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1974-03-07 第72回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第3号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月七日(木曜日)     午前十時開議  出席分科員    主査 稻村左近四郎君       細田 吉藏君    村田敬次郎君       阿部 昭吾君    大出  俊君       太田 一夫君    福岡 義登君       林  百郎君    岡本 富夫君    兼務 石野 久男君 兼務 井上  泉君    兼務 上原 康助君 兼務 島田 琢郎君    兼務 島本 虎三君 兼務 横路 孝弘君    兼務 和田 貞夫君 兼務 小林 政子君    兼務 多田 光雄君 兼務 小川新一郎君    兼務 北側 義一君  出席国務大臣         運 輸 大 臣 徳永 正利君  出席政府委員         首都圏整備委員         会事務局長   小林 忠雄君         運輸大臣官房長 内村 信行君         運輸大臣官房審         議官      原田昇左右君         運輸大臣官房会         計課長     杉浦 喬也君         運輸省海運局長 薗村 泰彦君         運輸省船舶局長 内田  守君         運輸省船員局長 住田 俊一君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         運輸省鉄道監督         局長      秋富 公正君         運輸省自動車局         長       中村 大造君         運輸省航空局長 寺井 久美君         運輸省航空局技         術部長     中曽  敬君         海上保安庁長官 佐原  亨君         建設省河川局長 松村 賢吉君  分科員外出席者         行政管理庁行政         管理局管理官  吉村 友佑君         北海道開発庁企         画室長     大西 昭一君         環境庁企画調整         局企画調整課長 青木 英世君         環境庁大気保全         局特殊公害課長 鈴木 善晴君         環境庁水質保全         局水質管理課長 山村 勝美君         大蔵省主計局主         計官      宮本 保孝君         労働省労働基準         局監督課長   岸  良明君         建設省計画局総         務課長     川上 幸郎君         自治省財政局公         営企業第一課長 坂田 期雄君         日本国有鉄道総         裁       藤井松太郎君         日本国有鉄道常         務理事     内田 隆滋君         日本国有鉄道常         務理事     伊江 朝雄君         日本国有鉄道常         務理事     山岸 勘六君     ————————————— 分科員の異動 三月七日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     福岡 義登君 同日  辞任         補欠選任   福岡 義登君     大出  俊君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     太田 一夫君 同日  辞任         補欠選任   太田 一夫君     阿部 昭吾君 同日  第一分科員石野久男君、島田琢郎君、第二分科  員上原康助君、和田貞夫君、小林政子君、第三  分科員横路孝弘君、多田光雄君、小川新一郎  君、北側義一君、第四分科員井上泉君及び島本  虎三君が本分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算運輸省所管  昭和四十九年度特別会計予算運輸省所管  昭和四十九年度政府関係機関予算運輸省所管      ————◇—————
  2. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算運輸省所管並びに昭和四十九年度政府関係機関予算中日本国有鉄道関係を議題といたします。  質疑に先立ち、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間は、それを厳守され、議事進行に御協力を賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に、要領よく、簡単に行なわれますようお願いいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。福岡義登君。
  3. 福岡義登

    福岡分科員 三江線陰陽連絡並びに中国山地過疎対策としてかねてから建設中の工事でありますが、現在までの事業の進捗率と今後の計画がどうなっておるか、まずお伺いしたいと思います。
  4. 秋富公正

    秋富政府委員 この三江線につきましては、御指摘のように陰陽連絡という重大な使命と、並びに地域における開発ということがございまして、在来の三江南線と三江北線とを結ぶ路線でございますが、これは重点的に工事を進捗しておりまして、四十九年度に完成いたし、開業する予定でございます。
  5. 福岡義登

    福岡分科員 四十九年度完成——開通はいつですか。
  6. 秋富公正

    秋富政府委員 四十九年度に完成し、直ちに開業いたします。
  7. 福岡義登

    福岡分科員 開通した場合の営業方針といいますか、具体的にどういう御計画が、まだ最終的にきまっていないかとも思うのですが、開通したときの営業内容営業方針、たとえば列車運行の本数とか、あるいは広島から山陰本線へ結ぶ急行など、あるいは福山地区から福塩線を経過しまして山陰へ通す急行とか、そういう営業内容について方針だけでもわかっておればお話し願いたい。
  8. 伊江朝雄

    伊江説明員 お答え申し上げます。  まだ具体的には計画ができておりませんけれども一般の新線建設開業の前例に踏まえまして考えます場合には、大体一日に六往復程度ということでございますが、先生のおっしゃるように、直通急行列車運行ができるかどうか、今後の事情検討の上きめたいと思っております。
  9. 福岡義登

    福岡分科員 ぜひ関係住民期待にこたえるような営業を考えていただきたいということを要望しておきたいと思います。  そこで、これは三江線の参考までにお伺いしておきたいのですが、いま言われたことで、営業内容がまだ確定しておりませんから明確なことは言えないかとも思うのですが、営業を開始した場合の営業係数は大体どのくらいに考えられるのだろうか。
  10. 秋富公正

    秋富政府委員 これは、ただいま申しましたように、四十九年度一ぱい工事いたしまして、五十年に開業ということを目途といたしておりますけれども、ただいま国鉄から申しましたように、どういう運行形態をやるかということも一つの問題でございます。  それからもう一つは、この地域におきます開発計画がどのように進むかということも今後の収支見通しに大きく響くものでございます。一般的に申しまして、このAB線と申しますのは、大体過疎地域と申しますか、今後の開発を進めるものでございますので、必ずしも最初から収支はよいものではございません。したがいまして、運輸省といたしましては、この建設につきましては全額を政府出資でいたしております。  それから、その償却につきましても全部政府が手当てをいたしております。したがいまして、これを運営いたします国鉄といたしましては、資本費の負担と申しますものは全然ないわけでございまして、いわゆるランニングコスト、運営に要する費用を国鉄としては負担するわけでございます。この際非常に大きな問題は、やはりメンテナンスということに経費、人件費がかかるものでございますので、建設にあたりましては、鉄建公団が建設する際に、たとえて申しますと、枕木のPC化とか、あるいは道床の厚さを厚くするとか、あるいは重量レールを使いますとか、自動列車運転保安装置の採用、こういったように極力開業後の保守、管理あるいは人件費というものが要らないような形で、建設途上におきましていろいろとそういう努力をいたしておるわけでございまして、できるだけ開業後の損益が改善されるように政府といたしましては措置いたしておる次第でございます。
  11. 福岡義登

    福岡分科員 そういう措置をした結果、まさか黒字にはならぬと思いますね。大体どの程度営業係数が考えられるのか、そういう施策につきましてはわれわれも敬意を表しておりますが、それでなお黒字にはならぬと思うんですね。幾らか赤字になるのじゃないか。大体のところどのくらいの営業係数が見込まれるのか。
  12. 伊江朝雄

    伊江説明員 ただいま鉄監局長が御答弁申し上げましたとおり、開業時に大体どの程度直通輸送あるいはどの程度貨物輸送という量的な把握ができませんと、いまの資本費あるいは使います車両の償却費資本費、そういったものの計算ができませんので、いまのところ残念ながら申し上げられる段階じゃないと存じます。
  13. 福岡義登

    福岡分科員 いずれにしましても、赤字であることは間違いない。  そこで、これはきょうの本題じゃないのですが、一つ要望しておきたいのは、いわゆる国鉄財政再建というものが大きな議論になっておるわけで、まだ全面的に解決しておるわけじゃないですね。こういう国民サービスというものを考えると、ある種の赤字を覚悟してやらなければならない。それをどういうように財政的に始末をするかということは非常に大きな問題でありまして、いままでのような、運賃を上げれば問題は解決するというような姿勢を少し検討し直す必要があるのではないかと思いますが、そういう財政再建の面をこれらの赤字路線——建設中のものも相当あるわけですから、将来の課題として十分検討していただきたいということを要望して、この問題は終わりたいと思います。  次にお伺いしたいと思いますのは、国鉄貨物取り扱い廃止の問題であります。具体的にここで問題を提起しようとしておりますのは、山陽本線本郷駅の貨物取り扱い廃止の問題なんだが、その前に貨物輸送全般について基本的な方向を少し明らかにしていただきたいと思うのであります。  経済社会基本計画におきまして、昭和五十二年の貨物の総輸送量が九十五億トンと見込まれておるわけであります。これは別の場所でも私は議論したことがあるのですが、特に今日の経済あるいは資源の諸事情から考えてみますと、経済社会基本計画全般が再検討されなければならぬときにきておると同様に、昭和五十三年九十五億トンという貨物の総輸送量につきましても、必然的にこれは再検討が迫られておると私は思うのであります。その辺をどのように運輸省としては考えられておるか。
  14. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように、経済社会基本計画というのは見直す時点にきておると私は思います。そういうような面で企画庁においても鋭意この点をもう検討に入っていると思いますけれども、全くお説のように交通政策なるものをもう一ぺんあらためて見直して、いままで必ずしも自動車偏重ということばかりでもなかったですけれども、ややそういう偏向に流れつつあったこともまたいなめないことだと思います。エネルギー資源供給制約という点についても、より一そう配慮する必要が私どもとしては出てきている、そういう点から輸送面において再検討を加える時期にきている、御指摘のとおりに思っております。
  15. 福岡義登

    福岡分科員 その場合に、貨物の総輸送量はこの九十五億トンよりもふえるか減るか、経済社会基本計画を再検討する段階でないとそれはこまかい数字は出ないかもしれませんが、たとえば産業計画懇談会というのが御承知のようにあるわけであります。ここの提言を見ますと、この九十五億トン路線と相当な懸隔があるわけであります。最終的に昭和六十年の時点で比較をしておるのでありますが、この経済社会基本計画でいきますと、おおむね二百億トンぐらいの貨物輸送量になるであろう。ところが、産業計画懇談会提言を見ますと、大体八十億トンぐらいしかない。二百億トンと八十億トンですから相当開きがある。二・五倍ですね。それはもちろん産業計画懇談会提言というのは、産業構造転換というものを相当織り込んだ数字だと思うんだが、私ども昭和五十二年九十五億トン、昭和六十年二百億トンというのは、あまりにも過大な見積もりであるという気がいたします。そのこまかい数字は別にいたしましても、運輸大臣としては、昭和五十二年九十五億トンという今日の経済社会基本計画における見込みがふえていくのか、あるいは減少していくであろうかという、その辺についての御見解はいかがですか。
  16. 徳永正利

    徳永国務大臣 私は、産業界がどういうふうな産業構造の変更が今後出てくるかということについての見通しを、実はあまりはっきり持っていないわけでございますが、大体貨物輸送量というのはあまり大きな変化はなくて、むしろいままでの経過から見ますと、ふえる方向にあるんじゃないかというふうにも考えるわけでございます。こまかい数字は、資料を持っておりませんからまことに恐縮でございますが、そういうような点からいきまして、お説のように貨物輸送というものが近年大きくトラックに依存してきた、これを省資源の立場から鉄道に移管しなければならぬ。また鉄道ばかりではございません、海運もあろうと思います。そういう面に転換をしていかなければならぬ。その政策を今後運輸省計画的に立てていかなければならぬ、こういうふうに考えております。
  17. 福岡義登

    福岡分科員 きょうのところは、九十五億トンがふえるか減るかというそれが問題じゃないのですが、いずれにしましても貨物の総輸送量が、いま見込まれておるものよりも変動する要素を含んでおることだけは間違いない、こう思いますね。ですから、輸送計画を立てる場合には、ある程度見通しを持たないとできないということもまた事実ですから、これは一つの問題として一応きょう提起しておきたいと思います。  そこで、総貨物輸送量がきまったとした場合に、ではどういう輸送機関をどの程度利用するのかということが問題になってくる。先ほど申し上げました経済社会基本計画によりますと、同じく昭和五十二年にどういうことに輸送機関別シェアがなっておるかと見ますと、結論的には相当自動車期待をしておる。申し上げるまでもなく御承知だと思うのですが、トンキロで申し上げますと、昭和四十六年は鉄道輸送が一八・七%であります。自動車が四二・九%であります。それから海運によるものが三八・四%であります。ところが、五十二年時点になりますと、これが相当変わってまいりまして、鉄道は一四・三%に落ちてくるわけであります。自動車のほうは逆に四四%に上がってくる。それから海運のほうは四一・七%に若干ふえてくる、こうなるわけであります。ついでにトン数のほうで申し上げますと、鉄道は四十六年が四・七、五十二年が三・一と、こう減りますね。自動車のほうは八九・四%から九〇・一%にふえていく。海運のほうは五・九%から六・八%にふえていくということになっているわけですね。この輸送機関別シェアというものが、一応政府としてはこのように見ておられるのでありますが、われわれはこの自動車に過大な期待を持っておるのではないかというように思うのだが、その辺どうお考えなんでしょうか。
  18. 原田昇左右

    原田政府委員 ただいま先生のお話のございましたトンキロシェアでかりに申し上げますと、鉄道は確かに五十二年にシェアが低下することば事実でございます。しかしながら、私ども国鉄財政再建十カ年計画におきまして大幅な貨物投資を増強することを考えておりまして、これによりまして五十二年以降においては急速に鉄道シェアが高まってくるという計画をつくったわけでございます。それによりますと、大体初期の投資効果がこの五十二年までにはあまりあらわれてこない。したがって五十二年以降に徐々にあらわれてまいりまして、大体一七、八%程度まで鉄道シェアが、再建十カ年計画の五十七年度には回復するという考え方を持っておりまして、前回再建計画を御審議いただいた国会答弁におきましてもそういう答弁大臣からいたしておるわけでございます。  それからなお、鉄道自動車海運全般的な機能分担といいますか、輸送分野と申しますか、要するにどういう分野で一番効果を各輸送機関が最大限の能力を発揮し得るかという点につきましては、トラックにつきましては、短距離の端末輸送あるいは面状輸送、それから小口貨物中距離輸送といったような分野においてきわめて有効な機能を発揮し得る。さらに鉄道につきましては、中長距離貨物輸送、それから海運につきましては、大量の貨物輸送であって中長距離に属するものといった分野においてその機能が一番発揮できますので、われわれとしては、そういう輸送分野を各輸送機関が分担して、機能の発揮を全体として効率的な輸送体系ができるように施設の投資あるいは需要の調整、誘導といったようなことからそういう方向に持っていきたい、こういうように考えておる次第でございます。
  19. 福岡義登

    福岡分科員 五十七年、これはトンキロの話ですね、いまの一八%。
  20. 原田昇左右

    原田政府委員 トンキロでございます。
  21. 福岡義登

    福岡分科員 五十七年に鉄道シェアが一八%程度になるであろう、これは十カ年計画の中での御議論だということなんですが、これは運輸大臣にお伺いしたいのですが、最終的に理想的な輸送機関別シェアというのはどの程度に考えられておるのか、非常にむずかしい問題なんですけれども、この一八%五十七年というのも私らは非常に低いと思うのですね。投資をする技術的な物理的な面もあるでしょうから、いろいろの議論はするにいたしましても、最終的に輸送機関別にはどの程度輸送分野をそれぞれ担当するべきかという、理想というか目標がなければいかぬと思うのですね、そればどうですか。
  22. 徳永正利

    徳永国務大臣 いまその点について再検討を加えておる最中でございまして、経済社会基本計画において、そういうものをあらためていまの時点でひとつ見直して、新しい計画を立てよう、見直そう、こういうことでございまして、いまここでどの時点でどうということは、この基本計画の見直しをいたしました時点でお答えさせていただきたいと思います。
  23. 福岡義登

    福岡分科員 ぜひ適正なそういうものを早急にきめていただきたいと思うのです。  いまの計画では、先ほども言いましたように、自動車に過大に期待し過ぎておるんではないか、これは私は不可能だと思うのです。たとえば四つ、五つの理由を申し上げるのですが、その一つは、御承知のように道路整備第七次五カ年計画で十九兆五千億円の道路整備をする、こういっているのですね。ところが、この輸送を確保するために、全部の自動車保有台数は現在二千二百万台余りじゃないかと思いますが、昭和五十二年には三千二百万台になる。十九兆五千億円の道路投資をいたしましても、この三千二百万台を日本道路は許容できるかどうか、非常に大きな問題がある。建設省その他に言わせますと、道路混雑度は、十九兆五千億円の投資をしてもいまよりは緩和できないであろう。これは自動車がふえるからですね。そういう道路の問題が一つある。  それから第二番目には、石油資源の今日の事情は、はたして三千百七十二万台の自動車の燃料が確保できるのかどうかという問題もありますね。  それから第三番目には、高速道路建設費鉄道建設の四倍かかる。あるいはまた、輸送の面でいえば、鉄道に対して自動車は六倍のエネルギーを消費するといわれておるわけですね。資源経済の面からも自動車に過大に期待するというのは政策的に間違いじゃないか。  それから第四番目は、自動車公害の問題がある。これはいろいろ技術的に開発はされておるけれども、そう急速に対策が確立できるとは思わない。  さらにいえばドライバー、自動車運転手が非常に現代でも不足をしておるわけです。  こう考えてまいりますと、自動車にこれ以上過大な期待をするということは不可能ではないか、またそういう政策はとるべきでないのではないかというように私は考えるのでありますが、どうですか、その辺についての御見解は。
  24. 秋富公正

    秋富政府委員 かつて昭和三十五年には国鉄がになっておりましたシェアは約四〇%あったわけでございます。その後石炭だとかあるいは木材、こういった一次産品が非常に減少してきたということも一つ理由ではございますが、国鉄輸送量というものが、ここ数年絶対輸送量としても減ってきているということは、国鉄財政再建という面から申しましても、あるいは国全体の輸送という面から見ましても、ゆゆしき問題でございまして、私たちは絶えずこの問題について反省しているわけでございます。  そこで、いかにして鉄道輸送が減ったかということは、いま申しましたような一次産品が減ったということが一つの大きな原因ではございますが、同時に、道路輸送に比べまして非常に時間がかかる。特に到着日時が不明確である、そういったサービスの面におきましての鉄道劣勢化ということも大きな問題でございます。  こういった点にかんがみまして、再建計画におきましては、十兆五千億のいろいろと投資を行なうわけでございますが、貨物輸送近代化ということにつきまして、複線とか電化は別といたしまして、貨物プロパーに投入いたしますのが約一兆八千七百億でございます。で、これによりまして、いわゆるヤードを極力通らないで、一番時間もかかりますし人手も要しますヤードを通らないで、拠点駅から拠点駅直行輸送をするというようなことをいたしまして、こういう意味において拠点駅整備あるいはヤード自動化省力化、それからコンテナ輸送、フレートライナーの整備増強、こういうことによりまして、鉄道といたしましては、極力拠点駅間を直行輸送を行なうということによりまして、時間の短縮、それから到着日時明確化ということをはかってまいる……(福岡分科員「もう時間がないですから短く、自動車に過大に期待することは間違いだということを言ったんだから、そうだと言えばしまいなんだ」と呼ぶ)そういうわけで、鉄道といたしますと、端末におきましてはやはり鉄道自動車との一体としての輸送ということを考えております。
  25. 福岡義登

    福岡分科員 それで貨物取り扱い廃止の問題になるのですが、総輸送量も再検討をされる時期にきておる、また輸送機関別シェアについても相当変わってくるだろう、まあ変えざるを得ない、変えるべきだというのが私の主張なんですが、そういうときに機械的に国鉄貨物取り扱いをどんどんやめていく。いま取り上げておる問題は山陽本線本郷貨物駅の問題ですが、全国的には相当貨物取り扱いを廃止しておるわけですから、そういう基礎的な要件、貨物の総輸送量なりあるいは輸送機関別シェアというものがまだ不安定な中で国鉄がどんどんと貨物取り扱いを廃止していくというのは、これは問題がある。特に地域の荷主とか住民サービスとかは低下するわけですから、これはいまそういうことをどんどんと機械的にやるべきではないというように思うのですが、どうですか。
  26. 秋富公正

    秋富政府委員 やはり鉄道鉄道としての中長距離大量貨物輸送ということがその使命でございまして、その際に、輸送時間の短縮という面から申しましても、近代化のためにやはり従来のいわゆる網状にあった各駅を集中して、そうしてそれをヤードで集中して組成していくというやり方を変えまして、今度は新しく拠点駅をつくりまして、そこに集配をいたす、従来の貨物駅を集約するということによりまして、自動車鉄道との協調関係を保ちながら輸送していくということが一番国鉄貨物近代化であるということを考えております。
  27. 福岡義登

    福岡分科員 まあ中長距離国鉄がということはわかるのです。わかるのですが、それは拠点にどれだけ投資をされたか、私はこの本郷の周辺の事情をよく知っているのだ、見るべき投資はまだないです。一方では都合のいいことを言うが、一方ではそれを実行していない。ですから、言われるような数字がびしゃっとできておれば、一兆八千億と言われましたか、ところが五十二年までは投資効果があらわれないとさつき説明された。財政再建に入ってから、計画だけで投資がそう順調に進んでないというように私どもは見るのですが、いずれにしてもこの中長距離鉄道が担当するという方針はわれわれも理解できるが、だからといっていままで何十年とやってきた貨物取り扱いを機械的にやめられたのでは困る、原則的にわれわれは、いままでの貨物取り扱いを廃止すべきでないという立場に立つわけです。特殊の事情のもとで廃止せざるを得ないという場合にも、これはやはり関係者と十分話し合いの上で、しかも善後策を適切に講じてやるべきである。この本郷駅の問題もそういう方針で対処してもらいたい、そういう要望をしたいのですが、いかがですか。
  28. 伊江朝雄

    伊江説明員 お説のとおりでございまして、国鉄使命達成のための一つの手段としての貨物駅集約のあり方をいま検討しておるわけでございますが、もちろんその節は地域トラック事情、通運能力あるいは荷主、地元の関係の方とも御相談をしながら、理解を得ながら進めていくということは当然だと思っておりますので、御指摘本郷駅につきましてもそのような方向で進めてまいりたいと思っております。
  29. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて福岡君の質疑は終了いたしました。  次に、和田貞夫君。
  30. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 この機会にローカル線のことについてちょっと聞いてみたいと思うのですが、国鉄運賃が国鉄各線共通の料金である以上は、それぞれの沿線住民あるいは利用者が国鉄各線を利用する場合に、これまま同じ条件の待遇を受けるということが原則でなかったらいかぬと思うのです。しかし現実的には、本線と支線を比べますとそうではないし、ローカル線の場合はきわめて冷遇されているということが言えるんではないかと思うのです。  たとえば車両一つとってみましても、もちろん東海道本線にも皆無とは言えませんが、大阪を例にあげると、環状線や東海道線に比べると片町線、阪和線の場合は、きわめて旧式の古典的な車両をいまだに使用しているというのが実情であります。阪和線の場合、全車両数が二百四十四両使われておるのですが、そのうちの約百台近くがいわゆる雑型といわれる六〇型、五五型がいまだに使われておる。ようやく本年度の末をもって六〇型二十六台、五五型二十四台というところまで何とか新型車に取りかえるような運びになっておるというような実情であります。これとても四、五年前に比べますと次第によくなりつつあるわけなんですが、このような片町線、阪和線のようなローカル線沿線の乗客が、首都圏や本線のように新型車を利用できて快適な通勤あるいは旅行ができるようになるのはいつごろになるのか、この機会にひとつ説明をしていただきたいと思うのです。
  31. 伊江朝雄

    伊江説明員 まず、前段の御質問に対するお答えでございますけれども、やはり私どもはお客さまに利用していただいておりまして公平にサービスをするということが原則でございますが、ただいま御指摘のとおり、地区によりましては古い車両を使っておるというところもございます。  御指摘の阪和線につきましては、ただいまの御質問のとおり、確かに一部古い電車はございますが、これは逐次取りかえてまいりたいというふうに考えております。  ただ、全国的に非常にたくさん古い車を順次取りかえていきますために、必ずしも一挙にというふうに、一線区投入いたしまして全部取りかえるということにはいまのところ相なりませんので、徐々に取りかえていくということで、ただいま阪和線につきましては、ことし四十九年の四月に新しい車を六十六両ばかり入れる予定にいたしております。現在新しい車がすでに配置されておりますのは五十四両でございまして、合わせまして百二十両程度が阪和線に新車として投入される。結果的には、先生先ほどおっしゃいました二百四十両の中の約半分ということでございまして、これは今後私どもも新型の取りかえについては努力してまいりたいと思います。
  32. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 阪和線だけではなくて、片町線も阪和線以上の条件の悪い車両が使われておるわけなんです。原則面を私は言いまして、そのとおり画一的にやれというようなことは何ですが、このような片町線、阪和線というのは、大阪の場合人口のドーナッツ現象の中で利用者が漸次増加の道をたどっておるというようなことでありますので、いま言われましたように、ひとつできる限り早い機会に快適な旅行ができるような新車の導入について、なお一そう努力してもらいたいと思います。  そこで、車両もさることながら、いま申し上げましたように阪和線、片町線の沿線に団地がどんどん増設されまして、次第に大阪から離れたところに、いままで非常に閑散としておった駅が乗客がふえてくる、こういう姿です。したがいまして、駅舎あるいはホーム、待合所、これも旧態依然とした個所が非常に多いわけです。雨の日にかさをささなければ電車を待つことができないというような駅もまだたくさんあるわけです。このような駅舎なりあるいは乗客利便のためのプラットホームの改修だとか、あるいは待合所の充実であるとかというような計画はないのですか。
  33. 伊江朝雄

    伊江説明員 私どもが一番最初に考えますのは、非常にお客さまがふえまして、保安上心配がないかどうかという問題が第一の関心事でございます。その次には、それならばその輸送力を増強するための線路の容量は一体どうなっているか、複線化する必要があるかないかという検討、それから先生指摘のとおり、車の増便ということがまず先決条件でございまして、そういったものを整えましたあと、一般の駅舎の古いものをかえていく、あるいは便利な跨線橋をつくるとかというふうなことになっていくのだろうと思います。  目下のところは、御指摘のようないろいろなローカル線は、まず線路の容量を増大し、年々ふえてまいります通勤通学客の輸送にまず力を注ぐという見地から、実は阪和線あるいは片町線は取り組んでおります。先ほど御指摘の片町線につきましては、そういう見地から四条畷、それから長尾の間をいま複線の工事をやっておりまして、それが五十一年の三月にでき上がるということになります。したがいまして、ローカル線の中のあの辺では長尾線がいま一番輸送力が逼迫しておるところでございます。まずそれを先にやる、そういう順序立てをしながらやってまいりますが、特に一番私どもが心配しております阪和線は、急激にお客がふえましたために、ホームの容量と申しますか、そういったものにつきましては、逐次検討し、工事にかかっていきたい、かように考えております。
  34. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 逐次というのもけっこうですが、阪和線の場合、具体的に申し上げますと、大阪市内の天王寺から杉本町間はかなりの折り返し運転がされております。それから堺までの天王寺−鳳間もかなり折り返しがある。天王寺−府中間、天王寺−東岸和田間、天王寺−和泉砂川間、これの折り返しもあるわけなんですが、問題は和泉市、駅名でいうならば府中、府中以南、非常に人口がふえてきておるのですが、便数が非常に少ない。特に府中から和泉砂川の間は折り返しが一時間に一台あるかないか、あとは天王寺から和歌山までの間の列車で通勤通学をして、何とか押し合いへし合いで毎日非常に不自由を感じておるというのが実情でありますが、この府中−和泉砂川間、これを何とか増便をするという計画を、これは漸次ということじゃなくて早急にやってもらわないと、たいへん非難が起こっておるわけです。私のほうにも非常に沿線住民が苦情を持ってきておるわけでありますので、これは早急に何とか、この間の便数を増便するというような考え方はいまおありじゃないですか。
  35. 伊江朝雄

    伊江説明員 原則論を申し上げて恐縮でございますが、やはり旅客の層の厚い、私ども密度と申しておりますけれども、層の厚いところについての輸送力の張りつけ、これが原則でございます。御指摘のとおり、だんだんドーナツ現象が蔓延してまいりまして、御指摘の区間につきましては確かに最近非常に通勤客が増大しております。したがいまして、この区間につきましての何らかの措置を早急に講じなければならないということでいま検討いたしております。具体的にはまだ申し上げられませんけれども、御要望には沿えるようなかっこうで検討を進めてまいるということを申し上げておきたいと思います。  なお、阪和線につきましては輸送のやり方を四方式やっておりまして、新快速、つまり停車駅の少ない直通のお客の輸送の便宜のための新快速、それから普通の快速、あるいは区間快速、それから各駅停車、こういう四本立てでそれぞれ網を張っていくというかっこうになっておりますので、折り返しが少ないからということで必ずしも列車回数が非常に少ないという事情でもないわけであります。ただ、問題は、朝の通勤、夕方のお帰り、この間の輸送は御指摘のとおり非常に少ないかと思います。これにつきましては、先ほど申しましたように早急に検討を進めて改善したい、かように存じます。
  36. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 日根野の駅に紀西線を含めた検車、修理の基地をつくる——すでにかなり入庫している車もありますが、それが日根野どまりで日根野からの折り返しをされる可能性が起こってくると思いますので、私は日根野から折り返すというよりも、和泉砂川まで延ばして折り返すということを考えてもらわないと、先ほど申し上げたように、府中と和泉砂川との間の住民の不満の解消にならないわけなんです。私、仄聞するところによりますと、そういう基地ができるので、日根野からの折り返しを考えていられるように聞いておりますので、いま御答弁の中で何とか要望を満たすようなことの配慮があるというならば、その点もひとつあわせてもう一歩前進した配慮の点を御検討いただきたいと思うのですが、よろしいですか。
  37. 伊江朝雄

    伊江説明員 地元の御要望は、大体御利用なさるところの駅の折り返しというものの御希望が非常に強うございまして、いま先生おっしゃいました日根野も熊取も砂川もそれぞれの立場の要望が強うございますので、私どもとしましては、いま日根野で折り返すかどうか、あるいは熊取で折り返すかどうかという問題は、地方の局長がよく地元の御要望を聞きながら具体的にきめてまいりたい、かように考えます。
  38. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 泉南市の市長のほうからも強い要望があることでございますので、ぜひとも熊取、日根野という折り返しを考えないで、和泉砂川まで延ばした折り返しを、ひとつ御検討願いたいということを要望しておきたいと思うのです。  増便だけでなくてホームの改修を漸次ということばが先ほどありましたけれども、やはり限度というものがありますので、現在でもやはり各列車とも増結していく、増結の方法で輸送力の強化、こういう手も考えなければいかぬので、プラットホームの延長、改修を含めた姿の中でこの増便とともに増結ということもたいへんなことだと思いますけれども、あわせてひとつ御検討いただきたいことを強く要望しておきたいと思うのです。  それから、先ほど申し上げました駅舎の改築の中で私は一つこれを取り上げておきたいのですが、百舌鳥駅というのがあります。この百舌鳥駅の利用者の中に——駅の近くに府立の養護学校、これは肢体不自由児の生徒を収容している施設です。それからろう学校、もず学園これは精薄児を収容している施設です。それから身体障害者の福祉センターがあります。身体障害者福祉センターの付属の病院があります。身体障害者の職業訓練学校があります。こういう施設がこの付近にひしめき合って林立しているという状況なのです。これらの施設が収容しておる子供たち、生徒たちの毎日の乗降が非常に激しいわけです。ところで、この百舌鳥駅の周辺というのは非常に雑踏地でありまして、駅の敷地自体が非常に狭隘であるし、どういうように具体的に処理していくかということは私自身も考えはありません。しかし、これは何とかしてやらないと、跨線橋がない、駅構内で足の不自由な子供たちが、毎日のように踏切を渡って上下のプラットホームを行き来する、こういう実情なのです。これはもう前々から関係者が管理局のほうにも強い要望もしておるわけなのですが、いまだにその点が実現の運びでないわけです。こういうような特異な、特殊な駅のことでありますので、何とかひとつこの点については、早急に御検討願って、結論を出していただきたい、こういうように私は思うのですが、何かお考えがありましたらこの機会にひとつお話し願いたいと思います。
  39. 伊江朝雄

    伊江説明員 確かに百舌鳥駅はそういう方々の御利用が多うございまして、私ども非常に気をつけておるわけでございますが、もともと私鉄から買収いたしました駅でございますために、建物も相当古うございますし、それから御指摘の設備その他も十分ではございません。その上、身体障害の方々の御利用も多いというところで、駅の連中は非常に気をつけております。現在そこに跨線橋もございません。したがいまして、踏切を渡って通行されるというかっこうになっておりますので、そこには自動の踏切がございますけれども、特に踏切の警手を立てまして、身体障害者の方々の御通行の安全をお守りしておるという、非常に人力でもってカバーするような努力をいたしております。  ホームにはもちろんテープなどを張りまして、目の御不自由な方にすぐにわかるように——この辺の高田馬場あたりでもいたしておりますけれども、そういうふうな設備をも構じたりいたして、駅員としては気を使って御案内しておりますが、御指摘の駅舎の改築あるいは跨線橋などにつきましては検討を進めてまいりたいと思いますが、残念ながらそういう駅がたくさんございまして、早急にはできないと申し上げることは非常に残念でございます。私どもは、それは絶えず心にとめておりますので、そのうちに検討して結論を出したいと考えております。
  40. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 私も乗降しておる子供たちや生徒の姿をよく見かけるわけでありますし、それから、接する機会も多いわけなんですが、あるいは学校の先生たちの意見を聞いてみますと、人為的にいろいろと指導してあげたり補導してあげたり誘導してあげたり、この親切のことはよくわかるんですが、せっかく学校なり施設で足の不自由な子供たちが訓練をして、非常に歩行の困難な中でようやく歩ける自信を持った、あるいは歩くことで自分の気持ちを非常に卑属感から解放されているということでありますから、人為的に誘導したり補導したりすることよりも、自分自身が、自分の力で電車の乗りおりをしていきたいという子供たちの希望、生徒たちの望み、それを果たすためには、やっぱり国鉄当局がそう長い期間に検討するというんじゃなくて、時期的にも長い間の懸案であったことでありますから、きわめて早い機会に、しかもたとえば跨線橋をつくるということであれば、一般の人たちが登ったりおりたりする階段式じゃなくて、スロープの階段、かなりのスペース、かなりの経費もかかると思いますから、そのような点にひとつ配慮を願った措置を私は望みたいと思うのですが、そのような点も含めて御検討いただけるかどうか、あわせてひとつお聞かせ願いたいと思う。
  41. 伊江朝雄

    伊江説明員 身体障害者の御利用という立場から見ます場合には、実はいろんな設備をしなければならぬ駅がたくさんございます。そういったことの中に、いま先生の御指摘の跨線橋もあるかと思いますが、そういったものを全国的な視野から十分検討したいということを、ただいまは申し上げたいと思います。
  42. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 御検討いただくのはけっこうです。私もよく知っているわけですが、先ほど申し上げましたように、検討では、かなりのやっぱり努力と英断がなければできないわけです。駅の敷地がないわけです。その付近地は雑踏地で、何とか国鉄の用地に買収しようと思いましても買収できない。さりとて駅を動かすことによって、よりこれが、先ほど申し上げたような施設の子供たちや生徒が不便を感じるということになるわけですから、いまの地点で何とか措置をするということを考えなければいかぬわけです。たとえば橋上駅ということもこれは可能性に近い一つの案になってこようかと思うわけです。その点を含めて、そしてぜひともひとつ申し上げましたように、これらの子供たちが胸を張って、からだを張って、自分の力で通学をしているんだ、あるいは施設に通っておるんだという望みを達成さしてあげるために、スロープ階段を含めた、具体的に先ほど一例を申し上げましたけれども、橋上駅というような検討を含めて、ぜひともひとつこの機会に英断をふるっていただきたいことを要望しておきたいと思うのです。これにもかなりの英断が必要です。一つの駅におそらく二つ、三つの駅に要する経費をつぎ込まなくてはならないということも配慮しなければいかぬと思うのです。しつこいようでございますが、その点についてもう一度、ひとつ何とか善処できるように、早急に検討して結論を出してもらえるのかどうか、重ねて御答弁願いたいと思います。
  43. 伊江朝雄

    伊江説明員 身体障害者の方々の御利用になる駅の設備につきましては、いろんな御注文がございますので、私どもその御注文に沿うように努力いたします。  それで具体的にはいろいろございますけれども、いま御指摘の点もございますので、それを含めまして、本件の百舌鳥駅について早急にというお答えをいま申し上げるのは非常に私、できない立場でございますので、全国的な身体障害者の御利用の駅という点からよく検討させていただきたいと思います。
  44. 和田貞夫

    和田(貞)分科員 ひとつよろしくお願いしたいと思います。監督官庁としての運輸省大臣、お聞きになったことでございますので、具体例をあげましたが、ぜひともひとつこの点は大臣のほうからも督促してもらいたいと思います。  先ほど申し上げましたように、それを含めてローカル線はローカル線なりのいろいろな運営面もあろうと思いますけれども国鉄の運賃値上げは少し延期されましたけれども、やっぱりローカル線といえども同じように値上げされるわけですから、同じ料金を支払う以上は、本線あるいは首都圏と同じようにローカル線の乗客の立場を考えていただきまして、具体的に申し上げましたような点を早急に善処方を強く要望いたしまして、時間も参りましたので、私の質問はこの辺で終わらしていただきます。
  45. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘の点につきましては、いろいろ示唆に富む御指摘をいただきましたが、まず安全輸送、需要がだんだんふえてまいるいまお話しのような各線については、これは安全が第一でございます。伊江務理事からいろいろお答えしておりましたような手順で、できるだけすみやかにやらせるように指示いたしたいと思います。  なお、百舌鳥駅のことにつきましては、地元からも、いま私ちょっと隣で資料を拝見しますと、いろいろなこまかい要望が出ているようでございます。先生のおっしゃるように、抜本的な大改造というようなことば、いろいろ計画も順序もあるようでございますので、できるところから、たとえばささいな問題でございますけれども、洋式便所をつくれとか、あるいはなだらかなスロープにしろとか、いろいろこまかい要望が出ているようでございますが、こんなものはさっそく手をつけて、そういう御不自由な方々のためにやっていかなければならぬと思います。幸い国鉄総裁も来ておりますから、総裁ともよく相談いたしまして、少しでも御要望に沿うように努力いたします。
  46. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて和田君の質疑は終了いたしました。  次に、石野久男君。
  47. 石野久男

    石野分科員 大臣にお尋ねいたします。私は茨城県の出身ですけれども、水戸・日立大規模都市計画の中に流通港湾の計画があるように聞いておりますが、これはもう運輸省も十分御承知のことでございましょうか。
  48. 徳永正利

    徳永国務大臣 実は、私はまだ聞いている程度のことでございまして、これに対して具体的な案が出てきているわけでもないようでございますし、首都圏の整備計画全体から見ますと、いろいろまたメリットあるいはデメリットもあろうと思いますが、   〔主査退席、村田主査代理着席〕 ただいまのところその程度のことしか私のところにはないわけでございます。政府委員は多少こまかい点に触れてお答えできると思いますから、お答えをさせます。
  49. 小林忠雄

    小林政府委員 北茨城におきます流通港湾の問題は、首都圏整備計画の中におきます北関東総合開発の一環として現在検討されているところでございます。御承知のように、南関東がすでに過密でございますので、その南関東への人口、産業の集中を緩和する一方策といたしまして、北関東にかなり大きな集積を持った開発を行なう。特に水戸・日立、宇都宮、前橋、高崎というような県庁所在地を中心といたします過去の集積のあるところに、百万人程度のかなり大規模な都市開発を行なってはどうであろうかという構想のもとに現在調査をいたしております。  その北関東の開発の戦略的な手段といたしまして、この三都市地域を東西に結びます北関東横断高速道路計画、それからその海への出口といたしまして北茨城地区における流通港湾の建設ということが計画されているわけでございます。現在の段階では、四十七年度から四十九年度までの三カ年間で一応北関東の開発計画の調査を行なうということになっておりましたが、四十九年度におきましては、公共事業の抑制ということの一環といたしましてこれが繰り延べられまして、ただいまのところ、五十年度一ぱいまでに調査を終わる予定でございます。その流通港湾の調査につきましては、首都圏整備委員会に一たんつきました予算を運輸省のほうに移しかえをして調査をしていただいているということでございます。
  50. 石野久男

    石野分科員 そうしますと、この構想の出た発想は、一応国から出ているものでございますか。
  51. 小林忠雄

    小林政府委員 首都圏の整備計画は国がつくるものでございますから、そういう意味では国から出ているということでございますが、もちろん北関東の関係各県あるいは各市町村というような地元の強い御要望も受けてやっているわけでございます。
  52. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 運輸省の港湾局のほうからその点につきましてお答えしたいと思います。  港湾の計画そのもの、あるいは建設は、いまの港湾法の考え方からいきまして、地方公共団体にゆだねてございます。たとえば、日本で一番大きな神戸であるとか横浜、こういう港につきましても、それぞれ神戸市であるとか横浜市がその港の管理者でございます。それと同じように、北関東におきまして港湾をつくりますときにも、これはやはり地方公共団体が主体になってつくるわけでございます。国の計画といいますか、首都圏の大きな構想に基づきまして県あるいは地方公共団体が、そこでやりますと自分の地域の発展につながるというような考え方でいわゆる計画を進める、  こういうたてまえになっております。
  53. 石野久男

    石野分科員 そうすると、この計画が具体化されていくためには、何よりもやはり地方公共団体の意思が早く決定しなければできないということですね。
  54. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 おっしゃるとおりでございます。
  55. 石野久男

    石野分科員 港湾局のほうでは、一応首都圏からいろいろな委託といいますか、仕事を引き継がれて作業が進んでいるように先ほどの御答弁で聞きましたが、港湾局で考えております射爆場あと地にこの流通港湾を計画するという構想の概要でございますか、特に、そこではどういうような物資をこなすのかというような点について、ひとつ聞かしていただきたいと思います。
  56. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先ほども申し上げましたように、港湾管理者がその計画を進めるわけでございまして、運輸省といたしましては、国の立場のほうから、その港のいろいろな調査、技術的な可能性であるとか、あるいは首都圏全体に及ぼすような状態を調査しております。現在、県のほうと打ち合わせしながら県の御意向を承っている次第でございますけれども、まだ確定的な段階にはいっておりません。  考え方の大きな構想の方向を申し上げますと、北関東流通港湾の計画規模を考えた場合に、いわゆるヒンターランド、その港の影響圏の範囲をどうするかということによってだいぶ違うわけでございますけれども、首都圏全域から考えまして、北関東地区の問題あるいはもう少し南のほうまでヒンターランドにするかというような考え方によってだいぶ違ってまいります。それからまた、北関東地域に対して将来ある程度の工業を相当立地させるような政策になっていくのか、あるいは工業的なものは比較的少なくしていくというような考え方、そういうパターンのとり方によっても違ってまいりますけれども、やはり何といいましても、関東全体から考えて北関東を開発しいその入り口としての北関東の港湾をつくるということも考えますと、フェリー輸送等も非常に多くなるんではないかと思います。このフェリーというのは計算が非常にむずかしゅうございますので、フェリーを一つ除きまして考えてみますと、大体昭和六十年——これは昭和六十年といいましても、現在の情勢ですからはっきりと申し上げるわけにはいきませんけれども、まあ昭和六十年とか昭和六十五年とか、そういうような将来の段階におきましては、フェリーを除きましても一年間に数千万トン取り扱うような港湾を考えなければいけないのではないか。数千万トンといいますと、大体東京港あるいは大阪港、こういうような港が頭に浮かぶわけでございまして、そのくらいの程度の港湾というものを今後順次計画していかなければいかぬだろう、こういうふうに考えている次第でございます。  それから第二番目に、じゃどういうような取り扱い貨物量になるか、こういうふうなお尋ねでございますけれども、先ほどから申し上げましたように、この港の趣旨は北関東の入り口でございます。で、この場合、鹿島とかそのほかのいわゆる工業港、こういう姿ではつくらないわけでございますので、いわゆる重化学工業の入り口として、石油であるとか、鉄鉱石であるとか、石炭であるとか、そういうものがどんどん入ってくるような性質ではございません。生活必需物資であるとか、あるいは背後地の、私ども流通加工といっておりますけれども、たとえば、小麦粉を輸入いたしまして小麦粉からパンをつくるというような加工産業、あるいは魚を入れましてそこでかん詰めをつくる、あるいは木材を入れて住宅をつくっていくというような、いわゆる流通加工的な要素がこういう港湾を中心にして出てくる。先ほど首都圏のほうからも言われましたけれども、この港から道路がずっと中のほうに参りますが、その道路の要所要所にもそのような流通加工団地ができてくる。その流通加工団地に対する貨物が入っていくわけでございますので、先ほども申し上げましたように、いわゆる重化学工業系の原材料が入ってくるよりも、生鮮食料品であるとか、農産物であるとか、あるいはヒンターランド一円で消費されるような、セメントであるとか建築資材であるとか鋼材であるとか木材であるとかいうようなある種の工業製品、こういうようなものが大きな割合を占めると考えております。
  57. 石野久男

    石野分科員 それだけの港ができました場合に、まあ、これは船の大きさもいろいろありますけれども、年間を通じてどのくらいの隻数が出入りすることになるのでしょうか。
  58. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 将来は、このような港には船は非常に大型化するのではないかと私考えます。といいますのは、たとえば大洗のような港は数万トンの貨物に対して数千隻という非常にたくさんの漁船が入ってまいります。今回の港には、そういう小型船は比較的少なくて、大型船であるとか専用的な船が入ってくる。そういうことを考えますと、貨物のわりに隻数は多くはないと思います。しかしながら、数千万トンの港をつくるということになりますと、オーダーといたしましては一年間に数万隻ないしは十万隻というようなことでございます。
  59. 石野久男

    石野分科員 数千万トンということばがたびたび出るのですけれども、数千万トンというのには幅が非常にありますから、数字にしますと大体どのくらいのところになるのでしょうか。
  60. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 そのところは、たとえば現在の経済情勢等が非常に流動的でございますので、私、数千万トンということばを使いまして将来のイメージを申し上げたわけでございますけれども、たとえば二、三年前に一つの計算した例がございます。これは現在のような状態でなくて二、三年前のときでございますが、そのときに、たとえば、北関東が現状推移型であるとか、あるいは先ほど申し上げましたように北関東に工業を一ぱい持っていく型であるとか、その中間であるとか、いろいろやりましたが、そのときのケースといたしましては、一つの考え方として昭和六十年といたしましてやりましたが、四千万トンないし五千四百万トンぐらいでございます。
  61. 石野久男

    石野分科員 四千万トンないし五千数百万トンですね。従来この流通港湾に対して、私たちは三千万トンぐらいというのを聞いておりましたが、大体それよりも相当上回るということがよくわかりました。  で、私は、これは大型化しますから、隻数はトン数に比較して少ないといいますものの、年間を通じて十万隻というような膨大なものになりますが、この際、港湾局の方に聞いておきたいことは、すぐ隣に大洗港がありますし、それから北のほうにいきますと日立港があります。そして鹿島が南のほうにあるわけでございます。鹿島灘は長い間、そういう港にほとんど縁のない、ほうりっぱなされてきたところでしたが、今度はあそこに目がつくと、片っ端からちょうど赤ちょうちんがついたように、たあっと並んでしまうのですね。ここでやはり海上交通の上での交錯の問題もいろいろありますが、いま一つ私は、港湾局の皆さんがこの構想をつくるにあたって、すぐ至近地域に原子力基地があるということを頭に一応置いておられるのかどうだろうかということを、まずひとつお聞きしたい。  それから、原子力施設がいろいろありまして、あそこに原子力の再処理工場がもうこの六、七月ころには運転開始をするだろうといっておりますし、そしてその再処理工場には、各地における原子力基地から使用済み燃料をどんどん積み込んでくるというように思います。日立港においては、ある一定の期間この荷扱いを日立市長は許しましたけれども、これは危険だからこんなものを日立港で揚げたり下げたりしてもらっては困るということを強く要請しているわけなんですが、そういうことをすでに頭に置いているのですかどうですか。その点をまずひとつ聞かしてもらいたい。
  62. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いま先生のおっしゃるところは、日立港とこの射爆場の間に廃棄物を処理するための港をつくるということかとも思いますが、まだきまっていないと承っております。それで私どももし県と一緒になってこの計画をつくる場合には、当然そういう動きをにらみ合わせて安全な港にしていかなければいけない、このように考えます。
  63. 石野久男

    石野分科員 港湾局当局は、原子力問題について、海上輸送が行なわれる場合は、他の物資の場合と違いまして、特にここで動く物資というのは、ウラン燃料のまだ精製前の鉱石というようなものとは違うんですね、使用済み燃料ですから。炉の中で使ったところの燃料を運ぶのでございまして、放射能問題では一番危険なんですね。これが一回や二回じゃないと思うのです。しかも各地に原子力施設ができますと、みなここへ集まる、いまのところ再処理工場はどこにもありませんから。また当分各地ではなかなかつくらさないでしょう。そうなりますと当然これは東海にみな集まってくるのです。そのことを配慮しないで港湾を設定するということは非常にむずかしいと思うのですが、それは配慮する用意があるといっても、いまのお答えでは、全然配慮の中にはなかった、これからだということになりますと、これは実を言うとたいへんなことなんです。  もう一ぺんその点を考えた場合、いわゆるこの流通港湾と、でき得るであろうところの原子力港との距離、間隔というものは、これは非常に接近していると思うんですよ。日立港と流通港湾の設定、その間に今度は原子力港ができるのですが、どのくらいの距離が予想されますか。
  64. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 その原子力港のつまびらかな計画はちょっと私、存じておりませんが、大体いまここのところを調査しておりますのが、日立港よりもちょっと北のところから、ずっと南に下がりまして大竹というところがあるようでございます、四十キロメートルございます。四十キロメートルの間にこの日立港がございましたり、いま申し上げました原子力の場所がある、それから射爆場もあれば大洗もある、大洗の下に砂浜もある、このような形になっております。先ほど申し上げました数千万トンの貨物を取り扱うためには、やはりこのうち五、六キロメートルから七キロメートルの埠頭分が必要だと思います。そういたしますと、この四十キロメートルの中にどのように港を配置していくか、こういうような問題になりまして、その際にいろいろな点も考えていかなくちゃいかぬ。いま先生のおっしゃいました、港とその日立とは何キロ離さなくちゃいかぬかということについては、私お答えすることはまだできないわけでございます。
  65. 石野久男

    石野分科員 大竹なんというところは鹿島港のちょっと北なんですね。その間には日立港と大洗港。漁港でしょうけれども、これも相当大きな港になるはずですね。それにいまの流通港湾ができまして、その上、今度は中の日立港が久慈川の川べりまで来ますから、全く接近ですよ。その間に十万隻の船が入る。そこへ今度は原子力のそういう危険なものを積んだものが年間に相当数出入りをしなくちゃならない。このことを配慮しないままで港湾をつくるということについては、われわれ原子力に関係して関心を持っておる者から言うと、全くこれは非常識きわまることなんですよ。もう一ぺんそういう点はよく検討してもらいたいと思います。  私は原子力問題については、特に原子力船の問題で分析化研の問題や何か非常にやかましくいわれておるけれども、あれ以上に危険なのはこの再処理工場の問題なんです。再処理工場には港ができなければ外から来るものは入りません。港へみんな運んでくるわけです。その港がすぐ接近してできることを全然配慮しないでこういう計画が進んでいるということは、この港がだれのためにつくられるかということをもう一ぺん考えなくちゃならない。北関東、北関東というけれども、その港の用益を受けるのはだれなのかということを検討しなければならぬような事態になるんじゃないだろうか。  首都圏整備のほうとしては、特にその問題を十分考えて検討を加えてもらいたいし、それから地元でこの問題についていろんな意見があります。特にこの原子力施設との関係で問題が提起されていることが地元での問題なんですよ。ところが、首都圏とかあるいは県当局は、そういう問題は全く無視されております。もう原子力については全然関心を持たないかのごとくにこれを進めている。しかし情勢は変わってきている。六十年代の高度成長の時期と現状とでは非常に変わってきているし、産業構造の面でも再検討を加えなくちゃならないというような状態になっているときに、この港がどういうような役割りをするかということは非常に重大です。この港ができた場合に、東京湾で扱う荷動きというものはどの程度ここでこなすことになっていくのでしょうか。そういう計算はどういうふうになっておりますか。
  66. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 東京港で扱っている貨物の一部をこちらに持ってくる、こういうような考え方はないわけでございます。といいますのは、従来の考え方から申し上げますと、日本人の生活もこれからどんどん大きくなる。そういたしますと、やはり関東全体の貨物量は非常に大きくなるであろう。東京湾が現在大体四億トンぐらい扱っているはずでございますが、これがこのまま平均にいくのではなくて、四億トンが五億トン、六億トン、八億トンというような形になります。その場合に、ふえている部分の一部をといいますか、関東全体に東京湾から数億トンの貨物が動いていったのを、今度は北のほうからも入れるべきではなかろうか、このような考え方でございますので、東京湾が扱っているものを向こうに持っていくのではなくて、今後伸びていくものの入り口をそちらにつくっていく、このような考えでございます。
  67. 石野久男

    石野分科員 地元では、この流通港湾構想という発想があったときには、東京が非常に混雑しているしどうにも困るから、その分をこちらでこなさにゃ日本経済はもうやっていけないのだ、それはしかたあんめえということを言う人がたくさん出ておるわけなんです。だからいまの港湾局長の話とはだいぶ違います。こういう点でも地元はいろいろ考えなければならぬ点が出てくるだろうと思います。  私は港湾問題についてまだもっと聞きたいのですが、時間がありませんから大臣一つお願いしておきたいことは、首都圏整備局のほうでこの港湾の構想をつくり、運輸省がこの問題を論議しております。全体の開発計画の中でいろいろなことを考えることは自由でございますけれども、私は、港をつくるについては、それが経済的な効率がどうであるかということもさることながら、何としても環境保全の問題とか安全性の問題ということについて配慮しないそういう計画はまずいと思うのです。特に原子力施設を至近地に置いている港湾を大阪港や東京港と同じような形にかかえ込むということは、これはたいへんなことだと思うのです。それはちょうど横須賀に原潜が来るのについて神奈川県全体としての反対運動が起きていると同じことになるだろうと思います。これはもう一ぺんこの点を中心にして考え直していただきたい。そのことについて、首都圏整備局もそうですが、特に運輸省は、港湾問題を扱う上からいきまして配慮してもらいたいと思いますので、大臣の所見をちょっと聞いておきたいと思います。
  68. 徳永正利

    徳永国務大臣 いままでいろいろ御議論を通じまして私も拝聴しておったわけでございますが、いままでの港とはここはだいぶ様相が違うようでございますし、おっしゃるように、環境の保全、それから安全性、これを抜いて港の整備なんというものはあり得ないと思います。御指摘のような点につきましては、ひとり港湾局あるいは首都圏整備委員会だけではなくて、そういう方々の専門家をも入れた御検討をわずらわして、御指摘の点を万間違いのないような、地元の住民の皆さん方の不安のないような、もしつくるにいたしましても納得のいくような立場に立って進めていかなければならぬと思います。このことをお約束申し上げます。
  69. 石野久男

    石野分科員 ちょうど首都圏整備局の方が来ておられるので、いま一点お聞きしておきたいのですが、筑波学園都市の計画が着々進んでおり、そしてもうこの春には、あそこに行かれた方々の子弟の教育の問題も問題になってきておる。そこで中学校、小学校がすでにもうできました。ところが、中学、小学校はできたのだけれども、それの中へ入れる机だとかいすだとかその他のものが予算がなくてどうにもならない、地元ではとてもこれはこなせないということから、それに対して首都圏整備局のほうでもいろいろとやはり配慮をなさって、結局住宅公団か何かのお手伝いをいただいてそれを整備したようでございますが、この住宅公団がやった資金というものは、将来どこがどのように処理していくのか、責任を持っていくのか、地元には全然これは迷惑をかけないで済ませるのかということが一つ。  それからもう一つ、あそこの地域開発について、各町村が道路だとか下水だとか当然やらなければならぬ問題がありますから、その予算化の問題でまたこれは苦慮しているわけですね。地元はとにかく中央の要請に基づいて土地を提供してああいうことをやったけれども、事実問題としてそういうようなことが出てくると、また地元に負担がかかるのじゃこれはとてもたまったものじゃないですよ。だからそういう問題について、当局としてはどういうふうに予算的な措置をする所存でおられるかというようなことをまず最初に伺いたいと思います。
  70. 小林忠雄

    小林政府委員 筑波研究学園都市に限りませず、大規模な都市開発をいたします場合には、それに伴いまして地元の公共団体の財政負担がふえるということは一般的な問題に現在なっておりますので、そういう点については、一般的に処理しなければならない点がいろいろあるわけでございます。しかし筑波につきましてはまた筑波の特殊性があるわけでございます。ただいま小、中学校の初度調弁費の問題についてお話がございましたけれども、初度調弁費に至ります前に、そもそも小学校、中学校の校舎をつくること、そのことがすでに問題なわけでございます。本来、小、中学校の校舎の建設、いす、机の調達等は、義務教育でございますので、国の補助を受けまして公共団体、市町村が整備するのがたてまえでございます。その市町村が整備いたしましたものについて、何らか財源措置をするということになるわけでございます。しかし筑波のように、きわめて貧弱な町村ばかりがあるところにきわめて大規模な投資をいたします場合には、そもそも小、中学校の初度の建設費そのものがまかなえないという問題があるわけでございます。そこで問題は、初度の建設費をどうするかということと、それからその建設費の償還をどうするかという二つに分けて考えなければいけないと思うわけでございます。  まず初度の経費の調達につきましては、現在の地元町村の財政状態では全く調達困難でございますので、現在全額日本住宅公団が立てかえによって建設をいたしております。小、中学校、幼稚園の建設費だけで十三億余になっているわけでございます。ところが今度は、その中に入りますいす、机を買う金がまたないという問題がございまして、これにつきましても、いろいろ検討いたしました結果、やはり住宅公団が一時一億数千万円を立てかえたということでございます。このような問題は、人口定着がどんどん進みますと、さらにどんどんふえるわけでございまして、小学校だけでも十二、中学校も六つというように非常にたくさんの投資が必要でございます。そこで、現在継続審議中の国土総合開発公団というのが発足いたしますと、この国土総合開発公団で全額立てかえて建設する予算が四十九年度計上されております。したがいまして、とりあえずの初期の調達は国土総合開発公団が行なう。先ほど御指摘ございました小、中学校のほかの下水道あるいは街路というようなものにつきましても、全部立てかえて施行するという予算が現在国土総合開発公団のほうに組んであるわけでございます。  そこで次に、それでは立てかえたものをどうやって返すかということでございますが、本来的な都市開発から申しますと、人口が定着して固定資産税なり住民税が将来あがってくる、これらの税金で返すのがたてまえでございますが、初度の先行投資が非常に多い場合には、必ずしも税金だけでは十分返せない場合がございます。そこで、とりあえずの措置といたしましては、この立てかえました金の償還期間をなるべく長くする、それから償還の据え置き期間中の利子について、これが地元にかぶらないように、どこかでまた利子補給をするという措置が必要じゃないか。これはいま関係各省で詰めておりまして、近く結論を得る見込みでございます。  さらに、長期の問題といたしまして、これを償還する財源をどうするかということにつきましては、市町村の財政収支の長期の計算をやらなければ出てこないわけでございますが、ただいままでの作業では、何らかの特殊な措置をしなければ償還不可能であろうというように考えられますので、国庫補助のかさ上げ、地方債の充当率のかさ上げ、あるいは地方債の利子の軽減措置、さらには地方交付税制度の活用、さらには地元負担額の一部を土地造成原価へ算入するというような問題につきまして、五十年度においては立法措置をも含めて何らかの措置をする、そのための検討を四十九年度一ぱいに行ないまして方針を出すということで関係各省と現在検討しているところでございます。
  71. 石野久男

    石野分科員 時間がありませんから、それじゃ終わります。
  72. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて石野君の質疑は終了いたしました。  次に、小林政子君。
  73. 小林政子

    小林(政)分科員 私は、運輸省が、民間鉄道の免許、認可の際に地域の住民の意向というものを尊重するというたてまえから、地域の同意を取りつけるという条件を取り入れるべきではないか、こういう立場に立って質問をいたしたいと思います。  御承知のとおり、京成電鉄の関係会社であります北緯開発鉄道株式会社が、昨年の十月四日、葛飾区の京成高砂から千葉県の船橋の小室間十九・七キロのニュータウン線の免許の取得をいたしております。また引き続いて十一月十日には、第一期工事として小室−北初富間の八・三キロの工事施行認可を得て、現在工事に着手をいたしておるわけでございます。この路線の決定は、聞くところによりますと、千葉ニュータウンの足の確保をはかることを目的とした首都圏通勤の快速線である、このようにいわれておりますけれども、北総開発鉄道は引き続いて第二期工事として、京成高砂から新鎌ヶ谷間十二キロを建設し、京成押上線を経由いたしまして都営地下鉄一号線、上野線と直結運転する、こういう計画が明らかにされております。   〔村田主査代理退席、主査着席〕  私は、運輸省がこの認可を行なう際に、鉄道建設の必要性があるかどうか、申請者が建設営業の能力があるかどうか、これによって免許の判断を下しているということですけれども地域の自治体が行なっております都市計画、町づくりの計画、あるいはまた住民の生活している地域の状態がどのようになっているか、こういう問題を全く無視して、そしてただ必要性と建設営業能力があるのかどうなのかという点だけを判断の基準にされるということは、これは改めるべきではないか、このように考えますけれども、御意見をお伺いいたしたいと思います。
  74. 秋富公正

    秋富政府委員 北総開発鉄道につきましては、ただいま先生からお話がございましたとおりの現状でございます。運輸省といたしましても、そのとおりに認可いたして今日に至っておる次第でございます。  御指摘のいわゆる地元住民の意向あるいは都市計画との斉合性ということにつきましては、御指摘のとおり、私たち運輸省といたしましても、また現実に建設を進めてまいります会社といたしましても、その点につきましては、十分にその意向もくみながら、また都市計画との斉合性ということにつきましては、十分建設省あるいは地元公共団体と打ち合わせて進めていくものでございますし、またそのように考えております。
  75. 小林政子

    小林(政)分科員 運輸省が免許あるいは認可を行なう場合に、必ずしもそういう問題を条件の中に取り入れていない。さっきから言っているように、鉄道建設が必要であるかどうか、あるいはまた申請者の建設営業能力というものがどうなのか、このことだけで免許をしている、こういういままでのあり方、ここにいまいろいろと地域の中で鉄道建設をめぐって実際に大きな問題が起こってきているわけです。当然私は、昔と違って、鉄道を通してやるんだ、鉄道が通れば地域が便利になるんだ、そしてそのために鉄道を敷設することが最優先なんだ、こういう考え方を改めて、やはり地域の住民の意向、その同意を取りつけていく、こういうことを認可の条件として行なうべきではないか、こう考えるわけですけれども、再度御答弁をいただきたいと思います。
  76. 秋富公正

    秋富政府委員 私たちもいたしましては、国鉄、私鉄を問わず、そういった地元の意向というものも十分に頭に描き、またいろいろとその点につきましては考えていくわけでございますが、その際に、地元の意見とは何かということになりますと、個々の地元の住民の方々におきましてもいろいろな御意見があるわけでございます。そういうわけでございますので、やはり正式にはいろいろと相談をしていく窓口といたしましては、地方公共団体の長というものを窓口にいたしまして話し合いを進めていくべきものだと考えております。
  77. 小林政子

    小林(政)分科員 地方公共団体の長と話し合っていくということを言われておりますけれども、しかし実際にそのようなことがほんとうに行なわれているのかどうなのか。現実には私は全く一方的だと思うのです。地域の自治体の長と話し合って同意を得ていくということは、法的には取り上げられていなくても、何とかいままでもやってきたというお話でありますけれども、しかし現実に私の地域の葛飾区の場合など、実際にいわゆる地元民の支持の程度というものを北総鉄道が陸運局に対する紹介の文書を出しておりますね。この中で、「葛飾区 全面的に賛成。高砂−江戸川間に駅設置を希望している。ルート附近の学校、保育園等については、あらかじめ充分相談してほしい。」こういうことが実際に文書によって免許申請の段階で提出をされているわけです。しかも、土地の買収等に対する協力についても、「側面より援助が期待できる」、こういうことも書かれているわけですけれども、実際にはこれがやられていない。しかし、そういうものが公に同意を得ているんだという形で提出をされている。一体、こういう問題どういうふうにあなた方はお考えになりますか。
  78. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいまの先生の御指摘はまず第一に、現在、工事施行認可という問題につきましては、第一期工事につきましては、すでに運輸省といたしましては認可をいたしておりますけれども、いま御指摘の場所は第二期工事の部分でございます。との部分につきましては、免許はすでにいたしておりますが、まだ実際の工事施行の認可申請は出ていないわけでございます。免許におきましては主たるルートというものがございますけれども、これは起点、終点でございます。現実に今後どういうふうなルートを通っていくか、あるいはどういう構造をとっていくかというようなことにつきましては、私といたしましては、運転の保安だとかあるいは騒音、振動、こういった環境問題、地域開発計画といったような問題を含めまして、そうしてこれにつきましての認可をいたしたいと思いますし、また会社といたしましても、そういう点につきましては十分いろいろと配慮をして申請を出してくるものと考えておりますが、いま御指摘地域につきましては、まだそういった具体的な問題につきましては、いまから地元といろいろと御相談をしていくわけでございまして、まだ測量も行なっていないという段階でございますので、今後そういった点につきましても十分配慮しながら進めてまいりたいと考えております。
  79. 小林政子

    小林(政)分科員 ともかく区長が同意もしていないものを同意したんだという形で文書が申請書につけられているのですよ。私はこれは問題だと思うのです。
  80. 秋富公正

    秋富政府委員 それはおそらく、会社が地元の同意を得たという点につきましては、いわゆるそういうルートをつくる——ルートと申しますのは、いま申しましたように、具体的なこまかいものではございませんが、北総ニュータウンと都心とを結ぶという鉄道を敷設するということにつきまして、これは北総ニュータウンの居住者のためでもございますが、同時に、現在の地域におきましては、鉄道といたしましても空白地帯でございますので、その地域開発ということにつきましてもこれは資するわけでございますので、そういう総括的意味におきまして賛成というものを得ていると考えているわけでございまして、個々の具体的な問題、たとえば学校だとか養護施設だとかいう問題につきましても配慮というような附帯的な意見も付してあるようでございますが、そういった個々の問題につきましてはさらに詰めてまいりますといたしましても、総論といたしまして、そこに鉄道を敷設するということに賛成だ、こういう意味におきまして地元の同意を得ておるというふうに申請者は了解しておるのではないか、かように考えております。
  81. 小林政子

    小林(政)分科員 この問題は地元の区長が実際に意見を聞かれたこともないというのです。意見を聞かれたこともないし、同意ももちろんしたこともないと地元の区議会で公然と区長が言っているのですよ。私は、この問題をいまここでとやかくということではありませんけれども、このような欺瞞的なことまでやって免許を得るという行き方、ほんとうに地域というものをどれだけ尊重しているのかということとこれは重大なかかわり合いを持つ問題だと思います。これはともかく当人の区長が、相談されたこともないんだ、もちろん同意をしたこともないんだ、しかもその文書が運輸省に提出されているということに対して、これはもう納得できないと、こういう立場に立っているわけですよ。  私はやはり、もっと地元というものをほんとうに尊重していく、地域の住民の意向、こういうものを尊重していくということがこれからは非常に大きなウエートを占めてくるんじゃないか、このように考えますし、実際に地域には具体的なたくさんの要求があります。それらの問題についても、ほんとうに誠意をもって話し合うという態度が現実にはとられていない。こういう中でいま免許申請が行なわれて、そして実際には第一期工事から着手されてきている、こういう事態が起こっているわけです。現実に免許申請の段階である程度チェックするということが大事なんじゃないでしょうか。たとえば工法の問題にいたしましても、あるいはまた今後の鉄道運行一画などについても、実際には免許申請の段階で提出されているわけでしょう。いかがですか。
  82. 秋富公正

    秋富政府委員 先ほど申し上げましたように、工法の問題、あるいは具体的なルートというのは、免許申請の段階ではございませんで、これは工事施行認可申請の段階で出てくるものでございます。
  83. 小林政子

    小林(政)分科員 そんなことありませんよ、あなた。ちゃんともう全部書類をつけて出しているんですよ。免許申請の段階で、たとえばここからここまでという起点と終点を書いて実際にこういう書類も添付されておりますし、あるいはまた工法もどのようにやっていくかということも実際には添付されて出されているんです。運行計画だってはっきりとこれには添付されています。  たとえば具体的に申し上げますと、計画の内容は、高砂の車庫から柴又はほぼ九メートル近くのコンクリートの高架で行なう、江戸川には鉄橋をかける、松戸市の栗山浄水場付近の矢切の斜面にトンネルで通していく、そして市川市の北国分というところに停車場を設けたい、こういう計画がはっきりとつけられておりますし、また運行計画についても、急行、普通の二本立てで、昭和五十三年の完成時には上下合計でもって一日百六十本が往復をし、五年後の五十八年の時点では、ラッシュ時には二分間隔で都心に直行し千葉ニュータウンの通勤通学の客を運ぶ予定だ、こういうようなこともはっきりと添付されているんです。地域の住民にしてみれば、このままでいけばもうどんどん進められてしまうんじゃないか、何とか早くこの問題について誠意ある話し合いの場所を持ちたいということで、地元でも昨年の九月に説明会というのを持っております。そしてその中である程度の実態が明らかになってまいってきております。たとえば、小学校や幼稚園がその近くにある、この問題等については、教育環境の立場から一体どういうふうにしてくれるんだろうか。あるいはまた、騒音だとか振動だとか電波障害だとか、そういう公害問題も当然予想される。これらの問題についても不安が伴うし、一体どうなるんだろうか。こういう問題等について運輸省は一体どのような指導をいまされているのか、この点をお伺いいたしたいと思います。
  84. 秋富公正

    秋富政府委員 まず第一の問題でございますが、免許に際しましてお示しのような資料と申しますものは、あくまでもこれは参考資料でございます。で、免許におきましては、いわゆる起業目論見書と線路の予測図と、それから建設費の概算書、運送営業上の収支概算書、これを出すものでございます。したがいまして、ただいまどういった工事をやるかというようなことは、免許の段階において免許の対象となるものではございません。これはその次の段階工事施行の認可のときにおきまして、線路の具体的な実測図、あるいはいま申されましたような、高架だとか地下だとかといったような実際の工事の工法書、それから建設費の予算書、具体的なそういった工事につきましては、工事の施行認可をいたします際の対象でございます。  それから第二の問題でございますが、そういったいろいろな問題があることは私たちも十分承知いたしております。また、それはいろんな場合に予測される問題でございまして、これは実際に工事の施行認可申請があります際に、起業者といたしましても、当然そういった点につきまして十分な配慮を行なって申請してくることかと思いますが、運輸省といたしましては、工事施行の認可をいたします際には、十分そういった環境の問題につきましても配慮いたしまして認可いたす所存でございます。
  85. 小林政子

    小林(政)分科員 平面図を見ても、どのように通っていくのかということが明らかになるわけですね。その場合に、地域の中に一体どういう状態になっているのかということがやはり一つ大きい問題だと私は思います。これは御承知のとおり、新線の計画については、有名な矢切の森のともかく下を通る、こういう計画になっておるというふうに書かれておりますけれども、この矢切の森という地域は、これはもう都心に非常に近いところで唯一の緑の保護地区に指定されているところでございますし、また毎日新聞などでも取り上げておりましたけれども、この矢切の森というのは、台地の西側の斜面にある三・四ヘクタールの林には、いまだにナラだとかクヌギだとか、こういう雑木林がずっと続いている。しかもそこには一年じゅう小鳥の声も聞こえるというようなことで、これは風致地区であると同時に、熱心な地元の地主さんたちが協力をして、自発的にここを保護地区にしようということで申し出をされたといわれるようなことによってできたところです。  こういうような問題だとか、あるいはまた、いま問題の反対運動が起こっております葛飾区の柴又の地域というのは、帝釈天をはじめ非常に古い江戸川の風致がこわされるというようなことで、自然と文化というものがこういうようなことでこわされていくということに対しては耐えられない、こういう気持ちで、この問題等をただ高架でもって鉄道が通ればいいんだというようなことで割り切られては困るんだ、こういう問題についてもっと熱心に地元と話し合いをすべきではないか、こういう意向が非常に強いわけです。  現実に自然環境の破壊や、あるいは風致地区などに対して、認可の段階でこれらの問題を一体どのようにお考えになっているのか、お聞かせをいただきたいと思います。
  86. 秋富公正

    秋富政府委員 そういったいま残された貴重な自然の環境の保存だとか、あるいは由緒ある古跡といったようなものの保存ということにつきましては、私たちとしましても、十分これは配慮しながら進めていかなければいけないと思います。現在、高砂駅は御承知のように複々線化にするための工事というものもございます。あるいはあそこの川のところをどういうふうに渡るかというような問題もございます。いろいろと工法上の問題もあるわけでございますが、自然あるいは環境の保存だとか、あるいは騒音公害の防止だとか、そういったものと物理的なといいますか、工法上の問題、こういう点をいかに調整していくか。その間に、御利用になる旅客の方々の御便宜という問題あるいは地元の住民の方々の御便宜というような問題を今後十分に話し合っていかなければいけない問題だと考えております。
  87. 小林政子

    小林(政)分科員 九月に行なわれました説明会のときにも、ともかく利益が目的の私企業なんだから、公害対策だとかやれ何だとかそうむずかしいことを言われても、それに対しては限度があるんだ、こういう態度で臨んでいるということが非常に地元の人たちの憤激を買っています。私はやはり、運輸省がこれらの問題についてもっと監督権を強化して、このような地域の住民の深刻な悩み、あるいはまた自然を保護したい、学校や保育園の問題等について真剣に考えている問題について、もっと誠意ある態度で臨むように監督を強化していくべきだというふうに思いますけれども、いかがでしょう。
  88. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように新線問題等についてはいろいろな問題を含んでおります。いま御指摘の点等につきましては、まあ利益が目的の私企業だから、これはもう利益を追求するんだというのではなくて、私企業といえども公共性のきわめて高い企業でございますし、またそういう安全性の問題とか環境問題等についてはやはり十分綿密な配慮をしなければならないと思います。いま御指摘地域等につきましては、工事施行認可申請が出されると思いますから、その時点においては、さらに運輸省としてもいろいろ言うべきことは言い、監督すべきことば監督してまいりたいと思います。それ以前においても、いま御指摘のような点は十分注意を払って進めるように監督、指導いたしたいと思います。柴又の帝釈天は私もお参りしたことがございますが、明治からの情緒豊かなそういうようなものにつきましても十分配慮するように、ただおっしゃったような利益追求ということだけでは絶対にこれはいかぬ問題でございまして、運転、保安の問題はもちろんのこと、将来の地域開発でございますとか、わけて最近に至りましては環境問題がこんなにやかましくなっておるのでございますから、環境問題を含んで十分な検討をして施工するように指導してまいりたいと思います。
  89. 小林政子

    小林(政)分科員 私企業とはいえ公共性を持つものである、そういう立場からやはり誠意をもって臨むべきである、こういう大臣からの御答弁でございますけれども、私は、運輸省として北総鉄道にこの旨をほんとうに強く指導を行ない、そして地元の深刻な悩みや不安をやはり解消し、そして協議をしていく、こういう姿勢を強めるように行政指導の面でこれを強く要求をいたしたいと思います。  さらに、先ほど冒頭に申し上げましたように、私は、認可の段階で、ただ必要書類が整っているかどうかということだけではなくして、やはりその地域の実態というものを十分事前に調査もし、そしてその上で地域の同意というものを条件に、今後これを法的にも取り入れていくべきではないだろうか、このように考えますけれども、その点についてお伺いをいたしたいと思います。
  90. 秋富公正

    秋富政府委員 現在、国鉄、私鉄を問わず、地元の同意ということは、これは法律におきましては必要条件ではないわけでございます。これは先生も御承知のとおりでございます。でございますが、極力地元の意向というものは尊重して行政処分をしていくという態度は、従来から変わっていないわけでございます。そういう意味におきまして、いわゆる公共団体の長、県でございますと県知事、地元でございますと市長さん、町長さん、区長さんというような方々の意向というものは、私たちは十分にその意向も踏まえながら、また話し合いをいたしながら実際の行政措置を講じておるわけでございますけれども、これを直ちに法的に必要条件に入れるかどうかということにつきましては、さらに検討いたしてまいりたいと考えております。
  91. 小林政子

    小林(政)分科員 最後に、御承知のとおりに、地域ではそれらの不安というものが相当広がっております。そして私の聞いたところではすでに千名近くの署名を集めて、もっと誠意ある話し合いを行なうべきだということを要請いたしておりますけれども、これらの反対をしている団体等と当然もっと誠意ある態度で話し合いを行なっていくということを、ひとつ大臣最後にそれをさせるということを確約していただきたいと思います。
  92. 徳永正利

    徳永国務大臣 施行にあたりましては、地元の皆さん方と十分お話し合いを進めて円満な工事が進行できるような、そういうふうな態度で臨むように私からも指導してまいることをお約束いたします。
  93. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて小林君の質疑は終了いたしました。  次に、小川新一郎君。
  94. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 きょうは運輸大臣のおられるところでちょっとお尋ねしたいのでございますが、蒸し返しのような話になりますので恐縮なんでございます。過日、通産省の商工委員会で問題を取り上げました自動車点火装置の問題についてお尋ねしたいのであります。  この問題については、自動車工業会また自動車販売会社、こういった問題で、御存じのとおり昨年の五月一日から排気ガスの取り締まりの範囲が広がったわけです。一酸化炭素や窒素酸化物、それから炭化水素ですか、HCですね、これの問題について基準が改まったわけです。その許認可の問題について私が追及いたしましたところが、免許、許可制度について運輸省のやり方はずさんであるということを中曽根さんがお認めになりまして、この問題については関係大臣ではないからいまここでどうということは言えないが、大臣に、閣僚であるから閣僚会議の席上もしくは単独で私のほうから伝える、こういう意味の御発言があったわけです。  そこで、そのときからこれで約十日以上たっておりますが、中曽根通産大臣から運輸大臣に何らかの意思表示があり、大臣はそれに対してどういうお答えをしたのか、まずお聞きしたいのでございます。
  95. 徳永正利

    徳永国務大臣 中曽根通産大臣から、小川新一郎委員からこういう指摘があったということは聞きました。したがいまして、今後におきましても十分公正中立な試験機構を確立して、所定の試験を実施させるようにしようじゃないか、またしてくれ、また重点的な検査等についてもひとつ適切な措置を私のほうでもとりたい、こういうことでございます。
  96. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 私がここに持ってまいりましたこの二つの製品ですね。これがいま問題になっておる点火装置です。この点火装置に対して、各自動車メーカーに対して試験をこうしなさい、こういうふうにやりなさいということを運輸審議会の答申に基づいておやりになったのが、ここで繰り返すのもあれなんでございますが、昨年、昭和四十八年二月十日に点火調整方式の装置試験法案を発表し、二月十八日にこれが正式の文書になってメーカーに通達いたしたわけですね。そして三月三日にこの品物が合格したわけです。いまここに二つ持ってきたのは、昨年の十一月、トヨタが回収した不良製品、全部赤くなってしまった。これがいま新しいほうです。  そこで、いま私が大臣にぜひお尋ねしたいのは、試験をしないで、メーカーのデータを示したことを事前審査で合格させたことは、この間の委員会で十分私は了知いたしました。これは遺憾だということで中曽根さんから運輸大臣にいろいろとお話があった件だと思います。そればそれで百歩譲りまして、私が一番問題にしたいことは、メーカーが試験を行ない、メーカーが運輸省に申請する、運輸省が審査する、そして三月三日に運輸省がこの型式を決定するまでわずか十四日間しかなかった。そこで二月の二十六日私が商工委員会でやったこの問題については、運輸省はメーカーの言いなりのデータを何のチェックも行なわず、単なる書類審査のみで通してしまったということが明らかになったのでありますが、このことについてはいまお話しいたしましたのでもう申しません。その後の調査によって新しい事実が出てきたので言うわけでございますが、十四日後の三月三日に合格してからこの製品をつくるものなのか、前にあったものが三月三日に一斉に出るものなのか、大臣、試験というものはどうなんです。私にはここのところがはっきりわからないのです。何回言ってもどうも納得できないのは、二月の十八日に試験方法を発表して、十四日間たった三月三日にトヨタ、日産を含めた大手メーカーのこの製品が合格したという通知がいった。そうしたら三月三日の時点からこの製品が大量生産に入るものなのか、前にあったものを、こういうものがあるんだ、だからこれに対しては事前で見たから、合格したから試験に合格させたのか。私どもは、その合格した時点から製品ができるものだと思っておったのですが、そういうのはどうなんですか。
  97. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、昨年の二月十日前後の、いま御指摘の模様をつまびらかにいたしませんが、排気ガスの調整の問題等については、いろいろメーカー等においてもそれまでに研究もしておったろうと思います。これは私の推測でございますけれども……。また現にこういうものをつくったらいいといって製品をつくっておったところに、たまたまそれが合格したというような場合も、それが当たるか当たらぬかは別といたしまして、一般論としてはあり得るんじゃないかと思うのです。それからまた、新しいそういう問題に対処する場合には、試験期間が短かった、長かったの問題もいろいろ議論のあるところでしょうけれども、その試験がどの程度の試験をやらなければならない問題かということも一つ問題があると思いますが、試験に合格して、この製品ならだいじょうぶという太鼓判のところで製品をつくって販売するということもあり得ると思うのでございますが、その辺の経過はつまびらかにいたしませんもので、政府委員からお答えいたさせます。
  98. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 この試験内容では、三万キロ走行に耐え得るテストをやらなければいかぬということは、もうこれは運輸省で認めておるわけです。  それで、私はもう一つ不審に思うことは、なぜ自動車メーカーだけにこの製品が合格したのであって、一般の部品関係会社、要するに部品をいままでつくっておった会社にはこれが出ないか、これが私は問題になるわけです。この前のCO、一酸化炭素のときには市販されたものは一ぱいあるわけです。これは無検査で出たからいろいろ問題が出た。そこで、ある、名前は言いませんが、これが一番問題なのは、その試験をやるということは平等で、公平でスタートしなければならない。そうでしょう。トヨタ、日産だけが先がけするわけにいかないのです。こんなものをつくるには、自動車整備会社もやりたいといって二月十八日からこれを出したわけです。どこへ出したかというと、運輸省で指定している公的の検査機関、すなわち日本車両検査協会東京検査所へ出した。私のほうもこういうものをつくりますから合格するようにと出した。ところが出して、試験が三月十四日に行なわれておるのです。三月三日にもう片一方は合格しているのですよ。ところが町の弱小の零細企業のほうは、三月十四日でなければ、あなたのほうで指定した公的な日本車両検査協会で検査してもらえない。それはもう試験日がないというのです。三月十四日に出した。この製品は合格でございますといって通知をしたのが四月十七日です。一カ月かかっている。それから出発しているときには、もう大メーカーでは三月三日に合格にされてしまった。それはそれと同じようなテストをする機構が大メーカーの中にあるからいいというのが運輸省一般論ですね。こういうところにまず不公平さが一つ出てきている。  しかも、重ねてお尋ねしますが、そういたしますとこの製品は、いやしくも三月三日以前には、少なくともメーカーには通達が行かないですね。そんなばかなことはあり得ないのですね。こういうように、町の弱小企業にはきびしく、あなた方のほうでは日本車両検査協会に出して検査しなさいと言って、スタートラインに立たせた。そして四月十七日に結果が出た。片一方のほうでは、三月三日にもう合格した。それを一日置いても、この三月三日以前にはまさか販売会社やそういうところには出ないでしょうね、この製品は。それはどうなんですか。そんなことはあり得ないでしょう、幾らなんでも合格以前に、二月十五、六日ごろに出たなんということはあり得ないでしょう。もしもこれが出たらどういうことになるのですか。
  99. 徳永正利

    徳永国務大臣 合格品として三月三日以前に出ているということは、これはあり得ない。しかし、そういうような排気ガスを、その辺の実情は私はよく知りませんけれども、何とか抑制しなければならぬということでいろんな研究をやっている。そういう過程でこういうものが出ておったということは、それは一般論としてはあり得ることでございましょうけれども、合格品として三月三日以前に出ているということは、これはあり得ないことだと私は思います。
  100. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 それはあとで日産の問題で追及いたしますが、トヨタはこの品物の中に、袋に入れて、こういうようにしていってきたわけです。昭和四十八年二月二十七日の日付入りですよ。トヨタの車につき、「マル排対策一八〇〇cc以上車種一覧表」「営業部技術課」という資料によると、トヨタのクラウンには一九六〇一から四四〇二〇の品番の排気ガス減少装置を取りつけることとし、注文を取り回っておった。それがこの品物なんです。そして、「取り付け説明書」というのがここにあるのです。この中に、セット品番一九六〇一−四四〇二〇という品物が、これを入れて説明に出てきたのが二月二十七日なんです。これは合格品なんです。どうして合格品でないものが説明会の中で、こうやって「点火時期制御装置取り付け説明書」「セット品番一九六〇一−四四〇二〇」の中に合格品を入れて現物を出したのですか。ここが私はわからない。こういう事態は、これはどうなんです。これはあなた方のいうところの合格品ですね。ここに出ております。その説明をひとつしてください。
  101. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先生指摘の件につきましては、指定をいたしましたのは三月三日でございます。それで、実は今回のこの排気ガス燃焼装置は、先生も御承知のように四十七年の十一月に答申をいただきまして、きわめて緊急のうちに使用過程車について所要の措置を講じなければならない、こういうふうな事情があったわけでございます。したがいまして、その後、一月八日に保安基準の改正をして、二月十七日に試験方法等について委託をしたということでございます。それで、三月三日のこの指定以前に、いわゆる正式の合格品ということでこれを販売するというふうなことは、これは許されるべきことではないというふうに思いますけれども、答申をいただきまして保安基準を改正いたしました段階で、答申の中にも相当具体的に規制の基準というものが明示してございます。また、そのための試験方法等についてもある程度触れておるということで、各社におきましてもそれに合致するような装置について事前に開発をし、いろいろ準備をしてきたということは、これはもう争われない事実だというふうに思っております。
  102. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 それはわかるのですよ。開発したのはわかるのです。だって対米輸出に四十七年に出しているのだ。私の疑問点はそうじゃない。あなたそう言うなら、もっと詰まってしまうのですよ。これは日産の製品で、合格した製品です。これはトヨタと全然違う。これなんかこうなっちゃうんですよ。日産は、これは合格した品物のナンバーが入っている。よく見てください。自公I−〇一九、これが実物です。これは三月三日に合格したやつですよ。これが日産の「サービス回章第六一〇号−その2昭和四十八年二月」、二月ですよ、これが出たのは。この中に書いてあるじゃないですか。自公I−〇二〇、自公I−〇一九、自公I−〇二一、合格品が何で二月のサービス回章という日産の社内報の中に出ているか。これをつけなさいと書いてある。どこで漏れたのです、こんなことが。三月三日に試験をして合格したこの品物が、昭和四十八年二月のサービス回章の、「使用過程車の排出ガス対策について(点火時期制御装置)(指導書)」と書いてある指導書だ。この中の二ページのところに書いてある。「運輸省排出ガス減少装置指定番号」と出ている。どういうわけで運輸省の指定番号が、合格しない前の二月の日産のサービス回章の中に、もう合格したナンバーがこうやって入っているのです。私は確かめたんだ。だれかが運輸省から言われなければこれは出ないじゃないですか。それとも日産ではこういうものを大量につくっておって、これに合わせて基準を出したとしか思えないじゃないですか。私の言っていることは間違ってますか。ここにあるのです。大臣、ちょっとごらんになってみてください。私がでたらめ言っていると思われては困る。
  103. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先生指摘のように、すでにでき上がったものに合わせて指定をした、こういうことではございません。ただ、先ほども申し上げましたように、非常に緊急の間に措置を講じなければならないということで、いろいろやはり行政指導をしたことは、これは確かでございます。したがいまして、その当時すでに各社から試験の結果を添えて申請を出しておるものにつきましても、たとえば日産なら日産、トヨタならトヨタというところで、何型式、幾つ出ておるということの場合に、あらかじめ、何といいますか、日産のものについては指定番号を大体何番から何番ぐらいまで、それからトヨタについては何番から何番というふうな、あらかじめそういう番号の割り振りといいますか、そういうようなことをやっておいた。したがって、現実にまだ指定を受けておりませんけれども、その指定を受けるという前提で、その場合にはこういう番号ということで社内的にそういうふうなことをした、こういうことだと存じます。
  104. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 そんなばかな試験方法なんて、どこの世界に行ったってないじゃないですか。入学試験をするのにあらかじめ、おたくの坊やは合格するよ、そしてもう用意しておきなさい、本も買っておきなさい、授業料も納めなさいというのと全く同じじゃないですか。それじゃなぜ一般の零細の昭和四十六年から四十七年にかけての一酸化炭素、COの排気ガスの装置をつくった会社たちに対しては、どうして二月十八日からスタートさせたのです。それが試験をちゃんとやらせた、あなたの日本車両協会で検査しなさいという指定でやらせると一カ月もかかっちゃって、四月の十七日でなければ試験結果が出ないというのだ。片方はもう二月の時点において合格しますよという内定が出回っているんですよ。そんなばかな運輸行政か行なわれているということは——約一千二百万台の自動車にこれをつけるんですよ。  もっと私がふしぎに思うことは、対米輸出用の新車にこれと全く同じものをつけたものが、米国の公害関係の環境保護庁から、これは不良品であるということを指摘されているじゃないですか。二百万台の車に影響すると新聞では報道されたのです。だから、不明確だからこの問題について試験をすべきなのに——大臣、これを合格させるのに試験しないのですよ。いままでつくってきた自動車メーカーの仕様書だけで、一つは合格させているんです。それは中曽根さんからあなたに対して遺憾であるということを言われたんでしょう、公平に試験をしなさい、三万キロのテストをやりなさい。十四日間で三万キロのテストをやらなければならない。二月の十八日に試験の仕様が発表になって、三月の三日までに厳格な試験ができるわけがない。だからいままで研究してきたメーカーの問題については、あらかじめ合格しますよということがもうメーカーではわかっているから、社内報に出したり、トヨタにおいては現物を二月の二十八日に持っていってこれを取りつける指導書をやっているじゃないですか。片方の中小零細企業のほうは、ばか正直に二月の十八日から出発して四月の十七日じゃなければ出ない。四月の十七日に出たときには、もう各車に一斉につけられている。四月の十七日というのは、少なくとも五月の一日にこれをつくらなければならない。どんなに急いでも、そこから中小企業はこれをつくらなければならない。そんな不公平なことがあり得るわけがないじゃないかというのが、私のまず一つ指摘であり、どうしてこういう問題が事前に日産とかトヨタのような大メーカーにのみ合格ナンバーが知れ渡っていて、もうおまえさんのところは合格しますよ、社内報、サービス回章の中に出ている。これじゃあまり運輸行政がでたらめじゃないかと思うのは、私一人だけじゃないのじゃないですか。そしてその品物はよかったらいいけれども、昨年の十一月に不良品が出回って、トヨタが三十七万何千台を回収したじゃないですか。これに対して試験しましたか。これが不良回収品ですよ、ここが悪くて……。  しかも東京都の公害データが出ている。これはどういうことを言っているかというと、こういうことなんです。「東京都公害局が両メーカーの車十三台をテストしたところ、排ガス除去装置をつけたため逆にCO濃度がふえたものが四台、COが全く減らなかったものが四台。装置を取りつける前よりHC、NOxがふえたものも八台あり、現在の装置は全く信用できない」というのが東京都の昨年九月のデータ。それに対してあなた方のほうでデータが出たのが、五月の十五日にたった一枚のこの紙切れだけだ。これじゃわからないということを、この間の二十六日の委員会で私が申し上げました。だから私が言いたいことは、確かに急ぐあまり、そういう事情はわかります。わからないでは一ありません。わからないではありませんが、あまりにも企業の言いなりになっているということに対して私は憤りを感ずる。  大臣昭和四十七年前後にアメリカに輸出しておった新車に、アメリカのカルフォルニアですか、連邦環境何とか、正式なところわかりませんが、アメリカから指摘された事例というものを御存じですか。
  105. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、実は聞いておりませんが、政府委員はあるいは承知していると思います。
  106. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 承知いたしております。
  107. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 それをまた試験しましたか。
  108. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 先生指摘の製品は、昭和四十七年の十二月十五日に、日産とトヨタの製造いたしました対米輸出用の排出ガス減少装置について、アメリカの環境保護局から改善命令が両社に対して出されたものでございます。  この指摘に基づきまして、両社でそれが市販される前にその改善をいたしまして、指摘された商品は流通していない、こういうふうに承知いたしております。
  109. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 大臣、そんなこと私は信用できないじゃないですか。運輸省がテストしないで、業者の言っていることをあなた信用しているんだから。これはみな全く同じものなんです。対米輸出といったって外車じゃないんですよ。日産、トヨタ、日本で走っている車をアメリカへ輸出する場合には、ハンドルが右になるか左になるか、多少の違いはあるが、同じ車ですよ。その同じ車についた点火装置、これに対してアメリカがクレームをつけてきたんだから、少なくともあなたが三月の三日に試験を合格させるについて、そういう問題に対してどれくらい在庫があり、どう改善されたのか、どこが悪かったのかということを調査したことがあるかということが、まずないんですよ。データが一つもない。これはないです。  それから、さっき言ったように、こういう問題が事実漏れちゃった。だれかが流さなければ出ないですよ。少なくとも、何十台だか何百台だか知らないけれども、同じようなものがつくられて、いろいろなものが試作されたことは認めます。だけれども、少なくとも三十四機種ですよ、申し上げますと。三十四機種の中で日産、トヨタの車だけわかって——そんな問題が、二月の時点でもうこうやって社内報や何かに公表されるなんということはあり得ない、普通考えたって。試験というものは三月の三日に合格した。いつやったかわかりませんが、三日に合格。試験はやってないんだ。事前審査だ。学校に入学させるのに内申書だけで合格させた。しかも内申書で合格させたその内申書を出した生徒に、もう試験の一カ月も二カ月前にあなたは合格ですよということを発表して、ディーラーや整備会社に回っている。  しかも、ふしぎなことは、三月三日に合格した品物か三月十日に大量に一千機——名前を言ってもいいですが、その下請工場に流れている。トヨタの部品共同販売所から部品を仕入れている卸商には、これは中小企業だから名前をどうしても伏せてくれというので言えませんが、合格品の認定のあった翌日の三月四日には、注文はまとまったかと来た。合計一千個の注文をしたところ、その卸商には三月の十日に品物が入荷している。少なくとも三月の三日に合格したものが、三月の十日に一千個も一卸商に入っている。こういうでたらめなことがある。  大臣、いままで私はるる申し述べてきました。時間がございませんからこれ以上しゃべれませんが、どうですか、一連のこういう問題がいろいろ出てきちゃった。対米輸出車の不良製品には検査もしない。それがデッドストックとしてどうなったかも追跡調査もしてない。しかもその製品に対してはいま言ったような問題か——私はそれをきめつけませんよ。きめつけはしないけれども、いろいろな問題を想察すると、そう理解せざるを得なくなっちゃうんです。私は何もそんなに悪く勘ぐりたくないのです。だけれども、その問題についてどうかひとつ明快な、今後の指針でけっこうです。私は過ぎたことについて、いまこれを全部の自動車、九十五万台に対して取りはずしてもう一ぺんやれなんて、そんなむちゃなことは申しませんが、少なくとも二点だけお尋ねしたいことは、今後どうするんだということが一つ、もう一点は、東京都のこの公害の資料というものは信憑性があるのかないのか、この二点について私はお尋ねして、終わります。
  110. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘の点につきましては、確かに書面審査等において遺漏のあったことは、これは認めざるを得ません。非常にそういう面で遺憾な点があったと、私はいま御指摘の点をいろいろ聞いておりまして思うわけでございます。今後の処理要領につきましては、これはもう改善をはかりまして、より厳正な試験を実施させるようにいたします。このためには公正中立な試験機構——ただいま財団法人日本自動車輸送技術協会でございますが、これに所定の試験を実施させるつもりでございます。  第二点の、すでに指定した排出ガス減少装置につきましては、これはもう代表的な装置を運輸省みずから交通安全公害研究所におきまして重点的に検査を行ないまして、適切な措置を講じてまいって、再びこういうような御指摘のないように万全の措置を尽くしてまいりたいと思います。  なお、東京都のデータにつきましては、これは技術的な面もございますから、政府委員から答弁させます。
  111. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 東京都の検査結果につきましては私ども承知いたしておりますので、この機種につきまして、ただいま大臣が申し上げましたように、早急に私どもの試験所におきまして検査をして、その東京都の試験の信憑性についてもみずから確かめてみたい、こういうように思います。
  112. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 では、最後に締めくくって申し上げたいと思いますことは、いまこれから厳重な、姿勢を改めておやりになって——なぜ私がこういうことを申し上げるかと申しますと、昭和五十年、五十一年のマスキー日本版と申しますか、新しい大気汚染の問題に取り組む運輸省の姿勢という問題について今後の御参考にしていただきたい、そのためにあえてこの問題を提起しながら、前進的な意味から申し上げておるのでございまして、ただ暴露して追求して喜んでいるのではないのです。どうかその点をお含みおきいただきたい。  第二点は、これは大企業のみでなく、答申では、自動車工業の指定した部品に限るということを指定している答申ですね。私はこれはまことに不公平だと思う。中小零細企業を救うためにも——町の中小企業にもっと優秀な技術があるかもしれない。そういう技術も幅広く応用し、日本自動車工業界の発展のためにも、また環境汚染対策についても、前進的な意味を持っていただきたい。私はこういう問題を踏まえて申し上げているのです。最後にこの問題の決意をお聞かせいただきまして、終わらせていただきます。
  113. 徳永正利

    徳永国務大臣 いろいろ御指摘の点を十分踏まえまして、今後御発言の内容等を吟味いたしまして、中小企業の皆さん方にも十分配慮するような処置をとってまいりたい、かように考えます。
  114. 小川新一郎

    ○小川(新)分科員 終わります。
  115. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて小川君の質疑は終了いたしました。  次に、多田光雄君。
  116. 多田光雄

    多田分科員 きょう大臣に再び苫小牧東部の問題についてお伺いしたいと思います。  すでにこの経過については、私のほかに何名かの委員が衆議院でも参議院でもやっております。ですから、あまり経過について具体的にお伺いする時間もございませんので、きょうは主としてこの経過とそれに関連するいわゆる政府の行政指導のあり方の問題、この問題についてひとつ伺いたい、こう思います。  そのためにも、もう一度ちょっとおさらい程度に振り返ってみたいのですが、苫小牧東部、大規模工業開発基地は、日本列島改造のひな形と、こういうふうに田中総理も言っておりましたし、そしてまた九州の志布志、青森のむつ小川原、これが用地取得などで難航している今日、日本に残された最大のコンビナート基地だ、こうも言われてきました。この基地建設とそれからこの基地の港つまり苫小牧東部港ですが、これは住民のいろいろ公害問題その他での反対運動あるいは国会内におけるいろいろな批判、そういうもので特に経過がいろいろじぐざぐな道をたどってきました。港湾審議会でも一度ならず二度と、これがパスしないという結果になったわけですね。かろうじて、御承知のとおり本年一月十二日の中央港湾審議会で了承されて、そして運輸大臣がその答申を受けて、一月十八日に苫小牧港の管理組合管理者である苫小牧市長に計画認可の通知を出された、こういう経過ですね。ところがその最終計画、つまり港湾審を通って認可された計画が、現地の苫小牧港湾審議会で昨年十一月二十一日答申された計画と肝心な点でかなり違ってきている。違っているというよりはむしろ訂正されてきた。これがいま問題になっているわけです。そのために竹内港湾局長は、大臣の認可の通知と同じ日の一月十八日に、現地の港湾管理者に対して通達ですか、文書を出しておりますね。この中でこういうふうに述べています。「相違する点については明確にし、それらについて苫小牧港港湾審議会、苫小牧港管理組合議会および苫小牧市議会の了承を速やかに得ること。」という意味の通達を出しております。  ですから、ここではっきりすることは食い違いがあったという問題、そしてすみやかに現地でこれを了承するようにしてもらいたいということですが、ここで一つお伺いしたいのは、了承ということはどういう意味のことなのか、それをお伺いしたいと思う。たとえば市議会で了承といえば市の議決を経るという問題もあります。それから報告だけで済ませるというものもございます。どういう意味の了承なのか、それをまず伺いたいと思います。
  117. 徳永正利

    徳永国務大臣 まず先生、最初に私ちょっと答えさせていただきたいと思いますが、港湾審議会においても一ぺんならず二度までもいろいろやったじゃないかというお話でございましたけれども、これは私が運輸大臣になりましてから、受け取りましてから、地元の皆さんにもお目にかかりました。また、各先生方から各委員会においていろいろの御議論もちょうだいいたしました。そういうようなものを踏まえまして、特に港湾審議会に、こういう皆さん方の議論があるから、こういうような過大投資じゃないかとかあるいはこういう議論を、あるいは環境アセスメントの問題等もきちっと——直接港湾審議会がこの環境問題に触れるというのかどうかは、その内容は知らぬけれども、とにかくこういう議論のあることは十分踏まえてひとつ慎重にやっていただきたいということを特にお願いしまして、慎重に慎重を期してもらったという結果がこういうことになったのでございまして、先生、どうかその私の誠意もひとつお認めいただきたいと思います。
  118. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いま先生のおっしゃいましたように食い違いがあった、こういう点でございますけれども、まず第一番に、この食い違いという点につきましてはいろいろな解釈の差がございまして、私どもは、本質的な意味においては食い違ってはいなかったと思います。しかし、地元において説明していた文書、それから中央の港湾審議会に出してきました文書とが字句において確かに違っていた点がございます。その点をぜひひとつ地元においても十分説明してください、このような意味でございまして、本来、これは港湾管理者内部の、自治体の中の問題でございますけれども、このような文章上の食い違いで、もし誤解があるといけないので、ぜひこの誤解は解いておいてほしいということをお願いしたわけでございます。そうでございますので、この了承という意味は、港湾管理者の地方自治をこちらのほうからいろいろ侵害するといいますか、そういう指示を考えまして議決をとれとか、そういう意味ではございませんで、よく説明をし、納得させていただきたい、ただ、その中の手続き等につきましては、国として言うわけではございませんで、管理者のやり方によってやっていただきたい、このような意味で、私は大臣の認可にあわせまして文書を出したわけでございます。
  119. 多田光雄

    多田分科員 字句上の違いかどうか、これはあとでお伺いすることにして、そうすると、港湾局長としては、これはたとえば市議会の議決を経なくてもよろしい、了承さえとればいいのだ、つまり報告してそれで終わりということですね、そういう指示をされたわけですか。正確にそこを言ってください。
  120. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 そのようなはっきりとした指示はいたしません。要するに、その中の問題は、議決をとれとかあるいは議決をとらなくてもいいとかというような意味で出したわけではございませんで、どこまでもこれは地方自治体の自治、自主性によって処理していただきたい、こういうふうに思っております。
  121. 多田光雄

    多田分科員 現地苫小牧市議会では、二月二十七日から三月末まででいま市議会を開いているのです。ここで出された議案を見ますと、この問題は報告事項であって議決事項には入っていないのです。これがまた問題になっている。そしてまた現地の港湾審議会でも、これは実際に開けなかった、開けなかったので文書だけ出して、これに意見を述べてくれ、こうなっている。それから管理組合議会、ここでも大いにもめて結論は出ないでしまっている。ここでは議決事項にしろという声さえあった。だから、そうするとあなたの場合に、これは議決をするような内容のものではない、字句上の違いである、それからいま一つは、了承してもらえばいいということは、あえて議決をしなくてもよろしい、報告了解でよろしい、こういうことですか。
  122. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 その点につきましては、議決をしなくてはいけないとか、議決をしてくれという要求は全く出していないわけでございます。これはどこまでも港湾管理者が議会の方々にぜひ報告了承してもらってください、こういうことをお頼みしたわけでございます。
  123. 多田光雄

    多田分科員 そうすると、そういう意味の指示をされたということですね。これはひとつ確認しておきたいと思います。  次に移りたいのですが、これは開発庁に聞きます。  いろいろ経過があって、鉄鋼留保という問題になった。これは私は昨年の春の委員会だと思ったのですが、これを質問いたしましたね。そのころから非常に苫小牧の大規模開発に対する意見が強くなってきた。環境問題でこれは環境庁からも相当いちゃもんがついた。それから地元では、環境アセスメント、これはいまでも不十分、そういう中で、市の独自案ということにまかされて、市の独自案が出てきた。この段階開発庁は、これは住民や地方自治体の意思を尊重する立場だから、こう言っていたけれども、その立場は変わっていませんね。
  124. 大西昭一

    ○大西説明員 私どもが従来からいろんなところで御説明申し上げておりますように、市が独自の立場から五十三年を目標とする計画をつくりまして、それを今後、当面苫小牧東部の開発方針にするということについては、われわれも市、道からいろいろ御相談もありましたけれども、そういう地元の意向を尊重してこの計画を進めることが妥当だろうというふうなことで、いま先生指摘のような方針は今日も変わっておりません。
  125. 多田光雄

    多田分科員 これは局長に伺いますが、地方港湾審が答申した計画と同資料、これが中央港湾審に提出される前、つまり昨年の十二月十九日以前に訂正を指摘したことは間違いないですね。これは去る二月二十三日、衆議院予算委員会での局長答弁でそういう意味のことが述べられておる。これは間違いございませんね。
  126. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 十二月三日に運輸大臣のもとに出されました港湾の計画につきまして、いろいろ議論いたしまして、その間、これは誤解を招くところがあるのではないかというような話が出たことは確かでございます。それを受けまして、港湾管理者は十二月十八日にこの計画をつくり直して出してきております。
  127. 多田光雄

    多田分科員 その同じ二十三日に保利国務大臣も、おかしいところがあるのでこれは直させた、つまり地方から来たこの計画を国の段階で直させたということは、前回の衆議院の答弁でも、環境庁の答弁でもおたくの答弁でも、これははっきりしているわけです。こういうふうに書いてある。保利国務大臣は「十二月の出されたままを出す。どうもおかしいというので、環境庁当局から運輸省に、これはおかしいじゃありませんかということを強く申し入れまして、」これは保利国務大臣答弁です。それからあなたの答弁はどうなっているか。「私ども、五十四年以降は全く白紙であって、五十三年までの計画をつくるんだなということを念を押したわけでございます。そうしてこの表現が、非常に誤解を招くおそれがあるというようなことを指摘いたしまして、」この指摘です。指摘ということは、あなた方がやはり一つの指導性を持ってやられたということです。このことを私は言っているのです。これは否定しませんね。
  128. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 指摘したということばは否定いたしません。ただ、そういうことをわれわれは管理者とお話しいたしまして、それを受けまして管理者が計画をつくり直しまして——つくり直しますというとちょっと誤解がありますけれども、表現を変えてはっきりさせて出したものと思います。
  129. 多田光雄

    多田分科員 そのことは四十九年一月七日の北海道議会の総務委員会で、この問題をつかれたときに、道の開発調整部長はこう言っています。関係省庁の意見もあり、五十四年以降の点を入れることは何らかの誤解を与えるので云々と、これは道議会でもはっきりされている。つまり直すのはもちろん地元の管理者です。しかし、直させるような指導をしたということは、これは疑いない事実として、道議会でも国会の答弁でもなっておる。これは私はひとつ確認をしておきたいと思います。  ところが、この苫小牧の条例によりますと、重要事項は港湾審議会にかけるとなっておる。そうすると、現地の苫小牧管理者は、この訂正されたものを審議会にはかってない。そしてあなたの言うような報告了解程度のものでこれを片づけようとしている。あなたは、訂正されたところがそういう内容のものというふうにお考えになりますか。
  130. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 まず、その前にちょっと私のほうの立場を申し上げますが、港湾計画そのものは、港湾管理者のつくったものを審議するという立場を運輸省はとっております。それが第一番でございます。  それから第二番目は、先生いまおっしゃったことでございますが、中身は変わらない、五十三年までの計画であるという点につきまして、港湾管理者も私どもも一致した見解を持っているわけでございます。前の計画につきましては六十年の計画とするけれども、五十四年以降は環境等の問題もあってこれを留保するというような形で、五十三年までの計画をつくっているわけでございます。そのところを、五十三年までの計画にし、あとは白紙だというような考え方にはっきりしたほうがいいだろうということを政府部内では話し合っていたわけでございます。それを受けまして、表現は違いますけれども、同じ精神のものを出してきた。したがいまして、地方港湾審議会におけるものと中央港湾審議会におけるものとは、私はその精神においては同じであるというように解釈いたします。
  131. 多田光雄

    多田分科員 それで、その中身の誤解を受けるということだけれども、どういう点が地元港湾審から上がってきたものを皆さんが見て、誤解を受けると思ったのですか。これはあなた方の指導によるものだと思うけれども、地元の港湾管理者はこういうものを出しているのです。「地方港湾審議会と本省の港湾審議会提出資料の違いに係る経緯」という文書を出しております。これは皆さんも手に入っておるんじゃないかと思うのだが、十八点にわたってその食い違いを出している。そこで、あなたの言う誤解を招くおそれがあるというその中身はどういう点ですか、主たる問題は。
  132. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 主たる問題が、一つは二ページに出ていたと思いましたけれども、この計画の書き方が、当初「昭和六十年の取扱貨物量を外貿一億四百万トン、内貿五千三百万トン、合計一億五千七百万トンと想定し、次のとおり港湾計画を決定しようとするものである。ただし、環境保全上の観点から、公害未然防止に関する検討をさらに進めることとしている事情にかんがみ、当面、昭和五十四年以降の計画については、これを留保するものとする。」、それでカッコいたしまして、「(昭和五十三年の取扱貨物量外貿千六百七十万トン、内貿千百四十万トン、合計二千八百十万トン)」という点でございます。これが主として誤解されるところではないかという点でございますが、あと、たとえば「取扱貨物量の目標」のところの書き方、そういう点も確かにまぎらわしい書き方になっております。それから資料につきましても、昭和六十年の計画を先に出しているような書き方になっているわけでございます。そういう点が非常に計画の内容とまぎらわしい、こういう点でございます。
  133. 多田光雄

    多田分科員 問題はそこなんです。つまりこの港湾計画は、政府側は六十年代を目ざすのではなくして、六十年代はただ構想だ、絵にかかれたものだ、五十三年までの計画だと言う。ところが親の心子知らずと言おうか、苫小牧の地元の計画は五十年代を展望した五十三年計画を出してきた。あわてたのはあなた方だ。なぜならば、それが本心だからなんだ。そこで書きかえさせたところは、ほとんどはみんな六十年代の関係のところを消しておるのだ。これほど継ぎはぎだらけの文章を私は見たことがない。しかも重要なところですよ。そして現地のほうで港湾をきめる最大の前提は取り扱い貨物だと思うが、その六十年代の取り扱い貨物を書いて、五十三年までは従属的にカッコにして取り扱ってきている。そこもあなた方は直しているのです。だからここで問題になることは、単にこれは字句上の違いじゃないのですよ。地元は、あなたから見れば、先ほど言った親の心子知らずかどうか知らないけれども、六十年代を展望した五十三年までの計画を出してきた。あなた方は、これでは環境庁からもいちゃもんがついた、これが問題になったということで、その六十年展望を薄めて五十三年までに直さした。これはどう否定しても否定のし得ない事実なんだ。その証拠に、私、これも道議会で問題になった資料を皆さんに申し上げましょう。これは、三月五日の道議会の本会議の一般質問でこれが問題になった。日本工業立地センターの出している昨年十二月の「工業立地」という雑誌、ここに港湾管理者の一員である道の大規模工業基地開発事務局長の浜島清正という人が、「苫小牧東部大規模工業基地建設と今後の動向」という中で、堂々と六十年代の展望を目ざすと書いてある。これが問題になって、とうとう訂正文を出すことになった。それから同じく北海道の地方課が編集している「北海道自治」の本年一月号に、北海道拓殖銀行の調査部長の名で同様趣旨の論文が出ている。これは民間の人が書いたとはいっても、港湾管理者である道の公式の文書の中に出ているんです。このことは、どんなにあなた方がそれを否定しようといえども、六十年を展望しながら五十三年の計画を立てている。この食い違いは、これは単に誤解の問題じゃないのです。あなた方は誤解だ誤解だとかあるいはまた字句上の違いと言っているが、これは字句上の違いでは決して許されるものじゃないんだ。  それからもう一つ聞く。ここには五十四年以後は留保する、こういっているんだが、それじゃ、留保になっているんだったらどうして東部港の平面地図に——この平面地図は港湾審議会にも出されたものなんだ。ここに点線で六十年代を展望する、こういう囲いをしているんですか。何を根拠にしてこういうものを公式の審議会にはかっているわけですか。それを言ってください。
  134. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾審議会で審議をいたしましたのはどこまでも五十三年までの計画でございます。ただ、どんな港でも将来の拡張の余地を残しておくのは当然でございまして、たとえば防波堤を一本考えましても、将来の拡張に対して余地を残しておくのは当然な問題でございます。
  135. 多田光雄

    多田分科員 あなたは、五十三年までの港湾計画だということを再三議会でも述べておるじゃありませんか。ところが現実に出された、港湾審議会で了承をとった地図には、六十年代の展望をこうやって点線で囲っているじゃありませんか。そうすれば、あなたの言っていることよりは直された地元の言っていることのほうがはるかに正確じゃありませんか。これを疑問と思わないのですか。それはペテンですよ。そう思いませんか。大臣、どうですか。りっぱに証拠があるじゃありませんか。
  136. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 五十三年までの計画をつくるときに将来の余地を残す、それの方向性を見ながらやるというのは当然でございます。したがいましてペテンとは全く考えておりません。五十三年までの計画を審議したわけでございます。
  137. 多田光雄

    多田分科員 そうすると、港湾審議会には六十年の展望もやっぱり述べているわけですね。答えてください。五十三年まででなくて六十年のこの掘り込みの部分も含めて、それを港湾審議会にはかっているわけですね。
  138. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 港湾審議会には六十年の展望ははかっておりません。
  139. 多田光雄

    多田分科員 そうすると、これは何の根拠で出したのですか、六十年代の展望といわないで五十三年までとしたというのは。六十年のこの地図があって、港湾審議会でも質問は出なかったのですか。そういう港湾審議会なんですか。
  140. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 一つの港湾を計画する場合に、五十年なら五十年、五十五年なら五十五年、そこでその港がストップするわけではございませんので、五十年なら五十年までの計画をする際にも将来の方向性というものは当然見ておくわけでございます。たとえばここに鉄鋼云々ということがございましたけれども、鉄鋼ということは現在の段階では、何て言うんですか全く望みのない形だと思いますけれども、たとえばその地域の利用を考えた場合、鉄鋼でなくてもこういうところは埋め立てができるんだとか、そういう点の将来性、あるいはこのところをもっと掘っていけば水路がつくれるのだとか、そういう点も含めて考えていく。これは当然なことでございまして、むしろ、五十三年なら五十三年でびしっとやってそれ以上全然伸びていかない港を考えるということは、計画を作成する上はまずいと思っております。
  141. 多田光雄

    多田分科員 それは重大な発言だよ。あなた方は繰り返し、この港は五十三年までのそれで計画しているんだ。六十年を展望するのか、そうじゃございません。それでは大き過ぎるといったら、いや船舶がどうの、航路の安全がどうのとかいって、私はいまここ務めて——おそらく他の同僚議員もそうだと思う。これからの展望を目ざしてつくったというのは初めて聞いた。
  142. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 これからの展望を目ざしてつくるといった発言ではございません。五十三年までの計画はこういうふうにしてつくろうじゃないか、それを御審議いただくわけでございます。そのときに、将来これの拡張する余地はどういうふうにして考えていくか、当然それも考えるべきである、こういうふうに言ったわけでございまして、それが将来六十年までにこうしなくちゃいかぬとか、そういうような意味で私が発言したのではございません。五十三年の計画をつくるには将来の拡張の方向も考えていかなくちゃいかぬ、そういうことも含めて当然港湾という計画はしなくてはいけない、こういう意味でございます。
  143. 多田光雄

    多田分科員 大臣、そうは言っても、この港湾の地図は六十年代の地図と全くウリ二つでしょう。どこが違っているのですか。ここが問題になっているのでしょうが。六十年代のマスタープランでつくられた港湾計画と何も違ってないのです、線引きは。それは幾らか、百メートルか二百メートルは違っているでしょうけれども。しかも一万ヘクタールというすでに買収した土地は、六十年代のマスタープランに基づいて道が法に違反するような行為までして買い占めてしまっておるのですよ。そういう前提を考えれば、依然として六十年代、あるいは七十年代でもよろしいでしょう、いずれにしてもマスタープランの方向に基づいてこういうものができたということは否定できない事実でございましょう。大臣、これをしもあえて否定したら、一体常識はどういうことになるのでしょう。
  144. 徳永正利

    徳永国務大臣 私は、先生のお気持ち、御指摘のことはよくわかります。ただ、先生が最初からいろいろ御指摘になりました点もよくわかるのでございますが、私が聞くところによりますと、やはり一応六十年計画というものを持っておったわけなんですね。そして六十年計画というものを持っておったけれども、環境アセスメントやら何やらいろいろなことで問題ができて、これはとても、地元にもいろいろな御関係があったろうと思います。その辺の間は詳細には承知しませんけれども……。そしてこれはだめだ、六十年計画では鉄鋼もだめだ、そういうことで一応五十三年計画に直さざるを得ぬということで、六十年計画の一応展望の上にいわゆる絵をかいておいて五十三年を乗っけたというのじゃなくて、一応そればたな上げして、五十三年計画というものをあらためて策定した、こういうふうに私は受け取っておるわけなんでございます。でございますから、書類を見ますと、先生指摘のように線が引っぱってあるじゃないかとかいろいろな点があります。私もこれはおかしいと思います。おかしいと思いますが、一応五十三年計画で申請するときに、昔のそういうようなものの上に——消してしまえばよかったんでしょうけれども、そうじゃなくて、五十三年計画はこうでございますということをやったものですから、いま先生指摘のような議論が当然ここに問題になって、誤解が出てくるということだろうと思います。私は、五十三年計画でございまして、あらためて計画が出てくるか出てこぬかわかりません。またそれは、地元の港湾管理者の考えでございますからわかりませんが、いままで決定したことは明確に五十三年までということでございます。
  145. 多田光雄

    多田分科員 大臣もおかしいと思うというようなことをいま言っておられる。だれが見たってこれはおかしいのです。おかしいのはあなた方の説明がおかしいのです。むしろ地元の計画のほうがすんなりしている、常識から言えば。一億や二億の事業じゃないのです。何百億という事業をやる場合に、長期的な展望をもってその中に短期の目標を位置づけるというのがあたりまえのことなんです。それをいままで皆さんは、六十年計画は絵にかいたものであって五十三年までだというけれども、実際いまの答弁でもはっきりしたように、一応六十年代あるいは七十年代かもしれない、長期の展望の中にこの問題を位置づけたということは否定できない事実なんです。そうでしょう。これはだれも否定し得ない。いまの大臣答弁でも否定できていない。しかもこれは重大なことなんですよ、その認識の差というのは。これは誤解の、差ではないのですよ。国会でこれだけ論議になるというのは、国会議員のわれわれの頭がおかしいのじゃないのです。だれでもあなた方の説明がおかしいと思うから論議になる。だから地元は、先ほど言ったように、すんなりと六十年代展望を出してきて、その中に五十三年を位置づけるのはあたりまえなんです。あわてているのはあなた方だけなんです。
  146. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 多田君に申し上げます。まことに恐縮ですが、持ち時間が過ぎましたので、よろしく御協力をお願いします。
  147. 多田光雄

    多田分科員 もうちょっと……。すぐ終わります。  そこでもう一つ聞く。もう一つは、勇払の土地利用計画図によりますと——これも港湾審議会にかけられたのです。六十戸が移転するようになっておる。いままで地元の港湾管理者も、勇払は移転させませんと言ってきた。ところが港湾審議会で通ったこの土地利用計画図では、六十戸が移転するようになっておる。これを認めますか。
  148. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いま先生港湾審議会で認めた図面とおっしゃいましたけれども、そうではございませんで、その地域につきましては、港湾審議会のほうの答申の中に緑地をつくって環境問題等について十分考えてください、こういう点が答申の条件についているわけでございます。  それから、いま先生のおっしゃいました四十戸云々につきましても……(多田分科員「六十戸」と呼ぶ)先生いま六十戸とおっしゃいましたが、四十戸という説もいろいろございまして、六十戸の線につきましては、港湾管理者である市長が常々言っておりますように全く移転しない、こういうことを言っておられるわけでございまして、その点につきましても、はっきりと審議会の席上でもいままで約束したことは守る、こういうことを言っておるわけでございます。
  149. 多田光雄

    多田分科員 そうすると、この六十戸の移転の地図は間違いですか。移転させないといったって、移転の区域に入っているじゃありませんか。これは間違いですか。
  150. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 おそらくその部分につきましては、公共用地等予定地域という線になっているはずでございます。この予定地域につきましては、港湾のほうといたしましては緑地になる場合もありますし、あるいは工業地域になる場合もありますし、あるいは住宅がそのままある場合もある、こういうような予定地域という形で表現されております。ですから、私ども、その点におきましては港湾管理者が前に約束していたこととこの絵とは必ずしも矛盾するものではない、このように考えております。しかしながら、その点は、はっきりとやはり約束したことはもっと明確にすべきであるということも条件に入れたわけでございます。
  151. 多田光雄

    多田分科員 時間がかかってすみません。六十戸というのはなまやさしい戸数ではないですよ。そういう問題をあいまいにして、市議会で報告了承だけさせるのですか。これはあき家を動かすのとは違うのです。だから大臣、私が言っているのは、こういう行政指導のあり方が問題だと言っているのです。六十戸の人が移転するかどうかという問題もはっきりしない、そういう地図をつくって正規の港湾審議会の資料として出しておられる。ところが市議会では、これを議決にもしない、先ほど言ったような基本構想、この問題についてもいろいろ認識の差がある。こういう問題を訂正させておいて、そして市議会の議決をしなくてもいい、一般の報告了承程度でよろしいという指導、こういう行政指導が問題だと私は言っているのです。むしろ皆さんは、六十戸の移転がどう変わるから市議会で検討しなさい、また基本的な認識があるから、もう一度港湾審議会なりあるいは管理議会なりあるいはまた市議会で慎重に検討してほしい、こういうことを言うことが、私は、上にある機関の行政指導のあり方だと思うのです。何でそんなに急ぐのですか。しかもここにはわずか数社の大企業が入るだけですよ。そこで時間が来ましたから、私、大臣に申し上げたいのですが、いまおそらくこういううそを一たび言うと、そのうそに輪をかけてうそを言っていかなければならない。一番の責任は開発庁、これで運輸省に迷惑をかけ、環境庁に迷惑をかける。そこで済むならよろしい。それが今度は、地方自治体に全部しわ寄せになっていく。だから一つでたらめを言うと、次々とそれを今度は大きくしていかなければならない。特に政治の担当者がそれをやったら、地方自治は一体どうなるのですか。そこまで考えていますか。そういう意味で私は、大臣に行政のあり方として、もう一度下に対してこれを慎重に検討してもらいたい、こういうことを言っていただけるでしょうか。下では、おそらくこれは大きな問題になりますよ。これはあとでしまったと思ったっておそいんだから。私は大臣にこまかなことを言っているのじゃないのです。そういう行政指導のかじとりについて、しっかりともう一度地元に話してもらえるかどうか。  さらにもう一つ突っ込んで言えば、市議会と管理協同組合の議会と地元の港湾審議会に、慎重に審議して結論を出してほしい、議会では議決をとってもらいたい、こういう指導をしていただけるでしょうか。これをお伺いいたしたい。
  152. 徳永正利

    徳永国務大臣 私が地元の港湾管理者、いわゆる市長に対しまして市議会の議決をとれとか、あるいは組合議会の議決をとるべきであるというようなことを言うということは、いささか地方自治に対する、行政指導と申しましても、ちょっと行き過ぎじゃないかと思います。しかし、先生の御指摘にありました議論は、そのように管理者にもお伝えしまして、私どもが今日までとってまいりましたいろんな——私も港湾審議会において議論された、あるいは付帯的な条件をつけられたことは、そのまま向こうに流しておりますから、十分配慮してやってくれていると思いますが、なお先生のきょうの御指摘の点につきましては、そういう御議論のあったことも管理者に伝えたいと存じます。
  153. 多田光雄

    多田分科員 たいへん時間が延びて申しわけございません。  いずれにしても、私はこういう行政指導が続くならば、あとで政府みずからほぞをかむようなことになる。それだけでなくて、地方自治体に今度は重大な影響を与えていく、現に与えつつある。ですから大臣もう一度、その議決をせよとどうこう言えないとすれば、もっと慎重に取り扱えというこの一言を、地方に行政指導として、あるいは自治体がほんとうにそれをやれるような、そういう指導をしていただけるかどうか、一言言っていただけるかどうか、それをひとつ聞きたいと思う。
  154. 徳永正利

    徳永国務大臣 現地の事情がどういうふうになっているかは私はつまびらかにいたしませんけれども、そういう御要望のあった点はそのように伝えたいと思います。
  155. 多田光雄

    多田分科員 終わります。
  156. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて多田君の質疑は終了いたしました。  午後二時から再開することとし、この際、暫時休憩いたします。    午後一時十二分休憩      ————◇—————    午後二時開議
  157. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 休憩前に引き続き会議を開きます。  運輸省所管について質疑を続行いたします。横路孝弘君。
  158. 横路孝弘

    横路分科員 運輸省の所管部分の倉庫関係の問題について、若干お尋ねしたいと思います。  昨年の暮れからことしの初めにかけて買い占め、売り惜しみあるいは品不足といわれた中で、運輸省でも、営業用倉庫を調査するということで、二月の四日に物資調査本部というのをつくられて、地方にも地方物資調査本部というのを設定されて、七品目の在庫調査というのを何かおやりになっているようですけれども、それはいまどういう状況になっていますか。
  159. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 お答えいたします。  運輸省では営業倉庫、それからはしけ等での生活関連物資等の保管の状況を調査するために、いま先土がおっしゃられましたように、本年の二月四日に本省及び地方海運局に物資調査本部を設けました。この物資調査本部では、担当課の職員だけでなく、他課の職員の応援も受けまして業務をしようとしておるわけでございます。  それで、内容でございますけれども、従来倉庫の一般的な統計を毎月とっておりましたけれども、その報告は非常に時間がかかりますので、これの主要な部分だけはできるだけ早く報告を受けるという点、それを整理するという点、それから特定の品目の調査、いま先生のおっしゃいました七品目でございますが、トイレットペーパー、印刷用紙、合成洗剤、砂糖、小麦粉、塩化ビニールパイプ等につきましては、三大都市圏に限りましてできるだけ早く事業者から報告を受けるという点、並びに第三点といたしまして、各倉庫に立ち入り調査をいたしまして、それらの調査の状況を把握していくという点を実施しております。
  160. 横路孝弘

    横路分科員 その調査した結果はどうですか。
  161. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 調査は、先ほど言いましたように、立ち入り調査の検査と集計的な検査がございまして、まず、特に生活関連物資のトイレットペーパー等の七品目について最新の状態を申し上げますと、四十九年一月末現在でございますが、そのときの報告事業社数が千五百三十五社、その対象品目があった事業社数が四百九社でございました。それで、トイレットペーパー等について申し上げますと、四十九年の一月末現在が、昨年の一月末現在に比べまして非常に減っておりまして、約二〇%程度でございました。そのほか印刷用紙につきましては、昨年の一月末に比べまして九〇%程度、それから合成洗剤につきましては二四%、砂糖につきましては六〇%、合板につきましては、これは昨年よりも五割方多く一五三%、小麦粉は大体七割方、塩化ビニールパイプは、これは約三倍弱の数字が載っております。総トータルでこの七品目について申し上げますと、一月末現在に四十二万六百七十二トンございまして、昨年が四十八万六千七百四十一トンでございましたので八六・四%。総体的に見ましてこの三大都市圏におきましては、昨年の一月末現在に比べまして八、九割程度の在庫残高になっているとうかがわれます。
  162. 横路孝弘

    横路分科員 幾つかの問題点があるだろうと思うのですけれども、要するに営業用倉庫を調べても何も出てくるはずがないわけですね。つまり流通の経路の中で、メーカーから一次卸、二次卸、それから小売り、消費者という過程の中で言えば、卸から小売りへの過程の中で営業用倉庫が若干使われるということで、その前の自家用倉庫の段階ですね、生産から一次、二次卸というあたりの流通になりますと、ほとんど自家用倉庫が使われるという塊状じゃないかと思うわけです。つまり、メーカーなり卸なりが各地に分散してかなりの自家用倉庫を持っていて、製品の大かたをそこで所有をしておってコントロールしていくということだろうと思うので、営業用倉庫を調べても何も明らかになるはずがないわけだろうと思うのです。ただ、いまの報告にあったように、ある意味では回転が非常に早くなっているということだろうと思うのですね。そうしますと、営業用倉庫というのは一時的な置き場所にしかすぎないわけですから、流通の経路をきちんと調べようということになりますと、どうしても自家用倉庫を、あるいは農業用倉庫もありますけれども、これをやはり把握していかなくちゃならないということになるだろうと思うのです。ただ、そういうことになりますと運輸省のほうでは、倉庫業法はございますけれども、自家用倉庫については何らの権限もないということなんで、そういう調査の結果を見て、その辺のところは運輸省でどういうぐあいにお考えになっているわけですか。
  163. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先生のおっしゃるとおり、営業用倉庫においてたとえば隠匿の問題とかそういうものを考える場合には、非常に関係のないものであるということははっきりしたと思います。ただ、当初におきましては、この営業倉庫も自家用倉庫も一般の認識は非常に薄うございまして、今回このような調査をいたしまして、いま先生のおっしゃったようなことがはっきり浮き上がってきたと思います。もちろんわれわれとしてはこれは当然初めからわかっていなくちゃいけないことでございますけれども、そのような形でわかったことは確かでございます。当然この流通全体を求める場合には、営業倉庫だけではなかなかできない問題だと思います。
  164. 横路孝弘

    横路分科員 たとえば営業用倉庫の場合は、生鮮食料品の場合ですと農林省、それから衛生という面から言えば厚生省ですね。それから建物でいえば建築基準法の関係で建設省ということです。問題は、経済の動向の中で倉庫の果たす役割りということを考えれば、単に流通のストックの存在でなくて、生活必需品はもちろんですけれども、あらゆるものについてやはり安定供給を確保する、そういう保管場所として位置づければ、流通の近代化という側面もあるでしょうけれども、そうしますと、そういう流通の経路の中でその辺のところを、営業用倉庫、自家用倉庫というのを一つの流れの中でほかの官庁とも掌握をするということが、どうしても必要じゃないかと思うのですね。そうしなければ、自家用の場合はともかくもうばらばらになってしまうわけですね。そこに保管されるものによって監督官庁が変わってくる、こういうことになるわけですね。その辺のところをほかの官庁と話し合いをされてきちんとさせるということは、お考えになってはおられないわけですか。
  165. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 私、港湾局で港湾の営業倉庫のほうを担当しておりますが、現在、営業倉庫の監督面からは、先生のおっしゃるようなほかの自家用倉庫等との関係、物資官庁のやってるようなことと連絡をとりながらやっていくというようなことは考えていない次第でございます。  ただ、勉強といたしましては、この営業倉庫が物流の中でどういう位置づけを持っているかという点は、われわれ、これから大いに勉強いたしましてやっていかなければいけないというように考えております。  なお、今度は、物流の横のほうの面から当然営業倉庫も考えていただかなければいけないと思いますが、これは営業倉庫を担当している私たちだけでなく、運輸省全体の問題あるいは政府全体の問題だと思いますが、官房でそれをやっていると思いますので、これはひとつ……。
  166. 横路孝弘

    横路分科員 つまり私のお尋ねしたいのは、物の流れという面の中に一つ、皆さん方が監督されておられる営業用倉庫があるわけです。ただ、しかし、そこだけこれを押えてもしようがない。自家用倉庫になると、これはもう監督官庁がばらばらになってしまっているということになれば、少なくとも物の流れの中で、これはいろいろ流通近代化なりあるいは流通業務市街地の整備に関する法律というのがありますね。あれは建設省がおもなる官庁で、皆さん方のほうもその一部の部分をになわれているわけですけれども、それはやはり横の流れの中でとらえるということになれば、その辺のところを、きょうほかの官庁呼んでないわけですけれども、ひとつ皆さん方のほうで、せっかく物資の調査本部等も設けられておるわけですから、調査された結果に従って、結局営業用倉庫だけ掌握しておってもしかたがないということであれば、もう少し横の流れの面をきちんと掌握をされるという点でのほかの官庁との話し合いをされたらいかがですかということなんです。
  167. 原田昇左右

    原田政府委員 先生のお話は、物流全体の近代化政策の中でどういうように営業倉庫を位置づけ、また物資の保管という機能を位置づけるかという問題と、もう一つは、今度の倉庫の調査に、物の調査に関連しまして営業倉庫だけとらえているんでは片手落ちではないか、こういう御指摘ではないかと思われるわけでございます。  前段の物流近代化政策につきましては、私ども、全く御指摘のとおり、物流全体は商的流通とうらはらになるわけでございまして、リンクとノードといいますか、つまり線路なり道路に属する要するにリンクの施設と、ノードといいますか、ターミナル、港湾とかあるいは団地倉庫も一つのあれですが、陸の港湾といわれます流通業務市街地といったノード施設、両方を見ながら、その関係においてどういうように物的流通を近代化していったらいいかという観点からとらえておりまして、たとえば港湾におきます倉庫の配置、これは営業も自家用もございますが、それから陸のターミナルにおきまして、流通業務市街地におきますトラックターミナルあるいは鉄道貨物駅とかあるいは倉庫、卸市場といったようなものを一体的に機能するような形で、各省間で協議して基本方針をつくりまして、それに基づいて整備を進めるという形態をとっておるわけでございます。  もちろん、メーカーが自分のところで在庫をコントロールしてやる一つの大きい全国的な配送網といったようなものは、若干これとは違った形でできてくるわけでございますが、いずれにしましてもそういった施設も、もし流通業務市街地に取り入れれば取り入れられるような形にはなっておるわけでございます。そういうような形で全体の物流の近代化を進めるというのが、物流近代化一つの眼目になっておるわけでございます。  それから、第二の点の倉庫の調査の問題でございますが、自家用倉庫につきましては、倉庫業法に根拠規定がないということもございますが、もう一つは、やはり投機防止法といいますか、いわゆる売り惜しみ買いだめ防止法に基づきまして各物資所管省が行なう調査がございますので、そちらのほうで物資ごとにトレースしていただくということから、私どもとしては、そこと十分連絡しながら、営業倉庫の部門を受け持って調査を進めるという体制にいたしておるわけでございます。
  168. 横路孝弘

    横路分科員 そういう関係は、先ほどの流通市街地の整備に関する法律、そのあたりでおやりになっているのだろうと思うのですが、この倉庫業法を見てみると、ある意味ではいわば建築基準法的な規制が中心で、機能の面というのは非常に落ちて、実際何やっているかというと図面の審査と建物の管理面を軸にしたことでしょう。法律がそうなっていますから、行政もそういうことになっているわけですね。つまり利用者の寄託貨物の保護という点がその中心になっていて、物の流れという面から、公共のために倉庫というものが果たすべき役割りという点になりますと、この倉庫業法ではちょっとどうしようもないような感じがするわけです。ですから、そういう面をもう少しこの倉庫業法の中に取り入れておやりになるということにならなければ、自家用倉庫、ともかくそれぞれの中に入っている貨物によって官庁それぞれおやりになっているということなんですけれども、それじゃ全体的にどうしても把握できない。しかも、いろいろお話ししたように、特にいまの日本の現状の中でやはり流通をいかに整備するかという問題は、いろいろな点で非常に重要な問題だろうと思うのですけれども、その辺のところは、あれですか、倉庫業法については、皆さん方現状のままでいいというようにお考えになっているわけですか。
  169. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先生おっしゃいますように、倉庫業法は、営業の許可を受けた倉庫業者に対して寄託された貨物の的確な保管並びに倉庫証券の円滑な流通を確保するということを目的とした法律でございまして、現在のところは、こちらのほうから流通のほうに入っていくというような考え方は持っておりません。流通問題は別な面から考えて倉庫のほうに及んでくるというほうがよろしいのではないかと私は考えております。
  170. 横路孝弘

    横路分科員 ともかくいままでやってきたことは、許認可行政といっても、やっているのは図面の審査と建物の管理の面だけでしょう。今度の場合は、国民からいろいろと不満の声もあがったから大臣も何か視察されたそうでありますけれども、そうすると、ちょっとかっこうだけつけたと、こういうことですか。
  171. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 現実に営業倉庫がどのような形で、現在のような物価情勢といいますか流動する経済情勢の中でどのような位置を占めているか、現在どうなっているかという点を視点に調査しているわけでございまして、まあかっこうをつけたというわけではございません、その面からの現在の倉庫のあり方を把握していくと、こういうことでございます。
  172. 横路孝弘

    横路分科員 だから、今度調査されていろいろ問題が明確になってきた、その辺のところを運輸省としてどういうぐあいに考えておやりになるのですかということなんですよ、私の聞いているのは。
  173. 原田昇左右

    原田政府委員 先生のお話を突き詰めてまいりますと、やはり物流の総合的なシステムという観点から考えていかなければならないのじゃないか。現在の倉庫業法では営業倉庫の安全管理ということに主眼がございますので、いまのような物的流通の全体の位置づけという、いわば総合交通体系の考え方からして物的流通の近代化をどういうように進めるかということからアプローチするのが私は筋ではないかと思いますが、これについては、総合交通体系については最近の情勢も織り込んでさらに具体化を考えていくということでございますので、そういった考え方が固まっていきました場合に、自家用倉庫問題を含めまして、全体の物流の中に保管のあり方はどういうような形で位置づけるかということから詰めてまいりたいと考えております。
  174. 横路孝弘

    横路分科員 現場で仕事をされている方は、要するに歯ぎしりをしているわけですね。そればどういうことかというと、今度は、こういう声があったから一応本部だけつくって、かっこうだけつけた、ほんとうにやる気があるのだろうか。大体やるための予算なり人員なりの体制すらないわけでありますから、全体の流れの中で倉庫というのをどういうぐあいに位置づけをするのかということになれば、私は倉庫業法そのものにも手をつけて、やはりその辺のところを——運輸省として、物の流れの中で倉庫を位置づけをしてやるということでも、この倉庫業法は非常に不十分だろうというように思うわけです。  時間がなくなってしまったので、その問題はまたの機会に譲りまして、少し進めていきたいと思うのですけれども、今回の調査にあたってほんとうに場当たり的だったというのは、皆さん方の調査の体制を見れば一番よくわかるのですけれども、四国あたりではどういうぐあいにこの調査をなされたのですか。
  175. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 本省に本部を置きまして、各地方にも地方本部を置く。四国にも地方本部を置きまして、本部長一名、副本部長一名、主管二名、部員八名、合計十二名をこれに当てまして調査に当たっております。
  176. 横路孝弘

    横路分科員 四国の場合は、あそこは港運課と倉庫課が別々じゃなくて一緒なんですね。港運倉庫課になっていて、そこには補佐官一名、係長二名、係員三名。今回は併任発令をして総務課から一名、輸送課から一名、会計課から一名、労政課、登録測度課ですか、からというように、とにかく寄せ集めをして、ちょこちょことやった、こういうことになっているわけですね。本来、やる体制にないわけですよ。どこの地方海運局を見ても、ほとんど倉庫港運関係の併任の発令をして、それでやったわけでしょう。本来のそちらのほうでやるべき仕事というのは、全くいまストップしているのが現実じゃないでしょうか。その辺のところはきちんと掌握されていますか。
  177. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 いま先生のおっしゃったような形で併任的な発令を、この場合には四人発令いたしましてやっておりますが、予算といたしましては、トータルといたしまして七百九十六万七千円を新たに流用していただきまして、これに充てている。そして、もちろんいままで、各地方海運局におきましてこのような体制ができておりませんので、各よその部局からもいろいろお願いいたしまして、このような一部の職員に片寄らない、労働過重とならないような形で仕事を進めている、こういうことでございます。具体的な問題としての不満は、まだ私ども聞いていない次第でございます。
  178. 横路孝弘

    横路分科員 あなた、そんなことを言っていいのでしょうかね。併任発令したのは大体何人おられますか。
  179. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 併任発令は十七名で、本省を入れますと二十名でございます。
  180. 横路孝弘

    横路分科員 それで、いま物流の近代化というようなお話もあったわけですけれども、倉庫の関係、これは昭和四十五年でしたか、陸運から内陸倉庫と冷蔵倉庫の移管があって、それ以後、人員は全然ふえてないでしょう。
  181. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先生のおっしゃるとおりでございます。
  182. 横路孝弘

    横路分科員 四十九年度の場合はどうなっていますか、この倉庫関係、物流関係のものは。
  183. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 ふえておりません。
  184. 横路孝弘

    横路分科員 皆さん、要求はなさったわけですか。
  185. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 要求はしております。
  186. 横路孝弘

    横路分科員 つまり併任発令で、それはいまの一カ月、二カ月、あれは三月の末まででしたか、ぐらいまでならともかく、これからきちんともう少し、物流の近代化ということで倉庫の関係をやっていくのだということになれば、業務量にしても、近畿の海運局を見ても、倉庫の業者数だけで二・五倍くらいになっていますね。許認可の件数が一・三倍くらいですか。倉庫保管面積になりますと、一−三類、野積みの関係、水面の関係、貯蔵の関係を見ても、大体二倍くらいですね。業務量がふえておって人は全然ふえないということですね。つまり、そこに併任発令をしてやろうといっても、それはきちんとした仕事ができるはずがないわけですよ。だから、その不満は聞いていないと先ほど局長答弁されましたけれども、要求そのものというのは、皆さん方もなさっているし、現場からも相当たくさん来ているわけでしょう。だから、ほんとうにその近代化を考えるとするならば、その体制をまずつくらなければならないと思うのです。大臣、その辺のところはどういうふうにお考えですか。
  187. 徳永正利

    徳永国務大臣 お説のように、倉庫に対する人員は、神戸においても、地方海運局の倉庫の関係に課長を入れてたった五、六人しかおらぬというのが実情でございます。そういうような状況で、各所において倉庫業法におけるいろいろな立ち入り検査まで持った人員がそういうぐあいでございますから、人員の足らないことは、これはもう御指摘のとおりでございます。  ただ、今度対策本部をつくってやろうとしていることは、倉庫に関していろいろな問題が出てきたことば御指摘のとおりでございまして、私どももこれにこたえて、一体営業倉庫というものはどういうものであるか、また営業倉庫の中にはどういう形でどういうものが保管されているか、安定供給の面にどういうふうなぐあいに営業倉庫が役に立っているか、また特に七品目というのは、これは私のほうが指定したわけではなくて、いろいろな物資官庁とも相談をして、この品目が一体営業倉庫の中にどういうふうに寝ておるかひとつ調べてくれということで、御相談の上でやっておるわけでありますが、そういう調査の上でこの資料を提供している、この程度しかただいまのところ、実際のところ能力もないし、また力もないわけでございます。したがいまして、今後、物流の面から営業倉庫というものが一体どういう役割りを果たすかというような問題につきましては、これはさらに経済社会的な開発の面からもう一ぺん見直さなければならぬのではないかというふうに考えるわけでございます。
  188. 横路孝弘

    横路分科員 物流企画室なんか、地方にできておるのは近畿海運局だけなんです。あとのところはまだその体制にないわけですね。  そこで、ちょっと行管の方にお話しするのですが、今度はゼロだったわけですね、全くのゼロ査定……。
  189. 吉村友佑

    ○吉村説明員 お答えいたします。  地方海運局の倉庫についてはゼロでございますが、本省については一名の要求がありまして、一名を増員しております。
  190. 横路孝弘

    横路分科員 ともかく倉庫というものが、そういう意味では安定供給という面で非常に重要な役割りを果たしている。いまは国民から突き上げを食らって、こういう本部をつくって、併任発令をして動員をしてやった。しかし、たとえば営業用倉庫と自家用倉庫がどういうぐあいに配置になって、現実にそれぞれの持っておる管区の中にどういうぐあいに置かれておって、どういうぐあいに物が流れておるかということになると、全く調査のしようもなければ、実態も把握できていないというのが現状なんですね。そのためにはひとつ——能力がないと、こうおっしゃられたわけですけれども、その能力ないじゃ、大臣済まないので、その能力はつけるということでなければならぬと思うのです。その辺のところを、ひとつ行管としてもぜひこれをお考えをいただきたいのです。
  191. 吉村友佑

    ○吉村説明員 四十九年度につきましては、特に倉庫ということではございませんけれども、石油二法関係ということで地方海運局に七名の定員をつけております。  それから、お話の件でございますが、今後、先ほど運輸省からもお話がありました、倉庫業について再検討するというお話でございましたが、その結果また増員要求があれば、その段階で十分検討いたしたいというふうに思います。
  192. 横路孝弘

    横路分科員 これは海運行政になりますといろんなほかの問題があるわけでありまして、きょうはその議論はいたしませんけれども、せっかく調査されたわけでありますから、それをやはり行政の中に生かしていくということで、物流の近代化の問題を含めてやはりぜひ体制をつくる。同時に倉庫業法というのは、見てみますと、先ほど言ったように建築基準法的な側面が非常に強いわけでありまして、その物資の安定供給という面からも、やはり倉庫業法をもう一度見直すということも私は必要だろうというふうに思うわけです。  時間が来てしまいましたので、その辺のところはまた後の機会に議論させていただきたいと思います。
  193. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて横路君の質疑は終了いたしました。  次に、島田琢郎君。
  194. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 ただいま横路分科員から、物資の流通という問題の中の、特に倉庫という問題についての質疑がありましたが、私は、同じような物資流通という問題の中の、特に国民の食料の安定供給という立場から、ひとつこの輸送関係について、昨年から今日までのいろんな事態が起こった中から、少しばかり具体的にお話をしたいと思っておるわけであります。  きょうは特に国鉄輸送という問題にかなりウエートを置いた質問をしてまいりますが、運輸省、特に大臣にもこの機会に御認識を、まあ認識を持っていらっしゃると思いますけれども、現場に起こっておりますこまかなミクロな問題までは御承知でないと思いますから、そういう実態をひとつよく御承知をいただいて、今後運輸行政の中で早急に取り組んでいただきたいという念願を込めてお話をしてまいりたいと思います。  ちなみに、私は、北海道のオホーツク沿岸で実は農業をやっている一人であります。長い間、東京のこの場所から見ますと、かなり辺地に属する地帯で、農産物あるいは畜産物の生産基地としての役割りを果たしてまいりました。それなりに農業行政の中では、農民の努力もあって生産もあがり、今日国民の食料供給という面では一翼をになっている自負心を持っているわけでありますが、しかしながら、せっかく汗水流して生産をいたしました農畜産物が、国民の皆さん方の台所に的確に届けられていないというこの実態に、今日非常に大きな悩みを持っているわけであります。これは今日に始まったことではございませんで、長い間のああした地域における生産農民の一つの課題としても取り上げられてまいったことでございます。そうした中にあって、昨年は特に輸送の乱れというような問題が顕著になってまいったわけでありますが、第一点でお聞きいたしたいのは、特に運輸行政の中で、国鉄のいわゆるこうした農畜産物の輸送の体系というのはどのような形になっているのか、その点をごく簡単でけっこうですからお示しをいただきたいと思います。
  195. 伊江朝雄

    伊江説明員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、やはり国民の台所のまかないをいたしますところの生鮮食料品、なま野菜それから鮮魚類、米、こういったものにつきましては、年間それぞれの関係団体、それから米につきましては政府の食糧庁、具体的に毎月計画を立てまして、それで月間の輸送計画を立て運送しておる、こういう実情でございまして、私どもとしましては、全国に緊急物資輸送として指定しております専用列車を含めまして大体二百本近く専用列車をつくってございますが、これがほとんど生鮮食料品並びにいわゆる緊急物資ということで、いまのところは着実に計画を実行いたしておりますが、ときといたしまして、組合のストがございましたり、あるいは雪その他によって輸送障害という問題が起こったりいたしますけれども計画どおりの数字は、残念ながら現在までのところ完全には達成いたしておりませんけれども、生活必需物資にお困りになるような輸送の障害のところまではまだ現実に至っていない、こういうことでございます。したがいまして、こういった物資輸送につきましては、先ほど申しました専用列車をフルに活用いたしまして、今後とも輸送に障害のないように努力をいたしてまいりたい、このように考えております。
  196. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 いま御説明がありまして、ほとんど計画どおりに進んでいるというふうにおっしゃっているわけでありますが、ひとつ全国的なベースでのお話は、たいへん短い時間ですから、ぼわっとなってしまって核心が明らかにならないと困りますから、北海道の輸送という問題にひとつこれから限定をしてお話をしてまいりたいと思います。  というのは、北海道で特に生鮮野菜ということになりますとタマネギ、ニンジン、食用バレイショ、これが主産地として、今日全国の占めております割合が非常に高くなっております。ちなみに、タマネギにおいては全国一のタマネギの生産が北海道で行なわれておる。特に私の選挙区の北見周辺は、まさに全国一のタマネギの産地であります。これは近年非常に急速に伸びてきた作物の一つであります。まだまだ国内におけるタマネギの消費量というのは生産量が追いついていないという実態であります。したがって、台湾等から相当数の輸入が行なわれているというようなことがあって、かなり遠隔地であるけれども、気候的な、あるいは土壌的なそういう条件を備えているという意味から、この北辺の北見を中心にしてタマネギの生産というのが活発に行なわれて、昨年はこのタマネギが非常に伸びた年であります。北見産タマネギ——昔は札幌タマネギあるいは富良野タマネギ、こう言われたのでありますが、いずれにしても北海道のタマネギというのは、早くから生産が非常に活発に行なわれてきたという歴史的な経過があるわけなのです。それが今度ずいぶん奥地に入って、北見にまでタマネギが移動してしまったのであります。ですから、この輸送という問題については非常にむずかしい要素があるわけですけれども、今日まで生産者の段階で非常な苦労をしながら、とにかく東京あるいは関西の市場に送り込んできていたというのが実態であります。バレイショは、また北海道のバレイショというのは特に食味がいいということで、府県の、あるいは大都市の皆さん方から珍重されている生鮮野菜の一つであります。これはもういまに始まったものではありませんで、バレイショの歴史はずいぶん古いわけです。  こうした生鮮野菜の輸送という問題について、昨年から——いまお答えいただきました伊江常務さんにも私は直接お話に行ったこともあるわけでありますが、そのときにも詳しくお話を申し上げたのでありますが、たとえばタマネギは、いま計画どおりに輸送されているというふうにおっしゃっていますけれども、出荷が始まりました九月からの計画輸送の実績を見てみますと、どの月をとってみても計画どおりに運ばれていないというのが実態であります。たとえば九月に三千トン送るというのが、千八百トンしか実際には送られていない。これは国鉄の関係であります。それから十二月でありますけれども、十二月では、全体で約三万トンの輸送に対して国鉄で一万五千トン、それからその他で八千トン、二万三千トンということで、これまた計画どおり輸送されていないという実態であります。何とか自動車などをやりくりして、石油の確保などをやりながら今日まで進めてきたのでありますが、肝心かなめの国鉄輸送計画というものが、実績が計画どおりにいってないというのが非常に大きなネックになっているわけです。この辺のところはどこに原因があるのかという点が、ひとつ明確にしなければならぬ点でありますが、その原因等についてお示しをいただきたいと思います。
  197. 伊江朝雄

    伊江説明員 お答え申し上げます。  先ほど、一部の障害がございましてもほぼ順調と申し上げましたのは、全国的な規模におけるところの話でございまして、ただいま御指摘の北海道のバレイショ、タマネギは、確かに実績といたしましては、先生指摘のとおり、一月、二月につきましては計画に対する実績がほぼ半分の輸送量であった。こういうことでございまして、これは原因は何かというお尋ねでございますので率直に申し上げますが、実は九月の初旬からしばらく組合のスト行為に類する障害がございまして、これが後遺症がしばらく続きまして、十一月にはほぼ安定いたしましたが、十二月に入りましてやはりまたさような事態が起こりまして、さらに豪雪の時期に入りまして、そして重ねて輸送が乱れたということが一つの原因でございます。二つ目には、現在北海道地区内におきまして、いわゆる無煙化と申しますか、蒸気機関車をディーゼル機関車に置きかえるという無煙化政策を推し進めておりますが、この際に、新しくつくりましたディーゼルカーはそのまま予定どおり入りましたけれども、よその電化区間から転用いたしましたディーゼルカーが多少エンジントラブルを起こしまして、そのために急遽蒸気列車などを一部使いましてやりくりをいたした点も一つの障害になった、こういうことで、天候と人為的問題とエンジントラブル、この三つの悪要素が重なったためにさような送り不足、計画を割ったというふうなことでございます。
  198. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 大臣、いまの北海道の実態、大まかでしょうけれどもおわかりいただけたと思うのですが、輸送に当たる責任の運輸省としては、国鉄あるいはそのほかの輸送機関とのかね合い、いろいろあると思うのですが、一応の将来の見通しも含めて、現状のこの輸送体制についてのお考えというものをひとつ示していただきたいと思うのですが、いかがでしょうか。
  199. 徳永正利

    徳永国務大臣 北海道の農産物資に対する輸送につきましては、かねがね御指摘をいただいているところでございます。この分科会におきましても芳賀先生、たしかあれは北海道の御出身じゃないかと思いますけれども、牛乳の輸送につきましても、加工用と飲用じゃ値段も半分なんだ、そういうような御指摘もあって、これをどうして東京あるいは大阪の大消費地に運ぶような方法を考えてくれないのだ、それを十分配慮してくれというような御要望もございました。  また、特にタマネギ、バレイショにつきましては、これはかねがね私のところにも御要望のあることはよく承っております。これはひとり国鉄ばかりではなくて、道内における、国鉄に集約するまでの段階一つあろうと思いますし、あるいはまた海運によってこれをさばくというようなことも、当然これは併用して考えなければいかぬことだと思っております。  そういうようなこともあわせて、北海道からの生鮮食料品とか、あるいはまた先ほど申し上げましたような牛乳の問題等につきまして、これは何と申しましても日本の供給源でございますから、今後さらに配慮し、また努力してまいらなければならないと思っております。   〔主査退席、村田主査代理着席〕
  200. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 きのう私、倉石農林大臣と、せっかくの生産基地あるいは生産団地をといって北海道に生産の部分の責任を押しつけたって、でき上がるまでは責任はわれわれ持ちましょう、苦しくてもがんばって、目標どおりの生産をあげるように努力しましょうし、また、いままでもしてきたが、しかし、一体できたものをどうやって輸送するんだという点については全く触れていないというのはどういうことなんだろう。たとえば、今度公団法という法律が内閣から提案されておりますが、これは北海道にたいへん大きな基地をつくるということであります。畜産の基地をつくる。いまお話にありました牛乳あるいは牛肉をそこで大がかりに生産しようという。生産計画はそれでいいんですけれども、さすればそれをどうやって内地府県に持ってくるのかということになると、全く何もないのであります。それは運輸省とよく相談して今後の輸送のルートを明らかにしていきたいといったような話に終始をしております。これはもう、きのう申し上げたのが初めてじゃなくて、われわれはもう、入れかわり立ちかわりこの輸送の問題について触れている。ですから一度、今度は農林水産委員会にひとつ運輸大臣においでいただかなければならぬということで、きのうも話していたのであります。  さっき伊江常務からお話のございました機関車、牽引車の問題については、私どもは、SLからDLにかわった、この辺のいきさつについてはある程度承知をいたしました。しかし、簡単にエンジントラブルを起こすようなDLに、今後そういう機関車に切りかえていくということについて、私は、あまりにも安易に取り組み過ぎていたのではないかという気がしてならぬのです。確かにいまはスピード時代だから、SLみたいなとろくさいもので送っていたってだめだということでそうなさったんだろうと思うのですが、第一、それよりももっと以前にやらなくちゃならぬのは、北見のタマネギとかバレイショなど、ニンジンもそうです、全部いま、これは北見が主産地になっているわけですが、石北線という線がありますが、これがもう長いこと地元の要望が強くありますが、複線化されていない。峠を越えて、トンネルをくぐってくる線でありますが、単線でありますから、ここが非常に輸送の面でネックになるということが一つある。それからもう一つは青函航路でありますが、これが非常に回数が少なくて、函館に滞貨しがちだ、こういうふうな事情も昨年は強く生まれたようであります。そうすると、こういう問題については、国鉄当局としてはどのように今後取り組もうとされているのか、計画がおありだとすれば、ひとつお示しいただきたい。
  201. 伊江朝雄

    伊江説明員 前段の御質問に対しましては、先ほどお答え申し上げましたとおり、やはり輸送近代化並びに輸送効率の向上、こういう見地から、蒸気よりはDL列車、DLエンジンという方向に切りかえる、これは今後とも進めてまいりたいというふうに存じております。  それから第二段のお尋ねの青函航送並びに将来の問題こういう点につきましてお答え申し上げますが、現在の青函航送能力は十三隻の船、これは専門の貨物輸送船が三隻ございますが、そのほかの十隻は客貨船でございます。この十三隻でもって年間平均二十八運航やっておりまして、それの輸送能力は上下合わせまして年間約九百万トンでございます。上りが強うございまして、上りが大体四百二十万トン程度、それから下りが三百八十万トンという実績でございますが、昨年は、先ほど申しましたいろいろな事情から、昨年からことしにかけまして、つまり四十八年度を見ますとおそらく八百万トンぐらいになるんじゃなかろうかという想定をいたしております。それで、秋冬繁忙期と申しまして、九月から十一月にかけます貨物の出荷旺盛時期につきましては、平日二十八運航を大体三十運航フルに使いまして、その九月から十月、十二月までの間の六十六日間、これを三十運航のフル体制というふうに考えております。  しかしながら、先ほどの先生の御指摘のとおり、やはり生鮮食料品の出荷が多うございますので、今後この三十運航の六十六日間をもう少しふやせないかどうか、これは船のドック入りの問題との関連もございますし、それからいろいろな修繕もときたま必要でございますので、そういったものを調整しながらこの六十六日運航を延ばしていきたい、こういうふうに当面としては考えておるわけでございます。  将来といたしましては、やがて青函トンネルというのが開通いたす時期がほどなく参ると思いますので、その際に根本的な道内と本州との貨物輸送の能力アップあるいは輸送の方式というものについての検討をしてまいりたい、かように考えております。
  202. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 どうも、限られた時間なものですから十分意を尽くせないのですけれども、さすればそういう将来の計画、いろいろ問題点なども浮かび上がってきましたが、今後ますます生産量がふえていくという傾向にあります。ことしの先のことはまず別といたしまして、当面、輸送計画を見ますと、食用バレイショで、一月から三月、もう二カ月終わったのですけれども、十一万二千八百五十トン北海道から輸送しなければならないということになっている。そのうち国鉄が八万三千トンをひとつ受け持ってくれということで、当初約束がなされているわけであります。タマネギは、九万八千四百十トンがこの間に輸送されなければならないことになる。ほんとうはもう、かなりこの量が減っていなければいけないのですが、去年の後遺症がそのままずっとなおらないできております。したがってこういう量になるのですが、そのうち国鉄が七万五千トンを受け持つということになるわけです。そのほかの機関では、バレイショで約三万トン、それからタマネギで二万五千トン、こういうふうに実は輸送計画が立てられているわけであります。それが非常に見通しとして暗いということで、現地では非常に心配をしているのであります。実はあす北海道で輸送促進のための各団体、八団体が集まりまして、生鮮の野菜を含め、さらにまた魚なども含めて大々的にひとつ大会を開いて、運輸省国鉄に対して輸送の促進方を働きかけるということで、あすは札幌でこの大会が持たれることになっているのです。ところが、いままでずいぶん伊江常務さんに、それこそ私が逆に陳情して、何とか頼みますよと言ってきたのですが、なかなかこれが進んでいかないものですから、現地の皆さん方はもどかしくて、ひとつこれは大会でも開いて、運輸大臣のところになぐり込みをしなければ問題の解決はせぬぞというところから、あすこの大会が開かれるようであります。  いまお示ししましたこういう計画ですね、すでに二カ月終わったのですが、バレイショ八万三千トンのうちどれくらい運ばれて、あとどれだけ残って、はたしてこれがこの一カ月でうまく完送できるかどうか。タマネギの七万五千トン、これも同じように、どういう実態と見通しに立っておられるのか、お聞かせいただきたいと思います。
  203. 伊江朝雄

    伊江説明員 資料を見ながらお答えをさしていただきます。  いま御指摘のとおり、確かに送り不足などがございまして、タマネギ、バレイショ、ともに合わせて七万五千トンという輸送の要請がございます。私どもはこれに対しまして七万五千トンの輸送という計画で、車扱いの貨車百三十五両、コンテナ二百個、これをもちまして七万五千トンの輸送計画を、これは道庁も間に入っていただきまして、ホクレンその他農協に輸送計画を提示いたしました。  その結果、いろいろやはりバレイショの市価の問題その他ございました、いろいろな事情がございますが、結論を申しますと、きのう時点で、この私どもの提案いたしました百三十五車の提案に対しまして、地元は九十三車でけっこうでございます、それからコンテナ個数が二百個の輸送計画に対して地元は百五十個でよろしい、これは市場の流通過程上のいろいろな問題があろうかと思いますが、そういうことで実は地元とのお話し合いができたというふうに聞いております。それによりますところ、輸送トン数が五万二千トンでございます。この五万二千トンは三月中に輸送できるということで計画いたしまして、この五万二千トンの半分ずつ、タマネギ二万六千トン、バレイショ二万六千トン、こういうかっこうに落ちついて輸送計画が組まれたわけでございます。  なお、先生承知のとおり、バレイショは一定保温輸送という非常な制約がございましたために、全国の冷蔵貨車、これは魚の冷蔵貨車でございますが、これとの共用がございます。これを無理しまして、一日六十両ずつ特にこの期間北海道に投入をする。ただし三月十五日ごろからはあたたかくなりますので必要ないかと思いますが、その間はフルに投入をする、こういう計画でございます。
  204. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 話し合いがついたということのようでありますが、これは昨年の秋からもう繰り返しそういう事態が起こっているのですね。いつも現地の言っているのと国鉄本社が受けとめているのとではずいぶん食い違いがあって、私どもはそのどっちがほんとうかということにかなり戸惑った面もありましたが、どうやら本社の受けとめ方に昨年は間違いがあることが多かったようでございます。大体五万二千トンの輸送計画、提示したものよりもそれでたくさんだという向こうからの話があったということを、私はいま初めて聞きました。しかし、ついさっきまで現地へ確かめておった中では、非常に心配である、どうも三月中に終わりそうもないぞ、国会でも大いにひとつハッパをかけてくれというような要請が来たばかりであります。ですから、どうも案易にあなたがおっしゃるように、絶対だいじょうぶだ——昨年から私は絶対だいじょうぶだということばを二、三回聞いておるのですが、さっぱりそのとおりになっておりませんので、この点は、おっしゃるようなことで完送できるということであれば、私はきょうは安心して引き下がりますけれども、しかし、これは将来の輸送問題、まあことしからさらに輸送問題というのはきびしい情勢になっていくだろうということが予測されますので、一つだけ現実に起こっている問題をひとつ伊江常務にお聞きをいたしまして、あと運輸大臣からひとつ、将来のこうした北海道からの輸送に対する取り組みについてのお考えをお聞きして、きょうの質問は終わりにいたしますが、十二月二日に十勝清水という農業協同組合が、一車でありますが、十五トン一車に食用バレイショを積み込んだ。ところが、たまたまこれが十日間駅に据え置かれて、十二日にようやく動き出した。一週間ほどかかって、東京に二十日前後に着きました。ところが、着いたときにはこのバレイショは全部腐っておって、売りものにならないので、横持ち運賃を手当てしてどこかに持っていって捨てた、こういう事例が一つあります。これは何もここだけの問題ではありません。タマネギもそういう事態がたくさん起こっています。これは補償問題が当然起こってくるわけでありますが、この場合の補償の問題の中で、たとえばこの補償額の基礎になるところの市場価格のとり方が、いわゆる生産者の側にしてみれば、東京に持ってきて売れるときの、いわゆる入れたときの値段で補償額の算定をしてもらえばいいわけですけれども、積んだときの値段で補償ということになるわけですね。そうすると、実害の差というものは非常に大きくなってくるわけです。これはどういう損害補償の基準でおやりになっているのか。その点、ちょっと聞いておきたいと思います。
  205. 伊江朝雄

    伊江説明員 ただいまのような事例は、私、具体的には実は残念ながら承知いたしておりませんので、後刻よく調査いたしたいと存じますが、一般的に申し上げますならば、やはり豪雪のために列車の運行が阻害されたことによる抑留じゃなかったかと推定いたしますが、その節、普通にあり得るケースといたしましては、やはり発送荷主にいかなる指図をいただくかということをまず第一に御照会申し上げたかどうかというところに一つの問題があると思います。それから第二番目の問題といたしましては、損害額を発送地価でやるのか、あるいは東京着の値段でやるのか、こういった問題につきましてはいろいろと専門的な検討が必要かと思いますので、私実はその内容はよく存じません。申しわけございません。後刻検討いたしまして御返事申し上げたいと思います。
  206. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 時間が来ましたから、そういう問題をもう少し詰めなければいけないのですけれども、どうも中途はんぱなことになってしまいました。  そこで大臣に最後に一言お答えをいただきたいのは、主産地がそういうふうに非常に遠隔地になっていく。これは最近の傾向として、大量に安く生産をするという基地を求めていこうとすると当然遠くなっていくのはしかたがないわけであります。生産者そのものは労働費など相当切り詰めても、たとえばここに一つの例があります。タマネギでいいますと、愛知県、大阪でつくられる生産費の中に含まれる労働費というのは、北見でつくるちょうど倍であります。これはバレイショにおいてはさらに差があって、埼玉県でつくるバレイショに対して、北見でつくるバレイショの労働費というのは三分の一にもならぬのです。こういうふうにみんな努力をしておりますが、残念ながら運送については、遠くですから、これは私はそう遠いのを安くしろ、こういう言い方をするのではありませんが、たとえばさっきの大阪、愛知に比べますと輸送費がちょうど倍かかる、それからバレイショなんかではこれが二・五倍もかかる、そういうふうにして持ってくるものなんです。ですから途中で腐るなんというようなことがあったらたいへんな損害になっていくのですね。ちょっとうかうかしますと億単位で損害が生じてくるということになります。したがって、この輸送体系というのは非常に急がなければならない。ですから、これは運輸大臣だけの責任で言うのは私は片手落ちだと思います。農林大臣も、せっかくつくったものを国民に安定的に供給するという農林省の役割りがある限り、真剣になって取り組まなければいけない問題ですが、どうも各省庁間でうまい話し合いができ上がっていないというふうに私どもはいままで見ているのです。ですから、私は農林水産委員会で大臣に来ていただけばいいわけですけれども、こっちへきょうわざわざ出てもらいました。今後ひとつ農林水産委員会で、農林大臣もよく理解するような話をお互いにやってもらうということで輸送の問題については取り組んでいかなければいけないと私は思っているのですが、こういう課題をかかえて、今後の生鮮野菜というのは、どうしても、キャベツ一個百円が百五十円になったり二百円になったりするというのはその辺に大きな原因があるわけですから、こういう点を整理をしていくための流通部門における責任というのは、運輸大臣が非常に責任を負わなければならないウエートの高い分野でありますから、こうした問題について真剣なお取り組みをいただきたいということをぜひひとつ申し上げたいと思ってきょうはやってまいりましたが、こうした考え方に取り組もうとされる決意のほどをひとつお聞きしておきたい、こう思うわけであります。
  207. 徳永正利

    徳永国務大臣 いろいろ御指摘を受けまして、御指摘を受けるまでもなく、この問題には、私就任いたしましてからいろいろ悩んでおる問題でございます。実は申し上げるまでもなく、トラックによる中長距離のフェリー輸送、いま大体五十往復ぐらいしているようでございますけれども、これをやはりもう少し私は活用しなければならぬのじゃないかと思います。それからまた、青函の航送というのがいま伊江務理事からこまごま御説明がございましたが、これを計画的に十分配慮していくということであろうと思いますが、何ぶんにも天候に左右される度合いが非常に強うございますために、いろいろな思わざる支障が北海道——本土間の輸送一つのネックになって出てきていることは、私が申し上げるまでもないことでございます。長期的には、やはり青函トンネルをいま盛んに掘っている最中でございますから、これが完成しますと相当輸送力も増強されることになると思いますけれども、当面は、短期的には、やはり先ほど申し上げましたような岸壁能力が許す範囲内における青函の航送とそれからフェリーの増強、こういうことで補っていかなければならないというふうに考えております。
  208. 島田琢郎

    島田(琢)分科員 終わります。
  209. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて島田琢郎君の質疑は終了いたしました。  次に、大出俊君。
  210. 大出俊

    大出分科員 短い時間でございますから、できるだけ簡単に御質問をいたしますが、簡単にまた御答弁をいただきたいと思います。いずれ私の委員会であらためてひとつこまかく承りたいのでありますが、一つは急を要する問題でもございますので、とりあえずお聞きをしておきたいと思うわけであります。  第一点は、横須賀線の戸塚という駅がございます。大船の手前でありますが、あの戸塚の駅と保土ヶ谷の駅がございまして横浜駅でございますが、こっちから行けば横浜、保土ケ谷、戸塚、こういう駅の構成であります。横浜−保土ヶ谷間はわずか四分くらいでありますが、保土ケ谷−戸塚間はたいへん時間がかかるわけでありまして、このまん中に東戸塚という駅をつくれということが、急激に膨張している人口の関係で住民の大きな運動として盛り上がっておりまして、横浜市もこれを受けざるを得ない立場にございまして、昭和四十一年の四月の九日に、初めて横浜市長飛鳥田一雄から陳情書が出されたわけであります。これに対して国鉄当局は、線増計画が——線増計画というのは、つまり品鶴線と通常いっている品川−鶴見の貨物線がありますけれども、この延長を考えて、いわゆる新貨物線なるものを戸塚から鶴見に至る、そういう形で一部客線に利用しながらつないでいこういう考え方でありますが、これは皆さんの計画でありますけれども、この線増計画が決定していない、具体的に決定した時点検討する、こういう趣旨の、つまり簡単に言えば新貨物計画が決着をついたところで考えるという意味の回答が行なわれまして、以来四十一年九月、さらに四十五年の八月、さらに四十五年の九月、四十六年の十一月、四十七年の九月、四十七年の同じく九月、四十八年の九月、四十八年の十月、こういう形でずっと陳情が続いているのであります。これは現在二百四十万をこえてしまった横浜市民、十年前にはわずかに百六十万でございましたが、いま二百四十万をこえたわけであります。たいへんな人口増であります。特に戸塚周辺というのはほとんどの山がなくなる、宅地になる、家が建つ。いま東戸塚駅をつくれと言っている周辺は品濃地区というのでありますが、これまたたいへんな人口急増地帯であります。したがって何かここに手を打たなければならぬ、これは衆目の一致するところであります。国鉄が必ずしも会計上好況にない、百も二百もわかっているわけでありますが、にもかかわらず、やはり本来国鉄が負う使命の面からいたしまして何とかしなければならぬ筋合いである、こういうふうに考えているのでありますが、まず第一に、この品鶴線といわれているものの現状、まあ昭和五十二年あるいは五十三年、この辺のところでいまいろいろ始まっておりまして、トラブルもなくはありませんが、横浜市が割り切って御協力をするという、いろいろな条件はつけましたが、方向で動き始めてしばらくになりますが、大体これがどの辺のところで皆さんのめどとして落ちつくのか、つまり四十一年陳情による線増計画が決定していない云々というものとからみますので、まずこの辺をどういうふうにお考えになるのかという点、それから東京都内等にも、これまた品鶴線その他の関係で多摩川周辺のいろいろな問題等も耳には入っておりますが、本来それとは、ある意味では間接的なからみがあるかもしれませんが、直接的には、からむ筋合いのものではないという考えを持っておるのでありますが、そこらのところはどういうふうにお考えになっているのかという二点をまずもって承っておきたいのであります。
  211. 内田隆滋

    内田説明員 ただいまお話のありました東京—大船間の旅客線の複々線化の問題これは大体東京−大船間が四十七キロございますが、これは目下鋭意工事中でございます。先生承知のように、横浜線と交差する地点約三キロぐらいが、工事の施行条件につきまして、環境問題その他で非常な問題を起こしておるわけでございますが、横浜市の協力を得まして、この問題につきましては鋭意ただいま沿線の方々とお話し合いを進めております。これが順調に進みますと、大体五十一年には開業の見込み、ただ、まだ話し合いが完全に終わっておりませんので、いつごろということまでは明確には申し上げられないというのが実情でございます。
  212. 伊江朝雄

    伊江説明員 後段の新駅の設置の問題についてのお尋ねについてお答え申し上げますが、いま御答弁申し上げましたとおり、品鶴線ができませんと開通いたしませんので、その時期になるかと思いますけれども、やはり停車駅については各地御要望がずいぶん出ております。そういった問題も踏まえながら、しかも何と申しましても横須賀線の到達時分が開通後は現在よりは若干伸びます。そういった問題、したがって停車いたします場合にはそれだけ時間がまたよけい延びるという問題、それから要員も必要でございますので、そういったのをいろいろと総合いたしまして、各地からの御要望を調整してまいりたい、こういうふうに考えております。
  213. 大出俊

    大出分科員 この駅が一つできれば、停車時間その他を含めまして時間がかかる。片や京浜東北がございますから、これは各駅ごとに短距離で人を輸送するという使命を持っていますが、横須賀線の場合にはストレートで東京に入ってくるという、そういう性格を持っている、役割りの違いがここにある。それがわからぬわけでは実はない。ないんだけれども、いま人口の増加と、それから輸送能力というものを考えてみますと、戸塚の駅に集中するバスレーンなどを考えても、まさに不可能な状態でありまして、実は戸塚駅周辺のバスの関係で、用地その他の問題でずいぶん私も、市長が飛鳥田でございますから苦心さんたんしているので、ありますけれども、なかなかこれは大仕事でございました。もう少し分散することを考えませんというと、これは成り立ちません。片や保土ヶ谷をながめましても、これまたたいへんでございまして、最近横のほうにちょっと別な入り口みたいなものをつくっていただいたりしておりますけれども、あれはラッシュ時はまさにどうにもならぬ。つまり保土ヶ谷へ抜ける人口、戸塚へ抜ける人口、まん中に東戸塚ができれば分散をして入っていく。だがここで問題は、私は郵政省の出身ですが、同じことなんですが、郵便ポストを余計に一つまん中につくったって、その地域に出てくる郵便物に変わりはない、どっちかにいっていたものがそこに集まるだけである。だから採算上プラスになるところはない。同じことで、駅をまん中につくったって、保土ヶ谷で乗ったか戸塚で乗ったかしていた人間が東戸塚に来るだけだから、国鉄の収入には関係がないということになる、これは。私も官庁育ちですからわからぬわけではない。だが、それでは済まない地域事情というものがある。これは私はお認め願いたいのですよ。五分間の停車をするならば、横須賀線の終わりまで駅の前に立って、私は毎日演説ぶって歩いて、通勤者はいやとは言わぬ、事情を説明すれば。それがネックだというなら話のつけようはあります。各駅の通勤者の方々の署名を山のように集めて持ってくることは、やればこれはできる。だからそういう理屈ではなくて、それじゃ鎌倉でこむんだ、あの辺から乗ればすわれるんだが、あれからこっちに来ればすわれない——いろいろなことがあるのですよ通勤者の中には、沿線ですから。それらの問題の解決のしようはあるのです。だから五分間なら五分間停車時分が延びる、あるいは歴史的に国鉄の沿線に新駅をつくったことはないとか、いろいろなことがあることは調べて知っている。そうではなくて、やはり新しい地域事情に合わせてやらなければならないことが出てくれば、これは国鉄の本来の使命にのっとってやらなければならぬと割り切るべきである、こう実は思っている。その場合に金が問題になる。だから市が引き受けるについても、市はちゅうちょしたわけですよ。市が引き受けて陳情すれば請願駅の形になる、たとえば駅をつくるといった場合に、あるいは全部市が引き受けざるを得なくなるかもしれない。周辺の区画整理をやれといわれたら——いま市もだいぶ苦労をしてやっておりますけれども、そこらも全部市が引き受けなければならぬかもしれぬ。だが、地域事情やむなしというので実は市が引き受けた形で、大きな住民集会も開かれて、そうした形で陳情をやり直しているわけですから、これはそこらのところをお考えをいただいて、前に進めるという——もちろん国鉄がやるのに金がないというならば、いま私の言った方式になるわけであります。これは方々に例はあります。どこまでを地域が持つかということはあります。だからそこらのことを具体的な俎上にのせて進めていただきたいものだという気がする。この点、一点いかがかという問題。  お答えをいまいただけませんでしたが、東京に、多摩川のほうへ抜けるところに駅を一つつくれという、品鶴線等との関係その他考えまして、これはやはりいろいろ問題が提起をされておりまして、実は品鶴線の東京の品川区の区民の方々だろうと思うのでありますが、そちらのほうの駅の話もある。だから片方、東戸塚に手をつけることにすれば、それは東京のほうにもこの駅をつくれという意味ではプラスの作用をしはせぬかというような政治的配慮もあるいはあるのかもしらぬというニュアンスの皆さんのお答えを聞いたことがある。だが、本来これは始まったことば歴史的に違うのでありますから、そこらのことはそこらのような分け方があってしかるべきであろう、こういう気が実はするわけでありまして、あわせてその二つの問題、私は割り切っていただかなければならぬ時期に来ているという気がするのでありますが、お答えをいただきたいのであります。
  214. 伊江朝雄

    伊江説明員 お説十分に拝聴いたしましたので、よく検討さしていただきたいと思っております。
  215. 大出俊

    大出分科員 検討するといういまお話なんですが、どういう検討をなさるのですか。そらい簡単な御答弁なものですから。そう簡単に言われると……。私、だいぶしゃべりましたからね。
  216. 伊江朝雄

    伊江説明員 どうも失礼いたしました。先生非常に事情をよく御存じでいらっしゃいますので……。  われわれとしても非常に苦しい立場だと思います。まず当面一番われわれがやらなければならぬ問題というのは、やはり品鶴線を早く通す、そして早く東海道、横須賀の一本になった線路の上を走っているのを分離して輸送力を増強したい、こういうことでございます。そのためには、せっかく分けた東海道線と横須賀線が、分けた機能を持った運行をするためには、やはり輸送力の増強ということがそこに出てまいるわけでございまして、そうするとあまり停車時分が多いと輸送力が逆にそれだけ減る、そういった問題もございますので、十分によくわかっておりますので、まあ検討ということばで申し上げた次第でございます。
  217. 大出俊

    大出分科員 十分によくわかっているといったって、あなただけ十分によくわかっていたのでは困るのです。これは十分によくわかっているとおっしゃるのですが、これはそのわかっているわかり方いかんで、そうですかと言えない面が出てくるわけでございまして、いまのお話は、何はともあれ品鶴線を通したい、輸送力を増強したい、これが主眼ですね。まず先にそれをやりたいとこう言うのですから、それじゃ、それができたらどうするのだというのは、これは残るのですよ。そこがよくわかっているとおっしゃるのならそれでいいのだ。まず品鶴線を何とかしたいのだ、何とか輸送力増強ができた、そこから先はわかっているのだからとおっしゃる。それでは私もわかりましたと言うについては順番がありますから、輸送力増強を先にやってくれ、そこからの話にしましょう、わかっていますから。こういう話なら、陳情の趣旨はおわかりになっているわけだから、そういう意味であなたがわかったとおっしゃったと理解をしますが、いかがでございますか。
  218. 伊江朝雄

    伊江説明員 やはり御利用いただく御便宜は、どこの地区からの御要望に対してもわれわれとしては真剣に取り組みたいと思っておりますので、先生先ほどおっしゃった御理解のことでけっこうだと思います。
  219. 大出俊

    大出分科員 そういう理解でけっこうだというお話でございますから、わかったことにいたします。  念のために一言つけ加えておきますが、実は一昨年になりますか、十二月に衆議院の選挙、私どもの選挙がありました。その前に横浜市長が割り切って、いまお話の品鶴線を早く解決する、輸送力の増強をまずはかるというふうに割り切った。とたんにたいへんな騒ぎが起こりまして、横浜市庁舎の前には天幕が張られる、すわり込みが始まるという騒ぎ。その前を、私は候補者でございますから宣伝車に乗っかって通ったら、社会党の大出さんが来たという騒ぎで車はとめられる、みんなに取り巻かれるで、飛鳥田と大出先生同罪だというわけで、ひどい目にあったことがある。選挙のさなかで、候補者ですから菊の花をくっつけているのです。だがしかし、それでもこの際その方々を説得しても輸送力増強といわれる品鶴線というものを何とか決着をつけるという意思を横浜市当局は市長以下持った。今日に至っている。これはたいへんな苦労なんですよ。なみなみならぬことです、市長も選挙をやる人間ですから。だからそういう割り切り方をしているのですから、ひとつあなた方のほうでいろいろな問題をかかえているのも知っていますけれども、いまお話しのように品鶴線の決着がつけば、いまわかったとおっしゃった点は、そのときになって違いましたとおっしゃらぬように、お進めいただきますように念のために申し上げて次の問題に入ります。あまり突っ込み過ぎるとまたいろいろなところで足が出ますから……。  次の問題は、横浜の港で昨年の九月の十九日だと思いましたが、リベリアの船籍になっておりますエバレットという船がございまして、国鉄の貨車で運んできたコンテナだと思いますけれども、運んでまいりましたものを、その横浜の港で荷役作業をいたしまして、船に積みつけをするという経路で、品物はさらし粉でございます。ところがこのさらし粉が爆発をいたしまして、六人のとうとい人命が一瞬にしてなくなった大事故が実は起こりました。こんな事故は、実は横浜港湾の事故の中でも、ぼりばあ丸の事件なりいろいろなのがありましたが、いきなり六人がぽんと死んだという二とは、かつてないんであります。この問題をめぐりまして、これはあらためて実は私の委員会等で承りたいと思っておりますが、とりあえず申し上げておきたいのは二点ございます。  第一点は、あれだけの事故が起こったんだが、それ以後、必要な所管の官庁それぞれが、私に言わせればほとんど何ら手当てを加えようとしない。やるべきことをおやりになっていないという気がするのであります。しからば、同じような品物であと一体事故が起こったらどうなんだという問題がございます。防災協会にまかしておけばいいという筋合いではない、あるいは倉庫業者にまかしておけばいいという筋合いではない。同じ形態で輸送する限りは同じことが起こる可能性を持っているわけであります。  なぜそういうことを言うかというと、二点でございますが、時間がありませんから簡単に申し上げます。いろいろな官庁のあらゆる危険品取り扱いに関する規則や法律の中に、さらし粉は爆発をするものであるという規定をして危険品の取り扱いをきめている規則もなければ、法律も何にもない。こういうばかなことがあっていいはずはないのであります。指摘をいたします。おたくの関係には危険物船舶運送及び貯蔵規則というのがございます。この危険物船舶運送及び貯蔵規則、昭和三十二年運輸省令三十号、この中どこを見ましても、確かにさらし粉は規定をされておりますけれども、さらし粉が爆発するということはどこにも書いてない。はだで触れれば荒れますよということですね、簡単に申し上げれば。その程度のことしか危険品の分類が行なわれていないさらし粉、次亜塩素酸カルシウム、つまり危険品であるという認識がたいへんに甘い、という以上にない。ここにメーカーから始まりまして、輸送業者、ここが全くさらし粉に対する爆発の危険というものを頭から持っていない。ところが結果的に爆発をして——労働省をきょうは呼んでおりませんか、労働省あたりの言い分は、倉庫業者が悪いなんというようなことを言う。とんでもない話でありまして、私の調べる限り、倉庫業者等には何の責任もない。なぜならば、そういうことを言う労働省の労働安全衛生法に基づきましても——これは四十七年の法律五十七号であります。調べた限り、さらし粉の危険物としての指定さえない。三番目に消防法、昭和二十三年法律百八十六号、ここにもさらし粉が危険物であるという指定は何にもない。四番目に、国鉄輸送にかかわる、つまり受付から始まる国鉄輸送形態があります。申し込みがあり記入があって——これは運送状でありますが、見きわめをして、送り方をどうするかということをきめて、おたくのほうはいろいろ手続をおとりになるのですが、この中に船内荷役料金表、ここにありますが、ここでもさらし粉は丙なんです。準危険物なんです。手が荒れる、この程度のことしか書いてない。  そうなると、神奈川県警の科学実験班が——ここにございますが、神奈川県警の科学捜査研究所で、直径二センチの円筒の上に、アルミ箔で包んだごく少量の高度さらし粉を置いて、五キロの鉄のかたまりを五十センチの高さから落としますと——実験をやった、今度の問題で。さらし粉は炎を上げてピーっと吹き上げる。爆発を起こす。どういう形でやってみても、この程度の圧力が加わればすべてのさらし粉が爆発をする。そのデータが全部県警の科学捜査研究所で実験の結果明確になりました。これは明らかにされました。  それから防災協会その他が中心になりまして、ドラムかんに入っていたものを、これを百万トンばかり検査をした。そうしたところが、おおむねその六割は不実品、パスしない品目であるというので、荷姿その他も、ふたがあいている、へこんでいる。輸送してくる途中で何らかの圧力がすでにさらし粉の入っているかんにかかっている。六割メーカーに返送されまして、荷姿を全部やり直す。つまりそういう状況でいままで運ばれていたのでありまして、幸いに爆発事故がなかったというにすぎない、こういうわけであります。だから倉庫業者の責任を問うなどというのは全くもってのほかでありまして、ただ知っていたのはメーカーだけであります。東南アジアに、メーカーは日本曹達でございますが、大量に輸出しております。殺菌その他に一ぱい使っております。大量に輸出しておりますが、過去に二十数回事故が起こっている。いるが、それが海外で起こっているのでありますが、人命にかかわる程度の事故になっていなかったというだけで、いままでこの問題が表に出ない。  私が二つ申し上げましたように、関係の省庁がさらし粉ないし高度さらし粉というものについての危険品の扱いについて、関係法規はいま私が述べたとおりあるのでありますから、とりあえずそれに手を触れる。そして応急的にこういうことをしておけということをはっきりさせる。日常なお運ばれているのでありますから、ほかの貨物と混載をさしておるのでありますから。混載についてもたいへん問題があることが、この科学捜査の結果明らかになっている。建設業と並んで日本の国内で一番事故の多いといわれる港湾作業の面で、こういうことは許されぬ。私も十一年間港湾作業というものと取っ組んでまいりましたが、これではならない、こういう気がいたします。昨年の九月以来今日まで、科学捜査の結果が出てもほっておくというばかなことはない。ならば、一体どうするかという手をお考えいただきたい。  もう一点、倉庫について、内陸あるいは海浜倉庫というものの監督行政を一緒にされたのはもう数年前であります。皆さんが私の委員会へ法案をお出しになった。このときに、危険品倉庫というものを一体いかに考えるかという質問を私は長くいたしました。そのときに皆さんは私の意見に賛成をされて、危険品倉庫をつくるについては補助金を出すという行政措置をおとりになって、今日に至っている。だが、横浜の鈴江組倉庫が危険品倉庫というものをこしらえるからといって、申請したのは一件のはずであります。なぜもっと全国に——新しい科学的な産業分野が開けましたから、一般にわからない形のままでどんどん危険品が内外ともに入ってきているのだが、それが一般倉庫に混在している。危険品取り扱いという形の倉庫はない。大横浜で、一カ所しかないところへ今度一カ所できますから、二カ所になるだけであります。ないのであります。そういう形ではたしていいか。実はここに重大な問題があります。だから、倉庫業者の責任を問うなどということではなくて、メーカーは一体どう考えるのだという点、そうして運輸省という官庁は、この危険品が山のようにそこらに混在をしている現実にどう対処するかという点——まあ冷凍倉庫をつくって、冷凍商品の流通を少し円滑になんというようなことを考えられておられるようでありますが、それどころではない。人の命にかかわる危険品についての倉庫そのものを、倉庫行政の面で一体どう考えるか。倉庫の検査その他を簡略にするということだけやっておられて、そういう点をほっぽらかしておくというばかなことはない。  あらためて承りますが、とりあえずいまの二点についてどうお考えになるか、きちっとお答えいただきたいと思います。
  220. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 まず第一点でございますが、先生のおっしゃるように、港湾運送の面で危険物といたしまして、いわゆる料金の表の中に丙種としてございまして、先生のおっしゃるとおりでございました。その後、この事故を契機といたしましていろいろ各省でも仕事をやっておりますが、これは労働省関係でも、神奈川労働基準局長が「港湾荷役における高度さらし粉等による重大災害防止対策の強化について」ということで、港湾貨物運送事業労働災害防止協会に通達いたしまして、その神奈川県の支部がそれに対していろいろまた研究して、それに対する対策をつくりました。またその結果を全国の総支部長ですかに知らせまして、それを現在使わせるような考え方で指導しております。  しかし、これはどうも私どもの仕事というよりも労働省でやっていただいたものでございます。私どもといたしましては、このようなことを十分事業者に周知徹底させるようなことを努力するわけでございますけれども、その後、たとえば一つの例でございますけれども、エジプトあたりでさらし粉を非常に要求いたしておりましたので、それに対しましても、実はいろいろ船舶あるいは港湾運送事業のほうにお頼みいたしまして、コンテナに入れまして中でやるというような、十分安全なような措置をお願いしながら積み出していただくというようなことをいま努力しておる最中でございます。しかしながら、先生のおっしゃいましたような、これを危険物としての取り扱いはやはり十分に考えていかなくてはいけないというように考えております。  第二点の倉庫につきましては、補助のことにつきましても努力いたしたいとは思いますけれども、一方で、港湾の一つ計画なら計画をする場合に、その危険物の取り扱いの場所を画定するとか隔離するとか、そういう点も十分含めながら努力してまいりたいというように考えております。
  221. 大出俊

    大出分科員 横浜で、初めて第一号で運輸省の補助をいただいて危険品倉庫をつくることになりましたのですが、埋め立て八区という埋め立て地に、悪口を言われ言われ私はつくれと言って、ある倉庫業者の方につくってもらった。たいへんこれは苦労したのです。だが、それを一つつくって見せないと皆さんがなかなか腰を上げないと私は思って、だからたとえば、この道路を拡張するというような問題あるいは一つの建築をやるという場合に、その中で公園用地を幾らよこせとか、ちゃんと行政面では土地を出させるわけでしょう。同じ意味で、これだけの港湾貨物取り扱いがあるならば、危険倉庫団地はここにつくれ、そうしなければ自今こうこういう許可はしないというようなことくらいはやって、必ず取り扱いできめられた危険品はそこに入れるというふうなことにしませんと、まあ事なきを得ているようなものの、危険は常にある。小さい事故はたくさんあるのですよ。調べてみれば。それではならぬと私は思いますので、ぜひこれはお願いしたい。これは規程や規則ならば大臣権限でおやりになれるのですから、なるべく早く高度さらし粉ならさらし粉、一つの例ですけれども、たくさんありますから、この際扱いははっきりさせる。六人の人命というのはそうでなければ浮かばれませんよ。これはぜひひとつお願いしたい。  もう一つ、これで終わりますが、エバレットという船は欠陥船でございます。この種の欠陥船を一体運輸省は将来に向かってどういう扱いをなさるのか、重大な問題がございます。積みつけをするその場所に爆発が起こった。六人死んでおられたのは、一番ともおもてでございます。御存じない方もおありだと思いますが、船のとものおもてのほう、ともおもてと通称申します。普通ならばラダーといいまして、出口が両方に二つあるのです。でなければあぶない。ところがここで爆発が起こった、ぱっと六人がともおもてに逃げた、そっちには出口がない、ラダーがない、この船には。たいへん長いハッチである限りは、なければならぬのですよ。ない。ないから出られない、まともにかぶった、死んだ、ということですよ。あとで調べた警察の方々でも、ともおもてにラダーがあったら助かっていると言う。  これはやはり私は、日本に入ってくる外国船籍の船であっても、こういうふうな点は皆さんのほうで気をつけて、これは耐航性に欠けるというこの問題をめぐって、学者の議論が出ている。つまりこのともおもてにラダーがなかったことは耐航性に欠ける、これは欠陥船だと学者は言う。私は弁護士を通じて聞いてみましたが、同じ意見でございました。やはりこういうところまで運輸省が監督官庁として気を使うということでなければならぬ筋合いだと私は思う。リベリア船籍ですけれども、この船は実はアメリカなんです。ここらのところを、あわせて皆さんのほうでかちっとやはり行政面でしていただく。たいへん必要なことだと私は思うのでありますが、いかがですか。
  222. 内田守

    内田政府委員 たいへん申しわけございませんけれども、本船の構造とか設備、ちょっといまつまびらかにしておりませんので、調査いたしまして後ほどお答え申し上げます。
  223. 大出俊

    大出分科員 この問題は確かに無理な質問だという気がいたします。  念のために最後にこれだけ申し上げてやめますが、メーカーは日本曹達である。それを輸送業者が輸送を引き受けている。いま構造がわからぬとおっしゃった船、エバレットであります。ここのチーフメートがおりまして、船長ですね、ポートキャプテンというのがその下にいるわけであります、つまり積みつけの責任者。倉庫業者ではありません、輸送を引き受けた輸送業者であります。ポートキャプテンに対しましてチーフメートが、こういうふうにここへ積め、こう言うのであります。そのときにポートキャプテンが認識があれば、いや、さらし粉はここはあぶない、こう言える。あるいは船長のチーフメートが、あぶないからこっちへ積めと初めから危険品の扱いをすればそれでいい。どっちも行なわれていない。知らないからです。さてポートキャプテンから倉庫業者の、フォアマンと言いますが、指揮者に、班長でありますが、これに命令して、さて積めとこう言う。そうすると、命令系統、指揮系統からいって、倉庫業者には責任の負いようがないのです。つまりこのあたりに、運輸行政の面でどこに危険品扱いの認識を明確に持たせて、末端のフォアマン、つまり船長あるいはその下の人から命令が来る、あとは積む仕事しか権限がないのですから、ここに認識が伝わるような形にしなければこの種の事故は避けられないわけでありますから、どうかひとつここらのところをあわせて、倉庫業者以下の働く諸君に責任を負わせるのじゃなくて、皆さんの行政責任を明らかにしていただくように、一言御答弁いただきまして、終わりたいと思います。
  224. 徳永正利

    徳永国務大臣 私、この事件は新聞で承知しておりますけれども、最初からのこまかいことをいま初めて知ったわけであります。また、こういう操作が危険なものということも実は初めて認識したようなわけで、私の行政権限でやれる範囲内で至急、あすからでもやってまいります。
  225. 大出俊

    大出分科員 これで終わります。
  226. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて大出俊君の質疑は終わりました。  次に、太田一夫君。
  227. 太田一夫

    太田分科員 運輸省よろしゅうございますか。運輸省に最初にお尋ねをいたしますが、もっぱら私は、きょうは都市及び地方交通に関する諸問題についてお尋ねをいたします。  最初に、昭和四十七年度の運輸白書によりますと、こういうことがいわれております。現在の大手私鉄は、運輸収入は伸びておるが、兼業が不振である、配当に不足を来たして、不動産部門で補っておる、こういう見方がされております。それから、中小私鉄は百五十四キロの路線を廃止して、なおかつ四十五年度の二億を大幅に上回る十七億の欠損赤字を出しておる、こういうふうに述べられております。そこで、ことしはいろいろと大蔵省、運輸省、お話がありまして、中小私鉄を特に中心として、あるいはバスを中心といたしまして、国民の足を守るという角度からはかなりの対策の進歩が見られます。これは見られますけれども、なおかつ隔靴掻痒の感を免れないのでございまして、非常に膨大な赤字に対して、わずかの補助金ということになっておるように思います。  そこで、輸送量のことでありますが、この間発表された経済社会基本計画、これは先国会において非常に問題になって、裏返しされたりして議論がありましたが、あれには交通機関の足というものは国鉄、公営企業、これを中心として述べられておりますし、展望が書かれておる。それから航空につきましては、現在民航三社の関係が述べられておる。それから港湾の増強等がいわれまして、とりわけフェリーによるところの貨客の増送ということに着目をして、これを伸ばそうという方針が書かれております。ところが民営交通機関の中の中小私鉄を含めるところの民鉄、それから民間バス事業というものの将来の展望というものは、あそこの中からは出てこない。ところが、いよいよ資源は限定をされてまいりまして、石油が現在足らぬというわけじゃありませんが、おそらくこれからの総合交通政策あるいは経済社会基本計画においては、資源制約下におけるという前提のもとの交通ならば、総合交通体系ということになってこようと思うのです。  そこで、四十七年度の鉄道における輸送人員というのは百六十七億八千五百万人ほどあるのでありますが、その中の六十七億が国鉄輸送する旅客でありまして、百億というのが民鉄で受け持っておるわけです。そういう点からいいまして、中小私鉄というものを粗略にしたり、民鉄というものを別の勘定にして将来の交通政策は考えられないのじゃないか、こう思うのです。ところが、いまの白書にありますがごとくに、大手でさえも土地を売って何とかやりくりするというようなことになっておりますから、中小私鉄ではもうたいへんであります。路線を廃止する、その上赤字が出ておるからぎりぎり一ぱいの借金をする、そういうところから従業員に対するところの労働条件というものは低下する、魅力はなくなってくる、志願者がない、こういう悪循環を生んでおります。片や民営のバス企業は、これはまた一時いいときがあったのでありますからしかたがないようなものでありましょうか、ことしも二十一億九千万円でございましたか、かなりの補助金はつきましたけれども、これまた制約がありまして、国民の足を守るという立場から見ますと、これはわずか一割程度にしかすぎない補助金であります。こういう点から、今後の総合交通政策の中における民鉄並びに民間バスの占める役割りというものは、それを守らなければならないものであるのか、守らなくてもいいものであるのか、成り行きにまかせておいていいのかという点について、お答えをいただきたい。
  228. 原田昇左右

    原田政府委員 先生承知のように、陸上交通企業には国鉄、民営、公営と、各種の企業が並存しておりますし、またこれらの企業がお互いに助け合い、かつ競争原理を発揮することによって地域住民に対するサービスの提供が向上するということであろうかと考えます。したがいまして、確かに先生指摘のように民営企業の現在の企業経営状況は著しく悪化しておることば事実でございますが、私どもとしてはこれらの民営企業の現在の企業努力なりサービスについてあらためてここで評価をいたしまして、十分この企業が成り立つように、また地域住民に対するサービスが十分行なわれるように措置すべきものと考えております。
  229. 太田一夫

    太田分科員 そういうことでありとするなら、中小私鉄の関係の赤字というのは最近はどんどんふえてまいりまして、もう十社程度を除きましてはほとんど赤字になってしまっているという状態であろうかと思うのです。ですから、これをどうして援助していくか、存続せしめていくか、この具体的な方法はあるのでございますか。
  230. 秋富公正

    秋富政府委員 中小私鉄と申しましても、特に私たち注目いたしておりますものは、いわゆる通勤通学輸送をやっております私鉄でございます。これにつきましては、現在大体六十二社でございますが、そのうち五十三社が赤字だということは御指摘のとおりでございます。  これに対しまして、私たちといたしましては、まず会社自体の企業努力ということを求めておるわけでございますが、いわゆる過疎化によります人口の減少、あるいはモータリゼーションによります自動車への転移、こういったこと、並びに人件費その他の経費の増ということで、非常に企業の存続は苦しいわけでございます。しかし地域における経済社会発展計画のためにも、住民の足のためにも、諸般の対策を講じなければなりませんので、今回の予算におきましては、欠損補助という点につきまして実に思い切った拡大をとった次第でございます。すなわち、四十八年度までは三社三路線につきましての赤字を約二千五百八十万円いたしておりましたものを、今回は十四社十五路線、金額にいたしまして実に二十一倍という五億四千四百六十万ということにいたしました。しかも、従来の欠損補助は赤字の実は六割弱でございましたものを、今回はまるまる欠損補助をするというふうに踏み切った次第でございます。それから同時に、やはり近代化ということを増強していかなければなりませんので、近代化の設備につきましても四十八年度に比べまして二九・三%増、一億二千万という予算措置をとった次第でございます。そして同時に、車両の近代化ということにつきましてもさらにこれをその対象の範囲にきめた。それからもう一つはやはり保安上の問題でございまして、踏切保安設備の整備ということは、五カ年計画で三十六年以来現在までさらにずっと続けてきているわけでございますが、これにつきましても四三・八%という増額、こういったことでいろいろと助成の対策を講じてきている次第でございます。
  231. 太田一夫

    太田分科員 それはあなたのほうの現状の助成対策の内容でございますね。ところが物はますます上がる、非常に不足のときがありましてたいへん物が上がっておる。そうすればそれだけ営業経費というのは上がるわけであります。それに対してどうするかといったところで、お客というのがそんなにふえるものじゃございません。そういう点から見ますると、どうしてそのバランスをとっていくことができるだろうかという問題ですが、もうバランスはすでにくずれてしまっているわけですから、累積赤字はたいへんなことでしょう。そういうくずれてしまったバランスを、さらにこれからくずれるんじゃなかろうかという要素をわれわれは加味して考えてみますと、ますますそのアンバランスが大きくなって何ともならぬのじゃないか、こんな気がするのですよ。それをどうすることができるか。五億一千万やそこらの補助金で何十億という累積赤字をかかえておる中小私鉄を救うということはできないから、したがって、中小私鉄に雇用の危機があるとか、あるいは営業の危機が訪れるとかいうことのないようにするのにはどうしたらいいだろう。そのときには何らかの、絶対運休させるようなことはありませんとか、その事業をにわかにある日突然にやめてしまうというようなことをさせませんとかということが言い切れるか、この辺はどうですか。
  232. 秋富公正

    秋富政府委員 私たちは、この問題につきましては、やはり総合交通体系ということが一番根本じゃないかと思っております。と申しますのは、中小私鉄につきましてのこの輸送人員と申しますものは年々減ってきておるわけでございます。同時に、人件費につきましては、これは大手私鉄と大体同じぐらいの毎年人件費の給与改善がなされてきている状況でございます。こういった意味におきまして、収入のほうは伸び悩みと申しますか、二年ごとに運賃改定もしてきているわけでございますが、輸送人員というものの減少ということによりまして収入は減でございますが、支出はいま御指摘のいわゆる物件費ということもございますが、こういった中小私鉄はほとんど新しい建設というものはございませんので、人件費というものが資本費に比べまして大きな要素をなしておるわけでございます。したがいまして、やはりこういった地域におきましてバスと鉄道というものの併設は必要なのかどうか、あるいはどちらか二者択一にすべきではないかというようなことにつきまして、少なくともやはり住民の足の確保ということは必要でございますが、どの路線につきましてもバスも鉄道も必要かどうかという点につきまして、私たちはやはり地元の住民の方々あるいは企業あるいは企業の従業員の方々とも、そういった点につきましては総合的に話し合っていかないと、御指摘のように収入というものにつきましては二年に一回の運賃改定をいたしましても伸び悩んでおります、支出のほうはふえていくというときに、突然にこういったものが倒れるというようなことは、従業員の方々にもあるいは地元の住民にも非常に不安を与えるわけでございますので、あらかじめそういった点については総合的に検討を重ねていくべきかと考えております。
  233. 太田一夫

    太田分科員 自動車局長さんにお尋ねをいたしますが、地方の住民の足を守っておりますのは中小私鉄、国鉄のローカル線、それから公営企業のほかに民営バス企業があるわけです。その民営バス企業というのはどういうことになっておるかというと、一人前に全部税金を納めまして、そうして、その中で過疎地域といえども住民の反対があればなかなか廃線もできませんから、やりくり算段をして足を守っておるわけです。ところがそろそろ限界に来ておる。これは東北のほうに、岩手県に県南バス、千五百人ぐらいの従業員を持つ企業がございますが、ここでは、昨年末の臨時給は一カ月分支給されたのみで、あとは全部未払いになっておる。それから一月分の賃金というのは基本給だけ支払われただけでありまして、あとは全部未払いであります。二月分の給料、この二月二十五日に支払われる二月分の給料というのは全部未払い、こういうところが、これからどうして足を守り、公共的な交通機関としての使命を全うすることができるか、私はたいへんだと思うのです。民営バスの危機に対して、あなたのほうは今後これを切り抜ける策は何であるか、どうしたら切り抜けることができるのか、切り抜けさせるのかどうか、その方針をひとつ伺っておきたい。
  234. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 バスのうち特に地方のバスにつきましては、最近いわゆる過疎化の現象と、それからマイカーの増加、こういうことで経営は非常に苦しくなってきておるところが多いということは事実でございます。しかしながら、それとまた逆に、しからばそういうバスを簡単に廃止することができるかということになりますと、やはりその住民の生活を維持する上からいきまして、なかなかこれを廃止することはできない。やはり最後まで維持するという熱意を持って経営しなければならない路線が非常に多いわけでございまして、したがいまして私どもといたしましては、こういうふうな民間バスにつきましては、従来から、まずこういう経営については原則として受益者負担といいますか、利用者負担の原則を貫くためにいまわゆる適正な運賃の設定ということに努力をしてまいりました。それと並行して、こういうものについての助成措置というものをできるだけ厚くするように努力してまいったわけでございます。しかしながら、従来これで十分とは思っていなかったわけでございますけれども、来年度、四十九年度につきましては、従来のいわゆる甲種、乙種、いわゆる一ブロックについて一社または二社に集約されておる地域だけでなく、いわゆる非集約地域につきましても補助の対象にするという範囲の拡大をはかったわけでございます。それから、従来補助の対象といたしております路線については、いわゆる乗車密度が五人から十五人の範囲に入るものに対して補助をしておるわけでございます。十五人以上の乗車密度を持つ路線については、これは適正な維持をすれば自力で経営が可能であるという想定でございます。五人以下のところにつきましては、これは具体的な路線について検討しなければなりませんけれども、やはりこれを廃止するかあるいは市町村においてこれを肩がわりするか、そういうふうなことをするということで検討してまいりましたわけですが、その場合の乗車密度の算定方法につきまして、従来よりも範囲を広げる、こういうことに踏み切ったわけでございまして、これによりまして、四十八年度に比べますと、補助対象になる事業者の数あるいは系統の数、こういうものについても相当な増加を見込むことができるのではないかというふうに思っておりますので、われわれとしては、そのような補助制度と、それから運賃の適正化、こういうことを両方組み合わせまして、できる限り民営企業のよさを生かしてその経営をはかっていく、こういうふうにいたしたいわけでございます。
  235. 太田一夫

    太田分科員 大臣にちょっとそこでお尋ねしますが、いま中小私鉄の場合は鉄監局長、それからバスの場合は自動車局長から、四十九年度の補助予算においてかなりめんどうを見ておるというようなお話があったが、大体具体的な数字から見ると、補助はおよそ全体から見ると赤字の一割くらいなんですよ。それで、四十九年度は、地方の足を守り、そしてそこの従業員の雇用も維持できるというふうにお考えでしょうか。何らかのことを考えなければならぬだろう。いま、運賃値上げをするなんていいますが、公共的な交通機関ということが常にいわれておる以上、公営企業だろうが、国鉄だろうが、財政再建のための公的援助がもっと積極的にあるでしょう。それを取り入れた発想がなければ成り立たないのじゃありませんか。これはどうですか。
  236. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘の点につきましては、いま両局長からいろいろ御説明申し上げましたが、やはりおっしゃるようにわずかな補助金、なるほど去年からはずいぶん伸びました。運輸省みんなよくやってくれたと思います。思いますけれども、もとが少ないのですから、倍にしたところが知れたものなんです。おっしゃるように、これを全部に分けたら一割にも足らぬというのは、事実あるいはそうかもわからないと思います。  そこで、やはり運賃の改定という問題が出てくるわけでございます。したがいまして、私の立場としましては、融資によってまだ一時がしのげるものは、当面、高物価対策の過程でございますからそういうようなものもやむを得ぬと思いますけれども、そういう手もあろうかと思いますが、そうでなくて、それでない場合には、もう私は運賃の改定はやむを得ない、こういうように考えております。
  237. 太田一夫

    太田分科員 大蔵省宮本主計官いらっしゃいますね。あなたは非常に民営交通機関に理解があるというもっぱらのうわさでございまして、本年度は二十一億九千万円のバスの補助やら、五億四千万円の中小私鉄の補助をつけてくださいまして、一部では喜んでおりますが、しかし私は抜本的に地方の公共機関であるバス、中小私鉄等を守っていくためには、いっそのこと補助金を出して——税を取るのじゃなくて、たとえば軽油引取税百七十八億とか百八十八億とか二百億近い軽油の税金を払っておりますから、これを免除するというようなことは、ありとあらゆる交通機関に対しては、国民の足を守れ、こういうことが言えるのであり、公共的交通機関だぞと、こう認識させる道であると思うのですが、そういう方法はとれないものでしょうか。
  238. 宮本保孝

    ○宮本説明員 この問題につきましては、先生からも何度か質問を受けましたし、なくなられた伊部先生からも質問を受けました。ことし、確かに先ほど御指摘がございましたように、予算に飛躍なしといいますけれども、そういう意味からいいますと非常に画期的に私どもも計上いたしたつもりでございます。ただ、いま御提案の、いろいろと税金の問題等もあると思いますけれども、財政当局といたしましては、やはり財政支出というのは国民の税金でございまして、これをいかに重点的に、それから効率的に配分していくのかというところが非常に問題でございます。やはり企業体としてのよさというものを十分発揮してもらうとともに、それからまた一方で利用者の方にも適正な負担をしていただく、そして公共性というものを考えながら、国民の貴重な税金を効率的に配分していく、こう基本的に考えております。  もう一つ、先ほど運輸省からの御回答がございましたけれども、総合交通体系といいますか、やはりある地方なら地方におきまして持っておる鉄道の意味であるとか、あるいはバスと鉄道との代替の問題とか、そういう全体的に一体どうしたらその地方地方の住民の利便が最も能率的にはかれるかというような点も、今後運輸省とともに真剣に考えてまいりたいと思います。
  239. 太田一夫

    太田分科員 労働省にお尋ねいたしますが、先ほど私が申し上げましたように、二月分の賃金がまるまるもらえないというバス会社の従業員千五百人があるわけです。そういうようなことが、これからあちらこちらに出てくるのじゃないか、続出するというのが私どもの心配する点でありますが、こういう問題が続出したときの対策を何かお持ちでございましょうか。
  240. 岸良明

    ○岸説明員 ただいま御質問のございました岩手県の県南バスについては、ちょっと私ども事情が必ずしも正確にわからないわけでございますが、基準局のほうの実情を聞いてみますと、非常に経営状態が苦しいというようなことは私ども仄聞いたしております。ただ、現実に賃金不払いというような問題で私どものほうに上がってきておらないというのが実情でございます。ただ、おっしゃるように、現在の情勢上いろいろと賃金不払い問題が起きるだろう、これについては、私どもはやはり労働者の生活の資金でございますので、早期にこれを解決していくという形で各局に指示をいたしております。現実にはやはり是正勧告を出す、あるいはその賃金支払いについての使用者の計画を立てさせる、いろいろな方法で行政的な指導をいたしまして、その上でどうしても守られないという場合には、特に重大な違反については指導措置を講ずる、こういうふうに考えております。
  241. 太田一夫

    太田分科員 自治省にお尋ねをいたしますが、中小私鉄並びに地方民営バスというのは、ほとんどが中小都市ないしは過疎地帯の住民の足でございますが、地方行政の立場から見ますと、それらのバス、鉄道が動かなくなるということは大問題だと思う。高知県交通の場合のように、あそこのバス会社が倒産をした、そこで不採算路線は切り捨てられてしまった。しかたがないから市町村営でバスをやるということになるとますます赤字がふえるというようなことになっておるわけでありますが、そんなようにもうかるところだけをバス会社にやらせるということでなくて、一切の必要な路線に対してはバスの運行を継続させるという立場から、自治省としては、たとえば公営企業に対するがごとく、一般財源をもって何らかめんどうを見るというような発想を持っていただかなければならぬだろうと思うのですが、そういう点はいかがですか。言うなら公共的な民営交通機関に対して、公営バスと特に差別をしている理由は側であろうか、あわせてお答えをいただきたい。
  242. 坂田期雄

    ○坂田説明員 公営企業につきましては、最近非常に赤字が増大してまいりました。公営交通事業に対しましては、すでに御案内のとおり四十七年度末の不良債務につきましてはこれをたな上げにいたしまして、国と地方団体の一般会計で措置するということを講じたわけでございますが、その他のものにつきましては、たとえば行政路線に対して、国のほうで、あるいは交付税でめんどうを見てもらいたいという話がございますが、自治省の立場といたしましては、公営も民営もともにこういうものは同じに考えるべきじゃないか、したがって、これについては、運輸省の所管であります現在の過疎地域に対します路線の補助とか、あるいは新しい団地ができました場合の運輸省のほうの補助金を一そう拡充していただく、そういう方向で私ども考えておる次第でございます。
  243. 太田一夫

    太田分科員 坂田さん、ちょっとそこのところで承りますが、あれでございますか、差別をいたしますか、民営バスと公営企業とは。地方の住民の足を守るということにおいては一つでありますが、自分のところで経営しておるからかわいいのであって、隣の人がかわいくないというような差別ができるんですか。何とかその差別を極力少なくするように努力するということが正しくはございませんか。
  244. 坂田期雄

    ○坂田説明員 公営企業に対します国の助成といたしましては、先ほど申し上げましたように、過去の赤字が非常に大きくなってまいりましたそのあと始末という意味で助成措置が特に自治省の立場から講ぜられておるわけでございまして、その他のものにつきましては、自治省の立場から、公営企業という観点から起債の措置でありますとか、あるいは一般会計から当然繰り入れるものにつきまして、起債の元利償還に対しまして交付税で措置をするということでございまして、それ以外の事態につきましては公営、民営を通じましてやはり運輸省の所管でいろいろと御検討いただいておるということでございます。
  245. 太田一夫

    太田分科員 時間がありませんからこれで終わりますが、大臣ちょっとお聞きいただきたい。  大蔵省のお考え方はかなり不羈奔放なものも中に蔵していらっしゃるように思いますから、あなたのほうが在来の習慣にとらわれて、予算に飛躍なしなんて大蔵省の宮本さんが言うたから、二十一億九千万円のあれはあまり今度はふえないだろうなどということなしに、あるいは免税なんということはできないだろうかなどということなしに、思い切った援助対策をおとりいただかないと、ばたばた地方の交通機関が倒れますから、そのような混乱を起こさないように御努力をいただきたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  246. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように、そうでなくてはならぬと思います。  なお、補助も何人乗ったから何ぼとかいうぐあいにこまかい計算をしているようですが、そういうものにもさらに検討を加えていくつもりでございます。
  247. 太田一夫

    太田分科員 終わります。
  248. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて太田一夫君の質疑は終了いたしました。  次に、北側義一君。
  249. 北側義一

    北側分科員 幾つかの問題につきましてお伺いしてまいりたい、このように考えておりますので、ひとつ私のお聞きした点についてのみお答えをいただきたいと思うのです。  まず国鉄の屎尿処理問題について伺ってまいりたいと思うのです。  国鉄は明治二十二年に列車にトイレを取りつけられまして、そうして今日まで来ておるわけですが、その構造を見た場合に、現在走っております、いわゆる昭和三十九年から走っております新幹線、それと特急型の車両、これを除いてそのほとんどが全部現在もたれ流しをやっておるわけなんですね。この問題につきましては、私の知っておる範囲におきましてもたびたびこの分科会等でも取り上げられておるわけです。ところが、いろいろな事情はあろうかと思いますが、その改良が遅々として進んでおらないというのが現状じゃないかと思うのです。たとえばこのようなことでいわゆる走行中のそういうトイレの使用によりまして汚物の公害、これが沿線の居住者やまた踏切の警手、または踏切で待ち合わせの人々、また国鉄関係のそういう車両の運行安全のために働いておりますところの線路保守者、また駅構内の勤務者、こういう人たちに非常に大きな精神的また肉体的なショックを与えておるわけなんです。そういう被害につきまして、一体国鉄当局のほうはどのようにこれを把握なさっておられるのか。まずそれを聞きたいと思うのです。
  250. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 御質問の件につきましては、せっかく努力はしておりますが、まだ効果があがってないので実は苦慮しておるような次第でございますが、御承知のように、新幹線は、例の貯留式でもって浄化するということで一応処理がつき、現在線におきましても、優等列車に関しましてはやはり貯留式を使ってその設備をやっておるということで、この数字もあとで担当者から詳しく申し上げますが、大体国鉄車両の二五%ぐらいはその処理がついておるんだろうと私は考えておるのであります。ただ、あとのものもそういった設備を進めておりますけれども、一番困るのは、ターミナル、終点に参りまして、その貯留してきたものの処理をどうするかというようなことが、物が物だけになかなか問題があるということでございますが、これもせっかく努力をしているというような現状でございますので、詳しくは担当者から御説明申し上げます。(北側分科員「被害状況を聞いておるんですよ」と呼ぶ)
  251. 山岸勘六

    ○山岸説明員 被害状況につきましては、私どもできるだけこれを現状の中で毎日毎日少なくしていくという観点から、人家密集地帯等におきまして、車掌の案内によりましてできるだけトイレを使わないでもらうようにお客に対しましてお願いを申し上げているところでありますけれども、なお先生指摘の中間におきます踏切のうちの職員並びに待ち合わせの通行人に対しまして御迷惑をおかけしていることを承知しているわけであります。また、当国鉄の職員の、保線従事員の中では、これをもって当局を告訴したいというような目標を掲げてまいっておりますことも承知いたしております。できるだけ早くこれら処理装置を車上、地上ともに完成さすように最大限の努力をしているところでございます。
  252. 北側義一

    北側分科員 基地の問題等非常にむずかしい問題があろうかと思うのです。しかし、この問題はいまさら始まったことじゃないのです。国会におきましても、私調べたところによりますと、もう十年近く前から論議されておるわけなんです。その答弁はいつも同じような答弁が返ってくるわけです。私はそこに問題があると思うのです。たとえば処理能力のある車はいま総裁は二五%程度、このようにおっしゃっておられるのですが、それじゃ具体的に聞いていきます。  まず一番に、一体このトイレのついた車両はどれだけあるのか。そのうちタンクに汚物を貯留して処理できる車、いわゆる新幹線のような車ですね。これは何両あるのか。またこれを引きますと、いわゆる未処理の改装車両というものが出てくるわけですね。これが現在一体何両あるのか。昭和四十八年度の予算においては一体どれほどこの改良について予算がついたのか。昭和四十九年度についてはどうなのか。この四点についてお伺いしたいのです。
  253. 山岸勘六

    ○山岸説明員 現在国鉄には、いわゆる旅客車、電車、気動車、客車等でありますけれども、これを総合いたしまして二万六千両ほど保有いたしておりますが、この中でいわゆるトイレを持った車は一万七千五百両でございます。このうち現在までタンクの取りつけを完了いたしました両数は千三百両でございます。なお、タンクを取りつけるばかりにいたしましたも一のが二千両ございまして、現在までの車の上での、大体もういつでもできるという状態にあるものが三千三百両、正確に申しますと、これに新幹線のトイレの車八百七十一両、これは全車両でありますが、これを加えまして、正確な合計数字は四千二百七両に相なっております。在来線の一万七千五百両のうち長距離列車を主体に、これは長距離列車ほど使用頻度が高いわけですから、長距離列車を主体にして、大体において長距離列車についてトイレは処理できるというような状態になるまでには七千両の完備が必要かと存じております。したがいまして、ただいまの数字から差し引いたものが、現在から処置していかなければいかぬ車ということになるわけです。  一体それでは昨年度におきまして国鉄はどのくらい進捗したのか、また四十九年度はどのくらいするつもりなのかという御指摘でございますが、昨年度の数字はちょっと忘れましたけれども、約七百両ぐらいであったかと思います。四十九年度につきましては、約八百五十両ぐらいを目標として現在諸般の準備を進めているところでございます。目標としまして、先ほど申しました七千両の大かたの完備というと、これは地上設備もございますから、それを含めまして五十三年度を目途として現在やっているところでございます。
  254. 北側義一

    北側分科員 ぼくは予算を聞いたのですよ。予算を聞いたのですが、そうしますと、結局一万七千五百、これは新幹線を除いてあるのじゃないかと思うのですが、そのうち千三百両だけがそういう装置を改正をしたというか、その他は結局改正して取り付けるようになっておっても、やはりたれ流しで走っておるということでしょう。そういうことですね。ということは、一万七千五百のうち新幹線を除いて千三百両ですか、これだけで、あとははっきり言えばいままでと同様であるということですね。これはやはり昨年の予算委員会あたりの答弁を私一応聞いても、八百両ということを聞いておるのですね。ですから、これは五百両ふえたということですね、そういうちゃんとなった車が。そうなるわけです。私はこの問題につきまして、先ほど申し上げましたとおり、遅々として進んでおらないと言うのは、そういうところを申し上げておるわけなんです。たとえば現在国鉄のほうでこういういわゆる未処理の車のトイレが使用されて全国にたれ流されておるところの排便量や排尿量は一日大体どのくらいあるかおわかりですか。なかったら私のほうで資料を出しましょうか。
  255. 山岸勘六

    ○山岸説明員 私存じませんので、申しわけありません。
  256. 北側義一

    北側分科員 では、これは私が調べたのじゃないですよ。これはあくまでも推定です。  国鉄昭和四十二年に発表した統計年報がありますね。この年間の旅客の輸送人員約八十億人、こうなっております。これを一日に換算すると約二千二百万人。そうしますと、結局一日二千二百万人の人が列車に乗車する、このように仮定した場合に、その大便ケースとか小便ケース、こういうものを出した場合に、これはおそらく昭和四十七年度の推定なんですが、一日大便においては約二千トン、小便においては約百四十五万リットル、これだけが放出されておるであろうというような推定がなされておるわけです。こういう問題から見まして非常に重要な問題じゃないかと思うのです。なるほど基地がない、予算がない、このような答弁はいつも繰り返されておるわけですね。ところが、この問題は他の問題と違うと私は思うのです。普通の問題と違うと思うのですよ。  ちょうどいまから五年前に、国鉄労働組合で学識経験者を含めてこの列車トイレによるいわゆる黄害汚染実情調査委員会を設けて、その実情調査の報告がなされております。その結論によりますと、進行中の列車より放出された検体の落下地点は、風下のほうでは線路から約三十メートル、こういう離れたところの落下地点では比較的大きな粗大な粒子が確認されたというのです。なお線路から四十四メートル離れたところでも粒子がやはり確認されたというのです。私の持っております資料によりますと、このような報告がなされております。  このような調査報告から考えますと、踏切で、先ほど申し上げましたとおり列車を待っておる人や、また沿線の居住者の洗たくものが非常に汚染される。また、先ほど述べましたとおり、保線関係の人たちが、いわゆる運行の安全のためにいろいろな作業があるわけです。しかも、その作業が、逃げられないような橋梁の上とかトンネルの中とかいろいろな場所があるわけです。避けようがないわけです。そういう問題がいままでここでたびたび論議されても、いまあなたが先ほどから御報告を聞いておるようなそういう実情から進展しておらないのです。私の聞きましたところによりますと、国鉄の施設労働組合では今度黄害対策小委員会というものをつくって、その証拠をいま集めておるというのです。かなり集まっておるらしいですよ。そうして国家賠償法第二条また労働安全衛生法、これらをたてにとって、法的根拠として国鉄総裁を相手に訴訟したい、このように言っております。私は、この問題につきましては、先ほどから述べましたとおり人権問題であろうと思うのです。それだけの決意を示してこの問題には取り組まなければなかなか解決できないものです。いまのお話ですと、ことしは八百五十両とおっしゃっているのです。これは装置をつけるだけかもわからないのです、これは聞いておりませんが。  運輸大臣、こういう実情なんです。この問題については、この前の新谷運輸大臣もその前の中曽根さん当時も、いろいろずっとお答えになっているのです。やはりそういう職場で働く人の人権問題であるこういう問題については、もっと真剣に取り組むべきではないか、私はこういう考えを持っているのです。これは訴訟をするのはあたりまえだと思う。私はこの話をいろいろ調べ、また自分が聞き、ほんとうにこれはたいへんな問題である、このような結論を得たわけですが、これに対して、一体どのように総裁また運輸大臣としては対処なさっていかれるのか、これをはっきりお伺いしたいと思うのです。
  257. 徳永正利

    徳永国務大臣 この黄害問題はずっと以前から実は議論がされ、また、国鉄としてもいろいろな面から対処しているわけでございますが、先ほどのお答えを聞いてみましても、あと七千両ぐらいはやらなければならぬ、しかもことしは八百両ぐらいだということになりますと、あと十年もかかるわけでございます。一挙に来年度中にやってしまえなんというようなわけにもまいらぬと思いますけれども、おっしゃるように、これはいろいろな面で非常に問題を含んだ問題でございますから、特に伝染病なんという問題はもういま日本には非常に少なくなりましたからあれでございますけれども、いろいろな面で非常に多くの問題を含んでいると思います。国鉄でも、できるだけ早くこれの解消に努力するように、私のほうからもひとつ指示、指導していきたいと思っております。
  258. 北側義一

    北側分科員 基地の問題等もあるでしょうが、こういう点については一体どうなっておりますか。いま大臣が言われたとおり、十年もかかってやるんじゃ、これは話にならぬですよ。そういう点について再考なさるのか、なさらぬのか、はっきり聞きたいと思うのです。
  259. 山岸勘六

    ○山岸説明員 結局、車の問題は、基地ができなければこれは使用ができないわけでございます。現在、新幹線を除きまして在来線で基地が使用できる状態にあるのは、宮原と千葉の幕張という電車区だけしか使えない状況にあるわけでありまして、この基地の整備につきまして鋭意私ども努力しているところでありますが、現在工事中のものを申し上げてみますと、在来線関係で品川、南福岡、仙台、青森、秋田、長野、金沢、続きまして向日町と大船にできるだけ早く計画をして、地域の方々とも御相談を申し上げて着工いたしたい、このように考え、努力しているところでありますけれども、中にはなかなかこの地域とのお話し合いがむずかしい状態になっているところもあるわけであります。予算的にも、私どもできるだけの個所に対して予算の面でも考えていきたいということで、今年度はおそらく二十数億をこの地上設備にだけ充ててまいりたい、こう存じているわけでありますけれども工事の施工能力、話し合いの問題というような点を考慮いたしまして、これが今年内に完成をいたすということであれば、車両もまたこれに合わせていくという措置も考えてまいりたい、こう存じておるところであります。
  260. 北側義一

    北側分科員 もう一度お尋ねしますが、そうしますといま工事中のものを含めて現在使用中のものが二カ所、工事中が全部で九カ所、こうなりますね。これが全部できる時期は、めどとして大体いつごろになるのか。それとあわせて、そうなった場合にはどれほどの消化能力があるのか、それはどうでしょう。
  261. 山岸勘六

    ○山岸説明員 話し合いがつきまして地域との了解が得られたものについてはできるだけ早く竣工したいと思っておりますが、いまかりに申し上げました九カ所の分が完成いたしまして、これに対応する車を考えてみますと大体先ほど申し上げました七千両になるわけであります。先ほど私、ちょっとことば足らずで大臣数字的に誤解された面があるようでございますが、結局これは七千両から先ほどの三千三百両を差し引いたのが残っておるわけでありますから、三千七百両が現在残っておるということになります。したがいまして、これに足しまして八百両をいたしますと、まず七千両に対して五割以上のものができるということになるわけであります。かりに設備のほうができまして、もっと車を急ぐということも考えられるわけでありますが、大体これができますと長距離列車の大半、九十数%のものがこれで全国的にカバーできます。したがいまして、いまたれ流しの、また用便される頻度の高い列車の大半ができ上がるということになりますので、私どもとしてはできるだけの努力をその線に向かってやっておるところであります。
  262. 北側義一

    北側分科員 私、時期の問題もお伺いしたかったのですが、これはいまわかりませんか。めどが立たないか、どうでしょうか。
  263. 山岸勘六

    ○山岸説明員 個々にはある程度の問題があろうと思いますけれども、全体としてのめどは現状においてはちょっと立てにくい状況であります。
  264. 北側義一

    北側分科員 大臣、いまそういうことでございまして、こういう問題は人権上の問題からも——毎年毎年こういう問題がこの場で繰り返されてもつまらぬことだと思うのですよ。この問題は、基地の問題、いわゆるそういう屎尿処理場をつくることについて地方公共団体がいろいろ反対しているのはわかります。これは私も建設委員をやっておりますのでわかりますが、しかし、やはりそういう被害を受けておる、家を動かすわけにはいかないわけですし、また、そこで働いておる人が逃げ出すわけにいかないわけですから、そういう面を考えると、やはりこれは国鉄として最も早急にやらなければならない問題であろうと思うのです。そういう意味からもう一度、総裁。もし運輸大臣もお答えいただけるなら、お答えいただきたいと思うのです。
  265. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 御指摘のとおりでございまして、先ほど申し上げましたように、基地の問題は相手がございますので、極力その御納得をいただいて基地を整備すれば、あとはそうしかくむずかしい問題はない、かように考えますので、御指摘のようにそういった面にも最大の努力をして、御趣旨に早く沿いたい、かように思います。
  266. 北側義一

    北側分科員 御存じのとおり、今回建設省あたりで生活基盤整備のために下水道整備の補助率をアップされておるわけです。そういうことで、おそらく地方公共団体としても、この生活基盤整備の重要な下水道整備に力を入れていくと思うのですね。処理場をつくった場合に、その地区が地方公共団体の下水区域であるならば公共下水道に放流できるようになるわけです。そういう面も考慮した場合に、これはやはり早急にやってもらいたい、かように思うのです。私、今度はこの問題が解決するまでやってみよう、だから総裁がかわられたり運輸大臣がかわられても、私の当選した限りはこれを一ぺんやってみよう、こう決意しておりますので、だから私、そっちのほうも自分でよく研究してみます。そういう点でどうかひとつよろしくお願いいたします。  それと、もう時間がないようですので、だいぶあるのですが、一問だけお願いします。  またこれと同じ系統、まあ公害問題では同じ系統になるわけですが、これは特に大阪関係の問題なんです。というのは、大阪の私鉄関係は、これは古くからずっとありまして、だんだん人口が密集してきて、そしてその私鉄の路線の周辺に家が建つ。大都市周辺のいわゆる人口密集地帯は、これは御存じのとおりです。そういうことで、大阪あたりを見ますと、大阪市内と効外を結ぶそういういわゆる大量輸送機関の主体はやはり私鉄になっているのです。たとえば南海、近鉄、京阪、阪急、阪神、このようになっておるわけです。国鉄のほうも少しあります。阪和とか片町線というのがありますが、主体はやはり私鉄系統になっております。これらの私鉄は昔からずっとあるものですから、これは地上を走っているわけですね。高架されていないわけです。そういうことで朝夕のラッシュになりますと、これは私もしょっちゅう経験するのですが、とにかく踏切の遮断機が上がってしばらくするとがたんと落ちるのです。もう渋滞して全然動かぬような実態です。そういうことで自動車がそのように全部停滞するので、その付近の沿道の民家というのはおのずから自動車騒音と排気ガスをもろにかぶるわけですね。夏なんか窓もあけられない、こういう実態になっているわけです。高架化事業はずいぶんいろいろ進んでまいっておりますが、全国聞いてもいたし方ありませんので、昭和四十九年度の大阪府における新規の鉄道高架化事業、この個所ですね、それをお教えいただきたいと思うのです。その事業概要です。
  267. 秋富公正

    秋富政府委員 四十九年度にただいま御指摘の私鉄の関係で新規に事業を開始いたします場所を申し上げます。  これは御承知のとおり都市計画事業といたしてありますので、建設省のほうとも協議しながら進めておるわけでございますが、新規事業といたしましては、京阪電鉄が枚方市駅付近にいたしております。それから阪急電鉄宝塚線の豊中駅付近、これが予定されております。それから、ちなみに調査個所といたしましては近畿日本鉄道の南大阪線の北田辺駅付近並びに南海電鉄の南海本線の岸和田駅付近を予定しております。
  268. 北側義一

    北側分科員 詳しいことはまたあとでいろいろお教えいただくとして、時間が参りましたので、ほかの方に迷惑かけてもいけませんからこれで終わらしていただきます。  先ほどの処理の問題については、大臣、総裁、よろしくお願いいたします。
  269. 村田敬次郎

    ○村田主査代理 これにて北側義一君の質疑は終了いたしました。  次に、上原康助君。
  270. 上原康助

    上原分科員 二つの問題についてお尋ねをしたいと思います。  まず最初に沖繩の交通体系の件ですが、いわゆる陸上輸送問題です。沖繩に行ってみたことのある方は御理解いただけると思うのですが、復帰を境に交通問題が非常に深刻化してきております。そういう意味で、何とか交通渋滞を改善すべきであるということで、県や特に那覇市を中心とする各自治体もそれなりの努力をしてきているわけですが、なかなか思うようにはかどらない。  その要因といいますか、あるいは障害というのは、いろいろ指摘できると思うのですが、戦後二十七年余にわたって、いわゆる米軍の軍事優先の道路整備といいますか、軍事優先の政策がとられた。それが何としても大きな災いになっている。いま一つは、都市づくりというものが道路整備やらあるいは下水道、そういった面の十分なる区画整理ができないままに今日の状況まできた、さらに復帰後本土からの観光客あるいは来年に予定されております海洋博に向けての大型プロジェクト、それに伴う関係車両の導入等がございます。いま一つは、通行区分の問題等々が重なって、鉄軌道がなくて住民の足の確保というとバスとタクシーしかない。軽貨物問題ももちろん深刻になってきております。  そういう中で、この交通渋滞をなくして道路整備を含めてやっていくには、地方自治体だけの行政面あるいは政策面ではどうにもならない要因が多々あると思うのです。そういう意味で、私も二、三回、一体この交通問題をどう国の立場でも、政府の立場でもやっていかれようとするのかということをお尋ねをしたことがあるんですが、まあいろいろ努力をしておられる面もあろうかと思うのだが、なかなか思うようにいってない。ますます深刻な状態になってきているわけですね。このままではもうにっちもさっちもいかない状態になるのじゃないか。特に海洋博が開催された時点には一体どうなるかというのが多くの県民の偽らないこの交通問題に対する悩みでございます。  そこで、バスの公的一元化の問題などもすでに政府のほうに関係者から要望、要求が出されていると思いますし、現在の沖繩の陸上交通体系の整備ということをどう進めようとしておられるのか、その点について政府の御見解をお聞かせいただきたいと思います。
  271. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 お答え申し上げます。  沖繩におきますいわゆるバス事業者の公的一元化といいますか、統合問題につきましては、昨年の五月の十六日の地方陸上交通審議会の答申にもその旨が触られておるわけでございまして、政府といたしましても、その線に沿いましてできる限り統合の実があがるように努力してまいったわけでございます。実は昨年十二月に沖繩本島につきましてバスの運賃改定をいたしたわけでございますけれども、そのときにおきましても、いろいろな改善策の中にいわゆる企業の集約統合の促進ということを強く指導するということで、その旨沖繩開発庁の総合事務局長のほうにも通達を出して指導するようにというふうにいたしておるわけでございます。現在の見通しといたしましては、那覇市内を営業区域といたします二社につきましては大体本年度の決算を待ってこの六、七月ごろには合併の見通しが立っておるというふうに聞いております。市外部の三社ございますけれども、これにつきましても来年にはひとつ統合ができるようにということでいろいろ努力をいたしておるということでございまして、将来それを含めまして沖繩本島一社ということに統合するべく鋭意努力がなされておるということでございます。
  272. 上原康助

    上原分科員 ちょっと歯切れが悪いですが、私がお尋ねしているのはバスの統合問題現在あるバス企業の統合問題については、かつて硫球政府時代からいろいろ意見が出たわけですね。もちろんそれは各企業の言い分もありましょうし、あるいは労組の立場もありましょうし、なかなかむずかしいということもわかるのですが、料金改定をするたびにその企業の統合問題が出たんだが、料金を上げてしまうとそれきりになってしまう。またしばらくすると料金改定と統合問題をからます、そういう悪循環を今日まで来たしてきているわけです。私は特に運輸省大臣にも御理解いただきたいことは、このことは口すっぱく主張してきているわけなんですが、確かに国鉄赤字問題いろいろございます。国鉄の経営をめぐっても、運営をめぐっても。本来ならば、沖繩県民だって国鉄の、恩恵ということばは使いたくありませんが、国鉄利用権はあると思うのです。しかし、今日そういう環境には沖繩は置かれていない。本土の一億の国民が、どれだけ国鉄の利用によって多くの利便を得ているかということは指摘するまでもないと思うのです。そういう面からすると、沖繩の交通体系の問題交通整備の問題については、国の財政的な裏づけを含めた形で積極的にやらないと、いまの御答弁のように、バス賃改定のときにもそういうことをやって、将来何とかしたいというようなことですが、関係者から強く出されていることは、バス企業の公的一元化以外に、沖繩でのいまの、もっと交通渋滞をなくしていくという路線権の問題もございますし、バスレーンの問題もございます。しかし、沖繩県民、向こうに住んでいる人の定期の足を確保していくにはもっと政策的な配慮がなければいかないわけです。  そういった面をやるには、少し政府のほうでいろいろ面倒を見ていただかないと、にっちもさっちもいかぬじゃないのか。したがって、公的一元化の問題については、政府は基本的に、同意といいますか、そういう方向で進めていくお考えなのか、その基本方針を定めて、しからばどうするかということは、それは関係者なり開発庁なり、あるいは県側、バス企業者、労組の意見なども聞いて、具体的に着手をすべき段階じゃないのか。いつまでもいまのような状態ではいかない。これは道路整備問題を含めてですが、そういった基本方向だけは一元化の方向でいくというお考えなのか。それに伴ういろいろな財政的な裏づけもあるでしょうし、補助の問題もあるでしょうし、あるいは低利融資の問題もあるでしょうし、具体的な個々の問題は別としても、基本方向だけはしっかりと一元化の方向で進めていくんだということでないと、私は沖繩の交通問題というのは悪化はしてもよくなる可能性はないと思うのです。その面についての確たる御答弁をいただきたい。  いま一つは、モノレールの問題なり、先ほど言いましたように、現在の段階ですぐ鉄道を敷設するということはきわめてむずかしい面がいろいろあろうかと思うのです。公共事業の抑制、総需要抑制、いろいろありますから。しかし、将来の沖繩の全域の交通体系を整備していく上においては、鉄軌道ということも当然考えていいと思うのです。国営にするかどうするかは方法論はいろいろあると思うのです。そういった全体的な交通体系整備というものについて、国は、どういう方針で県側なり関係者に行政指導なり、いろいろなことをやろうとしているのか、そういった点を明確にしていただきたいと思うのです。
  273. 中村大造

    ○中村(大)政府委員 バスのいわゆる一元化につきましては、先ほども申し上げましたように、これをできる限り促進するということで、強く行政指導をしていくことについては先ほど申し上げましたとおりでございます。ただ、この公的一元化がいいかどうか、こういう問題につきましては、これは一般論として公的一元化論が提唱されておることも事実でございまして、また私どももこれには非常に関心を持っておるわけでございます。   〔村田主査代理退席、主査着席〕  ただ、公的な一元化がいいか、あるいは民営企業のよさを生かして、それが一社一社でいろいろ競争し、また競合することを避けるために一元化して、そして民営企業の一元化によってその企業経営をはかっていくということがいいか、これはなかなか一がいには言えない問題でございまして、沖繩につきまして現在私どもが進めようといたしておりますことは、そういうふうな直ちに一一元化ということではなくて、現在進められておる企業間の合併ということを推進していって、将来一元化する、こういう方向で参りたいというふうに考えておるわけでございます。  ただ、先生指摘のように、国の助成といいますか、こういうものをやはりいろいろ手厚く考えなければいけないことは事実でございまして、沖繩の特殊性というものを十分考えまして、今後とも行政措置については万全を期したい。また来年度、いわゆるバスに対する補助制度が若干改正されまして、いわゆる丙種地域に対する補助制度というものも来年度から発足いたしますので、その点では補助対象の拡大ということも考えられるわけで、いろいろの方法を講じて助成をできる限り厚くしていきたいというふうに考えております。
  274. 上原康助

    上原分科員 鉄軌道問題は。
  275. 秋富公正

    秋富政府委員 かつて沖繩県におきまして県営鉄道がございましたことは、私、承知いたしております。しかし、戦後におきましては非常に道路が発達してきておりますし、また、最近におきましても高速道路のいろいろな具体化ということもあるようでございまして、那覇市におきまして一体鉄道がいいのかあるいは地下鉄がいいのか、それから四十七年に都市モノレールの整備の促進に関する法律が議員立法で成立いたしましたときも、沖繩におけるモノレールの問題がいろいろと議論されたわけでございますが、現地におきますいろいろな道路敷の問題あるいは河川敷の問題、そういった用地買収の問題を含めまして都市計画をどうしていくかというようなこと、あるいは資金調達の問題、採算性の問題こういったいろいろな面において、現在県あるいは市においてもいろいろとモノレールについては調査検討をされておるようでございます。四十九年度からは、都市モノレールにつきましては、建設省のほうにおきましてもいろいろと道路の一環という意味におきましての具体化も進められてくるわけでございますが、運輸省といたしましては、そういったすべての面を含めまして、那覇における都市交通のあり方という点を総合的に検討してまいりたいと思っております。
  276. 上原康助

    上原分科員 きょうは時間がありませんので、こまごました点までは申し上げられませんが、バス企業の公的一元化は、聞くに値するけれども、必ずしもそれがベストなのかベターなのかということなんで、当面は私的な企業の一元化を進めていくということ、財政的な面もいろいろ補助制度を考えていきたいというお立場のようですが、これは大臣、鉄軌道を含めて、私はやはり、なぜああいう交通渋滞が生まれたか、道路整備でといったって、その新しい縦貫道路を、高速道路をつくったって路線権はアメリカにしかないというようなばかげた話も実際出てきている。そんな高速道路なら要らないというのです。そういうことじゃなくして、実際に沖繩のあの交通渋滞というものは県民だけのことじゃないと思うのだ。国策によってああいういびつなかっこうにされたということは、運輸省自体ももう少し考えていただきたいと思うのです。そういう意味で、総合的にこの問題についてやっていただきたいと思うし、特にあの海洋博に向けての通行区分の変更においては、バスのドアだって全部変えなければいかぬわけでしょう。そういった財政はどうするのか、あるいは現在の交通信号機、そういったものの変更などもいろいろやられていると思うのですが、すべてを県でやる、その当事者だけにしわ寄せされてはたまったものじゃないですよ。そういった面の財政的な面も十分考えていくという大臣の決意というか所見も、この際この問題について賜わっておきたいと思うのです。
  277. 徳永正利

    徳永国務大臣 沖繩県の実情については、私、二十九年ごろからたびたび参りましてよく存じておるつもりでございますが、いまおっしゃいましたように、交通の問題は確かにこれはもう、特に復帰後いろいろな問題を含んでおると思います。道路の問題等、管理の問題等、あるいはその他もろもろの交通行政というものが錯綜し、また、こんがらかっていることも事実だと思います。御指摘のように、沖繩海洋博を目の前に控えまして、まずこちらから沖繩に行く、よそから沖繩に入るという問題も大切かもわかりませんけれども、沖繩の中の交通体制というものを沖繩県だけにまかして、そちらでやれということでは私はこと足りないと思います。開発庁等ともよく相談いたしまして、御指摘の点はできるだけひとつ私どもも力を入れてまいりたいと思っております。
  278. 上原康助

    上原分科員 ぜひ陸上交通の問題交通総合政策、そういう面を早急に立てていただいて、できるだけの解決策といいますか御努力をいただきたいと思います。  そこで、関連するわけですが、いま陸の上のことを申し上げたのですが、今度は空はどうなっているかということですね。沖繩の那覇空港ははたして安全なのかという気がするわけですよ。特に去る三日のフランスのパリにおけるいわゆるトルコ航空のエアバスの事故で多くの人命を不幸にして失ってしまった。ほんとうに空の大惨事、かつてない惨事になってしまった。私も絶えずジャンボを利用していますので、そのつどひやひやしながら、ほんとうに那覇空港というのは安全なのかという気持ちを持ちつつ利用もしているわけですが、御承知のように復帰の時点では那覇空港は完全返還するんだ、目玉なんと言ったんですが、もう目玉が二つも三つも抜かれちゃって、いま自衛隊、米軍、それから民間というような共同使用というんだが、ほんとうにもう複雑な使用の形態になっている。そういう意味で、一体那覇空港の安全性というものは、はたして技術的に、科学的に十分なのか。いま日航が川を就航しているわけでしょう。何か聞くところによりますと、三月の十日——十日といいますともうすくですよ、全日空がまたロッキード一〇一一ですかを就航させる。いまでさえ空港は、もう御承知のようにターミナルはできていない。先ほども言ったように、陸上の輸送網は全然整備されていない。空港はしかも自衛隊機、米軍機錯綜しての危険度がある。そういう中にまた全日空もジャンボ化していった場合にどうなるのか、非常に危惧の念を抱かざるを得ないわけですよ。政府は、国会などでの各委員の質問に対しては、四月から就航しようとしているいわゆるエアバス運航というものは既定方針どおり就航させるという御方針のようですが、何か沖繩をモルモットにしてジャンボをテストしているような気がしてならない。したがって、ここで数字をあげるまでもないのですが、この問題について空港がああいう状態であるということと、ほんとうに安全性の確保ということが十分なのかどうかという面も再検討する必要があると私は思うのです。そういう意味で、この問題に対する責任ある御回答をいただきたいと思うのです。
  279. 寺井久美

    ○寺井政府委員 お答え申し上げます。  ただいま大型機の導入に関連して那覇空港の安全性がだいじょうぶかという御質問でございますが、大型機は、飛行機自体は従来の在来機よりも、安全性そのものは非常に向上いたしております。御指摘のように、問題は那覇空港の運営のあり方という点に問題があろうかと存じますが、私ども管制上の観点からいたしますと民間機、軍用機ともに扱っておりまして、管制上の安全ということには万全の配慮を払って運航、離発着をやらしております。また、地上の施設等が不備である点は御指摘のとおりでございますが、ターミナル地区の整備、それから駐機場等、海洋博にあわせまして漸次目下整備をいたしておりますが、現在の状態は確かに手狭でございますが改善されていくという見通しを持っております。
  280. 上原康助

    上原分科員 そうしますと、全日空の就航計画も予定どおり認可をする、変更するという御方針はないわけですか。安全性の面を皆さん非常に強調しているわけですが、騒音が少ない、安全性は十分だということを言っている。これは政府もそうですが、これを製作する会社もそうなんです。しかし最近のいろいろな新聞報道などを見て感ずることは、パイロットやあるいは整備員の皆さん、管制官の方々でも、現在日航が国内線に使用するジャンボ機、ボーイング747型SRは、特に三階の十六席は非常時の場合に規定のように脱出がむずかしいんじゃないか、そういう不安があるというようなこと、あるいは定員が現在のジェット機の倍にもなるのに、沖繩もそうなんですが、北海道あるいは東京、福岡、まあ大阪などもエアバスにされた場合に、私はいろいろな問題が出てくると思うのです、ダイヤの組み方を現在どおりいくという場合は。ほんとうにジャンボを就航させるということであるならば、それだけの空港整備に——いろいろな面で安全性の確保をやって初めてそういう需要を満たしていく方針をとらずに、人間だけ大量に速く運べばいいということじゃないと思うのですよね。そういう緻密な対策というものがはたして運輸省でとられているのかどうか、非常に疑問を持つのですよ。しかも現場で働いておられる経験者がそういうことを言っておられる。あるいはまた避難口は、ハイジャックの対策で通常はかぎをかけられておって、非常時の場合は間に合わない危険性もあるんだ、こういうことなども、改善を運輸省に対しても会社に対しても要求をしていくんだという動きをいまやっているわけでしょう。そういうようなことなど考えた場合に、沖繩の那覇空港の実態を考えてみて、もう少しこういったものに対しての安全性というものを、利用者が不安のないような状態を確保してジャンボ機の就航というものを認可していくという、それだけの用心さ、慎重さがあっていいんじゃないですか、大臣。万が一事故でも起きた場合一体だれが補償するか、責任持つかということ、私は、そういった慎重さというものに欠けていはせぬのか、大量に速く人間を運べばいいということでこと足りるということじゃないと思うのです。人命をまず第一にするということが、やはり運輸行政の基本でなければいかないと思うのです、特に空の問題は。その点に対するいまの御答弁では、どうも納得いかないですね。
  281. 徳永正利

    徳永国務大臣 運輸行政は、もう空と陸とにかかわらず、人命、安全ということ、これが第一の要件であると思います。もしそれに自信がないようだったら、むしろとめるべきだぐらいに私は思っております。そういうような点から、特に御指摘のような空の旅というのは、これはもう念を入れるにも念を入れてやりませんと、万々が一でもあってはならないことでございますから、そういう点につきましては、運輸省といたしましても今日までこれを許可するにあたりましては、試験も、あるいは調整も、あるいは検査も十分尽くしてやってきたわけでございます。御承知のように、先生先ほどもお話がございましたように、日航は四十七年の暮れからジャンボ・エアバスというのを沖繩に就航させておるわけでございますが、決して沖繩だからというわけではなくて、御存じのようにいま飛行場に対しまして、騒音に対しましてきびしい環境基準が示されまして、これにほんとうに合格点のとれる飛行場というのはもう数少ないわけでございます。そのうちの一つが沖繩でございますし、そういう意味からも四十七年の暮れから日航が就航をやっておるわけでございますが、安全性の問題につきましては、御指摘の点もさらに十分検討を加え、もう万々が一フランスで起きたような事件がございますと、一挙にたくさんの方々を犠牲にしなければならぬということでございますから、私どもの責任もそれだけ大きいわけでございます。この点につきましては、万全を期してまいりたいと思っております。
  282. 上原康助

    上原分科員 時間がきょうはありませんので、運輸省設置法のあれも内閣委員会に出ておりますので、そのほかの点もいろいろお伺いしたいのですが——安全性のことを技術的に見て、そんなに万全を期しておられると言っても、皆さんが出したこの報告書によっても、那覇空港の件についてはいろいろ改善をしなければいけない点があることをここに指摘しているのですよ。そういう状況の中でいまも日航がやっている。また全日空もやる。大型化されていった場合一体どうなるのかというのです。しかも、空港の交通量の場合を見ましても、何と五七・二%は自衛隊と米軍が実際に使っている。民間は四二・八%。これは皆さんが出した資料なんです。しかもタッチ・アンド・ゴーと言って米軍機、自衛隊機がどんどんやっているわけでしょう。そういうようなことも十分に整理をされないままに幾ら精神的に安全を期するのだと言ってみたって、ほんとうにこわいですよ、大臣。ですから、私はいま空の交通量の問題なり需要——いろいろな観光面を含めて、これ全面的になくしなさいとは言いません。しかし、こういうものを十分に整理がされないままにいまのような形で強行されるということには反対せざるを得ませんね、交通管制の問題いろいろありますが。それに対しては再検討をいただくということができるのかどうか、御答弁をいただきたいと思うのです。
  283. 徳永正利

    徳永国務大臣 今後海洋博等につきまして、またいろいろ空からあるいは海からの輸送がふえると思います。すでに現在におきましても、いま御指摘のような問題もございますが、十分そういう点は念には念を入れてやりたいと考えております。
  284. 上原康助

    上原分科員 どうも。残ったことについては別の機会にまた……。
  285. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて上原君の質疑は終了いたしました。  次に、島本虎三君。
  286. 島本虎三

    島本分科員 ただいま上原君が空の環境保全、音の公害対策に対して鋭い格調の高い質問があったのであります。したがいまして、私の場合もやや相似た点から出発いたします。というのは、新幹線の場合の騒音、それと現在よごされた港湾に対するしゅんせつ等の工法の問題、ここに限りまして若干の時間でありますが、ひとつ質問したいと思います。  大臣、最近新幹線に対しての騒音公害ということが急にやかましくなってまいりました。環境に対してのいろいろなアセスメントもなかなか重要性を帯びてまいりました。この新幹線、何ホンまでいいのか、これもいろいろともうすでに考えられておると思います。  その前に、新幹線その他国鉄の在来線を含めて、工事前に環境アセスメントを完全に確立するようにして、それから着工してございましょうか。着工した後に環境アセスメントを考えてございましょうか。国鉄はどちらの方法をとってございましょうか。
  287. 徳永正利

    徳永国務大臣 国鉄の総裁はここにいらっしゃいますけれども、実際この騒音問題につきましては、最近とみに問題が出てまいりまして、忌憚なく申し上げますならば後手後手に回ったわけでございます。今後の公共投資等につきましては、事前にそういうような問題について万全の策をとった上でやらなければならない、かように考えております。
  288. 島本虎三

    島本分科員 私はそのとおりだと思っているのです。したがって、これはもう環境アセスメントを確立しないで着工するということに対して、環境庁は何らそれに対して環境権の、いわば調整権の発動がないのですか。いままでそういうようなことばございませんか。環境庁来ておりませんか。
  289. 鈴木善晴

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  ただいま運輸大臣からもお話がありましたように、従来、鉄道建設につきましては事前のアセスメントに欠ける点があったということは事実でございまして、これはたいへん遺憾な点でございます。今後鉄道建設する場合には、十分アセスメントをやった上で建設するということで進めていただきたいと考えております。
  290. 島本虎三

    島本分科員 今後ということになりますと、大臣、いますぐと今後との間の間隔はもうまことに緊迫しているのです。  本四架橋の問題があります。あの中には、鉄道をそのまま行く架橋も二線あるようであります。もうすでにきまったかのようであり、繰り延べをされているようでありますけれども、あの中には重要な一つの環境保全のための特別保護区域がございます、国立公園内の。環境保全法と自然公園法によって特にその場所は手を触れるべからず、りっぱな環境として残しておくべきだという特別環境保全区域第一種があるのです。それが橋げたにされるような構想が発表されていますが、自然環境保全ということ、環境アセスメントを確立してからやるとするならば、この瀬戸内海の本四架橋三橋の見直しに対してどうお考えでしょう。
  291. 秋富公正

    秋富政府委員 本四架橋につきましては、これは鉄道道路と併用いたしますのはいまの二線と言われましたAルートとDルートでございます。これにつきましては本四架橋公団においてその工事を行なわせているわけでございますが、ただいま御指摘のような問題につきましては、実は私もはなはだ不勉強でございまして、そういった問題について詳しく承知いたしておりませんが、さっそくよくその点の事情につきましても調査いたしたいと考えております。
  292. 島本虎三

    島本分科員 まことに大事な問題です。もうすでに自然公園法、そのあとで今度は自然環境保全法、二重、三重に、いまよごされた環境の保全を、もうこれ以上よごされないために歯どめをかけているのです。歯どめをかけて、それが第一種、第二種、第三種、普通地域。第一種、第二種の場合には、はっきり申し上げまして国が指定して、その個人の承知があったならば全部買い上げて、そしてそれを個人がかってに破壊しないようにする地域であります。その第一種というのはもう国の土地であって、国はもうすでに自然環境を保全するときめた土地なんです。それがむざんにも橋げたの中に隠されてしまう、環境保全について何らなすべきところがない。これは環境庁知らないわけないでしょう。あなたはあれを黙っていたのですか。少しは環境庁、ものを申したのですか。
  293. 鈴木善晴

    ○鈴木説明員 お答え申し上げます。  実は私、騒音公害担当の課長でございまして、自然環境保全の担当でございません。ほかにも環境庁から課長は来ておりますが、自然保護関係の人は来ておりませんので、ちょっとお答えしかねますが……。
  294. 島本虎三

    島本分科員 大臣、それから総裁、この国鉄の何ですか公団、そっちのほうへ言うと、やれと言われたからやるんだ、環境破壊は関係ないと言うのです。こんな無礼な話ありませんよ。これ国の施策の誤りです。何かこれがそのままだったら、せっかくりっぱな環境で保全するのだったら、下を通すのも手じゃありませんか。上を通すのばかりが能じゃありませんね。鳴門のあの秘境、世界的に有名な渦潮、あそこも自然環境の最重要地点。その上をむざんにも橋げたにして通る。なぜあの下を通して、上からそれを見せるようにして、その自然環境を破壊しないように国鉄はやらないのでしょう。環境庁が黙っているのはおかしいな、環境庁。あなたたちは、なぜ黙っているのですか、自然破壊されるのに。いまもう大臣以下頭を悩ましているのに、本職はあなたたちじゃありませんか。三木環境庁長官のほうを通るから黙っているのですか。それはだめなんです。これはやはり環境保全をきちっとしてからこれに着工する、これだけはもう大臣、約束しておかないととんでもないことになり、笑いものになりますが、この点について決意を伺います。
  295. 徳永正利

    徳永国務大臣 環境保全というのは、これはもう最近、特に自然環境保全法も法律まで用意されていることでございますし、私どもはそういう第一種の中にどういうわけでこういうものができたのか、あるいはできたとすればどういうような観点でこれをはずしているのか、そういうような点につきましてつまびらかにいたしませんが、ただ、やれと言ったからやりましたなんというような、そういうことはまことに無礼な話でございまして、十分そういうようなことは、法に基づくものならばその法をどういうふうに許可を得るものか等については万全を期している、万間違いないとは思いますけれども、そういうことであるならばなおよく調査してみたいと思います。
  296. 島本虎三

    島本分科員 それで、総需要抑制と公共投資の抑制、この国の大方針によって新幹線は、きまっても着工が延びておる、こういうようなことだろうと思いますが、いま、路線はすでにきまりましたが、今後これに対しての着工の点はどうなるのでしょうか。
  297. 秋富公正

    秋富政府委員 現在、新幹線もいろいろとございますが、まず第一の山陽新幹線につきましては、これは所期のとおり本年の十二月の末に完成し、開業いたす予定でございます。  次に、いわゆる工事三新幹線と申します東京から盛岡までの東北新幹線、東京から新潟までの上越新幹線、それから成田新幹線、これにつきましては、総需要抑制という見地から四十九年度の工事費は四十八年度とほぼ同額でございます。これにつきましては国鉄、鉄建公団それぞれにおきまして、最も工期を要します超大隧道でございますとかあるいは超大橋梁でございますとか、あるいは用地買収に時間を要します大都市過密地帯の用地買収という点を精力的に進めていく所存でございます。  次に、整備五新幹線でございますが、盛岡から青森までは、これは国鉄、それから函館から札幌までは鉄建公団、北陸新幹線も鉄道建設公団、九州の二新幹線は日本国有鉄道におきましてそれぞれ現在調査中でございます。これはそれぞれにおきまして具体的な計画が出てまいりますと、この工事実施計画運輸大臣が認可するわけでございますが、この具体的な調査にあたりましては、先ほど御指摘もございました騒音の問題でございますとか振動の問題でございますとか、そういう点につきましても十分に配慮して国鉄、公団において現在調査を進めておる段階でございます。
  298. 島本虎三

    島本分科員 いままでは、着工してから後に環境アセスメントを確立する方式だった、今後は工事前に環境アセスメント、事前調査を確立してからこれは着工したい、やはり大臣のこの考え方並びに国鉄当局のいまの考え方は間違いないと思います。そうしないといけない。ところがいままでは逆だったのです。  ところで、この騒音の場合は当然対処しておると思いますが、振動の場合にこれは十分対処してございましょうか。この点は、方々から騒音と振動と一緒になったいろいろな苦情が出ており、実は公害環境特別委員会で土曜日一日、わざわざ名古屋、向こうのほうへ調査に行くようなことにもなってしまったわけであります。というのは、皆さんが種をまいたからであります。こういうふうなことで、今後は十分これを考えないといけないと思います。いかに予算をたくさん組んで、四十九年百九十九億円の音源対策費を組んでおる。音源対策費の百九十九億円のうちから二十三億円、これを障害防止対策費としてまた振り向けてやろうとしている。これは大いに金をかけて二百キロにして走るよりも、ほんのちょっとこういうふうなところを速度を落としたら、もうほとんど何でもなくなる、こういうふうな実態であります。それから振動の点においてもしかりであります。いま環境アセスメントの点はわかりましたが、騒音の場合に、現在、中公審からどのような勧告が出ておりますか。
  299. 秋富公正

    秋富政府委員 一昨年の十二月に、環境庁長官から運輸大臣に勧告がございましたのは八十ホンということでございます。これはあくまでも現在開通いたしております新幹線についてでございまして、これを今後さらに、いろいろと環境庁のほうにおいても現在作業しておられるわけでございまして、新しくつくります新幹線につきましては、この環境基準を開業当初から確立して守っていくという所存で、国鉄、公団ともにその所存で作業いたしておる状態でございます。
  300. 島本虎三

    島本分科員 振動と騒音の強い名古屋の郊外十キロぐらいの個所から五百九十名ぐらいの人たちが、騒音の基準は、昼は六十五ホン、夜は五十五ホンにしていただきたい、それから振動は、昼は〇・五ミリ・パー・セカンドにしてもらいたい、夜は〇・三ミリ・パー・セカンドにしてもらいたいというほどに、振動と騒音のひどい場所もある、こういうふうなことであります。まあいろいろな点からして、まだまだ中公審のほうから出されているこれは再考の余地があるのじゃないか。八十五ホンなんて、これはとんでもないことです。これは七十ホンでもひどいのじゃないか、当然六十ホン以下にしてくれという要請が出るわけであります。これはもっと考えるべきであります。時間の関係でこれは答弁は要りませんが、考えるべきです。これはもう大臣、考えないといけません。それと同時に、今後敷設を予定している新幹線の場合には十分この点を配慮される、こう思います。  それで今度、私の場合、北海道になります。北海道の場合は青函連絡線、あれは広軌ですから新幹線様式で掘っているはずです。それが今度つながります場合には、海からと、いわゆる北海道の新幹線ができる場合——これは北回りに決定しました。そうなりますと、途中通過区間、これは北回りの場合には、まだ開発されないいわゆる風光明媚地帯が多いのが小樽回りであります。自然公園地帯、森林地帯が多いのであります。それが当然長万部まで延ばされますと、室蘭、苫小牧地帯を通るいわば都市と、地盤のわりあいに軟弱な地点が多いのであります。そうなりますと、自然環境の保全をしなければならないような地点と地盤、振動、いま言っているような都市地帯、すべて網羅されることになるのです。これは十分事前に調査して、もうすでに北海道には風光明媚な環境保全あっても、新幹線ができても公害による被害は一つもない、こういうふうなことにして、これはやはり当然やらなければならないはずであります。これくらい準備なしにかってにやられては困る、こういうふうなことになるのでありますが、その点に対する決意はどうですか。
  301. 秋富公正

    秋富政府委員 ただいまのいわゆる南回りと申しますか、これは十二新幹線の一つでございまして、昨年、基本計画を決定いたしておりますが、まだこの整備計画まできめる段階にはなっていないわけでございます。まだこれにつきましては、順序といたしまして相当段階があるわけでございますが、ただいま御指摘のような地盤の問題、騒音の問題、振動の問題、環境保全という問題につきましても、これを実際に着工するまでには十分調査をし、対策を講じていきたいと考えております。
  302. 島本虎三

    島本分科員 その辺に私も住居してございますから、いつでもその対策に対しては目を光らせておる、この点だけは御忠告を申し上げておきたい、こう思うのであります。  それと同時に、時間の関係で前へ進ませてもらいます。去年はたいへんな年であったわけでありますけれども、五月二十二日のいわゆる第三水俣、これが発生いたしました。そして六月十四日に、環境庁長官を中心に各省庁にわたって水銀、PCBの緊急対策十一項目を策定し、真剣にこれと取り組む方針が明らかになりました。それで運輸大臣、その際にヘドロ対策一つとして水俣湾の埋め立て、これを本年度中に開始する、その責任は運輸省である、こういうようなことがきまったわけであります。本年度中というと四十八年度中であります。そうすると、いま四十九年度の予算をやっておるわけであります。この本年度中に開始する運輸省主宰の熊本の梅戸港の埋め立て、これはどういうふうになってございましょうか。
  303. 徳永正利

    徳永国務大臣 私が概略を御説明申し上げまして、あとで政府委員から答弁させます。  これは確かに四十八年度にやるということを、私は、だれがどう言ったということはよく存じませんけれども、たびたび言明をしているそうでございます。一つは、そのヘドロに対するPPなんとかという……(島本分科員「PPMか」と呼ぶ)PPMの基準というものが昨年の暮れ、また七月ごろか八月ごろに一応環境庁のほうから勧告があったというようなこと等もございまして、多少そういう面で足踏みをしたことも事実のようでございます。それはそれとしまして、今月の四日に熊本県知事を三木副総理がお呼びになりまして、私も立ち会いまして、そして三者の間で水俣港の汚泥処理事業は、これは港湾管理者がやるというのが原則でございますから、一応熊本県が事業主体となって実施する、そういうことにするけれども、この事業の技術的困難性、それから事業規模等を勘案して——これはなかなか大事業てございます。したがいまして、主たる工事運輸省が受託いたしまして施行することにしようということで結論を見たわけでございます。したがいまして、この工法等につきましては、現地の港湾局を通じまして至急熊本県と協力をいたしまして実施計画等の策定に当たらせるわけでございますが、できるだけ早く着工するためにこれらの準備を進めたい、かように考えておる次第でございます。  詳細につきましては港湾局長から説明させます。
  304. 島本虎三

    島本分科員 大体概略はいま大臣がおっしゃいました。しかし二百三十万平米、そして埋め立てによって、やり方によって二次公害がまた発生する。どうにもできなくなってそこを埋め立てる、埋め立てる場合でも、外のほうにも同じようなヘドロ、有機水銀、こういうふうなものが蓄積されておる。わりあいに薄いというだけなんです。こういうところだけを埋め立てるのです。やり方によってはその辺に再びヘドロをまき散らすということになってしまうわけでありますから、その工法は、われわれはどういうような工法を採用するのか、これは重要な一つの焦点だと思っております。これはどういうような工法を採用なさいますか。
  305. 徳永正利

    徳永国務大臣 御指摘のように二次公害、これがたいへんなことだということで、これがいま一番問題点になっていろいろ議論があるところでございますが、詳細につきましては政府委員から説明させます。
  306. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 二次公害を起こさないような工法を十分検討してやっていきたいと思いますが、工法にも二点ございまして、一つはしゅんせつの工法であるとか埋め立ての工法、そのような技術的な問題、もう一つは平面的に見た考え方があると思います。いま考えておりますのは、いろいろなやり方があると思いますけれども、やはり暫定除去基準の水銀濃度二五PPM以上の範囲、これは約百八十ヘクタールございますが、これを全面的に締め切ってしまいまして、その全面的に締め切ったものを埋め殺してしまうという案も一つございます。  それから締め切ったその中で作業をいたしまして、非常に濃いところに比較的薄いどろを捨てていくというような工法、要するに作業してよごれた水が拡散しないように全部締め切ってしまって、その中で作業をやっていくというようなことを中心にして考えていかざるを得ないのではないかというように思っております。ここら辺の工法は、ただ土木的なものだけではございませんので、いろいろ現地における学識経験者であるとかあるいは環境庁、運輸省、それから現地の県、県の技術者、運輸省の第四港湾建設局の技術者、そういう方々に技術検討委員会をつくっていただきまして、そこで十分その検討をしながら結論をまちたい、こういうふうに考えております。
  307. 島本虎三

    島本分科員 本年度の予算の中に大体予算か調査費、こういうようなものは見込んでございますか。
  308. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 実は本年度の着工を見込みまして、できるだけ本年度仕事を進めたいために、一応四十八年度にもその準備をしていたわけでございますけれども、これはやはり着工そのものはなかなかむずかしいということは、先ほどの大臣のお話しのとおりでございます。  四十九年度におきましては、水俣だけでなくほかの北九州、田子浦、大牟田等も含めまして、国費といたしましては約十五億円用意してございます。この中で水俣の事業を行なうわけでございますけれども、水俣の場合には、今後公害対策審議会等によりましてその事業費の負担割合等がきまりますけれども、おそらくその結果によりましては、四十九年度におきましては二十億とか三十億とか、そのような総事業費で施行できるものと思っております。当然この中で調査といいますか、一つ一つの、先ほど申し上げました締め切り堤の調性、このところは非常に軟弱の地盤でございますので、この軟弱の地盤の様子、そのヘドロの厚さ等も十分調査してまいりたい、このように考えております。
  309. 島本虎三

    島本分科員 何十億という予算を組んでおられるようであります。しかし大臣、総理をはじめPPPの原則はあくまでも守ると言っております。この排出源はチッソの水俣工場であります。原因者がわかっておるのであります。それでも国費を投入するのですか。
  310. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 この問題は、当然PPPの原則を貫いていくわけでございまして、公害対策基本法の原因者負担の原則に基づきまして、その原因の割合に応じて事業者に負担をさせるということになると思います。  また、仕事そのものもいわゆる公害防止対策事業の性格のものと、それから港湾そのものが改良されていく性格のものとがあると思います。それからまた、仕事をしていく段階におきまして、しゅんせつをしたもので、ある程度埋め立ての土地をつくっていくという面もあるかとも思います。そこら辺のことを十分考えましてPPPの原則を貫いていくという点が、これから公害対策審議会等の御意見を承りながらきまってくることと思います。
  311. 島本虎三

    島本分科員 あなた、そういうようなことを言っては困りますね。恋路島まで全部埋め立ててしまう、埋め立ててしまうから二百三十万平米、これだけのものをやらなければならない。新たに港をつくる、港をつくるなら、そのつくる部分に対して国費投入はいいでしょう。これはヘドロを、どうしてもだめだから埋め立てる。原因者負担の原則があるといったならば、国はそれぞれ負担区分に応じてやるというならば、原因者がはっきりするのに、そのほかの負担区分はどなたが負うことになるのですか。国と都道府県と市ですか。そういうことがどうもはっきりしないじゃありませんか。これは港じゃありませんぞ、埋め立てですぞ。新たに港をつくることをいまここで言ったってしようがないじゃないですか、これは埋め立ててしまうのですから。  これは、時間来ましたけれども、申しわけありませんが大事なんですな。
  312. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 私の説明がまずかったかとも思います。港湾の建設も同時にやりながら、この計画を練っているのが県のいまの実情でございますけれども、いまの港湾のプラス面は全く考えなくてもよろしゅうございます。私の先ほど言いましたのは、そこの部分は除いて考えていくべきであると思います、先生のおっしゃったPPPの原則につきまして。そのPPPを除いた分については、いままでの法則どおりやるというように考えております。
  313. 島本虎三

    島本分科員 その場合には、原因者が負担能力がない場合には国がかわってやって、あとから長期支払いで肩がわりを十分考えてやる、これがいままでの答弁なんですよ。ですから、そうでないとだめなんです。いつの間にかこれまた変わっていってしまって、大事業奉仕の姿勢にまた戻るということになればたいへんですから、とりあえず中途においてこのことを注意を喚起しておきます。  なお、この事業は公害対策事業として重要な部門でありますから、急いでやるように心からこれを要請して、皆さんのこれからの奮起を促して、私の質問を終わるわけであります。
  314. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて島本君の質疑は終了いたしました。  次に、井上泉君。
  315. 井上泉

    井上(泉)分科員 大臣にまずお尋ねするわけですけれども、衆議院の予算委員会で、エアバスの安全性を再点検をする、こういうふうに大臣答弁をされておるわけですが、この考えは今日も持っておられるのですか。
  316. 徳永正利

    徳永国務大臣 エアバスにつきましては、御承知のようにエアバスというのは俗称だそうでございますが、この中には三種類があるようでございます。一種類は、いま現に四十七年の十月から沖繩に日本航空が就航させております飛行機でございます。それから三月十日から就航させようという予定にしております飛行機は、これはロッキードの飛行機でございます。それからもう一つは、フランスで事故を起こしましたダグラス10という飛行機でございます。  私が予算委員会で申しましたのは、何はともあれ国民に与えた影響というものは、エアバスということばで私ども呼んでおりましたし、またフランスにおいて事故を起こした報道もエアバスということでございますから、そういうことにおいては非常な大きな疑点を抱いたと思います。そういう意味におきましてももちろんのこと、またああいう事件を契機といたしまして、たくさんの人間を輸送するのでございますから、そういう就航につきましては、さらに運輸省としても技術陣を督励しまして検討し、さらに検査もし、試験もして、万全を期して間違いのないようにやれということを言ったわけでございまして、そういう趣旨でやらせておるわけでございます。
  317. 井上泉

    井上(泉)分科員 そういう大臣の趣旨にこたえる気持ちで運輸省は就航認可の方針、これはそういうように安全性を確認するために、今度のトルコ航空のあの悲惨な事故にかんがみて、この安全性の確保については十分再検討して、徹底的にこの原因究明もやって、そうして予定をされておる国内線就航のエアバスについても、これは当然私は、あなたのことばから出てくれば、これが今月の十日から就航するのを既定の事実として考えるのではなしに、この事実に、三月十日から就航するとかいうことは一応たな上げして、この安全性というものをこの際再点検をし、国民に安心して乗ってもらえるような確認をして、初めてこの就航の許可ということがあってしかるべきだと思うわけです。あなたの気持ちが表明されるときにはすでに就航の許可をされておる、許可する方針である。こういうふうなことが報道されているわけですが、これについては航空局長のほうは大臣の気持ちと相反しやしないかと思うのですが、航空局長答弁を願いたい。
  318. 寺井久美

    ○寺井政府委員 このエアバスと申しますのは、実は大臣も御紹介になりましたように、ボーイング747のSRとロッキードの一〇一一、この二つの機種が日本ではいわゆるエアバスということになっておりまして、この二つの機種の導入につきましては安全性の検査をすでに過去から十分やってきておりまして、安全性が在来機よりも一段と高いということが確認されておるわけでございます。ただいま先生指摘のパリで事故を起こしましたDC10の事故原因につきましては、これはフランス当局が事故原因を解明するまで待たなければなりませんが、大臣のお気持ちといたしまして、従来すでに新機種の導入についていろいろ航空局として準備をしてきておった、それに手落ちがなかったかどうかもう一度確認をしろという御趣旨であろうかというふうに考えまして、さらに過去にやりましたことを振り返りまして手落ちがないことを確認いたしまして、現在予定されておりますこのロッキードの一〇一一というものについて十分安全上の検討を済ましたというふうに考えております。なお、このエアバス自体の安全性につきましてさらにこまかく御質問がございましたら、技術部長のほうから答弁させたいと思います。
  319. 井上泉

    井上(泉)分科員 こまかく突き詰めていくと時間がないですから、それはまた適当な機会に譲るといたしましても、大臣がエアバスの安全性を再点検をしてやる、こう言うそのことばと同時に、もう十分点検をして問題はないと思うから許可したと、こういうことになると、まさに神わざのようなものですが、私はそういうふうなところに危険がひそんでおりはしないか、こう思うわけで、大臣が再点検する、さあこういうエアバスの事故にかんがみて再点検というのが、これが半時間や一時間で再点検ができるものではない、私は常識的にそんなふうに思うわけなので、もう少し慎重に対処してやっていただきたいと思います。  その次に大臣にお伺いするわけですけれども、きのうも私、外務省関係の分科会で大平外相に質問を申し上げたわけですが、日中の航空協定を締結するにあたって台湾との関係というもの、日台路線というものが非常に問題になっておった。そういう中でどうも運輸大臣が足を引っぱっておりはしないか、こういうふうな話を聞くわけです。何も大平大臣から聞くわけでもないですけれども、何かしら運輸省のほうがこの日中の航空協定については足を引っぱっておるというように聞くわけでありますが、それは確かな情報ではありませんので、それは運輸、外務とも一体とした形でやっておると思うわけですけれども、その辺についての大臣見解と、あわせて台湾航路については既存の会社ではだめだ、あるいは新会社であるとか、あるいは既存の三社のうちのどこかにやらすとか、こういうことが伝えられておるわけですが、日台航路の扱いについてはどういうふうに考えておるのか、あわせて御見解を承りたいと思います。
  320. 徳永正利

    徳永国務大臣 私が日中協定の足を引っぱっているというようなことがいわれているということにつきましては、心外の至りでございます。一日も早く日中協定が締結せられることを望んでおりますし、また外務大臣と私の間にそういう点において意見の相違はございません。日台路線につきましては、日台路線と中国路線とを同時に交渉を始めるというよりも、この路線を両方維持するということが一つの命題になっているわけでございまして、そういう点においてはいろいろな面で実務的なものを持っております運輸省としては、心を砕いていることは、これはもういなめない事実でございます。また、台湾に飛びます飛行機は一体どういう会社がやるのかという御指摘でございますが、この点につきましてはまだ決定いたしておりません。いまからいろいろ、あるいはまた運輸政策審議会におはかりしなければならぬようなことになるかもわかりませんし、それはともかくといたしまして、どういう形になりますか、ただいまのところまだ決定を見ておらないのが事実でございます。
  321. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは、日台航路の扱いについては、新聞紙上では、与党自民党のほうではいわゆる新会社ではやらせない、こういうようなことが伝わっておったわけですけれども、そこまではいってないわけですか。
  322. 徳永正利

    徳永国務大臣 そこまでもいってないことは明白に申し上げておきますが、そういうものにまだ固まったものはございません。
  323. 井上泉

    井上(泉)分科員 運輸大臣も日中の航空協定については早期妥結へ向かって外務省と協力して進んでおられる、こういう大臣の御見解に対しまして私も賛意を表して、一日も早くこの実務協定が実現をするように奮闘していただきたい、かように思うわけです。  そしてもう一つ、次に大臣にお伺いするわけですが、総需要抑制というような関係で、本四架橋の三本のルートというものが着工まぎわになってストップがかかって、着工式をあげる、そういう案内状も出しておって、それでストップがかかってそのままになっておるのです。この間も建設大臣が六月ごろには着工ができるではないか、こういうふうな見解を表明されておったわけでありますが、やはり運輸大臣としては、本四架橋はいつごろ着工のできる見込みを立てておるのか、その辺の御見解を伺っておきたいと思います。
  324. 徳永正利

    徳永国務大臣 建設大臣がどういう根拠でそういうことを申しましたか私は存じませんけれども、私といたしましては、総需要抑制の観点から、まだいつごろに着工できるという目鼻がつく段階ではないと思います。
  325. 井上泉

    井上(泉)分科員 その目鼻がつけられる段階でないと言われるのは、私はそれは事実だと思うわけですけれども、この本四架橋の問題、たとえば明石−鳴門には新幹線を入れる、あるいは坂出—児島のルートには在来の鉄道線路を入れる、そういういわば決定した当時の計画の本筋については変わりはないのですか。
  326. 徳永正利

    徳永国務大臣 ただいまのところ変わりはございません。
  327. 井上泉

    井上(泉)分科員 それでは次に、これは鉄監局長にお尋ねをすべきだと思うわけですが、実務的なことですから。  高知県の、土佐電鉄が経営しておった安芸線が廃止になることになって、大体諸般の事務的な手続もなされておるというように聞くわけでありますが、この廃止をされる土電安芸線の取り扱いはどういうふうにされるおつもりであるのか、承っておきたいと思います。
  328. 秋富公正

    秋富政府委員 この線につきましては、現在地元の同意もございまして、廃止認可申請書が本省に申達されている段階でございまして、ただいま本省において審査いたしております。ただ、これを廃止いたしましたあとの地元住民の足の確保ということにつきましては、十分配慮していかなければいけないと考えております。
  329. 井上泉

    井上(泉)分科員 土電安芸線が廃止をされるということになれば、勢いこれに対する買収問題というようなものも提起をされると思うわけですが、そういうふうな窓口、いわゆる買収に関する窓口は、鉄建でやるのか国鉄でやるのか運輸省でやるのか、一体どこでこれはやるようになるのですか。
  330. 秋富公正

    秋富政府委員 これは鉄道建設公団のAB線といたしまして、鉄道建設公団が工事を実施いたすものでございますので、その窓口と申しますのは鉄道建設公団、さらに具体的に申しますと大阪支社でございます。
  331. 井上泉

    井上(泉)分科員 鉄道建設公団がこの安芸線の買収の仕事というものはやられる、こういうわけですね。
  332. 秋富公正

    秋富政府委員 鉄道建設公団といたしましては、鉄道敷設法に基づきまして新しく工事をいたすわけでございまして、それが直接に土佐電鉄の安芸線の廃線敷の買収ということにつながるものではございませんが、極力廃止線の一部を利用できるように、私たちといたしましても公団のほうには申しております。
  333. 井上泉

    井上(泉)分科員 その、一部ということにこだわるわけですけれども、とにかく後免−安芸の間で、建設公団のほうでこれを国鉄路線として買収してやる場合に、全部の路線が必要ではないと思います。しかし、全部の路線というものが使えなくなるわけですから、そういうふうな問題についてはどういうふうな配慮をなされるおつもりであるのか、そのことを承りたい。
  334. 秋富公正

    秋富政府委員 土佐電鉄の廃止と申しますものは、これは土佐電鉄の営業上の問題で廃止申請が出ているわけでございまして、いわゆる鉄道建設公団が阿佐線を工事するために廃止するというものではございません。したがいまして、土佐電鉄の安芸線の廃止に伴いましてこれを補償するとか、あるいは廃線敷の全部について手当てをするというようなことは考えておりません。
  335. 井上泉

    井上(泉)分科員 土佐電鉄の営業上廃止をするということに規定をすると、これは私はたいへん問題であろうと思うわけです。これは単に営業上あの路線赤字だから廃止をするということではなしに、あの線が鉄道建設路線として、すでに安芸から田野のほうまでばかなりの鉄道が敷設されておるわけで、やはりここへ国鉄路線が敷かれることによって当然廃止をされるべき運命にあるわけで、そういうことのしわ寄せが来た。長い間赤字であるけれども地域住民の足の機関として今日まで運行してきたわけであって、いわば一面においては国の政策の犠牲とまでは言わなくても、国の政策の影響を受けてこの路線というものは廃止せざるを得なくなってきた、こういうことは運輸省当局としても認識をしておらぬと、これは非常に問題になろうと思うわけですが、どうですか。
  336. 秋富公正

    秋富政府委員 この点はきわめて重要な問題でございますが、鉄建公団の建設のために廃止するというものではございません。と申しますのは、現在鉄道建設公団は、御承知のように、徳島側と同時に高知県においても、一部すでに工事は安芸−土佐田野間におきましてはいたしておるわけでございまして、最初の計画におきましては、これは必ずしも直接すぐにいたすわけでもなかったわけでございますが、土佐電鉄の経営の問題も種々考慮いたしまして、この後免−安芸間につきましての具体的な工事を進めるようになった次第でございます。
  337. 井上泉

    井上(泉)分科員 その後免−安芸間の工事を進めることになって、鉄道建設公団がやるから廃止をするということではない、こう言われるわけですけれども、実際はやはりそこは鉄道が敷かれていくことによって、この鉄道路線というものは不必要になるのです。そして、赤字がかさんできた、だからこの際もうこれは廃止をしよう、こういうことになってきておるわけなんで、これは国の交通政策の影響のもとというか、その中でこの路線が廃止をされることになった、私はそう考えるべきだと思うわけですけれども、何かこうあなた冷たいようですが、おまえのところが赤字だから、だからかってにやめるんだ、こういうふうなお気持ちですか。
  338. 秋富公正

    秋富政府委員 私といたしましては、土佐電鉄が大正十一年以来この線をやってきている長い歴史も持ち、またその間地元住民の足の確保に貢献してきた点については、私も高く評価しているわけでございます。でございますが、いわゆる過疎化の問題、あるいは特に道路事情の好転によりまして自動車への転移ということが大きくなりまして、年々この輸送量というものが減ってきているわけでございます。この点につきまして、私といたしましても極力あたたかい目で見たいと思いまして、たとえて申しますと、ただいま申しましたように、鉄道建設公団においても、利用できるものであれば廃線敷を利用するように指示しているわけでございます。また同時に、ここの鉄道に従事しております職員が約百名弱でございますが、この転業につきましても、国鉄のほうに私のほうからも話をいたしまして——その国鉄のほうも現在要員の縮減をいたしている事情ではございますが、できるだけ国鉄のほうに転業できる人は救済するように国鉄のほうにも話しまして、現在四国総局と土佐電鉄のほうにおいてその話し合いも具体的に進んでいる状況でございまして、そういった面におきまして私は極力土佐電鉄の何らかの救済ができればできるだけ手を伸ばしたい、かように考えております。
  339. 井上泉

    井上(泉)分科員 局長のいまの答弁は私了解できるわけですけれども、初めのように、鉄道建設公団がやるのであって、別に廃止とは関係ない、そういう理解、いわば冷たい考え方で対処されると、これはせっかく地域住民の足を、赤字の中を営々と経営してきた土電の経営者、もしくはもちろん労働者にとっても、非常に耐えられないことだと思いますので、やはりそういうことは、いま述べられたような見解の中でこの廃止路線というものは考えていただきたいと思います。  そこで、この間予土線が窪川から江川崎というところまでの新しい路線が開通されて、四国循環鉄道の西部のほうの路線というものは一応そこででき上がったわけです。しかしながら、あの広い地域にそれをやる途中において——こういうローカルのことを申し上げて恐縮ですけれども、窪川の貨物駅は廃止をしておって、あの広い地域貨物取り扱いが全然なされない、こういうふうなことでは、私は、国鉄の持っておる使命から考え、そして地域の産業開発の面からも、これは国鉄としてはあまりにも営業一本やりの考え方に立っておるのではないか、こう思うわけですが、将来あの路線貨物の需要が増大する傾向、あるいはまた、非常な不便をかこっておるという実情が把握された場合においては、貨物駅を復活さすお気持ちがあるのかどうか、その点局長から御答弁願いたい。
  340. 秋富公正

    秋富政府委員 現在、窪江線が新しく三月一日から開通いたしまして、これが四国循環鉄道の一部をなしたということにつきましては、私たちも喜んでおる次第でございます。  そこで、この貨物取り扱いの問題でございますが、先生指摘のように、今後あの地域におきまして貨物輸送が非常に伸びてくる、あるいは地域開発ができてくる、特にあのあたりは木材の産地でもあるように承知いたしておりますが、道路輸送との関係その他すべてを見まして、将来国鉄輸送すべきというような輸送量の要請が出てまいりました際は、十分前向きで検討いたしたいと考えております。
  341. 井上泉

    井上(泉)分科員 それで安芸線の土電の路線が廃止をされて、そしてその間の住民の足を守るためにバス等の運行が予定をされておるわけですが、この路線建設、いわゆる鉄道建設をされる見通しというものは、大体いつごろまでに室戸、いわゆる牟岐線との接続を考えておられるのか。この点、局長のほうでは、いつごろまでにやろうという計画のもとに工事を進められておると思うわけですが、その辺のことを御説明願いたいと思うわけです。
  342. 秋富公正

    秋富政府委員 阿佐線は、全体で後免−牟岐間百二十五キロでございまして、その総工事費は約三百八十億考えられておるわけでございます。四十八年までにこの間に五十八億投入いたしておりまして、すでに牟岐−海部間十一・六キロは開業しているわけでございます。現在、安芸−土佐田野間の十四キロ並びに海部−甲ノ浦間の八・五キロは路盤工事中でございます。しかしながら、現在五十八億と申しますものは、三百八十億の中に比べればまだまだその額は少ないものでございますが、私たちといたしましては、これはやはり四国循環鉄道の一環でございまして、この路線の重要性は十分認識しておるものでございますが、何ぶんAB線の総工事費が四十九年度におきましても三百五十億ということでございますので、やはり重点的に投入して、できるだけ資本の効率化をはかってまいりたいと考えておりますので、現在においていつ完成するということは、まだ現時点におきましては明確にお答えできない状態でございます。
  343. 井上泉

    井上(泉)分科員 大臣に最後に私は質問申し上げたいと思いますが、本四の架橋がいつ着工できるか、見通しは全くいま立たない。これは三線同時に着工するという、あれを決定したときのいわゆる政治的な雰囲気の中でこのことを考えておると、私は三線同時着工ということではなかなかいつやっていいかわからぬと思います。これは御案内のとおり、きのう、おとといあたりの霧の関係でも、四国は孤島のような状態に立たされるわけですが、これがまた梅雨期に入り雨が激しくなると、もう宇高連絡船もとまるし、瀬戸内海の航行もとまる。全く四国は孤島化するわけで、少なくとも三つの橋の一つぐらいは早く着工すべきであると思います。それにはいろいろと政治家の思惑がからんで、いやこの線だ、あの線だ、こういうことになろうと思いますけれども、しかしそういうふうなことを論議をして、いたずらに工事が遅延をするようなことがあっては、これは四国島民としては非常に残念になるわけであります。これは四国島民だけでなしに、日本の国の経済、交通体系から考えて、本州・四国間に橋の一つぐらいはもう早くかけるべきだ、私はそういうふうに考えるわけですが、依然として三線に固執しておるからその着工が足踏みをしておるのじゃないか、見通しが立たないのじゃないか、そういうふうに考えられてならないわけですが、この点についての大臣の御見解と、さらにまた、いま鉄監局長が説明されました阿佐線という地方路線整備についての大臣見解を承って、私の質問を終わりたいと思います。
  344. 徳永正利

    徳永国務大臣 まず本四架橋三橋同時着工問題でございますが、これはいろんないきさつがあって今日まで来ていることは、私が説明するまでもなく先生よく御存じだと思います。この点につきましては、いろんな需要の問題もございましょう。あるいはまた、抑制の問題もあったりして、いろんな面から検討されると思いますが、私がいまここで一つだけそれではやるべきだというほど、まだ資料なり情勢を判断しているわけではございません。御説の点も確かに一つの御説だと思います。いろんな点を勘案して関係各省間で十分詰め合わせ、また財政面等からも検討されてきめるべきものだと思います。  それから、いま鉄監局長の説明いたしました地方線につきましては、これはAB線等の整備につきましては、先生指摘のように非常に重要な役割りを果たしてきたし、また今後も果たすべきものでございますから、そういう線につきましては、新幹線も大切でございますけれども、特に今後また力を入れていかなければいかぬ、かように考えております。
  345. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて井上君の質疑は終了いたしました。  次に、林百郎君。
  346. 林百郎

    ○林(百)分科員 私は、国鉄のローカル線の問題でありますが、しかし、事は国鉄の新線を線増する場合の基本的な姿勢にかかわる問題でありますので、この際、地元民の強烈な反対運動に照らしてみて問いただしておかなければならないと思いまして、これからの質問をするわけであります。  あらかじめ大臣にもいろいろと御連絡を申し上げておりますし、国鉄当局といたしましても、これは昭和四十一年に運輸大臣の増設工事の事業認可が出ており、翌四十二年の十二月に事業認定申請が提出され、以来約七カ年に及んで、認定もおりなければ工事もできないという状態になっておる、いわゆる中央東線の岡谷と塩尻のトンネルの線増の問題でありまして、よく御承知のはずでありますが、最近これがまた国鉄と地元住民との間で非常にエキサイトした状態が出ておりまして、これはひいては地方の治安の問題にまで関係しておりますので、この点を地元出身の国会議員として運輸省並びに国鉄当局に問いただしておきたいと思うわけであります。  大臣も御承知のとおり、現在の物価の狂乱的な値上がりの状態、インフレの底知れぬ深刻化の問題等、これに対して田中内閣としては、総需要を抑制するということによってインフレの鎮静、物価の値上がりの歯どめにするという方針を打ち出しておるわけでありますが、この総需要抑制という田中内閣の政策を受けて、国鉄としてはどういうことを考えられておるのか、また運輸省当局としてはどういう指導を国鉄に対してなそうとしておるのか、まずその点を問いただしておきたいと思います。
  347. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 お答えします。  国鉄としましては、現在線を補強することによって、電化、線増をやることによって、いわゆるエネルギーが足りなくなったやつの輸送を引き受けよう、この計画を強化していこう、早めていこう、それで総需要抑制の立場からは、工事中は除いて、新しく計画する新幹線を除くものは、この間に金を使わずに、大いに研究を進めていこう、こういうふうに考えておる次第であります。
  348. 徳永正利

    徳永国務大臣 総需要の抑制の点からはこれはもう予算面で御承知のように大きなたががはめられているわけでございます。国鉄に対しましても、いま総裁が申されましたように、いろいろな面で不便はあるけれども、この将来計画というものをいまここで直ちに見直すというわけではなくて、一応の工事線等につきましては、いろいろな工事のやり方とかくふうとかがあるだろう、そういうようなものをあわせ考えて、将来計画にそごを来たさないように努力、くふうをしてもらいたい、こういうことでやっているわけでございます。
  349. 林百郎

    ○林(百)分科員 このいわゆる諏塩トンネルと言いますが、このトンネルの総工事費はどのくらいになるわけでしょうか、国鉄当局にお聞きします。
  350. 内田隆滋

    内田説明員 現在八十三億ということを考えておりますが、完成時はもうちょっとふえると思います。
  351. 林百郎

    ○林(百)分科員 大臣、八十三億トンネル一つにかかるわけなのですけれども、これが入り口のほうの住民の反対でなかなか難航して、すでに事業認定をしてから足かけ七年ぐらいになるわけです。出口のほうは若干掘り出してきた、入り口のほうは掘れない、こういう状態なのですね。これを第二次強行測量をして何としてもこの線増計画を遂行しなければならないという必要性があるのでしょうか。ただいま最初に私が聞きましたように、総需要抑制という現在の政府の施策の態度からいえば、それにわれわれが賛成するしないは別として、そういう政府の態度からいえば、八十三億というような多額の金をつぎ込んで入り口を掘ることもできない、出口は若干掘り出したというようなトンネルを、どうでも強行しなければならないという必要はないと思います。要するに時間をかけて十分話し合いをしていけばいいと思いますし、場合によっては、そういう事業は、いまの需要を抑制しなければならないという時代には、これをしばらく延期するとかいうことも考えられるわけですが、どうしてあのように第二次測量ですか、二十数日間も国鉄の測量班と地元の四千人の住民との間にしのぎを削るような対立をしてまで測量を強行しなければならなかったのでしょうか、国鉄当局と運輸大臣にお聞きしたいと思います。
  352. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 まず第一段の、何がゆえにそういう反対を押し切ってやるかということにお答えを申し上げますが、御承知のようにあの区間は単線区間でございまして、現在すでに上下入れると百回ぐらいになって、まさに単線の限度に来ておる、よってこれ以上はもう列車は通らぬという状態になっておりますので、これを複線化したいということでございますが、同時に、複線化するわけでございますから、現在ぐるぐる回っているのをできるだけまっすぐやって、現在二十七キロで行っているものを、トンネルを掘ると十一キロぐらいで行けますので、十六キロも短くなるというようなことで、御利用になる方からいうと、非常に線路の行き詰まったものが打開されると同時に、到着時分が非常に縮まる、十三分か十四分の勘定になりますけれども、縮まるというようなことで、国鉄としては現在線を補強するというたてまえからぜひやりたいということでかかっておるのでございますが、遺憾ながら先生指摘のように、地元の方々の全部の御賛同を得ることができないということで、これは、われわれの見るところでは、半分以上の方の御賛同は得ているんだが、線路が通るところの一部の方々の御賛同を得られないということであります。しからばこれを元へ戻して、大部分の方の賛同されているような方向に戻したらどうだというような議論もあるかもしれませんけれども、これはまたその賛成されている方が逆の立場をおとりになるので、われわれとしては、地元の御利用に仰る方の御利便を早急に実現するためには、ぜひひとつ御賛同を願いたいということで、地元と折衝を続けているわけでございますけれども、御指摘のように、遺憾ながらうまくいっていないというのが実情でございます。
  353. 林百郎

    ○林(百)分科員 それではお聞きしますが、そうするとこのトンネルを掘ることによって、松本—新宿間、この時間でたとえば特急「あずさ」で何分短縮になるのですか。
  354. 内田隆滋

    内田説明員 特急、急行が約二十三分くらい短縮になります。
  355. 林百郎

    ○林(百)分科員 二十三分というと、いま「あずさ」が走っていますが、それと比べて二十三分短くなる、こういうことなんです。二十三分時間が短くなる、松本−東京間。それはそれで一つ聞いておきましょう。  それから、いま反対している岡谷ですね、岡谷駅という駅がありますが、これの乗客数ですが、昭和四十年と四十五年の数字がここに出ていますが、一体乗客数、貨物取り扱い数はふえているのですか減っているのですか、四十年と四十五年を比較すれば。
  356. 伊江朝雄

    伊江説明員 いま正確にちょっと覚えておりませんが、大体横ばいの状態でございまして、貨物についても若干伸びているという程度でございます。
  357. 林百郎

    ○林(百)分科員 私のほうの調査によりますと、昭和四十年に岡谷駅の乗客は二百四十六万。ところが昭和四十五年には百八十七万。横ばいじゃないですね。六十万減っています。それから貨物数は、私たちの調査によりますと、これはたしかトン数だと思いますが、総量が四十年に二十八万八下五百八十九トンが、四十五年には十七万七千二百四十二トン、非常に減っております。こういう、乗客数も減り、貨物数も減っている駅を起点として、そして松本−新宿間に二十三分の時間を短くするために、八十三億の金を国鉄投資しなければならないということはどういうことでしょう。これは私も、運輸大臣も実は横須賀線で通っているのでよく知っていますが、たとえば横須賀線の例を申しますと、鎌倉から、グリーン車でもかけて通うようなことはとうていできません。私は国会議員ですから幸いにしてグリーンのパスをいただいておりますが、これがもう鎌倉からばかけられません。逗子まで行って、逗子からでなければかけられない。あるいは横須賀線ばかりでなくて、これは東京の山手線あるいは中央線を見てもわかります。こういう混乱した、もうどうにも人間らしい輸送がされてないような国鉄の状態があるのに——乗客数か減り、貨物数が横ばいなんてうそですよ。正確な数字を調べてみればわかりますよ。ずっと減っていますよ。そういうところに何でわざわざトンネルをつくらなければならないのですか。
  358. 伊江朝雄

    伊江説明員 先生の御指摘は、岡谷駅の乗降と扱いトン数の話だったと思いますが、私どもは、一駅の断面の輸送量というよりは、この線を通過する通過人員、通過トン数というものをやはり見なければならぬと思います。通過トン数で見ますと非常にふえておりますし、それから乗客の通過人員につきましてもふえております。ですから、岡谷の点につきましては、先ほどちょっと数字を申しましたけれども先生指摘のとおりでございます。
  359. 林百郎

    ○林(百)分科員 反対しているのが岡谷ですから、岡谷の乗客数と貨物数を出したわけです。だから、それだけの金があったら、もっと早急に国鉄として手を打たなければならないところがあるんじゃないですか。新宿−松本間を二十三分短くするために、事業認定をしてからもう足かけ七年たっているんですよ、そこを無理に八十三億の金を投資しなくても、もっともっとこの首都圏に住んでいる勤労者に国鉄らしいサービスをするために金を使ったっていいじゃないですか。もしあの地域の列車数が限界に来ているというなら、現線を複線にされたらいいじゃないですか。トンネルのために八十三億も使わなくてもいいじゃないですか。それも地元の人たちの要望になっているじゃないですか。
  360. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 先ほど内田常務が八十三億と申しましたのは、複線にして、しかもトンネルを掘って線路の形をすなおにするという全部の金でございまして、その八十三億が少ないなどと言ったらまたしかられるだろうと思いますけれども、これは、いま非常に建設費が高くなりまして、大体一キロ、単線でやりましても五億ぐらいかかるし、複線で楽なところで八億ぐらいかかりますので、八十三億といったって十キロぐらいである。都市の交通緩和をやるなんという話になると一キロ当たりおそろしい金になりまして、この八十三億を、これを一年に使うわけじゃないので、トンネルを掘れば三年や四年かかると思いますけれども、そんなようなけたでございまして、決して八十三億が小さい金だとは申しませんが、ほかへ持っていって何か大きなことができるかというと、必ずしもそうじゃない、かように考えております。
  361. 林百郎

    ○林(百)分科員 そういう考え方が問題なんですよ。国鉄の総投資から見れば、八十三億はたいした額じゃない、そういうことから、ざるから水が漏れるようにだんだん投資が大きくなって、運賃を上げなければいけないような状態になっているわけでしょう。もう六月か七月にはまた運賃を上げるでしょう。国鉄総裁がそんな考えを持っていたらたいへんですよ。一般の国民にとって八十三億というのはたいへんな金ですよ。このトンネル地域の市町村で、いま総需要抑制ということで地方自治体が学校を建設することができない、あるいは厚生施設を建てることができないということで、もう自治体ではたいへんな問題になっているんですよ。年に七億でも八億でもの金がその地方自治体にもし交付税として交付されれば、子供の教育の施設、学校の施設も改善することができるんですよ、あなた。それを何で、七年も八年も反対して通すことができないところへ、無理にそんなに通す必要があるんですか。第一、入り口がきまらないので出口だけ掘りだしているトンネルなんて、日本で例があるんですか。それこそむだづかいじゃありませんか。トンネルというものは、出口と入り口と両方がきまってトンネルというものはあるんですよ。まだ入り口がきまらないのに出口からとりあえず掘りだすなんて、そんなトンネルがどこにありますか。何年かかるかしれないけれども、そのために八十三億もの金を使うなんてことは、国鉄の姿勢としては直すべきですよ。そんなむだ金がどこにありますか。そんなものは話がついてからやればいいじゃないか。それであなた、中央東線見てごらんなさい。中央東線の混雑のしかたが、横須賀線や首都圏の列車のこみぐあいと比較してどうですか。国鉄が短絡して時間が短くなることを共産党だって反対するわけじゃありませんけれども、しかし、ものには緩急のそれぞれの施策があるということなんですよ。いまみんなが反対して、七年たってもできないところへ無理に、場合によっては警察まで導入して強行測量をしようとしている。こんなことまでして、八十三億なんという金を無理につぎ込む必要ないじゃないか。しかも入り口がきまらないのに出口から掘りだしていくなんという、こんなトンネルがどこにあるのかというんですよ。それはあなた、しばらく見合わせるべきですよ。しかも六月になれば運賃を上げていくというんでしょう。国民に大きな運賃の負担をかけていくんですよ。もし節約できるところがあるならば、もしここで急に施策をしなくてもいいところがあるならば、なるべくそういうものはあとへ残して、そして国民の期待するような国鉄に、わずかな金でも投資していくというのが国鉄の姿勢じゃないですか。どう考えますか。
  362. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 八十三億という金が小さい金だというふうなお受け取り方を願っておしかりを受けたのでございますが……
  363. 林百郎

    ○林(百)分科員 いや、別にしかっているわけじゃない、声が大きくなっただけなんです。
  364. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 いや、国鉄のやる仕事はみなお金がたくさんかかるので、国鉄がほかに、それにかわるような価値を生むために、八十三億をほかに回しても大きな価値は生まれぬだろうということを申し上げた次第でありまして、同時に、トンネルの片方が掘れぬのに片方を掘ってどうだという御議論でございますけれども、トンネルというのは、御承知のように両方から掘るのが常識でございまして、われわれから言うと、はなはだおしかりを受けるかもしれぬが、大多数の方に御賛同を願っているので、いま手をつけられぬほうも追って御賛同願えるだろうというような意味で、まあ反対側に手をつけたというようなことでございまして、反対なさっている方にも極力御理解を願って、ひとつ御賛同願いたいという努力を続けている次第であります。したがって、これは八十三億、むだじゃないかとおっしゃいますけれども、先ほども伊江常務からも御説明申しましたように、これは十年ぐらい前から、特急だの急行列車の例を引きますと、十年ぐらい前には二十六回ぐらい通っておったのが、四十八年においては四十四本も通っておる。それだけ通過の交通量は非常にふえておるんだ、したがってこれ以上は複線化しないと、ふえていく交通量がまかなえぬのだということで、われわれは是が非でもやりたい、かように考えておる次第であります。
  365. 林百郎

    ○林(百)分科員 八十何億という数字は例として出しましたが、たとえば飯田線の伊那谷の住民が、もしこのトンネルができれば、上伊那の一部、辰野、川島あるいは小野、この間が非常に閑散になる危険があるからといって反対をしました。その反対をしたときに、知事のあっせんで伊那谷に何十億の金を、要するに飯田線の改善のために投資するから反対をしないでくれ、こういった約束を西沢知事と伊那谷開発同盟との間でしたはずですけれども、これは内田常務が建設局長ですかのころだと思いますが、これはどういう話になっていますか。
  366. 内田隆滋

    内田説明員 そういう話をしたということは、私の時代ではございませんけれども、これは当然輸送の形態が変わりますので、伊那谷に対する輸送のあり方というものは、今後十分考慮していかなければいけないというふうに考えております。
  367. 林百郎

    ○林(百)分科員 そのために幾らの投資をするという具体的な金額が出たんじゃないですか。
  368. 内田隆滋

    内田説明員 その点につきましては私、承知しておりませんので、調査をいたしまして御報告させていただきたいと思います。
  369. 林百郎

    ○林(百)分科員 それじゃ後ほど私に知らせてください。  それから、このトンネルができることによって、塩尻の駅の改造をしなければならないという問題が起きてきますが、このためには幾らの金が必要になってくるわけですか。
  370. 内田隆滋

    内田説明員 詳細に、塩尻の駅だけの改良費というものは不明確でございますが、相当の金が要るというふうに考えております。
  371. 林百郎

    ○林(百)分科員 総裁、そういうようにいろいろ金が要るんですよ。だから私は、やはり緩急よろしきを得た姿勢を国鉄としてはとるべきじゃないか。それは八十何億では国鉄としてはまとまった仕事もできないとおっしゃるかもしれないけれども、しかしそれだけの金でも積み重ねていけば相当な金になりますから、それを、国民がいま一番、もう地獄みたような輸送の状態になっているところを幾らかでも改善するために、一部の複線でもいいからするというようなところへ使うことが、国鉄が真に国民の国鉄になる道じゃないか、こういうことを私言っているわけです。答弁はいいですよ、時間の制限がありますから。  それで、建設省へお聞きしますが、事業認定の申請を土地収用法の十六条でした場合は、その結論は大体どのぐらいの期間の間に出せということになっておりますか。
  372. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  事業認定につきましては、土地収用法十七条三項によりまして、建設省は、事業認定の申請書を受理した場合におきましては、「三月以内に、事業  の認定に関する処分を行なうように努めなければならない。」このようになっております。
  373. 林百郎

    ○林(百)分科員 国鉄当局に聞きますが、このトンネルはいつ事業認定して、今日までどのぐらいかかっておりますか。三カ月以内に結論を出すようにつとめなければならないとなっておりますが、いま事業認定がおりているかいないか。おりていないとすれば、いつ申請して何年たっていますか。
  374. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 ちょっと林君に申し上げます。川上総務課長がちょっと発言をしたいそうですから……。
  375. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいまの先生の事業認定の申請の日及び現在の経過でございますが、事業認定申請は、昭和四十二年の十二月十四日、国鉄から出されております。これに対して建設省におきましていまだ事業認定をいたしておりません。この理由でございますが、これにつきましては、種々地元の事情等を勘案いたしまして、地元の国会議員の先生、または県、市等におきましていろいろ仲介等に乗り出しておりますので、手続を若干保留いたしておる次第でございます。
  376. 林百郎

    ○林(百)分科員 若干と言えばことばはきれいですが、足かけ何年になるのですか。
  377. 川上幸郎

    ○川上説明員 ただいま手きびしい御叱責をいただきましたが、四十二年以来、相当経過いたしております。  再度繰り返すようになりますが、ただいまのようないろいろな先生方の御仲介、これらによりまして長引いておる次第でございます。
  378. 林百郎

    ○林(百)分科員 それでは川上さんにお尋ねしますが、工事の事業認可は昭和四十一年の十一月二十二日におりているんですよ。そして翌四十二年に事業認定申請が出ていますがね。大体四十一年から四十九年ですから、足かけ七、八年になるわけですね。そうすると、もう社会事情も違うし、それから建設の費用も違うし、それから住民の生活状態も違うので、足かけ七、八年もたっておる事業認定がそのまま継続されるということは、これは好ましい事態じゃないじゃないですか。やはり新しい事態に沿った事業認定あるいは工事事業認可というものが出されてしかるべきじゃないですか。少なくとも三カ月以内に出すようにつとめなければならないということからいけば、社会情勢にマッチしたようになるべく早く処理しろということが、七、八年もたってまだおりてないということは、これは実質的にはもうその事業認定申請を新しい社会情勢に基づいて出し直すべきである。建設省としてはそういう考えを持たれるべきじゃないですか。それは国会議員やいろいろ中へ立って、いろいろないきさつがあったからこうなったわけですけれども、しかし、この土地収用法の十七条の三項によって三カ月以内にやれというのが、七、八年もたっているということは、当該事業認定をすべき建設省見解としては、最近の社会情勢に基づいた事業認定をやるとするならば、出し直すべきではないか、こういうように私は考えるのですが、建設省どうお考えですか。
  379. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  ただいま先生がおっしゃいましたように、四十二年の申請でございますので、相当期間は経過いたしております。しかしながら、事業認定の要件といたしましては、先生も御案内のとおり、二十条におきまして起業者の意思と能力、それからさらには「事業計画が土地の適正且つ合理的な利用に寄与するものであること。」、それからさらには「収用し、又は使用する公益上の必要がある」、このような要件になっております。でございますので、時間は相当長期経過いたしておりますが、現在認定をいたします場合におきまして、直ちに現在の申請がおかしいと言うわけにはまいりません。
  380. 林百郎

    ○林(百)分科員 いや、おかしいと言っているのではなくて、出し直すのが好ましいのではないか。それじゃ、あなたのいま言った条文の二十条に本件はどういうように該当しているのですか。あなたがそんなに知っているなら言ってみてください。常識で考えれば、三カ月以内にその処置についての結論を出すようにつとめなければならないというのが、七年もたっているわけでしょう。しかし、二十条があると言うなら、本件は二十条のどこに該当するから七年延びていいのですか。
  381. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  先生にこう申し上げるのも恐縮でございますが、三カ月以内にするようにつとめなければならないという規定はございます。でございますが、これはあくまでも努力義務でございまして、いろいろな政治情勢、社会情勢等によりましてこれが延伸する場合もございます。確かに七年間という期間は相当長期にわたるとは存じますが、直ちに二十条のこの要件に該当しないということにはならないということでございます。
  382. 林百郎

    ○林(百)分科員 十七条三項に、三カ月以内に処理するようにつとめなければならないとあるのに、七年もたっていいと言うなら、こんな条項は要らないじゃないですか、あなた。三カ月と七年といったら天と地の差ですよ。それをそんな弁解して言うなら、もう土地収用法にどんな条項があろうとどうでもいいということになるんじゃないですか、あなた。だから好ましくないじゃないか。やはりそんなに長くたった事業認定申請というものは、新しい社会情勢のもとに新たに出し直すことが好ましいのではないか、こう聞いているのですよ。もういいです、あなたの弁解を聞かなくても。そういういいかげんな解釈を建設省がするというなら、これからは法律に三カ月以内と書いてあろうと、それが十年たとうと何年たとうと、幾らでも言いわけがたつということを建設省が言ったということを、私は地元へ行って報告しますよ。そういう建設省なんだ。いまあそこに高速自動車道路をつくろうとしています。あなた方に直接関係する道路問題もありますよ。しかし、建設省はこう言っている、情勢によっては、できない場合は十年たとうと七年たとうと八年たとうと急がなくてもいいということがある、そういうふうに言っておきます。  それからもう一つ……。
  383. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  384. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 速記を始めて。
  385. 林百郎

    ○林(百)分科員 それじゃ課長としての事務的な手続のことをお聞きしましょう。  今度国鉄がこの土地収用法の十一条と十二条で、事業の準備のためのたしか立ち入り調査と思いますけれども、これをやってきたわけなんです。ところが、この通知をお見せしますが、十二条の「(立入の通知)」というところを見ますと、「その旨」というのは「日時及び場所」ですが、「市町村長は、」「その旨を土地の占有者に通知し、又は公告しなければならない。」これは十二条の二項です。十二条の三項には「その土地に立ち入ろうとする者は、立入の際あらかじめその旨を占有者に告げなければならない。」こう書いてあるんですね。こういう規定がありますね。これもあなたが、これは非常に政治的な判断を要するので、課長としては答弁ができないというなら遠慮なく言ってください、かまいませんから。答弁するについて課長としての限界があると思いますからね。  ところが、国鉄側の申請に基づく岡谷市長へのこの「土地立入通知書」を見ますと、「日時及び場所」という日時は、昭和四十九年一月二十四日から昭和四十九年三月三十一日まで。これでいきますと約七十日間、いつ行くかわからぬ。「立入時間は、毎日午前八時三十分から午後四時までとする。」こう書いてあるわけです。それから土地の占有者の欄には「土地立入の場所が広範にわたるため、現段階ではこの場所に存する土地占有者の住所、氏名を調査することば困難であるので省略します。」として占有者が全然書いてないんです。で、立ち入り調査の土地の筆数だけは百三十四筆と書いてあります。これをごらんに入れます。  本来、土地収用法の十一条、十二条というのは、これは調査を受ける対象となる住民の個人的な財産に対してある程度の保護を与えるということですね。そういうことで、いつでも立ち会って、そうしてその調査によって不当な財産の侵害を受けないということのためにあると私は思うのですよ。だから、立ち入りの日時、場所、占有者を通知しなきゃならない。そしてそのときには、その占有者に立ち会いの機会を与えて、財産に不当な侵害のないように保護を与えなきゃならない、こういうことが法の精神だと思うのですね。ところがこれを見ますと、一月二十四日から三月三十一日まで、いつ来るかわからぬ。時間は午前八時三十分から午後四時までだ。それで立ち入る場所については、広範でだれの占有だかわからぬから占有者は省略する。筆数は百三十四筆だ。これが土地収用法十一条、十二条の条件に該当する通知だとお考えになりますか、どうですか。ちょっとこれを見てください。答弁できないならできないでいいですよ、調査してからで。どっちでもかまいません。
  386. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 ちょっと速記をとめて。   〔速記中止〕
  387. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 速記を始めて。
  388. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  十二条の立ち入りでございますが、土地収用法の事業の準備のための立ち入りにつきましては、先生がおっしゃいますとおりに、その立ち入ります日時及び場所を市町村長に通知いたしまして、市町村長はその通知を起業者から受けましたときはその旨を土地の占有者に通知または公告いたすわけでございます。この場合におきまして、私の聞いておりますところにおきましては、土地の占有者に通知しませんで公告を行なった、これは通知または公告でございますので、その場合場合に応じましてその両方の場合があると思います。それで、なお立ち入ります日時でございますが、この場合は確かにその期間をもって、二カ月間程度だと存じますが、示したと存じます。これはおそらく大規模な事業でございますので、土地の立ち入りの区域が相当広範囲にわたっておる、それからなお、占有者等をいろいろと確知し得ない事情があった、このような場合ではなかろうかと存じます。でございますのでこのようなことになったというふうに理解いたしております。
  389. 林百郎

    ○林(百)分科員 それじゃお聞きしますが、ちょっと川上さん、それは好ましいと思いますか。百三十四筆の筆数はわかっているわけでしょう。筆数がわかっていたら、登記簿謄本を調べれば占有者はわかるわけなんですから。十一条を見たって、十二条を見たって、占有者に通知するということのためにこの条文はあるわけでしょう。そして占有者に測量のときには立ち会わさせて、そして自分の財産を保護するというためにあるわけでしょう。それを、占有者がわからないから、あなたの言うように広範だから、いつどこのだれに行くかわからぬ、これでは十一条と十二条は全く殺されていることになるんじゃないですか。少なくとも筆数がわかっているんだから、それを登記簿謄本で調べて占有者を特定して、あなたのところにはいつ幾日の何時に測量に行きますから、どうぞ立ち会うなら立ち会ってくれとまで書かないでもいいけれども、少なくともあなたのところにはいつ幾日測量に行きますという、そういう占有者を特定してから出したっていいじゃないですか。だれのところに行くかわからないが、土地は百三十四筆だ、これではあなた、都道府県知事は土地の占有者に通知しなければならない、それから市町村長は占有者に通知する、これは十二条の二項、三項で占有者に通知するということはもう不可欠の要件ですよ。これが広いから、わからないからどうでもいいですということなら、いつ自分の財産のところにだれが立ち入ってくるかわからないじゃないですか。好ましいと思いますか。それじゃもうあなたに聞きますよ、好ましい通知だと思いますか、それ。
  390. 川上幸郎

    ○川上説明員 お答えいたします。  占有者でございますので、土地の登記簿謄本といいますものではわからない、このような事情はございます。でございますが、これは私はあくまで事務局といたしまして法律の解釈を申し上げましたので、決してこれは違法ではないということを申し上げておるのでございまして、好ましいか好ましくないか、これはまた別の問題であろう、このように考えております。
  391. 林百郎

    ○林(百)分科員 だから別の問題でどうなんですか。好ましいのですか、好ましくないのですか。自分のところにいつ入ってくるかわからないと思って、二月の間待機していなければいけないということになるんじゃないですか。好ましいか好ましくないかということですよ。法理論はあなたとここで戦わしてもしようがない。裁判でもやらなければしようがない。好ましい通知だと思うかどうかと言うのですよ。
  392. 川上幸郎

    ○川上説明員 ただいまの件、その地元の事情というのは、私ども実は完全には把握いたしておりません。でございますので、この大規模な事業がはたしてどこまで占有者を確認し得るか、いろいろな事情がございますので、この場をもちまして直ちにお答えするわけにはまいらない次第でございます。
  393. 林百郎

    ○林(百)分科員 まあやむを得ません。しかし、できるならば占有者を確認して出したほうがいいとお考えになりませんか。そうでなければ、十一条、十二条で都道府県知事も市町村も占有者に通知しろと、全くあなたの解釈で言えば、大きな事業ならどうでもいいんだということになるんじゃないですか。できるならばやはり占有者を特定して、その人に日時を知らして測量に立ち会わせるような機会を与えるということのほうが好ましいと思いませんかと言うんですよ。あなた、大事なところにいくと逃げちゃって、何もそんなに国鉄と仲よくしなくたっていいじゃないですか。好ましいか、姿勢としてはどうかということなんです。どうなんですか。いまの答弁求めて、大事なところですから……。もしきょうできないなら、いずれ研究して答弁するでもいいですよ。
  394. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 それでは林君に申し上げます。あとで後日調査をして、意見聴取をして、やはりいま総務課長に、その土地が、何というか、さっき言った広範囲でというような形でいろいろ頭の整理ができてないと思いますから、省に帰ってあなたが納得するような報告をさせるように……。
  395. 林百郎

    ○林(百)分科員 好ましいか好ましくないか。——それではもう一問で終わります。いや、大事なところを聞かないんじゃ……。  そこで大臣大臣もいろいろと御苦労もなさってますししますが、結局こういういきさつのことは、あなたも内々に私にはお話しになっていたんですが、決して国鉄に対して無理をして地域住民の反対を押し切ったり、あるいは警察を導入までして無理をしてやらせるつもりはない。あくまで話し合いによって処理をしていくつもりだ。かりにそれには時間がかかっても、そのことの努力はするように、国鉄には行政的な指導をするとたびたび大臣は私にお話しになっているわけです。その行政指導の方針はお変わりになりませんか。そのことを総裁と両方にお聞きして、私の質問を終わります。そうすれば、地元民に話をすることによってエキサイトしている空気も鎮静することができると思いますから。
  396. 徳永正利

    徳永国務大臣 いま聞くところによりますと、どうも七年間もかかった長い工事のようでございます。運輸省としましては、いろいろいままで私もここに出るまでにはおそらくこういう御質問があるだろうと調査もいたしておりました。岡谷市では学識経験者に依頼していろいろな研究もしたようでございますし、岡谷市も、県当局も、この計画を一応要望しているようでございますが、しかし工事を中止するというわけには、実はいままでの経緯から見ましてなかなか困難な面もあり、するわけにはまいらぬと思いますけれども工事にあたりましては、できるだけ地元住民を説得して、話し合いの中へ飛び込んで、住民の同意を得た上で工事を進めるように、国鉄を今後も指導してまいりたい、かように考えております。
  397. 藤井松太郎

    ○藤井説明員 いま大臣がおっしゃったとおり、極力御同意を得るように努力いたします。
  398. 林百郎

    ○林(百)分科員 それじゃ委員長、時間が参りましたので終わります。
  399. 稻村佐近四郎

    ○稻村主査 これにて林君の質疑は終了いたしました。  次回は、明八日午前十時より開会し、郵政省所管及び運輸省所管を審査することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後六時五十八分散会