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1974-03-28 第72回国会 衆議院 本会議 第21号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年三月二十八日(木曜日)     —————————————  議事日程 第二十号   昭和四十九年三月二十八日    午後一時開議  第一 農用地開発公団法案内閣提出)  第二 国会議員選挙等執行経費基準に関     する法律の一部を改正する法律案内閣     提出)     ————————————— ○本日の会議に付した案件  日程第一 農用地開発公団法案内閣提出)  日程第二 国会議員選挙等執行経費基準   に関する法律の一部を改正する法律案内閣   提出)  会社臨時特別税法案村山達雄君外一名提出)   福田大蔵大臣昭和四十七年度決算概要に   ついての発言及び質疑    午後一時十九分開議
  2. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) これより会議を開きます。      ————◇—————  日程第一 農用地開発公団法案内閣提出
  3. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 日程第一、農用地開発公団法案議題といたします。
  4. 前尾繁三郎

  5. 仮谷忠男

    仮谷忠男君 ただいま議題となりました内閣提出農用地開発公団法案につきまして、農林水産委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における農畜産物の需給の動向等にかんがみ、開発して農用地とすることの適当な未墾地等が相当の範囲にわたって存在する地域において、農畜産物濃密生産団地建設するため、農地開発機械公団を廃止して、新たに農用地開発農業用施設整備等業務を総合的かつ計画的に行なう農用地開発公団を設立することとし、その組織、業務、財務、会計、並びに農地開発機械公団の解散及び承継等について所要規定を設けております。  本案は、二月十二日に提出され、同月二十日農林水産委員会に付託されました。  委員会におきましては、二月二十七日農林大臣から提案理由説明を聴取し、三月五日から二十六日までの間に五回にわたり質疑を行ない、その間、参考人から意見を聴取する等、慎重に審査を重ね、三月二十六日質疑を終了いたしましたところ、日本共産党革新共同委員から修正案提出され、採決の結果、修正案賛成少数をもって否決され、本案全会一致をもつて原案のとおり可決すべきものと議決した次第であります。  なお、本案に対し、附帯決議が付されました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  6. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  7. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————
  8. 前尾繁三郎

  9. 福永健司

    福永健司君 議題国会議員選挙等執行経費基準に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、公職選挙法改正に関する調査特別委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  本案は、最近における公務員給与改定、賃金及び物価変動等に伴い、国会議員選挙等執行について国が負担する経費地方公共団体に交付するものの現行の基準が、実情に即さないものとなっておりますので、所要改定を加えようとするものであります。  すなわち、投票所経費開票所経費選挙公報発行費ポスター掲示場費等関係基準額実情に即するよう引き上げようとするものであります。  なお、この法律は、公布の日から施行することといたしております。  本案は、去る二月九日本特別委員会に付託され、同二十八日町村自治大臣より提案理由説明を聴取した後、慎重審議を行ない、三月二十七日質疑を終了し、採決の結果、全会一致をもって原案のとおり可決すべきものと決した次第であります。  なお、本案に対しましては、全会一致をもって附帯決議を付することに決定いたしました。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  10. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告のとおり決するに御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  11. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  会社臨時特別税法案村山達雄君外一名提出
  12. 森喜朗

    森喜朗君 議事日程追加緊急動議提出いたします。  すなわち、この際、村山達雄君外一名提出会社臨時特別税法案議題となし、委員長報告を求め、その審議を進められんことを望みます。
  13. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 森喜朗君の動議に御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  14. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 御異議なしと認めます。よって、日程は追加せられました。  会社臨時特別税法案議題といたします。
  15. 前尾繁三郎

  16. 安倍晋太郎

    安倍晋太郎君 ただいま議題となりました会社臨時特別税法案につきまして、大蔵委員会における審査経過並びに結果を御報告申し上げます。  この法律案は、最近における物価高騰その他のわが国経済の異常な事態にかんがみ、それによってもたらされた企業利得の一部を吸収すると同時に、現に行なわれております総需要抑制政策を補完するという観点から、大企業利得の一部に対して特別の追加負担臨時に求めようとするものでありまして、その概要は次のとおりであります。  第一に、納税義務者は、この特別税創設の趣旨から、これを株式会社その他の会社及び相互会社に限ることとし、臨時措置として、会社利益の一部について課税することとしております。  第二に、課税標準は、法人の各事業年度所得に対する算出法人税額のうち、所得年五億円または払い込み資本金の年二〇%に相当する金額のいずれか高い金額をこえる部分に対応する金額によることとし、これに一〇%の税率を乗じて税額を算出することとしております。  なお、法人税基本税率の引き上げが、本年五月一日以降に終了する事業年度から適用になることを勘案し、本年四月三十日以前に終了する事業年度につきましては、その税率について所要調整を行なうこととしております。  第三に、この特別税は、通常の法人税と同様に、事業年度終了後二カ月以内に申告し、納付することといたしておりますが、その性格上、法人税と異なり、この特別税については延納を認めないこととしております。  第四に、この法律昭和四十九年三月末に施行されることを予定しつつ、施行日以後二年以内に終了する各事業年度について、時限的にこの特別税を適用することとしております。なお、経済の異常な事態が解消したときは、一年以内に終了する各事業年度に限り適用することとし、その際は、別途所要措置を講じて、この法律を廃止することとしております。  以上が本案概要でありますが、このほか、日本社会党から同名の会社臨時特別税法案日本共産党革新共同から臨時超過利得税法案公明党から同じく臨時超過利得税法案がそれぞれ提案されました。  これらの各案については、一括して討論を行ないましたが、自由民主党を代表して森美秀君は、本案賛成し、社会共産公明各党提案法律案に反対する旨を、日本社会党を代表して山田耻目君は、本案並びに共産公明各党提案法律案に反対し、社会党提案法律案賛成する旨を、日本共産党革新共同を代表して荒木宏君は、本案に反対し、共産党提案法律案賛成する旨を、公明党を代表して田中昭二君は、本案並びに社会共産各党提案法律案に反対し、公明党提案法律案賛成する旨を、民社党を代表して竹本孫一君は、四法律案全部に反対する旨をそれぞれ述べられました。  次いで、本案について採決を行ないましたところ、多数をもって原案のとおり可決すべきものと決しました。  なお、他の三法律案につきましては、本案が可決すべきものと議決せられましたことに伴い、議決を要しないものと議決いたしましたことを申し添えます。  以上、御報告申し上げます。(拍手)     —————————————
  17. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 採決いたします。  本案委員長報告は可決であります。本案委員長報告のとおり決するに賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立
  18. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 起立多数。よって、本案委員長報告のとおり可決いたしました。      ————◇—————  福田大蔵大臣昭和四十七年度決算概要についての発言
  19. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) 大蔵大臣から、昭和四十七年度決算概要について発言を求められております。これを許します。大蔵大臣福田赳夫君。   〔国務大臣福田赳夫登壇
  20. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げます。  昭和四十七年度予算は、昭和四十七年四月二十八日に成立いたしました。この予算は、わが国経済国際経済との調和をはかりつつ、国民福祉向上をはかるという基本方針のもとに編成されたものであります。  さらに、その後における人事院勧告実施等に伴う公務員給与改善等について措置するほか、経済情勢の変化に伴い、特に緊要となった経費について所要措置を講ずるため、昭和四十七年十一月十三日補正予算が成立いたしました。  この補正によりまして、昭和四十七年度一般会計予算は、歳入歳出とも十二兆千百八十九億四千九百十三万八千円となりました。  以下、昭和四十七年度決算につきまして、その内容を数字をあげて御説明申し上げます。  まず、一般会計におきまして、歳入決算額は十二兆七千九百三十八億円余、歳出決算額は十一兆九千三百二十一億円余でありまして、差し引き八千六百十七億円余の剰余を生じました。  この剰余金は、財政法第四十一条の規定によりまして、一般会計昭和四十八年度歳入繰り入れ済みであります。  なお、昭和四十七年度における財政法第六条の純剰余金は二千八百五十七億円余であります。  以上の決算額予算額と比較いたしますと、歳入につきましては、予算額十二兆千百八十九億円余に比べて、六千七百四十九億円余の増加となるのでありますが、この増加額には、前年度剰余金受け入れ予算額に比べて増加した額三千百二億円余が含まれておりますので、これを差し引きいたしますと、昭和四十七年度歳入の純増加額は三千六百四十七億円余と相なるのであります。  その内訳は、租税及び印紙収入雑収入等増加額七千二百四十七億円余、公債金における減少額三千六百億円余と相なっております。  一方、歳出につきましては、予算額十二兆千百八十九億円余に、昭和四十六年度からの繰り越し額九百五億円余を加えました歳出予算現額十二兆二千九十四億円余に対しまして、支出済み歳出額は十一兆九千三百二十一億円余でありまして、その差額二千七百七十三億円余のうち、昭和四十八年度に繰り越しました額は千八百六十五億円余となっており、不用となりました額は九百七億円余と相なっております。  次に、予備費でありますが、昭和四十七年度一般会計における予備費予算額は千百億円であり、その使用額は二千九十九億円余であります。  次に、昭和四十七年度特別会計決算でありますが、同年度における特別会計の数は四十一でありまして、これらの決算内容につきましては、特別会計歳入歳出決算によって御了承願いたいと存じます。  なお、これらの特別会計歳入歳出決算額を合計いたしますと、歳入決算において二十二兆五千六百七十二億円余、歳出決算において十九兆三千六百九十七億円余であります。  次に、昭和四十七年度における国税収納金整理資金受け入れ及び支払いでありますが、同資金への収納済み額は十兆三百二十六億円余でありまして、この資金からの歳入への組み入れ額等は十兆五十一億円余でありますので、差し引き二百七十五億円余が昭和四十七年度末の資金残額と相なります。これは、主として国税にかかる還付金として支払い決定済みのもので、年度内に支払いを終わらなかったものであります。  次に、昭和四十七年度政府関係機関決算内容につきましては、それぞれの決算書を御参照願いたいと存じます。  以上、昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算特別会計歳入歳出決算国税収納金整理資金受払計算書及び政府関係機関決算書につきまして、その大要を御説明申し上げた次第であります。(拍手)      ————◇—————  昭和四十七年度決算概要についての発言に対する質疑
  21. 前尾繁三郎

    議長前尾繁三郎君) ただいまの発言に対して質疑の通告があります。順次これを許します。唐沢俊二郎君。   〔唐沢俊二郎登壇
  22. 唐沢俊二郎

    唐沢俊二郎君 ただいま、大蔵大臣から、昭和四十七年度一般会計歳入歳出決算外三件について報告がありましたが、自由民主党を代表いたしまして、総理大臣に対し質疑をいたしたいと存じます。  申すまでもなく、予算は適正かつ効率的に執行せらるべきでありますが、会計検査院の昭和四十七年度決算検査報告によりますと、不当事項等多数指摘されており、まことに遺憾にたえません。政府及び関係当局指摘事項に対しどのような処置を講じられたのか、また、その根絶を期するためどのような努力を払っておられるのか、総理大臣の御所見を承りたいと存じます。  決算審査の意義は今後の予算編成にも寄与することにありますので、次に当面問題となっている二、三の点につき、具体的に質問をいたします。   〔議長退席、副議長着席〕  まず、委託費について申し上げますと、四十七年度において、総理府所管科学技術庁関係で、好ましからぬ事例が見受けられます。政府は、この際、委託費支出にあたって、委託契約内容を総点検し、報告書審査を強化して、いささかも国民から疑惑の目で見られることがないよう処置を講ずべきだと思いますが、お考えを承りたいと存じます。  次に、赤字特別会計、公社、公団等のうち、日本国有鉄道について申し上げますと、四百億円の政府助成にもかかわらず、四十七年度の損失は三千四百十五億円にのぼり、ついに累積赤字は一兆一千四百十一億円に達しました。驚くべきことは、この赤字国鉄において、動労及び国労の違法なストライキ及びサボタージュが、四十七年度一年間に実に百十六日に及んでいることであります。(拍手)一年のうち三分の一はサボったり休んだりしていた。その結果、九万九千八百九十本が運休となり、これによる損害は、減収額二百八十億円、施設等物的損害約六億円と見込まれております。特に貨物輸送は前年度に比べ二十七億トンキロの純減となり、国内貨物輸送に占める国鉄のシェアはついに一七%に低下いたしました。再建途上にある国鉄にかかる致命的打撃を与えたこと自体問題でありますが、この一連のストは、延べ一億二千万人の足を奪い、生活必需品輸送を停滞させ、物価高騰を招き、国民生活をかつてない混乱状態におとしいれたのであります。そして国民各界から強い非難を受けたことはまだ記憶に新たなところでありますが、去る三月一日及び二十六日には、またまた、性こりもなく、しかもILO結社自由委員会百三十九次報告百二十四項で強く戒めている計画的政治ストを実施したことは、まことに遺憾であります。(拍手)  私は、国鉄職員業務緊張度の高い、危険かつ不規則であることは存じております。また、わが党も、職員待遇改善をはかり、さらに夢と希望を与えるべく、国鉄再建に全力を傾注しているさなかであります。しかるに、動労及び国労が、みずからの置かれた立場を無視し、公共輸送の使命と責任を忘れ、社会的弱者のための闘争と称しながら、再び老人や子供の足を奪う暴挙に出たことは、絶対に許すことはできません。(拍手)  さらに、紙不足の今日、街頭に乱舞するビラを手に、眼光紙背に徹すれば「混乱に乗じて議会制民主主義を破壊せんとする動きあり」と断ずる人もおります。国民春闘とは名のみ、これぞまさしく狂乱春闘であります。(拍手)  政府春闘対策に並々ならぬ熱意を示してまいりましたが、公共輸送、特に国鉄については、今後もじっくり話し合うよう労使に勧告し、また、正しい主張は認めても、不当かつ不法の手段に対しては、絶対に、まあまあではなく、き然とした態度をとるべきだと思いますが、総理の御見解を承りたいと存じます。(拍手)  次に、繰り越し額について申し上げますと、建設省関係が九百四十九億円と、全体の約半分を占めております。問題は、政府が最も重点を指向している公営住宅建設事業費について、予算現額千三百億円に対し、繰り越し額が三百六十一億円にのぼっておるということであります。住宅難にあえぐ国民が七百万人にのぼる今日、予算を効率的に執行し、一戸でも多くの住宅を供給することは目下の急務であり、わが自由民主党の最大の政策であります。私は、今後においてもこのような非効率的な予算執行が行なわれるのではないか、最も危惧するものであります。  繰り越し額のずば抜けて大きいのは東京都であります。東京都に対する補助金で四十七年度公営住宅建設事業費予算現額二百九十一億円に対し、繰り越し額は百七十二億円であり、実に六〇%は繰り越しておるのであります。もし予算が適当に執行されておれば、一種中層住宅で一万六千戸が供給できたわけであり、入居希望者が二十三倍にものぼっていることを考えますとき、都民にまことに申しわけなく、遺憾のきわみに存じます。  総理は、東京に在住せられること三十五年三カ月、都民の心を心とせられております。このような事態をどのように理解し、また、解決に努力せられているか、伺いたいと存じます。と申しますのは、住宅に困っている都民が、公営住宅が建たないのは、田中さんの責任か、美濃部さんの責任か、判断に迷っておるからであります。(拍手)  公営住宅建設は、地方自治法第二条第三項第六号及び公営住宅法第三条で明らかなごとく、地方公共団体固有業務であります。政府がやっきになっても、地方公共団体熱意がなければ、笛吹けど踊らずの結果に終わります。かかる弊害を除去するため、住宅建設基本法等新規立法によって、義務教育のように、地方公共団体の責務をより明確にする考えはないか。  また、公営住宅制度自体にも問題なしとしないわけであります。建設の主たる障害は、市町村や周辺地域住民との話し合い不調によるものであります。したがって、周辺整備費等を捻出して地域住民との円滑なる調整をはかるとか、大団地主義を捨て、一棟ごとの建設等きめこまかな政策を講ずるとか、いっそのこと、民間住宅建設補助を強化するとか、いずれにせよ、公営住宅制度抜本的政策転換をはかるお考えはないか、御所信を承りたいと存じます。(拍手)  わが国にとって対外援助重要性は、言うをまちません。しかし、四十七年の政府開発援助について申し上げますと、援助供与約束額十億一千八百万ドルに対し、支出額は六億一千百万ドルにすぎず、GNP比率は、前年比〇・〇二%低下いたしました。これは相手国側の事情にもよるでありましょうが、先進十六カ国できついほうから三番目といわれるわが国側の条件、金利、償還期限等のきびしさにもよるのではないか、再考を要すると思います。  さらに、わが国経済協力総額アメリカに次いで大きいにもかかわらず、被援助国からそれ相当の評価を受けていないように見られるのでありますが、これは対外援助内容及び方法に問題があるのではないでしょうか。もちろん、被援助国経済発展に資するため、商品借款工場等プロジェクト借款も必要であります。しかし、目玉商品として、有償無償を問わず、被援助国すべての国民が、これは日本がわれわれのためにつくってくれたんだ、ウエルダン・ウエルダン・サンクスと感謝するようなもの、たとえば学校、病院等教育社会福祉施設、道路、橋梁等公共事業にもっと重点を指向すべきではないかと思うのでありますが、御見解を承りたいと存じます。  最近、在外公館におきまして、情報の収集不足在留邦人相手国との連絡不十分がしばしば指摘されております。もちろん、外交官姿勢責任感にも関係があると思います。しかし、まず定員人員配置に問題があるのではないか。すなわち、昭和四十八年十月における外務省定員は二千八百七十一人で、これはアメリカの四分の一、西ドイツやインドの約半分であります。わが国戦前昭和十三年と比較いたしましても、大、公使館数が五十九ふえているにもかかわらず、外務省定員戦前の約六〇%にすぎません。その結果、必要性をとみに増してきたアラビア語高度通訳はわずか三十四人、アラブ諸国にある大使館でアラビア語を自由にあやつれるのは、一館平均一人という現状であります。一方、業務量は、電信数旅券発給数等大幅に増加しており、これで十分に外交の実をあげるわけにはまいりません。アメリカのカリフォルニア州と同じ面積に一億七百万人がひしめき、工業原材料の八五%を海外に依存しているわが国の進むべき道は、貿易立国であります。貿易量の増大なくして社会福祉国家建設は、木によりて魚を求むるがごときものであります。私の希望するのは、広く諸外国から理解され、尊敬され、信頼される日本であり、逆に最もおそれるのは、話し合いも、貿易も思うようにはかどらない、孤影しょう然たる祖国であります。したがって、行政簡素化には逆行するかもしれませんが、一日も早く外務省人員増加及び人材確保をはかるよう総理大臣に要望いたします。(拍手)すなわち、大使については、米国や中南米のように、広く民間各界から起用するとともに、信賞必罰を明らかにし、中堅幹部については特別任用のワクを広げ、新規採用は計画的に大幅な増加をはかり、さらに、若手は長期間の在外研修を通じ、各国と血の通った接触を保てるようにすべきであります。外交は黒白を判じがたいグレーエリアのものであり、その功は、自己満足か、後世の史家の判断にまつほかはなく、その御苦労のほどはお察しいたします。しかし、時局は重大であります。変転著しい国際情勢に対処するため、よろしく刮目せられ、外務省充実強化省内刷新に大英断をふるわれるお考えはないか、御所信を承りまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮登壇
  23. 田中角榮

    内閣総理大臣田中角榮君) 唐沢俊二郎君にお答えいたします。  第一は、不当事項根絶についての御発言でございますが、予算執行にあたりましては、各省各庁において、その衝に当たる関係職員が、法令等の定めるところにより、適正かつ効率的な処理を行なうよう、十分留意をいたしておるところであります。  四十七年度におきましても、相当件数につきまして不当事項指摘を受けておることは、まことに遺憾でございます。今後とも、予算執行にあたりましては、適正な処理を行なうよう指導の徹底をはかりますとともに、会議研修等により関係職員の資質の向上につとめ、再び同じような誤りを繰り返さないよう、姿勢を正してまいるつもりでございます。  春闘に対する態度についての御発言でございますが、わが国は御指摘のとおり法治国家であり、法の順守は、国民全体にひとしく課せられた義務であります。政府としては、従来から、職員経済的要求に対しましては、極力前向きに取り組むとの姿勢を貫いておるところであります。また、公正なる第三者機関である公労委の下す仲裁裁定につきましては、これを完全に実施いたしておるのが現状であります。  国鉄の一部組合は、このような政府基本方針にもかかわらず、あえて話し合いによる平和的な解決を捨て、政治的目的のためにストを計画し、違法なスケジュール闘争を行なっておることは事実であります。これは国民に多大の迷惑をかけるばかりではなく、法を無視する行為が継続されていることは、まことに遺憾であります。政府としましては、このような争議行為に対しては、法に照らし厳正な態度で臨む所存であります。(拍手政府国民が一体となって物価問題の解決に取り組んでいる現段階において、しかも国鉄財政が危機に瀕している現在、このような違法な争議を繰り返すことは、まことに遺憾であり、組合員諸君の深い自重を求めたいのであります。(拍手)  公営住宅建設費の繰り越し問題等について言及がございましたが、公営住宅建設につきましては、近年特に東京、大阪等の大都市地域における事業の実施が著しくおくれておることは、御指摘のとおりでございます。その結果、四十七年度事業につきましては、全国合計で三百六十一億円の繰り越しを余儀なくせられておるのが現状でございます。この原因としましては、住宅建設に関する地元市町村、地区住民との調整の難航、用地の確保難等がそのおもなものと考えられます。かかる事態に対処するために、基本的には、大都市地域における宅地供給対策の拡充をはかりますとともに、既成市街地における再開発事業の促進策を講ずることとしておるわけでございます。また、緊急的な施策としましては、国、公有地の活用、また区画整理事業の推進、既存公営住宅建てかえ事業の促進、市街地内空閑地の利用促進等の措置を講じ、公営住宅建設事業を推進し、予算の適切な執行に努力をしてまいりたいと考えます。  特に大都市における公営住宅について申し述べますと、住宅建設の直接の責任は当該地方自治体が主体であることに責任を感じ、政府と相協力してこれが建設促進に努力されるよう切に望みたいのであります。(拍手)   〔国務大臣大平正芳君登壇
  24. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 私に対する御質疑は、わが国の対外経済援助の内容の改善についての御指摘でございました。わが国対外援助内容は、御指摘のように、工業、農林漁業の部面のみならず、社会福祉の向上、インフラ部門の充実等を重視すべきであることは、かねてから政府演説等を通じまして政府も主張してまいったところでございます。政府はかような方針のもとで、御指摘のように、教育、医療、生活環境の整備等につきまして、今後なお一そうの積極的な推進をはかりたいと存じております。  第二に、外務省の機構、人事管理等につきまして、深い御理解と激励をいただいたことを感謝いたします。今後御指摘の線に沿いまして、機構の拡充、信賞必罰、民間人の登用等の断行、人事の刷新等につきまして、一段と努力をしてまいるつもりでございます。(拍手)     —————————————
  25. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 稲葉誠一君。   〔稲葉誠一君登壇
  26. 稲葉誠一

    ○稲葉誠一君 私は、日本社会党を代表して、ただいま報告のありました四十七年度決算に関連をいたして、総理質問をいたします。  総理は、わかった、わかったと、こうよく言うのですが……(「近ごろ言わなくなった」と呼ぶ者あり)近ごろ言わなくなったですか。国民は近ごろあなたの言うことがよくわからないのであります。そこで、私は、役人のつくった作文等を読むのはやめて、遠慮なく腹を割ってほんとうのことを国民に語ってもらいたいと思います。(拍手)それでなくては、ここで私が質問する意味がないし、そしてまた、あなたの持ち味も生きてこないと思うのでございます。  序論でございます。  その一、経済運営の基本に対する考え方をお伺いいたしたいのでございます。  日本は小さい国である、資源が乏しい、人口は多い、したがって、製品輸出にたよって外貨を獲得する以外に道はない、そのためにはどうしても大企業、大資本家に税金をまけてやったり、金利を低くして便益をはかり、経済を運営せざるを得ないのである、大企業、大資本実が繁栄するということは、すなわち日本の繁栄である、その繁栄は回り回って国民のところに来るのであるから、国民はそれまでがまんしてほしい、これがあなたの考え方だと私はそんたくをいたします。しかし、私は考える。回り回って国民のところに一体その恩沢が来るだろうか。確かに来ます。しかし、来るのは異常な物価高であり、公害であり、職業病等でございまして、回り回っているうちに、みんなよいところは大企業や大商社に吸い取られてしまうのではないでしょうか。これが実際の姿、資本主義というものの姿ではないのか。あなたは総理に就任以来二年近く、この間の政治の中で、国民に対して、パンを求める者に対して石を与えたのではないでしょうか。あなたの顔は国民のほうには向いていない。ちょっと向いても、すぐまた他の方向に向いてしまうのではないでしょうか。国民の福祉や生活、それをあと回しにした経済の運営ではないのでしょうか。私はどうもこの点について疑問を持っておるのでございますから、どうか遠慮なく反論をしていただきたいと思うのでございます。  その二は、国会の運営に対する態度でございます。  議院における証人の宣誓及び証言等に関する法律に対しまして、あなたは予算委員会で、あたかもこの法律が占領軍によって無理に成立させられたものであり、きわめて不本意であること、かつ、憲法の条章に競合し、刑事被告人との関連においても憲法違反であるかのごとくとれる発言をしておるのでございます。  この法律は議員立法であり、わが党の淺沼元委員長が提案説明したものでございまするが、国民として、商社を証人として喚問し真相を究明すべしとの世論に対し、その抵抗をどうして試みたのでございましょうか。かかる国民感情を軽視し、無視し、大企業擁護の態度をとるその真意、そしてまた、この法律に対する考え方を明らかにしていただきたいと思います。  本論に入りまするが、その一は、今日の異常な物価の狂乱、悪性インフレは、総理が就任した直後の卸売り物価高騰に端を発しております。それらの異常な物価高騰は、社会の階層に異なった影響を与えるのであります。  そこで、私は、インフレはある階層に利益をもたらし、また他の階層に不利益を与えることを、数字をあげて指摘をいたしたいと思います。  一つ、年収百五十万円の勤労者がことしの春闘で三〇%、四十五万円の賃上げを獲得いたしたとしますと、年収は百九十五万円になります。ところで、二〇%物価が上がれば、百九十五万円の年収は実質的に三十九万円切り下げられるわけでございます。賃金は三十九万円切り下げられても、賃上げがそれを上回って、三〇%、四十五万円獲得されたのであるから損はない、実質的に所得はふえた、これがあるいはあなたの論理であろうかと思うのでございまするが、私はこれは間違いだと思うのです。なぜなら貯蓄は減価をいたします。勤労者一世帯当たり二百万円として、二〇%、四十万円が実質的に減少をいたします。この貯蓄の減価と賃金の減価の合計は七十九万円でございまして、四十五万円賃上げしても三十四万円損をすることになります。  だれにもわかるきわめて平凡な真理だと思うのでございまするが、あなたはこれをそうであるというふうにお認めでございましょうか。問題にまともに答えていただきたいと思います。(拍手)  そしてまた、わが国企業構成は、借り入れ金が八四%、自己資本が一六%でございまして、西ドイツその他とは逆でございます。つまり、借金によって設備投資を行ない、高度経済成長をもたらし、わが国の生産力を世界第三位に拡大いたしました。したがって、わが国企業は、ひいては資本主義経済は、この過剰な負債をインフレによって切り捨て、軽減したいという本能を持っておるのではないでしょうか。インフレによって貨幣価値が二〇%減価をすれば、百三十九兆円にのぼる借金、これは四十六年度法人企業総計でございまするが、約二十八兆円も切り捨てられます。これまで池田、佐藤、田中内閣によって進められてきたインフレ政策は、失敗どころか、むしろ大成功であったというのも一つの議論でございましょう。ただし、それは大企業、大資本家にとってでございまして、大企業、大資本家にとってはプラスがあっても、勤労者にとってはマイナスという、このインフレの持つ素朴な階層性というものを、総理はどう判断されるのでございましょうか。いや、おまえの言うことを聞いていると、どうももっともらしいけれども、これを肯定するわけにはいかない、何とか問題をそらして切り抜けよう。なんて考えを起こさずに、どうか正面から私は答えていただきたいと思うのでございます。(拍手)  企業や商社の悪が追及されております。これはそのとおりですけれども、いわば各論でございます。さらに総論的な、田中内閣政策のミスが今日の混乱を招いたのでございまして、その政治責任は大きく追及されなければならないのであります。  わが国経済は、物の隠退蔵、富と所得の不均衡拡大の悪性インフレの段階に入っております。この原因は、言うまでもなく、田中内閣日本列島改造政策を背景とする円の再切り上げ回避のための調整インフレにございます。円の再切り上げ回避を至上命令とする誤った財政金融政策の落とし子でございます。  調整インフレ政策として、一つ、不況カルテルの存続を認めたこと、二つ、四十七年度の十一兆四千七百億の大型予算及び六千五百億の大型補正予算の編成、三つには、四十八年度において大型予算十四兆二千八百四十億、対前年度比二四・六%増の編成、四つ目には、第六次の公定歩合の引き下げ、年利四・二五%による低金利政策の誤り等が指摘をされます。  昭和四十七年十二月二十六日、私どもが選挙で出たあとでございます。四十八年度予算と関連してでございまするが、朝日新聞「新内閣の課題をきく」というところで、当時の愛知大蔵大臣、なくなった愛知さんのことをここで申し上げるのはあれでございまするが、次のように語っております。「インフレには強い懸念を持っている。だが、物価の動きとムードとは、分けて考えるべきだろう。卸売物価の急騰は、木材などに限定された動きだし、消費者物価は小康のきざしが見える。この面でわたしの危機感は一カ月前よりやわらいでいる。」「予算規模を小さくもできるが、」云々「あまり小型にしてはいけない。」「インフレの危険をかわすために総需要を押え込むと、景気後退で輸出圧力がかかり、また黒字がふえる。」云々と述べておられます。ここに見られるものは、一貫したインフレに対する甘い認識であり、この点はわが党が一貫して警告を発してきたところでございます。  同日付の紙上で、その愛知さんの談話に対比をいたしまして、わが党堀政審会長は「甘いインフレ認識」として注文、批判をしております。その中で、「インフレについての認識も甘すぎる。「物価とムードとは分けて考える」というが、インフレはむしろインフレ。マインドによって高まる。土地や株価、木材価格の騰貴はインフレ・マインドの象徴的なものだ。」この次ですが、「まず、公定歩合を〇・五%引き上げ、金融を引締めよ」と、具体的な提言をいたしておるのでございます。  ところが、政府は、四十六年十二月と四十七年の六月二十三日に、各〇・五%引き下げ決定し、そのままずるずると放漫な金融、融資を繰り返してまいりました。引き締めるべきときに引き締めず、緩漫にし、しかも六兆五千億にのぼるといわれる過剰流動性を放置したことが、大会社の土地や商品の買い占め、物価高騰を招いたのでございまして、これは大きな政策のミスであり、田中内閣責任と言わずして何でございましょう。(拍手)  企業が空前の過剰流動性をかかえてそのはけ口をさがしあぐねていた状況を、政府はいちずに不況とのみ認識したことに誤謬があるのでございます。(「早く質問しろよ」と呼ぶ者あり)いま質問しているところですが、あわてた政府、日銀は、四十八年四月二日から公定歩合を〇・七五%引き上げましたが、この三月のおくれ。政府は絶えず後手後手と現象を追いかけているのでございます。総需要抑制がおくれ、金融は放漫に終始したこの政策ミスを、総理はいまになってどう反省するのでございましょうか。  昨日のテレビを私も拝見しておったのですが、何か、四十四年度から十兆円の、銀行の数字をあげまして説明しておったのですが、詳細なことを、そしてそのあなたの反省なり説明を求めたいと思うのでございます。  わが党は、その年の十二月の末に、すでにはっきりと警告を発しておるのです。なぜこれに従わなかったのでしょうか。これに従っておれば、少なくとも情勢は変化したはずでございます。こうした政策の誤りのために、田中内閣出現の翌月から卸売り物価は上昇に転じて、同年十二月以降は卸売り物価の上昇が消費者物価を上回り、卸売り物価主導型のインフレとなったのでございまして、これまさに田中インフレ、政治インフレというべきでございましょう。(拍手)  次に、銀行等金融機関の問題でございまするが、諸悪の根源は商社である。そのとおりだといたしましても、私は、その奥に銀行等の金融機関の問題があると思うのです。諸悪の根源、そのまた根源は銀行等であると言っても過言でないとすら思うのですが、都市銀行は猛烈にもうかっておるようです。私には、公共性のあるはずの銀行がもうかる理屈、もうかっていい理屈がわからないのであります。  国税庁の調査による都市銀行の申告所得というものは、四十七年の三月分四半期で、前年九月よりも主要銀行は百億円以上多いのです。なぜこんなに所得、したがって利益がふえたのでございましょうか。これでは、老後が心配である、病気になってはたいへんだ、子供の教育にお金がかかる、そして住宅を持ちたいという、国民大衆が切なる願いから銀行に金を預けたり何かしておる、その国民大衆の犠牲によってかように利潤をあげているのではないのでしょうか。今後大衆預金者の利益をどう守っていくのか、預金金利の引き上げ、物価とのスライド制等考慮すべきではないか。  私は、また、政府物価政策熱意の足りないということは、独禁法の改正にもあらわれておると思うのです。重要な点は、独禁法の運用というものを、政府はみずからの経済政策の一環としての意味を重視するのか、あるいは経済検察的作用を重視するのでしょうか、どちらなのでしょうか。独禁法は企業にとって好ましからざる目の上のたんこぶ的なものであるとして、この運用に消極的だったのではないでしょうか。物価の引き下げ権その他の改正、あるいは公取の陣容の強化についての総理考えをお聞かせ願いたいと思います。  結論に入るのでございまするが、結論は二つございます。  その一つの結論は、物価の今後の見通し、これを国民は最も聞きたがっておるわけです。一−三だ、四−六だと言っておりました一−三はもう過ぎてしまうわけでございまするが、そういうふうなことじゃなくて、私は、まず一つには、総理考え物価の安定、望ましい程度とはどの程度をいうのかということがまず一つ。  二番目は、これは参議院選挙後における物価の見通し、このことを特にお聞きいたしたいのでございます。国鉄運賃、あるいは米価その他、そしてまた、公共事業費や財投の繰り延べによる支払いの集中、これらが参議院選挙後に要因となって非常な物価高騰を招くのではないでしょうか。単に問題の解決をずらしているというだけでは本格的な防止はできないのでございまして、この見通しと、公共料金をさらにせめて半年間でも凍結することぐらいに対する考え方を率直に聞かしてほしいのでございます。  その第二は、近来特に問題となってまいりましたところの日の丸、君が代の法制化についての考え方と、あるいは教育勅語、憲法に対する考え方でございます。  自由民主党の綱領は、占領政策の再検討と自主憲法の制定をあげておるようでございまするが、一つは、憲法の問題は、この占領政策の再検討の中に入るのか。二番目は、自主憲法の制定とはいかなる意味、内容を持つものか。三つ目は、君が代は、主権在民の憲法と、あるいはその精神に抵触するおそれはないか。四番目は、きのうもテレビでも言っておりましたが、総理自身が考えるところの占領政策の再検討とは一体何なのか、具体的にお示し願いたいのでございます。  右は、青嵐会の諸君も最大の関心を持つものだというふうにいわれておりまするけれども、国民は、それとは別の意味で非常な将来への危険を感じ取っておると思うのでございますから、明らかにいたしていただきたいと思います。  また、国民協会への献金がどのように使われたかということは、単に一政党内部の問題ではなくて、広く国民の政治不信、政党政治の不信に連なる問題であると思います。この際、一部でも論議されておるように、国民の前にその使途を公開すべきと思うのでございますが、これに対する総理見解をお願いいたしたいと思います。  以上をもって私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮登壇
  27. 田中角榮

    内閣総理大臣田中角榮君) 稲葉誠一君にお答えいたします。  まず第一は、経済運営の基本についてでございますが、昨年二月に策定せられた経済社会基本計画におきましては、国民共通の目標である福祉社会の実現を目ざしまして、社会保障の画期的充実、生活関連社会資本の拡充、自然環境の保全等、国民生活優先の資源配分を進めていくこととなしておるわけであります。  政府としましては、このような国民福祉優先の経済運営の方向をさらに具体化し、その実施を強力に推進をしてまいるつもりでございます。  議院証言法についての御発言がございましたが、この法律昭和二十二年十二月公布のものでありますが、これは占領軍政策の中でも有名なメモランダムケースのものであることは、御承知のとおりでございます。  憲法との関係につきましては、憲法第三十八条第一項は、何人も、自己が刑事上の責任を問われるおそれのある事項について、供述を強制されないことを保障したものであることは、稲葉さんも御承知のとおりであります。しかも、同項の保障は、刑事上の責任関係がない一般の不利益の供述にも及ぶという議論のあることも、御承知のことだと思います。  ところが、議院証言法では、刑事上の訴追または処罰を招くおそれのある事項、及び恥辱に帰すべき事項に関するときは、証言を拒むことができることになっておりますが、その運用のいかんによっては、証人として喚問された者が、あらゆる事項について証言を強制されるということも考えられるのであります。そのようなことでは、憲法の規定との関係で問題があるという意見があったことを述べたものでございます。  また、刑事訴訟法との関係につきましては、刑事裁判における証人は被告人以外の第三者であるのに対し、議院証言法における証人は、問題となっている事案の本人である場合が多く、また、運用のいかんによっては被疑者または被告人のような立場に置かれることにもなりかねないことは、申すまでもないのであります。したがって、議院証言法の証人が、実際上このような立場にあるという点に着目すれば、一般的に黙秘権が認められている刑事訴訟法の場合に比べ、きびし過ぎるという考え方もあり得るわけで、議院証言法について、そのような考え方があったことを、きびし過ぎるという意見があったと述べたものであります。  これらの観点に加え、議会制民主主義擁護の立場から、私は、この法律の適用は慎重であるべき旨を機会あるごとに申し述べておるわけであります。  次は、物価上昇によるひずみの是正等について、いろいろ意見を交えての御発言がございましたが、物価の上昇は、経済活動の各面や国民各層に均質的な影響を与えるわけではなく、所得の配分や資源利用の適切さを妨げる面があることは否定できません。  このため、政府としましては、従来から生活扶助基準、年金などについて、一般世帯の生活水準の向上物価上昇等経済社会環境の変化に応じ、できる限りの措置を講じてきておるところであります。四十九年度予算におきましても、厚生、国民両年金に物価スライド制を実施することとしておるわけであります。  それから、企業の自己資本比率の低下について一言ございましたが、わが国企業の自己資本比率が、一五%台と、戦前の六一%に比べてしごく低位にあることは、御指摘のとおりでございます。わが国企業が金融等間接資本にウエートがかかり過ぎておるという事実につきましては、先進工業国の例にも徴し、自己資本比率向上、強化のために施策を進めていく必要があると考えておるわけであります。  それから、銀行に対する政府の方針についての話でございますが、銀行は一国の信用秩序の根幹をなすものであるため、その経営が安定し、強固であることが要請せられることは、言うをまちません。このような見地から、銀行の経営の健全性を確保し、できるだけ内部留保を厚くしておくことが望ましいと考えられるわけであります。しかし、同時に、公共性の高い銀行が過度の利潤追求に走るようなことがあってはならないことは、言うまでもありません。したがって、今後とも、適度の競争を通じて経営の効率化と銀行機能の向上をはかりますとともに、その成果を預金、貸し出し、為替等の業務全般を通じまして広く国民一般に還元していくよう指導してまいりたいと考えております。  独禁法の改正についての御指摘でございますが、御指摘の価格引き下げ命令を含めまして、現在公取委員会において独禁法の改正強化を検討中でございます。政府は、その検討結果をまちまして、前向きに対処してまいるつもりでございます。  君が代、日の丸についての御発言がございましたが、日の丸、君が代が国旗、国歌であるという認識は広く国民の間に定着をいたしております。しかし、教育の場で、国旗、国歌問題をめぐって混乱が生じておる状況にあることから見て、法制化の問題について真剣に検討する必要があると考えておるのでございます。各方面の意見も伺いまして、慎重に結論を出してまいりたいと考えます。  なお、現行憲法との問題にお触れになりましたが、現行憲法におきましても、私が申し上げるまでもなく、天皇は日本国の象徴でございまして、日本国民統合の象徴でありますから、君が代が国歌であることは、何ら差しつかえがないということであります。  教育勅語についての御発言がございましたが、教育に関する勅語は、およそ半世紀にわたってわが国教育の根本理念とされてまいりましたことは、承知のとおりであります。戦後の諸改革が行なわれた中で、昭和二十三年六月十九日、衆議院において排除の決議が行なわれ、また、参議院において失効の決議が行なわれたことは、そのとおりでございます。したがいまして、これを復活することは考えておりません。しかし、その中には、多くの普遍的な人倫の大本を示した部分があることもまた事実でございます。でありますから、形式を越えて現代にも通ずるものがあるという事実に徴し、それらについては、国民の共感を得られるような状態で世論に問うべきではないかという考え方を持っておるのでございます。  政治資金規正法による問題の御発言については、御指摘のとおり、法律の定めるところによって公表せられておることを御承知いただきたい。  以上。(拍手)     —————————————
  28. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 庄司幸助君。   〔庄司幸助君登壇
  29. 庄司幸助

    ○庄司幸助君 私は、日本共産党革新共同を代表し、昭和四十七年度決算について質問いたします。  四十七年度予算は、わが党が指摘してまいりましたように、円の大幅切り上げの犠牲をあげて勤労国民に押しかぶせ、国民から大収奪しながら財界の要求をまるのみにして、大企業本位の景気刺激をはかったものであり、国民物価値上げと生活破壊を押しつけたものであります。同時に、アメリカのドル防衛政策への協力や日米軍事同盟の強化、四次防の先取りなど、軍国主義の全面復活を推し進めようとした、きわめて反動的、反国民予算であったのであります。(拍手)  その執行後一年たった現在はどうか。狂乱する物価、大企業の不当利得、それに伴う国民生活の徹底的な破壊、横須賀基地の母港化、日本全土の沖繩化、四次防の実施、アジア諸国民の激しい怒りを買っている新植民地主義的海外進出等々、まさにわが党が指摘したとおりの事態になっているのであります。田中内閣政策は、いまや内政、外交いずれも破局に直面しており、それが四十七年度予算執行の諸結果であることは明白であります。  以下、私は、四十七年度決算について、六点にわたり、具体的にお伺いいたしますので、総理並びに関係閣僚の御答弁を求める次第であります。  まず第一点でありますが、田中総理、あなたは、いまに至って狂乱する物価動向にあわてふためき、節約は美徳とか、総需要の抑制などと言い出しておられますが、政府は、これまで、総需要を喚起することによりすみやかに景気の回復をはかることを、当面する最も緊要な課題である、こう言っておられたのであります。この基本方針のもとに、政府は、大型の赤字インフレ予算、史上最大の財政投融資、公定歩合の引き下げや銀行、政府関係金融機関からの貸し付け拡大、租税特別措置拡大などによって、大企業にばく大な資金を提供して過剰流動性を高め、インフレ要因に拍車をかけたのであります。  一般会計予算は対前年比二八%増、財政投融資は三一%増にも達し、しかも、その中で史上最大の赤字公債発行に踏み切ったのであります。しかも、田中内閣は、三次にわたって財政投融資計画を拡大し、その上、六千五百億円の補正予算を編成いたしました。その中では、歳入補正額の実に五五%に達する公債発行を計上し、公債依存率を一挙に一九%に押し上げたのであります。その結果、日銀券発行額は、四十八年夏には対前年比二七%増となり、政府関係金融機関や資金運用部資金の貸し付け金利引き下げ等の田中内閣の諸施策と相まって、悪性インフレと大企業による買い占め、投機を招いた根源となったのであります。  この点について、総理はどのような反省をなさっておられるのか。また、今日の事態は、大手商社、大企業政府との癒着、結びつきをますます明らかにしていますが、今日のインフレ、投機をもたらした政府みずからの責任をどのようにとられるのか、明白な御答弁をお願いする次第であります。(拍手)  第二に指摘したい点は、田中総理就任後展開された日本列島改造政策についてであります。  田中内閣は、成立早々、公共事業費七五%という補正予算を組み、日本列島改造論の強行をはかって、高度成長政策に急激な拍車を加えました。この列島改造計画の強行は、歴代自民党政府の高度成長政策でもたらされた物価高、公害などの諸矛盾を極限にまで激化させたのであります。  ところが、総理は、列島改造論こそが物価引き下げの特効薬であるという立場を繰り返し強調し、依然として、この列島改造論を撤回しようとはしていません。総理、あなたの列島改造論が全国の土地買い占めをあおって地価の暴騰を招き、地方自治体の財政を破壊し、国民のマイホームの夢をこっぱみじんに打ち砕いた張本人であること、さらには一連の公共料金の引き上げを引き起こし、一そうの国民負担を強めたことは、何人も否定することはできません。総理責任は重大であります。この四十七年度決算にあらわれたあなた方の一連の施策こそ、物価の狂乱、買い占め、売り惜しみなど諸悪の根源をつくり出した決定的要因であったことを率直に認め、列島改造論を撤回し、国民に謝罪せられんことを望むものでありますが、御答弁をお願いする次第であります。(拍手)  第三に、資源エネルギー及び食糧政策についてお伺いいたします。  政府は、高度成長政策によって、これまで、資源エネルギーを湯水のごとく乱費させ、しかも国内の石炭産業を取りつぶして、アメリカ資本が支配するメジャーへの依存を強めてまいりました。一方、さらに重要な食糧についても、減反の強行や農地の取り上げ、農産物自由化の促進など、日本農業を破壊してこられました。四十七年九月のハワイ会談で聞くところによりますと、田中総理は、およそ二十億ドルもの農産物緊急輸入を約束し、アメリカなどの外国農産物に依存する政策をとり続けてこられたのであります。  このような政策をとり続ける限り、わが国の資源エネルギー問題、食糧問題は、アメリカの動向次第で一喜一憂し、しかもそのつど卑屈な従属的態度を一そう深め、さらにそれがより大きなエネルギー・食糧危機に発展する可能性を秘めているのであります。  このような観点から、いまこそ、わお党がかねてから主張してまいりましたとおり、対米従属、依存から脱却すべきときであると思いますが、総理並びに関係閣僚の見解をお伺いいたします。(拍手)  第四に、福祉政策についてであります。  政府は、四十七年度予算の目玉として、福祉社会への転換を麗々しく掲げました。しかし、四十七年度予算中、社会保障関係費はわずかに一四%にすぎません。あまつさえ、高福祉高負担を唱えて、健康保険法の改悪まで企てたのであります。老人医療費の無料化も、自治体のあとにしぶしぶ従ったにすぎません。また、福祉年金や生活保護基準のわずかな引き上げも、この激しい物価高騰の中では、まさに焼け石に水であります。これで福祉社会への転換などとは、よくも言えたものであります。  真に生活を保障する福祉の実現へ抜本的な改善を行なうべきだと考えますが、御答弁をお願いいたします。  第五に、海外経済協力の問題であります。  四十七年度経済協力費は、一般会計の一千二百億円をはじめ、輸出入銀行三千五百八十億円や海外経済協力基金五百六十億円の財政投融資など、巨額なものであります。特に、東南アジアへの無償援助は前年の二倍以上にはね上がり、四十七年一月のサンクレメンテ会談に基づいて、事実上、アメリカのインドシナ侵略への直接的な協力を強めたものであります。  同時に、このころから激増した大企業の海外への直接投資は、高度成長政策の破綻を補い、アジア諸国から、もうけられるだけもうけようとする新植民地主義的進出であることは、本院決算委員会での対韓援助集中審議や、今国会予算委員会でも明らかにされたところであります。ASEAN諸国を歴訪された田中総理にぶっつけられたあの抗議の声も、まさにこの点に向けられたのであります。  このような、アメリカのアジア侵略に加担し、大企業の新植民地主義的進出を推進する経済援助はやめるべきだと考えますが、総理並びに外務大臣の御所見をお伺いいたします。  第六に、補助金委託費などについてお伺いします。  日本分析化学研究所のデータ捏造事件は、科学技術行政のでたらめさと、国民の安全を無視して原子力潜水艦の入港を認めてきた政府の重大な責任を明らかにいたしました。同時に、四十七年度予算でも、その三割以上の膨大な額にのぼる補助金等の使用については、強い疑念を抱かせるものがあります。たとえば、通産省所管の超大型電子計算機などはその一例ではないかと思います。  この際、各種法人などに対する補助金等について徹底的に洗い直すとともに、その結果を国会に報告し、不必要なものは削減すべきだと考えますが、政府責任と今後の対応について明確な答弁を要求いたします。  以上、私は、四十七年度決算について六点にわたり質問を申し上げましたが、最後に、総理、佐藤内閣の編成した四十七年度当初予算を受けて、あなたが最初に編成された補正予算は、これまで歴代自民党政府によって激化させてきた日本経済の諸矛盾を爆発点にまで高めたものであります。あなたの日本列島改造政策並びに一連の諸政策こそ、インフレを悪化させ、買い占め、売り惜しみを全国的に推し広げ、未曽有の物価急騰をつくり出した根源であったことは、もはや何人も否定し得ないところであります。(拍手)その点であなたの責任はまことに重大であります。しかし、それにもかかわらず、あなたの基本姿勢は変わっておりません。それは四十九年度予算を見るだけでも明らかであります。  私は、ここで総理がみずからの非を深く反省され、真に国民生活優先の立場に立つことによってその責任を果たされんことを強く要望申し上げまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮登壇
  30. 田中角榮

    内閣総理大臣田中角榮君) 庄司幸助君にお答えいたします。  まず第一には、物価上昇の原因等についての御発言でございますが、毎々申し上げておりますように、昨年来の物価上昇は、コスト要因としての海外物価高、需給要因としての国内総需要の拡大など、多くの要因が複雑にからみ合って生じたものでありますことは、申し上げておるとおりでございます。  社会資本の整備や社会保障の充実によりまして国民福祉向上させることは、国民の強い要望であること、また、円の対ドル実質三〇%の切り上げに耐え、中小零細企業の倒産を防ぎ、かつ、国際収支の黒字幅を減少させるために、財政金融政策で積極的な施策が進められたことは、十分国民の理解を得られるものと考えます。これにアラブ諸国からの原油供給削減や原油公示価格の大幅な引き上げによる物価上昇圧力が加わり、昨年末の異常な上昇を招いたものと考えておるのでございます。  政府としては、このような観点から、従来より財政金融両面からの引き締めを推進いたしますとともに、個別対策の一そうの推進等をはかるなど、諸般の政策を着実に実施することによって、物価の安定をはかってまいりたい。  次は、国総法関係についての御発言でございます。毎度の御発言でございますが、国土総合開発の推進は、真の福祉日本建設するために絶対必要なものであり、本件については、近視眼的な視野による固定的な見解を改められ、真に国民の必要とする政策であるとの認識に立って、切に御協力を願いたい。  次は、資源エネルギーの対米依存から脱却せよとの、意見を含めての御発言でございますが、石油を中心とした資源エネルギーの安定的な供給を確保するためには、その供給量を増大すること、供給源を多角化することなどが必要であることは、申すまでもありません。しかし、現実の世界の石油市場における米系メジャーの地位は依然として高く、わが国の石油輸入の約半分をこれら米系メジャーに依存しておることも事実であります。今回の石油危機の体験を生かし、また、現在の産油国の立場の強化、メジャーの地位の相対的低下の状況下にあって、今後わが国としては、従来にも増して、資源保有国と消費国とが相互に対決することなく、共存共栄の見地に立って、石油等、資源エネルギーの安定的供給及び増産を行ない得るような状況をつくり出すことにつとめてまいりたいと考えるのであります。  社会福祉、社会保障についての御発言がございましたが、これはもう常に申し上げておりますとおり、昭和四十九年度予算におきましては、物価の安定を最大の課題とするとともに、社会保障の充実には思い切った財源の投入を行ない、その結果、一般会計の伸び率一九・七%の二倍に近い三六・七%増の社会保障関係予算を計上しておることは、御承知のとおりでございます。  具体的には、福祉年金の五〇%引き上げ、拠出制年金の物価スライドによる給付改善、生活扶助基準や施設入所者の生活費の二〇%引き上げなど、手厚い保護を必要とする人々の生活の安定と福祉の向上をはかることに努力を傾けておるのであります。今後とも、わが国社会保障の充実につきましては、長期的視点に立って、着実な努力を積み重ねてまいりたい。  経済援助のあり方についての御発言がございましたが、わが国経済協力は、開発途上国の民生安定、経済発展に寄与し、それぞれの自助努力を支援するために行なわれておりますので、これが対米肩がわりとか新植民地主義とかいうことは、全く当たらないことでございます。  残余の問題については、関係閣僚から答弁いたします。(拍手)   〔国務大臣大平正芳君登壇
  31. 大平正芳

    国務大臣(大平正芳君) 資源政策に関連して、対米従属をやめろという御質疑でございまして、総理からもお話がございましたけれども、資源の安定確保は、わが国といたしましては、グローバルなベースで多元的に考えてまいる必要があると考えます。その際、わが国に対して伝統的な資源供給国でありまするアメリカとの友好関係の維持は、日本にとって非常に大事な課題であると考えております。日米友好関係が直ちに対米従属であるとわれわれは決して考えておりません。  海外経済協力につきまして、いろんな批判があるわが国企業の海外進出はやめたらどうだという御相談でございます。  いま、これまた総理からもお話がございました。確かに、わが国企業の海外進出につきましては、一部にいろいろな批判があることも、われわれは承知いたしておりまするし、われわれの側において考慮しなければならないこともあることは十分承知いたしておりまするけれども、わが国経済協力は、その国の要望を軸といたしまして、その国民の福祉向上に役立つように、わが国の援助許容能力の範囲内において実行いたしておるものでございまするし、また、実行しなければならない国際的な責任を持っておるものでございますので、これをやめるというわけにはまいりません。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫登壇
  32. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) お答えいたします。  民間法人政府出資の特殊法人に対する補助金委託費を洗い直しいたしまして冗費を徹底的に削減せよ、かようなお話でありますが、御意見には、私は大蔵大臣として全く同見でございます。従来から補助金などの整理合理化には努力をいたしておりまして、現に昭和四十九年度予算でも、三百六十五件の補助金等の整理合理化を実行いたしておるわけです。今後とも、補助金の適正使用につきましては、格段の努力をいたしてまいりたい。御協力のほどをお願い申し上げます。(拍手)     —————————————
  33. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 坂井弘一君。   〔坂井弘一君登壇
  34. 坂井弘一

    ○坂井弘一君 私は、公明党を代表して、ただいま御説明のありました昭和四十七年度一般会計決算等につきまして、総理並びに関係大臣に若干の質問を行ないます。  いまや、国民の大多数は異常な物価高騰におびえ、国民生活は危機に直面しております。  過ぐる予算委員会審議において、大企業、大商社の数々の社会的背信行為が、産業界全体にあたかもガンのごとく広がり、そこには価格のつり上げ、利益の隠匿、脱税という反社会的行為が平然と行なわれ、あたかも体質化されようとしている驚くべき実態の断面を見たのであります。たとえば海外取引を利用した大商社の不当な利得は、脱税として追徴され、国庫に収納されました。しかし、つり上げられた物価はそのまま残されているのであります。悪徳商法の犠牲となり、苦しめられているのは、常に消費者であり国民であることを忘れてはなりません。  ちなみに、海外取引にかかる悪質なものだけでも、国庫に追徴された脱税額は、昭和四十七年度決算等においても四十九件、八十八億九千七百万円の多額にのぼっております。もちろん、会計検査院は、この歳入の適不適については慎重に検査されているところでありましょうから、いま、私はこの点について直ちに議論しようとするものではありません。しかしながら、この追徴による税収入が適正に徴収されたかいなかについては、残念ながら、国会の決算審査においても明らかにすることはできないのであります。なぜか。それは、法律に基づく公務員に課せられた守秘義務のゆえであります。  そこで、私は、まず最初に、この秘密を守る義務についてお尋ねいたしたいと思います。  法人税法第百六十三条において「法人税の調査に関する事務に従事している者又は従事していた者が、その事務に関して知ることのできた秘密を漏らし又は盗用したときは、これを二年以下の懲役又は三万円以下の罰金に処する。」とあります。その理由は、徴税事務が個人のプライバシーや企業の機密に絶えず接している関係上、相互信頼に基づく申告納税制のたてまえから必要であるというものであります。こういうことから、国家公務員法第百条の守秘義務よりさらに厳格に規定しているのであります。ゆえに、たとえ国会の場といえども、お答えできません、御了案願いたいという、木で鼻をくくったような答弁の繰り返しにならざるを得ないというわけであります。その立法の趣旨に基づく限り、私はこれを理解するに決してやぶさかではありませんが、きわめて重要なことは、法人税法と地方税法を対比しますときに、法律の運用において大きな矛盾があることをここに指摘いたさねばなりません。  すなわち、地方税法第二十二条においては、法人税法第百六十三条と全く同趣旨の守秘義務が明記されております。そうであるならば、法人税法と地方税法とで取り扱いを異にするというのはおかしなことであります。ところが、この両者では、驚くべきことに、その取り扱いを異にしているのであります。  昭和三十三年、岐阜県総務部長あてに「秘密漏洩の範囲について」という自治庁の回答があります。これを見ますと、「監査委員会の監査、公開の県議会または県議会常任委員会会議等に対し、個人別滞納金額一覧表を書類により、または口頭で提出することは、地方税法の守秘義務に反しないか」という岐阜県の質問に対しまして、自治庁の回答は、「秘密漏洩には該当しない」となっております。現に、市町村の一部では、滞納者一覧表を御丁寧にも広報掲示板にぎょうぎょうしく張り出しまして、物議をかもしているところもあらわれております。  さらに、それに疑問を持ちました大分県が、「滞納金額が漏れることにより本人の今後の経済活動が大きく阻害される。その結果、その者の税の徴収が困難となる。また、滞納者以外の納税者への影響が大きく、住民の納税意欲心を阻害することになるのではないか」という質問をしたのに対しまして、自治省は、昭和四十四年、「個人別滞納金額を発表しても、守秘義務に抵触しないと解する」こう回答しているのであります。  仮装、隠蔽のあった悪質な脱税事案について、法人税法では、守秘義務があるから答弁できないという。しかるに、地方税法では、個人別滞納金は秘密事項に該当しないと解釈し、公式の場における発表はよろしいと回答しておる。おかしいではありませんか。一番悪質なものが発表できないで、そうでないものが発表できるという、このような法律の運用が許されるのでしょうか。  国民の生活の安定を脅かし、国民の疑惑の的である大法人の大口脱税事案については公表することが許されるとしても、庶民の軽微な滞納などについては発表すべきではない、これがむしろ道理でありましょう。  また一方、重要なことは、国家公務員たると地方公務員たるとを問わず、ひとしく公務員たる者の順守すべき守秘義務については、厳正なる運用を期さなければならないと考えるのであります。  この法人税法と地方税法との解釈と運用の矛盾につき、総理並びに関係大臣の明確なる御見解を承りたいと存じます。  あわせて、この際、現行の守秘義務に対し、一定のワクをはめてこれを解除し、国民の生活を脅かす許しがたい悪質な事例については、これを国会に報告すべきではないか。御見解をお示し願いたいのであります。(拍手)  さて、総理は、先ほどの答弁におきまして、社会福祉については、物価安定と同様、一番力を入れているところである、こう申されておりますけれども、はたしてそうでありましょうか。私はここで具体的にお尋ねいたしたいと思いますが、それは、当初実施計画を立てながら、その計画予算に基づく事業が行なわれず、せっかくの事業が中止されているというものであります。  特にここで取り上げたいことは、老人福祉施設、学校施設等の公共福祉事業が、物価政策の欠如による政府の失政により、事業計画の変更、事業の中止が続出していることを指摘いたしたいのであります。  たとえば、老人福祉施設については、厚生省は社会福祉施設緊急整備五カ年計画なるものを策定いたしております。これは昭和四十六年度より昭和五十年度までを目途としたものでありますが、四十六年度から四十八年度の三カ年間におきまして、緊急収容施設のうち、寝たきり老人等の施設の進捗率は、わずかに三一・九%であります。残りの六八・一%は、四十九、五十年の二カ年で達成しなければならないことになるわけでありますが、過去三年間の年平均が、約一一%、残り二年間の年平均約三四%、つまり、三倍強の事業を消化しなければ計画が達成できないということになるわけであります。これでは、政府がいかに声を大にして福祉優先を喧伝しようとも、国民には、しょせん、むなしい響きにしか聞こえません。ましてや、わずか二年間で、七〇%近い事業を達成すべく努力いたしますと答えてはみても、およそ実行不可能なことは、もはや自明の理ではないでしょうか。  現に、各地において、国のおざなりな事業計画と予算、それに、相次ぐ資材高騰のために、施設の建設を断念し、予算を返上せざるを得ない事態が惹起されていることは、政府はとく御存じのはずであります。  小学校の校舎建設におきましてもまたしかりであります。文部省の公立文教施設整備五カ年計画において、この計画の第三次、四十四年度から四十八年度の間は、一千九百七十一万二千平米の実績であります。これは、年平均三百九十四万平米の実績となります。  ところで、この計画の第四次は、四十八年度から五十二年度まででありますが、この計画の残りは、二千三百二十七万七千平米もの多きにのぼっているのであります。つまり、年平均にいたしますと五百八十一万平米もの事業を実施しなければ、これまた達成できないということになるのであります。  ある小学校では、本建築を断念いたしまして、プレハブ校舎を建て、急場をしのぐという事態に追い込まれているところも出てきております。また、ある市におきましては、父兄負担の寄付金の大幅アップをしいてでも何とか建設せざるを得ないということで、深刻に苦慮しているところもあります。  すべからく、政府の失政の責めに帰すべきでありましょう。この現状をいかに認識され、これをどう打開されんとするか、総理並びに関係大臣の責任ある御答弁をお願いいたします。(拍手)  最後に、公正取引委員会の権限と監視のスタッフの人員強化についてお伺いいたします。  最近の公正取引委員会は、狂乱物価と戦う姿勢を強め、ことしになってから、石油、石油化学、アルミ業界に対する値上げ協定破棄勧告など、物価対策に取り組んでこられましたけれども、今日、企業数も激増し、その規模は巨大化し、それに対する公正取引委員会の事務量もふえ、複雑多岐となっております。  さて、独禁法違反事件の発生件数を見ますと、四十七年度に百六十六件、四十八年四月から十二月まで、すなわち、前年度の四分の三の期間に、前年の事件数をはるかにこえる百七十七件が発生いたしております。  これに対し、公取委の独禁法違反行為の破棄勧告は、四十七年度三十件、四十八年四月から十二月までに六十三件と激増し、その内容も、製紙、塗料、マーガリン、ボールベアリング、また最近には、石油化学、石油製品、アルミ業界と、大企業の価格協定に対し破棄命令を行なっております。  しかしながら、事件調査に当たる審査職員数は、本局、地方合わせてわずかに九十一名であります。しかも、四十五年度に比べ二名削減となっているのであります。このため、現在、便乗値上げであるとの申告や独自の調査により違反事件を発見しても、調査できずにいる件数が何と六十件余りもあります。  公取委では、他部職員を併任し、あるいは日曜、祭日まで出勤して違反事件の調査に全力をあげているようでありますが、わずか九十一名の職員審査関係予算千八百万円ではすべての違反事件を調査できないのは、これまたむしろ当然でありましょう。  試みに、米国では、連邦取引委員会と司法省反トラスト局、合わせまして約二千名の人員と約百二十四億円の予算規模になっております。  わが国では、公取委の権限も弱く、人員も少なく、そのため悪徳企業に対する徹底的なメスを加えられないままに狂乱物価を爆発させた政府責任は、きわめて重大といわなければなりません。(拍手)すみやかに、公正で自由な経済競争を守るお目付役の公取委の審査職員増加予算措置を講ずるべきであります。  総理並びに大蔵大臣の誠意ある御答弁を要求いたしまして、私の質問を終わります。(拍手)   〔内閣総理大臣田中角榮登壇
  35. 田中角榮

    内閣総理大臣田中角榮君) 坂井弘一君にお答えいたします。  税法の守秘義務について、また、反社会的行為と見られる脱税事案については一定の基準を定めて国会に報告してはどうかという趣旨の御発言でございますが、いまもお述べになられましたように、現行法上、税務職員に対して厳格な守秘義務が課せられておる以上、税務執行機関がこれを公表することはできないわけであります。かりにそのような報告を行なうこととなした場合、反社会的行為の範囲をどのように考えるかについて困難な問題があるほかに、納税者の基本的人権の保護にもかかわる問題でもあり、慎重な検討を要するものと考えておるのであります。  なお、悪質な脱税事案につきましては、告発によって司直の手にゆだねられ、刑事上の罰則の適用があることは申すまでもないわけでございます。  次は、老人施設並びに学校施設等予算執行についての御発言でございますが、老人ホーム等の社会福祉施設及び公立文教施設の整備につきましては、重点施策としてその推進につとめており、年々予算の拡充をはかりますとともに、その執行についても適正を期しておるところでございます。  また、その建築補助単価につきましては、毎年度所要の是正を行ない、実情に即した単価の設定につとめてきたところでございます。特に四十八年度におきましては、両三度にわたり単価の改正を行なったところでございます。さらに四十九年度予算におきましても、公立文教施設の単価を大幅に引き上げ、また、社会福祉施設の単価につきましても、実情に即して定め得るよう配意をしておるところであります。  政府としましては、総力をあげて総需要の抑制につとめており、建設資材の価格などは漸次鎮静化するものと考えており、事業は円滑に進むものと期待をいたしておるのであります。  次は、公取委の権限強化等についての御発言でございますが、公正取引委員会の権限強化につきましては、現在、独占禁止法の強化、改正を公正取引委員会において検討中であります。政府としましては、その結果をまって対処する所存であります。  なお、独占禁止法違反事件の取り締まりに当たる審査職員の増員等につきましても、法改正との関連も考慮しながら、実情に沿うよう十分検討したいと考えておるのでございます。  残余に関しては、関係閣僚から答弁いたします。(拍手)   〔国務大臣福田赳夫登壇
  36. 福田赳夫

    国務大臣福田赳夫君) 第一は、税務職員の知り得た秘密につき、大蔵省は、一切公表できない、さように言っておるが、他方、自治省は滞納税額の公表を認められておるのは、不統一ではあるまいか、こういう御指摘でございますが、法人税につきましては、法人税法第百六十三条がありまして、この条項によりまして、税務職員が、企業の秘密、これを漏らしてはならないと、厳重な罰則が付されておるのであります。これは、坂井さんの御指摘は現行法に立っての立論でありますが、現行法に基づく限り、さようなことに相なっております。  また、所得税などの問題でございまするが、いやしくも、所得税納税者が秘匿を欲する事項、漏らしては困りますというような事項を漏らすということは、これは国家公務員法百条、地方公務員法第三十四条の秘密ということに該当する、かように考えますので、特別の法律規定のない限り、漏らすことのできない事項に属する、かように考えておる次第でございます。  ただ、御指摘の、大蔵省の扱いはそういうふうになっておりますけれども、自治省におきましては滞納者の個人別滞納額を発表しておる、これは確かに御指摘のとおりであります。食い違っております。この食い違いにつきましては、これは自治省との間に十分調整いたしまして一本化いたします。  次に、明らかに反社会的行為と見られる法人税の脱税につき、一定の基準を設けた上、国会に報告せよ、かような御所見でございますが、これは現行法上、ただいま坂井さんもお認めのように、厳重な守秘義務が課せられておるのでありまして、この規定の上に立つという限りにおきましては、いかに反社会的行為を行なった法人といえども、その調査状況につきましてこれを発表することはできません。ただ、立法論としては、私はいろいろ御議論があろうかと思うのであります。立法論ということになりますれば、これはまあ慎重にお互いに研究すべき問題である、かように考えます。  なお、年度中に物価が予定よりも高騰する場合の予算執行をどういうふうに円滑にやっていくつもりか、かようなことでありまするが、われわれは四十八年度予算におきましてこれをほんとうに体験をいたしたわけであります。こういうことを再びあらしめてはならない、かように存じまして、四十九年度予算におきましては、予算そのものにおきまして十分な単価計上をいたしておる、これは御承知のとおりでございます。と同時に、やはり経済計画、経済見通しがあるのです。この見通しとそう多く狂うような状態を出現させてはならぬ。ことに物価につきましては、これをすみやかに鎮静させまして、そうして国民に御安心いただき、かつ、事業の執行等につきましてもこれが順調にいくように努力する、これが政府に与えられた職責である、かように存じますので、その物価の抑圧につきましては全力を傾倒してまいりたい、かように存じます。  なお、もう一つあります。公正取引委員会の機能強化のため、審査部等の職員増加予算の増額をはかれ、こういうお話でございまするけれども、近時、公取委員会の役割りが重要化しておる。したがいまして、その人員なり機構なり、あるいは予算の額なり、そういうものにつきましての配慮を格段といたさなければならないということは、私もそのように思います。政府もそのように努力いたしておりまするけれども、公取委の今後の活動に大きく期待し、それが予算や人員のゆえに停滞するというようなことのないように、今後とも最善を尽くしてまいりたい、かように存じます。(拍手)   〔国務大臣町村金五君登壇
  37. 町村金五

    国務大臣(町村金五君) 個人別滞納税額を地方団体の議会等に発表することは、地方税法第二十二条に規定する秘密漏洩に該当するとは考えられない旨の行政実例を出しておるようでありますが、事柄の性質上、発表することは税務行政上不適当とする場合も多いと思われますので、地方公務員法第三十四条の秘密保持義務規定との関連も考慮いたしまして、慎重に取り扱ってまいりたいと考えます。  なお、この問題に対する大蔵、自治両省間の取り扱いの相違については、すみやかに両省の間で協議をいたしまして解決いたしたいと存じます。(拍手
  38. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) これにて質疑は終了いたしました。      ————◇—————
  39. 秋田大助

    ○副議長(秋田大助君) 本日は、これにて散会いたします。    午後三時八分散会      ————◇—————  出席国務大臣         内閣総理大臣  田中 角榮君         外 務 大 臣 大平 正芳君         大 蔵 大 臣 福田 赳夫君         農 林 大 臣 倉石 忠雄君         自 治 大 臣 町村 金五君  出席政府委員         内閣法制局長官 吉國 一郎君      ————◇—————