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1974-02-25 第72回国会 衆議院 予算委員会 第22号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十五日(月曜日)     午前十時一分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 井原 岸高君 理事 櫻内 義雄君    理事 澁谷 直藏君 理事 正示啓次郎君    理事 細田 吉藏君 理事 小林  進君    理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君    理事 山田 太郎君       上村千一郎君    植木庚子郎君       大野 市郎君    北澤 直吉君       倉成  正君    黒金 泰美君       笹山茂太郎君    塩谷 一夫君       瀬戸山三男君    田中 龍夫君       田中 正巳君    塚原 俊郎君       灘尾 弘吉君    西村 直己君       野田 卯一君    林  義郎君       藤井 勝志君    藤尾 正行君       松岡 松平君    松野 頼三君       湊  徹郎君    渡辺 栄一君       安宅 常彦君    阿部 昭吾君       赤松  勇君    岡田 春夫君       多賀谷真稔君    辻原 弘市君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       松浦 利尚君    八木 一男君       湯山  勇君    青柳 盛雄君       神崎 敏雄君    野間 友一君       石田幸四郎君    坂井 弘一君       鈴切 康雄君    小平  忠君       玉置 一徳君    永末 英一君  出席政府委員         経済企画庁長官         官房参事官   有松  晃君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君  委員外出席者         参  考  人         (三菱商事株式         会社社長)   藤野忠次郎君         参  考  人         (三井物産株式         会社社長)   池田 芳藏君         参  考  人         (伊藤忠商事株         式会社社長)  越後 正一君         参  考  人         (丸紅株式会社         社長)     桧山  広君         参  考  人         (日商岩井株式         会社社長)   辻  良雄君         参  考  人         (住友商事株式         会社社長)   柴山 幸雄君         参  考  人         (株式会社トー         メン社長)   安本 和夫君         参  考  人         (第一勧業銀行         頭取)     横田  郁君         参  考  人         (住友銀行頭         取)      伊部恭之助君         参  考  人         (東京銀行頭         取)      横山 宗一君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ――――――――――――― 委員の異動 二月二十五日  辞任         補欠選任   前田 正男君     林  義郎君   松浦周太郎君     藤尾 正行君   安宅 常彦君     松浦 利尚君   正森 成二君     野間 友一君   松本 善明君     神崎 敏雄君   三谷 秀治君     青柳 盛雄君   鈴切 康雄君     坂井 弘一君   矢野 絢也君     石田幸四郎君   小沢 貞孝君     永末 英一君   小平  忠君     玉置 一徳君 同日  辞任         補欠選任   林  義郎君     前田 正男君   藤尾 正行君     松浦周太郎君   松浦 利尚君     安宅 常彦君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  昭和四十九年度一般会計予算  昭和四十九年度特別会計予算  昭和四十九年度政府関係機関予算      ――――◇―――――
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和四十九年度一般会計予算昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、物価問題に関して質疑を行ないます。  本日、御出席を願っておる参考人は、三菱商事株式会社社長藤野忠次郎君、三井物産株式会社社長池田芳藏君、伊藤忠商事株式会社社長越後正一君、丸紅株式会社社長桧山広君、日商岩井株式会社社長辻良雄君、住友商事株式会社社長柴山幸雄君、株式会社トーメン社長安本和夫君、第一勧業銀行頭取横田郁君、住友銀行頭取伊部恭之助君、東京銀行頭取横山宗一君、以上の方々であります。  この際、参考人各位に一言ごあいさつを申し上げます。  本日は、御多用中のところ御出席をいただき、ありがとうございました。  当予算委員会におきましては、昭和四十九年度総予算審査にあたり、物価問題について企業並びに業界団体代表者各位の御出席を願い、国民生活に直接関係する物資の買い占め、売り惜しみ、価格操作による便乗値上げ不当利得等、本委員会におけるこれまでの審議の過程で各委員から指摘された諸問題について、直接その実情を聴取するものであります。参考人各位におかれましては、企業社会的責任を十分に認識され、委員質疑に対しては、その実情を率直にお述べいただきたいと存じます。  次に、議事の進め方についてでありますが、参考人からの御意見は、委員からの質疑にお答えをいただくという方法で行ない、参考人は、委員長の許可を得て発言を願い、委員に対しては質疑ができないこととなっておりますので、さよう御了承を願います。  次に、委員各位質疑される際は、そのつど参考人を指定し、失礼にわたることのないよう御留意の上、理事会でお約束いたしました持ち時間を厳守されるよう、特にお願いをいたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。林義郎君。
  3. 林義郎

    ○林(義)委員 参考人各位には、早朝から御出席いただきましてありがとうございました。  商社銀行との問題に関連いたしまして私は質問を行ないますが、総合商社は、戦後十九万五千円の資本金で出発しました。  戦後の歴史を見まするに、自立経済の達成をする、このときには、貿易業の振興が大いに叫ばれていました。その後、高度成長時代には、わが国の貿易先兵として、プラント輸出先兵として活躍されました。しかし、いまや時代が変わってきておる。成長から福祉へというのは、国民的なコンセンサスになってきている。私は、その際に、新しい時代にふさわしい商社あり方というものを探っていかなければならない。ここを明確にされていないのが、私は、現在のいろいろな問題を生んでいるのだろうと思うのです。  昨今の新聞にも出ていますけれども、去年から調べてみますと、土地の買い占め、証券の大量購入為替差益冷凍食品とか石油製品等買い占め脱税問題、内部規律の問題、もうあげたら切りがありません。たいへんな問題であります。  きょうは、時間の制約もありますから、詳細に問いただすわけにはいきませんけれども、私は、二、三の問題を中心にして、巨大商社あり方について、参考人から御意見を承りたいと思います。  まず、脱税問題。丸紅については、昭和四十三年下期から四十六年上期の六期間につき、いわゆる任意調査国税庁が行なった結果、四十七年五月に更正決定がなされ、その内容は、丸紅の当初申告所得金額が百五十六億三千三百万円であったに対し、更正増加所得額は五億三千六百万円、重加算税対象額は十億五千万円であり、追徴税額は三億七千万円程度ということであります。これは、私の知り得た情報でありますが、このとおり間違いないかどうか、まず丸紅社長さん、どうです。
  4. 桧山広

    桧山参考人 ただいま林先生の御説明数字は、大体当たっております。
  5. 林義郎

    ○林(義)委員 次に、トーメン、私の情報では、四十四年下期から四十七年上期の六期につき、同じような調査がありまして、四十八年五月に更正決定がされ、その内容は、同社の原所得申告金額約八十七億円、事後の更正増加所得額が二十九億八千万円、重加算税対象額は二十六億一千五百万円で、追徴税額は十二億九千五百万円です。トーメン社長、いかがですか。
  6. 安本和夫

    安本参考人 ただいま林先生から御指摘のございました、そのとおりでございます。
  7. 林義郎

    ○林(義)委員 第三の商社日商岩井につきましては、四十七年の法人税に関し、目下国税庁任意調査中であると聞いておりますが、それは事実かどうか。また、その調査の結果、丸紅トーメンと同様な結果になったならば、日商岩井としては、納税されるつもりかどうか、日商社長さん、どうですか。
  8. 辻良雄

    辻参考人 ただいま林先生から御指摘のとおり、ただいま国税局定期検査を受けつつあります。決定が行なわれました際は、その国税局決定に従って納税いたします。
  9. 林義郎

    ○林(義)委員 この税問題に関連して、新聞紙上によりますと、トーメン丸紅日商岩井の各代表が、一月二十九日に共同記者会見をしておられる。脱税を否定されるような発言新聞紙上で拝見いたしました。しかし、先ほど申しましたように、重加算税対象になっておる。重加算税というのは、法律によりますと、「納税者がその国税の課税標準等又は税額等の計算の基礎となるべき事実の全部又は一部」これを隠蔽し、または仮装したことによって課せられるものである。それは不正所得でありますから、不正所得でないということがはっきりしたならば、過少申告加算税が課せられるというたてまえになっております。重加算税を払っておられるのであるから、いわゆる常識的な意味におけるところの脱税というべきであると私は思います。税務当局の否認と脱税とは異なるとか、また犯意を持って行なったものではないとか、いろいろと釈明はしておられるようでありますけれども犯意とかなんとかといいますと、刑事事件で人を殺したとか傷つけたとかなんとか、そんな問題じゃないのです。これは税法上の問題であるから、この際、犯意があったとかなんとかはあまり問題にならない。客観的な事実であります。  私は、そういった意味で、これは常識的な意味におけるところの脱税である、こう言ったほうがいいと思うのですが、丸紅トーメン社長さん、この私の考え方に対してどういうふうにお考えになりますか。あまり釈明をされると困りますから、簡単にひとつお答えいただきたい。
  10. 桧山広

    桧山参考人 お答えいたします。  新聞記者会見で、わが社の副社長が申し上げたのは、十億円の脱税ということで、ただいま先生からも御説明がありましたように、課徴金査定額が十億であった、納税額が三億六千万だということの説明と同時に、私ども、もともとそういう脱税というような意図は毛頭ありませんでしたということを強調したために、ああいう誤解を招いたと存じます。  なお、ただいま御指摘のように、重加算税対象という査定を受けたということが、いわゆる世間で広い意味での脱税といわれておる、こういうことでございますので、私どもは、非常に反省もいたし、残念なことだということで、深くおわびを申し上げたいと思います。
  11. 安本和夫

    安本参考人 ただいま林先生から御指摘のありましたとおりと私は考えております。  私どもの副社長発言いたしましたことは、急を要しましたために、内容の把握が不十分でございまして、まことに軽率な発言をいたしております。私、社長といたしまして、ここに深くおわび申し上げます。  こういう重大な時期に、かかる不始末をいたしましたこと、私、心からおわび申し上げる次第でございます。
  12. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、このことは、今回の事件にとどまらないと思うのです。氷山の一角だろうと思います。  私もかつて役人をしておりまして、為替管理のことをやっておった。為替管理をやっておりますと、最後は、商社申告というものが正しいというふうに考えなければ、なかなかほかに方法がない、こういうことであります。いま、こうして商社が非常に大きくなっている。世界にたくさん支店や現地法人というものを持っておられる。そして、その昔考えた問題が、いまのときに出てきたと思うのです。商社海外輸出価格を低く評価して出す、あるいは輸入価格を高く評価してインボイスを書く、あるいは海外へコミッションをたくさん送る、いろいろな操作を、海外法人に対して利益を転ずるという目的を持って、また、そういった悪意を持ってやろうと思ったならば、幾らでもできるという実は体制である。これは悪意か善意かというだけの問題であります。  こうしたときに、特にいまから、これだけ大きくなっている大商社でありますから、税の執行の面におきましても、たいへんむずかしい問題がある。それで、大企業こそが、国民義務であるところの納税については、やはりまっ先に協力してもらわなければならない。為替管理につきましても同じであります。大商社は大きいだけに、一般の人よりは、より以上の義務を果たしてもらわなければならない、こう思うのです。  そこで、今回の事件を契機にして、私は一つ提言を申し上げたい。大商社が支配しているところの現地法人投資会社、すべてを通じて、そのもとの会社事業活動とみなして、第三者的な監査機関日本に設ける、そして、これに監査きせて、いやしくも脱税というような汚名を着ることのないようにするという提案であります。私は、国民のための商社という観点に立って、現在、これだけ国民から疑惑の目をもって見られる商社でありますから、率先してこの疑惑にこたえなければならない。第三者によるところの監査制度を創設したらどうかと思いますが、ひとつ業界代表されまして、三井物産社長さん、いかがですか。三井物産は、アメリカでそういったことをやっておられます。私は、こういったことをぜひやるべきだと思いますけれども、ひとつ代表して御答弁いただきたい。どうか簡単に、イエスかノーかということでけっこうでございますから、お答えいただきたいと思います。
  13. 池田芳藏

    池田参考人 林先生の御質問にお答えいたします。  ただいまの御提言は、まことに適切なる御提言であると思いますが、われわれの会社に関する限り、すでにかような第三者的な監査機関というものを、数年にわたってお願いしておるわけでございます。  これはアメリカにおきまして、サーティファイド・パブリック・アカウンタントと申しまして、いわゆる公認会計士、ハスキンズ・アンド・セルズというのがその会社の名前でありますが、これは世界じゅうに店を持っており、一万人ぐらいの優秀なる公認会計士を擁しておる会社でありまして、三井物産に関する世界のあらゆる店、現地法人は二十三社ありますが、これを含め、本店を含めて、全体として何らの不正がないかどうかということを、あらゆる角度から監査をいたす機関でございます。  われわれが決算を、たとえば前期の決算を行ないましたときは、十一月の末にできるわけでございますが、それ以後二カ月、三カ月かけて、微に入り細にわたってこれを監査いたし、われわれの意見と違うところは、これを摘発して、アメリカのセキュリティー・エクスチェンジ・コミッションに報告する義務があるわけでございまして、われわれは、アメリカにおいても、ドイツにおいても、イギリスにおいても、フランスにおいても、日本においても、あらゆる角度から監査されておるわけでございますので、いま林先生おっしゃったような、まあ、スポーツで申すならば、オフサイドというようなことですが、そういうふうなことは、ごうもできないようなことになっております。と申しますのは、一九六三年と六九年に、アメリカではADRを二百五十万株、一千万ドルの転換社債、一九六九年におきましては、ロンドンにおきまして、千五百万ドルの転換社債を出しておる。これらに投資した人の利益を保護するという必要がありますので、その観点から、SECは厳重なる報告義務を課しております。  かようなわけでありまして、第三者的なものがすでにあるということと、日本における公認会計士審査ももちろん受けておるわけでありまして、かような観点から、御趣旨には賛成でございますが、すでにあるというのが私の答えであります。
  14. 林義郎

    ○林(義)委員 三井物産はやっておられますが、私は、日本でひとつこういったものを公的につくらなければならない、こう思うのです。  時間がありませんから、次に移りますが、海外事業活動規制の問題であります。  日本は、エコノミックアニマルといわれて、いろいろと評判が立っております。その先兵は、やはり何といったところで大商社であります。さきの、田中総理東南アジアを訪問されたときのあの事件、やはりわれわれは反省しなければならない。相手国の利害を考えていかなくちゃいかぬと同時に、やはり相手国国民感情というものをほんとうに考えた海外進出をする必要があると思うのです。海外進出については、商社過当競争の問題がしばしばいわれております。これは、あげたら切りがない。資料はたくさんありますが、これは省略します。しかし、私は、これから特に東南アジアでたいへんなことになると思う。現在の問題も、たいへんであるけれども、将来の問題がたいへんなことになる、こう思うのです。  ある有力銀行推計によりますと、アジア向け投資残高は、一九八〇年百五億ドル、輸出が百九十億ドルで、輸入が百億ドルということになっておりますけれども、これは、この六、七年の間に日本投資が大体七倍くらいになる、こういうことであります。こんな推計もあります。このままの推移でいきますと、インドネシアでは、一九八〇年では、インドネシア財政規模というのは十七億ドル、日本投資が三十五億ドル、こんな数字になっちゃうのです。日本商社によってこれだけ、インドネシア政府はこれだけ、こういったときになって、一体、インドネシア人は何と考えるかということであります。私は、これはこれから大問題だと思うのです。しかも、相手国民感情をどうとらえていくかというのが一番大きな問題だろうと思いますが、経済界でも、発展途上国に対する投資行動の指針というものをつくっておられる。しかし、きわめて抽象的です。  私、ひとつ具体的に御提案をしたいのです。相手国の問題もありますから、これは一律にきめるというわけになかなかいきません。それから、いろいろな問題がありますけれども、大筋としてこういったことをやりたい。第一は、貿易業務のみを営む場合には、一〇〇%の子会社でもよろしい、これが第一点。第二は、事業活動を営む場合には、日本側の出資は、子会社を含めて五〇%、これをこえないこと。第三、相手国にあるところの企業資本参加をする場合には二〇%以内。第四、輸銀、経済協力基金等からの投融資を受けて行なう場合には、二十年たったら、相手国政府または民間に日本側の持ち株について買い取り請求権を与える、自後、十年間にわたって段階的にこれをやっていく、こういうことであります。第五番目、国民感情の問題がありますから、各国別に、病院とか教育施設とかいろいろな保護施設、そういったものを、出るところの企業に、設置の義務づけをする、こういったことについて、主務大臣にエンフォースができるようにする。  現在の貿易業界で書いておるところは、非常に抽象的で、共存共栄をはかるとかなんとか、そんなことではだめだ。はっきりとした基準をつくってやるということが一番よろしい、私はそう思うのです。これは将来、非常にむずかしい問題が出てくると思う。現在でもそうです。現在でも、もう非常に困っている。鶏や豚のえさが非常に高くなっちゃってどうにもならない。農家ではもう鶏や豚を飼うのをやめよう、こういう話がたくさんあります。日本はどうしても資源がない。この段階において、どうしても海外資源をたよらなければならない。そのときに、やはり商社というものの活動というのは、私は大いにやってもらいたい。これから、鉄鉱石だとか非鉄金属だとか、石油もそうでありますが、いろいろな海外資源の開発をやるためには、商社の力というのは非常に有力である。その情報網というのは非常に活用しなければならない。しかし、やはり相手国国民感情というものを大事にしなければならない。私は、そういうことを具体的にやりたいと思うのです。これについて賛成反対か。もしも反対の方がおられたならば、ちょっと手をあげてもらいたい。もしなかったら、代表して伊藤忠さんどうですか、いまの私の考え方について、簡単にお答えいただきたい。
  15. 越後正一

    越後参考人 お答えいたします。  抽象的な考え方がだめだというお話で、いま具体案を幾つか述べていただきました。われわれも日本貿易会で、何か日本企業進出のルールをつくったらどうかということを検討はしておりすす。ことに、われわれの海外事業は、現地のパートナーと組んでやっておりますので、われわれのほうから、社長を送っておる現地法人ジョイントベンチャーはございません。したがって、現地社会経済、民衆の気持ちというものを十分考慮してやってきておるつもりでございますが、しかし、ただインドネシアだけは、現地資本力が非常に脆弱でございまして、大部分が華僑と組んでおるという点が問題であるのでありますが、これらに対しましては、やはり両国政府の力をかりなければ、なかなか解決できないのじゃないかという感じがいたしますが、いずれにいたしましても、原則的に具体的に、何か一つでもいいからまとめていこう、また、いくべき必要があるという御提案に対しましては、全面的に賛成いたします。
  16. 林義郎

    ○林(義)委員 海外問題に次ぎまして、国内との関係に移ります。  まず、公正取引委員会が、ことしの一月二十一日に発表されました「総合商社に関する調査報告」というのがありますが、商社社長さんで、もし読んでおられない方がありましたら、ちょっと手をあげてもらいたい。非常に問題の文書ですから、皆さんやっぱり読んでおられると思うのです。勉強してもらわなくちゃ困る。  それで、この中に、商社支配力の行使について規制をという考え方があります。これは、やっぱり一つの傾聴すべき意見だと思います。しかし、単に悪いという問題だけではない。実は聞きますと、中小企業の中では、こういう意見もあるのです。商社系列になると、かえって経営が安定したということもしばしば聞かれるのです。一がいにどうだということは言われませんけれども、ただ、中小会社の株を持って、そうして企業いじめをする。そしてその企業は非常に困るわけです。中小企業について言いますと、その企業が、もしも中小企業にあった、中小企業庁のほうでもそうだと言ったときには、その株を放出します、そういったことを、ひとつここで明言できませんか。私は、いろいろな問題があると思います。取引系列の問題、いろんな問題があります。これはありますが、少なくともその会社が非常に問題だ、非常に大企業にいじめられているという話がありましたら、その株をそれじゃお返ししましょう、こういったことできませんか。  三菱商事社長さん、どうですか、ひとつ業界代表してお答えいただきたいと思います。
  17. 藤野忠次郎

    藤野参考人 ただいまの林先生からのお話ですが、大体、普通商社中小企業の株を持つ場合、三菱の場合には三つの原則があるわけです。  それは第一に、中小企業側から三菱系列に入ったほうがいいから、ぜひ株を持ってくれといって頼まれる場合、それからもう一つは、取引上融資、不良債権が非常に焦げついちゃってどうにもならない、それには金利もかかっていくでしょうから、それを株に転換するという場合、それからもう一つは、進んで自分の子会社をつくる場合と、この三つがあるわけなんですが、ただいまのお話中心は、非常に大企業に圧迫されたために、その覊絆を脱したい、そういう中小企業があった場合には、それは、もともと、いずれの場合にしましても、こちら側は企業を支配するという目的がないわけですから、私の場合には、自分でその企業を支配するために株を持つという目的がそこにないわけですから、いつでも、そういう方がおられましたら、喜んで譲渡することは差しつかえありません。
  18. 林義郎

    ○林(義)委員 いまの三菱商事社長のお答えは、喜んで放出します、結論はこういう話であります。ほかの六商社の方で、いまの御関係反対だという方はちょっと手をあげてもらいたい。――あげられないでしょう。絶対にあげられない、私はそう思うのです。この問題は、商社の問題だけじゃない。
  19. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと待ってください。もう少しはっきり、もう一ぺん繰り返してはっきりさせてください。
  20. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、反対はないと思うのです。反対は絶対あり得ない。もしも反対があるなら、堂々とこの場で言ってもらいたい。
  21. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 反対ないようです。
  22. 林義郎

    ○林(義)委員 これは商社の問題だけではない。銀行の融資と密接な関係があるのです。  私は、その前に一つお尋ねしたいのですが、この二月四日に総理官邸に呼ばれて物価の安定、物価の引き下げ、これに協力する会議がありました。この中にも、その中に出られた参考人がおられると思う。それを受けてさっそく三菱商事三井物産、住友、伊藤忠、それぞれ凍結品目を発表されております。非常に時宜を見る商社としては、りっぱなことだと私は思うのです。これは、りっぱなことだと思いますよ。  しかし、私は具体的に聞きたい。その中に三井も三菱も砂糖が入っている。砂糖は、大体言いますと、この前も質問があったようでありますけれども、四十七年で六十万トンが国内糖で、二百七十万トンが輸入糖、合計三百三十万トンが国内消費ということであります。それで輸入の大体七割くらいは大商社が取り扱っておられるし、国内の製糖メーカーは大商社がみんな株を持ってやっておられる。それからその代理店は、大商社の方々がみんなやっておられる。まあ、買うほうも製糖するほうも販売するほうも、商社が非常に力を持っておられるところであります。商社が圧倒的な力を持っているといっていいのだと思うのです。  ただ、農林省が砂糖の末端価格を指導価格という形で、キログラム当たり百八十六円以上に上げないように指導して、農林省の協力店というようなものもつくっておられる。  私はこの際、これにひとつ商社としては大いに協力してもらいたい。大商社は力を持っておられるのですから、協力をしてもらいたい。小売り店に対する強い要請もできるのじゃないかと思います。なかなかこれはむずかしいとおっしゃるかもしれませんが、できる。商社みずからの利益を放棄してこれを実施するというようなことも、ひとつ考えてもらいたいのです。末端の消費者の買う値段、百八十六円を守るために、全力をあげてがんばってもらいたい。  たとえば、三井物産なり三菱商事も、いろいろな話を聞きますと、税引き前利益の大体二%は社会還元をします、こう言っておられる。三井物産でも、税引き前利益というのは、四十八年の九月期決算では大体百億円あります。百億円の二%から四%なら、二億円から四億円であります。それを社会還元する、こういうふうに言っておられますが、ひとつ、こういうようなものを使ってやってもらったらどうかと私は思うのです。そういったことをすれば、大商社がほんとうに国民のためにあるんだ、こういうことがほんとうに出てくるだろうと思います。  三菱商事の藤野社長、いかがですか。こういったことを少し御検討いただけませんか。時間を限って検討してもらわないと、これは困るのです。検討しますということで逃げられたんじゃ困りますから、いついつまでにこれは結論を出します、こういうふうなことをお話しいただけると非常にありがたいのですが、どうですか。
  23. 藤野忠次郎

    藤野参考人 御承知のように、砂糖の末端価格はキロ百八十六円。これを実行しているのは、小売り店のうちでも大手スーパーとか、ああいった大中小のスーパーであって、その他は必ずしもキロ百八十六円で売っているとは思われません。しかし、ただいまのお話は、常に末端価格を、ちょうど灯油の場合と同じように、キロ百八十六円で押える。御承知のとおり、その間に第二次特約店とか、数十軒にわたる特約店があるわけです。それを排除して――排除してという意味じゃないけれども、ともかく先生のおっしゃることは、末端価格のキロ百八十六円というものを維持するように、何とか方法はないか。  この場合に、一番考えられることは、販売機構の問題、数千軒にわたる中小企業の問題、それから原糖という問題があるわけです。原糖はロンドンで、御承知のとおり中心市場できまるわけで、そういう関係が非常に深いので、いつ幾日までを限って返答を申し上げる――検討をすることは、もうすでにわれわれもやっております。灯油でやったように、砂糖もまた末端価格の百八十六円が維持されなければ、標準価格の意味もあまりないとも思われますししますけれども、同時に、ほかに灯油とはまた違った複雑な事情がたくさんあるようですから、これを研究する。ただしその研究は、日限を限るということになると、ロンドンそれから豪州その他キューバ、原糖の輸出国、これらとの関係もいろいろありましょうし、時間を限ることは、私はちょっとお引き受けいたしかねます。ただし、末端価格の百八十六円を、いまは三月末日までということになっておりますけれども、できるだけ引き続いて維持したいという努力については、われわれも、社内でも、おそらくここにおられる各総合商社の方も、みんな考えておることだと思います。  以上でございます。
  24. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 時間がきっちりですから、簡潔なことで。  それから、各参考人の方にも御注意申し上げますが、答弁は簡潔にお願いいたします。
  25. 林義郎

    ○林(義)委員 ひとつ、委員長の言われた御趣旨で、御答弁のほうもそうお願いしたいと思います。  いざとなると、検討する。約束すると言うことはなかなかできない。私は、これは非常に残念だと思うんですよ。非常に残念です。私は、何としてでも、この際、国民の期待にこたえるような姿勢をひとつ出してもらいたい。私はそこが非常に残念だ。それは、商売のことですからなかなかむずかしくて、私自身が商売やっておるわけじゃないからあれですが、ひとつぜひ全力をあげてこれをやってもらいたいと思うのです。  時間がありませんから次の問題に移りますが、銀行商社に融資する場合に、一体どういうふうな審査をしてやっておられるのか。四半期ごとのワクをきめて、資金繰りのしりが出てくる、そのしりだけ見て、それじゃこうしましょうという形で融資をしておられるのかどうか。そんなことをよくいわれておりますから、一体その辺どういうふうに――これは事実なのかどうか、住友銀行頭取さん、いかがですか。
  26. 伊部恭之助

    ○伊部参考人 林先生の御質問にお答えを申し上げます。  商社への融資に際しましては、御指摘のとおり、相手から大体、先生のおっしゃるとおり、四半期ごとの資金計画と、それからそれに基づいて、取引銀行である私の銀行なら私の銀行が詳細な説明を受けまして、それを、そのときどきの金融政策、政策当局のお考えと私ども銀行の融資力とのかね合いで、全体と他の業界、他の会社とのバランスをはかりつつ考えておりまして、ことに、四十八年の一-三月以降は、日本銀行から相当きびしいいろいろの御指導もございますので、当行が自主的に検討をいたしておるわけであります。個々の融資案件の実行につきましては、常にそれぞれの資金使途を明確に聞きまして、融資自体の健全性を保つように、常時心がけておるわけでございます。  しかし、先生方の御指摘になるところは、一度貸し出してしまった資金が、現実にそのとおり使われておるかどうか、銀行が十分それをチェックしておるかどうかということではなかろうかと存じまするし、非常にごもっともな御質問だと存じまするが、商社金融の中にもいろいろございまして、たとえば輸出の前貸しでございますとか、あるいは輸出銀行との協調融資とか、あるいは輸入の金融でございますとかというように、はっきりとした、物に結びついた、あるいはプロジェクトに結びつきました、いわゆるひもつきの貸し金というものもございますし、こういうものは、資金の余裕のある場合には、たとえば専門的で恐縮でございますが、鉄ハネ、鉄輸入ハネ資金の早期回収というようなことも、現実に金の苦しいとき、引き締め期にはやっておるわけでございます。しかしながら、一般的なそういった具体性のない、大きな商売の収支の計画のズレによって生じまする資金不足というのも、毎四半期資金需要として出てくるわけでございますが、これは必ずしも個々の取引にひもがつきかねまするので、これについての管理は、私どもは、貴重な資金でございまするから、また預金者の大事な資金でございまするので、管理上は、資産の変化その他については十分管理はいたしておりまするが、取引内容の個々につきましては、民間銀行として、この膨大な商社の全世界的な活動内容一つ一つをチェックするのは、非常にむずかしいのでございます。  大体、そういうようなことでございます。
  27. 林義郎

    ○林(義)委員 私は、結論としてはとにかくあまり見ていない、こういうことであります。大商社であるから、いろいろなことをやっているからわからぬというような話、ここに一番の問題があるのじゃないか。はっきり申し上げたらここに問題がある。それは、商社でいろいろ活動されます。土地を買う、不動産を買う、証券を買う。たくさんありましたよ、去年から。何とか証券、何とか不動産という名前をつけられて、新聞でわあわあいわれておった。私はその辺のチェックというものは、銀行がやらなくちゃいかぬと思う。この金融引き締めをするときですから、洗いざらいやったらよろしい。もしもそんなところにわっとわからぬ金を出しておいて、あとでいろいろ調べてみたら不動産買った、証券買った。全部引き揚げたらよろしい。極端にいえばそういうことであります。そうすると、やっぱり土地なり不動産、証券を売らなくちゃいかぬ。そういたしますと、これは土地の放出になりますから、地価の安定にも私は役立つと思う。この辺をひとつやってもらわなくちゃいかぬだろうと思うのです。私は、これはもう一ぺん洗い直しをしてもらいたい、特に大きなところの。バランスシートを見たらわかるのです、これは。銀行ですからいつでも出してもらえる。銀行は、たとえてみましょう。伊藤忠には第一勧銀、住友、協和、東京が大口でこう貸しておる。おれのところの貸した金は使われてないだろうと思ったけれども、全部貸したところを見たら、あと土地であるとか証券であるとかにみんな流れてしまって、わあわあ使われて、みんなこうなっているというのが私は現状じゃないかと思う。ましてや、商社はたくさんの子会社を持っている。この子会社について、一体どれだけ管理をしておられるか。もしも子会社の名前を全部ずっと出して、どうなっているかということを、メーンバンクであるところのところがわかるということでしたら、言ってもらいたいのです。第一勧銀の頭取さん、第一勧銀は伊藤忠を大体みんな持っている。第一勧銀と住友さん、これが伊藤忠の一番大口の融資銀行です。第一勧銀の頭取は、一体伊藤忠の小さな子会社がどうなっているかというところまで御存じで貸しておられるのかどうか。大体商社から持ってきたんだから、このぐらいでやっておけというような話じゃないかと私は思うのですけれども、一体どうですか。どっちですか。説明は要りませんから、簡単にお答えください。時間がありません。
  28. 横田郁

    横田参考人 お答えいたします。  伊藤忠の具体例が出ましたので申し上げますが、伊藤忠さんの子会社は百社以上にわたっておりますので、これの全体の把握は、おっしゃるようになかなかむずかしい。伊藤忠本体の把握を通じて把握をするという方法をとっているわけでございます。ただ、その中で個別に、たとえば伊藤忠不動産とかそういうものに貸し出しがある場合には、これはこれで独立して審査をいたしております。  以上であります。
  29. 林義郎

    ○林(義)委員 そういたしますと、なぜ子会社を持たせるかという問題が出てくると思うのです。銀行が一方でわっと金を出す。たまたま子会社をつくって、子会社のほうに出資します。もう一つは、中小企業が別にあるのです、ここに。中小企業の不動産会社だってあります。こちらには担保はとるわ、保証はとるわ、貸し出し利率も実際には違うわ。伊藤忠のほうだったら、担保は要らないわ。どうです、一体。全然違うのですよ、中小企業と大企業と。ここに、私は銀行商社の大きな癒着の問題があると言わざるを得ない、はっきり申し上げて。銀行は、大商社だから細部のところはわからないということですけれども中小企業に貸すときには一体どうですか。みんな困っちゃって、担保がないからどうですか、こうですかとみんな言われてくるのですよ。私はそこに一番大きな問題がある。ここにメスを入れなければならないと思うのですよ、はっきり申し上げて。そこをやらなくちゃいけません。  時間もあまりないようでありますから、私はもう一つお尋ねしたいのですけれども、運転資金の問題です。運転資金というものについて、大体各社長は、それぞれ商売をやっておられるのですから、在庫の問題がある。在庫というものは、ある程度持たなければならない。その在庫に対する金融をどのくらいするか。ところが、在庫の量は適正かどうかということがあるのですよ、売惜しみ買占め法が出ておりますから。これはどういうふうな形でやっておられるのか。これはみんな違う。各社の間で秘密にしていて、なかなか出さない。それで売り惜しみだ、買い占めだというと、いや、これは適正在庫の範囲でございます。  適正在庫の範囲というものは、たとえば羊毛とか木材とか、それぞれみんな大体きまっています。各社ともそれぞれ管理をしておられると思いますから、ひとつ委員長にお願いしまして、どういうふうな組織で、品目別にどういうふうにやっておられるかということを、各参考人から資料を出させてもらいたい。各社別々ですけれども、その適正在庫量がどれくらいであるか。木材は何立米、金額にしてどのくらいだ。それから羊毛は何コリ、何円だ、大体そのくらいがこの会社としては適正在庫である、こういったようなことを、一体銀行はつかんでおられるのかどうか。銀行が融資をするときに、その適正在庫に基づいて融資をされるのかどうか、その辺は、一体やっておられるのかどうかということです。  東京銀行貿易銀行ですけれども貿易について、はね返り金融というものがありますよね。はね返り金融というものがある。特にはね返り金融というものは、結局在庫金融であります。こういったものをはっきり各社ごとにつかんで、しかも、ほかの銀行との融資をながめて、それで貸しておられるのか、まあ適当にやろう、こういうことですか。どっちですか。
  30. 横山宗一

    横山参考人 林先生にお答えいたします。  東京銀行は、外国為替銀行法に基づきます貿易金融とか国際金融を主としてやっております銀行でございます。それで、貿易金融におきましては、先ほど伊部頭取が言われましたように、毎四半期事業計画並びに資金計画を聞きまして、さらに一本一本貸し出すときに、厳重にチェックしております。  輸出輸入に関連しまして在庫といいますものは、輸出の場合には、集荷いたしまして輸出するまで、ほんの船待ちの期間くらいが在庫になります。輸入の場合には、あらかじめこの売り先がきまっておるかどうか、これを厳重にチェックしまして、いやしくも思惑で輸入をして、値が上がったら売る、そういうようなものは、私どもは全然融資の対象になりません。また一本一本もチェックをしておりまして、売り先がどこか、そこで売り先からの手形をとって割り引くというような形になっております。  ただ、かように厳重にチェックしておりましても、やはり資金を一々突きとめるわけにいきませんので、あるいは在庫ということの金融になっているのがあるかもわかりません。ただ、その点は、私どもでいいますと、為替の量がどのくらいあるか、それに対して輸入あるいは輸出についてどのくらいの資金がまかなわれているかということを、全体的にしょっちゅう観測しておりますし、また、商品によりましては、商慣習によりまして、羊毛はどのくらい、非鉄はどのくらいという売り先代金を回収するまでの期間がございます。それを厳重に見てやっております。しかし最近は、私どもとしては、商社からの融資の申し込みにも十分の一くらいしか応じられない。非常に商社の手元流動性はきびしくなっておるので、とうてい現状において、在庫の金融というような資金の余裕があるということは言えないような状況でございます。
  31. 林義郎

    ○林(義)委員 何か、御説明を聞くともっともなような話でありますけれども、私はそうじゃないと思うんですよ。一つもポイントが出てない。質問に対する答えになってない、はっきり申し上げて。なぜ銀行商社に対してこれだけ甘い融資をして、中小企業やその他に対してきびしい融資をするか。  私はここに表があるのです。表がありますよ、ちゃんと。要するに、これは何の表かといいますと、がたんと落ちるのです。公定歩合が上がったときにはがたんと落ちる。これは中小企業が借り出しを受けるところの資料。公定歩合が上がる、金融引き締めのときには、中小企業への全体の融資比率というものはがたっと減ってくるんですよ。私は、一番困るのは中小企業。そんな大企業になぜ貸すか。ずばり申し上げますけれども、外国為替がもうかるからなんです、銀行は。外国為替の取り扱いというものは非常にもうかる。百万ドルやってごらんなさい、必ず百万円もうかりますよ。一ぺんの取引で百万円ももうかる。それだから商社から外国為替をもらおう、もらおうという気持ちが銀行にあるのです。だから、銀行のほうは四半期ごとにちょっと資料だけ見て貸そう、こういうことになっちゃうのです。これはもうきわめて簡単なメカニズムです。だからその金が、それじゃ今度商社のほうももうけなければいかぬから、やあ不動産を買え、やれ証券買えと、こういうふうな話になってしまうのです。私は、そこに非常な大きな問題があるから、これは徹底的に洗わなければいかぬと思う。はっきり申し上げておく。  私は、いまのそういったメカニズムがありますけれども、これは皆さん、心のうちでそう思っておられると思うので、なかなかそうだとおっしゃらないかもしれません。しれませんが、そこはやはり、そういったものが本質的にありますから、銀行商社に対する融資は、徹底的にこまかな審査をしてやってもらいたい。こまかな審査やってもらわなければいかぬ。そういったメカニズムになるから、これを何とかしてでも、国民疑惑にこたえるためにはやってもらわなければいかぬ。  そこで、最後の問題でありますけれども、中小の会社に対して商社が融資をします、あるいは子会社をつくる、これをひとつ徹底的に銀行のほうが洗い直してもらう。これをひとつお約束してもらいたい。第一勧銀の横田会長は全銀協の会長でもあります。全銀協会長の名において、ひとつこれをお約束できませんか。お答えください。
  32. 横田郁

    横田参考人 中小企業の問題につきましては、先ほど林先生がおっしゃったような統計が、どこから出ているかわかりませんけれども、そういうこともあろうかと思いますけれども中小企業に対する……
  33. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 簡単に答弁してください。
  34. 横田郁

    横田参考人 はい。残高は、全国銀行関係で四十六年の末が三二%でありましたのが、四十八年九月が三五・二%、こういうふうに、中小企業融資の比率は上昇をしているわけでございます。私ども銀行といたしましては、中小企業融資比率を増大させることを常に心がけている次第でございまして、先生のおっしゃることもごもっともでございますので、今後一そうそういう努力を払いたい、こういうふうに思っております。
  35. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 残念ですが、林君の質問は時間が来ました。質疑を終了してもらいます。  次に、楢崎弥之助君。
  36. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 社会党の楢崎弥之助であります。きょうはお忙しいところありがとうございました。  私は、まず冒頭に、わが党の質問の趣旨を申し上げておきたいと思います。  すでに、昨年来つくられた石油危機のもとで、もの不足あるいは便乗値上げ、そして狂乱とまでいわれた物価高、御案内のとおりであります。一体どうしてこういうことになったのか、このからくりの犯人は一体だれなのか、国民はひとしくそのことを知りたがっております。私ども国民になりかわりまして、この予算委員会を通じ、これらの問題についていろいろと真相を究明し、告発をしてまいったところであります。もちろんわれわれは、憲法に保障された国政調査権に基づいてそのことをやってまいりました。  で、予算委員会で問題になりました相手方である皆さん方に、きょう来ていただいたわけでありますが、皆さん方の中には、何で自分たちだけが呼ばれるのか、悪いことやっておるのは自分たちだけじゃない、もっとほかにもいるんだと、あるいはお思いかもしれませんが、しかし、予算委員会というのは時間が限られておりますから、われわれも問題をしぼって、代表的な事例をあげざるを得ません。したがって、われわれが問題にしたのは、単に氷山の一角にすぎないことも、よく承知をいたしておるところであります。  また、皆さん方の中には、政府の行政指導がまずいんだ、政策不在だ、あるいは政策の立ちおくれがある、政策が混乱しておる、そういう不満もおありかとも思いますから、きょうはひとつ、そういう点についても、遠慮のない御意見を聞かしていただきたい。  当然、聞くところによると、皆さん方も想定問答集を用意されて本日に備えられておるそうでありますから、ひとつ十分忌憚のない御意見を吐いていただきたいと思うのであります。ただ、委員長から御注意もありましたとおり、時間が限られておりますので、御答弁のほうも、質問の要点に対応して簡潔にお願いをいたしたいところであります。また、御答弁の中にうそがあったり、あるいは故意に事実を曲げた御答弁をなさいますと、残念ながらわれわれは、参考人から証人に切りかえざるを得ませんので、その点もお含みの上――われわれはとにかく真実を知りたいんだ。そして問題は、この異常な物価をどうすれば下げ得るのか、これを皆さん方とともに考えていきたい、これが私ども質問の趣旨であります。  以下問題を進めますが、まず、どうも今日のいろいろな問題に対して、政府の対応がなまぬるい。なぜなのか。ひょっとすると、これは、政府・自民党と財界の癒着関係があるんではなかろうか。それはいわゆる政治献金を媒体として、その癒着関係があるのではなかろうかという疑問が国民の中にあります。なければ幸いであります。したがって私は、まずこの点の疑問を解明するために、あらかじめ理事会を通じて皆さん方に対し、国民協会あるいは政府・自民党関係の後援会なり団体なり、あるいは研究会に献金されている向きがあれば、資料として提出されたいという要求を出しております。  で、私は、統一をするために、ここにきょう表を用意いたしておりますので、後ほどでよろしゅうございますから、ひとつこの表に書き込んでいただきたいと思います。  この表の区分は、献金先、献金先は国民協会及び自民党関係の研究会、団体、後援会などに限ってよろしゅうございます。それから献金額、それから昨年国民協会からの新割り当て額、さらに自治省届け出済みのもの、これはまるをつけていただきたい。無届けの会費、寄付金があれば、それも書き込んでいただきたい。よろしくお願いいたします。ちょっとこれをお配りいただきたいと思います。  そこで、そのことは後ほど問題を提起したいと思いますけれども、まず私は、一昨日、土曜日でありますが、実は当委員会に、元三井物産砂糖部長、現三井製糖社長及び全日本精糖工業会会長の水野忠夫さんに参考人として来ていただきました。そして問題の、いわゆる三井製糖芝浦工場の水増し問題を取り上げたのであります。ところが、これに対しまして水野さんは、農林省であとで記者会見をなさいまして、何か乾燥季には水分をふやして調整する、十一月は乾燥季だったので水をふやした、あるいは砂糖を袋詰めにするまでに水分は蒸発して、ちょうど基準に適合するようになる、あるいはまた、水分の多い砂糖は、袋詰めにするときに、一キログラムに若干のプラスアルファをつけるから、消費者に迷惑はかけていない、そういうことを記者会見でおっしゃったようであります。  私は、これを読みましてたいへんびっくりしたのであります。またあきれました。盗人たけだけしいとはまさにこのことであります。で、私は、実はおとといは遠慮しいしい質問をしたのでありますが、このように開き直られたのでは、問題を徹底的に究明せざるを得ない。  まず、三井製糖の総代理店である三井物産にお伺いをいたしたいと思います。三井製糖では、砂糖の乾燥度を水で調節されておるのですか。
  37. 池田芳藏

    池田参考人 ただいまの質問にお答えいたします。  私は、砂糖の専門家でありませんので、適正なる水分の含有量が幾らであるかということは、存じておりません。それに加えまするに、三井製糖というものは、われわれは株主として相当の株を持っておりますが、その経営に関しましては、すべて三井製糖の経営陣にまかしているわけでありまして、その点につきまして、株主として、いまおっしゃるようなことがございますならば、正確なる情報を入手した上で対処したいと思います。
  38. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 土曜日の日に、私のところに電話がかかってきました。ある技術者からであります。通常、砂糖の乾燥度は水でやるんじゃないんです。水で調節するんじゃないんですよ。還元糖、いわゆるビスコをかけて調節するのが普通であります。そのビスコを毎日どのようにかけていくか、これは基準があります。農林省の局長も認めましたとおり、水分というのは、大体年間を通じて〇・八%台が一番いいんであります。乾燥度は、さっき言ったとおり還元糖のビスコでやるのであります。それを三井製糖は、水で乾燥度を調節しているなんということになると、これはたいへんですよ。ほかの製糖会社だってびっくりします。あれを聞いたいわゆる砂糖の技術者は、私のところに電話してきて、冗談じゃありません、水でなんぞ調節しません、こんなことを聞けば技術者は泣きます、そういう電話です。一体何たることですか。  だから私は、この三井製糖の総代理店である三井物産にお伺いしたわけです。あなた方は売っているんだから、売っている以上は、自分の製品がりっぱなものであるか、基準に合ったものであるかどうか、それを知る責任がある。また義務と私は思うのです。しかも、この水野社長は、もとおたくの砂糖部長なんですよ。送り込んでいらっしゃるんですよ、三井製糖に。責任がありますよ。  それから、何ですか、袋に入れるまでに水分が蒸発して、ちょうど袋に入れるときは基準に合っている。何ごとですか、これは。三井製糖の芝浦工場では、上白砂糖に仕上げたやつを何日間置いておるんですか、知っていますか。いわゆるパッカーと称する機械を使って、工場の中で、できたら順次袋詰めしているんです。蒸発して基準に合うような時間はないのですよ。特に昨年の暮れは、どういうわけか知らぬけれども、砂糖がなくなるという誤った情報のもとに、いわゆる仮需要が起こった。つくればつくるほど売れる時期であった。何も置いておくことはない。つくったらすぐ袋詰めにして外に出せば売れるんですよ。それを、ちょうど袋に入れるまでに水分が蒸発する。何たる言いぐさですか、これは一体。そしてまた、水分の多い砂糖は、袋詰めにするときにその分だけよけいに袋に入れるから、消費者に損は与えていない。何を言っておるのですか。おたくの芝浦工場では、水分の多い砂糖とそうでない砂糖を区分けしておりますか。冗談じゃありませんよ。それを区分けして、袋詰めにするときにそれだけよけいやるなんて、何を言うのですか。参考人としてこういう虚偽の答弁をするならば、私は、証人としてこの水野忠夫さんを呼びたいと思います。これは後ほどわが党の理事を通じて、理事会に申し込みたいと思います。  また、三井物産はこういう不届きな社長を送り込んでおるのですか。早急に引き揚げなさいよ、責任をとらして。また、三井物産は全日本精糖工業会の会長からも引き下げる責任がありますよ。よろしゅうございますか、この点は十分調べてください。  何か言い分がありますか。ほかの会社も全部砂糖会社買い占めておりますけれども、どうですか、言い分がありますか。言い分があったら、おっしゃってください。どなたでもけっこうです。――どなたも反論がないようでありますから、おそらく心中じくじたるものがあるのでありましょう。  いいですか、だから芝浦工場の工場長は、本年一月のCR委員会で、水分を売らねばならなくなるだろうと。どうして、売るということばがそこに出てくるのですか。冗談じゃありませんよ。重ねて私は、わが党の理事を通じて、理事会に後ほどはかっていただきたいと思います。  次に、ここに日商岩井株式会社名古屋支店が出しております外糖・国内精糖見合価格表なるものがあります。ちょっとこれを日商岩井代表の方に渡してください。  まず、お伺いしますが、これはいわゆる外糖と国内精糖見合い価格表、つまり早見表でありましょう。ロンドン価格がこれだけのときにはこういう価格で売るのだ。まずお伺いをしますが、この価格早見表は、日商岩井系の砂糖メーカー、すなわちフジ製糖、新名糖、日本精糖の販売総代理店として、日商岩井さんが第一次問屋におろす場合の統一卸価格早見表なのかどうか。またこの価格表は、全日工あるいは通産省の指導を受けたものかどうか、日商岩井さんがかってにおつくりになったのかどうか、その点をお伺いします。
  39. 辻良雄

    辻参考人 私、詳しいことは存じませんが、これは通産省の指導を受けたものではないと考えます。  それから、これはロンドン相場を基準にしまして、一応こういうふうな原価計算になるということを参考までに示したものでございまして、これに基づいて、販売されておるものとは了解いたしておりません。
  40. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ところが、それは事実と反するのですね。名前は申し上げませんけれども、名古屋市内の二つの大手の特約店、つまり元売り問屋ですが、ここで確かめたのです。一体、この価格表は何月何日に指示されたものであるか。
  41. 辻良雄

    辻参考人 二月の五日に出しておるそうでございます。
  42. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体、各砂糖メーカーを持っておられる商社はほとんどそうですが、輸入口銭と販売口銭はどうなっておりますか。どなたでもけっこうですが、代表してお答えいただきたい。
  43. 辻良雄

    辻参考人 これも直接見ておるわけでございませんが、報告によりますと、大体輸出入とも一%ないし一・五%のように報告を受けております。
  44. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私がお聞きしているのも、大体そのとおりであります。この早見表は、つまりこの早見表の価格で特約店におろす前に、まず商社のほうは輸入口銭でもうけておられますね。おわかりのとおりです。そして今度は、特約店にメーカーがおろす前に、内銭と称して販売口銭をまた取る。つまり、入り口で口銭を取り、出口で口銭をまた取られております。この早見表の価格には、商社の販売口銭はすでに織り込んであるのですか。
  45. 辻良雄

    辻参考人 ただいまの御質問の点は、残念ながら承知いたしておりません。
  46. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 日商岩井は総代理店でしょう。そしてここにありますとおり、これはおたくの名古屋支店から出されておるのです。これは本社から全然指示してないのですか。名古屋支店がかってにやっているんですか。これは、おたくが砂糖の総代理店として、扱う砂糖分について全部当てはまるんじゃないんですか。そんなにばらばらに指導するんですか。
  47. 辻良雄

    辻参考人 ただいまの御質問でございますが、その早見表というものは、単なる基準を示したものでございまして、われわれのほうの販売価格を出したものじゃございません。したがいまして、私は、わが社の口銭云々という問題は、それには関係ないものと了解いたします。
  48. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 じゃ、口銭は入ってない。そうすると、口銭はこのほかにまた加わることになりますね。これはあとで明らかにしたいと思います。これで特約店に対する販売の基準にしているんですよ。これは私ども確かめておるのですよ。そんな無責任な答弁では困りますね。ついてきておる方もあるんでしょう。どうですか。私が砂糖の質問するということはあらかじめ通知してあります。どうなんですか、この価格は。単なる参考じゃないです。御答弁お願いします、日商岩井さん。
  49. 辻良雄

    辻参考人 くどく申し上げるようでございますが、あくまでも価格の参考でございます。
  50. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは、私どもは実際に、名古屋における二つの大手特約店を確かめておるのですから、間違いありません。そういう無責任な答弁は許されませんよ。いいですか。  それでは、私はその点はあとで明らかにしますが、この中の諸掛かり、関税の中の三千円、これはどういう内容になっておるか。すぐお答えできますか。
  51. 辻良雄

    辻参考人 その点につきましては、聞いておりません。
  52. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 自分のところの売っておる砂糖の、その価格表をみずからつくりながら、無責任です。これは三千円足してあるのですか。何ですか、それは。これを明らかにしてください。  それから、関税の四万一千五百円、これはもう変わらないところでありましょう。消費税の一万六千円、これもきめられたとおりであります。歩どまりの九五・五%、これは、農林省もこういうことで認めておるようですが、これも私は一%くらい違うと思うのです。  まあ、このことはおきましょう。問題は、加工販売諸掛かりです。二万六千円、キロ当たりそれは二十六円、これの内訳を明らかにできますか。
  53. 辻良雄

    辻参考人 まことに申しわけないのでございますが、その点まで私は承知いたしておりません。
  54. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 全然自分のところの売っておる価格に責任が持てないのですね。いいですか。この諸掛かり、加工費ですね、農林省は幾らで指導しておりますか、御存じですか。
  55. 辻良雄

    辻参考人 承知いたしておりませんです。
  56. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何ともはやこれでは問題になりませんね。非常に高い値段ですよ、これは。だから、この価格のからくりを私は国民の前に明らかにしたいのです。いいですか、私のほうから申し上げましょうか。反論があったらあとで言ってください。  農林省が指導しておるコスト価格の場合の……(発言する者あり)あなたは日商岩井に何か関係あるのですか。農林省が指導しておる加工費というのは二十一円三十二銭なんです。二十一円なんですよ。どうしてこれが二十六円になっているのですか。
  57. 辻良雄

    辻参考人 先ほどからお答え申し上げておりますように、これはどこまでも一つの基準を示したものでございます。  それで、実際にこんな値段で売っておるかというお話がございましたので、この手元にございます資料によりますと、私のほうの販売価格がここに書いてございます。農林省の末端売り値百八十六円以下、これが指定販売店の指導によりまして、現在市中価格を鎮静化させつつあるわけでございますが、私への報告では、卸売り相場が百七十五円見当のところ、てまえのほうでは、東京地区のメーカーから百六十八円ないし百七十円で出してもらうようにメーカーに慫慂いたしまして、その値段で出させております。ことに最近は、この百六十八円を百六十六円まで下げて販売いたしております。
  58. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ、この表よりもなお高いじゃありませんか。いいですか、この原料糖を輸入する際に、もうすでに御案内のとおりでしょう。糖安法がありまして、トン当たり五万四千円以上の輸入価格になった場合には、平均輸入価格というものが農林省できめられておりまして、その差額は糖価安定事業団の安定資金から払われるから、五万四千円以上はメーカーの負担にはならないのですよ。だからこの表でいくと、ロンドン価格が八十五ポンド、まあこのくらいまでいいかもしれない。これから下は要らないのですよ、何も。つまり、この表には糖価安定法のメカニズムが全然含まれていない。  さらに私は申し上げておきますけれども、おたくの加工販売諸掛かりの中には、金利が含まれておりますか。
  59. 辻良雄

    辻参考人 先ほどから御返事申し上げておりますように、この表につきましては、詳細私、承知いたしておりませんのです。
  60. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 もう一度念を押しておきますが、あなたが先ほど開き直られたのか何か知らないが、私どもの価格はこれこれですとおっしゃいましたが、おっしゃった価格はこれよりなお高いのですよ、これよりなお。いいですか。そうして、この農林省の二十一円という加工費も実は疑問があるのです。この中に金利として千七百二十一円含まれておる。私が大蔵省の証券局にただしたところ、普通、原価には金利は入れない。入れる学説はあるけれども、それが普通だ。したがって、農林省のきめておる二十一円の加工費でも、金利を入れておるのは疑問があるのに、どうしてこの二十六円という数字が出てくるのですか、加工費に。五円高いのですよ、農林省の指導価格から比べても。そうしてまた、この農林省の指導価格二十一円の場合の金利は九・八%見られておる。いいですか、これはなぜかというと、メーカーは銀行からなかなか借りられないから、あなた方が、商社の自分の金を貸しておるのですよ。だから九・八%と高い。銀行にかわって金融機関になっているのだ。それで銀行よりも高い九・八%という金利を取っている。冗談じゃないですよ、あなた方、金融機関じゃないのだ。そうしてそれをコストの中に含めておる。何たることですか、これは。  そこで、まだありますよ。いいですか、輸入原料糖の決済は大体百二十日後でしょう。それから砂糖消費税納入は五十日から六十日あとになっている。したがって、私の試算によると、四十八年十一月を例にとれば、原料糖の輸入の購入費は百三十七億、さらに砂糖消費税総額は約四十五億。この百三十七億の四カ月のサイトでありますから五百四十八億。これは、四カ月間メーカーは、いわゆる運転資金に、何にでも使えるのです。それから消費税の分は四十五億の二カ月分、つまり九十億。九十億円は、二カ月間何にでも使えるのです。しかし、この原価計算の中には金利だけしか含まれていない。つまり、この浮いた金をよそに貸した場合の金利はこれに含まれておるけれども、これを別の方法で収益をあげる、これを浮かして運転して、そういう収益はこの中には、原価の中には含まれていないのだ。そういうからくりがあるのですよ。  そうしてさらに、この一番最後を見てください。日商岩井株式会社名古屋支社と書いてあるところのその下です。これは万年筆か何かで書き足してある。これは何ですか、一体。加工費として五円、プレミアムとして七ポンド、日本円に直せば四円七十銭ぐらいです。これを加えてみる必要あり、この表に約十円を加える、これがこっそり書かれておるのです。これに十円加えたらどうなります。まず加工費でキロ当たり五円よけいに取って、そうして今度は別に十円変な金を加算している。だから、これだけであなたのところはどれだけ不当利得を得ておるかというと、キロ当たり十五円の上のせですから、だから四十八年十二月の例でいくと、日商岩井さんがもうけた不当利得は、総額四十一億六千四百万円になるのです。――いや、いまのは間違いです。いまのは各メーカーの総額です。間違えました。  それで、日商岩井さんを例にあげましょう。日商岩井さんのいわゆる最大の子会社である日新製糖の場合の四十八年十二月の販売実績を三万トンと仮定します、十一月は二万九千トンほどでしたから。そうすると、これだけで不当利得は四億五千万になるのですね。そして、先ほど言いました糖安法のメカニズムをこの中に織り込みますと、私の試算では七億二百二十万不当利得を取っておるのですよ。もしこれが不当利得でなかったら、あなた方はそれを説明しなさい。たったのこの四十八年十二月一カ月で、七億二百二十万円の不当利得を砂糖であげておる。何たることですか、これは。吐き出しなさい、それを。しかも、これは日新製糖一つですよ。あなたのほうの日商岩井子会社は、別にフジ製糖と新名糖がありますね。だからこれだけの分を加算すると、一体不当利得はどのくらいになるのです。おそろしいことですよ、これは。  したがって、私はここで明確に、いま指摘したその砂糖価格の暴騰のからくり、これを日商岩井の価格早見表によって明らかにしたわけであります。肝心な点になるとお答えがない。このお答えのなかった点についてどのように解明すべきか、これは後ほど理事会で明らかにしてもらいたい。私は、あなた方があくまでも、これは単なる参考ですともし言い張るならば、あなたを証人にして、なお明確にしてまいりたい。これを理事会に扱いをおまかせして、午前中の私の質問を一応終わりたいと思います。
  61. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと申し上げます。楢崎君に申し上げます。  たいへん重要な点だと私も思っておりますが、先ほどのあなたの要求の政治献金の明細表、また、ただいま日商岩井に対する質問等、よく理事会で御相談申し上げまして、結論を出すことにいたします。  それからなお、先ほど辻証人の……(発言する者あり)間違えました。参考人の御答弁でございますが、私が聞いておりまして、実は砂糖のことはよく知らないのではないかと、失礼ながらそんなふうに推察いたしたわけでございまして、したがって、どうぞ先ほどの質問の要点を、理事会に明細表にしてお出しを願うこと、よろしゅうございますか。
  62. 辻良雄

    辻参考人 ただいまの委員長の御指示どおり、先ほど来からの問題点は、書面にして差し出します。
  63. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 重ねて、原価を明確にひとつ提出をいただきたい。それを要望して、午前中の私の質問を一応……。
  64. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 そういう点も、理事会でなにいたします。  次に、松浦利尚君。どうぞ、時間がありませんから。
  65. 松浦利尚

    松浦(利)委員 参考人の皆さん、御苦労さんです。  ただ、非常に残念に思いますのは、昨年の四月十一日でございましたか、この部屋で、六大商社の会長さんなり社長さんをお呼びいたしましていろいろと話をお聞きいたしました。そして皆さん方は、その後商社自身として行動基準等を発表なさったわけでありますが、きょうまたあらためて参考人としておいでいただいた方には、会社によっては更迭された社長さんもおられますが、私にとってはたいへん顔なじみの皆さん方もおるわけであります。  そこで、顔なじみの皆さんにまずお尋ねをしておきたいのですが、昨年、国会に皆さん方が参考人として呼ばれて、いろいろと質疑を国会の場を通じて国民の前に明らかになさいました。行動基準をきめて、これから商社は、決して国民を裏切るようなことをしませんとあなた方は公にしたわけであります。  ところが、私もこれから具体的なものを一つ指摘をいたしますが、それぞれ各委員から、いろんな問題が出されて指摘をされておるわけであります。ですから、こういった経過をたどってきた今日、一体あなた方は国民に対してどのように思っておられるのか。国会に呼ばれた参考人として、この前もあなた方は国民に向かって頭を下げたんだが、これからまた、国民に向かって頭を下げなければならぬという事態に追い込まれるでしょう。一体、こういうことをどのように思っておられるのか、この際、この前来られた伊藤忠社長丸紅社長日商岩井社長から、どういう心境か、ここに参考人として呼ばれたことについてのあなたの感想を簡潔にひとつ、それぞれ述べてください。
  66. 越後正一

    越後参考人 お答え申し上げます。  その点につきましては、あらゆる機会はもとより、文書その他で、私自身がまた名古屋まで出張いたしまして、じゅんじゅんと社会的な責任を感じろということを、何べんか申し伝えて努力はいたしております。なお足らない点がございますが、この点は申しわけないと思います。
  67. 桧山広

    桧山参考人 私どもも、貿易の拡大、資源の確保、流通段階の合理化、これにこの商社の機能な果たすために、全社に対して、常に、昨年ここで申し上げたような、あの行動基準の方針に従って徹底してやっておるつもりでございます。
  68. 辻良雄

    辻参考人 会社の行動基準を社員全般に徹底さすべく、あるいは集会によりあるいは文書によってつとめておりますが、なお至らぬところがございまして、今後とも、なお一そうわれわれの社会的責任を感じまして、善処いたしたいと考えております。
  69. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、商社の皆さんにもう少し考えてもらわなければいかぬと思うのです。あなた方を、ここに参考人で呼ぶか証人で呼ぶかで、この予算委員会はたいへん混乱をしたのです。われわれ野党は証人で来いと、こう言って主張したが、多数決であなた方は参考人ということになったのです。ところが、去年も同じことだったのです。去年も、あなた方を参考人で呼ぶか証人で呼ぶかで与野党でもめたんです。最終的に参考人だということになったわけなんです。そしてあなた方は、参考人という立場で国民に謝罪をし、これから改めますと言って、あなたたちは行動基準をつくったのです。商社行動基準というのをつくったのです。ところが、また一年たって、いまあなた方はそこに並ばざるを得ないでしょう。あなた方は、参考人ということだけでは解決しないわけなんだ。  具体的に言うと、商社の幹部は証人として呼ばれて、そして具体的な事実を突きつけられて、ほんとうに国民の前に、悪かったという宣誓その他を行なわない限り、あなた方は繰り返されるのですよ。きょうは自民党のおかげで参考人だけれども、これからはあなた方を証人として呼ばざるを得ない場面が来ると思う。もう少しほんとうに――参考人でもいいわけなんだ、あなたたちがほんとうにまじめにやろうという気があれば。ところが、あなた方にまじめにやろうとする気がないから、証人で呼ばざるを得ないということになるのです。  そこで、私は具体的な事実をお尋ねをいたします。  伊藤忠さんにお尋ねをいたしますが、あなたのところは十億の資本金を持って、一部はもちろん二部にも上場されておらない伊藤忠燃料株式会社、一〇〇%伊藤忠の持ち株でありますが、しかも、御案内のとおり伊藤忠の燃料販売部の役割りを果たしておる会社でありますが、そういう会社があることは御承知でございましょうね。
  70. 越後正一

    越後参考人 お答えいたします。ございます。
  71. 松浦利尚

    松浦(利)委員 国民の間に灯油の問題がたいへん問題になりまして、灯油不足の問題あるいは価格の問題、高騰等があって、たいへん国会でも議論され、あるいは通産省からも、商社その他の指導が行なわれたはずです。そういう事実のあったことをあなたは御承知でありますか。
  72. 越後正一

    越後参考人 承知いたしております。
  73. 松浦利尚

    松浦(利)委員 さらにお尋ねをいたしますが、通産省が九月三十日現在で、十三社の灯油元売り価格を、御承知のとおりに一万二千八百円で凍結をいたしました。四十八年の十一月二十八日、指導価格、さらにはことしの一月十八日、灯油の標準価格をきめたことは、社長であるあなたは御存じでありますか。
  74. 越後正一

    越後参考人 その点は全然存じません。
  75. 松浦利尚

    松浦(利)委員 なぜ伊藤忠が、伊藤忠燃料、あなたの子会社で一〇〇%、しかも販売部の役割りをしておって、政府が指導価格あるいは標準価格をきめたのを、あなたがなぜ知らないのですか。そういうことで、あなた、国民に申しわけが立ちますか、こんなパニックを起こしておるんだから。どうなんです、その点は。
  76. 越後正一

    越後参考人 うっかりしておりまして、そういう価格がきめられておるということをうすうす知っております。
  77. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その価格は、十八リットルで幾らにきめられておりますか。
  78. 越後正一

    越後参考人 その金額までは存じません。   〔発言する者多し〕
  79. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 どうぞ静粛に願います。
  80. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いいですか、標準価格というのは、政府が法律に基づいて、そして業界を指導しておる価格なんですよ、問題はあるけれども。それを、あなたが知らないということはどういうことですか。三百八十円、国民に民生用灯油を供給する三百八十円という価格を知らずして、あなたのところの販売その他の指導ができますか。これから具体的に指摘しますがね。
  81. 越後正一

    越後参考人 三百八十円の価格はよく承知いたしております。
  82. 松浦利尚

    松浦(利)委員 委員長、うしろのほうからいろいろ言われて、知っておると言って表現を変えるんです。(「それはそれでもいいさ。」と呼ぶ者あり)それでいいけれども、もっと、一問一答で時間がないのですから、知っておることは知っておるように的確に答えるように、委員長からひとつ注意してください。
  83. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 あなたの発言でわかったようです。
  84. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私は、冗談で言っているんじゃないのです。
  85. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 冗談に言ってません。こちらも冗談じゃありません。
  86. 松浦利尚

    松浦(利)委員 参考人でやるのに委員長から言われたほうが――あなたのほうが、ほんとうは委員会の運営をやっているわけでしょう。私がやっておるなら言いますよ。だからあなたに頼んだのです。しかし、いいです。  それでは参考人に、たいへん申しわけないのですが、これはおたくの伊藤忠燃料株式会社から出された仕切り伝票です。これはたいへん申しわけないのですけれども、全部おたくのシステムはコンピューターシステムであります。ですから、これをコンピューターに入れますと、どこから出た資料だということが必ずわかるわけですね。それから、コード番号その他、全部私はカットしたつもりです。しかし、この中に入っておる、この前のほうの石油の出荷その他が出でおりますので、これをコンピューターにかけますと、これを隠しておってもニュースソースが出てきますので、たいへん申しわけありませんが、これはお渡しして、またお返しをいただきたいと思います。  それで、あなたにお見せをいたしますので、そういう点で御了解いただきたいと思います。いいですか。
  87. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 どうぞ。
  88. 松浦利尚

    松浦(利)委員 よく見てください。いいですか、その請求書は、伊藤忠燃料株式会社がコンピューターシステムによる小売り店に対する請求であります。先ほど私が申し上げました、まずこの灯油問題が起こりましたときに、一番先に政府がとった手というのは、元売り十三社の平均価格を一万二千八百円に凍結すること、これが一番最初の方針でありました。そして昨年の十一月の二十八日に、末端の指導価格を三百八十円、十八リットルできめたわけです。  そこで、これをよく見てください、この十一月三十日の請求書。十一月三十日の請求書の十一月二十日までを見てください。下から四行目、白灯油、単価のところが一リットル当たり十四円五十銭になっておりますね。これが通産省が元売り価格を凍結したときのリットル当たりの単価なんです。この十四円五十銭というのが、元売り価格を凍結したときの価格ですよ。ところがそのあと、十一月の二十六日の仕切りを見てください。十六円になっていますでしょう。一円五十銭値上げをしておりますでしょう、一円五十銭。わかりましたね。今度二枚目を見てください。その次を見てください。標準価格がきめられたのが四十九年一月十八日ですね。その一月に標準価格をきめるといううわさが流れたときに、十六円から五十銭値下げをして十五円五十銭に仕切りを変えていますね。わかりましたか。わかりましたね。  そこで、具体的に問題点の指摘をいたします。おそらくあなたはこういうことは知られないと思うのですね。知っておられるなら答えていただきたいのですが、この仕切りについては全くおわかりにならないでしょう。その点、わかるかわからないか、ひとつ教えてください。
  89. 越後正一

    越後参考人 初めて見まして、十分わかりません。
  90. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、具体的に問題点の指摘を、この仕切り伝票から、どういうことが問題かということを申し上げましょう。いいですか。  まず第一点は、おたくの、元売りから入ってきたのが伊藤忠燃料で供給されますね。その場合に、元売り価格を十三社平均一万二千八百円ときめたときの、おたくの一リットル当たりの単価は十四円五十銭だったわけなんです。十四円五十銭だった。ところが通産省のほうで、末端の関係で非常に混乱をするから、三百八十円という指導価格を十一月二十八日にきめるそのやさきに、一円五十銭値上げをした。いままでは十四円五十銭の仕切り伝票だった。元売りが、もとが変わらないんだから、十四円五十銭でほんとうはいいはずなんですよ。もとが変わらないんだ。もとが変われば先も変わるけれども、根っこのほうは、十三社平均価格で通産省の指導で凍結されておる。その段階で十四円五十銭だった。それが十六円と一円五十銭値上げをしたわけですね。そうすると、末端のほうは指導価格三百八十円できめられておる。その一円五十銭は、社長、だれが負担をしなければなりませんか。だれが負担するのですか。いままでは十四円五十銭の仕切りだった。しかも根っこのほうはとめられておる。価格が固定化しておる。末端のほうの小売り店の消費者に売る価格も三百八十円と凍結されておる。そうすると、その十四円五十銭を十六円にした一円五十銭はだれが負担をするのですか。それはだれになりますか。小売り店ですか、消費者ですか、その点をひとつあなたの判断でけっこうです、教えてください。
  91. 越後正一

    越後参考人 それは、小売り店の負担になると思います。
  92. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そうすると、小売り店がそれだけよけいなものを払わなければいかぬことになりますね、仕切りですから。そうすると、小売り店に一円五十銭のその金を払う余裕がなかったときはどうなりますか。三百八十円ではやっていけない、そういう商店もある、一円五十銭のそのものが出てこないから。そういったら、当然小売り店が払えないものは消費者にいくでしょう。消費者がかぶらざるを得ないでしょう。その点はどう思いますか。小売り店が払えなければ消費者が払わなければいかぬでしょう。そうなりますでしょう。どうです、その点は。
  93. 越後正一

    越後参考人 これは関係会社の問題でございますが、実は、エネルギー本部からは厳重な警告状を出しておりまして、便乗値上げ、適正価格を、消費者を圧迫するようなことは絶対ならぬ、いやしくも法規に触れるような行為は厳に慎むということで言っておりますので、もしこういう問題がございますなら、私は、これをもって責任者に厳罰を加えますとともに、追及して、はっきりいたします。
  94. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もっと、厳罰にしてもらうことはけっこうですが、しかしその前の問題として、その一円五十銭が当然消費者にいくんですよ。常識でしょう。小売り店が払えなければ消費者に上のせするでしょう。ところが、三百八十円という指導価格で、もう通産省のほうできめられた。そうすると、小売り店と消費者の間でトラブルが起こるでしょう。そのことをあなたは認めますか。ひとつ答えてください。認めるなら認める、認めないなら認めないと答えてください。
  95. 越後正一

    越後参考人 よくわかります。
  96. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、実はこの一円五十銭のために末端で混乱が起こった。そのときに小売り店だって黙っておらぬから、おれのほうは赤字になるからどうかしてくれと言ったときに、あなたのほうから何と言ったかというと、これは工業用灯油との平均価格だから、工業用として工場に売りなさい、それがだめなら、消費者に、工業用灯油だから高いと言って売りなさい。それでも消費者がいろいろ言ったときには、これはひとつ運賃だ、輸送費だ、運ぶ金だ、そして配達料だということで取ったらいいではないですか、こういうふうにあなたのほうの下部が言っておろしておられる、これを。結局、末端のほうで消費者は三百八十円でなければならぬと言う。ところが小売り店のほうは、一円五十銭もよけいに仕切り伝票が来ておるわけだから払わなければいかぬ。払えないから消費者との間でトラブルが起こってきた。そのトラブルを解決する手段としてとったのが、工業用灯油ということばであり、それがまた配達料という表現に変わってきておるんですよ。そういう事実をあなたはどう思いますか。そういう事実について、あなたはどう思いますか。けしからぬと思いますか。けしからぬと思うかどうかだけでけっこうです。
  97. 越後正一

    越後参考人 もちろん、けしからぬと思います。
  98. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、けしからぬとあなたは思われた。  それで、さらに最初の二枚目を見てください。標準価格がきめられたとたんに、五十銭値下げしたんですね。十六円が十五円五十銭になったんですよ。そうなってきますと、明らかにこの一円五十銭というものは、おたくが意識的に便乗値上げをはかった、一円五十銭を、しかし、一歩譲って、標準価格がきめられたときに五十銭下げたわけだから、それならば、その五十銭が便乗値上げだと、こういう結論になる、消費者にとっては。元売り価格が凍結されておるんだから。まだ解除した例はないですよ。  ということになりますと、この一円五十銭ないし五十銭というのは、あなたどうされますか。そのまま握りしめておりますか。その点についてどうです。これについてはどうされますか。
  99. 越後正一

    越後参考人 もちろん、請求書で請求いたしておりますので、会社の収入にしておると思いますが、こういう点は、厳重に訂正させます。
  100. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ、いま厳重に訂正させるということですから、一体この便乗値上げした分については、親会社である伊藤忠商事のほうから伊藤忠燃料に対して、還元しなさい、小売り店に戻せ、小売り店は消費者に戻せという指導をやられますか。
  101. 越後正一

    越後参考人 はっきりやらせます。
  102. 松浦利尚

    松浦(利)委員 やらせますね。  そこで、あなたのところにまたお尋ねをするんですが、実は、あなたのところでその間どれだけの灯油を国民に売ったかどうかということが、企業秘密でわれわれのほうにわからないです。通産省のほうに、一体幾らその間売ったかと言ったけれども、それも通産省のほうは、個別企業の販売量を議員に教えるわけにはいきません、ですから、それはあなたの要求であっても、あなたに渡すわけにはいきません、こういうお返事だった。  そこで、あなたにこの際質問として要求をしておきたいのですが、いま出るならすぐでけっこうでありますが、この十六円に値上げをした十一月以降ですね、そして十五円五十銭に値下げした間の灯油のおたくの販売量、そういうものに対する仕切り伝票をここに出していただけますか。その点、どうでしょう。
  103. 越後正一

    越後参考人 できるだけ御趣旨に沿いたいと思います。
  104. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとお待ちください。いまの問題も理事会で相談しますから、どうぞ……。
  105. 松浦利尚

    松浦(利)委員 理事会で相談するのもいいでしょうが、しかし、社長は出すと、こう言っておられるわけですからね。  それは、なぜそれを言うかといいますと、あなたのほうが、それを小売り店なり消費者に還元されると約束された。そのことを私は信用することはやぶさかでありません。しかし、総額幾らかということの判断の基礎にしなければなりませんから、その資料を出してくださいと、私はこう申し上げておるわけですから、ぜひそういうふうにしていただきたいというふうに思います。
  106. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 いいです。理事会で相談して、請求いたします。
  107. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、結局、この灯油のパニックが起こった最大の理由は、販売ルートにおけるこういった操作が行なわれたのですよね。元売りが凍結され、末端価格が凍結されておる、その流通経費の上げ下げによって実は混乱が起こったのです。たいへんなものだよ、これはね。  そういった問題は、一体今度国民に対して、あなたは冒頭に言われたけれども、そういう操作というのが行なわれておるんだ。これはあなたのところだけじゃない。ほとんどの石油メーカーが現実にやっておるのですね。そういうものに対する通産行政の指導がない。エネルギー庁の指導がない。指導がないから、しかし、こういうことをやっていいということにはならぬと思うのですね。あなたはもうここで先ほどおわびされたけれども伊藤忠というのは、この前もここに呼ばれた。こういった問題について、あなたのほうから、今度はこれで済んだかもしれないけれども、二度とこういうことは起こらないように、ひとつここで国民に確約をしていただきたい。われわれ議員に、二度とこういうことはあってはならないことだけれども、あなたの決意のほどを、ひとつここで申し述べていただきたいと思う。
  108. 越後正一

    越後参考人 関係会社が百社ございまして、営業の実態を十分つかんでいないものもありますが、いずれにいたしましても、法規違反、社会性に反する営業というものは、絶対に許しません。したがって、先ほど答えたように、はっきりと責任をとらせて、明確に処理させるということだけ申し上げておきます。
  109. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは最後に、この標準価格がきめられた。その標準価格の内容について、これは社長さん方御存じでない、通産省のやったことだとは思うのですが、しかし、この内容について、あまりにもこの仕切りと類似する点が多いので指摘をしておきたいと思う。  それは、この標準価格が、あくまでも業者の皆さん方の資料をもとにしてつくられた標準価格であることは事実です。各社とも全部そうなんです。全部一緒なんです。ところが、あなたのほうが十四円五十銭の仕切り伝票でやったときには、この標準価格を決定する、十八リットル当たり仕入れ原価二百六十一円というのとぴったり符合するのです。  それから、標準価格がきまったときに、十五円五十銭という価格にした場合はどうなるかというと、この仕入れ原価が、元売り価格がアンバランスでありますから、その平均価格でとっておるわけですから、その最高は十八リットル当たり大体二百八十円と通産省は想定している。ところが、この十八リットル当たり二百八十円最高仕入れ原価に対して、十五円五十銭というのは、何と二百七十九円ということになる。ぎりぎりなんです。上限のぎりぎりのところに押えておるのです。  こういった問題について、標準価格を参考にしておたくの仕切り伝票がつくられたという、これは邪推かもしらぬが、そういうデータから出てくる。通産省が指導して仕入れ価格を動かしておるという判断も、この資料から出てくるのです。あまりにも類似し過ぎる。この標準価格とあなたのほうの仕切り伝票というのは全く一致するでしょう。  そういう面について、石油業界に対する通産省の指導という問題が、この資料を見ても、石油メーカーと通産行政というものが何かくっついているような感じがしてならない。いままでそういうことが、通産省のほうからあなたのほうにいろいろな指導がありましたか、標準価格その他について指導があったことを御存じですか、あるいは私が指摘したようなことがありましたか、その点についてお答えいただきたいと思う。
  110. 越後正一

    越後参考人 その点については、私自身何にも存じません。
  111. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ここで、私は委員長にお願いをしておきます。  いま私が指摘したように、この仕切り伝票から見られることは、一つは、明らかに灯油パニックを利用して、仕切り伝票の操作によって混乱を起こさせた。しかも不当な利益を得ておる。しかも、そういう経過というのは、通産省の指導するものと、この標準価格ときわめて一致しておる。  こういう問題点を解明するためには、どうしてもやはり参考人ではなくて、証人に切りかえてこういう議論をしないと、いまでも、おわかりのようにすれ違いが非常に多い。(「知らぬものは知らぬ」と呼ぶ者あり)そういった意味で、この際こうした問題を国民のために明らかにするために、私は証人に切りかえていただきたいと思う。与党のほうでは知らぬものは知らぬと言うのだけれども、知らないからこそ知ってもらわなければいかぬ。知らないということはいかぬでしょう。さっきから知っていると言うのだから……。だから、そういう点について、私は証人に切りかえるようにお願いをしておきたいと思う。そうしなければ審議ができないと思うのです。
  112. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 承っておきます。   〔発言する者多し〕
  113. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 委員長として責任がありますから、承っておきますから、理事会へかけようとどうしようと、私は適当にやります。
  114. 松浦利尚

    松浦(利)委員 適当にやられたら困るので、私は、委員長理事会の扱いでけっこうです。ぜひやっていただきたいと思います。  それから、いまの資料は、たいへん申しわけありませんが、コンピューターシステムですから、逆に入れますとニュースソースが明らかになります。したがって、ほんとうはお渡ししたいのですけれども、ニュースソースの関係でお返しをいただきたいというふうに思いますから、委員長のほうでそのようにお取り計らいいただきたいと思います。
  115. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 どうぞそれはお返しを願いたいと思います。
  116. 松浦利尚

    松浦(利)委員 以上、私はいま伊藤忠だけを取り上げましたけれども、しかし、そのほか各委員から指摘があると思います。  しかし問題は、この灯油の価格の混乱あるいは灯油不足の問題、灯油の不足は、工業用灯油と民生用灯油をチャンポンにして仕切る、民生用灯油を工業用に流す、価格の混乱は、流通段階の利潤を商社が吸い上げる、こうしたことが原因だったということは、私は明るみに出たと思う。しかし、その具体的な事実については、くどいようですが、さらに本予算委員会なりあるいは物特の委員会等で議論をしなければなりませんので、その点は、参考人の皆さん方も、ぜひその場合には御出席、御出頭いただきますように心からお願いいたしまして、私の質問はこれで終わらしていただきます。
  117. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて松浦君の質疑は終了いたしました。  午後一時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後零時一分休憩      ――――◇―――――    午後一時開議
  118. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。神崎敏雄君。
  119. 神崎敏雄

    神崎委員 共産党・革新共同の神崎敏雄でございます。  私は、藤野三菱商事社長さんにお伺いいたしたい。あなたは、二月七日の記者会見で、現在企業としては、百弁解をするよりもまず実行することが大切だ、こういうことをおっしゃいました。  そこで聞きますが、あなたの会社では灯油の綜合油槽所が川崎、名古屋、神戸など七カ所ございますね。そこでの四十八年九月、十月、十一月時点の灯油の入荷量、出荷量、備蓄量、これの総計をここで明らかにしていただきたい。
  120. 藤野忠次郎

    藤野参考人 お答え申し上げますが、私のほうの油槽所の総合基地とでも申すものは全国にいろいろありますが、総合基地は、灯油の場合には名古屋がなっております。そして名古屋の油槽所にあった灯油は、一月末ぐらいのストックがトン数にしまして、キロトンにしまして約一万三千三百トンぐらいであろうと記憶しております。その他の出し入れのこまかい数字につきましては、私にはわかっておりません。
  121. 神崎敏雄

    神崎委員 あなたの会社の灯油の油槽所が七カ所ある。ところが、いま聞いて驚いたのですが、名古屋のことでおっしゃったのですが、わが党の調査団が調査した名古屋のことはあとで言いますが、その他のことはわかりませんということで言われていると、それでは国民に対して責任をとった態度ではない。社長ですから、それはすべてこまかいことはわかりませんが、やはり国内的に非常に問題になっているときには、その問題になっているものをはっきりと認識される立場が、社長のとるべき立場だ、こう私は思うのですね。
  122. 藤野忠次郎

    藤野参考人 それは御趣旨のとおりだろうと思います。  そういった数字は、もちろんいま私が覚えていないということであって、調査をいたしますれば詳細にわかります。いまそういう数字を持ち合わせておらぬということでございます。
  123. 神崎敏雄

    神崎委員 参考人というのは、議論を吹っかけるんですか。私は三菱商事の四十八年の九月、十月、十一月のいわゆる月別をあげて、その時点における備蓄量、これを尋ねているのです。当然、知っているけれども、いま忘れているのだ、資料を見ればわかる、それはそうでしょう。  だから、きょうここでそういうことをおっしゃるだろうと思って、私は二十二日に本社にこのことを伺うために電話を入れた。ちょうど二十二日の二時半ごろです。そうすると、二時間ばかりして、そういうことは申し上げられません、といって断わってきた。だからあらためてこの席で私は聞いている。ところが、記者会見などに出ると、百の弁解するよりもまず実行だ、こういうかっこうのいいことを言っているのですが、あなたは当時の社会情勢というものを御存じかということを、私は申し上げたい。  なぜ私がこのことを重要視するかといえば、いわゆるつくられた石油危機、これを中心といたしまして、物不足、物価の異常な値上がりで、いまほど国民生活が不安と混乱をしているときはございません。中でも、直接石油危機を利用して、国民を苦しめて、パニック状態のような焦点になったのが、この灯油問題であります。これが国民生活に非常に大きな影響を与えた。特に、昨年の十月から十二月にかけての灯油というものは、非常にひどいものであった。  私は二、三の実例をあげますが、たとえば、あのかわいい子供たちの保育所通い、あの保育所へ行くのに、ほんとうになけなしの家庭の灯油をあの児童が弁当箱と一緒のようにして持って保育所へ行かなければ、寒さの中では教室へ入れない。たとえば身体障害者のいわゆる保護施設あるいは老人ホーム、病院、こういうところでは、患者さんやらお年寄りが、暖炉がないためにどのような形でそのときに生活しておられたか。私は国民代表して、心の底から、あとの問題にも関連がありますから言うておきますが、その姿を見たときに、ほんとうに――その実情については、あとであなたに御意見を聞きたい。しかも町へ行ったらどうであったか。住宅街やら団地やらそういうところでは、広場でもそうです。御婦人方が集まってどういうことを言っておられたか。灯油はどうなったんでしょうか、どこへ行ったんでしょうか。そうして、あきかんをさげて、いつも買っておったところの炭屋さんへ行ったりお米屋さんへ行ったりしましたところが、やっぱりない。小売り店の店頭では、売る側も買う側も、両方が困って苦しんだ。そのうちにどんどんどんどんとその灯油の価格というものが上げられていった。当時政府はどない言うたかといえば、家庭の暖炉、いわゆる暖房はぜいたくだ、室内温度は二十度以下に落とせ。いわゆるけちけち運動を宣伝したのです。しかし、国民は灯油を求めて、あの寒空の中で右往左往したのです。こうした中で、先ほど言うたように、どんどんと灯油を値上げし、しかし国民は、少々高くても、灯油ほしさにそれに飛びついていった。このような当時の実情というものを藤野社長は御存じであったのかどうか、社会情勢。これをまず重ねて聞きたい。情勢を知っていたかどうか。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕
  124. 藤野忠次郎

    藤野参考人 もちろん、そういったきわめて重要な状態にあることは、よくわきまえておりました。現在もわきまえております。  それから、よけいなことになるようですが、先ほどの数量のことにつきまして、名古屋のことを申し上げましたが、いますぐわかったことは、名古屋以外の工場にも約三千キロリットル、それは十一月末ごろのストックでございます。
  125. 神崎敏雄

    神崎委員 聞いているのは十、十一、十二です。
  126. 藤野忠次郎

    藤野参考人 十、十一、十二――ちょっとお待ちを願います。
  127. 神崎敏雄

    神崎委員 時間が制約されていますのに、そういうあいまいな答弁をしておられたら争点がぼけます。  あなたはいまでもそういう社会情勢をわきまえておる、今後もわきまえる、こういうふうに言われたので……。私はさきも言いましたあなたの会社の七つのところの中で、いまあなたのほうから名古屋ということが出ましたから、その名古屋のことを言いますが、その他のところにも三千キロあった、こう言いますが、そういうもんじゃないんです。そうした社会的な背景の中で、これはわが党の調査団が調査をして、そうして、あなたの会社の田河達男さんとおっしゃるそこの油槽所の所長さんに聞きました。そうすると、この油槽所の灯油の備蓄量は、あのパニックの中で、先ほど言った社会情勢を背景とした中で、七つある中の名古屋だけを言いますが、十月に三方一千七十四キロリットル、十一月は三万一千九百九十五キロリットル、十二月は三万五百三十三キロリットル、四十九年、ことしの一月は三万三百キロリットルです。こういうようにして、この名古屋では、これは昭和石油のあなたと同じ系統の預かり分もこの中にありますが、三万キロリットル台をずっと維持しているのです。  この三万キロリットルという量は、社長さん、あのみながほしがった十八リットル入りのかんにいたしましたらどれだけの量かといえば、百六十七万かん分です。これに相当する膨大な量であります。世帯数に直しますと、これが十一万四千世帯の一冬分の使用量に該当する。しかも、あそこのタンクのいわゆる備蓄最高能力は三万二千四百キロリットルしかない。ほぼ満タンである。しかもここでは、十月の入荷量は二千キロリットル、ところが出荷量はわずか十キロリットルなんです。これは私は重大なことだと思うのです。さらに十一月は千四百五十キロリットル入荷しておるのに、出荷したのは五百二十九キロリットルである。この備蓄量を前年同期に比べてみますと、十月の備蓄量は何と六十五倍です。十一月は百三十九倍。実に驚くほどの備蓄量だ。私がこのことについてどうだと言えば、あなたは、それは例年並みですと言うかもわからぬと思ったので、私はさらにその前の四十七年、この同じ十一月の場合を調べた。この月のときはどうか。入荷は四百キロリットル、出荷は六百四十八キロリットル、このときの備蓄量は二百三十キロリットル。社長、御存じですね。この数字は、あなたはまず認めますか。
  128. 藤野忠次郎

    藤野参考人 どうも数字に食い違いがあるように私は思います。たとえば、先ほど先生が申し述べておられました一月末ですか、名古屋油槽所――名古屋油槽所というのは、御承知のとおり、これはあそこに油槽所はあるけれども、あれの対象は名古屋地区のみならず、全国的の基地になっているわけです。  それから三万幾らという数字は、全く私のほうの数字と食い違って、一月末は一万三千七百七十キロリットルしかございません。たぶんあれはよその会社から預かっておるもの、昭和四日市石油、これのものを御計算に入れられた数字で、わが社分については一万三千七百七十キロリットルしか一月末にはございません。
  129. 神崎敏雄

    神崎委員 私は四日市のその責任者と話をしているのじゃない。三菱商事社長さんに言うている。だから、私のほうで四日市の分、あなたと同系のものを含むということを言うているのです。しかし、百歩譲って、あなたが言われたことでも一万三千あるでしょう。  なぜあなたは、私の言っているいわゆる十、十一、十二の、あの国民が一番困ったパニック状態のときのことを言わないのですか。聞いてもしない十二月や一月ばかり言って――私が一月のことを聞きましたか。しかもあなたは、私の言っていることについて、数字が食い違うと言われるが、そうしたら、この田河達男という方は、うそを言ったのですか。あなたはこの会社の最高の責任者でしょう。この人の発言についても責任をとらなければならぬでしょう。調査団に向かって発言して、資料まで持っておるのですよ。
  130. 藤野忠次郎

    藤野参考人 わが社の社員がうそを言うはずはありません。私は確信しております。  それから、もしそういうことがあれば、もちろん私の責任になるでしょう。  それと、この十一、十二、それはいまでもすぐ調査して、私は、ただその数字を空に覚えていませんので、それで申し上げたいと存じますが、いかがですか。
  131. 神崎敏雄

    神崎委員 あのね、委員長、これだから、先ほどからも皆さん野党の質問者がおっしゃるように、これじゃ何にもならないのです。それは、もちろん私の社員はうそを言わないというなら、私は向こうの社員の方から聞いたことを言っているんですから、それにあなたが違うと言うたら、一体どういうことになるのか、こういうことになりますから、とにかく私は、先ほどからあげているような社会情勢の中で、少なくとも昨年からの備蓄量というものはこれほどひどいものであったんだ、この量は、あの灯油のかんに入れて百六十七万かん分である、十一万四千世帯が一冬使えるようなものがここにあるんだ、こういうことを言っているのです。ところが、町では、先ほど紹介したように、老人ホームの中ではお年寄りが寒くてふるえておられるのです。病院の中では患者が困っている。いたいけな子供が保育所に行くのに、灯油を持っていかなければならない。こういう中で、あなたの会社には、これほど、前年度と対比しても、その前の年と対比しても実に膨大なものが隠されておる。なぜ出さなかったのか。なぜ国民にそれを出さないのか。これを買い占め、売り惜しみによるところの結果だと言うて、どうして違うでしょうか。こうして国民を苦しめてきた、パニックを起こした張本人は、こういう形で備蓄したというところにあるということを私は申し上げたい。  口では、備蓄については、あなたのほうも数量を認められた。これについて一万三千という数字をいまあげられたが、一万三千もが、そうしたら――これは七カ所ある中の名古屋だけですよ。おたくだけじゃないのです。各商社扱うているんでしょう。私は三菱だけを言っている。一万三千キロリットルというようなものが、たとえばあなたのこの社員が私どもに違った数字を教えたとしても、それなら一万三千という数字がそのときにあるとするならば、一体十八リットル入りのかんに直して何ぼになりますか。
  132. 藤野忠次郎

    藤野参考人 一かんは十八リットルですから、それで割ればいいわけなんですが、しかし、そういった思惑買い占めした事実は、もう絶対にないんで、一万三千七百トンというのは、わが社全体の販売量、実績から見ると、一日に最盛期、御承知のとおり……(神崎委員「簡単にやらしてください。すれ違った答弁であったら、証人に切りかえてもらわなければならぬ。」と呼ぶ)わが社の実績が、一日にしまして灯油は二千トンですから、二千キロリットルですから、そうすると、約一万三千七百トンというものは、ちょうど一週間分なんです。一週間分ぐらいのストックは、ランニングとして持っています。それが事実です。
  133. 神崎敏雄

    神崎委員 それはあなたの言うている一万三千を基礎にしておっしゃっているのですから、これは国民は聞いても納得しませんし、先ほどから言っている、こちらは責任のある人、所長から聞いてきて、その数字を言っているのですから、どちらが正しいものか。あなたが国民の前でごまかしているのか、その数字をまだここでも隠すのか。前には油を隠して、また、いまここで数字を隠す、そうしてまた、こちらの質問に対して答弁する姿勢が、それはもうずっと一貫しているということです。  しかしながら、こんなことをやっておったら、あなたと押し問答やるだけであって、社会的な責任を国民の名によって追及しておる、どちらが社会的な犯罪を犯しているか、これは国民がひとしく判断されることだと私は思います。  では、次に価格の問題に入りましょう。価格問題について聞きます。  あなたの会社は灯油の一リットル当たりの仕入れ単価は幾らですか。
  134. 藤野忠次郎

    藤野参考人 約一万三千円だと思います。(神崎委員「一リットル当たりを聞いているのです」と呼ぶ)一リットルといったら、それの千分の一にしなければなりませんな。十三円何ぼになるでしょう。
  135. 神崎敏雄

    神崎委員 まことに、社長さんとしては、あまりそういうこまかいことは御存じないと思うのですがね。先ほどから言うような社会情勢の中で、灯油の値段も、もうちょっと早く捕捉していただきたい。十三円というのは、これはもう指導価格ではっきりしているんで、十三円と言う以外は言えないはずです。私は、これからその十三円でなかったということを反証する。  ところが、あなたの会社は、三菱石油特約店の日伸自動車石油部に民生用として販売しているのがある、これが十六円五十銭です。普通、第一次特約店の利ざやというものは、大体一円から一円五十銭が限度です。したがって、利ざやが二円から二円五十銭になる。これも石油危機につけ込んだ悪質な超過利得である。これもきわめて重大な問題です。  さらに悪徳な暴利追求は、これだけではないのです。それは民生用の灯油を工業用と称して一リットル当たり二十二円、こういう法外な値段で、あなたの名古屋支店は十二月に日伸自動車石油部に対して販売をしておる。白灯油イコール民生用、茶灯油イコール工業用。従来、いままでは茶灯油というほうが安かった。ところが、十月から政府の価格政策によって価格凍結されたので、茶灯油を凍結外に、白灯油は価格凍結された。凍結外にある茶灯油のほうの価格は、これの処置でもって逆転をしたのです。つまり、十三円の灯油を、三菱商事は、日伸石油部に対して、一方は民生用と称して十六円五十銭で売る、一方は工業用として、これは価格の凍結外ですから二十二円にしている。つまり足して二で割って、そうして十九円で売っているのですね。こういう脱法行為をやっている。したがって、十三円で仕入れたものを十九円で売ったとしても、このうち一円は、いま私が言うたように普通のマージンと見ましても、五円の不当利得をやっている。そうすると、先ほどから取り上げている名古屋支店の十二月の販売量は、この所長の言っているところによれば、私のほうでも換算しました、しかし先ほど社長がおっしゃったように十二月約三千キロリットル、これだけでも千五百万円。名古屋支店の扱い量、これは三菱商事の全国の扱い量の大体一割、十分の一ですね。したがって、これを十倍いたしますと一億五千万円となる。これに需要の一番多かった四カ月、これも低目です。十一月、十二月、一月、二月、この四カ月を掛けてみますと、約六億の不当利得をやったという疑いがここに出てくるのですね。  このような悪徳商法に対して、これは許されない、こういう形で、強くこれに対して反発する人があった。そして、この人は抗議に行ったんです。そうすると、その非を認めて訂正をしたのです。しかし、大多数の人は、油欲しさに今日でもまだ泣き寝入りをしているのです。私はその具体的な証拠をここに持っている。  委員長、これをひとつ社長さんに渡しますから……
  136. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 はい、どうぞ。
  137. 神崎敏雄

    神崎委員 社長さん、これを見てください。――それは、こういうことになっていますね。これはもう時間の関係で読みます。  一月の二十三日、名古屋支店をたずねて、この鬼頭商店の店主は、四十八年十二月のリットル当たり十九円について、これは不当である、こういう形で三菱商事の名古屋支店に抗議をした。そのとき三菱商事の名古屋支社の燃料部第二課長石井英雄氏は、いまあなたに渡したようなことを認めた。日伸自動車株式会社石油部は、十二月は工業用としてあなたの会社から二十八キロリットル、一リットル当たり二十二円、民生用として四十二キロリットル、一リットル当たり十六円五十銭、それで灯油を七十キロリットル卸したのです。卸した灯油の七十キロリットル、これについてこの鬼頭さんが、一リットル十九円、これは不当やと言うたところが、これは不当と違う、こういうふうに言われた。  ところで、いま申しますように、いままでの三菱商事の卸売り価格は、四月から八月の中旬までは一リットル十二円、八月の中旬以降十月までは一リットル十三円、十一月は一リットル十五円七十五銭である。そこで鬼頭商店の店主は、私のほうはすべて民生用の灯油である、工業用の値段を加味されたら困ると言うて抗議をしたのです。そうすると石井課長は、あなたの会社の課長は、鬼頭さんのところがすべて民生用であるならば、一リットル十六円五十銭にいたしますと言った。そうして、いまあなたに渡したように請求書を訂正した。その渡したのは、上のほうが訂正以前のものです。十九円掛ける三万九千百二十二リットルとなっておる。下のほうが訂正して、同じ三万九千百二十二リットルのものを十六円五十銭に訂正したのです。訂正したということは、やってきたことが不当であったということを認めたことになる。どうです、認めたことになるんですね。  だから、私が先ほどから言うているように、こういう情勢でこのことがやられているんですね。これは、あなたも同じように認めますか、あなたの会社の訂正文は。
  138. 藤野忠次郎

    藤野参考人 それは私自身がよく名古屋の実情を、ことにただいま御指摘のことを自分自身ではっきり調べてみてから、もしおっしゃるとおりであるならば、善処いたします。しかし、よくこういうことがあるかもしれませんと思われるのは、民生用とか工業用とかいうことの混同が起こるかもしれません。ですから、私は自分自身で同時に検討もいたしまして、そうして、その上で御返答を申し上げたいと思います。
  139. 神崎敏雄

    神崎委員 社長さん、見てください。ここに、水さしに同じ水がある。これを半分こう入れて、これは民生用なんです、これは工業用なんです。同じタンクから出た油で、民生用と工業用と値段を別にして、そうしたら、こちらのほうが高くついたらいかぬからこうまぜて、それで十九円だ、こういうことになる。こういうインチキなやり方でやって、先ほどあげたような暴利をむさぼっている。あなたのおっしゃっているのは、もし事実でしたら――これを見て、事実でしたらなんて、事実でないことを私は言いませんよ、ここで。もし事実でありましたら、というようなことの答えは私はいただけない。  したがって、こういうような不始末、こういうような国民を苦しめたことについて、あなたは社会的にどう責任をとられるか。と同時に、私は、すみやかに、いわゆる記者会見でおっしゃった百の弁解よりもまず実行だ、こういうことをおっしゃっているんですから、すぐ私は、あなたの会社は、責任をもって、いままでの不当利得、こういう形の悪徳商法をここでやめるということを確約すると同時に、これもわが党が追及して、まだ一部であり不十分ですけれども、ゼネラルがやったように値下げをし、あるいはその不当利得を全国的に還元する、こういう姿勢を、まず百の弁解よりも一つの実行で、ここであなたは約束できますか。
  140. 藤野忠次郎

    藤野参考人 おっしゃるような悪徳商法を、商売をやったということについて、私はまだ自分自身で確信が持てません。  ですから、私自身も、もちろん公平にはっきりさせますから、いろいろ従来の慣習もありましょうし、そういうことを自分で、うちの社員がそういうことをしたということの……(「はっきりしたらどうするのだ」と呼ぶ者あり)それについては、どういう事情があったか……(神崎委員「このマークは三菱のマークですよ」と呼ぶ)それはそうです。それはわかっています。わかっていますけれども、それをもう一ぺん、少なくとも、いますぐでなしに、即刻やりますけれども調査させていただきたいと思います、私自身に。(「そうだったらどうする」と呼ぶ者あり)そうでなかった場合もあるかもしれません。(「だったらどうするのだ」と呼ぶ者あり)だったら責任をとりましょう。だったら責任をとります。
  141. 神崎敏雄

    神崎委員 委員長、これじゃ、ほんとに国民の意思を、国民代表である国会でわれわれが代表して国民の言いたいところを言って、いまこれは単なる共産党・革新共同の神崎敏雄という衆議院議員一人が言っていることじゃないんだ。国民あげて、あなたたちがやったことについて、怒りをもって、戻せ、前の時代に値段を下げ、そうして不当利得は返せ、そして社会的な不安をなくして生活安定をさせろ、こういうことについて言って、あなたは、いま、責任をとりますと言われましたから、私は責任をとっていただきます。  責任のとり方にもいろいろあるが、えてして大会社は、やったことを、その出張所だとか支店だとか一課長だとか、こういうところへしわ寄せをして、そうして係官だけに責任とらして、事終わりということが往々にしてある。私は、責任をとるというなら、あなたが責任をとって、全国的に国民に対して納得のできるようなやり方をやっていただきたいということを、必ず国民に還元をしろ、そういうことを申し上げておきたい。  ただ、委員長にお願いしたいのは、非常に答弁の時間がもたもたしましたので、時間ももうすぐですが、最後に一言申し入れたいので許していただきたい。
  142. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 時間を厳守するようにお願いいたします。
  143. 神崎敏雄

    神崎委員 厳守ですから……。向こうがありますから、だから一言……。
  144. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 他党の関係があります。
  145. 神崎敏雄

    神崎委員 私は、国民の生活防衛と利益を守るために、次のことを要求します。  三菱商事はすみやかに、……
  146. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 時間が参りました。
  147. 神崎敏雄

    神崎委員 できる限りこの委員会の終わるまでに、あなたの会社の取り扱いすべての物資、特に重要な生活物資、これの……。
  148. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 時間が参りました。
  149. 神崎敏雄

    神崎委員 昨年十月以降の仕入れ原価、販売コスト、取り扱い店、在庫量……。
  150. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 時間が参りました。
  151. 神崎敏雄

    神崎委員 これを国民の前に公表することを強く要求します。
  152. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 これにて神崎君の質疑は終了いたしました。  坂井弘一君。
  153. 坂井弘一

    坂井委員 公明党の坂井弘一でございます。  参考人の皆さんにはたいへん御苦労さまでございます。最初にお願いしておきたいと思いますが、時間に限りがございます。どうか御答弁は正確に、かつ簡明にお願いいたしたいと思います。  日商岩井の辻社長がお見えでございますのでお尋ねをしていきたいと思いますが、もうすでに御承知のとおり、去る一月二十九日に、当予算委員会におきましてわが党の矢野書記長が、商社海外取引を利用したきわめて巧妙、悪らつな価格操作あるいは利益操作、そういうものが行なわれたという実態、そしてそとに物価問題とのからみにおきまして、非常に重要な意味を持つところの脱税が行なわれた、こういう内容につきまして明らかにいたしました。御承知のとおりであります。ところが、日商岩井、あなたの社の森常務が、新聞の報道によりますと、矢野書記長の発言及び安川国税庁長官の答弁の事実は一切ない、インチキは決してしていない、こう断言されているようであります。  ここで私、申し上げたいことは、当然、国会の場におきましてわれわれが発言する場合、質問者また答弁者も、ともに国民に対して責任を持ったやりとりをしておる、発言であるということでございまして、事実に基づかない、根拠の薄弱なことは決して申し上げているつもりはございません。しかるにそれを否定なさったということにつきまして、私はきわめて遺憾に思うわけでありますが、この際でございますので、今日なお、否定されたそのことは、そのままそうなのか、否定されたままなのかどうなのかということにつきまして、率直に、簡単に伺って、質問に入っていきたいと思います。
  154. 辻良雄

    辻参考人 坂井先生にお答えいたします。  森君の発言は、非常に誤解を招いた点があるのではないかと、遺憾に思っております。彼の真意は、特別調査は受けてはおりません、しかし全般的な定期調査は受けておる、このように答えたと思うのでございますけれども、それは、事実、いまでも定期調査は続いて受けております。  それから脱税の問題でございますが、これは、いま申し上げましたように、調査を受けておるさなかでございますので、その結果につきましては、結果がどうなるかということにつきましては、私ここで御回答申し上げることはお許し願いたいと思います。すべて税務当局の御決裁に従わなければならないものと考えております。
  155. 坂井弘一

    坂井委員 単なる通常の調査ではないということを、私はまず指摘をしておきたいと思います。相当大がかりな人数、そして期間、国税特別調査官による、いわゆる特官によるところの調査が進められておるということでありまして、ここでその際と申しますのは、昨年の十月でありますが、あなたの社の重要な書類の提出を求められて提出をしたという事実がございます。いかがでしょうか。
  156. 辻良雄

    辻参考人 ただいまの御質問、的確には記憶しておりませんが、次々に書類の提出が求められておるものと了解いたしております。また、公正なる御決定を得るために、そういう参考書類は、すべて御要求に応じて提出し、調査に協力するように指示いたしております。
  157. 坂井弘一

    坂井委員 その際提出を求められた、ここにその書類のひな形がございますが、ブレークダウンリスト、これを確認いただきたいと思います。  私、簡単に申し上げますが、大阪ランバー、名古屋ランバー、福岡ランバー、ポートランドオフィス、バンクーバーオフィス、こういうふうにずっとありまして、コントラクトナンバー、サプライアー、ローディングポート、シッピングデート、アライバル、ベッセル、インボイスクオンティティー、それから少し空間がありまして、FAS、FアンドL、CアンドF、エックス、CIF、これは内地本船上の価格となります。またランディングチャージ、ノーデリバリー、コストトータル、セリングプライス、プロフィット、シェアードプロフィット、インタレスト、ネットプロフィット、シェアードネットプロフィット、リマークス、右には、バイヤー、タームス、デュー、コモディティー、RSCLクオンティティー、コンバーティブル、およそこういう形式によってこのブレークダウンリスト、つまり明細書がつくられているようでございますが、確認だけまずお願いしたいと思います。
  158. 辻良雄

    辻参考人 ただいまの御質問、でき得ますれば資料をお見せいただけませんでしょうか。――ただいまの資料、至急に取り調べまして、御返答を申し上げたいと思いますが……。
  159. 坂井弘一

    坂井委員 たいへん困る。これはあなたのところの重要なブレークダウンリストです。取り寄せて調べるということもないと思う。私は、念のためにこの形式についてわざわざ読み上げました。あなたが御存じないはずはないと思いますが、いかがですか。
  160. 辻良雄

    辻参考人 これは原価計算または出合い帳の写しだと思いますが、いま申し上げたのは、これは私のほうで出たものかどうかということにつきまして、確認したいと思います。これは不幸にしてどこにも、会社の名前が……。
  161. 坂井弘一

    坂井委員 では、一番上の右のほうを見てください。TKランバーF-1とあります。つまり東京木材第一部第一課、あなたの社ではありませんか。
  162. 辻良雄

    辻参考人 おそらくそうだろうと思います。しばらくお待ち願います。
  163. 坂井弘一

    坂井委員 おそらくそうだろう。――間違いございません。では私は、中身についてお尋ねをしていく中で明らかにしていきたいと思います。  端的に申し上げますが、辻社長、このリストを見ますと、この中に、価格操作が行なわれたその内容が明らかに表示されてございますが、あなたはそのことについて御存じだと思いますが、お認めにならないでしょうか。いかがですか。
  164. 辻良雄

    辻参考人 これは価格操作のための表とは考えられません。これは売りと買い、左のFASから以降、原価計算あるいは販売価格の計算、かように判断いたします。
  165. 坂井弘一

    坂井委員 もちろんこれは価格操作のための表ではありません。あなたの社のブレークダウンリストでございます。しかし、このリストの中に価格操作、価格のつり上げが行なわれたということが歴然としていることを私は申し上げておるわけであります。そのことを、まさかあなたは御存じないはずはあるまいということでお尋ねしたわけでございますが、それならば、私のほうから幾つかのことを申し上げまして、確認をしていただきたいと思います。  申し上げますが、まず、日商岩井さんのアメリカ、カナダにおける外材の積み地、どういうところから積み出されておるかということを申しますと、まずアメリカにおきましては、グレイスハーバー、エバレット、タコマ、ポートアンゼルス、四大積み出し港。カナダにおきましては、バンクーバー、プリンスルーパート等ございますが、いかがですか。辻社長はよく御存じだと思います。確認だけでけっこうでございます。
  166. 辻良雄

    辻参考人 大体、ただいま御指摘になったポートからの積み出しが行なわれておるように記憶いたします。
  167. 坂井弘一

    坂井委員 では、日本につきまして、内地の主要揚げ地を申します。確認してください。  秋田、新潟、敦賀、広島、岡山、姫路、神戸、大阪、岸和田、和歌山、田辺、名古屋あるいは清水、東京、千葉、日立、塩釜、小松島、鹿児島等々でございますが、いかがでしょうか。
  168. 辻良雄

    辻参考人 大体間違いございません。
  169. 坂井弘一

    坂井委員 いかなる船で運ばれてまいりますかといいますと、おも立った船名を申し上げたいと思いますが、山下汽船では麗峰丸、峰玉丸、バンエンタープライズ、バントライアンフ、新和海運では晴山丸、アジアデイル、日本郵船は松原丸、飯野海運は昭島丸、大和海運はタコマ丸、これらが外地から木材を運び込む船のおも立ったものであります。これも確認だけでけっこうであります。
  170. 辻良雄

    辻参考人 ただいまの船名につきましては、そこまで私、承知いたしておりませんです。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕
  171. 坂井弘一

    坂井委員 主要取引先は、関連会社といたしまして、富樫産業株式会社、それからスズ建、東林株式会社。富樫産業の社長は角田栄さんでありまして、日商木材第一部次長、兼職であります。スズ建につきましては、会長は大曽根誠一氏、元日商中近東支配人であります。東林につきましては、専務の藤沢信郎さん、現在日商取締役、木材物資副本部長、兼職であります。これを確認願いたい。同時に、その他として、坂巻商店、津田産業、それから大三商行、与志木林業、こういう取引先が主要な取引先と思われますが、いかがでしょうか。
  172. 辻良雄

    辻参考人 ただいま御指摘のとおりのように記憶いたしております。
  173. 坂井弘一

    坂井委員 確認をいただきました。  それでは申しますが、いま確認を得ました積み出し港あるいは荷揚げ港、船名、取引先、これらがこのリストに記載されております。そして、このリストには原価に上のせした金額が明らかに書かれてあります。リストの上に、原価に上のせをした価格、それが書かれてある。辻社長は、木材のことにはたいへんお詳しいはずです。御存じだと思いますが、いかがですか。
  174. 辻良雄

    辻参考人 原価に上のせするというよりか、原価をもとにして、それに運賃諸掛かりを加えたものと了解いたしますが……。
  175. 坂井弘一

    坂井委員 そうではないのです。リストの中に、FASとさっき示しました、つまり積み地における船側渡し価格、それが上段にあります。金額が書いてあります。次がFアンドL、これは船運賃及び積み込み料、この金額、そのトータルがCアンドF、これが産地での本船渡し価格及び船運賃ですね。ところが、トータル金額が記載されているのですが、このトータル金額は、まさに仮想された金額であるということを私は申し上げているわけであります。なぜかならば、FAS、つまり積み地における船側渡し価格、次のFアンドL、船運賃及び積み込み料、この間に上のせ分の原価が、価格が記入されております。どれぐらいあるかといいますと、こちらから申し上げたいと思いますが、一九七二年、昭和四十七年前半には約四ドル、千スクリブナー当たりでありますが、上のせされた原価、同じく四十七年の七月から九月にかけまして、同じように原価に八ドル上のせされて記載されております。さらに十月から翌年の、つまり四十八年の一月にかけまして十ドル上のせされておる。二月から三月には十五ドル上のせされて書き込まれておる。こういう額が、明確に、いま申しました個所に上のせ分が記入されているわけですけれども、御存じございませんか。いかがですか。
  176. 辻良雄

    辻参考人 ただいまの金額につきましては、私、詳細は存じておりません。
  177. 坂井弘一

    坂井委員 私、はっきり申し上げておりますのは、わかりやすく言いますと、たとえばすでにアメリカを出港する際、その場合に原価に上のせされた原価、つまり仮装された原価、そういうものが記載されておる。しかも船が出港してからまた記載される、原価に上のせされる、そういうような例がこのリストの中に歴然と記入されております。これはすべて本社の指示に基づいて行なわれておる。ここに非常に重要な意味があります。  だから私は、これはあなたの社の出されたものだし、確認を願いたいと言ったのは、そこなんです。会社の役員が、あなたの社の取締役がこれを確認していらっしゃいますよ。判こがあります。名前を申しましょう。木材・物資副本部長藤沢さん、つまり、あなたのところの一〇〇%出資の子会社、東林の専務です。それが御存じない、そういうことでは通らぬじゃありませんか。それを申し上げているわけです。どうでしょうか。
  178. 辻良雄

    辻参考人 この書類そのものにつきましても、私、いま拝見するのが初めてですが、いまおっしゃった金額そのものについても、私、未確認でございますが、現地において現地法人に渡した口銭、こういうふうに了解すべきじゃないかと考えますが。
  179. 坂井弘一

    坂井委員 私は、そこまで申し上げればほぼお答えいただけるのではなかろうか、実はそう期待して申し上げてまいりました。しかるに、辻社長はあくまでもそれを否定されるようでもありますし、どうもはっきりいたしませんので、たいへん残念でございますけれども、このとおり、私はあなたの社の、根拠のある資料に基づいて申し上げておるということをここでやはりはっきりしなければなりません。ここにちゃんと百五十ドル上のせしたということが書かれてあります。原価が三百五十ドル、これに百五十ドルを上のせをした。しかも、出港いたしましてからまた十五ドル上のせをした、こういう形があなたの社のブレークダウンリストの中に明確に書かれてあるわけです。しかも、あなたの社の藤沢さんとおっしゃる木材・物資副本部長、取締役がこれを確認して、ここに判こを押していらっしゃる。課長さんもいらっしゃる、今村さんあるいは中田さん。ちょっとお見せしましょう。――では、あらためてお伺いいたします。いま確認をいただきました。いかがですか。
  180. 辻良雄

    辻参考人 非常にたよりない返事で申しわけございませんが、いまの点、何がゆえにその百五十ドルというものが上のせされたかということは、私ちょっと了解できませんが、しかし、少なくともそういうものが書かれてあるということは、確認いたします。事実は確認いたします。
  181. 坂井弘一

    坂井委員 書かれてあるという事実については、御確認いただいたのでしょうか。いかがでしょうか。これはあなたの社の明細書です。ブレークダウンリストなんです。取引を示すことが歴然と、ここにあるわけです。
  182. 辻良雄

    辻参考人 書かれてある事実については、確認いたします。
  183. 坂井弘一

    坂井委員 これは、私はたいへんなことであります。アメリカで買い付けをする、外地で買い付けをする。その場合、たとえば三百五十ドルで買い付けたものを、本社の指示によって百五十ドルも上のせをして五百ドルにする。船に積まれる。その場合アメリカのいわゆる千スクリブナー、これが一つの単位でありますが、もっともボードメジャーというのが、正確には単位であります。一つの容量を示すものでありますが、それが日本の石に換算される。これは船の中です。つまり、ここで一等、二等、三等の仕分けがございます。その石換算される。そしてドルが円になる。その段階でさらに十五ドルも上乗せをしろという指示。そしてこのブレークダウンリストは、日商岩井の本社において作成されておるのです。本社において作成されておるのです。  こういう結果、一体どうなるか。大ざっぱな例で申しますと、たとえば一船当たり、船一ぱい通常三百万スクリブナー、つまり、石に換算いたしますれば約五万石、これだけ積まれる。そうした場合、いまここに、辻社長もお認めになりました、あなたの社の書かれたものです、こういう形で行なわれますと、一船で五万石積み込みますと、普通には利益は約一億であります。そういうことも、これによって証明できます。ところが、いまのように百五十ドルプラス十五ドル、つまり百六十五ドルも上乗せされますと、利益が二億五千万円、つまり一億にも利益が含まれておる。二億五千万から一億を差し引きますと約一億五千万、この一億五千万円が裏利益となっている。  しかも、そのために国内の販売価格を異常に高騰さした。ここに私は大きな問題がある。同時に、そうしたものがどのような方法によって処理されたか。つまり、矢野書記長の質問におきまして、通常、海外取引を利用する場合に行なわれる特徴的な事例といたしまして、過去の赤字の穴埋め、あるいは海外系列法人を利用して、利益の分敵、そして隠匿、そういうものが行なわれておる。その隠匿分について国税当局が手を入れておる。脱税じゃないか、悪質じゃないか、こういうことで、あなたのほうもいま調べが進んでおるわけであります。私はまことに残念といわなければなりません。  このような形が、いま木材が非常に高騰を来たした。それがまだ続いておる。少なくとも一昨年暮れに山火事相場で火をふいた。それから少しは鎮静化に向かった。しかるに、そのときの国内販売価格を維持しよう、そして十五ドルというような、最初に比べますと多額なものを上のせし、かつ、百五十ドルというような大きな額をまた上のせをした。私は意図は明らかであろうと思う。そういうことに対しまして、私は事実に基づいて申し上げているわけでありますので、この事実をお認めになるならば、一体どうなさるか、ここで責任のある御回答をいただきたいと思います。
  184. 辻良雄

    辻参考人 ただいまの書類、おそれ入りますが、もう一度拝見させていただけませんか。――確かに上のせということが書いてございますが、どういう計算方法でどうやったものかということは、私、確認できませんが、しかし、それが非常に国内価格の高騰について原因となっておるものとすれば、それに対して善処いたします。
  185. 坂井弘一

    坂井委員 たいへんうつろなことばに聞こえてなりません。善処とは、一体いかなることでしょうか。このようなことをやられて、善処ということでもってあなたはお済ましになるという、つまり商社のいまの共通的な体質、姿勢、これを私はきびしく申し上げなければならぬと思います。  確かに、商社自体が現在の日本において重要な役割りを果たしておる、それを私は認めるにやぶさかではございません。しかし、価格操作がこのように歴然として行なわれている現在、日本経済に寄与すべきであるという商社企業責任というものは、かけらもないじゃありませんか。あなたのほうは、国税当局が脱税ありとしてそれを摘発し、追徴する、税金は国庫に入るでしょう。しかし、残された物価はどうなるんですか。木材の暴騰が、われわれの国民生活物質に火をつけた。口火を切った。そして異常な高騰がそれ以来続いた。いわれるところのいわゆる狂乱物価であります。そして、この木材によってあなた方商社は暴利を得られた。たいへんな利益を得られた。私は、ただ利益を得られることについて、とやかく言うものではありません。このような不法な行為によって利益を得たこと自体を糾弾したいわけであります。それはまさに社会的な犯罪じゃありませんか。それを申し上げておるわけであります。  したがって、そのような部分については、善処するというようなことばではなくして、実のある、これに対する明確なやはり責任というものを明らかにしなければなりませんし、同時に、善処の内容ということにつきまして、どうするか。あなた方は、国民からそれだけのものをより高く取ったわけです。そのことに対してどうするか、それに対する明確なる責任のある御答弁をいただきたいと思います。
  186. 辻良雄

    辻参考人 善処と申し上げましたのは、販売その他につきまして、販売先その他に還元し得るものがあれば、これは還元すべきではないかと考えます。  また、担当者につきましても、それぞれの立場において責任をとらせなければなりませんし、最終的には、会社の責任者である私が責任をとらなければいかぬ、こういう意味でございます。
  187. 坂井弘一

    坂井委員 私は、責任をもちまして、きわめて根拠のある資料、つまり日商岩井さんの資料に基づきまして、ただいま質問をいたしました。これは事実であるということは、ほぼお認めのようであります。しかし、なおさだかでない点もあります。  したがって、今回のこの問題につきまして、これに類似した書類等一切を当委員会に提出をするようにお取り計らいをいただきたいと思います。いかがでしょうか。
  188. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 やがて理事会で善処することにいたします。
  189. 坂井弘一

    坂井委員 では、なお申し上げます。  この問題は、先ほどから申し上げておりますように、物価問題と非常に重要なかかわり合いがあります。そのからみにおいて、私は、このような不当な価格操作、その実態をいま如実に申し上げました。率直に申し上げました。しかし、なお本委員会においては、その具体的な事実関係、同時に、その責任の明確化まで立ち至ることはできません。はなはだ残念であります。  したがって、この問題につきましては、当然参考人を証人に切りかえて、十分この内容を具体的に解明して物価安定に資するというのが、われわれ国会に課せられた国民的ないま課題である、国民の願いであると思います。したがって、そのようにぜひ委員長におきまして、本委員会に喚問されるようお取り計らいをお願いいたしたいと思います。
  190. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 承っておきます。(「承るとは何だ」と呼ぶ者あり)
  191. 坂井弘一

    坂井委員 単に承るということでは、私は非常に納得ができがたい。しかし、委員長の決断を期待いたします。  一言最後に申し上げておきたいと思いますが、私は何も、単に商社をいじめているのではありません。先ほど申しましたように、原材料の輸入、非常に大きな分野を占めておるその役割り、商社日本国民経済にそうした原材料を提供しなければならぬ、そういう意義づけがある、こう判断をいたしております。しかし、悪いものは悪い。指の先にできものができたからといって、その人間を殺してしまえというような、そんな精神錯乱症的なことを言っているのではありません。重箱のすみがきたない、だからそれをつついてきれいにしましょう。重箱をこわせというようなことを言っているのではありません。しかし、少なくとも、いま商社が、反社会的行為と数々のうみを指摘される中で、このようなひどい例がある、このことは正していかなければならぬ、改めなければならぬ、こういう立場で申し上げたわけであります。  時間が参りました。
  192. 山田太郎

    ○山田(太)委員 委員長、一言だけ。(「時間だよ」と呼び、その他発言する者あり)  先ほど委員長は、参考人を証人に切りかえてほしいという質問者の坂井君の委員長への要請がありましたが、それを、ただ承りおきますというだけでは納得いたしかねます。
  193. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 いたさなければ、どうするのですか。
  194. 山田太郎

    ○山田(太)委員 どうか理事会において、明確に、承るだけでなしに、理事会で当然論議をかわして、その結論を出していただきたいことを強く要請しておきます。
  195. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 承っておきます。  これにて坂井君の質疑は終了いたしました。  永末英一君。
  196. 永末英一

    永末委員 本日は、参考人の方々、御出席御苦労さまです。  去年に引き続いて、ことしもまた御出席されるということは、きわめて異常なことでございまして、なぜ異常なことが行なわれておるか。   〔発言する者あり〕
  197. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 静粛に願います。
  198. 永末英一

    永末委員 それはインフレが原因であります。もともとインフレは、政府が、経済成長政策なんといっておりますけれども、信用膨張を野方図に許しておるところに原因があるとわれわれは考えます。その第一の責任者は政府であります。しかし、同時にまた、きょう御出席銀行商社の皆さま方にもその責任の大きな原因があるとわれわれは判断をいたしておりますので、そこに焦点を置きながらこれからお伺いいたしますので、簡潔にお答えを願いたい。  第一は、商社の皆さま方の自己資本比率がきわめて少ないのでございまして、きわめて異常であります。資本金十億円以上の企業の自己資本比率は一七・八%といわれております。また、昭和四十年九月期から昭和四十八年九月期まで八年間をとりまして、経常利益の増加の著しいトップからの百社をとりますと、その自己資本比率は平均三二・二二%であります。この中に、きょう来られました七つの商社の方々はことごとく入っておる。ところが、この七つの商社の方々の自己資本比率はわずかに三・二%である。これは御確認いただけると思いますが、そこで、一体こういう経営のやり方がいいと思ってやっておられるかどうか。一番自己比率の低いのはトーメンさん、二・六、次が日商岩井さん、二・九、その次が丸紅さん、三・一、その次が三井物産さん、三・二、次が住友商事さん、三・三、もう一つ三菱商事さんが二・八ですが、そこで、この中では自己資本比率が一番高いのが伊藤忠さん、四・七%でございますが、先ほど申し上げましたように、他の経営体と比べますと、きわめて低い。こういうことはいいと思われますかどうか、伊藤忠さんに伺いたい。
  199. 越後正一

    越後参考人 外国の企業と比較いたしましたらもちろん問題になりません。これは歴史的な力の関係であろうと思いますが、非常に低いことは事実でございます。
  200. 永末英一

    永末委員 自己資本比率が低いということは、経営の主体が、借り入れ金によって行なわれていることを意味しております。  さて、四十八年九月期の決算を見てみますと、七つの商社での借り入れ金が四兆円をこえておる。自己資本はわずかに三千九百八十一億円である。その倍率は十倍をこえているのでありまして、そして三月期と九月期との決算を比べてみますと、総売り上げは二兆四千億円以上ふえておる、にもかかわらず、七社の平均をとりますと、総利益は逆に九十一億円減じております。しかし、支払い利息の合計は、実に三百七十二億円増加をいたしておるのでありまして、いまや、この結果を見てみますと、皆さま方の経営に対して、借金の重圧というものは非常に重くのしかかっておると見ざるを得ません。昨年九月で借り入れ倍率が最高であった三井物産さんに、こういうやり方がいいとお考えか、お答え願いたい。
  201. 池田芳藏

    池田参考人 ただいまの質問にお答えいたします。  三井物産は、ただいま御指摘のように、借金の額はおそらく日本で一番多いと思います。大体長期資金が、私の記憶では五千百億、短期資金六千百億、それからそのほかに手形の割引がございますので、間違っておったら訂正いたしますが、私の記憶では大体二千七百億くらいになると思います。締めて一兆四、五千億になるのじゃないかと思うのです。それに対しまして、商いは――なるほど自己資本比率が非常に少ないことは認めますが、商いは、年間を通じまして大体七兆円をやっておりますので、七兆円を割ることの一兆五千七百億というものは大体四・五となりまして、資本の回転率は四・五くらいになっておるわけでありまして、必ずしもそんなに悪いとは私は思っておりません。われわれは商売柄、固定資産というものはないのでありまして、宝は人材と取引の高でありますので、それを目安に借金のほうもやっておりまして、前期における借金の金利の支払いは、銀行に払いました金利の総額は百二十億円でありまして、月に二十日といたしますと、一日一億円金利を払っておるという勘定でございます。御参考までに申し上げます。
  202. 永末英一

    永末委員 いま池田さんのお話を伺いますと、自分の経営を見ておると、そういうものの言い方も成り立ちましょうね。私が申し上げているのは、国民経済全体の立場から、一生懸命そうやって、もともと資産がないのだから借り入れ金でも回していくのだ、資本の回転率よろしい、こういうふうにお話しになりますが、そのこと自体にインフレの原因があるのではないかということを指摘申し上げておる。  次の数字を申し上げますと、四十年九月期から四十八年九月期まで八年間に自己資本を増加してこられました、皆さんの商社全部が、もともと少なかったのでございますから。同時にまた、借り入れ金も増加を続けてきたのでございまして、したがって、この自己資本の増加額と借り入れ金の増加額との倍率を見てみますと、第一位は丸紅さんの二十一倍、二番が三菱商事さんの二十・八倍、三番が三井物産さんの十五・九倍、四番が日商岩井さんの十四・三倍、五番が住友商事さんの十四・三倍というようになるわけでございまして、これを見ても明らかなように、安定した自己資本をふやすのではなく、むしろ借り入れ金を増加せしめることによって経営をやってきた、こういうことになる。  したがって、もし利息の重圧が、先ほどの九月期決算で申し上げたようにやってくるといたしますと、これをのがれるためには、売り上げを増大せざるを得ない。その売り上げが、前の期あるいは前々の期と同じような条件で行なわれるならばいざ知らず、そうでないとすれば、自己の手持ち商品の値段を上げざるを得ないということは当然の論理じゃありませんか。そういう意味合いでこの借金のやりくり経営が続くところ、皆さま方のお手持ち商品の値上がりを、あなた方が知らぬのだと言われても、この数字が示しておると私どもには思えてしかたがないのでございまして、いまの倍率最高の丸紅さんの御意見を伺います。
  203. 桧山広

    桧山参考人 借金経営の是非、これはまことに、だれでも借金でなしに自前でやりたいという考えはもう十分持っておるのですが、なかなかそういうわけにもいきませんし、また、御存じのように、商社の行動が輸出輸入海外資源の開発というように多彩にわたっておりますので、資金がよけいに要るということでこういうふうになってまいりました。  ただいま先生の御指摘のように、確かにその金利の支払いのために、結局はどんどん、前期より、また前々期よりもということで、商取引の拡大によってそうした金利負担の軽減を考えるということは、全く御指摘のとおりでございますが、ただその際に、物価を上げて、そして金利負担を逃げるというようなことではなしに、経済の拡大に従って、私どもも、日本のGNPがたとえば一〇%伸びたといえば、大体その範囲、あるいはそれ以上の商取引の拡大によって金利の負担を軽減していく、こういうことでございまして、それがインフレにつながるかつながらぬかということは、また非常にむずかしい問題であろうかと思います。
  204. 永末英一

    永末委員 私どもはインフレにつながると思うから伺っているのでございます。  ところで、この借り入れ金にもいろいろ種類がございまして、この皆さま方の決算書で調べてみて一番びっくりいたしましたのは、無担保の借り入れ金がきわめて多い。わが国の零細企業者、中小企業者は、無担保で借りられることは、あるかもしれませんが、それはきわめて小部分であって、ほとんどが担保を取られているのであります。  ところが、皆さま方のところを調べてみますと、きわめて低い担保率でございまして、たとえば日商岩井さんは一五・六、三菱さんは一七・五、丸紅さんは二六・六、伊藤忠さんは三二・一、三井さんは三二、住友商事さんは過半数を割って五一、こういうことでございまして、無担保というのは、貸すほうも貸すほうでございますが、まず借りておられる商社の方は、おれは信用があるのだからあたりまえだなんて思っておられるかどうか。一番担保率の低い日商岩井さんに伺いたい。
  205. 辻良雄

    辻参考人 現在はともかくといたしまして、いままでいわゆる高度成長、その高度成長につれてわれわれ商社取引を伸ばしてきたのでございますが、その間、仕事が先行いたしまして、担保率も勢い低くなった。決していい姿とは思っておりませんけれども、やはり安定経済に向かうとともに、われわれの仕事のやり方についても反省を加えるべきじゃないかとは考えております。
  206. 永末英一

    永末委員 商社銀行から金を借りまして、それをまた自己の関連企業に貸し付けたり、あるいは債務保証、まあ予備軍としてこれを見ておるようでございまして、この貸し付け額も債務保証もきわめて多額である。いわば、これによって信用膨張が行なわれていることも事実であります。  一体、金融機関というのは、金融機関代表者が来ておられますけれども、どういうつもりでこの無担保をやっておるのでしょうね。東京銀行さん、どういうことですか。
  207. 横山宗一

    横山参考人 私どもは、外国為替銀行法に基づきます貿易金融、あるいは海外金融を主体としている銀行でございます。私どもは、輸出輸入というものの外貨あるいは円の金融をいたしておりますが、私どもとしましては、その輸出する物あるいは輸入する物を担保として金融しておるわけでございます。それからその商社の信用ももちろん考慮しております。
  208. 永末英一

    永末委員 相互銀行や信用金庫は自己資本の二〇%まで、一口の集中融資をする場合には制限がございます。ところが都市銀行にはないわけでございまして、たとえば三井銀行三井物産との間には、三井銀行からは自己資本の七一%を上回る融資が行なわれているのであります。東京銀行さんは、ここへ来られている商社さんに対しまして、全部合算いたしてみますと、実に二倍半の融資をいたしておる。それは輸出手形があるからだとおっしゃるかもしれませんが、われわれのほうから、一般の平凡な預金者から見ますと、一体、おれたちの金をそういうぐあいに一ところにそんなに貸していいのだろうかという、きわめて不安な感じを持つのでございます。無担保の内容につきましては、わかる会社もございますが、わからぬ会社もある。この際、預金者は、一体銀行の貸し出し態度というものが何であるのかということを知りたいと、この予算委員会を通じてきっと感じておると私は思います。  全銀協の会長として第一銀行頭取が来ておられるようですが、あなたは全銀行に命じて、一度この予算委員会に、どういう理由で無担保にしておるか、明らかにしていただけませんか。
  209. 横田郁

    横田参考人 お答えいたします。  無担保の貸し付けは、商社ばかりではなく、メーカーあるいは中小企業に対しても適用をいたしております。それは用途、期間、あるいはまた信用状態によって区別をいたしておりますし、商社につきましての担保につきましては、たとえば割引は当該商業手形により保証されておりますし、貿易関係貸し付けとか、長期貸し付けは、原則として手形や信用状の保証等の担保を取っております。無担保貸し付けにつきましては、その裏づけとなる物資の流通というものを見込んで無担保貸し付けにしているわけでございまして、特に商社について貸し付けの形態を優遇しているという意図はございません。
  210. 永末英一

    永末委員 委員長にお願いします。  いま答弁ございましたが、商社に対する無担保融資の額が大きいから申し上げておる。零細企業に対しましては、政府や地方公共団体の無担保融資の制度はわずかながらございますが、必要である。商社だって必要です。私は全然担保を取らぬでやったらいかぬなんて思いません、商売ですから。しかし、その金額の大きさがインフレを促進する原因になっておるから、あとで理事会でひとつはかってください。  急ぎますから、先へ進みます。  さて、たとえば三井物産さんを取り上げますと、一兆円をこえる借り入れをしておられながら、先ほど申し上げましたように、関連企業等への貸し付けをまた二千五百億円以上もやっておられる。こういうことになりますと、ばく大な融資を銀行から受けている、そしてまた下へ貸し付けをしておる。貸し付けにはいろいろ意味がございましょう、支配権を及ぼすとかどうとか。しかし、一体、商社さんは金融業をおやりになるつもりですか。問屋の職務を果たされるためには、一時の金融をしてはならぬとは私は申しません。しかし、このばく大な金の金融というのは、もともとは商社の本務ではなくて、銀行業がやるべきものだと思います。三井さん、いかがでしょう。
  211. 池田芳藏

    池田参考人 ただいま御指摘の点は、確かにそのとおりであろうと思いますが、この点につきましては、公正取引委員会が発表されました「総合商社に関する調査報告」の中の何ページか、ここにありますが、銀行商社を「安全弁として」という表現がございます。この点がいま永末先生おっしゃった点に触れる問題であろうかと思います。
  212. 永末英一

    永末委員 やはり商社は、なるほど多様化しておる社会のニードにこたえるなんというようなことを行動基準にいっておりますけれども商社の本務に帰ることを真剣にお考え願いたいと私は思います。  株式取引についても、調べてみますといろんなことがございました。行動基準がいろいろ出ました。三菱商事では、「株式の投機的取引は行なってはならない」という社長名での行動基準を出されておる。丸紅さんでも、「株式の投機的取引は行なわない」、日商岩井さんも、「投機を目的とした株式の取り扱いは行なわない」こういっておられます。また三井さんで恐縮ですが、あなたのところでは、四十七年九月十三日、業務部から内外の部店長あての通達に、「自主自力経営体制確立に一段と御尽力願いたきこと」という中で、現地法人の増資問題に触れて、「安定自己資本の充実が必要であるが、場合によっては土地、株式操作ども前向きに検討されたし」というような通達が行っておるわけなんです。そうしますと、一体あなた方の株式取引に関する観念は、どっちがほんとうなのかということを疑いたくなる。  そこで、あなた方の決算を見てみますと、流動資産勘定に計上されている有価証券、この額と、それから固定資産勘定にあげられておる有価証券、この額との合算は実に一兆円をこえておるのでございまして、しかも四十八年三月期と四十八年九月期との移動を見ますと、非常な移動があるのです。  その中で非常に目につきますのは、それぞれが相当多額の株式を保有しておるのでございますが、第一に伺いたいのは、この流動資産勘定の中の有価証券に社債と株式がございますが、大体社債は一割程度ではなかろうかと思いますが、このはっきりした表を委員会に御提出いただけるかどうか。  第二の点は、この二つの科目の中で、一体どういう基準でこれを分けておられるのか、私にはわからない。だれにもわからぬと思いますが、それぞれの社にはそれぞれの御方針がある、この基準を伺いたい。その中で、各社を比べて非常に少ないのは丸紅さん。短期運用の有価証券の部分については丸紅さんが一頭地を抜いて低い。これは、先年丸紅さんが株の運用をやられまして、だいぶん利益を取られたというようなことの反省が四十八年で起こっているとするならば、そうやられたのかもしれませんが、いま私が申し上げたことについて、代表して答えてください。
  213. 桧山広

    桧山参考人 ただいま先生の御指摘のとおり、私どもに残っておるのは公社債だけでございます。
  214. 永末英一

    永末委員 他の商社さんは……。いま丸紅さんは、持っておるのは公社債、そうしたらぐっと額は下がるわけですね。他のほうは額は下がっていない、みな二百億、七百億、四百億という金でございますから。ただ、三月期と九月期を見ますと、短期運用の有価証券のほうは大体軒並みに減っておるのでございます。そうしますと、一体どういう操作をされておるのか、どなたかお答えいただけますか。
  215. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 時間が参りましたが、永末君。
  216. 永末英一

    永末委員 この答えで終わります。――お答えありませんか。
  217. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ないようですね。
  218. 永末英一

    永末委員 それでは、後半にもう少し時間をいただいて詰めます。  これで質問を終わります。
  219. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて永末君の質疑は終了いたしました。  松岡松平君。
  220. 松岡松平

    ○松岡委員 自由民主党の松岡松平でございます。  きょうは七商社代表者がお越しになっておりまして、私は広範に聞くわけにもいきませんので、鉄鋼関係についての価格の安定、これを目途としてお尋ねいたしたい。  お手元に渡しましたグラフをひとつ見ていただきたい。これは通産省の鉄鋼課長がしたためてくれました表であります。第一表は小形棒鋼であります。第二表は中形形鋼であります。第三表は厚板でありまして、第四表は鉄くず、これは通産省の作成したものではございません。私どもで鉄鋼協会を通じてこの資料を得たものであります。  まず、皆さんに御確認願いたいのは、この表をお認めになりますかどうか。これは、むろんここに書いてあるとおり市中価格であります。現実にはもっと上に乗っておりますが、これはかなり正確なものだと思います。お認めになるかならぬか、皆さん七名にお伺いします。ノーならノーとおっしゃってください。――それでは、三菱商事社長さんの藤野忠次郎さんに代表的にお答え願いたい。この表をごらんになって、まずこれを御確認願いたいと思います。認められなければ認められないでけっこうです。話をそこから進めないとわからない。
  221. 藤野忠次郎

    藤野参考人 拝見いたしましたこの価格の表は、大体合っておると思います。
  222. 松岡松平

    ○松岡委員 大体御了承願える。そうしますと、まあ小型棒鋼から申し上げると、昨年の六月、五万円台であったものが、この第一の山をごらんになれば、九万円まで上がっております。つまり小型棒鋼一トンが五万から五万二、三千円しておったものが、一挙に、たった三カ月の間に九万円、事実は十万円以上に達しておるのです。次にもう一つの山があります。十一月に幾らかやや下がったものが急激に上がりまして、今度は十万円になっております。それがまたややここにきて下降線をたどりまして、現在では七万五、六千円のところにおるのです。  次に、中型形鋼でございます。これが六月にやはり五万四、五千円のものが九月までには十万円を突破しております。それがやや十一月まで下降線をたどったものが再び上がりまして、大阪市場と東京市場ではだいぶ違いますが、大阪市場では十二万円台になっております。東京では十万円でとまりました。またこれが下降線をたどって、現在では七万五千円台になっております。  次に、くず鉄の状況ですが、これは一応あとにいたします。  そこで、参考人の皆さんはみな鉄鋼の扱い業者でありますね。鉄鋼を扱っておられぬ方はないと思うのですが、いかがですか。――みなあると思います。それで、通産省あたりから調べてもらって追及していくと、どうして価格が上がったのか、その原因をなかなかつかめないのですね。つかめないということは、特約店をつつけば商社が責任のごとく言うし、商社をつつけば特約店どもがやっていると言う。どれがほんとうなのか、私どもにはわかりません。  大体この流通過程を見て、参考人の方々おわかりでしょうが、一体どうしてこういう――はっきり言って、日本の経済にとって鉄鋼は大事なものです。ことに公共事業、橋をつくるったって、道路をつくるったって、学校をつくるったって、昨年の五月現在で見積もったものではこれはやれっこないです。つまり、八〇%も九〇%も値上がりしては弱小建築業者は学校も建てられなければ橋もつけられない、保育所も建てられないという状態です。いわんや、これは機械工業にも関係してまいります。機材の材料にもなります。それがこういうような上げ方をしたことに対して、一体どのように考えておられるか。全部にお聞きするわけにはいきませんから、伊藤忠商事の社長さんに、ひとつ代表的にお答え願いましょう。越後正一さん、どういうふうに考えておられるかということです。
  223. 越後正一

    越後参考人 われわれの手を離れてからの市場価格につきましては、どういう手を打ったらいいか実際われわれにもわかりません。ただ、われわれが仕入れ、売り上げをやっております金額を見ますと、きわめてわずかな口銭で右左の取り次ぎをさしてもらっておるのであります。いまこのグラフを見て、また話も実際は聞いておりますので、こういうことになった原因はほかにもいろいろあるだろうが、こうだというきめ手が実はないんじゃないかという気がいたします。
  224. 松岡松平

    ○松岡委員 六社の皆さん、どうですか、同感ですか。どうぞおっしゃってください。
  225. 藤野忠次郎

    藤野参考人 おっしゃるとおり、小型棒鋼、主として鉄筋用ですね、それとか中型形鋼、これは一般構造用、厚板はどっちかというと、御承知のとおり大メーカーが多いわけですが、小型棒鋼とか中型形鋼、これは確かにこの数字のとおり暴騰したり暴落したり――暴落と申しますのは、過去においてそういうケースがだいぶあったわけです。主として平電炉メーカーと称するものの製品であることは間違いないわけなんですが、商社の場合には、これらの商品については大体内口銭式の取引が多いわけですね、御承知のように。買ったものをそのままその値段で売る、その中に口銭が入っておる。そして、たまたま昨年十二月小型棒鋼が相当市中価格が暴騰した際に、わが社がメーカーから仕切った値段はトン当たり八万一千円、それを問屋、取引先に売ったのが八万三千円、こういう例があります。八万一千円で買って八万三千円で売っている。このときには、非常に市中の相場は、先ほど先生がおっしゃったとおりに暴騰したときの話で、市価はもっと非常に、十万円近く高かったかもしれません。当時の市価は一月にかけて十万一千円なんという値段が出たことを覚えております。  以上でございます。
  226. 松岡松平

    ○松岡委員 それはある一定の一事例でしょうが、ともかく平電炉メーカーに言わすと、そんなに暴利はとっていないと言う。商社に伺えば、いまのように薄口銭である。  そうすると、一体だれがこういうことをやっておるのか。特約店を追及すれば、いや、われわれは商社からもらったものに、昨年の五月以前までは、一トンについて七百五十円くらいしかいただいておらぬ、こう言う。どこを聞いてもまことにけっこうな御答弁なんだが、実際はこういうふうに、末端需要者の手に入るときは一トンの鋼材が、棒鋼が十万円にもなるということは、倍ですね。こういうことは、いままで戦後の事例としてありません。  これはまさか鉄鋼のような重いものを買って、土蔵にしまい込んで、これをやみで売ろうなんというものはちょっと聞かないのです。結局オーダーでこれは取引されて、それが結局輸送にかけられて直接需要者の手に届くという筋合いのものなんです。これがどうも私どもに奇々怪々なんです、はっきり言うと。価格形成の過程がわからない。あなた方のほうは、特約店というものは締めようと思えば何ぼでも締まるのです。特約店にあなた方はちゃんと制限つけてお出しになればいい。  この機会にお伺いしますけれども、特約店との取引は手形ですか、現金商いですか、それをどなたかお答え願います。
  227. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 名前を指名してもらわないと……。
  228. 松岡松平

    ○松岡委員 丸紅さんの桧山社長にひとつ、特約店との取引ですね。
  229. 桧山広

    桧山参考人 九十日の手形と記憶しております。
  230. 松岡松平

    ○松岡委員 九十日サイトの手形……。
  231. 桧山広

    桧山参考人 それが場合によって延びたり短くなったり、金融情勢によって動いておると思います。
  232. 松岡松平

    ○松岡委員 わかりました。  もう時間ですか。
  233. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 まだ七分あります。
  234. 松岡松平

    ○松岡委員 そうなると、どうも筋がおかしい。あなた方を前に置いてこういうことを言うのもまことにおこがましいけれども、私は戦前から鉄鋼二十年の経験を持っているんです。どこのルートでどうなるくらいのことはわかっているんですよ。でも、この上げ方というものは戦前にもなかった、戦後にもなかった。ともかく土地の暴騰、木材の暴騰、ついに鉄鋼と、こう来ている。そのあとは、末端の消費者に最も響くようなトイレットペーパーとか洗剤とか、まるで人ののどを締めるような物資が上がった。この鉄鋼というものは、かなり経済の中心になります。これをなぜ一体ここにおそろいの七大商社がおってこの価格の抑制ができなかったか、私はこれは納得できない。あなた方大商社が組んで、少なくとも価格は押えるんだ、これを乱すものはもう特約店から除名するんだ、そのぐらいの決心を持って立たれれば、今日こんな暴騰のしかたをするわけがないですよ。  だから一言、ひとつ三菱商事社長から代表的に、今後価格引き下げの操作をなさるかどうか、これをお答えください。値上げの操作はしてもらっちゃ困るけれども、値下げの操作はなさいますか。   〔発言する者あり〕
  235. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御静粛に願います。
  236. 藤野忠次郎

    藤野参考人 お答え申し上げます。  先生は非常に鉄鋼の御商売に長い御経験を持っているわけですから、平電炉業界日本における過去のいろいろの事情も、十分御承知の上でおっしゃっていることと思っております。  それはそれとしまして、確かに、この小型棒鋼とか、こういった種類の平電炉メーカーの製品が異常な値上がりを示したり、また、あるいはこれは暴落してくるかもしれませんし、そういうことに対しては――しかし暴騰、これによっていろいろ社会的に不便をかけたということに対しましては、われわれ商社力を合わせて、おっしゃるとおりに努力をしまして、一緒になって価格引き下げの運動をいたしたいと思います。
  237. 松岡松平

    ○松岡委員 よくわかりました。皆さんは十日会とか新緑会とか有楽会とか虎泉会とか、それから伸鉄会というふうに、みんな会を形成しておられるのだから、十分価格操作できるし、それから平電炉のメーカーに対しては、皆さんが結束されれば十分押えがききます。それから特約店に対しては、あなた方の命令は、これは軍隊の命令のように響きますよ、除名されればもうそれきり鉄鋼を扱えないのですから。だから、そこをひとつ姿勢を正して……。  それから委員長、この書類を参考人に渡してあるのですが、これは当委員会にもう間に合わなかったと思います。これを提出願いたいと思います。ひとつ委員長から再度通達願います。
  238. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 じゃ配付してください。
  239. 松岡松平

    ○松岡委員 いや、行っています。手回しはいいんです。  私の質問はこれで終わります。
  240. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて松岡松平君の質疑は終了いたしました。  次に、藤尾君の質疑を許します。藤尾正行君。
  241. 藤尾正行

    藤尾委員 二十分しか私、時間がございませんので、この間に商社並びに銀行の姿勢についてお伺いをいたしたいのであります。  まずもって、時間がありませんから端的に伺いますけれども、今日の物価の暴騰、いろいろな原因がありまするが、その非常に大きなものの一つ石油の価格があるわけであります。  各商社におかれてはそれぞれ石油輸入をいたされておられます。一番高いのが三菱商事さんがナイジェリアでお買いになられましたバーレル当たり二十二ドル六十セントというのがあります。一体二十二ドル六十セントでお買いになって、これは事実は売れなくなったわけでありまするけれども、始末をどうなさいますか。
  242. 藤野忠次郎

    藤野参考人 お答え申し上げます。  二十二ドル六十セント・パー・バーレルという問題は、あれは去年の十二月前半にナイジェリアから入札の招請を受けまして、そうして国内の……(藤尾委員「始末だけでけっこうです」と呼ぶ)そうですか。あれはできておりません。それは私のほうが条件をつけて入札したからです。二十二ドル六十セント、ただし、私のほうの条件は、これからどうなるかわからぬし、あの数量自体は三万バーレル、受け渡しは二年。したがって、二年の間にどうなるかわからぬから、三カ月ごとに値段を改定すること、話し合うことというその条件が合わなかったために、両方でこれはでき上がらないでキャンセルです。
  243. 藤尾正行

    藤尾委員 これは事実買い手がなかったわけです。そこで、おそらくこれはペナルティーか何かお払いになって始末をつけるよりしようがない、こういうことだと思います。  第二番目、これは住友商事、リビアの油をこれまたパー・バーレル二十ドルで買っておられる。これはどうなりましたか。
  244. 柴山幸雄

    柴山参考人 リビアのは成立いたしませんでございました。
  245. 藤尾正行

    藤尾委員 第三番目が、イランでお買いになられました日商岩井さん、十七ドル四十セントというのがあります。いかがでしょう。
  246. 辻良雄

    辻参考人 これは一月から六月までの契約でございまして、一月分につきましては引き取りました。それから二月以降につきましては、委託精製会社の承諾を得まして、約四割方はアメリカに転売いたしました。それから残余につきましては、いま産地といろいろと値下げについて交渉いたしております。
  247. 藤尾正行

    藤尾委員 日商岩井さんのこの十七ドル四十セントは、アメリカにお売りになられましたのは十三ドルであります。バーレルについて四ドル四十セントお損になっておられる。それが全部売り切れないので、あとまだペナルティーをお払いにならなければならぬ、こういうことであります。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕 一体こういう油を輸入される神経、こういった油の上に基づいて日本の産業といいまするものが、電力を使いあるいはこの油を使って、そうして鉄やその他繊維であろうがセメントであろうが、あるいはアルミであろうが、すべての資材といいまするものをつくっていく。こういう油を使って一体間尺に合いますか、どう思われます。日商さん、続けてお答えを願いたい。
  248. 辻良雄

    辻参考人 ただいまアメリカへの売り値十三ドルとおっしゃいましたが、これは仕入れそのままの値段で売っております。
  249. 藤尾正行

    藤尾委員 私は、そのお答えが必ずしもほんとうであるかいなか、これはまだ調べてみなければなりませんけれども、私の知っておるところでは、これはあなたの御答弁が必ずしも合っておるとは思いません。私の言っているほうが正しいであろう。おそらくそうだと思います。  そこで、こういった問題を締めくくるわけでございますけれども、どう考えましても、四十八年六月、これは三井物産さんがイランでお手に入れられましたDD石油は二ドル七十セントであります。それがわずか一年足らず、半年の間に十七ドルになってみたり、二十ドルになってみたり、二十二ドル六十セントになる。  一体何でこういうことになるのだろう。これはだれが考えたって国民にはわかりません。もちろん、産油国自体が産油国の手取りを上げようということで、その値段を引き上げたということもあります。しかしながら、どう考えましても、こういった油を使っていく需要者というものの立場から考えましたならば、あくまでもこれには経済性がなければならぬ。その経済性を度外視をしてこういった油にどんどん入札をされる。それはまことに異常な神経であります。経済家のなすべき神経でない。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕 こういったことが、世界の油の価格を引き上げさせ、日本の国内の電力価格あるいは石油価格、もう近くこれに手をつけざるを得ないでしょうが、そういったところまで追い込んでいく非常に大きな原動力になっておる。  この責任といいまするものは、あげて商社の皆さま方がお負いにならなければならない問題だと思いますけれども丸紅さん、いかがですか。
  250. 桧山広

    桧山参考人 先生のおっしゃるように、全部が全部商社の責任ということも、ここでお答え申し上げられませんが、いずれにしましても、私どもは、お国のため、社会のため大いに努力しているつもりでやっておりますので、ひとつ、その点御理解をお願いしたいと思います。
  251. 藤尾正行

    藤尾委員 一生懸命に資源獲得のために努力をしておられるのだ、こういうお話でありますけれども、その皆さん方の努力の結果が、日本国内の経済をひっくり返すような二十二ドル六十セントだとか、二十ドルだとか、十七ドル四十セントがとかいう油になってはね返ってきたのでは、日本の経済はどんなことをしたってもちませんよ。その責任は一体だれにあるのですか、あらためてお伺いしたい。いかがです。
  252. 桧山広

    桧山参考人 私のところで全然それをやっておりませんから、これで逃げ口上を申し上げるわけじゃございませんが、まことに商社としては、確かに――私自身もDD原油の取引というものはやめたらどうだという考えを、ある政府の役人にも申し上げたつもりです。
  253. 藤尾正行

    藤尾委員 そういうことでありますから、こういう三菱、住商、日商岩井というような方々のDD石油というものに対する姿勢というものは、少なくとも商社の姿勢を逸脱しておる。これはお認めになりますね。三菱さん、いかがですか。あるいは日商さん、いかがです。住商さん、いかがですか。
  254. 藤野忠次郎

    藤野参考人 私はナイジェリアのあの場合には、普通の場合に、これは製油所の委託を受けて商社輸入をしているものなんです。原油の扱いを直接自分でやっている人はほとんどありません。全部製油所の委託、したがってその買い手のバックがなければできませんけれども、それはそれとして、私の場合には、あの時点の瞬間においては三万バーレル・パー・デーの油がなければ、あれは低硫黄ですから、やむを得ないと自分で判断いたしました。
  255. 藤尾正行

    藤尾委員 次々にお伺いをいたしたいのでございまするけれども、時間がありませんから、これはかんべんをいたしましょう。  ここに皆さま方の犯科帳があります。新聞に出たものばかりであります。  この中で丸紅が犯されている罪五件、伊藤忠さんが二件、トーメンさん一件、その他いろいろございますけれども、みんな資料がこれにあります。  この中でいろいろなことがあるわけでありまするけれども、先ほど公明党の坂井さんからも木材の問題がありました。同じようなことが、これは決してほかの商品でないとは言えないのであります。たとえば、豚肉に対する丸紅さんの態度、あるいは木材に対するトーメンさんの態度、その他いろいろあるわけでありまするけれども、砂糖なら砂糖というようなものを例にとりましても、砂糖を買います農林省の手持ちの資料といいまするものは――ロンドンの相場が月に二回であります。そのロンドンの月に二回の相場に基づいて、これが原糖としてどうなっておるかということを判断をして、そうして糖価安定法によって調整資金を出す。あるいは二月十六日以降は関税もまけなければならぬというようなことになっておる。しかしながら、その間のロンドンの市場の動きといいまするものは、農林省は知りません。そうなってくると、その間の相場の動き、こういったものをあなた方だけが御存じで、あなた方だけが情報を持っておって、そういった立場に基づいて輸入価格はかくかくであるといってあなた方が申告をせられる。それを通告をせられる。農林省はしかたがないから、さようでございますかということになる。こういうことで、砂糖価格というものの上にいろいろな影響が出てくる可能性というものは全然なしとしない。  それと同じことを丸紅さんの場合には豚肉でやっておられるわけであります。そのペナルティとしてあなた方は牛肉の取引を停止せられた。そうですね。停止をせられたおかげで、あなた方は、牛肉で損するどころか、もうかった。そういう事実がありますね。丸紅さん、いかがです。
  256. 桧山広

    桧山参考人 スライド関税のあやまち処理から六十四万一千円の豚の関税の追徴を受けました。それによって、三カ月間の牛肉の取り扱いの停止を受けました。しかし、それでもうかったということは、どういうことかわかりませんが……。
  257. 藤尾正行

    藤尾委員 それはことばのあやでございまして、実はその間、牛肉の商売をやられた人はみんな損したのです。あなたのところだけは停止をされたために損をしなくて済んだ、こういう意味でございます。
  258. 桧山広

    桧山参考人 まことにおそれ入ります。
  259. 藤尾正行

    藤尾委員 こういうことをいろいろ考えてみますと、先ほどの坂井さんの御議論ではありませんけれども、あなた方が、現在私ども日本の国の消費者経済というものに与えておるものの責任、これが正しいかどうか、非常にいろいろな点に疑問がある。あなた方は御商売で口銭をお取りになる。その口銭は一%ぐらいだ、これはたいしたことないじゃないか、たいした被害を与えているわけじゃないじゃないか、適正なものじゃないか、こういっておられる。しかしながら、その適正と思われる口銭をつくるための原価に、いろいろの操作が行なわれておる。現に、いまさっき木材でこれが正しく指摘された。もう同じことをあなた方は豚肉でおやりになった。そういうことになれば、砂糖にだってそういうことをやっているだろうといわれたってしかたがないじゃないですか。そういったのが、現実の消費者が非常に必要とし、いま価格が暴騰して、この間まで非常にお困りになったいろいろな物資に、これが反映をしてきておるということを私どもが申し上げても、あなた方は申し開きのしかたがありますまい。いかがですか。よくないです。  日商岩井さん、いかがです。さっきあなたのほうは木材の話ではやられたでしょう。もう一ぺんひとつあなたから聞きたい。
  260. 辻良雄

    辻参考人 確かに御指摘になりました点は、商社の悪い面であろうと存じます。
  261. 藤尾正行

    藤尾委員 こういう商社のいろいろ非常に大きな力、信用力、金融力、あるいは人材、情報力、こういったものの上に立って皆さま方が不行儀なことをやられる。こういうことが、いろいろ皆さま方の正しかるべき商業活動、おそらくこれを百あげれば、九十六、七まで正しいものでございましょう。それまでも、これは正しくない、いいかげんなものなんだと世間が思ったってしかたがないじゃないですか。そういう不行儀な姿でおられるから、公取があなた方に対していろいろな規制を考えなければならぬ、こういうことを言ってくる。石油業に石油業法がある、銀行業には銀行法がある。あなた方にも商社法というような業法をつくりましょうかというような人が中にいるのです。こういうものをつくったら、一体どういうことになりますか。  これは関係ないようでございますけれども、物産の池田社長、こういうものをつくられたらどうですか。この中に、零細企業部門への進出を制限せいとか、子会社への持ち株の比率を制限せいとか、過当競争を制限せいとか、あるいは業種については制限せいとか、こういう内容のものが考えられておる。商社法というものが、現にその用意をされておる。どう考えられますか。
  262. 池田芳藏

    池田参考人 伝えられております商社法というものの内容につきましては、いま藤尾先生がおっしゃいましたが、はたしてそういうものかどうか、私は承知しておりませんけれども、もし、そういうものがありとすれば――私どもは、三井物産に関する限り、われわれの力の限界を承知しております。現在、一万二千名の人間がおりまして、海外に百四十の拠点があり、合弁会社四百ありというようなことでありまして、どこまで目が届くかということがわれわれの最も関心事でございまして、日本国民経済に貢献し、ひいては世界経済に貢献するために何がいいかということを、われわれは年じゅう考えておるわけなんであります。そこで、力の限界がわかったときには、それを放していきます。現に、三井リースという会社は、そのような形において独立させましたし、昔、三井物産の船舶部であったものが、現在、三井OSKでありますし、三井造船は三井物産の造船部であったわけでございます。  したがいまして、商社法がいかなる規定をするか存じておりませんけれども、もし、さような意図ありとすれば、われわれは自主的にやりたい、かように思っております。
  263. 藤尾正行

    藤尾委員 私は、御答弁としては、非常にけっこうな御答弁だと思いますけれども、現に、この中でいっておりますような、零細企業部門への進出をやっておられる商社がたくさんある。たとえばクリーニング業、こういったものに蝶理だとか日商岩井はやっておられるでしょう。あるいは小さな建築屋さんがやっておられるような配管業にあなた方が進出なさろうとしておる。くぎ、針金、現にやっておる、三井さん、丸紅さんが。あるいは環境衛生部門、旅館業、こういったものまで手がけている方々がたくさんおられるでしょう。そういうことで、あなた方が大きな金融力と大きな信用力と人間の力と、そうして情報部門、こういったものをもって出かけていけば、中小企業、これは、みんなつぶれてしまいますよ。そういうところを、あなた方自体よほどお考えになっていただいて、自制、これをやっていただかなければ、われわれは、いやでもおうでも商社法というようなものをつくらなければならないようになってしまう。これは、ぜひひとつ考えておいていただきたい。  時間がございませんから、あと簡単に金融だけ申し上げます。  先ほどから、永末さんもその問題に触れられたわけでございますけれども商社は膨大な信用力を持ってお金を借りておられる、そのほとんどが無担保でございます。こういうことが、一体世の中で平然として行なわれていいのかどうか。中小企業は、金のないのに担保を、あちらへ走りこちらへ走ってつくって、あなた方のところへ相談に行く、それでも貸してくれないじゃないですか。そういう不公平が行なわれておる。そういう金融の姿勢、ここに大きな問題がある。  私は、本来ならば、富士銀行であるとかあるいは三菱銀行であるとか三井銀行であるとか、こういう方においでいただきたかった。しかし、そういう方においで願えないので、それを、右代表でひとつ第一勧銀さんにお伺いいたしたいと思いますけれども、一体、商社に対する金融、あなた方は野方図に全部商社に、これをやってくれと、ぽんとまかしておられる。これは、りっぱな大度量だと私は思う。これは、どう考えられますか。
  264. 横田郁

    横田参考人 お答え申し上げます。  商社に対する金融は、昨年の一月から非常に強い規制を受けておりまして、総体の貸し付けに占める商社金融の割合は、一一%あたりから……。
  265. 藤尾正行

    藤尾委員 いいです。一言だけ、あなたに御注意を申し上げておく。あなた方には、中小企業企業というものに対する、あるいは商品に対する知識はありますか。ないんです、あなた方に。ないから、かわりに商品知識を持っておられる商社に全部ぽんとまかして、やってくれとやっておられるのじゃないですか。そうでしょう。おありになると思うなら言ってごらんなさい、商品知識を。
  266. 横田郁

    横田参考人 それは商品によりますけれども……。
  267. 藤尾正行

    藤尾委員 ないんですよ。
  268. 横田郁

    横田参考人 中小企業に対する融資比率は、逐年上がっておりますし、商社金融に対する融資比率は、逐年下がっております。
  269. 藤尾正行

    藤尾委員 商社の信用の上にぽんと乗っかっておれば安全だ、それであなた方は、利子ばかり取っているから、あの虎の門のかどに四つ、全部あなた方銀行ばかりじゃないですか。われわれ地方へ帰りましても、メーンロードは全部銀行ばかりです。何の努力もしないで、そういうことになっておるというところに、御反省を願いたい。
  270. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて藤尾君の質疑は終了いたしました。  阿部昭吾君。
  271. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、商社の土地問題についてお尋ねをしたい。  丸紅さん、あなたのところは、農業関係の法規に基づく農業者になっていらっしゃいますか。
  272. 桧山広

    桧山参考人 御質問の趣旨、はっきりわからないのですが……。
  273. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 農地法あるいは農業基本法その他の農業関係のたくさんの法律があります。この法律に基づく農業者に、丸紅さんはいつおなりになりましたか。
  274. 桧山広

    桧山参考人 まことに不明のいたすところ、私、農業者になっておるとは思いませんが、何かもっと精細に……。
  275. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 丸紅さんは、会社の定款その他に、農業を営む法人、こういうぐあいに規定されておりますか。
  276. 桧山広

    桧山参考人 定款には、ないと思います。
  277. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 そこで、お伺いをいたしますが、岡山県備中町という町がございます。この備中町に西山地区という地域がございますが、大体、戸数にして二百戸余り、この皆さんの持っております土地、これが大体千七百ヘクタールぐらいだと思います。水田あるいは畑あるいは山林原野、いろいろなものがありますが、この二百戸余の皆さんの持っておるすべての土地の大体八〇%程度のものを買収して開発をしよう、こういう計画をあなたのほうでこの数年来進めていらっしゃるのでありますが、御存じでございますか。
  278. 桧山広

    桧山参考人 詳しくは存じませんが、知っております。地元住民の過疎対策として、住民から強い要望がありましたので、そこをリゾートゾーンとして開発計画をつくり、一部計画を申請中であり、いま一部は、牧場として十万坪をすでに活用中というようなことの報告を受けております。
  279. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 話は飛び飛びになりますが、この西山地域のすぐ近い地点を中国高速縦貫自動車道が通る、このことを、あなたのほうで御存じになったのはいつごろです。
  280. 桧山広

    桧山参考人 私、いまでもいつ通るか存じておりません。
  281. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 桧山社長、ちょっとおかしいじゃありませんか。あなたのほうで、この備中町の町長との間に契約をしております覚書というのがあります。この覚書によりますと、中国高速自動車道が通る、その近所に東城インターチェンジというのが設置をされる。これが設置をされた段階で、買収いたしました土地の代金の総金を支払う、こういう覚書を、備中町長との間に行なっておるのであります。この中国高速縦貫自動車道が通る、インターチェンジがそこにできる、このことを、あなたのほうで知らぬはずはない。そのことを承知なさったのは、いつごろですか。
  282. 桧山広

    桧山参考人 私、いまもって、先ほど申し上げたように序じませんので、さっそく担当の専務に、いつそういう事態を知ったのか、尋ねてまた御報告いたします。
  283. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私は、先刻この委員会におきまして、この問題をお尋ねする、したがって、この備中町西山地域の開発計画について、あらかじめお調べをしていただきたいということを申し上げておったのであります。  私のほうから申し上げますると、この開発計画は、備中町町長を丸紅飯田のダミーとして土地の買い占めを進めておるのであります。しかも、この買い占めの中で、私どもが問題に思いまするのは、一千七百ヘクタールの、その地域の農民の持っておる農地、山林、原野その他一切、その大体八〇%を買収する。この買収計画にあたって、土地の値段は一平米三十三円を平均とする、一坪百円であります。この買収を今日まで進めておるわけでありますが、現在、あなたのほうで買収を完了いたしました面積は、どの程度になっておりますか。
  284. 桧山広

    桧山参考人 まことに残念ですが、いま存じておりません。また、それもさっそく調べて御報告いたします。
  285. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 御注意を願いたいのですが、私は、具体的な質問をいたしますから、あらかじめ御準備を願いたいということを、先ほど書面で前もって申し上げておるのであります。  私のほうから、さらに申し上げますると、たんぼも畑も山も原野も一切のものを、込みで坪当たり百円で買う。現在、あなたのほうで買収を、ほぼ完了している面積は約八百ヘクタールであります。ところが、表の登記上、買収を完了いたしました面積は、それには達しておらないはずであります。ここに「土地売却同意書」というのがある。これは個々の農民が、所有者が町長に対して、一たん売るというやり方をしているのであります。そして、その町長と丸紅飯田との間に、この覚書による契約を持っておるわけであります。その契約によりますると、「土地売買は町が一応所有者個人より買受け、これを丸紅飯田株式会社に売却するものとするが、登記は、直接丸紅飯田株式会社に移転するものとする。」、こういうこになっておるのであります。  そこで、問題は、坪当たり百円で西山地区のすべての土地の八〇%、これを買収する。ところが、冒頭申し上げましたように、桧山社長さんのところは、農業を営む法人じゃない。農業を営む法人でありませんから、農地を直接買い取ることはできない。したがって、備中町長をダミーとしてこれに買収をやらして、その地域の八〇%、さらに坪当たり百円という値段は、いかにも安いのであります。現在、すでに中国高速縦貫自動車道は着々進行してきておる。大体、四十九年中には、東城インターチェンジまでは参りませんけれども、落合の地点あたりまで、大阪方面からこの縦貫自動車道が到達をする、五十年度には、大体、東城インターチェンジに達する。現在、坪当たり百円で買収いたしました土地は、四年の間に、すでに二十倍程度に達しておるのであります。おそらく明年、明後年、東城インターチェンジが完成する段階に至りますると、この土地は百倍程度に達するだろうというのが、現地の見方であります。農民は坪当たり百円で土地の提供を――たんぼ、畑、一切のもの、込みで平均坪百円。その際、この契約によりますると、この皆さんに、丸紅飯田は就業の機会を保障する、こういっておるのであります。ところが、就業の機会は、現在、保障しておりますか。この二百戸余の皆さんは、いま出かせぎに出ておる。あるいは地元で零細ないろいろな仕事に従事をして、土地はみんなあなたのほうに、ただ同然で買収をされた。  あなたのほうのこの計画を見ますると、土地をただ同然で買収をする、村ごと、土地ごと、あるいは人間も全部買収するという計画であります。仕事は一切保障する、そうして結果的には、この二百戸余の皆さんの仕事の保障は、この数年来保障しなかった、こういう状況で経過しておるのであります。この事実を御存じですか。
  286. 桧山広

    桧山参考人 全く存じません。私のほうでは、過疎対策として地元住民に大いに協力するということで、リゾートゾーン対策に入っておるという報告だけを受けておりまして、いま先生のおっしゃったようなことを、さっそく帰って十分に調査して御報告申し上げます。
  287. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 備中町の小田町長は、私がお目にかかりましたときに、たいへん困っておりました。そこで、これは私がお尋ねしたのではないのでありますが、地域の関係者の皆さんに、町長はいまたいへん突き上げられておる。町長は、私に会いましたら、丸紅会社から金などもらっておりませんということを最初に言っておりました。私は、金をもらっておるかと一ぺんも聞いておらぬのであります。会いましたら、一言、二言いろいろお尋ねしております間に、丸紅会社から私は金など受け取っておりません、こう言っておるのであります。いま、この地域の皆さんは、坪当たり百円で、ただ同然で八百ヘクタールの農地をあなたのほうへ買収された。しかし、農地法違反という問題がありますから、現在の段階では、備中町長が八百ヘクタールの農地について、まだまだ相当部分のものは契約をしておる。そして、これが農地法上、いろいろな処理が終わったところで、あなたのほうに登記を移転する、こういう契約になっておるのであります。  そこで、問題は、すでに現在、この土地が十倍から二十倍に達しておる。あなたのほうは、四年前、この契約を締結されて、土地の支配権をあなたのほうですでに持っておるのであります。しかし、この約束にあります就業の機会を、この地区民の皆さんに保障するということは、全然やっておらぬわけであります。そして紛争が続いておりまする間に、いずれ再来年あたりになりますると、東城インターチェンジができる。あのあたりの地価が百倍程度に達する。一つの村ごと、この契約では、住んでおる住民ごと、全部まるごとあなたのほうでは買い込んだ。八百ヘクタールのこの土地を、東城インターチェンジが完成した段階で、いろいろに開発をしていくわけでありましょう。ものすごい利益をあげるに相違ないのであります。地域の皆さんは、八百ヘクタールの農地、その上に立木その他いろいろなものを込みで、当時、大体四億程度のものが支払われたのではないかと思っております。このお金は、いまやどこにいったか。四年間、仕事を保障するというあなたのほうの約束は、全然守られませんでしたから、過疎対策どころか、すべての皆さんが出かせぎ、兼業に転化せざるを得ない状況が起こっておる。いま一両年の間に、あなたのほうは、当時の買収価格の百倍ぐらいの値段になるのであります。その場合、値上がり部分は、あの地域の住民のために還元をすべきだと思うが、いかがでしょうか。
  288. 桧山広

    桧山参考人 適正な諸経費とかそういうものの計算に立って、私は、当然全部還元してけっこうだと思います。
  289. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 農地法違反は、どう認識をいたしますか。あなたのほうは、農業を営む法人じゃないのであります。この法人が現実に農地を、備中町長をダミーとして買収しておる。その事実は、あとでお目にかけますけれども、この覚書契約書によりますれば、歴然であります。しかもあの地域に栗園というのがある。これにつきましては、政府が構造改善事業による補助金を交付してつくった栗園であります。この栗園の経営は、いま、あなたのほうに移しておるわけであります。これが、いま問題になりまして、いまその構造改善事業としての補助金の返還の問題が問題になったことも御存じのとおりだと思いますが、それを存じておりますか。
  290. 桧山広

    桧山参考人 全然存じておりません。  いずれにしましても、本件が農地法違反とか、そういうことであるならば、買収を無効にして、もとに返したほうがいいんじゃないかという気がします。いずれにしましても、それが、また、いろいろないきさつを十分存じあげませんので、それが、そういうダミーとかなんとかいうことではなしに、いろいろな契約が生きておるとするならば、契約のとおりに履行して、そして、それによる収益というものは、全部当然地元住民に還元するということであろうと思います。また、そうさせると、ここで申し上げてけっこうです。
  291. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 先ほどの御答弁で、いろんな経費を引いて残ったものを返します、こう言っておるのでありますね。
  292. 桧山広

    桧山参考人 その契約を履行する場合、またどういう――最後まで履行できるのか、いまの先生お話ではわかりませんから、契約を無効にするのがいいのか、契約を履行したほうがいいのか、履行した場合に、還元する場合には、たとえば私のほうの諸経費というものを引いて全部還元する、こういうことで、私のほうは、利益とかそういうものは一銭も要りませんということを申しげたわけであります。
  293. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 もう一度申し上げますけれども、あなたのほうは、農業を営む法人じゃないのであります。この法人が、現実に農地である地価住民の所有地、あるいは特にこの中における構造改善事業の国の融資を受けた農業経営のものを、そのまま全部あなたのほうで買い取ったのであります。  そこで、この契約書にありますように、あなたのほうで直ちに買い取るわけにいかない、買い取るといたしますれば、これは手がうしろに回るはずであります。そこで、備中町長を媒体として、備中町長と住民との間に契約を結ばしておる。これは厳密にいいますと、備中町長といえども、農地法違反を犯すことは許されないのであります。したがって、すでに二百戸余の皆さんのうち百六十戸程度の皆さんが、農地の大部分をあなたのほうに、ただ同然の値段で買い取られておるわけでありますが、いずれ、ここにインターチェンジができまして、ずっと値が上がっていくのでありますが、これを一切もとに戻す、こういうお考えは持たれませんか。
  294. 桧山広

    桧山参考人 いずれにしても、違法であるとかそういうことで、契約がそうであるとすれば、もう全部を白紙に還元したほうがいいだろう、私はこう思います。
  295. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 それでは、この問題は、いま私が指摘いたしました問題を、桧山社長のほうにおかれて、さらに調査をされて、報告をしていただきたいと思います。  この機会に、丸紅さんは、海外にどの程度の土地を買い求められておるか、お聞かせを願いたいと思います。
  296. 桧山広

    桧山参考人 はっきり存じておりませんので、それも後ほど一緒に御報告させていただきます。
  297. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 三井物産さん、あなたのほうは、あなたのほうで直でやっておる場合、あるいは三井不動産という場合がある、あるいは三菱商事さんの場合は、あなたのほうで直というよりは三菱地所が中心になってやっておる場合が多いように、私ども資料を持っておりますけれども海外にどの程度の土地を買い求められておるか、お聞かせを願いたいと思います。
  298. 池田芳藏

    池田参考人 ただいまの質問には、私は資料を見ないで、お答えはできません。  しかし、大体言えることは、そんな土地を非常にたくさん買っておるという印象は、全然持っておりません。現在やろうとしておりますものは、ロサンゼルスの郊外におけるいわゆるインダストリアル・パークの開発をいま計画中であります。それから、かつてサンパウロの市内において、三千坪くらいだったと思いますが、三井不動産と一緒に買う話をいたしまして、現在は、三井不動産がやっておるように思います。それ以外は、調べた上で必要があれば、お答えいたしますが、現在、私の承知しておりますのは、その程度でございます。
  299. 藤野忠次郎

    藤野参考人 私、三菱商事の場合には、ほとんどないと思っております。ただ、三菱地所ということになると、これは、いわゆる三菱系列会社とはいうものの、経営内容、株主、全く違いました独立の会社ですから、三菱地所が、どの程度外地に土地を保有しているかということは、全く私にわかりかねます。
  300. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 私も三菱商事の場合は、そのような状況にあると承知をしております。三井さんの場合は、ぜひひとつ資料をお願いいたしたい。それから同じように、伊藤忠さんも、日商岩井さんも、丸紅さんも、住商さんも、海外において現在持っておられる、買い求められておられる土地の状況についての資料を、ぜひひとつ御提出を願いたい。なお、その場合に、直接買っておられるという場合以外に、先ほど申し上げましたダミーを介して買っておるのが非常に多いのであります。その状況につきましても、ぜひひとつ御報告の資料をお願いをいたしたいと存じますが、よろしゅうございましょうか。
  301. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 阿部君に申し上げます。  ただいまの件については、理事会で御相談をいたしまして、結果を出すことにいたします。
  302. 阿部昭吾

    ○阿部(昭)委員 それでは、以上で私の質問を終わりますが、丸紅さんにおきましては、先ほど私が申し上げました関係の問題に関する詳細な資料と現状の問題点、さらにこの地域住民が持っておる土地をただ同然で買い上げられて、あとは野となれ山となれで、丸紅は東城インターチェンジの開設を待って値上がりを待っておる、この状況に対してどのような解決をはかろうとするのか、この問題について、明快な資料の御提出をお願いしたいと思います。  以上で、私の質問を終わります。
  303. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 以上で阿部君の質疑は終了いたしました。  次に、松浦利尚君。
  304. 松浦利尚

    松浦(利)委員 午前中に引き続いて質問さしていただきたいと存じます。  三井物産社長さんにお尋ねをいたします。  あなたのところは、国民の直接的な生活物資であり、また、たいへんなパニックを起こしたトイレットペーパー、あるいは薄紙等を扱っておられるかどうか、その点をまずお聞かせいただきたいと思います。
  305. 池田芳藏

    池田参考人 扱っております。
  306. 松浦利尚

    松浦(利)委員 まずお尋ねをいたします。  昨年、静岡県の家庭用薄紙工業組合が三菱商事に対して、九月ごろ、二億円の在庫融資の申し出があったことを御記憶でありますか。このことは、わが党の委員が物特の委員会でも政府に対して質問した事項でありますが、これは静岡県のトイレットペーパー、あるいは薄紙をつくっておる企業の工業組合でありますが、それが、従来取引のあったところを通じて二億円の在庫融資を要請した、そういう事実を御記憶ですか。
  307. 藤野忠次郎

    藤野参考人 トイレットペーパーを、私のほうは扱っておりませんし……。
  308. 松浦利尚

    松浦(利)委員 三井物産です。
  309. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 あなたは三菱と言った。取り消しますか。
  310. 松浦利尚

    松浦(利)委員 取り消します。三井物産です。
  311. 池田芳藏

    池田参考人 いまおっしゃいましたように、物価問題特別委員会で議論があったことを新聞紙上で承知しておりますので、その関連において、私も大体のところは承知しておるつもりでございます。
  312. 松浦利尚

    松浦(利)委員 その結果、これは詳しくその後調査をしたわけでありますが、融資対象数量が、ちり紙で七万五千二百袋、約七百五十トンであります。トイレットペーパーが六千五百ケース、約九十トンであります。これの在庫融資として、九千七百万円の融資を三井物産が行なっておるわけであります。  ところが三井物産は、それの在庫調整融資をした、その融資をしたトイレットペーパー、あるいはちり紙等を、三井物産を通じて販売先へ流す、そういうために二%の取り扱い手数料を徴収するということにしておりますが、そういった契約を内容に結んでおられますか。二%の手数料を取る、しかもトイレットペーパー、ちり紙は、必ず三井物産を通せ。知っておられますか。
  313. 池田芳藏

    池田参考人 いまの契約書は、私、きょうは持ってきておりませんが、御指摘の薄紙、ちり紙商業組合でございましたか、それとの間の契約書は、私は見たことがございます。いまお持ちになっておるのですか。
  314. 松浦利尚

    松浦(利)委員 持っておりません。  そして御承知のように、あのトイレットペーパー騒ぎ、あるいはちり紙騒動が起こりまして、通産省のほうから静岡県のこの業界に対して、九月二十五日から、最後は十一月六日までの間に放出をさせておるわけであります。  そこで、三井物産社長にお尋ねをするわけでありますが、三井物産が、国民生活に直接関係のあるようなそういったちり紙とかトイレットペーパーにまで手を出す行為について、あなたは是認されますか。当然だと思っておられますか。その点を的確にお答えいただきたいと思います。
  315. 池田芳藏

    池田参考人 われわれの扱っておる商品が非常に多うございまして、三井物産にふさわしくないような商品は整理しようというのが私の方針でありまして、この薄紙、ちり紙等につきましても、あるいはそういう範疇に入るかとも思いますけれども、何ぶん相手があるわけでございまして、この人たちが、ぜひやってくれろと言う場合にはやらざるを得ない。長年の関係もあると思いますが、いまの組合の理事長、たしか林という人だったのじゃないかと記憶しておりますが、その方は、われわれの行なった融資につきまして、実は夏場というものは、ああいう紙の需要は非常に減るものだそうでございまして、そういう時期においては、そういう方々の手元資金も苦しいし、持ちこたえなければならぬということがございまして、ぜひやってくれろというお願いがあったので融資したというふうに私は解釈しております。そして、もし何でしたら、その組合長にお聞きいただければ……。私の知っておる範囲においては、非常に感謝されているというのが、私の承知しているところでございます。
  316. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私も、現地に行って調査をしました。直接、融資を受けた組合の人たちにも会いました。工場にも行って調べてみました。  問題は、そういった零細企業のところに政府の資金が流れないところにたいへんな問題がある。これはあなた方に言う必要のない、政府に対して言うべきことなんです。だからしかたがないから、取引先である三井物産に融資を頼んだ。九千七百万の約束手形が支払われたわけですね。しかし、それを出したから、今度は二%の口銭を取っておれのところを通して流せというのは、行き過ぎじゃないですか。貸してやることはいい、政府が貸さないのだから、あなたのところが約束手形を出してやることは是認されるとしても、だからその交換条件として、おれのところから出せ、そういう考え方は成り立ちませんか。当然だと思いますか。  そこで、自民党の皆さんも、商売をやっているんだから、金を貸せば、それは二%ぐらいの口銭を取るのがあたりまえだとここでざわざわするけれども、去年の四十八年の……
  317. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 こっちを向いてやってください。向こうは関係ない。
  318. 松浦利尚

    松浦(利)委員 四十八年の四月十一日……
  319. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 参考人にお聞きください。
  320. 松浦利尚

    松浦(利)委員 参考人に聞いているのですよ。
  321. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 向こうを向かないでもいい。
  322. 松浦利尚

    松浦(利)委員 委員長、ぼくに何でそんなことを言うのかね。関係ないじゃないか。質問しようがないじゃないか。何で言うんです。  四十八年の四月十一日に、ここに来られました三井物産会長は、そのときに私たちに約束をしたことがある。三井物産の橋本会長は、商社活動の基本というものは、輸入行為、つまり水ぎわから水ぎわまで物を持ってくることが一番重大な行為であります、ですから、皆さん方が御指摘のような問題については、定款を早急に整理をして、整理をするものについては整理をすると、われわれ国会に約束をしたんだね。具体的に三井物産は定款の整理を終わりましたか。やりましたか。お答えいただきたいと思う。
  323. 池田芳藏

    池田参考人 定款の変更は株主総会の決議が要りますので、私の知っている範囲においては、そういうことはなかったと思います。  しかし、社内的には社会関連室というものを設けまして、前回橋本会長がどういうことを申しましたか、おそらく私が申し上げましたように、物産らしくない零細な商品についてはなるべく手を引く、手間ばかりかかって、ちっともこれは会社のスタンドに貢献しない、のみならず、こういう問題があるときには、非常に、何と申しますか、要するに非常に繁雑なものは、その人たちにまかせていこうというのが私の方針でありますが、繰り返すようでありますけれども、頼まれた場合にどうするかということが問題でありまして、相手と話がつけば、なるべく御指摘のような商品につきましてはわれわれは手を引きたい、かように思っております。
  324. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、さらにほかの商社の方にもお聞きしておきますが、丸紅さん、あなたのところは、この前の四月十一日には、例のモチ米の買い占め問題で、あなたは、米を取り扱わない、こう言ってここで明言された。取り扱っておらない、事実そのとおりだと思う。しかし、定款を変更したですか。取り扱えないように、定款の変更を終わっておりますか。
  325. 桧山広

    桧山参考人 おっしゃるとおり、米は絶対取り扱ってませんし、内地米はやってませんし、ただ、まだ定款の変更はいたしておりません。
  326. 松浦利尚

    松浦(利)委員 国会で、整理をするということを、六大商社の方はみんな私たちに約束したんだ。約束したら、少なくとも定款の整理をする、どういうところを整理する、こういう内容について整理をするということを明確にすべきなんです。昭和四十六年以降定款の変更をあなた方は行なった。伊藤忠商事、生命保険代理業務。三菱商事資源の開発、探鉱業、ガスの売買及び輸出入業。日商岩井、動産の貸借、売買、農産物の栽培、植林、水産業の採取、養殖、畜産業、貴金属、宝石、美術品の売買。四十六年以降、いま私が指摘したように、伊藤忠三菱日商岩井は定款の変更をずっとしてきたのです。この定款の変更によって、いまや六大商社は、もうまさしく業務の拡大がどんどん広がっておるのですよ。そういうのべつもなく広がっていく定款の変更によって、国民の生活が、場合によっては犠牲を受けるという場合が出てきておる。  この際、それぞれの皆さんに申し上げます。三菱商事から六大商社全部そろって早急に変えられて――株主総会があることは事実でしょう。しかし、その場合に、あなた方の案として、どういう部分について定款の変更をするという骨子でも、本委員会に出す意思がありますか。  その点、ひとつ、理事会なら理事会にはかって私のほうでは要求いたしますが、理事会の要求があれば出す意思がありますか。三菱商事から答えてください。
  327. 藤野忠次郎

    藤野参考人 定款の変更は容易ならぬことではありますが、もうすでに御承知のとおりの国内金融の事情――少し長くなってもよろしゅうございますか。(松浦(利)委員「簡単にやってください」と呼ぶ)
  328. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 簡単にお願いします。
  329. 藤野忠次郎

    藤野参考人 社内で再検討を、現在すでに続けております。ですけれども、ここで、この来たる総会にはかるかどうかということは、いますぐここでは断言できかねます。
  330. 松浦利尚

    松浦(利)委員 六人全部やってください。
  331. 池田芳藏

    池田参考人 藤野参考人意見と同様であります。
  332. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ、いまの意見と違う人がおられたら発言してください。――みんな同じだ、こういうことだけれども、いいですか。あなた方はこの前参考人でここに出てきたときに、国民の批判を受けたときに、あなた方はそういうふうにすると、こう言われたのだよ。ところが、そういうことをすると言われて、もう一年たった。もう間もなく四月十一日で、一年たとうとしておるのです。しかし、あなた方は何にも準備されておらないでしょう。いま検討中だ、検討中だ、だけでしょう。実際に商社がやらないと言うが、定款によって削減されなければやれるのですよ。いまやらなくたって、定款から削減さしておかなければ、将来またやるかもしれない。そういった意味では、この定款の変更をやると言っておきながら、正確な定款変更ではありませんでしたが、取り扱いは慎重に再検討いたしますという御返事をしておきながら、あなた方は、きょうもまた同じことなんだ。結果的に、あなた方がやっていることは、同じことの繰り返しなんだ。  しかも、商社の今日の国内における物資の扱い量、わが国内における業務の領域というのは、あなた方六社で、国内取引のシェアの六〇%を持っておるんですよ。従来からの三井、三菱というところ、あるいは住友、こういうところは貿易が多い。国内の扱い量は少ない、全体に占める割合は。ところが、丸紅飯田などは国内の取引が六〇%なんですよ。水ぎわから水ぎわまでは四〇%でしょう、あなた方の全体の取り扱い量の中の。六〇%が国内でしょう。間違いないでしょう。どうです、丸紅飯田。
  333. 桧山広

    桧山参考人 経済環境なり貿易環境によって、それが五五になり、六〇になり、四〇とか……。私どもは、できれば輸出輸入三、三、国内三ということを理念として追ってまいりますが、そのときの経済環境によって、それが国内が六〇になり、貿易が四〇になったり、あるいは五五になったり、そういうことを繰り返しております。
  334. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、代表して三菱、それから三井のあなた方にお尋ねをいたしますが、実は、定款の変更でのべつまくなしに、先ほど言ったように、次から次と何でも扱えるように商社の定款が変わっていく。そのことが国内のシェアをだんだんと拡大をしていく。三井物産の橋本会長がこの国会で発言をされた、商社活動の基本というのは、輸入行為、つまり水ぎわから水ぎわまでを原則とするんだ、一番大切にするんだと言っておられた姿から、もう上陸をしてしまって、完全に流通まで支配をしてしまう、そういった状態に来ておる現実の姿が、私は、丸紅飯田などは浮き彫りにされてきておると思うのですよ。  ということになりますと、あなた方が定款の変更をせずにさらに拡大をしていくということになれば、商社法をつくらざるを得ない。商社の皆さん方の活動分野はこれですよという限定を、国民の側で加えないとたいへんな問題になる。あなた方の間違った行為によって、たいへんな犠牲を国民が受けるんです。  あなた方は、ほんとうに国民の立場に立ってやっておるんだと、盛んにこう言っておられる。しかし、毎年あなた方を、参考人でここで呼ばなければならぬような事態が起こっておる。先ほど自民党の質問者も、あなた方をきびしく指摘をしておる。毎年同じことを繰り返していくなら、国民の側で、あなた方のする仕事の範囲はこれだけですよときめざるを得ないんですよ、はっきり言うと。商社活動規制するための商社法をつくらざるを得ないじゃないですか。つくるような世論をつくっているのはあなたたちなんです。私は、このことは非常に大切なことだと思う。  この際、三菱と三井、それから丸紅社長さん、先ほどは与党の質問に対して、商社法などは必要ない、おれのほうでやるんだ、こう勢いよく言われたけれども、現実には、一年前もう、橋本会長が言ったと同じことを私はここで質問しているんです。全く同じことだ、これは。その点について、あなた方がやる気がなければ、われわれのほうで商社法をつくる。やる気があるのかないのか。ほんとうに国民の立場に立って活動分野を制限する、特に生活関連物資等については、商社ができるだけ手を出さないようにする、価格のコントロールというようなことはしないんだという、そういったことについて、これは六人の商社代表の方々に、ぜひひとつ、簡単でいいですから、必ずやるかやらないのか、決意のほどをもう一ぺん聞かしていただきたい。
  335. 藤野忠次郎

    藤野参考人 取り扱いが内外ともに多岐にわたり過ぎて、いろいろの事情はありますけれども、ことに、生活関連物資についての取り扱い商品を整理したいということは、これはもう真剣に検討中であります。  それから、実際問題として、こういうふうな金融情勢になってきたら、やろうと思ってもできないです。たとえば、少し長くなってもよろしければ、わが社の実情を申し上げたいと思いますが、去年の前期の、これは有価証券報告書を見てもおわかりと思いますけれども、前期取り扱い高が約五千億ふえているわけです。これによる必要な資金が千九百億。千九百億分のうちで借り増しができたのは、銀行筋から千二百億しかないんです。だから、七百億すでに足らないんだ。その七百億はどうしたかというと、結局現金を取りくずし、それから社債を売りさばいてようやくしのいだ。これが三菱商事の去年の九月末の実績なんですから、その後、金融引き締めとか選別融資とか、いろいろな事情があるし、やろうと思ってもなかなか、そっちのほうからもできないし、意欲があったってできないし、積極的に、みずからこれは整理せざるを得ないということを真剣にやっております。
  336. 池田芳藏

    池田参考人 先ほどの商社法の問題に関連いたしまして、私どもは自分の力の限界を知っているつもりであるから、そんなに野放図に大きくなっていくはずはないということを申し上げたんですが、私はそのように思っておるわけでして、たとえば金融が非常に多いじゃないかということですが、先ほど、長期が五千何百億と申しましたが、これは、資源開発に出ておるということの如実な証拠であります。これらの資源というものはわれわれにとって不可欠なものでありますので、われわれはそういうところに金をつぎ込んで、そういうものは確保せざるを得ないということがあるわけであります。  国内につきましては、なるほど水ぎわから水ぎわというのが、われわれの本命とするところでございますけれども、何ぶんにも内地の流通機構というものは、御承知のように非常に複雑をきわめておる。しかも、パイプが細いというところに、われわれが頼まれてここへ入っていって、だんだん大きくなっているというのが現状ではなかろうかと思います。  その意味におきまして、われわれは、あまりにも零細なものから手を引きたいということでありまして、そのために定款の変更を必要とするならば、これは十分研究の上手をつけたいと思いますし、その前に、業務の内に社会関連室を設けて、そういう問題については、きめこまかく検討しておるということを申し上げたいと思います。
  337. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 松浦君に申し上げます。  あと八分ですが、全員聞くとそれで終わりになりますが、いいですか。
  338. 松浦利尚

    松浦(利)委員 簡単でいいですからやってください。大切なことなんです。
  339. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 簡単にお願いします。イエスかノーか。
  340. 越後正一

    越後参考人 原則として、われわれは貿易関連商品は引き続き積極的に取り扱うが、零細企業と競合する商品は取り扱わない、また、商社機能を発揮しがたい取引形態の商品は取り扱わない、これが原則でございます。   したがって、繊維ものであれば、医療用のガーゼ、包帯、リボン、絹糸あるいはまた装身具とか玩具、陶磁器、文房具、そういうものはやらないと、もうすでに決定いたしております。
  341. 桧山広

    桧山参考人 私どもも、輸出輸入の拡大、資源の確保が基本的な姿勢でございます。ただ、国内も、流通段階の合理化という線から商社が介入していきますと、たまたま先生のおっしゃるような中小企業との関連が出てまいります。そういう意味で、これも、どういうふうに国内の流通段階を私どもはになっていくかということも、十分考えていかなければならないと思います。  それと同時に、商品的に大商社としてやるべきでないというようなものはどんどん整理しながら、おっしゃいますように、必要とあらば定款も変えていくという考えであります。
  342. 辻良雄

    辻参考人 生活関連物資の国内取り扱いについては、極力避けていきたい。しかしながら、同じ生活関連物資でも輸入品がございますので、このほうは続けていきます。そういうことになりますと、定款を変更すべきかどうかということにつきましても、なおよく検討してみたいと思います。
  343. 柴山幸雄

    柴山参考人 私どもも、零細な企業と競合する、そういうことはかねがねやらぬようにしておりますし、今後もやりません。
  344. 安本和夫

    安本参考人 私は、商品の選択もさることながら、企業活動が社会のためにならなければいかぬという観点からすべてを考えておりますので、そういうように規制したいと思っております。
  345. 松浦利尚

    松浦(利)委員 トーメン社長は、四月十一日おいでになっておりませんでした。きょう初めての決意だと思うのです。  それで、いま各商社のトップの方が約束をされた。少なくともこれから一年、この討論を通じてあなた方が国民に約束したことは、もう二度と再びここにあなた方が参考人として出席されて、いろいろと追及を受けることがなくなるという前提だと思う。そういう意味で、ひとつ、きびしく定款の整理その他に対処していただきたいと思います。  それから、最後になりましたが、御承知のように、商社企業活動あるいは信用保証を増大するために土地に手を出す。先ほど阿部委員からも指摘がありましたが、ダミーを使う場合もあるし、直接手を出しておる場合もある。本来商社が行なうべき土地というのは、事務所の設置とか、商社が行なう企業活動に必要とされるものに限定されるべきだと私は思う。そういった意味で、この土地問題についても整理をする。これほど土地がやかましい状況でありますから、少なくとも、値上がり待ちあるいはキャピタルゲインをねらう土地というのは、直ちに国民の前に放出していただきたい。建設省との間に何べんも、あなた方が持っておるそれぞれの土地についてはもう出されておる。いま国民は土地がなくてたいへん苦しんでおる。少なくともこの都市圏、六大都市周辺に持っておる商社の土地は、直ちに放出させるべきだ、国民のために還元されるべきだ、私はそう思います。  そこで、これもあらためて整理をし直して、国に、持っておられる土地を出す意思があるのかないのか。あるかないかだけでけっこうです。あるならある、ないならないということを、全部、トーメンさんを除く六大商社社長さんから、国民にひとつ返事をしていただきたい。
  346. 藤野忠次郎

    藤野参考人 わが社の場合には、先生がただいま御指摘になったように、業務上必要最小限のものしか持っておりません。これが合計で約四百二十八万平方メートル、これは事務所とか油槽所とか、そういうものでございます。したがって、余っておるものというものを、いますぐ出すという考えはございません。
  347. 池田芳藏

    池田参考人 私どものほうの土地に関する方針は、それを使って国のためになるものをつくるという意味において買うということで、松浦先生の御意見、全く賛成であります。しかし、よく調べまして、そうでないものがあるとすれば、これを放出するにやぶさかではありません。
  348. 越後正一

    越後参考人 地方公共団体、自治体その他の要請によりまして、あれば必ず譲渡いたします。すでに二件、大田区の沼部二千三百平方メートル、世田谷区の池尻二千六百平方メートル。今後もこういう考え方で、極力そういう方面の御要望があれば、喜んでお出しします。
  349. 桧山広

    桧山参考人 私のほうの手持ちのうち、二百七十四万平方メートルは現在造成工事中でございます。七百二十二万平方メートルは開発申請中でございます。残りがいま許可申請で相談中でございます。全部こうした宅地用が大半の用途で、中央御当局と種々連絡をとりながら進行中でございます。放出するものは、この前建設省からのお答えで、全然ない、こういうものは要らぬ、こういうことで、私ども近郊都市ではそういうものは持っておりません。
  350. 辻良雄

    辻参考人 私どもの所有土地は宅地造成中のもの、マンション建設中のものでございまして、放出すべき土地はないように考えますが、御要望があればこの中からでも放出いたしてけっこうでございます。
  351. 柴山幸雄

    柴山参考人 前回の物特委員会参考人のときにも申し上げましたが、当社は元来不動産会社でありまして、その上に商事活動をしておるわけでございます。したがって、不動産関係の技術者その他もおるわけでございます。しかし、先ほど申されたような、値上がりを待って土地を買うとか利用するとか、あるいはキャピタルゲインを目的に土地を持つということは一切いたしておりません。もっぱら住宅用の土地を手当てし、それを土地造成し、あるいはそれにマンションを建てて皆さんにお分けしているわけでございます。  なお、放出については、特に放出せよという命令はいただいておりませんけれども、われわれの持っている土地の中で、たとえばここを小学校の用地にほしいといわれたところあたりは、御相談の上、それをお譲りしていることはございます。  以上でございます。
  352. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 時間がありませんから急いでください。
  353. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それでは私の質問はこれで終わりますが、参考人の皆さん方は、昨年お呼びしてまたここにお呼びをして、同じことの繰り返しであります。くどいようでありますが、国民に約束されたことは実行する、そのことを一つ最後にさらにつけ加えて、私の質問を終わりたいと思います。
  354. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて松浦君の質疑は終了いたしました。  次に、楢崎弥之助君。
  355. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 正確を期さなければいけませんから、午前中、私は誤って会社の名前を言いました、訂正をいたしておきます。日商岩井さんの系列第一の子会社、これを日新製糖と言いましたが、日本精糖であります。そこで、フジ製糖、新名糖、日本精糖、この三社合わして昨年十二月の販売量を三万トンと仮定すれば、先ほど申し上げたとおり、不当利得は、日商岩井さんは四億五千万円、そして糖安法のメカニズムを考慮すれば七億の不当利得を得られたことになる。そういうことでありますから、この点は訂正をいたしておきます。  三井物産にお伺いをいたしますが、私は水の問題にこだわっておりますけれども、これは非常に重大なんですよ。いいですか。この水かげんによって税法上問題があることを御存じですか。砂糖の水かげんです。
  356. 池田芳藏

    池田参考人 砂糖の中に水が入っているとは私は思いませんが、たいへん技術的な問題がありまして、私自身は、水というよりも、まあ英語でいえばモイスチャーじゃないかと思いますけれども、これは有機物でありますので、よそのことを申し上げて恐縮ですが、お許しいただくならば、たとえば南米からトウモロコシを輸入する。私はやった経験がございますが、これもモイスチャーが入っているわけですね、水分が。これは多いと、黙っておっても船倉に一ぱい積んできたら途中で爆発してしまうということがありますので、水分というものはインピューリティーと並んで非常に重要なインスペクションの対象になるものであります。砂糖につきましても当然そうであろうと思いますので、そこのところは、技術屋でない私にはよくわかりませんが、当然適正なるスペシフィケーションに基づいたモイスチャーが混入されておるべきであろうと思うだけでございます。もしそれに違反しておるとすれば、これは当然訂正されなければならぬ問題であろうと考えます。
  357. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これはさっそくある税務署から電話がかかってきましたよ。事実とすれば税法上問題がある。一応警告をいたしておきます。  そこで私は、これをより明確にして締めくくりをしておきたいのですよ。いいですか。砂糖は元来吸湿性があるのですよ。ほっておったら水が蒸発するのじゃなしに、空気中の水を砂糖のほうが吸うのですよ。何言っておるのですか、あの水野さんは。水がついておるかどうか知らぬが。だから全く逆のことを言っているのです。ふざけちゃいけませんよ。それで一応明確にしておきます。上白糖の標準値であります。水分は年間を通じて〇・八プラスマイナス〇・二、これが普通であります。そして問題の乾燥度を調節するために還元糖、ビスコをかけるのであります。そして砂糖の場合、消費者に迷惑をかけないように、固まらないように、固結防止策というのを各メーカーはとられておるはずです。いいですか。そして、そのために先ほど申し上げた還元糖、ビスコをかけるのです。したがって、いまから申し上げることも、水野さんは逆のことを言っているのですよ。水分量は乾燥季においては少ないほうが固結防止に有効なんですよ。いいですか。逆ですよ、話は。何か十一月は乾燥季だから水をよけい入れた。何を言っているのですか。冗談じゃありませんよ。そこで、この還元糖、ビスコで調節をするわけですから、つまり乾燥季にはビスコをよけい使うのですね。そしていわゆる雨季には少なくする。五月から九月まではビスコの場合は一・二〇プラスマイナス〇・二、十一月から三月まで、これは雨季を含んでおりますから一・四〇プラスマイナス〇・二、多くするのです。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕 四月から十月まで、これは一・三〇プラスマイナス〇・二、わかりましたか。  したがって、水野氏は完全にうそを言っておるのです。逆のことを言っている。三井物産は、こういうふらちな人を三井製糖の社長として送り、全日本精糖工業会の会長として送っておるならば、責任上これをやめさして引き揚げなさい。並びに、明確にするために、私は、だまされたのだから、記者会見をやって堂々とそんな逆のことを言っておるのですから、証人としてあらためて喚問することを、午前中も申し上げたが、ここでもう一度重ねて要請をいたします。理事会でお取り計らいをお願いをいたします。
  358. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 よく理事会で相談をいたします。
  359. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、引き続いてお伺いをいたします。  午前中も、商社企業関係で、商社企業を支配するというのは、たとえば持ち株の問題あるいは商社金融の問題、あるいは人を送り込んで、そしてまるごと企業を支配する、これについての反省を求められました。砂糖産業の場合は累積赤字がずっと続いておった。私は、水野さんにも聞いたんですよ。なぜ、これほど累積赤字の多い砂糖産業に商社はまつわりつくんですか、何のメリットがあるんですかと聞いたんです。そうしたら、水野さんおっしゃるには、いや、メーカー側が困って助けを求めにきたから、協力をしておるだけです。午前中も、それに似た話がありましたね。そうですか。これは三菱商事にお伺いしましょうか、まだ聞いておりませんから。
  360. 藤野忠次郎

    藤野参考人 ただいまの御質問ですが、一面の理由にそういうことがあると思います。現に、自由化された以上の糖業界は、世界のもの笑いになっていることは事実ですから、しょっちゅう赤字になる、これは日本産業において、このくらい珍しい産業はないはずです。それは皆さん、御承知のとおりだと思います。しかし同時に、総合商社も原糖を入れて、そしてその製品を扱うという、取り扱い量をふやしたいという気持ちも当時はあったかと思います。以上です。
  361. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは表面の言いわけでありますよ。砂糖のほうは産業を、砂糖メーカーを、まるまるかかえていらっしゃるんですよ。そこからいうならば、商社と一心同体、そしてそのメーカーから助けを求めてきたから手助けをする、身内同士でそんなことはあり得ますか。なぜ、これほど赤字の累積した砂糖産業に商社は魅力を感じ、まつわりつくか。いろいろな面もありましょうが、私は以下述べる点が非常に重要であろうと思う。  つまり、いま砂糖の需要量のうちで、七五%がいわゆる食品加工のほうに行くんです。お菓子とか飲みものとか、そういう原材料に使われておる、食品加工のですね。だから、砂糖を制するということは、食品産業全体を支配することになるんです。すなわち、砂糖こそは、食品業界を支配し系列化するための重要な戦略商品であるという点か一番重要なんです。だから、累積赤字の製糖メーカーを金でささえてきたのも、こうした食品産業全体を支配する野心があったからにほかならない。もし食品産業が商社の手に押えられたら、一体どうなりますか、国民の食生活がすべて商社の手に握られることになる。たいへんなことですよ、これは。もう少しあなた方は考えなくちゃいけない。  いま一つの問題は何であるかというと、あなた方は、したがって砂糖産業を再編成して、そうして工場を整理統合し、集中生産体制をつくる。そのメリットは何か、つまり砂糖には確実に需要があるということ、だからやりようによっては、独占利潤を上げることができるということ、すなわち、もし完全に集中生産体制にしてしまえば、いわゆる独占体制になって、管理価格がその次、必ず来ますよ、有名な管理価格が。だから砂糖の値は上がるんです。下がることはない。それがねらいです。つまり、ばく大な利潤を砂糖によってあげる、その可能性がある。私は以下、具体的にそれを申し上げたい。  あなた方の考えておる砂糖の業界の再編成構想とは一体何か、つまり昭和五十二年あるいは五十三年を目標にして、あなた方は再編成構想を持っているはずである。その構想は、簡単に言えば、ばらばらになっておるのを一商社で一企業にしてしまう、これが戦略目標である。  そこで私は、具体的に聞いてみたいのですけれども一つ例をあげましょう。三井物産にお伺いをいたします。  三井物産は、九州製糖の株を八〇%持っている。去年の九月一日には、社長に森田さんを送り込んだ。そしてさっそく始めたのは何か。私のふるさとの福岡市、湾を埋めて、二百八十四万ヘクタールですけれども、それはどのようにして埋め立てられたかというと、福岡市が三三%金を持つ、博多港株式会社が二二%、三井不動産が四〇%、そしてそのほか、地元の西鉄とか九電あるいは西部瓦斯五%、これでまず埋め立てた。二月二十五日、きょうから福岡市議会は始まって、この土地の買収がかかるはずです。つまり九州製糖の名義で三井物産は、その埋め立て地のうち四万七千ヘクタールを買収申し込みをしておる、すでに仮契約ができたともいわれておる。土地の買収金額は二億何千万かですね。そこでいわれておるのは、九州製糖の古い工場をこわして、そして地元にあります第一あるいは新光製糖を一緒に閉鎖してしまって、新しい工場をつくる構想であるといわれておるのです。そのための土地買収である。しかし九州製糖が金を持っておりますか。御案内のとおり、一つの工場をつくる場合の設備資金はどのくらいかかるか。大体日産溶糖量、トン当たり設備資金は二千万円といわれておる。九州製糖の新しい工場がもし千トン工場であるならば、二百億の金が設備投資で要ります。だれが出すのですか、三井物産が出すんですよ、そうでしょう。まず、その点をお伺いします。
  362. 池田芳藏

    池田参考人 九州製糖は、おっしゃいましたように、われわれは八〇%の株式を持っておるわけですが、これはいままでの経営者のたぶん板波さんだと思いますが、近所に道路が新しく建設されるために工場の移転をせなならぬということがありまして、経営の意欲を失なわれたと見受けられ、われわれのところへ御相談にこられたわけでありまして、その結果、われわれのほうから人も送り、これの経営に当たっておるということは、私の承知しておるところでございますが、いまの新工場にいつ移るか、四十七ヘクタールの土地をいつ幾らで買うかということにつきましては、私は現在においては十分承知しておりません。
  363. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 何も御承知ないんですね。そこで、いいですか、どういうことが起こるかというと、九州製糖をつぶす、直ちに労働者の首切りですね。そして集中生産体制、つまり寡占化、独占化へのいわゆる出発です。そこでさらにお伺いしますが、三井物産はこの業界再編成の構想について、次のように設定しておるようにいわれておりますけれども、事実かどうか。以下申し上げます。  関東地区は、台糖川崎工場と三井川崎芝浦を閉鎖する、そして三井船橋新工場をつくる。東海地区は東海糖業と東海製糖を閉鎖して、東海名南新工場をつくる。近畿、中国、四国地区は台糖神戸工場、三井大阪工場を閉鎖して台糖神戸新工場と三井岡山工場をつくる、九州地区は九州製糖と第一、新光砂糖、これを閉鎖して九州箱崎新工場をつくる、大体五十二年から五十三年にかけての目標である。以上、間違いありませんか。
  364. 池田芳藏

    池田参考人 砂糖に関する経営はつかさつかさで担当の常務がおってやっておりますので、遺憾ながら、私はいまおっしゃったような構想は、現状において承知しておりません。
  365. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それは確かかどうか、ひとつ調査をして調べて、自分の会社のことですから、御報告をいただきたい。  それでなお、その土地の買収問題について、福岡市は商社には絶対に売らないと言っておるのです。森田社長は、合理化の団体交渉の席上、いよいよ問題があったらこの土地売ればいいじゃないか、三井物産は、売ればいいじゃないか、そこまで言っているのです。福岡市は商社には売らないのです。言うならば、九州製糖の名をかたって、三井物産が四万七千ヘクタール手に入れる。そして、いま土地問題がやかましいからじっとしておって、あるいは――あるいはですよ、これは。あるいはぱっと売るかもしれない。これはあるいはです。私はこういう土地買収は取りやめるべきである。三井物産社長は、調査の上、ひとつこれは慎重にやってもらいたい。いま福岡市議会では、港湾特別委員会も、これは労使の話し合いがつかなくては土地を売り渡すべきではないという結論になっておるようであります。労使の話し合いができなくては。だから、そういう点で御無理なさらぬように、ここはひとつ労使の話し合いが十分ついて、福岡市民の消費者の皆さんも納得の上で、このことが運ばれるよう要望いたしますが、社長の御見解をこの際承っておきます。
  366. 池田芳藏

    池田参考人 おっしゃったとおり、極力慎重にやることをお約束します。
  367. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 慎重にということは、福岡市の港湾委員会でも、労使の話し合いがつかなくては土地は売らない、そういう内容に沿ってのことであるとここで確認をして、先に進みます。首を下げられましたから、了承だと思います。  そこで、この業界のほかの再編成の方向についてお伺いをいたしておきます。つまり、砂糖業界の再編成、いま大体三十三ぐらい工場がある。それを、既設の工場はなるたけ閉鎖していって、つまり、つぶしていって、十一ないし十二の工場にしてしまう。つまり集中体制ですね。言うなら独占体制、一商社企業という体制。で、何回も三井物産恐縮ですが、まず三井物産から始めます。  三井物産は東食、トーメンを含め、三井製糖、台糖、九州製糖、第一糖業を合併して大三井製糖をつくる構想、さらに将来は東海糖業と東海製糖、これも将来それに合併さしていく、これが三井物産の構想ではないのか。  次に、三菱商事、これは明商も含めます。明治製糖、大日本製糖を中核とする三菱製糖をつくる、これが構想であります。そしてその前段として、まず東日本製糖を設立し、続いて先ほど申しました福岡市の箱崎の食品コンビナートに西日本製糖をつくる、これが構想であります。  次、日商岩井。新名糖とフジ製糖との合併で日商岩井製糖をつくる。  次、丸紅。神戸精糖と東洋精糖との合併で丸紅精糖をつくる。  伊藤忠は、すでに新日本製糖と合田製糖を統合した伊藤忠製糖が四月に発足する予定である。  以上、間違いないかどうか、順次お答えをいただきたい。どうぞ三菱商事のほうから……。
  368. 藤野忠次郎

    藤野参考人 私のほうは、関係会社として大日本製糖の株を約九%、それから明治製糖は約一〇%、それの株主であります。  糖業界というのは、御承知のとおり、自由化以来、もう二十年にわたっていずれも赤字の連続、それで、先ほど先生からお聞き入れがなかったけれども、実際問題としては、多分に製糖会社自体から援助を頼まれたことは確かです。将来の構想を、たとえば大日本製糖とそれから明治製糖、これを合併させるとか、これで新会社をつくるとか、いろいろ検討はしていますけれども、なかなか大日本製糖には大日本製糖の長い歴史もありますし、明治製糖にもありますし、そう簡単にいくとは思っておりません。
  369. 池田芳藏

    池田参考人 楢崎先生指摘の計画につきましては、研究をしておるかもしれませんが、そのような計画が現実にあるかどうか、私は承知しておりません。
  370. 越後正一

    越後参考人 伊藤忠としましては、御指摘のとおりでございます。
  371. 桧山広

    桧山参考人 私ども、この東洋精糖については、いわゆる体質の改善と、それから金利負担の軽減というようなことから、協力と支援をもらっておる。  名古屋精糖は、御存じのような更生会社になって二分割命令と申しますか、二分割案が更生案として決定になりましたので、私どもが神戸の工場を受け持つことになりまして、その両社の合併が国家的の目的に合するのか、あるいは企業としてプラスになるのか、まだ検討もしておりませんが、御指摘のように、もしそれが企業としてそのほうがいいんだ、あるいはそれが国益にマッチするのだというならば検討しようと思いますが、いまの段階では何も考えておりません。
  372. 辻良雄

    辻参考人 ただいまのところ、新名糖とフジ製糖との合併のことについては考えておりません。
  373. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは将来計画でありますから、いずれ将来わかるはずです。ただ、先ほど申し上げたとおり集中生産体制、つまり一商社企業の方向へ向かうことは私は確実であろうと思います。これは私は、先ほど申し上げたとおり非常に問題がある、十分見守りたいと思います。  次に、本来商社輸出活動でたいへん御苦労なさっております。その功績は私どもも認めます。ただ、国内の流通にまで手を伸ばしてこられたことについて、昨年来通産省が、国内流通から商社は手を引くべきであるという見解を持ち出され、そのときに、商社の猛反撃にあってこの構想はつぶれたわけでありますけれども、こういう戦線縮小と申しますか、国内流通から手を引くという構想について、一体どのようなお考えを持っておられましょうか。全部聞きますと時間がございませんから、一番右にすわっておられます三菱商事社長にお願いします。
  374. 藤野忠次郎

    藤野参考人 国内流通からできるだけ手を引きたいと思っております。  ただ、問題になるのは、国内流通から手を引いた場合の主として中小企業、現に私のほう自身が、これは私のほう自身の会社を言いますけれども三菱商事自体で五〇%以上の株を持っておる子会社が約九十あるわけです。九十のうちの大半は長年の間無配です。ほとんど自活できないわけです。それで、流通機構を改善するためにそういうところから手を引いてしまう、一方的に手を引く、手を引いたほうがいい。計算的には商社の経営も非常に苦しいわけですから、先ほど申し上げましたように。銀行も十分金を貸してくれない、これは事実ですから。そうすると、効率的に資金を使うということは当然であって、それがみんないま使われていないわけですから、ほんとうは手を引きたいところがずいぶん多いわけです。その場合に、失業者が起こるのをどうするかという問題です。木材の場合でもやってみました。木材を輸入したのを直接商社に渡したらどうかということをやってみた。ところがこれは四面楚歌。だから、その対策を十分考えた上でないとこれは簡単に手を引けない。単純化する、同時に根本の目的は、そういった中小企業、零細企業の救済、この人たちも生かさなければならぬということが根本だろうと思います。それである以上は……(「慈善事業だ」と呼ぶ者あり)慈善事業じゃないです。商社も十分のことはやると同時に、商社だけの力に負えない部分もあるに違いないから、これはやはり政府も別の方法で、そういうふうに手を引いた場合に、あるいは流通の合理化を思い切ってやった場合に起こる被害者を救うという道がつかなければ、その点は私もしょっちゅう悩んでおることは、自分の子会社に対しても同様であります。おそらくはかの商社も同感じゃなかろうかと思います。
  375. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 流通から手を引きたい、そういう考えはあるけれども、いま直ちに、いろいろな点を考えると具体化するというわけにもいかない、そういう御答弁のように承りました。(藤野参考人「その場合に失業者が起こるから」と呼ぶ)だから、いろいろな問題があるから、直ちには取りかかれない。いまおっしゃったような点は、これは別個のいろいろな救済方法があるのです。だから、問題は、商社が国内の流通まで押えてしまっておるというところに問題があるわけですから、これは十分ひとつ検討に努力をしていただきたい、このように思うわけです。  石油のせんだっての告発の場合もそうですが、いわゆる通産省の指導と独禁法違反の関係が非常に微妙になってきておる。砂糖の場合もそうであります。つまり、砂糖需給協議会のガイドポスト、生産指標でありますが、これが非常に問題である。土曜日も公取委員長から見解が示された。  で、皆さん方は、どの商社も全国代理店会をつくっておられますね。そしてメンバーは十四社、幹事は持ち回りのようでございますが、いま幹事はどこの商社がなさっていますか。ちょっと手をあげていただきたいのですが……。(「砂糖需給協議会の幹事」と呼ぶ者あり)いやいや、全国代理店会の幹事です。――おわかりにならなけれけそれでよろしゅうございますが、この全国代理店会から需給協議会に入っておるわけですね。農林省の砂糖類課も入っておる。あるいは事業団からも入っておる。特約店の組合からも入っておる。そこで、ここできめられるガイドポストというのは、いわゆる農林省の行政指導とかかわってくるわけであります。石油の場合の通産省の行政指導との関係と同じである。土曜日も公取委員長から指摘があったのですけれども、きめられたそのガイドポスト、これに対して需要実績が常に上回っておる。つまり、ガイドポストは低く押えられ過ぎておるのではないか、こういう指摘があったわけですけれども、これはどういうわけでしょうか。ガイドポストよりも実績が上回っておるというのは、伊藤忠さん、どうでしょうか。
  376. 越後正一

    越後参考人 申しわけございませんが、ちょっとわかりません。
  377. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 つまり、生産の目標をきめるわけですよ、半期ごとに、その需給協議会で。それは需給を考えてです。ところが、実際に販売実績が多いということは、そのガイドポストに対して需要のほうが多いという結果になるわけですね。そうすると、逆に見れば生産制限が行なわれた、こういうことになる。だからこの点を、行き過ぎがあると独禁法に触れるということで、公取委員長は見解を土曜日に示したわけであります。だから、もしそのとおりであるならば、低目に低目にガイドポストをきめておる。そして、あらゆる文書、私、持っておりますけれども、各メーカーに対してこのガイドポストによる締めつけをやっておるわけですね。だから、これは完全にやみ生産カルテルになる、このように私どもは思うわけですが、御見解をひとつお示しいただきたいのです。三井物産、どうでしょうか。
  378. 池田芳藏

    池田参考人 遺憾ながらいまの御質問には答えられません。
  379. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 石油業界が公取委員会から告発されたことは御案内のとおりでありましょう。次は皆さん方にくるかもしれませんよ。だから独禁法の研究はしてください。いいですか、三井物産社長を送られておる三井製糖では、土曜日に明らかにしたのですけれども、「みついしゅがあ」という社内報を三井製糖は出しておられます。昨年の三月のその社内報「みついしゅがあ」に、業界のカルテルの動きは顕著になってきた、すでにその動きがあるということが載せられておるのです。どうですか。確実にカルテルの動きがある。このガイドポストはやみ生産カルテルの疑いがあるというのは、そこなんです。しかも実際に実績を見てみてそれが言える。ほかにこの問題について御見解のある方はございませんか。三井物産さんはおわかりにならないということですけれども。  全然独禁法なんてわれ関せずですね。だからあなた方は誤りをおかすんですよ。だから管理価格なんかも、あるいはやみ価格カルテルも結びかねないんです。このように砂糖業界を締めつけて、そして集中生産体制になれば、必ずあなた方は管理価格をつくる。もう目に見えておるのです。平気なんですよ、それは。その証拠には、独禁法をだれも知らぬじゃないですか。これはひとつ委員長から厳重な注意を与えてもらいたい。全然独禁法のことを知らないのですから。(「関係ないよ」と呼ぶ者あり)関係ないんじゃないのです。この需給協議会には商社代表が入っているんですよ。しかも、前期のガイドポストをきめるころから、あなた方は積極的にこの需給協議会に乗り出されたのですよ。なぜですか。つまり市況対策なんです。砂糖の市況対策にあなた方は乗り出したんです。そしてガイドポスト設定に発言権を持って、一方、体制のほうは寡占体制をつくりつつある。目に見えておるのですよ、この独禁法に触れることをやがてやるであろうということは。したがって、私は、こういう点も、ひとつ明確に勉強した上で適切なる商法を行なってもらいたい、このように要望をいたしておきます。  最後にお伺いしておきますが、二問言っておきます。  砂糖は、あなた方が輸入する際に、輸入してメーカーに売るわけですけれども、午前中も言いましたとおり、糖安法による上限価格をそれがこした場合、平均輸入価格を農林省がきめておる、それで一応輸入したものとして取り扱われる。ところが実際には、あなた方は原料糖を買い付けるときに平均輸入価格よりも下の場合もあると思うのですね。ところが実際には平均輸入価格で安定資金をもらう。もし五万四千円をこえて、しかも平均輸入価格よりも下で実際の輸入をやった際には、あなた方がその実際の輸入価格と平均輸入価格の差額は、ぬれ手にアワで手に入れることになる。こういう仕組みになっているんですね。おわかりですか。したがって、商社によって実際の輸入価格は違うと私は思います、先ほど申し上げたとおり。平均輸入価格が安定上限価格を上回っているときには、そして実輸入価格が平均輸入価格よりも安いとき、さっき申し上げたとおり、その差額はまるまるもうけるわけですけれども、一体そのもうけは商社に入るのでしょうか、メーカーに入るのでしょうか。最後にその一問だけお伺いしておきます。
  380. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 どなたかお答えください。
  381. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 お答えになれるところがあったら、ひとつ答えてください。
  382. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 どうも、ないようでございます。
  383. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ないということは、全然御存じないということですか。
  384. 藤野忠次郎

    藤野参考人 私も必ずしも自信はないのですけれども、精糖会社が原糖を輸入して砂糖をつくって、そうして国内価格をきめる。だれがきめるかということになると、それは……(楢崎委員「国内価格じゃないのです、輸入価格です」と呼ぶ)同じことでしょう。結局、輸入価格が上限、下限、つまりある一定の限度より高かった場合には補助があり、安かった場合にはアジャストしてくれる、こういうことなんですけれども、それも農林省の財源があっての話で、その財源はだれから出ているのか、私もはっきりしませんけれども……(「どこに入るのか」と呼ぶ者あり)それはメーカーに入るでしょう。商社関係ないと思います。
  385. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それじゃ、メーカーがその分をまるまるもうけるということになるわけですね。全然ぬれ手にアワでしょう。
  386. 藤野忠次郎

    藤野参考人 もうけるかもしらぬし、今日のように、たとえば昨年ロンドンの相場が一トンについて百一ポンド、きょう現在は御承知のとおり二百七十六ポンド、こういうものを輸入した場合の損失は、メーカーの場合にはどうなるのか。絶えずメーカーが有利に有利にしているとは私は思っておりません。
  387. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 つまり、石油の場合は、便乗して先取りもうけをやったわけですね。砂糖の場合はあと追いですよ。あと追いのもうけをやっております。入り口でもうけ、出口でもうけ、しかもその差額でもうける。これだけ指摘して私の質問を終わります。
  388. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 これにて楢崎君の質疑は終了いたしました。  この際、午後四時五十五分まで休憩いたします。    午後四時四十六分休憩      ――――◇―――――    午後四時五十五分開議
  389. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  質疑を続行いたします。野間友一君。
  390. 野間友一

    野間委員 私は最初に、伊藤忠商事の社長にお伺いしたいと思います。  御承知のとおり、一月八日付で流通システム室長の小谷野修氏が、政府の在庫の調査に関する対策の件、こういう文書を出しておるわけですね。このことについては、すでに会社そのものも認めておられるわけですけれども、これ、一口に言いますと、物を分散しろ、さらにCIマーク、これを張りかえろ、こういう内容の文書になっておるわけであります。  この点について、私もいろいろとマスコミ関係の、会社側の弁明もいろいろ聞いたわけです。いろいろ言いわけをされております。しかしながら、これを出したという事実、これは否定できない事実、しかも投機防止法の五条に基づく調査を受けておる、さらに通産大臣からきびしい警告書まで受けておる、こういう事実を踏まえて、社長はこの事実をどのように考え、どのように反省しておられるのか、まずお伺いしたいと思います。
  391. 越後正一

    越後参考人 お話しのとおり、二十二日の夕方、中曽根通産大臣から厳重な注意をお受けしたのであります。昨年春以来、行動基準を定めまして、機会あるごとに社会的責任の重大さを教育してまいりましたにかかわりませず、このような疑惑を招く問題を起こしまして、まことに申しわけない、その責任を痛感いたしておる次第でございます。  事件そのものは、会社の意図に反して、一人の室長が非常識な内容の書類を作成して、独断で、しかも職権を越えて社内に配付したものでありますが、このような問題を起こした土壌が、一部とはいえ社内にあったことは、まことに遺憾のきわみでございます。  二十一日に投機防止法の第五条が発動されまして、いろんな報告の提出を要求されておるのでありますが、ただいま調査中でございますけれども買い占め、売り惜しみは絶対にないものと確信いたしております。全く、親の心子知らずということばがございますが、九仭の功を声質に欠きまして、断腸の思いで一ぱいであるのであります。
  392. 野間友一

    野間委員 時間がありませんから、簡単にやってください。
  393. 越後正一

    越後参考人 以上で終わります。
  394. 野間友一

    野間委員 瀬島さんの六日付の文書とこの八日付の文書との関係については、あとからまた触れるわけでありますけれども、いま社長の話の中で、遺憾の意を表明する、断腸の思いだ、こういうそれなりの反省があったと思うのです。  それについて、具体的にどのような形で責任をとられるのか、そのことについてお答え願いたいと思うのです。
  395. 越後正一

    越後参考人 最後の調査が終わりまして、結果がはっきりいたしますれば、それぞれ処置を現実に行なう予定でございます。検討中でございます。
  396. 野間友一

    野間委員 中身に買い占め、売り惜しみの事実があるかないかということと、大口商品を分散しろ、あるいはマークの張りかえを行なえ、こういう文書を出したことについての責任は、これは別の問題だと思うのです。こういう文書が、現にあなたの室長から出された、これについて具体的にどのような責任をとられるのかということを私はお伺いしておるわけです。
  397. 越後正一

    越後参考人 いま申しましたように非常識で、商品の分散とか外装マークの変更という問題は、実際上できないし、意味がないと思います。それが出されまして、権限外であり、商品管理というものは持っておらない、営業部門が固有の権限を持っておるのでありまして、全く独断であって、しかも直属上司の流通管理本部長すら知らなかったことでありまして、しかもかってに一月六日の業務本部長と関連を持たせた書き方で出しましたことはまことに遺憾であります。  その後の処置といたしまして、二月二十日、流通管理本部長の名前で全面取り消しをいたしました。また一月八日付流通システム室長の文書を受け取った関係営業部は、これに基づきまして、在庫の分散、外装マークを変更したかどうか、当該営業部長に責任をもって調査させました結果、これらの行動が行なわれた事実がないということがはっきりいたしましたので、二十三日の午後発表さしていただきました。
  398. 野間友一

    野間委員 私はその答弁には納得できないのです。あなたのほうでは六日付の文書と八日付の文書、八日付の文書は本部長すらも知らなかったものである、いまこういうお話をされましたね。これはいろいろと記者会見でも言われております。しかし、私はそれはうそだと思うのです。知らないということはあり得ないというふうに私は考えておるのです。  ところであなたのところは、昨年の四月の十一日に物価特別委員会の中で、私もここであなたにお会いをいたしました。あなたのところの土地の買い占めの問題について私はいろいろとお伺いしたわけであります。その中で、私は土地に関していろいろと資料を出していただきたい、とりわけ商品用土地の購入日時とか価格とか、そういうものについて詳細資料を出していただきたい、こういう要求をいたしました。これは御存じのとおりなんです。そして、私のこの要求に基づいてあなたのほうでは資料を出してまいりました。私は、この資料が、はたしてほんとうのものであるかどうか疑ってかかりました。あれだけ世論の糾弾があり、あのころは土地、大豆、株式、いろいろと売り惜しみ、買い占め、これが問題になったわけです。そしてここへあなた呼ばれた。そして資料を要求されて出してこられた。しかし私は、これがほんとうのものであるかどうか、隠してはいないだろうかということで調べたわけです。これについては、衆議院の物特の中でその後私は事実を指摘して、この中には大口の不動産の取得が隠されておるという事実を明らかにいたしました。  再度申し上げますと、たとえば、あなたのところから出た資料によりますと、これは会社で聞きますと二千平米以上のものと、こういうことで出したという話でありますが、面積が八百八十一万七千平米、それから取得金額が八十八億九千八百万円、こういうトータルの資料が出ておるわけです。これは四十七年の下期です。トータルしますと二百三十二億六千四百万円、こういう資料が出たのです。ここで私は洗ってみました。特に全部が全部私は洗うわけにはまいりませんから、自分の足で歩くわけですから、これを四十七年の下期に例をとって調べてみたわけです。そうしますとここには大きな脱漏があるわけです。  たとえば合計しますと、六カ所、面積の合計が百四万五千六百八十八平米、これは三十一万六千八百七十五坪であります。取得金額は二十七億二千百万円、これが抜けておるのです。  具体的に申し上げますと、和歌山の白浜、これは私の出身地でありますが、五万八百九十坪、十億円、石川県の松任市、島根県の大田市、広島県の三和町、同じく広島県の引野町、新潟県の長岡町、こういうことになっておるわけです。いまの同じ四十七年の下期の時点であなた方の出した報告書と比較してみますと、面積が、出したのが八百八十一万七千平米、抜けておるのが百四万五千六百八十八平米、こういうことになるわけです。金額が二十七億二千百万円、これは何とあなた方が申告された金額の三〇・五八%、つまり三分の一に当たるものがこれから抜かれてあるわけです。  こういうようなことをされながら、会社を信頼しろ、あれは本部長の出したものとは関係ない、そう言われても、私はにわかに信用することができない。当然だと思うのです。なぜこのような、提出を求めました資料の中でこんなにばく大な面積、こんなにべらぼうな金額が落ちておったのか、この点について納得のいくような説明をしていただけますか。
  399. 越後正一

    越後参考人 いつ幾日にだれが捺印いたしましたか、お教え願えませんですか。
  400. 野間友一

    野間委員 これは当委員会にあなた方が出した書類です。
  401. 越後正一

    越後参考人 ああそうですか。
  402. 野間友一

    野間委員 四月十一日、昨年の。
  403. 越後正一

    越後参考人 その書類は見ておりませんのですが、いま御指摘のとおり六カ所も抜けておったということになるならば、たいへんなことでございまして、十分再調査させたいと思います。
  404. 野間友一

    野間委員 いまじゃおそいのです。私は、その四月十一日のあとで、あなたが出した資料、これをもらって物価特別委員会の中で、たしか五月にまたやったのです。新聞にも出ました。あなた方、目に入っておると思うのです。ところがいまに至るもこれの訂正されたということを私は聞いたことがない。この抜けた坪数ですね、これを五十坪の敷地をつくりますと何と六万三百三十七軒分のりっぱな宅地ができるわけです。私はこれは単なる事務上の手違いじゃないと思う。故意に落としたとしか私は考えようがないと思うのです。納得のいくような説明はできますか。
  405. 越後正一

    越後参考人 私は部下を信頼し過ぎておるかもわかりませんけれども、命がけでみんなが従事しておるということをたびたび経験いたします。ということは、質問いたしました場合に反撃をときどき、くどく聞きますと反撃を食う場合があるのでありますが、それにもかかわらずそういう御指摘がございましたので、たいへん遺憾に存じます。
  406. 野間友一

    野間委員 このようにして、大体土地というものは倉庫の中に隠したり、あれこれ分散することはできないものです。これは御存じのとおりです。こういうものについてすら全く虚偽の報告が出されておる。このことからいたしましたら、生活関連物資を中心としたいろいろな物資、これについて、あなたがどんなに弁解をしても、これはあなた方が、会社の首脳部が指示をしてこういう文書を室長につくらせた、これしか考えようがないのです。これは国民の声でもあります。また中曽根通産大臣が出した警告書、あの中には在庫操作内容とする文書、はっきり断定しておるじゃありませんか。  しかもあなたは、室長がこれを権限を逸脱して出した、こういうふうに言いました。しかしながら室長の記者会見、これなど見ましても、私はこういう文書が出せると思って出しました、こう言っております。そういう権限があると思って出しました、こう言っております。御存じのとおりです。どうですか。しかもこの文書の中に明らかに「瀬島副社長ヨリ関係各本部長ニ厳重示達ガ出サレテオリマス。」「コノ点ノ対策ヲ進メラレテイルコトト思イマスガ更ニ徹底ヲ期スルタメ次ノ点ニ留意願イタク」ということで、完全に六日付の文書を受けておるのです。これでもなおかつあなたのところでは関係ない、権限を逸脱したものだということを強弁されるんですか。国民のだれもが納得しません。
  407. 越後正一

    越後参考人 私は直接本人に強く詰問をいたしました、間違いないかと。最初の日に、三省の調査官がおこしになりましたときにも、一番初めにどういうぐあいに出したかといういきさつを聞かれたそうでございます。なおまた、流通管理本部長にも、あるいはまた瀬島本部長にも念を押しました。絶対にそういうことはございませんと、はっきりと、命をかけて仕事をしておりますので御信頼願いたいということばまで出てまいりましたことを御報告申し上げます。
  408. 野間友一

    野間委員 そんなに口先で言ったってだめなんです。しかも、これが逆ならいいと私は思うのです。先に室長の出した文書が出て、あとで本部長の文書が出されたらまだいいと思うのです。本部長の文書はどちらともとれるような表現がしてある。しかも、これは六日付なんです。九日までに報告しろ、こういう指示の内容もあります。この文書を六日に出して、これが下部に徹底されなかったから、さらにそれを具体化し、しかもそれを明確化した、こうしか言いようがないんです。  ちょっと社長、たとえばですよ、六日付の文書を具体化するなら、なぜ分散化しろとかCIマークをつけかえろ、こういうことまであるんですか。逆じゃありませんか。六日付の文書をほんとに具体化するなら、分散化せずにそのまま置いておけ、調査に入るから。あるいは、マークのつけかえとか、そういうふうにいささかでも疑われることのないようにしっかりしろと言うのがあたりまえじゃありませんか。全然逆になっているということ、これは一体どういうことなんです。
  409. 越後正一

    越後参考人 六日に出しました指令の結果は、あの文書にも書いておりますとおり、九日に集計をいたしまして、十日の経営会議に業務副本部長から報告がございまして、大体ノーマルな在庫であるということがわかりましたという報告を受けました。ところが、八日の日にああいう文書がたまたま出ておりましたのでありまして、しかも、それは先ほども御報告申しましたとおり、営業部では、あれだけ多数の通知が行っておったにかかわらず全然実行してくれなかった。実際不可能だったということは、不幸中の幸いではなかったかと思います。
  410. 野間友一

    野間委員 あなたのところの組織図、それから管理部門の機構、こういう資料を会社からいただきました。これによりますと、流通管理本部、この下に流通システム室がありますが、この上には瀬島副社長がおるわけですね、人事、事業部門等等について。その直系の中にシステム室というものはある。しかもこの部屋の権限は何か、仕事の内容は何か。これはあなたのところからいただいた資料ですが、これによると、物流管理システムの開発、全社的流通拠点の確保、運営及びCIグループ、流通拠点の総括、こう書かれておる。つまりこの部屋は、これについて言いますと、CIグループ、これの流通拠点の総括するところである。これは直接室長が権限を持ってやったとしか考えようがない。  しかも私、ここで申し上げたいのは、この文書を取り消されたのはつい最近なんです。きのうかおとといなんです。私は新聞で拝見しました。八日に出されたものが、しかも新聞によりますと、営業部長、六十ですか七十ですか、全部に出しておる。もしそれが六日付のこの文書を具体化したのでないとすれば、あるいは権限を逸脱したものであるとすれば、六十人、七十人の営業部長、これはおかしいじゃないかということで、当然に上司にこれが行く。これは当然じゃありませんか。ところが八日に出してから今日まで、やっときのう、おとといの段階でこれを取り消した、白紙撤回した、こういうことでありませんか。このことから考えても、あなたのところではこれは自然に当然のようにして受け取られた、下部では当然のこととして、営業部では受け取られた、こう思うのが当然じゃありませんか。それは常識ではありませんか。当然だと私は思うのです。
  411. 越後正一

    越後参考人 この書類が営業部長に具体的に行きまして、何も異議を申し出なかったというお話でございますが、全く組織の上からいきまして、権限外であるということをはっきり御認識を願いたいということ。また、最初にもおわびいたしましたとおり、非常識であって、分散とか外装マークの変更というようなことは、事実上商品知識が少しあればできないのでありますが、ところが、そういう行動に出ましたことは全く越権行為でもあり、また非常識でもありまして、まことに大きな誤解を受けまして申しわけございません。
  412. 野間友一

    野間委員 先ほど組織系統からいきましても、いま私が明確にしましたように、これは直接瀬島本部長の直系の中にこの部屋が位置づけられているわけです。そうすると、六日付の文書を本部長が出した、しかしそれが不徹底だ、さらにそれを具体化するためには当然出す権限を持っているのです。構成上そうなっているのですよ。  一体、社長はいまなおかつこれは知らなかったとおっしゃるのですか。瀬島副社長も、あなたも知らなかったとおっしゃるのですか、室長のこの文書。
  413. 越後正一

    越後参考人 私は、二月の二十日、この事件が起きるまでは全然知りません。また瀬島本部長ももとより、直接上司の流通管理システム本部長も知らなかったと、私は二回、三回念を押したのでありまして、そのとおりのお返事をするよりほかにございません。
  414. 野間友一

    野間委員 これだけの大がかりなと言いますとあれですけれども、分散しろとかマークを張りかえろとか、こういうほんとうに悪徳商法の見本のような文書を流す、しかしこういう文書すら社長は知らない、そんなにこの伊藤忠という会社はでたらめなんでしょうか。事業本部長も社長もこれは知らない、知らない間にどんどん流されていく、そうして下から何にも意見が上がってこない、こういう伊藤忠というところはでたらめなそういう管理体制にあるわけですか。もしかりに百歩譲ってそうだとすれば、このことについての社長の責任は私は重大だと思うのです。そういうようにお考えになりませんか。
  415. 越後正一

    越後参考人 いま申しましたとおり、営業部では、全然非常識な指示であるという意味で受け付けなかったという結果も、御報告申し上げたとおりであります。  したがいまして、私どもといたしましては、権限外の越権行為であるだけでなしに、こういう誤解を受けたという責任を十分感じまして、厳重な処置を講じます。
  416. 野間友一

    野間委員 だれが考えても自然でない、不自然な、そういうあなたの答弁は、私は是認するわけにはまいりません。  したがって、証人喚問して、ほんとうに真相のことをここで述べていただきたい。理事会ではかっていただきたいということを申し入れます。
  417. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 承っておきます。
  418. 野間友一

    野間委員 承るじゃなくて、理事会ではかってください。
  419. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 委員長の権限で承っておきます。
  420. 野間友一

    野間委員 はかっていただくということを前提で私は進めていきます。  ところで、CIが輸銀からかなり金を借りております。私は有価証券報告書で調べてみますと、七三年九月末六百二十六億九千三百万円、こういうふうにばく大な輸出銀行の借金があるわけです。この輸銀の金利が非常に安い。これは四十八年の十一月に改定されましたけれども、それ以前におきましては四%から七%、これは輸入です。輸出については四・五から七・五%、こういう低利なんです。こういう安い金利で金を借りておる。都銀からも大体あなたのところの長期借り入れの約半分、五%ないしは五・五%以下の金利で借りておる。これは公取の委員長もそれを認めたわけです。あなたのところだけじゃなく、商社全体です。  ところが、同時にお聞きしたいのは、昨年の九月末で長期の貸し付け金はCIだけで六百二十四億八千七百万円、つまり輸銀から借りた金額に見合うものが長期貸し付けとして出ておる。一体幾らで貸しておるのか、金利をここで教えていただきたいと思うのです。
  421. 越後正一

    越後参考人 金利の点はそう詳しくは存じませんが、むちゃなことはさしていないという自信は持っております。
  422. 野間友一

    野間委員 むちゃかどうか、具体的に年利率をここで答弁願わないと、私は判断することはできないわけです。少なくとも輸銀から借り入れた金利より、はるかに高いことは事実じゃありませんか。これはすべてのものに書いてあるじゃありませんか。高いということは、あなた自身もお認めになると思うのですけれども、いかがですか。
  423. 越後正一

    越後参考人 申しおくれましたが、輸銀の金は、全部といっていいほどひもつきの手形のものでございます。それははっきりしております。
  424. 野間友一

    野間委員 私が聞いておるのは、輸銀から借りた金を、そっくりそのまま長貸しで貸したということを言っておるんではない。輸銀から安い金利で金を借りた、大体それに見合うものを長貸しやっておる、こういうことなんです。金額の上でですよ。ですから、長貸しの金利は一体幾らで貸しておられるのかということをお聞きしておるわけです。最高と最低でもいいですから、ここでひとつ教えてください。
  425. 越後正一

    越後参考人 何ぼで、どのぐらいの金を貸しておるか、詳しく数字を私は存じません。しかし、輸銀の金は、いま申しましたように、くどいようですけれども、ひもつきですから、どうかひとつ御了解願いたいと思います。
  426. 野間友一

    野間委員 それじゃ、答えられないようで、答えが返ってきませんので、長期の貸し付け金の明細、金利、貸し付け先、これについて書面をつくりまして、資料として当委員会にお出しいただくことをお約束願えますか。
  427. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいまの何は理事会でおはかりいたします。
  428. 野間友一

    野間委員 では、ぜひ理事会で協議して出すようにしてください。  ところで、こういうふうに、あなたのほうではこういうことについても答弁ができない。私は正直申し上げて、輸銀の金利よりもはるかに高いということは疑いないと思うのです。こういうふうにして安く借りたものを高く貸していく、そして系列支配化していく、インテグレーションですね。あるいは株を保有する、そして系列支配化していく、こういうことをやっておられる。一方、中小企業はいまどんな事態に追い込められておるか。百万、二百万の金を借りるのに、担保持って、そして高利で借りなければ借りることはできない。中小企業の多くの方は泣いておる。自殺をされた方まであるわけです。ところが一方、膨大な資金力と信用力、情報網を持った商社が、こんなに安い金利、都銀にしても、輸銀、政府系にしても安い金利で金を借りて、そしてこれを系列支配の道具に使っていく、まるで商社銀行のような機能を果たしておるということ、そういう商社の持つ許すことのできないメカニズム、だからこういう文書が出される、こういうふうに私は考えておるわけです。  したがって、あなたがどんなに弁解をしても、だれも国民は信用しない。なるほど一時期少数のものをだますことはできるかもわかりません。しかし、長期にわたって、すべての国民をだまし続けることはできないと私は思うのです。この点について、私は、いさぎよくほんとうのことを、確かに会社の首脳がこういう指示をいたしました、あの文書は具体化したものですということを、あなたの口からここでお聞きしたかったわけです。  そこで、いま買い占め、売り惜しみの具体的な点については五条調査が入っております。その中でどの程度の結果が出てくるか、私はよく存じておりません。しかし、有価証券報告書の分析によりますと、繊維、とりわけ繊維が売り上げに比べて在庫がふえている。これは前年対比です。つまり、仕入れはするけれども、それに見合った売り上げをやっていない。私はここに問題があると思うのです。報告書の分析では、材木はありません。しかし材木はいま急騰しております。大工さんが材料が手に入らない。けさもテレビでやっておりました。こういうものを、私は買い占め、売り惜しみ、こういうことをされておるのじゃないかと思うのです。  したがって、生活関連物資について、問題になりました昨年の八月ごろから今日まで月別に、輸入なり仕入れ、それから売り上げ、在庫、こういうものを資料にしてひとつお出し願いたいと思うのです。  委員長、よろしくおはからいいただきます。委員長、要求します。
  429. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 理事会で協議をいたします。
  430. 野間友一

    野間委員 次に、三菱商事にお聞きいたします。  「菱和」という社内報、これは御存じですね。
  431. 藤野忠次郎

    藤野参考人 「菱和」という雑誌が社内報であることは承知しております。
  432. 野間友一

    野間委員 大商社やら大企業が国内でいろいろ価格操作その他をやりまして、ぼろもうけをしておるということについては、先ほどからいろいろ指摘もされておりますし、また、具体的な事実もたくさんあがっております。ところが、この荒かせぎ、これは単に国内だけではない。海外にまで及んでこれがやられておる。そういうことを私これから具体的な資料に基づいてお話を申し上げたいと思うのです。社長、よくお聞きください。  田中総理東南アジア五カ国を訪問いたしました。その中で、あちこちで反日デモ、経済怪獣帰れ、こういう激しいデモに迎えられた。こういうことは、社長、御存じのはずです。  こういう事実について、社長はどのように考えておられるのか、まずお聞かせ願いたいと思うのです。と同時に、あなたの会社がこのような悪化した反日感情、これについて責任があると考えておられるのか、ないと考えておられるのか、この点についてもひとつ答弁を願いたいと思います。
  433. 藤野忠次郎

    藤野参考人 私も、ついせんだってタイ国から帰ってきたばかりですけれども東南アジアへは何回も参りましたが、わが社のタイにおける事業、それが現地人にどういう感情を与えるか、あるいは、いろいろのトラブルの種をまいたかどうかということについては、特にタイの場合には、私ども会社の場合には歴史が古いわけですから、この間……
  434. 野間友一

    野間委員 簡単にお答え願います、時間がありませんですから。
  435. 藤野忠次郎

    藤野参考人 そういう悪感情を与えているという印象は得ませんでした。
  436. 野間友一

    野間委員 それじゃ、あなたのところは反日感情が悪いということについては関係がないと、こういうふうに私はお聞きしておきたいと思います。  あなたのところの輸銀の貸し付け残、これを有価証券報告書で調べてみました。六八年三月が期首残高が百七十三億三千五百万円、これが七三年九月になりますと千三百十五億五千三百万円、何と約七倍の伸びを示しております。これは財政金融統計月報から私は拾ったわけですけれども、同じ時期をとってみますと、これは輸銀全体の貸し付けですけれども、六八年三千三十三億八千二百万円、これが七三年には七千三百億円、つまり、銀行全体の貸し付けの伸び率は約二・四倍、ところが三菱商事は約七倍に輸銀の借り入れが伸びておる。私は、この借り入れを問題にしたいと思うのです。  そこで、具体的にお聞きしたいと思います。  あなたの会社は、タイに製鉄の合弁会社をつくっておられます。どういう名前の会社か、あるいは営業成績は一体どうなのか、まず、ここらあたりからお聞かせ願いたいと思います。
  437. 藤野忠次郎

    藤野参考人 これは、名前はG・S・スティールということで、この合弁事業は、私もついこの間、全部精細に見てまいりました。業績はいいようです。それから相手方のパートナーが社長で、こちらから行っておる者が副社長、全従業員は日本人二に対して現地人八ぐらいの割合いです。
  438. 野間友一

    野間委員 このG・S・スティール、会社の会長は何というお方でしょうか。
  439. 藤野忠次郎

    藤野参考人 サイさんという方だと思います。
  440. 野間友一

    野間委員 一九六三年から一九七一年十一月までタナット・コーマンさんが会長をされておりましたね。
  441. 藤野忠次郎

    藤野参考人 それは、それ以前のお話だろうと思います。
  442. 野間友一

    野間委員 失礼しました。  一九七一年九月の「菱和」という、いま申し上げた社内報があります。これには写真まで出ております。そこに写しがありますね。会長がいま申し上げたタナット・コーマンさん(現、タイ国外務大臣)これは七一年の十一月まで外務大臣をされた方です。当時、この社内報が出たころは、会長さんなんです。それで、この社内報でいいますと、この当時、副社長が栗間典治さん、これは現化学品管理部兼繊維管理部長、それから常務取締役松本幸夫さん、この方が、この社内報が出たころ、大阪支社の鉄鋼第二部付の次長、こういう社内報がありまして、G・S・スティールの設立から今日までのいろんな苦心談がここに書かれておる。そして、この資本金は四千万バーツ、二百万ドルですね。それで三菱商事が六〇%、タイ側が四〇%の出資によるものである、そういう会社である。これをつくったころは、タイ国唯一の鉄鋼会社ですね。こういう会社でありますけれども、こういう事実については、お認めいただけますね。
  443. 藤野忠次郎

    藤野参考人 はい、認めます。
  444. 野間友一

    野間委員 これを読みますと、非常に興味深い。「栗間部長に聞く G・Sを通じて わが社の合弁事業」、これによりますと、三菱商事の合弁事業の方針がちゃんと書かれておる。そうとしか思えないのです。これでは、まず副社長の栗間さんがどういうことを言っておるか。「売った買ったの商売・輸出入は、国内だけじゃないわけで、それの拡張、つまりプラント輸出あるいはジョイント・ベンチュア、これはもう不可欠の問題ですよ。」、この項の見出しは、そこにございますように、「豚は太らせてから」、こういう見出しがついております。そして一枚繰りますと、こういうことまで書かれておる。「「豚は太らせてから料理せよ」ということわざがあるが、鶏はひねたら終りで、たくさん卵を産ませたほうが良いに決まっている。」、一体ここでいう豚とか鶏は、何をさしているのか。これは、あなたのところの社内報ですが、どうお考えになりますか。
  445. 藤野忠次郎

    藤野参考人 おそらく本人の言った意味は、海外投資をしてジョイントベンチャーをやる場合に、一方的に性急に自分の利益を追求しちゃだめだ、相手方の利益も十分尊重するということを、そういうふうな卑俗の、そういうふうなことばであらわしたのだと思います。そうでなくて、あれだけ日本人がいて――私が行ったから、特にタイのいまの社長その他従業員があれだけ歓迎したのでなくて、インドネシアの場合もそうですけれども、あの工場は、いろいろのストライキがあったとき守ったです、現地の人が。そういうことがあるので、もし、そういうことばが使ってあるとすれば、たぶん一方的に利益を、あまり短兵急にいままでのように追求するな、こういう趣旨だろうと思います。
  446. 野間友一

    野間委員 いずれにしても、G・S・スティール、あるいはタイ国かあるいはタイ国の人民かわかりませんが、これが豚か鶏にたとえて書いてあるのは、間違いないわけです。  私は、これはタイ国に対する差別であり、あるいはタイ国の人民に対する蔑視ではなかろうか。こういう比喩を使っていいのかどうかですよ。あなたはどう考えますか。しかも、このタイトルが「G・Sを通じて、わが社の合弁事業」、「わが社」というのは、あなたの会社なんです。こういうことまで書かれておる。これを、あなたはどう考えるのか、簡単にお答え願いたいと思います。
  447. 藤野忠次郎

    藤野参考人 もちろん相手国に対して、悪い感じを与えるかもしれませんが、そういうことばは、非常に軽率なことばだと思います。私自身も、よけいなことかもしれませんけれども、かれこれ満二十年外国で生活をしました。その間、いろいろなことがありました。しかし、本件については、ことばの走り過ぎ、おそらく本人は悪意があって書いたんじゃないと思いますけれども、しかし、そういうふうな軽率な男であるとは思います。
  448. 野間友一

    野間委員 これは、私はほんとうに許すことができない蔑視だと思うのです。しかも、これは栗間部長、このG・S・スティールの中では副社長です。  これだけではない。同じところに「G・S・STEELの想い出」、これは、当時の常務取締役松本幸夫さんという方が、ここにいろいろまた書いておる。少しずつ読んでみます。「学校出てから十余年 今じゃ会社の大部長 ご用ご用に明け暮れて 飲んだビールは五万本」とか五万節のあの一節をご記憶のかたもありましょうが、今や私は常務取締役、この唄の通りであってしかるべく、非常な期待感、責任感、さらには優越感に満ち満ちて現地に出発したものです。」、こう書いてあるのです。「優越感に満ちて」現地へ出た。「今や私は常務取締役」、こういう感覚でタイ国へ行っているわけです。社長、いかがですか。
  449. 藤野忠次郎

    藤野参考人 もし、そういうばかばかしいことをほんとに書き――同時に、ほんとに書いていることは確かですが、考えてみたら、よほどのばか社員であって、それはさっそく呼び戻します。  しかし、聞いていただきたいのは、(「それは社長の責任もあるぞ」と呼ぶ者あり)もちろん社長の責任もありましょう。しかし、私がこの間行ったときに、つい十日ほど前に帰ってきたのですが、あそこでG・S・スティールで全員を集めました。そしてタイ人には、概して日本語がわからないのだから、英語はわかるので、それを、全員を集めて非常に和気あいあいに話をしたことは確かであります。(「うちうちであれば」と呼ぶ者あり)
  450. 野間友一

    野間委員 それから、こういうことまで書かれておる……。
  451. 藤野忠次郎

    藤野参考人 ちょっと失礼します。うちうちで話ししたんじゃなくて、タイの従業員全部を集めての話です。
  452. 野間友一

    野間委員 こういうことまで書かれておる。続けますよ。「タイ人の無計画にまず失望」という表現も使ってあります。また「最盛時には八二名の日本人が五〇〇-六〇〇名の現地人を叱咜鞭励し、」、こういう表現もある。あるいは「わが輩は天下の建設委員長なりとタイ人の前に胸を張ったものです。」、このいうことまで書かれておる。つまり、いかにこの常務取締役が、タイ人やタイ国を蔑視して、そしてこういう仕事をしておるか、こういうことがここではっきりするじゃありませんか。  時間の都合で続けます。  さらに、次には、こういうことまで書かれておる。日本人が八十名行っておる。これは建設途上です。めしは花屋という日本料理店があって、ここのお店と特約した。その次です。「そして台湾人経営の「松竹」なるバーと特別契約」、カッコして(内容極秘)と書いてある。「娯楽問題も何とか解決したわけです。」、こう書いてある。外務省で調べてみますと、ここでは、売防法があるけれども、ざる法だということがいわれております。これは、外務省に直接聞いたのです。「台湾人経営の「松竹」なるバーと特別契約(内容極秘)、娯楽問題も何とか解決した」、一体、これは何をさしているのか。あなたは、どうごらんになるのか、ちょっと御答弁を願いたいと思います。
  453. 藤野忠次郎

    藤野参考人 そういうふうに書かれたことは、私もまだ読んでおりませんでしたが、初めて御指摘を受けて知ったわけですが、よほどばかな社員だろうと思います。そういうやつは、それはひいては私どもの責任、そういうことになるかもしれませんけれども、それは少し調子に乗り過ぎて、筆端禍本じゃないかとも思いますが、まあ……。
  454. 野間友一

    野間委員 その次ですよ。どんな仕事ぶりをしておったかということが次に書かれておる。「ピストル腰にスクラップ買つけ」、こういう見出しです。社長がごらんいただいている、そこに出ておりますが、「生産設備の整ったGSスチールは、後は生産増大と金儲けに専念するのみ。電気炉メーカーの生死はスクラップ原価のいかんにありといわれるほど大きく左右される。」、それからずっとありまして、「一トンでも安い国産品を買つけることに奔走し、」云々、そして「いつどこで災難にあうやら身の保証はない。やむを得ずピストル携行ということになってしまう。」、つまり、ピストルを持ってスクラップ買いに出かけておる。こういうことが書いてあるのです。なるほど、この文章は、災難にどこであうやら身の保証がないから、やむを得ずピストルを持って行ったということは前に書いてある。しかし、スクラップ買い付けに行くのに、日本人が、常務取締役がピストルを持って買い付けに行く。これが一体、社長、タイの人にどのように映るか。  ですから、私は、冒頭にお聞きしたわけです。あの反日感情、田中総理があれだけデモやいろいろな抗議にあってきた。こういうことをやっておるからじゃありませんか。  さらに、「百万ドルの帰国」という最後のほうの締めの文章があります。「一九六八年三月営業運転いらい生産状況きわめて順調にて、さらに同年一一月末には外国製丸棒鋼の関税引上げに成功、」、これは当時、会長が外務大臣です。「関税引上げに成功、営業成績は好調の一途をたどり、ついに営業開始以来一年十カ月にして、累積赤字のすべてを消し五%配当実施にまでこぎつけたわけです。そして、一九七〇年を迎えたわけですが、ここで鉄鋼市況は高騰を続け、メーカーとしては笑いが止らぬ時代が到来した。」「この絶好のチャンスを逃すなかれと、懸命に金儲けに専念した。金儲け、配当の増額、すなわち投資効果の増大は、即われわれの早期帰国につながるものとわが身にいい聞かせて。毎月の試算表のできあがりが楽しみで、」、最後の締めは「お蔭で私が帰国しました一一月には、百万ドルの目途は完全につき、二〇%配当も常務会で決定し、喜び勇み帰国した次第であります。」、これで結んでおります。  つまり、ここで私があなたに申し上げたいのは、いろいろなことを言われます。しかしながら、このような合弁会社、あなたのところが六〇%出しておる合弁会社G・S、これが「豚は太らせてから」、あるいはいま申し上げたようにタイ人に対する差別、べっ視、あなたもそう思われると思うのです。そしてピストル片手にとか、結局、一年十カ月にして五%配当までこぎつけて、そして二〇%配当、いまそうですね。ネット百万ドルのもうけ、これは資本金が二百万ドルですから、資本金の半分の利益をあげたことになるわけです。  私は、これを見てあ然としたのです。海外にいろいろ合弁会社をつくっておられます。しかし、その実態はこういうものであるのか。これでは日本人に対する感情が悪くなるのは、あたりまえじゃないか。田中総理があれだけ抗議や反日デモにあうのは、あたりまえじゃないか、当然じゃないかと私は思ったのです。  社長、これがあなたのところの合弁会社の役員の手記なんです。どうですか、まとめてお聞かせ願いたいと思うのです。あなた自身の責任もあると思うのです。
  455. 藤野忠次郎

    藤野参考人 そういう特殊な例外というものは……(「特殊じゃない」と呼ぶ者あり)特殊の例外だと思います。
  456. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御静粛に願います。
  457. 藤野忠次郎

    藤野参考人 海外現地合弁会社事業で、G・S・スティールは現地に非常に貢献して、税金の払い方も非常によいという話は聞いております。上から数えて十位以内に入っているとタイの政府自体も喜んでいる、こういう話も聞いておりますが、そのピストルというのは、おそらくタイの北部地帯へ、革命のころ、あるいは非常に治安の悪い山岳地帯、あっちのほうへ行ったときのことを書いているのではないかと思います。タイの町の中を歩くのに、ピストルを下げたんじゃないと思いますけれども、それは本人によく聞いてみないとわかりませんけれども、どうも、いずれにしましても、その書き方は非常に異例だろうと思います。そういうことを書いたことを雑誌に載せる、載せるということ自体よりは、そういう内容を書くこと自体がおかしいと思います。そう感じます。
  458. 野間友一

    野間委員 そこで、私はあなたにお願いしたい。あなたのところも、東南アジアをはじめ発展途上国、ここでは合弁会社あるいは現地法人、いろいろ会社をお持ちです。私も若干知っております。これらの実態を私は知りたいと思うのです。このことが、私たちは日本の経済を考え、あるいは東南アジアに対するいろいろな政策を考えるために、当然必要になってくるわけです。  そこで、いま申し上げたような合弁会社、関連企業現地法人、こういうものについての資本金とかあるいは出資比率、役員構成、営業成績、これらについて、ぜひ資料として当委員会に御提出を願いたいと思いますが、いかがですか。
  459. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 理事会で協議して結論を出します。
  460. 野間友一

    野間委員 私は、最後にお伺いします。  いま二つの企業をあげて、いろいろと聞きただしたわけであります。  ここでは、いろいろといま御指摘申し上げたように、疑問や疑惑やあるいは憤り、これを感じざるを得ません。ぼろもうけをされたあなた方、そしていま問題になっております政治献金の問題、最後に、お聞きしますけれども、一体、政治献金、これは朝日新聞にもこの間出ておりました。だれにどれだけ渡されておるのか、あるいは今度新しく割当がございました。これらをお受けになるのかどうか。最後に、三菱社長さんと、伊藤忠社長さんにお伺いして、質問を終わりたいと思います。
  461. 藤野忠次郎

    藤野参考人 本日は、特に物価問題についてというふうなことでお呼び出しを受けましたので、それから大体自由主義経済、これを守るということについては、私も同感でありますから、そういう機関に対して協力をするということはとっていますが、だれに幾ら出しているとかいうようなことは、会社でも、それぞれの分掌がありまして、私はそういうことを存じておりません。したがって、幾ら出したか、だれにどうするのだとかいうことは、ここでお答えできかねます。
  462. 越後正一

    越後参考人 私も同じ答弁をせざるを得ないことをお許し願いたいと思います。いままで協力いたしておりますことは、事実でございますけれども……。
  463. 野間友一

    野間委員 委員長、これらについて、理事会にはかって、ぜひ資料を提出するように要望しておきます。
  464. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 理事会で研究いたします。  これにて野間君の質疑は終了いたしました。  坂井弘一君。
  465. 坂井弘一

    坂井委員 参考人の方々に順次お尋ねしてまいりたいと思いますが、冒頭に、一言私、申し上げておきたいと思いますことは、国政調査権に基づくところのいわゆる審議あるいは調査、これを行なう場合の基礎的な条件といたしまして、一つは、真実の発見であり、かつ二つ目には、冷静な判断、これがまさに基礎的条件である、こう私は考えております。そうした中で、去る一月の二十九日、わが党の矢野書記長の質問におきまして、この国会の場におきまして、丸紅トーメン脱税の事実が明らかにされました。すでに御承知のとおりであります。しかも、このことは、けさほどの質問でも申し上げましたように、物価の問題ときわめて大きなかかわり合いがある、そういう意味合いにおいてでありました。しかるに、その後、当委員会におきますその確認された脱税が、一方的に否定された。したがって、その後、予算委員会理事会におきまして、再度確認せざるを得ない。そうした中で、まさに政府当局、そして質問者の間において質疑されたことは事実であった、つまり脱税があったということが確認されました。予算委員会としては、異例の、遺憾の意を表明したのであります。これは、一委員発言から、いまや国会、予算委員会全体の意思としてここに表明された、きわめて重要な意義を持つものである、こう私は思います。  そうした中で、けさほどの林委員質問に対しまして、まことに遺憾であるということを、反省を述べられたようでございますが、あれほど歴然としたこうした不当行為、それに対して、あえて脱税ではないと言った。重加算税が追徴されておる、重加算税が追徴されたということは、一体いかなることか。それに対する認識が、はたしておありなのかどうか。たいへん失礼な言い方になるかもしれませんが、まずトーメン参考人にお伺いいたしたい。重加算税は一体いかなるときに追徴されるのか。重加算税の構成要件をずばりおっしゃっていただきたいと思います。
  466. 安本和夫

    安本参考人 お答えいたします。  仮装、隠蔽等の場合だと思います。
  467. 坂井弘一

    坂井委員 お答えいただきました仮装、隠蔽、まさにそのとおりであります。これは、通則法六十八条一項で明確であります。仮装、隠蔽がなされた。しからば、なぜ仮装、隠蔽がなされたのか。それは矢野質問におきまして明らかにされました。つまり、国税庁との間におきまして確認されました特徴的な海外取引における不正所得の態様、四つございました。  その一つは、輸出価格の過小計上であります。二つ目には、輸入価格の過大計上、つまり原価の上のせ、価格操作、伝票操作その他であります。三つ目には、輸入手数料等の除外、さらに四つ目には、輸出手数料等の架空計上、こういう方法による脱税、これがきわめて特徴的であるということが指摘されております。つまり、いま言ったような四つの方法によりまして、仮装、隠蔽がなされた、その結果、重加算税として追徴された、確認だけしておきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  468. 安本和夫

    安本参考人 お答えいたします。  まことに複雑な処理方法をいたしておりますが、私が取り調べましたところ、輸出手数料、輸入手数料、経費諸掛かり、財務報酬、そういうもので処理いたしております。まことに申しわけないと思っております。
  469. 坂井弘一

    坂井委員 あらまし、いま申しました四つの点について御確認いただいたようでございます。  ところで、きわめて残念かつ遺憾に思いますことは、一月二十九日、同日の夕刻に、ジェトロにおきまして、三社の代表の方々が記者会見をされました。脱税ではない、インチキは決してしてない、あなたの社の恩田副社長が明確にそうおっしゃった。しかも、その後におきまして、矢野質問において指摘せられた脱税という問題、これは否定するということ、同時に、あのような価格操作がかりに行なわれたとしても、これは物価にはさしたる影響はない、こう言われた。反省の必要はない、こうもおっしゃっておる。なぜか、法律違反をしていないものを、なぜ反省の必要があるのか、ここまでおっしゃっていられるようであります。まことに遺憾と言わなければなりません。したがって、先ほど質問に対しまして反省はしておる、遺憾である、そうはおっしゃいますが、一体この恩田副社長、このようなことをおっしゃる方に対しまして、あなた方がいかなる反省の姿勢を、態度を、形をとろうとされるのか、あるいは会社自体が国民に対しまして、いかにその反省をあらわすのか。決して国民は納得でき得ないと思います。明確にその態度を表明していただきたいと思います。
  470. 安本和夫

    安本参考人 お答えいたします。  恩田副社長発言につきましては、今朝もお断わり申し上げましたように、内容調査いたさないうちに、ああいう軽率な発言をいたしましたので、私からおわび申し上げる次第でございます。  なお、本件につきましては、いろいろの角度から私、調べましたところ、基本的には管理体制の不備でこういう手落ちをいたしたと思っておりまして、まことに私の監督不行き届きでございます。私自身といたしましては、その責任の重大なることを十分感じております。そこで、私は、この苦い経験を常に念頭に置きまして、教訓といたしまして、二度と再びこういう不始末を起こさないようにすること、また、私ども企業のすべての活動が社会のためになるように、この二点について経営にあたることが、いま私に与えられた使命である、こういうように考えまして、これについて専心する決意をいたしておる次第でございます。どうか御了承いただきたいと思います。
  471. 坂井弘一

    坂井委員 ところで、私は、これまた非常に大きな問題として、今後の反省としなければならない点が一つあろうかと思います。それは米国の、アメリカの内国歳入庁、これが日本の本社においては相当大きな利益をあげておる、にもかかわらず、海外現地法人は、トーメンさんの現地法人は少ない、非常に不審に思っていらっしゃるそうであります。つまり、それはあの矢野質問の中におきまして、まことに明確にその具体的な実態を解明する中で、海外支店を利用したきわめて悪質、巧妙な脱税であったという点がすでに指摘されているわけでありますから、私は、そのことをちょうちょうなんなんとして、また、ここで繰り返そうというつもりはさらさらありません。ただしかし、そのような事態が、今後、国際問題として非常に大きく問題化するという点を心配するから、いま申し上げているわけであります。  その後、中曽根通産大臣が、商社代表を呼んで厳重に注意し、調査をするということを確約されたのでありますが、通産大臣に呼ばれて――呼ばれましたでしょうか。また、その際、具体的にどのようなことが反省の中身としてかわされたか、簡単でけっこうでございますから、お答えをいただきたいと思います。
  472. 安本和夫

    安本参考人 通産省のほうには、私はまだ御説明、おわびには参っておりませんが、私どもの担当の者が行っております。いずれ本会が終わりましたら、あらためて私がおわびに参るつもりでございます。  なお、海外法人につきまして、また海外支店につきまして、とかく私ども会社の中で、その区別をわきまえぬ向きもあったかと存じますが、海外法人は、一〇〇%たとえ私どもが出資いたしておりましても、法人格は別でございます。それに対して云々とか、そんなことは問題にならぬわけでございます。その点は私、明瞭にみんなに指示いたします。どうか御了承願います。
  473. 坂井弘一

    坂井委員 丸紅参考人、お尋ねいたしたいと思いますが、同じように、おたくの小山副社長が、やはり脱税ではない、利益の隠匿の事実は全くないと、これを強調されたというように聞いております。しかし、重加算税を追徴された、これは事実であります。仮装、隠蔽がなされたということであります。いまトーメン社長さんにお尋ねをいたしました。同じく、反省されるならば、具体的にどのように反省されるか、明確にしていただきたいと思います。
  474. 桧山広

    桧山参考人 ただいま先生からも御指摘がありましたように、私どもの場合は、当社の、丸紅本社の責めに帰すべき不良債権の発生に対して、口銭の支払いによって相殺したということによって重加算税を、十億四千五百万重加算税対象額として査定を受けまして、それについて三億二千六百万円の追徴金と法人税とを納めました。それで、担当の小山副社長としましては、査定額イコール税金ではないということと、それから、自分がやはりそういう間違った経理処理をやったことを、そういう垣加算税の対象となったのは、いわゆる脱税であるということを全然承知もしないで、そうしてああいう非常に、説明があまり、まあそっちの脱税の意図がなかったということと、全金額がこうだったということを申し上げようと思って、決して矢野書記長の御説明に対して反対だとか、あれはというようななんでなしに、私自身も、実はその重加算税対象というものは、先ほど来の御説明のように、ほんとうにいわゆる脱税というふうに、広義の意味脱税と言われているということも知らなかった。まことに、それを知りまして、ほんとうに恐縮をいたしておりますし、社内に対しては、絶対に二度とこういうことのないように、また、委員会でもああいう御批判をいただき、ほんとうに恐縮して、この席をかりて厚くおわびを申し上げたいと思います。
  475. 坂井弘一

    坂井委員 たいへんのんきなような、驚いたようなお話を、あまり聞かしてもらいたくないと思うのです。つまり重加算税をつけられたということは、仮装、隠蔽があった、しかもその仮装、隠蔽は、海外取引を利用した、先ほど申しました四点にわたる、そのようなきわめて巧妙、悪質な手口なんだということがすでに実証されまして、その結果、仮装、隠蔽で重加算税になったわけです。あなたのほうには、税務会計と会社会計、企業会計との違いがあるのだ、基準差もあるのだという理由は、いまおっしゃるように、並べれば幾らでも並べられると思いますよ。しかし、客観的に重加算税が追徴されたということ、これはつまり、仮装、隠蔽という非常に好ましからざる不正所得ですよ、これははっきり申しますが。不正所得なんです。不当な利得を得ておったのです。しかも、言うなれば、これは重加算税というのは脱税脱税犯に通ずるのです。刑事訴追まで受けるべき性格の問題なんです。本来的には行政罰ではないのですよ。そういう認識がおありでないというようなことを、いまさらおっしゃるということになりますと、全く驚いた話だと言うしか、私はありません。しかし、最後の反省という部分だけはいただいておきましょう。この問題でこんなに時間をとりたくありません。ほんとうに反省するならば、反省の姿勢をはっきりあらわしてもらいたいと思います。  次に、三菱商事三井物産、住友商事各参考人の方々にそれぞれお尋ねいたしたいと思いますが、この三大商社、相当多額の脱漏所得に対しまして追徴されておられるようでございます。  この際、過去三年分、期別に幾ら追徴されましたか、お示しいただきたいと思います。三菱商事さんからお願いいたしたいと思います。
  476. 藤野忠次郎

    藤野参考人 ただいまその数字を、幾らあるかということを覚えておりませんので、ここでは御返答いたしかねます。後日、調べまして御報告申し上げます。
  477. 坂井弘一

    坂井委員 三井物産さん、いかがでございますか。
  478. 池田芳藏

    池田参考人 私も、いまの追徴金を幾ら取られたかは、いま直ちに金額を申し上げることができませんので、あるかどうか、金額は幾らか調べまして、後刻御報告いたします。
  479. 坂井弘一

    坂井委員 住友商事さんはいかがでしょうか。
  480. 柴山幸雄

    柴山参考人 過去三年のお話、私、報告を受けております。詳しい金額は、正確なる金額は覚えておりませんけれども、大体税金にして六、七千万円の毎年の追徴があったと報告を受けております。  なお、詳しい資料がお入り用ならば、御報告いたしたいと思います。
  481. 坂井弘一

    坂井委員 三社の参考人の方々に申し上げたいと思いますが、あなた方の社が公表されました決算報告がございます。損益及び剰余金結合計算書、私の手元に、大蔵省からこの資料をちょうだいいたしました。ここにも明確に脱漏所得が掲記されてございます。これは、すでにあなた方の社の監査役がこれを承認し、社長さんもこれをお認めになっていらっしゃる。言うなれば、会社の公式な資料であります。この中において、脱漏所得が明確に記載されております。それを御存じないということになりますと、これはまた驚いたと言うしか私にはないのでございますが、この分だけでけっこうでございます。これはおわかりになるでしょうか。それぞれ三菱さん、三井さん、住友さん、お答えいただきたいと思います。――お答えがないようです。時間がもったいないと思いますので、では私のほうから申し上げたいと思います。  三菱商事さん、四十六年度、これは八億、それから四十七年一億九千四百万、合わせまして九億九千四百万、これは過年度法人税等としておたくの決算報告、剰余金結合計算書の中に明記されてございます。  次に住友商事さん、四十五年三千八百万、四十六年七億九千四百万、四十七年四千二百万、合わせますと八億七千四百万、これは過年度法人税、地方税等、こう表示してございます。  三井物産さん、四十五年八億五千五百万、次いでやはり四十五年十八億五百万、四十六年二億七千二百万、同じく六億七千二百万、四十七年一億六千二百万、合わせまして三十七億六千六百万、これは過年度諸税、過年度法人税等、こう記入去れてございます。  いずれも四十五年上期から四十七年下期に至る六期間であります。いかがでしょう。
  482. 藤野忠次郎

    藤野参考人 ただいま正確の数字がどうもわかっておりませんので、一応調べまして、それで御報告するということにしてはいかがでございましょう。
  483. 池田芳藏

    池田参考人 いま御指摘の金額は、私は自分で確認しておりませんが、もしそうでございますならば、どういう理由でそうなったかということを担当者に十分確かめて、善処いたします。
  484. 柴山幸雄

    柴山参考人 ただいまの数字はどの資料ですか、ちょっとわからないのでございますが、有価証券報告書でございますか。
  485. 坂井弘一

    坂井委員 あなたのほうの損益及び剰余金結合計算書です。
  486. 柴山幸雄

    柴山参考人 それは、いわゆる会社が自己否認をしたのも入っておると思いますが……。それではよく調べてみます。
  487. 坂井弘一

    坂井委員 よくお調べをいただきたいと思いますが、つまり、私がいま申しましたのは、脱漏所得に対する追徴税額を申し上げたわけです。つまり、当然納付しなければならない税金を納めていなかった。税務当局調査を行なって、あなたの社はおかしいではないかと、更正を受けております。そして、納めなければならぬという税金に加算税をもって追徴された、これを言っておるわけです。それは、私からそういうことを説明するまでもないでしょう。社長さんおわかりでしょうが、企業会計原則の損益計算書原則七のAによりまして、法人税更正決定等による追徴税額として記載することにはっきりなっております。  ただ、先ほど申しました数字は、これは必ずしも全額とは言い切れません。少なくともこれは追徴税額として追徴された。もっとあからさまに申しますと、つまり、ある部分のしっぽが、損益及び剰余金結合計算書の中に出ている。まあ、いやな言い方ですけれども、お化粧のし残しというような感じですね。少なくともいま言った額は、そういうわけではっきりと追徴された、こういうことを申し上げておるわけであります。数字もおわかりにならないし、あったかなかったか、それもわからぬ。  では一つ、これまた端的にお尋ねをいたしますが、重加算税はこの中に含まれておったでしょうか、どうでしょうか。三菱さん、三井さん、住友さん、御順におっしゃっていただきたいと思います。
  488. 藤野忠次郎

    藤野参考人 明確にわかりませんけれども、たぶん含まれていないんじゃないかと思いますが……。
  489. 池田芳藏

    池田参考人 私も、重加算税があったかどうか、ただいま申し上げかねます。
  490. 柴山幸雄

    柴山参考人 私も、いま存じませんので、調べて申し上げます。
  491. 坂井弘一

    坂井委員 ぜひお願いしたいと思いますが、本日のこの予算委員会終了までに、これは簡単に、会社それぞれお問い合わせいただければわかることだと思います。終了までにお調べになっていただきまして、回答をいただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  492. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 終わるまでに、電話でわかりますか。
  493. 藤野忠次郎

    藤野参考人 電話で連絡してみます。
  494. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 どうでしょう、坂井君、可及的すみやかに、もし何なら、きょう調べがつかなかったらあしたまでとか、そういうことでよろしゅうございましょうか。
  495. 坂井弘一

    坂井委員 どうしてもわからなければ、それでもけっこうですが、しかし、私が言っているのは、重加算税が取られてあったかどうか、電話一本で済むことだと思うのです。それくらいのことはお問い合わせできないことはなかろうと思ってお願いしたわけでありますが、いかがでしょうか。
  496. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 それでは、三人の参考人に補助の方が来ておりますから、電話で調べていただきたいと思います。
  497. 坂井弘一

    坂井委員 なお委員長、私がいま申し上げました数字につきましては、前段申し上げましたように、会社のきわめてはっきりした根拠のある資料に基づくものでございまして、少なくともこれだけのものは、追徴税額として追徴されたということでございます。したがって、これにつきましては、いま重加算税がつけられているかどうかにつきまして回答をお願いすることにいたしましたが、なお、税務当局からは更正通知書、その送達を受けているはずであります。  したがって、これは委員長におかれまして、本予算委員会に更正通知書を提出するようにお取り計らいをいただきたいと思います。
  498. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいまの坂井君の質問は、ごもっともであろうと思います。したがいまして、これは提出するように、三人の参考人にお願いをいたします。
  499. 坂井弘一

    坂井委員 ありがとうございました。そういうお取り計らいをいただいた上で、またあらためて、この問題の具体的な内容に入っていきたいと思います。  ただ、一言最後に申し上げておきたいと思いますことは、海外取引を利用したそうした脱税行為、こういうものがひんぱんに行なわれておる。それが隠匿になり、あるいは海外への分散になり、あるいはまた過去の赤字の穴埋め、これが行なわれる。矢野質問において何回にもわたって指摘され、そしてここでその内容が具体的に解明され、確認されたことでございます。  したがって、そのような行為が今後とも起こるというようなことがあるならば、わが国といたしましてゆゆしきことであります。商社がわが国の顔として非常に大きな存在の意義がある。原材料の提供、国民の経済に対する役割りというものは非常に大きなものがございます。それだけに、こうした問題については、冒頭申し上げましたように、この真相の発見、真実の発見、そして冷静な判断をいたしたい。そしてこれが、国民経済に非常に大きく、この問題が具体的に国民経済を安定する方向に向かわしめるために要求した、申し上げたというわけでありますので、その点もよく御理解いただきまして、私の要求に対しましてお答えをいただきたいことを、最後にお願いいたしまして、質問を終わります。
  500. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて坂井君の質疑は終了いたしました。  次に、石田幸四郎君。
  501. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私は、越後参考人にお伺いしたいと思います。わずかな時間でございますので、端的に事実を申し上げますので、所見を承りたいわけでございます。  いま、私が問題にしようとしている会社は、伊藤忠商事がその資本金の九五%を保有する伊藤忠燃料についてでございます。  午前中にも問題になったようでございますけれども、この伊藤忠燃料は、いわゆるタクシーが使用いたしますところのプロパンガス、これを会社自体で扱っていらっしゃるわけでございますが、いま私が指摘をしようとする問題は、いわゆる石油危機が勃発して燃料カットが各所に行なわれた、燃料関係がたいへんな混乱を来たした状態の中に起こってきた問題であることを、まず申し上げるわけでございます。  昨年の十月半ば、伊藤忠燃料は、タクシーのプロパンが将来値上がりをするので、安いうちにぜひ買っておきなさいと予告をいたしまして、典型的な零細企業であります個人タクシー営業者に、「イトチューオートガス充填券」なるものを一リットル二十三円で販売をいたしております。この「イトチューオートガス充填券」は、一冊二百リットルと表示をされておりまして、私が持っているこれでございます。現金を支払って購入するものでございますから、商習慣上、金券と呼ばれるものであることは間違いないのでございます。そのために、零細企業である個人タクシーの業者は、資金を用意いたしましてこの金券を買っているのでございます。普通こういった金券は、当然有効期間を明示するものでございますが、この伊藤忠燃料の名古屋支店で発売をしていらっしゃるオートガスの充てん券につきましては、有効期間が明示をされておりません。したがって、その当時支払った額でガスは充てんをされるべきものである、このように思わなければならないのであります。  ところが、タクシー用のプロパンは、十一月、十二月と値上がりを示してまいりました。その十二月の、プロパンが最も入手困難になった時点から、一リットル十五円の割り増し金を支払わなければ充てんをしない、こういうような通告を受けたのでございます。そして同時に、充てん所では割り増し金の徴収が始まりました。  このオートガスの充てん券が金券であることの証拠には、この割り増し金を支払った領収書の中にも、伊藤忠燃料のいわゆる名古屋支店という、そういう名称が受領印の中に使われておりますし、また、備考といたしまして金券追加分と、このように記載をされておるのでございます。  まず、私が問題を指摘したいのは、このような金券に際しましては、当然価格記入や有効期限が入っていなければならないのでございます。これは、いわゆる不当景品類及び不当表示防止法の第四条違反でございます。さらにまた、先ほど申し上げましたように、充てん券売買のときに契約は完全に履行されているのでございますから、後に特別な事情が生じたからといって、追加料金を請求できる性質のものではございません。しかも、昨年十二月という供給カットの大騒ぎが起きて、タクシー業者のすわり込み等もあったような、そういう極限状態を利用いたしまして割り増し金を不当に取得するということは、先般問題になりました日商岩井石油のときと同じような問題でございまして、これは独禁法第十九条の優越的行為の乱用の禁止の条項にも当然これは抵触するのでございます。  その当時の状況を申し上げますれば、いわゆる割り増し金を拒否したならば、他の会社でガスを購入でき得るような状況ではなかったわけでございますので、まさにこの独禁法第十九条の違反ということになるのでございます。また当時、いわゆるガス入手の見込みがなくて、新規開業をしようと思ったそのような個人タクシー業者が、希望を失って自殺をするというような結果もこの時期には起こったのでございます。  私が、なぜこのような問題を問題にするかと申しますと、この事件は、一方は大商社を背景とした資本金十億、年間売り上げが、四十六年度で六百億の売り上げを持った業界の典型的なトップ大型企業でございましょう。他方は、一日一万円前後の、年間五百万円以下のそういった営業規模の、典型的な零細企業相手にしていらっしゃる。そういうようなある特定の極限を利用して、そしてそれらの人たちから不当に利益を取得していらっしゃるということは、私はきわめてゆゆしき問題ではないかと思うのでございますが、この点についての意見を、まずお伺いをしたいのでございます。いかがでしょう。
  502. 越後正一

    越後参考人 伊藤忠燃料のそういう問題につきましては、私は耳にいたしておりませんけれどもお話しのとおり、事実であろうと思います。したがって、厳重に調査いたしまして、処置いたします。
  503. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 子会社の問題でございますから、越後参考人がこういったこまかいことについてお知りいただかないということは、私も当初から予測をいたしておったのでございます。しかし、この伊藤忠燃料の社長さんはおたくの常務さんですね。  少なくとも四十七年まではおたくの常務が、ここの社長を兼任していらっしゃるというふうに、資料では出ておりますが、いかがですか。
  504. 越後正一

    越後参考人 現在の社長は中川寿という者ですか、これは伊藤忠の役員にはなっておりません。現在なお社長であります。副社長が、中村というのが伊藤忠の常務でいま行っております。いずれ近いうちに交代することになっております。
  505. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 いずれにいたしましても、おたくの幹部の方がここへ出向して社長をしていらっしゃるわけでございます。  さて、私がはなはだ遺憾に思いますのは、昨年商社がだいぶいろいろ不当買い占め等の問題で話題になったわけでございますが、そのときに大手商社の方々は、いわゆる大手商社の行動基準をつくられたわけでございます。その際に、伊藤忠におきましても、いわゆる行動基準なるものを、伊藤忠商事の社会対策なるものを発表していらっしゃいます。そういうような状況から考えまして、さらにまた、今国会においても伊藤忠商事の問題が話題になっておるわけでございますから、当然そういうような伊藤忠商事の社会に対する姿勢も徹底をされておるのであるならば、当然下部機構から報告をされなければならない問題ではないか、こういうふうに思うわけであります。  ですから、いわゆる関連会社にも、そういうような不正行為をしてはならないという問題意識がないのではないかと私は申し上げざるを得ない。また、そういったことを一体どこまで徹底していらっしゃるのか、こう申し上げざるを得ないのでございますけれども、いかがでございますか。
  506. 越後正一

    越後参考人 行動基準をきめまして、すぐ関係会社社長を集めて、この趣旨を説明して、絶対に法規違反、その他社会的な行動から反することを許さないということをきつく指示いたしました。近くまたあらためて社長会を開催する予定になっておりますが、その席でも公表して、全員が間違いない行動をしてくれることを熱望いたします。
  507. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 このようなお話を承りましたけれども、実際にいまも、こういう形態で伊藤忠燃料の方は商売をやっていらっしゃるわけです。全国に八つの支店があるということでございますが、全国的に行なわれているかどうかは、私のこの資料によってはさだかではございませんけれども、一たん一リットル当たり二十三円で売っておいて、さらにまた十五円を徴収をしなければならないということは、これは、先ほど来御指摘申し上げているように、商売のやり方としてまことにまずい。この充填券のナンバーは一五五九となっておりますので、少なくとも名古屋支社においては千六百冊ぐらいは売られているであろう、こういうふうに推察をせざるを得ないわけでございます。その千六百冊全部がこういう形態で販売されているとすれば、約四百八十万円の個人タクシー業界のほうが損害を受けていることになるわけでございますので、こういうような不当利益は、御調査の上返還をなさるべきである、こういうふうに思うのでございますけれども、いかがですか。
  508. 越後正一

    越後参考人 よく調査をいたしまして、しかもそれが、確実にその迷惑をかけた相手に返還できることがはっきりいたしますれば、ぜひ実行させます。
  509. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 それでは、質問の最後にこれをお見せいたしますので、どうかひとつ、善処方をお願いをしたい、こう思います。  私の質問は以上で終わります。
  510. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて石田君の質疑は終了いたしました。  玉置一徳君。
  511. 玉置一徳

    玉置委員 私は、石油危機を利用しての大商社の大幅な便乗値上げ、供給削減、不当な圧迫に抗議をする件につきまして、日商岩井社長さんに御質問を申し上げ、あわせて全般の総合商社の問題につきまして、各参考人さんにお願いをしたいと思います。   〔委員長退席、井原委員長代理着席〕  そこでまず、先般北側議員からも予算委員会質疑があったのですが、実は、大阪の染工場の問題でありますが、私に一月三十一日付で手紙が参りまして、二月の二日だったと思いますが、通産省に参りましたときに、こういう事実が事実かどうか調べてみてくれ、こういうことで出しておいたんですが、そのあくる日、二月の三日だと思います。おかげさまで片がついたような感じがいたしますので、というお礼の電話がかかってまいりました。  私は、二月四日の予算の総括質問におきましては、時間的に余裕がございませんでしたので、最後に一瀉千里で読み上げたままになっておるわけでありますが、そこで、これは北側さんからも御質疑がございましたので、前段を抜きまして、今後の措置につきまして、どうされたかということにつきまして、日商岩井社長さんにお伺いをしたい、こう思います。  まず、二十一日の記者会見におきましては、非常に事が急でございましたから、担当者の行き過ぎであった、こういうようなこと、もしくは、当時は混乱しておりましたとかいうことですが、同日、日商岩井石油株式会社社長さんが、大阪で新聞記者会見の場合に、自由経済だから、供給側と需要側で自由に価格をきめてもかまわないじゃないかというようなことばも漏らしておられることを新聞が報じております。こういうものを一会社の社員ができることでもございませんし、常識で考えてもそういうものじゃないと思います。ましていわんや、一〇〇%の子会社でございますし、皆さんがおつくりになりました行動基準におきましても、中小企業との共栄とか、あるいは物価安定の寄与とか、各社の内部管理体制の確立というようなことをお互いに誓い合われたわけでございます。これは去年の五月に新聞で発表されております。こういうことから見ましても、これが一社員が軽率にやった問題とは思いません。  一体、この問題をどのようにお考えになっておるのか、日商岩井社長さんからお答えをいただきたいと思います。
  512. 辻良雄

    辻参考人 お答えいたします。  あの問題につきましては、率直に申し上げまして、社長としての私はこの国会で問題になるまで知らなかったわけでございますが、知らなかったゆえに、責任がないと申し上げるわけではございませんので、私の監督の不行き届きを深くおわびいたします。  あの問題が国会で取り上げられましたすぐ翌日、堀社長を東京に呼びましていさいを聞くとともに、懇々と彼に、最近の業者のあり方につきまして言いさとしまして、彼といたしましても、非常に遺憾の意を表した次第でございます。なお、関係会社は、今回問題になりました日商岩井石油だけでなく、いろいろございますので、即座に関係会社全社に対しまして、時局に対する認識と、そして新しい社会的使命を自覚した商売のやり方をするように、きつく通達を出しておきました。  それと、染工場の問題は差金を返済いたしましたが、なおほかにあるかどうかという問題につきましては、他に似た案件がもう一つございまして、そのほうも、同時に金を返しまして解決したように報告を受けております。
  513. 玉置一徳

    玉置委員 これは私が通産省にお願いをして、大阪通産局を経由して事実を調査したすぐ翌日に、解決がおかげでつきましたということでここにお礼状も来ておるわけでありますが、その金を返しに行かれたのが十六日でございまして、こういうように載っております。「昨十、十一月の納入価格及びその他条件に関しては、十二月以降の貴社への安定供給を前提として御無理を御願い致しました」、まあ文章になればこういうようになるのかもしれませんけれども、あまりにもこれは白々しい。と同時に、途中抜きまして「従って行過ぎの点は全て撤回し、旧価格及び適正なる条件に変更すると共に前金等は御返却申上げます。上記事情にて甚だ不十分とは存じますが、過去七年間に亘る御取引願いおる貴社に対して、御詫びの徴と致します。」ちょっとこれなめたような文章じゃないか、文章の書き方もひとつ御指導いただかなければならないのじゃないか、こういうように感ずるのです。  そこで、ついでに通産省で、C重油がその時分に五〇%もカットしなければいけなかった事情かどうか、あなたのほうが四社からおとりになっておるわけでありますので調べてみましたところが、C重油の前年との対比は、全体といたしまして、十一月が九%増、十二月は二%増、電力用のC重油を除きまして、十一月は一〇・九%増、十二月は〇・七%減、こうなっておりますので、五〇%に加えて一五%、六五%を削減しなければならないような事情では、いまから考えてということになるかもわかりませんが、ないということは事実であります。  と同時に、価格の問題でありますが、価格をまた調べましたところが、去年の九月は、これは皆さんの日商岩井石油会社等々の、いわゆるメーカーじゃございませんで、卸量さんがお出しになっておる値段が七千七百円から九千七百円、十月が七千九百二十円から一万一千円、高いところも安いところもございます。それがあなたのほうは一万二千八百円としておいでになるわけです。十一月は九千八百円から一万二千三百円に対して一万三千三百円とされたわけであります。十二月は一万一千三百円から一万三千三百円の値段の高低がございますけれども、それを一万五千円にされた、こういうものは、あなたのほうのおっしゃる安定供給とは違うと私は思う。だから、量におきましても、金額におきましても、いわゆる便乗値上げという問題が、流通の問題の中に、これはメーカーだけじゃなしに、相当今度の問題はあるんじゃないか。いずれも中小企業の問題であるというので、国会ではなるべく触れることを避けて通るような形にもいまのところはなっておりますけれども、心してやっていただかなければ、私は、ほんとうに悪徳商人ということばがそのまま通用するようなことでありまして、事は重大だとお感じ取っていただかなければならないんじゃないだろうか、かように思います。  そこで、いま社長からお話しになりましたから深くは追及いたしませんけれども、この間、近藤常務が二十一日の……(「せっかく呼んだんだからやれ」と呼ぶ者あり)まあ時間の関係もございますので……。近藤常務も東京での記者会見では、類似のようなものがございましたから、必ず、その仕入れや販売には本社一切関係いたしておりませんけれども、本社の責任において善処いたしますということを言い切っておいでになります。  先ほど申しましたように、国民の皆さんにおわびをする意味で、どのような方法をおとりになる決意があるかどうか、この議場をかりまして、国民各位にひとつ明らかにしていただきたい、こう思います。
  514. 辻良雄

    辻参考人 御指摘のような問題が他にもございましたら、よく調査いたしまして、てまえのほうの近藤常務が御確約したとおり、私も実行いたす所存でございます。
  515. 玉置一徳

    玉置委員 そこで申し上げますのは、先ほど来、本日御出席いただきました参考人の皆さんの質疑応答を承っておりますと、いずれも、細部のことで事情は知らないという御返答が多いと思います。これもまた、ある意味では無理からないことだと思うのでありますが、そこで総合商社が、御承知のとおり、非常に日本輸出その他に御貢献をいただいたことは、われわれも承知はいたしております。それなりに評価をいたしております。しかしながら、あまりにも量的に膨大になり、資本のあれが非常に多くなりましたし、関係子会社その他、系列会社等が非常にたくさんできました。  こういうような中で、さきに皆さんがおきめいただきましたこの管理体制の強化ということ、これは実際、総合商社は、われわれも存じておりますが、ビルの中にお入りになっているそれぞれが一つ会社である。綿業は綿業であり、それが優秀な人材と豊富な情報と資金力をもちまして、非常に積極的な資本主義の先兵となって活躍しておいでになります。それが今日の大をもたらし、実績をあげておるゆえんだと思いますが、社長さんたるもの、ほんとうは各部門の部長さん、本部長さんがそれぞれ徹底的におやりになりますので、しかも、その下には優秀な猛烈社員がいると、こういうようなことで、なかなか管理が行き届かないということも、あるいは実際問題としてはあり得るんじゃないだろうかということを私たちも考えられぬこともございません。しかしながら、いまにも、相当国会でも問題になり、総合商社法というようなものをつくろうじゃないか、あるいはまた、銀行融資の規制をひとつやってもらおうじゃないか、あるいは、皆さんの中の商社金融をこれは銀行融資と同じように規制をしなければいかぬのじゃないかということを、公取委員長すら言い出しておるというのが現状であります。こういう中で、全般をどういうふうに締めていくか、管理体制をどのように強化するか、このことを言いたいばかりに日商岩井を持ち出してまことに恐縮であったのでありますが、まあこういうような意味で、ひとつ日商岩井社長さんから、どのように今後管理体制を強化されていくか、あわせて、まあ代表者として、三井物産社長さんからと御返答をいただきたい、こう思います。
  516. 辻良雄

    辻参考人 管理体制の強化につきましては、私ども常々苦心いたしておるところでございます。特に、社会政策室という室をつくりまして、そのほうでこの社員の行動の逸脱がないようにいろいろと指導するというようなことも考えておりますが、なおまた、この非常に大型化した現在の体制、これをさらに拡大していくのがいいかどうかということにつきましても、いろいろと検討をいたしております。
  517. 玉置一徳

    玉置委員 先ほどお願いしました三井物産社長からひとつ……。
  518. 池田芳藏

    池田参考人 確かに、現在の総合商社というものは、御指摘のような大きくなり過ぎたという点があるかもしれませんが、私どものほうでは、組織といたしまして、各店長には支店長職務権限がありまして、それが何かやるときには稟議を起こさなければならぬ、それから部内的には、審査部あり、検査役あり、文書部あり、監査役ありということで、社内体制は組織的には完備していると思います。  それから、私どものほうでは三権分立をやっておりまして、あたかも立法、司法、行政があるように、営業とそれから経理とそれから運輸というものが分かれておりまして、一つの商売ができますと、伝票がその三者に行くわけであります。それがそれぞれの各見地から、この商いがどういう経路をたどって、どうして金が入って、どうして物が出たかということを厳重にチェックしておるわけでありまして、その限りにおきましては、たとえば在庫なども甲乙丙と分けておりまして、三カ月以上在庫しておるものは甲であるが、それ以上のものは乙であって、さらに多いものは丙である、それを運輸部が見ておりまして、これは一体何でこんなところにあるか、なぜこんなに長くおるのかということは、これは社内的にもチェックしておるということ、それから私どもの考えておりますことは、私自身の年頭のあいさつというものは、テープにとって世界じゅうに渡してありますし、書いたものじゃだめだということで、私などはフェース・ツー・フェース・コミュニケーションを保つために、昨年は七回、十五万キロの旅行をいたしました。  かようなことにいたしまして、幹部の考えが徹底するようにいたしておりますが、なおそれでも足らぬ、あるいはオフサイドが出る場合もあるかもしれません。そういう場合は、さらに検討いたしまして適当な組織をつくりたい、かように思っております。
  519. 玉置一徳

    玉置委員 この間、去年の五月でありますが、お出しになりました商社の行動基準でありますが、昨年の年度当初の投機問題にからみまして商社批判が起こりましたから、これに対し、皆さんの行動基準をおつくりいただいたわけでありますが、そのうち、中小企業との共栄というやつがございます。これは間々、御存じのとおり、洗濯屋からあるいは食堂まで経営をしようじゃないかというような意気込みすらあるわけでありますが、そうでのうてもこのぐらい大きな問題になりつつある総合商社の行動でございますから、中小企業との分野確保、こういうものには十分に気をつけていただくほうが望ましいんじゃないかと思いますが、三菱商事社長さんから、ひとつ具体的にお考えをお述べいただきたいと思います。   〔井原委員長代理退席、委員長着席〕
  520. 藤野忠次郎

    藤野参考人 中小企業との関係におきましては、私自身も特に前々から意を用いておりまして、そしてそれには二つの面があるわけですが、一つは、そういった非常にこまかい商品で、中小企業を間接にでも圧迫するようなことはやめようという商品の選択をしているわけです。せんだって三十七品目について価格の凍結というようなものもやりましたが、引き続いて、何がもっと加え得るかということも検討しております。  ただ、私が非常に悩んでおりますことは、先ほどもちょっと触れましたが、われわれがつき合っている中小企業は相当多いわけです。自分の関係のところでも五〇%以上株を持っている、いわゆる子会社といいますか、関係会社が九十ほどある。それから一〇%から五〇%までということを数えたら、それは二百も三百もあるわけです。自分の関係中小企業だけでもあるわけです。これがもうほとんど無配の連続なんです。したがって、その無配の連続は何か。運営が悪いのか、あるいは親会社が自分で利益を搾取するのか、そういうことを非常に真剣に研究しているわけです。そういうふうな事情がありまして、中小企業に対しては、われわれは、少なくとも私は非常に熱意を持って応対しておりまして、できるだけのものは希望どおりに扱っているわけです。  それからもう一つの理由は、いろいろ将来人件費も上がるでしょうし、そういうことから、やろうと思っても、総合商社自体の余裕資金がないわけですから、これは先ほど説明しましたが、とてもそういう不生産的な高い月給を出して、そうして効率のあがらないような小さな仕事は、やろうと思ってもできなくなると思います。  ただ、別に目を向けると、世界全体がいまこういうふうな状態になっておりまして、少なくとも独立国の数にしても、この戦後二、三十年の間にかれこれ三倍、(「四十」と呼ぶ者あり)四十じゃなくて、百六十ほどになっているわけです。したがって、これらの国がいずれも、体制のいかんを問わず、全部経済成長したいという希望を持っているわけですから、国の責任者は、自分のところの国民生活条件をよくしてやろう、失業者を減らそう、そういう目的については、この百六十の新しい独立国、もちろん先進国も含めてそうですが、みんなそういう目的を持っているということは、世界経済は、やはり破産の方向に向かっているのじゃないという根本の考え方を私は持っております。そうすると、日本経済がどういうふうにその中で行くのかということになると、日本経済の行き方がはっきりわからないで……(「時間がなくなっちゃうぞ」と呼ぶ者あり)ちょっと待ってください。企業だけがどうなるかという小さなことを言ってもしかたがないので、やはり世界がどういうふうに行くか、その中で日本経済はどうなるかということを考えてみますと、日本経済はますます、そういうふうな需要が多いのだから、みんな経済成長をしたい、しかも大半が発展途上国、そうすると、こういう商事会社の性質の仕事は、やれば幾らでも出てくる、何も内地のこまかいことはやる必要がないということも考えられます。  ただ、根本的には、中小企業はとにかくあることはあるのだから、これをどういうふうにして維持、育成できるものか、こういうことを非常に考えております。
  521. 玉置一徳

    玉置委員 そこで問題は、皆さんのほうの六社を集めましても、先ほどのお話のように、筆頭株主となっているだけでも企業が千五十七社、一社平均約二百社近くもある。六大商社が株式を取得している企業を全部いいますと、五千三百九十社、こういうふうな勘定になります。お話のような意見もよくわかりますけれども、それぞれ中小企業の分野としては、先ほど私が申しましたとおり、洗たく屋さん、あるいは食堂ぐらいは残していただかぬと、行くところがなくなる。こういうような意味で、かつて戦前にいわれたように、大きな船からバケツ、たわしに至るまでというようなことにまたなりつつあるのじゃないだろうか。こういうことで、先般お出しになりました総合商社の行動基準を、時局の動向にかんがみて、もう一度細部を検討願うような御努力をいただきたいと思いますが、いかがでありますか。
  522. 藤野忠次郎

    藤野参考人 ただいまのお話には全く同感であります。(「口でうまいことばかり言って、やることをやらないじゃないか」と呼ぶ者あり)ただ、口でうまいことばかり言って、やることはやらない、そういう気持ちじゃございません。
  523. 玉置一徳

    玉置委員 そこで銀行一つにお願いをしたいと思うのです。  先般のドルの交換と申しますかに関連いたしまして、やはり総合商社の資金がある程度余裕があるのじゃないだろうかというので、日銀が英断と申しますか、残酷かしれませんけれども、思い切った措置を講じたというようなことを考えましても、これから国会なり政府なりでは、商社への集中金融を考えておるというようなところへきつつあるわけでありますが、それについてどのようにお考えになっておるか、あるいはどのようにみずから行動されようと思っておいでになるか、代表いたしまして、第一勧銀の参考人からお願いしたいと思います。
  524. 横田郁

    横田参考人 お答えいたします。  現在金融が非常に引き締め強化されておりまして、都市銀行に対する引き締めは、前年同期に比べまして、本年の第三・四半期は四五%減、今第四・四半期は三五%減というきつい引き締めになっているわけでございます。したがいまして、商社に対する融資も、昨年一月以来、日本銀行の窓口規制によりまして、たとえば、私どものほうの銀行は四半期に商社金融は幾らという割り当てを受けております。この割り当ての範囲内でやっております関係上、全貸し出しの中における商社金融のシェアは逐次ダウンをいたしております。都市銀行で四十六年に一一%ぐらいであったものが、おそらく現在は八%台に下がっておるというふうに思います。また、私ども商社の借り入れ申し込みに対する対応の比率は、商社が需要する金額の大体二割ぐらいが平均でございます。場合によっては純減をしているところもないわけでは決してございません。そういうように、商社に対しましては、窓口規制のきびしいものがあるわけでございますので、非常にきびしい姿勢で商社の方々には対応をしているわけでございます。  したがいまして、大口規制の問題は、またあとで触れるといたしまして、いまのところ、商社に対して過剰流動性があるということは、少なくとも銀行の窓口から見た感触では、現金、預金でございますけれども、非常に現預金比率は低下いたしております。  それからまた、もう一つの流動性と見られる短期有価証券の保有も、先ほど来お話が出ておりましたように、この九月期から十二月に比べて非常に急速に低下をいたしておるのが現実でございます。ただ、ドルを送金した資金というものは、大蔵委員会でも私、御説明申し上げましたけれども、四五%、私どものほうのことしかわかりませんですが、四五%は期日決済、四五%は一覧払いの手形の送金、残りの一〇%がどちらかといいますと二、三日期日を早めた送金というものがございます。しかし、その中には商社はございません、私どもの扱ったものは。むしろ油会社でございます。念のために申し上げておきます。
  525. 玉置一徳

    玉置委員 私なんかが、今度の石油危機と物価の上昇の危機に対しまして、石油会社等々がいろいろなことをやっております。その他の問題、その他の業種においても生活必需品の値上げに便乗値上げ等々が発見されます。私はなぜああいうことを申し上げたかというと、自由経済のよさをみずからが墓穴を掘るような傾向にいまございますし、国民の風当たりも非常にきびしゅうございます。  そういう意味におきまして、ぜひともいままで以上のひとつ御努力をいただいて、十分国民の動向にこたえられるようなひとつ健全な姿になっていただきたい。と同時に、商社の、ほんとうにいい意味商社活動に全力を傾注されるような形にならないと、私は総合商社のこのぐらい大きくなられた方々が、実際日本の経済を左右するような形になるおそれが、悪くすると、悪いほうへ行くおそれもございますので、われわれこんなにおそくまでお残りをいただいてしりをたたいておるわけであります。  まことにあれでございましたけれども委員長、時間が参りましたので、終わります。
  526. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて玉置君の質疑は終了いたしました。  先ほど坂井君から三菱、三井、住友の三社に御要求のありました件は、本日は間に合わないとのことでありますので、御了承願います。
  527. 坂井弘一

    坂井委員 委員長、それは承知いたしました。  ただ、先ほど三社の更正通知書、これは四十五年から四十七年、過去三年と申し上げました。四十八年の上期まで提出をいただきたいと思います。
  528. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 幾年です。
  529. 坂井弘一

    坂井委員 四十八年の上期でけっこうであります。よろしくお願いいたします。
  530. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 はい、了承いたしました。
  531. 坂井弘一

    坂井委員 ありがとうございました。
  532. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて本日の参考人に対する質疑は終了いたしました。  参考人各位には、長時間にわたり御出席をいただきまして、ありがとうございました。ここに委員会代表いたしましてお礼を申し上げます。  次回は、明二十六日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時三分散会