○
勝見政府委員 第一点の
裁判官不在の
調停を助長するのではないかという御
批判でございますが、この点につきましては
先ほど申し上げました、今度いわば加えられた
職務の
内容は、いずれも補助的、手段的なものにすぎません。もちろん
調停行為自体を
調停委員単独でやっていただくという
趣旨ではございませんので、ことばどおりに
お答えいたしますと、
裁判官不在の
調停を助長するということはないというふうに
考えております。
それから第二点の
裁判所の命によりという点でございますが、この「
裁判所」と書いてございますのは、
手続法上の
裁判所を
考えておるわけでございます。この「
裁判所が」ということが出てきた
理由を申し上げますと、このたびの
改正法によって新しい
職務も
調停委員ができるということにお認めいただきますと、その
職務につきまして、どの
職務をどの
調停委員にやっていただくかということについては、だれかがこれをきめなければならないわけでございます。いろいろ
考えられるわけでございますけれども、だれかにやってもらうという指定そのものは、いわば
事務分配的な
職務命令の性質を持つものだと思います。したがいまして、この
事務分配をやる主体はどれが一番適当であるかということを
考えました場合に、やはり
調停委員の執務状況等につきまして十分把握しているはずの
裁判所が最も適切であるというふうに
考えて、
裁判所の命によりということにしたわけでございます。
その
裁判所の命によりということで、指揮、監督の強化になるのではないかという御
批判でございますけれども、その点につきましては
先ほど申し上げましたように、その命令自体は
事務分配でございますので、その指定自体で指揮、監督を強化するということにはならないというふうに
考えております。また実際上の問題といたしまして、当然、当該
調停委員の御都合をお伺いした上で行なわれるということになろうかと思いますので、実際上のいわば
職務の強化ということにもならないものと
考えておる次第でございます。
それから最後の無定量云々の点でございますが、現在でもそうでございますが、
調停事件を受理いたしますと、その受理をいたしました
裁判所は、これを
裁判官単独のいわゆる
調停をやるか、あるいは
調停委員会を組織して
調停をやるかというふうな選択をいたします、いわば
調停機関の決定をいたします。それ以降のその
事件の処理につきましては、
調停委員会で行なう場合には当然
調停委員会によって行なわれるわけでございます。したがいまして、
事件が
調停委員会でやるということにきまったあとの
事件処理につきましては、いわゆる受
調停裁判所の命じ得る
事項は理論的にはきわめて限定されたものとなるわけでございます。したがいまして、
裁判所の命ずるという文言から、いわば無定量の義務が発生するということには相ならないというふうに
考えておるわけでございます。
それから最後の
公務員の
職務内容については、
法律によって定めるべきではないかという御
批判の点でございますが、もちろん
公務員の
職務の
内容は法令によって定められるべきものでありますけれども、また一方、できるだけ
法律で直接
規定するということは望ましいことであると
考えられますけれども、必ずしもすべてが
法律によって
規定すべきであるというふうには
考えていないわけでございます。現にほかの立法令もございますけれども、いわば重要な
職務内容が
法律で
規定されておりますれば、付随的なものは下位法令に委任するということも許されるものというふうに
考えております。そのようなことでございまして、歯どめの問題、無定量の問題等につきましては、そういう御
心配は私どもは
制度論としては要らないというふうに
考えております。