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荒木委員 いま、製造原価について問題になっておる
一つに米があります。これは国民の食糧のもとであり、一非常に重要な問題でありますけれ
ども、米の生産費については、これは
政府が米生産費調査というのをやっております。これについては、米の生産費統計というのがありまして、この中を見ますと、調査部というのがあり、農林省の関係の調査員が農家へ行って、そしてこの米をつくるためにどのぐらいの資材が要っているか、まあ事こまかに調べて、こういう表現が当たるかどうかわかりませんが、農民の人たちのさいふの底まで調べるような調査をやって、米の生産費がこれですと発表しておるのです。これは、私は農林省の担当者に聞いてみました。いつからやっているのですか、五十年前からやっています。そうしてどの
程度の刻みで調べるのですか、月計簿というのをつくってやっているのです、毎日の動きですね。農民の皆さんは、御
承知のように、生産者米価を上げてほしい、こういう要求を持っておりますけれ
ども、むしろ
政府のほうは、財政その他の理由ということで、なるべく上げないようにというような
配慮でしょうか、もう事こまかに調べて、そうしてそれを発表しておる。
だとすれば、この大企業製品について、どうして
政府が米の生産費、農民に対してやっておるようなことと同じようなことをやれないか、私はこう思うのです。もちろん、工業とそれから農業の違いはあります。また、それぞれ条件の違いはありますけれ
ども、しかし、農民に対してやっておることを大企業に対してやれない、これはないだろう。また、そう言い切るのが、もしかりに問題があるとすれば、国民は、少なくとも農民に対しては徹底的に調べるけれ
ども、大企業に対しては、何だかんだと言いながら、結局はやらないのじゃないか。まあ、いろいろ汚職の話があります。私は、そのことをいまここで詳しく言おうとは思いません。しかし、
総理が言っておる自由主義経済、農民に対しては詳しく調べて、そうして大企業に対しては調べないというふうな、こういったやり方が自由主義ということで通るのだろうか。あるいは正直者がばかを見ないようにと言われる。便乗値上げの疑いが強いと
公正取引委員会はいっている。そういうときに、消費者であり、そして勤労者であり、働いている一億国民が、はっきりしてほしい、これは下げる余地があるのじゃないか、こう思っておるときに、正直者がばかを見ないように、下げる余地があれば、どうせ先で上がるかもしれぬのだから、それまで延ばしてとか、そんなのじゃなくて、やはり押える、はっきりさせる。
私は、自由民主党の今度の大会の運動方針というのを拝見したのでありますけれ
ども、これを拝見しますと、この中で、こういう時期に「暴利をむさぼる悪徳業者に対しては、自由社会の倫理と
秩序を破壊する国民の敵として、きびしく糾弾する。」先ほど私が言いましたような、この企業の例で、一億国民をだまし、報道機関をだまし、
政府までだまそうとして、そして値をつり上げているところは、これはまさに皆さん自身がおっしゃっている「国民の敵」としてこれを糾弾し、下げる余地があったら即時下げさせる、こういうふうに
考えるのであります。
先ほど歯切れよくという御返事がありました。歯切れよく……(
田中内閣総理大臣「歯切れよくでなく、明確にです」と呼ぶ)原価の公表をしない、こういうふうな御返事があったのであります。もし、そうでないとすれば、私は、やる道は幾らもあると思うのです。こういった
石油業界に対して
——時間がありませんから詳しい数字は申し上げませんけれ
ども、開銀から融資も出ているでしょう。現に出ているのですよ。
開発銀行に聞きました。そして
開発銀行の標準契約書というのを見ますと、その中にはこういうのがあります。もしこの企業が
——これは契約書の第五条でありますけれ
ども、開銀が金を出して、そしてそこがもうけて、ふところが楽になったときには返してもらうことができる、こういう
規定だってあるのです。だとしたら、こんなあくどい手口で、そして国民に対して弓を引いておるようなそういう企業からは、
政府系金融機関は金を引き揚げるべきじゃないでしょうか、あるいはこれから貸さないというふうに
態度をはっきりすべきじゃないでしょうか。やれることは、現行法の中でも幾らでもあるのです。それでなおやれなければ、これは法律を変えればいいのです。ここに対して出しておる、いろいろな引き当て金だとか、あるいは準備金だとか、そういった法律上の減免税の
措置もあります。これの金額も申し上げませんけれ
ども、ほんとうに
総理が言われるように、大企業の実態を明らかにして物価を下げる、こういった方向でやるとすれば、幾らでもやる方法がある。
私が提案をしましたような、いまの融資の問題、それから税制度に対する改廃の問題それとともに、もう一度原価の調査、公表の問題をすべきであると思いますが、御
意見をはっきり伺いたい。