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1974-02-20 第72回国会 衆議院 法務委員会 第7号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月二十日(水曜日)     午前十時十五分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 谷川 和穗君    理事 稲葉 誠一君 理事 横山 利秋君    理事 青柳 盛雄君       井出一太郎君    江崎 真澄君       保岡 興治君  早稻田柳右エ門君       日野 吉夫君    正森 成二君       沖本 泰幸君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         警察庁刑事局長 田村 宣明君         法務政務次官  高橋文五郎君         法務大臣官房司         法法制調査部長 勝見 嘉美君         法務省民事局長 川島 一郎君         法務省矯正局長 長島  敦君         法務省入国管理         局長      影井 梅夫君  委員外出席者         警察庁警備局参         事官      赤木 泰二君         警察庁警備局参         事官      星田  守君         法務大臣官房審         議官      鈴木 義男君         法務省刑事局公         安課長     俵谷 利幸君         法務省刑事局参         事官      吉永 祐介君         外務省アジア局         外務参事官   中江 要介君         法務委員会調査         室長      松本 卓矣君 本日の会議に付した案件  法務行政及び検察行政に関する件      ————◇—————
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  裁判所の司法行政に関する件、法務行政及び検察行政に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。稲葉誠一君。
  3. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 時間の関係で、大臣予算委員会へ行っておられるということもあって、ちょっとやりにくいのですけれども、この前の大臣所信表明の第四の最後のところに、「また、いわゆる未承認国との人の交流につきましては、国際情勢の推移を踏まえ、国益を十分考慮しながら、適切、妥当な措置を講じてまいる考えであります。」こういうふうなくだりがあるわけです。  そこでお尋ねをいたしたいのは、未承認国との人の交流についての基本的な原則等については、これはあとでまた大臣に聞くということにいたしまして、現在問題となっておりまするアジア卓球大会ですか、それの朝鮮民主主義人民共和国あるいはその他の国々がありますね、アジアの各国。これらの国々のいわゆる未承認国の人の交流に関連してお尋ねをするわけなんですが、いまどういうふうなところからの申し込みがあるのか、あるいは今後あり得るのか。それに関連して事務的なレベルというか、事務当局の裁量で、アジア卓球大会の場合にはどの程度入国を認めるということを考えられるのか。この点をまず最初にお聞きをしていきたいと思います。
  4. 影井梅夫

    影井政府委員 まず第一に、現在どういうふうな状況になっているかということでございますが、これは従来私どものほうに正式なお申し出というのはまだない。一昨日、十八日でございますが、要望書という書類提出を受けまして、さらにまたそのためにどのような追加の書類を出したらよろしいかというお尋ねがございまして、それに対しまして私どものほうから一種の書式と申しますか、それをお渡しいたしました。今後いろいろな書類の御提出を願いまして、その上で私どものほうでいろいろ考えさしていただくというのが現状になっております。  それから御質問の第二点でございますが、一体、これに対して抽象的な形ででもどのような方針をもって臨むかという御質問でございましたが、日本が承認しておりません国の人の交流につきましては、日本が承認してないという事柄性質上、大原則といたしましては交流はないというのが大原則ではございますが、しかしながら私どもそれをそのまましゃくし定木にすべての交流を認めないという立場はとっていないこと、これは御承知のとおりでございます。その相手の国と申しますか、地域との関係、その現状、それからもしそういう国ないし地域からの人の入国というものを認めなかった場合にはどういう影響が起こるであろうか、また認めたならばどういう影響が起こるであろうかということを比較考量いたしまして、最終的な態度をきめていくということでございますが、一般的に申しまして事柄が人道に関するものでありますならば、これはかなり優先度をもって考えてまいる。人道問題のほかに、スポーツでありますとかあるいは文化の交流あるいは経済交流ということも、それぞれの事情を勘案いたしまして認めるべきものは認めるという方針で臨んでいる、抽象的に申し上げますと大体そんなことで臨んでいます。
  5. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 抽象的には非常にわかりますけれども、具体的にいまの問題で一つスポーツの問題であるわけですね。それからこれは永野重雄さんですか何かが会長になっているのかどういう形になっているのですか、よくわかりませんけれども、それから石井さんも何か名誉会長みたいになっておるのですか、これは体協の関係かもわかりませんけれども、そういう関係もあって、それで私の聞くのは、ここに来られるというふうに考えられているいろいろな国がありますね、いろいろな国の中でどうしても高度の政治判断、たとえば内閣なら内閣政治判断で最終的にきめなければならないところもあるだろう。たとえば南ベトナムあるいはカンボジアの場合ですね。そういうようなところもあるじゃないか。そればいわばあなた方の事務的なレベルというふうなものを越えているかもわからない。しかし、そうではなくていま言ったスポーツ等の問題で、たとえばこれはピョンヤン次期開催地ですか、だからピョンヤン市長が来るということは、そういうようなことで次期開催地であるからこちらのほうの調査をしたいとかいろいろなことを含めて、それについてはまあ事務的といっても純粋な事務的かどうかは別として、これはある程度配慮もあるでしょうけれども、いま私があげた高度の政治的な判断を要する二つのものとは違ったニュアンスで考えられていいではないかということを質問をしているわけですね。
  6. 影井梅夫

    影井政府委員 日本にこの次の大会準備のためにおいでになりたいというお話、まさしく承っております。そこで、私どもといたしましてはそのためにお見えになりたいというお申し出のありますその人の地位その他を考慮いたしまして、またその方が日本にお見えになりまして、抽象的に申し上げますとこの次の大会準備のためということでございますが、もう少しその詳細なども伺いまして、どの範囲のことでございましたらやっていただいて差しつかえなかろう、あるいはこれから先は困るというふうな問題が出てくるかと思いますけれども、そういった点は今後のお申し出を伺いまして私のほうで考えさしていただきたい、このように考えております。
  7. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その考えさしていただきたいということは、率直な話、いまの問題については事務当局としては公の場でそれ以上なかなか言えないんじゃないかとも思いますが、これは率直に言ってピョンヤンの場合は前向きに検討をしていくということが考えられる、こういうふうに承ってよろしいのでしょうか。  それからもう一つは、いま私が高度の政治的な判断というようなことを言ったのは、アジアのこの卓球大会に来る中でどことどこのどういう政権については高度の、内閣全体としてというか何というか、政治的な判断が必要なのか、この点が第二点。これをお答え願いたい、こういうふうに思うわけです。
  8. 影井梅夫

    影井政府委員 御質問の第二点のほうの高度の政治的な判断を要するのではあるまいか。これは日本が承認しているとか承認していないということと無関係に、つまり国と、客観的と申しますか、国際通念として認められるものと認められないもの、この観点から考えていくべきではないか、それでそれがいわゆる国際通念上の国という概念に該当しないというものにつきましては、特に高度の政治的な判断ということを要するだろうというふうに考えております。
  9. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 どことどこなの、それは。
  10. 影井梅夫

    影井政府委員 現在私ども承知しておりますところでは、カンボジアそれから南ベトナムにつきまして、少なくとも現在の日本立場といたしましては国ないしその政府というふうに認めてないところからのお申し出がございますので、これは多少問題を含んでいるのじゃないかというふうに考えております。
  11. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 第一点。
  12. 影井梅夫

    影井政府委員 一般的に申しまして、お申し出の内容というものが現在私どもに非常に抽象的な形でしかいただいておりませんので、いまこの段階におきまして明確なことをお答えする段階にまだ至ってないということでございます。
  13. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 事務当局としてそれ以上のことを答えるのもなかなかむずかしい立場があるんだとぼくは思うのですが、そうするといま言われた、ぼくが第二に質問をした二つのところの高度の政治的判断ですね、それと、ピョンヤン市長の場合はニュアンスが相当違う、こういうふうに承ってよろしいでしょうか。その程度答えはできるんじゃないかな。それ以上ぼくはあんまり聞いても悪いと思うけれども
  14. 影井梅夫

    影井政府委員 先ほど申し上げました二つ地域それから北鮮、これが性質が全く同じというふうには私ども見ておりません。
  15. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 なかなか苦しいというか、答弁しにくいのかもわかりませんけれどもね。  それじゃもう一つ、ことしの秋ですか、列国議会同盟会議が、これは東京であるのですか、ぼくはよくわかりませんが、それにいわゆる未承認国から来るということ、このことは現在の段階ではどういうふうになっているのですか。
  16. 影井梅夫

    影井政府委員 私ども事務当局といたしましては、これが国際会議であるということ、それからもう一つ開催地日本であるということからいたしまして、おいでになる国のある国は日本がまだ承認してないということを理由にこれを拒否すべきであるという、そういう態度をとる必要はあるまいというふうに考えております。
  17. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまの場合は、列国議会同盟の場合は超党派のあれですし、国会の主宰、国会直接じゃないかもわからぬけれども、こういう形ですし、平和のための一種の、どういうのかな、祭典というとおこられるかもわかりませんけれども、そういうようなことですから、それについてはいまのあなたの答えでぼくはわかりました。おそらく聞いている方もわかったと思うのでこれ以上この点についてはお聞きをいたしません。  もう一つ列国議会同盟会議に未承認国から日本へ来る、そうするとその未承認国へ行っていろいろ打ち合わせとか調査とかしてこなければならないということがありますね。そのことのための再入国の問題、この問題についてはすでに法務省としては、いま言った列国議会同盟というものの趣旨からいってもそれを認めていく。コンクリートなものでないとしても大体そういう方針である、こういうふうに承ってよろしいでしょうか。
  18. 影井梅夫

    影井政府委員 ただいま御質問の点につきましては、もう少し具体的な状況というものを見きわめましてから判断すべき問題かと思いますけれども、先ほど申し上げましたように、この会議日本で開催されるという特殊な事情がございますので、その点もあわせて考慮すべきじゃないかというふうに考えております。
  19. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 大体の筋はわかって、私もいまの段階でこの点については抽象的に言ったわけで、あまり具体的に言うとかえってあれがありますからね。抽象的に言ったわけですけれども、いまの問題については大臣が来られてからあとでもう少し、政治的にというと語弊があるかもわかりませんけれども、そういう形での質問をさせていただいて、まとめの答弁を大臣からしてもらいたい、こういうふうに思います。  民事局長がおられますが戸籍法改正ですね。戸籍法改正の問題はいろいろ世上いわれていますが、どういう点がいま問題になっておるかということが一つと、それについて戸籍法改正をどういうふうにやろうと考えておられるのか、この点をお聞かせ願いたいと思います。
  20. 川島一郎

    川島(一)政府委員 あとのほうの御質問から答えさせていただきます。  戸籍法改正につきましては、若干問題があるのではないかというふうに考えております。法務省といたしましては、戸籍制度に関しまして近く民事行政審議会を開きまして、当面改善を要する事項についての諮問を行ないまして、そして民事行政審議会戸籍制度の現在の運用上あるいは制度上の問題について審議をしていただく、こういう予定にいたしております。  そこで、問題点でございますが、これは民事行政審議会におきましてはいろいろな戸籍実情を御説明いたしまして、その中からどういう問題を扱うかということを審議会のほうで考えていただくことになろうかと思います。私のほうでいろいろ考えました問題のおもなものを若干申し上げたいと思います。  一つは、戸籍公開制度に関する問題でございます。現在戸籍は、除籍改製戸籍、こういうものを含めまして何人も自由に閲覧しあるいは謄抄本の交付を請求することができる、これがたてまえになっておりまして、市町村長は正当な理由がある場合にその閲覧等を拒むことができるという規定になっております。この運用に関し若干問題がございますので、こういった点につきまして何らかの改善を要する問題があるのではないかということが一つ問題点でございます。  次に本籍表示の問題でございますが、現在本籍表示は、土地の地番によって表示しておるというのが従来からの取り扱いでございます。最近住居表示制度というのが実施されておりますが、住居表示によって本籍表示することを認めてほしいという要望が一部にございますので、そういった点についても考えてみる必要があろうか、このように考えます。  それから届け出人範囲の問題でありますが、現在の戸籍法によって、戸籍に関する各種の届け出について、どういう者が届け出るかという資格が定められております、これが若干狭過ぎるのではないか、こういう問題がございます。  それから子の名前に用いる文字、これが現在の制度では常用平易な漢字あるいはかたかな、ひらがなに限られておりまして、その範囲が少し狭過ぎるのではないか、もう少し広げてほしい、こういう要望もございます。これも一つ検討を要する問題であろうかと思います。  そのほか、こまかい問題はいろいろございますが、大きな問題といたしましては以上のようなものがあろうかと思います。
  21. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いまの問題では第一と、それから最後の字の制限ですか、当用漢字の関係かな、そういうような点が問題かと思うのですが、第一の問題はどういうところにポイントがあって、一体法務省としてはいつごろどういうふうにしたいと考えているわけですか。
  22. 川島一郎

    川島(一)政府委員 こういった問題につきましては、最初に申し上げましたように、民事行政審議会十分検討をしていただければ、それに基づいた処置をとることになろうか、こういうふうに考えておるわけであります。  どういう点に問題があるかということでございますが、最近プライバシーの問題がいろいろやかましくなってきておりまして、他人の戸籍を見て、それを一般に情報として提供する、こういうことが問題になったこともございます。それから、一つは同和の関係がございます。同和問題との関係で、戸籍を自由にだれにでも閲覧させるということは、場合によっては個人のあまり知らしたくない事項を人に知られる結果になるから、若干そういった点についての配慮を加えてほしい、こういった問題もあるわけでございます。
  23. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 除籍謄本の古いのをずうっとさかのぼっていくわけでしょう。いきますと、あれを整理したのはいつでしたっけね。大正四年か何かに整理しましたね。残っているのがあって、何ですか、壬申戸籍というのですか、あれはどういうふうなものですか。  それから、ちょっと一部のあれに出ていたのですが、たとえば北海道における民族、そういう人たちのことを何か別な形で表示しているのが残っているのですか。そこはどういうふうに法律的になって、実際はどういうふうになっているのですか。
  24. 川島一郎

    川島政府委員 まず北海道の問題から申し上げますと、昔アイヌ人土地を給与した、土地を与えたという例がございます。その場合に出生地として土人給与地において出生、こういう記載戸籍にされたことがございます。そうしますと、それを見ると、この人はアイヌであるということが戸籍の上でわかってしまう。これは、場合によってはその本人としてぐあいが悪いということもございますので、そういう戸籍を直してほしいという要望がございまして、これはそのように処置いたしたわけでございます。  それから壬申戸籍の問題でありますが、これは明治五年式の戸籍にいろいろ俗称というものが書いてあったわけですが、その俗称記載が相当まちまちでございまして、中にはあまり好ましくない表示がされておるものがあるということでございました。そこで、明治五年式戸籍というのは明治十九年にまた改められまして、取り扱いが変わったわけでありますが、明治五年から十九年までの間につくられました戸籍壬申戸籍でありまして、これにつきましてはそういういろいろ問題がございますので、法務省といたしましては、この保管については特別な取り扱いをせよということにいたしております。現在閲覧は一切許さない。それから、そういう戸籍は全部一カ所にまとめて、そうして包装して封印をするという厳重な取り扱いをしておるわけでございます。保存期間が満了いたしまして、すでに廃棄したものもございます。そういう実情でございます。
  25. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 それから、どこどこの刑務所出生したというのはまだ戸籍に載っているのですか。それはいまやめたの。壬申戸籍というのはいつごろ全部破棄になる見込みなんですか。
  26. 川島一郎

    川島政府委員 戸籍保存期間は、除籍になりましてから八十年ということになっております。したがいまして、まだ残っておるものもあるようでございますが、大体そういうことでございます。  それから、刑務所出生したというような記載でございますが、そういう記載のあるのがかつてはございました。現に除籍などにそういう記載が残っておりますが、そういうものにつきましては、戸籍謄本を発行する場合には写してはならないという取り扱いにいたしております。
  27. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そういう点についてはあとで聞くとして、今度は刑法改正の問題について聞くのですが、法制審議会委員、特に刑事法特別部会委員の人が非常に老齢化しておる。八十幾つの方もおられる。七十幾つの方もおられる。そういうようなことで、非常にお年寄りの方が多くて、いわゆる明治憲法時代教育を受けた方が多いわけですね。そこら辺のところの年齢的な構成というか、それはどういうふうになっているのですか。
  28. 勝見嘉美

    勝見政府委員 ただいまのお尋ねは、刑事法特別部会とおっしゃいましたけれども、総会ですか、刑事法特別部会のことでございますか。(稲葉(誠)委員「両方でいいだろう」と呼ぶ)  御指摘のとおり現在の法制審議会方々平均年齢は、二月十五日現在で六十九歳でございます。私どもといたしましては法制審議会は御承知のとおり法務大臣諮問に応じまして基本法令についての調査審議ということでございまして、したがいまして学界、法曹会等代表する一級の方々に来ていただいているつもりでございますが、ある程度の高年齢であることはやむを得ないものというふうに考えておる次第でございます。
  29. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 もう一つ質問は、それらの人個人個人を言うわけじゃありませんけれども、いわゆる明治憲法時代にみんな教育を受けた人ですね。それと、代表財界の人が入っているのですか。どういう形で入っているのですか。入っているか入っていないか、まずひとつ……。
  30. 勝見嘉美

    勝見政府委員 現在、経済界から原安三郎氏が委員になっていただいております。
  31. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 経済界から入って、一般国民というか、たとえば経済界に対照するなら労働界かもわからぬけれども、そういう人はどうして入らないの。
  32. 勝見嘉美

    勝見政府委員 審議会委員は、私どもといたしましては、大体次のような基準で選任しております。  まず第一は、基本法令調査審議でございますので、それぞれの分野の最もすぐれた方々にお願いしているということと、それから第二番目に、法律の問題でございますので、実務面からの意見を反映するために、裁判官検察官弁護士等法律実務家を選任しておること。三番目に、立法を担当します法務省、私どものほか、関係各省庁の担当者を加える。四番目に、諮問事項によりまして実業界あるいは言論界その他一般学識経験者ということで選任するというのが私ども基準でございます。
  33. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 原安三郎という方は名前を聞いたことがあるんだけれども、どういう資格で入っておられるのですか。それから言論界と言われたけれども言論界からはだれが入っているの。労働界からはだれが入っているの。
  34. 勝見嘉美

    勝見政府委員 現在の委員の方で言論界代表しておられる方はございません。
  35. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 刑法審議をするのに、どうして財界から代表が出なければならないのですか。そこはちょっとわからないな。これは聞いている方はわかっているのかもわからぬけれども、ぼくはわからないな。それはおかしいですよ。どういう資格でこの方を選んだの。おかしいな、これは。個人の名誉のことでもあるから、その人をかれこれ言うわけじゃないけれども、どうして法制審議会に、ことに刑法ですよ。商法審議ならわかるけれども、わかるというかある程度理解できるけれども刑法審議に何で財界から代表を選ばなければならないのか。これはおかしいな。それはあなたから聞いても悪いから、大臣が来たら聞こうと思っているんだけれども、おかしいよ。何で必要があるのか。
  36. 勝見嘉美

    勝見政府委員 先ほど申し上げましたように、  一般の有識者の代表として来ていただいているわけでございますが、ただいま申し上げました原安三郎さんにつきましては、商法審議をお願いしておりました際に選任した方でございます。
  37. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 これは刑法審議にも関係するの、しないの。はっきりしないね。
  38. 勝見嘉美

    勝見政府委員 現在も審議会委員になっていただいておりますので、出てきていただいております。
  39. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そうすると、いま言った国民各層代表するというのは財界だけなのか。ほかはいないのか。これはどういうわけだ。言論界におもねるわけではないけれども言論界だとかほかの一般各層がありますね。弁護士が出ているといえば出ているかもわからぬけれども弁護士の選んだのも、ほとんどあれでしょう、検事総長をやったり、検事をやったり、高裁長官をやったりという、そういうようないわゆる大物というか、そういうあれでしょう。純粋な在野の弁護士というのはほんとに数が少ないのじゃありませんか。いないことはない、いることはいるけれども財界からなぜ選ばれたのか、ぼくにはちょっとわからないのだ。国民各層から選ぼうということなら、国民各層から選んだらいいじゃないですか。そして諮問すればいい。財界に特に諮問しなければならない理由法務省としてはない。そこがどうもよくわからないな。
  40. 勝見嘉美

    勝見政府委員 現在の法制審議会構成最初に申し上げますと、現在二十六名でございます。現職の裁判官検察官行政官は合計七名でございます。その他の十九名は、学者、弁護士その他の民間方々でございますが、その十九名のうち、裁判官あるいは検事総長経験のある弁護士は五名でございます。残りの十四名がいわば民間出身者でございます。  ただいまの御指摘の財界からの御出身ということでございますけれども、私ども審議会委員につきましては任期がございますけれども、おなりになっていただいた方に引き続きやっていただいておりますので、商法審議の際にお願いした原安三郎氏がそのまま現在もなっておるという状態でございます。
  41. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 いま学者から選ばれたと言いましたよね。学者の人で、法制審議会刑法審議の中で、どういう理由か知りませんけれども、やめられた方がおられるでしょう。たとえば平野さんもやめられたし、平場さんもやめられたし、藤木さんもやめられたのかな。もっとも、藤木さんは目が悪いのであるいはおやめになったのかもわかりませんが、それらの方はどういうことでおやめになったのですか。その辺のところはある程度は言えるのでしょう。
  42. 勝見嘉美

    勝見政府委員 ただいま御指摘の学者の方でおやめになった方々につきましては、いわゆる審議会の総会ではございませんで、刑事法の特別部会でございます。刑事法特別部会委員の方のうち、いわゆる学者委員、学者からなっていただいておりました委員で退職された方は四名ございます。平野東大教授、平場京大教授、井上正治九大教授、吉益東京医科歯科大学教授でございます。
  43. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 そのやめられた方の中で平場さんと平野さんですね、この方がおやめになった理由というのは、法制審議会刑法審議の進め方というか、刑法改正のあり方というものが非常に国家主義的で治安主義的である、あるいは応報刑理論によって立っている、こういうようなことで、これは新憲法の精神に沿わないということでおやめになったのじゃないですか。
  44. 勝見嘉美

    勝見政府委員 平野教授につきましては、いつかの機会にも私から申し上げたと思いますけれども、四十五年の七月六日に、辞任願提出によりまして退職ということでございます。平場京大教授につきましては、四十六年の八月十九日に本人の——ちょうど再任の時期でございましたけれども、再任辞退の申し出によりまして、任期満了で退職ということでございます。
  45. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 任期満了の退職であっても、普通の場合には再任されるわけですよ。それをこのお二人の方を中心にしてやめられたわけですね。そして、これは新しい研究会をつくられたですね。それは別として、そこで問題となってくるのは、この刑法改正ですね。これについて、中垣さんが法務大臣のときに刑法改正する必要があるかないかということで諮問しましたね。それは改正する必要があるかないかという諮問でしょう。諮問の内容をちょっと言ってほしいのですけれどもね。そうすると、この法制審議会では、改正をする必要があるかないかということは、全く基本的な形では論議しないのじゃないですか。いきなり準備草案に従って各則から入っていったわけでしょう。そこら辺のところがどうもよくわからないのですがね。なぜそういう行き方をとったのでしょうね。あなた方は幹事として出ておられたわけだが、改正をする必要があるかないかということを諮問したのでしょう。それを初めから準備草案に従って——あとから準備草案についても聞きますけれども、それに従って一条一条やっていったわけでしょう。もう基本的にやり方がおかしいのじゃないですか。
  46. 鈴木義男

    ○鈴木説明員 法制審議会の議事の内容についてでございますので、調査部長ではなくて、私からお答えさせていただきたいと思います。  刑事法特別部会におきましては、昭和三十八年の夏に第一回の会議を開いたわけでございますが、その第一回の会議を開く際に、どういう方法で審議をするのかということの検討が行なわれまして、その際五つの小委員会を設けまして、その五つの小委員会でそれぞれ関連する事項検討する、こういうことにきまったわけでございますが、その際、諮問の中にある刑法に全面的改正を加える必要があるかどうかという点と、それから、あるとすればその要綱を示されたい、こういう二つの点があるわけでございますので、その関係をどうするかということが議論されたわけでございますが結局、この問題は改正といっても、ただ改正するかどうかということを宙にきめるわけにもまいりませんので、とにかくどういう改正を加えたらいいのか、あるいは現行法についてはどういう点について改正の必要があるのかということを、まず個々の問題として検討した上でなければ、この全面改正をしたほうがいいのかどうかということについてはきめられないということで、それではまず、この改正すべきであるとすればどういう点を改正したほうがいいのかということの審議を先にすることになったわけでございます。  その後そういう方針審議を進めたわけでございますが、その審議の途中で、またあらためて全面改正の要旨ということを先にやったほうがいいのじゃないかという意見も出たわけでございますが、やはり、先ほど申しましたのとほぼ同様の理由で、とにかく内容について検討してみなければ全面改正をしていいかどうか、要するに内容もわからないのに全面改正するというようなことは不適当であろうということで、この内容について先に検討を行なったわけでございます。  で、刑事法特別部会におきましては、内容についての検討を終わりました際に、今度は、それではそういう内容の改正刑法の全面改正をやったほうがいいのかどうかということについては、あらためてまた、十分に検討が行なわれまして賛成、そういう案ではもう改正をする必要はないという意見、いやこういう案で改正すべきであるという意見が出まして、それらを十分検討した上で最終的に全面改正の必要がある、こういう判断が出されたわけでございます。それは刑事法特別部会でございまして、その後、その刑事法特別部会の答申、すなわち全面改正する必要がある、それからその要綱はこの刑事法特別部会で作成した改正刑事法草案によると、こういう特別部会の結論につきまして、ただいま法制審議会の総会で審議が行なわれているところでございます。
  47. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 その点はいろいろ議論があるのじゃないですか。学者の一部、審議会委員の人の一部は、初めから改正する必要があるかないかというような諮問ですから、まず基本的に、現在の社会情勢の中で、刑事訴訟法と少年法は戦後全面的に改正されましたよね、ところが刑法というのは改正されなかったわけだ。改正されなかった理由というのは、少なくとも現在の刑法は総則のほうはわりあいに抽象的な規定だけれども、各則のほうはわりあいに自由主義的な要素も残っているということもあって、だからこれは戦後すぐに改正する必要はないということでずっとそのままになってきたわけです。だから現時点においてそれを改正する必要があるかないかということを基本的に論議を進めてから入るべきだったというのに、いきなりその準備草案で一条ごとにどんどん入っていった。こういうふうに、一部かどうか知らないけれども、学者の人は言っている人も相当ありますよ。  そこで問題になってくるのは、準備草案とそれから今度の改正草案とでは、準備草案と同じ項目の番号をつけて、そしてそれに基づいて改正草案をやったわけなんでしょう。そこでその準備草案というのは、三十六年かな、何年かな、それは刑法の仮案でしょう、戦争中の。仮案との関係だよね、それが問題なわけさ。仮案は、片方総則のほうは昭和五年かな、各則のほうが十六年かな、十五年かな、戦争中ですね、仮案がね。その仮案に基づいて準備草案をやったんじゃないか。それに基づいて今度草案の審議をやっているのじゃないかということを聞けば、いやそういうことではございません、三十六年だかの準備草案に基づいて審議しているのです、こうくるわけでしょう。ところが仮案を何か文語文だったものを一々口語文に訳して、そうしてそれを基本にして、多少検討を加えて直したかもわからぬけれども準備草案をつくった、こういうふうに言っている方もいるわけですよ。  そうするというと、その仮案の性質というのは戦争中のあれですから、国家主義的な治安維持主義的な厳罰主義の色彩が非常に強いわけだ。それをそのままの状態にして準備草案の中に盛り込んで、それをまた基本にして今度の改正検討されているということ。結局は戦争中の仮案の色彩というものが非常に出ているんだ、こう学者は——一部の学者はですよ、それは法務省のお気に入らない学者だ。政府のお気に入らない学者はそういうふうに言っているわけですよね。だから、仮案をどういうふうにして準備草案に直したというのか、検討の材料にしたのか、そこら辺のところをお聞かせ願いたいわけです。
  48. 鈴木義男

    ○鈴木説明員 この刑事法特別部会におきましても、刑法の全面改正の要旨という問題を先に審議すべきであるという意見があったことは事実でございます。先ほど申し上げたとおりでございまして、会議でございますから一部の方がある意見をお持ちになっても、多数の方が反対の意見をお持ちになる場合にはそういう意見は通らないわけでございますが、先ほど申しましたように、そういう点はどちらを先にやったほうがいいかということも検討いたしました上で、先に改正の内容について審議をするということで、審議を進めたわけでございます。  それから、この全面改正が戦後すぐ行なわれなかったということについてはいろいろ理由があると思いますけれども、これは刑事訴訟法、少年法につきましては、日本国憲法の制定に伴いまして基本的な改正が必要であったということで、戦後間もない時期に改正が行なわれたわけでございますが、この刑法につきましては、もちろん終戦当時にありました終戦当時の刑法の中には、憲法の精神から見て適当でないというような規定もあったわけでございます。そういうものについてはあったわけでございますが、これは刑法の根幹をゆすぶるとかあるいは刑法を根本的に考え直さなければいかぬという問題ではございませんで、この刑法の中に憲法の趣旨に合わない規定がある、あるいは憲法の趣旨を尊重するためには新しい規定が要る、こういう部分があったわけでございますが、そういう点については昭和二十二年の刑法の一部改正で、その憲法の趣旨に合うように刑法改正をしておるわけでございます。したがいまして、刑事訴訟法、少年法等のような全面的な改正は、戦争直後には行なわれなかったわけでございます。  それから最後の仮案、昭和十五年に出ましたこの改正刑法仮案、それから三十六年に出ました準備草案、それから昭和四十六年に出ました刑事法特別部会改正刑法草案、この三つの関係でございますが、一部の——一部と申しますとなんですが、ある学者の方々は、この準備草案は仮案を受け継いだものである、それから改正草案は準備草案を受け継いだものである、したがってこの準備草案は仮案を受け継いだものであるという、こういう論法でこの改正草案を攻撃なさっていらっしゃるわけでございます。ただ、この点は、この仮案と改正草案の内容をひとつ検討していただければ、一体同じものか、同じ考え方に立つものかどうかということはすぐ十分おわかりいただけると思うわけでございまして、私どもといたしましては、この現在の仮案の考え方が現在の改正草案にそのまま引き継がれておるものではないというふうに見ておりますが、ただこの審議の過程におきまして、この仮案をある程度参考にして審議を進めたという事実はございます。これは準備草案をつくりました刑法改正準備会というのが昭和三十一年に発足しておりますが、その際に、準備会の資料としてこの改正刑法仮案及びこれを現代語に訳したものを資料としてお配りいたしております。ただ、これは改正刑法仮案を土台にしてこれをどうするかというような審議をしたわけではございませんで、そういうものは資料として配ってはおりますけれども、現実の立案作業は、この刑法のそれぞれの部分について委員方々、これは準備会は十数名の委員の比較的少数の委員会でございましたけれども、このそれぞれの委員方々に、この部分はだれ、この部分はだれということで分担をお願いいたしまして、その分担されました委員の方がそれぞれの事項について原案をつくって、その原案を審議した、こういういきさつでございまして、昭和十五年の仮案を審議した、こういうことではございません。  それから、現在この刑法全面改正審議しております法制審議会の草案とこの準備草案との関係でございますけれども、この準備草案は原案ということで法制審議会に出されたわけではございませんで、これは重要なものではあるけれども参考となる案ということで、参考にしてほしいということで法務省から法制審議会のほうへこの改正準備草案を提出したわけでございます。  ただ、先ほど御指摘がございましたように、この法制審議会刑事法特別部会におきましては、この条文のナンバーについては、なるべく審議を容易にするということで準備草案のナンバーをもとにやっておりますが、内容についてはいろいろ準備草案を変えておるところは少なくないわけでございます。
  49. 小平久雄

    小平委員長 ちょっと速記とめて。   〔速記中止〕
  50. 小平久雄

    小平委員長 速記を始めて。
  51. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 大臣おいでになったから、前に入管局長には聞いたのですが、締めくくり的に、いわゆる未承認国との人の交流の問題。これで、今度のアジア卓球大会の問題で現在大臣としてはどういうふうに考えているかということが一つ、それから、列国議会同盟がありますね。これに対する未承認国からの入国問題、これについて大臣としてはどういうふうにお考えになっておられるのか、どういうふうにしたいのかということを、ひとつできるだけ詳しくお話し願いたい、こう思います。
  52. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 卓球連盟の問題は、昨日ですか一昨日ですか、横浜市長が二階堂官房長官のところへ陳情ですか要求ですか、行かれたように新聞で拝見いたしました。実はその前からこの卓球の話がありまして、どう処理するか、入管では慎重に検討しておるところでございます。そこで私ども協議いたしまして、まず第一に、朝鮮人民民主主義共和国の平壌の市長が、来年平壌が主催国になる予定なんだそうで、来年主催をするについて、横浜の主催する卓球大会というものを一応見学したり勉強しておきたいという趣旨で、正式にはまだ書類が出ておりませんが、入国の話があるそうでございます。それについては、未承認国であっても、そういうスポーツ関係入国をしたい、ことに来年主催国である国の責任者として来たいということであれば、前向きに検討したらいいだろうという話をしてある程度でございます。まだ結論は得ておりません。その他の、カンボジアとか、あるいは南ベトナムの臨時政府ですか、あそこらについてはどうするか、入管を中心に慎重に検討しておる段階でございまして、まだ正式な書類は出ておりませんので、正式の書類を見た上で十分に検討をして最終的な結論を出したい、かように思っておるわけでございます。  列国議会同盟は、これはもう大体いいという結論が出たんじゃないですか、私は前向きにやるようにという話はしておったのですが……。まだ正式な書類はどうですかな。たぶんいいことになるんではないかと思いますが、私、まだよく承知いたしておりません。
  53. 稲葉誠一

    稲葉(誠)委員 ほかの方の質問がございますから、一点だけちょっと聞きます。  というのは、公取の石油連盟の告発、これが十五日にあったわけですね。これに対して、検察庁で、もうすでに証拠集めは困難だとかなんとかいろいろなことを、新聞に出ているのかテレビで言ったのか、どの程度かは別ですけれども、何かやけに最初から検察庁としてはまるでむりなんだというふうな空気が流れて——流してというか、意識的に何かこうそういうふうな空気をつくっているようなことがちょっと新聞などでは感じられるわけですよね。それが一つ。  それから、告発は、国会で証人喚問されるといけないというので、それでいま検察庁が告発しているからということで証人喚問を防ぐためにやったんじゃないかという憶測も——これは憶測ですよ。ぼくがそう思っているんじゃないですよ。それが流れているくらいなんですが、そこで検察庁としてはこれについてどういう態度で今後進まれるかということですよね。これは告発の相談というのは、もう当然、国税犯則者の場合でもそうだし、ほかのほうでもそうですけれども検察官が相談を受けて、これは高検が受けたそうですが、起訴のできる見込みがあるという段階になって初めて告発に対してオーケーと言うのが普通の状態ですよね。そういうことから考えて、相当な覚悟というか何かがあって告発を受けたんだと思うのですね。これに対してこういうふうな犯罪を法務大臣一体どういうふうに考えておるのか、経済犯罪だからたいしたことないんだというふうにお考えなのか、いやこれは国民の生活に大きな影響があって非常に重要なものだというように考えておられるのか。それから今後いろいろな混乱があるかもわからぬけれども、どうするのかということですね。それから変な話だけれども検事総長へ告発して、あなたは検事総長に対して指揮権があるわけだ。指揮権を発動するわけでもないでしょうけれども、それは別として、そこら辺どう考えておられるのか、あなたの決意というか、承りたい、こう思うわけです。
  54. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 御承知のとおり、法務大臣というのは確かに検事総長を通して指揮権はありますけれども、これはもう検察庁というのは、ほかの官庁と違いまして、全く不覊独立の官庁でありまして、法務大臣といえども、うっかりなまの事件について意見を言うということは慎むべきであります。また、めったないことだと私は思うのです。また、なまの事件というものは、実際に扱っている者でなければ真相はわかりませんので、及び腰の話というものはむしろ悪影響があっても好影響はないんだ、こういうように私も考えております。  そこで、実は実際問題いいますと、昨日私は午後ずっと参議院の法務委員会に商法改正の法案で出ておりまして、委員会におりました途中に、公取から石油関係の告発があったというメモが入りまして、メモで初めて承知いたしました。あとで聞いてみますると、公取と最高検の間では、告発するのはじゃどういう内容でどうだというような説明は若干受けているようです。しかし、とにかく告発がありました以上は、検察当局としては申すまでもなく厳正公平に処置をして最終的な結論を出すべきであるというように私は思っております。  ことに、あの法律を見ますると、独禁法というのは非常にやかましくできておりまして、公取で告発した事件については、検事総長はもし不起訴になるような場合には法務大臣を通して内閣総理大臣に報告せなければならないという、ほかの法律にはないような非常に厳重なあと始末が書いてあるわけです。ですから私は、そういう点にかんがみて、最高検としては管下の検事を動員しまして、最善の方法をとるだろう、またとるべきである、かように考えております。
  55. 小平久雄

    小平委員長 横山利秋君。
  56. 横山利秋

    ○横山委員 きょうは、前田中法務大臣当時からお約束を願っておった諸問題につきまして、約束手形を落としてほしいということが実は主力なんであります。しかし、大臣の御都合があるそうでありますから、この間、大臣にかわって主管の人々から、約束手形はどうなったのかという点について御返事をいただきます。もし御返事が不満足なものであるならば、大臣がお帰りになりましてからその点も確かめたいと思います。こまかいところから申し上げます。  第一は、執行官制度、執行官法が通りましてからもう七年ぐらいになりますか、その附帯決議及び累次の質問の中で執行官法の根本的改正、特に身分のあり方、執行官の身分、給与、それからそこに働く従業員の身分、すなわち世間からは公務員といわれ、思われながら、公務員でないという諸問題、業務執行中に起こった諸問題等を含めまして、これら執行官制度の根本的な改善を前大臣当時よりお約束を願いましたが、それはどうなりましたか、まずお答えを願います。
  57. 勝見嘉美

    勝見政府委員 大臣からお答え申し上げるべきことでございますけれども、執行官制度の改革につきましては、毎度この委員会におきまして御指摘のあったとおりでございます。大臣からも前向きで検討するという御趣旨の発言を申し上げております。
  58. 横山利秋

    ○横山委員 何をやっておるか、具体的に言ってください。
  59. 勝見嘉美

    勝見政府委員 現在まだ具体的な問題につきましてこの席上で申し上げられませんことを非常に遺憾に存じますけれども、将来とも最高裁判所と十分協議の上検討さしていただきたいと思います。
  60. 横山利秋

    ○横山委員 何にもしてないということですね。  次に、やはりこれまたかたくお約束を願った第二番目の問題は、裁判で無罪になった者の被拘禁の期間の補償及び同じく警察、検察段階で嫌疑なしとなった者に対する被疑者補償規程の法的根拠を備えること。それから、名古屋等で起こりました警察官の間違い、誤り等に対する補償の恒久的措置、つまり、罪なくしてつかまえられる、あるいは検事さんの取り調べを受ける、裁判に付される等の三段階について恒久的な何かの措置をとるべきである、こういうことを累次の委員会で力説をし、大臣から検討をかたくお約束願ったのでありますが、いかがなりましたか。
  61. 吉永祐介

    ○吉永説明員 ただいま御指摘の、無罪の判決を受けた者に対する刑事補償の範囲を被拘禁者までに及ぼすかどうかということにつきましては、現在法務省におきまして慎重に検討を続けております。現段階におきましては、被拘禁者補償の立法化につきましては種々困難な問題がございますが、引き続き検討をいたしておるわけでございます。  また、いわゆる被疑者補償規程の立法化の問題でございますが、前国会におきましていろいろ先生から御指摘がありまして、検討を続けておるわけでございますが、これにつきましても前回刑事局長から答弁いたしましたような種々な法的問題がございますので、慎重に検討しておりまして、現段階ではその運用につきましては非常に慎重な、かつ積極的な方向で運用しようということで、種々の改善……(横山委員「慎重かつ積極的ということはどういうことだね」と呼ぶ)いわゆる被疑者補償規程の内容は検察官にまかされておるわけでございますが、その適用につきましては、それぞれの事、案に応じましてその中身をよく検討するというわけでございます。そういうことで、いわゆる長官会同の席上あるいは書面等によりまして運用方針などをはっきりさせておるわけでございます。  大体以上のとおりであります。
  62. 田村宣明

    ○田村政府委員 警察で任意捜査をいたしましたその段階で、被疑者というような立場で捜査をいたしまして、そういうものが被疑者とならないというようなことがはっきりしたような場合の補償についてどういうふうに措置するかという問題だと存じますが、そういうふうなケースは、捜査機関といたしまして警察のほかにもいろいろな捜査機関がございますので、やはり統一的に考えなけばならないということで、法務省とも連絡をとりまして現在いろいろ検討しておるという段階でございます。
  63. 横山利秋

    ○横山委員 どれもこれも検討中、検討中として、具体的な内容がここまで進展したとかあるいはこういう問題点があるとか、こういうお答えが一切ないというのはまことに意外千万だと思う。残念ながら、前法務大臣反対側にすわっておられるので、できれば参考人か証人として喚問いたしたいぐらいなんでありますけれども、少なくともこの委員会におきまして大臣が言明をした、そしてあなた方もそれを聞いておった。一年たち二年たっても何らの進展もない。これは問題があるからあと検討しますということではないのですよ。善処しますということで始まっておるわけですよ。それがいまのお話のように少しも進展度がないということは一体どういうことなんですか。国会において適当に答弁をしておけばそれでいいと思っておるのですか。大臣が言ったことは綸言汗のごとしと考えないのですか。議事録に残ったことはやらなければならぬ、言った以上やらなければならぬと思わないのですか。どうなんですか。被拘禁の場合と被疑者補償規程が法的根拠がない、そんな法的根拠のないものに対して予算の支出は認めないと私は言っておるのです。  それから警察官の誤りの問題についても、風天会事件だとか名古屋の臨時県会の招集に至るまでの経緯とか、そういったものを具体的に事こまかくあの当時話をして、確かにそれは問題がある、将来はその被疑者補償規程に法的根拠を与えようとか、あるいは警察官の問題については、具体的に常に国民の無事の嫌疑といいますか、そういうものに対する補償措置は講じようということになっておるのに、何らの進展もないということはまことにけしからぬと思う。どうなんですか。もう一回これからどうするかをひとつはっきりさせてほしい。
  64. 吉永祐介

    ○吉永説明員 被拘禁補償の問題につきましては先生御承知のことと存じますが、ただいま申しました困難な問題と申しますのは、第一点として、刑事裁判以外の国の作用に伴います損害に対する救済措置との均衡の観点が一番大きい問題でございます。  第二点といたしましては、現行刑事訴訟法の基本的なたてまえから見た問題、すなわち無罪の推定というところから見た問題があるわけでございます。さらに、被拘禁者につきましては補償額の定型化が非常に困難であるという点があげられるわけでございます。この三点につきまして、あらゆる角度から検討しているということでございます。  そして、被疑者補償規程につきましては、これを立法化いたしました場合、実質的な面といわゆる形式的な面、二点が非常に問題になるわけでございます。実質的な面と申しますのは、検察官が罪とならぬとか嫌疑なしという理由で不起訴処分にいたした場合にその補償を認めることになるわけでございますが、検察官の行なう不起訴処分に、裁判所が言い渡す判決と同じようないわゆる公の確定力を認めることになる。これは非常に実質的に大きな問題であるということでございます。また、手続面におきましても、すべての不起訴処分の当否につきまして、被疑者が裁判所の判断を求めることになるという大きな問題があるわけでございます。被疑者補償規程につきましては、いま申しました二点につきまして種々の観点から検討を加えている、こういうことでございます。
  65. 田村宣明

    ○田村政府委員 任意捜査の場合につきましての問題点でございますが、ただいま、ちょっと先ほど申し上げましたように、捜査を担当する機関といたしましては、警察のほかに検察庁、海上保安庁、鉄道公安職員等種々の機関がございまして、これらの機関が同じような捜査をやっておるわけでございまして、警察だけできめるということにはいろいろ困難もございますし、統一的にこれをきめていくことが望ましいというようなことで、そういう困難がございますので、そういうことの上に立って検討をする。  それからもう一つの問題は、任意捜査の場合におきましては、御承知のように捜査の取り調べの場所とか時間とか、そういうことも多種多様でございますし、また、被疑者として捜査の対象になった方々の負担といいますか、御迷惑の度合いということも異なってまいる。それからまた、被疑者ということで一応捜査の対象にいたしましたけれども、ほかにいろいろ証拠等が十分でないというようなことで捜査を一時中断をして、ほかの捜査によって新しい証拠のようなものを収集をする時間を必要としてその間中断をする、あるいはそういうものがなければそのままでどちらともきめかねて経過をするというようないろいろなケースもございますので、なかなか一律にはまいりがたいという点がございます。  それで一面そういうことでございますが、明らかに犯罪の疑いがないのに疑いをかけて御迷惑をかけたというような場合につきましては、都道府県警察の場合には、その損害を賠償するということは、御承知のように地方自治法によりまして議会の議決を経て損害賠償をするということで、そういう、これはまあ県費を支出するということでございますので、県議会の議決を要するということは当然かと思いますけれども、そういうことで損害賠償の道というものは、そういう方法での道は開かれておるわけでございます。  問題は、そういうものがはっきりした場合に、私どもとしては、警察当局としては、そういう間違いがあったときにははっきりそういう間違いというものを認めまして、その上に立って必要な損害賠償の手続というようなものを迅速に講じていく、こういうふうな指導をいたしておるわけでございます。それとともに、やはりそういう間違いが起こらないように捜査の徹底を期するということにつきましては、これは日ごろ十分そういうものの徹底について努力をいたしておる、こういうようなことでございます。
  66. 横山利秋

    ○横山委員 考えてもみてください。まず警察の間違い、警察官でも神さまでもあるまいし、警察機能でも全知全能でもあるまいし、間違いがある、現に間違いが幾つかあった。それを例証をあげて私が言ったのです。間違いがあったときには地方議会を開いて、予算に臨時支出を求める制度がある、だからいいではないか。いかに空虚な論であるか。そんなことが——実際名古屋の場合においては天下の大騒動になってやったから、それで県警察も決断をしたからいいようなものの、何かちょっとした警察の間違いのために賠償を払うために地方議会を開いて、県の議会でわざわざ議案を上程して、これは警察の間違いでございましたから賠償を支払いますという議決をするような状況が通常ふだん考えられるか。よほどでない限り、そんなことはできやせぬ。名古屋の場合は特例ですよ。ほかにあった数々の例をもって見ましても、そんなことはできやせぬ。それではいかぬから、神でもない警察官であるからときには間違いもあろう。間違いは間違いとしてすなおに、これは率直に認めて、ほんとうに間違いだったらその賠償の恒久的な措置がすみやかにとれるようにしろ、わかりました、検討いたします、こういうことだった。それを何にもやってなくて、通り一ぺんの現状の説明を聞いたってしょうがない。  それから被疑者補償規程です。いま慎重にかつ積極的にとおっしゃった。どういう意味だか私はよくわからぬけれども、被疑者補償規程においても、検事が嫌疑なしというふうにした。それで、それにもいろいろケースがあると思う。それは承知しておる。しかしその場合においても、おまえの嫌疑はないけれども、おれが間違いをしたのだからひとつ恩恵的に補償をしてあげる、こういうことでは実効性が乏しい。実際の運用においても、全国至るところこの実際の例というものはきわめて少ない。それを指摘したのです。自分の間違いを自分が告白をして、間違った、これは犯人であった、これは本人に全く無事の罪をもってやったのだ、だからこれは嫌疑なしということになったのだ。さあ、さようなら、あなた帰ってもよろしいよ。それでは済まぬぞと。そういう場合においてはいま被疑者補償規程があるというのだけれども、それでは実際にやった本人が自分の罪をわびて、おれの失策だ、エラーだと言って金を出す。そういうことは実際の運用としてはできないと言っている。  同時に、被疑者補償規程というのはいかなる法的根拠があるか。法律をもってこの被疑者補償規程ができておるか。法律がないではないか。法律の根拠によらざる規程をかってにつくって、恩恵的に銭を出しておるということは違法行為である、こういうのが私の所論。ごもっともでございます、それじゃひとつ検討いたしましょうということになった。私は、この裁判で無罪になったものの問題も含めて、三段階を共通してひとつ無事の罪を受けあるいは受けそうになった人々の補償について一貫したもののスタイルをつくれ、こういうことを提起しておる。それについてまあセクションが違うかどうかもしれませんけれども、どうも一回も違ったセクションで、私どもが言い、大臣が言明した統一的な相談をしておるとも思われぬ。そうしていまの御答弁を聞いてもあのときと何らの違いのない答弁をしておって、少しも前向きの姿勢が見られぬとはどういうわけだ。大臣が言ったことについて少しも服従をしないつもりでありますか、どうなんです。
  67. 田村宣明

    ○田村政府委員 ただいま私が申し上げましたのは、警察は御承知のように都道府県警察でございまして、県議会等の関係につきましては、もう横山委員十分御承知のところでございますが、まあ臨時議会というお話もございましたが、定例会が一年に四回は開かれる実情でございますので、そういう点から、まず現状といたしましては現在の法律の地方自治法に定められたワク内で、そういうふうな間違いが明らかになった場合には、警察としてはすなおに、すみやかにそういうふうな措置がとれるということについて、前向きに考えていくというような指導をいたしておる。現状のワク内でそういう努力ということは当然すべきである。それからそれ以外の場合につきましては、関係機関とも御連絡をして検討をいたしておりますけれども、先ほど申し上げましたような、大きく分けまして二つの問題でむずかしい問題もいろいろございますので、そういう点で検討をいたしておる、こういうことを申し上げたような次第でございます。
  68. 吉永祐介

    ○吉永説明員 大臣の御命令は十分承っておりますので、ただいま申し上げましたような観点、非常に困難な点があるわけでございますが、慎重に検討して、できるだけ前向きな姿勢でやりたいというふうに思っております。
  69. 横山利秋

    ○横山委員 慎重に検討して、できるだけ前向き、だんだんことばが下がっていってしまう。何を言っているのだかわからない。だめですよ。やらなければだめなんです。やると言ったのだから、やらなければだめなんです。慎重にということばは不必要だ。できるだけということも不必要だ。前向きということも不必要だ。あなたの言っているのはみんな不必要だ。だから何とかことばで逃げようとしておる。やる気があるのか、ないのか、もう一ぺんはっきり言ってください。  警察庁のほうも臨時議会じゃない、通常会の機会だってあるじゃないかということが答弁だとはまことに残念しごくだと思う。私のことばの間違いだったら——あたりまえのことを、私は議会の議決を経なければならぬというばかな仕組みが実効性がないと言っているのですよ。検事も警察も神さまではないのだから間違いがある。間違いがあったら出せるように、それが国民の権利がそこで守られるように、自動的に発動できるようにしなければだめだ。検事の恩恵でやらなければならぬようなことはできやせぬ。地方議会の議決を経なければならぬようなことはできやせぬ。そんなできもしないことをいつまでも言っておってもだめだ。やる気があったら、国民の権利として請求ができるようにしなさったらどうだ、地方議会の議決を経なくても検察が出せるようにしたらどうだ、こう言っているのですよ。やる気があるのか、ないのかという問題だ、これは。もう一ぺん答弁……。
  70. 田村宣明

    ○田村政府委員 先ほど来申し上げておりますように、むずかしい問題はいろいろございますが、そういうものを解決していくように、いろいろ検討をいたしておる。それで現状といたしましては非常に困難だと言われましたけれども、現在の地方自治法の規定のワク内で、できるだけのことを現状としてはしていくという指導をいたしておる、こういうことでございます。
  71. 横山利秋

    ○横山委員 地方自治法を変えろと言っているのですよ。議会の議決を要しなければ、警察のミスについての補償ができないというやり方ではだめだ。それが地方自治法できめられておるならば、地方自治法の改正をしなければだめだ、こういうことなんですよ。私の言っていることがわかっているのですか。それをやらないというのですか。やるというのですか。
  72. 田村宣明

    ○田村政府委員 検討いたします。
  73. 横山利秋

    ○横山委員 そっちのほうはどうだ。被疑者補償規程、法的根拠を備えること。
  74. 吉永祐介

    ○吉永説明員 検討いたします。
  75. 小平久雄

    小平委員長 横山君、これはどうですか、法務大臣が来てからにしては。
  76. 横山利秋

    ○横山委員 それではわかりました。法務大臣が来てから。  第三番目のお約束は、司法書士法の改正の問題であります。司法書士法の改正をいたしました際に附帯決議にもなっておる。しばしば大臣も言明をした。しかしとんとこの作業が進んでおらぬ。司法書士法の改正の要旨は、土地家屋調査士と同様に国家試験をきちんとやる。いま任意にやっておられるようであり、かつその任意にやっておるような国家試験はきわめて厳格なやり方であって、この際国家試験をきちんとやるという内容を持つ司法書士法の改正、この点について進展度合いをお伺いをします。
  77. 川島一郎

    川島(一)政府委員 司法書士の国家試験制度の問題につきましては、先生御承知のように、かねてから日本司法書士会連合会で委員会を設けたりなどいたしまして研究をいたしておりました。その結果、昨年の七月、日本司法書士会連合会の総会において、連合会側の要綱試案というものがまとまったわけでございます。そして法務省に対しましてもこの案で実現してもらいたい、こういう御要望が参っておりまして、私どもといたしましては目下その問題につきまして、司法書士会連合会の幹部、担当者などと協議を行なっている段階でございます。目下前向きの姿勢で検討中でございます。
  78. 横山利秋

    ○横山委員 少し苦情を言いたいんだけれども、これは司法書士会と話し合っておられるのですけれども、私の承知するところによれば、法務省が大体どういうふうに司法書士法を改正するか、国家試験をどういうふうにやるかという点について何らの具体案を提示しないで、在野団体である司法書士会の提案をしたものについて説明を聞き、それについて意見を述べるというのは逆ではないか。司法書士会が司法書士会として案を持っておることはそれはいい。しかし法務省が院議となっておるこの問題について、何らの自分たちの要綱なり成案もなくして、民間団体の提案したものについてとやこう言っておるだけで、自分たちの考え方を明らかにしないということは、これは一種の時間延ばしのサボタージュであり、かつ院議に対して誠実ではない、そう考えるのでありますが、どうですか。
  79. 川島一郎

    川島(一)政府委員 この問題は、われわれといたしましてもかねてから司法書士制度のあり方の  一つの重要な問題と考えておったわけでありますが、司法書士会の側ににおきましては、またその会としてのいろいろな意見があったわけでございまして、その意見とわれわれの意見とを十分に調整して将来の方向を決定する必要があるという事情にあったわけでありまして、司法書士会はこのために内部の意見を取りまとめますために相当の年数をかけて要綱試案というものをまとめたわけでございます。したがいまして、われわれといたしましては、そういった司法書士の要望というものを十分承知いたしました上で、その問題点についてさらに会側とこれを解明するという方法が最も現実的であり、かつ得策であるというふうに考えたわけでございます。
  80. 横山利秋

    ○横山委員 じゃ大臣に、あなたがいらっしゃる前に、前田中法務大臣当時から引き継ぎになっておった約束手形をここで落としたいと思いまして、あなたの留守中に、関係局長はじめ皆さんに聞いておりましたところ、大臣の約束や院議、附帯決議になっております問題について、まことに進展度合いが悪いのであります。引き継ぎを十分に受けられておったかどうか。また、その引き継ぎをほんとうに実践をされておるかどうかという点、たいへん疑わしいのであります。  あとの時間がございますので、いままでのを列挙いたしますと、まず執行官制度について何らの進展がない。これは院議になっておる執行官制度の根本的改正について何らの進展がない。  それから第二番目に裁判で無罪になった者の被拘禁の期間の補償、それから被疑者補償規定を法的根拠を与えて国民の権利としてやれ。それから、警察官のミスについて補償する場合に、地方議会を開かなければ補償ができないというばかげたことでは実効性がない等々について先搬指摘をいたし、大臣から、わかりましたということで、その成り行き、経過はどうかと言ったら、ことごとくこれについてあんまり——現状を御説明なさるだけであって、前向きとはおっしゃるけれども、まあ最後にちょっとおこったら、御両所とも検討いたしますということなんです。これでは何のためにここで質疑応答を常に繰り返すのか。大臣が御答弁になってもその場限りで、皆さんは国会大臣答えたことについて関係機関が集まって相談をしておると思われぬということを、いま事情を言っておるわけであります。  それからいま言ったのは司法書士法の改正でありますが、この改正も附帯決議であり、院議になっておる。大臣もしばしば言明をしておる。しかし、その状況を聞きますと、これは少し進展しておるようでありますが、私の意見を言うたのは、司法書士会の案を討議しているだけであって、法務省それ自身が何らの案を持っていないではないか、こんなばかなことがあるか、逆ではないか、こういうことを言うておるわけです。  以上三点について、大臣のお考えを伺いたい。
  81. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 最初の一点の執行官につきましては、法律上の保護があると思うのです。  それから、不起訴になった事件の補償の問題、これは前大臣からも口頭で聞いておりますが、役所としても、実は真剣に検討しておるわけでございますが、なかなか法的にむずかしい点がたくさんあるわけです。たとえば同じ不起訴でございましても、犯罪事実はあるけれども気の毒だし、この程度の事犯ならば起訴猶予で不起訴にしようというのもありますし、あるいは全然人違いの場合もあり得る場合でございますが、そういうようなことについてどうこれを区別をしていくか、あるいは区別のしかた等、実際問題考えてみまするとなかなかむずかしい問題がありまして、まだ当局としても検討を続けておるというのが現段階のようでございます。  それから司法書士の試験の問題は、法務省としても、ほんとうに前向きに考えておるわけでございます。やはり司法書士会等民間の意見も十分に取り入れなければなりませんので、これらを詰めておりまする段階で、結論を得ていないというのが現状でございます。今後も引き続き検討を続けまして、何とかしかるべき結論を得たいと思っておるのが現段階でございます。だいぶまどろこしいように横山さんお考えかもしれませんが、そういう事情でございますので、どうかおくみ取りいただきたいと思います。
  82. 横山利秋

    ○横山委員 新大臣にはあまりこまかいことを言ってもなんでありますけれども、引き継ぎが不十分で、しかも大臣も事実関係について十分御存じないという感じがしてなりません。  念のために申し上げますと、執行官制度の根本的改善というものは、要するに執達吏が執行官になりました際の附帯決議でございまして、執行官の身分が安定していない、給与が安定していない、その従業員が、世間では国家公務員と見られておるのにかかわらず、公務員ではない。純然たる従業員である。世間は執行官制度というものは国がやっていると思っておる。そういう点について執行官制度、身分、給与その他について根本的改善をせよ、こういうことなんであります。それが院議になっておる時間がございませんので、先ほどお役人の皆さんには強く言っておきましたから、一回大臣も真剣に以上三点について検討を願いたいと思います。  この際大臣に率直に感想を伺いたいのですが、ソルジェニツィンさんのソビエト追放ですね、どうお考えでございましょうか。あなたの個人的な見解でもよろしゅうございますが、伺いたいと思います。
  83. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 これはあまりむずかしい問題過ぎて、私の立場でお答えいたしかねるわけでございます。世論はいろいろあるようでございますが、私見を申し上げるのはこの場でどうか、かように思っております。
  84. 横山利秋

    ○横山委員 私がソルジェニツィンさんの追放の感想を伺いたいと思いましたのは、金大中事件を聞く前提としてお伺いするのです。  ソルジェニツィンさんは要するに自由を奪われて追放をされた。文筆における自分の姿勢、仕事についてソビエト政府がこれを追放した。それは政治的に国家に対する反逆であるかのごとき批判を受けた。金大中さんも、ある意味では同次元の問題だと思います。日本国民は、いろいろ議論はありますが、ソルジェニツィンさんについてお気の毒だと思っておる。同時に、同じように金大中さんにたいへんお気の毒だと思っている。そのお気の毒が一体どういうことになっておるかといいますと、御存じのように、とにかく金首相が日本へやってきて、そうして金大中氏の出国を含めて自由を保障したということになっている。あやまったということになっている。そうしてその際日本政府は、金さんの自由、出国、そういうものの保障を得たという立場に国民は理解した。内閣はそういうことをしたのだろう、だから経済援助も再開したのだろう、そう思っておる、それは常識ですよ。そうしてまたしばしば前法務大臣は、この席におきまして、しばらく待ってくれ、必ず確信があるということをおっしゃっている。そうして今度は金外務大臣はアメリカで出国を否定した。そうしてさらに十八日には外務省が韓国側の回答を受けたところによると、金氏の出国は依然として検討中だ、あるいはまた金外相が後宮大使に対して、金氏から出された出国申請はなお調査中である、こういう話です。もうここまで来ますと、一ぱい食ったと国民がみんな考えている。それは何も国民ばかりじゃありません。与党の中にも一ぱい食ったと考えている人がかなり多い。あなたのその席で田中法務大臣が、昨年の暮れでございましたか、自信満々と、しばらく待ってくれ、必ず確信があるという趣旨を私どもにおっしゃった。そこまでおっしゃるなら、それじゃしばらく待ちましょうかということが本委員会における偽らぬ零囲気だった。一体どうなったのですか。法務大臣としてどうお考えになりますか。金大中事件について田中さんがここでいろいろとおっしゃった、主権に対する侵害、政治的にはそう考える、法律的にはなかなか立証しがたいにしても、政治的には主権に対する侵害と私は考えるということをおっしゃったわけでありますが、金大中事件に対する基本的な考え方を法務大臣として伺いたいし、同時にこの出国問題についてどうお考えであるか、ひとつ率直に言ってもらいたい。
  85. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 私自身も、個人としましての考えを率直に申し上げますと、金大中氏事件というのがあのような経過で拉致されたわけでございますから、日本政府としてはいまも要求しておりますように、金大中氏を日本によこして原状回復することがそれがほんとうの原状回復だろう。向こうにいるまま、自由を与えたから、それで原状回復であるというのはいささかどんなものだろうかというように考えております。ただ、日本の捜査当局といたしましては、おそらくまだ警察で捜査をしている段階で、事件の送致は検察当局は受けておりません。しかしながら、おそらく警察当局としても最善を尽くしてあらゆる割り出しやら捜査の手段を尽くしたことだと思うのですが、明確でない点が大事な点であるわけです。一等書記官が関与しておったらしい、指紋その他から見て間違いない、こちらはそう思っておりますが、はたしてその事実が間違いなかったのかどうかという点もありますが、それよりももっと大事なことは、その一等書記官が公権力の発動としてやったものか、全く個人の意思でやったものか、そこらの点が全然わからないわけです。日本の捜査当局としてはその点を詰めていきたいというのが気持ちだろうと思いますが、そこがなかなか結論が出ないというのが現状で、これはどうしても韓国側の捜査協力を受けない限りは詰めにくい問題であろう、かように思っております。ただ韓国にいたしましても、独立国でありますから、日本一体どこまでその手が伸ばせるのか、私は非常に疑問な点が多いと思うのです。ですから、行き詰まったままになっておるようですが、願わくはいま日本政府が要請しておりまするように、金大中氏の出国を認めて、アメリカへ行くなりその途中日本へ寄られるなり、あるいは日本に来られて完全な原状回復をなさるなりしてくれることが捜査を進める上で一番肝要な点であろうと思いますが、どうもそれができないでおるのが現状のようです。金大中氏の自由は与えたと伝えられておりますけれども、反面また海外出国はまだ検討中であるとかというような話も聞いております。どうもその真相のほどはわれわれつまびらかになりませんので、確かに行き詰まり状態であるというのが現状であろう、こう思っております。
  86. 横山利秋

    ○横山委員 私の言う一ぱい食ったと国民が考えておるということは、要するに何とかするからと、それを日本政府が政治的に信頼をして、そして何とかこちらがそういう腹を見せれば向こうも努力をするであろうという政治的解決であったと思う。したがって外交的にはこれは終わり、しかし事実関係としては調査はさらに継続をする、そしてさらにそれに対して田中法務大臣をはじめ各閣僚が必ず進展があると国民に約束したことが、いまのお話のように何らの手はない、いま日本政府として何らの手はない、こういうふうにおっしゃっておられるような気がするのですが、そういうことなんですか。たとえば聞きたいのは、金さんは自由であるといってる。日本政府は、金さんがいま韓国において自由であることを確認をしたのか、確認措置をとったのか、それが第一点。  それから第二番目には、警察当局の捜査はその後進展があったのか。  第三番目に、外交上なり日本政府としてのメンツというものがあるはずだ。私はかたく信じておる。一ぱい食ったままでは済まされぬと思う。そういう日本政府としての信義をかけたやり方が失敗をしそうで、このままずるずる流されてしまいそうなんだが、それは一体どうするつもりか、客観的判断でなくて主観的判断を三つの点について伺いたい。
  87. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 これは外務当局としてどういう考えを持っておるかはわかりませんが、検察当局を担当しておる法務省としましては、金大中氏が完全な自由を韓国において確保されておるのかおらないのか、その点もわかりません。わかりませんが、こちらとしてしからば韓国の内部に干渉する制度的な権力もありませんし、捜査の努力が行き詰まっておるというのが現状だ、こう申し上げるよりほか方法がないと思います。
  88. 横山利秋

    ○横山委員 私の質問にまともに答えていらっしゃらないですね外務省でもいいですよ。第一点は、金さんの自由について確認措置をとったのかどうかということ。第二番目に、警察の捜査はその後進展したのかどうかということ。第三番目は、一ぱい食わされた日本政府としてとるべき措置は何も考えてないのか。このまま泣き寝入りか。私は経済援助を再開したということは、そのとき勝負のときであったと思うのですよ。その勝負をはずして相手を信頼をして一ぱい食わされたのですよ。そのことを言うておる。その意味においては、経済援助を再開して外交手段としてはこれで打ち切りといったときの責任は一体国民に対してどうおとりになるのか、この点について伺っておるのですから、明確に答えてください。
  89. 中江要介

    ○中江説明員 御質問の第一点と第三点が外務省の関係事項かと思います。  第一点の金大中氏の自由は確保されているかということについて確証を得ているかあるいは確信があるのかという点につきましては、私どもがいろいろの道から得ている情報によりますと、金大中氏自身は外国に出たい希望を持っておられますのにもかかわらず現在までのところ旅券が交付されるに至っていないということを除きましては、特に拘束されるなりあるいは何らかの制約を受けておられるというふうなことは伺っておらないわけでございまして、問題の旅券が出ないいきさつにつきましては、いま先生も多少お触れになりましたけれども、旅券発給の前提になる身元調査がいま進んでいる段階なので、まだ最終的に旅券を正式に発給申請をするに至ってないという韓国側の説明ですし、この前のニューヨーク・タイムズに伝えられました情報、金外務部長官の発言というのは正確でなかったという点は、その後、これは十三日のことでございますけれども、私どものほうで確認いたしまして、韓国側の見解には変わりがなくて、出国を含めて自由であり、そして出国のための手続については一般韓国人と同じ調査をいまやっておる、こういう回答になっております。  それから第二の調査のその後の進捗状況、これは別といたしまして、第三点の外交的に行き詰まりではないか、どうするのだという御質問でございますけれども、私どもは先生のように一ぱい食わされたとはまだ思っておりませんので、これは昨年の十一月二日に田中総理と金鍾泌国務総理との間で話がございまして、これは最高首脳の間での話でございますから、まさしくおっしゃるように信義の問題として、韓国政府もこの信義を踏みにじることはないという期待のもとにしんぼう強くわがほうの希望を申し入れ、そしてほんとうに名実ともに金大中氏御自身が自由になられることを期待してその接触を続けていく、これはしんぼう強くやっていく以外に外交交渉上のワクを踏み出すわけにいかない点もございまして、私どもも絶えずこの努力を重ねていくということでございます。  経済援助再開との関係については当時も政府が説明いたしたと思いますけれども、この金大中氏事件が起きたからといって対韓基本政策は変えないということが一貫した政府方針でございまして、金大中氏事件のために雰囲気が閣僚会議を開くにふさわしくないということで一時延期していたわけで、決して経済援助を俗な言い方をすればてこにしてどうするというようなことは全く考えておりませんでしたし、これは別の考慮から、御承知のように昨年暮れの定期閣僚会議ではいままでの閣僚会議とは違った形で、これからの日韓関係をどう持っていくかということに主として議論をしぼっていた、こういう経緯になっております。あと、それでは何か中心点があり得るといたしますれば、これは昨年の両首脳の会談の中で触れられましたように、外交的には一応の決着を見たという了解でおりますけれども、その中でもはっきり、韓国でも捜査を継続しておりますしわがほうでも継続しておるわけでございますので、その捜査の結果新しい事実が出れば、それを踏まえてこの問題をもう一度提起することがあり得るという点ははっきり了解がございますので、捜査の進展を一方で見つつ、他方金大中氏の自由についてしんぼう強く繰り返し韓国側にわが国の意のあるところを伝えていく、こういうことで現在外務省としては臨んでいるわけでございます。
  90. 星田守

    ○星田説明員 金大中氏事件の捜査につきましては、当初の基本方針並びに捜査体制をそのまま堅持いたしまして、現在も捜査を継続いたしておる状況でございます。  ちなみに、この間捜査いたしました車両につきましては約九千七百台、それから金大中氏が連れ込まれたというアンの家につきましての捜査について洗いましたマンション等が約千件、それから犯行に使用された可能性のあるモーターボート、船舶は約千九百隻、これを全部洗ったわけでございますが、現在までのところ確定いたす新しい材料はまだ発見いたしておらない、こういう状況でございます。  しかしながら、当初申し上げましたように、現在なお警察のやるべき問題点がかなり残っておりますので、今後とも従来の捜査体制を維持いたしまして、ねばり強く捜査を続けてまいりますとともに、事案の真相究明のため、外務省を通じまして韓国の大使、韓国側捜査の結果の通報と、それから被害者でありますところの金大中氏及び事件の目撃者でありますところの梁一東、金敬仁両氏の来日ということを引き続き要請をいたしてまいる所存でございます。  以上でございます。
  91. 横山利秋

    ○横山委員 最初の出発点における捜査はともかくとして、その後本件に対して、日本における警察力がこの金大中事件に非常なる熱意と努力をしたことは私は高く評価するわけです。にもかかわらずこれが壁にぶつかっておるのは、外交上それがふたをされたからだと国民はみんな信じておる。そしてこの金大中事件の経緯の中で、警察及び法務省がき然たる態度をとったということが高く評価をされておる。そういうことでありますから、法務大臣としてこの金大中事件については、閣僚の中でも最も真相を追及し、そして他国の公権力が日本において主権をじゅうりんしたという厳然たる事実を、あなたが責任をもってこの問題を処理してもらわなければ、推進力となって問題を処理しなければ、これは泣き寝入りになる。必ずそうなる。そう思いますが、最後大臣の決断、決意をひとつ聞かしてもらいたい。
  92. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 この問題は先ほども申し上げましたように、韓国側の協力なくしては、いまこれだけ警察当局が熱心に車両、船舶その他あらゆるものを洗い出して努力をされておりましても、これ以上の進展ができないわけでございまして、私どもとしましては国際関係を通し、外務省を通し、あらゆる手段を通して韓国の協力を得るように全力を尽くす以外には方法がない、かように考えております。
  93. 横山利秋

    ○横山委員 いまの答弁では私は不満足でございますけれども、ぜひひとつ法務大臣の本件に関する異常なというほどの熱意を持って壁の打開につとめてもらいたい。  次にお伺いしたいのは、これまた前回からの懸案でありますが、出入国管理法であります。前大臣最後に、この出入国管理法についてはこの国会には提案をしない、できるならば与野党でコンセンサスをしてくれないか、コンセンサスがあったらその線に沿って出入国管理法、新しい内容の法案を提案したいと思う、こういうことが最後の答弁であります。新大臣はどういうお考えでございますか。
  94. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 ただいまお話しのとおりでございます。とにかくコンセンサスを得ないで出しましても、これは毎回暗礁に乗り上げたままおしまいになってしまうものですから、われわれとしましては何とか各党の一致した意見で入管法の改正ができまするように今後とも努力を続けてまいりたいと思います。現状のままでは非常な不自由があることはお察しのとおりでございますから、何とか改正に持ち込みたいということだけは考えておりますが、目下のところ今国会に提案する意図はないわけでございます。
  95. 横山利秋

    ○横山委員 そこで野党としてお伺いしたいのでありますが、その際にも私ちょっと触れたのでありますが、根本的に現状の日朝関係現状の朝鮮民主主義人民共和国及び韓国との外交情勢のもとでは非常に困難である。政府が日朝関係の外交のあり方について基本的な一つの方向を見出さなければだめだ、これが一つであります。  それから二つ目は、六十万人といわれる在日朝鮮人に差別待遇を与えるようなことでは結局だめだ、こういうことを私は言いたいわけなんです。何回出してもだめだ。出入国管理法はあなたのほうにしてみれば前進だ、前進だと言っている。しかし時の大きな流れというものは、日朝関係のより大きな国と国との関係について、これより後退することはない。もっと大きな前進がある。その大きな前進と、相並行しなければだめなんだ、私はそういうことなんです。  第一の日朝の基本的な外交の改善、それが一番望ましい。それをながめてやるのが望ましい。第二番目に、かりにそれができなかったならば、六十万朝鮮人の法的地位について差別をするようなことではだめだ。これはあなた方にとっては非常に飛躍があるかもしれませんけれども、ほんとうに出入国管理法を、この際非常に業務が繁雑だから百尺竿頭一歩を進めてやるというならば、そこがポイントだ、こう私は考えておるわけであります。その点についてどうお考えでしょうか。
  96. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 お話のとおりだと思います。朝鮮民主主義人民共和国もわが国とは未承認国ではありますが、国連との関係もありますし、そういう意味においてお話のように前向きな態度検討する、そして各党との話し合いもその線で努力をする以外にはないのではないかというように目下のところ考えております。
  97. 横山利秋

    ○横山委員 えらいわかったようなお話ですが、私の言うことはいいのですか。南北両朝鮮人の国内における法的地位について平等なことをしたらどうだ。差別待遇をしないという前提のもとに討議の開始ができるのか、こう言っているのですよ。その点はどうなんですか。
  98. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 なるべくそういう考え方で進むのが私どももいいと思っております。しかしそれにはいろいろな支障も起こってまいりますから、そういう支障の起こらないように、各方面を十分に根回ししないと成案を得られないのではないかというように考えまして、その努力を今後続けてまいりたい、かように思っております。
  99. 横山利秋

    ○横山委員 念のためにもう一回お伺いしますが、南北両朝鮮人の国内における法的地位を差別待遇しないという前提でまず討議をすることにいろいろ問題はあるにしてもそれを基本的ラインとして討議を開始することについて大臣は御同意くださったわけですか。
  100. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 考え方としてはそういう方向で努力する以外にはないと思っております。
  101. 横山利秋

    ○横山委員 禅問答のようなことなんでありますが、大臣がそういう考え方でやるよりしかたがないということは消極的ながらそれをお認めになるならば、私どもも考えがあるのですよ。公式にいま言っているのですよ。大臣が、そういう法的地位に差別待遇を与えない、いろいろ問題はあるけれども、それを前提にして野党でも一ぺん考えてくれ、こうおっしゃるならば、私のほうも考えがあると言っているのですから、逃げ隠れせずに、考えてくれなら考えてくれと言ってくださいよ。それがいやならいやだと、そういう前提はいやだというなら言ってください。
  102. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 これは私の個人の考えになるかもしれませんが、私ども現在考えているのは、何といいましても、台湾、韓国及び朝鮮民主主義人民共和国の区域の人たち日本に在留する人たちは、その後在留した人たちは別として、かつては日本人であったわけですから、こういう角度に立ってすべての検討をしていかなければ解決が非常に困難である、こういうふうに考えております。
  103. 横山利秋

    ○横山委員 それで、私にそういうことで野党としても考えてくれとおっしゃるわけですか。どうなんですか。
  104. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 そうです。そういう線でお互いに話し合いのつくところを見つけていく以外にはないのじゃないかと思っておりますので、どうか今後ともよろしくお願いいたします。
  105. 横山利秋

    ○横山委員 たいへん重要な質疑応答だと思いますよ。これはたいへん重要だ。それは、内容的にはいろいろ問題があると思いますけれども、在日南北両朝鮮人六十万に法的地位に差別を与えないという基本ラインについて、政府と野党側、与党側に合意があるならば、これは一つのポイントだと思うのです。だから、大臣がそういうふうによろしくお願いしますとおっしゃったということならば、時間はずいぶんかかりますけれども、もう一回私ども検討してみたいと思います。  それについて、最近の国民の声の中で、シンガポールといい、あるいはクウェートいい、とにかくああいうことは、これだけやかましく出入国管理を言っておる政府がよくもどんどんどんどん外へ出して、外で騒がしておるが、出入国管理はああいう連中についてどうなっておるのだという質問が各所であるのですが、この点について入国管理としてはどうお考えでしょうか。
  106. 影井梅夫

    影井政府委員 私ども入国管理局の立場といたしましては、御高承のとおり、有効な日本の旅券を持ちまして出国したいという日本人につきましては、これを阻止する法的な根拠と申しますか、そういうものが全然ないというのが現状でございます。したがいまして、ただいま先生御指摘の点はよくわかるのでございますけれども、私ども入国管理局といたしまして、現行の体制のもとにおきましてはなかなか困難であるということでございます。
  107. 横山利秋

    ○横山委員 どうしたらいいのですか。
  108. 影井梅夫

    影井政府委員 これは、私ども入国管理局の範囲を越える問題でございますけれども、具体的に申し上げますと、旅券の発給につきまして何らかの方法を講じていただくということではないかというふうに考えております。
  109. 横山利秋

    ○横山委員 もうちょっと具体的に言ってください。何らかの考えというのはどうしたらいいのですか。あなたのほうの希望を言ってください。
  110. 影井梅夫

    影井政府委員 私ども立場から申し上げますと、日本についてでございますが、旅券がなければ出国できないというきわめて単純明快な事柄がございますので、そういう人たちが旅券を持たない状態になれば非常に容易だと思います。これは、私どもとしては全く逸脱した点でございますので、その点は御了承願いたいと思いますが、入国管理局の立場といたしましてはそういうことでございます。
  111. 横山利秋

    ○横山委員 だれか答弁してくださいよ。旅券を持たないためにはどうしたらいいのか。
  112. 中江要介

    ○中江説明員 私は実はアジア局の参事官でございまして、旅券の直接の担当ではございませんけれども、旅券法によって旅券を発給いたします場合にいろいろの条件がございまして、その中に、外国に行って著しく日本の国益を害するような、あるいは害するおそれのあるような者には旅券を発給しないことができるというようなことで、旅券の発給制限を考える道はあろうかと思いますけれども、これは抽象的にはわかりましても、具体的にはなかなかむずかしいという点もございますし、また最近旅券が数次往復になりまして、五年間何回も使える旅券があるというようなことになりますと、一回目の発給だけで押えるということでは片手落ちの面もございますので、これは、旅券発給前、それから発給後、海外渡航後、いろいろな場面で日本の国益が大きく害されることのないようにする方法というのは非常にむずかしいと思うので、いますぐ私はここで名案があるわけではございませんが、旅券法に基づく旅券の発給についてはそういう点が問題点であろうか、こう思います。
  113. 横山利秋

    ○横山委員 大臣、これだけ大騒ぎになって、何とかならぬのか、一体入国管理はどうなっているんだというのは国民の素朴な声ですよ。入国管理のほうでは旅券を発給せぬでくれ、外務省のほうでは、そんな簡単なものじゃないよ。どうしたらいいと思いますか、大臣。何かいい知恵はあなたはお考えになりませんか。一体警察や公安調査庁は共産党や朝鮮総連合のことばかり一生懸命調べておって、こちらのほうはとんと何かお留守のような気がするわけですけれども、どう思いますか。何か手なしですか、こういうことについて。
  114. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 横山さんの御指摘のとおり、これは何とか研究をしなければならぬ問題だと思うのです。そこで、いまもここで聞いたのですが、検挙歴のない人なんかかなり出ていて、これはわかりようがない。検挙歴のある者は何とかチェックできないかということでございますが、旅券がある以上はしかたがない、こういうことなんで、これらについて今後制度的に何かいい知恵があるかどうか検討させる以外には方法がない、かように思っております。
  115. 横山利秋

    ○横山委員 それは国民の素朴な疑問でございます。いまの御答弁では、たいへん御検討不足のような気がいたします。一回関係の部署で検討されて、しかるべき方法が見つかるように、また機会を改めてお伺いすることにして、私の質問を終わります。
  116. 小平久雄

    小平委員長 正森成二君。
  117. 正森成二

    ○正森委員 すでに法務大臣は御承知かもしれませんが、二月八日に沖繩におきまして、自由民主党の沖繩県支部連合会、これが正式名称だそうですが、略して自民党沖繩県連というそうですが、それの主催によりまして、那覇市の与儀公園で屋良知事即時退陣要求県民総決起大会が開かれました。それからデモ行進になりまして県庁まで行ったわけですが、屋良知事があらかじめ自民党県連と県会議員団を通じて五名の代表だけに会うというように約束しておりましたにもかかわらず、数百名、三百名ぐらいともいわれておりますが、それが県庁内に乱入をいたしまして、知事室の中で机をこわす、あるいは役職にある赤嶺総務部長その他を引きずり出して、なぐる、けるの暴行を加えるということをやった事件が発生いたしました。  そこで、特に自由民主党の党員でもある法務大臣に、法務大臣としてこういうことをどうお考えになるのか。また警察法の二条でも、まだ検察庁に送られておりませんが、精神は同じだと思いますが、不偏不党、公平中正に事件を処理しなければならない、こういうふうになっておりますが、所信をまず最初に伺いたいと思います。
  118. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 私は、当初新聞でこの事件を拝見したわけでございますが、これを見ますと、まことに不都合な行為であるというように考えております。そこで、現地では、その後聞きますと、警察当局が事案の有無、その他実態を捜査しておるようでございます。まだ検察当局に送致を受けていない由でございますが、この種の事件はやはり厳正に結論を出して処置すべきものである。警察当局から送致を受けました上は、検察当局としましては、十分に厳正な処置をとりまして、一般方々の納得のいくような結論が出るようにということを期待いたしております。
  119. 正森成二

    ○正森委員 巷間、自由民主党は、自由社会を守れというようなことを選挙のたびにおっしゃる。ある党を目して暴力の党というようなことをいわれる。ところが、この事件などでは、自由社会を守るどころか暴力の党自民党ということが現地の新聞にどんどん載っておる。そういうようなことでは、暴力の党自民党の偉い方が法務大臣というのでは、国民の信頼を全うすることはできません。したがって、この事件については、厳正な上にも厳正に措置をされる、たとえそのことによって自民党の沖繩県連の幹部が捜査される、あるいは法務省検察官から起訴されるというようなことがあっても、これはやはり厳正に処置するということがなければならぬと思うのですね。その御覚悟はございますか。それを一言、もう一度聞きたいと思います。
  120. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 もちろん厳正な結論を得ることを期待いたしております。
  121. 正森成二

    ○正森委員 それでは警察庁に、いまおつかみになっておる当時の状況、特に私の承っておるところでは、たまたま琉大におけるトロツキストの殺人事件がありましたので、そのほうに手をとられて非常に警備の点で不備があったというようなこともいわれておりますので、概略について伺いたいと思います。
  122. 赤木泰二

    ○赤木説明員 お尋ねの件は、去る二月八日、自民党の沖繩県連が約三千人を集めまして、午後一時から午後二時四十分ごろまで那覇市内の与儀公園におきまして、屋良知事即時退陣要求県民総決起集会を開催した件だと思いますが、この集会におきましては、沖繩の繁栄をはばむ屋良県政を打倒しようとか、議会制民主主義の原則を破壊する屋良は政治責任をとれなどの四項目のスローガンを掲げまして、CTS撤回の屋良知事の行政責任を追及するとともに、屋良知事の即時退陣を訴えた後、最後に屋良知事即時退陣要求決議というのを採択いたしまして、集会を終了して、午後二時四十分ごろから県庁前まで約二千五百人が沖繩県連の宣伝車を先頭にして、屋良知事退陣せよとか、あるいは屋良知事やめろなどのシュプレヒコールを繰り返しながら行進いたしまして、三時四十分ごろ県庁前に到着したのであります。県庁前に到着してから間もなくデモそのものは解散したわけでありますが、そのうち約千七百人ばかりの人員が県庁前広場に残りまして、さらにシュプレヒコールを繰り返して、気勢を上げるとともに、当日屋良知事と面会の約束をしておりました自民党県連の代表団数人が県知事室におもむいた際に、これに追随して、約百五十人が県知事室に押しかけて、そのうち約百人ぐらいが知事室に入りまして、同室にいた屋良知事をはじめ、県の幹部、約十五人を取り囲んで、知事やめろとか、あるいはなぜCTSに反対するのかとか、あるいは全員の前に出て釈明せよというようなことを言って、詰問して、CTS撤回に対する抗議と、屋良知事即時退陣などの要求をしておりました。その間知事室内のテーブルやらあるいは装飾品数点を破損し、さらには知事秘書室及び副知事室の窓ガラス等を破損したという事案であると承知いたしております。
  123. 正森成二

    ○正森委員 いまごく概略の説明がありましたが、その概略の説明は非常に不十分であり、捜査当局にこういうことを言うのは申しわけありませんが、私は、きのう現地へ行ってきまして、屋良知事をはじめ、職員から直接聞いてきましたし、またそのときに与儀公園あるいは知事室にいた一般の報道関係者からも詳しく取材してきました。ですから、それに基づいてこれから質問をしていきたいというように思っております。  まず第一に、数千名集まった与儀公園、そこで集会が開かれたわけですが、その集会の零囲気いかんによっては、これはいろんなことが起こるかもしらぬということは察知されるはずであります。  そこであなた方は、集会の零囲気というようなものがどういうものであったかということを視察員等で察知されておりましたか。
  124. 赤木泰二

    ○赤木説明員 もちろん承知いたしておりました。
  125. 正森成二

    ○正森委員 承知しておったにしては、私どものつかんでおるところでは、何らの警備の措置がとられておらない。たとえば大田県連会長は、CTS誘致を撤回したのは、共産主義者の扇動によるものだとか、共産党は憲法で保障された私有財産を否定して革命を準備するものだとか、あるいは海洋博の延期も、これは政府がしたのに共産主義者がさしたものだとか、いろんなことを言って、そしてアジ宣伝を行なう。最後に立ちました西田健次郎、コザ市会議員でありますが、この人は、前の名前を金城といいますが、この人は、赤軍を上回る、赤軍以上の戦術と力で屋良知事を打倒しようということを言うておるわけですね。それに対して、会場の中では、非常にそれに呼応いたしまして、こういうことをずっと言うておるのですね。「屋良たっくるせ、はがたんめえたちくるせ、かあはがれんどうかあはげ」、これはどういうことかというと、沖繩の方言で、「屋良たっくるせ」というのは、屋良をたたき殺せ、「はがたんめえたちくるせ」というのは、はげじじいなぐり殺せ、「かあはがれんどう」というのは、皮をはぐぞということばであります。主催者が赤軍以上の戦術で打倒するんだ。こういうことを言い。会場でそれを受けて呼応するというような状況をあなた方はつかんでおられなかったのか。つかんでいたにしては、交通巡査が二、三人先導しただけで、機動隊も全くおらないという状況ですね。またデモ行進の途中では——国際通りというのかあります。私も見てきましたが、そこへ行ったときには、車道はもちろん、歩道全体に広がって、一般の交通が全くできないような状況で、県庁に向かっている。しかもその中で相当数が、泡盛と思われる酒をがぶ飲みにしながら酔っぱらって、婦人に卑わいなことばを投げかけながら県庁に向かっておる。こういう状況を警察は知らないのですか。
  126. 赤木泰二

    ○赤木説明員 具体的な警備措置につきましては、それぞれの具体的な事象につきまして、その規模、態様などを慎重にそれぞれの各都道府県警察で判断した上で、必要な警備体制をとりまして、対処するということになっております。  で、お尋ねの件の、自民党沖繩県連主催の集会並びに集団行進につきましては、沖繩県警察でも慎重にその規模、態様、交通実態などを判断いたしまして、警備部隊といたしまして二個中隊を編成して、必要な警備体制をとっておったようであります。しかし、たまたま当日午後一時五十分ごろ、琉球大学におきまして内ゲバ殺人事件が発生いたしましたので、これの犯人の逮捕のために緊急配備の必要が生じまして、午後一時から開会されておりましたこの集会が、それまでは平穏に行なわれておりましたこともありまして、当日のデモ警備につけておったこの二個中隊のうち、一部の要員を残して、他をその緊急配備のために振り向けたものでございまして、全然警備を行なっていなかったということではございません。
  127. 正森成二

    ○正森委員 そういうお話ですが、西田健次郎という男は、赤軍を上回るあらゆる戦術行動を駆使し、屋良を打倒するために立ち上がろう、こういう演説をデモ出発前にしておるのですね。しかも、この西田健次郎という男は、警察ではとくとお調べでしょうが、前の名前を金城健次郎といいまして、西田というところへ養子に行ったのです。金城健次郎というのは、ここに私は判決を持ってきましたが、一九六八年十月二日判決で、窃盗及び暴力行為等処罰に関する法律違反ということで判決を受けております。これが自民党のコザ市会議員だそうです。ですから自由民主党の体質というものがわかるわけですが、こういう人が、赤軍を上回るあらゆる戦術行動を駆使して、屋良を打倒するために立ち上がろう、こういうような状況だのに、われわれは、琉球大学でそういう事件が発生したから、それに部隊が行かないというのはこれはよろしくないと思いますよ、部隊は回すべきだ。しかし、二個中隊おるうちに、現地の新聞記者から聞いたところでは、制服の機動隊はただの一名もおらない。せめて一個小隊でも残しておくということくらいできそうなものだのに、二個中隊を全部向けてしまうということをやっておるのですね。  しかも、私は、彼らが中へ入ってからのことも聞きましたけれども代表五名ということになっておる。ところが、三時四十分ごろですか着きましたときに、先頭の自民党の宣伝カーが、知事室に突撃しろ、突っ込め、寒いからどんどん中へ入れということを、宣伝カー及びその付近の自民党員とおぼしき者がどんどんしゃべっている。宣伝カー自体でそう言ったのを聞いたという人もおる。そして、そういうのに呼応して、自民党の市会議員の金城重正という男が先頭に立ってなだれ込んでおる。いいですか。何人かの不心得者が言ったのじゃないのです。先導しておった自民党の宣伝カーが、知事室に突入せよとか、寒いから中へ入れとか言い、金城重正という議員が先頭になって入っておる。組織的にこういうことをやったと言われてもしかたがない。  そして、私は警察に伺いたいのですけれども、まず最初に副知事室に行きまして、副知事室でのやりとりが——それは、「屋良たっくるせ、」だとか、「かあはがれんどう、」とかいうようなことを言うのですから、普通の零囲気じゃないということで、まずその時点で、秘書課長補佐の比嘉さんが那覇警察署の警備課へ電話をしておる。そうすると、間もなく副知事室のガラスが破られた。私はここに証拠写真を持ってきましたが、こういうぐあいに外のガラスを割られているのですね。警察のほうにも証拠が出ているはずです。そこで、これはたいへんだということで再度電話した。それでも来ない。秘書課の職員や総務部長や副知事は知事室で、屋良さんが五名だけなら会いましょうということで待っておられる、その屋良さんを守っておったら、そこへ代表五、六人が入るのと同時に、あなたのおっしゃったように百名余りがどっと入ってきた。それで知事を守ろうと思って、知事のまわりをこういうぐあいにかばうようにしたら、それをゴボウ抜きしていって、隣の応接室や秘書課へ連れていって、なぐる、けるの暴行を加えておる。知事の執務室に土足のまま上がる、来客用のテーブルの上に上がる、そうしてテーブルがこわれてしまう。その残滓はあなたのほうの那覇署に証拠物件として押収されておるはずです。任意提出を受けておるはずです。ここに写真があります。これはとにもかくにも決議文を読んでおるところ、決議文を読んでおるときにも「屋良たっくるせ」ということを盛んに言っておる。それがだんだんと喧騒になってきて、この写真ではどうですか、知事室にプラカードまで持っていって、険悪な顔をしてつかみかかっておる。これがテーブルのこわれた現場写真です。いいですか、これを自民党の県連の代表がやっておる。しかも、この写真を見ますと、どうです、全員自由民主党という日の丸入りのはち巻きをしておる。そしてプラカードがありますが「自民党与那城村支部大いに奮闘」とこう書いてあって、しかもこのプラカードで、たとえば比嘉という秘書課長補佐は頭をぶんなぐられておる。自民党という政党は、大いに奮闘というのは、知事室へこういうものを持って入ってきて、ぶんなぐるのに大いに奮闘する政党か、現地ではみなそう言っている。ここに写真があります。  そういうような状況になったので、比嘉という秘書課長補佐は、知事を守ろうと思ったけれども、えり首をつかまれて部屋の外へたたき出された。そこで三度目にもう一度電話した。それでも来ない。次々に職員が引っぱり出されて、ほぼ一番最後に、瀬底という係長が、自分が最後に引きずり出されたので、大城という参事の指示を受けて、警備課へ何べんも電話したけれども話し中だ、やむを得ず一一〇番に電話をして、それからさらに二十分以上たってからでないと来なかった。  自民党はもちろん悪いです、よろしくない。しかし、警察が、いかに殺人事件が突発したとはいえ、県庁が暴徒によって占拠されて、知事室でこういう乱暴ろうぜきが行なわれており、電話を三べんかけ、四へん目はかからないから一一〇番に電話をして、それからなお二十分たってからでないと来なかったというのは、これは幾ら何でも怠慢のそしりを免れない。  警察法の二条では不偏不党、公平中正なんていっているけれども、やっぱり自民党の国家公安委員長であり、法務大臣であるということになれば、警察は自民党の集会やデモには、またこういうように暴徒と化しておっても、遠慮をして出てこないのかどうか。そういうことだったら、警察の立場としてとんでもないことだと思うけれども、なぜこういうぐあいに出動がおくれたのか、そのことを伺いたい。
  128. 赤木泰二

    ○赤木説明員 お尋ねの、県当局から警察に対する出動要請は、いろいろ、三時四十分過ぎまして三時五十分ごろ、総務部長から警備課に電話がありまして、さらに四時二十八分ごろ、ただ、これは電話で、状況はよくつかめなかったわけですが、すぐ係員は、那覇署の警備課長等は現場に出向いております。四時二十八分ごろ、現場でこの警備課長に対して、県の総務部長から出動を要請する旨の正式な要請がなされましたので、沖繩県警ではこの要請に基づきまして、直ちに琉球大学の内ゲバ殺人事件の捜査に配転しておりました部隊のうち、二個小隊、約六十人を県庁に転進をさせまして、これを背景に、警備課長が直ちに抗議集団に対しまして退去するように厳重な警告をいたしましたところ、午後四時三十八分ごろ、抗議集団はこれに応じて三々五々知事室から退去したというふうに聞いております。
  129. 正森成二

    ○正森委員 午後四時四十八分ごろ退去したということですが、三時四十分ごろ到着をして、副知事室のガラスが割られたのは、まだ四時になっていないときですね。そのときにすでに電話をしておる。私は現地の那覇署あるいは県警本部の捜査官にも聞いてまいりましたが、四時二十八分に正式に要請があって、そして金城という那覇署の警備課長が行って知事室に入って退去するようにといったのが大体四時三十五分前後、多少ずれておりますが、そういうように言うております。しかし、四時二十八分に正式要請があったというのは、私が知事及び当事者の職員から聞いたところでは間違いで、すでにガラス戸が割れる前から、そして割れてから以後、三回、四回にわたって要請しておるということになりますと、これは幾ら何んでもおそ過ぎるのじゃないか。しかも、あなた方は二個小隊を急遽差し向けたと言いますけれども、やはり二個中隊全部を回すのではなしに、せめて一個小隊、二個小隊というのは手元に置いておいて、県庁の、万一のときに備えるというのが当然のことですね。もし共産党のデモだとかあるいは労働組合のデモだったら、それが自民党の知事よ、退陣せよというところで、連合赤軍以上の戦術でやろうというようなことを言い、だれだれたっくるせ、というようなことを言うているときに、全く無防備で、交通巡査を二、三人だけ残して全部琉球大学のほうへ行きますか。そんなことしないでしょう。初めから、自民党のデモはそういうことをしない、だいじょうぶだと思っているからそういうことになったのでしょう。違いますか。
  130. 赤木泰二

    ○赤木説明員 その際の情勢判断につきましては、先ほども申しましたように、現地の警察で十分に判断した上での措置であったと思っております。
  131. 正森成二

    ○正森委員 十分判断した上での措置であったと思いますというが、それじゃ、いまになって、それは間違っていたと思いますか。それともああいう事態が起こってからでも、いや、やはりその措置が正しかったと思いますか。私は、あとから見てそれは間違いであると思うから質問している。
  132. 赤木泰二

    ○赤木説明員 この事案の正確な実態につきましては目下捜査中でございまして、その正確な実態がわかりましてから、私どもとしても十分検討はしてみたいと考えております。
  133. 正森成二

    ○正森委員 赤木さん、あまりふざけたこと言いなさんな。犯人がだれであるかというようなことは、これはもっと調べなきゃならないけれども、知事室のあの状況——全部知っているでしょうが。そういうものが起きてしまって、そのときに、当初はデモ隊の警備にあてていた二個中隊が全然おらなくなって、そのときに少しの部隊だけでも残しておけばよかったなあというように思うのはあたりまえじゃないですか。それをもっと捜査してみなければわからない。そんなばかなことがありますか。現地でも非公式に、少し手落ちがあったなということは、与党の県会議員団の追及にあって言うておる。あたりまえじゃないですか。その反省がなくてどうして今後きちんとした警備ができますか。率直に答えてください。
  134. 赤木泰二

    ○赤木説明員 私が申し上げましたのは、被害の実態をも含めまして今回の事件の全貌を正確に把握した上で十分な検討をする必要があるというふうに申し上げた次第であります
  135. 正森成二

    ○正森委員 検討するのは当然だけれども、少なくも、現在わかっておる状況だけで、二個中隊を一人もおらぬようにしてしまった。連絡があってからでも——秘書課の職員がおこっているんですね、何べん電話しても来てくれないと。そういう状況だったとしたら、これはやはり状況判断を誤っておる点もあったでしょう。琉大のほうへ行ったのが悪いとは言いませんよ。それば当然行くべきだ。しかし、力の配分として、そういう点は問題がある。問題があるとは思いませんか。
  136. 赤木泰二

    ○赤木説明員 この種の事案につきましては、いろいろその事案の実態に応じて、それぞれ対処のしかたというのは一がいには参りませんし、たいへんむずかしい点もあるのは御指摘のとおりでございます。したがいまして、われわれといたしましても、事案の実態を十分つかんだ上で、もしそういった問題点があれば、十分に検討をいたしたいというふうに考えております。
  137. 正森成二

    ○正森委員 あまり反省したようでもないから、もう少し実態について言いますと、たとえば、儀間という秘書課長は、知事をかばおうと思って身を乗り出そうとしたら、その男にうしろから右ひじでがんと突き上げられて、それがちょうどかばおうとしていて顔を伏せた口のあたりにがんと当たって、私が行ったときはまだくちびるがはれておるのですね。そしてそのあとで、なおも知事をかばおうと思ったら、こいつを引きずり出せということで、えり首をつかまれて、そして数名で部屋の外へほうり出されておる。赤嶺という総務部長は、耳のうしろをぶんなぐられ、足でけられ、隣の部屋へ連れていかれてなぐるけるの暴行を受けておるのですね。比嘉という秘書課長補佐は、もう一番最初に連れ出されて、応接間に入れられたとたんに五、六人で踏み倒されて倒れておる。大城という参事は、めがねの玉がはずれてしまう。瀬底という秘書係長は足と腹を二回けられたというように言うておるように、幹部が全部暴行を受けているのですね。そしてテーブルが土足で踏みにじられて完全にこわれてしまう。ガラスも割れておる。いいですか。沖繩において占領中からここまでの間知事室でこういうことが起こったことは一ぺんもないと言うておるのですよ、屋良さんが。そういう事態を、わけのわからない暴力団がさっと風のように来てやったというなら、これはしかたがないかもしれぬけれども——しかたがないと言ったらおかしいけれども、突発ですから……。しかし、自由民主党の県連というものが、連合赤軍以上のことをやってやると言うて宣言をしてやってきて、現にやっておる。そういうことだのに、よく検討してというようなことでは、これは政党政派によって差別的な取り扱いをしているといわれてもしかたがない。  大臣大臣は詳しいことはいまこうやって私から聞いただけかもしれませんけれども、私がいま言っていることは、全部屋良知事や当事者や、知事室におりました「沖繩タイムス」「琉球新報」といった第三者的立場にある人から聞いたことです。それがおたくの党の沖繩県連の幹部の面前でやられておる。それに対して赤木さんは、隣に一人席をおいて大臣がおられるから気がねをされたのかもしれませんけれども、あまり気がねをされるようなお顔とも見えぬけれども、やはり気がねをされるのでしょう、奥歯にもののはさまったものの言い方をされておる。どうですか、大臣、そんな気がねをする必要はない、厳正にやることこそ、法務大臣、あるいはおられないけれども、国家公安委員長の考えだろうと思う、こう言って、激励をしてやるぐらいの気持ちが必要じゃないか。もう少し率直にものを言ってもいいのだよと。そう思いますが、いかがですか。
  138. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 それはもちろん遠慮する必要はありません。警察当局としては厳正な立場で結末をつけてもらいたい、かように思っております。
  139. 正森成二

    ○正森委員 もう一つ、私が大臣にもまた赤木さんにも申したいのは、こういう暴行を働いたのが下っぱの人間だけがやったというんではなしに、県会議員クラスがこれを容認しているということなんです。たとえば、ほとんどの県会議員がそうですが、中でも特徴的な人物をあげますと小渡三郎という人物がおる。これは県会議員ですが、沖繩県では有名な人物だそうでありまして、これは琉球政府の副主席時代に収賄事件で、執行猶予つきでありますが懲役刑を受けておる。去年の十一月ごろにある酒場で飲んでおりまして、酔っぱらって軍歌を歌って、客に全部軍歌を歌えと強要する。たまたま客の一人が強要が過ぎるので、「かあはがれんどう」というのですか、皮はぐぞとかなんとか、こっちも酔っぱらっておりますから言うたら、その客を弟と二人でめったやたら、尾骨が何しろ折れるまでなぐったんですから……。そのまたなぐられたのがおたくの警察官ですよ。当時有名な事件なんだから。そういう小渡三郎という県会議員が、乱暴ろうぜきが済んでしまってからなおかつ知事にどう言ったと思いますか。これが情勢だ、CTS撤回をもう一度撤回しろと、こう言って演説をぶっているんです。いいですか。そういうことが起こったら身をもってとめて退去させるのがあたりまえでしょう。ところがそういう暴行、乱暴が行なわれているのにそれを容認した上で、これが情勢だ、情勢の変化だ、CTSの撤回をもう一度撤回しろ、こう小渡三郎議員をはじめとして幹部諸君が言っておる。  そうなると、初めに自民党の宣伝カーが、中へ入れ、入れと言ったことといい、金城市会議員が先頭になって代表団以外を引き連れたことといい、乱暴ろうぜきが行なわれたそのあとで、なおかつ小渡三郎議員などが、これが情勢の変化だ、CTS撤回を撤回しろというようなことを言っていることといい、まさに一体となって威力を示し、暴行をして知事に一定のことをさせよう、どんずばり、自民党県連が全体として暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、住居侵入、不退去という犯罪を構成したと見られてもしかたがないと思うんですね。あなた方はそういう事実を捜査しかけておりますか。私が聞いたところでは、個々の机を踏み倒した人のようなことは調べておるらしいけれども、そこら辺のことは調べてないみたいに思われる。そうだとすれば自民党の県連を免罪することにほかならない。結果としてどうなるかは別として、そういうことが行なわれた。それは知事も職員も全部見ており、聞いており、新聞記者も見ておるということを前提にして厳正に捜査をしていただきたいと思います。それについてどう思いますか、赤木さん。
  140. 赤木泰二

    ○赤木説明員 この件につきましてはたいへん重大な事案であるというふうに沖繩県警察本部でも判断いたしまして、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の容疑で、とりあえず所轄那覇警察署に専従班を設けまして、ただいまおっしゃったようなことも含めて総合的にただいま捜査を進めておると聞いております。もちろんこの捜査は一党一派、党に偏することなく、厳正公平にやる覚悟でただいま着手しておるというふうに聞いております。
  141. 正森成二

    ○正森委員 お時間だそうでございますから一問だけ伺って、どうぞ退席していただきたいと思いますが、この赤軍以上の実力で屋良をぶつ倒そうということを言った集会に、自民党の参議院の予定候補である尚詮さんも紹介をされて、そうして決意表明をされておるのですね。これはやはり自民党の沖繩県連の少なくとも体質に関係することであるし、また現地の新聞が、暴力の党自民党というようなことを言うているのも無理がないと思われる点があります。そういうことをかりそめにも言わさないためには、検察庁へ回ってくれば法務大臣が、そうして警察段階では国家公安委員長が厳正に処理をして、自民党の相当な首脳も含めて、容疑があればこれを処理するということが大切だと思うのですね。私は、中村法務大臣はそういうことをしていただけると思いますが、お出かけの時間だそうですから、最後にもう一度お考えを伺って、どうぞ御退席願いたいと思います。
  142. 中村梅吉

    ○中村国務大臣 警察当局が捜査をとめまして事件の送致がありますれば、もちろん検察当局は厳正な立場で処理いたすことは間違いないと思います。
  143. 正森成二

    ○正森委員 時間ですのでごく簡単に伺いたいと思います。  俵谷さんがお見えになっているので伺いたいと思いますが、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反の構成要件というのは、団体の威力を示したりあるいは数人共同したりということで、刑法二百八条の暴行、二百二十二条の脅迫、あるいは二百六十一条の器物損壊ということをやる罪をいうわけですが、あなたは具体的な事案は送致を受けていないから御存じないと思いますが、私が言ったようなことを前提条件として、十分に暴力行為等処罰ニ関スル法律違反が成立し得る事案である、少なくとも判例からいってもそうだと思いますが、その点はいかがですか。
  144. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 御指摘の点でございますが、これはまだ具体的にどのような事実関係にあるか、警察におきまして捜査を遂げていないということでございますので、この事案に即して申し上げるというわけにもまいりませんが、一般論といたしまして、多数の人間が集まってその威力を示していろいろなことを行なう、あるいは暴力的なことを行なう、あるいは共同して暴行を行なう、あるいは共同して机をこわしたりガラスをこわしたりする、こういった器物を損壊する、あるいは共同して脅迫を行なう、こういうようなことがあった場合には、暴力行為等処罰ニ関スル法律違反、これが成立する余地がある、かように考えます。
  145. 正森成二

    ○正森委員 一般論としてお答えになりましたが、まさにそういうことが行なわれた事案であるということを申したいと思いますし、もう一つ俵谷さんに伺いたいと思いますが、知事が代表五名にだけ会うと言っているときに、代表五名の入室と時を同じくして、赤木さんの説明でも明らかなように、この部屋の半分もない大きさの知事室に百名がなだれ込んで、執務室あるいはテーブルに土足のまま上がる、知事が代表五名だけですよと言っても帰らないというようなことになれば、代表五名を除く以外の人間については、これは住居侵入が成立する可能性があるというように思いますが、それはどうです。
  146. 俵谷利幸

    ○俵谷説明員 その問題につきましては、まさに具体的な事情がどうであったかということが事件の成否のきめ手になるであろうと思われるわけでございます。たとえば知事が、代表五名に限って会うと、こう言っておられたといたしましても、そのほかの者が入ってくる際にこれをとどめるとか、あるいは明白に入ってくることを拒否する、こういうようなことがない限りは、建造物侵入罪あるいは住居侵入罪、こういったものにはならないんじゃないか、この辺の事実関係はどうかということによって犯罪の成否がきまる問題であろう、こういうふうに考えます。
  147. 正森成二

    ○正森委員 非常にあいまいな答弁でしたけれども、これは送致を受けて厳重にその点は調べてほしいと思いますが、赤木さんに申し上げたいのは、これはあなたはいろいろ捜査をされていると思いますが、私が一日行って知事室にいた人などから聞いただけでも、これは相当なことをやっておる。しかもそれは中へ入った下っぱがやったというだけでなしに、そうさせるような状況に自民党の県連の幹部の市会議員、県会議員という人が誘導して、暴行が行なわれたあとでもなおかつそれを利用して、情勢が変わったからCTS施設誘致反対を撤回しろということを言うておるのですね。こういう一体となっての暴力行為について、あなた方はしっかりと捜査をしてもらわなければ困る、こういうように思います。特にあなた方の金城警備課長が来て、全員が一応知事室から退いたあとになっても、なおかつ県会議員団はのこのことやってきて、暴力をふるった人が要求をした、外へ出てCTSについて知事の所信を表明しろ、あるいは撤回の撤回をしろというようなことをやれということを要求しているのですね、警察が退去させたあとでも。こういうようなことを考えると、これは自民党の県連幹部に、この問題について実力をふるって情勢を変え、情勢を変えたと称して政策の変更を、求める。知事が、公害が発生するという県民多数の声に基づいて、また県会の意向を受けて態度表明をされたものについて、暴力でこれを変えていこうとする、これが情勢の変化だというようなことが沖繩県連自民党の上から下までしみ通っておるとすれば、これはたいへんなことですね。ある市会議員は、わが議員生活最良の日なんてうそぶいて引き揚げたのですから。それもあなた調べればよくわかるはずです。そういう点について重ねてあなた方が厳正にやられるかどうかということを伺いたい。  そして、その点で一つ、あなた方は琉球大学の殺人事件については捜査本部を設けておられる。ところがこの重大な事件については、私がきのう確かめとところでは捜査班をもうけておるだけだ。一個班、いいですか。アメリカ占領軍の時代でも起こったことのない事件、しかもそれを一つの公党、与党の県連が総ぐるみでやった事件、それについて民主主義を守るという立場から、当然特捜本部を組織して厳正にすべきではありませんか。現地にそういう指図をされるということが非常に必要だと思いますが、その点も含めて答えてください。
  148. 赤木泰二

    ○赤木説明員 沖繩県警察といたしましては厳密に実情をよく調査いたしまして、これに基づいて厳正、公平に捜査を進めるように覚悟をして、ただいまその捜査を行なっております。  ただいまお話のございました特別捜査本部を設けるかどうかという問題でございますが、これはとりあえず、先ほども御説明申し上げましたように、十二名による専従捜査班を設けまして鋭意捜査中でございまして、いま直ちにそれで十分であるかどうかということはまだ判断すべき段階には至っておらないと思います。今後の検討に属すると思いますが、十分検討をしてみたいと考えております。
  149. 正森成二

    ○正森委員 終わります。
  150. 小平久雄

    小平委員長 次回は、来たる二十二日金曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとして、本日は、これにて散会いたします。    午後一時十三分散会