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1974-04-24 第72回国会 衆議院 文教委員会 第23号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年四月二十四日(水曜日)     午前十時四十分開議  出席委員    委員長 稻葉  修君    理事 坂田 道太君 理事 塩崎  潤君    理事 西岡 武夫君 理事 松永  光君    理事 森  喜朗君 理事 木島喜兵衞君    理事 小林 信一君       有田 喜一君    上田 茂行君       久野 忠治君    河野 洋平君       床次 徳二君    楢橋  進君       羽生田 進君    林  大幹君       深谷 隆司君    山崎  拓君       嶋崎  譲君    馬場  昇君       長谷川正三君    山口 鶴男君       湯山  勇君    栗田  翠君       高橋  繁君    安里積千代君  出席国務大臣         文 部 大 臣 奥野 誠亮君  出席政府委員         内閣法制局第二         部長      味村  治君         文部政務次官  藤波 孝生君         文部大臣官房長 井内慶次郎君         文部省初等中等         教育局長    岩間英太郎君         文部省大学学術         局長      木田  宏君         文部省体育局長 澁谷 敬三君         文化庁長官   安達 健二君  委員外出席者         沖繩開発庁振興         局振興第一課長 加瀬 正藏君         文教委員会調査         室長      石田 幸男君     ――――――――――――― 委員の異動 四月二十三日  辞任         補欠選任   上田 茂行君     稲村 利幸君   三塚  博君     越智 通雄君 同日  辞任         補欠選任   稲村 利幸君     上田 茂行君   越智 通雄君     三塚  博君 同月二十四日  辞任         補欠選任   勝澤 芳雄君     馬場  昇君   八木  昇君     湯山  勇君 同日  辞任         補欠選任   馬場  昇君     勝澤 芳雄君   湯山  勇君     八木  昇君     ――――――――――――― 四月十九日  国立養護教諭養成所国立大学の四年課程に改  正に関する請願近江巳記夫紹介)(第四七  五五号)  同外五件(塩川正十郎紹介)(第四九四〇  号)  青梅市に国連大学本部誘致に関する請願(保岡  興治紹介)(第四七五六号)  同(長谷川正三紹介)(第四九三八号)  教育予算増額に関する請願外二件(湯山勇君紹  介)(第四七五七号)  同外二件(横山利秋紹介)(第四八〇八号)  同外八件(湯山勇紹介)(第四八〇九号)  同外一件(湯山勇紹介)(第四九四一号)  同外三件(横山利秋紹介)(第四九四二号)  私学に対する公費助成増額等に関する請願外一  件(石橋政嗣君紹介)(第四七五八号)  同外一件(木島喜兵衞紹介)(第四七五九  号)  同(田中美智子紹介)(第四七六〇号)  同外五件(多賀谷真稔紹介)(第四七六一  号)  同外四件(高田富之紹介)(第四七六二号)  同外一件(土井たか子紹介)(第四七六三  号)  同外五件(安宅常彦紹介)(第四八一一号)  同(石橋政嗣君紹介)(第四八一二号)  同外一件(小川省吾紹介)(第四八一三号)  同外二件(金子みつ紹介)(第四八一四号)  同外二件(木島喜兵衞紹介)(第四八一五  号)  同外三件(木原実紹介)(第四八一六号)  同外一件(久保等紹介)(第四八一七号)  同(佐野憲治紹介)(第四八一八号)  同外四件(島田琢郎紹介)(第四八一九号)  同外一件(島本虎三紹介)(第四八二〇号)  同外四件(嶋崎譲紹介)(第四八二一号)  同(田中美智子紹介)(第四八二二号)  同外二件(土井たか子紹介)(第四八二三  号)  同外一件(中村重光紹介)(第四八二四号)  同外二件(楢崎弥之助紹介)(第四八二五  号)  同外一件(成田知巳紹介)(第四八二六号)  同外二件(野坂浩賢紹介)(第四八二七号)  同(長谷川正三紹介)(第四八二八号)  同(馬場昇紹介)(第四八二九号)  同外六件(広瀬秀吉紹介)(第四八三〇号)  同外四件(藤田高敏紹介)(第四八三一号)  同外一件(武藤山治紹介)(第四八三二号)  同(村山喜一紹介)(第四八三三号)  同外十二件(八木一男紹介)(第四八三四  号)  同(山田芳治紹介)(第四八三五号)  同外三件(湯山勇紹介)(第四八三六号)  同外五件(渡辺三郎紹介)(第四八三七号)  同外二件(安宅常彦紹介)(第四九四三号)  同外一件(石橋政嗣君紹介)(第四九四四号)  同外二件(小川省吾紹介)(第四九四五号)  同(大原亨紹介)(第四九四六号)  同(川俣健二郎紹介)(第四九四七号)  同外八件(金子みつ紹介)(第四九四八号)  同外二件(木島喜兵衞紹介)(第四九四九  号)  同外二件(久保等紹介)(第四九五〇号)  同外一件(佐野憲治紹介)(第四九五一号)  同外三件(島本虎三紹介)(第四九五二号)  同外一件(土井たか子紹介)(第四九五三  号)  同外七件(中村重光紹介)(第四九五四号)  同外五件(楢崎弥之助紹介)(第四九五五  号)  同外二件(野坂浩賢紹介)(第四九五六号)  同外十四件(長谷川正三紹介)(第四九五七  号)  同(馬場昇紹介)(第四九五八号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第四九五九号)  同外六件(藤田高敏紹介)(第四九六〇号)  同(武藤山治紹介)(第四九六一号)  同(入木一男紹介)(第四九六二号)  同外十三件(安井吉典紹介)(第四九六三  号)  同外十五件(湯山勇紹介)(第四九六四号)  同外一件(山本政弘紹介)(第四九六五号)  学校災害補償法制定に関する請願鈴木善幸君  紹介)(第四八一〇号)  奈良市史跡大安寺境内地管理計画策定等に  関する請願外四件(八木一男紹介)(第四九  三九号) 同月二十日  私学に対する公費助成増額等に関する請願外二  件(安宅常彦紹介)(第五〇八三号)  同外四件(大柴滋夫紹介)(第五〇八四号)  同(久保等紹介)(第五〇八五号)  同(馬場昇紹介)(第五〇八六号)  同外一件(広瀬秀吉紹介)(第五〇八七号)  同外二件(藤田高敏紹介)(第五〇八八号)  同(八木一男紹介)(第五〇八九号)  同外二件(大柴滋夫紹介)(第五一六〇号)  同外一件(小川省吾紹介)(第五一七八号)  同(川俣健二郎紹介)(第五一七九号)  同外一件(久保等紹介)(第五一八〇号)  同(土井たか子紹介)(第五一八一号)  同外一件(藤田高敏紹介)(第五一八二号)  同(小川省吾紹介)(第五三一一号)  同外二件(土井たか子紹介)(第五三一二  号)  同外一件(藤田高敏紹介)(第五三一三号)  同外一件(八木一男紹介)(第五三一四号)  同外一件(安宅常彦紹介)(第五四一二号)  同外三件(大柴滋夫紹介)(第五四一三号)  同外二件(木島喜兵衞紹介)(第五四一四  号)  同外四件(久保等紹介)(第五四一五号)  同外一件(土井たか子紹介)(第五四一六  号)  同外一件(林百郎君紹介)(第五四一七号)  同外二件(藤田高敏紹介)(第五四一八号)  同外六件(山田芳治紹介)(第五四一九号)  国立養護教諭養成所国立大学の四年課程に改  正に関する請願小渕恵三紹介)(第五〇九  〇号)  同(北側義一紹介)(第五一八三号)  学費凍結法制定等に関する請願外一件(有島重  武君紹介)(第五一八四号)  教育委員公選制復活に関する請願山中吾郎  君紹介)(第五一八五号)  青梅市に国連大学本部誘致に関する請願福田  一君紹介)(第五三一〇号)  私立小・中・高等学校振興法制定に関する請願  (中川一郎紹介)(第五三一五号)  同(古屋亨紹介)(第五五三二号)  国際平和協会に対する補助金交付に関する請  願(森喜朗紹介)(第五四二〇号) 同月二十二日  私学に対する公費助成増額等に関する請願外一  件(安宅常彦紹介)(第五六〇四号)  同外一件(稲葉誠一紹介)(第五六〇五号)  同外二件(小川省吾紹介)(第五六〇六号)  同(佐野憲治紹介)(第五六〇七号)  同外二件(嶋崎譲紹介)(第五六〇八号)  同(土井たか子紹介)(第五六〇九号)  同(成田知巳紹介)(第五六一〇号)  同外一件(楢崎弥之助紹介)(第五六一一  号)  同(野坂浩賢紹介)(第五六一二号)  同外三件(長谷川正三紹介)(第五六一三  号)  同(林百郎君紹介)(第五六一四号)  同外一件(藤田高敏紹介)(第五六一五号)  同外四件(安井吉典紹介)(第五六一六号)  同(安宅常彦紹介)(第五七五九号)  同外五件(小川省吾紹介)(第五七六〇号)  同外三件(川俣健二郎紹介)(第五七六一  号)  同外四件(嶋崎譲紹介)(第五七六二号)  同外三件(土井たか子紹介)(第五七六三  号)  同外四件(楢崎弥之助紹介)(第五七六四  号)  同外二件(馬場昇紹介)(第五七六五号)  同外二件(藤田高敏紹介)(第五七六六号)  同外七件(八木一男紹介)(第五七六七号)  同外二件(安井吉典紹介)(第五七六八号)  同(大原亨紹介)(第五九五三号)  同外一件(小川省吾紹介)(第五九五四号)  同外四件(嶋崎譲紹介)(第五九五五号)  同外二件(楢崎弥之助紹介)(第五九五六  号)  同外二件(湯山勇紹介)(第五九五七号)  同外二十二件(上原康助紹介)(第六一四四  号)  同外二件(小川省吾紹介)(第六一四五号)  同外五件(木原実紹介)(第六一四六号)  同外五件(久保等紹介)(第六一四七号)  同外二件(嶋崎譲紹介)(第六一四八号)  同(田中昭二紹介)(第六一四九号)  同(長谷川正三紹介)(第六一五〇号)  同外三件(安井吉典紹介)(第六一五一号)  同外一件(湯山勇紹介)(第六一五二号)  国際平和協会に対する補助金交付に関する請  願(野田卯一紹介)(第五六一七号)  同(福田篤泰紹介)(第五九五二号)  私立学校経費助成に関する請願中島武敏君  紹介)(第五六一八号)  教育予算増額に関する請願横山利秋紹介)  (第五七六九号)  同外六件(加藤清二紹介)(第六一四三号)  私立小・中・高等学校振興法制定に関する請願  外七件(加藤常太郎紹介)(第五七七〇号)  私立幼稚園教育振興に関する請願松浦周太郎  君紹介)(第五七七一号)  青梅市に国連大学本部誘致に関する請願(三原  朝雄君紹介)(第五七七二号)  公立高等学校事務長職制及び職務法制化に  関する請願田中正巳紹介)(第五九五八  号)  同(松永光紹介)(第五九五九号)  同(森喜朗紹介)(第五九六〇号)  同(内海英男紹介)(第六二二六号)  同(山崎拓紹介)(第六一三七号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する請願内海英男紹介)(第六一三八号)  同(田中正巳紹介)(第六一三九号)  同(松永光紹介)(第六一四〇号)  同(森喜朗紹介)(第六一四一号)  同(山崎拓紹介)(第六一四二号) 同月二十三日  私学に対する公費助成増額等に関する請願外一  件(有島重武君紹介)(第六三二八号)  同(大野潔紹介)(第六三二九号)  同(近江巳記夫紹介)(第六三三〇号)  同(鈴切康雄紹介)(第六三三一号)  同外二件(安宅常彦紹介)(第六五一八号)  同(石橋政嗣君紹介)(第六五一九号)  同(大柴滋夫紹介)(第六五二〇号)  同(加藤清二紹介)(第六五二一号)  同外八件(川俣健二郎紹介)(第六五二二  号)  同外一件(木島喜兵衞紹介)(第六五二三  号)  同外一件(久保等紹介)(第六五二四号)  同外二件(木原実紹介)(第六五二五号)  同外十一件(小林進紹介)(第六五二六号)  同外一件(島田琢郎紹介)(第六五二七号)  同(島本虎三紹介)(第六五二八号)  同外六件(嶋崎譲紹介)(第六五二九号)  同外十六件(高沢寅男紹介)(第六五三〇  号)  同外三件(竹入義勝君紹介)(第六五三一号)  同外一件(中村重光紹介)(第六五三二号)  同外一件(馬場昇紹介)(第六五三三号)  同(広瀬秀吉紹介)(第六五三四号)  同外一件(武藤山治紹介)(第六五三五号)  同(八木一男紹介)(第六五三六号)  同外一件(山田芳治紹介)(第六五三七号)  同外一件(山田太郎紹介)(第六五三八号)  同(山原健二郎紹介)(第六五三九号)  同外四十九件(石橋政嗣君紹介)(第六八三五  号)  同(大久保直彦紹介)(第六八三六号)  同(岡本富夫紹介)(第六八三七号)  同外二十件(大原亨紹介)(第六八三八号)  同外九件(角屋堅次郎紹介)(第六八三九  号)  同外十件(金瀬俊雄紹介)(第六八四〇号)  同外十件(川俣健二郎紹介)(第六八四一  号)  同外七件(木島喜兵衞紹介)(第六八四二  号)  同外十一件(斉藤正男紹介)(第六八四三  号)  同外十件(阪上安太郎紹介)(第六八四四  号)  同外八件(嶋崎譲紹介)(第六八四五号)  同外一件(坂本恭一紹介)(第六八四六号)  同外二件(高沢寅男紹介)(第六八四七号)  同外九件(辻原弘市君紹介)(第六八四八号)  同外十三件(土井たか子紹介)(第六八四九  号)  同外十二件(中村重光紹介)(第六八五〇  号)  同外十三件(長谷川正三紹介)(第六八五一  号)  同外十八件(馬場昇紹介)(第六八五二号)  同外七件(安井吉典紹介)(第六八五三号)  同外七件(山中吾郎紹介)(第六八五四号)  同外一件(湯山勇紹介)(第六八五五号)  公立学校女子事務職員産休補助職員確保に関  する請願有島重武君紹介)(第六三三二号)  同(西岡武夫紹介)(第六三三三号)  同(勝澤芳雄紹介)(第六五〇七号)  同(長谷川正三紹介)(第六五〇八号)  同(山口鶴男紹介)(第六五〇九号)  同(山中吾郎紹介)(第六五一〇号)  同(染谷誠紹介)(第六八三〇号)  同(小林信一紹介)(第七〇〇六号)  公立高等学校事務長職制及び職務法制化に  関する請願西岡武夫紹介)(第六三三四  号)  同(染谷誠紹介)(第六八二六号)  私立幼稚園教育振興に関する請願内海英男君  紹介)(第六三三五号)  同(大久保武夫紹介)(第六三三六号)  同(奥田敬和紹介)(第六三三七号)  同(小山長規紹介)(第六三三八号)  同(佐藤文生紹介)(第六三三九号)  同(坂本三十次君紹介)(第六三四〇号)  同(椎名悦三郎紹介)(第六三四一号)  同(田中六助紹介)(第六三四二号)  同(竹下登紹介)(第六三四三号)  同(登坂重次郎紹介)(第六三四四号)  同(中川一郎紹介)(第六三四五号)  同(中山正暉紹介)(第六三四六号)  同(永山忠則紹介)(第六三四七号)  同(丹羽兵助紹介)(第六三四八号)  同(羽田野忠文紹介)(第六三四九号)  同(橋口隆紹介)(第六三五〇号)  同(保利茂紹介)(第六三五一号)  同(松浦周太郎紹介)(第六三五二号)  同(松永光紹介)(第六三五三号)  同(山下徳夫紹介)(第六三五四号)  同(山田久就君紹介)(第六三五五号)  同(綿貫民輔紹介)(第六三五六号)  義務教育学校学級規模是正に関する請願(山  中吾郎紹介)(第六五〇六号)  新大学管理法制定反対に関する請願小林信  一君紹介)(第六五一一号)  山梨学院正常化に関する請願小林信一君紹  介)(第六五一二号)  国立養護教諭養成所国立大学の四年課程に改  正に関する請願矢野絢也君紹介)(第六五一  三号)  私立小・中・高等学校振興法制定に関する請願  (山田太郎紹介)(第六五一四号)  同(沖本泰幸紹介)(第六八三一号)  同(岡本富夫紹介)(第六八三二号)  同外十七件(箕輪登紹介)(第六八三三号)  横浜市港北ニュータウン建設予定地埋蔵文化  財保存等に関する請願山原健二郎紹介)(  第六五一五号)  教育予算増額に関する請願外二件(加藤清二君  紹介)(第六五一六号)  同外一件(横山利秋紹介)(第六五一七号)  同 外十一件(加藤清二紹介)(第六八三四  号)  青梅市に国連大学本部誘致に関する請願佐藤  文生紹介)(第六八二七号)  国際平和協会に対する補助金交付に関する請  願(山中吾郎紹介)(第六八二八号)  教育費負担軽減に関する請願吉田法晴君紹  介)(第六八二九号) は本委員会に付託された。     ――――――――――――― 四月二十三日  小学校就学年齢引下げに関する陳情書  (第四七五  号)  義務教育学校学級編制基準改善及び教職員  定数増員等に関する陳情書  (第四七六号)  学校給食義務化に関する陳情書外二件  (第四七七号)  学校給食費国庫補助増額に関する陳情書外三件  (第四七八  号)  学校給食費国庫負担に関する陳情書外二件  (第四七九号)  広島県に義務教育教員大学設置に関する陳情書  (第四八〇号)  私立学校振興法制定に関する陳情書  (第四八一号)  高等学校教職員給与改善に関する陳情書  (第四八二号) は本委員会に参考送付された。     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  文化功労者年金法の一部を改正する法律案(内  閣提出第八六号)  昭和四十四年度以後における私立学校教職員共  済組合からの年金の額の改定に関する法律等の  一部を改正する法律案内閣提出第八七号)  公立義務教育学校学級編制及び教職員定数  の標準に関する法律等の一部を改正する法律案  (内閣提出第四六号)  文化財保護に関する件      ――――◇―――――
  2. 稻葉修

    稻葉委員長 これより会議を開きます。  文化功労者年金法の一部を改正する法律案及び昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案の両案を議題とし、順次提案理由説明を聴取いたします。奥野文部大臣。     —————————————
  3. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 最初に、文化功労者年金法の一部を改正する法律案提案理由を申し上げます。  このたび、政府から提出いたしました文化功労者年金法の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容を御説明申し上げます。  文化功労者年金法は、文化向上発達に関し特に功績顕著な者に年金を支給し、これを顕彰することを目的として昭和二十六年四月に制定された法律でありまして、以来今日までの間に文化功労者として決定された者は、二百五十八人にのぼり、わが国文化振興に資するところ大なるものがあったと信ずるのであります。  文化功労者に支給される年金の額は、昭和四十六年の改正以来百五十万円とされてまいったのでありますが、その間における国民の生活水準向上経済事情の変遷には著しいものがあり、また、なお一そうわが国文化向上発達を期する見地からも、この際、年金額改定して、この法律の趣旨の達成をはかることが必要かつ適切と考えられるに至り、このたび、年金額を二百万円に引き上げることといたしました。  以上が、この法律案提案理由及び内容の概略であります。  何とぞ慎重に御審議の上、すみやかに御賛成くださるようお願い申し上げます。  次に、昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案提案理由を申し上げます。  このたび政府から提出いたしました昭和四十四年度以後における私立学校教職員共済組合からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び内容概要を御説明申し上げます。  御承知のように、私立学校教職員共済組合は、昭和二十九年一月に、私立学校教職員福利厚生をはかる目的のもとに、私立学校教職員共済組合法により設立されたものでありますが、それ以後、本共済組合が行なう給付については、国公立学校教職員に対する給付水準と均衡を保つことをたてまえとし、逐次改善が進められ、現在に至っております。  今回は、昭和四十八年度に引き続き、国公立学校教職員年金の額の改定等に準じて、私立学校教職員共済組合法規定による既裁定年金の額の改定その他長期給付改善等を行なうため、この法律案を提出することといたしたのであります。  次に、この法律案概要について申し上げます。  第一に、私立学校教職員共済組合法規定による退職年金減額退職年金廃疾年金及び遺族年金の額を、国公立学校教職員年金の額の改定に準じ、昭和四十九年十月分以後、昭和四十七年度以前の退職者について退職年度に応じ、二三・八%を限度として増額することといたしております。また、これに伴い、旧私学恩給財団年金についても相応の引き上げを行なうことといたしております。さらに、私立学校教職員通算退職年金の額を、国公立学校教職員通算退職年金の額の改定に準じて、昭和四十九年十一月分以後、増額することといたしております。  第二に、既裁定退職年金廃疾年金及び遺族年金最低保障額を、国公立学校教職員既裁定年金最低保障額引き上げに準じ、昭和四十九年十月分以後、引き上げることといたしております。  第三に、標準給与の月額の上限を国公立学校教職員掛け金等算定基礎となる限度額引き上げに準じ現行の二十二万円から二十四万五千円に引き上げるとともに、下限についても現行の二万六千円から三万九千円に引き上げることといたしております。  第四に、長期給付算定基礎となる平均標準給与算定方法を、国公立学校教職員制度改善に準じ、現行退職時前三年間の標準給与平均から退職時前一年間の標準給与平均とすることといたしております。  最後に、この法律施行日につきましては、他の共済制度の例にならって、昭和四十九年十月一日といたしております。  以上が、この法律案提案理由及び内容概要であります。  なお、私立学校教職員共済組合法は、給付関係規定については、国家公務員共済組合法関係規定を準用することとしておりますので昭和四十二年度以後における国家公務員共済組合等からの年金の額の改定に関する法律等の一部を改正する法律案が成立いたしますと、退職年金等について、現行算定額通算退職年金の額の算定方式に準じて算定した額より少ないときは当該金額によることとする改善遺族年金についての扶養加給制度の創設及び退職後における短期給付等任意継続制度を設けること等につきまして、私立学校教職員共済組合給付についても同様に措置されることとなりますので申し添えます。  何とぞ十分御審議の上、すみやかに御賛成くださいますようお願い申し上げます。
  4. 稻葉修

    稻葉委員長 これにて両案の提案理由説明は終了いたしました。      ————◇—————
  5. 稻葉修

    稻葉委員長 内閣提出公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律等の一部を改正する法律案議題といたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。塩崎潤君。
  6. 塩崎潤

    ○塩崎委員 いわゆる定数法につきまして、前回に引き続きまして御質問申し上げたいと思います。  前回は時間が制限されまして、質問を留保したわけでございますが、前回の質疑応答でたいへん私は勉強になったのでございます。大臣あるいは岩間局長の御答弁で、法律に書いてないようなこと、あるいはまた政令というようなことも口ずさまれましたが、その中でもなかなか明確でないことが多かったわけでございますが、私は御説明でほんとうによくわかりかかっておるところでございますが、しかし何としても審議はこのように詳細にやはりやっていくことが非常にいいことだと思うわけでございます。久しぶりにきょうは野党の方々の御出席も得て質問もさしていただけるわけでございます。ぜひともこれまでにないような詳細な質疑をひとつ続けたいと思うわけでございますが、時間の関係もございますので、附則の第三項、これを中心といたしまして御質問申し上げたいと思うわけでございます。きょうは法制局の味村部長も来ておられますので、少し法律的にもいろいろと教えていただきたい、こんなふうに思います。  前回私は、いわゆる定数法によって定数を増加すること、それは密度の高い教育を実現するという意味からもどうしても定数を増加するということはたいへん大事なことである、こういうことを申しましたが、そのほかに、いわゆる勧奨退職年齢の延長という見地からもこの定数の増加ということはどうしてもやらなければならないんだ、こういうことを申し上げたわけでございます。田中総理大臣は、前回も申し上げましたように、退職学校の先生方がちまたに職を求めて教え子の前に情けないみじめな姿をさらさないこと、これをやるんだ、こう言われたわけでございます。このような田中総理の政策を受けまして奥野大臣もたびたびこの問題には配慮するということを言われておりましたが、さて、前回の御答弁では、そのような政策の実現のために、過疎地域においては今回の定数配分をほかの地域と区分して、普通なら五分の一ずつ増加していくのだけれども、過疎地域については、しかも退職勧奨年齢を延長したところの地域については三分の一だけ、三年間実現ということですか、早目に定数を配分していくのだ、こういう御答弁がありました。私は一つの進歩だと思うわけでございますが、大臣、どうなんですか。私は退職年齢を延長することは非常に大事なことだと思うのですが、この定数による一つの国からの援助措置、誘引措置、これしかないものですか。ほかに勧奨退職年齢を延長するためにどのようなことを考えておられるか、ひとつ大臣から御意見を承りたいと思います。
  7. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 過疎地域におきましては、先生をむしろ定員としては減らしていく、そういう段階で定年を引き上げるということになりますと、新規の先生方は採れない、そこに大きな悩みがあるわけでございます。そこで、いま御指摘のような方法が一つの方法として考えられるわけでございます。  なおまた、今度は過疎地域の先生方を過密地域のほうに応援に三年内外出かけていってもらうということになりますと、先生方にも勉強にもなるのじゃないか、こう考えるわけでございます。  定年にきた人たちについては、引き続いて残って教職についてもらうというようなことで定年を延ばすこともできるということになるわけでございまして、そのほか非常勤講師のような制度も設けたりしたわけでございますけれども、要するに、他に道があるなら、やめられる方には別に仕事についていただけるような仕組みをとったりしながら新規の採用を可能にすれば、定年を延ばしていくことができる、こういうことでございます。なお、いろいろな道もさがしながら努力をしていきたい、こう思っております。
  8. 塩崎潤

    ○塩崎委員 田中総理が特に言及しただけの大政策であるにかかわらず、大臣、その程度ではどうなんでしょうか。たいへん勇敢に大きなことをやられる文部大臣にしては、過疎地域だけの退職年齢だけを延長するようなことではちょっとスケールが小さいような気がするのですが、どうなんですか。ほかにたとえば特別交付税でいろいろなことをやるというようなことで全般的に進めるとか、いろいろ方法があろうかと思うのですが、単にそんな程度のことでしょうか。私はこの政策は非常に大事なことだと思うのです。そして日教組の先住方が非常に希望しておることはこれであるということは前回も申し上げたとおりなんですが、それにしては大臣少し報いるところが少ないような気がするのですが、いかがでしょうか。しかも地方団体だけにまかせておいてはうまくいかないのです。財政上の理由だけではなくて、やはり定数法にも縛られる。いろいろ理由があると思うのですが、大臣、この程度でいいでしょうか。
  9. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私たちは、差しあたりは六十年まで定年を延ばしてくださいよ、行く行くは六十五歳までつとめていただけるようにしてくださいよ、こう申し上げてまいってきているわけでございます。その間に過疎地域が定年を延ばすことの困難なことはしばしばお話の出ているところでございます。  同時にまた、女の先生方の退職年齢は特に低いわけでございまして、男女同権といわれながらも男女間にかなり大きな差が設けられておるわけでございます。そういう現状をいろいろ踏まえて考えますと、私は、やはり関係者の御理解も得て定年制を定められるようにさせてほしい、こう考えているわけでございます。かつて地方公務員について定年制を設ける問題が国会において何度か論議になりました。その場合に、首切りの手段に定年を使うのだ、このような意見がかなり多かったように思います。私たちはそういうことを考えているわけではございませんで、先生方が安んじて教職についていただく、先生方の身分を長期にわたって保障していくのだ、そういう意味で定年制を定めさせてほしい、こう考えるわけでございます。二面には定年制を定める、定年制を定めるにつきましては六十歳以下で定めてはいけないのだということを明記すればよろしい、こう思うわけでございまして、そのような定年制を定めると同時に、他面には勧奨を強めていく、勧奨の措置としてあわせて先ほど来論議になっておりますような措置を加えていくということではなかろうか、こう考えているわけでございます。ぜひ多くの方々の御理解をいただいて、私は先生方については六十を下らない定年制を定めることができるような道を開きたいものだ、かように希望しているところでございます。
  10. 塩崎潤

    ○塩崎委員 文部大臣の御願望はわかるのですけれども、それの実現する方法としては定数法、しかもそれも過疎県だけだというところに私は不十分さがあると思うのです。過疎県というのは、私は定義も伺いたいのですけれども、たとえば静岡県などはまだ五十八歳なんですね。一部が六十歳になったと聞く。わが愛媛県は、たびたび申し上げております五十九歳で、やっと今度五人だけが六十歳になったという情けないことである。これは私は過疎県ではないと思うのですが、大体過疎県というのは何ですか。過疎県の定義はどんなことですか。わが愛媛県は入るかどうか、ひとつ具体的に伺いたいと思う。
  11. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 過疎は、人口が減っていくところは過疎であり、人口がふえていくところは過密であることは言うまでもないと思うわけでございます。特に文部省が教職員の定数をふやしていく、ふやしていってもなおかつ児童数が減るために先生数がふえない、こういうところは教職員定数の問題を論議する場合には過疎に当たるのではないだろうか、こう思います。いずれにいたしましても、過密になります県は、児童生徒数がふえるものですから、どんどん先生をふやさなければならない。やめてもらう余裕はないわけであります。だから好むと好まざるとにかかわらず退職年齢を引き上げていかざるを得ない。しかし、過疎のところはまた逆な現象になっているわけであります。そこで、その間の先生方の異動もあわせて考えたらいいではないかということで、今度は補助金も計上させていただいておるということでございます。
  12. 塩崎潤

    ○塩崎委員 過疎県は人口の減るところだという名答弁がございましたが、大臣、私どもは大臣がいつも言っておられる法治国家なのです。かってかってな、自分の思い思いの定義でこの大事な定数の配分なんかやられては法治国家にならぬと思う。そこで、私はこれからひとつ法律論にだんだん入りまして、いかに文部官僚が恣意的にきめようとしておるこの過疎という定義を少し分析してみたい。(「かつての大蔵官僚もそうだ」と呼ぶ者あり)大蔵官僚はこんなことをやらなかったのです。  そこで、岩間局長、どうなんです。一番大事な定年制が延長されるかどうか、関心を持つところの過疎県の定義は法律にはどこにも書いてないのですが、「文部法令要覧」の七一ページの三項、四項を見ると、過疎の定義らしきものがある。こんなことで世の中が過疎と考えるかどうかも疑問なんですが、これが過疎県の定義なんじゃないですか。これは、大臣はあんまり法律なんか読まれないで法治国家と言っておられるが、法律を読んでおられる岩間局長、一ぺん御答弁願いたい。
  13. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私が過疎県ということを申し上げましたのは、定数法上では毎年五分の一ずつ目標に達するまで充足をしていくわけでございますけれども、毎年充足をいたしましてもなおかつ教員が減るというような県を一応過疎県というふうに考えているわけでございまして、そういう意味では愛媛県もその対象に入るということでございます。
  14. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私はこの定義ではよくわからないのですが、愛媛県が入ったということを局長がつぶやいたのですが、この定義で入るかどうか、私は疑問だと思うのです。そもそも大臣、大臣がいま力を入れて過疎県だけについてはこういうことをやるのだ、勧奨退職年齢を延長するのだというようなことをどこの規定に書いてあるのですか。何を根拠としてやろうとするのですか。大臣が思うからやれるというようなことでは、私は法治国家にならぬと思うのですね。大臣、どこが根拠なのです。
  15. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 定年の延長は全都道府県について実行していただきたいということでお願いを続けているわけであります。ただ、過疎の県につきましては、やりたくてもやれない事情がある。そこで、いろいろな面で国としても協力をしていきたい、それには定数をふやしてあげることが一つの方法だろうというようなことで、先ほど来お話しになっておりますような附則の三項で政令をきめます場合にも、そういう団体につきましてはなるたけ早く定数をふやしてあげるというような仕組みをとろうとしているわけであります。あるいは補助金交付につきましても、そういう団体から過密の県に先生方が異動する場合には一人当たり何十万円かの補助金を出そう、こういうようなことも考えたりしているわけでございます。
  16. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで、この附則の三項なんです。岩間局長、あなた前回も何か口ずさんだが、私はどこに書いてあるかわからないのでよく読んでみたら、附則三項らしいということだけは気がついた。しかし附則三項のどこに書いてあるんですか。勧奨退職年齢の延長ということはどこに書いてあるのですか。そういった府県には特別な配慮をするというのはどこに書いてあるんですか。何か政令で定める政令で定めるというようなことは書いてある。私は、そもそもこの法案は——またいつも部会長はじめ文教部会の方々に笑われるのですが、授権立法が多くて、ほんとうに法律を読んだって何のことかわからない。何をねらっておるのか、あなた方はほんとうに代議士をばかにしておるんじゃないですか。法律を読まぬということを知っておって、こういうふうにすべて政令でやるんだというような、国家総動員法的な授権立法がまたまた横行してきて、こんな官僚独善的なことがどんどんと行なわれるようなことはたいへん心配です。どうなんですか、このどこに書いてあるんですか。
  17. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは、この法律を最初に提出いたしましたときのいきさつを申し上げたほうがよろしいかと思いますけれども、こういうふうに年次的、計画的に定数を増加をしていくという場合に、たとえば五年先なら五年先にどういうふうな姿になるかということは、これは法律で国会の御承認をいただく、しかし、その五年間にどういうふうな準備をもってこれを充足していくかということは、これは政府のほうにおまかせをいただく、つまり政令でもってやらせていただくということの趣旨がこの三項に書いてあるわけでございます。しかしながら、どういうふうなかっこうで政府にまかせていただくかということの基本的な趣旨は、そこに「公立の小学校及び中学校又は特殊教育諸学校の児童又は生徒の数及び教職員の総数の推移等を考慮し、」というふうな非常に抽象的な文言ではございますが、そういうふうな抽象的な制限のもとに政府に毎年短年のことはおまかせ願うということでこの法律ができているわけでございまして、今回の改正もいままでの法律の趣旨に基づいて、その線に沿って御提案申し上げておるという次第でございます。
  18. 塩崎潤

    ○塩崎委員 いや、この附則は前回の定数法の改正のときもあった附則なんです。書き方が同じなんですよ。しかし今度は新しく勧奨退職年齢の延長をした府県については三分の一の特例を設けるというんでしょう。それをいままでと同じような、従前はそんなことはなかったときの同じような附則で、それに基づく政令でそういったことを書くのがはたしていいでしょうか。私がここに味村法制局の部長に来ていただいたのはこういうことなんです。そもそも——味村部長よく聞いてくださいよ。あなたは商法をやって、私もだいぶ商法のことを教えていただいたが、商法に政令なんか一字もないじゃないですか。ところが、このあなたがつくられたところの定数法は政令だらけで、十四ある。何のことかわからないのですが、しかもいま岩間局長の御答弁は、前回はそういうことをやらなかったが、今回同じような文章でまた、新しく勧奨退職年齢を延長したところには特別な配慮をするんだというのはどこで読むのですか。味村部長一ぺん答えてください。
  19. 味村治

    ○味村政府委員 附則の三項は、先生御指摘のとおり、従来からある規定でございまして、一応これは五年間なり三年間なりの経過的な定数をきめることを政令に委任したという規定でございます。ただ、政令に委任する際に、無条件委任というわけではございませんで、「公立の小学校及び中学校又は特殊教育諸学校の児童又は生徒の数及び教職員の総数の推移等を考慮し、これらの規定に定めるところにより算定した標準となる数に漸次近づけることを旨として、」そういう一種の政令委任の条件がついている規定であろうかと存じます。したがいまして、このような附則によりましてこのような事項を政令に委任するということは、もう当然何の問題もないと存じますが、ただいま御質問のございました勧奨退職年限の延長と申しますか、そういう問題につきまして一体どのように考えるのかということにつきましては、実はまだこれは文部省から御相談を受けているわけでもございませんので、現段階でしかとしたお答えは申し上げかねるわけでございますが、「教職員の総数の推移等を考慮し、」というようなことを文部省ではお考えであるまいかというように、一応私はただいまの御議論を伺っておりまして感じた次第でございます。
  20. 塩崎潤

    ○塩崎委員 私は日ごろの味村部長に似合わない御答弁だと思うのです。この附則は、段階的にやるのだという規定なんです。しかも「政令で定める特別の事情がある都道府県」は、この段階的なものをもう少し長目に、七年間にしてやるのだというふうに読める規定なんですね。「政令で定める特別の事情がある都道府県」という書き方も、味村さんどうなんですか、これは過疎県の趣旨なんでしょうが、過疎県とも言えるし、過密県とも考えられるし、さらにまたこれは日教組の強いところの府県とも書ける。何とでも書けるような政令。過疎県となぜぱっと書いて庶民がわかるような法律にしないのですか。私は、この規定は段階的にふやしていくのだという規定であって、勧奨退職年齢を延長する件について特例を設けるというようなことはこれからはとても出てこない規定だと思うのですが、味村部長、何かもごもごされて、あとで相談するというようなお話だった。これはひとつよほど検討していただいて、今後の立法は、やはり授権立法というのはできる限り減らすということが憲法の趣旨じゃありませんか。憲法七十三条の趣旨から見ても、もう委任立法というのはほんとうに明確じゃない。こんなこと考えると、はっきり書くべきじゃないでしょうか、過疎県なら過疎県と。  それから委員長、どうなんでしょうか。委員長にお願いしたいのですが、私は旧憲法時代に法律審議も国会でやったことがあるのです。当時ははるかに政令が多かった。命令という、「定ムル所二依リ」があったのですが、そのときは必ず命令案要綱というものを国会に出して、法律と同時に審議を願ったような経緯がある。いまは、ほんとうに国会議員が法律を読まないから、もう皆さん方が安心して白紙委任状をとってしまう。これはどうなんですか。ひとつこのような慣行を文教委員会でつくられるかどうか、一ぺん委員長の御決断を伺いたいと思うのです。
  21. 稻葉修

    稻葉委員長 ただいまの点については、理事諸君とよく相談して、適当な機会に御返答申し上げます。
  22. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで、いまのような法律的な根拠を私は非常に疑問を持っておりますので、ひとつよく大臣——大臣はおそらく私たちと同じく法律を読まないほうでしょうから、いま見てびっくりされておるに違いないと思うのです。私も役人のとき、よくびっくりしたのですが、部下が扱ってきた法律を見て、これは何だろうと思ったこともたびたびあるのですから、私は大臣をとがめる気はないのですが、これは法制局それから文部事務当局の立案の大きな態度だと私は思うので、よほど考えていただきたい。  そこでもう一点、私はこの附則三項についてもいろいろ考えてみなければならぬ点があると思うのですが、大臣、前回にも、いや今回はひとついままでと違って、過疎県については最低保障を九十八・二五から九十八・五に上げるのだ、こう言われましたね。確かにいいことだと思いますが、それはまたその根拠はどこから来るのですか。私は、そもそも定数法というものは法律であって、学級編制並びに教職員の定数というものは法律できまる。しかしそれが過疎県について特別な保障をしなければならないとすれば、これはまた法律によって例外をつくるべきだと思うのですが、それはどの法律の根拠に基づいて最低保障をつくっておるのですか。その規定を一ぺん示していただ一きたいと思うのです。
  23. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 御指摘のように政令案要綱のようなものを出したほうがよろしいのじゃないだろうか、こう考えておりますので、さっそくそういうような準備をしたいと思います。なおまた最低保障の問題も附則三項の政令で書くという予定をいたしておるわけでございます。
  24. 塩崎潤

    ○塩崎委員 いや、私が伺いましたのは、過疎県の最低保障の根拠規定はどこかということです。これは岩間局長でいいからお答え願いたいのです。
  25. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 それはやはり附則三項でございます。毎年どういうふうな順序で目標まで到達するようにやっていくかということは政府におまかせをいただきたいというのが今度の御提案内容でございます。
  26. 塩崎潤

    ○塩崎委員 今度はそれでは味村部長にまたお伺いしなければならぬようになったのですが、過疎県の特例配分もこの規定だと言われるし、しかも過疎県の最低保障——私は、これは段階的にふやすという規定であって、最低保障の規定ではないと思うのですよ。それもこれで書くのだ、こう言われると、どんぶりで何でもかんでも入るような政令だと、これまたたいへんな危険な法律ですが、最低保障までこの附則で書けるかどうか。「政令で定める」これは何でも定めるのじゃないのですよ。一つの制限がついて政令が定められるようになっておるので、これは段階的に五分の一ずつやるのだという規定だと私は思うのです。すでに出ております政令を読んでみますとそうなんですが、最低保障の規定はどうしてもこれからは出てこない。味村部長、どうなんですか。
  27. 味村治

    ○味村政府委員 先ほどお答えが不十分だったかと思いますが、カッコの中につきまして過疎県なら過疎県と書いてはどうかという御指摘でございまして、確かにそのような御意見も十分尊重して考えなければならないと思うわけでございます。ただ、ここで「政令で定める特別の事情がある」というようにカッコ書きで定めておりますのは、これは合理的に解釈をするということでございまして、五十三年の三月までではあまりに急激に増減があるというような学校については五十五年の末までというような、もう少しなだらかにしようという趣旨がここに含まれているのであろうというふうに考えております。  ただいまの問題でございますが、これはこの政令の委任されております範囲は昭和五十三年の三月三十一日、あるいは政令で定める特別の事情がありますところでは五十五年の三月三十一日までの間でございますから、その間におきまして目標数に漸次近づけることを旨といたしまして毎年度政令で定めるわけでございまして、その間の標準につきましてしか委任はされていないわけでございます。したがいまして、その間におきまして急激な変動を避けるというために合理的である限りは政令で定めることも許されるのではなかろうかと存じます。
  28. 塩崎潤

    ○塩崎委員 どうも味村部長らしくない御答弁ですが、この七一ページの附則の三項、四項を見ていただいたらよくわかるのですが、私は、この最低保障というものは、やはり定数法の例外ですから、根拠を法律で書くべきである、あるいはまたせいぜい譲っても最低保障をするのだという附則を別途に書いて、それを政令にゆだねるというふうに書かなければ、みそもくそも一緒に書くようなこの附則では出てこないと思うのです。こういうこまかい論議は国会に向かない。おそらく文教委員長もこんなことは初めて聞いたような顔をされておりますから、この程度でやめることにして、もう少し法律の善き方と申しますか、法治国家、新憲法のもとではもう少し政令がない法律というものが望ましいと思うのです。確かに文部省の方々にとってみれば、府県を手なずけたりする、それからまた参議院選挙に出るには便利な権限を強める規定かもしれないが、しかし私はどうも好ましくないと思うのです。もう少し政令への委任の問題は真剣に考えていただいて、そして私どもが審議してもわかるような、過疎県であるやら過密県であるやらわからないような、日教組が強いと何でも書けるような政令委任は断固排除すべきだ、これがほんとうに新憲法の思想だと思いますので、これはひとつ御検討をわずらわして、今後とも文部省から出る法律についてはもう少し明確な根拠が説明できるような法文構成にしていただくことをお願いしたいと思います。
  29. 稻葉修

    稻葉委員長 塩崎君に申し上げますが、言わずもがなのことですが、こういう論議は国会に向かないとも思っておりませんし、それから初めて聞く議論のような顔色をしていると言われますけれども、あなたの顔色判断は誤っておりますから、申し上げておきます。
  30. 塩崎潤

    ○塩崎委員 そこで、このような精緻な議論もときどきやらしていただくことにして、私はもう一つ、定数法については、こういった勧奨退職年齢の延長という観点からも大事な、しかも時代の変遷に応ずるような定数法だと思うのです。ところが、過去の改正の経過を見ますと、五年計画と称して、このような大事な要請の強い法律を五年に一回しか出さないというような慣習ができ上がっている。これは大臣いいでしょうか。今回直しましたのは、過疎県の複々式学級をやめたり複式学級の定数を緩和したりするということだけなんです。しかも密度の高い、塾なんというものは要らないような学校教育にしたいというときに、五年後でなければ定数法の改正ができないということは、予測されていることなんです。それがいままでの慣行なんです。来年度もこの定数法については、いまのような法律上の不備もあるということを考えれば、ひとつ新しい観点からもうさっそく定数法の改正についても検討するということが言えるか言えないか、これはひとつ大臣いかがですか。
  31. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 定数法を改正しますについては、一つは、児童生徒数が今後どう変化していくかということを踏まえなければなりませんし、またそれを踏まえまして教職員の養成計画、これも並行させていかなければならないと考えるわけでございます。そうしますと、やはり少なくとも五年単位くらいの計画が一番穏当じゃないだろうかなという気がいたします。現在ゼロ歳から五歳までの方々はいずれ小学校に進んでいくわけでございます。したがいまして、今後五年間の小学校の児童数については見当がつくわけでございます。もちろん中学校については小学校基礎にして見当がつけられるわけでございます。そういうこともございますので、やはり長期計画で絶えず教職員の定数の是非を論じていくという姿が正しいのではなかろうか、かように考えているわけでございます。
  32. 塩崎潤

    ○塩崎委員 最後の質問をいたしたいと思いますが、このいわゆる定数法は、学校の先生という人的資源を充実する、あるいは拡大する法律でございます。教育は人によって行なわれるわけでございますから、この定数法は非常に大事でございますし、人材確保法案と相まって人的資源についてはよほどの配慮をしていただきたいと思いますが、同時に他方、学校教育についての物的資源の充実について、たとえば学校給食とかあるいは老朽校舎の施設の改善とかいろいろありますが、そこで、最近は特に物価の高騰の激しいときでございます。入学準備にいろいろとお金がかかるので、この委員会においても御質疑が用意されていると聞くわけでございますが、生活保護世帯には、御承知のように入学準備金が準備されておる。要保護より一つ程度は上かもしれませんが、準要保護世帯、これは私が主計官をやっておりました昭和三十年から、学校給食については特別な配慮がなされているわけでございますが、しかし、入学準備金については、物的資源という観点から見て、人的資源のこの法案の審議の際に若干の関連もあるかと思いますが、準要保護世帯についても入学準備金を準備されるお気持ちがあるかどうか、最後に大臣の御答弁を簡潔にいただきたいと思います。
  33. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 御指摘のように、最近の経済状況の激しい変化などから考えてまいりますと、要保護家庭にとっております援助措置を準要保護家庭にも広げていくということはきわめて大切なことだと思います。すでに給食でありますとか学用品でありますとか、あるいはまた通学費でありますとかにつきましては、要保護家庭も準要保護家庭も、どちらも児童生徒に対しましては同じような措置をとっておるわけであります。そこで、入学準備金についても同じような措置をとりたいということで、先月以来文部省と大蔵省間で話し合いを続けてきたわけであります。最近になりまして、ようやく事務当局間で話し合いがついたところでございます。小学校に入学する、中学校に入学する児童生徒を持っておる要保護家庭につきましては、小学校の場合には一万五千円、中学校の場合には二万八千円支給されているわけでございます。新しく学校に入ったからランドセルを買わなければならない、あるいは洋服を整えなければならない、そういうような足し前にすることが目的でございます。  準要保護家庭につきましてどの程度の金額が穏当であるか、いろいろ議論があるところでございますけれども、小学校の場合に一万円、中学校の場合に一万二千円差し上げるように、市町村と国とで折半負担をしようということにさせていただきました。総額で国から十億三千万円の金を出すわけでございます。市町村も同じ金を出していただく。それによって、準要保護家庭について要保護家庭並みにとられてきた措置が一段と進められるということになったわけでございます。先月来話し合いをしてきたのがようやく実を結んだわけでございまして、十分とは言えませんけれども、やはり国としての配慮の一つの前進だというふうに私としては考えているところでございます。
  34. 塩崎潤

    ○塩崎委員 大臣の御答弁で準要保護世帯にも入学準備金が出ることが非常に明確にわかりましたので、これで質問を終わらせていただきたいと思います。
  35. 稻葉修

    稻葉委員長 定足数が欠けておりますし、国会法にも疑問が信じましたから、この際、暫時休憩いたします。    午前十一時二十四分休憩      ————◇—————    午後一時十六分開議
  36. 稻葉修

    稻葉委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  内閣提出公立義務教育学校学級編制及び教職員定数標準に関する法律等の一部を改正する法律案議題とし、質疑を続行いたします。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。馬場昇君。
  37. 馬場昇

    馬場委員 法律案内容について質問をする前に、文部大臣の学級編制教職員定数等に対する基本的な考え方について、最初ただしておきたいと思います。  学校でわかるように教えてくれということは、ものを言わない児童でも、あるいはものを言う生徒でも、すべての児童生徒の願いだろう、こう私は思います。さらに行き届いた教育を施していただきたい、これはすべての親の願いだろう、こういうぐあいに思います。また行き届いた教育ができないということは、これは大臣もよく言われます、生徒の教育を受ける権利というものを侵害していると私は思うわけでございますが、この点についての文部大臣の御見解をまず伺っておきたいと思いますし、今日具体的なデータを私ここには持っておりませんけれども、巷間、学校の中で半分以上の生徒がよくわからないんだ、あるいはお客さんだ、こういうようなことがよくいわれるわけでございます。こういうような状況の中に児童生徒を置いておくということは、たいへんゆゆしい問題だろうと思うのですけれども、こういう問題点について文部大臣はどう考えておられるかということを最初にお聞きしておきたいと思います。
  38. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 教育は、児童生徒一人一人の持っている能力を伸ばしていくということだろうと思います。したがいまして、そのことの可能な人が教育に当たってくれなければならない。また児童生徒がみずから学びとろうとする意欲を起こすような環境を整えていかなければならない。いろいろ積み残していくとか、あるいはなかなか到達度が高くてとてもそこまでいけないとか、いろいろな問題があるわけでございますけれども、そういう場合にも、事情は一つじゃなくて、いろいろなことが重なってきているのじゃないだろうかというふうに思いますので、やはり総合的にそれらの問題を判断し、解決をするように進めていかなければならないものだろう、こう思っております。
  39. 馬場昇

    馬場委員 私も、いろいろな事情で半分以上がわからない、お客さんだというようなことが起こっておるということはわかります。問題は、こういうような状態は、子供が教育を受ける権利というものを侵害をしておるという状態ではないのか、こう質問をしたわけです。それにひとつ端的に答えていただきたいと思います。  たとえば、これは私の聞いた話ですけれども、高等学校に入ってきたときに、三分の二足す四分の三、これを分母は分母で足して七とし、分子は分子で足して五とする。三分の二足す四分の三は七分の五だ、こういうような生徒が入ってきた。これはだれが見ても、数学の能力がない、あるいはついていけない生徒だと言いがちでございます。ところが、高校の教師がその生徒に行き届いた教育を施した。高等学校三年を卒業するときには、あのむずかしい微分、積分を難なくこなし切るような数学の能力を身につけた。こういう例を聞いておるわけですけれども、まさに行き届いた教育が行なわれれば、分子は分子、分母は分母で足すような、普通数学能力がないといわれているような人間が、むずかしい微分、積分でも堂々と解いていける、こういう生徒になれるという状況もあるわけでございますし、まさに私は、いま議題になっておりますところの学級の定数なりあるいは教職員定員というものを考えます場合には、何としても子供の教育権の尊重、学力向上、こういうものをすべてに優先して、そこに視点を据え、そこを原点としてものを考えるべきだ、こういうぐあいに思います。  これについての、さっきの教育権の侵害に対する端的なお答えと、いま申し上げました定数法、学級編制を考える場合にどこに視点を置き、どこを原点としてものを考えておられるか、ということについて再び御答弁を願いたいと思います。
  40. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 率直に申し上げまして、私は、教育権の侵害とかいうことで片づかぬ問題じゃないだろうかという気持ちを持っているわけでございます。やはり国なり地方公共団体なりが、りっぱな教育が行なわれますように積極的に条件を整備していかなければならない。いま問題になっております一学級当たりの人数にいたしましても、戦後はたしか一学級当たり六十何人だったと思います。それが六十人になり、五十五人になり、五十人になり、四十五人になってきている。前進をしているわけでございますけれども、今後といえどもなお前進をさせて、よい方法を具体的に確立していかなければならない、こう考えているところでございます。  根本的に、小学校ではどういうような教育が望ましいのか、中学校ではどういうような教育が望ましいのかという問題がまずあるのだろうと思います。私は、基礎的なものをしっかり身につけさせる、そして変化に耐えるような力をつちかっていけばいいのであって、あまり盛りだくさんに何もかも覚え込ませようというような行き方はひとつ考え直してもいいのじゃないかな、こう思っているわけでございます。同時にまた、小学校は、私は徳性を養うところだというふうに思っているわけでございまして、知育、体育、徳育、調和のとれた人間をつくっていかなければならないということが常にいわれているわけでございますけれども、やはり小学校は徳性をつちかうところだというような感覚で知育にも当たっていくべきものじゃなかろうか、こんなふうにも思っているわけでございます。  そういうようなもろもろの教育諸条件を整備し、そしてまたそれに当たっていただきます先生方がみずからその能力を高める努力をしていただく、そして期待するような子供が育つようにみんなで力を合わせていかなければならぬのじゃないだろうか、まだまだ私たちが努力しなければならぬ問題はたくさんある、こう思っております。
  41. 馬場昇

    馬場委員 私は大臣の責任を追及しようとか、そういう意味で言っているのじゃなしに、やはりこの法律審議する場合に共通の理解といいますか、共通の土俵といいますか、そういうものを踏まえながら議論していきたいという意味で言っているわけなんです。だから私は、少なくとも学級の中の半分がついてこれない、このことは、いろいろな条件はあると思いますけれども、やはり子供にとっては、教育を行き届いて施せばできるのに、それができないというゆえにわからないという状況があるということは、子供にとっては教育権の侵害と言うと、えらい責任追及みたいに聞こえますけれども、そういうことがあってはいけないんだというようなことは大臣も十分考えておられると思うわけですけれども、ぜひ定数を考える場合でも、ほかの問題もそうですけれども、やはり子供の教育権というか、行き届いた教育というか、学力向上というか、そういうことを原点にしてひとつ考えていただきたいということを申し上げておきたいと思います。  次に、教職員の労働条件について大臣がどう把握しておられるのかということについて質問をしておきたいと思うのですが、われわれが調べましたところによりますと、一週間に四十四時間以上も勤務時間がある。超過勤務を含めましてそういう状況がある。こういうぐあいに教職員の勤務時間が非常に長いというような状況がございます。これについて大臣はどう考えておられるのか。  さらには、これは資料は、御説明は大臣でなくてもけっこうですけれども、法に認められました年次有給休暇、これはほかのどの職場に比べましても、教職員が年休をとる日数が非常に少ないという状況がございます。文部省の調査によりますと、大体教職員平均何日年休を一年のうちとっているのか、その数字もお聞かせ願いながら、年休がとれないという状態が確かにある、これについてどう考えておられるのか。  さらに、最近非常に先生方のからだのぐあいが悪い、病気が多くなっておる、こういう実情も聞いておるのですけれども、こういう点については文部省はどう理解されておられるか。  そうしてまた、法に定められまして——法にあろうがなかろうが、教師はお互いに自分の研修、研さんを積んで、そして児童あるいは生徒の教育に当たるわけですし、法律にも研修をする義務があるわけです。その研修時間というものが非常にない、研修の機会というものが非常に少ない、こういう問題もあるわけでございます。  さらに、学校が円満に動く場合に幾つかの仕事の種類があるわけです。ところが、必要な職種というものが置かれていないために教職員が雑務をだいぶ持っておる。たとえば事務職員が少ない。それは幾ぶんおります。あるいは用務員さんさえもいない。いろいろな職種が少ない、あるいはおらないために雑務を持っておる、こういうような状況が多うございます。  こういう週当たりの労働時間、あるいは年休もとれない、病気が多くなっておる、研修が十分行なわれない、雑務が多い、こういうことが教育現場からいろいろ報告されておるわけですけれども、こういう問題について文部大臣としてはどういうぐあいに認識をしておられるのか、把握をしておられるのか、お尋ねしたいと思います。
  42. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 教職員の定数を逐次充実してまいってきておるわけでございまして、今回もまたそういうねらいで、第二次ベビーブームでそういう措置を講じなくても先生方がよけい要るにもかかわらず、加えて、改善によってふやしていこうというところは、充実した教育が行なわれるようにしたいという配慮にほかならないわけでございます。  私は、先生方をできる限り事務から解放してあげたい、こういう気持ちを非常に強く持っておるわけでございまして、今度の定数改善の場合にも事務職員にかなりウエートを置いていることは御理解いただけると思うわけでございます。理想から言いますとまだまだでございましょうけれども、やはりそういう配慮には特に力を注いでいくべきだ、こう思っております。  同時に、先生方の勤務時間が何時間になっているかということは、私は、先生方は授業にあたりまして事前にいろいろな準備をされる、また、その準備だけじゃなしに、深い知識を養うために積極的に研さんを積まれるわけでございますので、先生によってその状態は非常に違うと思うのであります。われわれの過去を顧みましても、家に帰っているからといって別に休養をとっているわけじゃない。やはりいろいろな調べものもし勉強もしているわけでございまして、先生方も同じだろうと思います。ですから、何時間勤務になっているとかいうことではなしに、なお一そう勤務時間がふえるということになるのかもしれませんが、もっともっと勉強をしてもらいたいというお願いも申し上げたいと思いますし、反面また定数の改善を積極的に進めていきたい、そうして、問題は教育の中身を充実させることだ、こういうことで努力したいものだな、こう思っております。ただ、諸外国と比べてみます場合に、本務教員一人当たりたしか二十二、三人になっているんじゃないかと思うのでございますが、先進諸国とそう変わりがない姿のようでございます。  なお、先生方の健康の問題についても十分配慮していかなければならないわけでございまして、先生方の健康診断の問題につきましても、文部省としては特段の配慮をしているつもりでございますが、今後といえどもそのような配慮をさらに緻密にしていきたいものだ、かように考えております。  あとの問題につきましては、事務当局からお答えさしていただきます。
  43. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ただいまの年休のことでございますけれども、いま正確な資料を持ち合わしておりませんが、小中学校で十日から十一日ぐらいの間、それから高等学校で十二日程度というふうに私どもの調査ではなっておるわけでございます。ただ、夏休み、冬休み、春休み等の勤務の状態、それが具体的に年休という形ではなくて、どういうふうな形になっておりますか、これは私どものほうでも正確には持っておりませんが、あるいは自宅研修とかいうふうな形でやっておられるというふうな事実はあるかもしれませんが、正式の年休と申しますか、そういうものは一般の公務員に比べて低い。先生方のほうも、そういう点につきましてもまた勤務時間につきましても、私はかなり使命感とかそういうものに基づくものとは思いますけれども、子供の教育のためにみずから力をかしていただいているというふうに考えている次第でございます。
  44. 馬場昇

    馬場委員 いま答弁を聞いておりますと、使命感というふうなものは、やはり先生方が自発的に自主的に持つということは必要だと思うのです。ただ、それを行政が、さらに言うならば権力を持っておる者が押しつけてはならない、私はこういうぐあいに思います。  そこで、いま局長の話を聞いておりますと、たとえば勤務時間の問題についても、昔のように前近代的な無定量の勤務が教職員の勤務態様だ、これはもうナンセンスな問題でございますし、やはり法律に基づくというようなことで、勤務時間は世界的にも国内的にもだんだん短縮されていく方向にあるわけですから、教職員の勤務時間も、文部省としては短縮をしていただくような措置をとっていきたいという基本方針は持ってもらわなければ困る。その基本方針を持ちながらも、自発的、自主的に使命感に燃えられるというのは別の問題として考えなければならぬ問題であって、勤務時間を考えるときに、自発的に使命感に燃えて、だから勤務時間は多くていいんだ、こういうことにはならないんじゃないか、これは非近代的な考え方ではないか、こういうことを思いますので、その辺についてはきちんと区別をしてひとつ御答弁を願いたいと思うのです。  それからまた、年休がとれないということは、いま数字を大体おっしゃいました。これは、ほかの職業に比べて少ないわけです。これにつきましては、また局長は、あたかも夏休みがあるから年休は少なくていいんだというように私聞いたならば、そうじゃないということかもしれませんが、私はそう聞こえました。少なくとも年休は年休です。夏休みは夏休みとして、先ほど言いました研修とかなんとかあるわけですから、夏休みと年休をごっちゃに考えて行政をしてもらっては困る、私はこう思うのですが、これについて再度誤解のないように御答弁いただきたいと思うのです。大臣が、雑務とか事務から教職員を解放したいと言われることは当然で、ぜひそうやっていただきたいと思うのですが、そういう点について、再びはっきり御答弁を願いたいと思うのです。
  45. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ただいま先生仰せのとおりだと思います。勤務時間につきましても、現在四十四時間ということではございますけれども、教職員給与の特別措置法を成立させていただきまして、それによりまして、教員の超過勤務というのは原則として非常に限られた場合にするのだというふうなこともはっきり規定をしたような次第でございます。また、特別調整額を支給いたします場合にも、これは教員の勤務というものは超過勤務になじまないのだということが基本的な考えになりまして、そうしてあの法律が施行されておるということも事実でございます。  なお、勤務の問題につきましては、これは一般の公務員の週休二日制というふうな問題もいま話題になっておるところでありまして、それとの関連におきましても、教員につきましては同じような方向で考えていく、また雑務の解消につきましては、ただいま大臣から御指摘がございましたように、事務職員の増加その他によりましてそれを解消していくという方向で進んでまいりたいと考えておる次第であります。
  46. 馬場昇

    馬場委員 教職員の勤務条件の改善ということにつきましても、これは定数ともかかわってくる部面が非常に多いのですけれども、その他の要因もございますし、勤務条件の改善については、ぜひ答弁の趣旨にのっとられまして努力していただきたいと思うのです。  次に、さっき大臣もちょっと触れられたのじゃないかと思うのですが、日本の学校における授業の日数、これは多過ぎるという批判がございます。事実、ヨーロッパに比べましても、アメリカに比べましても、あるいはソ連、中国、東欧諸国、こういう国と比べてみても、日本の授業の日数というのは非常に多いわけですね。こういうことについて、多いとお認めになるのかということと、さらに、諸外国は年間の授業日数は少ない、日本のほうはやはり多過ぎるのじゃないか、これを減らすというような方向で検討なさっておるのかどうか、これについての御見解をまずお伺いしたいと思います。
  47. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 結論から申しますと、この問題につきましては、現在行なわれております教育課程審議会におきまして御検討いただきたいと考えておるわけでございます。  相対的に申しまして、外国の場合、一番少ないところでは百八十日というふうなところもあるようでございますが、わが国の場合二百四十日ということで、世界的に見まして多いことは確かでございます。しかしながら、わが国のような社会で、それが一体、国民、父兄、先生方に受け入れられるのかどうかというふうな問題もございますが、私、ちょっと出どころをはっきりしませんけれども、最近、校長会等の御意見では、二百四十日というのは適当じゃないかというふうな意見も出ているというふうに伺っております。わが国では子供をできるだけ公的な機関で預かってほしいというふうな御要望も父兄の間には強いのじゃないかというふうな感じもしているわけでございますが、いずれにいたしましても、どういう形でお預かりをするかということは別にしましても、現在の二百四十日を縮めるという積極的な理由があるのだろうかというのが、ただいま私どもが考えているところでございまして、そういうものは一応維持しながら、内容面につきまして、もう少し基礎的なものにしぼってしっかりやる、それからもっと余裕のある学校生活が送れるようにするというふうなことを考えたほうがよろしいのじゃないかというのが、現在のところ事務当局の私どもとしての考えでございます。
  48. 馬場昇

    馬場委員 いま答弁を聞いておりますと、私の調べた範囲では、どこの国よりも多いわけですよね、二百四十日。やはりヨーロッパにしましてもアメリカにしましても、それから社会主義の国のソ連、中国あるいは東欧にしましても少ないわけです。ところがいまの話によりますと、日本は多いということはお認めになったようですけれども、これは減らすというような事務当局の考え方は持たない。いろいろ審議会でおはかりになるそうですけれども、私はやはり諸外国のそういう例を見ながら唯我独尊とは言いませんけれども、少ないというのは何だ、多過ぎるんじゃないかというような視点というのは持つ必要があるのじゃないかと思いますし、ぜひ検討していただきたいと思うのです。  それから、さっき大臣も徳育云々と言われました。今度は教育内容でも、これは局長も答弁されましたけれども、内容で、たとえば知識だけを詰め込むというようなことからそのほかの部面を広げるというようなこともあると思いますけれども、これは子供というのはどろにまみれ、太陽のもとでとにかくどろまみれになって遊ぶというような中、そこから人間形成というのができてくるという非常に重要な問題もあると思うのです。そういう意味において、やはり授業日数というのを減らしながら、そうしてほんとうに太陽のもと、どろまみれになって遊ぶという中から人間をどうつくっていくかという、そういう視点の、教育の詰め込み主義からそういう方向に持っていくべきじゃないか、その中の一つとして授業日数というのはやはり減らすように考えていったほうがいいのじゃないか、こういうぐあいに私は思います。  そこで、これについても再度御見解を聞きたいのですが、週五日制の問題、またこれは教職員にとっては週休二日制の問題こういう問題について大臣ときどき新聞等に出しておられるようでございますけれども、これはどうお考えになっておるのか、現在どう検討されておるのか。週五日制の問題と週休二日制の問題、これについての御見解なり、今日の文部省内における検討の状況なりをお聞かせ願いたいと思うのです。
  49. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 全く個人的な見解でございますけれども、戦後の日本の姿を見ておりますと、家庭の中でも子供社会がなくなってきた、町の中でも子供社会がなくなってきた。やはり子供社会の中で小さい子供は年長の者からいろいろと教えられてくる、しつけについても考え方についても教えられてくる、その中からよき社会人になる素質が芽ばえてくるものじゃないだろうか、こんな感じを持っているわけでございます。  わが国では、学校教育に特段の評価を与えるわけでございますけれども、やはり学校教育は学校教育、社会教育は社会教育、それぞれ特色を持っているのじゃないだろうか、いまの日本の姿を考えますと、私は社会教育に一つの役割りを演じてもらいたいなという希望を抱いているわけであります。小学校の場合でも中学校の場合でも、ときには少年自然の家のようなところに行って、数日間、年下の者、年上の者一緒になって合宿訓練を受けるというような生活があってもいいんじゃないだろうか、こんな希望を持っているものでございます。それにはそれなりに施設が要る、指導者が要るというような問題がございます。  他面、学校教育というものは基礎的なものを身につけるのだ、変化にたえる力をつちかっていくのだ、そういう角度から何もかも覚え込ます必要はない、思い切って教育課程を精選していく。精選していくと、結果として週六日の授業が必要なのか、週五日授業でいけるのかというような問題が出てくるわけでございます。  私は、学校教育と社会教育との体系的な結びつきを考えていきたい。子供さんの遊ぶ時間をふやしたいなんということは考えておりませんが、りっぱな社会人になっていくのには学校教育、社会教育、どう協力し合っていくべきものなのか、よい道を見出せないものだろうかな、こんな希望を持っているわけでございます。  そういう私なりの希望をも教育課程審議会で申し上げさせていただいたことがあるわけでございますけれども、教育課程審議会でまず教育内容、望ましい人間を学校で育て上げていくのには教育内容をどうしていったらいいだろうか、それにはどれくらいの時間が必要だろうか、まずこれがきまってきませんと、かりに週五日授業がいいということでありましても、それは無理だ、こういうことになるかもしれません。同時にまた、社会教育に一つの役割りを演じてもらうというと、その時間をどこから持ってくるのだろうかということにもなるわけでございます。個人的にはそういう気持ちも持ちながら、どういう事態になっても混乱が起きないように進めていくようにしなければならない。そういう意味で社会教育、社会体育の施設の充実もはかっていく、指導者の育成も積極的に力を入れていく、また教育内容はいかにあるべきかということについての教育課程審議も進めていっていただくというようなことでいま努力しているところでございます。それぞれの成果が出てきました上で総合的に判断して結論が出されるべきものだろう、こう存じておるのでございます。
  50. 馬場昇

    馬場委員 杞憂であればいいのですけれども、私の質問の視点というのは、いま大臣は学校教育、社会教育、もちろんどちらも大切ですし、必要です。私は、そういうすべての子供の人間発達という中で学校教育だ、社会教育だというようなことを聞きますと、誤解であり杞憂であればいいのですけれども、何か少年自然の家にすぐ入れるのだ、それが社会教育だ、こういうような観点にとり、何か規格品みたいなものをつくるような気がするのです。だから、私はわざと子供は遊ばせたほうがいいのじゃないか、自然の中で遊ぶということ、遊ぶというと、日本人は何かえらい罪悪みたいに言いますけれども、これは罪悪じゃなしに、遊ぶという中から人間形成というものはできるのだ。ほんとうは正しい遊びといいますか、自由な遊びといいますか、そういうものをやはり考える必要があるのじゃないか。何もすぐ学校教育でなければ社会教育だというのじゃなしに、自由に遊ばせるというのも教育だというような観点、視点というのが必要じゃないかというぐあいに私は思うものですから、規格品に、すぐ社会教育というのは自然の家なんか、そういうことにならぬように、私の言う意味についてどう理解されておるのか、お聞きしておきたいと思うのです。  それから週五日制の問題、週休二日制の問題は、他の問題がいろいろ結論が出たあとに考えるのだ、こういうようないまの御答弁のようでした。しかし、いま世界的にもあるいは国内的にも、週五日制というもの、週休二日制というのは常識になりつつあるわけですね。だから、ひとり教育界のみこれがおくれてはならないと私は思います。決して拙速でやれという意味じゃございませんけれども、そういう意味で私はいまからやります定数の問題を考えます場合に、やはり定数の将来的な発展の改善の方向をどう持っていくかということに合わせながら、当然授業日数の問題、週休二日の問題、週五日制の問題、こういう問題も並行して考えていくべきものではないか、こういうぐあいに思うのですけれども、再度御見解を承っておきたいと思います。
  51. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 遊ばせるというよりも、私は、よく遊び方を覚えさせる、こういう表現を使っているのですけれども、同じような気持ちを持っているのだなあと、こう伺わしていただきました。一つの例をあげただけのことでございまして、合唱団をつくるとか、野球のチームをつくるとか、いろいろな式の社会教育、これは社会教育ということですから、規格品をつくるというものの発想とはおよそ違っているのじゃないだろうか、こう思っておるわけでございます。おそらく学校にクラブ活動を取り入れてきたのも、そういうようなことを頭に描きながら生まれてきているのじゃなかろうかと思います。だから、学校のクラブ活動などもそういう場合には社会教育が引き受けるというような編制のしかたもあるのじゃないだろうか、こうも思っているところでございます。公務員の立場から考えますと、週休二日でございますし、児童生徒の立場から考えますと、学校五日授業であるか六日授業であるかという問題であろうと思います。公務員について週休二日制度がとられました場合には、私は、学校の先生も例外にすべきものではない、同じように週休二日制にすべきである、こう思っている人間でございます。その場合に学校の授業をどうするかということ、これは大問題でございまして、五日授業になるのか、六日授業になるのか。でございますので、どのようになっても心配がない、混乱が起きないというような手はずを整えていかなければなりませんので、先ほど申し上げましたように、二年を目途に教育課程審議会を発足させたのです、あるいは社会教育、社会体育の施設の整備もはかっているのです、指導者の養成もはかっているのです、こうお答えをさせていただいたところでございます。  いずれにしても、どういうような人間をつくり上げることが一番望ましいか、これが起点になると思うのですけれども、その起点の上に立ってもろもろのあり方を検討しなければならない、かように存じております。
  52. 馬場昇

    馬場委員 次に、午前中の過密の問題、過疎の問題が議論になっておったようでございますけれども、今日教育だけじゃございませんで、過疎過密の問題というのは、国民の生活あるいは国の行政の中で非常に重要な問題だということは、だれもが認めておるところでございます。  そこで、この過疎過密の問題と教職員の定数の問題、学級編制の問題を含めながら教育条件の問題についてお尋ねしますけれども、非常に過疎が進行しておる、過密が進行しておる、こういう地域がございます。そういう中で教職員の定数をどうするのか、あるいは学級編制の基準をどうするのかというのは、非常にむずかしいのではないかと私は思うのです。過疎地域が減るところ、ふえるところがありますから。こういう点で、教育条件整備というものから考えて、過疎過密が進行しておるということは、教育条件の整備をするときに、たとえば過疎地帯ではこうしたいと思うのだけれども、片一方に過密地帯があるものだから、教育条件の改善ができない、足を引っぱる、こういうようなことが現実起こっておるのじゃないか。私は、この法律案を読みながらでも、そういう感じがしないでもないのです。だから過疎過密の問題が条件改善に対して足を引っぱっておるという状況が事実あるのじゃないか、こういう点についてまずお聞きしておきたいと思います。  さらにもう一つは、生徒がずっと減ってみたり、ベビーブームが来てみたり、そういう状況が、これは天の摂理でしょうからしようがないのですが、ありますね。そのことが、ずっと減るのだったらこう改善ができる、ふえるのだったらこう改善ができる。それがサインカーブみたいに来るものだから、改善にあたってこのことが頭にひっかかって、足を引っぱることになっていはしないかどうか。過密過疎の問題、あるいはベビーブームあるいは減るという問題、こういうものが改善に対して足を引っぱっているのじゃないかと私は思うのですけれども、どうですか。
  53. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私どもは、全国的に教育の水準を高めるという観点からこういう法案も提出させていただいておるわけでございますけれども、それにただいま御摘指になりました過密過疎というふうな非常に大きな社会問題がからまってきているわけでございます。したがいまして、私どもは、全国的な水準向上というものを第一には考えますが、そういう社会的な変化というものを無視はできない。それによりまして、教育上いろいろな支障が出てくるわけでございますので、それを無視していろいろやるわけにはいかないということで、やはりそういうものの影響を受けるということはあるわけでございます。  ただいま先生御摘指になりました点を具体的に申し上げますと、たとえば一学級の学級編制を四十五人、これを下げていくということにつきましては、過密という現象がその足を引っぱったのじゃないかというふうな御指摘じゃないかと思います。またもう一つは、第二次のベビーブームが起こるということによりまして教員の自然増がある。そこで、それに必要な教員も確保しなければいけない、同時に、ここで改善をはかろうといたしますと、そこにおのずから限界が出てくるというふうな御指摘ではないかと思いますが、いずれも御指摘のとおりでございまして、私どもは、全国的な水準向上させるということを第一に考えながら、そういうものの影響も受けていく、配慮もしていくということはやむを得ないと申しますか、また必要なことではないかというふうに考えておるわけでございます。
  54. 馬場昇

    馬場委員 まさに、私が心配しておった点と、文部省が具体的に改善しようと思われるときに困離な問題というのは、いま局長が言われたとおりだと思うのですが、私は、文部省としては、過疎過密の問題で足を引っぱられないようにしながら、過疎過密を、てこといえば語弊がありますけれども、利用しながら、足を引っぱられる材料にしなくて改善する材料にするという発想の転換があればできはしないか。ベビーブームにしたって同じです。そういうぐあいに、こういう社会的な現象を改善のためのおもりにするのじゃなしにバネにする、こういうようなことで改善をしていただきたい。非常に困離な点はあると思うんですけれども、そういう考えをもって、全国一律というのじゃなしに、きめこまかく、こういうところはどうする、こういうところはどうするというような、まあ一部分先に進んでおってもやむを得ないのじゃないかとかというような、きめこまかい対策を考えながら、ぜひ改善のバネにしていただきたいということを申し上げておきたいと思うんです。  そういう一つの例として、たとえば過疎地域について申し上げますと、過疎地域というのは教育だけじゃございませんで、すべての条件が非常に悪い。そしてまた事実過疎地域は荒廃し切っておるという状態さえもございます。そういう中で教育の問題もそうですし、文化の問題もそうだし、過疎地域においてはたとえば文化の恩恵に浴する機会などはほとんどないわけです。あるいは健康の問題等もございます。そういうときに、たとえば無医村の小学校、中学校には、やはり優先的に養護教員を配置すべきだ、そういうこととか、あるいはそういう過疎地域の小学校、中学校に音楽の専科教員をたくさん配置する、そしてそこの地域で音楽会をやってみたり、あるいは芸術の先生をやって、そこで展覧会をやってみたり、そういう過疎地域の教育を向上しながら、その地域の文化の発展に寄与するというような意味を含めて、そういう専科教員の配置、養護教員の増員、こういうことを考えていただいてもいいと思います。まだ例はたくさん持っておりますが、時間がございませんけれども、何としても教育というのは過密地域でやるよりも過疎地域の教育条件がよろしい、あそこに行けば専科教員もたくさんおられる、静かでもあり環境もいい。だから過密地域におる父兄が自分の子供は過疎地域にやって教育をさしたい。みんながそう願うような過疎地域の教育の条件向上、そのことが荒廃し切っておる過疎地域に幾ぶん息をよみがえらせましょうし、暮らしやすくするわけでございましょうし、そういう点も教育行政の中から考える必要があるのじゃないか、そういうことを考えておるわけでございます。こういう点についていかがでしょう。
  55. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 仰せの点は、私も同感でございます。そういう意味合いで、たとえば無医村につきましては、養護教諭が配置できますように、定数上の措置も無医村の数に一人を掛けるというふうなやり方もしておるわけでございます。ただ、そういうふうな過疎地帯におきましては、いま御指摘になりましたように、文化的な条件それから生活上の条件、いろいろな不便な面が現実問題としてあるわけでございます。そういうところにおっとめになる先生というのは、これはたいへん御苦労でございますし、また家族の方々もたいへんだろうというふうな気がするわけで、そういうところに十人、二十人の生徒のために七人、八人という先生を配置をするということが、先生方にとって一体どういうことなんだろうかという私ども気もするわけでございまして、そういう気持ちから、僻地等におきまして、教員をあまりたくさん配置しないで、しかも教育の水準が維持できるような方法はないのだろうか、たとえば巡回してごめんどうを見るというふうなやり方なんかもあるのじゃないかということも寄り寄り考えているわけでございます。今度の定数法におきましては、小規模学校につきましては、特に教員あるいは養護教諭等の配置につきましては配慮しているわけでございまして、一応そういう方向ではまいりますけれども、これがさらに進んでまいりました場合に、どういう扱いをしたらいいのか、これはなお研究をさせていただきたいと考えておるわけでございます。
  56. 馬場昇

    馬場委員 これは事務的に言いますと非常に困難な点があるのは私もわかります。しかし、先ほど言いましたことと、たとえば教職員が僻地に行きたがらないという状況もありますが、僻地が条件がよくなりますと、また僻地手当等もよけいっきますと、さっき私が言ったように、子供を連れていっても、僻地のそういうところで教育したほうが教育効果もあがる。そうすると、あの先生は僻地にいていいな、子供もいい条件で教育できていいな、こういう状況になればみんな行きたがるわけですから、そういうように、何としても教育だけは過疎地でやったほうがいいぞ、そのくらい過疎地の教育を重点に考える、具体的にはむずかしいかもしれませんが、そういう方向は大臣ひとつ持ってもらいたいと思うのです。これは大臣からぜひ御答弁を願いたいと思います。  次の問題に移りますが、私も長年教員をしておりまして、県と交渉してみたり、文部省にも来てみたりしたこともございますけれども、教職員の定員増の話をしますときによくこういうことを聞くのですね。いま人件費は節約をするという方針ですとかいう話を聞くのです。そのときに、私は、教職員にかかる費用というのは一般でいう人件費とは違うんだということを思っておるのです。一般の会計の中では、人件費を節約して事業費をふやす、こういうことがよくいわれますね。そういうものと教職員に対する人件費というのは違う。そういう種類の一般の人件費とは違う。これはやはり教育事業費だと考えるべきだ、私はこういうぐあいに思うのですが、そういう点について大臣の見解を承っておきたいと思います。  それからいま一つは、地方財政の中で、各都道府県の中で県単費職員というのを最近たくさん採っております。このことは県財政を非常に圧迫する要因にもなっておるのではないかと思いますが、そういう中でも必要に迫られて県単費教職員というのをどこでもいまどんどんふやしつつあるわけです。これはいいことだと思います。しかし、それが地方財政を圧迫しますと、やろうと思ってもできないし、そういう意味で教職員の定数という問題、学級編制という問題を改善することによって、そして地方財政を圧迫しないように、やはり国の施策というものが非常に重要ではないか、こういうぐあいに思います。私は、都道府県財政を圧迫しないように国が一生懸命努力してくれということの意味ですけれども、人件費に対する考え方、都道府県財政を圧迫しないようにぜひ努力してくれ、こういう問題とあわせて先ほどの問題を御答弁願いたいと思います。
  57. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 辺地の問題は、文教政策だけではなしに、あらゆる面からそういう地域の生活環境を維持向上させる方途を講じていかなければならない、こう考えます。またそのような方途がそれぞれにおいて講じられてきておる、しかしなかなか困難な問題もいろいろあるということではなかろうかと思います。今回におきましても、三個学年複式学級をやめましたり、あるいは二個学年複式学級の人数を切り下げましたりしていますのは、辺地における教育環境をできる限り整えていきたいという配慮からでございます。同時に、先生方の勤務条件を改善いたしますために、住宅問題でありますとかその他いろいろな問題、積極的に今後も改善をはかるように努力をしていきたいと思います。  先生の人件費削減ということがすぐ言われるけれども、先生の場合にはそれらの人件費と同じように考えてはいけないじゃないかという御指摘、全く同様に思います。私はしばしば、教育の基本は教育のにない手である教師にあるのだ、こう申し上げてまいってきておるわけでございます。どんなりっぱな自動車を用意いたしましても、運転手がまともに運転の素養がございませんと、ぶつけてしまって、こわしてしまうわけでございます。私は、やはり教育のにない手は教師だ、だから教師に人を得なければ教育は充実しないのだと常に言うておるわけでございます。経費の分析にあたりまして、経常費と臨時費に区分したり、あるいは投資的経費と消費的経費に区分したり、いろいろな区分のしかたがあります。投資的経費と消費的経費に区分します場合には、人件費は消費的経費に入れられる。しかし事教育についてはむしろ投資的経費に加えるべき実質的な意味がある、こんな気持ちを持っておるものでございます。  県が単独で職員をふやしていくこと、これは地方自治のたてまえから、必要に応じてそのような弾力ある措置が講ぜられることは当然だと思います。ただ、国としては、ナショナルミニマム、これは確保していくのだという見地で教職員の定数をきめておるわけであります。できる限りそれで十分なように教職員の定数を改善していかなければならない、こう思います。しかしながら、地方地方の実情によりましては、教育が困難だから、こういう地域については国が考えておるよりももっと先生をふやしたい、そういう場合には単独で職員を県が設置するということになるわけでございます。単独で置かなければならないことのないように、できる限りナショナルミニマムを引き上げていかなければならないと思いますけれども、それぞれの実態に応じて弾力ある措置をとっていくのが地方自治の役割りでございますので、単独で置くことを、一がいに地方財政の負担が重くなるからいけないというようなことは私は考え違いだと思います。
  58. 馬場昇

    馬場委員 以上、内容に入ります前提の質問をしたわけでございますけれども、次に内容に入って質問を申し上げます。  学級編制の基準についてでございますが、小中学校の単式学級編制基準はずっと四十五名でございます。今回も四十五名が改善されていないわけでございます。四十五名というのは、三十九年から始まりました第二次五カ年計画のときから四十五名でございますね。だから、十年くらい学級編制基準というのは四十五名から下がっていないのです。今回、私はたぶん四十五名は下がるだろうと期待しておりましたら、また四十五名が出てまいりました。この四十五名について、質問ですけれども、これを少なくするというような考え方はあるのかないのか、あるとすればいつごろこれをやりたいと考えておられるのか。この四十五名の学級編制基準を下げたいということについての御見解、あるいは計画があればその目途、そういうものについてお尋ねしたいと思います。  さらに、今回の第四次の五カ年計画は四十五名ですけれども、今回の五カ年計画の中でこれを四十五名より減らすことはできぬのかどうか。この五年間はきちっと四十五名でいくのだ、いや、途中三年目ぐらいで、あるいは何年目ぐらいで下げてもいいのだ、下げたい意図はあるのだ、再検討したいのだ、こういうようなことがあるのかどうか。こういうことについてまずお答え願いたいと思います。
  59. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 一学級の最高四十五人、できれば、私は個人的な気持ちとしては、四十人に持っていきたいなという気持ちはございます。いつそれができるか、これは今後の人口構造の姿を見ながら結論を出していかなければならない性格のものじゃないだろうか。五年単位に計画を改定しておりますので、また次の計画を改定します場合に、人口構造なり社会情勢なりがどうなっておるか、それを見た上で結論を出すべきものじゃなかろうかな、こう考えるわけでございます。現在は幼稚園は四十人が限度、小・中・高が四十五人、職業課程が四十人ですか、そうなっておるようでございますけれども、どのような学級編制が一番いいのか、これはやはり一つの研究課題じゃないだろうか、こう思うわけでございます。国によりましていろいろだそうでございます。高学年になるほど学級編制の最高を引き下げていっているところもあれば、むしろふやしているところもあるというようなことで、若干違っているようでございますので、わが国におきましても、これらの問題につきましてもう少し学問的な研究を重ねて、将来引き下げる場合の準備を始めなければいけないのじゃないだろうかな、こうも考えられるわけでございます。今日学級編制の最高基準を引き下げるということに手をつけられませんでしたのは、先日来申し上げておりますように、第二次ベビーブームでありますとか、あるいは人口急増の都市の現状でありますとか、そういうようなところから、手をつけることが困難であったわけでございます。  いずれにいたしましても、学級編制の基準を下げますと、大量の先生が新たに必要になるわけでございますので、そういうことをします場合には、やはり先生方の養成のほうにもそれなりの準備をしていかなければならないということになるだろう、こう思っております。
  60. 馬場昇

    馬場委員 四十五名を四十名に実はしたい気持ちもあるのだといま大臣はおっしゃいましたけれども、四十五名を四十名に減らすのには、私は、学問的な研究なんかは要らない、当然四十名に減らしたほうが、教育的見地からいって教育効果があがるというのは研究の余地がないと思う。これは明らかに財政的な問題、過疎過密の問題等の関係だと私は思うのです。そういう問題について、これはあげ足をとるようで恐縮ですが、四十名にしたいとおっしゃっているわけですから、ぜひその辺について、四十五名よりも四十名が教育効果があがるわけですから、そういうぐあいに下げるという方向で最大の努力を願いたいと思うのです。  それから辺地、僻地だけでも三十名というわけにはいかないものか、あるいは四十五名を下げるわけにいかないものか、こういうことについても御答弁を願いたいと思いますし、さらに新法の附則が、新法「第三条の規定にかかわらず、児童又は生徒の数及び学校施設の整備の状況を考慮し、同条の規定による学級編制標準に漸次近づけることを旨として、都道府県の教育委員会がその基準を定める。」こういうぐあいにありますが、単式学級編制基準について、各県とか各地域の状態というものを大ざっぱに、こうなっているのだということについてお知らせ願いたいと思います。  それからいま一つは、一年生を含む複式学級、これは三個学年の複式は解消なさって、これは前進だと思うのですが、少なくとも入ってきたすぐの一年生を含む複式というのは、この際私は解消すべきだろうと思う。それから飛び学年の複式というのももちろん解消してもらいたいし、特に一年生を含む複式学級編制は、二十二名から十二名に減ってはおりますけれども、これは解消することはできぬのかということについてお答えをいただきたいと思います。
  61. 奥野誠亮

    奥野国務大臣 私が学級編制の基準をどうしたらいいかということについて学問的な研究をしてもらたいと思っている、こう申し上げましたのは、国によって、高学年になるに従って一学級当たりの人数を下げているところと、逆なところと、いろいろあるようでございます。また四十人なり四十五人なりを二学級にする場合に、またあまり人数が少ない場合にも若干適当でない面も出てくるのだそうでございます。そういうこともございますので、やはりこれは研究したほうがいいのじゃないか、こう思うわけです。私自身が育ってきた過程を考えましても、私たちのときには、小学校は七十人というようなクラスで勉強いたしました。中学に入りますと五十人でした。高等学校に入りますと三十人でした。そんな時代もあったわけでございますけれども、いまの日本は、小学校も中学校も高等学校も四十五人一律です。一律がいいのかどうか、これはやっぱり検討してもいいのじゃないか、こう思っているわけでございます。  それから辺地の場合には、私は四十人、四十五人というクラスはまずないのじゃないだろうか、こう考えるわけでございまして、全国平均も一学級三十二、三人、おそらく辺地の場合はそれ以下というのが普通じゃなかろうか、こう思います。  また複式学級の場合にも、複式学級が二十四人をこえますと二学級に割るのを、今度は二十二人に下げたわけであります。しかし、一年生を含んでいますと十二人にさらに下げたのです。十二人をこえますと、一年生を含む学級の場合には複式じゃなくて二学級に分けるようにしたわけでございます。一人でも一学級でいいじゃないかというわけには私はいかないと思いますので、一年生を含む学級が十二人をこえたら二学級にするように今度はしたわけでございます。十二人がいいか悪いか、これは御議論いただいたらいいと思うのでありますけれども、一年生の複式が一切ないということになりますと、一人でも一学級ということになるわけでございます。辺地になりますと、ある学年はゼロというような学校だってあるわけでございますので、やはりそこまでは一挙にはむずかしいのじゃないだろうか、こう思っているところであります。
  62. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 ちょっと訂正と補足をさせていただきます。  大臣が二十四人と申されましたのは二十二人、今度はそれを二十人に下げるということでございますので、訂正させていただきます。  それから複式学級の一年生の場合でございますが、十二名というふうにいたしましたのは、特殊学級の学級編制と合わせたわけでございまして、大臣がおっしゃいましたことは基本の問題でございますけれども、一応技術的に特殊学級に合わせたということでございます。
  63. 馬場昇

    馬場委員 やっぱり私は、一年生を含めた複式というのは、現場の先生方の話を聞いてみますと、これは解消してもらいたいという意見が非常に強いようですね。たとえば、二年三年なら人数を下げてもらえばいいのだけれども、一年生の複式というのは、入ってきたすぐですし、非常に問題があるから、これは解消してもらいたいという要望を、現場で授業した人たちからはほとんどそういう声を聞いています。これについて、今回は人数だけは減らしていただきましたけれども、それはできれば一年生をやらないようにしてもらいたいというこちらの希望を申し上げておきたいと思います。  それから次に、教職員の配置基準について申し上げますけれども、教職員の配置基準が、中学校の場合、いわゆる無免許教科担当解消のため、中学校三学級以下の学校に一名、四学級の学校に〇・七名の加配が今度規定されております。しかし無免許教科担当教員は、全教科平均で教員総数の約二五%ぐらいおるのじゃないかと私は思うのです。教職員総数の二五%が無免許教科を授業をしている。そういう中で、三学級以下に一名、四学級に〇・七名の加配、これは努力のあとはわかりますけれども、非常に不十分だという感じがいたします。そういう中で、何で四学級以下という、四学級にされたのかという根拠をまず聞いておきたいと思います。  それからもう一つは、三学級以下が一名、四学級が〇・七とありますね。この算定根拠は、どうして〇・七あるいは一とされたのか。算定根拠でございます。  それから、これはついでと言っては語弊がありますけれども、無免許教科担当が特に多い教科は何教科かというのを、大ざっぱでいいですから、お教えいただきたいと思います。  それから、今度の改正によって加配されますが、この加配されたもので無免許教科がどれだけ解消されるのか、こういうことについて見込みを聞きたいと思います。  それからさらに、無免許で教えるということは、これは自動車でいったら無免許運転ですから、これはもうたいへんなことですね。これとまさに同じだし、あるいは心の運転をするのですから、それ以上の問題点を含んでおろうと思います。そこで、無免許で教えるということは完全になくさなければならない。今回の措置ではなくならない。無免許解消についての今後の文部省の計画をお聞きしたいと思います。
  64. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 無免許教科をなくすという方向でこのたびも定数の改善を行なったわけでございますけれども、これで十分であるかどうかは、今度の改正の結果を見ましてさらに判断をしたいというふうに考えております。  ただ、考え方といたしましては、現在、教科の数が九つあるわけでございますから、先生が九人おられるところでは無免許教科を担任するということは理論上はあり得ないということになるわけでございますので、九人以下の学校につきまして教員の配置を考えたわけでございます。その場合に、九人以下でございますと四学級以下になるわけでございますが、その際に無免許で教科を担当している者の数が四千人という数に一応私どもの調査ではなっておるわけでございますけれども、そのうちで二千人を解消するという計画を立てたわけでございます。あとの二千人はどうするのだということでございまけれども、現在、二教科以上の免許状を持っておられます方が大体三万人程度おられますものですから、そういう方の配置によりましてある程度解消できるのじゃないかというふうに計算をしたわけでございます。これを現実にやってみまして、また不都合が起こりました場合には、さらに前進をはかりたいと考えておりますが、一応基本的な考え方はそういう考え方でございます。  したがいまして、先ほど四学級の場合には〇・七人ふやした、その根拠は何かという御質問でございますが、四学級の場合には現在七・六人でございますので、あと一・四人ふやしますとちょうど九人になるわけでございます。その半分をこのたびは充足したというふうな考え方でございまして、四千人のうちで二千人を充足したという考え方に通ずるわけでございます。  それから教科ではどういう教科が多いかということでございますが、これは保健体育、美術、技術、家庭、そういうところが多いわけでございます。しかしながら、こういうものに限らず実際問題としましてはやはり時間の不均衡等がございまして、九人以上の先生がおられます場合におきましては時間数の少ない方がほかの教科をお持ちになるというふうなことで、ほんとうに免許状を持った方がおられなくて教科を担当しておられるというのは、私どもの調査では六〇%、あとの四〇%はほかの教員の配置でございますとか時間数の均等化でございますとか、そういう理由で免許状を持たない教科を担当しておられるというふうなことが実態でございます。
  65. 馬場昇

    馬場委員 四学級の〇・七というのはわかりました。四千人のうち二千人を解消するため〇・七にしたのだ。なぜ一・四でしなかったのですか。一・四ならば全部解消してしまうわけですね。これは金が大蔵省とどうだこうだとなるのかもしれませんけれども、四千人ですからあと二千人ですよ。これは文部省の努力によって無免許は全部解消するのだ、一・四、これはりっぱな行政になるのじゃなかったかと思うのですけれども、そういう点も力が足らなかったとおっしゃるのか。それともあと残った二千人がおるわけですから、これはやはり解消するのですという方向なのか。いや、これはもうこれでいいのだ、二教科持っておる者にやらせればいいのだという考え方か。残った二千人については今回やってもらいたかったけれども、これについてはいずれ解消するのだという方向を持っておられるのかどうかということをお聞きしておきたいと思います。
  66. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 これは二つ理由がございまして四千人充足するのを二千人にしたわけでございます。一つは、二教科以上の免許状を持っておられる方がおられるわけでございますから、そういう方が一割をこえておる。そういたしますと、九人近くの配置でありますと、そういう先生方が一人ぐらいはお持ちになれるのではないかということが一つございます。それからもう一つは、四学級で八人でございますと、四学級の授業をやっているときに、あと四人の先生が休んでおられるというふうなことではおそらくないんじゃないか。先ほども、小規模学校では四十五人にしなくてもいいじゃないかという御意見もございましたけれども、私ども別に授業の形態まで口をはさむというようなことではございませんで、おそらく四人の先生方だけが授業をやっておられるというのではなくて、六人の先生あるいは七人の先生がそれぞれ授業のやり方をいろいろくふうされましてやっていただける、そういたしますと、かなり手の届いた教育ができるんじゃないか。一般の学校で教科を持たない先生が自分の不得意な科目を受け持たれるというのとはずいぶん教育上の効果なども違ってくるのではないかというようなこともございます。ただ、先生が全部に配置をしなければ効果があがらないんじゃないかというふうなお考え、これは実際にやってみましてそういうふうなことでございましたら、私のほうはそれを改めていくというような方向で、一応今度はこういうことでやらしていただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  67. 馬場昇

    馬場委員 どうも歯切れが悪かったのですが、やさしく言いまして、四千人無免許でやっている、今度〇・七で二千人解消したのだ、三学級以下一であと二千人残るわけですから、これについても解消するのだということですか。それともこれはもういろいろなやりくりをやってみてしないのだというのか、その辺について、あと残った二千人の無免許教科解消について端的にお答えいただきたい。
  68. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 やってみまして、うまくいくようでしたら、これでやらしていただきたい。しかし具体的にぐあいが悪い点が出てまいるというふうなことでございましたら改めさせていただきたいということでございます。先ほどもちょっと申し上げましたけれども、数十人の生徒に対しまして先生九人ぴったりそろえるというふうなことにつきましては、私どもはやはり何かもう少しくふうがあってもいいんじゃないかというふうな感じが残っているものでございますから、そういう点をちょっと申し上げたわけでございます。
  69. 馬場昇

    馬場委員 私は中学校でも教えたことがございますし、高等学校でも教えたことがあるのですけれども、やはり免許を持たないのを教えると、教育効果があがらないし、とともに法律上も免許上でも違反です。免許を持たずに自動車を運転しているようなものですよ。こういう意味で実際便法じゃなしに、免許法上きちっとした教育を受けながら、そして免許を持った者にきちんと授業をさせて、行き届いた教育をやります、そのために今回二千人もやったのだから、免許法どおり免許を持っている者、教育を受けてきてお互いに教養の高い者、これできちんと授業はしますよ、そういうことであと二千人は解消します、そのしかたについては、今回二千人やったからこの次になるかもしれませんが、そういう方向は国民の前にきちんと文部省は持っておく必要があるんじゃないですか。
  70. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 小規模の場合でございますと、特定の教科、たとえば音楽等でございますと、先生が一週間に三時間持てばいいというふうな場合もあるわけでございます。まあ三時間だけ持っていただいて、あとはいろんなほかの仕事をやっていただくということだと、やはり多少問題があるような気がするわけでございまして、できましたら、そばに小学校と中学校があるのでしたら、小学校と中学校を両方教えていただいたっていいのじゃないかというふうな考え方もあろうかと思います。そういう点も含めて検討したいということでございまして、筋は先生のおっしゃるとおり、それは別に間違っているというようなことを私ども申し上げているつもりはございませんが、何かその配置等におきましてくふうがないものかということを申し上げておるわけでございます。それで実際上支障がなければよろしいし、もし支障があれば改めていくという方向で参りたいということを申し上げておるわけでございます。
  71. 馬場昇

    馬場委員 私が言うのを間違っておるか間違っておらぬかといって局長に評価をしてもらおうと質問をしているんじゃないのです。大臣もよく法は守れとおっしゃっている。免許法に従って、免許を持たない者が授業をするのはいかがですか。そのことだけ言ってください。
  72. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私どもは、免許状を持たない先生がその教科を担任するということを避けたいということでございまして、定数上は、それは九人おらないかもしれませんが、先ほど申し上げましたように、小学校と中学校と両方教えていただくという方法だってあるわけでございますので、それは免許状を持たないで授業をするということを解消したい、そういうつもりでやっておるわけでございます。それが定数上必ず九人配置しなければいかぬのかといいますと、そこにはややくふうがあってもよろしいんじゃないかということを申し上げたわけでございます。
  73. 馬場昇

    馬場委員 私は、いま大体話がかみ合ったのですけれども、やはり免許を持たずに授業をするのは解消する、解消のしかたはほかで検討されるかもしれませんが、その原則を聞きたかったのです。だから、その点について、いま免許を持たないで授業をすることは解消するのだという御答弁を得ましたので、そうやっていただきたいと思います。  次に、特に、小学校の教員配置基準については、寄宿舎を置く学校に対する加配が改正されましたけれども、配置基準そのものの改正は行なわれていないようでございます。  そこで、具体的な質問に入りますが、教員一人の週平均授業担当時数は、現在小学校、中学校でどうなっておるのか。それから、今度の定数標準法の配置基準における一般教員の週担当時間はどのぐらいを基礎にして計算されておるのか、現在どうなっておるのか、今度の改正がどういうことを基準にしてやられたのか。
  74. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 現在の週当たりの平均授業時間数は、小学校の場合が、道徳特別教育活動を含めまして二十四・九時間、中学校が同じく二十一・四時間というふうになっておるわけでございます。それから、現在の定数法の教員定数を算定いたします場合の基準となる時間は、これは先生も御承知のとおり、小学校の場合は二十六時間、中学校の場合は二十四時間でございます。しかしながら、教頭の時間数を減らしましたり、加配を行ないましたり、そういうふうな関係もございまして、十八学級ぐらいのところでは、小学校は一時間ぐらい減りまして二十五時間、中学校が二十一・四時間、それくらいの見当になっておりますけれども、基本は二十六時間と二十四時間ということで計算をいたしておるわけでございます。
  75. 馬場昇

    馬場委員 いま定数配置の基準が出ましたが、教育効果の面からいって、担当時間というのは大体どのくらいがいいと研究なさった結論でもあるのかどうかということですね。いま二十六、二十四ということが定数配置の基準になっているのですが、教育効果をあげる場合、前の準備をしなければなりませんね。授業をしたあとの整理もしなければならない。そういうのを含めながら、やはり週何時間ぐらいが教育効果をあげるのに最も適当な持ち時間かということを研究なさって結論があるのかどうかということをまず聞いておきたいと思います。そしてまた、そういう結論があるとすれば、そちらの方向に近づけなければならないと思うのです。そういう近づける今後の具体的な方針というものがあるのかどうか。この二つについてお答えください。
  76. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いま先生が御指摘になりました担当授業時間数の標準がどこがいいかというのは、これはいままで研究の結果というものはございません。ただ、私どもが高等学校の定数法を御提案申し上げましたときには、高等学校のほうは一人当たり十八時間ということでやったわけでございますけれども、その高等学校の十八時間、それから中学校の二十四時間、小学校の二十六時間、いずれも過去の実態と申しますか実績と申しますか、そういうものを基準にしてやっているわけでございます。参考になるといたしますと、高等学校の場合には、戦前は二〇%の子供を預かっている比較的理想的な教育というふうなことであったろうと思いますので、それが一つの目安ではなかろうかと思います。このたびの場合には、先ほど大臣からも御説明申し上げましたように、これから第二のベビーブームということで児童生徒がふえる、大体十年間で二〇%ぐらいふえるのじゃないか。そういたしますと、十万人近くの教員が必要になるということで、教員の養成等との関連も考えまして、このたびは教員の定数の改善ということは見送らざるを得なかったということでございます。
  77. 馬場昇

    馬場委員 科学的なデータというのはお互いあまりないようですけれども、授業をしてみて、経験の上から、教職員団体等につきましては、大体小学校は二十時間、中学校は十八時間、この程度にしてくれという要望は強く出ていますね。そういうきちんとした資料がないとすれば、やはり経験の中から、現場の教職員の実感からその要求があるわけですから、その辺に近づけるというような意思というのをお持ちであるかどうかということです。それが一つ。  もう一つは、僻地の学校には、また僻地の問題になりますけれども、加配は考えないのか。それから特殊学級、これには最低二名は要るのじゃないか。それから、さっき年休も十分とれないという状況もございましたし、病気も多いということで、こういう年休とか病休、欠員補充定員というような形で、やはり定数の一〇%ぐらいは加配すべきじゃないか、こういう点を、私も教員をした経験の中から思うのですけれども、こういう点についての御見解なり今後の対策等について伺いたいと思います。
  78. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 特殊学級あるいは複式学級につきましての先生の御指摘、これは確かに考え方としてあると思います。しかしながら、複式学級等僻地の学校につきましては、今度は学級編制改善という形で充実をはかったわけでございます。それから特殊学級につきましては、いまのところ、まだその普及の段階でございまして、毎年かなりの数の特殊学級をふやしていかなければならないというふうな事情もあるわけでございます。特殊学級というようなやり方がいいか悪いかという問題もまた残っているわけでございまして、たとえばイギリスの場合には、そういうような特殊学級みたいなものじゃなくて、むしろ遅進児に対して特別のめんどうを見るような先生がおられるということもございます。しかしながら、いまのところ特殊学級の設置というような形で教職員をふやしていくというほうがむしろふやしやすいという面もございますし、いまのところはそういうような形でやってまいりたいというふうに考えているわけでございます。  なお、研修それから休暇等の教員につきましては、現在千分の一・四でございますか、その程度の加配の措置を考えているわけでございまして、これは大体実態からはじき出した数、字でございますが、一〇%というのは、そこまでいけるかどうか、ちょっと私も自信がございませんけれども、先ほど大臣からも御答弁申し上げましたように、研修の機会というのは、長期研修を含めましてなるべく多くしていきたいということでございます。それに対する手当てというのは、その研修の実態に応じましてやっていかなければいけないというふうに考えております。
  79. 馬場昇

    馬場委員 ある程度方向は触れておるようでございますが、格段の努力をお願いしたいと思うのです。  次に、養護教員、事務職員の配置基準は、現行の児童数による基準を学校数による基準に変えておられます。しかし、現在、養護教員並びに事務員については、実態では学校総数の約半分ぐらいしか配置されていないと把握しておるのですけれども、この点からしますと、まあ少し前進はしておる、努力なさったあとはわかるのですが、どうですか、全部置いちゃう、こういうことでできないものだろうか、こういう点についての御見解を特にお伺いしておきたいと思います。
  80. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 初めにちょっと訂正をさせていただきたいと思いますが、先ほど千分の一・四と申しましたが、休暇等を含めますと千分の三ぐらいになっておるようでございます。  それから、ただいまの養護教諭の充足でございますが、私どもも先生方と同じような考え方でございますけれども、やはりこれも養成の関係がございまして、無理なく漸進的に配置を進めていくためにはこの程度が最大限じゃないかということで、このたびは一応七五%ぐらいというふうなことでやらしていただいたわけでございます。
  81. 馬場昇

    馬場委員 具体的に養護教員の内容についてもう少し質問しますけれども、改正案によりますと、本校数の四分の三方式ですね。だから、これについて残りますから、残された未配置校に対する措置は今後どうなさりたいのか、今後の対策です。それから大規模校に対して複数配置は考えておられないのかという問題。それからたくさん配置いたしますと、養護教員の養成の問題がございます。養成機関は現状はどうなっていて、それをどう改善しようとなさるのか。それから先ほども申し上げましたが、医療機関が存在しない市町村の数並びに養護教諭の配置状況はいまどうなっていますか。それについてお答えください。
  82. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 養護教員につきましては、先生が御指摘になりましたように四分の三、それに無医村等に対する配置も考えまして、大体七八%程度までは持っていきたいというふうに考えて御提案申し上げておるわけでございます。この次の機会には、これは全部の学校に配置できるように努力をしたいと考えております。  それからなお、養成の問題につきましては、大学局長が参りましてからお答えをいたしますが、無医村は現在百七十八ございまして、その百七十八の村につきましては一人ずつ配置ができるような定数上の考慮をしておるわけでございます。しかしながら、これは御婦人が行かれるわけでございまして、かつてある県で無医村に全部配置をいたしましたが、そういう配置をされた方々がおやめになったあとの補充が非常につきにくいというふうな話も承ったわけでございまして、そういう点につきましてもこれからどういうふうに対処していくか、そういう点を考えながら定数の増加をはかっていくということも必要ではないかというふうに考えているわけでございます。
  83. 木田宏

    ○木田政府委員 養護教員の養成機関の数でございますが、現在、大学としては十五校、短期大学三十三校のほか、国立の養護教諭養成所が九校ございますし、また文部大臣指定の養護教諭養成機関が四十校ほどございまして、それらの養成機関等を出まして、養護教諭としての免許状を取得しております者が約三千三百人おるわけでございます。現在の段階での新規採用者は約千九百人でございますし、今後のこの計画によります増員計画の実施を勘案いたしまして、その需要数は毎年約二千五百人程度というふうに考えておるところでございます。現在の体制をもちましても十分対応できるものだというふうに思っております。
  84. 馬場昇

    馬場委員 七八%になって、次の機会には一〇〇%充足というようなことですが、現在都道府県に七八%以上のところがありますね、そういうところはやはり県で持つのですか。それとも将来どうせ一〇〇%にしたいというので、その辺について国で何か補助でもするのですか。現在七八%をこえて配置してある都道府県に対する保障の措置が何かあるのかどうかということをひとつお尋ねしておきます。
  85. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 現在基準以上に配置されている県が四県で五百人をこえているわけでございます。そういう県に対しましては既得権保障という形でそれを認めるということでまいりたいと考えております。
  86. 馬場昇

    馬場委員 次、事務職員についてひとつ質問しておきます。  事務職員については、四分の三方式と六学級以上の学校に配置するという二つの方式の併用が規矩されておるのですけれども、この二つの方式をとった根拠というかメリットはどこにあるのかということをまず一つ。もう一つは六学級以下については今後どう考えておられるのかということ、二つです。
  87. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 事務職員につきましては、学校教育法の規定のしかたが養護教諭とはちょっと違うわけでございまして、特別の事情があるときには置かないことができるということでございます。特別の事情というのはどういうふうなことであるかという点につきましては、いろいろ意見もあろうと思いますが、私どもとしましては、養護教諭と同じような歩調で充実をはかってまいりたいというのが基本的な考え方でございます。ただ、事務職員と養護教員とを比べました場合に、どちらを先にするかという点を考えますと、やはり養護教諭のほうを先にしたいということで、ただいま御説明申し上げましたように、無医村に対する措置でございますとか、あるいは現員の保障でございますとか、そういう措置をやっているわけでございます。事務職員の場合には、一応七五%ということではございますけれども、小規模の学校につきましては、私ども、特別の事情に当たるのかどうか、もう少し検討させていただきたいという意味で、標準規模でございます六学級以上の学校かあるいは七五%かどちらかというふうな措置をとったわけでございます。ここで若干養護教諭と事務職員の配置のやり方につきまして差をつけたわけでございますが、小規模学校におきましては、担任外の教員の配置等につきましても、このたび学級編制改善それから無免許教科の解消というふうなことで充足をいたしたものでございますから、そういう点で事務職員につきましては若干養護教諭よりも充実の歩調をゆるめたというふうなことでございます。
  88. 馬場昇

    馬場委員 六学級以下にも法律で特別の事情云々といま言われましたが、ちょっと意欲が足らないようですけれども、これも六学級以下にも配置するのだというような前向きの姿勢でぜひ取り組んでいただきたいと思います。  それから次に、定員の最低保障率の九八・五%の適用県は何県かということを、これは県数だけでけっこうですから、御答弁願いたいと思います。  時間もだいぶ経過しましたので、まとめて言いますが、次に学校栄養職員の問題についてでございます。  今度の法改正で、同職員定員について規定されておるわけでございます。これによりますと、完全給食を行なっている小中学校の児童生徒数が二千五百人に一人、共同調理場については、五千人以下の場合が一人で五千一人以上の場合が二人、こういうぐあいになっておりますが、この栄養職員の身分切りかえについて、この方法と、どういうぐあいにして切りかえを具体的に行なうのかという、その五カ年間の計画をお示し願いたいと思います。まず、それだけ。
  89. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 最低保障県は十県でございますが、五十三年には秋田と鹿児島の二県になる予定でございます。
  90. 澁谷敬三

    ○澁谷政府委員 学校栄養職員でございますが、従来、市町村が学校栄養職員を設置していたことを促進する意味の国庫補助金が支出されておったわけでございます。今回、教職員標準定数法の第四次五カ年計画の策定にあたりまして、学校給食のある意味ではかなめとも思われます学校栄養職員につきまして、その配置の適正をはかるという趣旨で標準定数法に入れていただくことになりました。あわせて義務教育水準の維持向上に必要な職員といたしまして、県費負担教職員かつ国庫負担対象の教職員ということにさせていただきたいという中身でございますが、従来、市町村に補助いたしておりました対象人員が、昭和四十八年度四千六十四人でございます。実際に配置されておりました学校栄養職員は、公立の小中学校で五千三百人、盲ろう、養護学校は従来補助の対象になっておりませんでしたが、その盲ろう、養護学校に置かれています学校栄養士が百五十六人ございました。今度の標準定数の五カ年計画によりまして、昭和五十三年度に六千六百二十二人ということになるわけでございます。これを年次計画で六千六百二十二人まで充実をいたしていきたい、こういうことでございますが、実態は、従来も国庫補助の場合は、昭和三十九年から共同調理場につきましては一人、それから単独校の場合は昭和四十一年度から国庫補助を始めまして、第一次七年計画で、完全給食を受けます児童生徒数五千人に一人ということで補助金を計上いたしてまいりました。昭和四十八年度から単独校につきましては二千五百人に一人という計画で始めてまいったわけでございますが、今度の定数改善にあたりましては、共同調理場は五千一人以上は二人にいたしました。それから単独校は計画を一年早めまして、昭和五十三年までということにいたしました。  それから新しく盲ろう、養護学校を国庫負担の対象にするということにいたしたわけでございますが、各市町村によりまして従来非常に配置がまちまちでございまして、そういう補助をいたしてまいりました一つの目安よりはるかに下回っている市町村がかなりございます。それからそれをかなり上回って置かれております市町村もかなりございました。そこで、いま御指摘の点でございますが、従来国庫補助の対象にいたしておりました人員は、新しいこの標準定数の標準を上回りましても保障をするという考え方でございます。下回っております県は、もちろん年々充足をいたしていくということでございます。  それからさらに具体的には、事務職員の場合も吏員相当またはこれに準ずる者として政令で定める者というのがございます。学校栄養職員の場合も、学校栄養職員といたしまして当分の間政令で定める者とございますが、これはあまりむずかしいことは考えておりませんで、あの時期の児童生徒の発育とか栄養というものにつきましての知識、経験を有する者という程度のことを考えておるわけでございます。そういうようなことで、従来補助対象になっておりましたといいますか、従来配置されておりました方々を優先的に切りかえていきたい。従来標準より下回っておった県は、新規採用の人もかなり出てくると思うわけでございます。大体そういう考え方で計画いたしておるわけでございます。
  91. 馬場昇

    馬場委員 この学校栄養職員につきましては、また同僚議員があとで質問することになっておりますが、これはもう全員同時に切りかえていただきたい。切りかえにあたっては現給の低下等が行なわれないようにしていただきたいということを要望だけ申し上げて打ち切りたいと思います。  次に、高等学校について簡単に質問をいたします。  これにつきましては、教育現場からあるいは教職員団体から抜本的な改正をしてくれと郵政同様な要求が出ておりまして、従来少し消極的であったように私は見受けておったのですが、今回改正に踏み切られた姿勢は評価していいと思いますけれども、内容につきましてはまだまだ不十分だと私は内容を見て思います。  そこで、具体的に言いまして、全日制小規模校の六学級以下の対象県、数、これを最初にお示しいただきたいと思います。
  92. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 対象県は三十県でございまして、六学級以下の学校は二百五十七校ございますけれども、対象になる学校の数は百三十校でございます。大体東北地方あたりはこれに該当がないわけでございますが、これは全日制の小規模学校ではなくて、定時制の学校が非常に多い、そういう理由であると思います。
  93. 馬場昇

    馬場委員 その百三十校、これは五カ年計画で具体的にはどうされるのか、これを簡単に説明してください。  それから、このくらいならば五カ年計画は要らぬのじゃないか、二年なり三年なりでできるのじゃないかというぐあいに私は思うのですけれども、これについて、県によりましては、私のところは三年でやっちゃう、そしてそういうような計画をつくりますね。これについてはどういう立場をとられるのか。けっこう、やってくださいと言われるのかどうか、そういうような点についてお尋ねしておきたいと思います。
  94. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 小中学校の場合でも同じでございますけれども、やり方につきましては、これは各県にまかせるということでございます。小中学校の場合にも、特殊学級などは五年間で一人減らす。どういうふうに減らすかという御疑問が当然起こると思いますけれども、それは各県におまかせをしているわけでございまして、全体の計画の中でどれを先にとるかということは、各県の実情に応じましておやりいただいてけっこうじゃないかというふうに考えておるわけでございます。
  95. 馬場昇

    馬場委員 次に、養護教諭の問題ですけれども、これは五カ年で七五%になっていますね。一〇〇%にはどういう計画を持っておられますか。これでは七五%になっておりますが、一〇〇%に持っていくための計画はどういう計画があるのか。現在七五%をこえている県は何県ぐらいありますか。
  96. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 現在こえている県は十六県でございまして、その人数は五十七名でございます。これは、先ほど申し上げましたように、当然既得権を保障するということでございまして、増員は全体で三百二十四名ということになるわけでございます。  なぜ一〇〇%まで持っていかなかったかというお尋ねでございますけれども、養護教諭が必要なのは、高等学校ももちろんでございますが、どちらかと申しますと、小中学校のほうを先にしてやりたいというような気持ちがあるものでございますから、小中学校と歩調をそろえまして現在充足をはかっているというのが実情でございます。
  97. 馬場昇

    馬場委員 定時制、通信制について申し上げますが、募集人員に切りかえられたのは一定の前進であろうと思いますが、問題は定通制で、実は定員に満たない、こういう状況が多いわけですね。そういうことだからこうなさったと思うのですが、問題は定時制とか通信制教育のあり方にかかわってくると思うのですよ。だから、なぜ定通制は募集定員に満たないのか、その原因はどこにあるとお考えになっておられるのか、こういうことです。  それからもう一つは、聞くところによりますと、定時制を減らして通信制をふやしたいというような考え方が文部省にあるようだということを、なければけっこうですが、聞いたのですが、これはたいへんな間違いじゃないかと思うのです。それについての御見解、実情を聞きたい。
  98. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 いま定時制の高等学校は千七百十一校ございますけれども、定員にすべて満ちておりません。なぜかということでございますが、第一次のベビーブームが高等学校に押し寄せましたときに、本来定時制に入るべきでない方がかなりお入りになっておられた。それが現在ではやっとその本来の姿に戻ったというふうに私どもは理解をしたいわけでございます。ほんとうの勤労青少年が定時制で学ぶという姿、これが本来の姿であろうというふうに考えておるわけでございます。  現在、定時制の生徒数はだんだん減っておりまして、むしろ通信制のほうは少しふえぎみだということでございますが、それはそういう現実があるということだけでございまして、私どもは定時制の教育というのは今後とも充足をしたいという気持ちには変わりないわけでございます。特に四十万人に及ぶ高等学校教育を受けてない子供たち、そういう方々が各種学校その他に行かれまして、自分の意思によりましてほかの道を進まれるということはけっこうでございますけれども、ただ漫然と学校にもどこにも行かないというような人々は、できるだけ定時制の課程あたりに吸収したいということで、ことしから就学奨励のための貸し付け金も実施するということにいたしたわけでございますし、また昨年以来教科書の無償というふうな措置をとっておるわけでございまして、できるだけたくさんの方々が、希望する場合には定時制で学んでいただきたいというふうに考えておるわけでございます。
  99. 馬場昇

    馬場委員 いま定時制、通信制が募集定員数に満たない。このことは、時間がないからそうおっしゃったのかもしれませんが、ようやく本来の姿に戻ったのだというような把握で定数に満たないというふうに考えられるのは間違いじゃないか。これは何といっても定時制、通信制教育というものについての現実的な教育環境の差別、さらには社会的な評価の差別、それからまた就学しにくいというような労働条件、いろいろなことがあるわけです。そういう意味で、やはり勤労青少年の教育に対する取り組みというものがすべての面で不足しておる。そういうところがあって、本来の姿に戻ったのではなしに、勤労青少年教育を、定通制教育を振興するために、そういう悪条件を克服するという姿勢を文部省には持っていただきたいというお願いをここでしておきたいと思います。それについて初中局長、当然でしょうけれども、あとの質問の前に答弁願いたいと思います。  次に事務職員の問題について、通信制だけ五カ年で八十人増すようになっておりますが、教員が雑務で事務をやっておるという実情はたくさんあるのです。だから、そういう意味も含めまして、定時制または全日制の小規模校にも事務職員はふやすべきだと思います。これについての御見解です。あと二、三ありますけれども、ここでひとつ御答弁を。
  100. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 定時制教育に対する考え方は先生の御指摘のとおりでございまして、私の言い方が多少悪かったかと思いますので、その点はおわびさせていただきたいと思います。  それから事務職員につきましては、現在高等学校には、どんな小規模の学校でも一人の事務職員は必ずいくようになっております。六学級以上になりますと二人、九学級を増すごとに、さらに一人というふうなことでございますので、事務職員は小中学校に比べますと、これは一応充足されておるというふうに考えたわけでございます。ただ、通信制の場合には、いかにもその仕事の量から申しまして事務職員の数も少ない、教員も少ないということでございますので、この際充足をさせていただくということにしたわけでございます。
  101. 馬場昇

    馬場委員 次に学級編制規模について、これは小中の場合と同じような質問になるわけですけれども、やはり現在四十五名、定時制職業課程が四十名、これは多過ぎますね。これは非常にからだの大きい生徒ですからね。私も授業してみて、これは多過ぎますよ。そういう点で教育の効果はあがりません。諸外国の例から見ましても、これは多い。そしてまた文部大臣は戦前えらい多いところで授業を受けられたなと思いますけれども、戦前でさえも大体四十人くらいが平均じゃなかったかと思うのです。こういう点でやはり学級編制規模というのは今後改善すべきだと思いますので、積極的に取り組まれる意向があるのかどうかということを質問しておきます。  それと関連いたしますけれども、教員一人当たりの持ち時間、これも多過ぎます。先ほど言われましたように、現行十八時間が根拠になっておるようですけれども、これは現場の先生の意見を聞き、私も経験から言いますと、全日制は十五時間くらい、定通制では十時間くらい、これが妥当、教育効果があがる時間じゃないかと思いますが、この辺についての御見解と、改善の方向があるかどうかをお示しを願いたいと思います。
  102. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先ほど大臣から御答弁申し上げましたように、国によって多少の違いがございます。たとえばフランスの場合でございますと、上学年にまいりますにつれまして一学級の人数がふえるというようなことでございますが、逆にドイツは一学級の子供の数が減っていくということでございますが、日本の場合にはドイツ系の教育制度を戦前取り入れておりましたものですから、大臣が申されましたように、旧制の高等学校では三十人。私なんかも上にいくほど人数を減らしたらどうかというふうな個人的な考え方は持っておりますけれども、いまのところは小中学校と合わせておるというふうなことでございます。  それから十八時間が多いか少ないかでございます。もうなくなられましたけれども、高校定数法をやった当時の政務次官は、私は三十四時間持った、十八時間なんてとんでもないということで判こを押していただけなかったこともあるくらいで、私はかなり高い水準の時間じゃないかというふうに考えているわけでございます。また実際上は平均は十五時間ぐらいになっているのじゃないか、最高十八時間でございますから。そういうことで、これは小中学校に比べまして改正はあとでよろしいのじゃないかというふうな個人的な見解をただいまのところは持っているということでございます。
  103. 馬場昇

    馬場委員 何とか政務次官が言われたというのは、よっぽどスーパーマンみたいな政務次官じゃなかったかと思うのです。私も授業をして知っているのですけれども、あの大きい生徒をこれはやはり無理ですよ。そして先ほど私が当初言いましたように、たとえば分母は分母で足し、分子は分子で足す、そういう者も入ってきますから、行き届いた教育をするというためには、四十五人もおりましたらできないし、あるいは来る先生と個人的に対話する時間なんてほとんどないのですね。そういう意味で、これは今後としてあと回しでいいという消極的な態度でなしに、やはり改善をするという方向でぜひ強く検討していただきたいということを申し上げる。これにはあとで答弁してください。  最後に、学校に必要な職種の問題ですね。これは定時制について給食従業員というのは入ってないようですね。それから用務員もおりますけれども、いわゆる必要な職種という法律規定がないのですね。こういう職種は必要ですから、やはり法律上入れるべきだというような考え方を持っておりますが、どうですか。  それから実習助手について、これは日教組に対して回答もなさっておるようですね。職名を含めて制度上の改善、待遇改善を検討するというぐあいに回答もしておられるようでございますが、これは必ず本気で実施してもらいたい。そして検討する過程でよく教職員団体等の意見も聞いていただいて、職名の問題でも非常に悩みがございます、制度上の問題でも悩みがあるし、待遇もやはりありますので、前向きで検討すると約束なさっていますから、精力的に検討していただくし、その過程では職員団体等の意見も十分に聞いていただきたいと思いますし、そのときには理科助手も含めてぜひ検討していただきたいということをお願いしておきたいと思うのです。あと最後の締めくくりをやりますけれども、ここで答弁してください。
  104. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 先ほどの担任時間の問題でございますけれども、これは検討しろというお話でございますが、私どもとして検討いたすことは当然のことであろうというふうに考えております。  それから用務員あるいは給食の従事員等につきまして法制的な裏づけをすべきじゃないかというお話でございますけれども、今度の定数法におきましては、これは小中学校のほうが県費負担職員に限ってやっておりますから、高等学校のほうも大体そういう方針でまいっているわけでございます。しかしながら、用務員等につきまして、法律ではなくても省令その他によりまして何らかの位置づけをすべきじゃないかという御意見は、私どもも拝聴いたしまして、検討をしてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  それから実習助手につきましては、ただいま先生の御指摘になりましたような方向でその待遇の改善等につきましてさらに努力をしてまいりたいというふうに考えております。
  105. 馬場昇

    馬場委員 いろいろ質問を申し上げましたが、もう時間もだいぶ経過したわけでございます。一応公立の小・中・高、特殊学校等の話が出ましたが、片方で忘れてはならないのは、私学の問題があるのじゃないかと思うのです。これは指導とか助言とか行政上の問題とかあると思いますし、私学の特殊性もありますが、こういう問題も、同じ国民を教育するわけですから、忘れてはならない問題だということをぜひ頭に置いていただきたいと思います。  そこで、午前中の質問でもありましたが、見てみますと、たくさん政令にゆだねるとあるわけですね。これについて何本ぐらい政令をつくられるのか、その政令の内容について大体こういうことを予定しておるということを、これは午前中委員長からもお約束を自民党の委員の方になさっておりましたが、ぜひ政令の本数、その内容、こういう問題について委員会に示していただくように委員長のお取り計らいを願いたいと思うのです。
  106. 稻葉修

    稻葉委員長 よろしゅうございます。
  107. 馬場昇

    馬場委員 では、質問を終わります。(拍手)      ————◇—————
  108. 稻葉修

    稻葉委員長 文化財保護に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、これを許します。安里積千代君。
  109. 安里積千代

    ○安里委員 文化財保護に関連しまして若干質問をいたしたいと思っておりますが、その前に、いままでいろいろな質疑が行なわれました教職員定数標準に関する法律の一部改正の問題、この審議の中においていろいろ考えさせられる点があるわけであります。それは、前回成立しました人材確保法の問題であれ、あるいはまた今回の学級規模と教職員の配置の適正化の問題、このねらいはどこにあるかと申しますならば、もちろん教職に当たりまする先生方の立場、負担を軽減をしていく、待遇をよくするというような問題もありますけれども、ねらいとするところは、教育を受ける児童生徒の立場を考え、つまり教育水準向上を目ざすということが目的である、こう考えます。教師の立場もそうであるけれども、第一に考えなければならぬのは、教育を受ける子供たちの立場ということをいつも頭に置いてなされなければならぬと思います。  そこで、直接関係はありませんけれども、今月の五日に起こりました、ある地域において小学校の十歳の子供が母の死を追うて自殺をしたという新聞記事がございました。私は非常なショックを受けたのであります。もちろんこのような子供の行為が事故による場合も例がないわけじゃございませんけれども、今回の場合におきまして報道されておるところによりますと、遺書を書き、その遺書の中におきまして、自分が死んでも病院へ運ぶな、うちへ連れていけと地図を書く、うちには母も死んでおるのだというようなことも書いてありますし、また母が病気で苦しんでおる、医者に電話したけれども来てくれなかった、こういったような、実に冷静なと申しますか、遺書を残して死んでおります。私は、これが小学校の十歳の子供の行為であることを考えましたときに、いろんな家庭事情もあったでございましょう、あるいは彼の遺書に示されておるように、表面から見ますならば、母の病気に対して医者が呼んでも来なかったという不満、抵抗の精神もあったかもしれません。しかし、いずれにいたしましても大事な子供がみずから生命を断ったということは、教育の場において考えなければならぬ問題があるのじゃないか、私はこう思います。異例なことであるかもしれませんけれども、私、非常なショックを受けました。そこで、質問に入ります前に、これに対して文教当局とされましてどのような感じを受けられたか、あるいはこの問題に対しまして教育の立場からどのように考えておられるかをお聞きしたいと思います。
  110. 岩間英太郎

    ○岩間政府委員 私どもも、また多数の方々も先生と同じように非常なショックを受けられたのじゃないかと思います。最近も新聞の投書でこの問題を論じておるのを拝見をいたしましたが、そういう意味で最近こんなに大きなショックを受けるような事件というのはなかったと思うわけでございます。不幸にいたしまして教育の手が至りませんで自殺することから救えなかったということは、まことに遺憾なことでございまして、私どもも、この問題の根本、それからそういう子供たちに対する教育のあり方、そういうものにつきまして十分考えまして、これからどういうふうにしていったらいいのか、これは深刻に反省をさしていただきたいというふうに考えております。
  111. 安里積千代

    ○安里委員 いろんな事情があるかもしれません。ただ私が直感的に感じましたのは、家庭の事情がどうであれ、あるいはまたその子供の気持ちの動揺がどうであれ、その子供が親類のほうも信頼できなかった、あるいはまた病院も信頼できなかったという気持ちが出ております。  そこで、私が一番ショックに感じますのは、そのような子供が、もし教育の場において学校の先生を信頼し、あるいはまた日ごろからそこに愛情ある教育がなされておるのであったならば、いろんな心配ごとや悩みごとを、だれを相手にできぬでも、やはり教師に訴えるというようなこともできたのじゃなかろうか。あるいはまた家庭のことでございまするから、そこまで行き届かないかもしれませんけれども、学校教育の場においてそのような子供たちの気持ちに行き渡った信頼あるいは愛情というものがそこに何か欠けておるものがなかったろうか、私はこのことが非常に気にかかるわけです。教育の場というものは、単に学問を教えればいい、文字を教えればいいというのではなくて、そのような信頼関係に立つ教育でなくちゃいかぬじゃないか、ここに何かしらぬけれども実際に欠けた面があるのじゃないかという感じが実はいたすからであります。私は、こういう法の改正というものも、あるいはまた待遇の改善というものも、すべて子供を中心にして、子供のためという立場からのいろいろな編制あるいは適正化でなくちゃいけないし、また教師の優遇でもなければいけない、このように考えますので、まことに不幸なこういうできごとを通じて、お互いが反省しなければならないところのものがあるのじゃないかということを強く思うわけでございます。  それだけのことを申しまして、文化財の保護のことについてひとつ申し上げたいと思います。  最近は開発がどこにおきましても活発に進められておりまするために、貴重な文化財、あるいは埋蔵されたもの、あるいはまた史跡として残さなければならぬもの、あるいは天然記念物として残さなければならぬものが破壊される傾向が非常に多いというふうに指摘をされております。そこで私、いま具体的にあげようといたしまするのは、沖繩におきまして海洋博の関連工事がどんどん進められておりまするし、開発という名のもとにいろいろ工事も進められております。その中においてこれまでもずいぶんと開発のためにつぶされたところがございます。いま工事中の道路のすぐそばにございまする仲泊というところで大事な貝づか、貝づかというよりは貝づか群が道路の建設のために破壊されようとしておる。祖先の残したところの、歴史前あるいは歴史後におきまする非常な重大なことを物語るところの遺跡というものが、単にこういう行事のために、開発のために破壊をされることは非常に大きな損失なのである、こういうことで現地におきましても、ぜひこれを残すようにという強い要求がなされております。文化庁といたされましても事の重要性というものをお感じになってでございましょう、御調査に参ったはずでございます。そこで、この貝づか群の、遺跡の実態について御調査になった結果と、どうしなければならぬのか、保存しなければならぬのか、これは破壊されていいものであるのか、あるいは単に記録保存のための調査で済まされるものであるか、こういった点につきまして調査の結果をお聞きしたいと思います。
  112. 安達健二

    ○安達政府委員 ただいま御指摘になりました仲泊の貝づかの問題でございますが、経過を若干申し上げました上で保存の問題に移りたいと思います。  この仲泊の貝づかといいますのは、沖繩県の中部の恩納村の海岸近くにございますところの遺跡でございますが、昨年初めにこの付近を通過する国道五十八号線の改修工事の計画がございまして、県の教育委員会で現地の踏査をいたしたのでございますが、その当時の踏査の結果といたしましては、県の教育委員会の御判断では、予定線は遺跡を避けておって、予定線上には遺跡は認められないということで、工事をしてもいいのじゃないか、こういう判断でございました。ところが、昨年の末に県の教育委員会の係員が現地に行きましたところ、予定線の樹木を伐採したところを見ますと、一部に貝づかの層が露出しているということを発見したのでございまして、県といたしましては、その措置について沖繩の開発庁と協議いたしまして、本年の三月に発掘調査を実施いたしたわけでございます。この発掘調査の結果といたしまして、沖繩の貝づか文化前期すなわち紀元前千五百年から五百年ごろに属するところの岩陰の住居あと、貝づかとそれから岩陰の住居とが一緒になってある、と同時に首里の王府時代の石畳の道が発見されるということで、これは非常に重要な遺跡ではないかというような御意見が高まってまいりまして、県の教育委員会のほうでも文化庁の専門官によく見てもらいたい、こういうことで、四月の十八日にここにおります田中調査官が現地に参りまして、いろいろ調査をいたしたわけでございます。その結果の判断といたしましては、この仲泊の貝づかは沖繩の貝づか文化というものを理解するために非常に貴重なものである、これは現在の保存状態、あるいはまたそれが非常に外からよく見られまして、その住居あとなどもはっきりいたしておりますので、これはやはり非常に貴重なものじゃないかということで、これをぜひ文化庁といたしましても保存をしたい、こういう考えに立ち至っておるわけでございまして、幸いにいたしまして県のほうでも、県の知事でもこれをぜひ保存したいというようなお考えのようでございます。したがいまして、予定の道路を変更いたしまして、海岸のほうに、海沿いのほうにつけかえをして、この貝づかそのものはこれを保存するという方向でわれわれと県との間で意見が一致しておりますので、今後は具体的な保存策、たとえばこれを今後どういう形で保存していくかというようなことにつきまして十分協議をいたしまして、この保存には遺憾のないようにいたしたいということでございまして、私どもといたしまして、こういう大事なものにつきましては、開発の予定があったにもかかわらず、これを変更していただいて、この保存をはかる、こういう積極的な態度で臨みたいと思っているところでございます。
  113. 安里積千代

    ○安里委員 その結論だけいただけば私はけっこうでございます。  実は先日、私も現場へ参りまして、見てまいりました。痛切に思うことがあるわけでございますが、よく国破れて山河ありといわれます。ところが、戦争済んで、今度沖繩は軍事基地でずいぶんと山河あらたまりました。復帰後の今日はまた新しく開発という名においてやはり山河あらたまり、破壊が続けられております。戦争で破壊され、軍事基地で破壊され、さらに平和時における開発という名のもとにおいて破壊がされていく。これはたまらないことだと思うのです。開発ということばの中にはいろいろあると思いますけれども、埋もれた祖先の遺業というものを、遺跡というものを、これをほんとうに開発していく、埋もれたものを発掘し、埋もれたものを明らかにして、そこにわれわれの歴史を、あるいはまた古い時代におきまする人々の文化的な遺産というものを発掘するということも私は開発だと思います。ただ表面にあらわれます破壊だけが開発じゃないと思います。こういうことがいま沖繩におきましては、ずいぶんと該当する事項が出ております。本土と違って、地理的な条件からいたしまして、沖繩の先史時代あるいは歴史の経過の中におきましても、本土に見られないような貴重なものがございますし、しかもせっかくこれははっきりした、いまおっしゃいますように、むしろあるいは本土においても珍しい得がたいところの遺跡だと思います。住居あとがあるというようなこと、しかも一つの貝づかでなくして貝づか群をなしておるような姿、あそこをただ発掘して記録に残すというだけでは、これは意味をなさないのであって、そのものが保存されるということが大事でございます。したがいまして、あれを現状のまま残す、そしてこれを維持していくということは非常に大事な問題だ、私はこう思っております。海洋博も非常な大きなはなやかな行事でございますけれども、それ以上に私は文化的な遺産としてのこれを残さなければならぬ。そのためにはどんなに金を使ってもやらなければならぬ。何千年の歴史を踏んできたものをこわすことはまことに一瞬でございますけれども、再びこれは帰らぬものであります。その方向で進んでいただきたい、こう思っております。  そこで問題は、どのようにしてやるか。もうあそこはほとんど破壊一歩手前までいっております。しかも工事も進められております。あれをどのようにするかということは、技術的にもあるいはまた経費の面におきましても非常に負担があろうと思います。変更しなければならぬという問題がくると思います。  そこでお伺いいたしたいのは、開発庁のほうにおきましては当然この問題に対しましてもお考えがあられ、いまの文化庁長官のお話もあったような立場をいれて、予定の工事を計画を変えて、これを保存するというような、この場を避けて工事を変更するというようなお考えが開発庁としても関係当局との連携の上なされておるかどうか、その点をお伺いしたいと思います。
  114. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 お答え申し上げます。先ほどの文化庁からのお話にもございましたように、国道の工事の開始にあたりまして、私どもは県の教育庁とよく相談をいたしまして、当然のことではございますが、文化財の保護ということには十分留意をいたしてまいったわけでございますが、本年の一月になりまして、工事中に現在問題になっております貝づかが発見されたわけでございます。  そこで、この道路はすでに用地買収が完了しております。それから工事につきましても、貝づかが現在ございます場所の周辺ではかなりの進捗状況を示しております。しかしながら、私どもといたしましては、貝づかの発見後直ちに県と御連絡をとりまして、そこで緊急に発掘調査をするということで、この三月の八日から一カ月の間に発掘調査を行ない、記録の保存を行なうということを了解しておったわけでございます。  ところが、その後、発掘をしている段階におきまして、先ほどのお話のように約三千年前といわれますような住居あとが出てきたり、あるいは石畳道がかなりの長さで発見されたりということで、非常に貴重な遺跡であるというような県側の御判断もございましたので、さっそく文化庁にも御調査をいただきまして、文化庁の御調査の結果、史跡として保存すべきものであるという御判断であれば、これは万難を排して工事の変更をする必要があるのではないかという方向で現在検討を進めております。  ただ、御承知のように来年の七月から始まります国際海洋博覧会、国道五十八号がこれの唯一の陸上交通路でございます。そこで、この工事がもし間に合わないと、海洋博の開催自体にも重大な影響がございます。したがいまして、現在私ども考えておりますのは、この道路を高架にするか海に回すかということで考えたのでございますが、現地、御承知でございましょうけれども、海岸寄りに二十メートルないし三十メートルのがけで迫っております。それを相当手前から高架で越しますということになりますと、何キロかにわたって相当の工事を行なわなければいけないということで、これは技術的に不可能であるという判断から、現在海岸に迂回をさす方法を検討しております。この場合も、当該海岸が国定公園区域に含まれておりますので、その環境問題がございます。さらには漁業権の補償問題とか、もう一つは線形いかんでは交通事故の発生のおそれがあるというような問題もございます。そういった点を詰めておる段階でございますが、何ぶんにも県当局の相当の御協力がないことには、海洋博の開催が不可能になるような結果になりかねませんので、県にも十分の御協力をいただきながら、先生おっしゃるような保存の方向で結論を出していきたいというふうに鋭意検討を進めている段階でございます。
  115. 安里積千代

    ○安里委員 先ほど申しましたように、初めからわかっておってあそこのを設計したのじゃなくして、工事を進めておる間に発見された、もっともその一部はすでに前から明らかにされておった点でございまするが、いま三千年かあるいは二千五百年以上も前に住んでおったという住居あと、あるいはまた慶長年間以前かあるいはそのころからありました石畳、こういった貴重な文化財、遺跡を残すという基本方針というものが確立しまするならば、私は、これを避けて道路をどこに持っていくかということの結論というものは出てくると思いまするし、県当局もまた沖繩県民もこれに対しましては全面的な協力をするはずでございます。技術的にカーブの問題もありましょうけれども、海岸を通すという構想が、しろうと考えで見ましても妥当な線じゃないかと思うような気持ちもいたすわけでございます。これは技術的ないろいろな問題でございますけれども、もちろん、このことのために若干の経費はかかるかもしれないけれども、あえてどんなような経費を使いましても、これを後世に残すという立場をとられるということを私は強く要求いたしまするが、いまのお話からいたしまするというと、どういうふうに変更するかということは別として、少なくともこの貝づか群の遺跡を残す、こういう基本方針につきましては、文化庁の意見もそうでございまするけれども、開発庁といたしましても、というよりは政府当局とされまして、あるいはまた海洋博を進める責任のある官庁におきましても、一致してこれはそういう基本的な考えは確立しておるのだ、こう聞いてよろしゅうございましょうか。検討するのは、どのように変更していくかということを検討しておるのであって、これを保存するということについてはきまっているのだ、こういうふうに理解してよろしゅうございましょうか。あるいは、残すかどうかということについてもこれから検討するという立場でしょうか。その点を明らかにしておいていただきたいと思うのです。
  116. 加瀬正藏

    ○加瀬説明員 方向としては、保存ということで合意しておるというふうに御理解いただいてけっこうかと存じます。
  117. 安里積千代

    ○安里委員 私は、そのお答えだけを本日はいただきますれば幸いだと思っております。関連をいたしまして、いまのこれは非常にはっきりあらわれたところの一問題でございまするけれども、海洋博の予定地域におきましてもずいぶんと遺跡あるいは文化財に指定されたものございますけれども、海洋博関係、沖繩の開発関係でもってずいぶんとそういったものが破壊をされつつあるということを念頭に置かれまして、建設も大事、開発も大事であるけれども、文化面というものを決して忘れちゃいけないのだということを申し上げまして、私は質問を終わります。(拍手)
  118. 稻葉修

    稻葉委員長 次回は、来たる二十六日開催することとし、本日は、これにて散会いたします。    午後三時四十四分散会