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1974-03-05 第72回国会 衆議院 予算委員会第五分科会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    分科会昭和四十九年二月二十七日(水曜日) 委員会において、設置することに決した。 二月二十七日  本分科員委員長指名で、次の通り選任され  た。      稻村左四郎君    倉成  正君       瀬戸山三男君    細田 吉藏君       村田敬次郎君    阿部 昭吾君       小林  進君    浦井  洋君       岡本 富夫君 二月二十七日  稻村左四郎君が委員長指名で、主査選任  された。 ――――――――――――――――――――― 昭和四十九年三月五日(火曜日)     午後一時開議  出席分科員    主査 稻村左四郎君       倉成  正君    瀬戸山三男君       細田 吉藏君    阿部 昭吾君       佐藤 敬治君    柴田 健治君       吉田 法晴君    林  百郎君       有島 重武君    岡本 富夫君       瀬野栄次郎君    兼務 奥田 敬和君 兼務 兒玉 末男君    兼務 高沢 寅男君 兼務 森井 忠良君   兼務 山口 鶴男君 兼務 米内山義一郎君    兼務 栗田  翠君 兼務 柴田 睦夫君    兼務 小宮 武喜君  出席国務大臣         建 設 大 臣 亀岡 高夫君  出席政府委員         気象庁長官   高橋浩一郎君         建設大臣官房長 高橋 弘篤君         建設大臣官房会         計課長     森田 松仁君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省都市局長 吉田 泰夫君         建設省河川局長 松村 賢吉君         建設省道路局長 菊池 三男君         建設省住宅局長 沢田 光英君  分科員外出席者         環境庁自然保護         局計画課長   宇野  佐君         大蔵省主計局主         計官      藤仲 貞一君         文部省初等中等         教育局幼稚園教         育課長     和  忠利君         文化庁文化財保         護部記念物課長 古村 澄一君         厚生省環境衛生         局水道課長   国川 建二君         水産庁漁政部長 増満 二郎君         運輸省港湾局管         理課長     勝目久二郎君         自治省財政局公         営企業第二課長 加賀  裕君         参  考  人         (本州四国連絡         橋公団総裁)  富樫 凱一君         参  考  人         (日本道路公団         理事)     平出 三郎君         参  考  人         (日本住宅公団         総裁)     南部 哲也君     ――――――――――――― 分科員の異動 三月一日  辞任         補欠選任   浦井  洋君     田代 文久君 同月四日  辞任         補欠選任   田代 文久君     松本 善明君 同日  分科員松本善明君は、委員長指名で第三分科  に所属を変更された。 同日  第三分科員林百郎君は、委員長指名で本分科  に所属を変更された。 同月五日  辞任         補欠選任   阿部 昭吾君     柴田 健治君   岡本 富夫君     沖本 泰幸君 同日  辞任         補欠選任   柴田 健治君     佐藤 敬治君   沖本 泰幸君     瀬野栄次郎君 同日  辞任         補欠選任   佐藤 敬治君     吉田 法晴君   瀬野栄次郎君     有島 重武君 同日  辞任         補欠選任   吉田 法晴君     阿部 昭吾君   有島 重武君     岡本 富夫君 同日  第一分科員山口鶴男君、第二分科員奥田敬和  君、小官武喜君、第三分科員兒玉末男君、高沢  寅男君、森井忠良君、栗田翠君、柴田睦夫君及  び第四分科員米内山義一郎君が本分科兼務とな  った。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算建設省所管  昭和四十九年度特別会計予算建設省所管      ――――◇―――――
  2. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これより予算委員会第五分科会を開会いたします。  私が本分科会主査をつとめることになりましたので、よろしく御協力をお願い申し上げます。  本分科会は、運輸省、郵政省及び建設省所管について審査を行なうことになっております。  本審査の順序は、お手元に配付してあります日程によって進めたいと存じますので、あらかじめ御了承をお願い申し上げます。  なお、各所管事項説明は、各省審査の冒頭に聴取いたします。  昭和四十九年度一般会計予算及び昭和四十九年度特別会計予算建設省所管を議題といたします。  まず、説明を聴取いたします。亀岡建設大臣
  3. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 建設省関係昭和四十九年度歳入歳出予算について、その概要を御説明いたします。  まず、建設省所管一般会計歳入歳出予算は、歳入に五十七億八千五百余万円、歳出に一兆七千五百七十八億四千九百余万円をそれぞれ予定いたしております。  このほか、歳出について、総理府の所管予算として計上されているもので、建設省に移しかえを予定される経費がありますので、これを合わせると、昭和四十九年度の建設省関係歳出予算は、二兆百五十四億三千九百余万円となり、前年度補正後の予算に比べ二十六億一千百余万円の減少となっております。  なお、このほか、国庫債務負担行為として、公営住宅建設事業費補助その他に、一千三百六十八億五千三百余万円を予定いたしております。  次に特別会計について申し上げます。  まず、道路整備特別会計予算総額は、歳入歳出とも一兆一千七百四十七億四千百余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として六百八十八億一千三百万円を予定いたしております。  また、治水特別会計予算総額は、歳入歳出とも四千百四十九億一千百余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として三百三十八億九千八百万円を予定いたしております。  また、都市開発資金融通特別会計予算総額は、歳入歳出とも二百三十一億四千余万円を予定いたしております。  また、大蔵省と共管の特定国有財産整備特別会計のうち、建設省関係分歳出は、三百四十一億七千余万円を予定しており、このほか、国庫債務負担行為として二百五十一億一千四百余万円を予定いたしております。  建設省といたしましては、以上の予算によりまして、特に国民生活に密接な関連のある事業に主眼を置いた社会資本の充実、宅地対策強化等の各般の施策を進め、国民福祉の向上に努力する所存であります。  建設省関係予算事業別重点施策概要につきましては、お手元に配付申し上げてあります昭和四十九年度建設省関係予算概要説明によりまして御承知を願いたいと存じます。  よろしく御審議のほどをお願いいたします。
  4. 稻村佐近四郎

    稻村主査 以上をもちまして説明は終わりました。     ―――――――――――――
  5. 稻村佐近四郎

    稻村主査 この際、分科員各位に申し上げます。  質疑の持ち時間はこれを厳守され、議事進行に御協力を賜わりますようお願い申し上げます。  なお、政府当局に申し上げますが、質疑時間が限られておりますので、答弁は必ず的確に要領よく簡潔に行なわれますようお願いいたします。  これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。米内山義一郎君。
  6. 米内山義一郎

    米内山分科員 私は建設省所管事項のうち、いま青森県で進められているところのむつ小川原開発水域における用水開発計画についてお尋ねしたいと思います。  数年前から建設省がいろいろな角度からこの調査をなさっていると思います。調査には一定の想定なり目標がなければならぬはずでありますので、小川原湖用水開発計画目標、これは一日何百万トンの工業用水を取水するということを目標として想定してこの調査をなさっているか、まずこの点をお尋ねしたいと思います。
  7. 松村賢吉

    松村政府委員 むつ小川原開発につきましては、昭和四十七年六月に青森県が関係各省に提出したむつ小川原開発第一次基本計画がございます。これに基づきまして同年九月、むつ小川原開発会議におきまして関係各省が今後の調査並びに計画の調整についての申し合わせを行ないまして、その申し合わせの線に沿って関係各省において五十年計画確定ということを目標にいたしまして、現在調査それから計画検討が進められているわけでございます。したがいまして、先ほど御質問ございました計画の確定した水量というのは、もちろんまだできていないわけでございます。現在検討中でございます。したがいまして、これが何トンを目標にいま調査しているかと申しましても、私どもといたしまして的確な数字はまだはっきりしておらないわけでございます。  ただ青森県等で、いろいろ想定といいますか、おおよその数字の話としては日量百五十万トン程度水量を供給してほしいと申しますか、一種の目標と申しますか、そういう数字を出している点はございます。それにつきまして建設省といたしましても小川原湖のいろいろな用水開発計画検討しているわけでございまして、この開発水量が幾らになるか、あるいはまたその水位低下、どの程度まで低下可能かということの検討は現在進めている最中で、はっきりした目標はまだ確定しておりません。
  8. 米内山義一郎

    米内山分科員 それで実はお尋ねしたいのですが、私はあの土地で、あの湖のほとりで生まれて育った者でして、さらに二十数年間あの小川原湖漁業組合長をやってきております。あの流域特徴と申しますか、第一の特徴は過去のデータのないのがあの流域特徴です。いろいろないきさつもあるわけですが、それは御存じでしょう。われわれが幼いときから、どの程度雨量だというそのときの雨量の統計もありませんが、家屋が流失するような洪水も十数回もあったと思うのです。その後河川工事ができたからそういう頻度が少なくなりましたが、さらに沼の水位が異常に高くなりますと、手数百町歩の水田が冠水するというような事態もあるわけでして、今後あれを開発する上においてはかなり精密な調査が絶対必要と私は思う。腰だめでやったらこれはたいへんなことになるのじゃなかろうか。  それからもう一つは、あの流域特徴というのは、湖は確かに全国で十一番目、六千四、五百ヘクタールあるのですが、流域がきわめて小さい。湖の面積を加えて八万ヘクタールくらいしかないのでございます。したがって、表から見ると水は満々とたたえられているからかなりの水を取ることがで奉るだろう、こう考えがちだと思うのです。おそらく青森県知事も、ただ沼の大きさと深さを考えて、これならば百万トンくらい取れるじゃないかと直観したと思うのです。これは調査なしの自分の主観ですからいいとしまして、ここに基本的なあやまちをおかすと、これは開発そのものも私は不可能になると思う。この点を十分気をつけていただきたい。今後の調査の過程において手抜かりなくやっていただきたい。  それから雨量につきましても、青森県としては必ずしも多いほうじゃないのです。しかも、ちょうどいまごろ、冬、短日のように山岳部に雪が降っているわけですが、これも降水量になるのです。ですからこれは春、四月ごろ、あたたかい風が吹くまでは流量に変わらない。流れになってきません。ですから、河川はかわいた状態といいますか、干ばつ状態。これは春一気に洪水状態流れてきます。こういうときの水をたくわえる以外に、日百万トンというようなものは考えられないです。しかも昨年の夏季のように、数十年来というようなあの季節的な干ばつの際には、自動車ポンプ四、五台分も流れてこないときがある。こういうときのためにたくわえるというが、相当ある時期には水位を上昇させることが不可避だと思う。そしてある時期には平水をさらに下げなければならぬというようなことにもなりかねないのです。そうすると、それが環境に非常な変化を来たします。あの湖は御承知のとおり、湖だなが発達しておりまして、平水より一メートルかりに下げたとすると、千二、三百ヘクタールが干がたになるはずです。そうしますと、その干上がった地域生物界というものは、これは壊滅する、そうしてさらに水位平水より上げたとすれば、今度はまた二重の変化が起きるので、そういう乱暴な開発が自然の調和の限界を越えますと、たいへんな、自然破壊につながるおそれがある。同時に、これ、は住民の生業である水産業――特に八郎潟がああいうふうに干拓される、霞ケ浦壊滅状態になるという段階で、わが国における湖沼漁業、淡水魚の生産地としてはいまでは日本のトップになっているわけでして、量としてはたいしたことはないが、わが国生産の中に占める比重というものは相対的に非常に高まっているわけでして、こういう点なども十二分に勘案しながら開発計画を立てなければならぬと私も思っております。こういうふうなことが無視されて単に工業優先ということでやられるならば、これは間違いだし、われわれも当然そういう開発計画に対して命がけで反対せざるを得ない事態もあるわけですから、その点、今後のこういう開発について、建設省としての考え方をまず明らかにしていただきたいと思います。
  9. 松村賢吉

    松村政府委員 先生の御指摘になった点、一々ごもっともなことでございます。確かにこの小川原湖、まあ流域はそうたいして大きくはありません。八百三十平方キロほどの流域を持っております。大きくないといっても全国的に見て必ずしも小さいとは言えませんけれども、この流域に降った雨、これが先ほど御指摘のように雪解け水というか、こういうときに集中するということも考えられると思います。それでこの湖の水を利用するということにつきましては、やはりこの入ってくる水の多いときの水をため、それから少ないときは湖から補給するというような形にするのが原則でございまして、したがいまして湖の水位変動というものは、まあこれはある程度変動をさせるということはやむを得ないことでございます。それでこの変動をさせて水を有効に使うということになるわけでございますが、やはりこの変動はある限度を過ぎると申しますか、いたしますと、確かに生物相互関係その他の関係にいろいろ問題が大きく出てくる。したがいまして、その限界をどういうところに持っていくか、それと、またそれに対する水産物はじめその他の対策は一体どういう対策があるかというようなことを考慮に入れて開発計画を立てなければならないと考えておりますし、また建設省といたしましてもそういうことを考慮に入れて開発計画を立てていきたいと思います。  また一方、この湖につきましては、先ほどお話もございましたように、やはりちょっとした洪水がくるというと湖辺周辺のいろいろ災害等も出てくるわけでございます。それでこの小川原湖を含めました河川につきまして四十七年には一級河川に指定されているわけで、われわれとしましてもこの湖の治水というものも考慮して計画を進めていきたいというふうに考えております。
  10. 米内山義一郎

    米内山分科員 そこで、時間も限られていますから御要望しておきたいのですが、こういう地域開発と言うからには、やはり地域住民合意がなければ、コンセンサスなしにこれからの開発というものはできないし、そんな開発というものは言うなれば国内植民地つくりのようなもので、失敗することは明らかだと思うのであります。ですから、こういう重要な問題については、調査段階からこれを住民に明らかにしながら、そうして合意を得るということが、私は正しい方法だと思う。この点についてひとつ御返答を願いたいと思う。  それから次に、この湖から工業用水を取るとすれば、当然淡水化が条件になると思う。これは非常にむずかしいというか結果が明らかなのでありまして、たとえば霞ケ浦の問題であります。私は仕事が同じで魚も同様な関係で、二十数年来大体霞ケ浦と行き来をしまして、あの湖の状態についてはかなり詳しく観察も続けてきております。数年前から魚が病にかかりやすいという状態がありました。昨年に至りましてもうほとんど死の湖に変わっております。これは要すれば常陸川の水門が締め切りされるようになってから急速に進んだものと私も思いますし、地域の方々は異口同音にそう言っている。こういうふうなこともやはり調査段階において一方的にやったし、そして結果がもう処置しがたい状態になっている。そこで、あれは失敗だと思うのです。工業開発のためには、その面では成功したかもしれないが、今後日本の狭い国土の中で、自然環境をいい状態に保ちながら地域開発をやるという観点から見ると、あれは大失敗だ。あのメカニズムというか、なぜああいう結果になったかというと、きわめて簡単な河川工学上の皆さんの専用的な知見があると思います。教えていただきたい。それがなければ対策が立たないわけですから。
  11. 松村賢吉

    松村政府委員 まず最初に住民皆さん方コンセンサスを得るというか同意を得るということが必要であるということ、これはごもっともなことでございます。われわれといたしましても、調査段階におきましてもできるだけ皆さま方の御意見を、お話を進めながら計画をまとめていくようにしていきたいと思っております。  それから第二の点、淡水化を行なうこと。これは淡水化を行なうことと湖の水質が悪くなるということとは、必ずしも一義的な相関関係はないと思いますけれども、もちろん、全然関係ないということではありませんけれども、すぐ育ちにそれがつながるということでもないと思いますが、まあしかし、やはり湖の水質が悪くなるということについて十分考慮しなければいかぬということは間違いないわけでございます。ただいま霞ケ浦を例にとりましていろいろお話がございました。霞ケ浦水質が近年確かに悪化しているということは間違いのない事実でございまして、また昨年大量のコイ等の被害があったということも事実でございます。しかし、これは霞ケ浦の出口にあります常陸川の水門、この水門を締めたのが直接の原因であるということは、現在はわれわれとしては考えておらないわけでございまして、やはりこれは総合的な問題である。常陸川の水田の操作というものもその一つの、あるいは一部にはなっておるかもしれませんが、しかし主たる原因といたしましては、やはり霞ケ浦周辺からの霞ケ浦への汚濁物質流入と申しますか、これが一番大きな原因ではないか。この内容といたしましてはいろいろございますが、工業用排水もございますし、家庭用下水等もございます。また農業用水の中に含まれておる物質もございます。あるいはまた、特に霞ケ浦周辺特徴といたしましては、養豚関係、これの排水という、こういうようなものが大きな原因、こういうような排水によりましての汚濁物質流入、これの蓄積、こういうことが重なりましてやはり霞ケ浦水質というものが年々悪くなってきているということかと思います。  それで、この霞ケ浦につきましては、建設省といたしましても、昨年水源地域対策特別措置法というものを実はつくっております。それでこの特別措置法が現在政令を最後の仕上げをやっておるわけでございますけれども、この政令が公布され、実施されますと、この霞ケ浦につきましての浄水、水をきれいにする対策と申しますか水質悪化を防止する対策、こういうものについてもわれわれとしても一歩前進になるのではないかと考えておるわけで、この水源地域対策特別措置法におきまして整備計画というものをつくるわけでございます。その整備計画内容におきまして、下水道の整備、それから流入河川及び湖底のヘドロのしゅんせつあるいは屎尿処理施設整備、それから畜産排水処理施設整備、こういうようなものの整備計画をつくりまして、水質悪化防止ということに力を入れたいというふうに考えておるわけでございます。  また小川原湖につきましても、水質は現状といたしましては、もちろん霞ケ浦のように悪化しておるわけではございません。しかし、まだその周辺汚濁流入、これも霞ケ浦のように激しいものではないとは思いますけれども、やはりこの水質悪化防止ということについては、十分な考え方を持ってこの開発に取り組んでいかなければならないというふうに考えております。
  12. 米内山義一郎

    米内山分科員 時間がきわめて乏しいから簡単に申し上げますが、いろいろ河川工学の技術的な書物を見ましても、皆さんの知識の中には、水をただ量として研究しておるだけでして、生態学的に水の質の問題の研究というのはきわめて不十分なんです。いまあなたがおっしゃる結論だって、とことんまで生態学的な研究の結果の解析じゃないと私は思う。と申しますのは、私はあなた方から見るとしろうとかもしれないが、問題は、根本は、霞ケ浦の場合は、水の収支のバランスがこわれたということだと思う。取ることだけ考えて、入る、過去の注入量というものは注意しない。湖沼の水というものは、特にああいう平町湖の水の移動というものは、上流から来る水以外に海から入って出ていく水がああわけです。これが停滞しますと、これは流水は腐らずというのはお釈迦さまのことばにもあるくらい古いことですが、あたりまえのことなんです。それが流れが停沸するから、要すれば富栄養化が進むわけであります。さらに家畜の汚水とかあるいは人間汚水を物理的に処理してみたところで、酸素の消耗量低下をすることは可能だけれども、窒素とか燐の問題はいまの技術では解決しない。これだって、生物学的に処理するという新しい方向を考えない限りこれは解決できないわけです。  それからもう一つ。したがって、なぜ霞ケ浦にああいう事態ができたかというと、工業のために取る、農業のためにはこれだけの水を残すという観点であって、水産のためにどれだけの水を残すかという思想がなかった。元来河川湖沼の主人公は魚なわけでして、魚の住めないような自然環境ではやがては人間も住みづらいことになるわけでして、そういう点で今後こういう水の開発計画をやる場合には、既得権として農業はこれだけだ、工業の発展のためには、新しく開発されるものはこの程度人間生活用水に、上水道に、工業に、同時に同じ以上に水産用水ということをその水の配分の中に新しく入れる思想が私は大事だと思う。もうあなた方は、単に河川を物理的にだけ考えるから、河川維持のための水量というものは計算するけれども、海からサケマスなどが入って来るためにはどれだけの流量が必要か、そういうようなことなどはほとんど考慮にない。ですから、至るところのダムなどの補償に魚道というものをつくるが、役に立っていそうな魚道というものには、残念ながら日本ではお目にかかったことはない。申しわけにだけやっておる。しかも今後日本の生きていく上にも、サケマスの国際的な義務としてもっと本気で、ていさいだけじゃなしにああいう魚族の人工的な保護生産の拡大ということを、やることが、これはもうあす、あさって、今日の重大な任務だ。特に小川原湖なんてものは過去において青森県で一番サケののぼった川ですから、こういうことも配慮するならば、この取水量なんというものはきわめて限界の浅いものだと私は感じておる。これ以上の限界を越えたものをやると、工業だけは成立するかもしれないが、その他の環境は破壊される、こういうことを実は私は心配しておる。  そこで、きょうは水産庁の方の御出席を求めておりますが、これは私の提案なんですが、今後のこの水資源開発にあたって、いわゆる漁業用水という新しい思想をひとつ定着して、そうしませんと、見ていても、まず上流部では電源開発のために通産省が強い。その次には建設省が強い。厚生省も強い。一番弱いのはこの水産関係なんです。この中に水産庁として互角の配分を要求する――量としてはそれは何も互角でなくてもいいが、必要な最小限度の河川水資源開発にあたって漁業用水というものをひとつ今後強く政府の政策の中に位置づけしてもらいたい、こういうことを河川当局あるいは水産当局に要望したいのですが、これに対するお答えをお願いしたい。
  13. 松村賢吉

    松村政府委員 河川それから湖沼、これの水資源開発の推進、これにつきまして魚類等の水産資源、これに十分配慮を行なって、維持用水の確保とか、それから水質の保全というものをやらなければならないのはもちろんでございます。われわれといたしましても、今後ますますこれは念入りにやっていきたいというふうに考えておるわけでございます。  それで、ただいま先生から御指摘のありました水産用水というような考え方、この用水ということについての考え方、やはりそれは水が必要ということにつきまして、使う形態あるいは量の問題その他におきまして、一般の水道とか工業用水あるいは農業用水、こういうものと使う形態がおのずから違います。また治水等で必要なエリアとも違うというようなことからいいまして、これをどういう形にするかということは技術的に非常にむずかしい点はあると思います。しかし、今後とも関係機関と協議いたしまして、御指摘の趣旨が達成されますように、その水産用水というものを確保されるという形かどうか、これは今後いろいろの検討の結果によると思いますけれども、いずれにしても御趣旨の線に沿って検討していきたいというふうに考えております。
  14. 増満二郎

    増満説明員 お答えいたします。  先ほど来、先生からお話しございますように、小川原湖、内水面漁業で非常に重要な水域でございまして、開発計画を立てます場合に、漁業に対  して悪影響を与えないような調整をはかっていくとともに、関係漁業者の意向を十分留意して進めてまいるということが必要であるという立場で、従来からも県等を指導してきているところでございます。ただいま先生のお話の、たとえば水位低下の問題でございますとか、あるいは汽水性の水が純淡水化しますことに伴う漁業への影響等の問題につきまして、青森県では四十五年から四十七年にかけまして日本水産資源保護協会というところに小川原湖の利水の影響の事前調査というものを委託して調査をしておりまして、引き続きまして四十八年から県独自でさらに生産力の予察調査、増養殖試験等を行なっておるところでございます。これらの調査を千分勘案いたしまして、関係省庁とも十分な連絡をとりながら漁業の振興という面から十分意見を述べていきたい、こういうふうに思っておる次第でございます。
  15. 米内山義一郎

    米内山分科員 終わります。
  16. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて米内山義一郎君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田健治君。
  17. 柴田健治

    柴田(健)分科員 建設大臣にお尋ね申し上げますが、私たち農村に住んでいる議員として非常に悩みの種は、いまの農業政策の姿勢から、御承知のとおり農家所得をふやすために出かせぎをやっているわけです。この出かせぎの場所はその事業所によっていろいろありますけれども、特に建設業につとめる人々が多いわけです。そういうことは、つとめることはやむを得ないにいたしましても、けが人や死亡者を出すというふうに、事故が多過ぎる。この事故の発生において、農民の一番働き手である人々が不具者になったり死亡されるということはあとの農家経営に非常に影響するわけですが、そういう実態の中から、建設省に対して十分業者の監督、指導というものがなされておるのだろうかという一つの疑問を持っておるわけです。そういう立場からお尋ねを申し上げたいと思うのですが、われわれは、そういう事故を防止する、そうして犠牲者を出さない、事故を起こさないというそういう予防措置、そういう立場から建設省が今日までどういう方法で建設業者に対する指導をしてこられたのか、その点をひとつ大臣に所信を簡単に聞いておきたいのです。
  18. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 機会あるごとに業界に対しましては災害予防、特に仰せのとおりの出かせぎ者に対する仕事の配分と申しますか、職場の選び方等について十分出かせぎの農家の諸君でもできるように、無理なところにはできるだけ出さぬようにと、一例を申し上げますならば、トンネル工事というような面については、やはり経験のある者を優先的に使うようにというような指導、それからとにかく関係法律できめられておりますいろいろな条件をはずれて出かせぎ者を酷使するというようなことがないように、もしそういうことが若干でもあった場合にはもう指名をはずす、あるいは建設業者としての資格を剥奪するというような立場から、機会を通じて大手から中小業界まで、それぞれの協会等を通じて指導をいたしておるわけであります。
  19. 柴田健治

    柴田(健)分科員 建設業法の第一条の前段の項は、これは業者の社会的地位というか、業者の位置づけをしておるわけですが、後段の項を読んでみると、これは社会的責任を持つ位置づけをしておると思うんですね、これは大臣も御承知のとおり。そういう法の精神からいうと、当然この建設業法という法律を、いかなる建設業者であろうとも十分理解をしておかなければならないし、させなければならない。それは要するに、監督官庁の行政指導の使命だと私は思うんですね。それが行なわれておけば、こういう事故が起きずに済むのではなかろうか。一方では労働安全衛生法がある。いろいろ労働災害の予防策の指導の法律があるわけですが、しかし何としても基本は、建設省がもう少しきびしく指導する必要がある、そういう気持ちがするわけですが、私は、いまの建設業法を建設省が十分守るように指導していないのではなかろうか。たとえば業者が請け負う。ところが自分はしない、下請にさせる。またその下請がもう一つ下請をさせる。この問題は、これはもう長い国会の審議の中でたびたび論議された問題点だ。それがいまだに改まらないというのはどういう原因か。法律には原則的なものはちゃんと明確になっている。下請というものは、法律には一括下請というものは禁止されている。部分請負というものはある程度、弾力条項で認められておる。それは原則ではないと思うのです。部分請負でも、やむを得ないという場合のみ認められておるのであって、原則論はやはり請け負った業者がみずから工事をするのが本筋である、それが守れないというのはおかしいという気がするのですが、どうですか、大臣、この点は。
  20. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私も農村出身でございます。したがいまして、出かせぎの諸君が非常に不備な労務管理のもとに出かせぎに参りまして、けがをしたりあるいは命を落としたりという例も実は経験をいたしておりまして、その意味においては、私も建設大臣になりまして、とにかく労務災害を絶対出さぬように強力なる指導をしなさいということは、今日までずっとやっておるわけでございます。  また、私も常々考えておりましたのは、看板は大きな業者の看板がかかっておっても、そこで実際に働いているものは、御指摘のような下請という例が非常に多い。そこで、私も建設省に参りまして、そういうところがどういう仕組みになっているのか、どういうふうに指導をしておるのかということを実はいろいろだだしたわけでございまして、中には徹底してない面があるかもしれませんけれども、建設省としては、私の聴取した限りにおきましては、私が疑問を抱いておったほどゆるやかじゃない、非常にきびしい指導をしておるということを知ったわけでございます。  御承知のように、まるまる下請の下請というような案件、現場等にもいろいろ私も聞き合わせてみましたわけですが、その発注者と申しますか、その発注者の了解のもとにそういうことがなされておるというような場合には、これは建設省としてはそういうことはやめなさいということは言えないわけでございまして、発注者の了解なしにまるまる下請に出すというようなことは、きびしくこれをやらないように今日まで指導をいたしておるわけであります。
  21. 柴田健治

    柴田(健)分科員 それなら一つ例を申し上げますが、二月の十日過ぎです、香川県高松市で、四国地建の監督官庁ですが、検察庁の合同庁舎の解体作業をやった。この元請は合田組という組に請け負わした、そのまた下が中塚組という組が請け負った、そのまた下を前田建設というのが請け負った、その下をまた山浦組というのが請け負った。これは建設省四国地建の監督ですよ。そしてこの解体作業の許可申請は、四国地建の高松営繕の工事事務所に届けもしない。それでこの解体作業の不手ぎわから通行人が二人死亡した。これは大臣どう思うのですか、こういうことを。あなたはないように言うたが……。
  22. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 柴田委員仰せのような事態が、私いま初めて聞いたわけでございますが、それが事実であれば、これは許すべからざる問題であるというふうにも考えますが、事務当局からその辺の事実関係を明らかにさせていただきたいと思います。
  23. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 ただいまの検察庁舎の下請の関係につきましては、いま私も初めて聞いた次第でございますので、あとで事実を調査いたしたいと思いますが、いまの案件は、一括請負というよりは重層下請の問題であろうかと思います。  重層下請の問題につきましては、事柄としてはきわめていまのような場合は異例であると思いますけれども、一般的にいいますと、必ずしもこれを禁止し得ない、やむを得ない場合があろうかと思いますが、いまのように二重、三重、四重というふうな下請をする必要があったかどうかということにつきましては、はなはだ疑問を感じておる次第でございます。これにつきましては事実をさっそくよく調査いたします。
  24. 柴田健治

    柴田(健)分科員 この一括請負は禁止されておる、その法の盲点というか、乱用というか、部分請負の乱用だと私は思うのです。部分請負なら許されておるのだからみなやってもいいのだという、そういうこと自体が法の精神を曲げて運用しておるのではないか、私はそう思うのです。この二十八条の二項の一、二には、法律にはどう書いてあるのですか。公衆に危害を与えたらどういう処罰をするのですか。あなたたちは、私たちがお尋ね申し上げるとうまく逃げられるけれども、その場のがれでは困るんですよ。実際けがをしたり死亡した人の立場を考えたら、やはりそういう下請、下請、この形態を直さない限りは労働安全衛生というものは守られぬ。そうして私は考えるのに、これは正直に考えてみると税金のむだづかいになる。自分は請け負わない。請け負うときに名前だけ出す。それで一割二分は取る。二番目は六分取る。三番目は五分取る。ちゃんと標準がある。それを大臣、あなたは知っているか。ひ孫で請け負うものは、手数料を取られて、だんだん単価が低く押えられる。もとの請負単価と実際工事をする業者の請負単価には相当の開きがある。それは建設省または鉄道建設公団、または農林省、それぞれの省によって多少単価基準が違いますけれども、こんなことをしたら、大臣、税金のむだづかいとは思いませんか。
  25. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど申し上げましたように、ただピンはねだけして指導も何もしない、責任も持たないというようなことは許されるべきでありません。しかし、一応発注者が、とにかく指導監督を上のクラスが十分するということであり、またその下請をする者が十分信用のある者で、それでもよろしい、こういうことで話し合いの上でやる分については、これはもう行政が入り込む余地はないと考えるわけでございますが、御指摘のように監督も十分にしない、看板だけかけさせておいてあとは全部請け負わせ、その請け負った者が、発注者の了解もつけずにまた請け負わせるというようなことは、これはできるだけしてはいけないという感じを私は持つわけでございます。したがいまして、今後もそういう面については十分各省とも連絡をとりまして、御指摘のような疑問を持たれないように、しかも設計された、当初企図された工事がりっぱに完成できるようにしていかなければならない、こう考えるわけでございます。と同時に、柴田委員の御発言でございますが、私ども何もその場限りで事を済ませばいいというような気持ちはみじんも実は持っておらぬわけでありまして、真剣にやはり国会で議論されましたことにつきましては、行政府としては改善をはかっていく方向でやっておりますので、その点ひとつ御理解いただきたいと思います。
  26. 柴田健治

    柴田(健)分科員 きょうは時間がないから、いずれあらためて具体的なことを申し上げることとしておりますけれども、たとえばいま日本の建設大臣の大臣登録業者、大手建設業者、それはほとんどが自分のところに不動産部を設けて、レジャー施設や住宅、宅地造成その他自分のところでいろいろな事業をやっている。それで自分のところの仕事は自分の手でみずからやりながら、建設省やその他の工事は名前だけ出して請け負うだけ請け負うて、そして下請、下請で、それで今回の、昨年からの建設資材の不足と物価騰貴という形の中で、国でも地方公共団体でも四十八年度の繰り延べの、政策的に延べておる事業もありましょうが、災害関連のその他の事業で繰り越しをしなければならぬような立場に追い込まれたのが無数にあるわけです。もっと早くやっておけば、工事を請け負うた期日、竣工期日も請け負いと同時に明記されるわけですから、完成期限はいつだということを。それをずるずるして、自分のいいところだけの仕事をして、悪いのはみな下請、下請、下請である。それで繰り越し事業をして物価のスライド、賃金スライドをしなければならぬ。各省大きな迷惑をしているんじゃないかと思う、建設省でも農林省でも。そういう実態を大臣はどう踏まえておるのか。
  27. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御承知のように、四十八年度におきましては公共事業につきましては、異常な物価の上昇という問題によって工事が延期されたり、中断されたり、あるいは中途半ばに終わったりするようなことがあってはたいへんでございますので、それについてはいわゆるスライド条項等を適用して、とにかく契約した仕事が十二分に完成されるようにという配慮はいたしたわけでございます。これはもちろん先生御承知のとおりでございます。と同時に、いいものだけを大手が自分でやって、あとうまみのないものは全部下請、下請というようなことは、これはもう大手の自殺的行為であるというふうに私は実は考えまして、大手の諸君に対しましても、そういうことはひとつまああってはならないことなんだからということをきびしく申し渡しておるわけでございます。特に昨今非常に総需要の抑制というような状態がいわれておるわけでありますので、そういう中にあって地方の小さいものまで大手が手を出すというようなことも、私ども地元のほうからよく陳情を受けるわけでございますので、そういう意味合いも含めまして、実は大手の建設協会等に対しましては機会あるごとにその点をやかましく言っておるところでございます。
  28. 柴田健治

    柴田(健)分科員 大臣は先ほど発注者が承諾なしにそういう下請は出してない、こう言われるけれども、先ほど一つの事例を申し上げたのです、高松の四段階の。こういうことは、おそらく常識的に考えて建設省が、発注者のほうがそんなことを認めるはずはないと思うのです。それを認められるということになると、これはもう乱用というか無差別、そういうことになってしまうということになる。それは至るところにそういう実例があるんですよ。私は、時間がないから一つ一つ具体的なことを申し上げることはできませんけれども、建設省皆さんが発注者の場合は、そんなむやみやたらに三段階も四段階も五階段も、部分請負にしろ下請、下請というのを認めていくというその姿勢自体が、たとえば大きな建築物でろ過装置はどうするか、電気工事はどうするかとか、そういう部分的に、専門的に分かれる工事なら、それは部分請負というものはあり得るかもしれない。これはまた専門、専門の技術にまかせなければならぬということになる。けれども、河川工事や道路工事にそう部分的に部分工事をさせなければならぬということ自体、私はおかしいと思う。大臣どう思いますか。建築物ならいろいろ部分的に請負をさせなければならぬということは、これは常識的にわかるんですよ。道路工事や河川工事や橋梁で部分工事を請負わさせなければならぬというのは、それは前段の一番最初ですよ。一番最初、たとえばコンサルタントに頼んで設計なり技術なりボーリングなり、そういう専門的に調査をする段階で、専門的に部分的に請負ということもあり得る。けれども、工事着工で部分請負というものをそう数多く認めるということは、私はおかしいと思う。大臣どうですか。
  29. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 一般論としましては、部分請負あるいは重層請負というものができるだけ排除されるべきことは当然でございます。先ほど申し上げましたとおりであります。ただし、規模が非常に大きいとか、あるいは橋梁等におきましても、あるいは道路におきましても、内容的に分化しているというような性格のものにつきましては、先ほど申しましたように、必ずしもそういう下請あるいは部分請負というものが排除されるべきでない場合があり得るということを申し上げたわけでございます。  いまのような庁舎の件につきましては、先ほど言いましたように四重にも行なわれるということにつきましてはちょっと疑問を感ずる次第でございますけれども、ものによりまして、一般論でございますが、規模が大き過ぎるとか、あるいはそういう内容によって必ずしも一つの業者だけでできない場合も多かろうと思います。一般論でお答えいたします。
  30. 柴田健治

    柴田(健)分科員 あなた一般論というんですが、それなら平素指導で、一つの大きい工事だったら何で合同企業体という連合組織を奨励しているんですか。あれはどういうわけですか。大きい工事をする場合には、あなたは一社じゃできませんから合同の企業体の連合組織をつくって請け負いなさいといって指導しておるじゃないですか。それができるくらいなら、何で部分請負なんかということを認めるのですか。それなら企業体方式をやめなさいよ。あなた何という答弁をするのか。問題は、あらためていままでの不備なところを直して、原則として法の精神を守っていくように指導しますと言うたほうが簡単じゃないですか。大臣どうですか。
  31. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 こういうような自分一人でできる仕事を再分割いたしまして、部分請負に出すということは好ましくない、先ほど申し上げたとおりでありまして、従来もそういう精神で建設業法の施行についてしばしば通達等を出し、指導しておるところでございます。ですから、そういうような事例は今後とも好ましくないのみならず、これがたとえばいま御指摘のありましたようないろんな弊害あるいはピンはね等につながる危険性をはらんでおりますので、こういう基本的な姿勢は繰り返し注意し、指導監督してまいる所存でございます。
  32. 柴田健治

    柴田(健)分科員 時間がありませんので、いずれまたあらためてこまかいことは申し上げます。  次に、これから物価が安定をする、また下がるという見通しは、われわれの立場から言うとないんではなかろうか。いずれ石油もまた上がる、電力も上がるだろう、鉄鋼も上がるだろう、その他公共料金も順次上がっていくだろう、食糧も上がるだろう、総合的に判断すると物が上がるという可能性が出てくる。そういう場合に建設資材――一昨年の夏から木材、セメント、くぎ、鉄鋼、あらゆるものが不足、セメント業界の中では意識的に生産調整、輸送調整などいろいろなことをやったわけでありますが、日本のセメントの生産能力は約一億トンといわれておる。その一億トンの生産能力を持っておるセメント企業が、六五%から七〇%しか生産しないところに問題があるという気もいたします。きょうはそれを論議するわけではございませんが、とにかく建設資材が上がることはわれわれは見通しを立てなければならない。その前に、今日の建設単価の問題、その基準をいままでは――昨年は何だかんだと言ってスライド方式をとった。今後スライド、スライドというものは私は好ましいことではない、もっと明確に単価基準というものをつくる必要がある、こういう気がするのですが、大臣、その点ひとつ見解を聞いておきたい。
  33. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 お説のとおりでございます。スライド適用というような事態に持ち込むことは、これはもう政治の最も避けなければならない点でありまして、その点は私どもも現在物価問題に全力をあげておるゆえんでもございます。しかし、やはりある程度の先の見通しというものを持たずに予算編成をいたしましても、これまた公共事業等においていい施設をつくるゆえんでもございません。したがいまして、予算編成にあたりましても昨年、たとえば一例を住宅等にとってみました場合に、二回ほど単価是正をやりました。その結果を参考にいたしまして、昭和四十九年度の単価におきましては大体四十八年度の単価よりも約四六%ほど高く見て予算を組もうということにした一事を申し上げて御理解をいただきたいと思うわけでございまして、そういう心組みで四十九年度の予算に対処しておるということで御理解をいただきたいと思います。
  34. 柴田健治

    柴田(健)分科員 最後に、くどいようですが、建設業法を十分に守ってもらうように、また守らしていくように、この指導だけは十分してもらいたい。そしていままで農村の出かせぎでけが人、死亡その他を出した建設業者は、大体大手企業でなしに下請の小規模の企業のほうが多い。この点を十分配慮していただいて、人命尊重という立場からこの点は建設省も十分責任を感じてもらいたい、これをつけ加えて、質問を終わります。ありがとうございました。
  35. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて柴田健治君の質疑は終了いたしました。  次に、佐藤敬治君。
  36. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 私は、昨年の三月六日の同じ分科会で御質問申し上げました東北縦貫道路の秋田県小坂地内の道路の位置の問題について御質問いたします。  昨年の三月六日――ちょうどきょうで一年であります。この前は金丸建設大臣から非常に力強いことばをいただいて早急にできるかと思いましたが、一年たってほとんど何も進んでない。また同じような質問をしなければいけないことを非常に残念に思います。大臣がかわられましたので、簡単に状況を最初に大臣に御理解をしていただきたいと思います。  この地域は、例の同和鉱業の本拠地である小坂鉱山という鉱山のある町でございます。町の形状は御承知であるかもしれませんけれども、小坂川という川の両岸に幾らもない、せいぜい両はじ一キロぐらいあるかなしのような狭いところのまん中を小坂川が通っておりまして、その川を中心にしてできた町でございます。その現在の川のすぐまたちょっと離れたところに鉄道が一本通っております。今度この東北縦貫道路というものは、またその鉄道の西側のほうにこれがもう一本通る。こういうようなことになっておりまして、もしこれが通るならば、川と鉄道と、それからこの万里の長城みたいな高速道路、こういうものでもって分断されてしまう。非常に小さいウナギの寝床みたいなところでありますので、都市計画も何も全然おかしくなってしまうのではないか、これはもう局長さん御承知のとおりでございます。  そこで、いろいろな問題が出てきたわけですけれども、一番問題になりますのは、こういうふうに分断されまして都市計画が全然おかしくなる。それから住民の自治意識といいますか統一意識といいますか、こういうものも非常に乱れてしまうのではないか、こういう危険性があります。それから入り口のところが、区画整理した非常にりっぱなたんぼができておりますが、それが全小坂の農地の約一〇%ぐらいに当たる四十七ヘクタールのせっかくつくったものがつぶれてしまう。これは広いところならだいじょうぶですけれども、ああいう狭いところにとってはかなり大きな問題であります。そのほかあの狭いところを縦断してどんどん大型の貨物が通って歩く、こういうことになりますと公害の問題もたいへんな問題、とにかくいろいろな問題が出てきて地元は非常にびっくりして騒いでおるわけなのですけれども、私どもがこれは非常に残念だと思ってこの前も質問申し上げたのですけれども、昭和四十三年四月にこれの施工命令が出たわけです。四十七年十一月に、今度は実際にこれに着手するという路線の決定が出てきたわけです。ところが、この四年の間にどういうような方法をとったものかわかりませんが、地元の小坂町には路線についての相談も何もない。こういうようなまことに非民主的な手段でもって路線がきめられた。そこでこの路線の決定に対して、地元の要望というのはほとんど取り入れられない状態できめられた。こういうことについて一つにはいろいろな実際的な問題が起きてくるのと同時に、地元が全然無視されて路線が決定されたということに対する地元の憤り、こういうものが非常に強いのです。私は、最初に地元から陳情を受けましたとき、四年もの間、どこの世界に、地元に一つも相談しないでほっぽらかして突然路線を決定するということはないのではないか、こういうことを言いましたけれども、地元の町長さんが参りまして絶対にそのとおりであるということで、資料を持って私のところへ陳情に来ました。見ますと、前後八回にわたって接触はあります。しかし、これは事務所をつくりますとか、ほとんどそういうようなあいさつで、具体的な内容の交渉というものは一つもない。私はこれは県にも非常に大きな問題があると思います。おそらく建設省と、あるいは公団と県との間にはいろいろな話し合いがあったと思いますけれども、県と町あるいは公団、建設省と町というものは全然接触がないのです。ところで、これは一体どういうふうなぐあいにしてこれをきめるのか、こう言ってこの前菊池局長さんに質問いたしましたら、地元と相談するとなかなかきまらないから、これはもう最終的には公団ですか建設省がきめるのだ、こういうような御答弁で、私も実に意外に考えました。私は実はこれは地方自治体としても大問題なので、前の江崎さんにも質問いたしました。自分も名神高速道路か中央道かどこかに関係したけれどもそういうことは絶対にない、親切過ぎるぐらい非常に親切に交渉してくれた、感謝しているぐらいだ、こういうような御答弁です。今度は金丸大臣に、どうもおかしいじゃないか、大臣はどういうふうに考えるかというのでお聞きしましたら、大臣はこういうような答弁「全住民、ことに町の長たる者もそういうものを全然耳にしていないということになれば、私も非常に考えさせられる問題点だと思います。私もあの中央道の沿線に住んでおるのですが、中央道をきめるときは、県知事は町長を呼んで町長の意見を聞いた。町長は議会にかけて、それを町民の意思として申し出たというようないきさつもあります。そういうことでどこもきまっているものだという感じで私はおったわけでございますが、いまお話を聞けば、全然そういうものにはタッチしてない。そういう時代ではないと私も思います。この問題については十分慎重に調査してみたい」、こういうような大臣の答弁があったわけです。非常に力強い答弁でありますので、ぜひひとつ地元の要望を聞いて路線の変更と取り組んでいただきたい、こういうふうなことをお願い申し上げて質問を終わりました。ところがそれからしばらくほとんど何にもありません。これは私だけじゃなくて同僚議員の中川さんあるいは参議院において当時の沢田建設委員長からも質問申し上げて、かなりいい返事はもらっておるようです。できるだけ地元の意見を聞いて路線を変更するようにしたいというような答弁を聞いておるようですけれども、残念ながら去年雪の降るまでには、ほとんど何にも動きもないのです。ただこの十六キロの町端ですね、片っ方は毛馬内インターチェンジ、もう反対側のほうは碇ケ関インターチェンジ、そこのところの両側はどんどん買収の交渉が進んだりしておる。中には、全然手はつけておりませんけれども、何のあれもないので非常に不安がっておるわけです。このままほとんど押し切られるのではないかという不安を地元では非常に持っておって、これを何とかしてくれ、このままであの道路をつくられたんじゃ、町はめちゃくちゃになってしまう、こういうような強い陳情があります。そこで、お伺いしたいのですが、その後この問題はどういうふうに進展しているか、それをお聞かせ願いたい。
  37. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまの先生のお話、ほとんど全部ごもっともでございます。私どものほうも、通常の場合につきましては、ルートをきめます場合には、県はもちろん地元の市あるいは町の長の方と打ち合わせをしてやるわけでございます。この場合は県とは十分やっておったようでございます。小坂の町長さんのほうにおろす時期がおそくなりまして、おろしてから間もなく路線を発表したということも事実でございます。そこで実はこのルートをきめます際には、前回にもお話し申しましたように、何本か計画の路線がございまして、いろいろこういう狭い地域を通るところでございますから、人家のかかる問題、たんぼの問題あるいは果樹園の問題、あるいはこの地区には地すべりの大きな地帯が二カ所ございますので、そういうようなところを避けながらというルート選定をいたしますと、公団が路線発表したあれが一番よろしいという結論になりまして路線発表したわけでございますが、先生はじめまた地元のほうからも相当強い、地元の御意向ということがこの路線ではないということになりまして、前回大臣が申しましたように、路線の調査をやろうということでその後進めております。ただ一年たったのにまだ何もできていないではないかというお話でございますが、実はこの路線の調査はたいへんむずかしゅうございます。もうすでに先ほど申し上げましたように、四十三年に施工命令が出てから四十七年までに約三年半ぐらいか四年近くかかっております。それだけのルートの問題をやはり検討いたしますと、どうしても一年以内に終わるということはむずかしゅうございます。まして図面をつくりまして設計いたしますので、そういう意味でいままでに大体五千分の一の図面でいまのルートより、これはまた山の側の、小坂川の対岸に持っていく案、それから同じ側の案いろいろございますが、そういうようなもので具体的に、路線のもっと非常に大きなバイパスルートというものがとれるかどうかということをいま図面で検討しております。それで大体ルートとしてはこういうルートがあるだろうということの見当はつけておりますが、あと、地すべりの問題、地質調査の問題あるいはトンネル、橋梁というものが当然たくさんできますので、そういうボーリングの状態とかいうようなことをやりませんと、確定的な数字が出ませんので、これは雪がなくなりましてからそれに入りたいということでございますので、夏か夏過ぎころまでには一応その線の成果を出しまして、そして現在あるいろいろなルートとの比較検討をしたいというふうに考えておるわけでございます。
  38. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いま、ちょっと基本的なことに触れたいんですが、いろいろ検討した結果あの町の中を通るのが一番いいんだ、こういうようなお話で、この前もそういうお話をしておったんですが、私は、それは非常に間違いだと思うのですよ。山の中だとか町のはずれを通る場合にはそれでけっこうだと思うのです。しかし、町のどまん中を二分するような、ああいう万里の長城みたいに、高さ七メーターで下が五十メーターもあるような大堤防をつくって、それが一番いいんだということを独断できめられちゃ困るんです。一番関係あるのは道路じゃなくて町の人なんです。それを、あちこち検討をしたけれどもこれが一番いいんだという、道路を主体にしてものを考えられても困るんです。だから、この前も私は言いましたように、これは経済優先、産業優先の道路だ、地元を殺す道路である、こんなものは地元にとっては何の役にも立たない、こう申し上げたんです。そう申し上げますと、地元でもこれを中心にして産業が発達するんだ、こう言うんです。しかし、町がつぶれてしまって産業も何もないんです。町のほとんど一〇〇%の人が、この道路に通られちゃ困る、こういっているのに、この道路はいいんだといってがんばられても、一体その道路の価値というものはないと私は思うのですね。しかもそれが技術的に非常にむずかしいんだ、どうしてもできないからだめだというのじゃないんです、この前もるる申し上げましたけれども。いま地すべりだと言います。とんでもない、富士山の中腹がすべってくるようなことと違うんですよ。雨が降るとちょっとそこいらが、ほんとの小地域がくずれてくる、そういう程度の地すべりなんです。こんなものは、海底トンネルをつくる時代に、処理できないはずはないのです。もっと計画の当初に町のことを考え、住民のことをもう少し配慮してもらえば、いまごろこんな質問をして騒いでいなくてもいいと私は思うのです。根本的にその姿勢が違えば、これからいろいろな計画が出てくるとき、必ずこういう問題が出てくる。住民との摩擦が出てくると思うのです。だから、いままではいわゆる経済優先の時代でありました。住民が少しぐらい公害を食らってもいいからとにかく道路をつくれ、新幹線をつくれといって騒いでいましたけれども、いまはそれに対する重大な反省が出ておるんです。だから、まず一番先に、住民がこれによってどういうふうな不利益をこうむるのか、それをどういうふうにしてカバーしていくのか、こういう問題をよく考えてくれませんと、常に、いいことをやったという意識があなた方にはありますけれども、住民は、こんなでたらめなものをつくって困るという反発が必ずくるんです。どうかひとつ、お願いですから、これから住民ということを第一にいろいろな計画を練っていただきたい。そうでないと、これはもう住民との摩擦というものはやまないと私は思うのです。いま大臣から聞いても、建設大臣から聞いても自治大臣から聞いても、そんなばかなことはない、住民とほんとうに接触し過ぎるぐらいよく接触してやっておるのに、なぜ秋田はそうなった、いや、秋田県はあまり僻地だから建設省にばかにされたんですと、こう言って冗談言っておりましたけれども、そういうひがみが出てくるような、地元が無視されたような状態であります。どうかひとつ、そういう意味で、これからもいろいろできますし、できるたびに問題が起きてたんじゃしょうがない。だからひとつ気をつけていただきたい。特に最近のいい例がありますけれども、新幹線ができて名古屋からああいう訴訟が起きたりしていますね。この間動労が、ストライキ、順法闘争じゃないけれども、あそこをスピードダウンしました。住民から非常に歓迎されました。しかも、最近の新聞を見ますと、スピードダウンしても全体の時間が全然変わらない。だからよそでもやろうじゃないかという機運さえ出てきている。ちょっと考えれば幾らでもいい方法があるんです。これだって、ちょっと向こうへ寄せればいい方法があるのです。あなた方、自分のデメリットだけ一生懸命計算して、住民のデメリットは何にも考えない、だからこういう計画が出てくるのです。どうかひとつそういうことで、まず一番根本的なことは住民本位にものを考える、こういうように考え方を切りかえていただきたい、こう思います。  それで、いまいろいろ説明がありましたが、も少し具体的に、どういうふうなことをしているか。たとえば、この前、同僚の中川議員が質問したときに、何か航空写真をとっていろいろなことをやっている、こういうようなことも聞いております。こういう点について、もう少し詳しく説明していただきたい。
  39. 菊池三男

    ○菊池政府委員 先ほど鹿角のインターチェンジのところから小坂の町の中を過ぎるところまでの問題につきましては、何本か計画線を引いて検討したということを申し上げました。ただいまやっておりますのは、公団が示した案より対岸のほう、小坂川の対岸を、たとえば地すべり地帯がございます、それのどちらかというと中かあるいは裏側というぐらいのところから――たとえば県境のほうに坂梨峠というのがございます。これは小坂を過ぎたところでございます。まだルート発表はいたしておりません。そういうところまでの大きなバイパスという考え方もあり、またその途中で計画の道路に小坂を過ぎてから出るという計画もございます。いろいろな計画ございますが、そういう大きな計画を立てたらどうなるかということで、先ほど申しましたように、ただいま五千分の図面ができて、大体ルートはこういう線なら引けるだろう、ただし、その線が先ほど申し上げましたように、地質あるいはすべりというようなことからどういうことかという、まだ実態の土質調査やボーリングをやりませんとこれは計画線として確定いたしませんので、これは雪解けが終わってからやりたいというふうに考えております。  それから、たいへん私ごとでございますけれども、実は私も、昨年国会の終わりましたときにこの現地に参りまして、山の上から現地を見ております。というようなことで、私もこれにつきましては十分そういう成果を見た上で検討すべきであるというふうに考えておるわけでございます。
  40. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 時間が非常に少ないので、なにですけれども、そうしますと、基本的には地元の要望をいれてあの路線を変更するというつもりでいま作業を進めているということですか。
  41. 菊池三男

    ○菊池政府委員 これはまだいま調査段階でございますので、ルートというものは調査した成果を見ませんと、変更することを前提にとかいうことではないと思います。そういうものもひっくるめて、それといまある道路あるいはその他の道路との比較できめる問題だと思います。ただ、いままで、路線を発表したものについて、これほど大きなバイパス調査等していることはございません。大体、路線発表をいたしますとそのまま施工という形になっておりますけれども、そういう意味では、これだけ大きなルートの調査をしていること自身は、確かにそういう意味の前向きの姿勢ではあるわけでありますけれども、しかし、そうだからといって、まだ成果を見ない限り私どもは、あるいはこれがまた地質的にだめだということになりますと振り出しに戻ることにもなりますので、いまの段階としては、そういうことを前提に云々というただいまの御質問に対しましては、まだ調査の成果を見てからでないと確定的な御返事を申し上げられないと思います。
  42. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 そこのところが非常にいま地元でひっかかっているのですよ。ゼスチュアで、またもとのもくあみになるのじゃないか。というのは、両側がどんどん進行していっている。そして両側が確定してしまえば、短い中を変更できなくなるんじゃないか、だから、やるならばもう両側も一緒に含めてやらなければ地元の不安が取れないわけですよ。だから両側のインターチェンジのところ、あそこがこの変更と関係がないかどうか、それをひとつお聞かせ願いたい。
  43. 菊池三男

    ○菊池政府委員 鹿角のところでインターチェンジができます。これは国道の一〇三号線とのインターチェンジでございます。そこは私どもは、影響はないような形で線を、いまの計画線あるとすれば、そこへ影響ない形でいま線を引いて調査を進めておるわけでございます。  それから反対側のほうにつきましては、これはまだ路線が確定しておりませんから、小坂より青森のほうへ向かいましてはまだ地元にルートの発表ということはありませんので、これは両側で押えられるということにはならないと考えております。
  44. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いま局長さんの話されたことに対して反発するわけじゃありませんけれども、碇ケ関から向こうは路線を発表したということを聞いておりますが、確かに碇ケ関インターチェンジから北のほうは路線を全然決定しておりませんか。
  45. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいま碇ケ関のところにつきましては、いまのルートの影響はそこまではいかないというふうに考えております。坂梨峠を越えるか越えないか、その辺の前後で原道に結びつくという考え方で、いま調査をしておるわけでございます。
  46. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 そうすると、一応碇ケ関の付近は決定しておるわけですね。そうですね。だけれども、そこに行きつく前に、もし小坂地内が変更するとすればそれに行きつくことができる。要するに影響がないということですな。
  47. 菊池三男

    ○菊池政府委員 いまの、この小坂地区のルートにつきましては影響ないというふうに考えております。ただ、全般的な問題といたしましては、これ以外のところで、やはりルートを発表したところでいろいろと反対の方もおるわけです。そういう方々は、たとえば小坂とかそういうところはどうなるかということをいろいろ見ておられるのも、この東北道のほかの地区にもあるというふうに私どもは聞いておりますけれども、それとこれとは別個の問題というふうに考えております。
  48. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 これは一ぺん発表してしまった路線ですから、これを変更するということになるといろいろな利害関係が出てくるのは当然だと思うのです。しかし、先ほど申し上げましたように、あなた方が地元に何にもやらないからこういう問題が起きてきたので、ぜひひとつ、そういう難関を突破しまして、これを早急にきめていただきたいと思うのです。というのは、これがきまりませんと都市計画はやれない、いろいろな問題が出てきまして、どうも小坂の町がみんな落ちつかなくて困っているわけです。まあ大都会にこういう問題が出てきてもたいしたことないかもしれませんが、これは小坂一町全体の大騒ぎの問題になっておりますので、ぜひひとつ早急にこの問題を解決して地元を安心させていただきたい、こういうふうに考えております。  ただ、もう一点お伺いいたしますけれども、先ほどの、変更を前提としてはいない、こういうお話なんですが、まあしつこく聞くようですけれども、変更されないという理由が、土質であるとか地すべりであるとか、そういう問題だとなると、私は問題にならないと思うのですよ。あとはもう安上がりだ、こういう考えでやっているとしか思われないのです。私は現地をよく知っていますが、あそこをどう動かしたって、いまのあなた方の技術でもって変更できないなんというそういう話はないです。絶対にできます。だから、実際やってみてどうかわからぬというようななまはんかな答弁ではなくて、はっきりと、変更する、そういう前提のもとにやっています、こう言ってひとつ地元の人たちを安心させてください。
  49. 菊池三男

    ○菊池政府委員 たいへんむずかしい答えになります。ただ、申し上げなければならないのは、先ほど地質の問題というような一例をあげましたけれども、それ以外に、実は山の奥のほうへ上げますと勾配の問題が出てまいります。トンネルの排気の問題で、ある程度トンネルの延長が制限されることはもちろんでありますけれども、それと同時に勾配が、いまはほとんど平坦なところで走れるのが、今度は山の上のほうに上がりますと、これもこまかいデータを見ないとわかりませんが、たぶんやはり四%、五%、あるいは六%というような勾配になるところが出てくるわけでございます。そういたしますと、ここは雪の多いところでございますので、まあ雪そのものは除雪すればいいのですが、夜間に凍りつくというようなことによるスリップ事故ということが出てまいりますので、交通安全上もできるだけ勾配の少ない平たんのほうがいい、そういう見方もございますので、これはいろいろな点を総合的に見ませんと、いまここで動かすことを前提に必ずやるんだというふうに申し上げるわけにはまいりませんので、そういうことも総合的に判断をさせていただきたいと思っております。
  50. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 勾配の問題にまだとらわれているようですが、この前も私がその質問をしたら局長は三%をこえると事故が多くなる、こういうふうなことでありましたが、これなんかもほとんど問題にならぬと思うのですよ。切り通しをもう少し深くするとかトンネルの曲がりを少し深くするとかすれば問題にならぬ。排気の問題だって、もっともっと深いところを掘ってどんどんみなしていますよ。あちこちの大峠があるでしょう。奥羽山脈を福島から向こうへ越えていくトンネルだとか、いろいろたいへんなトンネルがありますよ。あんなのから見たら、これはほとんど鯨にイワシがくっついたようなトンネルですよ。そういうのを理由にしてできないと言うことは、これはもうほんとうに変更しないつもりだ、こう考えるしか手がないのです。だからはっきりと、これは変更することを前提にしてやっていますという答弁を聞かないうちは不安でしょうがないのですよ。これはもう技術的に絶対困難なことはありませんよ、あなた。自分だってそう思っているでしょう。こんな道路なんか、いままでいろいろな工事をやっているのから見ると、全然問題にならぬような小さい簡単な工事なんです。これがもしできないといってあの町の中を通してごらんなさい。町はまっ二つになり、こっちには鉄道がある。鉄道とあの高速道路の間にはさまれて半分くらいあそこに住宅があるのです。学校がありますよ。もう朝から晩まで北海道へ行く大型のトレーラーが走ってごらんなさい、寝ても何もおられない。このメリットとデメリット、多少は金がかかっても山を越していくメリットと日本全体の経済から考えたならば、山のほうを通してくれたほうが、町を避けてくれたほうがどのくらいありがたいかわからないのですよ。昔、青函トンネルを掘るのができるかできないかというのならわかりますよ。あんなところに小さいトンネルを一つ掘る、勾配を一%下げる、こんな問題が解決できないはずないじゃないですか。
  51. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいま調査をやっている段階で結論的なことを言えと言われても、私どもとしてもどうも結果を見ない限りなかなか言えませんので、これはひとつその点でごかんべんを願いたいと思うのであります。  それともう一つ、トンネルにしてももっと長大なトンネルもできるだろうという点は、技術的にはいろいろやっておるのもございます。ただ、それしかできないところとそれ以外に方法があるところというふうなことを総合的に考えますと、やはりそういう大きなトンネルを通せばお金がかかる。お金だけが決してその考え方の基本ではありませんけれども、全国至るところにつくるということになりますと、やはり最も能率的なつくり方をしなければならないということも一つ考え方の要素でございますので、そういう点を全部整理した上で判断をしたいと申し上げておるのでございまして、どうもただいまから結論的に動かすということを前提に言えと言われても、これはいま調査中でございますので、その点はひとつごかんべんいただきたいと思うのです。
  52. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 能率的につくるということも一つの考えだ、その考えにとらわれていますと、いつまでたっても同じようなことが出てきますよ。いままでのように貨物自動車を優先にして考えないで、それが通るところの住民を優先にして考える、これがいわゆる発想の転換ですよ。この転換なくして幾らやってみても、結局は安上がりなところにつくりましょうという結論に落ちつくんだ。そこのところをもう一ぺん踏み切ってくれ、こう言っているわけですが、時間になりましたので、大臣からひとつ感想をお聞きして終わりたいと思います。
  53. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 まあ住民の福祉を願って計画し、道路をつくろうあるいは鉄道をつくろうということが、一部においてはその住民に致命的なマイナスをもたらすということは私どもとしてもできるだけ避けなければなりません。実は私のところもちょうど同じようなケースで、ほんとにもう耕地の少ないところを東北本線と四号国道とそれから新幹線と通って耕地が全くなくなるというようなところでさえも、実はいろいろ話し合いによってうまく解決を見ておるわけであります。私も現地は地図の上でしか見ておりませんが、佐藤先生のお話でありますとおそらく私どものところよりもより深刻な問題が出ているんであろう、こう思うわけでございます。まあ局長から答弁いたしましたとおり、いままでに迂回をするというような調査さえしたことがない、それをやっておるわけですから、そのわれわれの気持ちですね、その辺の気持ちも御理解いただいて、まあ雪が解ければその結論を出せるわけでありますので、それまでひとつ時間をかしていただけないものかという感じがいたすわけでございます。  この問題に限らず近ごろいろいろな面での住民運動、基本的人権を擁護するために立ち上がる住民の方々が多くなってきておるわけであります。こういうことを無視しては真の政治はないわけであり、ますから、やはり国民の福祉のために政治、行政は行なわれるべきであって、その政治、行政が国民を苦しめるというような結果だけを残すということは厳に避けなければならないという気持ちで私も部下を指導しておりますので、その点ひとつよく御理解をいただきたいと思うわけであります。
  54. 佐藤敬治

    佐藤(敬)分科員 いま大臣からも非常に心強い発言がありました。どうかひとつ雪が解けましたならば早急に結論を出して、どうかわからないということじゃなくて変えるという前提でやっていただくことを強くお願いいたしまして、終わります。ありがとうございました。
  55. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて佐藤敬治君の質疑は終了いたしました。  次に、小官武喜君。
  56. 小宮武喜

    ○小宮分科員 私のこれからの質問は第三分科会でやったほうがよかったのではないかというふうに考えておりますけれども、その点、前もってお断わりしておきます。  御承知のように今日、各地方自治体における水道事業というのは非常に破綻に瀕しているわけでございます。御承知のように、最近の急速な産業経済の発展と、それから国民生活あるいはその地域住民生活の向上に伴って水の需要が急に非常にふえてきた。そのために各地方自治体においても、その水資源、水需要にどうこたえるかということで盛んに苦労しているわけでございますが、しかしながらこの開発ということになりますと、用地の取得、慣行水利権の保護の問題あるいは公害補償の問題、こういうふうなために巨額の投資が必要とされてくるわけでございます。したがいましてこのまま推移するならば、各地方自治体の水道事業というものが破綻に瀕することはもう明らかだと思うのです。したがいまして、そういった各都市における水道事業経営がどうなっておるか、このことについての現状認識と将来の展望についてまずお伺いしたいと思います。
  57. 加賀裕

    ○加賀説明員 お答えいたします。  四十七年度の決算によりますと、地方公共団体が経営しております上水道事業、これには公営企業法を適用しております簡易水道事業三十事業を含みますが、千六百七十八事業に相なっております。その経営状態は、単年度で赤字を出しているる団体が全体の二三・九%に当たります三百八十七御業、その赤字額は百八十一億円になっております。また累積欠損金は二百四十四億円でございまして、累積欠損金を有する事業数は全体の二六・二%に当たります四百二十四事業。さらに不良債務の額は三百八十六億円に及んでおります。  それからさらに、こういう上水道事業の経営の現状にかんがみまして、いま先生のおっしゃったように、建設投資につきましては起債ワクの拡大あるいは起債の貸し付け条件の改善、さらには、これは厚生省所管でございますが、水源開発あるいは広域化のための国庫補助金の拡充、さらに地方財政計画におきまして水道事業に対する一般会計からの繰り入れというような措置を講じているわけでございます。  こういう措置と相まちまして、やはり水道事業として経営するにあたりましては、料金の適正化というのが当然に必要になってくるわけでございまして、個々の水道事業にありましては経営努力を払いながらも料金適正化をはかることによりまして収支の、経営の改善をはかっておるという状況でございます。今後とも自治省といたしましては、水道事業に対する貸し付けワクの拡大なり貸し付け条件の改善、さらには高料金対策につきまして万全の措置を講じてまいりたい、かように考えておるわけでございます。
  58. 小宮武喜

    ○小宮分科員 いまの説明を聞きましても、かなりの自治体の中で非常に赤字を出しておることは明らかでございます。  そこで、いま言われたようにいろいろな施策を講じようとしておりますけれども、しかし従来もそういうような施策が講じられてきながらも、なおかつ現在の水道経営というものは非常に赤字を出して、もうどうにもならない。私のところのことを言って非常に失礼ですが、たとえば長崎市では、これは全国で一番水道料金の高いところなんですが、現在までに大体二十七億の赤字を出している。水道料金についてももう国内では最高の部類に入っておるということで、勢いこの赤字というもの、あるいはまた今後水資源の開発を行なっていくとするならば、さらにそれが給水原価を引き上げていって、それがまた水道料金を押し上げていく結果になることは明らかであります。そうしますと、いまのような最高の水道料金をさらに上げることが実際可能かどうかという問題に画面して悩んでおるわけであります。そういうような意味からすれば、いま百われたように、各事業体でも合理化なりいろいろな施策をやってこの経営の健全化ということをはかってきておるけれども、もういまの段階では自力で再建するということは、私に言わしめれば不可能な段階になってきた。特にそういった意味では、一番大きな原因になっておるのはやはり資本費の増高なんですね。だから先ほどから申し上げておりますように、たとえばダム一つをつくるにしても、そのために何十億とかかる。用地の取得、公害補償、慣行水利権の保護の問題、こういうようなことが資本費をどんどん押し上げていく。したがって、私はこの資本費の高騰に対して、やはり政府としても何らかの措置を講じなければ、いまの各事業体の赤字というものはさらに倍加していくであろう、拡大していくであろうということは用意に予想されるところなんです。したがいまして、そういった資本費の高騰に対して政府としてはどのような措置、あるいは救済措置あるいは助成措置を講じようとしておるのか、その点をまずお伺いしたいと思います。
  59. 国川建二

    ○国川説明員 お答えいたします。  ただいまの先生のお話、資本費の上昇に対する措置ということでございますが、厚生省といたしましては特にこの資本費、つまり建設費に対する助成を行なっておりますので、水道に関係する国庫補助金の実施状況等を申し上げたいと思います。  御承知のように、水の需要が非常に伸びてくるということから、かなり大規模なあるいは先行投資的な施設整備を行なわなければならないのでありまして、その中でやはりコストを引き上げる要因となるものは水源施設等でございます。そういう意味から水道の水源に対する補助制度が、昭和四十二年度以降でございますが、措置いたしておるわけでございまして、また水道の広域化事業に対してもあわせて助成いたしておるわけでございます。   〔主査退席、岡本主査代理着席〕  最近の数年の助成額を申し上げますと、この上水道に対するそういう意味での助成が、四十七年度予算は約百十九億でございます。四十八年度は百五十六億になっておりまして、明年度以降におきましても同じような措置を講じてまいりたいというように考えておりますし、先生のおっしゃるような観点から、厚生省といたしましてもさらにこれを充実強化していきたいというように考えております。
  60. 小宮武喜

    ○小宮分科員 この資本費の一立方メートル当たりの全国平均単価は幾らになっておるかということと、もう一つは、水道料金の十立方当たりの全国平均は幾らになっておるのか。最高、最低はどうなっておるのか。それからもう一つ、そういった起債等におけるこの支払い利息の料金収入に対する比率は平均でどれくらいになっておるのか、その三点を質問いたします。
  61. 加賀裕

    ○加賀説明員 一トン当たりの給水原価に占めます資本費の額でございますが、総額で四十円五十一銭のうち資本費は十五円六十三銭ということに相なっております。  それから料金収入に占めます支払い利息の割合でございますが、四十七年度におきまして支払い利息のみでは二六・七%、元利償還金にいたしますと四〇・九%ということに相なっております。  それから家庭用料金の十トン当たりの最高、最低でございますが、これを区分ごとに申し上げますと、都及び指定都市にありましては、これは四十七年度末でございますが、最高が北九州市の三百三十円、最低が大阪市の百三十円。それから十五万人以上の給水人口の団体でございますが、最高が長崎市の四百九十円、一宮市の百三十円。十万人以上十五万人未満の団体では、最高が苫小牧市の四群四十円、最低が武蔵野市の百四十円……。
  62. 小宮武喜

    ○小宮分科員 それぐらいでいい、あまり時間がないから。  いま説明がありましたように、最高と最低との格差というのはかなり大きいのです。したがって、たとえば料金の安いところは、豊富な水に恵まれながら安い料金で使っておる。片や料金を高く払っておるほうはいつも水飢饉に悩まされておる、こういった矛盾があるわけですね。水を豊富に使って料金が高いというなら、またこれは筋が通っておる。しかしながら、水が不足をして困っておるところが料金を高く払って、そして水を豊富に使って、潤沢に使っておるところが水道料が安い。  そこで、私は、これは大臣に一ぺん聞いてもらいたいのだけれども、大体水というものはだれのものでしょうか。ここに率直な私は疑問が生まれてくる。大田でもいいですから、水というものは誰のものか、どうしてできたのか。最近、空気と水がなければわれわれは生存できないということをいわれております。空気は、最近特に大気汚染で、空気というもののありがたみがわかってきた。水も水質汚染の問題がありますけれども、この水というものに対してのものの見方、考え方をやはり私はここで変えるべきじゃないのか、そういうふうな時期に来たというふうに考えるのですが、水に対してのものの見方、考え方をひとつ大臣から聞きましょう。
  63. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 仰せのとおり、水はたいへん貴重なものでございます。これは国民共通の財産、こう言って私は言い過ぎではない、こう思っておるわけでございます。したがいまして、そういう発想のもとに、実は建設省におきましても、やはり水というのは人為的につくり出すということはほとんど不可能でございます。やはり雨並びに地下水というものを大事にしていかなければならないということが、私は治水、利水の基本理念でなければならない、こういう気持ちで対処しておる次第でございます。
  64. 小宮武喜

    ○小宮分科員 私も大臣と全く同じ考え方を持っております。やはりいま言われたように、水はだれのものかというと、これはいわば天からのもらい水であって、それを各地方自治体が、おれの地域流れてきたらおれのものだ、だからおれのものは、おまえのところは不自由していてもなかなか水は融通しないというような考え方を私は変えなければ――いまの大臣の考え方、私は全く賛成です。その急味では水というのは天から与えられたものであって、もらい水だ。そうであれば、やはり国民平等に、公平に分配されるべき性格のものだ、私はこういうふうに考えるのです。そういうような意味で、そこにやはり発想的な転換を置かないと、現在のような、いまの行政というものがゆがめられてくるし、またいま私が指摘するような問題が出てくると思うのです。  それはそれとしましても、そこまでいまここでどうこう論議してもしようがないですから。いまやそういうような意味で盛んに各地方自治体でも水資源の開発をやらにゃいかぬ、やろうとしておるけれども、もう現在では、特に中小都市等では、一地方自治体とか一企業、事業主体あたりでは開発はなかなか困難であるということになってきておるのです。そういうような中で、それではこの人たちを、そこに住んでおったからおまえは運が悪いんだ、水が多くあるところに住んでおった人がおまえはもうけたんだというようなことで済まされる問題ではないと思う。であれば、私はいまの建設大臣が述べられたような考え方に立って、やはりこの水源開発は国が行なう、そしてそれを各地方自治体に供給していくというような考え方に立たなければ、先ほどから言われておるように現行制度で少しくらいの補助をしてみたって、これは根本的に解決されるものではない。そういうような意味で、これは質問をさらに続けますが、やはり私の考え方は、国がダム建設をし、水資源の開発をやって、必要に応じて、必要とする各地方自治体にその原水を供給するということを考えてもらいたい。   〔岡本主査代理退席、主査着席〕 また考えるべき時期に来たということと、もう一つ、そういったことで過去にそういうような各地方自治体において水源を開発したためにかなりの投資をやる、それが先ほど言われたような水道料金にはね上がってきておるというような因果関係を考えると、これからの新規に開発するものについては国の責任において当然やってもらって、その原水を地方自治体に供給する。それで従来各地方自治体で開発してきた、そのために非常に財政的負担をして現在破綻に瀕しておるというような、こういうような実態等から見ても、やはり従来開発したダム建設費用だとか、そういうようなものに対しては国が財政の肩がわりをするというようなことを考えていただかなければならないというふうに考えるのですが、その点についての所見はどうでしょうか。これは大臣のほうがいいですね。――河川局長どうぞ。
  65. 松村賢吉

    松村政府委員 先ほど大臣からお話がありましたように、水資源は国民共有の財産であるという考えは、一番妥当な線だと当然思うわけでございます。ただし、現実の問題といたしましては、その地域に降った水というものはその地域のものだという考え方もなかなか抜け切れません。この間の調整というものは非常にむずかしいわけでございます。  しかしながら、いまの水道事業のみならず、すべての水の需給というものは非常に逼迫しておる。水道事業というのはその最たるものであると思いますけれども、それで、これがその地域に降った水のみを使うというのではなかなか足らぬ、また高くつくという時代に当然なってきている甲わけです。それでわれわれとしても、この広い、広域的な水資源の開発あるいは長期的構想に基づく水資源の開発というものを当然考えているわけでございます。一部については、水資源開発促進法あるいは多目的ダム法等におきまして、国においてこの水資源の開発というのをやっております。しかしこれはごく一部でございまして、全面的に普及するというわけにはいかない。また、水がそれで公平にかりに行き渡ったとしても、この単価において非常に差があるというのではむずかしい、単価の公平化ということも当然考えなければならぬわけですが、これは、国が責任をもって水資源の開発をするということになると、一体その財源はどうするかというような問題が起こってくるわけです。方法としてはいろいろあろうと思います。国が一括してその水をプールしてあとで売るということも一つの手だし、あるいはまたその水源開発費用を何らかの方法、水利権とか水道料金とか、水道料金といいますか一種の税金といいますか、水道税というのですか何かわかりませんけれども、そういうようなことでもって需要者から一律に徴収するという手もないことはないと思います。ありますが、しかし現行制度においては非常に問題点が多い、また政府部内においてもこれについてはなかなか意見が完全に統一はしないわけでございます。  こういうことでございますので、われわれといたしましては、この水資源の開発、それと河川管理の問題、河川管理者が責任をもって開発するというのも一つ考え方だと思いますけれども、これについてもいろいろ問題がありますので、こういうもの全般についていろいろと検討しているわけでございます。しかし、なかなかまだ実現には至っておりません。一部については着々実行に移している点もありますけれども、根本的にはまだ移ってないというのがほんとうだと思います。  そこで、われわれとしてはさらにその考え方を進めて、できるだけ早くそういう水の、どういう形になるかわかりませんけれども、各地域における水道の水の、料金というより原価は少なくとも統一できるような形に何とか持っていく方法はないかということでいろいろ検討しておる次第でございます。
  66. 小宮武喜

    ○小宮分科員 私も、ここでその問題提起をしても、ここで皆さん方から、私が提起したような問題が一挙に解決するとは考えておりません。しかしながら、現行の中で何とかやれる範囲内のものは、やはり何とかやっていただきたいというのが私の願いでもあるわけです。その意味では、地方団体が過去において上水道とかいろいろな水資源の開発を行なった際に、その財源を地方債に求めている問題があるのですが、そういうような問題についての地方債の支払い利息等については、少なくともその支払い利息に相当する額ぐらいは、何とかひとつ国のほうでも考えてもらえないかということを質問したいと思います。
  67. 加賀裕

    ○加賀説明員 お答えいたします。  現在自治省におきましては、高料金対策といたしまして、全国平均の一定水準を上回る料金を徴収している団体につきまして、その資本費の軽減をはかるために、地方財政計画におきまして一般会計から水道事業会計に繰り入れを認めております。その額の一部につきまして特別交付税で措置しているというようなことで、過去に起こしました起債に対する資本の軽減をはかっているわけでございます。  先生の先ほど御指摘の長崎市につきましても、四十八年度におきまして、ちょっと金額、具体的に持ち合わせておりませんが、措置しているわけでございます。四十九年度におきましてもやはり同じような措置を講じまして、著しく高額の料金を徴収している団体の料金格差の是正につとめてまいりたいというふうに考えております。  なお、厚生省の国庫補助金に見合いまして、その裏負担につきましても同様な措置を講じておりまして、全般といたしまして、これらの措置を通じまして料金格差を是正していきたいというふうに措置しておるわけでございます。
  68. 小宮武喜

    ○小宮分科員 いろいろ努力をされておられることは、まあ私も認めるわけですが、それぐらいの努力だけではやはり何ともならないというのが現状だと思います。したがって、私が先ほど質問したのは、そういった意味では資本費の全国平均以上、あるいは支払い利息の料金収入に対する比率が全国平均以上、あるいは水道料金が全国平均以上のところに対しては、これはやはり特別の補助金の交付だとかあるいは地方債の特別扱い等の、そういった特別の措置を考えていただきたいということなんです。その点いかがですか。
  69. 国川建二

    ○国川説明員 先生御指摘のとおり、水のコストが非常に上昇してまいります。水道事業に対する財政措置といたしましては、私どもは、先ほど申し上げましたけれども、建設費に対する助成ということで、特に水源の布設費に対する助成につとめておるわけでございます。  料金構成の問題は、いろいろまあ対応策はあると思います。自治省からも説明ございましたけれども、主としてその建設財源に対する助成につとめておりますが、私どもも当然、従来の制度の一そうの充実をはかっていきたいというように考えておりまして、さらに必要な措置と申しますか全般的な水道事業対策は、今後も一そうその改善等をはかっていきたいと思っております。
  70. 小宮武喜

    ○小宮分科員 現行の国庫補助制度について、もう時間ございませんから深くも触れませんが、少なくとも現行の補助制度についてはやはり大幅に引き上げるということを考えていただかぬと、これは、いまの答弁でいろいろ言われておりますけれども、現実にはそういうようなことがなされてきておるにもかかわらずこういった事態におちいっておるということは、まだまだ、やはり国の政策というものが不十分だと思います。その意味で、現行の補助制度に対する助成措置を大幅に引き上げるべきだというふうに私は考えますが、これは厚生省と自治省からちょっと一言ずつ、上げますと言ってもらえればいいわけです。いかがですか。
  71. 国川建二

    ○国川説明員 現行の補助制度は、まさにその資本費に着目いたしまして是正の制度を立てておるわけでございます。しかしながら、実態といたしまして、先生の御指摘のような問題も、必ずしも事業体側の要望といいますか、一〇〇%充足するというにはまだ至らないということも、私もわかります。したがいまして、こういったことにつきましては、全般的な制度と申しますか、そういう関連もそこにあるわけでございますし、私どもだけでの実施もなかなかむずかしい面もございますので、今後一そう、関係方面とも御相談しながら、その改善に努力していきたいと思います。
  72. 加賀裕

    ○加賀説明員 水道施設の円滑な建設をはかりますために、起債、良質な資金の確保ということにまず努力してまいりたいと思います。  なお、再三申し上げますように、高料金に対するあれにつきましても、今後ともその充実をはかってまいりたいというふうに考えております。
  73. 小宮武喜

    ○小宮分科員 いまの答弁を信用したいと思います。しかしながら、先ほどからも私がるる申し上げておりますように、いまの制度の運用だけでは、ほんとうにいま危機に瀕しておる、破綻に瀕しておるこの水道事業経営というものを救済するにはまだまだほど遠い感じがします。そういった意味では、この際こういった水道事業に対する――これは全部とは言いませんよ。特定の都市が国内にも非常に多いのですね。そういうようなところに対しては何か特別立法措置ぐらいつくって、やはり何かの抜本的な救済措置を講じなければどうにもならないところまできておると思うのです。だから、私が皆さん方にお願いしたいのは、やはり特別立法措置ぐらい行なって、それで水道事業経営の抜本的救済対策を考えてもらいたいというのが私の特にお願いするところなんですが、これはひとつ、所管は違うかもしらぬけれども、大臣のほうから、何か所信があればお聞きしたいと思います。
  74. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御趣旨のお気持ち、十分わかりますので、政府といたしましても――とにかく水というものは、これは民族の生命の源泉でございます。いまの調子で人口がふえてまいりますと、非常に心配される面がそう遠い時期じゃない。二十年、三十年後のことを考えましても、水の問題はたいへん深刻な問題でございますので、私どもの所管の国土上の水はフルに使える、使えるように処置をするということでいま努力をいたしておりまするし、また、その使う立場に立っていただく各省もございますので、そういう際には、先生がいま御指摘のような線を十分取り入れていまから処置を講じてまいるというふうにして、ほぞをかむことにならぬようにいたしてまいりたいと考えております。
  75. 小宮武喜

    ○小宮分科員 いまの大臣の答弁に非常に期待したいと思います。もし政府にそういった誠意が見られないとするならば、われわれは議員立法によってでもこの問題を解決したいと思います。議員立法でやるなら政府はやらぬでもいいじゃないかということになれば困りますので、大臣、その点、私も大臣の答弁を信用してきょうの質問を終わりたいと思います。どうもありがとうございました。
  76. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて小宮武喜君の質疑は終了いたしました。  次に岡本冨夫君の質疑に入るのでありますが、本日は、同君の質疑に対し、参考人として本州四国連絡橋公団総裁富樫凱一君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  岡本富夫君。
  77. 岡本富夫

    岡本分科員 非常に短い時間ですから、ひとつ明確にお答えを願いたいと思います。  最初に質問したいことは区画整理事業でございます。  都市計画によって区画整理が行なわれておるわけでありますけれども、この区画整理法は昭和二十九年に制定されております。そして、なるほど、戦後の荒廃地を復興させるためには非常に都合がよかった、効果があったけれども、現在は、市街地を区画整理するためには、非常に市街地の地価が上がっておる。住宅街ですと、もうほとんど上がり切ったような状態です。したがって、そこに計画街路をつくっても、もう地価が上がるということは考えられない。逆に今度は、交通騒音によって地価が下がるというような現象も出ておるわけであります。区画整理によって減歩をするというようなことでは、もうどうしようもない。住民皆さんが納得しない。  一つの例をとりますと、これは私、昭和四十六年の八月十日、公害対策特別委員会で公害の問題から質問したことがあります。これは全国的な問題でありますから、一つの例をとってどこそこというわけにはいきませんが、これは西宮の問題を取り上げたときでありましたけれども、この区画整理事業を見ますと、国から十億円、市から六億円、住民が負担する金額が当時坪十五万円で七十五億円。当時七十五億円、いまでしたら地価がこの倍になっておるのです。こまかい計画を言うておりますと時間がありませんが、こういうように減歩される。こういうことで、これは昭和四十四年に実は施行区域を決定した。そして四十九年にまだできない。この原因はそういった減歩にあるわけです。  それから、この法律をここで見直さなければならぬのではないか。まあ山の中とか、あるいはまた耕作地とかいうところであると別でありますけれども、市街地は見直しをしなければならぬ時代が来たのではないか。そうしなければ、建設大臣、これは地方自治体をいじめる法律になっておる。これについてひとつ大臣の所信をお聞きしたい。
  78. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 区画整理法は、整然たる市街地をつくる、そのために公共施設の整備とあわせて面的に宅地造成を行ないまして良好な町づくりをするという手法でございまして、御指摘のような土地区画整理法によって施行されているわけでございます。  確かにおっしゃるように、既成市街地の中で行なわれる場合、あるいは郊外地の場合、さらにもうちょっと離れたような農村部で行なわれる場合、いろいろ区画整理事業を行なった場合の地価の上昇の程度が違うと思います。いろいろな実例を私どもも経験しておりますが、おっしゃるように、いまや既成市街地で区画整理事業を行ないました場合の土地の利用増進、ひいては地価の上昇というものが、評価いたしましても、郊外の場所で行なわれる場合に比べれば上昇率が低いということが、一般的にいえると思います。そういう場合には私どもも、まず事業費を生み出すための保留地減歩というものをできるだけ少なくする。場合によってはそれをなくする。さらにそれでも区画整理前の宅地の総価額が区画整理後の宅地の総価額よりも大きい、つまり区画整理事業施行後の宅地の総価額のほうが小さくなったという場合には、特に減価補償金という制度が現行法にもございまして、これを支出することによって、いわゆる無償の減歩というものを減らすようにしているわけでございます。  御指摘のようなことは、市街地の中の事業につきましては間々あることではございますが、あえて区画整理法の改正を行なわなくても現行法によってやれるし、私どもはそれで対処して、無理のない区画整理が今後とも施行できるようにいたしたいと思います。
  79. 岡本富夫

    岡本分科員 区画整理法の中で、減歩をするという項目は第何条にあるのですか。これをひとつお聞きしたい。
  80. 吉田泰夫

    吉田(泰)政府委員 区画整理法では、宅地整備と公共施設を整備する事業だということがうたわれておりまして、そして一定の宅地をどのように換地計画によって切りかえていくかということが規定されており、一方、公共施設用地を生み出して公共施設を整備するということから、従前の宅地の面積は、少なくとも公共施設の面積がふえた分だけ、たとえば従前の道路の幅員を拡幅する場合であればその拡幅した分とか、あるいは公園等をとった場合のその公園用地、そういったものが従前の宅地の面積から減るということになって、これを換地として、換地計画を立てます際に交付される換地の地積から減らすということに仕組んでありますから、その意味でいわゆる減歩ということが生ずるということになっております。
  81. 岡本富夫

    岡本分科員 この法律の中にはそういった減歩をするという明確なあれもありませんが、仕組みはそうなっておるということで、自然減歩になるんだという。この当時、二十九年のことでありますからあれですけれども、大臣、いまお話にあったように、公園をつくるから、付近の皆さん方の需要によって受益者負担だというようなことでありますけれども、私は地図を持っておるのですが、そうではないところの児童公園、そういうのはちゃんと国から補助金を出して市で買い上げてつくっている、区画整理するところは自分たちで出す、こういうような不公平。一つは不公平ですよ、これは。そうでしょう。区画整理、この中ではそんなことをしてもらいたくない。長年働いて、退職金で、この付近ならば、道は少し狭いけれども、公害もないし、一番静かなところだということでみんな移ってきた。そういうところを今度は、流域下水道をつくらなければならぬとかいう大きな計画によって、何といいますか、区画整理をしなければならぬ。住民皆さんは、してもらいたくないと言うでしょう。それに減歩をして、その減歩額を住民が負担をして、そうしてしなければならぬ。こういうようなことだから、私は、昭和四十四年から今日までがたがた言って、まだもめておると思うのですよ。いろいろな事情もございましょう。しかし、ここの一つの例、西宮市の例をとると、これは上流の宝塚市や伊丹市の流域下水道を通さなければならぬという大きな一つ目標、があるのです。区画整理をしなければそれが入らない。これは特殊事情なんですね。ですから私は、こういう特殊なところに対しては、やはりこの区画整理法を――まあ役人さん、よくその他というのを書いてあって、その他でひっかけてやるのですけれども、何か地方自治体がやりやすいように、しかも国から補助金が出るような、市で減歩分を買い上げる、有償でやる、こういうようにしなければ、私はいつまでたっても――これはあちこちでありますからね。ほかにもあるのです。だから国全体で、特に市街地、こういうところに対しては一そのためにがたがたして、しかもこれは、この出時ですと坪十五万円です。いま三十万しているのですよ。これは田中角榮さんの日本列島改造論からばっと上がったわけですけれども、あなたがやったのではないでしょうけれども、そういうようなことでますます準業費はかかる。これを四十五年ぐらいにやっておけばもっと安くできた。ところが国費はものすごく注ぎ込まなければならなくなった、また、市費の持ち出しも非常に多い。県費の持ち出しも非常に多い。こんなことで、私は、ここらでひとつ見直しをしなければならないのではないか、こういうように思うのですが、大臣の政治的発言をひとつ……。検討していただきたいと思うのです。
  82. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 土地区画整理事業の仕組み並びにこれが実施につきましての件につきましては、いま局長から申し上げたとおりでございます。また現行法でも、これを弾力的に運用することによって、ある程度幅を持った救済策が講じ得るということも答弁したとおりでございます。たまたまいまお話のありました広域下水道との問題に関連してという特別の事情というものもあるわけでございますけれども、やはりこれを特別立法措置が必要かどうかということにつきましては、もう少し検討さしていただきたい、こう思うわけでございます。  四十九年度から流域下水道あるいは広域下水道、こういう問題につきましても非常に住民の要望が強く熾烈になってきておる情勢、それとさらに国としても公害対策の面からもその下水道は無視できない、思い切ってやっていかなければならないという情勢になってきておるわけでありますから、もしそういう中で、現行の区画整理法をそのまま運用してうまく弾力的にやれば話し合いがつくじゃないかと言っておりながらも、現実に話し合いをしてみるけれどもなかなかかみ合わないというようなことが出てくれば、これは当然立法措置も考えなければならぬと思いますが、私は、やはり十分話し合いを進めることによって、ある程度まで解決のめどを見出すことができるのではないかという感じを実は持っておるわけでございます。
  83. 岡本富夫

    岡本分科員 こればかりやってもあれですが、大臣、この付近の住んでいる人たちは、そんな変な思想はなくして、ほんとうにいろいろなことで協力はしたい。四十四年に事業決定して、四十五年から交渉を始めて、四十九年になってまだはっきりした結論が出ない。いままで各委員が、農林水産やあるいはまた建設委員会や、あちこちでこの問題を論議しておりますね。参議院でもやっております、見ますと。そのたびに、その事業に対しての指導というか、もうやめておけとか、もっと話し合いをせいとか、そういう建設省の指導ばかりになっているわけですよ、答弁を見ますと。ですから私は、もっと地方自治体――毎日曜日出て、そして住民との交渉なんですよね、助役あるいは建設局長。これはもう、その労力たるやたいへんなものですよ。私、横で立ち会いましたけれども……。やはり市当局にしましても、地方自治体では、この区画整理法に基づいてやらなかったら結局国から補助金は出ないという、市の持ち出しになる、それはできないというので、何とか住民を納得させようと一生懸命にしているわけですけれども、いま私が申し上げたように、国の補助金が、当時ですけれども十億で、市が六億で住民が七十五億というような、こんな計算だったら、とってもしんぼうしないですよね。いま、減歩はもう少し少なくしていろいろと交渉やっておりますけれども、そうすれば今度は地価は上がってしまっている。やはりもっと早く、大臣、そういう問題がありましたら――なければ、私はこんな質問はしないです。これは地方自治体泣かせだと私は思うのです。だから、再検討をひとつしてもらいたい。いまの現行法でいけるんだ、上昇率が非常に低い場合、とこう言いますけれども、上昇率が低いんじゃなくて、安くなるんですよ。その点についてひとつ最後に、検討するなら検討すると。これは前にもだいぶ約束しておるはずなんだ。後退してしまって、話にならない。
  84. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 たいへん岡本先生、中に入って御苦心をいただいておるお話を聞いたわけでありますけれども、よく私も、現実の実態というものを頭に十分まだ入れ切れておりませんので、いまここではっきりと、こうしますということを申し上げられないのははなはだ残念ですが、気持ちとしては、先ほど申し上げましたように、これからいろいろな積極的な国の施策を、住民が必要としないものを進めていかなければならぬような事態が公害防止上当然出てくることが考えられるわけでありますから、そういう際に建設省としてどういう方策、かあるか、検討をしてまいります。
  85. 岡本富夫

    岡本分科員 では、それはひとつぜひ検討していただいて、もう二十年たった法律ですからね、ひとつ実態に即した行政をやれるように、この法律改正も含めて検討をお願いをしたい。  次に、時間があまりありませんから、このわずかな時間を有効に使いまして、本四架橋の問題ですが、本四架橋はいま一応延期ということになっておりますけれども、すでに着工しておるのが鳴門-明石間ということで、鳴門と淡路島、この間のやつをいま着工をしておるようでありますが、あるいはまた、計画をしておるようでありますが、これについての経過をちょっと、簡単にわかりやすく総裁から御説明いただきたい。
  86. 富樫凱一

    ○富樫参考人 瀬戸内海を渡る橋に三つのルートがございますが、それぞれのルートにつきまして着工橋をきめまして起工式をやる準備をいたしたわけでありますが……
  87. 岡本富夫

    岡本分科員 準備をしたのはいつ。
  88. 富樫凱一

    ○富樫参考人 準備を続けておったわけでございますが、昨年末に総需要抑制の問題が起こりまして、この起工は取りやめております。四十八年度に着工しようと考えました橋はAルートでございますが、神戸-鳴門のルートでは大鳴門の橋でございます。大鳴門の橋を着工することに予定いたしておりまして、現在は調査を進めておりますのと、着工するための準備をいたしております。
  89. 岡本富夫

    岡本分科員 そこで、徳島県と兵庫県の淡路ですね、これはいろいろ準備も相当進んでいるように思うんですね。これはいつごろなさるのか知りませんが、それはお答え願いたいのですけれども、これにつきまして、すでに建設省のほうも御存じと思いますけれども、先ほど水の話がありましたが、淡路島は非常に水が少なくて、天明、天保の二回に大飢饉があった。これは水がなかった、そのためにため池を二万以上あっちこっちつくったけれども、もうそれがほとんど老朽化している。非常にいまも水問題で困っているわけですが、さりとて淡路島の水源地というものがないわけです。ですからこの鳴門海峡、すなわち徳島から淡路島に渡すところのこの橋の下に導水のパイプラインをひとつぜひ計画をして、そしてこの淡路の水の飢饉を救ってやれるような、こういった考え方をやってもらいたい、こういうことなんですが、それについての考え方をひとつお聞きしたいのです。
  90. 富樫凱一

    ○富樫参考人 お話しのように、淡路島の水不足をどう解決しようかということはわれわれも聞いておるわけであります。ただ、その水道管を通す、あるいは送水の具体的な計画は、まだないわけであります。橋をつくる立場といたしましては、将来これはおそらく水道管を通すようになるであろう、そのときに通らないでは困るから、通れるような用意だけはしておこうということで設計を進めております。
  91. 岡本富夫

    岡本分科員 それを聞いて一つ安心しました。  そこで建設大臣、この四国の古野川あるいはまた、あっちこっちに川があるわけですが、ここで相当大きなダムをつくろうというような計画もあるらしいのですが、先ほどの委員が言っておられましたけれども、非常にセクト主義があるわけですから、淡路島としては、これは洲本市で県とあるいは市町村が寄って、盛んにお互いに責任のなすくり合いをしたというような報道があるわけですけれども、ぜひひとつこの計画に当てはめて、水源、水資源の確保を建設省のほうで責任を持ってあっせんをして、幸い橋には導水管をつける計画があるそうですから、これを活用して、ひとつ送れるように配慮を願いたい、こういうように思うのですが、いかがでございますか。
  92. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 この橋ができ上がるのがいまから十二年後くらいになるわけであります。そのころになりますと、水の問題というのは現在以上にきびしい状態になっていくのではないか、やはり人口がふえますし。そういう意味におきまして、やはり水の問題は十分――先ほど申し上げましたようになかなか大事な問題だけに、その地域地域既得権というような意識もございまして非常にむずかしい問題もあるわけでありますから、十分そういう点、御趣旨のような線に沿った話し合いをまあ続けていかなければならぬなというふうに思っておるわけであります。
  93. 岡本富夫

    岡本分科員 大臣、話し合いを続けていかなければならぬなでは、これはちょっと話にならないとぼくは思う。なぜかならば、この淡路島は四国のほうに対して、これはそういう地域エゴで言いますと、車はどんどん来て、公害だけいただく、それで水をいただかぬ、これでは話にならぬ。中には、そういうようなことがあればすわり込みをやるんだというようなことまで言っているくらいですから、そんな、世の中が不安になるような、そういうような施策は政府としてはいけないと思うのです。ですから、やはりそういった問題を、国が中に入って解決をしていこう……
  94. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 この問題、特に水の問題、これはやはり住民協力なしでは、地元の協力なしでは、この水の問題ということは非常に、それこそ先生御承知のようなむずかしい問題を起こす可能性を持った問題でもございますので、これはやはり十分話し合いを続けて、その中からお互いの希望を満たしていくという方法をとらなければ、国からこうやれというようなことになれば天下りだということになりまして、また反発が強くなる、せっかく話し合いがうまく進む問題であっても、という感じもいたしますので、そういう気持ちを実は申し上げた次第でございます。
  95. 岡本富夫

    岡本分科員 河川局長、何か答弁があるんじゃないか。
  96. 松村賢吉

    松村政府委員 淡路島の水の不足という状況、これは島の特性上、非常に深刻なものであろうと思います。四国から水を持っていくという話につきましては、四国の水の資源といいますと、やはり一番近いところとして吉野川をおいてほかはないわけでございます。その他小河川も近くにございますが、これはとても持っていく余裕というものはございません。それで、古野川の総合開発事業といいますのは現在盛んに進んでおるわけでございまして、これは全国でも屈指の大計画になっておりまして、その一部の水を香川県に持ってくる。それからまた、そのごく一部を愛媛県に持ってくるというような広域的な計画でございます。これは、第一期のいまの計画としてはこれでございますが、さらに次の計画というものを当然考えなければならない。これは単に淡路島のみならず、香川でもあるいは愛媛でも不足という点がある。ただし、この水の配分の問題については、先ほどから大臣も申されましたように、各県間の非常に微妙な問題がございます。したがいまして、私どものほうとして、いま水を持っていくということは、これは問題が非常に大きくて、そういうわけにはいきません。しかし、橋ができる段階、だいぶ先になりますけれども、現実すぐ、その水源の計画として持っていく計画というのははっきり確立はできないと思いますけれども、やはり時間をかけて、それを持っていくというものも考慮しつつ、四国の水資源の開発というものを考えていきたいという、ふうに考えております。
  97. 岡本富夫

    岡本分科員 これは他府県の問題だからなかなか口端にできないと言いますけれども、これは補助金さえ出せばちゃんと言うことを聞きますよ。その点はひとつ、いま答弁があったように、次の問題で考えていくという話ですから了承をして、これはぜひひとつ実現をできるように――亀岡建設大臣、そう首を振らぬと、ひとつ思い切って四国、こういう大きな架橋をやるときですから、ぜひひとつ検討――検討じゃなしに、実現できるように骨を折っていただきたい、これは要求しておきます。  時間がもう二分しかないので、私はきょうはあと、国道四十三号線の騒音対策問題についてお開きするつもりだった。これは先般、三木副総理が、全国で初めてこの道路に、そういった通過道路にグリーンベルト地帯を設ける、そして一ぺん試験的にやるんだというようなお話で、建設省のほうも道路局長さんのほうから、こういうようにやりますというような、一車線をつぶして植樹帯を置きます、それからそのあと西宮から神戸の間はそういうようにやりますというようなことで出ておりますけれども、私はこの問題について少し疑義がありますのは、環境アセスメントをもう少しやりまして――ということは、見ますとクスノキを、四メートルの高さを五メートルおきに置いて、その間にハベをやる、そしてハベの下に今度はツツジとビラドですか、こういうふうになっておる。そして植樹できないところには二メートルの防音壁をやる。それがどうも、やっただけということのような感じがする。防音壁は別で、それくらいの植樹でほんとうに排気ガスあるいはまた騒音の開顕か解決するんだというような――もう少しアセスメントを行なう。そうでないと、一ぺんやりましたら、なかなかもう一度というわけにはいかないと思うのですよ。そういう点についてよく検討をして、アセスメントをして学問的に考えて、それで完全なものをやっていただきたい。ただほわっとやっただけで、対策はしました、まだだめですか、ということは――沿線は五人に一人ぐらいの気管支炎、ぜんそくの方が、市の調査によるとおるわけです。今度公害補償法案が通りますから、これによってその人たちは何とかできますけれども、それよりも大事なのは、次々とそういう病人を起こさない、健康被害を起こさないというのが大切でありますから、その点ひとつよろしく検討していただいて、そして十分な対策を立てていただきたい、こういうことを要求いたしますが、その点について一言だけ……。
  98. 菊池三男

    ○菊池政府委員 四十三号線につきましては、ただいまお話しのとおり、環境対策としていろいろな工法でやってまいりたいと考えております。  ただ、これは道路側といたしましては、いま先生のおっしゃいましたように、一車線をつぶしてそこに緑樹帯をつくり、そして防音壁を建てる、これは道路側としてできることであり、また同時に交通の規制の面からも、昨年の四月からもう夜間の交通規制をやっておるようでございますけれども、そういうようなものもあわせ、いろいろな各種の施策をあわせてやりませんと効果がございませんので、そういうことで進んでまいりたいと考えております。
  99. 岡本富夫

    岡本分科員 では終わりますが、いまのこの規制問題につきましても、十一時からの規制ということですね。それから自転車を通すというのですね。こういうのも、よく見ましたらバイクが通るわけですよ。こういうのはほんとうにもう一ぺん検討しなければならぬ。これは私はまた委員会質疑いたしまして、十分りっぱなものをつくっていただきたい、こういうふうに考えております。  どうも主査、御配慮ありがとうございました。
  100. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて岡本富夫君の質疑は終了いたしました。  次に吉田法晴君の質疑に入るのでありますが、本日は、同君の質疑に対し、参考人として日本道路公団理事平出三郎君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  吉田法晴君。
  101. 吉田法晴

    吉田分科員 私は、あまりむずかしい問題でなしに、通俗的なことでお尋ねをいたします。  道路の使用料の問題。道路だとか、道路の一部ですけれども、橋。この間、関門大橋はおかげででき上がりました。あれば下関から北九州市にも要請がございまして、ちょうど私が市長をしておるときに橋でお願いをしました。それも、北九州道路のように、つくり上げたらとたんに狭くなるようなことのないように、人道をぜひつくってくれ、橋を見にくる人のために人道をつくってくれということでしたけれども、それはお断わりをして、片側三車線ということでつくっていただいたのです。つくっていただいて、それからそれに続きます北九州道路が、まだ縦貫道路はできておりませんが、八幡の末端まで通じまして、引野まで通じております。ところが、その北九州道路の使用料が、関町大橋の完成とともに引き上げられました。そこでさっぱり。せっかくつくられました関門大橋のほうは、縦貫道路が小月―下関間の完成ですから、中国側からの利用者が少ないということもあるかもしれない。この間の連休も、訪問者といいますか、通る人がさっぱりだ。それから北九州道路もさっぱり。これはおわかりになっていることだと思います。その原因が道路の使用料にある。安くするのはわかるけれども、高くするというのは、これは当を得たものではないと思うのですし、これは御存じだと思いますけれども、百九十九号線が大体でき上がっておる。そこで同じところを、同じ北九州のあのトンネルなり橋から北九州の端まで行きますのに、あの北九州道路を通らないでも、百九十九号線を通って海岸を走りますと、これはただなんです。だから、せっかく関門大橋から北九州道路に乗る人が少なくなった。これは当然のことだと思うのです。これは何とか再考さるべきだと思いますが、いかがでしょうかというのが第一の質問です。
  102. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまのお話で、北九州道路の料金が上がった、それが関門の橋のできたのとたまたま同時でありましたので、その関連で上がったというようなお話でございます。  これは実は、関門の橋は高速道路の一環でございます。それから、この北九州道路は一般有料道路でございまして、国道三号線のバイパス道路という形でつくっております。したがいまして、全く違うものでございます。  その北九州のほうの一般有料道路が値上げになりましたのは、実は値上げになったというより、従来走っておりました区間は、まだ全線がつながっておりませんので、暫定料金という形で、きめられた料金より安くしておったわけでございます。それが今度全線が供用されましたので、暫定料金を廃止いたしまして、そして当初のきめられた料金に変わりました。そのためにこれがちょっと上がったよう形になりますけれども、そういうようなことでございます。  それから、確かに百九十九号線ができまして、そちらのほうへ交通が行くという問題もございます。これは、有料道路は原則として一般道路の、ほかの通行の手段があるところに有料道路事業というものが認められているわけでございます。ほかに走れる道路があるという前提でございますので、旧道三号線もございますし、また百九十九号線もございますが、そういう意味で、それでなおかつ採算がとれるというのが有料道路でございますので、百九十九号線のほうへ車が移ったからといって、こちらの北九州道路がそのために料金を安くするということはむずかしいと思います。
  103. 吉田法晴

    吉田分科員 関門大橋が中国縦貫道路、九州縦貫道路をつなぐ高速道路の一部としてかけられたことは、私も知っております。しかし、せっかく橋ができて――若戸大橋ができましたときには、若戸大橋に何万という人が見に来ました。それからその次は、パールラインというか天草五橋ができたらそこに移りましたけれども、天草五橋にもずいぶんたくさんの人が集りました。せっかくできた関門大橋にたくさんの人が来るだろうというのは、下関も門司も期待を持ったところなんです。北九州市も期待したところなんです。それが、せっかくできたのだけれども、先般の連休やなにかのときにはさっぱりだったというのは、道路公団としてもやはりそう喜ぶべきことではないでしょうし、それから私どもとしても望むところではない。陸橋までつくれといわれたくらいです。それだけに、理由をあげられましたけれども、いままで通っておった道路まで通らなくなって、橋も、見に来る人間もなくなるようなことは、道路公団としてもやはり好ましくないのではなかろうか、何らかのくふうが必要ではなかろうかという意味で取り上げたのです。これは普通ならば、いままでの例で言いますと、関門大橋ができた、しかも関門海峡の上にあれだけの橋ができたということで、日に何万という人が見に来るのが普通でしょう。それは、ガソリンの規制もありましたよ。ありましたけれども、この間からの連休にさっぱりだというのは、これはやはり期待はずれなことは、私どもだけじゃないですよ。道路公団でもそうだと思います。そのくらいのくふうはしてもいいのじゃなかろうかということを考えて、まっ先に取り上げた。  それからもう一つは、暫定料金が、全部開通したから上げたのだと番われるけれども、同じ区間走って、百円が百五十円になったりしている。それは上がったことには間違いないのですよ。だから、それらの点についてもくふうはこらせぬかというのが質問です。  それから、ついでに申し上げますけれども、外国からお客さんが来たら、国がつくった道路、これば国道だ、その国道だといい、あるいは建設省で公共事業としてつくられた道路で料金を取られるというのは、外国人には何としても奇異に映るようです。これは私が申し上げるまでもないと思います。一部料金を取ることも、それはわかります。わかりますけれども、これは建設大臣もおられるけれども、要するに、建設行政として道路をつくったなら、そこにはやはり政策的な料金の考慮というものもあっていいのじゃなかろうかということで、ここで取り上げているわけです。  もう一つ言いますと、具体的な例から言いますと、若戸大橋がございます。あれは実は事前に、不必要に時間をとりたくないから、道路公団に問い合わせをさせましたけれども、地元の事情がよくわかっていない新しい秘書さんと、それから道路公団の担当の方でしたので、資料が十分とれていないわけですから、必要以上のことも聞かなければならないのですが、若戸大橋はできたときからずっと百五十円ですよ。去年かおととしか、予算委員会分科会かどこかで阿具根君がこの質問をしてくれて、そして答弁をいただいたことも知っておるのです、その当時新聞に載りましたから。せっかく若戸大橋をつくったけれども、なるほど初めの間は、天草五橋ができるまでは、西日本から日に何万という、若戸大橋を見にくる人がありました。その当時から百五十円、いまも百五十円、変わりありません。あの大橋ができたために、北九州合併の大きな推進力になりました。それだけにはなりましたけれども、若松と戸畑にとってはあの若戸大橋ができたためにさびれて、若松も戸畑も、大部分が百九十九号線を通って小倉に買い物に行くのです。これも御存知だと思うのです。詳細は御存じないかもしれません。そうすると、橋はせっかくつくってもらったけれども、銅像は建てたけれども、その結果は若松、戸畑にはプラスにならないで、マイナスにしか役に立っていないという現実があるわけです。せめて百五十円が百円になったらというのはその関係者の切なる願いですが、これについてはどうですか。
  104. 菊池三男

    ○菊池政府委員 若戸大橋ができましてから約十年ちょっとたっております。料金を設定いたしましてから、大体採算はいまの計画より若干下回るくらいのところでございます。したがいまして、これがこのままいきますと、償還の年月が昭和六十七年ということで、これは大体三十年というのが有料道路の償還の年限にしておりますので、そのときまであるいはかかるのではないかと思います。したがいまして、もし料金を安くするというようなことになりますと赤字ということになりますので、たいへんむずかしいかと思います。
  105. 吉田法晴

    吉田分科員 北九州道路の区間別の方法もございますが、せっかく百円であったところのものを、同じ区間を百五十円に上げぬでもいいじゃないかということについては御答弁がございませんでしたが、国道であるということが一つ、外国には例のない話だ。それから北九州道路のほうについても現実に、関門大橋ができる前よりも少なくなったことは事実です。これは通過客の数を見られたらわかります。そこで、北九州道路の問題についても、前よりも目に見えて落ちるような料金の計算方法は改定したらどうかというのが一つ。  それからもう一つ、あなたは通過客のことを言われますけれども、正直に言いますと、回数券を買ったら百五十円が百円になるのです。そこで、ほとんど毎日使うような大きいところはみな百円で通っている。ところが、ときどき通る、不定期に通る中小企業は百五十円出している。そこで、百五十円出している中小企業は、ぐるっと黒崎のほうから回って八幡あるいは戸畑に来ているわけです。これは御存じだろうと思うのですけれども、中小企業は関連企業が多いです。若戸大橋を渡るかどうかは、若松と戸畑が一番関係がございますけれども、やはり八幡にも関係があるわけです。料金を下げると償却の期限がまあ少し下回りますけれども、三十年の六十七年までかかるだろう、こうおっしゃる。最初の始期が多少違っておるようですけれども、あれは三十七年にでき上がりました。初めはほとんど橋を渡らないで、ぐるっと回ったんです。最近は少し回復をしてきた。回復をしておりますから、まあ償却予定に近いところに来ているかと思いますけれども、百円になったら、回っているのが全部なくなります。洞海を回って八幡に行っているのがなくなる。ですから、お役人さんのそろばんでは料金を安くすれば減るだろうと思われますけれども、そうではなくて、五十円下げてくれたら、これは通過客が倍になるとは申しませんけれども、西のほうから参ります諸君――福岡などでも、やはり安川電機の関連事業をしている人がいます。名前をあげてもいい。それがいまでは若戸大橋を渡らないで、やはり南の三号線を通る。こみますけれどもね、交通渋滞を来たしますけれども、それでもやはり福岡から国道を通って入ってくる。ひどい人になりますと、最近は渋滞をしておりますから、急ぐときには飯塚の八木山越しをして北九州に入ってくる。ですから、若戸大橋の百五十円が百円になるだけで、若戸大橋の通過客は、西のほうからいいますと、どっちでも同じでありますが、これはふえます。北九州だけではございませんが、しかし、いまだと若松から小倉方面に行くのに、特にこれは中央青果市場が最近小倉にできますが、若松から小倉に行こうと思えば、どうしても若戸大橋を通らなければ行けない。青果物が上がらぬように、生鮮食料品あるいは生活物資が上がらぬようにということは、これは政府としても努力を願っておるはずです。朝晩往復をいたします青果業者や地元の中小企業者、零細企業者には、百五十円が百円になることは痛切な願いですよ。大企業には回数券を買えば百円になっているのなら、百円にするくらいのことはそろばんの立たぬことはないと思います。お役人さんの大きな机の上では取れるかもしれませんけれども、私ども市民の切望を聞いた人間から考えますと、実情を知っている者から言いますと、そのくらいのことはしてやってもよかろうと思うのです。大臣もそこにおられますが、この辺は、あるいは大臣判断か上のほうの判断になるかと思いますから、分科会で取り上げて申し上げるわけです。ひとつ御答弁願いたいと思います。
  106. 平出三郎

    ○平出参考人 直接的なお答えになるかどうかわかりませんですが、一つ二つ先ほど先生から御指摘ございました点についてお答え申し上げます。  一つは、若戸大橋は三十七年に開通以来料金が変わっていない、北九のほうは料金が改定になった、上がったということでございますけれども、大体有料道路というのは上がらないのが原則でございます。これはできましたときに財産が確定いたしますので、それを大体三十年くらいで償還するという形でございます。だから有料道路というのは料金というものは上がらぬのが原則でございます。ただ管理費がだんだん高くなってまいりますので、それがささえ切れなくなりますと上がるということもございます。それからもう一つは、大きな手を入れて財産価値が非常にふえるということになりますと、これはまた料金改定ということが起こりますが、大きな手を入れないということでございますと、管理費の増加というものは、これは最初の財産価値とのかね合いもございますけれども、そんなにむやみに上がらないということから、大体一般有料というものは料金が変わらぬのが原則でございます。  ただ、北九はなぜこうなったかと言いますと、北九は一期、二期、三期に建設期間が分かれておりまして、まだその建設が最終的に確定しなかったということがございます。そこで、先ほど道路局長から御答弁申し上げましたようなことで確定しなかったという点がございます。それともう一つは、北九の場合は、最初とあとで非常に時間が延びました関係で、一期は非常に安くでき上がりましたけれども、二期、三期となるにつれまして価格も非常に高くなってまいりました。それから、最初見込んでおりましたよりも非常に高額の――当初は、これは大体二車線でごさいますけれども、百四十八億で御許可をもらってやっておったのでございますが、最終的には三百六十一億になってしまったということもございます。やはり有料道路の償還原則というものがございますが、これは非常に工事期間が長くなってまいりまして、若戸大橋のように完成した姿で出発したということでないものでございますので、その点はちょっと事情が違っておったかと思う次第でございます。  それからもう一つ、先生の御指摘のございました、百五十円が百円とかいうことになると、役人が変な計算するよりは薄利多売といいますか、交通量のほうも違ってきやせぬか、トータルでもってどうかというのでございますが、私ども、これも大体の計算方式がございまして、有料道路の料金をきめますときに、一つは償還原則といって、この料金でやればおおむね三十年間に償還ができるものであることということが一つの原則でございます。それからもう一つは便益の範囲内であることというのがございまして、走行便益と時間便益というのがございます。そこで、この有料道路をつくりましたときに、有料道路を通らなかったらどれだけの時間的なロスがあるか、それからまたタイヤとかガソリンとかいった物的ロスがどのくらいあるかというような――時間便益というのはなかなか計算しにくいのですけれども、一応の単価を建設、運輸のほうでおきめいただきましたものがございまして、そういった原則にのっとっておおむねやっておりますので、御了解いただきたいと思う次第でございます。
  107. 吉田法晴

    吉田分科員 断わりの説明ばかりですが、断わりの説明を聞こうとは思っていないのです。  もう一つ、それでは比較する意味でお尋ねしますが、北九州道路の黒川から引野まで通算をいたしますと幾らになりますか。それから羽田から有料道路があります。羽田からこの辺を通っている有料道路、あれは終点まで均一料金を取っております。それから大阪の御堂筋から伊丹の飛行場まで行く道路があります。あの有料道路の料金は幾らですか。それぞれひとつ教えてください。
  108. 菊池三男

    ○菊池政府委員 個々の問題につきましてはちょっと数字を持ち合わせておりませんけれども、大体のお話はできると思います。たとえば北九道路のこの区間のただいまの改定した料金、これでいきますとキロ大体十四円くらいになります。
  109. 吉田法晴

    吉田分科員 総計でキロ幾ら。計算方法はもらっている。
  110. 菊池三男

    ○菊池政府委員 キロ幾らということで比較していただくことが一番おわかりいいかと思います。たとえば首都高速道路の羽田から来ております道路は大体キロ十五円くらいでございます。それから北九州道路の場合にキロ十四円くらい。阪神高速道路も大体キロ十五円くらいと思います。それからそのほかにも国道のバイパスとしてつくっておる有料道路が全国にたくさんございますが、昔つくったものは事業費が安かったために、安いのでキロ大体十円から十二円くらいのものがございますが、最近はキロ二十円以上でございます。したがいましてこれはタイミングによって違うかと思います。北九州道路の場合は、最近事業を延長いたしましてできたものでありますので、それの比較としては、やはり前に安い料金が設定してあったので、それに引きずられて、どっちかというと安いほうだということになっております。
  111. 吉田法晴

    吉田分科員 黒川から引野までの数字をあげてください。
  112. 平出三郎

    ○平出参考人 黒川から黒崎でございますか、普通車といいますか、小型乗用車を例にとって言いますと三百五十円でございます。
  113. 吉田法晴

    吉田分科員 羽田からは。
  114. 菊池三男

    ○菊池政府委員 首都高速道路は現在小型で二百円でございます。これは八月から一応二百五十円になるような話になっております。
  115. 吉田法晴

    吉田分科員 それから御堂筋から伊丹まで。
  116. 菊池三男

    ○菊池政府委員 二百円でございます。
  117. 吉田法晴

    吉田分科員 これは建設大臣にお尋ねしますが、距離からいいますと大体似ております。むしろ羽田からこっちは渋谷かどこかだったのが最近延びましたね。延びましたのでも料金は同じです。やはり二百円です。私どもにするとこういう感じがします。何でも東京、大阪はこれで言いますと二百円。これは、さっきキロ当たり幾らという計算をしましたけれども、キロ当たり計算をしてそうなるのかどうかは知りませんけれども、北九州道路のほうは、だんだん長くなってきたということでプラスしていって三百五十円。そしてあとから回収をするから高くなると言いますが、それは私は建設省も道路公団も見込み違いだと思うのです。あれが黒川から富野という小倉のまん中近くまで完成しましたのは、三十七年か八年かの私が市長になる当時なんです。それで三百五十円。そうしますと、私どもの感じで言いますと、東京、大阪あたりは二百円、しかもそれは初めからあの幅がとってある。片道一車線とちょっと。側道がつくってあったりしましたから、実際には一車線半ぐらいあるのですけれども、車は一台追い越しはできません。できたとたんにもうこむのですよ。  ですから、私どもから考えますと、東京や大阪は同じような距離でも二面円で済むものを、いなかで言いますと、若戸大橋をつくっても百五十円だとか、あるいは道路で言いますと三百五十円。それを安くしてくれぬかと言いますと、いろいろな理屈をつけて、いまの説明のとおり、これはできませんというお話になるのですが、さっきの若戸大橋の例でごらんになるとわかりますけれども、回数券を買えば百円になる。だから毎日通っている大企業の車は百円で、回数券の買えない八百屋さんだとか、それから不定期に若戸大橋を渡る者は百五十円。これはそうなっているのです、実態は。そうすると、回数券を買ったら百円になるものならば料金を百円に改定できぬか、政策的にできぬかということを尋ねている。これは私のときにお願いをしましたら、市が建設費の一部を持ってくれたら百円にしようけれども、こういう話があったのです。そのくらいのことは政府として、あるいは政治としてできないかというのが私の尋ねなんです。これはひとつ建設大臣に御答弁をいただきたいと思うのですが、下の方は検討しましょうということは言えぬと思う。建設大臣ならば、再検討して、まあ全部についてできるかどうかわからないけれども、若戸大橋その他についてはできるのではなかろうかと私は考えるのですけれども、いかがでしょうか。
  118. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 お気持ちよくわかるわけでございます。できるだけ安いほうが国民のためにはプラスになることは申すまでもございません。ただ東京との比較の問題でございますが、実は東京のほうも、道路公団、首都高速のほうから、二月から上げるということに実はなっておったわけでありますが、全国的なバランスなり何なりという問題があるからということだったわけでありますが、異常物価の問題等もありましたので、私として、半年ほど延ばすべきである、延ばしてほしいと要請いたしましたところ、半年間の延長をはかってくれたわけでございます。したがいまして、その東京が安くて九州が高いということは、たまたま現在そういうふうになっておりますが、道路公団なりあるいは首都高速のほうにおいても、やはり全国の平準化をできるだけ負担の公平化というような面で考えておることも、これは事実でございますのでまず申し上げたいと思いますし、また九州のほうにおきましても、定期券を買えば安く、一台一台で通過すればそれが非常に高負担になるということもわからないわけではございません。しかし、そういう面に対する配慮を全くしてないかというと、軽自動車等については特別料金といいますか、三十円という安い料金を実は当初から変更せずにおるという、公団の、また料金を認可した建設省としての立場もひとつ御理解いただきたいと思うわけであります。御期待したお答えにはならないかもしれませんけれども、以上で私としての気持ちを申し上げた次第でございます。
  119. 吉田法晴

    吉田分科員 若戸大橋は切符を買っての実情まで申し上げて、そのほかに、さっき申し上げましたけれども、若戸大橋ができて若松、戸畑というのは地盤沈下といいますか、著しい下降、荒廃化といいますかをしておりますだけに、政策的に考えなければならぬ実情にありますことも申し上げた。ですからそれを政治的に配慮はできぬかということをお尋ねしたわけです。  北九州道路のほうは、計算方法ではありませんが、いま羽田からの道路のことを言われました。それは、いまの物価高あるいはインフレ下において公共料金を押えておられますが、この道路の料金が上げられるかどうかという問題です。それから北九州道路のほうは、その後の建設費が高くなったからということでいままでよりも高くなるという。しかしそれは、政策的に初めから二車線の走れぬ道路をつくったかどうかというのは、これは私は国の責任だと思うのですよ。それだけにいままでよりも高くすることはやっぱり間違いではないでしょうか。あるいは区分のしかたその他についてもこれは言える。その結果は並行線が――それは北九州道路が先にできて、それから百九十九号線という海岸路線はあとからできたんです。そういう関係もありますが、実際に北九州道路ができ上がったけれども、それを通るものががた落ちをした。これは目に見えて落ちている。そういう点については政策的にやっぱり考慮すべきではないかということをお尋ねしたのですが、建設大臣、どうですか。下の局長さんやあるいは道路公団に話をするような、説明だけを聞こうと思ってあなたに答弁を求めたわけじゃない。政治的な御配慮が願えるかどうか、最後に答えてください。
  120. 稻村佐近四郎

    稻村主査 吉田君に申し上げます。たいへん恐縮ですが、申し合わせの時間が過ぎておりますので、よろしくお願いいたします。
  121. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 道路公団からも実情をよく聞きまして、検討してみたいと思います。
  122. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて吉田法晴君の質疑は終了いたしました。  次に、山口鶴男君。
  123. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 きわめて限られた時間ですから簡単にお尋ねをいたしたいと思いますが、建設省河川局で昭和四十八年の八月おつくりになりました「広域利水調査第二次報告書 昭和六十年における水需給」、この問題につきまして若干お尋ねをいたしたいと思います。  これを拝見をいたしますと、昭和六十年におけるわが国の人口は一億二千百万人、工業出荷額は昭和四十五年価格で二百四十一兆円ということを設定をいたしまして、昭和六十年の水需要というものを想定をいたしておるようであります。そうして昭和四十五年から年間約八百億立方メートルの新規水源開発を行なうためには約千百カ所のダム、河口せき、湖沼開発、流況調整河川等の施設の建設を必要とするというふうにいたしまして、昭和四十五年から昭和六十年までの新規の水需要の河川水必要量は年間約四百億立方メートル、これに対する水の供給可能量は年間約四百六十億立方メートル、このためには約五百八十カ所のダム、河口せき、湖沼開発、流況調整河川等の施設を建設しなければならない。この所要資金は、洪水調節の負担すべき事業量を含めて約八兆円であるというふうに書かれてございます。  本年度の予算はきわめて緊縮予算であります。特に亀岡建設大臣所管の公共事業費につきましては、横ばい、物価の上昇等考えれば実質的には削減、こういうような状態です。公共事業は国が直轄するものもございますし、国が補助金を出しまして都道府県、市町村、自治体が実施をいたします事業も非常に多いわけです。本年度の地方財政計画を拝見いたしましても、この公共事業費はわずか三・七%しかふえておりません。これまた実質的には削減という状態だろうと思います。特に、石油危機、こういった経済危機の中で、わが国の高度経済成長政策というものは再検討しなければならぬ、こういう時期にも当たっていると思います。そういう時期に、この第二次報告書を拝見いたしますと、千百カ所のダムといいますと、例の田中さんの、これは個人的な著書だそうでありますが、「日本列島改造論」、これに千百カ所のダムが必要だ、こう書いてあるわけですね。これと符牒を合わせるように千百カ所のダムが必要だ、昭和四十五年から昭和六十年までには五百八十カ所のダム及びダム類似の施設が必要だということが書かれているわけです。経済の高度成長政策が再検討されなければならない現状に立ちました今日、この「広域利水調査第二次報告書」というものは、大臣、どうですか、当然再検討されなければならぬだろうと私は思うのでありますが、いかがでありますか。
  124. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のとおり、四十九年度の公共関係予算、たいへんきびしい予算を組んだわけでございます。しかし、何といってもこの水の問題、水資源というものについては、きわめて重要でございますので、工事費そのものは伸びなくても、将来水資源を十二分に確保できるような調査でありますとか、そういう面についての新規の部分でありますとかについては、十分配慮したつもりでございます。しかし、やはり水は、いまのままで人口がふえてまいりますと仮定いたしますれば、もう幾ら開発し過ぎても開発し尽くせるものではないと、こんなふうに私は思うわけですね。とにかく幾ら開発しても開発が十分であるということはないのではないか。先ほども質問がありましたとおり、上水につきましてはもちろん、また農業用水等につきましても、食糧の面から考えればこれまたもっともっと確保していかなければならないという問題もありますので、現在の計画を再検討をするという面は、むしろその方面からしなければならぬのではないかなという気持ちを持っております。
  125. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 これを拝見いたしますと、昭和六十年までの新規の水需要の河川水必要量を生活用水工業用水農業用水と分けてございます。生活用水が百二十七億トン・パー年、工業用水が二百千二億トン・パー年、農業用水が五十三億トン・パー年、合計四百二億トン・パー年ということになりますが、これを見ると工業用水が一番多いわけですね。で、経済の高度成長政策というものは再検討の時代に来たと申し上げましたが、工業用水で一番必要なのは何かといえば、鉄をつくるとかあるいは石油化学というものが非常に水を必要とするわけですね。安い石油をじゃぶじゃぶと輸入をして、そうしてわが国だけが公害をたれ流して世界的にきわめてまれな経済の高度成長をやっていくということは、もう至難な時代に入っていると見なければいかぬわけであります。そうしますと、大臣、生活用水の面で、さらに生活程度が上がれば水需要がふえていく、私はこのことは否定はいたしません。そのとおりだろうと思いますが、何といいましても工業用水の必要量を一番多く見込んでおるわけですね。こういうものはやはり再検討の対象になるのではないのか。とするならば、私はこの第二次報告書というものも当然再検討されてしかるべきではないか、かように思うのですが、いかがですか。
  126. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 安定成長という面について、やはり人口もふえてまいるわけでありまするし、工業面における雇用の増大ということも、これは人口増に伴って考えていかなければならぬ命題でございます。これはもうほんとうに日本の国民に課せられた宿命である、こういうふうにさえ私は思っているわけであります。したがいまして、そういう面についての水の需要というものもやはり十分配慮しなければいかぬと思いまするし、また同時にエネルギーの問題につきましても、現在の国内における水力発電のやり方がほんとうに理想的な姿になっておるのかどうか、もっともっと電力化できないものかというような面につきましては、いままで石油のコストがきわめて安かったために、建設省で、ダムをつくりますからどうぞ乗ってくれませんかと電力会社に言っても、いやコストが高いからうちは遠慮しましょうというケースが実はなきにしもあらずであったわけでございます。しかし、最近になりまして石油の問題がこのような情勢になってきておりますために、そういう面からの水力の見直しというものは、これは真剣に取り組まなければならないということで、四十九年度の予算編成をいたします際にも、その点は建設省として十分考慮をし、通産とも連絡をとりまして四十九年度の予算編成をしたという経緯もございますわけでございますが、とにかく利水の計画というものをそういう面からも見直しが必要ではないか、こういうふうに考えております。
  127. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間がありませんので、この議論はこの程度にしておきたいと思うのですが、問題は、利水あるいは治水といいまして、大臣は利水のほうだけ強調されましたが、その点は正直・だと思っておりますが、とにかく水源地域住民の犠牲の上にダム等の建設ができるわけですね。やはりそこが問題だろうと私は思うのです。昨年、建設省では水源立法をおつくりになりまして、水源地域開発のために従来よりはやや進んだ措置をとろうと努力をされたことは私も承知をいたしております。しかし、現実に現地の住民の方々の声を聞きましても、この程度の立法では満足をしない、このような措置ではきわめて不十分であるという意見が当然のことながら圧倒的に強いわけであります。  局長さんにお尋ねしましょう。水源立法ができて現にダム計画というのは進行していますか。現実にはほとんどとんざしているのじゃないかというふうに思いますが、いかがですか。
  128. 松村賢吉

    松村政府委員 実を申しますと水源立法は、立法はできましたが、まだ政令その他準備期間がございます。したがいまして、これはまだ実行されてないわけでございまして、これが施行されることによって、われわれとしては、水資源の開発、特に地元問題の解決を一そう促進するように進めたいと考えております。
  129. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 なかなかそのようなお気持ちのようにはいかぬのじゃないかという気がいたします。  そこで大臣にお尋ねしたいのですが、先ほど申し上げたように、ダムをつくる場合、問題は、ダム予定地の住民は生活がかかっているわけでありまして、これらの住民の理解と協力がなければダムというものはできないと思うのです。実は私は毎年の当分科会出席をいたしまして、その点に対する大臣の基本的な考え方をお伺いをしてきました。歴代の建設大臣は、これは強制してできるものではない、地域住民の理解と協力がなければダム建設というものは不可能であるということを当分科会で常にお述べになったわけであります。亀岡建設大臣のお気持ちも当然そうであろうと思いますが、念のためにお伺いしておきましょう。
  130. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 特にこれから開発しようというところは、住民の犠牲なしではもう開発できないという地点が多いと思うわけでございまするし、住民にあまり影響のないところは開発し尽くされているわけでありますから、住民のことを考えてダム建設を取り運んでまいりませんと、実際上はなかなか仕事が進まぬということにぶつかるわけでございます。したがいまして、私は就任早々なんでありますが、何といっても住民の不安というものがある限り住民運動、反対運動が起きてくるのは当然でございます。そういう面においても、当初からきちんときめてかからないで、もうほんとうに話がある程度、これからやらなければならぬという段階からざっくばらんに持ち出して、そして生活権をどうするんだ、たとえば農家であれば、これから農業を続けるのかどうか、あるいは町に出てつとめるのかどうか、そういうことまで詳細に話し合いをして、そして農家で農業を続けたいという方には農地の代替地を開発してやらなければならないとか、あるいは町につとめる方々は現在住んでおるところよりも比較的便利のいいところから近くの企業に通えるとか、そういう一つの町づくりとでも申しますか、そういうものをあるいは農業協同組合等の協力を得ながら考えていかなければならぬのじゃないか、そんな感じも持って実は事務当局のほうにも、そういうところでは、都市の区画整理あるいは農村の農地造成、そういうものと総合的な立場からダム建設というものも考えていかなければならないのではないかということで検討させておる次第でございます。
  131. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 大臣のお考え方は私は理解できるわけです。問題は、いままでは、建設省あるいは水資源開発公団、いわばそこが施行者になるわけですね。住民からの要望は、農業問題に関すること、あるいは道路問題に関すること、あるいは国有林を払い下げてもらいたいとか、あるいは汽車の駅をどこに設置してもらいたいとか、そういった各省庁にわたる実は要求が出るわけですね。しかし、いや私のほうは建設省ですから、私のほうのなわ張り以外のことはできません。苦しくなっていろいろ約束をしても、国鉄にかけ合ったけれどもだめでしたとか、あるいは林野庁と話したけれどもだめでしたというような形で住民の不信感を積み重ねているという例が非常に多いのです。そういう意味で、今回の水源立法で、各省庁間、これを統括いたしまして一つ計画を立て、住民との話し合いができるという点は、私はこれは確かに一歩前進であるとは思います。  ただそこで、過去におけるダムができました地域、その住民が現在一体どういう生活をしているだろうかということに対する追跡調査ぐらいは大いにやってみたらどうだということを、実は私は前から提唱もしているのですが、建設省はこういうことをなかなかおやりにならないのですね。わずか一カ所ぐらいおやりになったようでありますが、そういうことではいけないんじゃないか。大臣のいまのような気持ちが真に生かされるかどうか。これは将来のことでありましょうが、同時に、過去におけるそういった問題についても追跡調査をして、そして住民の希望があったらこれにこたえるくらいの積極的な意思が必要ではないだろうか。そうでなければ、もう住民の理解と協力を得てダムをつくるということは不可能だ、私はかように言って差しつかえないと思うのですが、いかがでしょう。
  132. 松村賢吉

    松村政府委員 先生の御指摘のとおりだと思います。私どものほうとしましても、ダムのアフターケアと申しますか、その追跡調査といいますか、これについてはできるだけやることにしておりますし、一部についてはやっておるのですが、さらにこの追跡というものは範囲をさらに広げまして、私どものほうはさらに進めていきたいというふうに考えております。
  133. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 実は水源立法の審議の際に、前金丸建設大臣に対しましてお尋ねをいたしたことがあります。現在、この公共用地の取得に関しましては、昭和三十七年の六月二十九日に閣議決定をいたしました公共用地の取得に伴う損失補償基準要綱というのがございます。私はやはりこれが時代に合わなくなってきているのではないだろうかということを実は申し上げたのであります。  特に最近、この騒音の問題に関しまして、大阪空港の裁判の判決もございました。現在のこの補償要綱は、土地を公共事業のために取得されるという方々のためにできた要綱でございまして、その周辺の騒音によって苦しむ人たちというような課題は全く念頭にないのであります。ですから、大塩政府委員でありますが、「この補償の基準要綱の中身は財産権に対する損失補償ということで、一種の財産権の権利として認める体系をとっておりますのでこの中に入れることについては種々問題がございますけれども、こういった要請にかんがみまして、建設省におきましても、従来権利として認められなかったような、あるいは認めにくいような、たとえば事業損失、日照あるいは騒音といったようなものについても、個別的ではなくて、何らかの統一的な基準をつくるということの必要性を感じまして、目下損失補償の制度の改善研究会というようなものを設けまして鋭意検討中でございます」というふうにお答えになっております。さらに私の質問に対して金丸建設大臣は、「ただいま局長からもいろいろ御説明があったわけでございますが、ひとつ速度をつけて御期待に沿うようにいたしたいと思います」、かようにお答えになっておるのであります。私は、この大阪空港の判決等がございまして、やはり新たな時代の要請というものは逐次いろいろふえていると思うのです。そういう意味で、この公共用地の取得に伴う補償基準要綱というものについて統一的な改善措置を講ずるという意味で、このスピードを上げておやりになる必要があると思うのでありますが、この点、大臣いかがでしょうか。
  134. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御指摘のとおりでございまして、そういう時代になってきておる、こう思いますので、できるだけ早く結論を出させるようにいたしたい、こう思っております。
  135. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 具体的にはどのような検討を事務当局ではやっておられますか。
  136. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 いま御指摘の問題につきましては、損失保償制度改善研究会という省内の研究会でありますけれども、そこで検討を続けております。その中身は、最近、たとえば防音壁であるとか、あるいは防音窓、あるいは遮断緑地をどれくらい設けたらいいかというようなことは、非常に統一的な基準がつくりにくいので、個別の案件について、それぞれそちらのほうから積み上げてまいりまして、その統一的な基準化をはかるという作業に追われております。したがいまして、その作業をなおしばらく続けていかなければ、いまの段階ではまだ見通しを申し上げることはできませんが、いずれにしましても、そういう必要性を十分最近の情勢等にかんがみまして感じておりまして、検討を急いでおる次第であります。
  137. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 金丸建設大臣もスピードを早めてと言われました。よりお若い亀岡建設大臣でありますから、より一そうのスピードを上げていただくように要請しておきましょう。いつと言われてもちょっとお答えできぬような答弁でありましたが、それでは不満であります。スピードを上げていただくように要請しておきましょう。  そこで、さらにお尋ねしたいのですが、五百八十カ所、詳しく申しますと五百八十四カ所のダムないしはダム類似施設を全国に昭和六十年までにおつくりになりたいという計画のようであります。このうち関東を見ますと、十一水系、施設の数では六十七というものを想定をいたしておるようであります。特に、この内訳につきましては、さきの国会で松村さんから、利根水系が十六カ所、荒川水系が八カ所、相模川水系が一カ所、酒匂川水系が一カ所等々、各水系別の三十九カ所というお答えをいただいておるのであります。ちょっと六十七カ所と三十九カ所では数が違うようでありますが、それはいいでしょう。利根水系は十六カ所でよろしいのですが、その利根川水系につくります施設につきましては、具体的に幾つかお名前をおあげになったのでありますが、「等」というふうに言われておりまして、その「等」が肝心だから等をはっきり言ったらどうだというふうにお尋ねしたのでありますが、お答えがなかったわけです。あれからすでに半年たっておるわけでございまして、御研究も進んでおるだろうと思いますから、利根水系十六カ所、「等」を含めて具体的な個所についてひとつお答えをいただきたいと存じます。
  138. 松村賢吉

    松村政府委員 利根水系十六カ所、これについて「等」を全面的に解除すると申しますか、その段階まで実は調査がまだ進んでおりませんので、そのうち、その後進みました関係について申し上げますと、この前どこまで申し上げたか、ちょっとここに記録がありませんのですが、利根水系について新たにおそらく追加されるであろうと思われるのは奈良俣ダム、これはこの前申し上げたでしょうか。
  139. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 「草木、八ツ場、南摩、川治、奈良俣、それから渡良瀬、桐生川、霞ケ浦、それから河口ぜき、それから房総導水路等でございます」と、こう言っておられます。
  140. 松村賢吉

    松村政府委員 そうしますと、それからさらに追加する「等」の内容としてはまだ具体化しておりません。新たに桐生川、奈良俣、これが実施計画調査ということになりまして、予算化されておるわけでございますけれども、これは昨年すでに申し上げているという段階でございますので、その後新たに取り上げて具体化したというものについてはございません。
  141. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 時間がありませんからこれで終わりますが、私は、そういうことは何といっても地元民の理解と協力が必要である、大臣がおっしゃったような姿勢が必要だと思います。同時に、このようなダムをつくることによって文化財が、たとえば天然記念物あるいは史跡というようなものが破壊されてはならぬと思うのですね。そういう意味で私は、具体的な八ツ場ダムの問題についてお尋ねしたことがあるのでありますが、八ツ場ダムの問題を含めて、ダム計画によって文化財が破損されることのないよう、あくまでも文化庁としては、天然記念物、史跡、名勝等、国民の民族的な財産についてはこれを保護していく、その方針は貫くかどうか、念のためにお答えをいただいておきたいと存じます。
  142. 古村澄一

    ○古村説明員 文化庁は文化財保護をやることが任務でございますので、十分文化庁の意見を申し上げていきたいと思います。
  143. 山口鶴男

    山口(鶴)分科員 保護するつもりであるかないか、そこをはっきり言ってもらいたい。
  144. 古村澄一

    ○古村説明員 保護するつもりでございます。
  145. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて山口鶴男君の質疑は終了いたしました。  次に森井忠良君の質疑に入るのでありますが、本日は、同君の質疑に対し参考人として日本道路公団理事平出三郎君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  森井忠良
  146. 森井忠良

    森井分科員 私からは、限られた時間でありますから、端的に二点について御質問申し上げたいと思います。その一つは公有水面の埋め立てについて、他の一つは有料道路の開放について、この二点についてお尋ねをいたしたいと思います。  まず最初に、公有水面の埋め立ての問題についてお伺いをするわけでありますが、昨年の九月、七十一国会の大詰めでありましたけれども、公有水面埋立法の改正案が公布をされました。衆参両院を通過いたしまして改正案として公布をされ、この三月十九日に施行されるわけであります。公有水面埋立法の改正案のおもな点はたくさんありますけれども、たとえば埋め立ての免許基準を明確にしたこと、あるいはまた住民の意見がある程度反映できるようになったこと、さらには環境庁の意見を大幅に取り入れることになったことなど幾つかの改正点があるわけでありますが、その改正点の一つの大きな部分としまして、従来ややもするとルーズになりがちであった無免許の埋め立て、要するに追認という形であらわれてまいります不法埋め立てでありますが、しばしばあとを断たないということで、私どももまゆをひそめております。事実、公有水面埋立法の改正案の審議をいたしますときも、わが党の福岡義登委員から、具体的な事例をもって不法埋め立てあるいは追認の問題について当局の考え方をただしたのを私も覚えておるわけでありますが、その後も幾つか、この無免許埋め立て、つまり不法埋め立てというものがあとを断たないのじゃないか。改正をされました公有水面埋立法はまだ施行にはなっておりませんが、すでに公布の段階でありますので、私は、この不法埋め立ての扱いについては、いま過渡期で非常にむずかしい時期だと思うのでありますが、建設省のほうでその後この種の不法埋め立て等を把握しておられるかどうか、あらかじめお伺いしておきたいと思います。
  147. 松村賢吉

    松村政府委員 先生お話しのように、公有水面埋立法の改正、これにつきましては追認制度を廃止したわけでございます。しかし、この施行はまだされておりませんが、現在追認をしないという指導と申しますか、各都道府県に対します私どものほうの通知は出しておりますし、これによって無免許埋め立てというものは極力とどめておりますし、こういう事実は、私どものほうの耳には、まだ新しく盛んに出ているという話は聞いておりません。
  148. 森井忠良

    森井分科員 あらためてお伺いするのは妙なんでありますが、追認制度を廃止をした最大の理由は何ですか。
  149. 松村賢吉

    松村政府委員 最大の理由と申しましても、そもそも追認制度というのは非常におかしい制度でございまして、従来のいきさつといたしましては、無免許の埋め立てでございましても、その事実上の見地からいたしまして、国民的、経済的から、原状回復とか土砂の没取、こういう必要のないものについては、あまり害がないということから理由をつけまして免許していた。まあ多少無理があるところでございます。それを正常な形に戻していこうということでございます。
  150. 森井忠良

    森井分科員 あなたの答弁に無理があると私は思うのですよ。追認制度をなくしたのは、もともとこの法律は大正十年の法律なんですね。そこで、当時日本としては、国土の膨張あるいは国力の培養というふうな大きな社会目的といいますか、国家目的等が私はあったと思うのです。そういうふうな話も聞いております。ところが今日の時点で、あれだけ海面の埋め立て、あるいはそのほか湖沼等の埋め立てが続きますと、すでに国民的な批判がきておる。考えてみますと、海をちょっと埋めるだけで、その土地が、公の海が個人の所有に帰するという形になるわけでありますから、現代的に考えればきわめて矛盾があるということではないでしょうか。先ほど油の話も出ておりましたけれども、事実、企業立地その他でずいぶんと無制限な埋め立てが横行いたしました。その結果、たとえば瀬戸内海では自浄作用を失って文字どおり公害のもとになる。それだけではありません。できた土地から排出をされます工場廃水等もありますけれども、いずれにいたしましても、もう埋め立てというのを従来の観念で認めていくわけにいかない。なかんずくそれが追認という形になってきますと、先ほど申しましたとおり、不法な埋め立てであるという形でありますから、正規に申請をされても、法の改正によりまして一定の免許基準をきめてかなりきびしくしました。しかも先ほど申し上げました瀬戸内海では、環境保全法ができて、さらに環境保全審議会の意見を聞かなければならないというところまで締めてまいりました。そのうらはらの問題として追認の制度を廃止をされたんではないですか。その点どうですか。
  151. 松村賢吉

    松村政府委員 確かに最近になりまして無免許の埋め立てでこれが追認されたという事例が大きくなったということも事実でございます。それが埋め立て行政上大きな障害を生じてきた。特に瀬戸内海等においてそういう問題が起きてきたということは事実でございます。
  152. 森井忠良

    森井分科員 時間がありませんから、そこで具体的にお伺いをするわけでありますが、法が去年公布されまして、まだ施行にはなっておりませんけれども、依然としてあなたの耳には入っておらないかもしれませんが、不法埋め立てが続いておる。続いておるというのは、続々という意味ではなくて、私も幾つかの例を知っておりますが、典型的な例はあるわけです。  ちょっと具体的に申し上げたいと思うのでありますが、広島県の竹原市に竹原工業という会社があるわけですね。これは日商岩井系の会社だと聞いておりますけれども、去年の十二月十日付で広島県知事から竹原の市議会議長あてに追認の諮問がなされておるわけです。これによりますと、竹原工業という会社は、正規の申請をしたもの以外に余分に六千二百四十八・九一平方メートル、六千平米余りの土地を意図的につくってまいりました。そして、先ほど申し上げましたように、去年の十二月十日付で県知事から竹原市議会に対して、旧法に基づきまして追認の申請が出ておるが市議会の意見はどうかという諮問をしておるわけです。  まず、運輸省見えておると思いますので運輸省のほうから、これは地方港湾でありますけれども、所管としては運輸省のように思いますので、この事実について把握しておられるかどうか、お伺いしておきたいと思います。
  153. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 ただいま先生から御質問のございました竹原港の埋め立ての要件につきまして、きょう電話で事情を聴取して把握したものを申し上げます。  まず、本件は地方港湾の埋め立てでございますので、運輸大臣の認可を要するという事項ではございません。もともと、免許をした地点、それから今度の追認につきましても、書類の上で具体的に把握しておるわけではないという点をまずお断わりしておきたいと思います。  私どもの今日の調査によりますれば、竹原工業は、昭和四十六年十一月八日に竹原市の沖合い海面約九万一千六百平米について免許を受け、四十六年十二月七日に着手をしたわけでございます。その後昨年に至りまして、当該免許を得た区域以外の地区を埋め立てをしておるという事実が県において確認をされたわけでございます。広島県といたしましては、直ちに工事中止命令を出しまして工事を中止させております。その後竹原工業から当該無願埋め立ての区域につきまして追認の申請が出、県より市の議会に対して諮問がなされておるというように承知いたしております。
  154. 森井忠良

    森井分科員 建設大臣にお伺いをしますけれども、先ほど来申し上げておりますように、公有水面埋立法の改正で追認がなくなった、これは時代の要請だと思うのです。現に広島県の場合は、たとえば、もう名前が出ておりますから明らかにするわけでありますが、常石造船という会社がございまして、これは公有水面埋立法の改正案を審議するときに非常に紛糾した問題でありますが、八度にわたって無免許埋め立てをしておる。遂に県もたまりかねて、そのうち幾つかの広さのものは国有地として没収した。ここまで深刻な状態が出ておったわけです。さらに今回、会社は違うというものの同じ広島県なんですね。それで先ほど運輸省から報告がありましたような形で、依然として追認という姿勢を変えていない。  まだ改正法は三月十九日からでないと効力を発しませんけれども、考えてみますと、いままで土地をどんどん埋めながらその時点ではまだ土地ができてないわけでありますから、追認の申請もない。手続ももちろんしてない。したがって改正法が公布をされて以降の追認の扱いはきわめて慎重でなければならないと思うわけです。しかもこの追認申請の手続を見ますと、着工が四十七年五月一日と書いてあります。これはまだ手続もしておらないのが四十七年五月一日というのはおかしいのでありまして、ましてや竣工が昭和四十九年の四月三十日なんです。つまりどういうことかといいますと、その間に新法が、三月十九日でありますから、生きてくるという形なんです。言うなれば、どさくさにまぎれて大急ぎで追認をしていこうという態度なんです。先ほど運輸省はおっしゃいましたように事実は県知事にまかしておりまして、規模が小さいものだから県知事にまかしておりますという話でありますけれども、私は、行政の姿勢として一体これでいいのかということを言いたいわけです。大臣、どうでしょうか。この点について、本来なら、法が公布になりましてからやはり少なくとも追認についてはこういうふうになりますよ――ものによっては、いままで政府の行政は、法が施行になるまででも通達をお出しになる場合はしばしばあるわけです。私は、追認に対する感覚がきわめて甘いと申しますか、建設省なり運輸省なりの追認に対する態度というものが非常に甘いように思えてならないわけであります。大臣のこの不法埋め立てに対する御認識をまずお伺いしたいと思います。
  155. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 法施行になってない、もう目前にしてそういう措置に出るということは、ある意味においては合法的かもしれませんけれども、気持ちにおいては許すことのできない感じもいたすわけでございます。しかしこれは法律的にどう処置もできませんけれども、行政的に強力な指導をいたしまして、やはりその気持ちを直さなければいかぬなという感じがいたすわけであります。
  156. 森井忠良

    森井分科員 深追いはいたしませんけれども、いま大臣がおっしゃったように、都道府県をこの面については特に指導なさる立場の建設省なり運輸省とされては、いま申し上げましたとおりまだ土地は完成していない、四月の終わりなんです。ですから、新法を適用しようとすればできる。そうかといって、旧法のままでかけ込もうと思えばできるという、きわどい中身なんですね。そこでとりあえず、もうすでに時期は過ぎておりますけれども、いま申し上げましたような認識の上に立ってきびしく取り計らうべきである。特に昨年の建設委員会では、先ほど申し上げました常石造船の不法埋め立てにからみまして、今後は不法埋め立てについては原則として国有地として没収をいたします、つまり追認という手続は認めませんということを、事実上私どもは、建設省なり運輸省なりの信念としていままで吐露していただいたのを、明確に覚えておるわけであります。したがって、本件につきましては具体的に国有地として没収するなり、あるいはそのつくった土地の一部を公有地として、特に竹原港の場合は外国船等が入ってきたときの接岸施設もないわけでありますから、大型の接岸施設等に振りかえる等を含めて、強力に県なりあるいは埋め立て業者を指導されるように特に要求しておきたいと思うわけでありますが、その点運輸省いかがですか。
  157. 勝目久二郎

    ○勝目説明員 旧法がまだ生きておる現段階においてもきびしく指導すべきであるという先生の御趣旨かと思います。私どもも全くそのように考えるわけでございます。昨年改正法が公布になりまして、施行になるまでの間の埋め立て事務の取り扱いにつきまして、指導通達を実は出しておるわけでございます。中身を簡単に申し上げますと、「免許及び承認について」という項におきましては、まず免許等につきましては「改正法の免許基準等の趣旨にのっとり、慎重に審査すること。」それから「大規模な埋立てその他土地利用、環境保全等に特に配慮すべき埋立てについては」そのような免許基準の運用の問題のほか「改正法の趣旨にそって関係者の意見調整を十分行なうよう出願人を指導すること。」それからいわゆるかけ込み出願という問題もございます。かけ込み出願を助長するというようなことがないよう、かけ込み出願というように感じとられるものについては特に慎重に処理をすることということを通達しておるわけでございます。  それで問題の追認についてでございますが、これは、改正法により追認制度そのものが廃止されるということになりますので、そのような実態調査をするとともに、個別の判断におきましては当事者の善意、悪意というような諸般の事情を考慮する、あるいは「環境保全、災害防止等改正法の免許基準の趣旨に照らして支障がある」というようなものにつきましては、追認を行なわず厳正な措置をとりなさいというような趣旨の通達を厳重に指導をしておるというのが実態でございます。
  158. 森井忠良

    森井分科員 そういたしますと、いまあなたが読み上げられましたものは、少なくとも広島県は、私から見ますと、忠実に実施をしておるとは思えない節があります、いまここで断定をいたしませんけれども。よく広島県と話し合いをされて、強力な指導をされるように要望しておきます。  時間の関係で、それでは次へ移りたいと思いますが、次は有料道路の開放についてお伺いをしたいと思うわけであります。  すでに道路整備特別措置法等が施行されて長くなりまして、いろいろな形で、道路公団あるいは地方公共団体等の有料道路の中で、いわゆる有料道路を開放して一般道路に振り向けるという形が幾つか出ておると思うわけであります。これは望ましいことでありまして、さらにできるだけ早く一般道路として開放するという積極的な姿勢もほしいように思うわけであります。そこでまずお伺いしたいわけでありますが、一体いままでに何件くらいこの有料道路を開放しておられるか、把握しておられる範囲で、特に道路公団のほうからお伺いしたいと思います。
  159. 菊池三男

    ○菊池政府委員 一般有料道路でいままでに無料開放になっているものが何件かというお尋ねであろうと思います。いろいろございます。償還の期限が来まして、まだ赤字のままですが償還の期限が来たので開放になったのが四件ございます。それから、償還金額が満了いたしまして、それで開放になったというのが十二件ございます。それから、まだ無料開放の時期が来なかったけれども、府県あるいは地元の市町村等が残りの分を、お金を出しまして無料開放したというのが十二件ございます。
  160. 森井忠良

    森井分科員 そうしますと、まず確認をしておきたいのですが、期限が来たもの、二十年もしくは三十年ということですか、それ以下のものもあるのかもしれませんが、期限が来るということ、それからもう一つはもう金額的にペイをしたということ、それから、ペイをしなくても、かわって地方公共団体等が支払ったというもの、この三つ、こういうふうに理解をしてよろしゅうございますね。  これも時間の関係で単刀直入に聞かざるを得ないわけでありますが、広島県に音戸大橋というのがございます。これは昭和三十六年の十二月、ざっといまから考えてみまして十二、三年前ですが、にできた。要するに、広島県は島が多うございますけれども、島を結ぶ橋として道路公団の手によっていま供用開始されておるわけであります。具体的に、これはいまどの程度ペイをしておるのですか。
  161. 平出三郎

    ○平出参考人 音戸大橋は非常に成績がよろしゅうございまして、現在の時点で償還それ自体はおおむね終わっているんではなかろうかと、こういうふうに――まだ四十八年締めておりませんので確実なことは申し上げられませんが、ただいまいわゆる、ちょっと説明はめんどうになりますが、公差期間におそらく入っておるのではなかろうか、かように推定しております。
  162. 森井忠良

    森井分科員 そうしますと、これはごく近日中に無料開放されるというふうに理解をしてよろしゅうございますか。
  163. 平出三郎

    ○平出参考人 公差期間では、いままで通りましたすべての車両の台数の一五%というのを取り得る、こういう形になっておりますので、ただいまの時点、おそらく二月には公差期間に入ったと思いますが、これでいきますとやはり小一年、ざっと小一年というような私どもの大まかな推定でございます。
  164. 森井忠良

    森井分科員 具体的には、元利償還その他一切の費用はもうすでに現時点ではペイをしていると思う、しかし道路整備特別措置法の施行令の第五条ですか、これによりますところの一五%上積みということで現在とまっておる、そういうことですか。
  165. 平出三郎

    ○平出参考人 さようでございます。
  166. 森井忠良

    森井分科員 そこで建設大臣にお伺いをするわけでありますが、大臣、ちょっと図が悪いのですが、持ってきました。いま申し上げております音戸大橋というのは、広島県の呉市の中で音戸町――これは倉橋島と呼んでおりますが、倉橋島とそれから本土を結ぶ橋なんです。これが昭和三十六年にできた。いまちょっと報告がありましたように、当初、一日平均千九百台しか車が通らないだろうということで料金その他をはじいてまいりました。現実にはいま八千台をこしておると思うわけであります。そういう意味で非常に成績のいい橋だという形になっておるわけでありますが、大臣、問題は、これをちょっとごらんいただきたいのですが、これは広島県、非常に島が多うございますから、島地域の振興ということで、今度は江田島-能美島とも呼んでおりますけれども、江田島、能美島に対して県が公共事業でもう一本早瀬大橋というのをかけたのであります。これは無料なんです、公共事業でこしらえたものですから。そして道路公団のそれは有料という形になっておるわけです。ところが、また最近は、今度はここにもう一つ島がありまして、これは鹿島というのでありますが、ここにもまた国の補助によって橋がつく。これも無料なんです。そうすると、単にここののど首のところだけ有料道路として残すというのは非常に政治的にまずい。それから、実はこの辺一帯の国道というのは、ここの橋がネックになりまして、シーズンになりますと数キロぐらい車の渋滞が続くわけであります。それだけ車両もふえております。先ほど申し上げましたとおり一日八千台でありますけれども、夏時分等はこれが一万台にも一万数千台にもふえるわけです。ここにたまたま有料道路があるばかりに、この辺一帯の県道は文字どおり麻痺をするという非常に深刻な問題があるわけであります。地元の町長等は、ですから一日も早く無料開放してもらいたい、こういうことなんです。  そこで大臣、具体的にいま申し上げました、すでにペイをしておる、これはもう元利償還から維持、補修の費用から人件費からすべてペイをしておる、その上になお一五%の上積みというのが残っておるばかりに、先ほど申し上げました分類の中に該当することはもう明らかであっても、一五%という道路整備特別措置法の第五条によりますところの上積み、みなし規定であります、これがあるためにそういうふうな形になって、依然としてまだ無料開放できない、これはいま申し上げました道路行政上非常にまずいわけであります。   〔主査退席、倉成主査代理着席〕 あとから次々できる橋は全部無料、しかもそののど首の根っこの音戸大橋というのが有料、しかも住民感情として、もう払っておるじゃないかということになると、この一五%にこだわるというのはほんとうはおかしいのじゃないか。いま申し上げました行政目的、特に時代が変わっております。離島振興その他、とにかくそういうところには橋をかけようという考え方からしても逆行するわけでありますが、この一五%についてこの際御検討いただく御用意はないのか一道路行政の立場から大臣の御所見を承りたいと思うのです。
  167. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ちょっと事務的なお答えを先にさせていただきたいと思います。  公差の問題につきましては、確かに元本が償還になっているのにさらに取り続けるということには問題があろうかと存じます。ただ有料道路がたくさんございまして、必ずしも計画どおりに償還が終わらずに、赤字のまま期限が来ると開放することになっております。そうした場合に、赤字のものを補てんしなければならない。一方、黒字の場合でも償還年月というのは、音戸の場合でも昭和六十六年まで三十年間というふうに設定してございます。その償還年月だけずっと取るというのも一つ考え方でございますが、やはり無料公開が原則であるということで、終わったものはどんどん開放しよう、そういたしますと、赤字のものだけは赤字の分が負債が残り、そして黒字のものがどんどん卒業していったのでは、やはり経営上うまくないということで、その一五%だけ、これは相互保険というような形で取るという形をつくっておるのでございまして、まあ早くやること、早く無料開放することは私どもも賛成でございますけれども、そういう意味で広く見ますと、やむを得ない処置じゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  168. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 事務当局は事務当局としての答弁を申し上げたわけでございますが、お聞きしておりますとわかる面もあるわけであります。しかし何といってもこれは二月一ぱいの決算というものがどういうふうに出ておるのか、それによって三月がどうなるのか、その辺のことを私も一ぺん見て、それで私の決心をしたい、こう思っております。   〔倉成主査代理退席、主査着席〕
  169. 森井忠良

    森井分科員 時間が参りましたので最後でありますが、一度ぜひ見るということでありがたいことなのでありますが、そこで道路公団のほうにお願いしておきますが、広島県はいま申し上げましたようなことで、何とか一日も早く無料開放してもらいたいということで、先ほど三つの類型の中の一つ、つまり県が何がしかお金を出してでも、この際早く供用開始をしないと、道路事情からして非常に重大なことになるという判断をしておるわけであります。そこで、これまでの経理を広島県に十分説明をされて、かつ、かりに広島県が負担金を出して、つまり買い取ってでも無料開放したいという場合には、誠意をもって積極的に臨まれる御意思があるのかないのか、その点だけをお伺いして終わりたいと思います。
  170. 平出三郎

    ○平出参考人 具体的に話がございますれば、直ちに私どもは検討いたしまして、たとえば何月ぐらいなら幾らぐらいになろう、何月なら幾らになろうというような計算も、これは推定になりますが、直ちに作成したいと思います。
  171. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて森井忠良君の質疑は終了いたしました。  次に、栗田翠君。
  172. 栗田翠

    栗田分科員 私は、団地の造成によります交通渋滞に伴う施策について伺いたいと思います。  まず最初に伺いますが、静岡市には一級河川安倍川が流れております。この安倍川の中流にあります狩野橋の右岸上流に安倍口団地という非常に大きな団地ができておりますが、これは安倍川の河川敷を払い下げて埋め立ててつくった団地だと聞いております。このことについて、この経過を最初にちょっとお話しいただきたいと思います。
  173. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまお話しの団地につきましては、安倍川の、これは狩野橋と曙橋という橋の中間のところに最近大きな団地ができておるということは承知しております。
  174. 栗田翠

    栗田分科員 これは国の管轄であります一級河川を払い下げてつくったものだということは確かでございますね。
  175. 松村賢吉

    松村政府委員 一級河川の払い下げかどうか、ちょっといま私ここに資料を持っておりませんので、至急御返事申し上げます。
  176. 栗田翠

    栗田分科員 それでは、この団地がどんな戸数でどのくらいのふえ方をしているかということですが、資料をお持ちでないようですので、私のほうから申し上げます。  この安倍口団地というのは非常に大きな団地で、現在市営団地が千三百七十戸、県営が四百六十戸、合計千八百三十戸で六千三百人という人口になっております。こういうものができたために、美和中学区は、六年前に四百戸の戸数だったところが、現在三千二百戸、人口一万二千人に急増しているわけでございます。ところが、ここが昭和五十年度、来年度になりますと市営、県営合わせて二千四百戸になる計画です。最終年度には三千三百戸になる計画でして、その他公社などで建てる計画の団地と合わせまして、数年後にはあと一・九倍戸数がふえるというたいへんな急増地帯でございます。  ところで、この団地に通じる道路がどういう状態になっているかということを御存じでございましょうか。
  177. 菊池三男

    ○菊池政府委員 この団地から静岡の市内へ入りますところに、これは川沿いに主要地方道の梅ケ島温泉-昭和線という道路がございますが、それを通じまして市内へ入る、あるいはそれから川を、狩野橋を渡りまして、そして大川-静岡線という、これも県道でございますが、それに乗って入るというような入り方であろうかと思いますが、現在は相当こんでおるというふうに承っております。
  178. 栗田翠

    栗田分科員 いまお答えの中で、栃ケ島線はまだ団地からは通じておりません。静岡-大川線一本しかなくて、これが市内に入るようになっているわけです。いまこの状態で、実はこんでおると聞いているとおっしゃいました。そのこんでいる状態をちょっとお話しいたします。  大体いま申しましたように人口が急増しておりまして、まあ不便なところにはいつもあることですが、自動車を持っている人が実に多いわけです。この安倍口団地だけで、世帯比で六八%が自動車所有というふうになっております。その他の人たちも加えまして一番ピークのとき、出勤時間の六時半から八時半という二時間の時間帯で、四輪だけで千八百台、バスが八台、自転車が百台このところを通ります。そのために出勤者は短くても四、五十分は待たされる。それで、自分のうちから出るときに朝早く出て朝食の用意をして車の中で食べたり、赤ちゃんに車の中でミルクを飲ませたり、早く出まして職場のそばの車で一時間寝るとか、こういうことが常日ごろやられていて、有名な難所ということになっております。それから遅刻のために皆勤手当がもらえなくなったとかいろいろな問題がここで起こっているわけなんです。なぜこういうことが起こってしまうのかということなんですけれども、ちょっと地図を見ていただきたいと思います。  これがいま私の言っていた安倍口団地です。そしてこの道が静岡-大川線です。この道幅は上下一車線ずつしかございません。そして狩野橋、この橋も上下一車線しかないのです。狩野橋とこの曙橋の間は五・三キロございますから、中間といいますけれども非常に狩野橋寄りに安倍口団地があって、曙橋まで行くにはたいへん山のほうに行かなければならないという状態です。これをごらんくださってもわかりますように、市街地へ出ていくのにはたった一本の道しかないという、こういう状況なんです。そして、ここをいま言いましたようにたくさんの車が朝の一定時間にどっと出ていくという、こういう状態ができるわけなんです。  そこで伺いたいと思いますけれども、まずこれは何といっても、こういう道路の状態のままで市営団地、県営団地を無計画に建てた県、市当局の責任というのは非常にあると思います。元来団地を建てるには道路ということは必ず考えなければならないのです。そしてまた国としても、一級河川である河川敷を払い下げまして、これは団地を建てるということを前提にして払い下げたわけでして、国としてもこれは責任のある問題だと思いますけれども、大臣はどんなふうにこの点についてお考えになるでしょうか。
  179. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 おっしゃるとおりで、これは県も私どもも責任はあるわけでございます。
  180. 栗田翠

    栗田分科員 この問題につきまして住民からさまざま出てきている要求については、県も国も責任があるとおっしゃいます以上、十分なその対策とその努力をなさるおつもりでいらっしゃいましょうか。
  181. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 もちろんでございます。
  182. 栗田翠

    栗田分科員 そこで、住民からは三つほどの大きな要求が出てきております。一つは、この地図でごらんくださいます狩野橋と曙橋の中間に橋を一つつくってほしいという要望でございます。これはもともと橋があったところで、橋が落ちております。この橋をつくることの必要性というのは、ただ交通渋滞をなくすだけではありません。なぜかといいますと、さっきも申しましたように、静岡の市街地からこちらへ通ずる道というのは狩野橋一本しかないわけですから、電話線もガス管も、それから電気の線も全部この橋に付設されているわけなんです。万が一この橋が何かで落ちたらば、もうこの安倍川から右岸の美和地区というのは陸の孤島になってしまう、そういう状況でもあるわけですし、また、いまのような事態をなくしていくために、安倍口団地よりやや上流に橋をつくるということ、そしてこちら側にも車を通していくということはどうしても必要だと思います。このことについて、これはあくまでも県道でございます。これですね、新しくつくる橋、これは県道でございます。しかし、現在調査費がつけられているというふうに聞いております。これについてどのような――県ではありますけれども、早く住民の要求をかなえていくためのどのようなお考えを持っていらっしゃるかということを伺います。
  183. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまお話しの曙橋と狩野橋の間につける新しい橋、これは実はいま県道というお話でございますけれども、ここは道路のないところでございます。したがって道路法の道路は現在ございません。したがって、もしやるとすれば、その前に道路法の道路がここに必要であるというネットワークを、県道の認定をしなければなりません。そういう問題については、これはまた県あるいは市と協議いたしまして、これがほんとうに必要であるか、おそらく必要でないということはないと思いますが、これはまた県あるいは市の全般的な今度ほかの場所もあると思いますし、そういうこととあわせて、ここに新しく道路認定をしてやることが必要であるかどうかということを協議してまいりたいと思います。
  184. 栗田翠

    栗田分科員 この橋をつくることが非常に急がれているのにはほかの理由もあります。それはたとえば火事がこの渋滞の時間に起きた場合にどうなるだろうか。こちら側に消防署はございません。美和の側にないんです。ですから、火事が起きたらもうそのままです。それからもし急病人ができたらどうなるでしょうか。保健所が一つあるだけでございます。重い病気だったらどうしようもないんです。そうしますと、どうしてもこれだけの大きな団地があり、これだけ人口がふえたところに、川を渡る道が一カ所しかないというのは非常に非常識なことだと思うわけですから、これは早急にやっていただかなければなりません。  それからこの秋山町付近は上水道が布設されておりません。なぜかというと、この橋の出口をとめたらば、美和地域の人たちが一日でも出られなくなってしまうために、橋の出口のところに上水道を布設する工事をすることができないんです。それで水道管が布設できないという、こういう緊急な状態になっております。一日も早くやっていただきたいと思いますが、そこのところをもう一度早急にやっていただけますように、施策を講じていただけますようにお願いをしたいと思いますが、お考えはいかがでしょうか。
  185. 菊池三男

    ○菊池政府委員 この場所の必要性はお話のとおりだと思いますけれども、これは、たとえばこの安倍川全体を見ましたときに、この上流のほうにも相当人口もおる。そこでそれに対する橋の数あたりの問題もございます。そういう全般的なことと考え合わせまして、ただちょっと、この局部的なこの問題だけで新しく道路を認定してやるということの御返事もできませんので、これは県道あるいはこれが市町村道になるかもわかりませんけれども、それの道路管理者とよく協議をしてまいりたいというふうに考えています。
  186. 栗田翠

    栗田分科員 次に、さっき開通しているとおっしゃいました梅ケ島-昭和線ですが、これは実はこの狩野橋下流の右岸から下だけ開通しておりまして、狩野橋の近くは山が張り出していて、実は開通していないのです。それで現在ここにトンネルを掘って通すという計画が進みつつあります。これをやはり一日も早く援助して実現できるようにしていただきたいと思いますが、いかがでございましょうか。
  187. 菊池三男

    ○菊池政府委員 その個所につきまして、先ほど、私は開通して使っておると申し上げましたけれども、やはりまだできておりません。現在、工事を施工中でございます。これは鋭意促進をしてまいりたいというふうに考えております。
  188. 栗田翠

    栗田分科員 特に二月の二十七日、この地元代表が建設省に伺いました。御存じでいらっしゃるでしょうか。そのときに、特に中心的な一番おもな要求は、ここに、狩野橋の左岸に現在サイクリングウエーがつくられております。幅五メートル。これは路面で五メートルのサイクリングウエーなんです。ここのところを臨時に――ですから、その他いろいろな施策が講じられて渋滞がなくなるまでの時期でよいので、何とかここを車をある時間帯だけ、ピークの時間だけでよいから通してほしいという熱烈な要望を持っておりますが、その辺についてどのようにお考えでしょうか。
  189. 菊池三男

    ○菊池政府委員 このサイクリング道路のことにつきましては、確かにお話は私承っております。これをとりあえず自動車も通せないかというお話と思いますけれども、これはサイクリング道路でございまして、やはり道路法の道路になっていないという一つの問題点がございます。これは、一般の供用開始しますには道路法の道路でなければなりませんので、その点が一つ問題がございます。  それからもう一つは舗装が、これはサイクリング道路ですからわりあい舗装が薄いと思います。そうすると、車を通しますとその舗装ではもつかどうかという問題ございますけれども、ただいまのようなそういうお話でございますので、これはそういう方向でできるだけのことで進めていきたいというふうに考えております。  それから、これは河川の堤防の上でもございますので、ちょっと河川局長のほうからもお話を申し上げたほうがいいと思います。
  190. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいまのサイクリング道路、これを暫定的に一般道路にしたいということにつきまして、これは河川法で申しますと原則として河川の堤防、これは水防上その他で必要な余地を残しておく必要がございます。そういうような関係から、これはサイクリング道路として認めておるわけでございますけれども、しかし現状をいろいろ考えますと、確かに通勤時非常にこんでるという問題、また現在サイクリング道路を通勤の場合に、自転車通学に使っておるというような点もあるだろうと思いますが、こういうようないろいろな問題点、それから先ほど道路局長のほうから申し上げましたいろいろ舗装の構造の問題もありますが、これは道路のほうで問題が解決すれば、私どものほうとしてはこれを暫定的に自動車を通すことについて許可する方針で、すでに県、市といろいろと協議を進めております。
  191. 栗田翠

    栗田分科員 このサイクリング道路はいまは建設中で、まだ開通しておりません。それで子供たちは、学区が安倍口団地側は川の右岸に学校がありまして、子供がこの橋を渡って通る必要がありません。それから左岸の子供たちというのは小学校の方角が違いまして、この土手の上を通ったのでは学校のほうからだんだん遠くなるという、そういう方向になっております。いま地元が調査したところでも、いままでも土手になっていたので自転車が通ろうと思えば通れる状態だったけれども、レクリエーションには使っていても通学にはほとんど使っていない、そういう状況があるわけでございます。それから、何しろいま申し上げましたようなたいへん緊急な事態ですから、ほんとうにやっていただくのでしたら、臨時道路であってもその道路をさらにもうちょっと厚く舗装していただくとか、いろいろな方法があるのではないだろうかと、こういうことも考えております。  それで最後に一つ伺いますが、この地域の交通渋滞は、いまからすでに五年前に起こっております。昭和四十五年以来この渋滞を何とかせよという運動が繰り返し繰り返し行なわれてきたわけです。聞いただけでも、市長、それから市の土木部長、また県知事、県の土木事務所、県の河川工事事務所などに幾度も陳情がされておりまして、一カ所に四、五回ずつ、計二十数回の陳情がされてあるわけです。そして、つい最近はとうとう建設省まで来たというこういう状況になっております。ところで、いままでのそういう繰り返しの陳情についてはお聞きになっていらしたのでしょうか。
  192. 菊池三男

    ○菊池政府委員 これは、ただいま申し上げましたように県道のこむ問題は、これは道路管理者が県でございます。したがいまして県は県内の県道がたくさんございます。そういう場合の問題は、やはり直接的には県のほうへお話をされるのが当然と思いますし、また県は県として、その中でも、これはやり出せばたくさんあると思いますが、その中でやはり優先順位をつけながらそれを施工していくというのも道路管理者としての責任だと思います。したがいまして、わりあい地区的な問題につきましては、これは道路行政という形からはあまり国のほうへは直接はあがってまいりません。ただ、これがたとえば先ほどの右岸沿いの主要地方道、梅ケ島温泉-昭和線ですか、これの工事をやる、そういうような場合については、これは当然県から補助申請が出て、それに対して補助をやっておりますので、内容的にはあがってまいりますけれども、そういう地元の陳情の個々の問題がそのままこちらにあがってくるということはないかと思います。
  193. 栗田翠

    栗田分科員 最初から私が申しておりましたようなたいへんな事態の中で、ややもすれば命の危険も伴うという、そういう事態にこの地域の人は置かれていたわけでございます。ところが、その市当局も県も、そしてまた中部建設局も、きょうも私は話をいたしましたけれども、河川課長などは土手を守るという理由だけを押し出されまして、絶対につくれないということを言っていらっしゃるわけなんです。しかし実際には血の通った行政ということ――それは土手を守るということは十分わかります、土手がくずれてしまうような事態になったらこれはたいへんだということはわかりますけれども、再三再四にわたって繰り返されました五年越しの陳情に対しまして、それが建設省の方針であるから絶対に許せないということを言ってまいりましたけれども、こういうことについて建設省はどういうふうにお考えになるでしょうか。
  194. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御承知のように、堤防はこれはもう治水のための施設でございますから、栗田先生が関係課長のところに行けば、彼は行政官でございます、国会でおつくりいただいた法律をそのまま、政令なりそういう事項を忠実に守ってもらうのが彼らの立場でございます。彼らに私どもからの答弁を期待していただくこと自体が無理ではなかろうかと思うわけでございまして、その点はひとつ、建設省がそんな気持ちでいるということではないわけでございまして、まあ私どもとしては、ただいま両局長からお話し申し上げましたように、県並びに市と十分打ち合わせをいたしまして、建設省が幾ら早くといっても、県なり市当局としてこれよりももっと実は困っているところがあるのだとこう言われますと、またそちらのほうも考えなければならないということもありますので、よく地元と打ち合わせをいたしまして、急がなければならないわけでございますので、できれば四十九年度の予算等によってまあ処置できるかどうかということを検討さしていきます。
  195. 栗田翠

    栗田分科員 最後に団地造成につきまして、おもに市、県が行なうわけでございますけれども、その許可をなさる場合には、十分計画性のある道路、水その他ですね、そういう状態を確かめた上で許可されますように、それが当然な姿勢だと思いますので、そのことを主張いたしまして、私の質問を終わりにいたします。
  196. 稻村佐近四郎

    稻村主査 これにて栗田翠君の質疑は終了いたしました。  次に、瀬野栄次郎君。
  197. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 熊本県の白川改修について冒頭お尋ねします。  熊本市の中心部を貫流しております一級河川白川がございますが、二十八年の大災害によって熊本市はたいへんな災害をこうむったわけでございます。この河川改修が、たいへん工事がおくれているということで、地元ではたいへんな心配をいたしております。本件につきましては、私も昭和四十四年以来すでに当委員会でも例年質問をいたしまして、四回ほど質問をし、さらに災害対策特別委員会でも三回にわたっていろいろと対策を講じてきたところでございますが、大臣も御承知のごとく、建設省においては昭和四十七年から五十一年に至る治水第四次五カ年計画を樹立して、これに伴い、この白川も国、県、市において白川対策三者協議会ができておりまして、熊本市内の白川流量を五十一年度までに整備する、しかも、この計画の推進のため一番のネックとなっております不法建築物等の撤去は、五十年度を目標河川沿いの不法建築物を撤去させる、こういうことになっております。これがたいへんおくれておりまして、工事が心配されておりますけれども、まずこの状況なり見通しについて御見解を承りたいのであります。
  198. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいまの不法占拠の件でございますが、この不法占拠の撤去をするということにつきましては、白川不法占拠対策本部、先ほど先生がおっしゃったものでございますが、これを四十四年十一月に発足させて、河川改修とあわせて、県及び市が建設する改良住宅に不法占拠者を収容させることなど、積極的な不法占拠用の対策の促進をはかっているところでございます。いろいろ問題はございますが、現在のところでは、昭和四十五年に着手して以来、総数が五百八十四世帯ございますが、そのうち、四十九年の二月現在で三百七世帯の移転を完了さしております。残りの世帯につきましても、今後強力に移転を推進させるというように考えておる次第でございます。
  199. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 この移転計画でございますけれども、これはもう終戦直後、戦災者とか引き揚げ者とか、やむを得ない方が居住しておられまして、やむを得ない事情の方ばかりでございますけれども、二十八年たっておるわけです。ただいま答弁がございましたが、四十四年八月に白川不法占用対策協議会がつくられて、九地建、県、市、三者でもって協議してきたわけです。そのときの調査によると、不法占用対象家屋が五百八十三戸ありまして、四十七年五月に熊本市の都市計画で収容し、独身者や定職のない自然移動で四百八十四戸になったのであります。さらに、四十八年三月と八月に、大江町渡鹿の外河原に完成しました県、市営の五階建てアパートへ、銀座橋、代継橋から百六十戸が自主移転をしております。そこで、いま三百七戸移転完了したとおっしゃるが、いろいろ計算しますと、現在私の試算では、二百八十六戸が長六橋下流、二本木町の石塘、小島橋右岸のほうへ残っておられるように思っておるのですけれども、この点、確認をすると同時に、今後この移転についてはどういう見通しであるか、お答えをいただきたい。
  200. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいまの数字の差につきましては、私どももう一度再調査いたします。  先ほど私ども全体を五百八十四世帯と申し上げましたが、これは間違いで、五百八十三世帯、これは先生のおっしゃるとおりであります。その移転の状況といたしましては、四十六年度以前に九十九世帯、四十七年度に二十六世帯、四十八年度に百八十二世帯、四十八年度はまだ終わっておりませんが、現在までのところ百八十二世帯ということで、合計が三百七世帯ということになっております。それで、これの移転の今後の目標でございますが、当初の予定は、五十年までには何とか移転させたいということで、極力努力をいたしたいと思っております。
  201. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 世帯の数字については、これは大事な問題でございますから、よく承知をして早急な対策をとってもらいたいと思う。  そのうち、白川橋上、下流の石塘、裏塘一帯に百三十九戸が風俗営業の飲食店等を経営しておられます。営業権、生活権がからんでおって、移転地選択がなかなかむずかしい。これは十分対策を立てていただきたい、かように思うわけです。  と同時に、二本木町石塘に、九十六戸約二百人がおられますが、森田町内会長等がたいへん心配しておられまして、四十六年九月三十日に不法建築定着者の古町校区移転の陳情書を県に出しておられます。もちろん九地建でも承知をしておられるわけですが、これが継続審査事件となってすでにもうまる二年を経過しております。ようやく昨年、これは私たちも調査をいたしまして、熊本県の建設委員会等においても、四十八年十月に石塘一帯に対する移転計画が初めて公表されまして、石塘及び裏塘の移転については、建設省の白川改修計画もあるので、五十年度を目標に促進したい、移転の場所は三者協議会で煮詰めたい、できるだけ陳情に沿うようにつとめ、移ってもらうべく、改良住宅も営業が続けられるよう店舗つきで計画したいというようなことが県から明らかにされ、三者協議会にかけられておるわけです。それが場所の選定、住宅の規模等、特にこれらの住居の移転については住民との話し合いがなかなか問題でございまして、まだ解決までには問題が山積みされておるように私感じ取っておるわけでございますけれども、これについて今後どういうふうになさるのか、これらがまたネックにもなっておりますので、急いでひとつ対策を打ち立てていただきたい、かように思います。答弁をいただきたい。
  202. 松村賢吉

    松村政府委員 ただいまの問題、具体的な詳しい問題につきましては、これは現地のほうにまかせておりますので、われわれとしても実は詳しくは承知しておりませんが、しかし事は重大でございますので、これにつきましては地元地建等督励いたしまして、十分に早期解決するように極力努力いたしたいと思っております。
  203. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 そこで改修計画のほうですけれども、あとで大臣にもいろいろお伺いしますので聞いておっていただきたいのですが、すでに橋梁工事のうち、小島橋、八城橋、薄場橋、鹿児島本線鉄道橋、それから新世安橋、銀座橋、安巳橋、大甲橋、子飼橋、小磧橋、これらは永久橋にかけかえが終了しておりますけれども、左岸側の、市内で重要なところでございますが、架橋継ぎ足しを残しております。これは、世安橋、白川橋、泰平橋、代継橋、新代継橋、明午橋、これが架橋継ぎ足しを残しております。かけかえが必要なのが、やはり熊本市内の重要な橋でございますが、蓮台寺橋、豊肥線鉄道橋、長六橋、竜神橋があります。これらは早急にやらねばならぬ問題でありますけれども、これについてはどういう考えで対処されますか。
  204. 松村賢吉

    松村政府委員 個々の橋につきましてはいまここに記録がございませんが、白河の改修計画、これは年次計画によりまして特に用地問題等解決を逐次はかりながら、これらの橋の延長と申しますか、河川改修とあわせて進めていきたいというふうに考えております。
  205. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 地域の問題でこまかいことについてまた九地建とよく相談してもらいたいのですが、大臣もよく認識していただきたいために申し上げたわけです。  さらにこの中でも大臣にもよく知っておいていただきたいのですが、四十七年度から五十一年度の五カ年計画の中で、毎秒二千立米の河道流量整備する基本方針となっておりますが、市内の主要橋梁のうち、長六橋も五十一年度末までにはかけかえねばならないということになっております。また、豊肥線の鉄道橋から竜神橋までの整備が終わらなければ、市街は実に不安で安全は保てない。この二つができると市内はかなり安全性があるということになっておりまして、これはまた特に急ぐわけです。  それともう一つは、築堤工事の中で白川橋の改修がほとんど左岸側に集中しておりまして、四十八年度分が九億円、うち六億一千万円が用地買収に充てられておるという状況でございまして、代継橋の下流堤防の三メートルかさ上げと白川橋下流の護岸など、これらがこの対象になったわけでございます。そこで、白川橋-泰平橋間の石塘の護岸工事が老朽化しまして、石積みを補強しないと、かつて二十八年の六・二六水害と同じように、ああいった水害がありますとたいへんな災害をこうむるということで、あの災害からちょうど二十年経過し、俗にいわれます二十年周期で災害が起こる、こうなりますとたいへんなことになるということで、われわれ県、市民は心配をいたしております。特にこれは急がねばならぬ、かように思うわけですが、これに対しては十分大臣も調査をして対策を立てていただきたい、こういうように思うのですが、どうでしょうか、大臣。   〔主査退席、奥田主査代理着席〕
  206. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 緊急に整備をしなければならないお気持ち十分わかりますので、よく現地とも緊密な連携をとりまして、特に二十八年のあの大災害のあったところでもありますから、二度と再びこういう災害に巻き込まれないようにしなければならぬわけであります。そういう意味におきまして、河川局を督励をいたしまして、御期待に沿えるように努力をいたします。
  207. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 大臣、このことについてもう一点お伺いしておきたいのですが、ぜひお願いもしたいわけですけれども、白川改修につぎ込まれた工費というのが、昭和三十一年から四十八年までで八十八億四千万円なんですけれども、四十九年以降でも三百三十五億も投入しなければならないという計画になっておるわけです。ちなみに四十七年は約六億、四十八年がやっと九億、四十九年度もおそらく九億くらいだ、こういうふうにいわれておりますけれども、実際に三百三十五億がまだあと残っている。いままでが八十八億四千万円、これではお話にならぬ。これはずいぶんおくれておる。毎年の予算の伸びが二〇%必要になっておりますけれども、これではもう相当おくれるということになってきます。それで、まだ半分どころか三分の一も終わってない状況でございまして、今後予算獲得が問題でありますし、中でも一番金のかかるのが用地買収ということで、相当財源をひとつ投入していただかなければ困るのです。  そこで、建設省のほうではこの一級河川の白川は格づけが全国河川の三十番目にランクされておりまして、人口の上からいっても熊本市は五十万都市である。そしてこういった立ちおくれ等見ましたときに、もう少し上位にこれはランクすべきである、かように思うわけです。しかも大災害のあれから二十年です。忘れたころに災害がやってきたのではたいへんであります。そういったことを思いましたときに、もっとランクを上げ、財源を投入し、五カ年計画の線に沿ってひとつ強力な財源投入によるところの河川改修、また移転問題を含めて対策をとってもらわなければならぬと思うのですが、その点について大臣ひとつ御見解を承っておきたいのであります。
  208. 松村賢吉

    松村政府委員 まず私からちょっと……。  白川につきましては、昭和二十八年度の大災害にかんがみまして、三十一年度から直轄河川として改修した事業でございます。したがいまして、まだ河川改修の日にちも浅いと申しますか、全国の一級河川のうちでは比較的浅いほうでございます。したがいまして、先ほどの進捗率と申しますか、残工事が非常にあるということも、そういう点からもあるわけでございます。  しかし、このランクが三十番目とかなんとかということでございますけれども、一応のいろいろの基準がございますが、これは必ずしも事業費と比例するという数字のものではございません。したがいまして、私どものほうとしましては、やはりその白川の改修の重要性というものを考えまして、極力この工事を進めていきたいというふうに考えております。
  209. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 大臣、ひとつこれの促進をお願いしたいのですが……。
  210. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 進捗率が計画に対して非常におくれておるというお話でございます。ただいま局長から御答弁申し上げましたように、全国的に河川の改修の問題につきましては、白川だけではなく、十分な段階までなかなか持ち込めないで苦労をいたしておるわけでございます。できる限り四十九年度におきましても御趣旨の線に沿って、特に大災害があった地点として、そういう点も考慮して進捗度に少しでもプラスになるような配慮をいたすように指示をしたい、こう思います。
  211. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 この白川改修は、全国たくさんある河川の中でも五十万の市民をかかえております熊本市のいわゆる中央部を貫流しています河川であり、しかも阿蘇山という広大な地域を控えておりまして、ヨナが流れてきますと、二十八年の大災害のようなことがまた起きる可能性があるわけでございまして、人命にかかる問題でありますので、特に私毎年これを指摘し、促進をはかっておるわけですけれども、その進捗率が、先ほど言いましたように二〇%ぐらい伸びねばならないのに、全く遅々として横ばいみたいな状況下にあります。むしろ、年々九億ということであれば、資材その他の値上がりから見ますと、これは相当マイナス予算になっております。こんなことではなりませんので、十分ひとつ建設省のほうの対策を立てていただきたいということをお願いするわけです。  そこで、この白川改修にまた密接な関係があります白川ダムの問題について、大臣はじめ関係当局にお尋ねをするわけです。  熊本県の阿蘇郡長陽村立野というところがございますが、ここは阿蘇国立公園の阿蘇外輪山の火口背に当たるところでございます。ただいま申し上げました一級河川白川の上流に当たりまして、白川、黒川の合流点下流の地点に、建設省が熊本県及び関係市町村の要望を受けて建設計画を樹立すべく調査を行なっております。この建設について、本員が昭和三十九年に、実は当時熊本県会におりましたものですから、これを初めて県会に提案をしまして、それから私、国のほうにも陳情を申し上げ、すでに今日まで、昭和四十五年から当委員会で五回、また建設委員会で二回、このことについては推進をはかってきた経緯がございます。  御承知のとおり、先ほども申しましたように二十年前に阿蘇の一帯に降りました雨が熊本市を貫流している白川をはんらんさせましてたいへんな災害となりました。このために熊本市は未曽有の大災害を受け、死者、行くえ不明が三百三十一人、家屋の全半壊が六千七百戸、被災者が約十九万という膨大な数字にのぼったのでございます。  そこで、この白川ダムの建設によりまして、私は、この白川改修のおくれと、また白川のいわゆる治水、利水という意味からもぜひ推進すべきだということで、例年強力にこれを建設省当局に要請をしてきておるわけでありますが、この白川ダムの建設によって熊本市民五十万人の災害防止のための洪水調節となることは言うまでもありません。並びに阿蘇郡西原村の大切畑ため池を経て新熊本空港西端の深迫ダムに分水をし、沿川の大津町、菊陽町等水田など三千六百五十ヘクタールのかんがいにも利用できますし、さらには熊本市の金峯山裏の河内芳野村の果樹園に対する利水、そして熊本市の都市用水工業用水としてぜひとも必要なものでございます。ダム建設による建設効果は大きく、地元でも期待しておるところでございまして、一日も早くこの着工が望まれておるところでございます。  そこで、建設省では四十四年からダムサイトを調査しておられるわけでございますが、四十九年度にはぜひとも実施設計調査に踏み切っていただきたい、かように私たちは考えてお願いしておるわけですが、現況並びに見通しについて当局の見解を承っておきたいのであります。
  212. 松村賢吉

    松村政府委員 白川については、下流部は熊本市内を通っておるという関係上、河道改修にある程度限界があるわけです。したがいまして、この安全を期するためにはやはり白川上流のダム計画というものはぜひとも必要になってくる。そういう意味から、昭和四十四年度から現地調査をやってきたわけでございますが、いろいろと地元原生林等の関係がありまして、環境庁等の関係もありまして、いろいろ問題がありましたけれども、この問題も解決しまして、現在、現地の調査を促進しているわけでございます。しかし御承知のように、この白川流域沿川は阿蘇溶岩地帯でございまして、ダムを建設する地点としては必ずしも良好な地点であるとは言えないわけでございます。したがいまして、この調査は相当慎重を要する、また、このダムが一カ所で済むか、あるいは二カ所にする必要があるか、この辺のところにつきましても調査を進めなければならないわけでございます。  また、この白川ダムのダム構想といたしましては、やはり洪水調節はぜひ主体としてやる必要がある。そのほか利水面のことでございますけれども、まだ地質の関係からこれが水を安全にため得るかどうか、この辺のところに非常に問題があります。現在のところでは洪水調節を主体といたしまして、でき得れば不特定用水の確保等を入れたダムとしたいと考えておるわけでございますが、さらに調査を進めたいと思っております。  四十九年度につきましては、まだ以上のような状態で、実施計画調査状態までちょっとまだできませんので、四十九年度は予備調査としてこれを継続してまいりまして、でき得れば五十年度には実施計画調査に持っていきたいというふうに考えておるわけでございます。
  213. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 そこで、これは県側もぜひ利水も当然考えていただきたいということで、昨年三月八日、当委員会で私政府委員に質問した際も、洪水調節がどうしても主体で、それで余裕があれば利水を加味したい、着工時期については調査結果を見ないと約束できないというような答弁をいただいたわけですが、いまかなり前進した答弁をいただきましたが、ぜひともこれは早く実施に踏み切っていただくために調査を進めていただくと同時に、治水、利水あわせてやっていただかないと、これは先ほどからいろいろ申し上げましたように、熊本市の要望にもこたえられないし、また、このダムを利用することによって、そういったあらゆる利水問題が解決するわけで、期待をかけておるわけです。その点十分調査の上でこういうことを進めてもらいたいと思う。大臣、ぜひ一度現状を見てもらいたいと思いますし、これに対して促進方をはかってもらいたいと思う。また、洪水調節及び治水、利水の問題とあわせて対策をとっていただくように大臣からひとつ答弁を承りたいのです。
  214. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 河川局長からお答え申し上げた点で尽きるわけでありますけれども、姿勢として――私も熊本をよく存じ上げておりますので、災害防止というだけではなく、あの辺の農民、またあの辺の工場関係用水等十二分に確保していけるような立場でのダム建設の促進ということには全力をあげていきたいと考えております。
  215. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 建設大臣、いま局長からは五十年をめどに実施設計をやりたいということの答弁がございましたが、その点については、しかとひとつ大臣も督励をして推進をはかってもらいたいと思いますが、よろしゅうございますか。
  216. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私、技術者じゃありませんので、局長は技術者でありますし、局長に急げということで指示をいたしまして、ただいま五十年に実施設計をやりたい、こう申し上げておるわけでありますから、そのように努力いたします。
  217. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 ぜひひとつ努力して期待にこたえていただきたいと思います。  次に、これまたたいへんな問題ですけれども、時間の制約があるので十分質疑ができませんけれども、この機会に特に大臣にも現地を見てもらいたいし、これまた対策をとってもらいたいので申し上げるのですが、下筌ダムのひび割れの問題です。蜂之巣城といってずいぶん全国を騒がせました下筌ダムでございますが、この下筌ダムは、昭和四十七年、熊本県と大分県の県境を流れる津江川に完成した多目的ダムであります。この貯水池周辺の熊本県阿蘇郡小国町黒渕、室原と対岸の大分県日田郡中津江村一帯にたいへんな地すべりが起こりまして、山林、田畑、家屋、農道及び県道等が地割れし、危険な状態にあるわけです。昨年も当委員会で大臣に質問をしましたが、現地を見て対策をとるというまま、とうとう大臣が来ないうちに交代となったわけですけれども、この九地建の松原下筌ダム管理事務所には、私も昨年また調査に行きましたときに、たずねていろいろと指示をしてきましたし、おととし昨年の二回にわたって調査をしてまいったわけです。  御承知のように、この下筌ダムは九州でも有数な大きなダムでありますが、四十七年六月から七月にかけて阿蘇郡小国町室原地区、すなわち下筌ダムの上流右岸で地割れなどが起こって地すべり現象が起きております。十二月には政府調査団が現地を調査し、四十八年二月には地割れ補償妥結で室原地区田台の四戸が五千十五万円の補償で家屋移転補償等を受けております。同じ室原地区の農道地区でも水田、山林四千八百八十平方メートルが補償されまして成立いたしております。こういったことで、四十八年一月にダムが再び満水されたあと、今度は地鳴りや地震現象、また対岸の大分県側でも道路のひび割れが起きているということで、これは明らかにダム建設による地割れである、こういうふうに地元では言っているわけです。そこで四十八年六月四日には県の独自調査が行なわれ、獺地区と神ノ前地区、これを二百十万円の国庫補助で、建設省から県のほうが委託を受けて調査をいたしたわけでありますが、さらに四十八年八月一日に金丸建設相の指示によりまして、四十七年の調査団に学者を加えた下筌ダム貯水池周辺調査団が現地調査をし、建設省では今後各種機械を使って再度本格的に原因を究明する、こういうふうに言っております。  そこで私はお尋ねしたいわけですけれども、四十八年十月に地すべり防止区域に指定されておりますが、この段階で今後地すべりが起きた場合は、一つは、人工的なものであれば、地すべりを起こす原因をつくったものが責任を負う、こういうふうに建設省はいっている。二つ目には、自然現象としての地すべりであった場合は、県が国の補助を受けて地すべりの対策工事を行なう、こういうふうにいっているわけですね。  そこで、この問題について四十八年の八月一日、四十七年秋の政府研究機関の調査団に学者を加えた下筌ダム貯水池周辺調査団が第二次調査団として現地調査をした意見に基づいて、前回の調査にはこだわらず総合的な調査を行なうことになった、こういうふうにいっておりますが、私はこの調査の結果の内容等をつまびらかに見ておりませんけれども、おそらく先ほどの一番目の、ダムの建設により問題が起こった可能性が強いということを示唆しているのじゃないか、こういうふうに思っておるわけです。そうであると、これは重大な問題になります。  そこで、この原因についていろいろいわれておりますけれども、県も地元もたいへん心配をしておりますので、いつ結論を出すのか。早急に出さないと住民の不安はつのるばかりであります。もし大災害が起きて、これがまだ補償を受けてない人家等に相当影響があり、災害を受けますと、重大な問題になるということでございます。早急に結論を出してもらいたいし、住民の不安を除いてもらいたい、建設省も地元も一生懸命努力していることもよくわかりますけれども、ぜひこれに対しては調査をしてもらいたいと思うのです。結論を早く出してもらいたい、こういうふうに思う。時間が参りましたので、その点についてひとつ見通しを明らかにしていただきたいと思います。
  218. 松村賢吉

    松村政府委員 昨年の四十八年七月の調査団の調査結果の報告につきましては、三月中に中間報告を聞く予定にしております。その中間報告によって、措置が必要な場合にはこれをやっていくということで、最終的な結論、報告につきましては、おそらくまだ確定はしておりませんが、大体夏ごろになる予定でございます。
  219. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 建設大臣、夏ごろと言うけれども、これは早くしてもらわないと困るわけです。前の金丸建設大臣も、現地を見て対策をとりたいということであるのですが、全国的にあれだけ騒いだダムでございます。大臣もよく御存じだと思いますが、夏ごろじゃなくて、もっと早く、少しでも早くその結論を出してもらいたい。そして早く対策をしないと、もし雨季を越して、雨季に災害があったり、また夏に大雨でもあったらたいへんな問題になると心配をいたしております。時間がないのできょうははしょっていろいろ総まくり申し上げておきましたけれども、結局は、こういったことを早く調査をして、結論を出して対策をとっていただきたいということでございます。ぜひ大臣も現地を見て、これは対策とってもらわぬとたいへんな問題になるのですが、その点大臣の見解を承って質問を終わりたいと思います。
  220. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 早くということは私も望むところでございますけれども、御承知のように、これはもう非常に重要な、また大きな影響を持った調査でございますので、これまた専門家の諸君が十分納得のいく結論を出してもらわなければ、急がせたばかりに、ああすればよかったこうすればよかったと、あとで悔やんでも悔やみきれないということになるわけでございますので、そういう点も考慮いたし、なるたけ早く結論を出していただくように要請はいたしてまいります。
  221. 瀬野栄次郎

    ○瀬野分科員 ぜひそうしてください。  時間が参りましたので、以上で終わります。
  222. 奥田敬和

    奥田主査代理 これにて瀬野栄次郎君の質疑は終了いたしました。  次に高沢寅男君の質疑に入るのでありますが、本日は、同君の質疑に対し、参考人として日本住宅公団総裁南部哲也君が御出席になっております。  なお、御意見は質疑をもって聴取することといたします。  高沢寅男君。
  223. 高沢寅男

    高沢分科員 大臣、たいへん連続して御苦労さまでございます。また住宅公団の総裁、たいへん御苦労さまでございます。  先日私、自分の地元に石神井団地という公団の団地がありまして、そこでちょうど住民集会が行なわれているときに招かれて、いわゆるいま問題になっておる共益費の値上げの問題でいろいろ事情をお聞きしました。きょうはそのことをお尋ねしたい、こういうことであります。  それで、初めに、今回の共益費の値上げですが、この東京地区でいえば東京支所の管内で三十八団地、平均五三・四%、それから関東支所の管内で三十六団地、平均六五%、こういう値上げの幅で、これはいずれもこの四月から実施する、こういうことで、公団のほうからそれぞれの団地へ示されてきておる、こういう現状でございますが、この共益費というものは、いまの経済情勢の中で、物価を安定させるというところに政府の最大の課題があり、そのために公共料金を押えていく、こういうふうな立場もまた示されているわけですが、この共益費というのは、見ようによれば、また家賃の一部という性格もあり、あるいは公共料金という見方もできる、こう思うわけですが、この時期に、この公共料金という性格につながる共益費の値上げをやるということは適当ではないんじゃないか、こういうふうな感じを持つわけですが、これについては初めに大臣から見解をお尋ねしたい、こう思っております。
  224. 沢田光英

    ○沢田政府委員 こういう時期でございますから、そういうものはできるだけしないほうがいいと思いますが、しかしこの共益費は、いまお説のとおり、団地の共有部分、これのサービスの問題でございまして、団地ごとに実費精算のようなかっこうでやっておりまして、公団のほうといたしましては必要なものを上げたということでございましょうが、いずれにいたしましても、それは実費でございますから、必要なものは計上するということでございますが、やり方その他によりまして、そういうものはできるだけよけいなものはかからぬ、これはもちろんでございますが、そういう態度でいるべきだというふうに考えます。
  225. 高沢寅男

    高沢分科員 団地の住民のほうから見れば、この共益費の値上げが出てくると、続いて今度は家賃の値上げということにくるんじゃないか、こういうふうな非常な不安も抱いているわけです。そういう点で、家賃の値上げとこの共益費の値上げというのは、これはもちろん直接に関連のある問題ではないですが、住民の側では、何か関連があるという、こういう理解で非常な不安を抱いている、こういう状況ですが、そのことについての、家賃に関して現在の段階でどうお考えになっているか、それをひとつお尋ねをしたいと思います。
  226. 沢田光英

    ○沢田政府委員 先生のお尋ねは、おそらく古いといいますか、過去に建ったものの家賃のアップだろうと思いますが、これにつきましては、かような物価の状況もございますので、ここ二、三年来そういうものは行なわないという方針できておりますし、また、この状況に至りましたらなおさらそういう状況だというふうに考えております。
  227. 高沢寅男

    高沢分科員 次に、共益費の性格とでもいいますか、そういうことでお尋ねをしたいと思うのですが、この共益費の内訳にはいろいろな、こういうことでこういうふうに費用をかけるというふうな、いろいろな内訳があるわけです。その内訳の中には、たとえば街路灯であるとか、あるいは子供の遊び場の砂場であるとか、またごみの処理、汚水の処理、それから消毒、こういうふうないろいろな項目がその中に含まれているわけであります。こうしたサービスは、これは考えてみれば本来地方自治体が住民に対してそういうサービスを提供すべきものであるし、また団地の住民も、地方自治体の住民として住民税を負担しているわけですから、そういうサービスを自治体から当然受ける権利がある、こういうことになろうと思うわけです。また最近、実態として見ても、いろいろな自治体で、特に革新自治体というふうなものがふえてまいりますと、そういうサービスが自治体のサービスとして提供される、こういうふうな面がずっと出てきておりますが、こういう面がずっと進んでいけば、将来この共益費というようなものは、そういう自治体の本来の住民に対するサービスへ解消されていって、共益費というものは将来次第に縮小していく、あるいは最終的には解消されていく、こういうふうな方向へいくべきものじゃないか、こう思うのですが、この共益費の性格ということになりますが、いかがでしょうか。
  228. 沢田光英

    ○沢田政府委員 地方公共団体は、いわゆる公共施設の建設、あるいはそれの維持管理、こういうことにつきまして義務を負っているわけでございます。ただしかし、公団の団地の場合は、この中に公共施設がある場合もございます。そういう場合には、当然公共団体が道路なり何なりの管理をするということでございますが、いわゆる賃貸団地の共有部分、建物でございますれば階段室がございます。あるいは外でございますれば芝生の部分がございます。こういう共有部分として皆さんがお互いに完全にそれを利用していくというものは、現在は自治体のそういうサービスの対象にはなってございません。したがいまして、そういうものはそういう共益費で今後ともやっていかなければならないと思います。ただし、道路だとかその他の公共サービス、あるいは保育園だとかそういう公共サービス、こういうものが団地のそば、ないし中に入るということは望ましいことでございますから、そういうサービスの向上に対する希望というのは私ども常に持っております。
  229. 高沢寅男

    高沢分科員 経過的にいえば、もともとそういう地方団体がやるべき公共施設あるいはサービスというものも、初めのうちは団地の共益費のうちへ含まれていたものが、次第にそれを自治体がやるようになったから、それは共益費からはずしていくというふうに進んできている経過もあるわけです。これは経過的に見れば、たとえば東綾瀬の団地、これは共益費の値下げというケースも出てきているわけですが、そういう値下げの中に、東綾瀬の団地は、三十九年に千百円であった共益費が四十二年には八百五十円に下がっておる。ひばりケ丘の団地は、四十年に五百円であったのが四十三年に四百七十円になっている。それから四十五年には六百四十円に上がったわけですが、四十七年にまた六百二十円に下がる、こういうような形の個々の下がったというケースを見てみると、それがいま言ったような、従来、団地の共益費の中でやっていたものが、その市町村がやるようになったという関係でその分は下がったというふうなケースもあるわけです。ですから、こういう点は、公団としても、あるいは建設省当局としても、そういう自治体のほうへ移せるものは積極的にそれを進めて、その分だけ共益費というものは当然下げていく、こういう促進は当然やられるお考えだと思いますが、その点はいかがですか。
  230. 沢田光英

    ○沢田政府委員 公共団体の地域で公共団体のサービス、公共サービスというものが向上するというのは、これは望ましいことでございます。したがいまして、団地の中でも公共サービスができるだけ入り込んできて、住民の負担がそういうふうなかっこうで軽減されるということはたいへんけっこうなことだと思います。ただ、公団の団地といいますと、通常その公共団体の地域では、現在の状況ではほかの地域よりもいろんな環境は整ってございます。そういうことからこの団地に対するサービスあるいは周辺に対するサービス、こういうふうなもののギャップが生じないようにというようなことは、おそらく地方公共団体が常に考えていることでございましょう。そういう範囲内で行政がやられると思いますが、そういう前提でサービスが向上することは私どもも歓迎いたします。また進めるべき方向だというふうに思います。
  231. 高沢寅男

    高沢分科員 団地の住民に対して共益費が課せられるその根拠は、入居にあたっての公団と入居者との賃貸契約書の第七条に「共益費の額は、公団が定めるものとし、公団は物価の変動又は附帯施設もしくは賃貸住宅の敷地の改良等を理由として共益費の額を変更することができる。」こういうふうな定めがあります。したがって、これは公団が自分の判断とまた立場からきめることができる、こういうふうなことになるわけですが、一方この共益費というものは、何といっても入居者がその生活環境を快適に保つために入居者が負担をするということですから、共益費を負担する主人公は入居者であるというこの面もまた明らかなんです。  そういう面にあたって、抽せんに当たって最初公団住宅に入居する、こういう段階でこういう契約書を示されて、これを受け入れる、これは当然だと思うわけですが、その団地にしばらく住んで、そこになじんできて、その段階でちょうど一定の時期が過ぎて、共益費が今度は値上げになる、こういうような形が出てくるときには、この入居者としても、諸般の自分の居住する団地の事情もわかってくるわけですから、そういう段階では、値上げに関しては、これは公団の側の設計、計算もありましょうが、同時にまた団地の住民の側の同意も得て、そういう両者の協議の上できめていく、こういうあり方が非常に必要だし、また望ましい、こう思うわけですが、そういう見地から、いまある契約書の七条の中身を改定するにあたっては、住民代表との協議を経て、こういうふうな形に内容を変更される、こういうお考えはありませんかどうか。これは総裁からひとつ……。
  232. 南部哲也

    ○南部参考人 公団の借家関係の契約は、実は全部公団と入居者個人の契約になってございます。したがいまして、入居の際に確かにこういう条件で入居をお認めするということで現在の契約体系全部ができておるわけであります。  しかし、共益費関係の問題になりますと、確かにいろいろ問題はありますが、あくまでもこれは公団の所有管理のもとにある問題でございまして、たとえば排水の設備が完全に維持運営されてないために、排水が逆流して入居者に被害を与えたというときには責任は全部公団がかぶらなければいけない、こういうシステムに現在なっておるわけでございます。したがいまして、この共益費を改定するのは大体三年がサイクルでございます。毎年改定しているわけではございません。石神井の場合のごときは、すでに五年も経過しております。そのようなことで、改定の際には、入居者の方々と十分にお話し合いをし、もちろん自治会の方々ともお話し合いをいたしまして、改定の根拠、どうして公団が改定をしなければならないかという金銭的な予算その他の問題につきましては十分にお話し合いをするということで、今日まで十何年間この問題についてやってきておるわけでございます。  そういうわけで、実質的には先生のおっしゃるような方向で現実に各営業所と各団地の自治会とお話し合いが進んでおるものと思っておりますが、契約書そのものを改定するかどうかという問題につきましては、これが現在のところ対個人関係の契約になっておるものでございますから、そういう意味では、いまのままで、運用でよく自治会と話し合いをするというほうが適切ではないだろうかというふうに考えております。
  233. 高沢寅男

    高沢分科員 そうすると、いま総裁の言われた運用の面ですが、その運用の面で現状は必ずしも望ましい状態になっていないのじゃないか。もっと運用を改善をしていただきたいという面で非常に団地の住民から幾つかの問題を私も聞かされてきておるわけです。  その具体的な例をあげますと、たとえば神代団地ですが、ここでは昭和四十年に入居が開始されて、初めは月九百三十円という共益費であったわけですが、その共益費でやってみて二年間に約二千万円の余剰が出ておる、こういうことですね。そこで四十三年には、その九百三十円の共益費が七百五十円に値下げになったということです。もう一つは、これは北本団地というところの例であるわけですが、昭和四十八年度の段階で次年度への繰り越し額が二千三百二十六万円というこれも非常に大きな繰り越し額ということになっている。これも地域の自治会との話し合いの中で、公団としては五十年度は共益費を下げる、こういう方向で約束もされるというふうなことになってきておりますが、こういうふうに非常に大きな繰り越しが出る。もちろん全部が全部そうじゃありませんけれども、こういうふうな神代団地あるいは北本団地のような非常に大きな繰り越しが出て、それで共益費をその結果下げようということになることは、公団の側で立てられる設計といいますか、計算というものが決していつも正しいということではない、ある意味においてはかなりの腰だめの計算という要素があるのじゃないのか、こういうふうに考えられるわけです。  また、常盤平団地のケースでは、値上げにあたって、清掃の人数が、実際は一人でやっているけれども計算の中では二人でやっておるというふうな形で出されてきて、それも住民のほうから誤りを指摘されるというようなことになる。こういうふうなことで、世帯数なり、あるいはまた芝生の面積なり、共益費を計算する土台になるそういう数の数え方においても幾つか間違いのケースがあった。したがって、こういう間違いを是正して、正しいあるべき共益費に戻す、こういうふうなことからすれば、やはり共益費の内訳というものがなるべく詳細に住民側に説明されて、住民のほうではその内訳を示されたのをよく見て、それで実態と違うという点があればそのことを指摘をして直す、こういうふうなお互いの話し合いの土台が設定されるということが非常に必要ではないか、こう思うわけです。  これは、この間私が石神井の団地で実際に公団の人と住民との話し合いのあれを見ていても、住民側からその内訳を知りたい、こういう声が出るわけですが、公団側は、それは説明できないことになっております、こういうふうな答えで、非常に住民側からすればもの足りない、そして一方、四月から値上げだ、こうなると非常に受け入れがたい、こういうふうなことになっているわけですが、そういう意味では、過去に実際に使われた共益費の決算、それから、こういうふうにやろうとするいわば予算のその内訳というものをできるだけ詳細に関係住民説明をするというように、ぜひひとつ運用面でこれは進めていただきたいということを総裁にお願いをしたいと思うわけです。
  234. 南部哲也

    ○南部参考人 実は共益費がどれくらい各戸にかかるかということは、各団地でみんな違うわけでございます。したがいまして、最初にきめるときにはどうしても腰だめになっておる。また、値上げそのものについていろいろトラブルがあるのはいけないというので、どうしても第一線では初めにわりと安全にきめるというような経緯が過去においてございまして、そんなことでいまお話しのありました、取り過ぎではないかという団地ができているのは事実でございます。  そこで私のほうでは、毎年その年の収支決算を団地の住民に自治会を通じて報告をいたしまして、そうしてこの適正をはかっていく、周知徹底をはかっていくという努力はさしておるつもりでございます。  それから、余ったものをほかの団地に回すとか、あるいはほかの利益金処分をするというようなことは全然いたしておりません。各団地ごとに全部経理をいたしまして、したがいまして、ある年に余ったものは翌年に全部繰り越しております。その収支でなお見通しがこれはだいじょうぶだというときに初めて引き下げその他をやっておりますが、これはもちろん先生のおっしゃったとおり、自治会とよく話をし、ほんとうに団地の各住民の方々の理解を求めてやっていくということになお一そう努力したいと思います。  ただ一点、内訳が話せないということを営業所のほうで申しましたのは、結局、数量と総額が出ておりますから、そうすると単価が出てくる。その単価というのは、実はこれらの仕事を全部直営でしておるわけではなくて、全部入札あるいは委託でやっております。入札でやっているということになりますと、予定価格がはっきりわかってしまうということになりまして、いままでわりと競争で安くあがっていたのがむしろ高目になるというおそれがある。これは公団の会計規程に予定価格そのものは絶対に公表してはならないということになっておりますので、その辺の点はなおよく住民と話し合いをさせますが、そういう点も裏の事情としてはあるということをお含みおき願いたいと思います。
  235. 高沢寅男

    高沢分科員 いまの総裁の言われた入札の値段というものは公表できないという事情は、私も御説明を聞いて承知しているわけですが、ただ実態としては、そういう仕事にあたって、公団として幾つかの業者を寄せて、そして入札価格を入れさせてきめるという形をとる場合はむしろ少ないのであって、団地サービスとかいうふうな、もう公団当局のいわば全く下請といっていいような業者もあって、大体仕事はそれがやるというふうなケースが非常に多いわけですから、そうであるとすれば、入札価格ということが明らかになることによってその後の将来の入札に悪い影響を与える面というものは実態としてあまりないわけであって、そういうことを考えれば、団地サービスとの関係でこういうふうな値段になっておるということなどは、もうずっとこの団地ではいつも団地サービスがやっておるという形ができておるわけですから、その場合には、公団から団地サービスへ仕事をおろすときはこういうふうな単価でおろしておる、その内訳はこうなんだというふうなことをむしろ説明されたほうが、住民の側としては自分たちの負担する共益費がこういうことだからこうだということが納得できるのじゃないかと私は思いますので、ひとつその面も、それは公表していけないという、また規則に反するということは、これはまた別な性格の問題になりますが、実態としてはできるだけ説明をするというようにお願いをしたい、こう思うわけであります。  そこで、時間がもうわずかしかありませんが、初めに申し上げた石神井の団地の実は住民集会でいろいろこういう問題を私、訴えられたということからきょう申し上げているわけですが、その石神井の団地に関して若干申し上げますと、四十九年度から値上げをするということで、その値上げの共益費の内訳というものがずっと示されているわけであります。その示されている中で大きな要素は、一つは、給水施設の維持、運営費というものが従来はゼロであった、それが四十九年度から、これはつまり地下水をくみ上げていたのを都の水道に切りかえるということから、ここには約八十六万円程度新しい費用が必要になったということになってきて、これはこれでひとつまた後ほどお尋ねしたいと思いますが、そのほかに、たとえば樹木の植栽、手入れ費、こういうふうなものが四十八年度は約五十六万円程度であったのが、これが四十九年度は一挙に九十二万円ほどに、倍近い値段に上がっておるというふうなこと、あるいはまた汚水処理の施設の維持、運営費の中で汚泥の引き抜き搬出費という項目がありますが、これが十一万三千円というわりに大きな金額になっております。これはしかし、ほかの団地のケースで見ると、たとえば小平団地などの場合には、その汚泥引き抜き搬出費というのは東京都のつまり交付金が出ることになっている。そこで、小平のほうの団地ではこの分がゼロになっておる。それとの関係で石神井のほうでは、なぜ一体これをうちのほうは払うのかというような疑問があったり、こういうような点が幾つか住民の疑問として出された点があるわけでありますが、こういうふうな点もできればここで解明をしていただき、そしてその住民のほうへも納得のできる説明ができるようにひとつお願いをしたい、こう思うわけです。
  236. 南部哲也

    ○南部参考人 いろいろ具体の問題につきましては、説明の不十分な点がいまお話を承りましてあったと思います。よく担当者をして住民と話し合いをするように、御趣旨に沿って処置したいと思います。
  237. 高沢寅男

    高沢分科員 それをぜひお願いします。  そこで、さっきの給水施設の問題に戻るわけですが、この石神井団地は、従来は地下水をくみ上げて、それで給水をしていたわけですが、これが地下水のくみ上げの規制に関する法律及び水道法の規定から、今度はそこのところは都の水道に切りかえるということで、そのための施設の維持運営費がいままでゼロであったのが、今度はかなり大きな金額が共益費の中へ入ってきた。これが住民集会では実は一番大きな問題になっていたわけです。住民の立場としては、そこへ入居するときに、入居のときの条件が、ここはもう地下水をくみ上げて水を供給する、こういう団地だという条件で自分たちは入った、ところがその後、いわば事情の変更によって今度は都の水道にかわって、そのために費用の負担が必要になったとするならば、それはむしろ都と公団との関係、こういうふうなことで、そういう新たに必要になる運営費は、これはひとつ公団のほうで持ってくれるのが当然ではないのか、こういうふうな感じを住民の側では持っているわけであります。そういう点において、他の団地の共益費の中にこうした給水施設の維持運営費というものが入っておるということは私も承知しておりますが、ここはそういう地下水から始まったという経過があるものですから、そうであるとすれば、その新たに必要になる分は公団として持つということができないものかどうか、これを一つお尋ねしておきます。
  238. 南部哲也

    ○南部参考人 片方、地下水くみ上げ防止というのはやはり地盤沈下の対策でございまして、公団としてはこれに従わざるを得ないと思っております。したがいまして、過去においても数団地こういうような前例がございます。石神井が初めてではなくて、ほかにもこの趣旨に沿いまして都の水道に切りかえる、その場合はどうしても従来よりは費用がかかるという問題が生じまして、その際に共益費の改定でいままでは各団地ともお願いをして、それで御了承をいただいてきておるわけでございます。  そういうような関係で、この問題につきましては、確かに入ったときと条件は違ってくるといっても、大きな国の方針ということで、法律でそういうふうになっていく、もう地下水をくみ上げてはいかぬのだということに禁止されれば、これはまあこれでやっていかざるを得ないのではないか。したがいまして、それに要する共用の費用だけは御負担願いたいという態度で従来きておりまして、ただいまのところ、それを都と公団のほうで負担をするという考えは実は持っておらないわけでございます。
  239. 高沢寅男

    高沢分科員 この点はもう一回ぐらい押したいところですが、もう時間がありませんから……。  そこで最後に一つ、これはお願いも含めての質問であるわけですが、その石神井団地が従来地下からくみ上げていた井戸を都の水道に切りかえになることによって、今度はその井戸がつぶされる、こういうふうな話が住民の側へは伝わっているわけです。住民の側としては、いま東京都の水源が次第に窮屈になってきているというふうなことから、将来、水飢饉という事態が出たら一体どうしようかということとか、あるいは最近問題の地震、こういう事態になったときに、まあ水道がとまってしまう、水が来なくなるというふうな事態を考えた場合には、やはりその井戸はそういう緊急の場合にはくみ出して使えるという状態にぜひ保存してほしい、こういう希望が非常に強くあるわけです。これは私、承知している限りでは、東京都としてもその地震対策ということで、そういう場合の住民の避難する公共広場であるとか、あるいは小中学校というふうな学校のああいう運動場であるとか、そういうスペースのあるところへはこれからできるだけ井戸を掘って、そういう災害の緊急のときにそこから水を得ることのできるような対策も進めよう、こういうことも検討されているというふうに聞いているわけですが、したがって石神井団地では、せっかくいままでたくさんいい水を出していた井戸があるわけですから、これはひとつつぶさずに、まあふたはするにしても、いざというときはあければ水をくめる、こういうふうな状態に保存をしていただきたい、こういうことですが、ひとつ総裁のお考えをお聞きしたいと思います。
  240. 南部哲也

    ○南部参考人 御説ごもっともだと思います。われわれのほうとしても、水の問題について将来に備えて、そのような措置をむしろいまの事態において考えれば、とるべきではないか。ただ、これは関係官庁としての東京都水道局がございますので、そこと十分に協議の上、この対策を講じていきたいと思っております。従来のところは、やはり全部くみ上げそのものを認めておると、私水道と地下水が混合になる。これは水道法上禁止になっているものですから、全部鉛づけといいますか、ふたをしてしまうという形になっておりますが、いざというときの用意で、今後、非常の場合には地下水が使えるようにという措置は、私どももこれはむしろ非常に奨励すべきことではないかと思いますので、東京都の水道局のほうとはよく連絡をいたしまして、これから打ち合わせをしていきたいと思っております。
  241. 高沢寅男

    高沢分科員 私もまた東京都の当局へそういう趣旨を、十分希望をお伝えするということでやりたいと思いますが、ぜひひとつよろしくお願いします。  以上で終わります。
  242. 奥田敬和

    奥田主査代理 これにて高沢寅男君の質疑は終了いたしました。  次に、兒玉末男君。
  243. 兒玉末男

    兒玉分科員 建設省のほうにお伺いをいたします。  宮崎県の道路開発公社のほうで、宮崎県高原町の蒲牟田から鹿児島県姶良郡霧島町高千穂河原、通称霧島といいますが、これを結ぶ十九キロ、総費用は約二十六億円の二車線による中霧島有料道路計画なるものが策定をされまして、そうしてすでに御承知のように、いわゆる推進する側と、それからあくまでも自然破壊ということで意見が対立をして現在に至っているわけでございますが、その後、この計画についてはどういうふうな作業が進められているのか、お伺いしたいと思います。
  244. 菊池三男

    ○菊池政府委員 この道路は、ただいまお話しのように高原町から霧島の山へ上がる道路でございますが、これは県道として道路が認定してございます。ただ実体はございません。点線であるだけでございます。その県道を有料道路事業でやりたいというふうに県が計画しておるようでございます。ただ、この道路は、御承知のように霧島屋久の国立公園の中を通っておりますので、いろいろな環境破壊の問題やらいろいろな問題があるということで、県としても宮崎大学の先生方を中心とする専門委員会というものをつくって、そこで何か調査をやっておるようでございます。そういう結果に基づいてから道路計画というものを出してくるというふうになっておりますので、私どもまだ具体的にその結果どうなったということ、それからまた具体的な計画という形では聞いておりません。ただ、国立公園でございますし、また何か東京大学の気象観測所もあるようでございますので、そういう点のからみがございますので、これは慎重に考えていかなければならないと考えております。
  245. 兒玉末男

    兒玉分科員 局長の御答弁でけっこうでございますが、実は私の手元なり出身議員のところには、現時点でいわゆる高原を中心とする西諸、小林、北諸、関係の市町村の町長、議長、こういう連名で道路建設促進の陳情書がきているわけです。おそらくこれは局長のほうにも、促進の陳情がきているのじゃないかと思うのですが、いかがでございますか。
  246. 菊池三男

    ○菊池政府委員 ただいまのお話のように、これは県の中でもあるいはまた地元の中でも、賛成、早くやってほしいという御意見と、環境破壊だから反対だという御意見とございます。賛成のほうは、道路公団でやっております有料道路が反対側にございますが、みんなそちらへ行ってしまうので、こちらがさびれるからやはり道路は必要だという御意見が中心と思います。反対の御意見はやはり環境破壊ということであろうと思いますけれども、ここら辺が半々であって、地元としての意見もまだ固まってはいないというふうに聞いております。
  247. 兒玉末男

    兒玉分科員 われわれとしては、結論はいずれにしましても、先ほど申しましたような自然破壊という点と、それから予定する道路の通過地点に現在活動を開始しているところの霧島山のきわめて注目すべき状態というのが東大の地震観測所のほうでも指摘をされているわけです。  そこでまず、先般ここを中心としてできています自然を守る会から三木長官のほうにも、資料等いろいろなものをそろえてきておるわけでございますが、宮崎大学がまとめた調査報告によりましても、この地域は「東霧島地域の原生林、植物群生による垂直分布は、西日本では唯一の生態系環境で鳥獣・コン虫類の宝庫でもあり、貴重な埋蔵文化財も多い」「また経済・観光面でもメリットの少ない道路開発計画」は決して好ましいことではない、こういうふうな相当分厚い、ここに持ってきていますけれども、調査資料の結果が実は出ているわけですけれども、特にここは霧島屋久国立公園が大半でありまして、この地域に対して、環境庁が主管庁でございますが、これについてはどういうふうな判断をしておりますか、お伺いしたいと思います。
  248. 宇野佐

    ○宇野説明員 お答え申し上げます。  いま道路局長さんのほうからお答えがございましたように、私どももまだ県から正式な形では申請というふうなものは受け取っていないわけでございます。いま先生御指摘になりましたように、この道路の計画につきまして、県のほうが宮崎大学の先生方に委託をいたしまして調査をいたしました。その結果は、一応私どもも入手いたしております。環境庁といたしましては、すでに国立公園の中のいわゆる観光道路のようなものの新設ということはむしろ今後抑制をしていくんだという方針を立てておるわけでございまして、この道路につきましてもそういうことで、この霧島屋久国立公園の公園計画には現在この道路が載っておるわけでございますけれども、この公園計画を改定をする時期には、いまの先生方の御調査とかそういうものを参考にいたしまして、いまの抑制方針というものをあわせて検討していきたい、そういうふうに考えておるわけでございます。
  249. 兒玉末男

    兒玉分科員 これは地震の研究機関が東大でございますけれども、やはり気象庁としては十分関連を持っておると思います。いま朝日新聞が出しています「地震列島」という本がございまするが、この中には、やはりそういうふうないまの霧島火山系の態様につきましてかなり詳細な記録を出しておりますし、特に火山と観光の関係、また先般阿蘇におきましてもいわゆる噴火によって相当の死傷者を出した。しかも現在の場合は、二十世紀においてこの霧島火山帯の活動ということはかなり顕著になるんじゃないか。また何百年かの統計から見ても、周期的な状況から判断した場合にきわめてこれは危険だ、こういうことが地震学上も指摘をされているわけでございますし、特に東大の地震研究所としては、この道路が通ることによって自主的な観測ができなくなるということも具体的に指摘をしておるようでございますが、気象庁としてはどういうふうな分析と対応を考えておられるか、お伺いしたいのであります。
  250. 高橋浩一郎

    高橋(浩)政府委員 霧島の火山につきましては、おもに鹿児島地方気象台が中心になって監視をしているわけでございます。霧島火山の近くに湯之野というところがございまして、そこに地震計の末端がございまして、そのデータを鹿児島の地方気象台に持っていきまして、それで監視しております。  火山の噴火につきましては、これは非常にむずかしい問題でございまして、現在そういった研究が進んでいるわけでございますが、いまの段階でございますと的確な予報ということは非常に困難でございますけれども、浅間山の火山と土質が似ている点がございまして、そういう点から判断いたしますと噴火の予知ということもある程度はできるんじゃないか、そういった面で気象庁といたしましても噴火による災害の防止に寄与したい、こう考えている次第でございます。
  251. 兒玉末男

    兒玉分科員 せっかく大臣もおいででございますので、そこに資料もあると思いますけれども、長い歴史の中で保たれた非常に数少ない原生林でありまして、しかも登山道路としては、若干の手当てをするならばそういう自然を破壊しないで十分に活用できる。しかも、有料道路にしたからということで高原町が経済的に多くの収入を得るとか、そういう経済的メリットというものはきわめて少ないというふうに私は見ているわけです。でありますから、地震研究所なりあるいは環境庁等も指摘しておりますように、確かに公園計画の中に道路を入れるということは、これは昭和八年に県道に入れるということも一応きめられていますけれども、少なくとももう四十年以上の歴史の経過というものは、現代においては特に車公害、自然破壊ということが大きな政治課題でもありますし、そういうふうなもろもろの条件と情勢の変化ということを十分配慮していただきまして、あの地域の守る会の意向なり、あるいは自然の破壊を防ぐ、あるいは地震観測に重大な影響を与える、そういう情勢等を十分踏まえて、慎重な態度で、今後申請があった場合等についてはひとつ御配慮をいただきたい。大臣の御見解を承りたいと思います。
  252. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 御意見の趣旨、よく理解できます。この国立公園法という法律は実にいい法律でありまして、とにかく民族の資産である自然の景観というものは永久保存、できれば現況のまま子孫に残せというのが国立公園法の趣旨だと承知しておりますが、そういう意味からも、できれば人工による道路というようなものはもう最小限にしていくべきであるという考えを私は実は前から持っておるわけでございます。したがいまして、まあ地元ではどういうお考えか、私まだ直接聞いてはおりませんけれども、お見えになったらそういうような立場でお話を申し上げたいなという気持ちでおることを御理解いただきます。
  253. 兒玉末男

    兒玉分科員 それぞれ賛否両論ありまして、私もそのどっちか一方の肩を持つというんじゃなくて、やはり原点に返りまして自然を守るべきか、あるいはそういうふうな地震等によって万一という場合の状態というものも考えなくてはいけないし、あくまでも自然破壊と公害防止という点に基点を置いて対処していただきたいことを強く要望いたします。  もう時間がございませんが、次にゴルフ場の建設と災害関係ということでお伺いしたいと思います。  実は私の宮崎県の高岡町というところに、今回、かつての開拓農地並びに国有林の一部を賃貸借をしてゴルフ場の建設が進んでいるわけであります。これはいろいろな曲折がございましたが、いずれにいたしましてもわれわれが最終的に考えますことは、やはりこのような国有地帯なりあるいはかつての農林省所管の開拓農地が、ゴルフ業者によって買い占められ、いまゴルフ場としての整備が行なわれているようであります。おそらく完成にはまだかなりの期間を要すると思うわけでございますけれども、いよいよ五月下旬から六月にかけまして南九州一帯はつゆの時期に入ります。そういたしますと、いままでも再々集中豪雨によりまして非常な災害が発生する南九州特有の地帯であり、しかも御承知のようにシラス地帯、そういうふうな条件もありまして、今後やはり私は防災対策という点から十分な指導をしていく必要があるんじゃないかということを考えますけれども、特に建設省として、現地の状況把握なり対策等について、どういうような手だてをしておられるのか、お伺いしたいと思います。
  254. 松村賢吉

    松村政府委員 このゴルフ場の建設予定地と申しますかこの地域は、砂防法あるいは地すべり等防止法、森林法、こういうものによって規制を受ける地域から実ははずれております。したがいまして、これを法的に規制するものは実は現在のところございません。したがいまして、これは河川局の所管としてお答えするのがいいかどうか、いろいろ疑問はあるのですけれども、もちろんほっておくわけにはいかぬわけでございまして、現在宮崎県が土地利用対策要綱というものを県で定めて、これによってこの行為者に対しまして必要な処置を行政指導しておる。法的の規制の能力はございません。それで行政指導をしてやっていくということでございます。したがいまして、建設省といたしましても、これを規制する法的根拠は現在ございませんが、下流に建設省所管の砂防指定地もございますし、河川もあるというような関係上、これが災害を起こしたら非常に影響が大きいということから、県を通じまして必要な防災措置について、これも強制力はないとはいいながら、行政指導でもって業者のほうを指導していくという考え方をもって県と打ち合わせをやっております。
  255. 兒玉末男

    兒玉分科員 いま局長の御報告を受けたわけでございますけれども、やはりこの地域が現在、おそらく完成まではまだかなりの期間を要する、おそらくは全部はげ山の状態、ブルドーザーで押し並べているんじゃないか、こういうような点から考えますと、特にそういうふうな災害が発生した時点では私は手おくれだと思う。そういう点からも、特に県等に対しましても積極的な行政指導を通じて災害が未然に防げるように、またそういう事態がないように、ひとつ万全の措置をとっていただくように格別の御配慮をお願いしたいということを最後に申し上げまして、質問を終わります。
  256. 奥田敬和

    奥田主査代理 これにて兒玉末男君の質疑は終了いたしました。  次に、柴田睦夫君。
  257. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 住宅公団に関連してお伺いしますが、昭和三十年に日本住宅公団法がつくられ、それから全国的に公団住宅が建設されてまいりました。でき上がった公団住宅への入居が始まりますと、公団住宅での生活を維持していく上におきまして改善すべき重要な問題が次々に浮かび上がってまいりました。学校や道路、公園、水道、河川、保育所など、こうした関連公共施設の整備やその改善を要求する声はいよいよ大きくなっております。千葉県におきましては、京葉工業化政策をはじめ工業中心の急速な開発に加えて、首都の隣接県として高度成長政策のもとで急速な人口増加がありました。特に、比較的東京都に近い地域においては、たくさんの住宅団地がつくられる、こういうことになっております。そういう団地での生活をする上におきまして数々の問題があるわけですけれども、きょうは限られた時間でありますから、幼児教育に関する問題を取り上げてお尋ねしたいと思います。  最初に、公団住宅を建設する場合、幼稚園をつくらなければならないということは、これはもう当然理解されていると思うのですけれども、団地における幼稚園の建設ということにつきまして、建設省の基本的な考え方をまずお伺いしたいと思います。
  258. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 公団の団地をつくります場合に、学校あるいは幼稚園または保育所というような生活に関連いたします関連公益施設というものは当然必要になってまいります。これにつきましては、従来から公団はこれを市町村と協議しながら、立てかえまして、そうしてこれを市町村に引き渡し、そして所定の長期の割賦というきめられた方式に基づきましてこれの返済を求めていく、こういうやり方で建設している次第でございます。
  259. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 既設の団地における幼稚園、この点についてはどういう方針でしょうか。既設の団地で幼稚園が必要であるという要求が出てくると思いますけれども、このことについてはお考えがありますか。
  260. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 この場合は、すでにコミュニティができ上がった、そうして児童数簿を勘案いたしまして途中で必要となる、こういうケースであろうかと思います。その場合も市町村と協議いたしまして、その協議に基づきまして公団が立てかえるケースが多うございます。
  261. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 いまの場合において市町村が幼稚園をつくりたい、こういうことがある場合に、公団の敷地などについて積極的に協力する、そういう姿勢ですか。
  262. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 そうでございます。その場合には、当然これも市町村との協議によるわけでございますが、その敷地等につきましては、あるいはこれを提供したり、あるいは非常に安い価格で見積もりまして建設する等の措置を講じておる、ケースが違いますけれども大体そういうやり方をしております。
  263. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 ところが、現実には各団地で幼稚園が足りない、こういうことでいろいろな要求が出てまいっております。幼稚園に行きたくても行けない子供がそこにはたくさんいるわけです。そういう中では、団地住民の中から、自主的な運動として幼児教室というのがいろいろな団地に開設されてまいっております。千葉県の幼児教室、これは昭和四十八年度で見ますと、千葉や船橋、松戸、習志野、八千代、こうしたところの団地で十教室、三歳から五歳までの幼児二千二百六十八人の保育を自主的な幼児教育として行なっているわけです。  中身を見てみますと、保育をするほう、先生のほうの数は百三十八人、みんな幼稚園教諭の資格を有する人たちであるわけです。この保育者、すなわち、先生と保母たちがつくっております保育の会が協力いたしまして、幼児の保育と幼児に適切な環境を与え、幼児の心身の発達を助長する、これは幼稚園の目的になるわけですけれども、そういう目的と同じようにして集団教育を行なっております。文部省としては、就学前の幼児の教育についてその必要性がたびたび強調されておりますけれども、このような幼児教室の自主的な運営について、文部省のほうでどのように考えているか、この点をお伺いします。
  264. 和忠利

    ○和説明員 お答えいたします。  幼稚園として認可を受けていないいわゆる無認可の施設で幼稚園に類似する教育を行なっております施設が全国に相当数ありますこと、実は私どもも存じ上げております。ところが、それを行政上幼稚園と同じ取り扱いにいたしますことは、実はその無認可でありますゆえんのものが、施設その他で幼稚園の認可基準に達しなくて無認可であるという実情のほうが多いようでございまして、それを全く幼稚園と同じ扱いにいたしますことは、全般的に申し上げますと、幼稚園教育の水準の低下につながるおそれがあるというところから、私どもそれを現在のところはその方向で考えているわけではないわけでございます。  以上でございます。
  265. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 団地は言うまでもなく人口の過密な地域でありまして、こういうところでは幼稚園に対する要求がきわめて強いわけです。ところが、そういう中にありながら、公立の幼稚園は、千葉県の団地を見てみましてもまずない。近くに私立の幼稚園がある場合においても、その私立の経費は非常に高い、あるいは保育の内容が粗末である、こういう批判もあるわけです。そういういろいろな条件がある中で、幼稚園に行けないという現状の中でそうした幼児のために自主的な幼児教育が行なわれる、これはむしろ当然であろうと思います。  いま無認可幼稚園ということで説明がありましたけれども、文部省の就学前幼児教育の方針ということから考えてみましても、現実に幼稚園がないわけですから、自主的な活動、そしてそれがほんとうに幼稚園の教育と同じように幼児教育の目的に奉仕しているということであれば、そのような自主的な活動に対しては、むしろ文部省としては援助する、進んでそれを助長するというのが正しい態度ではないかと思うのですけれども、いかがですか。
  266. 和忠利

    ○和説明員 申し上げます。  おっしゃるように、現実に幼稚園の施設が足りなくて、その谷間を埋めるために幼児教室その他で幼児教育につとめていただきますことにつきましては、敬意を表するものでございますが、私どもは、その場合には設置者がいま一つ御努力いただいて、施設の整備をはかって、幼稚園としての認可を受けていただくように、都道府県にお願いして指導いただいているところでございます。
  267. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 千葉県における団地の幼児教室は、これはもう始められて十年以上になってまいっております。幼児教室を出て小学校四年生になった女の子の作文の一部ですけれども、それをちょっと読んでみますと、「遊具が、たくさんあったようじ教室 文庫といっしょにやっていて、たくさん本がよめたようじ教室 クリスマス会や、うんどう会を、たくさんやったようじ教室そんなようじ教室を、思いだすと、五年前の事が、まるできのうのような感じがします。だから私は高根にひっこしましたが、前原に来た時は、必ず、ようじ教室によって行こうと思っています。」こういうことを言っております。そしてこの幼児教室では、団地外の人たちとの交流も行なうということがやはり教育のためにいいということから、運動会などでは、団地外の人たちとの交流も盛んにやる、こういうこともやっております。保育の内容について見ましても、一般の幼稚園に比べてまさるとも決して劣らないという自信を持っているわけです。千葉県知事は、この幼児教室の現状を十年ほど前に見られて、当時は教室の施設も何もなくて、露天などで教室をやっていたのですけれども、この幼児教育は非常に意味のあることだ、そのためには必要な施設をつくろうということで、いろいろな必要な器具だとか、あるいはだんだん進んでその施設のための補助金、こういったものを出すべきだ、こういうふうに決意されて、最初はこの幼児教室に対してピアノ一台を買ってやるということから出発しましたけれども、後には、四十年度から、この児童館の建設などに使えるようにする、そして全体的に見ますと、昭和四十年度からこの団地内の施設補助金がずっと千葉県においては予算化されているわけです。公立幼稚園の不足、それから就学前幼児が、幼稚園に行きたくても行けないという現状から考えてみますと、こうした幼児教育を発展させるために公的な補助が行なわれるべきである、こう思いますけれども、いかがでしょうか。そしてまた、この問題を取り上げて、これの現状を調査し、その対策を講じる、こういうような考え方が文部省にあるかないか、お伺いします。
  268. 和忠利

    ○和説明員 申し上げます。  教育活動は、先生御存じのように、必ずしもフォーマルな活動だけではございませんで、フォーマルな活動のほかに、たとえば厚生省所管の児童厚生施設とか、あるいは、私どものほうの文部省所管ではございますが、社会教育のような系列の教育活動もございます。しかしながら、幼稚園だけに限定いたしますと、やはり学校の一つの形態でございますし、しかも小学校以上の知識、技能を勉学しますその課程とも違いまして、幼稚園の場合には、先生おっしゃったような識見がある設置者のほかに、また資格ある教師ももちろん必要でございますが、そのほかにも幼児が濶達にからだを動かし得ます空間も必要でございますので、そういう意味合いでは、幼稚園といたしましては、私どものほうの設置基準に示しております基準に該当していただくということが、まず最小限度必要でございますので、先生のお話しのようにはなかなか考えがたいと存ずるわけでございます。
  269. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 以上を前提として、今度は建設省のほうにお尋ねしますけれども、団地内において幼稚園に行けない子供がたくさんいる。こうした幼児のために自主的な幼児教育を行なおうという運動が当然のように出てまいっておるわけですけれども、いま文部省の考え方を聞いておりますと、建物が基準に合致しないとか、その空間が必要であるとか、こういうふうに言われますけれども、公団は、団地の中に幼児教室のための施設や建物等を積極的につくっていく、団地に幼稚園が足りず、自主的な教育が行なわれているところにおいては、文部省などと協議が必要でしょうけれども、そうした協議をした上で、団地の中に必要な施設を積極的につくっていくというような立場をとることが必要であると思うのですけれども、この点についての建設省考え方をお聞きします。
  270. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 そういうことがしばしば地元の要望あるいは住民の要望の中で出てまいりますので、多くの場合は団地の中に存在します集会所等をこれに提供いたしますとかそのほかのいろいろな便宜をはかる、こういう形でやっている例が多うございます。それから地元の市町村からもそういった要望があれば、これに積極的に応ずるように、従来ともそういう姿勢でやってきたのでございます。
  271. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 集会所の施設を利用する、そしてまた、文部省のほうでは、幼稚園としての規格基準が必要である、こういうことを言われますけれども、進んでこの幼児教室を発展させて、国や公共団体などが積極的に経済的その他の援助をしていくということのためには、やはり既存の施設、児童館などを使わせるというだけでは足りない、文部省の言うような水準に追いつかない、こういうことになると思うのですけれども、この点についてはいかがですか。
  272. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 そこで、これはやはり市町村の規格に合ったような、そういう幼稚園の設置の要望とマッチすることがまず第一に必要であろうと思います。千葉市のごときは、幼稚園では公立が非常に少なくて私立が多うございますが、もしそういう事情にあって私立の幼稚園がどうしても必要であるというようなことであれば、その私立の幼稚園を設立する人たちと、その団地の中にどのような場所にどのような規模で設置するかということを協議して、これに対して譲渡するというような方向も考えておりますし、また方法としてはあり得るわけでございます。  いま文部省のほうからお答えになりましたように、そういう幼稚園の規格に合わない形で行なわれる幼児教育というものにつきましての援助のしかたとしては、公団としましては、そういう集会所なり空間を提供いたしましてこれに協力する、こういう形で従来行なってきたところでございます。できればそういう規格に合った幼稚園がつくられるということが必要でございますが、公団みずからこの幼稚園を経営するという権限及び能力が必ずしも適当でございませんので、現状では以上のような方法でやっている次第でございます。
  273. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 千葉県では、先ほど触れましたように、幼児教室がきっかけとなりまして、団地内の施設の整備補助金を県が関係市町村に支出する、こういうことになっております。最初の昭和四十年度には五百万円、それから四十一年度には一千万円、四十二年度には二千万円、四十三年度には四千万円、このところ毎年倍加してまいりまして、昭和四十八年度には七千五百万円ということになっております。市町村と半分半分の負担で団地内の施設の必要とするところにこうした予算を千葉県は組んでいるわけで、関係の市と協力して事業を進めるということになっております。この中には、この幼児教室を実際上やっていく上において必要なものもこの補助金の中に含まれているわけです。この補助金のあり方についての建設省のお考えはいかがですか。
  274. 大塩洋一郎

    ○大塩政府委員 ただいまお述べになりました千葉県の保育所あるいは幼稚園に対する二分の一の補助は年々増加しておりまして、そういう姿勢を県がおとりになっていることは、先ほどのような事情にある千葉県としましては、非常に適切な県の措置であろうと思いますが、公団におきましても、四十九年度から、公団の立てかえ施行の制度につきまして、従来の方式を拡大し、なお長期の据え置き期間を含みます長期割賦の方法を予算において認められております。したがいまして、四十九年度以降におきましては、県あるいは市町村とそのような協議の上に、いまの保育所なりあるいは幼稚園といったものの必要があるならば、公団の長期の据え置き期間を含みます長期割賦方式ということで、従来の保証協定による立てかえ制度を拡充いたしましたので、さらにやりやすくなるだろう、このように考えまして、従来の千葉県のこのような御努力の上にさらに積み重ねができるだろうと思います。なお、千葉県の方針は、公団の対象となる施設については除かれておって、それ以外のものについて補助があるように聞いておりますので、このような制度とあわせて考えていく上で、今回の公団のとりましたこういう関連公益施設に対する重視という方向は、プラスの要因に響くだろうというふうに考えます。
  275. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 団地を国がつくるし、そして団地をつくればそうした関連の施設が必要になってくる。ですから、関連の施設が足りないところで自主的な運動として幼児教室をやっているところに対しては、やはり国や公団のほうで積極的にそれを援助してやるという姿勢が必要であると考えております。団地は国がつくって、団地のある市や県の負担で必要な関連施設をつくらしていくということであれば、市町村の財政がパンクするということから、関連施設だけではありませんけれども、関連施設の問題をはじめとして、そのほかのいろいろな問題もあって、団地お断わりというような考え方も出てまいっているわけです。地方自治体の財政を圧迫しないような団地でなければなりませんし、団地をつくったら必要な施設は公団がつくっていく、少なくとも地方自治体の財政を圧迫しないという考え方に立つべきである。団地における関連施設の整備の問題について、そういう姿勢でやるべきであると思うのですけれども、最後に大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
  276. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 全くお説のとおりでございます。東京都のみならず、東京近県、大阪の周辺、名古屋を中心にした地区、この三大都市圏におきましては、もういま御指摘のとおり、人口増の拒否反応というものが非常に強くなってきておる原因を探求してみますと、いま御指摘になったことがそのものずばりであるわけでございますので、それをいかにして解除していくかということが、われわれ建設省に与えられた、また住宅公団にとっても、今後の住宅政策の基本でなければならない、こういうことで、四十九年度におきましても、ただいま局長から答弁申し上げたような立てかえ制度の強化充実という問題でありますとか、さらには宅地等を積極的に開発をして、しかもできるだけ安価な宅地を造成していくように国が最大の努力を払うという方向等もとりまして、そうしてとにかく地方自治体の負担というものが将来にわたってもたえ得られるという事実関係をつくり上げてまいりませんと、大都市周辺における住宅政策は一歩も進まないのではないかというような感じがいたすわけでございます。  したがいまして、御指摘になりましたような点に十分配慮をいたしまして、ベッドタウンだけをつくるんだという意識じゃなく、そこに人間が住み、そこで生活をし、そこで子弟の教育も少なくとも義務教育ぐらいまではできるという、そのために、そこに住めばそういう大学にやるまでの心配は全く要らないんだというような住の環境整備しなければならないということを、きびしく事務当局にも申し渡しておる次第でございます。
  277. 柴田睦夫

    柴田(睦)分科員 終わります。
  278. 奥田敬和

    奥田主査代理 これにて柴田睦夫君の質疑は終了いたしました。  次に、有高重武君。
  279. 有島重武

    有島分科員 私で最後のようでございますから、よろしくお願いいたします。  私は、災害対策、特に大都市の災害対策町題について触れてまいりたいと存じます。特に東京、大阪の主たる災害対策、その規模、それからその進捗状況、こうしたことについて最初にアウトラインを承っておきたいのです。
  280. 松村賢吉

    松村政府委員 東京と大阪を主にいたしましたいわゆる災害対策、その中でも高潮対策についての概要を申し上げます。  東京及び大阪のいわゆるゼロメートル地帯の河川は、過去幾たびか高潮による甚大な被害を受けてきておるわけです。  それで、東京地区につきましては、高潮対策といたしまして、実は地区を三つに分けておりまして、一つは江東地区の河川、それから二が荒川以東の河川、それから隅田川以西の河川というふうに分けておりまして、この江東地区の河川につきましては、まず高潮が内部河川に進入するのを防止する防潮水門計画しておりまして、この防潮水門についてはもうすでに完成しております。  それから内部河川の内水の排除をするポンプ施設等、それから築堤、護岸、こういうような関係を現在整備しつつある状態でございます。  それから二番目として、荒川以東の河川、この荒川の東の河川については、中川、新中川、綾瀬川等の七河川でございますが、これの外郭堤防である荒川、江戸川、こういうものの堤防をつくるわけでございますが、この外郭堤防はすでに完成しております。  それから高潮が内部河川に進入するのを防止するために、防潮水門をつくっておりますが、これもできております。ただ、防潮水門の閉鎖時、内部の水位が高くなるということに対して、内部の堤防の増強というものについていま工事をやっておるわけでございます。  それから第三番目として、隅田川以西の河川、これは新河岸川、神田川等十一河川でございますが、この地区は前の二地区に比べると比較的地盤が高いわけでございますが、これにつきましても、それぞれ水田、それから護岸等、あるいは内水排除、こういうような施設をやっていこうということでございます。  これに対します全体の事業費といたしましては、江東地区の内部河川、それから荒川以東の河川、これを両方合わせまして約七百五十億円、全体計画額でございます。それから隅田川以西の河川については三百七十億円でございまして、これがおのおの、前者につきましては約六五%、後者につきましては約一八%、四十八年度末で進捗をしております。  ただいまのは高潮対策でございますが、次に、耐震対策といたしまして、先ほどの地区でいきますと、江東地区河川でございますが、この河川を東と西に二つに分けまして、西の地区は比較的地盤の高いところでございます。東は低い。この低いところにつきましては、内部河川水位を低めるようにいたします。それで地震時にも、たとえその堤防――特殊堤でございますが、こういうものに被害があっても被害を最小限度にしようというような計画をしております。それから西地区につきましては、比較的高いので、内水を低下するような方式をとりませんで、これは舟運の関係もございますが、とりませんで、現在の堤防を増強していくというようなことにしております。  この耐震対策の工事費が全体で約五百億円でございます。これは四十六年度着手で十カ年計画でございまして、これが約八%ぐらいの進捗状況でございます。  それから、大阪地区につきましては、まず淀川以北の大阪市、これは神崎川、佐門殿川等五河川でございますが、これは防潮堤は概成しております。  残っておりますのは、橋梁のかさ上げ工事、それから排水機場、こういうものが残っておるわけでございまして、全体の計画額が約二百三十億円、それで現在の進捗率が約六〇%でございます。  それから二番目が淀川以南の大阪市でございます。大阪市の中枢部というか中核部でございます。これは大川、堂島川、土佐堀川等の十三河川でございますが、高潮を遮断するための防潮水門をまずつくりますが、これは完成しております。  それから防潮堤そのものは概成している。あと、高さはできておるのですが、補強関係が多少残っておりますが、概成しております。  それから排水機場を現在施工中でございます。  それから残工事といたしましては、防潮堤の補強とか排水機場、橋梁のかさ上げ等がございまして、全体計画額は約七百億円でございますが、進捗率が約五〇%。  それから、最後に泉州地区でございますが、これは王子川、春木川等の十一河川、これは比較的地盤が高いわけでございまして、全体の計画額が五十億円、進捗率が約二〇%というような概況でございます。
  281. 有島重武

    有島分科員 いま御説明ございましたけれども、私も大体御報告は伺っております。東京に関しては七百五十億、それから西のほうが三百七十億、これは東のほうは六五%済んでおる、西のほうはまだ一八%、そういうことでございますね。そして、それが一千百二十億円、そのほかに内部河川といいますか、耐震対策河川事業というものが五百億ある。こうした全部合わせると一千六百二十億円ということになりますね。それから、大阪のほうでは全部合わせて九百八十億円、こういった全体計画になっておるようでございますけれども、東京のほうは、これが始まったのは三十二年、それから大阪では、これが始まったのが三十五年と聞いております。それでよろしゅうございますね。  建設大臣に伺いたいのですけれども、相次ぐ物価高の中でもって、これはずいぶん昔に立てた計画でございますけれども、物価の補正といいますか、全体の総ワクを物価に従って補正しなければいけないのじゃないかと私は思うのでございますけれども、そうしたお考えがおありになるかどうか、それをまず伺っておきたい。
  282. 松村賢吉

    松村政府委員 先ほど申し上げました数字、ちょっと時点を申し上げるのを忘れましたが、四十八年度の単価でやっておりますので、それ以前の修正はもう済んでおります。ただ、今後の問題につきましては、まだ多少値上がりの可能性があるいはあろうかと思います。
  283. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 とにかく、ゼロメートル地帯、それから尼崎、大阪の地盤沈下地帯、私は一度、昭和二十九年ごろその辺をずっと歩いたわけであります。あの当時からいろいろと施策をやっておりますが、いま局長から報告申し上げたとおりのところまで一応は進んでおりますけれども、もっともっと積極的にこの防災対策を進めなければならないという気持ちで、予算編成の際にも一応がんばった次第でございますが、御承知のようなきびしい情勢でございましたために、思うとおりの伸びを見ることができなかったわけでございますが、そういう点を克服する意気込みで取り組んでおる次第でございます。
  284. 有島重武

    有島分科員 私が伺ったのは、この計画総額を、物価の値上がり、これはもうたいへん激しい値上がりがずっと続いております。その議論は別にして、それに応じて補正をなさるお考えがおありになるかどうか、これだけをまず伺いたいわけなんです。いま六五%済んでおるというふうにおっしゃいましたけれども、それは金額をこれだけ使ったという意味でありまして、そこの安全を確保する工事の総量の六五%がすでに済んでおるということとは別なんですね。そういうことでこの補正をなさるべきじゃなかろうか。これはことし、いまからすぐしろというわけではございませんよ。なさるべきであろう、そういうわけでございます。
  285. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 その気持ちをいま申し上げたつもりなんですが、表現がまずくて御認識いただけなかったわけですけれども、結局四十八年度の予算編成をいたします際には、もうすでに異常な物価上昇の段階に当面しておったわけでございますので、もろもろの予算単価というものにつきましては、物価上昇の現実を踏んまえて計上をいたしてあるわけでございます。その点につきましては、ただいま局長から申し上げたとおり是正をされておる。今後の値上がり分については含まれておりません。  ただ、私の申し上げたのは、そういう中にあっても、やはりその計画そのものについては、さらに今後積極的な姿勢で取り組んでいかなければならないということを申し上げたわけであります。
  286. 有島重武

    有島分科員 それは大臣の御決意と承っておきましょう。  それで大臣、天災ということと人災ということとあると思うのです。飛行機が落ちた、これは視野が悪かった、だからしかたがなかった、これは昔の話でございまして、だんだん技術が進んでまいりますと、これは人災であるといって賠償金をたくさん取られるわけであります。いま都市災害、特に東京には御承知の河角広博士の六十九年説、これは御承知でございましょうね。プラスマイナス十三年のアローアンスはあるけれども、関東大震災から五十年たっておるというような状況にいまあるわけでございます。  そこで、大臣としては、この河角博士の六十九年説というものを大体信用なさるか、ああいうものは信用ならぬものだと一笑に付されておるのか、その辺はどうですか。
  287. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 とにかく、信用するしないはそれぞれの立場で、私自身としては、建設大臣としてそういう事態に備えて、できるだけの措置を講ずるということが私の使命であろうと考えておるわけでございます。  ただ、その際、大臣に就任いたしまして、東京都のいわゆる地震対策の問題、それからゼロメートル地帯の問題、これはもう地震が来れば水づくということ、水害ということも考えざるを得ない情勢に置かれておるわけです。そういう面に対する防災の措置というものを、積極的に展開しなければならない時勢になってきておるわけでございますが、土地問題の解決が非常にむずかしいという問題があるわけでございます。東京都ともそういう立場に立っていろいろ協議を進めておるわけでございますが、海水が入ってくるのを防止するために、住宅等の構造をこれに活用するというような考え方等をもって、江東の高層建築の計画等も持っておるわけでありますけれども、それがなかなか思うとおりに進まない。土地問題の解決がいかないという隘路等にもぶつかっておるわけでございます。  しかし、これは克服しなければならないという立場をとりまして、たとえば江東地区でありましたならば、あそこを、国総法が通っておればまっ先に特別指定地域なり何なりに指定しまして、そして地価の高騰を防いで、必要な土地を入手をした上で対策を講じてまいるというようなことをいたしたい気持ちが一ぱいでありますけれども、一日も早く土地規制に関する立法化をこいねがっておる次第でございます。
  288. 有島重武

    有島分科員 私が伺いましたのは、河角博士の六十九年説を信用していらっしゃるかいなか、そういうことでございますけれども、信用していらっしゃる、その可能性があるという前提のもとに進めていきたい、そうおっしゃっているのでしょうか。それでよろしいですか。
  289. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 そのとおりでございます。
  290. 有島重武

    有島分科員 いつ来るかわからないというのではなしに、もう大体の先は見えている、このまま関東大震災級のものが来る、ないしはいま予測されておりますのは大体マグニチュード八というものが予想されている。これは学者が言っておられるようですね。地震学者やなんかの問題についても、これはまたひとつ別にあとで、もし時間があれば少し論じたいのだけれども、大体三百万人くらいの人が死ぬであろう、江東地区に関しては約七十万人の人たちがそっくり火攻め水攻めでもってやられてしまうであろうということがいわれておりますね。それでこれはまあいつ来るかわからないでどうにも防ぎようがないのだということになれば天災でございますから、これは保証のしかたがない。もしそうじゃなくて、いま亀岡大臣は、来ることは予想されておる、いろいろな隘路はあるけれども、予想されたものであって、手を打てば救えるであろうという一つの手段はないわけではない。となりますと、これは天災というよりは防ぎ得るもの、人災。もし今度また災害が来たらば、これは人災としてその責めを政府が問われるであろう、私はそう思う。いかがですか。
  291. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 したがって政府としては、あらゆる措置を講じまして、そういう災害の起きた場合には最小限の被害で食いとめるように努力をするということは、これは当然のことでございますので、建設省といたしましても東京都あるいは大阪等とも緊密に連携をとりまして対策を講じておるということでございます。
  292. 有島重武

    有島分科員 大臣も人災としての責めを問われるであろうということについてはほぼ御賛成のようであります。  それで、私は保険会社の方に試算をしていただきました。これはいろいろな試算があるでしょうけれども、生命保険とそれから火災保険その他の保険ですね、こうしたものを、もし関東大震災級のものがあった、そしてこれを保険会社が全部支払わなければならないということにするとどのくらいかかるでしょうかと聞いたら、十三兆ほどはかかるだろうということになりました。それから生命。まあ物はあとからどうにかなるかもしれない。生命をそのまま換算することはとてもできませんけれども、大体そのくらいのけたであろう。大蔵省の方、来ていらっしゃいますか。大体そのくらいのオーダーであろうといわれておりますけれども、御所見はいかがでしょうか。
  293. 藤仲貞一

    藤仲説明員 私、申しわけないのですが、そういう計算をいままでしたことはございませんので、何とも申し上げられません。
  294. 有島重武

    有島分科員 そういった面から大蔵省もこれは一ぺん試算をしておいていただくとたいへんよろしいのじゃないかと思うのですね。それだけの金額、そんなもの払ったら保険屋はつぶれてしまう。つぶれてしまうといったって、これは国の責務であるということになれば、とにかくどうにかしなければならない。事が起こっちゃってから、死んじゃってから、物がなくなっちゃってから、それだけの金をつぎ込むか。それから、それだけの損害があるのだということを前提の上にひとつさっき大臣おっしゃったあらゆる処置をとるか。あらゆる可能な処置をとりたいとおっしゃいましたけれども、そういった御決意をきめていただきたいわけです。  それでは、時間がなくなりましたから、国庫補助率でございますが、公団事業の補助というのは二分の一になっているのですね。それから古都緑地保全事業費、これは五分の四という補助率になっておりますね。それから第二種の公営住宅、これは三分の二になっておりますね。というようにいろいろな補助率があるようでございますけれども、この災害の補助率については、東京、大阪は三分の一、それから特に東京の耐震対策河川事業なんかは十分の三、この補助率はどうにかなりませんでしょうか。お考えになる余地はありませんか。いまあらゆる処置をとおっしゃった。
  295. 松村賢吉

    松村政府委員 この高潮対策河川事業の補助率が三分の一でございますが、また耐震対策河川事業、これが十分の三ということになっておるわけでございますが、これはやはり先ほどからいろいろ申し上げましたように膨大な事業がかかるということ、それに対応するのにこれをやるところが東京にしろ大阪にしろ比校的富裕な都府でございます。したがいまして、そういう関係上、私どものほうとしますと事業を伸ばすというたてまえ上この補助率を上げるということはかえってマイナスではないかというような考え方もございまして、比較的低率ではございますけれども、できるだけ事業を東京あるいは大阪の負担において伸ばしていきたいという考え方でございます。
  296. 有島重武

    有島分科員 大臣お聞きのとおり、局長のお立場では金はこれだけしかないのだというところから話が始まるわけなんですね。大臣のお考えは、どうにか国民を救いたい、それが基盤になると思うのですね。もう一ぺん伺いますけれども、この補助率についてはお考えになる御用意がないか。
  297. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私としましては北海道から沖繩までの全国の情勢を考え、それぞれの府県の置かれておる財政の状況等も勘案いたしまして現行補助率を決定をいたしておるわけでございますが、いわゆる交付税を受けなくとも独自で国の予算の一割以上も予算を組むだけの力を持っておる自治体であるわけでございますので、国の補助率は高いに越したことはないと思いますけれども、やはりそこは一億の国民の立場というところから考えました際には、まあ現行の補助率で今日までも実は防潮堤等はあれだけのものが完成を見ておるわけでございますので、私は補助率をアップするという考えはいまのところは抱いておりません。
  298. 有島重武

    有島分科員 たぶん一昨年であったと思うのですけれども、田中総理が、日本の国の中でも東京の江東デルタ地帯の防災については特に重要である、そういうような発言をなされた。私は記憶がありますけれども、大臣、記憶がおありになりますか。
  299. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 総理がそう言ったかどうかはわかりませんけれども、私は総理以上にもう昭和二十年代から、江東地区はもう日本の政治の面ではたいへんな地点である。これは私、実はお話しするとちょっと時間が要るわけでありますけれども、日本で初めて地下ガスを開発いたしまして、ガスをどんどん掘る。それから工業用水をどんどんくみ上げる。特に新潟でも地盤沈下というものがものすごく激しくきたわけであります。新潟、それから東京、全国知事会で地盤沈下対策という機構を設けまして、新潟関係、大阪関係の知事さん、あるいは東京の知事さんが中心になられて組織をつくって、その対策をしたわけでございますが、私はその当時あの辺を非常に詳しく見せてもらったわけであります。したがいまして、もうあの当時ですら海面よりも低い地点があり、それを人工の堤防で海水の浸入を防いでおるという地帯でございますので、これはもう総理が言おうが言うまいが、とにかくこの江東地区、ゼロメートル地帯、それから大阪においては尼崎地区というものはどうしても徹底した防災施設をつくり上げていかなければならぬということで、私も大臣に就任早々実はこの江東地区の問題を一番先に事務当局から聞いて、とにかく早く進めなさいということを指示した次第でございます。
  300. 有島重武

    有島分科員 先ほどは大臣、全国並みにということをおっしゃった。それから、東京、大阪は比較的金持ちだからその辺でとめてもらおう、そういうことをおっしゃった。どのくらい金持ちか、どういうふうに計算をするかあれですが、大臣よく御承知だと思うのですけれども、日本の人口が非常に稠密だといわれておるけれども、ヘクタール当たり大体二・九人くらいですね。東京は十三・五人、東京区部は百五十八人というのが平均だということになっておる。その中で、江東デルタ地帯の中にはヘクタール当たり八百何人というところがあるのですね。こういったところもございます。ですから、私はもうやはり別な考え方をしていただきたい。特に、三分の一という補助率、あるいは十分の三というような補助率ですね。このことについてお考えになる余地が、いまのお話では全然ないみたいにちょっと聞こえましたけれども、多少お考えになる余地はないのですか。全然ないのですか。
  301. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 先ほど申し上げましたとおり、非常に大事ではあるけれども現行補助率で十分こなしていける、私はこういうふうに考えております。
  302. 有島重武

    有島分科員 もう時間がなくなりましたけれども、昨年度の特に内部河川、耐震対策河川事業という項目を見ますと十六億三千万円、こういう事業をなすっている。ところが、東京都のほうでもってどうしてもこれだけの事業を進めたいといって決定したのが二十三億円であったわけです。それを国のほうでは十六億三千万円に切ってしまって、その十六億三千万円のまた十分の三、こういう補助しかつけられないよとおっしゃったので、結局事業が十六億三千万でとまりました。いろいろな事情があった。これは昨年の当初予算です。こういうことは、さっきの亀岡建設大臣のお志とはやや違うといいますか相矛盾するようなことではなかろうかと私は思うのです。私のほうに入っております資料、これは東京都ではまだきめておりませんけれども、今年度は大体三十三億から三十六、七億の間くらいの事業を見込んでおる。これだけのことをやっていかなかったらだめであろう。人を守るほうの話です。お金の多寡からの計算というわけではない、そのかね合いもあるでしょうけれども。これについては政府のほうがそれを割り引くというか値切るというか、そういうことのないように、確かに国全体としては総需要の抑制でございますけれども、抑制してはならない部分というものがあるはずですよ。先ほどの亀岡建設大臣の御決意を私はほんとうに信じたいわけなんだけれども、大体三十五、六億ではないかと私は聞いておりますが、それをそのまま東京都のほうの近くなされるであろう決定をほんとうに尊重なさる御用意があるかどうか、それを伺っておきたい。
  303. 松村賢吉

    松村政府委員 まず、私からちょっと事務的に申し上げますが、ただいまの三十数億の東京都の要望という線、これにつきましてまだ最終の具体的決定はもちろんしておらないわけでございますが、いろいろ検討しております。しかし、ことしの予算の総ワクというものはすでに決定しております。その中の配分におきまして東京都の要望する総ワクを充当するのはなかなか困難でございます。困難というよりほとんど不可能ではないかと思います。したがいまして、私どものほうといたしましては、これに対して必要な、最も緊急を要する部分にその費用を割り当てるとともに、また都自身の手当てということも考えていただきまして、あるいは仕越し工事的な点もあるかもしれません、こういうようなことを考えていただきまして、何とか急場を切り抜けるといいますか、最小限度必要な事業は進めていきたいというふうに考えております。
  304. 有島重武

    有島分科員 最小限度のところはやりくってもやりたいというお話でございますけれども、そのままはまるまるはのめないであろうというのが局長のお話だ。そして、さっきの天災か人災かという話に戻りますけれども、建設大臣そういうところに板ばさみになっていらっしゃるわけでございますけれども、東京都の決定がまだ出ておるわけではございません。ぜひともそれを尊重して、その中の意のあるところ――どうしてもこれだけのことはことしじゅうにやっておかなかったら、次の工事が進まないということがこの内部河川の問題にはあるわけでございまして、ぜひともそれはがんばっていただきたい。  それから二十九年のときですか、亀岡さんがずっと見てくださったそうです。いまから二十年前であります。二昔前でございまして、ぜひ近々に建設大臣としてのお立場でもって一ぺん視察をしていただきたい。いかがでございましょうか。
  305. 亀岡高夫

    亀岡国務大臣 私も国会の許す限りできるだけ全国をこの目で見て、適切な施策を進めていきたい、こう考えておりますから、事務当局に計画をさせるわけでありますけれども、国会の情勢がはっきりしませんと土曜、日曜しかからだがあきません。私が日曜日に参りますと、各府県の職員はみな日曜日休みですから、たいへん迷惑をかけるというようなこともありますと、言うべくして御希望に沿うということもなかなかできにくいということでございます。国会が終わりましてから、もうそうなるとすぐ選挙ですから、できるだけ東京都のゼロメートル地帯、それから東京湾岸、この辺を視察したい、見てみたい、こういう気持ちは十分持っておりますから、具体的な計画はこれから立てたいと思っております。
  306. 有島重武

    有島分科員 たいへんどうも時間がおそくなりましてすみませんでした。局長さん、うまく計画を立ててください。全国を見て回らなければならない、とりわけ江東は見なければならないと仰せられているわけです。それから東京都のその決定については尊重なさる。  以上で終わります。
  307. 奥田敬和

    奥田主査代理 これにて有島君の質疑は終了いたしました。  次回は、明六日午前十時より開会し、建設省所管及び運輸省所管審査を行ないます。  本日は、これにて散会いたします。    午後八時十一分散会