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1974-02-19 第72回国会 衆議院 本会議 第13号
公式Web版
会議録情報
0
昭和
四十九年二月十九日(火曜日)
—————————————
昭和
四十九年二月十九日 午後一時 本
会議
—————————————
○本日の
会議
に付した
案件
予算委員長荒舩清十郎
君
解任決議案
(楯兼
次郎
君外四名
提出
) 午後一時四分
開議
前尾繁三郎
1
○
議長
(
前尾繁三郎
君) これより
会議
を開きます。 ————◇—————
予算委員長荒舩清十郎
君
解任決議案
(楯兼
次郎
君外四名
提出
) (
委員会審査省略要求案件
)
森喜朗
2
○
森喜朗
君
議案上程
に関する
緊急動議
を
提出
いたします。 すなわち、楯兼
次郎
君外四名
提出
、
予算委員長荒舩清十郎
君
解任決議案
は、
提出者
の
要求
のとおり
委員会
の
審査
を省略してこの際これを
上程
し、その
審議
を進められんことを望みます。
前尾繁三郎
3
○
議長
(
前尾繁三郎
君)
森喜朗
君の
動議
に御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
前尾繁三郎
4
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 御
異議
なしと認めます。
予算委員長荒舩清十郎
君
解任決議案
を
議題
といたします。
前尾繁三郎
5
○
議長
(
前尾繁三郎
君)
提出者
の
趣旨弁明
を許します。
小林進
君。 〔
小林進
君
登壇
〕
小林進
6
○
小林進
君 私は、
日本社会党
、
日本共産党
・
革新共同
、公明党、民社党を
代表
いたしまして、ただいま
議題
となりました
衆議院予算委員長荒舩清十郎
君の
解任決議案
について、その
提案
の
趣旨説明
をいたしたいと存じます。(
拍手
) まず、本文を朗読いたします。 本院は、
予算委員長荒舩清十郎
君を解任す る。 右決議する。 以下、その
提案
の
理由
を説明いたしたいと存じます。 今年度、
予算委員会
の重要な
目的
は、狂乱怒濤にもひとしいこの
物価高
の
原因
を究明し、これを鎮静せしめ、もって、四十九年度
予算
の
審議
と
経済
の見通しに万遺憾なからしむるところにあるのであります。われわれは、
予算委員会
に寄せられておる
国民
の
期待
と鋭い監視を背に受け、その実効ある
運営
に精魂を傾けてきたのであります。
予算委員会開会
の当初、
荒舩清十郎委員長
から、
理事会
に対し次のごとき
提案
がありました。すなわち、今日の
物価高
を招き、
国民
に
塗炭
の
苦しみ
を与えておるその
元凶
は、一部の
業界
と大
企業
である。
予算委員会
は、これら
業界代表
を
予算委員会
に招致し、徹底的に
集中論議
を行ないたいと思う。
賛成
を願いたいという
趣旨
の
提案
でありました。
野党
四党は、この
荒舩君
の勇気ある
提案
に双手をあげて
賛成
し、そして、その具体的な
実施方法
について
与野党
間に真摯な
話し合い
を続けるに至ったのであります。 これと前後し、
自民党国会対策委員長福田一
君が、
新聞談話
などを通じ、
不当利得
を得た
悪徳業者
は
国会
において徹底的に
追及
をする、
国会
に
摘発隊
をつくり、
隠匿物資
と
悪徳業者
を摘発することも考えておるなどと勇ましい発言をして、
荒舩提案
を側面から裏づけ証言するに至ったのであります。 これを受けて、
予算委員会理事会
は、
国会
に招致
喚問
する
企業
や
財界代表
をだれにするか、これら
喚問
した
企業
や
財界代表
に
集中論議
をする期日を
幾日
にするか、及び、その召喚する
方法
を、
証人
とするか
参考人
にするかなどについて慎重な
論議
をかわしていたのであります。 招致
喚問
する
業界
や
企業
の
代表
は、
社会党
をはじめとする
野党
四党の
要求数
は合計五十三社であります。
日本
の
経済
を今日の混乱におとしいれた、いずれも問題のある大
企業
と
業界
であります。これに対し、
自民党
からは一社の
要求
も出ていないのであります。外に向かっては声高らかに、悪の
企業
を摘発し、徹底的に
調査
究明すると公約して、さも
庶民大衆
の
利益
を
代表
しているがごとく宣伝している
自民党
が、
国会
の場においては
一つ
の
企業
も召喚しようとしないのは、
国民
を欺瞞するもはなはだしい
詐欺行為
といわなければならぬのであります。(
拍手
) この
理由
はしばらくおくとして、さて次の、
集中論議
の期間を
幾日
にするか、そして
証人
か
参考人
かについては、
野党
四党は一致して、四日以上の
審議日数
を
要求
するとともに、
審議方法
については、あくまで
国会法
に基づく
宣誓
を行ない、良心に従って
真実
を陳述させる
証人方式
をとるべきことを
要求
したのでありますが、
自民党理事
は、あくまでも
参考人
として出頭を求め、単に御
意見
を拝聴するにとどむるべきであることを固執して譲らないのであります。二月初旬より
毎日理事会
を繰り返し、
総括質問
の終わった二月八日以後は、日に二回の
理事会
を開き、
問題処理
のために精力を傾け
話し合い
を続けてまいりました。 二月十五日、
公聴会最後
の日でありますが、われわれ
野党
四
党理事
は、早朝より
懇談会
を持ち、
局面打開
のために、あえて忍びがたきを忍び、耐えがたきを耐えて、次のごとき
妥協案
をつくって、
荒舩委員長
に提示したのであります。すなわち、
予算委員会
の
集中審議
はとりあえず三日間とし、可能の
範囲
において、すでに具体的にその非が社会的に明らかになっておる
企業
及び
業界
の
代表
を
証人
として
喚問
する、他の
企業
及び
業界
の
代表者
については、とりあえず
参考人
として呼んでもよろしいという、条理にかなった申し入れをしたのであります。そして
自民党側
の回答を求めたのでありますが、
荒舩委員長
は、これに答えず、全く
理事会
を無視し、申し合わせも
話し合い
もせず、突如として
公聴会終了
後の
委員会
を開会し、暴力的に
参考人招致
の
提案
を行ない、これを可決決定するという、一
党独裁
の
暴挙
を行なうに至ったのであります。(
拍手
) ここに至る間、われわれは一ぺんの
実力行為
もいたしません。一言の非礼な
ことば
も使いません。終始一貫、礼節と誠実をもって道理を説き、一日も早く
審議
を促進することを求めてきたのであります。しかるに、
荒舩委員長
は、このわれわれに対し、信義を裏切り、野盗無頼の徒のごとき
行為
をもって襲いかかってきたのであります。まさに
民主政治
の敵として、断じて許すことができぬのであります。(
拍手
) 以上、私は、
予算委員会
における
審議
の
経過
を客観的に正しく述べてまいりました。 これに対し、
自民党
は、
予算委員会
において
証人
を
喚問
するのは適当でないとか、あるいは、まず
参考人
として呼んで適宜
証人
に切りかえてもよろしいなどと、耳ざわりのよい言いわけをしておるのでありますが、これは全く耳をおおうて鈴を盗むどろぼうの理屈であります。(
拍手
) 現在の
日本
の
物価
は、昨年の同月に比較して、
卸売り物価
三四%、
消費者物価
二〇数%上昇しており、この異常な
物価高
は、
世界先進国
にその例を見ない
日本特有
の、気違いじみている
インフレ
であります。その主たる
原因
がどこにあるかを
予算委員会
において
追及
した結果、それがつくられた
インフレ
であり、しかもこれをつくった
元凶
が少数の
企業
と
業界
であることが明らかになったことは、
諸君
御
承知
のとおりであります。(
拍手
)したがって、このつくられた
インフレ
の
元凶
を
予算委員会
に招致し、その真相をただし、今後の動向を見きわめなければ、現在
提案
されておる四十九年度
予算案
を
責任
をもって
審議
し、可決することができないのでありまして、これら
企業代表
の
証人喚問
こそ、
予算委員会
として最も重大にしてかつ正当なる
責任行為
であるといわなければならぬのであります。(
拍手
) 一体、
自民党政府
と
荒舩委員長
は、この
国民
があげて熱望しておる
証人喚問
を、何ゆえ阻止しなければならないのか。これこそ
国民大衆
が最も知りたいところであり、われわれ
野党
もまた、これを正しく
国民
の前に
解明
をしなければならぬのであります。(
拍手
) 言わずもがな、その
理由
はただ
一つ
であります。すなわち、
自民党
は
政党
と
財界
との醜悪なる
癒着
を暴露されることをおそれるからにほかならぬのであります。(
拍手
)
自民党
の台所をまかなう
国民協会
に、
企業
や
業界
が
会員
として加入しておる、その
法人
の数が九千八百社であります。これから吸い上げ、
自民党
に献金する
政治資金
が、四十八年度届け出た金額だけで一百九十六億九千九百八万円であります。
協会
の
理事
には、
経団連会長植村甲午郎
氏、
経済同友会代表木川田一隆
氏、
小林
中氏など、
財界
の巨星がき
ら星
のごとく名を連ねております。 この
国民協会
が、
昭和
四十九年は、この四十八年度百九十六億円の
政治資金
に対し、さらに総額四倍の
政治資金
、概算八百億円に近い
資金
が必要であり、これを調達するよう
自民党
からの指示を受け、その作業を進めておるのであります。 近く行なわれる
参議院選挙
を目ざし、
自民党
と
財界
に迫っておる危機を突破するために、どうしてもこれだけの
政治資金
が必要であるというのであります。かくして、
国民協会
を通じ、
業界
や
企業
に対し、平均二倍半の
増額割り当て
がきめこまかく進められていることも、すでに
天下周知
の事実であります。
社会党
をはじめ
野党
四党が、この
悪性インフレ
と狂乱の
物価高
をつくり上げた
企業
と
業界
のうち、
特別代表
として五十三の
法人
の名をあげ、これを
国会
に
証人
として招致
喚問
することを
要求
したことは、すでに述べたとおりであります。この五十三の
企業
、
業界
もそのほとんどが
国民協会
の
会員
であり、
自民党
に最も忠実に
政治献金
をしているものであり、特に、このたびの四倍
増額割り当て
も、これらの
財界
、
企業
に及んでいることは言うをまたぬのであります。 問題の
石油連盟
には、いままで月二百万円の
政治献金
を
割り当て
ていたが、今度は六百万円に
値上げ割り当て
をしており、丸紅、伊藤忠などの問題の多い
商社
には、いままで月額二十五万円の
割り当て
が百二十五万円、実に五倍に
増額割り当て
が行なわれておるのであります。
野党
四党は、これらの
財界人
を
証人
として招致した場合、これらの
政治献金
についても、また、もっと隠されている醜悪な
政党
と
便乗企業
との
癒着
を徹底的に
追及
し、隠されている資料もどしどし
要求
し、
国民
の負託にこたえる準備を進めていたのであります。(
拍手
) この
追及
に対し、彼らが
宣誓
による
真実
を告白するということになれば、あるいは
自民党政府
の根幹をゆすぶる大問題を惹起するおそれもあり、これをおそれて
自民党
は断じて
証人
の
喚問
に応じないというのが、大方の世評の一致した見解でございます。(
拍手
) とあれ、
国民
は
世界
に類例のない
異常物価
に泣いておる。しかるに、この
異常事態
をつくり上げた問題の
中心企業
に対し、
自民党
が
独裁的行為
をもって
野党
の正しい
要求
を退け、その裏に回って、それらの
企業
に三倍、五倍に増額した
政治献金
を
要求
しているというこの事実を、
国民
は一体いかに解すべきでございましょう。(
拍手
)一億
国民
に死にまさる苦難を与えておるこの
社会悪
の
根源
が、実にここにあることを知らなければならぬのであります。
諸君
、もし私の言うことに偽りがあれば、私を直ちに
懲罰
に付していただきたい。私は
懲罰
も死もおそれない。ただ、こんな醜悪な事実を知った
国民
の怒りが、
驚雷
のごとく天地を動かし、
政治不信
の力となって、一切の
政治秩序
を一挙に葬り去ることを私はおそれるからにほかならぬのであります。(
拍手
)いまからでもおそくない、すべからく
自民党
が党議を改め、
参考人
を
証人
として召喚し、
国民
の前に正しい姿勢を示すことを心から進言するものであります。
予算委員長荒舩清十郎
君は、本
院議員
に当選すること十回であります。この間、
衆議院
副
議長
に一回、
予算委員長
に三回
就任
し、
名実とも
に政界の大先輩として君臨しておるのであります。
県会議員時代
を含め、
荒舩君
の三十数年に及ぶ
政治遍歴
はまさに波乱万丈であり、かくかくたる功績もあれば、これまた幾つかの失敗もあるのであります。 その
一つ
は、
昭和
四十六年十一月二十六日、
衆議院
本
会議
において行なわれた
荒舩副議長不信任決議案
の
上程
もその
一つ
であります。
沖繩国会
において、
議運理事会
を無視し、
職権
をもって本
会議
を強行し、
理事会無視
の悪例を残した
行為
によって
不信任
を受けたのであります。今回もまた
理事会無視
の
職権乱用
をやり、前回に続くまさに二回目のあやまちを重ねるに至ったのであります。(
拍手
) さらにさかのぼれば、
昭和
四十一年九月、
荒舩君
が待望の
国務大臣
になったときであります。在職中、ときに深谷駅に
急行列車
をとめたり、ときに
日韓閣僚懇談会議
に
民間業者
を同行するなど、これまた
公私混淆
、
職権乱用
の
非難
を全身に受けて、二カ月にして
運輸大臣
の地位を去っているのであります。
政党政治家
の本分は、
大衆
に奉仕する精神に徹し、
権力
に抗するところに真の値打ちがあるのである。
民衆
の味方をもって
任ずる荒舩清十郎
君が、一回ならず三回も、
権力乱用
という最も非民主的な唾棄すべき
反動行為
によってその信任を問われることは、彼の生涯を通じてぬぐい去ることのできぬ
最大
の汚点を残したものといわなければならぬのであります。(
拍手
)
荒舩君
は、このたびの
予算委員長就任
に際し、「円満なる
委員会
の
運営
をはかり、
予算審議
を通じ
国政
に遺憾なきを期す」と公約しておるのであります。しかるに、その
ことば
のかわかぬうちに、三たび、
権力乱用
という最も恥ずべき
行為
に出で、
委員会審議
を空白にし、
国政
上重大な支障を来たすに至ったのであります。
荒舩君
は、長い
議員生活
を通じ、ただ
一つ不朽
の
名言
を残しておるのであります。それは、
急行
をとめ、
国民
の
非難
の矢面に立ったとき、「
荒舩清十郎
一代の不覚でござんす」と、こう言って、率直簡明に
国民
に
おわび
をいたしたことでありました。(
拍手
)これこそ、まさに
荒舩清十郎
の名を後世に残す
天下
の
名言
であります。いまこそ、もう一度この
名言
を思い出していただきたいのであります。 一億
国民
は、
物価高
に泣き、これを正しく
調査
する道をふさいだ
荒舩清十郎委員長
に、限りない
不信
と怨嗟の声を投げかけておるのであります。この
国民
に向かって、「
荒舩清十郎
一代の不覚でござんした」と、
おわび
を申し上げ、すべからく
委員長
の職を辞し、秩父の故山に立ち帰り、心機一転、
権力
に立ち向かう真の
民衆政治家
として立ち直り、君に残された
政治家
としての晩節を全うすべきであることを心から忠言をいたしまして、
荒舩予算委員長解任決議案
の
趣旨説明
にかえておく次第でございます。(
拍手
)
—————————————
前尾繁三郎
7
○
議長
(
前尾繁三郎
君)
討論
の通告があります。順次これを許します。
井原岸高
君。 〔
井原岸高
君
登壇
〕
井原岸高
8
○
井原岸高
君 私は、
自由民主党
を
代表
いたしまして、
野党
四党の
共同提案
にかかる
予算委員長荒舩清十郎
君に対する
解任決議案
に対し、
反対
の
討論
を行なわんとするものでございます。(
拍手
)
荒舩予算委員長
は、
就任
以来、党派に偏せず、中立公正な立場で
委員会
の
運営
をしていく方針を言明され、今日に至ったのであります。その間、
審議日数
、
質疑
時間、その他各種の事柄について
野党諸君
の要望を全面的に受け入れ、また、
政府
の答弁に対しましては常に正確を求め、
質疑者
の要請にこたえるべく最善を尽くされて、名
委員長
として
野党
の皆さんからも称賛を受けたことは御
承知
のことでございます。(
拍手
) 私どもは、
委員長
が
公正中立
というからには、
与党
に対しても五分、
野党
に対しても五分であるべきと考えてまいったのでありますが、これまでの
経過
から判断いたしますると、
野党
に対しましては七分も八分も譲っておるわけでございます。しかも
与党
は三分ではないかと、はなはだ歯がゆい思いを感ずる場合があったのであります。 しかして
物価
問題については、本問題が今日の
国民的最大
の
緊急課題
となっておるこの実情にかんがみまして、
予算委員会
に
企業
の
代表者等
を招き、
実態
を明らかにし、一刻も早く
物価
の鎮静をはかり、
国民
の
期待
にこたえたいと、
荒舩委員長
みずからの提唱によって、
総括質問終了
後、二月七日、八日の二日間をこれに当てることとし、
理事会
においても
与野党
の
意見
が一致しておったところであります。 ただ一点、
与野党
の
意見
の相違は、
出席
を求める人を
参考人
とするか、あるいはまた
証人
とするかということであります。
野党
の
諸君
は、
参考人
では事実の
解明
が不十分となるおそれがあるから、
証人
として
喚問
すべきであるというのでありますが、もちろん、
証人
の
喚問
は、
議院証言法
により法的には可能であります。しかしながら、
証人
には、
法律
上のきびしいワクがはめられており、また、きびしい義務が課せられておるのであります。その取り扱いについてはきわめて慎重を要するものであることは、言をまつまでもないところであります。 過去における
証人喚問
の
実態
をながめてまいりますると、
証人
が自殺をした実例もございます。また、
造船疑獄
その他の事件に際しては、
国会
における
証人
の
喚問
の
あり方
が、遺憾ながら法曹界あるいは学界、
国民
多数の批判を受けたことは耳目に新しいところでございます。これは、私
企業
や個人についての
調査
が、
行政権
の
行使
と関連ある限度を越えて、半ば査問的、
犯罪捜査的調査
に堕したからであると思われるのでございます。 第二には、
予算委員会
の
所管
は、どこまでも
予算
であるということであります。したがって、直接に
審議
すべきは
予算
であり、
国政調査
も直接に
予算
に関係するものに限定されるものと考えるべきでございます。 ところで、
物価
問題を第一義的に、専門的に
所管
する
委員会
といたしましては、本院において
物価問題等
に関する
特別委員会
が設置されておるのでございまして、それぞれの
所管
に関する事項を明確に区分されております。 もちろん、従来から
予算委員会
においては
国政全般
に関する
質疑
が行なわれる
慣例
になっており、昨今の情勢から見て
物価
問題が最も重要な問題であることは、われわれも認めるところであります。 しかし、
予算委員会
における
物価問題討議
の
目的
は、あくまでも、
物価
に対する
政府
の
行政
の手ぬるいこと、この問題を
追及
して、その改善を
要求
することにあるのであります。
民間人
の
出席
を求めての
意見
の聴取は、そのために必要な
範囲
にとどめるべきであります。したがって、われわれは、
参考人
という資格だけで十二分に所期の
目的
が達せられると思っておるのであります。 私たちは、どこまでも
立法府
における
国政調査権
の
あり方
という
法律論
から、
証人喚問
はあくまでも慎重を期すべきであるというのであって、
野党
の言われるがごとくに、ありもしない
企業
との
癒着云々
なんという、ただいまの……(「
癒着
しているじゃないか」と呼び、その他発言する者多し)証拠があるのかという御
質問
でございますが、そういう乱暴な数字を並べてあえて
与党
・
政府
を
非難
することは、私はまことに、それこそ
野党
の方々の考え違いである、迷惑千万だと感じております。 もし、
国政全般
を
論議
する
予算委員会
において、そのときどきの問題について、関係する
民間人
をそのつど
証人
で
喚問
するような
慣例
をつくりまするというと、今後の
国会
の
運営
上、ゆゆしき問題が起こるのでございます。いわゆる
人権無視
という問題も起こってくるでございましょう。それがゆえに、今日まで
予算委員会
においては
証人喚問
の先例がなかったのでございます。
証人喚問
ということを
予算委員会
ではやっていないのです。国権の
最高機関
である
国会
の
権能
にもおのずから節度があるのです。
司法官憲
のごとく
犯罪
の
捜査
を行なったり、法の執行を行なう
行政権
の
行使
のごときは、厳にわれわれは慎まなければなりません。
近代民主主義
が、
議会
と
行政
、
司法
の
権能
をそれぞれ独立させ、それぞれの
機能
を重複しないようにいたしたのも、かかる観点に立っておるからでございます。 われわれは、このような認識のもとに、二月八日以来、連日
理事会
において
協議
を続けてまいりましたが、
与野党
の
主張
は
平行線
をたどり続けました。ここにおいてわが党は、
事態打開
のため、一応
参考人
として
出席
を求め、
理由
なく
出席
を拒んだり、また、誠意ある陳述がなされない場合には、
証人
としてあらためて
喚問
するとの
提案
を行ない、一日も早く
物価
の
集中審議
が開始されるよう
野党諸君
の理解を求めたのでありますが、
野党
の
諸君
は依然として当初の
主張
を一歩も譲らない。じんぜん、この問題だけで一週間にわたり
理事会
において
協議
が行なわれたのであります。
国民生活
に不可欠の
予算審議
に入れないという最悪の
事態
を招くに至った。
理事会
においては、
本件
の決着を早くつけるべきであるとの、
野党理事
の中からもそういう御
意見
が出ておったのです。
野党
の
理事
の中からも、
結論
を早くつけなさい、
委員長
、あなたは
責任者
だから、
結論
を出しなさいといって、
委員長
に言われたじゃありませんか。(
拍手
、発言する者多し)そんなことを言われたじゃありませんか。 かくて、
荒舩委員長
は、
本件
について、早急に
参考人
を招き、
審議
を進めるべきであるとの
理事会
の多数
意見
により、
民主主義
のルールに従って、
委員会
の
動議
のごとく決した次第でありまして、
付託案件
の
審議促進
をはからなければならない
委員長
の職責を考えまするときに、これを
非難
する
理由
というのは、こればかりもないじゃありませんか。(
拍手
)
委員長
の
責任
を果たしたことをなぜあなた方は
非難
するのですか。あなた方、
委員長
になったらどうやるつもりなんだ。
荒舩委員長
は、御
承知
のように、長年
国会
で活躍され、この間四たび
予算委員長
に選任され、また、
国務大臣
、本院副
議長
の要職を歴任して、その人格、識見はともにすぐれておる。
議会運営
の公平さは高くわれわれお互いに評価しなければなりません。(
拍手
) 私は、ここに、
予算委員長荒舩清十郎
君を深く強く信任して、あなた方の出しておる
解任決議案
には絶対に
反対
をいたします。絶対に
反対
いたします。(
拍手
)
議院
における
証人喚問
が、後世、その運用を誤ったと人々に言われないためにも、より慎重であるべきことを
主張
いたしまして、私は
反対
の
討論
を終わります。(
拍手
)
前尾繁三郎
9
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 林百郎君。 〔林百郎君
登壇
〕
林百郎
10
○林百郎君 私は、
日本共産党
・
革新共同
を
代表
して、ただいま
議題
となっておる
予算委員長荒舩清十郎
君の
解任決議案
に対し、
賛成
の
討論
をいたします。(
拍手
) 今日、
国民
が異常な
物価
の暴騰、
物不足
により
塗炭
の
苦しみ
にあえいでいるとき、その諸悪の
根源
である大
企業
、大
商社
の
代表
を本
院予算委員会
に
証人
として
喚問
し、その
実態
を
解明
することは、いまや
国民各界各層
の一致した切実な声となっているのであります。 しかるに、
自由民主党
と
荒舩予算委員長
は、
国民
のこの切実な
要求
に対し、あらゆる詭弁を弄し、挑戦し続けてまいりました。しかも、後に述べるごとく、
証人喚問権
は
国会
の持つ当然の権限であります。しかも、
与野党
の折衝の過程において、
事態
の
打開
のため、わが党はじめ
野党
が
提案
した、
予算委員会
の
審議
でその非が明白になっている
企業
及び
業界代表
を
証人
として
喚問
する、他の
企業
及び
業界
の
代表者
については、とりあえず
参考人
として呼ぶという
提案
に対してすら、これを拒否し、まるで抜き打ちにもひとしい
暴挙
によって
予算委員会
を開会し、一方
的採決
を強行したのであります。
自民党
のこのような
暴挙
が、
議会制民主主義
を根本から否定するものであることは明らかであり、
民主主義
を望む
国民
のとうてい許すことのできないところであります。(
拍手
)もはや、この
事態
は、
自民党
が人為的にたくらんだ
物価つり上げ
によってかつてないばく大な
利益
をせしめた大
企業
を擁護し、これに
癒着
しておる醜悪な
事態
が
国民
の前に明らかになることをおそれた結果であります。(
拍手
)このことは何人も否定し得ないところであります。 いまや
国民
は、この
事態
を次のようにきびしく批判しております。
自民党
は、なぜ、
国民
を苦しめ、暴利をむさぼる大
商社
をこれほどかばうのか。それは
財界
との
癒着
の深さを示す例証としか言えまい。
自民党
に
責任
ある
与党
としての感覚があるならば、断固、
証人
として
喚問
すべきである。さもなければ、
自民党そのもの
に
国民
の疑惑が増していくであろうと。これはいまや圧倒的な世論となっているのであります。(
拍手
)われわれが本
決議案
に
賛成
する第一の
理由
も、まずここにあります。 本
決議案
に
賛成
する第二の
理由
は、このたびの
強行採決
は、
与党自民党
が、憲法第六十二条が規定しておる
国会
における
国政調査権
の最も重要な
機能
である
証人喚問権
をじゅうりんし、大
企業
の
利益
と
国政
を
癒着
させ、
議会制民主主義
に挑戦する
暴挙
を行なったことであります。
自民党
の
諸君
は、
証人喚問
は
立法府
の
行政権
への介入であり、自由主義のたてまえからそれは認められないとか、また、まず最初に
参考人
として
出席
を求め、問題があるときにあとで
証人
に切りかえればよいなどと
主張
し、あくまで
証人
の
喚問
に
反対
し、大
企業
をかばおうとしております。しかし、
諸君
、
議院
の
証人喚問権
は憲法に明確に規定されております。
衆議院
規則第五十三条には「
委員会
は、
議長
を経由して
審査
又は
調査
のため、
証人
の出頭を求めることができる。」と規定されておるのであります。これを受けて、
議院
における
証人
の
宣誓
及び証言等に関する
法律
も制定されておるのであります。
証人喚問権
は、国権の
最高機関
たる
国会
が行なう
国政調査
にとって重要な
権能
であることは、
国民
ひとしく認めているところであります。特に
予算審議
中に次々と明らかになった大
企業
の横暴、石油危機にあたって、これを千載一遇の好機として不当
利益
をあげるための指示を行ない、総理みずからも、悪徳商法の見本とさえ言い、だれが見ても反社会的
行為
を行なっている石油業者や、何十億円といわれる脱税を行なっている大
商社
、また、やみカルテルにより公正取引
委員会
から数回にわたって警告を受けている
企業代表
を、わざわざ
参考人
として
意見
を拝聴してからでなければ
証人喚問
はすべきでないなどというがごときは、憲法が保障する
国会
の
証人喚問権
をみずから放棄するものであります。(
拍手
)どのような口実もこれを正当化することはできません。そればかりではない。その
参考人
さえ、
自民党
は今日まで一人も呼んでないではありませんか。(
拍手
) さらに、
自民党
の
諸君
の言う、
証人喚問
は
企業
の自由を奪うなどというがごときは、まさに自由の美名のもとで大
企業
の横暴を擁護する独特の詭弁以外の何ものでもありません。(
拍手
)
国民
は、今日、
自民党
政治のもとで、悪徳
企業
により、生きることの自由すら奪われているのであります。いまこそ
国会
は、その持てる全
機能
を発動し、
国民
の生きる自由を守らなければなりません。これこそ
国会
議員に課せられた厳粛な責務であります。
国民
はそれを切実に望んでいるのであります。 すでに、憲法制定以来、
国会
はいままで千三十三人の
証人
を
喚問
し、証言を行なわせている、こういう厳然たる歴史的事実があるではありませんか。いまや、
自民党
の
諸君
の
証人喚問
拒否の口実は、全く主権者たる
国民
を忘れた、大
企業
本位のためのものであり、
国民
の切なる
期待
を明らかに裏切るものといわざるを得ません。(
拍手
) 本
決議案
に
賛成
する第三の
理由
は、このたびの
自民党
の
強行採決
は、
国民
が重大な疑惑を持ち、その
解明
を求めている大
企業
、大
商社
の
物価つり上げ
のすべてのからくりを
国民
の前に明らかにし、
物価
を引き下げ、
国民生活
を守るための
国会
の活動、これに対する挑戦であり、そしてその道を閉ざそうとしているからであります。
自民党
が大
企業
の暴利の中からばく大な
政治献金
を受けていることは、もはや今日
天下周知
の事実であります。
自民党
がこの醜い姿が
国民
の前に明らかになることをおそれていることは、おおうべくもありません。しかも、悪徳商法で
物価つり上げ
、土地投機、買い占め、売り惜しみ、脱税で荒かせぎをし、公害をまき散らし、
国民生活
を破壊している大
企業
が、
国民
の恨みのこもった
資金
を
与党自民党
にみついでいるという
実態
に
国民
は深い疑惑と怒りを燃やしているのであります。(
拍手
)この
国民
の疑惑を明らかにすることは、
民主政治
の原則から見て当然のことではありませんか。(
拍手
)これは、石油危機をいいことにして、千載一遇の好機としてぼろもうけをしている石油
企業
が、
国民協会
を通じて
自民党
に多額の
政治献金
をしていることを見れば、一そう明らかであります。したがって、
国会
が
国政調査権
を発動し、この
実態
にメスを入れ、
国民
の前にすべてを明らかにすることは、
国民生活
を守るためにも当然のことといわなければなりません。 大
企業
の
利益
を擁護し、それと
癒着
しての今回の
予算委員会
における
証人喚問
拒否の
強行採決
の異常な
事態
、いまや、事ここに至れば、
自民党
の
諸君
の口にする自由社会なるものの
実態
が、実はほんの一握りの大
企業
、大
商社
の飽くことなき利潤追求を守るための自由であり、そのためには、憲法で明記されている国権の
最高機関
である
国会
の権限と、
議会制民主主義
の原理をいかに踏みにじってもかまわぬたぐいのものであることが、一そう
国民
の前に明らかになったのであります。(
拍手
) 以上、私は、
自民党
と
荒舩清十郎
君の
暴挙
を糾弾し、本
決議案
に対する
賛成
の
理由
を述べてきました。 わが党は、今後あくまで
国民
の
期待
にこたえ、
政府
、
与党自民党
の大
企業
本位、
国民生活
破壊の
実態
を、
国会
を通じて
国民
の前に明らかにするために全力を尽くすものであります。そして
議会制民主主義
の擁護と
国民生活
安定のために一そう奮闘することをここに表明し、私の
賛成
討論
を終わります。(
拍手
)
前尾繁三郎
11
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 岡本富夫君。 〔岡本富夫君
登壇
〕
岡本富夫
12
○岡本富夫君 私は、公明党を
代表
して、ただいま
提案
されました
予算委員長荒舩清十郎
君の
解任決議案
に
賛成
の
討論
を行ないます。(
拍手
) 現在、
国民
が一致して
要求
していることは、
物価
狂乱の
異常事態
を一日も早く解決してもらいたいということであり、その中でも、大
企業
の石油危機を利用した便乗値上げを阻止してもらいたい、そして、今日まで
予算委員会
をはじめ各常任
委員会
で
追及
された許すことのできない大
企業
の悪徳商法、さらには、公正取引
委員会
によって摘発された便乗値上げのやみカルテル等の
実態
に徹底してメスを加えてもらいたいということであります。 国権の
最高機関
である
国会
は、
国政調査権
の有効な
行使
によって、この
国民
の
要求
にこたえる義務があるということは言うまでもありません。 今日ほど大
企業
のモラルがきびしく問われているときはないでありましょう。過剰流動性を悪用した土地や株式、生活必需品への投機が一昨年以降しょうけつをきわめ、それが一段落したかと思えば、今度は石油危機を逆手にとっての買い占めや物の隠匿、価格のつり上げ、さらには大
商社
の
利益
隠匿、脱税等々、そのあくどいやり方は、多くを論ずる必要はないのであります。したがって、問題大
企業
の
代表者
を
予算委員会
へ呼ぶ資格、すなわち、
参考人
とするか、
証人
にするかは、
国会
が
国民
の負託にこたえることができるかどうかの分かれ道にあるということであります。
荒舩清十郎
君が行なった、問題大
企業
の
代表
を
参考人
とするための
強行採決
は、
予算委員会
の歴史の中で、一度たりともなかった
強行採決
という
暴挙
であるということであります。
物価
値上げの
実態
を
解明
してほしいという
国民
の切実な
要求
を、不法な
強行採決
によって踏みにじってしまったのであります。さらに、公正なる
委員会
運営
の使命をになった
委員長
が、
自民党
の党利党略を、そのまま強行手段によって実現されたのであります。 私は、今回の
荒舩清十郎
君のとった
行為
は、
国民
の
代表
として断じて許すわけにはいかないのであります。と同時に、
荒舩清十郎
君をこのような
暴挙
に走らしめた
政府
・
自民党
の姿勢もまた、きびしく糾弾しなければならないのであります。
自民党
の
諸君
、考えてみてほしい。今日の
事態
は、
政府
・
自民党
が長年強引に推し進めてきた、産業優先の高度
経済
成長政策によって、どん欲な利潤の追求をほしいままにしてきた大
企業
が、長年にわたる
政府
の
インフレ
政策によって
物価高
騰をはかり、石油危機にあたっていよいよその本性を露骨にあらわし、
国民生活
の深刻な不安を逆に利用した便乗値上げに狂奔したということは明らかであります。 なぜ、
政府
・
自民党
は、みずからの姿勢を正すとともに、大
企業
の横暴をやめさせることに真剣に取り組まないのか、
国民
の疑問は
政府
に対する
不信
と怒りになっているのであります。
国民
は、大
企業
と
政府
・
自民党
の
癒着
があるゆえに、大
企業
の横暴に手をこまねいていると見ているのが
真実
でありましょう。もしもとの疑問に反論するならば、それこそ、
証人喚問
によってき然たる態度を示すべきであったことは道理なのであります。
政府
・
自民党
は、その
主張
である、まず
参考人
、もし十分でなかった場合は
証人
に切りかえるという
方法
が、一見、筋が通っているようでありながら、大
企業
の代弁者の態度であると
非難
される
理由
を冷静に分析しなければなりません。わが党の矢野書記長が、
物価
へはね返る
商社
の脱税問題を
追及
し、丸紅、トーメンなど、
商社
の不正
行為
を明らかにし、国税庁もその事実を認めました。にもかかわらず、
商社
側の言い分は、その事実はないとうそぶいているではありませんか。また、近江委員が
追及
した大
企業
の独占禁止法違反による勧告も、悪質大
企業
は、この二年足らずの間に三回、四回、多いところは五回も受けているではありませんか。このような
事態
が明らかにされているときに、
証人
を呼ぶ必要性を認めない
政府
・
自民党
の姿勢こそ、そのまま
国民
無視であり、現下のきびしい
物価
問題に目をつむる、あるまじき
行為
と断ぜざるを得ないのであります。(
拍手
) しかも、公明党をはじめ
野党
四党は、十四日、あまりにも
政府
・
自民党
のかたくなな態度に、
国会
審議
の空白をおもんばかり、今
国会
において問題になった
企業
のみ
証人
に、他は
参考人
でもよいとするところの再
提案
をしたのであります。にもかかわらず、これに対して一顧だにもしなかったのであります。 しかし、憲法六十二条には
国会
の
証人喚問
が定められ、これを受けて
国会法
にはその権限が付与され、さらには、
議院
における
証人
の
宣誓
及び証言等に関する
法律
が制定され、必要があれば
国政調査
の一環として
証人喚問
の
行使
が明記されている以上、当面する
事態
から、その必要性を認めることには何らの疑点も差しはさむことができないのであります。 今日の
事態
は、勇気ある決断がなければ解決できないことは言うまでもありません。私は、
政府
・
自民党
に対し、あくまでも
国会
へ
証人
として大
企業
の
代表
を呼び、
物価
問題の本質にメスを入れることを
要求
するものであります。(
拍手
)
荒舩清十郎
君は、かかる重大な問題に対し、
委員長
としてあるまじき態度をとったことを反省し、みずから辞意を表明すべきが
議会
人としての常識でありましょう。しかしながら、
荒舩清十郎
君は、今日まで何ら反省する姿勢を示していないのであります。 私は、以上の
理由
をもって、
荒舩清十郎
君の
解任決議案
に
賛成
の意を表するものであります。この不名誉な記録は、将来、わが
国会
の歴史に長く残されることを
荒舩清十郎
君はよくよく知るべきであります。 以上で
解任決議案
に対する
賛成
討論
を終わります。(
拍手
)
前尾繁三郎
13
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 安里積千代君。 〔安里積千代君
登壇
〕
安里積千代
14
○安里積千代君 私は、民社党を
代表
いたしまして、ただいま
議題
になっておりまする
荒舩予算委員長
の
解任決議案
に対しまして、簡単に
賛成
の
討論
を行ないます。 今
国会
は、異常な
インフレ
、
物価高
に対処いたしまして、
国民
の
政治不信
や不満の高まる中に、この危機を突破して
国民生活
を安定せしめるために、かつてない重大な
責任
を負わされた
国会
であります。そうして、その施策の裏づけとなりまする
予算
の
審議
中であります。それだけに、
予算委員長
は、
国民
の
期待
にこたえ、
審議
が十分に尽くされるよう万全を期さなければならないと考えております。
荒舩委員長
は、ときに
政府
答弁の不明確さに対しまして明確な答弁を求むる等、積極的に熱意を示されたことのあったのも
承知
いたしております。これはそのような認識の上に立ったものと私は信じておりました。
審議
の過程におきまして明らかにされてきましたことは、今回の
物価
騰貴の
原因
は、
政府
施策の誤りや
行政
措置のまずさもさることながら、大
企業
が
国民大衆
の
苦しみ
をよそに
利益
追求に狂奔し、買い占め、売り惜しみ、便乗値上げなど、あくどいやり方の中にその大きな
原因
があると見られていることであります。このことは、資本主義、自由主義
経済
の最も悪い面をあらわしておるものでありまして、このまま推移し、
事態
の進展を見まするならば、
国民
の怒りは爆発的に達するであろうことを私は憂うるものであります。(
拍手
) このような
企業
の
実態
を是正し、
企業
の社会的
責任
を確立するということは、
インフレ
を阻止し、
物価
の高騰を抑制するためにきわめて重要な根本問題であると私は考えます。そのためには、くさいものにはふたをする、そういうことでなくして、その
根源
にメスを入れて、正すべきものは正さなければなりません。
予算委員会
におきまして、
野党
四党が関連
企業
の
責任者
を
証人
として
喚問
して、
国民
の手の届かないところで行なわれておる操作の
実態
を明らかにして、その
責任
を
追及
し、正しい
国民
の理解のもとに
国民生活
の安定の道を開くということは、今
国会
に与えられた大きな使命であり、
議会制民主主義
の実をあげる上においても必要な道であると信じます。 しかるに、
自民党
は、
国会
に与えられた
証人喚問
の権限を回避して、
参考人
とすることに固執いたしまして、
与野党
間の
意見
の対立を見ましたことは遺憾であります。最終的には採決によって決すること自体は正当であります。しかし、それには時があり、道があり、対決の中にも妥協の道があったと考えております。事が重要であればあるほどそうであると考えます。
野党
は、
国民
世論にこたえるとともに、
審議
の円滑
運営
を願いまして、
提案
者の
趣旨説明
にも見られ、また、
賛成
討論
の中にもあらわれておりまするように、一歩譲った
提案
を行なったにもかかわらず、
与党
はこれを受け入れなかったのでありますが、なお
話し合い
の機会があったにかかわらず、
荒舩委員長
は、
与党
の一方的
意見
と何らかの圧力に屈して、突如、
委員会
開会を宣言して、
動議
の
趣旨説明
も十分聞き取れないままに
強行採決
の挙に出ましたことは、私は多数決原理の乱用であると信じまするし、また、それ以外の何ものでもないと思います。(
拍手
)これによりまして、ますます大
企業
と
政府
・
与党
との不純な
癒着
の疑惑を
国民
に与えたこともいなめません。
国会
審議
に対する
不信
感を高め、さらに自後の
審議
にも大きなわだかまりを残したこともいなめないのであります。
荒舩委員長
が真に
委員会
運営
の円滑化と
国民
に対する
責任
を考えるのでありましたならば、あの
強行採決
は十分に避け得られたものだと信じます。したがいまして、この挙に出ました
責任
は、まさに
委員長
である
荒舩清十郎
君にあり、解任によってその
責任
を
国民
の前に明らかにすべきであると信ずるものであります。 よって、本
解任決議案
に
賛成
の意を述べるものであります。(
拍手
)
前尾繁三郎
15
○
議長
(
前尾繁三郎
君) これにて
討論
は終局いたしました。 採決いたします。 この採決は記名投票をもって行ないます。本
決議案
に
賛成
の
諸君
は白票、
反対
の
諸君
は青票を持参せられんことを望みます。——閉鎖。 〔議場閉鎖〕
前尾繁三郎
16
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 氏名点呼を命じます。 〔参事氏名を点呼〕 〔各員投票〕
前尾繁三郎
17
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 投票漏れはありませんか。——投票漏れなしと認めます。投票箱閉鎖。開匣。——開鎖。 〔議場開鎖〕
前尾繁三郎
18
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 投票を計算いたさせます。 〔参事投票を計算〕
前尾繁三郎
19
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 投票の結果を事務総長より報告いたさせます。 〔事務総長報告〕 投票総数 四百五 可とする者(白票) 百六十九 〔
拍手
〕 否とする者(青票) 二百三十六 〔
拍手
〕
前尾繁三郎
20
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 右の結果、
予算委員長荒舩清十郎
君
解任決議案
は否決されました。(
拍手
)
—————————————
楯兼
次郎
君外四名
提出
予算委員長荒舩清十郎
君
解任決議案
を可とする議員の氏名 安宅 常彦君 阿部 昭吾君 阿部 助哉君 阿部未喜男君 赤松 勇君 井上 泉君 井上 普方君 石野 久男君 石橋 政嗣君 板川 正吾君 稲葉 誠一君 上原 康助君 江田 三郎君 枝村 要作君 小川 省吾君 大出 俊君 大柴 滋夫君 大原 亨君 岡田 哲児君 岡田 春夫君 加藤 清政君 勝澤 芳雄君 勝間田清一君 角屋堅
次郎
君 金瀬 俊雄君 金丸 徳重君 金子 みつ君 川俣健二郎君 河上 民雄君 木島喜兵衞君 木原 実君 北山 愛郎君 久保 等君 久保田鶴松君
小林
信一君
小林
進君 兒玉 末男君 上坂 昇君 神門至馬夫君 佐々木更三君 佐藤 観樹君 佐藤 敬治君 佐野 憲治君 佐野 進君 斉藤 正男君 坂本 恭一君 阪上安太郎君 柴田 健治君 島田 琢郎君 島本 虎三君 嶋崎 譲君 清水 徳松君 田中 武夫君 田邊 誠君 多賀谷真稔君 高沢 寅男君 高田 富之君 竹内 猛君 楯 兼
次郎
君 塚田 庄平君 辻原 弘市君 土井たか子君 中澤 茂一君 中村 茂君 中村 重光君 楢崎弥之助君 成田 知巳君 野坂 浩賢君 芳賀 貢君 馬場 昇君 長谷川正三君 原 茂君 日野 吉夫君 平林 剛君 広瀬 秀吉君 福岡 義登君 藤田 高敏君 松浦 利尚君 三宅 正一君 美濃 政市君 武藤 山治君 村山 喜一君 村山 富市君 森井 忠良君 八木 一男君 山口 鶴男君 山田 耻目君 山田 芳治君 山中 吾郎君 山本 幸一君 山本弥之助君 湯山 勇君 米内山義一郎君 横路 孝弘君 吉田 法晴君 和田 貞夫君 渡辺 三郎君 渡辺 惣蔵君 荒木 宏君 諫山 博君 石母 田達君 梅田 勝君 浦井 洋君 金子 満広君 神崎 敏雄君 木下 元二君 栗田 翠君
小林
政子君 紺野与
次郎
君 庄司 幸助君 瀬崎 博義君 瀬長亀
次郎
君 田代 文久君 多田 光雄君 津川 武一君 寺前 巖君 土橋 一吉君 中路 雅弘君 中島 武敏君 野間 友一君 林 百郎君 東中 光雄君 平田 藤吉君 増本 一彦君 松本 善明君 三浦 久君 村上 弘君 山原健二郎君 米原 昶君 新井 彬之君 有島 重武君 石田幸四郎君 大久保直彦君 大野 潔君 大橋 敏雄君 近江巳記夫君 岡本 富夫君 沖本 泰幸君 鬼木 勝利君 北側 義一君 小濱 新次君 坂井 弘一君 坂口 力君 鈴切 康雄君 瀬野栄
次郎
君 田中 昭二君 高橋 繁君 竹入 義勝君 林 孝矩君 伏木 和雄君 正木 良明君 松尾 信人君 松本 忠助君 矢野 絢也君 山田 太郎君 渡部 一郎君 安里積千代君 池田 禎治君 稲富 稜人君 小沢 貞孝君 河村 勝君 小平 忠君 小宮 武喜君 竹本 孫一君 玉置 一徳君 塚本 三郎君 永末 英一君 宮田 早苗君 渡辺 武三君 否とする議員の氏名 安倍晋太郎君 足立 篤郎君 阿部 喜元君 赤城 宗徳君 秋田 大助君 天野 公義君 天野 光晴君 有田 喜一君 井出一太郎君 井原 岸高君 伊東 正義君 伊藤宗一郎君 伊能繁
次郎
君 石田 博英君 石原慎太郎君 稻葉 修君 稻村佐近四郎君 稲村 利幸君 今井 勇君 宇野 宗佑君 上田 茂行君 上村千一郎君 植木庚子郎君 臼井 莊一君 内田 常雄君 内海 英男君 浦野 幸男君 江藤 隆美君 小川 平二君 小沢 一郎君 小澤 太郎君 小渕 恵三君 越智 伊平君 越智 通雄君 大石 千八君 大石 武一君 大久保武雄君 大竹 太郎君 大西 正男君 大野 明君 大野 市郎君 大橋 武夫君 大村 襄治君 奥田 敬和君 加藤 紘一君 加藤 陽三君 海部 俊樹君 笠岡 喬君 梶山 静六君 片岡 清一君 金丸 信君 金子 一平君 金子 岩三君 亀岡 高夫君 亀山 孝一君 鴨田 宗一君 唐沢俊二郎君 仮谷 忠男君 瓦 力君 菅野和太郎君 木野 晴夫君 木部 佳昭君 木村 武雄君 木村武千代君 岸 信介君 北澤 直吉君 吉川 久衛君 久野 忠治君 久保田円次君 鯨岡 兵輔君 熊谷 義雄君 倉石 忠雄君 倉成 正君 栗原 祐幸君 黒金 泰美君 小坂徳三郎君 小島 徹三君 小平 久雄君
小林
正巳君 小山 長規君 小山 省二君 河野 洋平君 河本 敏夫君 近藤 鉄雄君 左藤 恵君 佐々木秀世君 佐々木義武君 佐藤 孝行君 佐藤 文生君 佐藤 守良君 斉藤滋与史君 齋藤 邦吉君 三枝 三郎君 坂田 道太君 坂村 吉正君 坂本三十次君 櫻内 義雄君 笹山茂太郎君 志賀 節君 塩川正十郎君 塩谷 一夫君 篠田 弘作君 澁谷 直藏君 島村 一郎君 正示啓
次郎
君 菅波 茂君 鈴木 善幸君 住 栄作君 瀬戸山三男君 關谷 勝利君 園田 直君 染谷 誠君 田川 誠一君 田澤 吉郎君 田中伊三次君 田中 角榮君 田中 覚君 田中 龍夫君 田中 正巳君 田中 六助君 田村 元君 田村 良平君 高橋 千寿君 竹内 黎一君 谷川 和穗君 千葉 三郎君 中馬 辰猪君 塚原 俊郎君 坪川 信三君 戸井田三郎君 登坂重
次郎
君 徳安 實藏君 床次 徳二君 中尾 栄一君 中尾 宏君 中川 一郎君 中曽根康弘君 中村 梅吉君 中村 拓道君 中村 寅太君 中山 利生君 中山 正暉君 灘尾 弘吉君 楢橋 進君 二階堂 進君 丹羽 兵助君 西岡 武夫君 西村 英一君 西村 直己君 根本龍太郎君 野田 卯一君 野田 毅君 野中 英二君 野原 正勝君 羽田 孜君 羽生 田進君 葉梨 信行君 萩原 幸雄君 橋口 隆君 橋本登美三郎君 長谷川四郎君 長谷川 峻君 旗野 進一君 服部 安司君 浜田 幸一君 濱野 清吾君 早川 崇君 林 大幹君 林 義郎君 原 健三郎君 原田 憲君 廣瀬 正雄君 深谷 隆司君 福田 赳夫君 福田 篤泰君 福田 一君 福永 一臣君 福永 健司君 藤井 勝志君 藤尾 正行君 藤波 孝生君 藤本 孝雄君 藤山愛一郎君 古屋 亨君 保利 茂君 坊 秀男君 細田 吉藏君 本名 武君 前田治一郎君 前田 正男君 増岡 博之君 松浦周太郎君 松岡 松平君 松永 光君 松野 幸泰君 松野 頼三君 松本 十郎君 三池 信君 三木 武夫君 三原 朝雄君 三塚 博君 箕輪 登君 水田三喜男君 水野 清君 湊 徹郎君 宮崎 茂一君 宮澤 喜一君 武藤 嘉文君 村岡 兼造君 村上 勇君 村田敬
次郎
君 村山 達雄君 毛利 松平君 粟山 ひで君 森 美秀君 森 喜朗君 森下 元晴君 森山 欽司君 安田 貴六君 保岡 興治君 山口 敏夫君 山崎 拓君 山崎平八郎君 山下 元利君 山下 徳夫君 山田 久就君 山中 貞則君 山村新治郎君 山本 幸雄君 吉永 治市君 早稻田柳右エ門君 綿貫 民輔君 渡部 恒三君 渡辺 栄一君 渡辺 紘三君 渡辺美智雄君
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前尾繁三郎
21
○
議長
(
前尾繁三郎
君) 本日は、これにて散会いたします。 午後二時二十五分散会 ————◇—————