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1974-02-26 第72回国会 衆議院 法務委員会 第9号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十六日(火曜日)     午前十時十四分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 羽田野忠文君    理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君    理事 青柳 盛雄君       井出一太郎君    奥田 敬和君       河本 敏夫君    坂本三十次君       塩谷 一夫君    千葉 三郎君       中垣 國男君    野呂 恭一君       保岡 興治君  早稻田柳右エ門君       山本 幸一君    正森 成二君       沖本 泰幸君    安里積千代君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         法務大臣官房長 香川 保一君         法務大臣官房司         法法制調査部長 勝見 嘉美君  委員外出席者         最高裁判所事務         総長      安村 和雄君         最高裁判所事務         総局総務局長  田宮 重男君         最高裁判所事務         総局人事局長  矢口 洪一君         最高裁判所事務         総局経理局長  大内 恒夫君         最高裁判所事務         総局民事局長  西村 宏一君         最高裁判所事務         総局刑事局長  千葉 和郎君         最高裁判所事務         総局家庭局長  裾分 一立君         法務委員会調査         室長      松本 卓矣君     ————————————— 委員の異動 二月二十三日  辞任         補欠選任   正森 成二君     不破 哲三君 同月二十五日  辞任         補欠選任   野呂 恭一君     前田 正男君   不破 哲三君     正森 成二君 同日  辞任         補欠選任   前田 正男君     野呂 恭一君 同月二十六日  辞任         補欠選任   江崎 真澄君     塩谷 一夫君   福永 健司君     奥田 敬和君   松澤 雄藏君     坂本三十次君   佐々木良作君     安里積千代君 同日  辞任         補欠選任   奥田 敬和君     福永 健司君   坂本三十次君     松澤 雄藏君   塩谷 一夫君     江崎 真澄君   安里積千代君     佐々木良作君     ————————————— 二月二十二日  商法の一部を改正する法律案(第七十一回国会  閣法第一〇二号)(参議院送付)  株式会社の監査等に関する商法の特例に関する  法律案(第七十一回国会閣法第一〇三号)(参  議院送付)  商法の一部を改正する法律等の施行に伴う関係  法律整理等に関する法律案(第七十一回国会  閣法第一〇四号)(参議院送付) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  内閣提出裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。正森成二君。
  3. 正森成二

    ○正森委員 定員法が出ておりますが、裁判官定員あるいは職員定員が妥当であるかどうかという問題に関連して、若干裁判事務の問題について伺いたいと思います。  現在簡易裁判所あるいは地裁甲号支部乙部支部というようなものがありますが、そのうち裁判官が常時配置されておらないところ、全く配置されておらないところ、あるいは填補で週に一回か二回かしか行かないところというのがあると思うのですが、全体の数と配置されておらない数を教えてください。
  4. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 お答えいたします。  現在裁判官が配置されておらない地裁甲号支部で一庁、乙号支部で九十五庁——簡裁でございましたね、どうも失礼いたしました。乙部支部に  一緒にある簡易裁判所では十一庁、それから独立簡裁というのが二百六十七ございますが、そのうち百四十四庁が簡易裁判所判事のおらないところでございます。
  5. 正森成二

    ○正森委員 そういうところは、やはり裁判所としては人員を配置できればしたいと思っておられると思うのですね。たとえばこれは昨年総務局長に申し上げましたが、たとえば奈良地裁五条支部というのはなかなか由緒のある甲号支部裁判所だったようですが、四十七年の十一月に一億四千万円余りの経費をかけて鉄筋四階建て延べ面積二千二百平方メートルの新庁舎ができたのに、専任裁判官大阪家裁に転勤させて裁判官が一人もおらなくなった。そして未済事件全部を大和高田市の葛城支部に回付する、あるいは刑事事件家裁事件だけは月に二回だけ填補裁判官処理するというようなことになってしまいました。これはその後私からも申し上げておりましたので、民事事件は再び五条支部に移して、填補裁判官処理するということになったようですが、こういう例を見てもわかりますように、一億四千万円の国費を使ってせっかく鉄筋四階建てをやりましても、裁判官がおらないということになっては、仏つくって魂入れずということになると思うのですね。これは国民権利擁護の上からいってもゆゆしい問題だと思うのですけれども裁判官増員、今度の予算書を見ますと、判事補が二名、簡易裁判所判事三名、計五名増員になっておるようですが、それで十分だと思っておられますか。
  6. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 五条支部の点につきましては、御指摘のとおりでございます。ただ奈良地方裁判所全体といたしますと、これだけの裁判官が必要だということでおったのでございますが、実際に五条支部裁判官を配置するかどうかということは、奈良裁判所のほうでいろいろお考えになった結果、そういうふうな結果になったわけでございます。その点につきましてはいろいろ御迷惑をおかけいたしておりますので、来年度におきましては十分何らかの措置をしたいというふうに考えております。  最後に御指摘の、これだけの増員ではたして十分と考えているかどうかという点でございますが、主として受件数を標準にして考えますと、このところ刑事事件は若干ふえておりますが、民事事件が減る傾向にございますので、受件の上から見ますと、特にここで大幅に裁判官増員しなければならないという状況にないのでございます。もちろん受件数だけの問題ではございませんで、事件内容が最近においては非常に複雑困難になっておりますので、単に受件数から云々ということはできませんが、一応受件数ではそういうふうになっておるのでございます。他方また裁判官給源といったような問願もございますので、現在のところこの程度で特に著しい支障を来たすことはなかろうというふうに考えておる次第でございます。
  7. 正森成二

    ○正森委員 実際に著しい不足はなかろうということですが、私がたとえば横浜に参りまして、実際の要望職員から聞いてまいりましたが、たとえば刑事単独係の一カ月の適正既済人員は三十名程度とされているのが、横浜地裁の本庁では六、七十名になっておる。したがって、現状係単独では五人の裁判官というのを十係にすべきで、これには横浜地裁だけで裁判官五名、書記官十五名、さらに各部に速記官一名計七名増員が必要であるという意味のことをいっておりますし、民事でも増員が必要であるという要望を出しておるのですね。こういう点から見まして、私はあとでまとめて伺いたいと思いますが、今度増員が認められたのは判事補二名、簡易裁判所裁判官三名ですが、最初裁判所予算要求として出されたときにはどれだけ要求されたのか、伺いたいと思います。
  8. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 最初要求として出しましたのは判事補二十名、それから簡易裁判所判事十六名、合計三十六名でございます。
  9. 正森成二

    ○正森委員 そういうように三十六名も必要であるというのがわずか五名に削減されてしまった、三十一名少なくとも最高裁の控え目に見た数でも入用であるということなのに、それが削られてしまったということは、これは法務大臣も聞いておいていただきたいのですが、司法修習生でできるだけ裁判官になりたいという人々に、司法の道でみずからの将来を生かすという方向を失うことにさせてしまっているのですね。そういう状況が本年だけでなしに繰り返し繰り返し続けられておると思うのですが、私ども国民権利を守る上からいっても、それこそいい裁判官であるならば、矢口さんじゃありませんが、三十名でも四十名でも増員するのが当然だ、こう思うのですが、それについてどう思われますか。
  10. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 当初要求いたしましたのは三十六名でございますが、これはいずれもその当時、特殊損害賠償事件等処理に要する人員、それから刑事長期未済事件、これは高裁における刑事長期未済事件処理、それから民事調停事件充実強化をはかるということと、簡裁交通事件処理ということでございます。このようにいずれもある特定事件処理ということでこれだけの人員が必要であろう、こういうことで予算要求をしたのでございます。これはいずれもそ当時におけるところの事件見通しと申しますか、そういうことに基づいて事件見通し、その他給源見通し等考えて、この程度であるならば事件処理ができるであろうということで増員要求したのでございますが、御承知のように八月から十二月までの間いろいろな状況の変化もございますし、最終的に予算をきめるという段階になりますと、その時点におけるところの事件状況給源状況等といったような状況が変わってまいりますので、その時点において最終的には判事補二名、簡易裁判所判事三名ということで、四十九年度はこの程度で何とかやっていけるというふうなことで妥結したものでございます。
  11. 正森成二

    ○正森委員 なぜ妥結したかという御苦心はいろいろ伺いましたが、しかしそれは毎年繰り返されることなんですが、いまの御説明の事項は、それらを考慮して、なおかつことしは三十六名ほしいというように思われたと思うのですね。その点については最後にまとめて伺いますけれども裁判官だけでなしに職員についても非常に不十分じゃないか。これは私が同僚の沖本委員横浜へ聞きに行きまして調べましたが、沖本委員がおっしゃいましたから重複は避けさせていただきます。  ただ一つだけ申し上げますと、たとえば産休代替要員の問題を沖本委員もとらえられましたが、私はそれをさらにもう少し突っ込んで申し上げたいと思うのですが、一体裁判所では産休代替要員というものがおるのか、それとも病欠代替要員というのでやっておるのか、どちらですか。
  12. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 産前産後の休暇という問題は、女子職員がございますと必然的に出てまいるわけでございますが、産前産後の休暇につきましては、先般当委員会でも沖本委員から御質問がございましたように、それについては賃金でまかなっておるわけでございます。したがいまして、正確に申し上げますと、病休代替要員というようなものは一般的にはないわけでございまして、産前産後の休暇限り代替要員として賃金でまかなう、そういうシステムに相なっております。
  13. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、産休代替要員というのだけがある、こういう趣旨ですね。
  14. 矢口洪一

  15. 正森成二

    ○正森委員 そうしますと、さらに伺いますが、おたくではタイピスト交換手だけに産休代替要員が認められているのか、それとも全職種、すなわち事務官速記官調査官書記官にも代替要員が認められているのか、それはどうですか。
  16. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 現在のところは交換手タイピストにつきましてそういうものが認められておるわけでございます。
  17. 正森成二

    ○正森委員 そしてその代替要員は、産休について何日間見込んで予算を立てておりますか。
  18. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 産前産後の休暇というものは、予定日を中心にいたしましてその前六週間、それから分べんが終わりましてあと六週間ということでございます。それについて認められておるわけでございます。
  19. 正森成二

    ○正森委員 そうすると、八十四日間代替要員についての給料が予算化され、それが認められておりますか。
  20. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 一般的には、これは正森委員も御承知かと思いますが、予定日というのは必ずしもそのとおりにいかないわけのものでございます。その平均をとりまして大体二カ月ということで予算がとられておるというふうに承知いたしております。
  21. 正森成二

    ○正森委員 いま二カ月というようにおっしゃいましたが、私が調べたところでは五十五日であります。五十五日というのは二カ月に少し足りないという期間ですが、いまここで出てまいりましたことは、裁判所ではタイピスト交換手だけに一応そういうものが認められておる。そうすると最高裁は、事務官速記官調査官書記官には女性がいないと思っておられるのか、女性がおられても子供は産まないと思っておられるのか、あるいは子供は産んでも、代替要員は要らないと思っておられるのか、それを伺いたい。  そして、大体の平均をとってみて五十五日ということですが、法律産前産後六週間ずつ計八十四日となっておるのに、いままでの統計か何か知らないけれども、それをとって五十五日というようにおっしゃるならば、法律で当然みながとりたいと思っている八週間が何らかの事情でとれない、その少ない日数法律を守るべき最高裁が固定化するということになると思うのですね。  その二点について答えてください。
  22. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 まず第一点の五十五日ということでございますが、これは土曜日、それから休日がございますので、延べにいたしますとそういうことになるわけでございます。  それから、タイピスト電話交換手以外に女性はいないかと思うのかというお尋ねでございます。まことに恐縮でございますが、そういうふうなわけではございませんが、たとえば速記官のほうは、実は賃金を出しましても代替要員がいないわけでございます。御承知のように特殊の速記をいたしておりますので、これを他に求めるということは不可能でございます。それから事務官の場合、これはもちろん代替要員がいないというわけではございませんが、現在のところ裁判所一線業務ということでないのが通例でございますので、そういったものはみんなで何とか仕事を合理化し合ってまかなっていくということで、そのことによって裁判がおくれるというようなことにはならないように全力をあげているわけでございます。
  23. 正森成二

    ○正森委員 矢口さんはなかなかおじょうずで、巧みにお答えになりますが、五十五日に、休日を入れましても一カ月間に日曜日は四回ということですから、結局六十日ですね。約二カ月間保障されているにすぎない。ところが法律では六週間ずつ八十四日間とってもいいということになっている。そうすると、やはり日曜日を入れましても、また、たまたま五月に当たって連休というのを入れましても、少なくとも二十日以上は、これは代替要員を保障されておらないという状況になるわけですね。そして、あなたはいまタイピストとか交換手というのは、これは代替要員もあるけれどもと言われましたけれども、しかしタイピストだってほんとうは熟練が要るのですね。交換手も要る。してみれば、事務官あるいはその他の人でも、これは求めて得られないはずがない。  これは最高裁労務管理を申し上げて失礼ですが、一般に一万人あるいは二万人という人員を雇用している企業では、操業を落とさないためにどういうようにするかといいますと、どんなに健康に気をつけても出勤率というものは九五%ないし九七%ぐらい、いい場合ですけれども。だから常に三%か五%は病気で休むものであるということを前提にして、その余裕のある人員を採る、あるいはそれを臨時工で雇っておくということをやるのですね。また、婦人を一線に使用しておれば、そのうちの六十のおばあさんが子供を産むということはめったにないですけれども結婚適齢期の二十歳から四十歳という人がおるときには、そのうちの個々の人はわからないけれども統計をとってみればほぼ何%は必ず出産するというのが出てまいります。それが科学的な労務管理であります。そうすれば専門職である速記官にしてもあるいは調査官にしましても、国民権利を守るために絶対必要な数はこれだ、その中に女性が何名おって、通常平均によれば何人は必ず妊娠するということが出てくれば、それは代替要員として初めから雇用しておいて、そして休んだところへ回す。どうしても産休の人がなければ仕事が忙しいところへ回すというようなことを考えるのが当然近代的な労務管理だと思うのですね。それをおやりにならない。しかも日曜、祭日を入れても六十日まかなえるかまかなえないかの五十五日だということになりますと、あなたは裁判支障は起こってないと思うと言われるけれども、どなたの犠牲において裁判犠牲になっていないのか。それは次代の国民をこれから産んで育てなければならない母性の犠牲においてそういうことが行なわれておる。それくらいのことがおわかりにならない裁判所で、女性労働者の問題の裁判ができますか。私は、司法行政の問題だから裁判内容には立ち入りませんけれども、その点について反省していただきたいと思いますね。それでおわかりにならなければしかたがないけれども、おわかりになると思うのですね。お顔を見れば、ある程度わかったという顔を、賢明な矢口局長はしておられるから。  そこで、そうだとすれば、なぜこういう予算しか組めないのか、しかも沖本委員が言われたように、その一日の日当は千五百円。だから二千円にして日数を四十日に縮めるというようなことをやられておる。ますます気がねをして休めない。仕事を家へ持って帰る。おなかの大きい人あるいは赤ちゃんにおっぱいを飲ませなければならない人が横で速記の反訳をやるということになるのですね。それは結局予算が通らないからでしょう。あなた方はよもや当初の予算ではこういうことを全く無視したものは出しておられないと思うのですね。もし金さえあるならば、大蔵省が認めてくれさえするならば、これもほしい、あれもほしいということでお考えになっていると思うのですね。それは配慮して予算請求されましたか。
  24. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 一般に役所の定員というものをきめるにあたりましては、確かに業務量というものを前提にいたしますけれども、実はただいま正森委員指摘女性職員産前産後の休暇の問題あるいは単なる女性職員だけではなくて、職員全般病気休暇等によるロスの問題、もちろん年次休暇等全般にはあるわけでございますから、定員どおり職員が完全に一〇〇%稼働するというふうには考えていないわけでございます。それにいたしましても通常の場合でございますと、平均的に病気になるといたしましても、一つ職種を占める特定職員一定期間ずっと休むということは通常はないわけでございます。産前産後の休暇の場合は確かに二月前後の期間というものを完全に休まれてしまうということで、これをどのようにまかなっていくかということは私どもは実はしょっちゅう考えておるところでございます。それで、できるだけ女性職員というものを各庁平均化いたしまして、あるところにだけ女性職員がかたまることのないようにということは常々努力をいたしております。しかし、元来女性職員で占めるポストとして考えられておりますタイピストでございますとか交換手ということになりますと、これはどうしてもそこのところに特定休暇が続くということがあり得るわけでございます。それで全く余裕のない人数というものをきめておるわけではないというふうに確信いたしておりますが、それにいたしましても平均一名の事故を予定しておりますところにたまたま二名三名というふうに重なることは実はないわけではございません。そういう場合を予想いたしまして、先ほど来御指摘賃金要目貸金でまかなうということをいたしておるわけでございますが、前回の委員会でも申し上げましたように、このような経済事情の大きな変動等がございますと、ますます適切な時期に適切な期間要員を獲得することが困難であるということもございまして、場合によっては各庁に御迷惑をかけるということがあるのではなかろうかということは常に心配いたしております。しかし、問題はやはり裁判所だけの問題でもございません。一般的にどのような平均的な賃金というものでまかなうかという問題でございますので、予算要求にあたりましては常に私どもが妥当と見るところを掲げて折衝をいたすわけでございますが、最終的には御指摘のような平均賃金で話をつけざるを得ないということであるわけでございます。しかし、いずれにいたしましても人件費、純人件費でございます、人件費的なものはもう日々高騰しているということは事実でございます。今後ともその点についてはできるだけ単価を高め、全体の金額を高めて業務に少しも支障のないようにしたい。これはいままでも心がけておりますが、今後とも心がけていきたいと考えております。
  25. 正森成二

    ○正森委員 法務大臣に伺いたいと思いますが、法務大臣はやはり政府として予算に関係されるわけですが、私がいま指摘しましたようにタイピスト交換手だけは産休代替要員があるけれどもタイピスト、これは裁判所へ行ってごらんになるとわかりますが、タイピスト相当部分女性ですね。ここにも現におられますけれども、そういう方だとか、書記官調査官ですね、調査官家裁調査官女性が非常に多いです。そういう方には代替要員の制度すらない。しかも、それは労働基準法の六週間、六週間ではなしに、五十五日だというようなことは非常に遺憾だ。これはやはり予算をとるようにしなければいけない、こういうものと思われますかどうか、伺いたい。
  26. 中村梅吉

    中村国務大臣 全くごもっともだと思います。特に家裁状況なんか、私どももある程度知っておりますが、非常に女子調査官の方が多いし、また女子でなければ母親のような気持ちで非行少年を扱うこともできない現状にありますから、御指摘の点につきましては私どもとしましてもできるだけの努力はいたしたい、かように思っております。
  27. 正森成二

    ○正森委員 事務総長経理局長予算のほうですか、行っておられておいでにならないわけですが、ここでちょっと伺いますので答えられれば答えていただきたいのですが、予算はどういう順序予算要求をされますか。一番初めに財政法の十七条で、裁判所でおつくりになりますね。それを最初どこへ持っていかれて、削られて、復活要求をどこへ持っていかれて、それで一番最後にここへ私どもがいただいております予算書になるのか、その道筋をごく簡単に説明してください。
  28. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 所管でございませんので全く正確にというわけではございませんが、御指摘のように財政法の十七条によって、前年度の八月三十一日までに見積もりに関する書類、これを普通概算要求書といっておるわけでございますが、見積もりに関する書類を直接内閣に送付するわけであります。各省庁の場合にはこれは大蔵大臣に出すわけでございますが、裁判所特別機関でございますので内閣に送付するということでございます。その後裁判所大蔵省との間で折衝をいたしまして、最終的に意見が一致したという段階において予定経費要求書というものを大蔵大臣のほうに出すという順序になっておる次第でございます。
  29. 正森成二

    ○正森委員 十二月段階には復活要求もされると思うのですが、いまちょっと私聞き漏らしたかもしれませんけれども復活要求はどこへ出されるわけですか。やはり政党にはお出しになりませんか。
  30. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 復活要求書というふうに俗にいっておりますけれども要求は当初の概算要求書でございまして、その概算要求書内容大蔵省との折衝の過程においてどういうふうに修正していくかということについて大蔵省折衝する。その折衝する資料と申しますか、その折衝の過程において、それでは裁判所要求はこの程度まで引き下げようということでやることでございますので、復活要求書というのは正式のそうした概算要求書とは違うわけでございます。
  31. 正森成二

    ○正森委員 その復活要求書とか概算要求書にはあの赤い最高裁判所の判が押してあるわけですね、大蔵省に出すものは。
  32. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 復活要求書というのは、当初の概算要求書にそれぞれ修正を施しまして、それでそれを大蔵省のほうに出してまたさらに折衝をするという、まあ折衝の過程においてはそういうふうに当初の概算要求書内容を修正していくという形になるわけでございます。正森委員指摘の赤い判こを押したというのはどういう点がよくわからないのでございますが、それは要求書の中の重要な部分について、これは大蔵省等にも説明するわけでございますが、概算要求書は全部もちろん重要なのでございますが、その中に既定経費等もございますし、そのうち特に裁判所が重視しているものはこういう項目であるということについて大蔵省のほうに、これはもう全然要求書とは関係ありません、説明資料としてそういうものをつくってございますので、それについてまた復活折衝段階でそれを減額する、修正するというふうな場合には、その部分を修正したものをまた説明にあがる、こういうことでございます。
  33. 正森成二

    ○正森委員 正面からお答えになっておりませんが、大体この最高裁判所という赤い判を押した説明資料をおつくりになるということを田宮さんは間接的にお認めになりました。大蔵省と御相談になるようですが、政党のところへはお出しになったり説明に行かないのですか。
  34. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 説明に行っております。
  35. 正森成二

    ○正森委員 それでは、ここに資料がありますが、「昭和四十九年度予算復活要求重点事項」というのが最高裁判所というように判を押して出してあります。この最高裁判所の判は最高の判ですね、赤いやつは。違いますか。
  36. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 それはそうではありません。
  37. 正森成二

    ○正森委員 ここには「昭和四十九年度予算復活要求重点事項」というのもあります。それから「裁判所所管昭和四十九年度概算要求重点」というのもあります。これは全部最高裁判所の赤い判が押してありますが、あなた方は政党のところへも行かれると言われましたが、そうするとそれは自民党のところへ行かれて御説明になるわけですか。
  38. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 自民党に法務部会がございますので、法務部会のほうに御説明にあがっている、そういうことでございます。
  39. 正森成二

    ○正森委員 それはもちろん折衝段階で、予算のきまる前ですね。
  40. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 当初要求する段階とそれから折衝の過程において御説明にあがるということをしております。
  41. 正森成二

    ○正森委員 そこで私申し上げたいのですが、私の手元に自民党から入りました資料によりますと——どことは申し上げませんが、ニュースソースの観点がございますから。これを見ると、ちゃんと「昭和四十八年十二月二十四日AM三時現在」こう書いてあって、「法務部会」というようにきちんと書いてある。これをお出しになっておる。これは最高裁がおつくりになったのか、それとも大蔵省へ出したものをどこかからもらってきて法務部会がつくったものか。これはどうなんです。これは最高裁がこういうものをつくっていくのですか。
  42. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 私どものほうは御説明にあがるということでございまして、それを作成するのは法務部会のほうでございます。
  43. 正森成二

    ○正森委員 もう一つ昭和四十八年十二月二十七日付のがあります。これは同じような最高裁判所の判が押してありますが、治安対策特別委員会、自民党に出されております。しかもその横に「大臣」という書き込みのあるところを見ると、大臣の復活要求最後段階まで行ったぎりぎりのところがこれだという資料のようですね。そうしますと、私は最高裁判所に伺いたいのですが、私どもは今度横浜へ行くときに、その前に東京の地裁にも沖本委員、そして社会党の委員と一緒に行きたい、こういうように言いましたら、最高裁判所のほうから、自民党も含めておいでになるなら当局はお会いしてもよろしいが、自民党がおいでにならない場合には裁判所の公正らしさの点からいってこれは当局はお会いできないということをおっしゃった。あなた方は予算の点についても財政法十七条から十九条以下でいわば独立の編成権があって、政党はもちろんのこと内閣だってほんとにあなた方が腹をきめれば削減できない、削減した場合はあなた方の要求を通したままの財源をつけて出さなければならない、こうなっておる。あなた方は、われわれが司法行政の一部についていろいろ伺いたいという場合でも、自民党が行かなければお会いできないと言っておるのに、予算のこういう要求ならなぜわれわれ野党のところへも来ないのですか。公平らしさというなら。なぜ自民党のところだけ与党だからといって行くのですか。大蔵省に出したものが書類として回ったというならこれは大蔵省と自民党との問題だ。しかし、田宮総務局長みずから、政党のところへ参ります。共産党のところへお見えになりましたか。あるいは公明党や社会党のところへお見えになりましたか。行かないでしょう。幾ら与党だといって、なぜ自民党のところへ、治安対策特別委員会のところへこんなもの持っていくのです。非常におかしいのじゃないですか。
  44. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 どうもその辺何か誤解されておられる。治安対策等のそういうふうな資料はすべてそれぞれ自民党の部会でつくられるのでございまして、法務部会には御説明に参るということをしておりますので、それを自民党の中でどういうふうに資料を作成するかということは私ども関係していないわけでございます。  なお、自民党に説明するのがどうかという問題もございますが、裁判所関係では現にここで御審議いただいております定員法のように、当然法案の作成を伴うものもございますので、そういった関係から、従来からそういうふうに御説明に上ががっているということでございます。
  45. 正森成二

    ○正森委員 私から申しますが、私は自民党がおつくりになったというのは必ずしも信用できない。なぜなら、ここに昭和四十九年度の、自民党のところへ届けられた予算復活要求重点事項というのがほぼ一そろいそろっております。これで見ると、公安調査庁もあれば、あるいは内閣調査室、これは自民党の治安対策特別委員会ですね。それからおもしろいことに海上保安庁もそうだし、それから大蔵省の関税局も治安対策特別委員会の担当。それから厚生省の薬務局もそうらしい。というように全部ありますね。これは消防庁もそうですね。それから法務はもちろんのようですが、これはタイプも違えば中には手書きもあり、字が全部違う。こんなものを治安対策特別委員会なり自民党の法務部会がつくるなら同じような書式でつくればいいものを、全部それぞれ違うということは全部の省庁が持っていっておる。治安対策特別委員会に直接持っていったのか、あるいは法務部会が持っていったのかどうだか知りませんが、各省庁がつくっておると思わざるを得ない。そうすると、最高裁判所のこれだけについて治安対策特別委員会なり法務部会が特別につくるとは思われない。四十九年度の筆跡からタイプから全部違うんだから、だからこれはあなたのところがおつくりになって持っていって、それが治安対策特別委員会のところで処理されているということじゃないですか。私は、ここに全部資料がありますけれども、そこからそういうように推定せざるを得ない。法務部会まではいっておるということはお認めになっておるのですから、治安対策特別委員会にもやはり御説明に行かれるか、何かルートをつけておられるのでしょう。
  46. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 治安対策のほうに特別に私どものほうからどうこうということはいたしておりません。  それから法務部会のほうでつくられた資料でございますが、その辺本年度についてどういうふうな経過であるかということについては、所管でございませんので、推定の域を出ないわけでございますが、もし正森委員が御推察するようなことがありますとすれば、むしろ法務部会のほうでそういうものをおつくりになるということについて、私どものほうでそのお手伝いをするというふうな形しかちょっと考えられないわけでございまして、こちらのほうから進んでそういうものをつくって法務部会の名前でやるということをしているということは、まずないのではないかというような気がいたします。
  47. 正森成二

    ○正森委員 田宮さんの所管ではないわけですが、非常に苦心して、お手伝いをしたかもしらぬということはお認めになりました。それはそうでしょう。お手伝いしなければ、法務部会だけではなかなかつくれるものじゃないですからね、どこが重点だということは。だから、おそらくそういうことをなさったんだと思いますが、私がここで最高裁に申し上げたいのは、最高裁はもっと姿勢を大きく持っていいんじゃないか。財政法の十七条から十九条まで規定があるわけですから、そこまでへりくだってお手伝いまでして資料をつくるということでなしに、もっと堂々となさるべきだし、ほんとうは十七条から十九条の財政法の規定を活用されて、堂々と両方の案を出されて、われわれ野党がどちらがいいだろうというように思うようになさるべきだ。もしそれも伝家の宝刀でなかなか抜きにくいというのであれば、せめて復活要求前のものを公平に全政党に持っていって、最高裁はこういう姿勢です、自民党のところへももちろん持っていきました、しかし共産党・革新共同へも持っていきます、私たちの要求が正しいかどうか事前に御判断くださいと——これは地方自治体なんか全部そうするんですからね。自民党から共産党まで、民社党まで全部持っていらっしゃって、一緒にその予算を取ってください、こう言うのですから。取ってくださいなんということはおっしゃる必要はないです。堂々とわれわれはこう思うということをなさるべきだと思う。  それが、あなた方は、われわれが東京地裁へ現地調査に行こうというのを、当局との会談は拒否された、そう私は全司法から伺っておりますが、そういう態度をとられるぐらい、李下に冠を正さず、瓜田にくつをいれずというのであれば、やはりこれについてもそういう態度をおとりになるべきだ。これはだれが見たって、李下に冠を正すも正さないも、スモモにもう手をつけていますよ。瓜田にくつを踏み入れて、ウリか何か知らぬけれども、一生懸命なでていますよ。そう言われてもしかたがない。そこで私は既往をとがめようとは思わないけれども、もしこれから復活前のいろいろなのを政党にお出しになるなら、要求のない政党はともかくとして、要求があれば全政党に公平に持っておいでになりますか、それを伺いたい。
  48. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 裁判所といたしましても、御指摘のように二重予算という制度がございますから、その点を常に気がまえといたしまして折衝しておる次第でございまして、必ずしも大蔵省の言いなりになっておるということはないのでございます。  なお、自民党のほうに説明に上がるという趣旨でございますが、私どもとしては党のほうの協力を求めるということではございませんで、裁判所としてはこういう要求をしているということを御説明するということでございます。法律的に申しましても、私どもが相手にいたしますのは内閣でございますので、各省庁とはその点異なるわけでございますので、正森委員がおっしゃるように、自民党のほうの力をかりてそれによって云々しょうという考えは毛頭ないわけでございます。ただ、先ほど申しましたように、法案等の関係もございますので、あらかじめこういうような要求をしておるということをお伝えするということでそういうふうにやっておる次第でございます。  なお、今後の問題でございますが、この点については十分今後いろいろな面から検討させていただきたいというふうに考えております。
  49. 正森成二

    ○正森委員 いまのお答えですが、私に対する初めの答弁と違ってきていますね。いまの答弁だったら、各省庁とも政府のほうには言うという意味で、自民党には言わないように言われましたけれども、あなたは私の先ほどの質問には、政党のところへも参ります、しかも復活折衝なんかする前に参りますと言って、この事実を、これはだれが作成したかは別ですよ、お認めになったじゃないですか。それは変わらないのでしょう。そうしたら、政党のところに行っておるじゃないですか。行っておるとすれば、二重予算をおとりになって堂々と国会の信をお問いになるか、それをなさらないで事前にいろいろ理解してもらうということをなさるなら、全政党のところへ要求があればなさったらいいんじゃないですか、それが李下に冠を正さずというのに合致するのじゃないか、こう端的に聞いておるのです。それに答えてください、事務総長。それから経理局長はまだお見えにならぬかもしれませんけれども、本来なら事務総長に答えていただくべき問題ですね。どうお考えになります。もしまだお入りになったばかりで様子がおわかりにならなければ総務局長からお聞きになって答えてください。
  50. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 私の申し上げた趣旨は、党のほうに説明するということの趣旨が、その党のほうにお頼みして協力を求めるという趣旨ではございませんで、党のほうに対して、法案等の関係でこういうふうな要求をしておるということをまず説明ないしは御通知しているということでございまして、裁判所予算要求するという場合には、あくまで裁判所独自の力で、二重予算制度といったような強力な制度もございますので、そういうものを背景にいたし、予算獲得に努力するという点については全く変わらないわけでございます。
  51. 正森成二

    ○正森委員 独力で努力するというのは変わらないけれども、しかし自民党のところだけはいらっしゃる、野党にはいらっしゃらない、これははっきりしておるのですね。だからそこを言うておるのです。しかも私たちが予算の審議の段階になって現地の、いいですか、裁判内容じゃないですよ、司法行政事務について知りたいということさえ自民党が入らなければお断わりすると言うのでしょう。それぐらいの方がなぜそんなことをするんだと聞きたくなるのはあたりまえでしょう。それを言うておるのです。だから、ことしはしようがないから、来年の段階では復活要求なんかする前から、要求があれば、それをお頼みにおいでにならぬでもよろしいけれども、理解させに来られたらどうでしょうかね、要求があれば。それを私は特に要望しておきたいと思います。もし御理解になったら質問の一番あとで事務総長からお答え願いたいと思います。  そこで、あなた方が最高裁判所と赤い判を押してそして「昭和四十九年度概算要求重点」と書いておるところを見ますと、人的機構の充実では、特殊損害賠償事件判事補が十四人、刑事長期未済で判事補が六人、その他、その他になって、簡易裁判所判事が十六人というように三十六人要求されておるわけですね。これがもののみごとに、刑事事件の二名だけは判事補で認められましたが、それから簡易裁判所判事が三名だけ認められましたが、そのほかはばっさり削られている。またこれは私に非常に関係があって申しわけございませんが、国選弁護人報酬の増額、これはもう国選弁護人が世にあんな安い弁護料はないと言っております。ことしの正月に私のところに年賀状が参りました。さる先輩弁護士ですが、国選弁護人の報酬がかほど少ないのに法務委員会でだれも問題にしたことがない、貴兄よ一番問題にしてくれ、こういう年賀状が来ましたので、それで問題にするというわけではないですけれども、あなたのほうの初めのを見ておると三億六千七百万円ちゃんと要求しているじゃないですか。それいま幾らに削られました。
  52. 大内恒夫

    ○大内最高裁判所長官代理者 おくれてまいりましてたいへん失礼しました。国選弁護人の報酬に関するお尋ねかと思いますのでお答え申し上げます。  本年度国選弁護人の報酬の増加に必要な経費として計上いたしております金額は一億四千六百二十一万五千円でございます。
  53. 正森成二

    ○正森委員 そうですね。ですから最初は三億六千七百万円請求したけれども、約二億二千万円削られたということでしょう。だから結局それだけ弁護人の間に非常に不満が出てくるわけですね、当然。それから今度民事調停法の改正をなさいますが、民事調停についてはどのぐらい請求されたかといいますと二十七億三千百万円、調停室等の整備ということで、参考資料なども整備したいということで二十三億二千百万円請求しておられますね。調停関係で約五十億、それは幾らに削られました。
  54. 大内恒夫

    ○大内最高裁判所長官代理者 調停委員手当につきましては十億二千四百四十四万六千円でございます。調停室の整備等につきましては二億九千六百十四万円でございまして、合計いたしますと十三億二千五十八万六千円でございます。
  55. 正森成二

    ○正森委員 各委員がお聞きのとおり、それはインフレだなんとかいって、抑制策ですか、というのをとられたということがあるかもしれませんけれども、調停委員でも二十七億が十億、これは半年間しか見ていないように削られたということかもしれませんけれども、それは早く予算がつけばもっと早くから支給できるわけですし、調停室等の整備に至ってはわずか一割に削られておるということでしょう。  さらに聞きますと、沖本委員と調査に行った横浜簡易裁判所などは非常に古びておって、沖本さんからだが大きいものだから、二階へ上がるときは音がせぬように歩いてくれということを言われたくらいですけれども、その下級裁判所の施設の整備を百二十五億八千七百万円請求しておられますね。実際に通ったのは半分でしょう。これは数字は言いません、わかっていますから。そういうように、そのほか私が聞きました産前産後の手当にいたしましても、経理局長がお見えになる前です、それから裁判所定員にしてもあるいは老朽化した簡裁の建物にしましても、民事調停をうまくやっていくための費用にいたしましても、司法の独立に寄与している弁護人、金もない被告人の人権を守る弁護人の国選弁護料にしましても、われわれはあなた方の要求のこれでさえ部分的には少ないものがあると思っておる。それがもうどんずばり削られておるわけでしょう。その削られておるものを自民党の法務部会へは資料を出して、お頼みではないかもしれないけれども、理解していただくために行かれる。しかしその他の政党には来られない。二重予算は提出されないということをやっておいて、裁判官には事件を早く落とせ、落とせといい、速記官書記官には裁判支障のないように早く調書をつくれというということでは、結局労働強化によって日本の司法がかろうじて守られておるということにならざるを得ないと思うのですね。その姿勢を私はぜひとも正していただきたい、こう思ったからこういう事実をあげたのです。それについて事務総長、もうだいぶおわかりになったでしょう、お答えになってください。
  56. 安村和雄

    ○安村最高裁判所長官代理者 御質問の点はいろいろと問題の多いところでございますので、十分検討いたしまして、今後慎重に対処いたしたいと思っております。
  57. 正森成二

    ○正森委員 いまの御答弁はお答えになってもならなくてもいいような、そういう内容のものですね。もう少し姿勢を正される答弁を当然なさるべきだ。私は、おいでになる前にいろいろ資料を示して言ったわけですから、田宮総務局長がかわってお答えになっておられましたけれども、あなたは私が言わんとするところはおわかりになったと思うのですね。その点はよく最高裁としてお考え願いたい、こう思います。  時間がございませんので次の点に移りますが、最高裁から資料をちょうだいいたしますと、裁判官が定年退職以外におやめになっております。そのおやめになった人数を見ますと、これは定年退職でおやめになりました方が最近九年間に二百八十七名、途中から退官された方が二百九十三名で、定年退官を上回っております。さらに新しくいただきました資料を見ますとその内訳が書いてございますが、たとえば昭和四十八年、去年を見ますと、途中でおやめになった方が三十八名もおります。裁判官は大体六、七十名採用になるわけですから、その半分以上がこれは定年にあらずして途中にやめていくということになるわけですね。しかもこの十年ごとの傾向を見てみますと、昭和四十年段階では三十年以上勤続された方が十二名途中でやめる、二十年以上三十年未満は八名、十年以上二十年未満は十一名、十年未満が十名、合計四十一名ということでほぼばらついておりましたが、四十八年だけを例にとりますと、途中でおやめになった方が三十八名、うち三十年以上が十六名、二十年以上三十年未満が二名、十年以上二十年未満が六名、十年未満が十四名というようにシェーレ状になりまして、十年未満と三十年以上に圧倒的に多くの方がやめておるということになるわけですね。だからこれを見ますと、三十年以上の方というのは、二十五歳で一番若くお入りになっても五十五歳。裁判官は修習もやりますからもう少し平均年齢は高いと思いますから、これはもうそろそろ老齢が近づいた、気楽に弁護士でもやろうと言われる方だと思いますから、一定の数はやむを得ないと思いますが、一番問題があるのは十年未満で、十四名もおやめになっておるという事実であります。そして十年をこえると最近の傾向では比較的やめられる方は少ない。石の上にも三年ということばがありますが、最高裁の中でも十年、こうなって、十年たつとどうやら歩どまりがある程度よくなる。その十年がなかなかしんぼうできないということをこの統計は示しておると思うのですね。あなた方は裁判官をほしいほしいと言われるわけですが、少しでもいい裁判官がほしい、こう矢口さんも言われるわけですが、せっかく採ったその金の卵がこういうぐあいに定年にあらずしてやめていく、定年にあらずしてやめるほうが多い。最近の傾向では十年以下が非常に多いというのは、どういう原因によるものと思われますか。
  58. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のように十年未満のところの方が大体十名から十二、三名毎年やめておられるわけでございます。このことはただいま正森委員のお手元にございます表でごらんいただいてもおわかりいただけるかと思いますが、ここ十年近くも、表を見てみた場合に一つの年を除きまして大体十人というものを中心にいたしておるわけでございます。結局一期一人ずつ毎年おやめになる。したがって一つの期だけ見てみますと十年間で十名の減少があるという数字を示しておるわけでございます。  これの理由につきましては、長年おつとめになった方がおやめになる場合と違いまして、私どもも本来ずっとおつとめいただく、そういうことを前提になさった方がおやめになるということになりますので、この数字をできるだけ少なくしていきたいというふうには考えております。しかし個々に理由を伺ってみますと、いまこの全部について正確な理由を把握はいたしておりませんけれども、私の人事局長をいたしております期間というものの経験を交えて申し上げますと、やはり一応裁判官になったけれども、御自分の父親とかいろいろな方が弁護士をなさっておりまして、三年ごとの転勤の機会に父親のところに、あるいは先輩の事務所にいって弁護士をやろうかというふうにお考えになる、そういったことが大体大きな理由ではなかろうかと思います。  それで結局その方にずっと東京とか大阪とか、大きいところにおっていただければ、あるいはおやめにならないで十年間ずっとおつとめいただく、あるいは二十年三十年とおつとめいただくということも可能ではなかろうかということはしばしば思うわけでございます。ただ全体のことを考えますとある程度の異動というものをやらざるを得ないわけでございますので、といたしますとそういう機会に、ではやめて父親から言われたように父親の事務所で弁護士をやろうかというふうにおなりになる。非常に残念なことでございますが、現在のところ一期から毎年一人ぐらいの方がそのようにしておやめになるということは、ある意味ではやむを得ないのではなかろうかというふうに考えております。
  59. 正森成二

    ○正森委員 ある意味ではやむを得ないのではなかろうかというように言われておりますが、しかし私はたとえば大蔵省へ入った者が十年未満の間に十人やめるというようなことはおそらくないのではないかと思うのですね。それは裁判官の場合は弁護士ができるということはありますけれど親も、大蔵省の場合には、入ったけれども自分の父親が死んだから家業を継ぐというようなことでなしに、やはり大蔵省にずっと残ると思います。それが、最高裁の場合に限ってはやめるというのは、弁護士と裁判官という職業の類似性もありますけれども最高裁に生涯をかけて残ろう、三年ごとに任地がかわりましてもまた帰ってくるということを待つだけの、やはり魅力がないからではないかというように思わざるを得ないのですね。  その一つのものとして、これは時間がありませんので多くはあげませんけれども、たとえば参与判事補制度というものを実施なさいました。あなた方は東京管内などで参与判事補制度は非常にいいものだというようなことをいっておられるようですけれども、東京弁護士会が昨年十二月二十八日に全国の未特例判事補に対して参与判事補制度に対するアンケートを実施いたしました。伝え聞くところによりますと、このアンケートが発送されたところ、直ちに最高裁総務局長、というから田宮さんだと思いますが、田宮さんからこれに応ずべきではないという意味の示唆を与えられたというように漏れ承っておるわけですが、そういう事実がございますか。
  60. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 そういう事実はございません。
  61. 正森成二

    ○正森委員 そういうことを事実上示すような通達とかそういうものを各地裁判所長とかに何らかの形でお出しになったことはありませんか。あるいは口頭でおっしゃったことはありませんか。
  62. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 そういうこともございません。
  63. 正森成二

    ○正森委員 それではけっこうですが、弁護士会ではそういうように申しております。そのアンケートを見ますと、あなた方はどういうぐあいに御理解になっておるか知りませんが、参与判事補制度に対して、未特例判事補といいますと五年未満ですが、それ以上の判事補の中でも非常に評判が悪いですね。これは回答のあった分だけです。これはなかなか回答がございませんでしたから、回答率は二〇%ぐらいだったようですが、それを見ますと参与判事補制度を支持するというものはゼロ、支持しないというものが九一・六%、裁判官の独立を侵す、または侵すおそれがあるとするものが八四%という数字が出ておるわけですね。あなた方は参与判事補というものは裁判そのものには関与しない、こういうように言っておられるわけでしょう。そうでなければ、二人制裁判を認めることになるから。そうじゃないですか。
  64. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 そのとおりでございます。  なお、つけ加えさしていただきますが、そのアンケートを出したということがわかりまして、そのときにこちらのほうに連絡なくアンケートを出すというようなことはちょっと困るのではないか。別にそのアンケートを出すということを阻止するとか何とかいうことではなくて、こちらのほうに断わらないということがいかぬではないかということをその当時申し上げたために、何か私が全国に指令して答えを出すなというふうにうわさされているのかと思います。いずれにいたしましてもそのアンケートの集計の結果、その他等一切私どものほうにそういう資料はございませんので、内容承知しておりません。
  65. 正森成二

    ○正森委員 そのことを申し上げたのです。あなたがはっきり出すなというのは、そんな率直な形では言われませんけれども、アンケートを出す場合にこちらに断わらなくて出すのはおかしいということになれば、だれだって、私はアンケートに答えを出しますと言ってから出すということになれば、よほどおっくうだし、あなたのおっしゃる意味が、弁護士会にこちらへ断わりなしに出されるのはいけないと言われたかもしれませんけれども裁判官はそういうことを漏れ聞きますからね。そうすると、弁護士会にもそういうことをいっておるとなると、あまり好ましくないんだな、こうなるわけですよ。  それで、後段の私の質問にはお答えがなかったですね。これを答えてください。
  66. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 参与判事補裁判体を構成するものではございませんので、裁判自体裁判権を行使するという形にはなっておりません。
  67. 正森成二

    ○正森委員 だからこそ忌避、回避の制度もないわけですね。ところが、アンケートによりますと、参与判事補事件に真剣に取り組めば、つまり研修の効果か何か知りませんけれども、一生懸命やろうとすれば、判事の心証に影響を及ぼすと答えた者が七八%。そうなると、裁判官にあらざる者が——当該事件にとってはですよ、当該事件にとっては裁判官であらざる者が、裁判所でない者が一生懸命やれば、七八%、心証を構成するということになれば、これは裁判の独立が侵されていることになるし、そうでなしに全くのもう事務だけだということになれば、これは参与の意味がないというか、下請けの勉強だけだということになってしまうわけですね。こういうアンケートがあるとすれば、やはり裁判官の中に、これほど一生懇命やって心証に影響しておる、裁判書の下書きまでした者も相当数おるわけですからね。そのとおりになっておる者もおるわけですから……。やっておるのに、裁判官としては認められないで、法廷で法服を着ずにせびろを着て、ちょこんとおる。屈辱にたえないのですね、これは。こう言うておるのです。名前を言わずに、一人だけ読みますよ、あなたのところに資料がないなら。これは貴重な機会だから、よく聞いておいていただきたい、法務大臣も聞いていただきたいのですが、未特例判事補の悩みとして、「裁判官である以上、死んでもやりたくない。理由はこの制度が違憲であり、良心に反し、独立を侵し、未特例の地位を低下させ、国民の納得しないものであるから。しかし指定されても」というのは、参与判事補にというのですね。「その意思を貫き通すことに大きな不安を感じる。まず裁判長との折り合いが悪くなるし、最高からどのような不利益を受けるかもしれない」、まあ矢口さんあたりににらまれるという意味でしょうな。「この不安を乗り切る力となるのは勇気、それに未特例の団結、裁判所外の人の支援しかない。参与制度は、われわれ未特例にとって踏絵であるだけでなく、裁判長にとっても同じである。参与するかどうかで最高に対する忠誠心を示すのである。」、こういう意味のことを言うているわけですね。ほかにもいろいろ言うておられますが、そういうような点を見ますと、こういうような制度をやはり四十七年からおやりになる。全国で実施されるのは、これはまだもうちょっとあとでしょうが、八つくらいなさいましたね。そういうのが、やはり若い判事補に、最高裁に対してもう少し残ろうという魅力がなくなってくるという一つではないかというように若い人たちは言っているのです。そういう点もお考えにならないと、この裁判官不足のときに、せっかく少しでもいい人をといって人事局が一生懸命さがした。その人が途中でやめていくということになると思うのですね。  お答えを聞く前にもう一つだけ例をあげましょうか。修習生というのに魅力がなければ、これは第一、なかなか裁判官になってくれないし、なっても長続きはしないと思うのですが、修習生というものの、これまたいろいろの資料を見ますと、非常におもしろいことが書いてあるのですね。いまちょうど二回試験がこれからそろそろ始まろうというときですね。二回試験はすこぶる評判が悪いのですね。私らもそれを受けましたけれども、大体七時間半ないし八時間かん詰めになるのでしょう。トイレへ行くときもトイレに監視がついておるということで、二百ページぐらいの記録を読んで一生懸命やる。こう言うておるのですね。「昼食も、あてがい弁当で、その間席を立つことは許されず、トイレも監視づきという実態の中で、自由で周到な起案が可能かどうかという原則的問題が検討されなければならない。修習生は、これは体力試験であると受け取り、その準備のために寮内でニンニクを焼いて備える者」がある、こう書いておるのですね。その前に即日起案、即日起案ということをやっておる。だからこういうような態度、それについても考える必要があるのではないですか。  また。修習生の間では憲法の講座がないのですね。憲法問題について、せめて——これは私の意見ですけれども、有名な憲法問題が例になった、たとえば三菱樹脂とか長沼とか、そういうものを思想、信条によって変えてはいけませんから、座席の何番から何番までの者は裁判官、何番から何番までは弁護士、何番から何番までは検察官、こういう三つの立場でディスカッスをしろというようなことを教官側は授業の中へ取り入れておるとか、あるいはアドバイスするということになれば、これはもっと生き生きするでしょうが、そういうものもない。あるいは、無味乾燥な記録について起案、起案と、特に後期がひどい、こう言うておるのですね。そういう点についても、もう少し改善なさる気持ちはないですか。
  68. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 前段のほう、参与制度についてお答えいたします。  アンケートの内容を詳細、承知しておりませんので、何とも申し上げかねるわけでございますが、またそのアンケートを現に出された判事補の方が、自分で実見されたところに基づくところの意見をおっしゃっておるのかどうかということもわからないのでございますが、先ほど御指摘のように、八地方裁判所で実施しておりましたが、その間に、私ども直接聞いたわけではございませんけれども、一、二正面から反対をするという判事補の方はあるけれども、大かたの判事補は賛成であり、特に三年たって簡易裁判所の判事の資格がとれるとか、それから五年たって特例がつくという直前になると、むしろ判事のほうから進んで参与さしてほしいという声もあるというふうに聞いておりますので、まあいろいろ問題もあると思いますけれども、今後そうした未特例の判事補の方と、ひとつ十分議論を戦わしていけば、十分その点は理解していただけるものと思うわけでございます。また今後、全国実施ということになります場合にも、そういう点は十分心がけて、この参与制度の目的等について御理解を求めるように努力していきたいというふうに考えております。
  69. 正森成二

    ○正森委員 ちょっと横で同僚委員が話をされましたので、あなたの最後のほうを聞き漏らしてどうも申しわけございません。だから、ちょっとすかたんな質問をするかもしれませんけれども、たとえば二回試験については、アンケートをとりましたら——またアンケートでおきらいかもしれませんが、回答のうち、妥当でないという者が二百九十九名あったというのですね。これは相当な数だと思うのですね。そういう疲労のために重大なミスをしたという者が二百十八名、軽微なミスをしたという者が百六十六名というようにある。そういうようなことも、あなた方で考慮していただく必要があるのじゃないか、こう思います。  時間の関係で、あとほんの一つ、二つにいたしますが、そういうことで、結局裁判官になるという人を選ぶ場合に、いままでは、あなた方は十八期以来任官説明会というのをやってきていたでしょう。それが十年近く続いたのを、突如、今度は任官説明会をしない。任官希望者の人で任官について疑問があるならば教官に聞いてくださいということを矢口人事局長が言われた。その前に全国統一要望書というのを出したら、何もお答えするつもりはない。名前が全部明らかでないからというような理由だったらしいですが、そういうことをおっしゃって、教官に聞いてくれということを言われたということなんですね。それは事実ですか。  またそれは、なぜ任官説明会をなさらなかったのですか。
  70. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 任官説明会をここ数年やってまいったわけでございますが、実は十二月の時期と申しますのは、ちょうど私どもの異動をやりますので、ほとんどこもり切りで私、あるいは任用課長等が手を取られているときでございますので、思い切って今回からは一応取りやめさしていただくというふうにいたしたわけでございます。  その理由でございますが、実はこれは前から考えておったことでございますが、入所以来研修所でできるだけ教官方にも裁判所のいろいろな実情をお話しいただくようにお願いしてございますし、これは正森委員も十分御承知のように、現地で裁判官の部に配属されまして、その実態というものについては、詳しく、相当長期にわたって修習生は接しておるわけでございます。  それからまた後期、帰ってまいりましても、疑問の点等は、それぞれの担当の教官のところへ参りまして、いろいろとお話をし、議論をするということのようでございます。  そういたしますと、私ども数年来任官説明会で御説明しておりましたことは、初任給が幾らになるかとか、裁判所に入ってからどういうふうな経緯で異動が行われるかといったようなことでございましたが、そういったことは全部よく御承知のようでございますし、さらに昨年でございましたか、私、任官説明会で説明しましたところ、実は修習生が無断で速記にとりまして、そういったものをりっぱな資料につくって配付いたしました。で、現在の修習生に聞きますと、それはみんな見ておる。その見ておるところを前提にしていろいろ聞きたいのだ、こういうことでございます。といたしますと、実は私、伺いましても、もう御説明することはないのでございます。そういうことがございますので、先ほど申しました忙しいということもございまして取りやめさせていただく。ただ、しかし、それじゃ非常に不親切じゃないかというおしかりを受けるかと思いますが、そういう意味ではございませんで、教官方にお尋ねがあれば、教官方はできるだけ自由にお答えになってください、なおその上でおわかりにならないことがあるならば、これは私、まあ何とかひまを見て御説明するようにいたしますと、こういう経緯で説明会を取りやめたわけでございます。
  71. 正森成二

    ○正森委員 いまのお答えですけれども、りっぱな印刷にしておるといわれましたが、その印刷を見て私は去年質問しましたから、そのことをおっしゃっているのだろうと思いますが、弁証法というのは、これは事物というのは変わるんですね。去年そうであったものがことしも同様である。年々歳々人同じからずで、やはり最高の考えというのは変わる場合もあるし、変わらないなら変わらないということを言うてやらなければならないし、前のものが印刷されておったからもう要らないなんて、そんなものじゃないと思うのですね。そういうことを言われると、これは国会でも、ある場合は質問は要らないという論法にもなってくるので、それは非常に不親切な論法であると思うし、教官が言われているということですけれども、教官がどこまで人事局なり最高裁の正確な意向を伝えているか。教官はあくまで司法修習生に技術を教えるものであって、任命についてのいろいろなことまで請け負うているものではない、こう私は承知するのですね。そうだとしますと、その点に問題があるし、第一、任官志望者についてだけというんじゃなしに、修習生の中には、現在は弁護士だけれども、説明を受ければ、なるほど裁判官になろう、こう変わる者もあるわけてすから、任官志望者についてだけ教官に言わして、それでわからない者はおれのところへ言うてこい、それでなければ、去年言うたものは印刷になっておるからそれを見ればいいというのは、矢口さんはこの委員会で応答いたしますと、なかなか花も実もあり唐もあるというようにお見受けしますけれども、修習生にとっては非常に冷たい方ではないか、こういう最高裁じゃもう行くのやめようかということにこれはなりかねない点があるから、その点はぜひ注意していただきたいと思うのです。  さらに申しますと、あなたは教官にお聞き願いたいと言うておるようですが、その教官がどういうぐあいにして説明しておるかといいますと、授業中にマイクで呼び出して、何々君、何々君といって、それであなた裁判官になりませんかとか、なるんですね。こうですよということをやっているのですね。教官というのは技術を教えるのでしょう。それがスカウトみたいなことを授業中にやる。そうすると、任官しない者にとってはおもしろくないですよ。それができるのなら、われわれもだれだれさんと言うて、正森法律事務所、条件はこうだというようなことを授業中にやったら、あなた方はもってのほかだと思うでしょう。たてまえは最高裁判所司法研修所かもしらぬけれども。そういうことを一方は授業中にやる。もう一方は自宅へ呼ぶ、あるいは料停へ呼ぶ。大臣にお聞きしますが、検察官の場合は料亭へ修習生を呼んで、どのくらい検事が金を持っておるのか知らないけれども、交際費を使っておるのでしょうけれども、相当はでな飲み食いをやる。そして、検察官になれ、検察官になれと言うておる。そこへいくと裁判官は多少やはり実入りが悪いと見えて、大体自宅へ三人か五人呼んですき焼きをごちそうしてみたりというようなことで、しかしこれだってばかにならぬですよね、相当な数ですから。その費用が出ておるのかどうかということも知りたいのですけれども、それよりもそういうことをして説明するということはいいかどうかという問題がある。特に検察官は酒を飲むと相当なことを言っていますよ。検察官にならないか、なるには青法協をやめてもらう。青法協をやめて検察官にならないか。青法協と自民党員は不利な事情になる。こういうようなことを言うておるんですね。さらに、青注協会員にはおれの家の敷居をまたがせない、というようなことを料理屋へ飲みに行って言うて、そして検察官に勧誘しておる。こういうことをやっていいんですか。法務省、答えてください。また料理屋へ行く費用はどこから出ているのですか。ちゃんと私は当人から聞いているんだから……。
  72. 香川保一

    ○香川政府委員 検察官が料亭でいま御指摘のようなことを申し上げておるのは全然存じませんが、さようなことは絶対申し上げてないと思います。料亭で検察官に勧誘するようなことがあるかどうかも、不敏でございますが、知りません。
  73. 正森成二

    ○正森委員 それならば、公の立場としては、検察関係の教官に機密費を渡して料理屋へ行って勧誘しなさいというようなことは言っていない。もし、そういう事実があるとすれば、その検察官が身銭を切り、つい酔っぱらったついでにだいぶ個人的な見解を言うておるというように聞いてよろしいか。
  74. 香川保一

    ○香川政府委員 役所のほうからそういう機密費を出してどうのこうのということは一切やっておりません。ましていまどういう資料でおっしゃっているのかよく存じませんが、さようなことがあったかどうか、これも全然私どもは確認いたしておりません。
  75. 正森成二

    ○正森委員 最後に伺いますが、去年私は、名前を承知しておりますが、名誉のためにたしかK君とY君というように聞いたと思いますが、二名、裁判官を希望したがなれなかったという人を、ちょうど一年前のいま時分に伺ったと思います。これは矢口さんが御記憶のことだと思いますが、私相当ゼミナールの成績などを申し上げて言いましたけれども、その方は結局、あなたの言う裁判官として少しでもいい方をとりたいという中へ入らなかった。中へ入れなかったから悪い人というわけじゃないけれども裁判所から見てよりよい人がもっとおったということになろうかと思うのですけれども、その方がなぜ採用にならなかったかという理由は、この委員会で聞いても一般論として以外はお答えにならなかった。これは人事に関することだから言えないということだったと思うのです。それはそのとおりでよろしいか。それをよそで言うておるということがあるとすれば、それはいけないと思われますか。
  76. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 この委員会の席上で申し上げたとおりでございます。
  77. 正森成二

    ○正森委員 それなら申しますが、ある裁判所の所長が、これは名前もわかっております。言えばその裁判官のいろいろ問題が起こるから申し上げません。必要があれば私申しますが、その所長は、K君、Y君の名前をはっきりあげて、あの人たちは二回試験が四百何番だったからだめだったんだと言っておる。修習生がみなおる中で言っておる。こういうことを言うてもいいんですか。こんなことを言うぐらいなら、本人を呼んで、君はこういうことだったから採用できなかったんだと当然言うてやるべきだ。それを本人には言わないで、裁判所の所長ともあろう者が、その所に配属されておる修習生の中で、K君、Y君というのは両方とも五百人のうち四百何番だった。だからだめだったんだという意味のことを公然と言う。もってのほかだと思うんですね。そういう事実があれば、それは服務規律違反だと思いますか。
  78. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 私どもそういう事実を全く承知いたしておりません。
  79. 正森成二

    ○正森委員 私は承知しているかいないかを聞いているのじゃなしに、そういう事実はあるべきことでないと思われますかどうかということを聞いておるのです。
  80. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 そういういま御指摘のようなことを申し上げていないわけでございますから、そういうふうにおっしゃるはずがないのではないだろうかと思っておるわけでございます。
  81. 正森成二

    ○正森委員 そういうようにおっしゃるならしかたがない、名前を言いましょうか。大津地裁所長の寺田という人はそういうことを公然と言うておる。だからこそ私の耳に入ってくるのです。根拠があって言うておる。聞いた修習生がいるんだから。それも一人にこそこそと言ったのじゃないのです。全員に言うているのですから。そんなことをやっておいて、本人には裁判官に任用されなかった理由は人事の秘密だから言えない。納得しますか。そういう事実があるかどうか調べて、もし事実があれば適正な措置をおとりになりますか。
  82. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 ただいま御指摘のこと、初めて伺うわけでございますが、そういう事実の有無というものは私どものほうでも調べてみたいと思いますが、そういうことはないんじゃないだろうかというふうに確信いたしております。
  83. 正森成二

    ○正森委員 最後一つだけ。ことしは夫婦で修習生の方が任官希望が二組いるということですが、結婚しておるとか女性であるというようなことで採用されないということは、よもないでしょうね。
  84. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 それはもうしばしばお答えしておるとおりであります。
  85. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  86. 小平久雄

    小平委員長 稲葉誠一君。
  87. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 お伺いしたいのは、ことしの予算などを見ますと、特に書記官が主任の書記官になるために、管内は管内だと思うのですが、非常に遠いところへ転勤させられる、こういうことですね。主任書記官になるためには自分のところの庁ではいけなくて、ほかのところへ転勤しなければいけないというふうに事実上の取り扱いはなっているわけですか。なっているとすれば、その根拠は、具体的な理由はどこにあるわけですか。
  88. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 別にその庁でそのまま主任にはしないというようなことがあるわけではございません。ただ、これは前にも申し上げたかと思いますが、主任のあきというのが、今度主任になり得る方の勤務しておる裁判所にちょうどございまして、その候補者の方がその庁でおなりになれるようになりますればそれでけっこうなわけでございますが、実際問題といたしますと、なかなかそのようにまいりませんので、勢い、ある程度の管内を見てみまして、あいたところのポストに一番ふさわしいという方をそのポストへ持っていく、その結果転勤ということが往々にして行なわれるというだけのことでございます。
  89. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 往々にして行なわれるのでなくて、ほとんど行なわれているんじゃないのですか。だから、たとえば私のところの宇都宮から通っているのは浦和あたりへ通っている人がずいぶん多い。東京へ通っているのもずいぶんいますね。それから逆に埼玉県のほうから宇都宮へ来ているというふうな人もいる。あるいは東京から宇都宮まで通っている書記官もいる、こういうふうな状況ですね。現実問題は。  そこで、それらの人々はほとんどが単身赴任でしょう。ただ、統計の上では単身赴任になっていないわけだ、家族で赴任したようになっているわけ。ということは、家族赴任でないと官舎がもらえない。単身赴任ではもらえないから家族赴任という形になっているけれども、実際は単身赴任だ、こういうふうなことでしょう。それはどの程度いるのか、あとで説明していただきたいと思うのです。  同時に、単身赴任のために子供の教育から二重生活、たいへんなことで非常に困っておる。私はそれに伴ってプラスが相当あるならば話はわかりますけれども、プラスもないわけではないとしても、それを上回るところのマイナスが非常に多いということを考えてみると、これはもう当然考えなければいけないことじゃないかというふうに思うのですが、そこら辺プラスとマイナス、特に単身赴任の人がどの程度いるか、それからそれらの人が官舎をもらっているのかもらってないのか、それから子供の教育なんか一体どういうふうになっているのか、そういう点どういうふうに調べておられるのか、ひとつお伺いをしたいと思うのです。  それからもう一つは、たとえば主任書記官になるためにほかの庁への転勤を断わる。断わるというとしっぺ返しをされる。それは現実にはしっぺ返しということばは使わないけれども、不利な取り扱い、たとえば本庁にいる人がほかの庁への主任書記官になる転勤を家庭の事情で断わるというと、支部のほうへそのまま平でやられる、こういうことが現実にいま行なわれておるわけですね。私はその人の名前も知っておるし、まあ話をしてもいいとは言っておったんですけれども、ここでそういうことを公に言うと、またあとで最高裁のほうから——まあいろいろ本人が非常に気の毒だと思いますから言いませんけれども、現実には、断わると不利な取り扱いをしているんじゃないですか。その点はどうですか。
  90. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 まず一番最後のお尋ねから申し上げますが、転勤を断わった場合、それがどなたかごらんになっても少しかってじゃないかというようなことも、それはないとは限らないかと思いますが、通常の場合、いろいろの事情がそれなりにおありになるわけでございまして、そのことによって不利益な扱いをするということは絶対にいたしておりません。  それから、その前段のお尋ねの単身赴任の問題でございますが、手元の単身赴任の調査をいたした結果を見てまいりますと、大体五百人ぐらいの方が全国で単身赴任をいたしております。その事情でございますが、やはり子弟の教育というのが  一番多うございます。それから、夫婦共かせぎであって一緒に動けないという事情がそれに次いでおります。その他家族の病気があるとかいうような事情もございますが、この問題はかってお尋ねがございまして私どもお答えをしたことがあったかと思いますが、決して異動を多くすることだけを目的にしておるわけではございません。何とか職員の方に任地等の関係で迷惑をかけることのないようにしたいということは念願いたしておるわけでございますが、先ほどお尋ねのポストがあきましたときに、やはり適当な方にそのポストについていただきたいということを考えますと、どうしても異動をせざるを得ないという状況になり、そういったかれこれ利害を考え合わせまして、結論としては、できるだけ異動の回数を少なくしていく、遠くに動くということのないようにしていきたいということは常に念願いたしておるところでございます。
  91. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 その統計が違うんじゃないですか。公の統計が出てきますと単身赴任ではないように統計がなっているわけですね。ところが、家族で赴任したというかっこうにしないと、官舎がもらえないでしょう。だからそういうかっこうにしておいて、そして現実には単身で赴任しているというのが相当あるんじゃないですか。これはよく調べてごらんなさい。それが一つ。  それから、それを拒否すると不利な取り扱いをするようなしないような、した例もあるような答えですけれども、現実にはありますよ。ぼくは幾つも知っていますがね。所長のあれにもよるかもわかりませんが、職員は非常にびくびくしています。特に家族持ちの職員はいま非常にびくびくしています。裁判官やなにかが単身赴任というのは、東京に家があって、そして土曜に帰ってきて月曜の朝来るのでしょう。だから月曜の朝の開廷が非常におくれるわけです。そういうのはずいぶんあるわけです。それから検事が多いですね。検事正もあり、次席もありますね。次席検事の単身赴任なんというのは、ぼくはいかぬと思うのです。家庭の事情もあるのだろうけれども、官房長、いまでなくても、よく調べてごらんなさい。次席検事が単身赴任しているのがありますよ。だから、土曜、日曜、月曜に何か起きたときに一番困るんです。いないんですよ。だいぶあります。そういうのはいわゆるエリート的な検察官に多いのかもわからないけれども、そういうのがあるのですね、きょうは時間がないから聞きませんが。  法務大臣に聞きますが、ぼくはこの前出たときに参議院のところに政府委員室という部屋があるでしょう。あれに最高裁政府委員室というのがあるんです。ぼくはびっくりしたんですよ。何でこんな薄暗いアパートの一間みたいなところに最高裁政府委員室を、なぜ国会の中に持たなければいけないのか、ぼくはどうもよく理解できないのですがね。もっとも、ぼくが一番よく利用して  いるから言いづらいのだけれども、おかしいんだな。だって、法案の提出は法務省がやるのでしょう。法務省がやるので法務省の政府委員室があればいいんだ。法務省が法案のいろいろな問題その他について全責任を持ってやればいいんじゃないですか、どうなんですか。これが一つ。  それから、こんなことをここで言っては悪いのだけれども、たとえば手続法関係は大体最高裁直接ですね、実体法は法務省になるわけだけれども。あまり言っちゃ悪いが、手続法関係、たとえば民事調停法、今度はまだあれは入らないけれども、将来入るでしょう。それで、日当、報酬が一日六千五百円ということになったわけですね。法務省のある幹部といろいろ話してみたら、そうしたら、それは酒の上だったかもわからぬけれども、一日六千五百円よく通りましたね、最高裁がんばりましたなというようなことを言っているんですね。まるで人ごとのような話ですわね。人ごとといっては悪いかもわからぬけれども、法務省と最高裁があまり仲よくなっても困るんだけれどもね。仲悪いほうがそれは筋なんで、あまりべったりになってはこれはおかしいんだけれども、どうして最高裁政府委員室というのが必要なんですかな。それが一つと、それからそういう関係の法案については一体どこが責任を持つのですか。法務省が責任を持つんでしょう。それならばそんなことについて最高裁の人が——本来裁判官なんです。裁判官があちこち行って頭下げたり何かするということはぼくはよくないと思うのですよ。それはもう法務省がもう少し責任をもってやるようにしたほうがいいんじゃないですか。そこら辺のところどうですかね。これは変な質問ですけれども法務大臣、どう思っておられますか。
  92. 中村梅吉

    中村国務大臣 御指摘のとおり、確かに法案については法務省が責任を負いますが、ただ政府委員室としましては、おそらく法務省の政府委員室へこうして最高裁の方々も国会がありますと呼び出しを受けて大ぜい来ますから、たまりが一緒になるということは、いまあなたおっしゃったように、見方によっては弊害もあるかもしれません。そこで、結局最高裁の人たちが国会へ出てきた場合のたまりの部屋というものが必要でとってあるんだと思いますが、その辺はひとつ御理解をいただきたいと思います。
  93. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 あまりよけいなことを言いませんけれども、そこでまた問題になっていくいろいろな問題があると思うのですが、司法法制調査部というのがあるわけですね。これはGHQのあった時代の産物なんで、いま現実にそういうものは必要なんですかね。司法法制調査部長いるけれども、どうなんですか。それは何をやっているのですか。
  94. 勝見嘉美

    ○勝見政府委員 当の司法法制調査部長でございますが、先ほど大臣に御質問がございましたように、裁判所関係の法案につきましては私ども全責任をもって国会に提案しております。したがいまして、その種の仕事が実質的にはおもなものでございます。あと司法法制に関する調査ということで、ただいま御指摘のGHQ時代の調査課のなごりでございませんで、戦前から調査課というのがございまして、その後身だと考えております。
  95. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 ちょっとぼくの聞いているのと違いますけれども、それはそれとして時間があれで、もう一つだけお聞きしておきたいのは、たとえば家庭裁判所調査官の人は非常にりっぱな人が私は多いと思うのですよ。ところが、大学で心理学だとか社会学を研究した人がほとんどのようですね。そこで、この前も何か試験のときに白紙の答案を書いたとかなんとかということが、研修所ですか、出ておったんですが、どうしてそういうふうに心理学や社会学を出た人を中心に調査官というものを家裁では採っておるのですかね。  それから、この前の試験の中で、あれは法律の関係の試験をやるということについて、あまり法律関係はやっていない方が多いからというので白紙の答案を出したのか。家裁書記官に聞いてみたら、それは調査官なんというのは法律知らないから法律の試験をやるのはあたりまえだなんというふうに言っている人もいるんですけれども、それは一体どういうことなんですかね。それについてまた不利な取り扱いを特段したわけですか。
  96. 矢口洪一

    矢口最高裁判所長官代理者 調査官は御承知のように少年と家事と両方にあるわけでございますが、人間関係の調整というような意味でやはり専門家ということになってまいりますと、心理学系統、社会学系統、教育学系統といったような方を選んだほうが一番それに適合する、いわゆるケースワーカーとしてそういう仕事を専門に勉強された方から来ていただくということが一番その職種の目的に合っておるということで選んでおるわけでございます。  ただ、そういうふうにして中心の仕事はいわゆるケースワーカーの仕事でございますが、裁判所職員として少年を扱われ、あるいは家事の調停事件を扱われるということになりますと、これはもう当然おわかりいただけることかと思いますが、最小限度の法律の知識というものをやはり持っていただかなければいけないということになります。家庭裁判所研修所というのはそういう意味の最小限度の法律知識、したがいまして裁判官でございますとか書記官から見ますとずっとずっといわゆる概論的な知識、そういうものを得ていただくために法律の講義もし、また、講義を行ないましてそれに関する試験も行なうということでございます。  問題は、御指摘の点は、そうはいっても法律の問題は学校で専門にやっておられないわけでございますので、わかりにくいといいますか、勉強するのにたいへんだということで、御指摘の、昨年の秋でございますが、試験の答案を待ってくれないかというような意味の問題が起こりました。これはその気持ちにおいてわからないわけではございませんが、やはり研修会でちゃんと講義をいたしまして、普通にやっておれば十分答案が書けるはずのものでございます。そういったものを多数の方が答案を白紙で出すということ、これはやはり好ましくないということで、それについては大部分の方に所長注意をし、まあごく一部の方にどうも最後まであまり反省の色を見せられない方、そういう方について分限上の戒告という措置をとった、こういうものでございます。  しかし、これは研修所の中における教育の過程における問題でございますので、正すものは正しましたけれども、今後全員ができるだけそろって卒業できるように研修所のほうで配慮したいということのようでございます。
  97. 稲葉誠一

    ○稲葉(誠)委員 時間の関係で質問はきょうはこれで終わるのですが、家裁の問題で私疑問、疑問でもないのですけれども思うのは、調査官の調査が非常に綿密ですね。非常に詳しいわけですよ。それはけっこうなんですけれども、あそこまで詳しくやる必要があるのか。少年の近所のうちまで行っていろいろ聞いて歩くわけでしょう。そこまでやっていく必要があるのかどうか。非常に分厚いものができる。ところが、その少年審判のときには裁判官のほうは、率直にいってあまり少年審判事件に対して理解がないというか熱意がないという方もいらっしゃるようだしということで、調査官のほうは何か張り切って入ってきたのがだんだんだんだん熱がさめてきて幻滅感を味わうというのが非常に多いですね。  それから、鑑別所とやっていることは同じことをまたやっているようなあれです。角度は違うかもわからぬけれども、同じことをまたやって、二十八日間も鑑別所へ入れておかなければならない理由が一体あるのだろうかどうかとか、それから、ことに虞犯の問題なんか、ちょっとこれは問題があって、どうも虞犯という名前のもとに、犯罪も犯してないのに、いろいろ、少年法のたてまえはあるでしょうけれどもやられて、ちょっと憲法違反的な問題もあるのじゃないか。いろいろな問題がある、私はこう思うのですが、これは別の機会にして、ちょうど十二時ちょっと前ですから、私は質問はこれで終わります。あとの機会にさしていただきます。
  98. 小平久雄

    小平委員長 これにて本案に対する質疑は終了いたしました。     —————————————
  99. 小平久雄

    小平委員長 これより討論に入るのでありますが、討論の申し出がございませんので、直ちに採決に入ります。  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について採決いたします。  本案に賛成の諸君の起立を求めます。   〔賛成者起立〕
  100. 小平久雄

    小平委員長 起立総員。よって、本案は原案のとおり可決すべきものと決しました。  おはかりいたします。  ただいま議決いたしました法律案に関する委員会報告書の作成につきましては、委員長に御一任を願いたいと存じますが、御異議ありませんか。   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  101. 小平久雄

    小平委員長 御異議なしと認めます。よって、さよう決しました。     —————————————   〔報告書は附録に掲載〕     —————————————
  102. 小平久雄

    小平委員長 次回は、明二十七日水曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後零時散会