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1974-03-08 第72回国会 衆議院 予算委員会第一分科会 第4号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月八日(金曜日)     午前十時二分開議  出席分科員    主査 上村千一郎君       櫻内 義雄君    中村 弘海君       大出  俊君    田中 武夫君       楢崎弥之助君    吉田 法晴君       中路 雅弘君    正森 成二君       増本 一彦君    松本 善明君    兼務 上原 康助君 兼務 斉藤 正男君    兼務 横路 孝弘君 兼務 大橋 敏雄君    兼務 近江巳記夫君 兼務 坂口  力君    兼務 河村  勝君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (防衛庁長官) 山中 貞則君  出席政府委員         内閣官房長官 大村 襄治君         内閣総理大臣官         房広報室長兼内         閣官房内閣広報         室長      斎藤 一郎君         防衛政務次官  木野 晴夫君         防衛庁参事官  大西誠一郎君         防衛庁参事官  長坂  強君         防衛庁参事官  岡太  直君         防衛庁長官官房         長       丸山  昂君         防衛庁防衛局長 久保 卓也君         防衛庁人事教育         局長      高瀬 忠雄君         防衛庁衛生局長 鈴木 一男君         防衛庁経理局長 小田村四郎君         防衛庁装備局長 山口 衛一君         防衛施設庁長官 田代 一正君         防衛施設庁総務         部長      安斉 正邦君         防衛施設庁施設         部長      平井 啓一君         防衛施設庁労務         部長      松崎鎮一郎君         外務省アメリカ         局長      大河原良雄君         大蔵省理財局次         長       井上 幸夫君  分科員外出席者         沖繩開発庁総務         局企画課長   亀谷 礼次君         法務省入国管理         局入国審査課長 澤井 昭之君         外務省アメリカ         局外務参事官  角谷  清君         大蔵省主計局主         計官      矢澤富太郎君         大蔵省関税局輸         入課長     大槻 章雄君         大蔵省理財局国         有財産第二課長 川崎 昭典君         通商産業省通商         政策局北アジア         課長      内田 禎夫君     ————————————— 分科員の異動 三月八日  辞任         補欠選任   中澤 茂一君     大出  俊君   楢崎弥之助君     吉田 法晴君   正森 成二君     中路 雅弘君 同日  辞任         補欠選任   大出  俊君     中澤 茂一君   吉田 法晴君     大柴 滋夫君   中路 雅弘君     松本 善明君 同日  辞任         補欠選任   大柴 滋夫君     山田 耻目君   松本 善明君     増本 一彦君 同日  辞任         補欠選任   山田 耻目君     楢崎弥之助君   増本 一彦君     庄司 幸助君 同日  辞任         補欠選任   庄司 幸助君     正森 成二君 同日  第二分科員斉藤正男君、河村勝君、第三分科員  上原康助君、第四分科員横路孝弘君、第五分科  員大橋敏雄君、近江巳記夫君及び坂口力君が本  分科兼務となった。     ————————————— 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算総理府所管(防  衛庁関係)      ————◇—————
  2. 上村千一郎

    上村主査 これより予算委員会第一分科会を開会いたします。  昭和四十九年度一般会計予算総理府所管を議題とし、防衛庁に関する事項について、政府から説明を求めます。山中防衛庁長官
  3. 山中貞則

    山中国務大臣 昭和四十九年度防衛庁予算案について、その概要を御説明いたします。  まず防衛本庁について申し上げます。  昭和四十九年度防衛本庁歳出予算額は、九千八百五十三億六千百万円で、前年度の当初予算額に比べますと一千三百四億五千三百万円の増加となっております。  次に、新規継続費は、昭和四十九年度甲型警備艦建造費等で二百八十七億六千五百万円、国庫債務負担行為は、航空機購入艦船建造装備品等整備研究開発等で二千三百七十七億八千百万円を要求しております。  次に、防衛本庁予算案内容について申し上げます。  昭和四十九年度予算においては、最近における経済情勢等を考慮し、厳に抑制的なものとするという方針のもとに、第四次防衛力整備五カ年計画の第三年度として防衛力整備を進めることといたしておりますが、特に重点を置いた事項は次のとおりであります。  第一に、隊員処遇改善のための諸施策を強化することとし、このため、任期制隊員特別退職手当増額をはじめとして、人事施策改善をはかるとともに、営舎内における生活環境改善等の諸施策推進することとしております。  第二は、衛生施策推進であり、特に本年四月開校する防衛医科大学校整備をはじめ、所要経費と定員を要求いたしております。  第三に、防衛力を広く国民的基盤に立脚したものにするため、災害派遣、その他の民生協力活動を積極的に実施し得るよう、救難航空機調達施設器材整備等を行なうこととしております。  第四は、環境保全対策推進であり、汚水処理装置等所要施設整備をはかるための経費を要求いたしております。  第五に、陸上部隊装備艦船航空機主要装備については、総需要抑制方針に配慮しつつ、所要整備を行なうことといたしております。  以下機関別内容を申し上げます。  陸上自衛隊歳出予算額は、四千三百六十億六千四百万円、国庫債務負担行為は、三百五十四億六千二百万円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、  まず、陸上部隊装備として、従来に引き続き小銃、機関銃等調達するほか、新規装備品として、七四式戦車仮称)四十両を調達することとしております。  次に、航空機については、練習ヘリコプター十二機、観測ヘリコプター十五機、多用途ヘリコプター十一機、輸送ヘリコプター二機、連絡偵察機一機、合わせて四十一機の購入を予定しております。  海上自衛隊歳出予算額は、二千三百八十九億九千三百万円、国庫債務負担行為は、六百四十億八千六百万円、継続費は、二百八十七億六千五百万円であります。  その主要な内容について申し上げますと、  まず、艦船については、護衛艦二千五百型一隻、千五百トン型一隻、潜水艦一隻、中型掃海艇三隻、輸送艦一隻、支援船十二隻、合わせて十九隻、九千四百八トンの建造を予定しております。  次に、航空機については、対潜哨戒機八機、対潜飛行艇二機、初級操縦練習機三機、計器飛行練習機一機、対潜ヘリコプター六機、掃海ヘリコプター一機、救難ヘリコプター一機、合わせて二十二機の購入を予定しております。  航空自衛隊歳出予算額は、二千八百億円、国庫債務負担行為は、一千三百十二億四千八百万円となっております。  その主要な内容について申し上げますと、航空機については、輸送機十三機、高等練習機二十二機、救難捜索機二機、救難ヘリコプター二機、合わせて三十九機の購入を予定しております。  内部部局統合幕僚会議及び附属機関歳出予算額は、三百三億五百万円、国庫債務負担行為は、六十九億八千五百万円となっております。  主要な内容は、防衛医科大学校経費各種装備品研究開発費、その他各機関維持運営に必要な経費であります。  以上のうち、七四式戦車仮称)四十両の調達護衛艦(二千五百トン型)二隻の建造については、昭和四十七年十月九日に閣議決定された「文民統制強化のための措置について」に基づき、国防会議にはかり決定されたものであります。  続いて防衛施設庁について申し上げます。  昭和四十九年度防衛施設庁歳出予算額は、一千七十五億八千七百万円で、前年度の当初予算額に比べますと二百七十一億八千百万円の増加となっており、新規国庫債務負担行為は、提供施設整備で八十六億七千万円を要求しております。  次に、防衛施設庁予算案内容について申し上げます。  昭和四十九年度予算重点施策として、最近の基地をめぐる諸般の情勢にかんがみ、周辺住民生活の安定及び福祉の向上に資するため、生活環境施設等整備を強化することとし、現行周辺整備法にかえて、新法律の制定をはかることとしたほか、駐留軍施設整理統合推進駐留軍従業員福利厚生離職者対策等の充実をはかることとし、所要予算を計上しております。  以下各項別内容を申し上げます。  調達労務管理事務費については、駐留軍従業員の雇用の特殊性にかんがみ、特別給付金支給額の改定、沖繩における福祉会館建設費補助並びに離職者対策費補助金及び健康保険組合補助金増額等を含み、四十三億二千百万円を計上しております。  施設運営等関連諸費については、九百三十六億八千四百万円で、前年度当初予算額に比べますと二百五十一億五千百万円の増加となっております。  このうち、基地周辺対策事業については、基地問題の実態に有効に対処し得るよう、新立法による特定防衛施設周辺整備調整交付金五億円を含め、四百三十七億四千六百万円を計上しております。  また、駐留軍施設整理統合に要する経費として歳出予算に八十三億四千二百万円を計上しているほか、国庫債務負担行為に八十六億七千万円を計上しております。  その他相互防衛援助協定交付金六千百万円、一般行政事務に必要な防衛施設庁費九十五億二千百万円を計上しております。  以上申し述べました防衛本庁防衛施設庁予算国防会議予算を加えた昭和四十九年度防衛関係費は、一兆九百三十億二千四百万円となり、前年度に、対して一千五百七十五億六千万円、一六・八%の増加となります。  以上をもって、防衛本庁及び防衛施設庁予算案概要説明を終わります。  何とぞ慎重御審議の上、御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 上村千一郎

    上村主査 これにて説明は終わりました。     —————————————
  5. 上村千一郎

    上村主査 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。大出俊君。
  6. 大出俊

    大出分科員 いまの長官説明を聞いておりまして、ちょっと気が変わりましたから、その件について質問いたします。  いま、二千三百八十九億九千三百万円ですか、海上自衛隊予算説明がありましたが、さて昨年度海上自衛隊艦船でございますが、大きなものをいえば十隻くらい認められているわけであります。これ、ほとんど発注できないんじゃないですか。発注しておりますか。どうなっておりますか。
  7. 山中貞則

    山中国務大臣 昭和四十八年度予算調達に関しましては、確かにおっしゃるとおり、資材、人件費の高騰その他、石油事情関連をして特殊な値上がり要因がだいぶありますので、艦船以外のものの調達はおおむね見通しをつけておりますが、一番困難なのは艦船であるということで、もう三月に入っておりますけれども、いまだに調達の確たる見通しはつきません。したがって、いま一生懸命やっておりますが、やはり当初予定しておりました性能に関する装備等について若干の変更を加えてでも受注をしてもらうか、あるいはどうするかの判断は、最終的に私のほうであげて決定をしたいと考えて、いまのところは当初予定どおり調達をはかるべく、関係業界との接触を続けさしております。
  8. 大出俊

    大出分科員 これは三菱重工川崎重工等でございましょうが、皆さんの考えておられる単価メーカー側単価との開きが三〇%から四〇%ありますね。まず第一点承りたいのは、してみると、四次防の四兆六千三百億円、とてもこれじゃできないんじゃないですか。こっちを落とす、あっちを落とす、装備を落としてなんてことを言ったって、武器が載っかっていない艦船をつくったって、こんなものはくその役にも立たないでしょう。さびるだけだ。そんなばかげた発注のしかたはないんじゃないですか。だから、四次防というのは、ああいう雰囲気の中で縮小した予算だというんだけれども、さて四兆六千三百億でできるはずがない。そうするとこれは、三、四〇%の違いが出ると六兆円をこえますよ。その辺の見通しを持たずに、装備をおっぱずして発注するのですか。いかがでございますか。
  9. 山中貞則

    山中国務大臣 私が言ったのは、主要装備をはずしては、何のために艦船建造するのかの目的すら、いまおっしゃったように失うわけでありますから、そういうところの判断は私がしなければ——調達関係者だけでやっちゃいかぬということを言っているということを言ったのであります。  それから、四次防の四兆六千三百億は、第一、ベースアップが見込まれていないものでありますから、人件費と見られるものだけでもって、ことしの予算は一兆三十五億に達します。したがって、そのウエートも六〇%ぐらいになりますし、艦船調達あるいはその他の諸備品調達正面装備ですね、こういうもの等が予定どおりできるかできないかは、新しい日本の産業の単価というものが、主として石油の問題の決着いかんによりますから、新しい単価の構成ができて、日本経済の対外、対内の定着した新体制が始まりますと、それによって、予定していた金額によって、予定した艦船装備と能力と隻数をはたして確保できるかという問題は、おっしゃるまでもなく、私どもも深刻な問題として考えておりますから、検討をしてまいりたいと考えます。
  10. 大出俊

    大出分科員 具体的に聞きますが、大ものが十隻あります。目玉商品などといわれておりましたDDG三千八百五十トン、これは艦対空ミサイル搭載護衛艦でございますね。これをはじめといたしまして、輸送艦もございます。潜水艦もございます。十隻、各船別にお答えをいただきまして、何と何と何と何である、そのうち発注できたものは何であって、発注見通しがついたのは何であって、全く発注見通しがついていないものが三隻あるはずでありますが、それは何かという点をはっきりさしていただきたい。
  11. 山口衛一

    山口政府委員 四十八年度予算におきます主要艦船計画につきましては、ただいま先生指摘DDG中心としまして約十隻ございます。この中で、いわゆる継続費に属するものは、DDG三千八百五十トン一隻、これは予算にしまして二百二十九億でございます。それから千五百トンのDE一隻、これが予算にしまして五十一億。それから潜水艦千八百トン型一隻、九十八億円。その次に、二年及び三年の国債に基づきます艦船がございます。これは掃海艇三百八十トン型二隻、五十トン型二隻、魚雷艇百トン一隻、輸送艦、大きいものとしまして二千トン型一隻、小さいもの千五百トン型一隻、それからその次に支援船でございますが、六隻ございます。以上のものが主要の艦船予算でございます。  この中で、二月末現在までに契約を完了しましたものは、支援船の六隻のうちの五隻でございます。それ以外のものにつきましては、現在調本中心としまして、関係企業との間に契約交渉を進めております。  これにつきましては、先ほど先生指摘のように、価格提案相手方から出まして、これは相手方も何回か提案内容変更してきております。それからまた、中には、その提案価格の中にかなり不明な要素があるとしまして、まだ最終的にここでというような形での価格が提示されていないものもございます。それぞれにつきまして、両者の間の契約交渉を続けてきておりますが、例年、艦船につきましては、御承知のとおり、なかなか両者の間の開きの接近がむずかしい点がございまして、ほとんど年度末に近く大体認められる状況でございます。今回におきましては、特に契約相手方も、提案内容につきましてかなり不明な点があるとしまして、現在まで、まだ確実にここまでというような線は出してきていないものが大部分でございます。私どもは、できるだけ従来どおり折衝を続けまして、予算範囲内で決着をつけるようにやりたいと考えております。
  12. 大出俊

    大出分科員 潜水艦を含めまして三隻は、見通しも何にもない。私も聞いてみましたら、できないです、これは。つまりいまのこの予算じゃできないということなんですよ。そうなると、不要不急——不要の装備品なんというなら、そんなものは初めから予算に組まなければいい。まあ不急という程度のものをはずすくらいが落ちでしょうけれども、三、四〇%も開いているものがそういうわけにはいきやせぬ。そうなると、これは四次防の基本に触れる。いま来年度予算審議しているのですから、それはここで明らかにすべき筋合いです。本年度予算ではどうにもならぬ。その結論に立って、いま予算審議をしているのですから、しからば四十九年度と見合ってどうするか、ということを明らかにする責任がありますよ。でなければ、予算審議できないじゃないですか。そうでしょう。この点いかがお考えかという点が一点。  もう一点、そうなれば当然、四次防の四兆六千三百億は、五兆円台には少なくとも乗せなければ——いま石油の話か出ましたか、通産省の試算を見てごらんなさい。結果的に、石油関連品目はみんな上げざるを得ぬじゃないですか。そうなると、上がればったって下がらない。立場は違いますけれども、この点は予算審議のときに明確にしなければ、国民責任を負えませんよ。五兆円台には乗らざるを得ぬ。そこらを一体どう考えますか。はっきりしてください。
  13. 山中貞則

    山中国務大臣 まず先ほどの数字の中で、私はたしか一兆三十五億と言ったと思いますが、一兆三百五億であります。訂正します。  それからいまのお話は、今日の時点においては、確かにそういう議論をすべき時期に来ている。確かにそういう現実の問題がありまして、これは単に四次防のみならず、各種年次計画も含めて、国全体の予算あり方の問題、その前提は、日本経済体質のコストの新しいあり方の問題ということであります。  しかしながら、第二点として、五兆円をこすことを認めるかということでありますが、これはベースアップその他だけでいきましても、入っていないで四兆六千三百億でありますから、見通しとしていまここで申し上げるのは軽率かもしれませんが、五兆円台には達するであろうと私も思います。
  14. 大出俊

    大出分科員 これはたいへんなことで、時間があればこまかく詰めますが、長官の言っていることには幾つも矛盾がある。あるが、その問題を質問しようと思ったんじゃないけれども、あなたの説明を聞いていると、これは念を押しておかぬといかぬと思って申し上げたのです。五兆円台に乗らざるを得ぬということですから、つまりいまの予算では発注ができない。潜水艦以下三隻は見通しもついていない。目玉といえばDDGだけではなくて、十隻あるけれども、その中の七隻についても、三菱重工川崎重工との間に三、四〇%の開きがある。発注は、何かのテクニックを使わなければ発注できない。これは予算審議その他で認められ、あるいは防衛法等で認められたときの国会審議とは違う。したがって、この点は、予算審議の間に、どういうことにするかという点を明らかにしていただきたい。そうでなければこんな国民責任を負えぬことはないのですから、防衛庁としてこの問題をどう扱うかという点を、予算審議の期間中に明確にしていただきたい。この点をお願いしておきます。
  15. 山中貞則

    山中国務大臣 これは単に防衛庁だけの問題ではありませんが、防衛庁としては、確かに四次防について、全体金額年次計画あるいはその総額というものの議論になるでしょう。私の申しましたのは、この四兆六千三百億にはベースアップ分も入っていない。今年度予算の例も引きましたが、そういう要素も別途これあり、最終的に四次防をかりに計画どおり達成する場合に、現在の単価のいまおっしゃったような背景等を考えると、五兆円台に乗るであろうということを申し上げたのです。それは四次防計画変更を、私がここで簡単に明言したということではないので、そういう展望を持たざるを得ないかもしれない、しかし装備局長の言ったように、なるべく現在の認められた予算範囲内でやってみますという努力をいま続けておる段階です。
  16. 大出俊

    大出分科員 これは十隻の艦船だけで四百九十億からかかるのです。そうでしょう。それを三〇%上げてごらんなさい。これは単なる海上艦船だけですよ。だから、あなたのおっしゃるように、ベースアップまで入れれば確かに五兆をこえる。だが、四次防の変更といっては、これはあなたの重大な責任問題になってしまいますから、国防会議がありますから、あなたの長官としての見通しを承ったということなんですよ。だが、それにしても、予算審議中だから、何がしかのことについて、私も質問したのですから、明らかにしていただく責任はあなた方にあろう、こういうことを言っておるわけですかち、後刻この点だけはお知らせをいただきたい。いかがですか。
  17. 山中貞則

    山中国務大臣 これは予算審議の最中ということでもいいですが、なかなか不確定要素が多いのですね。石油も下がるかもしれないという情報もありますし、一方で、国では上げようという動きもありますし、だから、別段こだわるわけではありませんが、期限を切っていつまでというのはちょっとむずかしいかもしれませんけれども変更がある場合にはもちろんお知らせいたします。
  18. 大出俊

    大出分科員 時間がありませんから、次の問題をやります。  現在ある航空機、時間がありませんから、戦闘機に限りましょう。これは、生き残りは86Fもありますし、104もございますし、それからファントムもございますけれども、何機、何スコードロンに現在なっておりますか。
  19. 久保卓也

    久保政府委員 F4は臨時の部隊が一個スコードロンできております。それから104の部隊が六個であります。それから86の部隊が三であると思います。間違っておったら、あとですぐ訂正いたします。
  20. 大出俊

    大出分科員 そうすると、F4を入れてまいりましたのは、104にも寿命があるからでありましょう。  ところで、重ねて承りますが、F4EJファントムは、耐用年数という言い方はおかしいのですけれども、大体いつごろまで使いものになりますか。
  21. 久保卓也

    久保政府委員 私ども見ておりますところでは、大体十年から十五年くらいと見ております。これは御承知のように、年数よりも飛行時間によって違ってまいりますので、大体十数年程度、したがいまして、性能的には八〇年の当初ぐらいまでは十分だと思っております。
  22. 大出俊

    大出分科員 ところで、四次防というのは四十七年から五十二年までございますね。そうでしょう。そこで、いまの国際的な戦闘機趨勢をながめておりますと、大体86だって使いものにはなる。なるが、性能の比較の面で、どれだけ役に立つかということになれば、ぶっこわれて飛べなくなるということ、その限界までいえば寿命がありますけれども、つまり国際的な趨勢の中で、はたして一体どこまでが国際レベル第一線戦闘機として役に立つかというものの見方をすると、大体五十三年から五十四年くらいまでいけば、何とかしなければならぬところへくる。これはいままでの経緯からいってもそうであります。私はそう思うのでございますが、長官いかがでございますか、その点は。
  23. 山中貞則

    山中国務大臣 おおむねそういうところでありますから、いますぐということではありませんが、次期戦闘機FXというものの検討をわれわれは始めなければならないだろう、そういう気持ちでおります。
  24. 大出俊

    大出分科員 五十三年、五十四年になりますと、いまの形が踏襲されるとすれば、これは五次防ということになりますが、そういうことになりますか。
  25. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私が就任いたしましてすぐから申し上げておりますように、いままでのように三次防の次は四次防であるという単純な考え方でいいのかどうか。いわゆる単年度でなければならないような人件費、糧秣、被服その他の調達については、単年度の経済事情あるいはベースアップその他を反映して組むべきではなかろうか。しかしながら、国会のシビリアンコントロール等を踏まえますと、やはり長期にわたって、数量、性能、機種等、明確に国会で御承認を願うべき必要のあるものは、長期展望をお示しするような形態をとれないものかという検討をしておるということで、まだいまのところ結論は得ておりません。
  26. 大出俊

    大出分科員 いままでの経過からいけば、長官のそういう御発言があっても、予算の使い方その他を合めますと、何年かの計画を立てなければ成り立たないというのが筋道であります。そうすると、私がいま申し上げたような五次防にかかる形になる。  そこで、専門的な方にお伺いをしたいのでありますが、いま国際的に見て第一線にある——これはわが国の置かれている立場から見て、ソビエトの飛行機をというわけにもまいりませんでしょう。そうすると、まずF15イーグルというのがありますね。これはマグダネル・ダグラスであります。それからF4E改というのがありますね。これも同じようなところでしょう。またF14トムキャットというのがありますね。これはグラマンでございましょう。それからP530コブラなどといっておる飛行機があります。これは開発途上国用にということで開発した面もあるようでありますが、こういう飛行機もある。コブラはノースロップでございましょう。そのほかにF16、これはなかなか優秀な飛行機でありますが、こういうものがずっとあります。あるいはL一二〇〇、ロッキードでございます。それから依然としてあるフランスのミラージュ、このくらいまであげていけばいまの第一線機といわれるものはほとんど網羅される、こう思うのでありますが、ここらについての性能をひとつお答えいただけませんですか。
  27. 久保卓也

    久保政府委員 いま手元に性能を持っておりませんが、F14、F15はいずれも米空海軍の主要戦闘機でございまして、二・五マッハ前後、特にペイロードが相当大きくなっておると思います。F16、F17、これは現在、来年度でも米国防省の中で予算を乗っけておりますが、これらの飛行機は比較的軽くて、いわば単能、F14、F15のようにオールパーパスではなくて、単能の戦闘機、特に要撃戦闘をねらっていると思います。それから、民間でまだ開発中のものにつきましては、十分わかっておりませんが、二マッハプラスということであります。そこで、これらも比較的軽い戦闘機で、現在民間用のものは、主としては一流でない航空部隊の向きであるというようなことがあります。それから、その他のミラージュは現在のF14、F15に次ぐくらいのペイロードを持つものでありますが、F4の改につきましては、これは単座にする向きでありまして、支援戦闘とそれから要撃と両用であるということであります。  詳しいデータを持っておりませんので恐縮でありますが、おおよそそんな傾向であります。
  28. 大出俊

    大出分科員 いまのお話でいきますと、最優秀機といわれるもの、これでいきますと、F15がいまお話ございましたが、私の調べたところでは、二・二マッハから二・三マッハ程度あります、速力が。そうして二千キロから二千五百キロの航続距離を持ちます。相当優秀なものだということになりますね。F14、これはマッハ二・五ありますね。これが航続キロで四千キロ、たいへん旋回効率がいい飛行機だというわけでありますね。簡単に申し上げれば。たいへん高性能でございます。だからF15、F14というのはまさに第一線にある飛行機、ソビエトのミグに匹敵する飛行機であろうということになるわけであります、ミラージュは相変わらずでありますが。もう一つP530ですかコブラといわれているもの、これはまあ軽い、安い、二十億ぐらいでございましょうけれども、ただ、おそらくこの時点における第一線機ということになるとすれば、いささか純技術的にいえば低いのじゃないか。この三機、どのくらいの価格でございましょうか、現在。
  29. 久保卓也

    久保政府委員 F14及びF15は大体四十億から五十億の間であると思います。
  30. 大出俊

    大出分科員 F15が大体四十億から五十億。F14のほうは少し高いから、これは五十億前後、それからコブラといわれているものは二十億円見当、こういうことでございましょう。  そこで承りたいのですが、最近——最近といってもF15、F14は少し前でございましたが、ダグラスは日商岩井と代理店契約を結びましたね、F15イーグルについての。日商岩井、これが米マグダネル・ダグラスとの間における契約を結んで、販売の代理店になっている。それから、いまお話しのF14、これはトムキャット、グラマンでございますが、これは住友商事と代理店契約を先般結んでおりますね、日本で販売をする。それからP530コブラ、これはノースロップでございますが、これがつい最近伊藤忠との代理店契約を結んだようであります。この辺の代理店契約を結んだということを、まず御存じでございますか。
  31. 山口衛一

    山口政府委員 私どもには正式に何ら話もございませんので、新聞を通じて知った程度でございます。
  32. 大出俊

    大出分科員 新聞を通じて知っていればそれでいいわけでありますが、やっぱり知っていることになるわけでありますから。私はここで承りたいのは、先ほど長官が言っておりましたように、やはり五十三、四年ごろまでいけば、そこで期待が持てるということは、これはF86だって持っているのでありますが、だがしかし、日本航空自衛隊の国際的な比較の上における戦力保持——戦力といったら皆さん戦力とお答えにならぬかもしれませんけれども、そういう意味からいえば必要であろう。つまりいずれにせよ検討しなければならぬ時期に来ている、こういうわけでありますが、私は、この三社がそれぞれ代理店契約を結んだということは、その三社にはほとんど防衛庁におられた方々が出かけていっておいでになるわけでありますから、市場空中戦が始まったという感じを実は持っておるわけであります。  そこで皆さんのほうは、しょせんこういう体制になる、このことを見越していなければならぬと思うのですよ。なぜならば、グラマン、ロッキードの争いから今日までいろんなことがあったわけでありますから。山口空将補がなくなったときに私はここで質問したこともあるのでありますけれども、それだけに、これは新長官の立場でここらあたりまず——さっきFXというお話が長官の口から出ましたが、必要であることをお認めになったわけでありますけれども、なぜここで質問するかというと、最近コブラの代理店契約を結んだのを具体的に私は調べて知っている。だから、そうなると早目にものを言っておかぬと、あとになったんではまたものごと錯綜してしまう、そういう私は心配がありまして、これからの長官御自身の考え方をお聞きしたいのでありますが、少なくとも防衛庁長官をおやりになってもうだいぶになりますので、だとするとそこらのところを——久保さん、あんた心配せぬでもいい。一体、そこらのところを長官自身でどういうふうにお考えになるかという点を、この際明らかにしておいていただきたいのであります。
  33. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの耳打ちは関係ありません。私は、ロッキード、グラマンのことは、国会議員として、与党として見ておりました。よくないことですね、ああいうことが実際あったかどうかは別にして、そういうふうに見られることは。私のほうは、だから非常に乱暴なしろうとの意見でありますが、なぜ商社を通じて買わなければならぬのだ。西ドイツあたりはどうしているんだ、たいへんな数の調達駐在官をアメリカに置いているんですね。国が直接買ってどうしていけないのだというようなこと等も含めて、まだどういう飛行機にしようかという相談には全然なっておりません。しかしFXというものは、いまPXLとAEWは、これは御承知のように国防会議に預けてありますので、検討を願っておりますが、そちらにゆだねておりますので、私ども検討するにあたっては、どういうあり方がいいのかということをいま議論をしていることで、まだ機種の問題その他については入っておりません。
  34. 大出俊

    大出分科員 その辺のときに聞いておかなければいかぬことなので……。  時間がありませんからもう二点だけ承りますが、一点は、四次防以後の航空自衛隊の主要戦闘機と申しましょうか、国際水準からおくれていく戦闘機になってしまうF4EJファントム——改型が出てくれば別です。改型が出てくればライセンス生産ですからまた考えなければならぬと思うのでありますが、大体どのくらい要るかといえば、やっぱり五個飛行隊ぐらいは要るはずであります。そうすればおおむね百三十機ぐらいは要るはずであります。その辺を制服の方々その他に二、三私聞いておりますけれども防衛庁として、四次防以後、機種は別として、五十三年、四年ごろにかけてやはり五個飛行隊、百三十機ぐらいの新機種を考えなければならぬ、こういうことに論理的になるはずでありますけれども、その辺はいかがでございますか。
  35. 久保卓也

    久保政府委員 四次防以降の推計を全然やっておりませんので見当はつきませんが、結局F86はもうなくなりますし、特にF104の五ないし六スコードロン、これは四次防以降の段階のものが漸次なくなりましょうから、それらの手当てが考えられるべきであろうという推測はつきます。
  36. 大出俊

    大出分科員 だから五個飛行隊がなくなっていくとすれば、埋めなければならぬことになるという点でいまお認めのようでありますが、五個飛行隊だといえば大体百三十機前後になる、これは常識でございましょう。その点お認めになったわけでありますから、そうするといずれにしてもこれは要るのでありますから、何年から検討を始め、何年にサルタンを出すとかいろんなことがございましょう。ございましょうが要るのでありますので、二度と再びグラマン、ロッキードのようなことあるいはCL一〇一〇等を入れてF4中心にいろいろ争いがあって、これはバッジの問題等とからんでおりましたけれども、川崎さんの問題が起こったり山口さんの問題が起こったりした。これは増田さんのときでありますが、予算委員会のこの席で、実は私は長い質問をしたのでありますが、そういうことがあってはならない。断じてそういうことは行なわせないし、行なわない、これを私はお約束願いたいと思っているのでありますが、いかがでございましょう。
  37. 山中貞則

    山中国務大臣 実は、これは五次防ということを考えていなくて、五次防のあり方というものを、四次防以降を考えておるということでありますが、いま具体的に、戦闘機の選定についての必要性、代替時期等を示してのお話でありますが、その意味ではこれは予測をしなければなりません。私としては、先ほども申しましたとおり、そのような世間から見て国民の税金で調達するようなものが、変な憶測が流れるようなことは断じてあってはならない。しかし、具体的な検討は大体四十九年度中には行なわれないというぐらいのテンポであることは、御承知願いたいと思うのです。
  38. 大出俊

    大出分科員 そういうことにならぬようにするといういまのお話でございますが、それでよろしゅうございますが、私の耳に入っている限りは、日商岩井にしても、あるいは住友商事にしても、あるいは伊藤忠にしても、おのおの実績があるのですね。また、この国会で別な方面でいろんな騒ぎが起こっておりますが、名うてのたいへんな商社でございます。したがいまして、好むと好まざるとにかかわらず、いま私が耳にする限りは、これらの商社はすでに市場戦闘に入っておるわけでありますから、してみると、長官がいろいろお考えになるのだろうと思うのですけれども、結果的に過去の実績にあらわれたようなところに追い込まれかねない背景を私はいま耳にするし、気にしているわけであります。人をそろえてこういうふうにというようなことが商社の内部では相談をされている。防衛庁のどこにだれがいて、わが社のどこにだれがいるという、人と人との対応まで考えた作戦が市場で進んでいる、これが現在です。だから、防衛庁長官は防ぐときには防ぎ切らなければならぬ職責にあるわけでありますから、これは防いでいただきたいのですよ。私は、これは防衛していただきたい、文字どおり防衛庁長官ですから。そのお約束をいただきたいので、早目でございますが、早いほうがいいという判断で、いま長官予算説明を聞いていて、こまかい問題をと思ったのですが二つに切りかえて、質問を変えたのでございます。心配になりますので最後にもう一言、いろんなことがありましょうけれども、極力ひとつそういう方向で御努力をいただけるという御答弁が実はほしいのでございますが、いかがでございましょう。
  39. 山中貞則

    山中国務大臣 私も聞いております。ある社は元在日米軍司令官を日本駐在の責任者にしたとか、あるいはまた、元空幕長がそれぞれ分かれて顧問になるのじゃないかとかいうようなこともあって、私は退職後の自衛官の就職についてくちばしをはさみませんが、しかし、そのことだけは誤解を受けるからなるべくそうしてほしくないということを間接に、大人同士の話ですから言うことは差しつかえないので、気持よくそれは聞いてもらったと私は聞いております。そういう配慮等もしておりまして、要らざることが貴重な国民の税金を浪費することの陰にまつわる問題として取り上げられないように、私がそのころ防衛庁長官をしておるとはいえませんので、私のときにきちんとレールを敷いて、あとだれがなってもそのレールの上をもう自動運転で走っていけるように内部体制を固めて去る義務が私にはある、そう考えております。
  40. 大出俊

    大出分科員 実は御答弁いかんでは少し中身を申し上げようかと思って、資料を持っているのですが、まあ確かにここで個々人の名前をあげることは差し控えたいと私も思いますから、長官が知っておられてお答えになりましたので、これ以上申しません。どうかひとつ、山中さんが長官をやっておられるから言うのでありますが、ぜひいまおっしゃったように、また三回目のFXをめぐる大きな商戦、百三十機といいますと六千億円でございますからね、六千億商戦が展開をされるとなると、これはもう、あなたはある誌の座談会で、国民と自衛隊とのいろんな意味のギャップを埋めるという意味でずいぶんはっきりした発言をなさっておる。これは軍事問題の専門誌の一つでありますが、私も読んでみまして、そういう気を使っておられる長官ならばこそ、この問題だけははっきりひとつ腹をくくってけじめをつけておいていただきたい、こういうふうに考えまして、お願い申し上げた次第でございます。  これだけ申し上げまして、終わらせていただきます。
  41. 上村千一郎

    上村主査 次に楢崎弥之助君。
  42. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 今度の予算委員会は、異常な物価高の中で、国民がこの狂乱物価に目を注いでおる、えてしてそういう風潮の中で、現在までもそうですけれども防衛問題が陰に隠れるような形になりまして、私どもも何回か真剣にやりましたけれども防衛問題をやっておったら票にならない、生活問題をやれというようなことで、そういうふうに、何か事故があったとき、自衛隊機の衝突事故なんかあったときはそちらのほうに新聞のキャンペーンも向けるし、一体自衛隊とは何なのかという関心が集まりますけれども、えてして国民があまり知らない間に、いつの間にか気づいてみたらこんなに大きくなっておったかというような種の問題にいまなっておるわけです。  それで、おととしは例の四次防先取り問題でもめました。昨年は防衛力の限界問題でもめた。つまり、年次計画の中でいろいろとふらふらするものだから、これが国会で問題になる。それで、私どもの経験によりますと、いままで、中曽根元防衛庁長官の言を借りれば、三次防までは装備計画であった、いよいよこれからは新しい防衛構想に基づく防衛計画を立てるのだということで、例の長期の十年ぐらいをめどにした防衛構想を立てられて、その前半の五年間ということで、この四次防は当初は新防衛力整備計画という名であった。それが御承知のとおりの経過を経て、もう一ぺんナンバーのつく四次防計画となった。そこで、昨年の防衛力の限界論争をめぐって、当時の増原長官は、陸空は大体いいのじゃないか、問題は海のほうだ、海のほうがちょっとはみ出る感じだ、ということは、当然五次防を予想されての発言であったと私は思うのです。で、いままでの経験によると、大体五年計画のうち中の年に達すると、次の五カ年計画が作業に入る。とすれば、四十九年度はまさに四次防の中の年であります。したがって、もし次の防衛力整備計画を考えるならば、もうそろそろ構想をお固めになっておるであろうと思うのです。ところが、御案内のとおり石油問題もこれあり、国際情勢も変わってきた。あわせてことしの参議院選挙から、かれこれ自民党がそういつまでも政権につくという保証はない。一体、これはまじめな話、やはり四次防後、ポスト四次防の計画について、いままでと同じようなある程度の中期計画というか、そういう五年程度を基礎にした考え方を持っておられるのか、あるいはこういう石油問題等の事情もあって、単年度でこれを考えるということも私は一つの案であろうと思います。その中間的な案というのかどうかわかりませんが、一応五年ぐらいのところを考えてローリングを入れていくとか、いろいろあろうと思いますけれども山中長官はもし確たる一つの構想を持っておられればこの際明らかにしていただきたい、こう思います。
  43. 山中貞則

    山中国務大臣 いまの御発言に肯綮に当たるところがあるのですが、それは、アメリカの防衛予算の仕組みを私も少し勉強してみますと、アメリカは八年前から、前三年間あるべき情勢検討して、五カ年計画を念頭に置いて、そして三年検討した後の五カ年計画の初年度を単年度としてとらえて、相当長期間にわたる検討を加えて、その結果当該年度予算ができ上がるようです。私どもは、先ほど大出議員に答弁したのと重複を避けますが、いまのところその中間の考え方、いわゆる単年度でいったほうがしかるべきもの、すなわち、シビリアンコントロールにそむかないで単年度予算の御審議を願ってもさして全体の長期展望に影響のないもの等、人件費中心に考えるべきものもあるのではないか。しかしながら一方、長期の計画調達に期間を要するもの等については、やはり五年なり三年なりの年限を区切った一定の規模の量、期間というものを国会のほうに御提示をして、それでわが国の防衛計画を進めてよろしいかという御批判は仰ぐべきではなかろうか。それも、長期にわたる取得にかかるもの等も、単年度調達ではちょっとやはりシビリアンコントロールの問題があるのではなかろうかと思っておりますが、いまのところはまだ、これは幕は幕の立場もございますし、内局の考え方あるいは外国の例その他を研究中であるということにとどめておきたいと思います。
  44. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 しかし、先ほど申し上げたとおり、もう一定の構想を持たないと間に合わないのじゃないでしょうか。長官のいまの、いろいろ幕の意見等も聞かれるのもけっこうだが、それを私は言質にとるつもりはありませんが、長官自身としてのいまの見方はどんなふうでしょうか。
  45. 山中貞則

    山中国務大臣 実はそういうことをやる時期だと思うのですけれども、四十九年度予算の最中に突如として石油危機が起こりましたので、総需要抑制にわれわれが何を貢献できるかという検討から、年次計画を御承知のように、内容は省略します、総需要貢献の千八十八億というものを念頭に置いて作業いたしましたために、計画が来年度のものが再来年にずれ込むことになりました。これらのこともありまして、長期展望を踏まえての四次防以後というものについての検討がやや時期がおくれてしまったという点は認めておりますが、この検討もやはり進めておりますので、結論をいつ得るかという問題になるとむずかしゅうございますが、検討には入っておるということは言えると思います。
  46. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 こういう情勢であれば、政治情勢も含めて、私は、いままでのような五年間を限ったような防衛構想、計画には無理がある。それで後年度負担等は単年度にしてもできることですから、単年度、単年度で見直していくことが必要ではなかろうか。そうすれば、われわれはいまの自民党政府と考え方は非常に離れておりますけれども、単年度であればわれわれの意見も十分盛り込んでいかれる。五年間の計画がかたまると、もう修正の余地がないというような形になりますから、皆さん方自身もその計画に縛られることになる。だから単年度で考えていくべきだと思いますが、再度、重要な点ですからお考えを聞いておきます。
  47. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、あなたのほうから単年度でいったらいいじゃないかということを言われることは、実は考えていませんでした。ということは、単年度で、その年の予算の許容範囲の中において常識上おさまる範囲のもので長期取得にかかる正面装備等を取得していきますと、五年たってみたらあるいは意外に少なかったかもしれないし、こんなつもりじゃなかったという大きなものになるかもしれない。やはりその意味では、国会の最終シビリアンコントロールという立場を踏まえて、長期的な展望で機数なりあるいは隻数なり、能力なり、価格なり、そういうものはやはりお示しするほうがよろしいのではないかと思っていたのですが、野党のほうから単年度正面装備も全部含めてよろしいという御提案があれば、私どもとしてはそれもたいへん貴重な御意見として参考にしたいと思うのです。
  48. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 私が言っておるのは、われわれの考えはかねて御承知のとおりだと思います。もう当面増強をやめて、事務的な意味も含めて、長沼判決も出たことだし、人件費等を含め最低のものにしていくべきであるというのがわれわれの考えです。そういう意味から、単年度、単年度でいわゆる論争をしていきたい、こういう考えですよ。いま自衛隊を直ちにやめるといったってできない話ですからね、われわれの立場からいっても。その点はひとつ誤解のないようにしていただきたい。  もう一つ、いままでのとおりでいくと、予算も五カ年計画ごとに倍増してきましたね。そういう点も含めて、この予算関係等も含めて一体どういうふうに考えておるか、もう一ぺんお聞きをしておきたいと思います。
  49. 山中貞則

    山中国務大臣 われわれは、したがって、五カ年計画をやっていきますと、予算も倍以上にふえているのに、四次防だけが三次防に比べて倍になっておるという言い方をされる点等を気を使っているわけです。しかし、単年度でいけということの背景には、自民党政権もそうこの次の五年間ぐらいまでおれるわけじゃないぞ、われわれがかわることもあり得るから単年度ぐらいで切っておけというお話であれば、これはまた私どもは、少なくとも次の五カ年ぐらいはわれわれが政権は維持できるというつもりでやっておりますから。そういうようなことは別にして、単年度というのは私は国会の御審議の場合に不便ではなかろうか、武器の性格その他によっては単年度だけで議論できない問題がありますから、そういうことを申し上げておるわけで、私の意見がいれてもらえるのか、あるいはむしろ単年度で全部やってもよろしいということであれば、そのほうが私どもとしてはやりやすいという感じもしているのですが、これは検討します。
  50. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 この点は、いままだ全然、長官のいまの御答弁でいくとまとまったものがないようですから、論争のしようがありませんけれども……。  次に、最近非常に自衛隊の教育の問題で、いわゆる復古思想と申しますか、逆コースと申しますか、そういう傾向があらわれてきた。この点について、私の時間の範囲内で、斉藤正男君に関連質問をお許しいただきたいと思います。
  51. 上村千一郎

    上村主査 関連質疑の申し出がありますので、これを許します。楢崎君の持ち時間の範囲内でお願いをいたします。斉藤正男君。
  52. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私は、両先輩がお尋ねしたような国の防衛の根幹にかかわることではありませんけれども、一地方に起こった自衛隊としてゆゆしき問題だと思考する問題がございますので、お尋ねをしたいと思います。  去る二月九日に、航空自衛隊浜松南基地に「陸軍爆撃隊発祥之地」という記念碑と、さらに「陸軍爆撃隊発祥由来記」という記念碑が建立されました。このことを防衛庁並びに防衛施設庁は御存じであるかどうか。きのう私は質問内容を通告いたしましたので、きのうの段階で知ったというのか、二月九日に除幕式が行なわれたということを当時の段階で知っていたのかどうか、御両所からお答えをいただきたいと思います。
  53. 山中貞則

    山中国務大臣 詳細は私も昨日知ったわけですが、ローカル版と申しますか、ローカル紙であったかもしれませんが、そういうものにそういう報道があったということは一応聞いております。
  54. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 施設長官がお見えでございませんので続けますけれども、これを建立しようとした主体は一体だれであったのか、長官御存じですか。
  55. 山中貞則

    山中国務大臣 私は民間の旧爆撃隊の生き残りの方々が中心であったと聞いておりますが、人名その他については官房長より説明させます
  56. 丸山昂

    ○丸山政府委員 この主体になっております爆撃隊会という任意団体でございますが、これの代表者になられておられるのは小川小二郎さんとおっしゃる方でございまして、元陸軍の浜松の航空学校長を長くやっておられた方だそうでございます。それで、この爆撃隊会というものができ上がりました時期は、私どものところでははっきりいたしておりませんけれども、御案内のように昭和八年に浜松陸軍飛行学校が開設になりまして、飛行第七連隊練習部というのがこの基幹部隊であったわけでございますが、これが長く続きまして、その飛七関係者とそれから六一戦隊それから重爆会、こういったところが中心になってでき上がった会であるというふうに伺っております。
  57. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 この九日の除幕式に皇族もしくは皇族に類する方々を招待したということになっておりますけれども、どなたを招待したか、明らかにしてください。
  58. 山中貞則

    山中国務大臣 招待しておりませんし、代理者も出席しておられません。
  59. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 地方公共団体の代表にも案内を出していますけれども、どの範囲に案内を出し、地方公共団体の責任者としてだれが出席をしたか、教えてください。
  60. 丸山昂

    ○丸山政府委員 静岡県知事とそれから浜松市長に御案内を出しておったようでございます。静岡県知事は御自身当日御出席になったようでございまして、浜松市長は市長代理として生活環境部長の石津重利氏が御出席になっているように伺っております。
  61. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 当時新聞社には、これを招待という形でやったのか、あるいは通知というかっこうでやったのかは別として、連絡をした新聞社と全く連絡をしない新聞社があったが、どういう新聞社に連絡をし、どういう新聞社に連絡をしなかったか、お答えください。
  62. 丸山昂

    ○丸山政府委員 これも実は爆撃隊会のほうでおやりになりました関係で、私どものほうでは詳しく承知をしておりません。ただ、私どものほうでわかります範囲で申し上げますと、この除幕式が行なわれますいわゆる予告記事でございますが、これは一月の二十二日に中日新聞、それから二月の四日に静岡新聞にそれぞれ報道されておるようでございます。したがいまして、その報道によりまして当日おいでになられた各社の方がおられるのではないかと思いますけれども、私どものほうで承知しております限りでは、静岡テレビ、東海テレビの二社の方がお見えになっただけであった、こういうことでございます。
  63. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 この取材の報道を禁止をした疑いがあります。その証拠に、事前の多少の予告的な記事は一、二社に掲載をされました。しかし、九日に行なわれた除幕式の様子は全く新聞、テレビに報道をされていない。これは記事の差しとめを強く要求をされたということになっておりますけれども、その辺はいかがでございますか。
  64. 丸山昂

    ○丸山政府委員 重ねて申し上げますように、私ども直接の関係でございませんので、爆撃隊会のほうの御方針その他については詳しく存じておりませんが、ただ、静岡テレビの当日二月九日の二十三時からのニュースで、一分間この除幕式の模様が報道されたというふうに承っております。
  65. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 以上、私は若干の経緯をお尋ねいたしましたけれども、私の認識とほぼ一致をいたしている実情把握をされておりますが、私がここで問題にしたいのは、まず第一はその碑文であります。いろいろ書いてありますけれども、たとえば、「支那事変の進展につれ、時恰も待望の九七式重軽爆撃機の量産態勢も整い、ノモンハン及び大陸戦線では戦場爆撃に勇戦し或は長躯奥地に進攻し敵戦闘機の迎撃を独力排除して戦略爆撃を敢行した。大東亜戦争の初動、難攻不落を豪語したシンガポールの要塞を形なきまでに爆砕して敵の根據地を奪い同時にパレンバン降下作戦に協力して赫々たる戦果を収め南は濠洲への追撃西はビルマ印度への進攻など縦横無蓋東亜の天地を制した、然るに、ガダルカナルに始つた敵の反攻は愈々熾烈となりわが爆撃隊はラバウルにニューギニアの各地にモロタイ島にレイテ島にこれを迎え撃ち干戈を交えること既に四年有余戦場は凄絶を極めるに至った。」云々というようなこと、さらに、「或はタクロバンドウラク敵飛行場に対し挺進隊員四十名と共に強行着陸して斬込隊となるなど決死悠久の大義に就く、まさに鬼神を泣かしむ。」まあいろいろありますけれども、長くなりますから、お手元へも碑文を差し上げてありますのでやめますけれども、事実は当時そういう事実であったかもしらぬ。しかし、今日のこの段階でこのような碑文を基地内に建立するというようなことは時代錯誤もはなはだしい。まさに大東亜戦争の正当性を主張し、そして東亜侵略を当然のように謳歌をし、そして軍国主義を鼓吹をするというような碑文にしか私どもにはとれないわけであります。とれない。しかも、問題は、「尚碑建立の諸般に亘り航空自衛隊の甚大な協力を受けた。」こういうことが書かれているわけであります。  私は、先ほどから答弁にありますように、飛行第七連隊の生存者が中心になってこういうものを発意し、建立をしたということだけなら、この場であえて追及する意思もありませんけれども、こういう記念碑並びに碑文を基地内へ、しかも、航空自衛隊の甚大な協力を得てつくったというところに問題があると思うのであります。一体基地内へこういう施設とか、あるいは建物の一種だと思いますけれども、これをつくるにあたって、自衛隊なりあるいは防衛施設庁には規程、内規といったものがあるのかどうなのか、現地の判断で何でもできるというのか、この辺の綱紀についてまず伺いたいと思うわけであります。
  66. 丸山昂

    ○丸山政府委員 特に内規といったようなものはございません。あの寄付採納につきましては、国有財産として受け入れます関係で、その関係の諸法規に従うということになっておるわけでございます。
  67. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 そうすると、これは寄付行為を受けて、そして防衛庁なり国の財産になるというように考えてよろしいか。
  68. 丸山昂

    ○丸山政府委員 そのとおりでございます。
  69. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 もし平和を愛する団体が、この航空自衛隊のたとえば南基地に終戦の詔勅の碑文を建てたい、浄財を集めて建立をする。あるいは憲法第九条を大書をした記念碑をつくってここに建てたいと申し入れれば、これを受けますか。
  70. 山中貞則

    山中国務大臣 斉藤さん、これは生き残りの方々がなき戦友をしのび、自分たちの創設以来の第二次大戦の戦争のあとをずっとしるされた、そういうものを基地の中に建てさせてくれということについて、その旧爆撃隊の正面の門柱の一つのようですが、それを受け入れたので、私どものほうで文章とか、あるいはどういうかっこうにとかいうようなことを何も注文もつけておりませんし、そういうことはほかにも各地で、たとえば習志野では、旧戦時中につくられた石こう像であった落下傘降下兵の像が、いまはこれは銅像として建ててありますが、これはみんなそういう生き残りの方たちが建てられたものであって、それが現在の自衛隊の考え方であるということは、もうこれは憲法上も何もあり得ないわけでありますから、いまおっしゃったように、じゃ自分たち平和を愛好する団体が憲法第九条という碑を建てたら受け付けるかというような話でありますが、そこらは現実に起こったときの問題として、それら生き残りの方々には、やはり戦友をしのび、年々歳々減っていく人たちの集まりというものがあります。私もそういうものに所属しておりますが、そういう気持ちのあらわれであると思って、別段大東亜戦争を鼓吹したり賛美したりしているのが自衛隊の姿勢である、そういうふうなつながりを持って受けとめておるものではございません。
  71. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 長官、そうおっしゃいますけれども、取材の報道人を制限したのも——いいですか、制限しているのですよ、制限している。大体このニュースソースがほとんど極秘のように私どものところへ渡ってきたのですよ。それを制限したのは発起人の団体じゃない。自衛隊南基地なんですよ。それから、私どもの調査にあたりて、最終的には調査に応じましたけれども、抵抗したのも基地なんですよ。建立した団体は別にそういうことをどうこう言っていないのです。PR好きの自衛隊が、事このことに関しては記事を差しとめているのですよ。民放が一分間にわたって放送したというようなことを言いますけれども、これはあえて放送したのですよ。NHKをはじめ三大紙も全くこれを報道していない。それは基地当局から——発起人の団体じゃないのです、建立した団体じゃないのですよ、基地当局から強い要請があり、もしそういうことになれば今後の取材等について考えざるを得ないというような言い方で(発言する者あり)いや、そう言いますけれども、事実そうなんすよ。そこに私は問題があると言うのであります。建設をした、建立をした団体じゃないのです。基地のほうが主導的にそういう制限をしていることに問題があるのであります。そんなことはないと言うならば、そのようにひとつ、調べていると思いますからお答え下さい。
  72. 丸山昂

    ○丸山政府委員 先ほど申し上げましたとおり、その団体のほうが主になっておやりになっておりますので、私どものほうはかたわらから御支援するという立場でやりました関係で、少なくとも取材を拒否したり、あるいは制限するというようなことをやったことにつきましては、私どもも全然そういうことを伺っておりません。
  73. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 それは制限しましたというようなことを言うわけはないと思うのです。事実がそうだと言うのですよ、私は。事実がそうなんですよ。もし長官がおっしゃるように飛七の生存者の皆さんが発祥の地としてやはり記念にしたいというような気持ちだけでやったものならば、こういうことはないと思うのですよ。ひそかにこれを知って民主団体が調査をし、抗議をしたという経緯は、限られた報道人から、ニュースソースを極秘にしてやってくれ、うちの名前を出されちゃ困るという事実があるわけなんですから、私は、建立団体の意思でなくて、明らかにこれは、いま基地問題が非常にやかましくなっているときに、市民を刺激するというふうなことは避けたいという配慮から、南基地幹部のやった態度だと断定せざるを得ないわけであります。この点は、いまここでやりとりしても押し問答になりますので、ぜひ、ひとつ一ぺん調査をしていただきたいと思うわけであります。  もう一つは、この碑文にもありますように、航空自衛隊の強力な援助があったということであります。ここに南基地の「はまな」というPR紙があります。毎月一回発行するもので、これは二月一日のものであります。「本職顔負けの働き 業務部隊員の手で造園」ということになっておりますけれども、「基地ではこの建立について積極的に支援協力、その周囲を庭園として整備することにし、除幕式までに完成すべく、業務部の「作業隊・清掃隊」が中心となって急ピッチに作業が進められている。広場をとりまく築山の造成が最大の作業だが、これに使う庭石を山奥からとり出して基地まで運び込む作業から、築山をつくって石を配置するまで、すべてを一手に引受けて大奮闘している。これに使った大石は天竜市の奥と岐阜基地近くの山から運び出したが、その搬出にはたいそう苦労した。困難な作業に黙々ととりくむ隊員たちの姿には頭のさがる思いがする。」ということで、「築山造りに励む作業隊員」という作業現場の写真、さらに「5トン・レッカーも息切れする大石に手こずる」というレッカーを中心とした写真が南基地の隊報に出ているのですよ。  こういう民間団体の仕事に対して自衛隊がここまで協力をしたという事実は私はどうしてもわからぬ。民間団体、民間団体というなら、すべてを民間団体にやらせたらいい。ただ、そこに建てることを隊としては許可をした、そして国有財産になりますよ、寄付行為をやってください、それなら受けますというならまだわかる。ところが、天竜の奥から岐阜各務原から、五トンレッカーも息切れするような大石を隊が運んで協力をしている。どういうことなんですか。
  74. 丸山昂

    ○丸山政府委員 この記念碑の寄付受けをいたします機会に、まわりの環境をこれに調和させるように造園をやりたいということで、ただいま先生指摘の事実はそのとおりでございまして、石それから植えます植物、こういったものを——実は石につきましては元の自衛官の御父君その他の方々の寄贈でございますけれども、そういうものを隊員が運びまして、造園をいたしまして環境づくりをやりましたということでございまして、特に特別の意図でやっておるということではございません。
  75. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 特別のことでやったんではないと言いますけれども、この記念碑を建立するにあたって造園をやったんです。あそこはあえて造園しなくても記念碑などは幾つも建て得るような広場です。それに、かなりの費用を使ってやっぱりやっているわけなんです。私は、都合の悪いところは民間団体がやったんだ、都合のいいところになるとそれは環境整備のために——環境庁長官がいうようなことをおっしゃって、隊内を整備した。どう言っても逃げ口上だとしか思えない。この種のものに貴重な国民の血税を使うことは、私はまかりならぬと思っている。しかも、碑文の内容がそういう碑文だということになりますれば、しかも、ここは資料館の近くです。南基地はPRがうまいんですよ。それで遠足、ピクニック、団体旅行等殺到しているわけです。このために案内嬢を備えて置いているんですからね。まあこのような文章は最近の小中学生にはわからぬかもしらぬけれども、しかし、資料館の真近にこういうものをつくっていくというようなことは、私はやっぱり自衛隊の違憲性あるいは軍国主義の鼓吹といったようなことに大きな役割りを未来永劫に果たす碑ということで撤去を強く要求をする。ふさわしくないものだ。おかしいよ、そんなものを建てるなんというのは。長官いかがですか。
  76. 山中貞則

    山中国務大臣 今日の自衛隊は第二次大戦でそれぞれの目的に従事した隊員の生き残りの人たちがいろんなことをされますが、そういうことに関係して左右されるような自衛隊ではありませんし、私が見ただけでも陸軍予備士官学校のあとの碑とかいろんなものもあります。そういう碑のないところでも、やはり一応庭石を配置して小松を植えて水を少したらしたりなどして、殺伐になりがちな基地内の整備もいたしております。これを自衛隊の労務作業の一環としてやることについての可否、この点についてはただいまのケースとしては、あるいはお話になるような点もあるかもしれません。これらの点は事実問題の究明も含めてそういう誤解を招かないような姿勢で、その範囲でやりたいと思います。
  77. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私は、撤去をしてほしいと、撤去しろという要求をしておるんですけれども、その撤去要求に対する簡潔な答弁をしてください。
  78. 山中貞則

    山中国務大臣 これは建立委員会の方々の御意思を受け入れたわけでありますから、それらの方々の御意思を——私たちが出ていってください、撤去してくださいということは言えないと思います。
  79. 斉藤正男

    斉藤(正)分科員 私はやっぱり、長官いろいろ言いましたけれども、市民感情はこういうものを許していないんです。何がゆえにどういう資格で知事のところへ招待を出し、どういう形で市長が出席をせずに代理が出席をしたかというようなこと、いろいろあると思いますけれども、私のところなんかには何にも話がないわけです。それは基地反対をしている社会党の代議士に案内を出すわけがないじゃないかといえばそれっきりだ。だけれども、そう簡単に片づけてもらいたくない、非常に基本的な問題だということを最後にふえんをして、私のお尋ねを終わります。
  80. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 やっぱりいまの問題は小さな穴からだんだん大きくなるんです。こういう、いまの横路代議士も知らないような「悠久の大義」なんというようなことばを碑の中に織り込むことが間違っているんですね、そういうことをやるのは。これはあらかじめ了承されておることであろうが、適当な時期を見てこれは御相談なさってしかるべきであろう。国会から注意された、それでいいんじゃないでしょうか。一応そういうお話をしてみていただきたいと思います。  それて調本の方、見えてないんですか——それでは装備局長が代理されるわけですか……。  その文献による情報によれば、どうも調達をされておるナイキ、ホークの実弾の有効性について疑わしい点がある、アメリカに行って実弾演習をやっているんでしょうけれども。ある程度の報告を私は受けておるんですが、一体ナイキのほうはどのくらいの有効性があるのか、ホークのほうはどのくらいなのか。ホークなんか、私は五〇%以下が実弾が役に立っていないというふうに思っておるんですが、一発、ナイキ七千万円ですか、ホークは四千万円ですか。役に立たぬ実弾をそんなたくさんの金をかけて、もし買い込んでおるとすれば、調本責任は重大であろうと思うんです。その報告をお願いしたい。
  81. 山口衛一

    山口政府委員 ただいま御指摘のナイキ、ホークの有効性の問題でございますが、これは先生指摘の点はおそらく昨年の十一月から本年の初めにかけまして行ないました四十八年度の年次射撃等につきまして、一部新聞等に報道があった点もございますので、その点につきまして要点を御説明いたしますと、ホークにつきましては、四十八年度に年次射撃で撃ちましたものは五十発でございます。それともう一つはフライトテスト、これは生産領収の際の試験のためでございますが、これを一発撃っております。この有効性の問題でございますが、今般ホークで幾ぶん不成功のものが中にございました。これは、われわれが取得しましたのはMAP品で取得したものでございまして、ホークの国産を開始しましたのは四十二年度以降でございまして、まだ実はライセンス国産でやったものの年次射撃は実行しておりません。それから、フライトテスト一発やりましたのは、これは国産でやったもののフライトテストでございます。フライトテストでやったものは、一発やりまして一発成功しておりますので、私どもは少なくともライセンス生産の分の成績は成功と見ておりますが、年次射撃の分でやったものは、繰り返すようでございますが、これは四十年に取得をいたしましたMAP品でございまして、すでに九年近い年月を経過しております。     〔主査退席、中村(弘)主査代理着席〕  私どもは、年次射撃におきましてはできるだけ古いたまから発射をするように考えておりまして、MAP品ではこれまですでに三百三十六発を取得しておりますが、これが射耗いたしましたのは約半分近い百八十発でございまして、まだ百五十六発程度を残しておりますが、今後、年次射撃は訓練を兼ねますので、このような古いものからできるだけ発射をしていく。それから新しい国産につきましては、フライトテストで有効性を確めたいというふうに考えております。(楢崎分科員「パーセンテージ」と呼ぶ)パーセンテージにつきましては、フライトテストは、これまで成功一〇〇%でございます。四十五年の第一回から始まりまして、四十八年に至るまで、いわゆる国産関係のフライトテストは全部成功しております。それから、年次射撃のほうは古いMAP品でございますので、実はこの中で成功率は必ずしも高くはございませんが、おおむね平均しますと六七、八%程度の成功率でございますが、あまり高いとも言えません。  ナイキのほうでございますが、ナイキにつきましては、四十八年度は十四発国産品を持ってまいります。それからまた、十四発をMAP品を持ってまいりました。この中で二発程度の不成功が出ましたが、これはブースターが噴射しまして、そのあとのサステーナの部分で、サステーナが発火しなかったということで、二発不成功がございました。フライトテストのほうは成功はしております。  実はナイキの自衛隊の年次射撃におきまして不成功が出ましたのは、これまで二十六発を四十五年以来年次射撃しましたが、今回はじめて二発出たという次第でございます。
  82. 楢崎弥之助

    ○楢崎分科員 ナイキのほうはまあまあでしょうけれども、ホークは四割ですね。これはたいへんな国費の損失です、長官。それで国産に移行するでしょうけれども調達については、やはり点検を十分やってもらうようにひとつ要望いたしまして、私の質問を終わります。
  83. 中村弘海

    ○中村(弘)主査代理 次に、横路孝弘君。
  84. 横路孝弘

    横路分科員 北富士演習場の林野雑産物補償、昭和四十二年から四十四年度分の処理について、この問題に限ってお尋ねをしたいと思います。お互いにいろんないきさつ、経過は十分知っているわけでありますから、よけいな説明は抜きにして、問題は、この三月一ぱいにまだ解決をしていない部分について一体皆さんのほうでどうするか、こういうことが議論中心になるわけであります。  昨年の六月に、山中長官は参議院の内閣委員会で、取り扱いについては思想、信条の差によって当然受けるべき給付金をおくらせたり、もらえなかったことのないようにいたしますと言明して、まだ解決していないわけでありますが、一体どうなさるつもりですか。
  85. 山中貞則

    山中国務大臣 これはもう繰り越ししてあるものでありますから、今年度末で不用を立てなければなりません。そして四十九年度予算には、それを予定して新しく予算が組んでありませんから、四十二年度以降のものでありますし、これはなるべく年度内に片づけなければならぬ、こう思っております。  まあいきさつ抜きでありますが、いきさつとしては演対協が支払うということになって、国が演対協を通じてやっておりますために、演対協を自分たちが脱退と申しますか、加盟からはずれておる方々が今日まで実際上支給を受けていない状態にある。それに対して何とか御支給できる方法はないかということで苦労はいたしておりますが、なお未解決の部分があることを申しわけなく思っております。
  86. 横路孝弘

    横路分科員 そこで、私も施設庁のほうのやり方に非常に憤りを覚えるわけでありますが、少し詰めて議論をしてみたいと思うのですが、まず四十八年四月三日の「北富士演習場の使用に関する覚書」というのがありますが、この第三項の国と演対協との間で「協議されたところにより、措置されるものとする。」という協議事項と措置された内容です。経過はいいですから、その点をひとつ簡潔にお答えをいただきたいと思います。
  87. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 昨年の四月三日に覚え書きが交換されましたが、その前から北富士演習場使用転換の機が熟してまいりまして、いろいろと地元とお話し合いをしておりました段階で大体二月ごろを中心でございますが、いろいろと県、演対協、それから地元関係市村、関係入り会い団体等との間で話し合いをしまして、昭和四十二年度から、いろいろ地元各入り会い団体で調整のつかなかったために未払いになっている林野雑産物の補償の処理については、ひとつ早く処理しようじゃないかということになりまして、まず協議の第一点といたしましては、四十二、四十三、四十四の三カ年度につきましては、従来の補償の方式でできるだけ早く支払う、それから四十五、四十六年度、いわゆる四十五年度以降につきましては、あらためて関係農家の実態等を調査した上で補償の処理を行なっていく。それから、これらの補償の進め方につきましては、いわゆる演対協を窓口として処理していくというふうに協議がととのったわけであります。
  88. 横路孝弘

    横路分科員 四十八年の二月十七日、「北富士演習場関係林野雑産物の補償に係る過年度分処理要領」というのは、そうするとそのあとの四月三日の協議内容にこの内容も含まれているわけですか。
  89. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 さようでございます。
  90. 横路孝弘

    横路分科員 そうすると、この処理方針の「補償申請者」というところに、「昭和四十一年度分の補償申請者で、所属入会組合長を通じ、演対協会長に委任した者に限る」「委任した者に限る。」というのは、これはどういう趣旨ですか。
  91. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 北富士演習場の長い歴史の中で、やっと林野雑産物補償の問題も含めた全体の問題がまとまろうとしている時期でありますので、演対協という組織を中心として、ひとつ林野雑産物補償の処理もまとめていこうじゃないかという地元の機運の中から、演対協会長に、所属入会組合長を通じて委任した者に対して補償の処理をしていこうということで、補償申請者のいわゆる扱いについての処理方針を示したものと了解しております。
  92. 横路孝弘

    横路分科員 この演対協に入っていない忍草入会組合等は、そうするとどういうことになりますか。委任しない者はどういうことになるんですか。権利がなくなるんですか。
  93. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 当時の機運といたしまして、北富士演習場問題を全般的に円満にまとめていこうという地元の機運の中で、こういう一つの姿をお互いにきめられたものであります。
  94. 横路孝弘

    横路分科員 問題は、演対協のほうから、ことしの二月二十一日演対協第六号で、演対協会長に一任をしなかったら補償金はもらえませんよという全面的委任状をよこせというのを、全部、各忍草の組合員に送っているわけです。この「演対協会長に委任した者に限る。」というのは、ほかの者はもう権利がなくなるということなんですか。皆さん方がきめた処理要領が該当するつまり話し合いをしたわけでしょう。この話し合いの一つの内容が拘束を持つのは、演対協に加入している人たちだけでしょう。それ以外には、これは効力はないでしょう。経過の問題じゃなくてですよ。どうですか、それは。
  95. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 効力の問題じゃなくて、北富士演習場問題を円満におさめるまさに時期であるということで、そういう形の中から処理していくのが一番望ましいことだということで、そういう話し合いが行なわれたものという趣旨に解しております。
  96. 横路孝弘

    横路分科員 長官、演対協と話をして演対協の会長を通さなければだめだと、皆さん方のさっきのお話ですと窓口とするということですが、現実には横浜の防衛施設局と演対協との間で、会長に委任した者に限ると、こういう方針でやってきているんですよ。長官は、昨年の六月参議院の内閣委員会で思想、信条によっては差別をしないということを言明された。しかし現実の防衛施設庁のやり方は、演対協の会長に委任しなければだめだといっているわけですよ。長官の答弁の趣旨に沿った行動をとられておらない。この点、どう考えますか。
  97. 山中貞則

    山中国務大臣 答弁が明確でなかったようでありますが、権利の消滅というものはあり得ないと思うのです。しかし、それは県も含め関係市町村も含め、旧恩賜林組合と称しておられる方々も含めて、それには忍草も入っておられるはずであります。そういうことで、その窓口とするということに国と関係者との間に協議がととのったということで、そこを通じて支払っておるということでありますから、その手段を拒否しておる、かといって、その人たちにはもう年度が過ぎて会計法上支給ができないということになった場合に、権利が消滅するかといえば、権利は消滅しない。したがって、その支払いの手段をどうするかという問題が残るだけで、もしこれが支払われなかった場合、四十九年度予算が準備してありませんから、四十八年度末までに支払われなかったというケースがありますれば、それは五十年度予算において金額としての配慮はしておかなければならぬものだ、権利、義務の関係はそういうふうになると思います。
  98. 横路孝弘

    横路分科員 問題はこういうことなんですよ。たとえば自衛隊の航空機が間違って民家に落ちた、いいですか、そして住民が百人死亡した。この百人の人たちの遺族は、自衛隊機に過失があれば当然請求する権利があるわけです。百人ばらばらじゃ困るから、遺族会でもつくろうじゃないかということになった。ところが、その遺族会は、たとえばまあ五十人でも六十人でもいいです。六十人は遺族会ができたけれども、ほかの四十人は入らないということになった。その場合に、防衛庁のほうで補償を払うときに、その遺族会の会長と話をつけて、会長一任取りつけなければ支払わないなんということが言えますか、一体。言えないでしょう。一人一人と交渉しなければならないんですよ。皆さん方は、この入り会いの組合とその組合員と交渉しなければならないんですよ。それをどうしてこんなことをきめるのですか。だから、これは法律的にいったら、一任しなければだめだということは言えないでしょう。一任しなければだめだ、あとは知りませんよと言えないでしょう。そこのところですよ。長官、どうですか、これは。
  99. 田代一正

    ○田代政府委員 お答えいたします。  昨年の四月三日の覚え書きで、四十四年度にできました演対協というものと国との関係ができているわけでございます。そこで、演対協が中に入ってやるということは、これは先ほどから施設部長が長々と過去の因縁を申し上げたとおりでございます。  そこで、私の聞いておる範囲によりますと、演対協といたしましては、四十八年度中に四十七年度から繰り越された予算が流れるという判断のもとで、どうしても早期に解決したほうが皆さんのためになるんじゃないかということで、私の聞いている範囲では、当初忍草の入会組合にそういうお話を申し上げた。申し上げたら、ナシのつぶてで全然返事がなかったということで、それではいたし方ないということで、個人の方々に演対協の会長名でもって、そういうお話をしたいというぐあいに聞いておるわけでございます。  いまおっしゃいましたように、たしか理想といたしましては、やはり忍草の入会組合、それからさらに演対協というものをつないで、私たちとお話をするというのが理想的ではございますけれども、事そういういきさつになったものですから、やむを得ずそういう形になったというぐあいに理解しております。
  100. 横路孝弘

    横路分科員 じゃあなた、昨年の四月二十五日の午後四時半、忍草の区会事務所に防衛施設庁の納谷課長と県の堀口課長が行って一体どんな話をしておりますか知ってますか、それ。白紙委任じゃなければだめだといって窓口でけっているんですよ、白紙委任じゃなければだめだと。直接、施設局と話し合いをしたいという申し出をけって、白紙委任じゃなければだめだと、委任状を出せと、こうやっているわけですよ。でたらめを言っちゃだめですよ。
  101. 田代一正

    ○田代政府委員 ただいまの四月のお話は、私、当時いませんので正確に知りませんけれども、しかし、演対協を窓口とするということにつきましては、やはり演対協を通じて防衛施設局が接触するという形を表明したんじゃないか、こう考えます。
  102. 横路孝弘

    横路分科員 だから、さっきの自衛隊機が落ちた場合の例ですよ。遺族会の会長じゃなければだめだということが通りますか。法律的に、そんなこと通りますか、一体。ここじゃなければだめですよ、あとは知らぬ。だから、こっちに白紙委任状をよこせと、こういうやり方、通りますか、一体。
  103. 田代一正

    ○田代政府委員 そこが北富士の過去の林雑補償の非常にむずかしい問題を表明しているわけで、過去十数年かかりまして非常に問題になった末、演対協というシステムをつくったほうが、きわめて円満にいくんじゃないかということのためにできたわけでございます。ですから、通常の観念から申しますと、あるいはいろんな問題があるかもしれませんけれども、そういった過去の歴史を踏まえて考えますならば、これもいま考える中では最もベターな方法であるということでございますので、私どもはその方式を考えておる、こういうことでございます。
  104. 横路孝弘

    横路分科員 いきさつを聞いているわけじゃないのです。これは防衛庁長官だって認めていますよ。これ以上給付を受けるべき補償について支払わないでおくということは、国としてはできないことだ。そしていろいろ考えはあるけれども、少なくとも個人個人はそれぞれの権利に基づいて補償金の給付を受ける権利を持っている。こういう基本的立場でしょう。これはずっと従来からのいろいろないきさつの中で、その点だけはもう確認されているわけですよ。池田総理大臣当時の回答書、山上施設長官当時の回答書、これは国の公の方針になっているわけです。もうこの三月がリミットで法律的にはそんな通用しないことが、どうしてこれは施設庁だけやれるわけですか。当然持っておる人たちがいるのに、こっちでなければためた。その団体に入っているならともかく——入っていたって、ともかく個々の権利はあるわけですよ。演対協に権利があるわけじゃない。だから、この処理方針を見たら、演対協会長の復代理人申請ですよ。そうでしょう。つまりこれはどうしても代理関係を結ばなければだめだというわけですよ。代理関係を結ばなければだめだというのは、もとに戻っていけば、だれに権利があるということは明確ですよ。  だから、それはいろいろいきさつはあっても、法律的に許されないようなことをやってはいけないですよ。これは解決できるんです、長官。直接話してくださいよ。私たち立ち会いますよ。県が立ち会ってもけっこう。長官と入会組合の組合長、これは個々の組合員から委任状ももらっています。この組合長と皆さん方が会って話をして——五十年予算の話なんてしてもらっちゃ困りますよ。いま現実に予算があって、皆さん方が法律的に許されない行政指導をやっていて、そしてこれをまた五十年要求しよう、一体そんなばかなことがありますか。三月一ぱいなんですよ。私たちは、あっせんしてもよろしゅうございますから、直接会って話をきめてください、長官
  105. 山中貞則

    山中国務大臣 これは県、関係市町村そして恩賜林組合を中心として演対協をおつくりになって、そこで窓口を一本化しますという話し合いができているわけですから、そのルールに従ってやる。しかしながら、権利、義務の関係は、私が申し上げたとおり、それを行き過ぎて、私がもし年度内に支払われなければ五十年度予算でもと言ったことが、それは親切の行き過ぎであるならば、四十九年度予算には、そういう想定をしておりませんから予算の準備はしてありません。したがって、ことしじゅうに支払われないものは、そのまま国庫に戻りますということしか言えないと思うのです。     〔中村(弘)主査代理退席、主査着席〕  しかし、それを私のほうは、演対協というものがあって、かつては一緒におられたわけですから、そこを通じて、手数料をとるわけでもないしピンはねするわけでもないし、そこで受け取ることがどうしていけないのかという疑問もあります。(横路分科員「いろいろいきさつがあるわけです」と呼ぶ)だから、そのいきさつがあって演対協を窓口にしようということになっておるわけですから、これはいろいろな事情があって、要するに個人が金をお受け取りになるということのためにやってあるわけですから、お受け取りいただく手段というものがそういうふうになっているだけであって、それを通じてお受け取りいただければ、直ちに支払いは開始できるし、年度内にも全部お支払いできるわけでありますから、これはやはり演対協というものをおつくりになった県や市町村やあるいはその恩賜林組合等の方々との、大部分の方々とのそういう窓口を通じて払うという、そういうまた国の——私の時代ではありませんか、約束をした信義の問題もあります。したがってそこを通じてお支払いする。それで年度末に現金を入手されるという手段をおとりになればそれでできるんだ、道はあるんだということを申し上げるわけです。
  106. 横路孝弘

    横路分科員 ですから、あなたの言っているのは、いいですか、さっき私自衛隊の飛行機事故の例を出しましたけれども、百人の遺族がいる、五十人でも六十六人でもいいです、これは九十九人だっていいんですよ。遺族会をつくって、そこで話をして、話し合いがつきましたと、そのとき残りの一人に対して——いいですか、長官。その遺族会の会長に一任取りつけしなければ支払わないと言うことは、これはどうですか、違法でしょう、そういうことは。言えないことでしょう。どうですか。
  107. 山中貞則

    山中国務大臣 それは若干ケースが違いますけれども、法的にはそういうことは言えないことであることは、そのとおりです。
  108. 横路孝弘

    横路分科員 いいですか。ともかく忍草の入会組合ないしはその入会組合を構成する組合員にそういう補償を求める権限があるんだ。これはもう長官も認めたとおり、間違いありませんね。うなずいておられるから間違いがない。そうしたら、演対協というところに入っていない人たちのそういう問題を、どうして演対協と皆さん方が話し合いをされて、演対協の会長一任だということを言えるんですか。どうして法律的にそんなこと言えますか。
  109. 田代一正

    ○田代政府委員 これはあくまで沿革を踏まえた問題として、(横路分科員「法律の問題を聞いておるんですよ。判断の問題を聞いておるんですよ」と呼ぶ)いや、そうじゃありません。法律上の問題のみならず、沿革を踏まえた非常に長い歴史のもとで、こういうシステムができておると、こういうことでございます。  したがいまして、昨年の四月三日に官房長官といろんな方との申し合わせの中にもございます。政府が一回約束したルールでございます。そのルールは、やはり私どもは守らなければいかぬと、こう考えております。
  110. 横路孝弘

    横路分科員 だから、そんな約束できますかと言っているんですよ。私は聞いているのですよ。そういう約束が一体どれだけの法的拘束力を持つのですか。遺族会のほうの、たとえば会長と話をして、補償はともかくこういうことでもってきめました。会長を通して払いますといって、それをほかの人にどうして強制できますか。そこを通さなければだめだということがどうして言えますか。いま私が聞いているのは、この問題についてもそこですよ。それは言えるのか、言えないのか、はっきりしてくださいよ。きょうちょっと法制局を呼んでないんですけれども……。
  111. 田代一正

    ○田代政府委員 何回も申し上げておりますように、そこが北富士問題の特殊性ということだと思うのです。そう先生のおっしゃるように二、二が四ということで割り切れるならば、何も北富士でこれだけ長年かけてみんな苦労しなかったと思うのです。やっとたどりついた一つの結論でございますので、やはりそういったルールは守っていただきたい、こういうことです。
  112. 横路孝弘

    横路分科員 守っていただきたいということをどうしてあなた言えるんですか。何を根拠に言えるんですか。
  113. 田代一正

    ○田代政府委員 それは先ほど申しましたように、昨年の四月三日の覚え書きでございます。
  114. 横路孝弘

    横路分科員 だから、この覚え書きは忍草の入会組合に対して拘束力を持ちますか。
  115. 田代一正

    ○田代政府委員 「林野雑産物損失補償については、」とこうございますので、私どもがお払いする林野雑産物の補償については適用がある、こういうことです。
  116. 横路孝弘

    横路分科員 だから演対協に入ってない部分に対して拘束力を持つんですかと言っておるのですよ。いいですか、その処理要領に「演対協会長に委任した者に限る。」と——権利は消滅してないと言ったって、委任しなければとれないんですよ。権利関係に条件をつけているんじゃありませんか。だから、そんなことがどうして法律的に言えるんですかと聞いておるんですよ、私は。
  117. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 この取り扱いは法的拘束力とかそういう性質の問題じゃなくて、先ほどから施設長官も私も答弁申し上げておりますように、長い歴史を踏まえた後に、せっかくまとまろうとしているこの時期である。逆に言うならば、なぜ忍草の入会組合が演対協に入って、演対協会長を通じて補償を受け取っていただけないのかと、そのほうを私どもはむしろふしぎに思っておるわけです。
  118. 横路孝弘

    横路分科員 いろんないきさつがあるんですよ。演対協を脱退しておるわけでしょう。だから問題は原点に返らなければならないんです。私、いきさつの議論なんか全然する気はありませんからね。そこのところだけですよ、問題は。  権利に条件をつけたんですか、つけるつもりなんですか。「演対協会長に委任した者に限る。」と、そしてそのことを演対協に入っていない者にどうして強制できるんですか。どうして強制できるんですか。強制できるとするならば、その根拠を示しなさいと言っておるのですよ。強制できなかったら、こんなことやめなさいよ。いきさつや経過の問題じゃなくて、原点に返って、国民の側にこういう要求がある。——いいですか。そして山中防衛庁長官は、ともかくこれを支払わないでおくということは、国としてできないことだ。思想、信条では差別をしない。そして少なくとも個人個人が、それぞれの権利に基づいて林雑補償金の給付を受ける権利を持っているんだ。そうするならは、どうして原点に返って処理をするという——しかも三月一ぱいですよ。明確にしてくださいよ。つまり皆さん方やっていることは、拘束力は演対協の中には持つとしても、その外には及ばないでしょう。及ばないとするならば、要求が出ているんだから、直接交渉しなさいと、こう言っているのですよ。どこか間違っておりますか。
  119. 田代一正

    ○田代政府委員 何回もお話しいたしておりますように、昨年の覚え書きによりますというと、林雑補償については「国と、北富士演習場対策協議会との間において、協議されたところにより、措置される」ということでございます。したがって、いまの御質問は、入ってないのが一体拘束を受けるかというお話でございますけれども、この覚え書きの趣旨に照らしますならば、入っていない方もやはり演対協を通じて国と折衝していただきたい、こういう趣旨になるんじゃないかと思います。
  120. 横路孝弘

    横路分科員 それは皆さん方の念願や希望としてはわかりますよ。問題は、そういうことは法律的に拘束力を持ちますか。事故が起きた。遺族会を結成した。そこで国との間に交渉についてのいろいろな覚え書きをきめた。こうしましょう。その遺族会に入っていない遺族に対して強制できますか、一体。強制できますか。そんな法理論一体どこにありますか。
  121. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 おことばを返すわけではありませんが、遺族会の例とこの問題とを、同じような観点から、法的拘束力があるかどうかという点でとらえていただくような性質の問題じゃないと思うのです。と申しますのは、この林野雑産物の補償というのは、演習場の自衛隊または米軍による使用という問題と地元の民生という問題との調和、安定というものをはかりながら、長い歴史の過程においていわゆる行政措置として行なってきた補償であります。したがって、そういう前提が成立するような形でこの補償が円満に支払われることが、国としても望ましい姿であり、地元としても、そうあっていただきたいわけでありまして、そういった点から演対協という窓口を通じてお支払いするということが、この補償の従来の歴史なり性質にも合うというふうに考えて、そういう形をわがほうとしても望み、考えているわけであります。
  122. 横路孝弘

    横路分科員 だから、その時点の議論は、池田総理大臣の答弁書、それから山上施設長官の回答書で、もう明確なんですよ。この山中防衛庁長官の去年の六月の答弁だって、もうそこに戻る必要はないんですよ、これは。権利義務関係で考えれば同じでしょう、遺族会の補償の問題と。それはいきさつや経過はあったんですよ。経過があるから、こういう問題になっておるんでしょう。こういう問題になって、いまこの三月の時点でどうするかという問題ですよ。当然長官、これはもう忍草入会組合のほうから、あるいはその構成する組合員の代表という形でもってお話をしたいといった場合に、皆さんのほうで断わる、いやそれはだめだ、これはこういうことだと、それは法律的にこうですよということは言えないですわな、沿革は別にしても。会って話することがどうしてできないのですか。何を皆さん方心配されているのですか。何を一体配慮されているのですか。  あなた、この六月の答弁では、少なくともほっておくことは国としてできないことだ、個人個人はそれぞれの権利に基づいての林雑補償金の給付を受ける権利を持っている。この忍草は二百三十名、一人一人と会うのはもちろんたいへんだ。組合があるわけでありますから、この入会組合の代表者とお話をされる、どうですか、問題はすぐ解決しますよ、これは。あなたのこの答弁の趣旨にも合うのです。われわれのほうで話をしますから、どうですか。
  123. 山中貞則

    山中国務大臣 それは去年の答弁ばかりではなくて、先ほども私はそう申し上げたのです。その後参議院の社会党の議員の方からの要請で、それはもっときちんと権威あるものにしろという御要請もあって、閣議了解事項として、あらためてその内容を確認をしております。したがって、そのような支払いの手段をとるということでありますから、その手段をとるだけのことであって、権利を消滅したものとみなすことはできない、そのとおりであります。しかし、会ってお話をしてお支払いをする場合は、それは演対協という約束どおりのルートを通じてお支払いをするという約束を守るということになるだろうと思うのです。
  124. 横路孝弘

    横路分科員 ですから、その約束の拘束力がないと私は言っているんですよ。どうしてその拘束力がありますか。そういうことをどうして強制できますか。強制ですよ。どうして強制できますか。
  125. 山中貞則

    山中国務大臣 強制ではなくて、そういうお互いの、県も関係市町村も、そして恩賜林組合も入られての、演対協を窓口とするということで演対協をおつくりになって、そこを通じて支払うということになって、政府も閣議レベルでそれを確認をいたしておるわけであります。したがって、その支給の手続をおとりくださればお支払いをすると言っておりますから、支払わないと言っておるわけではありませんので、そういうふうにして、なるべく年度内に全員支給ができるようにしてほしいということを考えております。
  126. 横路孝弘

    横路分科員 だから、その手段を演対協会長に一任しなければならぬということは、結局そのまま権利義務関係になるでしょう。その手段をとらなかったら、だめだというわけでしょう。その手段をとらなかったら、だめだということは、どうして言えますかと聞いているんですよ。
  127. 山中貞則

    山中国務大臣 だから、私はだめだと言っておるわけではありませんで、もしそれが年度内に演対協を通じて支払うことができなかった場合、その場合には四十九年度予算に準備しておりませんから、国の義務としては昭和五十年度予算になりますということを申し上げたら、それをとがめられたわけですけれども、だから国としては、あくまでもお支払いはするという立場をとるわけです。
  128. 横路孝弘

    横路分科員 支払いはするという、これはもう当然そういうわけですよ、それは権利があるわけですから。ただその手段を、こちら側の道筋でなければだめだということは言えないことでしょう。直接話をするということならば、すぐ解決するんですよ。だから、どうして演対協会長に一任をしなければだめだ、委任した者に限る、白紙委任状をよこせ——復代理人の選任ですよ。それは法律的にいうと演対協会長には権利がないからでしょう。ないから、まず組合長に代理をさして、さらに復代理ということになるわけですよ。それはもとをたどっていけば、どうなるかといったら、個々の一人一人に権利があるということでしょう。  いいですか。この代理契約というのは、どういう意味か知っているでしょう。復代理人選任制というなら、復代理人はいやだといって、こっちは直接やりますよということができるんですよ。復代理人でなければだめだなんて、そんな法律的な拘束力はどこにありますか。だから皆さん方は、復代理人選任、そうでなければだめだと言っているんですよ。そんな話が通りますかと言っているのです。
  129. 田代一正

    ○田代政府委員 いまのお話は、結局演対協を通ずるという形において、それを法律論的に置き直してみると復代理とか代理とかいう観念がそこに出てくる、こういう意味じゃないかと思います。
  130. 横路孝弘

    横路分科員 何を言っているの、あなた。この処理要領を見れば、「演対協会長に委任した者に限る。」と、こういって、演対協会長は復代理人に選任だ、こういう方針ですよ、皆さん方の方針は。つまり復代理人というのは、まず権利者がおって、その権利者がだれかに代理の契約を結ぶ、そしてさらに、そこからそちらに代理をする。だから復代理人選任ですよ。そうでしょう。そうすると、演対協会長でなければだめだったら、その先のほうの、本来からいうと権利義務のない関係のところでなければだめだと言っているわけですよ、皆さんのほうは。それをばらしてしまえば、もとのほうから直接できるんですよ、これは。だから、復代理人選任なんということを皆さん方は要求しているわけでしょう。そうでなければだめだと言っている。だから、復代理人選任ということを皆さん方が方針にされている意味は何かといえば、個々の権利義務関係というのは、演対協の会長のところにあるのじゃなくて、一つ一つのもとのところにあるのだ、こういう考えでしょう。だから復代理人選任と言っているわけですよ。その場合は、法律的にいうと権利を持っているのはだれか、請求するのはだれかといえば、それは一番大もとのところにあるから、そこが、復代理人を選ぶのはいやですよと言っている。いま言っているのは何かといったら、国のほうは復代理人を選べと言うわけ。忍草は、復代理人はいやだ、自分たちが直接やりたい、あるいは組合長に代理を渡して、そこでもって交渉をしたい、こういうことを言っているわけです。だから、皆さんのほうで復代理人でなければだめだなんと言うことは、これは法律的に、どこをひっくり返してみたってそんな話は通用する話じゃありませんよ。そういうことをやろうとしているわけですよ、皆さん方は。
  131. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 たびたび同じようなことを繰り返すようでございますが、問題は復代理人という法律関係の問題じゃなくて、そういう姿としての演対協を通じてお支払いするということが——忍草だけじゃなくて、北富士演習場関係に一市二村、恩賜林組合、忍草を除いても九つの入り会い団体があるわけでございます。そういった人たちがすべて円満におさまるためには、忍草一団体がここでそういう姿に入っていただくということが全体のために望ましい、そういうことでこれを願っているわけです。
  132. 横路孝弘

    横路分科員 だから、それはあなた方の希望ではあっても、もうそうできなかったら、もとの関係に戻って処理されたらどうですか。国のほうは復代理人でなければだめだと言っている。忍革のほうは直接話をしたいと言っている。問題は簡単なんですよ。  私が聞いているのは、長官、その復代理人でなければだめだということは、法律的に何で言えるのかと言っているんですよ。あなた方は円満に解決したい、円満に解決したい、それをやってきてだめだから、こういうことになっているわけですよ、現在の時点に。
  133. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほど私答弁しましたのは、私どもの役所のほうのということを申し上げましたが、その前に、地元の事情を一番よく知っていられる県の立場としても、関係市村の立場としても、恩賜林組合の立場としても、これが一番望ましいのだということで線を出しておられるわけですから、われわれもそれを一番望ましい姿として受け取っているわけです。
  134. 横路孝弘

    横路分科員 あなた方の願いや希望じゃなくて、いいですか、復代理人でなければだめだというのは一体どういうことですか。法律的に答えてください、法律的に。復代理人とでなければ交渉しないということはどういうことですか。直接何にも権利義務関係はないんですよ、演対協の会長なんかと。
  135. 田代一正

    ○田代政府委員 これはこういうぐあいにお考え願ったらいいのじゃないのでしょうか。つまり、演対協を窓口にする。演対協を窓口にいたしますが、その下部と申しますか、直接接触するのは入会組合という手段がある。それからさらに権利者と申しますか、そういう方がいる。その関係を結んでみて、演対協を窓口とするという形を具現する形として、法形式としてはやはり代理、復代理、忍草の場合と違って、ほかの組合の場合はちゃんとそういう話に乗ってきたので、やはりそこで代理ということがある。その組合から演対協に復代理人という形が行なわれる、その復代理人と私どもが話をする、こういう形になってきておるわけでございまして、さっきから何回も申し上げておりますように、演対協を窓口にするという形を法律的に開いてみたらそういう形になるのじゃないかということでもって、実際の仕事が法規的に行なわれる、こういうことじゃないかと思います。
  136. 横路孝弘

    横路分科員 それは窓口じゃなくて、委任した者に限ると言っているわけですよ。復代理人でなければだめだと言っているのです、あなた方は。権利義務関係をばらして考えればそういうことですよ。権利者でも何でもない演対協の会長に、この復代理人として、そうでなければだめだ、話をしないといって窓口で断わっているわけでしょう。権利者がおって、代理関係があって、さらにそれをまただれかに代理する場合に、復代理というのが出てくるわけですよ。その委任状を全部配っているわけですよ、皆さん方のほうで。復代理でなければだめだということで、文書も入れて。だから、そんなのは何にも法律的に根拠がないじゃないかと言っているわけですよ。これは当然でしょう。経過や何かはどうでもいいですよ。復代理人でなければだめだということは言えないでしょう、法律的には、皆さん方は。
  137. 田代一正

    ○田代政府委員 もう何回も申し上げておりますけれども、復代理人でなければだめだといった言い方は、演対協を窓口にするということ、政府がそれに従うということになれば、おのずからそういうことになってくるのじゃないか、こういう意味だと思います。
  138. 横路孝弘

    横路分科員 あなた、何を言っているのかさっぱりわからぬですよ。「委任した者に限る。」復代理人でなければだめだと言っているわけですよ。だから、それは法律的にどういうことなのか答えてください。どうしてそれでなければだめなんですか。一体あなた、どこにそういう法律関係、復代理人でなければだめだ、直接の関係では交渉を全然しないなんということがありますか。いままでそういう処理のしかたをしていますか。ここだけでしょう。あの全日空のときだって、遺族会ができる。話を何人かでまとまってやろう、まとまればそれでいいんですよ。しかし、それは不満を持っている遺族の人には何にも交渉力はないんですよ。だから、そっちは裁判を起こすなり、直接また別に話をするということを当然やらなければだめでしょう。こんな、だめだなんということが一体どういう理由でできるのですか、法律的に。経過の問題じゃない。権利義務関係の問題だ。
  139. 田代一正

    ○田代政府委員 この北富士問題は、盛んに経過の問題はさておいてという話をされますけれども……。
  140. 横路孝弘

    横路分科員 権利義務関係に戻して考えてください。
  141. 田代一正

    ○田代政府委員 そこで、先ほどから何回も申し上げておりますように、演対協を窓口にするという基点に立って、法律関係の権利者、組合、演対協を通じた流れを考えると、代理、復代理という形になってきて、そこでその復代理を受けた演対協を窓口とするということになりますと、その復代理を受けた方と話をするということになるのじゃないか、こう考えます。  現に、演対協加盟の組合はもちろんのこと、従来演対協のアウトサイダーでございました北富士入会組合につきましても、それに似たような形でもってすでに事案が終了しておる、こういうぐあいに聞いております。
  142. 横路孝弘

    横路分科員 だから、あなた方、それを強制しているわけでしょう。いまあなた、それを認めたわけですよ。復代理でなければだめだということで指導しているわけでしょう。だから、その復代理でなければだめだということが何で言えるのですかと言っているんですよ、法律的に。権利義務関係は別にあるんですよ、国と入会組合との間に。あるいは皆さん方の言い方をすれば、国と一人一人の構成員との間に。それを、こうでなければだめだ、復代理を選任しなければだめだなんということが何で言えるのかということです。
  143. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 また同じような答弁だというようなことになるかと思いますが、この問題はそう法律的にだめだとかいいとかいう問題じゃなくて、どうして演対協を通じていただけないかというところにむしろ原点があるのじゃなかろうかと思います。
  144. 横路孝弘

    横路分科員 同じことを何回でも聞きますよ。どうして復代理でなければだめだということが言えるのですか。
  145. 田代一正

    ○田代政府委員 これは一つは、一種の権利義務関係の中で、権利と申しますけれども、昨年の閣議了解の線で政府はこの入り会い権の問題について決定をいたしておりますが、入り会い権自身は政府の立場としては認めておるものではございません。長年の慣行その他に応じまして、いわば一種の行政措置的なものとして、われわれは考えているわけでございます。で、権利と申しましても、広い意味の権利という、請求権と申しますか、そういう点はあるかもしれませんけれども、やはり性格が、いわゆる完全な入り会い権に基づく請求ということでもございません。そこにやはり完全なる、たとえば物権的な要素を完全に持った権利というようなものと、それについてはものの考え方を若干変えてもいいのじゃないかというぐあいな感じが私はいたします。
  146. 横路孝弘

    横路分科員 私は入り会い権なんということは、いままで一言も言ってないですよ。そこを言うと、またいろいろ議論が始まるから、私はそこを避けているんですよ。  私が言っているのは、去年の四月の覚え書きをかわしたあとの山中防衛庁長官の答弁をもとにして言っているわけですよ。参議院内閣委員会。国としては放置できない。少なくとも個人個人はそれぞれ権利に基づいて補償金の給付を受ける権利を持っている。その中身は何でもいいんですよ。ともかく権利者がおって、義務者がおる。その義務者のほうが、第三者に復代理でもって、あなた方代理をしなければだめだということは、一体どういう根拠に基づいて言っているのですか、法律的根拠を明らかにしなさいと、こう言っているわけですよ。  民法の原則からいって、そんなことは全然ないですよ。あるいは皆さん方も、いまだってそんなことは一度もおやりになってないですよ。国がいろんな補償を払う場合に、全然いままでそういうことをやってないでしょう、そうでなければだめだなんということを。しかも皆さん方は、その給付を受ける権利があるということは、もう認められて、方法はこうだといって、四十二年から四十四年までは、忍草のほうだって、それでよろしいということになっていて、だから直接話をしたいというのをどうして窓口で断わるのですか。だから私は言っているわけですよ。権利義務関係がこうある、代理関係、復代理関係、その復代理人とでなければだめですよということが、どうして言えるのですかというわけですよ。
  147. 田代一正

    ○田代政府委員 お答えします。  それはやはり根源的なものの考え方で、そういうものに入りたくないというお話もございますけれども、やはり忍草その他林雑の補償と申しますか、それはすべて権利、いわゆる物権的な権利に基づくものでない、一種の行政措置と申しますか、そういう色彩を持ったものであるだけに、そういういま議論がございます復代理人に限定するということも、やはりその点から出てくるのじゃないか、こう考えます。
  148. 横路孝弘

    横路分科員 そうすると、あなた方のほうは、復代理人でなければだめだ、それはもう当然この補償問題の権利義務関係において、そういうことを国のほうとしては言えるのだ、こういうことですか。たとえば自民党でなければだめだとか何だとかということが言えますか。思想、信条によっては差別をしない、みんな一様に給付を受ける権利を持っている、義務者のほうは国だと言えば、それはやはり一応そこと交渉する、それはたいへんだから、まとめてくれという、これは国のほうとしてはわかりますよ。しかし、まとめてくれと言ったときに、まとまるものはまとまったけれども、いろんないきさつがあって、そうじゃなくて直接話をしたいと言っているのを断わることができますか、それはできないでしょうと言っているわけですよ。  あなた方、時間のたつのだけ待っているようですけれども長官、いいですか。ともかくこれは三月一ぱいなんです。忍草のほうの入会組合の組合長と会って話をされたら、どうですか。私は話をするについては、条件は一切つけません。いいですか。ともかくあなた方の責任者と組合長とで会って話をする。窓口で断わっているのですから、白紙一任でなければだめだといって。全く筋も何も通らない。これは明確に、何の立場かといえば政党の立場でしょう。あの山梨県の政治状況の中の立場を皆さん方とっておられるわけですよ。そうじゃなくて、筋からいって当然そこと話をしなきゃならぬわけです、権利の主体なんですから。それと会って話をされるか、どうですか長官
  149. 山中貞則

    山中国務大臣 私はお会いするし、話をしてもけっこうですが、支払いの方法については、それは地元のほうでそういうルートにしたいという、そういう御要望を政府も受けとめて、そしてそういうことでもって最初は覚え書きみたいなものだけだったのですけれども、権威あるものにしてくれというあなたの党の方の要望も参議院であったのです。したがって、閣議でそれを了解事項としてあらためて確認をしたということでありますから、お会いしても、しかし支払は約束どおり演対協を通じてお支払いをいたしますということですから、支払う意思もある、金の用意もある、年度内に支払いたいという気持ちもある。したがって、演対協のルートを通じてお受け取りくださいということです。
  150. 横路孝弘

    横路分科員 問題は演対協のほうに入ってないのですよ。あなた方が演対協と幾ら話し合いをして、そこできめたって、それは権利義務関係には関係ないのです。それだけ皆さん方の願望としてはわかるけれども、法律的にいうと権利義務関係に関係ないということは、長官もこれを認められるでしょう。去年ですよ、この六月二十六日の参議院の内閣委員会の議論、この趣旨変えられるわけじゃないでしょう。
  151. 山中貞則

    山中国務大臣 それは去年言ったことをことし変えるのじゃなくて、私さっきも言っているのです。その林野雑産物という性格の補償の問題についての権利ですね。一般の民法の権利とちょっと違うのですが、そういうものについては認め、そしてそれについては国も払う義務がある、予算も用意しておるというわけであります。だから、支払いのルートについてだけ、方法についてだけ意見が違うということでありますから、お会いしてもけっこうです。しかしお会いしても、支払いは約束どおり演対協を通じてお支払いをいたしますから、年度内にどうぞお受け取りくださいということで、それでやっていく以外には方法はありません。
  152. 上村千一郎

    上村主査 横路君に申し上げます。お約束の時間が過ぎております。
  153. 横路孝弘

    横路分科員 これはぜひ、私どもは今度法制局も呼んで少し議論します。皆さん方の行政指導は基本的に非常に政治的な行政指導です。ただ、ともかく会って話をする、いいですか、それは皆さん方どういう話をされるのかかってです。こっちはこっちで話しますけれども、会って話をされることだけいまお約束をいただきましたから、ひとつそれは実行していただきたいと思うのです。  それで、最後に繰り返しになりますけれども、いま言ったように権利義務関係はともかく個々の入合組合。だから皆さん方も、入合組合に代理権をまず渡しなさい、こう言っているわけです。いいですか、個々の権利者がおる、まず入合組合に代理権を渡しなさい。そしてその入合組合のほうは、さらに代理権を演対協会長に渡しなさい。そうでなければだめですよとこういうことを言っているわけです。ところが、この受ける権利というのはどこが持っているか、一人一人が持っているのか、入会組合が持っているのかは、いろいろ議論があります。だから私はそこには触れない。しかし、どういう考えをとるにしても、少なくとも個々の構成員、あるいは個々の交渉団体をつくった入会組合のほうは皆さん方と交渉をする権利がある。これは認められますね。うなづいておるから間違いがない。そうするならば、こっちでなければだめだよと言うことは、皆さん方の希望としてはわかっても、やはりここと話し合いをされるということにするのが当然国のとるべき態度じゃないか。  長官、むずかしいことじゃないんです。これがむずかしくなったのは山梨県の県内の政治状況なんですよ、われわれのほうでじゃないんです。いいですか、だからまず個々の構成員なりその代表者と、つまり入会組合の組合長と会って話をする。皆さん方がその辺はもう認められているわけです。個々の権利がある。だから入合組合にまず代理権を渡しなさい、入会組合のほうは演対協の会長に代理権をさらに渡しなさい、こういうことを指摘しておるわけですよ。長官、その関係を明確にした上で、そのことはお認めになって、そして会って話をされるということにひとつ——これは当然そうでなきゃ、権利がなかったら別に会う必要はないわけですからね。皆さん方がそれを認められているわけだから、交渉しなきゃならないのですよ、本来からいうならば。それをいろいろなことがございまして、演対協というのが出てきて、これがいま問題の解決の処理を延ばしている最大の理由になっているわけです。  六月に——長官さっきちょっと感違いされておったのですが、四月に覚え書きができて、六月に長官の答弁があるわけですから、つまり六月の長官の答弁というのは、その四月の内容を国会で答弁されたと私は理解をするわけです。したがって、その六月の趣旨に従って、ともかくこの三月、早い機会にぜひ会って話をされる、交渉をされるというようにしてもらいたいと思います。
  154. 山中貞則

    山中国務大臣 会って、話し合って交渉するということは支払えということでありましょうが、支払いは先ほど来申し上げますとおり、これは私どもが演対協というものをつくって、そして県も関係市町村もそれに従いなさいと言っているわけじゃないので、過去のいきさつでそういうものができて、そこを通じて支払いますということになっているわけでありますから、私が会う、会わぬは別にして、関係者と相談をするということは、それは林野雑産物を受ける資格を持つ人々として会って話をする分には差しつかえない、そう思います。
  155. 横路孝弘

    横路分科員 時間が終わりますから、これでやめますけれども、ともかくいままで皆さん方は去年の四月の段階でも白紙委任でなきゃだめだということで、窓口でけってるわけですよ。それは法律的には何にも根拠のない、一方的な非常に権力的な行政措置だというように思うわけであります。  時間がないのが非常に残念でありますが、またの機会にさらに議論を重ねていきたいというように思いますので、非常に不満でありますけれども、これで終わりにしたいと思います。
  156. 上村千一郎

    上村主査 次に、中路雅弘君。
  157. 中路雅弘

    中路分科員 横須賀の米海軍基地中心であります艦船修理部の問題について御質問したいのですが、昭和四十五年の十二月に、艦船修理部は六号ドックを除いて全面返還するという発表がありまして、今日まで二転、三転しまして、二月の十四日に日米合同委員会で二4(a)ですね、米軍の管理のもとでの民間と自衛隊の共同使用ということがきまりましたが、最初の全面返還とは全く百八十度転換したような結果になっているわけです。昨年の予算の第二分科会におきましても、この問題を質問した際に、大河原アメリカ局長は、将来の方向としては日本側に返還ということで、とりあえず共同使用の形で使用を考えていきたいと答弁をされていますし、今度の協定書の中にも、これは中間的な処置だ、暫定的な処置だということが書かれていますが、そうだとすれば、この艦船修理部の返還の問題についていつごろをめどにして考えておられるのか、最初にお伺いしたいと思います。
  158. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいまも御指摘がありましたように、昭和四十五年十二月の第十二回日米安全保障協議委員会で日米合意されました横須賀の艦船修理部の取り扱いについては、今日も方向としては変わってないわけでございます。しかしこの一号ドックから五号ドックまでを日本側に返還した後、アメリカが所要艦船の修理を行なうについての、しかるべき契約その他の取りきめが日本側との間で成立するということが一つの条件になっているわけであります。  この点で過去長い間日米間でいろいろ話し合いを続けてきたわけであります。専門的な、技術的な面について、あるいは返還した後の艦船修理機能を預かる、たとえば民間業者との契約ベースの問題、そういった点につきまして、なかなかアメリカ側の立場と日本側の立場とがかみ合わないということで延び延びになっていたわけであります。この点も今後、今回の地位協定二条四項(a)の共同使用を中間的措置として成立させた後も、この日米間の話し合いは続けていくわけでありますが、いまのところそういった技術的なお互いの話し合いについて、どの程度の時期に見通しが得られるかということについては、残念ながら見通しをいま得ておりません。
  159. 中路雅弘

    中路分科員 見通しがついていない、それで暫定的な処置だと協定にあるのですが、これは暫定的な処置じゃなくて、協定の中身を見ますと、米軍がいままでと同じようにさらに一そう優先的に、自由にこの艦船修理部を使用する。その際に、推持、運営の費用、このようにかさむ部分は日本側に負担さしていく、しかし、あくまで管理権は米軍が握っていくという、もっと有効的にこの艦船修理部を使用していこうという、いわばそういう米側の意向に全面的に沿った、それを返還までの暫定的な処置だと協定の中でうたわれているとしか思えないわけです。  一、二具体的にお聞きしていきたいのですが、この協定の中に、たとえば民間の住友重機が使用することになっている四号、五号ドックは緊急の必要があれば日本側は四十八時間以内に退去する、あるいは通告を受けた場合、資材置き場その他もすぐ撤去しなきゃならないと協定の中にうたわれていますけれども、いままで、たとえば昨年度この四号、五号ドックの使用、民間の使用と米軍の使用、簡単にどういう使用状況だったのか教えていただきたい。
  160. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 御指摘の四号、五号ドックにつきましては、昭和四十八年度、四十九年二月現在までで、アメリカ側は四号につきましては八隻、百九十四日、五号ドッグは六隻、百十八日使用しております。民間側の使用実績、これは実は今回の地位協定二条四項(a)の共同使用ができる前に、一号から六号までのドックを含めて昭和三十六年に共同使用の取りきめが行なわれております。それに基づきまして昭和四十八年度、昨年四月からこの二月までの間に、民間業者の使用実績は四号で二隻、三十四日、五号ドックで二隻、十五日、六号ドッグで一隻、四日、こういう使用実績を私どものほうでは一応つかんでおります。
  161. 中路雅弘

    中路分科員 昨年の実績でも米軍使用が圧倒的に多いわけですが、今度の場合も住友重機と共同使用といっても、住友重機はこの中で艦船の修理、改造を、それはアメリカの艦船を含めてやるわけですから、四十八時間前に通告があったときにはすく明け渡すというような条件で使用する——軍事行動ですから、原子力潜水艦でも二十四時間前の通告です。おそらく使用については、ある一カ月とかなんとか使用スケジュール、現地で協定を結ばれると思うのですね、長期計画を立てられる。その中にいつ入ってくるかわからない、特に軍事行動をやる海軍の艦船ですね、この艦船のそう長期にわたったスケジュールをアメリカが出すはずがないわけですが、四十八時間前に通告すれば出なきゃならない、撤去しなければならないという条件での使用ということになれば、いわゆる本格的にこれを使用するということはできないわけですね。ほとんどそれに対応できるような艦船の修理か、アメリカの艦船の修理ということにならざるを得ないわけですが、こういう協定の中に、四十八時間前にいつでも通告されたら明け渡すというような条件で、これを民間の共同使用ですというようなことがどうして言えるのですか。全くアメリカの自由ないままでの使用と変わりはないんじゃないですか。
  162. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 地位協定二条四項(a)という共同使用の前提があるわけでございます。御承知のように、合衆国軍隊がその施設、区域を一時的に使用していないときに、日本政府がみずから、または日本国民が臨時的にそれを使用することができるというたてまえになっております。あくまで前提としては、地位協定に基づくところの在日米軍の必要な施設、区域ということが前提になっているわけでありまして、そういった点で、米軍が緊急に必要とするような場合には四十八時間以内にあけるということも、日本側の立場としては最悪の状態かもわかりませんが、そういった点を予想した取りきめにしているわけでありますが、しかし通常は、年間通じての計画艦船修理というドックのスケジュールにつきましては、日米双方十分に話し合いをやりながら、お互いにそういう支障のないような形で、せっかくのこのドックの日米お互いの共同使用の実をはかっていくわけでありますので、そういった点で、文言にあらわれているようなきびしさというものは必ずしもないというふうに理解したいと思います。  それから、今回の共同使用の中身というものは、先ほど触れました昭和三十六年の同じ横須賀のドックにおける共同使用に比べまして、面積的にもドックだけではなくて、その周辺の岸壁とか、建物におきましても民間側が十三棟、海上自衛隊側が九棟というふうに、その他の艦船修理設備につきましても相当広い範囲での共同使用の中身を盛り込んでおりますので、相当な前進をはかったものと考えております。
  163. 中路雅弘

    中路分科員 この共同使用の問題については、新聞の報道でも、昨年の六月に事務レベルではすでに合意ができていた。なぜ今日までおくれたかということを最大の問題として各新聞も扱っていますが、この四号、五号の共同使用の条件についてハワイの米海軍太平洋艦隊司令部からつけられた強硬な条件、いまおそらくそういうことはないだろうというわけですけれども、協定の中にはっきり書かれているわけですから、これは守らなきゃいけない。これに対して、この条件を全面的に日本側がのむということで、今度の協定まで一応できたのだ、なったのだということが、各紙、新聞も報道していますけれども内容を見ますとまきにそのとおりですね。アメリカの完全な自由な使用、そしてこの艦船修理部の維持経費その他を日本側に負担をさしていく。古いのですが、アメリカの七二年度の会計年度のこの艦船修理部を中心にした費用を見ますと、約千三百万ドル、四十億四千万の金がかかっているわけです。これをできるだけ日本側に負担させようというところに中心の意図があるということははっきりわかるわけです。  もう一つ、この協定の中に第五岸壁の延長、改修を在日米軍の承認のもとに認めるというのがあります。住友重機が第五岸壁の延長をする、これを米軍の承認のもとに認める。そうするとこれは提供施設じゃないですね。住友重機がつくるわけですね。こういうことはできるのですか。
  164. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 第五ドック及び第五バース付近を共同使用ということで使用される予定になっております民間業者として、御指摘の住友重機の名前があがっているわけでありますが、この第五ドックを使い、並びに第五バース付近を艤装その他の点で使うにつきましては、いわゆる民間の造船という技術の都合から、どうしても現在の第五バースに延長をはかりたいという御希望があったわけであります。ところが、その延長のもとになりますところは、あくまで施設、区域でありますし、それから延ばす部分につきましては、制限水域でもありますので、そこでこの協定の中に、一応米軍の了承を得た上で、それを日本側が工事することを認めるというふうに記載したわけであります。
  165. 中路雅弘

    中路分科員 これは住友重機がつくるわけですから、国有財産じゃないですね。また、提供施設でもないわけです。それでこの全体は共同使用と、二4(a)になっているわけですが、じゃ延長したこの岸壁はどういう使用形態になるのですか。
  166. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 これはでき上がった上で、この扱いの最終がきまることになると思いますが、住友のほうでつくられたものは住友の財産であって、これは施設、区域に隣接した工作物その他の扱いになろうかと思います。
  167. 中路雅弘

    中路分科員 このことだけ詳しくやれませんけれども、国有財産管理法でいってもこれはおかしいですね、民間の施設ですから。米軍の施設につながってつくるわけですね。共同使用です、全体が。住友がつくったものを国が買い上げて、あらためて提供施設として、手続からいえば、買い取って提供するということがやられればまた別ですけれども、この提供施設につながって岸壁を延ばす、それを住友重機が延ばして施設をつくると、これは住友の財産だ、こう言う。法的にもこれからどうするかということをきめるというわけですね。不明確なものを日米合同委員会で、この協定の中でつくる、こういうことがどうしてできるのですか。もう一言ちょっとお聞きしたいのです。どうするつもりなのですか。
  168. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 日米合同委員会でこれを取りきめるにあたりましては、日本側の内部におきましても、関係省庁と十分協議をいたしまして、延長する部分につきましては、あくまで共同使用の期間中使えるものであって、その前提がなくなったときに、そこを出ていかれるときには撤去でき得るという仮設的な工作物という形でそれを認めるということになっております。
  169. 中路雅弘

    中路分科員 これは付属物じゃないのですよ、仮設的な。岸壁を延長する、延長改修、これを米軍の承認のもとに認めるというのが協定の中にあるわけですから、それを一時的な付属物だということにするのは、これは問題があります。あらためてまた二4(a)、二4(b)、いろいろ地位協定に関した問題は詳しくお尋ねしたいと思いますけれども、おそらく、きょう大蔵省来ていただいてないので詰められないのですけれども、国有財産の管理の問題にしても問題が残るんじゃないかと思います。  自衛隊の問題できょうはお聞きしたいのですが、いま海上自衛隊がこの四号、五号の中で一時使用しているわけですが、当然民間と共同使用になれば、この海上自衛隊は、ここにいるのは第二潜水隊群、最近できましたが、第三、第四の潜水隊がいると思いますが、これは一号、三号の施設海上自衛隊と共同使用になるのですね。一号、三号のほうへこの部隊は移るわけですか、どこに移るのですか。
  170. 長坂強

    ○長坂政府委員 一号ドック、三号ドックのほうへ移ります。
  171. 中路雅弘

    中路分科員 横須賀の一号、三号ドックのところは、水深も非常に浅いわけですし、四、五メートルだと言われていますが、いまいるところは約十メートル前後ある。それからいま入っているところは、建物でいいますと、A七十八、A八十、A八十二、こういうところに入っているわけですが、この建物の広さは、一号、三号で見ますと、今度移るところは半分以下、Aは十九、A二十の一部に入るしか方法ないと思うのですが、半分以下の施設ですし、そして潜水艦の中でも、おそらく四十九年度に就役する潜水艦、涙滴型の潜水艦等はこの一号、三号ドックには入れないのではないかと思うのですが、移るということはどうすることですか、どういうふうにするのですか。
  172. 長坂強

    ○長坂政府委員 第五ポンツーン、先ほど一号ドック、三号ドックのほうへ移りますとお答えしましたが、正確には第五ポンツーンのところへつけるつもりでおります。  それから先生お問い合わせの水深の問題ございましたけれども、これは別にしゅんせつなどをする必要ございません。いままで私が海上自衛隊から聞いておりますところでは、現在の第五ポンツーンのところへつけて十分やれるというふうに聞いております。
  173. 中路雅弘

    中路分科員 いままでも一、三号ドックは米軍はほとんど使ってなかったのですね。小さい改修のドックですから第七艦隊は必要なかった、ほとんど使ってなかったわけです。だから、ここへ自衛隊の潜水艦基地を設ける、艦隊を設けるということですから、この問題にしても、全面返還ということではなくて、文字どおり日米の潜水艦基地に横須賀がされていく、むしろそういう意味では、新しい機能の面でいえば、海上自衛隊潜水艦基地をここにしっかり足場をつくるということになると思うのですけれども、この自衛隊の共同使用になりました一号、三号で、四十九年度予算では幾らの予算が組まれていますか。それはいままで四十七年度二億七千万、四十八年度八千万一応予算はついていました。三月一ぱいに現地協定ができるかどうかということにも関係すると思いますけれども、大体年間どのくらいの予算がつけられるわけですか。
  174. 長坂強

    ○長坂政府委員 お答えいたします。  四十八年度は光熱水料等の維持費、器材等の維持費約八千万円、それから四十九年度は光熱水料等の各種の維持費的経費として約一億二千万円、ドックの改修費約二千万円を計上しております。
  175. 中路雅弘

    中路分科員 自衛隊もいまお話しのような相当な予算を維持のために使用するわけです。それで民間に四号、五号は維持、管理をもう分担させるということで、人手で見ても財政的にも相当の維持、管理を日本側に負担をさして、あくまでこの艦船修理部は返還しないということがはっきりしてきているわけです。  もう一つお尋ねしておきますけれども、この民間使用、共同使用と関連して、いままでの駐留軍労働者の解雇の問題、私が調べましたら、住友のほうが、駐留軍労働者が平均年齢も高いですから、五十歳ぐらいになっていますから、賃金でいいますと二、三割安いという数字が出ていますけれども、この共同使用と関連して駐留軍労働者の解雇の問題はないかどうか。
  176. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  今回のSRFの共同使用の協議が行なわれました四十七年の十一月に、いまおっしゃいましたような心配があるかどうかということで、日米間で話し合いがございまして、こういう共同使用措置のために艦船修理部勤務の日本人従業員の解雇は行なわれないということを、外務省からもその当時発表いたしております。そのあと四十八年、昨年でございますが、昨年の六月、私どもの庁としましても在日米海軍司令部から同じような説明を受けて、かわってないということを確認いたしておりますし、さらにまた念を入れまして、ことしの一月神奈川県のほうから同じ在日米海軍司令部のほうに照会いたしまして、同じような回答を得ております。
  177. 中路雅弘

    中路分科員 この問題では駐留軍労働者の組合のほうでも非常に心配しているわけです。しかし、この問題での団体交渉はまだなかなか応じられないという話ですから、いまのお話ですと、解雇しないということなら組合との関係でもこのことを明確にさしていただきたい。そして米軍のほうも、直接住友関係だと言わなくても別の口実を設けてまた解雇ということもあり得るわけですから、そういうことも含めて共同使用に関連して解雇はしないんだということを明確にしていただきたいと思います。  時間も残りありませんから、私はもう一つお聞きしたいんですが、横須賀に第二潜水隊群ができる。そして、いまのように潜水艦基地もできてくるという中で、今度横須賀地区の海上自衛隊の病院に、潜水医学部の実験部に、潜水艦環境再現装置というのを設置されるということが報道されていますが、これは事実ですか。
  178. 鈴木一男

    ○鈴木(一)政府委員 事実でございます。
  179. 中路雅弘

    中路分科員 横須賀にこういう人体実験を含めた潜水艦環境再現装置というものを二カ年計画で四十九年度から予算もついていますし、つくられるということも明らかですが、もう一つ潜水艦乗り組み員の訓練をやる装置、シミュレーターですね。シミュレーターはいまどこに——時間もありませんから、呉に旧式のが一式だけあるわけですが、実際の訓練はハワイで現在やっておられると思うんですが、これは事実ですか。
  180. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 潜水艦乗員のシミュレーターを使っての訓練は、御指摘のとおり呉の潜水艦教育訓練隊において実施しております。ただいま御指摘のハワイにおける訓練は、毎年一年に一ぺん程度行っておりますが、潜水艦及びその乗員の能力向上とそれから潜水艦の船としての訓練を行なっておるわけでございます。
  181. 中路雅弘

    中路分科員 これも幾つかの新聞に出ていますが、これは一月二十六日の「神奈川新聞」ですが、運輸省の内田局長——米軍が、いま四号、五号ですね、自衛隊が一時使用しているところ、先ほどあげましたA七十八、八十、八十二、こういった施設について一年後ぐらいに潜水艦の訓練施設、シミュレーターを持ってくる、自衛隊も使うという報道が流れていますが、これに関連して、この新聞報道ですと、運輸省の内田局長が、この訓練施設潜水艦用のものかどうかについては言明を避けたが、日米の合意にあたっては訓練施設の用途についておそらく明文化されないだろう、しかし訓練施設をつくるということは認めたという新聞報道がありますが、これは事実ですか。
  182. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 今回の横須賀艦船修理部の共同使用の日米間の作業を行なっている過程におきまして、ただいま御指摘の地区にあります三棟ほどの建物のうち、一棟または二棟をあるいは一年後にアメリカがもう一度使いたいということになるかもわからぬという話が、交渉過程で出たことはございます。しかしながら、それが何に使われるのかというようなことも別に特段にはっきり指摘したわけではありませんし、また、最終の話し合いにおきましてはその問題は消えておりまして、確実な形で今回の共同使用に乗っかっておるわけではございません。
  183. 中路雅弘

    中路分科員 先ほどから御質問しております中で触れましたように、いままで呉にあったのを、横須賀にも第二潜水隊群をつくられた。そして一号、三号を今度潜水艦基地としても使用される、あるいは医学実験の装置も二年計画でつくられるという経過を見ますと、横須賀が海上自衛隊潜水艦基地として強化されてきていることは事実なわけです。また、潜水艦乗り組み員の訓練を、呉にあるのは非常に旧式ですから、先ほどお話しのようにハワイへ行って訓練をしているということも事実ですね。横須賀に海上自衛隊としてシミュレーター訓練施設を設けたいというのは当然のことだと思うんですけれども、アメリカが、もう一度これを返してもらいたい、使いたいと言っていたことは、交渉の経過の中であったということはいまお話しになったわけですが、アメリカがそこへ何を持ってくるか、内田局長は明言はしないだろうけれども、訓練施設だろうと運輸省のほうでは言っています。当然これは自衛隊も使用するというふうにならざるを得ないと私は思うんですけれども、この問題についてまだ幾つか、防衛庁の皆さんがアメリカとの関係でどういうことの折衝をやられているかという問題については、詰めて別の機会にお話しますけれども、このシミュレーターですね、潜水艦訓練施設、これを横須賀にアメリカのほうは設置をするという問題については、その考えはいま全くない、あるいは自衛隊がそういうものを設ける、使うということはいま考えてないのかどうか、その点だけこの席でもう一度念を押しておきたい。
  184. 大河原良雄

    ○大河原(良)政府委員 いま御指摘がありました地区において、米軍が潜水艦の訓練基地として使用する、あるいは潜水艦のシミュレーターを設置するというふうな新聞報道がありましたために、その事実を確かめましたところが、米側はそういうことは全くないということを確認いたしてございます。  自衛隊の関係につきましては、防衛庁のほうからお答え願いたいと思います。
  185. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 海上自衛隊といたしましても、そのような計画はございません。
  186. 中路雅弘

    中路分科員 防衛庁のほうは否定されているわけですけれども、運輸省のほうではそういう意見も出ています。この問題はあらためてまた別の機会に御質問することにいたしますけれども防衛庁のほうはそういう計画はないという答弁なんですね。その上に立ってもう少しこの問題は続けさせていただきたいと思いますけれども、時間が過ぎていますので、終わらしていただきます
  187. 上村千一郎

    上村主査 次に、吉田法晴君。
  188. 吉田法晴

    吉田分科員 防衛庁長官にお尋ねするのは短時間ですから、ちょっとおつき合い願います。  二つお尋ねをしたいんですが、防衛庁に対しては、山田弾薬庫を北九州市の緑地公園に払い下げの問題であります。私が申し上げるまでもございませんが、北九州市ができましてから、市議会でしばしば議決をして払い下げを意見書として出しております。要請をしております。これは御承知のことだと思いますけれども、戦争中にあそこの山田弾薬庫の一部で爆発が起こりまして、多数の死傷者が出たということが一つ。それから地図でごらんになるとわかりますけれども、もう周辺には家が立ち並んでおりまして、そして地下貯蔵庫の範囲は八幡の中央の近くまで来ているということであります。もし万一のことがあれば、北九州市の相当部分が吹っ飛ぶ。それからあそこに、小倉に原爆を投下しようとして、雲がかかっておったから長崎に行ったということは御承知のとおりであります。市の中心部に近く山田弾薬庫があるということは北九州百万の市民としてたいへんたえがたいものである、心配の問題でございますから、早くからこの山田弾薬庫の平和利用のために請願書を出し、あるいは意見書を出してお願いをしておるところであります。  最近の、地元西日本新聞の報道するところによりますと、大蔵省では緑地として北九州市に払い下げるという方針がきまったかのように承りますが、まず大蔵政務次官にお尋ねをいたしたいと思います。  福田大蔵大臣から、山田弾薬庫の払い下げ問題についてこれを急ぐようにという指示があったということですから、大蔵省の意思といいますか、あるいは御意向というものはきまったやに承るのでございますが、まず大蔵政務次官の御答弁をお願いいたしたいと思います。
  189. 井上幸夫

    ○井上政府委員 お答えいたします。  山田弾薬庫の問題につきましては、ただいま私のほうの北九州の国有財産審議会に付議中でございまして、その処理方針は現在確定しておりません。
  190. 吉田法晴

    吉田分科員 新聞が報道いたします大蔵大臣から政務次官に対して云々というニュースがございます。それでは審議会の結論は出ていないとしても、大蔵大臣の意思は私は個人的な意思ではないと思いますが、大蔵省としてはそういう努力をせよという大臣指示を通じて大蔵省の意思は伝わっておる、あるいは私どももそう承知していいのかどうか、そこのところをお尋ねいたします。
  191. 井上幸夫

    ○井上政府委員 大蔵大臣から政務次官におりています指示というのは、処理を促進せよという指示であると承っております。
  192. 吉田法晴

    吉田分科員 促進する方向は、それでは北九州市が希望するような平和利用あるいは緑地云々という点も含んでそれを促進するようにという御意向であったのかどうか、重ねてお尋ねします。
  193. 井上幸夫

    ○井上政府委員 ただいま山田弾薬庫に関しまして利活用の御要望のございますのは、地元北九州市と防衛庁とでございます。いずれも公用、公共用という目的のためのものでございます。それで私どものほうといたしましては、大蔵省が直接管理をしております財産としては二番目に大きな財産でございまして、当然その財産の大きさその他からいいましても、慎重にその処理方針を決定すべきものと心得ておりまして、北九州の国有財産審議会におきまして特に返還財産の小委員会を設けまして御審議を願っている最中でございまして、御要望は二つでございますので、当然地元の御要請も含めて御審議を願うということになろうかと思っております。
  194. 吉田法晴

    吉田分科員 時間がございませんから、簡明率直に御答弁をお願いをしたいのでありますが、米軍から返還をされて、普通財産として大蔵省が所管しておられることは承知をいたしております。米軍から払い下げられる前から北九州市はその危険性といいますか、市民感情を考えて平和利用をさしていただきたい、あるいは北九州市に払い下げてもらいたい、こういうことを何回もお願いをしてまいりました。普通財産になって、それは防衛庁のほうからもあるいは希望が出ておるかもしらぬと思いますけれども、大蔵大臣が、地元出身でございますけれども、大蔵政務次官に促進するようにと言われたについては、出田弾薬庫払い下げの問題を解決を急ぐようにと指示されたと地元新聞は報道いたしております。これは地元の新聞だからだと思いますけれども、その後のあれを聞きますと、世論の理解するところでは、これでほとんど山田弾薬庫の平和利用、北九州市への払い下げは決定的になったのではないかと思うほど大きな期待とそれから賛意を表しているわけであります。形式的な答弁でなしに、大蔵大臣が指示をされたというのは払い下げの方向で、北九州市への払い下げの方向で指示をされたと承知をいたしますが、そこのところをひとつ明確に御答弁を願いたい。
  195. 井上幸夫

    ○井上政府委員 大蔵大臣から政府次官への指示のこまかいあやにつきましては、私承知をいたしておりません。大きな財産でございますので、当然国有財産審議会の審議を待って判断すべきものということでございますから、どの方向でということは通常あり得ないものと考えております。
  196. 吉田法晴

    吉田分科員 大事をとって慎重な答弁をされますが、それでは防衛庁長官にお尋ねをいたしますが、新聞の報ずるところによりますと、また、私どもも常識的に考えてそうだと思いますけれども、一ころは米軍が管理をしております間に、あるいは地対空ミサイルのナイキだとか、あるいはホークの搬入も考えられなかったわけではないけれども、それは地元を刺激するというので、やめられた。それから、四次防の中でも三千トンの弾薬を備蓄する計画はまだない、五十一年まではないことだから、防衛庁の中にも市民の感情を考えて、市民の感情をさかなでするようなことはすべきではない、あるいは返還についても考えるべきだと、山田弾薬庫問題を洗い直すことになったという報道等もございますが、当面の事情からいって必要性がないのではないか、こういうことが新聞にも報道されておりますけれども、その辺はいかがなものか承りたい。
  197. 山中貞則

    山中国務大臣 私も、現状は小倉駅のほうからずっと住宅が迫ってきておりますしね、その市民感情あるいは市行政当局のお立場というものはよくわかります。  ただ自衛隊としては、皆さん御承知のような環境で、一般の部隊も新設がなかなか場所がむずかしゅうございますし、ましてや弾薬庫等の新設等はきわめてむずかしい環境をしいられます。したがって、私どもも一応大蔵省のほうにわれわれ自衛隊が将来使う弾薬庫として、全部というつもりはございません、これはもうあの空中写真等から見ても市街地に隣接するところ、住宅等が隣接してきておるところあたりはどうしても地元と相談してわれわれも欲ばったことをしてはいかぬというような気持ちは持っておりますが、しかし、防衛庁も一応候補者として大蔵省の審査を仰ぎたいという気持ちは持っておりまして、何が何でもという気持ちではありませんが、できるだけそういうことで地元との間に何か折衷案みたいなものができないだろうかということに望みをかけておるわけでございます。
  198. 吉田法晴

    吉田分科員 防衛庁が、自衛隊で使いたい、あるいは確保したいというニュースが伝わりましたときに、総務局長をしております榎本君が、これは小倉にも関係をしたことでございますが、「防衛庁の手を離れて、大蔵省管理の普通財産となったものを、法律にひっかけて地元説得とは筋違いではないか。」——これはいま審議をされております基地周辺整備法にかけて防衛庁が入手をしたい、こういうことを言っておるのであります。「法律にひっかけて地元説得とは筋違いではないか。航空写真を見てごらんなさい。周りは住宅が立て込んでおり、とても弾薬庫なんか造れる所ではない。こういうやり方には市民が反発する。市としてはあくまで市民のための自然緑地として全域を返還してもらうよう強力な陳情を続ける」と反発したと書いてある。この市民感情と周辺の事情は、防衛庁長官もいま認めていただいたところ。それから、どの程度か市に通知されたところもあるようでありますが、その大半を野鳥公園として、地元の住民の自由な立ち入りを認めるように開放さるべきだという意見も、防衛庁、あるいはこれは大蔵省を含んでと思いますが、ほとんど決定的なように聞いているのです。その辺は確かめたいところであります。  そこで、さしあたり必要でないならば、あるいは四次防期間中は山田弾薬庫の必要はないというのであるならば、大蔵省それから防衛庁の折衝なりあるいは市議会の議を経るということはこれは当然だと思いますけれども防衛庁側おいても、市民の感情を考えると、山田弾薬庫は、あの土地は、あの位置のあれだけの弾薬庫については、これはあきらめるのが妥当ではないかと、賢明な防衛庁長官のことですから、お考えをいただきたい、余裕を持って協議を願いたいと、これは要望をしておきます。  時間が限られておりますので、もう一つ問題を持っておりますから、山田弾薬庫のことについては、防衛庁長官それから大蔵省に要望をいたしておきまして、次はことし大阪と東京で行なわれます中国展のことであります。  中華人民共和国展覧会、通称中国展と申しておりますが、大体の経過と政府の態度は承っておりますが、質問をしようとして、担当の省庁はどこであろうと聞いて回りましても、そういうものはございません。そうして、民間で協力をされる展覧会だから、自転車振興会から五千万円、それから東京の場合には東京都から一千万円、こういうことで、いわば民間ベースでその成功に協力をしてもらいたい、政府もできるだけの気持ちの上のバックアップをしよう、こういうことのようであります。  しかし私は、国交が回復しなかった前回の一九六六年、昭和四十一年のときとは事情がたいへん違うと思うのであります。国交回復に当たられ、共同声明を出されたのは、これは田中総理、大平外務大臣、政府を代表して調印をされました。あの共同声明を実践することは、これは政府責任でもあろうかと思います。中華人民共和国が直接主催をして開かれる。日本国民も、あるいは経済団体を中心にして協力をするのは当然だと思いますけれども、しかし、中国八億の人民と日本の人民とのいい交流の機会あるいは中国を知るにはかっこうの機会だとして、一日中国に行ったつもりであの展覧会を見に行こうじゃないかという運動も進められたりしております。  その中で問題は、民間団体でやられることだから政府は精神的な援助をしておけばよろしい、こういうことにはならぬと思うのでありまして、そういう意味で、政府を代表して官房副長官に来ていただいておりますが、政府のこの中国展に対する姿勢をお尋ねをいたします。
  199. 大村襄治

    ○大村政府委員 お答えいたします。  かねてから、中国展を大阪で開催することを、大阪商工会議所を中心に大阪財界が中国側に要望してまいったところでございます。ところが、日中国交正常化を機会にこの話が具体化いたしまして、本年七月から八月にかけて大阪の万博会場あと地で開催することになり、また、九月には東京の晴海で中国展が開催される運びと相なりました。  今回の中国展は中国が主催するものでありますが、その受け入れにあたりましては、大阪では財団法人中国展覧会協会、東京では中国展協力会がそれぞれ設立されまして、万全の体制を整えております。政府といたしましても、できる限りの協力をすることといたしております。  政府補助金の問題、あるいは寄付金の免税措置の問題、さらには、出品物の通関等につきまして、これは今国会で御承認を求めておりますところの日中貿易協定に基づいて最恵国待遇が付与されることに相なるわけでございますが、そういったような点につきましても、前向きな姿勢で万全の準備の体制を整えている次第でございます。  詳しいことは、関係省の係官がお見えになっておりますので、必要があればお尋ねを願いたいと思います。
  200. 吉田法晴

    吉田分科員 官房副長官からおもな点についてお答えをいただきましたが大阪の会場の場合にもあるいは東京の会場の場合にも、政府からの直接の補助というものはまだ考えられていないようでありまして、自転車振興会からそれぞれ補助がされる。これは、政府がしたいけれども政府から直接すれば云々という遠慮があるのではないかと私は思うのです。いま言われましたように、これは政府間で共同声明を出して、日中関係を、各方面において友好関係を拡大したい、範囲についても、あるいは子々孫々世々代々に至るまでの友好関係を強化したいと、中国側からも言われておりますし、それから日本の代表も、事あるごとにそう言っておられる。それならば、政府が遠慮することはないではないかと私どもは考えるのです。いまのお答えの中には、政府からの補助も言われまして、できるだけのことはしておるというお話でございましたが、具体的にどういう補助をしていただけるのか、承りたいと思います。
  201. 大村襄治

    ○大村政府委員 お答えいたします。  予算補助の点でございますが、これは機械振興資金による補助金でございまして、大阪中国展協会に対して四十八年度約五千二百万円、四十九年度約二億七千万円を予定いたしております。それから東京中国展のためには、日本貿易振興会に対して、東京中国展のために四十九年度約二千七百万円の補助を出すことに予定いたしております。直接の政府予算ではございませんが、機械振興資金による補助でございまして、政府に関係のある補助金であると私ども理解いたしておるわけでございます。
  202. 吉田法晴

    吉田分科員 補助の形式はとにかくとして、会場は大阪は万国博のあとを使うということです。それから東京では晴海の埠頭、前から行なわれているところであります。設備あるいはその他会場の設営等については、これは日本で行なわれるのですから、場所が日本ですから、日本からの援助があっても、あるいは施設整備について出されても当然だと思うのですが、いまのところは予定されておりません。来年は中国で日本の工業展覧会あるいは機械工業展等が行なわれるわけです。それには、中国で行なわれますから向こうの会場を使う。自転車振興会等からの補助にいたしましても、来年のことも考えて補助金額やらいろいろ考えておられますが、ほんとうに中国展は、日本政府以下一億の日本国民が協力をして、大成功を見なければうそだと思うのです。そういうことをするについては、設備から場所からあるいは宣伝から、あるいは入場者がたくさん入るように十全の努力をされなければならぬと思うのですが、端的に申し上げますが、あの民間ベースで北九州で開きましたときには、予想に反しまして百万をこし、百五十万をこしたのです。これは山口を含みます知事会議等でも御協賛をいただいた。三十八年のときは、政府やらあるいは地元でも反対がありまして開催することができなかったが、足かけ三年の間に、これは反対するものがなくなった。そしてその準備が、西日本の熱意が、私は百五十万をこす、かつてない大参加者になったと思うのですが、国交が回復した今日、そして大阪、東京で、日本の代表的な都市で開かれるならば、北九州会場のようにあるいは名古屋会場のように、百五十万やあるいは百五十万をこして二百万に近いというようなことでは、国交が回復しで政府もバックアップして行なわれる展覧会としては、中国が主催される展覧会ですけれども、私はそれでは政府は済むまいと思いますだけに、いま以上の援助なりあるいは政府のできるだけのことをなさるべきだという意味でお尋ねをしているわけであります。いまのままでまいりますと、多少の心配がやはり実現をするのではなかろうかといったような感じがいたしますから、一そうの御努力を願いたいと思いますが、会場その他の点について、さらに考えるところ、あるいは政府としてもなさるべきところがあるような気がいたしますが、どういうぐあいにお考えになりますか。これは通産省にお尋ねをしたほうがわかりやすいかもしれませんけれども
  203. 大村襄治

    ○大村政府委員 吉田先生におかれましては、北九州市御出身のゆえもございまして、これまでも日中貿易の促進にいろいろ努力をされまして、まことに感謝にたえない次第でございます。  国交正常化後の最初の中国の貿易展覧会がわが国で催されるわけでございますので、大阪会場並びに東京会場の準備については、さらに万全を期してまいりたいと考えております。  詳しい点につきましては、通産省の通商政策局北アジア課長が出席しておりますので、その説明をお聞き願いたいと思います。
  204. 内田禎夫

    ○内田説明員 お答え申し上げます。  大阪中国展の会場につきましては、先ほど官房副長官のほうから御説明申し上げましたとおり、旧大阪万博会場のあと地を予定しておりまして、その中に、今度の中国展のための特設の会場を建設することになっております。その会場建設のための費用でございますが、これはかなりのお金を要します。これにつきまして、先ほど副長官が申し上げました機械振興資金、これは先生の御指摘になりました日本自転車振興会が管理をしておる金でございますけれども、これは通産省が直接に管理監督をいたしておりまして、一般予算ではございませんけれども、この種の公益的な事業に補助をするために、いろいろ政策的に使っておる予算でございます。この中で会場建設費の半額を補助することにしておるわけでございます。それが先ほど副長官のほうからお話のございました数字でございまして、四十八年度、四十九年度の二年度にわたりまして支出することになっております。  残りの半額につきましては、これは財界からの寄付金ということでございますが、この寄付がまた十分円滑に行なわれますような免税措置と申しますか、損金算入措置ということについても、目下大蔵省とそれを検討させていただいておるわけでございます。  そういうことで、これは実は政府の直接の補助金ではございませんけれども、実は外国が催しますこの種の展覧会等につきまして、国が直接補助をするというたてまえは現在とっておりません。これは中国ばかりではなくて、どの国がやります場合にも、直接の政府の、国の予算を使うという例もございません。その直接のお金は使いませんけれども、最大限それに近いところを政府として協力できるようにということで、措置をやっておるわけでございます。  それから、東京のほうにつきましては、これは晴海の会場を使うということでありますので、これは特別な会場建設という必要はないかというふうに考えておるわけでございます。  なお、入場者につきましては、大阪の場合には大体三百万人を会期中に予定をしておるようでございます。また、東京のほうも同様に相当な数の入場者があると思いますが、その問いろいろ円滑に運営が行なわれますこと、あるいは警備の点等につきましては、政府として協力できることはもう何でも協力をしたいということで、検討いたしたいと思っております。
  205. 吉田法晴

    吉田分科員 時間がありませんから、最後に一括して、お尋ねをして、それぞれ関係者から御答弁をいただきたいと思います。  東京の晴海埠頭というのは、場所がいかにも中心ではございません。あんまりよくありません。そこで、いま言われますように、かつてないほどの入場者をはかるについては、特別の施設等も考えなければならぬようです。それらの点についても、これは設備のことですから、あるいは設備に準ずる問題ですから、お考えをいただけるかどうか。  それから、さっきは通関についても手当てをしつつあるというお話でした。ところが国交が回復しても、やはり税関を通りますときに、日本に入られるときの第一印象から、必ずしも十全ではございません。ときによって、出入国手続あるいは、税関の手続、遅速があります。かつて国交が回復しない前に、団長で来られた人の荷物をあけたこともありますが、私どもが中国に参りましたときには、招待をされたお客さんのことですから、そういうときに、荷物を一々あけて検査することはいたしません。これは信頼をしてもらって、いわば実際にフリーパス。そういうものが実際にこまかく行なわれておるかというと、一々要請をしなければいかぬという点もございます。あるいは初めに準備等に来られた方たちは、期間も一カ月以上にわたります。おそらく二、三カ月になるかと思いますが、その手続等についても、過去においては出頭云々等のこともございました。これは出入国管理関係でございます。これらの点についても、国交が回復したことだし、政府もその成功のために協力をしていただくとすると、万全の体制が必要だと思いますし、概括的にはさっき大村官房副長官から御答弁をいただきましたが、通産省、出入国管理局、それから大蔵省の関税関係、それぞれ御答弁をいただきたいと思います。
  206. 内田禎夫

    ○内田説明員 通産省が関係いたしておりますところをまずお答え申し上げます。  大阪につきましても東京につきましても、受け入れの民間団体が運営等責任を持って行なうことになっておりますけれども、会場への輸送等につきましては、大阪の場合には大阪府、大阪市、東京の場合には東京都にいろいろ御協力をいただくことになっておるようでございます。私どものほうでも、それについて何かお手伝いすることがあれば、幾らかなりともいたしたいと思っておるわけでございます。  それから通関等につきまして、物の入ってくる面につきましては、通産省のほうでいろいろ関係官庁と打ち合わせて、十分検討して前向きにやってまいりたいと思っております。
  207. 大槻章雄

    ○大槻説明員 大阪で開催されます中国博覧会への物品の搬入関係でございますが、この点につきまして、私ども大阪税関に照会いたしましたところ、きのう協会の方あるいは関係の通関業者の方が来て、税関のほうに相談をされまして、一応その概要を承ったばかりで、まだ詳しいことを把握していないわけでございますが、物品の搬入の通関関係につきましては、保税展示場ということで当該博覧会を催されるという方向で御協議をいただいておりますので、その物品の到着港から展示場への搬入までを一貫して処理できるような、仮通関という便宜な措置で処理をしたいというふうに考えております。  それから、入国されます代表者等の通関関係につきましては、関係省庁とも十分協議して対処したいというふうに考えております。
  208. 澤井昭之

    ○澤井説明員 お答え申し上げます。  現在までのところ、入国管理当局といたしましては、展覧会の関係者の方々から、いつ、どういう方々が、どういう目的で、どのくらいの期間滞在されるということについて、何ら連絡を受けておりません。しかしながら、この展覧会関係のための入国ということで中国からいろいろな方が来られます場合には、われわれとしては、出入国の手続、それから滞在の手続等について、できるだけの善処をいたしまして、万遺憾なきを期したいというふうに考えております。
  209. 吉田法晴

    吉田分科員 それでは、時間が過ぎましたから、終わります。
  210. 上村千一郎

    上村主査 午後二時に再開することとし、この際、暫時休憩いたします。     午後一時三十四分休憩      ————◇—————     午後二時開議
  211. 中村弘海

    ○中村(弘)主査代理 休憩前に引き続き会議開きます。  質疑を続けます。大橋敏雄君。
  212. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 私は、通称北九州の山田弾薬庫、この問題と、岡垣射爆場の問題について、若干質問申し上げたいと思います。  御承知のように、山田弾薬庫は、昭和四十七年二月十五日米軍から日本側に全面的に返還されたわけでございますが、現地としましては、当然、これが全面平和利用ということで、そのあと地が払い下げられるであろうという大きな期待を持って待ち受けていたのでございますが、今日までその払い下げははっきりしません。  そういうことから、いろいろとお尋ねしたいと思うのですけれども、御承知のように、北九州市は、このあと地が当然全面平和利用のために払い下げがなされるだろうと思っておりました一つの証拠といたしましては、山田弾薬庫あと地の利用計画ということで、日本都市計画学会の高山英華東大教授に依頼をいたしまして、「山田弾薬庫所在地域の土地利用に関する調査報告書」というのができ上がっております。四十五年十月二十七日にはもうでき上がっているのでございます。また、北九州市議会といたしましても、決議あるいは意見書、陳情等も、波状的にその内容のものがなされているわけでございますが、まず最初に、山田弾薬庫の撤去に関する決議、これは昭和四十三年五月二十四日に可決されております。山田弾薬庫の平和利用の決議が、四十三年三月二十四日に可決されております。山田弾薬庫の平和利用に関する意見書が、四十五年四月八日に可決されております。続いて、山田弾薬庫跡地全面平和利用の早期実現に関する意見書が、四十七年十月六日に可決されているわけでございます。もう全市あげまして、このあと地の全面平和利用の払い下げを待ち受けていたのでございますけれども、どうやら、いまその土地は大蔵省が所管いたしておりますが、大蔵省がそこに踏み切れない事情は、防衛庁にその問題がある、こういうことであるようでございます。防衛庁として、この山田弾薬庫のあと地についてどのようなお考えでおられるのか、お尋ねしたいと思います。
  213. 山中貞則

    山中国務大臣 大蔵省の国有財産になっておる旧弾薬庫あと地でございますから、これはもう大蔵省の手続等によって払い下げられるものであります。  私たちの防衛庁、自衛隊は、御承知のとおり、なかなか最近は敷地取得に困難を来たしておりまして、ことに、弾薬庫のようなものは、なかなか新規には取得いたしかねております。したがって、これを全部そのままそっくり、旧軍時代からあるいは米軍接収の規模そのものを全部ほしいというつもりではないのでありますが、できれば将来、そこを自衛隊も弾薬庫として利用できるようにしてほしいという、いわば北九州市とは競願の形で、大蔵省に対して申し入れているわけですけれども、しかし、私も現地の小倉は知っておりますし、駅のほうからずっと住宅地が接近してきておりますから、これをいまのままの状態でそのままというわけにはまいらないだろう。だから、北九州市のいろいろ言っておられます願望というようなものと、できれば自衛隊も少し使用させていただけませんかという願望とを、できれば私どもも、大蔵省ばかりでなくて、地元の方々と御相談もさせていただいて、もし一致点が見出せて円満に解決すれば一番よろしいと思いますが、それにしても、住宅等がごく迫っておりまする地域等については、当然配慮がなされなければならない市街地の環境、市民感情というものがあることを十分承知いたしております。
  214. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 防衛庁長官は、事情をよく御承知なんですね。先ほどから申し上げますように、このあと地については北九州の全市あげて——大体他の基地というものは、賛成、反対が同数というわけじゃないですけれども、一部賛成ありあるいは反対ありというような姿をとるわけでございますが、この北九州の山田弾薬庫のあと地の問題については、一切、全面払い下げについて、もうそれこそまるがかえの賛成者ばかりなんです。もう一人も、いいじゃないかという気持ちを持った者はいないというところなんですね。確かに山田弾薬庫は、戦時中は元陸軍の弾薬庫であった、終戦後は米軍に提供された、そういういきさつはありますけれども、返還されたからには、もう本来これは北九州市民のものである、こういう気持ちで一ぱいです。防衛庁としましては、弾薬庫等をつくる場合になかなかその敷地が手に入らぬから、都合よくここにあったので、何とかここに入りたいという気持ちはわからぬでもございませんが、これはあきらめられたほうがいいと思うのですね。というのは、かりに——かりにですよ、これが合意がなされて、どうのこうのということになってみたところで、一発の弾丸もおそらくそこに入れられないでしょう。それこそ北九州市民あげて、命がけで阻止するですよ。小銃のたまぐらいのことならば、手にさげて持って入れるか知れませんけれども、やはり問題の弾薬になれば、鉄道を使用しなければなりません。まず不可能です。これは偽らざる北九州市民の気持ちです。だから私は、あきらめられたほうがいいということを申し上げるわけです。どうですか。
  215. 山中貞則

    山中国務大臣 たいへん未練たらしいことを申し上げるようでありますが、今後の自衛隊の弾薬庫の展望等をいたしてみますと、新規に弾薬庫を設置するということはなかなかむずかしい。ここに山田弾薬庫というものが返還されたままの姿で国有財産で置かれておる。しかし、いまおっしゃったような市民感情が存在をする。また、現実にも、そのような形状において宅地化が進んでおる。ここらのところを踏まえながら、山の奥のほうは宅地化が進んでおるとはいえない状態でもございますし、そこらのところで折り合いのつくところはないものだろうかという苦慮をいたしておるわけでありますが、いまおっしゃったような、感情としてはとても許されないぞというお気持ちのあることは、私も十分念頭に置きます。
  216. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 大蔵省の方にお尋ねいたしますが、二月の三日に大蔵大臣が柳田政務次官に、この山田弾薬庫払い下げ問題の政治解決を急ぐようにと、こう指示なさったと伺っておりますが、間違いないですか。
  217. 井上幸夫

    ○井上政府委員 私が政務次官から伺っているのでは、大臣から柳田政務次官に対して、処理の促進をはかるようにという指示があったと伺っております。
  218. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 実はきょうは柳田政務次官の要求をしたのですが、大蔵委員会との関係で出られないというので、間接的な話になって、残念でなりません。  それでは確認いたしますが、まず、こういう指示を大蔵大臣から受けられた柳田政務次官が、防衛庁に行って御相談なさった、つまり防衛庁と協議をして国としての方針をきめた、こういうことでございますが、どういうようにきめられたのか、御存じですか。
  219. 井上幸夫

    ○井上政府委員 次官と防衛庁との間でいかなるお話があったか、私は承知しておりません。
  220. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それでは防衛庁にお尋ねしますが、この山田弾薬庫について、自衛隊の弾薬基地とする方針を一月末に決定した、こういうことを伺っているのですけれども、これは事実ですか。
  221. 長坂強

    ○長坂政府委員 新聞の報道には多少事実と違うところがあるように思います。すでに四十五年の段階で、大蔵省には、現在弾薬庫の姿でございますので、それをそのまま使うことは国費の支出を伴うものでもございませんし、使わしてもらいたいということは、私どもお願いをしてございます。それで、新聞にありましたように、この四十九年の一月になって方針をきめたということではございません。  それから、先ほど柳田政務次官が防衛庁と打ち合わせたということの御質問がございましたが、結局、いろいろな時間の都合で、政務次官は防衛庁には来られておらないというふうに私は承知しております。
  222. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それではもう一つお尋ねいたしますが、防衛庁の弾薬の備蓄計画では、五十一年度までの四次防では、ここまで使用することは何ら計画に入っていない。また五十一年度時点になりましても、その必要性は不明確である、はっきりしたものはない、こういうふうに防衛庁のほうではお考えになっておると伺っておりますが、これは間違いないですか。
  223. 山中貞則

    山中国務大臣 四次防において、私どもは弾薬類を取得したいという希望は持っておりますが、その希望数量でもって山田弾薬庫を絶対に必要とするというものでないことは、お話のとおりであります。しかしながら、現在自衛隊の弾薬は、米軍の供給と申しますか、残しましたもの、わがほうに渡しましたものを逐次射耗いたしておりまして、それにかわる取得をだんだんいたしておりますが、将来展望を踏まえますと、やはり弾薬庫というものがどうしても必要である。しかし、新規に必要である時期が来たときにそれをどこに求めるかというと、今日の環境ではなかなかむずかしかろうということで、将来に備えて、そういう要望と地元の御要望と両方を検討していただきたいという申し出を、大蔵省にしておるということでありまして、大体御指摘のとおりだと思います。
  224. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 長官の話では、四次防の範囲内での備蓄計画はまず必要ない。しかし将来、もし必要になったときに施設が手に入らないということがあるんで、何としてもこの辺で獲得したい気持ちがあるんだということで、はっきり言えば、いまの段階ではそんなに必要性はないんだということに受け取れたわけでございますが、将来とも、もう四次防以上のことはなされないであろうとわれわれは思いますし、もうこれは必要ないと見ても差しつかえないのじゃないかと思うのです。  そこで、もう一つ大蔵省に確認をいたしますが、一月の九日に北九州市長に会われて、山田弾薬庫を大蔵省の委託を受けて市が管理をして、公園として市民に開放するかどうか、こういうことに対して、北九州市長は一応原則的に同意をした。ところが、そのあとで、二月の十八日に谷市長が柳田政務次官をたずねまして、公園として市が国の委託を受けて管理するいわゆる柳田試案については、市議会も地元の反対も非常に強いので了承できなくなった、市の財産として全面的に払い下げてほしい、こういう旨のやりとりがあったと伺っておりますが、この点はどうでしょう。
  225. 井上幸夫

    ○井上政府委員 申しわけございませんが、私はその事実を承知しておりません。しかし本件の処理につきましては、すでに北九州財務局管内の国有財産審議会に付議済みでございますので、そちらで別途御審議が始まっておりますから、特にいまここでどうこうという新しい案が出るということはないと、私は考えております。
  226. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 私がお伺いしたいのは、これはあくまでも防衛庁の気持ちだけをくんで、政務次官がそのような態度をとっておるとは思いませんが、むしろ自民党の意向かもしれませんけれども、あくまでも全面的に市に払い下げるということは考えられていないような気がしてならないのです。というのは、あくまでも大蔵省の財産として委託をしようという考えですね。これは根本的に考えを改めていただきたい。北九州市長が、その委託管理なんということではなくて、そうした公園運営ではなくて、市の財産としての全面払い下げを要求いたします、こういう呼びかけをしていることも十分気持ちに入れられて、これまでの考え方を改めていただきたいと思うわけです。この点どうですか。
  227. 井上幸夫

    ○井上政府委員 この弾薬庫の土地につきましては、先ほど先生のおっしゃっておりますように、利用したいというお申し出は、防衛庁と地元の北九州市と二つでございます。私どもの国有財産の処理方針といたしましては、現在、公用、公共用優先ということでものを考えておりますが、この条件には二つとも該当いたします。ただ財産が非常に大きい財産でございまして、大蔵省が現在管理をしております財産としては二番目に大きな財産で、当然のことでございますが、国有財産審議会に付議する必要がございまして、すでに付議してございます。現地財務局におきまして、審議会の中に返還財産の分科会をつくって、ただいま審議中でございます。したがいまして、その結論を得ましてから、私どものほうは処分をする、あるいは管理形態をきめる、こういうことになるわけでございまして、その順序を変えるということは、私どものほうでは考えておりません。
  228. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 それでは強く要望しておきますが、この山田弾薬庫のあと地の利用については、北九州市と防衛庁からお互いに願いが出ておるという話ですけれども、これは五分五分じゃないのです。全体を一〇とたとえるならば、北九州市は九、そして防衛庁は一程度なんです。先ほど長官がおっしゃったとおりです。いまのところは必要ないのだ、将来万一必要となった場合のことを思ったときはという話なんですから、将来のことはもう必要ない、その配慮の必要はないと私は言っているわけですから、もう全面的に、この際、北九州市に払い下げる方向で検討されることを要望いたしておきます。
  229. 山中貞則

    山中国務大臣 ちょっと誤解があるようですが、九対一のウエートだとおっしゃるのですが、私どもが言っているのは、現在の四次防では、そこまで絶対に取得しなければならないほど、現実にパンクしてしまうほどのものではありません。しかし、わが国の弾薬の備蓄量は、諸外国に比べて、量ではなくて率において非常に低いわけなんです。ですから、私どもとしては、正常な弾薬の備蓄は持ちたい。その正常な弾薬の備蓄を目標にすると、どうしてもせっかく弾薬庫の形状のまま国有財産になっておるところを、全部とは申しませんから、話し合いが市とつけば、私どもにも奥のほうと申しますか、そういうところを使用させるようにしてください。将来の計画においては、わが国の防衛のために必要な弾薬の正常なる、諸外国とそう肩を並べなくても、著しく劣るような備蓄量でない状態にはしたいという、そういう願いを持っているわけでありますから、せいぜい五分五分ぐらいとおっしゃってください。
  230. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 そうはいきませんですね。どうしても将来弾薬を備蓄しなければならぬようなことが起こった場合は、町のまん中の山田弾薬庫ではなくて、こういうところを使うのじゃなくて、たとえば鹿児島の端のほうの無人島あたりに施設されたらどうだろうか、御要望申し上げておきます。  時間もたいへんだっていきましたので、もう一つ聞きたいことがありますから移りますが、岡垣の射爆場は、地元住民の強い反対の中に、五カ年以内という条件つきで使用をされてきたわけです。それだけに、射爆訓練も慎重でなければならないと思います。先般、県議会で、在日米軍が防衛庁に岡垣射爆場の共同使用という要請の問題が取り上げられた際、亀井県知事は、米軍あるいは防衛庁から共同使用の要請はきていないが、話を聞いて驚きました、県としては米軍の再使用は絶対に許すことができないと防衛庁に県の意向を伝えました、伝えておきますかな、こう言ったというのですけれども、この話は届いておりますか。
  231. 山中貞則

    山中国務大臣 届いてもおりましょうが、その前に、米軍がそのような申し入れをいたしておりません。
  232. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 またその際、知事はこのような話をしているのですけれども、確認いたします。岡垣射爆場は必ず五年以内に撤去する、共同使用には絶対反対する、このように全面拒否の姿勢を明らかにしているわけですが、この五年以内に撤去するという知事のこの話は、そのまま認められますかどうか。
  233. 山中貞則

    山中国務大臣 五年ということはそのとおりでありますが、五年以内という表現は少しおかしいので、五年間に限り使用するということでありますから、五年を経過したら使用しないという方針は変わっておりません。将来も変わりません。
  234. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 確認いたしました。  それではもう一つお尋ねいたしますが、射爆訓練計画というのは、事前に町当局に連絡をして、町当局がこれを各区長に伝えて、町民が訓練計画を知ることができる仕組みになっていると聞いておりますけれども、それは間違いないでしょうか。
  235. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 お答え申し上げます。  訓練計画について、地元に対して部隊のほうから逐一御連絡を申し上げるという約束はございません。
  236. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 約束はないとおっしゃいますけれども、地域の責任者は、そういうのがあるんだと申しています。実は、最近防衛庁と運輸省の間で、自衛隊訓練機の飛行コース、これが民間航空との危険性があるということから、飛行コースを変更なさった。本来ならばこれが知らされるはずだ。しかし二カ月もそれが何も住民に知らされないままになされていたということは——その変更されたこと自体はいいことなんですけれども、いわゆる町当局ないしはその住民に対して、ばかにしているのではないか、無視じゃないかということで、非常に怒りが込み上げてきているわけですけれども、この点についてはどうお考えになりますか。
  237. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 飛行を再開後、飛行安全については十分留意をして訓練をいたしてまいりました。しかしながら、その後の飛行の経験にかんがみまして、さらに一そう安全を確保するという観点から、運輸省と十分相談いたしまして、十一月に飛行パターンの一部の手直しを行なったことは御説のとおりでございます。その際、地元の岡垣町長から、十一月の二十五日に、当時の新聞記事に関連いたしまして、第八航空団のほうに要望書がございまして、これに対する回答の中で、十一月二十七日にその事実をお知らせいたしております。  ただいま御質問がございました地元との関連でございますが、もちろんわれわれといたしましては、飛行の安全につきまして、十分地元の方に納得をしていただくということは必要でございまして、いささかも不安がないように、現地の部隊から、情報としても御連絡を一般的にはいたしていると思いますが、今後ともその点については十分気をつけてまいりたいと思います。
  238. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 時間も迫ってまいりましたので、最後に長官にお尋ねしますが、岡垣射爆場での射爆訓練は正々堂々とやれるわけでしょう。したがいまして、そうしたコースの変更だとかまた変わったことが起こったような場合は、率直に町当局に御連絡なさるほうがいいんじゃないかと思うのです。別に取りきめはないとおっしゃいますけれども、これは誠意だと思うのですね。そう思うのですけれども、いかがでしょうか。
  239. 山中貞則

    山中国務大臣 当初、慣熟飛行のときには、地上物件視認飛行というものでより安全なフライトコースができるということがわからなくて、グリーン4との関係で安全度をとったわけですが、その後慣熟飛行で、地上物件視認飛行できわめて安全なコースが別途わかったということで、それを変えたわけであります。それはおっしゃるとおり、結果はいいことのほうになったわけですが、今後ないと思いますけれども、そういうような変更等があります場合は、地元の皆さんに、こういう形で飛んでおりましたものが、こういう理由でこういうふうに飛ぶようになりますということをお知らせするようにいたします。
  240. 大橋敏雄

    大橋(敏)分科員 聡明な長官でございますので、さきの山田弾薬庫の問題につきましても、どうか北九州市民の真意をくみ取られまして、一日も早く北九州市民の願望をかなえるような方向で結論を出していただきたいことを最後にお願いいたしまして、私の質問を終わります。
  241. 中村弘海

    ○中村(弘)主査代理 次に、河村勝君。
  242. 河村勝

    河村分科員 去る一月下旬の日米安保協議会、あれについての合意事項の発表がありまして、私も読んだのですけれども、率直に言って、きわめて失望いたしました。それはなぜかといえば、とにかくいまのアジアの情勢、これはベトナム以後ずっと変わったはずですね。ベトナム戦争がとにかく停戦になって、おさまらないまでも、局地化をすることは確実。それから中ソ対立というものをてこにして、そこで米中接近が行なわれ、米ソ接近が行なわれて、とにかく台湾問題というものは事実上解消した。そういう状況の中で、アメリカの極東戦略というものも当然変わるべきであるし、そうであれば、極東戦略の中における日本における米軍の基地の性格、これもおのずから変わってくると考えるのは常識ですね。ところが、どういう話がかわされたか知りませんが、この合意事項を通じて見る限りにおいては、アメリカの極東戦略というものはまるっきり変わっておらない。それで、どうやら日本政府もアメリカの極東戦略をそのまま、まるのみにしてしまって、いままでと全く変わりのない戦略というものを前提にして、日本の国内基地を考えている。だから一連の返還の約束があるけれども、そういうものは全部、ただ効率化、合理化にすぎないですね。ちっとも整理、縮小というほうに向かっていない、そういうふうに考えざるを得ない、そう思うのですが、長官はどうお考えですか。
  243. 山中貞則

    山中国務大臣 確かに、お述べになりましたような、極東を含めた緊張緩和の傾向の過程にあることは事実だと思うのです。しかし、最近のシュレジンジャー長官等の予算説明等におきますように、やはりその流れの中にありながら、戦略は極東においても変わっていない。むしろ核戦略等は多様化の傾向を示しつつある、そういうことがあります。そのことは別として、ことし行ないました日米安保協においては、重点を主として最も基地面積が広大で、かつその比率の高い沖繩というものにしぼって議論した感じでございますので、沖繩側はそれでもなおかつ御満足いただいておりませんのはいたしかたない現実だと思いますが、私どもとしては、そういうことをことしの安保協の主たる眼目といたしまして、今後はなお極東戦略も踏まえながら、全体に本土の基地も含め、沖繩をさらに重点的に考えつつ、並行してそういう方向に進めていきたいと考えております。
  244. 河村勝

    河村分科員 私が言いたいのは、安保条約というものが結ばれているけれども、日米の関係というものはとにかくイコールパートナーですね。ほんとうにイコールパートナーであるなら、安保条約を運用し基地をどうするかという場合には、アメリカの極東戦略をうのみにすべきものではない。私どもは、いまその力の均衡によってアジアの緊張緩和が進みつつある際に、安保条約をすぐ破棄しろなんという非現実的なことは申しません。だけれども、安保条約の対等の相手方であるなら——アメリカだっていろいろあるわけですね。われわれもいろいろ接触をしておりますけれども、軍というのはどこの軍でも、一回持った便利な基地というものは手放したくはないのですね。それは常識ですよ。だからアメリカの中にだって、国務省との間ではかなり意見も違うはずだし、だから日本基地を提供するからには、アメリカの極東戦略におかしいところがあれば、そこまではこっちは認められない、この限度において基地を認めるのだというような、そういう正面からの論争があってしかるべきだと思うのですね。これを通じてみると、どうもそういうことは全くなくて、アメリカが極東戦略をきめたら、まずそのワクの中で何とか基地もうまいこと統合して、数だけは減らしていこうというような感じにしか見えないですね。そうではありませんか。
  245. 山中貞則

    山中国務大臣 そう見えるかもしれませんが、しかし私どもは、何も日米安保協の場ばかりではなくて、私とアメリカのたまたま日本を訪れたクレメンツ国防次官、あるいはできれば、お許しを得ればアメリカに私も参りまして、直接、いまおっしゃったようにシュレジンジャー国防長官、あるいは国務省の問題もやはりありますから、キッシンジャー国務長官というような人たちとも忌憚なく意見の交換を行なって、またアメリカ側にも、なお戦後日がたちましたので、日本の新しい憲法のもとにおける各種の制約等について、やや理解不足の点もあるようでありますから、こういうようなことも踏まえながら、日本側から見た極東の軍事情勢というようなもの等について十分に意見を交換して、やはりお互いが合意し得る、双方納得し得るものを見出していきたい。一方的にアメリカ側の戦略どおりに、日本基地を、従前どおり従っていくという気持ちはないということを申し上げます。
  246. 河村勝

    河村分科員 それならお伺いしたいのですけれども、核戦略は一応おきましょう。これは、この基地との関連においては当然別の問題です。  そこで、第七艦隊、これは少なくとも見通し得る将来においていなければならぬことは、ソ連海軍とのバランスで当然だと思うのです。それから、ある程度の戦略空軍もなければいけないでしょう。だから、それに伴う基地がかなりの期間日本に残るということもわかりますね。だけれども、一体日本に陸軍だの海兵隊だの——沖繩の海兵隊の大きな基地も、今度そのままですね。とにかくアメリカは、少なくともインドシナにおいてはもう一ぺんどんなことがあろうとも、空軍は使うことがあっても、地上部隊を使う可能性というものはもはやありませんね。それから台湾がもう事実上解消しましたね。そうなれば、海兵隊の基地だの陸軍の基地だの、日本に置いておく意味というものは、私はないと思うのですけれども、そのくらいのことは日本としても主張し、説得力があるのだろうと思うのですけれども、いかがでしょうか。
  247. 山中貞則

    山中国務大臣 非公式の立場であるならば、私もそういう見解をひとしくいたす点もありますので、私のほうからそういうことを言ってみたこともあります。しかし、やはりアメリカは、極東においても、陸、これは韓国も含むでしょうが、それから海兵隊、そういうものの最終的な存在というものは依然として必要であるということを考えているようでありまして、その点ではまだ、ことにおっしゃった沖繩のマリーン等の問題について、意見が一致していないという、いま段階だと思うのです。
  248. 河村勝

    河村分科員 いまちょっと韓国のことに触れましたけれども、そうすると、その韓国の情勢が片づかない限り、まだ陸軍やあるいはマリーンをなくすというようなところまでの合意はできない、そういうふうに感じておられるわけですか。
  249. 山中貞則

    山中国務大臣 そうではありませんで、アメリカが極東における地上兵力の陸軍、海兵隊と申しますそのときに、その陸軍というのはおそらく韓国が中心でしょう、こう申し上げたのですが、事実韓国に一個師団おると思うのです。そういうことであろうと思うのです。そういう意味で、地上兵力の全部を極東から撤収するという計画はいまのところない。しかし、私ども沖繩の海兵隊等のあり方等についていろいろ意見がありますから、そういう意見の交換はしておる、しかしその進展はいまのところないというのが実情であります。
  250. 河村勝

    河村分科員 そこで、少し具体的なローカルの問題に入りますけれども、私は少なくとも、アジアにあるいは韓国に陸軍がおるという問題は別として、日本国内に陸軍の基地がなければならないとは全然思ってないんで、このくらいのものが撤廃できないようでは、私は、政府というのはほんとうにまともに国民の声をバックにして交渉しているかどうか、はなはだ疑わしいと思っているのですけれども、最近新聞報道等で見ますと、アメリカのハワイの極東の陸軍司令部がなくなるとともに、日本にそれが集約をされる。さらに日本の陸軍のすべての基地を、神奈川県の座間キャンプに集約をする、そういうような報道があるわけですね。これは一体、長官は御存じでございますか。
  251. 山中貞則

    山中国務大臣 ハワイにあります陸軍の司令部の閉鎖のことは承知しておりますが、それが日本の司令部によっていままでの機能を代替するというふうにはならないように聞いております。すなわち、ハワイの既存の機構の中で、簡素化のために陸軍の司令部はそれを廃止した、しかし機能はハワイの既存の軍の機能の中に残すということだと思うのです。  それから、座間に集約するということは、いまのところ私どもは聞いておりませんが、全般的には関東地区における陸軍の施設の中で、移してもあるいは撤去してもらってもいいではないかという施設等ありますから、そういうものは個別な形で、いま折衝はしております。
  252. 河村勝

    河村分科員 そうすると、新聞報道等によれば、埼玉県の朝霞等にあるもの、それから神奈川県でも横浜等にあるもの、そういうものを座間に集約するんだというような報道が一部になされておりますが、さような事実はないということですか。
  253. 山中貞則

    山中国務大臣 さような事実までいまのところ進んでおりませんが、現実の問題としては、キャンプ等であればやはりある程度住宅のリロケーションを要求するだろうと思うのですね。そのときに、じゃどこにそれをつくってそこを撤去してもらうかという問題はあると思うのですが、座間に集中するという、そういうような具体的な問題にはまだ全然なっていません。
  254. 河村勝

    河村分科員 それならばお話をしておきますが、この座間キャンプというのは、相模原市それから座間市、この二つにわたって二百三十ヘクタール以上にのぼる大きな基地であります。しかもその周辺というものは日本一人口の急増地帯です。相模原市のごときは、この十年間に、十五、六万の都市がもうすでに三十五万都市。それから座間市は、これは日本じゅうで一番人口の増加のスピードの速いところでありますが、五万くらいの小都市であったのがすでに十五万くらいの都市になっている。したがって、その周辺における人口の混雑度というものはたいへんなものだということはおわかりだろうと思います。ですから、こういうところに集約するというのは、これはもう完全な間違いですね。まさかこういう——現在でも、これがあるために都市計画のすべてが停滞をし、非常な都市機能を阻害している現状にあるわけですね。ですから、こういうところに集約をするはずはないと思いますが、もしそういう話し合いがあったとしても、そういうようなばかな考えには応じないという決意をもって臨まれると確信をしておりますが、いかがですか。
  255. 山中貞則

    山中国務大臣 まだそういう話が全然ないのですから、どこどこには移さない、どこどこには移すということは、いまのところ明言できないわけです。したがって、まだ全然そういう話はないということだけだと思うのです。
  256. 河村勝

    河村分科員 とにかく、実情がそうであることをまず認識していただきたい。  それから、この座間のキャンプというのは、二百三十ヘクタールの中で半ばはゴルフ場なんですよ。この人口が密集して非常に苦しい中で、米軍の基地とはいえ、そこに半分はゴルフ場だなんというものが存続していることに対して、一体アメリカ側に対して、それを返せという意思表示をどうしてされないのですか。
  257. 山中貞則

    山中国務大臣 アメリカは、兵の体育科目にゴルフというのがたしか入っているようです。したがって、われわれ日本人の概念で見ると、基地があると必ずゴルフ場がそばにある、そういう感じがしますが、しかしいまのところ、座間のゴルフ場だけを返せと言うには、ほかにもまだいろいろありますし、また沖繩等についてもいろいろありますし、全般的に踏まえて検討はいたしますが、われわれの考えているゴルフ場と少し違うようであります。
  258. 河村勝

    河村分科員 しかし、感覚は違うでしょうけれども、やはり郷に入れば郷に従えであり、特に周辺の事情との関連でしょう。西ドイツにもアメリカの基地はありますけれども、しかしこういう人口の密集しているところにありませんね。ほんとうに郊外の人家のないようなところにおるからトラブルがないのであって、こういうようなところにあること自体が問題であるし、そこにぜいたくな基地を置くことが問題なんですね。いまや安保条約というものは、いまのアジアの情勢からいいますと、対外的にはまあ無害のものに——無害のものになったというのはおかしいのですけれども、これが緊張を引き起こすような要素というのはもうなくなってしまったのです。むしろ中国なんか、あったほうがいいと思っているし、ソ連ですら、大体あることを前提にしてものを考えるという時期でしょう。だからもっぱら国内問題であって、都市の人口密集地帯にこういうぜいたくなものがあることによって、それで市民感情を刺激して、それが日米の友好関係を悪くする。そういうことが一番日米安保条約の基礎をゆるがすもとなんですね。ですから、これは私はもうちょっと堂々と言うべき筋合いのものだと思うのですけれども、いかがでございます。
  259. 山中貞則

    山中国務大臣 私ども日本側の姿勢としてはそうだと思うのです。ですから、たとえば木更津が返還されてなおゴルフ場になって残っておりました。しかし私就任いたしまして、それは直ちに廃止をさせて、普通の草っ原にいたしました。ですから、われわれにはそれはわかるのですが、アメリカのほうは、相当まとまった施設がありますと、ゴルフ場をそばに持っているというのを普通の常識のように思っておりますから、そこらのところをやはり、返してもらうならゴルフ場みたいなものから先だということは言いますけれども、いまここで、座間についてゴルフ場を返せという言い方を私がするかといえば、これは外務省とも相談をいたさなければなりませんし、しかし考え方としては、そういうものから先であろうということは、私も同感いたします。
  260. 河村勝

    河村分科員 何も座間に限ったことはないので、一般論として、これからの最大問題が、地域住民との調和というのが一番大きな問題なんですよ、日米安保条約全体を通じて。ですから、もうちょっと堂々と交渉してほしいと思うのです。  そこで、相模補給廠、この問題を伺いますが、この問題について、現在すでに残務整理のような段階に入ってきておりまして、すでに日本人の職員もだいぶ整理されて、残り少なくなってきております。早晩これは返還になるものと考えておりますが、それはまだ交渉は進んでおりませんか。
  261. 山中貞則

    山中国務大臣 ベトナム戦の終息に伴い、補給廠の事務としては相当減っていることは事実だと思うのですが、米側からこれを返還するという姿勢が、いまのところはありません。
  262. 河村勝

    河村分科員 正式の話はないのかもしれませんが、しかしおそらく既定のコースとお考えであろうと思うのです。  そこで、これまた新聞報道でありますが、この補給廠を米軍が返還する際には、その機能を残したいために、自衛隊にこれを肩がわりをしてほしい、そういう意向が表明されているという報道がありますが、これはいかがですか。
  263. 山中貞則

    山中国務大臣 外務省のほうはどうか私よく知りませんが、私はそういうアメリカ側の意向というものは聞いておりません。
  264. 河村勝

    河村分科員 アメリカ側の意向がなければ、別段あそこにそうした戦車等の修理機能を置くという意思はない、そう考えてよろしいか。
  265. 山中貞則

    山中国務大臣 アメリカ側が相模補給廠を返しますというような話もありませんし、これはまだ全然両方の交渉の場にのぼってきていない問題であるということであります。
  266. 河村勝

    河村分科員 どうも、まだ公式の話がないから言えないという一点張りで、積極的な意見が何もないで逃げられてしまったのじゃ、これは全然質疑にならないのですけれども、しかしこれまた御承知のごとく、二百ヘクタール以上の大きなところで、それこそ相模原市役所からほんの二キロもないぐらいのところですね。とにかくたいへんな都市の中心ですね。これがあることによって東西の交通が完全に遮断をされて、非常な都市機能の阻害要因をなしておるわけですね。ですから私は、将来そうした戦車等の修理機能を自衛隊が持たれること自体に少しも反対はしないけれども、しかしこういう地域に持とうとする考えだけはやめていただきたい。特にこの具体的なこの場所ということを離れてもけっこうですが、こういう都市の人口密集地帯に、かりに肩がわりの要請があろうとも、そういうものはやらないのだ、引き受けない、あるならほかの場所を求めるというぐらいの決意を表明されるのが、非常な不安を持っておる住民に対してこたえるゆえんであろう、そう思いますが、いかがですか。
  267. 山中貞則

    山中国務大臣 原則論としてならば、人口密集地域に基地を増強し、新設するということは避けなければならぬ、私も同感です。しかし相模補給廠の問題と言われますと、まだ何も話し合っていないし、問題が提起されていないのでありますから、そのことについてのお答えは避けさせていただきたいと思います。
  268. 河村勝

    河村分科員 先ほどもちょっと話が出ておりましたけれども、確かに新しく土地を求めることは日本においては非常に困難です。ですけれども、米軍がどいたそのあとに入るのは楽だ、だからそこを使おうという観念は、この際捨ててほしいのですね。相模原集辺だけでいったって、かりに補給廠の地域は返還した、ほかにもっと都市計画上あるいは市民生活上無害のところをかわりに提供せいといえば、場所はないことはないのですよ。飛行場となりますと、またこれは騒音であるとかあるいは墜落の危険とかなんとかいうことが起きてきますから、これは今後なかなかむずかしい問題がありますけれども、しかしそうでなければ、決してそうむずかしいことではありませんね。ですから、そういう安易な方法はやめて、自衛隊も堂々と胸を張って、それで、どうしてもこういう施設を持つことは必要なんだから、こういうところを提供せい——相模補給廠の話か、たまたまアメリカから肩がわりなんという話が出たからというのではなしに、別の地域を提供してほしいということを堂々と言って、それで獲得することをやるべきだと思いますが、いかがですか。
  269. 山中貞則

    山中国務大臣 全く仮定のお話をやりとりしているわけですが、そういうかわりの土地があるというのは、耳寄りのお話として拝聴いたしておきます。
  270. 河村勝

    河村分科員 かわりの土地があるといったって——私はその土地がここにあると言ったわけではなしに、これも仮定の問題であるけれども、一般論としてそういうことは可能ですよ。日本だってまだ広いので、いまの交通便利なときに、何もそう都市周辺に集まらなければならぬということもないし、幾らでもありますよ。ですから、何となく日陰者意識みたいなことで、一回米軍のあとを使えなければもうないのだというような考えでなしに、ほんとうに土地を合理的に使う、そういう意味からだって、白紙の立場でそういう場所を求めるべきである、そういうことを言いたいのですよ。そういう原則論については、長官は一〇〇%同意であろうと思いますが、そうですね。
  271. 山中貞則

    山中国務大臣 私は就任した直後の記者会見で、アメリカの基地が返還されたら、それは直ちに自衛隊が入る権利があるというようなことはやめなければならぬ、そういう考え方はやめようということを、最初に、その日の記者会見で述べたぐらいでありますから、いわゆる基本的な考え方としては同感であるということは、はっきり申し上げられます。
  272. 河村勝

    河村分科員 どうも、なかなか自衛隊が使うのは困難であるというところから、何かできるかできないか当てにならないような約束をして、それで入ってくるというような例がありまして、いま問題を起こしているのですが、この座間キャンプについても、自衛隊が一部使用を始めたのは昭和四十六年なんです。そのときに、当時の横浜施設局長であった高村君という人が座間の町長との間に約束をして、とにかく使わせるという、自衛隊の一部使用の協議成立に際して、このキャンプの整理縮小に最大限の努力をする、それからキャンプ座間のうち、座間行政区域の半分ぐらいは町に返すのだということを、覚え書きで取りかわしているのですね、御存じですか。
  273. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 御指摘昭和四十六年の六月に、当時の横浜防衛施設局長であった高村局長と、当時まだ町でありました座間町長との間に覚え書きがかわされております。第二条には「キャンプ座間の基地縮小について最大限の努力をする。」第三条として「キャンプ座間の内、座間町行政区域の約半分に近い地域を、米軍縮小又は撤退の際は、人口急増と公共施設の必要に迫られている座間町の今後計画にあたり、住民の都市公共施設の利用に全面的且つ積極的な援助と協力をする。」そういう表現が使ってございます。これは当時座間の町長から御要望が強くあった点を反映した覚え書きでございます。その後、こういった覚え書きを踏まえまして、防衛施設庁といたしましても、いろいろアメリカ側と交渉して努力いたしました結果、昭和四十七年の一月には、座間行政区域の現在の陸軍司令部の東側の部分二万七千平米返還を実現いたしまして、これが現在座間市の森林公園といいますか、市民の公園用地として利用されるということになっております。また同じく四十八年の十一月には、これは返還ではございませんが、米軍との話し合いをつけまして、米軍の座間キャンプの中にありますグラウンド地区約三万七千平米を、必要のつど座間市民たちが運動場として使えるような実現を見ております。さらに、駐車場用地として座間市民のために開放してもらいたいという一部用地につきましても、現在米側と折衝をいたしております。
  274. 河村勝

    河村分科員 部分的に努力をやっていることは認めますが、何かすぐにでも返ってくるような幻想を与えるような、ことばは非常に慎重に使って、すべて最後は努力ということになっていて、しっぽはつかまれないようにはなっておるけれども、そういう甘言をもってだましてやるようなやり方というのは、厚木の飛行場に航空集団の司令部が抜き打ちに進駐して、これもきわめて遺憾なことであるけれども、それよりまだ悪いですよ、何か甘言を弄してだますようなやり方は。ですから今後、そうしたことではなくて、もう少し堂々と正面から折衝をしてやるようにしてほしい、それを希望しておきます。  時間がなくなりましたが、山中長官も、どうも基地問題には非常に慎重で、すべて仮定の問題だといって逃げるものだから、あまり結論らしきものがなくて残念であります。しかし私が言いたいのは、冒頭に言いましたように、イコールパートナーならもう少しイコールパートナーらしく——アメリカの極東戦略をうのみにするのなら、日本の外務省も防衛庁も要りませんよ。ですからもっと、保安条約を肯定する立場でけっこうなんですから、その上でこの限度においてしか日本基地は使わせないんだというくらいのことをはっきり言って、それで決裂するんならしょうがないというくらいの覚悟を持って当たってほしいと思うのですが、長官の決意を最後に伺って私の質問を終わります。
  275. 山中貞則

    山中国務大臣 決裂という表現を除いては、おおむね私もそういう心境であります。
  276. 河村勝

    河村分科員 決裂するくらいの腹がなければ、それは初めから譲歩する、足元を見透かされて効果があがらないのはあたりまえでしょう。ですから、少なくともそのくらいのことでもってやるのが当然だと私は思うので、重ねて要望して質問を終わります。
  277. 中村弘海

    ○中村(弘)主査代理 次に、松本善明君。
  278. 松本善明

    松本(善)分科員 自衛隊二十六万六千がどういう精神教育を受けているかということは、きわめて重大な問題であります。     〔中村(弘)主査代理退席、主査着席〕 国民の関心も非常に強い問題でありますので、私は予算委員会の総括質問で二度にわたって質問をしたわけでありますが、あらためて御質問をするについて、経過を簡単に言いながら質問をしたいと思うのです。  二月一日には私は精神教育について長官にこう聞きました。「過去の侵略戦争を肯定するような教育、明治憲法を賛美したり、教育勅語を教育理念とするような教育、あるいは現行憲法を否定し、現憲法を擁護する者を敵視するような教育、右翼テロだとか右翼団体を擁護するような教育、野党、持に自衛隊を違憲とすると考えている政党を敵視したり、あるいは、いわゆる反共教育をしたり、」「あるいはそういう書物を推薦して読ませるというようなことはないかどうか。」と聞きましたら、長官は「ただいま一応列挙されました内容のことには、すべてそういうことはいたしておりません」こう答えられ、また総理大臣も「憲法の精神を順守した教育が行なわれておると自信を持っております。」こういうふうに答えられた。しかし、海上自衛隊の訓育参考資料などについて具体的に例をあげて御質問をいたしますと、実際には長官も不穏当なところがあるということを認めざるを得ない、総理も認めざるを得ないというようなことが行なわれておりました。しかし四十七年に総洗いをして不適当なものは廃止の措置をとっている、こういう答弁もありました。  二月七日に再質問をしましたところが、四十七年二月の次官通達が披露をされました。そして陸については同趣旨の通知を四十七年の一月に行なった、空については四十八年の八月に電報で処理をしている、こういう答弁がありました。しかし、海については、これは訓育参考資料について何らなされていなかったということが明らかになりました。これをあらためてお認めになるかどうか伺います。
  279. 山中貞則

    山中国務大臣 大体そのとおりでありますが、海の場合も証拠になるようなものはないのですけれども、しかしずっと点検を私のほうでチェックしてまいりますと、大体課長の段階あたりまではきちんとなされていたようでありますが、その後事務次官の通達に対して、報告期限に至るもその報告はなされていなかったという事実がありますので、これは反証できませんから、したがって大体お話のとおりであったということであります。
  280. 松本善明

    松本(善)分科員 そういう不明確、大体ということではありませんで、私は現在海上自衛隊の海幕で使われている訓育参考資料の一覧表をいただきました。四十九年二月七日現在、これを全部私は対照をいたしました。この予算総括質問で私が指摘をいたしました四十五年四月二十五日の通達で目録に載っておりますものですね。訓育参考資料、これは全部そのまま残っております。証拠がないからというようなことでは一切ない。これは明白に何もやってなかった。このまま残っているということなのであります。これをまず認めるかどうか。私はなぜこういうことを言うかといいますと、長官、いま新しい措置を考えてあるいはおやりになったと思いますし、きょうも言われると思いますけれども、それはまたあとで聞きますけれども、問題は、四十七年にそういう通達を出されていたにもかかわらずどうしてそういう問題がそのとおりやられなかったのかということを明らかにして、四十七年の事態を明らかにしていかないと、この問題についての実行の保証もありませんし、したがって、私は四十七年の点から聞き始めておるのです。この事態を、現在の訓育参考資料を見るならば、海がやってないということは明白であります。この点をまず明確にお認めいただきたいと思います。
  281. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 最初の点につきまして、事実関係でございますので私から申し上げます。  四十五年の目録に載っております海上自衛隊の訓育参考資料は百十四点でございまして、その後追加されたものを加えますと全部で百二十七点になるわけでございます。これにつきまして廃止の措置をとっておりません。
  282. 松本善明

    松本(善)分科員 そこで伺いたいのでありますが、この間は四十七年の二月に私が指摘したのに対して、四十七年二月に廃止の措置がとられた、こういうふうに答弁がされたわけであります。しかしこれは、海についてはいまの答弁でわかりますように明白に間違っている。これは国会での答弁を、こういう軽率なことを、誤った答弁をするというようなことは、国会軽視もはなはだしいと思います。これをまず陳謝し、訂正をされるよう要求します。
  283. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 前回の答弁にあたりまして、経緯を申し述べますという前提で、昭和四十七年に全自衛隊の教育関係の資料について総点検を行なったということを申し上げました。その際に、たいへん概括的な表現で、不適当なものは廃止をしたというふうに申し上げました。これはその後確認をいたしますと、海の訓練資料につきましては、点検に着手はいたしましたけれどもそれが終わっていなくて、結果的に不適当なものの廃止の措置がなされていなかったということでございまして、たいへん不正確な御答弁を申し上げましたことをおわびいたします。つつしんで訂正をさせていただきたいと思います。
  284. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣にお聞きしますが、この次官通達としてやられたというこの問題が、海については行なわれていなかった、これについては一体どういう責任が生ずるかということを明確にしなければならないと思います。当時の海幕のこの点についての責任者はだれか、それから幕についてはこの責任をどういうふうにとらせるか、まず伺いたいと思います。
  285. 山中貞則

    山中国務大臣 これは問題を二つ含んでおります。一つは、防衛庁の内部における制服と内局の問題ですね。それから、総理大臣が国会で答弁した方針に基づいて防衛庁が行なうものであるにかかわらず、大臣決裁を経ないで事務次官の通達であって、しかもそれが通常通達の決裁はしたけれども文書通達でなかったということ、文書は配ったが文書の通達をしていないということ。そして、しかも日にちを限ってその結果の報告を求めているが、海についてはそれがなされていないのをそれをフォローしないで、なぜ報告がなされてないかを追及していないこと。そうして、これは大げさな意味のシビリアンコントロールでありませんが、いわゆる制服のやっていることについてあるいは命じたことについて、内局のほうにそれが正確に把握されていなかったこと、あるいは把握できなかったこと、こういう防衛庁の中のシビリアンコントロールの問題も存在すると私は思っておりまして、この問題はそう簡単に考えておりません。したがって、今回は私自身が決裁した書類をもって、事務次官の正式な通達をもって日にちもきっちりと区切ってきれいに整理をして、今後このようなことが議論されないような姿勢をとっていきたい。そういうことをいたしますが、しかし人については退職した人まで追っかけていろいろと意見を聞いてみましたけれども、どうしても一体どこでこれが実行されなかったのかというその責任が途中でぼやけてしまいまして、突きとめられない。したがって、最終的には退職した海上幕僚長であったものが、その時点においてやはり次官通達に対する実行を怠っていた責任者であろうと思いますが、しかし退職した人でありますので、今後そのようなことが起こらないようにするしかないと思います。
  286. 松本善明

    松本(善)分科員 この当時の幕僚長は退職しているという話ですが、教育担当の責任者についてはどうですか。
  287. 山中貞則

    山中国務大臣 現在の人教局長の高瀬君が参事官であったと思いますが、さらにいま答弁いたしております大西参事官がその補佐をする最高の責任者でありましたので、私からきびしくおこられたわけであります。
  288. 松本善明

    松本(善)分科員 これは高瀬人事教育局長、大西参事官についての責任は、特に大西参事官は答弁についてもいま陳謝をしたように私は責任が重いと思います。  いまおこったという話がありましたけれども、これは正式の処分でありますか。
  289. 山中貞則

    山中国務大臣 私が在官していましてこのようなことがあったということであればまた別でありますが、そのときの事務次官もいまおりませんし、したがって、現在はそのポストがその当時とは違っておりますから、なぜこのような失態が起こったかを追及する過程において私から注意をしたわけでありますし、おこったという表現をしましたが、逆におこられた、しかったというような表現でありますが、行政上の処罰をする必要はない、そこまでやらなくても私が今後きちんとしていけばそれでよろしいことだ、そう思っております。
  290. 松本善明

    松本(善)分科員 当時の責任者は、次官通達を出したときの責任者は、現在の人事教育局長であると思いますし、それから、すぐあとその教育担当の参事官になったのが大西参事官であると思います。その点検と実行についての当時の責任者でもあります。それについて何ら責任追及はしなくていいというお考えですか。
  291. 山中貞則

    山中国務大臣 責任はありますからしかったわけであります。しかしながら、実際上通達を出した者は事務次官でありますが、事務次官は現在おりません。したがって、たまたま現在残っている者だけを行政上の処分をするということは私は忍びませんし、今後そのようなことのないように私がきちんとすればそれで償いはできると考えますから、私の一存においてそのような判断をしたわけでございます。
  292. 松本善明

    松本(善)分科員 大臣はそう言われますけれども、大臣自身は、行政上の間違いが起こってもその人たちがみなやめてしまったということで一体責任というものはそれで済むのかどうか。そういうようなことであっては、国会で論議をしたこともあるいは命じたことも、私は今後も同じようなことが起こり得ると思います。これは明確に責任を明らかにしなければならぬ性質のものだと思いますし、それから現在の防衛庁長官になっている大臣自身の責任というものがあるはずであります。それについてはどうお考えですか。
  293. 山中貞則

    山中国務大臣 やめた人に対してどのような処置を行政上とれるかという問題を考えますと、それはおっしゃっても現実に不可能であります。すでに現在公務員でない者に対してですね。したがって、その後私がきちんとしていけばよろしいということを申し上げたのであって、私自身も責任をとれということですが、これは私自身がやったことではありませんので、私自身は今後責任をとりますということでありますし、先ほど質問がなかったのに申しました、内局が各幕のあり方についてまず第一義的なシビリアンコントロールの第一段階でありますから、その段階ですらあいまいであるという姿勢は今後許さない体制をとっていくということであります。
  294. 松本善明

    松本(善)分科員 私は、やめた者に行政処分をしろというのではなくて、今後のためにも明確な処置が必要ではないかということを言ったわけでありますけれども、私はあとでもう一度別のことからその問題を聞きたいと思います。  海についてはそういうことでありましたが、陸についてはどうか。陸については、四十七年の一月に同じ趣旨の通達が出たということで、私はその資料をいただきましたが、この資料を私が見まして内容を点検をするために全部の資料をよこしてほしいということを私は申しました。ところがこれについては、火曜日に大西参事官を通じて要求していたのですけれども、昨日になって初めて長官は知られたということで、陸については資料が提出されないということになりました。私はそういうような事態が起こるということはきわめて遺憾だと思います。この国会の審議について非常に軽視をしているのではないかというふうに思います。その点についての御意見を伺いたいのと、要求するものを全部出していただきたいということについて御返事をいただきたいと思います。
  295. 山中貞則

    山中国務大臣 軽視いたしておらなくて非常に重視いたしております。したがって、予算委員会の総括で御質問がありましたときに、海の問題が中心でありましたから、一生懸命海のものを点検しておるわけであります。したがって、陸のほうにまだ目が届かないうちに陸の資料もということでありましたから、それはちょっときのう聞いたばかりでごかんべんを願いたいと私が直接お断わりをいたしました。
  296. 松本善明

    松本(善)分科員 あとで出していただけますか。
  297. 山中貞則

    山中国務大臣 ただいま点検を開始しておるところでありますから、海のほうは点検が非常に進んでおりますが、陸、空についても点検をいたしまして、最終的に点検後においてこのようなものを廃棄したということは国会に報告いたします。
  298. 松本善明

    松本(善)分科員 それはそうしていただきたいと思います。  したがって全部の資料は入っていませんが、実はこの陸についての資料は、海のものと非常に共通をしております。それで、この問題になりました海の訓育参考資料とダブるものがたくさんあるのです。ここにありますのは全部そうです。私は全部をあげて質問する時間がありませんけれども、この中でひどいのをあげてお聞きしたいと思います。  この陸の教養資料の中には「普段着のソ連」というのがあります。これも全部読み上げるわけにいきませんけれども、見出しだけ読んでもこういうことが書いてあります。「朝から晩まで買物行列のモスコー」それから「ダフ屋と乞食と夜の女」「縄でしきった「長屋」住いの市民の暮し」。私たちもソ連のことをすべて美化しようとも思わないし、それからソ連で起こっていることをすべて弁護しようなんということはさらさら思いません。思いませんけれども防衛庁長官もソ連に行かれたことがあると思いますし、私、外務大臣がおられたらこれは聞いてみたい。こういうふうなソ連に対する認識でいいのか。これが堂々と陸の教養資料の中にやられている。大臣、こういうことはどう思いますか。
  299. 山中貞則

    山中国務大臣 私は、残念でありますがソ連に行ったことはありません。そして陸の資料についてはまだ私の点検の段階に及んでいない段階でありますから、その内容についてはよく承知いたしておりません。
  300. 松本善明

    松本(善)分科員 私の言っていることをうそだと思われるのでなければ、事実そうなんです。こういうことが陸の教養資料の中に入っているということについてどう思われるか、穏当かどうか。
  301. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 内容につきましては点検中でございますから、ここで意見を申し上げることは現段階では差し控えますが、ただいま御指摘のものは昭和三十年に書かれた本であります。したがいまして相当古い時代のことであることは間違いございません。  そこで、これはリストだけでございますが、昭和三十五年とそれから三十九年についてもソ連の現状についての資料を配っております。これがどうであるかは別といたしまして、やはり時代は非常に変化いたしておりますので、今後、これは私の私見でございますけれども、やはり五年目ぐらいには現状を客観的に叙述したものを今後配布をしたいというふうに考えております。
  302. 松本善明

    松本(善)分科員 私は全部読み上げながらあとで一括してお聞きしましょう。「共産主義批判の常識」という本、これは、「例へば今日の日本に於て米麦の豊作は何人もが願はなければならぬことである。併し豊作によって少しでも生活が緩和され、民衆が少しでも現状に甘んずる気分となることは、共産主義者に取っては決して願はしいことではない。」こういうことが書いてある。  「各国軍人の倫理並びに自衛官の倫理」、この小冊子には何と書いてあるかといいますと、これは元陸軍大将の今村さんという人の本です。「共産圏の間接侵略(思想工作)で、これに備えて一般道徳を昂揚し、国防に備えるのは自衛官の任務であります」あるいは「今のわが国の国民道徳の向うべき方向は日教組の、倫理綱領というものをお読みになればすぐわかるように、要するにわが国を共産化するような、一口で言えば共産革命をするときに役立つ、そういう青少年を作ることに力が注がれている。」日本共産党の教育政策はそんなこと全然ないですよ。むしろ共産主義教育なんかしないのだということが書かれています。  それから、この間も否定された教育勅語の問題でこういうことが書かれている。「勅語の中の「天壌無窮の皇運を扶翼すべし」という条文、それがいかんのだということでとらない人があります。ところが皇運と言うのは国運ということなのでありますが、両者は全く同じものであります。一体不可分のものであるから、「もって天壌無窮の皇運を扶翼すべし」と言うのは、国運を扶翼すべしというのと同じことであります。」この今村という人の書いたものが十冊もこの教養資料の中に入っております。こういう思想の人を呼んできて教養する、こういうことがいまなおやられているのです。いまの陸の教養資料ですよ。  それから「民主主義の本質と日本の課題」これは「共産主義という一つの思想が侵透することは丁度伝染病の黴菌がはびこって行くのと同じ事でありまして要するに社会の身体を健康にするという以外に根本的な防止策はないのであります。」とか、「道徳教育のあり方」というのでいえば「私に言わせれば日教組五十万の、あの運動というのは、表面にはそう気づかれないような形においてやっておるわけですがあの人たちの考えているスローガンの背後に、どういう考え方があるかと、それを突っ込んでいくと、まことに恐るべき考え方がひそんでいるといえる。その考えとして、教育は革命の手段としてやっていくんだという意識、これで教育されていきますと、やはり十年、二十年の後には著しく変った社会が日本に出てくる可能性がある。」こういうようなことが幾つも幾つも例があげられます。  これはもちろん現在生きている海のものでもあるし、陸のものでもある。陸のものについて、これは四十七年二月十六日の次官通達でやった、一月にやったということを言いましたけれども、実際にそのときにやられた通達で残されているものの中にいまのようなものがある。これはやってないということと同じじゃありませんか。私は総括質問の最初に長官にいろいろこういう教育をやっていないか聞きました。やっていないと言った。ところがやっているのです。それから二月十六日の次官通達の基準にも反していると私は思います。これは陸についてもやっていなかった、実際には次官通達のとおりにやっていなかったということになると思いますが、どうですか。
  303. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 まず最初に、ただいま御指摘がございました書物でございますが、その最初のものはちょっと私詳しく確認できませんでしたが、今村大将の「各国軍人の倫理並びに自衛官の倫理」それから矢部貞治氏の「民主主義の本質と日本の課題」それから「道徳教育のあり方」これらの三冊はいずれも昭和三十五年ごろに陸上自衛隊の学校で行ないました講演を筆記をして集録をしたものでございます。確かにこの中では、私も結論を申し上げるわけではございませんが、私が調べた範囲では、たとえば「各国軍人の倫理並びに自衛官の倫理」の中にはかなり不適当なものがあるというふうに感じております。  それから陸幕の資料点検のことでございますが、これは昭和四十七年の一月に整理をしたときの状況を申し上げますと、当時残しましたのが約二百四十冊でございます。排除いたしましたのが約百八十冊、そのうち不適当なものが六十冊というふうな記録がございます。
  304. 松本善明

    松本(善)分科員 長官に伺いたいのです。いま私が読み上げましたようなことですね。これは幾らもまだありますが、これは穏当ですか、こういうものが残っておるということは。四十七年の通達で指定をされている、残されているものの中にいまのようなものがあるのです。それは通達の趣旨にも反するし、長官がこの間二月一日に答弁をされた趣旨にも反するんじゃないか。これについての長官の考えを聞きたいと思います。
  305. 山中貞則

    山中国務大臣 私が申し上げておりますように、陸のほうはまだ点検に着手しておりませんから、いまおっしゃった部分だけならば確かに問題が存在すると私も思います。したがって、今後点検をいたしまして、最終的には今回の私の決裁による事務次官通達の趣旨に沿ってきちんと整理をしていきたいと思います。
  306. 松本善明

    松本(善)分科員 長官も問題があるということを認められましたけれども、これはそうすると海もやってなかった、やはり陸もやってなかった。もう一回再点検を新しくやらなければだめだということですね。それはやってなかったということに結論はなるんじゃないか。その点についての考えを聞きたいと思います。
  307. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 ただいま御指摘の海の資料と同じものが陸にも残っているということでございますが、これは前回の委員会で先生が御指摘になりました「愛国心について」というような本は削除してございます。したがいまして、陸が点検を全くしなかったという事実はございません。
  308. 松本善明

    松本(善)分科員 いや、点検をしたでしょう。だから通知をしたでしょう。しかし残っているものの中に、「愛国心について」はないかもしれぬが、「愛国心と忠誠の問題」とかいろいろあります。いま言ったようなものが残っている。これは私は趣旨どおりにやられていないということではないかと思います。長官、これは私はこれから長官が出されようという趣旨——出されている、あるいはこれから答弁されるかもしれませんが、その実行のためにも確実に聞いておかなければならない。この間の点検基準の中には「特定の主義思想の否定」とか「軍国主義の是認」とか「特定の政党を支持し、又は誹謗すること」「仮想敵国の想定」とかみんな入っています。基準はおそらく今度のものも同じものだろうと思っておりますけれども、こういうものがこの四十七年の二月にやったものの基準にいま述べたようなことが合致しているのだということになるならば、これは長官が新しい指示を出しても全然だめです。話にならぬです。国民をだますものです。いま私が述べましたような——まだ読めば侵略戦争肯定のものがありますよ。日清、日露戦争を肯定している、そういうものもありますよ。もしあれだったら幾らでもお読みしていいです。そういうことが許されるのか、それは許されないということをはっきりさすのが今回の措置でしょう。そうだとするならば、いまの問題についてどうか、問題があるということをお答えになったならば、これはやられているのがやられていないのか明白じゃないですか。これは長官から直接お答えいただきたいと思います。
  309. 山中貞則

    山中国務大臣 海がやっていなかったことが証明するように、前回の次官通達というものは実際上においてはなはだ不明確なものであったのかもしれません、具体的に。しかし、私が今後整理いたしますものはきちんといたしますから、その結果を見て御批判を賜わりたいと思います。
  310. 松本善明

    松本(善)分科員 それは私はあとで聞こうと思うのです。それはちゃんと長官にそれを説明してもらってそれからやろうと思うのです。しかし、それをやるためにも過去に同じようなことがやられて実行されなかったということについての問題を明確にしていかないと、これから実行される保証はないです。だから私は重ねて伺うのですけれども、陸でもやはりやられてなかったというふうにいわなければならない、確かに通知は出したけれども。全く出さなかった海とは違いますが、しかし、内容的にはその基準に反するようなものが、問題があるものが残っている。これはこの趣旨が不徹底で十分やられてなかったということになるではないか。これは非常に簡単な論理だと思うのです。長官にお答えいただきたいと思うのです。
  311. 山中貞則

    山中国務大臣 前回は趣旨が不徹底であった点は私は認めます。
  312. 松本善明

    松本(善)分科員 海についても先ほどやってなかった、陸についてもやはり不徹底だった、事実上やられてなかったのと私は同じだと思いますけれども、そういう状態が起こったこれについての責任ですね。私は先ほど責任の問題を言いましたけれども、それは海だけのものではないのです。陸についてもこうだから責任の問題をはっきりしなければならぬと思うのです。幕についても責任を問うべきだし、それから内局についても責任を問うべきだと思うのです。それが防衛庁長官のなすべき責任ではないか、私はそう思うのです。長官にこの点についての御意見を伺いたいと思います。
  313. 山中貞則

    山中国務大臣 私がやったことが不徹底であった場合にはいかなる階級の者でも処罰いたします。
  314. 松本善明

    松本(善)分科員 長官のこれからやられようとすることについてのあれはわかりました。しかし長官は、その前の問題について考えなくてもよいということではないはずです。いままでの、自分が就任する前の防衛庁の中での正しく事が行なわれてなかった問題を発見した場合には、それは処置をすべきではありませんか。私は防衛庁長官というものは、大臣というものはそういう責任国民から負託されているのだと思います。大臣の御意見を伺いたい。
  315. 山中貞則

    山中国務大臣 原則的にはそのとおり債権債務のすべてを引き継いでいると思うのです、通俗的にいうと。ですから、それは処罰すべきがあたりまえでしょうが、処罰するにはやはりきちんと全員の関係者の処罰をしなければなりませんが、一番肝心の責任者はほとんど退職しておるとなりますと、たまたま現在残っている者だけがそういう過去の問題によって現時点において行政的な処分を受けるということになります。それを取り返すのは処分をするよりも——私がしかったことは間違いないのですから、したがって本人たちもこんな不徹底であったことについてはまことに申しわけないと言っておりますし、今回私がやることがきちんとされれば、それでもって私は自分の責任は償える、そのように考えます。
  316. 松本善明

    松本(善)分科員 これはこういう性質のものだと思うのです。基準を無視をする、次官通達などは無視をするという考え方が幕にあるのか、それともこの基準のとおりやったのだけれども、基準のとおりにやったと思ってこういうことをやったというふうなのか、これは私はどちらかだと思うのです。無視をする考えだったのか、あるいは基準のとおりなんだというふうに自分は思っていたのだけれども、しかし中身は、客観的に見ればいま長官が問題があるというふうに言わざるを得ないようなものが一ぱい残っている。後者の場合であるとすれば、これは教育担当者自身の頭がもうすっかりこり固まっている、そういうことじゃないかと思うのです。私はそういう人たちは更迭をするか再教育をするか、そういうことをしなければこれはなくならぬのじゃないか。長官はこういう事態が起こっていることの原因は、次官通達が無視をされるという空気が各幕の中にあると思われるのか、それとも各幕の教育担当者の頭がもうすっかりこり固まってしまっている、こういうふうに考えられるか、どちらと考えますか。
  317. 山中貞則

    山中国務大臣 これはその当時の次官通達の出し方が、やはり大臣の責任ある承認、決裁を経た後に通達としての文書をもって正式の形でなさるべきであり、しかも、その正式の文書による次官通達の定められた日限までにそれをちゃんと措置した旨を報告して、それをさらにフォローして、それが合致しているかどうかについての再点検も行なってしかるべきものであったと考えます。しかし、それがなされていないということは、これは幕のほうがどうであったか、内局がどうであったかを含めて、このようなことであってはならない。これを放置すると防衛庁の中におけるシビリアンコントロールの問題のあり方についてさえ基本的に疑問を提起される問題にまでなるということを考えて、今回は私が決意を新たにしてやろう、こうしているわけであります。
  318. 松本善明

    松本(善)分科員 それでは長官から、私はこの過去の問題についてはまだまだ問題があると思いますけれども長官から新しい措置はどういうふうにしたのか御説明をいただきたいと思います。
  319. 山中貞則

    山中国務大臣 私の決裁を経た文書として、四十九年二月十六日事務次官より各三幕僚長あてに通知を、次官通達を出しました。     精神教育参考資料の総点検について   自衛隊における精神教育は、憲法を尊重し、自衛隊法にのっとり、「自衛官の心がまえ」を基調として行われるべきものである。   したがって、各幕僚監部において教育資料を作成し、又は市販図書を購入して教育担当者に配布するに当たっては、上記の準拠に則し、慎重に作成し、又は精選するように努めなければならない。また、既往において配布したものといえども年月の経過にしたがい、新しい時代の環境に応じて見直し整理を行うことが必要である。   この趣旨から、昭和四十七年二月に総点検を指示したが、なお一部に未整理のものがあると認められるので、下記実施要領により再び総点検を実施し、不適当な資料又は図書についてはこれを整理し、その結果を報告されたい。なお、実施の細部については、人事教育局と調整されたい。       記  実施要領  1 点検機関     陸上自衛隊     海上自衛隊     航空自衛隊  2 点検対象    精神教育の参考として、各幕僚監部が作成、編集、監修した資料又は購入配布した市販図書等  3 整理基準  (1) 次の各号に該当するものは、整理する。     ア 憲法の理念に反するもの     イ 法令に反するもの     ウ 「自衛官の心がまえ」に反するもの     工 我が国の防衛の在り方からみて妥当を欠くもの  (2) 整理基準の細目を例示すると、次のとおりである。     ア 海外派兵の容認     イ 特定の主義思想の否定     ウ シビリアン・コントロールの否定     エ 軍国主義の是認     オ 特定の政党を支持し、又は誹議すること     カ 非常時立法を前提とするような記述で現在の自衛隊の権限を逸脱するもの     キ 非核三原則に反する記述     ク 徴兵制の肯定     ケ 仮想敵国の想定  4 報告    昭和四十九年五月三十一日(金)までに点検結果を別紙様式により報告するものとする。  添付書類 別紙「点検結果報告」 という別紙がつけてあります。
  320. 松本善明

    松本(善)分科員 これについて少し伺いますが、この通達は命令でありますか。
  321. 山中貞則

    山中国務大臣 長官の命を受けて事務次官が作成した文章を長官が決裁したものでありますから、実質上の命令にひとしいものであります。
  322. 松本善明

    松本(善)分科員 先ほど長官は、四十七年二月の通達自身が不明確であったということを言われましたが、私はこれについて若干お聞きしておきたいのであります。  整理基準の細目の中の「特定の主義思想の否定」という中には、共産主義思想の攻撃ということは入るのでありますか。
  323. 山中貞則

    山中国務大臣 これは攻撃とかなんとかということじゃありませんが、こういう特定の主義、思想の否定されているような文章、もしくは購入図書等を教育参考資料として使ってはならぬということでありますから、ちょっとよく意味がわからないのですけれども……。
  324. 松本善明

    松本(善)分科員 いや否定はしてないんだ、批判はしているんだというようなことで反共教育がやられるということもあります。あるいは、陸の場合の担当者はそういうふうに考えたかどうかわかりません。そういう意味で、共産主義思想の攻撃ということは入るかどうかということを聞いているのです。
  325. 山中貞則

    山中国務大臣 共産主義といいましても、日本共産党というものを意味するものであるならば、これは合法政党でございますから、それは別途の「特定の政党を支持し、又は誹謗」しに該当します。しかしながら、主義となれば、共産主義というのは一体何なのか、古典的なそのままのマルクス・レーニン主義、すなわち政権奪取の手段として暴力を容認するというようなことであるのか、それであるならば、わが国の憲法下の民主主義の議会政治を前提としたあり方には反するものである。かといってそれを攻撃するという、そういうようなことも自衛隊の教育でやるわけではありません。
  326. 松本善明

    松本(善)分科員 私は、なぜそういうことを聞くかと申しますと、先ほど示しました、陸のいろいろ残っているといって論議をしました教養資料の一覧表、この中に「主義思想」という項目があります。それは十四冊あるのです。十四冊のうち十冊までが共産主義についてのものなんです。しかも、共産主義に反対をするという、いわゆる反共主義者といわれる人たちの著者であります。こういうことがいいのかどうかということなんです。どうですか。
  327. 山中貞則

    山中国務大臣 反共主義者という人たちが、どういうカテゴリーの中に入るかわかりませんが、要するに整理の基準はファシズムあるいは超極左革命暴力集団組織、そういうもの等はわが国の憲法及び民主主義に反するものであることは、知っておく必要があると思うのです。
  328. 松本善明

    松本(善)分科員 わが国の憲法は、思想の自由を認めていませんか。思想を処罰するとか、思想を敵視しますか。特定の主義、思想の否定ということはいけないと言っているでしょう、思想をですよ。私は、いわゆる暴力学生集団などについてはきびしい批判を持っているということは、御存じのとおりですけれども、この思想の否定ということの中でいう、これは反共教育ですね、私が申しましたような共産主義思想について、反対の立場からの教育を一貫してやるというようなことが許されるのかどうかということを伺っているのであります。
  329. 山中貞則

    山中国務大臣 教育としては、わが国の憲法の理念に反する議会制度を否定する暴力的な手段によって、これは左右いずれにもかかわらず、両極端なそのような行為をするものの存在について、あるいはそういうものがあるということについては、私は教育していいと思うのです。
  330. 松本善明

    松本(善)分科員 私は、そういうやり方の中でまた同じようなことが出てこないかということをきわめておそれるわけです。  では具体的に聞きます。先ほど言いましたように、陸で残っている中の十四のうち十までが共産主義のものだ。そしてそれがいわゆる共産主義者というような人たちの解説したものではもちろんない、反対の立場からだけのものである。こういう主義、思想の教育のあり方を肯定するのかどうか、これをお聞きしましょう、長官
  331. 山中貞則

    山中国務大臣 これから点検しますから、よく内容を見て、先ほど読みましたような私の決裁を経た基準に合致しないと見れば、それは棄却処分をとります。
  332. 松本善明

    松本(善)分科員 私が言っていることはそのとおりであれば、これはやめるということですか、ちょっとお答えいただきたい。
  333. 山中貞則

    山中国務大臣 あなたの言われる問題を私は自分なりに点検をいたします、そして私の出す基準について、事務次官通達の基準に触れると見たら棄却いたします、ということであります。
  334. 松本善明

    松本(善)分科員 私は、それだけの答弁では、はたしてほんとうに憲法の考えているようなものになるかどうかということについて疑問を持ちます。私はこの際むしろ、こういうことを提案したいと思うんです。こういう訓育参考資料とか教養資料というようなものをこの際一切やめてしまう。これは極端なように思われるかもしれませんけれども、そうではありません。空幕は、私がいただきました資料によれば、電報で四十八年の八月になっていますけれども、全部やめてしまう、廃止をした。そして空幕の教育担当者にも聞きましたが、そうだ。私は、これは廃止をして、そしてあらためて必要があればこういうものは指定をする。いままであるもの、たくさん何べんも何べんも指摘をされているわけでしょう。長官も、二度とそういうことはやりたくないと言っているんだから、一たん全部やめてしまう。そして、あらためて指定をし直すというふうにしなければ徹底しないと思いますけれども長官どう思いますか。
  335. 山中貞則

    山中国務大臣 防衛庁は、あまり予算一般行政事務費その他潤沢じゃありませんので、いまあるいい本も全部やめるというわけにはまいりませんが、点検はきびしくやりますから、そういうものはきちんと整理をいたしまして、残していいものはやはりせっかく買ったんですから、残しておいていいと思うんです。
  336. 松本善明

    松本(善)分科員 私の言うのは、別にある本を全部焼いてしまえということじゃない。通達としては全部やめて、あらためてまたいいものは指定をするということにすればいいじゃないですか。そうでなければ誤ったものが、先ほどのお話では少なくも五月まで残る可能性がある。この予算委員会で二月の一日以来やっている不穏当のものが、五月まで残る可能性がある。そういうふうにやるほうが適切ではありませんか、もう一度長官に伺いたいと思います。これは長官が決裁をされて、その実行について責任を持たれている性質のものであろうと思いますので、長官からお答えをいただきたいと思います。
  337. 大西誠一郎

    ○大西政府委員 ただいま、五月までそのままの状態が残るというような御質問でございますが、実情を申し上げますと、先ほど申し上げましたように、昭和三十年から三十五、六年あたりの資料は、実際にはもう部隊にはほとんどございません。最近私も、はたしてこの資料がほんとうに教育参考資料として部隊で有効に使われているかどうかという点も点検をいたしてみましたが、三分の一か四分の一程度しか残っていないというような部隊も相当ございます。したがいまして、いずれにいたしましても、予算をもって買うわけでございますから、消耗品とはいいながら、よくアップ・ツー・デイトと申しますか、時代の経過、時間の経過等も考えまして、資料の選択あるいは資料の管理というものをこれからやっていきたいというふうに考えております。
  338. 松本善明

    松本(善)分科員 長官は全部廃止ということをしないようですけれども、そうするとこれは、一部にしろ廃止をする場合ですね、長官の通達でやっていく、新しい基準でやっていくという場合に、なぜこれがそうしなければならないか。誤りと理由を明らかにして、これは単に古かったからやめるというだけの性質のものではないでしょう。そういう点を明確に、全部隊に徹底をさせる必要があると思いますけれども、その点はいかがですか。
  339. 山中貞則

    山中国務大臣 それはそのとおりだと思います。先般の通達の趣旨に反するものとして、これこれこれは廃棄せよという指令を出します。
  340. 松本善明

    松本(善)分科員 この際、私は主義、思想に関する教育というのはやめたらどうか、そういう訓育参考資料とか教養資料とかというものを指定するから、いろいろ誤りが起こる。そういうものはやめて——これはやめても人によってはそれは読みます。共産主義とは何か、民主主義とは何かということを別に教えられなくても、これだけいろいろ議論をされているなら、当然に自覚している人なら読むはずです。そういうものを幕が指定をしてやっていくという考え方に間違いがあるのじゃないですか。主義、思想についての教育をやめる、そういう考えはありませんか。
  341. 山中貞則

    山中国務大臣 自衛官になったばかりの者まで全部そういう知識を持てとは言いませんが、だんだん階級が上がり、幹部になる者はやはり逐次いろいろな主義、主張というものはよく勉強して、知っておる必要があります。それによって自分たちの判断力を養って、幅の広い——視野の狭い、いわゆる昔の職業軍人的なような考え方の者でない、社会的な視野も持ち得る人間が制服を着ておる形にするのが理想だと思いますので、教育訓練資料とか主義、主張とかいうものはやらないというわけには、なかなかまいらぬのじゃないかと思うのです。
  342. 松本善明

    松本(善)分科員 公務員で、主義、思想について教育をしているところはありますか。自衛隊だけですよ。主義とか思想とかいうのは人に教育されなくても、自分のものでしょう。長官はその点についてはどう思いますか。自衛隊だけがなぜ主義、思想の教育をしなければならないのか。
  343. 山中貞則

    山中国務大臣 これは教育そのものでありませんで、参考資科でありますし、いまの一般の公務員の中で、任期制の公務員であって、しかも原則、隊内居住の生活をされる特殊な集団でありますから、そういう集団が閉鎖集団にならないように、開かれた集団であるべきであるし、国民のための存在でなければならない、そういう意味において、やはり広い知識、思想というものは、教育の分野において参考となるようなもの等も、さっき言ったような基準等に抵触するものがあれば、これは逆に悪いわけですから、そういうことのないように配慮しつつ、それは行なうのがいいのではないかと思います。
  344. 松本善明

    松本(善)分科員 私は、教養資料とかあるいは訓育参考資料といって指定をすれば、やはりこれは幕が推薦していると受け取るのは当然ですよ、その主義を肯定していると。しかし、そういう必要は私はないと思うのですよ。なぜこういうことをお聞きするかというのは、先ほどのような議論があるからです。  もう一つ、先ほどのような明確を欠いている点がありますが、お聞きしておきたいのは、軍国主義の是認というのは、先ほどの基準の中にあります。それは、たとえば日清、日露戦争、いわゆる満州事変以来の中国侵略、太平洋戦争の肯定というようなことは入るのかどうか。それは軍国主義の是認ということに入るのかどうか。あるいは戦前行なわれた天皇中心のいわゆる皇国史観による歴史教育、こういうものは入るのかどうか、軍国主義の是認の中に。これについて長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  345. 山中貞則

    山中国務大臣 これは軍国主義というのは、当然に膨張、侵略ということを、力を持って自分たちの国の利益を拡張し擁護しようとする思想だと思うのですね。そういう場合において、過去の歴史というものは、これは栄光の歴史も屈辱の歴史も勝利の歴史も敗北の歴史も歴史であることには変わりはありませんが、それらの客観的な事実を踏み越えて、それをいま言いましたように、俗にいう軍国主義、たとえば憲法でなぜ閣僚は文民でなければならぬかという議論等でもやりとりがありましたように、そういうものは新憲法下に許容されない考え方であり、将来も持ってはいけないわけでありますから、いわゆるそういう意味の特定の角度からする賛美するような軍国主義というものはいけないという意味だと思うのです。
  346. 松本善明

    松本(善)分科員 具体的にいまも出ていますが、お聞きしたいのです。戦前の日清、日露戦争とかあるいは太平洋戦争、こういうものの肯定が入るのかどうか、そういうことはいけないというふうに考えているのかどうかということを伺いたいと思っているのです。長官どうですか。
  347. 山中貞則

    山中国務大臣 事実の問題としては、日本が日清、日露両戦役を戦い、大東亜戦争を戦ったという事実はあるわけですね。そのことは事実があったのですから、そのことも知らないというのはおかしいのでありますけれども、それを積極的に、それはよかったとかそしてまたさらに他日を期してそうすべきであるとか、そういうようなことは明らかにいけないことである、そう思うのです。
  348. 松本善明

    松本(善)分科員 天皇中心の皇国史観による歴史教育、そういうようなものはもう幾つも出てきます。教育勅語もそうです。そういうものはどうですか。
  349. 山中貞則

    山中国務大臣 皇国史観という定義が一体どういうことになるのかわかりませんが、今日の日本の天皇の存在は、憲法に示された象徴でありますし、国民の総意によるそういう地位を持っておられるわけでありますし、われわれ防衛庁というものは、かつての陸海のように陛下の統帥権に直結していたものではありませんから、したがって、そういう意味における教育というものは前提がないわけでありますから、そういう教育が行なわれるはずはないし、そういうことは憲法上も疑問がある、そう思います。
  350. 松本善明

    松本(善)分科員 この廃止の措置がとられた場合には、その書物は回収をしますか。
  351. 山中貞則

    山中国務大臣 その手段はいろいろ考えておりますが、焼却、焚書坑儒というようなこともありますから、焼却ということもありましょうしあるいは裁断ということもありましょうし、それぞれ集めて、それを確認して台帳と照合しながら的確を期して、一カ所に集めて処分をする手段とか、それはそのときになって考えてみたいと思います。
  352. 松本善明

    松本(善)分科員 この通達は、こういうものはいけないということでずっと出ています。それでその内容も不明確な点があると思いますので、実際にやられた状態を見ないと、まだ本物かどうかわからないと思いますけれども、私はむしろ積極的にこういうことをやるべきだということを考えたらどうか。そしていままでの古くさいものはやめてしまう。その中の一番大きな柱は、民主的な代議制度に対する忠誠ということだと思う。それを中心にして、自衛官はそういうことをやれ、そういう考えでいろ、こういうことがなされるならば、これは問題は起こらないのですよ。前のをやめて、そういうことをやる気はないか、長官のお考えをお聞きしたいと思います。
  353. 山中貞則

    山中国務大臣 もう何回も申しておりますが、残していいものもあるわけですから整理をいたします。そして自衛官の精神教育としては、自衛官の心がまえというものを準拠の基本にするということにおいて変わりはないということであります。
  354. 松本善明

    松本(善)分科員 私は、この基準が出されましたけれども、これの内容について幾つかの点を長官にお聞きしたところで判断をいたしますと、まだやっぱりあいまいなんじゃないか。基準としては前回のものとこれは全く同じです、四十七年二月の通達の基準と。前回は参考ということになっていました。今度はこれは整理の基準ということになっていますから、基準としては幾らか強いということになったということはいえると思いますけれども内容的には同じです。これはいろいろの解釈がされる可能性がある。もう一回こういう問題が起こるかもしれない、あるいはこれはごまかしだったのじゃないかということが言われるかもしれない、そういう危険をきわめて強く感じています。強く感じていますけれども、時間がありませんし、これで終わりますけれども、私は今後ともこの問題についてはずっと機会のあるたびごとに追及、明らかにしていく必要があると思います。  この自衛隊のあり方ということについて、私どもは基本的には反対ですけれども、しかし、それがどういう精神教育をされているか、重大な問題なんです。今後ともこの問題については重大な関心を払っていくということを言って、私の質問を終わりたいと思います。
  355. 上村千一郎

    上村主査 次に、上原康助君。
  356. 上原康助

    上原分科員 私はきょうは、これまで返還された沖繩の軍用地、あるいはまた去る一月三十日の日米両政府間で話し合われて合意を見たといわれている今後の土地の返還、この中身についても若干触れたいのですが、特に今日まで最も重要である地籍の確認の問題がほとんどそのままになされてきております。そういう意味で、いろいろお尋ねしたいと思ったのですが、あまり見解の相違ということだけでものごとを片づけられてもいかないという気もしまして、お互いが相互に双方努力をし合っていけば、地籍問題なり、かかえている軍用地の問題なども、もう少し県民の意思に沿う方向で、あるいは返還された地主の皆さんが利用できる、また県や各関係市町村なども、あと地利用なり都市計画もやっていく、そういう具体策といいますか、方向も当然見出していかなければいかない、そういう立場から、きょうは地籍の問題にしぼってお尋ねをしてみたいと思いますので、政府の関係者も、ひとつ具体的に、この困難をきわめている地籍問題をどう解決していかれようとするのか、ぜひ誠意ある御答弁を賜わりたいと思うわけです。  そこで、地籍問題は、本委員会なりほかの委員会でも幾度か取り上げられてきたわけですが、沖繩のほかの問題もそうですし、一体この地籍、特にまだ確定をされていない地籍、筆界の確認、境界の確認など、復元補償の問題もありますし、その業務を遂行していく政府の窓口というのは一体どこになっているのか、それをまず明確にしていただきたいと思うのです。  せんだって経企庁のほうにお尋ねをしますと、経企庁は国土調査法で、筆界が確認をされたものを追認をしていく、あるいはそれを調査をするということはできるのだが、開放された軍用地とかまだ確認をされていないところまでは立ち入るわけにはいかないんだ、権限がないんだという言い方をしております。一面においては、開発庁が窓口だという言い分もございます。しかし、事軍用地については、外務省と防衛庁責任だなという意見もまたございます。したがって、どの省が沖繩の混乱している地籍の確認というものをやって、正確な公簿公図というものをつくっていくのか、また県や関係市町村あるいは土地連合会に対してもどういう方法で今後この問題を進めようとするのか、責任の所在というのは一体どこにあるのか、まずそのあたりからお答えをいただきたいと思うのです。
  357. 山中貞則

    山中国務大臣 これはまず一般論から先に言いますと、一般論は経企庁のお話がありましたが、そのとおりであります。さらに一般論としては、最終的には法務省が登記の手続を受けつけるところで、そこで最終的に済むわけです。問題はその中間なわけですね。  そこで、今度は沖繩の問題について限定して申しますと、沖繩の問題は、まず開発庁が予算を計上してやることになります。しかしながら、これも普遍的な問題ですが、最終的にもあるいはその緒につく段階でも、肝心の地主の個々の人々の境界の立ち会い確認、関係者の合意、そういうものがあって初めて今度は登記の段階に移るわけですが、それまでに移る段階において、一般的には開発庁、そして返還をされました敷地については防衛施設庁がこれに当たります。それぞれの予算措置もいたしております。
  358. 上原康助

    上原分科員 では、開発庁にまずお尋ねしたいのですが、開発庁は、いま長官から御答弁があったような方向で、具体的に今後どう進めようとしているのか、返還された軍用地を含めて、地籍問題をどのように今後調査をし、公簿公図を作成していくのか、その方針なり今日までの作業経過、また今後どういうふうに具体的にやろうとしているのか、御説明いただきたいと思います。
  359. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 お答えいたします。  ただいま長官から御答弁がありましたように、軍用地を含めました沖繩の境界不明土地の問題につきましては、沖繩が復帰しました直後の四十七年度予算以来、明年度の現在御提案しております予算を含めて、三カ年にわたりまして、当開発庁におきまして、初年度一千万円、四十八年度、現年度でございますが、二千三百万円、明年度におきまして約四千万円の予算を計上、予定をしておるわけでございます。  基本的な考え方は、先ほど防衛庁長官から御答弁ございましたとおりでございまして、この取り扱いにつきましては、最終的には不動産登記の問題でございますが、これに至る経緯につきましては、いろいろと複雑な問題もございますので、先ほど長官から御答弁ありましたように、復帰に際しまして、とりあえずこれらの問題の所在を整理する必要があるだろう、そういうことでございまして、四十七年度におきましては、いろいろと当時返還がすでに済んでおりました、現在民有地になっておりますいわゆる境界不明地につきまして、われわれといたしましては、まずその全体的な状況の把握をする必要があるだろう、こういうことでございましたので、先ほど申し上げましたように、一千万の予算をもちまして、これの執行につきましては、復帰の時点で琉球政府に存在しておりました土地調査庁という所管の機構が、県におきましてそのまま土地調査事務所という形で残していただいておりましたので、県とも十分御相談をいたしました結果、県も快くこれを引き受けていただきましたので、当土地調査事務所を通じまして、これらの予算の執行に当たったわけでございます。  具体的内容としましては、先ほど申し上げましたように、まず全体の不明確な地域がどういうふうに分布しているか、それが総面積でどの程度あるか、中ではどういう問題がそれぞれ発生をしているかという概査をしたわけでございます。その結果、これらの地域はほぼ沖繩の本島中南部を中心に広がっておりまして、概数で申し上げますと、たとえば嘉手納の飛行場のように特殊の地域を除きましておよそ九十平方キロ、この中でいわゆる民有地としてそのまま開放されてまだ整理のつかないものが約十五平方キロ程度あるということが判明したわけでございます。  なお、現年度予算二千三百万円におきましては、これらの概査に基づきまして、この中でも具体的に関係地主の間でかねて懸案の問題として解決を急いでおられるような地域、具体的にいいますと与那原の地域あるいは具志川の天願地域のような、地元の熱意も非常にございますし、それの解決が急がれる地域を重点にこれのより綿密な調査を行なうとともに、戦争当時、先ほど先生のお話にありましたように、いわゆる公簿公図がほとんど散逸あるいは焼失しておるわけでございますので、できるだけそういった資料の収集も必要であろう。特に当時米軍が写しました航空写真もございますので、そういった航空写真の利用の必要もあるということで、これらの写真の図化の予算を計上いたしまして、現在これの図化をやっている最中でございます。なお、明年度の調査におきまして約四千万円の予算をもちまして、現下の土地問題の緊急性にかんがみまして、当初計画いたしました基地概査は、一応は五十年度まで予定をしておったのでございますが、一年繰り上げまして、とりあえず四十九年度でそういった概況調査を終わる、いわゆる現況調査、現況図の作製を見込んでおりました。これらの調査が済みました段階で、先ほど長官の御言及もありましたように、具体的にこれをそれぞれの地主におかれて、政府もこれに関係をした場合にどういう解決をするか。おそらくこれは個々のケースによっていろいろ事情がございますので、一律にあるいは機械的にはなかなかいかない問題であろうと思いますけれども、そういった具体的な解決について、できれば五十年には入るというふうな基本的な方向を考えております。  なお、窓口等につきましては、先ほど長官が御答弁のとおりでございまして、今後の進展によりましていろいろと所管は出てくると思いますが、とりあえずそういった段階におきましては、総合的には開発庁におきまして連絡あるいは取りまとめをやっていく、こういう体制になっておるわけでございます。
  360. 上原康助

    上原分科員 いまの御答弁はこれまで一般論で大体明らかにされた点なんですよ。しかし、実際問題としてその作業がほとんど進んでいないわけでしょう。特に開放される軍用地あるいは開放されたものでもいいが、境界や地目、地籍というものがはっきりしないということで利用できない状態。ですからこの問題は、開発庁で予算を計上してやっていく、総合的なものをやっていく。従来もそういう方針といいますか考え方というものをある程度明らかにしてこられたわけですが、要は、軍用地を返還をする段階で地籍の問題なり返される軍用地がどういう条件に置かれているのか、公簿公図は一体どうなっているかというところまで検討を加える余地はないのかどうか、その点をないがしろにして、ただ返されたあと開発庁でやる、今日までもそう言ってきたのだが、実際に進んでいないわけでしょう。昨年の返された軍用地の中でも、いま一例具志川市の件をあげたのですが、そのほかの軍用地にしてもほとんどがそのままの状態であと利用ができない、したがって所有権者も確認ができない、実際の図面と現場とは違うという状態が随所に出てきている。その問題を含めて、開発庁がいまおっしゃったような方向でできるのですか。それをやるには、やはりまず返されたほうは一応民有地になるわけですから、立ち入りの問題が出るわけですね。沖繩全体の、民間じゃないですよ。事軍用地、まだ九十平方キロもあるんだ。一体、現にアメリカが使っている軍用地の地目の確認とか、これは嘉手納飛行場とか特殊な地域はなかなか立ち入りという問題もあるでしょうが、黙認耕作地その他含めて全体的に地籍を事前に確認していくという方向まで、政府なり県なりで合同で進めていかない限り、返されてあとからいつもいまのような問題が出てくる。たまりにたまってあとはどうにもならない、こういうことになりはしないのか。そこらの政府の考え方というのが非常に不明確なんですね。その点もう少し明らかにしていただきたいと思うのです。
  361. 山中貞則

    山中国務大臣 開発庁の前に、私のほうで返還をされました地域については復元補償もしなければなりませんし、筆界の確定その他等もやはり必要でありますし、それが確定するまでは本土において三カ月支払われる賃借料相当額を沖繩においてはずっと払うということにしておりますから、私どもとしてもそれを急いで、ほんとうに地主の人たちの手に返って、自分で使おうと売ろうと何を建てようと自由だという土地になって初めて私有財産になって戻るわけでありますから、その作業は私どものほうで、返還された区域については私たちが責任を持つということで、その他のところは開発庁がやるということにしていただきたいと思うのです。
  362. 上原康助

    上原分科員 返還されたところは防衛庁責任を持ってなさる、その他は開発庁だ。では返されない、現に米軍が使っている、そういう施設、区域というものの地籍の確認ということはやらないということですか。現に提供されている施設、区域に対しても、できる面から地籍も事前に確認して、混乱している点をもっと明確にしていくということは全然考えておられない、その点についてはアメリカ側とも話し合ったこともないというようなことなのか、一歩突っ込んで事前にそういうことまで確認をしていくという考え方があるのかどうか、その点も明らかにしていただきたいと思います。
  363. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 現在提供中の施設、区域の中においても、できるだけ早く地籍確定をやるということはたいへん望ましいことだと思うのです。ただ、先ほど御指摘ありましたように、嘉手納飛行場とかあるいはキャンプ瑞慶覧のように、建物が相当込み入って建っているところなどは、なかなか中へ立ち入ってもそういった作業はむずかしいわけでございますが、幸いに比較的地形の形質変更等も行なわれていない、あるいは米軍の了解のもとに中に立ち入れるようなところで、現在提供中のままで地主さんの間にお互いの境界の了解がついて登記簿の修正が済んだものもございます。現在七十七の施設におきまして十三の施設につきましては、その中には一部分のものもございますが、提供中でありますけれども地籍の確定したものもございます。  それから提供中の施設、区域につきましても、外側の測量等を防衛施設庁年次計画で逐次四十七年度からやっておりますが、これも外側を測量して施設、区域の外と中との線引きをはっきりすることによって、将来の施設、区域の中の地籍確定への足がかりとなるといいますか、そういう作業もやっております。
  364. 上原康助

    上原分科員 どうもすっきりしたお答えじゃないんですがね。とにかく返されたものも、では返されない、現に米軍が使っている施設、区域についても地籍の確認のできる点は政府としてはやっていきたい、そういう方向で進める。それをやる場合は防衛施設庁がやるのですか。そういう作業を進めていく場合は外務省ですか、どこですか。
  365. 山中貞則

    山中国務大臣 全体としては沖繩開発庁ですね。さらに全体としては経済企画庁です。けれども沖繩については開発庁、そして返還施設及びただいま施設部長が述べましたような可能な限りの軍用地については私どもがやる。それと、これはなかなかむずかしいのですが、沖繩振興開発に関する計画も立てる役所である開発庁でありますから、これは開発庁から答弁がありましょうが、その計画と軍用地の形態というようなものは非常に密接な関係がありますから、その方面からも県、市町村一体となって、国とともにそういう作業を両々相まって進めていくということで、責任は、軍用地の返還にかかるものは私どもがやり、返還前に可能なものは、外縁測量から始まって地籍確定まで施設庁のほうでやります。しかし、それ以外のものは開発庁で一応所管してもらうというような区分けをしておるつもりであります。
  366. 上原康助

    上原分科員 それじゃ具体的にお尋ねしていきたいのですが、開発庁と防衛施設庁中心になってやっていく。現在は、予算は開発庁に計上されて、作業は県の土地調査事務所に委託をしているわけですね。そういうルートじゃないのですか。
  367. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 お答え申し上げます。  先生が御指摘のとおり、開発庁におきまして一般的な調査費を、先般御説明しましたように各年につきまして計上しておりますが、この予算の執行につきましては、御案内のように、開発庁自身におきましてこういう土地調査の専門の組織がいまあるわけではございませんので、たまたま、といいますとたいへん恐縮でございますが、復帰までの沖繩の土地調査庁、この組織が復帰後も土地調査事務所という形で、県と御相談をいたしまして現在設置されております。この土地調査事務所のお仕事というのが、復帰前にすでに相当の年月にわたりましてこの不明土地の整理という大きな仕事に携わっておられました経緯もございますので、先ほど申し上げましたように、私どもも県と御相談をいたしまして、県もこれをお引き受けいただきましたので、この機構を通じましてこういった調査をいまやっていただいておるわけでございます。聞くところによりますと、県も新年度を目ざしまして機構の改革を計画しておられます。  この土地問題につきましては、県におかれましても抜本的に取り組みたいということで、政府の協力はもちろんでございますけれども、土地調査局というより強力な機構にこれを改組いたしまして、専門官も増員をされまして、この機構のもとに、私ども開発庁としましては、政府サイドにおきましては防衛施設庁、経済企画庁あるいは法務省、こういった関係省庁と十分に協議、連絡をいたしますとともに、現地におきましても沖繩総合事務局、防衛施設局及び県を中心に、これに加えまして、何といっても関係の地主の方々の御意向、この熱意といいますか、こういった調整をする上ではぜひ必要な問題でございますので、そういったものを考えまして、できるだけ早くそういった組織の上にこの調査なり後々の解決の方策を具体的に詰めていく、こういう考え方でおるわけでございます。
  368. 上原康助

    上原分科員 実はいま答弁のあった点が今日まで問題になってきたわけですよ。県に委託をするということでも、県の土地調査事務所はとても手に負えぬのだということで、政府もやらなければいけないということを言いながら、なかなかややこしい問題だったので今日まで手をつけられなかった。そうしますと、広大な軍用地が返還をされて、確認をされていない地籍の調査、確認あるいは筆界、そういった面の新しい公簿公図をつくっていくとなりますと、それなりに技術者が要るということ、また費用もかかる。土地調査局を県につくるにいたしましても、人員の確保の問題や予算の面が大きな問題になってくるわけですね。これは何も沖繩県がそういうことをもともとしでかしたことではないわけですよ。米軍下においてああいう土地の形質変更というものが出てきたわけですからね。それを考えると、責任の所在というのは、やはり国のほうに最終的に——作業を具体的に進めていく云々はまた話し合いによってきめると思うのですが、確認したいことは、政府のほうも開発庁が中心になって——開発庁は何でもかんでも引き受けるが、そう簡単にできるのですか、ほんとうに。開発庁が中心になって、防衛施設庁、経企庁、そして法務省の沖繩の地籍を確認をしていく作業を進めていくための対策協議会といいますか、連絡会議を持つ、そういう窓口をつくっていく、そしてそれに伴う予算も国が責任を持って補てんをしていくということでいいんですか。そういう方向で進めさせていく。若干の予算をつけて、あとは県でやりなさいといったって、そんなことはできっこないですよ。そこまで政府がはっきり責任を持てるのかどうか、この点ぜひ明確にしていただきたいと思うのです。
  369. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 お答え申し上げます。  私が先ほど申し上げました三カ年にわたります開発庁計上のいわゆる調査予算でございますが、先生指摘のように、非常に広大な区域にわたっていわゆる境界不明の土地があります。それから一方、これらの土地の紛争解決は戦後長い間かかっていまして、いずれもなかなか解決のできないという問題の内容を持っておるわけであります。この中には、たとえば復帰前に、読谷のほうでございましたか、一部地元の地主の方々の御努力と協力によって解決したようなケースもございますけれども、いろいろと利害がふくそうしておりまして、問題はやはり土地を持っておられる地主の方々の中の話し合いがなかなかできないという非常に大きな問題もあるわけでございます。こういった問題は、行政の機構ないしはそういった問題だけではなかなか解決できない問題を含んでおると思いますけれども、とにもかくにもわれわれとしましては、そういった問題点を悉皆調査をしました結果、整理をいたしまして、それぞれのケースについてどういう解決の方法があるかということは、やはりまずもって政府責任もございますので、一応調べ上げる必要があろうかと思います。  ただ、その具体的な方法としまして、先ほど来御答弁しておりますように、県におかれましても、今後の沖繩振興開発上、土地の利用上、これらの問題が解決しないと非常に大きな支障があることは当然でございますので、積極的に県におきましても協力するのにやぶさかでない。しかし、国の責任において大かたの推進をはかってもらいたいという御趣旨もあるわけでございます。したがいまして、先ほど御答弁しましたこれらの予算は、現行の時点においては予算は調査費でございますが、いずれもこれは全額国費をもって県にお願いしているということで、県の事務部局の職員の活動費、いわば人件費的なものも入るわけでございますが、そういったものはこの中に含まれておるわけでございます。  そういったことでございますと同時に、私どものいまやっておりますのは、あくまでもそういった問題点を整理をしまして、できるだけ早く今後の解決の方法を見出すためのアプローチを完成したいということでございます。したがって、いまの段階でわれわれが、こういう方向であれば二十数年にわたるこれらの紛争は一挙に解決するというふうな、確たる自信と方策を明示するという段階にはもちろんないわけでございますけれども、そういった問題点が整理されました暁には、いろいろなケースによりまして、この解決の方法を具体的な方法として、現地の地主の方、市町村、県あるいは先ほど申し上げましたような関係省庁の中でそれぞれ解決の方策が見出されるのではないか、こういうふうに考えているわけであります。
  370. 上原康助

    上原分科員 この地籍の確認問題はそう簡単なあれじゃないと思うのですよね、むずかしければこそこれまでほとんど解決されていない状況にあるわけですから。もちろんそれは県側の取り組みなりあるいは関係地主の協力というのも必要であることは否定はしませんが、一つには、自分の所有地の位置とか境界を現地で確認できない状態があるわけでしょう。いま一つは、全然地形が変質をしてしまっている。だから、公簿公図と現地が符合せずに軍用地料がもらえないというような状態もまた一方においては出てきているわけでしょう。ほんとうの土地の所有者でありながら、公簿公図から漏れているものや、面積が本来の面積より少ないとか、多いほうは、これは皆さんが言っている集団和解方式というかで、できるかもしれません。こういう非常に利害がからむようないろいろな問題があるわけですね。したがって、解決をしていくにはそれなりの時間がかかるし、それなりの費用も考えなければいかない問題なんです。県の土地調査事務所でできなかったという大きな理由は、まず技術者の問題と職員数の不足の点、いま一つは予算の裏づけですね。ほんとうに政府が、この際、沖繩の地籍の混乱状態というものを、いまあげました幾つかの問題を解決をしていくということであるならば、県側に、そういう対応していく土地調査局なりあるいは職員を確保せよという指導もいいでしょうが、それに伴う人件費なり費用については国がめんどうを見るということまで、はっきりと方針というものを出して、年次計画でいくならいく、あるいは特別会計でいくならいくというようなことを、この際方針を明らかにしないと、私はいつまでもまた同じ議論にしかならないのじゃないかと思うのですね。これはむしろ振興局長よりは、政治判断もありますので、沖繩をよう知っている大臣のほうから。そのぐらいのことはやらぬと、軍用地を返しましたとかなんとか言ったって、むしろ災いになるという結果になりつつあるわけでしょう。その点は国のほうで十分責任が持てるのかどうか、ぜひ確認をしていただきたいし、かつて四種雇用員の問題もそうでしたが、また先ごろ起きた爆発事故の問題もそうなんだ。政府の窓口がどこへ行ったってはっきりしない問題があまりにも多過ぎるのですよ。そういう意味で、横の連係ということを持つ必要があるということもわかりますが、この際、総合事務局と施設局と県と関係市町村、地主という出先のほうでもいろいろ検討しているわけだから、政府部内にも、先ほど長官おっしゃったように、開発庁、防衛庁、経企庁、法務省、場合によっては外務省、こういう責任ある方々が沖繩の地籍問題を調査をしていく、あるいは確認をしていくという、何かの対策部局というものをつくらないといかないと思うのですね。それに伴う予算については政府責任を持つ、この点はぜひ明らかにしていただきたいし、当然そうすべき筋の問題だと思うのです。お答えいただきたいと思います。
  371. 山中貞則

    山中国務大臣 開発庁については、先ほど予算も含めてお答えいたしたとおりでありましょうが、防衛施設庁のほうは、補償費として、復元補償の費用あるいは外縁確定あるいは個々の境界確定、復元の費用の算定、それの支払い、そして借料にかわる見舞い金の支給というようなもの等の予算は全部組んでございます。
  372. 上原康助

    上原分科員 それは少し質問をすりかえていらっしゃるんじゃないの。もちろんそういう施設の返還後、地主の皆さんに実際に利用できない状態の間の補償をやるというのは、従来長官が主張してこられた点なんですね。だからといって、じゃ地籍はそのままほったらかしというわけにはいかぬでしょう。そういう面ももっとスピーディーにやっていくということじゃないと、土地の利用というものはできないわけですから、それを含めて、開発庁だけにまかすということでなくして、政府全体てそういうめんどう——めんどうというよりも、そういう責任を持って地籍問題の確定をやっていく。それに伴う費用、人件費、人員の確保というものも、政府責任でやるということができないわけですか。
  373. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 お答え申し上げます。  先ほど予算関連につきまして、一、二御答弁申し上げたのでございますが、私どもが現在計上しておりますいわゆる調査費の予算内容につきましては、明年度におきましても、これから具体的にそれぞれの地域の特殊事情に応じまして、解決の方策を見出していく必要があるわけでございますので、当然県はもちろん関係市町村長、それから地元の地主の方々、こういう方々をまじえまして、十分現地でも協議をする必要があるわけでございまして、そういった連絡の会議費を含めまして、先ほど申し上げましたような調査費は、できるだけ県には負担をかけないということで、全額国費という方向で予算を計上しているつもりでございます。  なお、本省サイドにおきましては、先ほどもちょっと触れたかと思いますけれども、すでに昨年来、関係の省庁間におきまして会合を持ちまして、今後のこの問題の取り扱いの進め方等についても、逐次会議を開いておるのでございますが、いずれにいたしましても、問題はこれらの地域についての概況の全貌の把握と、それぞれの特殊事情がどういうふうに整理されるか、これについて、地元の地主の方々の希望あるいは特殊の事情がどういうふうにあるか、こういう問題をできるだけ早く煮詰めました上で、それぞれ各省庁の分担においてこの問題は処理しなければならないという点につきましては、確認をしておるわけでございますし、今後もそういったことで、緊密な連絡会議を持つ方向でございます。  なお、国の責任ということになりますと、これの解決の具体的な問題と関連をしてくるわけでございますが、これは先生よく御案内のとおり、どういう形で解決するかというのは、いろいろな問題もございましょう。具体的に言いますと、これらの土地を解決するためには、たとえば土地区画整理事業でありますとか、あるいは土地改良事業もありましょう。あるいはまた、先ほど先生も御指摘されました、困難ではありますけれども、集団和解の方法もあるわけでございます。そういったいろんな問題を含めまして、画一的な方法ではなかなかこれは処理できないのではないか、こういう問題だろうと思っております。いずれにしても、そういった解決の方策が整理されますれば、それぞれの事案に応じまして、長官もお話がありましたように、当然国の責任もございますので、所要の措置は必要であろうと考えておるわけであります。
  374. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほど来の御質問に関しまして、米軍に提供しております施設、区域が返還になってまいりました場合に、いわゆる地籍確定に至るまで、防衛施設庁が関係所有者との間に、どういうふうなお話し合いをしながらどういう作業をやるかという内容を御説明することによって、防衛施設庁のこの境界設定に関する取り組みの事情をおわかりいただけるのじゃないかと思います。米軍提供の施設、区域が返還になりました場合、いかに形質変更が著しくても、やはり一日も早く所有者の利用に帰するように、われわれもその作業を促進していっているつもりでございまして、たとえば昨年六月に発表になりました八つの施設のうち、三つの施設につきましては、境界設定を必要としない施設でございました。五つの施設につきましては、返還を米側から受けた後さっそくその作業に取りかかっておりまして、そのうち泡瀬倉庫地区とトリイ通信所につきましては、いずれも相当広大な面積を占めておりますが、これらにつきましては、すでにまずその調査が終わっております。その調査というのはどういう調査かと申しますと、まずたとえばトリイ通信所におきましては、コラル敷き部分というものが相当あります。こういったものの面積とかその厚さとか、そういったものをまず測量いたします。それから雑木等が繁茂しておりますので、そういった面積、それからこれを境界設定するためには、伐採し取り除かなければなりません。そういったものの費用がどのくらいかかるとか、あるいは残っております通信のコンクリートアンテナの基礎、こういったものを撤去するとすればどのくらいの数量があるか、あるいは黙認耕作地の現況はどういうふうになっているか、こういった点、あらゆる点を調査いたしまして、泡瀬とトリイ通信所につきましては、これらの調査をすでに完了しております。近く関係地主さん方、それから関係市町村等ともお話し合いをいたしまして、これらのいわゆる境界を確定するための作業費——境界を確定するためには、三角測量、多角測量、現況測量等をやって、地図編さんまでの作業を行なうわけですが、そういった調査作業費がどのぐらいかかるか、それからこれを所有者の皆さんのお考えに応じて、たとえばもとの農地に戻すとすれば、コーラル敷きをはがして、そこにどのぐらいの厚さの客土をすればいいか、そういった点まですべて積算をいたしました上で、近くそういったものを含めた原状回復補償の概算額を出しまして、これらを一括いたしまして、それらの関係所有者にお渡しする段階になっております。さっそくその補償に基づきまして、その測量費に該当する部分につきまして、関係所有者と関係村、それから那覇防衛施設局、寄り寄り御相談いたしまして、先ほど話も出ておりました集団和解方式的な方法によって、これらの測量を進めていく、作業を進めていくということによって、おのずから境界が確定していき、そこで初めて最終的に原状回復の補償額等もきまっていく。そういうことで、この二つの施設はもう相当進んでおります。なお、あとの三つにつきましても、現在調査も相当進んでおります。たとえば、先般の第十五回日米安保協議委員会で合意されました線に従って、近く返還になってきますものにつきましても、この線に沿って作業を進めていくわけでございまして、そういう点におきまして、境界確定までの作業に要する経費と、その間の相当な期間の借料相当の管理費、そういった面まで防衛施設庁のほうで負担するという形になっております。
  375. 上原康助

    上原分科員 もちろんすべてやってないとは言いませんが、ここで御答弁するほど現場は進んでいないんですよ。確認したいのは、じゃいま二点だけおあげになったのですが、特に具志川市の場合なんか、これは昨年じゃなくて、四十七年に返されたんですか、具志川は。その場合、まだ全然手がつけられないわけでしょう。ですから、いずれにいたしましても、地籍が確認——じゃ、いまの件は四十九年度でやるんですか。予算も計上されているんですか。四十九年度じゅうにやるんですか。トリイ・ステーションとそれから泡瀬ですか、そのほかにもボロー・ポイントがあるわけでしょう。天願通信所がある。いま御答弁なさったことは四十九年度じゃうにやるんですか、次年度で。
  376. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいま御指摘の各施設、また第十五回日米安保協議委員会で移設を伴わずに返還になることに合意されている施設のうち、十二カ所につきましても、来年度予算案にそれぞれの返還補償費として計上されております。
  377. 上原康助

    上原分科員 返還補償費が計上されているのであって、地籍をどうする、筆界をどうする、調査をどうしていくということまでは計上されていないんじゃないですか。
  378. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 先ほど御答弁申し上げましたように、返還補償費の中に、そういった調査測量費、境界測量費だとか、そういったものも全部含まれているわけでございます。
  379. 上原康助

    上原分科員 その予算は全体で幾らですか。
  380. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 全部で約四億九千万でございます。
  381. 上原康助

    上原分科員 その点と、開発庁の計上している予算との関連はどうなりますか。
  382. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいま私の答弁申し上げましたのは、あくまで、米軍に提供しておりました施設が返還になった部分に関する、境界設定及び原状回復補償に関する予算でございます。
  383. 上原康助

    上原分科員 そういたしますと、軍用地関係については、やはり防衛施設庁責任を持たなければいかぬということなんだな、予算の出しどころからしても。開発庁はあくまで軍用地以外の民間地域の地籍の確認、筆界の確認ということになるわけでしょう。問題になっているのは、返還された軍用地と、これから返還されるであろう軍用地なんですよ。そういう面で、その点はやはり軍用地に関しては施設庁が責任を持つ、防衛庁責任を持つ所管であるということもより明確になるわけでしょう、いまの予算の出しどころからしても。そういうふうに理解していいですね。
  384. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 地籍確定の責任という意味じゃなくて、原状回復補償が、所有者との間の契約に基づく、われわれのほうのいわば義務となっておるわけでございますが、それを行なうことによって、おのずから境界が確定され、地籍が確定されるということになるわけでございます。
  385. 上原康助

    上原分科員 地籍確認できぬで、原状回復も補償もできないんじゃないですか。そんな答弁じゃちょっと納得できませんよ。だから、先ほど長官は、総合的には開発庁だと言うけれども、、これは開発庁だけで手に負えるものじゃないんですよ。そういう面は明確にしていただかないと、これはこの間経企庁でも見せたのですが、これは具志川の問題になっているところなんですよ。この黄色の部分は公図上は開放されている。それが実際には軍用地内にある。だから、こういうところは、実際問題として手のつけようがないのですよ。一体この責任はだれがどうするのかということです。ここいらの問題まで掘り下げて、この地籍問題というのは考えていただかないと、そうなまやさしいものじゃないですよ、実際問題として。それまで含めてほんとうに地籍の確認をやっていく。あるいは、地籍を確認せぬで復元補償なんかできますか。現在の公簿上の補償なら幾らでもできるでしょう、賃貸料に相当するものを払えば。それじゃ土地は返らないのだ。その責任はやはり防衛庁にあるんじゃないですか。開発庁じゃないんじゃないの、それは。むずかしいやつはみんな責任のがれをするから、ますますおかしくなる。
  386. 田代一正

    ○田代政府委員 こういうぐあいに御理解願ったらどうかと思うのです。いまおっしゃった具志川の例は、わが防衛施設庁が承継する前の事案ではなかったかと思います。わが防衛施設庁といたしましては、御案内のとおり、四十七年の五月十五日ですか、全部承継したというかっこうになっております。そこで、そのとき賃貸借契約を地主の方とかわしているわけです。その際に、賃貸借契約の一項といたしまして、原状回復の義務をその中にうたってあるわけです。したがいまして、防衛施設庁といたしましては、返還の場合には、その契約条項に基づいて、当然原状回復しなければいかぬという義務があるわけですね。それに関連いたしまして、その原状回復という作業を進める過程におきまして、当然境界の設定ということにまで足を踏み入れないと、原状回復という行為ができない。したがって、原状回復の一環として、返還される土地につきましては、防衛施設庁が専管的に実施しなければならぬ、こういうことだと思うのです。じゃ、一体それ以外のところはどうだという話になりますが、これはいろいろな権限その他を考えますと、防衛施設庁が必ずやらなければいかぬということにはならないと私は思う。これは沖繩開発庁なり経済企画庁がおやりになるということじゃないかと思う。分解すると、そういうことになると思います。
  387. 上原康助

    上原分科員 ですから、分解するとそういうことになるなら、横の連携、連絡、密接なチームワークをとらなければいかぬわけでしょう。そうであると、私が最初に申し上げましたように、県側にもそういう調査局もつくって、対応する機関を設けようというなら、本庁にもそういうものがあってしかるべきでしょう。経企庁も開発庁も防衛庁も法務省も入れた、そういった沖繩の地籍問題を積極的に解決していくプロジェクトチームといいますか、そういうものを政府もつくりますねといったって、それに対しては、いやあっちだこっちだというから、話がこんがらがる。そういうお考えありますか。またそうせぬと予算の問題も出てこないわけでしょう。窓口をはっきりさせて、責任をもってこういうふうにやっていくんだ、県側とのパイプはここでつなぐんだということばで、この際明確にしていただきたいと思うのです。その方針でこのことはやれますね。これは大臣からはっきりお答えください。
  388. 山中貞則

    山中国務大臣 冒頭申し上げましたように、全体の地籍確定については、沖繩の土地調査事務所と政府の開発庁と一緒になってこれをやる。それに対しては市町村や個々の地主さんも協力してください、経費も持ちます、こう言っているわけです。今度返還されます土地については、ただいま説明しましたように、防衛施設庁責任をもって境界画定までごめんどうを見させていただきます、こう申し上げているわけですから、明確だと思うのです。
  389. 上原康助

    上原分科員 あまり明確じゃないですね、私の言い方に対して。  あと、これとの関連もありますので……。いまさっき復帰前の返還だったという御答弁もあったのですが、例の本部飛行場、補助飛行場、これは返還されたのは一九七一年の六月三十日、確かに復帰前ですよね。いまだにペンペン草、ギンネムがはえて、全然使用不能、地籍も確認できない、こういう状態のものがあるわけですね、一例をあげても。これの賃貸料はいまどうなっているのか。まずこれの復元補償の問題、今後そのままほったらかすのかどうか、この点を明確にしておいていただきたいと思うのです。
  390. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 ただいまの本部飛行場は、御指摘のとおり、復帰前に米軍から返還になった土地でございます。また先ほどの具志川の問題も、復帰前にいわゆる返還協定のC表というリストに載っかって返還になったものであります。ただ、具志川の場合には、あいにくなことに、引き続き提供しておりますキャンプコートニーの部分とちょうど境を接しているために、さような複雑な問題が起こっているかと思います。いずれにいたしましても、復帰前に返還になりましたものにつきましては、防衛施設庁の立場といたしましては、何ともごめんどうを見るわけにはいかないわけでございます。
  391. 上原康助

    上原分科員 じゃ、本部飛行場の問題はそのまま、未来永劫にああいう状態でおくということですか。そういうことではないでしょう。
  392. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 先生が先ほどから御指摘になりました本部飛行場、具志川の復帰前に返還になりました地域については、当然私どものほうでこれの調査をやるわけでございます。具体的にいいますと、本部飛行場の地域につきましては、四十八年度予算で現在現況図の作成をやっておる最中でございます。同時に、先ほどちょっと触れました航空写真の図化によりまして、原形にできるだけ近づくという作業を現年度予算でやっておるわけでございます。  それから具志川につきましても、復帰前に返還になりましたけれども、先ほど先生がお触れになりましたように、未返還の基地との関係で入り組み等もございますので、これらにつきましては、当然開発庁及び県ともども防衛施設局とも相談をいたしまして、相互に密接な連絡をとりながら、これらの問題解決に当たる、こういう方向で現在やっております。
  393. 上原康助

    上原分科員 いまの点は、復元補償の問題を含めてやっていくということですね。復元補償問題はどうなっておるのですか。
  394. 亀谷礼次

    ○亀谷説明員 お答え申し上げます。  私どもの調査は、あくまで土地の境界の画定のための調査でございまして、先生が御指摘になりました復元補償の関係は入っておりません。
  395. 上原康助

    上原分科員 復元補償の問題ですが、これはいろいろ経緯がありますね。そのままの状態なのか、どうしようとするのか。これは開発庁というよりも施設庁じゃないですか。返されたからということで、そのままというわけにはいかぬでしょう。——時間がありませんので、あとで調べて、その点、報告をしていただきたいと思います。  そこで大臣、もう一ぺん確認しておきたいのですが、とにかくきわめて複雑な問題があるということは、もうよく御承知のことだと思います。したがって、返還された軍用地、施設、区域が、地籍が確認できないあるいは地主に実際に返還できない。まあ何年たつかわかりませんよ。一年でできるのもあるでしょうし、あるいは二年でできるのもあるでしょうし、場合によっては三年、五年かかるのもあると思うのです。その間は、地主に対しては従来に相応する、いわゆる提供施設、区域であったものに相応する、賃借料なり補償はやっていくという立場だということは確認できますか。
  396. 山中貞則

    山中国務大臣 先ほども答弁いたしましたが、境界画定された私有財産として使用が自由であるようになるまでの間は、これは賃借料とは申せませんが、見舞い金の形で、賃借料相当額を支給してまいりますということです。
  397. 上原康助

    上原分科員 地籍の確定問題は、ぜひ早急に、先ほど申し上げたような方向で進めていただきたいと思います。  時間がありませんから、最後に、これは長官にお尋ねしておきたいのですが、ある新聞の報ずるところによると、国会終了後、山中長官が、欧米の防衛事情の視察に行かれるという報道がなされているわけですね。行くのはもちろん御自由でしょうが、四次防問題も、予算の問題あるいは資材や人件費の高騰その他でいろいろなおくれをとっておるわけです。われわれ、四次防そのものの練り直しということも必要だと見ているのですが、仄聞するところによると、欧米を訪問する目的は、第五次防を策定するための山中構想をまとめる参考にするための視察だという意見もあるわけですね。四次防問題が、今日のインフレその他いろいろな面で問題になっているさなかで、政府はまたしても五次防に着手をしたのかどうか、また五次防構想というのは一体どうなっておるのか。これは今後の防衛問題とのかかわり合いで重要な点だと思いますので、長官の考え方、訪米の目的などは一体どうなっておるのか、五次防は、従来考えておったといわれるように、着手をしていく計画で進んでいるのか、その点明らかにしておいていただきたいと思います。
  398. 山中貞則

    山中国務大臣 仄聞するとおっしゃっても、私がしゃべっていないものが聞こえるわけがないのであって、私はまだきめておりません。しかし、それと五次防といわれる問題、いわゆる四次防以降ですが、これはいままでのように、三次防の次は四次防、四次防の次は第五次五カ年計画というふうにいったほうがいいか、あるいは単年度は、人件費、糧秣、被服その他、その年度経費によって調達をしていって差しつかえのないもの、しかしシビリアンコントロール等の面から見て、長期にわたり多額の経費を投じて取得していくような正面装備等については、シビリアンコントロールの最終機関としての国会の御承認を得るためには、やはり三年とか五年とかの長期にわたるものもあっていいのではないかというような考えを、個人的には持って作業をさせておりますが、まだ結論を得るに至ってはいないということであります。
  399. 上原康助

    上原分科員 私が仄聞すると言ったのは、何も大臣から聞いたんじゃない。私だっていろいろなことを聞くので、それを仄聞と申し上げたのです。  そういたしますと、いまの御見解では、四次防がすでにもう最終段階にさしかかろうとしているわけですね。四次防の次は五次防だ、五次防を一応想定をして政府は作業を進めている、そういうふうに受け取っていいですか。
  400. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、私は外国に行くということをきめていないということであります。それから第二の点は、五次防というものを、いままでのように、三次防の次は四次防、四次防の次は五次防というふうに、そういうふうに単純にきめるべきかどうかについて疑問を持っておる。だから、それについてあり方を考えるというわけで、来年度は四次防の第三年度ですから、別段四次防以降について具体案をつくらなければならない時期には差しかかっていないわけであります。
  401. 上原康助

    上原分科員 これで終わります。
  402. 上村千一郎

    上村主査 増本一彦君。     〔主査退席、中村(弘)主査代理着席〕
  403. 増本一彦

    増本分科員 私に与えられておる時間は三十分ですので、これからお尋ねすることに、ひとつ簡潔に答えていただきたいと思うのです。  政府も御承知だと思うのですが、現在の米軍の基地関連する問題では、国民の中に、いま大ざっぱに分けて三つの要求があると思うのです。一つは、米軍基地に働く労働者の大量の人員整理がここ数年続いて、この人員整理に関連するいろいろな要求が出ている。二番目は、基地と不可欠の問題ですが、基地から生ずる騒音やその他の公害に対してどう対処するか。三番目は、国民共通の要求だと思いますが、基地の返還の問題。この三つの問題について、政府の所信をお尋ねしたいと思うのです。  最初に、人員整理をめぐる要求ですが、御承知のように、基地に働いている労働者が、昭和四十六年以降あるいはそれ以前からもそうですが、特に最近に至るまで大量の整理が行なわれている。これは日米間の防衛などをめぐる政策の変化の結果でありますから、当然政策としても、この人員整理の対象になった労働者の再就職を含む完全な生活保障ということにうんと力を入れる必要があるだろうと思います。その点では、実際を見ますと、まだまだ決して十分でないというように思いますので、この点について、特にこれからさらに力を入れていただきたいという強い要求を持っているわけですが、その点についての政府の所信、施策を、まずお尋ねしたいと思います。
  404. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 お答えいたします。  防衛施設庁といたしましては、基地で働きます日本人従業員の法律上の雇用主といたしまして、なすべきことがいろいろあると思います。それから労働省その他関係省庁で、たとえばいまおっしゃいました不幸にして離職をされる人たちの再就職とか再就業の援護、救済というような問題について、たくさんの施策が用意されておりますが、それは御承知の駐留軍関係離職者等臨時措置法という法律がございまして、昨年の国会で五カ年の延長が一応成立しております。その法律を軸として、関係省庁で協力して進められておるわけでございます。私どもが雇用主として一番心がけておりますのは、そういう離職、解雇といいますか、解雇計画を事前に、基準法等で法定の三十日前というようなことでなくて、九十日前というのを一応努力目標にしまして、できるだけ早く知るということとか、それからなるべくその意思に反して解雇というのでなく、希望退職というようなかっこうをできるだけとるとか、それから、その他雇用主としましては、退職金のほかに特別給付金を支給するとか、あるいは離職前に再就職の便宜のための若干の職業訓練を行なうとか、あるいはいま関係の都道府県に離職対策センターと俗に称しております公益法人ができておりますが、それに対して若干の助成をする、その助成費をいま年々増加しておりますが、そういったことに努力しております。
  405. 増本一彦

    増本分科員 退職金や特別給付金など、ほかの公務員と比べて一定の優遇措置がある、これは私も承知している。しかし、まだ働けるのに途中でその職を奪われるわけです。だから、そこでやはり次の職を見つけて働かなくちゃならぬ。これがいまの実態です。  私も実情を調べてみますと、いま人員整理の焦点になっている相模原補給廠の場合をとりましても、四十六年からことしの二月の末まで、相模原の職業安定所関係で、人員整理の結果、就職あっせんの申し込みをした人が五百三十三人、そのうち就職できた人というのは三百八十五名、七二%なんですね。もう少しこまかく内訳を言いますと、このうち男が三百二十二人のあっせん申し込みで、就職できたのは二百四十名、女子の場合には二百十一名の就職の申し込みで、百四十五名が就職、三〇%の人は就職もできない。それから就職をしても、そのあとの労働条件その他のいろいろの不満から、また新たに転職をしなければならない。いまそういう実態にあるのだと思うのです。人員整理して離れてしまったら、もうそれ以降の問題は全然自分のところの所管ではないというのではなくて、最初のスタートのときから、この辺のところを十分踏まえて就職のあっせんの労をとられるということが必要であるというように思うのです。  まず最初にお伺いしたいのは、こういう人たちに対するその後の追跡調査ですが、その後どうなっているのかというようなことはやっていらっしゃるのでしょうか。
  406. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 追跡調査はやっております。
  407. 増本一彦

    増本分科員 時間がありませんので、もしおやりになっていらっしゃるのでしたら、あとでその調査の結果を資料として私にいただけませんか。
  408. 山中貞則

    山中国務大臣 よろしいです。
  409. 増本一彦

    増本分科員 そこで、もう一つ問題なのは、就職のあっせんが、いまそれぞれの基地の地元の自治体、県や市ですね、それと職業安定所、ここだけの努力で、どうも政府全体としてこの問題に当たっていくという体制がきわめて弱いというように思うのですけれども、その点はいかがでしょう。
  410. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 ほかの関係省庁にまたがりますので、ちょっと私からだけでよいかどうかわかりませんが、先ほど申し上げました法律の第三条に、中央駐留軍関係離職者等対策協議会というのが設けられることになっております。関係省庁連絡調整をするということで、現実にことしになってからも幹事会等を開いておりまして、内閣審議室を中心にいたしまして、いろいろ十分対策を進めているところでございます。
  411. 増本一彦

    増本分科員 この追跡調査をされて実態を掌握されている、その実態を踏まえて、具体的な施策というのはおとりになっていらっしゃるのですか。あるいはまた、これからどういうものをおとりになろうとするのですか。
  412. 松崎鎮一郎

    ○松崎政府委員 たとえば、先ほど申し上げました離職前に、私どもがまだ雇用をいたしております間に、職業訓練をやっておりますが、それの効果がどうだったか、いまの追跡調査ですね、それが役に立ったのか立たなかったのか、どういう面が改善をすべきかというような点は、それを参考にして改善を進めておりますし、さらに進めていくつもりでございます。  それからなお、その資料は関係省庁にもお配りいたしまして、関係省庁の施策の便宜にも供しております。
  413. 増本一彦

    増本分科員 いま私が例にあげた場合でも、七二%しか就職できない、三〇%近い人は就職もなく、困っている。やはりこういう実態を考えますと、もっと特段の力を入れるべきだというように思うのです。  そこで大臣、国務大臣としても、こういう関係の問題で、やはり基地に長い間働いてきた労働者ですからね、この人たちが国策の変化によって職を奪われるわけですから、これについての生活の完全保障を目ざした具体的な施策をこれからとっていただきたい。そういう点で、もし大臣としての御意見があれば、ここでひとつはっきり伺わせていただきたいと思います。
  414. 山中貞則

    山中国務大臣 総理府に駐留軍関係離職者等対策協議会というのがありまして、そこで全体的には調整しているわけでございますが、私どもは雇用者の立場でございますから、やはり日本人たる駐留軍労務者の方々を、取りきめによって米側に提供しておる反面の義務も負っておるわけであります。  そこで、昨年、ことしと比較的沖繩と本土の、まあ地点は限られていますが、集約して、結果失業者になる解雇者が出るものでありますから、そこで御承知のような前例のない、年度中に予備費を使用して、しかも四月にさかのぼって来年度予算の八割を支給するという措置もとりました。来年度はそれが満額になるわけでありますが、それらの措置は、いわば御苦労さまでございましたと見送るときのせんべつをよけいやるというだけの話でありまして、やはり年齢的に中高年齢層の方々であり、そしてまた、どっちかというと、やはり比較的仕事の内容に比べて給料は高い、そういう方々が外に出て同じ給料くらいほしいという気持ちで職をたずねられます場合に、よほどの特技がないと、なかなか職が見つからないという環境は、本土、沖繩、同じような環境があると思いますので、それらの点はやはり、それらの中高年齢層の方々に求人開拓の面等において何が必要なのか、そしてまた、雇用された場合においても、その後それがどのようにして効果があったのか、先ほど松崎君が申しましたような追跡などをしながら、やめられたあとはもう知らぬということは、われわれ言うつもりはありませんので、これは労働省の所管の再就職促進手当とかいろいろなものがありますから、そういうもので一定期間ごめんどうを見つつ、なるべく全部の方々が再就職の機会が得られるようにと願っておりますが、経済の変動等がありますと、一番先に駐留軍労務者であった方々等の再就職の面あたりが困難な面になるのじゃないかと心配しておるところでございます。
  415. 増本一彦

    増本分科員 そこで、これはもう一点伺いますけれども、相模補給廠の場合、ことしの一月に人員整理が出るところが、延びて三月の末ぐらいになりそうだという話なんですね。それは御承知だと思うのですが、その結果、これは四月一日からのベースアップがきまれば、この退職金等でも一定のはね返りがあるのに、わずか一日ないし数日の差で、二十年勤続の人で百万近くの違いが出てくるという問題で、かなり深刻な悩みとなり、要求があるわけですよ。こういうような問題は、いまの大臣の答弁の趣旨からいっても、当然来年度にむしろ延ばして、そこいらのところも見てあげる必要があるのではないかというように考えますが、その点はいかがでしょう。
  416. 山中貞則

    山中国務大臣 これは私もそういうように心配をいたしまして、できるならば、同じおやめになるのでも、四月に入ってベースアップ等があって、退職金等のはね返りがあってということを考えて努力しておるのです。また事務当局に米側とも連絡をさせておりますが、逆に申しますと、アメリカ側は、たとえば一ぺんに百何十名の整理がある、おかしいじゃないかと——たとえば相模補給廠で仕事が減っていくのに伴い、解雇がどっと出たというような場合なんか、ほんとうに理由として予算削減のためであるのかどうか、業務量縮小のためだけであるのかどうかということを全部調べますと、ほんとうに各部署ごとに一名、タイピスト一名とか守衛一名とか、そういうふうにやはり全体に平たくやっておるようなんです。  そこで、向こうがもう財政上の都合があるようでして、したがって、沖繩の場合は三月三十一日付なんですね、そうすると一日違いなんです。そこらのところは米側にもよく話をしているのですが、しかし向こうは、それをよく承知の上で、そういう日付を考えたようでありまして、そういう節も見えます。そうすると、知能犯になって、三月までつとめさせてもいいと思っておったものを、これから先は二月解雇ぐらいのところにしておこうかというような、そういうこともないと言い切れない節がありますので、そこらのところは、せめて今回おやめになる方々は、そういう配慮をしてあげたらどうだ、長いつき合いだったのだろうという話をしておるわけでありますが、向こう側の姿勢はなかなかかたい、そういう感じがいたします。
  417. 増本一彦

    増本分科員 そこを一段の努力を、ひとつ強く要求をしておきたいと思うのです。  時間がありませんので、次に移ります。  この基地公害、特に騒音ですね。これは飛行場周辺の住民にとっては、もうたいへん深刻な問題であり、再三再四、防衛庁にも地元からも陳情に行っている。特に厚木飛行場を例にとりますと、ミッドウエーが入港したその前後というものは、三十八年九月十八日の日米合同委員会できめたこの飛行時間制限その他のあの措置をも踏みにじって、二十二時以降も飛行機が飛んで、そして制限時間内であっても、七十五ホンから九十五ホンというような爆音で飛行機が飛んでいるわけですね。  ここで一つ重要なのは、まずこの協定の厳格な実施のために特別の手だてが必要ではないか。あの飛行機というのは、空を一瞬にしてばあんと飛んでいくわけですね。だから、事前にどうやってチェックするかという問題もあるんだけれども、これは、住民のそのつどの抗議が政府や自治体からすぐに米軍に届く、そういう抗議の意思がスムーズに米軍に集中していくような形のものをやって、そして向こうが協定違反をしないように、そういう意味での住民監視というものを強めていく必要があるんじゃないかというように考えるわけなんです。  そこで、住民が政府や自治体に通報して抗議をすれば、それがすぐ米軍のほうにも届くような、そういうシステムをひとつ考えてみたらどうかと思うのですが、その点はいかがでしょうか。
  418. 山中貞則

    山中国務大臣 午後十時以降飛ばないということについての約束ごと、それがミッドウエーの寄港に伴って、確かに何回となく破られている実態があることは、私も承知いたしております。ただ、そのつど、いま十時三十分に一機おりてきたとかいうことを直ちに米側に取り次ぐというような意味の直結のラインもありませんが、私どもはそれは全部チェックいたしておりますし、アメリカ側に、原則として飛ばないことになっている、したがって緊急の場合とか特別と認められる場合以外は飛んでくれるなということは再三言っておるわけであります。やはりミッドウェーは海の航空機なものですから、三沢基地も同じなんですが、空軍が管理しておりましたときと違って、少し乱暴なようなことがありまして、私のほうからもその点は直接アメリカ側に申し入れました。  そういうことで、地域の住民のつらさは住んでみなければわからぬということがあるわけでありますから、私どももおっしゃることはよくわかりますので、よほどのことがない限り、十時以降の離着陸——離陸というのは、ほとんどあっちゃいけない、自制できるわけですが、着陸はときに起こり得る緊急性もあるわけですけれども、なるべくそういうことの起こらぬように努力したい。これはもう事務当局を通じて、米側と絶えず連絡をとっております。
  419. 増本一彦

    増本分科員 そのあとアフターバーナーの問題もあるし、いろいろ騒音にまつわる原因があるわけですね。そういう事態が生じたときには、住民の声がすみやかに米軍のほうに届くようなパイプを、政府はつくっておくということが必要なんじゃないでしょうかね。そして、大臣が言ったように、基地周辺の住民でなければあの深刻さというものはわからないわけです。だから、その声がほんとうにまとまって米軍のほうにも集中し、住民監視のもとで、こういう取りきめられた内容だけはせめて厳格に守らせるようにしていくということが必要ではないかと思うのです。そういう仕組みをつくるべきだと思うのですが、その点に限って、どうでしょうか。
  420. 山中貞則

    山中国務大臣 苦情処理という意味だとは私も受け取っておりませんが、私どものほうでも、十時以降の制限時間内に離着陸したものについては、ちゃんとチェックしておりますから、そういうものは原則として申し合わせ違反だというようなことを、そのつど申し入れているわけであります。一回ごとにやっておるというわけではありませんが、まとめて今月は何回というようなことで、いまチェックしております。直接国民の声が米軍に届くというのは、なかなかむずかしいのではなかろうかと思いますけれども、それにかわるように、私どもが約束ごとを守らしていく努力をするということにしたいと思うのです。
  421. 増本一彦

    増本分科員 それからいまは午前六時から夜の十時までということになっていますけれども、これをもっと飛行時間を短縮する、あるいはその他の取りきめの条件をもっときびしく強化していくというようなことでの交渉も、これは住民の要求であり意見ですから、これにまともにこたえて、米軍側との交渉にもつとめるということで、ひとつ外務省とも十分に相談をしていただきたいというように思いますが、その点はいかがですか。
  422. 山中貞則

    山中国務大臣 単に厚木ばかりでなくて、飛行場周辺の人々の悩みというものは、現在大阪空港訴訟等もあったわけでありますから、これは尋常でない状態でありますので、仰せをまつまでもなく、私どもとしては、わが国民の立場に立って、とり得る最大の措置を外務省と相談して続けてまいりたいと思います。
  423. 増本一彦

    増本分科員 では、時間がありませんので、最後の基地返還の問題について伺いたいと思うのです。  一つは、淵野辺のキャンプですけれども昭和四十八年中に淵野辺のキャンプは返還になるということであったわけですね。そうですね。それが依然として、まだ返還がもたもたしているわけですが、どういう事情でそうなっているのか、このことをまず明らかにしていただきたいと思うのです。
  424. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 キャンプ淵野辺を返還するために、所要の代替施設をキャンプ座間等に移設する作業を本年三月末を目途に進めるということは、昨年の第十四回日米安全保障協議委員会で基本的な方針がきまったわけであります。その後、日米間でその具体的な実施の細目につきまして鋭意つとめてまいりましたが、いろいろと細目の調整に手間どったこと、建設事情の変化等もございまして、工事の着手がおくれまして、残念ながら三月末目途というのが、どうしても少しおくれざるを得ない。この夏過ぎから秋ごろになるのじゃなかろうかというふうに思われます。
  425. 増本一彦

    増本分科員 そのめどをはっきりさせてくださいよ。夏か秋か、どっちなんですか。これは相模原市に利用させるということもきまっているわけでしょう。だから、そういうことを含めて、めどをきちっと立ててください。
  426. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 見通しを、安全を見ましてはっきり申し上げますならば、やはり秋ごろというふうに御理解いただきたいと思います。
  427. 増本一彦

    増本分科員 あと二、三分しかありませんから、もう一問だけ聞きます。  大和の厚木基地のイーストキャンプ十七万平米が返還になったのですが、このうち二万二千平米は半額譲渡だということで、いまあなたのほうでは市のほうに言うているということなんですが、これは人口急増地域で膨大な債務をかかえ、基地をかかえてやっている自治体に対して、あまりに冷たい仕打ちではないかというように思うのですよ。十七万平米のうち二万二千平米を除く全部については無償で貸与することになっているわけでしょう。だったら、中学校用地として使うという義務教育の必要性から見ても、これも含めて地元に使わせるという手だてをとるべきだと思うのですが、その点はいかがですか。
  428. 井上幸夫

    ○井上政府委員 お尋ねの中学校用地につきましては、四十八年十二月四日、関東地方国有財産審議会におきまして、二分の一減額譲渡の決定をいたしております。御案内のように、これ以前、四十八年七月に国有財産特別措置法の改正が行なわれておりまして、人口急増地域においては無償貸与の道があるという制度が開かれておるわけでございますが、このどちらにするかは地元の御選択によりまして、減額譲渡のほうを御選択になるということで、審議会の決定をとったわけであります。それに従いまして、私どものほうはただいま払い下げの実務作業に入っております。
  429. 増本一彦

    増本分科員 それはちょっと事実が違うんじゃないですか。市長も市当局もみんな、これだけは金を出せ、それは移転費用を捻出するためだというように大蔵省から説明を受けている、こう言っているのですよ。
  430. 井上幸夫

    ○井上政府委員 国有財産特別措置法の改正によりまして、人口急増地帯の義務教育学校に対しまして無償貸し付けの道が開かれまして以来、全国的に約二百数十の実例がございます。そういう道が開かれているということは、私どものほうの関東財務局も地元に御説明したはずでございます。御選択の結果であると私どもは聞いております。
  431. 増本一彦

    増本分科員 これは自治体の選択だということになると、では自治体のほうでまた方針を変えて、皆さんのほうに無償貸与でお願いすれば、そういう趣旨で事は運びますか。
  432. 井上幸夫

    ○井上政府委員 この財産の処分につきまして、無償貸し付けをいたしますものと有償払い下げをいたしますものとは、いわば一連の同時決定としてなされておりまして、それにからんでの御選択であったかもしれませんけれども、手続としては、すでにそういうことで決定をなして、われわれとしては払い下げの実務作業に入っておるわけでございまして、(増本分科員「決定してないからいいじゃないですか」と呼ぶ)国有財産審議会に付議いたしまして、そのとおり決定いたしたわけでございます。
  433. 増本一彦

    増本分科員 しかし拘束力はないでしょう、審議会そのものは。
  434. 井上幸夫

    ○井上政府委員 拘束力はございませんけれども、必ず事前に審議会にかけるということにはなっております。
  435. 増本一彦

    増本分科員 時間ですからいいですが、処分するのはその当該地域の財務局長ですから、ひとつ皆さんのほうでそこまで含めて指導していただくことを要求しまして、時間ですので終わります。
  436. 中村弘海

    ○中村(弘)主査代理 次に、近江巳記夫君。
  437. 近江巳記夫

    ○近江分科員 きょうは非常に限られた時間でもございますので、私はナイキ問題について質問したいと思います。  防衛庁は、このナイキJの配備につきまして、全国的にいろいろと計画をなさっておられるわけでございますが、その中で第四高射群の各ナイキ基地の建設の進捗状況等につきまして、簡潔にお答えいただきたいと思います。
  438. 久保卓也

    久保政府委員 第四高射群につきましては、すでに饗庭野、岐阜、白山、この部隊の配置は完成しております。そして饗庭野と白山については近く運用開始になりますが、岐阜のほうは人員が若干手当てがおくれておりますので、これも運用開始がおくれますが、一応三つの分は大体部隊の建設が終わっております。  それからなお、この第四高射群の場合には地域が広大でありますので、あと二カ所、大阪を含み大阪周辺二カ所の場所を選定いたしまして、高射隊を配置いたしたい。目下土地を物色中であるという現状であります。
  439. 近江巳記夫

    ○近江分科員 あと二カ所物色中であるということをおっしゃっておられるわけですが、防衛庁としましては、従来から大阪の能勢町周辺にこのナイキ基地を置くんだ、こういう感触で今日まで当たってこられたように思うわけでありますが、それは一応白紙になった、こういうことですね。
  440. 山中貞則

    山中国務大臣 なかなかそこらは微妙なところでして、うちのほうではそういうつもりで一応交渉もしておったのですが、その後正式に地元の関係町なり議会が反対もされましたし、またわが党も含めて国会の方々にも御意見があるということで、まだ断念したというところまで事務当局では言い切ってもらっては困るということを言っておるようですけれども、そういうような立場で、いまのところ能勢もなお含みを残しながら、候補地の選定中であるということであります。
  441. 近江巳記夫

    ○近江分科員 長官は非常に率直な方でありますし、非常に明確な感じで、私は答えを受け取ったわけであります。  そこで長官、そういう答弁をいただいたわけでありまして、長官もあの地域につきまして十分御承知かと思いますが、念のために申し上げておきたいと思うのであります。  御承知のように、能勢のあの一帯は、近畿圏整備本部が近畿圏の保全区域の整備に関する法律の中で、はっきりとこの地域指定もしているわけですね、豊能郡の東能勢村、同能勢町は。この法律の第一条におきましては、「保全区域内における文化財の保存、緑地の保全又は観光資源の保全若しくは開発に資することを目的とする。」このようにあるわけでありまして、近畿圏整備本部のそういう基本的な方針、さらに大阪府におきましては、大阪府地方計画におきまして、北摂群山自然公園として地域指定が行なわれております。  御承知のように、あの一帯には大阪府の青少年野外活動センター等もございまして、特に東京、大阪をはじめとした大都市周辺の緑というものは、いまや非常に破壊されておりまして、特に大阪ではもう残っておるのはこの豊能地域だけじゃないかと今日いわれております。御承知のように生駒連山もあるわけですが、無秩序なそういう破壊のために、むざんな姿を露呈しておりますし、そういう点からいたしまして、ほんとうに大阪周辺におきます唯一の緑地地域である。そういう中で、青少年たちが喜々として、そこで野外活動に励んでおる地域であります。それからさらに地元の周辺の市町村、能勢町は言うに及ばず、もしも防衛庁がそういうふうにおきめになるなら、これはもう絶対反対であると、住民として反対決議もいたしておりますし、また大阪府議会においても反対しておるわけであります。  それからさらに、当初いろいろとうわさされました地域におきまして、大阪火薬の三十万坪にのぼる火薬庫もあるわけです。これは敷地の広さでありまして、四棟あるわけでありますが、大体八十トンから百トンくらいの火薬が常に火薬庫の中に入っておるというような状況であります。そういう点におきまして、非常に危険な地域であるということも言えるわけであります。  そういうことでありまして、長官も、いまこの能勢はもう後退したという御発言であったわけでありますし、ひとつこういう状況でございますので、十分そういう点をお考えになっていただきたい。まだ最終決定ということではないような感じもいたしますので、これはひとつ長官のおっしゃったことを、ほんとうに最終決定イコールということで、ぜひともそれを決定していただきたい、こう思うわけでございます。そのことにつきまして何かございましたら、お聞きしたいと思います。
  442. 長坂強

    ○長坂政府委員 お答えいたしたいと思いますが、先ほどうちの大臣からきわめて率直な御答弁がございました。そのお気持ちには変わりがないわけでございますけれども、やはり私どもの立場、これは防衛上の必要があって、ひとつ大阪周辺に求めたいというその必要性は消えてはいません。ただしかし、いま近江先生指摘のような北摂群山自然公園の構想とかあるいは近畿圏整備法による保全区域であるとか、あるいは能勢開発協会の青少年センターの設置の構想、そういうような事情というものは十分考慮の中に入れまして、地元との関係も何とか双方両立していくようなことが実現できれば、これにこしたことはないというふうに祈りながら、この衝に当たってまいりたい、そのように考えております。
  443. 山中貞則

    山中国務大臣 このままでほうっておきますと、下克上の答弁になりますので……。近江議員の述べられました御趣旨はよく念頭に置いて処理いたします。
  444. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それではこの際、私はナイキのことにつきまして、ちょっとお伺いしておきたいと思うのですが、ナイキという兵器自体が非常に陳腐化しているのじゃないか。私たちは防衛問題については全くのしろうとでありますから、わかりませんけれども、軍事評論家等の話を聞きますと、非常に陳腐化しておるのじゃないか。ベトナム戦等におきまして、両方でかなり撃墜もしておるわけでありますけれども、ナイキの効率からいきますと、実際ナイキで撃墜されたというのは千機中三、四機じゃないか。最近はいろいろ新しいのができておりますけれども、そういうことを私も聞いたことがあるわけです。飛行機がECM、電波対抗兵器を持っておる、こういうことで、それは実際にほとんど使いものにならないのじゃないかということを聞くわけでありますが、こういう点につきましては、どういうようにお考えでございますか。
  445. 山中貞則

    山中国務大臣 第一線の世界に冠たる兵器であるとは言えないので、NATOのほうも改良ナイキというようなものの入手に着手しかかっておるようでありますが、中東紛争の例を見ても、ソ連製のSAM6なんというものの性能は、ちょうどナイキと同じように百三十キロぐらいの威力を持っておりますし、機動性が原則である。ナイキの場合には移動もできますが、大体固定しなければならぬというようなこと等もあって、やはり新しい時代の新しい流れというものは兵器の世界にも出ておりますから、ソ連からSAM6を買うわけにはまいりませんでしょうが、いろいろとやはりくふうをこらしていかなければならぬときがきているのではないか。現状のナイキについては、そういう時点にきておるような感じもいたします。
  446. 近江巳記夫

    ○近江分科員 長官も、新兵器の前に考慮しなければならぬような、そういう性能であるということをおっしゃって、いるわけでございますが、ナイキの防衛庁発注状況、これはたしか四十二年から始まっておると思うのですけれども年度ごとに数量と単価はどういう状態であったか、お答えいただきたいと思います。
  447. 山口衛一

    山口政府委員 お答えいたします。  先生指摘のとおり、ライセンス国産を始めましたのは四十二年度からでございまして、四十二年度、四十三年度、四十六年度、四十七年度、四十八年度と、四十八年度予算は現在つけられておりますが、現在契約が進行しておる最中でございます。五回にわたって契約を実施しております。     〔中村(弘)主査代理退席、主査着席〕  調達しました発数は、四十二年度五十、四十三年度二百六十一、四十六年度四十七、四十七年度六十、四十八年度四十八ということになりまして、小計しまして約四百六十六発ということになっておりますが、これ以外に、四十二年度よりも以前の段階におきまして、いわゆる米軍からの供与品が約二百数十発ございます。これはナイキアジャックスという非常に古いタイプのものであります。それからまた沖繩におきまして、いわゆるFMSで買い取りました分がそれ以外に八十二発、これは米軍が使っておりますナイキハーキュリーズでございます。以上が、これまでの調達概要でございます。
  448. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それで、最近はこういう物価高でございますので、単価の上昇もやむを得ないと思うのでありますが、単価の推移というものは、どういうようになっておりますか。
  449. 山口衛一

    山口政府委員 単価につきましてお答えいたします。  契約単価について申し上げますと、四十二年度の第一次契約から順を追って申し上げますと、四十二年度が六千五百万円、四十三年度契約が六千三百万円。四十三年度におきましては、自後、四十三年度以降の三カ年の一括契約をいたしましたために、これはいわゆる企業内部におきます工員の慣熟度、ラーニングカーブが進みまして六千三百万円に、数量が多くなったのでかなり低下しております。第三番目の四十六年度におきましては八千百万円。これは非常に発数が少なく四十七発でございますので、八千百万円。それから四十七年度はほぼ同数の六十発でございまして、契約単価は八千九百万円ということになっておりまして、四十八年度、現在契約を進行しておりますものは、予算上は九千六百万円という単価を付与されております。
  450. 近江巳記夫

    ○近江分科員 それで、ナイきJは大体どこの会社がやっておるわけですか。
  451. 山口衛一

    山口政府委員 三菱重工のライセンス国産であります。
  452. 近江巳記夫

    ○近江分科員 三菱のライセンス生産ということをおっしゃっておるわけであります。それで、こういう装備というもの、また武器の生産というものは非常にむずかしいと思うのでありますが、防衛庁がお出しになっておられます「装備の生産及び開発に関する基本方針」こういう中に「民間企業における開発力及び技術力の向上並びに適正価格の形成は、適正な競争により促進されることにかんがみ、装備の開発及び生産には、積極的に競争原理の導入を行ないその確立に努めるものとする。」こういうふうに五項目目にうたってあるわけであります。それから「防衛産業整備方針」としまして、第一項目に「適正な競争原理の導入」「競争原理の導入にあたっては、各分野において適正規模、適正数の民間企業が存在し、それらの間において適正な競争原理が働くことが必要であるが、(1)防衛生産はその特殊性から、技術と資本について相当の蓄積を必要とするので、競争を適正に維持しうる限度において各分野における民間企業の数は少数に限定するとともに、(2)競争基盤の乏しい分野については、競争原理を導入しうる基盤の育成を図るものとする。」要するに適正な競争原理の導入をしろということをおっしゃっておるわけであります。  そうしますと、このナイキの場合は三菱重工ですか、に一本でこういうように生産をされておられるわけですね。そこで、こういうような基本方針という問題、それとナイキという兵器自体が非常に時代おくれというような状態に変りつつある、そういう中で、なおかつ、この生産を続けていかなければならぬというようなことを考えていきましたときに、そういうことは考えたくはないわけでありますが、防衛庁として、こういう防衛産業の圧力によって不要不急の装備品購入しているのではないか、こういうようにも思うわけでありますが、そういう点についてはどうでありますか。
  453. 山中貞則

    山中国務大臣 まず不要不急の問題ですが、やはりナイキJというものが世界第一線、最新鋭のものであるとは申しがたいと申しましたけれども、わが国の防空体制の中のいわゆるミサイルとしては、一番足の長い超低空侵入のものを撃つわけでありますから、それはそれなりのやはり力はあるわけであります。でありますから、これをどういうものにするかという問題は、今後時代の進歩とともに、先ほどあげましたようなこともありますから、諸外国の事例等も見て考えなければなりませんが、むだなものであるということには決してなっていない。これはNATO諸国も現在同じものを配備して、改のほうに進みつつある段階でありますから……。  それと競争原理の導入は、すべて一挙にはできませんが、就任以来、私は競争原理の導入の方向に強く指示をいたしまして、後ほど装備局長から説明をいたさせますが、具体的に、すでにいままでの本来の考え方であったならば、もうどこかの社にきまってしまうであろうと思われるものも、開発段階等において、三社ともに同じレベルの開発研究を進めさして、その後に共通のレベルの上でどこかを選んでいくというようなこと等も始めております。  今後競争原理の導入は、やはり船等については船台がどういうふうなあき方をするか、能力、そういういろいろな問題がありますけれども、随契はともすれば弊害を生みますので、できれば適正なる競争というものによって、性能その他を落とさないで要求にこたえられるような受注体制というものを築きたい、そういうことを考えております。
  454. 山口衛一

    山口政府委員 お答えいたします。  基本的な考え方は、ただいまの大臣の御説明に尽きておりますが、私ども装備品をそれぞれ調達する場合、あるいは研究開発に向かわせる場合、いろいろなケースがございます。たとえば一番わかりやすい場合には、庁用品でありますとか、普通事務用に使うものでありますとか、それから部隊におきましても日常生活に使うもの、たとえば食糧品、被服、油等、こういうものは、もうそのまま民間のものをできるだけ採用するということにしておりまして、その場合にも完全に競争契約ということにさしております。ただし、防衛庁の場合には、単に競争契約といいましても、どのような小さい企業が入ってきてもいいということにはなかなかなりませんで、といいますのは、やはり一定期間かなりの強度の耐用命数を必要としますし、それからまた、恒常的にその会社が一定数量納めてもらえませんと、途中で倒産したりされると非常に困りますので、そういう点は防衛庁への登録企業というものを限定しまして、指名競争入札というような形をとったりしているわけでございます。  それ以外の、いわゆる正面装備という、部隊等が直接兵器として使用するものに関しましては二通りございまして、一つはいわゆる純粋に国産でやっていけるもの、もう一つはライセンス生産または輸入にたよるもの、こうなります。この輸入にたよるものにつきましては、これは外国の製品の選択ということになりますので、その場合に、先般もここで議論が出ましたが、防衛庁みずからが輸入業務を代行し得るかどうかという問題が付随いたしますが、いずれにいたしましても、その場合には商社間の競争というような事態が起こりますが、根本的にはどのような装備が最も適格としてわがほうが採用し得るかという、わがほうの運用上の要求及び価格上の制約という面から判断がされますが、この場合には、非常に大きい外国の生産企業は大体そのエージェンシーをつくりまして、それが大体確定してしまいますので、なかなかその点みずから調達しにくい面がございます。  それからライセンス国産の場合でございますが、この場合には研究開発を必要とする段階ではないのでありますけれども、国内で生産し得る設備を持つメーカーをできるだけ多く選びまして、多くのものの中からできるだけわれわれの要求性能に近いものを選定するというような形で、形は随意契約となりますけれども、その前の段階におきましては、たとえば同日の同時刻に見積もりを出させますとか、そういう点でできるだけ公正に、そのような随契が達成できるように考えておりますので、私ども行き当たりばったりにすぐ思いついて契約するというようなことは極力避けるようにしておりますし、公正な競争を維持するように努力をしてまいる、競争基盤をできるだけ養成したいというふうに考えております。
  455. 近江巳記夫

    ○近江分科員 防衛庁からいただいたこの資料をずっと見ておりますと、いま問題になっております商社がだいぶ入っているわけですね。輸入の場合は、しろうとなりにそうかなとも思うわけでありますが、これは国産の場合等も入っておるように思うのですけれども、商社がこういう納入のあれに、このように多数入っておるということについては、これはどういうことですか。また今後商社等についてはどういうお考えでありますか。
  456. 山口衛一

    山口政府委員 正面装備の主要な兵器に関しましては、商社を介入させることは極力排除しておりますが、たとえば一般的な食糧でありますとか、あるいは油とか、あるいは被服になりますと、こまかい中小企業者がメーカーとして各地に非常に多くございます。そういう場合に、各そういう中小企業が、私どもとの間のこまかい交渉のやりとりというものになかなか熟達いたしませんで、そのような方々がまとまりまして、たとえばある卸売り業界に頼みますとかいうようなことで、商社が介入してくるというケースは、この場合、取引の円滑な運営上からやむを得ない場合があろうかと思います。  主要装備につきましては、ライセンス生産等国産におきましては、極力商社を排除するという方針で進んでおります。
  457. 近江巳記夫

    ○近江分科員 商社が介入してきますと、やはり間のそういう利益というものがどうしても必要になってくるし、そうなってきますと、安く買えるものも高くなる、こういうようなこともありますし、やはり今後商社のそういう納入等につきまして、何らかのそういう基準といいますか、大体局長もお述べになったわけでありますが、基本的な考え方をきめておかないと、何でもかんでも今後はまた首を突っ込んでくるということもいわれるんじゃないかと私は思うわけです。そういう点、長官としては基本的にどのようにお考えでございますか。
  458. 山中貞則

    山中国務大臣 局長の申しましたことで、私もちょっと解せなかったのですが、正面装備等の国産において商社が介入することはないはずであります。いわゆるメーカーだと思うのです。その他のいろいろな大量に物を調達する場合において、先ほど申しましたようなことがあり得ると思いますが、問題は、商社介入で一番大きく懸念しなければならぬのは、いろいろな新機種の外国のものを輸入するケースが最終的にきまる場合に、商社が必ず介在してくる。そこに、かつての防衛庁につとめておった者が行ったりしておりますと、なおさらのこと、痛くもない腹を勘ぐられた過去の例もございますから、こういうものは姿勢を正していかなければならぬということは、もうきつく戒めておるところであります。
  459. 近江巳記夫

    ○近江分科員 もう時間がありませんので終わりたいと思いますが、私思うのですが、いままでそういうロッキードの問題であるとか、いろいろ問題が出たわけでありますが、なぜ商社が介入しなければいけないか。その辺、これは専門的になるんじゃないかとは思いますけれども、やはりどうしても商社を入れなければならないものですか。
  460. 山中貞則

    山中国務大臣 私も、ロッキード、グラマンのあの騒ぎは、国会議員でしたから見て知っておりますが、そういうふうに疑問に思っておりまして、西ドイツあたりはアメリカに相当な調達駐在官を置いておりまして、日本とは違いますけれども、わが防衛庁も、国家として防衛庁として、会社と直接買わなければならぬ場合には、国が直接に買ったらいいじゃないかというようなことも言っております。しかし、国が買った場合、一ぺんイタリアの会社等が、国が直接買ってつぶれちゃって、リスクをまるまる国が負った事件等もあるそうでございまして、そういうようなマイナス面も起こる可能性が、いわゆる国損を与え得る可能性も、役所は商売じょうずとは決していえませんから、そういう意味で懸念される点もあるそうであります。しかしおっしゃる点は私も心配しておりまして、これから起こるであろう、国防会議に預けてありますAEW、PXL、こういうもの等がもし輸入などということにきまった場合において、そういうことを排除するためにどういう手段をとったらいいか。またずっと先のことになりますが、次期戦闘機のFX等の場合、国産か輸入かを含めて議論をしますが、輸入となる場合には商社の存在をどのように考えるかということは、今後国民防衛庁というものを、賛否は別にして、どのような目で見てくれるかという基本的な問題にも響いてまいりますので、ここらのところは、私の在任中にきちんと基礎を定めておきたいものである、そういう気持ちでおります。
  461. 近江巳記夫

    ○近江分科員 時間が来たから終わります。
  462. 上村千一郎

    上村主査 次に、坂口力君。
  463. 坂口力

    坂口分科員 ラストバッターでございますので、よろしくお願いいたします。  実はきょう取り上げさしてもらいます問題は、昨年も取り上げさしていただいた問題であります。市の中心地に基地が来てしまった。それはつくりますときには市の端のほうにありまして、それほど繁華街でも何でもなかったわけでありますが、市がだんだん発展するに従いまして、その基地が市の中心地になってしまった、そしてその市が今後将来計画を立てていくのに非常に、言ってみればお荷物になるというようなことがあるわけでございます。その問題を昨年も取り上げさしていただきましたときに、前長官も、そういうことはひとつ周辺整備によって、できる限り調和をはかっていきたいというようなお話をしておみえになるわけでございます。山中長官、その点どういうふうにお考えか、まず承っておきたいと思います。
  464. 山中貞則

    山中国務大臣 まず、だんだん都市の人口集中化に伴って、既設の国家施設等がいろいろ問題になりましたのは、最初に刑務所だったのです。刑務所をやはり市街地がだんだん取り囲んでまいりまして、それの移転は等価交換等で国有財産で処理してきたわけですが、最近は御承知のように、おっしゃるように、われわれ自衛隊、ことにまたアメリカに提供しております米軍の安保条約上の基地、こういうもの等について、騒音その他も含めて、都市開発その他の影響とかいろいろなことで世論がかまびすしいのであります。私どもとしても非常に苦慮いたしておりまして、前長官のおっしゃったような心がまえが基本でありますから、今国会に、新しい周辺の生活環境整備に関する法律を出しますけれども、しかしそういうものでない、基本的に私たちが考えなければならぬことは、市街化された地域の中で、われわれが国の部隊であるからといって大きな顔をして、不必要な面積を持って迷惑をかけるということが避けられるならば、なるべくそれは地元と御相談の上で適当な土地等があれば考えたいということは、特定の場所にかかわらず、そういう気持ちでおります。
  465. 坂口力

    坂口分科員 市の中心基地がなってしまいました場合に、その基地を撤去するか、それとも周辺整備によって都市の計画と調和をさせるか、この二つに一つだろうと思うわけでございます。基地の場所を移転するためには、去年お聞きしましたときに、長坂政府委員はこういうふうにお答えになっています。その基地の特性だとかそれから任務、これが問題であって、たとえば飛行場だとかそれから高射群の陸地だとかあるいは港湾、こういったものは非常にむずかしいけれども、普通科連隊、そういったものは理論的には比較的移動しやすいものである、そういうふうな御答弁をなすっているわけでございます。このことについてはやはりまだ変わっておりませんですね。
  466. 山中貞則

    山中国務大臣 それはそのとおりだと思います。いわゆる理論的にはと言っておるようでありますが、やはり私どもから考えても、これ以上周辺の市街地の方々に御迷惑をかけてはいかぬなと思うような問題で、いわゆる移転してもやっていけるような可能性があるといえば、まず普通科連隊、施設隊、そういうものが最初であろうし、ほかには飛行場とかその他の施設がついておりますから、移転は非常に困難だという感じがありますが、そのためには、足りないでしょうけれども、精一ぱいの周辺の方々に対する努力を、政府施策として補っていくということもあわせ必要であろうと考えます。
  467. 坂口力

    坂口分科員 そこで、去年も例にあげた問題は、三重県の久居市にあります自衛隊の問題でございますが、この地域につきましては、いま別に基地があるということによって多くの問題が起こっているわけではございません。住民の間の反感等があるわけでは決してございません。ただ、将来の都市計画というものを市は立てなければならないときに迫っているわけでございます。この久居市の場合にも、初めは都市の少し離れたと申しますか、一方に片寄ったところになっていたわけでございますが、現在としましてはこれがもう中心部になりまして、ちょうど卵でいえばまん中の黄身に当たるようなところに自衛隊が来てしまっている。しかも広さは、隊舎の敷地が十三万六千三百十三平方メートル、建物が二万二千二百五十八平方メートル、それからその前に訓練場がございまして、これが十六万二千五百六十九平方メートル、合計いたしますと三十二万一千百四十平方メートル、こういう数字になっております。このほかに少し離れまして演習場がございますが、これがやはり同じような広さで三十二万九千百二十九平方メートル、双方合わせますと六十五万平方メートルぐらいですから、約二十万坪ぐらいになりますでしょうか、そのぐらいな広さだと思います。これだけの土地が小さな市のまん中にあるものですから、いま感情的な問題で何ら大きな問題は起こってはおりませんけれども、しかし将来の問題としまして、都市計画等も考え合わせますと、やはり真剣に取り組んでいかなければならない時期に来ていることは事実だと思うわけでございます。そういう意味で、この問題を昨年も取り上げさしていただいたわけでございますが、以後この問題はこの一年間何ら進展を見ておりません。これで基地交付金として市のほうに入ります金は約五百九十万円ぐらいと聞いております。非常に弱小な、ほかに何の産業もない、大きな企業等もない、そういう市でございますので、やはり、これだけ大きな土地をまん中に取られて、なおかつ五百九十万円ぐらいの交付金しかないというようなことでは、市としても非常に大きなお荷物を背負っておるという感じをだんだん深めざるを得ない、それが実は現状でございます。そこで、こういうふうな現状のところでございますので、いい土地があれば——これは理論的にはとおっしゃるかもしれませんが、一つの移転の対象になり得る場所ではないか、こう思うのでございますが、御意見を賜わりたいと思います。
  468. 長坂強

    ○長坂政府委員 昨年も、先生から、具体的な久居のことについての前に、一般論としまして、普通科連隊などは移転の対象として考慮の対象になり得るだろうかということのお問い合わせがございまして、先ほど先生のお話に出ておりますようなお答えを申し上げたわけでございますが、したがいまして、先ほど来大臣の御答弁の中にも、その基本の趣旨としましては、態度を鮮明にされておられるわけでございます。ただ具体的なケースになってまいりますと、では移る場合の経費は一体どうするのだろうかというような問題がやはり出てまいります。  それから先ほどのお話の中には出てこなかったのですけれども、四十七年には隊舎を建てておる。それから同じく四十七年には食堂、厨房も建てておる、約三億の金も使っておる、そういう建物が比較的新しい、これは大きな土地の利用というような都市の計画とかいうものに比べれば比較的小さな問題ではございましょうけれども、しかし、切実な問題としましてはそういうような問題がございます。それから候補地を取得する場合の経費、隊舎等を建てる場合の経費は一体どうするのだろうか、それから訓練その他の任務遂行上支障がないかどうか、大体の位置はどんなところであるかというような諸点をやはり慎重に検討しなければならないんじゃないか、このような感じでおります。基本趣旨は、先ほど大臣から御答弁あったとおりでございます。
  469. 坂口力

    坂口分科員 もし移転をするということになりますと、いろいろの問題が起こってくることは当然でございますし、一般論としてはそのとおりだけれども、実際の例からいくと、そう簡単にはいかないという御答弁だと思いますが、考え方はいろいろあろうかと思うのです。先ほど申しました隊舎のあります場所、そこには確かに最近新しい建物もできました。それからその隊舎に接して練習場がございますが、しかし、訓練場は少し離れてあるわけでございますが、たとえばその中で練習場だけでも少し市外あるいは市の周辺部というところに移っていただくというようなことも方法としては考えられると思うわけでございます。いま練習場は自動車の運転練習場等にもなっておりまして、そこでなければならないという問題でもないと思うわけでございます。そういうようなことも考えに入れますと、この練習場等は少し離れた場所でもいいのではないかという気もするわけでございます。あるいは練習場全体が少し離れた場所で隊舎や、それからその建物が建っておるところは半分はそこに残ったとしても、練習場あるいは訓練場というようなところは少し離れていてもいいのではないか、こういう気もいたします。そういったことも、次善の策としてはとりあえずの一つの方法ではないかというふうな気がいたしますが、その点いかがでございましょう。
  470. 長坂強

    ○長坂政府委員 先生のお話の御趣旨はよくわかるわけでございますが、現在この久居の連隊には三個の教育中隊——教育大隊もございまして、そこに約三百五十人ほどの新隊員も入っております。それでそういう隊舎のそばにある自動車の訓練場とか、それから市内にございます訓練場、演習場、こういうものは近いがゆえにまた便宜も非常に受けておるというようなことがございます。したがいまして、同等のそういう便宜さというようなものがございますれば、もちろん費用の問題、経費の問題等はなおございますわけでございますが、そういうような点もあわせて考えていかねばならない問題じゃないか、このように思っております。
  471. 坂口力

    坂口分科員 当然近くにあればあるほど便利なことは私もよくわかりますし、許されればそれが一番いいとは思いますけれども、しかし初めにも申しましたとおり、市全体の将来計画というものもございますし、それとにらみ合わせていかなければならないというところに、この基地問題の非常にむずかしい面があろうかと思うのであります。自衛隊中心にして考えれば、いま述べられたようなことになるだろうと思いますが、今度は市のほうの立場に立って、市中心に将来計画をどういうふうに持っていこうかということになりますと、これはまた別な見方が出てくるわけでございます。そこで、いま私の申し上げたような、一つの方法としての発言をしたわけでございます。これはここで解決のつく問題ではなかろうと思いますが、こういうふうな問題、いろいろの考え方があると思いますので、こういった問題を自衛隊——これは自衛隊と申しますよりも、防衛庁と県、あるいは市も一緒になって、こういう問題の一つの審議会みたいなものでもつくって、そこでいろいろと今後検討をしていただくというような方向に持っていっていただきたい。そこでいろいろな事情がからみ合うと思いますので、御意見等も出ると思いますし、そういった中でよりよい方法を求めていただくのが一番いいんじゃないかという気が私はするわけでございますが、その点いかがでございましょう。
  472. 山中貞則

    山中国務大臣 そういうような各地のいろいろの問題がありますから、審議会という形式ばったものでなくても、受け身の立場あるいは積極的な立場でお話し合いはいろいろとしております。ただ、久居というところは、環境的には、私どもからすればたいへんあたたかく包んでいただいておるところのように聞いておりますが、そういう御質問の出ますのは、これは面積をとらえての御議論でございまして、私は別途考えるところがありまして、自衛隊がよき市民でなければならない。国民の理解を得るためには、まず周辺の地域住民の方々の御理解がまず先である。そこを得られなくて国民の理解といったってそれはもう空念仏にすぎないという気持ちがしましたので、物資の調達、これが一体現地で、部隊が町の中小企業の方々が店を出して商店街等をつくっておられるところからどのようにして買っているんだろうかと思って調べてみましたところ、昭和二十八年にきめたっきり金額は三十万以内、物品はほとんどが、たとえば一例をあげますと、自転車、そのときには電子計算機という名前ですが、いまは一万円以下の電卓も含むわけですね。そういうものも部隊では買えないことになっておりました。だからこれはおかしいというので、全部点検し直しまして、品目を大幅に、各駐とん地の責任者が購入できるようにいたしまして、金額も一件百万円ということにいたしました。そしてなるべく、その地域の住民の一人である、やはりわれわれのお客さんであり、隣人であるという気持ちを持ってもらうことも必要だ。自衛隊が出てきた、これはバーに行くのかというようなふうな接触ではいかぬのではないかということで、四、五カ月かかりましたが、全部整理を終わりまして決裁いたしました。これによってせめて地域の方々に感謝の気持ちを込めて、地域において、地域の商店街の方々の販売されるものが部隊調達できるようにということで、大幅な品目金額等に改定を加えてみたわけです。こういう精神的な面等も考えながら、またいわゆるいまおっしゃったような都市計画と自衛隊の占める基地の面積、これは米軍提供施設も含んでのことでありますが、これに対する検討は、自主的にも行なっていかなければならない環境が出てきておる。私は十分自覚いたしております。
  473. 坂口力

    坂口分科員 いまの長官のお話はお話としまして承っておきますが、初め私が申しました、地元と防衛庁のほうとの話し合いというものがいままで存外になされておりません。確かにいま長官がおっしゃったような面での疎通というものもなかったかと思いますが、しかし今後どうあるべきかというようなことについても、何かそこに異分子的な存在であるというような形でございまして、その町全体がどう発展していくかというようなこととのかかわり合いというようなことにつきましても、何らそのパイプはなかったわけでございます。これはやはり双方にとりまして非常にまずいと私思いますし、そういった面では、いま長官が言われたようなことをも含めて、これは市とあるいは県とそれから防衛庁側との定期的な会談を持っていくということがたいへん大事ではないかと私思うわけでございます。そういう意味で、名前はいま思いつきで申し上げたわけでございまして、そういった双方の定期的な一つの話し合いの場というものをつくっていく必要がありはしないかということを申し上げたわけであります。いかがでございましょう。
  474. 山中貞則

    山中国務大臣 それに的確に答えになるかどうかわかりませんが、私もやはり、その地域にぽつんと疎外された存在というのではいかぬのではないかと考えまして、まず地域の指導者の方々がお集まりになる会合で政経懇話会みたいなものがございます。そういうようなものには会費を納めなければなりませんが、いまの自衛隊にはそういうものがないということで、そういうものを各部隊の長が加盟者になれるような会費も、予算で今度要求をいたしておりますが、さらにまた、地域の市町村長さんや議会の方々や、いろいろと御注文等がおありでございましょうから、そういう会議等が年に一、二回持てるような予算も今回初めて要求いたしまして、政府としてはそれを実現さしております。そこらの場を足がかりとして、忌憚なくお互いが、自衛隊さんとわれわれと周辺の責任者との会合があるということで、そういうことが糸口になって、いろいろな問題が提起され話し合われ、そうしてそれがうまく進行していくということの一助にもなればという気持ちで、いま予算化を一応いたしたところであります。
  475. 坂口力

    坂口分科員 懇話会といいますと、少し何か、なごやかな話し合いの会のような形になってしまいますから、やはりもう少し真剣な討議をする場というものが必要ではなかろうか、そういう意味で私は申し上げておるわけでございます。これはぜひひとつおつくりをいただいて、今後のためにやっていただきたいと思うわけでございますが、何度か聞きますが、いかがでございましょう。懇話会というような形でなしに、もうちょっと、角ばったという感じではございませんけれども、正式な話し合いの場というものが必要ではないかと思いますが……。
  476. 山中貞則

    山中国務大臣 どうも久居駐とん地の話が先に立っておるものですから、なかなか答弁がしにくいのですが、姿勢としては、おっしゃることはよくわかります。また、そういうことをしていかなければ、自衛隊を取り巻く環境というものは容易なものではないという気持ちでおりますので、あなたの御意見を貴重な御意見として承って、研究さしていただきます。
  477. 坂口力

    坂口分科員 たとえば、弾薬庫がございまして、これも自衛隊が始まります前、三十三連隊といいましたときからあるものだそうでございますけれども、その周辺は前はナシ畑だったのですが、いまはそこに住宅公社が団地をつくりまして、周辺に団地ができたりしている。ある程度の場所を、間隔はとってございますが、しかし何となくその周辺に家がたくさん建っているというようなこともございますので、これなんかの場所等の問題についても、これはそういった場で検討していただかなければならない問題だというふうに思うわけであります。そういうこともございますので、ひとつ先ほど私が申しましたような、何らかの一つのルートをおつくりいただきたいと思うわけでございます。
  478. 山中貞則

    山中国務大臣 大阪の騒音訴訟の判決を見ましても、あとからそこに入った人は対象にされていないわけです。われわれとしては先住者なんですね。そこにどんどん来られて、ある意味では被害者の意識もあります。しかし、やはり地域の方々とうまくいかない自衛隊というものが、いざというときに機能が発揮できるはずはありませんので、そこらは十分御意見を承ってまいりますが、具体的にどのような、審議会とか協議会とかいうものを設置するかということは、いま私としては突然承ったことでありますので、御意見として検討させていただきます。
  479. 坂口力

    坂口分科員 じゃ、それはこの辺で話を切らせていただきまして、ひとつ御検討いただくということにします。  もう一つ、時間がございませんので、はしょって申し上げますが、同じ地域に、と申しますか、少し山のほうに入りますが、白山ナイキ基地というのがございます。たいへんいろいろな問題を起こしたと申しますか、いろいろの問題の起こったところでございますが、このナイキ基地ができ上がりまして、そうしてそのナイキ基地のトラック等がたくさん通ったりいたしまして、そういうことで、周辺整備ということで、道路の拡張あるいは改修等が行なわれておるところでございます。ところが、一本きりの道でございまして、そうしてそこを子供たちがバスに乗って中学校等に通っているというケースでございます。今回の予算の総需要抑制の筆法にもひっかかりまして、その工事等がかなり長引いているわけでございます。昭和五十年からまた小学校も合併をして、小学校の生徒もまたそこを通わなければならないというようなケースになろうといたしております。もしもこれがずっと長引くというようなことになりますと、バスは、ちょっと工事をしたりいたしておりますと、もう休んでしまうというようなことで、たいへん不便な結果になるわけでございます。こういうふうな工事等については、特別な問題でございますし、そのほかとの関係もありますけれども、しかし、早急に短期間にこういう問題はひとつ決着をつけてもらいたい、こう思うわけでございますが、いかがでございましょうか。
  480. 平井啓一

    ○平井(啓)政府委員 白山のナイキ基地建設に伴います道路の問題につきましては、白山のナイキ基地建設が、御存じのように昭和四十五年度から四カ年計画で、本年度末でもって建設工事が完了するわけでありますが、その建設工事に伴いますところの資材の搬入等のための大型車両の通行、これが一つの道路障害の原因になっているわけでございます。  この問題につきましては、工事完了とともに、一応大型車両の通行というものはなくなるわけでございますが、この工事に伴います大型車両の通行に伴いますところの県道の措置につきましては、名古屋防衛施設局長と三重県知事、それから学童の通学問題に関しましては、白山の町長と同じく名古屋の防衛施設局長との間にお話し合いをいたしまして、県道等の砂利補修、路肩の補修、それから待避所を十カ所設けるとか、そういった点についてもお話し合いをやって、逐次工事中の手だてをしてまいったわけでございます。  また、御存じのように、学童の通学に関しましては、すれ違いの場合には、学童の乗っているバス等をできるだけ優先するとか、あるいは下校時にはわがほうからバスを二便お出しするとか、そういう措置を講じてきたわけでございます。  なお、御指摘になりました道路の工事が遅延いたしますと申しますのは、県道の藤大三停車場線、それから青山白山線でございますが、おそらくこの道路の工事の問題であろうかと思います。この部分につきましては、特に地形的に一車線でございまして、非常に工事のしにくい場所でございますので、この工事につきましては、どうしてもあと二年ぐらいはかからざるを得ないかと思います。  なお、ついででございますが、御存じの猫座線につきましては、本年度をもって、周辺対策としての道路の整備工事は完了する予定になっております。
  481. 坂口力

    坂口分科員 あまり詳しい点では、私もちょっとわかりかねる面もあるわけでございますが、いま申しましたとおり、一カ所しかない道でございますし、全体の条件が、小学校等の登下校という問題も控えてまいっておりますので、少し工事があったりしますと、バス会社のほうは必ず休んでしまうというようなケースが続きますので、たいへん子供たちの通学等にも困るわけでございますので、こういうような点にはひとつ特別なはからいで、二年といわずに、何とかことし一年ぐらいで結着がつかないかという気がするわけでございますが、ひとつ短期間にこういう問題はおやりをいただきたいと思うわけでございます。大臣に最後にお話しいただきまして、終わりたいと思います。
  482. 山中貞則

    山中国務大臣 ことしは予算で非常に公共事業が押えられまして、御趣旨のとおりにいかないかもしれませんが、気持ちとしては、なるべくそういうところを重点的に配分をいたしまして、早く終わるようにいたします。
  483. 坂口力

    坂口分科員 ぜひその点をお願いいたしまして、終わらせていただきます。  ありがとうございました。
  484. 上村千一郎

    上村主査 以上で、総理府所管防衛庁に関する事項についての質疑は終了いたしました。  次回は、明九日午前十時第一分科会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後六時三十三分散会