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1974-07-11 第72回国会 衆議院 農林水産委員会 第44号 公式Web版

  1. 会議録情報

    昭和四十九年七月十一日(木曜日)     午前十時四十八分開議  出席委員    委員長 仮谷 忠男君    理事 笠岡  喬君 理事 坂村 吉正君    理事 湊  徹郎君 理事 柴田 健治君    理事 芳賀  貢君 理事 津川 武一君       愛野興一郎君    伊東 正義君       今井  勇君    小沢 一郎君       金子 岩三君    熊谷 義雄君       小山 長規君    佐々木義武君       島田 安夫君    染谷  誠君       丹羽 兵助君    粟山 ひで君       井上  泉君    角屋堅次郎君       竹内  猛君    野坂 浩賢君       馬場  昇君    美濃 政市君      米内山義一郎君    庄司 幸助君       中川利三郎君    瀬野栄次郎君       稲富 稜人君    小沢 貞孝君  委員外出席者         環境庁自然保護         局企画調整課長 新谷 鐵郎君         国土庁地方振興         局長      近藤 隆之君         大蔵省主計局主         計官      宮下 創平君         農林政務次官  渡辺美智雄君        農林大臣官房長 大河原太一郎君         農林省農林経済         局統計情報部長 吉岡  裕君         農林省構造改善         局長      大山 一生君         農林省農蚕園芸         局長      松元 威雄君         食糧庁長官   三善 信二君         通商産業省生活         産業局通商課長 黒田  真君         資源エネルギー         庁長官官房鉱業         課長      山村 和男君         労働大臣官房統         計情報部情報解         析課長     小林 哉也君         農林水産委員会         調査室長    尾崎  毅君     ————————————— 委員の異動 七月十一日  辞任         補欠選任   諫山  博君     庄司 幸助君   神田 大作君     小沢 貞孝君 同日  辞任         補欠選任   庄司 幸助君     諫山  博君   小沢 貞孝君     神田 大作君     ————————————— 六月三日  一、国が行なう民有林野の分収造林に関する特   別措置法案芳賀貢君外十名提出、第七十一   回国会衆法第一七号)  二、農業振興地域の整備に関する法律の一部を   改正する法律案内閣提出第八四号)  三、農林水産業振興に関する件  四、農林水産物に関する件  五、農林水産業団体に関する件  六、農林水産金融に関する件  七、農林漁業災害補償制度に関する件 の閉会中審査を本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  農林水産業振興に関する件(米価問題等)      ————◇—————
  2. 仮谷忠男

    仮谷委員長 これより会議を開きます。  農林水産業振興に関する件について調査を進めます。  この際、台風第八号及び梅雨前線豪雨による農林水産業被害等について政府より説明を聴取いたします。大河原官房長
  3. 大河原太一郎

    大河原説明員 台風八号及び梅雨前線についての被害状況等について、とりあえず御報告させていただきますが、昨夜以来も北陸等においてなお被害が発生しておりますので、被害額その他につきましては、中間報告ということで御承知を願いたいと思います。  六日から八日の朝にかけまして、関東以西の各地において大雨が降りまして、被害県としてはすでに二十八県に達しておりますが、特に庄内、香川、三重、静岡神奈川等かなり被害が発生しておるわけでございます。農林省といたしましては、関係各局から出先機関なり県を通じまして詳細被害状況を目下取りまとめ中でございまして、被害報告とともにふえておるわけでございますが、十日十時現在の被害を申し上げますと、公共土木施設で十億、農地等で百八十六億、荒廃林地で七十八億、国有林等で十三億、農作物被害が四十一億等々となっておりまして、約三百三十億というのを、昨日十日十時現在の県報告として承知しておるわけでございます。通信とか交通等によりまして被害状況把握がなお不十分な点があるわけでございますが、早急に把握につとめたいというふうに考えております。  農林省といたしましては、政府全体の一環といたしまして七月九日には香川と兵庫及び静岡県に調査団が二班派遣されることに相なりまして、関係課長調査団の一員として派遣しておるわけでございますが、そのほか、独自といたしましても、被害の大きい香川とか岡山、徳島、和歌山等につきましては、現在関係係官を派遣いたしまして、とりあえずの状況把握につとめております。  当然のことでございますが、水路なり道路の破壊等による応急工事なり、あるいは早急の査定による復旧工事の実施というような点について万全を期したいと思っておるわけでございます。
  4. 仮谷忠男

    仮谷委員長 以上で説明は終わりました。      ————◇—————
  5. 仮谷忠男

    仮谷委員長 農林水産業振興に関する件について、質疑の申し出がありますので、順次これを許します。芳賀貢君。
  6. 芳賀貢

    芳賀委員 この際、昭和四十九年産米価格に関する問題について質問をいたします。  本日は、倉石農林大臣病気入院のため出席されませんので、主として政府委員に対して質問をいたします。  すでに、政府としては、七月十五日に米価審議会を開催することを決定しておるわけでございますので、もうわずかな期間でございますから、政府としては、米審に対する政府諮問案並びに具体的な米価決定作業等についてはおおよそ結論が出ておると思うわけであります。当委員会では、五月二十三日の委員会におきまして、各党から米価問題に対する集中的な質問農林大臣に行なったあとで、委員会として、各党一致の四十九年度産米についての決議を行なっておるわけでありますし、これに対しましては、農林大臣も、農林委員会決議趣旨を尊重して鋭意努力するということを明らかにしておるわけであります。そうした経緯等を踏まえて、この際、今年度米価決定方針等について説明を求めます。
  7. 三善信二

    三善説明員 いま芳賀先生の申されましたように、十五日から米審を開いて、四十九年度産米の米価審議をお願いすることにいたしております。私ども事務当局といたしましては、それに必要な資料を、もちろん諮問案も含めまして、現在鋭意作業をいたしている段階でございますので、現段階において、その諮問内容あるいは試算の内容についてはまだ申し述べるような段階ではございませんので、その点はひとつ御了承をお願いしたいと思います。
  8. 芳賀貢

    芳賀委員 そこで、順を追って尋ねますが、まず、ことしの算定方針については、五月二十三日の私の行なった大臣に対する質問におきましても、食管法に基づいて生産費所得補償方式算定をするということは、これはもう明らかになっておるわけであります。ただ、昭和四十二年以降、政府としては、形式は生産費所得補償方式であっても、実態は、毎年、価格据え置き方針で、逆算方式答えを出して、それに適応する異なった算式を用いて今日まで来たわけでありますからして、生産費所得補償方式で行なおうとしても、ことしは具体的にどういうような生産費所得補償方式でやるのか。その点はどうですか。
  9. 三善信二

    三善説明員 先生承知のように、米価は、従来どおり生産費所得補償方式算定をすることにいたしております。ただ、具体的な要素とり方につきまして、いま御指摘になりましたように、四十二年産米価のときにはいろいろと刺激的な要素を加えたのは事実でございます。先生承知のとおりでございます。  四十二年産米価決定当時の米の生産事情あるいは需給事情というのを考えてみますと、これも私が申すまでもなく御承知のとおり、米の需給状況というものは非常に逼迫しておったわけでございます。たとえて申しますと、四十年、四十一年一外米を百万トン近く輸入いたしておりましたし、それから三十八、三十九、四十年と、年度末の在庫というものもほとんど一万数千トンあるいは五万トン程度しかなかった。そういう事態で、米をいかにして増産するか、そのためにはいかにして増産のための刺激的な、あるいはそういった政策的配慮から米価をきめていくかという問題であったわけでございます。それを反映しまして、四十二年産米価については、その算定要素とり方等も非常に幅広く考えていたわけでございます。  その後、四十二年から四十三年、四十四年にかけて生産が飛躍的に増大いたしまして、ついに四十五年には七百二十万トンという過剰在庫を持つようになったという状況は御承知のとおりでございます。それ以後、やはり、その過剰在庫をどう処理するかというのが先決問題になりまして、生産のほうは生産調整をやるというようなことで、現在生産調整をやって需給の均衡を保っているという段階でございます。  この状況は、昨年度もことしも変わりはないというふうに私は判断をいたしております。そういう意味におきまして、生産費所得補償方式要素とり方等につきましては、基本的には私ども大体前年のようなやり方を考えているわけでございますが、具体的な問題は、先ほどから申し上げておりますようにいろいろ作業中でございますので、まだ申し述べる段階ではございませんという状況でございます。
  10. 芳賀貢

    芳賀委員 いま私の聞いているのは、四十二年方式でやるかやらぬかということを聞いているんじゃないですよ。そういう弁解を最初からやられちゃ、これは質疑にならぬですからね。四十二年から昨年四十八年までの間、毎年算定方式を変えておるわけでしょう。それは生産費所得補償方式のワク内でやっているということを政府はいっておるわけだ。だから、今年度計算については、生産費所得補償方式というのはもうわかっておるわけだから、では、従来毎年取りかえた算式のいずれかを採用してやるのか、また四十九年は新たに別途の算式をつくってやるのか。まだわからぬということはないでしょう。
  11. 三善信二

    三善説明員 基本的には、私ども、ことしの算定方式につきましては、前年度決定米価やり方中心に考えていきたいということで現在作業を進めているということでございます。
  12. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは内容的にお尋ねしますが、まず、生産費を用いて計算する場合の算定要素ですが、対象農家については、ことしはどうやるのですか。
  13. 三善信二

    三善説明員 対象農家につきましては、昨年の政府決定米価におきましてのとり方は、御承知のように、一俵以上の販売農家対象とするということで必要量計算でやっておりますので、そういうやり方でやっていきたいと思っております。
  14. 芳賀貢

    芳賀委員 一俵以上の米販売農家対象にする。あと何かはっきりしないことを言ったのは、それはどういうのですか。一俵以上の販売農家対象とするということははっきりわかったけれどもあと何か二、三言っていたじゃないですか。それは私語ですか。
  15. 三善信二

    三善説明員 対象農家はどうかという御質問でございましたので、一俵以上の販売農家対象といたしますということをお答えいたしました。あと言っておりましたのは、御承知のように必要量計算でやっておりますから、そのやり方は昨年と同じようなことで考えてみたい、こういうことを申し上げているわけでざいます。
  16. 芳賀貢

    芳賀委員 そのあと必要量計算というのは、これは問題があるのですよ。いかなる販売農家対象にするかということがこの算定要素としては大事な点ですからね。だから、一俵以上の販売農家対象にするということになれば、一俵以上販売する全農家対象というのはこれはもう間違いのない点ですから、そこは間違えないでくださいよ。  それからその次は、基準収量はどうしますか。いままでは過去三年の十アール当たり平均収量。それはどうしますか。
  17. 三善信二

    三善説明員 その点も従来と同じようなやり方で、いま先生の言われましたように、過去三年の平均基準収量をとっていきたいと思っております。
  18. 芳賀貢

    芳賀委員 従来、平均収量の場合もたびたび議論になったのは、過去三年間の実績平均反収でいく場合と、それから統計情報部調査農家の三年間の平均反収と、二様にこれは用いられたことがあるわけです。だから、この場合いずれの過去三年間の平均収量をとるか、その点はどうですか。
  19. 三善信二

    三善説明員 統計情報部生産費調査対象農家収量をとっているわけでございます。
  20. 芳賀貢

    芳賀委員 そこでお尋ねしますが、実績平均反収統計調査農家平均反収の場合、どのくらいの収量上の差があるのですか。
  21. 三善信二

    三善説明員 いま資料を調べますからちょっとお待ちくださいませ。——四十八年のはまだ出ておりませんので、四十五年から四十六年、四十七年をずっと比較いたしてみます。統計情報部でやっております反収が、四十五年が四百四十二キロ、四十六年が四百十一キロ、四十七年が四百五十六キロ、それから生産費調査でやっております収量が、四十五年が四百八十七キロ、四十六年が四百六十四キロ、四十七年が四百九十五キロということになっております。ともに十アール当たり収量でございます。
  22. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、十アール当たりどのくらいの収量差があるのですか。
  23. 三善信二

    三善説明員 四十五年が約一〇%、四十六年が一二%、四十七年が八%程度の差がございます。
  24. 芳賀貢

    芳賀委員 そうすると、十アールについて大体四十キロ台の差があるわけですね。
  25. 三善信二

    三善説明員 まあ大体その程度の差がございます。
  26. 芳賀貢

    芳賀委員 次に、基準収量をきめる場合、かつて採用しました標準偏差の問題についてはどう考えておりますか。
  27. 三善信二

    三善説明員 四十二年のときにワンシグマという標準偏差のあれをとっていましたが、現在はそれはとっておりません。
  28. 芳賀貢

    芳賀委員 とっておらぬということはわかっていますが、それをどうするかということを聞いておるわけなんです。これも経過があるわけですよ。かつて米審においても、当委員会においても、八〇バルクライン方式算定すべきであるという一致した見解を根拠にして、正確なバルク方式ではないが、農林省としてはマイナス・ワンシグマとか、その後〇・五というふうに変わりましたが、標準偏差を一シグマ用いるというようなことによって、つまり、八〇%バルクにかわる、そうした弾力のある収量計算をしておるわけなんです。最近はそれを用いていないわけですから、ことし総理大臣も選挙が終われば大幅に上げる、それから当委員会決議も、従来の低米価基礎にしたことしの米価改定ではいかぬ、長年にわたる低米価を強行した経緯というものにかんがみて、それをまず基本的に是正した上に立って、ことしは大幅な引き上げをやるということが当委員会決議趣旨になっておるわけだから、そうなると、生産費を大きく左右する基準収量問題等については、去年シグマ方式をとっておらぬのでやりませんというような単純な答えでは、積極的な答弁ということにならぬですよ。
  29. 三善信二

    三善説明員 当委員会でも決議がございましたし、私どもは、昨年からことしにかけての物価賃金上昇、そういったものは適正に、十分に反映をするような米価決定をしたいということはたびたび申し上げているわけでございまして、基準収量の問題につきましては、先ほどから申し上げておりますように、四十二年当時、生産需給の非常に逼迫したときにとりました非常に政策的あるいは刺激的な米価決定、それに伴う要素とり方というのはやはり適切ではないというふうに考えて、現在のようなやり方をしているような事態でございます。私が申し上げるまでもなく、賃金物価上昇というのはかなり大きく上昇しているわけでございますから、そういった面は一昨年の方式からしても当然反映されるわけでございますから、そういう点は十分反映しながら米価決定していくという基本的な姿勢は変わっておらないわけでございます。
  30. 芳賀貢

    芳賀委員 とにかく平均収量にしても、実績平均収量に対して十アール当たり四十キロ以上、これは実際収穫していない収量というものを擬装して収量を高くしておるわけでしょう。全国の一俵以上の米販売農家実績収量というものは、同じ統計情報部調査でわかっているわけだから、それにもかかわらず数千戸の農家だけを抽出した調査農家平均反収、しかもそれも実態よりも四十数キロ高いということになれば、それだけでもコストを大幅に引き下げるという要素になることは間違いないわけであります。そういう点をカバーするために、あるいは当委員会議論等基礎にして、八〇%バルクラインにかわるべき方法としてワンシグマ方式というものをかつて採用したわけですから、そういうものを次々にはずしてしまうと、使わないと、これは全くでたらめの答えしか出ないわけでしょう。それをことしもまたそのとおりやりますというのは変じゃないですか。それじゃ昨年の基礎でもいいですが、マイナス・ワンシグマの場合にはどういう資料になるのですか。
  31. 三善信二

    三善説明員 昨年、四十七年度反収マイナス・ワンシグマ、どういう数字になるかという御質問でございます。ちょっと調べていますから……。
  32. 芳賀貢

    芳賀委員 そんなものは調べなくてわかるんじゃないか。何のために数値を持っているのか。
  33. 三善信二

    三善説明員 それは芳賀先生おっしゃいますけれどもマイナス・ワンシグマではやっておりませんものですから、計算しないとすぐ出てこないということでございますから、ちょっとお待ちくださいませ。
  34. 芳賀貢

    芳賀委員 いまの質問の点については、私の資料によると、昨年の決定時の平均収量は四百八十三キロ、それからマイナス・ワンシシグマの場合は四百八キロということになるので、収量差が十アールについて七十五キロということになるのですね。そのとおりか。間違っておるとすれば、これは計算して答弁してもらえばいいです。
  35. 三善信二

    三善説明員 私ども計算しておりますので、その先生のいまの資料が間違っているとかなんとかいうことは、いま申し上げる段階でなく、そういうことになろうかと私は思いますけれども、正確にはちょっと計算さしてからその辺はお答えさしていただきたいと思います。——私のほうで計算してみましたところ、四十七年の収量が、平均が四百九十六で、ワンシグマとりますと七十キロになります。三カ年の平均でいきますと、四百八十三キロが、ワンシグマとりますと七十五キログラムでございます。だから先生いま七十三とおっしゃったかと思いますが……(芳賀委員「七十五」と呼ぶ)では、そのとおりでございます。
  36. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしたいのは、労賃計算ですが、ことしはどうしますか。従来は米生産当該年度労働賃金というものは正しく反映されていなかったことは、長官も御承知のとおりです。ことしの場合は物価狂乱で、労働賃金もそれに対応して三二%以上上がっておるわけですからね、五月の国民春闘を通じて。だから、このとし米生産ということになれば、実際に生産を再開して労働力を投入するということになれば、五月から十月の収穫完了までの間に農家自己労働を投入したその評価というものは、これは適正にしなければならぬと思うわけですが、従来の労賃評価というものは、必ずしもその年の米生産に投入された労働総時間の全体を正しく評価していないわけです。ことしはそれでは相済まぬと思うのですね。この点は特に重要ですから、長官として算定上どうやるか、明確にしておいてもらいたい。
  37. 三善信二

    三善説明員 先生承知のように、昨年の決定米価やり方家族労働評価がえに使いましたやり方は、製造業常用従事者規模五人以上五百人未満全国平均賃金を使ったわけです。去年のそういうやり方中心にいま検討をしている、作業をしているということでございます。基本的に申し上げますと、そういうことでございます。
  38. 芳賀貢

    芳賀委員 ですから、全国的にことしの米の生産活動開始ということになれば、それは準備活動は二月、三月、四月もやっておるが、具体的な、水田を耕してしろかきをする、田植えをする、こういう作業は五月に入ってからということになるし、中間の除草とか、あるいは病虫害防除薬剤散布であるとか、あるいは管理であるとか、最終的には九月、十月にかけての収穫労働ということになるわけです。それが全部当てはまる生産活動の総労働というものに対して、ことしの民間産業における、あるいは公務員でもいいですが、その具体的な実態賃金というものが反映しなければこれはいかぬと思うのですよ。  昨日も質問の要旨を伝えたときに、特に労働賃金関係については明らかにしてもらいたい、農林省として正確な説明ができないのであれば、あらかじめ労働省担当官を呼ぶようにという話は前もってしているわけです。五月以降、特に春闘後における民間製造業あるいは全産業、あるいはまた、七月の中旬には人事院が国家公務員に対する給与改定の勧告を行なう、それから公共企業体関係はすでに四月以降の賃金決定しているわけですから、そういうものを総合して、ことしの米生産労働に対する賃金評価というものは時間当たり幾らにとるということは明らかにしておいてもらいたいと思うのです。
  39. 三善信二

    三善説明員 ことしのその時間当たり幾らという計算は、現在いろいろな角度から作業中でございますから、いまの段階ではまだ申し上げる段階ではございません。ただ、先生もおっしゃいましたが、ことしの春闘労賃アップ率、これは普通三二・九%と単純平均で言っいてるようでございますけれども、それと労働省全国二百六十一の企業で調べました平均が大体三一・九%、これは組合員数加重平均をいたしている数字でございます。そういうのを発表いたしておりますが、米価算定に使っておりますこの評価は、先ほど申し上げましたように、製造業、しかも規模が五人から四百九十九人、五百人未満製造業従事者全国平均というようなことで、昨年も決定のときにそういうやり方に変えたわけでございますが、その評価やり方中心に検討いたし、作業をいたしているという段階でございます。  それでは、現在一時間当たり幾らになるかということは、まだ作業中でございますので、いまここで申し上げるような段階ではないということを御了承願いたいと思います。
  40. 芳賀貢

    芳賀委員 それでは、労働省の毎勤統計の五月の製造業の五人規模はなかなかわからぬでしょう。三十人から割り出しているわけだからね。だから、五月の全国製造業の三十人以上規模労働賃金は、これはもう出ておるでしょう。それは幾らになっておるのですか。
  41. 三善信二

    三善説明員 労働省の毎月公表しております賃金指数でございますが、三十人以上規模製造業賃金指数が、前年同月比にして四月で二四・六%、五月はまだ公表されておりませんし、速報の値しか出ておりません。それを概数で聞いて調べてみますと、対前年同月比で大体三四%ぐらいの上昇になっているかと思っています。これも速報で私ども内々に聞いている段階でございますから、まだ確定した数字ではないと思います。
  42. 芳賀貢

    芳賀委員 この製造業の五月、三四%というのは、これは春闘による賃金上昇が織り込まれておるのでしょうね。織り込まれていないとすれば、六月でなければわからぬということになるわけです。
  43. 三善信二

    三善説明員 これは大体春闘の結果等が反映をしているということを考えていいと思います。
  44. 芳賀貢

    芳賀委員 では、上昇指数が三四%なら、これは金額にすれば幾らになるのですか。
  45. 三善信二

    三善説明員 これは私ども実は昨日速報を聞いてきていましたので、もちろん規模によって違いますけれども金額までまだ調べておりません。一般的にその上昇の率を聞いてまいりました。
  46. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。何に対して三四%上がっているのですか。
  47. 三善信二

    三善説明員 いや、これは何に対してこの三四%の上昇かということですが、これは先ほども申し上げましたように、一応三十人以上規模賃金のアップの指数でございまして、急いできのう速報を聞いてみましたので、詳しくその金額等についてはまだ聞いておりませんので、調べてみます。
  48. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、三四%上昇する前を一〇〇にして三四%上がったというわけでしょう。その一〇〇の時点の賃金というのは幾らだったのですか。
  49. 三善信二

    三善説明員 いろいろ資料を持っていますので、いまあればわかりますけれども、ちょっと調べてみます。
  50. 仮谷忠男

    仮谷委員長 すぐできなければあとで調べて、できなければできないと言ったらいいでしょう。
  51. 三善信二

    三善説明員 芳賀先生、私ども速報を調べてきただけでございまして、率だけ聞いてまいっているわけでございます。いま私どもの持っている資料からちょっと試算してみますと、昨年の五月の三十人以上百人規模賃金が約七万三千円で、これの三四%アップということになるわけでございます。これはいま持っている数字を比較して、アップ率を単純にかければそれの三四%アップということになろうかと、そういう計算をしたわけでございます。正式にはいろいろの規模がございますので、そういう規模に応じていろいろアップ率をかけてみないとはっきり具体的なことは申されないわけでございます。
  52. 芳賀貢

    芳賀委員 いま長官の言われた昨年五月の数字は、全くでたらめですよ。こういう根拠のないでたらめな数字を神聖な委員会において、あとで取り消すとしても、軽々しく述べるということは問題があるのじゃないですか。だから、まだ計算中であれば計算中と言ってもらわぬと、これは記録に残るわけだからね。あとで間違えましたなんというのは不見識なことになるでしょう。確信がなければもう少し計算するとか、あるいは労働省の担当者を呼んでくれとか、すなおに出たほうがいいのじゃないですか。これは数字ですからね。
  53. 三善信二

    三善説明員 先生のおっしゃるとおりでございまして、いま持っている資料から調べてみますと、ということで、計算もそう緻密な計算をしておりませんので、概略を申し上げましたが、先ほど申し上げましたように、規模別にも違いますし、正式に幾らということについてはもう少し詳しく計算をした上で御答弁申し上げたいと思いますが、その点御容赦願います。  先ほど数字はそういう意味で申し上げたので、私ども自信はございませんので、正式に私ども計算したのが出ましたら、またお答えいたしたいと思います。
  54. 仮谷忠男

    仮谷委員長 ちょっと注意をしておきますが、これからあとこまかい数字質問があると思いますから、自信のないものはよく調査をして、そうして答弁する、そういうことにしなさい。
  55. 芳賀貢

    芳賀委員 いま長官の述べられた数字は、なかったことにしておきますか。これは委員長においてお計らい願います。
  56. 仮谷忠男

    仮谷委員長 そういうようにしましょう。
  57. 芳賀貢

    芳賀委員 この点は米価算定上非常に重要ですから、委員長に申しますが、午後のしかるべき時間までに労働省賃金担当者の出席を求めて、それまで長官労働省の間で十分検討するというのは自由だけれども委員会に対しては、政府として、正確な、政府を代表した賃金に関する説明を求めたいと思うので、委員長においてそのように計らってもらいたいと思います。
  58. 仮谷忠男

    仮谷委員長 はい。
  59. 芳賀貢

    芳賀委員 次にお尋ねしますのは概算金です。ことしは七月の五日から予約数量に対して概算金を六十キロ一俵当たり三千円の支払いが開始されておるわけですが、最近はこの概算金の利子相当額というものが経費から控除されておるわけでありますからして、実質的には概算金の金利というものを米価算定の場合に取っているということになると思うのです。この点はどうですか、長官
  60. 三善信二

    三善説明員 先生がいま言われましたように、予約概算金の利子については、これは予約の受付日から平均的な米の売り渡し時期、大体四カ月くらいを考えておりますが、それの利子相当額を控除している、取っているということにしておるわけでございます。これも、最近はこういうかっこうで概算金の利子については措置しているわけでございますが、私どもそれじゃなぜ取っているかという問題をいつも言われるわけでございますが、本来は米を生産者が売り渡したときに支払われる米代金、それの一部を性格的に前払いという形で概算金を払っているわけですが、農家にとってみれば、その分だけやはり金利負担は軽くなるというようなこともございまして、私どもは、この概算金につきましては、金利は控除している、取っているという措置でこれまでやってきているわけで、この考え方、方針は今後ともそういうことでやっていきたいと思っております。
  61. 芳賀貢

    芳賀委員 概算金は、農協を通じて、生産者に対しては、これは無利子ですよと言って渡しておるわけですからね。生産者は有利子だということになれば、利子を取られるということになれば、何も全部の農家がどうしても概算金を七月早々に支払いを受けなければ再生産ができないというわけじゃないですからね。概算金については無利子ですよという、そういう約束でいままでは一俵千円、ことしから三千円を渡しておるわけですから、これは全くペテンじゃないですか。表面は無利子で出して、米価決定する場合には一方的に金利を取ってしまう。こういう点は、概算金を支払う事前に、ことしの概算金は利子を取りますよ、利子がついてもよかったら使ってくださいというのがあたりまえじゃないですか。全くこれは悪質な、インチキですからね。利子を取るのであれば、概算金そのものに日歩何銭という利子を付するようにしたほうがむしろいいと思うのですよ。概算金を今度は借り入れるかどうかということになるわけだから、利子のついた金だから、結局借りるということになるのですからね。それは生産者の選択にまかせるということにしたほうがいいと思うのですよ。この点はどうですか。
  62. 三善信二

    三善説明員 これは、概算金について一々前払いしたからその分だけすぐ利子を農家から取るということじゃなくて、米価計算上その利子分相当額を控除しているということでございます。なぜかと申しますと、概算金の分だけやはり農家は利子相当分の軽減になるわけでございますから、それは原価性からして当然その利子相当分は控除するというのが普通の考え方ではないかと思います。一々農家から利子を取っている、現実に取っているということじゃなくて、米価算定の上においてこの利子相当分を控除しているということでございます。
  63. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、利子を取っているということになるじゃないですか。七月の五日に概算金を受けた者に対しても、あるいは九月になって概算金を受けた者に対しても、同じ利子を取るわけですよ。期間計算はしない。これはますます悪質じゃないですか。概算金は貸し付け金ですよ。いいですか。ことしは一俵三千円だから、これに対して日歩何銭の利子を取りますよ、そうして生産者が必要かどうかということを判断して、選択して、借りる必要があればその範囲内で借り受けする、これがあたりまえじゃないですか。こういうことをまたやるのかということを聞いているわけだ。
  64. 三善信二

    三善説明員 私が申し上げておりますのは、結論的に利子を取っているじゃないかと先生おっしゃいますけれども米価の場合に、その生産コストの面から見ますと、その分だけやはり農家の資金が少なくなるわけでございますから、その金利負担というのは、これは普通の常識から言って、当然その米価の中に算定して利子相当分を控除するというふうに考えているわけでございます。
  65. 芳賀貢

    芳賀委員 利子を取られる借り入れ金の場合は、借り入れの必要な生産者だけしか借金というのはしないんですよ。貯金をしておる農家がわざわざ利子のつく概算金を借りる必要はないじゃないですか。しかも、これは昭和四十三年までは利子を取っていなかったんですからね。四十四年から据え置き米価にするために、いろいろ頭を使って、利子相当分を取ってしまえ、これは米価を据え置くために金利を取っておるんですよ。それをまたことしゃる気かやらぬ気かということをいま聞いておるんですよ。
  66. 三善信二

    三善説明員 予約概算金のもともとの出発点は、これはやはり生産増強、その刺激策としてとられた。先生承知のように、いろいろな奨励策がとられたわけです。その中で概算金というのも一つの奨励策としてとられたわけでございます。現在、先ほどから申し上げております需給事情を考えますと、そういう刺激的な、奨励的な措置というのは、ほんとうはこれはもう必要ないのじゃないかということが従来からいろいろ議論をされてきた。概算金もその一つでございますが、そういう意味におきまして、前は利子を取っていなかった、いまは利子を取っているのだ、それはおかしいじゃないか、そういう御疑念もこれはおありだろうかと思いますけれども先ほど来申し上げておりますように、概算金の本来的な性格としましては、米の生産に要するコストの一部として利子分は控除している。それは農家としてみれば、金を借りた人も、借りていない人も一般的にならして私どもそういうコストの計算等はしているわけでございますから、借りない人は取る必要ないじゃないか、そういう御疑念もあろうかと思いますが、それは一般にひっくるめて一般的なやり方でやると、借りた者も借りない者も、そういうコストの一部として利子相当分は見ていくというのがコスト計算上は当然必要のことではないかと思っております。そういう意味で、生産刺激的あるいは政策的判断からやっておった以前の形と、現在のそういう基本的な考え方に立ったやり方というのは、おのずから違ってしかるべきではなかろうか、こういうふうに思っております。
  67. 芳賀貢

    芳賀委員 それはおかしいじゃないですか。概算金そのもののこれは根本的な議論に及ぶのですよ。概算金というのはどういうものであるか、これは貸し付け金かどうかということになるわけですからね。それじゃ、概算金の支払い要項に、これはあとで米代から利子を取りますということは明らかにしてあるのですか。あるいは、していなければ、ことし三千円にしたのも、政府にしても自民党にしても、いかにも恩恵ですね。今度は三倍にしてやったよというような宣伝はしておりますからね。三倍にしたなんて宣伝をして恩恵を売って、あとで黙って利子を、今度三千円だからいままでの三倍の利子を取るわけでしょう。こういうことはおかしいじゃないか。それじゃいまからでも、ことしの一俵三千円の概算金については、ことしの米価決定の際に利子は取りますよということを、ちゃんと長官通達でも何でも出したほうがいいじゃないですか。黙って取るということはないじゃないか。これは一体行政的にどうするか。
  68. 三善信二

    三善説明員 それは先生先ほどから申し上げておりますように、利子を取っているということじゃなくて、米価生産のコスト、そのコスト計算の中で利子相当分を差し引いているということでございますので、一々利子を取っているという意味ではございません。
  69. 芳賀貢

    芳賀委員 ますますおかしいじゃないですか。ことしの分についても事前割り当てをしておるわけですよ。政府の直接買い入れる数量はこれだけと、事前割り当ての範囲内で予約をさせるわけですからね。政府にこれだけ売り渡しますといっても、それもかつての全量売り渡しじゃないですからね。おまえさんから買う米の数量はこれだけですよ、それ以上とれても知りませんよということで事前割り当てをして、その割り当ての範囲内の分だけの申し込みをさしておる。申し込んだ分についてのみ一俵当たり三千円の概算金を支払っておるわけですからね。同じ金でも、支払いと貸し付けではだいぶ違うじゃないか。きょう、これだけの議論をするわけじゃないですよ。いまの自民党政府米価算定上あるいは政策実行上こういう悪質なやり方というものがあるということ、これを明らかにしておく必要があると思うのですよ。何もこれは自慢することはないじゃないか。あとで利子を取るなら五千円出したって差しつかえないじゃないか。一万円出したって、その分の利子を取るなら、これは善政にも恩恵にもならぬでしょう。  その次は、農業生産の付帯労働費というものが昭和四十四年までは算入されておったのが、四十五年からはずっと今度は算入されていないわけですね。しかし、直接間接にかかわらず、米の生産に投入した労働というものは細大漏らさず計上して、それを賃金評価するのは当然でしょう。ことしも切り捨てごめんのようなことをやるというわけにはいかぬと思うのですよ。これはいままでとは違うわけですからね。何でもかんでも切り捨てごめんで、政府や役人がどんな米価をきめてもいいというような時代はもう過ぎてしまったわけだから、これも委員会においても最近は毎年問題になっておる点ですから、統計情報部においても、付帯労働費というものは十アールどれだけかかっておるということはわかっておるはずですから、そういうものについては、やはり賃金としての算定をして、正しい自家労働の総体の費用というものを計上すべきだと思うが、この点はどうですか。
  70. 三善信二

    三善説明員 付帯労働費につきましては、御承知のように、具体的な内容として、農家が共同作業の打ち合わせをするとか、あるいは資金調達をするとか、あるいは簿記記帳の時間とか、そういうことを言っているということでございます。御承知のように、四十二年、三年、四年ですか、これはたしか米価中に労働時間として付帯労働費も算入したことがあると思いますが、四十五年以降はこれは算入いたしておりません。やはり、直接労働費と間接労働費、労働時間、それは見ているわけでございますから、いま申し上げましたような、具体的な共同作業の打ち合わせをやるとか、あるいは研修会をやるとか、簿記の記帳の時間とか、そういうものについてまで一つの労働時間としてこれを見るかどうかということは非常に問題があるところでございまして、現在、私どもは、そこまで労働時間の中に算入するというようなことは適当ではないというふうに考えて、現在は、付帯労働費については米価の中に算入はしていないという状態でございます。
  71. 芳賀貢

    芳賀委員 これも、ことしどうするかということはあとでまたはっきりするわけだが、この付帯労働というのは、役人であるあなた方も拘束時間の中でやっておるのじゃないですか。拘束された時間の中で今度レクリエーションをいつどこでやるかとか、そういうことは時間外でやっているわけじゃないですよ。食糧庁長官としての本来の固有の任務とか権限の範囲内で、そういうことを勤務時間内にやることに問題があるとしても、それは平気でやっておるじゃないですか。今度はマージャンをいつやったらいいかなとか、そういうことが賃金を受けておる勤務時間内とか拘束時間で行なわれれば、これは理屈をつければやはり付帯労働ということにしかならぬでしょう。自分たちが大いばりでやっておって、農家が農業生産関係のあるこの種の会合とか研究をしたのは、それは違う、いままでは入れておったけれども、米が余ったからそんなものは切り捨てごめんだというようなことはおかしいじゃないかと思う。  その次は生産性向上の利益還元、これはどうしますか。とにかく、毎年毎年の米の生産費の結果を見ても、労働生産性というものは、民間労働者の生産性以上に高まっておるでしょう。たとえば十アール当たりの投下労働時間にしても、十アール当たりの単位収量にしても、この十年間を見ても、相当大幅に農業労働生産性というものは高まっておるわけだ。しかし、幾らがんばって生産性をあげても、米及び農産物の生産費の場合においては、それは全部マイナス要素にだけ使われておるわけですからね。働けば働くほど、生産性をあげればあげるほど米価も安くなる、あるいは乳価も下がるということをやっておったわけだ。だから、それはおかしいじゃないか。しかし、生産性の向上分を内部生産者に還元するというのではなくて、半分は生産者、半分は——生産性の向上分というものを、一般消費者にも奉仕するというような考え方の上に立って、生産性向上の分については、二分の一を米価に算入する。これを四十二年、四十三年、四十四年までは行なってきたわけだ。ところが、四十五年には、前の年と米価を同額にするために、結局これも還元しないということで切り捨ててしまったわけです。こういうことは労働組合の場合だったら、一年だってもう全然通用はしないですよ。米は、政府食管法の権限できめる、必要なものは安くても売り渡せというように権力的にこれをきめておるからして、還元せずということで、もうすでに四年たったわけだ。だから、この際、農業労働の重要性というものを考えた場合、生産性向上を全部米価引き下げに使うというような悪らつなやり方でなくて、この点はやはり謙虚に考えなければならぬ。当時二分の一還元したのは何のためか。足りないからという場合じゃないですよ。足りなければこれは復活する、余れば切り捨てるなんというのはおかしい話ですからね。こういう点についてはどうするつもりでおりますか。
  72. 三善信二

    三善説明員 生産性向の上メリットの利益還元というのは、先生のおっしゃったとおり、四十二年、三年、四年は二分の一を還元して米価に算入しておったということは事実でございますが、四十五年以降はこれはやっておりません。と申しますのは、この生産性向上のメリットというのは、非常に原価性が乏しい。特に、四十三年の米審でございましたか、そういう意味で、このメリット還元というのは適当でないという一つの非常に強い意見もございまして、四十五年からはこれはやめております。  御承知のように、先ほど来申し上げております四十二年に、いろいろな要素とり方について非常に幅広く考えたことは現実にございます。先ほど先生がおっしゃいましたようないろいろな点を加味して米価算定をした。これはやはり需給状況というものが非常に逼迫しておった。そういうときに、いろいろな政策的判断あるいは刺激的要素ということから考えていろいろな要素を取り入れた点はございますが、現在、四十五年以降の生産調整をやっている。そういう需給調整をやっているような現段階において、こういう生産性向上の利益還元というようなことをやるのは適当でない、また、米審においても、先ほど申し上げましたように原価性に乏しいもので、これは廃止すべきであるという意見が非常に強く出たというようなことで、現在これを二分の一還元するとか二分の一算入するとかということについても、私どもはそういうことは考えていないわけでございます。それで、昨年もそういう算定要素とり方で、この点は同様にしております。  米審でいろいろその議論がございました。そういう経緯も踏まえてやっているわけでございます。
  73. 芳賀貢

    芳賀委員 考えておらぬというんじゃないのです。考えるべきではないかということを私は聞いておるのですよ。これは、いままでの誤りを改めるために考え直してやる必要があるんじゃないか。長官の頭では考えつかぬからやりませんというわけにいかぬでしょう。いやしくもあなたは政府食糧庁長官でしょう。個人的な頭の中では考えが浮かばぬでも、あなたは、行政機関の、食糧行政を担当している長官ですから、自分の頭の中から出てこなければ、大ぜい取り巻きがいるわけだし、その上に農林大臣もおるのですから、こういう点を考えなければいかぬじゃないですか。
  74. 三善信二

    三善説明員 考えていないというのは、そういう米審経緯もございましたし、そういう算定要素とり方は考えていないし、とるべきではないという意味を申し上げたつもりでございます。
  75. 芳賀貢

    芳賀委員 米審というのは、農林大臣が任命した御用委員でしょう。その中に五人ぐらいは生産者代表がおるが、残りの政府の気に入ったような御用委員がああ言ったからこう言ったからということでは権威がないですよ。そうじゃないですか。御用委員を並べて、そこでどんな議論があったって、そんなものは国民の納得するような議論は出てこないですよ。一定の答えとか賛成を求めるために適当な人選をするわけですからね。国会のこの委員会に来て、米価審議会の御用委員の多数の皆さんがこう言ったから考える必要はありませんなんて言うのはおかしいじゃないですか。では、一体何のために諮問案を出すんだ。  次は、地代の問題ですが、これも以前は実納小作料、実態に合った小作料方式ということでやってきたわけですが、最近は、去年に例をとると、小作農の場合には、実態に合ったいわゆる実納小作料、自作農家の場合においては統制小作料による、こういうやり方に去年はしたのでしょう。これはおかしいじゃないですか。農地法が四十五年に改正になる以前さえも、地代については、実態に合致した実納小作料制で地代の計算をやっておったわけですからね。四十五年の農地法の改正によって小作料の統制力というものは全く弱まっちゃったわけですね。あなただって農地局長をやったことがあるじゃないか。長官としてはことし初めて米をきめるんであるが、こういう点は、農地局長をやった経験から推して去年のとおりやりますなんというわけにはいかぬじゃないですか。どうですか、長官
  76. 三善信二

    三善説明員 地代の取り方のお話しでございますけれども先生承知のように、昨年の諮問段階では、自作地、小作地ともこれは統制小作料で取っておったわけですが、決定段階では、自作地については統制小作料、小作地については大体実納の小作料を取るようにしたわけでございます。  地代の問題について先生からいま御指摘がございましたけれども、四十五年に農地法が改正になりまして、そのときに小作地であったものは、その額というものは一応十年間は統制されているわけでございます。そういう小作地がほとんど大部分でございまして、新しく小作契約を結ぶような場合には、これは農業委員会等が中に入って標準小作料を取っていくということになっておりますが、その標準小作料を適用しているような小作地というのもまだわずかな面積でございまして、この統制小作料をいままで取っている小作地が大部分でございます。  そういう実態から見まして、本来は統制小作料を取っていくのが一つの筋かということも考えられていたわけですが、昨年の決定のときには、小作地については実納を取っていこうということに決定したわけでございまして、これは従来の考え方から一歩前進をしていると申せば前進をしているということが言えるかと思いますが、昨年の決定米価のこのやり方は、私どもは今年についてもそういう考え方でやっていきたいというふうに基本的に考えております。
  77. 芳賀貢

    芳賀委員 以上で重要な各算定上の要素については一通り指摘したわけですが、そこで、四十二年方式で昨年の四十八年米価計算すれば六十キロ一万三千九百八十一円になったはずですからね。いいですか。それを毎年据え置き、米価算式を新しく使うことによって昨年の決定米価というものが六十キロで一万三百一円ということに決定になったわけですから、この四十二年方式といわゆる四十八年方式によって一俵当たり三千六百八十円、米価に相違が出るわけですね。三千六百八十円というのは、これは結局農家の自家労働報酬の未払い分ということに当然なるわけですよ。物財費は、米が安くても何でも先に差し引かれちゃうわけですからね。残った分で家族の労働に分配するということになるわけだから、結局、この四十二年の計算による場合と、一俵について三千六百八十円違うわけですから、労働者であれば膨大な賃金の未払い分が残っておるということになるわけだ。  これとあわせて、ことしは農協をはじめ各生産者団体が去年のこの安い一万三百一円米価に対して三千円の追加払いを実現してもらいたい、と、こういう強い要請が行なわれておる。また、政府におかれても、特に選挙中を通じまして、田中総理の——これは自民党総裁でもあるが、その田中総理の発言あるいは自民党の水田政調会長の発言等が各所で行なわれまして、名目として追加払いとしてはなかなか出しかねるが、しかし、実体的に、今度の新米価決定までに、去年の米価についても何らかの名目で追加払いを実行するということは、これはもう選挙の公約としても表明されておるわけです。選挙が終わったからもう忘れたとか、選挙で惨敗したからそんなものは実行する必要がないというわけにはいかぬと思うのですよ。特に、政府側において、行政府食糧庁長官としてはこの点はどう考えていますか。
  78. 三善信二

    三善説明員 いま先生が言われましたように、選挙中に総理がどういうふうに言われたか、私、つまびらかには知りませんけれども、そんたくすれば、昨年来からことしにかけての物価賃金の動向を適正に反映して米価をきめる、基本的なお考え方はおそらくそういう趣旨ではなかったろうかというふうに解釈をいたしております。
  79. 芳賀貢

    芳賀委員 そんなばかなことはないよ。長官、あなたは新聞を毎日見ておるだろう。自民党の候補が落ちるか出るかということはやはり心配でしょう。そうなれば、その政党の総裁あるいは総理大臣が、きょうはヘリコプターでどこへ行ったとか、天候が悪くて不時着したとか、そういうことは心配になるでしょう。ヘリが着陸すれば、必ずそういうことを、特に米作地帯なんかでは言っているわけだから、そんなものを見ませんとか、そんたくすればなどとかいうものじゃないでしょう。毎日毎日、選挙中の新聞には出ておったじゃないですか。追加払いとして、そういう名目では出しかねるが、実体的には何らかの方法でこれは出します——ことしの米価に算入してということじゃないですよ。それを忠実な食糧庁長官が、総理大臣があっちこっちへ行って放言しておることを、それは関係ないと言えばそれまでだけれども食糧庁長官が知らぬというのでは、田中総理大臣という人は、全くでたらめきわまる、言いたいほうだいなことを言っているということになるですよ。全然そういうことを検討もしていないで、だれからも指示もないということですか。その点はどうですか。
  80. 三善信二

    三善説明員 一つ仙台で総理が言われたことは私どもも知っております。それはこういう言い方でございます。四十八年産米の追加払いについては考えていない、制度上もできない、ただ、農民から強い要請があるわけだから、四十九年産米の基本米価をきめる場合に考えられると思う、いずれにしても、四十九年産米の米価をきめるときの問題であろうということで、こういう御発言の趣旨からして、私が申し上げましたように、追加払いについては、制度的にもできないし、また、するつもりはない、ただ、物価賃金上昇の動向等は適正に反映した米価をきめるんだというような趣旨で言われたんであろうかということを、私はそんたくして申し上げたわけでございます。  追加払いにつきましては、先国会中もいろいろ御議論がございましたし、当衆議院農水の決議もいろいろ米価についてございました。いずれにしましても、追加払いということ自体は、現在の生産費所得補償方式に照らして非常にむずかしい、制度的にはできないような問題でございますし、また、私どもそのときから申し上げておりますように、四十八年産米というのは米価も非常に高くきめられているという、そういう経緯もございますし、追加払いについてはやるつもりはございませんということも、大臣からの御答弁もございましたとおりでございます。  総理が申されましたのは、そういうように制度上もはっきりやれないし、やるつもりはないけれども物価賃金上昇等は適正に反映すべきではないか、四十九年度産米においてそういう点は十分考慮すべきではないかという趣旨であろうということを私は申し上げたわけでございます。
  81. 芳賀貢

    芳賀委員 本人がいないですからね。ただ、あなたの言った仙台発言というのは、選挙が始まったころですよ。保革逆転なんかない、とにかく七十五名ぐらいだいじょうぶだという強気のときにはその程度のことを言ったですよ。しかし、終盤になって、いよいよこれはあぶないといってから言い出したのはそんなことじゃないですからね。よく新聞を調べたらいいですよ。  そこで、この追加払いができるという根拠は、食管法から言ってもあるでしょう。
  82. 三善信二

    三善説明員 先生がおっしゃったのは、この施行令の二条で「食糧管理法第三条第二項の買入の価格及び同法第四条第二項の売渡の価格は、」……(「都合の悪いことは小さい声で言わずに、もっと大きい声で言え」「傍聴者にも聞こえるように言え」と呼ぶ者あり)  先生がおっしゃいましたのは、食管法でいま追加払いができる規定があるのじゃないかということでございますが、それはおそらくこの規定を申されたんだろうと思いますが、食管法の施行令の第二条で、はしょって申し上げますと、第一項が、買い入れの価格、売り渡しの価格は、毎年これを定めるということになっておりまして、第二項に、「前項の規定により定める買入又は売渡の価格は、経済事情の変動が著しい場合においては、これを改定することができる。」となっておりますが、この第二項の規定かと思っております。
  83. 芳賀貢

    芳賀委員 だから、はっきりしているでしょう。その根拠は食管法第三条第二項にうたっておるわけですからね。その第三条第二項は、「前項ノ場合ニ於ケル政府ノ買入ノ価格ハ政令ノ定ムル所ニ依リ生産費物価其ノ他ノ経済事情ヲ参酌シ米穀ノ再生産ヲ確保スルコトヲ旨トシテ之ヲ定ム」となっているが、ここでいう「政令ノ定ムル所ニ依リ」というのがこの政令ですね。いま長官の言った食管法施行令の第二条第二項ですね。だから、食管法の第三条第二項のこの趣旨を受けて、「経済事情の変動が著しい場合においては、」政府がきめた米価といえども改定できるということははっきりしているわけだ。だから、総理大臣が放言をしなくても、法律を忠実に実行する気であれば、去年からの狂乱物価時代——つまり、卸売り物価も毎月毎月前年同月の三五%以上も上がっておる。消費者物価も毎月のように前年同月に比べて二六%以上上がっておる。こういうのを著しい経済変動と言わぬで、一体どういう場合をさすわけですか。国会においてわれわれが、米価を改定して不足分を払うのが当然だと言うのは、これは食管法に基づいてわれわれは言っているわけですよ。田中総理がこう言ったからということをたてにして言っているのではないのですからね。  それじゃ、こういうものは空文ですか。どんなに経済事情が激変しても、書いてはあるけれども、やる必要はないと言うのか。一体どうなんですか。
  84. 三善信二

    三善説明員 追加払いと申しますか、終戦直後、米をパリティでやっておりましたときに……(芳賀委員「そんなことを聞いているんじゃない」と呼ぶ)関係がございますので、ちょっとその辺を申し上げたいと思いますが、パリティ方式米価をきめておりましたときは、なるほど、生産刺激的な一つの方式として追加払い的なことをやったことはございます。それは先生承知のとおりでございます。生産費所得補償方式になりましてから、私が制度になじまないということを申し上げておりますのは、やはり、生産費所得補償方式、いまのやり方では、それは三カ年の平均収量とかあるいはその生産費をもとにしてやっておるわけでございますから、単年度の問題でこれを計算しておるわけじゃございませんし、そういう趣旨で、生産費所得補償方式というのは、その中に労賃分も再評価をし、かかった物財費等も、これは現在に引き直してやるわけでございます。  そういう一貫したやり方をしている現在の方式からはなじまない、法律的にこれはどうなんだと先生はおっしゃっておられるのだろうと思いますけれども、私ども法律的にこれを見ましても、経済事情の著しい変動というのは、経済事情は物価だけの問題ではなかろうと思っております。それは物価の問題もございますでしょうし、それから、現在の財政状況の問題もございますでしょうし、逆ざや負担の問題もございますでしょうし、あるいはそういう経営状態の変動等もございますでしょうし、そういういろいろな政府の買い入れ価格、売り渡し価格との関係、そういうすべての問題を含めた経済事情というふうに私どもは解釈をしているわけでございまして、単に物価がどうだということでこの規定を発動するということは適当ではないというふうに考えております。
  85. 芳賀貢

    芳賀委員 何も、私は物価だけに限定したわけではないんだ。長官、食糧管理法というのは昭和十七年にできたんでしょう。これはおまえさんたち役人がつくったんじゃないんですよ。立法府である国会が制定した法律なわけなんだ。それを忠実に実行しないのがいまの役人でしょう。一体どうして法律の目的や趣旨に合致した行政ができないのか。経済変動の経済の幅がどの程度なんというのは、あなたがいまつまらぬことを言うようなものじゃないですよ。物価だけが経済なら、これは「物価」と書けばいいじゃないですか。食管法第三条二項だって、「物価」とも書いてあるし、「経済」とも書いてあるじゃないですか。施行令の第二条第二項というのはどこから来たかというと、食管法の第三条第二項から来ておるわけでしょう。だから、当初に政府が適当ときめても、その後一年の間に大きな経済変動が生じて——生産農民が何とか食っていける、再生産ができると思っても、極端にはなはだしい経済変動によって生活面にも圧迫が来る、再生産もできないという場合には、当然その時点で再計算をして、改定すべきであれば改定ができるというのが、これが法律の根拠じゃないですか。これはよく勉強してもらわなければならぬ。あなた方は自民党政府の役人じゃないんですよ。国民の公僕としての役人だろう。そんな考えなら、天下が変わればまたそのほうへ追随するのじゃないか。いまは自民党の天下だから自民党政府の言いなり次第になるが、社会党の天下になれば、また、そのときはそのときの風の吹きようだなんというんじゃ、一貫した行政なんというものはできないですね。  だから、今回の三千円の追加をしろというのは、四十二年方式から見ても、三千六百円まだ未払いになっておると同じでしょう。こういう点は行政府の責任者として十分検討して、必要ありやいなやということの正しい判断をすべきだと思うのですよ。もう時間がだいぶ経過したですから、きょうは大まかな話だけをしておきます。  あと、もう一点、北海道の関係ですが、ことし、北海道だけについて、生産調整を約十六万トン超過して、そのかわり限度数量を十五万トン余り減らしておるわけです。その結果というのは今度の作付あるいは予約行為の中にあらわれてきて、この分でいくと大体八万トンないし十万トン。万一冷害にでもなれば別ですよ。平年次の作況でいけば、結局、収穫予想に対して限度割り当てというのは非常に苛酷であったという数字が出ておるわけですが、それに対しては、正確な判断ができる時期にどういうふうに取り扱う考えですか。
  86. 三善信二

    三善説明員 北海道の予約限度数量の問題は、従来から、北海道の場合は、私ども数字的に申し上げるまでもなく、芳賀先生承知のように、生産調整目標を割り当てましても、実績はそれの倍以上に伸びて、そして事前売り渡し申し込み限度数量はなかなか達成できなかった。現実の集荷を見ましても、たとえば四十七年には十万トン程度事前割り当ての数量と実際の集荷の実績の数量との差があって、それだけ集荷ができなかった。四十八年度につきましても十六万四千トンぐらい集荷ができなかった。それだけ生産調整の目標数量を非常によけいに、倍以上上回って実行されたという実績でございます。昨年の場合、全国的に限度数量を割り当てまして、ある県は余るし、ある県は足りないという事態がどうしても出てくるわけであります。全国的にそれをまた出来秋に見直しまして、調整をいたしまして、北海道からあきワクが出ておるのをほかの県に回したという実態先生承知のとおりにあるわけでございます。そういうことを加味しまして、四十九年度の限度数量の割り当てにつきましては、従来の実績を加味して割り当てたわけでございますが、北海道知事からのいろいろな申し入れあるいは要請もございましたし、第一次で一応調整をしましたときに、七千三百トンですか、その程度は予定より北海道のほうに多少よけいに回したという実績もございます。それで、現実に出来秋にまた全国的に見て調整するわけでございますから、現段階で作況がどういうふうになるか、反収がどういうふうになるか、まだ何とも申し上げられない状態でございます。  全体的な問題としては、それは出来秋に調整をして考えていくというようなことを考えているわけでございます。
  87. 芳賀貢

    芳賀委員 長官、まさか北海道が冷害になればいいと考えておるわけでもないでしょうね。その結果に到達しない前に、実態が判明した時期に、改定するべきものはやはりしたほうがいいと思うのですが、それはどうですか。
  88. 三善信二

    三善説明員 北海道の場合、こまかい話でございますけれども、十アール当たりの見込み反収とか、そういうのもいろいろ問題がございますし、いまの段階で、先ほど申し上げましたように、冷害になるのを期待しているということでは絶対ございません。やはり、出来秋にみな全国的にこの問題は調整していかなければならない問題でございますから、そういうときに調整をしていくというようなことで現段階は考えております。
  89. 芳賀貢

    芳賀委員 最後に吉岡統計情報部長にお尋ねしますが、四十八年の米生産費がどうしていまだに公表されないのですか。きょう七月十一日に農林委員会をやるということは五月二十三日にきまっているわけですからね。七月十五日は米価審議会が開かれるということはさまっておる。政府諮問案をつくる場合においても、四十八年の生産費調査の結果というものは全然不必要だとはわれわれは考えていないわけですが、きょう間に合うべきものがどうしてもきょう公表されないのですか。何も委員会をおそれる必要はないじゃないですか。委員会がきょう開かれるということがわかっておれば——普通に作業すれば、十二日しか公表はできない。しかし、十一日にせっかく委員会が開かれ、米価問題も議論されるということになれば、少しがんばればきょう公表して資料として出すこともできたんじゃないですか。どうも、何か政治的に配慮して、毎年毎年生産費の結果の公表の時期を不同なものにしておる。不同と言ったって、動かない不動じゃないですよ。毎年違うわけだからね。そういう点は一体どうなっているのか。
  90. 吉岡裕

    ○吉岡説明員 先生十分御承知のとおり、統計情報部におきましては、品目にいたしまして約六十八品目ぐらいの農畜産物の生産費調査をいたしております。そういう調査を限られた職員の努力によっていろいろやっておるわけでございますが、その取りまとめにあたりましては、いろいろな作目間の取りまとめの順序といったようなものも考えながら取りまとめの時期をきめていくということにならざるを得ないわけでございます。その際に、この生産費調査を行政上使います時期との関係というふうなことも考慮に入れまして取りまとめのスケジュールをきめていく、こういうことで取り運びをしておるわけでございます。  そういうことで、本年、四十八年産米の生産費調査の取りまとめにあたりましても、従来の米価決定をされる時期等を頭に置きまして、そういうスケジュールをかねてからつくり、それに従って生産費調査の印刷公表をいたすということでございまして、この委員会が本日開かれるということが非常に前からわかっておったということは私ども承知をしておりませんでしたけれども、この七月十二日に公表をするということで私どもは前から準備をし、また、印刷もそういうことででき上がるということになっておるわけでございます。どうぞ御了承いただきたいと思います。
  91. 仮谷忠男

    仮谷委員長 この際、午後一時三十分より再開することとして、暫時休憩いたします。    午後零時三十五分休憩      ————◇—————    午後一時四十五分開議
  92. 仮谷忠男

    仮谷委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。  この際、午前の芳賀委員質疑に関連し、三善食糧庁長官より発言を求められておりますので、これを許します。食糧庁長官
  93. 三善信二

    三善説明員 午前中に芳賀先生より御質問がございましたところの、製造業における賃金が去年の五月とことしの五月でどういうふうになっているかということで、労働省関係課とも相談をいたしました。三十人以上の規模で、男女込みの賃金は、ことしの五月分の現金給与総額が十一万八千四百七十九円で、昨年の五月が八万八千四百五十七円でございます。
  94. 芳賀貢

    芳賀委員 これは月額だと思うけれども、月の労働時間が、たとえば百九十時間とか二百時間ということになるでしょう。時間当たり賃金額というのはわからぬですか。
  95. 三善信二

    三善説明員 先ほど申し上げましたように、現金給与総額が十一万八千四百七十九円で、実労働時間が六十五・二時間ということになっております。したがって、これを割れば時間当たりということになるわけでございまして、ちょっと割ってみます。——一時間当たり約七百十七円でございます。
  96. 芳賀貢

    芳賀委員 本日の質問はこの程度でとどめておきます。
  97. 仮谷忠男

    仮谷委員長 質疑を続けます。中川利三郎君。
  98. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 まず、政務次官にお伺いします。  ついせんだって行なわれました参議院選挙におきまして、自民党は、都市だけではなくて、農村でも、たいへんなきびしい情勢といいますか、批判を受けたようでありますが、この理由についてあなたはどうお考えですか。
  99. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 これはいろいろな原因があって減ったということだと思います。これとこれとこれだということはなかなか一がいにここで明確に断定するわけにはまいりません。
  100. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 明確に断定することができないということでありますが、農村でも大幅に票を減らしたということは、つまり、これまでの農政のあなた方の施策が根本的に批判を受けたものだと思いますが、あなたはそう考えませんか。
  101. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 選挙の結果は、私どもとしては謙虚に反省しなければならぬと思っております。選挙技術の問題もあるだろうし、いままでのやり方でまずい点もあるだろうし、乱立の問題もあるだろうし、いろいろございますから、一がいには申し上げられませんが、総合して、選挙の結果については深刻に受けとめ、われわれとしてはそれに応じた対策を今後立てなければならぬ、かように思っております。
  102. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 深刻な批判のあらわれだということでありますが、この選挙中の期間も含めまして、全国的に、これからの農業を背負う後継者だとか、あるいは現実に農業をささえておる婦人の方々だとか、こういう方々が出庫の不協力だとかいろいろな合法的な戦術を行使したようでありますが、こういう前例のない事態が起こったことについて、あなたのほうではどう考えていますか。
  103. 三善信二

    三善説明員 出庫不協力のお話しでございましたので、私からまず答えさせていただきます。  御承知のように、農家政府で所有している米の出庫を妨げる、出庫の拒否といいますか、出庫の阻止というようなことを一部やっておられた事例もございます。この問題につきましては農協団体がいろいろと協議しておりまして、出庫業務に協力はしない、不協力というような線を農協団体が打ち出しまして指令をいたしたことは承知しております。ただし、出庫を拒否するとか、あるいは阻止するとか、そういったようなことはしないようにということで農協団体が指導しているということを承知しております。残念なことに、一部の農協青年部等で、たとえば倉庫の前にトラクターを持ってきたとかというようなことで、出庫の現実的な阻止みたいなことをやられた例もあるわけでございますが、私どもは、そういうことに対しまして、趣旨の徹底をはかりまして、そういうことはやめるように、もしそういうことをほんとうに実力でやられた場合には、非常に違法性の強い問題でございますし、刑法その他から見ましても違法になるような行為でもございますから、そういうことはやらないようにというようなことで厳重に指導しておりましたが、現時点においてはその指導もだいぶ徹底いたしまして、不協力的なことはやっておられるようでございますが、阻止、拒否というようなことは、一時そういう機運が非常に高かったときと比べて非常におさまっているような段階ではなかろうかと思います。  現状を申し上げておきます。
  104. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 つまり、次代の農業をになう後継者青年、現実に農業をささえている主婦、こういう農業の基幹的な人々がこういう戦術をとらざるを得なかったわけで、あなたはいま出庫拒否云々と言いましたが、ぎりぎりの出庫不協力ですね。これに対して、すでに現実に秋田あたりでは、某食糧事務所の所長が農協の組合長を呼びつけておどかしを加えているのです。農協の組合長に対して、指定倉庫の取り消しをするぞ、指定集荷業者の許可の取り消しをするぞというかっこうで圧力を加えているわけです。だから、不協力の場合は、なぜこういう事態が起こったかということについてむしろ皆さんが深刻な反省をしなければならないのに、逆に圧力を加えているというような事態があります。こういうことでは問題の根本的な解決にもなりませんし、この点で、政府の責任が当然考えられなければならないと私は思いますが、これについての御見解はいかがですか。
  105. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 私は、別に圧力をかけておるとは思いません。また、食糧事務所長という立場で、違法な行為があればこういうようなことになりますから、そういうことにならないようにお願いしまずということを言っておるものだと存じます。
  106. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私は、出庫拒否云々で言ってるんじゃないのです。出庫不協力ですね。つまり、おたくとの契約の中にも、電気を使わせるとか使わせないとかいうことは何も関係ないことだ、そういう事態で、そこまで追い込まれている農民の心情を理解するのではなくて、逆にそれをたてにして、あたかも違法であるかのようにおどかしを加えるということ自体一体どうなんだということを聞いているのです。
  107. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 少しもおどかしてはいないのじゃないかと思います。それは、そういう違法な行為がある場合はこういうことになりますということを申し上げている。食糧庁の事務所の所長というものは別に米価をきめるわけでも何でもありませんからね。しかし、政府としては、そういうような事態がなぜ起きておるかということは知っておるわけですから、それに対応して適正な米価をきめようということで目下作業をしておる、こういうことなんです。
  108. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そういうことであれば、次代を背負うそういう方々が何を好きこのんでそんなことをするものですか。おたくでそういう問題が起きた背景、そういうものについてもっと反省することなしには、今度の米価の問題についても非常に問題が残るだろうと私は思うのです。  そこで、今回の要求米価のことでありますが、要求米価が高い安いなどということよりも、ここで私が聞きたいのは、政府は要求米価に対して一体どう認識しているかということです。全国農協中央会で出した文書がありますが、ちょっと読みますと、「あんまりです私たちがつくったお米があまりにも安すぎるのです なんとかして欲しいのです」「安心して生産に励めるお米の値段。その決定を私たちは求めているのです。十キログラム二千七百八十四円」と、こういうふうな訴えをずっと起こしておるわけでありますが、全中でさえも六十キロ当たり一万六千七百四円ですか、六四・七%ですか、これをやらないことには、もうぎりぎり食べて再生産することはできないのだ、農業は滅びるのだというふうに要求を出しておるわけでありますが、これに対して政府はどうお考えになっていらっしゃるのか。そこのところをはっきり次官からお伺いしたいと思うのです。
  109. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 午前中に芳賀委員からもいろいろ御質問があって、政府のいままでやってきておるやり方と農業団体の計算のし方との食い違いというものは浮き彫りにされたと思います。それは考え方が少し違うところがありますからね。しかし、われわれといたしましては、今回の米価は、食糧庁長官から午前中に説明をしたように、一応従来の方式を踏襲するつもりで目下やっております。しかし、物価賃金上昇というものは、上がっていないときには上がっていないように、非常に上がったときには上がったように当然なるわけでありますから、異常な今回の物価賃金上昇というものは、この米価計算要素として適正にこれは取り入れてまいる、こういうことでやっておるわけであります。
  110. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 別に、米価算定の様式がどうかということを私は聞いているのじゃなくて、今日出されておる要求米価一万六千七百四円というもの、これを達成しなければ農民は再生産できないのだ、これはもうぎりぎりの要求なんだという、そのことをお認めになるのかどうかというにとを私は聞いているのです。
  111. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 これは、御要求するほうの立場からすれば、御要求するほうの立場で言っておるわけですから、そのこと自体をどうこうということを私は申し上げません。しかし、われわれとしては、物価賃金の値上がりというものは適正に取り込んで米価をきめたい。したがって、今回の政府の案というものは、いままでにない大幅な案が出るであろうということは容易に想像されるわけであります。
  112. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 事務的な問題にすりかえるのじゃなくて、農民は、今日これをふっかけた要求米価として出しているのじゃないのです。おたくから政治加算を何ぼかつかみでもらおうなんということで出しているのじゃないのです。これを最低達成しなければ農業をやっていかれないのだという、そのこととして出したぎりぎりの要求だということをあなたは認識としてお認めにならないのかどうか。心情的にも、それはそれだろう、政府政府でやるというふうなことなのか。そこをはっきりしてください。
  113. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 実は、毎年その要求と政府案とがぴたっと一致するということはあまりないのです。これは要求するほうと支払うほうとですから、考えの違いがどうしても多少あるのはあたりまえで、そいつがぴしゃっとなかなか一致しないというのが現実の姿なんです。しかし、農業団体あるいは農家の方の言っているように、これだけの物価賃金上昇というものは適正に織り込んでもらわなければ困りますということはよくわれわれはわかっておりますから、それは適正に織り込むつもりで目下作業中であります、と、こういうことであります。
  114. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなた方は毎年そういうことを言って、毎年それを繰り返して、今日のような農業破壊を現実にもたらしているのです。毎年そういうやり方をする中で、日本農業が、特に米作農家が非常な困難に直面しておる事態があればこそこの要求米価をぎりぎりとして出してきたのだから、それは皆さん方のせいで、おらほうの知ったことじゃない、何ぼか加味するでしょうなんということでなしに、三善さん、どうですか、それがこの一万六千七百四円以下であることによって、農民が再生産に対する意欲を燃やして、後継者がひとつ農業をやろうじゃないかという気持ちになり得るという状況がはたしてできるのかどうか。おたくの計算計算でいいわ。別のことを聞いているのですからね。そこのところはどうですか。
  115. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 必ず来年も再生産してもらえるだけの米価をきめます。
  116. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 毎年そういうことの中で言うて、今日、私に来た手紙を見ても、「いまこのままでは農民は死にます」という手紙が来ているのですよ。ひどいのは、「自民党農政は農民の敵だ」と言っているのです。ここまで恨まれたんじゃ、あなたはもう少し真剣に考え直したらどうですか。まあ、それはともかくとして、農民の心情すら理解できない。そういうことでは、選挙がああいう状態になったのはもっともだと思うわけでありますが、しかしながら、この前の米価大会でも、政府は出てこなかったけれども、自民党さんからも、あなた方の仲間の方々がみんなこの要求米価は支持すると言うのだよ。たくさん顔を出すというのだね。野党の人ももちろんこれは支持するというわけだ。両方支持していて満額できない。いつも値引きされて非常な状態になるというようなことは、次官、これはどういうわけでこうなるのですかね。賃金の場合は与党が反対しておるのだよ。野党だけは労働者の賃金をもっと上げろと言っている。そうして上がっていくのだ。右党も野党もみんな米価は賛成していて、いつも農民の要求はずうっととんでもないところに落ちつく。これはだれかがどこかでごまかしておるということにならざるを得ないと思いますけれども、次官の御見解はいかがですか。
  117. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 私も、ふしぎな現象だと思っています。
  118. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 このとおり、いま、参議院が選挙を終わって最初の米価審議だというのに、自民党の委員は一人もいない。こういう状態であなたはふしぎだと言われる。あなたもそのメンバーの一人ですわな。しかも、政府を持っていらっしゃる。そういうことで、これを何かよそごとのように、私もふしぎだと思うというようなことで、あなたも、これからの日本農政を背負っていけるような、そういう責任をお感じになってそういう発言をしているのかどうか。もう一回お聞きしたいと思います。
  119. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 私は、責任をもって発言をしておりますし、農家の方の御要求の心情はようくわかります。したがって、物価賃金等は適正に織り込んで、明年必ずお米はつくっていただけるような米価決定いたします、そういうつもりでいまやっておりますということを申し上げておるわけでございます。
  120. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 選挙中、田中さんは、自民党と相談して米価をきめると言った。毎年そう言うわけだ。毎年そう言う中で今日のような米作農家の破壊的な状況をもたらしてきた。いまも、あなたは、来年は生産意欲をもってやるようにきめますと、こうおっしゃるわけでありますね。しかし、実際のやり方を見ますと、米審の答申案なんというものは全く無視して、政治加算なんというつかみでやってきた。その中で今日の破壊が起こっているという事実を見るならば、根本的に要求米価を満たしてやる、そのような認識の中で今回の作業を組むということでなければならないと思いますが、そこはどうですか。
  121. 三善信二

    三善説明員 先生承知のとおり、米価をきめます場合には、米審審議していただいて、そのあと関係各省とも協議し、そして閣議決定というようなことでやっているわけでございまして、私ども諮問に出します政府試算としては、やはりこれは重要な価格の問題でございますから、そういう適正な価格を決定するために、いろいろなデータを、しかもそれはきちんとしたデータでないとまいりませんし、そういうデータを集め、そのデータの上に基づいて生産費所得補償方式算定しているわけでございます。そういうことで米審におはかりして、最終的な決定はまた関係各省閣議決定というようなことでやっていることはもう御承知のとおりでございます。
  122. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 きちっとしたデータに基づいてやっているといったって、そのデータに、政治加算なんというものの上積みなり、つかみといいますか、これは自民党政府のおかげでこうなったんだぞというようなかっこうで、そんなもの、何らデータもないものをあなた方はいつも上乗せするでしょう。そういうやり方ではなくて、われわれの要求する、農民の皆さんが要求するこれを認めよということ、このことが農民の叫びだし要求なんですよ。データにこだわったら、あなたのほうで、ちゃんとしたデータで——つまり、昭和四十二年以前の試算のしかたでするならば、もう全く違った要素が出てくるわけです。そのときそのときで、適当な、足に合わせてくつをつくるのじゃなくて、くつに合わせて足をつくるようなやり方の中で今日のような破壊が出てきたわけでしょう。そこで、こういう政治加算方式はもうそろそろやめて、その分をちゃんとした正式な米価算定して出せ、これが要求だということについて、政務次官、このことに対してはどうですか。
  123. 三善信二

    三善説明員 米価決定につきまして、いま私が申し上げましたようなやり方決定をしているわけでございますが、いま政治加算的なものをやるのはおかしいじゃないかという御質問でございますが、米価決定の過程におきまして政府と与党の間で意見を調整するというようなことは、これは米価が非常に重要な政策問題でございますので、やはり意見を調整するということは必要なことではないかと思っております。
  124. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 とにかく、いまのやりとりを見ましても、農民の立場についてといいますか、心情的にも全く理解を示しておらないということがはっきりしたと思うのです。しかも、そのやり方にいたしましては、毎年度やり方をただ踏襲するだけだということですね。これでは先行きのお里が知れているものだと私は思うわけでありますけれども、いま農民が要求している要求米価六十キロ当たり一万六千七百四円、これをまず第一に何としてもやれということを言っているのだな。いいですか。これは私はもっともだと思うのですよ。共産党が民主連合政権をつくっておったらばんとやりますよ。これはいまからもう発表しているのです。  それから、二番目には、追加払いを当然やらなければいかぬですね。これを出せ、これは四十八年度のインフレ分と四十九年度のスライド分を出せ、それから、消費者米価生産米価の同時諮問、これはやるな、これは食管そのものの破壊につながるんだ、こういうことも要求していますね。さらには、ことしは、農民の要求は、作付前に米価をきめろと言ったわけですね。これに対して皆さんはやらなかったから、来年は作付前に米価をきめろということを言っているのですね。そういう点について、私は、一々もっともなあたりまえのことを要求しているんだと思うのですけれども、これに対して政府はどういう態度でどういうふうにお考えになっているのか、この際はっきりさせていただきたいと思うのです。
  125. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 作付前に米価をきめろという御要求がございます。このことは私は一つのりっぱな考え方であろうと思います。農家の便宜をはかる。ともかく、作付というと五月からですから、やはりもっと早い時期にきめなければならぬ。肥料を買ったり、いろいろなことをやりますから、もう一月か二月か、できたら前年の十二月までに、葉たばこのように——あれは十二月ごろきめるわけですからね。そうしますと、現在の米価計算方式をがらっと変えなければこれはきめられない。それでなかったら非常に不利な米価になってしまう。まして、こういうふうに物価賃金の上がっておるときですから、いまのままで作付前にきめるということは、結果的には低い米価になると私は思います。ですから、それは困るものですから、だから、米価のきめ方の方式そのものを抜本的に変えるということで農業団体との話し合いがうまくつけば、ずっと早い時期にきめたほうがいいんじゃないかと私は思う。予算米価にすべきであるというような議論は昔からあるんですよ。だけれども、なかなかそいつはうまく話し合いがつかない。そうして、結局現在のようなことを踏襲をしておるというわけなんです。あなたがいろいろなことをおっしゃいますが、米価というものはただいいかげんにきめるのではなくて、いろいろな要素があって、その要素の中で計算をしてきめるわけですから、その要素とり方について意見の違うところは幾つもあります。それは芳賀先生が午前中一ぼい御議論になったように、一つ一つの問題点について意見の一致しているところもあれば、意見の違うところもあるのですから……(中川(利)委員「それはわかっておる」と呼ぶ)わかっていれば、それでよくわかったでしょう。
  126. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 追加払いの問題も同時諮問するかどうかということも一緒に聞いているわけだ。これはだれが見てももっともな要求だ。あなたは、農民のためを思ってわざわざ作付前の米価決定をしないのだ、あまり早くやれば、いろいろな労賃とり方とか、そういうものが低い数字が出てくるとおっしゃるが、あなた方は、自分の都合のいいときはまずそういうことを言って、かつて一回だって農民のためになるようなやり方をしてこない。そういう中で、ただいままでの算定のしかたがどうだこうだと言いますけれども、それだけ農民を思うならば、まず、いまの要求米価を認めることが一番至当だと思うが、この点はどうかね。  それから、政府でさえも、追加払いについては、たとえば年金についてはスライド制をとるとか、公共建築物についてはスライド制をとるとか、そういうことをやっておるのなら、同じ政府の部内において、農民のこういうインフレ分、スライド分について何も考慮しないということはおかしいではないか。これは当然の要求ですね。同時に、消費者米価生産米価を同時諮問するということもたいへん皆さん方が心配している。そうじゃなしに、食管法のたてまえから言っても、米価米価として、消費者米価と連動しないわけですから、はっきりとそれを単独でやるのかどうかということを聞いておるわけです。要求しておるわけです。だから、私もそこを聞いておるわけですから、はっきり返事をしてください。
  127. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 われわれとしては、追加払いのことは考えておりません。と申しますのは、これは年金と違うわけです。米価計算というものは、労働費とか、物財費とか、いろいろ積み重ね方式になっているわけですから、その中でたとえば労働費の問題をとってみても、労働費というのは、単価だけで労働費は出ないのです。時間数掛ける単価になるわけですから、労働時間は生産性の向上によって年々減少しておる。たとえばある年は百時間であるとか、九十五時間だとか、九十時間だとか、八十五時間だとかいうように下がってきておるわけです。したがって、ことしこれから幾ら時間数がかかるかは、実際わからないのです。わからないけれども、過去三カ年の平均の時間がことしかかるであろうという擬制のもとに計算をしておるわけです。ですから、実際はことしの労働時間数よりも多い労働時間数で賃金は、総額というものははじき出される。こういうふうな米価方式になっているわけです。したがって、逆に今度は、いまよりも多少物価が上がったというようなことだからそれを直せというようなことになれば、やはり、それでは時間数が下がったものも直すのですかという話に一緒になってくるわけなんです。だから、米価やり方というものを、実際にかかっただけの時間と、実際にかかっただけの経費と、そういうやり方にするのか、そういうことでなくして、一つの方程式の中できめるのかという、そういう食い違いがあるわけですから、だから、われわれといたしましては、かりに労働時間が去年の米価で見積もった時間数よりも減っておった、少なかったとしても、それはそれでしかたがないだろう、賃金物価等が去年の見積もりよりも多少上がった、それでもそれはそういう方式だからやむを得ない、こういうふうなことになっておるわけです。だから、追加払いというものは考えておらない。  それから、消費者米価との関係については、生産米価は当然、消費者米価と全然無関係なものではございません。したがって、消費者米価はいかにあるべきかというようなことについて審議会の意見を聞くことはあり得る。だけれども、今回の審議会で、消費者米価幾ら幾らに、何%に、どう上げるかというようなことをやる考えは目下持っておりません。
  128. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いまの話で、なかなか微妙な言い回しだが、一つは、今回は同時諮問をやらないというふうに理解していいかということと、もう一つは、労働時間でだんだん少なくなってきた、だから云々というあなたの話でありますが、つまり、それだけメリットが上がり、経済効率が上がっていけば、本来ならばその分は農民のふところに入らなければいけない。それが、経済効率が上がれば上がっただけべろっとあなた方のほうにとられていく、切り捨てられていくというような、そういうあり方自体が問題なんだ。それでは、生産費を上げたところで、労働時間を短縮したって、機械化したって、農民はしあわせになっていかないのだ。  ところで、あなた方は今度の選挙の中で何を言ったかというと、「農民の汗にこたえる新農政」ということを言っておる。「農民の汗にこたえる新農政」、いいことばだ。だが、実際は何も汗にこたえていないじゃないですか。去年と全く同じような考え方である。基礎的なそういう考え方の中で、いまいろいろなインフレその他のたいへんな状況の中で、これとこれは理屈が違うからこれは出されないと言ったって、いま日本の農民がこのことを全部要求しておることに対して、あなたから見ればばかみたいに見えるはずだな。そういうふうなもののお考え方なのか。それとも、あなたは実際に現実に農民とどれだけ話したことがあるかわかりませんが、農民のこういう声を政治の中にどう反映していくかということが新農政をつくる一番大きいファクターだと私は思いますけれども、毎年同じことを言っておるにすぎないじゃないか。こういうことで今回の要求米価に対してどうして農民が期待を持てるのかということですね。こういう点についてもう一回あなたから御返事をいただきたいと思います。
  129. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 農民に対する愛情は、私は中川さんにまさるとも劣らないという確信を持っております。私も選挙をやる身であるし、農村から出ておるわけですから、農民のことはよく私もわかっております。したがって、そういう要望に十分こたえるように、これは農民の立場に立って、できるものはできるだけ取り入れてやろということで苦心をしておるわけなんです。
  130. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 同時諮問についてはどうですか。まだ返事がないですね。同時ですよ。あなたは農民を愛することでは人後に落ちるものじゃないと言われるが、あなたの先輩の福田さんは——あなたは福田派じゃないけれども、福田大蔵大臣なんかもだれよりも農民を愛すなんということを言ったりしている。これはみんな選挙のときだけの票ほしさのスローガンみたいなものなんだな。ところが、実態から見れば、そう言いながらどんどん農業を破壊していっているというような実態があるわけでありますから、そこで私が提案したいのは、この際、政府は、米価算定について、要求米価にこたえるためにも、せめて、昭和四十二年以前にあなた方が御計算なさって、これが正しいのだというやり方があるわけですから、それを適用してやったらどうですか。新農政を掲げる以上、それぐらいは当然の皆さんの手直しであるべきだと私は思うのですね。この点についてもまだ全然問題にならないと言うならば、これは何をか言わんやでありますけれども、その点についてお伺いしたいと思います。
  131. 三善信二

    三善説明員 まず、第一点は、同時諮問の御質問でございます。  先ほど政務次官からお答えしていただきましたとおりでございますが、補足して申し上げますと、生産米価政府売り渡し価格、いわゆる消費者米価、これはやはり米というものですから、それには一つの価格体系があるということは当然のことだろうと私は思います。そういう意味におきまして、本来的に申しますと、生産米価と消費者米価というものは関連をつけて考えていくというのが一つの筋であろうと思っております。したがいまして、同時諮問と申しましても、いろいろのやり方が御承知のようにあろうかと思います。売り渡し価格をきちっときめて諮問するというようなやり方もございますし、また、生産米価について一般的な意見を聞くというようなやり方もございますし、そういうものを含めて、今回の米審に出します諮問としてはどういうふうにいたすか、現在検討をいたしている段階でございます。  いずれにしましても、生産米価、買い入れ価格と売り渡し価格は非常な逆ざやになっているわけでございますし、しかも、消費者米価というものは非常に安いと私は思っております。そういう安い価格でございますし、逆ざやは非常に大きいというようなことでございますし、その辺は関連を考えてやっていくということがやはり一つの筋ではなかろうかというふうに基本的には考えております。
  132. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 そうすると、いまのあなたの御返事を端的に言えば、同時諮問するかどうかを検討中だということで、同時諮問をしないということは決して一言も言っていらっしゃらないな。そうすると、同時諮問をやるという意味だな。そういうふうに検討しているということですね。どっちですか。はっきりしてください。
  133. 三善信二

    三善説明員 私は、同時諮問をするとかしないとかはっきり申し上げているわけではございませんし、同時諮問の問題は、しかもやり方もいろいろございますし、そういうものを含めて検討をいたしている段階でございますと、こういうふうにお答えいたしているわけでございます。
  134. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 もう、あす、あさってに諮問しなければならない。こういう状況の中で、国権の最高機関である国会の農林水産委員会でこの問題が質疑されておるわけですね。その中であなたからやるともやらないともまだ全くわからないというような答弁が出るということは、全く国会軽視にもつながるものじゃないかと私は思うのですが、少なくとも、あなたの意向としてはこうだということは出してしかるべきものだと私は思うのです。それを、あまり人をなめたようなことを言わないでくださいよ。どうですか。
  135. 三善信二

    三善説明員 私、責任をもって答弁しなければなりませんし、私個人の考えでどうというようなことを申し上げるのは差し控えさせていただきたいということで申し上げているわけでございます。  いま申し上げましたようなことで検討しております。十五日に米審がございますので、印刷の都合もございますし、そういうものを含めて、まだ、いまそれをきめていないという段階でございますが、基本的には、何らかのかっこうで意見を聞くというようなことは必要ではなかろうかというふうに私は思っております。それを正式にどうするということがまだきまっていない、それぞれ関係の方面とも相談をしながら最終の決定をしていきたい、こういう段階でございます。
  136. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 ずっと論議しておりまして、政府の意向というか、農民の希望なり、要求なり、あるいは食管法そのものの厳正な立場から見て、非常に遺憾な点がますますずっとあらわれてきたと私は思うわけでありますが、時間もないから次へ進みます。  あなた方は、そういう問題を全部米審に出して、米審の審査にゆだねるんだ、米審に出すまではなかなか答えられないんだということで突っぱねてまいりましたね。そうすると、あなた方はいかにも米審そのものを尊重したように、また、尊重しておるように見えるわけでありますが、しかし、いつも答申を無視している。米審委員さんそのものの中からも、政府米審を無視したという声、非難が出ていますわな。国会なんかで言うときはみんな米審をたてにする。そうして実際は皆さんが米審を党利党略の隠れみのみたいに利用していらっしゃる。いつまでもこういうかっこうでいいのか。だから、極端な例は、米審廃止論まで出ている。私はそれにくみするものでありませんけれども、そういう米審の権威をないがしろにするところのいままでのあり方について、政務次官はどうお考えですか。
  137. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 米審の答申というものは、われわれは極力これを尊重していままでもやってきたつもりでございます。したがって、今後も米審の答申は尊重をしてまいりたい、かように考えております。
  138. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私の調べたところによると、米審の答申を尊重したことは一回もないんだな。  そこで、そういう役割りを米審に果たさせるということは、国民的立場から見ましても非常にまずいわけです。したがって、たとえばいまの米審のいろいろな問題があるわけでありますが、一つは、生産米価というものは、売り手である農民と買い手である政府との間の交渉によってきまるわけでありますが、このまん中に米審が入っているのですね。米審の構成を見てみますと、生産米価であれ、何であれ、生産者が四人、消費者が四人、いわゆる中立が十七人の計二十五人になっていますがね。こういうことでは生産農民の売り手と買い手の率直な要求なり声がほんとうに反映できないような仕組みになっているんだな。この辺について、これはやはり改めるべきだと考えるのですけれども、これはどうですか。
  139. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 米審は別に多数決できめておるわけでも何でもなくて、よく話し合いをして、それで一本の答申ができるような場合は一本の答申を出していただいております。麦価等は大体意見がおおよそ一致をしておるということですから、われわれは、そういう場合にはストレートで米審の答申を尊重できる。ところが、答申が内容がなかなか一本にならないというような場合は、それぞれの意見を参考にしながら米価をきめておる。また、米審が答申されなかったというような前例もあります。そういう場合には、そこの米審議論というものを、いろいろな議論がありますから、そういう議論を参考にし、尊重しながら最終的に米価をきめておる、こういうようなことであります。  米審のメンバーその他について、中立委員が多過ぎるじゃないかというふうなことでございますが、これは言うならば、中立委員は消費者みたいなものですね。自分からつくっているわけじゃありませんからね。しかしながら、消費者だけのサイドに立つのではなくして、全体の高度の視野からいろいろなことを考え合わせて御意見を御発表いただいておるわけです。したがって、それぞれりっぱな方々ばかりを御依頼申し上げているのであって、厳正中立でまことにけっこうなメンバーであると、かように私は思っております。
  140. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 米審先生はそれぞれりっぱな方々ばかりだと言われるけれども、このりっぱな方々を選ぶ選び方が政府の手にゆだねられているということですね。この皆さん方は、構成人員や委員のきめ方その他についてはあなた方の腹一つでだれを選ぶかということができるようになっているのですね。だから、これはやはり法律事項か何かにして、そういう点をもっときちっとしなければならないということが一つ。  それから、構成の中身ですけれども、確かに中立委員がこうだと言いますけれども、売り手と買い手、生産米価はこの問題できまっていくわけですから、生産者農民が非常に少ないということですね。この点はやはり改めていただかなければならない。たとえば、私の手元に昭和二十二年当時の農地委員会の構成があるわけでありますが、これを見ますと、中央農地委員会の構成メンバーは、農民代表が七の割合、農業団体が一の割合、学識経験者が二の割合、七、一、二になっているのですね。せめてこの程度でなければならない。実際の中央農地委員会の場合のメンバーを言いますと、農民代表十六名、農業団体二名、学識経験者五名、計二十三名構成なわけですね。全体から見ればいまの米審とほぼ見合っているわけでありますが、これを比率で言えば七、一、二なわけですね。せめてこういうふうに直さなければならないということで、これを直すつもりがあるのかどうか。  それから、何のかんの言っても、米審会場に農民の皆さんが詰めかけるけれども、これは非公開ですね。米審は国民の前でその審査の内容を堂々と公開すべきだということは毎回農民の要求になっているわけです。国民の要求でもあるわけですね。そういう点で、施行令というか、省令といいますか、それで非公開みたいなことをいうてありますけれども、農民の汗にこたえる新農政をやるならば、そろそろこれももうはっきりと公開にすべきである、ここに踏み切るべきである、このように考えるわけでありますが、これについてのお答えをちょうだいしたいと思うわけです。
  141. 三善信二

    三善説明員 米価審議会の問題でございますが、委員の構成につきましては、私どもは、現在の委員の構成でいいと思っております。と申しますのは、農民の方々の意見が反映されていないじゃないかとおっしゃいますけれども、農業団体の方、農業関係の方等、それぞれ組織的に代表されるような方も当然入っておられるわけで、米審審議の過程におきましては、農民を代表しておられる委員の方々の意見というものは非常に強く出ておりますし、反映はされていると思っております。  それから公開、非公開の問題でございますが、この問題につきましては、先ほどから先生も御指摘になっておりますように、米審会場に数千人詰めかけるというような問題もございますし、米価審議会委員さん方が中で非常に長時間にわたり御熱心に米価問題を議論していただくわけでございますから、そういう意味においては、非公開にして、中で十分に審議をしていただくというようなことは重要ではないか、現在そうやっておりますが、そういうようなことで今後もやっていきたい、このように私は思っております。
  142. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 あなたはそうおっしゃいますけれども米審そのものの歴史を見ましても、政府の都合のいいように、メンバーから構成からだんだん変えてきておるという歴史があるわけですね。ちょっと前までは国会議員も米審のメンバーになっておりましたね。中央農地委員会のこれから見れば、全くおたくのほうに都合のよいかっこうに変えてきて、つまり、国民の立場、農民の立場から言えばだんだん悪くなってきたということは事実関係として言えると思うのですね。だから、そういうことをもとに戻せということを私は言いたいわけです。  同時に、公開の問題ですが、あなたはゆっくりちゃんと審議してもらうためにとおっしゃいますけれども、国権の最高機関である衆議院でも公開制なんですね。本委員会でも公開制なんですね。なぜ米審だけそのように非公開にしなければならないかということです。そういうことも、いままでそうだからそうだということではなくて、もうそういう時代ではないじゃないかということですね。数千人押しかけているからみな入れない。しかし、部屋から見ても、物理的に言っても、数千人が押しかけてやるわけはないでしょう。そういう言い方ですりかえるということは全く本末を転倒したもので、三善食糧庁長官の言としては不謹慎だと私は思うのですね。そういう発言は慎んでいただきたいし、取り消していただきたいと私は思うのですが、その点はどうですか。
  143. 三善信二

    三善説明員 米価審議会は、先生がおっしゃるようにいろいろ経緯があったことは十分御承知のとおりでございます。非公開にしましたのも、たしか三十七年からだと思いますが、非公開にします前にいろいろな経緯があったことも先生承知と思います。  それから、米審会場に数千人詰めかけて、非常にその米審の成り行きを見守っておられるというのも、これは事実でございます。そういうことも申し上げておるわけでございまして、私は非常に不謹慎に申し上げているようなわけではございません。
  144. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 いずれにいたしましても、あなた方が米価問題でいつも持ち出してくるのは、米の過剰論あるいは食管の赤字論なんですね。この二つが車の両輪みたいなかっこうになって、農民の正当な要求に対しても、あるいは消費者のそうした要求に対しても、これをみんなつぶす役割りを絶えず果たしてきておるわけですね。そういう点で、いまこそ、米の問題は単に生産者、消費者の問題というだけではなくて、全国民の問題であり、この課題が世界的な食糧事情の問題ともつながってたいへんなことになっているわけですね。赤字赤字と口を開けばおっしゃるけれども、いまの、たとえば皆さん方の政治姿勢ですね。つまり、大資本に対しては、国民生活と対比すれば二対一ぐらいの割合で投資していらっしゃるが、国民生活のほうに二を回し、そして資本の基盤整備なり産業の基盤整備に一を回すという組みかえをするだけで、同じ予算の中でも食管のそういうものはちゃんとできるのだ。あるいは皆さん方は、特に大資本に対しては、租税特別措置などといって三兆五千億も見のがしているといいますか、そういうこともありますね。また、必要かどうか知りませんけれども、四国と本州に橋を三本もかけるというようなことは、だれが見たってこれは少し問題だと思うのですね。そうして、事国民の食糧の問題の最も中心のかなめとなるここに来れば、赤字だ、赤字だ、一兆円をこすだろう、と、こういうですね。しかも、まだ過剰基調にあるから米価をそう上げるわけにはいかないなんと言う。過剰基調にあるといったって、ほかのものをつくりたくても、農民の立場から見ますと、肝心の価格保障が一つもないものだからどうしても米にたよらざるを得ないという状況が出てくるわけですね。そういう抜本的な全体的なことをやらないで、ただ農民いじめのために食管をいじくり回して、こういういろいろなことであなた方は工作しておるということは、何と考えても農民の汗にこたえる新農政にはならないのじゃないか。この際、この食管の問題も含めて抜本的に検討し直すべきだというふうにわれわれは考えるわけですが、この点についてはいかがでしょうか。政務次官。
  145. 三善信二

    三善説明員 最初に、先生がおっしゃいましたのは、米は過剰基調にあるということばかり考えて米価を考えているのじゃないかというような御発言かと思いましたけれども実態的に申しまして、先生全く御承知のとおり、四十五年から生産調整をやっているわけです。単年度需給では、本年度でも百三十五万トンの生産調整をやって、そして農家の方あるいは農協の方々の御協力を得て、単年度の均衡ができているというのが現実でございます。これを放置しますれば、過剰傾向というものは当然出てくるわけでございます。四十五年の、あの一番多い当時七百二十万トンの過剰米がございました。これを計画的に処理して、巨額の国費を投じて、その膨大な過剰米の処理というものがやっと一応済んだというような事態でございます。  需給というものは、たくさん余してもいたし方ないわけでございます。それに要する財政負担というものもやはり必要なわけでございます。ただ、国際的あるいは世界的な食糧事情というものも私どもは十分頭に置いております。したがいまして、御承知のように、現在在庫の積み増し等も着々とやっているわけでございまして、ことしの十月末には百十万トン程度在庫を積み増しする、来年の十月末には百五十万トン程度在庫を持ちたいということで計画をして実施しているわけでございます。そういうことで、需給の問題は十分意を用いながらやっているわけでございますけれども、単年度一つの需給を見てみますと、過剰基調ということは変わりない。そういうことは実態的に先生十分御承知のとおりだと思います。  それから赤字の問題ですけれども、御承知のように、食管も、買い入れ価格と売り渡し価格の末端逆ざやをとってみましても相当の開きがございますし、末端逆ざやがあるということは、御承知のように、食管制度の維持とか堅持とか言っても、こういう末端逆ざやがあって、米が、一言で言えば、政府に売って、また買って、それをまた売るというような、そういう悪循環ができるような悪い流通形態というものも起こらぬとも限らない。現にそういうきざしもあったわけでございます。これは御承知のとおりでございます。そういうことをやっておきますと食管制度自体にいろいろと問題が出てくるというようなことも当然われわれは考えなければいかぬと思います。  したがいまして、米審でこれまでたびたび御審議いただいて答申もありますように、末端逆ざやの解消というものはやはりはかっていくべきだというようなことで、私どもはそれに努力をしているわけでございます。そういう意味で、膨大な赤字をかかえておりますが、末端逆ざやについては、一挙にはなかなかむずかしくても、少なくとも計画的に解消をはかっていくというようなことが基本的な姿勢であるべきであろうと思っております。
  146. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 食管についてはあれこれお話しがありましたが、わが党の日本共産党が食管問題についての正式の見解も発表しておりますので、よく読んで勉強していただきたいと言うと言い過ぎになるかもわかりませんが、ぜひともそうしていただきたいと思うのですね。  同時に、あなたのほうのものの考え方について少しお伺いしたいわけですが、私は、食管問題について少しは十分に討議するつもりできのう大蔵省の出席をまず要求したわけです。いま大蔵省の宮下主計官がお見えになったようでありますけれども、私のほうで大蔵省へお願いしたことに対して、食糧庁から、何の権限があるか知りませんけれども、なぜ大蔵省を呼ぶのか、大蔵省は呼ばなくていいのじゃないかというようなことでわざわざ御親切にも御忠告の電話までいただいておるのですよ。食糧庁は、大蔵省の代行をするような、そういう権限がいつからできたのか、お伺いします。
  147. 三善信二

    三善説明員 私、その話はいま初めて聞きましたけれども、担当者から聞きますと、大蔵省の方をお呼びになっても、米価の問題についてまだそう相談もしておりませんので、食糧庁でお答えできることはできるだけお答えをして差し上げたいという、そういう趣旨で言ったのかと思いますが……
  148. 中川利三郎

    ○中川(利)委員 私たちは、一定の権限を持って、われわれが自主的に選択して、大蔵省に来ていただきたいということを正式に手続しているわけです。おたくが人の心の中までかってにそんたくして、まだ予算的に詰めていないからそんなものを呼ばなくてもいいのじゃないかなんというようなことは、それこそよけいなことじゃないですか。こういうことは絶対に改めていただきたいと思います。  同時に、いろいろきょう論議いたしましたが、今回の米闘の特徴というものは、農民にとってみますと農業復権の戦いだと思うのです。米の価格もありますけれども、日本の農業を一体どうしてくれるのだ、いつもだましてきたじゃないか、そうして残地農業論が行きつくところであったのじゃないか、こういうことにはがまんできないのだということ、それが参議院の選挙の結果にもあらわれたのだと私は思うのでありますけれども、日本の農業というものを、特に米はその基幹的な中心でありますから、これを産業中心に据えてやる、そのためには今回の要求米価を全面的に認める、それがなければわれわれは生きていけないということが要求として出されているということをあなた方は肝に銘じて考えてもらわなければ、また、今度の選挙だとかその他のいろいろな問題の中で、あなた方は残念ながら農民にはもう見放されるだろうということを私は厳重に忠告すると同時に、今回抜本的にそういう点で再考慮をすることを私は強く要求いたしまして、ちょうど私の質問時間も参りましたので、終わります。
  149. 仮谷忠男

  150. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 米価問題並びに緊急な問題として、熊本県阿蘇郡阿蘇町の圃場整備問題、さらに蚕糸業の問題、生糸輸入規制の問題等について農林省当局に質問いたします。  まず、最初に、米価問題でございますが、昭和四十九年産米の価格等の問題で、米作農民は、物価生産資材等のかつてない高騰によりまして生産の維持が困難に追いやられ、当然の結果として、生産米価の大幅引き上げ、前年度産米の追加払い等を強く要求し、その実現のために重大な決意をしておるところでございます。しかるに、田中首相は、農民の早期決定の要求を無視し、選挙向けに、生産米価は大幅に引き上げる、追加払いを検討する等と宣伝をしておきながら、選挙が終わると、公約に反し、二二%程度の低米価諮問しようとしているのが現在の動きでございます。これでは農民の切実な要求を完全に無視するものであり、まさに許しがたい行為である、と、かように私は指摘をいたすところでございます。  そこで、政府は、報道等を見ますると、米審に対する諮問の骨格等をいろいろ検討しているようでありますが、ことしも、主文は、昨年同様、米穀の需給事情並びに物価賃金の高騰などを勘案するとともに、生産費及び所得補償方式を考慮して定めると言っておりますし、生産米価は二二%程度引き上げ、一俵六十キロ当たり一ないし四等、平均包装費込み生産者手取り価格を現行の一万三百一円から一万二千円台にするというようなことをいろいろ言っておるようにわれわれは報道を通じて聞いておりますが、この点についてまず政務次官に伺いたいが、現状はどういう検討をしておられるか。こういったことではまことにけしからぬ問題でありますが、今回の米価諮問にあたって、農民の危機を突破するためにも十分反映する米価諮問していただきたいと思うのですが、その決意を最初に政務次官からお答えいただきたいと思うのです。
  151. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 新聞は何を根拠に書いているのか、実は、私もわからない。どこから聞いてきたのか、においをかいで書いているのか、何か、よくわかりません。わかりませんが、一応去年のやり方は発表されておりますから、そこへ新聞社の方がいろいろな数字を当てはめていけば大体のところがそれぞれ出てくるんだろう。新聞によってはかなりのフレがあります。われわれとしては、物価賃金上昇というものは的確に反映させるようにやりたいということで、重大な決意でやるつもりでおりますから、それは御了解をいただきたいと存じます。
  152. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官は重大な決意で諮問するとおっしゃいますが、先ほどから、あなたも農民の票によって国会に出ている、また、農業のことは詳しく承知しておるということでありますが、現在の米価は、昨年の八月一日に諮問されて、八月の中旬に決定しました時点から今日まで約十カ月余りが経過しております。その間物価上昇春闘労賃も三二・九%上昇している。しかも、物価は昨年からことしでは三五%の上昇、卸売り物価指数にしても、昭和四十五年を一〇〇としてことしは一五〇・四%、先月と今月でも〇・六%上昇しているという状況で、まさに米価のみが十数カ月据え置かれている。こういった現状を踏まえまして、今回は大幅な値上げをしなければならぬということは十分あなたたちも検討しておられると思うが、現在諮問の前であるから言明はできないかもしれないけれども、相当大幅値上げをするということには変わりはないか、もう一度御答弁いただきたい。
  153. 三善信二

    三善説明員 先ほど政務次官から御答弁していただきましたように、四十九年度米価決定につきましては、需給事情反映しながら、また、昨年からことしにかけての物価賃金上昇の動向というものが適正に反映するようにということで目下算定を急いで作業しているというような状態でございます。
  154. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、いまの問題について答弁してください。
  155. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 これは結果を見てもらえばわかりますが、いままでにない幅になるだろう。(瀬野委員「「大」の字が抜けているんじゃないか」と呼ぶ)ですから、いままでになく大幅になるであろう。私もまだ数字をつかんでいないのです。いま作業中ですからね。物価賃金は上がっているのです。その分が織り込まれれば——いままでこんなに物価賃金が上がったことはない。去年は、政府原案は九・六%ですか、それが一五%の基本米価になったわけですね。政府諮問が九・六%。ですから、政府諮問が一けたなんていうことは絶対にない。大幅になる。
  156. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 そこで、今回の四十九年産米の米価については十五日に諮問が行なわれるということで、諮問案を見た上で、十五日には再び農林委員会を開いて本格論議を行なうことになるわけでありますが、時間の制約もあるのではしょってお伺いしておきます。   〔委員長退席、湊委員長代理着席〕  四十九年産米価については、農民の要求する生産費及び所得補償方式によって算定をしていかねばならぬことは当然でありますが、その中で、特に、私は、自家労賃は都市労働者並みの賃金を保障するということはぜひ織り込みたい、と、かように考えているわけです。その点は現在検討の段階でありましょうけれども、これが重要な要素にもなりますので、その点について政府の見解をお聞きしておきたい。
  157. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 それは所得補償方式で、都市均衡労賃ということでございますから、都市均衡労賃を織り込むということなんです。ただ、やり方としていまやっておるのは、全国規模でございますが、五百人未満製造業全国平均賃金、こういうふうなことになっております。したがって、米作地帯の都市、たとえば仙台とか、秋田とか、あるいは熊本とか、旭川とか、そういうところの都市賃金よりは高い賃金になることは間違いありません。五百人未満規模統計でも、全国で東京、大阪というのは大きな比重を占めますが、それよりも高い規模になる。ですから、もちろん実際に支払われる米作地帯の日雇い賃金よりも高くなることは間違いない、こういうことです。
  158. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 その点については、政府のお手並み拝見ということにいたします。  次は、追加払いの問題で私は若干触れておかなければなりませんが、先ほど申しましたように、昨年八月に米価決定以来十数カ月が経過しております。その中で、物価、農業生産資材等の価格が著しく高騰しておることはもう指摘したとおりでございますが、この追加払いについては、農業団体は、さきに六十キロ当たり三千二百六十三円要求をいたしております。このことについて、去る六月十日に、北海道、東北、新潟の各県自民党県連の要請代表団に対して、二階堂官房長官は、橋本幹事長等をまじえて次のように回答しておることを私は承知しておりますが、「当初農協が要求として掲げた二百九十四円であれば承服するのか」と言い、また、政府の腹案として支払う意図があるとも受け取れる発言等をいたしております。私は、このことを見まして、追加払いの考えがあるというふうに受け取っております。また、「新米価の中で別ワクとして処置したい」とも橋本幹事長は方針を述べております。政府の首脳がこう言っておるわけですが、こういったことについて、重大関心を持っておる政務次官も、また三善食糧庁長官も当然に十分承知しておられると思う。  かと思えば、翌十一日には、倉石農林大臣は記者会見で前言を否定し、追加払いを否定し、新米価の別ワクで考慮するとの考えを打ち消しておるような発言もいたしております。六月二十一日に至って、丹羽総合農政調査会長は記者会見で、「農家生産意欲を確保するために何らかの方法で考えていかなければならない。できれば四十九年産米の基本米価に組み入れることが望ましい。」ということも言っております。  いろいろありますが、選挙中にいろいろなことが言われて、われわれもずいぶん戸惑いを感じたわけです。政府が追加払いについて十分に考えて対策をとっているということについては十分承知できたわけでありますが、これらを踏まえて、追加払いについて当局はどういうふうに考えておられるか。先ほどからいろいろ答弁をされておりますけれども、これは当然の措置として行なわなければならない。私も、参議院選前に、こういう問題については当委員会で六回にわたって連続質問をして追及した経緯もありますが、農民の窮状を考えるときに、これは政府としても真剣に対策をとって考えていただかなければならない問題である。これについてあらためて当局の御見解を承りたい。
  159. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 追加払いについては、現在の米価算定方式からいたしますと、これはできません。御承知のとおり、現在の米価というものは、労働時間数も、実際にかかった労働時間数を、その年の分をそっくりとってやるのではございませんで、過去三カ年の平均労働時間というものでやっていますから、ことしの米価労働時間は幾らになるか知りませんが、全国的に去年よりも減ることは間違いない。しかし、おととしぐらいの労働時間がかかるものという想定のもとに時間の計算をしております。米価の仕組みというものはそういう仕組みになっておるので、おととしは九十五時間かかった、ことしは八十七時間で済んだ、では、時間は九十五時間で計算したから、米価が高過ぎたから計算をし直すという、そういうことはいたしません。したがって、物価や何かがある程度予定したものよりも上がりましても、それについても計算の直しというものはいたさない、そういう米価の仕組みになっておるのです。ですから、米価の仕組みを全然変えなさい、実際にかかった時間でやりなさい——ですから、おととしの時間でなくてことはしことしの時間でやるので、一応暫定的におととしの時間を使っても、あとになって精算払いするのですよ、そういう方式ならば全然方式が変わってきますから、だから、現行の方式では追加払いというものは考えられません、こういうふうなことなんです。幹事長がそういうことをどこで言ったか、私は幹事長からそういうことを聞いておりませんが、明確に追加払いとしてやりますというようなことは言っておるというふうには聞いておりません。  ただ、現在の物価賃金上昇というものについては、これが適正に四十九年産米価反映するようにしなければならぬ。そして、農家が再生産ができなくなるというようなことのために米をつくる人がなくなる、少なくなるというようなことはたいへんなことでありますから、政府としてはどうしても米の再生産を確保しなければならない。したがって、必ず来年もたんぼを植えつけてもらえる、米をつくってもらえるという見通しをつけた米価をきめなければならぬことは当然のことだ、かように考えております。
  160. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 農林政務次官といい、また、食糧庁長官である三善さんも、先ほどからのいろいろな答弁の中で、幹事長がどう言ったか知らぬとか、または官房長がどう言ったか知らぬというような意味ことをしばしばお答えになるけれども、このように選挙中も問題になり、また、米審が政局によって左右されて、七月、八月に米審を行なうということが当然視されるような、こういう悪弊を残しておる現状において、農家も相当関心を持って政府にも要求し、また、各党にも陳情しているときに、幹事長や何かがこういう重大な問題を発言したことを、政務次官は、どこでどう言ったか知らないと言うのだが、そんなことではけしからぬ。おそらく、知っておっても、ここで答弁できないから言わないのだと思うのだけれども、そういうように連絡の密にいかない、また、そういうことにも十分関心を持って対処していかない農林当局は、まさにでくの坊みたいな存在になってしまう。まことにこれはけしからぬと思う。そういう答弁では私は納得できないのです。  それはそれとして、いま政務次官がいろいろ答弁なさいましたけれども食管法施行令の第二条二項には追加払いができるような規定になっているじゃないですか。そのことはあなたは全然御承知ないのですか。あなたが言うことでは、食管法で全然何もできないようなことを答弁なさいますけれども、その点はどうなんですか。知っておられるのですか。政務次官、答弁。
  161. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 現在の方式は、もうずっと踏襲されているわけです。ですから、現在の方式からすれば、追加払いをするということは、方式を変えないとおかしいんではありませんか、と、こういう話を私はしたのです。
  162. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 同じ問題で、三善食糧庁長官、答弁。
  163. 三善信二

    三善説明員 先ほど芳賀先生からもいろいろ御意見がございまして、食管法の規定で、施行令の二条二項に、政府の買い入れ価格あるいは売り渡しの価格は経済事情の変動が著しい場合において改定することができるという項目はございます。これが先生のいま御指摘の項目であろうと思います。渡辺政務次官がいまお答えになりましたのは、三十五年から生産費所得補償方式算定をしているわけでございますから、いまの生産費所得補償方式算定やり方からして、追加払いということは非常になじまないし、非常にむずかしいということで、もしやるとすれば、やはり、その生産費所得補償方式やり方を変えていかなければいけないのではないかというような御答弁であったろうかと思います。  この第二項の規定は、先生承知のように、終戦後米価はパリティで算定をしておりました。そのとき、しかも米の需給状況は米不足で、いかにして米を増産するかという、そういう全体の情勢の中においてたまたまパリティでやっておったときにこういう追加払い的やり方をやったことはございます。それも、需給状況は現在と全然違う、非常に逼迫した不足の状態であったというグルンドがございます。そういうことで、パリティ方式でやっているときは、農業パリティというのは物価の動向を正直に反映するわけでございますから、非常になじみやすいということは言えると思います。  ただ、生産費所得補償方式でやる場合に、政務次官が詳しく具体的にお答えされましたように、やはり、労働時間等は三カ年の平均をとっているわけでございますから、その年だけの物価上昇をすぐ反映してやるということになれば、労働時間等もその年の労働時間だけでその算定基礎にしていかなければいかぬというような基本的な問題があるわけでございます。そういう意味でお答えをいただいたわけでございまして、現在の方式と申しますか、生産費所得補償方式やり方から、追加払いというのは制度的に非常になじまないというようなことでございます。
  164. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 政務次官、いま食糧庁長官から答弁されましたが、昨年の八月の米価決定以来、今日まで十数カ月米価は全然据え置かれておる。物価は、さっきから言うように相当上昇している。また、今後も物価上昇することは考えられる。当然、今回米価が七月に決定しても、農家が米の代金を受け取るのは十二月です。その間五カ月余の期間がある。その間もまた相当な物価の値上がりが考えられる。現在までの追加払いと、今後の、いわゆる七月米価決定しても、今後の五カ月余の期間に当然物価が相当上がる。こういったことを考えたときに、当然今後も追加払いをしなければならぬ。物価に見合うスライド制によっての追加払いをしなければならぬと思うのですが、政務次官、あなたも農家出身である。だから、通り一ぺんの答弁しかできないという立場か何か知らぬが、要するに、農家の窮情はよく知っているはずだが、現状はあまりにも農家を窮地に追い込めていくこれではまさに過疎はますます進み、後継者の育成もできない。農家は壊滅情勢で、まさに亡国農政、撤退作戦が行なわれている現状です。こういうことを考えたときに、党派を別として、これは真剣に考えなければならぬ問題であると思う。いままでの追加払いもさることながら、今後のことについても、物価労賃上昇に見合ったスライド制によっての考えを当然持つべきであるし、また、米審を二回開いて、十一月か十二月にはさらにまた米価を検討するということを考えなければならぬと思うが、あなたは、農政を担当する農林大臣にかわる政務次官として、その点はどう考えていますか。追加払いも、今後の物価値上げに対する米価の是正も全然必要ないと思うのですか。どうなんですか。
  165. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 先ほどからたびたび申し上げておりますが、米価というのは、その中で、労働費、家族労働費あるいは物財費、地代、資本、利息、そういうふうなものが積み重なって米価ができているわけです。したがって、その中の一つの部分を見れば、賃金なら賃金の部分で、一反歩当たり幾らかかったかという賃金の部分については、再々言うようだけれども、実際の計算をやってないのです。ことしの労働時間をとってないのですよ。何ぼになるかわからないですからね。したがって、過去三カ年の平均ということですから、年々同じぐらいのことで、十アール当たり三時間なり、五時間なり、毎年生産性の向上によって労働時間が減っているわけです。減っていても、二年ぐらい前の労働時間で実際は米価を擬制計算をするわけですから、だから、そういうような現在の方式からすれば、じゃ時間が減ったんだから精算し直せ、そんな八十五時間も九十時間もかからないじゃないか、もっと減った時間でもう一ぺん計算し直しなさいという、そういう制度はとっておりません。したがって、物価等で多少の食い違いが出てきても、それも上がったのだから別に物財費のほうを計算し直しなさいという、そういうふうな仕組みにもなっておりません。だから、四十八年産米価については、これは追加払いをするという仕組みになっておりませんので、考えておりません、こういうことを申し上げておるわけなんです。  農家の窮状その他については十分わかっておるし、何といっても食管法では、国民の食糧を確保して、そして生活の安定をはかり、農家の再生産を、米作の再生産を確保する価格にしなければならぬということですから、それは食管法がきちんと守られるように、この異常な物価賃金の値上がりというものは取り込んでまいる。したがって、政府試算を出す場合においては、ともかくここ十年間ぐらい例のないような大幅な数字が結局結果的には出てくるであろう。数字を全部計算していませんが、そういうことなんです。だから、一生懸命われわれだってやっているわけなんです。再生産を確保してもらうために一生懸命やっております。こういうことです。
  166. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 本格論戦は、十五日にまた当委員会を開くことにしてありますので、その節お伺いすることとして、もう一点お伺いしておきます。  消費者米価の値上げは絶対やめていただきたい。田中総理は、消費者米価について、選挙中、十月中には九・八%だけ引き上げ、上乗せはやらないということも言っておるようですけれども、この点は農林省はどういうふうに踏まえておられるのか。私は、こういう物価高騰のおりから、消費者米価の値上げを絶対やめていただきたい。と同時に、今回の米価審議会に対しては、消費者米価生産米価の同時諮問はやめていただき、生産米価のみにとどめていただきたいと思うのです。  三善食糧庁長官も、新聞報道なんかによると、何か同時諮問するようなことを示唆しているようでありますが、その点の見解を明らかにしていただきたい。
  167. 三善信二

    三善説明員 先ほど中川先生にお答えいたしたとおりでございまして、同時諮問の問題につきましては、個人的におまえはどう思っているかというようなことで、何回にもわたっての繰り返しのきつい御質問がございましたから私は申し上げましたけれども、個人的に、私は、本来的に、生産米価と消費者米価というものは、これは関連をつけて考える必要が当然あるんじゃないかということを考えております。  答弁が長くなって恐縮になりますから、簡単にはし構って申し上げますと、同時諮問やり方にもいろいろございますし、また、それをやるかやらぬかということは現在まだ決定しておりません。検討中でございます。私、個人的に申しますと、やはり何らかの形で消費者米価についても諮問をしたいという私の個人的な感じは先ほども申し上げたとおりでございますが、いろいろな方面と打ち合わせもございますし、まだ検討中でございます。
  168. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この機会にもう一点お伺いしておきますが、米の需給関係について、長期見通しをどう立てておるかということでございます。  最近の人口増加、それから需要と供給、こういう問題がたいへん問題になっております。御承知のように、最近六大都市では米消費量が相当ふえております。これも五月に私が指摘したところでございますが、これらを含めて、現在当局では農政審議会にいろいろな問題を諮問しておられます。もちろん、米の問題も含めて諮問をしておられます。長期計画再検討等いろいろお考えのようであるが、これらの問題について、長期見通しといったことはどう考えておられるか。今後また質問をする際の資料にするためにもお伺いしておきたいと思いますので、この点だけ簡潔にお考えをお示しいただきたいと思うのです。
  169. 三善信二

    三善説明員 米の長期需給見通しでございますが、先生承知のように、四十七年に、十月でございましたか、「農産物需給の展望と生産目標の試案」というものを農林省でつくりました。内容的には御承知のとおりと思いますが、そのときつくりました今後十カ年間の長期の見通しにつきましては、消費としては、一人当たりの消費は少しずつ減っていくであろう、それに見合ってやはり人口は増加心ていくということで、そういう関係を考えまして、また、経済の成長率というものがどの程度になるかというようなことも加味しましてつくった農林省の「生産目標の試案」で申しますと、総需要量は一千八十三万トンということで考えたわけでございます。そのときの一人当たりの消費量は、現在でいきますと、年間一人当たり大体九十一キロ程度でございますが、十年後には七十五キロ程度になるのではなかろうかというような見通しをつくっておりました。しかし、その後いろいろ先生方の御指摘もございましたし、内部的にいろいろ検討してまいりまして、現段階では、簡潔に申し上げますと、この見通しというものをもう少し見直してみる必要があろうかということで、農政審議会の需給部会等で現在検討をお願いをいたしているような段階でございます。
  170. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 時間が迫ってまいりましたので、次の問題に入らしていただきます。  緊急な問題として政府当局のお考えを聞きたいのでありますが、熊本県阿蘇郡阿蘇町赤水の阿蘇西部土地改良組合、組合長は上島次男氏でありますが、この土地改良の十七工区で四十八ヘクタール中二十二・五ヘクタール及び同十四工区三十八ヘクタール中六ヘクタールないし十ヘクタールが強度の酸性土壌が表面に出たために、田植えを行なったけれども、二日目には全部枯死してしまい、また、一部は全然田植えが不能となっている状態になっております。私は、去る七月三日に、強い地元の要請で現地を調査し、地元の阿蘇町的石の山本芳次区長外十数名から、詳しく現地で事情を聴取してまいりました。その席で、七月三日に、ちょうど大臣が新潟へ行っておられましたので、農林省政務次官に電話で要請をし、九州農政局、熊本県側に対して対策を迫ったのであります。同夜、赤水公民館で、関係農家と九州農政局、県及び阿蘇町当局と協議をしたのでありますが、県もいろいろと緊急の対策をとっておることは事実でありますが、実は、地元では、米がつくれなければどうやって暮らしを立てていくのかといって、その圃場整備で、その水田を持っている人たちはもうたいへん深刻な問題で、地元では大きな騒ぎになっております。現地に持ち込んだ簡易測定器で測定をいたしましたところ、PH3となっておりまして、強度の酸性であることがわかりました。町当局でもいろいろ調査をしておりますが、同地区四十八ヘクタール、関係農家が六十八戸のうち十八・八ヘクタールが植え付け不能、三・七ヘクタールが立ち枯れ、被害は合計二十二・五ヘクタール、関係農家が三十六戸に及んでおります。このほかに同じ地区の殿村というところに通年施工で二十ヘクタールを行なうようになっておりますが、一部田植えはしているというものの、農家の人たちは不安がって現在戸惑いを感じておるところです。この中の九戸は、自分の持ち田が全部植え付け不能となっているということで深刻な問題になっておりまして、この一帯は、十アール当たり五百キロから六百キロ、すなわち八ないし十俵の収量であります。ことしの米価をかりに六十キロ当たり一万六千七百四円としますと十アールについて約十六万円の損害を受けるということになります。こういったことから考えまして、昨年は田をよくするために十アール当たり三万円平均の補償金が出てがまんしたのだけれども、二年目を迎えて、とうとうこういった状態では、どうしても生活が成り立たない。毎日田の畦畔に立ってぼう然としております。苗をつくるまでの経費、また、種代から電気代、手間賃などかかっておりまして、それが全くゼロでは、牛馬を養っておってもわらがないので、わらを別から買わなければならないという状態になっております。  この地区は水酸化褐鉄鉱が広範囲に埋蔵しておりまして、大正時代から七百二十一ヘクタールにわたって鉱業権が設定され、一部では、現在露天掘りで採掘されております。それがブルドーザーで掘り返されたために下の酸性の強い土壌が露出したのであるから、田植えができないことは当然であります。この一帯を赤水と言いますのも、故老は、こういった酸性土壌を称して、赤水が出るから土地の名前を赤水とつけたのではないかと思う。そういった土壌の検査、調査等のずさんさといいますか、慎重さが十分に問われるところでございます。農家の人たちも、一メートルも掘れば硫化物があることがわかっているとか、表土を別にとっておくようにということを言ったのにもかかわらず、ほとんど表土が畦畔に盛られて、田の部分には表土がほとんど置いてないという問題が地元でもいろいろと批判を受けているところでございます。  こういったことで、私たちはいろいろ調査しましたが、結果的には、工事に土壌専門家を加えていなかったことがこんな結果を招いた一つの要因ではなかったかと思っています。工事ミスを認めた関係者は、手直し工事をするとか、試験田をつくるとか、今後は土壌改良をする必要があるとか、いろいろ釈明もしておりますが、あと何年で回復できるのか確かな見通しはなく、手直しの工事費やその間の補償、救済はどうなるのかと、地元はたいへん苦慮しておるところでございます。  そこで、同阿蘇町の整備予定約二千九百ヘクタールのうち五百ヘクタール、まだ一七%しか進んでおらず、今後も水田の生産性向上のための整備事業はどんどん進めていかれねばならず、また、私たちもその必要を認めておるわけですが、補償問題の処理を誤れば、今後の圃場整備に対する関係農家の同意や協力に大きな影響が及びますことは必至でございますので、県当局も、また町当局もたいへん心配し、苦慮しております。  今回、これをどうのこうのというのじゃなくて、何とか農家が安心していけるように、そうして今後こうしたケースが起きる可能性もあるので、十分土壌検査もしなければならぬし、対処もしてもらわなければならないということで、今後国も積極的に県、町村の側に立ってこの対策に乗り出してもらいたい、現地を調査もしてもらいたい、かように強く要望をしたいわけでございます。  いろいろ申し上げましたが、時間の関係ではしょって全部申しましたけれども、まず、最初に、いま概要を申しましたが、国はこういうことについては十分承知しておられるか、その点を簡潔にお答えいただきたい。
  171. 大山一生

    ○大山説明員 先生がただいま御指摘になりました阿蘇の県圃場整備地区、特に十七工区につきまして、強度の硫化物体、SO3ですか、これが非常に多くあったというようなことから、植えつけ不能十五ヘクタール、それから植えつけました三十三ヘクタールの中で七ヘクタールが枯死を見たという事実につきまして、そして、それの原因の究明なり、とりあえずの対策なり、それから被害につきまして、いま県と地元との間において真剣な相談が行なわれているという事実につきましては、われわれ十分確認しているわけでございます。
  172. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 現状については十分確認しておるということでございますので、大山構造改善局長にさらにお伺いしますが、現段階で、この原因はどういうところにあるか、その点について明らかにしてください。
  173. 大山一生

    ○大山説明員 この十七工区の圃場整備を実施しました結果、作付不能田が出た原因でございますけれども、この土壌の中に多量の硫化物体、SO3でございますが、それを含んでいたということが一つの原因だと思っております。  それから、土地改良事業を実施いたします場合には、当然設計基準に基づいて実施するわけでございまして、各種の土壌調査は行なうわけでございます。ただ、ここの圃場整備が既耕地であるということから、物理的調査が主体でありまして、多量の硫化物が存在するということは、逆に言いますならば、化学分析調査が十分でなかったということに起因するのであろうというふうにも考えるわけでございます。  実は、この十七工区と同じような工区が、九工区ですか、ございまして、そこにおきましては、この種の作付不能という実態が、過去において、昨年ですか、圃場整備した結果出ていない。こういうようなこともありまして、そういうふうな工事上の経験を踏まえて県当局において施工計画を立てた。こういうことであったわけでございますけれども、不幸にして、黒泥層の中に含有する硫化物がこの地区だけ特殊な状態になっているということを予見し得なかったことも一つの原因であろうというふうに考えるわけでございます。それから、さらに、かんがい用水につきまして、酸性度の強い水を使用した。こういったような四つのことが原因となってPH3、4、5といったところが出てまいった。その結果、PH3のところにおいて作付不能が出てまいった、こういうふうに考えるわけでございます。
  174. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 いまからいろいろと原因もまだ調査されるだろうと思うが、当初の化学分析調査が十分でなかったということでも工事ミスを認めておられるようであります。この十七工区は、すぐその隣接地区の赤水に殿村という地区がありますが、ここも同じ十七工区の中の二十ヘクタールです。先ほど指摘したところでありますが、これも通年施工で同じような地形のところでやるようになっておりますので、これに対しても十分対処してもらいたいし、なお、同改良区の十四工区も、先ほど申しましたように、六ヘクタールから十ヘタタールぐらいが同じような現象が出ています。構造改善局長のほうに言わせますと、九工区にもいろいろな現象が、同じようなことがあるというふうに言っておられますが、十分調査をして、対処して、農家が不安のないようにしていただきたいということをつけ加えて申し上げておきます。  なお、これの対策ですけれども、時間の関係で全部をここで答弁をもらうことはできませんが、次のようなことを指摘しておきますので、こういったことを十分県当局とも相談して、早急なる対策をお願いしたいと思うのですけれども、まず、一つは、土地改良はやり直さなければ、現状では試験田をつくるといっても、これは現地を見てみると一目りょう然のように、たいへんだと思います。そこで、土地改良をやり直す場合に、土地改良区全体の工事費との関係もあって、その二十二・五ヘクタールのみやる場合、その経費負担がどうなるかという問題があります。国は四五%、県は二七・五%、地元二七・五%の負担をしておりますので、こういったことから、どういうふうな工事費の負担となるか、県としても初めてのケースでありますので、十分指導をしていただきたい。  それから、二番目には、地元負担が十アール当たり九万幾らかかっております。この金に対しても、こういうふうに収量がないわけでございますので、利子の補給、また、借り入れ金の元金の延伸をぜひ取り計らっていただきたい。  それから、次に、今回土地改良する場合には、表土を畦畔に積んでおりますので、水田には表土がほとんどないといっても過言でありません。まっかになっておりますから客土をしなければならぬ。客土をするにしても、いいかげんなところから持っていきますとこれは自然破壊に通ずるし、相当な量が要ります。その運搬費、また経費等が要ります。それがどうなるのか。さらには、その客土するどろの土壌試験もしておかなければならないということについて慎重な指導をお願いしたいと思います。  それから、次に、田植えが不能になっております。もうすでに四、五回田植えして枯れております。もう普通、二、三回はほとんどやっておりますが、全部枯れておる個所があるわけでございます。植え直したところでもすでに枯れかかっております。こういったものに対する補償をどうするかという問題。  それから、もう一つは、酸性土壌を中和するために農家がまいた石灰、十アール当たり五、六十俵まいておりますが、これらの費用をどうするか。  さらには、先ほど申しました赤水の殿村の二十ヘクタール、これもよほど検討を加えてやらなければ同じ結果になると思うので、土壌験試を十分やってもらいたい。  もう一つは、揚水ポンプをつくったのですが、結局、旧河川から引いたために酸性が強く、これが一つの大きな問題になりました。それを今度はポンプ小屋はそのままにして、機械を別に移して、新しい川からサイホンによって新しく用水に水を引いております。この経費、井戸または揚水ポンプの布設費等に約三千万近い金がかかっているのではなかろうかと思いますけれども、これら余分の費用についてはどういうふうにするのか。  こういったことをいろいろ対策をとってもらいたいわけですが、十分検討して、不安のないようにしていただきたい。特殊な土壌でもありますし、県も相当心配していろいろやっておりますので、どうかひとつ農家のために十分なる援助または対策を講じてもらうようにお願いしたいのですが、大山構造改善局長の御見解を簡潔に承りたいのであります。
  175. 大山一生

    ○大山説明員 植えつけ不能田が出たということに対する対策といたしまして、とにもかくにも、暗渠排水を実施するということによりまして酸性土壌を中和する、こういうことが一つあると思います。  それから、二番目の問題といたしまして、験試田を設置いたしまして対策を検討する。  それから、先ほど先生も言われましたように、用水対策といたしましてPH6の黒川から直接取水するようにする。これはもうすでに終わっておりまして、金額としては四百五十万程度で済んでおるように思っております。  それから、作付田につきましての営農指導をさらに強化してまいる。  こういうことが当面の対策として行なわれておるわけでございますけれども、そこで、先ほど先生が言われました殿村、これは四十九年度予算で実行すべきところとしての圃場整備地区になっておりますので、この点につきまして、この十七工区で起こりました問題を十分踏まえた上で設計、工事をさせるように、県に対してもさらに指導を強化してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  そこで、ただいま先生の言われました田植え不能に伴う補償でありますとか、あるいは炭カルを相当投入しておることの経費、あるいは将来起こるかもしらぬ客土の問題——これはあの地帯の実態からいきまして、客土の土をどこに求めるかというようなことも、また、客土しなければならぬかどうかも現在意見が分かれているというような実態でございますので、早く結論を出したいというふうに考えますけれども、こういったようなこと、まあ、いわば、被害発生に対します措置といいますか、これらの点につきましては県で現在地元と十分に協議しているということでございますので、われわれといたしましても、県と十分連絡をとってまいりたいというふうに考えるわけでございます。  ただ、この問題が起こりまして、農業土木のこの種の専門家に聞いたわけでございますが、過去において、この種の事件は熊本のこの地帯を除いては出ておりません。ほんとうに初めてのケースで、非常なレアケースと申しますか、特殊なケースであるというふうに考えておりますので、こういう事態もあったということは今後のわれわれの参考にもしてまいりたいというふうに考えるわけでございます。
  176. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 この種の土地改良の問題は特殊のケースだということでありますが、私もさように思うわけです。それだけに、今後あってはいけませんが、全国的な一つの例にもなることでありますし、今後の農家の安定した農作ができますように、いま局長がおっしゃったようなことを十分に早急に検討して、対策を進めていただきたい、また、県ともよく話し合って善処していただきたいということを重ねてお願いしておきます。  時間が参りましたので、最後に、通告しておりました問題について簡潔にお伺いして質問を終わりたいと思います。  実は、蚕糸関係で、生糸の市価の低迷ということがたいへんいま問題になっております。実は、明日午後一時より共立講堂において蚕糸輸入規制の即時実施等につきまして、蚕糸危機突破全国代表者大会が行なわれます。数日前から私たちのところへ各業界から要請が出ておりまして、御存じのように、蚕糸情勢というものが、糸価の低迷によって、石油危機、景気後退で需要の落ち込みがはなはだしく、国内需給が悪化し、生糸の消費減少とともに、今年の三月ごろまでは何とか基準糸価、すなわち一万円以上は保ってきたわけでありますが、四月ごろから低落して、現在九千三百円ぐらいになっております。このため、日本蚕糸事業団が、四十一年に事業団が発足して以来初めての大量買い入れをやりました。七月三日で生糸の買い入れ数量が、一俵六十キロでありますが、二万俵を突破したわけです。ところが、あまり効果が出ていない。現行買い入れワクが三万俵になっておりますけれども、こんな三万俵ぐらいではどうしようもないと指摘したいところであります。最近でも一向に市況回復の徴候が見られないばかりか、輸入は依然として続けられております。三十八年に自由化されて以来、中国、韓国は国家貿易の形をとっており、日本でもし市況が下がれば、それに見合う価格で輸出をしてきております。こういったことでは、幾ら事業団が買いささえをしても焼け石に水で、片手落ちであります。  そこで、昭和四十六年の六十七国会で、当委員会で議員立法で議決しましたところの繭糸価格安定法の一部改正で、事業団の生糸一元輸入によるところの輸入規制の発動が可能になっのではないか。これをわれわれはあの当時三日間で議員立法でやりましたが、これはぜひ発動せねばならぬと思うし、事業団の現行買い入れワク三万俵を無制限にということにしていただきたい。そうしないと、二万俵や三万俵ではどうしようもない。  これに対しては通産、大蔵からもいろいろ反発が出ておるのですが、これは問題を省略することにしますが、特に、中曽根通産大臣は、過日、参議院選の遊説中に、「新規輸入契約はしない。既契約の輸入時期はずらし、生糸買い入れワクを七万俵としたい」というふうに言っておりますが、農林省はどういうふうにこれを受けとめておられるか。  なお、もう一点は、韓国その他の外国製生糸を無秩序に輸入し、暴利をむさぼるところの悪徳輸入商社に厳重な対応策を講じてもらわなければならぬ。こうしないと、これはまさに養蚕農家も生糸製糸業界もたいへんな窮地に追い込まれるし、製糸業界の窮境は即生産者に大きな影響を及ぼすことはもう必然でございますので、農林省も重大関心を持って通産、大蔵等とも十分対処されつつ、養蚕農家を、また、生糸製糸業界の皆さんを守るためにも十分対処していただきたい。明日の大会でもたいへん問題になると思いますが、この点について政府の見解をかいつまんでお答えいただいて質問を終わりたいと思います。
  177. 松元威雄

    ○松元説明員 ただいま先生からるるお述べになりましたように、本年三月末に四十九生糸年度に適用する基準糸価を一万円と決定したわけでございますが、市況はきわめて低調でございまして、事業団の買い入れ数量は、昨日現在ですでに二万三千俵程度にまでなっているわけでございますが、一向に糸価の回復を見せていない事情でございます。  そこで、この原因といたしましては、一つには輸入の影響、もう一つは総需要抑制という需要の面と、両者がからみ合っているわけでございますが、そこで、必要なことはまず輸入調整策であるということで、このために、六月以来、通産省と協力いたしまして、商社に対する指導と、それからさらに外交ルートを通じましての輸出国への協力要請ということを強力に行なっているわけでございます。   〔湊委員長代理退席、委員長着席〕  しかし、そうでございますが、現実には、韓国からは相当安い価格の生糸が入ってまいりますし、また、六月二十八日に中国がばったり値を下げたという事情もございまして、現在糸価は九千三百円、多少日によって浮動がございますが、低落している、こういう事情でございます。したがいまして、いまのようなこの原因が、輸入の影響ということと需要面、両面がからみ合っているわけでございますが、そこで、まず、輸入面につきましては、御指摘のように、四十六年に制定されました事業団による一元輸入という制度があるわけでございます。したがいまして、現情勢ではこれを発動せざるを得ない事態に近いんではなかろうかと判断いたしておりますが、しかし、これは何ぶん重大な問題でございますし、また、いろいろ手順も尽くさねばならぬわけでございます。そこで、これまでの手順といたしまして行政指導等をやってまいったわけでございますが、さらに強力な指導もしなければならぬということで、そういった手順を進めまして、さらに情勢の進展を見まして、最後にはそういった方法があるわけでございますから、それを踏まえまして、糸価の回復のために一そう有効な措置を講じてまいりたいというふうに考えているわけでございます。  さらに、事業団の買い入れワクの拡大につきましては、これは輸入調整措置と見合ってやる必要がある。単に買い入れワクをふやすだけでございますと、結果的に輸入糸をふやすという結果になるおそれもございますので、これは適切なる輸入規制措置をぴしゃりと講じまして、それと見合いまして事業団の買い入れワクの拡大についてもやってまいりたいということで、情勢はきわめて緊迫しておりますものでございますから、もちろん関係各省につきましてはそれぞれの立場によりましていろいろな意見もございますが、こういう実態を踏まえまして、さらに強力に糸価回復のための有効な措置を講じてまいりたいというふうに考えている次第でございます。
  178. 瀬野栄次郎

    ○瀬野委員 十分なる対処と善後策を講じていただくようにお願いして、質問を終わります。
  179. 仮谷忠男

    仮谷委員長 今井勇君。
  180. 今井勇

    ○今井委員 私は、最近の米国産のかんきつ類について、わが国に輸入されましたミバエという害虫の問題について質問をいたしたいと思いますが、時間の関係もありますので、政府委員はなるべく簡潔にお答えを願いたいと思います。  まず、最初に、事実及びその後の経過について承りたいと思いますが、東京港及び大阪港におきまして、東京港では五月二十八日、大阪港では六月十四日並びに同じく二十四日に、フロリダ産のグレープフルーツを輸入いたしました。それにつきまして、港で検査をしたところが、ミバエと思われる幼虫が発見されたということでございますが、その幼虫がどんなものであるのか、それについて政府がどのような措置をとったのか、まず、そこからお答えを願いたい。
  181. 松元威雄

    ○松元説明員 お話しのように、五月三十日、六月十九日、六月二十四日、さらに七月に入っても現在発見されたものがございますが、四件につきましてミバエが発見されたわけでございます。  そこで、これがいかなる種のミバエかということにつきまして、幼虫を成虫にする、いわば同定ということが行なわれておるわけでございますが、そのうちの二件につきましては成虫の種類が判明いたしまして、これはカリブミバエであるということが確認されたわけでございまして、あとの二件につきましては現在同定中でございます。
  182. 今井勇

    ○今井委員 まだ足らぬでしょう。そういうことに対して政府がとられた措置。
  183. 松元威雄

    ○松元説明員 いまは、ミバエの実態について申し上げたわけでございますが、そこで、このようなミバエの侵入を防止する必要があるわけでございますから、まず、第一は、国内の検疫につきまして、従来以上にサンプル率を上げる等のことをいたしまして国内検疫体制の強化をやっているわけでございます。それと同時に、問題は、輸出国側の問題がございますから、そこで、七月三日及び七月九日に、在米大使館を通じまして、米国に対しまして申し入れをいたしたわけでございます。その趣旨は、今後日本に輸出する分については、ミバエが付着することのないよう適切な措置を講じて、その内容を早急に回答してほしいということを要望いたし、さらに、次期の船積みシーズンまでにこの問題の解決のために両国の合意が得られない場合には、フロリダ産グレープフルーツのわが国への輸出を自粛するようにという予告をいたした次第でございます。したがいまして、この輸出国側のミバエが付着することのないような措置の内容につきまして向こうの回答を求め、その内容がこちらの納得するものであればよろしゅうございますが、納得のいくまでその方法について改善策を進め、なお、次期までに間に合わなかった場合には、納得のいく解決を得られるまでは自粛を要請する、こういう予告をいたした次第でございます。
  184. 今井勇

    ○今井委員 そこが実は問題なので、まず、グレープフルーツの検査でありますが、抜き取り検査をわが国でやっておるわけです。その率はその後パーセンテージを上げたようでありますが、私の調べたときには、一%の品物を調べて異常がなければ通すということであります。したがって、たった一%のものでありますから、検査の目をくぐってミバエが侵入する危険が非常に大きいわけです。たまたま今度は検査官がなれた検査官であり、かつ、的確に検査をしたためでしょう、見つかったのですが、だからこそ、この間の新聞の報ずるところによりましても、東京の駅で買いましたグレープフルーツの中にも同じようにミバエの幼虫が入っておったという記事があります。これは沼津の方です。こういうふうに、実際現実にそういう問題が起こっておるわけですね。ところが、一方、台湾のポンカンであるとか、あるいは南ア連邦のネーブルとか、それからイスラエルから入っておりますかんきつ類等につきましては、向こうで厳重な防除と検査をなされまして、そして、相手国の経費で日本の国の係官が向こうに長期出張いたしまして、そういった害虫が全然死滅しているのだということを確認をして初めて向こうが輸出をしているということであります。にもかかわらず、米国産のかんきつ類ではそういうことをやっていないと聞いておる。一体なぜそういうことなのか。米国産のかんきつ類だけは特別扱いであって、アメリカにはミバエはもういないのだという米国の農務省の主張がそのまま尊重されまして、あの広大なフロリダとか、あるいはテキサス、カリフォルニアから出ますかんきつ類のすべてが日本防疫陣のノータッチのもとに日本に入ってきている。だからこういう事態になっているのではないかとぼくは思うのです。  そこで、一体なぜアメリカだけをそのような差別といいましょうか、厚遇といいましょうか、それをしているのか。アメリカ自身は、アメリカの水ぎわを離れるときに一体どういう防除の方法をやっているのか、そこあたりからまず聞いてみたい。どうですか。
  185. 松元威雄

    ○松元説明員 まず、アメリカから輸出します場合には輸出国の検疫があるわけでございまして、その検疫の証明書のないものは輸入を認めていないわけでございます。そこで、出すときにまず検疫をする、それから今度は入れるほうで、わが国で水ぎわで検疫する、いわばダブルチェックにいたしたわけでございますが、御指摘のように、もちろんこれはサンプリングに基づきますサンプル調査でございますから、結果的に漏れが出たという残念な事態も生じたわけでございますが、まず、そういうたてまえになっているわけでございます。  次の問題としまして、しからばアメリカの場合と南ア、イスラエル等の場合と扱いがなぜ違うのかということでございますが、これは若干その間の事情を御説明申し上げますと、まず、わが国には分布していない、しかし、もしもわが国に侵入した場合には生産に重大な被害を及ぼす、そういうおそれのあります病害虫、この侵入を防止するために、そういう病害虫の寄生植物の輸入はこれを禁止しているわけでございます。そこで、かんきつ類生果、実に寄生する害虫でこの輸入禁止の対象になっているものは、ミバエはいろいろな種類がございますが、その中で、地中海ミバエとミカンコミバエの二種類でございます。そこで、台湾におきましては、この輸入禁止の対象になっておりまするミカンコミバエがおりますし、それから、南ア、イスラエルには地中海ミバエが分布しているということでございますから、これらの国のかんきつ類の輸入を禁止いたしているわけでございますが、これらの国で害虫の完全殺虫予防法が開発されたということでございますので、その方法を用いて輸出国で消毒をする。しかも、それをわが国の植物防疫官が確認をするということを農林大臣が基準をきめまして、それに合ったものだけを輸入させている。そういう事情でございますので、そのようにいたしているわけでございます。  それに対しまして、米国本土には輸入禁止の対象にしております地中海ミバエ、ミカンコミバエはいないわけでございまして、もちろんミバエにはいろいろな種類がございますが、禁止対象のものはない。したがいまして、輸入禁止措置はとりませんで、一般的な方法たる輸出国の検疫と輸入検疫、両方で対処している、こういう事情にございます。
  186. 今井勇

    ○今井委員 そうすると、いまの発見されたカリブミバエというのは害がないのですか。それはどうなんですか。
  187. 松元威雄

    ○松元説明員 ミバエの中で、いろいろな種類があるわけでございますが、そのうち特定のものを輸入禁止をし、その他はいわば検疫対象にしている。  それにつきましては二つございまして、一つはいわば発生の態様、これが一般的に広がっているか局部的であるかという発生の問題で、もう一つは、被害の度合いと申しますか、それがあるわけでございまして、いま一般に一国際的には、カリブミバエにつきましては、生息地域が局限されている。それから、また、被害の著しい記録がいままではなかったわけででございますから、輸入を全面的に禁止するというように扱っていない。これは日本だけではございませんで、国際的に、カリブミバエを全面的に輸入禁止しているというところは目下ございません。そういう分布状況被害の態様からそういう扱いをしているわけでございます。
  188. 今井勇

    ○今井委員 それでは、そのカリブミバエを堂々と入れている国を教えてください。
  189. 松元威雄

    ○松元説明員 現在では、カリブミバエを輸入禁止の対象にしている国がないわけでございます。
  190. 今井勇

    ○今井委員 輸入禁止の対象としている国がないのだから、堂々と入れている国はどこだと聞いているんですよ。
  191. 松元威雄

    ○松元説明員 堂々ということばがございますが、したがいまして、検疫によってチェックをしている。もちろんこれらのものも侵入は望ましくないわけでございますから、見つかれば廃棄処分ないし返送いたします。ただし、扱いは、いやしくも入れてはいけないのか、検疫でチェックするのか、その差でございまして、ただいま堂々というおことばがあったわけでございますから申し上げたわけでございますが、一律禁止ということではなくて、検疫でチェックする。検疫で見つかれば、もちろんこれは廃棄ないし返送させるということでございます。
  192. 今井勇

    ○今井委員 そこで、ふに落ちない点がもう一つあるのです。というのは、大体、日本のミカンをアメリカに輸出しようとしておりますし、また、しておりますが、その場合に、かいよう病というのがありますね。それをアメリカは非常にやかましく言いまして、たいへんな検査を実はしております。具体的に言いますと、そのために、日本の場合、前後八カ月かかるのですね。栽培地の検査、それは二つに分けて、落花直後の検査、それから収穫期前の検査、さらに輸出検査というものがある。しかも、その栽培地検査はそれぞれ二つありましたが、補助員検査、植物防疫官検査、日米合同検査というふうに、ABCの段階がそれぞれの段階にある。このようにたいへんなもので、しかもこれは一本一本やるのですよ。お互いに植物防疫の条約を結ぶようなときには、少なくとも相互に相手国の要求を尊重するたてまえでなくてはいけないのじゃないかと私は思うのですね。日本のミカンを少しでも入れようとすると、こんな小めんどうなことをさせられているわけですね。にもかかわらず、いまのグレープフルーツ等では、アメリカの場合には、向こうが抜き取り検査をして、よければどんどん入れておる。こっちから行ってだれもそれを確認をしていない。片手落ちじゃないですか。しかも、ミバエが無害のものならいいですよ。少なくともカリブミバエが、あなたは局限されているとか、あるいは被害が大きくないとか言いますけれども、入ってきてよくないのでしょう。こういうことで、アメリカの言うことをそのままうのみにして、どんどん入れている。これはあなた方の責任問題ですよ。ミカン農家はたいへん心配しているんですよ。そういうことをあなた方はどう考えておられますか。どう責任をとりますか。
  193. 松元威雄

    ○松元説明員 植物防疫は、もちろん国を通じまして、これはいわば平等にやるべきことは当然のことでございます。問題はその内容でございまして、それは、一つには、先ほど申し上げましたが、病害虫の被害の度合いと申しますか、それと分布状況、こういう面から扱いに差が少しずつ生じてくる。もちろん、一切いかぬといえば全面輸入禁止ということが望ましいわけでございますが、そういたしますと、すべてのものがそうなる。これは世界的に全部そうならざるを得ないわけでございます。そこで、病害虫の被害の度合いがどの程度強いか、これはもちろん程度の問題がございますし、それから分布状況はどうか、これによって種類別に扱いを変えている、こういう趣旨でございます。特に国によって差別しているという趣旨ではございません。  御指摘のとおり、わが国の温州ミカンにつきましてはかいよう病があるわけでございまして、米国におきましては、このかいよう病を非常におそれております。したがいまして、従来は温州ミカンをはじめかんきつの輸入を禁止したわけでございます。かいよう病は伝播力が非常に強うございまして、しかも、わが国の多くのかんきつ類に付着しているという実態がございます。そこで、わが国から解禁要請をいたしましたのに対しまして、アメリカ側から、完全殺菌をすること、再汚染防止措置及び無病地区の設置をすること等、いろいろ検疫上の措置を要求されたわけでございます。そこで、ただいま先生もおっしゃいましたとおり、確かに、無病地区を設定しますとか、二回の園地検査をしますとか、あるいは輸出検査をしますとかいうように、非常に厳重な検査をいたしたわけでございます。これはなかなか技術的にむずかしい問題がございますが、このかいよう病の態様からいたしましてこういう措置を要求されている、これはやむを得ざる措置であるというわけでございます。  そこで、こういうことをいたしますれば技術的に克服できるということでございますから、その結果をアメリカ側と検討いたしまして、条件を満たしたものについて輸出するというふうにいたしているわけでございます。それに対しまして、先ほど申し上げましたが、わが国が輸入禁止の対象としているミバエの中で、地中海ミバエ、ミカンコミバエという病害虫は米国本土にはいない、したがいまして全面禁止ということはしていないというわけでございまして、そこで、通常の場合の方法たる輸出の検疫と輸入の検疫によりまして侵入を防止するというわけでございます。  ミバエの中で、先ほどの輸入禁止をしている二種類のミバエに比べまして、カリブミバエは被害の度合いは小そうございますけれども、もちろんこれが侵入することは望ましくございません。したがいまして、先ほど来申し上げておりますように検疫をいたしているわけでございますが、今回残念ながら発見された事態がございますので、そこで、一つには輸入検疫を強化する、同時に、この原因がアメリカ側にあるわけでございますから、先方に対しまして、ミバエ類の付着したものを輸出することのないよう、その措置を講じろ、その内容をわが国に回答してほしい、しかも、それについて合意が得られない場合には、これからしばらくの間は船積みがございませんから、その間にそういう措置を早急に検討いたしまして、わが国が納得のいくものでなければ自粛を要請するということをあらかじめ予告をして措置を進めている、こういうふうにいたしたわけでございます。
  194. 今井勇

    ○今井委員 私は、そこがちょっと弱いというか、あなた方のとられた手としては不十分だと思うのです。その理由を言いましょうか——まず、ミバエについて、いまお話しのとおり、カリブミバエが、あなたの説が正しいとしてもいいのですが、しかし、好ましくないことだけはあなたもお認めになるわけですね。だから、そういうものが日本に入ってきている現実があるのですから、これをとめなければいけません。それで、最もいいことは、あなたもおっしゃったように、植物防疫法施行規則の別表第一の中にカリブミバエを入れること、これが最も抜本的な方策だと思うが、どうですか。公聴会を開いて、皆さんの意見を聞いて、この別表第一を直すことがまず先決だと私は思うが、これについてはどういうふうに考えておられますか。
  195. 松元威雄

    ○松元説明員 若干答弁の繰り返しになって恐縮とも存じますが、輸入禁止までいたすものは、これは国際的に全部同様でございますが、諸外国において伝播、蔓延力が著しい、しかもその被害がきわめて大きいということが知られている、そういう病害虫につきまして完全侵入防止をはかるためにとる措置でございます。そこで、ミバエの中につきまして、かんきつにつく二種類、そのほかにウリミバエもございまして、合計三種類ございますが、それはこれに該当いたしますから輸入禁止をいたしている。ところが、カリブミバエにつきましては、一般的な国際的通念といたしてましては、分布が局部的でございますし、一般的に記録されるほどの被害が知られていない。これまでそういう事態でございましたから、現在は輸入禁止の対象まではしていないわけでございます。  さらに、輸入禁止措置はできるだけ最小限にとめることが、国際植物防疫条約というものがございますが、その精神にもございますので、したがいまして、これに照らしまして現在は輸入禁止の対象にしていないわけでございます。  そこで、カリブミバエを輸入禁止の対象外にするかどうかということにつきましては、先ほど来申し述べましたが、この虫の性質、それから被害程度、分布等、これにつきまして十分に調査を行ないまして、慎重に対処することが必要であるわけでございます。しかし、ともかくそれに時間がかかっては困りますから、当面入れないようにすることが必要でございます。そこで、わが国への侵入を防止するために、先ほど来申し上げましたが、米国政府に対しまして、先ほどのような適切な措置をまず強く申し入れたわけでございます。したがいまして、わが国が納得し得る問題の解決法が提示されない限りは、厳に入らぬように自粛を要請しているわけでございますから、当面これによって効果は達成し得る。  そこで、さらにその間に調査いたしまして、カリブミバエの性質につきまして、国際的に納得し得る、なるほどこれならば全面的に禁止してもさしつかえないと納得し得るならば、それは禁止もいたしますが、その辺につきましては、何ぶんわが国にないわけでございますから、場合によりましては、わがほうの専門家の派遣も必要でございますし、向こうに行っての十分の調査も要るわけでございます。さらに、国際的な取り扱いのバランスもございますので、それを見て対処する、当面はその措置でもって入ることはとめ得るというふうに考えているわけでございます。
  196. 今井勇

    ○今井委員 そうしますと、おっしゃるようにまず、日本の国に入れないことが第一なんですから、それじゃ具体的に聞きましょう。  一体、アメリカが今後どういうふうな検疫の強化をするのか、それをわが国がどういうふうにして確認するのか。私は、日本の水ぎわでするのじゃなくて、アメリカの水ぎわでやってほしいと思うのですね。何もここまで運ぶことはないです。ここまで運んできて発見することはないので、向こうでちゃんとやらして、それを確認して、OKしたものを運ぶということならまだ話はわかる。その確認及びその点についての詰めはどうなっていますか。
  197. 松元威雄

    ○松元説明員 向こうでも、現在も検疫をしているわけでございます。検疫をしているわけです。けれども、漏れがあったから発見されたわけでございます。そこで、まず、検疫の強化についての改善案を出せと向こうにいまたまを投げているわけでございます。  さらに、これももうちょっと検討する必要がございますが、州によりましては、いわば消毒と申しますか、薫蒸する方法をとっている州もあるようです。ただし、これは、連邦政府としてはまだオーソライズしていないようでございますが、そういった薫蒸とか消毒という方法によりまして対処できるのかどうかというと、これは現在わが国ではそういう方法は解明されておりません。しかし、州によってそういう方法をとっている州もあるという資料もございますもので、連邦政府ではございませんが、そういう方法についても必要し改善方策を提案させるということで、先方に対しましてそういうことにつきましての案の提示をまず求めている、こういうわけでございます。
  198. 今井勇

    ○今井委員 ただいまのカリブミバエではありませんが、先ほどの地中海ミバエとかミカンコミバエについては、具体的に防除方法は確定されておりますね。現実にやっていますね。ですから、方法についてはこれから研究するとか、案を出せとかいうのではなくて、方法自身はあるのじゃないですか。それはないのですか。
  199. 松元威雄

    ○松元説明員 その方法は、虫の種類と、それから寄生する生果実の種類で違うわけでございます。したがいまして、どういう薬液を使うか、その場合の消毒をどうするかにつきましては、これは一律にはいかぬわけでございます。  そこで、先ほどの台湾のポンカンの例もそうでございますし、それから南ア、イスラエルのやつもそうでございますが、少しずつ方法が違うわけでございます。それを十分実験いたしませんと、これは非常に危険でございますから、そこで、方法の開発までに数年を要して実験を重ねさせたわけでございます。  そこで、これにつきましても、そういったことを十分いたしませんと、他の虫、他の果実の方法と同じようにするわけにまいらないわけでございますから、可能性はもちろんあると思いますが、十分実験を重ねて確認をする必要があるわけでございます。
  200. 今井勇

    ○今井委員 そういたしますと、現実にいま契約した分というものは入ってきているわけですね。入ってきているわけでしょう。ミカン農家にとってみましては、入ってくること自身こわいのですね。いまのような措置をどうするか、強化策をしなさい——いろいろやることもいいでしょう。それも大事なことです。しかし、抜本的には輸入禁止の対象にすることがいいわけですね。それまで持っていく過程として、検疫の強化策、向こうでやる強化策、こちらから行ってそれを確認する行為ももちろん必要でしょう。と同時に、いま入りつつあるものを一体どういうふうにしてとめるのですか——とめるというか、無害であるものをどういうふうに証明してやるのですか。そこが非常に心配なんです。それはどうしますか。
  201. 松元威雄

    ○松元説明員 たまたまいまの時期はグレープフルーツの終期に当たっておりまして、この事件が発生いたしましてから以降は、新たに船積みするものはございません。したがって、ありますものは現在洋上航行中のものだけでございますから、これは対象はわかっているわけでございます。  そこで、これにつきまして、国内に到着いたしましたら、先ほどサンプル率もございましたが、従来は二%程度でございましたが、これはもちろんランダムサンプル理論に従いまして、一定の抽出率をもってやっているわけでございますが、この方法をさらに強化すると申しますか、そういうことで、現在洋上航行中のものがわが国に着きました場合に、従来以上に念を入れて検疫をするということで対応してまいりたいと存じております。
  202. 今井勇

    ○今井委員 その、従前よりも入念にというのは、具体的にどういうことなんですか。  それから、もう一つ、少なくも、実情調査に、あなた方は実際向こうにだれか行っているのですか。それくらいの熱意を示しているのですか、向こうにどうしてくれるかということを言うだけで済んでいるとあなたは思われますか。そういうものの考え方が私はおかしいと思う。
  203. 松元威雄

    ○松元説明員 国内検疫の強化の方法といたしましては——なお、実は、これまでもグレープフルーツはもちろん輸入がございましたが、従来はミバエの発見がなかったものでございますから、おおむねミバエはいないだろうと実はそんたくしておったわけでございます。五月末以降発見された。ただし、五月末以降もずいぶん入っておるわけでございますが、そのうち発見されたものは、数としては少ないわけでございます。もちろんこれはサンプルのとり方の問題もございます。そこで、従来サンプル率二%と申し上げましたが、それをさらに上げるということで、そのために人の動員体制も必要でございますが、サンプル率を上げまして、より発見を的確にするようにいたすつもりでございます。  それから、さらに、現地への専門家の派遣ということがございまして、私ども、これについてももちろん考えておりますが、ただ、いままでわが国にカリブミバエが入った例がなかったものでございますから、わが国の資料、知識は、一般的には文献等による知識が中心でございます。そこで、まず、向こうの材料を見ましてから行ったほうが実戦的ではないかというふうに考えましたものですから、実は、アメリカ大使館を通じて申し入れた際にも、お互い専門家同士を交換してもっと明らかにしようではないかと言って、向こうもその提案に合意したわけでございます。いま直ちに行くよりも、先方の資料を十分吟味して行ったほうが実戦的だろうと考えた次第でございますものですから、いますぐ行かずに、それを見てから現地派遣をしようと考えた次第でございます。
  204. 今井勇

    ○今井委員 そうすると、とりまとめてこう了解していいですか。現在日本に向かっているのは、洋上に、要するに船積みが済んだものしかない。今後両国がどういう防疫体制をとるのか協議をする、その協議の内容がととのわなければアメリカからグレープフルーツは入ってこない、そう了解していいですか。
  205. 松元威雄

    ○松元説明員 まず、第一の、これから入ってくるものは、当面は現在洋上にあるものしかございません。グレープフルーツは八、九、十の三カ月は到着はございません。  それから、アメリカに対しまして検疫の改善を要求しておりまして、それにつきまして、わが国と合意が得られなければ自粛を要請するということを要望してございます。もちろん、これは法的な禁止ではございません。しかしながら、自粛を要請しますれば、実は、先方も非常にこの問題を憂慮しておりますから、これは必ずやこたえてくれるであろうというふうに期待いたしております。
  206. 今井勇

    ○今井委員 もう一つ念を押しておきますが、自粛というのは、内容は何ですか。
  207. 松元威雄

    ○松元説明員 わが国に対する輸出の自粛でございます。
  208. 今井勇

    ○今井委員 輸出をしないということですか。そこをはっきりしておいていただきたい。
  209. 松元威雄

    ○松元説明員 私がする、しないということばを使いませんでしたのは、いわば法的に禁止しているものではございませんものですから、相手に輸出しないようにという要請をして、それを向こうが受け入れれば入ってこないわけでございます。先ほどのように、洋上のものを除きましては、当面は入ってくるものはないわけでございますから、それ以降について合意が得られるまでは自粛を要請するよという予告をいたしたわけでございます。したがって、それの期待にこたえることをもちろん期待いたしておるわけでございます。
  210. 今井勇

    ○今井委員 大体政府の気持ちはわかりました。私が非常にしつこく質問しているのも、わが国のかんきつ類の農民が、自由化については非常に危惧をしておったからで、自由化をするのは困ると言っておりましたにもかかわらず自由化になったわけでございます。その上、その自由化されたグレープフルーツに病害虫までおまけがついてくるのではミカン農家は立っていけないという、ほんとうに突き詰めた気持ちがあるわけです。そういうことにすなおにこたえてやることがわが国の農政上最も大事であると思いますし、そういうことにほうかぶりしないことが、これからのわが国の、特にミカン農家に対する責務だと私は思うわけです。  そこで、最後にこれは強く言っておきますが、大体気持ちはわかりましたが、要するに、これからのグレープフルーツの病害虫については、ただいま洋上にあるものは十分検査をするが、そのあとは入ってこないのだ、しかも、直ちに輸入禁止の措置がいまの法令上できがたい場合であっても、それに相当する措置、要するに、疑わしきものは日本に入ってこない措置をあなた方がやるのだと、そういうふうに私は了解をいたしたいと思います。なお、これはあなた方の今後の動向を注意深く見守ります。そして、それがどうなっているかということについて、問題点があれば、また日をあらためてあなた方に質問をいたしたいと思いますが、どうぞ農民の気持ちを十分察せられまして、こういうものが日本に一個たりとも入ってこないように十分やっていただきたい。  最後に、これは植物防疫の体制の強化の問題でありますが、いまあなたはサンプル強化をすると言いますが、この植物防疫に実際にどの程度の人間が当たっておられるのか、私はつまびらかでありません。もしわかればそれを知らしてもらいたいと思いますが、そういうふうなことをじみちにしなければ、あなた方がサンプル調査を強化すると言っても、実際できないのですね。その点をちょっと簡単に答えていただきましょうか。
  211. 松元威雄

    ○松元説明員 まず、前段の、病害虫がわが国に侵入するのを防止するために最善の措置をとるべしということは私も全く同感でございまして、いま内容は申し上げましたが、そのような対策を講じまして、侵入を防止するために努力いたしたいというふうに存ずるわけでございます。  さらに、植物防疫所の人員でございますが、現在六百七十六人いるわけでございます。もちろん、数だけではこれは多いか少ないか御判断しかねるかと存じますが、実は、植物防疫につきましては、非常に輸入量がふえてまいりましたものですから、年々増員をはかっておるわけでございまして、その結果こういう数に達しておるわけでございます。もちろん、私どもといたしますと、輸入量の増大に応じまして、必要な場所に必要な人員を設置するということで、そのための人員要求を毎年いたしておりまして一現在こういうようになっておるわけでございますが、さらに人員の拡充、機構の充実につきましても努力いたしてまいりたいというふうに考えております。
  212. 今井勇

    ○今井委員 これは予算要求の時期にもなりますので、あなたがこの答弁をしたのは大事なことですよ。簡単に言いますけれども、ほんとうに予算要求しなさいよ。これは国会の簡単な答弁だけでは済みません。と同時に、私は、こういうふうに防疫体制を整えていかなければ、あなたが言うようなことはなかなかできないというふうに思いますから、念を押しておきます。  また、先ほどの対米交渉の問題でありますけれども、厳然たる事実は事実なんですから、正々堂々と対米交渉をなさい。何も卑屈になる必要はありません。植物の自由化とこういう検疫強化とは全然別問題です。したがって、これだけ歴然たる事実があれば、アメリカもわが国の主張に耳を傾けざるを得ない。私はそのように思いますので、十分なる検討を期待いたします。  質問を終わります。
  213. 仮谷忠男

    仮谷委員長 竹内猛君。
  214. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 私は、米価の問題を質問しようと思ったけれども、もうすでに先輩がずいぶんやったから、その問題はあとにいたしまして、先ほど瀬野委員が若干質問をした繭の価格の問題と、それから、昨年来質問をしながら、なおいま解決できていない茨城県の筑波山ろくにおけるゴルフ場の始末の問題、もう一つは筑波の周辺にある採石の公害及びそれをめぐる諸問題について質問いたします。   〔委員長退席、湊委員長代理着席〕  最初に、繭の価格の問題に関して質問をいたしますが、先ほども瀬野委員のほうから質問がございましたが、現在繭の価格が相当暴落をしている。一般の物価が上がっているときに、農家でつくる繭の価格がたいへん落ちております。たとえば現在、これは内金と言われているけれども、昨年キロ千七百円であったものが、いまは千二百円の内金が出ている。もちろん、最終的な精算は別でありましょうけれども、ともかく、農家の感じとしては、ことしの繭の値はものすごく下がった、これではやっていけない、こういうように言っておりますが、これの根本的な原因はどこにあるのかということと同時に、この繭というものは生活の必需品であるのか、それともどういう性格のものであるのか、その点の二点についてまずお伺いします。
  215. 松元威雄

    ○松元説明員 御案内のように、政府は、糸価の安定をはかりますために、基準糸価及びそれに見合う基準繭価というものをきめておるわけであります。したがいまして、その意味におきまして、これがいわば最低の保障という意味を持つわけでございますが、それに対しまして、実際の繭価の場合は、これは実際の糸価の状況に応じまして、いわばそれとの一定化率をもって農家の繭の受け取り額がきまっている、こういう実態にございます。  ただいまのお話しは、昨年は、実は、糸価がある意味では非常に好況と申しますか、ブームと申しますか、基準糸価が八千円でございましたのに対しまして、一時一万四、五千円というふうに上昇した時代もございまして、かなり変動は大きゅうございました。その結果を反映いたしまして、繭価が、八千円に見合う基準繭価以上に上がったという実態がございますが、それはそのように糸価が上昇したことの反映であったわけでございます。それに対しまして最近の糸価は低迷をいたしておりまして、基準糸価は、昨年の八千円に対しまして、本生糸年度に適用するものは一万円というふうにきめた次第でございますが、現在は一万円を割っているという事態にございます。  この原因は、一つには需要の抑制、その影響、それからまた輸入の影響、両者がからみ合ってこういった低迷する糸価になってございまして、したがいまして、春繭につきましては、養蚕農家に対しましては、基準糸価一万円に見合うものといたしまして、繭にいたしますと千四百三十何円でございましたか、その保障をいたしましたわけでございますが、このままでは夏秋蚕につきましてはその保障もできがたいということで、目下非常に難航する事態にございます。その原因は、いまのように需要問題と輸入問題両者がございますものですから、そこで、政府といたしましては、糸価の一万円のきめた基準価格に回復するために各般の努力を払っている、こういう事情にございます。  それから、第二の御質問は、あるいはちょっと私の質問の理解が間違ったら恐縮でございますが、繭を必需品と思うかどうかということでございますが、これにつきましては、私は、これは米麦等とは性質が違うと考えております。やはり、繭と申しますか、できる生糸、それによる製品は、これはいわば着物が中心でございまして、九割が着物でございますから、消費面におきましては生活必需物資とは考えておりません。ただし、生産面におきまして、桑というもの、繭というものが、その地域の農家にとりまして営農上きわめて重大なものであるというふうには思っておりますが、繭及びそれに伴う生糸、織物という商品としましては、必需品というふうには考えておりません。
  216. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 そこで、現在の問題が、需給と輸入との関係におけるそういうところから来ているというふうに説明をされましたが、その繭の価格を決定する機関というものは、市場価格、需給関係、こういうものがきめることになるだろうと思うのですが、どういう場所でだれがどういうような形でこれをきめるのか、その需給関係をきめるのにはどれだけ必要であって、そのために外国からどれだけ輸入をしてきて、国内ではどれだけの生産をし、これに対して農家の手取りをどこで保障するのか、こういうようなものをきめる場所はどこであるか、その点はどうですか。
  217. 松元威雄

    ○松元説明員 まず、糸価及び繭価でございますが、これは先ほど私が申し上げましたように、価格安定をはかるために基準糸価及び基準繭価というものをきめている。さらに、実際には現実の糸の取引価格に応じて養蚕農家の手取りの繭価というものがまたいろいろになってくるだろうということを申し上げたわけでございますが、そこで、政府が直接きめまする基準糸価、基準繭価というものは、生産費及び需給事情その他の経済事情を参酌してきめるということで、実際には生産費を基準としてきめているということでございます。  そこで、本年の一万円という基準糸価及びそれに見合いまする千四百三十何円の基準繭価というものも、これは四十八年、直近の生産費を基準といたしまして、さらにその後の物価上昇を織り込みまして一万円というふうにきめたわけでございます。  それから、さらに、それに対しまして、現実の糸価の動向というものは需給事情できまっているだけでございまして、いわばそれは事後的にきまってくる。と申しますことは、実際は生糸の輸入は三十六年以降自由化になっておるわけでございます。本来わが国は生糸の輸出国であったわけでございますが、それが残念ながら輸出がほとんどなくなったということでございますが、三十六年から自由化いたしたわけでございます。したがいまして、輸入のほうは、その意味におきましては自由に入ってくるというわけでございますが、現実の態様といたしますと、昭和三十五年以降の桑園及び生糸の生産の動向を見ますと、桑園面積で大体約十六万ヘクタール、それから生糸の生産量で三十万俵少しということがほぼ固定いたしております。その間、養蚕農家のほうはかなり減少いたしまして、約六割程度に減少いたしておりますし、産地間の移動もございます。しかし、生産量はほぼ一定である。いわば、その間に産地の移動が行なわれ、規模拡大が進んだということでございましょう。そういう実態があるわけでございます。  そこで、生産はほぼ一定である。それに対しまして需要がふえる。これは所得の事情に応じてふえるわけでございますから、それに対応いたしまして、これまでは輸入が入ってまいってほぼ生産を上回る需要の部分を輸入がカバーしておるという結果になっておるわけでございます。ところが、輸入が自由でございますから、そのときの状況によって入ってくるということで、一時、四十七年、四十八年はかなり景気がよくて、ある意味では過熱という点もございましたが、非常に生糸の需要が強いという面もございまして、輸入が非常に入ってきた。その結果、今日のいわば中間在庫が異常に増加いたしまして、その結果が今日の需要低迷にも通じている、こういう状態になっておるわけでございます。
  218. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 その農家の手取りを保障する場合に、米あるいはミカン等々いろいろあるけれども、繭を生産する農家の、いわゆる一日の労賃というものを計算した場合に、幾らになっているのですか。   〔湊委員長代理退席、委員長着席〕
  219. 松元威雄

    ○松元説明員 先ほど申し上げましたが、基準糸価及びそれに見合う基準繭価というものは生産費を基準にきめておるものでございますから、本年きめました一万円に見合うもので逆算をいたしますると、一日八時間当たりに換算いたしまして二千三百一円、それから十アール当たりにいたしますと、これは御案内のように労働時間が非常に長いものでございますから、七万七千六百六十六円という計算になるわけでございます。これは基準繭価に基づきまして逆算した場合に結果的になるものでございます。さらに、現実には、実際の取引価格に応じてきまるわけでございますから、たとえば四十八年などは異常に高かった糸価を反映いたしまして、三千円をかなりこえるような労働報酬が実現したというものもございます。
  220. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 いずれにしても、養蚕というものは一時はものすごく盛んであったけれども、だんだん衰退をしてきている。そして、しかも、需要の中のかなりの部分を輸入しなければならないという状態にあるわけでありますが、この問題について、これもいま残っている部分はかなり重要な地域のものだと思う。私は長野県で生まれて茨城県に住んでおるわけだけれども、いずれも養蚕の県でありますから、そのことについてはよく理解をしているつもりですが、この一日の労賃というものはたいへん安い。あんなに苦労して二千三百一円というようなものではたいへん安い。からだ一つ持っていけば三千円にも四千円にもなるようないまの状況からすれば、非常に無理をして養蚕をやっているということでありますから、この問題は非常に重大です。  そこで、現在の状況を乗り切るために三万俵の買い入れを行なう、こういうようなことを政令できめたというけれども、三万俵の買い入れによってほんとうにこの状況が回復できるのか、そういう自信があるのかどうか、自信がありますか。
  221. 松元威雄

    ○松元説明員 まず、前段の御質問でございますが、御案内のように、繭というものは非常に労働時間が長いわけでございます。したがいまして、生産の合理化によりまして、たとえば稚蚕の共同飼育でございますとか、かなりそれによって省力化を進めてまいったわけでございまして、その効果も漸進的ではございますがあがってきておるわけでございますので、したがいまして、今後も外国産と対抗するためにはより生産性を上げていかなければならないということで、共同飼育を中心といたしまして、生産性向上のための施策をさらに一そう強力に推進してまいりたいというわけでございます。  現状では、先ほど来申し上げましたが、三十五年以降ほぼ同じである。できますれば自給度をもっと上げたいわけでございますが、そのためには、省力化を中心とする生産性向上の施策をより一そう強力に講ずる必要があるわけでございますものですから、そのようにしてまいりたいと考えておるわけでございます。  第二点の問題は、三万俵の買い入れで糸価が回復できるかということでございますが、これは、現在、糸価の安定のために三万俵という中間買い入れがあるわけでございますが、これはすでにもう二万俵以上買っているわけでございます。にもかかわらず、糸価は回復しない。したがいまして、現在の情勢では、既存の三万俵のワクだけでは糸価は回復しない。したがいまして、他の有効な措置を講じなければならぬ。一つには輸入を強力に調整する措置、もう一つはそれと見合って三万俵の買い入れワクをさらに拡大するかどうか、両者あわせて考えなければならぬというふうに考えております。
  222. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この点に関して通産省では行政指導をやっているということであります。その行政指導の場合に、その通産省の行政指導に従わなかった場合にその業者を罰する、取り締まる、こういうことはできるかどうかということが第一点。それから、繭の輸入先との関連で、他の国内のいろいろな輸出品にあるいは関連があって、どうしてもこれを輸入しなければならないという事情があるのかどうか。  私は、この春、一月に中国へ行ってまいりました。中国の生糸がかなり入っております。現在、資料を見せてもらうと、大体国内のそれと値段が同じくらいであります。韓国のほうは安い。確かに安い。安いからこれを輸入するということで韓国の生糸が入ってくるということだとすれば、これは問題である。中国では、中国の農産物が日本に入ることによって日本の農業が破壊をされないようにということが大原則であって、どうしても日本で必要であるならば中国は生糸なりえさなりを出すという原則を立てておるわけですから、この点は、海外との関係におけるところの契約の中で輸出規制をした場合に、何か問題が起こるのではないかという心配がある。それはどの方面にあるのか。この二点についてお伺いします。
  223. 黒田真

    ○黒田説明員 お答えいたします。  まず、第一点の、強力な行政指導をやっておるそうだが、それに従わなかった場合何らかの取り締まりが可能かという御質問でございますが、その点につきましては、法律的には何らの制裁措置というものはございません。しかしながら、私どもといたしましては、主要な商社に対する説得と指導を通じまして十分効果をあげる、すなわち、取り締まりとか制裁を要するような事態にはならないだろうということを確信しております。  第二の、何らかの措置をとった場合に、輸入先との関連で輸出品等に影響があるのではないかという点でございますが、従来、わが国といたしましては、輸入面では自由化を進め、他方、わが国の輸出先についてはできるだけ各種の制限を取り除いていくという基本的な方針で進んできておるわけでございます。輸入をしております商社を指導いたします場合でも、先方が自由に売りたいという数字を押えるわけでございますから、当然、その過程では、相手国政府等に十分にわがほうの事情を説明いたしまして、了解を得る努力は必要だというふうに考えて、何らかの影響が起きないような方向で、相手国政府への説得ということについてもできる限りの努力をいたしておる、こういうことでございます。
  224. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 この問題は、窓口は農林省であるけれども、実際は通産省あり、外務省あり、大蔵省ありというぐあいに、非常に各省が関連をしていて、かなりむずかしい組み立てになっているようであります。われわれは農林委員会でありますから、農家の手取りを安定する、そこが中心なわけなんです。  そこで、問題は、海外輸入により関係国との間のいろいろな調和が乱れるということも心配の一つではありましょう。それから、また、製糸業者というものは企業が成り立たないという心配もあるだろう。しかし、問題は、農家が桑をつくり、繭を生産しない限り、国内においては養蚕業というものは滅びてしまうのだから、私どもは、国内においては養蚕農家を守っていくという立場に立たなければならない。審議会もいろいろ設けられているわけだけれども、一体どこを中心にこの問題は考えられているのか。このことをまず一つ質問したいと同時に、これは私の意見ですが、生活必需品ではないが、しかし、今後の生産のためには大事だという局長の答弁は、私はそのとおりだと思う。だとすれば、このようなものは、資本主義の自由市場の中で、景気のいいときには無制限にどんどん物をつくらせて、そして、景気が悪くなれば価格がたたかれてしまうということではぐあいが悪いから、一定の計画性というものがあって、割り当てなどが行なわれて、輸入などというものは事業団が一元化をしていくという方向によって農家の手取りを保障していく、同時にまた製糸業者も安定をする、こういう方向でいかなければいけないと思う。  こういう点について、それぞれの関係者から答弁をもらいたい。
  225. 松元威雄

    ○松元説明員 まず、前段の御質問でございますが、わが国の蚕糸業、特に、繭というものの生産振興をはかるための手段といたしますと、一つは、基本的には、何と申しましても、先ほど申し上げましたが、生産性をあげること、特に、労力の非常にかかるものを省力化を一段と進めるということが第一、それから第二は、価格の安定をはかるということ、この二つを柱にいたしまして、蚕糸業の生産振興、今後の安定的な発展をはかっていかなければならぬというふうに考えるわけでございます。  その場合に、繭糸価格の安定制度と輸入との関係、これは確かに理論的には相当むずかしい問題がございます。繭糸価格を安定いたしますために、一つには、基準糸価、基準繭価というものをきめて、一定量を事業団が買い入れをするということによって、いわば需給の変動に対処いたしましてそういう措置を講ずるという安定策が一つあるわけでございますが、それに輸入がからみ合った場合にはなかなかむずかしい問題を生ずるわけでございまして、ある意味では、事業団の買い入れを通ずる価格安定措置と、現在のいわば自由化している実態があります輸入とをどう調整するか。一番徹底すれば、それは再び外貨割り当てに戻すということも理論上考えられますが、これも現実にはなかなかむずかしい問題がございます。要は、いかにして秩序ある輸入をはかっていくかということで、そこで、先般の御改正で一元輸入という最後の手段方法の規定が設けられたわけでございますが、この発動のしかたにつきましてもなかなかの問題もあるわけでございます。要は、国内における買い入れを中心とする価格安定制度と輸入とをどう調整するか。現制度では、理論的に一時的には調和点はなかなか見出しがたいわけでございますから、その間に最後の歯どめを置きながら、必要な行政指導等を通じて秩序ある輸入をはかっていくということが当面の課題だというふうに考えておるわけでございます。
  226. 黒田真

    ○黒田説明員 輸入について計画性を与えるべきではないかという点でございますが、私ども、繊維産業全般を通じまして、ある意味で同じような問題をかかえております。特に、昨年、国内の景況にもよりましたわけでございますが、繊維品の輸入というものが、その前の年に比べて四倍ぐらいの高水準というものが入っておりまして、現在各繊維ともたいへんな不況の状況下にございます。その際、そういった不況の原因というものが輸入にあるのではないかという御意見がございます。確かに、輸入が一つの原因になっておることは否定できないと思いますが、より基本的には、国内の総需要抑制政策というものが浸透をしておりまして、需要が、中間需要を含めてなかなかついてきていないというのが現状かと思います。私どもは、こういう状況下で無秩序な輸入が行なわれて国内市場が撹乱されるということは望ましくない。しかしながら、直ちにこれが法的な意味での計画性というところにいく前の段階で、事業者の自主的な判断にまつという意味で、行政指導をできるだけ強化しながら、無秩序な輸入というものが起こらないように目下指導をしておるところでございますし、これが相当程度の効果をあげるというふうに考えておるわけでございます。
  227. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 時間の関係で、これ以上この問題についてはもう進められませんから、いずれまた、大会でも終わってから別な機会にやらなければなりませんが、そこで、次の二つの問題を一ぺんに私は質問しますから、それぞれ関係者から答弁をいただきたいと思うのです。  昨年、この委員会で、私は、二回にわたって、茨城県の筑波山麓にあるところの二つのゴルフ場の問題の認可をめぐり、それから、それから出てくる流出被害について、その補償のことについての質問をし、これに対してそれぞれに善処を求めてまいりました。しかしながら、現在その現場へ行ってみますというと、ここで約束されたことが現実に守られておらないという実態があります。そして、地元の農家は、この二つのゴルフ場のうしろには、かつて大臣をやった経験者がちゃんといて、そのうしろには元の警視総監なんかもちゃんとついていて、何を言ってもむだだというわけで泣き寝入りをしている。ものを言っても押えられてしまう。それから県庁に関しては、この質問をすると、一ぺん認可をしたことだからもうあとはしかたがないんだというようなことを言って責任を転嫁してしまう。現実に、去年の六月、八月、十一月の水によって、雨によって、土砂が流出し、水田は埋まってしまい、川はそれによってこわれてしまっている。それを去年じゅうに復旧すると言いながら、いまだにこれが復旧していない。あるいはまた、ことしの雨でも、同じように、相当な被害が出ております。そういうような状態に関して何ら手を打たれておらないという状態について、それは農地がそこにはない。そのゴルフ場には農地がない——しかし、そのゴルフ場はもとは構造改善事業をやって、これを中止した場所である。しかも、農免道路をつくっておきながら、ゴルフ場にその道は通ずるという状態だ。こういうような、非常に疑わしいような状態の中でゴルフ場ができて、しかもそれは雨のたびに被害を起こしている。しかも、起こった被害に対する補償は全然誠意を持ってやっていないという。そして、調査をすれば、いやそれはやっていると言うけれども、それなら現地に一緒に行ってみようじゃないかということになる。こういうような不誠意なこと、一人の人間でも粗末にしてはならないと言っておきながら、二つの部落でこういう問題がいま起きているという事実について、これはやはり許してはならないという問題がありますので、この点はぜひ調査をし、それから、調査をした中についてのことは報告してもらいたい。しかも、これは水郷筑波国定公園の中にあることであって、環境庁としてもこれはやはり注意をしてもらわなければならない問題であるから、これも調査をしてもらいたい。  それから、もう一つの問題は、同じ筑波の表側には、千代田村、新治村あるいは真壁、大和村という町村があります。ここは砂利の採石と、それから石の生産をしております。そのことによっていま起きている問題は、たいへん複雑な問題が起きている。私たちは、石を取ったり砂利を取ることに対して反対をするわけじゃないが、その取り方について、地域の住民の環境を無視をし、破壊をし、砂利さえ運べばいい、石さえ取ればいいという状況だ。同じようにここでも、石を取ったあとに土砂が残り、雨が降ればそれが流出をして水田を埋めてしまう、畑を埋める、こういう状況であります。しかも、天気になれば、これが今度はダンプのあおりによってもうもうとしたほこりになり、家の中からどこからみんなほこりだらけになってしまう。作物の上にそれが落ちてくると、酸素が吸収できなくてこれが縮んでしまうという状態である。これに対して、その住民は黙っている、ものを言ってもしようがないんだ、と、こういう状況なんです。このような問題に対して、調査をし、それに対する対応をしてもらわなくてはならない。  もう一つは、その石を取ってきて、それを今度は製品とする場合に、のこぎりでこれをいろいろな調整をします。その音が、これはまたたいへんなものだ。その騒音によって睡眠ができない。そのために胃が悪くなる。病気になって入院する。こういう状態の人々が相当おります。近くの大きな病院で入院患者の実態を聞いてみると、騒音によるところの胃腸病、睡眠不足によるところのいろいろな障害、こういうものが出ていることも事実だ。そういうような問題に関して、いま、ある町では、石材団地をつくって、その団地で、そのような騒音を出すものは一カ所に集めて、ここでやろうじゃないかという指導をしているところもあります。そういう指導についてはぜひ進めてもらいたいけれども、ともかく、せっかくのこの自然あるいは公園というようなものがあるにもかかわらず、それがどんどん破壊されていって、砂利を取り石を取るためにその周辺がおそろしく荒らされている。自然が荒らされるだけではなくて、人間も荒らされ、地域も荒らされているという事実について調査をし、そして、これに対する適切な指導をしてもらいたい。  こういうことについての調査実態等について、今日までわかった範囲内において報告してもらいたいと思うし、なお、この問題は、別なときにその後の経過についてはやはり追及をしなければならない問題である。もちろん、これは国の問題だけでなしに、県の問題でもあるのですが、県のほうにいろいろ要求しても、県ではいろいろな関係があって、これに対して適切な指導ができておりません。それですから、やはり、関係当局のこれに対する強力な調査と指導を要求します。
  228. 大山一生

    ○大山説明員 御質問の第一点あるいは第二点に若干関係すると思いますけれども、ゴルフ場の新設という場合には、それが農地が関連する場合において、その農地が生産性がどうというようなことは当然のことでございますけれども、それらの問題を解決して、なおゴルフ場に適当であるということで転用を許可するという場合には、公害といいますか、いわば周辺の農地等に対します被害の発生のないような措置をとらせるようなことを命ずるわけでございます。そういう関係でいたしまして、農地の転用という問題がからみますゴルフ場につきましては、これは、わがほうから転用の際につけます条件に従って——いわば異常災害でない場合において、そういう地元の農地等被害を生じさせないような防災措置をとらせるという条件に従っているかどうかということにつきまして、これは担当の県の農地関係を通じまして指導監督また調査をしてまいるということに相なろうかと思います。  ただ、御指摘のゴルフ場の中で、完全に山林だけでつくられましたゴルフ場ということに相なりますと、これは森林法が今度改正になりましたので、そちらのほうからの条件ということは今後の問題としてはあり得ると思いますけれども、現在のところはその種の問題がございません。そこで、これは砂利採取のための農地の転用というような場合においても、同じような条件をつけるべきところはつけている。そういうところについてはそういうかっこうで調査してまいりたいというふうに考えるわけでございます。  ただ、一般論として、ゴルフ場ということとの関連において土が農地に流れ込んできたという場合においては、被害を受ける立場における官庁の一つというかっこうにおいて、われわれも関心を持たざるを得ないと思っております。ただ、茨城県の場合で申し上げますならば、ゴルフ場の防災その他についての規制条例といいますか、要綱というようなものがございますので、それが県の企画部系統で行なわれているということとの関連からいたしますと、わがほうから直接にどうというわけにはまいらぬというふうにも考えるわけでございます。  ただ、先生のお話しにございましたところの、昨年でございますかの、われわれのところに来ております報告では、補償その他のことは完了したということになっておりますが、先生から完了しておらないというお話しでございますので、この点については調査してみたいと考えるわけでございます。
  229. 山村和男

    ○山村説明員 お答えいたします。  先ほど御指摘の筑波山周辺の四町村にまたがります採石場の採石によりますところの公害問題につきましては、御承知のように、同周辺には百四十カ所に及ぶ岩石採取場がございまして、これらの岩石の採取によりますところの公害防止につきましては、先生承知のように、騒音防止規制法とか、あるいは大気汚染防止法とか、水質汚濁防止法に基づきまして、茨城県が監督指導を行なっておるところでございますが、そのほかに、採石法におきましても、岩石の採取に伴いましての災害の防止のための方法とか、あるいは施設の設置等を採取計画に定めるように義務づけておりまして、これによりまして排土の流出その他の公害あるいは災害の防止をしておるところでございます。  したがいまして、通産省といたしましては、都道府県におきまして、岩石採取場におきますところの監督指導が適切に行なわれますように、採掘方法及び排土の処理方法等につきまして、技術指導基準等を定めまして、その周知徹底方につとめておるところでございますが、先ほど御指摘のように、同地域におきましての岩石の採取等によりまして、採掘のあとで火山灰等の軽石類のものが飛散したりいたしまして、周辺地域の環境を汚染しているように聞いておりますので、通産省といたしましては、担当の者を現地に至急派遣いたしまして、茨城県とともに共同調査を行なわせまして、その結果に基づきまして所要の改善の指導をしてまいりたいと思っております。  次に、真壁町におきます石材工場の公害問題でございますが、これにつきましては、茨城県を通しまして私たちが聞きました範囲内でございますが、真壁町地区には現在三百五十ぐらいの石材工場があるそうでございます。そのうち大体百二十が採石法に基づきますところの対象業種でございますが、そのうちの約八十ぐらいが要するに零細企業でございますので、採取計画の認可を必要としないような業種でございます。したがいまして、これらの公害問題につきましては、非常に関係諸法令との関係もございますが、環境庁のほうとも十分連携をとりまして、同じく茨城県と協同して、現地に関係官を派遣いたしまして、その結果に基づきまして適切なる改善措置を講じさすよう指導いたしたいと思っている次第でございます。  以上でございます。
  230. 新谷鐵郎

    ○新谷説明員 まず、最初にお話しのございました水郷筑波国定公園の中のゴルフ場の問題でございますけれども、環境庁といたしましては、昨年来、国立公園の特別地域の中にはゴルフ場は一切認めないという方針を出しております。水郷筑波国定公園につきましても、その後新設等のお話しも出ておるようでございますけれども、国定公園も国立公園に準じた方針をとっていただきたいということで県を指導いたしております。県も現在そういう方針で臨んでいただいておるというふうに理解しております。  問題は、すでに設置されておりますゴルフ場が、先ほど先生から御指摘のような災害等を起こしたということは、私どもの立場では、自然景観の保全上の問題になるわけでございますけれども、県からの報告では、あくまで設置者の責任において必要な措置がとられつつあるというふうに聞いておりましたけれども先生のお話しのように、だいぶ問題があるようでございますので、県を通しまして十分調査いたしたいというふうに考えております。  次に、採石の問題でございますけれども、私ども承知いたしております範囲内では、水郷筑波国定公園の中での特別地域の中では、特に新治村の東城寺周辺に約七カ所、かなり規模な採石工事が行なわれておりまして、国定公園の風致景観という観点からのみ考えれば、まことに遺憾な状態であるというふうに考えておりますけれども、この採石は、公園指定前からずっと行なわれておったということでございまして、したがって、新しく公園法上の許可を必要とせずに既着手行為として行なわれておるというところに一ついま問題があるかと思います。  県のほうに聞きますと、採石法で許可されました時期が近くまた切れるということでございます。そうなりますと、新しく公園法上の許可も必要になるということでございますので、その際、県を十分指導いたしまして——公園の中の採石の問題は、御承知のように、非常にむずかしい問題がございます。単に風致景観の観点からだけでこれを一がいに全部禁止するというような措置は、それによって生活しておられる方たちが大ぜいおるというようなことで、なかなかむずかしいものでございますけれども、風致景観の保全上どうしてもとらなければならない措置につきましては、県を指導いたしまして善処いたしたいというふうに考えております。
  231. 竹内猛

    ○竹内(猛)委員 もう時間が過ぎてしまったので恐縮ですが、最後に一言だけ要望して終わります。  ただいまの私の質問に対して、かなり調査をされ、親切な答弁がありました。私は、この皆さんの答弁を一応了としますが、地元の人たちは、すでにかたまって、これに対していろいろな要求をしようとしておるわけですが、県のほうがあまり現地に行っておらないようです。ですから、われわれが見た状況と、それから県の報告とは食い違っておるわけです。地元の農民の人たちは、きわめて押しつけられていて、押えられているわけだから、ものが言えない状態にある。その、ものの言えない者にいまものを言わせて立ち上がらせておるわけですから、そういう状況で、現地はかなりきびしいものがありますから、だから、調査をされて、そして適切な指導をする必要がある。地元のほうからも、またしかるべき要請をして——問題は、やはりそれを許可をしておる県にもちろん責任があるわけでありますから、県を鞭撻しなければなりませんが、少なくとも国の機関として環境庁あり、建設省あり、通産省あり、農林省があるわけですから、農地を守り、環境を守り、自然を守り、そして、同時に、そこの地元で働いて長い間そこを守ってきた住民を守るためには、どうしてもその実態を確かめて、しっかりした指導をしなければいけないと思うので、この点をつけ加えて、私の質問を終わります。  どうも、時間を過ぎて失礼いたしました。
  232. 仮谷忠男

  233. 米内山義一郎

    ○米内山委員 開発問題について、まず最初にお尋ねします。  先般の参議院選挙に際して、田中総理は日本じゅうをヘリコプターに乗って吹きまくって歩いたわけです。その中で、若干評価に値する発言が仙台でありました。それは、むつ小川原開発について、日本列島改造の中の目玉商品と言われる開発の現地では、一言も総理はむつ小川原開発に触れなかった。ところが、仙台に来て、いまむつ小川原開発は反対運動のためにがたがたしている、したがって、今後は、計画を立てる前に住民と話し合いの上に計画を立てて進めたいと、こういうことを言っておる。これは、言うならば、いままでの開発のやり方ないしは考え方についての一つの反省だと思われる。また、その必要もあるのだ。総理大臣がそう言うておるのであるから、今後このむつ小川原開発を担当する新しい国土庁も、いままでの、いわゆる見切り発車というようなやり方に対して、何らかの、総理の意に沿うての反省をする気持ちがあるかどうかをまず聞いておきたい。
  234. 近藤隆之

    ○近藤説明員 総理の仙台の発言云々につきましては、私は実は存じないわけでございますけれども、地域開発につきまして、地域住民の意向や地方公共団体の意向を最大限に尊重しなければならないことは当然であろうと思います。そいった下の同意を得ないような地域開発が円滑に進むはずはないわけでございまして、従来もそうしてきたと思いますけれども、国土庁のこれからの地域開発にあたりましては、そういった地域住民の声の反映ということを最大の一つの要点として、これから開発行政を進めていきたいと思っております。
  235. 米内山義一郎

    ○米内山委員 いまの話は、六月三十日の朝日新聞の本紙を見ればわかることだから、それを見て、総理の意思を十分体して、いまの御答弁のようなことで進んでもらいたいと思います。  そこで、見切り発車というものはいかに悪いかということなんだが、いま、青森県で、東通村で二千万キロワットの原子力基地をつくるために見切り発車が行なわれておる。これは、農林省が、農地法五条に基づいて農地転用の許可を与えた場所なんです。  そこで、私は去る七十二国会に、文書による質問主意書を提出し、それなりの答弁を受けておりますが、きょうは、それについて申し上げましょう。  まず、農地法第八十三条というものはどういうことを書いているかを承りたい。
  236. 大山一生

    ○大山説明員 農地法の八十三条は、農林大臣または都道府県知事は、この農地法施行のために各種の報告を徴することができるという規定でございます。
  237. 米内山義一郎

    ○米内山委員 その中で虚偽——まあ、詐欺とか不正の手段で許可を申請して行政を誤らせていた許可は取り消すということになっているんじゃないですか。
  238. 大山一生

    ○大山説明員 八十三条の二によりまして、詐欺その他の手段によっていろいろの許可を受けたとか、こういったようなことになりますと、違反転用に対する処分を命ずることができるわけでございます。
  239. 米内山義一郎

    ○米内山委員 そこで、そういうことについて明白で重大な詐欺行為があった場合には、取り消すのですか、取り消さないのですか。
  240. 大山一生

    ○大山説明員 転用の申請をいたします場合に、これは一般論でございますが、虚偽のことが書いてあったという場合に、その虚偽のことが書いてあったということだけでこの八十三条の二の適用をされるということには必ずしもならぬのであろう、虚偽のことが記載され、その結果といたしまして、当局の判断を誤らしむるような事態が生じたという場合において取り消すことに相なろうか、と、このように思います。
  241. 米内山義一郎

    ○米内山委員 虚偽であるかないかということは主観的に断定すべきことではなくて、これは客観的に調査の上判断すべきことだと思う。  さらに、農林省は、この許可処分をするにあたって、一定の基準に基づいて審査ないしは調査をしているはずだ。その結果として許可という行政処分がなされるのが普通なんだ。  そこで、私は、この二千万キロワットという、世界にもない原電基地をつくるということを目的にして出された申請を、諸君がどのような審査をしたかを承りたいのです。  まず、第一には、こういうことの実現性があるかないかの問題なんです。架空であるかないかの問題なんです。土地を取得したいがために二千万キロなんという虚構をかまえたものではないかということだが、まあ、これはきょうは簡単に申し上げましょう。私に対する答弁書によると、東北電力、東京電力は、過去のそれぞれの実績から見てこれをやり得る能力があると判断したと書いてある。技術的にはあるいは可能であるかもしれない。だが、百万キロワットの原子力発電所一つをつくるには二千億円かかる。それを、東北電力が十基、東京電力が十基、都合四兆円の投資が必要なんです。この点について、四十七年度から着手するという計画書があるんなら、資金計画というものについてどういう審査をしたか。しかも、そういう資金計画というものは、両電力会社の用地取得係というような事務レベルではできるものではないのだ。いつかの重役会議で、両社の重大な方針として重役会が決定しなければこれは資金計画とは言えない。通常、一般庶民の農地転用に際しては、そういう資金計画まで審査の対象になっている。この際、その資金関係の可能性というものを、何に基づいてやったのか、やる可能性がある、実績に基づいてそれができるであろうという判断を下した根拠を明白にしてもらいたい。
  242. 大山一生

    ○大山説明員 先生の御指摘の、事業遂行能力を備えると認められるという中の資金計画というものはどういうものであるかという御質問でございますが、東北電力及び東京電力ともに、農地の転用申請書の中に際しまして、この原子力発電所の建設計画と資金計画を会社といたしまして決定して報告をしている。つまり、会社の社長名において報告されているわけでございまして、先生の言われました重役会がいつ行なわれたかというようなことは、要するに、対外的には社長名で出されている内部の手続でございますので、内部の重役会議がいつあったというようなことは、われわれは審査する必要はない、社長名において出されている計画ということにおいて、それの内容を審査いたした、こういうことでございます。
  243. 米内山義一郎

    ○米内山委員 なかなかおもしろい答弁だ。一般庶民の零細なものには、個人の名がついても中身を審査するが、こういう巨大資本の申請に際しては、社長の名があるから中身まで信用したというのはおかしい。不公平だ。  さらに、許可するにあたって、他の産業、特に農林水産業に及ぼす影響について、農林省としては特に重要に審査しなければならぬ。私に対する答弁書によれば、百万キロの原子炉一基について冷却用水が一秒間に六十トン必要だと書いてある。一秒間に六十トンということは、一日に一億六百万トンということなんだ。一年に直すと四百億トンに近いのです。日本の全河川の一年間の流量は三千億トンなんだから、これの十分の一なんです。青森県から利根川に至る、あの奥羽地方の東斜面の流量はこれ以下なんですよ。それだけのものがその原子力発電所から海に排出され、それが六度ないし七度高いという。やがてはさめるだろうと諸君は考えるかもしれないが、さめるためには気象に変化が生ずる。公害どころの問題じゃない。こういうことは、いまどきは中学生でもわかることなんです。こういうことに目をつぶった行政処分というものは重大な誤認であると言っても差しつかえないと思うが、それでもなおかつ誤認ではないと言うか。
  244. 大山一生

    ○大山説明員 農地の転用によりまして水産業等に影響を及ぼすことがある場合、こういう場合の農地の転用の許可の可否の審査、こういうときにあたりましては、その影響に応じた適切な被害防除なり補償措置が講ぜられることが確実であるかいなかを判断するということになっているわけでございます。本件の場合、両電力会社によります原子力発電所の建設にかかわります復水器冷却水の排水との関連における漁業権との調整の問題につきましては、青森県と両電力会社が協力して行なうという覚え書きもございますので、これによって適切に措置されるものと判断したようなわけでございます。
  245. 米内山義一郎

    ○米内山委員 時間が非常に少ないから、この問題についてはまた別の機会に文書による質問主意書を提出します。  そこで、次は、むつ小川原の問題なんです。これはまだ事前審査の段階であるが、実質的には買収と同じ行為をしている。金は全額払っておらないけれども、八〇%支払っている。移転費用も払っている。売った人は農業をやめて他に移っているのです。これでもう農地が放棄されているのです。引き渡し書がなければ違法でないというのがいままでの農林省の答弁だけれども、引き渡しをなくても、放棄された土地は一体何だ。農地法第一条の趣旨に照らして、こういう事実は何だと思うか。農地法に沿うている行為だ、と、形の上ではそうつくっているが、実質的にそんなことは脱法行為というものじゃないか。これでも農地法の九十三条の罰則は当てはまらないという根拠があったら聞きたい。
  246. 大山一生

    ○大山説明員 質問主意書に対します答弁書にも書いてありますように、契約を結ぶことだけで違反であるということではございません。契約を結んだことのほかに、事実上の権利の設定、移転の効力が生じないままに、事実上その効力を生じた場合に行なわれるとひとしい行為が行なわれた場合には違反ということに相なります。これは質問主意書に対して答弁したとおりでございます。  耕作放棄をされているということでありましても、この耕作放棄がいわば農民の意思によってやられているという限りにおいては、これで売買行為が完結した、したがって売買の完全な引き渡しが済んだということには相ならないわけでございまして、そのことによりまして、先生の言われましたところの農地法違反ということになるというふうにはわれわれ考えないわけでございます。
  247. 米内山義一郎

    ○米内山委員 それじゃ、最もわかりやすい実例で質問する。  農林省の所管の中に八郎潟干拓事業というのがある。これには入植者の希望が殺到している。かなりきびしい選考を受けて入植がなされるわけですが、その選考基準の中で、たとえばある人が青森県の六ケ所に二十七ヘクタールの土地を所有して、かつ耕作している、四十頭の牛を飼っていますというときに、こういう人は八郎潟入植の資格がありますか。
  248. 大山一生

    ○大山説明員 きょうは八郎潟の資料を持ってまいりませんでしたが、八郎潟の入植者につきましては、それぞれの資格要件がございまして、その資格要件に該当する方々について選考した結果、適当であるということに相なりますと、その方を入植をさせるということに相なるわけでございます。  いま、六カ所村で二十五ヘクタール、四十頭の経営をやっておられたということがあって、それだから、それが八郎潟の入植者の資格との関係でどうだと言われますと、そういう大規模経営をやっているという経験というものは、やはり入植者の選考の際の一つの基準として参考とされることであるというふうには相なるわけでございまして、したがって、いままでも大規模経営になれているという方であるならば、その他のいろいろの条件と総合いたしまして、それが適当な人であるならば入植者として選考されることは当然あり得るというふうに考えるわけでございます。
  249. 米内山義一郎

    ○米内山委員 これは架空の話じゃなくて、事実なんです。農林省の見解によれば、まだ土地を売っていないし、引き渡ししていないから六ケ所村で農業をやっていることになる。だが、この人は合格して入植しているのです。もし入植したというならば、うそをついて入植したのか、私は開発に土地を売ったから入植したいのですということで入植したのか。うそを言って入植したのなら、この人は失格しなければならぬ。農林省の中で、同じことを、こういうふうに矛盾したことをやっているのだ。うそじゃないのだよ。そうすると、この人はもう土地を売ったことになるのだよ。農林省はそれを、その部分では認めている。そういうことにならぬのですか。
  250. 大山一生

    ○大山説明員 きょうは書類を持ってきませんでしたので、あるいは間違っておりましたら訂正させていただきたいと思いますけれども、入植者として決定して入植した場合に、すでに持っていた農地というものにつきましては、これは県によってやり方は違っておりますが、たとえば秋田県の場合では、その村の残った方々の規模拡大に資するようにすることというような条件がついております。いずれにいたしましても、私の申し上げたいことは、処分し終わってからでなければ入植してはいかぬということは何ら規定していなかったというふうに考えております。いずれにいたしましても、入植する際に、向こうの前の土地のあったところで経営しながら、出作みたいなかっこうで将来とも経営していくということは当然考えていないわけでございます。ただ、入植する時点までにその土地を処分しなければならぬという拘束は、たしか、一般論としての資格としてはなかったというふうに考えております。
  251. 米内山義一郎

    ○米内山委員 むつ小川原開発の中の土地を売ったところの、われわれが言う、いわゆる開発難民、これを収容する新住区の農地転用の許可がおくれている事由は何ですか。
  252. 大山一生

    ○大山説明員 転用の許可がおくれている事由といいますと、むしろ、転用許可申請がまだ出るような段階になっていないから、許可云々という審査の問題に入っていないということでございます。
  253. 米内山義一郎

    ○米内山委員 しかし、数百名の土地を売った人の中で、五名か十名かは、どうしてもそこに移らなければ行き場がないような難民が出てきている。こういう人たちのためには、転用許可が急がれてしかるべきだと思う。ただし、一戸ずつ実際そこに移る人に申請させていく。その人に許可すべきであって、何もこれは第三セクターの世話にならなくてもいいのです。申請手続は、実際にそこに居住する希望者本人がやるべきだ。そうすると、あえて農林省の判こは要らないのです。町村の農業委員会でもいい場合がある。県知事でもいい場合がある。それをやらずして、申請書も出さないまま早く許可が来るとか、実は、国会中に転用申請を出せば国会がうるさいから、国会が済めば農林省が出すとか、選挙が済めば出すとか、こう言っているが、いま聞けば、申請書も出ていないのだから、あなた方も許可のしようがないはずだ。そこで、実際に行き場がないというような人があれば、これは人道上の問題だから、それはやはりその規模において、それこそ詐偽もない、うそもないことで町村なり県知事がやればいいことだと私は思うが、農林省はそういう指導をする考えはありませんか。
  254. 大山一生

    ○大山説明員 われわれのほうには、知事並びに村当局のほうから、相当数、約二百五十戸ほどの方々の新住宅をつくるための、いわば新市街地の形成ということを早急にやってもらいたいという要望があるわけでございまして、先生の言われた数とはかなりの差があるわけでございますが、いずれにいたしましても、われわれのところに現在要望として来ておりますのは約二百五十戸程度ということでございます。  そこで、新市街地のあり方の問題につきましては、これは御存じのように、閣議口頭了解にもありますようなことで進めてまいるわけでございますけれども、やはり、新市街地を形成する以上は、ある程度組織的に道路もつくり、学校もつくるというふうなかっこうで、いま、一種の区画整理といいますか、都市計画的な遂行をしなければならぬというようなことからいたしまして、将来この地につきましての農地転用の申請があって、それに対してわがほうで処置する場合におきましては、このむつ小川原開発の計画作成等のこれにつきましては、今後とも各省間で協議して進めてまいるわけでございますけれども、それには当然県の計画ということが前提になりますけれども、そういう進捗状態を進めながら、緊急性なり、あるいは新市街地全体としての建設計画なり、それから移転者の就業対策等というような点について十分検討してこういう措置をするということに相なろうかと思っておるわけでございます。
  255. 米内山義一郎

    ○米内山委員 局長、実は、私は現地の者でして、県庁よりは詳しい実態を知っている。われわれの調査では、十数名もない。調査漏れの中に五、六名あるかもしれない。県が現地に開発難民の生活相談所というものをつくっている。土地を売ったあとでどういう商売をやりたいかということなどを聞いているが、ここへ移ろうという人々が県庁に何を頼んでいるかというと、たばこ屋の許可を取ってくれという人が八五%いるのです。おまえのたばこをおれがのんで、おれのたばこをおまえが買うというような、まことに漫画みたいな開発計画だ。これを進めようとするのは、農林省がスタートを切った見切り発車なんだ。開発というものをよく見ると、見切り発車、見切り発車と言うけれども、どこの開発を見ても、行政上の実際行為は転用処分から始まっておる。開発が反対を受けてがたがたになっているという総理の発言は全く真実なんだ。これの元凶は農林省だ。しかも、むつ小川原や東通村に許可の判を押したのがいま何をやっておるのだ。何だかという、名前を言うことはちょっと控えるけれども農林省の構造改善局長が、その申請をした会社の常務取締役に天下っているじゃないか。こういうふうなことをやって、その行政の結果が住民に重大な損害を与えた場合の責任はだれがとるか、国家がその賠償をするか、役人が個人として責任をとるか、この点を明白にしてもらいたい。
  256. 大山一生

    ○大山説明員 いま先生からたばこ屋が八割というお話しがありましたけれども、われわれがアンケート的に調査した県の——この県というのも、おそらく地元にやってもらったのだろうと思いますが、それで見ますと、たばこ屋が商業に入るのか、自営業に入るのかわかりませんけれども、商業なり自営業をやりたいという人を合わせましても、三割から四割程度というのが、われわれのところにありますデータによりますむつ小川原の開発関係の住民の職業志向ということでございます。志向でございますから、各人が言っているわけでございまして、それが一つのグループというかっこうで固まる場合には、当然志向も変わってくるのではないだろうかと思います。  そこで、先生が言われます問題の、これが失敗したらどうするのだというお話しでございますけれども、この点につきましては、第一次の県の開発計画ということを踏まえながら、関係各省において十分協議してまいる、こういうふうなことで進めてまいるということがすでに閣議了解されております。そして、また、近く第二次の県の開発計画も出てくるやに聞いております。それらの問題につきまして、環境的な面も含み、それから各種の立場というような問題から、関係各省協力してその問題を協議し、そして検討してまいる、こういうふうなことになっているわけでございます。政府といたしましても、関係各省ともども十分な納得の上でこの問題を進めてまいる、開発してまいる、こういうふうな方向がきまっているわけでございます。  したがいまして、環境等にも支障のないように、そして、住民対策にも万全の措置を講ぜられたかっこうにおいて、この地区の問題がいずれは解決する時期の来るであろうということをわれわれは期待しているわけでございます。
  257. 米内山義一郎

    ○米内山委員 農林省が東京電力と東北電力に農地転用の許可をしたのは昭和四十六年十二月で、その申請書によると、四十七年に着工すると書いてある。しかし、まだ着工もしない。いまこの問題が国会で問題になったら、二、三日前ににわかに請負をして、気象調査のポールを建てる仕事にいま着手したばかりだ。ここの昭和四十六年の売買の価格は十アール大体三十五万円で、この契約が完了した十日ほどあとにむつ小川原の価格の発表があったが、これは水田が七十八万円、畑地が六十七万円、山林、原野は六十万円だ。あなた方は先行取得と言うが、見込み取得ですよ。買い占めですよ。それに何らあと先を考えないで判をついた結果、東通の人は三十五万円、そのすぐ隣の六カ所が平均の六十万円、これだけでも東通の人が何十億という損害をこうむったのだ。これはあなた方がこういう損害を加えたのだ。安く売った人は損害だというと、安く買った人は利益を得たことになる。多数の農民が損害をこうむって、二つの巨大資本だけが、この処分のおかげで何十億の利益を得たことは明らかなんです。そうしてあなた方は、私の質問書に対して、錯誤による、虚偽による許可もそのままだと無効だが、事実を実態調査の結果必ずしもそうでないと言うが、私の質問書が出たあとに、東通村のこの実態について何か調査した事実があるか、この八十三条に基づく調査をした事実があるか、それとも、県にその調査を命じた事実があるか、東北農政局にそういう命令を下した事実があるかを聞いておきたい。
  258. 大山一生

    ○大山説明員 東通村の問題のその後の動きにつきましては、担当の農政局から両電力会社に対しまして時々刻々報告を求めているような次第でございます。  確かに、当初よりもおくれた事実はあると思います。ただ、その問題につきましては、あの農地転用とからみになりますところの、まん中に位置します部落有林、これの売買問題が若干難航したというようなこともあるようでございますけれども、われわれが最近聞いている情報では、原子力発電所をつくるために必要な相当緻密なボーリングその他の調査をやらねばならぬようでございまして、そういうことからまず着手したいというふうに報告を聞いておるわけでございます。
  259. 米内山義一郎

    ○米内山委員 時間も来ましたのでこれで終わりますが、私は、この問題で今後とも議論する腹は毛頭ない。ただ、法律とあなた方の持っている任務ですが、あなた方は資本の犬じゃないんで、国民に対する奉仕者でなければならぬ。したがって、あなた方には服務規律というものがあるわけです。私は、その規律と法律に基づいて今後ともこの質問を継続するつもりだから、まず、十分調査をしておいていただきたいと思います。  きょうはこれで終わります。
  260. 仮谷忠男

  261. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 きょうも一、二の委員から質問もありましたが、最近の繭糸価格のたいへん下がっている問題についてお尋ねをしたいと思います。  最初に、局長から現状だけを明確にしていただきたいと思いますが、事業団の中間買い入れは三万俵、ところが、最近は、きのうまでの現在でもはや二万三千俵ぐらい買い入れております。そうすると、あと残されたところは七千俵ぐらいの買い入れのワクしかないわけであります。しかるに、最近はまた急速に買い入れ量がふえて、昨日のごときは六百八十俵、約七百俵近い買い入れになっているようであります。きのう十日はたしか七百俵近いわけです。そうすると、三万俵の限度で、最近かけ込みの買い入れかなんか、どういう現象か、一日七百俵買い入れるということになると、その割合でいくならば、あと一週間か十日しか中間買い入れのワクというものはなくなってしまって、十日ごろたてば、もはや中間買い入れ制度はパンクしてしまう、こういう現状じゃなかろうかと思いますが、そのとおりかどうか、その現状について局長から御答弁いただきたいと思います。
  262. 松元威雄

    ○松元説明員 御指摘のとおり、事業団の買い入れを進めているわけでございまして、これはもちろん検査能力等の問題もございますが、製糸業者は市場にさばけないものを事業団へ持ってまいりますから、このままのテンポで進めますれば、十数日程度、検査能力いかんで若干差はございますが、その程度で満ぱいになるという実態にございます。
  263. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いまの局長の答弁であるにもかかわらず、最近の輸入は減らなくて、かえってふえておる。  最近の輸入の状況局長から御答弁いただきたいと思います。
  264. 松元威雄

    ○松元説明員 輸入の状況を少しさかのぼって申し上げたいと存じますが、大体、四十六年の輸入量はほぼ十万俵近い量があったわけでございますが、四十七年に非常にふえまして、十六万俵をこえる輸入があったわけでございます。それから、四十八年がまた十四万俵をこえる輸入で、大づかみで申し上げますと、そういう量でありまして、これは四十七年、四十八年が当時非常に需要が好調でございまして、いわば中間在庫の増加を反映いたしまして、非常に需要がふえたわけでございますが、逆に、それが現在の需給に対して非常な圧迫要因になっている。こういう事態があるわけでございます。  そういたしまして、本暦年に入りましてからでございますが、当初は対前年よりも少し減っておりましたが、特に、最近、四月、五月に至りましては、前年同期を上回る輸入になっておるわけでございます。したがいまして、輸入を論ずる場合には、いわば月別の前期の動向のみならず、過去における輸入の動向がどうあらわれているか、それから、今後放任すればどの程度の輸入が見込まれるか、この辺を総合判断しなければならぬわけでございますが、私どもとしますと、四十七年、四十八年は非常に輸入が入り過ぎたのであって、それは表面的には中間需要によってカバーされたけれども、それがこなし切れなくて現在に影響を及ぼしている。それから、ごく最近の四月、五月の実績は、前年よりむしろ多い。さらに放任しますれば、今後輸入は前年程度は少なくとも入るであろう。そうしますと、需要をはるかにオーバーする輸入量になる。したがいまして、このままでは需給に著しい不均衡を来たすというように輸入の実情を理解しているわけでございます。
  265. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 趨勢はいいのですが、もういまピンチに立っているわけです。三万俵のところ二万三千俵、一日の買い入れ六、七百俵、あと十日くらいしかもたない。こういう時期にもかかわらず、四十六年からの趨勢でなくて、四十九年のこの二、三カ月の問題にしても、中国から四十九年の四月には八千百俵、それから、五月には約六千俵、韓国も負けじとばかりに、これは四十八年には月二千俵くらいのものが、この四月になって四千五百俵、五月になっては五千二百俵、こういうように、最近は、かけ込み輸入というか、たいへんな輸入であります。これは事情をいろいろ言っている時間がないが、中国にはだいぶストックがあるだろう、韓国はまたことしは六万俵くらいの生産が七万俵になるであろう、こういう中国、韓国の事情もあるようであります。そして、また、中国は、先月末には、いままで六十八元で輸出しておったものを、今度は五十八元に値下げをして大量に持ち込もうという、こういう関頭にいま立っているわけであります。もう余裕がないわけです。三万俵の限度を二万三千俵買ってしまった。それで、きのうの実績は六百八十九俵であります。だから、いま買い入れは二万二千五百二十二俵になったのだから、あと残りは七千四百七十八俵しか買えないのが、きのうの買い入れは六百八十九俵であります。もうこれは十日ばかりしかもたない。パンクしてしまう。ところが、片方の輸入のほうは、中国は先月、自分の国内事情もあるのでしょうが、いままで六十八元であったものを五十八元に下げた。これを日本の価格に直せば九千三百円前後だと思います。そういうように値下げをして、急激に大量に輸出をしてきた。韓国も同じだ。去年は月に千俵か二千俵なものを、この四月は四千五百、五月は五千二百、六月の実績はここには出ておりませんけれども、そういうことになってくれば、もはや、日本の繭糸業というものは全部壊滅寸前にいま来ているわけであります。あした何か繭糸業者の大会があるそうなんだが、こういう事態を憂えて、昭和四十六年のときに事業団がどんどん買い入れをやっている。ところが、外国から安いものが入ってきたのでは何ということはない、国内には外国のものを入れる、国内生産はどんどん買い入れる、これじゃもとのもくあみじゃないかということで、このときに対処する法律を議員立法でつくった。それが繭糸価格安定法第十二条の十の二というのであります。この法律をつくった、こういう事態にいままさに直面しているわけです。だから、局長、この法律内容を申し上げると、「事業団が第十二条の四の規定により生糸を買い入れている場合において、」となっているが、いま買い入れているわけです。このとおりであります。第二番目は、「外国産生糸の輸入が増加したため国内における生糸の需給が均衡を失し、」ということだが、そのとおりであります。外国から入っております。その次は、「当該買入れによっては、国内において製造された生糸の価格が第十二条の五第六項の規定により告示された中間買入価格を下ることを防止することが困難であると認められるときは、」とあるが、この条件に三つぴしゃっとそろっているわけです。この法律の条件どおりになっている。今度はそのあと政府のやることが書いてあるわけであります。「政府は、生糸の輸入に関し、当該事態を克服するため必要な措置を講じなければならない。」とあり、条件は三つぴしゃっとそろっているのですよ。政府は必要な措置を講じなければならないということを、法律はきちっと書いてあるわけです。どういうことをやるかというと、「前項に規定する事態が生じた場合においては、」とあって、いろいろこまかいことはありますが、「事業団の委託を受けた者その他政令で定める者以外の者は、政令で定める期間内は、生糸を輸入してはならない。」と、もう法律はきちっと明快であります。このとおり発動するかどうか。  だから、方法は二つあります。一つは、事業団の三万俵を七万俵なり——通産大臣は甲府かどこかで言っているそうです。三万俵を七万俵にするとか、八万俵にするとか言っているそうですが、買い入れのワクをどんどんふやすことも必要だと思いますが、政令を直して七万俵でも八万俵でもどんどん買い入れます、と、こういう方途でやるのか。これでやれば、何ということはない、日本の金を使って中国と韓国の農民のつくったやつをどんどん日本へ持ってきて、日本でストックしておくと同じことになるわけです。私ははそうだと思いますよ。いまのときに三万俵のワクを七万俵か八万俵にするということは、何ということはない、中国でも生糸は余っているから、それをどんどん日本に輸入してきては、日本の金で日本の国内でストックしておくと同じことになってしまう。私は、この道は最後の場合でなければとるべき道じゃないと思う。  そういうことになると、ここの法律で規制しているとおり、一元輸入というこの法律を発動する以外に道はないわけです。この事態になってこれを発動しないことは、政府の怠慢である。これをやらないでいれば、日本の養蚕農家はみんなつぶれてしまう、こういう事態なんです。どうでしょうか。これはもう政務次官か局長か、きちっと政府の腹をいまきめなければ、あと一週間か十日でパンクしちゃうわけです。
  266. 松元威雄

    ○松元説明員 事態の認識につきまして、先生と私は見解は違うわけではございません。ただ、私、輸入を先ほど若干くどくど申し上げましたのは、当時、四十六年ごろはすでに生糸年度に入っておりまして、年末までの各月の動向を見ますと、毎月毎月ふえておった。それに対しまして、形式上生糸年度で申し上げますと、六月から始まったばかりでございましたものですから過去のことから述べたのでございまして、したがって、私が申し上げましたのは、過去における輸入の影響、最近における月別の輸入の増高、しかも放任すれば輸入がさらにふえるだろうという見通し、全部を含めてそういった輸入の影響ということが需給の不均衡の大きな原因であると申し上げたわけでございまして、論点が違うわけではないわけでございます。したがいまして、御指摘のとおり、このままでは需給関係は著しく不均衡になっておりますものですから、その意味におきまして、まさにあの事態に該当しておる、したがって輸入を調整する有効な措置を講じなければならぬ、実効ある措置といたしまして、輸入を所要量にとめるということが必要だというように、まさしくそう思っておるわけでございます。
  267. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 いま局長の言うとおりです。輸入するものを輸入させないように実効あることを講じなければいけない。そういうことだと思います。  この際に、事業団の買い入れを三万俵から七万俵にふやそうと八万俵にふやそうと一その意味は、これは次官よく聞いておいてもらいたいが、中国は生糸が余っている。だから、この間六十八元のを五十八元にして、日本に売り込みたくてしようがないから、日本のワクを広げてもらえば、中国でストックしておくものを日本へ持ってきてストックしておくと同じことです。韓国もことしは増産できる体制にあるから、この際売り込まなければいけない、幾らでもよろしい、こういうことになると、ワクをふやしたのでは、中国と韓国の農民を救う、向こうのストックを減らして日本のストックをふやすだけになっちゃう。そういうことになると、輸入を規制する方法以外に方法はない。しかし、農林省はいつになったらその実効ある措置ができるか。  これは、私は、法律なんか発動しないほうがいいと思う。それよりは、自主規制でもって、重大事態になっちゃうぞ、われわれみんな一堂に集まって、やめようじゃないかと、そう言ってあしたからやめるのならいい。しかし、そういう実効は、いままで長々やってきたけれども、あがらないわけです。あがらないということになれば、国権の最高機関がきめたところの法律を発動することによってやる以外に残された道はない。あるならば、総理でも、農林大臣でも、だれでも出てきて、私の前でちゃんと釈明してもらいたい。それならば私は納得する。いま法律に命ぜられたとおりの事態になっている。それ以前で自主規制を苦労してやってきたと思う。それができない。こういうことになれば、だれが何と言おうと、これはぎりぎりぎっちゃくの段階です。これはどうでしょうか。
  268. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 事態につきましては、小沢先生が御指摘のとおりだと私は思います。しかし、一元輸入という問題については、外交上の問題も非常にこれあり、通産省でもなかなか難色を示しておることも事実です。そこで、六月以降、その輸入調整対策として、韓国及び中国の大使館の担当官を呼んで、それに対する協力方を要請しております。つい近日もやっております。それから、商社を呼んで、通産省と協力して強力な行政指導をいまやっておる。しかし、いま御指摘のように効果がないということになれば、いつまでもそんなことは待っておられません。  それからもう一つは、やはり在庫をうんとかかえ込んでしまえば、これは非常に生糸の圧迫要因として長く残るということも事実であります。したがって、これはそう長いことを言っておられませんから、ここ、ごく近々のうちに、はっきりした効果が出ない場合には、これは一元輸入はやらざるを得ない。こういうことで、目下その手続をどんどん進めておるということであります。
  269. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 政務次官の意のあるところはわかりました。まあ、きょう聞いてあしたやりますとは言えない事態だと思います。ただ、これはうしろのませがあるのです。一日に七百俵入っている。あと七千俵のワクしかない。うしろのませというものは、いまどうひいき目に見ても一週間ないし十日しかない。この中間買い入れ制度が崩壊したときにはたいへんな事態になっちゃうと思います。だから、もう待ち切れない。ませというものは七日か十日しかないというこの事態と、いま通産省がせっかく何かしているというから、まだ五日や四日を待っているかもしれませんが、そのときにはこの法律の一元輸入という輸入規制法を発動する、こういうように理解していいでしょうか。
  270. 渡辺美智雄

    ○渡辺説明員 非常に差し迫った事態であるので、そんな、ともかくもう十日もあるいはそれ以上もなんというようなことは考えておりません。もっともっと早い時期にやるときはやる、こういうことであります。
  271. 小沢貞孝

    小沢(貞)委員 わかりました。  質問は、これで終わります。
  272. 仮谷忠男

    仮谷委員長 次回は、来たる十五日月曜日、午前十時理事会、十時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会をいたします。    午後五時四十八分散会