は一応別といたしましても、少なくも行政的には、ただいま大臣も御所信の中でおっしゃったように、お互いに協力をしてその行政の効果をあげ、国民福祉の向上のために努力していかなければならない、その最終的な目標におきましては国も地方も同じだろうと思います。しかしそこに不信感がありましてなかなかそれがうまく進んでいない、そういうような問題がいろいろと目につくわけでございますが、それにつきましても、私はここでどちらがいいとかどちらが悪いとかは申しません。しかしやはりそこには、ただいま大臣もおっしゃいましたように、いろいろと原因があるわけでございまして、その原因を十分把握し、そしてその原因を一つ一つ取り除いていくということは最も大切なことであろうと思います。  ところでその原因と考えられるもの、そういう面についてはどういうようなものがあるとお考えになっておいででございましょうか。
  193. 町村金五

    町村国務大臣 これは簡単にこうだといって私も申し上げることはできないのでありますが、これをかりに自治体側のほうから考えてみますると、今日地方自治体は、これを財政的な面から申しますると、ずいぶん財政需要がふえてきておる。したがって、あれこれと住民のためにぜひやらなければならない、そうは考えてはおりまするものの、なかなか財源が十分に満たされていない。そのために仕事が思うように進まない。これもやはり国のほうがもうちょっとめんどうを見てくれたならばといったようなことなどもあり得るのではないだろうか。さらに申しまするならば、広く申しますると、あるいは政治的に所見を異にしておられる。したがって、今日私ども政府がやっておりますることを、あるいはそういった立場からどうも納得ができないというお立場に立っていらっしゃる方も私はあると思います。したがって、そういうような方々は、今日の政府の行なうことに対してどうも合点ができない、自然そこに不信感といったようなものが生まれてくるという場合もあるであろう。いずれにいたしましてもその原因は、よって来たるところ私はいろいろあるであろうと思います。  しかし、いずれにいたしましても、国民の福祉を進めるという目標は、地方自治体の方々もわれわれも全く同じでなければならぬはずなんでありますから、目標が同じである以上は、本来そういった不信感なんというものはおのずから払拭されてしかるべきだ、こう思うのであります。私ども地方自治体の方をとやかく御批判申し上げる前に、われわれ政府として、あるいは自治省として、まだまだ大いに反省をしていかなければならぬことも多々あるかと思うのであります。その点は深く念頭に置いて、今後そういった不信感を除去することにつとめてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  194. 折小野良一

    ○折小野分科員 たいへんりっぱなおことばで、そうあるべきだと思いますが、しかし現実にはいろいろと問題がありまして、それは必ずしもきれいごとだけで済ませられる問題ばかりじゃないと思います。具体的には、国の面にもこういう問題があるじゃないか、それからまた地方でもこういう問題があるじゃないかということはいろいろとざっくばらんに出して、そして一つ一つを解決していく、そこにやはり不信感をなくしていく一つの方向があるのじゃなかろうかというふうに考えるわけでございます。そういう点からいたしますと、自治省は当然地方の立場も十分お考えいただきますし、また直接国としてのいろいろな施策も講じられるわけでございますので、結局国と地方の接点に立っておる、こういうような立場でもあろうかと考えております。そういう面から自治省自身そういう問題についていろいろと堀り下げていただきまして、その間の不信感を一つ一つ取り除いて、そうすることによって国から地方を通じての行政というものがほんとうに効率をあげ、そして国民の福祉に寄与するようにありたいものだ、こういうふうに考えるわけでございます。したがって、この点につきましてはただ単に国という立場だけでなしに、自治省というその使命からいたしましても、ひとついろいろと御検討をお願いいたしたいと考えます。  ところで、時間もございませんので、時間の範囲内で私が考えております二、三の問題につきまして御質問を申し上げたいと思います。  その一つは、これはただいま大臣もおっしゃいました、そして先ほどの御質問にもございました、おそらく最近自治省といたしましては、それこそ耳にたこのできるほど聞いておいでになるこの超過負担の問題でございます。最近超過負担についていろいろな論議がなされ、また国に対しましてもいろいろな意見が出されておるのでありますが、それがなかなか解決をしないのが現状でございます。自治省のお話によりましても努力をするということはおっしゃっておりますし、そしてまた今日までいろいろな面で努力をされた、この点も私ども認めておるわけでございます。しかしながら、ただ単に、過去はとにかく、いろいろ調べてやった、今後も努力するということだけでは、やはりなかなか問題の本質が解決をされたというわけにまいらないのじゃないか。やはり方針として将来ともこうするんだという明確な方針をここに示す必要があるんじゃなかろうか、こういうふうに考えるわけでございます。そういう点で、今後とも超過負担の解消には努力をするということだけでなしに、その努力、具体的にはどういう方針に基づいて行なおうとしておるのか、その点ひとつお尋ねしたいと思います。
  195. 町村金五

    町村国務大臣 超過負担の問題についてしばしば御指摘をいただいておるわけでありまして、自治省としてはこういった超過負担というものは、国と地方との財政秩序を守っていくという上から申しましても、たいへんに残念なことでありますし、さらにこの超過負担を現実に負担をしております地方公共団体は、そうでなくても財源難に悩んでおるときだけに、一そうその悩みが深くなるわけであります。したがって、私どものほうとしては、この超過負担というものは何とか実はこれを解消をいたしたいという基本の方針を持っておるということだけは御了承をいただきたいのであります。ただ、御承知のとおり非常にいま多くの、広範な範囲にわたって地方が負担をいたしておりますので、そういった調査などが必ずしも十分にまだできていなかった。前回は六項目についていたしたようでありますが、さらに今後は他の項目等につきましてももう一度ひとつよく洗い直しをしてみようということを考えておるわけでございます。しかも今日のようなたいへん物価が高騰をいたしておるというような事態になりまして、たてまえとしては超過負担というものがなくなるたてまえではありながら、現実にやはり地方が負担をしなければならぬというようなことも起き得ておるわけでございますので、方針としてはというお尋ねに対しましては、自治省といたしましては、国と地方との負担区分を厳守しながら超過負担というものの解消をはかっていくんだという基本方針だけは明確に持っておるつもりでございますが、ただ、いまのようなまことに困難な経済情勢等がございまして、なかなか思うにまかせないところが現実に存在をしているんだ、しかし方針としてはそういう考えであるということだけは、ひとつ明確に申し上げておきたいと思うのであります。
  196. 折小野良一

    ○折小野分科員 基本的には行政執行上の問題だけでなしに、そのもっと前に制度的なものがあるんだと思います。たとえば超過負担を地方のほうからやいやい言う場合に、そうはおっしゃらなくとも、政府のほうの腹としては、法律には予算の範囲内においてどれだけを補助する、こういうことになっているじゃないか、こういう腹が一つあるのですね。それからもう一つは、それはそういうふうにおっしゃるけれども、おたくのいわれるそこはそうかもしれない、しかし全国を見てみると必ずしもそうでないところもあるんじゃないか。工事費にしましても、平米五万でできるところもあれば六万でできるところもある、中には十万でできるところもある、だから一がいには言えないんじゃないか、こういうことが一つあるんだと思います。私は、この補助制度というのは、確かにいまのような法律のあり方からいたしますとそういう言いのがれの口実にはなろうかと思いますが、しかし現実の問題といたしましてはやはり、国が一定の補助率をきめてこれだけのものを補助する、それを基礎にして地方は財政運営をやっていく、こういう立場からいたしますと、予算の範囲内というふうに法律がきめてあるから適当でいいんだ、基準単価も国の予算立場で基準単価をきめればいいんだというようなわけにはなかなか現実問題としてはいかぬのじゃないか。その辺にやはり不信感の芽ばえというようなものがあるのじゃなかろうか、こういうことを感じます。  それから行政の執行の面においては各地いろいろばらばらな実態があるということ、これはもう現実にそのとおりだと思います。したがってこれを一本の基準単価で何とか処理していこうという考え方それ自体が大体現実に沿わないわけなんです。契約制度というのはこれは自由経済を基礎にしておるわけですから、単価が変わることを原則にして契約というものが行なわれる。ですから、これは同じ単価でいかないことばはっきりしておるわけです。それは前提にあるわけです。その辺から考えてまいりますと、やはりいまの制度そのものをひとつ考え直していったらどうだろうかというふうに思うわけであります。これは私の案ですが、一つの基準単価をきめてそしてそれぞれの年度の執行の基準にする、これは一つの方法だというふうに考えます。ですから適当な基準単価をきめてそれによって一定の補助をやっていく。と同時に、その翌年度において精算をして、これによってあるいは足す、あるいは調整をする、こういうようなことはあってもいいのじゃなかろうか。いずれにいたしましても、正しくやってそしてそれだけかかったということであるならば、それは認めていこう、それを基礎にして一定の補助はやっていこう、こういうやり方がいいんじゃなかろうか、私はそう考えます。たとえば保育所につきましては、これは法律上は精算補助ということになっているはずでございます。ところが厚生省は従来これを打ち切り補助でやっている。盛んに声が出てきて、そして近年これもやはりほかの補助と同じように基準単価をきめてやっていくということにされた。しかしやはり本来の精神は、法律であるように精算補助が正しいのじゃないかというふうに考えます。したがってこういう問題については、そういう基本的な方針というのを政府立場としてぴしゃっときめてさえいただければ、地方はそれに沿って考えていくということは、これはできるはずだと思います。特に今日のように、一年の間に非常に大きな値上がりその他の変動のありますときには、その年度きめたあと基準単価ですべてが処理していけないということは、これはもうだれもわかったことなんです。ですからその辺は十分考えて、まずはっきりした基本を立てていただいて、そうしてこの問題についてのケリをつけていただくということが一番大切なことじゃなかろうかというふうに考えるのですが、いかがでございましょう。
  197. 松浦功

    ○松浦政府委員 基本的に、補助金制度をめぐります超過負担については、三つの問題があろうかと思います。一つは単価の問題、一つは対象の問題、一つは量の問題。単価の問題についてはわりあい詰めができやすい問題だと思いますが、対象と量については、人の考え方によって結論が非常に違ってまいります。これは精算とかそういうものになじむものでなくて、やはり国の補助制度の中できちっとして、こういうものは対象になるけれども、なりません、量はここまでですよということを明確にしておくということが基本的に大切な問題ではなかろうかと思います。単価の問題につきましては、先生指摘いただきましたように、非常に地域的なばらつきもございます。もちろん地域区分もいたしておるようでございますが、それがなかなか現状にマッチしていないという一面もあるようでございます。そこで、先生指摘のように精算補助というものを併用したらどうかというお尋ねでございますが、これにつきましても、ことばがいいか悪いかわかりませんが、いわゆるデラックス部分というようなものについての争いが常に起こってまいるわけでございます。したがって、先生指摘いただきました方途は一つの非常にりっぱな御見識ではあろうかと思いまするけれども、国庫補助金制度の基本的な問題に触れる問題にもなってまいりますので、十分慎重に検討させていただかなければなかなか問題の解決が進まないのではないかという感じを持っております
  198. 折小野良一

    ○折小野分科員 この点につきましては御意見もっともだとも思いますし、またこういう問題についての知事会あたりの提言も出ておるようでございます。先ほどの本会議大臣も実態調査をやるというふうにおっしゃっておりますので、ひとつ十分調査をやっていただきまして、はっきりした方針をつくっていただいて、こういう問題に関連をいたしまして国と地方との不信感を高めるようなことのないように、ひとつ御努力をお願いいたしたいと思います。  次は人件費に関してでございますが、よく言われることに、国と地方との間の給与レベル、これが問題になることがよくあるんでございます。これにつきまして、どっちが高いか安いかというようなことなんでございますが、問題の本質は必ずしもそういうところにあるんじゃないというふうに考えます。この面についての自治省の、簡単な実態というものを、わかっておりましたら教えていただきたいと思います。
  199. 植弘親民

    植弘政府委員 地方公務員国家公務員との格差の問題でありますが、原則的には地方公務員国家公務員に準じて措置いたしておりますので、本来ならば同じ姿であるべきでございますが、いろいろと過去の経緯等もございますので若干の違いがあることは御説のとおりでございます。現在は指定統計で一応国家公務員と地方公務員との水準を比較いたしておりますが、ラスパイレス方式というのを使いまして、同じように学校を出まして国家公務員と地方公務員になった場合に、通常の昇格昇進をやってまいりますとどうなっていくかというような比較をするわけであります。いまのところ指定統計、四十三年のがございまして、四十八年は現在集計中で、四十三年で申し上げてみますと、国家公務員を一〇〇といたしました場合には都道府県は一〇八・一、大都市が一二四・ ○、市は一〇七・九、町村が八九・四というふうに、地方団体の種類によりましてばらつきがございます。大体の数字、全体の平均でございます。
  200. 折小野良一

    ○折小野分科員 結局そういう実態が反映してだと思いますが、具体的な一つの例を申し上げてみたいと思います。  各地に国立大学がございます。そうしますと、それに付属した学校があるわけでございます。そこの先生はもちろん国の職員としての身分を持っているわけでございますが、地域の教育を円滑にやっていくという意味から先生の交流が行なわれる。そういたしますと、お互いの給与制度の格差というものがそこに出てくるということになるわけであります。実は私の郷里でもそういう問題がございまして、いろいろ聞いてみました。ところが県におきましては、僻地教育という立場からしまして、先生方は長い間に何年間か僻地に必ず行くんだ、こういう一つ指導方針をずっととってきておるわけであります。僻地に行った場合にはその分だけ多少なりと給与で考慮する、そういうことでございます。それからもう一つは、これは地方公務員の場合、当然勤務評定というのが行なわれるわけでございますので、勤務評定によってその途中で給与が上がったり下がったりということがあり得るわけでございます。そういうようなことがあって格差が出てきておるということが判断されるわけでございますが、こういうような事態というのは、これはやむを得ない事態じゃなかろうか。また政策的にはむしろそうあるべきものじゃなかろうか。それが今度は国の先生になるからということで、いままでのそういう経歴が完全に無視されるということ、これはやはりいいことじゃないんじゃないか。そしてまた、その当人である先生にとりましては生活の問題もかかってくる、こういうような問題がございます。こういう問題につきましては、いろいろな実情その他もあるわけでございますので、ひとつそれぞれの実態に合わせて弾力的に配慮されるということがいいんじゃなかろうかと思うのでございますが、いかがでございますか。
  201. 植弘親民

    植弘政府委員 いま先生の御指摘のたとえば小、中学校の先生の僻地手当、そういったような性格のものは、これは特殊な勤務地における特殊事情、たとえばほかにも調整手当だとか特地手当とかございますが、こういった勤務地の情勢によります特殊な事情に基づく手当は、いま私の申し上げたラスパイレスとは別でございまして、通常の場合における平均の給与の比較でございます。それから地域によってそういった事情がどのように反映されるかというのは、給与制度全体の基本的問題になろうかと思います。しかしながら私どもが問題にいたしておりますのは、やはり平均的な立場における通常な状態の給与というものはおおむね準じなければいけないという立場でございまして、そういった特殊なものにつきましては、国家公務員でも地方公務員でもやはり同じようにそういう特殊な手当があるわけでございます。
  202. 折小野良一

    ○折小野分科員 内容はいろいろあろうかと思いますので、具体的に検討しなければならない問題等も多いと思います。その辺もひとつ十分考慮さるべきだというふうに考えますので、よろしくお願いします。  それからよく問題になりますのは、年末手当等の場合のプラスアルファというのが問題になります。自治省のほうでもいろいろと問題にされまして、年末手当の際にプラスアルファを出している団体に対しては特別交付税を減額する、こういうような指導等もなされておるようでございます。これもやはり中央と地方における労使の関係といいますか、それの現実の姿というのがそこにあらわれておるのじゃなかろうかと思います。そのことが決していいことだというふうには私も考えません。しかしそれならそれのように、現実のその他のいろいろな問題も含めて多くの問題の処理を必要とすることであって、ただそこにプラスアルファが出たから出ないからということだけで問題を片づけることができる、こういうことじゃないんじゃないかというふうに考えます。こういう面につきましても、それぞれの自治体の実態というものをひとつ十分御考慮いただきたいというふうに考えます。  それからもう一つ、人件費に関しましてちょっと申し上げておきたいのは、退職手当です。あの退職手当制度は、地方も国も大体同じだと考えます。普通退職手当がある。ところが強制してやめさせるといいますか、そうした場合には五割アップというのがあります。ところが現在は、その五割アップが普通になっているのじゃありませんですか。これは地方もそれから国も同じようなかっこうだと思いますが、現実といろいろな制度とのギャップもいろいろありますでしょうけれども、少なくもそれが普通ならば、いまのような制度をいつまでも置いておくというのもおかしいと思います。こういう面も十分ひとつ指導していただく必要があるのではないかと思いますが…。
  203. 植弘親民

    植弘政府委員 第一点のプラスアルファ問題等でございますが、先ほどもお答え申し上げましたように、やはり公務員という立場からいたしまして、その従事する職務、身分といったような立場からいいますと、国家公務員と地方公務員とがおおむね均衡のとれた姿であるということが望ましいところであることは申すまでもありません。それでは先ほどの地域的にも人材確保といったような立場からどうかというような問題があると思いますが、国家公務員の場合におきましても同じような問題があるわけでございまして、国家公務員は御承知のように民間の給与実態調査を行ないまして、その格差を穴埋めするという方式をとっております。それで、いまの人事院勧告制度によりますと、おおむね国家公務員につきましては、民間の採用との競合関係を考えましても何とか確保できるという立場で現在の人事院勧告制度運用されておるわけでございます。地方公共団体におきましても、おおむねこういった国家公務員と同じような立場で、それに準じた給与制度をとることによって確保ができるであろうという考え方を持っております。  それからまた退職手当につきましては、これも同じような立場で——退職手当が一体給料のあと払いなのかどうか、生活補給的なものかどうかといったような議論はあろうと思いますけれども、やはり国家公務員と同じような立場で退職手当措置することが大前提だと思っております。それで、御指摘のように、最近では整理退職、勧奨退職ということで五割増しの制度が両方ともとられておりますが、地方公務員の場合、四十六年度の実績を見ますと、八万九千何がしの退職者のうちで、勧奨による者が二万五千、それからその他が六万。やはり普通退職のほうが圧倒的に多うございます。しかしながら、退職手当全体をどうするかという問題になってまいりますと、これは国家公務員と通じて検討をしなければならない問題でございますので、いまの先生の御説等も参考にさせていただきまして、人事院等ともよく研究さしていただきたいと思っております。
  204. 折小野良一

    ○折小野分科員 またの機会に……。  これで終わらしていただきます。
  205. 渡辺栄一

    渡辺主査 折小野君の質疑は終わりました。  次に、小川省吾君。
  206. 小川省吾

    小川(省)分科員 世にもふしぎな物語があります。  「正直者が馬鹿を見ない会」という組織が結成をされて、住民闘争を戦っております。大企業や大商社を優先する田中内閣の行政のもとでは、金も権力もない、名もない大衆はしいたげられているわけでありますから、あるいはこれがあたりまえで、ふしぎではないのかもしれませんけれども、お尋ねをしてまいりたいと思います。     〔主査退席、渡部(恒)主査代理着席〕 しかしながら、地方公共団体が実施をしている事業のもとで、行政に協力をしている者が損をする、しいたげられていることは許すことはできないのでございます。貧しからざるを憂えず、ひとしからざるを憂えるというのが政治の要諦のはずであります。行政の不公平をなくしていくものが政治であるとするならば、地方公共団体が行なっていく事業によって大きな不公平が生じたとするならば、自治省は当然これを公正ならしめるための行政指導を、責任をもって行なうべきだと考えるのでありますが、大臣いかがでしょうか。
  207. 町村金五

    町村国務大臣 いま伺ったことだけでは、ちょっとはっきりとお答えがいたしかねますけれども、いずれにいたしましても、私ども行政、政治としては、正直者がばかをみるというようなことがあってはならないということについては、私ども全く同様に考えておる次第でございます。
  208. 小川省吾

    小川(省)分科員 時間が制約をされておりますので、事案の概要をまず申し上げて、そして質問に入りたいと思います。  高度経済成長期に入って以来、各自治体が競って工業団地の造成を行なって工場誘致をはかってきたことは、御承知のとおりでございます。いまだに地方ではこの風潮が残っているわけであります。  これは群馬県太田市の、渡良瀬川の鉱毒公害をまともにかぶっている地域に起こっておる問題であるだけに、深刻な問題でございます。太田市東方約二・五キロ、太田市大字只上、市場、植木野、富若、上小林という場所にまたがる約百七十一万平米、地権者四百四十九人に関係をする太田東部工業団地造成についてでございます。市の都市計画の事業として、昭和四十三年ごろから計画をされまして、その造成を群馬県の企業局に委託をしたものでございます。  この種事業の通例として、まず説明会が行なわれ、四割還元方式をとることとして、まるまる買い上げの場合には反当百十五万円、四割還元の者に対しては八十五万という買収価格で買収を始めたわけでございます。昭和四十七年の七月八日、「正直者が馬鹿を見ない会」という会が発足をいたしました。私は、その発足を聞いたときに、ずいぶんおかしな名前もあるものだなあと思ったのですが、調べてみると、実はこういう事実があるわけでございます。県と市の説明を聞いて行政にすなおに協力した者が、四百四十九人の地権者中、約三百二十人ほどおりました。ところが、ごねていた一部の幹部といいますか、一部の中には、七割の還元を受けた者もおりということで、この会が実は結成をされたわけであります。その後調べてまいりますと、実は十割還元などという者もいるわけなんでありますけれども、県の企業局と市は、この不満の打ち消しのために四十三万円を追加するということで提案をしてきたわけでございます。十三万円が農作補償、三十万は報償金という名目でございました。そしてまた還元についても、四十六年の十二月一日には還元をするとか、あるいは四十七年五月一日には返すとか、四十七年十二月一日には返すというふうなことで、延び延びになってまいったのでございます。そういう不満が発生をいたしまして、爆発寸前になっておりまして——すでに爆発をしているわけでありますが、そういうことで実は県の企業局等と交渉をしてきたわけでございます。  本日も、地方版によれば、県の企業局が出て現地の人たちと話し合いをしているそうでありますが、先ほどの電話では、この話し合いもまだつかないというふうな状態で、不公平がいまだにまかり通っているわけでございます。そういうことで、昨年の九月一日には、造成のために入ったブルドーザーの前に阻止のためにすわり込みを実施するというふうな事態まで発生をしているわけであります。現在の話を聞きますと、二十人程度が十割還元を受けており、あるいはまた七割還元の者が数十人もおるという話であります。このような不公平な行政がまかり通るとするならば、国や地方公共団体を問わず、行政に対する協力など一切得られるはずはないと思うわけでございます。自治省は当然、県や市に指導をして公平に七割なら七割あるいはまた六割なら六割ということで、このような不公平な事態の発生しておる現状を是正をするために改正指導を行なうべきだと考えるわけでございます。  そこで、まずお尋ねをいたしたいと思うわけでありますが、大臣自治省は地方の団地造成事業等について、実は用地取得が非常に困難になってきたわけですが、いわゆる還元方式というふうな方式を、土地の取得のために自治省として指導をしてきたのかどうか、まずお尋ねをいたしたいと思うのであります。
  209. 松浦功

    ○松浦政府委員 そのような指導はいたしておりません。
  210. 小川省吾

    小川(省)分科員 そうすると、これは自治体独自で行なったということになるわけですね、そういう指導をしていないということになりますと。しかし、自治省は当然地方に対する指導をやっていかなければならない役所でありますし、あるいは団地造成等については財政的な裏づけというものも一部にはあるわけでありますから、当然監督指導していくべき責任はあると思うのであります。  そこで、また、このようないま私が申し上げたような太田東部工業団地についての不公平の事実というものを御承知になっておられるかどうか。おそらく私の質問通告で、企業局あたりあるいは市にお尋ねしたと思うのでありますが、全然知らないとは言わせませんけれども、知っておりますかどうか、まずお尋ねをいたしたのであります。
  211. 松浦功

    ○松浦政府委員 私は、この問題について、先生からの質問通告があるまで全然話を聞いたことはございません。自治省は御承知のように、こういった工事を行ないます地方債の許可をしておるわけでございまして、地方公共団体はそれぞれ自分自体の特殊事情に基づいて、憲法なり自治法なりの精神にのっとって、あくまで公平にものごとを進めていくということを当然の前提に置いておるわけでございます。したがって、私どもといたしまして、ここでどういうことをしているかということを——示唆を申し上げるという機会はございますけれども、全国に何百とございますものについて、どうやっているかということを逐一指導監督をいたすという能力もございませんし、そこまではやっておらないわけでございます。
  212. 小川省吾

    小川(省)分科員 地方債の関係、財政の関係についてあなたは関係があるのでしょうけれども、大体団地造成等についての監督といいますか、それに関連するのは財政局長なんですか、どうなんですか。
  213. 松浦功

    ○松浦政府委員 自治省にはそういう権限はないと私は思います。
  214. 小川省吾

    小川(省)分科員 私はそんなことはないと思うのです。地方公共団体がやっておる事業で、一方では地方債等の財政的な裏づけがあって、かりにそのような——確かにいまあなたが言われるように、全国の何千かの団地造成についてのこまかい具体的な指導はあるいはできないにしても、それらの中に実際に不公平なりあるいは非違行為等があった場合には、府県なり市町村に対する指導はできるはずだと思うけれども、それは財政局長じゃないでしょう。自治省ではどこになるのですか。
  215. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 それぞれの自治体の行政でやっておられる仕事も、その中身によってそれを具体的に指導する役所は異なっておりまして、いま団地造成が問題になればこれは通産のほうでやっていただく。中身によって、所管する各省庁というものはございます。私のほうは、自治体の行政においてこういうものがあったといって御相談を受ければ、その場については一つ一つ御相談に乗ることもございますけれども、それぞれの建設行政、通産行政、何行政について詳しいわけでもございませんし、特に全部についてそういう指導をする能力もございませんし、責任を負っているとは実は思っておりません。ただ、地方行政のことでございますから、御相談に見えれば、できる限りのことはしておるつもりでございます。
  216. 小川省吾

    小川(省)分科員 私はそういう意味では、地方債の窓口等については財政局長だと思うけれども、私は県という立場でも市という立場でもないけれども、この種の不公平なりいろいろな問題が起きた場合、こういう事態があるということで相談を受ければ、その受ける窓口というのは行政局長であろうと思うのです。私はかつて地方行政委員会の中でこの種の問題についてもいろいろお尋ねをしたことがあり、森岡審議官等が答弁をされてきたけれども、そういうことで主としてだれがやっておられるということはないわけですか。
  217. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 それぞれの中身の問題につきましては、むしろその事業を所管する各省が詳しい知識もお持しでございますし、そちらに指導を仰がれる面も非常に多うございます。建設行政については建設省に指導を受ける、通産行政については通産省によって指導を受けるということはございます。むしろ私のほうは、地方団体の組織一般、それからまた行政に不公平があっちゃいけないということは、これはもう地方自治を通ずる原則でございますので、いろいろ異議申し立て、審査の請求などが参りまして、中身の事案は、あるいは多少のものにつきましては私どもに御相談に見える場合があります。これは私のところとか、あるいは土地対策などは官房でやっておりますので官房とか、それが多少また財政問題にわたれば財政局、それぞれで御相談に応じております。
  218. 小川省吾

    小川(省)分科員 本日は時間が制約されておりますから、財政の問題については触れるつもりはないのです。いわゆる地方公共団体が行なうところの行政の不公平ということですから、私はおそらく行政局長、林さんになると思うのですよ。そういう意味で、林局長にお尋ねをしたいんだけれども、こういう不公平が現実に生じている、問題になっているわけですよね。現実に団地の造成をやった、そして契約条件といいますかそういうことで、県なり市が条件を出した、その条項に協力をして——農地を手放すわけですから、これはもうたいへんなことです。行政に協力をした者が一番ばかを見てしまって、ごねたような者がごね得をするような形に結果的にはなったわけですよね。いま私が申し上げているわけですから、そういうものが事実あるわけなんですけれども、こういうものを解決していくのに自治省として当然対処していただかなければならないというふうに思っておるわけでありますが、自治省として指導等の対処をしていただけるかどうか、まずお尋ねをいたします。
  219. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 先ほども申し上げましたように、およそ地方自治の問題をすべて私どもの省に持ち込まれても、私のほうで技術がなかったり、知識がなかったりして、すべて解決できるとは限りませんが、とにかく自治の問題でございますから、そういう御相談があれば、できる限り御相談に応じ、示唆をすることはいたしております。しかし、先生、その前提として、この事業もさっき伺いますと県の単独事業だそうでございますから、直接通産省の指導ないしは補助金を受けておるものでもないそうでございますけれども、こういう単独事業についてそのやり方とか扱いとかに不公正があれば、私のほうに御相談に見えて私のほうが示喚するよりも、もう一つ前に、これこそ地方自治の真髄だと思いますが、その地方で住民が、あるいは議会が、あるいは地方のローカル新聞が問題にして、自治の問題として議会で議論をされ、現地で解決されること、これがまず一番先の前提としてあるべきだろうと思います。それに対して、そういういろいろな批判その他にもがんばってしまって、どうしても不正が直らぬ、少しは中央から示唆でもほしいというようなことがあって初めて御相談に見えるのじゃないかと思いますが、まず地方議会で問題にならないのがふしぎだと思いますし、当然問題にされておることではないかと存じております。
  220. 小川省吾

    小川(省)分科員 いまあなたのおっしゃることはよくわかるわけですよ。地方議会の中でも問題になり、なかなか解決がつかないから、私があえて地方行政委員会で取り上げずに、予算委員会で取り上げたわけですよ。そういう意味でひとつ受けとめてもらいたいと思うのです。  そこで、いずれにしても、そういう形で現実に不公平が生じておるわけですから、私は地方行政委員会の場を通じてもこれは解決をするまで取り上げていきたいし、参考人としても呼びたいし、理事会の中でも話を通してぜひ現地等を見てもらいたいと思っているわけなんですけれども、そういう不公平が現在までも、市議会なり地域の中で問題になってもなかなか解決をしない、こういう状態になっているわけですから、自治省としても乗り出していただかなければならぬと思うし、一般論として、不公平が地方行政の場で起こっているわけですから、そういうことに対しては不公平を公平に直していく、これが行政の基本だろうと思う。そういうことの責任を回避しちゃいけないと思うのだけれども、当然そういう不公平を公平に直すという努力はやっていただけますね。
  221. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 地方行政の内容が不公正であっていいということは絶対ございません。これはもう関係者がすべて、自分のできる努力は払うべきだと思います。ただその場合、市町村についてはまず県知事さんというものもございます。私のほうが全国三千幾つの市町村のすみずみの事業まで常に目を光らせているわけにもまいりませんが、そこには県がございますし、また地元の議会あるいは県の議会、そして国と、何段階にもわたって地方行政を正しくしょうという責任を負った機構もあるわけでございますから、私のほうで労を惜しむつもりは毛頭ございませんけれども、それはまず地元の問題としていただき、県の問題としていただき、さらに私のほうに必要があれば御相談いただく。その場合に労を惜しむものではないことはお約束いたします。地方自治は常に公正であるべきであるということについては、全くおっしゃるとおり、これは維持しなければならないと存じております。
  222. 小川省吾

    小川(省)分科員 大臣、現に地方の中でなかなか解決をしないから、私がこれを具体的にいま提起をしているわけだけれども、いま林局長が言ったように、自治省として労を惜しまずにやっていただけますね。
  223. 町村金五

    町村国務大臣 いま行政局長がお答えをした以上のことを私がお答えすることはできませんけれども、このいまのお話は、大体県が行なった事業であるかのように伺ったのであります。私は、これは当然県自体で解決をすべき問題だというふうに考えるのでありまして、そのためには、いまお話しのように県もあれば県議会その他の機関もあるわけでございますから、そこで適正な解決が必ず得られるもの、かように考えておるのであります。いまお話がございましたように、一種の用地買収等にからんでの問題のようでございますが、これは当然県議会等である程度論議をされ、議会の議決を経て県がこれの執行に当たっておるという立場のものであろうと私は思うのであります。そこに問題としてはいろいろなことがあるのかもしれませんけれども、やはり私は、県自体がみずからの手で解決をされるということが本筋であろう、こう思っておるのでありまして、どういう問題をこちらにお持ち込みになるか知れませんけれども、持ち込まれた場合にはもとより労を惜しむものではないということは、申し上げるまでもございませんけれども、本来は、県段階での問題でございますから、こういったたぐいのものは、大体県の段階で通常は解決されているもの、こう私はいつも承知しておるのであります。
  224. 小川省吾

    小川(省)分科員 筋論ですね。まさにそのとおりだと思うのです。ところが同じ県の屋根のもとにいる企業局が工事の実施の主体者でありますから、そうなってまいりますと、そこのところへ話を持ち込んでやってもなかなか解決をしない、こういう事態になっているわけなので、ぜひひとつ自治省として群馬県を指導をしていただきたいと思っているわけであります。  ひとつ、資料としてお願いをしておきたいのですが、私自身も、具体的にどの程度還元の実態が——大まかな数字はわかるのですけれども、十割なり八割なり六割なりという還元の実態を、群馬県当局に要求をしたいと思っています。  実際にいま経済の変動期に、異常な時期に達しておりますから、工場団地を造成をしても、大事な土地を売り渡しても、私はおそらく、そこのところへしばらく工場なんか来ないと思う。こういう時期ですから、設備投資が控えられますから、おそらくそう簡単に工場が進出をしてくるとは思われないのでありますが、そういう意味で、特にこの不公平を是正してほしいという地元民の非常に熱烈な要求、熱望ですね。しかもまた、行政に協力をした正直者、四割還元という初めの契約で契約に応じていった者が、非常に不利な状態になっているのを是正をしていくのに、一つの方法があると思うのです。それは工場団地ですから、還元方式をとってかえ地をやるわけでありますから、工場専用地域というのが当然あるわけです。だからこの工場専用地域をある程度初期の計画よりも狭めれば、公平なかえ地が可能だというふうに私は思っています。ですから、こういうことで生じた行政の不公平さを是正をするのには、工場専用地域を減らしていく以外にはないと私は思っているわけであります。そういう形で私はぜひ指導をやっていただきたいというふうに思っているわけであります。  そういう意味で、大臣がいまいろいろお述べになりましたけれども、不公平な状態があってよいはずはないというのは先ほど大臣もおっしゃったとおりでありますから、相談を受ければ労を惜しまないという行政局長とまさに同じ答弁をしたわけでありますから、本日は時間がありませんからこまかい問題に触れませんけれども、ぜひひとつそういう形へ具体的な問題として、この事案に対する指導をお願いをいたしたいと思うわけでありますけれども、いかがですか。
  225. 町村金五

    町村国務大臣 このお話は、私もきょう初めて伺ったところでございまして、伺いながら感じたことでありますけれども、最近における地価が短期間ににわかに暴騰したということが、どうもこれの原因ではないか。おそらく初め、ある程度お金で売られたというような方は、当時それが、一番有利だと考えられたのでございましょうが、若干の土地を残したやり方だということになれば、残った土地なりあるいは環元してもらう土地が、非常に地価が上がる。その方がたいへん有利であったというようなことで、そこに、同じ土地を売った方々の間でたいへん不公平感が出てきて、それが問題の発端になっているのではないかと、いま伺いながら私は感じたのでございます。それでございますれば、これを実行に移された県段階で適正な解決案が出てくるのではないだろうかというように、私は私なりに、伺ったところではそう感じたのであります。
  226. 小川省吾

    小川(省)分科員 あなたは知事をやられたわりにしては、ものごとを一面的にしかとられていないと思うんですよ。それは土地の値上がりということもあります。しかし農民はやはり、農地を持って農業でやっていける、農業で暮らしが営んでいければ、先祖伝来の土地を離すなんということはあり得ないわけでありますよ。そういう点から、やはりいろいろ彼此勘案をしながら、行政に対しても協力をしていこうという純朴な気持ちが残っているわけです。そういう純朴な者が割りを食うといいますか、損をする、そして行政の中でも不公平に扱われるという状態ですから、私は取り上げているわけですから、大臣、そうものを、一面的に見ないで、全体を通じてぜひひとつ見ていただきたいというふうに思っております。  さらに、かえ地の問題でもいろいろな不公平があるわけです。かえ地等についても、これは十割の方等を中心にしたかえ地が行なわれていますから、後々における残されたところの土地についても、土地効率がだいぶ変ってまいります。あるいはまた十割ということですから、交換でありますから、税金の問題は起こってまいりませんけれども、土地税制に関係をする実は短期譲渡所得等の問題もあるわけであります。  時間がありませんから、本日はそういう点には触れませんけれども、そういう事案が実は発出をいたしておるわけであります。しかも地方公共団体が行なっている事業なんでありますから、そういう意味で、いま大臣の言われたような感覚のものではない。しかもそういう行政に協力をする、こういう状態の者がこのような形に追い込まれることは、やはり行政の上級指導機関で私は是正していかなければならぬというふうに思っているわけであります。そういう意味で当然、主体は県の単独事業でありますから県でありますけれども、県段階でなかなからちがあいていない。定例の県議会の中でこの問題も取り上げられて、具体的な解決をはかるためのいろいろ審議が行なわれるはずになっておりますので、その時期に合わせながら、自治省としても強いひとつ指導を、先ほど大臣や局長が言われたような姿勢でもってやっていただきたいというふうに思っております。私も、この問題を地方行政委員会の中で再度取り上げてまいりますので、ぜひひとつそういう態度で大臣、林局長も当たっていただきたいことを強く要請をいたしまして、時間のようでありますから、一応質問を終わらせてもらいます。
  227. 渡部恒三

    渡部(恒)主査代理 これにて小川省吾君の質問を終わります。  和田貞夫君。
  228. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 この機会に自治大臣に、長い間懸案になっておりますいわゆる地方自治法の附則八条職員の問題について、この際見解を明らかにしていただきたいと思うわけであります。  三月一日の閣議で自治省が自治法の改正案を出して閣議決定を得た、その中で、一つの懸案事項であるいま申し上げました附則八条職員、いわゆる地方事務官制度の廃止を関係各省と話し合いを進めてきたが、調整がつかないために、今回は地方事務官制度の廃止をあきらめたという記事が新聞に報道されておるわけですが、地方自治法改正案の立法化を断念した理由をこの機会に明らかにしてほしいと思います。
  229. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 地方事務官制度というのが暫定的な制度であり、しかも問題が非常にございますので、自治省としては、できるだけ早い機会にこれを廃止したいという方針をずっと古くから貫いてまいってきております。そこで今回も、関係各省の間に話がまとまれば、この地方自治法の改正案の中に盛り込んでというつもりで。折衝を続けてまいりました。今回断念したというのは、今回の法律改正に間に合わなかったという意味でございまして、これを全く断念したわけでも何でもございません。さらに努力は続けてまいるつもりでございますけれども、今回提案に至りませんでしたのは、この提案の時期的な制限もございますし、それまでの間に関係省の間で刈りのまとまった線での結論が得られなかったということに尽きるわけでございます。ですから今回の法案の提出には間に合わないのでございますけれども、私のほうとしては、これをさらに話を詰めて、何とか関係各省の一致点を求めて、長い間の地方事務官制度の改革に終止符を打ちたいという希望と申しますか、熱意はまだ強く持ち続けております。
  230. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 あきらめたということは、見向きもしないということではない、さらに自治省としては従来の方針を踏襲していきたいという考え方であるということはわかりました。  そこで、くどいようでありますが、関係各省との話し合いを続けてきたという経過、これも簡単でけっこうですが、各省の見解等も含めて明らかにしていただきたい。
  231. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これは古くから話してまいりますとたいへん長い経過を経ておりますので、前のほうは省略したいと思いますが、大体これは臨調あたりの答申、それから地方制度調査会の答申その他政府の諮問機関でも何度もこの廃止を打ち出していただいておりますし、これに従事をしておる公務員の側でも長くから廃止の要望を受けております。またこれを現に使っておるというか、事務上の指揮監督権を持って指示しております知事さんのほうでも、全国知事会の決議で何度もこれはやめるべきだという御示唆を受けておりまして、私のほうも古くからこれをやめたいということでございました。一時、昭和四十三年ごろ機運に乗りかけまして、関係大臣の覚え書きまでつくったことがございますが、これも実現をせずに、最近は、昨年の秋でございますが、国会で何度かこれに対する総理大臣、自治大臣その他の一生懸命な答弁があり、これを受けまして、現在の大蔵大臣でございますが当時行政管理庁長官をしておられました福田大臣から、これを廃止するという方向でひとつ関係各省は話を詰めろということで、関係閣僚会議を開いていただきまして、事務的におりてまいりましたのが昨年の十一月でございました。そこでそれの意を受けまして、関係各省の課長レベルの会議それから局長・官房長レベルの会議というのを精力的に開きまして、官房長・局長レベルの会議でも十回近い会議を重ねてまいりました。その間この廃止案について、私の方はまず完全に廃止したいということ、これは各省はそれぞれの仕事を進めておられます観点から、それは非常にむずかしい。そこで各省の相談の間でございますから詳しくは申し上げませんが、私のほうでもある程度妥協した案も実は出しておった、こういう案だったら各省ともがまんできるんじゃないかという案まで実は御提示もしたわけでございます。  各省別には、この地方事務官関係運輸省と厚生省と労働省にわたるわけでございますが、いま内容的に一番話が進んでいるのはむしろ運輸省関−係でございまして、これはほかの省が決着がつけばほとんどいけるという線まで話がだいぶついている。厚生、労働、この両省につきましては、この制度をやめるべきだということは、厚生、労働も御賛成なんでございますけれども、やめたあとのものの持って行き方につきましてどうもたいへん隔たりがございます。結果、昨年の暮れからことしの一月にかけ、予算編成を間にはさんでちょっと休みましたけれども、一月からぎりぎりこの二月の自治法の提案に間に合う時期まで詰めてまいりましたが、結局、その問一致を得られなかったという形で今日まで参っております。
  232. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 大臣にひとつお尋ねしたいのですが、大臣はおそらくこの問題についての初めての答弁であったと思いますが、去る一月二十五日の参議院本会議におきまして、わが党の和田静夫君のこの問題についての政府答弁として答えておられるのは、「地方事務官制度につきましては、私はこのような暫定的な制度をいつまでも存続しておくということは決して好ましいことだというふうには考えておりませんので、前大臣の方針を引き継ぎまして、できるだけ早い時期に本制度を廃止するように努力をいたしたいと考えております。」こういうように答えておられるわけなんですが、違いありませんね。
  233. 町村金五

    町村国務大臣 いまでもそのとおりでございます。
  234. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それでは前大臣の方針というのは、これも昨年の国会でありましたが、七月四日における参議院の本会議において前自治大臣がこのように答弁しておられる。全文は略しますが、大事なところは、「地方事務官は地方公務員に移譲しょう、こういう合意を得てきているのでありまするが、それぞれの省の事情によりまして遅延をいたしております。したがいまして、先ごろも私ども自治省としては、四十九年度内には必ずめどをつけて結論を得るようにという通達を出したところでありまするが、今後、福田行管長官を中心といたしまして関係省庁が相寄って、じんぜん時を過ごすことなく、結論を得るようにしてまいりたいと考えております。」こういうように答弁をしております。この考え方、いわゆる前大臣の考え方と、具体的に申し上げましたけれども、同じことであるというように解釈していいですか。
  235. 町村金五

    町村国務大臣 自治省としての考え方は、前大臣が御答弁になったと同じことを私どもは考えておるわけでございます。ただ、先ほど行政局長からもお答えを申し上げましたように、いまだ関係省との間に合意を見るに至っていないということで、先ごろ地方自治法の改正案を御提案申し上げましたけれども、その中にこれを盛り込むことができなかったという事情でございます。
  236. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 関係省との間にまだ意見の調整ができておらないということですが、四十九年度内には必ずめどをつけて結論を得るように通達も出してあるのだし、自治省の考え方としては四十九年度じゅうにぜひともまとめたい、こういう考え方が前自治大臣の考え方だし、今日の町村自治大臣の考え方でもあるし、自治省の総体的な考え方であるということであれば、意見の調整がとれないからというのじゃなくて、意見の調整をとる努力を一体どのようにしてきたかということになるわけです。そのままだったら、これはいつまでたっても意見の調整がとれない。私も一番ガンになっておる厚生省の社会保険庁長官につい最近合いましたけれども、正々堂々と私らに言うことは、実はいま行政局長が述べられた自治省としての妥協案、その妥協案についても、私たちは妥協案がいいとは言いませんけれども、妥協案についても自治省の事務次官に会って断わってきてやったんだ、そういうことを正々堂々と言っているような、こういう長官のもとに意見調整をやろうと思ったところで、これはかなりの努力がなければどうしてもできない。これは自治省が踏み切って自治法の附則八条を削除する、こういうふん切りがない限りは調整つかぬですよ。だから調整がつかぬからこの法案化に断念したというのじゃなくて、調整がつかぬから調整をつける糸口をつくり、調整をつけるきっかけをつくるために、やはり今回の自治法の改正案の中に、この問題は断念するのじゃなくて、自治省が踏み切るという考え方で私はあってほしかった。またそれがしかるべきだった、こういうように思うのですが、その心境をひとつお聞かせ願いたい。
  237. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 現実に自治法を出すまでに間に合わなかった結果を見ていただく場合は、おまえらの努力が足りなかったといわれても弁解の余地は全くございません。しかし実はその努力は一〇〇%いたしましたし、何とか自治法の改正案で附則八条を削るということに持ち込みたいという線で、ただ削るというだけでは合意が得られない、ひとつこういう案はどうだ、ここまで譲ったらどうだということでさんざん話を詰めたんでございますけれども、いまお話の出ました社会保険庁の場合は、社会保険という仕事の特殊性その他からいって、私のほうから出した案、これものめない、これものめない、これものめないということでついに話がつかない。話がつきませんと、法案の決定は次官会議、閣議決定を経なければなりませんので、そこで話がつかぬ場合はそこは通らないということになりますので、話しさえつけば、最後までその附則八条削除の案を手に持って交渉を続けてまいったのでございますけれども、残念ながら今回間に合わなかったということが実情でございまして、努力不足と言われれば全く弁解の余地もございませんが、私たちの前々からの考え方に従って一〇〇%折衝は続けたつもりでございます。  なお、引き続いてでも折衝を続けるという決意を現在もまだ持っております。
  238. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それでは、調整がつくまで自治省はふん切らぬわけですか。
  239. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 附則八条を削ることについて、自治省はいつでも削りたいと思っております。削るつもりがございますけれども調整がつきませんと、そういう形で閣議決定として法案で出せませんものでございますから、今回お出しするやつには間に合わなかったということは事実でございます。とにかく政府部内で話をつけぬと法案の改正案が出ませんので、つけるような努力をさらに続けていかなければならぬと考えております。
  240. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 調整をつけて法案化するというんじゃなくて、自治省自身が不屈な態度を持っておられるのだから、附則八条を削るぞという強い意思を出してもらって法案化をするということに踏み切られることが、かえって各省間の調整を容易ならしむる結果になる、こういうように私は思うのですが、どうですか。
  241. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 話を詰める段階では、これを削りたいということで各省に何度もぶつかっております。結局削ることに賛成が得られなくて削る案を出せなかったというだけでございまして、これを削って完全な形で府県の機関委任事務にすること、知事会もそれを賛成しておりますし、職員も賛成しておる、ぜひそう踏み切ってくれということで折衝を続けてまいりましたことを御報告いたします。
  242. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 大臣、あなたが参議院で答弁される前に、総理としても昨年十月——もう古いことは抜きにしましょう。少なくとも最近、一番新しい事項として、「昨年の十月に関係大臣による閣僚会議を開催し、それに基づき各省間で廃止についての具体的問題点について鋭意協議を進めている段階でございます。」これはもうすでに過去に関係各省の地方事務官廃止という合意に達しておる。合意に達して昨年の十月にもかなり時間が経過しておる。しかも昨年の本会議で、先ほど申し上げましたように総理も前自治大臣も、四十九年度を目途に解決するという意思表示を国会の場で明らかにされておられるわけです。だからいまさら、いまの時期になって、四十九年度の予算審議するというこの国会の中で、四十八年度から四十九年度にまたがるこの期間の中でなお調整がとれないというのは、私はある面で言うならば閣内不統一であり、関係閣僚が合意に達したことについて、いまなお各省間の官僚が閣僚間の了解事項、合意事項に反して調整を妨害しておるというようにとらざるを得ないじゃないですか。それはやはりそのような官僚に振り回されるというんじゃなくて、閣僚間できめたことであるし申し合わせたことでありますから、自治大臣、あなた責任を持って厚生大臣なりあるいは労働大臣なり運輸大臣と最後の詰めをして、そしてこの法案の提出に間に合わなかったというんじゃなくて、間に合うように努力すべきじゃなかったか、私はそういうようにあなたを責めたくなるわけなんです。どうですか。
  243. 町村金五

    町村国務大臣 確かに御指摘の点はごもっともなんでありまして、実はいまお話がございましたように、すでに昨年、関係閣僚の間でそういった大体の合意に達したということで、事務当局がかなり真剣に具体的な努力をしてくれたわけでございますが、いま行政局長がお答えを申し上げておりまするように、なかなか事務的な話し合いが、この間自治法を提案いたしまするときまでにはまだ話が煮詰まらぬという報告を聞きましたので、いつまでも自治法の提案を差し控えておくわけにはまいりませんので、それで実は提案をいたしたというふうなことでございまして、先ほども申し上げておりまするが、この問題についてはやはり大臣が一応方針としては合意をいたしましたけれども、なかなかむずかしい事務的ないろいろな問題がそこにはございますので、やはり事務的に話をまとめてそして最終の結論を得るということが適当であろうというふうに私ども考えておりましたので、目下事務的段階でもう少し煮詰めさせるということの方針で私どもは今日に至っておるわけなのであります。
  244. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私は逆じゃないかと思いますよ。事務的に煮詰めて、それが煮詰まらなくては延び延びになって、煮詰まってからということでは、私は昨年の自治大臣が答弁したことを踏襲しておられるあなたの責任として、これは四十九年度中にめどをつけることが非常に危うい感じを覚えるわけなんです。だから、やはり少なくとも四十九年度中にめどをつけるという、こういう考え方がおありであれば、事務的に調整を待つというのじゃなくて、これは関係閣僚の合意事項に達しているわけですから、この合意事項に基づいて関係各省で事務的にそのための準備をせい、附則第八条削除のために関係法令その他について改正する準備をせいということを、関係閣僚がそれぞれ各省に指示をしたら解決する問題じゃないですか。それをなぜやらぬのですか。
  245. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 これが非常に暫定的な制度で、しかも非常に不自然な面がある。現実にも労務管理とか給与その他の面で障害が生じておるからこの制度はよくない、やめるべきだということについての合意は確かにあったわけでございます。ところがいま事務的に話がつかないというのは、そのやめたあとどう持っていくかということについて、実はもうお聞き及びとも思いますが、厚生、労働両省と私のほうにたいへんな隔たりがありまして、一つの説には、これを全部国の完全な出先にするのがいいという説もあるぐらいで、これは全くこれを廃止しようとする従来の私どもの考え方ないしは地方制度調査会や臨調あたりの答申の考え方とは違うのでございますけれども、それぞれの事務を所管する各省が、自分の所管する事務の間違いない執行についてこうあるべきだという意見を持っている場合、その意見の間の隔たりがひどくて、ただ事務的に附則八条を落とすからあと準備をせいというだけの御指示ではとても片づかない面がなお残っているわけであります。そこで私のほうはその一つの妥協案を出したというのは、それらの各省の立場もある程度考えて、これならというつもりで実は出してみましたのですけれども、それさえもさっきちょっとお話がございましたように、厚生省のほうで断わってきたという、確かに私のほうの事務次官のところに社会保険長官が見えたようでございますけれども、あの案では厚生省としてはとても合意がとれないということを確かにお言いにお見えになったということがございます。そこで、さらにその案を中心にして鋭意詰めてみましたのですが、現在ごらんのとおりに合意に達しないということ、この制度自体をやめるということには合意がありましても、そのあとの方法についての隔たりが大きいということが、最もその原因だと存じております。
  246. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これは廃止をしたあとの方向をどうするという問題じゃないのですよ。いまも触れておられたように、社会保険庁を責めて申しわけないけれども、社会保険庁の長官の場合は逆ですよ。閣僚の合意に達した事項にも反しておるし、行管の方針にも反しておるし、従来からの自治省の方針にも反しておる。全くこの逆の立場です。地方事務官の廃止というものは、地方公務員に移譲していくという、これが関係閣僚の合意に達した事項ですよ。国会で前自治大臣がそういうような答弁をしておる。いまの大臣もその考え方を踏襲しておるのですよ。そうすると官僚の社会保険庁の長官が、それとは別に、地方自治体に職員の身分を移譲するのだということではなくて、国の職員に身分を一元化するのだという、こういう考え方を言うてみたり、それから社会保険というのは全く企業的に考えるべきであって国家が統括すべきであるのだ、もう一切そんなばかなことは考えませんというふうに、こういう方針に反した考え方を持って、いまなお基本の方針に対して抵抗し妨害をしているというのがこの姿なんですよ。そうは思わないですか。
  247. 林忠雄

    ○林(忠)政府委員 地方公務員に移譲すべきだとは私の役所でも長いことずっと考えておりますし、臨調なり地方制度調査会の答申もすべてその方向を打ち出している、これは確かであります。ただ、関係閣僚の間でこの制度を廃止するべきだという意見は一致を見た、しかしそれぞれの各省の立場でその中身についてその方法まではっきり合意があったかというと、何かこれには異論がある向きがあるようでございますので、臨調なり各調査会の答申はいま先生のおっしゃった方向を指示しておるはずでございますけれども関係閣僚の間で閣僚が全部その線かというと、なおあるいは関係省によって異論があるのではないか、それがまた今度まとまらなかった最大の理由でもございます。
  248. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 その点は少しおかしいと思うのです。これはやはり自治大臣の考え方とすれば、地方事務官は地方公務員に移譲しょうということが合意ができておるということを言うておるのですよ。地方事務官は地方公務員に移譲しよう、こういう合意を関係閣僚間で得ておるという答弁をしておるのですよ。それでまたその考え方が、先ほど私が尋ねましたように、いまの自治大臣もそういう考え方であるということを答弁なさっておられるのですよ。だからその方針に反しておるこの考え方というものは、これはもう全く間違っておるという考え方に立たなくちゃならない、私はそう思いますが、大臣どうですか。
  249. 町村金五

    町村国務大臣 実は先ほど私も大体前大臣が考えておられることと違わないというふうに申し上げたのですが、いまでも私はそう考えておるのでございますが、ただ先ほどのその合意の問題につきまして、行政局長からその当時のことを多少聞いてみますと、いまの地方事務官制度を廃止をするということについては皆さん御同意である、しかしそれを具体的にどうするかということになりますと、多少まだ完全に話し合いの煮詰まらないものが当時どうもあった。そのことが今日になお尾を引いているというような一面もあるようでございます。
  250. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 何大臣であっても国会で内閣を代表して答弁した内容というものは、これは内閣の答弁だと私は受けとめる、またそうであるべきです。そうでしょう。そうすると、そんなことはないはずですよ。何回も繰り返しませんけれども、地方事務官は地方公務員に移譲しよう、こういう合意に達した、こういう閣内統一を持ってもらわなければいかぬですよ。時間がありませんので、そう長く言えないわけでありますが、そういう考え方に立って、しかも四十九年度を目安として、今後さらに自治省としては、あるいは自治大臣としては努力していくという考え方であるかどうか、その点ひとつもう一度お答えいただきたい。
  251. 町村金五

    町村国務大臣 現段階で多少各省とわれわれのほうとの間に意見の同意を見ることができないために、この問題が停とんしておるということは事実でございますけれども、しかし、私はやはり従来の経緯にかんがみて、この制度がきわめて暫定的なものであるというような点から考えまして、やはり私どもとしては当初の方針のとおりこの制度を廃止をするということはぜひなるべく早く実現をしたいということで、自治省としてはその方針で今後とも関係省との話し合いを煮詰めるべく努力をいたしていきたい、こう考えておる次第でございます。
  252. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 なるべく早くということばを使われたんですが、私は、あなたの前の大臣の踏襲をしているのは、四十九年度を目安にということが前大臣の考え方であったのですから、いまの早い時期にというのは四十九年度を目安にというように解釈していいですね。
  253. 町村金五

    町村国務大臣 私もそのつもりで努力をいたします。
  254. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 時間がきましたので最後に締めくくりたいと思いますが、ひとつ地方事務官制度を廃止をして地方公務員に移譲するのだ、こういう基本原則に立って四十九年度を目途に、それをはばむいろいろな考え方、それをはばむいろいろな勢力、これはひとつ自治大臣、あなたは責任をもって対処していただいて、きわめて早い機会にこの問題の解決のために努力してもらいたい、こういうことを最後に付言いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  255. 渡部恒三

    渡部(恒)主査代理 これにて和田貞夫君の質問を終わります。  三谷秀治君。
  256. 三谷秀治

    三谷分科員 参議院選挙予算の増額などが論議されております。ところが、中央選挙管理会がいまだに構成されておりません。個々の委員が存在するだけであって、機構として構成されていない。参議院全国区選挙の事務を取り扱う機関としてこれでいいのかどうか。空白状態が続いている。すでに激しい選挙の前哨戦が始まっております。選挙が公明かつ適正に行なわれるように常にあらゆる機会を通じて選挙人の政治常識の向上につとめなければならない選挙管理会というものがいまだにできていない、異常なことであります。この中央選挙管理委員が任命されたのはいつでしたでしょうか。
  257. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 昨年の十二月二十七日でございます。
  258. 三谷秀治

    三谷分科員 そうしますと、任命後七十日を経過しまして管理会が構成されていないという異常な事態の責任と原因はどこにあるのかお聞きしたい。
  259. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 御指摘のとおり、十二月二十七日に任命をされたわけでございますが、その後年が明けまして、一月十六日に実は委員の初会合ということで、その際に委員長を選任していただく予定であったわけでございますけれども、選任の方法をめぐりまして意見が一致しなかったということがございます。私どもとしては、この管理会の性格等から考えまして、できるだけ従来からとってきておったような全会一致の方法が最も望ましい、そういった立場から、その趣旨を委員各位にもいろいろと御理解いただいて、意見の調整をお願いをした上で委員長の決定をしていただくことが一番よいということを考えたわけでございます。かたがた委員会開催の必要性も、そう早急にはなかったわけでございますので、ある程度の時間をおいてからということで、実は今日に至った次第でございます。
  260. 三谷秀治

    三谷分科員 一月の十六日に初会合をして委員長を決定する予定であったのに、これが構成できなかったのは委員長の選出方法について意見が一致しなかった、こうおっしゃっている。しかし委員長の選出方法というのは明確に法律で規定されております。これは公職選挙法の第五条の二の十二項によりますと「委員長は、委員の中から互選しなければならない。」「しなければならない。」となっている、そう規定されております。ですから選出方法について意見が合わないということは合点がいきません。「互選しなければならない。」と規定されているわけであります。それは意見が相違する余地がない規定になっている。どのように意見が一致しなかったのかお尋ねしたい。
  261. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま仰せのとおり第五条の二の十二項によりまして、委員の中から委員長を互選しなければならないということになっておりまして、そしてその手続といたしまして、中央選挙管理会規程というものができておるわけでございます。ここで委員長の互選の方法が書いてあるわけでございますが、一つの方法としては、第一項で「委員長の互選は、無記名投票でこれを行い、最多数を得た者を当選者とする。」といった規定になっておりますが、第二項でまた「中央選挙管理会は、委員に異議がないときは、前項の選挙について指名推選の方法を用いることができる。」といった規定もあるわけでございます。そこで従来のやり方は、この会の性格から第二項のやり方をずっと踏襲してきておりました。そういったことで、その方法でいこうという委員と、それから第  一項でやるべきではないかという意見とが分かれまして、そういったいきさつもございましたので、先ほど申し上げましたように、よく従来のこと等も御理解をいただいて、ある程度時間をおいて十分調整をとっていただいてきめていただいたほうがよかろう、こういうことになったわけでございます。
  262. 三谷秀治

    三谷分科員 中央選挙管理会規程第一条によりまして、委員長の互選を無記名投票で行なうことをきめております。これが法律の定めに従った具体的な規定なんです。そこでもう一つ、第二項でございますが、「委員に異議がないときは、前項の選挙について指名推選の方法を用いることができる。」こういう規定になっている。しかしこれは厳格に言いますと、法律の規定には反している。法律は「互選しなければならない。」となっている。互選その他の方法とはなっていない。でありますから、たてまえというものは互選できめていく、  これがたてまえなんです。ところがこういう「指名推選の方法を用いることができる。」というもとの法律に反するような管理会の規定というものができている。これは問題です。問題ですが、いまはそのことを論議しません。この管理会規程というものが法律の定めを無視した規定になっている。これは明らかなんです。「互選しなければならない。」となっているのだから、それを「指名推選の方法を用いることができる。」という法律の範囲内においてのみきめ得る規則というものを、法律に反する方法によって選ぶことをきめている。これは本法の規定に反する規則になっている。しかし、それは明らかに法律に違反しておりますけれども、それがよしんば適法であったとしましても、それは委員に異議のないときに初めて成立する選出方法なんです。ところが、委員の中には法律に基づいて合法的に選挙すべきだ、こういう委員がおる限りにおきましては、推選方法なんというものは成立するわけがない。ところがこの十六日の初会合におきまして、推選を主張された委員がおった。これについて法律の定めに従って事を運ぶという処置をとらないで、自治省までもが従来の慣例がこうでありましたからというような、その間違った選出方法を支持する態度をとって、この会議をついに成立せしめていない。委員長の選出を行なわしめていない。これは一体どういう根拠によるものですか。
  263. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもがこの中央選挙管理会規程の第一条で二つの方法が認められておるのは、これは別に互選ということに特に違反はしていないと考えるわけでございますが、ただ、いまおっしゃいましたように、指名推選の方法というものは委員に異議がないときでございますから、理屈の上からはもうおっしゃるとおりのことだろうと思うのでございます。ただ御承知のように、中央選挙管理会は、先ほど御指摘がございましたが、参議院全国区の選挙のほか、いろいろの仕事を持っておりますけれども、委員は国会の指名に基づいて総理が任命するもので、手続的には国会各会派の推選の形をとっておりますけれども、委員会は公正な管理を行なうということから、本来これは不偏不党、公正中立な立場を守るべきものだと考えているわけでございます。したがって、ただいまの委員長の互選の問題等も含めて、会議の進め方も従来からできるだけ意見を調整して、全会一致で運営されてきておったわけでございます。そうして、それがまた一番望ましい方法であろうと私どもは考えておるわけでございます。ただ、第一回のときは、確かに異議があったわけでございますから、それは第二項にはよれないということはそのとおりでございますけれども、そういったこと等も初めてのことでございましたので、そういうこともるる委員の方にお話を申し上げて、その趣旨を御理解いただいて、できれば意見の調整をとっていただいて委員長を決定していただくということが一番いいのではないか、そういったことを考えた次第でございます。かたがた早急に委員会開催の必要もなかったので、若干の時間をいただいて御理解をいただきたいということで私どもとしてはあの際はお開きになったといったような形になったわけでございます。
  264. 三谷秀治

    三谷分科員 指名推選の方法が一番いい方法だとおっしゃっておりますけれども、法律の規定はどうなっているのですか。法律に基づいて処置をしていくというのが国民の立場なんです。あなた方も含めた立場だ。だからこの法律というものは読みかえのしようがない。互選をしなければならないというわけですから、これ以上読みかえのしようがないじゃないですか。非常に明確な規定なんです。その規定でやるべきだと主張する委員がいらっしゃった場合には当然法に基づいてそれをやっていくという立場自治省は立つべきであるにかかわらず、従来の慣習がこうであるから、それでどうだろうかというふうなことを部長や局長が言うということは、一体どういうことなんですか。法律によって合法的にやろうと主張している。そうであればそれでやる以外に手がないんだ。そして今日まで延ばされてきた。格別委員会も開く必要もないとおっしゃいますけれども選挙情勢は刻々進展している。予算もどんどんでてきている。選挙についての政治的な啓蒙その他の活動も切迫してきている。それがいまだに、指名以後七十日間もほっておかれている。その間におきまして、自治省が特定の委員を委員長にするために奔走しておるという事実はないかどうか、これをお尋ねしたい。
  265. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私どもとしては、先ほど申し上げました趣旨から、できるだけ全会一致で決定をしていただきたいと思いましたし、そういった意味で、従来の慣例を申し上げますと、多数党の推選をされた方が委員長をしておられるといったような例がございますので、そういった例があるということは皆さん方にお話はしておるということでございます。
  266. 三谷秀治

    三谷分科員 後段の答弁もしてください。
  267. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ただいま申し上げましたように、従来からそういうことで多数党推選の方がなっておられるので、そういった方向でやっていただくのが従来の方法であるということでお話をしておるわけでございます。
  268. 三谷秀治

    三谷分科員 法に基づいて庶務をやっていくというのが自治省立場であって、それ以上のことをあなた方がおやりになるということは、法に違反する態度といっても差しつかえがない。土屋選挙部長が各委員を訪問して、あるいは電話連絡等によって、特定人を委員長に選ぶための工作をおやりになっていないかどうか、お尋ねしたい。
  269. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 特別にこの方ということでそういった動きはいたしておりませんが、いま申し上げましたように、多数党の方の中から選んでいただくということが従来の慣例に従っていい方法ではないかということで、そういった話はいたしております。
  270. 三谷秀治

    三谷分科員 それは、法律の定めのどの条項によってやっているわけですか。
  271. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 互選というのは、委員の中からお互いに選ぶということでございますから、その方法といたしまして、指名推選ということはいたしますけれども、その者を指名推選があった場合に、第三項で、会議に付して委員の同意を得てから選ぶということにきまっておりますので、そういった形で選ぶ方法というのも一つの互選の方法であろうと考えておるわけでございまして、ただ私はそういった意味で、従来からのやり方というものではそうなっておるのだという趣旨を御理解をいただきたいということでお話をしたという次第でございます。
  272. 三谷秀治

    三谷分科員 たいへんニュアンスのあるお話でありますが、従来多数党の方が委員長になっていらっしゃった、そこで今度も多数党から委員長を出すべく従来の慣例等を伝えたというふうな意味にとりましたけれども、互選をしてだれが委員長になるかわかりはしませんでしょう。多数党の方が委員長におなりになるのがまず常識でしょう、互選というものをやりました場合に。しかし、あなたは事新しく多数党の者が委員長になるのが従来からのしきたりだということを言って回っていらっしゃるのは、多数党以外から委員長が出るという判断をお持ちになっておやりになっているのかどうか。
  273. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 それは委員会自体でおきめになることでございますから、私のほうではそこまでは全然考えておりません。
  274. 三谷秀治

    三谷分科員 そうしますと、互選によればまず多数党から出るのが常識である、普通である。あるいは場合によってはそうでない事態が起きてくるかわからぬ。起きてきてもそれは委員会の自主的な権限の問題であって、あなた方が、従来から多数党から委員長が出ているから今度も多数党確定をする、そうして委員会を開くというふうな段取りをなさることは、これは明らかに越権の行為である。法律の定めを無視した行為である。委員を個々に訪問されるだけでなしに、委員を選びました政党に対しても、そのような連絡やあるいは説得といいますか、こういうことをなされておるのじゃないか、これもお尋ねしたい。
  275. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 私ども事務屋の立場といたしましては、いろいろ心配していただく方にお話は申しておりますけれども、各政党の代表的な方にお話しするような立場にございませんので、それはいたしておりません。
  276. 三谷秀治

    三谷分科員 各政党の代表者ということばは私は使ってはおりません。各政党の方と言ったのです。
  277. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 ちょっと私言い方が各政党の代表と申し上げましたが、各政党の方にいろいろ事情を聞かれたときはいろんなお話は申し上げておりますが、特別に私自身としてはそういった動きはいたしておりません。
  278. 三谷秀治

    三谷分科員 いまのお答えにつきましては、あいまいな部分がある。初めのお答えでは、政党の代表者には話はしていない、まずこの関係者といいますか、あるいは親しい者といいますか、そういう者には話をしておるというふうなニュアンスがありました。私どもが聞いておりますところでもそういう状況がある。これは少し行き過ぎじゃないでしょうか。互選で選ぶということが法律できまっておって、互選でやりましょうといって委員の方がおっしゃっておる。そうすれば法律に従って合法的に互選の処置をとる。そして構成をしていく。互選の結果だれが委員長になるかこれはわかりません。おそらく多数党がなるのが、数が多いわけですから普通なんでしょう。そうしますと、従来は推選方式をやったのだ、そうして従来は多数党から委員長が出ておったのだというふうなことを、何を心配して一つ一つ話をして回る必要があるのか、ここのところの論理が私ども理解ができない。     〔渡部(恒)主査代理退席、主査着席〕
  279. 土屋佳照

    ○土屋政府委員 先ほども申し上げましたように、管理会の性格、不偏不党、公正中立な立場といったようなことを考えまして、会議の進め方も従来から全会一致というかっこうで来ておりますので、なるべくそういった方法でやっていただくことがいいのではないか。しかもまた、いま申し上げましたように、指名推選の場合でももちろん会議に付してそして同意を得てやるわけでございますから、そういうかっこうで、従来と同様なかっこうでいくのが望ましいということでお話を申し上げておるわけでございまして、最終的に今回この次に委員会を開いておきめになるときは、これは委員皆さん方がそれはどうするかということをおきめになるわけでございますから、それは委員会でそのとおりおきめいただいたらけっこうだと思います。
  280. 三谷秀治

    三谷分科員 もちろんそうなっていかざるを得ぬわけでありますけれども、そのことといまおとりになっている不明朗な態度というものとは別の問題です。これは互選によりましてお互いに公正に選挙をやっていく、そして委員の自主的な権限に基づいて代表者を選ぶ、これは法の定めでもあるし、そしてこのこと自体何の問題もない処置なんです。それを妨げるような発言を委員会においてしたり、それ以後におきまして互選でなくものごとを進めるような工作をやったり、そういうことは少しあなた方の仕事の範囲としては権限を逸脱しておる。しかも、一月の十六日に第一回委員会を開いて以来五十日になりますけれども、いまだに委員会が開かれていない。なぜ開かれないのか。それはそういう工作というものがまだまだ固まっていない、そのために開くことができないという判断というものがかなり強く流布されている。公正な選挙を執行してこれを管理すべき選挙管理会というものが、みずからそういう法に反するような不明朗な行為というものを行なっておっていいものかどうか、大臣の所見をお尋ねしたい。
  281. 町村金五

    町村国務大臣 中央選挙管理会の委員長の選任に関する問題についてただいま三谷委員のおっしゃることは、私ごもっともだと思うのであります。ただ、御承知のように、今回委員もずいぶんおかわりになるというようなこともあって、必ずしも従来の慣例等を十分御承知がないままに前回委員会が開かれたといったようなこと等もございまして、当日は委員長をきめるに至らずに終わったというように私も報告を聞いておるわけでございます。  先ほど来だんだんお話が出ておりますが、この選挙管理会の委員の選出の状況から見まして、やはり委員長には多数党から出られるのが大体妥当なところであろうというふうに私どもは判断をいたしておりますが、当時の状況は、必ずしもそういうふうになるかどうかわからぬといったようなことがあるいはあったというようなことで、もう少し皆さまに御研究を仰ぐというようなことで、当日はきめるに至らずに至ったんだというふうに私も聞いておるわけでございますが、しかしだんだん選挙等も近づいておりますので、私はできるだけ早く委員会が開催されまして委員長が決定されることを、私どもも強く希望もいたしておるようなところでございます。
  282. 三谷秀治

    三谷分科員 不得要領なお答えでありましたが、多数党から選ぶことが好ましいとおっしゃっている。私ども、それは反対だとも何とも言っていない。それは委員会の自主的にきめる問題であって、そこにこの委員会というものの自主的な権限というものが生きてくるわけだ。だから、あなた方が、多数党に属していらっしゃるから、多数党から出すのが当然だとおっしゃる。結果としては、そうなるのが普通なんでしょう。いずれになりましてもいいじゃないですか。選挙管理委員会なんてところで、あまり党派性をむき出しにしてどうこう議論する場所じゃない。委員というものが選ばれて、良識のある方々が集まって、そして互選でいきましょう、そしてお互いにフリーに投票する、そこで委員長がきまる、それでいいわけなんだ。そのことを法律がきめているわけです。しかるに、あなた方のいまの動きを見ておりますと、慣例だ慣例だといって、多数党から委員長をとるのがこれも慣例だ、多数党からとらなくてはならぬような態度をおとりになる。あるいは多数党に回すような工作をおやりになっている。そこは、権限を越えた行為です。それは選挙管理会の自主性を侵害する行為だ。そういうことはあってはならぬということを私は言っているわけだ。そして、いまの土屋部長のお答えでありますけれども、いろいろと配慮をした発言をなさっておりますが、そのものずばりと言えば、自治省選挙管理委員長を選ぶためのやみ工作をやっておるということになってくる。そういう認定をされてもやむを得ない状態になってきている。その行為というものは、だれの指示によってやっておるのか。責任はだれにあるのか。どのような権限でそれがやられておるのか。これは大臣にお尋ねしたい。
  283. 町村金五

    町村国務大臣 もとより選挙管理会の委員長は委員の方々が互選でおきめになる、これはもう当然のことでございます。したがって、近く開かれる管理会においては、そういった方法で委員長が御決定になるもの、私はかように考えておるわけでございます。  いまお尋ねになりました一月の十六日に委員長を決定することに至らないで、自来選挙部長がいろいろ工作をしておるという御指摘でございます。そういったことはあげて私の責任でございます。
  284. 三谷秀治

    三谷分科員 その責任に基づいて要求しておきますが、選挙の公正、公明を保持すべき第三者機関である選管の性格からしまして、その内部問題に政党やあるいは政府が介入すべきものではない、これは明白なことなんです。そこで、そういう行為によって選管の構成がいまだにできない、空白になっておる。そこで、すみやかにあなたの責任において委員に集まってもらって、法律に基づく選出方法を進めてもらいたい。これが一つです。  それから介入はやめてもらう。裏工作はやめてもらう。フリーに選挙してもらう。それについてお答えを聞きたい。
  285. 町村金五

    町村国務大臣 申し上げるまでもなく、なるべく早く委員長が決定されなければなりません。委員の各位にお願いをしてすみやかに決定していただくようにしたいと思います。  なお、いままで私どもの土屋部長等がいたしておりましたことは、新しく人選せられた方々に従来の管理会のあり方等について御説明を申し上げてきた、こういうふうに私は承知をいたしております。あえて介入をするというような考えは毛頭ございません。
  286. 三谷秀治

    三谷分科員 御説明をしたというふうなことをおっしゃっておりますが、従来の慣例がどうあろうと、法律の定めでやろうという主張をしておるわけでありますから、それについては慣例がどうだから、こうだからというので、法律に基づいて合法的にやろうというものを妨げるというようなことをやってもらっては困る。やるべきでないはずなんです。  そこでいま、もはや参議院の選挙は六月という話でありますが、その時期を控えましてこの空白状態を放置できるものじゃありません。選挙管理会はまだできていないけれども、すぐに委員に集まっていただいて、公正な選出をやってもらう。そうして、いまおっしゃいましたような介入はしない。あなたは介入でないとおっしゃいますけれども、介入と見られてもしかたがない行為というものが客観的にとられている。これもきっぱりとやめてもらう。これをはっきりとお認めになっていただきたい。
  287. 町村金五

    町村国務大臣 繰り返してお答えを申し上げるようでありますが、委員長をなるべく早く決定していただくように、選挙管理会の委員の方々にはそのことをよくお願いをするつもりです。なおまた、介入等のことは一切させる考えはございません。
  288. 渡辺栄一

    渡辺主査 三谷君の質疑は終了いたしました。  次に、松尾信人君。
  289. 松尾信人

    松尾分科員 本日私が質疑を重ねまするのは、中小企業高度化資金についてであります。中小企業高度化資金の助成制度、これは非常に中小企業者の高度化への意欲が高まっておりまして、おまけに公害対策、都市対策、国際化対策等とも関連  いたしまして、中小企業対策の最重点施策として取り上げられて成果をあげてきたものであります。われわれも本制度を高く評価しております。  この助成制度の内容というものを、事業団、県、自己負担というようなものの比率等を簡単にまず中小企業庁より御説明願いたい。
  290. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 一般高度化事業につきましては、振興事業団の負担が出資で二三%、財投で一九%、それから都道府県の負担が二三%でございます。トータルで六五%ということになっております。  それから特定高度化事業につきましては、事業団関係が四〇%、それから都道府県が四〇%、トータルで八〇%、こういう数字になっております。
  291. 松尾信人

    松尾分科員 さらにこの高度化事業の問題でございますけれども、最近流通対策、また過密対策、都市再開発対策等に関連いたしまして、非常に大型のプロジェクトがどんどんふえてまいっている、これが実情であります。いま御説明になりましたとおりに、この事業団の負担の割合、また県における負担分二三%とおっしゃいましたが、この県の負担分が、その県における高度化事業がどんどんどんどん進んでいく、また意欲が高まってくる、そうすると、その要請が強いということで、県の負担分が最近著しく増加してまいっておるわけであります。もうこれ以上負担ができない、資金の行き詰まりを来たした、このようなことでありまして、無利子でこれは県も出しておるわけでありますけれども、非常に困っておる。このような実態はもういまさら私が申し上げる必要はないと思います。結局、中小企業の要請は大きい。国の施策として一生懸命やっている。そしてこのような需要が激増しますると、いま申し上げましたとおり、県の財政規模から予算化が非常に困難になってまいりまして、一部予算化が不能になっている。ですから、高度化事業の後年度への繰り延べ、または所要資金の査定というものが、中小企業者にとりまして結局不利になってくる、こういう結果があらわれてきております。これは本制度の根本を脅かす問題である。結局、中小企業者の高度化意欲というものを著しく減殺する結果となっておるものであります。最近のこのような県財政規模からの予算化の大きな支障という問題につきまして、どのように認識を持っていらっしゃるか、これも中小企業庁に最初にお尋ねしておきます。
  292. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 御指摘のございましたように、中小企業者の高度化事業は、急速に意欲が増加してきております。それに伴いまして、都道府県の負担額も飛躍的に増加しているような次第でございます。たとえば四十七年度から四十九年度まで三カ年をとってみますと、都道府県の全国のこの事業に対する負担額は二百九十六億円から三百七十九億円、四十九年度では四百三十一億円、このように伸びているわけでございます。  こういった負担の増加に伴いまして、都道府県としてはその負担ができないというような問題が御指摘のように起こっておりますので、通産省といたしましては、何とか都道府県に対して御援助を申し上げたいということで、またそうしないとせっかく高まっております中小企業者の意欲的な高度化事業の芽をつむことになりますので……
  293. 松尾信人

    松尾分科員 その点はぼくが質疑しますから、お答え願いたい。いまあなたがお答えになろうとしていることはけっこうです。  いまお答えのとおり、実情そうなっておるわけでありますけれども、このような県負担分の予算化難というものをどうしても解消しなければいけない、そして高度化事業の円滑な実施を促進しなければいけないということで、業界代表または県側からも非常に強い要請がたびたびなされておるわけであります。これはその一つの経緯になるわけでありますけれども、いまおっしゃいましたこの中小企業振興事業団による高度化資金県負担分の平準化融資制度を早急に実現していただきたい。そのときの配慮すべき諸点といたしまして、一つ、償還期間は十年程度の長期間とすること。二つ、三年程度の据え置き期間を認めること。三つ、金利は無利子とすること。四つ、所要資金として最低五十億円を確保すること。このような要請がこの業界の代表並びに県側からたびたびなされておるわけでありますけれども、このような平準化資金に対する中小企業庁の取り上げ方、その点はどのようになっておるか承りたい。
  294. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 中小企業庁としましては、四十九年度の予算要求におきまして、この点につきまして大蔵省のほうに要求をいたしたわけでございますが、その中身は、トータル四十五億円の資金を事業団から融資をするという考え方でございます。それで金利は四・一%、償還期間は七年、それで特にこの高度化資金の負担額が急増している場合で、伸び率が特定の年次におきまして原則として二倍ぐらいに伸びている場合、そういうような条件を想定いたしまして、大蔵省に要求したわけでございます。
  295. 松尾信人

    松尾分科員 大蔵省に中小企業庁としては要請をした。その結果はどうでしたか。
  296. 吉川佐吉

    ○吉川政府委員 大蔵省との折衝過程におきましてはっきりいたしましたのは、大蔵省は本件をむしろ当該都道府県における予算の中での資金の配分の問題として認識しておりまして、通産省案のような中小企業金融的な考え方には反対をされまして、むしろ先ほど申しましたような基本的な考え方から、都道府県の起債によって対処すべきである、こういう意見でございました。
  297. 松尾信人

    松尾分科員 そこには非常に大蔵省のいまのような認識、そして自治省に対しまして、都道府県の業務として起債でやっていけという考え方自体には、私は大きく議論を尽くしていかなければいけない問題があると思うのです。  そうしますと結局そういうような大蔵省の要請といいますか、いわば自治省のほうへすりかえたというようなことにつきまして、結果的にはどのようになったわけでありますか。これは自治省からお答え願いたいと思う。
  298. 松浦功

    ○松浦政府委員 高度化資金は中小企業者に無利子で貸し付けるものでございますので、無利子で貸し付ける金に起債を認めるということについては、当省としてはこれまでも絶対反対である、私どもとしてもこの問題については賛成しかねる実情があったわけであります。  ただ、現実に財政の状況をながめておりますと、昨年六億程度の貸し付け金であったものが、十数億にふえるというような団体が現実にあるわけでございます。もう理屈の問題は一応抜きにして、財政問題として問題を取り扱っていかないと、都道府県がお困りになるであろう、そういう判断から——理論ではまだ降りておりません、了解しておりません。無利子の金に起債を認めることは、私どもは納得はしていないのであります。よんどころない処置として、都道府県の財政のためには協力をせざるを得まいという気持ちに現在なっております。よく中小企業庁とも打ち合わせをいたしまして、一定方式のもとに明年度は地方債を認めていくということを考えたいと思っております。御承知のように回収金もございます。あるいは貸し付け金につきましては地方交付税、普通交付税の算定の中に相当の金額も盛り込んでおる。そういったものとのかね合いを考えました上で、現実の問題として地方公共団体の財政運営が困らないような地方債の配分を来年から始めたいというふうな気持ちでおります。
  299. 松尾信人

    松尾分科員 非常にはっきりとしたお答えがありました。どうも基本的には納得できないのだけれども、このような高度化事業というものが非常に必要である、そういうことから、ほんとうにその需要資金というものがどんどん伸びてくる、都道府県としては困っておる、その分をどうにかしてやろうという、これは自治省の非常に好意ある配慮だろうと思うのです。私はその点につきましてまことにけっこうな措置であった、そのようになっていったらいいな、こう思うのでありますけれども、いまの納得できないという基本的な問題は、これはあくまでも通産省としまして今後ともにしっかり——基本的な問題ですから、これは中小企業庁のほんとうに大きな施策の柱です。その問題が主管序から離れて、まあそれは県の負担分だけでありますけれども、それをやっていかなければできない。これは、そこに無利子で二三%も出ていくわけでありますから、確かに問題があろう。しかし、自治省が急場というものを、地方都道府県の実態をよくわかって、認識して、そしてそれを変えていこう、どうとかしてやろう、これは私はまことにりっぱなといいますか、地方の行政、そういうものを伸ばしていこうという観点からいえば、非常にりっぱな措置だと思うのであります。  そうしますと、いまお話のとおりで、結局自治省がそれを引き受けた、それでやってまいりましょう、こういうことでありますけれども、先ほど大蔵省に要請が四十五億円、このような説明がございました。それから七年の償還期限、四・一%の金利だというような話でありますけれども、起債の規模、四十九年度における自治省としての起債を認めていこうという、その規模はどのくらいの程度か。それから償還期間等、それから最終的な金利、そこに据え置く期間というものが三年は据え置いてくれという要請がありましたけれども、今度自治省でそういうものに対する調整がどうなっておるか。これはできるだけ詳しく、これは都道府県が非常に期待をして待っている内容であります。相なるべくは、わかっておる範囲の詳しい点を御説明願いたい。
  300. 松浦功

    ○松浦政府委員 私のほうで、今度高度化資金の貸し付け金に明年度から地方債を認めようといっておるわけでございますが、これは全団体に認めるというわけではございません。計算方式一つつくりまして、それで貸し付け起債を認めるところと認めないところ——額の少ないところにつきましては交付税も入っておりますので、これは要らないということになってまいります。特定の団体、特定といっても相当数の団体になると思いますが、それらに起債を認めるということになろうかと思っております。  額といたしましては、現在まだ私ども交付税に算入すべき金額等につきましても、法案を国会で御審議をいただいておる最中でございますので、その辺のところが明確になっておりませんが、少なくとも中小企業庁がおっしゃっておられる四十五億という数字を下回るというような数字は考えておりません。もう少し大きな数字を配分せざるを得ないだろうと思っております。しかし、額についてはいまの段階ではそういう事情もございますので、明示することをひとつお許しをいただきたいと思います。  起債の条件でございますが、これは都道府県の特に商工部長さん方から、私個人的にもいろいろお話を承っておりますが、皆さま方がおっしゃっておるのは、はっきり申し上げまして、起債を認めていただければその問題については条件がどうこうというようなお話は一つもございませんでした。われわれが考えておりますのは、当然縁故債という考え方でございますので、県とその金を融資する銀行との相対できめていく問題であるというふうに考えております。  ただ、一般論といたしまして、私どももそういう経験をいたしておりますけれども、まあ、縁故債でございますと、期限は大体七年から十年——一般論としてでございます、これは銀行との交渉関係でございますから。据え置き期限は七年の場合で大体二年、十年の場合でございますと大体三年、金利は、これは金利情勢に当然左右されることになろうかと思いますが、非常に安い金利で借りておる団体と、そうでない団体と、いろいろございます。縁故資金でございますので、当該取引銀行と当該地方公共団体の間でそれらの条件をおきめを願う、こういうつもりでおります。
  301. 松尾信人

    松尾分科員 その点は、内容はわかりました。ただ、いま予算の編成のまつ最中であります。そういうことで規模的にはあまりおっしゃいませんでしたけれども、少なくとも企業庁の申し出ている四十五億円を下回ることはない。これはもう長年の宿題でありまして、実は四十八年度も相当都道府県はお手上げなんです。  それで、これは虫のいい話でありますけれども、四十八年度の分まで——非常に高度化資金がぐんぐん伸びまして財政資金として一生懸命やってきたけれども、もう非常に困っているのだ、そういう中から一生懸命やってきたという都道府県につきましては、これは全然四十八年度分はお認めにならぬのか、何か親心をもう少し出してやろうという気があるのかどうか。いかがですか。
  302. 松浦功

    ○松浦政府委員 御承知のように総需要抑制というたてまえから、ワク外債の発行を極力抑制をしていくという方針で現在おりますので、各地方公共団体に、最終的に一般単独事業費の内示を最近したわけでございますが、それでも足りないという議論がございますので、もう一回、各地方公共団体ごとに事業の見直しをいたしております。一般論として中小企業高度化資金について全部起債を見るという考え方は必ずしもとるつもりはございませんけれども、そういった貸し付け金が膨大であるために財政運営が特に苦しい、こういう団体がございますれば、名目を何にするかは別でございますけれども、何らかの手当てをすることが必要であろうかと思って、現在各団体の事情を聞かしておるようなわけでございます。
  303. 松尾信人

    松尾分科員 そこまで配慮をしていただきますと、これはまことに都道府県としてはもう何も言うことはない、非常にありがたい措置である、このように私は感ずると思うのです。私もそのように感じます。  ところで、いまお話の出ましたこの総需要抑制で、結局中小企業の所要資金の貸し付けも相当きびしくなっていくのじゃなかろうか。県が地方銀行より、縁故債ということで起債で借り入れるわけでありますけれども、そのときのそういう抑制からの規制というものが相当きびしくなるのじゃなかろうか、うまくいくのかな、そこで金がもしも借りられぬとか、起債がうまくいかぬということになると、これはほんとうに最後の段階でつまずくわけでありますけれども、そういうところの配慮はいかがですか。
  304. 松浦功

    ○松浦政府委員 本分科会でも、いろいろと土地の購入資金等についての問題が大きな問題になって取り上げられておりますが、現在の段階では、地方債はすべて自治省企画立案をいたしまして、大蔵省と協議をいたしましてワクをきめておりますので、この種のものを大蔵省と協議をととのえて地方債の許可をいたすということになりました場合には、銀行、金融機関も御協力をいただけるものと私は考えております。
  305. 松尾信人

    松尾分科員 最後でありますけれども、結局中小企業庁としてはいまのおっしゃったような経緯で自治省のほうにうまくやっていただくようになった。ですからこの都道府県に対する中小企業との関係、そういうものをどのようにいまなされたか。また自治省としましては、そういうものを今度起債でいこう、そのような基本方針が固まっておるわけでありますけれども、いまの自治省のお考えというものが都道府県にどのように通じておるか。この両方、通産省として都道府県に対するそういうもの、自治省としてどのようなそういう意思表示というものが今後なされるのか、すでになされたか、そういうことを聞いて私の質疑を終わりたいと思うのです。
  306. 松浦功

    ○松浦政府委員 私のほうから一括してお答えを申し上げたいと思いますが、この問題は予算折衝が行なわれました段階で、通産省の要求が大蔵省の認めるところとならなかったわけでございまして、その段階において中小企業庁のほうからもお話がございましたし、地方公共団体のほうからも強い御要望がございました。そこで庁内で意見の取りまとめをして、いま申し上げたような形に踏み切ることにいたしたわけでございます。予算編成が間近に迫っておりますので、自治省としては地方債を認める方向で腹をきめたということは、地方公共団体に中小企業庁からお伝えしていただいてけっこうだということを申し上げております。商工部長会議で中小企業庁のほうから御指示があったと聞いております。私が知っております県の商工部長も、すでに地方債を財源に貸し付け金を組んでおります、この程度の金額でございますが、自治省の選任方針に合いますかということで数字も持っておいでになりました。確かめてみますと、比較的妥当な数字をあげられておる。その程度のものは何とかなるのじゃないかということを申し上げているような一例もございます。その点は地方庁でこの貸し付け金が著しく増額になるような団体は、このことはみな御存じでないかというふうに私どもとしては思っております。
  307. 松尾信人

    松尾分科員 終わります。
  308. 渡辺栄一

    渡辺主査 松尾君の質疑は終了いたしました。  次に、佐野進君。
  309. 佐野進

    佐野(進)分科員 私は、大臣並びに局長に都市交通対策と区長公選の問題について御質問をしてみたいと思います。  昨年、地方公営交通事業の経営の健全化の促進に関する法律の審議が行なわれたわけですが、私もその審議に参加いたしまして、当時の自治大臣並びに財政局長と、一時間以上にわたっていろいろ論議をしたのでありますけれども、その経験を踏まえながらこれから質問をしてみたいと思うわけであります。  まず第一に、大臣に御質問を申し上げますが、この審議の経過を通じて明らかにされましたことは、いわゆる地方公営交通事業というものは単に独立採算制、公営企業法に基づく独立採算制のたてまえだけではもはや処理し切れない段階にきている。したがって、独算制のたてまえはくずし得ないけれども、実質的に独算制を空洞化したような形の中においてその措置がなされていったわけでございますけれども、今日の状況はその事態よりももっと進んで悪化した状況下に置かれておるわけでありますが、公営企業法の改正、特に独立採算制等の問題について、その後の状況を踏まえて大臣はどのように考えておられるか、この際御質問申し上げます。
  310. 松浦功

    ○松浦政府委員 公営交通事業の独立採算制、すなわち利用者負担によって会計を維持していく、この原則を変えるつもりはないわけでございますが、御指摘をいただきましたように、たとえば地下鉄の建設というような特殊の問題もございますし、あるいはこういった経済の状況下において、なかなか料金の引き上げもいままでのようには簡単にできにくい、こういう問題もあることでございますので、われわれといたしましては公営交通が運営しやすいようにある程度一般会計からの繰り入れを認める、あるいは認めた一般会計の繰り入れについて交付税措置をする、そういうようなことに努力を加えながら、公営交通が健全に運営されていくようにつとめてまいりたいというのが基本的な考え方であります。
  311. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、そのようなことをこの前さんざんやったわけで、いま原則的なことを具体的な質問に入る前にお聞きしているわけですから、突然で大臣おわかりにならない点があるかと思いますけれども、できるだけひとつ答えてください。したがって、そういう状況の中で、いま財政局長が答弁された形の中で努力していることについては、私どもも知っているわけでありますけれども、なお不足しているという前提で質問を申し上げているとひとつ大臣お考え願いたいと思います。  二番目の問題は、この審議の経過を通じまして、いわゆる自分たち努力に基づいて経営の改善、あるいは指導省である自治省、あるいは地方公共団体の努力に基づいて経営の改善がなされているけれども、それを上回る客観的な情勢の変化、客観的な思い条件の出現に基づいてその努力の大部分がなくなってしまう。いや、むしろそれ以上に悪い血が蓄積されていく、こういうようなことが今日の公営交通事業、いわゆる一般交通事業を含めてそのような状況にあるわけでありますけれども、その中で附帯決議の第一項に示されておるいわゆる大量大衆輸送機関優先の原則が、今日そのような悪い環境を打破するため、打開するために最大の条件でなければならない、こういうことが指摘されておるわけでありまするけれども、これについてどのような努力をしておられるか、この点について大臣の御見解をお聞きいたしたいと思います。
  312. 松浦功

    ○松浦政府委員 御指摘の点はまことにそのとおりでございます。大衆公共輸送機関、これがほかのものに対して優先的であるべきことはお説のとおりでございます。当省といたしましては、直接に権限を持ってどうこうということのできる立場にはございませんが、関係各省にお願いをいたしまして、バス専用レーンの拡大あるいは都心部における駐車規制、こういった問題について警察当局なりあるいは建設省なりに御相談をお願いいたしながら、大衆輸送機関が能率をあげて庶民の足となり得るようにこれまでも努力を続けておりますし、これからも努力を続けてまいりたいと思っております。
  313. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは大臣、これを聞いたあと一括して答弁してください。  三つ目の問題は、いま財政局長が答弁されましたように、今日の公営交通事業の困難を打開して健全なる運営をはかっていくために、いわゆる各省間におけるところの調整、さらには経営主体のいわゆる一元化、こういうような問題が今日緊急の課題となってきておるわけであります。したがって、この問題を放置しておくならば、今日大衆輸送機関である公営交通をはじめとするそれぞれの諸事業は、壊滅的な危機に逢着しているわけです。したがって、自治省として、これら交通事業の一元化について、どのような考えを持っておられるか、この際簡単にひとつ御説明を願いたいと思います。
  314. 松浦功

    ○松浦政府委員 全く御指摘のとおり、都市交通は都市機能のきわめて重要な一環をなすものでございまして、都市計画等とも有機的な連絡が必要でございます。したがって、当省としては、地方公共団体の段階にありましては、関係地方公共団体あるいは国の出先機関、こういったものとの総合的な連絡をとる機会をつくる、さらにそれのみにては足りないもっと高度の問題については、国の関係各省との連絡を一そう緊密にいたしまして、それらの対策に抜かりのないようにしていかなければならないと思っております。具体的には先ほど申し上げましたバス専用レーンの問題、あるいは駐車場規制の問題、最近ではガソリンの入手の問題というような問題まで起こってきておると思いますが、これらの問題について鋭意庶民の足が十分に確保できるように関係各省と連絡をとり、各省の御協力をいただいてその実をあげてまいりたいと思います。
  315. 佐野進

    佐野(進)分科員 大臣、まとめてひとつ簡単に決意のほどを示してください。
  316. 町村金五

    町村国務大臣 都市における大衆の輸送というものはたいへん重大なことでございますけれども、最近における各公営企業経営状態がたいへんに悪化してまいり、自治省といたしましても、こういった公営企業の再建についてはかなり助成をいたしておりますけれども、なおかつ、どうも大局的に見ますると、さいの川原のような、繰り返しのような感じがいたさぬわけではございません。したがって、先ほど来財政局長もお答えを申し上げておりましたが、この問題はやはりよほど抜本的な対策を講じませんと、大衆の足を確保しつつ、しかも、公営企業として健全に成り立っていくというのには、はたして従来やっておりますることだけで足りるかどうか、必ずしもどうも十分ではないといったような感じ等もいたすのでございまして、今後さらに自治省といたしましては、やはり大衆の足を確保するための公営交通というものが、できるだけその機能を発揮できるようなぐあいに、財政的な措置をいたさなければなりませんし、また関係の各省におきましても、やはりそれぞれの立場でひとつなお一そうの御尽力を願わなければならぬ、かように考えておるところでございます。
  317. 佐野進

    佐野(進)分科員 それでは、具体的に財政局長に質問します。私の質問は、去年の審議の経過を裏づけしながら聞きますから、そのつもりで答弁してください。  第一番目には、財政の確立であります。局長は二月二十七日、社会党の、わが党の代表がそれぞれお話し合いをいたした席上で、第一次債権のたな上げ分六百九十五億円の不良債務については、新規不足分百十二億を加えて現在八百七億になっておるわけでありますが、国が財政的な援助を行ないたい、大体四五%程度の援助を見る、こういうようなお話をなさったと仄聞しているのですが、そのように理解をしてよろしいですか。
  318. 松浦功

    ○松浦政府委員 私が御説明申し上げましたのは、再建債の元利償還金全額に対しまして、国の利子補給と交付税措置をあわせて、元利償還金全体の四五%程度はめんどうを見る形をとりたいということを申し上げました。
  319. 佐野進

    佐野(進)分科員 今日の情勢がきわめて困難な条件になっており、特に再建指定団体は前回は十一団体あったのが、今日すでに申し込みしているだけで二十四団体になっている。三十九団体中、半数をこえる地方公共団体がその申し込みをしている。こういう実情は、今日の物価上昇の現況の中に照らし合わしてみても、これはだれしも理解できるところであるわけでございますが、そういうような状況の中で、これらの面に対するいわゆる不良債務と称せられている面に対して、地方財政に与える影響、圧迫の現況というものについて、国がさらに積極的な努力をするということは当然必要なことと思いますが、今後とも努力をしていかれる決意であるかどうか、この点ひとつお聞きしておきたいと思います。
  320. 松浦功

    ○松浦政府委員 公営交通の状況、それから公営交通を持っておられる親元の団体の財政状況、そういったものを勘案しながら、実際の運用にお困りにならないようにという観点から配慮してまいりたいと思います。
  321. 佐野進

    佐野(進)分科員 第二番目は、前回の四十八年度予算の際、バス購入の補助が行なわれ、運輸省関係には三百二十万、自治省関係については三百八十万という補助が行なわれているわけでありますが、しかしこの補助について、一〇%を減額した上で、さらにその金額の半額補助という形になっておるわけであります。しかし、今日の現況からして三百二十万ないし三百八十万でバスが購入されるがごときことはあり得ないわけでございますので、現実的には六百五十万ぐらいになっているといわれておるわけでございますけれども、そういうような状況の中で自治省はなお三百八十万を固執されておるやに承っておるわけであります。運輸省においては各方面の要請を受けて、この三百二十万という金額について、四十九年度中においてもこれを改定し、増額し、実情に合った措置を講ずると言明しておるという話を聞いておるわけでございますが、これについて自治省はこのバスの購入費、最も過疎地域を含めたそれぞれの地域の住民の足という面につながるバスの購入について、どのように考えておられるかお答え願いたいと思うのです。
  322. 松浦功

    ○松浦政府委員 御指摘をいただきましたように、現実のバス購入費と、それから補助単価が食い違っておることは事実でございます。当省といたしましては、大蔵省の査定で三百八十万ということで私のほうは納得をいたしたわけでございます。したがって、当省といたしましては、現実に交通を運営していく場合に、六百万なり六百五十万なり出さなければ買えないものを、三百八十万の二分の一の補助というかっこうになるわけでございますから、いわゆる単価差から出てくる部分についても起債を認めるということによって公営交通事業の運営に妨げが来ないように、そういう配慮はしてまいりたい、こう思っております。
  323. 佐野進

    佐野(進)分科員 起債には利子がつくわけですし、現実にはあなたも認めているように、この制度が発足したとき三百八十万程度で購入できたのが、六百五十万程度になっているのが今日の実情でありますので、さらに積極的にひとつ努力して、その購入費の半額が補助できるようにしていただきたいと思うのですが、その決意をひとつお聞かせいただきたい。
  324. 松浦功

    ○松浦政府委員 今後におきまして、できるだけ実勢単価に合うような補助単価にするように努力をいたしたいと思います。
  325. 佐野進

    佐野(進)分科員 次の質問は、いま申し上げましたけれども、今日過疎地域を含む相当程度の路線が、いわゆる行政路線と称せられて、経費が収支相伴わない形の中において運営されている場合がたくさんあるわけであります。したがって、これらの面について各方面から、特に国会内におきましても強い要求が出されておることは、局長御承知のとおりでありまするけれども、これが基準策定はもはや避け得られない現況になりつつあると思うのであります。これについては最も難色を示しておった運輸省等におきましても五名以下の路線はもう切り捨ててしまえというような見解さえ明らかにされておったわけでございまするけれども、これらにつきましては今日の実情の中で最大限地域住民の足を守るという形の中において路線の維持もやむを得ないのではないか、したがって、この路線の維持をした場合において起きる赤字等については行政的に措置をする、財政的に措置をするという、そういうような状況になりつつある状況でありまするが、この行政路線の基準策定は、主として地方公営交通事業の場合は自治省が行なうべき立場にある、こう考えるわけでございまするが、その点の見解と、そういうような作業に踏み切るべきだということに対してどうお考えになっておられるか、この際お聞かせ願いたいと思います。
  326. 松浦功

    ○松浦政府委員 この問題は、住民の足を確保するという観点から生活に直接関連をした大きな問題でございまして、これは公営であると民営であるとを問わず、共通の問題であろうかと思います。したがって、自治省のみで公営交通の路線について、これは行政路線であるとかないとかということをきめるということは、国の方針としてやや一貫性を欠くうらみが出てくるのではないかと思いますし、またわれわれ、これが行政路線だときめ切ることには、技術的な自信も持ち合わせておりません。したがって、この問題につきましては、すでに運輸省が、先生指摘のように地方バス路線の維持補助金とか、新設の住宅宅地のバス路線の開通公費補助とか、こういった制度を踏み切られておりまして、公営、民営を通じてこういう問題を運輸省のほうできちっと御検討いただいて御結論を出していただくということによって民営、公営を問わずこの問題に対処していただくというのが一番いい方法ではなかろうかというふうに考えておるわけであります。
  327. 佐野進

    佐野(進)分科員 その場合、自治省関係するのでは、いわゆる三十九団体のうち二十四が再建指定になり、十五はなっておりませんが、これらはいまの御答弁の中でいえば民営、公営を問わずということでありまするから、これに差がないというぐあいに理解してよろしゅうございますね。
  328. 松浦功

    ○松浦政府委員 当然そのとおりでなければいけないと思います。
  329. 佐野進

    佐野(進)分科員 次に、これは今日直接的に自治省関係でないかもしれませんが、通産当局についてはまたそれぞれ要求をいたしたいと思うのでありまするが、ただ自治省として公営企業を維持し、指導するというたてまえ上から申し上げまして、今日のいわゆる給油情勢について、石油の問題について、価格がきわめて不安定である、特に昨年の一月までは上がっても一円程度しか上がっていなかったのが、急激に五円ないし六円というように、毎月のように上がっている。さらにまた供給は、前は六カ月ないし一年という長期にわたったのが、契約が一月ないし二月、それも不確定である、こういうような状況の中で事業運営に苦しみつつある地方公共団体が存在している、存在しようとしている。その三つの面が存在するわけですが、これに対して通産当局に対して優先確保等に対して働きかけをなすべきではないか、こう思うわけですが、その見解、結論だけでけっこうでございます。
  330. 松浦功

    ○松浦政府委員 必要に応じて関係各省にお願いをしていくということは、当然のことであると考えております。
  331. 佐野進

    佐野(進)分科員 次に、警察庁の関係者に御質問を申し上げたいと思うのです。  先ほど大臣の答弁の中でも、この点については大衆の足を守るために積極的に努力する、こういう答弁がありましたけれども、私は公共輸送優先確保の必要は、今日ほど声を大にして叫ばれている時期はないと思うのです。特に石油危機が発生して以来、このことは非常に強く各方面から指摘をされておるわけでありまするが、今日なお交通事情の混雑は、大衆輸送機関であるバスその他の交通機関に対して非常に悪い影響を与えており、いわゆるバスを使うよりはマイカーに乗ったほうがいいというような印象がまだぬぐい切れないわけであります。これらについては今日の情勢に合わせて、大胆に専用バスレーンの採用、あるいは規制の強化、あるいは不要不急のマイカーの規制、特に一定地域内の乗り入れの禁止等、強力なる指導をなすべきではないか、必要ならば法律を制定して、これらに対する措置を行なう必要が今日はあるのではないか、こう考えるわけでありまするが、警察庁の見解をお聞かせ願いたいと思います。
  332. 渡部正郎

    渡部政府委員 御指摘のとおりでございまして、実は警察といたしましては、昨年から特に都市交通の総合的な規制ということで打ち出しているわけでございます。  中身はいろいろございますが、その中でいま御指摘のございました公共輸送機関、ことにバスの取り扱いの問題大きく考えているわけでございます。私どもの考えでは、他の主要国に比較いたしまして、日本の場合、交通事故死者が非常に多いだけではなくて、急激に車がふえてまいりましたので、やはり自動車交通によります生活環境の破壊、交通公害とか、そういう問題も非常に大きく浮かび上がってきているというような観点に立ちましていろいろ施策をやっておるわけでございますが、その場合に、やはり都市の持っております交通容量といいますか、そういうものをオーバーして交通量がふえたというところでは、いろいろな問題が非常にからみ合って、非常に深刻な形で起こっております。  そこで、私どもやはり都市交通の規制をやりますときに、部分的な規制ではなくて、その都市の交通の流れを全体として管理するというような、ちょっと表現がきざでございますが、システム的な規制をやらなければならないのじゃないか。これはまず量を減らしていって、その残った量については流れを変えて、量質ともにその都市に見合うような交通の流れの最適化というようなことをやる、そういう観点に立った規制をやらなければならないのじゃないかという考えでやってきているわけでございます。てまえみそでございますけれども、昨年の十月あたりから急に死者が大幅に減り始めましたけれども、やはり私どもの考え方が当たっていたのじゃないかというふうに、我田引水ながら思っているわけでございます。  バスにつきましては、交通量を削減する場合に、やはり二つ問題があると思います。一つは通勤にマイカーを使うということをできるだけやめてもらう。それから、これは物流に関係するわけでございますが、日本の場合にはトラックが非常に多い国でございます。国民一人当たりのトラックの年間の走行台キロは主要国の中で非常に高い。にもかかわらずトラック一台当たりの物を運んでいる量はきわめて少ない。非常に特殊な都市構造、道路構造を背景にしてのことだろうと思いますが、物流についてもやはり公共化、共同化というものをやっていかなければならないのじゃないかというように考えておるわけでございます。  通勤マイカーをできるだけ控えてもらうということになりますと、さしあたってやはりバスでございます。私どもとしてはやはり通勤用のバスのサービスの拡大、改善を非常に強く要望しているわけでございますが、警察がやれることといたしましては、いま御指摘のございましたバスレーンの設置ということがございます。それと並行いたしまして、バスレーン全部つくるわけにはいきませんので、バスの検知機を交差点に設置しておきまして、バスが来ますと赤の信号でも青に変わるという、交差点でのバスの取り扱いの優先作戦ということを考えております。この両方を、バスレーンと交差点の優先扱いというものをあわせてやりますと、バスの運行にも非常にプラスになるのではないだろうか。実勢速度も早くなりますし、また経営的にもプラスされる面があるのじゃないか、そういうことを警察としてもやりながら、代替手段を与える形でマイカーの通勤使用というものを強く抑制していきたい、そういうことを従来からやってまいりましたが、今後さらにこれは強く推進するつもりでおります。
  333. 佐野進

    佐野(進)分科員 この問題につきましては、私も専用レーンを時間帯でよく見ているのですが、なかなか守られておりません。新しく設置するのは当然のこととして、いま設置されておるところについても完全に実施するように、きびしくひとつ指導していただきたいと思います。  時間があと五分足らずとなりましたので、最後の問題について、これば自治大臣に御答弁をいただきたいと思います。  区長公選の問題ですが、私も東京都で区議会、都議会と長くやってきた経験を持ちまして、区長公選が都民の悲願であることを私どもは身をもって体験をしているわけでございますけれども、昨年もせっかく法案が出されても審議未了におちいる。ことしもまたそれと同じような条件があらわれてきつつあるような気がいたすわけでございまするが、これはいわゆる一部事務組合の特例の問題と区長公選が抱き合わせになっている、こういうようなことにその原因があるわけでございますが、これを分離するということが絶対不可能なのかどうなのか、大臣の口からひとつお聞かせ願いたいと思います。
  334. 町村金五

    町村国務大臣 ただいま御指摘の東京都の区長公選の問題と、さらに広域の市町村圏と申しましょうか、そういった構想とをこのたびの自治省改正案におきましても両方を合わせて御提案を申し上げるということにいたしたわけでございます。まあ分けて分けられないことはないと思いますけれども、やはりこの際私どもとしては、両方ともぜひ成立をさせていただきたい。そうなりますれば、この国会に地方自治法の改正案を二つ出すというわけにはまいりかねますので、これを一体にして御審議を願うということにいたしたわけであります。
  335. 佐野進

    佐野(進)分科員 最後になりまするけれども、それでは、これは質問という形になると思うのですが、あるいは要望ということになりますか、質問として答えていただきたいのですが、もし国会の中でいわゆる区長公選をすみやかに行なわなければならないという超党派的な意見が盛り上がった場合においては、その措置を国会にまかせるということについて、自治省は何らこれに妨害を加えない、こういうことは自治大臣としては当然考えられると思うのですが、どうですか。
  336. 町村金五

    町村国務大臣 これは政府は法案を提案申し上げたわけでございますので、この御処理をどういうふうに願うか、これは国会独自で御判断に相なることであり、私どものほうからあえて申し上げるわけじゃございませんけれども、われわれとしてはこのたび御提案申し上げましたものをぜひひとつそのままお通しを願いたい、こう考えるわけであります。
  337. 佐野進

    佐野(進)分科員 この問題は、いずれまたあとで御質問するとして、質問を終わります。
  338. 渡辺栄一

    渡辺主査 佐野君の質疑は終了いたしました。  阿部昭吾君。
  339. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 いまちょうど三月十五日を期限とする税の申告が行なわれておるのであります。この場合に各市町村の税当局者が非常に苦しんでいる問題がある。それは出かせぎ所得に対する課税の問題であります。出かせぎ所得というものはなかなか押えにくいのであります。一定以上のものは、源泉所得課税というので、出かせぎ先の税務署から、その住居税務署に対して源泉徴収票が送付をされてくる。これに基づいて、各市町村の税務当局者が、住民税と同時に税の申告業務を指導するわけである。これはわりと議論の余地がないのである。しかし、源泉課税対象にならない出かせぎ者の所得、これは所得金額を把握するのに各市町村当局者がなかなか苦労するのであります。そこで出かせぎによって得る所得というものを一体すべて所得としてみなすべきものなのかどうか、こういう議論が市町村段階の中では非常に強いのであります。言うまでもなく東北、北海道、北陸のみならず、全国の農村地帯からたくさんの皆さんが季節出かせぎに出る。出なければならぬまた客観的な情勢になっておるわけであります。したがって、生活は出かせぎ先と、それから市民権を持っております郷里との間に二分をする。こういうことが毎年毎年繰り返されておるわけであります。この所得というものを一体まるまる全部所得として見るべきものなのかどうかということが、市町村税当局者は非常に悩むところである。私は、この場合出かせぎによる所得、これにやっぱり一定の必要経費というものを見なければならない、こう思うのです。したがって、一定の必要経費という考え方がよろしいのか。市町村の税当局者に言わせますると、出かせぎ所得に対する一定の控除を認めるべきではないだろうか。そういたしますると、出かせぎによる所得というものをある方は非常に正直に申告をする。ある人はなかなか申告をしない。申告しないからといって、百万人余に及ぶ出かせぎ者を、特に多い地域におきましては、これは一人一人市町村の税当局者が把握するのに非常に簡単にまいらぬのである。したがって、市町村の税当局者に言わせますると、税の公平という観点から見ましても、やっぱり出かせぎの所得というものはそのまま全部所得ではない、一定の必要経費の控除なり何なりを認めることによって、すでての出かせぎによる所得収入というものをいわばガラス張りにさせる、こうなりますると、いわば正直者、なかなかはっきり出さぬ者といった不公平といったようなことをなくすることができるのじゃないか、こういう意見を私ども市町村税当局者からしばしば訴えられるのであります。この問題は、私大蔵省主税局や国税庁当事者ともずいぶん議論いたしましたが、なかなか簡単にまいりません。そこで自治大臣、この問題は出かせぎ者の非常にたくさん出ておりまする農村自治体の中では、実は税当局者の何年来の頭痛の種なんであります。したがって、自治大臣の御見解と、これはぜひ大蔵に対して自治大臣立場から、全国の市町村税当局者の苦悩というものを御理解をいただいて、一定の見解を明らかにして、この問題で税の公平あるいは税行政の中で自治体が苦しんでおるこの状態を解決をするために、一定政策的な展開を期待したい、こういう願望を持っておるのでありますが、自治大臣の御見解をお伺いしたい。
  340. 町村金五

    町村国務大臣 私、たいへん不勉強で、ただいまのお話しのことはまだ十分検討はいたしておりませんけれども、いまお話を伺いながら感じたことでございますが、確かに税の公平という面からはできるだけ見なければなりません。また一面、そういった出かせぎといったような特殊な考え方によりましては、自分の生業だけでは生活ができないために出かせぎを余儀なくされておるというような立場を考慮いたしますれば、その所得をどの程度まで課税対象にするかという問題は、当然検討されなければならない問題であることば言うまでもございません。この点はひとつ、大蔵省当局においてもおそらく私はいろいろ検討はいたしておることだろうと存じますが、まだ結論を得ていないということでございますれば、さらに自治省といたしましても大蔵省とともに、こういった問題の検討にもっと積極的に乗り出していくべきだろう、かように考えておるところでございます。
  341. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 大蔵省、私はこの議論を、この見解をずいぶん以前から申し上げておるのでありますが、検討したい、こういう御意向が前々から、かねて表明されておるのであります。私が申し上げますのは、三月十五日確定申告の期日、この場合に税務署が全部仕事をやるんじゃないのです。仕事をやるのは、ほとんど自治体に任務を分担していただいて、住民税とともにこの確定申告というものをやっていただいておるわけであります。この場合に、なかなか市町村の税務当局者が、いま申し上げましたような悩みを率直にいって持つのであります。  たとえば、出かせぎという状況から見ますると、生活を二分するのでありますから、六カ月間の出かせぎ期間の間に、何回かやはり郷里に帰らざるを得ない。たとえば郷里で、自分の村で火災が起こった。そういたしますると、村の長いいわば部落共同体、こういうたてまえからいって、どうしても出かせぎ先から急遽帰らざるを得ない。あるいは、同じ村の中でいろいろな冠婚葬祭のどうにもならぬようなものが起これば、どうしてもこれは帰らなければいけない。あるいは、その村の中で基盤整備でありまするとか相当長期的な計画をまとめねばならぬような相談のときに、向こうに奥さんやおばあさんやなんかしか残っておらぬということになると、話がまとまらぬというので、出かせぎ先から急遽帰らざるを得ない、こういう状況がしょっちゅう起こっているのであります。そういう状況から見ますると、出かせぎに来ておる先と、それからこの市民権を持っておる郷里と、これが残念ながら出かせぎという状況でありますから二分されざるを得ない。そうすると、出かせぎ先で働いた収入というものが全部所得だという議論は、私はこれはちょっと無理だと思うのであります。したがって、この問題で市町村税務当局が非常に苦しむ。そういう苦悩を税務当局者が持っておりまするから、ある意味では税の不公平ということも起こってくるのであります。何とかこいつは出かせぎ所得に対する経費控除なり、一定の控除を認められれば——出かせぎによって得た収入というものは、全部ガラス張りにしていただいてということができるようにするためには、一定の経費控除を認めるという前提がないと、なかなかこのガラス張りがちゃんとできない。これで実は市町村の税務当局は非常にいま頭を痛めております。何年越し頭を痛めております。大蔵省当局に対して、私はこの問題をしばしば問題提起をしているのでありますが、その検討がどのあたりまで進んでおるのか、そしてどういうことに決着点としてまとまりがつきそうなのか、このあたりの御見解をお聞きしたいのであります。
  342. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 御質問の趣旨はよくわかりますし、自治体のほうにいろいろ御迷惑をおかけしておることもあるかと思いますが、ただ、税の公平ということは、言うまでもなく非常に重要でございまして、その公平が、執行の問題と税制そのものの問題と二種類ございます。それで、実際に把握がむずかしい。したがって、申告が不十分な場合が生ずる、あるいは市町村において把握がむずかしいので、そこのところに不公平があるではないかとおっしゃる点はそのとおりかと思いますので、この点につきましては、どういうふうにしたらば把握が真実にできるか、調査を強化するという意味ではなくて、申告に組み込みましたメカニズムによって、どのようにしたらば適正な申告が期待できるようになるかということについては、十分検討させていただきたいと考えております。  ただ、控除の問題につきましては、実は執行ができないから税金を安くするということは非常に困難でございまして、一つには、今回の改正で給与所得者につきましては、平年度でございますが、最低五十万円の給与所得控除というものが本年度の税制改正でただいま御審議を願っております。それに基礎控除、それも同じく新しく二十四万円になります。合わせますと七十四万円、こういうものが給与所得であれば出かせぎ先が自動的に落ちるような形になっておりますものですから、その点でだいぶごめんどうの点はなくなるのではないかということが一点と、それから全くそういうものとは別に、二重生活に基因するような経費控除を新たに認める。この点につきましては、実は二重生活をしいられておりますのは、場合によっては役人も二重生活をしいられることがございますので、そういうことに、個別の問題に入ってまいりますと非常に問題が広くなる、解決がむずかしい問題がございます。しかし、なお個別にどの程度まで配慮し得るか、あるいは税制上そういう制度を設けることが適当かどうかということについては、十分検討を続けておりますが、なかなかそういう意味で消極的、あるいは表につくることは困難ではないかと考えております。以上。
  343. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 大臣、いまお聞きになられましたとおりであります。確かに私がおそれまするのは、出かせぎ所得は零細であります。しかし、あの生活の本拠である郷里のほうには、いま非常にきびしい零細所得しか上がらぬとはいえども、若干の農業の基盤を持っておるいろいろなものがある。そういたしますると、これとの合算の関係とかいろいろな問題が起こるのであります。  そこで、私はこの役人の問題と出かせぎとを同一視されてはちょっと話にならぬと思うのです。ひとつ大蔵省当局も出かせぎ現場というものをもうちょっと回って見てもらいたい。昔の軍隊生活などというものとはもっと違った、ほんとうに飯場なんというのは人間性を疎外されたる状況下にあるのであります。私はこの間東京都の美濃部知事に対して、今日の東京なんというのは出かせぎ者によって整備が進んでおると言っていいんじゃないか。東京都ももっとこの全国の、東京都の建設のためにほんとうに汗水流して人間疎外された飯場生活に耐えておるああいう人々に対する思いやりの政策を、出かせぎを受け入れておる——受け入れておるのではなくて、むしろ今日の都市、メガロポリスというのは、ホワイトカラーは非常に多いのです。しかし、下水道の工事にしても地下鉄の工事にしても、あるいは都市の再開発のあのどろんこの仕事にしても、全部農村の季節出かせぎの労働力に依存せざるを得ない。今日の都市がこのような状況に進められつつあるというのは、全部農村の季節出かせぎ労働力じゃないかというふうな議論をこの間申し上げてまいったのでありますが、この出かせぎの状況というものを役人の、たとえばあなたならあなたが大阪あたりに転勤発令されて、御家族は東京にいらっしゃるというような場合のそれとは、ちょっと私はやはり一緒くたにはできぬものがあると思うのです。  そこで、確かに今度の改正が成就をいたしますればという問題が一つあります。しかし、小なりといえども郷里のほうに他の所得の基盤を持っておるということになりますと、合算の問題がある。この間、実は私の調査の中では、自分はその郷里に一・五ヘクタールぐらいのささやかな農地しか持っておらぬ、生産基盤しか持っておらぬ、ところがそれだけじゃ生活が成り立たぬものですから、出かせぎに来た、そこで六カ月間働いて、六十万ぐらいの出かせぎ所得を働きました、そういたしましたら、自分の二・五倍ぐらい、四ヘクタールに近い農業経営者と、税金で同じくらいにされてしまいました、こういう問題など提起されるのであります。やはりそこでは、出かせぎによる収入に対しては一定の経費控除を認めるというのが現実的であり、実際論としてそういうことが正しいんじゃないかというふうに私は思うのであります。したがって、大蔵省のきょうの御答弁、去年の答弁と全然変わっておりません。役人で二重生活をしておるようなものの議論も実は去年もお聞きしました。おととしも、私公式の場ではやりませんでしたが、同じ議論がはね返ってくるのであります。私はその際にやはり飯場などもうちょっと回ってみなさいという提案もした。また同じ答えが返ってくるというのでは私はいかぬと思うのであります。どうでしょうか。
  344. 伊豫田敏雄

    ○伊豫田説明員 率直に申し上げますが、私はこの質問をいま初めていただきまして、だれとも相談せずに、ただいま思ったとおりを申し上げました。実は公務員という例を申し上げましたのは、例として適当ではなかったかもしれませんけれども、考え方としては、やはり個人の生活にそれぞれいろいろの生き方がある、そのそれぞれの生き方を、それぞれある程度、土地につき、あるいは学校につき、あるいは職場について束縛をされて生きているわけでございます。そのときに、どこまでそれを税制上、制度として踏み込むかという問題については、非常に波及するところが多いので、非常に慎重にならざるを得ないということを実は申し上げました。  それで、ただいま四ヘクタールの農業をやっている方とのバランスというふうなお話がございました。実情としては、受ける感じとしてはそこにアンバランスを感じられるかもしれませんけれども、税の執行といたしましては、所得というものを合算いたしまして課税するのが現在の所得税法の累進構造の本筋になっておりますものですから、税の執行といたしまして不十分な点がございますかもしれませんが、税務署といたしましては、その所得の把握に公平を期しているわけでございます。そこでそのような事態がかりに生じたといたしましても、これは実際に所得状況がそうであればやむを得ないとわれわれのほうでは考えております。
  345. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 去年の答弁よりももっと後退しております、あなたの答弁は。事情はよくわかります、そこで何とか前向きに検討してみたいという答弁が去年大蔵からあったのであります。今回は、去年の答弁よりもっとずっとうしろへ戻った原則的答弁です。去年の経過もあることでありますから、大蔵省もぜひひとつ前向きに、出かせぎによる収入というのはまるまる全部所得だと見るわけにいかない給与所得なんです。家族を向こうに置いておりますれば、やはりいま東京と郷里の間に一カ月の間に三千円、四千円の電話連絡をせぬわけにいかない状況になっているのです。いろいろな要らざる経費がかかります。ぜひひとつ前向きな検討を求めると同時に、ひとつ自治大臣もこの状況につきましては、少なくともあの大きい北海道の道庁の全責任を持たれた御経験豊富なお方でもありますし、大蔵省に対しまして、自治省の側から、この問題で非常に苦しんでおるのは、実は自治体のその任務に携わる方々が非常に悩み、苦しみ抜いておりますので、ぜひひとつ前向きに、自治大臣のほうからも大蔵に対しましても問題の提起をして、前進さしてほしい、こう思いますが、自治大臣の見解をぜひお聞かせ願いたい。
  346. 町村金五

    町村国務大臣 ただいまも大蔵省の税制当局からのお答えがございましたが、確かに所得というものを捕捉するという点では、大蔵省の税制当局が言われることではないかと私も思います。しかしまた一面、言われますように、同じ所得ではございましても、その内容というものはかなり違うという一面があって、皆さん方からお感じになりますと、たとえば役人が二重生活をしているといったようなものとはたいへん違うのじゃないかというお感じをお持ちになるのも、私ごもっともだという感じがいたします。そこで、そういった理論の面、あるいはそういった感じの面というものをどういうふうにこれから調和していくかというところに、一つたいへんむずかしい問題があるように私も思います。ことに、地方のそういった出かせぎ者を出しておりまする市町村関係当局としては、これらの問題の扱いにはずいぶん難渋をいたしておるのじゃないかということは、おことばにもございましたが、私どもにもそういう感じが深くいたします。しかし、いずれにいたしましても、税の問題というものは、やはり公平を期するというきわめて重大な問題を度外視して、ただ感情だけで処理をすることのできないという問題であることは言うまでもございませんので、そういった点、いろいろ彼此勘案をいたすべき問題であろう、こう思いますので、自治省自治省として、また十分検討もいたし、大蔵省ともこういった問題については、さらにもう少し深く検討をお互いにし合うというように進めてまいりたい、こう存じます。
  347. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 役人が二重生活をしなければならぬような場合、出かせぎ者と違ったいろいろな手当の問題なんかがあるはずであります。出かせぎにはそれはないのであります。このこともぜひひとつ考慮に入れて、前向きな検討をしてもらいたい。  もう一つだけ、これは自治大臣に対してお願いなんですが、たとえば市町村が行なう公民館、これは補助なり起債なりの対象になるのであります。ところが、最近一つの集落なり町内会なり、こういうところに、どうしてもお互いの公民館活動がだんだん最近うまくいかぬという面が出てきております。特に最近急速にスプロール化をしたりあるいは都市化が進んで、大きい集落が、あるいは大きい町内がそこに生まれた、地価は非常に高い、なかなか公民館のような、みんなが集まって、その地域の町づくりや何かに一番基礎的な段階での集まりを持つという場所を持てないという地域が非常にふえておるのであります。私はそこで、この集落なりあるいは町内会で集まる集会所、公民館というものを全部補助対象にするというわけにはなかなか——それは国のほうにも財政に限界があろう。そこで、当該自治体が責任を持つものについては、ある一定割合で起債対象くらいにはすべきではないかというふうに考えるのであります。これも実は去年たしか江崎自治大臣の当時、たいへん私も同感な御提案だ、前向きにひとつこれはぜひ取り組んでみたいと言って、自治大臣在任中、方々で会うと、あの問題はぜひひとつ進めてみましょうというお話だったのですが、ことしは御案内のように総需要抑制、こういうことで全然芽は出なかった。私の周囲などを見ましても、つい最近、どんどん広がって三百世帯から四百世帯くらいの大きい町になったけれども、町内会ができ上がっておるけれども、集まる場所がないのでたいへん苦しんでおる。したがって、お互いの町づくりのために心を通わせ合ってやるということが困難、こういう地域が非常に多いのであります。私はやはりこれからの世の中をつくっていく上にとって、お互いその地域の人間が町内会などをつくり、そして集まりを持ち、そしてお互い心を通じ合うという、ある意味でいえばコミュニティーの活動というか、これがやはりわが国の将来にとってはたいへん大事な問題だと思うのです。したがって、これ一ぺんで、いま自治省で進めていらっしゃる補助起債の対象になる公民館というのは、どうしても限られたところまでしか手が伸びません。したがって、補助対象までは一ぺんでは無理だと思う。そこで、せめて当該自治体、市町村が責任を持つ限りにおいて起債の対象にする、これはきわめて無理な希望ではないのではないか、こう思うのですが、まあ江崎前大臣は、ぜひひとつ前向きにと、こう言っておられたのでありますが、ことしは私も、このような財政状況でありますから、緊縮予算という中でありますから、簡単にいかぬということもよくわかります。しかし、これはやはり将来の展望として御配慮を願わなければならぬ点じゃないかというふうに思うのですが、自治大臣の前向きな御見解をひとつお願いしたいと思っておるところであります。
  348. 松浦功

    ○松浦政府委員 御指摘のお話はよくわかるのでございますが、自治省が起債を認め得るのは地方公共団体でございますので、地方団体が責任を持つとおっしゃられましたが、どういう形で責任を持つのか、そこがきわめて問題であろうと思います。昨年の先生の御質問もここの手元に持っておりまして、よく拝見をいたしております。おそらく江崎大臣も、市町村に対して起債を認めていくということを頭に置いて前向きに考えたいと言っておられたと思うのでございます。自治会や部落会には、私どもとしては起債は認めかねます。これはどういう形であとの償還ができなくなるかわからなくなるわけでございます。したがって、町が計画的に、ここにはそういう集会所が必要だから、町の施設として起債を認めてくれということでございますれば、先生指摘のようなコミュニティーセンターとか大きな公会堂でなくても、私どもとしてはできるだけ、総需要抑制の問題はありますけれども、それを抜きにいたしますれば、できるだけ配慮していきたいと考えます。問題は、自治会が建てる、自治会の所有になるものについて、町が責任を持つからという形で起債を認めるということは、私どもとしては法的には不可能だろう、あくまで町が建設主体だということにならないと起債をお認めすることはむずかしいかと思います。
  349. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 時間がございませんから……。ちょっと私どもは見解が違うのであります。市町村といえども市町村が責任を持つものである以上、将来とも運営、管理、営繕、その他一切の責めを持たなければなりません。その責めは、当該自治体の自発性に基づいた責任ある運用をやらせたい、したがって、もちろんこれは桐人財産ではありません。それぞれの自治体の中における最末端活動というのは、自治体といえども全部実は町内会なり集落が、その自治体と法律的にどういうかかわりを持っているのか知りませんが、自治体活動の最末端の部分は全部町内会なり自治会なり、そういうものが分担しておるわけであります。任務事業を与えられておるわけです。これを全部自治体が自分の所有権において行なうものについてはやると言われましても、自治体としてもそういうものを全部、部落なり、町内会の施設まで、運営から、営繕から、修繕から、その他管理一切の責任を持つなんということは不可能なんです。したがって、それは全部それぞれの町内会なり自治会が持つ、しかし、その運営と大きい意味での管理その他は自治体が責任を持つという場合において、補助までは無理にしても、起債対象にしてもいいのではないかと思うのですが……。
  350. 松浦功

    ○松浦政府委員 私は法律的に申し上げているのでございまして、起債能力は自治会にはないわけでございます。ですから、あくまで市町村が起債を申請してお建てになる、建てた建物を部落会に無償でお貸しになられて、部落会で運営をなさるかどうか、これは自治体と部落会の関係だと思いますし、あるいは起債の償還金を自治会のほうで各住民から幾らかずつ出していただいて、町役場へ納めるというかっこうをおとりになっても、起債を償還していただくのきあくまで役場でございます。法律的に申し上げておりますので、その点は先生のおっしゃっていることとあまり違いがないような気がいたします。あくまで町の責任においてやっていただかないと、当省としては起債はできないということでございます。
  351. 阿部昭吾

    阿部(昭)分科員 以上で終わります。
  352. 渡辺栄一

    渡辺主査 阿部君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算中、自治省所管に対する質疑は終了いたしました。  次回は、明七日午前十時から開会し、厚生省所管について審査を行ないます。  本日はこれにて散会いたします。    午後六時二十八分散会