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1974-05-23 第72回国会 衆議院 物価問題等に関する特別委員会 第26号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年五月二十三日(木曜日)     午前十時三十一分開議  出席委員    委員長 平林  剛君    理事 稲村 利幸君 理事 加藤 六月君    理事 木部 佳昭君 理事 山下 元利君    理事 井岡 大治君 理事 松浦 利尚君    理事 野間 友一君       愛野興一郎君    加藤 紘一君       粟山 ひで君    山崎  拓君       中村  茂君    石田幸四郎君       和田 耕作君  出席国務大臣         国 務 大 臣         (経済企画庁長         官)      内田 常雄君  出席政府委員         経済企画政務次         官       竹内 黎一君         経済企画庁調整         局長      青木 慎三君         経済企画庁物価         局長      小島 英敏君         経済企画庁総合         計画局長    宮崎  仁君         経済企画庁調査         局長      宮崎  勇君         大蔵政務次官  中川 一郎君         通商産業政務次         官       森下 元晴君         通商産業審議官 森口 八郎君         資源エネルギー         庁次長     北村 昌敏君         資源エネルギー         庁石油部長   熊谷 善二君         資源エネルギー         庁公益事業部長 岸田 文武君         運輸政務次官  増岡 博之君         自治省財政局長 松浦  功君  委員外出席者         大蔵省銀行局特         別金融課長   山田 幹人君         通商産業省産業         政策局物価対策         課長      黒田 明雄君         運輸省鉄道監督         局民営鉄道部長 中村 四郎君     ――――――――――――― 本日の会議に付した案件  物価問題等に関する件      ――――◇―――――
  2. 平林剛

    平林委員長 これより会議を開きます。  物価問題等に関する件について調査を進めます。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。山崎拓君。
  3. 山崎拓

    山崎(拓)委員 まず経済企画庁長官にお伺いをいたしますが、けさ新聞拝見をいたしますと、経済企画庁の報告によりまして、今春三二%賃金が上がったことによって消費者物価は一〇%、卸売り物価は九・五%押し上げられることになるということであります。また、今般電力料金値上げが決定せられますとともに、引き続きガス、石炭、鉄鋼、石油化学製品、アルミ、米価、私鉄運賃郵便料金等々、値上げが予想されておるわけであります。そういう現況を考えますときに、今後の消費者物価の動向がどうなってまいるかということは国民が深い関心を持っておるところであると思うのであります。   〔委員長退席井岡委員長代理着席〕  そこで、昭和四十八年度の消費者物価指数を見ますときに、四十七年度の平均に対しまして一六・一%の上昇になっておる。したがいまして、特に四十八年度後半の上がり方がきわめて異常な状態であったわけでございますが、計算上すでに一二・一%のげたが四十九年度に引き継がれることになっておるわけであります。そういうことからまいりますと、けさ新聞で見ました経済企画庁が予想されております消費者物価上昇率、四十九年度において引き続き総需要抑制策をとってまいりました場合、二一・七%という数字があがっておるわけであります。引き締めを緩和いたしました場合に二三・一%、こういうことになっておるわけでございますが、ただいま申し上げましたようなことを総合いたしますと、こういう数字ではおさまらないのではないかということが推定されるわけでございます。その点に関しましてまず長官のお考えを承りたいと存じます。
  4. 内田常雄

    内田国務大臣 全般的に見まして今日、卸売り物価並びにそれより足取りはややおくれるようでありますが消費者物価も鎮静に向かっておることは認められるわけでございますが、しかし山崎さんのただいまのおことばの中にもございますように、すでに結果をあらわしつつある本年度の大幅なベースアップ、それにまた電気料金をはじめ幾つかの公共料金改定というものが控えておりますので、それらがある程度四十九年度の卸売り物価あるいは消費者物価の引き上げの要因となりますことは、私どもも当然それを頭に置いて今後いろいろな施策を進めてまいらなければなりません。それに加えまして昨年来の総需要抑制金融引き締め、これをどこまで続けるかということもまた大きなベースになるわけでございますが、このあとの総需要抑制につきましては、山崎さんも御承知のとおり、政府といたしましてはこの機会にこれを変えるつもりはございませんので、さらに引き続いて総需要抑制金融引き締めというようなことはしばらくの間はなお堅持いたしてまいるわけでございます。  ところで、昨年の末期に異常な物価高騰が行なわれましたために、山崎さんたいへんよく御承知のように四十九年度の物価を四十八年度に比較いたします際には、かりに四十九年度の施策がたいへんうまくいって四十八年度の一番最後物価の水準からあまり上がらないというような結果がかりに出た場合においてさえも、前年度のげた関係がございます。四十八年度はこう急に物価が上がりましたから、そのあと四十九年度の物価がかりに平らでいくとか――そういうことは考えられておりませんけれども、ある程度しか上がらなかった場合におきましても、すでに四十八年度がいまのような状況でありますために、四十八年度と四十九年度の物価を対比いたしますと、数字の上ではかなり大きな上昇率というものがあらわれるわけでございます。あなたがおっしゃられたように、消費者物価におきましてはすでにそのげたが一二・一%、卸売り物価におきましてもたしか一八%余りげたが生じておりますので、四十九年度には物価一つも上がらないといたしましても、その一二・何%とか一八・何%とかいうその対前年上昇ということが数字の上に出てまいるわけであります。ところが四十八年度の末期に近く、昨年十二月から一月ごろにわたりまして私どもは四十九年度の物価指数を想定したものを経済見通しの中に織り込んだ当時の見方といたしましては、一応改定をいたしましたけれども卸売り物価において四十九年度は対前年一四・六%の上昇消費者物価はさらにいろいろ政策上の施策を加えるからそれよりも上昇率が少なくて九・六%の上昇というような数字を出しておりましたけれども、いまのことでおわかりのようにすでにげたがその中におさまらない、こういうことになりますので、げたを含んだ四十九年度の物価上昇率というものはしかるべき時期を選んで、他の経済見通しのファクターとも一緒に、たとえばそれは貿易収支とか国際収支とかというようなものもかなり違った数字をあらわすのではないかと考えられますので、そういうものともあわせましてしかるべき時期にこれは改定をいたしてそして発表をいたさなければならないと考えております。その四十九年度の物価上昇の中では、いま山崎さん御承知のように四十九年度だけで上がる分は、卸売り物価におきましては四・八%、消費者物価におきましてはたしか五・二%ぐらいは上がるのだ、こういうことは見ておるわけでありますから、少なくともそのげたの分とそれから四十九年度に上がる分とをそのまま足すわけの算数にはなりませんけれども、簡単に申しますと、げたとそれから本年度に上がる上がり幅とを足したようなかっこう物価上昇率というものになるわけでございます。そういうことを頭に置きながら、今後の施策を検討いたします際に、けさ新聞などにも出ておったようでありますけれども経済企画庁の中におきましてはかりに総需要抑制策とか金融引き締めというものを今後これをゆるめてしまった場合にはそれはどのような影響を来たすか。しかしこれを今度は引き締めた場合においてもなおかつ春闘等影響がどの程度あらわれるか、さらにまた毎年の例によってことしと同じような賃上げというものがかりに行なわれるとした場合には、それは五十年にどう影響するかというような分析を――これも幾つかの前提を置きながら経済企画庁開発いたしておりますパイロットモデルといいますか計量的手法あるいは特殊の連立方程式のようなものでいろいろ計算をいたしました中間試算のようなものが中間的に試算されたわけでありますがその数字がいま山崎さんがおっしゃられたような物価上昇率になるわけでございまして、そういうようなことも頭に置きながらその作業自身もこれからさらにいろいろ詰めてまいるし、さらにまたそのことはわが国経済成長率そのものにも非常に大きな影響を及ぼすものでありまして、単に物価だけあるいは賃金の幅だけということではなしに、当然に経済実質成長率資源の供給の国際的環境などが変わりましたことも反映して狭まってくるわけでございますので、今後の経済指導政策と申しますか、そういうようなものをどのように組み立てていくか、こういう作業もこれから同時にいたすことになるわけでございます。
  5. 山崎拓

    山崎(拓)委員 企画庁が発表なさいます物価指数等につきましては、国民の心理に与える影響はかなり大きくなりつつあるという感じがするわけであります。したがいまして四十九年度の消費者物価指数の上がり方にいたしましても、昭和四十九年度中の消費者物価指数というものを常に明確にされて、その中でたとえば春闘による影響はどのくらいであるというような要因別にまた明確にされる、こういう御配慮が必要なんではないかと思うのであります。確かに四十八年度後半における狂乱物価状態の中でわれわれ国民指数と同じようにほんとうに物価が上がっておるという実感を持っておったわけでございますが、今日ある程度、高値安定ではありますが安定期に入りましてなお物価指数が非常に高いということになりますと、さらに国民の不安を継続させるということになりかねない、かような危惧を持っておるわけであります。  そこで、先般の石油値上げに続きます今回の電力料金値上げ等によりまして新価格体系へ移行するということがよくいわれておるわけであります。非常に今後ともいろんな意味物価が上がる要素があるわけでございますが、反面総需要抑制策は引き続き堅持する、こういうことでございます。中小企業を中心といたしまして商売に非常に困難が増してまいっておりますし、はたしてただいま長官が信念的におっしゃいましたように今後とも総需要抑制策を堅持いたしましてスタグフレーションにならないのかどうか、その点をわれわれは心配をいたしておるわけでございますが、いかがでございましょうか。
  6. 内田常雄

    内田国務大臣 私も同じ思いを心の底に秘めながら今後の施策を進めていかなければならないと思います。この春石油価格のかなり大幅な改定をいたしました際に、それが石油関連基礎物資でありますとか国民生活関連物資などに直接的に波及する、また最も悪い場合には今回またさらに先取り的な便乗的な波及が石油関連最終製品に及ぶようなことがあってはならないという見地から御承知のようにあの五十数品目を選びまして、ことばは適当ではございませんけれども凍結物資というような指定をいたしまして、価格事前了承制をとりました。そのことを私どもは、また世間でも、物価目張り作業石油製品が上がっても他に影響を及ぼさないようにしっかり目張りをする、こういうことばを使いましたが、私はいまの金融引き締め、総需要抑制などに関連する中小企業問題に関連いたしましても、全体の政策の基調といたしましてはいままでのとおりな政策を堅持をいたしますけれども、それが堅実な中小企業等に単に金融だけの影響というようなことで非常な困難な事態を生じないように、また生じかかった際には、そういう各分野ごとと申しますか、そういう事態を生じたその現象ごとに対する常に目張りを同時に考えていかなければ、物価は全体として安定して指数だけはいいかっこうになったけれども、その反面倒産とか失業とかいうようなものが起こったのでは、これはスタグフレーションになりますし、社会的な不安にもつながることになりますので、その目張り政策というものを同時に配意をしていく。これは御承知のように、今回、四―六月における中小企業に対する政府関係機関融資ワク追加増額約千五百億円余りを従来の五千五百億円くらいの四―六のワクの上にのせることにいたしました。しかしそれは中小企業全体にまんべんなくばらまくということではございませんで、私の言うような目張り意味において必要な手当てをする、こういうことは同時にとっていくべきだと考えます。  それから最初に物価指数のあらわし方などにつきましてげたを含んだ対前年物価指数の大きな上昇ということもさることながら、従来はそういう慣習のようでございましたが、実は四十九年度の経済見込みのときから同年度内の純粋な物価上昇という欄をカッコで囲んであらわしました。それは山崎さんの御心配趣旨でありまして、こういうことを初めてやりましたが、それが本年度内については卸、消費者物価等数%というようなことであらわしたわけであります。これももちろん動くでございましょうけれども、私どもも御心配のことも十分頭に置きまして、いろいろ誤解がないように数字などというものは取り扱うべきであると考えるものでございます。
  7. 山崎拓

    山崎(拓)委員 ただいまお話の中に出ました政府系中小企業向け金融機関融資の問題でございますが、確かに繊維等、この融資によりまして一時しのぎにはなるわけでございますが、あくまでも資金繰りの面の救済であります。またかりに需要がそのことによって発生をいたしましても仮需要でございまして、基本的な業界の救済にはならない。やはり金融政策だけでは実は中小企業一時しのぎにしかならないという点を十分御配慮いただきたいと思っておるわけでございます。  また、ただいまやはりお話の中に出ましたいわゆる生活関連基礎物資五十三品目価格凍結の問題でございますが、今般八品目については、その価格凍結を解除されることになったわけであります。その趣旨は、八品目についてそれぞれ状況が緩和されたということでございますが、やはり基本的には、自由主義経済マーケットプライスメカニズムに戻したほうがいいという考えであるということを通産大臣また企画庁長官もお述べになっておる由、新聞等拝見をいたしておるわけであります。ところが、今回の春闘によります三二%という賃金上昇から来る、いわゆる物価問題もございますし、またこれら五十三品目、なかんずく解除されました八品目のメーカーの配当率については、規制すべきではないかという考え方も当然出てまいるわけでございまして、そういう観点からいたしますと、御検討をいただいていると思います所得分配政策――あえて分配を強調したいわけでございますが、所得分配政策を検討しながら、反面では、この自由経済のバイタリティーを取り戻すために、統制的な、価格干渉的なことはできるだけ避けていきたいというお考えもあるようでございまして、この二つの点は矛盾するのではないかということを考えるわけでございまして、むしろ今日の異常な事態、国際的な環境等々を考えてみますときに、やはり思い切って新しい経済政策に取り組むべき時期に来ておる、かように考えるわけでございますが、いかがでございますか。
  8. 内田常雄

    内田国務大臣 山崎さんがお述べになりましたことも、私ども経済を預かる役所といたしまして幅広くいろいろな問題を考えながら進みたいつもりで、いつもやっております。あらかじめ所得政策なら所得政策というものをやることにきめて、手段を検討するということにおちいることなしにそもそも所得政策というものはいかなるものか、また世上で考えられるように、賃金の幅を物価なり国民生産の伸びとか、あるいは生産性上昇率に合わせて調整をしていくということだけでもなしに、もっと広い意味において、一言で言うと労働分配率というようなものはいかにあるべきかというようなことをも研究対象としながら、所得政策というようなものをより広い意味において取り上げてまいりたいということが私などの気持ちでありまして、そのためには、所得政策を結論づける研究会というものではなしに、むしろおことばにもございましたような所得分配に関する研究会というような、より周縁の広い課題と取り組むような研究会をその方面の学者の方々にもお集まりをいただいて、研究として取り上げるということも、その意味でございます。  また、お尋ねがございました五十三品目について八品目をこの際解除した、このことにつきましては、今後の経済指導政策というものを一体、自由経済放任経済に戻すのか、しかし、それでは私が先ほどから述べておりますような客観情勢のもとにおいて、また山崎さんが御指摘になるような客観情勢のもとにおいて、そういうような昔風な自由経済や市場のメカニズムにすべてをまかせるようなことで、はたして今後、日本経済はやっていけるか。むしろ新しいタイプの――統制経済ではないにしても、新しいタイプ経済メカニズムをつくり出していくべきではないかという思いも、私自身もいたすわけであります。  しかし、今回の場合の五十数品目事前価格了承制というものは、あくまでも、御承知のとおり緊急避難的なものでございまして、目張り政策でございますので、これをそのままの形においていつまでも押え込んでまいる――ことにまた、目張りを解除する場合には、おことばにございましたような、それらの生産にかかわる企業については配当制限というようなものまでもこの際行なってそうしてそれらの物資価格が再び上昇することがないようにというところまで、いま行くのは適当じゃないと思います。  それらの問題は、先ほどの所得分配に関する研究にもかかわる問題でありまして、日本経済成長の幅、あるいは生産性上昇分考えながら、それをどのように生産要素に配分するかということについての一つのコンセンサスができてこないと、賃金だけを先に押えればいいものでもないし配当だけを先に押えればいいというように考えることもいささか乱暴だと思いますので、そのような含みを持って対処をいたしてまいるつもりであります。もちろん、八品目の解除につきましては再びそのために価格の狂騰を来たすような事態にならないように、いわゆる行政指導を続けてまいることももちろんでありますし、残された品目などにつきましても、順を追って全部解除するということでもございません。存置したまま価格をどうしても直さなければならないものは直すというタイプのものもございましょうし、また今回解除したようなものとの間の中間的な物資もございますので、実態に応じた措置をとってまいる、こういうことでございます。
  9. 山崎拓

    山崎(拓)委員 時間の制限がございますので、通産省にお伺いをしたいのでございますが、まとめて幾つかの点、御質問を申し上げますので、政務次官並びに関係政府委員におかれまして御答弁をいただきたいと思います。  まず、石油需給の問題でございますが、先般もこの物特で御質問を申し上げまして、たいへん緩和が伝えられているのはけっこうでありますが、長期的に見ると、一体この石油危機といわれるものの実態は、わが国にどう影響するかという点が国民がきわめて関心を持っておる点であると思うのであります。ことしは、昨年度の二億八千万キロリットル強の実績に対して、一体どの程度の輸入量になるのか、また長期的に見ました場合、エネ調等見通しによると、六十年において七億キロリットルの見通しになるというようなこともありましたが、現時点ではどういう修正を加えるべきであるのか。また、特に関心を持っておりますのは、国際収支との関係でございまして、今日のように、石油価格が高騰した実情において、はたして外貨面からの制約はどう考えていかなければならないのか。そういう点をひとつお答えをいただきたいと思うわけであります。  それから第二点は、今後、その関連において、国民消費生活の節約あるいは省資源運動という問題がございますし、また日本産業構造の省資源型への転換が叫ばれておるわけでございますが一口に省資源運動あるいは産業構造転換と言われましても、一体その中身は何なのかということを聞かれました場合に、なかなか明確な政府の方針が伝わってまいらないわけであります。特に産業構造転換の問題につきましては、コンピューター産業であるとかいわれておりますけれども、そういう一口に知識集約型産業というようなことで概念的に説明するのではなくして、これからの日本産業構造のあり方を具体的に国民の前に示し、経済界を誘導すべき時期に参っておる。そういう問題は以前からあったわけでございますが、そのたびごとに景気の変動によってその問題が深く突っ込まれないままに推移してきた。今後はその点を政府におかれましては十分な指導力を発揮すべき時期に来ておる、かように考えるわけでございまして、お考えを承りたいと思っております、  それから第三点は、石油にかわるべき新しい代替エネルギー開発が焦眉の急である、こういわれておるわけでありますが、通産におかれましても、本年度サンシャイン計画をもちましてその対策に当たっておられるわけであります。その中で、地熱利用の問題が取り上げられておりますが私の選挙区であります九州におきましても、地熱発電が現実に進行をいたしておるわけでありますその潜在的な利用度も非常に高いといわれておるわけでございますが、反面この地熱発電は、地熱エネルギークリーンエネルギーではないというそういう反対運動もあっておるわけでございまして、この問題に対するお考え政府はもっと国策としてこれを助成するお考えがあるのかどうか、この点についてお伺いしたいと思います。  それから、第四点でありますが、二十一世紀のエネルギー核融合エネルギーであるといわれております。これに関しましては、サンシャイン計画にも取り上げられていないわけでございましてこのエネルギー開発日本が全世界に先がけてやることこそこの資源のない日本の将来を救うものである、こういう感じを持つわけでございまして科学技術庁等とも十分連携をとっていただきまして、総合対策的な対策の樹立に今後当たっていただきたいと思うわけでございますが、この点に対する所見をお伺いしたいと思っております。  たいへん長くなりますが、最後にもう一問お伺いをしておきますが、今回の電力値上げに続きまして、原料のナフサが高騰しておるというようなことから、都市ガス値上げも問題になっておるわけでございます。都市ガス企業もたいへん赤字企業がふえてまいっておるわけでございますが、かりにこの都市ガス値上げが実現したといたしましても、なお国民の一千六百万世帯以上を対象といたしておりますLPGとの価格差というものが存在するわけでございます。都市ガス公益事業であるならば、やはりプロパンのほうも、これは都市ガスよりもはるかに多くの世帯対象としておる国民家庭生活用エネルギーという観点から考えますときに、やはり公益事業である、あるいは公共料金である、こういうように考えるわけであります。その公共料金の千三百円という標準価格、これにつきましても、現状を考えますときに輸入価格は上がっておりますし、かつまた関連機器の値上がりもあるわけでございまして、そういう面からいきますと、この維持もたいへんむずかしい問題であり、近々標準価格改定をせざるを得ない。先般の本委員会におきましても、石油部長から御答弁があったところでございます。この都市ガスLPGとの価格差の問題は、社会的均衡を失するものでありますから、やはり御検討いただかなければならない大きな問題である。また都市ガスLPGとのいろいろな競合関係調整、そういった問題も起こってまいっておるわけでございますから、この点についてどうお考えになっておるか。また、いわゆる行政機構といたしましても、都市ガスガス課でありプロパンは精製流通課であるという、窓口が一元化されていないという問題。保安の問題につきましても、都市ガス事業につきましてはガス保安課というものが担当して資源エネルギー庁の所管であるけれどもプロパンにつきましては立地公害局の所管になっているということもございますので、行政機構自体でもLPGの問題に対する取り組み方がたいへんおざなりにされているのじゃないかという感じを持つわけでございます。  そういった点も含めまして、時間がございませんからひとつ簡潔に、ただいま申し上げました四五点につきまして御答弁をいただきたいと思います。
  10. 森下元晴

    ○森下政府委員 たくさんな御質問をいただいたわけでございます。基本的な問題だけ私お答えいたしまして、あとエネルギー庁の次長はじめ関係者が参っておりますので、あとから御答弁させます。  初めの需給の見通しでございます。かつて石山灰が石油にかわったという時代には、いわゆるエネルギー革命また産業革命といわれるほどの大きな変革があったように聞いております。今回の石油値上げの問題、またそれに伴う二十一日の電力の値上げの問題等考えました場合に、やはりこの時期は、一つエネルギー革新またエネルギー革命、それに従っての産業構造の大きな転換、また先ほど企画庁内田長官からお話ございましたように、いわゆる価格体系までも変革する非常に大きな転換期である、私もそのとおりだと思いま丈あと三十年もすれば石油資源はなくなるかもわからぬというようなローマ会議あたりの意見もございまして、これに対処して石油資源というもののいわゆる値上げの問題、また削減の問題、またそれにかわる代替エネルギーの問題、特にわが国は九九・七%を外国から輸入しておる。世界で一番消費もアメリカに次いで多いし、またその影響はアメリカ以上に大きいわけでございまして、非常な混乱状況になってきたということは、私は率直にこれは認めたいし、これをできるだけ鎮静化すると同時に、早く正常な軌道に持っていかなければいけない。そういうような、ただ石油の需給の問題だけじゃなしに、私は産業的な面また物価問題いわゆる政治全般にわたっての大きな問題を提起しておる、こういうふうに実は思っております。従来は石油は非常に安いものであった、無限にあるのだということで日本産業構造は成り立っておったわけでございますけれども、それががらりと変わりまして、やはり石油は高いものだいわゆる資源は高くつくのだ、また有限のものだということから、新たに産業構造また物価体系立て直さなければいけない、そういうことでございまして、非常にきびしくわれわれは将来を見詰めなければいけない。  実は昨年あたりの計画を見てみますと、六十年ごろにはいまの二倍半から三倍くらいの石油が使われるのだ、またそれに見合うような経済成長するのだ、非常に甘い考えでございましたけれども削減問題とまた同時に価格高騰の問題によってこれはかなり変更されるべく現在検討もされておりますし、またその代替のエネルギー、特に国産のエネルギー開発については全力をあげなくてはいけない。それから国際収支上の関係でも、輸入、輸出とも伸びております。約三割くらい伸びておりますけれども、それは品物がたくさん動いたのじゃなしに、いわゆる値上がりしたのだということの伸びでございまして、これも経済企画庁その他大蔵省あたりの資料を見ました場合に、四十九年度は約四百七十億ドル、また四百八十億ドル、大体そこまで伸びるようでございまして、これの中で、いわゆる輸入にいたしましたら、四百七十億、五百億ドル近い中でどの程度のウエートを占めるべきであるか。もうすでに食糧が百億ドルに達しておるわけでございまして、食糧費と油の輸入だけでもう半分以上を占める。こういうことではこれはたいへんな、国際収支の将来の悪い見通しがございます。そういう面からも、必然的に大体三〇彩というのがめどらしゅうございます。そうなりますと百五十億ドル前後。そうなりますと必然的にいまの一バーレル十ドル原油の価格からして、現在入っておる量からあまり多くふやすわけにはいかないということの組み立てで、第三点のサンシャイン計画地熱発電、その他の水力の見直し、石炭の見直しということの、やはり代替のエネルギー開発しなければいけない。もうすべて一連されておりまして、それに従っての省資源型の産業への転換、知識集約型もそうでございますけれども、たいへんな時期に来ておる、こういうことでございまして、なかなか長期計画等立てにくい時点でございますけれども、これは衆知を集めて早急に立てて、わが国エネルギー計画また特に国産エネルギー開発問題、また将来の産業構造等も含めて、これから真剣に、しかも慎重の中で早急にこれを組み立てていかなければ、国民の生活に対する不安は消え去っていかない。やはり一連の物価高の問題、また公共料金値上げもございますけれども、早くこの青写真を打ち出して、将来かくなるのだという安心感を与えろのがやはり政治の要諦でもございまして、通産省としては通産省のワク内で全力をあげてやっていきたい。あとのことにつきましては係官より説明させます。
  11. 北村昌敏

    ○北村政府委員 政務次官の御答弁に補足しまして、先生御指摘の五点につきまして簡潔にお答え申し上げます。第一点、今回の石油危機が長期的に見ていかなる影響があると見ているか、及び六十年度時点のエネルギー見通しについてどう考えておるか、及び国際収支面との関係いかん。これは、今回の石油危機を反省いたしまして、一言で申し上げますと、今後のエネルギーの安定供給をいかにして確保するかという一点に尽きると思います。現在そのために、まず六十年度時点のエネルギー見直しの作業をしておる次第でございまして、先生お説のとおり、四十五年のときに、六十年度見通しでは、油換算で九億万キロリットルから十億万キロリットルというふうにしております。ところが当時の見通しでは、前提が、当時も新経済社会発展計画に立ってやっております関係上、GNPの伸び率なんかも、五十一年-六十年度間は八・五から九・五彩というようなあれでございますが、今後のわが国成長率などにつきましても、このような成長率で考えていいのかどうか、ある程度低目に考えるべきではなかろうか、あるいは石油一辺倒に依存しておりましたが、今回の石油危機にかんがみまして、輸入原油の見通しを見直しをしなければいけない、及び国の安全保障上もエネルギーの多様化あるいは分散化、こういったことも考えたければいけない、各種エネルギーの国内及び海外におきます開発努力を一そう強化しなければいけない等々、供給面の問題と同時に、需要面の、今後の省エネルギー化、産業構造転換、こういった面をも考え需要予測もやらなければならないというようなことで、現在供給サイドのほうは総合エネルギー調査会総合部会の場で、六月末を目ざしまして全勢力をあげまして供給予測をやっている次第でございます。それから需要サイドのほうは産業構造審議会の場で、これまた六十年度時点をにらんだ需要予測をやっておる次第でございまして、あとしばらくお時間をいただいた上でそれらの需給の予測を申し上げる時期が到来すると思います。なお国際収支の上ではどうかといった点も、これら需給予測の中で検討されていかれる問題かと存じます。  それから第二点、省資源問題及び今後の産業構造転換問題について具体的にどう考えておるのだという問題でございます。私直接の担当ではございませんが、これまた今後の産業構造のビジョン策定の作業をいまの産業構造審議会の場で並行してやっておるところでございまして、もうしばらく検討時間をいただきたいと存じます。  第三点、サンシャイン計画につきましては、ただいま政務次官答弁のとおりでございまして、これは相当に長期の時間と膨大なる金額と技術力を投入しなければなりませんが、これまた今四十九年度からサンシャイン計画に着手、スタートをした、こういう状況でございまして、今後一そう努力していきたいと思います。  それから二十一世紀以降の核融合の問題につきましては、これは所管が違いますが、われわれエネルギーを担当いたします通産省といたしましては、所管庁とも十分な連携の上でこれの開発を進めてまいりたいと希望いたしておる次第でございます。  それから第五点のプロパンガスの問題でございますが、現在家庭用プロパンガスの公益性にかんがみまして、十キログラム当たり千三百円という小売り標準価格を設定してやっておる次第でございますが、メジャーとの四月一日積み以降の値上げ交渉が先般来続けられておりましたが、すでに一部妥結が見られておりまして、早晩全面的な妥結ということになろうかと思います。これでは、従来トン当たり七十ドルぐらいのものが百十ドルと、非常に大幅な値上げやむないような状況になりつつございます。何ぶん、国内プロパンの供給につきましては、これは製品輸入が大体五五%、それから国内で精製する過程で出てまいりますプロパンが四五%というような割りでございまして、半分以上占めております製品輸入物が大幅値上げでございますので、これまた適切なる段階におきましては、円滑な供給確保のためには標準価格改定も踏み切らなければならない時期が参ろうかと存じております。  なお、家庭用のガスとプロパンガスとの調整問題について行政組織としてどう考えておるのかという御指摘の点につきましては、プロパンガスのほうは石油業者がこれを供給販売いたしておるわけでございまして、供給額の上からはやはり石油行政の一環としてとらえるのが原則的にはしかるべきものと考えております。それからまた都市ガスの場合には、導管を布設しまして、しかも地域独占を認められておるという性格のものでございまするので、これはやはりガス事業法の対象ということでやっていってしかるべきだと存じます。なお、四十五年のときに法律を直しまして、七十戸以上を対象に小規模ながらでも導管でもってプロパンガスを供給しておる者は、簡易ガス事業者ということで、ガス事業法の規制の対象に繰り入れております。したがいまして、原則的には、プロパンの供給実態ガスの供給実態からしますると、それぞれ石油行政の一環として、ガスの場合にはガス事業規制の一環としてやっていくのがやはり現実的なものではなかろうかと思っておりますが、ガス、プロパン相互の間にいろいろと調整を必要とする問題が発生します場合には、それぞれの担当部局が緊密に連携を持って必要な調整を行なっていく、こういうふうにやってまいりたいと存じます。  なお、第三点で御指摘の、地熱発電がクリーンかどうかという問題につきましては、公益事業部長が御答弁いたします。
  12. 岸田文武

    ○岸田政府委員 わが国地熱発電の発電量は、現在の規模では約三万三千キロワット、非常に小規模でございます。ただ、石油危機以来にわかに脚光を浴びて、将来性が期待をされておるわけでございます。  調査によりますと、可能性としては二千万キロワットぐらいの可能性を持っておるということで、先年から工業技術院を中心に基礎調査を進め、また今年度からは、公益事業部におきまして地質のボーリングなども実施したい、こう考えておるところでございます。  御意見の中で、この地熱開発がクリーンであるかどうかという点についてのお尋ねがございました。これは、地熱が、他の燃料を燃焼させるというものと違いまして、自然の中にある資源を活用するという意味からいたしますと、やはり非常にクリーンな分野ではないか、こう考えております。  いろいろ私どもも勉強しておりますと、御懸念の中には、硫化水素あるいは砒素の問題、これらの点についての御懸念が聞かれるわけでございますが、前者については脱硫装置をつけるとか、また後者については水をもう一度地下還元するとか、こういった方法も非常に発達をしてきておりますまた、開発に際しての騒音問題等につきましてもサイレンサーの整備等によりまして対応することができるのではないか。これらはいずれも新しい分野でございますから、なおさらに技術開発の余地を残しておる分野でございまして、私どもも鋭意勉強いたしたいと思っております。
  13. 井岡大治

    井岡委員長代理 松浦利尚君。
  14. 松浦利尚

    松浦(利)委員 長官質問しようと思ったんですが、十一時半からOECDの何か御出席のための打ち合わせがあるそうで離席されますので、実は長官にお尋ねすることができなくなったんですそれで、一つだけお尋ねをしておきたいんですが今度の電気料金値上げが行なわれました。国民は非常にこの問題については不満を持っておるし同時に、政府のやった行為に対して疑問を持っておるんですね。一つは、四月に申請をされたものあるいは五月に申請されたところもある、ところが、九社一斉にあっという間にあれだけの膨大な電気料金値上げがきまったということ、きわめて従来と違ったパターンで公共料金の決定が行なわれたということについて、非常に疑問を持っておるんです。そのあらわれが、御承知のように、電気料金値上げした部分はこれからは一切払わない、向こうが拒否すれば供託をする、こういった方向すら国民の中にだんだん広がってきつつあるんですね。  そこで私は、物価担当大臣として、この電気料金値上げは実際に正しかったのか、物価担当大臣としてこういうあり方に満足しておられるのか、全くもう手落ちはなかった、十分だ、こういうふうに判断をしておられるのかどうか、その一点をひとつ大臣に的確にお答えをいただいて、あと政府委員あるいは政務次官の皆さんに質問をしたいと思います。
  15. 内田常雄

    内田国務大臣 松浦さんが表明されましたただいまの御発言、電力消費者国民一般の気持ちだろうと私は思います。また物価を担当する私どもといたしましては、でき得るならば、電力料金ばかりでなしに公共料金というものは、極力、これを抑制するという立場を一日でも長く厳格に貫いていきたいということの気持ちを持つものでございますが、しかし同時に、物価担当大臣はまた経済担当大臣でもございまして、物価、料金だけを押えてまいれば、あと経済運営というものが停滞をしたり崩壊をしたり――崩壊と申しますと大げさでございますが、非常に支障を生じたり、それがまた国民生活に非常な御迷惑や混迷を与えるということになることも考えながら、物価大臣としての使命を果たさなければならないという板ばさみの――これは板はさみであってはならない、利はそれを立体的に組み立てるつもりでありますがそういう両面の立場を調整しなければならないということも御理解をいただけると思います。  そこで、電力料金でございますが、したがって、かなりこれまでも、申請書を出すことも通産省と相談しまして押えてまいりました。したがって、これは途中におけるいろいろなわが国経済構造や電力そのものの性格に基づく要因幾つかございましたが、とにもかくにも、長いものは二十年また東京電力のような中間的なものでございましても十二、三年の間は料金を上げないで今日までまいることができたわけでございますが、昨冬来の石油の国際的な環境の著しい変革、またそれに伴う石油製品価格の大幅な値上げというようなものを私どもがやりました以上は、今日、それらの石油エネルギーのいわば二次産業ともいわれておりますような電力におきましては、いつまでもいままでの料金抑制を続けることができないというところに逢着をいたしました。したがって、もうくどいことは申しませんけれども、その料金改定タイプにいたしましても、家庭用の電灯価格における体系とそれからまた工業等の消費する電力料金価格の体系とを、いままでとはかなり編成を変えまして、直接家庭の消費にかかる料金の値上げというものは低く押えますことはもちろん、その中で、三段階制をとりますとか、また社会福祉的なものにつきましては、当委員会において皆さま方から非常に強い御発言もございました福祉施設などにつきましても、最後最後の段階で幾つか、これは本年度代でございますけれども、料金を据え置くというようなこともやりながら、また電力料金につきましては、三段階制というよりもかなり大幅な逓増制――使えば使うだけ高い電力を使わなければならない、それをもってまた省エネルギー型の産業の構造というものを誘致するというようなそういうものも取り入れながら、一面においては、まことに遺憾ながら今回の料金引き上げを認めざるを得なかったわけであります。  しかし、これは私どもは、それをもって万事済みとは考えませんで、これの影響の波及などにつきましても、また石油の場合にとりましたと同じ発想を継続いたしまして、でき得る限りその影響を小範囲にとどめてまいるというようなことにつきましても、物価担当政府機構としまして努力を続けてまいりたいと考えます。いずれにいたしましても、松浦さんによって発言されましたただいまのおことばにつきまして、消費者の皆さま方からもコンセンサスが得られるようないろいろの努力を今後も続けなければなるまいと思っておるところでございます。
  16. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま大臣がるるお話しになりましたけれども、大体なぜ国民が納得しないかといいますと、電気料金のきめ方が非常にガラス張りでないのですね。非常に秘密的に行なわれておる。知っておるのは、電気会社と、それを精査する通産省あるいはエネルギー庁ですね。それと、合い議を受ける経済企画庁国民は全然知らない。ところが、御承知のように、電気というのは大体地域独占である。しかもあらゆる面で優遇措置がとられておる。たとえば税制でも特別償却が認められておったり、引き当て等でも優遇されておるのですね。ところが一方では、料金値上げについては全く非公開である。こういう点が国民に非常に不明瞭な点を与えておると思っておるのですね。  そこで、公益事業部長にお尋ねしますが、これは閣議も含めてですが、料金値上げを決定する前に、私たちが要求した資料をぜひ出してくださいと私たちは言った。委員会が開かれておらなくても理事会に提出すればいいわけでしょう。国会議員の要求すらもあなた方は認めようとしないわけですね。この前、一生懸命私たちは電気料金の問題を議論をして、それぞれ各党とも要求をした。ところが、きょうもらったのですね。値上げを出したあと、こんな資料をもらったって意味ないでしょう。かりにこの資料が間違っておったということを議論しても、もとに戻らないでしょう。こういうあり方について私は非常に不満ですね。だから、この前くどいように――私は会議録をさっき見たのですが、手続としては国会に出す必要はない。しかし、これだけ国民の重大な問題になっているのだから、できれば手続としてというよりも政府みずからが私たちの要求した資料は料金決定前に出してください。全部と言っておらない。要求したものだけでしょう。そういう点が私は国民に対して非常に不満を抱かせると思うのですね。われわれだって不満ですよ。この前の委員会の議論というものをどのように受け取っておられるんですかね。公益事業部長でけっこうです。あなたがこの前は答弁しておられるんです。
  17. 岸田文武

    ○岸田政府委員 電気料金の算定がなるべく公明に、皆さま方の納得のいくような形で進められるということは、私としてはやはり当然のことだと思います。申請にあたりまして、申請内容を公示するという制度が設けられておりますのも、そのせいかと思います。私どもも御要求の資料は逐次整備をしてお届けをしてまいったつもりでございますが、ただ、先般の物特で御要求になりました資料、特に算定期間のとり方、あるいは算定方法なかなかむずかしい問題がございまして、結果としておくれてしまいましたこと、まことに申しわけないと思っております。
  18. 松浦利尚

    松浦(利)委員 申しわけないという一言で終わってしまうから問題が残るのですね。これからはやはり、われわれが要求した資料は、公共料金の特に政府の許認可事項については、要求のあったものについては事前に出すということについて要求した資料について出すということについては約束してもらえますか。これは通産政務次官、どうでしょう。
  19. 森下元晴

    ○森下政府委員 五月十六日の当委員会に私も出席しておりまして、松浦先生からの資料要求、確かに承っておったし、お出しすることの確約の発言も確認しております。この点で非常に御迷惑をかけた点は、私もおりながら十分チェックし得なかった、また配慮が足らなかったということは、心からおわび申し上げたい。決して国会を軽視したり委員会を軽視したりするわけでございません。また資料の内容も何十日もかかるような資料でもございませんし、早急に作成して理事会に出すべきだったと私は思います。   〔井岡委員長代理退席、委員長着席〕  ただ、当日私も実は六月一日にあまりこだわりたくないということは率直に申し上げたのです。非常に急テンポに進みまして、この点かなりわれわれもあわてたことは事実でございます。そういう点もございまして、意図的にやったわけでもございませんし、結果的にはほんとうに申しわけなかったのですが、今後は資料の内容によって、委員長の許可を得たり、また、直接お出しすることの約束できる内容のものもございます。約束したものは確実に出すように努力もするし、私自身も十分注意したいと思っております。
  20. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それだけ言われれば、これ以上いろいろ言う必要もないのですが、非常にそういう点が不満です。  そこで、私は一つ二つ、今度の決定にあたって、わかりませんので、具体的にどこにそれがあったのかを教えていただきたい。  一つは政治献金ですね。一体政治献金というのは、今度の査定のどこに入っておったのか。四十八年度上期は約四億円、電気事業団体を通じて国民協会に出されておりますね。一体通産の皆さん方がそれを試算されて、九電力会社の政治献金というのはどこに入っておるのですか。どれくらい見込まれておったのですか。もう終わっておるわけですから、具体的にお答えになっていいと思うのですよ。どうです、公益事業部長。
  21. 岸田文武

    ○岸田政府委員 政党に対する献金は、通常寄付金の形で行なわれますので、現実の会計処理としては諸費の中に経理をされるということであろうと思います。ただ、申請におきましては、政治献金というような項目は一切ございません。いわば諸費の査定の問題になるわけでございます。私どもは、諸費の中でも寄付金等につきましては、従来に例を見ないきびしい査定を行なっております。
  22. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま言われたことは、電気料金を決定する総原価の中に入るわけでしょう。総原価に入りますね。今度の料金決定、きびしく査定したとしても、総原価の中に入ってくるでしょうそれは間違いありませんね。当然でしょう。
  23. 岸田文武

    ○岸田政府委員 私どもは総額としての諸費なりあるいは寄付金の額を査定をするわけでございます。その中で政治献金をするかしないか、その額いかんというようなことは、私どもは関知いたしておりません。
  24. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そういうことだと思うのです。しかし、いずれにしてもそういうものも総原価の中に入っておるということです。  そこで、いま消費者が何と言っておるか。消費者は電灯料金の値上げ、自民党は政治献金、こう言っておる。自民党の政治献金まで末端の消費者にしわ寄せされたじゃないか、こう言われるのですね。なぜそう言われるのか。それは、先ほどからくどいように言っておるように、ガラス張りでないからなんですよ。一体どういう形で料金がきめられるかということが全く秘密裏だから、そうでなくたって、邪推されるわけでしょう。この際電気料金のあり方について、公共料金の許認可の決定のあり方について、オープンにしていく、できるだけ国民の中に知らしていく、そういうお考え方に立つお気持ちはありませんか。これは政治的なことですから、政務次官でけっこうです。
  25. 森下元晴

    ○森下政府委員 いま部長から御説明いたしましたように、正当な政治献金はいわゆる原価の中に構成される。この正当であるかないかは、やはり税法等で損金に入れるかどうかという査定はございます。ただしかし、その他とか雑費という形で政治献金を先生御指摘のように、そのまま葬ってしまうか、これを天下に公表すべきである、私もそれは入っておれば当然すべきだと思うのです。当然政党に対して――自民党だけではございませんし、現在の政治献金につきましては、どの政党にもできるような法律体系に一応なっております。たまたま自民党にされたことで御指摘されておると思いますけれども、正当な支出でございましたら、当然原価に入れるべき正当なものでございましたら、それを包み隠さず堂々と出すべきだ、これは当然だと私は思います。  それから、先ほど内田長官からもお話がございましたように、非常に短兵急に価格がきまったものですから、政府としてはやむを得ず上げたと理解はできますけれども、しかし、率直に申し上げて、国民大衆は御指摘のようにまだいろいろ疑惑もあると思います。これをやはりできるだけ親切に御説明申し上げる、また、内容についても十分周知するというのが政治の責任でございます。また、与党として自民党、また政府の責任だと思います。そういうことで、率直にいって、政治献金であろうと何であろうと、当然原価に構成され、損金に落とされるような内容のものは、堂々と発表してしかるべきだろう、また、国民の批判を受けることが当然だと思います。
  26. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私はまだほかにたくさん疑問があるのですが、いま政治献金の問題を一つ取り上げたのです。  そこで、物価担当の経済企画庁政務次官にお尋ねしておきますが、これから公共料金値上げがメジロ押しですね。たいへんに公共料金値上げが予定されております。七月ごろから始まるだろうとも報道されておるわけですね。それが全部、あるいは運輸省あるいは通産省、全部こういったところの許認可料金です。国鉄運賃あるいは消費者物価、こういうのは国会でたいへんに議論されます。あるいは米価審議会で議論をされる。ところが、それ以外のものは、やはり今度の電気料金と一緒なんですね。だから、私が言っておるのは、たまたま政治献金のことを触れたわけですが、できるだけ疑問を解明するためには、経過を発表する必要がある。ですから、そういう意味でガラス張りにしたらどうか。その審査内容をやはりガラス張りにして国民の中に教えていったらどうか。政治献金は、たまたまいま、通産政務次官はまじめにお答えになりましたからこれはけっこうだと思うのですが、すべてのものについてやはり政治献金であるとを問わず、すべての項目について総原価をこのようにして計算をしたのだという事実を、その内容を、国民の前に明らかにして料金決定というのはされるべきである、ガラス張りにすべきであるというふうに思うのです。これからの公共料金の決定にあたっては、そういう措置を物価担当の政務次官としてはしていただけますか。
  27. 竹内黎一

    ○竹内(黎)政府委員 先生ただいま御指摘のように、公共料金のそういう取り扱いにおいて極力ガラス張りにすべきだという御指摘は、私は全く同感でございます。昨日でございましたか、物価安定政策会議がございました際にも、出席の委員の中からも、今回の電力料金改定の問題の際に、消費者に対してのPRが不足である。たとえば消費者が資料をほしいといって役所に出向いた場合にも、実に冷たい取り扱いを受けた、こういう意味での御批判もございましたので、それからまた、今回の公聴会がいかにも形式的でもあった、こういう御批判もございましたので、それらの点の運営の改善について、今後十分に心してまいりたいと思います。
  28. 松浦利尚

    松浦(利)委員 料金決定の経過についての質問は、以上で終わりたいと思うのです。  そこで、先ほど経済企画庁長官も、経済企画庁経済活動そのものも担当しておるところだ、こう言われたわけでありますが、事実そのとおりだと思うのです。そこで、今度の電気料金が、その他の産業に与える影響というのはたいへん大きいと思うのです。特に電力多消費型産業についてはもうすでに料金改定申請というのが出されようとしていますね。先ほど山崎委員からも指摘があったわけでありますが、現実にいままで事前了承制あるいは価格の凍結、こういったことを行政指導として行なってこられたわけであります。現に報道されるところによりますと、アルミ製錬あるいは苛性ソーダあるいは大手では鋼材の値上がり、こういったものが一斉に出されようとしておるわけですね。これがすべて今回の電力料金改定に伴うコストアップによる料金改定、それの事前了承を得ようと通産省に出してきておるのです。こういう扱いを通産省はどうされるのですか。経済活動が停滞をするからひとつ今回の電気料金値上げに伴って引き上げを要求した場合に、通産省としては次々と結果的には価格上昇を認めざるを得ないのじゃないですか。その点についてお答えいただきたいと思うのです。
  29. 森下元晴

    ○森下政府委員 通産省といたしましては、価格.凍結と申しますかいわゆる事前了承制対象物資というものがございまして、価格上昇を押えております。そういう品目につきましては事前に了承しなければ上げ得ないということで指導をしておるわけでございます。お説のようにアルミ、鉄鋼その他いわゆる上がる気配はございます。ただ正式にまだいわゆる申請の段階になっておらない。しかし電気コストが上がるわけでございますから、いずれ申請はあると思います。電気料金の問題も、巷間参議院の選挙があってそのあとにするとか前にするとか、いろいろうわさはされましたけれども、必要なときにはやはり認めざるを得ないということでございまして、できるだけ行政指導の範囲で押えるのはわれわれのつとめでございますけれども、万やむを得ないという事態になった場合はこれはやはり認めざるを得ないというふうに実は考えております。ただ、現状は申請の段階に至っておらない、気配はあるけれども、まだそこまで具体化しておらないということでございます。
  30. 黒田明雄

    ○黒田説明員 いま政務次官が御答弁されたとおりでございますが、新聞報道等で伝えられております値上げ申請物資といわれる中には、電気料金のコストが相当かかるものと、むしろその他の要因が大きいというふうに伝えられているものとがございます。それ以外の点については政務次官のとおりでございます。
  31. 松浦利尚

    松浦(利)委員 結局常識的に考えて、電気料金が上がればその電気による基礎資材が上がる、基礎資材が上がれば結果的に加工する業界の製品に転嫁していく以外にない。そういうふうにいきますと、御承知のように今度の石油輸入価格高騰による狂乱がありましたが、それから派生する電気料金値上げ、そして今度は基礎資材の値上げそして製品価格への転嫁という新価格体系へ第一歩を踏み出した、そういうふうに私たちは理解をするのです。ですから逆にいうと、こういった高いエネルギーを使い、しかもいままでは行政指導価格凍結等をやってきたが、もうどうにもならなくなった。それでこの際電気料金を一発上げておいて、そうして七月以降にはそういった関連のものを一斉に値上げをしよう、そういう判断に立っておることはもう事実でしょう。押えていこうという考え方ですか、それとももうしようがないから上げていこう、新価格体系に移行しつつあるわけだから、やむを得ないからその分上げていこうという判断に立ってこれからの申請査定をしていかれるわけでしょう。その点はどういう判断に立っておられるわけですか。
  32. 黒田明雄

    ○黒田説明員 私どもとしては、極力物価抑制するという方針が第一でございます。ただ、物資価格を押え過ぎることによって需給が逼迫するというようなところまで追い詰めるわけにまいりませんので、公正妥当な値上げ要因については、これは認めていかざるを得ないと思います。ただし、繰り返して申し上げますが、物価抑制という基本的な目的はぜひとも貫きたいと思っております。
  33. 松浦利尚

    松浦(利)委員 物価抑制という気持ちはわかるのですよ、物価を極力押えていくという形は。しかし、現実にもう電気料金値上げはやったのだから、その電気料金値上げをやったものに対しての値上げ分は認めざるを得ないでしょう。コストアップのものについては認めざるを得ないでしょう。物価抑制といってみても。それはもう事実じゃないですか。幾ら抑制するといったって、電気料金値上げはしたのだからぜひ値上げしてくれ、こうくるわけだから、その分を押えるということになれば経済活動を停滞させることになるから、経済企画庁長官が言ったように上げざるを得ないでしょう。だから物価抑制ということと今度の電気料金値上げということは矛盾するのですよ、はっきり言うと。なぜじゃ電気だけそのことが認められて、ほかのそういった企業には認められないのかという問題が起こってくるでしょう。結果的に、電気料金を上げたということは全部の物価について引き上げを認めた、要するに、目張りがはずれた、こう理解するのが私はほんとうだと思うのですよ。総需要抑制政策というものはある、金融引き締め政策はある、しかし、価格上のそういった目張りというものは一応取っ払われる足がかりをつくった、そう理解するのがほんとうじゃないですか。
  34. 小島英敏

    ○小島政府委員 先取り値上げが全然なかった場合には、いま先生のおっしゃるとおりだと思うのですけれども、私どもの判断は、公共料金以外の業種においては相当多くの業種において昨年末から本年の二月ぐらいにかけて先取り値上げが行なわれたというふうに認識しております。ですから今度の電力料金が上がることによって、各産業別に多少の差はありますけれども、コスト上昇要因としては確かにプラスされるわけでございますけれども、それをはたして企業が吸収できるかどうかという判断が非常に重要でございまして、先取り値上げがかなりあったと思われる業種においては、電力の値上げによるコストアップがあってもこれは企業で吸収できると判断できます場合には、事前了承制による申請がありましても値上げを認めないということが十分考えられるわけでございまして、そういう意味で、私ども卸売り物価においてその電力値上げの直接的影響といいますか、卸売り物価の構成品目に電力というのがあるわけでございますから、これは当然卸売り物価を上げるわけでございますけれども、それ以外の間接部分につきましては、いま申しましたような理由によって、決して大きなものではないというふうに考えているわけでございます。
  35. 松浦利尚

    松浦(利)委員 いま物価局長が言われましたけれども、今度の電気料金値上げに伴う直接的な物価のはね返りは〇・五六%ぐらいだ、こう言っておられるのですか、それは計数的には私は間違いないと思う。しかし問題は、その電気料金値上げしたということに伴う間接的なものですね。間接的なはね返りというのが非常に大きいわけでしょう。だから、相争っていま一斉に事前了承制の立場から通産省に対して価格の引き上げを要求する準備に入ってきていますね。  それじゃ、物価局長にお尋ねをいたしますが、現実にこれから七月なら七月に私鉄あるいは航空、バス、あるいは都市ガス、タクシー、こういったものが全体的にメジロ押し値上げ公共料金としての値上げ申請が出されますね。これについてはもう電気料金と同じように、またこれは先取りもないわけですから、結果的に、査定をしてこれの引き上げを認めざるを得ないでしょう、この分については。その点はどうですか。
  36. 小島英敏

    ○小島政府委員 先取りがほとんどございませんから、公共料金についてはおっしゃるように線が多くなると思います。ただ、その場合に申請どおり認めるということでございませんで、申請内容を十分に精査して、合理的なものであればこれはやはり認めざるを得ないということでございます
  37. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、いま局長がいみじくも言われましたが、今度九社平均の申請が六二・八九%、それを通産査定で五六・八二%に査定したわけですね。ですから、かりに私鉄でも航空でもあるいはタクシーでも都市ガスでも、申請をしたものがそのまま一〇〇%認められるとはだれも思わない。しかし、査定した結果は必ず値上げするということにはなるんじゃないですか。それは明らかにもう間違いないと思う。そうすると、電気料金値上げによるコストアップに伴う料金の値上げ申請というものが、さらにそういった公共料金の波及的な認可ということによって再び全体の物価を押し上げてしまう、そういう経過をたどるんじゃないですか。逆に言うと、先ほど山崎委員も指摘しておりましたが、一応高原安定といいますか、げたがありますから実質的な統計上にあらわれてくる数字は非常に高いのですけれども、一応安定する方向になだらかなカーブで落ちつきかかってきておるのに一斉に公共料金の引き上げというものが突き上げるという作用をすることは私は間違いないと思うのです。その点についてはどう判断しておられますか。
  38. 小島英敏

    ○小島政府委員 公共料金は主として卸売り物価指数よりも消費者物価指数のほうに影響いたします。そういう意味で、卸売り物価指数の間接的影響は、先ほど申し上げましたようにたいしたことないと判断しておりますけれども電力料金値上げがなかった場合に今後の公共料金で認められるであろう上げ幅に対して、今度電力料金値上げが認められましたために多少上げ幅が多くなるということはあると思います。しかし、主として公共料金には今後、いま先生おっしゃいました運輸関係が多いのですけれども、これは実は賃金のウエートのほうがはるかに大きいわけでございまして、そういう意味では電力の占める割合というのは必ずしも大きなウエートではないというふうに思います。
  39. 松浦利尚

    松浦(利)委員 電力の占める割合は少ないけれども、実質的に公共料金値上げ申請があったら、やはりコストアップですからね、その分については査定をして認可せざるを得ない。ですから、新聞等でよくいわれているように、これからは公共料金主導型の物価高騰期に入るのではないかという危険性があることは私は事実だと思うのです。新聞の報道、私は正しいと思うのですよ。公共料金の引き上げがあったことについていろいろ目張りをしていくと盛んに言っておられるけれども、実質的にはもう新価格体系に移行する。移行する段階における公共料金の引き上げが、新聞によると公共料金主導型の高価格時代というものが出現をしそうだ、こういうことを言っておられるのですが、そういうことはもう小島物価局長は想定しておられると思うのです。だからあなたは、今年度の消費者物価は対前年度比二〇%には落ちつきませんよということを発表なさったんじゃありませんか。
  40. 小島英敏

    ○小島政府委員 公共料金が、私どもの判断では今後ほかのものに比べて平均の上げ率が高くなると思いますけれども、これは決して公共料金主導型の物価騰貴が始まるというのではなくて、むしろいままでの物価騰貴のあと始末といいますか、後遺症として公共料金が上がる。これは輸入原料今度の電力、それ以上にやはり賃金アップ、そういうものの過去の経済の動きが公共料金というものの値上げをいままで先取りしていなかったところに波及していって、あと始末といいますか、そういう形で公共料金が上がるというふうに理解しております。おっしゃるように、しかしそれはCPIに大きな影響を与えますから、なかなか九・六%というような見通しは非常にむずかしいということはこの前も申し上げたとおりでございますが、私は二〇%以上になるということを申し上げたことはございませんで、さしあたり、どうも前年同月比が二〇%を切ることはことしの秋とか年内くらいはかなりむずかしいんではないか、そういう感じは持っております。ただ、年を越しますと、これは二〇%を切ることが十分可能であろうと思います。
  41. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、先ほど経済企画庁長官はそういった公共料金の引き上げに伴う目張りをしていくということを言われたですね。現実に総需要抑制政策も続けるし、金融引き締め政策も続けていくのだ。そうすると、先ほど山崎委員は、そういう状態が続けば不況下の物価高というものが出てくるんじゃないか、スタグフレーションに進むんじゃないかという危険性についても質問しておられた。ということになりますと、実際にそういうパターンでいった場合に、先ほどいった便乗値上げ的な発想ですね。そういうものの価格抑制、製品に転嫁しようとする価格をどういう方法でそれでは押えていこうとするのか。ただ総需要抑制政策金融引き締め、それから事前了承を伴う価格の凍結、あるいは百二十三品目の強力を伴う末端の生活物資価格凍結ですね、そういう手だてだけでは私はもう耐え得られないんじゃないか。逆に言うと、取捨選択権を通産省なり経済企画庁が握って、そしてコストとその他等はもちろん検査していくでしょうが、そういうこととは無関係に官僚の手によってコントロールしていくんじゃないか。これは上げる、これは上げない、そういう状態が出現してくるのではないか。そういうことまで現実に経済企画庁のほうでは想定しておられるのではないですか。そこまでも行かざるを得ないのだというふうに想定しておられるのではないですか。その点はどうですか。
  42. 小島英敏

    ○小島政府委員 便乗値上げ防止の基本的な政策は、先生おっしゃいますように総需要抑制が基本であると思います。同時に、公取の活動と申しますか、独禁政策を厳正にやっていくこと、これがマクロ的な政策としては一番ポイントであると思いますが、同時に、先生おっしゃいます個別対策といいますか、目張り事前了承制その他の措置がしかれておりますから、ここで合理的な値上げ理由であって、しかも先取り値上げがなくて吸収不可能であるという限りにおいて認める。それ以外のものは便乗として認めないということによって、あの網の目にいま入っておりますものについては、制度的に確保できると思います。それ以外のものにつきましては、これは制度がございませんから、一々監視しにくい点がございますけれども、重要物資につきましては、通産省、農林省が、いま網の目に入っておりますもの以外についても行政指導的に監視の目を光らせて、便乗値上げがないように極力指導していくということで対処していくしかないと思っております。したがいまして、役人の目でやっていくということはいいことでございませんけれども、昨年後半以来のこういう異常事態、一時の最悪の事態は脱しましたけれども、なおしばらくはノーマルな状態に完全に戻りますまでの過渡的な手段として役所の監視という、あまりいい形でございませんけれどもやはり行政指導を含めてやっていかざるを得ないと思っております。
  43. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それで、行政指導で行き詰まってくるという状態が結果的に出てくるのだろうと私は思うのです。そうすると、昨年の十二月に通りました国民生活安定緊急措置法に伴う標準価格こういった標準価格というものが無数に――いまは四つに限られていますね。トイレットペーパーとちり紙と灯油とLPG、それがさらに広がらざるを得ないのではないかという想定に私は立つのですよ、これだけ公共料金が軒並み上がっていけば。鋼材の値上げを認めれば、それを加工する自動車その他にずっと波及的に進んでいくわけですから、結果的には標準価格をもっと幅広く設定せざるを得ないという条件になってくるのではないかと思うのですが、そういう想定には立っておられませんか。標準価格はいまのように数は極力限定するのか、それともさらに拡大されていくと考えておられるのか、その点を明確に御答弁いただきたいと思います。
  44. 小島英敏

    ○小島政府委員 先ほど申しましたように、昨年末からことしの初めにかけたような狂乱事態は脱して、公共料金を中心にCPIのほうはなお多少強さが残りますけれども、大勢としてはいい方向に向かっているわけでありますから、四品目の中でこの間二つはずしまして、いまLPGと灯油だけ残っておるわけでございますけれども、灯油は不需要期をどうするかという問題がございますけれども、いずれ秋になりますればLPG、灯油は標準価格で規制していくということだと思います。  その他のものにつきましては、私ども感じはこの間石油製品値上げのときに公正取引委員会の意見もございまして、行政指導価格というのはあまり好ましくないから、なるべく標準価格に移行できるものは移行すべきであるという意見、これは私どもも全く同感でございまして、重油のように会社別に値が違いますものは、標準価格にはもともとならないものでございますけれども、一本価格的な運用ができるものは行政指導価格よりは標準価格がよろしいと思いますから、その限りにおいて標準価格が多少ふえるということは石油関連においてあると思います。しかし、石油関連以外の一般物資については、ことしの初めのようなああいう異常事態が再現しない限り、標準価格を広げていくという気持ちはいまのところないわけでございます。
  45. 松浦利尚

    松浦(利)委員 標準価格を広げていく気持ちはないということですが、きょう、先ほど山崎委員も指摘しておりましたが、経済企画庁は月例報告を総理になさいましたね。三つのパターンで計量されて、そして賃金物価との関係を打ち出された。この前の委員会で和田委員質問に答えて、所得政策はもはや陰におらずに堂々と表面に打ち出して国民と議論すべき段階に来たということを、ちょっと経済企画庁長官が言われたのですが、もう現実にこういう段階に来たら皆さん方の頭の中に、私はきょう新聞で見ただけですから、どういう御報告があったのか、具体的にはこれからその内容をチェックして、また機会を改めて質問するつもりですが、内容的にいうならガイドラインを設けた、要するに賃金だけを中心にした所得政策、こういったものを発想として考えておられるのではないか。しかし、その前提に立つものとしては、公共料金主導型の第三段の物価狂乱が来たときはもうそれ以外に乗り切る道はないという、そういう見通しから現実エコノミストの皆さん方は議論をしておられるのではないかというふうに、私はきょうの新聞を見て受け取ったのです。その点は局長はどうでしょうか。
  46. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 お答えいたします。  この委員会でも御指摘がありましたように、賃金上昇物価上昇の間にはいろいろの関係がございますので、経済企画庁で検討してまいりました。  昨日、総理のところに報告に参りましたのは、春闘の賃上げ率が大体三〇%以上確実だという見通しになりましたので、それがどのような影響を今後の物価並びに経済に与えるかということで検討しております、その中間報告をしてまいりました。それは必ずしも賃金物価がストレートに結びついているわけではございませんで、これからの需要管理政策のいかんその他によって、いろいろ違うわけでございます。ただいま御指摘になりましたように、確かに幾つかのケースを想定しておりまして、賃金がことしは三〇%以上上がるわけでございますけれども、来年については、ことし並みの三〇%上がるというケースもございますし、あるいは去年並みの二〇%というケースもございます。さらに、その前ないしはさらに一年前の一五、六%というケースもあり得るわけであのます。  いろいろ計算をいたしまして、一応出ております結論と申しますのは、どのような形を想定するにしても、現在の総需要抑制政策を当分引き続き採用していかなければ日本経済は需給の壁に当たって、物価上昇がもう一ぺん狂乱的になるということでございまして、この私どもの現在までの作業は、所得政策を導入する是非を検討するということではございませんし、来年の賃金をどういうふうにしなければいけないという意味を持った作業でもございません。ことしの春闘の結果によって今後経済運営をどうしなければいけないかということで、基本的に需要管理政策が一番重要であるということを指摘しております。
  47. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そのままストレートに所得政策に結びついておるとは私は思わないのですが、作業過程としてそういうものを想定してやっておられるのではないですか、こう聞いておるわけですが、宮崎局長の話を聞いておりますと、そういうことではない、こういう御返事があったというふうに理解してよろしいですね。詳しくはまた資料をいただいてから議論させていただくつもりですが……。
  48. 宮崎勇

    宮崎(勇)政府委員 その作業は、私どもでは、短期予測モデル、パイロットモデルというのを使っておりまして、それは先生御承知のように、あらかじめ外生変数として幾つかのものを与えなければいけないわけです。ですから、いろいろの条件が前提として与えられておりまして、賃金を動かしたらどうなるかということだけではございません。  なお、詳しくは資料を提出いたしまして、機会があればいつでも御説明に上がりたいと思います。
  49. 松浦利尚

    松浦(利)委員 このことはきょうの議論の中心じゃありませんから、いま局長が言われたように、ぜひ全部の委員にこの中間報告の資料を配っていただいて、また別の機会に議論をさしていただきたいと思うのです。  そこで時間がなくなりましたから、あとは事務的なことを一、二お尋ねして終わりたいと思うのです。  自治省から財政局長さんが来ておられるので財政局長さんにお尋ねをしたいのですが、実はいま全体の発電量の中で、水力と火力とありますね、まあ原子力もあるのですが。その水力のうち公営企業体が売電をしておる量というのは全体の七割ぐらいである、こういうふうに理解しておるのですが、それは間違いありませんか。
  50. 松浦功

    松浦政府委員 お答え申し上げます。  水力発電全体に対します公営企業の年間売電量これは九・二%でございます。これは四十八年度の年間を通じての見込みで計算をいたしております。
  51. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それじゃ私のほうの数字が間違いで一割ないんですね。全体の水力で、九電に売っておる量というのは一割ないわけですね。
  52. 松浦功

    松浦政府委員 一割を若干割っておるのが現状でございます。
  53. 松浦利尚

    松浦(利)委員 それではお尋ねいたしますが、この売電契約ですね。各電力会社と各公営企業体地方自治体が売電契約をしておるのですが、その売電契約が、私はこの前予算委員会の分科会でも通産省に申し上げたのですが、ずっと据え置かれているのです。ところがやはり地方自治体といえどもコストアップはあると思うのですね。それを買った九電力会社が逆に今度は電気料金値上げのもので売るわけです。水力、火力の区別なく一本で売るわけです。そうしますと、この際売電契約というものは見直すべきだ。地方自治体の人たちは税金でつくった上にしかも安く買いたたかれるというのじゃたまらない。現実にこういう話を聞いたのですが、売る場所が一社しかないのですね、地方独占ですから。九州にあれば九州電力、四国にあれば四国電力に売る以外に売る先がないのですね。だから買いたたかれてしまう。それじゃ売らなければいいじゃないかといっても、現実に発電したものは売らないわけにはいかないわけですから、そこでしかたがない、買いたたかれるという電力会社にきわめて都合のいいシステムになっているのですね。泣くのは地方自治体。こういうものについて自治地方体としてもっときびしくコストに見合った売電契約ができるように要求して改定すべきだと思うのです。今度の電気料金の引き上げに伴って改めるべきだ、こう思うのですが、まず局長のほうから局長の気持ちを聞いておきたいと思います。
  54. 松浦功

    松浦政府委員 御指摘のとおり売電契約が比較的長期にわたっているものが多いわけでありまして、最近私どものほうでもできるだけ短期に改めるべきだということで関係各省にも御協力をいただいて新しく改定をすべき場合には短くするようにいたしております。それでも七年程度がやっと六年程度に平均をいたしますと下がってきたというのが実態でございます。  御承知のように四十八年度のベースアップは何とか各電気企業体はこなせるようでございますが四十九年度分の大幅な人件費等については見通しが非常に立ちにくいというのが実情でございます先生に御指摘をいただきましたように地方公共団体が損をして電気を売らなければならぬということになりますと、これは非常に問題でございます少なくとも企業としての経営の収支が成り立つようにこの際もう一度契約を見直すということが本筋であろうか。ただし私どもにそれらの権限があるわけではございませんので、関係各省によく御相談を申し上げて、各地方公共団体の企業がお困りにならないように、配慮してまいりたいという基本的な考え方を持っておるわけでございます。
  55. 松浦利尚

    松浦(利)委員 自治省の局長はああいうお気持ちですよね。それじゃ通産省のほうはどうですか九電力会社に対してそういうふうに指導されますか。
  56. 岸田文武

    ○岸田政府委員 実は昨年の秋ぐらいから公営企業の方々から売電料金の引き上げをはかってほしい、現実に非常に困っておるという声が私どもの耳にも入るようになってきております。特に人件費の上昇がかなり影響を及ぼしているのだというような説明も私ども承っております。私ども今回の料金改定に際しまして、こういった声を受けて逐次電力会社との間で話し合いが進み、その結果がまとまったものについては、それは結果としてコストの中に算入をする、それと同時に将来につきまして若干程度の織り込みをいたしております。これらについて今後電力会社と公営企業との間で話し合いが行なわれるものと思っております
  57. 松浦利尚

    松浦(利)委員 ぜひ政府で指導をして、いま言われたように売電契約の変更をして、少なくとも地方自治体に迷惑をかけることのないように、現にもう上がったわけですから、九電力会社は電気料金を上げてもらったわけですから、今度はみずから、あの人たちが買う電気を上げてやる番ですよ。そういう指導をぜひお願いしたいと思います。  そこで、いろいろなことはみな局長さんはじめ政府委員の方にお聞きしましたから、大臣には二つのことだけお聞きをしたいと思うのですが、一つは今度の料金原価の算定期間が一年間ですね。この前から部長なりエネルギー長官政務次官がここでお話しになったことをお聞きしますと、今度は一年間です。ということになりますと、これから毎年料金値上げの申請が出てくる可能性というのが現実にあるのです。やろうと思えばできる。ですから今度の電気料金値上げというのは、一体どれくらいまでは今度の新料金で押えるというお気持ちでおられるのか。また電気料金値上げがまたぞろ出てくれば検討するというふうにお考えになっておられるのか、その点を経済担当大臣というよりも物価担当大臣という立場でひとつ長官からお答えいただきたいと思うのです。
  58. 内田常雄

    内田国務大臣 原価要素を一年間程度に短く考えてまいるか、あるいは従来のように三年程度に考えてまいるかというところに問題があるわけでありますが、経済が大きく変動する時期だということで、今後の電気料金改定の認可等の問題は別といたしまして、算定方式としてそういう一年方式をとったということであろうと思います。したがいまして算定方式は直ちに一年後には自動的に改定になるのだという考え方を私はとるものではございませんで、少しでも長く今度の料金改定の結果が継続するように、いろいろな客観的なファクターの変動もありましょうけれども企業が一そう近代化、合理化、企業努力を続けまして、一日でも一年でも長く料金の改定を慎重に押えてまいるということが私は望ましいと思います。したがって私のいま申し上げたことは通産大臣も、また今回料金の改定を認められました各企業も、同じような意味の発言をしておるはずでございまして、できる限りこの料金を長く守りたいということを考えておるはずだと思いますし、そういう考えを持ってもらうようにしたいと私は考えております。
  59. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私はやはり長期にわたって電気料金改定は今回のもので据え置くべきだという希望を申し上げておきたいと思うのです。  それでもう一つは大臣に検討事項としてこれからお願いしたいのですが、百キロのナショナルミニマムを百二十キロに引き上げましたね。ところが、これは新聞も報道して一般の消費者はみな知っておるのですが、平均値で出されておるのですね。結局冬のこたつと夏の扇風機が同居しておるわけですね。ですから、計算のしようによっては、局部的にはたいへんな問題になるのですね。逆にいうと逓増料金で、一段、二段、三段の二段階納めなければならぬ、あるいは三段納めなければならぬという場合も出てくる。要するにナショナルミニマムというのは機械のアンペアを集計した一つの平均値をモデル計数として出したものであって、実態に合っておらないと思うのですね。短期間だったからこういう計算のしかたをしたのだと思うのですが、やはり私は実態に合わして、春夏秋冬を通じて、平均ではなくて全体的に使う電気の器具を平均化して、季節ごとに、あるいは月別ごとに精査をしてナショナルミニマムというものが出されるべきだというふうに思うのです。今度は一ぺんに平均してしまっていますからね。私は国民に対して非常にこれも不満なんだ。だから、何が福祉型料金かということですね。片一方ではどんどんいままで高度経済成長で新しい電気器具を売りつけて消費をあふっておいて、使い捨ては美徳だといってどんどん使い捨てた。最近は節約と、こう言っていますけれども、逆にいうと、いままで進んできた生活様式を後退させなければいかぬのですね。電気様式化というものを改めていかなければならぬ、見直していかなければならぬという、そういうことで生活の進歩というものに歯どめをかけてしまうのです、こういうミニマムだったら。しかもこの前私はこの委員会で指摘しましたように、毎年電力調査委員会では一〇%ずつ個人消費は伸びる、こういっておるわけでしょう。当然私はこのナショナルミニマムというのはもう今回はきまったことだから変更できないのですが、この問題についてもこれからについては精査していただきたい。チェックを経済企画庁からも通産に対してクレームをつけておいていただきたいと思うのですがね。今後の問題として大臣どうでしょう。
  60. 内田常雄

    内田国務大臣 技術的な問題もありますし、私必ずしも即答はできない課題でもございますが、お話を承っておりますと、そのお話は私もよくわかりますので、これは通産当局も聞いておりますし、私も承りましたので十分拝聴をいたしておくことをお答えいたします。
  61. 松浦利尚

    松浦(利)委員 もう時間が来ましたから、最後に一点政務次官にお尋ねをして終わりたいと思うのですが、原油価格が上がるだろう、上がるだろうといって騒いでおるのは日本だけなんですね、率直にいって。これは私自身が行ってみたわけじゃないからわかりませんけれども、いろいろな本なりあるいは新聞その他をずっと見てみますと、日本だけが原油の価格がこれから見通しとして上がる上がると騒いでおる。ところが実際にはほかの国では、西ドイツなんかでも下がるだろう、こういっておるのですね。それは想定見込みでありますから私はここで下がるか上がるかという議論はするつもりはありませんけれども、この際お尋ねしておきたいのは、かりに今度試算をした原油価格が下がった場合、直ちに電気料金を下げるということの作業をされますか、その点どうでしょう。
  62. 森下元晴

    ○森下政府委員 電気料金は過去三年とか、今回は特に過去一年というような一つの基準をとりまして、そのコスト計算で原価主義でやるわけでございます。だから電気料金はでき得るならばあまり改定したくない、そういうことでございますけれども、大きなコスト的な変化があった場合は、これは当然電気料金改定すべきである、しかしいまのところの油の価格の問題は、いろいろリビアあたりでは多少DD原油あたりは売れなくて下げておるところもございます。しかし日本の場合は大体十ドル原油を基準にしておりまして、そういうような特殊な値下がりの問題と、いまのところは私は非常に関係が少ないんじゃないか、だからやはり国際的な価格としてコストに入っております十ドル原油の線は将来においても大きな変化はない、むしろ上がりぎみにあるんだ、いろいろ産油国の情勢を見てもそういう傾向に私はあると思います。しかしながら国際的な、いろいろな外交問題とか、また政治的な問題が価格の決定の要因になる場合もございまして、長期の見通しについてわれわれもはっきりしたこと言えませんけれども、しかしながらいろいろな動向を考えまして大体十ドル原油でしばらくは推移するであろう、こういう見通しのもとでコスト計算をしておるわけです。
  63. 松浦利尚

    松浦(利)委員 私はいま、だから上がる下がるのことを申し上げておるのじゃないのです。ですから、かりに下がったときには下げるでしょうとこう聞いておるのですから、ひとつそれは下げるなら下げる、下げないなら下げない、そういうことを簡単に答えていただきたいと思います。
  64. 森下元晴

    ○森下政府委員 ほかの要素が一定しておりまして、油が大幅に下がった場合には、もちろん下げます。
  65. 松浦利尚

    松浦(利)委員 そこでこれは経済企画庁長官もぜひ聞いておっていただきたいのですが、いままで石油価格が値下がりしたときに、逆に電気料金値上げの申請をしておるのですね。下げなかったのです。これは私の調べですから、正確じゃないかもしれませんが、昭和三十五年一キロリットル当たりの単価が七千四百八十円だったものが、三十六年には六千五百二十二円に下がっておる。そのときに九州電力は一〇・五%の値上げ申請、東京電力は八月に二・七%の料金値上げ申請。それから逆に三十七年にはさらに三十六年に比べて六千百九十一円と下がっておるにかかわらず、東北電力は一二・六%の値上げ申請、あるいは昭和四十年に五千九百十三円の単価であったものが四十一年にさらに五千八百五円と単価が下がった。そのときに初めて中国電力だけが三・九一%値を下げたのですね。原油価格が下がったから総原価の中で占める比率が下がってきて、まじめに料金を値下げしたのは中国電力だけ、あとはみな逆に上げている。ですから、こういう経過もあるということを前提として、ぜひ長官、いま政務次官も言われたのですが、原油価格が下がった場合、電気料金も下げると、そういうことをやはり国民のためにやっていただきたい。そのことを最後長官から決意のほどをお聞かせいただきまして、私の質問は終わります。
  66. 内田常雄

    内田国務大臣 一般的に申しまして、あなたのおっしゃるとおりでなければならないと思います、そういうことであればこそ他の物価が上がったりあるいはまた労務費などが上がりましても、この二十年間電気料金価格を上げないでこられたのもそのためであろうと思いますし、またそれでおつりが出るような場合には、中国電力のいまおっしゃった例、私どもも記憶をいたしておりますから、その例にならうのは私は当然だろうと考えまして、御発言の趣旨を十分ひとつ私は心に銘じてまいりたいと思います。
  67. 松浦利尚

    松浦(利)委員 終わります。
  68. 平林剛

    平林委員長 次に、野間友一君。
  69. 野間友一

    ○野間委員 大蔵省に最初にお聞きをいたします。  二月二十八日の当委員会におきまして、大手商社の貸し倒れ引き当て金について、これは一般の卸あるいは小売りと同じ繰り入れ限度額千分の二十、二%ですね、これは非常に不都合である、こういうことを指摘いたしました。その中で中川政務次官は大手商社の貸し倒れが非常に少ないということを認められた上で、中小商社との線の引き方等を十分検討してみる、こういうお答えをされたわけですが、その後検討された結果どうなったのかということをまずお伺いいたします。
  70. 中川一郎

    ○中川政府委員 御指摘のように野間委員から前回そういう御指摘があり、検討してみたいというお約束は事実いたしました。その後検討はいたしておりますけれども、あのときも申し上げましたように、商社の中のどこが大手なのかという線引きの問題、あるいはまた商社の中でも金融部門というものがどの範囲なのかというようなこと、あるいはこの問題に手をつけますと、貸し倒れ準備金というのは一つのグループとしてまとめておるものに対し、一角がくずれるということもありまするので、にわかに結論が出ないということでございまして、今後の推移等見ながら時間をかしていただきたい、このように思います。
  71. 野間友一

    ○野間委員 この前は私、非常に期待をしておったのです。というのは、この前も指摘申し上げたのですが、一つは、商社金融といわれますように金融的な機能が最近非常に強化されておる。それから大手の場合、これはいろいろ数字がありますけれども、貸し倒れ引き当て金が少ない、こういう点から申し上げ、またそれに対して、そういう趣旨を体して検討する、こういう答えもいただいたわけです。線引き等々、なるほど技術的には確かにそう簡単にはいかない問題があろうかと思います。しかしながら、これはやはり早急に手をつけるべき時期である、また、つけなければならない、私はこのように考えるわけです。というのは、前回のときに、昨年の三月期の決算までの動きを分析して私は質問したわけです。  つい先日の新聞発表によりますと、三井物産あるいは三菱商事の本年三月の決算を見ますと、そういうふうに時間をかりてというような、ゆうちょうなことは言うておられないと思うのです。といいますのは、三井物産の場合、対前期の貸し倒れ引き当て金の増加八十八億七千八百万円、べらぼうなんです。これは当期利益の七十三億二千六百万円を大幅に上回っておる。こういうことが一体あるのかどうかということですね。さらに三菱商事の場合でも、対前期の増加額が六十二億九千六百万円。これも当期利益の六十九億四千百万円にほぼ匹敵する。こういうべらぼうな額を引き当て金として充てておる。こういう大幅な貸し倒れ引き当て金の繰り入れ増が可能なのは、売り掛け金や受け取り手形、それから貸し付け金、これらが大幅にふえたからだという説明もあろうかと思うのです。やはり大手商社の繰り入れ限度額、こういう数字実態を踏まえた上で考えた場合に私は先ほど申し上げたように、早急にこの限度額を引き下げるという点でメスを入れなければだめだという結果が、数字の上から出てくると思うのです、本年三月の決算から。再度すみやかにこれを検討して、検討されるということは単なるおざなりの答弁ではなくて、ほんとうにまじめに検討して、そういう趣旨に沿うようにこの前も答弁がありましたから、そういう趣旨に従って早急に検討を進めていただきたい。これを再度答弁を求めておきます。
  72. 中川一郎

    ○中川政府委員 検討は十分いたしますが、何ぶんにもいまいう線引きが非常にむずかしい。個別の企業からいうと、なるほど御指摘のようなことがあろうかと思いますけれども、それではどういうところで線を引くかということになってくると非常にむずかしい問題もあることを御理解いただきまして、われわれもまた今後十分検討してみたいと思っております。
  73. 野間友一

    ○野間委員 一応資本金とかあるいはシェアとかいろいろあると思いますので、さらに私はこの問題を宿題として、今後の大蔵省の推移を見守っていき、また再度その点についてただしたいと考えます。  次に、いわゆる反社会的な企業に対する融資の規制、これは現状は一体どうなっておるのか、ひとつお答え願います。
  74. 中川一郎

    ○中川政府委員 この点につきましても先般の当委員会において御指摘がございまして、反社会的な企業に対する政府金融、開銀、輸銀の融資は規制すべきであるという御指摘がありまして、その後、四月十六日の閣議において口頭報告をするとともに、関係機関に通知をいたしております。  その内容は、第一番目に、経済関係法令、税法を含めまして、重大な違反を犯し起訴された企業、あるいはこれに準ずるような企業であって、しかも企業として相当な責任を負わなければならない場合にはその対象とする。ただし、その行為に対して十分な法的、行政的措置または企業自身の是正措置がとられている場合、あるいはまた政策目的が国益上きわめて重要な場合はこの対象からはずさざるを得ない。そしてこの企業についてどのような措置をとるかは、企業の主管大臣、物資の所管大臣等関係大臣の判断を中心にして措置を行なう。そして各機関は主管大臣の意見を尊重し、ケース・バイ・ケースで融資を停止したりあるいは金額の削減等の措置をとることといたしました。対象となる機関としては、開銀、輸銀、北東公庫の三機関でございます。  今回のこのルールが決定されるまでに融資を留保してきた企業は、開銀対象の四社、輸銀対象の四社、北東公庫対象の一社、合計九社でありましたが、今回のルールは、御指摘のように、石油危機の問題以降発生した悪質な行為について適用することといたしましたので、先ほど申し上げました九社のうち四社は留保を解除いたしております。したがって、五社が留保対象の業界であったということになります。  その残り、開銀対象の三社、輸銀、北東公庫各一社の合計五社について引き続き検討してまいりましたが、輸銀対象の一社についてはいろいろ検討いたしました結果、この基準からはずしてしかるべきだということで、留保を解除いたしております。したがって、開銀対象三社 北東公庫一社についてはいまなお検討を続け、留保をいたしておるところでございます。
  75. 野間友一

    ○野間委員 輸銀関係についていまの一社というのは、私が物隠し文書を指摘した例の伊藤忠商事だと思うのですが、これはもう四月末で無罪放免になっておりますね。いま残っておる開銀の関係の三社というのは、石油関係ですね。それから北東の関係では紙パルプが一件。この四件現在残っておる、こういうことですか。
  76. 中川一郎

    ○中川政府委員 そのとおりでございます。
  77. 野間友一

    ○野間委員 この融資の規制、反社会的な行為を行なったものの規制ですけれども、これ自体世間でもいわれておりますように、非常にざるである。二段、三段の歯どめがしてありまして、結局これにひっかかるものはほとんどないのじゃないか、こういうふうにいわれております。  それはそれとして、次に、私が前にも指摘申し上げたG・S・スティール、これについて、これも何回かこの委員会の中で、融資の規制をしろということも要求をしてきたわけです。ああいう社内報――これは森下政務次官もゆゆしい事態だ、資料を取り寄せて検討したい、こういう答弁もありましたけれども、これの融資の規制については、通産省の調査を待った上で判断したいというのが大蔵政務次官答弁であります。そこでこれについてすみやかにメスを入れたいと森下政務次官はお答えになったわけですけれども、この実態についてどのような検討を進められたのか、その結果をひとつここで報告していただきます。
  78. 森下元晴

    ○森下政府委員 内容につきまして森口審議官から詳細報告させていただきます。
  79. 森口八郎

    ○森口政府委員 当時政務次官からお答え申し上げましたとおり、表現は確かに不適切かつ不穏当な表現がございます。ただ、私自身も全文を読んでみましたが、(野間委員「いや、文章の表現じゃないのですよ。実態ですよ。」と呼ぶ)全文を読んでみましたが、前後の関係から見て、現在の商社は輸出入だけではなしに、むしろ現地企業を投資によって育てることによって事業分野の拡大をはかっていくべきだといった趣旨のことを言おうとしているものだというように思います。当時いろいろ問題になりまして指摘されました人は、すでに帰国をいたしまして、退職をいたしております、したがって、当時予算委員会で社長が約束いたしましたことはすでに実行されておる。至急召還するというようなことをお答えになったのですが、すでに実行されておるというように考えております。  なお、問題になりました「菱和」は社内報と申しますか社員雑誌でございまして、三菱の機関誌ではございません。ただ、三菱のほうからも今後こういうことのないように、「菱和」の編集にあたっては十分気をつけるようにというように注意をいたしております。そういうような事情でございますので、通産省といたしましては、本件は上記の措置によって一応解決したものと考えておりますが、なお私どもといたしましては、三月の二日に三菱の社長を含め総合六社の社長を通産省に招致いたしまして、商社が投資行動指針に従って適切な海外事業活動を行なうようあらためて指示をいたしておるところであります。
  80. 野間友一

    ○野間委員 私が聞いておるのは、そういうことじゃないのですよ。「ピストルを腰に」とかあるいは「優越感」とか、そういうような表現のある社内報の実態、つまりタイ国において具体的にどのような活動をしておったかというような実態を調べたかどうかということを聞いたわけです。この辺はどうなんですか。
  81. 森口八郎

    ○森口政府委員 当時社長が予算委員会でも言明いたしましたとおり、表現の問題は別といたしまして、事実の問題としては、社内報に書いてあるような事実であったというように私ども承知いたしております。
  82. 野間友一

    ○野間委員 その事実がそうであれば、私はたいへんなことだと思うのですよ。これは通産省、是認されますか。時間がありませんからあまり詳しくできませんけれども、優越感に満ちて行って、それから建設委員長となって胸を張って云々という、そういうくだりからありますね。しかも、ああいう姿勢で、そしてピストルを持ってスクラップの買い付けに行った、これが実態であれば、私はたいへんなことだと思うのです。そういうことをしながら、かなりかせいでかなり配当をあげておる、これは事実だと思うのです。この点について、つくられたのは一九六八年ですが、それから今日までこの会社の配当はどのくらいになっているのか、何%くらいになっているのか、教えてください。
  83. 森口八郎

    ○森口政府委員 一九六六年日本側が出資いたしておりますが、六八年までは無配でございます。以後、六九年以降配当いたしておりまして、六九年には五%、七〇年には二〇%、七一年には一二%、七二年には一五彩というように承知をいたしております。
  84. 野間友一

    ○野間委員 七三年はどうなっていますか。
  85. 森口八郎

    ○森口政府委員 七三年については、正確な数字を得ておりませんが、四〇%程度というように聞いております。ただし、これはまだ予定というように聞いておりますが、正確な数字はまだ現在把握いたしておりません。
  86. 野間友一

    ○野間委員 四〇%だと思うのです。つまり、大体海外投資の延長なり何なり、そういう会社について一体その配当はどうなっておるのかということをいろいろ調べてみますと、こういうような、つくってその直後に、いま指摘がありましたけれども、五%、二〇%、一二%、一五%、七三年、これは十二月末の決算ですが四〇%、私はびっくりするのですがね。こんなにべらぼうな利益をあげて配当する、こういうような海外投資の会社が一体あり得るのかどうか。これはほかにケースがあるのかどうかということを一点聞くのと、こういうことからしても、社内報にありますああいう形でタイ国かあるいはタイ国人をまさに食いものにして、そしてもうけにもうけたということが、この四〇%の配当率から私はうかがえると思うのです。この点についてどのように評価されるのか。これは森口さんあるいは次官、お答えをお願いしたいと思うのです。
  87. 森口八郎

    ○森口政府委員 お答え申し上げます。  私のほうで調べましたわが国企業の海外事業活動調査四十八年度版によりますと、製造業での現地法人のうち配当を行なっているものの割合は三一%であります。この三一%について配当率の平均をとってみますと、六%というようなことになっております。したがいまして、四〇%というのは確かに高い配当率であろうかと思いますが、配当率は資本金の額と利潤の額との相関によって当然きまるわけでございます。当社は資本金は鉄鋼業を営むわりには決して多くはない会社であります。したがいまして、一九六六年以降資本金の充実をはかっておりますが、あまり大きな資本ではないというような事情を十分考える必要があろうかというように考えております。
  88. 野間友一

    ○野間委員 そんなに企業の肩を持つこともないですよ。いま言われたように、配当率を平均しますと六%、これは二〇%で私はびっくりしたのです。四〇%なんというのはむちゃくちゃですよ。こういう異常な利益をあげておるということについては、おそらく三菱商事に問い合わすとかいうような程度のことしか調査してないんじゃないかと私は思うのですがね、そうでしょう。先ほどの話にもありましたように三菱に聞き合わしたという……。こういう異常な配当をあげておるという会社でありますから、このことが一体どのような実態の中でもうけておるのかという実態を十分調査しなければ、これまたやはり排日感情ですね、総理が行ってああいうひどい目にあわれるという事態が私は出てくると思うのです。こういう異常な伸び方についてこれはおかしい、そういうことですね。具体的には海外投資の実態調査の中で、とりわけこういうものについて事実を正確に調査して、その是非を調べるべきである、こういうふうに私は思うのです。どうでしょうか。
  89. 森口八郎

    ○森口政府委員 まず当社は、タイ国人が初めてつくりました会社に日本側が資本参加をしたわけでございます。六六年当時は日本側とタイ側の出資比率は六〇対四〇でありましたが、成長すればタイ側のほうに主導権を渡すというような話し合いになっておりまして、本年の三月には日タイの持ち株比率は逆転をいたしまして、タイ側の持ち株比率は六〇%、日本側の持ち株比率は四〇%というような状況になっておるわけでございます。したがいまして、高配当をするからということで当社に対する非難は私は特にはなかろうというように考えるわけでございますが、なお御指摘の点もありますので、その点については別途調査をいたしてみたいと思います。
  90. 野間友一

    ○野間委員 これは、こういう実態を調べなければ融資の規制の問題との関係で結論が出ないと私は思うのです。しかし、通常考えられないような四〇%の配当率ということを考えた場合には、十分調査――いま調査するという話がありましたけれども調査した上で、そしてその反社会的な、先ほど大蔵政務次官言われましたけれども、この基準について「著しく国民の利益に反する悪質な行為を行った場合で、企業としても相当の責任を負うべきものと認められ、かつ」云々とありますけれども、これに該当するかどうか、こういうものを具体的に検討してそこでチェックをしていくべきである、このように思います。この点についていま通産省のほうでは実態をさらに調べる、こういう返事がありましたけれども、調べた上で輸銀なりあるいは開銀との関係で、さらに具体的に基準に当てはめて検討するということが必要になってくると思うのです。この点について大蔵政務次官いかがですか。
  91. 中川一郎

    ○中川政府委員 先ほども答弁申し上げましたように、各企業についてどのような措置をとるかは、主管大臣の判断を中心としていくようにしておりますので、通産省の判断を待った上で、大蔵省としてはしかるべく措置をいたしたいと考えております。
  92. 野間友一

    ○野間委員 通産省にしてもどうも指摘をしなければ動かない、こういうのが通産省の特徴なんですね経団連の通産部とかなんとかいわれておりますけれども、これをもっとそちらのほうで積極的に調査をして、ほんとうに反社会的なそういうことをやっておるものをやはりチェックをしていく、こういう方向でもっと強力に動かなければならないと思うのです。  三菱商事について、ついでに聞くわけですが、この三月期の決算、ここで有価証券の評価損三十億三千二百万円計上しております。うち十五億円これはオーストラリアのハマスレー、鉱山の会社のようですけれども、十五億円をそのハマスレーの分として計上しております。これは新聞にも出ております。このハマスレー社への三菱商事の投資、これについて輸銀から七〇%の融資がなされておるわけです。ところで、この投資が四十八年五月の三十一日になされておるようですけれどもそれから今日まで十五億円の評価損、私はいかにも多いと思うのですね。これについてきのう大蔵省にその実態調査を要求しておいたわけですがこの調査の結果はどうなったのか、ひとつお答え願います。
  93. 山田幹人

    ○山田説明員 三菱商事のハマスレー法人会社の株式の保有は、他の商社及び鉄鋼各社と共同いたしまして、御指摘のように四十八年の五月にあるアメリカ法人の保有株の一部を、豪州市場における時価で肩がわりしたと聞いております。三菱商事の取得価格はその四分の一で約三十八億で、輸銀はその七割を融資したものでございます。で、伝えられます三菱商事の評価損なるものは同社が会計処理にあたりまして、上場株式について低価法を採用しているところからくるもののようでございます。同社の株式の価格は、四十七年ずっと高値を続けましたあと四十八年に入りまして若干下げぎみのところにまいりまして、私ども承知しておるところによりますれば、契約にあたりまして、四十七年の十二月から四十八年二月までの平均株価を採用した。当時とすればこの辺が買いどきだと判断したもののようでございますが、その後四十八年後半から下がりまして、最近若干持ち直しているようでございますけれども、それでも取得原価に比べるとかなりの評価損を出すことになったという次第のようでございます。
  94. 野間友一

    ○野間委員 ここに幾つかの重要な問題があると私は思うのです。いまアメリカのある会社から時価で譲り受けた、こういう話がありましたけれども、これはカイザーという会社ですね。三百七十五万株ですね。  そこでお聞きしますのは、この四十七年の十二月から四十八年の二月の平均株価、こういう話がありました。それで買い取るという約束をしたのは一体いつなのか、これは三月だと思うのです。その時点において、シドニーの市場価格、一株オーストラリアドルで幾らであったのか。そして一株幾らで買ったのか、あるいは取得した五月三十一日の時点で相場は幾らであったのか、いかがですか。
  95. 山田幹人

    ○山田説明員 私のほうで輸銀から聴取いたしましたところによりますれば、三カ月間の平均株価が二ドル七十四豪州ドルであったようでございます。契約時期は四月の初めと聞いております。取得しましたのは五月でございますが、調べてもらいましたところ、五月中の高値が二ドル五十五豪州ドル、安値が二ドル十五セント豪州ドルであったと承知しております。
  96. 野間友一

    ○野間委員 そうですね。つまり三月に約束しておると私は思うのですが、この時点では相場が二ドル二十セント、それから五月三十一日のこの買い付けですね、この時点における相場、先ほど高値が二ドル五十五セント、それから安値が二ドル十五セント、こう言われました。つまり買い受けたその日ですね。この日の相場が高値で二ドル五十五セント、これは豪州ドルですね。ところが実際買い受けたのが二ドル七十二セント、つまり一株について、これは円に換算しますと七十二円高く買っている、こういうことなんですね。そこで私はおかしいと思うのですね。相場よりも高い価格でこの株式を取得しておる。それに対して輸銀が何のチェックもせずにそのままで七〇%、これは取得金額は三十八億七千六百万円、これはお聞きしたとおりです。三十八億七千六百万円のうち七〇%を輸銀が何のクレームもつけずに、何のチェックもせずに、こういうふうに相場よりもはるかに高い、一株について七十二円も高い、これは差額計算しますと二億七千万円になるわけです。買えばその時点でみすみす二億七千万円損をするというような株式の取得、それに対して七〇%輸銀が融資をする。こういうことは一体許されていいのかどうか。このことはいわゆる上場株ですね上場株の売買について輸銀がそういう形で融資をやっておるわけですが、この融資をするということ自体私は問題になる。と同時に、いま申し上げたように相場よりもはるかに高い価格で買うのをそのまま目をつぶってこれを認めておる。こういう姿勢でいいのかどうか、こう思うのです。これは次官いかがでしょう。
  97. 中川一郎

    ○中川政府委員 時価よりも高く買ったかどうかについては私は承知いたしておりませんから、そういうことはないんじゃないかと私は思います。(野間委員「いまあったでしょう」と呼ぶ)時価より高いとはっきり言いましたですか。そうだとすれば、そういうことはどうして起きたのか私には納得いきませんが、ただ御指摘のありましたように上場株式を買い取るということに対して融資をすることはいかがかということにつきましては、確かに上場した株を売買してもうけようというような単純なことであったならばこれはいけないと思いますが、御承知のように輸銀の投資金融は、わが国の輸出市場を開拓しあるいは確保し、また外国との経済交流を促進するための海外投資資金を融資することになっております。ただこの場合、普通の場合、合弁による新会社設立という形をとるのが普通でありますけれども、このたびの会社は、産出する鉄鉱石の大半が日本に来ておるという会社でございますので、資本参加をすることが必要であるという観点から、株の買い取りに融資をしたものでございまして、こういうことは許される範囲内のことであると承知いたしております。
  98. 野間友一

    ○野間委員 後段のほうはわかりましたが、前段について、先ほど課長は言っておったでしょう、私も言いましたけれども。相場が豪州ドルで二ドル五十五セント。買ったのは二ドル七十四セント、みすみす買ったその日に、円に換算しますと二億七千万円損をするわけですよ。こういうものに輸銀が金を貸しておるわけでしょう。これは一体どういうことかということですよ。この事実については課長は認めたわけです。
  99. 山田幹人

    ○山田説明員 大半を日本で引き取っております会社でございますので、資本参加の話がだいぶ前からあったようでございます。話を続けている中である期間の平均株価をとってきめる。実際に金を払うときになって若干値下がりしていたのは事実でございますけれども、本件は長期の採算に基づく企業の行動でございまして、そこに要した資金について輸出入銀行が投資金融をつけるということは、輸銀が金をつけているわけでございますけれども、これは企業のそろばんの問題だと私どもは判断しております。
  100. 野間友一

    ○野間委員 企業が自分の金でやるなら私はともかく言いませんよ、みすみす損をして。では、これは原資が一体どこから出ているかということですね、輸銀の場合。言わなくてもわかっておると思うのですね。そういうものを相場より高いものを買うのについて何の文句もなしに、クレームをつけず貸す。貸した日からもう損しておるわけですよ。だから、三菱商事が自分の金でやるなら私はとやかく言いませんよ。しかし、少なくとも政府系の融資機関から出るわけでしょう。そんなことを許すべきでないと私は思うのです。そういうような行政上の態度について、全くそれは正しかったということをあなたは言うわけですか。
  101. 山田幹人

    ○山田説明員 長い期間をかけての話し合いが行なわれたものと考えます。企業としては、鉄鉱石の確保という見地からその話に乗ったわけでございます。この会社は、さらに別の鉱区等も保有しているやに聞いております。したがいまして、長期のビジョンに基づきまして、その会社に資本参加することに意味があると会社が判断し、輸出入銀行としても、それについて融資することはメリットがある、こういうぐあいに判断した、そういう意味で申し上げたわけでございます。
  102. 野間友一

    ○野間委員 時間がありませんので、その点については、さらに保留をして追及したいと思います。  次にお聞きしたいのは、三菱の九月期決算、そのころのシドニー仕様のハマスレーの相場、これは一体幾らであったのか。取得価格と比べてどうなのか。
  103. 山田幹人

    ○山田説明員 九月の数字はちょっと手元に持っておりません。後ほど調べます。
  104. 野間友一

    ○野間委員 持っておらぬとは何ですか。これはちゃんと調べておくように言っておいたでしょう。これは電話一本で調べられるでしょう、どこでもこれは下がっておるでしょう。取得した時期に二ドル七十四セントから下がっておるでしょう。あなたはほんとうは知っておるでしょう。違いますか。下がっておるのですよ。ところで、では聞きますが、三菱商事はその九月期の決算のときにこの評価損を計上しておったかどうか。
  105. 山田幹人

    ○山田説明員 存じません。
  106. 野間友一

    ○野間委員 そういうことでは困るのですよ。これはあなたあとで調べると言いましたけれども、実際に下がっておるにもかかわらず、九月の時期で評価損をあげずに、そうして三月期に取得した時価と三月期の相場ですね、この差額を損金として十億何ぼ計上しているわけですよ。あなたは先ほど低価法をとっておるとおっしゃいましたけれども、そうであれば九月の決算の時期に当然評価損として計上しなければならぬ。それをせずに一年間、三月の決算の時期にその評価損をごっそり乗せておる、こういうことは一体許されるのかどうか、これは私は利益隠しの何ものでもないと思うのです。こういうことは許されますか。
  107. 山田幹人

    ○山田説明員 そちらのほうは私どもの所管でございません。税務当局の問題であろうかと存じます。
  108. 野間友一

    ○野間委員 それでは、そういう点について次官どうですか。
  109. 中川一郎

    ○中川政府委員 株を取得しておって事業をやっておった、ところが株が値が下がったということになれば、低価法で税制上評価損に計上してしかるべきものだと私は思います。
  110. 野間友一

    ○野間委員 その点について、私の調査ではこれは計上していないのです。九月期は損しながら計上せずに、三月期にどかっと計上しておる、このことがやはり利益隠しですね。こういうようなことを意識的にやっておる。これは商社に対するいろいろなきびしい世間の目があるということでやっておると思うのです。この事実について、私がいま指摘した問題についてぜひ調査して報告していただきたいと思いますが、この点は約束をいただきます。
  111. 中川一郎

    ○中川政府委員 調査して御報告いたします。
  112. 野間友一

    ○野間委員 それから次に通産政務次官、これはおさらいをきょうはやりたいのですが、国内外の商社活動の実態についていろいろ問題があるから十分調査しろ、こういう要求をして、これについて森下次官から、商社のあり方については鋭くメスを入れる、こういう答弁をいただきました。この点についてどのように調査されておるのか、いまの時点における調査実態をひとつお答え願います。
  113. 森下元晴

    ○森下政府委員 前に私が答弁いたしましたように、商社にはいろいろ疑惑があることは事実でございまして、やはりこれにメスを入れることが政府の責任である、そういうことでいろいろと内容について検討したり、またチェックをしております。その検討事項につきましては、審議官のほうより御説明させますけれども、やはり商社活動というものは、一つの国を代表して海外に出て、しかもいわゆる親善の中で双方の互恵、互譲、共存共栄の実益をあげなければいけない。先ほどお尋ねございまして審議官からお答えいたしましたけれども、いわゆる三菱商事のジョイントベンチャーのスチールの会社の問題につきましても、書いてある内容につきましてはいろいろございますけれども、やはり考え方というものが、非常にエコノミックアニマル的な精神が出ておる。本年も総理がタイ国においでになったときにも反日感情が非常に盛んでございまして、東南アジア等でもそういう傾向がございます。そういう意味で、やはり貿易を中心に伸びなければいけないし、またこれによって繁栄しなければいけない民族的な宿命も持っておりまして、海外の国々との信用も得なければいけない。また同時に、その先兵になって活躍しております、また活動しております商社のあり方については、ただ経済的な問題だけではなしに、国を代表して行っておるのだということの精神をやはり政治の面で強くチェックしなければいけない、それが国策である、私はそう思っております。詳細につきましては審議官より説明させます。
  114. 野間友一

    ○野間委員 それはわかるのですよ。そういうことはお聞きしておるのですが、だから、具体的に私はこの委員会に問題提起してからもう三カ月くらいたつと思うのです。どういうふうにいままでやったのかということを私は聞きたかったのです特に海外活動について、いまの行政指導を申しますと、これは物資別にばらばらになっておるわけです。つまり商社を総合した全体としてとらえるという、そういう体制がない。ここに私は大きな欠陥があると思うのです。だから農林とかあるいは通産とか厚生とかいろいろばらばらで統合的な指導ができてないわけですね。だから商社そのものを調査し、そしていろいろな問題点を指摘すれば、やはり総合的に調査する必要がある、これは当然だと思う。そういう姿勢、そういう機構について、どうなんでしょうか、いまのところまだ考えてないわけですか。これはかなり前からいろいろ問題になって私も指摘してきたわけですけれども
  115. 森下元晴

    ○森下政府委員 その問題につきましてはもちろん通産省独自でもやっておりますし、またなおやらなければいけないし、商社関係でも、海外に出る場合の経済のいわゆる行動基準というものをつくりましてかなり自粛もしておりますし、またかなり前向きで検討しております。ただこれは文書に書いただけではいけませんので、そういう内容についても検討していかなければいけない。またチェックもしなければいけない。あまりがんじがらめに政府が締め上げてしまうことも、もちろん大事でございますけれども、やはり商社自身の反省を求めながら、自主的な行動の中で時代の認識というもの、また海外の情勢の認識ということの中で行動基準を彼らは彼らなりに立てまして出しております。そういう点を十分チェックしていきたいということでございます。
  116. 野間友一

    ○野間委員 最後に、私がお聞きしておるのは、別にむやみやたらにぽんぽん規制するということを言っておるのではなくて、その実態がどうであるかをつかまえるのに個別物資だけを追ってばらばらにやっておる、こういうことではだめだと言っておるのですね。だから総合的に機構的にどのようにこれらをとらえていくか、そういう機構が必要になってくるのじゃないか、こういう指摘なんです。どうですか。
  117. 森下元晴

    ○森下政府委員 物資別につきましては産業経済局のほうで個別にやっておりまして、もちろんわれわれも前の質問に答えて、鋭くメスを入れる、そのとおりでございます。ただこの問題は、短期間ですべてこれをチェックして、またすべてこれを規制するということはなかなか簡単にできません。だからいまやれることと、また将来やれること、そういうふうに分けながら早急に事態に対処していきたい、また私が前に申し上げたそういう精神のもとにチェックをしていきたいと思います  それから具体的例につきましては係より答弁させます。
  118. 野間友一

    ○野間委員 時間がきましたのでこれで終わらざるを得ないと思うのですけれども、この問題についてはさらに継続して追及をしたいと思います。  きょうは、きのうの賃金物価に対する寄与率等々の問題について質問したいと思っておりましたけれども、時間が参りましたので、これはまたあとであらためて質問したいと思います。
  119. 平林剛

    平林委員長 次に、石田幸四郎君。
  120. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 経企庁長官にお伺いをするわけでございますが、今回の電力料金値上げの問題につきましては非常に各方面にショックを与えておるわけでございます。こういった料金改定に伴って、産業界では電力料金改正に伴って、その電気料金の製品転嫁はやむを得ないという姿勢が各紙に報道されておるわけでありますが、新聞等拝見いたしまして、またさらに先ほど来松浦委員等の質疑の中でも、物価局長卸売り物価にはさほど影響はないのではないかというような御説明もあったわけでございますけれども、しかしいままでの物価上昇のいろいろな要因の中には、いわゆるインフレマインドというのも相当にあったし、そのための便乗値上げというものも相当あった。そういう点から考えてみますと、再びそういうインフレマインドを生む心配があるのではないか、こういうふうに考えておるわけでございます。現にまたこの値上げ幅が非常に大きいために、産業界では覚悟しておったけれども、幅が大き過ぎるというようなことも表明をしておられるようであります。アルミであるとか鉄鋼であるとか苛性ソーダ、セメント、こういうようなものが、確かに現在価格凍結品目に指定をされておるわけでありますけれども、こういうものが軒並みに申請をしてくるということになりますれば、卸売り物価影響はないというふうに私は考えられない。先ほどのインフレマインドの問題とあわせてそういう面の心配はないか、便乗値上げ心配はないのか、そこら辺からまずお伺いをしてみたいと思います。
  121. 内田常雄

    内田国務大臣 公共料金等の値上げ卸売り物価なり消費者物価なり、それらの物価指数を構成する各品目に与える算術的な影響を総合いたしますと、算術的には大きな数字は出てまいりませんが、石田さんが御指摘になられましたように、これが一般の国民に与えるメンタルな影響というものは私は決して閑却できないものでありまして、算術の結果をもって安心をいたすわけではございません。でございますから、これに対応いたしましてその影響が広くいろいろな物資価格やまた企業の態度に安易に反映しないように、私ども行政指導をも含めましていろいろな施策を当然行なわなければならないと考えるわけでありまして、経済企画庁におきましては政策運営の大きな要素としてこの問題は重視をいたすものでございます。
  122. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 先ほど申し上げました価格凍結品目ですね。いろいろあるようでございますけれども、しかし今回の電力料金値上げというのは石油の国際価格の引き上げによりまして、そういうものからどうしても電力料金を原油をたく都合上上げざるを得ないということになって政府もこれをお認めになったと思うのでございますが、そのパターンからいきますれば、やはりアルミなり鉄鋼なり苛性ソーダ、セメント、特にアルミとかセメントなどというのは、使用電力量に比較して生産量が上がってくるものでございますので、これは当然価格のアップを申請してくると思うのでございますけれども、従来のそういうパターンからみると、こういうものも当然値上げを認めざるを得ない、そういう方向になっていくんじゃないかと私は推測するわけですが、経企庁長官、これはどういうふうな流れになってまいりますか。
  123. 内田常雄

    内田国務大臣 電気料金とかガス料金でありますとかあるいは国鉄、私鉄などの料金、これは公共料金として常時政府がその価格を規制いたすものでございますので、政府は法令によりまして客観的には料金値上げの必要が起こっております場合におきましても、御承知のとおり、無理にもというとことばが過ぎるかもしれませんが、極力これを抑制することができますし、またそういたしてまいりました。ところが先般の石油値上げに伴う五十数品目をはじめとする国民生活関連物資とか基礎物資などにつきましては、公共価格という制度がありませんのに、無理に行政指導をもって目張りをいたしたわけでございますので、電気料金等の料率アップが当該物資のコストの中でかなり大きなファクターを占めます場合には、これはある場合においては、それをも押え込んでまいるということはむずかしい場合も出てくるものと私は思わざるを得ないと思います。しかし幸いにも、これは物価局長が述べられたと思いますが、凡百の物資などのうちで、電気料金は基礎エネルギーではございますけれども生産費に占めるコストの割合が、従来の通産省などの調査を見ますと、おおむね一%よりもずっと少ない数字のものが多うございますので、こういうインフレマインドを押え込まなければならない時勢にありますので、そうした物資生産者には、なおしばらく、できる限り直ちに価格の引き上げを来たさないようにひとつ協力をお願いしてまいるよりしかたがないと私は思います。しかし、石田さんがおあげになりましたように、コストの中で占める電気料金の割合が非常に大きいものにつきましては、これもいろいろ考察をしながら、また企業努力や合理化も求めながら対処をしていく場合があるので、それらにつきましては、通産当局とも打ち合わせまして、慎重に対処をしてまいるつもりでございます。
  124. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 物価局長にお伺いをしたいわけでございますが、局長が、先ほど来、卸売り物価には、電気料金のアップはそう影響はないというふうなお話をしておられるわけでございますけれども、その根拠について、もう少し明確にしていただきたいわけであります。  物価局長がおっしゃっているその趣旨というものは、電気料金がいろいろの製品に与える影響、算術的な計算からいけば、確かに御指摘のとおりではないかと思うのでございますけれども、しかしながら製品の値上げということになりますればこれはそれを理由にして値上げをしてくるわけでありまして、いまの情勢からいきますれば、たとえばアルミなんかの問題は一トン当たり六万円から七万円、そういうような申請が出てくるだろうこういうふうにいわれておるわけでございましてやはり一五%なり二〇%なりというような、そういう製品価格値上げの方向へとなってくると思うのですね。アップ率が少なくとも一〇%以上という形になってあらわれてくると思う。そういう場合でも、なおかつ卸売り物価指数に関してはさほど影響はない、そういうふうに認定をしておられるのかどうか、ここら辺をお伺いしたいわけでございます。
  125. 小島英敏

    ○小島政府委員 昨年の十月からいわゆる石油値上げ、さらに十一月に入ってから石油の規制に伴う思惑的な狂乱時代に入ったわけでございますけれども、昨年の九月に対して、ことしの四月ぐらいの物価水準がどのくらい上がっているかと申しますと、卸売り物価においては二五%ぐらい上がっておりまして、消費者物価においても一七、八%上がっておるわけでございます。この中には、確かに、それ以前の輸入原材料価格――石油も含めて、輸入原材料価格の引き上げに伴う合理的な部分ももちろんあるわけでございますけれども、私ども計算いたしますと、いま申し述べました物価上昇の中の合理的な部分はどうも半分にも満たない。半分以上は、むしろああいう狂乱時代の一種の思惑的な――需要家のほうも早く資材を確保しなければいかぬというので、多少値が高くてもかまいませんから、うちにはぜひもっとくださいということで、非常に簡単に価格の引き上げが行なわれてしまったと思うわけでございます。  そういう点を考慮いたしますと、現実の卸売り物価というのは、日本の場合に、まだ非常に弾力的と申しますか、硬直的でございませんで、やはり需給状況によってきまるという性格が非常に強いわけでございます。これは重要な前提がございまして、いまやっておりますような総需要抑制、この方針を堅持するということが必要でございますけれども、そういう方針を堅持していく限り、需給状況から申しますと、一般的に価格転嫁を非常にしにくい状況が続くわけでございますし、しかもコスト的に申しましても、いま申しましたようなことで、先取り分で相当部分が吸収されてしまうというふうに見るわけでございまして、先生おっしゃいますように、電力費の割合が非常に高い――アルミなんかは、十数%に達しておりますし、そのほか化学工業とか鉄鋼、セメントあたりは、平均よりもやや高いわけでございますけれども、アルミみたいなものは、どうしても電力が相当大幅に上がりますと、コストアップが相当大幅でございますから、これはどうしても事前了承制、その他の制度を活用して、ある段階で、必要最小限度の値上げが行なわれると思います。その他のものについても、電力以外、たとえば鉄鋼なんかについては、市中相場はあの狂乱物価の中で非常に大幅に上がりましたけれども、大手のいわゆるひもつきの部分というのはほとんど上がっていないわけでございまして、先取りがないわけでございます。そういうものが鉄鉱石、石炭あるいは電力、人件費というようなものの値上がりによって、要するに合理的なコスト上昇が認められますれば、これはやはりある段階で必要最小限度の値上げを認めざるを得ないということになると思いますけれども、いま申しましたような例は、むしろ一般的には決して多くないわけでございまして、したがって、卸売り物価全体として見ますと、IO表の計算のように、間接部分だけで一%になるということにはならない。むしろ個々の品目は、もちろん例外的にございますけれども、一般的には、もっともっと低い影響しかないというふうに私どもは見ているわけでございます。
  126. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 物価局長の御見解、よくわかったのでございますけれども、しかしながら、この間の春闘賃金アップという問題もございましたし、そういう方向から考えてくると、後半の物価に対する影響というのは、非常に心配をされるわけでありますね。そこで、私はそういう人件費の問題も含めて、あるいはこういう電気料金という製品コストの問題も含めて考えてみまするに、やはりどうしても製品をアップしなければならない。いわゆる総需要抑制というような問題もありますけれども、やはりそういう中においてもコスト高ということは避けられないわけでございます。  そこで問題になりますのは、どの程度が適正なのか、あるいはこういうものは便乗ではないかというような問題について、やはり幾つかの例を出して、こういうような傾向は、便乗値上げだからいけないのだ、そういうような指導方針的なものを明確になさる必要があるのではないだろうかというふうに考えるわけですが、経企庁長官、こういうような問題をどういうふうにこれから指導をされていくのか、そこら辺の御見解を承りたいと思います。
  127. 内田常雄

    内田国務大臣 ごもっともでございますが、これはなかなかむずかしい問題でございまして、全部の経済を統制下に置き、公定価格制度下に置きます場合には、そのやり方が間違っているにしてもいないにしても、それで押してまいりまして、原価要素が幾ら上がったら末端の製品については幾ら上げる、あるいはまた全然上げないというようなことを一律、公式にやってまいりますけれども、現在は、緊急避難的に一部の統制に入ってはおりますが、私どもがそういう形の経済を今後も推し進めてまいる考えのもとでやっておるわけではございません。でありますので、一方において電気料金が上がったり、今後もまた、ある種の公共料金改定を認めざるを得ないような場合におきましても、需給が緩和をしておって、そして総需要抑制政策を続ける限りにおきましては、当該物資価格が再び狂奔しないと思われるようなものは、いわゆる凍結制度、事前了承制度を解除をいたしておりまするし、また需要の同種の規制物資につきましても、一つの方式をきめて、そして電気料金のコストに対する影響を幾らまで受けるものはどんどん値上げを認めるとか、それ以下のものは無理に押えつけるとかという方式をとるわけにもまいりません。問題は、総需要抑制金融引き締めとの関連におきまして、コストが上がっても、それに対する新しい追加需要がふえたりしないようにまいれば、一部は緊急避難的な規制経済もやりながら、全体の行き方としては市場メカニズムによって経済を動かしていくというようなことをとりますので、せっかくの石田さんのお尋ねでございますけれども、こういう方式でやるという方式を考えてはおらないものでございます。  なおまた、先ほどの私のことばが少し足りなかったわけでありますけれども電力料金が上がりまして、それが生産要素に占める割合が非常に大きいもの、また一に達しない、〇・四、五%のものなどがありまして、いろいろ違いますが、アルミの生産費に占める電力コストの割合が一〇彩をこえておりましても、卸売り物価なり消費者物価なり全体を通じますと、それぞれの物資に対しまして電気料金の占めるウエートがございますので、そのウエートに電気料金値上げをかけ合わせまして、物価指数として数百とかあるいは数千の費目を総合をいたしますと、指数にあらわれる分は一%ちょっとこえる程度だ、こういうことになります。しかし、個々のものをとってみますと、あなたがおっしゃったように、それはアルミなどにつきましては、一〇%上げるのがいいかどうか知りませんが、一つ一つについてはかなり大きい要素として働く。しかし、アルミをつくっている会社もいろいろあって、石油発電による電気を使ってアルミをこしらえているところもありましょうし、あるいは今回の電気料金値上げ要素と同じように考える必要のない、自家用の水力発電をかなりの割合において保有してそういうものでアルミをつくっているものとはおのずから違うものむございますことなどもありまして、これらの事前了承制による価格のアップを認めます場合にも、それらの要素をも考慮いたしまして、一般の国民に与える影響日本経済に与える影響ができるだけひどくないような処置をぜひとってまいりたいと考えております。
  128. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 私はなぜそれにこだわるかといいますと、いわゆる石油ショックが起きまして、二月に予算委員会に元売りメーカーの社長さん方が出てきたわけですね。そして、たとえば石連の密田会長のごときは、おそらく今年度の三月決算の石油業界全体では四千九十九億の大赤字が出るだろうなんということを言うておりましたけれども、実際決算が出てきたら、そういうような赤字は出なかった。たとえば日石の場合、二百四十億の赤字予想が九億円の黒字でしょう。それについて、為替レートが予想より高くなったとか、あるいは輸出用重油の値上げでもうかったとか、あるいは三月十八日からの製品値上げでかなりの収益があったとか、いろいろな理由をあげておりますけれども、一年間で二百数十億のそういった売り上げ増があったということに対して、見通しもつかぬようなそういうような業界ではないはずなんですね。企業というのはこういうものですよ。基本的にこういう姿勢を持っている。どうしても自分の企業を守らねばならぬという姿勢を持っておりますから、赤字が出れば、それは大幅に赤字が出るだろうと言うし、まあオーバーに言うわけですよ。そういうわけでありますから、今後のいわゆる企業活動を、確かに統制経済じゃないからそういう形ではセーブできなくても、たとえばこういうような企業の、一企業なら一企業がこういうものは明らかに便乗値上げであったというそういう政府のきびしいいわゆる批判というものが一つあれば、これは大きな抑制効果が出るわけでございまして、そういう意味で私は申し上げておることをひとつ御銘記いただきたいと思います。時間がありませんから、残念ですがこの程度のことにしておきます。  私鉄の問題について運輸省のほうにお伺いをしたいわけでございますが、今回の運賃値上げというのは申請はもう二年前なされているわけでございますが、今回のいわゆる電力料金値上げによりまして、従来よりも百二十八億も支払い増になるであろう、こういうふうに運輸省は試算をされているそうであります。そういったところから、今回私鉄運賃値上げを認めざるを得ないのじゃないかというようなニュアンスの発言を運輸大臣もしていらっしゃるようでございますけれども、まず一つ確認をしたいのは、従来の申請どおり、と言ってはおかしいのですが、その値上げ幅以上に今回値上げが行なわれるというような心配はあってはならない、こういうふうに私は思うのでございます。それからもう一点、そういうふうに電力料金値上げによって支払い増が急増しておるわけでございますから、近い時期に再びそういうような再値上げ心配はないのか、いわゆる私鉄運賃値上げ申請を今度は何%かにしろ運輸省は認めるかもしれない。その後半年、一年以内に再び値上げが行なわれたのではたまったものじゃない。そういう意味で申し上げるわけです。これは運輸省といえども、それは個別の企業を見れば値上げをせざるを得ないでしょうけれども、やはりこれは国民生活全般とのかね合わせの上で見てもらわなければならぬわけでございますので、この二つの問題についてどういうような御見解を持っているのかをお伺いしたいと思います。
  129. 増岡博之

    ○増岡政府委員 値上げ幅の問題につきましてはやはり運輸審議会の結論が出ましてから関係各省と相談いたすわけでございまして、従来の例から申しましても、申請よりもそれをオーバーして答申が出るということはございませんので、そのように考えておるわけでございます。また先生御指摘の、再び半年とかいうような短い期間で再値上げということが行なわれるのではないかということでございますけれども、この運輸審議会で御審議いただきます中身につきましては、ことしの春闘あるいは電気料金というものをやはり考慮に入れて結論を出していただくものと思います。しかし、先ほど申しましたような限界があるわけでございますけれども、そういうようなところから考えましても、先生のおっしゃるような半年以内にどうとかこうとかということはないと思いますし、また事務的な技術的な面からもなかなか困難であろうというふうに思います。
  130. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 民鉄部長にちょっとお伺いしますが、いま私が心配をいたしておるのは、おそらく今回の値上げ申請は運輸審議会の結果を見て結論が出るだろうと思いますけれども、しかし、この間の春闘の三〇%アップという大幅な賃金上昇があったのだし、また今回電力料金値上げによりまして私鉄企業というものはダブルパンチを食らっておるわけでしょう。そういったところからいきまして、この前出したのは二年前の申請でございますので、とてもこんなのじゃやっていけないというような感触をおそらく訴えているのじゃないかと私は思うのですけれども、そこら辺の感触は民鉄部長はおつかみになっていらっしゃいますか。
  131. 中村四郎

    中村説明員 ただいま政務次官がお答え申し上げましたように、大手私鉄におきまして、二年ほど前に申請が出てまいりまして、当時におきましての輸送需要の伸び悩み、それに従う収入の停滞あるいは人件費、資本費の増加というような要因を踏まえまして運賃の改定を申し出ておったわけでございます。先生申されますように、最近におきます春闘なりあるいは電気料の問題、こういうことがございますので、私鉄経営者としては、このままの状態では四十七年度以来の第四次輸送力増強なり計画の遂行なり、こういったものについても非常に危惧される面も出てまいっておりまして、事業者といたしましては何とか現在の申請の処理が結実することを期待しているのではなかろうかと、かように思っております。
  132. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 時間がありませんから、経企庁長官最後にまとめてお伺いをするわけでございますけれども、先ほど経企庁長官が御退席をされているときに、物価局長のほうから、今回の公共料金値上げについてはいわゆる一連の狂乱物価あと始末としてやむを得ず出てきている問題であるというようなお話があったわけなんです。しかし、これは卵が先か鶏が先かという議論にも発展をするわけでございまして、いずれにしてもこれはどこかでその悪循環を断ち切らねばいかぬわけです。現在の自由経済の方向からいけば、統制的にこれをやるということは好ましくないことは私ども承知をいたしております。私どももそういうことは考えておらない。しかしながら、いわゆる物価を鎮静させるという立場に立てば、やはり何らかの原則論というものを明快にしないと、国民生活の将来に対する不安というものを除去することはできない。この国民生活の将来に対する不安を除去するというのはいわゆる政治の責任であるわけでございますから、もう少しそこら辺は明確にできないものですか。まあ言い方が悪いかもしれませんけれども物価高に対するこれからの考え方、特に公共料金等については何らかの原則論を示して、こういうカーブで上がらざるを得ないだろうというのであれば、それは上げ幅はたとえば少ないのであればあるいはその理由がきわめて明快であれば、国民としてもそちらの方向を研究しながら政府にも協力するということがあり得るかもしれない。われわれは物価が横ばいであることを期待するわけですが、国際価格等の問題もあって一がいにそういうことは言い切れないでしょう。しかしながら、特に政府が統括をしていらっしゃる公共料金、認可料金等については上げ幅をたとえば三年に一ぺんというような形でしか認めませんとかあるいは賃金アップの場合にはこうだとか、ある程度の原則論を明らかにすることが今後の政治課題として必要ではないのかということを申し上げておるわけですが、いかがでしょう。
  133. 内田常雄

    内田国務大臣 私も石田さんと思いは同じでございまして、私どもは、公共料金に対処するたてまえというものはしばしばこれまでも申しておりますように、極力これを抑制する立場をもって慎重に対処する、一口で申すとそういうことになります。でございますので、たとえば一ぺん料金アップがきまっておった国鉄の料金を、物価狂乱期においてはさらにこれを無理にも法律の改正のお願いを今回してまでも十月までもう一度押え込むとか、あるいは米価にいたしましても、昨年の生産者米価の引き上げに対応する消費者米価の引き上げを、これもすでにきまっておったものをさらに押え込んで、財政でそれだけ余分のめんどうを見ることによりまして、この出来秋まで押え込んでいるというわけでございます。電気料金などにつきましても、申請書そのものを出すのを実は押え込んでまいりまして、石油が上がったからといって機械的に三月十八日の同日付をもって電気料金改定の申請を受け付けるようなことはしないんだということで、これも長いものは二十年間料金のアップをしないでこられましたし、また通常の電力会社におきましても十年ぐらいはずっと押え込んできましたのが今回の改定になった。私鉄についても、これはむしろ石田さんからただいま御批判がございましたように、今回春闘の大幅賃上げが決定されましてもあるいは電気料金が上げられましても、申請の出し直しということをさせないで、一年半前の申請、これは二六・九%アップという申請でございますが、その中でとにかく処理をさせようというようなたてまえで、これはいろいろ御批判もあることでございましょうが、きておりますのも、私が冒頭に述べました公共料金に対する私ども考え方を無理に押し通しているという結果でございます。  しかし、公共料金でもほんとうに押え込みますためには、やはり必要なる財政的援助というようなことをやり得まするならば、それはかなりの料金押え込みの効果があるわけでありましょうけれども、ここで一々数字は詳しくは申し上げませんけれども、たとえば石油値上げを押え込もうといたしますならば、これは公共価格ではございませんけれども、どうも少なくとも三兆円ぐらいの支出が要る。その他についても彼此みなしかりということでございますので、その辺のかね合いをも考えながら、財政でも見得るめんどうは一方において見ながら、どうしてもやらなければならないものが幾つかまだ並んでいる、こういうことでございますが、これらの処理は最もうまくやりまして、国民にも不安がないようなことにいたしながら、また当該公益企業が崩壊しないように、サービスの低下を来たさないようにやらなければならないところに私どもの苦心がありますことをこれはもうお察しいただいておりますけれども、いろいろまた御教示や御協力もいただきたい、かように思います。
  134. 石田幸四郎

    ○石田(幸)委員 最後に一言。最も国民が明確にしてもらいたいと考えているのは、個々の問題をたとえば私鉄なら私鉄の問題を取り上げたときには、いわゆる賃金アップであるとかあるいは今回の電気料金のアップであるとかそういうようなことでやはり料金改定をしなければならぬだろうということになるわけです。しかしながら物価全体の政策との関連、これがどういう原則で行なわれていくのかということは、いままでの政府のとってきた政治の一つの流れの上からは明快になっていないわけなんですね。この点が非常に国民の不満とするところでございます。これは経済全般の問題でございますから、ある程度ときにはいわゆる財源の助成措置というものも必要でしょうし、非常に複雑でありますから、一がいにはいえないでしょうけれども、そこら辺のところは国民の非常に大きな不満に思っているところでございますので、物価抑制策と、個々のいわゆる料金の改定問題というのはもう少し具体的な原則論をお立てになって、そして国民を説得しようという姿勢だけでもお示しになることが大事ではないか。あるいは二年なら二年、三年なら三年という期間を設けて、そしてこの間にはこういうような抑制のしかたをしていくから協力をしてもらいたいというような形で、ただ国鉄運賃一つにいたしましても、いま狂乱物価になったから半年延ばせというような場当たり的な政策では国民を納得させることはできないのじゃないか、こう思います。  それだけ申し上げまして、私の質疑は今回は終わらせていただきます。
  135. 平林剛

    平林委員長 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。    午後一時四十九分散会