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1974-03-08 第72回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月八日(金曜日)    午前十時 開議  出席分科員    主査稻村左近四郎君       細田 吉藏君    村田敬次郎君       阿部 昭吾君    井上 普方君       河上 民雄君    小林  進君       兒玉 末男君    竹内  猛君       林  百郎君    大橋 敏雄君       岡本 富夫君    沖本 泰幸君    兼務 左藤  恵君 兼務 上原 康助君    兼務 大出  俊君 兼務 斉藤 正男君    兼務 島本 虎三君 兼務 土井たか子君    兼務 和田 貞夫君 兼務 梅田  勝君    兼務 土橋 一吉君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君         郵 政 大 臣 原田  憲君  出席政府委員         科学技術庁研究         調整局長    千葉  博君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸大臣官房会         計課長     杉浦 喬也君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君         郵政大臣官房長 神山 文男君         郵政大臣官房電         気通信監理官  浅見 喜作君         郵政大臣官房電         気通信監理官  佐野 芳男君         郵政省郵務局長 石井多加三君         郵政省貯金局長 船津  茂君         郵政省電波監理         局長      齋藤 義郎君         郵政省人事局長 北 雄一郎君         郵政省経理局長 廣瀬  弘君         労働省労働基準         局長      渡邊 健二君  分科員外出席者         警察庁交通局交         通規制課長   久本 礼一君         経済企画庁長官         官房参事官   岩田 幸基君         大蔵省主計局主         計官      宮本 保孝君         厚生省社会局更         生課長     角田 耕一君         資源エネルギー         庁石油部精製流         通課長     松村 克之君         運輸省航空局飛         行場部長    隅  健三君         運輸省航空局飛         行場部東京国         際空港課長   松木 洋三君         郵政大臣官房資         材部長     中市 彩也君         建設省都市局街         路課長     中野 三男君         建設省河川局治         水課長     栂野 康行君         消防庁予防課長 永瀬  章君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     伊江 朝雄君         日本電信電話公         社総裁     米澤  滋君         日本電信電話公         社副総裁    秋草 篤二君         日本電信電話公         社総務理事   山本 正司君         日本電信電話公         社厚生局長   小沢 春雄君         日本電信電話公         社営業局長   玉野 義雄君         日本電信電話公         社業務管理局長 小畑 新造君         日本電信電話公         社計画局長   清水 通隆君         日本電信電話公         社施設局長   山本  孝君     参  考  人         (新東京国際空         港公団理事)  池田 迪弘分科員異動 三月八日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     井上 普方君   岡本 富夫君     大橋 敏雄君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     河上 民雄君   大橋 敏雄君     鈴切 康雄君 同日  辞任         補欠選任   河上 民雄君     兒玉 末男君   鈴切 康雄君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   兒玉 末男君     竹内  猛君   沖本 泰幸君     坂井 弘一君 同日  辞任         補欠選任   竹内  猛君     井上 普方君   坂井 弘一君     近江巳記夫君 同日  辞任         補欠選任   井上 普方君     阿部 昭吾君   近江巳記夫君     坂口  力君 同日  辞任         補欠選任   坂口  力君     岡本 富夫君 同日  第一分科員大出俊君、第二分科員斉藤正男君、  島本虎三君、土橋一吉君、第三分科員左藤恵  君、上原康助君、土井たか子君、梅田勝君及び  第四分科員和田貞夫君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算運輸省所管及び  郵政省所管  昭和四十九年度特別会計予算運輸省所管及び  郵政省所管  昭和四十九年度政府関係機関予算運輸省所管  及び郵政省所管      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算郵政省所管並びに昭和四十九年度政府関係予算日本電信電話公社関係を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。原田郵政大臣
  3. 原田憲

    原田国務大臣 最初に、郵政省所管会計昭和四十九年度予算案につきまして、その概略を御説明申し上げます。  まず、一般会計でありますが、歳出予定額は百十九億九千七百万円で、前年度予算額百十一億五千百万円に比較いたしまして、八億四千六百万円、七・六%の増加となっております。  この歳出予定額には、通信衛星及び放送衛星開発に必要な経費七億八千百万円、電離層観測衛星及び実験用静止通信衛星研究開発に必要な経費三億七千七百万円、国際放送充実強化に必要な経費二億四千五百万円、電波監理体制整備に必要な経費一億六百万円のほか、福祉社会のための情報通信システム開発調査総合的電気通信施策強化海洋開発における情報伝達研究テレビジョン放送難視聴解消促進及び多重放送方式に関する調査国際通信充実国際協力推進等に必要な経費が含まれております。  次に、郵政事業特別会計でありますが、歳入予定額歳出予定額ともに一兆八千百三十八億二千万円で、前年度歳入予算額一兆二千九百四十八億七百万円に比較いたしまして、五千百九十億一千三百万円、四〇・一%の増加歳出予算額一兆三千八十一億三千二百万円に比較いたしまして、五千五十六億八千八百万円、三八・七%の増加となっております。  この歳入予定額には、収入印紙収入等一般会計等へ繰り入れる、いわゆる通り抜けとなる業務外収入が七千八百七十九億六百万円ありますので、これを差し引いた実体予算、すなわち、郵政事業運営に必要な経費財源となる歳入歳出は一兆二百五十九億一千四百万円でありまして、これは、前年度予算額に比較いたしまして、歳入は一千八百六十四億一千九百万円、二二・二%、歳出は一千七百三十億九千四百万円、二〇・三%といずれも増加となっております。  なお、歳入につきましては、業務運営に要する経費財源として、六百九十六億円の借り入れ金を計上いたしておりますほか、郵便業務収入においては、本年十月一日に予定しております小包郵便料金改定に伴う増収見込み額八十億円を計上いたしております。  この歳出予定額におきましては、重要施策としております郵便局舎改善集配運送施設拡充整備等、円滑な郵便業務の運行を確保するための施策に必要な経費郵便貯金簡易保険の増強と利用者サービス向上に必要な経費、及び明るい職場づくりのための施策に必要な経費が含まれております。  また、四十九年度の局舎その他建設予定額は五百六十億円でありまして、前年度予算額五百三十四億円に比較いたしまして、わずか二十六億円、四・九%の増加となっております。これは、総需要の抑制をはかり、もってわが国経済正常化につとめる政府基本方針に基づいて決定されたものであります。  次に、郵便貯金特別会計でありますが、この会計歳入予定額は一兆二千七百二十三億四千百万円で、前年度予算額九千六百十七億六千万円に比較いたしまして三千百五億八千百万円、三二・三%の増加となっております。  歳出予定額は一兆一千百七十億五千五百万円で、前年度予算額八千百六十六億五千四百万円に比較いたしまして、三千四億百万円、三六・八%の増加となっております。  次に、簡易生命保険及郵便年金特別会計でありますが、保険勘定におきましては、歳入予定額は一兆六千七百九十二億九千万円で、前年度予算額一兆三千七百七億五千八百万円に比較いたしまして、三千八十五億三千二百万円、二二・五%の増加となっております。  歳出予定額は六千五百八十二億五千四百万円で、前年度予算額五千五百二十億二千万円に比較いたしまして、一千六十二億三千四百万円、一九・二%の増加となっております。  また、年金勘定におきましては、歳入予定額及び歳出予定額ともに二十七億六千九百万円で、前年度予算額二十九億六千五百万円に比較いたしまして、一億九千六百万円、六・六%の減少となっております。  最後に、日本電信電話公社予算案につきましてその概略を御説明申し上げます。  損益勘定におきましては、収入予定額は一兆九千二百七十七億八千万円で、前年度予算額一兆六千六百二十四億七千五百万円に比較いたしまして、二千六百五十三億五百万円、一六・〇%の増加となっております。  他方支出予定額収入予定額同額の一兆九千二百七十七億八千万円でありまして、これを前年度予算額に比較いたしますと、給与その他諸費、営業費等で一千八百二十六億六千七百万円、資本勘定への繰り入れ額で八百二十六億三千八百万円、合わせて二千六百五十三億五百万円の増加となっております。  資本勘定におきましては、収入予定額は一兆四千九百二十九億二千百万円で、前年度予算額一兆四千五十四億一千三百万円に比較いたしまして、八百七十五億八百万円、六・二%の増加となっております。  なお、この収入予定額には政府引き受け債によるもの三百三十億円、特別債によるもの一千七百五十億円が含まれております。  他方支出予定額収入予定額同額の一兆四千九百二十九億二千百万円で、債務償還等に二千三百八十九億二千百万円、建設勘定への繰り入れ額で一兆三千五百四十億円を計上いたしております。  建設勘定におきましては、収入予定額及び支出予定額ともに一兆二千五百四十億円で、前年度予算額一兆一千九百四十億円に比較いたしまして、六百億円、五・〇%の増加となっております。  建設計画につきましては、生活必需品ともなっている電話増設に力点を置き、一般加入電話三百二十万加入事業所集団電話七万五千加入地域集団電話一万加入公衆電話八万四千個等の増設を柱とする建設投資を行ない、電気通信による利便の向上をはかることといたしております。  以上をもちまして、私の説明を終わりますが、なお詳細の点につきましては、御質問をいただきましてお答えを申し上げます。
  4. 稻村佐近四郎

    稻村主査 以上をもちまして説明は終わりました。     —————————————
  5. 稻村佐近四郎

    稻村主査 質疑に先立ち分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。和田貞夫君。
  6. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 大臣大阪の出身でございますので、大阪事情を十分熟知されておることだと思いますが、少なくとも大阪におきましては、北摂の果てから泉南の果てまで、物価はどこが安くてどこが高くてという隔てがつけられない事情であるということ、これまた十分熟知しておられることだと思うわけです。  ところで、郵政省のほうの郵政職員に対する調整手当支給についてでありますが、〇・〇三、〇・〇六、それに大阪のようなきわめて物価の高い地域におきましては、人事院のほうで、〇・〇八の率で調整手当支給する、こういうことになっております。その人事院大阪でいわゆる〇・〇八の線引きをしておりますが、その線引きよりもなお郵政省調整手当の額が少ない。一つ例をとってみますと、堺市の場合、和泉市の場合、同じ行政区内にありながら、局と局との間に、一方では最低の〇・〇三の調整手当支給しておる、一方では〇・〇八の最高調整手当支給しておる、こういうのが実情であるわけです。  これを是正してもらわないと、一方では、外務職員の処遇の改善であるとか、あるいは雇用難解消、緩和するためにということで俸給調整額支給をする、あるいはさらに加えて加算額支給するというような手だてをとっておられるのですが、もともとこの調整手当というのは基本給に属するわけですから、基本給に属するこれこそを根本的に改善をしてもらわないと、むしろ雇用難解消するということにはならないのではないか、こういうように思うわけです。  そこで私は、いま申し上げましたように具体的に申し上げますと、和泉市内和泉局というのと三林局というのがあります。先ほども申し上げましたように、和泉局の場合は最高の〇・〇八の調整手当三林局では〇・〇三の調整手当堺市内にも堺局金岡局浜寺局鳳局福田局泉北局これだけ局があるのですが、その中の泉北局だけが〇・〇三、こういうようになっておるわけであります。しかも泉北局の場合には、御案内のとおり、完成時には人口二十五万人と称せられる泉北ニュータウン公共施設地区内に局が設置されておりまして、勤務しておる職員は、一般市街地から比べますと、団地価格というものができましてきわめて物価高の団地の中から通勤をしておる、こういう職員もありまして、局長自身も非常に頭を痛めておるというのが実情であります。郵便外務員の募集をいたしましてもなかなか来てくれない、こういうのが実態であります。あるいは三林局の場合も、市街地よりもかなり山村に入っておりますが、これとても、隣の岸和田市にあります内畑局、それに貝塚市にあります水間局と全く同じような条件のところでありますが、水間局あるいは内畑局の場合は〇・〇八の調整手当、それに引きかえて三林局は〇・〇三どまり、こういうのが具体的な例です。  これにつきまして、ひとつ実情を十分熟知しておられる郵政大臣のほうから、このようなことでいいのかどうか、これをひとつ早急に解決をはかるという御意思があるかどうか、その点について、事情を含めて御説明をいただきながら御回答願いたいと思います。
  7. 原田憲

    原田国務大臣 最後はたいへん具体的な問題になってまいりますが、初めの問題で、大阪地方は大体都市部で人が集まりにくいからそこに調整手当的なものを基本的につけておる。ところが現在では、一つ団地がもう都市化されておる、そこから通っておる者が調整手当の範囲に入らない、これを改善していくべきではないか、こういう御質問に対しましては、私はそのとおりであろうと思います。大都市周辺では、私の選挙区で言いますと、ついこの間まで四条畷町といったのが人口急増で市になっておる。それに適合した調整手当というものが必要であろうということは御説のとおりだと思います。これを解決する方法といたしましては和田さんもそのほうの専門家だからよく御案内のとおり、それぞれの機関を通じましてお互いに話し合いをしながら進めておりますので、時間がございましたら事務当局から御説明を申し上げますけれども、順次これに対するところの改善策を講じてまいりたい、このように考えております。
  8. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 人事局のほうでこの機会に、御検討していただいておるのであれば、その点についてひとつ御説明願いたいと思います。
  9. 北雄一郎

    北政府委員 ただいま御質問の点につきましては、全国的にやはり地況の変化というようなものもございますので、そういったことにつきましては、過去におきましても、いろいろ情報を受け、あるいは情報を集めまして検討をいたし、結果的に改定したところも多々あるわけでございます。いま先生具体的に御指摘のところにつきましても、これまたやはり最近一カ年ほど全国的に改定しておりませんので、いまおっしゃいました分も含めまして全国的にただいま検討中でございます。いまの時点におきましていまだ結論を得ておらない、しかし検討はしておる、こういうことでございます。
  10. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私お話ししましたように、ひとつ大臣のほうも頭に入れてもらいたいのは、調整手当というのと調整額というのは全く異質のものなんです。調整手当というのは、これは申し上げましたように基本給に属するものだ。調整額というのは、いわゆる雇用難解消するということで、あるいは外務職員の待遇の改善のためということで、特殊勤務手当的な性格のものなんです。私がいま言うておりますのは基本給に属することなんです。だから、同じ市内で、もちろん人質交流もあることだと思いますし、大きく言うならば大阪府下全体で人事異動ということもこれまたあり得ることでありますし、しかも調整手当というのは人事院のほうで、大都市周辺はきめられた〇・〇六よりもさらに〇・〇二ふやして〇・〇八の率で支給することができる、こういうようになっておるわけです。それよりも郵政のほうが悪い率でいまだに放置されておるというこの実情、これはいまころ人事局長が言いましたが、いま検討しておるんだということじゃ私はおそきに失すると思う。現実の問題なんです。私は、これはずっと局を歩きまして見てき調べてきたところであるわけで、決して組合のほうからこう言われたりどうしたということじゃないのです。先ほど一つの例をあげました泉北局の場合なんかは局長みずからが、新しく雇用するためにも、周辺の局が全部〇・〇八で自分の局だけは〇・〇三ではなかなか人が来てくれないということで頭を痛めておるというのが実情なわけです。にもかかわらず、これからまだなお検討しておるのだということでは、これは話にならぬと思います。一体いつを目途検討を進めて結論を出そうと思っているのですか。
  11. 北雄一郎

    北政府委員 集約いたしておる段階でございまして、近く検討の結果は結論を得たい。結論を得まして、私どものほうは労使間でこれをきめることになっておりますので、早急に結論を得た上で組合交渉をやりまして、そして最終的に決定したい、こう考えております。
  12. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 しつこいようでありますが、私は実は、このことをきょうここで話をする前に、去年郵政のほうに言うておるのです。そのときに解決しておったら、これは年末手当の額もそれだけ実入りがよくなっておる。今日までずれておるだけでも、該当者は年末手当の額もそれだけ損をしておるし、また今月の年度末手当についても損をする、こういうことなんです。だからそうのんべんだらりと検討を進めてもらったら困る。少なくともぎりぎり一ぱい四月一日からでもこの点を改善するという目途を立てて検討してもらえるかどうかということをあらためてひとつお伺いしたい。
  13. 北雄一郎

    北政府委員 この種手当は年に何回も変えておりますと、事実問題として切りがございません。したがいまして従来も一年に一回とか二年に一回というテンポで改定をしてまいっておるわけでございます。今度の場合もやはりそういうことで考えたい。その時期といたしましては、やはり例年、いまおっしゃいましたような四月一日というような時期を用いたこともございますし、今回実は去年の秋くらいから全国各地からいろんな情報が入っております。そういったことを集約しておりますので、その集約作業もほぼ結論を得る段階にありますので、四月、五月と断定はできませんけれども、大体そういった時期に結論を得たものを改定実施、こういうことになる、こう考えております。
  14. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 あわせてひとつつけ加えて申し上げておきたいと思いますが、一つの例をあげますと、特定局につきましても、先ほどお話をいたしました、片方では和泉局指定局である特定局伏屋局というのがあるわけです。この和泉局指定局である特定局伏屋局は、先ほど申し上げました冷遇されておる三林局のもと指定局であった。ところが、この三林局指定局から和泉局指定局に変更されたために、同じところに位置しておる局の職員が〇・〇三から〇・〇八になっておる。ところが、三林局指定局になっておる同じ特定局内田局南松尾局というのがあるのですが、この二つの局は依然として〇・〇三で放置されておる。こういった点もあわせて考慮してもらわないと、言ってきたところだけというのじゃなくて、普通局に属する特定局、これが全国各地で非常に積み残されておることであろうと思いますので、そういう点も含めてひとつ御検討いただきたいと思いますが、その点どうですか。
  15. 北雄一郎

    北政府委員 指定局の所属を異にするから調整手当の率が違うということはございません。やはり地況というものを見て考えております。そういうことでございまして、その関係の不便はございません。それから、陳情だけで決してはならない、これは当然そのように考えておりまして、やはり私どもといたしましては、陳情ということにも耳をかしますけれども、同時に、わがほうでやはり、その連檐地域と申しますか、隣との均衡ということをいろいろな資料によって把握をいたしまして、その間できるだけ不公平がないようにということで決するつもりでございます。
  16. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 あってはいけないことだと思いますが、普通局特定局との間、あるいは特定局の内部におきましても集配特定局と無集配特定局との間、これはやはり少なくとも作業によって支給される調整額と違うわけですから、調整手当については、その局の差によって差をつけるというようなことはないように、ひとつ御努力、御検討をお願いしたいと思います。  それから被服についても同じことが言えるのじゃないか。被服につきましては、作業能率の増進のためとか、あるいは作業のために被服がよごれるからということで内勤、外勤ともこの支給規程によって支給されておるわけですが、これにも非常に差がある。この差のつけ方というものは、先ほど基本給とはまた打って変わって、作業によって差をつけるというのじゃなくて、雇用難、著しく定着率の低下を来たすのを何とかカバーするためということで、これがふしぎなことには、郵便外務職員俸給調整額加算額支給対象局、いわゆる特殊勤務地手当的なものを支給する局を対象にして、その局に対しましては被服支給貸与の内容が優遇されておる。そうでない局については、同一作業でありながら被服貸与やり方が冷遇されておる。こういう理屈に合わないやり方被服貸与の差があるということ、これはいいことであるか悪いことであるかということ、これは筋が通らないわけなのです。そういうようなことで被服貸与支給ということをやっていていいのかどうかということ、これは大臣どう思っておられますか。
  17. 中市彩也

    中市説明員 被服貸与の御質問でございますが、被服支給している目的は、先生いまおっしゃいましたように、われわれとしましては、事業の信用の保持、品位の保持という観点、対内的には作業環境に合った作業能率向上、それから職場秩序の維持等々でございまして、そういう観点から支給しております。結果的に職員の職務の向上にもつながっていることは認めます。そういう観点からいたしますと、労働密度が高い郵便局の場合には被服の損耗の度合いも激しいであろうと思われますので、本来ならばそのような労働密度の高いところに重点的に配慮をなすべきものだろうと思うのでございますが、しかし今回、いまおっしゃっております被服貸与は、内容は冬服の上着を、一般の郵便局は三年に一着でございますが、これを四年に二着、それからズボンが一般の郵便局が三年に二着でございますが、これを四年に三着にしておりまして、四十六年十一月一日から実施いたしておりますが、これは、雇用難緩和対策の給与面における改善等と並びまして、その一環として実施されたものでございまして、本来の被服支給の目的とは若干違いますけれども、当時の省の労働力の確保という至上命令にこたえるために被服面における改善策として行なわれたということでございます。したがいまして、これをさらに拡大しようという意図は現在持っておりません。これはあくまでも外務職員俸給調整額支給対象局に不可分にリンクさせておりまして、現在それを変える考えは持っておりませんので、御了承いただきたいと思います。
  18. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 それじゃひとつお伺いしますが、被服というのは現物支給なんですが、給与の一環なんですか。
  19. 中市彩也

    中市説明員 これは、ただいま申し上げましたように、給与の一環ということではございませんけれども、結果的に待遇の改善につながるであろうということで、雇用難緩和あるいは職場の定着率向上対策の一環としてとられたということでございます。
  20. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 被服貸与は、いまお話のありましたように、これは作業密度、労働密度が高いところほど被服を優遇して支給していく、これは筋ですよ。ですから、雇用難解消だとか、あるいは定着率を高めていくというようなところにやるのは、これはあくまでも給与の一環としてやっていかなければならぬ。その給与の一環、待遇の改善のために目的の違う被服支給貸与ということを使うということ、利用するということ、これはいいことか悪いことかおのずからわかるでしょう。これはいいことだと思っていますか。
  21. 中市彩也

    中市説明員 いま先生からは、労働の密度に応じて差があるじゃないかというような話がありましたが、差がありますのは、寒暑の差によって若干の違いがありますが、あとは特定局と単独局、普通局との違いは、これは業務量の違いということで差をつくっておりますが、他は全部すべて同じように扱っておりまして、特別加算額支給対象地域だけは、先ほど申し上げた雇用難緩和のためにやむを得ずとられた施策でございます。
  22. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私が言っていることは、いいことか悪いことかということを言っている。労働密度の高い低いということで差をつけてもやむを得ないと私は思うのです。作業量の多いところはよけいによごれもし、よけいいたむわけですから、これはよけいに支給することが悪いということを私は言っておらない。これを、雇用難解消だとかあるいは待遇の改善というようなところに、目的を異にする被服貸与というような手段を使うということはいいことか悪いことかということを私は尋ねておるのです。
  23. 中市彩也

    中市説明員 私どもとしましては、いろいろ業務量等を勘案してはおりますけれども、しかし、被服支給のあり方といたしましては、ほかにも問題がございまして、たとえば現在話になっておりますのは郵便外務員でございますけれども、内勤職員被服貸与のあり方、それから内、外勤全体の職員を通じて被服の数ではなくて質の問題等、いろいろ検討すべき問題等もありまして、必ずしも全般的にこれを業務量に応じて即座に当面これを切りかえるという考えを持っておりません。
  24. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 質問に答えてくださいよ。目的外にそういう被服貸与規程を活用していいのか悪いのかということを私は質問しているのです。大臣、どうですか。
  25. 原田憲

    原田国務大臣 先ほど説明員、政府委員から答弁した中に、それが目的でなくてもそういうことにもなる、こういうことを言ったと思うのです。だから、あなたのおっしゃっておるような、業務量が多いところへ被服をたくさん持っていくのが筋じゃないか、こういうことを否定して二者択一で右か左かということを答弁しておると私は聞いてないのです。やはり一つの目的を持ってやって、それがいわゆる調整手当ですか、そこへ重なってきておる、こういう面もございます、こういうことを言っておって、いいことだからもっとそういうふうに進めていくということは考えておらない、こう答弁いたしておると思うのであります。したがって、被服問題につきましてはまだはかにも問題があるからいろいろと検討を重ねていきたい、こういうことを言っておると思いますから、まあ和田さんの言う、それがいいか悪いかと言ったら、悪いということじゃない。悪い点があるならばどうするかということでございます。けれども、この被服問題というものをいますぐに改定をするということは、まだほかにも内勤、外勤の問題点もあるから、そういうことも検討してみたい、こういうことを言っておると思います。だからお尋ねをもう少し進めてもらって、どういうふうに何を望んでおられるのかということでまた私は答弁したいと思います。
  26. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 これはもちろん被服貸与規程というのもありますし、予算自体が、待遇の改善のため、雇用難解消のためということで、被服の購入、貸与の予算を組んでおるのですか。そうじゃないでしょう。だから目的は目的として使いなさい。それじゃ国会に対してうそを言うてこの予算をつけておるということになるのですよ。筋論としてやはりよくないことはよくないことで改めなさい。雇用難解消のため、あるいは職員定着率を強めるためということであれば、こういう予算の不当な支出のしかたをしたり、あるいは貸与規程があるのに貸与規程の目的外にそのような手段を使っていくというのじゃなくて、それはそれなりにして別途の方法があるのじゃないかと思う。私はあくまでも、規定は規定、予算は予算として適正に執行してもらいたい、こういうことを言うておるわけなんです。  先ほど説明がありましたけれども、男子の作業服だけではなくて女子の場合も同じことじゃないですか。内勤の女子の勤務の方も、やはり上衣が三年に一着、下が三年に二着というのを、同じように支給対象局の女子職員に対しましては、四年に二着、四年に三着、こういうように上回って支給しているじゃないですか。これは全く支給規程を無視し、予算の不当な、不正な支出のやり方だということを私は指摘しておるわけなんです。やはり適正に予算の執行をする、支給規程を的確にひとつ運用していく、こういうあり方こそが正しいのじゃないかということを私は主張しているわけなんです。大臣、いいですか、そういうことを私は主張している。  そうすると、いま申し上げましたように、やはりよくないことは改めてもらう。別途な方法で雇用難解消であるとか職員定着率を強めるという手段方法を考えてもらって、被服貸与についてはあくまでもやはり規程に基づいて予算を的確に執行していただく、こういうようにひとつしていただきたいというように私は思うわけです。したがいまして、せっかく三年に一着というのを四年に二着、あるいは下につきましては三年に二着というやつを四年に三着というように支給しているところもあるわけなんですが、今日作業量はどの局につきましてもやはり非常に増加しておる向きもあるので、これにつきましては最高支給対象に、普通局特定局も集配局も無集配局も差別なく作業量に応じて被服支給をやっていただきたい、こういうことを私はこの機会に強く要望しておきたいと思うわけであります。  時間が参りましたので、以上でやめますが、先ほど調整手当につきましても、あるいはいま申し上げました被服貸与支給につきましても、的確に適正に運用、活用されんことを強く要望いたしまして、私の質問を終わりたいと思います。
  27. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて和田君の質疑は終了いたしました。  次に、島本虎三君。
  28. 島本虎三

    島本分科員 きょうは私の場合は、おもに郵政省関係、電電公社の職員の頸肩腕症候群、またその一連の救済策、これにしぼってひとつお伺いしたいと思っております。  まず第一番に、先般、「電電公社における頸肩腕症候群に関する医学的究明について」という、いわゆる頸肩腕症候群のプロジェクトチームの答申が総裁になされたようでありますが、各職業病がいま激発しております。白ろう病、腰椎症、頸腕症、頸肩腕症候群並びにじん肺、こういうような点が多うございます。電電公社もやはりその中に位置しているわけでありますので、今後その対策はまことに重大だと思います。このプロジェクトチームの答申について公社ではどのように思っておりますか、その見解を承りたい、こう思います。
  29. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま御質問がございましたが、電電公社といたしましては、頸肩腕症候群に対しまして、これまで国会の他の委員会でもいろいろ御質問がございました。また労働組合のほうからも、これにつきまして、公社に対しましていろいろな要望が出ております。それで、関東逓信病院の澤崎院長・医学博士をプロジェクトチームの代表者といたしまして、頸肩腕症候群に関しまする医学的な究明という問題をプロジェクトチームとしてやらせ、答申をことしの二月二十二日に私が受け取りました。私もこの中身をよく検討いたしまして、この中でやれるような問題はこれは直ちにやる、それからこの答申なるものがまた中間的な報告に属するものもございます。したがって、そういうものに対しましては時間をかけて検討するものは検討し、また早急に検討できるものは結論を出すというふうにいたしたいと思います。  基本的な考え方といたしましては、私は、この頸肩腕症候群というような、こういう職業病というものを公社の中から絶滅させたい、こういう希望を持っております。ただしかし短期間にこれが実現できるとは思いませんけれども、そういう基本的な姿勢といいますか、考え方によって処理していきたい、このように考えております。
  30. 島本虎三

    島本分科員 頸肩腕症候群は電電公社イコールにはならないのでありまして、大臣郵政省の各部門においてもこれがあるようであります。裁判所の速記の中にもあり、国会の速記者の中にもこれが出、総理府統計局の職員の中にこれが出、またいろいろキーパンチャーその他にもあらわれておりまして、これが最近形態をはっきりあらわしてきた。高度成長政策に従ってこれが続発してきているような一つの症候群であります。それに対する対処のしかたというものは、これは多様でありますけれども、絶滅を期してこれは真剣に取っ組まなければならないんじゃないか、こう思います。  したがって、いま報告書、これを見ましたけれども、これはあくまでも中間的なものであって、病態生理の究明がまだ残されているのであります。意外にもこれは精神面が多いようにちょっと受け取りました。そうなりますと、今後この種の扱いは労使間で結論を出すというふうにしていかないと、片や出ているのが精神面が多い、しかしまだ病態生理の究明が残っておるのに、このままで打ち切ってしまった場合にはやはり禍根が残るんじゃないか、こう思いますので、これは私は、中間答申であってこのまままだ続くものである、最終のものではない、こういうふうに思っているんですが、やはり今後どういうふうにするお考えでしょうか。
  31. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  先ほども申し上げましたように、二月二十二日に私の手元に参りました澤崎医学博士を中心にいたしますこの答申を私もよく読んでみましたが、中間答申であるとおっしゃるとおり、そういう面が多々あります。したがいまして、これからも労使関係の問題として、いろいろ団体交渉あるいはその他によりまして、あるいは話し合いとかそういうことによって処理していきたいという基本的な姿勢でいきたいと思います。なお詳しくは、関係局長がきょう出席しておりますのでお答えさせたいと思いますが、こういうような頸肩腕症候群が起こらないような予防措置というものをやはり十分考えるべきじゃないか。  その予防措置について具体的にいろいろございます。時間があれば私、詳しく説明申し上げますが、要するに、そういう予防措置を実施する、そういうことの中に、たとえばキーパンチャーならキーパンチャー、公社の中にキーパンチャーもございますし、それから手動交換台もございますが、そういうような人がもし不適性であったならば、そういう職業に向かないならば、むしろ管理者が早目にそういう人を発見いたしまして、たとえば、これは労働組合と話す必要もありますけれども、公社の中には別な仕事は一ぱいあるわけでありますから、別な職種に移っていただくというようなこと。あるいはまた、そういう仕事を一日じゅうやらないで複合して仕事をする。これは労働組合にも去年の暮れにトップ会談で私が持ち出したのでありますが、ある単調な仕事を一日じゅうやらないで、一人の人が複合して仕事をするとか、あるいはまた数人のグループがある仕事を固めてやるとか、これは新しいアイデアでございますが、そういうようなことも入れてとにかく絶滅を期したいというのが私の考えでございます。
  32. 島本虎三

    島本分科員 もちろん、この認定その他法によっての実施は、労働省のいろいろな指導や何かもあろうかと思うのであります。しかしまずそれは、すぐその次に入りますけれども、いま総裁が言ったように、予防措置を十分講じたい、まことにけっこうであります。それはぜひやってもらう。それから現在ある者の救済、それも急いでもらわなければならない。したがって罹患者と思われる数がはっきり千八百四十八というふうに出されております。それを申告し受理した数が二百三十である。それが、業務上と認定したのが十六であり、業務外として認定されたのが四である。認定は総計して二十である。罹患者数としてはっきり出されたのは千八百四十八、これがもう申告あって、それを受理したのが二百三十、認定したのが二十、そのうちでも業務上というのは十六、あまりにも認定がまだまだ少ないんじゃなかろうか。何のために少ないか。やはりいまの総裁の意向のように早く救済してやるということになると、この間にある來雑物を早く除去しなければならない、こう思うのであります。したがいまして、この業務上であるかないか、こういうようなのは認定のしかたもいろいろあろうかと思うのでありますが、あまりにもこの認定の数が少ないと思いますが、これはどういう原因だというふうに把握してますか。
  33. 小沢春雄

    ○小沢説明員 お答えいたします。  島本先生御指摘のとおりの数字になっておりますが、この件につきましては、先生から昨年の二月二十七日、九月十九日、十二月十八日と三回御指摘を受けておりますが、昨年当初におきましては、電電公社におきまする頸肩腕症候群の業務上疾病としての認定者はゼロでございました。先生からこれについて、基準に該当する者は早く認定して公社としての救済措置を講ぜよという強い御指摘もございましたので、それ以来、認定請求者の中から、医学的ないろいろなお医者さんからの御意見等をいただきながら認定を進めてきたわけでございますが、現在結局十六名でございます。今後も引き続き、プロジェクトチームの答申にも認定基準がうたわれておりますので、これらを十分参考にいたしまして、認定の基準に該当する者は業務上疾病として救済してまいりたいと思います。
  34. 島本虎三

    島本分科員 認定を急ぐ、早めるということは労使間の一つの願望であろうと思うのであります。したがって、公社がいま発表しておるような頸肩腕症候群に対する基本的な事項、こういうようなものに対して組合もはっきりとこれを認めておりますか。
  35. 小沢春雄

    ○小沢説明員 プロジェクトチームの答申につきましては、先般、労働組合の幹部に、チームの実行委員長である河井博士から約半日にわたりまして詳しく御説明をいたしました。これについて労働組合のほうからは、これはあくまでも現時点では医師の医学的な一つ調査研究の結果であるというふうに受け取る、したがってあくまでも、この疾病に対する予防、あるいは治療、あるいは認定というものは公社が事業者の責任としてやるべきである、したがって事業者としてのそうした対策の中にこのプロジェクトチームの答申を取り入れていくという考え方に理解する、こういうふうに言われております。
  36. 島本虎三

    島本分科員 それで、認定を急ぐ、促進する、こういうふうな考え方の上に立ってどうしてこれだけの差ができてくるのか。これはやはり労働省自身が、労基法や労働省令並びに規則、通達、これらの点に対してあとでゆっくり検討を願うことにして、そこに入る前に、電電公社としてもやはり認定促進に重点を置くとするならば、これは「頸肩腕症候群等の業務上認定にあたっての考え方」という、こういう指示を通信局長に流し、それを指導させているようでありますが、しかし実際、官公吏である場合には、これは人事院が認定する、一般であるならば労働省が監督署で認定する、公社の場合は公社自身が認定する、こういうふうな仕組みになっているのでありますから、結局は通信局長のほうに「考え方」として六項目にわたって示達しているようであります。今回出されたこのプロジェクトチームの答申によると、意外に精神面がうたわれているという点がよけいある。そうすると、この中で「他に発症原因が考えられないこと」ということが六項目のうちの四項目目にはっきり載っているわけであります。この一項目があるために、いろいろ下部のほうでは、頸肩腕症候群自身が精神的な面が多いという実態に基づいて、「他に発症原因が考えられないこと」、これが一つの障害になり隘路になってるんじゃないか、こう思うのです。電電公社としても今後十分この点に対して配慮する必要があるんじゃなかろうか、こう考えられますが、この点、総裁いかがでございますか。
  37. 米澤滋

    ○米澤説明員 ただいま御指摘がございましたように、確かに精神面というものもあると思います。しかし、私たちはとにかくこの問題を、特に昨年島本委員から、先ほど厚生局長が申し上げましたように、御指摘がございました時点以降におきまして、積極的に取り組む、予防措置を講ずると同時に、また現在かかっておる方に対しましては、それをおととしまでは、私はちょっと記憶が違っていたらあとで訂正させていただきますが、実際職業病に認定した人はほとんどなかったんじゃないか。それをとにかく十六件だけ認めた。また今後、問題になっている方もこれは早急にやはり認めていくということであって、この中間報告に盛られておることによって問題を回避していくという考えは全くございません。とにかくこれは真剣に取り組んで、しかもまた労働組合からも、こういう問題についていろいろ要望が出ておりますから、十分話し合って、あるいは団交によって処理していこう、こういうふうに思っております。
  38. 島本虎三

    島本分科員 そういうふうにして、この問題の隘路になってる第四項目、これに対して十分双方交渉の上で、私としてはこれをはずしたほうがいい、不要である、こう考えますが、十分検討しておいてもらいたい。これが一つです。  それと同時に、労働省のほうでは、同じこの頸肩腕症候群に対して法的な改正の見解を進めているようであります。頸肩腕症候群の業務上、外の認定基準の検討についての専門家会議という長ったらしい名前の専門家会議を進めて、片やただいま申しましたようなプロジェクトチームと並行しながら、いかにしてこの救済のための法改正を行なうか、これを検討中である、こういうふうに承っておったのでありますが、この専門家会議の結論が出ましたか。
  39. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 頸肩腕症候群等の業務上、外の認定基準につきましては、最初三十九年につくりまして、四十四年に一度改正をしたわけでございますが、その後におきます発症の態様等が四十四年の認定基準をつくりました当時とかなりまた違ってまいりまして、新しくいろいろな方面に出てまいっております。そういうことで、昨年の三月にもう一度四十四年の認定基準を再検討すべく専門家会議を設けて検討に着手いたしましたのでございます。現在までに数回の委員会を開催いたしておりますが、まだ結論というところにはいっておりませんで現在検討を続けている段階でございます。
  40. 島本虎三

    島本分科員 こういうふうにして、一方は医学的究明についてのプロジェクトチームを出しておる、同時に今度はもう専門家会議を開いて、法の改正によっていかに早く的確に救済するか、この一つの至高なる目的を持って、それも並列して進んでいるわけです。一方は結論が出たわけです。一方がまだやっているというのは、どうもこの辺においては、私は労働省怠慢とは申しませんが、少しおそ過ぎるのではないか、こう思うわけです。したがって、電電公社のほうからはいろいろとこれに対しての要請がなされているのじゃないかと思いますが、私の手元にありますが時間の関係上省略いたします。覚えているでしょう。この要請に対して、法の改正その他まあ通達の運営と申しますか、こういうようなことに対して考えも相当あるのじゃないのか、こう思うわけであります。したがって簡単直明に聞いてまいります。  労働基準法施行規則三十五条の十三号、御存じのとおりです。読みません。それと通達、基発七百二十三号、これも御存じのとおりですから内容を読みません。この中ではっきり電話交換手という職名がございません。「等」というやつがあるわけです。もうすでに昭和二十二年ごろまでありましたけれども、いまはどうかなと思われる「電信手」というのがある。「電信手」というのが名称として載っているのです。あれはもう有線通信手のことであって、私もそのオペレーターの一人ですから、当時は優秀だったのであります。(笑声)しかしながら、いまもう国内において有線通信手というのは影をひそめて、モールス符号でやっているところはほとんどないのでありますが、二十二年以来連綿として「電信手」ということばが残っておるのであります。これはまさに交換手というか、交換職に値するようなものであって、それは「等」なんかということにして読みかえるようなものではなかろう。実情としてはもう「等」などという段階ではないんですね。ここでは読みかえさしています。  病状もすでに究明が進んでおります、プロジェクトチームも相当これに対する見解がはっきりしております。残されている点もまだあります。しかし、やはり進んでいるのは事実ですから、その中でこれをすでに明確にして、業務上の疾患と認めるべきだ。したがって、労基法の施行規則三十五条十三項に電話交換職、これをすでに追加してもよろしい。それと同時に、あわせて病名として頸肩腕症候群、もうすでにこれを明示していい段階じゃないか。前世紀の遺物「電信手」が残っているのですから、それと変えて、いまや新しいこういうものをすぱっと入れるべき段階じゃないかと思うのです。たまには労働省もこういうように先取りをやってみたらどうかと思いますが、ひとつ皆さんの見解を承ります。
  41. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 先生御承知のように、基準法施行規則三十五条十三号は、いまおっしゃいましたような電信手、タイピスト等の手指のけいれんまたは書痙というものを規定いたしておりまして、それに当たりますものは現在でも十三号で手指のけいれんや書痙はやっておりますが、それ以外のいわゆる最近いわれております一般の頸肩腕症候群は、同条三十八号の「その他業務に起因することの明かな疾病」ということで処理をいたしておるわけでございます。これにつきましてはもう先生十分お詳しく御承知でございますように、頸肩腕症候群には、業務上に基づいて発生する場合もございますし、それ以外のいろいろな原因によって発生する場合もあるわけでございまして、そこで認定基準が非常に問題になるわけでございますが、現在その認定基準そのものを再検討いたしておりますと同時に、それらの中で業務上であることが明確なものを法令の規定として明確に他と区分して規定できるかどうか、その辺もあわせて検討いたしまして、ただいまの御指摘の点についてはそれらの検討の上で結論を出すようにいたしたい、かように考えております。
  42. 島本虎三

    島本分科員 検討は早いほうがいいです。結論も早いほうがいいと思います。片やが結論が出ているのですから、もうすでに専門家会議でも結論を出してもいい、私はそのように思うのであります。  念のためにこれを伺いますけれども、はり、きゅう、あんま、こういうようなものに対してはやはり日本ではお医者さんもいますけれども、医療類似行為ということになっておりまして、医者の許可がなければこれをやっても正式なものとして扱っておらない。しかしながらいまいろいろ見ますと、もうすでにはり、きゅうというようなものも、この頸肩腕症候群に対して治療の重要な要素もあるようであります。あんまはもちろんであります。そうすると、医学的にもうすでにこれは類似行為ということじゃなく、正式にこういうようなものを位置づけてもいいのじゃないか。もうお隣の中国では、はり、きゅうあたりで脳の手術もしており、まあわれわれも直接見てまいりましたが、四十三歳になる女性の甲状線の手術も何ら痛みもなく、麻酔もかけないでやっている、こういうような状態であります。驚いたことには、年をとった人でもはり、きゅうによって、糖尿病の症状のある人は手術は日本では遠慮しているのでありますが、隣の中国のほうではこのはり麻酔によって、ついでにそっちの糖尿病のほうも一緒になおす、こういうようなこともあわせ備えてやっておるようであります。いま日本では類似行為としかなっておりませんが、頸肩腕症候群の治療の一方法としてこれは十分考えてしかるべきだ。医師の許可なしにはだめだ、金も出せない、これじゃもう治療もできない。これじゃ少しおくれるのじゃないか、こう思いますが、この点労働省はどのようにこれを把握してございましょうか。ひとつ御高見を拝聴させていただきます。
  43. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 労災の医療につきましては、指定医療機関によって医療をすることをたてまえといたしておるわけでございますが、私も、先生がいま御指摘になりましたように、最近はこの頸肩腕症候群あるいは近ごろ多い腰痛などにつきましては、はり、きゅうといったようなものが、症状によって効果があるということもあるというように聞いております。私は専門家でございませんが、そういうような話も聞いておるところでございまして、したがいまして労働省といたしましては、担当の医師の方がそういう治療が必要であり、適当であると認められて、その監督のもとにはり、きゅう等の治療を行なわれる場合には、これは労災の医療給付の一環として認めておるところでございます。
  44. 島本虎三

    島本分科員 認めておるところである、依然として類似行為として医師の許可が必要だ、これは前提になっているのでしょう。そこを一歩踏み出して、十分専門家会議もやっているのですから、その中で検討もしておいてもらいたいということであります。これは私自身も十分調べてはございません。電電公社等では、おそらくはもう一回一回医師の許可をもらってはり、きゅう、あんま、この方面の施療をしてもらっているのじゃありませんか。許可なしにやっても何にもならない。医者によっては、そういうような類似行為を必ずしも的確に指導する人も全部ではない、こう思うわけであります。しかしほとんどはり、きゅう、あんまというようなものは、頸肩腕症候群の場合には治療上の重要な要素を持っておりますから、この点等においても十分専門家会議で考えておいてほしいという要請です。要請にこたえますか。
  45. 渡邊健二

    ○渡邊(健)政府委員 専門家会議では、まず認定基準を再検討することを第一の任務といたしまして、いま検討を進めておりますが、認定の基準の検討が済みましたら、引き続き治療、予防等につきましても御検討いただきたいと考えておりますので、その中で十分検討していただくように要請をするつもりでございます。
  46. 島本虎三

    島本分科員 電電公社の総裁大臣、私どもは、この高度経済成長政策の中でいろいろと公害の問題が発生して苦しんでいるこの状態も十分これを取り上げ、国会の中で論争もしてまいりました。明治以来いろいろと苦難の中でも発展して、いまやデータ通信、コンピューターの中核として産業界の中でこれまた押しも押されもしないような一つのポイントをおさめている、獲得している、位置しているといったらいいのですか、これがいわゆる電電公社じゃないかと思うのです。順調に伸びている。公害なしに七十年代の一つの産業界に貢献した、これが電電公社じゃないか、こう思って高く評価しておりましたが、その中には頸肩腕症候群という、労働者に対して、わからないような一つの苦痛を与えておったということであります。せっかくこの救済を急ぎ、認定を急ぐ、こういうようなことでありますから、大臣においても十分これを指導して、早く——千八百幾らあっても、まだ二十人しか認定されておりませんので、この点を急いでおいてもらいたい、これであります。  それと同時に、電電公社の総裁に、この際ですから、この高度に発展したいまの通信技術の中で、明治以来連綿として変わらない一つの保守的な体系が電電公社の中にあるのであります。それは電話交換台であります。あれが初めて東京に設置されたころの電話の交換台そのもののいすは高くなったかもしれない、形は大きくなったかもしれない、しかし構造は同じなのです。監督はうしろからされる、声によってされる、前に見えるのはもう馬車馬のように、こういうようにさす仕事の作業場だけである。そして督励はうしろからなされる。この形態は明治以来連綿として続いているただ一つのあれじゃないか、そういうようなところなのです。しかしながら、やはりこういうようなところにも、それに携わっている人に多いというような実態からして、改善の必要があるのじゃないかと思います。いまの交換台そのものにも十分メスを入れる必要がないか、このことでありますが、総裁はこれをどのようにお考えでありましょうか。この際ですから大臣総裁の御高見を承っておきたいと思います。
  47. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ただいま御指摘がありましたように、電話の交換台、これは確かに公社がこれほど技術革新をやった中の、やはり一つの非常におくれた面だと思います。私も昨年の幹部会議で、これは早急にひとつ直したらどうだ、ちょっと専門家的なことばをいいますと、TSPという方式が最近ございまして、交換台が低くて相手がずっと見える、そして一々こうやらないでキーで全部倒すというトラフィック・サービス・ポジション、そういうようなものを早急に採用することをいま——いまといいましても、島本委員がたしかほかの委員会で御質問があった、おととしの夏ごろだと思いますが、そういう指示をしてございます。これを早急にといいましても、やはり機械でございますからちょっと時間がかかるかもしれませんが、そういう面の改良をぜひやりたい。若干時間はかかりますが、設備計画の中に入れまして計画的に進めていきたい、御趣旨は尊重していきたい、こういうふうに思います。
  48. 原田憲

    原田国務大臣 島本委員が熱心に公害問題あるいは健康問題と取り組んでおられることに敬意を表します。  先ほど明治以来というお話がございましたが、確かに日本の国がいわゆる農業に主を置いた、ほとんど国民の七割、八割が農業が主力であった当時の日本の国では、医学も進歩せず、寿命が五十年ということはこれらのことを物語っておると思うのでありますが、現在は日本の国の構造も改善され、そして職業も得ることができた、しかし御指摘のように、公害であるとか特殊な疾病であるというようなものが発見されてきておる、これをどうするのかという問題であろうと思います。いまや時代は、その政治課題と取り組むべき時代が来ておる。私は個人的には、まあ何といいますか、エコノミックアニマルというようなことばがよく使われますけれども、物や金ばかりの時代から、心の問題、健康の問題あるいは明るい家庭の問題。一つずつ言いますと、ハート、ヘルス、ホーム、こういうことになって、三Hを政治課題としてとらえて進むべき時代に来ておる、こういうぐあいに認識をいたしております。いま伺いましたその中で、わがほうの所管をいたします郵政省業務の中で、これは独立部隊でありますけれども、電電公社が時代の先端を行く事業として進めておる中に御指摘のような問題が生じておる。公社総裁がいま島本議員に申し上げましたが、私どももより一そうこの場で——皆さん方の前に総裁以下電電公社の幹部も出席をいたしておるのでございます、関係省庁も出席いたしておるのでございますが、私はよく指導をいたしまして、これらの問題を早く解決をしていきたい、このように考えてる次第でございます。
  49. 島本虎三

    島本分科員 では、これで終わる次第でありますが、くれぐれも認定を早めて、職場等において明るさを失わないように、これだけは最大に要請いたしまして、私の質問を終わらしてもらいます。主査の御高配を感謝いたします。
  50. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて島本君の質疑は終了いたしました。  次に井上普方君。
  51. 井上普方

    井上(普)分科員 いま島本先生から頸肩腕症候群についていろいろとお話を承りまして、特に中間報告を承って、見たのでありますが、島本さんから何か言わなければいかぬような御発言もございましたので、ちょっと私お伺いしたいと思うのです。  この報告を見まして、非常にこの報告に無理があると思います。といいますのは、この症候群ということば自体、すでに病名にあらずです。これは、さっきおたくのほうに専門家がおったが、あくまでも症候群なんであります。それと、これに対して定義というものが書いてある。定義というのが普通の定義と違う。といいますのは、症候群に対して定義ということばが使われるわけはありません。これは一般のものとちょっと違うのです。この定義の一番最後にも「なども生じうる状態を本症候群の基礎的臨床形態とする。」というふうになっています。これがまさに医学的な用語であろうと思うのです。わかりますか。さらには、その診断基準なんというものがはたして医学の世の中にあるのだろうか。これはお医者さんが役所から強要せられて、非常に困った表現をせられておると思うのでございます。こういうような無理を役所のほうが医者に強要することのないようにひとつお願いしたいと思います。総裁、どうでございます。
  52. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  私も医学の専門家ではございませんけれども先ほど島本議員にもお答えいたしましたが、公社としてこういう仕事といいますか職業病が起こらないように絶滅を期したい、これが私の考えてございます。  この答申をもらいましたプロジェクトチームのヘッドでございますが、これは関東逓信病院の澤崎博士なんですが、私これを読みまして、中間報告的なものがずいぶんある。この中で、もっと詰めて答申をもらわなければならぬものがずいぶんございます。ただ、しかし、基本的な姿勢としてはこういうことが起こらないようにする、また、なった人に対しましては早急にやるということでございまして、私がこれに対して圧力をかけたというようなことは全くございません。
  53. 井上普方

    井上(普)分科員 私は圧力をかけたとさらさら思いません。ただ、こういう文書の形態にしてくれということをおたくは頼んだはずなんだ、症候群の定義をつくれ、あるいはまた診断基準をつくれなんという。診断基準なんというのはできるわけがありません。だから定義といって書いてあっても、内容が違うことが書いてある。ともかく、しろうとをだますのに都合がいいように、こういうような形式にしてくれということをあなた方が要求したから、こういう形式になったのだろうと思うのです。ともかく自発的な考え方に、フリーにさしてやらなければ、この文章に苦心のあとがありありと見えるじゃないですか。総裁、あなた、この定義のところを読んでごらんなさい。これは日本語として、定義としてなっていますか。一般の定義ということばのカテゴリーの中にこれが入りますか。入らぬでしょうが。
  54. 米澤滋

    ○米澤説明員 私もちょっと専門家じゃないものですから……。
  55. 井上普方

    井上(普)分科員 専門家でないというなら私もそのつもりでいきましょう。
  56. 小沢春雄

    ○小沢説明員 厚生局長でございまして、公社の医療方面を担当しております局長でございます。  先生の最初におっしゃいましたのは、こういう形でこの答申を書けということを医師の先生方に公社から要請したのではなかろうかというようでございますが、私どもはそういう事実はございません。私どもお願いしましたのは、最初に総裁島本先生の御質問にお答えして申し上げましたように、とにかく公社内からこの病気を絶滅する、それには予防対策、治療対策が一番大事でございますので、予防対策と治療対策をできるだけ詳しくお教えいただければたいへんありがたい、これが一つでございます。  それから、いま当面非常に……
  57. 井上普方

    井上(普)分科員 わかった。ともかく、私はこの文章を見まして、およそ医学的でないことばが盛んに使われておるので、そこに電電公社に使われておるお医者さんの苦心があらわれておると思うから言うのです。この第一条を見てどうですか。あなたしろうととして考えてもどうですか。これが定義ということばの範疇に入りますか。——まあ総裁は責任があるから言えぬでしょう。言えぬと思います。これ以上責任者のあなたに申すのはよします。それはそれとしまして、ともかくむずかしいやり方をあなた方のほうでやらさぬようにしてもらいたい。  ただ、そういう患者があることは事実なんで、これに対していかに救済するかということを考えなければいかぬ。それには、いまの医学をもっていたしますればわからぬことが非常に多いのです。わからないことばかりなんです、ほんとうの話は。でありますから、基準なんというやかましいものをつくらずに、医者が認定して、これはほんとうにそうだと思ったときには、認定できるような方策を講じなさいということなんです、私が言いたいのは。ここに認定基準なんてこしらえています。これなんか見ましても抜け穴だらけです。これはどんなにでもできます。これを広義に解釈する医者と狭義に解釈する医者とによって、当たる患者さんは非常にこれは選択の幅ができてくる。それよりも、やはり実際患者が苦しんでいるんだということを見るならば直ちに認定ができるという方法を講ずる必要が私はあると思うし、また労働省におきましても、この皆さん方が書いてある治療方針、これからもおそらく治療方針が出てくるでしょう。これだけでなおるのだったらまことにけっこうなことなんです。あらゆる病気はすべてなおるのです。そこに選択の幅を持たせなさいと私は申している。先ほど島本さんが、はりとかあんまとかきくと言います。確かにききます。私はきくと思う。これは、西洋医学をやった者があんなはりとかあんまをやるのはおかしいじゃないかといいますけれども、私は前々からきくことがたくさんあると思っている。ただそれが西洋医学で解釈できないものがある。解釈できないものがあるから、これをいまの医学をもって判定できないから、ともかく応用さすことができない。理由づけができないからというのがいまの医学の態度ではございますまいか。それがきくのであれば、医学なんというのは経験科学なんですから、これはきくものであればどんどんと取り入れるという幅をひとつ持たせるような指導をやっていただきたいと思うのです。いかがでございますか。
  58. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  本日は副総裁も出ております。それから労務担当の総務理事も出ておりまして、全部伺っております。先生の御意見十分尊重いたしまして、処理いたしたいと思います。このプロジェクトチームも、先ほど申しましたように中間答申だというように理解しておりまして、これが最終答申だとは考えておりませんが、御趣旨はよくわかりましたので、私たち決してこの問題を回避したりすることは考えておりません。ただ、私専門家ではございませんから、この中のことに答えろといわれましてもちょっとこれは答えかねますけれども、趣旨は十分尊重していきたい、こういうふうに思います。
  59. 井上普方

    井上(普)分科員 ともかく医者というのは、職業柄、どうも役所のワク内で文書をつくるというのは非常にむずかしゅうございます。それを、ともかくこういうような書式で、こういうようにやらなかったら国会が通らぬのだ、因縁つけられるんだというようなことを考えることなく、ともかく医者の良心に従ったものをつくらすように、答申にいたしましても、中間報告にしても、そういうようなものをひとつつくらすように御配慮を今後お願いしたいと思うのです。  だいぶ時間が私の予定しておったよりもなにでございますので、簡単にこれから雑件ばかりひとつお伺いいたします。  電電公社のサービスがこのごろ非常に悪い。いままでですと、電話料金を払い込むのを少しなまけておった、あるいは忘れておったというようなことになりますと、電電公社のほうから電話がかかってきまして、まあ早いことひとつ納入してください、あなたは幾ら幾ら滞納しておりますよという電話があった。このごろ、一方的にばっしばっしとやられるのですね。こういう事実、御存じですか。
  60. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  サービスの問題でございますけれども、サービスというのが電電公社の最大の使命でございまして、これは年々歳々の、総裁からいつも……(井上(普)分科員「前置きはいいや」と呼ぶ)いまの電話の滞納の問題でございますが、これはお説のように毎月の料金を請求書を発行いたしまして、納期までに納めていただく、納期が参りましてから大体二週間ぐらいの期間を置きまして、それで料金を納めていただかない場合に予告をいたしまして、二度か三度ぐらいでございますが、それでまだ料金を納めていただかない場合に、大体一カ月から三十五日ぐらいの間でございますけれども、通話停止というようなことをする仕組みになっております。
  61. 井上普方

    井上(普)分科員 これは、実は予告がなしにとめられるというケースを私は二件ほど知っているのです。何なら電話番号言いましょうか。ここに電話がありますから、非常に迅速をたっとぶ電電公社でございますのですぐわかるはずだ。そういうたてまえになっておるのだろうけれども、やられておりません。業務局長さん、やられてないのですよ。私は名誉の保持のためにその電話番号を申し上げてもいいのですが、ともかくやられてない。国会議員の中にそれがおるんだから。私がある日電話をしますと、ポンキンカンキンという音がして、それから、その電話は現在使われておりませんと言う。おいどうしたんだと言ったら、いや滞納しておったんだ、いや、予告せぬで、という話になりまして、予告が全然なしにやられたんだと言う。いかにもそれは私のほうが払わなかったのが悪い、しかしいままでであれば予告があった、しかし今度は予告がなしにやられたんだという話を聞いているんです。たてまえはそうであっても、実際に末端でやられてない。この点ひとつ、もっと厳重な注意を喚起してほしいと思うのですが、どうです。
  62. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  具体的なことを先生省略せられたのですが、私のほうで調べましたところが、そういう事例が確かにございました。これは一月の問題で、そういう先生御指摘のようなことがございまして、一月三十一日の納期のものが二月二十一日、三週間で通話停止になったのですけれども、もう現在の時点では解消しております。この点につきましては、私のほうの指導どおりに画一的な打ち切りとか、そういうようなことをやっておったところに非常に問題がありますものですから、厳重にひとつ指導したい、こういうふうに思っております。
  63. 井上普方

    井上(普)分科員 私は、画一的にやってもらわなければ困ると思うのです、こういうのは。代議士の電話だから便宜をはかる、一般のだから便宜ははからぬというようなことをやられたら困るんです。画一的に、親切に、そして予告をしてほしいということを言っているんです。通達どおりやられてないから私は言っているんです。私はもうこれ以上言わぬ。言わぬけれども、画一的に、それはもう電話料金なんというのは払わぬやつを打ち切るのはあたりまえだ。代議士だからなんというて、そんな便宜をはかるなんということはまことに不届きしごくです。それよりも、予告を十分にやって、これがサービスだと思うのです。それをやってないから私は言うんです。これは画一的にあらゆる人たちに対しまして、予告をし、丁寧にひとつ事をやってもらいたい。  それから、電話をかけますと、まずポンキンカンキンという音が出てきて、現在は使われておりませんという返事なんだ。あれはもう少しくふうすべきものじゃないでしょうかな。
  64. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えします。  先ほど、非常に簡略にして画一的にも申し上げたことにつきましては、いまみたいにいろいろの対象によって差をつけるとかなんとかということじゃございませんで、実情に応じましていろいろの処理がございます。一万件当たりかなりの件数がありますけれども、今度の場合の予告は一度だけだったものですから非常に問題だと思いますけれども、そういう点につきましてはお客さんのサービス、お客さんの立場というものを十分考えた上で慎重に今後対処したいというふうに思います。それからいまのトーキーによるいろいろな案内でございますけれども、これはいろいろと全国的にことばがございますけれども、できるだけ実情に合ったようなケースでそういう録音といいますか、そういうことを考えていきたい、このように考えております。
  65. 井上普方

    井上(普)分科員 もう少し何とか、それは現在使われておりませんということばじゃなくて、私も、ここでもっと適当なことばはないかといいますと、とっさには浮かんでまいりませんけれども、ともかくもう少し、おたくはあれだけ職員さんもおるんだから、公募してみて、いいことばをひとつ発明してください。ひとつこの点お願いしたいと思います。  それから、この間うちから電話帳の交換がもうそろそろあるにもかかわらず、私のところへ新しいのが来ない。どうしたんだと言ったら、どうも今度は申し込みをしなければくれぬらしい、こう言うのですな。おや、私らは電話帳の申し込みなんというのはいままでしたことがないが、そんな通知来たかいなと言ったら、来とったと言う。けれども、いままでみんなに、基本料金を納めてやっておるのに、電話帳をただでくれよったのを今度くれぬというのは、一体どういうわけなんです。どうして交換せぬのです。
  66. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  電話帳は、御承知のように電話をおつけになりましたときに全部無料でお配りするという形に現在もしておりますし、これからもその考え方には変わりはございません。ただ、昨年末の石油パニック以来、紙資源問題がありまして、電話帳用紙節減というようなことが問題になりまして、ことしから少し電話帳自体を、いろいろな施策はありますけれども電話帳を要らないという方もございますので、要らないという方には御希望を聞いた上で電話帳をお配りしない、要るという方には全部もちろん従来どおりお配りするという形にしたわけでございます。
  67. 井上普方

    井上(普)分科員 それはそういうような聞き方をしていますか。そういう聞き方をやっておりますか。おたくは電話帳は新しいのが要りますか、要りませんかという聞き方をしていますか。そこなんですよ、問題は。電話帳を要る方は申し込んでくださいという形で今度はやっているでしょう、どうですか。
  68. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  要らない人には電話帳をお配りするのをやめるというようなことは、ことしから始めたばかりでございまして、それで東京でいま始めておるわけでございますけれども、そういう文章のほうもかなり気をつけまして、もし要らなかったらその旨を書いてください、そういうような仕組みになっております。
  69. 井上普方

    井上(普)分科員 文章を持っていますか、あなた、そういうの。お入り用の方は申し込んでくださいという形になっているんですよ。いいですか、そこのところのニュアンスが違う。要る人は申し込んでくれればいいじゃないか、そこがサービス精神の欠如だと私は思うのです。——うなずいておられるが、そうでしょう。サービスというものはそういう点をやってもらわなければ困る。何のために基本料金を払っているのだというんです。どうですか。
  70. 米澤滋

    ○米澤説明員 いま御質問がございましたが、私たちは、もともと電話帳というものは当然配るべきものだというふうに思っております。ただ最近、何といいますか、電話帳を置く場所がなくて困るという方がありますから、そういう要らない方はお配りしない。もともと配るのがほんとうの筋だ、こう思っておりますが、ただいまの問題、いま業務管理局長が答えましたが、不徹底な点があればさらに徹底させたい、こういうふうに思います。
  71. 井上普方

    井上(普)分科員 私はわかるのです。こういうような小さいことを言っておりますけれども、やはり電電公社もいつの間にか独占で仕事をしておりますとお役所仕事になるのです。そこらあたりをひとつ今後も御注意になっていただきたい。まことに小さいことを申しますけれども、これは国民の間にそういう不満が出ておりますので、一応皆さん方に御披露し、御反省を求める次第でございます。  その次、郵政大臣、この間——郵政大臣が住んでいるところですね、大阪空港のあの判決が出ましたね。あそこで、その判決が出てから夜間飛行が十時以降は停止になった。そうしますと、郵便の速達郵便は全部夜間飛行で送っておったのでしょう。これはどうなったのですか。その対策を簡単にひとつ……。簡単にやってくださいよ。
  72. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  ただいま御指摘の伊丹空港の夜間便が停止されることになりましたが、大阪空港に発着しておりました郵便が約二百十万通あったわけでございます。この中で約二十五万通が速達であり、残りが普通通常であったわけでございます。これらのおくれを取り戻すために考えましたのは、その時間帯を避けました一番早い、つまり朝七時ごろから夜十時ごろまでの間におきまして従来ありました八便の専用便を四便に減しまして、その他は託送という形でやるようになっておりますが、現在飛んでおります飛行便の中での一番早い時間帯のものを利用することによって送達速度のおくれを少しでも少なくしようということでございます。現実には大体八割の郵便物につきましておくれが生じておりますが、速達につきましては平均しまして半日のおくれ、それから通常につきましては八割のものが一日おくれということになっておるわけでございます。
  73. 井上普方

    井上(普)分科員 大臣、あなたあそこに住んでおる方です。夜間飛行をやられたらこれは困るという住民の意向をひしひしとお感じになっておられると思うんです。しかし速達が——速達はこの間うち値上げしたばかりでしょう、その速達が半日もおくれるというんじゃ、これはサービス行政の郵政省、困るんじゃございませんか。何とかもっと知恵を出せぬものですか、どうでございます。
  74. 原田憲

    原田国務大臣 これは住民の生活環境の問題と、それから郵便物を早く確実に受け取るという公共性の問題とのいずれの選択かという問題で、同じ政府の中でも、いまの深夜便に対して環境庁からこれに対するところの、十時以降の速達便を取りやめたらどうか、こういう勧告が出ておったわけです。それに対しまして国会でも質問がありまして、大体があなたのおっしゃるとおり、やはりサービスの低下になるわけです。それに代替するものがないかということを考えて、できれば一番早く東京−大阪——これは全国、九州にも及ぶ問題です、徳島にも及ぶ問題なんですけれども、中継点である大阪へ一番早く到達するものは何か、新幹線です。ところが、御存じのように新幹線は貨物輸送をしない。このことは皆さん、あまり御存じなくて、新幹線を使うたらどうだ、こういうことも聞くし、地方議員の、この間私のところに来たのは、新幹線あきまへんのか、へえというようなことで、新幹線が貨物業務をやっておらないということは皆さんあまり御存じない。その次は、いまの阪神高速道路並びに東京の高速道路、これを利用するところの自動車便。ところが、御案内のようないまの自動車の状況である。一生懸命考えましたけれども、なかなか代替というものが考えられないけれども、一方において、騒音問題ということに対して結論を出さなければならぬというところへきておったときに私が就任をいたしましたので、私はこれは深夜便を廃止をするということによって選択をし、ただし、これは御迷惑をかけておる方々には申しわけないからたいへん申しわけございませんが、いま言いましたように一部おくれが生じます。これまで飛行機を使っておりませんでしたときのような状態に返るわけですから、いまあなたもおっしゃるように、これからもくふうはこらしていきます。こらしていきますけれども、何とかいわゆる確実に早くサービスができるようにくふうをいたしていきますけれども、現在のところはそういうことでごしんぼう願いたいということを申し上げておるところでございます。
  75. 井上普方

    井上(普)分科員 私も、新幹線が貨物輸送をしておらなかったことを初めて知ったです。ですが、そこですよね。サービスの低下——新幹線に乗せるように、あなた努力したらどうです。あなたも国務大臣でしょう。そんなの変えられるんじゃないですか、どうでございますか。変えようと思ったら変えられることじゃないですか。郵便車も、速達郵便だけを送るのでありましたら、何もそんなに大きいスペースをとらぬでしょうが。それくらいのことを——ともかくお役人だから、お役人というものは何でもかんでもむずかしくむずかしくものごとをしていく習性があります。これはパーキンソンの法則できちっとそういうことは昔から、いまから十年ぐらい前からいわれているけれども、とにかくむずかしくむずかしくしてやっていこうという習性がある。そのために、人数をふやしてくれなければ、部下をふやしてくれなければ仕事ができぬというのが、これは役人の習性だそうです。そんなことでものごとを解決しようとするからものごとが変わってくるので、政治家としてのともかく常識的な解決方法というものは、新幹線を使わしたらどうです。大臣、あなただって国務大臣でしょうが。運輸省に対して、あそこらあたりにものを言えるのでしょうが。どうです。
  76. 石井多加三

    ○石井政府委員 ちょっと技術的なことでございますのでお答えいたしますが、先ほど申し上げました深夜の航空便、夜十時から朝の七時までの間の時間帯に発着しておりました航空便がだめになったわけでございまして、この時間帯のそういう深夜のものが必要なわけでございます。したがって、昼間を走っております新幹線に乗せましても、これは別に郵便の輸送上たいしたアップにならないわけでございまして、もし深夜に走らせるというようなことを折衝することができますればいいわけでございますが、これまた新たな公害ができますので、運輸省、国鉄では絶対反対ということでございます。その点御了承ください。
  77. 井上普方

    井上(普)分科員 大臣、あなたいいかげんなことおっしゃるじゃありませんか。サービス低下のために新幹線を利用したらどうだと思ったけれども、あれは動かせぬのだ。あなたのおっしゃるとおり、夜の飛行機を通したらいかぬということになっている。そうしてまた新幹線も、あれ八時半が最終便のはずですな。そうなってくると、大臣の新幹線はどこから出てきたのです、一体。
  78. 原田憲

    原田国務大臣 あなたが一番あとで言われたそういうことまで含んで私は言っているわけです。新幹線もこれから福岡まで延びてくるわけですね。(井上(普)分科員「将来でしょう」と呼ぶ)将来だけれども、四十九年中に行くわけです。そうすると、そのときにいまの新幹線というものは夜使ってもいいじゃないか、いま新しい公害問題があるからという具体的な話がありましたけれども、あなたも御承知のように、新幹線つくるときに、夜も使ってもいいじゃないか、レールを遊ばしておくことはもったいないですから、だからそれをやったらいいじゃないかというようなこともいろいろあったわけです。そのくらいのことを言うたらどうやという中に入っているわけですよ、私にあなたが言われたことは。そういうことを全部含んで考えたけれども代替機関はない、いまのところは代替機関はないのです。だから、あなたがいまおっしゃっているようなことで、ここではあれを夜使うことはできませんけれども、公害を減らして夜使えるかもわかりません、これは将来の問題ですから。私どもは、いまあなたがおっしゃったように代替機関がないか、くふうをこらせということに対しては、これからやっていきたい、こう思っております。
  79. 井上普方

    井上(普)分科員 もう時間でございますので、私は一番の質問の骨子を、郵便貯金の金利をもっと値上げしろということを言いたかったのでありますが、どうも時間がございませんで、もう質問する機会が、時間がなくなったことをはなはだ残念に思うのです。  大臣、いまのお話を承っておりますと、たしかあなたも運輸大臣やったことあるんでしょう。ですから、そこらあたりのいまの御答弁、前にやった経験といまのお話とではどうも食い違いがあることを感ぜざるを得ないことを申し上げて、私の質問を打ち切ります。
  80. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  次に、土橋一吉君。
  81. 土橋一吉

    土橋分科員 予算分科会で、五十一年度打ち上げを目途とするいわゆる実験用の放送衛星と、同じく実験用の通信衛星の問題について、少しくお尋ねしてみたいと思います。  今年度予算では、すでに組まれておりますように二百八十億の開発費が計上されておるわけでありますが、そのうち郵政省が四十六億、科学技術庁に対し宇宙開発事業団の衛星開発費用が二百三十四億円でありますが、この金額は大体間違いないですか。
  82. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 そのとおりでございます。
  83. 土橋一吉

    土橋分科員 すでに御承知のように予算委員会におきましても、最近は日本分析化学研究所などのずさんないわゆる海洋あるいは海水の問題について、政府は急遽この分析あるいはそういうものに対する措置をするために、科学技術振興のためにもたいへんな必要な費用が要ると思います。また最近の水銀であるとかカドミウムとか、こういう問題について、人命あるいは健康を保持するためにも、たくさんの技術的なあるいはそういう科学的な施設や費用が相当いま必要とされております。多くの科学者とかあるいは研究家の皆さんは、そういう差し迫った国民の生命、健康を守るための必要な費用のために、さような科学あるいは医学その他の分野において非常な努力をされておりまして、またそれらの方々はかなりの不満を持っておられます。そういう差し迫った問題が山積をしておると思いますし、また経済の面から見まして、御承知のように物価狂乱状態で、たいへん物価が上がって国民が困っておる。そのためには生活防衛をしなければならないという事態で、労働界においても、御承知のように七四年春闘という問題が大きく叫ばれて、そうして三万円とか、多いところは五万円の要求をしておる、こういう事態に今日あるのであります。これもまた生活のためにやむを得ない国民の要求であると思いますが、こういう諸般のいろいろな要求がある中において、これだけの膨大な費用が組まれておるということについては、私はたいへん緊急性の問題から見てどうかという疑念を一つ持つわけです。  こういう点からいろいろ質問を展開したいと思いますが、いま申し上げましたような国民の切なる、目下時間をそれだけかすことができないというような問題の解決のために、特に四十九年度予算全般の問題についてもいろいろ論議されておるところであります。ところが将来の実用衛星打ち上げの準備として、いまお話にあったような費用が特に実験用の放送衛星に——この放送衛星を中心に私は質問したいと思いますが、出されておる、支出をされておるということについて、私は非常に疑問を持っておるわけです。そこで、どういう疑問かといいますと、すでに新聞などでも発表されておりますし、また一般のいわゆるこの方面のそれぞれの方々の御意見にも出ておりますように、また討論もされておりますが、きのう私の手元に入りました「放送文化」三月号というので、放送衛星通信衛星の実験用のものについての、いろいろな各界の皆さんが意見を寄せております。これほど論議がされておるわけです。したがって、将来のわが国の科学技術の進歩のため、また放送衛星にいたしましても通信衛星にしても、その技術を発展させることは非常にわれわれも要望するところでありますが、しかしながら、ここで、こういうふうな新聞記事が出ておることは御承知かと思いますが、ちょっとその最初のところだけ読み上げてみましょう。読売新聞の一月二十九日でありますが、「放送衛星 ほんとに必要なのか」という題で出しております。これは中村政雄記者の担当した内容でございますが、  わけのわからぬものはいろいろあるが、五十一年度末に打ち上げる放送衛星ほど、正体不明のものは少ないのではなかろうか。放送衛星は、わが国の宇宙開発になかった新しい利用分野である。どのような必要性があるのか審議しないまま、国民の税金を使っての開発が決定された。宇宙開発委員会は昨年十月、放送と通信衛星開発プロジェクトを決めたが、それは技術的に可能というだけの判断であって、必要かどうかの判断をしたのではない。その判断の権限はこの委員会にはなかった。それでも開発はレールに乗ってしまった。これでいいのだろうか。野党はこの問題で発言していない。政府予算案には来年度合わせて四十五億五千五百万円を計上している。二十八日から予算審議が始まったが、国会で徹底的に検討してほしい。  こういう趣旨のことが書かれて、これが命題になっておるわけであります。あえで私はこのことを取り上げてどうこうというのじゃございません。ありませんが、こういうことすらもいわれておる。しかも予算編成の過程においては、御承知のように、一時はこれがダウンしたり、また上がったりして、いろいろ経緯がございました。しかし、いま申し上げたように、ここで二百八十億の予算を取った。こういうことについて、はたしてこれが緊急必要、どうしても五十一年にこの衛星、つまり実験用の放送衛星を打ち上げなければならない、そういう緊急性と差し迫った必要性、特にこれは将来の五十年代後半といわれる実用放送衛星のためのいわばレールを敷くようなものでありますが、どういう緊急性と差し迫った必要性によって、この内容、こういうことを決定したのでしょうか。簡単でよろしいです。ぐたぐたは要りませんので、簡単にどういう必要性によった、緊急性によったということだけ答えてください。
  84. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 郵政省といたしましては、ただいま触れられました実験用の中容量通信衛星放送衛星、これを開発しておる段階でございますけれども、この必要性でございますが、まず第一に、世界各国において通信衛星放送衛星ともに開発計画が次々に発表されておりまして、世界の宇宙開発、この方面における開発のテンポがきわめて急速に進展したということ。国をあげますと、米ソはもちろんでございますけれども、カナダ、それから米国の国内通信衛星あるいは独仏の通信衛星、イタリアの衛星、あるいはヨーロッパ地域の衛星、それから最近におきましては、フィリピンとかインドとか、あるいはオーストラリア、イラン、こういうところで次々に通信衛星あるいは放送衛星の計画が進められておる段階でございます。こういう状況にかんがみまして、わが国といたしましても、可能な限り早期に衛星を打ち上げて、周波数及び静止軌道、これを確保する措置をはかる必要があるということが第一点でございます。  また一方、国内的にも、今後増大する通信需要あるいは放送需要をまかなうためには、どうしても衛星を導入せざるを得ないということでございまして、たとえば通信放送衛星につきましては、現在問題になっております難視聴解消、これが、いま現在NHKが三千局のテレビ局を設置しておりますけれども、それでもってもなおかつ百十何万の難視聴が解消されないまま残されておる、こういう現状でございます。また、文部省が計画しております放送大学という問題がありますけれども、これも発足するということになりますと、全国的な聴視者を対象にすることになろうと思いますが、そういうものを実現するためには、やはり放送衛星にたよることが一番手っとり早い効率的な方法であろうか、こういうような必要に基づいて、できるだけ早く開発を進めたいということでございます。
  85. 土橋一吉

    土橋分科員 いまお聞きした中で、アメリカの、将来インドに引き渡すであろうといわれておるいわゆる教育放送衛星の打ち上げの問題とカナダの問題は、これはまあ、かなり宣伝をされておりますので、私もよくわかるわけです。日本の放送衛星は、いまあなたが仰せになりましたような難視聴解消というだけの、そういうことも非常に必要であるし、これは電波法、放送法第一条の規定によって書かれておる義務を履行するという面では私もよくわかるわけです。しかし、放送衛星は、ごらんのように今度初めて打ち上げようというような、そういう日本国が所有する宇宙における最大の文化的な結晶のものであります。これは従来日本のロケット技術の発展に伴って、日本でやるということが強く主張されておりましたのですが、御承知のようにこれがNASAに依頼をして打ち上げてもらう、それでそのミッション等については、目下放送衛星については東芝さんが本格的な設計計画に入っていくというようなことが新聞その他でいわれておるわけであります。  そこで、いまお話しになったような理由だけでは、差し迫った五十一年度の、このいま申し上げたような科学的にも技術的にも、国民の生活を守るあるいは環境保全をする、こういうような緊急の措置についてかなりの予算を組まなければならないし、また田中政府の当初の施政演説でも、そういうことについては十分やるということがいわれているわけです。ところが、あなたも仰せになったように、あるいはいわれておるように、五十年の末にこれを打ち上げて、実用の放送衛星を打ち上げるそのいわば土台をつくる意味なんです。ところがこれが実際問題として、いまいわれておるように国際条約でも大きな問題が出てくるわけです。これは宇宙条約の第六条の規定からはっきりいわれる。それで、国内法の全体の体系から見てもまあまあ多くの研究をしなければならないという問題も持っておるわけです。それから波の問題にしても、あなたよく御承知のように、これは十二ギガヘルツの波を使うのですけれども、この波が、特にアジア地域においては雨が多いとか霧が多いとかというので、その波自身が非常に問題があるともいわれておるわけですね。ですから波の問題、それからこのミッションそのものの母体の問題、それを受けるところの受信関係に関するそれぞれのいろいろな施設の問題、こういうことについてはこの中でもいろいろ学者が論じておりますし、また評論家もいろいろ論じておるわけであります。そうしますと、そういうものをきちっと生産をして、確信を持って試験用放送衛星を打ち上げてよろしいかどうかという問題が非常に私は疑問が出てくるように思うわけです。そういうことについてきちっとした決着をつけないでおいてこれをやるならば、かなりの問題が出てくるのではないかというふうに思うわけですが、こういう点は問題ございませんか。そういう国際的な問題あるいは他国との、いわゆる領土へ電波が入り込んでくるとかいうような問題、これは特にソ連のほうからもそういう主張がいろいろ出されて、国際会議においてもこれはいろいろ論議されておるところでございますが、そういう点はどうですか。
  86. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 衛星を使って放送を行なう場合に、二つのやり方があると思います。一つは、国際放送をやるやり方、それから国内放送に使うやり方、これは、国内放送の場合にはある程度漏れるということはあるかもしれませんけれども、これはやはり国内放送が主体でございますので、いままでの、日本で申しますと電波法、放送法の諸原則が確実に適用される、あるいは適用すべきである、表現の自由その他の諸原則は保障さるべきであろうという事柄がわれわれの考え方でございます。  国際的に見ますと、これは確かにいまおっしゃっいましたようにいろいろな問題があるわけでございまして、これを国際協力の手段として、あるいは情報交換の手段として使う場合にはこれはきわめて有力な手段だと思いますけれども、しかし、使い方いかんによってはまた国際協調がそこなわれる面もなきにしもあらずということで、国際間において、これから主として国際放送に関する諸取りきめについて討論が行なわれる、これからの問題でございます。
  87. 土橋一吉

    土橋分科員 大臣もいまお聞きのように、これからの問題だというのが、この放送衛星においては特に通信衛星以上に問題がたくさん残されるわけですね。そこへもってまいりまして、御承知のように、NHKはこの開発のためには二十億をこえる資金を今日まで使ったというふうにこれにはいわれておるわけですね。しかも、ほんとうにそれが実って、打ち上げた、すぐその電波によって家庭にそれぞれそれが映像として映るかというと、そうじゃないわけですね。その過程には、波の問題や受信機の問題、そういうものをずっと開発をしなければならない、こういう非常に手の込んだ、非常にむずかしい、そしてなかなかしろうとわかりにはわかりにくいような諸問題を解決しながら、最後には家庭へそれが映像として映るというのが一体何年ぐらい先か、これもはっきりしていないわけですね。  そこで、こういうようなことに立ち至った——先ほどのお話もありますように、教育問題をちょっと出されましたけれども、インドはすでにもうアメリカの打ち上げるのを軌道を移行いたしまして、インドの上空へ持ってくるというようなことも約束済みであります。あるいは日本の放送衛星が、御承知のように、科学技術のいろいろなむずかしい問題がございますけれども、ひょっとはずしたらば朝鮮とかあるいは中国とかフィリピンへ電波がどんどん入り込んでしまう、こういう問題もあるように、いろいろ研究しておる人は申しておるわけですね。  そうしますと、結論的に申し上げると、これは難視聴解消ということが一つの中心的な推進の基礎になっておるけれども、基本はそこにあるのではない。国際放送、つまり要するにアジア地域における放送関係を背負っていくというような意味を多分に持っているのじゃなかろうかという気が一つしておるわけです。それが一つの問題です。  それから、あなたが二十三回電波記念日にお話しになりました演説の原稿の第一項を私は拝見をいたしまして、たいへん驚いたところが一つあるわけですよ。あなたのおっしゃっている三つのそれぞれの説明も私はよく理解ができるわけですけれども、この最初の第一のところで、あなたが必要性を強調されたところにこういうところが一カ所あるわけですね。「五十年代の後半には重量数百キログラムの本格的な実用衛星の開発を行なおうとするものであります。このような本格的な実用の通信衛星および放送衛星開発されることによりまして、今後急速に進展する情報化社会における情報伝送網が確立され、国土総合開発の基本的要件の一つであります」という要するに国土総合開発の基本的な通信ネットワークの構成だということをあなたはここではっきりおっしゃっているわけですね。ところが、国土総合開発については、われわれ共産党としては、田中さんのおっしゃる日本列島改造論にしても、また歴代自民党の政府のもとにおいて行なわれたいわゆる高度経済成長政策にしても、この際、大きく転換しなければならない。つまり国民の生活とか、あるいは環境とか、あるいはそういう方面における科学技術の進歩、こういう点が重点じゃないかということが、いまこの予算委員会等においても論議の中心であります。これはもうあなた御承知のとおりであります。だのに新幹線あるいは高速道路の全国普及と、通信のネットワーク化というのは、国土総合開発のそういう方針でいくということになってまいりますと、これはちょっといただきにくい内容であるということを私は言わざるを得ないわけですよ。それに間違いございませんか。国土総合開発の一環として、要するに情報社会に適応するということでこれをやるのですか。
  88. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 現在情報化社会といわれておりまして、通信の確保というものが、何事をやるにしましてもきわめて大事な要件になっておるということでございまして、もし将来国土総合開発というような問題が起こりましても、通信ネットワークという事柄はますます重要性を増すのではないかという趣旨で書いたわけでございます。
  89. 土橋一吉

    土橋分科員 あなたのお書きになっておる趣旨も、私は理解できないものじゃありません。ここに書いてある字面その他についてはよく理解のできる事柄であります。しかし、いま差し迫って国民が要求しておるのは、生活をどうしてくれるのか、物価をどう安定してくれるのか、あるいはそういうことに関係をして、たとえば先ほど申し上げましたような設例によって、科学者はもっとこういう分野の研究をしなければならぬじゃないかとか、あるいは身体、生命を守るためにこういうことが必要じゃないかとか、あるいは環境保全のためにはこういうふうにしなかったらえらいことになってくるんじゃないかとか、そういうことを国民はいま切に望んでいるわけであります。でありますから、あなたの大きな志といいましょうか、そういうのを決して私はむげにここで否定をするとかけしからぬとか、そういうことを言っておるのではなくて、それはそれでまことに重要な一つの使命を持っておることは何人も否定はできません。  しかしながら、ここでこれだけの膨大な予算を使って五十一年打ち上げを目途として、この四十九年度予算の中に入れておるという点については少し現状を無視しているのじゃなかろうか、また、そういう金があればもっと切実な、国民の生活をほんとうにささえ、あるいは生命を保全する方向の科学技術のほうへ金を回すべきじゃないかというのが私の主張のおもな点であります。これはあなたも理解できると思うのですよ。あなたのおっしゃったそういう国土総合開発の一環だというようなことは、これは今日理論的に言っても国民が納得しないところであります。  ましてやこの次に書いてある、たとえばあなたの説明によると、合同無線通信主管庁会議が開かれる予定になっておる。この問題においても日本の放送衛星打ち上げの問題は必ずからんでくるわけですね。あるいは最近放送局を見学したなどといわれておる。そういう一連の国際的な電波に関する会議と申しましょうか、そういう問題についても同じようにこの問題は大きな問題になってきておる。そうしますと、一体どういう必要によってこんなことが急に、いままでも力を入れておられたけれども急になったかということについては、私は非常に疑問を持っておるわけであります。それはこの「電経新聞」というのの二月二十五日の新聞の中でもいろいろ説明はしております。本格的計画になってきたということについていろいろ説明をしておりますので、私もいろいろこのものを拝見しておりますが、結局帰するところは、端的に言うならば、これは四十四年の愛知元外相とロジャーズの交換公文等の内容を実現するという目的をもって行なわれている面があるのではなかろうかという点が、どうしても私の疑問とするところであります。  もう一つは、東南アジア開発に名をかりて最近のいわゆる大商社の不心得な、要するに地域住民を無視した経済開発をしておる、あるいは収奪をしておるというような問題とうらはらの、要するに東南アジアにおける教育あるいはその他に関する先取り的な意味を含めてのいわゆる宇宙開発に類するものではなかろうかというような気がしておるのですが、どうですか。
  90. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 宇宙衛星の開発研究の問題、これはいまに始まったわけではございませんで、ここ十数年来NHKあるいは電電、あるいはKDD、郵政省の電波研、あるいは宇宙開発委員会等において検討検討を重ねられてきた問題でございまして、それが最近ようやくその実験用の衛星を打ち上げる技術的なめどがついたということで、五十一年度を目途先ほど申し上げましたような理由でもって打ち上げたいということでございまして、研究開発の性格として、いわばやめたりやったりということには必ずしも似合わしくない、ふさわしくないという部面もあるわけでございまして、どうしてもいまの世界の大勢から見ますと、電波権益の確保という面からいたしましても、五十一年度にはぜひとも上げたいというのがわれわれの考え方でございます。  それから放送衛星は東南アジアその他を考えているわけではございませんで、現在のところは、もっぱら難視聴解消あるいは教育的目的に対する利用というようなことを考えておるわけでございます。
  91. 土橋一吉

    土橋分科員 もう時間が、早いものですぐ来ましたので、最後に、私ははっきり申し上げますが、日本の全体の政策といたしまして、この愛知・ロジャーズ協定などを一つの柱として、急遽日本のいわゆる先取り的な宇宙開発における権限をひとつとっておこうとか、これは国益であるとか、このことによって要するに日本の科学技術が進歩するのだとかいう名前で、少なくともアジアにおいて四十カ国近くあるそうですが、それらが持っておるそれぞれの電波に対する権限あるいは放送に関する権限、そういうものを先取りしておいて、そうして放送衛星によって、占いことばでいう、ここでひとつ国威を発揚するといったことは間違いではないか。やはりアジアすべての国々が持っておる正当な——あなたも御承知のように、もう波が制限されてしまっておる。しかも、その波についても現在の波と違う体制をとっていかなければならないという重大な技術上の問題も一つあります。難視聴解消ということはよく私もわかるけれども、難視聴解消という問題だけで解決のできない大きな問題をこの中に含んでおる。そうすれば、御承知のように、日本の政治体制全体がそういう中に仕組まれておりますために、結局アメリカが急遽態度を変えて協力をするということになってくると、そのために急遽予算を編成してこれが出てくるというようなことで、日本の商社の悪徳的行為と、この放送衛星打ち上げによるところの先取り的な宇宙の開発問題と何か一連のものではなかろうかという気が私にはするわけであります。さようなことがあってはなりませんし、この難視聴解消もいま放送局は努力をされまして、逐次解消の方向にあるし、現在ないというのは百十何万世帯であります。それも逐次どんどん解消しつつある。ばく大な金をかけて打ち上げて解消できるかというと、現在の条件では必ずしも解消できない。これは何年先になるのか見通しもまだついてないという状況でありますので、私は、ここで大幅削減をしながら緊急必要なもののほうへ金を回して、国民の納得できる予算編成体制をとっていくべきじゃなかろうか、それがこの四十九年度において国民が当面している問題を解決するかぎではなかろうかというふうに考えております。私は、そういう点からこれをかなり削って、国民の必要な科学技術の進歩、あるいは現実に環境保全あるいは生活を守るほうにやるべきではないかというふうに考えておるのであります。したがって、郵政大臣のそういうことに対する考え方について所見を聞いて、私の質問を終わりたいと思います。簡単でよろしいです。
  92. 原田憲

    原田国務大臣 総需要抑制の時代に、この放送あるいは通信衛星関係の予算はもっとほかに使い道があるのではないかという結論を持ってのお尋ねであろうと思います。もちろん総需要抑制ということは、今度の政府が打ち出しておる物価抑制のための最大の政治姿勢であります。これはもう論をまちません。しかし、ものごとにはいかなるときにでもやっておかなければならない問題もあるわけでございまして、そういうときにも社会福祉関係の予算はふやしていこうという姿勢もとっておりますし、また、これからの時代に対応するための予算というものもやはり確保しておかなければならない。後者に類するものがそれではなかろうかと考えるのでございます。  お尋ねの中に、いろいろ専門的なことからこれに対する疑問を持つところの意見等も開陳がありましたが、学術的なもの、専門的なものであればあるほど、そういうことに対してやろうとする意見と、それに対する疑問を投げかける意見があるものだというように考えております。それを結論といたしまして、宇宙開発委員会がいまから——科学技術庁に属するものでございますが、昨年度の予算の際にそれを統一して、この五十一年度打ち上げということを決着をつけてかかっておる仕事であろうと思うのでございます。  今後の世界の情勢の中で、政治的な見通し等についても土橋さんの発言がございましたが、私は私なりに考えて——実は昨日終わったのでごさいますが、二月二十六日から三月七日まで外務省の会議場におきまして、この教育用衛星放送システムに関する会議が持たれておりましたことは御案内のとおりだと思います。それが国連の主催であり、私どものほうの日本でお世話をするということから、私がごあいさつに出たのでありますけれども、国連を代表してこられたのはどなたかと聞きますとシェフチェンコさん、名前がシェフチェンコでございましたから、あなたはソビエトかと聞きましたら、そうだ。だからこういう問題につきましては、アメリカもソビエトもすべての国々が自分たちの国益のみを追求していくよりも、すべてが人類的な立場に立ってこれを利用していくという時代が来つつあるというように私は考えております。それを具体的にどうだと言われると、これはもう推測でございますから、やはりそこに参加しておるところの国々から見ましても、これらの研究というものは、直接いまの日本の放送衛星とは関係はございませんけれども必要なものではないか、このように愚考する次第でございまして、私どもは間違いのないように配慮しつつ政治を進めてまいりたい、このように考える次第でございます。
  93. 土橋一吉

    土橋分科員 終わります。
  94. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて土橋君の質疑は終了いたしました。  次に、大橋敏雄君。
  95. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 情報化社会といわれる今日、ことに郵政事業の役割りあるいは使命というものは重大だと思います。その郵政事業、郵政行政の最高責任者である郵政大臣の使命はまたきわめて重大だと思いますが、私は、きょうは、一般国民に密着しておりますといいますか、必需品化されました電話に関しまして若干お尋ねをしてみたいと思います。  ここに電信電話拡充第五次五カ年計画という公社の冊子を私は持っているわけでございますけれども、この中身を見てまいりますと、非常に計画的にはりっぱなものが示されているわけでございますが、電話の普及のおくれている地域に対してどのような施策が考えられているのか、まずお尋ねいたします。
  96. 米澤滋

    ○米澤説明員 最初に計画局長から答えさしていただきます。
  97. 清水通隆

    ○清水説明員 お答え申し上げます。  第五次五カ年計画の基本的な考え方は、昭和五十二年度末におきまして、ちょうどこの五次五カ年計画の終わりでございますが、全国的規模で加入電話のお申し込みをされた方に対して電話をおつけするということがまず基本でございます。そこへ持っていきますためには、ただいま先生の御指摘のございましたような電話のまだ普及してない地域に対して何らかの措置をしていかなければいけないということが大問題でございます。比較的大都市等におきましては従来からかなりの電話の普及を見ておるわけでございますが、これらの電話の普及してない地域に対しましてどうするかという場合に、一応私どもは大きく分けまして三つの問題を考えております。  第一の問題は、現在まだ地方のほうには自動でございません手回しの磁石の電話局がございますが、これが今日現在約二千二百局ほどございます。これを自動にしなくてはいろいろな面でぐあいが悪いということが第一点でございます。  それから二番目の問題といたしましては、大都市と地方とにおきましては、負担なしに電話をおつけいたします区域、これをわれわれ普通加入区域といっておりますけれども、この普通加入区域をある程度拡大する必要があるという問題で、これをわれわれ普通加入区域の拡大といっておりますが、こういった普通加入区域の拡大をはかるということが次にございます。  それから第三番目の問題は、若干先ほどの二つから比べますとウエートが減るかと思いますけれども、すでに、こういった電話のつかない地域におきましては、地域集団電話というものを従来積極的につけておりまして、これは比較的設備投資の安い電話でございますが、残念ながらやはり一本の電話に七加入、八加入というようにぶら下げるために、その辺からこれはサービスが悪いという意見がございますので、これを何とかして一般の電話に切りかえようということを考える。  以上簡単に申し上げましたが、大体三つの方針に従いまして考えておるわけであります。
  98. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 答えは簡単にお願いします。たくさん聞きたいことがありますから。  第五次五カ年計画において、社会福祉優先の趣旨が生かされているかどうか、端的にお答え願います。
  99. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  第五次五カ年計画におきまして加入電話を、先ほど申し上げましたように、昭和五十二年末で積滞をゼロにする。その中でいわゆる住宅電話というものが八割を占めております。したがって、結局ビジネス電話が約二割、住宅電話が約八割を占めているということが一つございます。  それからその次は、先ほどのお話に出ました地方のいわゆる自動化をやる、これも地方に住んでいる方に対しまして、やはり自動になったことによりまして非常に便利になる。  それから第三は、いわゆる老人福祉電話とかあるいは身体障害者の方、そういう方に対しましていろいろ電話開発を進めております。たとえば寝たきりの老人の方が急に病気になったときに、ボタン一つ押せばすぐ必要な、ふだんから世話をしているところへ連絡できるとか、そういう電話開発をやっておりまして、それもこの中に織り込みたい、こんなふうに考えております。
  100. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 大臣にお尋ねしますが、エネルギー危機に伴いまして、総需要抑制措置がとられて、四十九年度の実質経済成長率は、政府の見通しによりますと二・五%程度になるといわれておりますが、第五次五カ年計画の基礎となりました諸条件というものが変更を余儀なくされると私は思うのでありますが、いま局長さんのほうから、五十二年度末には積滞を解消する、こういうふうな公約のもとにやっているんだということでございますが、はたしてこの公約が守られるかどうかという問題ですね。また、そのためにはどのような施策を講じられようとしておるのか、お尋ねいたします。
  101. 原田憲

    原田国務大臣 総需要抑制政策と公共投資、設備投資との関連のお尋ねでございますが、民衆との間の非常に密接な福祉関係のものは確保しなければならぬというたてまえをとっておりますので、今度の予算の際にも、私どもの予算の中で、直接業務以外に電電公社の予算があるわけでございますが、その電電公社の中で、いまお話がありましたように、これから計画に乗って積滞数をなくしていくということが確実に把握できるというところまで、電電公社の総裁、私ども相談いたしまして、これならいける、こういうことで今日の予算も確保いたしておりますし、今後の市民の生活に対する電気通信というものの果たす役目だけは守り抜いていきたい、このように考えております。
  102. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 要するに、経済環境の激変があったけれども、この五カ年計画の中身についてもいわゆる積滞解消は必ず五十二年度までに計画どおりやれる、こういうふうに見ていいですね。  では、次にお尋ねしますが、四十九年度の予算は、政府の総需要抑制政策に沿って投資規模を一兆二千五百四十億円としたといいますけれども、これは当初予定されておりました投資規模に比べましてかなり大幅な圧縮だ、こう私は思うのですが、公社としてどのように対処していかれるお考えですか。     〔主査退席、村田主査代理着席〕
  103. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしまして、昨年の九月の初めに郵政大臣に最初に概算要求を出しました。そのときには、昭和四十八年度の予算に対しまして約一八%の伸びの予算でございました。その中の一番基本になるのは電話でございますけれども電話に対しまして、第五次五カ年計画のときは昭和四十九年度は三百十五万の電話をつけるという予定でございましたが、その当時は景気がよかったものでございますから、積滞が非常に大きいので三百十五万に二十万を足しまして三百三十五万の要求を出しました。ところが、大蔵省で査定を受けて、大臣に復活要求をしていただきまして、電電は結局五%伸びにおさめたのでありますが、その際に、電話だけはどうしても三百十五万よりよけいやりたいということで、三百二十万という案でいま国会に出ております。ですから、最初にわれわれが考えました第五次五カ年計画のときは、昭和四十九年度は三百十五万に対しまして、むしろ五万ふえて三百二十万ということになっております。そのかわりデータ通信であるとか、そういうものは大蔵省が査定してまいりましたから、その査定には従いました。ですから電話最優先で編成した、こういうことでございます。
  104. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それでは、先ほど福祉優先の精神を十分盛り込まれているという話の中から、身体障害者あるいは寝たきり老人、こういう方々に対して便利に使えるようなものをいま考えておりますということでございましたが、現在実用化しているもののその利用状況、それから今後開発されるであろうという、そういう機器、また今後の開発の、その実用化はいつごろか、その見通し、そういう点をお尋ねしたいと思います。
  105. 玉野義雄

    ○玉野説明員 お答えいたします。  現在そういう方々のためにできておりますのは盲人用のダイヤル盤がございますが、これは、手でさわればどの辺に番号があるかということがわかるようになっております。それから盲人の方で交換ができる盲人用のPBXといいますか、交換機でございますが、これを現在すでに出しております。  それから今後開発いたします分につきましては、いわゆる耳の遠い方、難聴の方でも聞こえるように受話音量を調節できる電話機を現在開発中でございます。それからそのほかに、老人の方たちに必要な緊急連絡用電話といいますか、ボタンさえ押せば、これは三つほどございますが、一つのボタンを押せば福祉センターへも、ダイヤルとかそういうものを回さなくても直ちに通じる、ないしは自分のむすこさんのところとか、こういうふうに分けておけばそこへすぐ通じるとか、そういう電話を現在開発中でございます。  現在もうできております盲人用のダイヤル盤につきましては、四十五年の四月以来おつけいたしておりますが、現在までに約七万個準ついております。それから先ほど申し上げました盲人用のPBXの交換台でございますが、これは四十七年の十二月から売り出しておりまして、現在二カ所にこれがついております。  それから先ほど申し上げました開発中の難聴者用の電話機あるいは緊急連絡用の電話でございますが、これにつきましては現在試作検討いたしておりますが、四十九年度の半ばごろにこれを販売するという計画で考えております。
  106. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 いろいろと福祉電話が考えられているという御説明でございますが、それはぐんぐん開発を進めてもらいたいと思うのですけれども、要するに利用者が極力利用しやすいようにしてもらうとともに、いかにりっぱなものができても、その負担が重いものであれば実際問題として活用もなされないと思います。そういう点から、負担も極力軽減してもらいたいという立場から、公社の対処策及び今後の方針を聞きたいと思います。
  107. 玉野義雄

    ○玉野説明員 先ほどの老人用電話ないしは身体障害者用の電話につきましては、これはただいままだ積滞がございますので優先設置基準というのがございますが、国とか地方公共機関につきましては第一順位でおつけするというふうにいたしておりますが、それに準じまして老人用電話とか、社会福祉用の、身体障害者用の電話というのは同じように最優先でつけるということにいたしております。  それから、その次に負担の関係でございますが、これはやはり国の福祉政策全体の中でやっていただくということで、国ないしは県、市町村等にお願いいたしまして、そこで御負担していただくということをお願いいたしまして、現在、たとえば老人電話にいたしますと、市町村で福祉センターをつくりまして、その福祉センターの名前でその老人の宅に電話をつけるという場合がございますが、そういう場合には債券を免除いたしまして、それからあと設備料とか、それから実際に電話をお使いになる場合の基本料とか度数料がございますが、それにつきまして、設備料については国、都道府県、市町村等でそれぞれ三分の一ずつ持っていただきまして、それで負担していただく。それから基本料については、市町村の福祉センターの名前でついておりますので、市町村で、現在ついておりますのを見ますと、ほとんど基本料の全額を負担していただいて、御本人の負担は要らない。それから度数料につきましては、これは市町村によってはいろいろございますが、月に一定額、たとえば四百円までは市町村で負担しますとか、あるいは八百円までは負担しますとかいうことで、できるだけ市町村が負担をいたしまして、御本人にかからないようにというやり方でやっていただくようにお願いしておるわけでございます。
  108. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 いま、負担の問題につきましては、ほとんど市町村のほうが負担しているという話ですけれども大臣にお願いしますが、この福祉電話等、いわゆる福祉問題については特別な配慮を持っていただいて援助していただきたい。地方自治体の負担がこのために非常に重くなっていくとも考えられますので、そういう点も十分配慮されて力強い御返事をお願いしたいと思うのです。
  109. 原田憲

    原田国務大臣 これは役所的にいいますと、私のほうは電電公社にこういうことをやりなさいということで、電電公社は技術的な問題を開発したりいろんなことをやる、だれが負担するかというごとになりますと、これは国と地方だ、国ということになると、役所でいうとこういう場合は厚生省ということになろうと思います。したがいまして、私も国務大臣といたしまして、これらの福祉関係のことが拡大していくように関係大臣ともよく相談をし、財政当局ともよく相談をして、これからも拡大していくようにつとめたいと思います。
  110. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 電話加入区域の問題についてお尋ねしたいのですが、電電公社は四十七年度から全国的に加入区域の拡大を行なっていくということでございましたけれども、どのような方針で対処なさっていくのか。たとえばこういう事実があるんですよ。福岡県の中間市の岩瀬西町二区でございますけれども、ここは炭鉱閉山後の炭住街を開発した新興住宅団地でございます。約五百戸からなる町でございますが、この中にすでに電話加入が北九州折尾局の関係者が二十七戸、中間市の関係が四十二戸、合計六十九戸あるわけでございますが、しかもこの地域は中間の局からわずか二・五キロメートルというきわめて近距離にあるわけでございますが、いまだに加入区域外の地域になっているわけです。そのために、先ほど説明がありましたような非常に重い負担を余儀なくされているわけでございます。全く不合理だということで、最近地元で新設の申し込みをやられた方が、あまりにも膨大な負担を要求されたので新聞投書までしたという事実があるのです。私はこういう不合理、矛盾といいますか、一日も早く打開すべきである、解消すべきである、こう思うのでございますが、この点についてどうお考えですか。
  111. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  まず前段の問題でございますけれども、御承知のように最近非常に社会生活圏あるいは経済圏の拡大が、大都市ばかりでございませんで、いま申し上げましたような地方小都市等にも及んでおります。それからまた、地方における地域開発計画でございますとか、あるいは過疎対策を進めるために加入区域を拡大してくれというような要望が非常に強いわけでございまして、先ほども計画局長が御説明申し上げましたように、第五次五カ年計画の中では三つの柱の中の大きな柱になっているわけでございます。具体的には四十七年度から電話局を中心に、原則としまして半径五キロメートルの円内の地域を普通加入区域に拡大しようということを計画しておるわけでございまして、この進め方でございますけれども、これもキー自動局につきましては線路設備等を拡充する際、あるいは手動局につきましては自動改式、そういうような時期に基礎設備を拡充いたしまして、五十二年度末までに逐次段階的にこの加入区域を拡大していくというような方針をとっております。  後段の、先生ただいま御指摘をいただきました福岡県の中間市の岩瀬西町でございますか、これは現在のところ加入区域外になっておりまして、いろいろな設備の特別の料金がかかることになっておるわけでございますけれども、最近、中間局で線路設備とか局内設備を全部充実しまして、この三月二十日から岩瀬西町地区が普通加入区域に編入されることになっております。したがいまして、いま先生御指摘の、この地区にたぶん百二十六名だと思いましたけれども、新規の電話をつけたいという方がございまして、新聞投書された方もございます。その方は三月二十日以降、普通加入区域ということになりまして電話がつけられることになる運びでございます。
  112. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 いまの説明によると、中間岩瀬西町ですかね、この地域は三月二十日以降は普通地域になるんだ、これまでの余分の負担は一切かからなくなる、こう理解していいですね。
  113. 小畑新造

    ○小畑説明員 ただいま先生のおっしゃったとおりでございます。
  114. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 いまもお話がありましたように、百二十申し込みがあっておりますし、さらにふえる見通しでございます。たいへん住民が心配していたことでありまして、この情報を聞けば喜んでもらえると思います。  郵政大臣にお尋ねしたいのですが、こういう非常に矛盾した地域が他にも幾らもあろうかと思いますけれども、これはやはり行政的な問題だけじゃなく、政治判断を要する地区がたくさんあろうかと思うのです。的確な判断のもとに、一日も早くこういう矛盾地区を解消してもらうように極力援助をお願いしたいということでございますが、いかがですか。
  115. 原田憲

    原田国務大臣 ここに総裁も各電電公社の幹部も、みな担当者がおりますから、よくそういう御発言の旨を体して、適宜適切にやるようにしていきたい、このように申し上げておきたいと思います。
  116. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それでは、次にお尋ねしたいことは、電気通信施設の防災についてでございますけれども、どんな考えで対策を進められているのか、まずお尋ねしたいと思います。
  117. 山本孝

    山本(孝)説明員 ただいま御指摘のありました電気通信施設の防災計画につきましては、四十三年五月の十勝沖地震の経験にかんがみまして、四十四年から三カ年計画でそういう災害特別対策として三つの柱を考えておりますが、一つは、罹災地域のために他の都市の相互間の通信が途絶しないということと、第二番目には、被災した都市と他の都市の間で最小限の通信ができるような手段を講じたい、それから災害が発生しましたときには、できるだけ早くこれを回復する体制を整えたいという三つの柱で実施いたしました。ところが、四十六年にロサンゼルスの地震がございまして、これで都市の直下における地震の場合の問題が出てまいりましたので、さらに四十七年度から防災三カ年計画を立てまして大都市を中心に実施をしております。
  118. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 移動電話局装置といいますか、その配備が進められようとしておるわけですが、四十九年度はどのような計画になっているのかお尋ねします。
  119. 山本孝

    山本(孝)説明員 非常用の移動電話局装置につきまして四十九年度の予算案に計上しておりますのは、地方の行政中心都市であります札幌、仙台、新潟、金沢、福岡、横浜、広島、高松の八カ所を予定しております。
  120. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 災害発生時の緊急通話というものは、いまも話がありましたように、いろいろな問題があるわけですけれども、特に事後の対策上きわめて重要なものと考えるわけでございますけれども、お話によれば全国の市町村役場などの移動無線機の配備が計画されているように聞いておりますが、どのような計画になっているのか。それと同時に、緊急時の皆さんの気持ちが転倒しているようなときですから、その移動無線機というものが一般のしろうとでも十分使えるような内容になっておるかどうか、それもお尋ねいたします。
  121. 山本孝

    山本(孝)説明員 ただいま御指摘の孤立防止用移動無線機でございますが、これは全国の市町村、対象約三千カ所を予定して配備したわけでございますが、その後市町村内でも孤立するおそれのある支庁だとかあるいは出張所まで含めまして、四十八年度末で約四千五百カ所に配備をいたしました。  それで、これはただいま御指摘のように、いざという場合には動転している場合もございますし、それからしろうとの方が御使用になる場合もありますので、簡単な説明書がつけてありますし、それからどなたが使ってもすぐ使えるように、受話器を上げればすぐ通ずるというような簡単な装置になっておりますから、非常の場合に有効に使えるのではないかと思っております。
  122. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 全国の市町村役場に配備するというのですが、もうほとんどそれは行き渡っているということですか。
  123. 山本孝

    山本(孝)説明員 先ほども申し上げましたように、現在、四十八年度で全国で四千五百カ所配備いたしますが、四十九年度の六百個を提案しておりますけれども、これを配備いたしますとほとんどのところに配備することになるわけでございます。
  124. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 もう時間が参りましたので、最後に一言郵政大臣にお尋ねいたしますが、郵政事業の重要性は先ほど申し上げましたとおりですけれども、最近郵袋盗難事故等が起きておりますが、非常に問題だと思います。こういう郵政事業の上に起こる事故に対する今後の防止対策の基本的な考え方をお尋ねしたいと思います。
  125. 原田憲

    原田国務大臣 郵政省は、いま御指摘のありましたような、お金を預かり、貯金も預かっておるし、また、為替を組んで送るとか保険とか、こういうような業務をやっておるわけでございます。したがいまして、綱紀というものを厳正に守り、間違いのないようにということを特に私は就任以来強調をいたしておりまして、それでも残念ながら不祥事が起こっておらないかというと起こっております。まことに遺憾なことでございますが、先般も私は次官を呼びまして、このことについて、関係団体といえどもこのような事件の起きないようにということをかたくお互いに戒め、厳重に通達をして、ここに電電公社の総裁も来ておられますが、お互いに注意をする、こういうことをかたく行なっておるところでございます。
  126. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて大橋敏雄君の質疑は終了いたしました。  次に、大出俊君。
  127. 大出俊

    大出分科員 ちょっと通告をしてあります質問の中身と変わった点もありまして、さっき緊急に連絡はいたしておきましたが、きょうは声わずらいをいたしまして少し声がかれておりますから、聞きづらい点はお許しをいただきたいと思います。  まず最初に公社の皆さんにお伺いをしたい点が二点ございます。中身はここに公社の予算にかかわります業務委託会社に対する出資計画がございますけれども、この中で一つはポケットベルの業務に関する委託会社、これに出資額で一億四千万円、これは八社に対してでございますが、それから末端機器の販売、保守の委託会社に七千五百万円、これは二社でございます。この二件をめぐりまして、公社並びに監督官庁でございます大臣のお考えを承っておきたいのであります。  まず第一の点は、ポケットベル・サービス等に対しましての出資でございますが、設立のときに出資をするというならばそれなりに話はわかるわけでありますが、既存の企業にもこれから出資をするということでございますために、二、三承ってみますと、委託業務という意味もあり、資本の安定という意味もあってけっこうなことである、だがしかし、どうも私の会社ではという、何となくひっかかる御返答もございます。確かにそういう返答を聞いてみれば、私にもいささか疑問な点もございます。そういう意味で、なぜ一体いまになってポケットベルの会社に——これは東京、横浜等をやっております日本通信サービスあるいは近畿の近畿通信サービス、これはわかりますが、そのほかに地元の商工会議所、商工会などがやっております、これは自己資本でございましょうが、確かに資本金が二千万、五千万というような会社であります。こういうものもあるわけでありますから、そこらのところをまずもって、どういう基本的な考えで来年度に向けて既存会社への出資も含む方針をお出しになったのかという点を承りたいのであります。
  128. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  ポケットベルという方式は、アメリカで始まりましたのを日本が採用したものでありまして、もう大出委員も御存じのように、中身は省略いたします。  それで、これを最初やりましたときには、そんなに全国各地にいくものではない、せいぜい東京、大阪、名古屋辺でおしまいではないかと思っておりましたが、案外これが非常な需要を呼びまして、全国いろいろなところからやりたいということであります。しかし、公社といたしましては、その会社というものは地域的にはやはり独占にしたい、たとえば北陸でいえば三県一つにまとめてやる、そうしないと、大体いわゆる民間放送みたいにあまり利益の出るものではない、ただしかし、公社とすれば、それを持ってベルが鳴ったら、今度はその鳴った人は、片通行でありますから、公社の電話を使ってまたやる、ですから国民の利用される方には非常に便利になる、やはり国民のためになるんだということで、初めはせいぜい三つぐらいしかできないと思っておったのが、あっちこっちでやりたいとたくさん出てまいりました。しかしまた、あまり弱小なものが出ても困る。例をあげますと、たとえば新潟県に二つも三つもできたりしたら、これもまた変なものだ。したがって、ある程度地域的にまとまったものでやっていただきたい。それからまた、仕事自体も、これは本来の公衆法ではなくて、いわゆる公衆法に関連する業務ということになってまいります。ですから、やはり公社業務に関連いたしますので、資本金みたいなものをそういう弱小な会社に対しては出資して、ちょうど船舶通信という会社がございますけれども、あれと同じように処理したらいいのだというような考え方で進めておるわけでございまして、詳しくは局長から説明いたさせます。
  129. 大出俊

    大出分科員 これは日本通信サービスなんかでも、五千万のところを二千五百万、つまり、二分の一公社の出資になっているわけですね。言うならば、まさに安定株主でもあるわけでございまして、そこらのところに人がついて回るというようなこともあり得るわけであります。かといって、これは公社なしには行なえない性格の一面がございます。そこらにどうも歯切れがいいような、悪いような答えがはね返ってくる原因がある気がするわけでありますが、実はこれはあらためて逓信委員会等でじっくり承りたい問題でございますから、きょうはとりあえず問題提起という意味で承っておきたいのであります。  重ねてもう一点。いまこの利用者が、これを見ますとたいへんな人員にふえまして、四十九年一月末現在のベルサービスの全国の加入者数が二十六万五千五百人をこえているというわけですね。これはますます広がるかもしれない。だから、いま総裁の言われる意味も一面わからないわけではないのでありますが、ただ、既存の企業がありますだけに、そこらをよほど気をつけておやりいただかぬと加入者へのサービスに何かしらの支障でもあるということになると、これは一つの事件であります。そこらのところをどうお考えになるかという点、スムーズにいくのかどうかという点、承りたいところであります。  それからもう一つ、末端の機器の販売、保守委託会社、これは大体どんなところをお考えになっておられるわけでございますか。その二点について伺います。
  130. 玉野義雄

    ○玉野説明員 前段のポケットベルの関係でございますが、おっしゃるように需要が非常にたくさん出てまいりまして、四十八年度末では大体三十万に、三月ごろまでにはなる予定でございます。それから来年度につきましては、約十五万四千ほど増設を予定いたしておりますが、これらにつきましては、今回一億四千万の出資等もございますが、これに関連しまして、会社のほうで増資いたしまして地域拡大をするとか、そういうことをいたしまして十分対処できるというふうに考えております。  それから、先ほどございました二段目の話でございますが、これは場所といたしましては、四十九年度では東京、大阪二カ所だけを考えております。
  131. 大出俊

    大出分科員 前段の件は、たいへんけっこうなお話でございますが、当社は当面増資の計画がございませんなんていうことをおっしゃる会社もなきにしもあらずでありまして、その辺はよほど慎重にお願いをいたしませんと、妙な混乱が表に出ることはやはり仕事の性格上問題があると思っておりますので、慎重な御配慮をお願いしておきたいわけであります。  重ねてあとから申し上げますが、いま二番目にお答えをいただきました、この末端機器の販売、保守委託会社、ビル電話とかあるいはPBX、これは交換でございましょう。あるいはビジネスホンの販売及びビル電話、PBXの保守が入っておるわけですね。これは新期増設分ということなんでございましょうが、これは一つには公衆電気通信法がございます。あるいは公社法もございます。そうした意味で、電電公社でなくても販売ができるということになるのではないかという見方を私はするのでありますが、となりますと、どうもこれらの法律のたてまえ上、どこまでが一体筋の通ったことになるのかという、そういう心配も一面ございます。したがって、まずこの販売、保守まで含めて委託会社に預けるという、つまり五十年三月からでございましょうか、その考えの基本となるべきものは一体何かという点をまずお答えいただきたいと思います。
  132. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  詳しくは局長から答弁させますが、電電公社といたしまして、たとえば土曜、日曜に電話を動かしてくれ、ことにいわゆるセントレックスというようなものは大体ビジネス関係ですから、これを土曜、日曜に動かしてくれというのが大体主体になってまいります。そういたしますと、電電公社では、大体日曜日は、保守の人は、ごく大事なメンテナンスしかやらないので、そういうところをやる場合にどうもやりようがない。公社の人はやらないし、また要望は拒否することもできない、そういうようなことが一つございます。したがって、この問題につきましては、公社法上郵政大臣の認可を受けまして委託を受けてやる、これは法律的にはできるわけでございまして、いずれこれは予算が通ったあとで政令が必要でございます。そして、ちょうどこれは船舶通信というのがございますが、あれと同じようなものでありまして、やはり実態に合ってこういうものがないと公社としても非常に困るということになっておる次第でございます。
  133. 大出俊

    大出分科員 これは悪いことばを使えば、一つ間違うと公社事業の切り売り、大臣認可に基づきまして次々に委託というかっこうで民間に持っていく、まあ言ってしまえば切り売りをするのか、そうなるとなれば、一体公社はどこまで今日の公社事業を切り売りするつもりか。法的にやればできるのだということになるとすれば、これは一体その意味の歯どめというのはどこにあるのだ。逆にもう一つ職員の側からすれば、そういうことを次々にやられたのでは一つ間違うと職場の縮小につながる。電電関係の機器一切を含めまして、たいへん早いスピードで変わっていっておりますから、いままででもA型だH型だといっているうちに、そこから先、次々に変化をしていく。これは電子交換なんていいますと旧来のものと末端が違うというので、職場に行くと大きな混乱で、一人ピックアップして公社が持っていって訓練する、先生ができ上がっておりてくるなどというのはもってのほかだということになる。働く人間は、みずからの技術がスクラップにされることをきらうわけですね。そういうところもありますから、将来に向かっての大問題だというとらえ方をなさる方々もいる。したがって、一体どこまでが委託に持っていく、つまり私流に言えば、公社事業の切り売りをする限度なんだという、歯どめはどこにあるのか、ここらもございましょう。そこらをさらっとひとつお答えいただきたいのです。
  134. 玉野義雄

    ○玉野説明員 いまの端末の関係でございますが、公社といたしまして考えておりますのは、いま端末機が自営と直営と両方ございまして、これが競合しておるわけでございますが、その競合部分についてだけ考えておるわけでございます。したがいまして、競合している部分について、従来公社が直営でも売っておるわけでございますが、その部分の範囲内で考えておるわけであります。ですから、競合していない部分は完全に公社直営でございます。それでやっていく考えでおるわけでございます。
  135. 大出俊

    大出分科員 それについても議論がございます。ただ、これは時間がなくなりますからこの場は避けますが、そういう形にしていくことが公社法なり公社事業なりの本来の性格からいってなじむものかどうか、これは私は、論理的にこの辺に歯どめを置いてということが出てきても、なおかつ残る疑問であり、問題点だという気がするのであります。そこらのところをひとつ総裁から最後にお答えをしていただきたいのです。
  136. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  電電公社といたしましては、国民のために電信電話サービスを提供し、設備を拡充する。したがいまして、今度出資が予定されておるというものも、基幹的なものはそういうところに頼む意思は毛頭ございません。ただ、先ほど申し上げましたように、実際土曜、日曜に移転してくれというのにこっちはやりようがない。管理者がやるというわけにもいきませんし、そういう端っこの、ごくささいなものだけやらせるということでございます。  なお、この問題につきましては、労働組合のほうもおそらく関心があるかもしれませんが、労働組合に対しましては、ある時期におきまして十分説明していきたいというふうに考えております。
  137. 大出俊

    大出分科員 労働組合のほうに関心があればこそ、実は冒頭に申し上げたように予定変更した質問をしているのでありますから、そこらは大臣ひとつ最後に——郵政事業にもございます。機械化をするいろいろな分野で、切り離そうとすれば切り離せるものもあります。行政管理庁もまたそういう方向をある一面持っております。だがしかし、本来の性格上そこらは慎重に、つまりこの事業になじむもの、国がやっているわけですから、そこらのところは、これは政治の分野にも属しますから、どう考えるかという基本線をひとつどこかできめておいていただかなければ、組合のほうからも意見が出ると思うのでありますが、そこらは一体大臣どうでございましょうか。
  138. 原田憲

    原田国務大臣 これは正直言いまして、こまかい末端のことはいま私は勉強しながら聞かせてもらっておりまして、まことになんですけれども、これはなかなか重大なことであると思いますので、私といたしましては慎重に対処してまいりたい、このように思います。
  139. 大出俊

    大出分科員 かつて、公社はオンラインシステムの線路を持っておるわけでありますから、データ通信等でいろいろ公社でなければという方式をおとりになったときに、ある新聞がまっ向から反対する、ある証券会社などがまっ向から反対をするなんという騒ぎが起こりまして、なかなかこれは政治的なもめごとに発展をした時期があります。一つ間違いますと、広げ方いかんによっては将来その種のことができかねない危険な分野もないわけではない。そこらをひとつお考えいただきまして、新しいものができるから、新しい会社でやる、出資比率はこうである、あるいはあるものに増資をする。ところが、巨大な電電公社事業であり電電公社組織でございますだけに、なかなかそれぞれの勢力間にむずかしい問題も出てくるわけでありまして、ここらのところをどういうふうに将来を展望して整理をしながら、一番大事な職場で働く諸君のものの考え方とどう調和を保ち得るかというむずかしいところは、これからあらためてまた委員会でやりますが、十分慎重にお運びいただきたいと思うのでありますが、最後にひとつ総裁からもう一言お答えいただきたい。
  140. 米澤滋

    ○米澤説明員 御趣旨の点は十分よくわかりました。労働組合ともいずれトップ会談等におきましても話して、十分慎重に処理していきたいと思います。
  141. 大出俊

    大出分科員 実はいままでの間にむしろ組合と話をしておいていただきたかったというのが私の悔いでございますけれども、ぜひひとつよろしくお願いをいたします。  続けて申し上げますが、郵政関係についてあと承りたいのでありますが、ILOが労働組合である全逓にかかわります最終報告を出しております。その中に、「ストライキ参加者に対するそのような制裁の適用から生ずる報酬上の恒久的な不利益及び関係労働者のキァリアに対する不利益な結果について政府に示唆したことを想起することを理事会に勧告する。」こういう一項がございます。これはILOの百七十九号事件始まって以来私自身の問題でありますから、長い間タッチしてまいりました。昭和三十三年春闘で私が全逓本部書記長時代に、田中角榮郵政大臣がおられまして私の首を切ったわけでありますけれども、三十三年から四十九年でありますから、まあ足かけ十六年間たつわけであります。処分、首を切られた第一号は私でございますけれども、以来この十六年間、郵政省は実損の回復という、つまりILOで金銭上の、俸給の面の不利益な取り扱いが長く続くことはよくないといっているわけでありますが、大体十六年間続き続ければ長く続いたことになるだろうと思うのでありますが、ILOのこの最終勧告は、各新聞の社説は国際的な常識であろうからすなおに労使双方とも従って考えるべきであろうというのが大勢であります。そういう意味からいたしますと、実損回復、事郵政に関する限りはゼ口であるというのは、その間にいろいろな理屈がありましても、筋の通ったしろものではないという気がするのでありますが、そこらはまずどうお考えでございますか。
  142. 原田憲

    原田国務大臣 法律的な、あまりかた苦しい話は私は得意としませんが、いまお話を伺いまして経緯は私も存じております。だから逆にいって、田中角榮が首を切った大出氏は、それを機会にいまや国権の最高権威機関である国会の議員として、野党ではありますけれども、経験豊かな良識ある国会議員として活躍をしておられるという面もあろうかと思います。人生というものは棺をおおうてみなければわからぬものだと思います。  いまのILO問題は、あなたには釈迦に説法でございますが、私は別の分野で、文教の分野等でやはり同じような問題と取り組んできまして、いまや結論はもう日本の国の中で解決をしなさい、こういうことになっております。  そこで、具体的な問題として、いまの過去の損害をどうするのかということにつきましては、これはもうゼロにしろ、こういうのがあなたの御主張であろうと思いますが、私どものほうは、かた苦しくいうとそうはいかぬ。しかし、これをもう何もやらぬというのではない。どういうふうにしてこういう問題を解決していこうか、こういうことになりますと、いまでの大臣もそうおっしゃったんだとは思いますけれども郵政省の中では特別昇給制度という中でこれを解決していきたいということを組合との場では言っておる。ここは政治の場でございますから、私はもうスト権奪還のためのストだとか、そういうことでなしに、これは政治の場でできれば解決をしていくのが本筋だと思います。現在も時たまたま春闘ということで政府側もそれぞれ関係閣僚が出て交渉いたしておりますが、私は、いま幸い政治の場で大出さんからお尋ねがございましたが、かた苦しい話になりますけれども、いわゆる特別昇給制度という中で解決をしていきたい、このように考えております。
  143. 大出俊

    大出分科員 きのう私、たまたま春闘の場ですから小坂総務長官に少し承ったのですが、きょう新聞に幾つか載っておりますように、力で対決の時代は去ったんだ。つまり新しい労使慣行に向かって歩を進めなければいけないという、これは関係閣僚の打ち合わせの席で言った言わないは別として、そういう真意なんだという話をしておられましたが、まあぽつぽつ、お互いに子供同士がやっているわけじゃないのですから、そういう考え方が根底になければならぬ時期に来た、こういう気がする。そこで、特別昇給の制度というのが確かに制度としてはつくり得るわけであります。しかし、つくるかつくらぬかということは、これは労使間の団体交渉の場できめることであります。したがって、いま原田さんは冗談をちょっと入れられましたか、角さん——角さんとつい口に出るんだが、彼が私の首を切ったんだが、そのときに私もこれはたいへんな実害をこうむっているんですよ。私、昭和十四年に横浜の鶴見の郵便局に郵便配達で入ったわけですから、この時代から計算をいたしますと、二十年で恩給がつくんであと一年なんですね。もう一年おれの首をつないでおけば恩給がついているわけですが、いまさらその実損回復をといったって、こればかりはどうにもしようがないんだけれども……。しかし私のような立場でなくて、現に長年、つまり私と一緒に三十三年に処分をされたような方々は、あれからしらがになったりはげになったり、みんな一生懸命郵便局等につとめておる方々なんですよ。この方々が十六年間にわたって、さて昇給の延伸であるとか減給であるとか、あるいは昇任昇格であるとか、みんな何がしかの犠牲をこうむって今日に至っているという現実がある。これは労使間でまとまらないんだからゼロなんだ、実損回復はできないんだ。じゃこれが労使間でまとまらなければまた十年間ゼロでございます。特別昇給は十年間またできなかった、とうとう二十六年たちました。それでもゼロでございますということになると二昔たっちゃうんですから。ILOの最終報告に至る間に何べんもものを言っている実害排除ということ、つまり金銭上の不利益や身分上の不利益がストライキをやったがゆえに長くついて回るということはあり得べきではない。これはドライヤー勧告などにいたしましても、政令二百一号でスト権を絶対的に、つまり完全に奪ってしまったことが日本の公務員における労使間の深刻な紛争を巻き起こす原因であったということを指摘している。これは十三節二千百二十一号というドライヤー報告でありますが、政令二百一号によってもたらされた公共部門のストライキの全面的絶対的禁止、これがその後の労使関係にたいへんな結果を生んだんだと言っている。だとすると、定期昇給や特別昇給制度ということは大きな理由ではない。いずれにしても国際的な労働基準、その考え方からいって実損の回復はすべきであるという考え方に立って何回もものを言った限りは、技術的な問題じゃない。考えればいろんなことがある、考えれば幾らでもある。だからそうではなしに、結果的にゼロではなくすることにならなければ意味がない。だからそこを、大臣はいま特別昇給制度とまたおっしゃるが、そこのところにこだわっていたのではILOのいっている趣旨は通らない。労使関係というのは一方的にあれするのじゃないのですから。この春闘でそこの問題を片づけなければならぬという春闘の舞台裏を動かしている政府の方々の考えがあって、私にも二、三話が来ておりますが、それだけにここで特別昇給ということだけが頭にある大臣のものの考え方では、この春闘はそれだけでもそう簡単に片づかない。そこらは一体どういうふうにお考えになりますか。
  144. 原田憲

    原田国務大臣 これはいまの大出さんの話で、スト権を奪ってしまったというところに一つの問題点がある。これも確かなことであろうと思うのです。しかし、いまの日本の組合の中に、いわゆる直接な公務員と、あるいはいまの全逓、電電あるいは林野というような三公社五現業といわれている部面とまた違った一つの見方というものがあるということは、これは日本へ初めて調査団が来て、来ることがよいのか悪いのか、こういう議論もして、いいじゃないか、見てもらったらいいじゃないかということで、政府側で、外務省等はそんなことは、日本を大国と思っていますから、そこで恥ずかしいという考えもある人もある。だけれども、そこまでいったのなら率直に見てもらったらいいじゃないかというほうに私はその当時考えたほうです。そこで、それからずっと来てまして、いまでもものの中にはこれは民間にまかせてしまったらいいんじゃないか、そうしたら一ぺんにスト権の問題は解決してしまう、こういう意見も出てくる。いろんなことがありまして、いま日本の国内でどういうふうにして解決するかということを、公務員制度審議会から今度はまた連絡会議ですか、これのほうでやっておるのですね。いま言いました特別昇給というものも、これは同じような現業でほかでもやっておるところがある。そうしますと、私のほうでそれはもういいんだ、やめるんだ、ちょっとこれはまことにおとなげない話になりますけれども、国会の場で大出さんと私とが質問応答を繰り返している中で、いや、そうだ、これはおとなになってやめよう、こういうことは少し私としてはいま言いかねる。したがいまして、それらの問題を含んで、これらのことは必ず速記録にもなりますし、必ず組合の人たちにも伝わりますから、空気というものは以心伝心のようにすぐ伝わるものでございますから、これは含みながら問題解決のために前進を続けていくべきじゃないか、このように私は考えます。
  145. 大出俊

    大出分科員 大臣がいまおとなげない話だとおっしゃいましたから、私もおとなげないと思って聞いているのですから、この点は意見一致なんですよ。お互いにおとなげないと思っているのですから、おとなげないことはやめたほうがいいのです。そこまで言うとあなたはまた反論するからやめますけれども、以心伝心でわかるというところだけいただきまして、おとなげない話だから以心伝心でわかる、いや大臣、私もおとなげない話だから以心伝心でわかったということにします。  ところで、もう一つ問題は、郵政省の職場環境の非常に大きな変化ですね。私のいた時代というのは——私、長く郵便配達をしたことがありますけれども、保険、貯金の集金をやったこともありますが、当時は地下たび、巻ききゃはんでございましてね、手紙を持っていったら引っ越しちゃっていないのですね。隣の集配区、局が違うのですけれども、聞いたらあそこだと言うので、帰局時間が少しおくれるけれども届けてやろうなんて思ってのこのこ行って置いてきて、逆に郵便の取り締まりにおこられたりしたことがある。つまり価値観の問題なのですね。これは転居先不明だけれども、何とか行ってやらなければという気持ちになる扱い方を実はしていたわけですね。ところが、いまになるとダイレクトメールでございますから始まって、百貨店の下請稼業みたいに大きくなる、重くなる。団地は上り下りが多い。大きなものだからいきなり下のポストのところに置いてくるわけにいかない。いいかげんいまの世の中というのはばかばかしくなっちゃうのですね。だからその意味では、いまの職場の若手の方々というのは昔の考え方と全然違いましてね。つまり、このはがきを一生懸命どこまで届けなければという気持ちはない。重要なことなら電話があるじゃないか。これは総裁が隣におるけれども、たいてい電話ですな。だから、そういう職場環境であるという前提に立ちますと、なかなか着流の考え方が理解できない、入っていかない。そこにいまの末端の労使関係というものが存在をする。したがって、そういう意味ではさっき申し上げた特別昇給だ云々だというのでいつまでもやっていると、そのぐらいいいじゃないかと言ってみたって、末端のほうはそんなことはということになっちゃうのですから、そこらは今度の春闘ではお互いに考えて、この辺でひとつ労使関係の手直しをする、そこらあたりの御努力をいただきたいと思うのですよ。ひとつ大臣に、またどうも潮どきが来ましたからストライキだなんだという騒ぎが起こるのですけれども、小坂さんじゃありませんけれども、だから処分をするというだけが能ではない。一体実際あるものをどう形を変える努力をするか、それが一つ必要になっていると思うのですよ。時間がありませんから実はしゃべりっぱなしになりそうですけれども最後に、今回の春闘に対処する労使関係という面での大臣の御見解を承りまして、終わりたいと思います。
  146. 原田憲

    原田国務大臣 今回、政府は田中総理をトップに総評、同盟その他の方々と会見もし、引き続いてお会いをして話をしておることは大出さん御承知のとおりであります。私のほうの全逓とも正常化しようじゃないかという呼びかけに対して組合の諸君もよろしいというところまで来て、いまもうあなたよく御存じの北君、練達の士であります。ほんとうに一生懸命になって努力をいたしておりますので、この呼びかけに対して組合が応じて正常化していこう、こういうことを大事に私は考えてこれから対処してまいりたいと存じます。
  147. 大出俊

    大出分科員 きょうはどうも大変失礼をいたしました。
  148. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて大出俊君の質疑は終了いたしました。  午後二時より再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時十九分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  149. 稻村佐近四郎

    稻村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  郵政省所管について質疑を続行いたします。河上民雄君。
  150. 河上民雄

    河上分科員 私は、重度の精神薄弱者に対するNHK受信料の免除の実態につきまして御質問したいと思います。  NHKの受信料の免除基準というものがございますが、その第十七項でありますか、それによりますと、「市町村民税非課税の重度の精神薄弱者」という項目で「所得税法(昭和四〇年法律第三三号)に規定する特別障害者のうち児童相談所、精神薄弱者更生相談所、精神衛生センターまたは精神衛生鑑定医により重度の精神薄弱者と判定された者(以下「精神薄弱者」という。)を構成員に有する世帯で、かつその世帯を構成するすべての者が市町村民税(特別区民税を含む。)非課税の場合、その世帯に属する精神薄弱者またはその者を世帯構成員に有する者がその住居に受信機を設置して締結する放送受信契約」、これにつきましてはその免除をすることになっているのでございますが、この点については現在もそうなっておりますね。
  151. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 そのとおりになっております。
  152. 河上民雄

    河上分科員 この問題につきまして私は政府にお尋ねし、また特に大臣には、重度の精神薄弱者に対する問題であるだけに御考慮をいただきたいと思うのであります。  というのは、これはお読みになってすぐわかりますように、こういうカテゴリーに当たる人がどれだけいるだろうか、たとえば市町村民税非課税というのは一体どのくらいおるのか、その実態を考えてみますると、ここにこういうようにうたわれておりましても、この恩典に浴する者は非常に少ないのじゃないかと思うのであります。したがって、このようにうたわれておりましても、この恩典を、免税の措置を受けようと思って行きますと、あなたはもう、あなたあるいはあなたの家族が市町村民税を払っておるからこれに該当しないんだというふうに断わられるケースが非常に多いんじゃないかと思うのであります。特に去年の九月から療育手帳制度というものが実施されておりますけれども、その中に「精神薄弱者に対する援助措置として次に例示するようなものがあるが、」ということで、療育手帳に五つの援助措置がとられることがうたわれております。その第一は特別児童扶養手当、第二は心身障害者扶養共済、第三が国税、地方税の諸控除及び減免税、第四が公営住宅の優先入居、第五がNHK受信料の免除となっております。したがって、療育手帳の交付を受けた人は当然NHKの受信料の免除が得られると思って行きますと、今度はこのNHKの放送受信料免除基準によりまして、市町村民税が非課税であるかどうかということが問われて、非課税でない者はこの恩典に浴することができない。法律とかそういうものを知らないのは、知らないほうが悪いということかもしれませんけれども、これでは非常に大きな期待を与えて、しかし非常に大きな失望を実際に与えてしまうということになるのではないかと思うのであります。  いま私はこういう規定自体を問題にするわけでございますけれども、この十七項で実際にこれに該当している人は、いまどのくらいございますか。
  153. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 四十九年度におきまして約三百六十件という予定になっております。
  154. 河上民雄

    河上分科員 逓信委員会に提出されたNHK予算の説明書、昭和四十八年度のをちょっと調べたのですけれども、それによりますと、去年は二百二十件になっておりますね。去年が二百二十でことしが三百六十、こういうふうにふえておりますのは、これはどういうことからでございますか。
  155. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 毎年申し出が少しずつふえてきておるということで一応の推定をしたわけでございます。
  156. 河上民雄

    河上分科員 そういたしますと、これは、こういうものに該当する家庭に対して、あなたの家はこうなっておりますよということをNHKとか、あるいはこれは郵政省でおやりになるのかどこでやるのか知りませんが、役所のほうで通知をするわけではなくて、それぞれの家庭から申請するという仕組みになっておるわけでございますか。
  157. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 これは郵政省ではございませんで、NHKが免除の申し出をまって措置するというたてまえになっておりますが、NHKは機会あるごとに周知はしているはずでございます。
  158. 河上民雄

    河上分科員 大臣、いまのをお聞きになったと思うのでございますけれども、二百二十人とか三百六十人、これは実際の精薄者の数から見ますと非常に少ないんじゃないかという気がするのです。  事務当局に伺いますけれども、いま精神薄弱者というのは日本でどのぐらいおるのか、また療育手帳を交付される精薄者、程度によりましてAとかBとかランクがあるようでございますけれども、NHKの免除を受ける資格のある精薄者というのは、一体そのうちどのぐらいおるのか。
  159. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 重度、最重度という区別でございますけれども、それの精薄者の数は約八万二千三百と出ております。
  160. 河上民雄

    河上分科員 局長、それではこのNHKの受信料の免除を受けるのは、その全部ですか、それともそのうちのあるランクの方ですか。
  161. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 これは八万二千三百の方のうちの一部でございます。
  162. 河上民雄

    河上分科員 一部というのは、大体どのくらいの数でございますか。
  163. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 ちょっとその数は把握いたしておりません。
  164. 河上民雄

    河上分科員 正確な数字じゃなくてもよろしいのですけれども、大体のことを。こういう制度を設ける以上は、大体対象者はどのくらいいるかということも全然考えてないのもおかしいと思うのですが、正確な数字は、別に食い違っておったからといって責任を追及するつもりはありませんから、大体のところでけっこうなんですが……。
  165. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 こういう問題はややもいたしますと、申し出を受ける場合でも、世帯から申し出をちゅうちょされる方も相当あるわけでございまして、正確な数字はなかなかつかみにくいわけでございますけれども、約六千程度あるのではなかろうかということでございます。
  166. 河上民雄

    河上分科員 局長、そういうのは、大体医学的な基礎があって、人口千人に対して何人とかそういうようなことで、ある程度の数字がつかめるのではないかと思うのですけれども、いずれにせよ、いまの話で六千人ぐらい。ところが実際には、いまお話しのように、昭和四十九年度でも三百六十人というふうに推計して用意しておられるということになりますと、重度身障者でNHKの免除基準十七項に該当する、まず前段に該当する「重度の精神薄弱者と判定された者を構成員に有する世帯」というのがございますが、その重度の精神薄弱者と判定される方が大体六千人おる、そのうち実際にこの規定で恩典に浴している人は、去年は二百二十人、ことしは三百六十人ということだそうですけれども、これは非常に実態から見ますと少ないんじゃないかということを思うのです。  これはどこかに何か欠陥がある、この制度そのものに非常に欠陥があるじゃないかということを言わざるを得ないのです。いま、お役所は全然関係ない、NHKが周知徹底をはかっているはずだというお話でして、六千人該当者がいるはずだ、そのうち実際に恩典を受けているのは二百人か三百人であるというお話ですが、これには二つ理由が考えられると思うのでありまして、まず第一に、周知徹底が行き届いていないためにこういう恩典があることを知らない場合。もう一つは、療育手帳などをよく読んで、ことに五項目書いてありますから、その最後にNHK受信料の免除というふうに書いてありますから、自分は、わが家はこれを受けられるというので行ってみた、申し出てみたところが、なるほど当たるけれども、そのあとの後段の条件、つまり市町村民税を払っている者はだめなんだということではねられてしまう、こういう二つの理由が考えられると思うのです。  いずれにせよ、せっかくの規定ではありますけれども、その恩典に浴する人は非常に少ない、こういう点を一体大臣はどうお考えになりますか。
  167. 原田憲

    原田国務大臣 NHKはこの事業を始めまして以来、教育だとか社会福祉関係にはできるだけの協力をするということをやっておりまして、その面でいまお尋ねのような減免措置ということが行なわれておるわけでございますが、その中にはお尋ねのように、もっと範囲を、ほんとうは受けられるべき人が受けられ得ずにおるんではないか、こういうことがあるんではないかというお尋ねのようでございますが、私も、その点におきましてはそうであろう、こういうふうに考えます。
  168. 河上民雄

    河上分科員 郵政大臣としては、これはNHKがやっておることだから、自分のほうは監督するだけだという気持ちが若干あるかもしれませんが、「療育手帳制度の実施について」という通達がございます。これは各都道府県知事、指定都市市長あてに、これは厚生省でありますけれども、厚生省児童家庭局長通達になっておりますが、その中にさっき申し上げた五つの恩典が指示されておりますが、その五にあるのは「NHK受信料の免除」ということだけであって、NHKの免除基準にかかわるような市町村民税の非課税という条件がうたわれていないわけです。そうなりますと、一方で、厚生省からの通達で地方自治体が該当者の方に徹底する場合には、そういう市町村民税の非課税のことはあまり徹底しない形で伝えられているという可能性があるし、私は事実そういう例を聞いているわけです。行ってみたら、それであなたはだめだということで、非常に失望している。何のための療育手帳かという、療育手帳そのものに対する不満を表明されているわけです。  ですから、これは郵政大臣の責任でないと言われるかもしれませんけれども政府として、一方では厚生省で言うことと郵政省で言うことと、あるいはNHKで言うこととみんな違っておる。しかし、その対象になる方、その恩典を受ける方は一つなので、こういう矛盾を、私は政府全体の責任において統一しなければいかぬと思いますね。そうしないと、いわゆる羊頭を掲げて狗肉を売る、NHKは公共機関だからこういうことをやっていますといいながら、実際にはその適用者はほとんどいない、そしてNHKはこういうことをやっていますということをただ宣伝するだけに終わってしまうのではないか、私はそういう気がするのですが、大臣、いかがでございますか。
  169. 原田憲

    原田国務大臣 私は、責任のがれで言うわけではございませんが、いま河上さんの言われたように、政府としてこういう問題についてお互いによく連絡し合ってやらなければ問題がある、こういうことにつきまして、仰せのとおりだと思います。行政上でいいますと、社会福祉関係のことは厚生省が一番詳しいのでございますから、厚生省と、それからこれは福岡市から出ておりますが、福岡市から——いまあなたかおっしゃるように、NHK受信料の免除、こう書かれておったら、みんなだれでも、免除されると思います。思うのはあたりまえです。税金二百円払っていたらあなただめなんですよという、現在の制度はそうなっております、御指摘のように。そうであるのにこれだけ書かれておると、これをもらった人が行って断わられたら、何だと言うのは、私はその人に罪はないと思います。これはこれに書いてあるのですから、そこらのことはもう少しお互いに連絡をし合って——この制度の上では、基準というものはNHKがきめて、そして私のほうで判を押してこのNHKの免除制度というものが成り立っておりますけれども、それを今度地方で生かす場合には、いまのような税を納めている人はだめなんですよとこういうことですから、どう言ったら適当でございましょうか、お互いに、期待感を持って行ったらこれはだめだったということのないようにしなければならぬと思います。
  170. 河上民雄

    河上分科員 それは大臣、さっそくこの点は改めていただくことが、一つの周知徹底という点から見ましても大事なことだと思いますので、そうお考えになりますなら、そういうことをもう少し地方公共団体にも徹底するように、政府全体として責任を持って取り組んでいただきたいと思うのです。いかがでございますか。
  171. 原田憲

    原田国務大臣 よく気をつけてやります。
  172. 河上民雄

    河上分科員 もう一つの問題点は、市町村民税の非課税という条件が妥当であるかどうかという問題だと思うのです。市町村民税の非課税といって、大臣も地方自治のほうのベテランですから御存じと思うのですけれども、市町村民税非課税の階層というのは一体どのくらいの収入だとお考えになりますか。
  173. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 非課税の要件でございますけれども、所得のない者、生活保護法によって生活扶助を受けている者、収入が四十三万円以下の老人、寡婦、未成年者、こういう条件だと思います。
  174. 河上民雄

    河上分科員 いずれにせよ地方住民税の給与所得者の課税最低限は夫婦子供二人で現行で八十六万円、障害者、寡婦の場合、非課税限度というのは現行で四十三万円ですね。これは月にしたら幾らぐらいかということは大体おわかりと思うのですが、こういう低い収入しかない者であっても、地方税を払う基準にもし達した場合には直ちにこの恩典が受けられなくなるという制度は、もしこういうことをうたうならば非常に残酷であるし、事実上これは、項目十七というのは、空文化にひとしいような気がするのです。のみならず、実際にほとんど対象者が存在しないものについて恩典をうたうということは偽善的でさえあるという気がするのですが、郵政省としてはこの規定を承認されたと思うのですけれども、これは非常に実態に即さないものだというふうにお考えになりませんか。
  175. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 御案内のようにNHKの受信料免除基準、これはNHKが自主的に決定するものでございまして、それを郵政省が認可するというかっこうでございますが、免除範囲の拡大ということになってまいりますと、NHKの財政の問題ということとも関連が出てまいりますので、そういう点を十分考慮の上、検討しなければならないというぐあいに考えております。
  176. 河上民雄

    河上分科員 きょうはNHKの方に来ていただくとよかったと思うのですが、NHKにいろいろ問い合わせてみたのでありますけれども、NHKの免除基準というのはやはり低所得者に対する免除という原則を一方で持っておるんだ、こういうことでございまして、赤字というような財政的な問題というのもあると思うのですが、ところが十幾つの免除基準をずっと拝見いたしますと、受信料の全免と半額免除といろいろあるのですけれども、たとえば基地周辺受信者あるいは射爆撃場周辺受信者につきましては、半額免除になっていますね。ところが、ここには収入制限というのは全然ないわけです。基地周辺あるいは射爆撃場周辺の受信者に対する半額免除については、収入制限というのは全くないわけです。ところが、家計に一番大きな負担をもたらすと考えられる精薄者のいる家庭につきましては、ここで収入制限という原則が非常に強く生きておる。そういう点から見ましても、これはこのNHKの受信料免除基準全体を通して考えますときに、重度精薄者の家庭についてだけそういう収入制限という原則を持ち出してくるのは、何か非常に不当だという感じが私にはするのです。もしこういうものをうたうとすれば、この収入制限の一項目、この個所をはずすのが当然ではないか、この十七項についてはなくすべきではないか、前段だけにとどむべきではないかというふうに私は思うのです。そうでないと、いまお話がありましたように、全国で二百人とか三百人しか恩典に浴さないわけですよ。そうして一方では、各都道府県知事や指定都市の市長あてに出されている厚生省の通達では、一、二、三、四、五として、五にはただNHK受信料免除、こういうふうにうたわれておる。周知徹底の点から見ましても、非常に大きな失望を与えるような形になっております。また内容においても、これは事実上日本全国で二百人か三百人の家庭しか対象者がないというような形になるような基準というのは、どこか何か間違っているのじゃないか、私はそのことを強く訴えたいのです。あまり時間がございませんけれども、これは郵政大臣、再三、NHKの自主的な判断でつくるものだからというおことばですけれども、やはり監督官庁として、こういう点はもう少し親切な、そしてこういう弱い立場の人たちに失望を与えないような施策というものをもっと考えてやるべきではないか、私はそう思うのですが、大臣、いかがでございますか。
  177. 原田憲

    原田国務大臣 私は先ほども申しましたとおり、あなたのお考えを決して否定しておりません。責任のがれもいたしません。そういう方面の施策を伸ばしていくことがよかろうと思います。ただ、逓信委員会でも問題になってまいりますのは、NHKも過去と変わってきまして、もうカラーテレビもあまり伸びないということになってくると、収入というものにもおのずから限度があろう。その中でこれらの施策をやるのに、NHKがやるべきか、あるいは国がやるべきか市町村がやるべきかというような議論も、いま起きてきておるわけでございます。私は、現状はNHKがこれを負担いたしておりますから、NHKが負担をいたしておるということでお答えをいたしておりますけれども、いま河上さんのお尋ねの中にありますこのたくさんな種類の人たちとの権衡の問題、これはいま基地周辺の受信者、射爆撃場の問題も出ましたが、これは防衛庁が責任を持ってやっておるのだと思います。この点をNHKへ払っておるのじゃないかと思いますが、そういうことを含めまして、健康の問題、それから財政負担の問題等も考えながら、今後とも政策がこれらの——いま具体的に問題になりましたのは、市町村民税非課税の重度の精神薄弱者というものを中心にお話しになりましたが、これらも含めまして、今後も慎重に、前進をするように検討したいと思います。
  178. 河上民雄

    河上分科員 それでは、時間が参りましたので、最後に要望といいますか、確認の意味で申し上げたいんですが、いま大臣が、基地周辺の問題については防衛庁の負担であるというようなおことばがちょっとありましたですけれども、また、こういうような問題について、いわゆる福祉政策についてNHKがやるべきか国がやるべきか、あるいは地方公共団体がやるべきかという議論がある。そのことも私伺っておりますけれども、もしそういうことでありますならば、この条項につきまして国としてめんどうを見る、国として受けとめるという姿勢になるといたしました場合には、当然これはこういう収入制限、全国で実際には二百人くらいとか三百人くらいしか適用者がいないというような形にならないように、精薄者を持っておられる御家庭の方に失望を与えないようにやっていくべきではないかと思うのでございます。一つ、国においてやるか、あるいはNHKでやるかという基本問題がございますが、いずれにせよ、療育手帳が去年九月交付されるようになりましてから、各地でこういう、行ってみたらおまえはだめだと言われたという実例が非常に多いわけでございます。そういうことを考えまして、ひとつこの十七項については、どこが責任あるかということは、精薄者を持っておられる御家庭にとってはそれはわからぬことでございまして、あっちの責任だ、こっちの責任だということでなく、いま大臣が言われたように、国がやるかNHKがやるかというこの基本問題を踏まえながら、ひとつこれは前向きに検討していただきますことを要望して、私の質問を終わりたいと思いますが、最後に一言だけ大臣に、その点確認をさせていただきたい。
  179. 原田憲

    原田国務大臣 私は、いまの御意見、お尋ねを踏まえて先ほど答弁をいたしておるつもりでございますから、重ねて同じことになりますけれども、まだ確定もしておらないことをあまり言いまして、期待感で間違いが起こって、そしていま御指摘のようなことが起こって——いま言いましたら、NHKは、厚生省のほうへ口頭で文句が出ますから言っておるんだという連絡が来ておりますけれども、いまの、だれが負担をすべきかという問題は、まだ私も逓信委員会では、NHKが沿革以来こういうことをやってきておるというたてまえに立って答弁をいたしておりますが、お尋ねの福祉関係に対するところの施策を広めていくということについては、私はその姿勢をとっていきたい、このように考えておる次第でございます。
  180. 河上民雄

    河上分科員 終わります。
  181. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて河上君の質疑は終了いたしました。  次に上原康助君。
  182. 上原康助

    上原分科員 私は、おもに沖繩の通信施設についてひとつお尋ねをさしていただきたいと思うわけです。  まず第一点は、復帰後の電話の架設といいますか、加入問題ですが、非常に積滞量が多いというような県民の不満が出ております。  そういう意味で、現在沖繩の電話施設設備というものがどういうふうになっているのか。また、政府がかつて五カ年計画の中でいろいろ推進をしてこられた事業の進捗状況なり、特に、海洋博と直接は関係ないんだという言い分も、かつて政府の答弁があったわけですが、二百七十億という予算が通信施設費として計上されております。そういう面との関係で現在の沖繩の通信施設状況、電話の普及状況など御説明をいただきたいと思います。
  183. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  現在の沖繩におきます電気通信施設の状況についてまず申し上げます。  沖繩におきましては、四十八年三月末で五十九の電話局がございます。このうち自動局が三十五局でございまして、手動式の局が二十四局となっております。加入電話の数でございますけれども、自動式局で八万五千二百、磁石局で二千百、計八万七千三百でございます。公衆電話は、自動式千三百四十、磁石局で六十、合わせて千四百個ございます。それからテレックスが九十三。なお、電報の取り扱い局の数はそれよりちょっと違いまして、直営局、委託局合わせて百一局ございます。  なお、電話の普及状況でございますけれども、現在電話サービスがダイヤル化されております割合でございますが、昨年、四十八年十二月末現在で九七・七%ということになっておりまして、本土が九八・四%でございますから、やや低いというような状況になっております。  それから普及関係でございますが、たとえば沖繩につきまして、本土の類似している県と電話加入数あるいは電話普及率等を比較いたしますと、一般加入電話の数が、本土の鳥取県、島根県と大体同規模でございまして、普及率百人当たり八・五と沖繩はなっておりまして、島根、鳥取等がそれよりもやや高く一三・一とか一四・四というようなことになっております。そういう点で、電話普及率百人当たりの八・五というのは本土と比べて低い。これが概要でございます。
  184. 上原康助

    上原分科員 電話の積滞量どのくらいあるのですか。
  185. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  現在の電話の積滞状況でございますけれども、一番新しい四十八年十二月現在で四万九千ということになっております。
  186. 上原康助

    上原分科員 この原因は何ですか。
  187. 小畑新造

    ○小畑説明員 沖繩につきましては、復帰後公社といたしましても非常に努力をいたしまして、四十七年度で七十億、一万五千個、四十八年度で九十五億、二万個というように電話を架設しようということで計画いたしたわけでございますけれども、実際は四十七年度で三千個、それから四十八年度は十二月末現在までのところ四千個の電話がついただけでございます。  その原因でございますけれども一つは、沖繩におけるいろいろな基礎設備、線路とかあるいは局内設備というような基礎、施設が若干不十分であったということ、それが一つ考えられます。それと復帰後におきますいろいろの制度とか規定とかあるいは職員のふなれというようないろいろな原因がございまして、そういうことも架設のおくれた一つの原因じゃないか、こういうように考えられるわけでございます。  それからもう一つは、復帰後における労使関係の問題でございますけれども、これが当初若干円滑を欠く点がございまして、そのために思うように電話の架設ができなかったという点がございましたけれども、昨年夏以降労使関係もだんだんよくなるきざしを見せてきまして、電話の架設等も、四十七年の三千に比較いたしまして、四十八年は四千というぐあいにだんだん改善されつつある状況でございます。
  188. 上原康助

    上原分科員 いま幾つかその原因をおあげになったのですが、大体そういうことかもしれません。しかし、基礎工事あるいは基礎設備が十分でなかった、職員のふなれ、労使関係、みな第三者の要因だけをあげて、じゃあ一体電電公社の責任はどうかということなんですね。四十七年の五月に復帰をして、四十七年の六月以降は、架設工事は大体月に三百台でしょう。十二月あたりになりますと、特に需要の高い那覇局なんかは、ほとんど新規加入電話は架設できない状態なんです。実は私の例一つ申し上げても、去年の七月だったか申し込んでも、あと一年ぐらいかかると言っているんですね。四万台もなぜ積滞量が生まれたのか、それはもう少し責任を持って考えていただかなければいかぬと思うのです。  いまここにおあげになった要因のほかに、個人の需要よりも、本土から大手の業者が行く、あるいは自衛隊が行く、本土から職員が行く、そういう面を優先をして、一般県民の需要に対してはほとんどストップしているわけですよ。復帰特別措置ではどうなっておったんですか、復帰前に申し込んだものを順序をきめてやるというのが。以前の分科会でもそういう答弁をなさったはずなんですね。  そういった積滞量がこれだけふえていくということになった根本原因というものは、私は別にあると思うのですね。労使関係も確かにその一つ。労使関係も、なぜそういう労使関係になったかというと、官僚支配ですよ。マル生運動で郵政がさんざんなことをやった。本土の感覚で、長年沖繩のああいう事情一つの電信電話公社を持ってやってきた職員の労苦に報いようとしない官僚支配体制というものが、復帰後非常に強くなった。そういう中でうまくいかなかったという原因も一つあげられるでしょう。  そういう面に対する改善の方法というのは一体どうなっているのか。これは大臣にも聞いていただきたいのですが、現在四万九千五百、五万もあるんですよ。いつになるとこういったことは解決をするのか。めどはどうなっているのか。さらに復帰後、じゃあ民間需要はどれだけが新規に架設できたのか。また本土企業とか自衛隊の需要はどうなっているのか。そこいらについても明らかにしてください。
  189. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  昨年三千、それから四十八年度十二月までで四千加入がついておるわけでございますけれども、その架設いたしました電話の中身といいますか内容等について、現在手持ちの資料がございませんので、調査いたしましてからお答えいたします。
  190. 上原康助

    上原分科員 それは調査して資料を出しますね。
  191. 小畑新造

    ○小畑説明員 調査いたしまして、判明しましたら提出いたします。
  192. 上原康助

    上原分科員 そこで、復帰前は沖繩電信電話公社がやっておったんですが、大体月に九百台の電話を架設しておったんだ。しかも値段も二十六ドルでしょう。いまもう幾らだと思いますか。約十六万ですね。沖繩のやみの電話は幾らしておるかわかりますか。
  193. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えします。  沖繩における最近の電話のやみ値は、大体四十万円ぐらいだと聞いております。
  194. 上原康助

    上原分科員 四十万円ぐらい。いいんですか、そういうことで。ですから、私が言ったように、もう一般の民間の方々は、電話がほしくても、復帰前から申し込んでもまだ入らないというのがざらにあるんですよね、こまごま申し上げませんが。本土から行く大手の商社とか会社とかはみんな五十万も出して買い取って、中には七、八十万で買ったという電話もあるんです。だから回線もますますなくなって、民間需要というのは充足されないんです、大臣電話一つ考えても、何が復帰だったかと言うんです、実際。しかも復帰前は、沖繩の電電公社は月に九百台ぐらいの架設をやって、わりかしスムーズに通信網の整備をやっておる。ここにもまた一つの差別が生まれてきているんです。  このことは、もう少し電電公社も郵政省も実態を調ベて——もちろん、それは、いろいろな優先順位というのはやむを得ない。公的面は私は全面的には否定しません。どうしてもその回線を確保しなきゃいけない面もあるでしょうが、かりに公務を優先せざるを得ないという場合だって、民間の県民のそういった電話の必要、需要というものを満たすべきが本来のあり方だと思うのですね。復帰の場合も、復帰前に加入申請したものを、その後三つの段階にランクをきめたのでしょう。それもいまはもうほとんど実施されていない状況です。この点について大臣改善をしていかれる御意思があるのかどうか。また、いまのように、金持ちだけは電話はどんどんほかのものでも買って使う、貧乏者は電話も何もますます利用できないという状態でいいのかどうか。さらに、先ほど言いましたように、公衆電話の普及率だって、本土と比較して九州全区でほんとうに落ちるんですよ。そういった根本的な通信網の整備というものをもっと練り直さなきゃいけない段階に来ているんじゃないかと思うのです。こういうことに対する所見を賜わっておきたいと思います。
  195. 米澤滋

    ○米澤説明員 お答えいたします。  先ほど業管局長がお答えいたしましたように、沖繩の電話の普及率がたとえば島根県とかあるいは鳥取県と同じ程度であるということでございますが、公社といたしましては、昭和五十二年度末に全国的規模において積滞をゼロにする、この方針はもちろん沖繩にも適用するつもりでございます。  ただ、沖繩が復帰したその時点におきまして、電電公社は、九州から島伝いにカラーテレビをぜひ実現したいということで、これを突貫工事でやったりいたしましたし、それからまた本土と沖繩本島の間の自即工事、自動即時工事、これにも非常に力を入れまして、たしか東京と那覇市の間の料金は、おそらく三分の一ぐらいになったんじゃないか。それからまた、確かに架設料は、電電公社になる前、すなわち琉球電電公社の場合の装置料に比べまして、これは電電公社になってから設備料という形になっておりまして、これは確かに上がりましたが、たとえば基本料等で比べますと、一般の住宅用が九百円、事務用が大体千三百円ということで、一般の方が利用する住宅電話に対しましては大体八百円とか九百円という非常に安い料金でありまして、料金を非常に下げた、このことだけは御認識願いたいと思います。  ただ、しかしまた、先島と那覇本島の間のカラーテレビ問題とかそういうことにつきましても、海底同軸ケーブルをいま開発しておりまして、これを五十一年にはぜひ実現したい。  われわれといたしまして、決して沖繩県の電話の問題を粗略にしているということではございませんが、確かにおっしゃるように、電話の積滞というものがふえておることは事実でございます。基礎設備をつくるということで、今後土地の確保が一番先になりますから、新しくつくる電話局の土地の確保というものを十分——ほとんどできたというふうに聞いておりますが、もう少し時間をかしていただきまして、何とか完全に本土と同じようにやりたい。確かに鳥取県、島根県程度の普及率であるという点は、同じ日本の中の普及している県に比べて落ちておりますけれども、今後これを改善するように努力したいというふうに考えております。
  196. 上原康助

    上原分科員 御努力なさるのはけっこうなことで、また、やっていただかなければいけませんが、では五十二年度末までに積滞量をほんとうにゼロにできるの、いまの四万九千、約五万。ますます需要はふえていく。そういう見通しの問題についてももっと確固たるものにしていかないといけないと同時に、民間需要というものをどう満たしていくかということ。復帰前から申し込んだ人も、もう復帰して二カ年近くなる。やみでいま四十万しているというのを実際お認めになった。私が聞いたのでは七十万まで、八十万、中には百万でも買うという人が実際にいる。こんなことが公然のこととしてやられていいのかどうか、もう少しそういった面も十分お考えになっていただきたいと思うのです。  そこで、いまカラーテレビの話が出たのですが、カラーテレビも必要かもしれません。しかし、それよりも実際には、大かたの庶民というものは、自分が常に利用したい電話を早く架設してもらいたいという願いがむしろ強い面もあるわけですね。  いま一つは、先島への同時放映の問題。先島にもカラーテレビよりはやはり——大体昼ころ、おはようございますとか、晩になって、おはようございますというテレビしか見てない、両先島は。この問題も何回か取り上げたのですが、皆さんが海洋博関連工事の中に入れてある二百七十億の中にはそういうものも含まれているわけでしょう、先島への回線の問題、同時放映の問題なども。実際のめどはいつごろまでにやるのか。  正直に申し上げて、いま積滞がこれだけふえたということと、基礎設備の工事ができないということは、当時の電電公社の予算と工事の計画が十分いっていないということでしょう。執行率はわずか一〇%そこいらじゃないですか。なぜそうなったかといえば、もちろん土地問題もあるでしょう。いま一つは労組との関係を無視したということ、官僚支配でやろうと、本土的な感覚で何でもごりごりしようとしたところに問題があった。県との、あるいは市町村との土地計画の中で、電話局をどう配備をするかということも十分やらぬで、机上のプランだけお立てになったという原因もあると思うのですね。そういった面の根本的な練り直しということをやらないと、五十二年度の末まで本土全体としてやりますと言ったって、そう簡単にいくものではないですよ、これは。そこいらの件についてはどうなっているのか。特に先島のテレビの同時放映の問題など、もう少し具体的な考え方、方針というものを明らかにしていただきたいと思うのです。
  197. 山本孝

    山本(孝)説明員 初めの設備の拡充といいますか、その点につきましては、琉球電信電話公社時代から四十七年の五月に引き継ぎまして、できるだけ早く本土と同じようにしたいということで、四十七年度では、先ほど先生もおっしゃいました二百七十億に含まれますが、七十億円、それから四十八年度は九十五億円、それでいずれも一万五千、二万加入増設する予定でございます。  四十九年度も、先ほどの二百七十億は昨年の四十八年三月に電気通信監理官がお答えになったと思うのですが、そのときには予算案ができておりませんでしたが、今度は百二十億円ほどお願いしております。それによりまして二万五千加入増設したいと思っておりますから、基礎設備、それから加入電話がうまく工事が実施できれば、少しでもその加入積滞を解消することができようかと思っております。  それから、いまの公社も、琉球電信電話時代から非常に本土よりおくれているということで、できるだけ沖繩県の方々のためにやりたいということで、少し急速な工事計画を立てたかもしれませんけれども、四十八年度は四十七年度に比ベまして三六%の増、これは一般の本土の全体の伸びが一八%くらいでしたでしょうか、そのくらいですから、かなりふやしております。それから、今度の四十九年度の予算案におきましても、全体で五%の伸びですけれども、沖繩に対する投資は二七%増と、非常にわれわれとしては努力をしているつもりでございます。  それから先島の同時放映の問題ですが、先ほど総裁からお答え申し上げましたように、カラーテレビにつきましては海底同軸ケーブルができませんとできませんので、五十一年度になりますか、現在の見通し外の伝搬のマイクロ設備を使いまして、白黒テレビならば何とかできるだろうということを昨年のときにもお答えしたかと思いますが、その見通しがつきましたので、その設備を郵政省、それからNHKの方々と御相談申しまして、五十年の夏には同時放映になるのじゃないかと思っております。
  198. 上原康助

    上原分科員 五十年の夏というと来年の夏ということですか、その点はめどがついたんですか。めどがついていますか。それと、カラーのほうはいつまでの計画ですか。
  199. 山本孝

    山本(孝)説明員 見通し外マイクロにつきましては、昨年、一昨年から伝搬試験その他を実施いたしまして、増力の問題であるとかあるいは周波数ダイバシティの問題であるとか、いろいろ解決点を見出しましたので、計画どおり進めば五十年の夏に開通できると思っております。  それからカラーテレビにつきましては、これは海底同軸ケーブル方式でなければできませんので、五十一年度に開通を目途に現在努力中でございますが、海底同軸ケーブル方式は現在研究中であります。
  200. 上原康助

    上原分科員 もう時間がありませんが、いま二、三点聞いてみても、確かにまあよくなった面もあるのじゃないかという御反論もあるでしょうが、よくなった面もないと困るので、みんな悪くなると……。しかし、県民の実感としては、なぜこう電話が高くなるのか、やみ電話が横行するのか、申し込んでも、一年も一年半も、二カ年近くも置き去りにされているのかという、それはまた率直な感情として、皆さんだってそう思うでしょう。御自分が電話を利用したいと申し込んでも、二カ年もほったらかされたら、おこらぬほうがむしろふしぎなんだ。そういうことなども考えていただかないと困るということ。  いま一つは、当時の皆さんの計画の甘さというものが電電公社にあったんじゃないのか。そこも十分考えていただきたい。  まとめて大臣のほうからお答えいただきたいのですが、それと、この海洋博関連工事あるいは二百七十億は直接海洋博と関連ないのだという。最近四十九年度の予算で十億アップされて二百八十億になっていますね。この二百八十億という金は相当の金高だとわれわれは見ているわけです。海洋博の海上工事よりも上回る、いわゆる予算高なんですね。これに対しても何度かお尋ねしたんだが、あまり明確な答弁は出てこない。ただ那覇からコザにつくる、またコザから名護、本部だ、あるいは伊是名だという電話局の設置か増設だというような回答しか来ないんですがね。少なくともこの中には軍事専用という立場での予算は含まれていないという確約が、大臣のほうからできるかどうか。その点についても県民は疑惑を持っている。そういった重大な基礎工事をするために民間需要の電話というのはなかなか入れてくれないのじゃないか。そういうものも誤解であれば晴らすべきであるし、あるとするならば明らかにせにゃいかない問題である。お答えいただきたいと思うのです。
  201. 原田憲

    原田国務大臣 いま具体的問題については大体電電公社のほうから話をいたしまして、沖繩におけるところの電話が現在のことがそのとおりスムーズにいくならば、五十二年度ですか、いまの五万積滞、あなたがおっしゃっているようなものを含んで順調にいけるであろう、それからテレビのほうも五十一年には先島までカラーテレビが入るであろう、来年にはテレビはいまの普通の白黒ならいくであろうというようなことは御了解がいただけたと思いますが、しかし、お話を聞いておりまして私が率直に感じましたことは、確かに本土復帰前には本土との間の通信というものは不便であったかもわからぬが、沖繩の中では年に三百あるいは五百というもので電話というものがついておった、高い安いは別にして、電話というものはついておった。ところが本土復帰したらそれがうまくいかなくなったという不満があるということは、私は聞いておって理解できるのであります。しかし、そのことについてのごたごたもいま何とか切り抜けて基本的にやれるという見込みがついてきたということを当事者である電電公社のほうから申し上げておりますから、これは私もよくいわゆる行政指導いたしまして、御要望どおり達成するための努力を続けたいと存じます。  なお、後者の問題につきましては軍事目的とは関係がない、こういうことでございます。
  202. 上原康助

    上原分科員 もう時間が参りましたので、ぜひいまの電話の積滞量の消化につきましては、いろいろ沖繩局とも御相談の上で優先順位をきめていただいて、回線がとりにくい面もあるでしょう。それは技術的な面もあるかもしれませんが、少なくとも復帰前から申し込んで、あるいはその後ずっと一年も二年近くもほったらかされておるようなものについては、早急に解決をしていくということが公社のやるべきことであって、大手の商社や企業家だけがやる、これは電話の買い占めなんだ、もうそういうかっこうになっているのです、那覇近郊というものは。それではあまり酷過ぎると思うのですね。そういう面は洗い直してみていただいて早急に解決をしていくという、場合によっては臨時電話ということもあるでしょう、必要に応じては。そのくらいの配慮はやっていいんじゃないかと思うのです。その御意思はありますか。
  203. 小畑新造

    ○小畑説明員 お答えいたします。  先生のおっしゃいますこと非常によくわかりますので、われわれといたしましても沖繩におきます電話の積滞の早期解消というふうなことにつきまして、あらゆる面で努力をいたしまして、できるだけ御要望に沿うように努力したいと思います。
  204. 上原康助

    上原分科員 これで終わります。
  205. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて上原君の質疑は終了いたしました。  次に、左藤恵君。
  206. 左藤恵

    左藤分科員 私は、まず年賀はがきの特別取り扱いについて若干お伺いをいたしたいと思います。  まず、年賀はがきのこの制度をかりに廃止するとしたら、一体いつまでに決定しておかなければならないか、この辺のところをお伺いいたしたいと思います。
  207. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  年賀郵便の発行枚数を決定いたしますのには、あらかじめ郵政審議会に諮問をいたしまして所要の手続をとるわけでございますが、例年の例からいいますと、大体五月の末、六月の初めにかけましてその審議会を開きまして、発行枚数を決定いたしますと、大体それから印刷にかかりまして十一月に発売するということで、年末に間に合うわけでございます。したがいまして、その制度の改廃についてもその時期には決定しなければならぬと思います。
  208. 左藤恵

    左藤分科員 ではこの制度によりまして、一体郵便の事業会計の収支はどういうふうになっているか、特別取り扱いをするためにいろいろなメリットがあると思います。そういった点、それからまた必要といたします経費たとえばアルバイト代とかあるいは年賀の区分用の特殊な施設だとかあるいは特別の送達便だとか、そういった経費もかかるわけであります。そういうことで、年賀はがきによりますこういう取り扱いをすることによる収支の比較は一体どうなっておるか、その辺をお伺いいたしたいと思うのであります。
  209. 廣瀬弘

    ○廣瀬政府委員 私ども収支を見る場合は、年間で二種につきまして計算をいたしますので、特に年賀だけを取り上げまして収支を正確に計算するというのは、きわめて困難ではなかろうかと思います。ことに年末期におきまして一般の平常信もふえてまいりますので、年賀だけを取り出して収支云々というのは、正確にはお答えできないというのが実情でございます。ただ、年賀の機会におきましては多量な郵便物が出ますので、ただいま先生御指摘のように、架設をふやすとか、あるいは職員の超過勤務を支出するとか、あるいは非常勤職員を雇用するとかいった経費が相当かさんでまいります。しかしながら、一方におきましては短期間に多量の郵便物を処理するということにもなりますので、その多量処理のメリットも出てまいります。あれやこれやを勘案いたしますと、ほぼ収支は相償っておるものと私どもは考えております。
  210. 左藤恵

    左藤分科員 昨年の末以来、石油の削減ということがあって国民の間に、消費は美徳という考え方から節約は美徳だというような考え方、観念に変わりつつある、そしてこれは非常にいいことだと思います。特にわが国のように資源のない国におきまして、紙は非常に貴重な資源、貴重なものであるわけでありまして、そうしたことを一つ頭の中に入れて年賀制度というものを考え直してみるときじゃないか、私はそのように思います。国民の一つの良俗、いい風俗であるということは、確かに年賀で一年に一度、お互いが単に儀礼でなくてその消息を確かめ合うという意味におきまして、私は、この制度は非常にいい制度ではあるということでありますので、そういう意味では非常にかね合いはむずかしい問題でありますけれども、年賀はがきという一つの特別のものを発行することとか、あるいはその取り扱いを特別にやるということがはたして必要なのかどうか、あるいはまた、お年玉をつけるという問題あるいは社会福祉施設に特別の寄付金を出すためにプラス一円をつける、こういう問題につきまして、もう一度原点に立ち返ってと申しますか、こういった問題について検討する必要があると思うわけです。もちろん、こうしたことにつきましては国民のコンセンサスをまとめていかなければならないと思いますけれども、そうしたことを再検討されるお考えがあるかどうか、これを大臣にお伺いいたしたいと思います。
  211. 原田憲

    原田国務大臣 年賀郵便というものをどう考えるかということで、これに似通ったものは外国にもクリスマスカードというようなものがございます。ただ、やり方が日本のような期限を限って郵便局で取り扱うというようなことをやっておるかどうか、向こうの年賀状が早く来たりいたしますから、これはおのずからそれぞれやり方が違うと思いますが、日本の国では年賀というものが一つの国民の中に入って、良俗といいますか、やはりいま節約は美徳であると表現されております、これとはまた別に、今日ほど人間関係、心関係というものが強調されておる時代はないと私は思うのであります。したがいまして、年に一ぺんお互いが存在を確かめ合い、心の通いを持つということは続けるべきではないか、私はそのように思っております。ただ、問題点が指摘されるようにいろいろございますが、これらの問題につきましてはそれなりに考慮すべき点もあると思いますが、現在私が審議会にはかりましてこの問題を取り上げてどうするというところまでは、私はやはり、年賀はがきというものは日本としては置いておいたほうがよい、このように考えております。
  212. 左藤恵

    左藤分科員 大臣のいまのお話でございますが、私はそういったこととは別途にひとつ国民の意識調査といいますか、そういうようなものも考えていただいたらどうか、このように思います。  次に、大阪の国際空港に夜間発着していた郵便専用機を、これは騒音の問題、いろいろございまして、廃止されるということで、これはほかの議員からも御質問があったと思いますが、その場合に東京−大阪間の通信だけでなくて、それ以遠の郵便物の送達というものもかなり送達速度が低下していると思うのです。この場合、従来は航空機に定型内とそれから第二種のはがきとそれから速達郵便物を搭載していたと思うのですが、郵政事業が現在非常に赤字財政ということに今度は組まざるを得ない。さらに一年間、少なくとも一年間は郵便料金の値上げをストップしよう、こういう見地から見て、この際は多少のサービスダウンはやむを得ないというふうに思うのでありますが、しかし、その中でも速達郵便物につきましては、国民は速達料というものを別に出して一刻も早く送達してほしいということを期待しておるわけでありますから、事業の収支見込みというものもいろいろありましょうが、定型内、第二種のはがきというものよりも速達郵便物をまず第一に優先して航空機に搭載をして送達速度の低下を防ぐべきではないか、このように思います。そして余裕があれば定型内なり第二種の航空機搭載を続けていけばいいわけですけれども、事業の収支の見直しというものも考えてこのほうはある程度のサービスダウンはやむを得ないんじゃなかろうか、私はこのように思いますが、この辺についての郵政当局のお考えをお伺いしたいと思います。
  213. 石井多加三

    ○石井政府委員 お答えいたします。  御指摘のとおり三月一日から深夜の航空郵便専用便を廃止いたしましたために、大阪国際空港に発着いたします一日約二百十万通の郵便のおくれを生じておるわけでございますが、その中でただいまお話に出ました速達郵便物は約二十五万通でございまして、残りが通常の郵便物になっておるわけでございます。現在のところ通常郵便物も速達も一緒に航空便でどっと運びまして、それからあと伊丹空港から大阪なら大阪中央郵便局に入って、その後各局に行くという形になっておりますが、配達局に行きまして速達だけは最優先の扱いをするということでございます。したがって、輸送段階におきましては通常と速達との間の差が現実にあまりない。特に大阪の場合には、従来は翌日配達ということが通常郵便物についても行なわれましたために、速達のありがたみといいますか、うまみがあまりなかったわけでございますけれども、今度のように全般がおくれるようになりまして考えられますことは、速達は大体約半日おくれ、通常が一日おくれということになりますので、そういった面でも速達というものが重要性を増してくるというふうに思います。  なお、御指摘のように、速達につきましては特に途中の輸送関係も特別に早い時間を設定するような考え方をとっておりますし、なおまた、いま御指摘の考え方は私たちも全く賛成でございまして、取り集め等につきましても、今後は速達は優先扱いにするようなことを考えなければならないのではないかということもあわせて検討いたしておるところでございます。
  214. 左藤恵

    左藤分科員 ぜひ速達の取り扱いについては、そういった最優先の取り扱いをしていただきたいということをお願いいたしておきたいと思います。  それから次に、このほど東京で教育用衛星放送システムに関する国際連合パネル会議というものが開かれたと聞いております。これはどういう趣旨で開かれ、またどんなような成果があったかということをまずお伺いをいたしたいと思います。
  215. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 教育用衛星放送システムに関する国際連合パネル会議というものでございますが、これは二月二十六日からきのうまでの十日間にわたりまして、東京において世界の二十二カ国と七つの国際機関から合わせて七十一人が参加して開催されたものであります。この会議は、国連が国際協力を促進するための方策の一つとして開催したものでありますが、今回の会議におきましては、教育放送に衛星を利用する場合の諸問題について意見交換が行なわれましたほか、各国の宇宙開発計画の紹介が行なわれたのであります。  この会議は、各国参加者が個人の資格で意見交換を行なうという性格のものでありますので、国際的な取りきめが行なわれたというようなことはありませんが、各国の参加者は、今回の会議はきわめて有意義であったとして、今後このような会議をひんぱんに開催されたいという希望を国連に対して提案しております。  また、会期中におきましてわが国の放送施設や工場の見学も行なっておりますが、日本の進んだ放送技術あるいは電子技術には参加者がひとしく目をみはっていたということでありまして、日本の現状を紹介する上においてもまたとないよい機会であったと考えております。
  216. 左藤恵

    左藤分科員 私がそういうことをお伺いいたしましたのは、このことしの予算の中にも放送衛星の実験をやるという経費がたくさん計上されておるわけであります。これから通信放送衛星を打ち上げていく、そのためのいろいろ研究開発というものは当然国の一つの使命として進めていかなければならないわけでありますが、私はこの軌道に乗せていくたまのほう、星といいますか、の研究開発だけであってはならないわけでありまして、当然それで送受信をする地上局の開発研究も進めなければならないと思います。  ところで、最近難視聴解消という問題が一つの大きな放送政策の点から期待がかけられておるわけでありますが、こうした放送衛星が打ち上げられることによりまして、小さなアンテナでそれを直接受信するということが可能なのかどうか、こういうことは私は世界の人が注目をしておるのじゃなかろうか、このようにも思います。その会議の中でわが国がどのくらいそういった問題が進んでおるかということについて議題になったかどうか、また、そういった問題を今後どういうふうな態度で省としては進められようとしておられるか、この辺についてお伺いしたいと思います。
  217. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 わが国の実験用の放送衛星計画につきましては、この会議の冒頭においてわが国の参加者から開発計画及び実験計画につきまして紹介を行なったわけでありますが、開発計画については使用周波数、電力、軌道位置、姿勢安定方式等の技術的な諸計画を説明し、また実験計画につきましては衛星の位置、姿勢の検出及び制御等のいわゆる衛星の管制技術の確立に必要な実験、また、どの程度小さなアンテナで直接受信が可能であるかの見通しを得るための実験、可搬型の局からテレビジョン信号を送信して衛星を介して放送を行なう実験、さらに使用する周波数の電波が雨などによってどの程度減衰するかなどの実験を行なう計画であることを詳しく説明してございます。時間の関係からこれに対する質問などはあまり出ませんでしたけれども、その後NHKセンターの見学のおりには、NHKが開発いたしました個別受信用のアンテナ及び衛星からの電波の変換装置につきましては参加者がきわめて深い関心を示して、生産コストあるいは将来の研究の計画等について多く質問が出ております。
  218. 左藤恵

    左藤分科員 いまお話がございましたこうした問題については、私は政府が、郵政省がひとつ積極的に送受信設備についても、研究開発にリーダーシップを持ってやっていただきたい。そしてNHKにまかせきりということでなくて、やはりそういうふうな姿勢というものをやっていただくことによって、世界的にも大きな注目を受けている点もございますし、さらに国民の立場からいえば、そういったものが一体幾らの、たとえば一万五千円なら一万五千円の受信用アンテナによって直接受信できるという見通しが立てば、そういったことで非常に期待を持つのではなかろうか、このようにも思いますし、難視聴解消の上にも大きなプラスになる。さらに、現在のサテライト局をどういうふうに今後進めていくかという一つの難視聴解消に対します省の政策の樹立の上からも、非常に大きな役割りを果たすものではなかろうか、このようにも思いますので、その点についてそういうことをリーダーシップを持ってやるというお考えがあるかどうか、この辺をお伺いしておきたいと思います。
  219. 齋藤義郎

    ○齋藤(義)政府委員 いま郵政省が考えております昭和五十一年度打ち上げ目標の通信衛星、あるいは放送衛星というものは、電電公社、NHKあるいはKDDという関係機関と密接に協力しながら、宇宙開発事業団において開発を担当するわけでございますけれども、これはあくまでも郵政省が中心になって開発する衛星であるということでございまして、協力は求めますけれども主体性をそこなうことはないと思います。  それから、放送衛星が上がりました場合に、お説のように難視聴解消の有力な手段になると思いますし、あるいはまた、これは使いようによっては非常に大きな放送体制に変革をもたらすということも十分考えられるわけでありまして、今後この放送衛星の使い方、通信衛星も同様でございますけれども、使い方については郵政省がまたこれの中心になって慎重に検討してまいりたいということを考えておるわけでございます。
  220. 左藤恵

    左藤分科員 ぜひそういうふうなことを考えていただきたいと思いますが、その場合に、いま後半にお答えがありましたような放送衛星の運用管理ということにつきまして、現行の放送法上の問題、あるいは国際的にいろいろと外国のほうでも日本で上げた放送衛星から受信することができるというような問題があるわけでございますので、国際的にもこうしたトラブルのないように、積極的に国際会議の場でそういった問題を煮詰めて、実施の段階において困らないような対策を考えていただきたいということを御要望申し上げておきたいと思います。  それから、もう一点だけ私お伺いいたしたいと思いますのは、昨今石油の問題から中近東、特にアラブの問題について、日本でいろんな国際協力のあり方について見直されていると申しますか、考え直さざるを得ないいろいろの問題が出てまいっております。  そこで、私お伺いいたしたいんですが、アラブは、御承知のように一つの言語であり、一つの回教という宗教のもとで一体的な一つの経済圏と申しますか、生活圏を形成していると思うんです。電気通信の世界におきましても、やはり一体的にいろんな問題を考えていく。また通信計画を立てていく上において、一体的にものごとを考えて進めなければならない。ITU、国際電気通信連合におきましてもそういった点を考えて、すでにプランコミッティーと申しますかというところで電気通信ネットワークを、アラブの世界にパン・アラブという形で計画は敷かれておりますけれども、経済的な現在の事情といった形、いろんな問題あるいは技術的な問題ということで、その進捗は非常に低いと思うのでありますが、今後こういった問題について、日本は技術的なレベルは非常に高いわけでありますから、積極的に機材を提供するということも含めまして、そういうことについて協力されるお考えがあるかどうか。この辺をお伺いしたいと思います。
  221. 浅見喜作

    ○浅見政府委員 ただいまお話ございましたように、確かに民族的、宗教的に同一の要素を持ちます御指摘の諸国、言ってみればアラブ圏と申しますか、そういうところで、これまたお話ございましたように、パン・アラブ・ネットワークというものを確立したいという現地側の意欲もございます。  また、政府といたしましても、先般の第四次中近東戦争以後におきまして、これらあまり日本政府として手をつけておりませんでした地域に対しまして、大きな立場から、ネットワーク的な見地からこういうプロジェクトの実現に手をおかししたいということで、御承知の先般の三木ミッションなり小坂ミッションでも、そういうプロジェクトに対する円借款の用意があるということで、私ども自身もパン・アラブ・ネットワークを、衛星通信につきましてもあるいは地上のマイクロあるいは同軸ネットワークにつきましてもプランを持ちまして、外務省を通じてこれらミッションにも携えていっていただきまして、それぞれの国と個別に——御承知のように借款協定は二国間でございますから、個別に御相談申し上げておるという現状でございます。
  222. 左藤恵

    左藤分科員 いま個別にいろいろお話を進められるということでございますけれども、そういうアラブの一体性なりそれからITUの中における計画というものもあるわけでありますので、そうした相手国の相互間のいろいろな問題を十分配慮して、そして積極的に御協力いただきたいことを強くお願いを申し上げておきたいと思います。
  223. 原田憲

    原田国務大臣 ただいま非常に貴重な御意見を拝聴いたしましたが、中東問題が起きましてから、政府におきましては三木副総理あるいは中曽根大臣、また党のほうからも特使として小坂氏が出向いたり非常に力を入れておりますが、以前からこの経済協力という面につきまして、あまりにも日本が外務省と通産省と大蔵省ですか、そこに経済企画庁が加わって、それだけで資源外交、経済外交というようなことでやっておった。そこで政府は、このたびもう少し心の問題といいますか文化的な問題といいますか、これらをくんで外交を展開しなければならぬ、こういう意味で私も閣議で発言をいたしたのでございますが、相手方の身になって行なう外交、したがいまして、いま運輸大臣が来られましたが、運輸省が所管をしておるところの鉄道技術であるとかあるいは建設省が所管しておるところの道路の問題であるとか、いまお話のございました電気通信の問題とか、ほんとうに相手の身になり血肉になるというものを持っていく。ただもうけさえすればいいというような外交では通らない。また十九世紀的な、植民地的な、相手に教えてやるんだというような思い上がった態度でもいけない。こういうことで、いま具体的問題として専門家である左藤さんから非常に貴重な御意見を得ましたので、私どももそういう立場に立って、具体的に先般もアルジェの問題を一つすぐに実行いたしておりますが、全体的な立場に立って今後これらの問題と対処してまいりたいと存じます。  どうも貴重な御意見ありがとうございました。
  224. 左藤恵

    左藤分科員 いま大臣、そういうことで御決意をいただきましたことを私も非常にうれしく思うのでありますから、ぜひその線でやっていただく。そうすることが、また逆にITUの場におきます日本の地位を高めるということにもなろうかと思います。国際協力というものは、いまの大臣のお話のようなことで、持ちつ持たれつと申しますか、相手の身になって考えるということがなければ、幾ら金をつぎ込んでも何にもならないということでございますので、ぜひそうした姿勢でやっていただきますよう特にお願いを申し上げまして、私の質問を終わります。
  225. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて左藤君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして昭和四十九年度一般会計予算及び特別会計予算郵政省所管並びに昭和四十九年度政府関係機関予算日本電信電話公社関係に関する質疑は終了いたしました。     —————————————
  226. 稻村佐近四郎

    稻村主査 次に、昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十九年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。兒玉末男君。     〔主査退席、村田主査代理着席〕
  227. 兒玉末男

    兒玉分科員 運輸省所管の中で国鉄関係を中心にお伺いしたいと思います。  第一点は、総裁にお伺いしたいわけですが、私は実は宮崎県の都城でございますけれども、いま東京から新幹線を利用して大体宮崎まで、総裁はどの程度の時間で行けると思っているのかお伺いします。
  228. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 まことにどうもあいまいな返事で申しわけございませんが、大体二十四時間ないし二十二、三時間じゃないかと思いますが、あまり明確じゃございません。
  229. 兒玉末男

    兒玉分科員 大体二十時間でございまして、しかも新幹線を利用し、それから大阪で約二十分前後の待ち合いを利用してでも、それ以降特急に乗って二十時間以上、こういう状況であります。特に日豊本線の輸送力増強ということが九州全域、なかんずく南九州全体の念願でございます。それで、三月の末日をもって電化が竣工する予定になっておるわけでございまするが、問題はそれ以遠のいわゆる都城−鹿児島を結ぶこのラインの電化ということと、これに伴う輸送力の増強ということが南九州全体の長年の念願であるわけでございます。この日豊本線の電化、輸送力増強についてどういうふうな計画をお持ちなのか、この点運輸当局の見解を承ります。
  230. 内田隆滋

    内田説明員 御指摘の宮崎から鹿児島までの電化でございますが、これは先生も御承知のとおり鹿児島本線がもう電化しておりますし、宮崎までも四月までには電化が完成するわけでございまして、幹線といたしましてはこの区間だけが残るという形になります。したがって、全体の電車の運用あるいは通勤通学あるいは観光旅行というようなものを考えますと、この区間は早急に電化を進めるべきだというふうに考えております。ただ、御承知のように、現在いわゆる新幹線の工事が急ピッチで進んでおりますし、これから電化工事が非常にふくそうしてまいります。したがって、そういう意味で、この区間の電化はいますぐ着工というわけにはまいりませんけれども、要員の手配並びに資金事情が許す限りできるだけ早く着工いたしたい、こういうように考えております。
  231. 兒玉末男

    兒玉分科員 四月の十日からダイヤの改正等も発表されるようでありまするが、今回の日豊本線の電化によってスピードアップ、輸送力、こういう点においてどの程度の改善が予想されるのか、お伺いをしたいと思います。
  232. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 お答えいたします。  今回の電化によりましての改正は、ほとんど島内の時刻改正にとどめるという、実ははなはだ申しわけないのですけれども、小規模の輸送改善でございます。これはなぜかと申しますと、一応、いま予定いたしております四十九年の新幹線の博多開業ということに合わせましてもう一回ダイヤ改正をいたす、こういう立場から、日豊線のせっかくの電化の改良でございますけれども、主として列車の置きかえあるいは延長ということに重点を置いて、電車化を重点に置いて考えているということでございます。  それから速達につきましては、到着時間の短縮につきましては、まあ電車ですと本来は非常にスピードがアップするわけでございますけれども、単線区間という制約がございまして、そう大幅なスピードアップはできないということでございます。ただ車両その他につきましては、すでに先生御案内のとおり、電車になりますと同時に新しくつくりました寝台列車を日豊線に投入しよう、こういうことで、全体的には御利用の便利がはかられるんじゃなかろうか、こういうふうに考えております。
  233. 兒玉末男

    兒玉分科員 すでに当局は御存じかと思うのですけれども、三月の一日から川崎と日向市を結ぶカーフェリーが大型船を就航させまして、しかも現在の時間よりも相当の短縮で、大体十九時間という非常なスピードアップと改良となっております。こういう海上輸送等含めて、特に南九州は、御承知のように生鮮食料品の供給基地としての将来の大きな展望があるわけでありまするが、なかんずく貨物関係の輸送時間の短縮ということも、陸上輸送の重要なシェアを占める国鉄においては、これは当然早急な解決をはからなくてはいけない重大な使命があるものと私は理解をするわけでございます。このような生鮮食料品の輸送を中心とした貨物関係の輸送体制のいわゆる確立といいますか、そのような点はどういうふうな構想をお持ちなのか、お伺いをしたいと思います。
  234. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 御指摘のとおり、生鮮食料品の東京、大阪への給源地として私ども非常に重要視いたしている線区でございまして、すでに東京まで三十時間以内に到着できるフレートライナー列車、それから大阪の市場向けのフレートライナー列車、これは二十時間程度で行くということで、私ども三〇作戦あるいは二〇作戦と言っておりますが、具体的に申し上げてみますと、従来、宮崎あるいは都城から東京の汐留の貨物駅へ参っておりました貨物列車が三十四時間二十分かかっておったのが、現在、フレートライナーによりまして七時間三十分短縮いたしまして二十六時間五十分、約二十七時間という到達ができるように改正をいたしてございます。また大阪市場向けのが、従来、線区が単線のゆえをもって非常に困難な線区でございました日豊線が三十七時間という長時間を要しておりましたのを、やはり市場への供給力を増大するという意味も含め、速達効果を兼ねましてそれを十六時間短縮いたしまして、現在は二十時間五十分で到達するという状況でございます。  したがいまして私どもは、現在の輸送の隘路というのは非常に旅客列車と競合いたしまして、根本的にはやはり将来の複線化ということを待たなきゃならぬかと思いますけれども、現在をもってしてもこの程度のことができるわけでございますので、出荷の要請に応じて、逐次そういったものについてのライナー列車あるいはコンテナの輸送ということに努力をしてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  235. 兒玉末男

    兒玉分科員 先ほど内田理事の答弁で、電化の問題等については増強を含めて新幹線の博多開業にいま当面重点を置くが、それ以降は南宮崎以遠の電化問題も早急に着工する、こういうふうに理解していいかどうか。  第二点は、今回都市計画を含めて都城−西都城間の高架並びに駅舎の全面改築、こういう南九州の拠点である駅舎と高架線の問題がいま提起をされておるようでございますが、この以遠の電化と都城市街地におけるこのような改善計画について、どのような具体的な展望を持っておるのか、この際明らかにしていただきたいと思います。
  236. 内田隆滋

    内田説明員 第一点の電化の問題でございますが、予算事情と要員事情さえ許せば、できるだけ早く着工いたしたいと思います。  それから都城駅の改築でございますが、これのほうは、かねてから地元からの御要望が非常に強うございまして、私のほうとしても、大正二年の建設でございますので非常に経年度も古いということで、改築をいたしたいということで準備を進めております。実際問題としては約一億九千万円、千三百平米ということで、直ちに着工すべく、というよりは実際に現実の問題として工事を進めるということにしております。  それから西都城を中心とした高架化工事でございますが、これは先生も御承知のとおり、四十八年度に建設省から調査費がつきまして工事の調査を進めております。それで、予算は、四十九年度の予算は国会で審議中でございますが、それが通過いたしますと、おそらく工事費が建設省からつくのではないかというふうに考えておりますので、建設省からつき次第、私のほうの分担金も入れましてこの工事を進めてまいりたいというふうに考えております。
  237. 兒玉末男

    兒玉分科員 国鉄関係について、もう一点だけお伺いしたいわけです。  先般農業団体からの要請を受けたわけでございますが、非常に飼料が高い、あるいは肥料が高くなった。農薬、こういうふうな原材料の高騰につれまして、特にミカンとかあるいは畜産関係の国鉄輸送に依存する度合いが高いわけでございますが、現在のところ貨物運賃の改正は十月一日まで延期という状態にございますけれども、距離が遠くなるほど、畜産品あるいは生鮮食料品等の運賃の占める比重ということも生産農家の手取りを非常に減収させている。こういう点から、特に運賃制度の改革ということはきわめてむずかしい問題でございますが、このような畜産関係あるいは生鮮食料品、あるいは単にミカンだけでなくして、このような果樹品等の運賃政策というものを、そういうふうな物価政策の一環として、さらに等級を引き下げて運賃の割引制度、こういうもの等をやはり検討する段階じゃないか、これらの運賃制度の問題について最後にお伺いをしたいと思います。
  238. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 御指摘の点は私どもよくわかるわけでございますが、問題は、国有鉄道の運賃と一般トラック運賃あるいは海上運賃との権衡の問題だと思います。私どもは、出荷が安定をし、ある一定量を、月にどの程度の出荷の要請があるということでその出荷団体と契約をいたしまして、特別の運賃をもってお運びするという制度も実はございます。そういった現実の制度を活用していただきます過程におきまして、それぞれの業界との御相談になる、かように存じますが、一般的にはやはり国有鉄道の運賃のあり方というものが他輸送機関のあり方に比べまして、わりに低位にあることは事実でございます。したがいまして、そういうために出荷の要請が非常に多い。それが現在の能力では運び切れないという悪循環だと思いますけれども、いま御指摘のとおりの政策割引をするかどうかという問題につきましては、実はこれは非常に重要な問題でございまして、一般の生鮮食料品、緊急物資というものにつきましては、御承知のとおり米などにつきましては四等級の一番低い等級でもって国民生活の安定という主目的を果たしておるわけでございますが、その他の物資につきましては、先ほど申しましたように出荷契約、つまり年間あるいは月間何ぼの責任輸送量、責任出荷量をとっていただくかと、そういったような問題を個々の具体的な問題として業界との御相談に応じたいと、かように考えております。
  239. 兒玉末男

    兒玉分科員 せっかく大臣がおいででございますので、先ほど国鉄総裁の答弁もありましたが、御承知のとおり、特に九州の支線関係というのは、特急であっても鈍行と、非常に列車の運行速度が低い、それだけやはり地域住民がせっかくの国鉄の恩恵に浴する比重というのが低いという点等からも、今後九州各線だけではなくして、比較的裏線といわれる支線区等のいわゆる国鉄輸送体系の改正ということが、私は全国民的な要望だと思うわけでございますが、特に電化等、輸送力の増強、こういうふうな点について、ひとつ大臣としても積極的な住民の要望にこたえていただきたい。これについて大臣の御所見を承りたい。
  240. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私、どちらが裏か表かというのは別にいたしまして、この日豊線沿線の物資のいままでの輸送状況、それから人員がいかに動いておるかということを、実は日豊線に新幹線の東線といいますか九州東線の要望のときに、事こまかに私、聞いたわけでございます。それで驚いたことは、向こうの西よりも人の動き、それから物量の動きというのは、むしろ東側のほうがはるかに多いということを初めて実はそのときに知ったわけでございます。まあそういうようなことで、まことに不見識な話でございましたけれども、運輸大臣になる前でございますけれども、そういうようなことを聞き知りまして、そういうようなこともあったかというふうに感慨を新たにしたのでございますが、ただいま国鉄からも御説明申し上げましたように、そういうようなこともあわせ考えまして、いわゆる在来線の強化、電化、複線という問題については、私は新幹線というのはこれから先なかなかいろいろな問題を含んでくると思いますが、もうそれに先がけてそういうような在来線の改良、改善は一段と力を入れてやっていかなければいかぬと思います。予算の面等におきましても私は今後一生懸命に努力するつもりでございます。
  241. 兒玉末男

    兒玉分科員 国鉄関係はこの程度にいたしまして、次に自動車局長にひとつお伺いしたいと思います。  石油の危機によりまして、昨年末から今春初頭にかけて、いわゆる国民の足といわれますタクシーあるいはハイヤー関係の諸料金が暫定料金として約三〇%近い値上げがなされておるわけであります。これはあくまでも暫定ということでございますが、一体暫定措置というものはいつまでやるつもりなのか。それからさらに、現在また新聞報道を通して石油関係製品の値上げということが避けられない状況に置かれているわけでございますが、これは即タクシーだけではなくしてハイヤー、バス等各種交通機関の値上げに直接影響するものと思うのです。このような情勢に対してはどういうふうに対応されようとしておるのか、お伺いしたいと思います。
  242. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 お答え申し上げます。  第一点のハイヤー、タクシーの暫定運賃をいつまで続けるのかという御質問でございますけれども、これは御承知のように、LPガスの供給源の値上がりというものを予想いたしまして、一月に緊急的に実施したわけでございます。したがいまして、油の事情が量及び価格の面で安定をいたしますまで現在の暫定運賃は続けざるを得ない、こういうふうに考えております。いずれにいたしましても、緊急暫定的な措置でございますから、一日も早く油の安定的な見通しを得まして暫定運賃の見直しをいたしたいというふうに思っておりますけれども、いましばらく油事情の好転を待って行ないたい、こういうふうに思っております。  それから第二点でございますけれども、近くまた石油の値上がりが予想されるということでございます。この点につきましては、まだ私ども確定的な情報も承知いたしておりません。したがいまして、はっきりとしたことは申し上げられませんけれども、かりにタクシーの暫定運賃に例をとりましても、たとえ若干の値上がりがございましてもこれによって現在の暫定運賃をどうこうする、こういう事態にはならないというふうに考えております。それからバスその他の運賃でございますけれども、これは油の種類ごとの値上がりの程度によってそのときに判断しなければならない問題かと存じますけれども、いま直ちに、それによってタクシーのときに考えましたような措置をとるということは考えておりません。
  243. 兒玉末男

    兒玉分科員 後ほど大臣にもお伺いしますけれども、まず通産省、お見えでございますね。——いま局長の御答弁を聞いておりますと、やはりLPガス等の供給についての展望というものがはっきり確定できない、不安定だ、こういうようなお話でございますが、特に現在の状況を含め値上げが云々されている時点において、通産省としては一体今後の見通しと供給体制についてはどういうふうなお考えをお持ちなのか。  それから第二点としてお伺いしたいことは、すでにタクシー関係料金は約三〇%の暫定値上げをしております。     〔村田主査代理退席、主査着席〕 この中に占める比重というのは、燃料の構成比というのは八・四五%、軽油等の場合は五・四%といわれておりますが、石油関係の値上げによって再びこのような関係料金の値上がりに当然波及するということはきわめて重大な問題でございますが、このような供給と値上げについて、一体どう考えられておるのか。  それからこれに関連する問題でございますが、若干内容は違いますけれども、現在全国約八万七千軒のドライクリーニング業者というのがおります。この業界が使っておるソルベントという石油系のドライソルでございますが、これを見てみましても、やはりタクシーと同じように非常に影響が重大でありますが、大体年間十八万リットルのこのようなドライソルを使っておるそうでございますが、この最近の値上がり状況を見てみますと、とにかくモービル系、日石あるいは昭和石油、共同石油、出光、こういうような大手の関係の値上がり状況を見ておりますと、十月段階では、たとえばモービルの場合が五千五百円、それから日石関係が五千円、それから昭和石油関係が大体五千円、共同石油五千五百円、それから日石の一部で六千円、出光で四千五百円、こういう価格であったものが、二月の二十日から二十四日前後に一斉に、上から順にいいますと、五千五百円が一万一千円、日石が一万四千円、昭和石油が一万円、共同石油が一万円、同じく日石の一万一千円、出光の七千円、こういうふうに、非常に倍以上あるいは六〇%以上の値上げが二月段階において一斉に行なわれているわけであります。  こういう点から考えますならば、特にハイタク、バス関係の燃料を含めて、今度再度の値上がりが起きた場合についてさらにこのような企業にも重大な影響を与える。そういう点から、通産省としては、少なくとも二月段階あるいはハイタク等の一月段階における三〇%の値上げから見ますならば、これ以上の値上げは断じて許されない、こういうふうに私は考えるわけでございますが、供給関係の見通しと価格政策について確たる御回答、御返事をいただきたいと思います。     〔主査退席、村田主査代理着席〕
  244. 松村克之

    ○松村説明員 お答えいたします。  先生の御質問の最初の供給の見通しでございますけれども、ことしの三月現在、三月時点での需給状況を申し上げますと、大体におきまして十一月、十二月ころのようなタクシー関係あるいは家庭用LPGの需給の逼迫といったようなものは一応解消しつつある、まだもちろん若干窮屈なところもございまして、節約をお願いしているわけでございますけれども、ともかく十一月、十二月ころの状態は若干改善されたわけでございます。その理由と申しますのは、やはり十一月、十二月ころに比べまして原油の処理量が若干上がったというごと、それから輸入で申しますと、スポット輸入が相当量あった、この二点でございます。ただ三月についてみますと、三月段階では依然として十五、六万トンの在庫の払い出し、つまり貯油というか貯ガスの払い出しというものがあるわけであります。四月以降は三月に比べて輸入が若干改善するかと思いますけれども、四月以降の供給見通しについては非常にむずかしい問題でございますが、一つは原油の輸入量が、十一月、十二月に予想していたよりも一月の段階では結果的にはよかったわけでございますが、最近二月、三月の状況を見てみますと、必ずしも完全に回復していないという面がございます。これが四月以降どういうようになるかという点については、さらに私どもとしては慎重に検討いたしておるところでございますが、そういった点から考えまして、四月以降の供給は、ここでできれば十分だいじょうぶでございますと申し上げたいところでございますが、まだそこまでの見通しが立っていないわけでございます。  一方、需要のほうから申しますと、やはり家庭用LPGの需要と申しますのは、四月までまだ相当続くわけでございます。五月以降若干少なくなる、そういったことを勘案いたしまして考えますと、十二月以降LPGを自動車用に供給いたしてまいりましたこの程度の量については、これは確保ができるのではないか。ただ、今後それ以上に十分な供給という点については、まだ私どもとしては、はっきりした自信はないというのが現状でございます。  次に、先生の御質問の第二点の、今回の石油製品の価格値上げに伴って、LPGでございますとかあるいは軽油、A重油というような、運輸部門につきましての価格対策をどうするかという御質問でございますが、これは非常に大きな問題でございまして、私がここで明確に御答弁できにくい面もございますが、たとえばLPGについて申し上げますと、LPGの価格と申しますのは原油価格によって影響する部門と、それからLPGの輸入によって影響する部分と二つあるわけでございます。輸入価格につきましては、御承知のとおり、一月から、大体それまで二十五ドル見当であったものが七十ドルないし八十ドルまで上がったわけでございます。そのときのメジャー側の通告は、一月−三月についてはとりあえずこういうふうにする、四月以降はまた別途きめたいということでございます。さらに一月−三月についても仮価格というメジャーもあったわけでございます。  それで、最近のそれについての状況を申しますと、やはり四月以降相当大幅な値上げがあるという情報が、現在のところ、これは確定ではございませんが、ひんぴんとして来ているような状況でございます。したがって、四月以降のLPG価格、元売り仕切りの価格というものは、その推移によりまして、メジャー側の動きによって相当影響してくるだろうというふうに考えております。  また、軽油、A重油等についてでございますが、これは現在、通産省としても関係各省と十分御協議をしている段階でございますが、先生の御趣旨のように、できる限りこれは公共料金、あるいはその他の物価対策上影響を及ぼさないような方向ということで検討をいたしているわけでございます。  先生の第三番目の御質問の、クリーニング用のドライソル、いわゆるソルベントでございますが、この件につきましては、十一月、十二月、それから一月の段階で、価格といいますよりむしろ極端に量的なショーテージが出てまいりまして、それについて先生が御指摘されたような、元売りに対して生産をふやすようにという指導をいたしたわけでございます。これは非常に特殊な製品でございますので、ちょっと一社が手を抜きますと途端に市況が、市況といいますか需給が混乱するという面もございまして、私どもとしても十分指導を現在いたしております。価格につきましては、先生のお話しのございました二月の段階以上に上げないということでもって考えるという御指摘でございますが、できる限り、こういった公共料金に近いようなものでございますから、そういった面の配慮は続けていきたいと思います。
  245. 兒玉末男

    兒玉分科員 時間が参りましたので、最後に運輸大臣にお伺いしますけれども、いま通産省の段階での御説明がありましたが、要するに石油関係の製品を利用する交通運輸部門の比重が高いわけであります。ですから、需要と供給の関係から考えましても、もう少し需要のほうの側から、特に輸送という重大な点から考えますならば、もう少し運輸大臣としては通産当局に対して、これ以上の値上げはないように強く要請し、対処していただきたい。これについて最後大臣の見解を承ります。
  246. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お説のように、この値上がりがもしも出てまいりますとするならば、まず輸送関係には内航船あるいはトラック、タクシー、バス、いろいろなものが関連してくるわけでございます。公共料金抑制の立場からもそういう面の抑制は全力をあげてやっていかなければならぬと思いますが、何ぶんにも世界的な一つの動きでございまして、これに対処する諸般の準備を整えつつ、いまお説のようなことに対しまして懸命に取り組んでまいるつもりでございます。
  247. 兒玉末男

    兒玉分科員 では、私の質問を終わります。
  248. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて兒玉末男君の質疑は終了いたしました。  次に土井たか子君の質疑に入るのでありますが、本日は土井君の質疑に対し、参考人として新東京国際空港公団理事池田迪弘君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  土井たか子君。
  249. 土井たか子

    ○土井分科員 きょうは、これから私、大きく分けまして二つの質問をさせていただきたいと思います。  まず初めに航空輸送の大型化に伴う問題なのでございますが、これはもうたいへん運輸大臣も御心配、御苦慮なさっているところだと思います。現地時間の三月三日午後零時四十五分過ぎ、パリのオルリー空港離陸直後、トルコ航空のDC10が墜落をいたしまして、日本人の乗客四十八人、たいへんとうとい命でございますが、この犠牲を含めて三百四十五人の方が一挙になくなられた。この事件以後、どうも大型化という問題についてはいろいろな観点から問題が提起されているわけであります。  まずお伺いしたいのは、これは何といいましても現場の声なんですが、日本の国内の幹線について特に大型化ということがもう実施の段階に入っているわけでありまして、それについて日航や全日空が大型機を運航させる場合に、整備であるとか操縦であるとか等々に当たる現場の人たちが、大型機の運航や整備の対策がいまのままでは必ずしも十分ではないという声を出していられるやに聞くわけであります。このことについては、これは一たん起こってしまったらおそいわけですから、やはり事前に十分な対策を講じておいて、しかる後にということになれば、これはいたし方なかったということもあるかもしれませんけれども、見切り発車をしてしまってとんでもないことが起こってから、あああのときにああしておけばよかったでは、これは取り返しのつかないことであります。  そこで運輸大臣に、こういうふうな現場の声に対して、やはりいまのままで大型機というふうなものを進めていらっしゃるのかどうかということをまずお伺いしたいと思うのです。
  250. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 飛行機は、何と申しましてもすべての乗りものがそうでございますけれども、私は、まず何はともあれ安全でなければいけないと思います。安全を無視した乗りものというものは、これは絶対にあり得ない。もし不安全であるならば、危険であるならば、いかなる乗りものも私はとめるべきだと思います。まずそういうような原則が一つこの運輸行政の上になければならないと思っております。  そこで、いま大型機の問題が出ましたが、私は技術屋でございませんから技術屋の言を信頼し、今日までも今後も行くつもりでございますが、三月三日の事件を契機にいたしまして、大型化された飛行機に一朝事故があるときにはたいへんな多くの人の人命を損傷する、痛ましい限りでございまして、そういうことが二度とあっては、何百万分の一にしろ、あってはならない、こう私は思っております。したがいまして、予算委員会においてもこの問題が出たとき私はお答えしたのですが、航空局に命じまして——四十七年の十月から今日までも、沖繩には、機種は違いますけれどもいわゆる大型機というものが飛び続けているわけでございます。そういうようなところからも考えあわせまして、もう一度運輸省としては、航空当局は念を入れて点検するなり試験するなりあるいは調整するなり、とにかく確信を持ってその上で、もしもこの確信がなければ、三月十日といいますともうあと二日でございますか、十日から沖繩にロッキードの一〇一一とかいうのを就航させる予定にしておりますが、もしも確信が百分の一でも万分の一でもないようだったら、これはとめなければならぬ、こういうことで指示し、点検、検査を、短期間の期間でございますけれども、繰り返させたわけでございます。航空局におきましては、そういうことは万全を尽くしておる、そう間違いはないという報告をちょうだいいたしました。私もそれならば、いままでの飛行機に比べ、より安全であり、またより音量も少ないといういろんなメリットもあるわけでございますから、そういう面も考え合わせて就航の許可に踏み切ったわけでございます。
  251. 土井たか子

    ○土井分科員 これはそれとも関係がございますが、当初あのトルコ航空の墜落事故については、機体の欠陥であるか、それともテロによるものであるかという両説が御承知のとおりございました。現在までの段階では、フランスの事故調査委員会のルメール委員長が、どうもテロであるということは考えられないという見解を公にされておるわけであります。これを裏づけるようにアメリカのダグラス社も、今回の事故の結果でございましょう、この荷物室のドアの開閉の新安全規定というものを大急ぎで定めまして、これを関係航空会社に緊急連絡をしているような始末であります。  こういうことから考えまして、運輸省とされましては、いま日本航空が導入を予定中の同型のDC10ですね、あの事故のDC10に対して発注を一時中止するとか、この事故の原因がはっきりするまでは発注を見合わせるようにというふうな指示をなさるお考えがおありになるかどうか、その辺をお伺いしたいと思います。
  252. 寺井久美

    ○寺井政府委員 先生御指摘の、日本航空が発注をいたしておりますDC10につきましては、まだ発注をしたという正式の段階ではございませんで、買いたいという、われわれのことばでいいますとレター・オブ・インデントといいますが、要するに発注の意思があるという意思表示を現在しております。それで、これの発注契約を確定する時期が四月の三十日ということになっております。そこで、私どももこのパリの事故原因につきましてはまだはっきりいたしませんけれども、このDC10——日本側からいいますとこれは新機材になりますので、これの安全性等につきましては、四月の末までに少なくとも当方から人間を派遣いたしまして一応検査、安全上の問題がないかどうかをチェックする考えでございます。その段階で問題がありましたら、先生の御指摘のようにこれは見合わせるというようなことになると思いますけれども、きょう現在の段階ではまだ原因がはっきりいたしておりませんということもございますし、当方の技術的なチェックというものも全然進んでおりませんので、まだそういうことをきめておるという段階ではございません。
  253. 土井たか子

    ○土井分科員 この問題についてはこの辺で終えますけれども、ひとつ運輸大臣、やはり先ほど運輸大臣がここで御答弁いただきましたとおりで、何百万分の一にしろ安全性についての確認を欠くような事態があれば、これはゆゆしいこと心あるから、運輸省としてはやはり対策を講じていかなければならない、そういう基本線に沿ってやはり考えられますのは、現場で働いている人間くらい知っている人はないと思うんですね。現場で飛行機を操縦して動かしている人たちの意見というものは、やはり最も聞かなければならないことではないかと思うわけであります。したがいまして、大型機の運航についてもこういう方々の意見というものをひとつよく聞いていただいて、尊重して対策の中に生かしてくださいますように、ひとつ申し上げたいと思います。これはようございますか。
  254. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 きょうも、参議院の先ほどの公害対策委員会で、私、まだ手元に見ておりませんけれども、そういう現場の方々が、特に大阪空港に大型機の乗り入れについては慎重であるべきだというような決議と申しますか意見が発表されたそうでございます。私も全く同感でございます。こういう問題は、先ほど来申し述べておりますように、もう間違いのない上にもさらに念を入れ、その結果を見、そうしてまた地元の御理解がない限り、そういう密集、特に大阪の空港みたいな、こういう特殊な環境のところに乗り入れるべきでない、かように考えております。
  255. 土井たか子

    ○土井分科員 それでは、もう一つ質問に移りたいと思います。  もう一つのほうは、私、ここに地図も持参をいたしましたが、新東京国際空港についての例の石油パイプラインですね、飛行機が使用する油を給油するパイプライン、このパイプラインについての問題であります。  四十八年の九月二十八日付で、成田パイプラインの安全対策に関する木原実議員の質問書に対しまして答弁書が出されております。この答弁書の中に、冒頭、「新東京国際空港公団の本格パイプラインについては、石油パイプライン事業法施行前からその工事は継続して行なわれており、」云々という個所がございます。そこでまず確認をさせていただきたいのは、この事業法が施行される以前から工事が継続されて行なわれていたとおっしゃる地点はどこに当たるかということなんです。ここに地図を持ってまいりましたが、ひとつどの部分がそういうことに該当するのであるかということをまずお答えいただきたいと思うのです。
  256. 池田迪弘

    ○池田参考人 お答え申し上げます。  まず千葉のほうから申し上げますと、千葉の港頭地区、それから次にはいわゆる水道道路、これは水道管を入れる予定の道路でございますが、水道道路、それから次いで千葉の東関東自動車道路、高速道路でございますが、さらに四街道、それから佐倉市、それから酒々井、富里、成田、これは空港前でございます。初めに予定されましたのは大体四十四キロでございまして、工事に着手されまして、基準ができるまでにその間三十キロにわたりまして一応工事は済ましておりました。  以上でございます。
  257. 土井たか子

    ○土井分科員 そうしますと、いま四十四キロ全体については八つの工医に分けて工事をお進めになるわけですね。この八つの工区、全体にわたってすでにそのときには工事は行なわれていたというふうに考えてようございますか。
  258. 池田迪弘

    ○池田参考人 そのとおりでございます。
  259. 土井たか子

    ○土井分科員 石油パイプライン事業法が施行される以前、そういう工事を行なう場合には、一体どういう法によって規制されていたかということが一つ問題になってまいります。これはおそらく消防法であろうと思うわけですが、この消防法の設置許可というふうなものを受けてこの工事は行なわなければならなかったのじゃないか。消防法の対象になると考えますが、消防庁のほうはいかがお考えでいらっしゃいますか。
  260. 永瀬章

    ○永瀬説明員 消防法の体系におきましては、消防法の十条におきまして、「製造所、貯蔵所及び取扱所以外の場所でこれを取り扱ってはならない。」旨の規定がございますし、さらに十一条の規定で、設置しようとする場合は許可を必要とするという規定がございますが、その当時のいろいろな問題で、一応やはり許可を受けていただくべきものであるということでお話はいたしておりましたけれども、明らかにその行為が違反であるかどうかというところまでは実は詰めておりません。
  261. 土井たか子

    ○土井分科員 いまの御答弁からしますと、どうもこの受けるべき許可が受けられていなかったように憶測ができるわけですが、もう少しその間、はっきりさせておきたいと思います。  いま御答弁にございました消防法の十一条からいたしますと、本庁は直接御関係がないわけですから、これはやはり現地の消防本部のほうでどういうふうな取り扱いを受けていらっしゃるかということを具体的に聞かなければならないと思うのですが、しかし、一応現地の消防本部や消防署のほうでこれの取り扱いがございましたら御連絡が本庁のほうにもあったに違いないと思うのですね。そういう御連絡があったかどうかということを、ひとつあわせて御答弁いただきたいと思います。
  262. 永瀬章

    ○永瀬説明員 このパイプライン事業法以前の空港公団のパイプラインにつきましては、先ほど御答弁申し上げましたが、消防法の適用であるというのは私どもは当時そう考えておりましたけれども、各省間に多少の疑義がございまして、それも一つの影響があって、私どもそうであるというところの決定は実はまだ十分にはしていなかったわけでございます。でございます関係上、地方から、現地から正式には、そういう工事が始まっているという報告は受けておりませんけれども、内々工事が進められつつある、どの程度かは存じませんが、現実に進められつつあるということは承知しておりました。
  263. 土井たか子

    ○土井分科員 空港公団法によりますと、公団を監督すべきところはやはり運輸省、運輸大臣というところになるわけでございますから、当時は、運輸大臣事情について、それは具体的に担当なすっていなかったわけでして、よくこの点を申し上げてもあるいは御答弁はいただけないかもしれません。しかし、運輸省については、このことははっきりお尋ねをしておかなければならないと思うわけです。  さて、このことについて運輸省は、設置許可を受けてから着手をするというふうに理解をなすってたかどうか。それから、そういうふうな理解があれば、その許可を現に受けるための手続をとるように公団側にいろいろ言われたかどうか、その辺を少しはっきりさせいただきたいのです。
  264. 松木洋三

    ○松木説明員 お答申し上げます。  ただいま先生御指摘の点につきましては、新東京国際空港公団法二十四条に業務方法書という規定がございます。この業務方法書の規定に基づきまして給油施設の建設及び管理規程及びそれの実施細則というようなものを定めておりまして、それに基づいてパイプラインを建設してまいった、こういう事情でございます。
  265. 土井たか子

    ○土井分科員 それでは、どこに対してもその工事に対して設置するということの許可を受ける必要はなしというふうな御理解で、どしどしと工事はお進めになったということに理解してようございますか。
  266. 松木洋三

    ○松木説明員 たとえば道路管理者の許可等、あるいは地方公共団体の同意を得るといったような手続はいたしております。
  267. 土井たか子

    ○土井分科員 そういう手続なくして工事なすったら、これはたいへんですよ。それはらち外の問題です。  いまここで私がたいへん気にかかるのは、その地域の住民からすれば、やはり安全対策が十分であるかどうか、それからここで油漏れなどがあったときに一体どういうふうな措置がはたして保証されているかどうか、その辺一番の気がかりだと思うのです。そういうことに対しての担保というのは、それではどういうかっこうでなされていたのでしょうか。
  268. 松木洋三

    ○松木説明員 先ほどお答え申し上げましたように、新東京国際空港公団法の規定に基づきまして運輸大臣が認可をいたしました業務方法書、これを受けまして給油施設の建設及び管理規程というものを大臣が承認いたしております。さらにそれをこまかくいたしたもの、航空機給油施設建設実施細則というものを公団内部でつくっておりまして、それに基づいて安全管理をしてまいる、こういうことでございます。
  269. 土井たか子

    ○土井分科員 そうしますとはっきり確認をしたいのは、この石油パイプライン事業法というものが施行される以前においても、消防法によるところの設置許可というものは不必要だったというふうな御認識なんですね。しかし実際問題といたしましてどうでしょう。これはあってはならないことですけれども、災害が起こった場合に一体どこのところがこの災害に対しての対策をおとりになるのですか。だれが一体災害に対してのあとの対策をおとりになるのですか。私は消防庁だと思いますよ。災害に対して責任をもってあとこのことに当たるというのは消防庁だと思うのです。そのことに対しても運輸省は責任をもってだいじょうぶだ、災害が起こっても全部私たちの手で何とかいたしますというふうにお考えですか。
  270. 松木洋三

    ○松木説明員 ただいま先生の御指摘なさった点でございますが、パイプライン事業法成立の過程でいろいろこのパイプラインという新しい輸送手段の事業監督あるいは保安監督面について議論がございまして、その結果、先生御承知のとおり、パイプライン事業法上の保安監督は自治大臣と運輸大臣と共管ということになって今日に至っておるわけではございますが、パイプライン事業法成立までの過程においては、そういう保安監督面について特別の明文規定がなかったことも事情としてはございます。したがいまして、私ども先ほど来御答弁申し上げておりますようなことで運輸大臣が責任をもってこのパイプラインの建設管理を監督してまいった、こういうことでございます。
  271. 土井たか子

    ○土井分科員 建設管理というのは、建設をした結果のあとあとまでやはり責任をもって建設管理をなさるはずだと私たちは理解するんですね。建設をした結果災害を引き起こした、あるいは建設をした結果いまの保安対策が十分でないことのために災害が引き起こされたというふうなことがあってはならないわけです。そういうところまで保安対策、いまはしなくも言われたわけですけれども、はたしてこの事業法が施行される以前十分に考えられていたかどうか、それを一つ先ほどからお伺いしているわけなんですね。ですから、そのことに対して全然関連の法令がなかったら別ですよ、全然これを取り扱う分野の法律がなければ別ですけれども先ほど消防庁の御答弁にもございましたとおり、消防法の十一条という条文があるのです。あるいは十条の規定があるのです。それじゃこの十条、十一条に対しての認識はどのようにお持ちになっていらしたかということをひとつお答えいただきましょうか。
  272. 隅健三

    ○隅説明員 その点につきまして私の答弁が先生の御質問に答えられているかどうか、これはいろいろ私自身といたしまして非常に言いにくいことでございますけれども、先生が昨年の五月八日に衆議院の公害環境特別委員会においていろいろ御質問の中に、最初パイプライン事業法の附帯決議について、附帯決議の第四「石油パイプラインの事業用施設に関する工事の施行および各種検査の実施については、主務大臣は、保安のための技術基準に適合させるため、とくに消防職員立会いのもとに厳重な点検を励行するものとし、不良工事に対しては、必ず工事のやり直しを命ずること。」という、この項を先生が御指摘になりました。そのときに、私といたしましてはこの点に対しての認識はございましたけれども、その点について十分でなかったということを申し上げました。これがお答えになっておるかどうかは私きわめて問題だと思います。ただいまのところこれにて答弁とさしていただきます。
  273. 土井たか子

    ○土井分科員 わかりました。いまの空港部長さんの御発言で、対策が十分とは考えていらっしゃらなかったということが非常にはっきりするわけです。そこで確認の意味できょう御足労いただいた公団のほうにお尋ねをしたいのは、いまの事業法が施行される以前、この工事を行なうに先立って、あるいはその途中でもけっこうですよ、消防法の設置許可というものを申請されたということがあったかなかったか、それをひとつお答えいただきます。
  274. 池田迪弘

    ○池田参考人 ありませんでした。
  275. 土井たか子

    ○土井分科員 もう時間がございませんから端的に、大臣先ほどからお聞きになりまして、一つお伺いしたいのです。  消防法では十条、十一条できめているところによりますと、私たちは総合して考えてまいりまして当然、これはまだ石油パイプライン事業法というこれを取り扱う事業法がない時代のことでありますから、何らかの保安対策、保安措置を講ずる場合には、この消防法の規定に従って、工事をするに先立って設置許可を受けてしかるべき工事内容じゃないかというふうに考えるわけです。ひとつそこのところ、大臣はどういうふうにお考えになっていらっしゃいますか。
  276. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私は法律のことはまことに暗くて申しわけございませんけれども、常識論でまいりますと、なぜそういうようなことを手抜かりをしておったのか、あるいはまた、当時からそういうようなことが議論があったということを消防庁のほうでも言っておるのですから、それをなぜ避けて通ったのか、その間の事情をよく存じませんけれども、これにはこれなりの理由があるようです。どうもお役所の人は法律の理屈ばかりが多くて、大切なことが抜けておるようでございます。これはやったからといってたいして問題がどう——あるいはやったがためにいろいろな問題が出たかもわかりませんけれども、私が考えますと、消防庁も何かへっぴり腰、私どもそう思いましたけれども、それほど法律的にぜひやらなければいかぬというので詰めて追い込んだわけでもございませんというような説明でもございますし、その間の事情はよくつまびらかにいたしませんが、御説のように、やはり万全の措置はとっていかなければならないと思っております。
  277. 土井たか子

    ○土井分科員 現にここの問題は、ほかにもきょうは実は暫定ラインのことについてもお伺いしたい点もあったわけですけれども、時間の関係でそれは後日に譲りたいと思います。ここの本パイプラインの中身は、いま大臣御承知のとおりで、事業許可はそのものは出ておりますが、工事認可に対しての申請はまだございません。ですから、パイプが埋められたままでそのまま放置された状態になっているわけですね。しかし、だからいまさら何を言うかというふうなお考えも中にはあるかもしれませんけれども、私はやはりこういう国家的事業、国の責任においてやられる事業について安全対策、保安対策というものは十全を期すということが、いま先ほど大臣がおっしゃったとおり常識だと思うのですよ。だからそういう点からしますと、とかくお役所仕事というのは、法律と理屈に追われてそれになり終わるというふうな向きもあるかもしれませんが、いまの問題は、なすべきことに対してどうも十分ななされ方をなさってなかったということと同時に、推してまいりますと、消防法の十一条から考えてこれは違法であったということも言えるんじゃないか、厳密に考えていきましたら違法ということも言えるんじゃなかったか。ところが、もしそうなってまいりますとたいへんな問題がもう一つ浮かび上がってまいります。私、また法文ばかり引き合いに出してたいへん恐縮なんですけれども、少々きびしいですよ、これは。刑事訴訟法の二百三十九条というところを見ますと、二百三十九条の二項では「官吏又は公吏は、その職務を行うことにより犯罪があると思料するときは、告発をしなければならない。」とあります。この問題が犯罪と考えられるかどうかということになってまいりますと、これは消防法に従って考えていって、この十一条に違反というふうな場合には懲役刑というふうなことも用意されている罰則があるわけでございます。そういうことから考えていきますと、この刑訴法の二百三十九条の二項にもひっかかってくるという部面も生じてくるわけなんです。これだけ大きな問題を、どうも適当な措置が十分に講じられていなかったように思うとか、もう一つ配慮が足らなかったというふうなことで見過ごされていって終わり切っていいものであろうかどうか、私は大きな問題だと思いますが、ひとつ大臣、その間についての御見解を承りたいと思うのです。
  278. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 それぞれの立場があったと思います。もしもそういうような問題を詰めて、手抜かりであったといったら消防庁といえども許すわけにはまいりません。それからまた、これを推進した事業者、許可した運輸大臣としてもこれは許すわけにはいかぬと思います。そういうようないろいろな問題がございますが、当時はそういうような問題についていろいろ研究をし、また詰め合って、議論をし合って、まあこれならば法律に違反することはないだろうということで、こういうふうな形をとっていったのではなかろうか、こういうふうに思うわけでございます。したがいまして、四十五年ころの話でございますか、前の話でございまして、よくその間の事情をつまびらかにいたしませんけれども、やはりとるべき処置というものはきちっととっていかなければならぬ。これは特にこういう公共的な施設に対する安全というような点から考えまして、もう法律的にも、またその他の面におきましても、十分な配慮と十分な手続を踏んでいかなければならないものだと考えております。
  279. 土井たか子

    ○土井分科員 これ一言を申し上げて、もう私は時間ですから終わりにいたしますが、保安対策、安全対策というものは臨機応変に十分に詰めをして努力をして、これで万々抜かりがないというふうなことでやっていったらよいというふうなお考えがあることは事実だし、私はそれはそのとおりだと思いますが、しかし、これは住民や国民の側からいたしますと、保安対策とか安全対策というものに対する国の責任は、法や法令やきめられている基準によって担保されるわけです。したがいまして、いまの問題も、何か事が起こると、やはりあと処理というものが一気に消防庁さんのほうにかかっていくだろうと思うのですよ。それで消防庁さんのほうの手抜かりということをいま運輸大臣おっしゃいましたけれども、むしろそういうふうな点からすると、積極的に、やはりこういう問題に対して事前の手続はこれで万々怠りなく行なわれているかどうか、これで十分かどうかということを御思量になるのは運輸省であるし、運輸省とともに公団だと思うのです。これは間違っておりましょうか、私の言うこと。私はこういうふうに考えますが、いかがでございましょう。
  280. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 こういう問題につきましては、私当時の事情をよく知りませんけれども、みんながそういう面についてそれぞれの立場から使命を果たしていかなければならぬと思います。消防法によっていろいろな問題を処理する消防庁においても、これがどうしても消防法に触れると思えば勇気を持ってその見解を明確にしなければなりませんし、またそれをもしやらぬということであれば、これはまた大きな問題がほかの面で発生してくると思うのです。そういうようなことで、この法律の詰めがどういうところにあったか、私は法律家でないからよくわかりませんけれども、そういう面は十分配慮されて、国民の生活を守るという立場を常にあらゆる点において行政の面で忘れてはならない、私はかように考える次第でございます。
  281. 土井たか子

    ○土井分科員 それでは最後に一言お伺いしておきたいのは、これは運輸大臣先ほど私は、これは問題が違法性を持っているということになり、違法性が明らかにされてまいりますと、刑訴の二百三十九条第二項という条文も関係条文として出てまいります。どうしてもこれははっきりさせなければならないという事情があるというふうに大臣お考えになり、そしてこれはやはり違法ということが明らかになった段階での話でありますが、告発が必要だとお考えになれば、告発というふうなことも対策として講じられますかどうか、一言お答えいただいて、私は終わりにしたいと思います。
  282. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 すでにパイプライン事業法という法律もできておりますし、またそれに対する技術基準というものも告示されたようでございます。当時の問題をいま私がここで法律的にどうしたらいいかとか、あるいはどうすべきだろうということの見解については述べるのは適当でないかと思いますが、とにかく法律がある限りにおいては、法は守っていかなければならぬことは当然のことでございます。
  283. 土井たか子

    ○土井分科員 それではこれで私はきょうは終わりにしたいと思います。ひとつこの問題は今後にわたることでありますから、きょうのことは過去のことということでなしに、これは現に続行している問題というふうに理解をいただいて、いろいろ対策をお考えいただきますように最後に申し上げて、終わりにいたします。  どうもありがとうございました。
  284. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて土井たか子君の質疑は終了いたしました。  次に、沖本泰幸
  285. 沖本泰幸

    沖本分科員 私は地域的な問題にとどまるようなお話になりますが、非常に経済事情いろんなものが切迫してきておって、総需要抑制、こういう政府の方針というようなものがありますけれども、どうしても地域住民のためにやらねばならないこともそういう中からあるわけです。そういう観点に立ちましていろいろ御質問したいと思うわけですが、私の質問は主として国鉄に関する、おもに大阪でございますが、それといわゆる交通渋滞に関する立体交差五カ年計画というものに関連したものと二つを御質問したいと思います。  まず順序といたしまして立体交差五カ年計画で建設省のほうへ先に御質問して、お答えが終われば帰っていただきたい、こういうふうに考えますので、鉄監局長もいらっしゃいますが、その関係から立体交差五カ年計画で相当早くこの方針がきまって、五千億の予算で日本じゅうにわたって仕事を始めたわけですけれども、その立体交差五カ年計画の全体的な進捗なり何なりということは別にしまして、総需要抑制の中で行なわなければならない、これは交通渋滞が非常に起きているという時点をとらえて行なってきているものですから、その中においてもどうしても工事は急いでもらわなければならない。これは地域住民の生活に関する問題にからんでくるわけですから、その点は十分御認識していただいてお願いしたいわけです。  それでたとえて言いますと、大阪の南海電車の南海本線に関しまして、いわゆる一番交通がひどくなってきておる大阪の萩の茶屋駅から大和川間の高架について、もうすでに半分の工事はだんだんと手がけてきておるということで、上げやすいところから高架化の仕事をやっていっております。建設省のほうの内容から伺いますと、一応第一次工事は大和川−玉出間で仕事が始まっておるわけですけれども、これを少し延ばして岸の里という地域に延ばしてきているわけです。これは踏切があるためにそうなったわけですけれども、それに関連して今度そのあとの問題のほうが非常にまだたくさん残っておるわけです。そういう関連から、大阪市あるいはその地域においては工事を一つにして予算を組んだほうが工事費としては非常に安いんじゃないか、その中で二つに割ってやっていく。これを一期工事で一つを先にやって、あとからまた工事計画を立ててやっていくということになると、二つに分けて非常に高くついていくという面も出てくるのでという考えもあるわけですけれども、そういうものを通してみまして、だんだんと需要が抑制されていくために予算措置なり何なりというものの延びがあって、非常に後退しているんじゃないかという面も考えられるわけですけれども、具体的なことについてお答えいただきたいと思います。
  286. 中野三男

    ○中野説明員 お答え申し上げます。  南海電鉄の本線につきましては、私どものところで現在大阪府下で一カ所の仕事をやっています。一カ所は大阪市内の、いま先生おっしゃいました玉出駅から大和川の右岸までの約三千四百メートルの区間でございます。もう一カ所は堺市内でございまして、大和川の左岸から石津川に至ります五千三百六十メートルの区間でございます。南海本線の玉出駅から大和川の右岸に至る三千四百メートルの鉄道を高架にするという事業は昭和四十六年度から私ども国庫補助事業として採択いたしておりまして、現在までにおおむね四十八億円ぐらいの仕事を消化いたしておるようでございます。進捗としましてはおおむね三三%ぐらいになっておろうかと思うわけでございます。この間につきましては、昭和四十六年度に採択いたしました際に、大阪市及び南海電鉄株式会社といたしましては、昭和五十一年度を目途に完成をさせたいというような希望であるようでございます。ただいま先生がおっしゃいました玉出から北の区間、玉出から萩の茶屋、これから先は高架になっていると思うわけでございますが、この間のおおむね千八百メートルぐらいの区間につきましては、事業主体であります大阪市及び南海電鉄株式会社といたしましては二期工事というふうに考えておるようでございます。いずれにいたしましても、私どもは最初からそういうふうに延長を切ってやるつもりでおったわけではございませんで、事業主体のほうで一応そういう判断でお始めになったように私どもは伺っておるわけでございます。この区間の第一期工事をなるべく早く終わらせるということが何よりも急がれるわけでございまして、その進捗状況を見ながら、大阪市から引き続き第二期工事をやりたいという意思表示がございましたならば、私どもといたしましても引き続き助成の方法を考えたいというふうに考えております。  総需要抑制というようなことで予算が削られたのではないかという御懸念もあるように思いますけれども、私どもとしましては踏切をなくす、要するに交通事故をなくすということは最大の事業であるというふうに考えておりまして、来年度の予算が全国的には三%ぐらい減っておるわけでございますけれども、鉄道高架事業につきましては、ほかを少し削ってでも伸ばしたいということで、おおむね一割増しぐらいの仕事を全国的にはやりたいというふうに考えておるわけでございます。
  287. 沖本泰幸

    沖本分科員 これにあまり時間をとれませんので、これぐらいで、もうお答えいただいた程度で終わっておきたいと思います。  きょうの御質問の本体は、大阪の城東貨物線のスラブ化と客車電車化ということになるわけですけれども、こういうふうな資料をつくって一生懸命やっているわけなのです。  これは国鉄総裁にお伺いするわけですが、すでに前の磯崎総裁のときには、総武線が終われば全力をあげてこれにかかる、こういうお答えがあったのですけれども、昨年には二億の予算を組んでいただいたということで、始まるのかなという期待をかけておったのですけれども、それがその後何かとんざしたような感じを受けるわけです。そういうことでその点についてもう少し具体的なものを伺ってみたい、こういうふうに考えます。  先ほど述べましたとおり、総需要抑制ということに乗っかって国鉄のほうも赤字でもあるし、財政再建の問題もからんでいるからこの際というようなことになると問題がだいぶ違ってくるようになるわけですね。そこで、ここに出ているものを中心にしてお伺いしたいと思いますけれども、すでに工事をやってもらいたいということで国鉄債を十億から買って土地を買収してもらって待っているということでもありますし、あと東住吉区の足りないところの土地を早急に買って、見た目で国鉄がやってくれているというふうな安心感も得たいという面もありますし、それから具体的にこの中からとらえてみても、大阪の内環状線は飽和状態になっている、これはお認めになると思うのです。  四十四年までの過剰人員数を見ると、三十年から四十四年まで約三倍になってきている。これらの乗客の中には都心部を単に通過するだけの乗客も相当いる。これらの乗客は、外環状線が完成すれば都心部を通過することなく目的地へ向かうことができる。それから、これは都市再開発の一番ネックになっている、そういう点。それからすでに飽和になった都心部から、産業発展の中心が大阪東部へ移っていっておるということも事実だ。人口の移動も起きておるというところで、人口がどんどんどんどんふくれ上がってきておる現実も現実なんです。そこへ城東貨物線が土を盛った昔なりの単線で一日に何回かごとんごとん貨車を引っぱって通るのは、ちょっと昔なりの状態なんですね。それが非常に交通停滞の大きなネックになっているということが、大阪全体の感情としても済まされないというような事情にもあるわけです。大阪流にものごとを考えますと、この線はもうかるはずなんだ。もうかるはずのところをどうしてやらないんだ。おまけに、総武線は地下へ入れてきているじゃないか。地下を掘ってずいぶん金かけて力を入れたのに、こちらは高架にするだけなのに、土地も自分の土地をお持ちなんだ。それにない土地は、鉄道債まで買ってつくってくれと力を入れているのに、なぜやってくれないんだということなんですね。  そういうふうなものを考えていただきますと、ただ大阪弁的にいえば、やりまっせというところで、高井田と蛇草の間だけちょっと高架にして、こんなになるんですよということだけでほっとかれたんでは、地域の人たちやあるいはその周辺の市民の感情に合わないということにもなってくるわけです。そういう点をお考えになっていただきますと、新しい総裁に前の総裁以上の力を入れてやっていただきたいということになりますし、関西支社がなくなっていますから、国鉄は中央集権で大阪なんか関係ないじゃないか、そういうふうにお考えじゃないのか、東京ばかり力を入れるんじゃないかというのが大阪の悪評なんです、現在のところ。  それで、いわゆる大阪の内環状線、押し合いへし合いになっている。おまけに私鉄は全部波状的に中心へ乗り込んできている。だけれども、横をつなぐものは何一つないというようないろんな交通事情。釈迦に説法的に私申し上げるまでのこともないと思いますけれども、そういう点をお考えになっていただくと、大阪の人間がいかにこの問題を考えておるかということがおわかりになると思うわけなんです。ですから、その地元の推定からいくと、阪和線以上の人を運ぶことになり、それ以上の大きな収益をあげていくだろうと見ているわけですけれども、その点について、もう時間も五時十分までだそうですから、具体的にお答え願いたいと思います。
  288. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答え申し上げます。  どうも関東を中心にして大阪は忘れているんじゃないかというようなおしかりで、あるいはそういうお考えも当然かと思うのでございますが、そのわけは、何も大阪を忘れたわけじゃなくて、御承知のように大阪というのは私鉄網がおそろしく発達して、国鉄に環状線はないという議論はありましたけれども、国鉄に依存する度合いが関東とは違うんで、関東がおそろしく国鉄に依存されたおかげでおそろしく混雑した。まずもってその関東を解消さすのが第一であろうというようなことで大阪に手が回りかねたというようなことで、これはまずもっておわびしておきますが、関東もこれで十分だとは申しませんけれども、一応の手を打ったのでこの次は、前総裁がおっしゃったかどうか知りませんが、大阪にひとつおくればせながら大いに力を入れようということは私どもまさに大賛成で、去年は何か知らぬが予算あんまりやりおらぬじゃないかという御議論もございましたが、要するに、大阪市とか地元とか建設省とか関係の面が多いので、その御意見を伺ったり協議を進めたり、そんなことでおくれたと思いますが、今年度は大体十億くらいの予算をつけて、ひとり用地買収を進めるのみならず、放出あたりの付近はひとつ仕事にかかりたい。それで地元の方との協議がうまくいつまとまるかというようなことも問題があるとしても、その協議さえまとまれば、今後少なくとも五年間くらいのうちにこいつを完成したい、こういうので、ひとつふんどしを締め直してがんばるつもりでございますので、その点は御安心を願いまして、さらに、しからば具体的にどうなんだというような議論になりますと、担当の者が参っておりますので、詳しく御説明いたさせます。
  289. 内田隆滋

    内田説明員 先生の御指摘のちっとも進んでないじゃないかというお話でございますが、いま総裁も御説明いたしましたように、もうすでに着工に入っているという考え方をしていただいてけっこうだと思います。たとえば、こういうような大きな工事というものは、先生も御承知のように、まず建設省の連続立体交差に対する負担金の話がきまらなければいけない、あるいは地元との都市計画、主として道路との関係あるいは駅前広場の関係、こういうようなものが明確になって初めて工事の実施計画ができるのでありまして、そういう意味では大阪市その他と現在の盛り土高架をスラブにする負担金の協定の問題、あるいは連続立体交差の問題というようなものにつきまして協議を進めております。ただ、先生も御承知のように、現在線を高架に上げるという問題は、これは大阪府の事業になるわけでございます。したがって、建設省の事業費を得て大阪府が事業をしていただくということになりますので、その点につきまして現在のところ非常に問題がある。しかし、われわれとしては、いま総裁から御説明がありましたように、来年度は十億の予算もつけておりますので、本格的に着工するつもりであるということでございます。
  290. 沖本泰幸

    沖本分科員 威勢よく総裁お答えになっていただいたのですけれども、前の磯崎総裁の去年のお答えのときは、スラブ化については相当金がかかるので、地元のほうも応分のことがあればわれわれもやるんだ、色気出さないかという、こういう誘い水があったのです。地域が発展することでありますから——私はかってにそういうことを言えるわけじゃありませんけれども、やるということがわかり、そこから生まれてくる利益というものがわかってくれば、応分のことはいろいろ考えて、前に進んでいくための相談には乗ってくると思うのですね。ところが、いつやるか、何をやるか、どういう形でやっていくのか、どうなるのか、まだ一切わからないまま、そのうちやります、そのうちやりますというわけで、それで金は出せ出せといって出さして、少なくとも長い間十億に近い金を寝かしてしまってというのじゃ、地元としてもかんべんならぬということになってくると思うのですね。その辺のことをお考えになっていただくと、またここで問題が出てくるのは、先ほど、いま地盛りの上に線路が敷いてあるのをスラブ化していくと、これは大阪府の問題だ、だから地方自治体で金を出せ、こういう常務理事のお話なんです。だけれど、地元がああ言っておるのは、これは当然高架化の問題だから、国鉄のほうで予算の獲得をしてもらわなければならぬ。この辺の話がまたはち合わせしてくることになるわけですけれどもね。その辺のことは、いや、おまえのところで考えろというふうに投げるのでなくて、これを解決するためにはどうしたらいいかという話し合いを十分続けていただく必要もありますし、青写真をつくっていただいて、その青写真に載せていただいて、それでこういうことになっていくんだという前向きの十分な話し合いが必要じゃないかと思うのです。  それから駅前の問題、立体交差の問題、いろいろ常務理事のほうから問題点を指摘されましたけれども、駅前の問題は、これは全国どこへ行っても問題になってくるわけです。国鉄のほうとしてはがんとして譲らぬというようなことがやはり前へ進まない一つの問題になるわけですから、これが進むようになったきざしには、やはり立体交差の関係から建設省との話し合いがついたから、国鉄も乗り気になってきてこれをやるような道がついたんだというのがこの前の御説明なんです。私は毎年質問していますから経過は一番よく知っているのです。そういうことなんですから、話が途中から変なところで変わってもらったら困ると私は思うわけですけれども、そういう点を具体的に青写真を示していただいてやっていただかなければ、結局あれが大阪の一番ドーナツの内側をとめてしまっていることになるのですよ。人口が外へふくれ上がって、車がどうにもならないというような状態で、交通停滞の一番大きな問題になっているわけです。そういう点を考えていきますと、ただ単に国鉄の事情だけというようなことだけにとどまらず、この点は運輸省のほうと十分御認識いただいて、鉄監局長のほうも大臣のほうもこの点もう少し前へ進むように、といって国鉄を信用しないということではないのですけれども、何ぶん赤字財政というにしきの御旗を引っぱり出したりというようなことになってくると問題がおかしくなってくるようなことが多いものですから、その辺を私たちは危惧するわけです。  総裁は、大いにがんばるぞ、五年ぐらいでやろう、こういう目標をつくってくれたのです。五年ぐらいで完成しようと思うということですから、国鉄のほうが総武線をおやりになるときには、あらゆる問題を排除してつくったはずなんです。大阪の人間が頭へきているのは、地価は二十何億だ、その二十何億の大阪をストップしておいて、またずっと向こうの目標に向かって一生懸命掘っていって、それで総武線をつくって、エスカレーターまでつくってというふうにしておいて、大阪はペンペン草はやした土手の上へ貨物線だけぽとぽと走らせて、自動車をみんなとめるのかというのが大阪の人間の感情なんです。素朴な感情なんですよ。がまんならぬというのが感情なんです。そういうことを考えていただきますと、これはやはり軍配を上げたら大阪のほうへ軍配が上がります。国鉄のほうが悪いということになります。ということは、何もかも国鉄でやってくれとこう言っているわけじゃないのですよ。われわれも手伝いますと言って、みんなが寄って十億からの金を出しているわけです。ことによれば考えないこともありませんということもちらちらしているわけなんです。そういう点があるわけですから、その点を十分考えていただきたい。非常にいま経済の悪化しているところでこういう御質問をすることはどうかという面もあるわけですけれども、これはもう地域住民の生活、経済に一番大きな問題を投げかけますし、公害なり交通停滞なり、いろいろな面に影響を及ぼしているわけですから、一日も早く車がどんどん通れるような形にしなければならない。ただ、スラブ化にするために金がもうずいぶん上のせに二百億も三百億もかかってくる、その金の出しようがないんだ、こういうふうなことが国鉄のほうのおっしゃり方じゃないかと思うのですけれども、国鉄たるものがあの見ばえの悪い土手をそのままほっておくのも国鉄のやり方ですかということにもなるわけです。そういう点があるわけですから、一方的なエゴにとらわれないようにしてこの問題を十分前向きに進めていただかなければならない、こう考えます。あと五分ほどしか時間がありませんので、鉄監局長なり大臣なりの御決意なりについて、また主体者である総裁の一言をお伺いして、終わりたいと思います。
  291. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 先ほど国鉄総裁が決意のほどを披瀝いたしましたし、また、細目にわたりまして常務理事からやるんだということも申し上げておりますし、私どももそういう線で極力促進するように指示してまいるつもりでございます。
  292. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 先生御指摘の点には感情としてはまさに賛成でございますが、まあ、国鉄がこれからあれを増強しようという決心をして大いにやろうということは、平面交差の踏切が取れる、したがってその受益の方の御負担を仰ぐというような面も出ましょうけれども、すべて国鉄が指導して、皆さんにお願いすべきものはして、やるべきことを進めて、共通の願望であるこの線路を早く完成しよう、かように考えております。
  293. 沖本泰幸

    沖本分科員 きょうは建設省からも御担当の課長が見えているわけですから、やりとりの事情はよくお耳に入ったと思いますので非常に好都合だったと考えるわけです。そういう点で、長年期待しており、大阪周辺市長会が令部連盟をつくってこれに当たっているというような内容、こういうものも御認識だと思います。そういう点をお考えいただいて、計画が進むような具体的な青写真をつくっていただいてお示しいただきたい、こういうふうに願いたいわけです。ありがとうございました。
  294. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて沖本泰幸君の質疑は終了いたしました。  次に、竹内猛君。
  295. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いま大阪のほうから国鉄の問題についてお話がありましたけれども、今度は、私は東京じゃありませんが、東京を中心とする関東の、特に茨城、栃木それから埼玉、こういうところの問題についていろいろ御質問をしたいと思います。  大正十一年四月十一日の法律第三十七号によって国鉄の敷設に関する法律ができました。そしてその中に幾つかの付表がありまして、その四十三、四十四、四十五、この部分に茨城県、栃木県、埼玉県に関する計画というか目録ができています。これは五十年前にできたものでありますけれども、たくさんの目録がありますけれども、その後この目録のどれくらいのものが全国で実際に実行されたかということを先にお聞きしたいと思います。
  296. 秋富公正

    秋富政府委員 たいへん申しわけありませんが、ただいま正確な数字をちょっと持っていませんので、後刻御報告申し上げたいと思います。
  297. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それならば、ひとつあとで数字を出していただきたいと思います。  そこで問題は、三県はそれぞれまとまって、この鉄道をぜひつくってほしい、こういう要求をいろいろしてきたと思いますけれども、最近、特に東京を中心とする山手線、それからつい昨年には山手線の外回りの武蔵野線ができました。そして現在、そういう横のつながりができた中で、依然として常磐線、東北線、それから信越線、八高線、これを横につなぐもう一回り大きい東京外郭環状線をぜひつくってほしいという運動がかなり熾烈になっております。私たちのところでは、すでに先輩の議員がおりましていろいろやられてきたけれども、この問題について今日まで五十年間調査にものらないというのは何か理由があるかどうか、それをまず先にお聞きしたいと思います。
  298. 秋富公正

    秋富政府委員 昭和三十九年に鉄道建設公団が発足したわけでございまして、そのとき鉄道建設公団は、その以前にすでに調査線になっておりましたものあるいは工事線になっておりましたものを引き継いでいったわけでございます。これが六十六線あったわけでございます。  御承知のAB線の予算でございますが、これは四十七年が二百億でございましたが、昨年四十八年は三百三十億、四十九年は三百五十億、こういうふうに飛躍的に増強いたしてきておるのでございますが、しかし何ぶんにも非常に工事費のワクというものがございまして、現在まで鉄道建設公団といたしましては、発足以来新たに予定線から調査線に格上げしたというものはなくて、現在公団発足の際に引き継ぎましたものに全力をあげてきているというのが実情でございます。
  299. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 経過はよくわかりますが、そこで問題は、国鉄の場合に、赤字が出たからそれはやらないということではなくて、すでに国鉄ができているところでも取りこわしをしているところもありますね。それからまた、いまの大阪の話のように、たいへん密集地帯においてもあまり進まないというようなこともある。われわれのところは、どちらかというと、これからますます人口がふえるところです。筑波学園研究都市ができるし、いろいろな形で人口がふえる中で、横の連絡がないということから——いまこれを利用するというのが人口にしてみれば百万人ですね。百万の人たちが最近これを非常に要求をしておるわけです。  そこで、何とかこれを実現をしたいということで、これは党派を越えてやっております。去年までは土浦の市長が中心になったのですが、ことしは埼玉県の幸手町の町長が中心となり、関係各市町村なりすべての機関をあげて、調査にでもしてもらいたい、こういう要求があります。そうして、これをだんだん実行のほうに移してもらえないか、そういうためには何か隘路がまだあるのかどうか、こういうことなんですね。
  300. 秋富公正

    秋富政府委員 総体的、一般的に申しますと、先ほども御説明申しましたような工事費の総ワクの関係でおのずから制約を受けているということが一番大きな問題でございます。が、東京の周辺におきます異常な発展ということは私たちも絶えず意識しておるわけでございまして、国鉄におきましても、いわゆる五方面作戦ということで在来線の強化ということをしてきたわけでございます。一方におきまして、鉄道建設公団におきましてもCD線という、大都市交通線という形でいろいろと建設をし、すでに進行しているものも相当部分あるわけでございます。  で、この環状的意味におきましては、武蔵野線、小金線と申しますものを現在鋭意建設しておりますし、すでに昨年の四月にはその一部も営業開始してきている状況でございます。この、現在いわゆる小さな山手線の外の環状線というものの役割りというのは大きなものでございますが、さらにその外側の環状線と申しますものにつきましては、国鉄の現在の八高線、川越線、これに東武鉄道の野田線、こういったものを結びますことによりまして、さらに外側の外郭環状線というものができるわけであります。  現在までの輸送の流れと申しますものは、やはりどうしても都心に向かっての流れというものが多いのでありますが、私たちとしましてはそれだけにとどまらず、環状線という問題も考えておるわけでございまして、現在の武蔵野線というものもその一つのあれでございます。さらにその外側の八高線、川越線というものの整備増強ということもはかっていかなければならないと思っておりますが、そのさらに外側の、ただいまいろいろと御指摘があり地元の御要望もあります四十三、四十四、四十五という別表の線区を結ぶ線、これが一つの環状線をなすことは事実でございますが、この問題につきましては、いま少しその地域開発計画あるいは道路整備その他を総合的に考えてさらに検討を重ねていきたいと考えております。
  301. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 調査をするとおっしゃいますけれども、いままで何年かそういう運動があったと思うのですけれども、そういうことについてこの要請を受けたことはありますか。
  302. 秋富公正

    秋富政府委員 私、国鉄部長をいたしております時代には幾らかお話を聞いたのでございますが、一昨年鉄監局長になりまして以来はあまりお話は聞いておりません。
  303. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 そうすると、地元の熾烈な要求がなければなかなか動かないということになるのですか。
  304. 秋富公正

    秋富政府委員 私たちは、別に地元の要望が熾烈だから取り上げるとか運動が盛んでないから取り上げないとか、そういうようなことは一切いたしません。きわめて客観的にすべての面を総合的に考えて処理いたしております。
  305. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 おそらく、国会でこの問題をこういう形で発言をしたのは確かにあまりなかったと思います。そこで、きょうは正式にこの問題を取り上げているわけですが、現に毎年毎年何百万かの金を各市町村から集めています。これは資料は差し上げてあると思いますが、そういう形で運動があり、いつできるかという問題については、確かにその客観的ないろいろな条件というものの調査も必要でしょう。だけれども、それは、ただこういうふうに要望があるということだけでとどめないで、一歩進んで調査に入るとか何かするということはできないものでしょうか。
  306. 秋富公正

    秋富政府委員 運輸省といたしましてもそういった面における調査費というものは持っています。これは主として新幹線用ではございますが、調査費も持っています。それからさらに鉄道建設公団あるいは国鉄におきましてもそういった調査ということができるわけでございますが、やはりさしあたっては、運輸省においてこういった問題はいろいろとさらに検討を重ねていくべきものだと考えております。
  307. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 運輸省としてその点について、いまのやりとりの中でどのようにこれをお取り扱いを願うかということについてどうでしょうか。
  308. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私実は外環状線の問題は、名前は外環状線ということはかねがね聞いておることもございます。またいまお話しの中で筑波学園都市の問題も出てまいりました。いろいろな重要な足の問題が出ておるようでございますし、また今度、市街化公営住宅法、ちょっと私法律の名前を忘れましたけれども、いろいろ関連した法律が提案されるようでございますが、そういうようなもの等も、当然いま御指摘の外環状線の範囲内にいろいろな形であらわれてくるのじゃないかと思っております。そういうような具体的なものをも十分検討いたしまして、これは鉄道建設審議会におはかりしなければならない問題でございますが、御発言の趣を検討させていただきたいと思っております。
  309. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私はぜひそれをお願いしたいと思うわけです。というのは、一番先の目録の中で幾つできたかということは、調べればよくわかるのであって、採算ということからいえば最も採算のとれないところにもできています。あるいは取りこわしをしています。それもやむを得ないと思うし、そういうことは十分了承した上で、いまこれからたいへん過密になっていくところで、縦のものはあるけれども横のものがないということで非常に不便でありますから、この点についてはぜひ取り上げをお願いをしたいし、また今後われわれが熾烈に要請をしなければいけないようですから、やるように地元には言いますから、そういうことを特にきょうは要請をしながらこの問題については終わります。  そこで次には、昨年のちょうど春でしたか東北新幹線が起工をするというわけで、茨城県の猿島郡総和町の工業団地の中でその起工式がありました。私はそれに出席をして激励をいたしました。どちらかというと、新幹線をつくるということは東北地方の開発のためには非常にいいことだし、早くやってほしい、こういうような意味のあいさつをし、その間に困難な問題があれば、その困難な問題は問題として排除をすべきだという意味のあいさつをしたわけです、地元には三十九くらいの大小の問題があったようですけれども。ところで、この間ある工場、これは金沢工業というかなり大きな工場ですが、そこのところの労働者のほうから話がありました。新幹線を通すためにうちの工場はまっ二つになってしまう、こういう話ですね。それでこれの補償問題がかなり難航している。これは会社との関係、それから同時に、労働者は自分たちの社宅、労働条件、あるいはその周辺の生活環境、こういうものがかなり変わる、そういうことでは非常に困るので、この際そういう補償の問題等々について、通ることについては問題はないけれども、この段階でどうなっているのかということについてぜひ知りたい、こういう要請がありました。この点についての問題ですね。
  310. 内田隆滋

    内田説明員 先生いま御指摘の金沢工業でございますが、大体昨年の八月ごろから敷地を通らせていただくということで折衝を始めております。先生もお聞き及びと思いますけれども、現在工場の中を分断いたしますけれども、敷地が相当広いので、中で工場を移転、改築することによって解決いたしたいということで折衝を誠意をもって進めております。ただ、いまのところお互いの価格の相違、移転補償並びに用地買収の価格が相当開いておることは事実でございまして、それは用地買収のときにはいつも初めはお互いの見解の相違からそういうようなことがございますけれども、これは十分お互いに誠意をもって話し合うことによりまして、お互いに納得のいく線が出てくるということでございますので、今後われわれといたしましても、誠意をもってこの点は会社のほうとお話を進めてまいりたいというふうに考えております。
  311. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 いま誠意をもって進めていることについては私も承知しております。そこで問題はいつごろまでに決着をつけるかという、ほぼめどはどういうことになるのでしょうか。その点はどうでしょうか。
  312. 内田隆滋

    内田説明員 できるだけ早く解決さしていただくということでございますけれども、相手さんもある話でございますし、納得せられないままに何か強行するようなことはもう絶対にいたしませんので、ただ時期はなるべく早くということでございます。
  313. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この点については去年からの話でありまして、それはやはり早いほうがいいと思います。早くなければだんだんいろいろな条件が悪くなる可能性もありますから、すみやかに、やはり納得のいく形で誠意をもってやってほしい、こういうことを要望します。  そこで、新幹線に関連をして、去年の暮れに新幹線の利根川の鉄橋、かなりこれは困難な工事ですね、あの工事の中では困難な工事のうちの一つができ上がりました。そのときに私もその祝賀会に参加をいたしまして、経過報告を聞きました。そこで非常にふしぎな問題があるので、これはぜひ明らかにしてほしいわけですが、鉄橋をつくるというその河川敷ですね、河川敷にゴルフ場がある、栗橋カントリークラブ。そのゴルフ場に対して建設省が地上権を貸していた、すでに賃貸の期限が切れているのに、公共性を持っている国鉄が鉄橋をつくるというのに、これはけしからぬということで損害賠償をかなりの額を請求した。一体個人の土地であっても、公共性があるものについては土地収用法というもので収用をする段階にあるのに、公共性を持っている国鉄の仕事をするのに、すでに期限の切れた土地の上にゴルフ場、それが二つになるわけですけれども、それで損害賠償を請求させるということは一体どういうことか。それはどうですか。
  314. 栂野康行

    ○栂野説明員 お答えいたします。  この新幹線計画が決定されたときにおきまして、まず建設省としましてはロータリー観光株式会社ですかと再三折衝を重ねまして、更新にあたりまして、いわゆる新幹線が通る用地につきましては占用の期間を短くしたわけでございます。そして新幹線の鉄道がスムーズに着工できるように、そういうふうな行政指導をまずいたしたわけでございます。それから、そういうことをやっておりましたあとにおきまして、その場合の占用の期限は昭和四十七年九月三十日までとしていたわけでありますが、期間満了前の八月十四日に、いわゆる五十年三月三十一日まで期間変更すべきであるという行政不服審査法に基づく申請をロータリーのほうから建設大臣あてに提出されたわけでございます。その裁決を待って監督処分を行なう方針でしたけれども昭和四十七年の十二月二十日付で、建設大臣からいわゆるその不服審査につきまして棄却の裁決がなされたわけでございます。それで直ちに十二月二十二日付で明け渡しの監督命令を発したということでございまして、そういうふうに建設省としましては十分行政指導を行なったわけでございますが、こういうような結果になったということは非常に遺憾に感じております。
  315. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 私はたいへん遺憾だと思うのですよ。大体個人の土地でも、鉄道であるとか道路であるとかという場合には最終的には収用をする、土地収用法までかけてやるときに、ゴルフ場なんというそんな遊ぶ場所で、しかもそれは地上権を貸してあるわけでしょう、しかも国鉄がそこに計画をして鉄橋をかけるということは前からわかっておる、それをなぜ一体受理してそんなおかしなことをさせるのか。これは建設省少し指導がゆるいのではないのですか。
  316. 栂野康行

    ○栂野説明員 ただいまも御説明しましたように、いわゆる鉄橋の建設に支障がないように期間を短くして、そういうふうな行政指導をしたわけでございます。ですから建設省としましては、そういうふうに河川敷占用につきまして指導は十分今後ともまた続けていきたい、こういうふうに考えております。
  317. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 それでまだ訴訟は係属されておりますがね。国鉄はこれに対して補償を払うかどうか、問題は。これはどうですか。
  318. 内田隆滋

    内田説明員 建設省の御指導もありまして、こういうようなものにつきましては、過去何べんか決算委員会でも御指摘がございまして、国鉄としては払えない、ただし、会社側が訴訟を起こされて、裁判の結果払えということであればこれはやむを得ないという態度でございます。
  319. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 これはどうしてもおかしいですね。国有地でしょう。要するにその土地は国が管理している土地でしょう。しかも地上権がほとんど切れているときに、それをまた契約をして——したかどうか……。それを訴訟させたということが第一にまずいでしょう。なぜそんなことをさせるのか。
  320. 栂野康行

    ○栂野説明員 契約によってすでに占用期間が切れているわけです。そして、切れた後にいわゆる新幹線鉄道橋をつくるに支障のない占用期間を与えたわけですね。だからすでに契約といいますか占用期限が切れておるわけでございまして、訴訟といわれましても、こちらとしましてはどうしようもないということです。
  321. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 この問題はどうしても私は納得いかないですよ。だって、新幹線をつくるということは計画ですでにわかっていて、その周辺を説得して土地の買収に入っているときに、その場所に関しては理解をして占用の場所を与えたとしても、なぜ訴訟などということをさせるのかということ。そんなことをするんだったら令部取り上げてしまったらいいじゃないですか。ほかのほうも一切そんなものは貸さないで取り上げてしまったらいいじゃないか。どうしてそれを取り上げないのですか。
  322. 栂野康行

    ○栂野説明員 今後はそういう訴訟などが起こらないように十分行政指導してまいりたいと思います。
  323. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 国鉄のほうも、そういう不当な、全く理不尽なことに対しては断固としてこれは損害賠償なんか払うべきでないという固いあれでいってほしいと思うのです。それと同時に、さっきの総和町の工場のことです。そんなところへ払うのだったら、工場のほうを分断する、騒音が出る、労働者が心配をする、その心配をなくしてもらいたい。ゴルフ場などというものの地上権で、しかもすでにそこはあれが通るということがわかっているのでしょう。そういうところでそんなばかなことをさせて、それで一方においては生産工場のまん中を新幹線が通るということになると、かなり騒音もあるだろう、振動もあるだろう、そういうところに対しては十分な補償をしてもらいたい。これは社会的な筋でしょう。これはどうですか。
  324. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 工場に関しましては、先ほど説明しましたように御納得のいくような適当な処置を講じます。  例の河川敷の問題に関しましては、それが不当であるかいなかということは国の裁判所がきめることであって、わがほうは、それが不服なら控訴するとかなんとかするというだけの話です。
  325. 竹内猛

    竹内(猛)分科員 もう時間もありませんから、今後そういうような非常に理解に苦しむようなことをしないように、ひとつ建設省のほうでは——やはり公共事業というものについては民間の土地でも収用までするわけでしょう。だからその点についてゴルフ場などに訴訟させるなんというようなことは、第一これは気分が悪いですよ。  これはまたあとでやりますけれども、一言だけ建設省につけ加えておきますけれども、筑波研究学園都市に土地収用法で農民から土地を買い上げて、そこに民間の企業がどんどん入っている。この問題はやはり別の機会に農林委員会でやりますが、そういうこともなかなか納得ができないところですから、そういうことについてもひとつ研究しておいてくれませんか。これは茨城県の県議会でも問題になっているところです。そういうことを要請しながら、いろんな点でなかなか注文をつけましたが、ぜひひとつ外郭環状線の問題については、国鉄のほうでは誠意をもってこれを研究してもらいたい。またわれわれはそれに対していろいろな要請もしますが、してほしい。それからさっきの問題については、今後建設省のほうでもそういう問題については慎重に取り扱ってほしいということを要望して、私の質問を終わります。
  326. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて竹内猛君の質疑は終了いたしました。  次に、斉藤正男君。
  327. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私は総合交通計画と新幹線公害について伺いたいと思いますが、経済企画庁長官あるいは環境庁長官がお見えでございませんので、総合交通体系につきましてはまた後の機会に詳細は譲りますが、経済企画庁からお見えだと思いますけれども、一言だけ……。  経済企画庁は昭和四十四年いわゆる新全総をつくり、そしてまた、昨年の二月経済社会基本計画をおつくりになって、大体わが国の進む経済計画といいますか社会計画といいますか、そういうものを立案されました。これを読んでみると、閣議決定の際の六項目あげてある中に、これは臨機応変に運用するのだということで、だいぶ柔軟な態度が出ております。たとえばその六項を見ると、「本計画にかかげる政策体系を着実に実施し、国民福祉の向上と国際協調の推進をはかるため、毎年本計画のフォローアップを行ない、その結果を政策運営に反映する。」というようなことで、経済変動、国際関係等の変化に対応するように、補完をして運用するということも書いてあります、しかも昨年の閣議決定で。いまこういう時勢になっても、そうした運用の面で考えていけば、大筋としてはこれでいいのだというようにお考えなのか、それとも石油戦争に端を発した今日のエネルギー資源の問題、特に悪性インフレーションの問題等々から、経済社会基本計画を近々のうちに改定する意思があるのかないのか、あるとするならばどういうプログラムでやろうとされているのか、まず伺いたいと思います。
  328. 岩田幸基

    ○岩田説明員 先生いま御指摘のように、現在の経済社会基本計画の基本的な考え方につきましては、これまでと違いまして、福祉社会の実現をはかるというような考え方でつくられております。したがいまして、こうした基本的な考え方についていま改定をするという必要はないのではないかと思っております。ただ、昨年来のエネルギーをはじめとする世界的な資源の供給制約の問題であるとか、あるいは最近の非常に激しいインフレーションであるとか、こういうものは当時経済計画をつくりましたときには予想されません新しい事態、そういう意味で現在これらの長期的なエネルギーあるいは資源の見通しをどう考えればいいのか、またそういうものを考えましたときに、はたして現在の計画のまま若干の手直しをしていけばいいのかどうかということにつきまして、いわゆるフォローアップ作業の一環として点検作業をやっているわけでございます。この点検作業をできるだけ早く進めまして、その成果を見ながら、この計画を全く新しく変えていく必要があるかどうか、あるとすればどのくらいの時期に改定すべきかということの判断をしてまいりたいというように考えておりまして、現在その点検作業を急いでいるところであります。
  329. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 点検作業の結果、やはり抜本的に改定の必要があるという判断に立った場合には改定をする、そうでない場合には、この六項目ほど載っておりますけれども、あの線でやっていく、こういうように受け取ってよろしいと思います。  そこで運輸大臣に伺いますけれども、運輸省は昭和四十六年七月総合交通体系に関する答申を得て、いわゆる総合交通体系なるものをつくった。これは、新令総なりその後出た経済社会基本計画の中でも、一つの重要な役割りを占める部分を具体化したと思っておられると思うのです。しかし今日の状況は、やはり日本列島改造論の行き詰まりあるいは経済社会の変化等々から、この総合交通体系に関しては私は直ちに改定に着手すべきだというように思うのですけれども、運輸省としてこの総合交通体系を再検討する意思はございませんか。
  330. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 いま御指摘のように、総合交通体系は、運輸政策審議会の二年にわたる長い検討の末、四十六年七月その答申を得たものが基本になっているわけでございます。したがいまして、閣僚協議会が設置され、関係各省の意見を調整してこの基本的な考えができ上がったわけでございますが、いま御指摘のように交通の公害問題もございますし、新しくこれは浮かび上がった問題だと認識しております。また、石油資源の問題も当面大きな問題としていまここに出てきているわけでございますが、将来の総合交通体系につきましては、特にエネルギー資源等の供給の制約があるという点、先ほど申し上げました環境保全、こういうような点等に一段の考慮を払い、またそれらの排除に努力していかなければなりませんが、まだいろいろな流動的な面がありまして、いまそれでは直ちにこれに手をかけるかということにつきましては、多少いろいろな点をまだ詰めてみなければならぬ問題があろうと思います。しかしながら、経済全般のやはり長期的展望の見通し等の推移を見てから、というよりも見つつ、運輸審議会等の意見を聞きながらその具体化につとめてまいらなければならぬ、手直しをやるというような意味合いも含めて、いま御指摘のような点について検討してまいりたい、かように考える次第でございます。
  331. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 大体経企庁と運輸省の考え方はわかったわけでありますけれども、私は、やはり現実に即した交通体系というようなものは——この総合交通体系をつくったときも、実はこれは読んでみると文章の羅列であって、何をどうするこうするというようなことは具体的には何も出ていないわけですよ。しいて言うならば、この政府がつくった総合交通体系というのは、一つには企業間に競争意識を導入する、二つ目には利用者に選択の自由を与える、三番目には、設備の増強についてはその費用を顧客に負担をさせる、近代化、合理化については労働者のしわ寄せでまかなう、しいて言うならばこの三点ないし四点は貫かれておると思う。しかし、国民の需要にこたえて総合的に陸海空の交通を考えるというような具体的な問題については、きわめて欠如をしておるというように思うわけでございます。したがいまして、経済社会基本計画との関係もこれにあり、いたずらに急いでまた不十分なものをつくるというよりも、この際将来展望を確立する中で検討したいという気持ちは一応了といたしますけれども、鋭意ひとつ取り組んでいただきたいと思うわけであります。  そこで、この総合交通体系にやや関連をすると思うのでありますけれども、警察庁の方がお見えかと思いますけれども、警察庁は、道路混雑、交通混雑を解消するためにある程度の努力をされて、特に本年に入り、交通事故の負傷者あるいは死亡者が激減をしていることは、石油問題も関連ありましょうけれども、私はある程度の評価をいたすものであります。特にハイヤー、タクシーの乗り入れ制限区域をつくるだとか、バス専用及び優先レーンの整備の拡充だとか、車庫法の厳格な適用、路上駐車禁止区域の拡大、バスの一方通行、逆進、右折れの実施、中央分離帯の移動、歩道橋の整備、信号機など交通施設整備、駅前広場の優先使用、特にバス優先信号機の設置等々、かなり近代化された科学的な方法を採用されておって、見るべきものがあるというように思うのですけれども、ここで問題は、マイカーの規制についてなお一そう関係各省と協議の上、国民の要求している実態にこたえてやるべきものがあるんじゃないかと思うのです。  具体的に一、二伺います。一つは、百貨店等が、駐車場を建物の中につくったりあるいは近接地につくったりして、顧客がマイカーで買いものに来るために、かなりのスペースをさいているわけであります。またオートレース場、ボートレース場、競馬場等が、数千台、数万台の駐車場を付属施設として設けて、マイカーでギャンブルに来る人たちを迎えているわけであります。このことが市街部中心地あるいは重要道路の交通混雑を起こしている最大の理由になっている。ギャンブルの開催日は、自粛というようなことで多少の減少をいたしておりますけれども、これが開催される日は、数時間にわたって主要道路が麻痺するのであります。百貨店等のある都心につきましても、マイカーの買いものによってその周辺が非常に混乱をしているということは事実だと思うのですけれども、行政指導その他で、こういうものに対する対策をお考えになったことはございませんか。言うべくしてできないことというふうにお考えでございましょうか。マイカー規制の具体的な問題についてひとつお答えを願いたい。
  332. 久本礼一

    ○久本説明員 お答え申し上げます。  問題は二つ御提起でございますので、個別的に申し上げますが、ギャンブル場周辺にギャンブル開催日に観客の車が蝟集をして、周辺に非常に迷惑をかけるという場合がございます。そういうものに対してはどういう考えで対処するかということでございますが、やはり、そういうギャンブル場の周辺にギャンブル日には車がたくさん蝟集して、周辺に非常に騒音あるいは車の危険が倍加するということは、原則としてやはり周辺の住民の利益には反しますし、こういうものはできるだけやはり抑制することが望ましいというふうに考えております。具体的には、先生マイカーの規制ということをおっしゃいましたけれども、マイカーというとらえ方がいいか悪いかということは別といたしまして、やはり非常に問題を生ずる交通というものは、代替手段等を通じてできるだけその量を削減できるものは削減したほうがいいという考えは、私どもが都市交通規制の基本的な考えとして持っておる考えでございまして、現在全国的には総合都市交通規制という考え方の中で実施をしております。また、ギャンブル場周辺等におきましてもこれは幾つかの規制事例がございますけれども、ギャンブル日には周辺関係のない車が、駐車場を含めて、道路上に所きらわず駐車をするということは、規制によってできるだけ抑制していくという規制事例を講じたこともございますし、また、一方通行等を同じような規制の中で組み合わせまして、できるだけ車がその中に入ってこないようにという規制事例もございます。そういった規制事例は非常に多いかと思うのでございますけれども、そういうものを今後できるだけ強力に推進していきたいという考えでございます。  それから百貨店等におきましては、やはりある程度のお客の車が入ってくるという実態はあるわけでございますが、それが非常に周辺の交通に支障を及ぼす、またそれが支障になって周辺の安全対策が十分に講じられないというような事例もございますので、そういうような場合におきましては、やはりそういうところはたくさん車が集まるということは好ましくないという考え方を貫いて、その地域に応じた規制のあり方を考えて当然しかるべきであるというふうに思います。
  333. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 よくわかりましたけれども、たとえば百貨店周辺は終日歩行者天国のような形にしてしまって——駐車場が一ぱいならば、買い主をおろしたマイカーは百貨店周囲をぐるぐる回っているんですね、そういう例も多々あるわけです。要するにその周辺へ車がはいれるからだめなんで、三百六十五日とは言いませんけれども、とにかく大多数の日を歩行者天国にしてしまって一切の車を入れない、特殊な公共性の高い車のみに限って入れるけれども、マイカーは入れないというような形をとれば、やむを得ず顧客は電車に乗ってくる、バスに乗ってくる。それからギャンブル場へ行くにもバスに乗る、電車に乗る、駅から歩くというようになる。これは法律では禁止することができないと思いますけれども、警察庁だけでなくて、やはり交通関係各省はこういう前向きな姿勢で、ぜひひとつこの交通混雑を排除する方向でなお特段の努力をいただきたいということであります。  きょう私は毎日新聞を読んでびっくりしたのですけれども、ほかの新聞も見ましたけれども、毎日新聞だけが抜いております。「国鉄が被害地買上げ 新幹線公害対策要綱まとまる 騒音は85ホン以上 振動、線路から20メートル内」さらに「思い切った対策、環境庁は驚く」、一体この資料は、私も国鉄当局へ、早く見せろ、きまったら早く知らせろと言って執拗に要求した内容でありますけれども、これは国鉄から出るか、運輸省から出るか、政党筋から出るか、それ以外に考えられないんですね。ほかの新聞が書いていないところを見ると、これは毎日さんに抜かれたと見て差しつかえないと思うのですけれども、さすがに「新幹線公害対策要綱まとまる」と書いてあって、きまるとは書いてないですね。しかし、これからきまるでありましょうけれども、きまったものがこれから退歩したものであったら、これは非常に大きな問題を起こす。これ以上前進したものできまればそれほどたいした問題にはならぬと私は思いますけれども、一体これはどこから、だれが発表したのですか。国鉄、運輸省、両方からお答え願いたい。
  334. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 実は私もそれを見て驚いたほうなんでございますが、要するに、御承知のように環境庁から騒音規制の指示がございますので、それをきわめて端的に肉づけをしていくとそういうようなかっこうに相なってくる。この件に関しましては、そういう議論をわれわれのほうでももちろん検討いたしておりますし、その案に近いようなものもでき上がったのでございますが、これからまた運輸省だの関係の各位の御意見を伺ったり何だりして、そういうものに近いものになるにしても、案をきめなくちゃいかぬということを考えておった次第でございまして、決して私のほうから発表したとかなんとかいう性格のものじゃございません。
  335. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいま国鉄総裁からお答え申しましたように、国鉄としてもいろいろと検討を重ねてきている段階でございますが、これにつきましてはわが関係の個所ともいろいろとなお詰め合わせる問題もございますし、その記事を読みますと、何か昨日決定とかまとまるとかいうようでございますが、そういった事実はございませんし、運輸省からもちろん発表したとかいうものでもございません。
  336. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 いずれにいたしましても、これは朝刊トップですからね。非常に重要な記事だと思うわけであります。先ほども申し上げましたけれども、決定した内容がこれより退歩したものであるということになりますと、これは非常に問題だと思うし、こいねがわくは、これよりもはるかに前進したものできめていただきたいと思うのですけれども、御案内のように、去る二月三日、名古屋新幹線公害訴訟原告団結成総会というのが開かれて、私もこれへ出席した一人でありますけれども、決議でこういうことをいっているんですよ。  東海道新幹線は昭和三十九年十月一日、なんら  の公害防止対策もないまま、名古屋市内の住宅  密集地を貫いて開通した。  沿線住民にとって、この十年は、新幹線によっ  て生活環境を破壊され健康をむしばまれ、苦悩  し怒りたたかいぬいた毎日であった。  同時に、国鉄は怠慢と横暴をきわめ、国は無策  に終始した十年であった。国鉄は、住民の苦し  みをよそに、年を追って列車本数を急増させ、  被害を一層広範かつ深刻にし、いまなお、抜本  的な公害防止対策を講じようとしていない。国  もまた、国民の安全で快適な生活を保全する責  務を放棄し、新幹線公害に実効ある規制を加え  ようとせず、いたずらに今日の事態を招いた。  新幹線公害被害住民は、住民の生命と生活を破  壊してやまない国の高度経済成長政策と国鉄の  利潤第一主義の犠牲者である。まあ決議文ですからいろいろの言い方はできると思いますけれども、全く国の怠慢と国鉄の無責任さからきたものだというようにいっている。私はある程度、運輸省も国鉄も新幹線公害と取り組んだ事実を承知をいたしておりますから、この決議について必ずしも一〇〇%そうだとは言いませんよ。言いませんけれども、実態はたいへんなものであるということから、こういう対策を本格的に練られたことであろうと思うわけであります。  そこで伺いたいわけでありますけれども、八十五ホン以上のところは防音工事をやって、しかもベッドルームまで含めるというようなことが書いてあるんですね。それから振動については、二十メートル以内を該当にして移転補償をするというようなことが書いてある。しかもスピードダウンによる騒音、振動の低減については全く考えないというようなことも書いてある。事実、基本的にはそういう考え方ですが、いかがです。
  337. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 東海道の新幹線、東京から大阪間が開通いたしましてもう十年近くなるのでございますが、当初は列車回数が御指摘のように少なかったので、これが非常に問題化してきたのはきわめて最近であるということで、国鉄もまず第一に騒音が発生する源を押えてやろうというようなことで、先生御承知のようにあらゆる研究所だの何だの動員して研究を進めていることは事実なんでございますが、これは新しい技術の開発みたいなものに関係する面もございますので、まあ的確に効果がまだ出ていないということははなはだ申しわけないということでございまして、それが的確な効果が出ないということになると、先ほどお話がございましたようないわゆる住宅であるとかあるいは学校、病院なんかの防音工事をやる、あるいは極端な場合は移転していただくというようなことにもなり得るかもしれませんが、私どものほうとしてはできるだけ音源対策をやり、残った少数のものだけでそれを押えて、そういった処置を講じたい、かように考えている次第でありまして、第二段でおっしゃった、そんなものならひとつスピードを落とせばいいじゃないかという議論も当然ありますけれども、これは二百キロで走っているものを、このスピードを半分の百十に落としてみても、いわゆるホンでもって六ホンか七ホンしか下がらない。八十三、三ホンが七十何ホンになって、皆さんこれで十分だとおっしゃってくださるわけもなし、それから最近御承知のように、これも私どもの恥かもしれませんが、動労の諸君がこの減速運動をやっておるということも知っておりますけれども、連中が減速をやっておるのは六キロか七、八キロの区間でございまして、これは二、三分しか出ないのはあたりまえなんで、彼らがいま減速運動をやっているようなところを全部東京−大阪でやるとどういう形になるかというと、一時間半ぐらいおくれて、三時間十分で走っているものが四時間四十分ぐらいかかるというようなことになって、東海道新幹線の容量が格段に減ってくるということにもなり、かりに百十キロで走るということだと、新幹線というのは二百キロのスピードが出るから新幹線だということで、いろいろな議論はございますけれども、投資をしてやっておるのが百十キロになると、それは新幹線じゃなくなるわけですね。そこらにわれわれの踏み切れない、根本的なスピード制限ということにどうもきわめて反対の意見を持たざるを得ない。しかし、その騒音とかなんとかをどうしてくれるということに関しましては、これは可及的に努力するのが当然であって、あらゆる手を講ずる、かように考えております。
  338. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私も国鉄が取り組んだことは知っているのですよ。時間がありませんから、お尋ねしようと思ったけれども私のほうから申し上げますが、まず発生源である列車の車輪なりパンタグラフの改良、あるいは五十三キロレールを六十キロレールにかえる、あるいはレールと道床との間に敷くゴムの交換をする、線路が小刻みに摩耗いたしておりますのでこれを新鋭機械を導入して削除をする、あるいは市街化区域の防音壁の設置を急遽長距離にわたってやっているというようなことは確かに私も認めます。しかし、一方、私の調査によれば、これは大臣も聞いてはしいのですが、新幹線は、一月一カ月のうち十六日間十九回にわたって遅延をいたしております。このうち十四日と二十四日の二日間は全列車が遅延をいたしております。その他で運休九本、百二十八本の汽車が九分ないし七十分おくれたわけであります。二月は、二十四日まででありますけれども、十六日間にわたって二十六回遅延をいたしておりまして、一月は三日に一日であったものが、二月は二日に一日よりもよけい遅延を実はいたしておるわけであります。このうち七日と九日の二日間は全列車が遅延をし、その他で運休八十七本、三百八十六本の汽車が十分ないし四時間十九分おくれているわけであります。これは、風だ地震だ雪だその他の故障がありますけれども、特に二月が二十四日間のうちに十六日も平常運転をしないなんということは、新幹線も——新幹線新幹線といいますけれども、これはたいへんなおくれを出しているわけですよ。  そこで私は、時間がありませんから提案をいたしたいのですが、これほど一月、二月、まあ降雪期でありますから特に雪の被害が多かったといえばそれまでだけれども、五十メートル以上の長大鉄げた架道橋、これは国鉄の技術陣を総動員してもいま以上の防音対策はない、手をあげましたと、こう言っているのです。手をあげたと言っている。これが最高の騒音を出しているわけです。この五十メートル内外の長大鉄げた架道橋というのは東京−大阪間に何ぼあるんですか。
  339. 内田隆滋

    内田説明員 長大鉄げたというのは、市街地を含めまして、いわゆる大井川とかそういうようなものを全部入れて……
  340. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 いや、五十メートル内外の長大鉄げた架道橋。
  341. 内田隆滋

    内田説明員 全体の個所数は、無道床鉄げたが九十四カ所、それから道床が入っている鉄げたが百十カ所でございます。そのうちいわゆる五十メートル以上というのはわかりませんけれども、大きなトラスということになりますと、いわゆる第二京浜にかかっている橋梁あるいは浜松にございます橋梁、それから名古屋の六番町にかかっている橋梁、これらがいわゆるアンダートラスということで非常に大きな橋梁でございます。
  342. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私が言うところは、いわゆる市街地の中心部で騒音発生源になっている長大鉄げた架道橋のことを言っているのであって、私の知っている範囲では、浜松と名古屋しかないんですよ。しかも国鉄の技術陣を動員してもどうにもならぬ。最大限のことをやりましたと言っているのはここだ。継ぎ目を架道橋の上からはずしてわざわざよそへ持っていったり、私は国鉄の努力を認めているんです。しかし、もうほかに方法がありませんということが、もしこの浜松と名古屋と二つしかないというんなら、ここぐらいせめて減速したらどうですか。私はこのことが、全沿線で減速してくれ、減速してくれと言ってくることはないと思う。ここは国鉄の技術陣を総動員してもどうにもならない長大鉄げた架道橋です、ほかに方法がありません、ということならば、全線の被害者も納得すると思うのだけれども、これほど雪だ、カラスだ、地震だ、風だといって遅延していて、この局部の減速ができないということはないと思う。いままで私は三大臣に聞きましたけれども、みんな国鉄と鉄監の言うことを聞いて、大臣はできませんと言っている。検討するとも言わない。検討の結果だめならだめでしょうがないけれども、あなた、検討すると答弁してください。
  343. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 まあ、国鉄にもいろいろな意見があろうと思いますけれども、これはその騒音を取り除くというのが命題になっておりますから、これは防音工事で、あるいはまた話し合いでどこか移転してもらうとかいうようなことができない限り、そういうものは前向きで私は検討すべきだと思います。
  344. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 前向きで検討すると、まあいままでの大臣よりは非常に前向きな答弁ですよ。だけれども、減速を含めて検討すると言ってください。
  345. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 いや、私が前向きで検討すると言うのは、減速を前向きで検討する、こういう意味でございます。
  346. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 終わります。
  347. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて斉藤正男君の質疑は終了いたしました。  次に、梅田勝君。
  348. 梅田勝

    梅田分科員 日本共産党・革新共同の梅田勝でございます。  昨年四月二十日の運輸委員会におきまして、身体障害者に対する運賃割引の問題や施設改善について質問したのでありますが、この問題は、最近の狂乱物価といわれるインフレの激化によりまして、身体障害者の生活にとりましては重大な問題となっております。ぜひ政府あるいは国鉄当局におきまして改善を望むものでございます。特に、本日私が問題にして御質問申し上げたい点は、現在国鉄は、心身障害者対策基本法や国鉄運賃法の趣旨に基づいて身体障害者に対する運賃の割引を行なっておられるわけでありますが、残念ながらその対策は外部障害者に限られておりまして、心臓とかじん臓とかあるいは肺臓疾患等の内部障害者は除外されているという問題でございます。内部疾患でありましても、健康な人と比べますとやはりハンディキャップがあるわけでありまして、その生活は非常に困難でございます。収入面におきましては少ない、支出のほうでは逆に医療費や病院に通う交通費などが余分にかかるわけでございます。これらは一家に病人をかかえますとひどいことになる数々の例によってよく御存じかと思います。しかし、国といたしまして、これらの方々への対策は、私に言わせますと一向に進捗をしていない。これではほんとうに実情を御存じなのかと思うくらいでございます。  そこで、まず具体的に実態からお尋ねしていきたいと思います。  ここに患者さんからの手紙を幾らか私のところにいただいておるわけでありますが、宇治市の佐田宏さん、それから福知山市の芦田武一さん、この二つの手紙を最近いただいたのでありますが、時間がございませんので、佐田さんの手紙をひとつ読み上げまして実情をとくと御認識願いたいと思います。   私は三十二才の会社員ですが、慢性腎不全の為、昭和四十五年十二月より、人工腎臓の世話になり透析を受けている者です。現在、一週間に二度夜間透析を受けて、社会復帰をしています。でも、私は仲間十四人と共に夜間透析を実施している病院が少い為に、福井県武生市にある病院迄、一週間に二度、命の洗濯の為雨の日も風の日も、通院を余儀無くされています。特に帰省時期と重なる正月、ゴールデンウィーク、お盆等は大変です。でもそんな事は言っておられません。   一週間に二度も、会社を休めば私の社会復帰はおろか、私を受け入れてくれる会社はありません。社会復帰の為にはどんな遠くの病院でも通院しなくてはなりません。   透析を四・三〇に終り、五・四一武生発の「くずりゅう二号」に乗り、京都市にある職場に通勤しています。   でも現在私達透析患者は身体障害者一級の認定を受けているといいながら、内部疾患者という事で、国鉄運賃の割引はありません。   社会復帰していると言っても、一ケ月九回〜十回の通院で普通運賃一二六〇円急行券三〇〇円、米原−京都間の割引特急券を含めると約二万円はかかり、私にとって大変な事です。全国には、私と同様多くの交通費を使って透析の為通院している人がおります。   どうか私達透析患者の特殊性を御理解の上、国鉄運賃を無料もしくは身体障害者割引を実施して下さいます様陳情致します。どうかよろしくお願い致します。 こういう切実なお手紙をいただいたわけでございます。     〔村田主査代理退席、主査着席〕 大臣、どうでございますか。率直に、正直に、いま読みました手紙に対するお気持ちを聞かしてください。
  349. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 率直に私申し上げますと、非常にお気の毒だと思います。私はそういう患者の方々の活動写真をどこかで見たことがあるのです。まあ社会福祉の面から、これは国鉄ですぐ割引に結びつけるものか、あるいは厚生省がそういうような面から取り上げていくものか、いろいろな各省間の連絡なりあるいは協議が必要だろうと思います。たいへんお気の毒なことだと思っております。
  350. 梅田勝

    梅田分科員 大臣もお認めになりますように、実情はほんとうにひどいのです。私も先日京都市のある病院で、こういうじん臓の疾患の患者さんに集まっていただいていろいろ実情を聞かしていただいたわけでありますが、同じ身体障害者といいながら、このように差別を受けておるということはどうしても納得いかぬと言うのです。私は当然だと思うのです。  そこで、身体障害者に対する割引は、御承知のように国鉄運賃法によって定められておる。しかし事実は内部疾患者は除外をされておる。  そこで、厚生省の方にお伺いいたしますが、内部疾患者は身体障害者ではないのかどうか、割引がなくても当然なのか。時間がございませんので、答えをはっきりと短くおっしゃっていただきたい。
  351. 角田耕一

    ○角田説明員 お答え申し上げます。  内部障害者は身体障害者でございます。それから、内部障害者からは、先生のおっしゃったような強い要望が出ております。
  352. 梅田勝

    梅田分科員 厚生省としても、身体障害者対策基本法に基づいて、国鉄当局にもたびたび要請をなさっておるということを聞いておりますので、身障者であるということはとくと御認識のことだと思うわけです。  そこで、厚生省として、そういう人たちに対して、いま読み上げましたように、遠いところの病院へ行かなければならぬ。交通費が要る。当然医療費の延長のような性格なんです。交通費といいましても医療費のような性格がある。そこで、国としてそういう人たちに対して予算を組んで援助する、こういう考えはございませんか。
  353. 角田耕一

    ○角田説明員 運賃割引につきましては、国鉄御当局で従来から内部障害者はまだ入っておりませんということで御考慮をいただいております。したがいまして、私どもは昨年の六月でございますか、そういう障害者の強い要望もございましたので、財政はたいへんだと思いますが、御高配をいただきたいということでお願いは申し上げてございます。また、中央心身障害者対策協議会というようなところでも、今後とも十分に御連絡をいたしまして、御協議をいたしまして、できれば前向きにお考えをいただきたいということでお願いを申し上げております。
  354. 梅田勝

    梅田分科員 厚生省は、昭和四十二年九月九日、それから昭和四十八年六月八日、こういう日付で厚生省社会局長から国鉄旅客局長あてへの文書が出ておりまして、その中で、心臓または呼吸器に支障を有するいわゆる内部障害者にも割引措置を講ずるように要請をいたしております。  そこで、運輸大臣にお伺いいたしますが、もうこれだけ問題になっておるわけでありますから、内部疾患者に対しましてもひとつ英断をもって割引を実施する、あるいはもっと進んで全免する、こういう御決意はございませんか。
  355. 秋富公正

    秋富政府委員 現在の国有鉄道運賃法で、身体障害者に対する割引は、二十四年の十二月の身体障害者福祉法の制定の際にできたわけでございます。ただいま先生の御指摘の、いわゆる内部疾患の方に対する問題は、昨年もいろいろと御審議いただいた問題でございますが、運輸省、国鉄といたしましては、この内部疾患者のお立場もよくわかるのでございますが、同時に、精薄者の方に対する要望というのが非常に強うございます。あるいは老人の方に対する割引という問題も非常に強いのでございます。で、こういった問題は、いわば社会政策の問題として取り上げるべき問題でございまして、三十九年以来赤字に転落しております国鉄の負担においてこういったことをするということは、必ずしも適切でないということを昨年の委員会においても御答弁した次第でございます。  ただ、私たちといたしましては、国鉄といたしまして、あるいは私鉄といたしまして、できる限り輸送上の改善ということにつきましてはあらゆる努力を重ねている次第でございます。
  356. 梅田勝

    梅田分科員 やはり去年と同じ答弁ですね。そういう国鉄が赤字だ、どうのこうのということを聞いておるわけじゃないですよ。政府としてそれにどういう対策を講ずるかということを聞いておるのだから、やはり運輸大臣から答えてもらわなければあかぬわけだ。鉄監局長では、そこまで進んだ話ができないということで非常にぐあい悪い。  そこで、国鉄が赤字であるからこれができない、それが唯一の理由であるのかどうなのか、それを乗り越えてやるかどうか、ちょっとそこのところを簡潔にお聞かせください。
  357. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私は、これは非常にお気の毒でもあるし、必要なことだと思います。これをすぐストレートに国鉄に割引せいというふうな方法がいいものか、先ほど先生御指摘のように、厚生省に医療の一環としてこれを考えるべきか、これは検討に値する問題だと思うわけでございます。  もちろん、内部疾患の問題もございましょう。あるいはその他もろもろの気の毒な方々が私はあると思うのです。でございますから、そういうものを総合的に検討して、そして国が社会福祉国家の建設を目ざして進んでおるとするならば、国全体がこういう方々に対してどういうふうに対処していくかということを、基本的なものをやはり考えて、その上で予算措置をとるべきだ、私はかように考える次第でございます。
  358. 梅田勝

    梅田分科員 結局、財政が苦しい。私は、精薄につきましても、いろいろほかの状況にある人でも、普通の健康の人と比べると非常に困難だということになれば、当然そういう方々に対しても処置をすべきだ。ところで、財政がしんどいということでぐあいが悪いとおっしゃるのであれば、私がいま一番切実な問題として、特に足を使って病院へ行くというような問題になっているのですから、交通を使っていかなければ病院へ行けない、そういう方々に割引をするかどうかという問題は緊急の問題なんですよ。ですから、内部疾患の方々に実際に割引を適用すればどれぐらいの予算が要るか、積算されたことがございますか。
  359. 秋富公正

    秋富政府委員 これは四十七年度の試算でございますが、内部疾患の方を追加した場合、年間約五千万円必要でございます。
  360. 梅田勝

    梅田分科員 結局、試算をされましたら、五千万円でこの悩みは解決できるということになりますね。いま国鉄がやっておられる、国鉄のそういう身体障害者の方々に対する割引負担額は、年間約十億でございますね。しかし、これは国鉄総予算から見ますと、計算しますとわずかに〇・〇五六%ですね。比率としてはきわめてわずかな金額でございます。それから、そこへ内部疾患の方を適用しても五千万円で解決ができる。一億円も出せばおつりがくるわけです。そうなりますと、これはほんとうにやる気があるかどうかという問題にかかってくると思うのですよ。  御承知のように、外部疾患者の数は、厚生省の調べによりますと約百二十五万人あると聞いておりますが、内部疾患者は六万六千人ほどだと、統計でそのように出ておりますけれども、それを割引適用すれば約五千万円で済む。それぐらいなら、やる気があったらやれるのと違いますか、大臣
  361. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 お説のように、非常にお気の毒な方ばかりでございますし、先ほども申しましたように銭金のことでこれを割り切って、それじゃ額が少ないから国鉄でやれ、こういう意味ではなくて、私はもう少しこういう方々に対するあたたかい国の政策というものを、どういう面でカバーしていくか。国鉄で通う、いわゆる運賃をも含めた、そういう政策があってしかるべきだろうと思うのでございますが、これはひとり内部疾患の方ばかりではございません。いろいろな新しい病気、あるいはまた精薄の方々であるとか、その問題があるわけでございますから、そういうようなものを全部検討して、もう少し哲学的な、高度な立場から、福祉政策推進の立場から考えて、五千万円の金がわずかだからやればいいじゃないかというようなことでなくて、通勤費といいますか、そういうようなものを含めた全体的な立場からさらに検討してまいらなければならない、かように考えるわけでございます。
  362. 梅田勝

    梅田分科員 そんななまぬるい話では納得しませんし、それから高邁な哲学の話をされるけれども、哲学でめしを食うわけではないわけですね。やはり国は法律やいろいろの規則に基づいていろいろの施策をやるわけであります。ここに、心身障害者対策基本法第二十三条によりますと、「国及び地方公共団体は、心身障害者及びこれを扶養する者の経済的負担の軽減を図り、又は心身障害者の自立の促進を図るため、税制上の措置、公共的施設の利用料等の減免その他必要な施策を講じなければならない。」こうなっておるし、それから第二項におきましては、「日本国有鉄道は、」云々とありまして、「運賃等の軽減について配慮するよう努めなければならない。」これは国がわざわざ法律制度の上で、そういう心身障害者の方々にこういうような対策を通して、いまあなたのおっしゃった高尚な哲学の政治の上における具体的実現をやれ、せっかくこういうものをつくっても、魂が入っておらなかったらあかぬじゃないですか。やはり金額の問題ですか、どうなんです。
  363. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 でございますから、私はそういうふうなものはやる必要ないなんということは毛頭考えておりません。ただ、その対策としては、老人対策もありましょう、あるいはまた精薄対策もありましょう、内部疾患の対策もありましょう、そのほかいま新しい問題が提起されておるいろいろなもろもろの病人の問題もございましょう。そういうようなものは社会福祉的な立場から、あるいは一元的にそういうような高度な立場から、ひとつそういう方々に対する対策というものはあたたかく進めていかなければならぬ。その一環としてこういう運賃の問題とかそういうものも当然出てこようと思います。出てこようと思いますが、まずそういう対策を一元的に進めていかなければならぬ、こういうふうに申し上げているわけでございます。
  364. 梅田勝

    梅田分科員 厚生省の方にお伺いしますが、透析患者が透析をやらなかったらどんなぐあいになりますか、ちょっとお答え願いたいと思います。
  365. 角田耕一

    ○角田説明員 透析をやらなかったら生命にも危険があると思います。
  366. 梅田勝

    梅田分科員 単に生命に危険があるだけではなくて、死亡しますね。どうですか。
  367. 角田耕一

    ○角田説明員 そういう場合もあると思います。
  368. 梅田勝

    梅田分科員 あなた、それでも厚生省の役人かね。透析をやらなかったら死んじゃうんだ。じん臓の悪い人がじん臓が機能しなくなると、おしっこが出なくなるんですよ。そうすると老廃物を体外に排除することができないで、直ちに尿毒症を起こして死に至るわけですね。どうですか。
  369. 角田耕一

    ○角田説明員 そのとおりと思います。
  370. 梅田勝

    梅田分科員 これはまさに精神薄弱者の方々に対してどうするか、あるいは老人の方々に対してどうするか、一元的というようなゆうちょうな問題ではないのですよ、これは。大臣、五千万円出すか出さないか、どうですか、もう一ぺんひとつ。
  371. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私は、先ほど来申しておりますように、ここでそういう方々の足だけ解決すればそれで済むという問題ではないと思うのです。でございますから、いろいろなそういう方々に対するあたたかい施策というものは社会全体の中で進めていかなければならぬ、この一環として検討しなければいかぬ問題であって、もちろんこの足の問題もおろそかにするわけではございませんが、いろいろな社会福祉政策全体の中で、なおあたたかくこういう方々に対する政策を進めてまいらなければならぬ、こういうことを言っているわけでございます。
  372. 梅田勝

    梅田分科員 前向きにやるということでございますか。はっきりおっしゃってください。
  373. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 厚生省とも十分相談いたしまして、そればかりで解決つく問題でもなかろうと思いますけれども検討していきたいと思います。
  374. 梅田勝

    梅田分科員 国鉄当局にお聞きしますが、五千万円支出するということになりますと、国鉄財政としてそれはしんぼうしたらやれるというくらいなものですか、どうですか。
  375. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 われわれの気持ちに関しましては、運輸大臣並びに鉄監局長からるる御説明申し上げたとおりでございまして、私の答弁は、おそらくあなたにしかられるだろうと思うのだけれども、われわれは公共企業体、公共企業体というのは何だと申しますと、公共性を尊重するが商売人であるということなんですね。商売人が国の政策だから何でもよろしいと言えますか。こういうのが私の答弁でございます。
  376. 梅田勝

    梅田分科員 昭和四十九年度政府関係機関予算におきまして、日本国有鉄道事業計画というものが予算書に出ておりますが、この中の役員給ですね、二億一千四百六十七万円計上しておりますが、この役員給というのは何人の方がお受けになるのですか。
  377. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 役員はいま正確な数字は知りませんが、担当者から説明させますけれども、私が申し上げたのは……
  378. 梅田勝

    梅田分科員 あなた、私の質問したことに答えてください。
  379. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 存じません。担当者から答えさせます。
  380. 伊江朝雄

    ○伊江説明員 総裁、副総裁、理事を含めまして十七名でございます。そのほか運輸省の御任命の、これは国鉄法上は役員でございますけれども、監査委員が五名いらっしゃいます。
  381. 梅田勝

    梅田分科員 結局二十二名ですね、全部合わせて。監査委員は非常勤の方もおられる。たった二十二人の役員が二億円をこえる高給を取っておられるわけだ。あなたいま商売だとおっしゃったですね、国鉄は商売だ。普通赤字になった経営の役員というものは、給料は最小限でしんぼうするものですよ。ところが、親方日の丸だというようなことで、のうのうと高給をはんで、わずか五千万円でとうとい命が救われるかどうかというような問題が提起されてきておるのに、それをひねり出して国の施策の方針に従ってやりますとなぜ言えぬのですか。あなたは人間ですか。
  382. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 私もお気の毒だということには全く同感でございますけれども、私が申し上げたのは、要するに国鉄というのは公共企業体、商売人であって、国がやるべきことを肩がわりしてやるということに対しては、やはり一〇〇%賛成することはできません。
  383. 梅田勝

    梅田分科員 肩がわりって、あなた日本国有鉄道は国の鉄道ですよ。そして法律に基づいて運営しているし、身体障害者に対する割引の問題は法律によって規定されている。あなた、法律によって動いているのですよ。何という言い方ですか。民間の経営じゃないのですよ。
  384. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 いろいろいままでの議論を通じまして、そういう方々がほんとうにお気の毒であり、私も、先ほど申し上げましたように、仕事をしておって、平生は健全なからだをしている、しかし、血の入れかえか何かでございますか、そういうようなことをやらなければ——週に一回か二回か、遠い山坂越えて、しかも平生働いておるので夜を徹して自動車で行かれる、そういう気の毒な状態を私は活動写真で見まして、ほんとうにお気の毒だと思っておったところに、たまたまそういう病気の方が汽車でお通いになるという問題がここに出てきたわけでございます。私が申し上げるのは、そういう切実な問題をかかえていらっしゃる方に、ただここで割引運賃の切符を差し上げればそれで事が済むという問題ではなかろう。ですから、もう少しあたたかい総体的な問題からこれを検討し、そしてそういう方々に対する、いま五千万円で済むというお話もございましたが、そういうような問題も含めて検討してまいらなければならない、こういうことを申し上げているわけでございまして、決してあなたのおっしゃることを、ここで頭から拒否したりあるいはまたどうこうと言っておるわけではないのでございまして、もう少し奥深く、また幅広く、国鉄運賃は国鉄運賃として別の次元を私は持っておると思うのです。持っておると思いますけれども、そういうようなものも含めて、さらにこの対策を進めていかなければいかぬ、こういうふうに申し上げたわけでございます。
  385. 梅田勝

    梅田分科員 とにかく国鉄というのは、大企業に対しては、去年もさんざんやりましたが、昨年を見ましても、年間八十億円くらいの割引をやっておるわけですよ。大企業には手厚いわけだ。しかし、立場の弱い者に対しては非常にきびしい。国民はおこっておりますよ。法律に基づいてそういう制度もあるわけだから、これを生かして、そしてできるだけの援助をしていくというのがやはり政治だと思うのですよ。憲法は国民に健康権と生活権というものを保障しておるわけですから、それを実施するのが国の責任であり、国有鉄道の責務だと私はかように思うわけでありますから、大いに財政もつけて、前向きにひとつ検討を期待するものであります。  そこで、もう一つだけ聞いておきたいのですが、戦傷病者の方々につきましては、手厚く運輸省予算でついておるわけですね。ところが、戦傷病者特別援護法第二十三条に基づいてそれは実施されておるわけでありますが、その場合の対象の障害の程度ですね。これは恩給法の別表第一号表ノ二及び三に定める程度、かようになっております。そこでその別表を見ますと、たとえば第一号表ノ二、第一項症というところを読みますと、「呼吸困難ノ為換気機能検査モ実施シ得ザルモノ」というのが入っております。つまり内部疾患ですね。第二項症のところになりますと、大動脈瘤とかそういう血管関係の障害、それから第三項症関係にいきますと、「腎臓若ハ肝臓ノ機能又ハ造血機能ヲ著シク妨グルモノ」といって、じん臓の障害は、はっきり身体障害者の基準に入っておるし、また現にその方は、国の制度によって国鉄運賃は全額免除ですよ。料金は別として運賃は全額免除になっているんですよ。第一号表ノ三というところでも、第一款症というのがございますが、その三におきまして「一側腎臓ヲ失ヒタルモノ」、じん臓二つありますが、片っ方取ってもこれは障害者として扱っておる。これは国の制度において、割引は、こっちは五割だしこっちは全免だ。対象はこっちは内部疾患が入らぬ、こっちは入っておる。これは差別扱いと違いますか。幾ら持例法が設けられているとはいえ、あまりにも矛盾していると思うのですけれども大臣いかがですか。
  386. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 旧軍人の傷疾につきましては、特別立法においてそういう手当てをしていると思います。いま現実にお困りになっていることには変わりはないわけでございますけれども、そういうふうな不特定多数のものをつかまえて——つかまえるといってはおかしいけれども対象にした法律でなくて、特定の戦争のために彼らが負傷し、あるいは多くの戦死者を出して、その犠牲の上にわれわれが生き長らえているのですから、そういう意味合いでもって、私はそういう特別立法をやっていると思うのです。しかし、それだけで、それじゃこちらのほうはいいのかというと、私はそういうことを言っているわけじゃございません。その立法にはそれだけの意味があると私は思うのです。しかし、いま先生が御指摘になったようなじん臓機能の悪いような方々、こういうような方々については、また別な面からあらためてそういう福祉対策を進めていかなければならぬ、こういうふうに考えるわけであります。
  387. 梅田勝

    梅田分科員 過去の戦争というものは、国が侵略戦争をやって国民を塗炭の苦しみにおとしいれたのでありますから、当然それは救済をしなければならぬわけだ。しかし、いま身体障害者になっている方々も、社会への貢献のために努力をしてそういう状態になったのでありますから、一がいに言えないと思うのですよ。そこで国がそれだけ言うんだったら、最後にもう一つだけ質問さしていただきますけれども、国鉄運賃法五条の二では、割引の対象となる身障者は政令で定めるということになっておる。この政令をつくったのですか。
  388. 秋富公正

    秋富政府委員 これは二十四年、法律改正時代にいろいろとその政令の問題もあったようでございますが、当時のいきさつは今日に至ってはつまびらかでございませんが、御指摘のようにできておりません。しかし、現実におきましては、政令におきましては、いわゆる普通運賃につきまして、あるいは定期運賃につきまして、いわゆる介護者を必要とする場合にこれを五割引きということにつきまして、実際はそれ以上の処置を国鉄はしておるわけでございます。
  389. 梅田勝

    梅田分科員 要するにつくらなかった。これは怠慢と言われてもしかたがない。大臣、政令をつくって、内部疾患の方々も入れたら救済できるわけですから、ひとつ英断をもって、最後にほんとに前向きの答弁をしていただきたいと思います。
  390. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 でございますから、先ほど来申し上げておりますように、私は社会福祉全体の立場から、そういうお気の毒な方々に対しては手厚い処置をとっていかなければならぬ。その一環にこの運賃の割引というような問題も当然議論の対象になってくる。また、対象にして、そういう方々に対する手厚い福祉政策を進めていかなければならぬ、こういうことを申し上げているわけであります。
  391. 梅田勝

    梅田分科員 厚生省はどうでございますか。これは政令ができていないことに不満だろうと思うのですけれども、つくるように厚生省として促進するという御決意がございますか。
  392. 角田耕一

    ○角田説明員 これは他省の問題でございますので、私のほうからはお答えできません。
  393. 梅田勝

    梅田分科員 終わります。
  394. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて梅田君の質疑は終了いたしました。  以上をもちまして、昭和四十九年度一般会計予算及び特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十九年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係に関する質疑は終了いたしました。  次回は、明九日午前十時より開会し、建設省所管について審査いたします。  本日は、これにて散会いたします。     午後六時四十六分散会