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1974-02-23 第72回国会 衆議院 予算委員会 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十三日(土曜日)     午前十時八分開議  出席委員    委員長 荒舩清十郎君    理事 井原 岸高君 理事 櫻内 義雄君    理事 澁谷 直藏君 理事 正示啓次郎君    理事 細田 吉藏君 理事 小林  進君    理事 田中 武夫君 理事 林  百郎君    理事 山田 太郎君       上村千一郎君    植木庚子郎君       北澤 直吉君    倉成  正君       黒金 泰美君    塩谷 一夫君       瀬戸山三男君    田中 龍夫君       田中 正巳君    塚原 俊郎君       灘尾 弘吉君    西村 直己君       根本龍太郎君    野田 卯一君       藤井 勝志君    松浦周太郎君       松岡 松平君    湊  徹郎君       渡辺 栄一君    安宅 常彦君       赤松  勇君    岡田 春夫君       川俣健二郎君    多賀谷真稔君       中澤 茂一君    楢崎弥之助君       八木 一男君    湯山  勇君       正森 成二君    松本 善明君       三谷 秀治君    有島 重武君       岡本 富夫君    鈴切 康雄君       小平  忠君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (環境庁長官) 三木 武夫君         法 務 大 臣 中村 梅吉君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         文 部 大 臣 奥野 誠亮君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         通商産業大臣  中曽根康弘君         運 輸 大 臣 徳永 正利君         労 働 大 臣 長谷川 峻君         建 設 大 臣 亀岡 高夫君         自 治 大 臣         国家公安委員会         委員長         北海道開発庁長         官       町村 金五君         国 務 大 臣         (内閣官房長         官)      二階堂 進君         国 務 大 臣         (行政管理庁長         官)      保利  茂君         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         人事院総裁   佐藤 達夫君         人事院事務総局         任用局長    大塚 順七君         総理府総務副長         官       小渕 恵三君         内閣総理大臣官         房審議室長   亘理  彰君         総理府人事局長 皆川 迪夫君         公正取引委員会         委員長     高橋 俊英君         公正取引委員会         事務局長    吉田 文剛君         公正取引委員会         事務局経済部長 熊田淳一郎君         警察庁警備局長 山本 鎮彦君         行政管理庁行政         管理局長    平井 廸郎君         行政管理庁行政         監察局長    大田 宗利君         北海道開発庁総         務監理官    秋吉 良雄君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         経済企画庁総合         開発局長    下河辺 淳君         環境庁企画調整         局長      城戸 謙次君         環境庁自然保護         局長      江間 時彦君         環境庁大気保全         局長      春日  斉君         環境庁水質保全         局長      森  整治君         法務省刑事局長 安原 美穂君         大蔵大臣官房審         議官      岩瀬 義郎君         大蔵省主計局長 橋口  收君         大蔵省関税局長 大蔵 公雄君         国税庁次長   吉田冨士雄君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省管理局長 安嶋  彌君         厚生省社会局長 高木  玄君         厚生省児童家庭         局長      翁 久次郎君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         農林省農蚕園芸         局長      松元 威雄君         農林省食品流通         局長      池田 正範君         林野庁長官   福田 省一君         通商産業省立地         公害局長    林 信太郎君         通商産業省基礎         産業局長    飯塚 史郎君         通商産業省生活         産業局長    橋本 利一君         工業技術院長  松本 敬信君         資源エネルギー         庁長官     山形 栄治君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         運輸省港湾局長 竹内 良夫君         労働大臣官房長 北川 俊夫君         労働大臣官房会         計課長     水谷 剛蔵君         労働省職業安定         局長      遠藤 政夫君         建設省計画局長 大塩洋一郎君         建設省住宅局長 沢田 光英君         自治大臣官房審         議官      近藤 隆之君         自治省行政局長 林  忠雄君         自治省行政局公         務員部長    植弘 親民君         自治省行政局選         挙部長     土屋 佳照君         自治省財政局長 松浦  功君         自治省税務局長 首藤  堯君  委員外出席者         参  考  人         (糖価安定事業         団理事長)   横尾 正之君         参  考  人         (日本精糖工業         会会長)    水野 忠夫君         参  考  人         (日本銀行総         裁)      佐々木 直君         予算委員会調査         室長      野路 武敏君     ————————————— 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   愛野興一郎君     笹山茂太郎君   久保 三郎君     川俣健二郎君   細谷 治嘉君     湯山  勇君   松浦 利尚君     辻原 弘市君   瀬長亀次郎君     松本 善明君   津川 武一君     正森 成二君   坂口  力君     鈴切 康雄君   瀬野栄次郎君     岡本 富夫君 同日  辞任         補欠選任   川俣健二郎君     阿部 昭吾君   岡本 富夫君     有島 重武君 同日  辞任         補欠選任   有島 重武君     矢野 絢也君     ————————————— 本日の会議に付した案件  参考人出頭要求に関する件  昭和四十九年度一般会計予算  昭和四十九年度特別会計予算  昭和四十九年度政府関係機関予算      ————◇—————
  2. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これより会議を開きます。  昭和四十九年度一般会計予算昭和四十九年度特別会計予算及び昭和四十九年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、一般質疑を行ないます。
  3. 小林進

    小林(進)委員 委員長議事進行について発言をお許しいただきたいと思います。
  4. 荒舩清十郎

  5. 小林進

    小林(進)委員 われわれは、この四十九年度の狂乱怒濤の社会情勢の中で、国民の負託を受けて、真剣にこの予算審議とその可決のために努力をいたしておるのであります。それに対して、どうも政府側の一部に、この国民とわれわれの真剣な審議に対して、直接、間接的な妨害をしている、あるいは反対的に阻止の行動とも思われるようなそういう行動に出られていることは、まことに遺憾にたえないのであります。  今日に至るまで、私どもは、ちゃんと、十時なら十時の開会五分前にこの会場に参りまして、そして真剣な気持ちで、十時ジャストの開会を待っているのでありますが、その公報に記載せられた正規の時間までに必ず来ない省がある。一回、二回、三回ならずであります。しばしば、もうおくれてくるのがあたりまえのように考えてやるところがある。通産省であります。本日に至っては、まさに十時を過ぐること九分であります。私は、かつて予算委員会のみならず、この国会にある以上は、どの委員会にも所属をしているわけでありますが、特に、この予算委員会において、長い経験を持ちながらも、まあ一分や二分、三分までおくれられた大臣政府委員のあることは見ておりますけれども、九分までおくれたというようなことは、全く前例のない怠慢な状態であります。私は、国会軽視予算委員会軽視もきわまれりと言わなければならない。  委員長、大事な時間でありまするから、私は、長い理屈は述べませんけれども、これは、委員長としても真剣に取り上げて、これは、このままで済む問題ではないと私は考えておりますので、この午前中の委員会質問の終了を待って、さっそく理事会においてこれを取り上げられ、厳重な処置を決定せられることを強く要望いたしまして、議事進行に関しての私の要求にかえておく次第であります。
  6. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ただいま小林進君から議事進行で、お聞きのとおりの発言がございました。どうか政府並びに政府委員は、時間を厳守していただきますことを切望いたします。理事会で取り上げなくとも、厳重にそのことは政府に申し上げますから、どうぞ御了承願いたいと思います。  岡田春夫君。
  7. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私は、きょう二つの問題を重点に御質問をいたしたいと思います。第一点は、東京瓦斯のいわゆる不正問題、第二の点は、苫小牧東港の問題、この二つ中心質問をいたしてまいりたいと思っております。  三木総理が御都合のために、苫小牧東部の問題はあとに回してくれという御希望でございましたので、私は、東京瓦斯、略称して東瓦斯と申しますが、東瓦斯の問題を先に御質問をいたしてまいりたいと思っています。  まず、第一にお伺いをしたいのは、ガス料金は、ガス事業法の規定に基づきまして認可制であります。しかし、ガス用器具は規制されておりません。しかし、ガスというものは、器具がなければ使えないのでございますから、言うならば、抱き合わせの形で販売されていると言っても過言ではないと思います。  ところが、最近、家庭用の瞬間湯わかし器などは、東瓦斯の場合、先月……   〔発言する者あり〕
  8. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 御静粛に願います。——静粛に願います。
  9. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あまり、どうもちゃかさないでください。  東京瓦斯の場合、瞬間湯わかし器は、先月、一躍四千円以上の値上げをやっているようでございますが、これは便乗値上げということになるのではないか。内田さん、あなたに伺うのですよ。いまのお聞きになりましたね。おわかりですね。わかりますか。——もう一回。そんなに時間をとらせちゃ困りますね。  先月、東京瓦斯の瞬間湯わかし器は一躍四千円引き上げておる。これは便乗値上げでないのですか。こういう点、御調査になったことはございますか。
  10. 内田常雄

    内田国務大臣 具体的な問題でございまして、私のほうでは、その瞬間湯わかし器価格調査をいたしておりません。
  11. 岡田春夫

    岡田(春)委員 物価担当の役所で調査をなさっておらないというのは、一体どういうわけですか。
  12. 内田常雄

    内田国務大臣 物価基本方針とか水準とかいうようなことについての調査がおもでございまして、個々の物資につきましては、それぞれその主管省がありまして、主管省担当をいたすことになっております。(岡田(春)委員主管省はどこだ」と呼ぶ)主管省ということになりますと、ガス器具でございますから、通産省でございます。
  13. 岡田春夫

    岡田(春)委員 通産省調査をされておりますか。これは新聞にもたいへん大きく出ておりますが、どういう経過になっていますか。
  14. 岸田文武

    岸田政府委員 ガス器具価格につきましては、最近、若干の品目について値上がりしたことを承知いたしております。理由としては、仕入れ値段の高騰というようなことを聞いております。
  15. 岡田春夫

    岡田(春)委員 若干の値上がりとおっしゃるが、四千円値上がりになっているのですが、資材がそんなに高く上がっているのですか。調査をしたことがありますか、第一。
  16. 岸田文武

    岸田政府委員 全品目についての調査は、まだいたしておりません。
  17. 岡田春夫

    岡田(春)委員 全品目じゃないよ。湯わかし器の話を聞いているんだ。湯わかし器はどうなんだ。
  18. 岸田文武

    岸田政府委員 湯わかし器については、概要先ほど申し上げましたように、若干の値上がりがあるという情報を得ておるだけでございます。
  19. 岡田春夫

    岡田(春)委員 調査しているの。
  20. 岸田文武

    岸田政府委員 一覧表のような調査は、まだいたしておりません。御指摘品目につきまして、どの価格がどのように上がったという調査は、まだいたしておりません。
  21. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これは、大臣にお願いしておきますが、四千円も上がるというのは、たいへん重大です。これは、さっそく調査をしていただきたいと思います。
  22. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 調査をいたします。
  23. 岡田春夫

    岡田(春)委員 瞬間湯わかし器の問題でございますが、その後も、最近に至るまで事故が相次いでおります。そして、とうとい人命がこれによって奪われているという事実が、たくさん新聞に報道されております。どうも、これは機械の設計上に問題があるのではないか。  そこで私は、ここで取り上げる問題としては、かねてから問題になっております富士C4号という湯わかし器の問題について若干御質問をいたしてまいりたいと思います。  富士C号湯わかし器というのは、東京芝虎の門、磯村機器設計によるものであって、同会社と、東瓦斯全額出資子会社であるガスター並びにガスター下請生産会社である廣瀬電機、この三つが生産をいたしまして、東京瓦斯のブランドをつけて、しかも通産省は、優良品としてのGマークをつけて、花形商品として販売をされております。  ところが、昭和四十六年の秋に事故が起こりまして、当時、通産省工業品検査所青木総務部長は、テストの結果、故障はたまたま起こったものではなくて、設計上の欠陥原因があったと公式な発表をいたしました。ところが、それから間もなくして、通産省は、東京瓦斯に対して次のような指示を与えました。その指示は、四十六年の十月十六日付でありまして、工業品検査所発表である設計上の欠陥ではなくて、一部の製造業者製作ミスであると断定をいたしました。東京瓦斯中心一般家庭で使われておった問題の富士C4号の全数は、六十五万台あったのでございますが、その中で、その約五分の一の十四万台に対してだけ各戸巡回点検を行ないました。したがって、残り未点検の約五十万台というものが、今日でもそのまま各家庭で実は使われているのであります。私の家でもこれを使っております。たいへん危険だと思って使っているんですが、ともかくも、こういう形でこれが使われているのが今日の状態であって、これは、たいへんゆゆしい問題であります。  私は、ここでまず第一に通産大臣伺いたいのは、通産省が、一般家庭の危険ということを重視しない、これを顧みないで、技術的には本来設計上の欠陥が明らかであるものを、生産過程の不手ぎわで生まれた不良品の問題であるとこれをすりかえる、また、これを限定することによりまして、富士C4号全商品を取りかえると損失をこうむるところの東京瓦斯を守る、こういうことですりかえを行なって、東京瓦斯と結託をしておるのではないかという懸念があるだけに、この点を、まずどういう経過になっているか、簡単にお答えをいただきたいと思います。
  24. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 昭和四十六年の九月に、消費者協会から、ガス瞬間湯わかし器過熱するとの苦情があり、当局で調査した結果、同湯わかし器過熱原因は、一時期、昭和四十五年五月から十月までの間の製造工程ミスがあり、使用中に内胴と水管が遊離し、水管冷却作用がなくなったため過熱したこと、また、器具ガバナーにも不調のものがあり、このためオーバーインプットとなって過熱を促進したことが判明しました。  これに対する措置としては、昭和四十六年十月十六日付、四六公局第八五九号をもって、製造事業者である磯村機器及びおもな販売事業者である東京瓦斯両社社長あてに、追跡点検修理指示しました。この指示に従って、上記の二社は、四十七年二月末までにほとんどその点検を完了しました。  なお、ガス事業法の一部改正に伴い、四十七年七月一日より検定による販売規制等を行ない、ガス瞬間湯わかし器について、この種の故障がないよう万全を期しております。  具体的な故障及び点検については、係の者から申し上げます。
  25. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いま、中曽根さん答弁されましたように、指示を与えたのは、四十六年の十月十六日、そうでございますね。
  26. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 四十六年十月十六日付、四六公局第八五九号をもって追跡点検修理指示しました。
  27. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私が調べた限りにおいては、十六日の指示のあった前に、すでに東瓦斯では、これは製造上のミスであるという立場から、各戸巡回点検をやる準備を進めておりました。こういうことが、指示のある前に行なわれておるということは、何らか通産省との間に連絡があったということになります。  その証拠に、ここに私、持っておりますが、巡回点検の際に、検査員が必ず持って歩く必携書類がある。この名前は、「富士C号湯沸器作業手順」これは、あとでごらんに入れますが、十月十四日付ですでにつくられております。二日前にすでにつくられているというような事実を見ても、何らか通産省との間に連絡があったと考えざるを得ない。また、それだけではない。十六日の指示の数日前に東瓦斯幹部が、東瓦斯子会社ガスター最高幹部を呼んで、設計上の欠陥となれば、東瓦斯としては、全製品を取りかえなければならないから器具の手当てができない、だから、ガスターに泣いてもらいたいということを言い渡した事実がある。こういう点については、一体、どういうことになっているのかお伺いをいたしたい。  ちょっと委員長、お許しください、これを見せますから。十四日付です。
  28. 岸田文武

    岸田政府委員 消費者から、富士C4号の過熱について苦情がございましたので、さっそく工業品検査所及び日本ガス機器検査協会において、一体、その原因は何であるかということの究明を求めたわけでございます。その原因究明の結果、先ほど大臣から申し上げましたような調査結果がわかった。したがいまして、届け出以前に、いまのような措置によりまして、どういう問題点があるのかというようなことを詰めておった、それを受けての措置であるというふうに御理解いただきたいと思います。
  29. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いまの答弁、なってないじゃないですか。作業手順は二日前につくられているじゃないかと聞いているのに、何を答弁したのか。あれは何の答弁ですか。何の答弁をいましたのか私、わからないのですが、委員長、おわかりでしょうか。
  30. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 よくわかりません。わかるように説明してください。落ちついて……。
  31. 岸田文武

    岸田政府委員 いま申し上げましたように、工業品検査所等を通じまして、原因究明を行なうということによりまして問題の把握をしてまいったわけでございます。その間にありまして、おそらく現実実情等を把握するために、東瓦斯等打ち合わせがあったということではないかと思います。
  32. 岡田春夫

    岡田(春)委員 まあ暗に、指示発表前に、通産省東瓦斯打ち合わせをやったということですね。それなら、それではっきりしておいてくだざい
  33. 岸田文武

    岸田政府委員 私は、現実点検を確実なものにするために、事前に実情調査等を行なうことは、差しつかえないのではないかと思っております。
  34. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いい悪いの問題ではない。さっき、こういう事実もあるというのは、あなたは聞こえたのでしょう。そういう事実は、御存じですかどうですか。
  35. 岸田文武

    岸田政府委員 私は、承知をいたしておりません。
  36. 岡田春夫

    岡田(春)委員 続いて進めます。もっと具体的な質問をいたします。  東瓦斯巡回点検の結果は、ガス事業法通産省報告しなければならない。ガス事業公益事業であるから、通産省調査権もあり、虚偽の報告をしたら、同法第五十九条によって処罰されることになっている。ところが、皆さんのお手元に配付をした資料でもおわかりのように、東瓦斯から通産省に出された報告書は、一番上に印刷をしておりますが、これは全くインチキな疑いが濃厚である。  それの具体的な例をお話しいたします。二枚目をお開きください。二枚目には、実際に回収を行ないまして、そして不良品として処分をされた内胴の実数が、その中間報告で出ている。その数字と対比をいたしまして、三枚目をあけてみてください。三枚目に、磯村機器の場合、実際に回収され、不良品として処分された内胴の実数は、四十七年一月二十二日現在で一万二千三十一個である。ところが、通産省に正式に提出された東瓦斯報告書によれば、四十七年二月末現在で六千六百七十五個にしかなっていない。半数しか報告をされていない。これは明らかに設計ミス製造ミスに見せかけるために、不良品の数を極力少なくするよう工作を行なったというように私は判断するが、これについてはどう思うか。局長、どうですか。
  37. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども東瓦斯から、点検を要する個数につきまして、どのような原因が発見をされたか、問題のなかったものは何であるかという実数報告をいただいております。したがいまして、いま御指摘のような数字承知をいたしておりません。
  38. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたは承知しないって。私は、この問題を去年の夏から調べて通産省にも聞いているのですよ。通産省からもらっている資料、ここにあるのですよ、あなた。ここに、あなたのほうで出した資料全部あるじゃないか。あなた方、調査していないの。そんな怠慢なことでは、私、許しませんよ。どういうことになっているのですか、これは。事実と違うじゃありませんか。
  39. 岸田文武

    岸田政府委員 私ども東瓦斯から得ました報告によりますと、二月末現在で、ガスター関係二万六千九百三十二、それから磯村関係四千四十七という資料を得ております。
  40. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなた、だめですよ。私はさっきから内胴の数を言っているのですよ。あなた、だから持っているでしょう、いま私、配付した資料委員長局長のこの答弁だめですね。委員長、注意してください。  私が一番先に配付した資料は、これは通産省に正式に出した報告書、しかもこれは、通産省の当時井上公益事業局長から私がもらった資料ですよ。インチキにつくったんじゃありませんよ。この資料に基づく根拠をもらっておりますよ。この資料では、ここに書いてあるでしょう。二枚目三枚目に説明してあるでしょう。三枚目で見れば——三枚目局長、ごらんなさいよ。三枚目の1、「点検による実数B表)」磯村分一万二千三十一、これは私のほうが調査したものだ。あなたのほうが調べたもの、「通産省への報告書」で、磯村分六千六百七十五になっているじゃない。明らかに違うじゃありませんか。半数になっているじゃないか。どうなんです、これは。
  41. 岸田文武

    岸田政府委員 ただいま資料を見せていただきました。私どもが入手しておりますのは、お手元の資料の一ページのところでございまして、二ページ、三ページ目の資料は入手をいたしておりません。
  42. 岡田春夫

    岡田(春)委員 委員長、だめですよ、こんなことでは。井上公益事業局長に二ページの資料もあげてありますよ。あなた、調べてごらんなさい、帰って役所の中で。違いますよ、これは。あなた方、何もやってなかったんでしょう。やってないんでしょう。
  43. 岸田文武

    岸田政府委員 帰りまして、さっそく調査をいたします。
  44. 岡田春夫

    岡田(春)委員 委員長、こんなことじゃ困りますな。事前に通告しているのだから。調査も何にもやっていない。いま問い合わせてください。待ちましょう。あんまり時間をとられるのは困るが、待ちます。——質問の時間の中からはずしてくださいよ。
  45. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 岸田部長、わかりますか。静かでいいからわかるように……。
  46. 岡田春夫

    岡田(春)委員 委員長が次、やれということですから、私は紳士的に協力いたします。  それじゃ、まだわからないことあなた、たくさんあるはずだ。その三ページ目の下のほうを見なさい。当時のガスター巡回点検対策本部長であったガスターの竹内専務は、その下請生産会社廣瀬電機廣瀬社長らの要求に基づき、四十七年六月十二日付で次のように答えている。そこに書いてあります。回収された不良内胴の実数は、合計約十万七千個である。しかも、記載した同社の帳簿を示しながらこれを説明しております。ところが、通産省あての東瓦斯報告書では、合計五万五千六百七十九個にすぎない。半数である。この事実をあなた、知っていますか。  しかも、同専務は廣瀬社長に対して、このように言っている。東瓦斯報告書を示しながら、通産省に出したこのデータは作文ですよ、この事情はあなたもおわかりでしょう、報告書はあなたに差し上げるわけにはいかないが、このことで、あなたがどこに出て専務談として話をされても、私は否認することはいたしません、ここまで断定している。明らかじゃありませんか。数は違う。通産省に出した報告書は作文なんですよ。作文にすぎないと言っているのですよ。この事実、調べておりますかどうですか。調べているなら調べている、はっきりしなさい。
  47. 岸田文武

    岸田政府委員 私どもは、第一ページの資料を前提にして作業いたしておりましたので、いまのような事実は承知いたしておりません。
  48. 岡田春夫

    岡田(春)委員 委員長、全然話になりません。これは私、昨年の夏から当時の井上公益事業局長と、この問題はデータを出していろいろやっている問題です。その後、全然やってなかったことを明らかにしております。どれも答弁できないなら、私は質問はできません。進行できません。
  49. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっと待ってください。
  50. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 ただいま、岡田委員から御提起になりました問題につきましては、昨年から、岡田委員から私もお話を承っております。それで、要点は、東京瓦斯が出した数字が虚偽の数字ではないか、ガス事業法に触れるところではないか、そういうところであったと思います。  それで、この問題につきましては、東京瓦斯と当該の廣瀬電機の間にいろいろ示談の話が進んでおりまして、二億円分の融資であるとか、あるいはそのほかの債務保証に当たるようなことをやるとかなんとかという話があって、私は東京瓦斯に対して、それは廣瀬電機とよく話し合いをして、内部的に了解を成立せしめて解決するようにと言って、岡田委員に御報告申し上げたとおりであります。  しかしその後、私に対する報告によりますと、廣瀬電機のほうからいろいろな要望がありまして、そしてその要望の最終的な要望……(岡田(春)委員「まだこれから質問しますから、そっちの話はもうちょっと待ってください」と呼ぶ)ちょっと待ってください。最終的な要望について折り合いがつかなかった。そういうような話で、何ですか、廣瀬電機工業より、工場及び土地建物の売却価格九億一千万の提示があったが、東京瓦斯はあまり値が高いので、共通の鑑定人に依頼することを提示した。そしてことしの一月に……(岡田(春)委員「もういいです、あとその点やるのですから」と呼ぶ)そうですか。いろいろ融資や何かの処置をした。(岡田(春)委員質問しないうちに、あなたが答えるというのはおかしいじゃないか」と呼ぶ)そういう問題でありますので、問題点は、その報告が虚偽の報告であるかどうかという点、それから、はたしてそれらの欠陥といわれるものがどういうものであるかという実相をきわめる点、そういうことがポイントであると思いまして、至急調べさせて報告いたします。
  51. 岡田春夫

    岡田(春)委員 至急とおっしゃるけれども局長のあの実情をごらんください。何も調べていないです。  あなた、そこまでおわかりになるなら、あなたの知っているものを出しましょう。  これも配付していただいてけっこうですが、東瓦斯は、いま大臣も部分的にお認めになったように、中小下請生産業者である廣瀬電機製造ミスとして一切の責任を転嫁する、そして問題を解決しようとした。ところが、廣瀬電機としては、東瓦斯に対してそのような不当なことを抗議して、実際にはこれは製造ミスではなくて設計ミスである、しかも、通産省にあてた報告書が偽造であるという事実を、東瓦斯側に対して明らかにした。これに対して、東瓦斯から廣瀬電機に対して、四十七年七月十八日付でわび証文が出されている。  このわび証文は、東瓦斯の長久、井上両常務、磯村機器の社長の名前でこのように書いてある。それは、いま皆さんのお手元に配付している資料。早く配付してください。——わび証文がこういう形で出されている。いいですか、そのわび証文は、文章はこのようになっておる。「富士C4号問題について廣瀬電機にご迷惑をかけましたことを、まことに遺憾に存じます。今後廣瀬電機の再建に心からのご協力をいたす所存でございます。」こうまでいっておる。報告書の偽造を指摘されたから、このようにおわびしておる。  中曽根さんには、このわび証文を私は見せたはずだ。これに対してどういう調査をされましたか。
  52. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 これも、見せていただいたと記憶しております。  それで問題は、親会社と下請会社の紛争という形でもありましたから、この問題は、東瓦斯側が反省をして、廣瀬電機の立場もよく考えて、損害その他に対して納得のいくような形で、話し合いで解決しなさい、そういうことを私が指示して、あなたも御存じのように、廣瀬電機の首脳部と東瓦斯の首脳部と会わせるように私がして、たしか社長にも会って、その交渉をしたはずであります。その交渉が、どうも不成立に終わったのではないかと思っております。
  53. 岡田春夫

    岡田(春)委員 大臣、廣瀬と東瓦斯の間の話し合いも一つでしょう。これは解決の一つの問題。しかし、報告書が偽造されているというのは、この問題は解決できませんよ。これはそうですね。報告書の偽造の問題については、通産省はどうされたか、こう言っておるのです。
  54. 岸田文武

    岸田政府委員 いまの書類につきましては、いろいろの解釈が可能ではないかと思っております。私ども東瓦斯に聞きました際には、本件の過熱問題が発生したのは、下請企業に対する指導上のミスがあったこと、あるいは製造監督上、もっと改善すべき点があったこと等々の意味を含めて……(岡田(春)委員報告書の偽造について答えてください。それは話が違う」と呼ぶ)廣瀬に迷惑をかけたということを理由にして書かれたものであるというふうに聞いております。したがいまして、いまお話がございましたような事情があったとは、私ども理解できません。(岡田(春)委員委員長、だめですよ。何を言っておるの。質問したこと答えてないよ」と呼ぶ)私どもは、偽造であるということがこの理由であるとは、聞いておりませんでした。
  55. 岡田春夫

    岡田(春)委員 偽造であるということが理由であるというのは、どういう意味ですか。委員長からちょっと確かめてください。偽造したのではないのか、こう聞いておる。
  56. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 質問の意味と答弁が、ちょっと食い違っておるな。
  57. 岸田文武

    岸田政府委員 先ほど申しましたように、偽造の事実は、私ども承知をいたしておりませんでした。したがいまして、先ほどの文書についても、先ほどのような解釈をしたわけでございます。
  58. 岡田春夫

    岡田(春)委員 偽造しておる事実は、わび証文と、もう一つ別な理由で事実上東瓦斯が認めている。これはここで明らかにしますが、あなたのほうで調査なさい。  いいですか、四十七年七月の八日の午後、衆議院の第二会館二階の某自民党代議士の部屋において、二人の自民党代議士が立ち会いのもとに、東瓦斯廣瀬電機両社代表の各四人が会談をいたしました。その席上、廣瀬電機社長から報告の偽造を指摘されましたが、東瓦斯井上亮常務は、会談の初めにとってきた強気一点張りの態度を急に改めて、驚きながら悄然として、次のように陳弁しました。その点については、安西社長にも事情をよく報告をいたしまして善処をいたします、この問題が、ガス料金値上げ前に出されなかったことを心から感謝します、このように言っておる。そして、この事実があってから十日後に、先ほどの、皆さんのお手元にあるわび証文が七月十八日付で出されているわけであります。  こういう点については、中曽根さんも御存じのはずだ。派閥の関係上からいって御存じのはずだ。私は、自民党の二人の代議士の名前は、名誉のためですから名前はあげません。しかし、あなただってこれは御存じのはずだ。こういう事実を東瓦斯自身が事実上認めているじゃないか。そしてわび証文を出しておるじゃないか。局長、あなたはそういう事実を調べておりませんというのは怠慢ですよ。あなた、なぜ調べていないのです。
  59. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまのお話の点で、疑惑があるといけませんから申し上げますが、その自民党の代議士という方は、私は一人は名前を知っておりますが、その方には、大体廣瀬電機の味方としてそのとき、はべっておったように私は聞いております。それで、何も東京瓦斯の弁護のために自民党の代議士が出てきたのではないということを、ここで明らかにしておきます。その代議士も私のところに来まして、経過報告して、善処するようにという要望がありましたので、そのことは岡田先生にも申し上げたとおりで、協力してこの問題は解決しよう、そういうことを言ったのであります。(「氏名を明らかにしてください」と呼ぶ者あり)
  60. 岡田春夫

    岡田(春)委員 委員長、氏名を明らかにしてもいいの。委員長、必要があればいつでもやります。明らかにしましょう。調査の結果、中曽根さん……(発言する者あり)委員長、それじゃやるならやってください。出せと言うなら私は適当な機会にいつでも出します。
  61. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 不規則発言には関係なくやってください。委員長が、大臣が必要であれば、あるいは政府委員が必要であれば呼び出しますから、どうぞ続けてやってください。
  62. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ進めます。私、ほかの問題がもう一つありますから、先へ進めます。  それじゃ、あなたのほうが調査をされて、報告書が偽造であったとするならば、これはもちろん公文書偽造ですね。偽造であったとするならば、その場合には公文書偽造であり、ガス事業法五十九条が適用される。通産省、これをやる勇気ありますか、東瓦斯に対して。まず第一、調査をするのか、調査の結果、偽造であったら、ガス事業法の適用をする勇気があるのか、大臣
  63. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 偽造であるかどうかという点については、私も調べさせました。そのときの報告は、偽造であるということは証明しにくい、そういうことでありました。それは、点検の数が六十何万とか当時あがっておって、そのうちの何%が磯村の分であり、何%がガスターの分であり、その数は、あまりにも点検の数が多過ぎるから、見きわめにくいということもありましたし、それから、その故障の理由が設計ミスであるか、工程のミスであるかという点も、これは工業技術院の試験所で点検させたところでございます。それらの結果、いま岡田委員の御要求もございますから、もう一回すべてあらためて点検し直してみまして、偽造であるかどうかも確かめてみます。(岡田(春)委員「偽造であったら」と呼ぶ)偽造でありましたら、法律や、いままでの行政法規の命ずるところに従いまして、適当な処置をいたします。
  64. 岡田春夫

    岡田(春)委員 先ほど中曽根さんからも、この問題が起こったことによって、廣瀬電機がわび証文もとりながら、その後発注をとめられて、いまや、倒産同然の状態になっている、この事実はあなたは御存じなはずだ。さっきの御答弁の中でもはっきりしている。こういう点を知っているならば、やはり誠意を持って、中小企業者にこういう犠牲を負わさないように、努力をしてやるのが当然だと思いますが、こういう点については、中曽根さん、もう一度ここで確認しておきたい。努力されますか、どうですか。
  65. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 努力もいたしましたし、これからもいたします。  それで、あの件につきましては、たしか廣瀬電機東京瓦斯の間に一たん話が成立いたしまして、東京瓦斯がたぶん二億円近い債務保証をやったか、銀行保証をやったか……(岡田(春)委員「融資です」と呼ぶ)融資をやった。それで、しかし廣瀬電機のほうは、その後また経営が悪くなったというので、土地や不動産を買い取ってくれという話になって、それも話に応じましょうということでお互いで交渉したが、その言い値が九億何千万円で、とても高いというので、それじゃ共同の鑑定士に依頼して鑑定した値段を基準にして相談しましょう、そういうことになったけれども、その点も不調であった。そういうことで、融資していた分の返済期限が迫ってきて、一億五千万とかなんとかを最近払ったとか、そういう話を聞いておるのであります。  しかし、この問題は、最初から申し上げましたように、下請関係と親会社との関係において、かりに親会社がそういう優越した地位を利用して下請をいじめるようなことがあったのではいけない。親会社の過失を下請に転嫁するようなことがあったのではさらにいけない。そういう観点からも、さらに精査してみます。
  66. 岡田春夫

    岡田(春)委員 精査をされるということですから、その基本になるのは、やはり報告書が偽造されているかどうか、こういう点がポイントになります。  そこで、私、調査のポイントをあなたのほうに申し上げておきます。井上公益事業局長からいろんな資料を私はもらっております。東瓦斯を通じてもらった数字であります。あの数字、データは、あれが偽造であります。あれが偽造であるという事実をお調べください。  すなわち、私、その資料を見ているのですが、各戸巡回点検、先ほど大臣が言いましたね、十四万の巡回点検を行なった。このときに、皆さんの手元に細長いのが行っているでしょう。そこに、「器具修理受付票」というのがあるでしょう。大臣、おわかりですね。これを、各戸点検のときにパンチを入れて、そのパンチを集計したものです。パンチを入れているのですから、当然これは電算機に入れて集計している。この受付票に書いてある点で、故障個所は、ごらんください、ゼロから始まって五まで、六カ所の故障個所が指摘をされている。そして、異常なしは最後の第六だけですね。そうなっています。こういう形でパンチを入れて、自動的に電算機で集計をされたものです。  ところが、東瓦斯から井上局長のところに持ってきた資料は、ここにあるのだが、そういう数字になってないでしょう。全然これは、統計資料は違いますよ。「富士C4号点検状況(全社)」としてここに出ている。通産省がもらっている資料はこれですよ。これと、いまあなたに御説明をした受付票によるところの点検とは、これは違います。ここにいわゆる偽造の基礎がある。  特に、はっきり申し上げておきましょう。通産省東瓦斯から出した中に、「支社統一見解 異常なし」という部分がある。こんなものは、パンチに、どこにもないです。パンチに押したところにはどこにもないです。ここに問題があるのです。偽造の根拠はここにある。こういう点をぜひひとつお調べをいただきまして、これは当委員会資料として御提出をいただきたい。  すなわち、もう一度言いますが、電算機を通じて集計をされたその数字東瓦斯にあるはずです。その東瓦斯資料をこの委員会に提出するように、委員長を通じてお取り計らいをいただきたいと思います。
  67. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 岡田君のただいまの資料要求に対しまして、理事会で相談いたしまして、適当な処置をとることにいたします。
  68. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、廣瀬電機の関係について、すなわち、東瓦斯のいわゆる不正問題については、幾つかの問題点調査をすると約束をされ、資料を出すと約束をされているのでございますから、それを出しましたあとにおいて私は質問をいたしますので、留保いたして、次の問題に入りたいと思います。
  69. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 ちょっとお待ちください。社会党に充てられた持ち時間によって、どうぞお願いいたします。けっこうです。
  70. 岡田春夫

    岡田(春)委員 では、次の問題に入ります。いいですね。
  71. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 どうぞやってください。
  72. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それでは、次の問題、苫小牧東部の開発の問題、略称しまして苫東とわれわれは言いますが、このあと苫東ということばを使いますので、御了解を願っておきたいと思います。  この問題につきましては、三木総理、それから町村北海道開発庁長官、徳永運輸大臣、またその行政措置上の問題としては、二階堂官房長官と保利行政管理庁長官、大蔵大臣、この皆さんに御質問をいたしてまいります。どうぞ町村さん、こっちのほうへ。遠いところじゃ気の毒ですから。  去る一月の十八日、運輸省は苫小牧東港の港湾計画を認める旨の通達をいたしました。言うまでもなく、苫東は列島改造論に基づく大規模工業基地の第一号の港湾である。世界に前例のない巨大な掘り込み港の計画であります。それだけに、公害問題をはじめとしていろいろな問題が起こっておりますが、関係地域住民の、これは死活に関する重大問題であります。  したがって、地域の住民と十分なコンセンサスを得ることが先決条件だと私は思います。そのコンセンサスを得るためには、関係の自治体はもちろんのこと、政府も、住民の納得を得るようにあらゆる努力をしなければならないと思います。  こういう点について開発庁長官、住民とのコンセンサスを得るためにどういう努力をいままでしてこられましたか。この点をまず長官から伺いたい。
  73. 町村金五

    ○町村国務大臣 いわゆる、苫東の工業基地の開発ということは、ただいま御指摘にもございましたように、かなり巨大な計画でございます。したがって、今後これを推進し、実現をしてまいりますためには、多くの問題があることは言うまでもございません。ことに、最近は公害の問題というものが、非常に地域住民によって重視をされるという状況に相なっておるわけでございますから、特に、今後この大計画を進めていく上におきましては、地域住民のできるだけの協力を求めるということが必要であることは言うまでもございません。  私は、実は二年半ほど前、このことに多少関係をいたした者の一人でありますが、当時私どもは、地域住民からはこの計画については、実は全面的な賛成を受けるという判断の上に立って、この土地の買収ということに着手をいたした記憶があるわけでございます。  その後におきまして、ただいま御指摘のございましたような、いわゆる高度成長に伴ういろいろな問題が起きてまいるということで、地域住民の間からこの問題に対して、かなり疑問視するような意見というものが、だんだん出てきておるということは、私も承知をいたしておりますけれども、しかし、私は、総体としては、地域の方々は、やはりこの計画は、そういったいま問題になっておるようなところを十分警戒し、そういった事態の起こらないような姿で進めてもらいたいというのが、私は地域住民の率直な考え方であろう、かように承知をいたしておるわけであります。
  74. 岡田春夫

    岡田(春)委員 どういう努力をされたかということについては、あまり御答弁がないわけですが、これはあとで伺ってまいりましょう。  これは官房長官に伺います。  港湾計画がこの間、一月の十八日にきまりました。ところが、これがきまるまでの過程で、手続上に瑕疵があった場合、しかも、その瑕疵をめぐって住民との間にコンセンサスが得られないというような場合、こういう場合には、政府はどういう措置をとられるのか。私、なぜ官房長官に伺ったのかというと、これは幾つかの役所に関連をしている問題ですから、そういう意味では、各役所の、特に行政機関において関連をしておりますだけに、官房長官として、こういう瑕疵が原因になってコンセンサスが得られない、こういう場合に、政府はどういう措置をおとりになるか、この点をひとつ伺っておきたいと思います。
  75. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 私は、この審議会、苫東ですか……(岡田(春)委員「その手続ですよ、手続の中で」と呼ぶ)手続が、具体的な問題についてどういうふうにとられたのかということについては、詳細に承知をいたしておりませんが、しかし、こういう審議会が開かれる場合の手続は、制度的にきめられたとおり、法律上きめられたとおりやるべきものだと心得ております。
  76. 岡田春夫

    岡田(春)委員 ちょっと私の質問の意味が、まだ御理解いただけないのじゃないかと思うのですが、港湾計画がきまる前の手続上で問題が起こった、それに間違いがあった、そういう場合、その間違いが、関係住民との間のコンセンサスを得るために非常に大きな混乱を起こす原因になっている、そういう場合に、その間違いを改めるのでなければ解決はできないと思う。  そういう点について、やる気はおありなのかどうなのかということを伺っている。
  77. 二階堂進

    ○二階堂国務大臣 これは、原則的にはいまおっしゃったとおりのことだと思いますが、具体的な問題につきましては、運輸大臣から詳細にその経緯その他を聞かなければ、私はいま直ちに、どうすべきだとか、すべきでないとかいう御答弁はできかねます。
  78. 岡田春夫

    岡田(春)委員 具体的な問題についてはあと伺います。ただ、原則的にはそのとおりだという御答弁がありましたので、それをもとにして進めてまいります。  三木総理環境庁長官として伺っておきますが、この苫東問題は、かねてから問題だったのですね。  それで環境庁が、いわゆる事前評価、アセスメントをやりました。こういう問題などを通じて、鉄鋼を留保するということになったわけですね。これは私、速記録を調べてまいりましたが、昨年の六月の十五日、公害環境特別委員会において、こういう質問があった。将来、この苫小牧東部基地に鉄鋼が立地できると思いますかどうですか。これに対して、三木さんはこう答えている。「苫小牧の臨海工業地帯があるし、その上、苫小牧の東部工業地帯、全体としての環境容量というものを考えなければなりませんから、鉄鋼の工業立地はきわめて困難であると考えます。」このようにお答えになっている。また、これは大臣の政治的な答弁でないという証拠に、その三日前の六月の十二日に、同じ委員会で、環境庁の企画調整局長も次のように言っている。「当初の基本計画で示されている鉄鋼の二千万トン、あるいは石油の百万バーレルというものを同時に達成することは、これは至難であるということでございますので、当面、鉄鋼の二千万トンはこれをたな上げをいたしまして、それによって当面の港湾計画策定に必要な開発規模というものを想定いたします、」このように言っている。したがって、この間きめられた港湾計画というものは、当然鉄鋼をたな上げにして、留保して、残りのもので開発の規模をつくったものであると考えておりますし、また三木長官としては、将来鉄鋼立地はきわめて困難である、こういう考え方に変わりがないかどうかということを、まず三木長官にお伺いをしたいと思います。
  79. 三木武夫

    三木国務大臣 いまも考え方は変わりません。
  80. 岡田春夫

    岡田(春)委員 政府は、昨年六月の十一日に関係の五省庁会議を開いて、苫東の鉄鋼留保を正式にきめた。と同時に、鉄鋼を除いた以外の規模で港湾計画を六月の二十八日の港湾審議会にかける、その準備を進める、こういうこともきめました。ところが、結局その直前になってから、地元の都合でこれは取りやめになりました。しかし、その六月二十八日の港湾審議会にかけるための準備はどんどん進んでおりました。したがって、開発の規模の数字とか、あるいはまたその他の点については、その当時の公害特別委員会答弁をいたしております。  それを再度確認する意味で、これは開発庁に伺いたいのでございますが、このときの、すなわち、去年の六月段階における港湾計画というものの目標年次は昭和六十年であったはずだが、どうか、この点が第一点。第二点は、計画の基礎になっている出荷額、港湾取り扱い貨物量は幾らに見積もっておるか、この点を、これは開発庁長官ではあれですから、局長伺いたいと思います。
  81. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 お答えをいたします。  六十年度ではございません、六十年代が正確でございます。出荷額につきましては、当初鉄鋼を含めましたときの数字は一億六千万トンでございましたが、鉄鋼分が保留になりますから、その分の出荷額が落ちてまいる、こういうことでございます。(岡田(春)委員「三兆だろう」と呼ぶ)失礼しました。三兆三千億から鉄鋼分が落ちてまいる、こういうことでございます。
  82. 岡田春夫

    岡田(春)委員 出荷額は、六十年代として三兆三千億、鉄鋼を留保しているならば金額は幾らですか、こう聞いているのです。それから、港湾取り扱いの貨物童は、鉄鋼を留保した場合に幾らですかと聞いているのです。その点は答えなくて、何だかわからないことを言われても困るのです。
  83. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 失礼いたしました。二兆五千九百億の出荷額でございます。
  84. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それから貨物量は。
  85. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 貨物量は、ただいま数字はちょっと持ち合わせておりませんが、さっそく調べて、御報告申し上げます。
  86. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そんなことがわからないんじゃ困りますよ。鉄鋼を留保しない場合には、貨物量は一億五千七百万トンでしょう。それから、鉄鋼を留保した場合には九千七百六十万トンでしょう。違いますか。
  87. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 ただいまさっそく調査をいたします。
  88. 岡田春夫

    岡田(春)委員 これはすぐあとで使いますから。計算すればすぐ出ることですから。
  89. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 計算して早く出せ。
  90. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それじゃ、それもわからないんなら、これもますますわからないかもしれないな。その六月段階における所要資金額は幾らでしたか。公害対策特別委員会では、大蔵省の藤仲主計官——福田さん、藤仲主計官っておりますね。この人は、「総体の事業費は、将来計画も含めまして約千五百億をこえるということをわれわれは承っておるわけでございますが、」云々と、こうなっている。したがって、六月段階における総体事業費は、将来計画を含めて千五百億、こういうことを答弁しておりますが、これは大蔵省がこれを聞くのは、当然、開発庁が数字を積算してきて相談があったからだ。開発庁がその数字も知っているはずだ。どうですか、答弁できますか。
  91. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 千六百億でございます。
  92. 岡田春夫

    岡田(春)委員 先ほどの貨物量の数字も早く出してくださいよ。  それから、開発庁が作成した当初の、「苫小牧東部大規模工業基地開発基本計画」これは閣議の承認を得ている。この承認の中で、目標年次は昭和六十年代、出荷額は鉄鋼を留保しないで三兆三千億、港湾取り扱い貨物量は一億五千七百万トンだったと思うが、これはどうですか。
  93. 秋吉良雄

    ○秋吉政府委員 そのとおりでございます。
  94. 岡田春夫

    岡田(春)委員 昨年の十一月に、市長である港湾管理者が中央の港湾審議会に提出をするものとして、ここに私持っております「苫小牧港東港地区港湾計画」これがつくられました。この地区港湾計画なるものは、中央の港湾審にかける前に、現地、苫小牧でいわゆる地方の港湾審、これにかけられまして、そして港湾計画が地元のものとして提出するということがきまったわけです。これは御存じのとおりです。  ところが、その中にはこのように書いてある。書いてある内容は、「昭和六十年の取扱貨物量を外貿一億四百万トン、内貿五千三百万トン、合計一億五千七百万トンと想定し、次のとおり港湾計画を決定しようとするものである。」いいですね。また、この計画書の付属資料、ここにありますが、計画の資料六四ページによると、出荷額は、六十年を目標として三兆三千億円になっています。だから、現地の港湾審で決定されたものは、目標は昭和六十年、鉄鋼留保ではなくて鉄鋼を含めて、出荷総額は三兆三千億、取り扱い貨物量は、鉄鋼を含めて一億五千七百万トン、そのような数字になっているわけです。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕  三木さんにお伺いしたいのですが、鉄鋼留保というのははっきりきめてあるのに、鉄鋼を含めて、これは地方の港湾審できめている。これは明らかに政府の決定に反すると言わなければならないと思いますが、いかがですか。
  95. 三木武夫

    三木国務大臣 岡田委員指摘のように、地方からはそういう計画が出てきたことは事実ですが、これは直さしたわけであります。
  96. 岡田春夫

    岡田(春)委員 直さしたのだ、そういう事実がはっきりしてまいりました。  運輸大臣、ひとつここら辺は、直さしたんだ、地方の港湾審では違うものをきめたのだ、しかしこれを直したのだ、こういうことになっていますね。この点が一つ。  もう一つは、そうなると、中央の港湾審できめたのは、目標年次五十三年の港湾計画をきめた。それに反して、その手続の前提となるべき現地の港湾審では、目標年次六十年の港湾計画をきめた。これは明らかに食い違っている。目標年次が五十三年と六十年という数字だけの違いじゃありません。開発の規模が全然違う。並びに、出荷額も違うし、取り扱い貨物量も違う。こういう点は、三木さんお認めになりますね。
  97. 三木武夫

    三木国務大臣 地方計画と港湾審議会できめたものの間には、変更がございます。
  98. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それならばこれ、おかしいじゃありませんか、官房長官。中央の出してきた書類と地方とが全然違うものをきめた。しかも、これ、同情的に見て単にミスプリントがあったとか、あるいはこういう点、簡単に思い違いをしたというものではありません。全体で十八カ所において訂正をしている。十八カ所も違うものを、中央港湾審にこれを出して、それで港湾計画が承認されましたなどということになりますか。これは地方住民のコンセンサスはどうして得られるのですか。なるほど、これについては港湾局長からあとで通達が出ています。港湾局長、もう御存じのとおりだ。通達が出ている。この食い違いを、あとで了承を得るように努力しなさい、こういう通達が出ている。  通達が出ておりますけれども、行管長官に伺いたいのですが、このように根本的に違うものを中央においてきめておいて、違うからといって、あとでこう薬ばりの通達を出して、これで行政の措置として適切妥当なものだというようにお考えになりますか。どうですか、これは。行管庁長官、これはいわゆる行政管理の問題として、きわめて重大な問題だと思う。  もう一度言います。保利さんいいですか、前には全然違うものをきめた。それを土台にして中央の港湾審にかけなければならない。その土台にしてかけるべきその案を、港湾管理者である市長は、これを自分でかってに改めてしまって、中央港湾審においては違うものをかけた。違うものをかけて、港湾審ではこれは答申をした。おおむね妥当であるという答申をした。ところが、この事実が十八カ所もあって、あまりにも違い過ぎるために、これはほっておけないということで、大臣が承認すると同時に、一月の十八日に港湾局長名で通達を出した。この通達は、この二つの違いを改めるために、あとの中央港湾審できめたとおりに、地元において了解を取りつけなさい。どこへ了解を取りつけるか。市議会、地方の港湾審議会、港湾管理組合議会、この三つに対して了解ができるように取りつけをしなさいという、あとから通達を出した。これどうですか、行政措置として。食い違っていることは明らかなのに、局長通達ぐらいで、こういう食い違い、根本的な食い違いをこう薬ばりをしても、これは行政措置上適切妥当であるなどということは絶対に言えないと思うが、行管庁長官としてどういう御見解でございますか。
  99. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 行管庁長官の前に、三木国務大臣
  100. 三木武夫

    三木国務大臣 最初に御答弁申し上げましたごとく、最初、地方の港湾審議会できめたものを、それでいろいろ不備な点があるというので、もう一ぺん再提出をして、その再提出されたものを中央の港湾審議会にかけたという経緯があることを、補足しておきます。
  101. 岡田春夫

    岡田(春)委員 もう一度御答弁を、保利さんに伺うためには、いま三木さんは再提出をされた。これは再提出かもしれません。再提出の前提としては、地方の港湾審議会に了解をとってからでないと再提出はできないはずだ。それはとってない。全然やってない。そして、あとでやりなさいというようなこう薬ばりでは、行政措置上、これは正しい行政の運営だとは絶対に思えない。保利さん、いかがです。
  102. 保利茂

    ○保利国務大臣 ちょうど三木長官が留守中に、昨年の十二月十八日ですか十九日でございますか、港湾審議会が開かれて、それでそのときは、十二月の国会でも再々私も三こで申し上げましたように、何か六十年代の開発構想は、どうも公害問題やいろいろの問題から勘案して、いまお話しのように鉄鋼等は除外せざるを得ない、一応それは将来の問題として、五十三年目途の開発基本計画を立てて、それにマッチする港湾計画を立てる、そのために港湾審議会を持たれるということであった。  ところが、御指摘を受けましたのは、そうじゃないじゃないか、港湾計画は六十年代の開発基本計画のとおりにのっとってやっているじゃないかという御指摘がございました。それで調べますと、そういう点もあるようでございます。それで十二月の港湾審議会は、そういうことども等もありまして保留になって、港湾審議会では結論が出なかった。  この一月の十八日ですか十九日ですか、また、たまたま三木長官のお留守中に私が代理をいたしましたものですから、港湾審議会が開かれる、こういうわけでございまして、それは、五十三年基本計画にマッチする港湾計画が審議されるように手直しされたんだろう、それじゃいいじゃないかといっていますというと、ところが、それは手直しができていない、十二月の出されたままを出す。どうもおかしいというので、環境庁当局から運輸省に、これはおかしいじゃありませんかということを強く申し入れまして、たしか、それは一月十日以前に開かれる予定だったんだと思いますが、そこで運輸省のほうでも検討されて、それで港湾審議会の委員の方々とも相談されて、そういうことども等を検討して、一月の十八日ですか十九日でございますか、そういうことでまた開くようになりましたから、そこまで検討されて開かれるということであれば、港湾審議会を開かれるということについては、環境庁としてそれ以上異存を言うべきでもなかろうということで、審議会の開催には同意をいたし、そしてその審議会でそういう決定がされたということで、どうも行政上あまり瑕瑾があるような、手続上の瑕疵があるように私は感じまません。  同時にまた、地元の港湾審議会でございますか、苫小牧市のその審議会との関係がどうや、こうやというようなことはございましたけれども、その辺は港湾局長も来ておりますから、港湾局長からよくお聞きいただきまして、私は、これはどうも決定に至る重大な瑕疵があるというようには、実は感じておりません。
  103. 岡田春夫

    岡田(春)委員 保利さん、ちょっと誤解があっちゃいけないので……。港湾計画というのは、港湾審議会でかってにきめることはできないんですよ。提案は、港湾管理者しかこれは出せないのですよ。この港湾管理者が出す港湾計画というものが、いま保利さんお認めのとおりなんです。六十年計画で出してきた。ところがあなた方のは、これはおかしいじゃないか。六十年計画であり、鉄鋼も入っているじゃないか、おかしいじゃないか、直さしたと、こうおっしゃるのでしょう。こう答弁しましたね。直したものは、それじゃ地方の港湾審議会にかけて了承を得てこなければならないはずなんです。それは了承を得ていないのです。何にもやっていない。市長がかってに直しちゃった。これが妥当であるかどうかということを聞いているんです。どうですか、もし何なら港湾局長
  104. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 先ほどの先生の御質問の点から、ちょっとお答えしていきたいと思います。  先ほど、昭和六十年の計画を地元に提出したとおっしゃいましたけれども、確かにそのような文書はございます。ただ、そのあとで少しプラスしている面がございます。「ただし、環境保全上の観点から、公害未然防止に関する検討をさらに進めることとしている事情にかんがみ、当面、昭和五十四年以降の計画については、これを留保するものとする。」このような形で地方港湾審議会に説明していると承っております。これが、実はこのまま昨年の十二月の三日に提出されてまいりました。  その際、このことをいろいろ聞きますと、計画そのものは昭和五十三年までの計画でございまして、この文章の形といたしまして、昭和六十年までの目標年次を書いた。これは先ほどからの、開発庁のほうでおつくりになった全体の計画をバックグラウンドとしてやるということを書きまして、五十三年までの計画をここできめたい、これが港湾管理者の真意でございます。地方港湾審議会におきましても、このような形で、実は五十三年までの計画を説明したわけでございますので、私ども、五十四年以降は全く白紙であって、五十三年までの計画をつくるんだなということを念を押したわけでございます。そうしてこの表現が、非常に誤解を招くおそれがあるというようなことを指摘いたしまして、港湾管理者といたしましては、それをまたつくり直しまして、誤解のないような形で、昭和五十三年までの計画といたしまして、十二月十八日に再提出してきたわけでございます。真意といたしましては、地方港湾審議会に……
  105. 岡田春夫

    岡田(春)委員 十二月十八日に提出したのですか。
  106. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 十二月十八日でございます。真意といたしましては、地方港湾審議会に説明したもの、すなわち、昭和五十三年までの計画と同じである。ただ、説明のしかた等がまずいので誤解を招くおそれがある、このように考えた次第でございます。  したがいまして、すべての答申の終わったあとで、このような誤解があっては困るということを心配いたしまして、私といたしましては、港湾管理者に対して、いろいろな誤解を解くように、特にこれは地方公共団体の中の問題でございますけれども、解くようにということをお願いした次第でございます。
  107. 岡田春夫

    岡田(春)委員 港湾局長、そう言いますけれども、この報告書、正式の計画書には、六十年を想定してこのような港湾計画をきめる、ただし五十四年から以降のものは留保するといっているのであって、六十年ときめたんですよ。  たとえば、あなたの答弁のように、百歩譲っても、六十年のもきめ、五十三年のもきめたのです。二つきめたのです。留保条項は五十四年以降だけを留保する、そうなっている。「昭和六十年の取扱貨物量」以下云々、これを「想定し」これを想定した、そして「次のとおり港湾計画を」きめるんだ、こうなっておる、六十年のをきめたんですよ。  この事実については、まだあとへ続いてまいります。もう一度伺ってまいりますが、それじゃ時間もあまりありませんので続いてまいりますが、運輸大臣伺いたい。  昨年の末に、続いてあなたが答弁されているのですが、それは衆議院の商工委員会、それから参議院の予算委員会、この二つで同じ答弁を行なっておられる。その要旨をもう一度私が言いますと、こういうように言っている。この港湾計画は五十三年目標の計画であり、手続の上でも、北海道議会並びに港湾管理組合議会の議を経て提出されたものである。これは二回同じように答弁されている。  それじゃ伺いたいのですが、五十三年目標の計画は、北海道議会の何月何日にきめられておりますか、管理組合議会の何月何日の議を経ておりますか。これはおわかりでございますか。
  108. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 私が、北海道というので道議会ということばを使っておりますが、これは参議院で十二月の十三日と、衆議院でも商工委員会で、土井委員質問にお答えしております。私、まことに申しわけないことでございまして、道議会というのは、バックグラウンドの用地買収のことであるとか、そういうようなことと港湾計画とを勘違いいたしまして、港湾計画の御質問にそういう道議会ということばを使ったわけでございまして、これはまことに、私の思い違いで申しわけないことでございました。心からここでおわびを申し上げまして、訂正させていただきます。
  109. 岡田春夫

    岡田(春)委員 管理組合議会は……。
  110. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 審議会並びに管理組合議会は議決ということばを使っておりますけれども、これは議決ではなくて、審議会は諮問し答申をとったことであり、また管理組合議会はこれにおはかりしたということで、議決ということばは私の誤りでございますから、まことに申しわけございません。訂正させていただきます。
  111. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の伺っているのは、五十三年目標の計画は、管理組合議会へはかっておられますか、どうですか。はかってないでしょう。
  112. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 全員協議会においてはかっておるそうでございます。
  113. 岡田春夫

    岡田(春)委員 いつですか。
  114. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 管理組合議会には、十二月三日に説明をしております。
  115. 岡田春夫

    岡田(春)委員 それはうそです。それは六十年の計画、最初の案をかけたのです。ですから、大臣聞いておいてくださいよ。この二つのあなたのおっしゃった、訂正をされたけれども、道議会、管理組合議会、議を経てという形をとらないにしても、どっちも五十三年目標のものはかかってないのです。かかっているのは一つだけ、あなたが答弁されなかった苫小牧市議会だけがかかっているのです。  いいですか、これほど問題なんですよ。三木さん、それから保利さん、聞いておいてください。この苫小牧港というのは、北海道道庁と苫小牧市の共同管理の港なんです。だから、地方自治法に基づいて共同管理組合をつくっているのです。ところが、一方の市議会については、これは議決をした。この議決についてもたいへん問題がある。ゴリ押しをして強引にきめたのですが、この点はいまはおいでおいで、もう一方の北海道関係の議会その他については、全然かけてないのです。共同管理の組合までつくっておいて、片一方だけきめて、こっちのほうは全然やらないで、それは徳永さんの言ったとおりなんです。管理組合議会というものでは六十年の計画をきめたのです。これで地元で承認をとりましたなんという理由になりますか。こんな話では問題になりませんよ。  しかも、運輸大臣はこう言っている。道議会、管理組合の議を経て手続をとったのですから、運輸省としては港湾審にかけざるを得ません、こう言っている。この手続それ自体にむしろ間違いがあった。その手続がとられてなかったんだ。これは手続をとってないんだから、手続を取り直す以外にないですよ。どう思います。運輸大臣、お答えになりますか。お答えください。——いや、大臣答弁した問題ですから、あなたがお答えなさい。
  116. 徳永正利

    ○徳永国務大臣 六十年代の計画というのに、五十三年までの計画であって、あとは保留するんだということを説明……(岡田(春)委員「六十年と書いてありますから」と呼ぶ)六十年代の計画であるけれども、この港湾は五十四年以降は保留する、したがって五十三年までの計画だという説明で、それぞれ議会、機関にはかっておるということでございます。
  117. 岡田春夫

    岡田(春)委員 あなたの答弁では、何を言われているかわからぬです。  それじゃ、私ももう時間があと十分ぐらいしかないものですから、続いて言いますが、これはだれが聞いてもおかしいじゃありませんか。  大蔵大臣、いいですか。先ほど開発庁の役人が答えたのに、去年の六月段階で、所要資金額は幾らになりますかと聞いたら、約千六百億円ですと、こう答えた。ところが、中央港湾審でこの間きめたこの計画によれば、徳永運輸大臣の言うとおりにすれば、六十年ではなく、五十三年目標で千五百五億円かかる。しかも、内容を調べますと、五十三年目標の計画は六十年に比べて出荷総額は七分の一です。わずか四千三百億円です。それから港湾取り扱い貨物量、港に入ってくる貨物ですね、これは六十年に比べると五十三年は五分の一、わずか二千八百十万トン。規模において七分の一、扱い量において五分の一、このように縮小した計画なのに、所要資金額は、片ほうは千六百億、片ほうは千五百五億、これはどういうのでしょう。過大投資の尤たるものじゃありませんか。だれが考えたって、七分の一になり五分の一になるものに、先に千五百億も使ってしまうのはおかしい。これはさっき、約千六百億と言いましたが、あれはうそなんですよ。私、そのままで質問しているのですが、あなたのほうの藤仲主計官は千五百億円をこえると言っている。ほんとうのことを言うと同じ数字なんですよ。言いましょうか。開発庁、聞いておきなさい。あなたの言ったのは、千六百億でないですよ。千五百三十億です。千五百三十億が正確なんです。同じ数字なんです。規模は七分の一に縮小し、扱い量は五分の一に縮小して、金だけは千五百億円使う、これは過大投資の尤たるものじゃありませんか。大蔵大臣として、総需要抑制政策をとるなどとおっしゃって、こういうことをお認めになるのでございますか。どうですか、福田さん。
  118. 福田赳夫

    福田国務大臣 港湾計画は、他の長期計画と同様、五年間とか長期にわたる計画をきめているわけです。ところが、いまとにかくこういう物価状態である。そこで総需要の抑制だというので、そういう計画にかかわりなくひとつ締めていこう、そういう考えを出しているのですよ。  苫東につきましては、ケーソンの工事が進んでおる、そういうので、ケーソンの残工事をやるというだけのことをただいまとしては考えておる。その先のことはその先のことだ、さように考えております。
  119. 岡田春夫

    岡田(春)委員 私の指摘したことは、なるほどということがおわかりになるでしょう。そこで、こういうずさんな資金額に対しては、やはり思い切って締めていかなければならないと思うが、十分これは精査されるおつもりがありますか、どうですか。
  120. 福田赳夫

    福田国務大臣 十分精査しまして、昭和四十九年度の予算はきめたわけです。これは岡田さんも御承知のとおりで、四十八年度よりもこれを少なくする、こういうふうにしたのですが、その後の計画につきましては、十分精査をいたします。
  121. 岡田春夫

    岡田(春)委員 先ほどから、私が六十年だ、六十年だと言っている根拠はこの地図にある。  いいですか、三木さんも、それから官房長官や保利さんも、皆さん見ておいてください。これがことしきめられた港湾の計画の図面です。遠いからごらんになりにくいと思いますが、この港湾計画は、鉄鋼を含んだ場合の港湾計画と全く同じなのです。鉄鋼を含めた六十年の計画と同じなのです。一カ所だけ違う。一カ所だけ違うが、それ以外は全部同じ。たとえば、こっちのほうの地図でごらんなさい。鉄鉱船の船着き場も将来計画としてとってある。鉄鋼関係の防波堤も将来計画として赤線で線を引いてある。将来計画といって赤線まで含めて港湾審の承認をとったのですから、将来計画それ自体は認められている。ただ一カ所だけ違う点は、鉄鉱の船が直接に入っていく西掘り込み水路という部分だけがちょっと違う。この部分だけが違うのです。そのほか全部同じなのです。これでは明らかに、五十三年の目標をきめましたと言って事実上六十年の規模をきめたのです。あとは、五十四年以降になってから西掘り込み水路だけつければいいのですよ。これだけ承認をとればいいのですよ。これは全部六十年の計画です。市が出しているというのは六十年の計画であり、鉄鋼を含めている計画です。これは地図の上ではっきりしている。  こういう事実もはっきりしているのに、しかも所要金額は同じように千五百億。それは千五百億の根拠がある、前の計画どおりやるのだから。こういうのが実情なのであります。そして表面においては、市の住民のコンセンサスを得るために五十三年をきめたのです。六十年をきめたのじゃありませんと言ってごまかして、既成事実をつくってからやろうとしている。これが市の考え方です、この地図の上においても。港湾局長、そうでしょう。もう一度言っておくが、あなたは五十三年計画と称して、鉄鋼を含めた六十年計画のほとんど、西掘り込み水路を除いた全部を、いわゆる外堀を埋めたのですよ。あとは西掘り込み水路だけの小さな内堀を残すだけで、全部きめたのでしょう。そうでしょう。
  122. 竹内良夫

    ○竹内(良)政府委員 おっしゃるように、形といたしましては、非常に当初の計画と似ていることは確かでございます。そういう点につきまして、港湾審議会の先生方の御意見をいろいろ承ってございますが、いろいろ議論がございました。ただ、大型船を入れるということにつきましては、やはりそのような形というものは、五十三年までの計画としても妥当であるという答申があったわけでございますけれども、当然、そこに付帯的ないろいろな御議論がございまして、この投資の関係、あるいはこのような企業の立地の動向、あるいは船も、二十万トンという想定でございますけれども、十万トンを使うこともあるという点も十分考えながら……(岡田(春)委員「二十万トンは使わないのですか」と呼ぶ)使うか使わないかということは、今後、また時代の趨勢も考えながら、その段階において十分調査し検討しなさい、その検討した結果を審議会に報告しなさい、このような条件がついたわけでございます。  そこで、運輸大臣といたしましては、管理者にそのようなことも申し上げまして、工事の段階におきまして、この港湾を早く使うということ、それから企業の様子、経済の様子、そういう点を考えまして、いま先生のおっしゃいました防波堤とか航路については十分再検討してください、このような注文をつけた次第でございます。
  123. 岡田春夫

    岡田(春)委員 最後に、もう時間がありませんが、これは政府の皆さんにお聞きいただきたいのですけれども、さっき私が申し上げた、苫小牧の市議会で議決をした、この市議会で議決したことと、中央港湾審に出された資料、これまた違うのです。四カ所、大きな点の違いがあるのです。なぜこういうことをやったか。市民に通りやすいように、議会対策で違うものをつくったのです、市議会には。違うものをつくっておいて、中央港湾審には本音のものを出した。こういう点からいっても、これで一体地元のコンセンサスを得るなんて、こんなことは一体できるでしょうか。  私はもう一度繰り返して、これで質問を終わりたいと思っていますが、いま私の指摘した点は、第一点、中央と地方の港湾審にかけた計画が違うという点が一点。第二点、先ほど徳永さんが認められたように、道議会、管理組合議会の議を経ていない、そして市議会だけしか経ていない、これが第二点。第三点、所要の金額が同じように千五百億円である。でたらめである。第四点、いま港湾局長も認めたように、地図においてはほとんど同じである。第五点、市議会と港湾審にかけられた資料が違う。  これだけ違っておれば、これでは保利さん、いかがですか、これでも行政上瑕疵はないとお考えになりますか、どうですか。港湾局長の通達ぐらいで、こういうことをそのままにして押し切るということでは、これは地方住民のコンセンサスなんか絶対に得られない。この点は、もう一度初めからやり直すべきですよ。  政府を代表して、きょう総理大臣がお見えになっておられないが、副総理にひとつ伺っておきたい。こんなに問題があるのに、中央港湾審がきめたからいいのですというようなことで、われわれは了解するわけにはまいりません。もう一度手続はやり直すべきです。運輸省は差し戻しをやるべきです。そして正規の手続をとっておやりなさい。そうでなければ、住民のコンセンサスなどは得られません。まさに瑕疵があるようなこういう手続がある場合において、これが納得を得るためには、手続はやり直すべきです。しかも、そのような権能は運輸大臣が持っておる。現行港湾法の中には、この計画を変更することができるということになっている。そういうことまで含めて、政府を代表して、副総理の御意見を伺っておきたいと思います。
  124. 三木武夫

    三木国務大臣 手続上には、いろいろ御指摘のような問題はあったと思いますが、しかし、中央港湾審議会にかかるときには、とにかく書類を訂正してきて、それをかけたわけでありますから、そういう限りにおいては、手続は、訂正をされたものを基礎にして中央の港湾審議会にかけたのでありますから、その手続というものが正規の手続である、こういうふうに認めるものでございます。
  125. 岡田春夫

    岡田(春)委員 そういう答弁をされると私は終われないんだ。議会にかかってないというのは、あなた認めたんじゃないですか、さっき。かかってないものは、正規なものじゃないじゃありませんか。そういう答弁されたら私は納得いたしません。  しかも、それだけじゃありません。こう言っているのですよ。中央港湾審がきめられた直後に、市長は何と言っている。行政指導があったので地元の了解を求める、だが、これとは別に着工は進める、地元の了解がなくとも、答申があったのだから着工はできる、ここまでうそぶいていますよ。こんなことでコンセンサスが得られますか。コンセンサスを得るという点において、あなたもう一度、さっきの承認を得てない点を含めて、御答弁を願いたいと思います。私は、これ以上やりません。
  126. 三木武夫

    三木国務大臣 これは港湾法の手続からは、いま御指摘のような地方の港湾管理者といいますか、北海道の議会あるいは苫小牧の市議会の議を経るということは、港湾法の規定からはないようでありますが、まあ、できる限り地方の皆の理解のもとに、地方開発の場合においては地元住民の理解を得るということは、実際問題として必要でしょうが、しかし、いま岡田委員は、もう一ぺんこれをやり直して、そうしてせよということでありますが、そうなってきますと、港湾法の立法上の立場に立って政府は考えざるを得ないわけで、港湾法の上からいっては、いま御指摘のようなことが、手続上誤りがあるということは、法律上は言えないということでございます。
  127. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 これにて岡田君の質疑は終了いたしました。  次に、川俣健二郎君。
  128. 川俣健二郎

    ○川俣委員 いま北陸、東北一帯、長野の山間部も含まれておりますが、非常に豪雪で苦しんでおります。皆さん御案内のとおりでございます。この物価高、物不足に加えて、この豪雪の重圧というのは、見てみなければわからない。百聞一見にしかずで、幸い衆議院、参議院、両院の災害対策特別委員会がこの地区を見回ってきた。ここで私が一つ感じたことは、いままでにない未曽有の雪の量というのに加えて、冬の間に労働者がいない、男手がない、これが非常に悲惨な面を加えております。  そこで私は、いままでの各先輩議員の論争を聞いてみて、物価高というものに対しては、これはもう勝負ありで、どうにもならない。政府が本腰を入れてやらなければならないということは、これはだれしも認めなければならないと思いますが、ただその際に、これから春闘があります。この春闘は、いまのベースをアップするという従来の春闘では片づけられない問題があるわけです。というのは、こういうインフレ、物価高に一番苦しいのは、むしろインフレ弱者と申しますか、所得のない階層が非常に多い。いわゆるベースのない階層が非常に多い。こういうところに、私たちは雪の重圧とともに痛感してきたわけでございます。  それじゃ一体、雇用が不安定な階層、どういうような人方が雇用不安定の中でインフレの重圧に苦しんでおるかというところをざっと拾ってみると、これはもう数えるにいとまがない。たとえば、雪の重みで倒れておる、あるいは枝、樹体がずたずたになっておる山林、こういう山林なんというのは、冬山が、一〇〇%働く場が昔のようにあればよかったのに、冬の間は首を切られるという労働者が無数にいる。あるいはまた、自治体では、寮母、保母、こういう人方がいまだに非常勤で悩んでおる。そしてまた老人政策だというので、ホームヘルパーということですが、このホームヘルパーがほとんどが非常勤の状態だ。ベースのきまらない階層の労働者である。こういうように私は感じとっておりまして、どうしても雇用問題というものを、ぜひ取り上げさしていただきたいと思うのでございます。  そこで、まず最初に、それじゃ一体一般の民間の不安定労働者、たとえば農業の半年労働者、季節労務者、出かせぎ労務者ですが、こういった面はまずあとで取り上げるとしても、官庁が直接管掌しておる労働者で、林野庁はどのぐらいの不安定雇用の労働者を抱えておるか、自治省は、どういう自治体に不安定労働者がいるのか、それから厚生省関係はどのぐらいの人員をかかえておるのか、ひとつ局長さん方でけっこうですが、お示し願いたいと思います。
  129. 福田省一

    福田(省)政府委員 林野庁関係を申し上げます。  不安定雇用と申しますと、定期作業員、六カ月以上出役する人たちがおりますが、それが約一万六千名ございます。それから、それ以下のいわゆる臨時の人たち、これは七月一日現在、一番仕事の多い時期でございますが、それが二万五千人ぐらいおるわけでございます。あとは、常用作業員であるとか定員内職員でもって仕事をしておるわけでございます。
  130. 高木玄

    ○高木(玄)政府委員 厚生省関係についてお答え申し上げます。  社会福祉施設の職員のうち、非常勤職員は一万八千二百二十九名でございます。それから老人のホームヘルパーにつきましては、昨年の四月一日現在でありますが、六千六百九十三名の総数のうち、非常勤職員は千百八十名でございます。
  131. 植弘親民

    植弘政府委員 お答えいたします。  地方団体関係では、総数で一万九千四百四十五人、これは昨年四月一日現在でございます。おもな内訳を申し上げますと、県段階で三千八百二十三、指定都市で五百五十七、市で五千八百五十九、町村七千五百七十七、特別区八百三十六、一部事務組合七百九十三という数字でございます。
  132. 川俣健二郎

    ○川俣委員 こういうように、参考までに例を三省だけに限って取り上げられても、かなりの不安定労働者がおるわけでございます。  そこで、次にお伺いしたいのは、それじゃ一体この所管の官庁はどこか。労働一般であるから労働省だ。ところが労働省の予算というのは、大蔵大臣、ほとんどが民間から納付された労働災害保険と、それから個人、各労働者が納めておる失業保険の納付、こういう金額で労働省というのがまかなわれておるように思われる。一般会計から労働省に計上される予算がどのぐらいあるだろうか、参考までにラウンド数字でいいから、ひとつ局長か課長、説明してみてください。
  133. 水谷剛蔵

    ○水谷政府委員 お答えいたします。  労働省所管の一般会計予算は一千九百九十四億円でございます。
  134. 川俣健二郎

    ○川俣委員 一般会計と、それからさっき申し上げたように労災関係、失業関係、一切総合的に労働省関係のあれを、もう少し親切に説明してください。
  135. 水谷剛蔵

    ○水谷政府委員 一般会計が一千九百九十四億円、それから労働保険特別会計の労災勘定が五千四百七十五億円、それから失業勘定が五千八百七億円、そのほかに、これらを徴収するための徴収勘定というのが、これは重複計上でございますが、八千百三十四億円でございます。そのほかに石炭及び石油対策特別会計で百二十一億円となっております。これらを全部合わせますと、重複分を除きますと一兆二千五百六十五億円ということになっております。
  136. 川俣健二郎

    ○川俣委員 こういうように大蔵大臣予算を国の一般会計から手だてをされるのはわずか二千億です、一兆五千億のうちに。それが今日の労働省の会計です。みんなから集めたのが八割、一般会計からわずか二千億。そこで、いまの不安定雇用をやろうとして労働省が張り切っておる。  その中に、先ほど申した豪雪に埋まっておる留守家庭、いわば女手だけで雪おろしをしておるわけですが、男手は全部関東、関西に出かせぎに来ておる。ところが、出かせぎはこのとおり賃金不払い。労災が、事故が非常に多いということで、担当委員会が超党派でこの間現場を見て歩いてみた。党派を越えて違った観念で同じ現場を見たはずでしたが、それは悲惨な労働現場であり、宿舎である。半年も妻子と別れて生活しておるという食堂の光景を見て、やっぱり悲哀の気持ちにひたってまいったわけでございます。ところが、そういう農民も、ほとんどの家計が農機具の負債でどうにもならない。もうほとんど農機具の負債で、われわれが妻子と別れても出かせぎをしなければならぬのだと、いまは米、農業所得よりも農外所得のほうがはるかに多くなったということを数字で示された。  それに、さらに加えて、今度は失業保険も取り上げられるのだ、こういうように訴える。もうわれわれが追及する前に、この失業保険というのは、改正版が国会に提出される前に、かなり世の批判を受けて問題を出しているわけですが、早くも自治体は、県を問わず、市町村を問わず、反対の決議で陳情に来ておる。  自治省に参考までに聞いておきますが、まだ国会に提出されもしない法案に、反対しておる県なり市町村を参考までにつかんでおるだけでも説明してみてくれませんか。
  137. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 東北の知事会におきまして要望書を提出しておりますほか、青森県議会及び東北及び北海道の市町村の中で、二十町村ばかりが意見書を出しておると聞いております。
  138. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで労働省、国会審議を前にして、早くもこのように自治体が反対ののろしをあげておるというところに、いかにこの法案というのが悪法であるか、苦しめるものであるかということは、これは私から言うまでもなく、大臣はとくとわかっておると思います。それでもどうしてもこの法案というものを提案して、審議を強行させなければならないという気持ちであるかどうか、その辺をひとつ示してみてくれませんか。
  139. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 この国会に雇用保険法を提出して御審議願う、こういうことでございますが、けさの新聞の社説などを拝見しましても、やはりこういう時期であるから、石油危機等々、あるいはまた雇用について不安なときでもあるから、改悪反対ということでなくて、審議の間に慎重な御審議を願ったらいいんじゃないかという社説などもございます。いま反対の決議をしたという町村は、私の記憶では二カ町村ぐらいだと聞いておりまして、あとは要望のように思いますので、御審議の間に、だんだんとひとつ御議論いただくならばしあわせだと思います。
  140. 川俣健二郎

    ○川俣委員 まだ法案が提案されていないのに、大臣二つの町村のことが耳に入っておるのですからね。提案されて審議に入れば、これは無数であるということなんだ。しかも、社説をごらんになったようですが、そうしますと、雇用保険法という名前をつけたようですが、この雇用保険法の提案に対しては、いま少し再検討の考え方もあるということですか。
  141. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 労働省としましては、いままで各界各層、あるいはまた権威者の方々への諮問、答申、そういうもので固めたものをお出しいたしますので、国会の場においてのいろいろな御議論を拝聴したい、こう思って、国会にはぜひ提案して御審議いただきたい、こう思っております。
  142. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そこで大蔵大臣、いまの失業保険というのは、一番反対しておる理由というのは、出かせぎ労務者をかかえておる自治体なわけです。たとえば青森県の場合は、失業保険による収入が百三十億ぐらいになっておる。これをずばり申し上げて三分の一に削るという提案である。それじゃ失業保険という金額は足りないのか、こういうことなんです。それじゃ一体失業保険という勘定はどのくらいになっておるのか。ところがそうじゃない。政府の法案は、余っている失業保険で雇用対策を考える、こういう。まず最初に、いま現在やっておるのは、民間産業に対して定年延長を奨励する。定年延長した場合は、一年につき一人に二万五千円奨励金をくれる。はあ、政府が一般会計からくれるんだと思っておったら、失業保険から出すということなんだ。それで、現在出しておる、こういう人から集めた失業保険で、もっと残余をつくって雇用政策の手だてをするというところは、やっぱり一兆五千億の予算の中で、わずか二千億しか一般会計から来ないというところに問題があると思う。  参考までに、いまの失業保険というのはどのくらい残っておるものか。あわせて、保険料収入がどのくらいあって、そしてその使途はどのくらいであろうかということも、少し詳しく説明してください。
  143. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 失業保険財政の概要についてお答え申し上げます。  労働保険特別会計の失業保険勘定の積み立て金は、昭和四十七年度末で四千二百三十億円に達しております。四十九年度につきまして、この失業勘定の歳入歳出の予定を申し上げますと、予算規模は五千八百七億円でございまして、その歳入のおもなものは一般保険料が四千六百八十億円、日雇い保険料二十六億円、一般会計からの受け入れ、国庫負担分が八百十億円、それから運用収入二百九十億円でございます。歳出は一般失業保険の保険金が三千百十六億円、日雇い失業保険金八十一億円、福祉施設の給付金千二百十八億円、その他事業団への出資金三百三十三億円、予備費六百十三億円、以上に相なっております。
  144. 川俣健二郎

    ○川俣委員 この残金、四千五百億の失業保険が残っておるという金額は、一般会計から全然入らない事業主負担と、各個人の納めた分の総合計なんだ。これがもうこれだけでも四千五百億残っておる。それなのになぜ、さっきの話に戻るんですが、出かせぎ労務者の窓口規制をやるか、こういう叫びなんだ。  加えて、もう一つわれわれが忘れちゃならないのは、かつての国会において、五、六年前だと思いますが、この法案は与野党で話し合って凍結するという法案があるはずだ。労働省のたなの上に上がっているはずだ。これがいつからどのように使われるのかをちょっとお示し願いたい。
  145. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 ただいま川俣先生御指摘のたな上げという問題でございますが、昭和四十四年の失業保険法の改正におきまして、短期、いわゆる出かせぎ労働者の方々のような季節受給者の失業保険の受給資格の決定方法につきまして改正が行なわれました。その改正の部分につきましては、六年間暫定的に猶予期間が設けられまして、昭和五十一年の一月三十一日まで従来の方式によることになります。二月一日から新しい方式によって受給資格が決定される、こういうことに相なっておる次第でございます。
  146. 川俣健二郎

    ○川俣委員 その内容をわかりやすく言うと、こういうことですか。これは、特に農林大臣も聞いてもらいたいのですが、いまは、十一月の囲いを済まし、稲刈りも全部済まして、収穫を終わって十一月の十四、五日にやって来る。上野駅に着くわけだ。そうすると、四月の十四、五日までおれば失業保険がつくというところで帰る。そして種まきに入るわけだ。いまの法案がたなからおろされて使われる、その場合はどういうことになるかというと、四月の十五日ごろ種まきに間に合うように帰るためには、いつごろ上野駅に来なければならないか。
  147. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 現行失業保険法の法律上のたてまえによりますと、失業保険の保険金の受給資格をつけるためには、満六カ月間被保険者であったことが必要になっております。つまり、百八十日間雇用期間がなければ保険の受給資格はつかない、こういうことに現行法ではなっております。  その法律のたてまえを、先ほど申し上げましたように六年間猶予されることになりまして、昭和五十一年の二月一日から、ただいま申し上げました方式が適用されることになっております。現在はその猶予期間中でございますので、昭和四十四年の法律改正前の規定が現在行なわれておりまして、これによりますと、保険の受給資格をつけるためには、各月十一日以上保険料納付した日数がありまして、その月が六カ月あれば受給資格がつく、こういうことでございますので、ただいま川俣先生御指摘のように、たとえば十一月の十五日から四月の十五日まで出かせぎに出る、中四カ月と前後二月は十一日以上あればよろしいということでございますので、日数にいたしますと四カ月と前後十一日の二十二日、合計いたしますと百四十二日が最低期間で保険の受給資格がつく、これが現行法が適用されますと百八十日になる、こういうことでございます。
  148. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうしますと、いまは中四カ月で先に最低十一日、それからあとに十一日、これは現行法なんだ。ところが、先輩議員方がつくったたなに上がっている法案がおろされて使われると、中四カ月プラス先に一カ月あとに一カ月、まる六カ月。したがって、安心して米づくりやれ、米が足りなくなったよと農林大臣が声を出してきたが、そうすると、四月十五日種まきで帰るためには、十月の十五日ごろ来なければならないということを確認してよろしいですか、どうです。  それからもう一つの確認は、秋の収穫が全部終わって十一月十五日ごろやっと来る。そうしますと、五月の十五日ごろ帰らなければ失業保険の恩典を受けられない。これ非常に労働省でも解釈がまちまちだから、局長、ここではっきり答弁してもらいたい。
  149. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 御説のとおりになろうかと思います。
  150. 川俣健二郎

    ○川俣委員 なろうかじゃなく、そのとおりなんでしょう。  そうしますと、農林大臣、これからどうするのでしょうかね。いま八十万人いるというわけだ。労働省がつかんでいるのが七十万人ですね。七十万人から八十万人が東北、北陸から出かせぎにやってくる。しかもその人方は米をつくっておる。いわば日本の国の台所を預かっておる土地の人方、この人方がいま現場で働いておる。これが失業保険にもあやかれないということになると、土地を放すか、いわゆる種まきをあきらめるか、失業保険につくかという選択の問題になってくる。  その場合、農林大臣、これははたして閣議でよく検討の上で、この雇用保険法案というものを国会に提出したのかどうか。農業関係から見ればどのように思われますかね、これは。
  151. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 失業保険法の改正につきましては、私どものほうに、いまお話のございましたように、たいへん農民の出かせぎ等にも影響がございますので、そういうことについて、われわれの希望を労働省にもお伝えいたしてあるわけでありますが、その間の折衝の模様を、私つまびらかにいたしておりませんので、事務当局からお答えいたさせます。
  152. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 失業保険の四十四年の改正の際に、国会委員会におきまして、昭和五十一年一月三十一日までに、農林水産業の労働者につきましても失業保険を適用するようにという修正が行なわれまして、私どもは、出かせぎの失業保険受給者と同じような考え方で、農林水産業に従事する労働者の方々に、失業保険の適用を拡大することが義務づけられておるわけでございます。  そこで、こういった人たちの扱いと同様な考え方で、五十一年の一月三十一日までは、本来の失業保険の受給資格決定方式が暫定的に猶予されておりますが、農林水産業の適用を、今回の雇用保険法案におきまして繰り上げて、来年の四月から実施いたす予定で法案を作成いたしております。したがいまして、この受給資格決定方式につきましても、農林水産業労働者の適用と同じ時点に立ちまして、現行法のたてまえをそのまま踏襲いたすことにいたした次第でございます。
  153. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ここで非常に聞きたいのは、どうも農業政策のしりぬぐいで張り切っている労働省のように思われる。農業基本法はどうなったのか、総合農政がどうなったのか、みんな造詣の深い先生方がたくさんいるが、だけれども問題は、たんぼを放すか、失業保険をあきらめるかというせとぎわに立ってきた。私が聞きたいのは農林省のほうに聞きたい。  そこで、農林大臣は事務当局に話させると言うのだけれども、ひとつ農林大臣にかわって、農林省から見た場合、農産物をつくる農民が失業保険をもらえないというのだったら、もう出かせぎ現場なんか転々として、何も四月十五日までしがみついていないのだ。失業保険があればこそ四月十五日までめしをかみかみ、種まきはひとつ隣のとうちゃんに頼んでまいておけとかという電話をしながら、四月十五日に帰って失業保険がつく。今度は五月十五日までいなければ失業保険がつかないということになると、これは種まきをあきらめるということなんです。たんぼを放すということなんです。だから、たんぼを放させるための保険法だったらまた考え方が違うのですよ。総合農政でたんぼを放させるんだ、大規模農業にするんだ、十世帯のうち八世帯は低賃金の年じゅう働く労働者に来い、こういう政策で失業保険法を出したというのなら話は別だ。  だから農林省から見た場合、農産物をつくる農林省、特に国内自給ということが叫ばれている今日、農林省から見た場合はどういうことなんです。これはほんとうは農林大臣から聞きたいのだけれども、まあいいです。
  154. 大山一生

    ○大山政府委員 先生の御質問の六カ月の件でございますが、これは現行法において、すでに、五十一年になりますとそういうふうな取り扱いがなされることになっているわけでございます。したがいまして、その限りにおいては、たとえば従前のように四カ月、その前後十一日、十一日と二十二日ですね、というようなかっこうであれば失業保険法がもらえたということでございますが、現行法のままかりにいったとしても、その六カ月の問題はすでにあるわけでございます。  そこで、田植えは、現在のところ、田植え機等の普及等もありまして、そう長期を要しないということからいたしますならば、出かせぎの途中において一時帰ってまた雇用するということで、とにかく六カ月になればなる、こういうふうなことでいかざるを得ないのであろう、こういうふうに思っております。  そこで、失業保険法との関係でございますが、われわれの立場から申し上げますならば、出かせぎから帰ってきて農業をやるという状態が、現行法の失業保険法のたてまえの失業ということとの関係において非常にアンバラがある。  端的に申し上げますと、私のほうが言うのもどうかと思うのでございますけれども、たとえば職安の取り扱いによって、優遇されているところもあれば冷遇されているところもあるということであるならば、むしろ一時金のほうが、あとの就業の状態に無関係にけっこうなことではないか。ただ、一時金の額の問題はまた別の問題でございますけれども、一時金というかっこうで短期労務者を救うということについては、やはり必要ではないだろうか、こういうふうに思っております。
  155. 川俣健二郎

    ○川俣委員 どうも農林省の局長に聞いてがっかりしたのだけれども、ほかの官庁が言うのなら、失業保険をもらわせるという意味の官庁が言うのなら、田植えはそう時間がかからないとか、こういうことは言えると思うのだけれども、むしろ農林省のほうは、出かせぎをしなくても生活を打ち立てられる農業政策というものを考えておるわけでしょう。農林省、その考え方はおかしいよ。どうです、大臣。いまの考え方を簡単に言うと、出かせぎが、こちらに出かせぎするのではなくて、むしろ田植えに出かせぎに行ってくれという言い方だよ。そういう考え方で農業政策というものはできるのだろうか。むしろ出かせぎをしなくても、失業保険にあやからなくても、年中あそこにおって、ナメコの栽培とかいろいろあるわけでしょう。構造改善局長としては、まことに奇妙な発言であるけれども、農林大臣どうですか。
  156. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 農政の問題につきましては、別途、いままでわれわれの考えておりますことを、しばしば申し上げておるわけであります。したがって、出かせぎというようなことをなさらないで、農業は農業として成り立つような施策を、もちろん講じておるわけでございますが、ただいまお話のございましたように、先年、農業者の出かせぎについても、先業保険法を適用するということになって、そういう方が現在おるわけでありますから、その問題と、どのように農政を調整していくかという問題は残されております。  これは、もう当然、私どもとしては、できるだけ出かせぎをなさらないでもやりたいのでありますが、そのことは、いまこの場合に論議は別といたしまして、今度の改正を考えております場合に、先ほど申し上げましたように、現実に出かせぎというのもあるのであり、失業保険法の恩典に浴しておるのであるから、そういう方々に不利益にならないようにやってもらいたいということを、労働省には申し入れておったわけであります。  いま、私どものほうの政府委員が、労働省と折衝いたしました経過について御報告申し上げましたが、やはり私どもといたしましては、当然、御存じのことでありますが、あらゆる産業で、出かせぎの方々の労働力というものをかなり当てにし、そしてまた、定期的にほとんどそういうことをしていらっしゃいますので、その間において、失業保険が中断されることのないような扱いを、現実の問題としてかなりいたしております。  そういうようなことを考慮いたしますというと、私は、やはりなるべく私どものほうの関係の農業者が、現在受けておるような恩典を、できるだけ継続できるように何とかしてもらいたいということで、労働省に要望いたしておる、こういう次第でございます。
  157. 川俣健二郎

    ○川俣委員 非常に丁寧なことばで言われますけれども、言わせてもらえば、労働省は、その保険はあまり出さないほうがありがたいということを言っておる。  そこで、建設大臣、いま農林大臣が、たいへん役に立っておる労働者、できれば労働者を確保して、おそらく都市建設に充てる、これは、みんな出かせぎがつくったのでしょうから、地下鉄でも、ビルでも高速道路でも。オリンピックができた、万博ができたというのも、出かせぎ労務者がいたからできたわけだ。そういった場合、建設省からこの保険を見た場合、どうですか。
  158. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 御指摘のとおり、日本の再建の段階あるいは今日の建設の段階におきまして、建設関係に出かせぎ農家の方々の尽くされた功績というのは、非常に大きいわけでございます。現在でも六大都市で、大体六割の方々が建設関係に働いておられるわけでございます。やはり、職がなくて出てきて、こちらで働かざるを得ないという現実、この現実を是正するために、農林関係におきましても、御承知のようにいろいろと苦心をいたしておるわけでありますが、また、こちらには労力が不足であるという面がございまして、そういう関係で建設業関係に働いていただいておる方々、この方々に対して、やはりできるだけ厚く、広く法律の恩典に浴させてやるように考えてやるべきではないかということでございまして、これにつきましても、事務当局をして建設省としての立場を労働省に申し入れておる次第でございます。
  159. 川俣健二郎

    ○川俣委員 まず、農林大臣とそう違わないことをおっしゃっておるようだ。労働大臣、やはりこれは非常に閣議でコンセンサスを得ていない法案ですよ。農林大臣は、農業に支障を来たすから、それから建設大臣は、都市建設の労働者にはもうかけがえのない労働者だ。言わしてもらえば、重宝な労働者ですよ。ボーナスをやらぬでもいい、年次休暇はあるでなし。この間、委員会で見たんだけれども、下請の下請の下請なんだ。三つ重なっておる。吉田組というのが直接使っているという。吉田組の社長はどなたですかと言ったって、出かせぎ名簿の原簿を親会社の親会社のだんながつかんでいる、そして私が説明するとこういう状態なんだと言う。これが出かせぎなんだ。建設労働法というのを、いま社会党が中心となってつくっておるのですけれども、その問題は別として、この出かせぎ労働者を、あるいは農山林の労働者を特例扱いにして、いじめる法案をなぜ出さなければならないのか。  それじゃ、ついでにもう一ぺん、閣僚四、五人おられるところでもいいから、局長ひとつ簡単に、どういうように改正するのだ、こういうことを言ってください。
  160. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 雇用保険法案の概要を、ごく簡単に申し上げますと、従来の失業保険法によって実施いたしておりました失業補償と申しますか失業給付の内容を、これからの雇用失業の情勢に合ったように一そう強化いたしますと同時に、積極的に失業を予防し、先般来、当委員会において指摘を受けております雇用構造の改善、あるいは労働者の各人の能力開発向上、あるいは勤労者の福祉対策、こういった点の事業を新たに行なう、こういうのが雇用保険法案の骨子でございます。  先ほど来、先生御指摘の、季節出かせぎの人たちの受給の実態が変わってくるのじゃないか、四カ月二十二日が六カ月ということになりますと、農業に従事している人たちがそれができなくなる、こういう御懸念でございますけれども、実は、先ほど来申し上げております季節出かせぎ受給者、現在、私どもの失業保険の受給を受けておる人は約六十万でございます。  この六十万のうちに二つの型がございまして、いわゆる夏型と冬型と申しておりますが、冬場出かせぎに出て、四月から十一月ごろまで居住地に帰って農業なり漁業に従事している、いわゆる夏の受給を受けている方と、それから夏場出かせぎに行って、冬は地元に帰っておる人たち、この二通りがございます。この夏出かせぎに出る人たちが、全体の約七割でございます。したがいまして、冬場、農閑期あるいはシーズンオフに出かせぎに出る人たちは、全体の三割でございますから、私どものほうで約十八万程度だと思いますが、この方々は、確かに満六カ月という保険の受給資格決定方式によりますと、取り入れどき、あるいは田植えどきというものが引っかかってくるようになるかと思いますが、実は、その点、先ほど御説明いたしましたように、五十一年の一月三十一日までに農林漁業の労働者にも適用する、その時期に合わせてこの受給資格決定方式が改正される、こういうことになっております。  したがいまして、四カ月二十二日の期間で受給資格がつきますのが、今度あらためて六カ月になりますと、その分が足りなくなります。しかし、それは地元へ帰って、かりに農業なり漁業なりで雇われて働けば、その分も受給資格決定の期間に算入されますので、それによって補われることになりますし、あるいは自家営業、家業で農業に従事して、田植えなりあるいは刈り入れをやって、その他の期間で地元で何らかの仕事をされるということになれば、その分がさらに受給資格決定の期間に算入されるということになりまして、両方合わせると、いままでどおり受給資格がつく、こういう考え方がもとになりまして、御承知のような改正が行なわれたわけでございますので、私どもは、この季節出かせぎの方々を、今度の改正によっていじめるとか、あるいは切り下げようという意図は全く持っていないことを、お答えさせていただきたいと思います。
  161. 川俣健二郎

    ○川俣委員 局長、五十一年二月一日にいやが応でもたなからおろして使わなければならない法案があるために、この保険法を出すのか。あなたのはそのように聞こえるんだ。
  162. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 私の御説明が不十分でございましたが、そうではございませんで、五十一年の一月三十一日までに農林水産業の労働者を失業保険の当然適用としなければならないという法律上の義務づけを、私ども受けているわけでございます。それまで、前回の、四十四年の改正の受給資格決定の方式は、猶予するようにということに国会の修正で行なわれたわけでございます。私どもは、その現在の法律のたてまえをそのまま踏襲してまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  163. 川俣健二郎

    ○川俣委員 労働省は、改正のいい面だけを申し上げて、このまんじゅうを食べてくれと言うのだけれども、一時金でくれるから、あとは田植えしようが、地元に帰って土建屋につとめようが、安かろうがつとめられるんだ、一時金で支給してちょん切るんだ、だから、この法案はいいんだ。何も、こんなことだったら、県知事がわざわざ反対陳情しませんよ。そうだろう。問題は、九十日という既得権が三分の一の三十日にちょん切られるでしょう。なぜ、こうまでしなければならぬのか。これは、だれが考えたって、いじめるという以外にないと思うな。どうですか、これは。
  164. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 私から、こういうことを申し上げるのは、釈迦に説法かとも存じますけれども、社会保険におきまして、負担と給付のある程度の不均衡ということは、当然考えざるを得ないことだと思います。その保険の事故の中で、いわゆるここで問題にしておられます季節出かせぎの受給者の人たち、これは同じ保険事故と申しましても、一般的な失業の危険ということではなくて、いわば予定された失業ということで、一部の、六十万でございますが、全体の二千数百万の被保険者の中で六十万、約三%の人たちが、いわば予定された失業ということで毎年毎年繰り返して保険の受給を受ける、こういう形がいままでのような考え方でいいのかどうか、この点はいろいろと御批判もありますし、御意見もあったところでございます。  しかしながら、先ほど来お話が出ておりますように、出かせぎに出る人たちにとりましても、出かせぎに出ざるを得ないという現在の実態がございます。と同時に、受け入れるほうの日本経済あるいは事業にとりましても、現在の労働力事情のもとでは、これを受け入れざるを得ないという実態がございます。私どもは、昭和四十二年あるいは四十四年の法律改正の際、この点もたいへん御議論がございましたけれども、この出かせぎの受給者の受給実態を規制するということではなくて、実態を実態としてわきまえ、これを是として、そして制度の中に組み入れていこうというのが今回の考え方でございますが、その際に、こういう一般の保険事故と異なった特定の事故につきましては、特別の扱いをすることが妥当である。これはILO等の考え方にもはっきり明示されておることでございます。  したがいまして、先ほど先生お話ございました一時金という制度を取り入れることにいたしたわけでございますが、その際、一時金の額が、従来の九十日分が三分の一の三十日になるというお話でございます。確かに形式的にはそのとおりでございますけれども、九十日分の受給資格の中で、現実に実際に季節出かせぎの受給者の方々が受給を受けておられますのは、出かせぎ関係の実績を見ますると、大体五十日程度でございます。したがいまして、その受給実績を十分私ども勘案いたしまして、一時金によって、いままでのいわゆる予定された失業で、その間、失業の期間中に農業なり漁業なり、あるいは地元でいろいろ働きに出ておられるという実態等も十分考慮いたしますと、この程度が妥当なところではなかろうか、私ども、かように考えた次第でございます。
  165. 川俣健二郎

    ○川俣委員 大臣、どんなに弁解したって、いまの法律は九十日なんだからね。実績は四十七日から五十日だというのは、窓口でやんややんや規制するから実績が低いのです。いま九十日をもらっている人が妥当なのかということです。そうでしょう。いま実績が五十日だから、三十日くらいでがまんしてくれという見方は、法律は九十日なんだから、法律を変えるというのが立法機関の審議じゃないの。われわれは実績を云々するのじゃないのですよ。法律を、九十日を三十日に変えるというのだよ。これは何といったってだめなんですよ。特殊ないじめ方ですよ。これはどうですか。  それから、大臣にもう一つ聞きたいのは、いま局長がおっしゃった給付と負担の公平を期する、こういうのですが、私は、保険というのは、そういうものじゃないと思うな。保険というのは、何らかのリスクがあるだろうという意味で保険じゃないの、社会保険というのは。だから、失業保険に一生あずからなくたっていい身分の人は、それは出しっぱなしかもしれないよ。この人たちは、六割という失業保険にあずからなければ生活できないという人たちです。そのために、社会保険というのはあるのだよ。失業保険というのはそういうものなんだよ。だから私は、保険と失業というのは、一つの単語だと思う。雇用保険というのは外国にあるかね。そういうイングリッシュはどうです。雇用保険ということばがありますか、皆さん。雇用してあげる、雇用政策をやってあげるなんという保険は、これは大蔵大臣、一般会計からのものが労働省に少ないからだと思います。一兆五千億のうち、わずか二千億しかやらないものだから、あとの五千億の中の人が納めた金で雇用政策をやろうなんという考え方を持つから、こういう考え方になるのだよ。この二つをまず聞きたい。私は、雇用保険ということばはないと思う。
  166. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 働く人にとって一番不幸なことは、人生のうちで何べん失業するか、これは職業安定所に立つ経験を持つことは、たいへんな苦痛だろうと思うのです。そういう起こってくるものに対しての失業保険。ところが、私も出かせぎ地帯ですから、生活の実情はよくわかるのです。予定されて毎年繰り返すというところで、いままでいろいろな方々の御議論をいただきながら、だんだんここまで法案というものが練られてきた。そういう中において、皆さん方の実情等々によって、いろいろな御審議の間に、いま局長の説明の中にでも、この法案の内容の、いままで理解されないものも私も理解ができた、こういう過程においての御審議をお願い申し上げたい、こう思っております。
  167. 川俣健二郎

    ○川俣委員 質問に答えていないんだけれどもね。私は、やはり雇用保険ということばは不的確だと思う。失業保険課長が雇用保険課長になるわけだ。雇用と保険というのは結びつかぬと思う。保険で雇用しようなんという考え方はいかぬですよ。それは、まあいいです。  そこで問題は、いま労働大臣、非常に聞かせた御説明があった。これはみんな聞いた。予定された失業だと言う。予定された失業だということを、政府大臣がぬけぬけと言うなら、予定された失業者を政府がやっているのじゃないですか。  どうですか、農林大臣、これは予定された失業者だ、こう言う。林野庁の一番末端で働く、いわゆる山林の一番末端に働く、国土を守って緑を守っている労働者の一万七千人というのは、さっき林野庁長官が言うように予定された失業者なんです。九カ月働いて、また雪が消えたら来いよということなんだ。これが十年、二十年来れば局長表彰だという。反復雇用ということばがあるけれども、私に言わせれば反復首切りなんだ。よく首を切られてもしようがなく来るなという表彰だと思うよ。これは予定された失業者ですよ。政府が、予定された失業者には保険をやらないなんていうことは、言えるはずはないと思うのだが、大臣、どうですか。これは労働大臣が答えたのだから、労働大臣もう一ぺん言ってください。予定されたという考え方は、雇用保険法の改正案の論拠にはならない。
  168. 長谷川峻

    ○長谷川国務大臣 必ず四月の田植えどきに帰っていくとかいうこと、そういう意味では、予定されることもあります。本人からすれば必ず帰らなければいかぬ、そのときに、私たちのほうが失業保険を出す。ですから、毎年繰り返された、こういうことも一つの実態でございます。
  169. 川俣健二郎

    ○川俣委員 では、予定された論議をしましょう。  林野庁長官、林野庁がかかえている予定された作業員、これはこういう実態ですね。一万七千人を雪消えと同時に雇う、そして失業保険を納めさせる、失業保険を納める場所は労働省である。労働大臣に失業保険が集まる。ところが、一カ月二十二日働いて、六カ月働き続ければ、公務員法によって正式な公務員になる。したがって失業保険は納めない。しかし六カ月は納めてきた、納めた金は労働省に納めっぱなしなんですね。これはどうなんですか。
  170. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘のとおりでございます。
  171. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それでは、一万七千人の予定された失業者に、現在どのぐらい払っておりますか。担当課長でもいいですから……。
  172. 福田省一

    福田(省)政府委員 一億一千六百万ぐらいになっております。
  173. 川俣健二郎

    ○川俣委員 一億一千六百万というのは、どういう数字かな。
  174. 福田省一

    福田(省)政府委員 掛け金の総額でございます。
  175. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで失業保険を労働省に納める。納めた失業保険は、労働省に納めっぱなしである。そして林野庁が冬になって首を切る。そのときには林野庁の会計で出す。林野庁の特別会計の支出になる。その特別会計で支出している金額は、どのくらいですか。
  176. 福田省一

    福田(省)政府委員 失業者の退職手当は、六カ月以上になりますと国が支払います。その金額が約二十八億になっております。(「それは退職金だろう」と呼ぶ者あり)失業者の退職手当でございまして、退職金でございます。
  177. 川俣健二郎

    ○川俣委員 失業者の退職手当を、課長、項目的に教えてやってくれよ。内容を話してみてくれよ。二十八億というのは、公務員法による退職手当と、九十日分の差との金額に分かれているわけでしょう。どうなんですか、これは。それがわからないと九十日分という問題が出ないよ。
  178. 福田省一

    福田(省)政府委員 退職手当の分は二億三千三百万、それから失対手当のほうは二十六億三千万という内訳でございます。
  179. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それで、ちょっと大蔵大臣に参考までに伺いますけれども、春一万七千人を林野庁が雇うわけだ。雇って、六カ月二十二日納めて、六カ月たつともう公務員にするわけですよ。したがって、失業保険は納めない。ところが、六カ月は失業保険を労働省に納めてきた。それは納めっぱなしなんです。労働大臣に上げっぱなしなんです。さて、今度は雪が降ってきたからというのでちょん切る。三カ月首をちょん切る。首をちょん切るときは、失業保険で九十日あるんだから、九十日に見合うものを林野庁の特別会計で出しておる。もう二十年も予定された失業者だという、簡単に言うとね。そうすると、これはどうせ失業保険勘定の世話にならない労働者だ。一万七千人のほとんどが、労働省に納めっぱなしの労働者なんです。そして保険料を支給するのは、林野庁の特別会計から出しておる。収入、支出として出しておる。だとすれば、これは失業保険じゃなくて、休業補償というような考え方で林野行政をやったほうがいいのではないかと思うんだけれども、勘定的にはどうですか。失業保険勘定の世話にならないで、失業保険の金額に見合うものを林野庁の特別会計で出しておる。これを十年も二十年もやっておる。だとすれば、これは休業補償だと思うんだけれども、どうですか。
  180. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 林野の関係は、御存じのように非常に季節的な仕事が多いわけであります。そういうことで、昔からの沿革から見まして、待遇改善の措置は逐次講じてまいっておりますけれども、やはり常勤、非常勤の問題があるわけであります。  そこで、そういう問題につきましては、私どもといたしましても、非常勤労務者に対しても、毎年その待遇改善にたいへん努力してきておることは御存じのとおりでありますが、いま林政審議会の労働小委員会でも、そういうことについていろいろ検討しておってくれるわけでありますが、私どもといたしましては、やはりしばらく現在の状況を継続する間に種々検討してまいりたい、こういうふうに考えております。
  181. 川俣健二郎

    ○川俣委員 いまの大臣のお話だと、かなり閣議で煮詰めたこともあるようですが、林野庁の場合は、季節労務者の出かせぎと切り離して、三十日分というものは適用しないで、修正してあげるからという話でもあるんですか。林野庁の場合は、林野庁の一万七千人の労働者に対しては、九十日にしてあげる考え方でもあるのかな。どうですか、これは。
  182. 福田省一

    福田(省)政府委員 いま御指摘の定期作業員につきましては、従来の実績を十分踏まえて改善していただきたいということを、労働省に強く要望いたしております。
  183. 川俣健二郎

    ○川俣委員 労働省から切り離してもいいんじゃないかという農林大臣の考え方もあったんだ。私もそう思うんだよ。どうせ十年も二十年も林野庁の特別会計で払っておる金なんだ。ただ法案の基準が、いまは失業保険の九十日というものをとっておるだけだというんだよ。そこを切り離せば、いま、失業保険という名前じゃなくて、休業補償手当で出したっていいんだよ。どうせあなたのほうの勘定で出るわけだ。あなたのほうの金で出るわけなんだ。労働省の失業保険勘定からもらって一万七千人に払うんじゃないというんだよ。一万七千人の失業保険を納めるのは労働省に納めるというんだよね。これは同じ政府だからいいけれども、これは一億何ぼあるというんでしょう。だけれども、払うときには林野庁の特別会計から払うというんだろう。だから休業補償でも同じなんだ。だとすれば、この雇用保険の改正というもののお客さんじゃないように感ずるのだけれども、労働省はどうです。
  184. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 国有林野のこういった定期作業員といったようなものにつきましては、先ほど来川俣先生御指摘のような実態がございます。しかも、これに対する手当は、国有林野の特別会計から退職手当として支給されておりまして、たまたま失業保険法によります失業保険金の給付日数が基準として採用されておるということでございますので、今回の法律案によりましても、国家公務員退職手当法の改正が行なわれるわけでございまして、私どもといたしましては、十分実態を踏まえながら相談をしてまいりたい、かように考えておる次第でございます。
  185. 川俣健二郎

    ○川俣委員 実態を踏まえながらと言うんだけれども、法案を出しても、まだ実態を踏まえてないのだからね。だいぶ審議、検討したことだと思うのですけれども、やはり保険法というのは、どういうような角度から考えても、保険というそのものの考え方から理詰めでやるといろいろ論議が出ると思います。  ここにもかなり造詣の深い先生方がおられるようですが、問題は、相手は農民なんです。農産物をつくる人方なんだ。そうしますと、政府全体の問題なんだ。これは国全体の問題だと思うのだ。失業保険オンリーの問題じゃないんだよ。農業問題全部につながる問題なんだよ。できれば、さっき農林大臣が言ったように、出かせぎしなくたってもいい農業というものを考える。なるほど考えた。構造改善局長がおられるけれども、農林省の指導もこれあって、特に山形あたりにマッシュルーム、ナメコの栽培が非常にはやった。これはこの間もテレビで出ておりましたが、ナメコの栽培でここ二、三年間しのいできた。そうしたら、きのう、おととい、出かせぎ現場へ行ったら、ちょうど、ナメコをつくってきたがナメコがだめになったと言うんです。なぜだめになったかと言ったら、ナメコには必ずほだ木が要る。それはどこから払い下げを受けるかと言ったら、林野庁から払い下げを受けておる。  さて、ナメコの一番の材料というのはほだ木なんだ。このほだ木の価格一体どのくらい値上がりしているんだろうか、こういうことを調査してみた。林野庁の会計が千六百八十一億円の収入を見込んでいま予算を使っているわけなんです。ところが、現在もう八百億円ぐらいの増収が見込まれてきたという。はあ、ずいぶんもうけたなと思った。そうしたら、なるほど建設技能組合がデモをやって、家をつくるにもこんなに材料が上がってはかなわないということで、去年の秋からデモをかけられた。二倍か三倍かと思ったら、このナメコのほだ木が何と十倍になっておる。  参考までに、私、けさ注文したんだけれども、新庄と寒河江のほだ木の価格がどのくらいになったか、皆さんの前で教えてみてくれませんか。
  186. 福田省一

    福田(省)政府委員 寒河江の営林署の例を申し上げますと、一立方メートル当たりにしまして、四十七年の九月が三千三百四十一円でございましたが、四十八年の八月には六千百二円と、かように上がっております。新庄の営林署の例も調べましたところ、やはり一立方メートル当たり、四十七年六月千四百二十一円でございましたが、それが四十八年の七月には一立方メートル二千四百十円というふうな値段になっております。
  187. 川俣健二郎

    ○川俣委員 それじゃこれ、違いますか。新庄の営林署の管内で、農林省も指導してつくった肘折温泉ナメコ組合というのがある。四十七年のほだ木の価格が六百円、四十八年の同じほだ木の価格が六千五十七円、これは現地の資料なんです。それから寒河江のほうを申し上げましょう。寒河江はいろいろと各地区に分かれているのだが、総合計の平均が、四十七年はほだ木の価格は二百五円、同じほだ木なんです。それが四千三百六十七円に相なったと、こう言うのです。これじゃとてもナメコを、構造改善で農林省が指導しても無理だよ。それとも、こういうのをあまり指導して、出かせぎ労働者が東京に来なくなるのが困るという政府の考え方なら別だよ。それなら別だ。やはり出かせぎは一番だというやり込め方をするというなら別だ。それなら、この数字だけはっきりしてくださいよ。
  188. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘の点につきましては、いまの肘折温泉のほうは、私のほうでもよく調査いたしたいと思います。十倍ということは、これは重大問題でございます。  実は、陳情も最近受けておりまして、上がりました原因は、要するに、パルプ材の価格が上がったというところに引きずられた傾向がございます。そこで、キノコの原木につきましては、細い丸太でいいのでございますので、細いものと太いものとを分けまして、細いものは細いものなりの価格を決定するように、いま指導いたしております。できるだけ安く、地元の皆さまに非常に御迷惑かからぬように、細いものは安くてけっこうなわけですから、太いものと、パルプ材に向くような、皮をむくパルプ材と、きのこの原木は皮をむいちゃ困るわけですから、少し手間はかかりますけれども分けまして、それで、こちらは安く販売するというふうに、いま営林署のほうを指導いたしております。
  189. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そう簡単なものじゃないのだ。同じほだ木でも、業者に売る場合の価格も出ているのだ。顔なじみの業者だろうとは思うけれども、そういうのに払い下げる価格も出ている。同じ寒河江、新庄を持っているのだ。時間はないけれどもさ。農民の、一番インフレ弱者というのはそれなんだ。そういう者に対するほだ木の価格はものすごいのだから。だからナメコやめちゃったといってこの間テレビに出たじゃないか。見たでしょう。マッシュルームもナメコもやめちまった。ほだ木なんです。それは林野庁の払い下げの材木だというのだ。  参考までに聞かしてもらうと、一体払い下げの材料の価格というのは、私、教えてもらいたいのですが、契約単価の方式に、一般競争契約、指名競争契約、随意契約と、こうある。ところが、この価格はまことに違うものですね。一般競争契約だから競売に付するのでしょうけれども、これは九千七百円、同じ材料で単価が、指名競争の場合四千円。四千五十五円になっていますけれども、約四千円。九千七百円と四千円、半分以下ですね。さらに一対一で、営林署長がちょっと来てくれ、この木をおまえのところに払い下げる、これは随意契約、一対一の契約なんです。この単価が三千円なんです。九千円、四千円、三千円なんだ。建設大臣は家を建てろと指導しておる。とても一般の人方は建てられるものではないですよ、去年からの木材の高騰というのは。どういうものなんですか、これは。同じ木材なんですよ。
  190. 福田省一

    福田(省)政府委員 御指摘のように、確かに一般競争の場合と随意契約の場合と開きがございます。いまは、先生御指摘のものは立木で売った場合の例でございますね。立木で販売しますものの中で質のいいものは、大体は丸太にして売るのを一応原則にしております。それで、かしぎ用のまきとか木炭の原料であるとか、あるいはパルプにしか使わぬような低質の広葉樹というものは、これは立木のままで随意契約で売る場合が多いわけでございます。そういうことで比べてみると、単価が違うという意味は、そこにも一つ原因がございます。  それで、会計法の原則によりますと、競争入札というのが原則でございます。ただ随意契約が、いま申し上げたように、地元の工場の、従来からそういうものを育成のためにやる場合であるとか、あるいは用途指定した材であるとか、あるいはそういった特殊のものに限定しまして、できるだけ公売を原則とし、随意契約は減らすようにいたしておりますけれども、内容を申し上げると、そういう低質の材が多いということが低い原因でございます。
  191. 川俣健二郎

    ○川俣委員 そうくると思ったよ。同じものなんだ。それでは逆な質問をしてみます。国民一般が家を建てるから払い下げてくれ、こう言った場合、一対一で、おまえさんにはこれで払い下げるという営林署長のその単価で払い下げてくれるのですね。そうですね。その材料をほしい、業者に払い下げないで、家を建てたいからそれを払い下げてくれ、こう言った場合は一対一でやる、いわゆる随意契約の三千何がしで払い下げてくれる手だてをしてくれてもいいですな。そういう考え方、これは逆な質問だが……。
  192. 福田省一

    福田(省)政府委員 随意契約をいたします場合は、先ほど申し上げました条件がございまして、一般の方々が家を建てたいから売ってくれと言いましても、それは原則的には、丸太を買って一般の人が家を建てるわけではございませんので、原料は地元工場を通して販売するということにいたしております。昔は製材もいたしておりましたけれども、現在はほとんどやっておりません。ですから、価格はかってにきめるのではなくて、一応年度の初めに基準価格というのを設定いたしまして、それをもとにしまして、毎月市況率というものを調査して、それで予定価格を立てて販売いたしております。
  193. 川俣健二郎

    ○川俣委員 だから長官、契約の区分というのは、あなたの最初の説明は、材料が違うからという印象で説明したんだよ。そうではないのだよ。業者の資格なんだよ、業者の資格なの。指名制といったって指名しないの。一般の弱い業者には指名しないの。ちょっと来いをやらないの。弱い一般の零細企業の業者には指名しないのだよ。材料が違って単価が違うだけではないのです。業者の資格があるかどうかで、高いか低いかなのだ。一般の場合は九千円だろう、随意契約の場合は三千円だろう。これは材料が違うとは言わせないよ、実際問題現地では。どうですか、これは。
  194. 福田省一

    福田(省)政府委員 いま申し上げましたのは、そういう内容を、一般的にそういうケースが多いということを申し上げたわけでございます。ですから、先生御指摘のような点もあるとすれば、これは十分私のほうでも、それを是正するように指導してまいりたい、かように思います。
  195. 川俣健二郎

    ○川俣委員 ぜひ、さっきのナメコのほだ木ではないけれども、ああいうものとか、それからいまの問題だとか——問題は、雇用保険法が近く提案されるようだが、これは雇用保険という論争だけではだめなんだ。相手が農民だから。それから不安定雇用の労働者であるから。これはまだまだありますよ。ホームヘルパーの話なんかし出すと、これはかなり専門委員会でやらなければならぬと思うけれども、みんなほとんど、これもこの間テレビで出ておりましたが、何もない。社会保険も何もない。身分は何もない。こういうのが老人を見ているホームヘルパーなんだ。保母さんしかり、寮母さんしかりなんだ、官庁でやっている林野庁の一万七千人ですらそうなんだよ。  ところが、この一万七千人がなかりせば山は育たないの。皆さんは、長官だって学校を出て、エリートで農林省にお入りになったころは、撫育ということばがあったじゃないですか。撫育は、速記屋はわからぬと思う。いまは保育という。この撫でる、育てるということばは、林野庁のプライドをもって使ったことばではないのですか、撫育制度というものは。  この間、倉石農林大臣の錦地に雪を見にいってまいりましたが、山林の木を見てください。山林で働く労働者は冬場にいないものだから、天皇が来て大騒きして植樹しても——植樹祭を悪いと私は言っているのではないですよ。あとの手だてがなければだめだと言うんだよ。その人方が、一万七千人がやるのですよ。この前、きょうは人事院にも来ていただいておりますけれども湯山議員が強く追及してくれたようですけれども、この労働者がなかりせば山林は育たない。その労働者が九カ月働いて、三カ月首切るという反復雇用というのは、私は、何としてでも労働雇用政策のトップとしてやっていかなければならないと思う。失業保険の九十日を三十日でちょん切るなんという問題以前の問題で論議しなければだめなのではないですか。労働省の予算というものは一兆五千億だって胸を張るんだ。中を見たら何でもない。一般会計から二千億なんだ。だから、あとの一兆三千億で雇用政策を手だてするというところに、労働省は促進事業団を通したり何かしてやっているようだけれども、これは大蔵大臣、やはり考えてもらわなければならぬと思う。雇用不安定を何とかしなければならないというのは、職務上労働省の諸君は考えるのですよ。だけれども、一般会計にそういう二千億しかないものだから、人から集めた保険でやらざるを得ないのですよ。この考え方、どういうものなんですかね、大蔵大臣。ひとつ御高説を少し長く教えてみてください。
  196. 福田赳夫

    福田国務大臣 労働省の行政は、その性質上、一般の行政部面が非常に多いわけであります。建設だとかそういうふうな、いわゆる事業というような性質のことが少ないものですから、したがって、いわゆる事業官庁というものとは予算の規模がかなり違う。こういうことは御理解願えると思うのです。  それで特別会計が別にあるわけでございますが、特別会計と一般会計とがどういう関係になるか、そういうことになりますと、これはもう厳重に一般会計、特別会計、その性格に即しましてその支出の区分をいたしておるわけです。特別会計で支出すべからざるもの、それを特別会計から支出する、そういうようなことはいたしておりません。これは一つ一つ御点検願いますれば、さようになっているということが御理解願えると思うのですが、いずれにいたしましても、一般会計と特別会計とはそういう厳重な区分がありますが、これが相助け合いまして、労働行政の円滑な執行という実をあげている、こういうことになっていると思います。
  197. 川俣健二郎

    ○川俣委員 特別会計から支給すべからざるものは厳重に云々と言いますけれども、定年延長という世の世論にこたえて、定年延長の手だてをやったのですよ。労働省がおやりになった。どういうようにおやりになるんだろうかと思ってお手並み拝見。民間企業に定年延長をしなさい、政府は手をかしてやるからやりなさい、こういうことなんです。一人何ぼというものを民間にいま出しておる。その出している金、これが失業保険なんだから、これは支給すべからざるものに入るんじゃないかな。これはその範疇に入ると思うんだがな。どうですか、労働大臣の考え方は。
  198. 遠藤政夫

    ○遠藤(政)政府委員 定年延長は、労働行政の最も重要な課題として私ども推進いたしておるわけでございます。  定年延長いたしました場合に、一年につき一人二万五千円の定年延長奨励金を出す、確かにこれは御指摘のとおり、労働保険特別会計失業勘定の福祉施設として実施いたしております。これは失業保険の被保険者でございまして、もし定年によって職を離れるということになりますと被保険者資格を失い、失業という事態にさらされます。  そこで、これは労働政策としてでもそうでございますと同時に、被保険者としてもその職場に安定をさせるということで、むしろ失業の予防という観点、ないしは被保険者の福祉対策ということで、失業保険特別会計から支出することは妥当であろう、私はかように考えるわけでございます。
  199. 川俣健二郎

    ○川俣委員 四千五百億も黒字の状態なんですからね。さっきの林野庁の一万七千人のあれも参考までに言ってみますと、公務員法によって退職手当は出すのよ。一年未満台もわずかあるわけです。そして九十日の差額分だけ失業保険で出すというんだ。みみっちいことをやるもんだな。民間は退職手当は別に出すのよ。そして九十日分の失業保険は別に出るのよ。ところが、林野庁たるものが九十日のワクをきめておいて、その九十日のうち退職手当を除いた分を失業保険から出す、こういうような支給のしかたなんです。こういう労働行政というのはいま少し考えないと……。  時間がありませんからこれでやめますが、今回の春闘というのは、力づくでベースのあるものの闘争じゃないと思うよ。さっき言ったように、ベースを持たない労働者がいるわけだよ。ベースがないんだ、ゼロの人もいるわけだ。そういう人が、このインフレ物価高にどうやろうかと対処するのだ。単なる小手先のトップ会談くらいじゃおさまらないよ、この春闘は。おそらくそう思うよ。やはり保護者もいれば身体障害者もいる。そういう人方全体、雇用という全体の問題で取り上げる場合は、一般会計の二千億じゃどうにもならないと思う。人の金を、失業保険を改正して使おうという根性になるのだと思いますよ。私は、これは強く憤りを感じてこの雇用問題を取り上げさしてもらいましたが、失業保険を三分の一にするという問題は、テクニックだけじゃなくて、相手は農民なんだ、農業政策にどう影響するんだ。片や引っぱる。建設労働者がいなくなるから困るという大臣もいる。もう少しコンセンサスを考えた上で雇用保険法を出してもらいたい。強く要求したいと思います。  たいへん時間が食い込みました。ありがとうございました。
  200. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 これにて川俣君の質疑は終了いたしました。     —————————————
  201. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 この際、参考人出頭要求の件についておはかりいたします。  本日、楢崎君質疑の際、糖価安定事業団理事長及び日本精糖工業会会長、三谷君質疑の際、日本銀行総裁の出席を求め、意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  202. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 御異議なしと認めます。よって、さよう決定いたしました。  午後二時より再開することとし、暫時休憩いたします。    午後一時二十五分休憩      ————◇—————    午後二時十三分開議
  203. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、御報告いたします。  先刻の理事会において、中村法務大臣、安原刑事局長の出席を求め、各党から御発言がありましたが、法務大臣から、三権分立の基本は十分に承知しており、刑事局長から委員長に出しました要望書は、この際撤回するとともに、今回の措置について、深く遺憾の意を表明し、なお、今後このようなことがないよう十分注意いたしますとの発言がありました。  以上、御報告いたします。  質疑を続行いたします。楢崎弥之助君。
  204. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私の総括質問で川重における原潜の計画計算書を問題にした際に、山中防衛庁長官は、それは民間がやっておるのだから政府は知らないというような答弁があったわけであります。  もしその意味が、民間ならば何を研究してもいいのだということであるならば、非常に事は重大であろうと思うのです。民間企業の監督の立場にある中曽根通産大臣は、どのようにお考えでしょうか。
  205. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 日本の産業、特に兵器を製造する産業がその適正な事業を行なって、かりそめにも政府の方針にたがう方向にいかないように、私たちは常に監督しなければなりませんし、企業も、政府の方針に従って、節度ある企業運営をしなければならぬと思います。
  206. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまから資料を差し上げますが、民間企業どころか、国立大学及び文部省が補助金を出しております私立大学、あるいは研究機関、こういうものに対してアメリカのペンタゴンが金を出しまして、委託研究をさしておる一覧表があります。  かつて、この種のことは問題になったことがありますけれども、私の記憶するところでは、一覧表は初めてだろうと思います。もし、たとえばこういう日本の大学なり研究機関がアメリカのペンタゴンの委託を受けまして、たとえばCBR、細菌兵器、毒ガスあるいは核兵器、こういったCBR関係にかかわる委託研究をしておるとすれば、まことに重大であろうと思います。  文部大臣は、この点についてどのような御見解をお持ちでしょうか。
  207. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 外国から研究費の援助を受けます場合には、特にそれが政府関係のものでありますと、いろいろな誤解も生じやすいというような問題もございますので、国立大学につきましては、四十二年以来、文部省に協議をさせるという方針をとってまいってきているわけでございます。四十二年以降は、文部省に協議を申し出たものはございません。ただ、それまで、契約に基づいて長期にわたって援助を受けるとかという式のもの、あるいは設備の貸与を受けるというようなものは若干あろうか、かように考えています。  いずれにいたしましても、いま御指摘のありました純軍事的なもの、そういうものの研究援助というものは、これはもう当然避けていくべきものだ、かように考えておるわけであります。
  208. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 この資料を文部大臣に渡していただきたいのですが、いま差し上げる資料は、その一覧表であります。私の調べたところによりますと、一九六七年から一九七一年まで五年間にわたりまして、二十八の日本の大学、研究機関が総額六十一万四千七十五ドルの委託研究費を受けて、主として軍事目標にこれは奉仕しておるわけであります。あるいは、先ほど申しました大量殺人兵器、CBR、これの開発研究に、結果として協力をしておるのではないか、こういう重大な問題を私ははらんでおると思います。いまアメリカのペンダゴン、国防省は、世界じゅうに、五十一カ国の大学、研究機関に委託研究費を出しておりますが、日本はイギリス、イタリアに次いで三番目であります。この中には、先ほど申しましたとおり、国立大学である北海道大、東大、京大、九大、千葉大、金沢大、広島大、熊本大などがごらんのとおり含まれております。さらに慶応大学、東邦大、神戸女子大などの私大、さらに国立がんセンター、細菌化学研究所などの研究機関が含まれております。  たとえば金額では、松下調査研究所、これは川崎ですが、四万四千三百九十七ドル、これは一九七〇年であります。あるいは群馬大、これは同じく一九七〇年、三万九千五百五十ドル、北里伝染病研究所、これは一万二千四百四ドル、一九七一年であります。  私は、この資料に基づいて、文部省は、これらの大学研究機関がペンタゴンから一体どのような研究項目を与えられて委託研究をしたか、直ちに調査の上、当委員会報告をされたい。  一例だけあげておきます。たとえば奈良県立医大の場合であります。これは委託費を受けておりましたのは、いま退職されておりますけれども、前大学長の安澄權八郎という方ですか、この安澄氏は電子顕微鏡の権威でございました。電子顕微鏡レベルにおける細胞化学的研究で国際的にも非常に有名であります。また日本電子顕微鏡学会の会長をされたこともあります。この安澄氏は、昭和四十六年までの約十年間ペンタゴンから委託費を受けて研究を続けられておりました。多いときは一年間に百万円ぐらい受け取っておられます。私の調べたところでは、そのはずであります。四十六年度は千七百ドルを受け取られておるようでありました。研究項目は日本脳炎ウイルス及び流行性肝炎の電子顕微鏡的研究、このレポートをペンタゴンに送っておられます。  私はたびたび当委員会でも問題にいたしましたが、日本の自衛隊も細菌兵器とかかわりあるような研究が行なわれておる。たとえば流行性感冒のウイルスあるいは赤痢菌、大腸菌、そういった研究をしておる。これはすべて細菌兵器とかかわり合いがあるわけでありますから、ひとつ早急に御調査をいただきたい。  さらに、ペンタゴンはまた、日本の企業に対していろいろと品物を買ったり、あるいは研究開発をさしておる。——これをちょっと中曽根大臣にお渡しをいただきたいのです。これは一覧表がありますから、どういうものをアメリカの国防省が日本の企業から買っておるのか、ひとつ、これもお調べをいただきたい、そのようにお願いをいたします。どうでしょうか。
  209. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 いまいただきました資料を拝見いたしますと、やはり先ほど申し上げましたように、外国からの研究助成、あまり好ましいと思いませんので、国内的には科学研究費を大幅に増額してまいりました。同時にまた、国立大学につきましては、文部大臣に協議を求めたわけでございます。したがいまして、一年一年ぐんぐん減っているようでございます。私、また、ペンタゴンから現にそんなに研究費の助成をもらっているとは考えていないわけでございます。同時にまた、大学の研究者の研究につきましては、できる限りその良識を信頼し、自主性にゆだねていきたい、こういう気持ちを持っておるわけでございます。  したがいまして、いまの現状においては、私は特段調査等をしなければ心配だという事態ではないように思います。しかしながら、委員会として御要求になりますれば、当然調査して資料は提出しなければならない、そういう考えは持っておりますけれども、私は、いまの段階においてはそういう心配はないのじゃないだろうか、こういう気持ちを持っておるわけでございます。しかし、今後も心配のないような指導につきましては、十分留意してまいる考えでございます。
  210. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 異なことを承るのですが、私が調査してくださいと言っておるのに、あなたが調査する必要はないとは、どういうことでしょうか。  委員長、こういうことを許されるのですか。僣越ではありませんか。
  211. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 奥野文部大臣、意を尽くしていないようですから……。
  212. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 資料の提出というふうに私は理解したものでございますから、いま申し上げたようなことをお答え申し上げたわけでございます。それはいま申し上げたような判断に基づくわけでございます。  御指摘の学校がございましたら、お話しいただきましたところに従いまして、御報告申し上げます。
  213. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、私はどういう委託研究をしたのか、その研究項目を全部調べて、そして一覧表をつくって、資料として出していただければ、われわれもたいへん、いろいろ検討がしやすい、こういうことですよ。それを必要ないとおっしゃるのですか。
  214. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 先ほど申し上げましたように、四十二年以来、国立大学につきましては、協議を求めておるわけでございます。その協議がないわけでございますので、私はそういうことを信頼しているわけでございます。また、しかし国立大学じゃございませんけれども、奈良医大についてお話がございました。これは新聞にも掲載しておりますし、いまもお話しになったので、楢崎さんすでに御承知のところでございます。したがいまして、そういう意味において全体的に調査することは必要ないじゃないかなと、こう判断いたしまして、具体の問題につきましてございましたら、御指摘いただいて調査したい、こう申し上げておるわけであります。
  215. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 全部書いておるでしょう。
  216. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 いま申し上げますように、七一年まででございました。今日、七四年でありますから、七四年現在もらっているものがございましたら、私のほうも調査をいたします。
  217. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうもかみ合わないのですがね。そこに書いてある大学について、どのような研究項目で委託研究をしたのか調べてくださいと言っておるのですよ。何を言っておるのですか。
  218. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 ここの御指摘の、研究科目だけは何であるか、調べましょう。
  219. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでいいんです。  そこで一応ニュースソースを言っておきますけれども、これはアメリカの一九七〇年から一九七二年会計年度の主要なるペンタゴンの契約額であります。そしてこれは、DC二〇三〇一、ワシントン、ペンタゴン、OASD(C)、通信局記録管理部と訳すのでしょうか、それの書類からまとめたものであります。ニュースソースはそういうことです。これはだれでも見得る書類であります。秘密書類じゃありません。これをなるたけ早くひとつお調べいただきたい。それで次の質問に入ります。  全日本精糖工業会会長に参考人としてわざわざ忙しいところをおいでいただいたわけであります。たいへん恐縮をいたしております。年末から年始にかけて砂糖がパニック状態になり、暴騰と思われるほどの値上げが起こった、それで真相を私は知りたい、そういう気持ちからおいでをいただいたわけでありますので、礼を失しないように私もお伺いをするつもりであります。  まず会長にお伺いしますが、原糖相場が御案内のとおり、もう史上最高、あるいはロンドン相場で二百五十ポンド、そういう状態になりました。こういう状況のもとでは、たとえ弾力関税の中で四万一千五百円を免除してもらったとしても、コスト価格は二百円をこえているのではなかろうかと私は思います。で、農林省の指導価格は、御案内のとおりキロ当たり百八十六円。会長としては、メーカー団体の代表として、この農林省の指導価格を守り通す自信がおありでしょうか。
  220. 水野忠夫

    ○水野参考人 ただいま御質問のありました点につきまして、御返答申し上げます。  御指摘のとおり、砂糖の値段は、原料の大部分を占めるところの原糖によりますので、一九二一年と覚えておりますが、ニューヨーク定期市場ができましてから、二十三セント五というのがありましたけれども、実はおとといそれを破りまして、本日二十五セント、ロンドンは二百七十四ポンドになっております。そういった原糖を買って、これから供給をするということになりますので、これからの砂糖の値段をどうしていくかということについては、要するに皆さん、生活必需品になりました砂糖につきまして、最も苦慮しておるところでございます。  農林省の指導価格につきましては、三月末日まで——どもも現在三月については、もうすでにコスト割れという面も出ておりますけれども、上がり相場のときでございましたので、昨年から入れておりました、まだ多少そういった、いままで買っておった砂糖の中で、三月末日まではこの指導価格を守り抜いていきたい、こう思っております。
  221. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 まあ三月一ぱいまではと、以上のような会長のお話ですが、農林省も三月一ぱいまでは言われておるとおり守られるのでしょうが、それから先は農林大臣はどう思っておられるのですか。
  222. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 いまもお話しございましたように、これはロンドン相場、いまお話しの二百七十五ポンドくらいまでなっておりまして、わが国は、その大部分を外国に依存しておるわけでありますが、どうも外国の相場がいまお話しのようなことであります。  それからまた、需要の関係から見ましても、開発途上国の需要が昨今非常にふえてきておりますので、私どもといたしましては、なかなかむずかしい状況になっているのではないかという判断をしております。
  223. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 けさ七時、私はNHKのテレビを聞いておりましたのですが、政府首脳は、三月以降も、生活必需物資は価格を当分凍結する、そういう決意をされたやに報道を聞いたのですけれども、砂糖は例外でありますか。
  224. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御存じのように、この糖価につきましては、いま申し上げましたように輸入が非常に多うございますが、国内においても、沖繩、奄美大島等のキビがございます。それからてん菜糖、これは奨励をいたしてやっておる、計画的に進めておりますけれども、まだ合理化等、十分にいっておりません。そういうものを育成するということも法律等でございますので、そういうものの成長を計画して、それと一緒に糖価が左右されるわけでありますが、そういうことから見まして、なかなか困難であるとは思っておりますけれども、今日の経済状態において、私どもはこの糖価の高騰することを極力押えてまいりたい、そういうふうに努力いたしておるわけであります。
  225. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうもあいまいで、先行き不安なものを感じさせる御答弁であります。  で、メーカーは昨年十一月十二日に脱脂綿を一斉に四、五円上げましたですね。そして、十四日になって百五十円ぐらいに引き下げた。ということは、農林省の指導とはいえ、四、五円というと、これはたいへんな値上げであった、もうけ過ぎがそこに出たのではなかろうか。つまりキロ当たり一円上がっただけでどれだけもうけが違ってくるか。これは十一月の出荷の総量は約二十七万二千トンでございますか、そうすると、一円上げただけでメーカーは二億七千二百万円もうけを上のせできるわけですね。それが四、五円値上げするということになると、まさに十億から十五億円いままでのもうけに上のせするという、これは一円の値上げというのはたいへんな利益が生まれるわけであります。  それで、私は全日工の会長にお伺いしたいのですが、非常に値上げについて関心も深いし、コスト原価を公表することができましょうか。
  226. 水野忠夫

    ○水野参考人 ただいまの御質問に対して、コスト原価という意味が、私の会社のコスト原価であるということと、それから他社の一般的なコスト原価ということにも解釈できると思いますが、いままでわれわれの理解しておるところでは、まあ業界の競争ということもございますし、原価というものは非常に秘密にしておりますので、公表をするということは、私はできません。
  227. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうも、一般の消費者から見ると、なぜこんなに高くなったのか、一体原価はどうなっておるのであろうか、これはひとしく国民が関心を持っておるところであると思います。いまのお話では、企業秘密にされておるものであるから原価の公表はできない。  では農林大臣、農林省からその指導でこれを明らかにすることはできないわけですか。
  228. 倉石忠雄

    ○倉石国務大臣 御存じのように、輸入の砂糖につきましては事業団がございまして、それを瞬間タッチでメーカーに出しておるわけであります。これは、私どもといたしましては、ただいままではそういう原価面のことについて、大体の計算はわかりますけれども、これを指導して原価計算を公表するというふうなことは、相手方の会社の都合もありましょうからして、考えたことはないわけであります。
  229. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 どうも、農林大臣のお答えは何となく弱いのでありますけれども、いずれこの問題はやはり政治問題化するのじゃないでしょうかね。二十五日から参考人招致の問題もありますし、一つの焦点になるのではなかろうか、こう思うわけです。  ちょっと全日工会長にお伺いしますが、需給協議会のきめました四十七年十月から四十八年三月のガイドポスト及び四十八年四月から九月のガイドポストは何万トンであったでしょうか。
  230. 水野忠夫

    ○水野参考人 私、工業会の会長になりましたのはつい最近でございますので、前のガイドポストはただいま忘れましたけれども、四十八年の十月から四十九年の十月までのガイドポストは百四十五万トンでございます。
  231. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は、昨年来の砂糖パニックの原因の一つは、極端に押えられたこのガイドポストに基づく生産制限に原因があったのではなかろうか、こういうふうに思われてならないのですが、どうでしょうか。会長の御意見をお聞きします。
  232. 水野忠夫

    ○水野参考人 実は、その背景といたしまして一言申し添えますけれども、最近砂糖の消費というものが特に目立って減ったということです。いままで大体二、三%、多いときは——一時は一〇%もチクロのときにはございましたが、徐々に消費が低下してまいりまして、一番大きく響いたのが四十八年の四月から九月でございます。四月から九月は、砂糖は御存じのとおり消費税がございますので、税務署からみなチェックをされて出しておりますので、この数字が最近発表されておりますけれども、去年比、減でございます。たしか三万トンぐらいだと思いますが、減っております。そういった状況下に、しかも、われわれのほうも出し値がなかなか通らなくて採算を割るのがずっと九月まで続いておりました。そういった関係で、百四十五万トンをきめるときには、私どもは、メーカーとしてはいろいろ意見がございましたけれども、この四十八年の四−九期の減に対処して、しかも、もう一つは、四−九期というのは、最近の糖価——糖価というよりも、砂糖消費をささえてまいりましたところの清涼飲料の非常な需要期でございます。昔は十二月に非常によく砂糖が出まして、それで十−十二月のほうが砂糖の消費というものが一般に多かったわけです。ところが最近は、砂糖の伸びというものが清涼飲料によって伸びてまいりましたので、四−九期のほうが多い。すなわち、大体四十九対五十一ということです。その五十一の四−九期が減っておりますので、年間三百万トンという予想の中で、百四十五万トンという数字が出てきたわけでございます。これはメーカーだけではなしに、各関係団体みな寄り合ってきめるものでございますが、以上の実情から百四十五万トンがきまったわけでございます。
  233. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 会長は元三非物産の砂糖部長をされておったと思うのですが、いまお話しのとおり、砂糖業界は、メーカーは赤字が非常に累積しておりました。私どもふしぎでならないのは、こうした赤字累積の砂糖産業に商社がどうしてこう、私どもの悪いことばですが、群がるのか。これは後ほどその実態を明らかにしますけれども、ふしぎでならないのです。その辺はどうでしょうか。何のメリットがあるのですか。
  234. 水野忠夫

    ○水野参考人 砂糖に商社がなぜ興味を持って赤字会社をいつまでもいつまでもかかえておらざるを得ないのかということだと思いますが、当初は、これは戦後の状態でございますけれども、製糖会社というものは昭和三十八年の輸入自由化までは非常に好況でございました。一時は三日時代といわれたような時代もございましたので、そのメーカーというものが、先ほどから申し上げましたように、海外の外糖に依存するところが多いので、その外糖の輸入ということについては、メーカー自体がなかなか情報を得たりすることができないものですから、商社に輸入を委託するということでございます。  それから国内の販売につきましては、これは一部戦前から局限しておりましたけれども、国内の仕事については、あとからになって非常に関心が持たれたことでございますが、戦前はほんの四社くらいの非常に少ない取り扱いのものでございましたけれども、私の昔おりましたところの三井物産は、戦前から国内の砂糖も代理店として引き受けてやっておりました。  そういうことで、なぜそういった非常な好況時代に結びつきのあった製糖会社と、あと三十八年から十年間、赤字の累積を重ねたメーカーに、どうしていつまでもくっついておるのかという問題でございますけれども、いままで取引があったときに、ある程度みな売り掛け金を持ったり、それからつながりができておりますので、商社自体としては、やはり砂糖というものは非常に金額が張りますし、取り扱いというものに対する興味があることは当然であると思いますけれども、一つは、悪くなってすぐに逃げ出すというわけにもいかない。それともう一つは、やはり長く続いておればだんだん集約化もできてよくなるだろう、よくなるだろうと思っておったのに、十年間もこういった不況が続いたということで、倒産が出ても、やむを得なくてそれを拾っていったというのが実情だったと思います。
  235. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これはおたくの会社の社内報ですね。
  236. 水野忠夫

    ○水野参考人 はい。
  237. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 これは「みついしゅがあ」、三井製糖の社内報であります。会長は現在三井製糖の社長をなされておりますが、これの第八号冒頭でありますけれども、これはことしの一月五日に発行されたもので、編集発行は三井製糖の広報委員会、この年頭の所感を会長はお書きになっておるわけであります。会長がお書きになった文章の中にこういう文句があるわけであります。「十一月の砂糖パニックに象徴される国内需給基調の好転、そして遂に十一月、戦後最高値を記録した最近の糖価の高騰など、これまた一般経済環境同様、全く様変わりな環境激変の時を迎えつつあるのが現状の姿であります。」「これはすなわち、かかる環境の激変の時こそ、その弾力的対応によって一挙に失地を回復する、当社にとっては絶好の機会ということが出来ます。」「幸いにして昨年後半以来業界の意識統一の成果も出て、長年の赤字から脱却して、当社も黒字経営に転換することができました。」こういうことをお書きになっておるわけであります。これは間違いありませんですね。——よろしゅうございます。  そこで、この文章の意味でありますけれども、会長も新聞を見られて御案内のとおり、この予算委員会において、共産党の同僚委員によって、ゼネラル石油のいわゆる部内の指示文書が明らかにされて問題になりました。それは新聞報道で御案内のとおりであろうと思うのですね。あれはいわゆるこっそり出した指令ですから露骨に書いてあるけれども、これは社内報で、きれいな本ですから上品に書かれておるけれども、意味するところは同じではなかろうかという印象を受けるわけであります。つまり「環境の激変の時こそ、」ということは、昨年十一月の砂糖パニックによる国内需給基調の好転、戦後最高値を記録した最近の糖価の高騰、それを「激変の時」とおっしゃっているわけです。一挙に失地を回復する絶好の機会とは一体何か。その意味は、この際「環境の激変」、つまり砂糖パニックと糖価の高騰に便乗して一挙に暴利をあげる絶好のチャンスという意味に聞こえてしようがないのであります。つまり、ゼネラル石油の問題の文書と趣旨は同じではないか。それを裏書きするように、三井製糖は、現実に長年の累積赤字約二十億円から脱却して、わずか半年間で、私の試算によると、約三十八億円の暴利をあげられました。一挙に黒字経営に転換されたわけであります。  どういうふうにしてこの半年で三十八億に及ぶ利益をあげられたか、この問題について、私は試算はやっておるわけでありますけれども、昨年十月からことし一月までは生産実績が出ております。二月と三月は推定で出してみました。そして大体三十八億、これはあとで私の試算の資料を差し上げてみたいと思うのであります。現実にこれだけ黒字に、一挙に、わずか半年の間に、長年の累積赤字を取り返されて黒字になる。  いま一つお伺いをしたいのは、砂糖業界の間では、水ということばをよく使われるようでありますが、水というのは、一体どういうことを意味するのでしょうか、砂糖メーカーの場合は。
  238. 水野忠夫

    ○水野参考人 いまの水ということでございますか。私は、水ということばがよく使われるという意味がちょっとわかりかねますけれども、私が言う意味の水という意味は、砂糖は農産物でございまして、サトウキビからとるので、有限資源ではございません。無限の資源で、大切な無限の資源であるから大切にしろということを言うわけですけれども、太陽と水によって無限に、毎年あるいは一年半ということもございますけれども、出てくる資源という意味で水ということを申しております。
  239. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうでしょうかね。それもあるかもしれませんが、砂糖の中の水分のことを主としていうのじゃないですか。
  240. 水野忠夫

    ○水野参考人 私がいま取り違えたかもわかりませんが、砂糖の中の水分というのは、糖種によって違います。その水を、どういう意味で申し上げておられるのか、ちょっとわかりかねますけれども……。
  241. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 メーカーでは、工場で目標値というものを出されておるわけですね。その中に水分何%というのが書いてあるでしょう。つまり、消費者が一番喜ぶ砂糖の乾燥度と申しますか、すなわち砂糖に含まれる水分の量ですね。これは、大体消費者が一番喜ぶパーセンテージはどのくらいでございますか。
  242. 水野忠夫

    ○水野参考人 砂糖の中の水分の問題でございますが、糖種によって違いますが、一番水分の多いといわれるものは、家庭で使われておるところの上白糖でございます。グラニュー糖あるいはザラメ糖は……
  243. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 上白でいいです。
  244. 水野忠夫

    ○水野参考人 上白は九七%くらいが庶糖でございまして、その他水分が大部分で、還元糖と水分というものが〇・二五から〇・三%くらいございます。
  245. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ちょっと不正確でありましてね、いまの会長のお答えは。純度は九七・幾らかになっておりますけれども、それは水分がすべてじゃないんですよね。私が聞いておるのは、普通水分は〇・八%くらいが消費者が一番喜ぶと聞いておるのですが、どうでしょうか。
  246. 水野忠夫

    ○水野参考人 水分が多いというか、しめりけが多いということでございますので、いわゆるソフトシュガーといわれる上白糖の柔軟性を保つために、還元糖と水分がほかのグラニュー糖よりも多くなっているという意味でございます。
  247. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 私は〇一八ぐらいの水分が一番喜ばれるのじゃないかと聞いておるのです。
  248. 水野忠夫

    ○水野参考人 私もその〇・八が、好みによって違うかどうか知りませんが、私のほうはいまこまかい数字を持っておりませんけれども、〇・八であるか一%であるか、ちょっといま記憶にございませんけれども、私のほうは水分の標準をきめて出しております。
  249. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 では、標準ならば、大体〇・八ぐらいでしょう。  農林大臣にお伺いしますが、この水分の含有といいますか、パーセンテージというのは、農林省は規制をしているんですか。各メーカーにまかしておるのですか。
  250. 池田正範

    ○池田政府委員 ただいまの水分の問題につきましては、特に農林省で規制していることはございません。  それから、いまの上白の平均的な水分は、ただいま先生御指摘のとおり〇・八七程度が通常でございます。
  251. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大体私が言ったとおり、〇・八くらいが一番消費者が喜ぶ水分の含有量であります。  そこで、会長は、自分の会社ではどのくらいか、さだかに覚えないということでございますが、おたくの会社もそうなんです。三井製糖の芝浦工場にCR委員会というのがあるそうでありますが、このCR委員会とは、どういう委員会でございますか。   〔委員長退席、櫻内委員長代理着席〕
  252. 水野忠夫

    ○水野参考人 CR委員会というのは、私のほうの会社は、合併後三年有余でございますが、合併直後に、資本金をくつがえすような三十億をこえる損失を出しまして、それからさらには、そういった経過の中で、われわれのほうは恥ずかしいことでございますけれども、再建計画をずっとやっております。それで、さらには再建計画をやっても、先ほどちょっと話がございましたから、私のほうの、いま御指摘だけを申しますと、そういった中で、さらにことしは第二再建というように去年から体質改善計画をやっておる、これは企業の当然でございますけれども、それをやっている中で、工場ごとにおのおの自主性をもちまして、芝浦工場はCR運動といいまして、いわゆるコストリダクション、コストを低めるという企業努力の運動をしております。  それから、先ほどの点でちょっと触れておきますけれども、私どもの累積赤字は三十九億弱でございます。二十億ではございません。
  253. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それではいま三十九億とおっしゃいましたが、じゃ私の試算では、もうけが三十八億、そうすると黒字にならぬわけですね。会長は、社内報では黒字におかげさまで転換したと書いてありますから、まだ利益はあげられたことになりますね。私が三十八億と言ったのに、赤字が三十九億とおっしゃいましたから、それでそれはいいのですが……。  そこでこの一月、CR委員会でおたくの工場長、委員長である工場長が、まあ委員長としてのあいさつをされた。その中で、水を売ることも考えなければならないということを、あいさつの中で言われたそうですが、水を売るとは、どういう意味でしょうか。私はしろうとでわからないのですけれども
  254. 水野忠夫

    ○水野参考人 私自身、そういう話は聞いておりません。聞いておりませんから、どういうことを意味したかわかりませんが、その意味がよく解しかねております。
  255. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 昨年十一月二十日、その前の日の十九日、翌二十一日、芝浦工場の製造現場の黒板に「水分を高めよ」という職制を通じての指示が書かれた。会長、御存じでしょうか。
  256. 水野忠夫

    ○水野参考人 そこまで指示しておりません。
  257. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは、工場長がかってにそういうことを指示したのでしょうか。
  258. 水野忠夫

    ○水野参考人 適正な成分というものを標準にきめておりますので、水分量が少なければここまで上げてよろしいということの指示ではないかと解釈できます。
  259. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そうではないのですね、実は。これは仕上げ班の職場の黒板にそれが書かれております。お調べいただきたいのですね。そして班長はその掛員に「水分を一・一ないし一・二%にあげよ」と指示をされております。その旨を書かれた職場日誌があるはずであります。「十一月二十日、A係、三直」職場日誌の内容であります。「ソフトの水分高目に出した」「十一月二十日、C係、一直、水分一・一〇を目標にして操作中」同二十一日「C係、一直、水分本日も高めで一・一〇目標にてビン送りにしています」、これは何を意味するかというと、水分をふやすという意味は一体何なのか。これは私はおたくの芝浦工場の目標値というものを見たんですけれども、たとえば砂糖の重さに比べて含有水分を、さっき言ったとおり〇・八%程度が一番消費者には喜ばれると思うのですけれども、水分が多くなりますと、それだけ重量がふえるわけですね。そのふえたパーセントだけ重くなります。また一方べとつく、固まりやすい。水分を、たとえばわずか〇・一%ふやせばどういう結果になるかというと、あなたの会社の三井製糖の場合は、水分を〇・一%ふやしただけで、昨年十一月の生産実績は三万八千八百四十八トン、採算価格、これは試算ですけれども、キログラム百四十六円と出してみました。そうすると、どういう結果になるかといえば、〇・一%水分をふやした場合の利益は、キロ当たり十四・六銭になります。だから、結局生産量をかけてみますと、たとえば十一月段階で〇・一%水分をふやしただけで五百六十八万円もうかるわけです。上積みできるわけですよ、いままでのもうけの上に。年間に直せば、三井製糖は三十六万トンですから、〇・一%水分をふやしただけで五千二百五十六万円もうけを上積みできるのですよ。だから、工場長が水を売らねばならぬと、つまり砂糖の中の水分をふやして、そうしてもうけるのだ、これは一体どういうことなんでしょうか。これでは全く消費者は詐欺にあったようなものじゃありませんか。  これは非常に重大なところでありますので、私はこれが事実とするならば、全く消費者に対する詐欺行為であるし、一種の犯罪行為である。だから消費者は、おたくのほうが水を売らねばならぬ、消費者のほうから見れば水を買わされたと、こうなるわけでしょう。したがって、これは私は重要なところですから、この職場日誌を昨年の十一月から今日まで、そのゼロックスでも何でもけっこうですから、資料として当委員会にお出しいただくわけにまいらないでしょうか、お伺いをいたします。
  260. 水野忠夫

    ○水野参考人 いま御指摘のございました資料、日誌は出します。  それから、いまの水分の問題でも、水を売るという言い方が、いささか穏当を欠くと思いますけれども、そういうことを指導しているわけではございません。十一月は非常に乾燥時期でございますので、年間通じて水分というものを——いつも同じ水分で出しておるかどうかという問題がございますので、そういった点も、あわせてひとつ御理解願いたいと思います。
  261. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いや、私は理解しないのですよ。一・一ないし一・二%に上げよというのは、どういうことですか。〇・八が一番いい状態なのに、これはたいへんな水分量じゃないですか。
  262. 水野忠夫

    ○水野参考人 いや、それは私はいま具体的に一・一に上がっているかどうかは、いま調べて御提出申し上げますけれども、時期に応じて、非常に雨季には水分を少なくし、乾燥期には水分を多少アジャストするということは、私、いままで聞いてございます。
  263. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 ひとつ資料を出していただくそうですから、その辺は、資料が出てきた段階で、はっきり私はしてくると思うのです。  だから、こういうことは、失礼ですけれども、あまり感心する商法ではないのではなかろうか。われわれから見れば、まさに悪徳商法の代表であるみたいに見えるのですよね。それで、あなたは三井製糖の社長であると同時にいわゆる砂糖メーカーの団体の代表ですから、そういう商法をやられる方が工業会の会長に一月に就任されてやっていかれるということについて、私は割り切れないものがあるわけです。それで、この点はひとつ明確にしてみたい、このように思うわけです。事実をあまりよく把握されていないようでありますから、職場日誌を見られれば、いま私が申し上げた点は出てまいると思います。これがはっきりすれば、相当の責任を表明していただかないと、砂糖メーカーというのはそういうことをやっておるのかと、やっていないところまで消費者からそういうふうに思われることになりますから。水を買わされたんだということになると、たいへんな詐欺行為ですから、ひとつ明確にした上で、責任の所在も含めて明らかにされなくちゃならぬのではなかろうか、このように思うわけです。  きょうは参考人でございますから、この程度にとめておきます。資料を提出していただくそうですから、その段階で、あらためて問題にしたい、このように思うわけです。会長はお帰りになってけっこうです。ありがとうございました。
  264. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 水野参考人には、お忙しいところをおいでいただきまして、ありがとうございました。
  265. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そこで、私は、こういうからくりがなぜ行なわれるのか、それを、以下明らかにしていってみたいと思うわけです。  この全日本精糖工業会に対して昭和四十七年十二月二十七日、公取委員会から警告書が出されておる。どういう内容かというと、四十七年十一月及び十二月の精製糖生産数量削減懇談会について、独禁法第八条第一項第一号違反として警告されておりますね。間違いありませんね。
  266. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 そのとおりであります。
  267. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 その後、こういう行為が繰り返されませんでしたか。
  268. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私どものほうの関係では、そのような相談が意識的に行なわれたかどうか、その辺は明らかとなっておりません。ただし、ガイドポストというものがあって、生産総量について指導が行なわれているということは聞いております。  ただ、ついでに申しますと、ガイドポストがあまりふえない、つまり横ばいに近いものだと聞いておりますが、実績が若干ガイドポストを上回っておるということは、ガイドポストが少し低いという感じはいたしますけれども、個々の業者の操短とは直接結びついておらないんだという説明を聞いております。
  269. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 同じく三井精糖の社内報。これは警告を受けて、年が明けて昨年の三月十日発行の社内報であります。さっきのこれと一緒です。この一四ページにこういうことが書かれております。「カルテルへの動き 昨年末業界は公正取引委員会から生産制限に対する厳重注意を受けたが、市況建て直しにメーカー、商社ばかりでなく、農林省も国産糖保護の立場から積極的となり、カルテルへの動きが活発化した。東部会、関西五日会というメーカーの会合、または全日工理事会の開催というように、販売姿勢の強化、生産調整についての具体的検討が行なわれたが、カルテル結成への動きもあり、今後シェア問題、特に新設工場のシェアをどう織り込むかが問題となってくることであろう。」これはメーカーがみずから言っておるのです、業界の動きを。こういう動きを具体的に把握されたことはありませんか。
  270. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 残念ながら、そういう具体的な事実を把握するに至りませんでした。
  271. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 そういう点からも、公取としては陣容を強化してもらわないとならない。業界がみずから言っておるのですから。だれあろう業界が言っておるのです。これは私は調査する必要があると思うんですよね。  そこで、時間が限られておりますから、私は、この砂糖産業がどのように商社から会社ぐるみ、メーカーぐるみ買い占められておるか、砂糖産業に対する大手商社の支配の実態を、以下明らかにしてみたいと思うのです。  ということは、公取委員会は、一月二十一日に大手商社に対する警告を発せられました。「総合商社に関する調査報告」であります。その中でどう警告されておるかというと、「取引先企業の系列化を推進し、原材料輸入から製品販売に至るまでの過程を垂直的に組織化し、関連事業者を結集して、資源開発等の巨大プロジェクトの推進母体となり、」「流通市場の寡占化、取引先企業等の系列強化およびこれに伴う各種物資の価格形成への影響力の著しい増大等、公正かつ自由な競争秩序の維持の観点から、種々の批判を生んでいるところである。」このように指摘されておるのですね。そうして商社につきましては、「このような巨額の商社金融は、六社がその業容を拡大し、取引先企業の系列化を推進する原動力となっている」「いわゆる問屋金融の枠を越えた融資的なものがかなり含まれているのではないかと推量」し、大手商社の株式所有についても、「取引拡大や、系列化促進のための手段として行なわれている」と公取は見ております。またさらに、「必要に応じて役員を派遣して相手方の経営に参加する等により、系列化を強める態勢をとっている。」このように指摘をされております。そして、結論として、「今後も企業の系列化を一層進め、あるいはその属する企業集団に占める地位を高める場合には、競争政策上好ましくない行為が顕在化するおそれがあり、」「ややもすれば、相手方を不当に拘束し、又は、不利益を強制するなど、不公正な取引方法を用いるおそれがある。」こういうふうにずっと警告されておるわけですね。  それで私は、いま、その商社と砂糖産業の関係、これを明らかにして、公取が指摘されておるそれに全くすっぽり当てはまる姿を浮き彫りにしてみたいと思うのです。  先ほども全日工の会長がちょっとおっしゃっておったとおり、自由化以前は、商社は原糖を橋渡しするだけであった。問題は自由化後ですよ。そこで砂糖産業は非常に過当競争になってきた。そしてだんだん設備投資をやる、それが生産過剰になる、採算割れする、そして経営が赤字と、こういう状態になっていくわけでありますけれども、そこで私は、いまから示す資料の別添資料の部のところを、ひとつ特に公取委員長と農林大臣に見ていただきたいのでありますけれども、精糖メーカーにどれだけ商社が食い込んでおるか、支配をしておるか、別添資料のところです。ここに私は商社の有価証券報告書をもとにして仕分けをしてみました。若干私の計算が違っておる面もあるかもしれませんが、大体間違いないと思います。ここで大手商社が砂糖産業に対してどれだけの株を持ち、どれだけ金を貸し——原糖の買い付けなどはほとんど全部商社が金を出しておる。この姿をはっきりここに数字的に出しておるわけですね。これが具体的な事実であります。  そこで、私はもう一つ公取委員長にお伺いしてみたいのですけれども、需給協議会がガイドポストをつくりますね。その生産数量を一応きめて、もしそのガイドポストに従って各メーカーが具体的に生産削減の実行行為に入ったときにはどうなりますか。これは私は、あの四十七年の警告書で見る限りは、独禁法違反の疑いが出てくると思いますが、どうでしょうか。
  272. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私ども公正取引委員会といたしましては、行政指導によって——法律に基づく場合は別です。法律に基づかないで、生産制限につながるようなガイドポストとかその他の指導をなさるということについては、これはもう、かりにそれが、私どものほうで見て不当な数量制限になれば、それがあっても独禁法違反にする、こういう考えでございます。だから、それだけ非常に強い拘束力を持っておりまして、それに従ったために、砂糖の供給が削減され、狭められ、それで価格がつり上がる、こういうふうになれば、それはかりに政府の行政指導が入っておりましても、法律の権限に基づくものでなければ、それは違反行為として、官庁の行政指導にかかわらず独禁法違反である、こういうふうに認定いたします。
  273. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 いまの資料の(4)を見ていただきたいのですけれども、ここの、このBのところですね。昭和四十八年十月から四十九年三月期のガイドポストは、前期のガイドポスト百五十四万トンより九万トン減の百四十五万トンになっておるわけですね。そしてこの百四十五万トンというのは、たしか一年前のガイドポストと同じ指標であると思います。そうすると、結局この一年間の需要の伸びというのは全然見込まれていない。つまり私は、供給に対して非常に押えられた生産制限の目標である、このように思わざるを得ないのですね。だから当然供給不足が起こってくる。現に昨年の十月から生産が落ちておるわけですよ。出荷が減っておる。つまりこういうマインドというのは絶えずあるわけですよ。さっき披露したとおり、カルテルのような動きは絶えずあるわけです。すれすれのところだと思うのですね。このガイドポストのきめ方について、十分公取に監視をしていただく必要がある。公取委員長、いかがでしょうか。
  274. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私どものほうで把握しております数字では、多少違うかどうか、いま詳しく比較しなかったのですが、四十七年の四月から九月までの上期ですか、これは百三十八万トン、四十七年度の下期が百四十万トン、それからその次になりますと、これは四十八年度の上期になりますが、百五十四万トン、それから下期の数字が百四十五万トン。でありますから、一応四十七年度の下期の百四十万トンに対しまして、四十八年度の下期のガイドポストは百四十五万トンと、微増でございますか、五万トンふえてはおるのですが、これに対しまして実績のほうを見ますと、若干上回っておりまして、四十七年度の上期が百五十一万トン、下期の実績が百四十四万トン、四十八年度の上期が百五十一万トン、実績としてはこうだという、これは農林省の集計によるところでございますが、そうしますと、この実績から見ますと、四十八年度の上期の数字は先年の同期と比べて全く横ばいである、実績がそうなっておりますが、このガイドポストがほとんど実績を下回っているという点に、私どもは少し問題があるのではないか。砂糖価格の上昇そのものは国際相場のたいへんな激変によるもの、これが大部分であるとは思いますけれども、この数量のガイドポストのきめ方について、どうもあまりふえないようになっているのじゃないかという疑いを持つわけでございまして、そういう点については、今後も私ども十分監視を怠らないようにしていきたいと思います。
  275. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 それでは途中の流通経路に問題があるわけですね。パレットで砂糖を工場から出すわけでしょう。そのパレットがなかなか返ってこないという事実が実は一月にわかったのです。ということは、そのまま在庫されておった、こういうことになるわけです。これはどこでも私は証明できます。そういうことが起こって一つのパニック状態が起こった。  それからさらに、時間がありませんから、あと資料でごらんをいただきたいのですけれども、商社というのは、まず輸入のときに輸入原糖で輸入の口銭を取るわけですね。トン当たり五百円ないし千円。そうして今度は出口つまり販売のときに販売口銭を取るのですね。それで輸入量をふやせばふやすほどもうかる、それから販売がふえればふえるほどもうかる仕組みになっている。メーカーが損しようと損しまいと関係ないのですね。メーカーがどんなに赤字になろうと、生産量がふえて販売量がふえさえすれば、口銭でもうかるのですよ。そうして今度は、いよいよ経営が悪くなる、そこに商社が手を伸ばすのです。金を貸す、あるいは自分の保証で金を銀行から引き出さしておる。実態は数字でこれに書いてあるとおり。そうして、どういうことになるかというと、今度は、メーカーがいよいよ苦しくなる、手を上げかかる、そうすると商社はメーカーに臨時増資をさせるわけです。そうしてそれを、まるまる株を借金の肩がわりに取る。これがまさにここに添えております資料の中の、昭和四十九年一月九日の東洋精糖株式会社の臨時取締役会議事録を見ていただけば歴然とするわけです。これは、ことしの一月に東洋精糖は臨時増資をやったわけです。そうして約九億円の時価発行をやって、それをまるまる、借金をしておる丸紅に、株をそのままやっているのですね。そうして借金を帳消しにする。つまり借金のカタに株を取っていく、そうしてそのメーカーを支配していく、もう一番典型的な例ですよ、この丸紅の株の取得の状態をごらんになれば。  そうして、今度はどういうことが起こるかというと、今度は中身に手を伸ばしていくわけですね。役員を送り込むわけです。ここに書いておるとおりです。三菱商事は大日本製糖に対して二人、同じく明治製糖に対して一人。それから三井物産は三井製糖に二人、九州製糖に二人。丸紅は東洋精糖に二人、それから神戸精糖に五人。日商岩井はフジ製糖に三人、新名糖に四人、大洋漁業の塩水港精糖は、これはもうまるがかえですから、一〇〇%ですから七人送り込んでいますね。ほとんど社長とか会長とか副社長とかです。こういうふうにして、入り口は輸入で押え、出口の販売も押えて、今度は中身を、人を送って押える。完全にこれはもう会社ごとの買い占めなんですよ。そこで、がんじがらめにメーカーは商社の支配下に組み込まれ、ものが言えなくなる。つまりサル回しに踊らされるサルみたいなものです。サル回しは商社です。そして商社がメーカーを支配した以上、今度は商社はメーカーに損させちゃいかぬ。いままではどれだけ赤字があっても、もうかった。口銭でもうかった。ところが、一たん支配すると、赤字になったら困るということで、合理化政策を押しつけてくる、労働者の大量首切りをやる、倒産するか、あるいは首切りをやるかという二者択一を商社はメーカーに対して迫るわけです。その例は大東亜製糖の例です。ここにあげておるとおりです。これを見ていただくと、もうまさに、公取委員会が独禁法違反の疑いありと、ことばで出されておる中身のとおりです。私は検討してもらいたいと思います。どうでしょう。
  276. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私は、日本の総合商社というものは、まあどこまでをいうかわかりませんけれども、少なくとも六社、あるいは十社ですね、そういうものは、戦後のあり方としては、もうみんな類型化しまして、あらゆる商品に手を出す、あらゆる商品に手を出すだけならいいのですけれども、問題となりますのは、産業部門にもずっとインテグレーションといいますか、ずっと深掘りしまして、根こそぎにあれする。いまおっしゃったとおり、輸入の面から販売の面から全部押えているというようなことになりますと、企業支配という点から見て、かなり問題になるのじゃないか。そういう点で、持ち株会社を日本では禁止しております。これはアメリカでは、ストレートに禁止の条項がなくても、やはり持ち株会社的な、コンツェルン的なものに対してときどき問題として取り上げておりますが、そういうことから、総合商社の調査結果につきましても、すでに行き過ぎと見られる面が、つまり独占禁止法のたてまえからいいまして、いますぐ条項に触れるという問題は別としまして、触れるかどうかは疑問の点は多いですけれども、しかし、いまのあり方を将来につなげてみた場合には、この辺で是正措置を講ずべきである。というのは、一つには、株式を自由自在に取得できる立場にあること、これは現在禁止事項がないわけです。ですから、これに対する制限を加えなければいかぬのじゃないかという考え方で、そういうことを可能にしていく。それから、中には売れなくなった商品、たとえば繊維関係が値段が下がるとこれを大量に持つ、持つということは、本来なら自然的現象で安くなっていくべきものが、そこで食いとめられているということなんです。そういうことを可能にしているのはなぜか。これはあんまりはっきりは言いたくないですけれども、やっぱり金融に問題があるのじゃないかというような感じがするのです。非常に甘いというか、甘いというのはどうも銀行とくっつき過ぎているというような感じがしますので、そういう点については、これは大蔵省の問題になりますから私、あんまりよけいなこと言いませんが、いますでにお考えのようで、すでにそういう対策もとられているようでありますから今後に期待したいと思いますし、私のほうでは、株式保有そのものについては制限について検討いたしたい、こう考えております。
  277. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 大蔵大臣、お聞きのとおり、公取委員長はたいへん大蔵大臣に期待をしておるのですが、この商社の持ち株の制限の問題について、どのようなお考えを持たれておるか。何か改正を考えておられるような、制限を考えておられるような公取委員長の御期待でございましたが、どうでしょうか。
  278. 福田赳夫

    福田国務大臣 商社問題につきましては、商社がいかにあるべきか、こういうことにつきまして公取でも調査し、ヒントを出しておるわけです。ですから、そういうものを総合的に検討すべきものだと思います。そういう検討の中で、金融との結びつきをどうするか、こういう問題もあろうかと思います。ただ、そういうことを待っておったら時間がかかりますから、私のほうでは、そういう総合的な検討と離れまして、金融の商社に対する姿勢をどうするか、こういうので、もうすでに商社に対しましては、金融ワクを設定しまして抑制政策をとっておる。なお、いま考えておるのですが、市中銀行の融資状態、これを銀行局の検査と、それから日本銀行の検査の総合力を投入いたしまして、ひとつ実態調査をしてみたい、そういう調査の過程において金融の指導をする、また同時に、その結果を見て金融のあり方をきめる、こういうことを考えているのです。  それから持ち株の問題、これこそは、先ほど申し上げました企業間の持ち株がどういうふうにあるべきかという総合検討の問題である、そういうふうに考えております。
  279. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 実はあと十分足らず残っておるのですが、私のミスで、ちょっと未解放部落の問題をお伺いしたいと思っておりながら言うのを忘れておりましたので、次の委員あとでけっこうですから、この時間を使わしていただいて、担当者をお呼びしていただくわけにいかないでしょうか。短時間でございますけれどもあとでけっこうですから。
  280. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 後刻、理事間で相談をいたします。
  281. 楢崎弥之助

    ○楢崎委員 お願いをいたします。ではちょっとその点だけ保留しておきます。
  282. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 これにて、楢崎君の保留分を残して質疑は終了いたしました。  次に、三谷秀治君。
  283. 三谷秀治

    ○三谷委員 私は地方行財政の問題に関してお尋ねをします。  いま、深刻な財政危機に対応するために地方財源の強化が必要であり、地方制度調査会中間答申などでもこのことが強調されております。ところが、政府措置はきわめて不十分であって、政府措置に期待できないとして、大都市圏において法人地方税の重課についての検討がなされております。東京、大阪では事業税率の引き上げに踏み切ろうとしておりますが、政府はこれを制御する方策を検討しておるといわれておりますけれども、その点はとうでしょう。——自治大臣が来ておりませんから、時間をちゃんと押えてください。
  284. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 ちょっとお待ちくださいませ。
  285. 三谷秀治

    ○三谷委員 文部大臣要求していますし、官房長官も要求しています。
  286. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 文部は要求がございますか。
  287. 三谷秀治

    ○三谷委員 あります。
  288. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 わかりました。——それでは三谷秀治君。
  289. 三谷秀治

    ○三谷委員 自治大臣がお見えになりましたが、いま、財政危機に対応しますために、地方税源の強化ということが、地方制度調査会などでも強調されております。ところが、あなた方のほうではこれに一向に手をつけられませんから、東京、大阪などでは事業税率の引き上げに踏み切る、こういう態度になってまいりましたが、これを制御するような意図がおありかどうか、お尋ねしたいのです。
  290. 町村金五

    ○町村国務大臣 大都市は最近は財政需要が非常にふえておりますので、その財政需要に応ずるために、できるだけ税源の確保をしたいということでいろいろくふうをしておられることは、私ども承知をいたしております。最近東京都におきまして、法人事業税の標準税率を上回る課税をしようという考えが明らかにされておるようであります。もちろん、まだこれを都議会に提出するというところまでは至っていないというふうに承知をいたしておりますけれども、そういった計画ができておるようでございます。  このことは、御承知のように、現在の事業税につきましては、標準税率が設けられておるだけでございまして、特に制限税率の設けはございません。したがって私どもは、かりにある程度の標準税率を超過する課税をいたしましても、特に法令その他に違反をしない限りは、これはやむを得ないものであろう、かように考えております。
  291. 三谷秀治

    ○三谷委員 事業税におきまして、大都市圏において若干の超過税率を付加しましても、それで負担の公平、社会的公正が回復したとはいえない状態にあります。御承知のように、都市に集中します大企業が、一方では都市問題、公害などの集積の不利益の発生源になっております。一方におきましては、道路、港湾、上下水道など、地方自治体の負担による集積の利益を享受して、世界に例のない高度経済成長を遂げてまいりました。大都市行政の主要な受益者が大企業であって、しかも、受益に比べまして、きわめて軽微な税負担にとどまっておりますのが、これまた大企業であります。  そこで、この大企業の税負担の問題というものを、地方で一体どうとらえていくのかという問題でありますけれども、大企業には国の特権的な租税特別措置法が適用されております。これが地方税にも重大な影響を及ぼしてきておる。国の措置によりまして、地方の税というものが大きな否定的な影響を受けておりますが、四十八年度におきまして、租税特別措置法による地方税のはね返りはどれくらいありますか。
  292. 町村金五

    ○町村国務大臣 大体千二百億円程度と承知しております。
  293. 三谷秀治

    ○三谷委員 千二百七十四億という資料がありますが、国税と地方税は別個のものでありますから、国税に対する措置が地方税にまで波及する状態は是正すべきだと思いますが、この点はどう考えておるか。
  294. 町村金五

    ○町村国務大臣 御承知のように、このたび法人税の課税が引き上げられるということになり、また地方税におきましても、住民税の法人税率の税割りが引き上げられるということになったのでございます。  これは、今日の大都市等におきまする非常な財政需要には、このたびの法人税率の引き上げということは、何と申しましても、大都市には大企業が集中をいたしておるわけでございますから、その増徴されました法人税というものは、その大部分が大都市におのずから納税されていくということに相なるであろう。したがって、たいへんけっこうなことであった、私はこう考えておるのであります。
  295. 三谷秀治

    ○三谷委員 それは問題が違います。すりかえてものをおっしゃっては困ります。事業税というのは、所得税とは異なる。事業という収益活動を行なっておる事実に着目して、そこに担税力を見出した税である。所得税じゃない。そこで、そういう租税概念に立ちますから、事業税は物税といっておる。人税じゃない。この税理念でいきますならば、事業というものが道路、港湾、教育、衛生、公害対策など、もろもろの自治体の施策を利用して収益活動を行なっておるものであって、これに必要な経費を分担せしめるものとして事業税課税というものが行なわれております。これが事業税に対する政府の見解になっておる。これは間違いないでしょう。
  296. 首藤堯

    ○首藤政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘がございましたように、事業税は、本来その事業が当該団体に所在する、そのことによっていろいろ受益そのほかも受けておる、こういう考え方で費用分担をさせております物税であることは御指摘のとおりでございます。  ただ、その課税標準のとり方をどうするのかというテクニカルな問題がございまして、大部分の事業は、事業の所得を課税標準にいたしておりますが、御案内のように、電気とかガスとか保険業とか、こういうものについては収入金額を課税標準にする、こういった取り方をしておる税でございます。
  297. 三谷秀治

    ○三谷委員 収入金課税は別としまして、大部分が所得賦課方式をとっておる、これはいまの事業税理論からいきますと正当と言えますか。所得に対して課税する、つまり法人税や所得税と一緒になっておる。法人税、所得税というものは物税ではない。事業税は物税である。つまり、地方自治体の行政の恩恵を受けて事業活動をやっておる、それに対して一定の担税をさせるのだというたてまえになっておる。  そうしますと、いまのように所得の賦課方式というものが大部分においてやられておる、したがって法人税における租税特別措置を適用したあとの所得を課税対象にしておるわけだ。そのために、四十七年度決算で見ましても、集積の不利益の典型的な発生源であります。そして最大の公害対策事業を自治体に負担させております公害大企業などが軒並み無税になっておる、こういう状態が正当と言えるでしょうか。
  298. 首藤堯

    ○首藤政府委員 お答えを申し上げます。  事業税が本来物税でございますので、その事業活動に着目をした課税標準をとるべきであるという御説はそのとおりでございまして、私どももそのような考え方でおるわけでございます。しかし、この税のいままでの成り立ちと申しますか、経過から申し上げまして、ただいま申し上げましたようなことは、一時、事業税における課税標準を、当該事業の、たとえば付加価値的なものをつかまえることによって、課税標準を見出したらどうかというようなこともあったのでございますが、税の経過上、これが負担の激変、変動等の問題もございまして実現いたしませんで、ただいま所得に課税をしておるという状況であるのは御指摘のとおりでございます。
  299. 三谷秀治

    ○三谷委員 それでいいのか悪いのかと言っているのだ。
  300. 首藤堯

    ○首藤政府委員 でき得べくんば、その事業の活動を包括的にあらわすもの、これをつかまえるということがより望ましいとは思っておりますが、なかなか税制上問題がたくさんございますものですから、税制調査会の審議そのほかをわずらわしておる最中でございます。
  301. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまあなたおっしゃいました外形基準を導入する、あるいは付加価値的なものを導入するということは、いまの地方税法におきましても可能なわけです。これは「課税標準の特例」という項目によりまして、「資本金額、売上金額、家屋の床面積若しくは価格、土地の地積若しくは価格、従業員数等を課税標準」とすることができるという規定があるわけですから、この特例を適用すれば、いまおっしゃったことはできるわけだ。しかし、これを適用しましても——事業そのものを課税の対象にする、事業から出てくる所得を課税対象にするんじゃない、事業をやるそのこと自体に課税をするんだというのが、これが事業税の物税理論なんだ。あなたが認めたとおりなんだ。そうしますと、巨大な事業をやっておって、しかも地方自治体に対して膨大な行政負担をかけておる公害企業などというものが、税金をただで済ましておっていいものですか。  たとえば、私が調べた範囲で見ましても、資本金三十億から百億前後の会社でありますが、チッソという有名な公害企業がある。関西石油というのも大阪における公害企業だ。石原産業というのも滋賀県における著名な公害企業になっている。大阪石油化学、新旭化成工業、関西石油化学、昭和アルミ、三井東圧化学、三菱瓦斯化学、三菱鉱業セメントあるいは三菱金属鉱業、三井金属鉱業、昭和油化、日本アンモニア、こういう会社、大きいところは二百二十五億の会社でありますが、こういう資本金百億、二百億の会社が、国税がただであるだけでなしに、地方税も無税とされておる。こういう状態というものが地方住民として納得できることでしょうか。
  302. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいまも申し上げましたとおり、本来ならば、事業税はその物税的な性格によりまして、その企業活動を包括的につかまえる、こういう課税標準をとることが望ましいということは先ほど申し上げたとおりでございますが、課税の実態上の問題等もございまして、現在の制度上はなかなかその実施がむずかしい、こういう状況であることは申し上げたとおりでございます。  なお、公害と関連いたしまして、公害に関する負担を求めますときに、これを即税に求めるかどうかという点は、一つ問題があろうかと思います。公害復旧事業そのほかのものに対して、公害復旧のための財源を負担する、こういう負担制度と申しますか、こういったものもあわせ考えられていくべきものではなかろうか、このように考えておる次第でございます。
  303. 三谷秀治

    ○三谷委員 事業税制度ができてから何年たちますか。そして、なぜこれが改善できないのですか。収入金課税制度をとれば、いまの国税の調査と、それを地方税にすぐ切りかえるための処置は容易にできるわけだ。ただ、さっき言いました外形基準というものを導入するやり方でいきますと、これは新しく地方自治体におきまして調査能力が要りますからなかなかむずかしい。しかし、収入金でいきますならば、収入金というものは税務署に出てくるわけだ。それをそのまま課税の対象にしていけば楽に改善できるものじゃないですか。これがなぜできないのか、お尋ねしたい。  それから、いま申しました十億以上の大法人の二二%が、いまのような状態で地方税が無税になっている。国税ももちろん、所得税、法人税は無税だ。一億以上の法人で三〇%が非課税になっている。大都市の財政需要の主要受益者であって、集積の不利益の主要な発生源でありますこれらの大企業が地方税も免除される、国税も免除される、これではあまりにも不公平ではないでしょうか。物税理論に照らしてみましても、あまりにも不合理ではないでしょうか。事業税から国の租税特別措置を遮断すべきだ。もちろん国の租税特別措置自体に問題があります。私はきょうは地方財政の立場からものを言っているものですから、それはいまおいておきます。  これが改善されません限りは、自治体が超過税率を少しくらい、二%くらい上げても一不公正さは依然として解決しない。これでは地方住民は納得しません。事業税の課税方式を改善すべきではありませんか。大臣に答えてもらわぬと、こういう問題は事務段階ではお答えになりません。
  304. 町村金五

    ○町村国務大臣 税のことは私しろうとで、ただいまも御質疑を伺っておったところでございますが、御承知のように、事業税体系というものが、今日こういうような形でできておるわけでございます。したがって、いま、にわかにこの体系を御指摘のような方向に変えるということは非常に困難なことではないか。しかし、先ほど税務局長もお答えをいたしておりましたように、税制調査会等におきましてはこういった問題も検討されておる由でございます。今後その検討にもまち、自治省は自治省としても、またさらに検討を深めてまいるということにいたすべきだ、かように考えております。
  305. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの事業税の課税方式といいますか、これがいまできている。そのできているものが問題だと言っているのです。一方におきましては収入金課税をやっている。ガス会社、電気会社、保険会社、これは収入金課税をやっている。これは、保険会社の収入金課税につきましては大いに問題があるけれども、収入金課税というのは、所得課税より若干税が高くなっている。この所得の賦課方式というのは、物税理論からしまして、論理的に合わぬことなんじゃないですか。しかも、いま申しましたように、大きな大企業が税金を納めていない、こういう状態というものがいつまでも放任されていいのですか。  そこで、それと関連してお尋ねしますけれども、その膨大な資本金をもちまして事業を行なっております大法人企業というものが、欠損法人と称して、免税処置を受けている。いま幾らか例をあげました。その反面、税金のかわりに献金だけは巨大なものをやっている。税金はただ、献金は五千万円、こんな会社が存在している。たとえば資本金二百八十億円の日立造船というのがありますが、これは四十七年決算は、租税特別措置によりまして赤字法人の扱いを受けている。この税金免除の日立造船が四十七年七月から四十八年六月の間、つまりその決算期におきまして行ないました政治献金というものは、公表されましたものだけでも四千三百十九万円にのぼっている。こういうことががまんできますか。  それから、たとえば、同じことでありますけれども、石川島播磨重工という会社があります。これは三百八十八億円の大会社です。これも地方税は一銭も払っていない。もっとも市民税、県民税の均等割りだけ払っている。三千円か四千円。事業税はただになっている。しかしこれもどうですか、献金を同じ期間におきまして三千五百一万円しているじゃないですか。しかもこれは、今回会費の値上げを三十五万から二百万にするという報道が出ている。それから、例をあげますと切りありませんけれども、三井造船という会社がありますが、これも同じ状態になっております。この三井造船というのは二百二億円の会社であります。これも税金はただになっている。しかしその決算期間におきまして、二千三百七十万円政治献金がなされている。今回、会費は十六万円のものを——国民協会の会費ですよ、百万円、六・二倍にするという。  こういう状態を見ますときに、例をあげたら切りがないけれども、時間の関係でやめておきますけれども一体これはどういうことなのか。税金のかわりに献金を取るのか。これだけの献金が出るならば、担税能力がないとはいえない。そうしますと、当然、その面から見ましても、いまのようなごまかしの事業税法というものは改正する必要がある。これはどうです、大蔵大臣。自治省でいろいろ言いましても、政府のほうで考えてもらわぬといかぬというのだ。その政府というのは、どうやら大蔵省という意味らしい。大臣の意見を一ぺん聞きたい。
  306. 福田赳夫

    福田国務大臣 政治資金の問題につきましては、これは政治資金規正法の扱いが非常にむずかしい問題であるということは、御承知のとおりであります。そういう角度から考えなければならぬ問題だろうと思います。政治資金につきましては、しかしながら税法上は一定の制限というか制約を加えておるわけでありますが、これが一般の寄付の中の一態様ということになっておる、その関係から規制を受ける、こういうことになるわけですが、その規制が十分か十分でないかという問題はあろうか、こういうふうに思いますが、ただいまの制度は、私どもは妥当な制度である、かように考えております。
  307. 三谷秀治

    ○三谷委員 いまの税の問題も、大蔵大臣から見解をお聞きしたいんだ。  いま政治資金規正法の問題をおっしゃいましたけれども、いまある政治資金規正法を論議するのでなしに、いまの問題からこれをどうすべきかという問題を考えていくべきなんだ。  先般の委員会で、国民が政治資金の提供という間接的な方法で政治参加することもあり得ると総理が述べている。企業という利益追求を目的とする組織体というものを、個々の国民と同一視する。企業の政治参加というものが、企業目的の遂行と別個に考え得るものじゃない、つまり利益の追求なんです。ところが二十日の新聞によりますと、財界の有力人の集まりであります産業問題研究会でこういう意見が出たという。国民協会の集める政治献金の額が急増しておる、自民党も安易にツケを回す態度を改めてもらわねば困るという、こういう意見が多かったと伝えております。これがつまり政治参加の内容ですか。安易にツケを回されるという理解で浄財を出して政治参加をしているんだ、こんな遁辞は通ったものじゃないでしょう。しかも、一方におきましては、税金はゼロになっておる。これは少しお考えになる必要がありやしませんか。論理上の問題、倫理上の問題としても。
  308. 福田赳夫

    福田国務大臣 社会を構成する単位は、申し上げるまでもありませんが、法人と自然人があるわけです。法人といえども、社会単位である以上、社会活動はする。それですから、交際費も要れば寄付行為もする、こういう関係になると一般に理解されておる。この社会において、その法人のそういう定着した行動を規制する、こういうのはどうか、こういうような感じがいたします。
  309. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま話が先に行って、事業税の課税方式の問題がまだ詰まっておりませんが、これについても答えてもらう必要がある。  そしてもう一つは、いま定着したやり方というものに、にわかにどうこう言うべきものじゃないとおっしゃいましたけれども、これはしかし、いまお話し申し上げましたように、ツケを回してもらって困るといっているんです。ツケとは一体何ですね。これは政権を利用した献金の割り当てをやっているわけですよ。それをツケと称しているんだ。ですから、このツケというものが見返りを前提としてやられる、これも常識なんだ。国民大衆に対して見返りをするのは、これはよろしい。ところが、大企業に対して見返りを前提とする態度、そういう態度は根本的に改善すべきだ。これがいまのあなた方の基本的な姿勢になっている。そこに問題があるわけです。  そこで、それほどの浄財があるならば、いまの課税方式を改定をして、これを国民に還元をする、そういう処置をとることこそが、国民に責任を持つ政府の態度と違いますか。
  310. 福田赳夫

    福田国務大臣 特別措置という制度があるわけでありますが、これとても大企業だけにやるという制度じゃありません。これは中小企業でありましても大企業でありましても、差別なく適用されておるわけなんです。それが適用されるがゆえに赤字になる、こういうようなケースも、私は言われるようなたくさんあるとは思いませんが、いずれにいたしましても、法人も自然人同様、社会を構成する一つの単位でありますので、その社会単位としての活動、これを否認するわけにはいくまい、そういうふうに考えます。
  311. 三谷秀治

    ○三谷委員 言われるようにたくさんあると思わないとおっしゃいましたけれども、それじゃ、自治省のほうで一億円以上の大法人、十億以上の大法人の免税点数、これをちょっとおっしゃってください。
  312. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいま一億円以上の法人のおそらく欠損法人のことかと思いますが、資料を持っておりませんので、わかり次第御連絡申し上げます。
  313. 三谷秀治

    ○三谷委員 持ってないそうですが、私がもらったの持っておりますわ。これによりますと、いま申しましたような比率、率なんです。数なんです。ですから、おっしゃるように、たくさんではないという意味のことをおっしゃいましたけれども、私は別に誇張してものを言っているのじゃない。全部事実を言っているわけです。  そこで、どうです、このような献金もやれる、しかも今度見ますと、これは全部メモを持っておりますけれども、この欠損法人というものが、今回の国民協会の割り当てによりまして四倍にも五倍にも会費が上がろうとしている。そういう状態などを見ますと、国民が見て、なぜこれが担税力がないのか、なぜ税金を払わないのか、払わなくてもいいのか、そういう疑問を持つのは当然じゃないですか。素朴なこれは疑問ですよ。それに対して、どうお答えになりますか。  もう一つは、このように社会的な責任を果たしていない、あるいはまたこの買い占め、売り惜しみ、便乗値上げによりまして反社会的な行為を行なっている、国民の批判の的になっている、総理自身が悪徳商人だと言ったんだ、その悪徳商人に対して、ツケを回すというふうな政治的な姿勢というものが政府としてあっていいことですか、どうですか。
  314. 福田赳夫

    福田国務大臣 企業もまた社会の一つの単位でありますから、そこで一つの行為というものが許されておるわけです。その行為の中には、交際もあれば寄付行為もある、こういうことなんです。ただ、それを税法上の立場からいいまして無制限というと、これは税の立場から穏やかでないというので、ある程度の規制をしておるのです。そういう規制下においてまあ妥当な支出をした、その結果、多少それが影響があって赤字になったというケースのことをお話しであろうかと思うわけでありますが、まあ許される妥当の行為をした、つまり交際活動をした、あるいは寄付行為をした、そういうことを否認するのも妥当ではないのじゃないか、そういうふうに思います。  それから、ツケを回した、こういうことについてのお話でございますが、私は、自由民主党の執行部ではございませんから、ツケを回したかどうかは存じません。ツケを回したというのは、その相手方が言っていることばでありまして、自由民主党側で言っているわけではございませんです。
  315. 三谷秀治

    ○三谷委員 確かに相手方が言っていることなんですが、しかし、その言っていることにつきましては、たいへん信憑性がある。この実態を見ればわかる。赤字で困っていると称している、税金も払ってないという、それに五千万も三千万も献金が来ている、あるいは献金をした。そうしますと、ツケを回したという観念を持っても、これは当然のことでしょう。  ですから、この問題につきましては、こういう態度では、あなたは企業も一つの社会の単位だとおっしゃっております。それは私は否定はしません。しかし、私たちは献金なんてものは、国民の参加とおっしゃったけれども国民にもらうべきものであって、企業なんて利益を追求することを目的にしているそういうところから取るべきじゃない。そういうことでは、悪徳商人とかなんとかいっても、この悪徳の粛正はできっこありません。できやしませんがな。ですから、そういう面から見まして、あなた方、一体論理的に道徳的にどうお考えなの、何とも思われぬのか、これをお尋ねしておるわけであります。  それから、いまのそういう問題なども含めまして、こういう大会社が地域におきまして膨大な負担を地方自治体にかけている。港湾の問題にしましてもそうです。道路にしてもそうです。最も使う率の高い大企業なんです。これが地方におきまして税金ゼロ、しかも、国の処置によりましてそうなっている。租税特別措置によってそうなっている。そういうことは、すみやかに解決する必要がある。これを解決することを、はっきりと約束してほしい。
  316. 福田赳夫

    福田国務大臣 特別措置は、そのときそのときの経済、社会の情勢に応じまして租税の公平に対して例外を設ける、こういう性格を持つものであります。でありますので、これは毎年毎年見直しをいたしております。つまり、当初これを設定したときのその目的が達成されたかどうか、こういうことで、常にこれが存在の妥当性につきまして検討しておる、こういうふうに御理解願います。  それから、公害の問題につきましては、これは公害発生者がその責任をとる、こういうたてまえであることは御承知かと思いますが、その点で、そうまるまる企業が地方団体に御迷惑を及ぼしておるという状態ではございませんです。  なお、地方負担というような問題も一部にあります。ありまするが、その負担につきましては、国と地方とが相協力してこれに対処する、こういうことにいたしております。
  317. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたのおっしゃっていることは、私の質問にお答えになっていない。いま私は、租税特別措置を議論しておるのじゃないですよ。引例しただけなんですよ。それをあなた、あとで別の委員会でやらせてもらいますわ。特別措置の内容が年々どう変わる、こう変わる、こんなことを言っているんじゃない。とにかく、それがどう変ろうとも、そういう措置によって大企業というものが地方税を払っていないという状態、これは物税という税理論からしまして、明らかにこれは間違っている。それを直しなさいと言っているのです。  それから、公害の問題につきましても、発生者が責任をとるなんておっしゃっていますけれど、そんな状態でありませんぜ。いま大都市に行きますと、地方の財政が、公害予算によりまして大きく圧縮されている。これが現実なんです。ところが、その発生源がその地方に対して負担をしない。これは不合理じゃないですか。これを直しなさいと言っているのです。
  318. 橋口收

    ○橋口政府委員 公害の負担をどうするかという問題でございますが、これはいま大臣からお答えがございましたように、原則的な考え方は、発生者の負担ということでございます。公害に関連しまして施設を設けました場合に、公害防止事業費事業者負担法がございまして、それによって原則的な負担をきめておるわけでございます。
  319. 三谷秀治

    ○三谷委員 人の質問の部分だけ答えちゃだめですよ。全部に答えなさいよ。公害というのは、一つの事例なんでしょう。しかし、物税である根拠というものは、地方自治体の道路や港湾やあるいは教育やあるいは衛生や、公害も入っている。そういういろいろな行政的な施策を通じて、その恩恵を受けて事業をやっている。その事業そのものに課税をするというのが事業税の物税理論なんだ。所得に課税するのじゃない。事業活動に対して課税するのだ。なぜそれをそのようにできないかということなんです。できないことを説明なさい、なぜできないのか。
  320. 首藤堯

    ○首藤政府委員 法人事業税が物税であるために、できるならば、その事業の活動をあらわす何かの基準をつかまえるということが妥当であることは、先ほど申し上げたとおりでございますが、現在の税制の状況では、その課税標準のあり方を所得に求める、こういう経過がとられておりまして……   〔発言する者あり〕
  321. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 静粛に願います。
  322. 首藤堯

    ○首藤政府委員 これを課税標準を物的なものに求めるということになりますと、税制上も非常に税の激変等の問題も起こりまして、税制上の問題としていろいろ検討すべき問題が多いわけでございまして、そのようなことで検討が続いておるわけでございます。  なお、企業におきましては、法人事業税関係は、欠損の場合には納入いたしませんが、固定資産税におきましては、償却資産が非常に大きな分野を占めるかと思いますが、これは納入をされておりますのは申し上げるまでもないところでございます。
  323. 三谷秀治

    ○三谷委員 固定資産税と事業税は、納める先が違いますよ。  それで、いま激変をする、これを変えると激変をすると言う。激変をするということは、税を見のがされている大企業に税がかかるから、これが大きな変化になる、これがいかぬというのか。
  324. 町村金五

    ○町村国務大臣 先ほどもお答えを申し上げたわけでありますが、確かに三谷委員が言われますように、事業税というものは物税である、そういう観念から申しますと、ただいまの事業税の課税の捕捉のしかたが必ずしも適当でない、こういう御指摘のようでございますが、税制というものは、そう簡単に右から左に変えるということは、これはできないものであることは御承知のとおりでございまして、やはり先ほども私がお答えを申し上げましたように、そういった問題を含めて、税制調査会等においても検討してもらっておるわけでございますので、今後その検討にもまち、役所としても十分検討をいたすというふうに先ほどもお答えを申し上げたのでありまして、現状においては、やはりこの税制のままで、そういった積極的なと申しましょうか、新しい案ができますまでの間は、この方式でいくよりほかに方法がない、私はかように考えておるわけであります。
  325. 三谷秀治

    ○三谷委員 税制調査会で事業税の課税方式の検討をなされているということを初めて聞きましたが、いつからなされておりますか。
  326. 首藤堯

    ○首藤政府委員 税制調査会でございますが、長期税制のあり方につきまして、たとえば四十六年の八月に答申がございました中に、事業税につきまして、外形基準を用いることが、より適切であろうから、その検討をすべきだという前段がございまして、そのあとに「しかし、事業税の課税標準に外形基準を導入する場合には、各企業の負担に相当の変動が生ずることとなり、とりわけ経営基盤がぜい弱な個人企業に及ぼす影響が大きい等の問題があるので、これらの点についてなお検討を加える必要がある。」という答申をいただいております。
  327. 三谷秀治

    ○三谷委員 外形基準を加えることは、いまの地方財政法の特例にちゃんと書いてある。検討する必要はないんだ。特例を採用しようと思えば、自治体はできるわけだ。できるけれども、それをやろうとすれば独自な調査が要るものだから、地方のいまの体制ではできないわけだ。そこで特例というものを採用しない。そこで収入金課税をやれば、収入金というのは所得を計算する前提になるわけだから、それはすぐ税務署から、たとえば府県の税務関係に資料が行くわけだ。そうすれば、その場におきましては、いまの租税特別措置、それを遮断できる、そうしてまた、そういう事業活動そのものに応じて課税ができる、そういう内容のものだから、これを実施しなさいと言っている。理屈に合わぬことはないでしょう。理屈にちゃんと合っている話なんでしょう。それをなぜおやりになるつもりがないのか。実際には検討もしていない税制調査会がどうだとかこうだとか——税制調査会でこんなこと論議しておらへんがな。税制調査会は、外形基準をどうするか、そんなことを議論しておるのでしょう。それはすでにいまの地方財政法の中にちゃんとある問題なんですよ。
  328. 首藤堯

    ○首藤政府委員 ただいまも申し上げましたように、外形基準を用いることが、性格上適切だということは御説のとおりでございますが、直ちに外形基準を取り入れるということにつきましては、先ほども申し上げましたとおり、また税制調査会も答申をしていただいておりますとおりの問題がございますものですから、やり方等については、なお慎重な検討が必要である、こう考えておる次第でございます。
  329. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間がないから、同じことを繰り返して言い合っておる余裕はない。  そこで、話はわかった。そうすれば、やる気があるのかないのか。税制調査会のほうに責任をなすりつけるのじゃなしに、政府として、その気があるのかないのか、それを答えてほしい。
  330. 町村金五

    ○町村国務大臣 ただいま御指摘の点、ひとつ慎重に検討させていただきます。
  331. 三谷秀治

    ○三谷委員 慎重に検討というのは、意味がようわからぬけれども、とにかく改善をするという立場に立ってこれは努力してほしいと思う。  それから大蔵大臣、あなたの答えですけれども、なるほど企業というものが一つの社会の単位になっておる、これは否定はしませんです。しかし、総理が悪徳商人というふうな表現をするような企業、あるいは、いま言いましたように税制上の、これは制度上の欠陥がありますけれども、社会的な責任を果たし得ないような企業、そういうところまで金をもらいにいくことは、これはそもそも倫理からいってどうかということなんです。あるいは国民感情からしてどうかということなんです。これについて、少しまともに答えてもらいたい。
  332. 福田赳夫

    福田国務大臣 私は、今日のこの政治資金のあり方については、今日の段階におきましては、制度としてはこれを是認せざるを得ない。ただ、これが政治資金とうらはらをなして政策が左右されるとか、そういうようなことがあっては非常に重大な問題となってくる、こういうふうに思います。要は、政治資金の量の問題というよりは質の問題である。これはほんとうに政治資金というものが、個人なりあるいは企業なり、そういうものから、政治家を育成したいとか、この政党を育成したい、協力したい、こういう意味において集まってくる、そういうようなことであれば、私は今日のこの制度下において批判されるところはない、かように考えております。
  333. 三谷秀治

    ○三谷委員 それだったら、金にさえなったら相手はだれでもかまへんという、つまり悪徳商人と同じ考え方なんです。しかし、これをやっておると、もう時間がなくなってしまったから、あとでまたこれはやりましょう。  そこで、日銀総裁がお見えになりましたからお尋ねしますが、二月の十三日の記者会見で、地方自治体の土地取得も節度があってしかるべきだとおっしゃったと新聞が伝えておる。その後の報道によりましても、地方自治体に対する金融の規制の処置を強化するということが繰り返し言われております。地方自治体あるいは土地開発公社が土地の先行取得に苦労しておりますのは、公有地を拡大して、住民福祉に関する事業を遅滞なく推進することを目的とするものでありまして、土地投機を目的にするものじゃない。このことはおわかりでしょうか、お尋ねしたいと思います。
  334. 佐々木直

    ○佐々木参考人 ただいま御指摘のございました地方自治体、それから地方開発公社、こういうもののいまの土地の取得の方針といいますか、たてまえ、これはただいまお話しのとおりのことを十分承知いたしております。  先般、私が節度を持ってほしいというふうに申し上げましたのは、去年の秋ぐらいからこういう方面の資金需要が急速にふえてまいりまして、大体最近の情勢では、前年同期の二倍、三倍というふうにふえております。全体としての金融を締めておる状況でございますので、民間の金融機関に対するそういう資金需要があまりに大きくなりますことは、全体の調整に差しさわりを生じますので、そういう意味で節度がほしいというふうに申したことでございまして、目的については十分承知をいたしております。
  335. 三谷秀治

    ○三谷委員 土地に対する融資がふえたとおっしゃいますけれども、地方自治体に対する融資というものは、全国銀行勘定を見ましても、一向にふえちゃおりません。昨年十月、十一月にかけまして、貸し出し残高から見ますと、〇・七%というふうに、前月と比べまして〇・一%の低下は見ている。でありますから、あなたがおっしゃいますように、その時期におきまして、にわかに銀行の貸し出しがふえたという事態は、銀行勘定を見る限りにおいてはありません。  そこで、時間の関係がありますから、少し重ねてお尋ねしますが、そのないということが一つです。これは間違っているかどうかお尋ねしたい。  もう一つは、日銀総裁は、公有地拡大法という法律が成立をしまして、これが土地の売買につきまして、地主に対しても規制を加えておる、公共団体に対しても一定の保証を行なっておる、この事実を御承知かどうかお尋ねしたい。
  336. 佐々木直

    ○佐々木参考人 ただいま私が二倍ないし三倍と申し上げたのは、地方公共団体と地方開発公社、すべてを加えました最近の金融機関に対する資金の需要のことを申し上げまして、それほど大きな需要が出てきておりまして、地方銀行その他が、それに対する対応をどういうふうにするかということで非常に困っておる、こういう点を申し上げたわけでございます。  それから第二番目の点は、存じております。
  337. 三谷秀治

    ○三谷委員 私のほうには、全国銀行貸し出し勘定の十一月までの資料がありますが、そうしますと、十二月、一月、二月にかけまして——二月はまだですか。十二月と一月の総貸し出し残高、地方公共団体貸し出し残高、これをちょっとお調べを願いたい。  それから、この公有地拡大法によりまして、土地所有者は、土地を譲渡します際には、都道府県知事に届け出をしなくちゃならぬ。そうして地方公共団体に土地の買い取りを希望しなくちゃならぬ。地方公共団体と買い取り協議を行なわなくちゃならぬわけです。義務づけられている。そして一定期間というものは、当該地方公共団体以外に売り渡しをしてはならない、こういう規制があるわけです。こういう法的な規制によりまして、公有地の拡大を政策的に促進をしてきた。そのために、各地方自治体が土地開発公社をつくりました。おととし法律ができましたから、大体去年できた。これがつくられまして、国は、地方公共団体の土地取得に対して、必要な資金の確保や援助まで規定している。資金を確保する、援助する、こういう法律ができておる。これは間違いありませんか。
  338. 近藤隆之

    ○近藤政府委員 お答えいたします。間違いございません。
  339. 三谷秀治

    ○三谷委員 この法律に基づきまして、国が財政的な資金の確保や援助まで規定しているわけだ。それを国が援助しないどころか、銀行の窓口まで締めてしまうとは、一体どういうことです。この法律との関連はどうお考えになっておりますか。  もう一つ一緒にやります、時間がないものですから。  そこで、四十八年度におきまして、各地方公共団体が公有地の確保に全力をあげまして、そして契約を結び、あるいは法に基づきます協議を終わったのです。その段階におきまして、突然、大蔵省が一片の通達をもって金融的にこれを遮断する。しかも、日銀総裁のように、節度があってしかるべきだ、まるで節度のない投機的な乱買までしているような表現をなさっている。こういういまの地方自治体の状態を、そういう状態と御認識かどうか。大阪あたりの例が、きのう出ましたけれども、大阪あたりで一年間に児童が三万から五万ふえている。そうしますと、千人の小学校を一年間に三十から五十つくる必要がある。それをつくるためには、土地を買わなきゃできるわけがない。そのために必死になって土地を調達して、そして契約を結ぶ、協議を終わる。その段階で、一片の通達で金を貸すなという。そういう官僚的な処置というものが、地方行政を真に繁栄させる方法だとお考えでしょうか。
  340. 福田赳夫

    福田国務大臣 御案内のように、いまは物価をどういうふうに抑制するかということが最大の問題であり、また、そのためには、今回の物価狂乱、こういう事態を引き起こす引き金的役割りを演じた地価、これは非常に重大な問題でございます。  そこで、大蔵省としては、不動産金融につきましては、非常に抑制的な考え方をとっておるわけでございますが、同時に、国におきましても、それと同じような方針で財政も編成しておる。これは、もう地方公共団体といえども、この総需要抑制政策には協力していただかなければならぬわけであります。そういうことから、地方公共団体の土地の買い入れにつきましては、節度を持っていただきたい、こういうふうに考えておるわけであります。  ところが、先ほどからお話がありますが、地方団体における土地の買収という問題が非常に拡大されてまいりまして、その財源を金融に求める。それで、貸し出しは、地方団体に対しましてはそうふえておりません。おりませんけれども、開発公社に対する金融というのは、激増しておるのです。金融機関の総貸し出しは、昨年の十−十二の第三・四半期、それを第二・四半期に比べますと、三%ないし五%の増加であります。ところが、その中で地方開発公社に対する融資は二二%ふえているのです。そういう状態なんです。  そこで、学校などの非常に緊切なものは、これは、やらなければならぬ、やってほしい。それから福祉関係だとか、そういうものもやってほしい。しかし、その他の急がない先行投資、これは御遠慮願いたいのだ、こういうふうに申しておるわけでありまして、そういう学校等の問題につきましては、これは、いろいろトラブルを起こしておる事例がありましたが、大体において解決されております。
  341. 三谷秀治

    ○三谷委員 総需要の抑制に従ってもらわねばならぬとおっしゃいますけれども、需要の抑制のできるものと、できぬものとあるでしょう。児童が学齢期に達する、これは抑制できますか。これが抑制できなければ、入れものが要るのは当然じゃないですか。これは抑制できません。抑制できるものと、できないものとある。地方自治体だけを目のかたきにする。地方自治体——地方公共団体といいますか、あなたは土地開発公社をおっしゃっているから。同じことなんですよ。総需要の抑制とおっしゃいますけれども、需要要因というのは幾らでもある。これは、政府の不要不急な財貨サービスの削減という問題がある。きょう午前中におっしゃっていた、あの苫小牧の問題もある。あるいは国内資本形成の問題もある。在庫の増加の問題もあるし、あるいは輸出入の所得バランスの問題もある。こういうところをもっと積極的な手を打って、そうして地方自治体の生活関連支出については、これを保証するということがいま必要なんでしょう。ところが、そうじゃない。商社などに対する貸し出しというものは、まあ、最近少し手をつけたようだけれども、これからの問題。地方自治体は、もう去年の十二月二十五日からやっている。しかも、これによりまして——きのうも大阪の例が出ましたが、私、非常に正確な資料を持っておりますが、土地開発公社が用地の買収を契約しました額が五百十四億あります。この町村別、用途別、支払い計画別の資料、ここにちゃんとあります。このうち三月までに支払いを必要とする額が二百二十九億になる。この中には、いろんなものが入っておりますから、これを全部あげるよりも、たとえば小中学校の問題が一番わかりやすい。小中学校だけでも、いま契約しております額は二百二十五億八千二百万なんですよ。三月の末までに銀行融資を必要とします額が百六億なんです。このうち貸し出しが決定しましたのは五億でした。ただし、これは一月の末でした。二月分は何とか手が打てた。話がついた。三月が全然見込みがないと言っている。これは、どうされますのか、これを、ひとつはっきりとお答えしてもらいたい。  それから、義務教育施設は、はずしてあると官房長官おっしゃったが、してない。実情はこのとおりなんです。しかも、銀行局長通達を見ますと、あいまいな表現を使っている。医療、教育、住宅などについては優先的に扱う。その医療、教育、住宅というのは、個人の医療や個人の住宅や個人の教育なんだ。行政上の制度の問題じゃない。だから、行政問題を全く抜かしてしまって、そして地方団体を不動産並みに扱う通達を出している。このあいまいな通達をまず改めるべきだ。これがあるものだから、これが大きな障害になってしまって、実際もう市長や助役は金策に走り回っておるのです。これを、何とかもっと毎月……。
  342. 福田赳夫

    福田国務大臣 大阪の問題につきましては、学校は、大体一、二月の支払いにつきましては、話がついたと聞いております。三月の分につきまして、いま話し合いをしておる、こういうことであります。  それから、銀行局長通達は、これは、もうはっきりしておるのでありまして、教育だとか福祉だとか医療だとか、そういうことを例示してやっておるのです。しかし、この通達は、地方公共団体においても、例外ではないのだということも、次に申し添えておるわけなんです。金融機関におきましては、よくそのことは承知しております。でありまするから、学校等につきましては、大阪ばかりじゃありません。あるいは福岡におきましても、千葉におきましても、いろいろなところで問題がありまするけれども、おおむお話し合いがついておる。しかし、これが、地方公共団体ならば、何でも金を貸せというような御意見だとすれば、これは、たいへんなことなんです。いま、とにかく総需要抑制政策で地価も頭打ちとなり、さらに下がらんとしておる非常に大事なときなんです。大事なときなんで、たいへん皆さんに御迷惑はかけておりますが、その辺は御了知おき願いたいし、また、地方公共団体の緊切なる事業につきましては、格別な配慮をするということも、はっきり申し上げます。
  343. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま、おっしゃいました教育、医療、住宅というのは、個人の住宅や個人の医療や個人の教育だ、こういう内容になっている。これは通達の第二項、それから、そのあとにもその意味のことが書いてあるが、あいまいになっている。そうであれば、もっとはっきりとしたものを出してもらいたい。そうであれば、行政上の制度としての住宅、教育、医療も、これに含まれるのだという解釈をはっきりとやってほしい。
  344. 福田赳夫

    福田国務大臣 その辺は、はっきりした解釈になっておると思いますが、もし、はっきりされない方がありますれば、明確にそういうふうに説明します。
  345. 三谷秀治

    ○三谷委員 いま申しましたのは、土地の用地でありましたが、しかし、いま実際に地方自治体が困っておりますのは、土地用地だけじゃないですよ。それは、短期融資がとまってしまった。御承知のように出納閉鎖期に国から補助金が来る。これは四月なんですね。それまでのつなぎができない。あるいは地方税収が入ってくる。六月なんですね。それまでのつなぎができない。金がなくなってしまった。その短期融資というものが、にっちもさっちもいかなくなっている。大阪府下の三十市のうち六市を除きました二十四市が、一月から三月にかけまして、一時借り入れ予定額が四百八十三億九百万円になっている。これがどうにもならぬ。これは一体どうされますか。  これは、なぜこんなふうになってきたかといいますと、そもそもいま物価が上がってきた。建設資材が上がってきた。そこで、これは請負単価がうんと上がってきたのです。大阪の例でいいますと、九月、十月におきましては、平米あたり八万から八万五千円、十一月、十二月にかけましては、十万から十万五千円なんです。これがいまの平米当たりの単価なんです。ところが、国が出します基準単価というのは、平米当たり五万二千三百円でしょう。約半分なんです。その半分を一体どうするのか。これを、こういうつなぎ融資によって埋めていって、そうして国から補助金が来ましたときには繰り上げ使用する、こういうことがずっとなされてきている。そのために特にこの二月、三月におきまして、緊急なつなぎ融資が必要になってきている。これを一体どうされますか。これは月給払えぬという問題が起きてきた自治体もあるのですよ。
  346. 福田赳夫

    福田国務大臣 地方自治団体の財政につきましては、自治省でよく見ておるわけです。ですから、自治省がごらんになって、これはどうもならぬ、金融機関に話してくれや、こういうような話がありますれば、御協力申し上げるつもりでございます。
  347. 三谷秀治

    ○三谷委員 自治省は、この事態について、そういう調査を、大蔵省に向けて話をするということをやっていないわけですか。
  348. 松浦功

    松浦政府委員 お答え申し上げます。  地方団体の金繰りが苦しいという話は、直接大阪からは聞いておりません。お話がございますれば、それ相応の手を打ちたいと思っております。
  349. 三谷秀治

    ○三谷委員 あなたが聞いてないとすれば、それはたいへんなことだ。つなぎ融資というものが四百五十億も不足で困っている。町村別の資料が、全部ここに出てきているわけだ。それじゃ、もしもそのことをあなた聞いてないとおっしゃるならば、そのことを伝えれば処置しますか。
  350. 松浦功

    松浦政府委員 調査をいたしまして、実態がそうでございますれば、政府資金の貸し付けを、大蔵省のほうにお願いするなり、あるいは地方銀行のほうに融資をお願いするなり、それぞれの手を打たざるを得ないと、こう考えます。
  351. 三谷秀治

    ○三谷委員 時間の関係がありますから、たいへん不十分なことでありますが、この問題は、また別に委員会質問さしてもらいます。  もう一つ、大阪府下の自治体が困っておりますのは、同和予算が膨張しまして、負担能力を越える状態になってきておりますが、この対策についてお聞きしたい。
  352. 町村金五

    ○町村国務大臣 同和対策の事業が相当にふえておることは、私も承知をいたしております。昭和四十九年度の予算におきましても、相当に増額をされておるということは、御承知のとおりであろう、こう存ずる次第であります。
  353. 三谷秀治

    ○三谷委員 それを、どうされますかというのですよ。大阪府下市町村の四十七年度の同和対策事業費は四百七十九億円になる。このうち国庫支出金が五十五億九千六百万円、比率で見ますと一二%なんです。ところが同和対策事業特別措置法によりますと、あるいは施行令によりますと、おおむね三分の二の補助を規定している。六六%補助なんですが、一二%でとどまっている。これは、なぜかとお尋ねしたいのです。
  354. 松浦功

    松浦政府委員 お答え申し上げます。  ただいま御指摘いただきました数字につきましては、大阪府全体の数字を、私ども、それを確認しておるわけではございませんが、おそらくその中には、補助対象以外の事業も入っているかと思います。それから補助基準と合わない部分のものもございましょうし、あるいは現実の単価差の問題もあろうかと思います。同和事業につきましては、基本法もあるわけでございますので、それぞれ事業の補助対象の拡大をお願いするとか、あるいは補助単価の是正をお願いするとか、なるべく実情に合うように、われわれとしては各省にお願いをしてまいるということが基本的な態度でございます。
  355. 三谷秀治

    ○三谷委員 補助対象にないものがあるとおっしゃっている。しかし、これは要求が強くて、これをやっていかなければならぬ状態にあるわけだ。こういう状態現実に出てきておる。そこで、これにつきましては、十分な質問資料を持っておりますが、時間がありません。大阪府下における地方自治体がたいへんな負担に苦しんでいる。国がこれに対して適切な処置をとっていない。これは補助対象にないものがある、つまりデラックス部分があるというが、しかし、そのデラックス部分というものは、団体の要求がある、これを聞かなければ地方自治行政が非常に混乱をする、そういう事態があるために、こういうことが起きてきておる。西宮市役所における事件や羽曳野市役所における事件を御承知かどうか、国家公安委員長にお尋ねしたい。
  356. 町村金五

    ○町村国務大臣 私も一応の報告を聞いて、承知をいたしております。
  357. 三谷秀治

    ○三谷委員 承知をいたしておりますじゃいけません。それに対する対策をお尋ねしなければいけませんが、これにつきましては、関連質問をお許し願いたいと思います。
  358. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 正森成二君より関連質疑の申し出があります。三谷君の持ち時間の範囲内でこれを許します。正森成二君。
  359. 正森成二

    ○正森委員 いま三谷議員からお話がありましたが、そういうように財源を使って、同和対策事業にいろいろ支出をしております場合には、それによってできました施設が、同和地区の住民にひとしく公平に及ぶということでなければならないと思います。  そこで、建設大臣にまず伺いたいと思いますが、建設省の住総発第二百二十三号、昭和四十五年十一月十八日付で、知事あてに建設省住宅局長の「特定目的公営住宅等の入居事務について」という通達が出されております。これによりますと、「特定目的公営住宅及び改良住宅の入居については、公営住宅法及び住宅地区改良法の規定に従い、合法かつ、厳正に、その事務を執行されたく、法に定める入居者の公募を行なわず、又は入居者を一部特定の団体に加入している者に限る等の違法な取扱いは絶対に行なうことのないよう厳に注意されたい。」云々となっております。また、建設省の次官も参加された各省次官通達総審第九十五号、昭和四十八年五月十七日付の書面でも、同様なことが述べられております。  そこで、建設大臣伺いたいと思いますが、建設省とすれば、たとえば同和向け住宅等の入居に対しても、この通達の精神にのっとって行なわれるのが正しいと思っておられるかどうか、その後、方針に変更がないかどうか、伺いたい。
  360. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 私は、同和関係の住宅関係におきましては、同和対策事業特別措置法の法律が制定された沿革、並びにこの法律を制定するに至りました審議会の精神、これにのっとってあの通達が理解されるべきもの、こういうふうに考えておる次第でございます。
  361. 正森成二

    ○正森委員 肯定されたような、あるいはわからないような言い方でもありますが、昭和四十五年十一月十八日付の「入居者を一部特定の団体に加入している者に限る等の違法な取扱いは絶対に行なうことのないよう厳に注意されたい。」、この部分は生きておりますか。
  362. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 やはり行政は、厳然たるものでなければならないと思うわけであります。圧力団体でありますとか一部特定の団体に属している者、いろいろ考えられるわけでありますが、そういうものの圧力によって、行政の道が曲げられるというようなことであってはならないと考えておるわけであります。
  363. 正森成二

    ○正森委員 そこで、国家公安委員長伺いたいと思いますが、建設大臣もいまそういうように言われた。ところが、実際問題として、地方自治体の長が同和地区住民などに公平に住宅が当たるように入居基準を定めて行なうにもかかわらず、それに対して、意見が異なるという場合があり得るにしても、異なる意見を押しつけようとして、かりにも暴力に訴えるというようなことがある場合には、これは絶対に許されない。したがって、どの党であろうとも、いかなる団体であろうとも、そういうことが行なわれた場合には、警察法の二条の定めに従って、警察は不偏不党、公平中正の立場で処置しなければならないのは当然であると思いますが、いかがですか。
  364. 町村金五

    ○町村国務大臣 申し上げるまでもなく、警察は常に不偏不党、厳正公平の態度をもってあらゆる事犯に臨まなければならぬということは、もとより当然のことでございます。
  365. 正森成二

    ○正森委員 ところが、実際には、たとえば大阪府下の羽曳野市においては、昨年の十一月以後、ひんぴんと実力行動が繰り返されておりますが、時間の関係で、私は一月十四日、私が現場へ行ったことを申し上げたい。  一月の十四日に、部落解放同盟の一部の諸君は、新しくできた市庁舎構内で集会を行なったあと、市当局に無断で、庁舎四階大会議室から懸垂幕二本をつり下げ、さらに十時五十五分ごろ、大阪府連の役員である西岡の「いまから市庁舎内に入る」というかけ声とともに、同盟員約五百名が一挙に庁舎内に乱入するということを行なって、市長が外にも出られなければ食事もできないという状況のまま、翌日の午前二時過ぎまで庁舎を占拠しておったという事態が起こっております。この間、市長は、乱入された直後の十一時以後、市庁舎管理規則に基づいて、市長名をもって、五度にわたってマイクで退去命令を出す。それは外側にいる人にまで十分に聞こえる大きさであります。ところが、こういう事態に対して、勤務時間中の五時をはるかにこえた夜になっても、機動隊が現場に配置されておりながら、一つも市長を救出しようとせず、退去命令に応じない、一部の乱入した人を排除しようともしない。これは一体何事ですか。
  366. 町村金五

    ○町村国務大臣 ただいま御指摘をいただきましたような羽曳野市役所の同和行政をめぐって発生をいたしました事件というものにつきましては、私ども報告を受けておるのでございますが、大阪府警といたしましては、目下、羽曳野警察署長を本部長とする捜査本部を羽曳野署に設置をいたしまして、一連の事件について捜査を進めておるというふうに私は承知をいたしております。
  367. 正森成二

    ○正森委員 いま、そういう答弁がありましたが、捜査を進めるということも重要ですが、あの場合に、警察がなぜ羽曳野市の行政を守るために、あるいは市長個人の身体を守るために、翌日の十二時、一時、二時になるまで出動しなかったのかということを聞きたい。  私は、現場に夜の十時に到着しました。しかし、そういう状況が行なわれているにもかかわらず、機動隊がすぐ近くにおるにもかかわらず、一向出動しない。そこで、私が見るに見かねて、登山用のザイルをもって私が救出に行く、機動隊がはいれないなら、はいれないでよろしい、ただ私が行った場合に、また正森議員が手を出したから、おれたちがなぐったのだというようなことを言われないように、私はオーバーのポケットに手を入れたままで行くから、われわれは実力を行使しなかったのだ、ただザイルをもって市長とからだを結びつけて、一緒に出るために行っただけだということを確認するための私服を一、二名つけろ、こう私が言って、それから一時間後にやっと、何とか部隊を出します、こう答えて、さらに、それから一時間たたなければ、三十名ほどの部隊が庁舎の中に入らない、こういう状況が起こっておる。無法状態ではありませんか。国会議員が、法務委員である者がザイルを持って、おれが、一部の分子が五百人ぐらい庁舎の中にいる、そこへ乗り込んでいくと言わなければ部隊を出さない、そういうことでどうします、あなた。もしあなたが監禁されて、だれか自民党の国会議員がザイルを持って救出しなければ警察は出ないというようなことでいいのですか。  その機会に私は、一体あなた方はいかなる場合には不退去罪が成立し、あるいは住居侵入が成立しておると見るのか、その点について意見を伺いたい。片岡府警本部長などは、閉じ込められておる市長の体力が一定限度消耗するまでは、あるいは監禁の状態が相当程度になるまでは、警察は独自の判断で出動しないというようなことを言っている。一体、不退去罪だとか住居侵入罪だとかいうような法律をそういうように恣意かってに解釈してもいいのですか、公安委員長の意見を承りたい。
  368. 町村金五

    ○町村国務大臣 御指摘のございました事案につきましても、私、当時警察当局から報告は受けておりますが、さらにひとつ詳細に警備局長からお答えをすることにいたします。
  369. 山本鎮彦

    ○山本(鎮)政府委員 本件については、管理者のほうから退去するようにということがマイクで放送されたという事実は当時の警備の者もよく知っております。それに基づいて、直ちに退去するようにという、いわば警告を逐次したわけでございますが、向こうの代表者も呼びまして、こういう管理者のほうの意思もあるから、これに従うようにということについて、再三警告、さらに強い、まあもう一歩でいわば制止、排除するぐらいの勢いで警告をしたわけでございますが、向こうの相手方も、もう少し管理者と話したい問題があるんだとか、もう少し時間をかしてくれとか、そういう形で時間の猶予を求めたというような事実もあり、いわば市庁舎の中で行なわれているものでございますので、できれば平穏な形で退去をさせたい、こういうことがございまして、かなり時間をかけて、ゆっくりとした態度で処置したい、直ちに排除するというのは、事態から見てちょっと不穏当である、そういう判断でやったというふうにわれわれとしては了解いたしておりますが、何もしなかったということではございません。もう一歩のところで強制力をもって排除するという段階であったわけでございますが、そのときに彼らは出ていった、こういうふうにわれわれは承知いたしております。
  370. 正森成二

    ○正森委員 いまゆっくりと処置したいと言われましたが、ゆっくりといっても、少し限度があるんじゃないか。午前十一時ごろに乱入して五時までの執務時間で、五時前後だったらまだゆっくりといっても許せるけれども、一月十四日という日が過ぎてしまって、十五日の零時、一時、二時になるまでゆっくりやられておったのでは、国民は決してそういう警察を信用しないでしょう。それは当然のことであります。また市長の退去要請というのは聞こえたと言うておりますが、私は判例の立場から、また法の公平の点から一、二の判例を引用したいと思います。  これは東京高等裁判所の昭和二十七年四月二十四日の判例でありますが、これは非常に残念ながら、わが党の党員が逮捕され裁判を受けた事案であります。これはある警察署、栃木でございますが、そこの警察署にわが党の党員がビラを警察官に渡したいというので入った。そのときに、当時時間が五時を回っておりましたので宿直であった巡査部長は別に排除をしておらない、それを受け入れるという事態があったにもかかわらず、裁判を受けて、これは警察署長がもしおったならば、当然入ることを許さなかったものである、たとえ巡査部長はおっても、警察庁舎の管理権は警察署長にあるんだ、だからこれは住居侵入が成立する、こういって処罰されておる。いいですか。一、二の共産党員がビラをまくというために入った。中におる者が同意しておっても警察署長は同意しなかっただろう、こういって裁判を受けて有罪になっておる。ところが、一方では部落解放同盟の一部の分子が五百名が大挙して入って、翌日の二時ごろまで中におる、市長はめしも食えないという状況で、五へんもマイク放送で退去を要請しているのに、これに対して何らの措置をとらない。これで不偏不党だといえますか。どう思いますか。ほかにも町長の事件について判例が同種のものがありますけれども、これも町長に管理権があり、町長が退去を要請してなお退去しない場合には不退去罪が成立するということになっております。  法の安定性というものは、何人に対しても公平に、同様にこれが適用されるということでなければなりません。国家公安委員長の責任は重大なんだ。どう思いますか。あなたはこういう事態について、きちんと公平にやると約束できますか。
  371. 町村金五

    ○町村国務大臣 警察といたしましては、先ほどもお答えを申し上げましたように、常に不偏不党、厳正公平な態度をもって職務の執行に当たらなければならぬ、これはもう当然のことでございます。  先ほど御指摘がございました問題につきましては、警備局長から当時の状況等について詳細なお答えを申し上げたわけでございますが、御承知のように、そういった事件というものは、現場にあります警察官の判断にやはりよるべきことが非常に多いのでございまして、やはり御承知のように、この間とった措置というものは、私は、警察としては諸般の情勢を判断して妥当な措置をとったもの、かように考えておる次第でございます。
  372. 正森成二

    ○正森委員 何が妥当ですか。私が判例まであげて言っているのに、午前二時ごろまで放置しておるというのが妥当なんですか。それなら、あなた方をそういうぐあいに一度庁舎の中でそういう目にあわしてみましょうか、そういうことになるでしょう。そういうことでは、国家の治安というものは保たれないでしょう。だから私が言っておるのです。  いいですか、委員長。続いて聞きますが、その場合に、市長を守って出ようとした秘書課員などはぶんなぐられて、目から火が出る、血が出るというようなことでけがをしております。せびろは引きちぎられております。それだけでなしに、一月の三十日に、同じように二百名余りの部落解放同盟の一部分子がおりましたが、その中で岡田繁次らをはじめとする人々は、近くにいた日本共産党の宣伝カー、これに突然襲いかかりまして、ステンレスパイプあるいは鉄パイプ等で上にのぼっている人間をぶんなぐるというようなことを行ないました。ここに、時間の経過によって写した写真があります。これをごらんになっていただいてもわかりますけれども、たとえば頭がかち割られております。こういうようなことをやって、しかも、その現場に警察官がいるにもかかわらず、警察官自体がここに写っております。そしてみなが現行犯逮捕しろと言っているにもかかわらず、現行犯逮捕もせず、そのまま犯人をのがしてしまうというような事態が起こっておる。白昼公然と行なわれているのです。どう思いますか。私どもは自分たちの意見を表明する自由はあるけれども、こういう暴力を行使することは断じて許されないと思います。そういうことについて、現場の警察官が現行犯逮捕していないならばこれは怠慢であると思いますが、あなたは厳重に措置すべきことを命令される気がありますか。
  373. 町村金五

    ○町村国務大臣 私どもはもとより暴力を容認するなどという考えは全くないことは申し上げるまでもございません。ただ、先ほどもお答えを申し上げましたが、私どもその現地にはおりませんので、確たることは申し上げにくいのでございますけれども、当時現地におりましたところの警察官といたしましては、当時の情勢から判断して、一番適切な態度をとったというふうに報告を聞いておるわけでございます。
  374. 正森成二

    ○正森委員 一番適切な態度、措置であったと言われますが、さすがにこの写真をごらんになって、こういう暴行が行なわれなかったとはおっしゃらないようであります。  一月三十日だけでなしに、二月の七日の午後一時五分ごろに、秘書課の宇山鉄雄氏などがやはり同様に頭、首、大腿部に全治五日間の打撲傷を受けております。また、御承知だと思いますが、さらに二月十四日の三時五分ころにも同様な暴行を受けております。これは、あなたのところにもおそらく報告が行っているでしょう。  そこで、私は伺いたいと思いますが、こういう事案についてだれが悪いと思われますか。やはり暴行をした人が悪いと思われますか、あるいはほかの者に責任があると思われますか。
  375. 町村金五

    ○町村国務大臣 申し上げるまでもなく、いろいろな事情からそういうことが起こるかもしれませんけれども、少なくとも、暴行を働いたということが許されがたいことであることは、言うまでもないと思います。
  376. 正森成二

    ○正森委員 ところが、現場におった警察官は、現行犯を逮捕してくれという被害者の要請に対して、挑発をかけるなというようなことを言い、府警本部の若木という警備一課長は、こんな混乱を引き起こした責任は市長にあるよ、こう言ってうそぶいております。いいですか、暴行をした者に責任があるのではなく、逆に被害を受けている市長に責任がある。一体何事ですか。あなたは、少なくとも暴行をした者が悪いと言われました。そうだとすれば、私は、治安を守るべき立場にある者が、こういうことを言うということに対して、警察法五十条、五十五条を発動して、警視正以上の任免権はあなたにあるはずです。そういう不適当な人間は、罷免するというような措置もとるべきだと思いますが、いかがですか。
  377. 町村金五

    ○町村国務大臣 いま、警察の指揮者が発言をしたことについての御指摘でございますが、そういった発言が、どういう状況のもとに行なわれたのかは、私は十分事情は承知はいたしておりませんけれども、少なくとも現在の警察の幹部は、そういった、言われるようなことを申すとは、私はちょっと考えられないのでございまして、その点は、さらに警備局長からひとつお答えさせることにいたします。私には、ちょっと理解いたしかねることであります。
  378. 正森成二

    ○正森委員 時間がありませんので、もう一度国家公安委員長にお尋ねしたいと思いますが、こういうような暴行、これは決してあってはならないし、それはさせないし、した場合には、断固たる処置をとるというのが当然だと思いますが、その点だけについて簡単にお答えください。
  379. 町村金五

    ○町村国務大臣 これは、先ほど来お答えを申し上げておりまするように、いやしくも今日の法治下のわが国におきまして、いわれなき暴力、そういった暴力が公然と行なわれるということに対しまして、警察が適切な措置を講ずるということは、これはもう当然のことでございます。
  380. 正森成二

    ○正森委員 法務大臣伺いたいと思いますが、私は昨年も申しましたが、部落解放同盟の一部の諸君による暴力行為というのは、多数行なわれております。それについて、警察はなかなか捜査をいたしませんでしたが、告訴された罪名で検察官に送致している場合が非常に多い。ところが、検察庁は、そのうちわずか二件ぐらいを起訴しただけで、ほかの大部分は不起訴にしておる。そういう態度をとるから、こういう暴力事案が公然とまかり通るというようにいわなければなりません。この間、私は千里ニュータウンの検察官の裏口分譲の問題についても伺いましたが、姿勢を正して、こういう暴力事件については、厳然として起訴すべきは起訴するというのが当然だと思いますが、なぜこんなに起訴率が低いのか、その理由を一言伺いたい。
  381. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 検察当局といたしましては、厳正公平に事態を処理しておると思います。  ただ、現在の刑事訴訟法は、なかなか立証のむずかしいことになっておりますので、そういう点を配慮しての結果であろうと思います。  こまかいことがありましたら、事務当局からお答えをさせます。
  382. 安原美穂

    ○安原政府委員 お答えいたします。  いま大臣の申されましたように、検察当局といたしましては、厳正公平な態度で事案の真相を糾明する努力をいたしましたが、特に不起訴が比較的多い原因といたしましては、多数人による犯罪であるということでございますので、その被疑者の特定が非常にむずかしかったということが理由でございまして、それ以外に理由はございません。
  383. 正森成二

    ○正森委員 時間が参りましたのでやめさせていただきますが、最後に一点だけ、文部大臣もお見えになりましたので伺いますが、この羽曳野の事態について、部落解放同盟大阪府連合会矢田支部が、「日夜、部落問題(同和問題)解決の為の御努力に対して心から敬意を表します。さて、今般、部落解放同盟矢田支部の決定に基づき下記の通り、部落問題(同和問題)解決の為、出張致しますのでよろしく御願致します。」「活動内容 名称、窓口一本化の斗いの動員による 場所 羽曳野市役所 日時 一九七四年一月二十一日以降」名前を書いて、「〇〇〇〇を出張扱いとして下さい。」こういうものを大阪市東住吉区の学校長に出しております。  一体、出張扱いにするのに、本人からいわないでよその団体がこういうようなことをいうてくる、そしてそれを認めるということは、教育基本法第十条にいう、教育に対する不当な干渉に服してはならないということに当たると思いますが、どう思われますか。  また、これに基づいて出張扱いにする、しかもその出張扱いした人が、庁舎内に入り暴力行為にも加担するということがあれば、とんでもないことだと思いますが、どう思われますか。  これで質問を終わります。
  384. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 お話しのとおりであるとすれば、まことに不穏当なことだと思います。先生方が教育の現場におもむくことは、これはもう当然でございますけれども、お話しのような暴力が行なわれている場所とすれば、一そうそういうところに出かけるべきではない、かように考えます。
  385. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 これにて三谷君の質疑は終了いたしました。  この際、楢崎君の保留分の質疑を許します。  湯山君及び八木君の関連質疑を許します。湯山勇君。
  386. 湯山勇

    湯山委員 簡単に関連質問をいたします。  総務長官がいらっしゃいましたらお尋ねしようと思いましたが、お見えにならないようですから、私は、昨日の細谷議員の質問、大阪府における保育所の問題それからそのほか意識するとしないとにかかわらず、役所によるあるいは政府機関による差別、あるいは公務員による差別、そういうものが相当数ございますので、それらについて、ひとつ担当総理府のほうでお調べいただいて、そして予算委員会の分科会等でお尋ねいたしたいと思いますので、ひとつぜひその御調査をしておいていただきたい。資料の提出はいま求めるわけではありません。  と申しますのは、本来同和対策事業というものは、あの答申なり措置法にございますように、これはきわめて長い歴史と社会性を持っている。したがって、一般法のワクの中で簡単に平面的に処理すると、往々にして間違う場合がある。  と申しますのは、差別というのは属人的な要素が非常に多い。もちろん、地域的なものもありますけれども、しかし、まあ今日の憲法下において、そういうことを属人的に処理するということは非常に困難だという意味も含めて、地域というものが指定されております。したがって、地域が直ちに、従来歴史的な背景を持っている人たち、それをさすということではないわけで、いまお話しに出ておりました住宅等の問題にいたしましても、一体、そういう歴史的な背景を持っている人かそうでないかという判定は、あるいは市長にしても知事にしても簡単にできない。  そこで、従来からそういう運動を続けていた関係の深い人、そういう人たちとよく相談をする、その意見を聞くことによってあやまちなきを期するということが、この法律でも自主的な、自発的な運動とよく調和してやっていくという注意があるのは、そういう意味でございまして、当然それらのことを無視してやるということは、それは逆に、あのこんこんと注意してありますように、正しい位置づけをしない行政というものは、差別的な特殊行政におちいるおそれがある。このことはきわめて厳重に注意されているところでございます。  そこでこの点、たとえばいまの住宅の問題にしても、それはそういう通達があったにしても、それと同時に、この重要な同対審の答申、それから措置法の精神をくみ入れて、いまのような措置をとられる。そこで、各地域におきましても、単に行政府の長にまかすのではなくて、あるいは同和対策協議会とかあるいは同和事業促進協議会とか、そういう自主的な盛り上がるものとちゃんと協議して行なわれるようになっているはずです。この点について、それがそうあるべきかどうかについて、なお総理府の御答弁をいただきたい。  それから、これと関連して、いまの羽曳野の問題ですけれども、これは公安委員長にお伺いいたしますが、警察当局のほうで捜査の必要ありと認めて、現在捜査をしておられるのか、別に告発があったから捜査をしておられるのか、これだけお伺いいたしたいと思います。いまの二つです。
  387. 町村金五

    ○町村国務大臣 いろいろのケースがあるようでございますが、告訴によって処置をしておりまするものと、警察が独自にいたしたものと両方あるそうでございます。
  388. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 お答えいたします。  同和対策行政は、地区住民の自主的運動と緊密な調和を保ち、それぞれの地区の実情に即応して行なわれるべきものであります。  そのあり方につきましては、一律に評価することは適当ではないと考えております。しかしながら、同和対策事業は、関係地区住民をひとしく対象として、公平に実施すべきものと考えております。
  389. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 八木一男君。
  390. 八木一男

    ○八木(一)委員 関連で御質問を申し上げます。  政府の皆さんは、同和対策事業特別措置法のできた経過を十分に知っておられなければならないと思います。また、知っておられる方が多いと思います。実は、この許すべからざる差別をなくして、ほんとうに人権を全国民的に確立をして、部落の完全解放をする。政府の言われる同和対策、同和問題の完全解決をはかられるために、同対審答申というものができました。それは何回も本会議予算委員会で、この国会を通じて政府国民の約束になっているわけであります。同対審答申の尊重ということが何回も約束になっております。  その中の一つの問題として、それを進めるために同和対策事業特別措置法が自民、社会、公明、民社の四党の共同の努力のもとに政府から提出をされまして、これが成立をいたしました。その成立をいたしましたときに、この問題は非常に大事であるが、法律という書き方では精神が全部盛れない、したがって、この法律は同対審答申を完全に尊重するという意味で制定されたものである、そのように運用をされなければならないということが、衆議院の内閣委員会審議において、出席になった閣僚、そうして内閣総理大臣のもとに確認をされているわけであります。同和対策事業特別措置法は、同対審答申の精神に基づいてやる、そのことを地方自治体に通達することも確約をされているわけであります。同和対策事業特別措置法に基づく諸行政については、同対審答申のやり方、精神に従ってやらなければならないわけであります。  同対審答申では、時間がありませんから一番焦点だけ申し上げますが、一番肝心なところに、「以上の評価に立つと、同和問題の根本的解決を目標とする行政の方向としては、地区住民の自発的意志に基づく自主的運動と緊密な調和を保ち、」それでやっていくべきであるという明らかな文章があるわけであります。特別措置法の運用は、その精神によって運用されなければならないわけであります。  先ほどの御質問を聞いておりましたが、建設省のほうで四十五年十一月に通達を出され、これは一般的に公営住宅全体についての行政のあり方について指示をされたわけであります。私は住宅局長にも確認をいたしましたが、このときには、同和対策事業特別措置法の精神に従った、そのことを検討してこれが出されたものではありません。時期的におくれております。これは一般的な公営住宅入居その他についての指示であって、同和行政に基づく住宅については、同対審答申の線に基づいて行政が運営をされなければならないことが明らかでございますが、この点に対してこの通達は触れておりません。したがって、先ほど建設大臣が言われましたその精神に従って、同対審答申の精神に従って、この同和対策の住宅については行政運用が行なわれなければならないはずであります。  そこで、その問題については非常に大切な問題でございますから、この羽曳野市は大阪府でございますが、大阪では左藤前知事、黒田現知事の時代から、ずっと十数年間この精神に従ってその問題は処理されるように、同促協という団体が、これは大阪府も各市長もその組織員になって、円満かつ有効にこの入居の問題について行政が行なわれているわけであります。そのことが羽曳野市で変えられようとしたことによった紛擾であります。何百年の歴史的な問題で、それが解決をするときに……(発言する者あり)委員長、不規則発言は禁止してください。退場させてください。
  391. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 御静粛に願います。
  392. 八木一男

    ○八木(一)委員 そこで、そういう点で行なわれようとするときに、それが変えられようとすることによってこの問題が起こったわけであります。何百年の問題について、その問題をいろいろと話し合うためには時間が要ります。相手の市長がそれに対して、同対審の答申の精神を理解して話せば一ぺんに片づく問題が、そうではないために、非常にいろいろな交渉の時間が長くなるわけであります。  そういうことを、ひとつ皆さま方にはぜひ御認識をいただいて、建設省なり自治省なりその他関係の諸官庁の方々は、当然長い間の歴史を持ち、行政ができてからも、非常に熱心な大ぜいの人の努力の積み重ねである。このことが守られますように、大阪府知事の指導のもとに、大阪府のこの関係の行政がうまくいきますように、ぜひ御指導をいただきたいと思うわけであります。  次に、暴力の問題を盛んに不規則発言で言われております。これは、昨年の二月二十七日、わが党の楢崎弥之助委員がこの問題と同様の問題についてこの委員会で一生懸命に問題を解明せられました。国会でこのような問題が取り上げられること自体に私どもは疑問がありますけれども、そのような問題について楢崎弥之助委員から、その背景なり問題の実相について、二月二十七日の予算委員会で十分に解明がされているわけであります。どうか皆さま方にはその全文を熟読をしていただきたいと思います。先ほど委員質問に暴力とか、あるいはいろいろな問題がありました。暴力という問題について、特に部落解放同盟の者を暴力団扱いすることについては、私どもは断じて許されないことだと思います。このことについて、楢崎委員の質疑を十分に読んで御認識をいただきたいと思います。  さらに、先ほど名前を述べました。西岡という名前で呼び捨てにされました。このことの中に、ほかの点ではりっぱな委員でございますが、国民の一人を呼び捨てにするというところに、その運動に対する非常に反対的な立場にこり固まっている状態があると私は考えるわけであります。このことをひとつ御認識いただきたい。そして、岡田という名前を出して暴力行為をしたと言われました。私の知っている情報では、岡田君が暴力を受けて、この写真で明らかなように、骨折の被害を受けているわけであります。そのもとは、ある政党の宣伝車から、いまの世の中では許しがたい、昔の封建時代に言われておった差別発言を浴びせかけられた。それに対して抗議をする。車に上がってこいという挑発を受けたので、車に上がっていった。そのときにそこで暴力を受けて骨折をしたということであります。そのことについて、実相はいまそこにおられる方が御存じでありましょう。
  393. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 八木君に申し上げます。  時間が来ておりますから、簡潔にお願いします。
  394. 八木一男

    ○八木(一)委員 私も聞いた話でございますけれども、ある委員の方々の発言だけでこの問題を御認識にならないように、ぜひ法務省も国家公安委員長も、その問題について十分に実相を考えられて対処をしていただかなければならぬと思うわけでございます。  以上の問題について、建設大臣総理府総務副長官、また国家公安委員長、そして法務大臣の御答弁をいただきたいと思います。
  395. 亀岡高夫

    ○亀岡国務大臣 ほんとうに日本人同士がそのような事態になること、まことに遺憾であります。この点につきましても、先ほどお答え申し上げましたとおり、この同和問題につきましては、長い歴史があり、しかも審議会で足かけ五年にもわたってあらゆる点から検討されて、これは立法で措置すべきだということで同和対策事業特別措置法が制定されたことは私も十分知っておるわけであります。その法律の精神に沿ってそれぞれの責任者が事を処しておれば、こういう事態が起きなかったのではないかという感じを持つわけでありますので、そういう点で、私どもは大阪府に対しまして指導いたしておる、こういう事態であることを御了解いただきたいと思います。
  396. 小渕恵三

    ○小渕政府委員 同和対策の推進に対しまして、その責任を負うておる総理府といたしましては、基本法並びに同和対策事業特別措置法その他通達等を通じまして、その精神にのっとりまして、事業の公平な運営推進のために努力をいたしてまいりたいと存じます。
  397. 町村金五

    ○町村国務大臣 警察といたしましては、常に、いかなる事案に対しましても、不偏不党、厳正公平でやるということは、私どもの一貫した方針でございます。
  398. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 法務省といたしましては、人権擁護局を中心に、同和対策事業特別措置法の精神に従いまして、今後とも万全を期してまいりたいと思っております。
  399. 櫻内義雄

    ○櫻内委員長代理 これにて楢崎君の保留分の質疑は終了いたしました。  次に、有島重武君。
  400. 有島重武

    有島委員 土曜日午後、もうだいぶおそくなりましたけれども、もう私一人でありますので、どうかよくお聞き届けいただき、簡明にお答えをいただきたいと思います。  私は、物価の問題と文教の問題、二つ取り上げてまいりたいと思いますが、先に物価の問題から入っていきます。  昨年十一月以来のいわゆる石油危機から、これは実は虚構の上に立った宣伝である、業界が国民の不安に便乗して暴利をむさぼったこの実態、また石油業界が、従来違法のカルテル行為をたびたび指摘されながら違法行為を恥ずるところなく反復してきた犯罪性、こうしたことが、すでに本委員会におきまして、わが党の矢野、近江以下の各委員からの質問によって明らかにされたところでございますが、私はこれを受けまして、さらに、これらの不法行為というものが、単なる個々の問題であり、または一連の反復行為であるということにとどまらないで、一つには、材料をつくっているメーカー、商社、加工メーカー、問屋、業者、こうした流通の系列に従いまして、各段階におけるそれぞれのいろいろな協定、こうしたものの複合的な悪質な重層構造を持っている、いわば重層連合やみカルテルであるということを、きょうはここで明らかにしてまいりたいと思うわけであります。現にこれらの複合的な不法行為によりまして、不当な高値が横行し、また、こうした不当な高値がもう非常に機能的に強制されて、業界のほうは膨大な利益をあげる一方でもって、国民は圧迫され、また末端業者は泣いておる、こうしたようなことをここに告発したい気持ちであります。  ここに新聞の記事がございますが、これは去年の八月二十八日の記事でございます。「塩ビ不足で経営不振」「社長追い常務も自殺」これが見出しです。中身をちょっと読んでみますと、「塩化ビニール製品の不足から、経営不振になった金沢市の配管工事会社常務が、二十七日朝自殺した。三日前に社長も「塩化ビニール管が入手しにくく、工事の遅れに死をもっておわびする」という意味の遺書を残して自殺したばかり。」「同署の調べによると、金丸常務は前日帰宅したときに「疲れた」といっており、経営不振の重荷から自殺したのではないかとみている。」この塩化ビニール業界によれば、「塩化ビニール管は最近、同協組でも業界が必要な半分も入手できず、値段も昨年の三−四倍という高騰ぶり、このため受注があっても工事を進めることができない状況に追い込まれている、」そういったような記事がございました。  私はそこで、きょうはこの塩化ビニール関係の業界につきまして、やみカルテルの重層構造、これによる業者の暴利、また国民の被害について取り上げてまいりたいと思うわけであります。  まず、公正取引委員長に御報告いただいておくことがあるのですけれども、きょうはカルテルの問題でございますから、公正取引委員長、たびたびお立ちいただくことになりますので、こちらの答弁台近くにおすわりいただいてけっこうだと思います。  本年、昭和四十九年一月三十一日付で勧告書第四号という文書がございます。これは三菱モンサント化成、日本ゼオン、信越化学、住友化学工業、三井東圧化学などの十六社に対しまして、去る昭和四十八年十一月二十日に行なわれた塩化ビニール樹脂の販売価格の引き上げに関する決定を破棄する旨の勧告でございます。これについて簡単に御報告をいただきたい。
  401. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 簡単にとおっしゃいますと、どういう——要するに、いまおっしゃったとおりなんですけれども会社名はこれは省略してもいいかと思いますが、三菱モンサントを含めまして十六社ございました。  その十六社が行ないました事実は、塩化ビニール樹脂、これは製品、塩化ビニールの管とかなんとかじゃなくて、そのもとになる塩化ビニールの樹脂について価格協定を行なった。まずその十六社は、昭和四十八年四月及び七月に塩化ビニール樹脂の販売価格の引き上げを決定して実施した。さらに十月ごろから、ストレートポリマーの販売価格を、十二月の出荷分から、そのときの価格よりも一キロ当たり十五円ないし二十円引き上げることを検討していたところ、十一月中旬に至りまして、原油の供給が削減されるというようなことから、その樹脂の原料であるエチレンの価格が上昇することが必至だということになりまして、そういうことを織り込みまして、さらにその引き上げについて協議をした結果、ストレートポリマーについては、そのときの価格一キログラム当たり九十四円から百六円程度であったのを四十円ないし四十五円引き上げる。それからコーポリマーというものがございますが、それについて現行価格、その当時百一円ないし百七十円程度のものを五十円引き上げる。それからペーストというものにつきまして、そのときの価格百四十一円ないし百六十五円程度であったものを六十円引き上げる。実施期日につきましては四十八年の十一月中において自由に定めるものとするが、おそくとも同年十二月一日までには完全に実施するということに意見が一致いたしまして、次いでその三菱モンサント化成ほか八社は、同日同所で、この場所は省略しましたが、ポリマー部会業務委員会において、前記ポリマー部会幹事会で意見の一致を見た塩化ビニール樹脂販売価格の引き上げに関する事項を報告した。さらに十六社は引き続きポリマー部会を開催し、前記ポリマー部会幹事会において意見の一致を見たとおり、塩化ビニール樹脂の販売価格を引き上げることを決定した。  そして十六社は、その決定に基づきまして、いろいろ日にちについてはごてごてしておりますが、四十八年の十一月一日、ある会社は同月の十一日、それから他の会社は十五日、十六日というところに、これはさかのぼって実施しておるわけでございます。価格の引き上げの協定を行ないまして、さらにその日にちに遡及して実施をしておる。これは日にちはそれぞれですから、実施日そのものは多少の差がございますが、それぞれストレートのポリマーは一キログラム当たり四十円ないし四十五円、ペーストは五十五円ないし六十円、コーポリマーについては五十円ないし五十五円引き上げる。それから会社によりましては、鉄興社というもの一つだけはちょっと価格が違いますが、いずれにしても、これらの会社が自分の取引先、つまり中間原料でございますから、それぞれの取引先との間で全部遡及して引き上げるということを実施しております。
  402. 有島重武

    有島委員 通産省伺います。  いま問題になっておりますこの塩化ビニール樹脂の総生産量と出荷量ですが、四十六年、年産どうであったか、出荷はどうであったか、四十七年、それから四十八年については月別に、また四十八年の計、そして四十九年の一月、数字だけでけっこうですから報告してください。
  403. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 お答え申し上げます。  四十六年につきましては、実は手元に資料がございませんけれども、四十七年以降でございますが、四十七年につきましては、生産量は百八万トンでございます。それから四十八年は一月から十二月計といたしまして百三十一万八千トンでございますが、これは月別に申し上げましょうか。
  404. 有島重武

    有島委員 四十八年は月別にずっと言ってください。
  405. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 一月十万一千、二月十万六千、三月十万五千、四月十一万二千、五月十万九千、六月十一万九千、七月九万八千、八月十万七千、九月十二万二千、十月十一万三千、十一月十一万三千、十二月十一万四千。それから、一月はまだ速報でありますけれども、十二万五千と考えております。
  406. 有島重武

    有島委員 そういうわけでございまして、これは全般的に生産は順調であったわけでございます。まず間違いありませんね。ずっと品不足になるようなことはない、順調な生産であった、これは間違いありませんね。
  407. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 ただいま申し上げました数字のように、七月、八月が生産量が落ちておりますが、特に七月は九万八千、八月は十万七千という数字になっておりますが、これは御承知のように、七月の初旬に出光興産の徳山におきます事故がございまして、このために原料の逼迫が起こりまして、その結果、塩化ビニール樹脂全体として逼迫したわけでございます。
  408. 有島重武

    有島委員 そうしたアクシデンタルなことはありましたけれども、全般的に見て四十七年が百八万、それから四十八年はずっと伸びておりまして百三十一万八千、こういうことになっています。  それで、こうした中でもって、公取委員長、次の問題を聞きますけれども、さきの勧告書の主文の二のところに「前記十六社は、次の事項を塩化ビニール樹脂の取引先及び需要者に周知徹底させること。」とございます。この取引先及び需要者というのは、具体的には何をさしておるのか。また「周知徹底させること。」とございますけれども、この周知徹底というのは、その実態はどういうことになっておるのか。この点について御説明いただきたい。
  409. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 これはもういかなる場合においても、主文の場合に、つまりこれの審決になるべき勧告書の段階においてそういうことを付しております。これは、つまり原則としては、全国的な需要者がある場合には、それは全国紙を使って新聞公告させるというのが大部分でございます。この場合、どういう方法をとったか、事務当局がおりますから、そのときの詳しいことはそちらから説明させますが、需要者、ユーザーに対して直接にその旨を、つまり破棄したという旨を、これからは自主的に価格をきめますよということを直接通知するのです。ユーザーと申しますのは、つまりこの樹脂を使って製造加工する者ですね。塩ビの製品というのはいろいろございますから、メーカーも多様であると思います。中小のメーカーも含まれていると思いますが、それぞれに対して、あまりにも数が多い場合には、これは新聞広告だけでやる場合がありますが、通常、これらの場合にはそのメーカーに直接通知をする、こういうことを含めております。  なおそれ以上詳しいことですと、どういうふうにやったかということについては事務局から説明させます。
  410. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  この審決につきまして執行の方法でございますが、先ほど委員長も申し上げましたように、数が多ければこれは全国紙二紙以上、この場合は、非常に数が多かったので、全国紙でやったというふうに聞いております。
  411. 有島重武

    有島委員 この「周知徹底」とございますけれども、これは何のために周知徹底させるのですか。くどいようですけれども、伺っておきたい。
  412. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 つまりやみカルテル、価格協定、そういうものを破棄しました、これからは価格は、自主的にそれぞれの会社がそれぞれのユーザーと話して価格をきめるものであるということを徹底させる、これは基本でございますから、そのほかの手段をいまは事後対策として講じておるものもありますけれども、しかし、これはいままですべての場合において行なわれておる。いま申しましたように、方法としては全国紙を使う場合と、それといろいろあるということであります。
  413. 有島重武

    有島委員 その周知徹底させるのは、カルテルをやめましたということを知らせることですというのではお答えにならないのであって、カルテルを解いた、自由価格になった、いままでは、カルテルによって多少取引の上でもって硬直的な取引がなされておった、それを緩和させるというのが目的じゃないかと私は思いますけれども、いかがでしょうか。
  414. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 その価格協定を私どものほうが破棄を命じましても、当該の、この場合でいえば十六社はそのことはよくわかりますが、その影響を受けるべき相手のユーザー、需要先は黙っておれば知らないわけですよ。ですから、それを周知徹底させるということがなければ意味をなさないわけですから、そういう趣旨のものでございます。
  415. 有島重武

    有島委員 通産大臣に確認しておきますけれども、塩化ビニール工業会というのがございまして、この会長は日本ゼオン社長島村道康さん、それから副会長が三菱モンサント化成の社長岩崎忠雄氏、同じく副会長日産化学社長の木村有恒氏、それから相談役に東洋曹達の社長青木周吉氏、同じく相談役に呉羽化学の社長荒木三郎氏、住友化学社長長谷川周重氏、あとありますけれども、これは間違いありませんね。
  416. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 そのとおりでございます。
  417. 有島重武

    有島委員 御承知のように、塩ビ、塩ビといいますけれども、この塩化ビニールは重油からナフサをとり、それから塩ビをとるわけでありますけれども、この塩化ビニール樹脂の原料メーカーから商社にいくわけですね。商社から今度は塩化ビニール加工メーカーへいくわけです。さらにそれが問屋、それから工事店、そういうふうに流通しているわけでありますけれども、ここで原料メーカーの塩化ビニール樹脂業界内のシェアが八%ぐらい占めておる信越化学、これは商社としては三井物産、三菱商事、それから中外貿易等を通じて加工メーカーへ流通さしているわけであります。  通産省に伺うのですけれども、日本ゼオン、鐘淵化学、電気化学、信越化学、菱日化学、大手の五社でございますけれども、これらが流通している商社と、それからおのおののシェア、これを伺っておきたい。
  418. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 最初に、メーカー別のシェアを申し上げますが、日本ゼオンと鐘淵化学が一〇%ずつ、それから電気化学と信越化学が八%ずつ、それから菱日が七%でございます。  それぞれの関係商社を申し上げますと、日本ゼオンは伊藤忠、住友商事、大阪合同等を通じて販売をいたしております。鐘淵化学は三菱商事、丸紅等を通じまして販売いたしているわけでございます。それから電気化学は三井物産、第一商工等でございます。信越化学は三井物産、三菱商事等でございます。それから菱日は三菱商事、三井物産等を通じて販売をいたしております。
  419. 有島重武

    有島委員 高橋公取委員長伺いますが、この塩化ビニール業界が、従来不況期のたびごとに不況カルテルを認可されておりました。この認可された期間、これについて、またどういうカルテルであったのか、その点簡単に報告してください。
  420. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 お答え申し上げます。  塩化ビニール樹脂についての不況カルテルは二期ございまして、三十三年十一月十八日から三十四年三月三十一日まで、それから二回目は三十三年十二月二十八日から三十四年三月三十一日まで、こうなっておりまして、内容は、初めの分は生産販売数量の制限、それからあとも同じでございますが、ただ価格がプラスされております。
  421. 有島重武

    有島委員 通産省伺います。塩化ビニール樹脂の値段でございますけれども、市中価格が、四十六年十二月が六十九円から七十四円、それが一年たって四十七年の十二月は一キログラム当たり八十円から八十五円、四十八年の八月ごろになりますと、一キログラム当たり百円から百五円、去年の十一月にはこれが一躍百四十円から百四十五円、本年四十九年の一月にはこれはもう百四十五円から百五十円となっております。この数字、間違いありませんね、通産省
  422. 飯塚史郎

    ○飯塚政府委員 おおむねそのとおりでございます。
  423. 有島重武

    有島委員 この二年間で一〇〇%以上の値上げをしているわけであります。通産省として、過去、またいまどういう指導をしていらっしゃるか。この塩ビ関係のことでもって自殺者まで出しているわけであります。大騒ぎをしているわけであります。どんな指導をしてきたのか。これは通産大臣からお答えをいただきたいと思います。
  424. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 通産省としましては、従来からやみカルテル等、不当な価格形成が行なわれることのないように関係企業を指導してきたところでございますが、先般、塩化ビニール樹脂について、価格カルテル行為に関し公正取引委員会から勧告を受けるに至ったことはきわめて遺憾であります。  今回の塩化ビニール樹脂をはじめとする石油化学製品の値上げ幅はきわめて大幅であり、一部便乗値上げ的色彩を有する面もあると考えられましたので、去る一月三十一日、塩化ビニール樹脂等の石油化学製品のメーカーに対し、昨年十一月から十二月にかけて実施された値上げ幅の三割程度をめどに、二月から価格引き下げを行なうように指導いたしました。この結果、各社は二月初めから順次引き下げを行なったところであります。  なおまた、指導に際しては、これら業界代表に対し、今後のコストアップ要因は極力企業努力で吸収し、今後かりにナフサ価格が上昇しても、それに関連して便乗値上げなど行なわないようにきつく指示したところでございます。  なお、上記塩化ビニール樹脂の値下げ指導と並行して塩ビパイプ、プラスチックシート等のプラスチック加工製品につきましても、関係業界に対し値下げ指導を行ないました。これに対し、一部の会社では、すでに二月初めから値下げを行なっておるところでございます。
  425. 有島重武

    有島委員 先の問題にいきます。  ここで周知徹底という先ほどの問題をもう一ぺん公取に伺いたい。さきの勧告書には「昭和四十八年十一月二十日に行なった塩化ビニール樹脂の販売価格の引上げに関する決定を破棄すること。」となっておりますけれども、私が入手いたしました資料によりますと、この塩化ビニール樹脂を材料として塩化ビニール管をつくっておる加工メーカー、勧告された十六社から一段下がって、それを材料としてつくっている加工メーカーですね、この加工メーカーが同じく四十八年十一月二十日付でもって硬質塩化ビニール管の価格表をつくって実施しておる、これは知っていますか。
  426. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私は存じておりません。事務当局にそういう通報があったかどうか、私は寡聞にしていままでのところはそれは知らせば受けておりません。
  427. 有島重武

    有島委員 ここにあるのですけれども、これはあるメーカーのでございますが、「硬質塩化ビニール管価格表 四八・一一・二〇」四十八年十一月二十日付です。これは品名、サイズ、一番右のほうに標準価格が書いてありますけれども、ちょっとごらんになりますか。——御存じでしたか。
  428. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私は知りませんが、実は、私たちの希望を申し上げれば、そういうことがもし早くわかっておりますれば、これは一連の事件でございますから、塩ビ樹脂の原料のほうをせっかく協定破棄を命じた、ところが、塩ビ管のほうが今度は逆に協定を行なった、そういうことが明白でございましたならば、これはとがめるのはこういう席でいいのですけれども、従来は私のほうの審査部にその旨をこっそり教えていただくわけです。そうすれば、これは私のほうが予備調査をした上で立ち入り調査もします。そして排除をする。   〔櫻内委員長代理退席、委員長着席〕 これは問題が非常にこまかいものであれば別ですけれども、塩ビの樹脂の原料のほうをせっかく破棄した。製品の段階でもって直ちにといいますか、ほとんど破棄した日に、そういう価格協定を行なっているということがおわかりでしたら、こっそり教えていただけますれば、私のほうはいまごろ立ち入り調査をしていると思います。いまここでおっしゃっていただいたら、もう私のほうは立ち入り調査をしても、証拠をすべて隠滅されてしまいましてたいへんぐあいの悪いことになるのでございますので、これはお願いでございますが、もういますでにこういうことを言われてしまいましたからしかたありませんが、できれば匿名でも何でもけっこうです、こういう事実があるということをおっしゃっていただくと、私のほうは摘発するのが容易である、こういうふうに思います。
  429. 有島重武

    有島委員 いま、こっそり教えてくれればなおよかったとおっしゃいましたけれども、今後はそういうことがございましたら、いまの御指導に従おうと思いますが、実はそれはかなり古くて、まだまだ新しい資料もあるわけなんです。だんだんお目にかけます。  そのいまの中身をちょっと見ていただきたいのですけれども、これを調べてみますと、そこには左のところにVPとかVUとかVEとか書いてあるわけですけれども、VPというのは普通の一般管なんです。委員長のお許しを得まして持ってきましたので——こういう管がVP管というわけです。これもVP管です。これは水道なんかに使っているわけです。それからVU管というのは、これは下水に使うのでありまして、これです。これが自殺のもとになったやつです。これがVP管の十三ミリというのですけれども、一番上の段に出ております。標準価格表で申しますと二百五十六円となっておる。これは五月値段でまいりますと百六十六円だったものです。これは五四・三%の値上げです。それから、これとこれの中間の十六ミリというのがございます。標準価格が三百七十三円とありますけれども、これは五月値段が二百四十八円だった。五〇・四%の値上げです。それからVU管、これは下水に使うやつですけれども、径五〇ミリ、これが七百六十五円というふうにございますけれども、五月値段五百五十一円、三八・八%アップ。それから同じくVU管の百ミリ、これは二千五百四十九円とこの表にはあります。五月値段が一千八百三十六円であった。これも三八・八%のアップです。こうした値上げについて、公取委員長、どうお考えになるか。
  430. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 ちょっとこの表について、たいへん失礼でございますけれども、これは某メーカーの「硬質塩化ビニール管価格表」となっているのですが、これは業界ぐるみできめたものを配布したものを意味するのでございますか。その点がちょっと。メーカー単独の表ではない……(有島委員「そうではありません」と呼ぶ)その証拠があるわけでございますね。(有島委員「これから出します」と呼ぶ)もしそういう前提でございますと、こういったサイズやそのほか用途別の種類の多いもの、過去においては染料などございますが、非常に多いものについては、こまかいこういった表をきめないとカルテルにならないわけです。原料の段階ではポリマーとか何とかということで、大ざっぱな分類でいいのですけれども、こういうこまかいものになりますと、これは相当詳しいこまかいものでございますから、ここまでサイズと種類別に印刷物にしなければならない、そういうものだと思います。  値上がりの問題につきまして、値上げの幅、これは塩化ビニール管が、あるいは管を中心に非常に値上がりしたということは私どもも聞いておりました。主として、困ったことに故障が続発したということが一つあります。先ほどもちょっとございましたが、あれをきっかけにしまして需給関係のアンバランスが非常に強くなった。それに便乗してどんどん上げたというのが実態じゃないかと思います。そこへさらに最後の追い打ちをかけるように、十一月以降原油の供給が削減されるということから、需要者は先高見越しで早目に手当てをしようとするし、売るほうはそれに乗じて売り惜しみ的な行為も兼ねながら、生産量は伸びておるにかかわらず価格のほうはどんどん上がっていった、こういう実態であろうと思いまして、この値上がり幅についてはたいへん大きなものでありますが、そういういきさつで上げやすい状態にあった。供給が途中でダウンしたが、需要のほうは、その段階においては減っておらないわけです。その段階において需要が減っておればいいんですけれども、まだ総需要削減が効果が出ておらない段階で故障がどんどん出たということは、ちょうどあたかも生産削減を行なったと同じような結果になってしまったわけです。それで供給量が減りましたから、それによって価格が、ないものねだりというような相場になるわけで、物不足ということは、いかにそういうやっかいな問題であるかということを証明しておるわけですが、石油危機が来る以前の生産削減が行なわれざるを得なかった。まさか、事故を起こした会社をすぐに運転をさそういうわけにはいかなかったろうと思いますので、そういう事情はあります。ありますが、とにかくそういうことによって非常に大幅な値上がりを招来したということは、まことにもって残念なことだと私は思っております。
  431. 有島重武

    有島委員 これは大幅値上げの問題、それからくしくも十一月二十旧という日付、それから時期的に見て石油危機というこうした一つのパニックムードの中に行なわれていること、そうしたことが非常に問題だと思うのですけれども、いまここでもって話題にしておきたいのは、先ほどの勧告書第四号にございます周知徹底の問題なんです。先ほど、これは数が多いから新聞でもってやりましたと、こうなっているわけです。やみカルテルはやめました、材料はやめました、あとは自由価格です、こういったことをやったとおっしゃるけれども、このすぐ下の段階のメーカーでは標準価格です。これは実施されているのです。たくさんこまかい数字ございますけれどもあとでその読み方をちょっと説明しますけれども、みんなあと、割り算すれば出てくる話であります。標準価格をぴしっときめておる。ですから私どもは、こまかい話よりも、こういった周知徹底の方法ですね。材料メーカーに対して勧告を行なった。そのときに、まるで勧告をあざ笑うように業界内の価格をきめて加工メーカーがやっておる。公正取引委員会は、これは周知徹底しているはずでございます、こんなことを言っていていいんですか。勧告書に書いてあるから、あとは実行してもしなくても私は知らない、そんなような態度でいいんですか。
  432. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 たまたま昨年の十一月の二十日でございます。その日に向こうで会合を行なった。いまおっしゃっているのは、周知徹底との関連でございますれば、これは一月三十一日にこちらは勧告書を出し、かつ新聞発表を同日付で行なっております。一月三十一日に発表したものでありまして、これに基づいて周知徹底の方法をはかられたのはそのあとでございます。当然それは何日かたちまして、私ども担当の者がおりまして、どういう文言でどういう新聞に掲載するかということをちゃんときめることになっておりますから、これはおそらく二月の何日か、私、いまその点、はなはだ用意がありませんので記憶しておりませんが、二月の何日かのはずです。ですから、いまおっしゃった周知徹底の方法ということは——昨年十一月二十日というのはたまたま一致しているんだ、こういう意味では一致していますけれども、勧告の日とはまるで御縁がない、こういうふうに申すほかありません。
  433. 有島重武

    有島委員 私が言いたいのは、こういうことなんです。この値上げ価格一つ見ても、原料メーカーのやっているやみカルテル、これは実は同時に、そこの系列の商社、あるいはそこから材料を受けている加工メーカー、こういうものがそのやみカルテルに参加していたのではないか、そういったようなことがほぼ歴然としているではないか、私はこう思うのだけれども、公取はどう御判断になりますか。全然、無関係に、これだけやったんだ、こういったものは関係ないのだと、そう思いますか。こうしたものを一つ見ても、そうしたものが系列的に、もうやみカルテルの中に別な段階のものが参入しているんじゃないか、そういうように私は思うのだけれども、どう判断なさいますか。
  434. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私の考えるところでは、業界としては全く別の業界でございます。つまり、同じ樹脂メーカーの協会といまの加工段階、さらにそれの下の管をつくったりするそれらの集団とは全然別個である。ただし、たまたま上の段階のものが十一月の二十日に申し合わせを行なった、下のほうもたまたま時を同じゅうしてやっているということには、もしそれが事実であるなら、私はまだ審査も何もいたしておりませんから、事実であるという仮定をとって言うならば、気脈は通じているんじゃないか。ことに、さかのぼって実施するなんということがございますから、そういう点はツーツーでもってそういう話が伝わっていくということは十分考えられるわけでございます。それは、原料そのものがどんどんものというような業界がございますね。塩ビ樹脂々買ってこなければ全然商売にならない。そのものはほとんど原料そのものであるというふうなものでございますので、多少ほかの副材料はあると思いますが、これを固めたり成型する段階でいろいろあると思いますけれども、主たる原料は樹脂でございます。したがって、それらの業界の動きが下の段階なり団体の動きにすぐ波及するという可能性は十分考えられます。
  435. 有島重武

    有島委員 すぐに業界に波及しているはずだ、そういうことは十分考えられる。ところが公正取引委員会としては、確かに証拠を握ったその業界しかこれを勧告することはできない。それで残っているのは周知徹底せしめるということでございますけれども、これは原料メーカー十六社に勧告しても企業系列化がほんとうにいま進んでいるわけでありますから、その系列の商社、それから、その原料で製造している加工メーカー業界、こうしたものに対しても垂直的な、同時に各段階においておもなところにその勧告をするようなことをお考えにならなければ、勧告を周知徹底せしめる、そうした効果が発揮できないのではないか、そういった実態があるのではないか、そのように私は思うわけですけれども、御意見いかがですか。
  436. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私どもの理想といたしましては、疑いがあれば、垂直的に、この原料が上がったならばまた下のほうでもって値上げをするであろう、その場合にカルテルが行なわれるかもしらぬ、そういう推定を下せば、これは確かに、おっしゃるとおりに縦に全部やっていかなければならぬと思うのです。私どものあのときねらったのは、もととなる石油業界そのものについてまず着目をしてやる。そして、その次の段階で——実際はもう一つ間があるのです。あるのですけれども、いわゆる石油化学業界について、ポリプロピレン等四項目、その中に塩ビを入れたわけです。そういうことでございまして、はっきり申せば、実際はエチレン段階が抜けているのです。エチレン段階等、石油化学のその次の段階とは同じ会社である場合が非常に多い、ダブっている。ですから、どちらをやってもいいだろうという考えがありました。さらに、いまおっしゃるその下の管の段階までやるという余裕は、当時の情勢では、私どものほうでは全くございません。ですから、前々から私どもが申しておるとおり、疑いがあっても割愛せざるを得ないものがある。情報提供があってもそのまま行なうだけの陣容を持っておりませんですよ。一回の動員が、審査部の女子を除いた実際の人員は五十九名しかいないのです。その五十九名で何ができるかというと、ほどほどのことがあるわけです。ですから、それを実際に男子だけで百名近く他から動員してやっておるわけです。それから地方事務所を使いまして、一回の動員の最高は百四十名というふうなことで、これは女子は入っておりません。ですから、公取の人員が地方を含めて三百六十三名、これは定員でございますが、実員はもっと少ない。そういう中でやっておることでございますから、おっしゃることはよくわかるのですけれども、できる限度というものを考えて、私どもやはり職員のいろんな能力を考えて使わなければなりませんから、理想としてはそうでありましても、やるだけやったというふうに私ども思っております。
  437. 有島重武

    有島委員 大蔵大臣、この辺のところはよく聞いておいて、考えてくださいよ。  なお私は言いたいのですけれども、先ほどの勧告書の四号ですけれども、「前記十六社は、次の事項を塩化ビニール樹脂の取引先及び需要者に周知徹底させること。」そう書いてあるわけなんです。これは、そもそも勧告を受けた業界さんにお願いして、その関係先に周知徹底さしてもらいましょう、こんななまぬるい手段は、初めから抜け道をつくっていると同じ結果になる可能性は十分あるわけであります。ですから、人員の点、おっしゃいました。ほんとうはやりたいのだけれどもなかなかできないとおっしゃいましたけれども、こうした勧告のしかたについて、周知徹底のしかたについて、もう少し新しい手法をお考えになる余地が全然ないのかどうか、この点はどうですか。
  438. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 そのほかの方法としては、公取自身は、これは私は有料か無料かちょっと忘れましたが、官報で掲示する方法もありますが、これはますます悪くなる。いまどういう方法があるとおっしゃれば、私のほうも、周知徹底の方法について研究いたしますが、いまのところでは、全国的な規模で行なわれて、かつ、需要者が非常に多い場合には、全国紙二紙以上です。一紙ではいけません。必ず二つの種類以上と申しまして、全国紙、たとえば五紙とかりに見ました場合、その五紙を全部使えというのは、これはある程度の懲罰的な意味を兼ねれば、今後研究する余地はあると思います。幾ら広告料が高くなっても、全国紙には全部やれ。それから特定の地区で非常に需要先が固まっているような場合には、その地方の地方新聞を便ってやる。地方新聞を現在使っている例もあるのです。ですから、全国紙並びに地方紙ということもあり得るわけですが、新聞以外にはいま全国的にやる方法はない。というよりは、大きな事件については新聞で報道してくれます。これは私のほうはたいへん助かるのでございますが、それ以外にどういう方法があるのか、私はいま思いつかないので、もし御意見ございましたら承ります。
  439. 有島重武

    有島委員 確かに、官報に書いたんだから読まないほうが悪いんだと言われれば、われわれもとにかく官報をもらっていますが、なかなか読まない。知らないことばかりです。そういうことはありますよ。これほどいまマスコミはんらんの中で、新聞に出した、地方に出したといっても、ああ見ませんでした、知りませんでしたといえば、それでこんなことは済むことだ。ほんとうに本気になってやるには、これは人員のことじゃなくて、郵便切手の問題になる。ダイレクトメールというのがあるじゃありませんか。しかも、数が多いとおっしゃいましたけれども、だから先ほど私は聞いておいたので、この関係の商社または関係業界につきましては、もうほとんど同系列でもって親類みたいになっている会社があるということを、高橋委員長はいま言われたばかりであります。おもなところというのはわかっているわけです。そこにダイレクトメールでやるということだけでもずいぶん違うと思うのです。  私がしろうと考えでこんな御提案を申し上げるのはなまいきだと思いますけれども、何か新しい方法——せっかくこれだけの勧告を苦労してなさったことであります。それが、ああ、向こうはやったけれどもこっちは全然関係ないや、つかまえられないんだからいいやと言っておるのを、そこに少なくともいまの段階では周知徹底せしめる。これはおたくには必ず行ったぞ、読んでいないほうが悪いと言わせるだけのものをやる。これはそれほどむずかしいことではなかろうと私は思うのです。何か新しい手段をお考えになる余地があるといまおっしゃいました。その余地があるならば、これは一塩ビ業界には限りません、ほかのやみカルテルの問題あるいは再販の問題に関しても、同じようにこの周知徹底ということについて、現在の時代に合ったようなことをくふうしていただきたい、そういうふうに思うわけであります。委員長から簡単にお答えを承りましょう。
  440. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 先ほども私は申し上げたつもりですが、ユーザーの数が不特定多数で困るという場合には、全国紙に公告義務を課するだけですけれども、ユーザーの数がわかっている場合、これは文書ですでにやらしております。その文書の内容も、担当官がちゃんと調べまして、かくかくの事由によってこうこうであって、これこれはこうだということは、それの基準があるかどうか、いまはっきり確かめ得ませんでしたが、しかし相手が数百名程度のユーザーであれば全部文書が行っているはずです。ただし、これが一万あるいは数万となってしまいますと、直接そういう文書を強制するのがいいかどうかというふうなところを考えます。ですから、過酷なことを考えれば、何ぼでもそれはダイレクトメールといいますか、直接文書で郵便で送達するようにということを命じます。しかし、その辺のところはいろいろ考えまして、あまり多数であれば、それをリストアップすることだけでもたいへんであるということもあります。それをこちらが確認しなければいかぬ。確認するために、またこちらがたいへんな手間になりますから、大体どのくらいのユーザー数になるのかということは常に聞いた上で、それに応じた措置をとっておりますので、直接郵便でやる方法が一番優先的には考えられる。やむを得ない場合に公告のみにする。しかし両方を併用している場合もたくさんございます。
  441. 有島重武

    有島委員 それで結論的には、新しい周知徹底の方法を今後さらに検討していく、考えていく、くふうしていく。それで効果は——ぼくは手続のことを心配しているのじゃなくて、ほんとうにそちらの勧告が有効に働いてくるということですね。そうなればいいわけなんだ。そうならなければ、その周知徹底はだめなわけだ。それはどういうふうにいたしております、こう言われても、そうなるようにくふうしてもらいたい、そういうわけなんですよ。いかがでしょう。
  442. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 理論的には現在の破棄勧告で十分自由な価格競争が行なわれる状態になるはずですが、実際には、遺憾ながらそうなっておりません。そうして私どもはそういう問題にこれから取り組んでいかなければならぬ。皆さんのほうからも御意見がありますが、価格を引き下げたというふうな場合には、これはもうその効果がたちまち出なければいけないが、いまの状態でありますと周知徹底の方法にいろいろと金をかけ、方法を議論しても、現状と大差がないのではないか。やれるだけのことはやっておるわけでございまして、相当近ごろは辛いほうにやっております。ですから、相手の金額負担というものをそれほど考慮しなくてもいい、これは制裁的な意味だってあるわけですから、できるだけ新聞の掲載数を多くするというふうなこともあるわけでして、場合によると、地方ではテレビで公告したものはテレビでやらせる、ラジオで公告したらラジオでやらせるというところまですべてやっておるわけでございますが、ただ遺憾ながらこの種の公告は好んで見るものじゃありませんで、見のがされてしまう場合が多いであろうということは、十分私どもも察知しております。  まあ方法については、あくまでこれは引き上げ問題とは切り離しても、考え直すというか、さらにきびしくするほうがいいのじゃないかと思いますが、そういう点については、もっと検討した上でないとはっきりしたお答えはできません、こういうことでございます。それを周知徹底の方法を強化する方向でもちろん考えますが、なかなかそれはいま言った方法以外にちょっと見当たらぬということであります。
  443. 有島重武

    有島委員 先にいきます。  便乗値上げの問題、特に高値強制押しつけの証拠物件の問題です。公取になお聞きますけれども、加工メーカーである塩化ビニール管及び同継手協会というのは、かつて不況カルテルを結んでいたことがあるそうです。これについて、その期間、いつごろからいつまで、どういうカルテルであったか、これを簡単に報告してください。
  444. 吉田文剛

    吉田(文)政府委員 塩化ビニール管の不況カルテルは、これは内容は、いずれも生産数量の制限でございます。第一回目は四十年の九月十日から四十一年の三月九日まで、二回目は四十一年三月十日から四十一年六月三十日までということでございます。
  445. 有島重武

    有島委員 つまり、いま不況カルテルは結んでないわけでございます。ところが、ただいまの塩化ビニール加工業界の十一月二十日付の価格表に次ぎまして、一カ月もたたない間に同業界では、四十八年十二月付という価格表を出している事実があるわけです。これ、こういうのがございますけれども。これは御存じありますか。見たことありますか。
  446. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 私は見たことございません。
  447. 有島重武

    有島委員 これは「硬質塩化ビニル管及び同継手価格早見表 昭和四十八年十二月 積水化学工業株式会社」。こういうものです。——これは初めてごらんになったようでございますけれども通産大臣もこれは御存じありませんでしょうか。
  448. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 存じません。
  449. 有島重武

    有島委員 これが昭和四十八年十二月付でもって、さっきのと一カ月もたたない間に業界に出されました。またこれが大幅値上げ価格表です。その値上げぶりでありますけれども、かいつまんで言いますと、水道管の先ほどの十三ミリ、お渡しした資料の中の二枚目のところにあります。水道管、サイズ、それから四十八年五月、四十八年十一月、四十八年十二月と、こうございますけれども、水道管の十三ミリでございますと、五月が百六十六円だったのが、四十八年十一月には二百五十六円、今度の新しい値段表によりますと二百八十二円で、五月から見ると六九%の値上がりになっているのです。それからサイズ二十ミリというのが三百円であったのが、十一月値段が四百四十八円、これが十二月では四百九十四円、六五%の値上がりです。それから薄肉管、VUというのがありますけれども、サイズ百二十五、これが二千八百七十一円が、この十二月値段ですと四千四百三十八円、五四%の値上がりです。それから電線用のVEというのが書いてありますけれども、十四ミリものでもって百四十五円だったものが、十一月値段が二百十三円、それから十二月値段が二百三十六円、六三%の値上がり、これは標準価格としての値上がりです。これが実施されているわけです。  通産大臣、この値上がりについて、先ほど処置をおどりになったと言われたけれども、それまでにこういった経過があるわけです。そしてこれが先ほどの十一月二十日値段表にいたしましても、末端業者にこれが知らされていくのが、十一月の末から十二月の初旬です。それを追って、今度は十二月のこの値段表が実施されるわけだ。そうすると、末端の業者は次から次へと高値の価格表を押しつけられる。どうも先行きの見通しも立たないわけで、問屋からは今度どんな請求書を突きつけられるかわからない。お客さんに対してどんな見積もりを立てていいかわからない。こうした大混乱の中でほんとうにとほうにくれておった、こういった実態があるわけでございますけれども通産大臣はそういったことは御承知でしょうか。
  450. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 あの時は遺憾ながらそういう実態がございました。値の問題にいたしましても、月別にかなりぐんぐん上がってきて、十月から一月ぐらいにかけて急騰してきておるようであります。
  451. 有島重武

    有島委員 私は現場の方何人かにお目にかかりましたけれども、この値段表が、実は十一月にまたさかのぼって取り立てられておる、そういった実態もあるわけであります。もっと深刻な実態把握を通産省でもやってもらいたい。そして、さらにこうした高値を押しつけ、その次に、加工メーカーのやみカルテルのおそらく物的証拠になるのじゃないかと私は思うわけでございますけれども、ここにもう二つ、こういう値段表があるわけです。この値段表を見ますと、「硬質塩化ビニル管及び同継手価格早見表 昭和四十八年十二月」、こうありまして、メーカーの名前だけ違います。中身を見ますと、これは全く同じなんです。これをちょっとお調べいただきましょう。——ちょっと見ましても、表紙の色、それから一ページ目が紫色でずっとあって、それから二三ページのあたりから黄色のものがあって、四九ページからは灰色になって、七一ページからピンク色になって、七三ページから七五ページがクリーム色。たとえば三ページ目のところをちょっと見ていただきましょうか。サイズ十三と書いてある。これは水道管ですね。サイズ十三、三百八十二、サイズ十六、四百十二、サイズ二十、四百九十四、サイズ二十五、七百十三、同じでしょう。これは全く同一です。それでもって表紙のメーカーの名前だけは違っておりますね。こういうものがある。これについて、公正取引委員会としては、どう判断なさいますか。
  452. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 これは先ほどからも申しておりますように、非常にこまかい、サイズその他、用途によって区分けをする場合には、このような早見表といいますか、表をつくらないと価格表自体が成立しないようなことになるわけです。ですから、これ自体については、いま見た限りにおいては、価格協定があったということは推定するに十分である。しかし、ありましても、私のほうの勧告のあれというものは過去にさかのぼってはできないのですから、証拠をみな集めましても、はい、やめましたというふうに先に宣言されてしまいますと、勧告措置がとれないのです。  ですから、初めに私が申しましたように、これだけ有力な証拠物件がお手元にございましたら、ほんとうは黙って私のほうに下さると、これは非常に容易でございます、これを私どもが摘発することは。これだけの材料がそろっているのですから、まさか相手も事実を否認しないでしょうし、実施することもおそらく間違いないと思います。ぜひともそういうことがございましたら、私どものほうに言っていただきたい。証拠を伴わない申告といいますか、報告、情報提供はうんとあるのです。それに比べれば、これだけの証拠を伴っておれば、私どもは、呼んで聞くだけでほとんどわかるというくらいのものでございます。これはおそらく価格協定があったものと私どもは推定するものでございます。
  453. 有島重武

    有島委員 これは現に行なわれているのです。これは末端業者の伝票を見ればすぐわかります。そうして、先ほど、たくさんの種類があるから、こうした値段表もしかたないであろう、個々にはしかたがないであろう、そういうことをおっしゃいましたけれども、ここには久保田鉄工の問屋の値段表がございます。これはここで読み合わせてもいいけれども、その中の一部の抜き刷りなんです。何ページも何ページもございますけれども、そこに九二とか九〇とか八九とかずっとございますけれども、それは標準値段を、この問屋さんには八六%で出しましょう、ここには八二%で出しましょう。もうきまっているわけなんです。それでここには、これは積水化学の系統です。別な問屋さんの値段表がある。この値段表は、みんな、見れば違っておるように見えるけれども、それは初めに業界で標準値段がきちんと協定されているのです。いまもそれが行なわれているわけです。少し調べてみれば、それはわかるわけです。ここにももう一冊ございます。それでこうした同じ価格表を使って、それでもって、各問屋さんが高値をほんとうに押しつけられておる。  こういった実態は、これはいまの公取からは——これは一つの物的証拠として、さらに調べていただきたい。ほかのところもずっと調べていただきたい。速急にやっていただきたい。通産大臣としては、こうしたことについてどう考えられますか。
  454. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 いまの問答をお聞きしておりまして、公取委員長が申されましたように、確かにカルテルの疑いが濃厚でございます。そういうことは、必然的に便乗値上げという疑いが出てくるのでございまして、その点はよく確かめてみたいと思います。
  455. 有島重武

    有島委員 大いに確かめていただきたいと思います。そしてこの前は、あれは公正取引委員会からの資料によって、反復したカルテル、これはほんとうに悪質だ、犯罪だ、そういうことがございました。これはまた連鎖している、同じ系統の業種内における上部カルテル、そうして下部カルテル、こうした問題でございます。これも非常に悪質なものである、私はそう思います。これはもう告訴に及んでしかるべきじゃないかと私は思うのですけれども、公取委員長、いかがですか。
  456. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 悪質であるかどうか、その点について、他にもいろいろとケースがございまして、にわかにここで、それが告発に値するかどうかということはお答えできません。また、それはただいま御提供になった資料だけでは、私ども調べないうちから、これはカルテルであると断定することは、絶対にいたしません。そういうふうになっておりまして、それは裁判所でもなく、私のほうのは行政事件でありましても、第一審裁判と同じでありますから、調べないうちから、有罪であるとかなんとかいうことを申し上げることはできませんが、ただ、便乗値上げという問題については、非常に悪質な一つの資料にはなりますが、私どもが、隠してあるかどうか、告発に値するかというときには、この価格そのものについてどうこうということではなくて、他のいろいろな要件も加味した上で、告発に値するかということを考慮しているわけでございますから、その辺のところは、ぜひひとつ、こちらのほうの判断におまかせ願いたいと思います。
  457. 有島重武

    有島委員 高橋委員長から、こちらの判断にまかせられよとおっしゃいましたから、私はおまかせしたい。だけれども、ここにあるのは、標準価格、全部同じものがその業界内でもって、こうして軌を一にして配られている。かつて不況カルテルをやった業界である。それはすでに解かれておる。そしてこれが出ている段階のときには、十一月二十日の原料メーカーのほうですね、先ほどの勧告書四号、こちらのほうは、まだ何とも手をつけていられなかったわけですね。そういった時期におけるこういったことがある。これはもう少し時間があれば、これは伝票を取り寄せて持ってくれば証明できますけれども、これは現に行なわれているものです。しっかりやってもらいたい。  国税庁の方、来ていらっしゃいますか。——こうした便乗値上げ、これはもう違法な値上げと断定してもいいと思いますけれども、これが十一月から一月まで三カ月間、大体どのくらいの生産量をあげているか、販売金額がどのくらいであるか、これは業界の消息通の方に伺いました。これは一社大体一カ月に三億円程度である、そのように伺っております。  それで、この業界というのは塩化ビニル管・継手協会。旭有機材工業株式会社、それから岐阜プラスチック工業株式会社、久保田鉄工、小松化成株式会社、シーアイ化成株式会社、積水化学工業株式会社、それから株式会社寺岡製作所、それから東亜樹脂工業株式会社、東洋化学産業株式会社、それから日本プラスチック工業株式会社、日本ロール製造株式会社東京パイプ製作所、それから前沢化成工業株式会社、三菱樹脂株式会社、五十音順と、こう書いてあります。それでこの塩化ビニル管・継手協会、四〇八の三七八八なんて書いてあります。こういったところでこれが行なわれておる。それで、先ほどの周知徹底についても、こうした大どころ、もう必ずきまりきったところがあるわけですね。  ちょっと話が横に進みましたけれども、これが一社大体三億くらい。それで業界全体として月に三十億円くらい。三カ月ですから約百億円。こうした暴利をこういう強制された価格体系によってもうけている。このことについて国税庁としては、この不法な便乗暴利に対して、原料メーカー、商社そして加工メーカー、それぞれにメスを入れるかどうか、承っておきたいと思います。
  458. 吉田冨士雄

    吉田(冨)政府委員 国税庁といたしましては、一般的に買占め防止法の対象物品等を扱っておりまして、最近急激に膨張しておる業界につきましては、重点的に、しかも大口のものから調査するように昨年来指示しておるわけでありますが、この塩化ビニールの業界等の石油化学業界におきましても、おっしゃるように、かつては非常に業績が悪かったようでございますが、最近、特に去年の秋以来、急激に膨張してきておりますので、先ほど申し上げました業界とあわせまして、特に大口に重点的に徹底的な調査をやるように各国税局長指示しております。
  459. 有島重武

    有島委員 私は別にこの業界に恨みがあるわけでも何でもないわけですよ。こうした値上げがほんとうに、不当値上げなんというものではなくて、不法値上げと言えるんだと思いますので、こうした違法な値上げによって泣かされ、それで非常に苦労している、生活を圧迫されている、損した、こうした末端の工事店に対して——これは通産大臣に承っておきましょう。この末端の工事店や一般の消費者がほんとうに損害をこうむった、このことに対して、どういう対策をおとりになりますか。
  460. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 先ほども申し上げましたように、製品メーカー、継手やパイプのメーカーに対しても引き下げを指示いたしまして、二月から引き下げを実施しておるところでございます。個々のお得意さんに対してどういうふうな処置をするかということは、これはなかなか千差万別で、むずかしいところがあると思いますが、これはそれらのメーカー及び問屋そのほかの流通経路を通して将来を戒めるとともに、自分たちがかりに便乗値上げをやったという場合には、値引きによってその償いをするようにさしたいと思います。
  461. 有島重武

    有島委員 それでは大蔵大臣に伺っておきますけれども、こうした状態であります。公正取引委員会、これは機能強化ということをいわれている。人数が足りないということをいわれている。こういった状態、もう一押しすればほんとうに未然に防げる、そういった事態があるわけです。それを、人員の足りないのに日夜努力しておられるわけでございますけれども、こういった点について、大蔵大臣、いまの話を聞いていらっしゃって、どうお考えになりますか。
  462. 福田赳夫

    福田国務大臣 昨今の経済情勢から見ますと、公正取引委員会の使命はなかなか重大だ、こういうふうに考えます。定員につきましては行政管理庁で査定をいたしますが、それを受けて、大蔵省としてもこれを承認する、こういうふうにしておりますし、それから、費用につきましては、これはまあ事務費でございますが、これはできる限りこの機能が生かされるようなふうにいたしたい、かように考えます。
  463. 有島重武

    有島委員 大蔵大臣に申し上げておきたいのですけれども値上げだということになりますと、その値上げの幅は、標準値段というものは、それぞれの段階に応じて、だあっと伝わっていくわけなんです。非常に早く伝わり、かつそれによって、さかのぼって請求されていくような実態があるわけですよ。ところが、公正取引委員会が苦労を重ねて一つの勧告書を出した、その勧告は一向に伝わっていかぬわけであります。それから、いま値段表をお見せしましたこうした値段表も平気でつくっている加工業界の話でございますが、この加工業界のさらに問屋さんや業者の方に承りましたけれども、その中には、いまだに、うちの業界はまだ不況カルテルをやっているはずですよ、こう言っていらっしゃる方がいるわけです。もう数年前にカルテルは解かれているわけです、昭和四十一年。いまだにそんなことを考えていらっしゃる方がいるのですね。  これはほんとうに問題だと思うのですね。政府がやっていることは伝わっていかない。業者のやっていることはすばやく伝わる。結局、値上げによって国民は全部損をする。損をしても、半年も立ってから政府が手を打つ、そんなことをやっていると、国民から見ると、これは業者とぐるになってやっているんじゃないか、そういうふうに見えるわけだ。公取の強化については、もう一重の決意をここでもって披瀝していただきたいと思うのですけれども、いかがですか。
  464. 福田赳夫

    福田国務大臣 公正取引委員会の活動を大いに期待しておりますので、これが予算、財政上の制約によってそこなわれるというようなことがあってはならない、そういうような考え方で処してまいりたい、かようにいたします。
  465. 有島重武

    有島委員 それでは、この質問について終わりたいと思いますけれども、従来指摘されてまいりましたところは、売り惜しみ、買い占め、あるいはもう一つ選別出荷というような概念があろうと思いますけれども、それから、あるいは共同行為、たとえば、公取としてはその業界内の水平的なやみカルテルあるいは垂直的な再販売、こういったところで取り締まってきたわけです。だけれども、私に言わせますと、こうした、きょうお示ししたような、上部業界それから下部の業界、そうしたものが連合して重層的なカルテルを結んでおる、相連動しておる、こうした実態は何もこの塩ビ業界には限らないと思います。  きょうはこの塩ビだけを扱いましたけれども、さらにこの新しい対応策をどうしても今後考えていかなければならないのじゃないかと私は思いますけれども、こうした近い将来の見通しですね、これについて、あるいはその御決意を、公正取引委員長また通産大臣それから大蔵大臣、それぞれから承っておきたいと存じます。
  466. 高橋俊英

    ○高橋(俊)政府委員 本日お示しいただいたこの資料、こういうふうなものがあるものは、実は、申告さえあれば私ども手入れがきわめて容易でございます。むしろ困難なのは——困難なほうに差し向かっておるのですが、証拠の問題などはたいへん捕捉困難でございます。しかし、法律の改正を含めまして、公正取引委員会を実質的に力のあるものとしなければいかぬ、そうしなければ経済効果としては何も出てこない、そういうことをむだな努力にならないように、私どもはそういうことも含めまして、法律改正を含めまして、いろいろの最大の努力を続けてまいるつもりでございます。
  467. 有島重武

    有島委員 経済企画庁長官、いままでずっと聞いていらっしゃいましたから、じゃ、ちょっとお願いします。
  468. 内田常雄

    内田国務大臣 先般も物価対策特別委員会でお答えを申し上げた機会があったと思いますが、私どもの立場といたしましては、先取り値上げ、あるいはやみカルテル等による不当な値上げ等は、これは独禁法に規定があってもなくても、現実の問題として、でき得る限りその物資の担当官庁に引き下げるような行政措置をしていただくという方針で臨んでおりますが、この塩化ビニールにつきましては、先ほど来論議がございましたように、ことしに入りましてから、通産省も非常に努力されまして価格の引き下げを指示し、また、その二次製品でありますところのビニール管につきましても、これは公取のほうの発動はございませんでしたけれども、関連物資として通産省から価格引き下げの行政措置をされました結果、価格がかなり引き下げられたことが見られております。それは有島さんがいまお示しになりました紫色のリプリントの右側のほうの物価指数がずっと出ておりますが、あの二月分につきましても、指数は、昭和四十五年からの指数でございますが、一月に比べまして引き下がりが出ておりますし、また、私の記憶いたしておりますところによりましても、ビニール管は前旬に比べまして四・四%ほど初めて下がりまして、私も愁眉を開いておるわけでありますが、その趨勢をできるだけ推し進めてまいりたいと思います。
  469. 福田赳夫

    福田国務大臣 公正取引委員会の機能が十分に生かされるように、予算上、支障のないように対処いたします。
  470. 中曽根康弘

    中曽根国務大臣 便乗値上げは許さない、もし万一やった場合には引き下げさせる、将来繰り返させない、こういったことでいきたいと思います。
  471. 有島重武

    有島委員 文部大臣、ずっと待っていただいて、もう時間がなくなっちゃって、あと二、三分しかないようでございますけれども、ちょっとお許しいただいて、五分くらいでもって終わります。  一つの問題だけやりますけれども新聞の報道によりますと、筑波大学の建築がたいへんおくれているそうであります。それで文部省から伺いました。それを見ますと、もう四月一日にはすべての建物ができるような報告をいただいておる。ところが、それは実は計画のようなものであって、実態じゃないのじゃないか、このように私は思いました。  そして、調査してみましたところ、いま道もできておらぬし、寄宿舎も建つ見込みもないみたいだし、たとえ開校になっても、これは十分に機能できないのじゃないか。あそこは陸の孤島のようなところでございまして、学生さんたちも非常に、女子学生など特に危険でもあろうし、なかなかこれは工事はたいへんであろう、このように思うわけなのです。  で、筑波大学につきましては、私ども大学の内容については、いささか——いささかどころじゃなくて大いに疑念がある。そして文教委員会においてこれは論議の的になったわけでございますが、この広いところに学園都市をつくっていくのだ、そうした構想そのものについては、私たちはすでに賛成してきているわけであります。  そこで文部大臣、これは四月からほんとうにどうでもこうでも、ごり押ししてでも開校なさるのか、あるいはいまの状況を見まして、ほんとうの実態を見まして、そして七月開校になさるかあるいは秋からになさるか、そういったようなことをお考えになっていらっしゃるかどうか。そして、もしごり押しをやればこんなにひずみが出るんだという材料を実はたくさん持ってきているのですが、それが十分できませんけれども、もうひどいことになりそうだと私は思うのです。ですから、その見通しについてお考えをお聞かせいただきたい。
  472. 奥野誠亮

    ○奥野国務大臣 筑波大学は昨年の十二月開学になっているわけでございます。経済的な混乱などがございましたので、御指摘のように工事が若干おくれております。体育専門学群の校舎が五月中旬完成予定、図書館が四月中旬完成、体育館が四月中旬完成予定、寄宿舎は四月初旬に二棟、残りの五棟は五月中旬完成予定、こういうふうになっているわけでございます。そういうこともございますので、大学当局は入学式を四月二十五日と予定をいたしておるわけでございます。若干おくらせるわけになります。  しかし、筑波大学は当初からフレッシュマンセミナーというものを考えておったわけでございまして、したがいまして、二十五日に入学式を行ないまして、二十六日からはオリンピック記念青少年総合センター、ここで全学生と教職員とが泊まり込みでフレッシュマンセミナーに参加するわけでございます。そうして人間的交流を深めることを重視しながら大学生活へなじませる、こういう計画を持っておるわけでございます。さらにまた、引き続いて、御殿場の国立中央青年の家、ここでも同じ計画を続けるわけでございます。  したがいまして、工事のおくれた間は、いま申し上げましたオリンピック記念青少年総合センター及び引き続きまして国立中央青年の家、ここで泊り込みの演習を実施するということにしているわけでございます。そういうことを通じまして、人間的な触れ合いを強化するというような考え方に立っております。  したがいまして、施設整備の若干のおくれ、いま申し上げたとおりでございますけれども、そのことは筑波大学全体の教育計画には大きな支障は及ぼさない、かように考えているところでございます。また、もちろんそのように努力していかなければならないと存じております。
  473. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 時間が来ておりますから、どうぞ……。
  474. 有島重武

    有島委員 これでおしまいにします。  いまのお話な伺いますと、筑波大学に入学なさった方は、オリンピックセンターや青年の家に詰め込んで、そして教育をなさる、教育に支障はない、そのようなことをおっしゃっておりますけれども、私はなおその点にも疑念を持ちます。それから、そうしていて建築のほうはゆっくりやっていくというようなお話でございますけれども、これは相当ハッパがかかっているといいますか、促進させていられると思います。きょうはできませんでしたが、お手元に質問の要旨、資料みたいなものを差し上げましたけれども、実は相当建築上いかがと思われるようなしわ寄せがいっておる、これは、場合によっては、契約違反になるのじゃないかと思われるようなこともあるわけなんですけれども、こうしたことをさんざんやっておいて急激に推し進める、そのしわ寄せがまた業者に押し寄せる。そしてできたものはもうすでに鉄筋コンクリートの中身の棒なんかは細いのを使ったり何かする実態がございます。こういう姿そのものが、実ははなはだ非教育的な——まあ飛躍がありますけれども、とにかく形だけどんどんどんどん早くつくっていこう、それで多少粗悪のものがまじっても、あとになればわからないというようなことが万一あれば、これはゆゆしき問題であろうと思うのです。ですから、開校する日にちですね、これもよくもう一ぺん御検討なすったほうがいいのじゃないか。これは御提案申し上げる。これも今度チャンスがありましたらば、詳しく委員会でお話し申し上げたいと思います。  どうもありがとうございました。
  475. 荒舩清十郎

    荒舩委員長 これにて有島君の質疑は終了いたしました。  次回は、来たる二十五日午前十時より開会いたします。  本日は、これにて散会いたします。    午後七時十一分散会