○正森
委員 大蔵省ではそういう
意見であります。そこで、またまた居林氏が出てくるわけですが、居林氏はいろんなところで言っておるのですね。大蔵省に言っておきますが、あまりあっちこっちで放言をすると、非常に法案
審議で大蔵省が迷惑するということは言っておきたいと思うのですね。居林さんのものを読みますと、
質問の種が何ぼでも出てくるということになるので、勢い、他の同僚議員にも、眠いのにしんぼうしていただくというようなことになりますので。実際この人は、ほんとうに言いたいほうだい言っておるのですね。だから、こういうことを言って物議をかもすようなことになると、われわれは経団連の
代表的論客がこういうことを言っておる。それでは、大蔵省はこういうことを意図しているのではないか、少なくとも客観的にそうではないか。こう、痛くもない腹を探らざるを得ないのです、実際は痛いものを持っておるのかもしれないけれども。そこで、申し上げておきたいのですけれども、この点について、これは連結財務諸表
意見書というのがあるのですが、それへの経団連
意見の反映ということで、実務会計の六七年六月号に居林さんが
意見を書いておるのですね。それからさらに、財経詳報の五月二十二日号に、「連結財務諸表に関する
意見書について」というのを、これを居林さんが書いておる。こういうものを読んでみますと、実は大蔵省には非常に申しわけないのですが、連結納税申告
制度の導入をめぐる諸問題の検討というのを、あなたのところの国税庁直税部審理課総務係長井上久彌とい人が、
企業会計の六七年六月号に書いておる。これも大体、大なり小なり、確か居林さんとは表現が違いますけれども、大体の
方向というのを書いておられるのですね。
委員長にお約束しました時間がございますので、井上さんの点は読むのを省略いたしますが、居林さんはどういうことを言うているかといいますと、こう言っておるのですね。「連結財務諸表に関する
意見書が
企業会計
審議会で取り纏められ答申されるに至った。
企業側では連結財務諸表作成について冷淡な態度をとっているものが多く、今回の答申を歓迎する向きは余り多くない。それというのも連結財務諸表作成のための手間と費用を要する割合に比べ、
企業自体にとって大してメリットがない上に、
日本社会
一般の空気としてそれほどに連結財務諸表を切望している
状態ではないと
企業が判断しているためである。」こうおっしゃっている。それではやらなくてもいいのかというと、そうではないのですね。そうではなくて、それはやってもいいのだということを言いまして、「
日本として国際的に恥かしくない連結の会計慣行ができ上がっていくかどうかは、
企業の大
規模化、集中化が米国の如く今後推進されるかどうかにかかっているというのが、
企業側の見解である。現時点で親子
会社の財務諸表を連結しなければ、
企業集団の財務的情報の信頼性と価値が失なわれるほどに集中化が行なわれていると考えられるケースは余りないという意識が財界筋には濃厚である。連結によって親子
会社間の相互取引が、本支店間取引と類似のものであると目され、その間の未実現損益が連結財務計算上で消去されると、
一般的には連結
利益はかなり減少する。そこで連結
利益に法人税を課することになれば、相当な減税になる例も多いと思われる。仮に連結の意識が
企業サイドに低いとしても、年間数千万円なり数億円なりの減税になるという
状況になった場合、
経営者としては多少の面倒はあっても、連結財務諸表を作成してみようという意識を持つようになると思われる。かように税法の面からでも連結財務諸表作成の動機が生ずることも予想し、
審議会の答申においては「連結納税申告
制度を採用する
方向において」
制度の具体的内容を検討するよう前文の終りに注文が置かれたのである。」こう言っているのですね。つまり、連結財務諸表が
企業の
状態を正確に反映するかどうかというような回りくどいことではなしに、連結すれば未実現
利益というものは、これは
利益にあげないでいいのだ、そうすれば年間何億円かもうかるだろう、そういうメリットがあればやってもいいのだという
意見ですね。つまり連結財務諸表というのは、連結納税申告
制度があって、しかもそれによって税金をあまり納めないでいいということがあって、初めて
企業にとって
意味があるのだという
考え方をとっておられるわけです。そういたしますと、井上さんの御議論は時間の
関係で省略いたしますが、親
会社、子
会社というものを導入された。
法務省はわりとのんきにしておられますが、大蔵省はさすがこういう連結財務諸表
意見書というようなものも御存じでございますから、将来の
方向についても一定の見通しを持っておられます。そういたしますと、住友化学の長谷川
社長をこの間の物価問題の
集中審議のときにお呼びいたしまして、私が直接
質問をいたしました。そのときに、資料として持っておりましたが、時間の
関係で言えませんでしたが、たとえば住友千葉化学というのがあります。これはエチレン等だけをつくっておるところでありまして、ここでは非常にもうけておる。操業上のいろいろな負担というものをやっと償却して、この一年間にものすごくもうけて、いままでの赤字を全部なくして、そしてやっともうかるような
状況になったから、近く
企業に合併するというようなことを談話でも言っておられますね。こういうような、
企業がぼろもうけをしたというような段階では、むしろいままで赤字だった住友千葉化学を一緒にして連結財務諸表にすれば、未実現
利益のことは除外して、一方の住友化学はもうかっておる、一〇〇%子
会社の住友千葉化学はもうかっておらない、そうすればもうけが隠せるということになるのです。これがいま大
企業が連結財務諸表及び連結納税申告
制度によって一番ねらっておることだ。その導入部門になる親
会社、子
会社という概念が、今度公認会計士の子
会社に対する監査という名前で導入されておる。これが今度の
商法で非常に大事だと思うのです。居林さんは、そのための環境整備が必要だ、こう言われておるのですけれども、まさに居林さんの言う環境整備の
一つが今度の
商法改正であるというように言わなければならないんじゃないかと思います。そうしますと、大蔵省、
アメリカだって連結財務諸表をとり過ぎたために、
利益が非常に分散されて、付加価値税ですか、何か二%ほど設けて、それでなければ税金が取れないという事態が起こったことは、あなた方
専門家だから御存じでしょう。
日本ではたださえ法人税が特別の措置を入れても三六・七五で、今度の
国会で四〇%にするとかいうことが行なわれているときに、
企業が、できの悪い子
会社をどんどんかかえ込んで、収益を減らして、そして本体たる
会社はぼろもうけしておっても税金を納めないようにするということを行く行くは合理化する重大なワンステップに、今度の
商法はなるんじゃないかという危惧を禁じ得ないのです。
法務省民事局長はとんと高潔な人格で、お金のほうにはうといかもしれませんけれども、そういう心配があるのですね。大蔵省はお金の問題を扱っておられますから、先ほどうんうんと、ほんとうにわかっていたのかどうかわかりませんが、うなずいておられる方もおられましたけれども、ほんとうにこういう問題を庶民は心配しているのです。
法務省や大蔵省はどう考えられますか。何か歯どめがありますか。断わっておきますが、私は連結財務諸表が全部悪いと言っているのではないのですよ。