運営者 Bitlet 姉妹サービス
使い方 FAQ このサイトについて | login

1974-02-15 第72回国会 衆議院 法務委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年二月十五日(金曜日)     午前十時十二分開議  出席委員    委員長 小平 久雄君    理事 大竹 太郎君 理事 小島 徹三君    理事 田中伊三次君 理事 谷川 和穗君    理事 羽田野忠文君 理事 稲葉 誠一君    理事 横山 利秋君 理事 青柳 盛雄君       井出一太郎君    野呂 恭一君       保岡 興治君  早稻田柳右エ門君       正森 成二君    沖本 泰幸君  出席国務大臣         法 務 大 臣 中村 梅吉君  出席政府委員         法務大臣官房司         法法制調査部長 勝見 嘉美君  委員外出席者         最高裁判所事務         総局総務局長  田宮 重男君         法務委員会調査         室長      松本 卓矣君     ――――――――――――― 二月十三日  金大中拉致事件早期解決に関する陳情書外  五件(第一  一六号)  身体障害者の人権を侵害する用語等使用中止  に関する陳情書  (第一一七号) は本委員会参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  裁判所職員定員法の一部を改正する法律案(内  閣提出第一九号)      ――――◇―――――
  2. 小平久雄

    小平委員長 これより会議を開きます。  内閣提出裁判所職員定員法の一部を改正する法律案を議題といたします。  質疑の申し出がありますのでこれを許します。大竹太郎君。
  3. 大竹太郎

    大竹委員 裁判所職員定員法の一部を改正する法律案について、若干御質問をいたしたいと思うのでありますが、まず第一にお尋ねいたしたいことは、昨年の三月二十七日、やはりこの裁判所職員定員法の一部を改正する法律案が当委員会で通りますときに、附帯決議をいたしておるのでありまして、この附帯決議には三項目ございますが、第一におきましてこういうような決議をいたしております。ちょっと読んでみますが「近時における訴訟遅延の現象は、裁判官その他裁判所職員の不足と裁判所施設の不備によるところも大きい。よって政府並びに最高裁判所は、裁判所職員増員裁判所施設充実等について予算の増額その他適当な措置を講じ、もって裁判に関する国民の信頼にこたえるよう努力すべきである。」という附帯決議をいたしておるのでありますが、その後、この決議によってどのように措置しておられるか、まず承っておきたいと思います。
  4. 中村梅吉

    中村国務大臣 当委員会附帯決議の御趣旨の点はとくと承知いたしておりますので、この点に沿うように微力を尽くしておるような次第でございます。  ただ、問題は、御指摘のとおり事件遅滞がございますので、特に東京高等裁判所におきましては、学生事件等の集団的な事件が多く係属いたしておりますので、遅滞をいたしておる状況が一そう強いわけでございます。  そこで、増員についても、政府としては、また最高裁としても努力をしておるところでございますが、定員の問題は、なかなか行管をはじめやかましい点がありまして、今回提案を申し上げておりますように、判事補増員その他若干の増員を見ていただきました程度でございますが、ただ、この増員によりまして判事補地方裁判所のほうに配置をして、地方裁判所判事高等裁判所に配属するようにいたしまして裁判迅速を期していきたい、こういう裁判所側の御意見のようでございまして、できるだけ御趣意に沿うようにつとめてまいるつもりでございます。  なお、この庁舎整備につきましては、今昭和四十九年は総需要抑制の年で、減額される危険性もありましたが、幸い若干の増額を見るようなことになりまして、庁舎整備をして、できるだけ事務能率を向上するようにいたしたいということで鋭意努力をいたしておる次第でございます。  なお、今後とも、御指摘になりましたこの附帯決議の御趣旨に沿いまして、われわれといたしましては努力を続けてまいりたい、かように思っております。
  5. 大竹太郎

    大竹委員 それでは具体的に御質問をいたしたいと思いますが、今回の裁判官増員数は五名ということになっております。そこでお尋ねをいたしたいのでありますが、いまほどお話しのようにいろいろ御努力いただいたことだろうと思うのでありますけれども、過去の増員数から見ますとことしは非常に少ないのでありまして、ちょっと調べてみますと、昭和四十四年は四十三名、四十五年は二十五名、四十六年は十四名、四十七年が九名、昨年四十八年が七名ということになっておりまして、去年の四十八年の七名、まあ相当少ないといわれておったのでありますが、ことしはさらに二名少なくなっておりまして、五名ということになっておるわけでありまして、変な言い方でありますが、大臣の御説明と数の上におきましてはやや矛盾している面もあるやに考えられるわけでありますが、その点について御説明をいただきたいと思います。
  6. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 御指摘のように、昭和四十四年度当時に比べますと、四十九年度増員要求は五名ということできわめて少ない人員ではございますが、事件数を見ますと、お手元に参考資料として配付してございますが、民事訴訟事件はやや減っているという傾向がございまして、それに反しまして刑事訴訟事件のほうは若干ふえておりますが、事件全体といたしましては横ばい状態といっていいのではないかと思います。もちろん、事件の数が横ばいであっても、その事件の内容が、最近の複雑な社会情勢を反映いたしまして、非常に困難な事件もございますので、単に事件のみで裁判官の負担がどうこうということは言えないわけでございますが、いずれにいたしましても、事件数としてはそういう形になっておりまして、当委員会の御協力、御理解等を得まして、過去十年間で裁判官合計百七十五名の増員がなされております。  四十九年度におきましても訴訟の適正迅速ということで、われわれとしても大いに裁判官増員等について努力した次第でございますが、先ほど大臣からも御説明ありました人員を極力制限するという政府の方針もございますし、また他方、裁判官にはそれ相当の高度の法律知識、広い視野と識見を持っているといったような一定レベルの人に来ていただくということが必要でございます。そういうようなことを考えますと、給源等関係も考慮いたしまして、この際、先ほど大臣からも御説明のありました東京高等裁判所におけるところの長期未済事件処理ということ並びに簡易裁判所において最近道路交通事件が非常にふえておりますので、それの処理のために必要な簡易裁判所判事ということで、最小限度この程度増員がもし認められるならばさしあたり事件処理の上では支障はなかろうというふうに考えた次第でございます。以上です。
  7. 大竹太郎

    大竹委員 いまの御説明をお聞きして、このように解釈してよろしいんでしょうか。逐次この増員がされて、現在の段階においては五名程度である程度まかなえるという、そういうように解釈してよろしいんでしょうか。
  8. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 そのように御理解いただければけっこうだと思います。
  9. 大竹太郎

    大竹委員 次にお伺いいたしたいんでありますが、この提案理由説明によりますと、この五名のうち二人については「高等裁判所における刑事長期未済事件」、簡易裁判所判事三名については「簡易裁判所における道路交通違反事件の適正迅速処理をはかるため」ということになっておるわけでありますが、もう少し具体的に説明していただきたいと思います。
  10. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 御指摘のように、今回の増員をお願いしておりますのは、判事補二名、簡易裁判所判事三名ということになっております。判事補二名につきましては、先ほども説明申し上げましたように、東京高等裁判所におけるところの刑事長期未済事件処理のためということを考えておるのでございます。参考資料の七ページにもございますが、昭和四十五年度から比べますと昭和四十七年度におきましては、刑事長期未済事件が若干増加しております。  長期未済事件と申しますのは、私どもでは係属二年をこえる事件をそのように申しておりますが、この表にございますように、このカッコ内でございますが、昭和四十五年度では三百四十件というのが、昭和四十七年度では五百七十三件というふうにふえておるのでございます。特に東京高等裁判所でその点が著しくあらわれておりまして、東京高等裁判所では四十五年度では九十六件でありましたものが、昭和四十七年度では百八十八件というふうにふえております。しかもその百八十八件のうち学生事件が百五十二件という大半を占めておるのでございまして、その学生事件のうちでも特に多いのは東大事件、例の東大紛争に伴うところの事件が百四十二件の数にのぼっております。この東大事件処理につきましては、その当時、第一審の東京地方裁判所におきまして、いろいろその審理の上でトラブル等もございましたが、とにもかくにも東京地方裁判所におきましてはできるだけ早くということでかなり迅速処理をしたのでございますが、それが高等裁判所のほうにまいりましてからいろいろな関係事件処理がおくれているという状況でございます。  そのような関係で、こうした東京高裁に係属しております学生事件処理迅速をはかるということで裁判官増員をお願いしておるのでございますが、本来であれば東京高等裁判所でございますので判事増員するのが最も適切なわけでございますが、御承知のように判事には一定資格がございまして、そう簡単にその補充ができないという関係にございますので、増員の形としては判事補増員いたしまして、その判事補を地裁のほうに配置いたし、それによって生じた余力で判事余裕ができますので、その余裕のできた判事高等裁判所のほうに回す、このようなことを考えておる次第でございます。  なお、簡易裁判所判事三名でございますが、これも参考資料の一一ページにございますが、この簡易裁判所刑事事件といたしまて道路交通事件というのが非常にふえております。たとえば昭和四十五年度におきますところの道路交通法略式命令事件は百三万二千件でありますが、昭和四十七年度におきましては百四十七万件というふうに、約五割も事件がふえております。この交通事件処理につきましても従来いろいろ御理解いただきまして、昭和四十五年度におきましては簡易裁判所判事五人、昭和四十六年度において簡易裁判所判事二人というふうに順次増員を認めていただいてきたのでございますが、今回さらに、四十七年度事件数このようにふえておりますので、この際さらに三人の増員をお認めいただきたいということでございます。
  11. 大竹太郎

    大竹委員 この交通事犯の問題でありますが、私、まだこれよく調べておりませんからわからないんですが、たしか四十七年以来この交通事故そのものは逐次減ってきているという統計になっておるのでありますが、この裁判所事件数がふえているのはどういう関係にあるのですか。これは私、実は交通安全対策特別委員会のほうにも関係しておるものですから、いまちょっと思いついたものですからお聞きするんでありますが、そういう点についてはどういうことになっているのでしょうか。
  12. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 ただいま御説明いたしました参考資料道路交通法違反事件と申し上げますのは、これは道路交通法違反ということでいわゆる形式犯、たとえばスピード違反とか無免許の事件、そういったような種類でございまして、被害者が死んだとかけがをしたという、その関係での事件、いわゆる業務上過失致死傷といったような事件は、この表では「一般」の中に入っておりまして、この「一般」の事件の数のところをごらんいただきますとわかりますように、昭和四十五年度から四十七年度にかけましては若干減少ぎみであるということでございまして、その点は先生ただいま御指摘のとおりでございます。
  13. 大竹太郎

    大竹委員 わかりました。  次に、この参考資料を拝見いたしますと、昨年の十二月一日現在で裁判官欠員数は七十二名ということになっているのでありますが、この欠員補充その他はこの司法修習生等修習を終わった段階で主として補充されると思うのでありますが、これは十二月一日現在のあれでありますので、最終的にはこれ何人くらいになる予定であるか、それから欠員内訳は、これは定年でおやめになったのがおもじゃないかと思うのでありますが、そのほか内訳その他御説明をいただきたいと思います。
  14. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 参考資料にございますように、昨年の十二月一日現在の欠員は、判事三十五人、判事補七人、簡易裁判所判事三十人、合計七十二人ということになっておるのでございます。この点も先ほど先生が御指摘くださいましたように、裁判官が途中で欠員になりましても、裁判官を直ちに補充するという、普通の事務官、雇いといったような人たちと違いますので、その補充する時期というのがほぼ一定しております。一年間で定年とか死亡、それから転退官等によって裁判官欠員が生じた場合でも、その際直ちに補充をするということがなかなか困難な状態で、弁護士さんから直ちに来ていただけるというふうな状態でありますならば、そのつど補充するということも可能でございますが、そういう状態にございませんので、どうしても四月になって司法研修所を出てくる司法修習生の中から裁判官補充するということにならざるを得ない状況でございますので、どうしても十二月現在の点でとらえますと、この程度欠員は毎年あるのでございます。  今後一月から三月までの間にもなお若干欠員等がふえてまいります。たとえばその間にまた定年でおやめになる方、転退官される方というふうに欠員を生じます。それからまた判事補が十年になりまして判事になるということになりますと、また判事補のほうに欠員が生ずるということになりまして、まあ今後の見通しといたしましては、大体欠員としては三月末ごろでは九十名前後の欠員判事補に生ずるのではないか、こういうふうに考えられる。そうした判事補は、本年度司法修習生から判事補に任官するという方によってこれを充員していく、こういうふうな順序になるわけでございます。
  15. 大竹太郎

    大竹委員 大体九十人くらいになるだろうとおっしゃるのですが、そのおやめになるのは定年が一番多いと思うのですが、それから病気とかそのほか自分の事情というような、いろいろあると思いますが、その大体の内訳おわかりでしょうか。
  16. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 大体、その辺は単に推定でございますので、はっきりした数は申し上げられませんが、かなりはっきりしていると思いますのは、判事補が十年たちまして判事に任官する方、これが約二十五、六名程度ございます。それからまた判事補簡裁判事任命がえをするということを毎年行なっておりますが、その任命がえによって、やはり四、五十名程度そのほうに任命がえをするということも考えております。それから退官等、これも推定である程度あるのではなかろうか。それからさらに今回の増員が認められますと、二名の増員ということになりまして、これらをひっくるめますと、全体としては約九十名前後判事補欠員が三月末ころにはその程度欠員になろうか、そういうふうに考えておるわけでございます。
  17. 大竹太郎

    大竹委員 いまの御説明でちょっとわからない点があるのですが、定年でおやめになる人は年々どのくらいあるのですか。
  18. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 従来の実績によりますと、大体三十名前後一年間で定年でおやめになる方があるということでございます。
  19. 大竹太郎

    大竹委員 次にお尋ねしたいのですが、これはいつも問題になるのでありますが、裁判官の中で事実上法廷に出られない、いわゆる裁判に直接関係していられない方が相当いられると思うのでありますが、これは現在どのくらいおいでですか。
  20. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 御指摘の点は私どものようにいわゆる司法行政に関与していて裁判をやっていない裁判官の数ということであろうと思うわけでございますが、これは現在事務総局におきまして司法行政を担当しております裁判官の数は判事二十二人、判事補十七人、合計三十九人ということでございます。  この点も、前々から御指摘のように、裁判官資格を持っている者が行政事務を担当するよりは、そうした裁判官が足りないおりでもあるし、裁判を担当して訴訟の適正迅速処理に当たるべきであるという御意見もあるわけでございますが、司法行政は御承知のように裁判権行使そのものに直接密接に結びつく行政事務でございますので、やはり裁判の経験、知識等を持った者がこれに当たるということがひいては裁判の適正を保つゆえんであるというふうに考えておりまして、最小限度この程度人員はやむを得ないものというふうに考えておるのでございます。  したがいまして、特に裁判官をもって充てる必要はないというようなポストにつきましては、順次事務官を養成いたしまして、その事務官をもって充てていくということで、現在の三十九人というのも従来から比べればかなりの数減っておる状況でございます。
  21. 大竹太郎

    大竹委員 三十九人が裁判行政のほうを担当だというわけでありますが、これはもちろん始終おかわりになると思うのですが、大体私どもの想像では少なくとも二、三年には事務をやっていらした方は今度は裁判のほうにお回りになるということだろうと思うのですが、そういう点はどうなっておりますか。
  22. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 その点御指摘のとおりでございまして、裁判官裁判をするのが本来の職務でございますので、そうした司法行政事務にずっと、十年も十五年も引き続きそれを担当するということはございませんで、大体におきまして短ければ二年、通常は三年ないし四年で裁判事務のほうに移るというのが従来の例でございます。
  23. 大竹太郎

    大竹委員 次に裁判官補給源の問題でありますが、本年度司法修習生判検事志望状況はどんなふうになっておりますか。
  24. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 判事補志望のほうを裁判所のほうから御説明申し上げますと、一月末に採用申し込み締め切りをいたしましたところ、九十五名ということになっております。今後修習生の考試が三月に行なわれますし、またその後の状況によって若干その数は減るかもしれませんが、一月の締め切り現在では、九十五名ということになっております。最近は、大体七十名前後でございますので、今回は非常に志望者が多いということがいえると思います。  なお御参考までに、最近で多かった年は、四十三年度は八十五人、四十四年度は八十四人の判事補任官者がございますので、現在九十五名でございますので、若干減るといたしましても、九十名前後の判事補任官者を得られるのではないかというふうに期待しておる次第でございます。
  25. 勝見嘉美

    勝見政府委員 検事志望のこともお尋ねでございますので、私からお答えいたします。  二月一日現在判明しているところでは、第二十六期司法修習生のうち四十九名が検事への採用を希望しております。
  26. 大竹太郎

    大竹委員 大体、九十人の欠員というお見込みについて九十五人が志望だということで、そういう面では非常にけっこうだと思うのでありますが、たとえば九十人ということで、裁判官志望のほうは九十五人ということになれば、五人はみ出すようなことになるのですが、そういう点についてはどう御処置になるのですか。
  27. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 その辺は、今後の判事補異動状況等によって多少変わってくるとは思いますが、まずそういうふうなことはなかろうとは思いますが、先生指摘のような状況がかりに出ました場合には、簡易裁判所判事のほうの定員に若干余裕がございますので、判事補簡易裁判所判事のほうに任命がえをするということで、判事補のほうを上げるということが可能でございますので、そういうふうな方法をとることになろうかと思います。
  28. 大竹太郎

    大竹委員 次に、裁判官以外の裁判所職員増員に関して、お尋ねをいたしたいと思います。  提案理由によりますと、裁判官以外の裁判所職員は、全体として二十五名増員ということになっておりまして、書記官が六人、家庭裁判所調査官が五名、事務官が十四名ということになっておりまして、これはいずれも下級裁判所における事件処理等をはかるためとなっているわけでありますが、いま少し具体的に説明していただきたいと思います。
  29. 勝見嘉美

    勝見政府委員 まず裁判所書記官につきましては、高等裁判所における刑事長期未済事件処理をはかるため二人、地方裁判所における特殊損害賠償事件等処理をはかるために二人、簡易裁判所における交通事件、これは先ほど御説明ございました道路交通法違反関係でございますが、その種の交通事件処理をはかるために二人、合計六人を増員することとしたものでございます。  家庭裁判所調査官につきましては、家庭裁判所におきまする資質検査を充実強化するために、五人を増員することとしたものでございます。  裁判所事務官につきましては八十二人の増員でございますが、司法行政事務簡素化能率化に伴う裁判所事務官の減員が六十八人ございますので、実質増は十四名になります。  以上で裁判官以外の裁判所職員増員は、先ほど御指摘のとおり合計二十五名という計算に相なるわけでございます。  なお、先ほど事務官八十二人の増員と申し上げましたが、その内訳は次に申し上げるとおりでございます。  一番目に、最高裁判所における民事調停委員及び家事調停委員関係事務処理をはかるために四人の増員。第二番目に、高等裁判所における刑事長期未済事件処理をはかるため四人の増員。三番目に、地方裁判所における特殊損害賠償事件等処理をはかるために十人の増員。四番目に、地方裁判所における民事調停委員関係事務処理をはかるために八人の増員一五番目に、家庭裁判所における家事調停委員関係事務処理をはかるために八人の増員。六番目に、家庭裁判所における家事調停事件処理をはかるために十八人の増員。七番目に、簡易裁判所における民事調停事件処理をはかるために十八人の増員。八番目に、簡易裁判所における交通事件、これは先ほど申し上げました道路交通法違反事件でございますが、この事件処理をはかるために十二人の増員でございます。以上でございます。
  30. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 裁判官以外の職員のこのたびの増員内訳は、ただいま法務省のほうから御説明があったとおりでございます。なお、いま少し裁判所のほうから説明を補足させていただきたいと思います。  まず調査官の五名の増員は、家庭裁判所におけるところの資質検査のためということでございます。この点は、昨年も十人の増員をお認めいただいたのでございますが、その際御説明申し上げましたように、家庭裁判所における調査社会調査資質検査という両方の面がございます。  社会調査というのは、主として環境とか生育歴等心理学社会学その他の学問によって調査をいたすわけでございますが、最近のような社会情勢におきますと、そうした環境によるところの問題というよりは、むしろ当事者、関係人その他の資質すなわち性格とか心身状況とか性向といったような、そうした資質がいろいろな面に作用しているということがあらわれてきております。したがいまして、家事事件におきましても、たとえば夫婦関係の問題とか子供の観護処分の問題、親権者をかえるかかえないかといったような問題の場合にも、当該関係人資質検査をする必要があるということ、また少年事件におきましても、単に環境ということではなくて、少年のそうした資質面の欠陥が非行につながるという面もございますので、そうした資質検査というものを充実していきたいということで、昭和四十六年以来この種の調査官増員をお願いいたしまして、昨年までで六十一人の増員が認められ、今回さらに五人の増員をお認めいただきたい、こういうことでございます。  また、特殊損害賠償事件増員要求でございますが、特殊損害賠償事件と申しますのは、いわゆる公害事件のほかに私どもとしては、たとえば医療過誤事件とか薬品、食品関係事件、船舶、航空機それから欠陥自動車によるととろの事故、労務災害、それから交通事故によるところの損害賠償事件、こういうものも特殊損害賠償事件というふうにいっておりまして、御承知のように、たとえばサリドマイド事件とかスモン事件、伊達火力発電の設置の事件、安中公害、こういったような種類の事件が多数ございます。この種の事件は因果関係の認定、故意過失の認定、非常に困難でございます。他面また当事者が多数でございます。そういうような関係もございまして、これの適正迅速処理ということは当然考えなければいけないことでございます。この点につきましても、昭和四十六年以来当委員会の御理解によりまして、判事補書記官事務官増員を逐次してまいりまして、今回さらに書記官二名、事務官十名の増員をお願いしておる次第でございます。  なお、今回調停法の改正ということで、いずれ当委員会で御審議いただくことになっておりますが、このたびの調停法の改正ということになりますと、新しい調停制度ということで非常勤職員たる調停委員ということになりますので、そうした調停委員の選考につきましては、十分いろいろな手だてを尽くさなければならない。言ってみれば、制度が改正されても制度を運用する調停委員にほんとうのいい方が得られなければ制度が死んでしまうわけでございますので、そうした調停委員の選考については慎重の上にも慎重を期するということで、その関係事務もふえるというふうに考えますし、またそうした新しい制度のもとで調停事件処理というものもかなり活発になると思われますので、その点の事件処理のためにも若干手が足りなくなるのではないかというようなことで、その関係事務官増員というものをお願いしておる次第でございます。
  31. 大竹太郎

    大竹委員 次に、参考資料によりますと、裁判官以外の裁判所職員欠員は昨年の十二月一日現在で二百四十五名というようになっておるわけでありますが、現在においてはまだこれより多少ふえているかとも思いますが、この補充についての計画その他御説明をいただきたいと思います。
  32. 田宮重男

    田宮最高裁判所長官代理者 御指摘のように、参考資料によりますと、裁判官以外の職員欠員が昨年の十二月一日現在で二百四十五名というふうになっておりますが、その原因といたしましては、裁判所は支部、簡裁、検察審査会といったようなものまで含めますと、全国で約千三百余りの組織に分かれておるわけでございます。したがいまして、ある場所で一名欠員が生ずるということでありましても、それが全体の組織から見ますと、各庁一人ずつ欠員があったという場合でも一挙に千人程度欠員という形になってしまうわけで、これだけの組織を持っていますと、ある程度欠員が常時あるということはいたしかたないというふうに考えておるわけでございます。もちろん、その場合欠員が生じましても直ちに採用できる、あとを補充できるという職種もございますので、欠員といってもどういうものが欠員であるかというのは各時点においてそれぞれ異なるわけでございます。  ただ書記官と家裁の調査官につきましては、裁判官の場合と同じようなことがございまして、書記官書記官研修所を卒業するか、書記官昇任試験に合格するかしませんと、書記官になれないということになっておりますし、また調査官の場合も調査官研修所を卒業するとか昇任試験に合格するということでないとなれないということで、一定資格が必要なわけでございますので、書記官調査官等につきましては、裁判官と同じように、年度の途中に欠員が生じても、それを直ちに補充するということができませんので、やはり四月に研修所を卒業する、昇任試験で合格するといったような方によって補充するということでございます。  御参考までに申し上げますと、書記官研修所の卒業者は毎年平均百五十名前後ございますし、昇任試験で合格する方も五、六十名はございます。調査官研修所を卒業される方も五十名程度ございますので、そういうような点を考えますと、書記官調査官につきましては、本年の四月になれば充員できるという見込みでございます。
  33. 大竹太郎

    大竹委員 終わります。
  34. 小平久雄

    小平委員長 次回は、来たる十九日火曜日午前十時理事会、午前十時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。    午前十時五十七分散会